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1990-05-25 第118回国会 衆議院 環境委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年五月二十五日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 戸塚 進也君    理事 小杉  隆君 理事 佐藤謙一郎君    理事 鈴木 恒夫君 理事 持永 和見君    理事 斉藤 一雄君 理事 竹内  猛君    理事 斉藤  節君       青木 正久君    田辺 広雄君       中山 利生君    野呂田芳成君       簗瀬  進君    山本  拓君      岩垂寿喜男君    宇都宮真由美君       時崎 雄司君    長谷百合子君       遠藤 和良君    寺前  巖君       中井  洽君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 北川 石松君  出席政府委員         環境政務次官  木宮 和彦君         環境庁長官官房         長       渡辺  修君         環境庁企画調整         局長      安原  正君         環境庁自然保護         局長      山内 豊徳君         環境庁大気保全         局長      古市 圭治君         環境庁水質保全         局長      安橋 隆雄君  委員外出席者         国土庁土地局土         地利用調整課長 大日向寛畝君         国土庁地方振興         局総務課長   岩崎 忠夫君         外務省経済局開         発途上地域課長 石川  薫君         外務省国際連合         局社会協力課長 鈴木 一泉君         文化庁文化財保         護部伝統文化課         長       小林 孝男君         林野庁指導部計         画課長     田中 正則君         通商産業省生活         産業局繊維製品         課長      広沢 孝夫君         建設省道路局国         道第一課長   藤田 忠夫君         建設省道路局道         路経済調査室長 井上 啓一君         建設省道路局道         路環境対策室長 井上 靖武君         環境委員会調査         室長      高橋 昭伍君     ───────────── 委員の異動 五月十七日  辞任         補欠選任   井出 正一君     工藤  巌君   田辺 広雄君     田澤 吉郎君   山本  拓君     池田 行彦君   寺前  巖君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   池田 行彦君     山本  拓君   工藤  巌君     井出 正一君   田澤 吉郎君     田辺 広雄君   不破 哲三君     寺前  巖君 同月二十四日  辞任         補欠選任  宇都宮真由美君     須永  徹君   寺前  巖君     金子 満広君 同日  辞任         補欠選任  須永  徹君     宇都宮真由美君   金子 満広君     寺前  巖君 同月二十五日  辞任         補欠選任   塚本 三郎君     中井  洽君 同日  辞任         補欠選任   中井  洽君     塚本 三郎君     ───────────── 五月八日  スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律案内閣提出第六三号) 同月二十三日  水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案福島譲二君外四名提出衆法第八号) 同月七日  スパイクタイヤ使用禁止措置制定について身体障害者運転車両除外に関する請願鴻池祥肇紹介)(第四五八号)  同(住博司紹介)(第四五九号)  同(野坂浩賢紹介)(第四六〇号)  同(水田稔紹介)(第六二九号) 同月九日  スパイクタイヤ使用禁止措置制定について身体障害者運転車両除外に関する請願宇野宗佑紹介)(第七〇一号)  同(小渕恵三紹介)(第七〇二号)  同(木村守男紹介)(第七〇三号)  同(丹羽雄哉紹介)(第七〇四号)  同(野中広務紹介)(第七〇五号)  同(船田元紹介)(第七〇六号)  同(牧野隆守紹介)(第七〇七号)  同(渡辺省一紹介)(第七〇八号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第七四六号)  同(柳田稔紹介)(第七四七号)  同(平田辰一郎紹介)(第八一四号)  同(伏屋修治紹介)(第八一五号) 同月十六日  スパイクタイヤ使用禁止措置制定について身体障害者運転車両除外に関する請願前田武志紹介)(第九〇六号)  同(山口敏夫紹介)(第九〇七号)  同(米沢隆紹介)(第九〇八号)  同(網岡雄紹介)(第一〇〇二号)  同(岩田順介紹介)(第一〇〇三号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第一〇〇四号)  同(野呂田芳成君紹介)(第一〇〇五号)  同(宮里松正紹介)(第一〇〇六号) 同月二十一日  スパイクタイヤ使用禁止措置制定について身体障害者運転車両除外に関する請願田邉國男紹介)(第一一六〇号)  同(中山正暉紹介)(第一一六一号)  同(増子輝彦紹介)(第一一六二号)  同(森喜朗紹介)(第一一六三号) 同月二十三日  スパイクタイヤ使用禁止措置制定について身体障害者運転車両除外に関する請願原田昇左右紹介)(第一二三七号) は本委員会に付託された。     ───────────── 五月七日  地球環境保全に関する陳情書外一件(第一〇一号)  酸性雨原因究明環境保全に関する陳情書(第一〇二号)  ゴルフ場農薬等に係る環境保全に関する陳情書外二件(第一〇三号)  化学物質にかかる環境汚染対策強化等に関する陳情書(第一〇四号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  自然環境保全法等の一部を改正する法律案内閣提出第三七号)  水質汚濁防止法等の一部を改正する法律案内閣提出第四一号)      ────◇─────
  2. 戸塚進也

    戸塚委員長 これより会議を開きます。  内閣提出自然環境保全法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。簗瀬進君。
  3. 簗瀬進

    簗瀬委員 本日のトップバッターとして、自由民主党の簗瀬進でございます。テーマ自然環境保全法等の一部改正ということで、それに関連する質問ということでありますけれども、まず北川環境庁長官に大いに語っていただきたいということで、長官環境哲学等について冒頭にお尋ねをしたいと考えております。  科学技術進展により、産業経済大変発展をいたしてまいりました。これは、十八世紀のいわゆるワットの蒸気機関の発明とそれに伴う産業革命というようなものが我々の社会生活を大変向上させてきたわけであります。そういう意味で十八世紀以来のいろいろな社会進展経済進展というようなものがあるわけでありますけれども、一方において最近、そのような産業革命以来のいろいろな経済発展を支配をしてきた基本的な理念といいますか、哲学といいますか、そういうようなものについての大変な反省というものが叫ばれるようになってきたのではないかなと思うわけであります。というのは、例えば成長はすべていいんだとか、経済成長率が高い方が非常にプラスなんだ、そういうようなことを無前提に考えてしまって果たしていいものだろうか、こういうふうな反省があるわけであります。そして、それと同時に経済発展が、今まで地球の閉じられた循環系の中で、例えば水の一生をたどっても最終的にはまた水に戻っていく、こういう循環がうまいぐあいにできていたわけでありますけれども産業発展に伴ってこの循環系ではどうしても消化できないような物質を生み出してしまった。例えばPCBにしてもプラスチックなどにしても自然に分解するものではない。自然に帰れというふうなことのできない物質を生み出してきてしまったわけであります。そういう意味では、産業発展というようなものは我々の社会経済、文化的な生活の進歩のためには絶対必要なことではありますけれども、それと同時に、それが我々の住んでいるこのかけがえのない地球に大変大きな負担を強いてきている、こういうふうな状況があるわけであります。そういう意味で、最近になって環境行政が非常に重要な課題になってきているというようなことの一つの歴史的な意味がここにあるのではないか。環境行政を積極的に展開をしていく必要性というようなものは、言うならば、十八世紀以来の産業革命を推進してきた我々の哲学というようなものについて一つ大きな反省を迫っている部分があるのではないかということが考えられるわけであります。  そこで環境庁長官の、環境行政をこれからどのように進めていくのか、そういう点についての理念あるいは哲学存分に語っていただければと思うわけであります。
  4. 北川石松

    北川国務大臣 ただいま簗瀬委員環境に対する御理解とまた環境哲学ということで、我々人類が十八世紀より、どん欲というか、飽くなき経済発展の中に人類の幸福を求めながら環境を破壊してきたことは事実であると言っていいと思うのでございます。そういう中で地球環境を憂えての委員の御質問でございました。私に存分に語れと言われると、大変な自分の重責を担っておる今日、今までは発展であり、また相対する民族の相克の中にあったのでありますが、だんだんこれが融和されてきた、しかし、その融和されてきた以上に地球というものは病んできているのではないか、そうすると、世界を挙げてこの地球環境というものをよくしなければいけない、こんな思いを痛感いたしておる次第でございます。  先ほど御指摘のありました水一つをとりましても、昔は、水三尺流れれば清し、このように言われて、水そのものの素質からいって三尺流れれば還元力によってきれいになった。ところが、このごろは水の中にメタンガスが発生するほど汚濁されてしまっておる、そういう状態でございますので、生きとし生ける万物の大自然、地球がその還元力を失ってしまったならば、人類のみならずすべてが滅亡するときが来てしまうのではないか、それを来させてはならない、私は、こんな思いをいたしますと環境のこれからの取り組んでいく重要性を痛感いたすものでございまして、今こそ土の還元力、水の還元力、そして空気の還元力、大自然が持つところの還元力というものをいかに保ちながら地球保全していかなければいけないか、私はこのことが大事だと思っております。  と言うて、今日まで伸びてまいりました人間のわがままと経済というものが、ここでこれを圧縮してしまってはまた幸せもないのではないかと思いますと、やはりこれから経済を伸ばしながら環境もよくしていく、この地球保全、持続に対する科学的研究も、人間英知そのもの地球環境をよくするために、今までは経済発展に尽くしてきたのですが、このためにやっていかなければいけない、こんな思いをいたしておる次第でございます。そんな思いの中で、日本経済大国になりましたからと言ってそれに甘んじて、その上にあぐらをかいてしまってはならない、今こそ「世界に貢献する日本」というものを環境を通じてなさなければならぬ、こんな思いをいたしております。  以上でございます。
  5. 簗瀬進

    簗瀬委員 今の大臣の御発言の中にもありましたように、言うならば環境行政というのは経済政策環境政策整合性、これなどのように図ろうとしていくのか、これが大変難しいテーマであると私は思うわけであります。  最近、「エントロピー法則」という本が出ておりまして、これなどを読みますとやはり非常に文明史的な発想の転換というようなものをこれからなしていかないと、本当の意味で二十一世紀地球というようなものがどんなぐあいになるか大変心配だというふうなことも考えるわけであります。例えばその「エントロピー法則」の中で指摘されていることは、人類の利用可能なエネルギーの総量は有限である、エネルギーをもう一回循環をしてもとに戻して使うというふうなことはできない、一たん形を変えたエネルギーにしてしまうと、後はなくなってしまうんだ、こういうようなものを基本的にきちんと認識をして考えていかなければならないんじゃないか。政治家としても大変大先輩の東洋の大政治家、マハトマ・ガンジーという方がおります。ガンジーがこんなことを言っているんです。文明本質というのは欲望の拡大にあるのではないんだ、文明本質というのは欲望を意図的にかつみずから進んで捨て去ることにある。極めて東洋的な、仏教的な哲学に基づくような考え方がここに述べられているわけでありますけれども、まさにこれは二十一世紀経済政策と表裏の関係にある環境政策をどのようにやっていくのかというふうなことの大変重要な示唆を私たちに与えてくれているのではないか、このように考えられるわけであります。  そこで、経済政策、これは環境庁の成立の当初から、いろいろと他省庁との絡み合いをどのように整えていくのかというのが大変難しい問題として存在をしているわけでありますけれども歴代環境庁長官、それに積極果敢に挑戦をしていった名長官が大変多かったわけであります。そういう意味で、環境保全責任官庁としての北川環境庁長官の基本的な考え方、この点をお伺いをさせていただきたいと思います。
  6. 北川石松

    北川国務大臣 委員のただいまの経済政策環境政策、その整合性長官としてこれからどのようにやっていくのかという御指摘であろうと思うのでございます。環境経済は対立するものではない、対立してはいけない、持続可能な開発をなしながら期待に沿う環境政策をやっていかなければならない、こういうことを思いますときに、国、地方国民、全世界方たち理解をしていただいて、自覚をしていただいて、先ほどおっしゃいましたように限られた地球の資源、それはもう無制限じゃない、その力は必ず有限だ、このことを考えますときに、この地球をどのように二十一世紀まで残していくかということが大切じゃないかと私は思っております。そういう点についても環境というものを皆さんとともに、国民世界各国みんなが、よき環境政策はよき経済政策となるような方針でやっていかなくてはいけない、私はこんな思いをいたしておる次第でございます。     〔委員長退席持永委員長代理着席
  7. 簗瀬進

    簗瀬委員 続きまして、今回の法改正関係についてお尋ねいたしたいと思います。  日本自然保護法体系を全体的に見てみますと、大きな法律として三本あるわけであります。自然環境保全法とか自然公園法、あるいは鳥獣保護法等があるわけであります。これらの自然保護法体系の中で、どのような環境保全のための手法がとられているのかということを総括をいたしてみますと、結局地域指定をする、言うならばゾーニングをする、そういったゾーニングをしながらその指定された地域の中でのいろいろな行為規制をしていく、こういうふうな一般的な政策手法をとっているわけであります。しかし、法律の目的というのは、その法律の対象である国民の間に自然に対する尊重の念といいますか、思想的なものまで影響を与えるような内容を持っていなければならないと私は考えているわけであります。したがって、ゾーニング設定の仕方が余りにも細かい、あるいは設定されたゾーニングの中での行為規制の仕方が余りにも区々にわたる、このようになってしまいますと、かえって国民自然保護に対する理解というものを妨げてしまうのではないか、逆の結果になるのではないか、このような考えを持っているわけであります。  例えば自然環境保全法の中でも、原生自然環境保全地域自然環境保全地域があり、自然環境保全地域の中も特別地区野生動植物保護地区海中特別地区普通地区と四つに分かれているわけです。それからそのほかに都道府県自然環境保全地域と、自然環境保全法の中でも三つ、そして小さいのまで入れると全部で六つのゾーニングがなされている。また自然公園法の中でも、例えば特別地域というものがありまして、正確に言いますと一種から三種まで、それから特別保護地区海中公園地区普通地域集団施設地区、このように、ゾーニングは結構なんですが、大変日本のお役所の特異なところ、あるいは自縄自縛といいますか、そういう意味で細か過ぎてかえってわからなくなってしまう、こういう問題が出てくるのではないかと思います。そしてこれは、先ほど長官にお尋ねした環境行政というものがなぜこのような細かいゾーニングをせざるを得なかったのかとという歴史的な経緯をたずねてみますと、各省庁とのいろいろな調整の中でこういうふうにゾーニングがばらばらになってきたという歴史的な経緯もあるわけであります。  というふうに考えてみますと、これから新しい環境行政で、特に日本が大変得意な分野として先端技術世界にアピールをして世界のために貢献をしようといったら、この環境問題というのは最適なテーマなわけであります。このような新しい環境元年とも言うべき年に当たりまして、ゾーニング設定の仕方というものを、もう一回きちんと国民にわかりやすいように統一的なものとしてやった方がいいのではないか、このような考え方が出てくるわけであります。そういう意味で、自然保護制度をもっとシンプルなものにすべきではないか。今回の一部改正法の審議の前提として、それぞれの法律仕組みや役割について御説明をいただいた上で、またアメリカなど諸外国の自然保護法制についても御研究された上で、さらには統一的なゾーニングというようなものをもっとシンプルな形でやっていくべきではないか、このように御意見を述べさせていただきたいと思うのです。
  8. 山内豊徳

    山内政府委員 先生指摘のように、特に今回の改正はいろんな行為規制する条項を横断的に並べた改正もございまして、まさに御指摘のように現行の我が国の自然公園法自然環境保全法なりの体制、ゾーニングが網羅されたような法改正になっているわけでございます。そのことは、先生指摘のように国民にとってわかりやすい行政の表示の仕方であるかという点につきましては、率直に申し上げまして、私どもとしてもこれから少し国民に対するわかりやすさという点では考えていかなければいけない点が多々あると思っております。  歴史的経緯については、先生お触れになった点、そのとおりだと思うのでございますが、単に行政同士の各省庁との調整というよりも、やはり限られた国土水産業があり林業があり農業がありあるいは観光事業があるということで、一つは、いろいろな事業産業展開との関係ゾーニングをあらかじめ決めておかないと混乱する、例に挙げられました自然公園法特別地域の一種、二種、三種といった分け方は、実は林業との関係で決めざるを得なかったという経緯があるわけでございます。ただ、そのことは別に行政庁同士のやりとりということではなくて、大きな時代のあり方として、産業との調整も大事だけれども、何か大きな自然に対するつかみ方が必要ではないかという点は、私も率直に申し上げまして同じ感じを持っております。  そこで一つは、アメリカの例なども先生御自身もある程度御存じと伺っておりますが、アメリカの場合は非常に国土が広いこともあることと、やはり一番基本が違っておりますのは、アメリカ国立公園というのは連邦の、自分が所有している土地である。ですから、余りあらかじめゾーニングを決めなくても、連邦国立公園当局自分で絵をかいて建物を建て、あるいは建物を建てさせないということができるわけでございますが、そこが日本の、実は民有地もあり、国有林もあれば県有林もあるという国立公園との違いかと思います。それからもう一つは、この問題に対する取り組みとして私ども内部で議論しておりますのは、これは欧米、特にイギリスなどにあるわけでございますが、やはり法律上の規制じゃないかもしれないけれども、山野を歩く国民倫理行動といいますか、こういうものを必ずしもお役所だけではなくてつくり上げていくということ、それによって草というものはみだりに折ってはいけないのだ、木というものはみだりに傷つけてはいけないのだという基礎的な国民の常識ができてくれば、必ずしもゾーニングで一々立て札を立てなくても済む場合が出てくるかと思います。  いずれにしましても、私先ほど申しましたように、産業とか、公園の中に建てられますホテルとか道路との関係でのゾーニングの面だけではなくて、今回の法律改正では、個人が立ち入って利用した場合に、動植物を傷つけた場合どうなるかという保護のためのゾーニングも入り組んでおるわけでございますので、そこはそれぞれの事業者にとってもわかりやすく、また一般利用者にとってもわかりやすい制度そのものを考えなければいかぬ点があると同時に、そういった既存の制度の啓発、PRの仕方についても十分意を用いていきたいと考えております。
  9. 簗瀬進

    簗瀬委員 次の質問といたしまして、自然をそのままとっておくというふうなことも大変重要であるわけでありますけれども、それと同時に、自然の重要性国民理解してもらうために自然と国民とのアクセスをどのように考えていくのか、このようなものが非常に重要になってくるのではないかなと思うわけであります。それと同時に、自然を楽しみ自然との触れ合いを求める、これは特に都会生活の中で常にストレスがたまる生活を強要されている国民にとって当然必要になってくるわけでありますけれども、そういう意味で、例えばスノーモービルとか四駆が自然の中に入っていきたがるというのは、言うならば今の現代社会では必然的にそこに追い込められてくるのではないかな、そういう部分もあるわけであります。  でありますから、次に質問をいたしますけれども、今回車馬制限というふうなことでいろいろな制限がなされるようになりましたが、それはやはり、いろいろな新しい交通手段が生まれれば今後とも自然と接触をしたいという国民の気持ちが高まるのは目に見えているわけであります。でありますから、単に規制をするという発想だけではちょっと問題だな、むしろ規制をする面もあると同時に、もっと合理的な形で新しい交通手段を持って自然とのアクセスをつけるような、そういう新しい仕組みというようなものも必要なのではないかな、そういうふうなことも考えられるわけであります。単に規制をするだけが能ではないと思うのですね。  でありますから、自然を楽しみ自然との触れ合いを求めるといった国民のニーズ、これを新しい現代的な状況に応じてどのように的確に対応していくのか、この点の行政側の対応をちょっとお尋ねしたいと思います。
  10. 山内豊徳

    山内政府委員 お答えいたします。  確かに今回、具体的な改正内容としまして、スノーモービルとか四輪駆動車に例示されるような車馬の乗り入れの制限区域をむしろ拡充といいますか、広げる面だけが法改正になっているわけでございますが、これの検討の過程では、私ども内部あるいは外からもむしろ積極的に、じゃスノーモービルはここならば走らせてもいいというようなところを国立公園の中に設けられないかというお話もございました。現時点では必ずしもそこまで積極的な具体的な案を考えるに至っておりませんが、大きな方向としましては、例えばちょっと種類は違いますが、最近は車ごとキャンプを楽しむということもございますので、従来国立公園の中では車、キャンピングカー立ち入り地域というものは必ずしも前提になっていなかったのでございますが、今後は単なる野営場建設に対する整備だけではなくて、そういうものを考えていかなければいかぬと考えております。これは私どもの観念的な用語でいいますれば適地適利用ではないかと思いまして、一昨年以来一年八カ月ばかり実は私ども自然環境保全審議会の中で国立公園の利用のあり方について議論いただきました過程でも、その利用の面だけ余り走っては困るという議論が審議会の中でも強かったのでございますが、あくまでそれは適利用、しかもそれは適地において行われる適切な利用であるならば大いに進めてもいいのではないかということでございますので、私どももその具体化に向かっては二、三少し考えていることもございますので、今後御指摘のことも十分念頭に置きながら対応してまいりたいと思っております。
  11. 簗瀬進

    簗瀬委員 時間が余りなくなってまいりましたのであれですけれども、アウトドアライフをこれから国民がどんどん望みたがるというのはこれは自然の趨勢だと思うのですね。でありますから、その点を単に規制をするという発想だけではなくて、もっと新しい、例えばキャンピングカーなんかがどんどん出てくるわけでありますから、そういう点についての対応も今後御検討いただきたい、このように要請をいたしたいと思います。  もう一つ、今回の車馬の使用等の制限、現実に大変乱暴な四駆あるいはスノーモービル、こういうふうなものによりまして自然環境が確実に損傷されている部分があるわけでありますけれども、具体的にどの地域でどのような問題が生じているのか、この辺ちょっとお尋ねをしたいと思います。
  12. 山内豊徳

    山内政府委員 実は、今回法改正のきっかけにもなりました二、三の事例としては、具体的なものがあるわけでございます。まず一般的な点を申し上げますと、今回四輪駆動、スノーモービル規制の基本的な考え方は、その場所における貴重な植物への踏み荒らし、それから実は動物に対する騒音等による影響も考えなければいかぬというのが基本論でございます。具体的に地名を挙げることもいかがかと思いますが、やはり北海道でいえば知床、阿寒のようなところ、それから南の方でいいますと、たしか北九州の国定公園などでは四輪駆動車が樹林の中の下の方の植生をなぎ倒してしまったというような例がございます。  そんなことで、今挙げましたものをすべて今回指定するかどうかはまた別問題といたしましても、法改正前提となりました事例としてはそのようなものがございましたわけでございます。
  13. 簗瀬進

    簗瀬委員 そこで、これから新たに車馬の使用等が制限される場所、地域、どんなところを御想定になっているのか、あるいはこの法改正に従っていろいろな規制がされるわけでありますけれども、これを実効あらしめるためにどのような取り組みをなそうとしているのか、この点についてお尋ねをいたします。
  14. 山内豊徳

    山内政府委員 車馬の乗り入れにつきましては、先生が先ほど冒頭にお挙げになりましたいろいろなゾーニングの中で、いわゆる国立公園でいえば特別保護地区あるいは原生自然環境保全地域、こういうところではもう既に一切禁止に近いわけでございまして、これは現在でも既に禁止されている、これは国土の面積の約一%弱になると思います。今回検討しておりますのは、そうではなくて、従来は必ずしも全面的な規制ではなかったけれども国立公園特別地域の中でどうもやはりこういうものを指定して規制しないと問題が起こりそうだというところを取り上げることになっているわけでございます。先ほど言いました二、三の例は、そのすべてを指定するわけではございませんが、やはり今後ともそういう事例が起こりかねない、つまりスノーモービルとか四輪駆動の乗り入れが起こりかねないという蓋然性の高いところは逐一指定を考えなければいかぬと思います。  ただ、実はその問題が、後段に先生がおっしゃいました、どう実効ある手段でそれを規制していくかということに絡みますから、そういう意味からも、まずこれは地元の市町村あるいは都道府県といった公共団体の協力がなければできないわけでございますので、まず指定に当たっては地元の自治体あるいは関係方面との調整を図っていくということでございます。そんなことで、今日現在では、第一号をどこを指定するとか、幾つくらい一年間に指定するというところまでは詰め切っておりませんが、そう全国網羅的にということではなくて、やはり問題の起こったところを的確にとらえながらやっていかなければいけないと思っております。  なお、規制の徹底につきましては、市町村の協力のみならず、標識の設置といったことでは、これは国立公園であれば国が管理しておる責任上具体的な標識の設置についても対策をとらなければいけないと思いますから、管理官による巡視なども含めまして具体的な対策を考えていきたいと思っております。
  15. 簗瀬進

    簗瀬委員 ありがとうございました。  一応改正法関係についてはその程度にいたしまして、もう一つ、最近私大変関心を持っている、これはマスコミ等でも大変関心がある地球温暖化の問題について若干聞かせていただければと思います。  先ほど言いましたように、産業革命以来の経済発展が化石燃料を消費することによって邁進してきた、このような歴史的な事実は皆さん御承知だろうと思うわけでありますけれども、この結果、結局地球温暖化というような状況になってしまっている、まさに大変皮肉な結果になっているわけでありますけれども、この地球温暖化の問題をめぐりまして世界は二つの見解に分かれているというふうに聞いております。例えば、オランダ、フランス等は二酸化炭素排出量を即刻凍結せよ、そして低減させるべきだなどと大変強硬なことを言うわけでありますけれども、それと同時に、アメリカ、ソ連等は二酸化炭素の排出規制には大変慎重だ、このように聞いております。  いずれにしても、経済成長あるいは近代文明そのものを考え直していくような政策的決断も必要とされるんじゃないかな、このように言っても過言ではないと認識しているわけでありますが、現在、この温暖化問題について科学的知見はどの程度まで明らかになっているのかということであります。子供のころからいろいろ言われていることを総合しますと、もうこの辺は海の底になっていなければならないはずだったんですが、結構水面も上がっていないというふうなことでありますので、科学的知見、通説的なところは一体どんなところなんだろう、また、これに関する国際的な対応の方向はどこまで煮詰まってきているのか、今後我が国はどのような対処方針を考えてきているのか、この辺について、時間がありませんので簡単に御説明いただければと思います。
  16. 古市圭治

    ○古市政府委員 温室効果ガスが二酸化炭素を中心として確実にふえてきている、その結果、来世紀にかけまして地球の平均気温が数度上昇する、また、これは北半球の高緯度地方で著明にあらわれるのではないか、そのために人間社会経済に広範な悪影響が出てくる、これはおおむね共通の認識となっております。それが、何度、いつごろ、海面が何センチ、何十センチ、一メーターに及ぶかということにつきましては現在IPCCの方で各般の作業が行われておりまして、これらがことしの秋に中間報告として出される、こういうような状況になっております。私どもは、昨年十一月のノルトベイク宣言に示されましたように、この国際的な温暖化対策につきまして枠組み条約が早期に締結されるように日本としても引き続き努力をしていく、こういう立場でおります。
  17. 簗瀬進

    簗瀬委員 もう一つ、最近環境庁は、温暖化対策をしっかりやっても経済成長とは相矛盾しないんだ、そういうふうな方法もあるんだよというふうな御見解を示したそうでありますけれども、その考え方は一体どんなものなのか、御説明いただきます。
  18. 安原正

    ○安原政府委員 ただいま御質問の点につきましては、先般のホワイトハウス会合で北川長官の方から見解を明らかにされたわけでございます。その要点を御紹介いたしますと、我が国におきましては御案内のとおり、かつて非常に厳しい公害を経験したわけでございますが、官民挙げての改善努力の結果、大気汚染対策等の公害対策が著しく進展したわけでございます。しかし、その間におきましても経済成長およそ年率四%を持続してきたという事実があるわけでございます。地球温暖化問題というのは、これまでの問題以上に広範な問題、非常に難しい問題をはらんでいるわけでございますが、我が国の経験に徴しまして、地球環境保全に向けての対応に当たりまして適切な対策を講じていくならば、今後におきましても経済成長を損なうことなく環境政策を推進していくことは可能であるという見解を申されたわけでございます。  その場合の適切な対策というのは何であるかということでございますが、これは具体的には政府部内でまさに今検討を進めておるわけでございますが、柱を申し上げますと、省資源、省エネルギーの徹底でございます。広く国民の御支持を得ましてもう一回徹底してそういう対策を講じていくというのが一つの柱でございます。それからもう一つは、CO2の排出の少ない、あるいはCO2の排出の全然ないようなエネルギー源にできるだけ転換を進めていくというのが第二の柱でございます。それからさらに、エネルギー分野が中心になりますが、長期的な視野に立って技術開発を進めていく、その技術をできるだけ早期に活用できるようにしていく、そしてまた必要な場合には諸外国にもできるだけ移転していくという方策でございます。それから第四に、やはりCO2の排出にも関係いたします植林、森林の保全、創出をできるだけ進めていく、そういういわば四つの柱でございます。この具体的な中身につきましては現在検討を進めているという状況にございます。
  19. 簗瀬進

    簗瀬委員 もう持ち時間が終了いたしましたので、最後に大臣に対して御要望申し上げます。  温暖化問題あるいは熱帯林の問題、酸性雨の問題等地球環境問題、他の政策分野とも重なり合って、場合によってはぶつかり合わなければならないという大変難しい問題があるわけであります。そういう意味では他省庁との調整がますます大変になってくると思われますが、地球環境問題が、日本世界の政治あるいは経済の中で本当に独自のリーダーシップをとれるのは、あるいはもしかしたら二十一世紀にはこの部分しかない、このように考えることもできるわけであります。でありますから、今後積極的に政府内でのリーダーシップを発揮いたしまして、場合によっては蛮勇を振るうというようなことで御活躍を心から御期待を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。御回答をいただければ……。
  20. 北川石松

    北川国務大臣 簗瀬委員の非常に熱誠なる環境に対する御支援、また激励を賜りまして、私は、国は異なれども地球一つということも申してまいりました。この際、環境庁が、今日まで進んでまいりました先人たちのとうとい業績も踏まえながら、今置かれておる立場をよく認識し、そして環境庁の位置づけをしながら、関係閣僚会議の中で環境重要性を推進するために全力を挙げてまいりたい、こう思っております。
  21. 簗瀬進

    簗瀬委員 ありがとうございました。
  22. 持永和見

    持永委員長代理 時崎雄司君。
  23. 時崎雄司

    ○時崎委員 五十分間時間をいただきましたので、自然環境保全法等の一部改正について冒頭質問をさせていただきます。  今回の一連の改正の期待するところ、目的というのは何なのか、簡単にお聞かせをいただきたい、こう思います。
  24. 山内豊徳

    山内政府委員 今回お願いしております法改正は、主として国立公園とか自然環境保全地域に立ち入る人の行動の規制を強めるという内容でございます。具体的には、動物、植物の損傷行為のょうなものが今までの法令では十分規制されていなかったので、その行為についても罰金、場合によっては懲役刑がかかるような改正をお願いしているのが一つ。もう一つは、先ほどもお話出ておりましたような、最近、四輪駆動車とかスノーモービルによる自然の楽しみ方がふえた反面、一部に無秩序な乗り入れが目に余ることが出てまいりましたので、これについては少し新たな観点から同じような規制措置を加えたものでございます。  ねらいとするところは、恐らく国がこういう法律改正をしただけですべて事終われりとするのじゃなかろうという御指摘もあろうかと思いますが、やはりこの種の法規定は、表現が不適切かもしれませんが、国民に対して樹木なり動物を大事にする前提としての自然公園なり自然環境保全地域内での規制の厳しさを知ってもらうという点では、私ども、罰則が適用になるということを期待するのではなくて、そういうものであるということをこの機会に大いにPRをさせていただきたいと考えております。
  25. 時崎雄司

    ○時崎委員 概要としては理解をいたしますけれども、具体的にだれがどこでどのような行為をするとどのような処罰をされるのか、今回の法改正とあわせてもう少し具体的にお知らせをいただきたい、こう思います。
  26. 山内豊徳

    山内政府委員 この点につきましては、自然環境保全地域とか自然公園の場所、先ほどお話のございましたゾーニングによってやや規制が違いますので、それに分けて申し上げさせていただきたいと思います。  第一のグループは、全国で五カ所しかございませんが、原生自然環境保全地域として定められた場所の中では、動植物の殺傷行為とか損傷行為が、捕まえることは今でも規制されておりますが、捕まえることと同じように、一年以下の懲役または、今回罰金が上がりまして、五十万円以下の罰金になるというかなり厳しい規定がございます。  これに準ずるグループとしまして自然環境保全地区、これは実は原生は五カ所でございますが、ただの自然環境保全地区は国が全国十以上指定しておりますが、そこの野生動植物保護地区とか海中特別地区というところ、それから全国に二十八カ所あります国立公園特別保護地区あるいは五十四カ所あります国定公園特別保護地区では、認可を受けないで動物を殺傷したり損傷しますと六カ月以下の懲役または三十万円以下の罰金になるという第二のランクがございます。  それが主として動植物の損傷行為関係でございますが、もう一つは、先ほど申し上げました車馬の乗り入れに関することでございまして、自然環境保全地域特別地域とか国立公園、国定公園特別地域の中で、どこでもということではなくて、これから環境庁長官が指定をしますエリアでの規制でございますが、そのエリアに許可を得ないで四輪駆動車とかスノーモービル、あるいは湖の上であればモーターボートを使用したりする、あるいは場所によってはヘリコプターを着陸させるというようなことをしますと、六月以下の懲役または三十万円以下の罰金になるということでございます。  以上が典型的な例を申し上げた、だれがどのような行為に対して罰を受けるかという概況でございます。
  27. 時崎雄司

