運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1990-06-08 第118回国会 衆議院 外務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月八日(金曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 柿澤 弘治君    理事 園田 博之君 理事 浜田卓二郎君    理事 浜野  剛君 理事 上原 康助君    理事 高沢 寅男君 理事 山田 英介君       浅野 勝人君    石原 伸晃君       魚住 汎英君    小渕 恵三君       鯨岡 兵輔君    小杉  隆君       坂井 隆憲君    塩谷  立君       中谷  元君    福島 譲二君       福田 康夫君    山口 敏夫君       五十嵐広三君    井上 一成君       岡田 利春君    関  晴正君       辻  一彦君    松原 脩雄君       神崎 武法君    山口那津男君       古堅 実吉君    高木 義明君       和田 一仁君  出席国務大臣         外 務 大 臣 中山 太郎君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      大島 友治君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房審議官   石田 寛人君         科学技術庁原子         力局長     緒方謙二郎君         外務大臣官房審         議官      太田  博君         外務大臣官房文         化交流部長   小倉 和夫君         外務省アジア局         長       谷野作太郎君         外務省国際連合         局長      赤尾 信敏君  委員外出席者         科学技術庁原子         力局動力炉開発         課長      佐藤 征夫君         科学技術庁原子         力局核燃料課長 結城 章夫君         科学技術庁原子         力局核燃料課原         子力バックエン         ド推進室長   広瀬 研吉君         科学技術庁原子         力局原子力開発         機関監理官   白川 哲久君         科学技術庁原子         力安全局原子力         安全調査室長  鈴木 治夫君         科学技術庁原子         力安全局原子炉         規制課長    服部 幹雄君         外務大臣官房審         議官      丹波  實君         資源エネルギー         庁長官官房企画         調査課長    中澤 佐市君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  谷口 富裕君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全審         査課長     松宮  勲君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全管         理課長     倉重 有幸君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事長)  伊原 義徳君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事)      佐々木壽康君         参  考  人         (動力炉核燃         科開発事業団理         事)      橋本 好一君         外務委員会調査         室長      藪  忠綱君     ───────────── 委員の異動 六月五日  辞任         補欠選任   和田 一仁君     大内 啓伍君 同日  辞任         補欠選任   大内 啓伍君     和田 一仁君 同月八日  辞任         補欠選任   伊東 正義君     中谷  元君   石原慎太郎君     石原 伸晃君   栗原 祐幸君     浅野 勝人君   福島 譲二君     魚住 汎英君   佐藤 観樹君     辻  一彦君   渋沢 利久君     関  晴正君   遠藤 乙彦君     山口那津男君   和田 一仁君     高木 義明君 同日  辞任         補欠選任   浅野 勝人君     栗原 祐幸君   石原 伸晃君     石原慎太郎君   魚住 汎英君     福島 譲二君   中谷  元君     伊東 正義君   関  晴正君     渋沢 利久君   辻  一彦君     佐藤 観樹君   高木 義明君     和田 一仁君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力平和的利用に関する協力のための日本国政府フランス共和国政府との間の協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件(条約第四号)      ────◇─────
  2. 柿澤弘治

    柿澤委員長 これより会議を開きます。  千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力平和的利用に関する協力のための日本国政府フランス共和国政府との間の協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として、日本原子力研究所理事長伊原義徳君、動力炉・核燃料開発事業団理事佐々木壽康君及び理事橋本好一君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 柿澤弘治

    柿澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────
  4. 柿澤弘治

    柿澤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻一彦君。
  5. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は、きょうは日仏原子力協定関係して、地球環境から原子力廃棄物問題、それからプルトニウムの見通しと、あとは時間があれば原子力安全性等に一、二触れたいと思います。  まず第一に、日仏原子力協定については核拡散防止、これを中心にした平和保障という観点からと、それから原子力平和的利用の促進という二つの面が協定内に大きな柱としてあるということは当然でありますが、そういう点で、本協定によって、その第一の平和的保障がどういうように前進をするか、これについて、これは基本的に外相ら見解を伺いたいと思っております。
  6. 中山太郎

    中山国務大臣 具体的には、お尋ねの点につきましては、平和的非爆発目的使用を明確にしたことでございます。核物質防護措置の規定を設けたこと、また核物質等管轄外移転に際して、その条件を改正前に比して厳しくいたしたこと、また機微な技術移転につきましても、新たな協定の対象としたことによりまして、平和的利用担保は一層万全なものになったと存じております。
  7. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この問題は論議をすれば随分とあるとは思うのでありますが、これはまた別に譲って、私は原子力エネルギー地球環境というような観点から多少論議をしてみたいと思います。  環境問題は、かつて四十八年、我々が論議をした当時は、環境国会という時期がありましたが、これは局所的、地域的に起こった問題が中心であったと思うのです。しかし、今日の環境問題は、化石燃料等によるところの炭酸ガスあるいは窒素酸化物等からくる地球温暖化あるいは酸性雨の問題、フロンによる問題、さらにはチェルノブイリに端を発した放射能の大きな広範囲における汚染、こういうことをずっと考えると、まさに今日の環境問題はグローバルな地球的規模においてこれを考えなくてはならない、こういう時代に入ったと思いますが、まず地球環境という環境問題がグローバルな問題になりつつあるという点についての認識を、これは外相からちょっと伺いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  8. 中山太郎

    中山国務大臣 委員お尋ね地球環境的に見まして、私ども工業化の進んだ地域におけるCO2あるいはSO2等の排出等の問題、またそれによって起こってくる、あるいはまた発展途上国における焼き畑農業の問題、そういうことを考える中で、さらにこの原子力利用による発電施設が建設をされて、それによる爆発等の核の放射能の拡散問題、こういうものを考えていきますと、まさに環境問題というのは、国境の意識というものは全くない、国境線のない地球全域人類共通課題になりつつあるというふうな認識を持っておりますし、さらに地球温暖化の問題は、全人類にとっても慎重にこれに対処していかなければならない問題、こういうことで、日本政府地球環境保全のためにできるだけの持てる技術と資金的な協力をいたすという基本的な姿勢地球環境問題に取り組んでおります。
  9. 辻一彦

    ○辻(一)委員 環境問題を今地球環境というグローバルな観点からとらえなくてはならないという基本的な姿勢を伺いました。それを踏まえて、これから論議に具体的に入りたいと思っております。  原子力によるエネルギーというものは、その安全性とともに、廃炉の将来をも含めて放射性廃棄物の大きな課題がありますが、今二十年後をいろいろと展望してエネルギー政策がいろいろと打ち出されておりますが、この中で原子力発電によるところのエネルギーをどういうように位置づけようとしておるのか、この認識について、まず伺いたいと思います。
  10. 中澤佐市

    中澤説明員 委員指摘のとおり、昨年六月から審議をお願いいたしまして、総合エネルギー調査会報告が先般まとまったわけでございます。今回の総合エネルギー調査会での審議ポイントは、やはり今委員指摘地球規模での環境問題、特に温暖化問題ということと資源制約、これは世界的なエネルギー需要というのが、まさに発展の段階を迎えております発展途上国中心に構造的にふえていくだろう、他方石油供給の方は、世界的に供給力が減退していくであろう、そのように二つ地球的な問題、こういう中でどうやっていくかということが審議ポイントだったわけでございます。  需要という面では、国内の需要を見ましても構造的にふえていく傾向にあるわけでございまして、その中で、政策的には三つ打ち出されておりまして、第一点がいわゆるエネルギー利用効率化省エネといいますが、これによりまして、需要増大をできるだけ抑制していくということであります。  二点目の柱が、供給におきまして、先ほどの資源制約というような問題。今後の状況を考えまして、引き続き石油依存度を下げていく努力をするということに加えまして、今の地球温暖化問題、これは御指摘のとおり、いわゆる温室効果ガスの約半分がCO2原因になっていると言われておりますし、さらにその八割が化石エネルギーの燃焼によって生じていると言われているわけでございますので、この温暖化問題に対応するために、従来ならば石油代替エネルギーでよかったわけでございますが、その中でさらに非化石エネルギー、ノンフオスルエナジーということで地球温暖化問題で議論がよくされておりますが、具体的には原子力、新エネルギー水力、地熱といったようなものでありますが、これの依存度を高めていくということが二点目。  三点目が、我が国経済大国であると同時に、省エネ技術とかエネルギー関係公害防止技術についてかなりすぐれた技術を持っておりますものですから、これを技術移転する、あるいはいろいろなノーハウを移転していくというような形での国際協力国際貢献というものを抜本的にやっていかなければならないという三点が今回の答申の柱だと考えております。  したがいまして、原子力発電につきましても、先ほどのようなコンテクストの中で、いろいろと現在の原子力発電の立地ということからいたしますと、国民、住民の理解を得つつ進めなければならないというのが大前提でございますし、それからリードタイムの長さ等々を考えますと、一定の制約はあるわけではありますけれども一つ政策目標を掲げて推進すべきであるというのが今回の答申であると思っております。
  11. 辻一彦

    ○辻(一)委員 エネルギー調査会ですか、ここがこれからの二十年間を見て、エネルギー需給の中で百万キロワットの原子力発電所を四十基必要とする、こういうことを出しておるのでありますが、それについてはどういう考えか、簡単でいいですから、ちょっと聞かせてください。
  12. 谷口富裕

    谷口説明員 お答えいたします。  委員指摘の四十基という点につきましては、二〇一〇年に七千二百五十万キロワットの設備が必要であるということで、ただいまから四千二百万キロワット近い開発をしなければいけないということでございまして、約百万キロの発電量を想定しますと四十基から四十二基ということになるわけでございますが、この七千二百五十万キロという数字に関しましては、ただいま中澤課長から説明がありましたように、今後のエネルギー需要の伸びあるいは省エネ努力の成果、そして環境制約要因、それに伴います他のエネルギー供給源、特に従来大きな期待をしておりました石炭中心とします化石燃料、特に石油代替化石燃料制約等を勘案しまして、全体の需給見通しの中から決まってきた数字でございまして、果たしてそれほどのものができるのかという点につきましては、一応可能性のあるサイトについて検討はしてございますけれども関係者の特段の努力がなければなかなか達成しがたい厳しい開発規模であると認識しているところでございます。
  13. 辻一彦

    ○辻(一)委員 そこで、政府の方から、また電力企業から、化石燃料地球温暖化あるいは酸性雨等々の原因になるので、原子力をやればクリーンだ、こういう説がかなり流されておるのですが、果たして地球環境観点から原子力エネルギークリーンであるかどうか、それについてはどう考えていらっしゃるか、ちょっとお尋ねしたい。
  14. 谷口富裕

    谷口説明員 お答えいたします。  先ほども中澤課長からございましたように、地球環境問題の対策ということでは、今やCO2発生量をどう抑制するかということが極めて重要なことでございますし、その他の環境問題で重要なSOx、NOxあるいはばいじん等を出さないという点では、原子力クリーンエネルギーと言われているという事実がございますし、そういう観点から通産省としても原子力開発は今後一層重要になるというふうに考えております。  国際的に見ましても、こういう観点から原子力 は非常に重要だということで、CO2あるいは地球環境問題をめぐる議論の中でも出ておりますし、昨年のアルシュ・サミットにおきましても、原子力開発温室効果ガス排出をコントロールする上で重要な役割を果たすという認識がコミュニケの中にも明確に示されておるところでございます。
  15. 辻一彦

