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1990-06-19 第118回国会 衆議院 環境委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月十九日(火曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 戸塚 進也君    理事 小杉  隆君 理事 佐藤謙一郎君    理事 鈴木 恒夫君 理事 戸井田三郎君    理事 持永 和見君 理事 斉藤 一雄君    理事 竹内  猛君 理事 斉藤  節君       青木 正久君    井出 正一君       簗瀬  進君    山本  拓君      岩垂寿喜男君    宇都宮真由美君       岡崎トミ子君    時崎 雄司君       長谷百合子君    遠藤 和良君       寺前  巖君    中井  治君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 北川 石松君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       渡辺  修君         環境庁長官官房         審議官     高橋 光男君         環境庁企画調整         局長      安原  正君         環境庁企画調整         局環境保健部長 三橋 昭男君         環境庁自然保護         局長      山内 豊徳君         環境庁大気保全         局長      古市 圭治君         環境庁水質保全         局長      安橋 隆雄君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部生活経済課         経済調査官   松原  洋君         沖縄開発庁振興         局振興第三課長 石田 省三君         文部省初等中等         教育局中学校課         長       辻村 哲夫君         文化庁文化財保         護部記念物課長 大澤 幸夫君         厚生省生活衛生         局乳肉衛生課長 難波  江君         厚生省生活衛生         局水道環境部計         画課地域計画室         長       鈴木  繁君         厚生省生活衛生         局水道環境部水         道整備課長   藤原 正弘君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   坂本 弘道君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課産業廃         棄物対策室長  三本木 徹君         農林水産省農蚕         園芸局植物防疫         課長      関口 洋一君         林野庁指導部造         林保全課長   渡邊  恒君         水産庁振興部振         興課長     海老沢志朗君         通商産業省基礎         産業局化学品安         全課長     橋本 正義君         建設省都市局都         市高速道路公団         監理官     辻  光興君         建設省都市局都         市計画課土地利         用調整官    石川 哲久君         建設省道路局有         料道路課長   小野和日児君         建設省道路局地         方道課道路経済         調査室長    井上 啓一君         建設省道路局地         方道課道路環境         対策室長    井上 靖武君         建設省住宅局市         街地建築課長  島崎  勉君         環境委員会調査         室長      高橋 昭伍君     ───────────── 委員の異動 六月八日  辞任         補欠選任   井出 正一君     瓦   力君   時崎 雄司君     佐藤 観樹君   長谷百合子君     渋沢 利久君 同日  辞任         補欠選任   瓦   力君     井出 正一君   佐藤 観樹君     時崎 雄司君   渋沢 利久君     長谷百合子君 同月十三日  辞任         補欠選任  宇都宮真由美君     佐藤 恒晴君 同日  辞任         補欠選任  佐藤 恒晴君     宇都宮真由美君 同月十九日  辞任         補欠選任   塚本 三郎君     中井  治君 同日  辞任         補欠選任   中井  洽君     塚本 三郎君     ───────────── 六月十二日  空き缶、空き瓶等の回収に関する法律案小川国彦君外三名提出、衆法第一二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 六月十五日  地球環境保全対策推進に関する陳情書(第一六九号)  かすみ網による野鳥の密猟根絶に関する陳情書(第一七〇号)  ゴルフ場農薬使用による環境汚染防止強化に関する陳情書(第一七一号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  環境保全基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 戸塚進也

    戸塚委員長 これより会議を開きます。  環境保全基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤謙一郎君。
  3. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 お許しをいただきましたので、今回環境教育生活者というようなテーマで質問させていただきたいと思います。前段、多分抽象論になるおそれがありますので、あるいは、長官を初め皆様方にはお答えづらい点もあろうかと思いますが、ひとつよろしくお願いいたします。  最初に、私は環境問題に地方議員から携わってまいりましたけれども、その原点は、私が今から数年前に車を運転していたときに、中央分離帯あるいは街路樹、木が実に生き生きと生い茂っているのを見て、ふと思ったことがあります。そのときは中央分離帯キョウチクトウが植わっていたわけですけれども、よくこの大気汚染の中で生き生きと育っていっているなという思いと同時に、その次の瞬間に、いや、待てよ、今の時代というのは、そうやって環境が劣化すればその劣化した環境に合わせて強いものをつくっていく、そういう風潮があるのではないだろうか。つまり、環境をよくしていこうということではなくて、今の環境に適合する、そうしたものをつくっていこう、つまり、強いものをこれからつくっていこうという風潮があったように私は感じて、どきっとしたわけですけれども、これからの時代というのは、やはり弱いものが生きていける、例えば、中央分離帯に本当にその辺の一輪の花を植えたとしたら、ものの一日、二日のうちに枯れてしまう、なえしぼんでしまうという現実をともすると見失いがちな昨今でございます。その辺、まず冒頭に環境庁長官に、建設省の、つまり道路責任者管理者としてはそういうものというのは必要なことだろうと思いますけれども環境庁というのは、あくまでも弱いものが生きていける、今の環境に適合できないものが適合できるような環境というものをつくっていくのだというふうに私は考えるわけですが、その辺ちょっと、私の今の話についての感想を聞かせていただければと思います。
  4. 北川石松

    北川国務大臣 佐藤委員高速道キョウチクトウを例にとられまして、環境に強いものを育てるという一面がある反面、弱いものを育てていくのが環境行政ではないかというところの御指摘を受けて、私の考えはどうだということをお聞きくださったのですが、今佐藤委員環境重要性を感じていただきながら、人間と語り得ない自然に生育しているもの、これは人間のつくったさまざまなものの中で被害をこうむっていると私は思うのでございます。  そういうことを思いますと、高度経済成長に伴って環境問題が非常に深刻な影響を与える現況を見ますと、環境庁というものはそういう環境を悪くしていくものに対して身をもってこれを痛感すると同時に、よい環境を守っていくところの責務を持っているのが環境庁ではないかという思いをいたします。その思いの中で、与えられた任務を十分にわきまえて生活者サイドに立った行政を実行していきたい、このように考えております。
  5. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 どうもありがとうございました。今お答えの中に生活者という言葉があったわけですけれども、各省庁現業官庁はどちらかというと生産者側あるいは供給者側に立った物の見方からスタートせざるを得ない、それに対して、生活者立場に立っていろいろと問題を提起し、問題を処理していけるのは、まさに調整官庁である環境庁以外にはないのではないかと私は考えているわけでございます。  特にこの次には、生活者というものは一体何なんだろうか、どういう立場に置かれているのだろうかということをお聞きしたいのですけれども、私の地元の横浜の栄区に今、横浜環状道路というものができる計画が進んでおります。そのときに私は、道路公団ですとか首都高速道路公団にお伺いしますと、今まではドライバーにだけ目を向けていた、どういう使い勝手の道路をつくるか、ドライバーが疲れない道路景観というようなものに目が向けられていたわけですけれども、昨今は通られる側の気持ち、通られる側の論理、そういったものにもやはり配慮していかなければいけない、通られる、通される側の景観にも配慮していかなければいけないという話を聞いて、随分時代は変わったものだなという思いがひとしきりするわけでございますけれども、これからまさにそうした受け手の生活者立場に立った官庁として、よその省庁といろいろな調整の中でやっていくことというのは果てしなく大きいのではないか。これは一環境庁施策としてやっていくだけの問題ではなくて、行政分化化、つまり縦割りに対して横割り行政というものを実現していける、まさにその主役がこの環境庁にあるのではないかなというふうに私はそのときつくづく感じたわけですけれども、その生活者というものについて環境庁長官はどういうふうにお考えか、お願いいたします。
  6. 北川石松

    北川国務大臣 委員生活者、そして道路を走る者、それを受ける者、例えばその受ける音、排出されるガス、このことによってその周辺の人は非常な公害を受けていると言って過言でないと思うのですね。そういう観点から、今までの道路をつけたらいいのだということの中で、あるいは防音壁を置くとか、あるいは道路の両サイド緑樹帯を持ってくるとか、そういうことが今日考えられるようになってまいりましたが、今なお十分とは言えないと思っております。生活者みずからもまた公害を出しておるのでありまして、こういう循環の中に立ちまして、私は、やはりそういうもろもろのことを考える中でよい環境をつくるということに全力を傾注するのが環境庁の役目だ、このように思っております。
  7. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 生活者という言葉が、どちらかというと政治家のスローガンですとか多分に情緒的なところから使われてくる、あるいはその意味や概念というものをはっきりとしないままに使われてきてしまっているというのは非常に残念なことなんですけれども、我々が考えている生活者というのは、生産者に対置した生活者、つまり、私はきょう国会にこうやって来ておりますけれども、ここに来てこういう仕事をしている私は生産者立場ですが、うちに帰ると、私の同じ体が生活者になるわけです。そうした生活環境に立った、その生活者の側に立つ、まさに今の都市生活者というのは政治とのかかわり合いにおいて最大の弱者だろうと私は考えているわけですけれども、そうした生活者の声というものを逆に武器にして、環境庁というものが今果たさなければいけない役割というものをいろいろと大きく充実させ、そして環境庁自身が力をつけていく。それは、何も学者や専門家の声を聞いて環境庁というものを充実させていくというよりか、せっかく今環境庁という役所には生活者という大きな味方があり、逆に言えば生活者のための官庁という今の役割考えるならば、私はここで生活者サイドに立ったそうした官庁であることをより一層鮮明にしていかなければいけないのではないかなというふうに考えるわけです。  そこで私は、この環境庁がやらなければいけない問題の一つに、そうした市民生活者が今の環境問題に対してコミットしていこう、関心から参加関心から行動に向けていろいろなことを考えているわけですけれども、どうも今の環境庁は、その辺の関心、例えば環境教育について気づかせる、理解させる、認識させるということには大変多くの努力を払っておりますけれども、そういうところから一歩進んで、参加させる、行動させるという、言ってみれば市民運動というものにどうも距離を置いてしまっているのではないか、私は、そうした環境に対する認識関心から行動参加に移すためのいろんな方策というものを考えることが必要だろうと思います。それがまた環境庁責務だろうと思うわけです。  私は、ここに幾つかの例を引かしていただきます。例えば、これは滋賀県の例が相次ぎますけれども、ここにホタルダスという、「私たちホタル」という本があります。これは言ってみれば簡単なことで、蛍を見た人はすぐ、どこでいつ蛍を見たかということをある機関に知らせる、それをパソコン通信で知らせていくということを通じて、蛍を見たという認識、蛍を見たという関心がそのまま環境運動参加していけるという、これは非常にすばらしい試みだろうと私は思います。今のは滋賀県の琵琶湖の水質調査ということに絡んで、堅田さんという女性の研究員中心になってソフトを自主開発したというようなことですし、そしてまたここに「うごくアトラス」、これはやはり滋賀県の有名な地域環境アトラスフロッピー版ですけれども、これを私、コンピューターの中で拝見して、視覚に訴えて環境というものの勉強を積み重ねていく作業を通じて参加意識というのが非常に高まっていくすばらしい教材だ、そういうふうに考えます。  そこで、御質問を申し上げるわけですけれども、まだまだこうした例というのは自治体等研究機関でたくさん業績を上げているということも多いだろうと思いますけれども、実際に環境庁というのはこういった情報の収集に努めておられるのだろうか。そしてまた、そうした環境というものをどういう形で生かしておられるのか。その辺についてお聞きしたいと思います。
  8. 高橋光男

    高橋(光)政府委員 ただいま委員質問のございました一般的ないわゆる環境意識に対する広報、啓発活動についてでございますが、委員も御承知かと思いますが、先般環境週間というのがございました。どの程度このような行事参加をしているかということについて、私ども地方公共団体に毎年この種の行事をするように慫慂し、かつその結果についても伺っております。  例えばことしの例で申しますと、約三百の団体地方公共団体民間団体も含めてでございますが、三百の団体が約七百件のこの種の行事を開催をしているということでございます。それから、特にことしにつきましては、この環境週間一つの大きなイベントといたしまして、私ども環境庁、東京都それから豊島区、それ以外の関係団体の主催によりますエコライフフェアというのを行ったわけでございます。これにつきましても非常に多くの反響をいただいておりまして、実は先週終了いたしたわけでございますが、約十一万人余の方々がこのフェア参加していただいているわけでございます。  特にこのフェアの中で我々強調いたしましたのは、先生も今御指摘されましたように、一つはいかに関心を持つかということでございます。それから関心を持った後に、その内容についていかに認識をしていくかということでございます。その上で、具体的な個々の生活の中で環境とのかかわり認識し、参加し、行動に移していくかということで、今申し上げましたような手順でわかりやすく説明を行い、また映像等を用いて皆さんに啓発を行ったところでございます。
  9. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 三百団体、七百件、具体的な内客についてはまたいろいろと教えていただきながら、私もずっとそれを見守っていきたいと思います。  どうも私がつき合っている市民団体、いろいろと話をすればするほどそうした立ち上がり、何かきっかけを持ってこれからやっていこうとするときの援助、これは援助という言葉が適当かどうかはわからないわけですけれども、例えばベンチャービジネスをやろうとする人のために、そういう企業のためにスタートアップビルというような発想がありますね。その立ち上がりについて行政が応援してやろう、ひとり立ちしたら出ていっていただく、これはベンチャービジネスですから、スタートアップビルのようなハードが必要なのかもしれませんけれどもソフトの面でやはり市民団体のいろいろなことをサポートするような体制というのをもう少し充実していただきたいと思います。また同時に、私自身は、先ほどのホタルダス、これはアメダスをもじったホタルダスという言葉なんですけれども市民が得てきた情報というものをつかみ取っていく、その情報一つ武器にして環境行政をやっていくという視点にどうも今欠けているのじゃないか。何もホタルが今どこにいるか、そういうことではなくて、どういう市民がどういう運動をして現実にその地域でどういう成果を上げているかということ、その情報を収集することというのは、実は今の環境庁に一番大事なのじゃないか。  私はこの後、環境教育の問題についてお話をしたいわけです。「「みんなで築くよりよい環境」を求めて」という昭和六十三年の環境教育懇談会報告の中で今の話が出て、こういうくだりがあるんですね。「行政による知識・情報の提供がある程度画一的なものにならざるを得ないことなどを考慮すると、」とありますけれども、その情報自分で集めよう、自分でつくろう、自分で発信しようと思えば、それは役所ですから画一的になってしまうわけですけれども、集まってくる情報をそのまま横に流していこうという視点に立てば画一的になんかとてもならないと思いますし、そういうものを各省庁に、そして各市民に、各社会にそれを定着させていく、そういうことが必要だろうと私は考えるところでございます。そんなところから、実は私は環境教育重要性というものにたどりつきました。先ほど長官からお話がありましたように、一方で生活者にも、この間の水質汚濁防止法生活雑排水の問題もそうですけれども加害者としての生活者というものをやはり知らせる必要もあるだろう、市民生活環境生態系に深刻な影響を与えている、このままでいくと生活者こそが環境最大加害者になるかもしれないということも含めて、環境行政というものをこれからやっていくことに私は非常に大きな意味を見出すわけです。  現在、環境教育推進について環境庁において具体的にどの程度予算でどのような策を進めているのか、それから、そうした取り組みにどのような効果が上がっているのか、さらには、今の取り組みで十分なのかどうか、その辺のことについてお聞かせください。
  10. 安原正

    安原政府委員 環境教育関係予算でございますが、平成二年度におきましては五億二千六百万円を計上しておりまして、これによりまして、映画、テレビ、パンフレット等によります普及啓発事業とか、あるいは基礎情報整備環境教育関係の研修の実施などの環境教育基盤整備、それから自然との触れ合いの中での環境教育推進といった事業推進しているところでございます。  それから、もう少し範囲が広うございますが、環境教育等もこの予算でやれることになっているわけでございますが、御案内のとおり先般の平成年度補正予算に基づきまして、全国の都道府県と政令市五十八団体地域環境保全基金というのが増設されたわけでございまして、この運用益をもちまして普及啓発事業平成二年度から進めていただくことになっておるわけでございます。この運用益による基金事業の重要な柱が環境教育推進ということでやっていただくよう、私どもとしては期待しておるところでございます。  先生が先ほど御指摘の、市民からの情報をできるだけ集めて、それをまたフィードバックしてほかの団体の方の参考にしていくということも重要かと考えております。今申しました全体の予算の中でそういうことも今進めつつあるわけでございます。例えば、環境教育レポートという形で都道府県等から環境教育の現状につきまして詳細な報告を求めまして、それをフィードバックいたしております。これは市民団体等活動の状況も含めた内容になっておるわけでございます。そういうことで、今せっかく努力しておるところでございます。  それから、どの程度上がっておるのかということでございますが、私どもとしましては、できるだけ正確な情報を広範に提供するということで、いろいろなマスメディアを活用することで努力しておりますし、また、地方公共団体を通じての努力をお願いしておるわけでございます。それによりまして、いろいろな最近のアンケート調査なんかを見ましても、環境問題に対する国民の意識が相当高まってきておるというぐあいに私どもとしては認識しておるわけでございます。今後とも、環境教育重要性を十分認識しまして、一層の努力をしてまいりたいと考えております。
  11. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 どうもありがとうございました。そうしたことで、環境教育重要性というものを我々はひとしく認識するわけでありますけれども、次に文部省の方にお聞きしたいと思うのです。  環境行政というのは行政分化化、すなわち縦割り行政から横割り行政、各省庁のつながりというものが大変大事だろうと私は思います。例えば、ある県で町づくり福祉指針というものができた、さあと喜んで都市部という部に行きましたらほとんどそれがまだ手に入っていない、福祉部で幾らそういうものをつくっても、町づくり中心である都市部でそういうものを持っていないということに私は大変失望したことがあるわけですけれども文部省としては、学校教育を通じて環境教育は大変重要なことだろうと思いますが、今どのような取り組みをされておるのか。そしてまた、環境教育学校教育における位置づけというものをお答えいただくと同時に、今の教育というものが受験中心、そうした中で道徳教育にも通ずる奥深いものがあるこの環境教育の教員の教育やプログラムの開発、そして現場での環境教育普及徹底思い切った予算体制を組むべきだと思っておりますけれども、その辺についてお聞かせ願いたいと思います。
  12. 辻村哲夫

    辻村説明員 環境問題につきまして、子供たちに正しい理解を深めさせるということは大変重要なことであると思っております。このような観点に立ちまして、小中高等学校の段階からも環境教育指導に力を入れておるところでございます。  具体的には、小学校中学校高等学校を通じまして社会科あるいは理科という教科がございますが、そうした教科指導を行っております。例えて申しますと、小学校理科では植物成長あるいは生物成長というような学習をするわけでございますけれども、そうした学習の中で、身近な自然に学びながら生物が互いに影響し合っておるというようなことを子供たち学習させております。中学校になりますと、自然界の事物、現象と調和、それから人間の生存とのかかわりというような学習理科でいたしますけれども、そうした学習を通しまして、環境保全に対します関心あるいは生命尊重の態度の育成というような指導を行っておるところでございます。また、単にこうした教科の面だけの指導にとどまりませんで、自然との触れ合いを通して環境の大切さを学ばせる自然教室というものを行いましたり、環境美化活動というような奉仕的な体験学習あるいは勤労体験学習というようなものも学校教育の中で行っておるところでございます。このたび新しく学習指導要領を改訂いたしましたけれども、その中でも、こうした面の学習により力を尽くしていくべく充実を図ったところでございます。  しかし、この指導を充実するためには、先生一人一人の意識あるいは指導力というものが大切でございます。そういう意味で、この平成二年度の予算には環境教育に関します手引書作成の経費を計上したところでございまして、専門家の御協力も得ながら手引書の作成に速やかに取り組んでまいり、それを各教育委員会を通じて学校に参考配付して、それを参考にしながら学校でもこの環境教育についての指導の充実に取り組んでいただくというふうにしております。また、最近は全国的な組織で環境教育かかわります学会等もスタートしておりますし、小中学校先生方がメンバーになった環境教育の研究会というようなものもできつつございます。そうしたものも育て、また、そうしたものとの連携を図りながら、学校教育全体を通して環境教育の充実に努力してまいりたいと考えております。
  13. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 どうもありがとうございました。これからも積極的なお取り組み文部省にもお願いしたいと思います。  最後に、私がそうした環境教育を勉強した中で、今の日本に環境教育というものを抜本的に定着させていくために、アメリカで環境教育法というのがあったように聞いております。現在では廃止になりましたけれども、その精神は今でも引き継がれて、民間や地域レベルでこうした環境教育がいろいろな形で生き、育ち、立ち上がっておるというふうに聞いております。そこで、このアメリカの環境教育法についてその内容説明していただきたいのと、私はそうした環境教育の促進法というようなものを制定していくべきじゃないかと思うのです。先ほど安原さんから、地域環境保全基金を通じて地域に根差した取り組みをしておるという報告もありましたが、できれば、そうしたものを環境情報のネットワークとして構築しながら環境教育を展開していくために、そして環境教育の人員、予算思い切った拡充を求め、さらに文部省とも連携をとって学校教育の中でも教育プロセスやプログラムの開発、教員への研修指導、そうした抜本的な展開を進めていくためにも環境教育促進法というものが必要だということを私は今度の勉強で痛切に感じさせられました。その辺につきまして、環境庁の御意見を聞かせていただき、できましたら環境庁長官にもその決意、御所見をお聞かせいただければと思います。
  14. 安原正

    安原政府委員 大臣の御答弁の前に、事務的に御説明させていただきます。  今御質問のアメリカの環境教育法でございますが、一九七〇年に制定されたものでございまして、この法律は、各種教育機関等が環境教育のカリキュラムの開発、プログラムの策定、教師等に対する研修、教材資料の作成等を行う場合に、連邦政府がこれに対し補助を行うというものでございます。この法律によりまして、アメリカにおきまして環境教育に関する教材が改善されたりNGOの活動が活発化したという点で評価されておると聞いております。この法律は、連邦補助のあり方についての見直しの際に、一九八三年に廃止されたわけでございます。  今御指摘の法律の問題につきましては、私どもといたしましても、その内容と効果につきまして、十分勉強させていただきたいと考えております。  文部省との連携につきましても、今、連絡会を設けまして、情報の交換等、連携に努めておるところでございます。
  15. 北川石松

    北川国務大臣 佐藤委員の重ねての環境教育重要性と、長官としての決意はどうだ、こういうふうに聞かせていただきますと、大変環境行政に御理解をいただいて、まず感謝をいたしたいと思っております。  教育は、学校と家庭のしつけと地域社会と、これが三位一体にならなくてはいけない、こんな思いもいたします。今委員のお姿と発言を聞いておりますと、お父さんが侍だったなと思って、その侍がだんだん少なくなってきた。子供でも侍の根性を持った者もおれば、政治家にもあるいは企業家にもあらゆるところに侍というものが少なくなってきたのじゃないか。こんな思いをしながら、私はこの間、地元の小学校六年の、日本で初めて環境教育をしているのを視察させていただいた。六年の児童たちが語り、質問するのを実地に聞いておりまして、大人が環境を悪くしたと言っておることが一つありました。その中で、電気のむだ遣いをなくすれば炭酸ガスが少なくて済むじゃないか、森林を多くすれば酸素が多くなるじゃないか、植林をしたらどうだ、こういうことを言うのです。子供がなかなかよく言ってくれるなと思って、私、子供に、おじちゃんがみんなと同じころこの学校におったとき残っているものは何もないんだ、みんな鉄筋になってしまった、たった一つ残っているものがあるんだ、何だと思うと質問式で聞いて、クスノキだけが一つ残っておる。そして私は木を植えまして、木を植えることが植林だな、そしてそれは木を大切にすることだなと言って、子供と打ち解けて話をしながら、ああ、私がきょうこのようにしておれるのもおやじのあのスパルタ教育のおかげだな、そんな思いをしながら、私は、環境教育がこれから、文部省からも来ていただいておりますが、文部省とともに手をとりながら、またそれは文部省だけじゃなしに関係省庁とも手をとりながら環境教育推進してまいりたい、このように思っております。ありがとうございました。
  16. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 愛情あふれるお話でございましたので、私も一生かけて環境行政のために頑張っていきたいと思います。どうもありがとうございました。
  17. 戸塚進也

  18. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 佐藤委員の大変格調の高い質問にかわって、少し地元のことを質問いたしてまいりたいというふうに思っております。  私の選挙区は川崎なのですが、東京湾の横断道路の建設について、私たちは、東京湾の環境を守る立場あるいはその道路の受け皿が川崎市内の道路であるということから、賛成するという立場には立ち得ませんでした。多くの市民の気持ちも率直に言ってその辺にあったと私は覚えております。当時の予算委員会の分科会を初めいろいろな委員会の機会を通して、あるいは当時の建設大臣や建設省の幹部の皆さんとの話し合いややりとりの中でいろいろな問題を私は指摘をし、それに対するお答えをいただいてまいりました。  その際、私が一番懸念をしたのは、横断道の受け皿となる川崎というところは地形が大変細長くて、ウナギの寝床などという言葉が使われるほど地形が狭いのです。市内の道路の渋滞というのは大変深刻なものであります。例えば、東名とか中央高速とか第三京浜だとか第一、第二国道だとかというそれぞれの道路がありますが、横にある道路に比較して縦の道路網というものが整備されていないという問題が一つある。その上に横断道を渡ってくる自動車が川崎市内に入ってくるということは大変な交通渋滞を巻き起こすのではないか。もう一つは、もう言うまでもございません、これは例外ではございませんが、排気ガスのことや騒音、振動や、さまざまないわゆる交通公害と言われるものについて、市民がそれを受忍しなければいけないという問題点でありました。つまり、通過交通のデメリットだけを川崎の市民が一方的に受けるということは私たちは耐えられない、そういう立場からいろいろな質問をし、やりとりをしてまいりましたところ、政府並びに建設省からは、それに対して、つまり市民の心配に対して誠意を持って対応するということを御答弁をいただいてきたところであります。  万全の措置を講じますということを約束をいただいてきているわけでございますが、工事がいよいよ始まりまして、実は市民の心配というものが現実のものになりつつあるわけであります。そういう点で、この時点で、これは環境庁長官というよりも特に建設の主体である建設省の皆さんに、それらの市民の不満について一つ一つお尋ねをし、お答えをいただいておきたいと思いますので、しばらく御猶予をいただきたいというふうに思います。  最初に、東京湾横断道路建設の進捗状況はどんなふうになっているかということをお尋ねをしておきたいと思います。
  19. 小野和日児

    ○小野説明員 東京湾横断道路でございますけれども、これは神奈川県川崎市と千葉県木更津市を結ぶ延長約十五キロの道路でございまして、川崎縦貫道、東京湾岸道路、首都圏中央連絡自動車道と一体となって首都圏における広域的幹線道路網を形成いたしまして、首都圏の諸機能の再編成、産業活力の向上等を図るものでございます。  昭和六十二年七月から日本道路公団と東京湾横断道路株式会社が事業に着手いたしまして、昭和六十三年十二月に漁業補償が完了いたしまして、平成元年度、昨年度から浮島、川崎人工島、木更津人工島等において地盤改良等の工事が進められているところでございます。
  20. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その受け皿が川崎であることは言うまでもないのですが、それらのやりとりを通して、川崎の縦貫道は横断道のいわば廷長線上に位置づける、したがってこの縦貫道の整備は国道として整備をしていくという方針が示されているわけですが、そのように受けとめてよろしいかどうか、お答えいただきたいと思います。
  21. 井上啓一

    井上(啓)説明員 今有料道路課長の方から御説明しましたように、東京湾横断道路、五十七年に川崎市と成田市を一般国道四〇九号として国道昇格した路線の一部を構成しております。その東京湾横断道路と接続し、また一体として広域幹線道路網を構成する重要な道路として、神奈川県におきましては東京湾岸道路と川崎縦貫道路計画されております。  御案内のとおり東京湾岸道路は現在鋭意工事を進められておりますが、御質問の川崎縦貫道路でございますけれども、東京湾横断道路と接続いたします浮島町地先から一般国道の十五号までについては早急に整備する必要があるということで、一般部を一般国道の四〇九号の国道事業として整備することにいたしております。また、専用部につきましては、首都高速道路公団事業者として予定し、整備を進めることといたしておるところでございます。
  22. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今の緊急に整備をしなければならぬという地域の指定が、じゃ国道はどこまで行くんですかということをはっきりここで述べてください。緊急に必要なところはこれだ、そうでないところは緊急でないという表現に受け取りますので。
  23. 井上啓一