    ○時崎委員 私なら私が、指定したエリアの中へ行って動植物を損傷した場合に処罰を受ける。それも一年以下の懲役とか五十万円ですか、処罰が大変重いわけですが、誤って損傷した場合も含まれるのですか。
  28. 山内豊徳

    山内政府委員 この点は、自然環境保全法とか自然公園法独特の問題ではなくて一般論として当然に、こういう罰則の適用は意図的、故意にが中心でございますし、通常理由があって誤ってということまでを刑事手続で訴追することは余りないとお考えいただきたいと思いますが、ただ問題は、ある事例が発見された場合、それが御本人の誤った非常に善意の過失なのか誤ったふりをしているケースなのかは、やはり管理官なり場合によっては警察当局が事情を聞かないといけない場合がありますので、最終的な罰則の適用はないかもしれないけれども、ある場合には事情を聞かしていただくということは出てくると思います。  例えば、ある車が通った後で道路外のところで地元のシャクナゲがなぎ倒された事例があった場合に、あなたはさっきあそこをお通りになったようだけれども、あそこの道路をそれて指定区域に入りませんでしたかということを聞かしていただく。そういう意味では事情を聞かしていただくこともありますが、罰則の適用そのものは、過去の例からいいましても、明らかな過失については懲役とか罰金をかけた例はない性格のものでございます。
  29. 時崎雄司

    ○時崎委員 誤って損傷した場合、罰則適用になるかどうかというのは微妙だ、こういうことだろうと思いますが、これまではほとんど、損傷しようというよりもその植物を採取をして持ち帰るとかこういう場合が対象でございましたから、ある程度罰則というのは、やる意思のあった、すなわち故意のあった者を対象にしておったようにこれまでの一連の法律解釈から理解できるのですが、どうも今回は、損傷というものを新しく規定の中に入れたということですから、過失の場合でも場合によっては処罰の対象になるのではないかという心配が一つあるわけでして、この辺をきちっと明確にしていただきたいのが一つ。  それから、指定場所が我々国民大衆に理解できる、告知されている、このことが私は必要だろうと思うのですね。そうしますと、その指定場所にさくかなにかつくるつもりですか。例えば、バラ線でも張りめぐらして、ここから先へ入ったら今度は損傷の処罰の対象ですよとやるつもりなのか。これまでの環境庁なりの対応としては、例えば道路わきにこの地域はこうだという立て看板一つぐらいで指定地区がそれほど明確にされてない、こういう状況にあると思うのですね。したがって、今回損傷まで含めるとすれば、一般国民に対する周知の方法、これについてもお知らせをいただきたいと思います。
  30. 山内豊徳

    山内政府委員 まず第一におっしゃいました法律論と申しますか、立法論として確かに、捕獲するあるいは採取するということは定義の上からも意図的なものでございますが、特に殺傷、殺すまでは意図的だと思いますが、損傷となりますと先生指摘のような点もあろうかと思います。ただこの点は、政府の法制局の議論の段階でも一応吟味はしたのでございますが、やはり同じような罰則適用、法令に書くこと自体には問題ないのであろうけれども、ただし運用といいますか、その罰の適用の一般原則については当然従来の刑事罰と同じような考え方で私が先ほど申し上げましたようなことを議論したわけでございます。問題は、そういうものであるということを、我々が行政上これを施行します場合に十分留意してPRしていかなければいけないと思いますので、十分気をつけたいと思います。  第二の問題。今回の改正、特に車馬の乗り入れなどでは非常に大事な問題を御指摘になったわけでございますが、先ほども議論がございました地域割り、ゾーニングの中で、例えば事業者建物を建てるとか川を埋め立てるという場合は、市役所の役場に行って図面を見て、公図を見て、そこで判断するということができるわけでございますが、先生指摘のように、個人がたまたまスノーモービルで出かけていく、あるいはたまたま山に入ってきれいな花を見つけてかいでみるというような場合は、一々役場に行って図面を見るわけにもいきませんので、やはり大事なことは現地でわかるような標識の問題だろうと思います。その点は、これは線を張ってしまって立入禁止にするというのは地面の所有権の問題もありますから困難に近いのですが、やはり効果的な標識を考えなければいけないと思っておりますことと、それから、これは国立公園内の利用の一般論でございますが、利用者がどこどこ国立公園に行ったときには、そこにあるビジターセンターに立ち寄ってパンフレットぐらいは見ながら中を歩くというようなことにも、我々も努力をしたいと思います。そういったパンフレット類の中で、この国立公園の中にはこういう種類の植物についてはこういう禁止がありますということをPRすることも大事だと思いますので、標識の面あるいは利用者に対する個々のお知らせの面から十分配慮していきたいと思っております。その意味で、先ほど先生のおっしゃる過失の議論につきましては、そこがそういう禁止区域であったかどうかがわかったかわからぬかということも当然これは問題になる性格でございますので、そういう意味からも実効を上げるためにも適切に対応していきたいと思います。  ただ、まことにくどいようでございますが、どうも国立公園という中ではうっかり植物を傷つけると罰則があるものだという常識も実はある程度皆さん方に知ってもらいたい。スノーモービルでも道路以外のところにみだりに入れるとひょっとすると懲役刑かもしれぬという気持ちも、ある程度、そのことを前面に出して言うことはどうかと思いますが、知っていただきたい気持ちも我々の中にはございます。
  31. 時崎雄司

    ○時崎委員 環境庁が意図する法改正、おおよそ理解できました。そこまで厳しくしないと日本の自然環境保全ができない状況に今日来ている。大変環境庁長官以下の決意のほどがこの改正条文で理解できるわけでございます。  次に、ゴルフ場関係についてお尋ねをいたします。  ことしの三月末現在の全国のゴルフ場の数、それからその面積、そしてそれが国土に占める比率、既に営業中の既設のゴルフ場、今造成中のもの、それから申請もしくは計画中、これはなかなか調査しにくいところもあると思いますが、これを知り得る範囲でお知らせをいただきたい。それから、もう一つあわせて関東一都六県、これについても既に営業している既設のもの、造成中のもの、そして申請、計画中のもの、こういう内容でお知らせをいただきたい。
  32. 山内豊徳

    山内政府委員 お答えいたします。  おおむね三月現在の数字でお答えしてよろしいかと思いますが、まず全国でございますが、既設の、でき上がってしまっているゴルフ場が約千七百カ所、その面積を加えますと約十六万ヘクタールで、国土面積の〇・四%でございます。それから、現にもう造成にかかっている造成中のゴルフ場が約三百カ所、これが面積で全国の〇・一%に相当いたします。したがいまして、造成中を入れますと、千七百と三百で二千カ所になるわけでございます。それから第三のグループ、先生指摘のように正確にこれをとることが難しいのでございますが、手続の上でもうこれはゴルフ場として手続が始まっているとみなせるものを集計いたしますと、全国で八百カ所になります。この面積は、手続中でございますので非常に推計も入るのでございますが、やはりそれだけで国土面積の〇・三%ぐらいになるのではないかということでございます。もしこれを単純に足し合わせますと、手続中まで入れると全国で約二千八百カ所で、国土面積の〇・八%になるという状況でございます。  次に、関東と申しますか、一都六県という御指摘でございましたので、これを同じような時期のものから集計いたしますと、既設のゴルフ場が約四百四十カ所でございます。これを一都六県の面積を分母にして割合を出しますと、約一・三%でございます。それから、同じように造成中のものが約九十カ所で〇・三%、手続中のものが約二百二十カ所で〇・八%、合計いたしますと約七百五十カ所で、一都六県の面積の約二・四%になっております。
  33. 時崎雄司

    ○時崎委員 それでは、続きまして同じゴルフ場の問題で、ゴルフ場先進国と言われるイギリスとかフランス、アメリカ、こういうところでは国土の何%ぐらいが今ゴルフ場として既にあり、または今造成中か。計画はなかなか他国は無理でしょうから、既設と造成中だけを含めて割合をお願いしたいと思います。
  34. 山内豊徳

    山内政府委員 外国の例につきましては、まことに残念でございますが、現にでき上がっているゴルフ場の数でしか実は数字をつかむことができませんでしたので、それを前提に御説明させていただきたいと思いますが、順不同でございますが、まずイギリスのゴルフ場が、資料によりますと二千カ所と伝えられております。面積は、これはなかなか数字はないのでございますが、仮に一カ所を百ヘクタールの規模と考えますと、イギリスの国土面積の〇・八%に相当すると思われます。それからアメリカでございますが、資料によりますと全国一万二千カ所あるようでございますが、これに同じように一カ所百ヘクタールという推計を用いますと、アメリカの場合は国土面積の約〇・一%に相当すると思われます。最後にフランスでございますが、フランスのゴルフ場は、フランスのゴルフ連盟の数字などでは約二百カ所と発表されておりますので、これも同じように一カ所百ヘクタールとして試算をいたしますと、フランスの場合は国土面積の〇・〇四%となっております。
  35. 時崎雄司

    ○時崎委員 次に、ゴルフ場を建設する場合には、どちらかというと山岳地帯とか、平地でも森林、それから雑木とか、そういう地域が多くゴルフ場開発をされるわけですが、森林の場合と違って、その保水力とかさらには炭酸ガスの吸収力というのは、ゴルフ場開発に伴って相当変わってくると思うのです。そこで、森林の場合と芝の場合で、炭酸ガスの吸収度というのか吸収力というのか、どう違うのか、研究された結果があればお知らせをいただきたい、こう思います。
  36. 山内豊徳

    山内政府委員 この点につきましては環境庁みずからが研究データを持っているわけではございませんでしたが、実はこの点についての学術的な文献も入手できましたので、御説明させていただきたいと思います。  先生の御質問の趣旨は、森林として維持された場合の炭酸ガスの吸収率と申しますか効用と、芝生として管理された場合、どういう違いがあるかという御指摘だと思いますが、この点につきましては、二つの面から御説明をしなければいけないと思います。  まず、植物が一年間に吸収して固定する二酸化炭素の量というものが調べられるわけでございます。吸収、固定して枝になったり、樹木であれば木になったり実になったりするわけでございますが、これは実は森林と芝地と比べますと余り差がないというデータを学識的な論文で見受けることができます。具体的に申し上げますと、よく管理された芝地が一年間に吸収する二酸化炭素の量は、炭素の量、CO2のうちのCの量に換算して一ヘクタール当たり約七トンであって、森林でも大体このくらいの程度であるという点でございます。  ただ、これは私は一年間のCO2の吸収面から御説明して差がないと申し上げておるのでございまして、問題は、吸収、固定された炭酸ガスというものが植物の体となって長期間蓄積される必要があるわけでございますから、この蓄積ということになりますと、森林と芝生では明らかに差があるわけでございます。つまり森林の場合は、秋になれば葉が落ちるということはございますが、やはりかなり長い間にわたって幹とか根とか枝の形で蓄積されるわけでございますが、どうしても芝生の場合は、これは自然に伸びていっても枯れますし、またゴルフ場の場合ですと年間何回か刈り取るということになります。そうなりますと、刈り取られた草の葉は枯れて、地中で微生物によって分解されてCO2を逆に発生するわけでございますので、その意味では炭素を蓄える量を比較しますときには明らかな差が出てまいります。これについてはいろいろな芝の刈り方とか管理があるようでございますが、私どもが入手しました文献では、例えば三十年以上ぐらいたったカラマツの林であれば、一ヘクタール当たり九十トンの炭素、Cの量に換算しました貯蔵量が言えるのじゃないか。それに対して芝地の場合ですと、刈り取り方その他にもよりますが、こちらの方はヘクタール当たり四トンから七トン、つまり十倍以上の差が、逆に森の力が長い間炭素を蓄えているということが言えるようでございます。
  37. 時崎雄司

    ○時崎委員 ありがとうございました。  次に、鳥獣などの生息の状況というのは、これまでの森林であったものとそれから開発をされてゴルフ場になった場合、私もゴルフ場の建設現場を何回か見てまいりましたが、最近のゴルフ場の建設の現場ではブルドーザーでまず木をなぎ倒すというのか切り倒して根ごと造成をする、その後に芝を植え、さらには必要な樹木をょそから移植をするというやり方、これが一般的なようでございます。そして完成した後も、芝に農薬を使うだけではなくて、殺虫剤などはその移植をした木にも使うようでございますから、私の考えでは相当鳥獣生息の状況は変わってしまっているのではないか、もっと極端に言えばほとんどすめないのではないか、こう思うのですが、これらについて調査をした形跡なり、またそういう専門的な調査があればお知らせいただきたいと思います。
  38. 山内豊徳

    山内政府委員 ゴルフ場を対象にいたしまして、先生の御指摘は開発の前と後での鳥獣の生息状況への影響調査という意味だと理解いたしますが、この点は環境庁みずから調査したデータは持ち合わせておりません。ただ、都道府県で鳥獣の生息状況の変化を一部調査した事例もありますので、ある県におきます事例を紹介させていただきますと、これはあるゴルフ場が工事完了後と完了前で比較した数字でございます。  鳥の種類につきましては、工事前には五十六種類ぐらいあったけれども、工事完了後といいますかゴルフ場になった後で調べてみると、四十五種類ぐらいに減少したようである。具体的に、鳥の種類にもよりますが、ミズドリのカモ類とかオオタカというようなものはどうもその後には消滅していたというふうな報告がございます。それから種類だけではなくて鳥の生息の量もやはり問題になるわけでございますが、これについても同じ事例では、工事開設前には一ヘクタール当たり約六羽ぐらいの密度であったものが、開設後には約三羽に減っているというデータでございます。  今申しましたように私ども自身生息調査についてのそういった意味でのデータを持たないのではございますが、もう一つだけ紹介させていただきたいことは、実は私どもが所管します鳥獣保護法律の中で鳥獣保護区という制度があるわけでございますが、これはまた逆のといいましょうか、既にあるゴルフ場を、ある年数がたった状態ではございますが、鳥獣保護区に指定したという例が実はございます。そんなことで造成そのものが鳥獣に対する影響はプラス、それ自身がプラスであるという意味で申し上げるわけではございませんが、でき上がりましたゴルフ場につきましても運営管理によっては鳥獣保護区にしてもいいような生息状況のところもあるということも一つ紹介させていただきたいわけでございます。そんなことで、これはたしか国会議員の先生方の加わっていらっしゃいます鳥類保護議員懇話会などもバックアップなさったようで、愛鳥ゴルフコースを選ぶというような試みもございますので、造成による減少を否定する趣旨ではなくて、造成後のゴルフ場についても鳥類の生息についていろいろな配慮が可能であるという意味で御紹介させていただきます。
  39. 時崎雄司

    ○時崎委員 次に、環境庁が直接管理をする、または都道府県にお願いをして管理をしております国立公園それから国定公園ゴルフ場問題についてお尋ねをいたします。  先ほどの全国のゴルフ場状況と同じような考え方で、既設のゴルフ場がどの程度あるのか、それから今造成中はどうか、申請中はどうか。まずゴルフ場の数それからその面積、国定公園国立公園内のものについてお尋ねをします。そしてそのゴルフ場のうち、現在は普通地域であるのですが過去には特別地域であったもの、これについてもあわせてお聞かせをいただきたい、こう思います。
  40. 山内豊徳

    山内政府委員 この点につきましては、数、面積の御説明をいたします前にひとつ経緯紹介させていただきたいのでございますが、実は昭和四十九年までは国立公園、国定公園特別地域でもむしろ公園事業として環境庁、それ以前は厚生省時代もございますが、そういう当局が認めてゴルフ場特別地域の中でも事業として認めてきた時期がございます。しかし四十九年以降は特別地域に関する限り新しいゴルフ場は認めないという方針で所要の政令も改正し、また方針も確定しておるわけでございます。その意味で、現在でもその当時認められた特別地域内のゴルフ場国立公園にも国定公園にもあるということをまず御説明させていただきたいと思います。  その上に立って現状を申し上げますと、国立公園の今言いました四十九年以前の事例として特別地域の中に四十二カ所のゴルフ場がございます。それから四十九年時点でも認められており、またその後も認められております普通地域につきましては二十六カ所のゴルフ場が現在ございます。同じような意味で、国定公園の場合は特別地域で四十一カ所、それから普通地域で五カ所となっております。これを公園の面積でゴルフ場の面積を求めてみますと、国立公園の場合も国定公園の場合も全公園面積の約〇・三%程度という現状になっております。  次に、建設中あるいは手続中のものはどうだという御指摘でございますが、現在いろいろなゴルフ場の構想として普通地域について計画あるものがございますが、これはいわゆるリゾート構想などによりますものが十数カ所現在までに私どもに相談が参っておりますので、この数のほかにそういった構想が加わる傾向にあるわけでございます。
  41. 時崎雄司

    ○時崎委員 長官に今から言うことをじっと聞いていていただきたいのです。  平成元年度の公害の状況に関する年次報告、いわゆる環境白書と言われておるものですが、これの五十三ページから五十四ページに「ゴルフ場と自然環境等の保全」というところがあるのです。五十四ページの上段にこういうことが書いてあるのです。今局長が言われたように、昭和「四十八年にゴルフ場公園事業の対象となる施設から削除し、翌年から」、すなわち昭和四十九年ですね、「特別地域内でのゴルフコースの造成を目的とした土地の形状変更は許可しないこと」にされた。こうなりますと国立公園と国定公園特別地区にはゴルフ場をつくってないというふうに理解するのです。ところがよく考えてみると、今普通地区で工事をしているのが十数カ所ある。特別地区にはつくらないが普通地区では十数カ所つくる。特別地区から普通地区に変更してゴルフ場をつくるのは簡単なことですね、考えてみれば。要するに特別地区はできないのだけれども普通地区はできる。そこで政府なり環境庁がこれまで特別地区であったものを普通地区に直せば簡単にできるということになってしまうのですね。  そのケースを申し上げますか。昭和六十三年五月十八日環境庁告示十六号、茨城県鹿島郡神栖町日川ゴルフ場、この例はそうでしょう。特別地区普通地区環境庁が六十三年五月十八日に変更しているのですね。長官、ちょっと聞いていただきたいのですが、その六日後に既にゴルフ場の事前協議準備書が開発者から神栖町に提示をされている。六日後ですよ。昭和六十三年五月二十四日付なんです。この環境白書を読む限り、私ども国民はよもや特別地区にはゴルフ場などをつくっていないと解釈しているのですよ。ところが、昭和六十三年の五月の段階でそれを普通地区に直して、その一週間後にゴルフ場の事前協議申請が出され、そしてその九月にゴルフ場の開発許可がおりている。こういうことになればどうも、この環境白書なるもの、もう少し記載の方法があるのではないか、国民に十分実情をお知らせするという意味では、これは記述が不適切ではないか、私はこう思うのですが、この点について。
  42. 山内豊徳

    山内政府委員 今お読みになりました環境白書の記述の部分は、私ども自然保護局としても見させていただいた表現でございますが、一つは、この表現だけでは四十九年以前に認められた特別地域内のゴルフ場が今でもあるという事実が何か浮かび上がってこない記述になっておりますので、その点はまず工夫が必要かと思います。  それから、二番目に御指摘になりました具体的な事例につきましては、非常に大事な要素が含まれておりますので御説明させていただきたいのでございます。  今先生特別地域普通地域にするのならば簡単なことだとおっしゃいましたが、実はこれは非常に大変なことでございまして、もちろん国立公園と都道府県知事が主として監督していらっしゃる国定公園では手順は違いますが、いずれも地域ゾーニングの種類を変えます場合は環境庁の自然環境保全審議会の答申を得ないとできないことになっております。今お挙げになりました神栖町の事例は、実は国の審議会に説明したときに私も立ち会っておりましたので記憶はあるのでございますが、固定公園でございますものですから、地元の知事から地域の変更についての公式の申し出があったわけでございます。申し出があって、私ども現地も確認いたしましたし、また県の申し出に基づく実情の具申も審査したわけでございまして、またそのことを審議会に報告したわけでございます。その場所が河川のしゅんせつ土砂で既に堆積もしているし、今後も堆積が続くので、いわゆる特別地域としての風致と申しますか、景観と雰囲気を含めた風致の維持の必要性が薄められたという申し立ての理由でございましたし、審議会でも、現地のスライド写真なども判断いただきまして、その理由でこれを普通地域に変更することはやむを得ないという判断をいただいて、手続をとったわけでございます。  実はこの事例ではございませんで、二、三の国定公園あるいは場合によっては国立公園でも、ぜひゴルフ場にしたい、場合によってはゴルフ場ではないけれども一つのレクリエーションランドのようなものに変えたいから、規制が厳しいので特別地域を格下げあるいは除外をしてほしいという要望があることはございますが、これを一々取り上げておりますとせっかくの国立公園地域がだんだんやせてまいりますので、開発を理由にする区域の除外、格下げは一切認めない方針で臨んでおります。その意味でこの審議会審議の際も、これをそうではなくて現状が風致維持の必要がなくなったという判断をすることについては審議会の委員からの厳しい御指摘もございましたので、私どもは現状を確認して、その時点で普通地域に相当するという判断で認めさせていただいたという例でございます。     〔持永委員長代理退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕
  43. 時崎雄司

    ○時崎委員 どうも言われている回答が十分理解できないのですね。特別地区に指定したということは、その当時するだけの理由があってしたわけでしょう。だれが考えてもそう考える。ところが、その後実態が特別地区に指定しておく必要性がなくなったので普通地区にした、こういうことですね。そうすると、特別地区に指定をされておったものが途中で普通地区に変更するような形状に変わってしまった、こういうことなんですね。そうじゃないですか。そういう形状に変えるのを簡単に野放しにしておいていいのですか。  これは昭和五十八年十月十一日に、既に当時の環境庁長官梶木又三さんに当時の町長、町議会議長からの陳情書があったわけです。環境庁、これは調べればすぐわかるでしょう。ところが、その当時はだめだと断られているのですね。そういう経過があるわけでしょう。だめだと断るからには、特別地区として当然それは保全をしていこうということでしょう。途中から形状を変えてしまう。そんなに特別地区というのは勝手に形状を変えられるのですか。そして、現状がこうなっているからそれは普通地区に変更する。どうも理解に苦しむのですね。     〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
  44. 山内豊徳

    山内政府委員 この点は、実は先ほど申しました国の審議会でも毎年一、二例、例が出てまいりまして、ちょっと他の例を持ち出すようで恐縮でございますが、例えば海岸の漁村地域などで特別地域にしてきたけれども、家が次から次に建っていって、もうそこが市街地になってしまった。それでこれを普通地域にする、場合によっては除外するということも審議会の答申を得て、実はこれは狭い面積でございますけれども、実施している例があります。  その際にも必ず審議会で議論になりますことは、ではなぜ一軒一軒の家が建つ段階で手続を認めてきたのかということでございます。先生指摘のように、この神栖町の事例につきましても、しゅんせつ土を積み上げるということを実は県知事の土地形状に関する権限で認めたからそういうことが行われたという面もございます、もちろん自然的な流量というものも若干はあると思いますが。そんなことで、私が先ほど御紹介しました審議会におきましても、ここまでやってきた県のやり方についての議論があったのは事実でございます。その意味では、県知事さんが所管される国定公園だからというわけではございませんが、やはりそれまで国定公園を管理していただいた県の一つのやり方の結果生じた、まさに先生のおっしゃる形状の変更が起こっていた、それが実は普通地域に変えた理由にもなったわけでございます。
  45. 時崎雄司

    ○時崎委員 時間もありませんから、この件についてはこの程度にしますが、環境庁が直接管理をする国立公園、そして各部道府県にお願いして管理していただいておる国定公園の中でも、今言われたようにゴルフ場なりその他開発がどんどん進んでしまっている。そして前段お伺いをいたしました自然環境保全法等の一部改正法律といかに落差があるかということなんです。環境庁みずからが法律案を提案をしておいて、片一方で、国立公園や国定公園が一カ所百ヘクタール、最近では百五十ヘクタールというのが通常になってきましたか、そういうところがブルドーザーで森林が切り倒されたり、そして根まで完全に掘り起こされている。一方で、私ども国民が国定公園内の指定地域に入ってなに植物を損傷した場合に、それは過ってであれ損傷した場合、これは一年、五十万円以下の懲罰に処せられるのですか、いかに格差の大きいこと。どちらも同じところがやるのですよ、関係官庁は。  事務当局にお聞きすることはこのぐらいにして、次に長官にお尋ねしたいのですが、長官、「主要閣僚に聞く」という新聞で、これは私の地元の地方版に載った長官の大臣になってのインタビューですが、読ませていただきました。昭和四十七年に初めて国会に出たときにお孫さんが一歳になっておって、次の時代を考える政治というものを訴えて当選をなさった、こう言っている。実は私も、二月十八日に当選したその前の日に孫が一歳になりました。その孫を抱きながら、二十一世紀、この子供らのために何ができるか、その最大の課題は、今の地球なり私どもの住んでいるこの日本というものを今以上に悪くしないでこの子供らに渡したいものだと私は考えております。この新聞を見て、長官には大変親しみを覚えたところでございます。  そこで、長官はこの中で「二十一世紀はいかに地球環境を良くするかにかかっている。環境面、健康のためにも特に水が大切。」こう言っている。きょうは時間もありませんので、農薬問題その他については二十九日、水質汚濁法の審議がありますのでそちらに譲りますけれども長官、今言われて、そして聞いたように、環境庁みずからの力で何とでもできる国定公園国立公園、こういうところの地域内でのゴルフ場はもう禁止したらいかがですか。おやめになった方がいいと思うのです。特別地区だけはやめるといったって、先ほどのようにどんどん普通地区に変えてできてしまったのでは私は何にもならないと思う。ゴルフ場全体の抑制についてもお願いしたい。特に首都圏、国土面積に占める全国の平均よりも関東はそのパーセントが四倍も高いという実態ですから、ゴルフ場の全体の抑制を図ると同時に、当面環境庁みずからが何とかなりそうなところ、国立公園、国定公園地域内でのゴルフ場開発を規制をし禁止をする、この考えございませんか。お尋ねいたします。
  46. 北川石松

    北川国務大臣 時崎委員環境をよくするためにゴルフ場によって損なわれていくものがあってはならないという思いを込めて、御質問願ったと思っております。そういう中で、環境庁みずからが規制できる特別公園、国定公園については現在まで、先ほど指摘なさっている点を考えますと、甚だ遺憾の意を表明しなくてはいかぬという思いをいたします。これは率直に申しまして、官僚行政の中で行ったからそれは貫いていかなければならない、こういうことでは私はよくないとみずから思っております。そういう点につきまして、これは地方公共団体がいろいろの実情に応じて許可をいたしておりますが、環境庁としては、環境を損ねるということが前提に参りました点については厳しくこれから対応しなくてはいけない、それでなければ野放しになっていくおそれがあるのではないかという思いもいたします。ただ、ゴルフ場を決して否定するものではございません。ゴルフのニーズというものも考えなくちゃなりませんが、ただ環境を損ね、大変な御迷惑を与えるものについてはやはり前向きの姿勢で当たっていかなくてはならない、こういう思いをいたしております。
  47. 時崎雄司

    ○時崎委員 長官、気持ちはわかりますが、今ゴルフ場という問題を一言言うときに、最近の新聞はどうも農薬問題に歪曲化されているような傾向がございますが、ゴルフ場を開発するということは大変ないろいろな問題を引き起こしているのではないかと思うのですね。私が再三言うように、これまである森林、または雑木でも何でもいいのですが、それを全部切り倒してしまう、そして根っこからブルドーザーでそれを掘り上げて裸山にして、その上で芝を張り、必要な箇所に木を植える、こういうことですから、相当の地形の変更ということが行われているわけですね。これは大変な自然環境の破壊だろうと私は思います。後で芝を張ったからそれは見場がいいというだけですから、保水力は森林に比べて四分の一程度だ。特に最近のゴルフ場の開発面積というのは一場当たり従来に比べると約五〇%ぐらい面積が大きくなっている、こういうデータもあるわけです。それはなぜかというと、余り上手でない人がどんどんゴルフをやるようになったからだというのですね。フェアウェーというのですか、芝を張ってあるところ、あれがどんどん広くなっているということなんですね。そしてすり鉢状になっておって、どっちに打っても真ん中に転がってくるように、下手な人用にゴルフ場が——そこで笑っている人もいるが、大体そういうことですね。そうしないと次から次へと前に順序よく進んでいけない。立ち木がたくさんあったのでは前へ進まないということで、だんだんそういうゴルフ場のつくり方になっているということなんですね。  そういう点で、それぞれの地域のニーズということもあると言われます。それはそのとおりですが、しかし私の選挙区内に桜川村というところがあるのです。小さい村ですけれども、既に五カ所ゴルフ場があるのですよ。村の面積の一二%を超えているというのですが、私どもの調査では、市町村の面積中全国一のゴルフ場の面積を持っているところは千葉県にあるそうで、二十数%というのですよ。それは地域の開発とか事情に任せるのではなくて、そういうところには一定の網をかぶせる、もしくは国立公園、国定公園、ずばり特別地区普通地区に変更してゴルフ場をつくるようなことはやらせない、このぐらいは決意のほどを示していただきたいのです。いかがですか。
  48. 北川石松

    北川国務大臣 ただいま委員指摘のように、今後はそういうふうに特別区を変更してゴルフ場にする、そういうことはないように厳正にこれに対処していきたい、こう思っております。
  49. 時崎雄司

    ○時崎委員 それでは、最後に長官にお願いして終わりにしたいと思いますが、長官は、新聞報道によりますと、ぜいたくなようだが私は富士山の自然水を飲んでいますということなんですね。私、このことを揚げ足をとるつもりはないのです。不幸にして現職中にお亡くなりになりました茨城県選出の参議院議員岩上二郎さんも、奥さんから聞いたところそういうこともあったそうですから、何も富士山の自然水を飲んでいることをとやかく言うつもりはないのですが、一億三千万、どこの地域でもこの富士山の自然水と同じように健康に心配なく十分に私どもが飲めるような自然環境をお互いにつくっていくことを、私も頑張ります、長官もぜひ頑張っていただくことをお願いして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
  50. 北川石松

    北川国務大臣 ただいま委員から水の点で御指摘を受けて、率直に言いまして私は水道の水が大変自分の体に反応が悪いように感じましたので、水を買うことはぜいたくだと思ったけれども自分の健康を維持するためにはやはり富士山のミネラルを買おうということで飲んでおるのです。そうしたら、おやじ、ぜいたくじゃないかと息子に言われたので、何を言ってるんだ、この方が健康を維持するためには必要なんだと。といって今の水道が悪いと一概に言ってしまうと問題がありますから、それは慎まなければいかぬと思いますが、そういうことで自然に出る水のよさというもの、私はやはり環境の中でこれを生かしていくような政治をやっていかなければならない、こういう思いをいたしております。
  51. 戸塚進也

    戸塚委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十七分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  52. 戸塚進也

    戸塚委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。宇都宮真由美君。
  53. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 日本社会党の宇都宮真由美でございます。  自然環境保全法等の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきます。  まず初めに、今回の改正のうちで動植物の殺傷、損傷行為制限することにつきまして、四輪駆動の自動車とかスノーモービルのそういう行為によって環境が破壊されるということについては新たに最近できてきた行為だと思うのですけれども動植物の殺傷とか損傷行為というのは以前からあった行為ではないかと思います。このような行為は特に最近になって発生した行為であるということではなくて、例の沖縄の、新聞社のカメラマンがサンゴを傷つけた、そういう事件が報道され、そしてそのカメラマンの行為が今の法律では損傷行為は罰せられないということで不起訴になった、そういう事実が報道されました。したがって、そのことによって損傷行為というものが規制の枠外にあるということがはっきりしたため、今回この改正になったのではないかと思っています。  そうだとするならば、今までこれらの行為に対しては環境庁としてはどのような対応をなさっていたのか。例えば、国立公園等の管理を行う人たち、その人たちに対する環境庁の指導というのはどういうふうになっていたのか、またこの改正がなされることによって、改正後と改正前とでは対応の仕方にどのような変化があるのかということについて、まずお聞きしたいと思います。
  54. 山内豊徳

    山内政府委員 今回改正の、特に動植物の損傷、殺傷の部分についてだけまず申し上げますと、確かに先生の御指摘のような事案が法改正のきっかけになったことは事実でございます。ただ、私ども実は自然公園法自然環境保全法だけではなくて、他省庁の所管の、例えば火薬類取締法とか銃刀法規則とかそういった法律でも実は依然として捕獲とか採捕という言葉しかなかったこと、その背景を私なりに調べてみたのでございますが、やはりこれはこうした法令が産業としての水産業、漁業とか、産業としての林業とのかかわりの意識の中に立法されたものですから、産業と考えますと、損傷の産業はございませんで、やはり動物でいえば捕らえる、木の実であればこれを採集するということであったわけであります。ところが、これは今回改正の直接目に見えた背景でないにしましても、その後自然公園の中に延べ九億人という人が入ってまいりますと、実はそういった業として捕まえるだけではなくて花を折り取るとか幹に落書きをするという、それ自身は非常に残念なことでございますが、数ある利用者の中にはそういう事例がふえてきたのは、強いて言えば戦後の傾向の中にあったと思います。  そこで、お尋ねの件は、じゃそういう事態があったのならば法改正前の状態としてどのような指導をしておったかということでございますが、これはけさほども申し上げたつもりでおるのでございますが、例えば尾瀬のようなところに入ってくる利用者の方がみだりに草の葉をあるいは枝を折ったりしますと、もしそこにレンジャー、管理官がいますれば、利用者指導と申しますか広い意味での助言の一環としてそれは困りますよということは言っておりました。その場合に説明をしまして、これは自然に枯れて落ちるものならばいいけれども人間が傷つけると、それが積み重なると最終的には尾瀬の景色にも非常に影響しますからというようなことを、例えばパークボランティアなんかも含めて指導するということは今後もやらなければいけないと思いますし、これまでもやってきたつもりでございます。
  55. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 そうすれば、損傷行為と、採取ですか、その行為とでは自然環境を破壊するという点においては差がないと思うのですけれども、この法改正がなされる前と後とでは環境庁の指導、管理等については変化はないというふうにお聞きしてよろしいのでしょうか。
  56. 山内豊徳