    ○辻(一)委員 そういう見解を私どもいろいろな機会に聞いておりますが、例えばおととしIAEA、国際原子力機関に行ったときに、環境問題の担当のコンスタンチノフ次長あるいはローゼン原子力安全部長とも会って、こういう見解を聞きました。私はその前にフランスラアーグに行って、そしてその隣にあるラマンシュの低レベル廃棄物貯蔵所を見て、あそこに百五十万本ドラム缶が積み上げられておるが、ああいうものがこれから地球各地にどんどんできようとしているのだが、それらも含めて考えたときに果たしてクリーンと言えるのか、こう論議をしましたが、そのときにはなかなかその点については明確な答えは得られなかったわけですね。  例えば、この写真をちょっと見てほしい。これは専門の皆さんはもう御承知のとおり、ラアーグの再処理工場、第三工場がモデルになって今青森の下北半島に持ち込まれようとしていることは御承知のとおりでありますが、実はこの近くに、こちらの方になりますが、ラマンシュの低レベル廃棄物貯蔵施設がある。これを見ると、例えばこういうようにドラム缶を百五十万本積み上げておるのですが、上には、一部は土をかけ、それから木を植え、草を植えて小動物が繁殖できる、そういういろいろなことをやっておりますが、ともあれここは二百万本の貯蔵施設を持っているのが、百五十万本で、いずれは満杯になるというので、今パリの西五十キロに五百万本のドラム缶を積み上げる貯蔵施設をつくっておるのですね。九〇年からそれが使える、こう言っておるのです。この低レベル廃棄物は、これもまたつぶして、これをコンクリの中に入れて缶に番号を打ってずっと保管をしておるわけですが、こういう状況を見ると、低レベル廃棄物といえども、これは三百年間保管をして、放射能が千分の一になって、フランスでもこの管理を解くと言っておるのですね。一番低いレベル廃棄物でも三百年、千分の一、まして中レベルハイレベル廃棄物は、今それぞれの発電所の中、サイトの中に溶液の形で地下等々に保存されておる、いずれ将来どう処理するかという時期が来るわけですが。こういうのが各地に点々とできていくということを考えたときに、この地球のあちこちにこれから三十年たっていけば相当な量のこういう廃棄物が拠点的にできてくる、これを見たときに、原子力クリーンなんだから心配要らないと一体こういうように言えるかどうか。この点についての見解を伺いたい。
  16. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  先ほど通産省の方から原子力発電のメリットといたしまして御説明のありましたように、原子力は、先生承知のように、核分裂連鎖反応過程において発生するエネルギー利用するということでございますので、直接の熱源におきまして、炭酸ガスあるいはそれ以外の窒素酸化物等々が出ないということ、ただ、そのかわりに、先生指摘のとおりに核分裂生成物が出てまいりますし、あるいはその核分裂連鎖反応過程におきまして中性子が飛ぶわけでございますから、それがいろいろな放射能をつくるということも確かにございます。  先生指摘の低レベル放射性廃棄物でございますが、フランスラマンシュでもかなり大規模集積場等をつくっておるわけでございます。そう見ますと、相当規模が大きく、原子力発電から出てくる廃棄物でいろいろなところがそういう集積場になってしまうという見方もあるわけでございますけれども、全体広く見てみますと、やはり一般の産業廃棄物あるいは生活廃棄物等に比較いたしまして、もちろん御承知のように量はそれほど多くございません。その量は多くございませんけれども、それを厳重に安全に管理するということは、これまでフランスその他の国々においても可能でございますし、我が国の経験におきましても、茨城県の東海村で安全に管理してきております。正当な安全性に対する努力を払いますれば、必ず低レベル放射性廃棄物を安全に管理していけるものと私ども確信しておるところでございます。
  17. 辻一彦

    ○辻(一)委員 参考に、我が国で低レベル放射性廃棄物の二百リットルのドラム缶換算で大体何本に今なっているか。そんなに細かい数字は結構ですが、ちょっと伺いたい。
  18. 広瀬研吉

    広瀬説明員 お答え申し上げます。  我が国におきます低レベル放射性廃棄物保管量でございますが、二百リットルドラム缶に換算いたしまして、一九八八年度末で約七十四万本となってございます。
  19. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今もらった平成元年原子力年報からですが、原子力発電施設では大体七十六万六千本、日本原子力研究所で十二万本、動力炉・核燃料開発事業団で十三万五千本、核燃料加工工場で三万九千、日本アイソトープ協会で五万八千、これは保管能力ですね。全部合わせて七十三万九千、七十四万ということですね。これは今報告のとおりであります。これにはそれぞれの保管能力があるわけですが、いずれこれから二十年、三十年たてば我が国にもフランスと同じようなこういう拠点をこのままで行けばどこかにつくらざるを得ないか、あるいはサイト内にそれぞれ保管ずるか、どちらかになると思います。地球環境で言えば、温暖化の問題にしても、海水の水面が一メーター上がる、温度が一・数度上がる、これは三十年ぐらい先を予測してこういう数字を出しておるのですが、この原子力放射性廃棄物の方も三十年とかいう目盛りを見たときに、こういう廃棄物の拠点的な場所がこのままやっていくなら各地にかなりできていくのではないか。それを見ると、原子力の場合は、これはもう心配要らない、クリーンであるから、こういうようにはなかなか言えないというように思います。  そういう点で、やはり火力、石油石炭水力原子力というものはなるべくこれを使わないようにする、省エネルギー政策をとって、その使用をできるだけ少なくして、そしてバランスをとらす、こういうことが非常に大事であって、過度原子力エネルギー依存するやり方は子孫にツケを残し過ぎる、こういう点で避けなくてはならないと思いますが、この点についてはいかがですか。
  20. 谷口富裕

    谷口説明員 お答えいたします。  先ほど御説明申し上げましたように、原子力発電開発規模を見通すに当たりましては、需要サイド、特に省エネルギー可能性を徹底的に追求する、あるいは供給サイドのさまざまな制約要因、あるいは環境等への配慮を行った上で決められている数字でございまして、資源エネルギー庁としましては、そういったもろもろの配慮を踏まえた最適ミックスという観点電源開発あるいはエネルギー供給を考えておるところでございまして、原子力過度依存するということはないと考えておりますし、さらに申し上げれば、最近のエネルギー政策議論で、従来の経済性重視以上にエネルギー安全保障供給安定性信頼性ということに重点が置かれる中では、どんなにすぐれた電源であっても一つ電源エネルギーソースには過度には依存しないという方向で議論が行われてきたところでございます。
  21. 辻一彦

    ○辻(一)委員 きょうはエネルギーの予測とかいろいろに触れる時間がないと思いますから、原子力過度依存をしないように十分気をつけて、この政策を進めていくということを強く申し上げておきたいと思います。  それから、同様に、この廃棄物関係で将来非常に大きな問題になるのは、今寿命を大分延ばすような論議が出ておりますが、原子炉寿命が来れば廃炉になる、こういう問題があります。このときに廃炉になったところの原子炉廃棄物は、低レベルドラム缶の中にあるものとは違って、これまた非常に大きな問題になると思いますね。例えばアメリカのシッピングポートの一号炉は、今商業炉としては初めて廃炉をやっていますが、 どう始末をしているのか、ちょっと時間の点から詳しくは要りませんから、要点だけわかっておったら聞かしていただきたい。
  22. 広瀬研吉

    広瀬説明員 お答え申し上げます。  米国のシッピングポート原子力発電所解体状況につきましては、今手元に情報を持ってございませんが、私どもが考えてございます廃炉廃棄物処理処分につきましては、まず原子炉解体に伴いまして大量のコンクリート片、それから金属配管類等放射性廃棄物発生するわけでございますが、これらの大部分は、その放射能レベルが極めて低いものと予想されてございます。コンクリ片等放射能レベルが極めて低い廃棄物につきましては、放射能レベルに応じました合理的な処分を行うこととしてございます。また、放射能レベルの低い金属配管類等につきましては、再利用の道を開くということも考えられてございまして、このために必要な研究開発日本原子力研究所において実施をしているところでございます。また、量は少ないわけでございますが、比較的半減期が短いものの、放射能レベルが高い炉心構造物等廃棄物につきましても、その発生の実態、所要の技術開発発展状況を考慮しながら、今後の処分方策検討を進めるということにしてございます。
  23. 辻一彦

    ○辻(一)委員 量が少ないとかレベルが低いとかいうものもあるでしょうが、廃炉をやれば、これを始末すれば大変なハイレベルのものを始末しなくちゃいけない。  例えば、一昨年、六十三年ですか、スリーマイルの二号炉を私見に行ったんですが、御存じのように、スリーマイルの原子炉は四分の三が溶融して溶けて、底が抜けるちょっと前に水が来て助かったわけですが、それが炉の下にたまっておる。それを取り出すのに一年かかって、いや、一年もっもっとかかってようやく最近になって砂漠まで部分を運び出したという状況ですね。だから、スリーマイルの二号炉一つを見ても、あの中身を一遍アイダホの砂漠に持っていくには、私も見ましたが、貨車に一つの容器を積んで、それにロボットで取り出したのを入れて、これを一年かかって運んでいるんですね。だから一つ原子炉でも、これは事故炉でありますが、これを一つ廃物にするとすれば大変な時間がかかるし、大変危険なというか、大変な作業なんですね。だから言われるように、そんな簡単なものではない。だからアメリカでは、私の聞いたところでは、砂漠の軍事施設にシッピングポート号炉はとりあえず処理、保管をするが、その後はアメリカとしてもめどがつかない、こう言っているのが現状なんですね。だから、廃炉のいわゆる廃棄物は低レベルのものもありますが、非常にハイレベルのものが含まれている点で、もうドラム缶に詰まっているようなものとは全然違った、これからの重要な課題になっていくのではないかと思われますね。  それだけではないですね。フランスやイギリス、日本は原子力発電を動かした後の使用済み燃料を再処理をして処理をしている。プルトニウムを取り出して再処理をしている。しかし、世界の原子力大国であるアメリカとソ連は使用済み燃料を全部水につけてプールに保管しているのですね。再処理をしていないのですね。だから、米ソですからこれは相当な量になっておるわけですから、こういうものが将来処理をして廃棄、保管をするというようになれば、ますます廃棄物の量というのはふえていくと見なくてはいけない。  これらもろもろのことを考えると、廃棄物の問題は安全に管理ができるから心配がないというようにはなかなか言えない。そういう点では原発クリーン説はちょっと私は容認はできないと思っておりますが、これらの問題は非常に大きな課題になって、将来廃炉廃棄物の処理の重要性についてどう認識しているか、ちょっと一言聞きたい。
  24. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、原子力発電所廃炉あるいはその廃炉廃棄物の問題、極めて重要な問題であると認識いたしております。先ほど説明申し上げましたように、我が国では日本原子力研究所の動力試験炉、JPDRの廃炉の試験をやっておりまして、これまでのところ手順を尽くして安全に措置すれば、動力試験炉におきましては安全な廃炉は可能だという見通しを得ておるところでございますけれども、もちろん先生指摘のように、炉内構造物はかなり放射性が高いということもございます。それから、先生指摘のTMI、スリーマイルアイランドにつきましては、おっしゃいましたように、確かに事故炉でございますので、若干通常炉の廃炉とは違うところがあるわけではございますけれども、全体に廃炉も非常に重要な問題ということで取り組んでおるところでございます。
  25. 辻一彦

    ○辻(一)委員 原研の原子炉は五千キロワットでしょう。今日百十万とか百五万キロワットというのが定格化している。これは二百分の一ですからね。その五千キロワットの廃炉を何とか始末できたからあとは心配はないというものではないので、この重要性を強く指摘をして、廃棄物という観点から見たときに、繰り返しますが、過度原子力エネルギーへの依存を避けることを十分考えるべきである、このことを申し上げておきたいと思います。  第二に、私はプルトニウムの問題について若干伺いたいのですが、これから十年くらいを見て、プルトニウムの需給関係をごく簡単で結構でありますから、ちょっと報告いただきたい。
  26. 結城章夫

    ○結城説明員 今後の我が国におきますプルトニウムの需要供給見通しでございますが、一九八八年度から二〇〇一年度までの十四年間で見積もってみますと、現在の見通しといたしましては、需要量といたしましては合計約四十二トンでございます。これは核分裂性のプルトニウム量の単位で申し上げました。一方、この期間の供給量といたしましては、海外再処理委託により回収されるプルトニウム、これが約三十トンでございます。それから国内再処理により回収されるプルトニウム、約十四トンでございまして、合計四十四トンという見込みになっております。こういうことでほぼ需要供給が見合っておる状態でございます。
  27. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これは私のもらった一九九〇年三月末現在の見通し等々の数字と若干違いがありますが、その数字は別としておきましょう。この中身を見ると、確かに高速増殖炉、新型転換炉等の実験炉や実証炉に使うプルトニウムがありますね。だけれども、プルサーマル、いわゆる軽水炉にプルトニウムを入れてやるところのこれに大部分を使っている、こういうように思えるんですね。その中でごく簡単に高速、新型それぞれと、それからプルサーマルに何トンずつ使う予定だったか、もう一言お聞きしたい。
  28. 結城章夫

    ○結城説明員 ただいまの需要量の見通し、四十二トンの内訳でございますが、まず動燃事業団の新型転換炉「ふげん」、高速増殖炉「常陽」及び「もんじゅ」のために合計九トンでございます。次に電源開発株式会社の新型転換炉実証炉のために約四トンでございます。次に日本原子力発電株式会社の高速増殖炉実証炉のために約四トンでございます。残りがプルサーマル、いわゆる軽水炉でのプルトニウムの利用のためでございまして、この量が二十五トンでございます。
  29. 辻一彦