    井上(啓)説明員 現在のところ、川崎市内の川崎縦貫道路として調査を進めておりますのは、東名高速道路までを調査を進めております。
  24. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 聞き間違いかもしれませんけれども、国道十五号のところまでが緊急でというようなことに聞こえたものですから、念のために伺ったわけでございます。あそこで車をほっぽり出されたのではたまったものじゃありませんから、念のために申し上げておきたいと思います。  今御答弁をいただきましたように、縦貫道が横断道の受け皿としての役割を果たすことによって、市民生活にははかり知れない影響、とりわけそのデメリットが心配されるわけであります。したがって、例えばコースであるとかあるいは工法を含めての構造だとかそういう問題について、地元の自治体、この場合は川崎市あるいは神奈川県ということになるのかもしれませんが、その意思を最大限尊重していただきたいと思うのですが、それに対するお答えをいただきたいと思います。
  25. 井上啓一

    井上(啓)説明員 お答えいたします。  川崎縦貫道路、川崎市の都市基盤整備の骨格をなすものというふうに理解しております。このため、川崎縦貫道の計画の立案に際しましては、関係いたします川崎市、神奈川県及び建設省の関東地方建設局等から成ります川崎縦貫道路計画調整協議会を設けまして調整を図っております。この協議会の中で、川崎市、神奈川県の意見についても十分に配慮しているところであり、川崎縦貫道路一期につきましては既に都市計画決定手続に入っているところであります。これからの計画に際しましても、この協議会の場で地元自治体と十分な連絡調整を図りながら道路計画を進めてまいりたいと考えております。
  26. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 建設省が上で地方自治体が下だなどということを申し上げるつもりはございませんが、もう一遍お尋ねしておきますが、自治体の意向を尊重するということを単純明快にお答えいただきたいと思います。
  27. 井上啓一

    井上(啓)説明員 協議会の場を通じまして意見調整をしまして、十分地元自治体の意見も配慮してまいりたいと考えております。
  28. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 意見もと言うけれども、意見をというのと意見もというのはかなり違うんだよ。私は、意見を尊重するというふうにきちんと答えていただきたいということをお願いしているわけです。
  29. 井上啓一

    井上(啓)説明員 わかりました。意見を尊重してまいります。
  30. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それで、この間実は川崎の環境影響審査会がこのアセスについて答申案を出しました。これは十三日に市長に提示されておりますけれども、当然市長から皆さん方の方にこのアセスについての注文を恐らく申し上げることになるだろうと思いますし、市長もその意思を表明しております。市長の意見を尊重する、意見もじゃなくて意見を尊重するというお答えをいただきたいと思います。
  31. 井上靖武

    井上(靖)説明員 お答え申し上げます。  川崎市環境影響評価審議会の答申は平成元年八月より七回にわたり慎重に審議された成果でございまして、この答申に沿って、先ほど先生がおっしゃいましたように川崎市長が川崎縦貫道路計画についての意見として提出することになっております。建設省といたしましては、本答申の趣旨を十分に踏まえまして、事業予定者である首都高速道路公団等に対しまして、意見についての的確な見解を盛り込んだ適正な環境影響評価書を作成するとともに、今後の事業実施段階におきましても沿道環境の保全に十分配慮するよう指導してまいりたい、このように考えております。
  32. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それでいいのですけれども、ここももっと素直に、やはり市長がそれを受けとめて、前の市長の伊藤さんなんですけれども、川崎市がそれを受け入れるという態度をいち早く表明した経過を考えていただいて、アセスは市民の一番大きな関心事ですし、今の一期工事の部分というものが二期工事にも非常に大きな複雑な影響を及ぼすことはあなた方御存じのとおりですから、やはり尊重してまいりますということを素直に答えてくださいよ、そこのところは。どうぞ。
  33. 井上靖武

    井上(靖)説明員 建設省としては本答申を十分に尊重してまいりたい、このように考えております。
  34. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 明快な御答弁で、ありがとうございます。縦貫道が、先ほどから申しましたように横断道のバイパスだという意味しかないということになると、これは市民にとってはデメリットでしかなくなってしまいます。そういう意味で、せっかく縦貫道をつくるのですから市民生活に役立つ道路として利用できるような計画をお考えをいただきたい。実はこれは、予算委員会の分科会で当時の道路局長と私とのやりとりの中でもそういう趣旨のことを道路局長から御答弁いただいておりますが、念のために申し上げておきたいと思います。
  35. 井上啓一

    井上(啓)説明員 先ほど先生指摘のように、川崎市における道路網、市域を東西に走る道路は、一般国道一号や十五号、第三京浜など非常に多くあるわけでございますが、市域を南北に縦貫する道路網といたしましては一般国道の四百九号等しかございませんで、非常に南北の道路整備が不十分であります。そのため、この方向の道路の強化が必要と考えております。  川崎縦貫道路は、川崎市を南北に縦貫する幹線道路計画といたしまして、川崎市内の道路の混雑緩和を図る上で大きな効果を持っている、また本道路は、川崎市内に形成されている各拠点相互を縦方向に短時間で連絡し、市域の一体強化を図り、産業や情報の交流に大変役に立つ、そういうことで川崎市の発展整備に大きく寄与するというふうに考えております。そういう観点で今後計画を詰めていきたいと考えております。
  36. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 実は、私は長い国会の生活を通して多摩川の自然環境を守るさまざまなこととかなり深いかかわりを持っている立場から、多摩川というのは川崎市民だけでなくて東京都民もそうなんですが、まさにかけがえのない情緒空間でございます。この多摩川の河川敷に道路をつくるというような計画が持ち上がったこともございますが、私はそれは適切なものではないというふうに考えます。これについて、恐らくイエス、ノーと答えにくいのだろうと思いますが、しかしやはり私は否定的な立場に立ちますので、それについて建設省の見解を伺っておきたいと思います。
  37. 井上啓一

    井上(啓)説明員 川崎縦貫道は、先ほど申しましたように川崎縦貫道路計画調整協議会におきまして検討しておるわけですが、川崎市の市街地を通過するという条件のもとでいろいろ難しい問題もあります。そういうことで、ルートについて幅広く検討しております。御指摘の多摩川ルートにつきましては、治水上の観点から高架道路として河川を縦断方向に占用することはできません。また、そういたしますと、多摩川の自然環境保全でありますとか河川事業との調整、また住民の立ち退き問題等もございますし、道路としてもアクセス性に非常に難しい問題がある、そういうようなことも踏まえまして、協議会の場で慎重に検討してまいりたいと思っております。
  38. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 大体私の気持ちはわかっていただいているということがわかりました。  先ほどから申し上げてまいりましたけれども、これから一期、それから二期の工事に入っていくのですが、川崎市の交通渋滞や市民にとって有用な道路ということになるとすると、市民生活の拠点の町づくりというふうなものと整合性を持って計画をされるべきだというふうに思いますが、この点で地方自治体が一定の見解を恐らく持つに至るだろうと思います。あるいは述べているかもしれません。そういうことについてぜひ地方自治体の意思を尊重していただくということについて、念のためにお尋ねをしておきたいと思います。
  39. 井上啓一

    井上(啓)説明員 先ほど来お答えさせていただきますが、川崎縦貫道路は川崎市の都市基盤整備の骨格をなす道路ということで、この計画の立案に際しましては市の町づくり計画との整合が特に重要であると考えております。そういうことで、川崎縦貫道路計画調整協議会の場で十分に指導調整を図ってまいりたいと考えております。
  40. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 道をつくるときにいろいろな意見があるわけですが、おおむね総論賛成、各論反対というケースが多いのです。それは当然といえば当然の点があるわけです。交通渋滞の解消というのは結構な話で大賛成だ、だけれども、先ほどから強調したように、例えば公害問題、大気汚染、騒音、振動などなどのことを考えてみるとやはりこれは賛成はしにくい、あるいは反対だというような市民感情というものが現実にあるわけです。そういう意味では、この道路の建設に当たって環境対策というものを最重点で御考慮をいただかなければいかぬ。この点についてぜひ御答弁をいただきたいと思います。
  41. 井上靖武

    井上(靖)説明員 お答え申し上げます。  道路整備に当たりましては、従来より地域の現況や町づくりの方向を踏まえまして、適切な環境対策を取り入れた道路計画することによりまして環境の保全に努めてきたところでございます。現在、都市計画決定の手続を進めております川崎縦貫道路のうちの首都高速道路湾岸線と国道十五号の間におきましても、沿道の土地利用や他の幹線道路との接続等を考慮し、必要に応じ環境施設帯を設けるなど、環境の保全に十分配慮してルート、構造等を決定してまいりました。現在調査を進めております国道十五号以西につきましても、沿道との調和を十分配慮し、環境保全が図れるよう検討を行ってまいりたい、このように考えております。
  42. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 道路をこれからつくっていくというときに、土地の値段が上がってしまって大変だということもありましょう。それから、長く住みついている人たちの気持ちもそんたくしなければならぬ面もございます。同時に、例えば住民運動というようなことも配慮しなければならぬと思うので、非常に難しいという面が多いと思うのです。そうなると二期工事も、私は具体的に工法だとか構造を言うつもりはございませんけれども環境保全に万全の措置を講ずる、そしてなかなか土地が入手できないという状況があるということになると、おのずから構造がはっきりしてくるような気がするのです。一期の工事の中でもいろいろ御苦労なさったようだけれども、少なくてもそういうことについていろいろな工夫をしていかなければならぬと思いますが、この点について建設省はどんなお考えを持っていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
  43. 井上啓一

    井上(啓)説明員 この道路は川崎市の市街部を縦断する道路計画ということで、そのルートや構造につきましては大変難しいわけでございますが、沿道の土地利用あるいは環境保全対策のあり方、それから市の町づくりについての計画との整合、そういうような観点から、川崎縦貫道路計画調整協議会の中で幅広く検討をしてまいりたいと思っております。建設省としては、この協議会の結論を尊重いたしまして計画を詰めていくというふうに考えております。
  44. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ちょっとお尋ねしておきますが、道路の地下とか半地下とかいう構造について、建設省の技術のレベルというのはかなり自信を持つものに至っているかどうか。この点は念のためにお尋ねしておきたいと思います。
  45. 井上啓一

    井上(啓)説明員 半地下構造につきましては、相当今までにも実際につくっている道路がございます。地下の道路の建設等につきましては、トンネル等の技術についてはかなり実績がありますが、道路の場合には換気をしなければならないというような問題もございます。そういうことで、いろいろ検討しなければならない点が多々あるということでございます。
  46. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いろいろ実績があり、技術のレベルも最近はかなり改善をされているというふうに思います。だから、住民も地下の方がという気持ちが恐らくあるだろうと思います。その点私はあえてお答えをいただかないで、ぜひその点についての自治体の気持ち、住民の気持ちを尊重していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  先ほど二期工事のいわば計画というのは東名までだということを御答弁いただきました。工事を進めていくスケジュール、これは率直に申し上げて、平成七年に横断がオープンになって供用開始というときに、川崎へ入ってきたところが途中で道路がふん詰まりの状態になっているのではとてもじやございませんので、スケジュールを明らかにしていただきたいと思います。
  47. 井上啓一

    井上(啓)説明員 東名までの計画でございますが、幹線道路を結ぶということで早期に計画を詰めなければならないと考えております。川崎縦貫道路二期区間につきましては、できるだけ早期に計画を固めまして、まず都市計画決定を進めることが重要と考えております。そういうことで、鋭意今準備を進めているところでございますので、それ以降、その都市計画決定等の準備状況を見ながらまた具体的なスケジュールについては考えていきたいと考えております。
  48. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 先ほど私が申し上げたように、途中でふん詰まりみたいな形にならぬように、当然のことながら横断橋がどういうスケジュールになるのか、予定どおりいくのか、それは私もよくわかりませんが、そういう整合性というものだけは十分に御配慮願いたいというふうに申し上げておきたいと思います。  それから、一期工事だけで実は移転をしなければならぬ事業所が四十、住宅が百二十なんです。その移転先について市当局も大変苦労しております。前面に出るのは川崎市の関係者だと思うのですが、ひとつその気持ちを察していただいて国も格段の御協力をいただきたいと思いますが、念のためにお尋ねしておきたいと思います。
  49. 辻光興

    ○辻説明員 川崎縦貫道の建設に当たりましては、先生指摘のように、かなりの規模の方の御協力をいただくことになるわけでございますが、事業かかわりまして必要な用地を譲っていただくことにつきましては、関係の方々に対しまして十分な説明会もさせていただきますし、個別の補償につきましても十分御協議をさせていただきまして、御協力をお願いすることになるわけでございますが、それにつきましては、地元公共団体の御協力もいただきながら、十分誠意を持って当たるよう公団を指導してまいる考えでございます。
  50. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 首都高の横羽線というのが高速道路じゃなくて時々低速道路になるわけですが、それについて、羽田のあの地域を一車線バイパスみたいな形でつないでいただきました。それによってかなり改善が見られたという評価もございます。今後、首都高の渋滞解消のためにどんなことをお考えになっていらっしゃるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  51. 小野和日児

    ○小野説明員 ただいま先生お話しいただきました横羽線につきましては、特に羽田トンネルを先頭とした上り方向の渋滞が慢性的に発生していたわけでございまして、その緊急的対策として羽田トンネル付近の改良を行っております。これは可動橋によりまして、羽田空港ランプからの交通を羽田トンネルを出たところで本線に流入させるという工事でございまして、その一期工事が本年四月十六日に供用いたしております。また、この先東京側でございますが、昭和島インターチェンジまで二車線拡幅する二期工事を現在行っておりまして、これは今年度じゅうに完成する予定でございます。  この効果でございますけれども、一期工事の効果として先日調査いたしましたところ、従来横羽線の最大渋滞長が約十二キロございましたが、それが二キロほど減りまして約十キロとなっております。それから時間でございますけれども横浜公園から都心環状線と合流する浜崎橋のインターチェンジまで約三十キロございますが、これが従来七十分くらいかかっていましたのが、今大体五十分くらいに縮まったという調査結果が出ております。  この横羽線の渋滞解消、今後ともこういった羽田トンネル付近の改良等を進めてまいりますけれども、やはり抜本的には高速湾岸線の三期、四期の工事を進めてございます。大田区の東海、それから羽田空港までの約六キロにつきましては、平成四年度完成予定でございます。それからその先、残る羽田空港から大黒埠頭までの間、約十五キロございますが、平成六年度完成を目標に今鋭意事業を進めているところでございます。
  52. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 建設省の皆さんにお願いをしてまいりましたが、これは大変大勢の方々に御参加をいただかないと御答弁がいただけないというような状態です。それは役所の仕事としてやむを得ないのかもしれませんが、私はやはり住民の立場というものを考えて、御答弁をいただいたことに対しても一定の期待を持ちながらお願いをしたいと思います。  環境庁長官道路をつくるときには環境が一番問題になりますので、ぜひこの点について長官の、今お聞きになった上でそういうことについて、横断橋というのはナショナルプロジェクトみたいなものでして、中曽根さんの時代の民活第一号みたいなでっかい計画なんです、その犠牲を川崎の市民だけが受けなきゃならぬという理屈はどうにも理解ができませんので、最大限、環境対策を含めてこれについて対応をいただきたいということで御答弁をいただきたいと思います。
  53. 北川石松

    北川国務大臣 岩垂委員の、道路の新設について、特にまた東京湾横断道路は、いろいろの意味を加味しまして環境を損なうことなくということは大変至難なことであろうと思います。そのために先ほど来建設省がいろいろと御答弁申し上げておりますように、最善の努力を払っていかなくてはならぬと思っておりますし、また環境庁といたしましては、この工事については環境を損なわないように、協議の際にもそのことを事業者にも申し入れておる次第でございます。
  54. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 建設省関係の皆さん、大勢お越しをいただきましてありがとうございました。これからも機会を得て皆さんに一つ一つお願いをしたりあるいは陳情をしたり文句を言ったりしてまいりたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。もうお引き取りいただいて結構です。  私が委員会質問するとどうも石垣のことばかりになって本当に申しわけないのですが、執念を燃やしてこの問題に取り組んでおりますので、ぜひ御寛容を賜りたいと思います。  最初に警察庁にお尋ねをいたします。  さきに、新石垣空港建設予定地の土地にかかわる国土法違反容疑について強制捜査が行われました。この捜査について、その経過、容疑、そして今日の状態について、御報告がいただける範囲でぜひ御報告をいただきたいと思うのであります。
  55. 松原洋

    ○松原説明員 お尋ねの件でございますが、平成元年に、国内リゾート開発株式会社と株式会社センターアートギャラリーとの間で、同じく平成元年に株式会社センターアートギャラリーと株式会社光建設との間で、それぞれ新空港予定地を含みます石垣市白保地区の約百二十八万平方メートルの土地の売買等を行うに際しまして、国土利用計画法に定める届け出を行わずに売買等の契約を締結したという容疑の事案でございます。  この件につきまして、沖縄県警察におきまして内偵捜査中のところ、本年五月三十日に県の告発を受理いたしまして、六月八日に関係三社を含みます関連箇所十余ケ所の捜索を実施いたしまして、現在、押収資料等の分析など、所要の捜査を進めているところでございます。
  56. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今日現在まで関係者の取り調べというのは行われておりませんか。
  57. 松原洋

    ○松原説明員 先ほども申し上げましたとおり、現在押収資料の分析を進めておる段階でございまして、まだその段階には至っておりません。
  58. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これに関連しまして登記抹消の民事訴訟が提起されておりまして、関係者の間で和解が成り立ったというふうなことも仄聞をいたしております。本件の捜査状況と、登記抹消の手続ということの意味が私にもよくわかりませんが、そのようなこととは関係がないものだというふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  59. 松原洋

    ○松原説明員 御指摘の点につきましては、新聞等でそのような報道がなされていることについては承知をいたしてございますけれども、私どもまだその点につきまして詳細な事実関係を掌握してございませんので、この場で御答弁を申し上げるのは差し控えさせていただきたいと存じます。
  60. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私の言いたいのは、違反事実は今捜査中ですから結果が出たわけではございませんけれども、皆さん方が取り調べていくことと裁判上の、民事訴訟でございますが、和解ということとの関係は、因果関係はないものだ、違反事実は違反事実であり、その追及というものは続いていくものだというふうに、常識なんですけれども受けとめてよろしゅうございますか。これは一般論で結構です。
  61. 松原洋

    ○松原説明員 あくまで一般論でございますけれども、容疑事実と御指摘の和解の問題とは別のものと考えてよかろうかと思います。
  62. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 松原さん、お忙しいところありがとうございました。  引き続いて沖縄開発庁にお尋ねいたしますが、この新石垣空港建設に至る経過を簡単に御説明いただきたいと思います。
  63. 石田省三

    ○石田説明員 御説明いたします。新石垣空港建設計画の経緯でございます。  その以前に、現在の石垣空港でございますけれども、五十二年当時から、第三種空港、県管理でございますが、第三種空港で旅客、貨物とも扱い量がトップになった、こういう経緯がございまして、県の方で本格的なジェット化空港の建設の検討を進めるれております。昭和五十四年に、現在737というジェット機が就航しておりますけれども、これはあくまでも暫定措置ということで、滑走路の溝切り、グルービングと言っておりますが、を行ったりあるいは機材の能力をアップして暫定的に使っている。その過程で、地元の方々も騒音でいろいろ問題があるわけでございますけれども、いずれ新石垣空港が建設されるということで理解をいただいている、こういう経緯がございました。  それで、新しい石垣空港につきましては、本来空港の設置管理者というのは沖縄県でございますので、県が第一義的に判断することになっております。今まで県の考え方をお伺いしておりますと、次のようになっておるということでございます。  どこに場所を決めるかという過程で、現在の空港を拡張する案であるとか、あるいは陸上部で適地がないか、海上部で適地があるか、そういう検討を進めておられまして、まず現在の空港を拡張する案につきましては、私ども県の方からお伺いしておりますのは、一つは先ほど申し上げました騒音問題、市街地に接近しているためその当時でも騒音が大きな問題であった。それから、空港を拡張しなければいけないわけですけれども、周辺の土地利用も、市街化が進んでいるあるいは農用地の整備が進んでいる、あるいはさらに、現空港の延長を行います場合には、国指定の歴史的な文化遺跡、フルスト原遺跡と言っております、オヤケ・アカハチという昔の豪族のやかた跡だというふうに推定されているような遺跡がある。その遺跡が破壊されるということがある。さらには、現空港の位置をもう少し北へ振るというか、滑走路の方向を変えるような案も検討されております。これにつきましては、やはり民家の騒音問題が非常に大きな問題になるということ、それから現空港の滑走路延長案に比べまして、さらに多くの農地に影響が及ぶ。そういうことから、現在の空港を拡張するということは非常に難しいのではないかということで、それでは新しく空港の適地はないかということで検討をされております。  具体的には四つの候補地を選定いたしました。これは、富崎野と言っておりますところと宮良川の近辺、それから白保の陸上部分、それと白保の海上部分でございます。陸上部分につきましては、やはり現空港の拡張と同様に、大部分が農用地、土地改良事業が終了したりあるいは進められていた農地であるということ、それからそういう農地をつぶすに当たりましては代替農地を確保しなければいけないけれども、石垣島の狭い地域でそういう農地の確保が非常に難しいということ、それから離農対策というのも必要になってまいるわけですが、それも非常に難しい。そういうことから、またそのほかにも墓地の移転であるとかいろいろ問題があるということでございまして、陸上案というのは最終的に断念をしたというふうに伺っております。結論的には、残された海上案ということで、昭和五十七年に白保の海上地区に空港設置が運輸省から設置許可がおりたという経緯になったわけでございます。  その当時は二千五百メーターの滑走路延長ということで計画をされていたわけでございますけれども、その後白保の地先海域でアオサンゴ群生の大群落があるというような調査結果があり、そういうアオサンゴの保全をしなければいかぬということから、県の方で昭和六十二年八月に滑走路を二千メーター延長にする、南側五百メーターをカットする、こういう手続を進めてきておったわけでございます。しかしながらこの過程で、白保のサンゴの保全に関しましてIUCN等環境保護の団体の方々からいろいろ関心が高まってまいりまして、さらに環境庁さんの方でも奄美空港とか石垣島周辺のサンゴ礁の実態調査が進められた。その過程で、地元の白保地区におきましても非常に空港をめぐる賛否対立の状態が深刻になった。そういうことから、昨年の四月でございますが、県といたしましては、環境問題の理解を得るというのも非常に時間がかかる、一方八重山地域の人々というのは早く新空港をつくってほしいと切望されている、そういうことを踏まえまして、サンゴへの影響を最小限にできるだろうということで、カラ岳東海岸を新たな建設予定地として選定してきたということが経緯でございます。その後県の方でいろいろ地元の調査をほぼ終えておりまして、その過程で、工事の施行に当たりましても周辺の環境への影響を極力少なくするような工法の検討も進めております。  概略、経緯は以上でございます。
  64. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 一九八九年の四月に今の白保地域からカラ岳東に移す決断をした、開発庁、運輸省、環境庁、それに沖縄県が集まって決定をしたわけですが、その提案というのは沖縄県がなさったんですか。
  65. 石田省三

    ○石田説明員 第三種空港でございます石垣空港の場合には、その決定は沖縄県がなされたということでございます。
  66. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今、私はいろいろ事情を聞きました。例えば現空港というものについて拡張案そして改良案、こういう案があったことは事実ですね。しかも、これは少し古い話になりますが、一九七〇年でございますが、沖縄県が自分予算で現空港の拡張について計画をまとめています。これはあるコンサルタント会社に委託をし、そして案をまとめています。これが最良の案だといって示している。七〇年といえば確かに古いわけですが、これは大体二千メートル、そういう計画がある。その後、今あなたが言われたように幾つかの案が出てきて、そして白保にたどり着いたという経過があるが、こういう沖縄県の実績、調査の実績、そういう計画が何で消えたのかということをあなたは御存じですか。
  67. 石田省三

    ○石田説明員 申しわけございません。詳しい経緯は承知しておりませんが、その後の検討の中で、こういう検討過程で進められたものというように伺っております。
  68. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 沖縄開発庁というのは、沖縄県が言えば何でもそのとおりということで受けとめるのですか。
  69. 石田省三

    ○石田説明員 沖縄開発庁の立場といたしましては、新空港の設置についていろいろ県の方で環境問題あるいは地元の活性化のためにこういうプロジェクトでこういう場所で進めたいというその内容をお伺いしておりますが、その案で周辺地元の方々も納得されておりますし、環境問題についてもこういう工法を進めれば大丈夫だという御説明を承っておりまして、そういうプロジェクトであるならば地域の活性化にもぜひ必要である、そういうことから、沖縄県を支援するという立場にあるということでございます。
  70. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今あなたは騒音のことを言いましたけれども、WECPNLでどのくらいになりますか。そして、例えばそれがよそへ移ったときにもそれは受忍できる音なのか。今の空港ではだめだけれどもよそならいいということなんですか。どのくらいのホンになっていますか。
  71. 石田省三

    ○石田説明員 騒音問題につきましては、新しいカラ岳地区については、地元の方々も既存の空港の事例を県と一緒に調査に行かれて、その結果、これなら大丈夫だということで判断をされているというふうに伺っております。
  72. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今申し上げたようにWECPNLで同じなんですよ。それじゃ悪いけれども、現空港の皆さんは反対だから移さなければいかぬ、移された先は同じ音でも結構だ、そういう理屈を立てる場合に、文句を言ったら移すのかとあえて聞きたいのです。  それじゃ一体、成田はともかくとして、羽田はどうなるのですか、厚木はどうなるのですか、那覇はどうなるのですか。そういう比較の問題を全く無視して、こっちが文句を言ってきたから、それじゃ引き受けました、やりましょう、それでこっちにやりましょうというように、沖縄開発庁というのはそんなに御理解があるのですか。それについての一つの答弁をいただきたいが、あの石垣島の狭い地域に二つ飛行場をつくるという不合理性をあなたは少しは考えたことがあるかね。御答弁をいただきます。
  73. 石田省三

    ○石田説明員 先ほど御説明いたしましたように、騒音問題もあるわけでございますが、本格的なジェット化空港のためには敷地の拡張、滑走路の延長も必要になってまいります。そういう中で、市街地とか農用地をつぶさなければならない、あるいは代替地を確保しなければならない、そういう検討を踏まえて現在の位置では本格的なジェット化空港はつくれない、そういうことから新しい場所を選定したということでございます。
  74. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それでは過去のことはいいです。今、沖縄でリゾート法が通った後、沖縄の農地が、あるいは沖縄の原野が一千ヘクタールくらい売りに出たり、そして不動産会社がそれを買い上げる、いわゆる土地転がしの問題になっていることは御存じでしょう。石垣島でもそうだね。ある牧場のごときは、その組合員に、ある人が八千五百万円配って、それで反対だと二十二人の人が言ったら、それはもう回収しなくてもいいというふうなやりとりが今週の「アエラ」という週刊誌に出ている。こういうことがある。現実問題として農地が、あるいは原野が売りに出ている。だから、農業用地を買い上げることは難しい、用地の確保が難しいという理屈は、今日の時点では、昔のことはいいですよ、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  75. 石田省三

    ○石田説明員 新聞等によりまして、石垣島の原野、牧場であるとかそういうところが本土の企業によって相当買われているということは承知いたしております。しかしながら、空港設置を進めておられます県の方としましては、現在の空港を拡張する地区、その周辺の農用地あるいは市街地、住宅、そういうものを移転なりあるいはその土地を買うわけですけれども、それについては関係地元地区の同意というのがなかなか得がたい、県としてはこういうふうに判断されているというふうに承知をしております。
  76. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私は、さっきあなたが指摘をされたフルスト原遺跡の現地調査の、文部省関係する「環境科学」という本に載っている研究報告書を拝見をいたしました。ちょうど文化庁にお越しをいただいていますからお尋ねをしますが、石垣市はフルスト原遺跡の保護というか、保全についてどんな対応をしていますか。
  77. 大澤幸夫

    ○大澤説明員 御説明をいたします。  お尋ねのございましたフルスト原遺跡でございますけれども、御案内のとおり、石垣島の南部の台地の上に築かれておる十五世紀代のぐすく状の遺跡でございます。(岩垂委員「いや、簡単でいいですから。石垣島がどんな保存計画を持って臨んでいるか。」と呼ぶ)これに関しましては、これまで土地の公有化等に努めてございまして、現在既に九割以上の部分につきまして公有地と相なっているわけでございますけれども、そういった状況を踏まえまして、地元では保存管理のための計画なりあるいはまた整備につきましての基本計画の策定を図るということで、本年度から具体的な整備基本計画の策定委員会も置きまして具体の内容の詰めに入る、こういう状況でございます。
  78. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この遺跡は確かに貴重な意味を持っているけれども、随分破壊されてきて、戦争中も戦後も石材の採取などを含めて、例えば資料などもほとんどない状態ですね。文化庁はどの程度の面積でこれを保存することが望ましいとお考えですか。
  79. 大澤幸夫