    山内政府委員 動植物の損傷行為をできるだけ慎んでいただくという点においては今までの実態的な指導と変わりないことでございますが、けさほども申し上げましたように、こういうことは法律的に当てはめれば罰則がつく行為でございますということをPRの種として使わせていただく点では今後少し変わってくると思います。     〔委員長退席鈴木(恒)委員長代理着席〕
  57. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 この衆議院環境委員会調査室の資料によりますと、「昭和四十八年には、当時、全国的に進行しつつあったゴルフ場別荘地などの無秩序な開発に対処して、自然環境保全に万全を期するため、自然環境保全地域普通地域土地の形状変更などの行為については、届出後三十日を経過した後でなければ、当該の届出に係る行為に着手してはならない、などの改正が行われた。」ということが記載されております。また、「昭和五十三年には、国土開発の進展等に伴い、鳥獣の生息環境及び狩猟の実態が大きく変貌してきたため、それらに対応して、鳥獣保護の充実、狩猟者資質の向上及び秩序ある狩猟の確保を主眼とした制度の大幅な改正が行われた。」というふうに記載されております。このような記載を見ましてもわかりますように、国土の開発ということによって自然は害される、そのように考えるのが一般の認識ではないかと思います。この点につきまして環境庁はどのようにお考えでしょうかということがまず一点。  そして私は、極端に言えば国土の開発ということは必ず自然の破壊ということを伴うものだと考えております。自然の破壊という一つのマイナス面と、そして開発によって得られるプラス面とを比較考量して、後者が大きい場合にのみ開発が許される、このように解釈しておりますけれども、このような点についてはいかがお考えでしょうか。環境庁の方と国土庁の方にお尋ねしたいと思います。     〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
  58. 山内豊徳

    山内政府委員 今過去の法律改正の事例として四十八年の例をお挙げになりました。経緯は確かにそのとおりでございますが、制度の説明として申し上げたいのでございますけれども、実はその時点でも特に普通地域の場合はやはり許可制にできないという、これはある意味では土地を中心とする所有権、私有権とのバランス論であったと思います。三十日たたなければ着工できないといいましても、じゃ三十日の間に知事なり環境庁長官が何ができるかといいますと、そのでき上がる建物とか土地形状変更によって風景が大きく変わる場合は差しとめができるけれども、それを限度として注文がつけられるという規定になっているわけでございます。私が申し上げたいことは、余りにも事務的な言い方になってしまうかもしれませんが、やはりその地域によってバランスのとり方が違う。つまり罰則までつけて木一本折ってはいけない特別地域と、そういった大きな建物でも届け出制程度でしか規制できない普通地域というものは、もちろんこれは指定の段階でのいろいろな利害調整の結果でもございますが、やはり同じ自然公園のエリアの中でも守るべき風景について地域によって差を考えるという考え方はあるのじゃないかと思います。したがいまして私どもは、特に自然保護局としての立場は、できる限り国土開発にわたることを抑えられれば抑えたいという気持ちは満々たるものがございますが、同時に現行のいろいろな制度の中で実際に行政的判断をします場合にはそこにおのずからランクが出てくるというのも実情でございます。
  59. 岩崎忠夫

    ○岩崎説明員 開発と自然環境保護関係についてお尋ねがございました。  私たち総合保養地域の整備に当たっているわけでございますが、それに即して申し上げますと、総合保養地域というものにとりましては良好な自然環境が不可欠の資源であると私ども考えております。したがいまして、その整備に当たりましては自然環境保全に十分配慮をしなければならない、これは当然のことというように考えております。
  60. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 その場合に、その開発される地域に住んでいる住民の意思というものは、その開発がなされる場合に考慮されるべきだとお考えでしょうか。それとも考慮しなくてもよいとお考えでしょうか。やはり両方の方にお聞きしたいと思います。
  61. 山内豊徳

    山内政府委員 今のような御質問をいただきますと、私自身はいろいろな事例を頭に置きながら答弁せざるを得ないのでございますけれども、はっきり申し上げまして二通りの立場の悩みと申しますか、私なりの判断に苦しむところがございます。一つは、今住民とおっしゃいましたが、ぜひここにスキー場をつくりたい、場合によってはゴルフ場をつくりたいという住民のお声と、それに対して非常に疑問を持つお声がダブって私の耳に入るケースがあるわけでございます。その意味で私はやはり、決して環境庁のいろいろな助言の責務を逃れる意味ではなくて、そういった住民のいろいろな考え方を誤りなく判断できるのは一つは自治体の首長さんではないかと思ったりしますと、やはりそれの調和、統合を図ることが開発と自然を調和させていく道、やり方ではないかなというふうな感じを持っております。
  62. 岩崎忠夫

    ○岩崎説明員 私どもの総合保養地域整備法の枠組みで申し上げますと、基本構想というのは都道府県が作成するものとされておりまして、また基本構想の作成に当たりましては都道府県は関係市町村に協議しなければならない、こういうようにされているわけでございます。したがいまして、私たちは県がリゾートの基本構想を作成するに当たりましては地元市町村とか民間事業者等の地元関係者と十分話し合いをするように指導しているところでございまして、そういった形で住民の意向等もくみ上げられていると考えておるわけでございます。
  63. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 今、国土庁の方が県の方、自治体の方には基本構想を作成する際に地元住民の意思、意見は十分に聞くようにというふうな指導をなさっているというふうにお聞きしたのですけれども、地元愛媛のことを申し上げて恐縮なのですけれども、一昨日の新聞にも、愛媛県に越智郡弓削町というところがあるのですが、その弓削町の自然を考える会というその会のメンバーが住民など約八百人の署名を添えて、えひめ瀬戸内リゾート開発構想の見直しと弓削リゾート開発事業を認めないように、そういう陳情書を県知事あてに提出したという事実が報道されているのですけれども、この事実につきましては国土庁の方ではお知りになっていますか。お知りになっているとすればどのように認識を持っていらっしゃるか。運動の規模とかに対する評価なども含めて、国土庁の方、それから環境庁の方にお聞きしたいと思います。
  64. 岩崎忠夫

    ○岩崎説明員 ただいま住民の一部の方々から県の方に陳情があったことを承知しているかということでございますが、私ども伺っておりません。承知しておりません。  また、先ほど私がお答え申し上げましたのは、県が住民の意向を直接に聞きなさいということを指導しているとは申し上げておりませんで、地元市町村、民間事業者等の地元関係者と十分話し合いをするように指導をいたしているところでございます。県が基本構想の作成に際してどういった形で住民の意向を反映させるかというのは県独自の判断によるものと思いますけれども、市町村の意向を反映するというのもその一つの方法かもしれませんが、いろいろな形で住民の意向が反映された計画、構想というものができているものと考えております。
  65. 山内豊徳

    山内政府委員 今先生指摘の、具体的な会の名前を挙げての御要請書のことは私も聞いておりません。
  66. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 そういうふうなあれですと、要するに規定上、手続上基本構想というものは県民あるいは住民の意見を聞くように、聞いているはずだ、したがってそれができて提出された以上は住民の意思あるいは意見等はもう聞いているものだ、住民の了解は得られているものだ、そういうふうにお考えなのでしょうか。環境庁あるいは国土庁としては、何らその点に関する独自の調査というものはなされないのでしょうか。
  67. 山内豊徳

    山内政府委員 具体的ないわゆるリゾート法と言われております法令に基づく基本構想の制度前提でお答え申し上げますけれども、確かにこの法律は立法過程でいろいろな論議もございまして、事柄を進める主務官庁は国土庁ほか六省庁ではございますが、環境庁長官には例えばこの法律は基づく基本方針を定める場合あるいは各都道府県の基本構想に六省庁がオーケーを与える場合は事前に協議をするという法律の明文の規定がございます。ただ、これは私ども当然のことながら、協議なりを環境庁長官が受ける趣旨は、構想のすべての細部にわたって環境庁が審査するという意味ではなくて、環境庁の所管する自然保護を中心とする環境保全行政の立場から、特に何か意見を申し上げなければならない場合に法律に基づく意見なり同意としてこれを与える趣旨と理解しております。そのような意味で、先生の御指摘のような事柄について、我々が一般的な意味で無関心でいいという意味ではございませんが、リゾート法という法令の運用の中で環境庁長官の権限あるいはそれを私ども補佐します自然保護局としての権限を発動します場合には、主務省庁の方でお持ちになった構想に対して、今申しました行政上の所管の観点から判断を差し上げて意見を申し上げるなり同意を与えるということにとどまるのではないかと理解しております。
  68. 岩崎忠夫

    ○岩崎説明員 先ほどから県が基本構想を定めるということになっているわけでございますが、私ども主務六省庁といたしましては、県が作成した基本構想について、これが総合保養地域整備法に定めます地域要件に該当するかどうか、またこの法律に基づきまして主務六省庁でつくりました総合保養地域整備に関する基本方針に適合するものであるか、こういう点を審査することになるわけでございますが、私ども実際の実務の上でいいますと、まず基本構想の作成主体たる都道府県におきまして、総合保養地域の整備を行おうとする場合には事前にその地域についての基礎調査を行うことになっているわけでございます。そして、都道府県は基本構想の承認申請に先立ちましてその基礎調査結果を主務六省庁提出するというようにされているわけであります。私どもは、県から主務六省庁に基礎調査結果が出された場合につきましては、ヒアリングなどを通じまして県と主務省庁とでその内容について必要な協議、検討を行うということにいたしておるわけでございます。したがいまして私どもは、構想の作成主体たる都道府県からその構想の内容、中身等につきましてヒアリングを行い、適切な意見を申し述べるという形で関与いたしておるわけでございます。
  69. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 基本構想を作成するまでには基礎調査をするということでございますけれども国土庁は基礎調査の段階で都道府県とはどのようなかかわり方をするのか、またその際にどのようなことが調査されるのか、もう少し具体的に教えていただきたいと思います。
  70. 岩崎忠夫

    ○岩崎説明員 基本構想といいますのは、総合保養地域の対象地域とか整備の方針とか、整備する施設の種類、規模とか、整備に際しての自然環境保護保全等の配慮事項等、そういったリゾート地域として整備するに当たっての基本的な事項について県が市町村と協議して作成するものであります。したがいまして私ども、基本構想を正規に申請していただく前にそれらのものをほぼ盛り込んだ基礎調査を県に実施していただきまして、その調査結果について法に定めるリゾート地域としての地域要件に適合しているかどうか、また私たちが定めている基本方針に適合しているかどうかということについて意見を述べ、さらにいい構想にまとめていただこうということにいたしているわけでございます。
  71. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 リゾート法の基本方針に決められている条件を満たしているかどうかというのは、例えば良好な自然条件であるかどうかとか、地域的な一体性を持っているかどうかとか、土地の確保が容易かどうかとか、民間の事業進出が確実であるかどうかとかいうことをおっしゃられるのでしょうか。それとも、もう少し具体的な個別の地域についての調査というのを行っているのか。その際に地元住民の意思等のチェックは全く対象外なのでしょうか。
  72. 岩崎忠夫

    ○岩崎説明員 基本構想は、先ほど申し上げましたように対象地域とか整備の方針あるいは整備する施設の種類、規模、整備に際しての配慮事項等を定めるものであります。こういったことについて基礎調査もほぼ同様のことを盛り込んで、私どもとその内容について検討するものであります。その際に、私ども基本方針におきましても自然環境保全との調和というのを最も重視すべき配慮事項としておりますので、その点について、具体の地域等を前提といたしまして十分な配慮がなされているかどうかということは私どもチェックをいたしているわけであります。ただ、その方法は、私どもが構想の作成主体たる県からヒアリングを何度か行いまして、それに基づいて私どものいろいろな意見を申し上げて、そういった自然環境保全との調和にも十分配慮された構想となるように努めているものでございます。
  73. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 県を通して、自治体を通してということであって、国土庁としては、例えば基礎調査の段階であるいは基本構想に対する承認を行う段階で現地を見るということはお考えになっていられないのでしょうか。それとも現地を見る場合もあるのでしょうか。
  74. 岩崎忠夫

    ○岩崎説明員 私たち基本構想の承認に当たりましては、県のリゾート地域の整備につきまして主務大臣の定めた整備に関する基本方針に適合して妥当なものとの判断を求めるに必要な検討をなすものでございまして、通常その判断をするには現地を見る必要はなかろうと私ども考えております。
  75. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 ちょっとよくわからなかったのですけれども、どういう理由で現地を見る必要はないというふうに言われたのでしょうか。
  76. 岩崎忠夫

    ○岩崎説明員 県の作成します基本構想が十分自然環境保全等に配慮された構想であるかどうかということを見るのに、通常の場合は現地を調査する必要はないだろうと思っておるわけでございます。
  77. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 私としましては、それを判断するためにぜひ現地を見た方がいいのではないかと考えているのですけれども、要するに、地元住民に対して非常な影響、環境の変化というものをもたらすこのような開発を行おうとしている際に、地元の声というものはどこの段階でくみ上げられているのか、またくみ上げようとしているとお考えなのか。ちょっとそのあたりをお聞かせ願いたいと思います。
  78. 岩崎忠夫

    ○岩崎説明員 私たち、地元の意向を最も適切に反映しているものはやはり住民の身近に位置する市町村だろうと思っております。それで、県が基本構想を作成するに当たっては十分その市町村と話し合いをして、市町村と協議の上で私どもの方に構想として正式に承認申請になるものでございまして、やはりしかるべきように住民の意向が反映されたものというように理解しているわけでございます。
  79. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 そうすれば国土庁としましては、地元住民の意思を反映しているはずである、市町村等自治体が作成して提出した基本構想、それには十分な地元の意思が反映されているというふうにお考えなのでしょうか。
  80. 岩崎忠夫

    ○岩崎説明員 先ほどからお答え申し上げておりますように、リゾート地域の整備に関する基本構想は、県が地元の市町村と十分連携をとって、しかも正式に協議してまとめられた構想であります。県が各方面の意向等を十分に踏まえた形で責任を持って作成したものでございまして、当然そうしたものとして県は個々に協議してくる。また私たちも、自然環境保全とかいろいろ関係者の意向等を十分に反映したものをつくるように指導もいたしておりますので、そういったものとして出てきているものと理解をいたしているわけでございます。
  81. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 今のお答えですと、結局、県から提出された以上はもう地元の意思というものは組み込まれているものだ、そのようにお考えであるというふうに聞くことができるのですけれども、そうだとすれば、もし自治体の方で私たちの意見が取り上げられない場合は、直接国土庁の方に行ってその声を言うしかないと思うのです。もしその声が国土庁の方に届きましたらどのような対応をなさっていただけるのでしょうか。
  82. 岩崎忠夫

    ○岩崎説明員 私たちは県とともにできるだけよりよいリゾートの基本構想をつくっていかなければいけないと思っているわけでありますけれども、その際に、そのリゾート地域の方々のどれだけ多くの方かは承知しておりませんが、声が直接私どもへ参りました場合については、やはりそういう点について基本構想で十分配慮されているかどうかということについて県には当然に照会をし、十分そういった点にも、自然環境保全面にも配慮された基本構想になるように努めていくものというように考えておるわけであります。
  83. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 次に、環境庁の方にお聞きいたしますけれども、リゾート法四条の四項には、基本方針を定める際には環境庁長官と協議しなければならないという旨の規定がございます。もうこの基本方針というのはでき上がっておりますけれども、その際、環境庁といたしましてはどのようなスタンスで臨まれたか、そしてまたどのような意見を述べられたかにつきましてお尋ねしたいと思います。
  84. 山内豊徳

    山内政府委員 今のお尋ねは各県の基本構想についてのスタンスであろうかと思いますが、実はそのスタンスは、今先生もおっしゃいました基本方針を定めるときの私ども受けました協議あるいはその結果成立いたしました基本方針にもあらわれているわけでございます。  基本方針について全部を紹介することは差し控えますが、特に基本方針の中では、先ほども国土庁から御答弁ございましたように配慮すべき重要事項の筆頭に自然環境保全との調和が挙げられておりますこととか、同じ環境庁所管では、特に特定施設の整備に際して周辺の自然環境保全との調和だけではなく、例えば水質の保全、良好な景観やアメニティーの保持についても十分配慮されたものであるということが基本方針に盛り込まれております。そのことは、先ほど私が答弁申し上げました、環境庁環境行政として所管するスタンスで判断をして基本方針にも御意見を申し上げたし、個々の県の基本構想にも御意見を申し上げる、そのような立場になっておると理解しております。
  85. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 それから、同じくリゾート法の五条五項には、都道府県から出された基本構想を承認する場合にも環境庁長官に協議しなければならない旨の規定がございます。そのような際には、環境庁といたしましてはどのようなところをチェックなさいますのか。また、この場合には各都道府県から地域などある程度具体的な構想ができてきていると思うのですけれども、その際、基本方針の際の協議と基本構想を承認する場合の協議というものでは多分具体的な差があると思うのですけれども、その点少し教えていただきたいと思います。
  86. 山内豊徳

    山内政府委員 今、基本方針につきましては確かに事柄としての自然環境保全との調和を筆頭に挙げた規定を申し上げましたが、これが各県から出され、国土庁を通じて環境庁に協議されます各都道府県別の基本構想になりますと、かなり具体化されることは当然でございます。むしろ例示的に申し上げた方がわかりやすいかと思いますが、県にもよりますけれども、国立、国定公園内に私どもの取り扱える範囲内でいろいろな施設を設置することをリゾート構想の内容にしておられるような県の場合には、特に基本構想の段階ではどこから何メートル先の地面を何平米使ってというものがまだ決まっていない場合が多いものでございますから、例えば意見としては、今後事業実施をなさいます際に私どもの所管する自然公園法の手続の中で個別的には審査をさせていただきますということを公式に申し上げた例もございます。あるいはすべてのリゾート構想ではございませんが、県の構想によっては海岸景観の保全とか海に対する汚濁物の排出が懸念されるような事例もあります場合には、そういったことによる環境の悪化の防止について特別留意をいただきたいということを強く強調する意見を出した例もございます。  ただ、基本方針と比べれば基本構想はかなり具体的ではございますが、もう一つだけ追加させていただきたいことは、今も申しましたように、基本構想といえども国立公園の中のどこに何ヘクタールの建物を建てるということが決まっていない場合が多うございます。そうなりますと私どもはやはり所管する自然公園法なりその他の法令による手続でもう一度チェックをしなければいけない場合もあるわけでございますから、その意味では先生のおっしゃいます具体的であるという点、どの程度の具体性で理解するかによってやや申し上げ方が違ってくると思いますが、確かに基本方針に比べれば基本構想ではかなり具体的になっております。
  87. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 愛媛の場合にも整備の対象地域一つに瀬戸内海国立公園が含まれているのです。その点からしますと、具体的にどこが何平方メートルというふうなことはまだ具体化されてないということ、それもよくわかるのですけれども、瀬戸内海国立公園がそっくり入っていると考えても間違いないくらいなのですが、その点をどういうふうに環境庁としては考えておられるのか。そして、ちょっと地元のことになって申しわけないのですけれども、これからどういうふうに具体的に対応なさっていかれるのかということをお聞きしたいと思います。
  88. 山内豊徳

    山内政府委員 リゾート構想の各県別の基本構想を、これまで既に二十以上になりますか、私ども意見を出させていただいておりますが、それを比べましても、実は国立、国定公園とリゾート構想との関係はいろいろなケースがございます。わかりやすく言いますと、ある県ではむしろ、国立、国定公園の区域は既にいわば一種の利用計画があるからそれ以外のところに新しいリゾート構想でエリアを決めようという、大きな意味では国立公園以外のところにリゾート構想をおつくりになった県もございます。しかし、かなり多くの県では、やはり県内で良好な自然環境の場を求めるとすれば国立、国定公園あるいは県立自然公園に近いところ、あるいは場合によっては一部重複してでも使いたいという御判断もあって、多くの県では国立、国定公園にかかわってリゾート構想をお決めになる場合がございます。  愛媛の場合につきましては、まだ私ども正式に協議を受けている段階ではないので個別的に申し上げるわけではございませんが、私もリゾート構想のすべてとは申しませんが、県下のあるエリアは、普通地域ではございますがかなり国立公園にかかっていることは認識しております。ただその場合も、先ほど御紹介しました基本方針を決める段階で私ども省庁とのいろいろな御相談がございまして、例えば先ほど問題になりましたゴルフ場のようなものは特別地域では一切認めない。その意味では、具体性があろうとなかろうとそういう構想が含まれたものは私どもとしては受け付けるわけにはいかないわけでございますから、これはないような仕組みになっております。例えば普通地域の中に何とか一定の条件の中でゴルフ場を整備したいというケースがある場合には、私ども、これは確かに広がりとか建物の高さは決まっていなくても、一つの自然公園の運用の問題として大切でございますので、かなりその点については少し濃厚な審査をすることはございます。  ただ、私の段階でまだ正式に御見解を申し上げる段階ではないかもしれませんが、愛媛の構想につきましてもそういう意味で私どもの所管します国立公園にかかわってくるものがございますので、その辺は事実上県の自然公園を担当しておる部局とは、事前のいろいろな情報をいただきながら、余り大きなところで私ども自然公園法上受けとめることができないようなことにならないように調整をしているのは事実でございます。そんなことから、先ほど過去の実例として申し上げましたように、一応この県の基本構想には同意をするけれども今後事業実施に際しては自然公園法の手続の中で個別に審査をさせていただきますということを、わざわざといいますか、念のためといいますか、国土庁の方に公式に申し上げたような実例もございます。
  89. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 そうしますと、基本構想の段階で協議する際に環境庁の方が考慮されるというのは、要するに、例えば国立公園、国定公園などの自然公園の区域、あるいは自然環境保全地域に含まれるような区域、その地域についてだけ環境庁としては考慮されるのか。一般の全く関係ない普通の地域の自然というものについては環境庁としては考慮の外に置かれているわけなんでしょう
  90. 山内豊徳

    山内政府委員 今私、特に私自身が自然保護局の所管の中で協議に対応していますものですから自然公園法のことを特に印象強く申し上げましたが、確かに全体の協議を受けとめる中で、みずから所管する法令の手続がその次にもう一回必要なものにつきましては、我々も事前にできるだけ調整しておくことがお互いにとって妥当で、ございますので、早目早目にチェックするわけでございます。もちろん環境庁はそのほかにも水質保全行政、場合によっては大気汚染行政、騒音行政どもやっておるわけでございますから、非常に一般的ではあるかもしれませんが、自然公園の内外を問わず、先ほども例示いたしましたように、海に対する汚濁水の排出とか、場合によっては道路の混雑なんかのことも念頭に置きながら基本構想を見させていただいております。  ただ、これは二つの面から、一つはその基本構想というのが先ほど言いましたようにどこに何を建てるということが必ずしも決まらないでもいい性格の面がありますことからと、もう一つは、これは尺度のあるものあるいは地域が決められておるものにつきましては私ども意見をはっきり申し上げることができるのでございますが、そうでないものについて一般的に意見を申し上げるとなりますと、実は先ほど国土庁からの御答弁にございましたような、最終的には都道府県知事さんの基本構想をおまとめになる過程での御判断に我々としても依拠せざるを得ない面があろうかと思います。  ただ、最近の実例で申し上げますと、特に自然公園法地域でもない、あるいは鳥獣保護区の地域でもないけれども、まあそのあたりに貴重な植物あるいは貴重な昆虫の生息が認められるというようなことがかなりはっきりしたデータで示されております場合には、そういうことについて私どもも十分関心を持って事前調整を進めたような例もございますし、先ほど例示も排水だけを申し上げましたが、その他の点についてもアメニティーの造成といった点からの私どもなりの感覚で物を見て御意見を申し上げたことはございます。
  91. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 よくわかりました。  そうしますと、環境庁といたしましては、先ほど国土庁の方にしたのと同じ質問になるのですけれども、基本構想というものが県から上がってきた場合に、ある区域が自然公園の中に含まれるか、あるいは自然環境保全地域の中に含まれるか、ある程度の状況というのは書類の上でもわかると思うのですけれども、それ以外に現実に環境に対するどのような影響があるかということを調べるために現地に行く、そういうお考えはないのかという点。  もう一つは、県から申請が上がってきた以上は、その中に地元住民の意思というものも既に反映されているものとお考えなのかどうか、この点お願いいたします。
  92. 山内豊徳

    山内政府委員 まず後段の方からのお答えになりますが、私どもとしましては住民の御意向がどういう形で盛り込まれたかということを環境庁行政の立場から審査する立場ではないと理解しておりますので、先ほど国土庁から御答弁ありましたように、国土庁なり主務省庁としてお受けとめになる基本構想としての妥当性は私どもは疑ってかかることはできない立場にあろうかと思います。  前段の方の現地調査云々でございますが、私どもとしましても、基本構想に対する意見を申し上げるために現地の調査をするということは、少なくとも過去の実例としては全くございません。  ただ、誤解があるといけませんが、先ほど来言っておりますように、みずから所管する国立公園あるいは都道府県に管理をお願いしている国定公園の中のことであれば、これは言いかえれば常時そういう状態を知った場所のはずでございますから、事前調整の過程で、ここはどういう場所であるかということを私どもが直接あるいは場合によっては同じ県庁の中でも自然公園法を所管しておりますセクションの者がその現地の状況を調べながら基本構想をまとめる、あるいは基本構想の国土庁なり場合によっては環境庁調整にデータをつけてくるということはございます。ただ、私どもが基本構想を審査するために現地を調査することは通常考えられないと思いますし、また少なくともこれまでの二十件を超える実例の中では全くございません。
  93. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 現在のようにリゾート法に基づくような国土の開発が進んで、自然が破壊されようとしている今、例えば自然公園に指定されているような区域あるいは自然環境保全地域とされているような地域だけが自然ではなくて、もっと私たちの日常の生活の中にある身近な自然というものもやはり大切にしていかなければならないのじゃないかと思うのですけれども、そのような観点から、例えばゴルフ場の面積を国土の何%とか県土の何%、いわゆる総面積規制というふうなことを今お考えになっていらっしゃらないのかどうか、国土庁の方と環境庁の方にお聞きしたいと思います。
  94. 岩崎忠夫

    ○岩崎説明員 ただいまお尋ねになりましたゴルフ場の問題につきましては、現在ですとそれぞれかなり地域性のある問題だろうと思います。環境に与える影響等もかなり地域性があると理解しておりますが、各都道府県の方でそれぞれ、こういったゴルフ場等の大規模な開発事業についてこれをどう考えていったらいいのかというので、その一部の指標に総量規制的な考え方を取り入れている県もありますし、またその必要を感じない県もあります。あるいはゴルフ場ごとに大規模開発事業として個々に環境アセス等を義務づけまして、それに基づいて環境面の配慮が十分であるかどうかを個別の事業に際してチェックする、いろいろなやり方があるだろうと思います。  しかし、私ども総合地域整備法を所管している六省庁といたしましては、ゴルフ場というのは私ども体系の中で特定民間施設の中のスポーツ施設の一つとして位置づけて考えていく、全体のリゾートの大きな整備方針の中で、先ほどから言っておりますように自然環境保全と十分調和のとれたような形でおさまっているかどうか、そういうようなことについて私どもいろいろチェックをいたしているわけであります。私ども地域の中で重点整備地区というのを設けてリゾート施設の整備を進めているわけでありますが、そこでゴルフ場しかないような重点整備地区というようなことは私ども考えておりませんで、全体の中にうまくきちっとおさまって、自然環境保全と十分調和されているかということについて見ているものでございます。
  95. 安原正

    ○安原政府委員 ゴルフ場の立地、建設に対します規制の問題でございますが、現在十九都県におきまして、地域の実情等踏まえまして開発の凍結とか県土面積中の割合の設定等による規制が行われておるところでございます。ゴルフ場につきましては、もう御案内のとおりでございますが、各地域の置かれている自然的あるいは社会的な条件が区々でございますので、このような規制につきましては、地元地方公共団体におきまして地域の実情を踏まえて適切に対応していただくのが最も適当ではないかと考えているところでございます。環境庁としましても、関係省庁とも十分連絡をとり、関係地方公共団体における取り組みの支援を含めまして、ゴルフ場問題には今後とも適切に対処してまいりたいと考えております。
  96. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 結局総面積規制については自治体に任せるというふうな形で、国としては特に今のところは考えていない。関与して自治体を指導していくとか、総面積規制の対処の仕方としてはそういうふうなお考えはないということなんでしょうか。
  97. 安原正

    ○安原政府委員 ただいま申し上げましたとおりでございまして、地域の実情に即しまして当該地方公共団体の方で適切な対応をしていただくのが最も適当ではないかと考えておるところでございます。先ほど来御議論がありましたように、国立公園とか国定公園特別地域でのゴルフ場の建設は、もちろん認められておらないところでございます。
  98. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 最後の質問に入らせていただきますけれども、私たちとしましては、リゾート法において、その基本方針を定める際にも、そして基本構想の承認をする際にも、環境を守っていこうという立場の協議を環境庁にしなければならない、このように定められているということは極めて意義があると考えておりますし、また私たちはそこに期待もしているわけなんです。また、それだけに環境庁としての任務は重大であると考えておりますけれども、今後この協議等に関して、あるいは環境庁の役割としてどのようにお考えになっておられるか、長官にお尋ねしたいと思います。
  99. 北川石松

    北川国務大臣 守都宮委員の自然環境を愛する考えの中に立って、リゾート法によってゴルフ場がつくられるときに環境庁長官は協議の中でどう対応するか、こういうことだと思うのでございます。協議をしなければならないとはっきりとうたっておりますので、環境庁といたしましては、自然環境を破壊しないように事前に十分な協議をして、そして環境を破壊することのないよう、その保全をするという観点から適切に対処してまいりたい、このように考えております。
  100. 宇都宮真由美

    ○宇都宮委員 期待しております。どうもありがとうございました。
  101. 戸塚進也

  102. 長谷百合子

    ○長谷委員 まず初めに、今法案の改正の趣旨は自然環境保全地域等における自然環境の適正な保全を図ることにあると理解いたしておりますが、それでよろしいのでしょうか。
  103. 山内豊徳

    山内政府委員 改正の大きな目的はそのとおりでございます。
  104. 長谷百合子

    ○長谷委員 その環境保全を図るために四輪駆動車スノーモービル等による動植物の生息環境破壊を防ぐという趣旨に反対するものではありませんが、それならば、国定公園である高尾山に大きなトンネルを掘り無数の車を公園内に通すということは、環境保全の立場からすると比べ物にならない大きな環境破壊をもたらす行為であるというふうに考えます。そうしますとこの行為法律改正の趣旨に反すると考えておりますが、いかがでしょうか、ぜひ長官の御見解を聞かせていただきたいと思います。
  105. 山内豊徳

    山内政府委員 経緯ということで私から答弁させていただきたいのでございますが、圏央道の問題はもちろんまだ私ども自然公園法の手続に入っていないケースでございますけれども、それ自身は東京都の段階におきましてかなり慎重な環境影響調査の手続を踏まえながら進められている事態でございます。一方、今回お願いしております改正というのは、先ほど過失不注意の議論もございましたが、いわば意図的にそういった動植物に損傷を与える行為規制でございます。その点はこれまでも既に捕獲とか採取は同じように罰則をかけられているということでございますので、現在の自然公園法の法体系の中で認めるべき道路とかトンネルといった事業に対する手続も決められておるということもございますので、この両方の考え方は私は法体制としてはなじんでいる事柄であるというふうに考えております。
  106. 長谷百合子

    ○長谷委員 私は、長官がいろいろなところで経済優先ではなくて環境保全する立場でやっていきたいということをおっしゃっておりますので、ぜひということで伺いたいと思うのです。長官の方の御答弁、ぜひお願いいたします。
  107. 北川石松

    北川国務大臣 長谷委員環境を大切にしろという御質問の中で、トンネルが自然環境を破壊するじゃないか、こういう御質問でございますので、この点についてはなおよく検討もしなくてはいけませんし、地域的に自然環境を破壊してその美を破壊することもよくないと思っておりますけれども、どうしても必然的にそれをつけなくてはならないというようなときもあるだろうと考えております。私としては今初めて聞きました問題でございますので、十分に一応皆さんの意見を聴取したい、このように思っております。
  108. 長谷百合子

    ○長谷委員 今初めてということでこの答えになるかと思うのですけれども、建設省、運輸省と違った立場で環境庁はやっていただきたいというふうにここでお願いいたします。  それで、建設省の方にお聞きいたしますが、具体的な圏央道についてお尋ねいたします。  一番最初に、進捗率はどのぐらいになっておりますでしょうか。
  109. 藤田忠夫