    ○辻(一)委員 残りが幾ら。差し引きすればわかるわけだけれども、残りをもう一度プルサーマルに何トンと明確に伺いたい。
  30. 結城章夫

    ○結城説明員 プルサーマルに使います量は二十五トンでございます。
  31. 辻一彦

    ○辻(一)委員 試験用や実験用には、いろいろ開発の点からこれはまた必要性もあるとは思いますが、このプルトニウムを使う需給見通しの一番大きな部分はプルサーマル、いわゆる軽水炉の中に混合燃料を入れて、そしてこれを燃やそうという、本来はウランを燃やすべき軽水炉に、今フランスも一部実験はしておりますが、MOX燃料、混合燃料を使ってプルトニウムを使っていこうとする、ここにいろいろと問題がある。今日ウランの燃料が、比較して私は必ずしもそう高くはないと思うのですね。プルサーマルに使う燃料と、そ れから軽水炉、濃縮ウランでいく燃料と、そのは、比率はどれくらいになるのか、ちょっとその数字を聞きたい。
  32. 結城章夫

    ○結城説明員 原子力発電所にプルトニウムの燃料を使う場合とウランの燃料を使う場合の比較でございますが、燃料コストとしては余り大差がないというふうに承知しております。
  33. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私のいろいろ調べておる中では、プルトニウムの使用後の再処理をも含めれば、格は二倍とかそれに近い前後になるというような資料がありますが、全然差がありませんか。
  34. 結城章夫

    ○結城説明員 ウランの燃料をつくります場合には、まず天然ウランを手配いたしまして、それを濃縮を行います。さらに加工するということで、こういうことがコストの要因になってまいります。一方、プルトニウムの燃料を使う場合には、天然ウランはほとんど必要なくなってまいりますし、プルトニウムは、これは幾らに見るかという問題はございますが、加工費は若干高くなるということがございます。それで濃縮は不要になりますので、その辺を差し引きいたしますと、さほど差は生じないというふうに理解しております。
  35. 辻一彦

    ○辻(一)委員 燃やした後、再処理をしなくちゃいかない。そのために相当な経費がかかるはずなんですね。それを含めてどういう比率になりますか。
  36. 結城章夫

    ○結城説明員 まずウランの燃料でございますが、三%の濃縮ウランを使いましてウランの燃料集合体をつくるということを考えますと、これには何が必要になってくるかといいますと、天然ウランが必要になりますし、ウラン濃縮が必要になり、さらに燃料の加工費がかかるということでございます。これはそれぞれ、いろいろ変動いたしますので、一概に申し上げることは非常に難しいのですが、一定の仮定を置いて試算いたしますと、大体一トンのウランの燃料をつくるのに二億とか三億円程度になるかと思っております。一方、プルトニウムの燃料でございますが、これはプルトニウムの値段を幾らに見るかという問題もございまして、一概には申し上げられませんが、さほど大差は生じないというふうに考えております。
  37. 辻一彦

    ○辻(一)委員 プルトニウムは燃やした後再処理をまたさらにする必要があって、そういうものは相当な経費がかかるはずなんです。私は資料をちょっと要求しておったのですが、通告の時間が遅かったので間に合わなかった点もありますので、これは事前に突き合わすことができなかったので、その点は後でひとつ詳しい資料を提出していただいて、別の機会にこの論議は詰めたいと思っておりますが、仮に百歩譲って、プルトニウムの方が幾らか高くて余り変わりはないということをおっしゃるのでしょうが、仮に百歩譲ってそうであったとしても、それなら何で、ウランはこういう状況の中で今後二十年、三十年、まず需要はそう心配はないですね。この危険性のあるプルトニウムを、安くない、ほぼ似たようなものならば、なぜ使う必要があるのか。ウランでやればいいのじゃないですか、濃縮ウランでやれば。  私はこれをずっと見てみると、プルトニウムは、とうも高速増殖炉の開発がかなり早い時期に実用化されるであろう、こういうような見通しのもとにFBR、高速増殖炉に必要なプルトニウムを確保するために日本は再処理に突っ込んでいった。初めは外国、イギリスかフランスでやっているわけでありますが、今自分でやろうという道をたどっておるわけですね。ところがFBRの開発は、もう時間の点から伺わずに申し上げますが、大体二〇三〇年、四十年後でないとこの高速増殖炉のめどはなかなか立たない。既に欧州のフランスのスーパーフェニックス、百二十万キロワットのFBRも、どうも採算が合わぬというので、次の燃料装荷のときには周辺に鉄の棒を詰めて、いわゆる増殖をとめるということになっておる。これを見ると、高速増殖炉の将来のめどはまだまだ立っていない。そこで、再処理をどんどんやっていけばどうしてもプルトニウムが余ってくる。どこに使うか。これは置いておいて値打ちがふえるわけではない。半減期もありますし、一部は価値が幾らかは減っていくわけですから、だからどこかに使わなくてはならない。そこで、いわゆる軽水炉の中にこのプルトニウムを三分の一程度使おう、こういう方向に進んでおるのじゃないか。値段が同じなら、変わりがないのなら安全な濃縮ウランの溶液を使えばいいのであって、何も非常に問題のある、毒性を持つプルトニウムをいろいろな形で使う必要はない。だから私は、これはFBRの実用化がめどがつかない段階でそう急いで再処理をやってプルトニウムを分離する必要はないのじゃないか、こう思うのですね。  例えば、アメリカとソ連は、先ほど一言触れましたが、あれだけの原子力を使っておりますが、再処理をせずにプール、水の中に使用済み燃料を全部つけて保管をしておる。時期が来たら、二、三十年待ってそのときにひとつ考えてみよう。一説によると、これはIAEAでローゼン原子力部長等もこういう分析をしておりましたが、米ソは将来の資源を確保するために、まずある石炭石油、ウランを使って、そのプルトニウムは将来のエネルギー源として確保しておるのじゃないか、こういう見方もあるという見解も示しておりましたが、私は、これほど資源のない我が国が自前の燃料として、純国産燃料としてプルトニウムを云々するなら、慌てて使うことはない、水の中につけておいて将来を待って、今あるウラン燃料を有効に使っていく、こういう方法をとってもいいのではないか、こういう考えを持っているのですが、これについてどうかを伺いたい。
  38. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  プルトニウムにつきましては、先生指摘のとおり、高速増殖炉において用いますことが最も効率の高い使い方であるというのはさようであろうかと存ずる次第でございます。ただ、今先生が御指摘になりましたように、プルトニウム239と申しますのは、核分裂性でないウラン238から生成されるものでございます。したがいまして、プルトニウム239が利用されるならば、本来普通の状態ではエネルギー発生しないウラン238、これは御承知のように天然ウランの中に九九・三%含まれておるわけでございますが、そのウラン238も利用可能になる、そういう意味で我が国が膨大なエネルギー資源を手にすることができるというのは、先生承知のとおりでございます。  そこで、今先生が御指摘になりましたように、アメリカ等でやっておりますように、使用済み燃料をいわゆるワンススルーと申しますか、一回便使いっ放しにして、それを貯蔵しておくということにして、それは潜在的なエネルギー源である、時来ればその燃料を再処理し、あるいは再処理して取り出しましたプルトニウムを加工して用いればいいんじゃないかという議論はあることはあろうかと存じます。しかし、我が国におきましては、まさにプルトニウムを再処理して取り出し、それを加工し、それを再使用するというプルトニウム利用技術体系全体をつくり上げることが科学と技術依存するエネルギーとしての原子力の特質をより大きく引き出すゆえんであろうと思っておるわけでございます。  そういうことで、我が国におきましては動燃事業団が東海村の再処理工場でしかるべき規模の再処理を行い、今日本原燃サービス株式会社が六ケ所村で計画をしておるわけでございますが、我が国においてプルトニウムを利用する科学技術の体系を確立することこそが将来の非常に膨大な潜在的エネルギー資源を我が国が手中にするということであろうと認識しておりまして、その方向に沿いまして、技術開発努力を展開しておるということになっておると存ずる次第でございます。
  39. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私も将来に向けての実験や試験をやって力をつけていくということは必要だと思うのですよ。だけれども、それは東海の再処理工場である程度生産できるわけだし、また量的にそれで足りないということであれば、海外委託の使用済み燃料があります。向こうはこれをいや応なしに突き返してくるわけですから、我が国が再処理を委託する以上は受け取らざるを得ないわけです。それはかなりな量があるわけですね。今言わ れるような趣旨ならば、それだけで十分に間に合う。たくさんの処理場をつくって生産を上げようとするから、結局、余っていたプルトニウムを科学的にはほとんど変わりのない軽水炉にまで入れて、危険性がいろいろあるにもかかわらず、そこに使わざるを得ない。そういうことをやる必要はないのではないか。実験や試験をやって東海でプルトニウムを取り出しているのですから、技術は身についているわけですね。また、その取り出したプルトニウムでいろいろな試験や実験をやっていく、これも将来の技術を積み上げる上に大事なことですから否定するわけではない。東海で足りなければ、海外からいや応なしに来る量があるわけですから要らないんじゃないか。そうなると、今慌てて下北半島の方に無理をしてつくることはないのではないか。水につけて様子を見て二、三十年。片やFBRのめどがどうなるのか、片や将来新しい方法ができるのかもわからない、そういうことを考えてやっていっていいのではないだろうか、無理をする必要はないだろう、こう私は思うのですが、いかがですか。
  40. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  一歩一歩進んでいったらいいのではないか、東海村再処理の規模で十分ではないかという御指摘でございます。それに関しましては、基本的に先ほど申し上げましたように、我が国におきますプルトニウム利用体系全体の確立と申しますか、プルトニウム燃料の加工の規模あるいは再処理の規模等々、ごく小さい規模におきますプルトニウム利用あるいはプルトニウムに関する研究開発ということにつきましては、よしんば見通しがついたとしても、一定の規模でプルトニウム利用技術体系全体ができ上がっておることが非常に重要であろうと考える次第でございます。  そういうことで、単に研究開発をしまして小規模なプルトニウム利用がうまくできるということにつきましては、東海村の再処理工場あるいは動燃のこれまでのプルトニウム燃料の加工の経験から、私どもはなし得ると思っておりますけれども、全体としてのプルトニウム利用技術体系の確立ということが我が国エネルギーの安定供給にも寄与し、さらに燃料という観点からの天然ウランの需給関係そのものにも非常にいい影響を与える、価格が急に変動しない、見通しの立ったウラン自身の需給関係を期待できるということからいいまして、プルトニウムリサイクル技術体系の確立というのは、我が国にとりまして極めて重要なことである、さように認識している次第でございます。
  41. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今無理してプルトニウムをたくさん生産して、そして使いようがないので軽水炉にまで持ち込んでいく、そういうことをやらなくてもいいんじゃないか、検討すべきだということをもう一度申し上げて、この点はおきたいと思います。  あとはわずかの時間でありますが、原子力安全性問題に触れたいのです。一つは、加圧型の原子炉の蒸気発生器問題について、さきの科学委員会でかなり論議をしまして、五〇%施栓の安全評価について資料も一部提出されました。また、具体的な原子炉個々の施栓率上限値についても、これは科学委員会の理事会預かりということで、近くそちらに提出されるということも聞いておりますので、この点は割愛したいと思うのですが、ちょっと確認だけしておきたいのです。科学の理事会に提出されることは間違いないですね。
  42. 松宮勲

    ○松宮説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘の、一部の加圧水型の原子力発電プラントの定格出力維持が困難となる施栓率についての資料提供の問題につきまして、先般、たしか五月二十四日だったと存じますが、科学技術委員会におきまして先生から御指摘がございまして、理事会預かりということになったわけでございまして、私どもただいま関係電力会社に作業を依頼しているところでございまして、その結果を通産省として確認をした上で、できれば御要望のラインで対処させていただきたいと考えておりますので、しかるべきタイミング、先生指摘理事会に間に合うかどうかわかりませんが、できるだけ早く御要望のラインで対応させていただきたいと考えております。
  43. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この問題はこれで切り上げておきます。  そこで、日本に限らず、加圧型の蒸気発生器は泣きどころがあって、アメリカや各国でも相当全面的な入れかえを今やっていますが、その実態を簡単で結構でありますから、一言お伺いしたい。
  44. 倉重有幸