    ○大澤説明員 御説明をいたします。  この遺跡につきましては、昭和五十三年の春でございますけれども、遺構が所在いたしております地域約十三ヘクタール余りにつきまして国の史跡として指定をいたして保存を図る、こういうことで対応をいたしておるところでございます。
  80. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その価値について私が素人でいろいろ言うつもりはございません。考えられる歴史の証人としての価値というのはかなり低いものになってしまっていることは、これは現実問題として指摘をされているところでございます。しかし、それはこっちへ置いておきましょう。  例えば白保地域も、カラ岳東も含めてこれだけ国際的な世論が起こっている。そして反対の運動というものの方が強くなってきた。そういう状況の中で、何か知恵を絞らなければいかぬと私は思うのです。そして今、沖縄開発庁が、例えば農用地だ、用地の取得がだめだ、それから遺跡がある、だからつかえちゃってだめだ。ちょっと向きを変えるだけでも十分にできるのです。私は現場を見たことがありますから申し上げます。そういう工夫というものが政治であり、それが人間の知恵じゃないですか。私ども社会党はこの面で、現空港の拡張計画というもので市民のあるいは地元の皆さんの期待にこたえることは十分にできるという観点指摘をいたしてまいりました、提案をいたしてまいりました。そして今、沖縄県内の世論もその方向に大きく結集しつつあります。もう時間がございませんからそれ以上いろいろ言いませんけれども、私はぜひこれらの点で御考慮を願いたいものだ。生きとし生き続けている人間が、私たちが何千年、何万年という歴史を引き継いできた、そしてそれが単に歴史としてでなくて国際的にも大事なものだと言われていることに対して、誠実にこたえたいものだと私は思います。環境庁長官、ぜひ私どもの現国際空港の改良あるいは拡張ということについて、あなたがそれをしっかりお考えをいただきたい、私どもの発言を聞いてほしいということをお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  81. 北川石松

    北川国務大臣 石垣島の現状の中で、新空港についての岩垂委員の御意見をいろいろ聞かせていただきまして、現空港を拡張してはどうか、こういう御意見のように承るところでありますが、新空港の決定につきましては、沖縄県がいろいろと比較、また候補地についても検討を行った結果、陸上では極めて困難であると判断を下して新空港の決定に踏み切ったと承知しておる次第でございまして、このような沖縄県知事の結論にはいろいろの事情があったという点も考えられるのでございますが、今環境庁といたしましてこの問題について結論を出すことは容易じゃないと思っておる次第でございます。
  82. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 容易じゃないけれども、こういうことについても関心と同時に検討を煩わしたいということを私はお願いをしておきたいというふうに思っています。  時間が来ましたからもうこれでやめますけれども、最後に、実は私、自然保護議員連盟の幹事長をやっているものですから、吉野熊野国立公園の大台ケ原の特別保護地区における高圧送電線地下ケーブルの埋設について、地元の自然を守る会から陳情がございます。細かくはきょうは聞きません。問題は、環境庁長官にいわば決議が寄せられています。これは今すぐここでいきなり質問しても御答弁いただけないと思いますが、一つは、自然破壊ということを懸念しておられます。もう一つは、それがあの地域の、西の尾瀬ケ原などと言われているわけですが、そこの開発の引き金になりはせぬかという二つの懸念がございます。その心配に対して環境庁はどんなお考え方を持っていらっしゃるか、そして、そうした地元の自然を守る会の皆さんの決議や、あるいは関西電力に対して公開質問状が出ておりますが、関西電力の方はともかくとして、環境庁がこれに対して自然破壊というものがないあるいはそういう引き金にならないという態度であるとすれば、その辺について少しきちんとした答弁を関係団体にしてほしいと思います。おわかりの範囲で御答弁をいただければと思います。
  83. 山内豊徳

    ○山内政府委員 大台ケ原の地下埋設による送電問題については、今おっしゃいましたように非常に重要視して、これに着目を受けておりますことは事実でございます。  二つございます。初め架線による電力導入の計画がございましたが、私どもこれは一切お断りいたしまして、事特別保護地区に関する限り地下埋設をどうしてもやっていただきたいということで、その結果、関西電力でもかなりの出費はございますが、それを前提に近々申請と聞いております。その際に、道路わきに埋めるのでございますが、植物生態への影響その他がないかということの御心配を今いただいておるわけでございますが、この点は私どもも再三現地の管理官にも確認させまして、問題はないという判断をとっておりまして、これをもって私どもは十分対応できると思っております。  次に、こういった電力を導入しますと現在の自家発電による電力に比べるとかなり供給量がふえるということからの第二の御心配でございますが、ただし、この周りは実は国がわざわざ民有地を二十二億かけて買い上げた、まさに特別保護地区でございますので、そのようないたずらなリゾート化は私どもとしても一切認めたくないという気持ちはもう非常に強く持っておりますので、その点は関係団体にもよく申し上げたいと思いますし、また現に申し上げているところでございます。
  84. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 もうやめますが、これは地元の松原代議士からも私は要請を受けておりますので、恐らく本人が環境庁お話をしたりあるいは関係団体との間で皆さんとお話をすることについて要請をしたりという機会があろうと思いますが、よく納得のいただけるような、そして納得をいただかないならばやはりその点は慎重に対応していただきたい、このことを要請して終わりたいと思います。  以上で、ありがとうございました。
  85. 戸塚進也

    戸塚委員長 午後一時十五分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十一分休憩      ────◇─────     午後一時十六分開議
  86. 戸塚進也

    戸塚委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。斉藤一雄君。
  87. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 過日衆議院で可決されました都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に対して、容積率を緩和する場合には周辺の住居環境の悪化をもたらさないよう十分配慮すること等の附帯決議が付されましたが、このことは極めて重要な意味を持っていると思います。この点について建設省の見解をお伺いいたします。
  88. 石川哲久

    ○石川説明員 ただいま御審議いただいております都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案によりまして創設を予定しております制度が二つございますが、一つの住宅地高度利用地区計画制度につきましては、本来公共施設が整備されますならば中高層住宅地として整備することが適当な地域におきまして、放置すればミニ開発やばら建ち、スプロールが進行してしまう、都市環境が悪化してしまうおそれのある地域につきまして、地区レベルの公共施設の整備を条件といたしまして良好な中高層住宅地へ土地利用転換を誘導するものでございます。  この住宅地高度利用地区計画で容積率、高さ、建ぺい率などの制限の緩和を行うに当たりましては、周辺の環境への影響道路等の公共施設の整備状況等を総合的に判断いたしまして、かつその建ぺい率の緩和につきましては十分の六を限度として定めることとしております。さらに、その特例の適用に当たりましては、特に特定行政庁がその計画に従いまして公共施設が現実整備されることなど交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないものとして個別に認定したものにつきまして、容積率の緩和等を行うこととしております。また、特にこのような地域は第一種住居専用地域に多いわけでございますが、第一種住居専用地域内におきましては、都市計画基準に「住宅地高度利用地区計画の区域の周辺の低層住宅に係る良好な住居の環境の保護に支障がないように定めること。」と明らかにしております。また緩和する建築物の高さにつきましては、個別の認定につきますものは二十メートルまでを限度としておるわけでございます。  また、もう一つの用途別容積型地区計画制度というものを御提案させていただいておりますが、これは、大都市部の都心部またはその周辺の住宅と商業の用途が混在しているような市街地におきまして、当該地区の特性に応じた合理的な土地利用の促進を図るため、住宅と住宅以外の用途を適切に配分することが特に必要であると認められるところにおきまして、住宅につきましては道路等の公共施設に対する影響が商業とか業務などの用途に比べまして比較的小さいというところに着目いたしまして、住宅に係る容積率についての割り増しを認めるものでございます。この制度につきましては、住宅を含みます建築物の容積率制限の特例が講じられます場合には、良好な環境の市街地を形成するため、地区におきます詳細計画であります地区計画におきまして、容積率の最低限度、敷地面積の最低限度あるいは道路に沿いまして壁面の位置の制限などを定められました区域においてのみ使えるというようにしております。また、今回の容積率の制限についてでございますが、その他のいわゆる斜線制限などについての形態規制については緩和を行うものではございません。したがいまして、その周辺地域を含めましての環境は十分に確保されるものと考えております。  これらの制度につきましては、ただいま御説明いたしましたように周辺地域環境確保に十分配慮いたしたものとなっておると考えておりますけれども、運用に当たりましては、国会におきます附帯決議の趣旨を十分に踏まえまして、周辺の環境悪化をもたらさないように配慮してまいりたいと思っております。
  89. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 私が住んでおります世田谷区を例にとりますと、いわゆる建築紛争にかかわる相談が年平均二千四百件ぐらいございます。そのうち、文書による区議会への請願、陳情件数で見ますと、これも年平均約百件に及んでいるわけです。問題は、今も話がありましたけれども、その紛争を起こしている物件がすべて建築基準法に合った建物でございます。そういう点から見ますと、日照に関する保護規定というものがほとんどないと言っても言い過ぎではないという状態にございます。つまり、日照問題についての認識あるいは対応、保護規定というものが極めて不十分であり不備であるというところからそういう紛争が起きているわけでございますが、この点についての基本的な考え方を建設省並びに環境庁からお聞きをしておきたいと思います。
  90. 島崎勉

    ○島崎説明員 建築物が関与をいたします日影の規制に関しましては、建築基準法で規定しているところでございます。この考え方は、建築物が建築される地域に応じまして、具体的には第一種住居専用地域、それから第二種住居専用地域、住居地域、近隣商業地域、準工業地域でございますが、この地域に応じまして建物が生ずる日影の時間を規制するという考え方でございます。その規制の内容は、建築基準法にあらかじめ規定されております日影の規制時間に応じまして地方公共団体の条例で定めるということになっております。地方公共団体がどのような規制値を指定するかということにつきましては、各地方の気候とか風土、それから周辺の土地利用状況等によって勘案するということになっておるわけでございます。
  91. 安原正

    安原政府委員 日照の問題につきましては、基本的にはいわゆる相隣関係の問題であるということになっているわけでございまして、本来、当事者間で話し合って対応していくということが可能な問題ということでとらえているわけでございます。そういうことで、公害対策基本法では相当範囲にわたる公害の問題を取り上げるということでございまして、その中でも位置づけられてないわけでございます。建設省から今お話がございましたように、建築基準法等の体系や公共施設の設置に伴う損失補償制度がございますので、その中で対応していただいているということで理解をいたしております。
  92. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 時間がありませんから、一々反論いたしませんけれども、いずれにしても、こうした法の不備が地方自治体では大変な苦労を呼んでいるわけであります。そういう点で、例えば東京都の三多摩の各市であるとかあるいは二十三区、これまでも日照阻害を防止するために宅地開発指導要綱あるいはマンション建築物等指導要綱というものを設けてきたところであります。ところが御承知のとおり、国の方はいわゆる行き過ぎ是正と称してこれを抑えつけてしまっているというわけでございます。国の法の不備を補う立場から地方自治体が自主的に行ってきているマンション等の建築物指導要領あるいは要綱というものを国が邪魔してしまう、抑えつけてしまう、そうしておいて、先ほどもお答えがありましたけれども、これは当事者間の問題、環境行政の中では日照は位置づけていないというような無責任なことだけを言い続けているわけです。この点について、少なくとも地方自治体がそういう苦労をし、経験に基づいて対応して業者をいろいろ指導したりあるいは住民の相談に誠意を持ってこたえてきている、そういう面をもっと重視をして尊重をしてやっていくというのが環境庁の特に姿勢でなければならないし、建設省においても同様のことが言えるのではないかというふうに私は思うわけであります。この点についても建設省並びに環境庁の見解をお伺いしておきたいと思います。
  93. 島崎勉

    ○島崎説明員 日照の規定に関しましては、先ほど申し上げましたとおり対象地域それから規制のレベルにつきまして公共団体の条例で定めている点、それから建築ができる時期、ある建築ができまして次の建築ができるという時期にかかわりなく公平に規制ができるという点から考えまして、この制度は五十一年にできたわけでございますが、地域特性にこたえ得る客観的な建築規制のルールとして定着しつつあるというふうにも考えております。  ただ、先生おっしゃいましたように非常に個別具体なケースもございまして、相当相隣、近隣関係の問題も出てまいりまして、そういう点を調整するという観点から地方公共団体におきまして指導要綱を設けておりまして、その要綱におきまして良好な市街地環境を形成する上で一定の成果を果たしておるということは私どもも十分認識してございますが、その内容におきまして非常に過重な負担になっているというものにつきましては必要な是正を求めたというところでございます。具体的には、日影規制に関しましては、周辺住民の全員の合意を得るというようなことに関してはやはり過重なものではないかということで是正を求めたものでございますが、紛争の解決に際しましては、計画段階におきまして公共団体が建築主に対し周辺の住民との話し合いを誘導する等の行政指導を行うということはむしろ適切であるというふうに考えておりまして、私どもといたしましても、公共団体に対しまして具体的な対応をしていただきたいという旨指導をしているところでございます。
  94. 安原正

    安原政府委員 日照の確保が国民生活にとって重要な要素であるということは十分理解をしているつもりでございます。そういうことで、建築基準法等によって所要の措置が講じられているものと理解しているわけでございます。そこで日照の問題につきましては、建築基準法等の体系とかあるいは公共施設の設置に伴う損失補償制度の中で、建設省あるいは地方公共団体関係者との間で適切な対応が図られるべきものと考えております。
  95. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 指導要綱の中で住民の全員の合意を得るというようなことは行き過ぎであるというようなことで指導しているわけですが、これがけしからぬということで、そういう指導要綱はまかりならぬという国の指導があって以降どういう変化が起きているかというと、つまり建て主側の方としては、これでもう住民側の合意を得る必要がないんだというふうになっているのが実情であります。全員の合意を得なければならないということが無理だとしても、少なくとも大方の合意を得る必要があるというのが私は当然じゃないかと思うのです。そのことについて建設省、いま一度具体的にお答えいただきたいと思います。
  96. 島崎勉

    ○島崎説明員 周辺の住民の方々の同意書まで提出するということは少し行き過ぎではないかというような趣旨の通達を流したわけでございますが、具体的な問題解決につきましては、むしろ計画段階で積極的に公共団体調整に入れるような指導をしていただきたいということで、同時に同じ通達で流してございます。そのような意味で、当然大方の周辺の理解を得るという前提で計画が進められていくものというふうに考えております。
  97. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 地方自治体は調整のために大変苦労して努力しているわけですよ。その問題解決のために指導要綱を設けているわけです。それを建設省の方で通達を出して、けしからぬ。しかも、建設省の方でこうした問題を解決できるわけじゃないわけですね。先ほどもお話があったとおりなんです。そういう点では、現在建設省のとっているこの指導について再検討すべきではないかというふうに私は思うのですが、いま一度お答えいただきたいと思います。
  98. 島崎勉

    ○島崎説明員 公共団体の住民の方々への具体的な対応でございますが、建築基準法等の関係法令の円滑な施行を行うために公共団体に、むしろ積極的に紛争の未然防止をするために事業者等に対しまして事前に計画内容を周辺住民に周知させるというようなことをするように私どもとしても指導をしているところでありまして、これらの指導によりまして有効適切に対応できるものというふうに考えておるところでございます。
  99. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 全然お答えになってないのですよね。私が言いたいのは、地方自治体にこういう権限を任せるべきだ、権限をむしろ拡大すべきだということをこの際強く申し上げておきたいと思うのです。  大臣にお聞きしたいのは、この日照という問題ですが、これは、御承知のとおり一たん阻害されますともう永久に回復されない。私は、日照なり日照権というものは人間の最も基本的な環境権であるというふうに認識しております。したがって環境行政の中に位置づけられていないというのはどう見てもこれは不思議でならないし、あってはならないと思うのですが、環境庁がそれは建築基準法にあります、都市計画法にありますというようなことでいいのかどうか。私は、これは我慢ならないと思うのですね。この点について、今後大臣としてどうこの問題を取り上げていこうとされるかお伺いしておきたいと思うのです。それとも、日照は、太陽を受けるということは人間の健康にとってあるいは環境にとって必要がないんだ、日陰でもしょうがないんだ、環境庁はそう考えているんだというのならそういうふうにお答えいただきたい。
  100. 安原正

    安原政府委員 大臣のお答えの前に申し述べたいと思いますが、五十四年四月十日に中央公害対策審議会の答申が出ておりますが、この中でも環境保全の範囲等につきまして議論が行われておりまして、日照の問題につきましては、先ほど私から御説明いたしましたように、基本的には相隣関係の問題であるということを明確にしておりまして、本来当事者間で交渉し、補償を行う等の方法で対処されるものであるということが言われておるわけでございます。これが従来の考え方でございます。  ただ、委員が御指摘のとおり、日照の確保というのは国民生活にとって重要な要素であるということはそのとおりかと存じます。そういうことで、建築基準法等によって対応するような仕組みになっているものと理解しているわけでございます。
  101. 北川石松

    北川国務大臣 斉藤委員の、日照が国民に与える影響というもの、これは生きとし生けるものは、例えば稲であっても陰におる稲はひょろひょろと育ちますし、日照というものは生きとし生けるものに一番大事だ、お日様、太陽は大事だと思っております。もちろん、今フロン等によってオゾンが破壊されて紫外線がきついのはいかぬということが言われておりましても、日照は大事であるということは認識するところでございます。  ただ、所管省庁のいろいろな形がありまして、環境という点から十分な日照、日の当たる場所というのはありがたいのでありますが、環境庁として、今建築その他については各所管官庁によってその点は十分に話し合われて行われておる、このように思っておるのでございまして、環境重要性は痛感いたしましても今の段階で環境庁がこれの中に入っていくことはできないという形になっておることを御承知願いたいと思います。
  102. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 また後で触れますけれども、それでは電波障害の問題でお尋ねしたいと思います。  一例として申し上げるのですが、新聞でも御承知のように東京都庁が新宿に移転をするということで、今高さ二百四十三メートルの新庁舎が建築中でございます。こういう問題について、周辺区の住居に対して大変な電波障害を及ぼしているわけでございます。世田谷区の場合でも、こうした問題が住民から公害対策課に持ち込まれておるのです。どういうことだったかというと、四つのビルの複合によりまして電波障害が起きたわけですが、NHKの調査を行ったところが、それは新宿のいわゆる副都心の高層ビル群の反射によるものであるという推定がされました。ところが、世田谷区としては、建て主側との話し合いの中で調査費用の分担をどうするか、あるいは共同受信施設の設置費の負担をどうするか、維持管理費の負担をどうするかということをいろいろ協議をしたわけでありますけれども、オーナーの意見として、新築時に十分な電波障害対策をとったのに今さら何だということなんです。つまり、電波障害に対する国の指導というものは事前の段階でいろいろ指導をするという建前にはなっているのですけれども、電波障害というのは事後どういう事態が起きるかというようなことがなかなか予測できない問題なんですね。そして後に問題が残されるわけです。その問題を解決するのに、住民がどこへ陳情に行ったり相談に行ったりするかというと、これは区の公害対策課なんです。そういう問題がございます。そういう点、どうしたらよいのでしょうか。これは建設省の方に教えていただきたい。あるいは通産省の方に教えていただきたい。
  103. 島崎勉

    ○島崎説明員 テレビの受信障害につきましては、現在具体的、制度的な対応が図られていないということもございまして、暫定的な措置といたしまして、おおむね建築主の負担によって個々の共同受信施設等の設置に関しまして必要な措置をとっているというふうに承知をしております。テレビの受信障害に関しましては、原因者が必ずしも特定できないということとか、広域的、複合的な要因があるということでございまして、この暫定的な措置についてもやむを得ないというふうに考えております。  この共同受信施設のその後の運営管理等におきまして、住宅団地等におきましては設置者が対応するということになりますけれども、それ以外の部分につきましては受益者である個々のテレビ受信をする方々が対応するということが一般的ではないかと思われますので、現在の段階としましては、二次交信的なものにつきましては今受益している部分について対応しているのが一般的ではないかと考えております。
  104. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 通達の中では「主要な原因となっている建築物を客観的に確定するよう努める」。あなた方はできないことを通達しているのですよ。  先ほどの都庁の新宿移転に関連してですけれども、中野の区長さんからはこういう意見書が出ているのです。現在中野区では、区内に六万五千世帯が電波障害を受けております。そのうち約四万世帯が未対策の状態です。区としては、原因者に対して再三改善を要請しておりますけれども、何ら誠意が示されないまま今日に至っております。したがって、この電波障害についてはどうしてもやはり立法措置をしてもらわなければ解決しない、明確な立法化をしてほしい、こういう強い要望が出ています。これは全住民の声であり、また、これを窓口として扱っているすべての行政の意見でもあります。それに対して今のような、答えに全くなっていないわけですし、問題は何一つ解決しないのですね。したがって、少なくとも立法化を進めるべきではないかと思いますけれども、この点について考え方をいま一度お聞きしたいと思います。
  105. 島崎勉

    ○島崎説明員 テレビの受信障害に関しましては、原因者が必ずしも特定できないこと、それから広域的、複合的な原因で生ずる場合があるというふうな部分もございまして、建築規制によってこれに制度的に対処するというのはなかなか困難ではないかと思われます。  しかし、市街地の高度利用というものが非常に進展をしておりまして、その意味で、暫定的措置ではなくて、都市におきます受信障害の根本的また公平な解決というものにつきましては、いろいろな観点から検討する必要があると考えてございます。
  106. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 暫定的な措置で解決しなくて、したがってこういう問題が起きているわけですよ。全く無責任なんですね。先ほどの日照の問題にせよ、この電波障害の問題にせよ、環境行政を扱っている地方自治体がこんなに苦労しているのです。環境庁長官は、それは建築基準法でございます、それは郵政省の所管でございます、どんなに行政が苦労しようと、困ろうと、解決しなかろうと、住民が困ろうと、環境庁関係ありません、こういう姿勢でいいのですか。
  107. 安原正

    安原政府委員 電波受信障害の問題につきましても、さきに言及いたしました中央公害対策審議会の答申で考え方が明らかにされておるわけでございまして、この問題につきましても、基本的には電波発信者、受信者、それから電波受信障害の原因となる構造物を建築した者の当事者間における個別、具体的な協議により対応すべき問題であるということでございます。この問題につきまして建設省あるいは郵政省等で検討をいただきまして、適切な対応を図っていただいているものと理解しているわけでございます。  ただ、電波による問題といたしまして、電波障害のほかに、最近人の健康あるいは生物への影響等の問題が指摘される向きがあるわけでございますので、環境庁といたしましては、人の健康や生物に対する影響についてもちろん関心を有しておりまして、今後ともこれらの関係情報の収集に努め、関係省庁とも連絡を密にしてまいりたいと考えております。
  108. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 全く問題にならないですね、国の姿勢というのは。これは今後私は徹底して追及していくつもりでおります。  時間がありませんので、最後に、建設省所管道路事業環境影響評価技術指針というものがありますけれども、この内容を見ますと、「新設道路のみからの騒音は、環境基準を達成すること」というふうにしております。しかし問題は、「既存道路及び新設道路からの合成騒音は、現状の値以下とすること。」それを「環境保全目標とすることができる。」こういうふうにしているのです。少なくとも私から言わせれば、この現状の値以下を環境保全目標とするということは法の精神に反するのではないかということが第一点。第二点は、例えば東京都のこの技術指針では、すべて環境基準を目標とするというふうにしてあります。国の指導と東京都の指導が全くばらばらなんです。私は東京都の指導が正しいと思う。環境基準を目標とする。  こういうようなことを決めたこと自体が間違いですし、正さなければならない問題だと思いますけれども、先ほど申し上げたような点で、まず建設省環境庁、それぞれお答えいただきたいと思います。
  109. 井上靖武

    井上(靖)説明員 道路騒音の環境保全目標につきましては、原則として環境基準の値以下というふうにしておりますけれども、既存道路に併設して新たに道路を新設する場合等で現状の値が環境基準の値を超えている場合には、ただいま先生指摘のとおり「現状の値以下とすること。」を「環境保全目標とすることができる。」というふうに技術指針において定めております。  この考え方は、既存道路においては環境基準の達成を目指しつつも、沿道からの出入りとの兼ね合いといったものもございますので、道路構造上の対策が不可能な場合が多くて、発生源である自動車の改善、あるいは沿道土地利用の適正化、緩衝建築物の誘導等総合的な施策をもって対応せざるを得ない現状から、当面、現状騒音値を保全目標値というふうにしたものでございます。  なお、現状値を環境保全目標とする場合におきましても、新設道路のみからの騒音は環境基準を達成することはもとよりでございますが、既存道路との合成音につきましても、実施可能な対策によりできる限り低減するように努めているところでございます。
  110. 古市圭治

    ○古市政府委員 騒音規制法によります自動車騒音の許容限度でもって道路環境を保全するように決められており、また、その線で指導しているところでございます。
  111. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 二層構造の実態というものをどういうふうに認識しておられるのかわかりませんけれども、例えば目黒区の大坂橋交差点、世田谷区の上馬交差点というようなところを見ましても、環境基準どころか要請限度をはるかに超えているというわけでございます。今の建設省の話によりますと、現状難しいのだからしょうがないのだ、したがってそれが環境保全目標なんだ、これでは、NO2の環境基準にしても同様ですけれども、騒音の環境基準にしろ要請限度値の問題にしても、いつになってもこれは解決できませんよということをみずから容認して、保全目標までもそこまで引き下げてしまっているわけです。東京都の技術指針と違う点についてはどうしたらいいのですか、整合性をどう図ったらいいのですか、教えてください。
  112. 井上靖武

    井上(靖)説明員 道路の沿道におきます生活環境を保全するためには、私どもとしましては、発生源である自動車構造の改善を基本としつつ、道路構造の改善、交通規制の実施、沿道土地利用の適正化あるいは緩衝建築物の誘導、こういった施策を総合的に実施することが必要ではないかと考えております。  建設省におきましては、バイパスそれから環状道路整備による道路機能の分化、それから環境施設帯、遮音壁の設置、あるいはまた高速自動車国道等の周辺の住宅に対する防音工事助成等の推進を図るとともに、幹線道路の沿道の整備に関する法律、これに基づきます沿道整備事業推進してきたところでございます。今後ともただいま申し上げましたような道路管理者としての施策を一層推進いたしますとともに、関係機関等と協力しまして沿道環境の保全に努めてまいりたい、このように考えております。
  113. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 それでは最後に環境庁長官にお答えいただきたいと思うのですが、本来汚染者が負担すべき公害環境破壊による社会的費用について、これまで東京都や大阪市などでは数年かけていろいろな調査結果を発表してきております。東京都でいいますと「公害による経済的損失の評価」、大阪市公害対策部の「公害による経済被害調査結果報告書」、最近はアメリカでも、環境に関する経済分析の重要性というものを指摘をしながら、これを環境政策の立案に役立てているわけであります。アメリカの経済分析では、環境コストをいわゆる被害コスト、回避コスト、防止コスト、管理コストというような四つのカテゴリーに分類して、それぞれ推計値を出しているというようなことをやっているわけです。東京都の場合なんかは、もう一世帯年間何万円も損失をこうむっている、公害によってそれだけの損失を受けているというような推計まで出している。  そこで、少なくとも環境庁は、今地球環境がどうのこうのというような難しいことをよくお話聞くのですけれども、こういう地方自治体が研究を行っている、公害によってどれだけの社会的な費用、経済的な費用を国民が負担をしているか、あるいは企業が負担をしているか、行政が負担をしているかというようなことをやはり前向きに研究調査をして、その上で企業がいわゆる公害防除対策費用をけちるようなことがないように、現在公害がもうこれだけ発生しているということは全部そこから来ているわけですから、そういう研究調査を遅まきながらぜひ、地球環境云々と言っているわけですから、地方自治体がやってきたようなことを踏まえて、あるいは発展させて、さらに激励する意味でぜひ取り組んでもらいたいというふうに思うのですが、大臣からひとつ所見をお伺いしたいと思うのです。
  114. 安原正

    安原政府委員 大臣の御答弁の前に、補足してあらかじめ答弁させていただきます。  今先生が御指摘の東京都等の地方公共団体による「公害による経済的損失の評価」の調査とかあるいは米国の環境白書による経済分析につきましては、御指摘もあり、早速勉強させていただいたところでございます。環境庁でも、環境白書の中で四十年から五十年までの間の民間の公害防止投資につきましてのマクロ経済との関係の分析等もやっておるところでございます。  今先生指摘のとおり、こういった環境汚染とか、防止施策の実施による社会的あるいは経済的な影響とかを十分把握しておくということは、今後の環境行政を実施していく上で重要であるという認識を持っております。この点に関連いたしまして、経済政策と環境政策を統合していくということが国際的にも重要であるという指摘がされておりまして、OECD等におきまして環境指標についての検討も行われているところでございます。また、先般北川大臣が首席代表としてお出になりましたホワイトハウス会議におきましても、科学的しかも経済的な調査研究、これの統合が必要であるということで議論がされたところでございます。私どもといたしましても、そういう国際的な動き等も踏まえまして今後十分研究を進めさせていただきたいと考えております。
  115. 北川石松