    ○藤田説明員 お答えいたします。  圏央道全体計画としましては、東京都心から半径四十キロないし五十キロメートルの地域に位置しておりまして、横浜、八王子、川越、成田、木更津等の近郊都市を連絡する延長約二百七十キロメートルの環状の高規格幹線道路でございます。この道路は、東名、中央、東北等の放射の高速道路から都心に集中します交通を分散導入するということで、首都圏の効率的な道路網を形成する上で非常に重要な路線でございまして、さらに都心に集中しております諸機能を再編成するというようなことで首都圏の均衡ある発展にも資する重要な道路であると考えておるところでございます。  ただいま進捗状況についてのお尋ねでございますが、先ほど申しましたように一都四県にまたがってこの道路は進んでおりますが、昭和五十一年に第三次首都圏基本計画で提唱された路線でございまして、建設省におきまして昭和五十四年度から本格的な調査を推進してきております。このうちで、並行します国道の混雑の状況とか地域開発の動向等を勘案しまして整備の必要性の高い区間から順次整備を進めてまいるというような基本方針に立って進めてまいっておりまして、まず国道十六号の混雑が非常に顕著になっております八王子市から埼玉県川島町間について早期に整備を図るために重点的に調査を進めております。埼玉県内の都県境であります入間市から川島町までの間、これが約二十八キロございますが、昭和六十一年三月に都市計画決定をいただいております。それから、東京都内分につきましては都県境の青梅市から八王子の国道二十号までの間二十二キロございます。これが昨年、平成元年の三月に都市計画決定をいただいたところでございます。この区間につきまして現在埼玉県内では、入間市都県境から鶴ケ島まで、関越道でございますが、につきまして用地買収中でございまして、用地は大体平成元年度末で面積にして五五%の契約済みになっております。なお、昨年から一部工事にも着手しております。また、東京都内の八王子市から青梅市の間につきましては、地元の測量、調査の地元説明会を行っておりますが、その了解が得られたところから測量と地質の調査を実施しておるところでございます。そのほかに、圏央道としましては、神奈川県内で横浜市の金沢区から戸塚までの九キロ、それから茅ケ崎市から厚木市の間二十一キロにつきまして、都市計画決定のための準備を進めております。茨城県内では筑波市から千葉県境までの二十九キロにつきまして、今月中には都市計画の手続に入ることができるという見通しでございます。その他、千葉県内とそれから各県のただいま申し上げませんでした区間につきましても、順次調査を進めておるところでございます。  以上でございます。
  110. 長谷百合子

    ○長谷委員 今、その中で二十号線から神奈川県境というところですけれども、都市計画決定を進めているというお話ですが、環境アセスも含めて、具体的にいつごろということで答えていただきたいと思います。
  111. 井上啓一

    井上(啓)説明員 二十号から神奈川県境までの都計並びに環境アセス、いつごろかというお尋ねでございますが、御指摘の二十号から神奈川県境につきましては、神奈川県内厚木市までの区間を含めまして国道二十号から厚木市国道百二十九号に至る十五キロを一つの区間といたしまして、都市計画決定及び環境アセスメントに必要な具体的調査を重点的に実施しております。今後調査を一層推進するとともに、東京都並びに神奈川県など関係自治体との調整を図りまして、できるだけ早い時期に都市計画決定の手続に入るように努めてまいりたいと考えております。
  112. 長谷百合子

    ○長谷委員 できるだけ早いということで具体的には決まっていないというふうに理解してよろしいですね。
  113. 井上啓一

    井上(啓)説明員 さようでございます。
  114. 長谷百合子

    ○長谷委員 それから、秋川市牛沼地区では地元説明会が済んでおります。しかし今もって測量、調査に入っていないということですが、一体これはどういうことなんでしょうか。計画自体に問題があるんではないでしょうか。
  115. 藤田忠夫

    ○藤田説明員 秋川市を含めました圏央道の東京都区内につきまして、平成元年度から測量、調査のための地元説明会を行っております。現在、全延長の九四%につきまして立ち入りの了解を得られておりまして、測量、調査を進めておるところでございます。  今御質問のありました秋川市の牛沼地区につきましては、平成元年九月に測量、地質調査の地元説明会を行ったところでございますが、当時この一部の地権者の方から立ち入りについて了解が得られていないという状況でございまして、私どもとしましては、できるだけ早く地権者の方に御理解いただいて測量に入りたいと考えております。
  116. 長谷百合子

    ○長谷委員 計画に問題があるんじゃないかというのはちょっとわかりませんでしたけれども、急ぎますので、では次に行きます。  八王子市高尾地区では説明会が三度も流会しております。地元の反対が大きいんじゃないでしょうか。どうしてこんなことになっているのか、ちょっと説明していただきたいと思います。
  117. 藤田忠夫

    ○藤田説明員 八王子の裏高尾地区につきましては、これまで関係地権者の皆さんに測量、地質調査の立ち入りの説明会を、最初に平成元年の八月二十五日にお願いしまして行いました。実はその後、平成二年の一月三十日それから平成二年の四月二十七日と、三回開催しております。説明会としましてはこのほかに、地権者以外の方も含めました地元の町会に対する事業説明でございますが、これを、ちょうど圏央道が通ります荒井町会と摺差町会に平成二年一月に説明会を行っております。  それで、説明会の件でございますが、今の荒井町会と摺差町会につきましては説明会は終了しております。ただ、御指摘のありましたように、関係地権者への測量立ち入りの説明会につきましては、どうも一部の方による会場での混乱というようなことで、三度説明を行おうとしましたが、いずれも実質的な説明、質疑を行うに至っていないというような状況でございます。この背景としましては、圏央道の建設による周辺環境への影響を皆さん方が心配しておられるためであろうというふうに認識しておるところでございます。  私ども建設省としましても、かねてから高尾山付近の自然環境保全は重要な課題であると考えておりまして、昨年の六月にトンネル検討委員会等学識経験者を含めた四つの環境に対する委員会を私どもの内部で設置いたしまして、より詳細な環境保全対策について検討を進めておるところでございます。事業の実施に当たりましては、これらの委員会の検討結果を踏まえまして十分な環境保全対策を講ずる方針でございます。今後地元に対する、関係地権者に対する再度の説明会を開催するつもりでございますが、その際にはこの方針の内容につきましても関係の皆さん方に御説明して、ぜひ御理解を得てまいりたいと思っております。また、より具体的な説明を聞きたいという方もおられますので、いろいろな機会をとらえて、説明会を開けなかったかわりに詳しく御説明してまいりたいというふうに考えております。     〔委員長退席鈴木(恒)委員長代理着席〕
  118. 長谷百合子

    ○長谷委員 そのことなんですけれども、五月の十三日の新聞報道によりますと、こういった流会が続いておるということで、地元への説明の方法を変えることを検討しているということですが、どういう内容でしょうか。まさか説明会をやめて戸別訪問でやるというようなことなのじゃないでしょうか。それを確認しておきたいと思うのですけれども
  119. 藤田忠夫

    ○藤田説明員 測量並びに地質調査についての個人の方への土地への立ち入りの調査でございますので、個人の御了解を得られればよろしいわけでございますが、そういうことで内容をもう少し聞きたいという方があれば、個人の方にも御説明してまいりたいと思っておるところでございます。
  120. 長谷百合子

    ○長谷委員 要するに、どうだかちょっとよくわからなかったのだけれども、例えば戸別訪問でやるということは、今は選挙法なんかでも非常に裏取引というようなことが行われる可能性がありますので、あくまで公式な、相当大きな集会でやっていただきたいということをここで重ねてお願いをしておきます。  それと、先ほどトンネル検討委員会、そういうものができまして、今度のことしの予算なんですけれども、高尾山部分にトンネルを掘る、この工事についての予算はどういうふうになっていますか。具体的に要求されているのですか。
  121. 藤田忠夫

    ○藤田説明員 高尾山を含めます国道二十号から中央道の間につきましては、これまで都市計画は済んでおるのですが、まだ事業化していなかったところでございます。今国会で審議していただいています予算が成立いたしますれば、この間についても事業化して測量、調査等に入ってまいりたいと考えております。なお、この間は、都市計画では先ほど申しましたように中央道の以北の部分と一体として機能する区間でございまして、当然事業を進める必要がある区間であると考えております。  それからトンネルにつきましては、主として一番重要なのは地質調査であろうと思いますが、これはできるだけ早く調査を行いまして、対策工法についても十分検討をして、その検討に時間をかけて万全の態勢でトンネル工事に着手したいというような方針でおります。  以上でございます。
  122. 長谷百合子

    ○長谷委員 そうすると、具体的に幾らとか、そういうことは出てないということですね。
  123. 藤田忠夫

    ○藤田説明員 まだこのトンネルの調査費が幾らというような形では決めておりません。これからの問題でございます。
  124. 長谷百合子

    ○長谷委員 それからアセスメントのことですが、アセスメントの基準として用いられた資料が一九八〇年度のものであるということですけれども、今の社会は非常に大きく変わっている時代でありまして、例えば自動車保有台数だけでちょっと言ってみますと、これは一九八〇年度ですと三千七百万台、これが一九九〇年度は五千八百万台になるだろう、こういったような大きな変化がある。こういった状況でございまして、現在南浅川の地域もまだアセスがやられてないわけですけれども、このアセスがやられることになりますと、要するに今度使われる資料は、ことしのものが使われるということにはならないかもしれませんけれども少なくとも一九八〇年のものではないというふうには理解するのですけれども、そういうところの一貫性というか矛盾というか、古い資料に基づいたアセスというものが今後も有効なのかどうか、こういった大きな問題があると思いますのでアセスメントをぜひやり直さなければいけないんじゃないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  125. 井上靖武

    井上(靖)説明員 お答えいたします。  首都圏中央連絡自動車道のただいま先生が御指摘になっておられます高尾山の区間を含みます区間の環境影響評価に当たりましては、人口それから自動車保有台数などの自動車交通に関連する社会経済指標、これをもとに西暦二〇〇〇年の交通量を推計したわけでございます。この推計値をもとに環境への影響を最も妥当な方法で、技術指針とかによりまして予測評価したものでございまして、アセスメントは適切なものと考えております。  先生ただいま自動車保有台数の伸びが近年非常に著しいということで御指摘いただきましたけれども、現時点では、自動車保有台数の伸びが予測に用いたものより若干大きく推移しておるということはございますが、実態の道路交通量をあらわす自動車の走行台キロ、これに関しましては、一台当たりの走行距離の低下等がございまして、予測に用いた伸び率とほぼ同程度で推移しておるということでございます。したがいまして、交通量の予測が大きく異なっておるというふうには考えておりません。
  126. 長谷百合子

    ○長谷委員 これは私も自動車の台数だけで一応説明しましたけれども、そうじゃなくて、この地域に実は圏央道を見越して大規擬な開発というのが計画されているわけです。そういたしますと、この地域自体に対して全国的な——台数とか、何ですか今おっしゃったのは、運行している距離が短くなったとか、そういうふうなことじゃなくて、この地域において非常に大きな交通増加というものが起こるんじゃないかということを大変心配しているのですけれども、その計画は、秋留台なんかも含む秋留台新都市計画というのとそれから秋川市などを中心としたニュータウン構想、こういったものが見込まれていなかったと思うんですね、前のアセスのときには。そういったことで地域特有のことに関しましても大変大きな変化があるんですけれども、その辺のところはどういうふうに評価されますでしょうか。
  127. 井上啓一

    井上(啓)説明員 先ほど環境対策室長がお答えしましたように、首都圏中央自動車連絡道の計画に当たりましては、国の社会経済フレームとか関係自治体の長期計画をもとに計画を策定しております。なお、関係自治体の長期計画の中で開発計画については考慮されております。このようにして、交通量には開発計画が加味されておりますので、圏央道とそのアクセス道路を整備するということによりまして交通集中を避けるというようなことで、圏央道の計画を立てておるところでございます。  先ほど先生の御指摘の秋留台の計画でございますが、私ども新聞報道では承知しておりますけれども、私どもの方としては、その開発計画、まだ熱度が考慮するまでに至ってないというように認識しておるところでございます。また、そういうことで、現在のところは地方自治体の長期計画の中に含まれている開発計画によって計画を立てているということでございます。
  128. 長谷百合子

    ○長谷委員 そうすると、それはもう全く具体的には何もないというふうに理解しておいていいですね。
  129. 井上啓一

    井上(啓)説明員 私どもで承知している限りでは、まだ具体的になっていないというふうに認識しております。
  130. 長谷百合子

    ○長谷委員 そうしましたらもう一つ、多摩地域総合整備調査というところで出した東京大都市圏西部地域整備構想というのがあるんですけれども、これについてはどのようになっておりますでしょうか。
  131. 井上啓一

    井上(啓)説明員 この調査は、今先生の東京大都市圏西部地域整備構想調査ということでございますが、六十三年度に国土庁が、東京大都市圏の西部地域における業務核都市の育成整備を図るための東京大都市圏西部地域として多摩地区、神奈川県西北部、埼玉県西南部を一体の地域としてとらえるとともに、立川、八王子、多摩ニュータウンセンターの三極による多摩中枢都市圏を形成するための重点プロジェクトの戦略的な展開や広域行政体制の確立等を提唱しているものであるというふうに聞いております。そういうことで、個々のプロジェクトの具体の計画を策定しているものではないというふうに承知しております。  以上でございます。
  132. 長谷百合子

    ○長谷委員 具体的にはされてないとしても、こういう構想自体は確定していると思うのです。そうしますと、これもやっぱり物すごく大きな交通量の変化というものが当然起こってくると思うのですけれども、こういったことがこの圏央道に関してのアセスメントとどういう関係にあるのですか、全く無視して何も加味されていないということで理解してよろしいんでしょうか。
  133. 井上啓一

    井上(啓)説明員 今地方自治体で持っておる長期構想の中で具体的に構想が出ているような開発計画については、当然含まれております。それから、まだその構想が具体化していないというようなことで私どもとしてはまだ承知してないようなものについて、これから大規模な開発が具体化するというような場合には、その必要な幹線道路網を追加拡充して、その必要な道路網計画を進めるという必要があるというふうに認識しております。  以上でございます。
  134. 長谷百合子

    ○長谷委員 そうしますと、具体化した段階では交通量等のことに関してもやり直す、アセス全体を見直すという可能性もある、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  135. 井上靖武

    井上(靖)説明員 お答えいたします。  ただいまそのアセスメントを実施いたしましたところにつきましては、国の環境影響評価要綱あるいは都の条例に基づきまして正規の手続を踏んで行ったものでございまして、この手続そのものをもう一度やり直すということはあり得ないというふうに考えております。  以上でございます。
  136. 長谷百合子

    ○長谷委員 でもそれはおかしいじゃないですか。だって手続を踏んだからといったって、環境が全部すっかり変わってしまったらやり直すというのは当然じゃないかと思うのですけれども
  137. 井上靖武

    井上(靖)説明員 先ほど道路経済調査室長の答弁の中にありましたように、今その予測に取り入れられてないいろんな社会経済状況が変化した場合にはまた新たな今の圏央道とは異なる道路網の新しい計画といったものが必要であるというふうなことも申し上げましたし、それから、仮に道路の供用後におきまして、この圏央道の供用後におきまして通過交通量の推計値等が変化しまして環境に著しい影響を与えるというようなことになりました場合には、環境保全のための措置の強化等について総合的に考えるということになろうかと思います。
  138. 長谷百合子

    ○長谷委員 今ちょっと説明がややっこしいのでわからないので、アセスのやり直しをする可能性があるというふうにおっしゃったんですね。
  139. 井上靖武

    井上(靖)説明員 既に実施いたしました環境アセスをやり直すということは考えておりません。
  140. 長谷百合子

    ○長谷委員 こういった形で地元の反対運動も含めてですけれども大変難しい大きな問題がたくさんありまして、こういった状況の中で圏央道の建設を進めるということ自体が大変無理だというふうに思います。そして、やはり無理を押し切ってやるような計画というのは、しかもこの問題になっているところが裏高尾の地域でいいますと本当に大きな環境破壊ということでございますので、ぜひ計画を中止していただきたいというふうに思うのですが、そういったことに対してはどのようにお考えでしょうか。
  141. 藤田忠夫

    ○藤田説明員 地元で環境問題に関して反対があるということは十分承知しております。ただ、私ども残念なことは、私どもの説明をまだ一度も聞いていただけないという状況で推移しているということでございまして、引き続き地元の方々に私どもが考えております対策を十分説明させていただいて事業を進めていきたいと思います。最初にも申し上げましたように、この圏央道、首都圏にとりまして非常に重要な道路でございます。ぜひ地元の皆さんの御理解をいただいて、早期に道路を整備してまいりたいというふうに考えておるところでございます。  以上でございます。
  142. 長谷百合子

    ○長谷委員 要するに、ここで議論しても始まらないのですけれども、確実に環境が壊れる、その程度のことでも議論があると思うのですけれども、そういったことはここで置きまして、次の鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律についての改正説明の中に、沖縄県の崎山湾で新聞社の写真部員がサンゴの表面にKYなる文字を刻みつけた、こういうことをもってこれらの行為規制する趣旨というふうに書いてありましたけれども、このサンゴはどうなりましたでしょうか。サンゴは回復しましたか、それとも死滅しましたでしょうか。
  143. 山内豊徳

    山内政府委員 お話のございました現地の自然環境保全地区の海の中のアザミサンゴにこれは故意に文字が刻まれた事件でございますが、これにつきましては先ほども御答弁申し上げましたように、権限を持っております沖縄県当局で厳重な注意をするとともに、事後措置ということで、その後約一年間たった時点での現状の確認を当事者に求められました。その結果は、一般に新聞報道されましたとおりでございまして、私もその現状報告で撮影されました写真をじかに拝見させていただきましたが、確かにそのつもりになって見なければ文字の跡がわからないように治っていたことは私も写真から判断いたしましたが、ただやはり写真を精査して見れば傷つけられた跡が残っているということはわかる程度の状況でございます。ただし、傷つけられた部分がかなり回復したというような様子は認められております。私も写真を通じて確認しております。
  144. 長谷百合子

    ○長谷委員 要するに回復しているんですね。  私はここにいろんな、WWFJとか、それからアメリカの海洋生物学者のキャサリン・ミュージックという方の研究されたものをいろいろ持っておりますけれども、こういった中に、この間沖縄が、時期的にいうと復帰の後ということになるかと思うのですけれども、大きな開発が行われまして、それに伴う赤土が海面に、海の中に流れ込みまして、そのことによってサンゴが直接死んでしまう、あるいは生態系のバランスが崩れまして、オニヒトデと言われていますけれども、そういったことが起こりまして、大変大きなサンゴの被害というものが出ているということを知っております。一説には九〇%とも九五%とも言われているのですけれども、こういった大きな破壊に対して目を向けないで、やはりこういう小さな、決して褒められたことではないけれども、しかし比較してみればどちらが大きな、重大な問題であるかということは明らかであると思うのですね。こんなことでは、とても世界的な規模での環境破壊と、これに対して防御しなければいけないという環境庁自身の——長官自身もそういうふうにおっしゃっていると思うのです。先ほども申し上げましたけれども、本当に経済問題ではなくてやっていかなければいけない。環境庁長官に就任されたのは天命のようだというふうにおっしゃっていることも私知っておりますので、その辺のところを含めてぜひ、つくる側はつくる側で、建設するとか経済優先ということではなくて環境保全するという立場での長官の御見解というものをぜひとも伺いたいのですが、お願いいたします。
  145. 北川石松

    北川国務大臣 長谷委員の、環境保全に関して大変熱心なる私に対しましての御鞭撻をもらったと思っております。と同時に、今サンゴ礁の問題を初めとしていろいろと環境保全ということでの御質問でございますが、長官といたしまして特に私は、やはり経済も大切でありますけれども、生きとし生けるものが環境を損ねてしまって、それが大きな大きな地球の病んでいる形になっていることも事実でありますから、環境保全については今後前向きで、野球で言う全力投球をしたい、こんな思いでございます。
  146. 長谷百合子

    ○長谷委員 ぜひとも今後ともいろいろ期待をいたしておりますので、お願いいたします。  それともう一つ、最後に具体的なことでお聞きしますけれども、沖縄県の新石垣空港の建設予定地が、昨年の四月二十六日に白保海域からカラ岳東海域に変更されて、その白保海域の跡のところに海中公園をつくるという計画が進められていると聞いております。これはそのとおりでよろしいのでしょうか。
  147. 山内豊徳

    山内政府委員 白保の旧空港予定地の南側にございますアオサンゴあるいは固まりのハマサンゴを中心とするサンゴ礁につきまして、私どもとしましてはぜひ国立公園海中公園地区にしたいと考えておりまして、できるだけ早い機会にこれを実現するように、これは手続の過程としては、沖縄県当局あるいは石垣市当局の協力といいますか、同意を得なければできないことでございますが、ぜひこれは進めたいと考えておるところでございます。
  148. 長谷百合子

    ○長谷委員 海中公園計画ということで、それは環境保全するという視点に立ったものであるというふうに評価いたしますけれども、しかし、それであるならば、カラ岳東に移した——カラ岳東と白保海域というのは地形的にもそれから生態的にも非常に同じ、つながっている、一つのものであるというふうな調査になっております。これに対しまして白保海域を保全するということをやりましても、カラ岳東を開発してしまえばやはり全体の一部だけ守って一部を壊してしまう、こういうことですと全体が守れないというのは明らかであると思うわけですね。それでは環境保全は全く達成されない、こういうふうに私は思っております。  それで、この問題、沖縄の石垣空港の問題に関しまして前の環境委員会のときに岩垂議員が質問した最後のところで、長官がこの問題についてはよくよく調査してみずから考えてみたいというような御発言もあったと記憶いたしておりますので、このことにつきましてもぜひ長官御自身の率直な御見解をお示しくださいますようお願い申し上げます。
  149. 北川石松

    北川国務大臣 ただいまの委員の御質問でございますが、さきの委員会で岩垂委員の御質問のときによく調査するということを申し上げましたのは、土地転がしの問題があのときの御質問にございまして、それで私は、あのとき初めて聞いたものですから、このことはよく調査したいということを申し上げました。ただし、サンゴ礁の問題につきましては、環境庁としてはやはりこれの保全ということに全力を挙げてまいるように指示しておることは間違いございませんので、その点を申し上げておきたいと思います。
  150. 長谷百合子

    ○長谷委員 ちょっと期待外れで、私は大変大きな期待を持っておりますのでぜひあれなのですけれども、それで、あれからちょっと時間もたって調査されたと思うのです。今私が伺ったのは、要するに大きな一つのつながりのところの片一方を守って片一方を壊せば、やはりこれは全部壊れてしまう可能性が大きいですよね。そのあたりはどうでしょうか。
  151. 山内豊徳

    山内政府委員 この点はかねがね国会でも論点になっておりますので私から申し上げさせていただきたいのでございますが、旧空港予定地、アオサンゴ、塊状ハマサンゴを中心とします旧予定地の集落は、実は私どももわざわざ異例の実地調査を環境庁みずから行いまして、石垣島二十二カ所の地点の中でも非常にすぐれた組み合わせを持ったところで、そういうところから実は国立公園の海中公園にでも当然すべきであるという判断を持ったのはそのとおりでございます。  ただ、カラ岳東の予定地につきましては、詳細は避けますけれども、地形的にもという話でございますが、お言葉を返すわけではございませんが、地形的には確かにサンゴ礁のリーフはつながっておりますが、その間に轟川という川がございまして、それ自身は、非常に残念なことなのでございますが、上流からもかなり土砂の流出もございます。それから、実は私も現地を一日かけて踏査したのでございますが、この轟川の土砂が北へ向かって流れているという実情がございます。そんなことで、私自身の感覚から言いましても、轟川の土砂流出部をまたがって海中公園、国立化するという感覚はちょっと私はとりませんし、その後、帰りまして部内の海中公園の専門家にも相談しておりますけれども、やはり海中公園地区として考えられるのは旧予定地を中心とするエリアではないかということでございます。  ただ、幾つかの団体から非常に御懸念が出ておりますのは、カラ岳東の新しい空港の工事が南側に及べば、結局今先生がおっしゃいましたようなアオサンゴあるいは塊状ハマサンゴを地域とするところにも影響が出てくるのじゃないかということでございますけれども、これは私ども、今申しました現地調査及び航空写真その他によって専門的な分析をした結果、そのあたり考えまして、今言いました轟川の土砂の状況からいってもその工事の影響がもろにアオサンゴの方に及ぶということはないという判断は、私どもは今のところ自信を持って持っておるつもりでございます。
  152. 長谷百合子

    ○長谷委員 世界的な規模が起こる環境破壊、これから人類すべてにかかわるかと思うのですけれども、こういった問題に対して環境庁が本気で、長官はあちらこちらのところでそういったことを言っておられますので私は期待をいたしておりますが、環境庁は、これまでの経済優先といいますか、そういった形でやられてきた今までの日本社会日本だけではないですけれども日本社会のあり方に対して今後きちっと環境を守る立場でもって行政を指導していかれるということがおありなのかどうか、また長官御自身ということで申しわけないのですが、ちょっとその決意と抱負といったものも含めましてぜひお聞かせ願いたいと思うのです。
  153. 北川石松

    北川国務大臣 委員環境を守るための長官としての決意ということの御指摘でございますが、私は、この生きとし生ける万物の大自然を損ねてきた今までの人間の英知といいますか、どん欲さといいますか、経済発展の中に大自然を破壊してきたことは否めない事実であると思っております。それがために、これからの人間の英知あるいはケミカルといいますかサイエンスといいますか、いろいろなものがこれから地球環境保全をし、やはり二十一世紀にいい地球というものを、病んでいる地球を治していくだけの情熱と真心がなくてはいけない、こんな思いをいたしておりますので、この任にある間は誠心誠意当たっていく決意であります。
  154. 長谷百合子

    ○長谷委員 大変うれしく思いましたけれども、ということは、場合によってはそういう経済優先、具体的な例でもこの石垣空港のこともありますし、リゾートのこともあります、きょう先ほどもやっておりましたけれども、そういったことに対して、あるところでは敵対してでも環境を守っていく、そういう決意かどうか、もう一度確認させてください。
  155. 北川石松

    北川国務大臣 今敵対してでもという御指摘でございますが、私は環境庁長官を拝命したときに中和という言葉を使ったのですが、敵対はまたそこに被害を生んでまいりますから、私は、できればそこにお互いが理解の上に立って経済環境も両立していくところの政策をやはり推し進めなくてはいけない、このような思いをいたしております。
  156. 長谷百合子

    ○長谷委員 敵対という言葉は全く不適当だったというふうに私、今撤回させていただきますけれども、調和というような一般的なことはこれまでもよく言われてきたことだと思うのです。その一般的な言い方の中では解決しなくて、ここまで環境破壊が進んできてしまったのが現状でございますので、もしそういうところで、どういいますか、敵対と言ったのは間違いですけれども、どちらをとるかというようなことになったときに、環境保全を優先する、そういうお気持ちがおありかどうか、このことでございます。
  157. 北川石松

    北川国務大臣 重ねての御質問でございますが、調和でなくして私は中和と言ったのは、酸性がきつければアルカリを持ってきて中和する、こういうふうにやはり環境というものは中和が大事だなという思いをいたしておりますし、例えば通産省と環境庁がぶつかり合っても、その中にやはりよりよい高い点を生むところの英知を傾けなくてはいけない、こういう思いを申し上げておる次第でございますので、どうぞよろしく御理解していただきたいと思います。
  158. 長谷百合子

    ○長谷委員 もう少し何か聞けるかと思いましたけれども、非常にちょっと……。  今後とも環境保全するという立場で行政を推し進めていただくように心からお願いして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  159. 鈴木恒夫

    鈴木(恒)委員長代理 岩垂寿喜男君。
  160. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 最初に自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案を昭和四十八年六月二十八日の環境委員会で議論をいたしまして、その際に附帯決議がついています。幾つかの項目がございますけれども、これらの附帯決議がどんな形で生かされているかということについて、環境庁はこの法案を提案する前提としてお考えになったことがあるかどうか、点検をしたことがあるかどうか、それらについてもし御答弁がいただければいただきたいと思います。
  161. 山内豊徳

    山内政府委員 この点は、附帯決議そのものの一項一項について非常に積み上げた検討はしていないのは事実でございます。と申しますのは、今回は罰則の規定の整理ということもございまして、その点の技術的なことと、車馬乗り入れにつきまして社会的な実態を反映するということでございまして、またある意味では自然公園法そのものの非常に大きな改正についての議論をしなければならぬという機運も背景にございまして、個々の点検はしていないつもりでございます。
  162. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 附帯決議というのは満場一致で成立をした国会の意思でもございますので、立法府の意思でございますので、いわば法律の性格を特徴づけるものでもございます。十分でないことを補完していくというこれからの期待というものが込められているわけでございます。きょうはそのことに細かくは触れません。そういう意味ではぜひ、附帯決議と言われるものがどのような形でフォローされていくのか、それが法律改正などの機会にどういう形で生かされたかということなどについても、今後とも御指摘がいただけるような御配慮をいただきたい、こんなふうに思うのです。これは実は国会全体のことなんですけれども環境庁だけの問題ではないのでここで申し上げるのは酷でございますが、附帯決議というものがある以上は、行政はそれをいつもフォローして実現に向かって努力をしていくという御努力をお願いしたいものだというふうにとどめておきたいと思います。  実は、この間国立公園協会の創立六十周年に当たっての財団法人国立公園協会からいただいた冊子がございます。公園行政のことについていろいろな資料といろいろな見解がずっと述べられています。その中で、これは環境庁関係の人ではなくて、東京農業大学の御存じの江山さんが「七〇年代における自然公園の課題」ということで昭和四十五年に書いた原稿なんです。その中で幾つかの問題を指摘しています。  きょうは細かくは言いませんけれども、第一は、利用の規制に関する問題。元来自然公園というのは、自然を基調とし、これに対して保護と利用の相反する二つの目的を持つ空間だ。だから自然というものを大事にしていくためには、特定の区域で見られたような過剰利用というものを考えてみなければならない。例えば、自動車がふえていく、だから駐車場を幾つつくるというような発想ではなくて、逆に、ふえていくことは前提なんだが、だとすればそれを守るためにどうするのかということなどが考えられなければいけないということ。  第二の問題は、自然公園体系の再編成の問題であるということ。これはもう私から申すまでもございませんけれども、海中公園が加わり、そしてその上に国立公園、国定公園、都道府県立自然公園という種類がございます。これは縦割りということになっている。そういう体系のあり方自身ももう一遍見直してみる必要があるのではないか。公園が持っている性格というものをきちんととらえた上で、例えばここでは尾瀬と箱根などの特徴を挙げています。そういう問題の立て方で自然公園に対する行政のあり方というものを問い直してみる。これは私自身も尾瀬などでしみじみ感ずる問題です。そういう点をぜひ考えるべきだと指摘しています。  第三の問題というのは、自然公園区域の再編成です。これはアメリカやカナダの例を引いてありまして、それぞれ特徴を持った公園を、地域がつながっているのに三つぐらいの公園にしている。そして、それぞれの特徴を生かしている。あるいは切らないで一つのものにまとめてしまう。そういう形で、公園の機能というものを軸にして区域を特定している。これらも日本公園行政の中で検討に値することではないかということを指摘しておられます。  第四は、自然保護に関する法制、法律国民の意識の問題だが、自然を守るという以上は、そこにすみついている例えば鳥であるとか魚であるとか、そういうものをきちんと捕獲できないようにして、自然そのものをトータルな生態系としてとらえていく思想が必要だ、こういう問題指摘をしておられます。私は非常に卓見だと思います。  そういう意味で、長い公園の歴史があるわけでございまして、私も少し勉強させていただきますと遠い遠い歴史にさかのぼるわけですが、そういうことをトータルとしてとらえ直していく視点が今求められているのではないかと思いますので、これは一遍環境庁の中で御議論をいただきたい。そして公園行政のあり方についてもう一遍点検をし対応をしていく、このことをお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  163. 山内豊徳

    山内政府委員 今先生がお挙げになりました論文、幾つかの論文の中で、トータルに考えなければいけない、時間の中で考えなければいけない自然公園の問題を非常に要点よくとらえた論文だと私も最近読んだ記憶がございます。ただ、同時に御披露させていただきたいことは、その議論は実は私ども局内の長く国立公園をやっております者の心の中に非常にこもっていることでございます。そういう意味では、私自身が日々の業務の中でいわば問われている問題でもございます。ただ、これは先生指摘のように、形をはっきりさせて行政的な将来の持っていき方として検討しなければいかぬ時期であることは私も感じております。自民党の環境部会の中にも自然公園等充実小委員会ができたり、あるいはまた私ども自身、自然環境保全審議会の中で一年八カ月かけて利用のあり方を答申をいただいたのですが、実はそれを具体化する手だてについて平成二年度ではまだほとんど手をつけ切れない問題がございます。その中で先生指摘の方向で局内での議論をまず尽くすこともこの際御答弁させていただきたいと思います。
  164. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 審議会のことを次に言おうと思ったのですが、山内さん要領よく先に触れてしまって、しかも頭を下げられてしまったのでは、あと文句は言えませんけれども。こういう法律を直すときにそういうものがどこまで生かせるか。それは一〇〇%とは言いません。やはり一つ一つ積み上げていく御努力をぜひお願いしたい。つまり公園行政というのは国民のある種の協力がなければできない仕事でございます、何事でもそうですけれども。その点ぜひ具体的にそういう作業に取り組んでいただきたい、そのことをお願いを申し上げておきたいと思います。  実は、きょうはそのことだけではないので、日本の自然、緑、森林を守るために公園という形でカバーしているわけですけれども、おととい、国際熱帯木材機関、ITTO、横浜に事務所がございますが、その第八回理事会でいろいろな議論が行われまして、西暦二〇〇〇年までに熱帯木材の貿易は再生が可能な状態で営まれる森林に限られるという活動計画が決められたことを私は新聞で拝見したわけでございます。これについて日本はどんな対応をなさったのか、そしてそのいわば決議に対して、それを国内で具体化していくための御努力をなさるおつもりかどうか、この点の御答弁をいただきたいと思います。
  165. 石川薫