    ○倉重説明員 お答え申し上げます。  外国におきます蒸気発生器の取りかえの現状でございますけれども、アメリカにおきまして八基、西ドイツ、スウェーデンにおいてそれぞれ一基、またフランスにおいて取りかえ中の蒸気発生器が一基ということでございます。
  45. 辻一彦

    ○辻(一)委員 詳しいことは別の機会に譲ります。  そこで、私の若狭湾、福井県は、加圧型の発電所が十、全部入れると十二、建設を入れると十五ですから、非常に集中しておるのです。福井県の原子力安全管理協議会、原安協と略して言われておりますが、これがことしの四月二十七日に、今後蒸気発生器の施栓が二五%以上ならば変更申請を認めないと関電を呼んで言っている。そして二五%を超えたならば蒸気発生器の全面交換をやってもらいたいということを正式に表明して発表しておるのですが、これについてひとつお伺いしたいのは、県の、自治体のこういう正式な決定に対して、関電、電力企業は拘束されるかどうかということと、第二は、国として県の、自治体の意向を尊重すべきであると思うがこれについてどうか。この二点をお伺いしたい。
  46. 松宮勲

    ○松宮説明員 お答え申し上げます。  委員指摘のように、福井県におきまして、若狭湾に立地しております加圧水型原子力発電プラントで施栓率が問題になっているものにつきまして、御指摘のような安全解析のためのいわゆる限界施栓率を二五%とすべきでないかという意向が福井県から示されたということは私ども漏れ聞いておりますが、通産省としては正式には承知しているところではございません。恐らく県の方から関係会社でございます関西電力にそのような意向が伝えられたものと考えております。したがいまして、私ども国としては正式に承知している立場にございませんが、県と福井県に立地しております関西電力との関係で、電力会社としては、県の方からそういう御指摘があったということはそれなりに受けているものと判断いたしております。  他方、国の方はどうかという御指摘でございますが、私どもといたしましては、電力会社をして従来より伝熱管の損傷防止のための徹底した対策、例えば水質管理の徹底とか予防、保全のためのスリーブ補修等の実施等させてきているところでございまして、これまでの原因究明あるいは再発防止対策等の徹底によりまして、今後大幅な、例えば福井県が示されたという二五%というようなラインに到達することは現実的にはないものと判断をいたしております。しかしながら、今後とも従来の路線に沿いまして、なお予防、保全等の徹底を電力会社に対して指導を重ねてまいりたい、かように考えております。
  47. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これはそちらから出してもらった資料で、アメリカのサリー二号が全面交換をやった施栓率は二〇・八ですね。それからターキポイント四号は二四%、ロビンソン二号は二三・四%というように施栓率が具体的に出ているのですね。一一五%を超えるようなことはあり得ないというのは事実としてなかなか言えないと思うのですよ。だから、もし二五%を超えたときに、この県の意向は十分に尊重されるべきである。というのは、安全確保は国においても通産省が第一義的にこの安全性をチェックする、科学技術庁の原子力安全委員会が最終的にチェックをして、ダブルチェックをやっている。同様に、国と自治体がまたダブルチェックを行って万全を期すというところに安全性がさらに高まり、確保される可能性があると思う。そういう意味で、地方自治体がいろいろ苦慮して積み上げてきたこういう意向を無視することがあってはならない。そういう意味で、 これは国としては尊重すべきだと思うが、もう一度その見解を伺いたい。
  48. 松宮勲

    ○松宮説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、県の意向が示されたということは、私ども間接的に承知いたしておりますが、正式に国にそういう御要望があったわけではございません。ただ、御指摘のように、地元の方でそういう御要望があるということは私どもも念頭に置きながら、従来より講じてきております徹底した予防、保全対策等をさらに強化することにより、地元が御心配のようなラインが現実にならないよう指導をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  49. 辻一彦

    ○辻(一)委員 時間が来たから終わりますが、ちょっと今の答弁はまだ納得できない不満な点がありますから、この問題についてはひとつまた別の機会になお論議をしたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  50. 柿澤弘治

    柿澤委員長 関晴正君。
  51. 関晴正

    ○関委員 協定の内容に入る前に、今下北の関根浜において出力上昇試験を行いつつある原子力船「むつ」の問題でお伺いしたいと思うわけです。  これは、七日にはもう海洋に出て七〇%の上昇試験に入るという予定であったのだけれども、すっかりとまってしまった現況でございます。なぜ原子力船「むつ」がとまってしまったのか、その原因がわからないまま今日十日もそれ以上にも至っているわけですけれども、これは大変な重い病気になっているんじゃないだろうか。それが全然予見できなかったとすれば、科学技術の水準にかかわる重要な欠陥をまたそこに見るような気がしてならないわけであります。この際、あれほど張り切って大丈夫である、絶対安全である、自信満々で進めてきた原子力船「むつ」の問題点、この点についてまず伺っておきたいと思います。
  52. 白川哲久

    ○白川説明員 お答え申し上げます。  御質問ございました原子力船「むつ」のトラブルでございますが、原子力船「むつ」は、今関根浜で出力上昇試験の最中でございますけれども先生指摘のように、当初の予定でございますと六月七日に洋上での試験を行うために出航する予定でございました。それで先週の月曜日、五月二十八日でございますけれども、当初予定では六月七日洋上試験を行うということで、その準備のための最終的なチェックを岸壁の方で行っております。出力を上昇してまいりまして、出力約六%の段階で一次冷却水の流量が低いという信号が出てまいりまして、原子炉が自動停止をしたわけでございます。原子炉が自動停止いたしました後、一次冷却水のポンプは低速の運転状態になりまして、原子炉は安定的に温態停止状態に移行をしてございます。  それで、原因の方でございますけれども、一次冷却水の流量が低いという信号が発生をしたわけでございますが、これはこれまでの調査の結果、一次冷却水のポンプの高速運転用の電気の回路がございまして、そこの主電磁接触器、これは一種のリレー、スイッチのようなものでございますが、これが開の状態になっておったということで、この一次冷却水のポンプの高速運転用の電源が何らかの原因で遮断されたために、こういう現象が起こったというふうに原研の方では現在推定をしておるところでございます。  詳細な原因につきましては、現在原研においてさらに調査中ということでございます。
  53. 関晴正

    ○関委員 何かの原因でということは、全く予想がつかないことですか。
  54. 白川哲久

    ○白川説明員 先ほど申し上げましたように、一義的な原因といたしましては、この一次冷却水のポンプの駆動用のモーターの高速運転用の電気回路、そこにございます一種のリレーが開の状態になったために電源が遮断をされた、こういうことでございまして、その後、原研の方で鋭意原因究明をやっておるところでございますけれども、これまでのところ、そのリレーが開となった具体的な要因を明確に確定するというところまでは至っていない、こういう現状でございます。
  55. 関晴正

    ○関委員 そういう現状をどう思いますか。原因がわからない。十日たってもまだわからない。これはどういうことなんですか。いつごろになればわかるのですか。恐らくその見通しもまたわからないでしょう。そういうことをどうお考えになっておられますか。
  56. 白川哲久

    ○白川説明員 原研の方では引き続きまして、先ほど申し上げました一次冷却水のポンプの主電磁接触器が開になっておった、これが第一義的な原因というふうに推論をしておりますので、その推論に基づきまして、一番末端までの計器あるいは機器の健全性を確認する、さらには、これはフォールトツリーと申しまして確率論的な原因究明の手法でございますけれども、そういった分析手法を用いまして鋭意点検、試験を行っておるところでございます。  それで、科技庁の方といたしましては、やはり何と申しましても原因を徹底的に究明するということが第一でございますので、原研の方に対しましては、原因を徹底的に究明をして所要の措置を講ずるようにという指導をしておるところでございます。
  57. 関晴正

    ○関委員 原因がわからない、わかるまでなお追求してみる、これは当然のことだと思います。これは軽い事故だと思っておられますか、重い事故だと思っておられますか。重い事故だということになりますと、ここで決断しなければならないときが今来たんじゃないだろうか、こう思うのですが、この症状を重い病気と見ますか、軽い病気と見ますか。お答えください。
  58. 白川哲久

    ○白川説明員 先ほど御説明いたしましたように、先週の月曜日にこの事象が起こった後でございますけれども原子炉自身は、その後所定の制御回路の作動が順調に行われまして安全に停止をしておりますし、我々としては、原子炉安全性というものに特段の影響はなく、また周辺公衆や従事者への影響もなかったというふうに認識をしておるところでございます。  ただ、先生指摘のように、これまで岸壁で出力上昇試験をやってまいりました過程で幾つかのふぐあい、トラブルが発生をしたわけでございますが、そういうものと比べまして、今回の事象につきましては、先生指摘のように、もう十日程度たっておるわけでございますけれども、その間に至るも明確な原因がまだきちんとは判明していないという点では、これまで幾つかございましたトラブルよりは、何と申しますか慎重な対応が必要であろう、そういう認識をしておるところでございます。
  59. 関晴正

    ○関委員 いつごろまでに解明できると推定していますか。
  60. 白川哲久

    ○白川説明員 これは大臣の御指示もございまして、スケジュール優先ということではなく、スケジュールにとらわれることなく徹底した原因の究明を行うようにという指示を受けておりまして、我々その旨原研の方を指導しておるところでございますので、やはり原研の方に対しては安全の確保最優先ということで万全の対策を講ずるようにという指導をしておるところでございます。
  61. 関晴正

    ○関委員 いつめどがつくか、何が原因であるか、十二日間過ごしてもまだわからない。この後何日かかるかもまたわからない。  私は、科学技術庁長官に科学技術委員会でこの問題についてもお尋ねしたことがございます。言うなれば、原子力船「むつ」というものは、実験航海をして、その後廃船にするんだが、この計画を遂行して何がプラスになるのか、何が今後の科学技術行政の上においてプラスするのか。ほとんどその計画はない、いつの日にかあるであろう、こういうような考え方であります。いつの日にかあるであろうなんというものは、これは幻想に近いものでありまして、計画というものとはおおよそ緑のないものであります。したがって、この原子力船「むつ」の問題においては、さきの科学技術委員会においても、そういうこともあって金だけかかるこの船はもうやめようじゃないか、こういうことであったわけですけれども、しゃにむに進めてみようかというのが大きな力になって今日あるわけです。今日いよいよできた。港もできたし実験の支度もできた。だが、これは形の古いも のであります。防護装置においても、原子力発電所のような多重防護の装置が全くできておりません。一たび故障があると、その故障をすぐ直す、カバーする、そういうような装置において、これは欠けている船なんです。ですから、今こうなると、何でこうなったのかということさえわからない。欠陥だらけじゃないでしょうか。そうしておいてなお航海を続けてみたところで何の意味があるだろうか。一千億もかけた。七十億で済ませる船が一千億もかかった。大変な金遣いです。金食い船と言われるのも当然のこと。この後なおまた金をかけていって何の意味があるだろうか。はかり知れない事故がやがて来るんじゃないだろうかという不安の方が大きいと思うのです。  そういう意味においては、一定の時間が過ぎたならば、これは決断しなければならない。原因はわからないなどというようなことは、本当に大変な病じゃありませんか。軽く見ておるんでしょうか。不眠不休の努力を、二十四時間も寝ないで頑張っている涙ぐましい努力を船内において展開されておると思います。私も同情の念を禁じ得ないものがまたあるわけです。外国においては、言うなれば、決断することにおいて非常に立派だと私は時々思うのです。どんなに金をかけても、やはりこれはやめようというときにはやめる。例をドイツのバッカースドルフにおける再処理工場に私は見る。あるいはまた、各国における再処理工場の断念の姿というものに見る。だが日本は思い切ってやめるとかそういうところになかなか踏み込まない。  これは、やはり大島長官に私はお答えをいただきたいと思うのです。長官以外に、断念する、そういう指示をする能力のある人はいないと私は思う。もうこれはあきらめようじゃないか。確かに金をかけただろう。これ以上かけてみたところで、まださしたる成果もないのだから、恐らく大臣も心配しているだろうと思いますよ。たった今なったばかりの大臣に大変な御心配をまたかけておらると私は思うのです。思い切っておやめになったらどうです。なお日数がかかるようであるならば、一定の時期においては決断する、そういうところに行かなければならないのじゃないだろうかと思うのですが、そういう点でひとつ長官のお考えをいただければと思います。
  62. 緒方謙二郎