    北川国務大臣 斉藤委員の、特にはざま、谷間といいますか、環境の悪い人たちに対するどういう対策を、こういうことと、また調査研究を大いにやらないけない、全く委員のおっしゃるとおりでありまして、環境保全の大原則は汚染者負担の原則であろう、こういうこともまた認識しながら、今後とも委員の御指摘のように大いに調査研究に鋭意努力してまいりたい、このように思っております。
  116. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 ひとつ頑張ってください。どうもありがとうございました。
  117. 戸塚進也

  118. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 宇都宮真由美でございます。よろしくお願いいたします。  私は、ゴルフ場の問題について本日は質問させていただきたいと思います。  現在は第三次のゴルフ場建設ラッシュと言われておりまして、特に一九八七年六月に総合保養地域整備法、いわゆるリゾート法が制定されて以来、それ以降のゴルフ場建設ラッシュというのは目に余るものがございます。そういう中で各地でゴルフ場建設反対の住民運動が起こっておりますけれども、その反対の理由としていろいろ挙げられますが、大きく言いまして二つあると思います。その一つは、ゴルフ場の建設そのものが直接に田畑あるいは森林等の自然破壊につながるということ、もう一つは、ゴルフ場で使用されております農薬によって人の健康あるいは近隣の水源地あるいは河川、その水質が汚濁されたりして自然環境が害される、それが心配されるという、大きく言いましてこの二つの観点からの反対だろうと思います。本日は、特に農薬による環境汚染問題についてお伺いしたいと思います。  まず、ゴルフ場における農薬の使用状況の把握というのは農水省の方でなさっていると思うのですけれどもゴルフ場において使用できる農薬、これは、農薬取締法に基づいて登録された農薬のすべてが使用できるのでしょうか。使用できるとすれば、その種類というのは何種類ぐらいあるのか、またその農薬の効果というのはそれぞれにおいて違うのかどうか、そのあたりのことを農水省の方に教えていただきたいと思います。
  119. 関口洋一

    ○関口説明員 お答えさせていただきます。  先生今御指摘ゴルフ場におきます使用農薬でございますが、当然農薬取締法におきます登録農薬に限るということがまず大前提になるわけでございます。その際に、登録に当たりましては、使用法という中で作物あるいは病害虫の種類といったものを特定しているわけでございますが、ゴルフ場で申しますと芝生に適用のある農薬ということになろうかと思います。もちろん農薬につきましていろいろな種類がございますので、一つの種類がすべてをカバーするというわけにはまいりませんし、農薬によりまして対象となる病害虫の種類は変わってくるということかと思います。
  120. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 済みません、何種類ぐらい登録されているのかどうか、ちょっと教えていただきたいのですけれども
  121. 関口洋一

    ○関口説明員 現在時点で芝生に登録のあります農薬につきましては、九十七種類というふうに承知しております。
  122. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 それは芝生に使われるということですか。それとも登録されている全部という意味ではないのですか。
  123. 関口洋一

    ○関口説明員 芝生の病害虫に対して、あるいは雑草に対して登録があるというものでございまして、当然これで販売されているものもあれば、されてないものもあるというふうに御理解いただけるかと思います。
  124. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 そうしますと、ゴルフ場で使用できる農薬というのは九十七種類だというわけではないのですね。そういうふうに限ることはできないのですか。
  125. 関口洋一

    ○関口説明員 ただいま申し上げましたのは芝生に対して登録があるということでございますので、それ以外の作物があれば、それに適用のある農薬は使用は可能であります。例えば樹木、松くい虫のために松に散布する農薬というのも別途あるわけでございます。
  126. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 そうしますと、結局ゴルフ場というのは芝が主だし、例えば食糧になるような農作物等の農薬が使われないわけですから、そういうゴルフ場というところから、ゴルフ場に使用できる農薬ということは登録されている農薬のうちで制限していくということはできないのですか。
  127. 関口洋一

    ○関口説明員 私どもの現在担当しております農薬の登録という制度の中で申しますと、作物と病害虫を特定するというふうなことになっておりますので、現在芝生に登録のあるものはゴルフ場で使えるというふうに理解しております。
  128. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 そうしますと、その九十七種類というのは全部効果は違うわけですか。もし同じ害虫と作物とで同じ効果をあらわすとすれば、より有害性というのが少ないものに限る、そういうこともできるのじゃないかと思うのですけれども、九十七種類全部必要なんですか。
  129. 関口洋一

    ○関口説明員 ただいま申し上げました九十七種類の農薬の内訳でございますが、殺虫剤が十五種類、殺菌剤が三十一種類、除草剤が四十三種類、その他が八種類というふうな形になっております。それぞれの農薬につきましては、成分の種類によりまして多少ずつ効果が違うというふうな特性上の違いがございます。したがいまして、例えばガの幼虫が発生いたしますとこういう農薬を使用するのが最も効果があるというふうなことになるわけでございますし、別の害虫が出てくれば別の農薬というふうなことにもなるわけでございます。  ただ、私ども登録に当たりましては、毒性のデータを十分にチェックいたしまして、その中で安全性の確認できたもののみを登録するというふうな形をとっておりますので、適正に使用するといったことから安全の確保は十分守れるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  130. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 その他というのはどういうものなんでしょうか。
  131. 関口洋一

    ○関口説明員 その他と申しますのは、主として成長調節剤のようなものであると考えております。
  132. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 そうしたら、この登録された農薬ですね、その登録できるかどうかというのはどういう観点から判断されているかということについて教えていただきたいと思うのですけれども、まず人体への影響というのはわかるのです。それから、殺虫剤なり殺菌剤なり除草剤なりの効果の点から判断されるというのもわかるんですけれども、それ以外に判断する点ございましたら教えてください。
  133. 関口洋一

    ○関口説明員 農薬の登録に当たりましては、農薬取締法によりまして農薬の薬効、いわゆる効果でございます、それから薬害、ある種の作物にまくと枯れてしまうというふうなことがないように、さらに毒性、さらには食用作物等におきましては残留性に関する試験成績といったものを提出させるわけでございます。特に毒性の試験につきましては非常に詳細にわたりますデータが提出されておりまして、例えば急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、発がん性、繁殖毒性、催奇形性、変異原性、皮膚あるいは目に対します刺激性、皮膚感作性といった非常に膨大な試験のデータを求めておるわけでございます。これらのデータが提出されますと、私どもの方の農薬検査所におきましてまず検査をいたします。さらに、毒性試験あるいは残留性試験、こういうふうな成績によりまして、環境庁が毒性学の専門家の協力を得て定めます登録保留基準、これが設定されるわけでございますが、こういう基準に合致するような使用方法を定めて農薬の登録をするというふうなことになっているわけでございます。したがいまして、定められた使用法を守って適正に使用するといったことが農薬の安全使用という観点から最も重要な点であるというふうなことが言えるかと思っております。
  134. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 そうしましたら、例えばEPNとかダイアジノンとかいうのは毒物劇物に指定されていると書いてあるのですけれども、そういうものも登録はされているわけでしょうか。そしてまた、TPNとかキャプタンとかシマジンとかいうのは発がん性だと言われているのですけれども、そういうのも登録はされているわけですね。
  135. 関口洋一

    ○関口説明員 先ほど申し上げておりますのは農薬取締法に基づきます登録の手続の関係でございますが、別途毒物劇物取締法によりまして毒性の指定がございます。それでございましたのが先ほど先生の言われた点かと思います。
  136. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 登録されているわけですね。
  137. 関口洋一

    ○関口説明員 毒物劇物取締法におきましてそういう指定がされるといったことでございます。  それから発がん性の問題につきましては、先ほど申し上げました各種の毒性試験の中で、慢性毒性試験あるいは発がん性試験の中でそのような影響の出ないレベルを確認いたしまして、それより低い濃度で使うといったことで安全性の担保がなされている。いわば動物の長期毒性試験をやりまして全く影響の出ない線、これ以下で使用するといったことで安全性が担保されているというふうに考えております。
  138. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 そうしたら確認させてください。EPNとかダイアジノンというのは毒物劇物に一方で指定されているけれども、農薬取締法でも登録されているということでいいわけですね。そうですね。  それともう一つは、発がん性ということは、発がん性がないということで登録されているのですか、発がん性はあるけれども、微量だから構わないということで登録されているんでしょうか。
  139. 関口洋一

    ○関口説明員 先生指摘のEPNにつきましては、当然毒物劇物取締法での指定がございますし、農薬取締法での農薬としての登録はなされております。しかしながら、EPNにつきましては芝生への登録はございません。したがいまして、これにつきましては、これまでの指導の段階で、そのような使用があった場合にはそれを直ちにやめさせるというふうな指導をしてきております。  それから発がん性の問題につきましては、現在登録されている農薬について発がん性の心配はないというふうに言うことができるものと思っております。
  140. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 EPNとかいうのは、ある本によりますと、ゴルフ場でよく使わている農薬の一つとして九つくらい挙げられている中に入っているんですけれどもゴルフ場では使ってはいけないのですか。
  141. 関口洋一

    ○関口説明員 EPNにつきましては芝生への登録はございませんので、これまでの指導の段階でそのような事例が見つかった場合にはすべて中止させております。
  142. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 そうしましたら、先ほどから言われておりますように、要するに農薬それ自体が有害である、だから使用方法ですね、それを適正に使用すればまあ安全だということだと思うのですけれども、そうしますといかに適正に使用されているかということが大事になってくると思うのですけれども、農薬を使用するについて資格は必要なんでしょうか、どうなんでしょうか。
  143. 関口洋一

    ○関口説明員 ゴルフ場を例に例えて申し上げますと、ゴルフ場事業者がみずからのゴルフ場を防除する限りにおいて農薬取締法上の制限はございません。しかしながら、防除業者が業としてゴルフ場から依頼を受けて防除をするといった場合には、農薬取締法に基づきます防除業としての届けが必要でございます。
  144. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 そうしたら現実ゴルフ場ではどうなんでしょうか。自分のところの事業内でやっている場合が多いのか、それとも、防御業ですか防除業ですか、そういう方に依頼されているケースが多いんでしょうか。また、そういうふうに農薬の使用に対する指導というのはいかなる形で今行われているのか、少し教えてください。
  145. 関口洋一

    ○関口説明員 ゴルフ場におきます防除の形態につきまして数字をとって確認しているというわけではございませんが、総体的に見まして、ゴルフ場みずからが防除をするといった事例が非常に多いように聞いております。  ただ、先ほども申し上げましたけれども、農水省といたしましては、やはり農薬につきましては適正に使用することが基本であるといったことから、一昨年八月に通達を出しまして、ゴルフ場につきます農薬の適正使用についての指導を行っているわけでございます。その中で都道府県の病害虫防除所が中心になりまして、実際今ゴルフ場に立ち入って指導をするといった観点からの現地におきます指導が徹底的になされております。そういう中で先ほどのEPNのような事例が発見されている。それにつきましては直ちに是正させるといった対策をとってきているところでございます。
  146. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 立入検査等を行うということなんですけれども現実にどういうふうな形で立入検査を行うのかということを教えてください。
  147. 関口洋一

    ○関口説明員 ゴルフ場におきます立入検査、厳密な意味で申しますと農薬取締法に基づきます立入検査ということがあるわけでございますが、実際にこれまでの中では、指導という観点からゴルフ場に立ち入って指導をしていくといったことが多いわけでございます。そのやり方といたしましては、実際に県の職員、これは農薬取り締まり職員の場合もございますし、防除所の職員の場合もございますが、いずれにいたしましても農薬に関する専門家が現地に行きまして実際に帳簿をチェックするあるいは現物を確認する、それから相手方の説明を聞くといったところからの調査中心であろうというふうに考えております。
  148. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 ゴルフ場には農薬を取り扱う責任者というものは置かれているのでしょうか。そしてまた、その人には農薬を記録する、どういう農薬を、いつ、どれだけ使用したかという記録義務とか、あるいは使用した農薬についての報告義務みたいなものはあるのでしょうか。
  149. 関口洋一

    ○関口説明員 通常、ゴルフ場におきましてはグリーンキーパーという職種と申しますか、役割の方がいらっしゃいまして、実際に防除をする際のマネジメントをやるというのは通常のやり方かと思っております。  先ほど申しました一昨年八月の通達によりまして、都道府県におきましては指導要領あるいは要綱といったものを定めまして農薬の適正使用を推進してきているわけでございますが、その中で多くの県におきましては、先生指摘のような記帳を命じ、あるいはそれを提出させるといったふうな措置をとってきているところでございます。
  150. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 そうしたら、どこのゴルフ場でも常にそういう責任者が置かれて、記帳されて、報告義務があるというわけではないのですか。
  151. 関口洋一

    ○関口説明員 厳密な意味で全部と言われますと、現時点でちょっとデータを持ち合わせてございませんが、そのような指導を県としては積極的に行っているというふうなことでございます。  それから、先ほどちょっと落としましたが、実は六月一日から三十日までの一カ月間を農薬危害防止運動として、国あるいは県それから団体等の共催でもって安全運動推進してきております。この通達の中で、ゴルフ場につきましては農薬の使用記録を行うように管理責任者に指導するといった一項目を設けて、指導も徹底しているところでございます。
  152. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 全国ではゴルフ場が今既存のものが約千七百、そして建設中、手続中のものが合わせて千百ぐらいある。できれば二千八百ぐらいになるというふうに言われていますけれども、その既存のそれぞれのゴルフ場について、ここではどういう農薬が使われていて、そこの責任者はだれでとかいう、そういうふうな感じで農薬の使用状況を農水省としては把握されていらっしゃるのかどうか。どういう形で把握しているのか、ちょっとわかりにくいのですけれども、まとめて説明してください。
  153. 関口洋一

    ○関口説明員 都道府県におきましては、個々のゴルフ場に実際に立ち入る、あるいは報告書を提出させるといったことから、実際に農薬がどのように使用され、それの管理者はだれであるかといったことを詳細に把握しているというふうに私どもは理解しております。
  154. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 はい、わかりました。  次に、さっき言われました一昨年の八月ですか、そのときに発せられた「ゴルフ場における農薬の安全使用について」というその通達のことだと思うのですけれどもゴルフ場において農薬の使用状況について把握するというか、指導をされたのは、その通達前もやっていたのですか、通達後なんでしょうか。
  155. 関口洋一

    ○関口説明員 先ほど申し上げました農薬危害防止運動の中におきましては、農薬を使用する限りにおいてすべての分野を対象に指導してきておったわけでございますが、やはり私どももそれまでの指導が農業の部門に偏りがちであったということもございまして、改めて特別の通達を出して徹底した指導をするというふうなことを行ったというわけでございます。
  156. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 農薬の使用について、農作物における使用の場合とゴルフ場における使用の場合というのは根本的に違う部分があると思うのです。と申しますのは、農薬というのはそれ自体毒性を有するものであって、できれば使わない方がいい。ただ、農作物への使用の場合には、いろいろ御意見があるかとは思いますけれども、一応私たちの生存を維持するために必要なものをつくるということで、ある程度必要悪ということで我慢できるというところもあるのですけれどもゴルフ場の場合はそうではなくて、こういう形から、今までずっと農水省の方でなさってきたいわゆる農家に対する取り扱いとゴルフ場に対する取り扱いというか、そういうことで変える必要があるんじゃないかと思うのですけれども、今は一応両方同じ形で把握されていると思うのですけれども、そのあたりどのようにお考えでしょうか。
  157. 関口洋一

    ○関口説明員 ゴルフ場におきます農薬の安全使用対策につきましては、本年度の予算におきまして農薬適正使用緊急対策事業といったものを組んでおります。これは都道府県の段階におきまして、病害虫の安全防除指針あるいは農薬の適正使用の指針といったものを作成いたしまして、ゴルフ場におきますゴルフ場農薬の適正使用を推進しようというものでございます。既に全国的な会議も開催いたしまして、本年度から徹底して推進していくというふうな状況をこの間県とも申し合わせをしたところでございます。
  158. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 そうしましたら、次に環境庁の方にお尋ねしたいと思うのですけれどもゴルフ場で使用される農薬が流出することによって下流の水道水源等の水質が汚染されるのではないか、また周辺の河川とか田畑の土壌とかが汚染されるのではないかという疑問が持たれますけれどもゴルフ場に使われる農薬によって汚染されるかどうかという、その点に関する水質の実態調査、それがどのようになされているのかについて大まかに説明していただきたいのですけれども
  159. 安橋隆雄

    安橋政府委員 ゴルフ場から流れ出る水に含まれる農薬についての調査の件でございますけれども、昭和六十三年八月に環境庁の方から都道府県調査の依頼の通達を出しまして、実態把握に努めていたところでございます。平成二年三月末現在でその調査結果を一応取りまとめたところによりますと、都道府県数で三十都道府県調査対象となったゴルフ場で三百九十四カ所、調査対象農薬数で七十四種類の農薬、それから総検体数で一万三千八百の検体について調査が行われたという報告がございます。  そのうち農薬が検出されなかったというのが全体一万三千八百のうちの九四%でございます。残りの六%については農薬が検出されたという調査結果になっておりますが、検出されましたものでも、その量といたしましては非常に微量でございまして、直ちに環境、人体に影響を及ぼすものではないというふうな結果を得ているところでございます。
  160. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 そのような調査に対して、環境庁の方ではどの程度予算を組んでいるのか。それはいつごろ、やはり一昨年の八月以降なんでしょうか、調査なさったのは。いつごろから把握なさっているのか。
  161. 安橋隆雄

    安橋政府委員 ただいま申し上げました一万三千八百検体につきましては、通達が出た以後の調査結果の報告があったものでございまして、それ以後だというふうに御理解いただきたいと思います。  それから予算の方の関係でございますが、これは県の方でお調べいただきましたので、検査自体の費用は環境庁の方で補助をしているわけではございませんが、検査に使われます機器等につきましては、従来から水質検査機器の助成ということで毎年予算の範囲内で各県に助成をしているというような実態がございます。
  162. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 次に、ことしの五月二十四日付で都道府県知事あてになされた「ゴルフ場使用農薬に係る暫定指導指針について」、これについてお伺いしますけれども、まずこういう指針を出すようになった理由、そして何を目的としてこういう指針をお出しになったのかということを教えてください。
  163. 安橋隆雄

    安橋政府委員 五月二十四日付をもちまして都道府県知事あてに「ゴルフ場使用農薬に係る暫定指導指針について」というのを通知いたしたわけでございます。その目的でございますが、ゴルフ場からの農薬によります水質汚濁の防止を図る上で、やはり実態をよく調べなければならないということと、その調べた結果が科学的知見に基づいて果たして人の健康に有害なものが流れてきているのかどうかというような判定の指針というようなものも必要ではなかろうかということで、その際の目安、参考となることを目的として本指針を策定した、こういうことが指針の策定、通知の目的でございます。
  164. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 この指針を環境庁の方から出される前に、五月十七日に厚生省の方から、厚生省の生活衛生局水道環境部から「ゴルフ場使用農薬に係る水道水の安全対策について」、そういう通達が出されております。それは生活環境審議会水道部会水質専門委員会の意見に基づいて出されるということなんですけれども、その中に「ゴルフ場使用農薬に係る暫定的水質目標」というのが決められております。やはり二十一種類の農薬についての数値が挙げられておりますけれども環境庁の方の数値は厚生省の通知の十倍という数値になっているんですけれども、それはどういう理由でそういう数値が引き出されたのでしょうか。
  165. 安橋隆雄

    安橋政府委員 一般に排出口で見ます水質の濃度と、それが環境に出まして希釈されたときに与える濃度ということとの関係につきましては、従来環境庁の水質保全局の方で、工場、事業場からの排出水の基準とそれが環境上で希釈されたものとして示される環境基準との間に十倍という関係がございましたので、今回のゴルフ場の排出水の排出目標値というものと環境の方の基準でございます厚生省の方の水道の暫定目標値との間も同じような関係になるのではないかということで値を決定したような次第でございます。
  166. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 そうしますと、環境庁のこの数値の割り出す根拠となる資料というのは、厚生省の資料と同じと考えてよろしいわけですか。
  167. 安橋隆雄

    安橋政府委員 厚生省の方で出されました水道の暫定目標値と、私どもで出しましたゴルフ場の排出基準の値というのは、もとになる数字といたしましては同じ考え方のもとにはじき出したものでございます。それはいずれも、医学、薬学あるいは公衆衛生学の専門家の意見も聞きました上で両省で十分打ち合わせて決めさせていただいているというようなことでございます。
  168. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 そうしましたら、疑問が持たれますのは、ゴルフ場の排水口と水道の取水口というのですか、そういうのとは具体的な状況によって随分変わりがあると思うのですけれども、それでもやはり同じ十倍の数字でいいのかどうか。すべての薬品について十倍にしているのですけれども、その点もそれでいいのかどうかということ。  そしてもう一つは、厚生省の方は一応、この数字はどうして挙げられたかという根拠として、継続して摂取しても人の健康に影響が生じない水準をもととしてこういう数字が挙げられているのですけれども、そうだとすれば、ここで考えられているのは人の健康への影響ということしか考えられていないと思うのですけれども、それ以外の例えば水質の汚濁とか、あるいはそこの魚類とか昆虫とか、そういう自然に影響を与えるかどうかということの観点がないのじゃないかという気がするのですけれども、その点いかがお考えでしょう。
  169. 安橋隆雄

    安橋政府委員 一律の排水口の十倍の基準ということでいいのかどうかという点につきましては、五月二十四日の通達におきましても、ゴルフ場の立地条件あるいは構造の違い、使用農薬の違い、あるいは逆に下流の方の利水条件、必ずしも一律ではございませんので、特に必要と認められるような地域事情がある場合には都道府県知事に私どもが示しました暫定基準値よりも厳しい暫定基準値を別途定めていただくという余地を残しておるわけでございます。したがいまして、そういうような条件がありますところでは都道府県知事の御判断で別途の厳しい基準が設けられるということに制度的にもなっておりますし、現にそういうことで地域によりましては私どもが決めました基準値よりも厳しい基準値を考えていらっしゃるところもあるというふうに私ども認識しているところでございます。
  170. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 都道府県の方でより厳しい制限を設けられるということはわかっているのですけれども、どういうふうに考えましても、自治体というのは国の指導というのによりどころを求めますので、できますればより厳しい基準を自治体の方におろしていただきたいと思います。  そして今現在、昨日も埼玉県の方でこの環境庁の基準よりも厳しい基準でいくという方針が出されたということが報道されておりますけれども、千葉県で新規のゴルフ場については無農薬でなければならないとか、あるいは茨城県、埼玉県などで環境庁の基準よりもより厳しい基準を設けてゴルフ場をやっていこうという動きが出ておりますけれども、それに対して環境庁の方ではどのようにお考えか。無謀だと考えるのか、それともそれでもやっていけるとお考えなのか、そのあたりを。
  171. 安橋隆雄

    安橋政府委員 ゴルフ場の立地条件なり下流域の利水条件等が違いありますので、一つ一つ地域の特性に応じて県知事の御責任で厳しい基準を決められることにつきましては、私どもとしては知事の判断にお任せするということで、特にそれについてコメントを申し上げる立場にはないと思っているわけでございます。  なお、水質の基準で、従来から工場、事業場につきましての排水基準等につきましても条例で別に厳しい基準を定めることができるという水質汚濁防止法の規定もございまして、こういった排水基準につきましても地域の実情によりまして厳しい基準を条例で定めていらっしゃるというふうな実例も数多くございますので、どのような地域であろうと全国一律に一本でなければならないというのはかえって現実に反するのではないかというふうに考えているわけでございます。私どもといたしましては、一般的条件としての最低のレベルということでお示ししたというふうにお考えいただければいいのではないかと思っております。
  172. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 できれば、最低ではなくてむしろ最高のレベルを決めていただきたいのです。  最後に大臣にお伺いしますけれども、今こういうふうにゴルフ場の農薬問題がクローズアップされてきております。そしてその中で言われておりますのは、このゴルフ場問題に対する責任体制がはっきりしていない。例えば水質とか大気汚染とかそういう環境一般については環境庁の問題である、そして農薬の問題については一応農薬取締法の適用がありまして農水省の問題である、あるいは、ゴルフ場の振興につきましては通産省、飲み水については厚生省、そういうふうに関係省庁が多くてどうも責任体制がはっきりしていない、そういうふうなことが言われておりますけれども、それに対する大臣の御意見と、その中で環境庁の果たす役割をどのようにお考えになられているか、お願いいたします。
  173. 北川石松

    北川国務大臣 宇都宮委員ゴルフ場の農薬問題についての御質問でございまして、私は必ずしもゴルフを否定するものではありませんけれどもゴルフ場によって環境が阻害され、その農薬使用によりまして人畜に被害を及ぼすということは許されないことであろうと思っております。そういう観点に立ちまして、もちろん通産省、農林省、厚生省といろいろな分野にわたっておりましても、環境庁がこれはやらなくてはならぬという問題が出ましたときは厳しく対処してまいりたい、こういうふうに思っております。
  174. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 環境庁中心になってやっていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  175. 戸塚進也

  176. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 岡崎トミ子でございます。きょうは、水田の農薬の空中散布についてお伺いいたします。よろしくお願いいたします。  長官、この時間になりますと朝からですから大分お疲れになるのではないかと思いますが、目の覚めるようなことには、きょうは、陳情の方ですとか、これまで空中散布についてずっと市民の側で頑張っていらっしゃった方が傍聴していらっしゃいます。誠意ある御答弁をよろしくお願いしたいというふうに思っております。  今、宇都宮真由美議員がお話しになりましたように、ゴルフ場の農薬に関連して、農薬の危険性大変に問題になっておりますけれども、現在本当に身の回りのいろいろなところで農薬が問題になっております。これまでは、残留農薬のようなものが大変関心になっておりましたけれども、農薬といいますと空中散布、これまでにも反対運動が早くから提起してきたように、農薬の大気汚染ですとか環境汚染も大変に深刻です。  そこで、先ごろ、六月六日なのですが、水田の農薬の空中散布と松枯れの空散に関する行政交渉が行われました。市民の側から十五人、関係省庁としては環境庁そして農水省、厚生省と出席をしてくださいました。これまで松枯れの空散に関しては何回か行政交渉を行ってきましたが、水田の空散に関しては今回が初めてでした。その水田関係なのですが、当日の行政交渉の中では、水田での農薬空中散布によって既に大変人体被害が出ているということを事実をもってそのときに伝えられました。各地の大変生々しい被害状況だったのですが、農水省も厚生省も環境庁もいずれも、空散によって周辺住民に人体被害が出ているということを初めて聞いたというようなことだったのです。それでお帰りのときに資料をよく見て検討するという大変あいまいな返事だったものですから、今回それではこうして環境委員会の中で質問をしましょう、こういうことになったわけなのです。  そこで、ゴルフ場の農薬が問題になっておりますけれども、農薬の問題で言いますと空中散布の方がもっと大きな問題をはらんでおります。農薬の空中散布によって周辺住民に健康被害が出ているということ、このことをまず御存じでしょう
  177. 安橋隆雄

    安橋政府委員 環境庁の方でも、農薬の空中散布について大気中への拡散に関する調査というのを六十三年から実施しているわけでございます。ただいままでの結果では、農薬を空中散布をいたしました場合の大気中の濃度でございますが、比較的短期間に散布直下である程度の濃度の農薬が検出されているわけでございますが、散布地域から離れたところでは微量であるというような調査結果でございます。したがって、個別の事例は別といたしまして一般的に申し上げますと、散布地域の周辺の方々の人の健康に与える影響というようなものはまずないのではないかというふうに考えているところでございます。
  178. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 そうしますと、今のお話ですと環境庁では調査なさったのですか。
  179. 安橋隆雄

    安橋政府委員 昭和六十三年度と平成元年度にそれぞれ一つずつの殺虫剤について調査をいたしました。
  180. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 何か文献での調査というのはやっておりますけれども、実態調査というのはやっていなかったというふうに伺っておりましたが、そうではなく、それは実態調査なのですか。
  181. 安橋隆雄

    安橋政府委員 六十三年度と平成元年度に調査を行ったということを申し上げましたが、これは文献調査でございます。
  182. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 それではやはり実態調査はしていなかったということですね。  公的な機関の石川県の調査でも空散によって四・三%が被害を訴えておりますし、新潟では二〇%の人が体に異常を感じたと答えております。これは大変重大なことではないかと思いますが、市民団体がこれまで宮城など米どころの広域調査をしましたところ、大変な健康被害が出ております。石川県の金沢平野、新潟県の蒲原平野、宮城県の仙台平野、山形県の白鷹町なんですが、最高二〇%の住民が空中散布の直後に体の異常を訴えてこのうち十三人の人が通院をしていたことがわかりました。調査は昨年の七月から八月にかけて空中散布の直後に実施されました。人数は今ここでは申し上げませんけれども、とにかく今全国の中では年平均で延べ百七十万ヘクタールの水田で実施されておりまして、一般住宅や学校などと隣接しているところではトラブルが相次いでいるということなんですが、その中で症状は一番多いのが目が充血し、かゆみや涙がとまらない、次が頭痛、三番目がのどの痛みやかゆみ、四番目、体がだるく食欲が不振、五番目、鼻水が出るといったちょっと風邪の症状のようなものが出ているわけなんですけれども、こういったアンケート調査をどのように評価なさいますか。
  183. 安橋隆雄