    ○石川説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、国際熱帯木材機関の理事会が、この十六日から二十三日までインドネシアで開かれました。先生指摘のガイドライン採択は満場一致でございます。この国際熱帯木材機関、ITTOと申しますけれども、これこそは生産国、消費国のみならず、関係の業界の方たち環境団体のいわゆるNGOの方たちの四者の、四位一体と私どもよく言わせていただいておるところでございますけれども、四者が一堂に会しまして、議論は大変真剣、率直なものがございます。同時に、プロジェクトも具体的なものを推進させていただける場として、国際機関では極めてユニークな特色を持っておりますし、意義も深いと認識しているものですから、先生御承知のとおり本部も我が国に誘致させていただき、実はこれまで強く支援させていただいてきている機関でございます。  先生指摘のガイドラインの議論を含めて数年かけて各国専門家からつくっておりましたけれども、我が国も率先してこのガイドラインを今後の各国政策に反映させるものとして推してきた経緯がございます。再生可能な森林からの輸入という先生指摘の点は、まさにITTOが目的の一つの柱として掲げている点でございますので、技術的な問題がいろいろあるようでございますけれども、私どもとしても関係国と、研究とか人づくりとか共同して進めておるということでございます。今後ともこのITTOを大いに私ども支援していきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  以上でございます。
  166. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 日本は、この決議が理事会で採択されるときに賛成だという意思表示をなさったわけですね。
  167. 石川薫

    ○石川説明員 お答え申し上げます。  これは採決に付されませんで、議長の方から異議ありませんかということで、各国異議なしという形でございました。
  168. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ということは賛成だと受けとめておきたいと思います。  実は私もびっくりしたのですが、世界の丸太の貿易量における日本の輸入割合というものは、これは一九八二年の統計ですから今日どうなっているのかわかりませんけれども、実に四二%輸入しているのですね。世界最大の木材輸入国になっているわけです。地球環境を守るためにとかあるいは温暖化対策をどうやるかということの特効薬は、やはり緑の再生あるいはそれを破壊から守るということに尽きていると思うのですが、外務省、これに対する具体的な手だてを少しは考えていらっしゃるのかどうか。それから、林野庁も諮問機関を置いて、大来さんが座長でそんな形で議論をなさっていらっしゃるということを伺いましたので、両方から伺っておきたいと思います。
  169. 石川薫

    ○石川説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり世界の南洋材、いわゆる熱帯木材の貿易の中で、丸太換算ですと日本は約四割を占めていると私ども承知しておりまして、主に東南アジア方面から輸入させていただいていると承知しておりますが、先ほどの再生可能な森林との関連で申し上げますと、私どもはITTOの中でこういう問題きちっとしていきたいと考えております。ちょうど一年前の理事会、アフリカの象牙海岸で開かれましたのですが、その場で我が国が実は率先いたしましてマレーシアのサラワク州というところにITTOの調査団を送らせていただきました。そこの貿易実態等、あるいはその価格的な問題点等を調査して、その結論がようやくまとまりまして今回の理事会に提出されて、この秋に横浜で開かれる理事会で検討される予定になっております。私どもは、そういったことを踏まえて対処していきたいと考えております。
  170. 田中正則

    ○田中説明員 先生御案内のように、既に熱帯林では一千万ヘクタールくらいのスピードで毎年減っております。そんなことでこの大規模かつ急速な減少といいますものは地球規模の環境問題としてもかなり重要であり、早急な対策を要することと認識しております。このため私どもは、今までも熱帯林の保全、造成に資するために専門家の派遣でありますとか研修員の受け入れ、あるいは技術協力、資金協力といったような多彩な協力を実施しております。また、先ほど御指摘ございましたITTOあるいはFAOといったような国際機関への協力も行っておるところであります。したがいまして、今後林野庁といたしましては、これまでの海外林業協力の実績などを踏まえまして、現存する森林の適正な保全、利用、あるいは失われた森林の可及的速やかな復旧といったようなものに取り組んでまいりたいと思っております。  先ほど御指摘いただきました熱帯林問題に関する懇談会でございますが、これは実は熱帯林問題が非常に複雑多岐にわたるというようなことから多面的な検討を要するということで、昨年の十月、林野庁長官の私的諮問機関として大来先生を座長といたしまして発足いたしております。その中でいろいろ御議論いただいておるのですが、それの中間報告というような形でこの五月三十日にはまとめていただけるようにお願い申し上げておるところであります。
  171. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 五月三十日に発表するのに中身を言えというのは無理ですからそれ以上申しませんが、個人的には、林野庁が私とのやりとりの中で北上山系のブナの原生林や知床の原生林を残していただいた努力などについても敬意を表したいというふうに私は思います。しかし同時に、実はいろいろな形で指摘をされていますけれども、いろいろな外国の文献なんかにも出ていますけれども、木を切るのは、一本切ればそれは統計の上で数字は出てくるけれども、周りの生態系を構わずに一本切ってしまえば周りの生態系が全部育たなくなってしまう。それだけではなくて、運び出すときにそれを引っ張り出すものだから周りの生態系も全部壊れてしまうというふうな、木の切り方の技術などを含めてやはりきちっと技術指導をしなければいかぬし、再生ということはそう簡単にできることではない。だから、再生が速いからそれでは速い木を植えればいいというだけのものではないように私は思うのです。  実は私も経験をしたことがございまして、一番速いのは何だというとコアラの食べるユーカリ、ユーカリの中にかなり速い木があるぞといって、私ども緑の地球を守るということで運動に取組んできたものですから、やってみたのだけれども、それだけではどうも需給の関係もあるし、そういう単純な植生だけではどうにもならないということがあるので、そういう技術的なことを、これは申しわけないですが環境庁長官、やはり国際的な問題でもございますので、関係省庁きちんと集まって、そして林野庁の答申が出れば、外務省の方が秋の会議があるわけですから、具体的な対応について世界に示すことができるような努力の方向というのを出していただけないでしょうか、御答弁をいただきたいと思います。
  172. 北川石松

    北川国務大臣 ただいまの岩垂委員の熱帯林また生態系等を含みながらいろいろの御指摘を受けまして、環境庁といたしましても、各省庁の連絡もとりながら、しかもこれは世界的な問題でもございますし、今五〇%ほど輸入しているらしゅうございますから、そういういろいろな意味から、これから、やはり日本がやり玉に上げられていくだけでは好ましくないと思いますから、各省庁と十分連絡をとって前向きでこれに対処していきたい、このように考えております。
  173. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは例えば西ドイツなんかが債務の帳消し、熱帯林を保護するならもう返さなくていいよというようなことだとか、国際的な熱帯林再生資金みたいな、ファンドの提案みたいなものがあちこちで行われております。そういうことについても日本政府としての対応をぜひお願いしたいというふうに思います。  実は私の県の神奈川でございますが、神奈川県として知事が再生紙利用の問題について、隗より始めよというわけで県庁の中で取り組むことにしました。それで、従来のように一般の紙だけではなくて、例えばコンピューターで使うOA用紙ですか、そういうものも含めて再生紙でいこうということになりました。ここで非常におもしろいのは、私がすばらしいなというふうに思うのは、私は長洲さんが友人だから言うわけではないのですよ、そうではなくて、これによって年間約九千四百本、面積にして九・四ヘクタールの森林保全ができる、こう言っているわけです。県民にしてみると、なるほどな、県庁が使う紙だけでも再生をすることによって一万本に近い木を切らなくて済むんだな。そう計算どおりいきませんけれども、そういう目標というものが立てられるのではないか。  実はきのうも私は、私のところの社会党本部がきちんとそれをしなければいけないのではないかと中央執行委員会で提案をしたのですが、ぜひ長官役所がやってくれれば地方自治体を含めて民間にまで物すごい影響を与えると思いますので、隗より始めよでございます。願わくば閣議で再生紙利用についてきちんとした方針を示していただく。私は一〇〇%全部やれとは言いません。やれるところからで一定の目標を示せばいいと思いますが、そういうみんなが努力していく方向を海部内閣がお示し願いたい、環境庁長官がその音頭をとっていただきたい、そのことに御答弁をいただきたいと思います。
  174. 北川石松

    北川国務大臣 ただいまの委員の再生紙利用に関しての御質問は、本当にうれしい思いをいたしました。というのは、森林の保全ということ、またパルプ原料、これは今海外から輸入したものが紙になっていっておりますから、再生紙を利用することはもちろん環境庁が中心になって閣議に諮ってもまいりますし、前向きでまいりますが、特に森林資源の保護になっていく、それから廃棄物の減量化にもなっていく、地球環境保全に大きく貢献する、こういういろいろな問題が再生紙利用によって起きてくると思っております。また、これは私は、今後とも省エネルギー・省資源対策進推会議あるいは関係閣僚全体会議等いろいろ各省庁が率先して再生紙を利用し、古紙を利用していただきたい、こんな思いを持ちまして、この間も自治大臣と、日本の都道府県全部やってくれたら大分大きくなりますねんがなというふうなことを話をしておって、ああそれはいいこっちゃ、やらないかぬな、自治大臣もここまでおっしゃっていただいている。こういうことで、各省がこれに前向きでやっていただけたら大変ありがたい、一つ環境に対する前向きの形づけができると思っております。  私も早速再生紙で名刺をつくりまして、そのように率先していいものから実行していく、こういうふうに前向きでやらしていただきたいと思っております。
  175. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 もう釈迦に説法ですけれども、省資源、省エネルギーということが大事でございますし、その意味では分別収集というようなことも大変なことですし、ごみのこともあるが、やはりそういう資源の節約ということを通して森林破壊というものをできるだけ防いでいく。しかも丸太輸入の五〇%近いものを占めている日本でそのことを世界に示さなければいかぬ。  環境庁長官、それをいつの閣議でやってくれますか。早くやってくださいよ。いつの閣議でやってくれますか。
  176. 安原正

    ○安原政府委員 再生紙の使用につきまして政府が率先するということでございますが、それは極めて重要なことと考えておりまして、ただいま大臣からも言及がございましたが、既に政府におきましては、去る三月二十九日に地球環境関係閣僚会議局長クラスの幹事会を開きまして申し合わせをしました。また同日、省エネルギー・省資源対策推進会議というのを開きましてこういう申し合わせをしましたので、地球関係閣僚会議の場合は十九省庁カバーしておりますし、省エネルギー推進会議は全省庁をカバーしておりますので、実質的にはおっしゃるとおりのことを全省庁挙げてもう取りかかっているということでございます。そして、政府のみならず地方公共団体、それも県だけではなくて全部の市町村に呼びかけをやっておりまして、今地方公共団体でもその呼びかけに応じて推進に努力をしていただいているという状況にございます。
  177. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 申し合わせています、やっていますというのではなくて、やはり政府がそういう姿勢を国民にわかっていただけるように、やっているだろうけれども、そういう意味地方自治体が挙げてみんなでそれをやろうじゃないか、政府もやっているじゃないかという姿勢、態度を鮮明にしていただきたいなということでございます。まあ、あなたとやりとりしていると時間がなくなってしまってしようがないから、いいですよ。だから長官、そういうことでできるだけ効果的にきちんとしていただきたいな、こんなふうに思います。  きょうはいろいろなことを伺いたいと思うのですが、世界の文化遺産と自然遺産を守るための文化遺産及び自然遺産保護条約の批准の問題。これは実は私もう十何年前から言ってきていることでして、ことしの予算委員会で山口書記長からも御指摘のとおりでございます。ことしでその批准をした国は百十三カ国になっています。あなたが答弁して以来ふえています。そういう意味では日本がやはりもう批准をすべき時期だな。しかもちょうど十年前に私のところの土井たか子当時の外務委員が予算委員会でのやりとりで、当時の大来外務大臣が次の国会ででも批准の手続をとりたいという答弁をいただいているわけです。十年の歳月が流れていまして、いろいろな問題があるだろうと思いますけれども、この間総理がASEAN諸国を回っていろいろな遺跡を守ろうということについていろいろな協力を提起していらっしゃるわけですから、やはり日本のそういう文化遺産あるいは自然遺産というものを残していくためにも条約の批准ということを急いでいただきたいと思います。  実は、きょうは文化庁と外務省にお越しをいただいています。それで一番最後に大臣に御答弁をいただくことにして、文化庁と外務省の準備の段取りについて御説明をいただきたいな、こういうふうに思います。
  178. 小林孝男

    ○小林説明員 ただいまお話しの世界文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約につきましては、文化庁としてこれまで、批准した場合の文化財保護法との調整必要性につきまして具体的な検討を行ってきたところでございます。現在のところ、文化財保護法との関係では特段の調整の必要はない、このように考えておるわけでございます。したがいまして、文化庁としては、この条約を批准するということにつきましては特に問題はないものと考えているところでございます。
  179. 鈴木一泉

    鈴木説明員 お答えいたします。  外務省といたしましては、ただいま各国におきますこの条約の実行状況を調査中でございまして、さきに予算委員会でも御質問があった点でございますので、それと前後しまして三月の段階で主要三十八カ国に対しまして訓令を発出しておりまして、特に各国でこの条約に基づいてリストをつくるということでございますので、リストの整備状況がどうなっておるのか、それからユネスコの委員会に対しましてそのリストに基づいて目録を出す、こういうことになっております。その目録の選定基準等、各国どういうふうな基準でそれを選定しているのか、こういうものを調査中でございます。幾つかの国からは答えが返っておりますので、この答えを見ながら、我が国として具体的にどういうふうに手続を進めていったらいいのか、これを今検討中でございます。
  180. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 照会をするのは大変結構ですけれども、例のユネスコの分担金の、十分の一の財源を負担しなければならぬという意味での財源的な難点というのは、ODAがこれだけの金額になっているときですから、余り問題にしなくていいというふうに考えてよろしゅうございますか。  それから、調査と言うのでしたら大体めどを示していただいて、いつごろまでに集約できるかということを、この際は、十年前からの約束でございますから、お聞かせいただきたいと思います。
  181. 鈴木一泉

    鈴木説明員 この条約に基づきますと、分担金、拠出金の一%ということでございます。そうしますと、我が国の場合には三十万ドル程度のものになるかと思います。この金額というものはユネスコの本体への拠出に比べますと、先生指摘のとおりにそう大きな額ではございませんが、今ODAの枠が非常に厳しい状況ということもございます。その点は関係省庁の方々とも十分御協議をしながら考えていきたいと思っております。  それから、めどについてでございますが、これは国内実施体制をどうするかという問題でございますので、関係省庁の御意見を十分踏まえながら検討していきたいと思っておりますので、めどもその検討を踏まえて申し上げられることになるかと思っております。
  182. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 文化国家のバロメーターだと言われるかもしれません。文化庁の方は文化財保護法との関係で問題ない。環境庁も、これは本当は国立公園の特別区域でダブらせたんじゃ特別な意味はないんですよ。そうじゃなくて、今まで指定していないところも含めてやりながらそういうことを広げていくということが必要だなというふうに思うんです。例えば、さっき林野庁にお礼を申し上げたんですが、白神山地のブナの原生林の残し方というのは、まさにMABのユネスコの提起に基づいて完全に原生を残す、周りにバッファーゾーンをつくってそれを守っていく、そしてそのもとに利用をちゃんと対応する、そういう計画を含めてやっていますので、これは割合に指定しやすいと言うとおかしいんですが、そういう残し方になっております。私は現場に何回か行きましたが、まさに世界に誇ることができるほどのスケールのブナの原生林だと思います。  そういう意味でも、例えばこれはもう次の通常国会ぐらいには間に合わせないことには、十年前から貯金がおりておりませんのでおろしていただきたいと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。
  183. 北川石松

    北川国務大臣 岩垂委員の条約のおくれていることの御指摘でございますが、これはまことに長い期間でありますから遺憾の意を表明しなくちゃいかぬと思っておりますし、今外務省、文化庁、それぞれ答弁をいたしましたが、環境庁といたしましては、もちろんこれは一日も早く締結できるように全力を挙げなくちゃいかぬ、こう思っております。また、条約の問題でございますから、世界の国がやはりそれぞれ見ておりますから、余りこの期間になって、日本環境問題の先頭に立とうとしておるときに、やはり環境関係のあるものは、世界の条約は速やかに締結していきたい。もちろん外務省あるいは文化庁、それぞれ御努力はしていただいたと思っておりまするが、この機会に御指摘を受けて、このことを締結へ結んでいくように、今国会中という御指摘を受けましたけれども、(岩垂委員「いや、次期国会」と呼ぶ)次の臨時国会ですね、そのように、外務省から来ておりまするが、きょうのこの委員会の空気をよく察知して、外務省がやはり何といったって事なかれ主義じゃなしに前向きでこんなものは締結するように努力していただく、これは長官としてこの席でお願いをしておきたいと思います。
  184. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 実は私はワシントン条約やラムサール条約について国会の中でずっと長いことやってきた経過がございます。これはどこかが決断をしなければできません。しかし、今文化庁からも御答弁いただきましたように、それからまあ環境庁だってそれほど問題があるとは私は思いません。問題は、国内法の問題が若干残るかもしれません。しかし、それらもそうは言いながら、のんべんだらりと十年待ったけれどもまた十年ということでは済まないと思いますので、外務省、どうかね、来年の通常国会ぐらいのところをめどにして努力をするというような気持ちでやっていらっしゃるのか、そうでなくてエンドレスなのか、その点についての御見解を、まあ課長さんに答弁いただくのは申しわけないけれども、今環境庁長官があなたに陳情しているのだから、せっかくの陳情でございますので御答弁をいただきたいと思います。
  185. 鈴木一泉

    鈴木説明員 先生の御指摘もございますし、環境庁長官の御発言もございました。右を踏まえまして、特に先ほども申し上げましたが、国内実施体制、今各国にも調査をしておりますので、その点も勘案しながら検討を先に進めてまいりたいと思っておりますが、めどにつきましては、その関係省庁さんとの協議を踏まえまして、外務省独断では決められない問題でございますので、十分協議をしながら進めさせていただきたいと思っております。
  186. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 環境庁でしょう、それから文化庁でしょう、それから一応外務省だわね、それで法案作成、国内法の作成ということになると、外務省が中心になってやるわけですか、環境庁が中心なんですか。
  187. 鈴木一泉

    鈴木説明員 国内法の取りまとめということであれば、その所管官庁、国内の方を担当する官庁が決めることになりますが、条約そのものをお諮りするのは外務省の仕事でございます。
  188. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そうすると、関係省庁というのは、これが中心なんですよ、ここで問題はないと言っているんですか。そうすれば、これは国内法の運びというものもそれほどのディスターブはないというふうに私は思いますけれどもね。
  189. 鈴木一泉

    鈴木説明員 お答えいたします。  条約の問題といいますのは、それぞれ各省庁さんで協議をして検討していただくということがまず第一にあるわけでございますが、条約にはいろいろな細かい規定が盛り込まれておりまして、これは政府部内で十分、どこまで条約の各条文が規律を締約国に求めているのかということがございます。先生御承知のとおり、この条約についてはかなりの部分が努力規定ということで、はっきりとした義務規定というのは少ないのでございますが、それでも例えばどの程度まで目録を出していくのか、こういう点については条約の方では明確にこれとこれとこういう水準ということは書いてないわけでございます。そういう条約の一号一号についての解釈というものをまず固めていく必要がございます。今まで長い時間余りその議論に立ち入らなかったわけでございますが、今後その議論に立ち入りまして、一つ一つの条約の解釈の詳細というものを固めまして、それで初めて国内法で最終的にこれは担保されているものなのかどうかという点を考える必要があると思っております。今の段階では、そこの、条約の逐条の解釈というところまで検討が進んでおらないのが現実でございますが、今後鋭意進めていくつもりでございます。
  190. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 長官、これはやはり一定の目標を立てないと難しいんです。ワシントン条約のときは本当にそうでした。だから関係業界のところまで私ども陳情に行かなければいけないような場面も出てくるわけです。そういうことは別として、とにかくやる気になればそれほどの障害はない。そして先ほど申し上げたように、世界で百十三カ国批准ということになっているんです。私どもが知る範囲においても、これはすばらしい歴史的な遺産だな、あるいは生態系だなということが、それなりにそれぞれの国の自主的な判断と国際的な評価のもとで指定されているんだということでもございますので、日本世界に誇るべき歴史的な遺産も自然的な遺産もあるわけでございますから、そういうことについて積極的な対応をいただきたいなというふうに思うんです。  長官、一言御答弁をいただきたいと思います。
  191. 北川石松

    北川国務大臣 委員の再度の御指摘でございまして、先ほど外務省にお願いをいたしましたが、やはり関係のある省庁に、この際先走りせずに十分連絡をとって一日も早く御理解を得て、次の国会ででもこれが締結に向かうように努力したいと思います。きょうは外務省、文化庁来てくれておりますが、よろしくこの点も環境庁が前向きで各省庁間で重ねて連絡をとって、次の国会で締結できる方途をつくっていきたい、こういう思いでございます。
  192. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それ以上押してもどうにもならぬという感じでございますが、ぜひ重ねてお願いしておきたいというふうに思います。また来年の予算委員会質問されなくてもいいように、何でしたら私が立つかもしれませんから、その点はひとつぜひ御配慮、御指導をいただきたいというふうに思います。外務省さん、それから文化庁さん、林野庁さん、結構です。ありがとうございました。お忙しいところ恐縮です。  この前私はその一点に絞ってお尋ねをした沖縄の新石垣空港の問題についてお尋ねをしておきたいと思うんですが、国土庁からお越しでございますが、私の質問したのが四月二十七日でございますが、この質問の後、沖縄県から国土庁に対してこの問題に対する報告があったかどうか、あったとすればその詳細について御説明をいただきたいと思います。
  193. 大日向寛畝

    ○大日向説明員 お答えいたします。  御指摘の新石垣空港予定地とされております沖縄県石垣市白保カラ岳の土地につきましては、二件の無届け取引が行われたという報告を四月二十六日に、今度はこれは正式な形で沖縄県より受けております。
  194. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それについての県の対応はどうするかということについての御報告はございませんでしたか。
  195. 大日向寛畝

    ○大日向説明員 本件の具体的な処分の内容につきましては、現在沖縄県において慎重かつ真剣に検討中である、そのように伺っております。
  196. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 慎重かつ真剣にやるにしては、正直なところ時間がかかり過ぎていると思うんです。私は、怠慢だなんていうことを言うつもりはありませんけれども、これは余りにもずさんです。あれだけ社会的な問題になってから久しい時間がたっています。私が取り上げたのはむしろ後の方です。にもかかわらずそれに対する対応が行われていないというのは、私は非常に残念です。  この点について、国土庁はどんな御見解をお持ちですか。
  197. 大日向寛畝

    ○大日向説明員 本件の重大性にかんがみ、沖縄におかれましても特に慎重を期している、その結果であると考えております。しかしながら、何でこんなに遅くなるのかということで私どももいらいらしているというところが正直なところでございます。
  198. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 実は、伺うところによればというよりも、私どもが調べたところによりますと、もとの所有者が、買った二つの業者、二つの業者なんですが社長は一人なんですが、に対して所有権抹消の民事訴訟を提起しております。これは東京地裁民事三十部、平成二年第四二七二号、提訴が四月十一日、初回期日六月十八日ということで予定をされています。率直なところ、私はこの訴訟はちょっと常識で考えられない。売った、買ったがあり、登記が行われている。それは実はなかったことだという登記の抹消の訴訟を提起されている。これはもう本当に常識ではわからない。少なくとも私には判断ができません。国土法違反の事実を糊塗するためにそういうことをやっているのではないかというような判断をする人もいます。本当にそう思われてもしようがないと私は思うんです。こういうところで引用しては大変失礼でございますけれども、きょう衆議院本会議場で盧泰愚大統領が、過ぎ去ったことは神様でも変えることはできませんということをおっしゃいましたけれども、まさにそうだと思うのです。  そういう意味では、現実に違反事実があったということを県の報告を含めて国土庁がきちんと受けとめたわけですから、私に国土庁が答弁をいただいたように、国土法違反として告発を含めて厳正に指導するという沖縄県に対する指示をお変えになるということはあり得ないというふうに考えてよろしいかどうか、御答弁を煩わしたいと思います。
  199. 大日向寛畝

    ○大日向説明員 お答えいたします。  御指摘の本件土地に係る民事訴訟の和解といった動きにつきましては、内容をよく承知しておりませんが、違法行為者に対する処分にあわせまして、違法行為の状態をそのままの形で放置するということは、私どもとしては決して好ましくない、そういった判断から、国土庁といたしましては権利関係を違法状態のないもとの姿まで回復するよう県を指導いたしておりまして、このような動きはその流れの一つではなかろうかと考えております。  しかし、いずれにせよ既に発生いたしました国土利用計画法違反の事実はこのことによりまして何ら変わるものではないと考えられておりますし、それに対する国土庁の告発を含め厳正に対処するという沖縄県に対する指導も変わるものでないと考えております。
  200. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 つまり、違反の事実があった、その事態は、これは憶測ですけれども、今のような訴訟で違反の事実を糊塗しようというふうなことをしてみても、しょせんそれは違法状態というものをなくすることではないし、国土庁の県に対する指導というものは変わるものではない、このように——ここのところは大事なところでございますので、もう一遍御答弁をいただきたいと思います。
  201. 大日向寛畝

    ○大日向説明員 そのとおりでございます。
  202. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは大日向さん、大変失礼な質問になって恐縮ですが、今のあなたの御見解というのは、国土長官を含め国土庁の統一した方針であるというふうに受けとめてよろしいかどうか、当たり前のことですけれどもあえてお尋ねしておきたいと思います。
  203. 大日向寛畝

    ○大日向説明員 そのとおりでございます。
  204. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私は、きょうここで細かく繰り返すつもりはございませんが、さきの委員会でこの取引の価格についても国土法二十四条に照らして問題があるということを指摘してまいりました。課長は「これは県も不動産鑑定士に第三者鑑定というような形で依頼してはじいた価格がこのようなことになったということでございまして、」という御答弁もいただいています。その後県がいろいろな対応をしていますけれども、空港建設のプロジェクトの構想が持ち上がって土地がどんどん上がっていった、転がしがあった、にもかかわらず県自身がそれを承知しながら追認をしたという事実は否めないと私は思います。県の責任は重大だと私は思います。それで、その後に沖縄県は石垣島全域を監視地域に指定するというようなことをやっているんですね。それならもっと早くきちんとやればいいんですよ。騒がれてから対応しているんですよ。後手後手じゃこれは意味がないんです。というようなことを私はこの際指摘しておきたいと思います。  そこで、環境庁に伺いますが、先ほど長谷さんの御質問に対して、旧の予定地であった白保の海域を海中公園にするという方針を持っているという御答弁をいただきましたが、その点についてもう一遍御答弁をいただきたいと思います。
  205. 山内豊徳

    山内政府委員 前の飛行場の計画がございました区域の南側に塊状ハマサンゴ、アオサンゴを中心とする特異な集落があることを私ども確認いたしましたし、このエリアを中心に、具体的に申し上げますと西表国立公園の区域を広げて、当該サンゴ礁の区域をぜひ海中公園にしたいという考えでございます。  これは実は、昨年になりますが四月の知事の四キロ北へずらすことに対する当時の環境庁長官がこれを評価しましたときに、あわせてそのことを言明させていただいて、その事実は県当局、石垣市当局にも伝わる形で言明させていただいているところでございます。
  206. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 環境庁から配っていただく本は一生懸命読まなければいかぬということを改めて実は痛感いたしておりますが、皆さん方の先輩である日下部甲太郎さんが「海中公園への道程」という論文を書いておられます。当時は国立公園局の計画課長補佐でございました。「海中公園の選定にあたって留意すべきこと」ということで幾つかの項目が書いてございます。それは、国が指定する場合に「全国の海域をいくつかの景観型式に分類し、各景観区を代表する景観を選定すること。」ということが一つ。二つは「海中の景観が変化に富み、荒らされておらず、かつ、その水域が広いこと。」三番目は「海水清澄で、汚濁されるおそれのないこと。すなわち、付近に汚染のおそれのある河川流入、耕地、集落、工場等がなく、又、潮流によってもそれらの影響をうけないこと。」というふうなことなどを含めた幾つかの項目が書いてございます。海中公園ということをお考えになっている以上は、最低限そういう先輩が残したこと、そしてそれは必ずしも個人の見解ではなくて、それぞれの行政の蓄積の上でそういう論文が書かれているだろうと思います、公務員の立場でお書きになっていらっしゃるわけですから、それこそよくよく調査をしていただきたいということなんです。つまり、海中公園を指定する場合に、周辺の連鎖したサンゴ礁、そういうものについて、それは関係がありませんというわけにはいきませんよということを申し上げたいのであります。  アセスメントということを言えば、公有水面埋め立ての規模が、沖縄県、五十ヘクタールですか、それ以上は三省庁協議になるものだから、四十何ヘクタールに縮めて環境庁のかかわることができないような形で埋立面積を縮めているわけです、つくっているんです、悪いけれども。だから、五十ヘクタール以内だからしゃあないというわけにいかぬだろうと私は思うんですがね。やはり、調査すべきはきちんと調査をしていただきたいと思うんです。  それで、北川さん、さっき御答弁をいただきましたが、議事録をきちっと読んでいただきたいんです。これは土地転がしのことを調査してという答弁じゃないんです。それをそういうふうにお読みになるとするとかなり牽強付会とでもいいますか、無理な御答弁だと思います。しかし、そこは環境庁がこれから海中公園を指定する場合に、そういう広域な調査というのをせざるを得ないと思いますから、これからも調査をしていただきたいということを私は申し上げたい。それ以上お尋ねするつもりはございません。  沖縄県が調査をしているというふうにある、環境庁も幾つか調査したと。本当に資料をお持ちですか。正直に私全部聞きますよ、それでは。潮流だとか風の方角、方向だとか出口だとかやりますよ。これは、国際自然保護連合の調査、WWFJの調査という形でその道の専門家がきちんと出している結論に対して環境庁は、そうではないと答弁する自信がおありになるかどうかということだけでも私は聞いておきたいのです。
  207. 山内豊徳

    山内政府委員 事実関係をまず申し上げたいと思います。  海中公園に我々が考えております旧白保の予定地を中心とする海域につきましては、実は私ども前回の直接調査あるいはそれ以前のデータでかなりのデータを持っておりますので、ある意味では、そのアオサンゴ、塊状ハマサンゴを中心とする中核部分については、海中公園指定に伴う調査はほぼ要らないぐらいのものだというふうに内部で検討しております。ただ、おっしゃるように、陸上部分とか周辺部との関係をもしこれから具体的に海中公園の線を引きます過程で調査する必要があれば、これは当然、地元の自治体の意見をとるためにも調査しなければいけない面が出てくると思います。  それからもう一つ先生もお触れになりました、四十数ヘクタールになりましたけれども、もちろん、これは歴然として公有水面埋立法による手続は必要でございます。もちろん、これが建設省に上がってきて環境庁から意見を聞かれないという点では五十ヘクタールとの違いはございますが、公有水面埋立法では、環境に関する図書を事業者たる沖縄県がつくらなければならないわけでございます。そのための調査は今沖縄県当局において実施されていると聞いておりますし、これは、ただもう五十ヘクタールを下回ったから環境庁の手を離れたということではなくて、たびたび国会でも答弁しておりますように、従来の経緯もございますので、これについては事業者たる沖縄県のお求めがあればということではございますが、私ども極力技術的な指導をしていきたいと思っております。  それから第三番目に、その後いろいろ指摘がありますことも踏まえまして環境庁が調査をしたと言うけれども、持っているデータの深みといいますか広がりについての御質問でございますが、これも幾度か国会でも答弁させていただいておりますが、私どもは二十二カ所の調査をしましたのは、専らアオサンゴ、塊状ハマサンゴを中心とする旧予定地を評価するためにやったのでございます。その意味では、先生の御指摘されるカーラ岳東地区の全般的な調査をしていないことは事実でございます。具体的に申し上げましても、新予定地の北の方にステーションを置いて比較したのは事実でございます。ただ、私は先ほども申し上げましたように、その調査の際の遊泳調査の所見、それから航空写真による、これは別に現地ということじゃなくて航空写真による潮流の調査などを含めまして、影響はない。ただ、完全にないという意味よりも、工事に細心の注意を払えればという前提は私ども常々つけているつもりでございます。そんなことで、二十二カ所の調査の性格と、おっしゃるようなアセスメント的な調査との違いがあることは事実でございますが、そのようなデータから私ども判断したのもまたこれ事実でございます。  それから、これはお尋ねにない件かと思いますが、やはり石垣島に限らず沖縄県というのは日本のサンゴ礁の代表的なエリアでございますので、現在進行中の緑の国勢調査では、沖縄県に限らず東京都も含めました南の方の多くの府県にまたがりますが、サンゴ礁の区域調査のようなものは、今度の新しい緑の国勢調査の中で項目として織り込んでいくことが今進行中でございます。
  208. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 埋め立ててしまってから調査をしたってだめでございますので、その前にきちんと対応していただきたいと思います。  それから同時に、山内さんが緑の調査だとか公有水面埋立法で上がってくれば環境庁としても無関係ではない、沖縄の調査をうのみにするものではない、沖縄のサンゴは大事だ、その点を念頭に置きながら対応するというふうに御答弁をいただきましたから、その点を私は信頼して、またいつかお尋ねをする機会を得たいというふうに思っております。国土庁、ありがとうございました。  最後に、もう時間がなくなりましたので、かすみ網の問題を通産省にちょっとお尋ねをしたいと思うのです。  かねてからかすみ網の密猟問題というのが相当問題になってきたことは通産省も環境庁も御存じのとおりです。実は昭和二十二年に使用が禁止された。それから何と四十三年間たったのですが、密猟はちっとも、ちっともというふうに言っていいかどうか、依然として行われている。日本野鳥の会の調査によると年間三百万羽の野鳥が被害に遭っているということが指摘されるわけでございます。私はいろいろ伺ってみると、かすみ網といわないで防鳥網というふうにいって売っているんですね。ところが、あえて特定の名前を出しませんけれども、大手の種苗会社のカタログに公然とかすみ網のいわば宣伝が行われている。こういう状態であれば、これは率直なところ、使用を禁止したということだけではどうにもならぬのではないか。特に私が心配なのは、国際鳥獣保護連盟からもことしも恐らく注意を喚起されるだろうと思いますし、輸出しているんです。だから、国内の問題もさることながら国際的にも、野鳥の会の仲間というのは国際的な連帯が非常に強いものですから、ぜひひとつこれは法規制をきちんとしてほしい、こんなふうに思うんですが、通産省、御答弁をいただきたいと思います。
  209. 広沢孝夫

