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北川国務大臣 ただいま議題となりました
水質汚濁防止法等の一部を
改正する
法律案について、その提案の理由及び
内容の概要を御説明申し上げます。
我が国の水質汚濁の現状を見ますと、水銀、カドミウム等の人の健康に関する項目に係る
環境基準はほぼ全水域で達成しているものの、有機汚濁等、
生活環境項目に係る
環境基準については、代表的な指標であるBODまたはCODで見ると、東京湾等の閉鎖性海域、都市内中小河川等を中心に近年ほぼ横ばいであり、達成がおくれております。
この汚濁の見過ごすことのできない要因の
一つは、日常
生活に伴い台所等から出る
生活排水にあります。
しかしながら、これまでの水質
保全行政においては、工場または
事業場からの
産業系排水に対する取り組みに比べ、
生活排水対策の総合的推進という観点からは、対策推進の責任の所在等を含め、
制度として整備されておらず、必ずしも十分な取り組みがなされてきたとは言えない
状況にあります。このため、
生活排水対策の総合的推進を図るための
制度の創設が急務となっております。
また、現在、東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海の周辺
地域においては、排水基準による
規制に加え、汚濁負荷量の総量
規制を実施しているところでありますが、これらの水域における水質の改善
状況は依然として十分ではなく、より一層積極的な水質改善対策の推進が必要でございます。
この
法律案は、こうした
状況にかんがみ、
地域の住民の
生活に最も近く、また、
生活排水を処理する各種施設の整備の実施主体となる市町村が中心となって
生活排水対策の推進を図り、身近な河川などの水質汚濁の
防止を進めていくための
制度を創設するとともに、あわせて、東京湾などの総量
規制地域においてのみ
規制対象となる施設を追加するための
制度を創設するものでございます。
次に、この
法律案の主要事項について、その概略を御説明申し上げます。
第一に、目的規定の
改正についてであります。本
法律案の成立に伴い、本法の目的として
生活排水対策の実施を推進することによって、公共用水城の水質の汚濁の
防止を図ることを加えることといたしております。
第二に、
行政及び
国民の責務の明確化についてであります。
生活排水の発生源の中心は一般家庭であり、人の
生活に伴い必ず生じるものでございます。したがって、
生活排水対策は住民の自覚と協力のもとに
行政と住民がともに協力して進められるべき
行政分野でございます。このため、炊事、洗濯、入浴等、人の
生活に伴い排出される水を「
生活排水」とし、その排出による公共用水域の水質の汚濁の
防止を図るための対策の実施について、市町村が処理施設の整備及び
生活排水対策に関する啓発等を行うことを中心としつつ、国及び
地方公共団体の責務を明らかにすることとするとともに、
国民の責務として、公共用水域の水質の
保全のため、調理くずの処理等を適正に行うように心がけることなどを定めることといたしております。
第三に、
生活排水対策重点
地域の指定についてであります。都道府県知事は、水質
環境基準が確保されていない公共用水域等において
生活排水対策の実施を推進することが特に必要であると認めるときは、
関係市町村長の意見を聞いた上で、当該公共用水域の水質の汚濁に
関係がある
地域を
生活排水対策重点
地域として指定することといたしております。
第四に、
生活排水対策推進計画の策定についてであります。
生活排水対策重点
地域をその区域内に含む市町村は、
生活排水対策推進計画を策定することとし、
生活排水対策推進計画においては、
生活排水対策の実施の推進に関する基本的方針、
生活排水処理施設の整備に関する事項、
生活排水対策に係る啓発に関する事項等を定めることといたしております。
第五に、
生活排水対策推進計画の推進についてであります。
生活排水対策推進計画を策定した市町村は、当該計画に定められた
生活排水対策の実施の推進に関する基本的方針に従い、
生活排水対策の実施に必要な措置を講ずることといたしております。また、当該市町村長は、計画推進のために必要と認めるときは、
生活排水を排出する者に対して指導、助言及び勧告をすることができることといたしております。
第六に、総量
規制地域等における
規制対象施設の拡大についてであります。現在、特定施設として全国一律に
規制対象とされている施設に加えて、水質汚濁
防止法及び瀬戸内海
環境保全特別措置法に基づく東京湾周辺
地域等の総量
規制地域においてのみ
規制対象となる施設を追加し、排水
規制等を行うための
制度を創設することといたしております。
この
法律案の施行時期は、公布の日から起算して三月を経過した日としております。
以上が、この
法律案の提案理由及びその
内容の概要であります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。