    安橋政府委員 私どもそれぞれのところでアンケート調査が行われているということは承知しているわけでございますけれども、空中散布に基づきます影響としてそれをどの程度評価するかということについてはまだ検討中でございまして、今どうこうするという立場にはないわけでございます。
  184. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 農林水産省の方にも今の健康被害調査についての評価を伺いたいと思います。
  185. 関口洋一

    ○関口説明員 先生指摘アンケート調査の件でございますが、今幾つかの市民団体アンケート調査を行ったということでございますけれども、農薬の空中散布と健康被害の関係について、疫学的にどのように証明していくのかということは大変難しい問題というふうに私どもとしても考えているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、大気中におきます散布農薬の濃度測定といった意味からの客観的なデータの収集に努めているといったところでございまして、今回のアンケート調査の結果については、今後の航空機の利用に当たって、一般市民がどのように考えているかということを知り得る手段として参考にさせていただきたいというふうに考えております。
  186. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 今のような健康被害の話を聞いた後で大変難しい問題だと言われたら、健康被害を受けた人たちがきっと激怒するんじゃないかと思います。空散地域周辺の人たちが被害を訴えているから、しかも政府は何もしていないから住民がみずから自分のお金で調査をしたということなんですよ。この調査についてその程度の評価ということになりますと、やはり農水省あるいは環境庁は独自の実態調査というのをきちんとすべきではないかと思います。少なくとも農薬という毒を空からまき散らす、無差別にまく、そういうことからしますと、そのぐらいの調査をしてしかるべきだというふうに思いますけれども、難しい問題というのはどういうことでしょうか。
  187. 関口洋一

    ○関口説明員 大気中におきます散布農薬の濃度測定につきましては、関係団体でございます農林水産航空協会におきましてデータの収集に努めているところでございます。
  188. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 それじゃ、そのデータは多分基準がございますでしょうから、何をよりどころとして安全だと言うか、大気汚染調査、あるいは健康被害が出ているということについてびっくりして本当に調査しなければいけないというふうに気持ちが進まないのか、ちょっと教えていただきたいと思います。     〔委員長退席、持永委員長代理着席〕
  189. 関口洋一

    ○関口説明員 空中散布に用います農薬につきましては、従事者あるいは散布後の大気中におきます農薬の動態につきまして、農林水産航空協会が調査を行ってきたところでございます。これにつきましては、日本産業衛生学会の方でこのデータをもとにして、「許容濃度等の勧告」という中で暫定値を公表しております。このような暫定値と比較してみまして、これまでに測定しているデータではほとんどは極めて低い濃度であるというふうに理解しているところでございます。なお、大気中からの検出につきましては、一日ないし数日でもって消滅するというふうなことで、一過性というふうなところであると承知しております。
  190. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 ただいま産業衛生学会の数字というふうにおっしゃいましたが、私も今それをここに持っております。ここにはちゃんと、例えば室内で、「労働衛生についての十分な知識と経験をもった人々が利用すべきもの」というふうに利用者の要件が書いてあります。しかも、「一日八時間、週四十時間程度の労働時間中に、肉体的に激しくない労働に従事する場合の曝露濃度の算術平均値がこの数値以下であれば、ほとんどすべての労働者に健康上の悪影響がみられないと判断される濃度である。」というふうに書いてあるわけですから、これはやはりある人に限られておりますね。大気中、環境の中においてのそういう許容濃度の勧告ではないし、これは適用されないのではないかというふうに思いますけれども、どうなんでしょうか。そしてここには、「許容濃度の数値を、そのまま、大気汚染、または一般の室内汚染の許容の限界値として用いてはならない。」というふうなただし書きも書いてありますが、いかがですか。
  191. 関口洋一

    ○関口説明員 先生ただいま御指摘のとおりでございます。ただ、実質的にその基準と申しますのに比べまして著しく低いというところから、そのように申したわけでございます。
  192. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 著しく低いって、どのぐらいでしょうか。
  193. 関口洋一

    ○関口説明員 これまでの調査によりますと百分の一程度であるというふうに聞いております。
  194. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 百分の一とか千分の一とか非常に微量だから安全だということをこれまで農水省は言ってまいりましたけれども、これは根拠は実験室のデータなんですね。空散後のフィールドの健康調査とか人体への影響についての疫学的な調査による安全性の立証ではないわけなんです。ですから、空中散布というときの人体への影響環境への影響については、やはり今は未知の状況であるというのが現状ではないかというふうに思います。仙台でも、十七年ぶりに一九八八年に空中散布を再開して、これに不安を感じた地域住民の要請があってアンケート調査などいろいろ行ったのですけれども、空中散布の後に起きる症状が前とはがらっと違う。時々、それがなかなか立証できないとか、たまたま風邪を引いていたのではないかとかさまざまなことを理由をつけて、必ずしも立証できない、微量だから大丈夫だということを繰り返し言っているのですけれども、やはりその調査をしないうちはだれも信用しないのではないかということをどうしてもつけ加えたいなというふうに私は思うわけなんです。  それから、今のお話の中にも、低いから大丈夫、百分の一、千分の一というお話がありましたけれども、こちらで示されているミリグラムの数値よりも、実際に実態調査をしたときには一立方メートル当たり一マイクログラムですか、ということは、それ以下でなければいけないというふうに実際には実態調査の結果は言っているわけなんです。本当に被害を受けている人たちが一〇%ぐらいいるということも含めて、どうしても空散による大気汚染の実態調査というのをしてほしいというふうに思うのです。ついこの間の行政交渉のときには環境庁予算の範囲内で大気汚染調査をしなければいけないような話がちょっと出たのですけれども環境庁大気汚染に関する予算はどのぐらいでしたでしょうか。
  195. 安橋隆雄

    安橋政府委員 六十三年度の文献調査に三百五十七万四千円、元年度で三百六十三万三千円でございます。
  196. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 文献調査三百五十七万、このことについては全体でそれだけですか。——そうですか。  やはりぜひもうちょっと予算をとってしていただきたいなというふうに、しかも今これだけ健康被害がずっとたしか出ているということを御存じだと思うんですね、新聞にも発表されておりますから、ですから、今文献調査という段階ではどうしてもないというふうに思うんですね。ですから、前向きに取り組むその努力をしようとする気があるのかどうなのか非常に問題ですし、調査方法の検討なり、専門家の方に依頼を始めるなり、今度の夏の七月、八月に空中散布が行われるときに、それはやらなければいけないというふうに本当に動き出してほしいと思うのです。今回のこの夏のことについては、本当に調査をする気は全然、文献調査だけに頼るおつもりですか。
  197. 安橋隆雄

    安橋政府委員 文献調査を始めたばかりでございますので、これをさらに継続して実施したいと思っているわけでございます。
  198. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 あくまでも文献調査で、本当に実態調査はなさらないのですか。
  199. 安橋隆雄

    安橋政府委員 環境庁といたしましては、文献調査でもう少し知見の集積を図っていきたいと思っているわけでございます。農薬の空中散布の被害につきましては、農薬自体適正に使用しなければなりませんし、まき方自体も、まくところの地形でございますとか人家との接近ぐあいでございますとか、あるいは風向きでございますとか、いろいろな要件がありますので、悪条件が重なったときにも周辺の人家の方に流れないように注意の上にも注意を重ねてやっていただくという、使用方法の方の適正化で対処していただくことが基本であるというふうに考えておるわけでございます。
  200. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 そういうものを守りながら出ているということを私は繰り返し申し上げているつもりなのです。多分本当にその基準を守ってやったとしても非常に広域的に広がって被害がある、まいたところだけではなく、本当に風で風下に被害があるだとか、そういうふうになるわけですから、これは今おっしゃったさまざまの要件があるからこそ文献ではだめだというふうに思うのですけれども、それでも文献ですか。
  201. 安橋隆雄

    安橋政府委員 文献調査自体始めたばかりでございますので、これを継続してさらに知見の集積に努めてまいりたいと思っております。
  202. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 さあ、環境庁長官が私の出番だというふうに体が動いていらっしゃるようですので。  いや、これはやはりひどいですよ。文献調査なんというそんな段階は本当に過ぎたと思います。私はササニシキのふるさとの宮城にいて、町の真ん中におりましたのでたしか空中からの散布を受けたことはないかもしれませんけれども多分傍聴の席では本当に怒っているだろうと思います。この席で私にかわって別に何か物を言いたいという気持ちになっているのじゃないかと思いますけれども、本当に文献調査でよろしいのかどうか、ここでやはり本当に誠意のある御答弁を北川長官にお願いしたいと思います。
  203. 北川石松

    北川国務大臣 岡崎委員の農薬空中散布に対する被害ということと、環境庁は文献だけにとどめるのかというところの御指摘でございますが、私は、環境保全の大原則というものはやはり汚染者側負担の原則であるということもひとつ考えておかなければいけない。それと、今政府委員から答えましたが、やはり状況を一遍視察をし、またこれに対して前向きに対処しなくてはいかぬのじゃないかという思いをいたしております。
  204. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 ただいまの長官の御答弁は、実態調査に出向くということに聞こえました。違いますか。
  205. 北川石松

    北川国務大臣 委員の重ねての御質問でございますが、出向くと言ってすぐには出向けないのです。それはいろいろの状況もありますし、調査研究もある。私は今までのようなただ文献だけでこうだという——それは各関係省庁といたしましては、いろいろの形の中でいろいろのものがあると思いますよ。しかし環境庁というものは、私個人としては、これはやはり前向きで実情を把握しなくてはいけない、こういう思いをいたしているということを申し上げております。
  206. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 それでは前向きに取り組んでいただけるということですね。大きくうなずかれました。ありがとうございます。本当にお願いしたいと思います。  さて、今までのお話から見まして、厚生省はどんなふうにこの環境汚染ということについて取り組まれますでしょうか。
  207. 藤原正弘

    ○藤原説明員 厚生省は水道を所管しておりますので、その立場から御答弁申し上げたいと思いますが、農薬の空中散布に当たりましては、水道水源周辺での散布は避けるなど、水道水源に対する措置が指導されているところであるというふうに承知いたしております。こういう指導をより徹底していただくようにということを水道の立場からは特に期待するものでございます。  また、厚生省のこれに対する対応といたしましては、都道府県を通じまして事前の連絡調整等について水道事業体を指導しておるところでございます。また、飲料水の安全確保を図る観点から幾つかの指導もいたしておりますが、まず一つは、空中散布時における水道水源の監視を強化すること、それから二つ目は、必要に応じてバイオモニタリングを行う。バイオモニタリングといっておりますが、これは当該水道水源で魚類を飼育し、その変化を見ることにより汚染の早期発見に努めるやり方であります。三つ目は、水道水源の汚染あるいはそのおそれのあることを発見したときは、直ちに適切な対策が講ぜられるよう、関係機関の間の相互連絡、通報体制整備することであります。このようなことを関係地方行政機関及び水道事業体に対して指導しておるところでございます。  なお、厚生省といたしましては、農薬を初めとする微量化学物質による水道水の汚染が懸念されておることから、徴量化学物質に対する水道水の安全性を確保するため、平成元年から三年間をかけまして水質基準の全体的な見直しを進めているところでありますが、この作業の中で、水道水源における農薬による水質汚染実態の把握、これを含めまして各種の知見の集積をしていくことといたしております。
  208. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 この間の行政交渉のときに、例えば水道水源、浄水場などが汚染されて魚などがひっくり返ったときには後で調査をするというような、何か本当に後追いのような話をちょっと伺ったものですから大変心配しておりましたけれども、やはりありましたらすぐにそれに取り組んでいただくということと、事前に汚染されないようなさまざまな手だてを施していただきたいというふうに思うわけなのです。  山形県の白鷹町で五年前から空散が始まって、これに反対している人たちがやはり実態調査をいたしましたけれども、水質の調査をしたときに、取水口及び水道水から空散された農薬が検出されておりますし、ここで農薬を捨てたり農薬のタンクを最上川のところで洗っているという報告もあるのですけれども、こういうことは法的に許されるのかどうなのか。水道水や水源地から農薬が出てきたということで、その川のそばには農薬を入れないでくださいという立て札もあったということなのですが、明らかに入るとわかっている、そういう周辺で近くに川があるというのは本当は避けるべきだというふうに思うのですけれども、そういう場合には、何か規制とか指導がやはり必要ですね。指導は今してくださるということでしたけれども、規制というか、そういうことが必要ではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  209. 関口洋一

    ○関口説明員 農薬の空中散布という面でいきますと、散布に使用する薬剤につきましては、空中散布用として登録がされたものを使うということが大前提でございますが、それにあわせまして、魚毒性あるいは急性毒性の低い農薬を使用する、あるいは飛散の少ない剤型を選ぶ、それから機種ごとに定められました飛行速度あるいは飛行高度を守る、さらには実施団体におきましては関係の市町村あるいは保健所、学校、病院等との連携を十分に保つ、さらに気象状況に合わせまして散布の適否を決めていくといったもろもろの指導を進めているわけでございますが、今後ともそのような意味での指導は末端に対しての指導の徹底を図っていきたいというふうに考えておる次第でございます。  それからさらには、技術的にそのような周辺に対します被害を及ぼさないような技術を開発するといったこともあわせて推進していきたいというふうに考えております。
  210. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 例えば今のように飛散状況の少ないものをというふうに言うと、多分一番飛散状況が少なくなるのは粒だと思うのです。粉とか液体とか乳剤とかそういうものはどうしても風に乗っていってしまう。しかし、粒みたいなものを使いますと葉っぱなどには付着しないで全然意味がないというようなことがあって、これこそ農薬散布というのは全然意味がないのだと言っていらっしゃる農家の方もいらっしゃるわけなのです。しかも、水田から離れた市街地、水田に隣接する学校で百メートル以内は空散の地域対象になっていないというふうに言っていても一%から三%程度の農薬の降下量があって、やはり思うようにはいっていないというような状況、実態調査が実際になされておりますので、この散布というのはそういう意味ではほとんど効果がないのではないか、今のように飛散しないものを使用すればなおのことそうじゃないかと思うのですけれども、いかがですか。
  211. 関口洋一

    ○関口説明員 空中散布につきましては、航空機の利用と申しますのは広域に一斉に防除するという点から効果が非常に高い、防除経費が安く上がる、低コストの農業を推進する上ではなくてはならないものであるというふうな理解が一つございます。それから土地の条件による影響が少ない、傾斜地でも使えるといった面でもございます。したがいまして、最近のように農業労働力が減少する、あるいは質的な低下をしているというふうな状況におきますと、こういう労働力を補う極めて重要な技術として空中散布だけで防除を済ませている地域もあるわけでございます。したがいまして、こういう防除を実施するに当たって安全対策を第一に確保していくといったことが重要と思いますので、先ほど申し上げましたようなもろもろの対策をとった上で、今後とも安全な航空機利用といったことを図っていきたいと思っております。
  212. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 よくコストの低い空中散布というのが選ばれてしまうのですけれども、健康被害というのがコストということになりますとどうも置き去りにされてしまうのですね。しかも、こちらではなぜ水田での空中散布が増大しているのかというのを佐賀県の減農薬研究会の方が言っているのですけれども、なぜその空中散布をやめることができないのかといいますと、一度空中散布の体制をつくってしまいますと、これをやめてまた再びつくるというのはとても難しい、農協や部落の協力が必要で、一たん中止すると二度と空中散布の体制をつくることが不可能になってしまう、それで継続している。空中散布を継続するために空中散布が行われているというようなことで、ここではもうやめているのです。意味がない。それで、もうやめてしまっている人がこんなふうに言っているわけなのです。いもち病に対しても毎年散布する必要は実はない、この方は減農薬の方なのですけれども、そんなふうにおっしゃっているわけなのです。でも本当に必要な農薬散布だったら、空中散布では薬剤がきちんと稲にかからないし、ヘリコプターなどスケジュール優先のために散布適期に散布できない。つまりいもち病が今発生しそうだなというときに防除ができない。それは二月の段階でスケジュールが決まってしまって、このときだというときに空中散布ができていないのです。半年前にすべてのことが計画されてしまいますので、実は今なんだというときじゃなく、その絶対変えることのないスケジュールのままにやってしまう。たまに雨が降って中止ということがあるかもしれませんけれども、ほとんでそのスケジュールどおりに散布するために適期の防除はできていない、ほとんど意味がないのじゃないかと言っている声もあるのです。いかがでしょう。
  213. 関口洋一

    ○関口説明員 ヘリコプターにつきましては限られた機体を全国で限られた日数のうちに使わなければいけないというふうなことから、全国一円といたしました共同の利用の体制ができております。その中で基本的なダイヤ編成がなされるわけでございますが、実際には病害虫の発生状況にできるだけ合わせるような努力を直前にやっておるわけでございます。ただ、雨が降りまして散布ができない日が数日も続くというふうなことから散布がおくれるといったことも時にはあるようでございますが、可能な限りそのようなことがないよう適期防除に配慮しつつヘリコプターの配機をしているということも私どもの重要なテーマの一つでございます。
  214. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 本当に意味がないというふうに言っている人の中で、これは佐賀県の方ですけれども滋賀県草津市ではやはり水田への空中散布を中止しました。理由は、役に立たないから。これは何も住民運動が盛り上がったわけではないというふうに言っていて、十何年か空中散布を続けてきましたが、最近は混合剤では大変危険なので殺虫剤だけになってしまった。しかも、非常に農家と非農家と混住化して住むようになってしまったので非農家からの苦情も多い。拡散が少ない粒剤で散布を行っていたけれども、殺菌剤の粒剤では葉っぱの表面に付着することが少なく、その効果は全くといっていいほど期待できないということで、ここでは水田の空中散布は中止いたしました。それから厚木市でも、やはりことしの四月二十六日に農協が水田への農薬の空中散布の中止を決めております。著しい都市化を前にして、本当に農家が水田一枚一枚に農薬をまくというのは確かに労力も大変ですしお金もかかることですけれども、先ほど長官がおっしゃったのは、例えば自分でそういうふうなものを出している人間がその後始末をすべきであるという話をしておりましたけれども、この空中散布は、本当に自分で一体どこに苦情を持っていったらいいのか。実は自分で望んでいないのだけれども、そういうような被害に遭ってしまうということがあるわけです。ですから、水田一枚一枚で散布を行うということをこの厚木市農協が決めた、こういうふうな考え方は私は非常に賛同できることなんですけれども、こういうふうにやめていく現状については農水省ではいかがでしょうか。
  215. 関口洋一

    ○関口説明員 航空機の利用につきましては、まず第一に安全の確保を図るということが重要な点でございます。したがいまして、安全性の高い技術を導入していく、あるいはその実施基準を守る、さらに場合によっては散布地域を見直しするといったことも、現に現地の実施団体で行われているわけでございます。先ほど申し上げましたような地域外に対する影響を極力少なくするといった意味での粒剤あるいは微粒剤の利用、最近では普通通常型のヘリコプターに加えましてより小型のヘリコプター、無人のヘリコプターでございますが、こういうものを効率的に使って周辺への影響を最小限に抑えるといった技術も出現してきております。そういうものも組み合わせまして適正な病害虫防除が実施できるような措置をとっていきたいと考えております。
  216. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 逆行しているお答えですね。私は今、やめた厚木とか草津とか、これはもう意味がないのだというふうにやめているということに関してどんなふうに思われるかを伺いました。
  217. 関口洋一

    ○関口説明員 先生指摘の厚木、草津の個々の事例についてどのような理由でやめたということを私ども詳細にここで把握しているわけではございませんが、現地の実施団体の態勢から見てこの地では航空防除はやらないというふうなことは決められたのであろう。私どもといたしましては、空中散布をやるかやらないかという最終的な判断は地元にあると考えておりますので、そのような地元の事情からやめられたのであろうというふうに考えております。
  218. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 そういう調査もきっちりとなさるべきではないかというふうに私は思います。事情を調べていないというふうに言って平気だというのは大変に困ったことではないかと思いますし、事前に住民に知らせるということもなかなか徹底されていないようなことで、例えば学校のプールにも大変な量の農薬が見つかったり、子供に影響がある、皮膚にも影響があるというような調査結果も出ているわけなんですけれども、事前に、予定地での日時とか区域、薬剤の種類などの事業内容とか、普通の健康状態でない人には散布直後には農作業に従事しないことを呼びかけたりとか、危害防止を図る上で必要な事項を周知徹底する、しかも十分協力を得られるように努めるものとするというふうにあるのですが、本当に農林水産航空事業実施指導要綱がきっちりと守られれば被害がもっと少ないかなと思えることもある。別に私はそれを肯定しているわけじゃ全然ないのですけれども。もし行われるのであればそのことをもっともっと徹底しなければいけないと思うのです。学校の子供たちが被害を受けたり、それからお年寄りが被害を受けたりとか、やはり体の弱い者、弱い者に影響がいくという現状から見ますと、もうちょっとこういうことを徹底してほしいなというふうに思いますが。
  219. 関口洋一

    ○関口説明員 空中散布の実施に当たりましては、所管する市町村あるいは県の関係機関、それからそれ以外の水産あるいはその周辺の方々、こういう方々の意見も十分聞いて実施するようにという指導もこれまでしてきているわけでございます。また実施に当たりましては、実施の前に、先生今申されたような内容、いわゆる予定の日時であるとか区域、散布農薬の種類とかそれに対します注意事項等を添えまして周辺の居住者に十分周知徹底するというふうなことを指導しているわけでございまして、現実的には要綱、要領のほかに、農薬危害防止運動あるいは会議等の席におきましても必ずこのようなことは私どもの方から地元の実施団体にお願いをしていくというふうな指導のやり方を行っておりますし、実際指導に当たりましては県の職員が現地に出向いて立ち会って実施するといったことも行われているわけでございます。
  220. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 その指導を本当によろしくお願いしたいというふうに思います。というのは、例えば大気汚染で空気が汚されたとしてもこれについて法律で罰せられるということもありませんし、例えば数値を決めたり目標値を決めたりしても、それが超えたからその意味が一体どうなんだという、せっかく決めてもそれについての罰則の法律は一切ないのですね。ですから、かけられた人間はかけられっ放し、被害を受けた者は本当に泣き寝入りという形になるのですね。そういうことについても、環境庁も農水省も厚生省も本当に考えなければいけないと思うのです。  しかも日本の農薬は非常に使い過ぎである、お金の面にしてもダントツ一番ということになっておりますし、世界の稲作の農薬の半分以上が日本の水田につぎ込まれているということが現状のようなんです。農産物の輸入に対してストップをかけたい、米は自給自足が原則だと農家の方々がおっしゃって、安全なものを食べるという意味からいいましても、農薬づけのお米を食べさせられる——もう少し農薬から脱皮していかなければいけないのじゃないか。農業のあり方を本当にそういうふうにしなければいけないのじゃないか。国内の農産物の安全性を真剣に考える人々が来ておりますので、もっともっと真剣な検討が必要ではないかというふうに思われます。残存農薬のこと、ゴルフ場のこと、さまざまありますけれども、やはり農業による環境汚染というのを一番に考えていただきたいと思いますし、今このままでは日本の農業そのものが心配である。日本の農業を守るためにも、空中散布というようなことで低コストだから、コストが安いというようなことでこれが行われ、しかも健康被害をどんなに訴えてもそのことが文献調査で、ようやく前向きの答弁をいただいて私も少しほっといたしましたけれども、これは環境庁だけではなく農水省にも実際に実態調査をしていただきたいというふうに心からお願いしますし、これからもこのことについての質問は機会あるごとに続けていきたいと思っております。  先ほど、文献調査だけではなく前向きに、一歩歩み出すのがとても大変だというふうにおっしゃいましたけれども、その努力の方を向いてくださったということで、もう一度確認の長官の御答弁をお願いして質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  221. 北川石松

    北川国務大臣 委員の重ねての、農薬による調査研究をすると私は申しました。それから、農薬づけのお米というのは、ちょっとこれは私は余りいい言葉ではないと思います。みんなが食べるものでございますから、そういう農薬づけにお米がなることはない、私はそういう確信を持っております。それでなくては我々の日常の食事は困りますので、委員のお言葉を返すようでございますけれども、それだけは環境上訂正をお願いしたいような気持ちなんです。  そんな意味の中で、私は、化学物質が人体とかあるいは人間と語り得ないものにまで及ぼす悪影響というものはよく心しなければいけない、こういう思いをしておりますので、この点につきましては、きょう委員からいろいろのことを挙げて私に質問し、また、どうする、最後に環境庁長官とこうおっしゃいますので、私はこれはもう本当に農薬、化学物質というものは慎重の上にも慎重にしなくてはならぬし、先生の御心配になることも頭に置きながら、環境保全というものに誤りのないように対処する考えでおります。
  222. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 済みません、お言葉ですけれども、私も確かに農薬づけは撤回したとしても、農薬そのものは毒物であるという認識が基本的にございますので、その認識を実は環境庁にも農水省にも持っていただきたいという気持ちだったのです。私だって、全部農薬づけでぎっちりそういうものでしたら、本当にこの世にはいないと思いますし、こんなに健康ではないと思いますけれども、しかし毒物ですから必ず少しずつ侵される。農薬は毒物だという基本的な考え方がなければいけないと私は思っておりますので、よろしくお願いいたします。どうも失礼いたしました。
  223. 持永和見

    ○持永委員長代理 竹内猛君。
  224. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 先ほど来宇都宮委員並びに岡崎委員質問をいたしました。宇都宮さんは大体総論的な部分ですね。それから岡崎さんについてはやや各論。私はそれをまとめて、今度は一つずつ確かめていきたい。  六月六日に環境庁、厚生省、農林水産省農蚕園芸局それから林野庁、それぞれの関係者にお集まりをいただきました。農薬の空中散布並びに松枯れに対するこれも空中散布の問題でありますが、この二点について今まであれこれたくさんの法律や条例、さらに政令、通達等が出ているが、一つ行政縦割り、そういうことによって末端においてはまことに困っているのですね。これはあっちの方の側だとかこれはこっちの側だとかいって非常に困る。侵されるのは一カ所なんです。それをあれこれにやられるのは甚だ迷惑だということなんですね。そのために、現地の人たちは悩みや苦しみやいろいろ言いたいことがあるけれども、なかなかこれが通らない。あるものは裁判にまでなっているところがある。当日集まった代表というのは、水田の空散に反対をしている全国ネットワークの世話人である大阪大学の理学部の方。あるいは食生活改善普及会、これは新潟県。六郷七郷環境考える会、これは宮城県。田子・高砂・岩切地区農薬と農業を考える会、これは宮城県。それから白鷹町農業の空散に反対する会、これは山形県。小豆島環境と健康を考える会、これは香川県。きれいな水を守る県民の会、これは山梨県。琵琶湖から空中散布をなくす会、滋賀県。養蚕の裁判をしている原告、これも滋賀県。こういう方々がお集まりでございます。  そこで共通していることは、法律や政令や条例あるいは通達が出ていても、末端ではなかなかその問題の救済になっていない面がある。このことは、やはり最近は生活民主主義ということで、それぞれの地域では多くの方々がそれぞれの要求によって集まっている、そして地域からの要求を持ち上げてくるという、市民運動というものがあるわけだ。そういうことで、新しい一つ時代じゃないかなと思うのです。そういうような中で、行政が法律や条例や文書だけで、本当に住民に愛情を持ってこたえていない。非常に冷たいですね。やはり主権者の一人一人に対して官民一体となってこういう問題については、自然を愛し、健康を守り、それから生活環境をよくするということが大事だと思うのです。  そういう意味において、先ほど来二人の社会党の委員が御質問をいたしました最近の農薬とゴルフ場関係、それから各論について今岡崎さんからそれぞれの地域の問題が出ました。これは長官、感想はいかがです。
  225. 北川石松