    ○広沢説明員 私どもも、先生今御指摘のかすみ網の問題、これは長らく大変頭を痛めてきている問題でございます。密猟が後を絶たないわけでございますが、もちろんこれは、その不正の使用に対する取り締まりが第一義的には大事だということではございますけれども、同時にかすみ網が不正の使用者に向けて製造販売されることのないように努めることも大事だということで、私どもとしましても、漁網あるいは網地をつくっております業界団体あるいは都道府県を通じまして、そういった不正の使用者向けに製造販売されることのないように今までも指導してまいりまして、これからもこの点についてはできる限り強化をしてやっていきたいと思っているところでございます。  それから、今先生指摘ございました製造の禁止の問題、これも私どもいろいろ勉強しております。これは、環境庁を中心といたしまして最近またこの問題についての研究会も開かれておりまして、その中で今先生指摘ありました防鳥網の問題というのも議論になっておりまして、その使用の実態でありますとか販売製造の実態、こういったものも今勉強しておるところでございます。そういった実態を踏まえましてこれから私どもとしてもいろいろ勉強していきたいと思っておるところでございます。  ただ、法律規制するということになりますと、これまでのところの勉強でいきますとなかなか難しい問題がございまして、例えば漁網との区別がなかなかつかないのじゃないかとか、あるいは製造段階というのがほとんどが非常に簡単な作業なものですから、それをつかまえるというのはなかなか難しいのではないかというようなこととか、いろいろ問題がございます。難しい問題だと思いますが、勉強を続けさせていただきたいと思います。  それから、輸出の点でございますけれども、これも実態把握を我々もしたいと思っているいるやっておるのでございますけれども、なかなかうまくいきません。統計もございません。いろいろヒアリングしたところでは、どうも網地の形で出ておるのではないか、それが出た先でかすみ網として使われておる、その網地というのは漁網と同じだということで、なかなかこれも対応が難しゅうございますけれども、引き続き勉強させていただきたいと思っております。
  210. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 もう最後ですが、これは糸の大きさだとかあるいは太さだとか色で、伝統的なかすみ網と区別ができるわけです。それをつかないというふうにいつまでも言っておらないで、やはり区別ができる範囲で対応するという漸進的な一歩一歩そういう御努力をいただきたいなというふうに思います。  それで、率直に言って、そういうのを持っていても警察が見ても、そこでは持っているだけではどうにもならない。使ったのをあれしても、かすみ網は返しているわけでしょう。また繰り返すんですよ。しかも繰り返すだけではなくて、それを監視に行った野鳥の会のメンバーが、落ち葉の下にくぎを板に打ちつけてその前にピアノ線を張ってあって、引っかかって転ぶ。転ぶとそこにくぎがあって大変けがをしたというケースさえあるのです。一生懸命で野鳥を守ろうと努力をしている人たちにそういうことまでして妨害というか調査ができないようなことをやっていることを、いつまでも放置しておくということはどうかと私は思います。だから、ぜひひとつその方向について通産省も積極的なお取り組みをいただきたいと思います。  それから環境庁にもお願いをしたいと思うんですが、実は六月の三十日から七月の一日に、両日ですが、岐阜で野鳥の会が主催で全国のかすみ網の問題のシンポジウムを開きます。これは別にそこでつるし上げるというようなこれをしませんので、ぜひ環境庁と通産省の担当者が御出席をいただきたい、このことを私からお願いをしておきたいと思いますが、山内さん、いいですね、それは。
  211. 山内豊徳

    山内政府委員 今、製造に着目した規制の問題で通産省からの御答弁がありましたが、その後先生がおっしゃいました検挙の事例が減ってないのは事実でございますけれども、特に悪質化しているということ。これは環境庁だけではございませんが、警察当局も通産省も入れましたこの対策の協議会もございますので、何かやはり実効面でも強力な措置を講じられないかと考えているのが実情でございます。  それから、今お話のございました現地での会合につきましては、ぜひ私どもとしてもいろいろ理解を深めたい点もございますので、担当者の派遣を考えたいと思います。
  212. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 広沢さん、通産省。
  213. 広沢孝夫

    ○広沢説明員 ただいまのシンポジウムの件でございますが、私どもも御案内を受けておりまして、出席させていただく方向で検討したいと思います。
  214. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ありがとうございました。
  215. 鈴木恒夫

    鈴木(恒)委員長代理 斉藤節君。
  216. 斉藤節

    斉藤(節)委員 私からまず最初に、予算委員会分科会における我が党の大野由利子議員の北川国務大臣に対する質問に対する問題を取り上げたいと思いますけれども、その前に申し上げたいことがありますので、これをまず申し上げておきます。  私、今考えまして大変残念に思っていることがあるわけでございます。と申しますのは、奄美空港の例でございます。これはもう申すまでもなく、鹿児島県大島郡笠利町にあります奄美空港でございますけれども、これは御承知のように大島郡笠利町の笠利半島の東海岸ですね。これは奄美群島の国定公園の中にありまして、そして笠利半島東海岸海中公園地区に指定されているわけです。これはいつかと申しますと、昭和四十九年の二月十五日に環境庁が告示しているわけでございます。これはもう確かめなくてもよろしいかと思います。そういうふうになっている。これはこの環境六法にちゃんと出ているわけでございます。どこに出ているかと申しますと、千二百五十二ページの下の欄の奄美群島という国定公園ということでなっているわけでありますけれども、これに出ておりますようにこれに指定されておるわけでございます。  実は、ここにもとありました奄美空港でございますけれども、これは大型機が入れなかったわけでございます。なぜかといいますと、滑走路が千二百四十メーターということで短かったのですね。それで、大型機の乗り入れを何とかしてもらいたい、そういう大型機の乗り入れが可能な新空港を建設してもらいたいということが起こりまして、そしてこれができたわけでありますけれども、これは私は運輸省にただしましたところ、運輸省航空局の管理課に間い合わせましたところ、まず昭和五十年ごろから地元の強力な要請があったんだそうでございます。そして、五十三年ごろから新空港をつくろうというような、あるいは今まであった空港を拡張しよう、こういうような話がありましたのですが、結論的には新空港をつくるということになったそうであります。そして、五十六年に漁業補償の協定が成り立ちまして、その結果五十八年の七月に起工式が行われたわけでございます。そしてその結果、滑走路が二千メートルのものの建設が行われたわけです。しかし、この滑走路でございますけれども、新空港でございますけれども、これは今まであったところよりも場所を変えまして海岸の方に持っていきまして、そしてこれは海岸を埋め立てて建設したわけでございます。  そこで、この海岸は申すまでもなくサンゴ礁であったわけでありますけれども、この空港ができた当初は町の人々は大型機が発着できるようになったということで大変喜んでいたのでありますけれども、しかし今では町の人々は、以前はこの海岸は非常にきれいで、そしてよく魚も釣れた、しかし今空港ができてしまってからもう釣りもできなくなっちゃった。現在石垣島の白保地区での問題が大々的に報道されてこのような状況になっていることをこの笠利町の人々に聞きまして、大変残念だった、あんなようなことをやらなきゃよかった、もっと別なところに土地は幾らでもあったのにということを言って、現在大変嘆いて後悔しているそうでございます。  そういうことから、奄美群島の国定公園がこのように埋め立てられて空港ができてしまったわけでありますけれども、しかしこの空港をつくる場合に、国定公園の場合は都道府県の長が認可するんですか、国立公園の場合には環境庁長官の認可。恐らく国定公園であってもやはり当時、埋めるときには環境庁長官にお話あったんじゃないかなと思うんですね。残念ながら私その当時はまだ議員でありませんで、五十年、五十三年ごろでありますから、そして五十六年ごろですから議員でなかったわけでありますけれども、今考えまして大変残念だ、そんなふうに思うわけでありますけれども、このように、国定公園であってもそのようないわゆる海岸を埋め立てて空港などをつくれるということになれば、これは問題だなと思うのです。  先ほど申し上げました予算委員会の分科会における私どもの同僚議員の質問に対して北川国務大臣は次のようにお答えになっている。抜粋を読みますと、「国際的にサンゴ礁を守るという関心も高まっており、また諸般の状況を踏まえながら、今後白保のサンゴ礁を守るということについては、地元沖縄県また石垣市等とも協議しつつ、国立公園」国定じゃないんです。今度は一ランク上ですね。「国立公園海中公園地区として指定をし、その保全に万全を期していきたい、このように思っております。」このように大臣お答えになっておられるわけです。まず具体的にここは、大臣のお言葉というのは、また御答弁というのは大変重いものだと私受けとめているわけで、皆さんそうだと思いますけれども、このように言われたことはそれなりの準備がおありで御発言なされていらっしゃるんだろう、御答弁なさったんだろう、私そういうふうに思うんですけれども、まずその辺いかがでしょう。     〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
  217. 北川石松

    北川国務大臣 ただいま斉藤委員の、国立公園海中公園地区に指定するということについての前の予算委員会の私の答弁も含んで御質問ございました。私はやはりこのアオサンゴ礁、白保地区を保全していきたい、こういう思いを持ちまして、現在まで調査してまいりましたものを見まして、これはどうしても守っていくためには国定公園に指定して、決定して守っていきたい、こういう思いを込めて答弁いたしたものでございます。ただ、そこで委員は奄美大島の国定公園のことを御指摘になりましたけれども公園にした以上は今後そのようなことがないように万全を期していきたい、このように思っております。
  218. 斉藤節

    斉藤(節)委員 その決意のほどは大変私重く受けとめさしていただきますけれども、先ほどの社会党の岩垂委員の御質問にありましたけれども、やはり私は、しっかりここで国定公園として指定して、そして守らなければ守れないんじゃないかな、今これからは大変もう守れない時代に入っちゃったんじゃないか、そんなふうに思うんです。先ほどの奄美大島の奄美空港につきましても、もう海中公園として指定してありながら、なおかつこのように二千メートルも埋め立ててしまったんですよ。そうして私は、じゃあもとの空港をどうしているんですかと尋ねたんですよ。すると、今さくを打って何も使わないでほうってあると言うんですよ。それよりもそこを何とかすればちゃんとできたんだというふうに言われているわけですけれども、何でもかんでも海上へ延ばしていくというのは問題だろう。  そういう意味で、石垣島の空港ですね、白保、これは今まだ結論出てないですけれども環境庁長官としてどのようにお考えになっておりますか。
  219. 北川石松

    北川国務大臣 もう委員も御承知のように、石垣島の新空港は北へ四キロほど移転いたしまして、なお白保地区のアオサンゴ礁地区は、先ほど答弁いたしましたように、どうしても守っていきたい。その意味において国立公園として守っていきたい、こういう思いでございますので、再度答弁させていただきます。
  220. 斉藤節

    斉藤(節)委員 ひとつ環境庁がしっかり守らなければ守る省庁がないわけでございますから、ぜひともこれは大臣、できるようなそういうことをお願いしたいと思うわけでございます。  時間もありませんので、次の項目の方に移らしていただきます。大臣どうもありがとうございました。  次は、かすみ網問題ですね。先ほど岩垂委員の方からも御質問ありましたけれども、通産省来られていますね。私も、先ほど岩垂委員の方から質問がありましたのと同じ気持ちでいるわけでございます。いわゆるかすみ網は防鳥網という格好で言われている。これは製造は禁止されているんですよね。ちょっと……。
  221. 山内豊徳

    山内政府委員 かすみ網は鳥獣保護及び狩猟法によって使用が禁止されておるのでございますが、製造については現在は法令上の規制はございません。
  222. 斉藤節

    斉藤(節)委員 ただかすみ網として使用することは禁止されているということで、使用は自由なんですね。何か聞くところによりますと輸出もされているということです。輸出された国もかなり迷惑こうむっているということでありますけれども、年間どのくらい輸出しているんでしょうか。
  223. 広沢孝夫

    ○広沢説明員 かすみ網の輸出でございますけれども、これは諸外国からもいろんな声が上がっているということを聞いておりますし、我々も大変困ったことだと思っておるのでございますけれども、統計上も通関統計上そういうかすみ網という分類が実はございませんで、幾ら輸出しているかというのははっきりわかりません。しかも、これも実態がまだよくつかみ切れておりませんけれども、かすみ網という形でどうも輸出されているのではない部分が多いんじゃないか。漁網あるいはその網地として輸出されているもの、これが実態的にはかすみ網として使われているものと同じようなものなんですけれども、それが向こうで仕立てられてかすみ網として使われている、こういったこともあるやに聞いております。実態がよくまだ今のところわかっておりませんが、もしそういったことであるとすればそれに対する対応というものはなかなかまた難しい問題が出てまいるということも事実でございます。
  224. 斉藤節

    斉藤(節)委員 今も御答弁ありましたように、漁網として輸出されている。漁網というと普通魚をとるわけですから、かすみ網のようなあんな細かい、しかもかすみ網だとかなり目が粗いと思うんですね、そういうものを漁網というふうに——漁網をどんなふうに定義しておられるんですか。網であれば何でも漁網というんですか、その辺ちょっと。
  225. 広沢孝夫

    ○広沢説明員 漁網と申しましてもいろいろ種類がございまして、魚をとる網といえば、一言で言えばそうでございますが、魚の種類でありますとかすんでおります場所とか、むしろこれは水産庁の方にお助けいただいた方がいいのでございますが、我々の勉強したところによりますと、かすみ網と類似のものといいますか、むしろ逆に漁網がかすみ網に転用されているというのは、一番多く使われているのは、どうもエビ漁の刺し網というものに使っておるもののようでございます。クルマエビをとりますときに、網を海に刺すわけでございますけれども、そのときに使っておる網がまさにかすみ網として使うのにぴったりであるということで、それに使われておるというのが実態のようでございます。
  226. 斉藤節

    斉藤(節)委員 エビ漁、これは農水の方でないですから議論はこれ以上進められませんけれども、常識的に考えまして、クルマエビだってあんな大きなかすみ網のような網では私はとれないだろう、もしやるとしたら恐らくまた中に入れないとだめじゃないかと思うんですね。そんなふうに思うわけであります。  それから、何か半製品として輸出されておる、向こうで完成させてやられておるというようなこともあるそうでありますけれども、いずれにしましても、野鳥がかすみ網によって大変な被害を受けておるということでございますので、環境庁さんとしましても、これはひとつもう少し厳重にやれないものか、そんなふうに思うのでありますが、よろしくお願いしたいと思うわけでございます。いかがですか。
  227. 山内豊徳

    山内政府委員 この問題につきましては、再三通産省からも御答弁ございましたように、製造そのものに着目した何か規制の知恵がないかということで、実態調査を踏まえて非常にいろいろな検討をしていただいているのは事実でございますが、もちろんこれは結論が出ればできるだけそれに頼るべきでございますが、同時に、何といいましても使用禁止をされている、法令上許されないかすみ網を使っての野鳥のそれこそ捕獲を何とか取り締まることが大事でございます。そういった意味で私ども、通産省はもとより、取り締まりという面では警察庁当局ともいろいろ協議をしながら、毎年のように啓蒙も図るし、また検挙者の効果的な摘発についてもいろいろやっていただくようにお願いをしておるところでございます。なおこの点を重ねて今後とも強力に進めながら対応していきたいと考えております。
  228. 斉藤節

    斉藤(節)委員 通産省の方、どうもありがとうございました。結構でございます。  次は、私、新聞の切り抜きを持ってきたのでありますけれども、これは五月十九日の東京新聞だと思いますけれども、昨年北海道の宮島沼というところで大量の白鳥が鉛中毒で死んだというのがあったのでありますけれども、本年は十九日までに国の天然記念物のマガン四十八羽が鉛中毒で大量死した、こういうわけでございます。これについては、環境庁としては実情をつかんでおられますか。
  229. 山内豊徳

    山内政府委員 ただいま御指摘の宮島沼でのマガンあるいは白鳥の死亡問題については、非常に重大な関心を持って把握しております。参考までに申し上げますと、昨年は白鳥の死亡例が非常に目立ったものですから、その後、もし必要があれば後ほど御答弁いたしますが、道当局でも地元猟友会その他にも働きかけていろいろなことをやったようでございますが、ことしはむしろ白鳥については余り目立ったものがなくてマガンに被害が出たということが報道されているとおり、道当局からも報告を受けておりますので、非常に頭を痛めておるところでございます。
  230. 斉藤節

    斉藤(節)委員 時間がなくなってあれなんですが、このようにマガンは鉛中毒だというのです。これはやはり狩猟を、ここは禁猟区じゃないのでしょうけれども、私は保護法の一部をもってして、いわゆる民間協力、これは広大な地域における監視体制というものを何とか早急に確立すべきじゃないかと思うわけでありますけれども、これだけを述べまして、時間がなくなりましたので、御答弁いただいて終わりにしたいと思います。
  231. 山内豊徳

    山内政府委員 まず、宮島沼のマガンの鳥の被害につきましては、実はこれは狩猟者が鉄砲に使います散弾銃の鉛弾が湖に沈む、それを食べる過程で砂袋の中に飲み込んでしまって鉛中毒を起こすことが、考えられる一番大きな原因と考えられております。そこで、先ほどちょっと御紹介しようといたしましたように、道はいろんな銃猟禁止区域のことなどを検討したようでございますが、まず、その狩猟に鉛を込めた散弾銃をこの場所で使わないということを猟友会に強く働きかけまして、昨年シーズンからは使っていないのが実情でございます。ところが、それまでに撃たれました鉛の弾が、沼の底に沈んでいたものが依然かき立てられているということが死亡の大きな原因ではないかと考えております。そんな意味で、ここを鳥獣保護区にするという問題は、もちろん一つの抜本的な対策でございますが、狩猟者のいわば自主規制と申しますか、行政指導といいますか、そのことは今後とも徹底したいと思っております。  それからもう一つ先生がおっしゃいましたことは、こういう事例もあることにかんがみて、国立公園、国定公園あるいは鳥獣保護区について民間組織の協力を得ることを考えてはどうかということだと思います。現在でも、実は鳥獣保護員というような、鳥獣保護のメンバーというような保護員という制度を各県で三千名以上発令してもらったりしておりますし、それから国設鳥獣保護区の管理員などにも依頼している面がございますが、まだまだこれにつきましては、数の問題ももちろんでございますけれども、処遇面での工夫などもしなければいけないことでありますので、これからの自然公園なり鳥獣保護区を考えていきます場合の一つの大きな政策課題と考えて検討しているところでございます。
  232. 斉藤節

    斉藤(節)委員 では、以上で終わります。どうもありがとうございました。
  233. 戸塚進也

    戸塚委員長 遠藤和良君。
  234. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私は、この法案が提出されるきっかけとなりました例の朝日新聞のカメラマンによりますサンゴ礁損傷事件ですね、その辺からお話をして大臣の見解も承りたい、こう思っていたわけでございますが、ちょうど参議院の予算委員会の方に大臣行かれましたものですから、大変残念でございますが、こういった基本的な問題は残念ながら後回しにいたしまして、事務的な問題から質問させていただきます。先ほど理事の皆さんの御了解をいただきましたものですから、大臣がお帰りになってもう一回こういう基本問題についての御見解を承りたい、このように考えております。  それでは、具体的な事務的な問題でございますが、この法律ができました後、どのように具体的にこの法案を実効性あらしめていくのか。これはもちろん予算関連法案ではありませんから、予算がついているわけではありません。したがいまして、今までの現行の体制の中でどのようにうまく連携をとって実効性を担保していくのかということになろうかと思いますが、その辺の問題からお伺いしたいと思います。
  235. 山内豊徳

    山内政府委員 現在御審議をお願いしております法改正で、今後の実施、施行を考えた場合に、私どもが当面取り組まなければならないもの、二つございます。  一つは、いわゆるもろもろの罰則規定に加えられましたいろんな損傷行為、殺傷行為が、本当に法律の規定しております趣旨が行き届くように、いわば現場の広い意味での国立公園の管理体制、自然環境保全地区の管理体制を徹底させなければいけないことが一つございます。  もう一つは、区域を定めて四輪駆動車とかスノーモービルの乗り入れ規制をするわけでございますから、まずさしあたりどういうところを指定し、そこで規制をするかという準備が入るわけでございます。  前段の罰則強化に伴う管理体制につきましては、何度も申し上げるようで恐縮でございますけれども、やはりこういった法改正を機会に国民なり関係者の意識を高めてもらうことと同時に、それに違反する事件を摘発といいますか、指導できるような管理体制を考えていかなければいけないと思っております。その場合、おっしゃるようにすぐに国立公園の管理員の定員がふえるわけではございませんので、例えば民間の経験者に委嘱しております自然公園指導員の制度、あるいは先ほど御紹介しました鳥獣保護員の制度などに、こういった法改正の趣旨をさらに徹底させていただいて、いわば住民なり関係者に対するPRの意味からも理解をいただきたいというように考えております。  それから二番目の、車馬乗り入れの地域指定につきましては、これはもちろん最終的には相当な広がりで考えなければいけないと思っておりますが、当座は、いろいろなところで現に問題になっていること、その問題が続くであろうことの指定を急ぎまして、地元の市町村との調整も要りますけれども、そういった規制の実際の場所を決めていきたい、そのように考えております。
  236. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私は日本とカナダの比較をしてみたいと思いまして資料を要求しましたら、こういう資料をいただきました。日本では国立公園の数は二十八カ所、公園の面積は約二百五万ヘクタール、それから管理員の数は百十三人、カナダでは公園の数は三十四でございまして、これの面積は千八百二十万ヘクタール、管理者の数は約四千人ということですね。これを見まして私は思ったのでございますが、カナダというのは、この間テレビでもやっておりましたが、GNPは関西より低い、先進国ではありますけれども国力は日本よりはるかに低いわけでございますが、自然保護国立公園の管理というものを大変積極的にやっておる。日本は管理者の数は百十三人でこの広い国立公園を管理しているわけでございますが、一体どんな管理ができるというのでございましょうか、この実態をまずお聞かせ願いたいと思います。
  237. 山内豊徳

    山内政府委員 カナダの国立公園との比較では、先生指摘のような数字の比較でございます。ただ、これは日本の百十三名という管理員が十分であるという意味で申し上げるわけではございませんけれども、カナダの国立公園につきましては、一部の例を除きまして地面そのものが中央政府の所有地である形をとっているわけでございます。したがって、いわばそのエリアの中では約四千人と言われる管理員が専ら文字どおり地面の管理あるいは風景地の管理をしなければいけないわけでございますが、日本の場合は百十三名の国立公園理事務所を中心とする環境庁の職員のほかに、その中に市町村の行政体制もあれば都道府県の行政体制もあるわけでございます。もちろんこれは市町村役場の職員がすべてこれに動員されているわけではございませんけれども、例えば尾瀬のような場所の例で申し上げますと、尾瀬の入り口の売店などは村が直接経営しておられる。そこでの利用者に対するある程度案内的な応答も役場の職員、村の職員がなさっていらっしゃるというような実態もございます。  それから、もう一つ申し上げなければいけないことは、日本国立公園のすべてではございませんが、国立公園で言えば五割以上が国有林、林野庁の所管地であるものでございますから、営林署の常時の活動もこの中で行われているわけでございます。  そんなことで、百十三人がやっておりますことをカナダとの比較で申し上げますと、やはり率直に認めたいと思いますことは、許認可のようなデスクワークに非常に仕事が集中していることは事実でございます。といいますのは、地域によってのいろいろな建物の変更とか、道路の建設の許認可、あるいは学者が植物を採取に来た場合の許可事項なんかがございますものですから、そういった意味でデスクワークに傾いている。それに比べてカナダにつきまして、私自身はちょっとカナダの国立公園、現地を視察しておりませんが、入ってきた利用者に対するいろいろな自然解説と申しますか、利用者に対するいろいろな働きかけをしておられる面もかなり日本とは違った印象を受けて帰ってこられる方が多いようでございます。もちろん地面が中央政府の土地でございますから、土地の管理とか経営している売店なんかの運営はついても恐らく四千人の人間の何割かの仕事が割かれていると思いますが、そんな違いが出ているのは事実ではないかと考えております。
  238. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 確かに日本の管理官はいわゆるデスクワークになっている、許認可をどうするかとかそういう役所の出先のような形になっておるわけですね。カナダの方は実体があるわけです。国境警備権とか警察権とかそういうものが含まれておりますから、より自然保護に即した活動ができる、この違いはあると思うのですけれども、こういうことを考えますと、実際に環境庁さんが直接国立公園の管理を本当にしているのだろうか、こう思うわけですね。デスクワークでは確かにしていらっしゃるかもわかりませんけれども、今回の法律改正によりまして、それを取得したばかりではなくて損傷したりした場合にも取り締まることができるというふうになるわけでございますが、実際の管理者の方には取り締まる権限はないのですね。これは地元の警察の方と連動しなければならない、こういうふうになっておりまして、環境庁さんの仕事としては、法律はつくったのだけれども実際やっていただくのは警察であり、あるいは市町村であり、ほかの役所である、こういう形になるのではないかと思いますが、どうですか。
  239. 山内豊徳

    山内政府委員 その点はまさに御指摘のとおりでございまして、いろいろな罰則に該当する事件を見出しましても、これは警察当局、司法当局への連絡通報によって警察に動いてもらうということに、今までの捕獲行為でもそうでございますが、頼らざるを得ないのが現在の制度状況でございます。
  240. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 具体的には、やはりこうした管理能力を補完するものといたしましては、現地で地元の警察あるいは市町村の役人の皆さんと連動するということはもちろんですが、最近は営林署の職員の皆さんも公益部分の森林については保護していこうというふうな感じが強くなってきているわけですね。私はこの営林署の問題については、国有林事業の独立採算制はそろそろ考えなければいけないのじゃないかと思っているわけでございますが、特に公益部分自然保護にかかわる部分についてはむしろ環境庁が所管をする役所にしてはどうかな、営林署の職員を全部環境庁に移管をして、できれば環境省をつくってそういう手足として働いていただく、こういうふうな体制にしていかなければ日本の国の国立公園は守れないのではないか、このような見解を持っているわけでございます。  これは本当は大臣に聞きたかったのだけれども、いかがでしょう、そういう考え方について賛同いたしませんか。
  241. 山内豊徳

    山内政府委員 正直に申しまして非常に雄大な構想でございますのでちょっと私からはあれでございますが、ただ実情をまず申し上げますと、私も先ほどちょっと申し上げましたように、現に国立公園地域の中で営林署が所管しておられる地域については、パトロールといいますか巡視を営林署の職員がしていただいております。私も一、二のところで、そういう方も実際は森林の保全の一環として利用者にもいろいろ言葉をかけておられることを目撃したこともございます。それから、これは先生のおっしゃる構想とは意味が違うかもしれませんが、実は林野庁からいろいろな意味で人事交流あるいは人事異動もいただきまして、いろいろな部門からでございますが、現在までに林野庁関係者で十数名の方が私ども国立公園の管理事務所の充実のためにもおいでいただいているという事実もございます。  そういったことで、私ども、現状で高山植物の盗掘防止とかいったことでは警察庁ではなくて、国有林のエリアについては営林署などとも連携、協力を深めながらいろいろな国立公園の管理の問題に役立つ方向で御協力をお願いしていきたいと考えているところでございます。
  242. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それから、鳥獣保護区の管理でございますけれども、実態的には鳥獣保護を猟友会がやっているのですね。猟友会というのは鳥をとる方なんですよ。その人に鳥をとらないように守らせるというのは、これはおかしいのじゃないか。私は、鳥獣保護というのは猟友会がやるのじゃなくて、きちっと環境庁がレンジャー、専門家を育成して鳥獣保護に当たるというのが建前だと思うのですが、これはどうですか。
  243. 山内豊徳

    山内政府委員 鳥獣保護員、これは公務員ではございませんが民間の方を都道府県知事が委嘱する制度のことを言っておられると思いますが、これは確かに最近の統計でも七割くらいは狩猟免許を持った方でございます。ただ、一つは、私申し上げたいことは、猟友会のポストで保護員になっていただくのじゃなくて、これはあくまで鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律による保護員として発令していただきますことと、それから、私、一方的に狩猟者の立場を言うわけではございませんが、やはり鳥獣に詳しいという意味の専門知識を持っている点では有力な、言葉は悪いかもしれませんけれども社会的な資源でもございます。ただ、それだけに頼っていることではいかがかという議論は都道府県からもございますので、その他の領域の方にいかにこれを広げていくかということが一つの課題かと考えております。
  244. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 いわゆる民間の協力をどのように仰ぐかという問題にもなると思いますが、この法案を実効あらしめるためには、それだけやはりマンパワーの育成ですね、人材の育成をしていかなければならない。これはボランティアの人が今大体国立公園には二千人ほどいらっしゃると聞いておりますが、せめてこの二千人の方に国は例えば交通費とか弁当代とか、何かそういう手当を出すべきであると思うのですね。勝手にボランティアの皆さんにおんぶにだっこして管理をしている、こういう傾向があるわけでございますが、そういうボランティアの育成、そしてボランティアに対する諸手当あるいは教育、あるいは最近は民間にボランティア保険というのがあるわけですね。ボランティアの皆さんがボランティア活動をしているときに、例えばけがをしたとかそうした場合に集団で入った保険によって保険金をいただける、こういうことがあるとボランティアもしやすいわけですね。こういうことについて環境庁は今まで全然タッチしていません。ですから、例えばこういうボランティア保険に対して、環境庁は少しお金を出してあげるとか、この辺を考えていかなければいけないんじゃないか、このように思いますが、どうですか。
  245. 山内豊徳

    山内政府委員 全国に環境庁からの委嘱ということで御尽力いただいております約二千人の自然公園指導員のことの御指摘と存じます。確かに今のところ実費的なもの、それから経費にわたるものが一切出されていないのが実情でございますが、六十一年の十月からでございましたか、一応災害補償保険制度については、どう言いましょうか、環境庁が音頭をとりまして一つの保険の加入システムだけはつくって今日に至っております。ただこれはあくまで保険料を含めて御自分の負担ということになりますものですから、現在全体の二割強の方が入っていらっしゃる程度でございます。それで私どもも、これからのこういったボランティアで御協力いただく指導員の方への一つの手がかりとしては、災害保険などに関する何らかの国としての支援ができないかということも一つの検討材料と考えておりますので、なお今後そのことを考えてまいりたいと思っております。
  246. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 ぜひ御検討をお願いしたいと思います。  それから個別の問題でございますが、沖縄の山原地区の国設の特別鳥獣保護区、この拡大指定を、あれはたしか稲村長官のときでなかったか、かなり古い話でございますが、現地でお約束をした経緯がありますね。その後、私も何回か国会で取り上げてまいりたわけでございますが、いまだにこれは実現を見ておりません。これはいつやる予定ですか。
  247. 山内豊徳

    山内政府委員 この点につきましては、私が知っておりますだけでも四年前に、当時の環境庁長官が現地でのいろんな発言もございまして、若干の県設の鳥獣保護区はあるけれども、何とかこれを国設鳥獣保護区に広げる、できれば区域についても広げたいということを言明して今日に至っております。率直に申し上げますと、その方向で県としても、あるいは私どもとしてもかなり力を入れて協議に努めているわけでございますが、地元公共団体を通じての利害関係者との調整などについてどうしても手間取る面がございます。一番の点は、一つは地元で主産業とされております林業との関係で、非常にこの鳥獣保護区に指定されることに対する、どう言いましょうか、言葉は適切でないかもしれませんが、警戒感というものがございまして、今のところでは地元の同意が得られる状況になっていないわけでございます。ただ、これは県が立てました長期的な鳥獣保護計画の中でも懸案として明記されておりますので、できるだけ早い機会に我々が考えておりますような国設鳥獣保護区としての扱いが実現するように、なお公共団体ともども関係者の理解と協力をいただくよう、粘り強く働きかけたいと考えているところでございます。
  248. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 努力する、努力する言うて四年たったわけですね。やはり政治家というものは約束を守らないかぬわけですね。それがこういうことが重なってくると政治不信にもなってくるわけです。それは稲村さんが言ったからどうのこうのということはないのですが、この辺はやはり早く約束を守って結論を出してほしいと強く要望しておきたいと思います。  それから、私も現地に行ってまいりましたが、林道は今少しできているわけですね。その緑に側溝があるのですが、ちっちゃな鳥とか虫がそこで死んでいるわけですね。これはかなり問題にもなりまして、我が党から大臣にも申し入れをやったわけでございますが、この側溝の改良ですね。やはりちっちゃな虫や鳥がはい上がれるようにするということが大事なわけでございまして、階段をつけるとかスロープにするとかそういうようなことをして、側溝の中で大事な珍しい鳥やあるいは昆虫等がなくならないようにしていく。この辺は環境庁が音頭をとってやればすぐできる問題だと思うのですね。この辺も非常に仕事が遅い、このように私は思います。早く改良してください。
  249. 山内豊徳