    ○緒方政府委員 長官がお答えする前に若干説明をさせていただきます。  「むつ」につきましては、この計画を進めて将来何の役に立つのかというのが御意見の前提になっておりますが、確かに原子力船につきまして第二船の具体的な計画があるわけではありませんが、原子力船というものは非常に特徴のあるものでございまして、将来、いつの日にか必ずそういう需要が起こってくるであろうということを信じております。そのときに、技術開発というものは必要が生じたときにすぐに間に合うものではありませんで、蓄積をしておきませんと間に合いません。日本ではこの原子力船「むつ」以外に舶用炉の研究をいたしておりませんので、これをやめるということは、将来にわたって海運国、造船国の日本が舶用炉についての一切の知見を失ってしまうことを意味いたします。それは忍びないではないか、それはやはり続けていく必要があるのではないかということであります。  原子力船「むつ」、ただいま機器の調整をしておりますけれども、計画では、秋以降一年間の実験航海をいたしまして、その実験航海によって舶用炉特有のデータを収集いたしまして、これを将来の舶用炉の研究の基礎的な資料に活用したい、こういうことでやっているわけでございます。現在は、秋からの試験に備えまして、いわば試験をするための船の点検をしている最中であります。初期の段階でのいろいろなトラブルが出てきているわけでありまして、これはテストはいろいろ段階的に行いまして、ふぐあいが発生したときに、それぞれ適切な手当てをして、万々が一にも外界に対して被害を与えるような、害が出るような事故にならないように措置をしながら進めていくわけでありますので、そういう点の御心配をいただいているわけでありますけれども、そこは私ども原研に対して安全性には万全を期すように指導しているところでございます。  さて、それでは際限もなくいつまでもやっていくのかということでありますが、御案内のとおり、私どもこの原子力船の開発につきましては、万一予期せぬ事情によって研究開発計画に非常に大幅な変更が必要になった場合には、研究開発はその時点で中断する、こういう方針を持っております。これはいわゆる中断条項と言われている条項でありますけれども、これは言ってみますと、私ども万々が一にもそういう事態を起こしてはならないという、ある意味での決意の表明のようなものでもあるわけであります。したがいまして、こういう事故が、どういう事態が生じたら中断するのかということをあらかじめ決めておいて、そういう事態になったら中断をする、こういう方針を示しているわけではありません。一般的に大幅な変更が必要になった場合に、何が何でも続けていくんだということではなくて、もしそういうことが起こった場合には、一たんそこで踏みとどまって、それから先どうするのか、やみくもに続けていくのではなくて、その時点で厳しい姿勢でその後の段取りを必要に応じて原子力委員会等の意見なども聞きながら判断をしていこう、こういう趣旨でございます。  現在、原子力船「むつ」につきまして点検をしております事態というものは、先生指摘のように、ふぐあいが発生いたしましてから十日以上たっているわけでありますが、私ども、そこは何日以内に解決しなければスケジュールがおくれるから早くやれということではなくて、やはりもう少し時間をいただいて、原因の徹底究明をやることが優先をする、こういうことでやっているところでございますので、時間的にもう少しの余裕をちょうだいいたしたいと考えております。
  63. 大島友治

    ○大島国務大臣 ただいま事務的、技術的な面からの答弁はさせたのでございますが、私といたしましては、まさに委員の御指摘のとおり、日も浅く、この大問題に当面いたしまして正直のところ委員以上の胸の苦しみを連日身にしみて感じておることはひとつ御理解をいただきたいと思うのでございます。とは申しましても、しからば胸が晴れるようにあしたやめたらなんということになるかというと、そうはまいらない、その辺が私といたしましても極めて苦しい立場であることは事実でございます。  そこで、まさにこの前も御答弁申し上げましたが、日本の海洋国というような問題、さらに資源の関係のこと、いろいろな面を検討いたしまして、将来の日本の問題といたしまして、せっかくここまで大変な、莫大な費用と労働力、そしてまたいろいろと国民にも問題を投げかけたということになれば、ここであっさりやめるのが是か、それとも、せっかくここまで来た以上は、いかなる困難も克服して、そして何とかこの問題を究明して答えを出して、いわゆる将来に向かっての船の操作についての何らかの原子力エネルギーに基づくデータというものが得られればいいのではないかというこの所期の目的を何とかして私も達成をさせたい。ただいまのところ、残念ながらこうした事象が発生いたしまして、大変御不安と御迷惑をかけておることは私ども真に心の底から申しわけないとは思っておりますが、私の立場といたしましても、ただいま申し上げた点につきまして、ひとつしばしお見守りをいただきまして、この目的を達成していきたい、こういう考えでございますので、どうかひとつ御理解をいただければ幸いだと思います。
  64. 関晴正

    ○関委員 これ以上この論を今しようとは思いません。しかし、思い出すことは、昭和四十九年の八月二十六日の夜半、あのときの長官は森山長官でありまして、我々は、原子力船「むつ」の出港は差し控えよ、今行くべきじゃない、もう少し合意を得るまで待て、でも長官は、それに耳を傾けず、県民の意向も無視して、夜陰に乗じて出港させてしまった。それ以来今日までですから、それこそ多大の時日を費やしてきているわけです。今 お隣におられます当時の中山議員も、科学のメンバーとして、原子力船「むつ」はやはり金食い虫の最たるものだ、すっきりやめるのが適当ではないかという論者の一人であったことをまた思い出しておるわけであります。  ですから私は、いろいろなことで経緯があり、やってきたからなおやってみよう、こう言っても、やった結果に値打ちがあるならば別ですが、いずれの日に使うのかわからないような実験航海の成果を、こうした危険を冒してまで、こうした事故を見てまで、なお走れ、なお進めということはどうか、こう思うのであります。  なお、今長官、私以上に胸の裂ける思いだ、こうおっしゃいますから、裂けてしまえば困りますから、裂ける思いで何日続けるかわかりませんけれども、私は、一定の時期が来たら決断せざるを得ないであろう、また、ぜひそういうことで決断することが適当ではないだろうか、こう思いますので、強くそのことを求めて、この点についてはおきたいと思います。  さて、原子力協定に入りたいと思うのですが、この日仏原子力協定というものは、何が一番の動機になって今次国会に提案することになったのかということになりますと、いろいろ理由があるでありましょうけれども、その理由の中の一つに、大きなものとしては、青森県の六ケ所村に再処理工場をつくる、そのことを公において追認するというところに意義があるのじゃないだろうか、こう私は思っておるわけです。既に原燃サービスにおいてはフランスとの技術協定をして、フランス技術を六ケ所の再処理工場に持っていく、こういうことで取り組んでおられるようであります。きょうはぜひ原燃サービスの方にも来ていただいて、その間の経緯を聞きたいと思っておったのですけれども、時間が間に合わなくておいでになれないとのことでありますから、これは十二日に開かれる科学技術委員会においでをいただいて、その辺の事情をお尋ねしておきたい、こう思っておるわけであります。  そこで、私は、再処理工場技術フランスからもらうといいましょうか、フランスから仰ぐ、いただくといいましょうか、このことについて、既に東海村の再処理工場というのがありまして、これもフランス技術であります。そうして、いかにこのフランス技術というものが動燃事業団においてうまくなかったものであったかということをよくよく経験しただろう、こう思うのです。でも、いろいろな経過を経て、動燃事業団においても本当に御苦労が多かったと思うのです。何とフランス技術は日本の技術屋に御迷惑をかけたのだろう、こう私は思っているわけであります。しかし、今ようやく東海村の再処理工場も、二百十トンの再処理計画からその半分以下のところまで届いたようでございます。決して褒められたものではございません。  そこで、まずこの問題について、動燃事業団の方では、再処理工場に今日まで携わってきた一つの経験、経緯にかんがみて、今どんなことをお考えになっているだろうか。せっかくの技術が六ケ所村に生かされないまま頭越しにフランスとの技術協定、あの工場はパイロット工場として建設されたはずでありますが、パイロットの役割というものを何も果たさないままで沈んでしまわなきゃならないのか、こう見ますと、まことにふがいないと申しましょうか、情けないと申しましょうか、そんな気がしてならないわけであります。動燃事業団としては、六ケ所への取り組みに当たっては、その実力も能力もなし、こう見られたのではないだろうかと思うのですが、その点について考えることや思うことがあるならば、ひとつお話をいただければと思います。
  65. 佐々木壽康

    ○佐々木参考人 お答えいたします。  先生指摘になりましたように、私ども東海村の再処理工場を導入いたしましてから大変苦労いたしまして、これを使いこなすということでいろいろ技術的な開発をやってきたわけでございまして、おかげさまで昭和六十年ごろから安定的な運転ができるようになりました。この安定的な運転は、その後三、四年続いているわけでございますが、私どもとしては、やはりこれからもう少しレベルの上がったところで、具体的には九十トンぐらいの処理量、これをこなせるような技術レベルをこれから安定的に長期間にわたってぜひ続けていきたい。そういうことをすることによって再処理技術というものがいろいろ開発されていくのだろう、こういうふうに考えております。  原燃サービスさんがフランスから技術を再び導入するということになったわけでございますけれども、私ども技術そのものも、例えば原燃サービスさんが導入されますのは主工程でございまして、転換工程とかガラス固化工程につきましては、私ども技術を採用していただけるということになっております。それから私どもの東海再処理工場のいろいろな運転を通じて民間の産業界にも大きな技術レベルが確立されたというふうに私ども解釈しております。  そういうことで、産業界にまず技術が定着したということ。それから、私ども自身としましても、設計の問題のコンサルティングとか技術者を派遣する、再処理工場に必要な要員を養成、訓練する、あるいは将来は具体的に工場の運転のための人を派遣していくといったようなことを、現在もやっておりますが、これからも進めていくということで、私どもの苦労してきた経験といったものが今度の下北の工場の方で十分活用されていくものだと考えております。
  66. 関晴正

    ○関委員 動燃事業団としてプルトニウムの使用状況、現在再処理工場から出ているところのプルトニウム、それから返還されてお持ちになっておるものを合わせますと、動燃事業団としてはここずっと支障がないものと思っておるのですが、その点はどうですか。
  67. 佐々木壽康

    ○佐々木参考人 突然の御質問でございますが、私の承知している範囲でお答えさせていただきます。  再処理工場はことしは年初から非常に順調に動いておりますが、例えばこれが引き続き順調に動いたという仮定をとっていきますと、「もんじゅ」の初装荷用の燃料に対するプルトニウム、これは再処理工場からのもので十分確保できるという見通しを持っております。しかし、九二年ごろになりますと、「もんじゅ」の取りかえ用の燃料の製造とかそういったものが入ってまいります。もともと「もんじゅ」の取りかえ燃料には年間約五百キログラムぐらいの核分裂性のプルトニウムが必要になりますけれども、先ほど申し上げました再処理工場で九十トン処理というものを達成いたしましても、過去の経験では約四百五十キログラム程度の分裂性のプルトニウムしか得られないということもございますので、九二年ごろにはそのバランスが崩れるという状況でございます。
  68. 関晴正

    ○関委員 もう一つ動燃さんにお聞きしたいのです。何で動燃として必要とするプルトニウムをフランスにまでわざわざ買いに行かなきゃならないのか、受け取りに行かなきゃならないのか、この点を聞きたいと思います。
  69. 佐々木壽康

    ○佐々木参考人 お答えいたします。  先ほど申し上げましたけれども、九二年の秋ごろになりますと不足いたしてまいります。その主たる原因は「もんじゅ」の取りかえ用の燃料でございます。したがいまして、現在フランスにしか日本の燃料を再処理してできたプルトニウムはございませんので、フランスから輸送しなければならないということになるかと思います。
  70. 関晴正

    ○関委員 動燃事業団として必要だとするならば、それはもうフランスにわざわざとりに行かなきゃならない、わざわざそこに受け取りに行かなきゃならない。それよりは、これは電力会社の所有物件でございましょうから、それに届けさせればいいと思うのですが、どうなんですか。必要だからといって、なぜそれをわざわざ受け取りに行かなきゃならないのですか。所有者があなたの方に届けるようにしたらいいのじゃないですか。その辺どうなんですか。
  71. 佐々木壽康

    ○佐々木参考人 お答えいたします。  それは、商習慣としてどういうものが普通なの かよく承知いたしておりません。しかし、必要なのは私ども動燃事業団でございまして、実際にプルトニウムがあるのはフランスでございますから、私どもが買いたいということでございますので、その必要なものをそこで電力さんの方がお売りになるということは、一つの形態として十分あり得るのじゃないかと思います。
  72. 関晴正