    北川国務大臣 竹内委員の、岡崎、宇都宮各委員の御質問に関連して農薬とゴルフ場、また農薬の空中散布について私の考えはどうだということでございますが、私は先ほど申しましたように、農薬というものは化学物質のこれは劇薬の一つでありますし、このことについてはやはり心して使用しなくてはいかない。それは、人間は避け得ても避け得ない生きとし生けるものもあるのじゃないか、こういうことを私は常に思っておりますので、農薬の使用ということについては、ゴルフ場に限らず空中散布に限らず、心して使用しなくてはいけない、このように思っております。
  226. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 後でまた結論で申し上げますが、この一番の問題は、言いたいことは、空中散布によって人間の体が侵されるということですね。子供やお年寄りや弱い方々が特にこれに侵されていく。先ほど来病気の種類がいろいろ出ましたから再びそういうことは申し上げませんが、そういう状態である。石川県の松任地区においてはツバメが大量に死んだ。その薬はバイジットという薬ですが、こういうツバメが死ぬということ、大量に死ぬ、そのことはやはり非常に生き物に害があるということなんですね。だから、空中散布ということがいかに被害を与えているかという問題なんです。  これに関連をして、例えば農林水産省は農薬を許可をし、空中散布を許しているわけだから、国が許しているのだから、その問題については国の責任があるわけです。一昨年は秋田県雄物川町で空中散布をやって、一つ地域に二つの会社がヘリコプターを飛ばした。そしてそれがぶつかって、その運転手が一人死んだ、こういうこともある。これは大変な事件ですよ。今度は人間が、ヘリコプターを運転している者がぶつかって一人死んだ。一体なぜ一つ地域に二つの会社から飛ばすか。そんなことは大変なことなんだ。その話はいいが、前のことについて言ってください。
  227. 関口洋一

    ○関口説明員 先ほど岡崎先生に対しても御説明させていただいたところでございますけれども、やはり病害虫の防除といった意味で、どうしても航空機を使わないと防除ができないといった地域におきまして航空機を使うといった事例は多々あるわけでございますが、これを使用する際に当たりましては、まず第一に安全性の確保に最重点を置くといった面からの指導をこれまでも徹底してきたわけでございます。もちろん農薬の点もそうでございますし、実際に散布する際の対応の仕方、さらには航空機のパイロットに対します研修等々、あらゆる観点からの指導を徹底してきたわけでございますが、今後とも安全性の確保を最重点の課題といたしまして実施をしていきたいというように考えております。
  228. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 やはり私は、先ほどこの会に出席をした地域の皆さん、この地区については責任を持って調査をしてもらいたいと思うのです。調査をしても、長くだらだらやられたら非常に困るわけで、一定の時期には中間報告なり一つの資料を出してもらいたい。このことは約束できますか。これは何も農水省だけじゃない、いろいろ関係するところがあるから、まずこのことについてどうですか、調査
  229. 関口洋一

    ○関口説明員 私どものところにおきましては、毎年航空事業が終わった段階におきまして、それぞれの地域におきます実施の状況についての調査を実施してございます。そのような中で現地の実施主体からの報告を受けたいというふうに考えております。
  230. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 一番問題なことは、厚生省にしても林野庁にしても農蚕園芸局にしても、環境庁もそうだけれども、農薬なりなんなりの被害というか、散布の基準、これについてはどうもはっきりしていない。例えば千葉県の知事はゴルフ場に農薬は一切使わせない、こう言った。私のところの茨城県では、国の決めた基準よりももっと強い規制をすると言っている。それでは国の基準というのは弱いじゃないかということになる。そうなると今度は、厚生省あるいは林野庁、そして農蚕園芸局、こういうところでは一体散布の基準というもの、被害の基準というものを統一しているのかいないのか。これは各地に任せているのか。各省に任せているのか。あるいは地域に勝手に任せているのか。これはどういうことになっていますか。
  231. 関口洋一

    ○関口説明員 病害虫の発生と申しますのは地域によって大変形態と申しますか発生の様相が違っております。したがいまして、全国一律な防除基準といったものよりも、各都道府県のレベルにおきまして実際のその地域の病害虫の発生状況に合わせた基準を作成するといったことが実際的であろうというふうに考えております。
  232. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それはだめだ、各地に任せておいたって。やはりしっかりした基準をつくってその基準で指導しなければ、北海道だから軽くしていいとか沖縄だから厳しくするとか、こんな話はおかしいです。それはやはり問題だね。そういうことこそやはりきちっとして、だれが見てもわかりやすくしなければいけない。横浜大学だって調査しているでしょう。一立方メートルに一マイクログラムですね、これで被害が出ているということを報告をしているところもあるぐらいだから、少なくとも中央においては各省庁は連絡をとって、やはり基準というものを決めて各県にそれを指導していく、これが行政の姿じゃないですか、そっちの方は。これは大臣に言わなければならないはずでしたね。——いやいや、後でまた確認するから。  そこで今度は松くい虫の話をひとつ……。松くい虫の防除法案ができてから二回延長をして、そして今日まで来て、やがてまた延長するかどうか、単純延長になるのか改良になるのかそれはわからないが、今までに松くい虫の防除のために使った金、それから松くい虫が侵した量、防除法によってあとの残っている部分、今後の方向、この三点について報告してもらいたい。
  233. 渡邊恒

    ○渡邊説明員 お答えいたします。  五十二年に法律ができまして、それ以来松くい虫防除ということで実施をしてきておるわけでございます。ただいまの、今ちょっと調べさせておりますけれども、トータルのお金、通した金額というものは事業費でおおよそ一千五百億程度考えております。それから被害につきましては、トータルにつきましては後ほどまたお答え申し上げたいと思いますが、ピークが五十四年にございまして、このときの被害量が二百四十三万立方、以降年々減少してきておりまして、六十三年度現在では約百万立方ということで減ってきております。予算につきましても、被害量の減少に伴いまして漸次縮小してきている、こういう状況でございます。以上でございます。
  234. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 法律ができて一千五百億の事業費を使った、そして松枯れが最高時、五十四年ごろですね、二百四十三万立米がやられた。私の茨城県では三分の一の七十万がやられたときがある。松が枯れちゃって、もう食うのがなくなったから減ってきたんじゃないですか。そうじゃないのですか、これは。
  235. 渡邊恒

    ○渡邊説明員 松林は現在約二百三十万ヘクタールぐらいございまして、材積にいたしまして約三億立方、それに対しまして被害量というものが現在で言いますと約百万立方ということで、そういう意味では被害というものは、全体の松の資源量、賦存量というものに対しましては、パーセンテージにすれば小さなものである、こういうふうに理解をしております。
  236. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 やはり松くい虫に対する防除の方法についても、これはこの法律ができるころから私どもは、特に社会党は空中防除方式は反対だ、やはり金はかかっても伐倒駆除をやれ、こういうことを常に要求してきたし、この法律自体は空中散布もやむを得ないということになっているけれども、その場合でも、学校あるいは公園、密集した住宅、それから生活道路人間のいるところ、あるいは魚や鳥やミツバチや養蚕の地域にはこれは避けるべきである、こういうことを何回か決議をしてきたけれども、実際今起きている松くい虫の被害というものは、滋賀県のミツバチが十万死んだとか、それはもう六十万だ、あるいは蚕が全滅しちゃって裁判をする、こういうようなことが各地に起きている。この間に、林野庁に松枯れの問題で空中散布で要請された被害、そういうようなものはどれくらいありますか。——なければ、また後で調べたらいいや。時間の関係から、後で調べて報告してもらいたい。今の時間内にわかったら、後で報告してもらいたい。  問題は、例えば福島県のいわき市の田畑市長、これは社会党推薦の市長だったけれども、勿来関という名所がある。そのところの松を守るためには伐倒駆除をやりましたね。伐倒駆除というか、松枯れのところを覆って、そして薫蒸で松くい虫を殺していった。そして緑を残していった。ああいうことが本当は必要なんだ。ところがそれには金と人手が要る。ここが問題なんです。金と人手が要るけれども、しかしそれは人畜には被害を与えない。そういうことをしなければ、本来の愛情のある政治とは言えないじゃないか、こういうふうに思うのですね。  そこで、香川県の小豆島からの報告は、香川県の小豆島のような島で、その島から出た水を飲まなければ生活ができないようなところへ今度は空散をして、そしてその周辺を汚してしまっている。そして今飲料水の中に汚染されているということなんです。そこでは、杉とヒノキを植えれば補助金が出るからそれは植えるけれども、そのほかのものを植えたいと言っても、それはだめだと言って植えさせてくれない。こういうことではおかしいじゃないかということで、これは林野庁としては指導がおかしい。補助金があるから木を植える。しかしそれは土質からいってそこには育ちにくい。そこに育つような適正な木があるけれどもそれは植えない。こういう指導はおかしいですよ。どう思いますか。
  237. 渡邊恒

    ○渡邊説明員 松くい虫の駆除の方法でございますけれども、この被害の対策、これは今先生お話にもございましたように、空中散布あるいは伐倒駆除、こういうようないろいろの方法というものを総合的に組み合わせまして実施をしておるところでございます。特にこの空中散布、いろいろと御指摘がございますけれども、この実施に当たりましては、周囲の自然環境あるいは生活環境、こういうものに十分留意しながら、各防除方法の特性、こういうものも勘案しながら、地域の被害実態、こういうものに応じまして、いろいろの方法を組み合わせて実施していきたいというふうに考えておる次第でございます。  なお、小豆島のお話がございましたが、これにつきましては今いろいろと現地の状況というものを調べさせていただいております。ちょっと県段階だけでなかなか調べがつきにくい、地元の事務所であるとか市町村、そこまでおりての調査になりますので、これにつきましてはしばらく時間をおかしいただきたいと考えております。
  238. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は長官に二つのことを要請したい。  第一点は、散布する農薬の被害の基準というものを厚生省も林野庁も、それから農蚕園芸局も、みんなそれぞれが決めていたのではこれはだめですね。どうしてもそれは統一をしていかなければいけない。例えば、千葉県の知事は、ゴルフ場に農薬は一切だめだと言って断る。茨城県の知事は、国の決めた基準よりももっと強い方針に指導すると言っている。それでは国の方が低いじゃないかということになる。こんなことではこれは行政とは言えない。戦国時代みたいにあとは勝手に知事にやれという話じゃこれはだめだ。これはやはりどうしても努力をして一本にしていかなければいけないということを、きちんとひとつ議論をしてまとめてもらいたいということが第一点。  それから、これからの地域との関係は、法律や条例や政令を幾らつくってみても、できているんですから、それを実行する末端の行政地域の被害を受けている人々との間に意思の疎通が常に行われなければいけない。そして、官ということもよくないけれども、官民一体となってその地域の健康と生活を守るというスタイルがこれから必要ではないか、こう思うのです。だから、そのためには通達というようなそういうものだけではなしに、そこの中に入って一緒に話をするということが大事。これは何も別に環境庁だけじゃありませんね。みんなそうだ。林野庁だって厚生省だってこれはみんなそうだよ。そういうふうにしてもらいたい。いかがですか、二点。
  239. 安橋隆雄

    安橋政府委員 今ゴルフ場の農薬に関しまして、いろいろな数字が県によって違うのは問題ではないかというふうなお話でございましたけれども、私どもは国のゴルフ場の排水基準といたしまして、一応専門家の御意見を十分に聞きまして、厚生省とも打ち合わせましてつくりました基準でございますが、これはいわゆる全国一律の基準でございまして、地域によってゴルフ場の立地条件なり下流の利水条件などが違いますので、その違いに応じて県知事が実情に応じたそれよりも厳しい基準、緩めることはないのですけれども、厳しい基準をつくってその適用をしていただくというのは地域に合ったやり方であるということで、それは一つの行き方であり、現実的なものではないかと思っておるわけでございます。ちなみに、工場からの排水基準につきましても、先ほども申し上げましたように、そういう条例でより厳しい基準をつくるということも認められているわけでございますし、そういう意味では、全国一律、どのような条件下であっても同じような基準を適用することの方がかえって現実的ではないのではないかと思うわけでございます。  それから、もう一点の方の、単に法令、通達だけで行政をやるのではなくて、いろいろな声も聞きながらそれを行政に反映していくという姿勢は重要ではないか、行政をやる者にとっては非常に重要なことではないかというふうに考えているわけでございます。
  240. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今度は委員長に要請しますが、それじゃ環境庁、厚生省、林野庁、後でいいからその基準をひとつ出してください。つまり、環境を守るための基準だ、農薬をどういう形でやっていくかという。それぞれの省庁があるでしょう、指示したもの、その通達なりなんなりでいいから、書類を各委員に出してもらいたい。いいですか。大丈夫ですか。
  241. 安橋隆雄

    安橋政府委員 ゴルフ場からの排出水の基準につきましては、私ども二十一農薬ございますので、これをお出ししたいと思っております。
  242. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 委員長、それをひとつ出すように。
  243. 持永和見

    ○持永委員長代理 各省協力してください。よろしくお願いします。
  244. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いいですね。  それでは、今度は霞ケ浦の水質の問題について、前から私は二回ここで要請をいたしました。国会もいよいよ終わりになるから、今度は建設省環境庁、それから茨城県、関係の市町村から関係団体を集めてどうしても話し合いをしろと 言って、やろうということになっている。ところがまだ動きがないですね。めいめいが霞ケ浦の水を考える会というのを、考えている段階も大事だけれども考える段階から今行動する段階なんだ。だから建設省、この際ちゃんと指導して、やはり田植えが終わって稲刈りの前には少なくともあの地域で、その今の団体、水門、それから市民団体、それから農家の皆さん、農業団体もそうですね。ここは別に社会党だけの問題じゃない。みんな話をしてあるから、自民党も加わって、そこで本当に霞ケ浦の利水というものを国も県も、それから各関係者、常陸川水門に関係している者も一緒になってきれいにするということにならなければ、官民一体になっていかなければ、あれが悪いこれが悪いと言うだけではいつまでたってもよくならない。これをぜひやってもらいたい。
  245. 安橋隆雄

    安橋政府委員 先生お話しの御提案の件でございますが、この前の御質疑のときには茨城県から局長が参りましてよく検討したいということで終わったわけでございます。その後私どもといたしましても、委員会での先生の御質疑の真意をもう一度茨城県の方によく伝えまして、しかるべく結論を出してくれというふうに今検討をお願いしているところでございますので、私どもといたしましてはその検討結果を待って対応したいというふうに考えているところでございます。
  246. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 文化庁、六月十三日のつくば市の市議会で、筑波に小田城というのがあるのですね。これは、南北朝時代の北畠親房がそこで神皇正統記を書いたという由緒のある、歴史のあるお城です。今、城は焼けてありませんが、昭和十年、天皇制憲法のもとで何とそこを国の指定文化財にしたのですね。それで、本来、指定文化財にする場合には、その地域を守ってきたその地域の人たちがこれを残していこうじゃないかということで要請をして、地域も一体となってやるべきものでしょう。ところが、あの当時は昭和十年だから、何しろ神皇正統記、南北朝時代の話ですから、これは天皇制国家だ。だから天皇制のあれを守ったということで無条件にやっちゃったんだな。二十二ヘクタールですよ。それをやって、その後、今度新しい憲法になって四十九年に、今度は市街化区域あるいは調整区域という形になってこれは市街化区域になった。ところが、そこの地域の人たちが家を建てかえようとしても、だめだ、こう言う。規制するわけです。何かしようとすればすぐ抑える。私有財産を抑えるからにはそれに対する反対給付がなければだめですよ、何がしかをちゃんとしなければ。奈良県の明日香村は、一村を囲い込んだときには明日香法という法律をつくって、現在三十一兆の金を出してその金利で運営しているのでしょう、あれは。それでも明日香の皆さんはちょっとおもしろくないと言っている。高松塚ですね。私は当時建設委員会におったから、明日香の法律に関係したからよくわかっているけれども、そこまでやれとは言わないのです。少なくとも国が文化財として指定をしておいて、あれもやってはいけない、これもやってはいけないと規制ばかりして、それに対する何らかの償いがなければ憲法二十九条の私有財産権の侵害じゃないですか。自分たちが知らないうちにそれをやっちゃつて。  だから、これを壊せとは言わない。やめろとは言わない。少なくともそういう歴史があるのですから、その由緒ある歴史を守ると同時に、そこに長い間住んできた住民の人たち生活をちゃんと立てるようにしていかなければ、それを守るけれどもこっちも大事にしなければいけない。その点はどうなの。     〔持永委員長代理退席、委員長着席〕
  247. 大澤幸夫

    ○大澤説明員 御説明をいたします。  一般に、お話のございましたいわゆる歴史的な遺物でございます史跡等の現状を変えようとする場合には、法律の定めるところによりまして一定の制限が生ずることになっているところでございます。このことは史跡等を守っていくというためにある程度やむを得ないということは御理解いただけるかと思いますが、一方、確かに先生お話がございましたように、土地等の利用の規制を内容とすることになるわけでございますから、御指摘のように、史跡等の指定地の所有者等にとりましては財産権に一定の制約が生ずるということになるわけでございます。したがいまして、そのような規制によりまして財産権に一定限度を超えます損失を生じた場合につきましては、それに対する補償を行う、こういう考え方に現在立っておるわけでございまして、従来、地方公共団体が国庫補助を受けましてその規制の対象となっております土地なり家屋なりを買い取る、こういう形によって実質的な補てんを行うように現在配慮をしておるところでございます。
  248. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 かつて私は小田城の問題について質問をしたことがあるのですね。ある人がそこに家を建てようとしたら、家を建てることはまかりならぬという形でこれを抑えた。ところが、その家の隣に古い堀がある。その堀の水はもう非常に汚れていて、メタンガスが出ている。橋が腐っている。それから、その辺の雑草がそのままになっている。もしたばこを吸う人がいて火をつければ、そこが火事になる。あるいは城の跡、これはもうなくなっている。地方の人がこの城を見に来てもバスが入れないような道路だ。入り口でおりていかなければならない。そんな状態にしておいて文化財と言えるかどうか。随分これはひどい扱いをしている。そうして今度は規制をして、あれもやってはいけない、これもやってはいけないなんて、こんな冷たい話はないじゃないか。殊に、それは地方自治体に任せたという。確かに、合併する前に文化庁は筑波の町長から始末書をとっている。そんな無責任な話はないじゃないか。住民の知らないうちに二十二町歩も押さえ込んでしまって、何らの反対給付もしないで、そして今度は町長から始末書をとっておどかして。これからどうするんだ。やはり買い上げるべきものは買って、公園にでも何でもつくって、そして本当に万葉の時代から筑波山というのは有名なんだから、古い筑波山、それから南北朝時代一つの歴史だ。いい悪いは別だ。北畠親房が神皇正統記で天皇制を擁護したんだな、その歴史だ。それから今の国際都市つくば研究学園、これを一体としてあの辺にしっかりしたものをつくっていく、そのくらいの考え方を文化庁も持ったらどうだ。どうです、余り抑えることばかりしない方がいいよ。
  249. 大澤幸夫

    ○大澤説明員 御説明を申し上げます。  先ほどもお話ししましたように、規制によりまして財産権に一定の限度を超えます損失が生じた場合につきましてはこれに対する補償を行う、こういう考え方に立っておるわけでございまして、先生ただいま御指摘のございました小田城でございますけれども、今年度つくば市におきましては一部の土地等の所有者に対しまして、この規制に伴う補償といたしまして土地の買い取りあるいは家屋の移転補償を行う、こういう方向で現在鋭意折衝を行ってございます。その結論が出ましたら、私どもとしましてもつくば市に対しまして、先ほど触れました国庫補助について積極的に配慮してまいりたい、こういう考え方でございます。  なお、史跡等の整備についてのお尋ねもございました。確かにこれまで、史跡等の保護につきましてはともすれば制限の面に重点が置かれがちであったというように私ども自覚をいたしてございます。今後はできるだけその整備なり活用という面について充実を図っていく必要等があると考えてございまして、御指摘のございました小田城史跡につきましても、いわばその史跡の整備なり活用という面について、従来諸般の事情からともすれば必ずしも十分な対応がなされていなかったという状況は認識してございます。したがいまして、今後はこの史跡につきまして、できるだけ整備活用のための方策づくりという面についてもお互い手を携えて努力していくように、関係者に対する指導に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  250. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もう時間が来たからこれで終わりますが、先ほどの地方からの要求というのは調査をしてはっきり報告してもらいたいし、これは第一弾ですからね、序の口だから、これから次、次とやっていきますから、ますますふえるばかりだ。まずそのことを心得てもらいたい。あれでいいというわけじゃないですよ。それから文化庁にも、きょうは初めてこんなことを言うけれども、また地元によく報告をして、これからいろいろ盛り上げるからね。盛り上げなきゃだめだ。だからしっかり、余りおどかさないように、住民に愛情を持ってやってもらいたいんだよ、大事なことだから。長官、いいですか。
  251. 北川石松

    北川国務大臣 竹内委員の愛情を持ってというお言葉を踏まえまして、今の小田城も、私はやはり文化と歴史と、そしてそこにすばらしい環境をつくることがいいと思いまして、今文化庁が答弁してくれてやれやれというような思いになりました。だから、これからますます環境をよくしていくために、愛情を持って頑張っていきます。ありがとうございました。
  252. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 終わります。
  253. 戸塚進也

    戸塚委員長 斉藤節君。
  254. 斉藤節

    斉藤(節)委員 まず初めに、けさの理事会で、北川環境庁長官がロンドンへ御出張される。これは申すまでもなく第二回モントリオール議定書締約国会議に出席されるわけでございまして、大変御苦労さまでございます。この出席の必要性ということで、環境庁からいただきました書類によりますと「オゾン層保護対策に関し、特定フロンの全廃等の対策の強化、開発途上国に対する資金援助の仕組みの制度化等を決定する会議であり、今後の温暖化対策にも大きな影響を与える極めて重要な会議である。」このように解説されているわけでありますけれども、この「開発途上国に対する資金援助の仕組み」というのは、これはODAとの関係があるのでございましょうか。また環境保全対策の面の資金援助ということなのか。そして「制度化」と言われておりますけれども、どのような制度化を我が国として考えてこの会議に御出席される御予定なのか、お聞かせ願えればと思います。
  255. 古市圭治

    ○古市政府委員 大臣にお答え願いますが、その前に御質問のODAとの関係でございますが、これはどの資金でどういう手当てというところまで決まっておりませんが、外務省それから財政当局とも検討いたしまして、環境庁立場から発展途上国に対して実効の上がる制度で支援したい、こういう形で現在協議をしております。
  256. 北川石松

    北川国務大臣 今月末ロンドンへ、フロンガス、これのオゾン対策で参るのでありますが、この際は恐らく各国の環境大臣が参りまして、モントリオールの議定書の締約国会議で、大体のアウトラインというよりも、もっとはっきりした線を出す会議になるんじゃないかという思いをいたしております。その中で我が国といたしましては、やはり関係省庁と十分の上にも十分の連絡をとって我が国の方針を決めたいと思っております。もちろんこれには国会のお許しがなければ出ていけませんので、お許しがあれば出ていって、日本の態度を鮮明にしたいと思っております。また、開発途上国に対しましては、先ほど政府委員が答えましたが、鋭意途上国に対する補助あるいは技術の援助、そういうような点については前向きで対処しなくちゃいけない、このように思っております。
  257. 斉藤節

    斉藤(節)委員 どうぞお体を大事にしていらしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  さてそこで、廃棄物問題について、特に産業廃棄物問題についてきょうは取り上げさせていただきたいと思っているわけでありますけれども、厚生省いらしてますね、よろしくお願いいたします。  まず、ごみ、特に産業廃棄物というのは今や首都圏から北へ南へと走っているというふうに言われておりますけれども、特に首都圏の産業廃棄物は家庭などの一般廃棄物の約八倍、年間八百万トン、このように上るというふうに言われているわけであります。全国の工場や建設現場から出る産業廃棄物は年間三億一千二百万トン、このように推計されておるわけでありますけれども、これは容積に換算いたしますと東京ドーム約二百六十杯ということで、大変な量でございますが、このようなものが排出されているということでございます。  前にも有名になりましたけれども、千葉県が青森県の田子町まで一般ごみを運んだということで大変話題を呼んだのでありますが、業界筋によりますと、首都圏においてはごみの投棄場所はもう絶望的だ、関東各県も住民の反対でよそからの産業廃棄物の受け入れは厳しくなっている、そのため青森、山形、宮城、福島といういわゆる東北の方へ運ぶのが普通になっている、このように業界筋では言っているわけであります。このように、建設現場や工場などから出る産業廃棄物が年々ふえ、そして処分の広域化が進む中で、最終処分場の設置や、あるいは他都道府県から流入する状況を監視あるいは規制するために指導要綱などを策定する自治体がふえてきているのが実態でございます。  私、ここに四月十五日付の朝日新聞のコピーがあるわけでありますけれども、これに大きな見出しで「県境越える産業廃棄物」ということで「二十六道府県が規制策」こういう見出しで報道しておりますけれども、この朝日新聞社のまとめたところによりますと、今年に入って七県が要綱などを施行し、全都道府県の半数を超える二十六道府県となったということでございます。さらに四県が今年度内に策定を行おうとしているということでございます。これは申すまでもなく、業者と住民のトラブルがあったり、あるいは都会のごみ捨て場となることを防ぐ、そのようなことが主なねらいだというふうに言っているわけでありますけれども、県外からの廃棄物の持ち込み処分の禁止を明文化しているわけでございます。また、この反面、このような規制強化のため、行き場がなくなってしまった産業廃棄物が今度は不法投棄されるというような懸念も強まってきているわけでございます。事実、少しぐらいのごみは本当に普通の山とか森林などに捨てられているものをよく見るわけでありますけれども、これは不法投棄にまでなるということになれば非常に大変だな、そういうふうに考えておるわけでございます。  そこで、各都道府県の実態を見てみますと、報告によりますと、まず北海道は指導指針の中で、道外からの産業廃棄物の搬入については、単に埋め立てるために搬入することは原則として認めない、このようなことを明記しているわけでございます。それから宮城県では、処理業者に対し、県外で排出される産業廃棄物の埋立処分は抑制するように求めている。また岐阜県は、事前協議を通じて有害な産業廃棄物の搬入をチェックする。また、県外からの搬入に対する事前協議制を設けているのは、青森、奈良、広島県など、こういうところに見られるわけでございます。四月から要綱を実施した千葉県は、特に首都圏で発生する建設系の廃棄物の半分が県内に運び込まれている実情を阻止するねらいがあるというふうにも言われているわけでございます。また、処分場の設置に関しましては、三重県が、建設予定地に隣接する土地所有者全員と付近住民の三分の二以上の同意を必要とする、こういうような厳しい条件を課しておるわけです。また岡山県でも、事前に保健所が現地を調査し、市町村が承諾しないときは事実上建設できない、そういうようなことなども行われている。このほか、長野、鳥取、島根、香川の四県などは、今年度をめどに要綱などの策定準備を進めているというのがこれらの県でございます。いずれにしましても、この産業廃棄物につきまして、都道府県議会の主要議題に上っているところが多いわけでございまして、地方自治体といたしましては非常に悩んでいるのが実態ではないか、そういうふうに思うわけでございます。このように今や産業廃棄物問題はほうっておけない重要な問題であろうというふうに考えるわけでございます。  そこでまず厚生省さんにお尋ねいたしますけれども、総排出量のうち最終処分された廃棄物量はどのぐらいになるのか、それから種類別ではどういったものがあるのか、いわゆる建設材料とか工場の廃棄物、生産過程において出てくる廃棄物、いろいろなものがあると思いますけれども、どんなような種類のものがあるのか、その辺まず最初にお尋ねしたいと思います。
  258. 三本木徹

    ○三本木説明員 先生ただいまお尋ねの最終処分量と産業廃棄物の種類別の処分量、排出量につきましてでございますが、まず、御案内のとおり産業廃棄物の総排出量は、昭和六十年度の私ども調査によりましては三億一千二百万トンという数字が出ておりまして、そのうち約四〇%程度が再生利用されまして、その他いろいろ中間処理をされた後、全体の二九%に相当いたします九千百万トンが最終処分されているという結果になっております。  それから、産業廃棄物の種類別につきまして主なものだけを列挙いたしまして御説明申し上げますと、まず汚泥でございますが、これは上水道の汚泥とか下水道の汚泥とか、あるいは工場排水を処理しますといろいろな汚泥が出てまいります。そういった汚泥が年間総排出量にいたしまして約三分の一に相当いたします一億一千三百万トン出ておりまして、そのうちの二千五百万トンが最終処分をされております。それから建設業から出てまいります建設廃材でございますが、これは総排出量が四千九百万トンでございまして、これはほとんどと言っていいぐらいなかなか再生利用されることが難しいわけでございますが、そのうち三千八百万トンが最終処分をされております。そのほか鉄鋼業等から出てまいります鋼滓がございますが、これは総排出量で四千二百万トンで、最終処分されますのが千三百五十万トン。そのほかに家畜ふん尿でございますが、総排出量六千二百万トンで、これは最終処分される量が極めて少なく六十万トン、このような状況になっております。
  259. 斉藤節

    斉藤(節)委員 その種類の中に廃油あるいは有害化学物質などあるでしょうか。どのぐらいあるのでしょうか。
  260. 三本木徹

    ○三本木説明員 廃油の排出量でございますが、これは同じく昭和六十年度の数字の推計でございますが三百六十七万トンということになってございます。先生指摘の有害廃棄物の部分につきましては、私どもこの調査の中では正確に把握してございませんが、極めてわずかな量だというふうに承知しております。
  261. 斉藤節