    山内政府委員 この点、かねての御指摘もございましたし、私どもも沖縄県とも、実情を知る方方といろいろな方法を、どういう方法があるかということを検討しておるところでございます。県自身は、若干の場合に補助金をつけてでも側溝の今おっしゃる意味での改良に応援ができないかということも考えておられるようでございますが、私どもとしても、少なくともそういった道路事業なら道路事業を考える事業者に対して行政上の働きかけをすることは可能でございますので、十分その点を意を用いてまいりたいと思っております。
  250. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 本当に早くやってくださいね。四年もかかったら困るのですよ。やはりきちっとそういうものは国会でやりましょう、努力しましょうと言ったら、それはもうぜひ実現を見ないと、国会で努力しましょう、善処しましょうということはやらぬということや、こういうふうに国民の皆さんに受けとめられると、国会自体が権威がなくなっちゃう、信頼がなくなっちゃうのですよ。ですから、ここは私と環境庁の皆さんの議論であるとともに、やはり国民の皆さんと環境庁が議論をしている、そういう場ですから、ぜひ早く、できたらことしじゅうくらいにやってもらいたい、こう強く要望したいのですが、明快な御返事をください。
  251. 山内豊徳

    山内政府委員 国設鳥獣保護区の設定の問題につきましては、まことに残念でございますけれども、ことしじゅうにということに対して明快な答弁ができないのが実情でございます。しかし、極力粘り強く働きかけると先ほど申し上げました気持ちは強く持っておりますので、御了解いただきたいと思います。
  252. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それから石垣島でございます。先ほど来お話が出ておりますが、この白保の地区を国立公園の中に入れて海中公園にするというお話でございますが、私も大賛成です。ただ、北の方に移動するからいけるとかいう話をしておりますね、山内さん。これは余り根拠のない話ではないかと私は思うのです。やはり国際自然保護連合、IUCNがこのように言っていますね。北の方の代替地も白保に接近をしている、白保のサンゴ礁はカラ岳東海岸側までも含む大きな生態系の構成部分である、新旧の予定地は一体であるということを指摘しているわけですね。ですから、新しいところには優秀なサンゴはないかもわからないけれども、そこにつくることによってこの白保の海中公園に指定する地域の水も汚濁するであろうし、生態系としては一体のものであるからそこの部分のサンゴを損傷する、こういう危険が十分にある、このように言っているわけでございます。しかるに山内さんはこのようにおっしゃっていますね。環境庁山内自然保護局長の話として新聞に出ておりますが、「新予定地のサンゴ生育状況は白保に比べてかなり劣る。両地域は陸地からの河川の流れで分断され、潮流も白保へ向かわず工事の影響はないと考える。」このように言っているわけです。私は恐らくこの飛行場はできないであろうと推測するわけでございますが、できた後この工事の影響は全くなくて、白保に全く影響がないというふうになればあなたの言っていることは正しいかもしれませんが、これは少しでも影響が出たらどう責任をとりますか。その責任をとるほどの権限で、責任でこの発言をされたのでしょうか、根拠を聞きたいと思います。
  253. 山内豊徳

    山内政府委員 確かにそのように私国会の場でも御答弁申し上げております。これにつきましては、環境庁が直接行いました全体二十二カ所の調査の結果、そのものと、その際に調査員が遊泳によって確認しました状態、それから航空写真その他で確認できる潮流の流れ、それから轟川というちょうど中央部にあります河川からの土砂の排出状況、そういったことを判断しまして、その判断は私、今時点でも責任の持てる判断と考えております。  なお、そこから出てきます土砂による影響ということは、これはだんだん広がっていく傾向にもあるわけでございますから、それ自身、私どもがせっかく海中公園地区に指定すると考えている地域にも、その轟川は新しい空港予定地よりももっと近いところにあるわけでございますから、それの影響に対してどういう対策をとるかということは、海中公園にすることに伴う一つの政策課題として大きな問題と思います。その点私も、技術的なところを含めてどういう点があるかは、轟川の土砂の排出状況については、県を通じていろいろなデータをこれからも集めていかなければならないと考えておる実情でございます。
  254. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 これはいわゆる県がアセスをやるわけですね。アセスをやったものに対して長官は法的には今度の場合は意見を言えませんね、公有水面埋立面積が五十ヘクタール以下になりますから。しかし、これは意見が言えないからといって環境庁は知らぬ顔というわけにいかぬと思うのです。やはりこの問題についてきちっとした知見を得て環境庁は態度をはっきりしなければいけない、私はこのように思います。  それから、今自然保護局長がおっしゃったのは、アセスをやる前にそういうふうな話をするのは、本当はおかしいのじゃないかなと私は思うのです。やはりアセスをやって、その実態に対して話をするというのはわかるのですが、何もアセスもやらないのに大丈夫だろうというふうな予見は非常に禁物である、このように私は指摘をしておきたいと思います。  時間がないものでございますから、今度はちょっと北の方に飛びまして青秋林道です。これは建設中止になりましたが私も見てまいりました。白神山地、ここを林野庁さんの方は森林生態系保護地区に指定をしまして、保存地区が一万百ヘクタール、保存利用地区かその他の周辺六千五百ヘクタール、合計一万六千六百ヘクタールにしようとしているわけでございますが、環境庁としてここを自然環境保全地域に指定する考えはありますか。
  255. 山内豊徳

    山内政府委員 環境庁がみずから実施いたしました自然環境保全基礎調査、いわゆる緑の国勢調査といっておりますが、これによりましても御指摘の白神山地が我が国有数の自然の恵まれた地域であるという認識を持っております。そういうことで、私どもとしては自然環境保全地区の検討対象地域としてかねてから考えているのはそのとおりでございます。今後何とかこれを具体的な指定に向けて、林野庁を初めといたします関係機関との調整が成り立ちますように作業に努めてまいりたいと考えているのが実情でございます。
  256. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 瀬戸内海国立公園についても伺いたいと思いますが、私、最近瀬戸内海の上を飛行機で飛ぶことが多いのでございますが、瀬戸大橋開通前から比べますと瀬戸内海の島々の乱開発が相当進んでいるような印象を受けました。どの島もかなり土砂の採掘が広範囲に進んでおりますし、緑が少なくなっております。そして、土砂の採掘現場の近くの水は例の沖縄本島の赤水のような状況が出ておりまして、かなり水が汚濁をし始めておる。こういうふうな状況があるわけでございますが、最近のこの瀬戸内海国立公園の中におきます工作物の新改増築に対する許認可の申請件数、これはいかように推移しておりますか。
  257. 山内豊徳

    山内政府委員 一つの傾向を知るために数字を申し上げたいと思いますが、今お話のございました瀬戸内海の国立公園内の許可あるいは国同士の協議の処理件数の最近五年間の推移を見てみますと、工作物の新築、増改築ということで取り上げますと、五十九年五百四十二件、六十年三百七十件、六十一年三百二十六件、六十二年三百四十二件、六十三年が四百十一件となっております。五十九年の数をどう理解するかによりますが、微増というのが筋ではないかと思います。一方、全国の国立公園、これは本庁で所管しました件数だけを、過去三年間だけで恐縮でございますが、見てみますと、六十一年で七百四十一件、六十二年が八百十七件、六十三年が八百六十五件という傾向をたどっておりますので、全国もかなり伸びておる中での数字としては一般的な国立公園内の件数の傾向に準ずる伸びといいますか、並みの伸びを示しているのが実情ではないかと理解しております。
  258. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 許認可件数とその広がりというのはまた別問題だと思うのです。例えばそのほかにも、あそこは昔から墓石だとか優良な石の採掘が進んでおりまして、そういう許認可件数は昔からありました。しかし最近はそういう需要ばかりでなくて、建築ブームがありますからすごく土砂の搬出というものも多くなってきているわけです。  そこで私、この瀬戸内海国立公園におけるそういう島の部分の乱開発の状況とともに、水質の汚濁状況というのは、いわゆる生活雑排水とか産業系排水の枠の中にないこういう開発による汚濁、こういうもののデータはないのではないかと思います。したがって、もう一回この瀬戸内海国立公園の中における環境破壊はどうなっているのか、一遍総合的な調査をしてもらいたい、このように思うのでございます。いかがでしょう。
  259. 山内豊徳

    山内政府委員 先生の御指摘は開発に伴う海水の問題も含めた文字どおり総合的な点での御指摘でございますが、私から申し上げることができますのは、いわゆる緑の国勢調査という形で五年に一度の区切りで瀬戸内海の沿岸を含めまして国土全体の植生と申しますか緑の現況を把握しております。ただこれは過去の数字を申し上げるよりも、むしろ具体的にその植生の一つ一つがどう変わったかということを把握しなければいけないと考えまして、実はことしが第二年度になります。現在の緑の国勢調査では改変状況を把握するための調査を始めたところでございます。ただこれは始めたばかりでございまして、どうしても結果の概略を知る時点としても平成五年度までかかるようなわけでございますが、その中では、瀬戸内海部分を含めた緑の状況についてはかなりの把握ができるということを私どもとしても期待しているところでございます。
  260. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それは今までやった継続としてぜひ続けてもらいたいとともに、最近は人工衛星から見れば荒廃状況というのは一目瞭然でわかるわけです。ですから、国土地理院等とも連絡をとりまして、具体的にどのように進んでいるのか、これでは危ないのではないかとか、その総量的な取り締まりをやるべきかどうかということも含めまして、きちっと瀬戸内海の環境保全を、環境庁は各省調整する官庁でございますから、総体的に政府のいろいろな機関と連携をとって瀬戸内海の保全というものを考えていただきたい。こういうことができる官庁ですから、ぜひお願いしたい、このように思います。どうですか。
  261. 山内豊徳

    山内政府委員 先生指摘のような方向で何か具体的な工夫ができないか、なお少し研究してもらいたいと思います。ただ私どもとしましては、先ほどの環境保全現況調査ということは、これからも含めまして五年ごとにきちんと把握をしていきたいということで、まずそういった全国に網をかぶせた調査費について、かなり年々の予算額も大きいものでございますから、それを確保することに力を入れているわけでございます。それから、今人工衛星の情報を使ってということもお話ございましたが、この緑の国勢調査でも、全部を含めてそういった人工衛星データも加味しながら今調査を続けていることが実情でございます。
  262. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 ありがとうございました。残余の質問は大臣がお越しになってからやらさせていただきます。ありがとうございました。
  263. 戸塚進也

    戸塚委員長 寺前巖君。
  264. 寺前巖

    寺前委員 お疲れさんでございます。  今回のこの自然環境保全法、国立、国定公園特別保護地区において、車馬の乗り入れに加えて動力船の使用、航空機の着陸の規制を追加することなど、自然環境保全するための積極的な改善策をとられる、これは賛成です。賛成ですが、それを進めていく上での幾つかの問題、聞いてみたいと思うのですが、まず第一にスノーモービルの問題です。  北海道の知床国立公園では、特別保護地区までスノーモービルが入り込んでいる、植生の破壊やオジロワシの繁殖への影響も心配されているということをこの間ある雑誌で読みました。また、高山植物や野生植物の豊富な大雪山の国立公園内にも入り込んで問題になっている新聞記事がありました。支笏洞爺国立公園特別保護地区のオコタンペ湖周辺にも入り込んでいる。スノーモービルといえば北海道の六割方が札幌に集中している。中山峠から無意根山、余市岳など近郊の山に集中している。札幌営林署によると、無意根山には三月から五月、一日五十台から入り込んでいる。高山植物や動物を傷つけ、ナキウサギを追い回しているという姿も見られる。営林署は、去年の十一月から国有林や道有林への乗り入れを認めないという立場に立って、十五ヵ所に立て札を立てたけれども、立て札だけでは余り効果がないという実態にあるようです。環境庁の北海道地区国立公園理事務所によると、知床国立公園などで進入道路に障害物を設置したり立て札をして何とかと思っておるけれども、なかなか難しいですわとここでも言っている。この間私の方で調査に行かせたら、そういう報告でした。  そこで私は、せっかく今回こういう法改正をやるのだから、やったことが効果あるようにぜひやっていただきたい。私は、まず賛成の立場から、知床や支笏、洞爺湖などこれから夏に向かっていくに当たってまた人が出入りするだろう、冬になったらまたスノーモービルも出てくるだろうということを考えるときに、せっかくつくった法律は、細則ちゃんと決めて、特別地域の指定を早くやるということは大切だと思うんですね、もうさんざん破壊されている事態にあるだけに。ですから少なくとも衆参法律が終わったら、六月には会期は終わるということになっているんですから、六月ないし七月には、ちゃんと準備をよくしておいて、そして具体的にそういう知床とか支笏、洞爺などの指定をすぐにやっていただきたいということが私の要求の一つです。  それから国立公園の管理官というのは北海道で見ると十名おられます。全国百十三名だ。せっかくこういう規定をやったって、さてこれだけの人たちだけで果たして仕事ができるのかいなとこれまた不安です。私は、積極的にこういう管理官の定員をきちっと増員してもらう、ふさわしいようにやってもらうというのが第二番目の要求です。  第三番目に、このような車が出入りするわけですけれどもスノーモービル一つとってみてもこれは免許が要るわけじゃない。一日五十台から入っておる。そうすると本人自身の交通事故の問題というのも生まれてくるんです。またこういう諸君たちが、免許があるわけではないから自然破壊の問題について平気でつぶしていくということも、あるいは動植物に対する問題も起こってくるであろう。ですから、こういう諸君たちの指導をどうするのかという問題がこれまた次に対処しなければならない問題としてあると思うんです。それに対する対処をちゃんと準備しなかったら、せっかくの法律が値打ちがないじゃないか、この三点についてお答えをいただきたいと思います。
  265. 山内豊徳

    山内政府委員 まず第一点は、せっかく法改正をお認めいただいたとした場合の実際の施行について一日も早くこれを実施すべきではないかという御指摘思います。特に具体的には、新しく地域指定することが可能になります国立、国定公園の中の特別地域での地域を指定してのスノーモービルなどの乗り入れ区域の問題であるかと思います。これにつきましては、今お挙げになりました例示の場所は今回改正の背景でもありますし、地元でも問題意識が非常に高いとは思いますが、なお具体的に区域を設定します場合は地元公共団体との調整を図って逐次指定していくということが必要でございますので、先生指摘のような、できるだけ早くこれを実現していくという方向で施行に努めてまいりたいと考えております。  そういう問題も含めて、現在の国立公園の管理員の体制、増員が必要ではないかという端的な御指摘かと思いますが、過去を振り返りますと環境庁ができました当時は五十名台の管理員が現在百十三名になっているのも一つの事実でございます。ただ、現在のいろいろな公務員の人員制度の中で今後これを大幅に伸ばしていくということにはかなり難しさはあるかと思いますが、今回の法改正一つの材料としてその面では努力したいと思いますし、また、先ほど来申し上げておりますいろいろな指導員制度保護制度ども組み合わせながら法の的確な、効果のある運営ができるように努力していきたいと思います。  最後に御指摘の件は、確かに一つの政策的な手だての方向として御指摘されたと思うのでございますが、今当座考えておりますのは、個々のスノーモービルの乗用者といいますか使用者に対する指導は、これは現場の問題になるわけでございますが、何かそういうものを取得する過程で、スノーモービルを購入なさる方にいろいろな留意事項が伝わるような仕組みを考えてみたいというようなことなどを考えております。なおこれもまた、何か制度的に考えるとすれば関係省庁においても議論していただかなければいけない性格のものもあろうかと思いますので、とりあえずの方向とまた大きな方向も組み合わせながら検討させていただきたいと思っております。
  266. 寺前巖

    寺前委員 次に、今回の法改正で鳥獣の殺傷や卵の損傷についても新たに規制するなどの改善措置がとられております。これは私は賛成です。  同じように、こういう鳥獣の殺傷や卵の損傷が起こらぬようにしようという気持ちを生かそうというと、先ほどから問題になっているかすみの問題というのはその中の重要な一つの問題になってくると思うんです。かすみを使ってはならないというのが提起されたのが恐らく昭和二十五年じゃないでしょうか。そうすると、あれからもう四十年たっています。昭和二十五年当時にこういうかすみの規定を出したということは国際的にも積極的な意味があったと私は思うんです。ところが、看板倒れになってしまったんじゃないだろうか。結局具体的にかすみとは何ぞや、これははっきりせぬままでしょう。防鳥網やと言うたら関係ないんやとか、漁網と言うたら関係ないんやと。名前の使い方だけの問題だ。これで、せっかく四十年前につくっておきながら、後具体的にかすみ網の規定を明確にすることもできなかったし、野放しになっているというのが実態じゃないだろうか。  そこでちょっと聞きたい。一体どれだけ生産されているんだろうか。漁網として使われる分野はそのうちどの程度、そうすると、かすみ網として使われているのは年間にどれだけ売り出されているのか、それがわかりますのかいな。それもわからぬのですか。片一方で、捕まっている数字というのは確かに環境庁の資料を見ておったって出てきますわな。何ですか、例えば「密猟の摘発状況」という資料を見ると、中部地域等の八県で十年間に五百七十一人の検挙者に上っているという。そういう捕まえた方は単純明快にいきますわな。だけれども、捕まえてないところに問題があるんだから、その問題のところにどれだけ——大したことない、かすみ網の売り出されているのは少数や、そんなわあわあ言うことないんだという事態なのか。かなり使われておって、これがいっとき暴力団の資金源にもなったと言われるほどあれで小鳥をとった問題が生まれたこともあるんだから、そう野放しにするわけにはいかぬのや、こういう問題として言えるのか、それがわかりまんのかいな。漁網というのはどれだけ使われて、かすみ網というのは年間どれだけ生産があるのか、これは調査できまっか。大体の見当でもよろしいが、言えまっか。どうです。
  267. 広沢孝夫

    ○広沢説明員 御指摘のかすみ網の生産でございますけれども、実際にかすみ網としてどれだけつくられておるかということについては、いろいろ試みておりますけれども把握ができておりません。  これは先ほどもちょっと御説明させていただきましたが、かすみ網と申します場合に、そのもとになります網生地自体は漁網と同じものが使われておるものでございます。恐らくはこれを買ってまいりまして、それをいずれかの段階でかすみ網として仕立て上げる、こういうことでございますが、その仕立て上げる工程といいますのが、網生地の両端にリングをつける、それから糸を張る、こういう非常に簡単な工程でございます。それも表立って自分がこれをやっておると言う人はだれもいないわけでございまして、恐らくかなりの部分はかすみ網の密猟をやっておる人自身がまたつくっておるということも考えられます。その程度の簡単な作業でございます。したがいまして、今御指摘のありましたかすみ網は一体どれだけつくられておるのかという点については実態がつまびらかでないというのが残念ながら現状でございます。
  268. 寺前巖

    寺前委員 環境庁、国立、国定公園内でどのように使われているだろうかという実態調査、恐らくこういうことになっているんじゃないだろうかという調査、あるいは国有林は林野庁が直接持っているんだから、林野庁におけるところの実態、どのようにやられているんだろうか。今通産省が製造の方から言われたが、ようわからぬかった、こう言うんだけれども、わかるような調査の仕方はないのかいな。  ともかく、四十年前に世界に先駆けて積極的な役割をしたと法律上は言ったって、絵にかいたもちであったら値打ちがない。具体的に調査をやって、これは大変なことになっているからこうしようじゃないかということを関係省庁集まって調査と検討を直ちに開始する、手の打ち方はみんなが本当に集まって知恵を出したら、あんたら賢い人ばっかりだ、できない相談ではないと思う。そういうことを私はひとつ環境庁に率直に聞きたい。これが一つ。  それから次は、「特定鳥類の飼養状況及び輸入状況比較表」というのを見ると、八八年度で国内産のメジロは三万四千七百四十五羽、輸入鳥は三万四千四百四十五羽、マヒワの国内産は七百四十九羽で、輸入鳥は三千七羽とか、こうなっています。問題は、かすみ網による密猟が絶えないという問題、メジロやホオジロ、ウソ、マヒワなど国内産の鳥が輸入物として売買されるという事態が生まれているんです。国内産の方は知事の許可を受けて鳥に足輪をつける。ところが輸入の方はそうじゃない。証明書だけだから何もそういうことにならない。そうすると、国内産のものを輸入鳥やと言うて売りつけて、高くしてもうけようかというような事態が現に起こっているわけなんです。こういうのはやはり不合理な問題だ。この際にあわせて、こういうことに対する規制強化をどうするのかという対策をきちんとしてもらう必要があるのではないだろうか。見解を求めます。
  269. 山内豊徳

    山内政府委員 まず、かすみ網の件でございます。これは実は先生のお言葉を返すようで恐縮でございますが、二十五年九月以降かすみ網の使用に罰則をもって臨んだという点は、これは絵にかいたもちではございませんで、現在これは生きているわけでございます。それでそれが後を絶たないので、警察による摘発だけでは何ともならぬので、そのもとに立ち入って製造段階で禁止できないかというところで、先ほど来通産省から御答弁がございますように、製造を禁止するという法律を考えますときに、それを罰則をもって臨むための法律的な定義がなかなかできないということでございます。ところが使用の方は、場所からいっても結果からいっても野鳥が明らかにひっかかっているわけでございますから、警察は別にそう定義に、時々定義がひっかかる事例もございますが、多くの場合はほとんど定義にこだわることなく検挙ができているわけでございます。それが先ほど数字もお挙げになりました、過去十年間で数百人に及ぶのでございます。ただ、先ほどもお話がございましたように、最近非常に悪質化している、逆に言いますと罰金の適用状況も最近かなり高い罰金の例が出ておりますので、検挙の方もやはりそういった悪質化を反映しているかなというふうに思っております。何度か申し上げておりますように、この問題は警察当局も入れた私どもの協議機関の大きな課題でございますので、今後の問題にも持っていきたいと思っております。それから、先ほど来通産省が実態調査を踏まえて非常に踏み込んだ検討をいただいておりますきっかけも、実は通産省も含めた私どもの協議の結果でございますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。  ついでに申し上げますと、二十二年以前はむしろかすみ網を法定の猟具として認めていたような時代もございます。それを全く反対、百八十度転換させたところが当時画期的な猟法の禁止だと言われたというふうに理解しております。  それから、違法な捕獲との識別のために輸入鳥にも足輪をという御指摘でございます。先ほどお挙げになりました数字のとおりでございますが、例えば、国内で飼っておりますメジロの三万四千羽というのは一回足輪をつけますとそれで大体しばらく済むわけでございますが、輸入の方は毎年三万四千羽入ってきますものですから、これに足輪をつけるということは、順序は逆かもしれませんが、まず行政体制として考えました場合にも検討しなければいかぬ点が多々あるわけでございます。それからもう一つは、輸入鳥になぜ足輪まで義務づけて規制するかということは、言いかえれば、違法につかまえて国内で飼うことを防止するための、その意味では間接的な公益上の必要から足輪を義務づけるわけでございます。そうなりますと、それによって事故が起きた場合に、果たして輸入鳥にまで足輪に及ぶことが法制としてかなうかという議論も出てくるわけでございますが、そうはいいましても先生指摘のように、それはそれとしても違法捕獲を直接防止する方法は何かほかにもいろいろあるのではないかというお気持ちかと思いますので、そのこともあわせて考えながら、今いろいろな意味での検討をしているのが実情でございます。
  270. 寺前巖

    寺前委員 次に、今度の法改正によって積極的な役割をぜひ果たしていただきたいわけですが、自然環境破壊が、こうやって一方で守るという方向を打ち出しながらリゾート開発で今度は破壊されていくという、これは大手企業の手によってやられていくという面を見過ごしておったならば、これは何をしていることかわからぬということになってくるわけですよ。  環境庁の調査を見ますと、九〇年三月現在で国立公園、国定公園内のゴルフ場状況というのは、特別地域が四十二カ所、普通地域が二十六カ所で、国定公園特別地域が四十一カ所、普通地域が五カ所、こう書いてあります。そして七四年以降、審査指針で開発に伴う形状の変更を認めなくしたために増加していないけれども普通地域では八六年二カ所、八七年三カ所、八八年三カ所、八九年二カ所、年々普通地域におけるところのゴルフ場は増加している。全体的に見てもゴルフ場が二千カ所という方向にずっと動いてきて、総面積で二十万ヘクタール、東京都全域の面積に匹敵する。ゴルフ場がどんどんつくられていっているわけだけれども、国立、国定公園内においてもこうやって進んでいく方向を見ていると二百カ所ぐらいになっていくのではないだろうか。一割ぐらいが国立、国定の範囲に入ってくる。そうするとこのゴルフ場問題というのは、災害の分野からも、保水の分野からも、あるいは水質の分野からも、国立、国定の場合には特別に考えなければならぬというふうに私は思うんです。そういう意味において、特別地域の場合には禁止、つくらせていませんけれども普通地域は許している、だから普通地域も一切認めないという方向に、この際打って出ることが必要じゃないかというふうに私は思うんですが、いかがなものでしょうか。
  271. 山内豊徳

    山内政府委員 私は、国立公園普通地域について禁止的な規制をすることまでは実は考えておりません。ただ、先生指摘の数字の中にもございましたように、最近普通地域の中でゴルフ場の建設構想が増加傾向にあることは事実でございます。そうなりますと、普通地域というのは本来はその地域だけで風景が成り立っているところではございませんから、今までもゴルフ場のような形のものを認めても差し支えないと判断しておったところでございますが、数が多くなればそれが本来の特別地域の風景にも連檐性を持ってくるということから、やはり何かの規制を考えなければいけないということで、禁止を考えているわけではございませんが、自然の植生の保全等に着目した何かの規制基準を決めたいということで今検討している状況でございます。
  272. 寺前巖

    寺前委員 これはひとつ積極的に全面的に検討してもらう必要がある。しかもこれはリゾート法が一方でできているから、待ってましたとばかりにずっとなっていく。最近の実情を見ても、十七府県で調べてみたら、国立、国定公園内のゴルフ場数は三重県で五カ所、栃木県で五カ所などなど十四カ所が新設されるというふうに、やはり依然としてどんどんどんどんなっていっておるんですよ。これは揺るがせにできない問題だから、きちんと一切認めない方向で打ち出すのか、いずれにしたって厳しい規制をやらなかったら大変なことになるということを私は申し上げておきたいと思うんです。  そこで最後に。実は私は驚くべきことを聞かしてもらったんです。鹿島灘にある工業地帯を建設するときに、幾つかの町から土地を提供させてあの地域をつくられていったわけですけれども、あの地域一つに神栖町という町がありますね。そこの日川地区の沖の洲のところを代替地として提供するということで神栖町の人々が鹿島工業地帯建設に協力したという歴史があるんですね。ところが、この沖の洲をゴルフ場にするんだという問題が出てきて、その関係するところの神栖町の公害対策町民協議会なり当該の日川部落、農民組合などがゴルフ場の建設中止ということを言い出すし、茨城県内水面漁業協同組合連合会や常陸川漁業協同組合、波崎共栄漁業協同組合など、建設認可の取り消し、あるいは鹿島南部青果物共販連合会、土地改良組合、水利組合などなど、ずらっとのろしが上がっていくわけです。そして、もともとこの工業地帯建設に協力してそこに土地をもらうんだ、もらったんだという方々が、何だ話が違うじゃないか、おれらの土地だと思っておったのにいつの間にやらそんなことをされていくのかということで、土地を返せという声まで出てきているわけでしょう。この事実、知っていますか。
  273. 山内豊徳

    山内政府委員 代替地として提供したものを返せという形での議論になっているということは、情報としては聞いております。
  274. 寺前巖

    寺前委員 これは環境庁関係ないとは言わせぬのや。なぜかというたら、ここは第三種のゴルフ場をつくれぬ地域だったんだ、この中洲は。それを知事さんが申し出てきて、あれを何とか変えてくれぬか、普通地域にしてくれや、普通地域やったらおれの権限でゴルフ場できるさかい。そういうことでしょう。私はここに知事さんの申し出になったものを持っています、その文書。そう書いてある。梶木さんが環境庁長官のときです。事実また、一九八三年に提起されて、そして第三種から普通地域に変えてしまった。何でこれは変えたんですか。県がその土地に対しては、もうゴルフ場建設をしようという連中にだけは明確にして土地を渡しておる。ほかの者に対しては、いまだにどこが自分土地やわからぬというような、これはまた伏魔殿みたいな話なんですけれども出ておるんです。念書で土地を渡すというだけであって、どこが自分土地やわかりゃせぬ。何ぼ聞いたってわかりゃせぬ。ところが、特定のゴルフ場をつくる者にだけは明確に、ここの土地やと、こうなる。私が聞きたいのは、何で第三種を普通地域にしたのか。もう意図的にやっているという以外にない。土地を返せという声が出てくるのは当たり前やなと私は思ったんです。これはちょっと環境庁かんでいるから、聞かせてください。
  275. 山内豊徳

    山内政府委員 先生指摘の日川沖の洲という地区の場所は、水郷筑波国定公園地域でございます。それで事実関係だけ端的に申し上げますと、公園計画の地域の見直しということは、これは定期的な作業でもございますが、五年に一遍を原則にしております。昭和六十二年の三月に茨城県知事からこの地域に関する申し出がございまして、結果的には、それを国の自然環境保全審議会にお諮りしまして答申を得まして、今お話しの第三種特別地域から普通地域に変えた事実がございます。この審議会におきましても、理由のない、ただ開発だけの理由では特別地域普通地域にすることはできませんが、その時点で私ども確認したのでございますが、この場所が利根川とか常陸利根川のしゅんせつ土砂の定期的な堆積によりまして、特別地域として今後維持するような風致、これは風景の雰囲気を含めたものでございますが、風致維持の必要性が失われたということが知事の申し出の理由でございました。そこで私どもは、現地に職員を派遣いたしまして確認した上で、審議会におきましてもスライドその他によって現状を説明いたしまして、これを普通地域にすることの答申を得て、同年以降普通地域に変更したところでございます。
  276. 寺前巖

    寺前委員 さっぱりわかりゃせぬわな。知事さんの書いたものにこうある。「八十七・六ヘクタールの地域で、当時は良好な水田として利用されていたものでありますが、現在は、大半がセイタカアワダチ草、葦等の雑草が生え、全く樹木のない雑地として、ゴミの不法投棄、更には近隣農地への加害等、自然の破壊につながるような問題が発生しているため、県は鋭意管理に努めているところでありますが、当地区の適正な管理という観点からは、有効な土地利用を図るべきであると考えます。良好な田んぼであったところが何でこうなっていくんですか。しゅんせつしているところにどんどんどんどん積んでいくんだろうが、そんなのは変わるのが当たり前やないか。それで悪くなったさかい今度は第三種特定地域、これはやめまっさ、普通地域にしまっさ、そんなばかな話がありますか。そんなものがわからぬようで、あんた、環境保全なんてどないしてできますか。  政務次官、そう思いまへんか。意図的やがな。つぶしにかかって、ゴルフ場にしやすくする条件をつくっていって、それで環境庁が一枚かんで、見に行ったらこうなっておりますから変えますよ、踊らされているというのかぐるというのか一体どっちや、これは。これは環境庁の姿勢が問われる問題だから、もう細かいことは私は言いまへん。政務次官、大臣とも相談していただいて、調査をしていただいて、適切であったのかどうか、環境庁としての責任を明らかにされることを私は要望したいのです。どうです、政務次官。
  277. 木宮和彦

    ○木宮政府委員 大臣とよく相談いたしまして検討させていただきます。
  278. 寺前巖

    寺前委員 時間が来ましたので、終わります。
  279. 戸塚進也

    戸塚委員長 中井洽君。
  280. 中井洽

    中井委員 質問を始めます前に、法案審議に当たりまして参議院の予算委員会との関係で、前の遠藤議員あるいは寺前議員そして私と、大臣がお抜けになる、いろいろと御努力はいただいた結果だとは思いますけれども、大変残念だ。こういうことのないような形で今後委員会質疑は行われる、このように委員長にもお取り計らいや御努力をお願い申し上げたいと思います。  法案につきましては賛成でありますし、中身そのものをそういろいろと議論するつもりはありませんが、簡単に一、二聞かせていただきます。  この法律改正は、言うまでもなく朝日新聞のカメラマンのサンゴ損傷事件に端を発して改正がなされたわけでございます。昔の議論は知りませんけれども、こういうことをする人がいるとは夢にも思わずつくられた法律、しかしそういう人が出てきて慌てて法改正をしなければならない、同時に、そういうことをする人がいるというモラルのなさということを大変寂しく思うわけでございます。今までの法律の中で罰則等を適用されて事件になった、こういう人は余りいないと聞いていますけれども、数等がおわかりでございますか。
  281. 戸塚進也