    ○関委員 この問題は、内容がまだまだたくさんあるだけに、ここでの問答でどうのこうのと言うわけにはいかないと思うのです。いかないと思いますけれども、商慣習として、売りたい人と買いたい人がある場合は、売りたい人が買いたい人のところに持ってくるのが順序でしょう。欲しいというならば届けさせればいい。なぜ電力会社が届けてくれないのだ。届けるべき者が届けないで、そうして必要とする者がわざわざフランスまで出かけていって持ってくる。そのために二百三億円も、船をつくって守ってあげなければならないという事態にあるわけです。これは電力会社というものが自分のなすべき仕事を怠っておる、そうして国民の税金に大きく依存しておる。きょうは電事連の会長に来てもらいたい、何と思っているかということを聞こうと思ったのですが、これもまた、にわかな御要請でありますので、出向くわけにはいかないという御返事であります。十二日の科学技術委員会において、ぜひ御出席いただいて、自分の頼んだものは自分で管理すべきではないかという立場に立ってお考えをまた聞かなければならないな、こう思っております。  そこで、私は今度外務大臣にお聞きしたいと思います。  外務大臣は、今度のこの協定を我々国会の方に出したわけですが、この国会で我々が審議するにしましても、一番の問題点はプルトニウム問題であるわけです。これは、あの六ケ所においてプルトニウムの生産に寄与するための協定である。もちろんこの協定がなくても現行協定でも進めることはできるでありましょう、できるでありましょうけれども、物が物だけに三年前の原燃サービスの契約、この契約をここで改めて追認するようなのがこの条約の意義になっているのじゃないだろうか、こう私は思うわけであります。そうなりますと、プルトニウム社会というものは一体容認できるものなのか、是認できるものなのか、推進できるものなのか、それともこれはちょっと待ってもらわなければならないような問題をはらんでいるのじゃないだろうかという考えがなければならないと私は思うのです。今日、再処理工場がほとんどの国々においてばたばたと断念されてきております。そうして高速増殖炉によって電気を起こすというような考え方もまた大きく後退してきておる、こう思うのです。そういうときにわざわざ今急いでそれを追認するような格好の行為に出なければならないものだろうか、こう思うわけであります。  そこで、各国の再処理工場の進展の状況、また高速増殖炉の運転の状況についてひとつ御報告いただきたいし、そして、そういう状況に至っている理由についてもまたお答えをいただければ、こう思います。
  73. 結城章夫

    ○結城説明員 諸外国の再処理の状況を御説明申し上げます。  まず、フランスでございますが、フランス核燃料公社、COGEMAでございますが、マルクールにUP1という工場を持っておりまして、天然ウラン燃料で年間一千トンの処理能力を持っておりまして、一九五八年から運転中でございます。さらに、COGEMAはラアーグにUP2という工場を持っておりまして、これは天然ウランで年間八百トン、濃縮ウランで年間四百トンの処理能力を持ち、天然ウランについては一九六七年から、濃縮ウランについては一九七六年から運転を行っております。なお、この工場は一九九二年に濃縮ウラン燃料の年間八百トンの処理工場に増強するということで工事中でございます。さらに、フランスにおきましては、ラアーグに濃縮ウラン燃料年間八百トンの処理能力を持つUP3という工場が建設されておりまして、昨年の十一月に前処理工程を除いた部分の運転を開始し、ことしの八月ごろには全面運開の予定でございます。  次にイギリスでございますが、英国核燃料会社、BNFLがセラフィールドにB205という工場を持っております。この工場は、天然ウラン燃料で年間千五百トンの処理能力を持ち、一九六四年以来運転中でございます。また、BNFLは、このセラフィールドに一九九二年の運転開始を目途に濃縮ウラン、年間千二百トン処理のTHORP工場を建設中でございます。  次に、ドイツでございますが、カールスルーエに西ドイツ核燃料再処理会社のWAKという工場がございます。この工場は、濃縮ウラン燃料年間三十五トンの処理能力を持っておりまして、一九七一年以来運転中でございます。  なお、今先生お話ございましたバイエルン州バッカースドルフの再処理工場でございますが、一九九七年運転開始予定で建設を行っておりましたが、これは中止となっております。ただ、西ドイツは、この工場はやめましたけれどもフランス及びイギリスに委託して再処理を行うということになっております。  最後に、アメリカでございますが、アメリカでは現在商業ベースでの再処理は行われておりません。
  74. 佐藤征夫

    佐藤説明員 世界の高速増殖炉の現状についてお答えいたします。  欧州等各国とも高速増殖炉の実用化に向けて着実な研究開発を進めているところと承知しております。  具体的に申し上げますと、フランスにおきましては、原型炉フェニックス及び実証炉スーパーフェニックスを運転中でございます。  また、西ドイツにおきましては、実験炉KNK―IIを運転中でございます。さらに、西ドイツにおきましては、オランダ、ベルギーとの協力のもとに原型炉SNR―300の建設をほぼ終了したところでございます。  また、イギリスにおきましては、原型炉PFRを運転中でございます。  米国におきましては、多くの実験炉を建設してまいりまして、現在もEBRII等を運転中でございます。さらに、米国におきましては、現在、固有の安全性の活用、金属燃料サイクル、原子炉コンポーネントのモジュラー化等を取り入れた新型LMRの開発を推進してございます。  また、ソ連におきましては、実験炉BOR60、原型炉BN350、BN600を運転中でございまして、さらに実証炉BN800が建設中でございます。  さらに、欧州の先進諸国におきましては、国際協力による開発につきましても推進しておりまして、現在各国におきます今後の実証炉計画を統合して、経済性の向上と、いずれの参加国におきましても許認可が得られることを目標としましたEFRという欧州統合実証炉計画を進めているところでございます。
  75. 関晴正

    ○関委員 今のお話は形式的な話で、そういうお話をされておりますけれども、現地における問題はいろいろあるでしょう。西ドイツのバッカースドルフが、とにかく建設をしておりながら、これをやめた。何でやめたと思っておられます。その原因をどう聞いておりますか。お答えください。
  76. 結城章夫

    ○結城説明員 ドイツがなぜ自国の再処理工場の建設計画をやめたかというお尋ねかと思いますが、外国のことですので、一概には申し上げられないかと思いますけれども、ドイツは、自分の国の再処理工場の建設はやめましたが、イギリス、フランスに再処理は頼むわけでございまして、再処理自体をやめたわけではございません。これは将来のEC統合ということも背景にあると思いますし、主に経済的な理由でそういうふうにしたというふうに私どもは理解しております。
  77. 関晴正

    ○関委員 経済上の理由もありましょうし、危険上の理由もまたあったでしょう。アメリカにおいては、もうとうにここから退陣してしまった。言うなれば、先進諸国においてアメリカはもうとうにやめてしまう、ドイツに至っても大変な金がかかるというのでもうこれはやめるしかない、それ でフランスの方に頼もうかとなって変わったのでありましょう。また、ドイツの高速増殖炉だって運転を中止するところまで考える、そういうところに今来ているのじゃないでしょうか。  日本のこれからの進み方の問題なのですが、これらの諸国に学ぶものがなければならないと私は思うのです。フランスはなぜこんなに進めるのか、こんなにやっているように見えるけれどもフランスだって自国のものに至ってはそんなに取り組んでいないでしょう。日本が頼むものだから、日本のおかげで動いているようなものでしょう、いい金もうけになると思って。しかもその実態というものはいろいろなお話がまたなされているわけであります。  そこで、我が日本が先ほど辻先生からもお話があったように、プルトニウムをたいてエネルギーにする時代というのは早く見ても二〇三〇年、あと四十年先のことですよ。そうして、そういうたき物によらざればたき物がなくなるのか、こうなりますと、今のウランを安いうちに支度するならば百年分も支度できるのじゃないかとさえ言われております。これについてどう考えますか。
  78. 結城章夫

    ○結城説明員 使用済み燃料に含まれておりますプルトニウムというものは、技術によって生み出された我が国の貴重なエネルギー資源でございます。エネルギー資源に恵まれない我が国といたしましては、また天然ウランも有限な資源でございますから、このウラン資源の有効利用を図り、原子力発電によるエネルギー供給の安定化を図るという観点から、使用済み燃料は再処理し、回収されるプルトニウムを核燃料として利用していくということが資源のリサイクルということからも大変重要な課題だと思っております。
  79. 関晴正

    ○関委員 全然聞いていることに答えていません。安いウランを買って、そうして燃料にしておいた方が見通しとしてはプラスになるのじゃないだろうか。少なくとも買おうと思えば百年分も買える、こう言われているのだが、その話はどうなんだと聞いているのです。そんなにはできないと言うのですか。できるとするならばどこまでできますか。これについてのお答えをいただきたいと思っております。
  80. 結城章夫

    ○結城説明員 我が国の電力会社は、大体二〇〇〇年ぐらいまでに必要なウランは既に買い付けておりまして、そこまでは確保済みでございます。それ以降の問題になるかと思いますが、先ほどから申し上げておりますように、ウランはやはり限度のある天然資源でございますので、日本がそんなに無制限に買い付けられるという保証はないというふうに思っております。
  81. 関晴正

    ○関委員 それは勝手な話じゃないですか、あなた。どれくらい買えるかわからないというのに、それほど買えないという話は何です、それは。後先合わないじゃないの、お答えは。  とにかく、韓国がソ連からウランの購入の契約を十カ年契約でされましたね。その値段は恐ろしく安い。ヨーロッパの価格に比べて四割方も安いと言われていますよ。今ウランが安くなっているのです。どこの国も余っている、買ってくれるところがないかと思っている。プルトニウムをたくよりは、そちらの方がはるかに経営上からいっても安全上からいっても――比べてですよ。何もそれがいいと言っているのじゃないですから、間違わないようにしてくださいね。そういう意味においてはそちらの方がはるかにベターじゃないだろうか。それをわざわざ避けて、そうして再処理工場によって生産されるプルトニウムをたくのだという方式に進むことは、ワンススルーはいけないからツースルーだとかスリースルーだとかと言うのかもしれませんけれども、これはそうスルスルとはいかないでしょう。プルトニウム一グラムの与える影響というものは四千万人もがん患者をつくるような力を持っている。大変な力ですよ。大変な猛毒です。そういうような猛毒を我が国の中に入れて、そうしてエネルギーのもとにするという考え方よりは、ウランをたき物にしておいた方がはるかにいいのじゃないだろうか、こう私は思うのです。ですから、今のうちにそれを買う。プルトニウムは遮断する、そういう方式の方がはるかにいいと思うのです。そういう意味においては、日本は諸外国の――今みんなプルトニウムから後退している。やがてはウランからも後退していくでありましょう。そうして新しいエネルギーを創造し、将来に備えていかなければならない。日本の今進めている方式というものは、またまた原子力発電所をふやしていくこと、原子力に頼って頼っていくしかないというやり方ですね。そのもとになるのが六ケ所の一つの再処理工場になるということを思いますと、これはどうしたってやめてもらわなければならない。そういう意味で、プルトニウム社会というものが果たして立派なものなのかどうか。この見通しがつかない限り、軽々に協定によしきたと言うわけにいかないと私は思う。  そういう意味においては外務大臣、とにかく最近になく頑張っておる外務大臣として評価されているのじゃないだろうかと私は思うのです。また、科学についても相当な御識見を持っておる外務大臣でありますから、この際、この協定を無理して、今可決の方向にあるいは採決の方向に持っていくよりは、もう少し様子を見る、世界の動きを少し考えてみる、こういうふうにあっていいのじゃないだろうか、こう思うわけであります。  現行の条約ができたのは、今からもう十五、六年も前。そうして今回とにかく一つの改定というところまで運んだ。しかし、我が国が他国と締結したからといって、批准台に上がってくるものがすべてかというとそうでもありません。締結はしたけれども、国会の批准を仰ぐに至らないものだってたくさんあるはずであります。たくさんある中で、ここにこれを持ち出してきて今急がねばならない理由は私はないのじゃないか、こうもまた思うわけでございます。近くサミットの会議がある、あるいはフランスの首相がやってくる。それだけに早く片づけたいという思いがあるかもしれません。しかし私は、そういうことよりも、日本の一つエネルギー政策、このことにおいてプルトニウム社会というものに踏み込んでいいかどうか、ここの一つの選択が大事なときに来ているのじゃないだろうかと思うのです。  そういう点で、この際、この協定の批准を求めておる責任者である外務大臣にお考えをお示しいただければと思います。
  82. 中山太郎