    斉藤(節)委員 新聞報道などによりますと何か有害な化学物質が不法投棄されているといったようなこともありまして、例えばこれは四月十五日のやはり朝日でありますけれども、「閉山した炭鉱のズリ山近くに不法投棄された廃油の詰まった千本近いドラム缶。ほとんどが首都圏から持ち込まれたものだ」というようなことを言っておりまして、こういったものが不法投棄されるということになってくると大変だと私は思うわけであります。きょうは警察庁の方をお呼びしておりませんからこれについては詳しくは話はできませんけれども、いずれにしましても、この衛生行政六法によりますと、これは「生活衛生」の廃棄物の処理及び清掃に関する法律の中の第四章の雑則の中に投棄禁止ということがありまして、第十六条でありますけれども、何人もみだりに廃油そのほかそういったような法律で定める産業廃棄物などを捨ててはならない、こういうのが第一項。第二項が「何人も、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。」ということで、そういう廃棄物を不法投棄してはならないということがしっかり定められているのでありますけれども、先ほど私が申し上げましたようないろいろな状況でだんだんと産業廃棄物が締め出されるということになると、このような犯罪行為も起こってくるのじゃないかな、そういう点で私は非常に心配しているわけでございます。  そこで、いろいろ各地方自治体から国に対する要望がなされてあるわけでありますけれども、例えば排出事業者、処理業者に対する法的責任の強化をしろ、こういうことが要望されております。また処分場の設置、管理に関するガイドラインの設定、これはこの間厚生省の方で発表されたようでありますのでそれについてもちょっとお尋ねしますけれども、それから処理困難な製品の製造販売事業者に対する回収処理義務について、これも厚生省さんではないかと思うのですけれども、こういった三点について御答弁願えればと思います。
  262. 三本木徹

    ○三本木説明員 先生お尋ねのまず第一点でございますが、排出事業者なり処理業者の法的な責任の強化ということにつきましては、私どももいろいろな方面からいろいろな意見なり要望なりというものをいただいております。ただいま私どもの所管しております廃棄物の処理及び清掃に関する法律におきましては、事業者におきましては、その事業活動に伴って生じます廃棄物をみずから処理し、またはみずからの負担において適正な処理業者に処理を委託しなければならないというような規制があるとか、あるいは、その処理を委託する場合には委託する業者が適正に処理をできる能力があることを確認するとか、そういったような委託基準がいろいろ定められております。さらには処理業者につきましても、許可をとらなければ処理を業としてしてはいけないとか、あるいはまた、許可に際していろいろな条件を付することが法律上できることになっておるわけでございます。さらに、こういった排出事業者がみずから処理をしたりあるいは処理業者が処理をする場合にも、いろいろな基準がございまして、その基準に従って適切に処理しなければならない、こういったようなことがございます。  さらに、先生今御指摘のような不法投棄につきましても罰則規定を置いていたり、あるいはまた、基準に違反した場合には行政処分をかけることができるとか、一応そういったもろもろのことにつきまして現在でも法的に責任というものが明確になっているというふうに私ども理解しているわけでありますが、ただ、これらを法律に従って適切に実施させるということは、これは大変重要なことでございますので、私どもといたしましては、こういった法的な責任を厳正に執行していただくということからいたしましてもいろいろな指導をしております。その一つがマニフェストシステムというようなものでもって、現在いろいろな指導をしているということでございます。  それから二点目の処理の困難物についてでございますが、産業廃棄物の中では代表とされますのがPCBといったようなものがあるかと思いますが、それらにつきましても、廃棄物処理法の第三条第二項でいろいろと事業者における責任規定が置かれております。そういったことをベースにいたしまして、いろいろな事業者に指導を従来からもしてきているというような状況でございます。
  263. 斉藤節

    斉藤(節)委員 そこでやはり先ほど来申し上げておりますように、この産業廃棄物が不法投棄されたりなんかすることによって環境が荒らされている、そういうことがあるのじゃないかなと思うわけであります。私自身も山など歩きますと、時々そういうようなごみが大変な量捨ててあったりしまして、その付近の樹木が枯れているといったようなところもあるわけでございますので、環境庁として、そのようないわゆる不法投棄による環境破壊が起こっていた、あるいは起こっているといったような、そういう実態をおつかみになっていらっしゃるかどうか。いかがでございますか
  264. 安橋隆雄

    安橋政府委員 環境庁といたしましては、廃棄物の不法投棄によって環境が大いに破壊されているという事例でございますが、あちこちで起こっているということは聞いているわけでございます。環境庁といたしましては、廃棄物が結局不法に投棄されることによりまして環境影響を与えるということが一番あってはならないことだと思っておりますので、一応廃棄物の最終処分場の基準等をつくりまして、これが確実に守られるように努力しているところでございます。
  265. 斉藤節

    斉藤(節)委員 産業廃棄物問題はこれからなおさら問題になってくるかと思うわけでありますので、環境庁さんにおかれましても環境破壊が起こらないように、また厚生省さんにおかれましても、適正処分が行われ、また処分場などをしっかりつくって適正な処分が行われるように、ひとつそういうような状況をつくり出していっていただきたいと思うわけでございます。  産業廃棄物につきましてはこのぐらいで終わらせていただきまして、次は、最近言われなくなってきておるわけでありますけれども、漁網あるいは船底の海藻あるいは貝類の付着を防止するために使っておりましたTBTO、トリブチルティンオキサイド、あるいはまた、そのほかTPTというもの、トリフェニルティンですか、いわゆる有機すず化合物、こういったようなものが昭和六十三年ごろかなり問題になったわけでございます。これは当時都立衛生研究所の調査で、いろいろと養殖のハマチあるいはいわゆる魚介類が有磯すず化合物によって汚染されているという状況が問題になったわけでございますけれども、その後有機すず問題はもう全く問題がなくなったのか、その辺ちょっと御答弁願いたい、このように思います。
  266. 三橋昭男

    ○三橋政府委員 最近の有機すず化合物の状況がどうかというお尋ねでございます。  まず、トリブチルすず関係についてお答え申し上げますが、このトリブチルすずは、環境庁といたしましては五十八年に調査をいたしました。そのときに環境中から一部見つかったということで、五十九年はこの調査の規模を拡大をいたしまして全国的な規模で調査を行った結果、相当広い地域から見つかったということから、六十年度からは魚類を中心といたしまして経年的な生物モニタリングをやっております。今までの測定結果によりますと、内湾と申しますか、あるいは内海域を中心にいたしましてやはりトリブチルすずは検出をされております。この濃度は六十年以降大体横ばいの状態で推移をいたしております。このトリブチルすずに対しまして中公審の化学物質専門委員会でいろいろ評価をいただいておりますが、現在の汚染レベルが直ちに危険な状況にあるとは考えられないけれども、今後とも環境汚染の状況を監視していくことが必要だ、こういう専門委員会からの御指摘を受けております。  それからまた、もう一つのトリフェニルすずの方でございます。これは六十三年度に実施をいたしました調査の結果、特に魚類においてある程度高い濃度が検出をされましたので、現時点で直ちに人間の健康に問題を生ずるというわけではございませんけれども、こちらのトリフェニルすずにつきましては、業界が自主的に製品の出荷の取りやめとか、それから関係省庁におかれましても使用自粛の指導がなされているところでございます。
  267. 斉藤節

    斉藤(節)委員 通産省さんはお見えですか。では、ちょっとお尋ねしますけれども、TBTOあるいはTPT、いわゆる有機すず化合物、これはどのぐらい生産されて、どういう方向へ使われているのか、それをおわかりでしたら。
  268. 橋本正義

    ○橋本説明員 お答え申し上げます。  TBT化合物の関係ですが、まずTBTの関係ですと、先ほど御指摘のありましたTBTOとそれ以外のTBT化合物と大きく二つに分かれますが、TBTOにつきましては、近年は漁網防汚剤とかあるいは船底防汚塗料等にそのまま混入されるようなことはほとんどございませんで、出荷数量のほとんどが他の化学物質の原料に用いられておりました。なお、本年一月以降は、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づきまして、その製造や使用を禁止したところでございます。  TBTO以外のTBT化合物の関係ですが、これは化審法に基づきまして十三の物質が指定化学物質に指定されておりまして、その製造数量等を監視しているところでございます。それによりますと、TBTO以外のTBT化合物の製造、輸入数量は、昭和六十三年度におきまして約四千二百三十トンでございます。なお、用途別の国内出荷量を申し上げますと、約二割強が漁網防汚剤用に使われております。また、約六割が船底防汚塗料用に使われております。残りは、TBT化合物原料用等に出荷されております。  さらに、TPT化合物の関係ですが、これも昭和六十三年度のことですが、製造数量、輸入数量の合計が約六百八十トンということになっております。また、出荷数量は約七百トン強ということになっております。これはかなりの部分がやはり船底塗料の原料に使われております。残りは漁網防汚剤、他の化合物の原料等に使われております。
  269. 斉藤節

    斉藤(節)委員 水産庁、もう漁網には使ってはいないのでございますね。その辺いかがですか。
  270. 海老沢志朗

    ○海老沢説明員 お答えいたします。  有機すず系の漁網防汚剤を使う種類は、水産関係では養殖用と定置網用に使われておりました。水産庁としては、この有機すず系の防汚剤をなるべく使わないようにということで従来から関係業界を指導してまいったところでございます。その結果、養殖用につきましては、昭和六十二年二月に全国漁業協同組合連合会及び社団法人全国かん水養魚協会が使用禁止を機関決定いたしまして、また、定置網漁業につきましては、社団法人日本定置漁業協会が平成二年一月一日から定置網への使用禁止を決定し、実施に移されたところでございます。したがいまして、今日では、養殖業者及び定置漁業者における有機すず系の漁網防汚剤の使用はほぼなくなったものと承知しております。
  271. 斉藤節

    斉藤(節)委員 そこで私は問題にしたいのでありますけれども、漁網には、いわゆる定置網も養殖用の網もそれは使わなくなった。がしかし、我々が食べている魚、市販で売られている魚、この中には一向に有機すず化合物の濃度が減っていない、先ほども横ばいだというお話がありましたが、減っていないのじゃないかというふうな報告があるわけでありますけれども、それは非常に問題だな。なぜかと申しますと、網に使わなくても船底塗料として大量に使われている。それが溶け出して近海魚に対して汚染しているのじゃないか、そういう心配があるわけですけれども、厚生省の方、食品の方、この濃度などはいかがでございますか。
  272. 難波江

    ○難波説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、船底塗料、漁網防汚剤等に用いられる有機すずが魚介類に残留しているということは各種の調査で明らかになっているところでございます。厚生省といたしましては、これら化合物の残留した魚介類を食べることによります人の健康障害を防止するという観点から、流通魚の汚染実態の把握に努めてきたところでございますが、平成元年度においても、全国八ブロックの主要流通市場を流通します魚介類の汚染実態等の調査を行っており、現在データを取りまとめているところでございます。データがまとまり次第、検討委員会で規制値の設定等必要性の有無について検討することとしているわけでございます。平成元年度がかなり広くやっているわけですが、六十三年度のデータでいきますと、TBT化合物については平均値で〇・〇九ppm、TPT化合物については平均値で〇・一八ppm、環境庁その他各種調査とそう差のない値が出ているところでございますが、厚生省としては、もっと広く国民が食べる流通魚の全体像を把握したいということで、先ほど申し上げました平成元年度調査を実施しているところでございます。
  273. 斉藤節

    斉藤(節)委員 これは基準値はどのぐらいなんですか。このぐらいの量なら食べていっても全く大丈夫だということなのか。その辺いかがです
  274. 難波江

    ○難波説明員 現在のところ食品衛生法に基づきます基準値は決めてないわけでございますが、先ほども御答弁ございましたように、中央公害対策審議会の化学物質専門委員会でございますとか、あるいは生活環境審議会生活環境部会の化学物質専門委員会等についても、現状の汚染レベルで直ちに人の健康障害を生ずるおそれはない、しかし今後推移を見守っていくということでございますので、私どもも、先ほど御答弁申し上げましたように現在調査をしております。それらの評価を得て、もし必要があれば基準値を設定するということで考えておるところでございます。
  275. 斉藤節

    斉藤(節)委員 これはやはり食べ物でありますし、私たち人間の健康に大きな影響を与えるものでもありますので、しっかり監視していっていただきたいわけでありますけれども、これにつきまして東京都立衛生研究所の竹内主任研究員は、やはりこれは環境問題として監視する必要があるのではないか、このように指摘しているわけでございます。そういう意味で、やはり将来ずっと継続的に調査検討していっていただきたい、こんなふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
  276. 三橋昭男

    ○三橋政府委員 環境庁といたしましては、トリブチルすず、トリフェニルすずにつきましては、いずれの物質につきましても中公審の化学専門委員会で今後とも引き続いて監視を続けよという御指示がございますので、私どもは重点的な対象物質として今後も環境汚染の状況の監視を続けてまいります。
  277. 斉藤節

    斉藤(節)委員 では、水産庁それから厚生省さんは結構です。どうもありがとうございました。  そこで次は、いろいろなテーマで申しわけありませんけれども、琵琶湖の問題です。水質汚濁の問題。私、ここに滋賀県の環境室からいただきましたデータがありますけれども、今年の五月十二日、「琵琶湖北湖、ほうらい沖および長命寺沖付近で淡水赤潮が発生した。これは、今年最初の淡水赤潮の発生である。」このような報告があるわけでございます。「今年は、五月十日にほうらい沖および小野沖で淡水赤潮の兆候を確認していたが、五月十二日十一時頃、沖島漁協から長命寺沖で淡水赤潮が発生しているとの情報を受けたため、環境室において現場確認、採水を行った結果、下記のとおり、淡水赤潮の発生が確認された。」ということでこのデータを出されているわけでありますけれども、いずれにしましても毎年今ごろの時期、五月ですか、琵琶湖にはいわゆる赤潮が発生しているようでございます。特に北湖にこの赤潮が発生したということは私は問題だなと思うのですけれども、これは必ずしも南湖ばかりじゃなくて北湖も毎年発生しているのでございますか、その辺。
  278. 安橋隆雄

    安橋政府委員 琵琶湖におきます淡水赤潮の発生状況でございますけれども、昭和五十二年以来ほぼ毎年、四月から六月にかけて発生しております。昭和六十一年だけは発生しなかったようでございますが、ほぼ毎年発生しておりまして、本年も御指摘のように五月十二日に最初のものが出まして、昨日六月十八日までの間に累計で五日間の赤潮の発生を見ているということでございまして、それだけやはり北湖、南湖を問わず琵琶湖の水質の悪化が進んでいるのかなというふうに考えているところでございます。
  279. 斉藤節

    斉藤(節)委員 環境六法によりますと、琵琶湖、これは淀川水系の琵琶湖ということで湖沼のAAなんですね。しかも、達成期間がイなんですよ。また琵琶湖(2)の琵琶湖大橋より南側の湖沼でAAなんですね。達成期間はハなんです。これはイとかハというのはもう御存じだと思いますけれども、達成期間イは直ちに達成しなければならぬ、あるいはハというのは五年を超える期間で可及的速やかに達成しなければならぬと言われておりながら、なかなか達成できない。達成してないといいましょうか、水質のデータなんかを見ますと非常に透明度がよくない。一メートルぐらいですから。そういうことで余りよくなっていない。湖沼法でも環境庁として非常に力を入れていかなければならないこの琵琶湖がこのような状況であるということは、一体どういうわけでこうなっているのか、その辺どんなふうに考えておりますか。
  280. 安橋隆雄

    安橋政府委員 琵琶湖は近畿の水がめとして非常に重要な湖だと考えているわけでございます。各種の汚染源に対します規制でございますとか、あるいは水質汚濁防止法に基づきます計画の策定、あるいは窒素、燐の規制、さらには県独自の琵琶湖条例というようなことで懸命に関係努力しているわけでございますし、住民の方々にもいろいろ啓発をいたしまして、汚さずに流すということで御努力いただいているわけでございますが、こういった努力にもかかわりませず一向に改善しないで横ばいであるというような状況でございます主たる原因は、やはり人口が滋賀県特に南の方の部分に増加をしておりまして、せっかくの努力が人口増によります悪影響で相殺されてしまっているというような残念な結果になっているわけでございます。  しかし、この湖沼水質保全法に基づきます水質保全計画も、本年度で第一期目が終わりまして来年度以降第二期目に入るということで、さらに各種の浄化施設の整備その他につきまして関係各省の御努力もいただきながら、琵琶湖が少しでもきれいになるような計画の充実に努めてまいりたいというふうに環境庁としては考えているところでございます。
  281. 斉藤節

    斉藤(節)委員 時間がなくなりましたから終わりますけれども、やはり一番大きな問題は、この琵琶湖周辺のいわゆる下水道普及率ですね。非常に低い。これは何%になっていますか。——わかりませんか。これは二三%ぐらいなんですよね。そんな程度、非常に低いのです。やはりこんなに低いと家庭雑排水、今度も水質汚濁防止法の一部改正案がありまして家庭雑排水の問題が取り上げられておりますけれども、これはやはりそれが入ってくるわけです。そういうことで、大臣に申し上げますけれども、やはり強力に、この琵琶湖の周りとか保全しなきゃならないそういう湖沼の周りは、できるだけ早く重点的に下水道の普及を私はお願いしたいと思うわけでありますけれども、最後に長官の御決意をお聞きしまして終わりにさせていただきたいと思います。いかがでございますか。
  282. 北川石松

    北川国務大臣 委員の琵琶湖に対する大変御理解のある、よくしなければいけないという御質問をちょうだいしました。私もまた淀川の水で琵琶湖からの水を飲んでおる一人でございまして、非常に気になっておりますので、近く一遍琵琶湖を見せていただきたいし、皆さんの意見も聞きながらいろいろな具体策を立てて、少しでも早くよくしたい、こんな思いを持っております。
  283. 斉藤節

    斉藤(節)委員 これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  284. 戸塚進也

    戸塚委員長 遠藤和良君。
  285. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私はきょうは三十分という短い時間でございまして、質問も絞りまして、ごみの問題とワシントン条約の関連の話をいたしたいと思いますので、答弁もできるだけ短く簡潔明瞭にお願いしたいと思います。  最初に、これは大臣にぜひ聞いてもらいたいのですけれども、東京湾の中に中央防波堤埋立処分場というのがあるのですね。この間私、我が党の石田幸四郎委員長と一緒に行ってきました。まあ大変な状態でしたね。ここにちょっと写真もあるんですがね、こんな状態なんですよ。いろいろとお話を伺いますと、最近のごみの増加というのは大変なものがありまして、聞いたら、大体一日に東京二十三区からこの処分場に来るごみの量は一万二千トン以上来るというのですね。一年間に東京ドーム十五杯分ぐらい来るというのですね。大体処分をして来るのが一割、それから、全然未処分でそのまま埋め立てられるのが二割ある。これはもう処分の能力を超えているわけですね。  私、本当にこれでいいんだろうかなと思ったことは、産業廃棄物として都内のデパート等からごみが業者によって運ばれてくるのですけれども、中には、ソウル・オリンピックでトラのマークのTシャツをつくった、それがオリンピックが終わったからといって、値札のついたまま、真っさらですよ、トラック三台分ぐらいごそっと捨てられているわけです。新品ですよ。それは価格を維持するために捨てたんでしょう。企業のモラルが問われる問題だと思うのですよ。それから、お茶漬けのパック、これも賞味期間内のものです。これがばあっと捨てられている。それでそこの処分場の職員の人が大丈夫かどうか食べてみたらしいのです、家で。するとおいしかった。そういうものが捨てられているのです。あるいは、ある大手のスーパーが全国の子供さんに交通安全の絵をかいてもらった。それを、入選したのは展示してあげたんですね。入選せぬかつたものをどうしたかというと、全部まとめてトラックで捨てに来ているのですよ。子供が見たらどう思うでしょうね。そういうものがこの東京湾の中にある処分場に捨てられているのです。  それで、そこの係の東京都の職員の方が言っていました。大体ごみを捨てるというところは、昔から貝塚がありますね。貝塚というのは、後代の人が発掘をして、その時代の歴史だとか文化だとか、その生活というのがうかがわれるわけですね。ごみの処分場というのは生活の尺度だ、文化の尺度だ、今の東京湾のこの埋め立ての処分場を見たら、今から千年ぐらいした人が、そのときの日本人というのはどんな生活してたんだろう、まことに情けないと言っているのですね。あるいは、発展途上国の皆さんが、日本にいろいろな木とか原材料を輸出していますね。それが日本人の生活の中で利用されていればいいんだけれども、全く新しいものがそのまま捨てられている。それをみんな原料を輸出している国々の人が見たらどない思うやろか、こういう問題があると思うのですね。  これは確かに法律の上では規制できません。しかし、全く使われないものを値札のついたまま捨てている、あるいは食べられるものをそのまま捨てている、子供のかいた絵をそのまま無造作に捨てている、こんなことを道徳的に許していいんだろうか。それによってごみが増加しておる。こういう状態があるのですよ。こういうことから踏まえまして、琵琶湖もいいけれども、この東京湾の方にも一遍行って実態を見てくださいよ。本当に恥ずかしい、私はこのことを思います。まず、このごみの問題に対する御感想を最初に聞きたいと思います。
  286. 北川石松

    北川国務大臣 遠藤委員の、ごみの増加という中で非常にこの点は各地方自治体も悩んでおるのでございますが、そこには、先ほど御指摘のようにモラルというものがなくなってきておるんじゃないか、これも大いにあると思うのでございます。私は、自覚をしていただきたい、このことを思うのでございます。自覚だけでも済まないと思いますので、私は、厚生省の問題だからというわけにいかず、環境庁が何らかの形をとらなくてはいけない、そんな思いを今のお話を聞きながら思うのでありますが、ぜいたくになって、わがままになって、もうけたらいいんだというところのこの考えが大きく浸透し、そうして便利主義になってきておる。このこともまた私は、環境教育環境倫理の啓発をやらなくてはならぬ、このように思つております。
  287. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それで、このごみの最終処分場をどうするかとか処理をどうするかというのは恐らく厚生省の仕事でしょう。環境庁がやれる仕事を申し上げたいと思うのですね。  これは手前勝手な宣伝になりますけれども、我が党で「ガラスの地球が危ない」というこういうパンフレットをつくりました。これは環境庁にも贈呈してありますから後で見ていただきたいと思うのです。この中で、要するに、ごみの問題が一番最初に出てくるわけでございますが、あふれるごみ、ごみの減量とリサイクルをどうすればいいかとか、それからそのほかにもいろいろと、地球環境のため、省エネのためどうするかとか、七十七項目の生活レベルでの工夫ですね、そういうことがずっと書いてあるのでございます。それで二、三挙げてみましょう。例えば「ゴミ減量とリサイクル」としては、「使い捨てのペーパータオルやナプキンなどを使わず、ふきんを使用する」とか「紙は表も裏も使う」とか「バラ売りのものや、包装が最小限のものを買い、過剰包装は断る」とか、こういうふうな、国民生活の中で実行していきますと非常にごみが減量される、あるいはリサイクルができる、こういうことが書いてございます。  私は思うのでございますが、一政党がこういうものをやって、二百円なのですけれども、非常にいろいろな団体から引き合いが来ておりますけれども、ぜひ国として、こういうふうな国民のライフサイクルといいますかライフスタイルですね、生活スタイルをこのようにすればごみが減量できますよ、リサイクルができますよ、こういう話をぜひ環境庁はリーダーシップをとって啓蒙していく、これは大変重要なことではないかと思いますが、そういう計画をやっていきませんか。
  288. 安原正

    安原政府委員 ごみの問題につきまして今遠藤委員の方から御指摘をいただいているわけでございますが、私どもも、ごみの減量化、リサイクルを徹底して進めていくということが極めて重要なことだと考えております。地球環境の面からいきましても、省資源ということにもつながるわけでございます。閣僚会議でもそういうことを進めていこうという申し合わせをしておりますし、現に政府としましても去る三月末に幹事会で、減量化対策を政府としても率先し進めていく、そして民間にも働きかけていくということを申し合わせたわけでございます。それで環境庁としましても、今その実効を上げるべく関係省庁と話し合いを進めているところでございます。  それから今御指摘の、パンフレット等をつくって大いにPRすべきじゃないかという点、ごもっともでございます。私どもとしましてもそれなりの努力をしているわけでございまして、例えば平成元年三月に「環境にやさしい暮らしの工夫」という報告書をまとめまして、これは具体的な、やはり御指摘環境に優しいライフスタイルの事例をずっと集めたものでございます。これを地方公共団体あるいは一般の市販にも供しておりまして、すべての関係の方に関心を持っていただき、それを実践していただきたいと期待しているわけでございます。今後とも努力を重ねたいと考えております。
  289. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それから、厚生省にお伺いしたいのですけれども、一方でごみの減量化をし、リサイクル化を進めるということと、やはり実態としてはごみの量はだんだんふえているわけですね。そうすると、このごみの処理をどうするかということになるわけでございます。これは私の地元の徳島新聞に出ておったのですが、ごみは十年後に一〇〇%処理します、厚生省が二十一世紀の計画をつくりました、十兆二千億円を投入いたしまして施設をつくります、こういうような話が出ているのですね。これは例の日米構造協議の公共事業、厚生省としてごみ関係についてはこういうようにやりましょうというアイデアなんでしょう。それから最近の新聞では、産業廃棄物の最終処分場の確保の問題があるのです。  これは要するに、原因者負担の原則というのがありますけれども、一方においては、最終処分場をやはり国あるいは地方自治体の責任で確保することがなければ、原因者負担主義は貫き切れないのではないか、こういうふうな側面もあります。厚生省が今後どのくらいのお金を考えて一〇〇%処理できるようにするのか。それから、最終処分場については、いろいろの業者とか地方自治体に任せるのではなくて、国として責任を持って確保して処分ができるようにする、こういうふうな決意を端的に聞きたいのです。よろしくお願いします。
  290. 坂本弘道

    ○坂本説明員 ただいまの徳島新聞でございますか、十兆何とかいう、それは私どもの方で出したものじゃございませんで、新聞が勝手に出したということでございますので、御了承をいただきたいということでございます。  それから、これからのごみの処理の仕方でございますが、確かにごみの量がふえてまいりまして、先ほど東京都だけでドーム十五杯、全国では百三十杯分という話、前の年に比べて五杯もふえておる、こういう状態でございますので、もう埋めるところもなくなってくるというようなことからいうと、やはりなるべく燃えるものは燃やして、また使えるものは使いというような形でやっていきたい。お金の面につきましては、これは今日米構造協議等々ございますので、この辺いろいろ協議を各省庁とさせていただいておる、こんな状況でございます。
  291. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 今新聞が勝手に書いていると言ったけれども、それはおかしいのじゃないかと僕は思うのですね。これは、厚生省の中に廃棄物処理二十一世紀計画というのをつくりまして、この計画を五月十九日に経済企画庁に提出して、各省庁間の調整をした上で最終報告にしようというふうなことなんですが、こういうふうな計画は厚生省の中にないのですか。
  292. 坂本弘道

    ○坂本説明員 勝手に書いているというのはちょっと語弊がございますが、確かに私どもの中でそういう計画を詰めつつあるということでございます。ただ、最終的にどこまで詰まっているかということになりますと、まだ詰まっていない、こういうことでございます。
  293. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 かなり推測されて書かれているのだと思いますけれども、勝手に書いているという表現は余りよくないですね。これはやはり訂正をしてもらいたいと思います。  どうも我が国の行政は、あらわれるまでは内緒にしておきましょうというのがあるんだね。そういうのじゃいかぬですよ。今政府は一生懸命こんなことを考えています、国民の皆さんに心配のないようにこんなことも考えているのですよ、その段階からやはり国民の理解を得ていかなければいかぬ。それを、結論だけぽんと言う。これはまさに国民無視だと言われてもしようがないわけです。ですから、お金が幾らになるかというのは、それは恐らくいろいろな大蔵省等との協議もありましょうし、全体計画もありますよ。そのお金の部分については推察の部分もあるでしょう。しかし、ごみの処理については厚生省は責任を持って、十年後には一〇〇%処理できるような考えで内部の作業を進めておりますよ、このぐらいは言っていいんじゃないの。どうですか。
  294. 坂本弘道