    戸塚委員長 中井君に申し上げます。  委員長に対する御注意、大変適切な御注意をいただき、ありがとうございました。今後十分気をつけますので、何とぞよろしくお願いいたします。  山内自然保護局長
  282. 山内豊徳

    山内政府委員 罰則が適用された事例につきましては完全に統計的な意味では把握しておりませんが、例えば、国立公園の中で無断でといいますか許可を得ないで土地形状の変更をしたために文化財保護法とあわせて自然公園法の適用を受けて罰金を受けた例、あるいは、自分の住まっているところの眺めの確保という目的だけで木竹を伐採したために罰金十万円の罰則を受けた例、それからちょっと性格が違うのでございますが、特に北海道地区などで無断の立ち売りなどが軽犯罪法も絡みまして罰金を受けた例などがございます。そのほか鳥獣関係では、先ほど来問題になっておりますようなかすみ網の密猟その他の事例を把握しております。
  283. 中井洽

    中井委員 鳥獣保護法の改正を除いて、今回の改正で罰則等が幅広く、またきつくなります。これを機会に、こういうモラルのなさに対する風潮が増大をするということを考えて、一時期厳しくこの法律を適用していこう、こういうふうにお考えになっておるのか、あるいは、まあまあ日本人の善意というものを信用し続けて、この事件を契機にさらに教育あるいはPRといったことで自然を大切にするという風潮を増大をさせていこうとお考えになっていらっしゃるのか、どちらであろうか、お尋ねをいたします。
  284. 山内豊徳

    山内政府委員 私も行政庁の気持ちとしましては、どちらかといいますれば先生が後段にお挙げになりました方向を考えたいと思います。ただ、先ほども申し上げたように、こういったものに罰則が適用されるという法律的な制度をよく国民が知ってもらうことが、何かこういった行為に対する文字どおりの自主的と申しますか国民の意識の高まりに役立つと思いますが、そういう面では、PRの面では大いに罰則拡大をPRさせていただきたいと考えております。
  285. 中井洽

    中井委員 環境問題を論ずるときにいつでも議論になりますことは、罰則をつくるとかどうするということではなしに国民全体の自然を愛する大事にする気持ちを常にふやし続けていく、認識をしていただく、このことが大事だということでございます。今後も環境庁はそういうことを積極的におやりになるとは思いますが、先ほどから御質疑にありましたようにレンジャーの人たちも数が少ない、あるいは自然指導員の方も全国で二千人くらい、こういう格好の中ではなかなか十分にやっていけないのじゃないか、このようなことをいつも心配をいたしております。それらの教育やPRあるいは国民の自然を大事にする空気造成、こういったものをどのように環境庁はやり続けていこうとされているのですか。
  286. 山内豊徳

    山内政府委員 国立公園の管理の体制とモラル高揚の問題は非常に結びつく面があるかと思います。先ほどもお話がございましたように、国立公園に来た人がレンジャーからいろいろな自然についての解説や情報をもらうということが、そこで経験したことが通常生活に戻ってからも自然を大切にする気持ちになるわけでございます。その意味で私ども、もちろんこれは文部省とも連携をとりながら、学校教育の面での環境教育の一環としての自然教育についてもいろいろ相談をさせていただいておりますが、例えば、国立公園の中での単なる歩道、園地の整備だけではなくて、ビジターセンターと称しておりますものの整備、これは運営についてまた人が要るわけでございますが、こういったものが行き届いたPRをすることが意識の啓蒙になるのではないかと思います。あわせてまた管理体制の充実につきましては、財政面あるいは定員の確保は非常に難しい状況にございますが、その面についても十分努力をしたいと考えております。
  287. 中井洽

    中井委員 尾瀬の入山料を取るとか取らないとかいう形でかなり論議がございます。これらの論争の経過あるいは結論はどのようになったか、お聞かせをいただきます。
  288. 山内豊徳

    山内政府委員 尾瀬の問題につきましては、かなり各方面に論議を呼んだといいますか強い御指摘をいただいております。ある意見としては、あの中で限られた数とはいいながら宿泊ができるという状態がむしろ問題ではないか、むしろそれを減らす方向で考えられないかという根本的な議論もございますが、私どもは、ある程度限られた状況での宿泊利用ということは、国民国立公園の利用のために最小限度必要ではないかという前提で、しかし今のまま放置しておきますといわゆる排水による沼や尾瀬ヶ原の汚濁問題が進んでくることが懸念されますので、まず排水対策をきちんとやることが先決ではないかという考えをとったわけでございます。  ただ、こういった排水対策を、山小屋なり公衆便所的なものを整備しますとどうしてもメンテナンス、管理に費用がかかる。それをどうするかということで、実は私ども一つの案として、これを立ち入る人から費用負担としていただけないかということを考えたわけでございますが、入園料というような言葉で報道されたこともございまして、非常に地元の村長さんからは反発を受けておりまして、何かそういったお金で言うのじゃなくて、国が全部費用を出してでもやるべきではないかという議論が底流にあるようにも理解しております。しかしながら、その後、尾瀬の問題だけのために関係します三つの村の村長さんと三つの県の部長さんに直接お集まりいただきまして対策協議会を重ねておりますが、昨日でございますが、ことしになって初めての対策協議会で、何とか五年計画くらいの間隔で排水処理対策をはっきり位置づけていこうというところまでは協議会メンバーの同意を得たところでございます。費用負担とか管理の組織についてはこれからなお検討するという限りでの気持ちの交流はつながったと思っておるのでございますが、なおこれを具体化するには我々なりにもいろいろ工夫をしなければならないと思っております。  それからまた、ちょっと時間がないかもしれませんが、何か法律のような裏づけでこういった場所の入園料をいただくというようなこともできないかということも内々検討したりしておるのでございますが、例えば東京都内にございます新宿御苑でございますと、これは環境庁の地面でございますので一人百五十円いただくことができるのでございますが、尾瀬につきましては、そういう意味では私ども地主ではございませんところから、直ちに簡易な法律構成で入山料を取ることは難しいのじゃないかという議論もございます。ただ、そうはいっても、一日一日尾瀬の自然は推移しているわけでございますので、何とか理解を得ながらこの問題に取り組みたいということで、特に北川大臣からもこの問題についての対応を強く指示を受けておりますので、努力しているつもりでございます。
  289. 中井洽

    中井委員 当然国民は税金をお払いになっております。国にとっては自然を保護し、守る、こういったことも国の根幹の大事な事業でありますから、改めてまたお金を取るということについていろいろと議論はあろうかと思います。しかし、どんどんと都市化が進み、文化、文明が進むこの日本で自然を本当に楽しみたい、自然の中でリフレッシュをしたい、こういう声も本当に大きくなってまいりました。同時に、休暇がどんどんとふえてまいりました。余暇利用、それもかつてのような男だけ遊びに行くということではなしに家族そろっての余暇利用、こういったこともふえてくるわけでございます。同時に、日本人というのは珍しいもの、見なれていないもの、そういったものを世界でも一番見たがる、一人が行けばみんなが行きたがる、こういう国民性でもあるわけでございます。自然をそのままだれもいない形で守るなんということは到底できません。人数がふえればふえるほど守り通しておる自然が汚染をされていく、これは当たり前のことでもあります。したがいまして、みんなが行けば行くほど自然を善意の中で汚しておる。今回のこの罰則強化等も、こじつけるわけではありませんけれども、自然を傷め、あるいは傷つけた者から罰金を取る、こういったことでありますから、善意の人たちの罰金というわけじゃありませんけれども少しの負担をいただく、そのお金でレンジャーの人たちの数をふやしていく、あるいは環境を守る、こういったことに環境庁は有効に使われるべきだと私どもは考えておりますが、もう一度御答弁をお願いいたします。
  290. 山内豊徳

    山内政府委員 私ども、尾瀬のような国立公園の特別な地域の費用負担というのはどういう性格の負担として理論構成というか制度構成していくかということも、先ほど言いました検討の中でいろいろな議論が実はまだ整備し切れないでいるところでございます。ただ、私どもとして今考えておりますことは、排水設備のメンテナンスという非常に直接的な経費にむしろ限った方が御理解も得られるし、制度的な仕組みもできるのじゃないかということで、全体的な管理体制の費用そのものに及ぶ議論まではし切っておりませんが、しかし気持ちとしましては、お金の負担はあるけれども、それだけ気持ちのいい国立公園利用ができたという実感を持って帰れるような体制にすることが基本だと思っております。  なお、御存じかと思いますが、駐車場のようなものであれば、これは場所にもよりますが、私どもで自然公園の美化財団というものをつくりまして、有料にするかわりに近隣に緑化を図ったり快適な環境をつくったりするというような仕組みもございます。そんなことも、尾瀬に直接当てはめることは難しい点もございますが、大きな一つのあり方の中では考えていく作戦ではないかと考えております。
  291. 中井洽

    中井委員 尾瀬ということだけではなしに、日本じゅうにこういう地域は幾つかあろうかと思うのです。そういったこと全体でお考えをいただき、また私どもも議論を進めさせていただけたらと考えております。  それからもう一つは、鳥獣保護及び狩猟の法律改正も行われるわけであります。前回改正になりましたたしか五十三年のときにも私議論したことを覚えているわけでありますが、私個人の考えとして申し上げますので、環境庁も率直にお答えをいただければありがたい、このように思います。  狩猟やあるいは鉄砲の法律環境庁管轄の法律としてあるというところがどうもなじまないのではないか。鳥獣を保護する、こういう形であるならばいいけれども、一方でこれを殺傷する、捕獲をする、また、それを捕獲する鉄砲というものを許認可する法律環境庁担当で置いておくというのはどうだろうかと前の委員会でも、十年ぐらい前になると思いますが議論をいたしております。この点について、政務次官おられますから率直に御感想を承たい。たしか、そのときも政務次官が御答弁になったと思うのです。当時大鷹さんが政務次官でいらっしゃったかなと思うのでありますが、彼女は、狩猟というのはスポーツではありません、鳥を殺す、けものを殺すというのは私は嫌であります、こういう御答弁をされたように記憶をいたしているわけでございます。  同時にもう一つは、この法律の中で、鳥獣を捕獲する、あるいは狩猟をする——日本の場合には空を飛んでいる烏、あるいは山にいるけものというのはみんな国民全体のものだ、だからどこででもとれるんだ、しかし、保護するためにとってはいけない期間を設けるんだ、とってはいけない場所をつくるんだ、こういう発想法律ができておる。しかし、環境庁の姿勢からいって、こういうやり方をいつまでも続けるべきではない、逆に、本当はとってはいけないんだ、あるいは殺してはいけないんだという中で、国民の議論そして理解の中でこの部分とこの部分で狩猟ができる、こういう存在にすべきではないか、こんなことを私は前々から考えております。  この二つの点でお答えをいただきます。
  292. 山内豊徳

    山内政府委員 事実にわたる点だけ答弁させていただきます。  まず、最後におっしゃいました狩猟の制度の基本的な構え方を、本来認められてないものをあるところでは認めるということにしてはどうかということは、これは今でもかなり強い議論が関係者から提起されております。それから、逆に狩猟家の間でも、これだけ狩猟鳥獣が減ってくるとそれを考えたいという声もございますので、これは大きな考えとして十分検討しなければならぬ課題だと私ども思っております。  なお、環境庁という役所が鳥獣保護の面と狩猟制度の面を預かっていること、説明としては、メリットの面もございますが、これは林野庁にございました行政を一体として環境庁に持ってきたという経緯のもとで、いわば今としては環境行政自然保護行政一つの中身としては私一身に背負っておりますものですから、ここでちょっと私からの感想は申し上げにくいところでございます。
  293. 木宮和彦

    ○木宮政府委員 先生の御意見、全くそのとおりだと思います。私も原則禁止でもってこれから行政をやっていくべきだろうと思いますが、大いに検討させていただくようにいたしたいと思っております。
  294. 中井洽

    中井委員 また十年たったら同じ質問をせぬでいいように、ぜひともお願い申し上げます。  それから、あるいは今までの委員会で議論があったかもしれません。私初めてこの委員会に出てまいりましたものですから、党としてお尋ねをいたしますが、長野県で一九九八年の冬季オリンピックの招致運動が行われております。この場所設定等をめぐりまして自然保護団体といろいろなあつれきがあって、ついには場所を変更する、こういう形で現在招致運動が行われておる。このように承知をいたしております。昔、環境委員会におりましたときに、何年でしたか、北海道札幌オリンピックの跡を見に行ったことがございます。恵庭山か何かの滑走コース、これはつくってはならないところをオリンピックだということで無理やり開発をして、条件として、使った後またもとどおりやり直すということで、それがうまくいっておるかどうかを視察に委員会として行きました。大変むなしいというか、残念な思いをしたことを思い出しております。今回そういったことがなく場所変更という形で解決をしておる。このことは、その当時から今日までの間に環境問題というのが随分重要になった、このことを痛感すると同時に大変うれしく思うことでございます。この間の経過と、そして今回新しく候補地として挙げられた地区も国立公園特別地域になっておる場所だ、このように聞いております。こういう場所でコース変更が行われて、環境庁としてこれを承知されておるのか、その点も含めてお答えをいただきます。
  295. 山内豊徳

    山内政府委員 札幌オリンピックの恵庭岳コースの復元状況につきましては専門家の目からもかなりの成果を上げたという評価はいただいておりますが、確かにこれは一般的な景観としても、復元といいましてもまだ初期の段階でございまして、これから相当の年月を要してもとに戻るという状態というふうに私は理解しております。  長野県での滑降コースの問題でございますが、実はかねて問題になっておりました場所は国立公園普通地域であるというところから、このコースについて直接環境庁としての判断を申し上げたことはございません。ただ、もしコースが非常に高いところに上がれば特別地域に上ってくることから十分な審査をしなければならないという態度で対応をしておりましたが、むしろ環境庁の意向ということとは別の次元でこのコースが変更されたというふうに私は理解しております。  先生指摘のように、既設のスキー場である八方尾根ともう一つ予定があると思いますが、ここにつきましても現在のスキー場そのものは国立公園の区域外あるいは問題のないところと理解しておりますが、さらにオリンピックで使うとなれば若干の拡張などが議論として出てくるのではないかと思います。そのときには、場合によっては国立公園に及ぶことも考えられますので、その段階では十分注意しなければならないと思っておりますが、裏岩菅山のように新しく斜面を使うという話とは違いまして、今のところ関係者の方からも特に大きな問題の指摘はないものと私ども理解をしております。なお、今申しましたように、具体的な段階では相当注意をして自然公園法に基づいた手続で対応しなければならないと考えております。
  296. 中井洽

    中井委員 繰り返しますが、事前に相談があるわけです。環境庁も今の場所なら、今度使おうという形で計画されている場所ならいいと許可を出されている、そういうふうに理解していいわけですか。
  297. 山内豊徳

    山内政府委員 そうではございませんで、今の段階では八方尾根コースをオリンピックとしてどう使うかまだ決まったわけではございませんので、現状は問題のないスキー場であるけれども、それを増築するような場合にはその段階で手続あるいは事前の調整が必要なケースというふうにあらかじめ受けとめているわけでございます。
  298. 中井洽

    中井委員 そういうことをやっておりますと、うまくオリンピックの招致ができてそしてコースをいじらなければならないとかということになりますと、また札幌オリンピックと同じような情けないことをやらなければならなくなる。私は心配をいたします。十分地元と調整やら、あるいは地元の計画やらを環境庁はお聞きになって、早目早目に対応される、そしてだめなものはだめ、いいものはいいという形でお進めになる、このことを強く要望いたします。もう一度お答えいただきます。
  299. 山内豊徳

    山内政府委員 そのように十分注意してまいりたいと思います。
  300. 中井洽

    中井委員 次に、ゴルフ場の農薬問題についてお尋ねをいたします。  ここ二、三年ゴルフ場の農薬汚染ということで大変問題が大きくなってまいりました。政府もいろいろと御協議はいただいておると思いますが、一向に何らの指針が出ない。随分心配をいたしておりましたところ、過日環境庁がある程度の目安か何かをつくられた、このように新聞等で聞かせていただいておりますが、お教えをいただきます。
  301. 安橋隆雄

    安橋政府委員 環境庁におきましては昨日五月二十四日に、地方公共団体がゴルフ場の農薬について水質の面から都道府県を指導する際の参考となりますような指針値を定めまして、都道府県に通知したところでございます。この指針値では、ゴルフ場からの排水中の農薬に関する数値を定めておりまして、これを超えるような場合がございますれば、県がゴルフ場に対しまして農薬使用の量の削減その他適切な指導を行うように定めているわけでございます。  今後は、ゴルフ場からの排水中の農薬濃度の実態をさらにつかむようにいたしますとともに、その調査結果に基づきまして、必要に応じてゴルフ場に対して具体的な改善措置を求めるというようなことで、ゴルフ場からの農薬が環境中に悪影響を与えないようにいろいろと指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  302. 中井洽

    中井委員 水道水にあらわれておる濃度の十倍という形で指針を定めたと報じられておりますが、事実ですか。
  303. 安橋隆雄

    安橋政府委員 水道の取り入れ口におきます値の十倍ということでゴルフ場の排水口における基準値を定めたということは、そのとおりでございます。  それから、私、先ほどの答弁で自治体が県を指導するというふうに申し上げましたが、間違いでございまして、都道府県がゴルフ場を指導する際の参考になるようなということで指針値を定めたわけでございます。
  304. 中井洽

    中井委員 これを参考となるような指針値という形で、しかも十倍というふうなくくり方でやったということは、ゴルフ場の農薬あるいはそれによる排水の汚染問題に対してまだ十分な科学的な研究ができていないということ、しかし問題が大きくなってきたからこれぐらいで一度指導しなさい、こういう形をとられた、このように理解していいですか。
  305. 安橋隆雄

    安橋政府委員 十倍と申しますのは、従来工場排水等におきまして、工場の排出口における排出の値とそれから環境基準がございます場合の環境との値というものが十倍というような関係になってございます。つまり、いろいろなところで希釈されたりあるいは分解したりというようなことがございますので、十倍の関係というのは特段緩いというようなことで設けたものではございません。  それから、この値そのものは、農薬なりあるいは残留なりに関する専門家の御意見もお聞きいたしまして慎重に決めたわけでございますので、この指針値が守られる限り、少なくともゴルフ場からの農薬という面については安全が確保できるのではないか、かように考えているところでございます。
  306. 中井洽

    中井委員 昨今、安全とかあるいは環境とかいうことに関して非常に市民運動が盛んになってきておる、これは非常に結構なことだと私は思います。しかし同時に、市民運動というのもなかなか難しいものです、私どももいろいろな話し合いをいたしますけれども。何が何でも危険だと言う人たちもおられる。しかし、科学的に信頼ができるならその範囲できちっとやればいいじゃないかという形で御理解をいただける方もおられる。そういう人たちに対して環境庁としては早くしかも確信の置ける科学的な指針、知見というものを打ち出していく、こういうことが一番大事なことだと考えております。この十倍の指針というものがきっちりとしたものだ、そしてこれを守っていけばゴルフ場の農薬による水の汚染といったものは心配ない、こういったことが周知徹底をされるような御努力、PRあるいはそれに伴う科学的な裏づけといったものをきちっと国民全体にお出しをいただく、このことが大事じゃないか。県の一部あるいは自治体の一部、ゴルフ場関係者、そういった人たちだけが知っておったのでは今のこういう広がりの運動には到底通用しない、こんなことを痛感いたします。  同時に、水はそれで十倍ということでいいと思うのでありますが、ゴルフ場における農薬からくるそこに働く人たちの人体に対する影響とか、そういったものに対する調査、これはどのようになっておるのか。あるいは同時に、ここまで申し上げていいのかどうかわかりませんが、ゴルフ場以上に農薬を使っておると言われておる農業、あるいはこの農業からくる排水、これらに対して環境庁は農薬そのものを含めてどういう対応、どういう研究をされておるのか、お尋ねをいたします。
  307. 安橋隆雄

    安橋政府委員 まず第一点目の周知徹底の件でございますが、私どもは、先生の御趣旨を踏まえまして、機会あるごとに周知徹底を図っていきたい、努力いたしたいと思っております。  それから、第二点目の農業の方の問題でございますが、農薬に関します製造販売の登録保留基準というのを私ども環境庁の責任で決めさせていただいているわけでございますが、これの充実というようなものもさらに図ってまいりたいと思いますし、農業の面での農薬の適正な使用というようなことで主管庁でございます農林水産省の方に十分申し入れをいたしまして、適正な使用ということで指導していただきたいというふうに考えているところでございます。  要は、環境中に農薬の心配がないような状態にしたいというようなことを目指して私どもも今後とも努力したいと思っております。
  308. 中井洽

    中井委員 時間ですので、終わります。
  309. 戸塚進也

    戸塚委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  310. 戸塚進也

    戸塚委員長 速記を起こして。  遠藤和良君。
  311. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 大臣お越しいただきましたので、質問を続けさせていただきます。  この法律改正案が提出されますきっかけになりましたのは、例の朝日新聞のカメラマンによりますサンゴ損傷事件でございました。私は、やはりこうしたことも明確に議事録に残す必要があるという思いから若干申し上げたいと思います。  この事件は、平成元年四月に沖縄県の西表島の崎山湾で、朝日新聞社のカメラマンがサンゴの表面にKYの文字を刻みつけるという事件が発生したのでございます。しかもその報道は、だれがこのKYという文字を刻みつけたのか、こういうことで、自然保護を喚起するような記事を書きました。しかし実際やったのはカメラマン自身であった、こういう大変残念な事件が起こったわけでございます。当初、この崎山湾というところが自然環境保全地域でございますから、このことがサンゴ採捕という行為に当たるのではないかということで捜査をしたわけでございますが、実際は採捕には当たらないということで不起訴になった経緯があるわけですね。したがって、やはり採捕だけではいけない、損傷だとか殺傷という行為、こういうものを付加しようというところからこの法律改正案が出てきたと理解をするわけでございます。  もともと自然保護で、自分のものにしようという行為はある程度理解できるけれども自分のものとしないで単に傷をつけるだけという行為は想定されなかった時代にこの法律があったと思うのですね。ところが、そういうことが起こり始めた。これは私はまことに残念な、人心の荒廃といいますか、世相がこういう世相になってきたというものをこの事件の背景に考えなければならないと思うのですね。もう一つは、報道機関のいわゆるやらせといいますか、言論の自由と言論の勇み足といいますか横暴、こういうものに対してけじめのある態度をやはり示していく、こういう問題が非常に大事になってきておる、私はこのように認識するわけでございますが、この事件のてんまつを通しまして、大臣の見解並びに現在のこういう法律をつくらなければならないという残念な世相に対してどのような認識をお持ちであるのか、基本の問題でございますから、大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  312. 北川石松

    北川国務大臣 その前に、皆さんにお待ち願って申しわけありませんが、実は参議院の予算委員会がございまして、終わってすぐ飛んでまいりまして、えらい待っていただいて恐縮でございました。  ただいま遠藤委員のKY事件に対する御質問でございますが、御指摘のように、自然環境保全地域の貴重なアザミサンゴを傷つけた事件でございまして、極めて残念な事件と言わざるを得ない、こう思っております。事件の当事者におきましては事柄を厳しく受けとめて対応されなくてはいかないと思っておりますし、こういう点もまた理解をしながら、二度とこういうことがあってはならない、こういうことも思っておる問題でございまして、そういう意味からこのたびの法案の御審議を願いながら、自然環境、そして物を言わないのですからね、生きておりましても人間以外の物を言えないものに傷つけていくということはまことに慎まなくちゃいけない、こんな思いをいたしております。
  313. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 具体的にこの事件を通しまして、新聞社の幹部を環境庁に呼んで厳重注意をしたのか。そういう経過はありますか。
  314. 北川石松

    北川国務大臣 お答えいたします。  今回の事件につきましては、朝日新聞社の社長から当時の環境庁長官に対しまして陳謝の表明があったことを御報告いたしておきたいと思います。また、同社の幹部から環境庁に対しても再三釈明に参りましたことも御報告いたしておきたい、このように思っております。
  315. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 新聞社というのは、ともすれば自分のところに都合の悪い記事は余り出さない傾向があるのですね。私は、それは本当に公正な報道とは言えないと思うのですよ。したがって、こういう朝日新聞の事件があった結果、今まさにこの法律が審議されておる、しかも、それが立案をされ、成立をしようとしておる、この法律は朝日新聞の事件があってつくられた法律なんだということを、私は朝日新聞はみずから報道すべきだと思うのですよ。それが公正な新聞だと思います。こういうことを環境庁長官が指示するというのはおかしな話でございますが、私は報道のモラルとしてこういうことは公正に報道すべきであるということを要望しますが、環境庁長官はその私の見解に対してどのように思いますか。
  316. 北川石松

    北川国務大臣 ただいまの委員の公正にして報道しなくちゃいけない、ごもっともだと思います。私は常に、記者の皆々様と話するときに、皆さんの一筆はよく人を生かし一筆はよく人を殺す、古来そのように言われておるから、どうか今後そのことを踏まえて、環境行政国民理解を、そのこととちょっと違いますけれども環境理解と自覚をしていただくようにPRをお願いしたいということをしょっちゅう申し上げておるのでございまして、報道のとうとさというものは御指摘のとおりだと思います。
  317. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私は朝日新聞の良識に期待をしたいと思いますけれども、やはりこういう地球環境の問題についてもみずから強いリーダーシップをおとりになっているわけですから、こうしたものは公正に報道して、過去の事件というものはやはり消すことができない部分があるのですね、それを教訓にしなければならないわけですから、みずから報道してもらいたい、こういうことを強く要望しておきたいと思います。  それから、大臣にお伺いしたいのですが、こういう法案を出さなければならないというのは、私はこの法案自体には賛成なんです、しかし、まことに残念である。これはむしろ道徳であり、モラルの問題なんですね。こんな法律を出さなくてもいいような世の中になってもらいたい、これが自然保護を考える国民の声だと思うのですよ。この法案というのはまさに現在の心の貧困を映し出す法案ではないかな、私はこのように感じておりますが、大臣の感想はどうですか。
  318. 北川石松

    北川国務大臣 まさに委員のおっしゃるとおり、法律によって厳しく罰し、あるいはそれによって人の自由な心も束縛してはいけない、その人その人みずからが良心と公衆道徳というものをわきまえてやっていただければありがたいと私は思うのでございますが、ただ、御指摘のように、今こういう法律を出さなくてはいかない環境が悪いのじゃないかというところの御指摘もごもっともだと思いますし、私はそういう環境思いますときに、これからの環境教育といいますか、環境に対する国民の皆様、これは企業も含めて、そして政治家ももちろん、すべてを含んで、人間と語り得ないものまでもよい環境の中に生きとし生ける喜びを感受してほしい、こんな思いをいたしております。
  319. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私は、人間が悪くなればなるほど法律を厳しくしなければならないというのは、悪の循環であると思うのです。本当は、法三章という精神がありますけれども法律は少なければ少ないほどいいと思うのですよ。それがこういうふうに法を厳しくしなければモラルが保てないというのは、まことに残念なことであると私は思います。このことを、この法律を審議する間に、報道機関の皆さんも含めて、やはり自然保護を考える場合の根本的な理念としていかなければいけないのではないか、このように思いますが、どうでしょうか。
  320. 北川石松

    北川国務大臣 委員のお説のとおりであります。
  321. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 では、具体的な問題で、先ほどずっと審議をさせていただいたのですが、大臣がお見えでございませんでしたので、要所要所だけ大臣の見解を承りたいと思います。  個別の問題ですが、これは長い間歴代の長官が考えられてきたことだと思いますが、沖縄の山原地区に対する国設の特別鳥獣保護区の拡大指定、これを早急にやってもらいたいと思うのです。これは歴代の長官が地元の皆さんにお約束したことでございますから、先ほどできるだけ早くやるという話があったのですけれども長官長官の一言をお願いしたいと思います。
  322. 北川石松

    北川国務大臣 委員指摘の点につきましては、今後ともなお努力を重ねていきたい、このように思っております。
  323. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 ちょっと早く終わりたいと思いますので、三項目続けてお願いします。  一つは、石垣島、これの飛行場の建設が今議題になっておるわけでございますが、これは、北に移行することによりまして長官がアセスに対して意見を言う機会がなくなったわけでございますね。しかし、なくなったからといって環境行政に対して物が言えないわけではありませんね。したがって、この問題について環境保護の立場から明確に発言をしてもらいたい。  それから、瀬戸内海の国立公園の中におきまして、私の考えでは建設ブームに相まってかなり乱開発が進んでいるように見受けます。したがって、総合的な環境保全の実態調査をお願いしたい。  最後は、白神山地でございますが、環境庁はここに対して自然環境保全地域に早く指定してもらいたい。  この三項目の要望をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  324. 北川石松

    北川国務大臣 ただいまの遠藤委員の三項目の御指摘の点につきましては、ごもっともでございますので努力をしていきたい、このように思っております。
  325. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 どうもありがとうございました。
  326. 戸塚進也

    戸塚委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  327. 戸塚進也

    戸塚委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  自然環境保全法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  328. 戸塚進也

    戸塚委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  329. 戸塚進也

    戸塚委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  330. 戸塚進也

    戸塚委員長 次に、内閣提出水質汚濁防止法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府より趣旨の説明を聴取いたします。北川環境庁長官。     ─────────────  水質汚濁防止法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  331. 北川石松

    北川国務大臣 ただいま議題となりました水質汚濁防止法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  我が国の水質汚濁の現状を見ますと、水銀、カドミウム等の人の健康に関する項目に係る環境基準はほぼ全水域で達成しているものの、有機汚濁等、生活環境項目に係る環境基準については、代表的な指標であるBODまたはCODで見ると、東京湾等の閉鎖性海域、都市内中小河川等を中心に近年ほぼ横ばいであり、達成がおくれております。  この汚濁の見過ごすことのできない要因の一つは、日常生活に伴い台所等から出る生活排水にあります。  しかしながら、これまでの水質保全行政においては、工場または事業場からの産業系排水に対する取り組みに比べ、生活排水対策の総合的推進という観点からは、対策推進の責任の所在等を含め、制度として整備されておらず、必ずしも十分な取り組みがなされてきたとは言えない状況にあります。このため、生活排水対策の総合的推進を図るための制度の創設が急務となっております。  また、現在、東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海の周辺地域においては、排水基準による規制に加え、汚濁負荷量の総量規制を実施しているところでありますが、これらの水域における水質の改善状況は依然として十分ではなく、より一層積極的な水質改善対策の推進が必要でございます。  この法律案は、こうした状況にかんがみ、地域の住民の生活に最も近く、また、生活排水を処理する各種施設の整備の実施主体となる市町村が中心となって生活排水対策の推進を図り、身近な河川などの水質汚濁の防止を進めていくための制度を創設するとともに、あわせて、東京湾などの総量規制地域においてのみ規制対象となる施設を追加するための制度を創設するものでございます。  次に、この法律案の主要事項について、その概略を御説明申し上げます。  第一に、目的規定の改正についてであります。本法律案の成立に伴い、本法の目的として生活排水対策の実施を推進することによって、公共用水城の水質の汚濁の防止を図ることを加えることといたしております。  第二に、行政及び国民の責務の明確化についてであります。生活排水の発生源の中心は一般家庭であり、人の生活に伴い必ず生じるものでございます。したがって、生活排水対策は住民の自覚と協力のもとに行政と住民がともに協力して進められるべき行政分野でございます。このため、炊事、洗濯、入浴等、人の生活に伴い排出される水を「生活排水」とし、その排出による公共用水域の水質の汚濁の防止を図るための対策の実施について、市町村が処理施設の整備及び生活排水対策に関する啓発等を行うことを中心としつつ、国及び地方公共団体の責務を明らかにすることとするとともに、国民の責務として、公共用水域の水質の保全のため、調理くずの処理等を適正に行うように心がけることなどを定めることといたしております。  第三に、生活排水対策重点地域の指定についてであります。都道府県知事は、水質環境基準が確保されていない公共用水域等において生活排水対策の実施を推進することが特に必要であると認めるときは、関係市町村長の意見を聞いた上で、当該公共用水域の水質の汚濁に関係がある地域生活排水対策重点地域として指定することといたしております。  第四に、生活排水対策推進計画の策定についてであります。生活排水対策重点地域をその区域内に含む市町村は、生活排水対策推進計画を策定することとし、生活排水対策推進計画においては、生活排水対策の実施の推進に関する基本的方針、生活排水処理施設の整備に関する事項、生活排水対策に係る啓発に関する事項等を定めることといたしております。  第五に、生活排水対策推進計画の推進についてであります。生活排水対策推進計画を策定した市町村は、当該計画に定められた生活排水対策の実施の推進に関する基本的方針に従い、生活排水対策の実施に必要な措置を講ずることといたしております。また、当該市町村長は、計画推進のために必要と認めるときは、生活排水を排出する者に対して指導、助言及び勧告をすることができることといたしております。  第六に、総量規制地域等における規制対象施設の拡大についてであります。現在、特定施設として全国一律に規制対象とされている施設に加えて、水質汚濁防止法及び瀬戸内海環境保全特別措置法に基づく東京湾周辺地域等の総量規制地域においてのみ規制対象となる施設を追加し、排水規制等を行うための制度を創設することといたしております。  この法律案の施行時期は、公布の日から起算して三月を経過した日としております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  332. 戸塚進也

    戸塚委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る二十九日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十一分散会