    中山国務大臣 委員には、かねて原子力問題については大変御検討になり、私ども委員の御意見を聞いて大変傾聴するところがございます。原子力船問題についても委員は大変御苦労をいただいているわけでございますが、今回のこの条約の批准、議定書の早期発効は、やはり我が国にとって必要であるという認識を私は持っておりまして、国会での御審議をお願いしているような立場でございます。いろいろと御意見もあろうかと思いますけれどもエネルギー資源の枯渇した日本で、これから先の新しい世紀に向かってどのような方策でエネルギー源を確保するかということにつきましては、日本国家にとっては国民全体の大きな課題であるということで、私どもとしては、この御審議をひとつよろしくお願いを申し上げたい、このように考えておる次第でございます。
  83. 関晴正

    ○関委員 今度の協定というものは、新協定ではなくて、これまでの協定に若干改正をしたというところの協定であるわけですが、ここに踏み込むためには、やはりプルトニウムというものは何であるのか、本当にプルトニウムに依存するそういう社会をつくらなければならないのかどうか、この観点がなければならないと思うのです。これには原子力政策の方からは、やんや進めるべきだ、こう言っているかもしれませんが、落ちついて世界の動きを今見てあげても何も遅くなるものではない。これは大臣だってこの協定を今急がねばならないとは思っておられないのじゃないですか。急ぐ理由があるとすればどこにあるだろうか。私は急ぐ理由はちっともないと思うのだけれども、急ぐ理由があるならば、ひとつその理由を示してください。
  84. 中山太郎

    中山国務大臣 重ねてのお尋ねでございます。 この議定書につきましては、核拡散防止のための日仏間の枠組みを一層整備する、発効を先延ばしすることは、フランスのみならず世界各国から我が国の核不拡散に向けての努力に疑問が提起されることになりかねないという問題が一つあろうかと思います。  また、もう一点は、フランスが現行協定の一刻も早い改正を強く希望しているということから考えますと、信頼の問題が一つあるのではないか。日本とフランスの間の原子力分野での協力関係のみならず両国間の一般関係にも影響を及ぼすものではなかろうか、このように実は考えておりまして、私どもといたしましては、委員指摘のように、核の不拡散ということがやはり一番核を扱う国としては大変な課題である。そういう面では、不拡散の制度をさらに充実させるという意味では、この条約の早期の御審議をぜひお願いを申し上げたいと考えております。
  85. 関晴正

    ○関委員 フランスは核不拡散条約に加盟しておりませんよね。ですから、その観点からいけばフランスは日本に対して何も言うことはないと思う。ただしかし、今外務大臣のお話しした線でいきますと、我が国としては、協定を持っていながら、まだこの部面についてそのままにしている国もあるでしょう。イギリスとの関係においてはそのままですよね。ですから、同じように出すならば、今のような環境整備上出さねばならないとするならば、英国との間における原子力協定についても、核不拡散の立場に立って出さなければならない。そっちの方はそのままにしておいて、そうしてこっちの方は出してくる。これは片手落ちになりませんか。どうです。
  86. 太田博

    ○太田政府委員 お答えいたします。  ただいま外務大臣から御説明をいたしましたように、今回の改正議定書の眼目は、核不拡散強化の観点からの規定を現行の協定に盛り込むということでございます。同じような趣旨から、既に日本が結んでおります幾つかの原子力協定、アメリカ、カナダ、オーストラリアとの原子力協定については改正が行われてまいりました。ただいま御指摘のとおり、残されたのがフランスとイギリスでございまして、イギリスにつきましても、核不拡散体制の強化という観点がございまして、今後現行の日英協定の改正問題につきましても、同じような観点から検討する必要があるというふうに考えております。
  87. 関晴正

    ○関委員 とにかくプルトニウム社会に踏み込んではならない。プルトニウム経済でいくよりは、安全な経済でエネルギーの問題に当たっていかなければならない。そうして特にフランスからプルトニウムを運ぶために、電力会社の用足しのために、我が国が二百三億もかけて船をつくって守ってあげなければならないなんということは、これは大変に行き過ぎたことだと私は思っております。もっともっと電力会社が国との関係、それらとの調整においてよく話し合って進めなければならないことじゃないだろうか。原燃サービスが勝手にもう契約してしまった、そうしてまたさきの契約についてはそういう方法で運ばせるんだ、何となく電力会社の優越性といいますか傲慢性、そんなものを感じてなりません。そういう意味においては、ひとつ外交においても科学の行政においても、国民本位に物が進められるように、そうして第一に平和であるように、この憲法のもとに行政が傷のつかないような進め方でいくようにということを配慮しつつ行政を進めていただきたい。私は、今度の協定については、そういう点が未消化のままに、そして出せばいいという格好で出しているような感がしてなりません。  そういう意味で御意見を申し上げながら、時間でありますので、質問を終わらせていただきます。
  88. 柿澤弘治

  89. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 まず、この前、一日に質問をいたしたわけでありますが、この折に留保になっているのが四点ございました。その後さまざまな調整もしてきたところでありますが、冒頭この四点につきましての御回答を改めていただきたいと思います。  それから、外務大臣、お忙しいのでしょうから、十二時から十二時半の後、三時半から私はまた質問する予定になっておりますが、三時半からのにはぜひおいでいただきたい。今の部分に関しましては外務大臣にお聞きする点がございませんので、別のお仕事におつきいただければと思います。恐縮ですが、大島長官はおいでいただきたいと思います。
  90. 結城章夫

    ○結城説明員 まず第一点の英仏との再処理委託契約の内容という点でございます。  海外再処理委託契約につきまして科学技術庁が従来から電気事業者から聞いております内容を御説明申し上げます。  我が国の電気事業者十社、すなわち北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力及び日本原子力発電株式会社は、英国のBNFL及びフランスのCOGEMAとの間で再処理委託契約を結んでおります。この委託契約は、最も古いものが一九六八年四月の締結、最も新しいものが一九七八年五月の締結でございます。  この契約に基づき、我が国の電気事業者は、軽水炉の使用済み燃料につきましては、イギリスに約二千七百トン、フランスに約二千九百トン、またガス炉の使用済み燃料につきましては、イギリスに約千百トンの再処理を委託いたしております。これらの使用済み燃料は、軽水炉燃料につきましては、イギリスでは一九九二年から二〇〇二年まで、フランスでは一九九九年までの間に再処理されることになっており、またガス炉の燃料につきましては、英国におきまして一九六九年から再処理が行われております。  イギリス、フランスの再処理事業者は、我が国の電気事業者が委託した使用済み燃料の再処理によって生じた廃棄物我が国の電気事業者に返還する選択権を有しております。その選択権は既に行使されておりますので、廃棄物我が国の電気事業者に返還されることになっております。なお、この返還に当たりましては、再処理の委託側と引き受け側との間で返還される廃棄物の仕様が確認されることになっております。  再処理によって回収されるウランにつきましては、イギリスの分は三酸化ウラン、フランスの分は硝酸ウランの形態で引き渡されることになっております。また、プルトニウムにつきましては、イギリス、フランスとも二酸化プルトニウムの形態で引き渡されることになっております。回収されましたウランとプルトニウムは、我が国側に返還されるまでの間イギリス、フランス側において貯蔵してもらうことになっております。  以上でございます。
  91. 広瀬研吉

    広瀬説明員 残り三点についてお答え申し上げます。  「原子力ポケットブック」の記載内容、電気事業連合会の広告内容及び動燃事業団の貯蔵工学センター広報用パンフレットの記載内容についてでございます。  まず、「原子力ポケットブック」についてでございますが、これは科学技術庁原子力局が監修し、社団法人日本原子力産業会議が発行しているものでございます。一九九〇年版「原子力ポケットブック」に示されました貯蔵プラントのスケジュールにつきましては、原則として動燃事業団が昭和五十九年八月に策定した当初計画の資料をベースにしたものでございまして、結果的に必ずしも現状に即したものとなっていないわけでございますが、一九九一年版につきましては、監修の際に修正を行うこととしてございます。  次に、電気事業連合会の新聞広告でございますが、これは国の広報活動ではないわけでございますが、電気事業者が原子力発電についての国民の理解を深めることを目的としてシリーズで掲載した広告のテーマの一つ放射性廃棄物処理処分を取り上げたものでございます。ガラス固化体は三十年から五十年の間冷却しながら貯蔵管理する必要があるわけでございますが、再処理工場内の専用施設で貯蔵管理するという説明は、電気事業者が青森県六ケ所村におきます日本原燃サービス の民間再処理工場内におけるガラス固化体の貯蔵の計画を述べようとしたものでございまして、必ずしも言葉が十分でなかった面がありまして、国としても電気事業連合会に対し今後は意を尽くした説明をすることに留意するよう指導していくこととしてございます。  最後に、動燃事業団のパンフレットについてでございます。動燃事業団では、原子力研究開発を進めるに当たりましては、特に安全性の確保に留意し、これに最大限の努力を払ってきておるところでございます。放射性廃棄物の管理に関しましても同様でございまして、動燃事業団では約二十年前からTRU廃棄物を安全に貯蔵管理してきていることはパンフレットにも記載しておるとおりでございまして、また今後も安全な貯蔵管理に努めることとしてございます。TRU廃棄物につきましては、昭和六十二年の原子力委員会の原子力開発利用長期計画に示されている「TRU核種を含む廃棄物の適切な区分とその区分に応じた合理的な処分方策を確立する」との基本的考え方に基づき、現在原子力委員放射性廃棄物対策専門部会におきまして、その処分のあり方等について検討を進めているところでございます。動燃事業団のパンフレットのTRU廃棄物の貯蔵に関する記載は、適切さを欠いた点があり、動燃事業団としては、今後は不的確な記載はしないようにすることとしておりまして、国としてもそのように動燃事業団を指導していくこととしてございます。  よろしく御理解を賜りますようお願い申し上げます。
  92. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 前段御説明ありました海外への再処理委託契約の内容等につきましては、これに付随して資料もいただいておりますが、どうも聞きたいところが十分に聞けないという点が依然として残っています。なかんずく大変遺憾に思いますのは、恐らく数兆円という大台になるであろう膨大な電力の原価にかかわる再処理委託料のお知らせを求めているのですが、回答がいただけない。これは極めて遺憾であると思います。その他数点それぞれ間がありますが、非常に遺憾であるという点を申し上げて、なおまた機会ある折に十分にひとつお話を受けたい、こういうぐあいに思います。  それから他の、原子力ポケットあるいは電事運、それから動燃事業団等のそれぞれの記載内容等についての問題点、これは幾つか気がついた点だけを申し上げているのでありますが、それを見ても、それぞれ問題点が多いということで、お話がありましたように、どうか今後に関しましては十分に留意をしていただきたい、あるいはこれらにつきましての処置につきましてもしっかり処置をしていただきたい、こういうぐあいに思う次第であります。  さて、この前も御質問を申し上げて、一定の御返事をいただいているのでありますが、東海の動燃事業所の臨界警報装置の作動の問題であります。一日の答弁では、十回そういう警報の作動があったということであります。しかし、臨界警報装置の作動でありますから、これはなかなか大変なことでありまして、まずこの臨界警報装置の目的といいますか、そんなことをちょっと簡単にお話しをいただきたい。それはどういうときに鳴るんだということであります。  時間もありませんからあわせて、この警報装置をしている施設、エリアがあるだろうと思うのですが、それはどういうところで、それぞれに、つまり何カ所警報装置がなされているか、それから過去十回の警報発生は、それぞれの施設別に見て発生年月日はいつであったか、同時にまた、それらの警報の作動し原因のようなもの、これらをややまとめてで結構でありますから、お知らせをいただきたいと思います。     〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕
  93. 橋本好一