    ○坂本説明員 先日来も私どもの津島厚生大臣が申し上げておりますが、ごみの問題というのは、量がふえてきたとか処分場がないとかいろいろございます。そういう問題を踏まえて、法制度の改正を含めてこれから検討していく、こういうことで積極的に取り組んでいくということでございます。
  295. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 いろいろ発表する前に漏れたら困るというような体質はやはり改善をして、シースルーで、こんなことを考えているんだけれどもどうでしょう、議会の方にも報告をしたりするというのがいいのではないか、私は個人的にそのように思っております。  それから、今東京湾と大阪湾にフェニックス計画というのがあるのですけれども、東京湾の方はほとんど進んでいない、大阪の方は少し進み始めている、こんな実情がありますけれども、やはりごみの処分を含めてどのようにして東京湾の環境の保全を図っていこうかというのは大事なことなんですね。両計画について進捗状況並びにそのネックになっている部分をかいつまんで報告してください。
  296. 鈴木繁

    鈴木説明員 まずフェニックス計画の状況でございますが、大都市圏におきましては、廃棄物の最終処分場の確保が非常に難しくなってきているということで、厚生省は運輸省と共同しまして、先生御存じのとおり広域臨海環境整備センター法に基づきますフェニックス計画推進しているところでございます。  大阪湾におきましては、いわゆるセンターができまして事業を進めておりまして、おかげさまでことしの一月十六日から、二カ所ある処分場のうち一カ所の尼崎沖処分場及び尼崎基地におきまして廃棄物の受け入れを開始いたしております。また、七月二十七日から播磨基地での受け入れを開始する予定であります。もう一方の泉大津沖につきましては、昨年の六月から建設工事に着手しておりまして、平成二年中に受け入れすべく工事の進捗を速めているといった状況でありまして、これに関連する積み出し基地あるいは先ほどの尼崎処分場に関連しますその他の基地につきましても、鋭意その進捗を図っているといった状況でございます。  次に東京湾の方でございますが、こちらも一般廃棄物あるいは産業廃棄物の処分場不足があるということで、特に廃棄物の適正な処理を確保するとともに、東京湾の港湾の秩序ある整備を図るために、やはり運輸省と共同いたしまして、昭和六十二年四月に国としての考え方を示した基本構想、こういうものをまとめて関係自治体にその具体化について働きかけているといった状況であります。これを受けて、いわゆる首都圏サミットという六都県市首脳会議がございますが、ここで基本構想の取り扱いについて討議されまして、現在その下部組織であります検討委員会において廃棄物の広域処理に関する検討が進められているといった状況であります。  御指摘の問題点と申しますのは、例えて申しますと、内陸でもっと処分場ができるんじゃないかというような御意見ですとか、あるいは一般廃棄物について申しますと、自区内処理が原則だから自区内でやるべきであるといった御意見、こういうものいろいろありまして、なかなか内陸あるいは海に面した県、都、市で意見がうまく合わないといったことが一つのネックであるというふうに考えております。
  297. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 確かに私は、大阪の方にも行って関係の自治体の皆さんからお伺いしてきました。そしたら大阪の方は少し動いているのですよ、確かに。ところが東京の方は、事情を聞くとどうも埼玉県と神奈川県と川崎市は賛成だけれども、東京都と千葉県と横浜市はごみを引き受ける側なんですね。そこはよそのごみまではちょっと遠慮したい、よそのところは自分のところで処理をしなさいよ、こういうふうな感じで意見が一つにならないという状況があるようですね。これ環境庁長官が音頭をとるべきか厚生省が音頭をとるべきかよくわからないのですけれども、できれば東京湾のこのフェニックス計画一つの視座に入れながら、東京湾の環境保全あるいは東京湾の水質の改善、そこら辺まで視野に入れて、何か首都圏サミットといいますか環境庁長官が一席設けまして、東京湾の船の上でもいいですよ、一遍皆さん知事で、東京湾の保全をどうしましょう、東京湾沿岸のごみの対策をどうしましょう、こういうことを同じテーブルについて議論をするということは大事じゃないかと思うのですね。これは事務レベルで積み上げてくるとやはりいろいろな思惑がありますからなかなか決まらない部分がありますから、まず知事さんを全部環境庁長官が音頭をとって、こうです、どうでしょうと超トップダウンでやっていく以外に解決の方法はないんじゃないかなという気持ちもするのですが、いかがでしょう。そういう調整役を買って出る御決意はありませんか。
  298. 安原正

    安原政府委員 大臣の御答弁の前にお答え申し上げます。  御提案の首都圏サミットでございますが、実は首都圏サミットということで既に六都県市の首脳がお集まりになりまして環境問題等につきまして話し合いをされているところでございます。昨年六月にもこの首都圏サミットに当時の環境庁長官が出席いたしまして、環境問題につきまして話し合いをさせていただいたわけでございます。その結果、環境につきましての宣言がまとめられたという経緯がございます。環境庁としましても、この首都圏の環境問題をよりよい形で解決していくということが極めて重要と考えておりまして、今首都圏の広域環境管理の指針のまとめをやっているところでございます。このまとめを急ぎまして、この指針を関係都府県に示しまして、できるだけ活用していっていただくということで努力をしてまいりたいと考えております。
  299. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 その宣言をもう一歩進めまして、東京湾、大阪湾の環境管理計画ないしは総合保全計画というものを長官が音頭をとってつくるといい、こう思うのですよ。これはぜひ長官、今さらに、首都圏サミットという舞台ができつつあるようですけれども、きちっとしたものに仕上げていくということは非常に大事だと思うのですよ。いかがでしょう。
  300. 北川石松

    北川国務大臣 委員の御指摘のように、きのうは五つの県の知事と懇談を二時間ほどいたしまして、各県の知事のいろいろの意見を聞きながら、相共通する点はまた相共通する点で一致点を見て、そして、ではこうしたらいいじゃないかというように具体的に腹を割ってきのうは話をいたしました。大成果があったと思っております。  そういうことを踏まえますと、今委員の御指摘のような点もよく、これからどういう時期にどうしたらいいかということを研究をして、前向きで進んでみたい、こう思っております。
  301. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 時間がなくなりましたので、ごみ問題は、東京湾も大阪湾も現場で声を聞いた中でおっしゃっておりましたものは、一つ医療系廃棄物ですね、これの処理に対する法律をぜひつくってもらいたいという要望がありましたことを申し添えさせていただきます。  最後に、ワシントン条約の関連でございますけれども、国内法が施行されまして二年半になりました。実際どういうふうな状況になっていますかという話をいたしましたら、WWFジャパンから私の方に不正取引の事例をファックスでいただきました。随分たくさんあるのですね。例えば偽造または不正な許可書を使用した例とか、あるいは免除規定を悪用した例とか、あるいはロンダリング、いわゆる原産国で輸出が禁止されている種を一たん第三国に持ち出して、そこから許可書をつけて輸出する話、あるいは密輸のケースだとか、いろいろな事例があるようでございますが、私は、明年度でございますか締約国会議を日本でやるというふうなお話も承っておりますし、もう一回、このワシントン条約が十年になるわけでございますから、国内の実態にかんがみまして、やはり世界にはっきりとこの問題に対して日本は行っていくという形をここ一、二年の間につくっておく必要があるのではないか、こんなふうに考えまして問題点だけ申し上げたいのです。  やはり一番問題なのは、留保をしているものがありますが、これを何とか数を減らせないものか。留保品目の撤回ですね。これが一つの問題です。  それからもう一つは、国内法の強化ですね。これは、いわゆる輸入規制の問題と国内譲渡規制の問題があるのですけれども、これを一本化いたしましてやはり少し厳しくする必要があると思いますね。今は水際で任意放棄すれば罰則がありません。それから、送る旅費を払うとかそういう規定も全くないわけですね。そういう問題についてやはり法律をさらに強化していくことが必要ではないか。  それからもう一つは、保護センターを早い機会につくる必要がありますね。不法に輸入されたものがワシントン条約にかかるということで成田で放棄されるのですが、保護センターがないものですからほとんどが死亡してしまうのですよ。そこで、成田に近いところにきちっと保護センターをつくって、職員がそこにおりまして保護していく、そしてある一定の期間を置いて動物園なり水族館なりに管理をお願いする、こういうふうにしなければならないのではないか。この三点が今後の課題ではないかと私は思っておりまして、これに対する御決意をお伺いをいたしまして質問を終わりたいと思います。
  302. 山内豊徳

    ○山内政府委員 お話のように、平成三年度、平成四年の春には日本にワシントン条約締約国会議を誘致しております。それを控えまして、まさに三つの点、おっしゃったとおりと思いますが、留保問題につきましては、最大時十四品目が現在十品目、そのうち六品目はクジラということで、実は残りました問題には、これから関係省庁と相談するにしましてもいろいろ難しい問題がございますが、ぜひこの締約国会議を控えて留保問題に前向きの結論が出るよう、関係省庁の議長の役所として頑張ってまいりたいと思っております。  それから保護センターの問題、先ほど先生は二重規制になっていること自身問題点だとおっしゃいましたが、現行法に則して申し上げれば、これは管理当局であります貿易管理令所管局の問題ではございますが、実は先生おっしゃるように、任意放棄させた動物が現在では年間七十件、九十件とかいう形で各地の動物園、水族館に委嘱の形で通産省から行っているわけでございます。ところが、なかなかほかの動物と一緒にはできませんものですからいろいろな苦労もあるようでございますので、これもなかなか一口にどこかに建物をつくって職員を配置すればそれで保護センターになるというものではないと思いますけれども、今申しましたように、ワシントン条約の国内体制につきましては、私が議長になりまして各省庁を束ねておりますので、ぜひ問題提起をしていきたいと思っております。  費用返還の問題につきましても、従来民間募金で送り返すような例もございましたが、日本のような国でそこまでという議論もございますことはよく踏まえております。非常に難しい問題を多々抱えておりますけれども、ぜひ前向きに締約国会議を迎えたいと思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
  303. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  304. 戸塚進也

    戸塚委員長 寺前巖君。
  305. 寺前巖

    ○寺前委員 よその省からおいでをいただいておるのを先に、済ませてしまうというのは言い方が悪いですけれども、先にちょっとやっておきたいと思います。文部省、お見えいただいておりますね。  私の住んでいる京都市の北区に指定天然記念物深泥池というのがございます。これは大臣のお住まいになっているところの河川の上流でもあるわけです。暖帯には珍しくミズゴケ高層湿原の発達した浮島と水生植物が存在して、変わった名前の草が生えているわけですね。ホロムイソウ、ミツガシワ、アカヤバネゴケ、ミズグモ、ハナダカマガリモンヒメハナアブなどの氷河期から生き続けてきた貴重な生物が残存している。これは、深泥池が長らく雨水で養われ、貧栄養で酸性の水質が保たれてきたことによるもので、西日本では他に例のない、五、六万年以上もの昔からの歴史を刻んだ厚さ十メートル以上の泥炭が堆積している。しかも、それが人家のあるところの上江町にあるというところにこれまた珍しさがあるのですね。ところが、よくぞ残してきたものだというのがまたこれ大変なことなんですね。七七年から七九年にかけまして、文部省の科学研究費補助金を受けて深泥池調査団に委託して総合学術調査をやりました。この学術調査の結果から、天然記念の名称も、水生植物群落からさらに広く動物相も含めた深泥池生物群集に広がった。日本の天然記念物の中で生物群集全体が保護の対象となっているのはこの池だけなんです。だから、これは特別に関心を持って見てもらわなければいかぬと思うのです。  その報告書の中に出てくるのですが、実はこの深泥池の北西部に京都市の市道拡幅事業計画が出されている。都市計画道路百十三号線で十四メートルに拡幅し、深泥池の北西岸を埋め立てする計画がここに載っておる。これはもう本当にわかっておるのかいなと言わざるを得ないのですね。先ほど言いました深泥池学術調査報告書を見ると、池の環境保全に重大な悪影響を及ぼすことが予測されるのでルートの変更を検討すべきである、今から何年前ですか、十何年前にわざわざそう書いてあるのですよ。そこまで学術調査団が言っているのに依然としてこの計画が放棄されていない。私は残念で仕方がないのですよ。文部省は、この指定天然記念物でも特別な意味を持っているこの池を保護していくために、その計画をやめてくれとはっきり申し出るべきではないのだろうか。深泥池の天然記念物の一部解除を含む現状変更の手続がもしも出されてきた場合には断固としてけるという姿勢があるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  306. 大澤幸夫

    ○大澤説明員 御説明を申し上げます。  都市計画道路の問題につきましては、先生もちょっとお触れになりましたように、目下地元におきまして、道路整備の促進というお立場と、一方また、お話のように深泥池の保護を図るというお立場、両面から各種の陳情等も行われておるというふうに聞き及んでおるところでございます。したがいまして、私ども文化庁といたしましても深い関心を持ってその動きを見守っているところでございます。ただ、京都市あるいは京都府を通じまして聞いておるところによりますと、道路整備計画についての具体案はまだ明らかにされていない段階にあるというふうに聞き及んでございます。したがいまして、どういうような計画かはっきりしてない段階でございますので、この場で文化庁としての仮定の上に立っての考えを申し上げることはお許しを賜りたいと思うわけでございますけれども、いずれにいたしましても、今後仮に整備計画の具体的な案が示されまして、府を通じて御相談等が生じてきましたら、慎重に検討いたしまして適切に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  307. 寺前巖

    ○寺前委員 たった一つしかないところを、出てくるまで待つなんというのは、私、思想がおかしいと思うんやわ。さっきから琵琶湖を見に行きたい、どこどこを見に行きたいとせっかく言うてくれはるのやから。大臣、この前そう言うてはったわ。環境庁としてもこんな貴重なものは、せっかくのこっちゃから知恵を出して、こんなとこを手をつけぬようなん、積極的な打ち出し方を直接やってみはったらどうやろか。それで、学者先生やらその関係者が言ってますのや。ここは一番きつい風致地区にせいや、第一種地区にせいやとか特別保存地区にせいやとか、いろいろ提案をやってはるのやわ。所管は建設省やどこどこやとこうあるか知らぬけれども、総合して環境庁として知恵を出して各省にまで、こういう方向で考えたらどうや、京都市も積極的にそうせいやというような、さっきのサミットの話やないけれども、ひとつ音頭取りに出てもろたらどうです。何か大臣、考えありまへんか。
  308. 北川石松

    北川国務大臣 寺前委員の深泥池の問題について、大変文化を愛し、芸術をとうとぶ、また大自然をとうとぶ意味においての保存ということで御指摘がありまして、小面積でございますので自然公園の指定ができないのはまことに残念でございますが、特別指定の天然記念物ということを今文化庁で申しておる、そういうことですね、文部省は。そういうことでございますので、私は、先ほどの話を聞きますと、初めて聞いたのですが、やはり京都は歴史をとうとぶ町だけれども文化も高いから、よう残してくれたなという思いをいたしておりますので、できれば一遍見たいというような思いがいっぱい込み上げてきます。文部省、また地元、いろいろな皆さんと一遍話し合いながらこれを見守っていきたい、こういう思いをしております。
  309. 寺前巖

    ○寺前委員 時間の都合がありますので、せっかく来てもらったのですけれども、悪うございますけれども、終わらしてもらいます。またの機会にやりたいと思います。  私は、きょうの主題は、吉野熊野国立公園大台ケ原特別保護地区の問題について関心を持っておりますのでお聞きをしたいと思うわけです。  そこで最初に、一九七二年、ですから今から十八年前になるでしょうか、世界遺産条約というのをユネスコの総会で決めているんです。既に百十二カ国が批准をしているんですね。我が国は入っていないんですよ。大臣、御存じですか、この世界遺産条約というのを。
  310. 北川石松

    北川国務大臣 委員が今御指摘になった遺産条約というのを、不敏にしてまだ十分知っておりませんので、政府委員に答えさせます。
  311. 寺前巖

    ○寺前委員 いや、結構。何でもかんでも知っておったら化け物みたいなものやがな。それはあなた、お互い知らぬことはようけありますよ。私は、勉強したらいいと思いますよ。  それで、この遺産条約ではこういうことになるのですね。国内の自然文化の遺産を保護する、ユネスコへの分担金の一%を拠出する。今問題になっているのは、世界の十一カ所の熱帯林が世界の遺産として指定されていますのや。昨年は百万ドルが開発途上国にあるこの世界遺産の保護に充てられたということです。考えてみたら、日本の国は熱帯林を破壊して非難を受けてきているでしょう、随分向こうから木を持ってきて。だから世界的な角度から見ても、日本がこの熱帯林の問題について遺産として残すことに消極的やというのは一体どういうことなんだろうか、こうなるのです。  それからもう一つあるのです。それは何かというと、世界遺産条約で生物圏保護地区というのがあるのです。これは八一年に日本の白山、志賀高原、大峰・大台、屋久島、この四つが指定されていますのや。おまえさんのところの国の指定の問題についても、指定はするけれども条約批准せえへんというのはどういうことなんやと、こうなるわけです。これは会議に出る人が恥ずかしい思いをしてみんな帰ってきますのやで。  大臣、どうです。自然地域と遺伝子資源の保全、核心地区は一切手をつけない、厳格な保護を考えているんだ、こういう世界の遺産条約を積極的に批准をしていくという姿勢で準備に当たる必要があるのじゃないでしょうか。いかがなものでしょう。
  312. 北川石松

    北川国務大臣 おっしゃるとおりであります。積極的に批准に向かわないといかぬと思います。
  313. 寺前巖

    ○寺前委員 その姿勢で、四つのうちの一つである大台ケ原・大峰山の問題について以下聞きたいのです。  大台ケ原は、約二千ヘクタールの隆起準平原が広がって、太平洋型のブナなどの温帯林とトウヒなどの亜寒帯の針葉樹が混在する深い樹海に覆われ、その豊かな原生林はニホンカモシカやツキノワグマなど数え切れないほど多くの野生動物が生息しているわけです。七二年に特別地域千六十九ヘクタールの全額国費買い上げが決定されて、現在までに約八百十四ヘクタールが約二十二億円で買い上げられてきたのです。八四年には、環境庁が土地を所有管理する日本で最初の国立公園にしたわけです。八八年十一月には、保護強化のための特別保護地区に昇格させてきた。特別に金を出して特別な役割を果たしてきた。これは忘れんといてほしいわけです。何で二十二億円の金を出してまで買ったのか。その目的は一体何だったんです。まず原点をはっきり聞かしてほしいと思う。
  314. 山内豊徳

    ○山内政府委員 お話がございました民有地の買い上げ制度は、国立公園で言えば特別保護地区あるいは少なくとも第一種特別保護地域になることのできるところを買い上げるという趣旨でございまして、おっしゃるように大台ケ原はトウヒ林につきまして言えば、日本での分布の南限というようなことをも考慮いたしまして八百ヘクタール余の民有地を買い上げた趣旨でございますから、これはあくまでも、おっしゃるように風景というよりもむしろもっと生物環境の風致の様相を配慮して国費をもって買い上げたところでございます。
  315. 寺前巖

    ○寺前委員 当時の環境庁企画調整局長は城戸さんというのですが、議事録を読んでみますと、こう言っています。開発に対して自然環境や史跡を保護するため、民有地の買い上げを実施することとし云々、こういう説明です。そりゃそうですわ。それはユネスコの遺産条約にまで、後世にわたって責任を負いましょう、そういう指定地域にしてきたんだから、これはあくまでもその姿勢は貫いてもらわなかったら困るわけですよ。  そこで、環境庁に引き続きお聞きしますけれども、この大峰山・大台ケ原の一角に林野庁が持っているところの国有林があるでしょう。その林野庁の国有林については、九〇年度で、原生的な天然林を保存することにより、森林生態系から成る自然環境の維持、動植物の保護、遺伝資源の保存等を目的とする森林生態系保護地域に指定することを検討している、御存じですか。
  316. 山内豊徳

    ○山内政府委員 知っております。国有林の中で保護林と言われる制度が古くからあるのでございますが、これを大きく見直そうということで林野庁の中に検討会が設けられまして、今先生お話しの大杉谷付近を含む十二カ所を長期的な候補にしたいということで、過般たしかこのうちの、大杉谷は入っておりませんが、七カ所については具体的に地元の営林局で生態系保護地域の指定をお決めになったと聞いております。
  317. 寺前巖

    ○寺前委員 だんだん話難しくなりますわ。  それは、世界遺産条約で言うところの厳しい方向に持っていこうという話なんですよ、生態系をぐっと保存していこうという。ところが、環境庁が買うた方はそれに匹敵する扱いをすることになっているんだろうか。私、ちょっと気になる。  というのは、この国立公園を生物圏保護区に指定するというやり方、国立公園ということになってそこからするところの対応策ということになってくると、これは保護と利用と両面がありますのや。これはあなた、ユネスコで言うとるのは、徹底したところの自然生態系として世界の遺産として残さなあかんのやと言うとるのや。そこを少しでも利用するという考え方になってもらうと、ちょっと指定する意味が違うてきますのやわ。これは大事にしないかん話なんですよ。そうなってくると、環境庁においても、この大台ケ原の原生的自然を自然環境保全法の原生自然環境保全地域に指定する、同じ発想の方向に適用を考えてもらう必要があるのじゃないだろうか。私、そう思いますのやわ。これは真剣に、私はそういう立場に立ってほしいと思う。いかがでしょう。
  318. 山内豊徳

    ○山内政府委員 お言葉を返すわけではございませんが、林野庁が考えておられます森林生態系保護地域は、確かに核心部分は厳正な保護を考えておられるのでございますが、やはり林野庁においても利用とかみ合わせた保護地域考えていらっしゃいます。先ほど来先生が御指摘の国が二十二億で民有地から買い上げましたところは、現在特別保護地区でございまして、ここは一切建物あるいは木竹の伐採のできないところでございます。その点では、率直に申し上げますが、林野庁で考えていらっしゃる生態系保護地域にまさに匹敵する仕組みを持っておるわけでございます。  ただ、先生が御指摘なさろうとしている問題は、その中に県有地がございまして、これは実は環境庁でも集団施設地区として認めてきておりますところ、その問題を踏まえて言っていらっしゃると思うのですが、今大台ケ原を原生自然保全地区にという議論をいたしますと、例えば話を飛ばすようで申しわけございませんが、尾瀬を原生保全地区にできるかという問題に似たような問題が起こりまして、やはりちょっと国立公園の使命論からいって、そこまで私ども踏み込めないのではないかというのが率直なところでございます。
  319. 寺前巖

    ○寺前委員 だから、こういう問題についてはちょっとでも緩めたら大変なことになるという要素を持っているから、だから具体的に聞きましょう。  今具体的に何が起こっているかというと、この大台ケ原の一番上のところに、近鉄資本が四七・五%の株を所有している吉野熊野観光開発会社の施設がありますのやわ。この大台荘、さらに山の家のリゾートホテル化なども云々されているんです。それで、ここへ六千ボルトの高圧線を引こう。これはもともとここで自家発電やっているんですわ、百六十キロワット。それやったら、自家発電の機械を整備したらいい話。ところがそうじゃない、六千ボルトの電線を引こう。そのために下の方は十・八メートルのコンクリート電柱三百八十本で引いていく。それから、環境庁が所有しているところは土の中に埋めていく。土の中に埋めていくというけれども、あそこの土地自身は非常にもろいんですよ。現に簡易舗装などをして自動車が通れるようになっているけれども、これ自身がしょっちゅう崩れるんですわ。だから、余りリゾート開発に目を向けさせるようなことをしたらあかんのですよ、これ自身大切にしようと思ったら。だから、そういう意味では自家発電でよろしいやないか。六千ボルトの高圧線を引くというようなことはやる必要ないやないか。そんなまたもろいところに地下ケーブルを通すというようなことをやる必要はないやないか。私は、こういうことをはっきりさせてこそ国際的に指定されるところの問題の処理に対応できると思うんですが、いかがです。
  320. 山内豊徳

    ○山内政府委員 この点は、大台ケ原が、先ほど言いましたように一番高いところで集団施設地区という扱いで、先生がおっしゃいましたように道路で車でも登れる。そこに県が古く国の補助を受けましてビジターセンターをつくっていたりしておりまして、現状では今おっしゃったような自家発電が行われているわけでございますが、やはりこれはいろいろなそれ自身自家発電の騒音とか油の問題もございますので、何とかいわゆる電力会社による送電を行いたいということが懸案になっておりました。ただ、原案では、今おっしゃったふもとの部分だけじゃなくて全体を電柱でということでございましたので、この点私も相談を受けまして、一切それは考えられない、やはり特別保護地区については地下埋設をいかにお金がかかってもぜひやっていただきたいということで、むしろこちらから地下埋設をいわば強制したわけでございます。同時に、工事の点の心配はおっしゃるとおりでございますが、既に道路わきに地下埋設を行うということであれば、これは現地の管理官、何回も現地を調査させたのでございますが、植生や地形等への影響考えられないという判断をしておりますので、私どもこの申請は受埋して差し支えないと考えているところでございます。
  321. 寺前巖

    ○寺前委員 あんなもろいところの山でこんなことをしていたら崩れていくのはもう目に見えているし、しかも、何で六千ボルトの特別に電気を引かんならぬのです。そんな高圧線をそこに引き込むことは、開発が意図されているからこそそれが必要になっているんでしょう。  ちょっと大臣、新しくなられたのですから、前の環境庁長官はあそこの出身やさかい何か関係があったかどうか、それは私は知りまへんで。あなたは直接利害関係があるわけやないんだから、厳正にちゃんともう一回見直してくれ。私は前の大臣のときやったら一言、ちょっとおまえ、これはどうやと言うて詰めんならぬところやと思っておったんだけれども、もう一回厳正に、大臣よく耳を傾けて見直してください。もうこちらの環境庁の役人さんのお話は聞きましたから、おたくのお気持ちをちょっと聞かしてください。
  322. 北川石松

    北川国務大臣 委員の、送電計画、六千ボルトというのは、不敏にして今初めて聞きました。あそこの大台ケ原の原生林は特別保護地区に指定されておるところでございますから、送電をいたしましても、それは風致を壊してはいかぬということで、地下ということで計画をしておるのだと私は思います。ただし、新しいリゾートということは私は好ましくない、こういう思いをしております。
  323. 寺前巖

    ○寺前委員 だから六千ボルトは要らへん、こう私は言うておるんだ。六千ボルトを引くさかいに、これは何かあるな、こうなるやん。だから、何かあるなというところを、これでええかいなどうかというのは、新しく大臣になられたんだからそこのところを調べてもらう必要がある。それが一つ。もう私時間が来て、お約束を破るのもようないからやめておきますけれども、それをもう一回、何かあるなということをちょっと研究してください、これはおかしいなと。  ついでに言うておくけど、おかしい話が、二点言うておきますわ。一つは、さっきから質問出ておったけれども環境庁の出したゴルフ場の水質基準、あれ出したら二十一種類の農薬の指針値を出したわけでしょう。そうしたら、もっともっとようけ使われているんだからおかしいやないか、二十一種類とは。知事会からも意見が出てきておりますがな。埼玉県では十分の一の基準値になってばちっと出てきよるがな。そうすると、環境庁指導性なしや。こんななめられた話はない。ほんな指導性のないような政府やったら要らぬがな。そうやろ。大臣として情けないと思わぬかい。これが第二番目。ついでに聞いておきます。何でも初めてなんだから思い切っておやりなさいな。  それから三つ目。このごろ、国立公園内のスキー場、事業認可せいというのが大分出てきておる。これまた問題がずっと広まってきている。その中の一つに、蔵王月山地域の北蔵王スキー場開発計画環境庁が前にどうやろうかなということで基本方針について八五年八月に指示しているんだな。そうしたら、そのことについて当該の山形の市長が、学者先生たち調査をしてもらって、そして八七年にはスキー場開発計画は認められないという返事を出しておるんや。もうそういう話ができ上がっている市長さんからの返事が出ているものを、六省庁会議やというてまだ検討しているのや。地元の市長さんがあかんということを、ちゃんと関係方面に相談してまで決めたものを、まだまだ何とかして押し込もうなんという姿勢はおかしいやないか。こんなものは僕は正しいあり方やないと思うが、環境庁、もっと胸を張ってやるべきだ。  この三点についての御決意を承りたいと思います。
  324. 北川石松

    北川国務大臣 委員の大台ケ原の送電計画でございますが、この点につきましては、そこで自家発電をしておりますと油とか音とかいろいろ好ましくない。そういうことにおいての送電をするならば、これはまた近代的でいいと思うのでありますが、新しいリゾートの開発ということは賛成したくないという思いを持っております。  なお、ゴルフ場の排水基準は、所変われば品変わるというので、各都道府県の中でいろいろの形を効率的に生かしていただくという願いも込めていたした問題であって、甘い点も御指摘を受ければあったかもしれないと思っております。  なお、蔵王のスキー場の国定公園、またほかの北海道にいたしましても、それは環境庁と打ち合わせをした事前の形の以外のことをやることには環境庁は同意いたしませんから。
  325. 寺前巖

    ○寺前委員 時間が来ましたので終わります。
  326. 戸塚進也

    戸塚委員長 次回は、来る二十二日金曜日午前十一時三十分理事会、午前十一時四十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十四分散会