    橋本参考人 お答えいたします。  まず最初に、臨界警報装置の作動する場合でございますが、ウランやプルトニウム等の核分裂性物質がある一定量、これは臨界量といいますが、集まった場合、連鎖反応が起こったり、このときに大量の放射線が発生します。もちろん私どもの施設につきましては、先日も御説明申し上げましたように、施設はこのようなことが起きないように設計はしてございますが、そういう状況発生することは想定されます。そうしますと、臨界警報装置は、この放射線を検知した場合に臨界警報を発します。それからこのほかに、臨界警報装置の故障とか臨界警報装置が外部から大きなノイズを受けた場合などでも誤った警報を発する場合がございます。こういうことから、臨界警報装置は、その重要性にかんがみまして、万が一故障などが発生いたしました場合でも装置は安全側に働くように設計されているために、今申し上げましたその他の項目の場合でも吹鳴をするということがございます。  次に、先生御質問の、ではどういうところでこれを設置しているかということでございますが、昭和四十年のプルトニウム取り扱いの開始に伴いまして、動燃事業団ではプルトニウム燃料第一開発室に臨界警報装置を設置いたしました。これが最初でございまして、続いてプルトニウム燃料第二及び第三開発室、そして再処理施設、さらに転換施設並びに高レベル放射性物質研究施設の六施設に臨界警報装置を設置してございます。  警報装置は、今申し上げましたとおり昭和四十年に設置いたしまして以来、これまで二十六年間に、先日も御報告申し上げましたとおり十回の誤警報がございました。誤警報の発生場所と年月日につきましては、まずプルトニウム燃料第一開発室におきましては昭和四十二年六月一日、四十三年六月八日、四十五年二月五日、四十五年三月十七日、五十年八月五日、そして六十三年三月八日でございます。それからプルトニウム燃料第二開発室では、昭和四十八年四月十六日、そして五十三年六月二十九日でございます。また再処理工場におきましては、昭和五十五年十一月三日、そして五十六年十月二十四日となっております。臨界警報装置につきましては、その重要性から、先ほど申し上げましたように、安全を優先した考え方を取り入れて設計をしておりまして、万が一の故障が発生いたしました場合にも警報は発生するような機能になっております。  もう一つの御指摘の誤警報の原因ということでございますが、これまで誤警報の原因を調べてみますと、電源回路の故障など、ハードウエアの不良によるものが八回でございます。それから装置の点検等操作の誤りにより吹鳴させたものが一回ございます。それから装置外部からのノイズによるものが一件ございました。この後者の二つにつきましては、誤操作によるものは、先ほど申し上げましたプルトニウム燃料第二開発室の四十八年四月十六日のものでございますし、外部からのノイズによりますものは、プルトニウム燃料第一開発室の昭和六十三年三月八日の分でございます。  以上でございます。
  94. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 それぞれ今説明があったようなことで警報装置が作動した。これは警報装置が作動したときにどういう対応をとるのか、一応マニュアルのようなものはあるのだろうと思いますが、詳しいことはよろしゅうございますが、とりあえず重要な点、それぞれ措置しなければならぬ点等についてお話をいただきたいと思います。
  95. 橋本好一

    橋本参考人 お答えいたします。  まず、臨界警報が吹鳴いたしましたときは、私どもといたしましては、退避を考えるわけでございますが、人命の安全を第一というふうに考えてございまして、この基本的な考え方にのっとりまして、退避手順は次のように考えております。  警報が吹鳴した場合の作業者の退避、そして退避、集合した後の点呼、それから被曝及び負傷者等の有無の確認並びにその措置を行うこととしてございます。その後、警報吹鳴の原因調査を行いまして、誤警報と判断された場合は作業現場への復帰をいたすこととしております。このようにいたしまして、警報吹鳴時の円滑、的確な対応ができる手順を定めてございます。     〔浜田(卓)委員長代理退席、委員長着席〕
  96. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 これはもちろん、村であるとかあ るいは県であるとか、あるいはその他必要な関係機関に直ちに通報するということにもなっておるのじゃないかと思いますが、その点はどうなんですか。
  97. 橋本好一

    橋本参考人 お答えいたします。  今御指摘の監督官庁等への連絡ということでございますが、警報吹鳴時には、退避、集合した作業者に対する被曝及び負傷者等の有無の確認、並びにその措置と並行いたしまして、放射線サーベイメーター等によります原因調査を初期段階で早急に実施することとしております。これらの結果から、実際に臨界事象が発生したか否かが判明するわけでございます。この時点で、誤警報であった場合には、法令に基づく報告義務はございませんが、監督官庁である科学技術庁等への連絡をさせていただいております。  また、臨界事故であることが判明した場合には、原子炉等規制法に定める報告基準に基づきまして、その旨を直ちに科学技術庁等へ報告することとしております。
  98. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 警報が鳴る。例えばこの前の昭和六十三年三月八日ですと、午後三時四十二分に警報が鳴った。第一開発室、第二開発室など二百九十九人の職員が一斉に約四百メートルぐらい離れた避難所のところに走っていった。そこで点呼をしたり安全を確認したりするわけですね。このときには一人残さず皆出るわけでしょう。その事故が誤報であったかそうでないかという確認は、一定時間かかるわけですね。これは、その間は要するに自治体等には全く知らせないのですか。安全が確認されて皆さんが入るのが当時は三十分後ぐらいであったようですが、これはそれでいいのでしょうか、臨界警報なんていうときに。
  99. 橋本好一

    橋本参考人 お答えいたします。  先ほど御説明申し上げましたように、実は放射線サーベイメーター等による原因調査というものを初期段階に早急にやるということが基本になってございます。  このほかに、実は放射線サーベイメーター等は手で持ちながらサーベイするものと同時に、モニタリングとして施設の中にも、それからまた環境を確認するためのモニタリングポスト等もございます。この辺での放射線の異常等の確認等もいたしまして、これが本当の事故であるか、それとも誤作動であるかということを確認して、その後で通報をさせていただいておるという状況でございます。
  100. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 時間的にはどうなんですか。つまり、かなりの時間が要るわけでしょう、橋本さん。そのときに、実際に臨界の事故であったということになったら、それはどうということはないものですか。マニュアルをまだ示していただいていないものですから、ちょっとわからないのです。そこら辺はどうもよくわからないのです。全く問題のないものかどうか。もしあれでしたら科学技術庁の方でもいいです。
  101. 橋本好一

    橋本参考人 お答えいたします。  先生指摘の警報が吹鳴した場合、さっきはちょっと言葉足らずで申しわけございませんでしたが、その状況に応じて、茨城県原子力安全協定等にも基づき茨城県東海村及び隣接の市町村に対しては速やかな連絡をとることとしてございます。
  102. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 非常にあいまいですね。時間がないものですからあれですが、これはそのためにとめるとかとめないとかいう意味じゃなくて、ぜひ正確に、今でなくていいですから、しかしまあきょうの午後でもあしたでも、きちんと御報告してください。それでなければ、マニュアルを示してもらわなければならぬということになってまいりますし、どうも今のお話では事の重大さに反して対応が非常に不明確である。あるいは自治体に報告した有無であるとかプレスに発表した状況であるとか、その辺も全体として何回かについて私も調べましたが、極めて不誠意であるという感じがいたしますので、その辺については御報告をいただくと同時に、対応について十分な御検討を賜りたいというふうに思います。  もう時間がそうないのでありますが、ここで、これは大臣にちょっとお聞きしたいと思うのです。大臣に資料を差し上げてください。  聞きたいと思う点は、原子力委員会と原子力安全委員会それぞれに専門部会等があるわけでありますが、この両者の専門部会等の委員が重複をしている面がある。お手元の表でごらんいただけばわかりやすくそこに書いてあるわけですが、原子力委員放射性廃棄物対策専門部会の二十二人のメンバーのうち原子力安全委員放射性廃棄物安全規制専門部会及び基準専門部会、こっちの方にダブって兼任をしているという人が七人おられる。これは私は非常におかしいと思う。原子力開発推進をする側と、それから一方で、それの安全性について規制をしチェックをしていくというところを同一人物が兼ねているのが七人もいるということでは、我が国原子力行政における安全性のいわゆるダブルチェックと言われているようなものが、私はどうもそういうことにはなっていない点があるのではないかという感じがするのです。  言うまでもありませんが、安全委員会というのは原子力船「むつ」の反省によって、原子力行政懇談会の「原子力行政体制の改革、強化に関する意見」というのを契機として、昭和五十三年に当時の原子力委員会から分かれる形で安全委員会が発足を見ているということでありまして、安全委員会はこういう生まれの性格、よって立つ原子力安全委員会の任務というものをしっかり自覚してやってもらわなければうまくないのではないかと思うのですね。非常に問題がある。  このほかに、実はそういう民主性等に関する幾つかの問題がありますが、きょうは時間がありませんから、改めてそれらについて一遍まとめて質問したいと思うのです。しかし、当面こういう問題があるということに関して大臣の意見をぜひ聞いておきたいと思うのです。これはもうだれが考えても、両者の機能というものが制度上同一の人間に帰属するということがあってはならないものだというふうに思いますので、今後、これら委員の任命等の時点に配慮すべきものと思いますが、大臣、いかがですか。
  103. 鈴木治夫

    ○鈴木説明員 原子力安全委員会は内閣総理大臣の諮問機関でございますので、科学技術庁長官の御答弁の前に、原子力安全委員会の事務局から原子力安全委員会側の考え方をまず御説明申し上げたいと思います。  原子力安全委員会の放射性廃棄物関係の部会、その他の部会では、技術的、専門的な分野に応じて必要な知識を持つ専門家を構成員として選任しております。その際、結果的に先生言われたような構成員の中に一部原子力委員会の放射性廃棄物関係の部会の構成員を兼任している場合があるということでございます。しかしながら、最終的な意思決定を行います原子力安全委員会の構成メンバー、五人でございますが、これは原子力委員会のメンバーと完全に分けられております。それからまた、原子力安全委員会の委員の任命に当たりましては、国会の同意を得て行っているところでありまして、原子力安全委員会の中立性と公正さというのは何ら損なわれていないと考えております。
  104. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 あなた、そんなこと言ったらだめだよ。専門部会の委員はどうでもいいということなんですか、今のお話では。どうなんですか。それぞれの専門部会の面では何ぼ重複しても、根幹である原子力安全委員会、五人ですか、そのところは変わらないんだ、あとの専門部会の方は七人ダブっているわけですが、そういう点はどうってことないんだ、今の話では。あなた、そんな話ないんじゃないですか。あなた安全委員会の事務局なんですか。安全委員会の立場というものをどう思っているのですか、あなたは。  事務局だからついでに聞いておきますが、幹事というものを法で定めて決められていますね。これは役所の方で幹事をそれぞれ出している。この幹事の中で、通産の幹部がぞろっとそろっているでしょう。これも僕はおかしいと思うのだ。これ はきょうは時間がないから余りそこまでは触れませんが、あなた、そんなこと言うなら何ぼでもありますよ。ちょっと答え直してください。
  105. 鈴木治夫

    ○鈴木説明員 まず、前段でございますが、先ほど申し上げましたように、原子力安全委員会の判断に必要な事項につきまして、技術的な、あるいは専門的な見地から部会において調査審議を行う。ですから、そのそれぞれの各技術的、専門的分野に応じまして必要な知識を持つ専門家を部会の構成員として選任する。その際、私ども原子力安全委員会で専門部会の構成員を選定しますときの考え方は、必要な知見を有しているかどうかという観点から人選しております。この場合、別の組織、例えば原子力委員会の専門部会等の構成員に任命された者を排除することは特にしていないということでございます。  それから、後段の幹事の件でございますが、確かに原子力安全委員会におきましては、専門委員のほかに安全委員会の委員及び専門委員を補佐させるために幹事を置いております。この役割としましては、調査審議すべき事項について、安全委員会の委員または専門委員を補佐させるために原子力安全局の職員あるいは原子力局の職員あるいはほかの関係行政機関の職員をして幹事に任命する。これはどういう考え方で幹事を置くかといいますと、関係すると思われる部局の職員を網羅しておきまして、専門委員の調査活動に伴うさまざまな要請に対応し得るように幹事を置いておくということでございます。
  106. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 極めて不満であります。そんな考え方で安全委員会が安全業務を進めているとすれば、とんでもない話であろうというふうに思います。やはりそれは任務としてはある意味では相反する任務、性格を持っているんだから。そこのところはどうということない、識見のある者は選んでいくんだ、別に重複するしないということは全然念頭にないなんというような考え方で選ばれたのでは、全くおかしいと私は思いますよ。  時間がないので、ここは大臣いいですね、今のような状況を踏まえて、今後ひとつ御配慮いただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  107. 大島友治

    ○大島国務大臣 委員のただいまの御指摘に対して説明をさせたわけでございますが、私も、委員の御指摘のことについてはまさに傾聴に値する、こういうふうに聞きとめまして、この問題に対する御意見を十分拝聴したことにして、私にもひとつ検討させていただきたいと思います。ひとつよろしくお願いします。
  108. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 昼の質問はこれで終わります。
  109. 柿澤弘治

    柿澤委員長 この際、休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ────◇─────     午後三時二十分開議
  110. 柿澤弘治

    柿澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。五十嵐広三君。
  111. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 午前中に引き続きまして御質疑申し上げたいと思います。  まず、再処理過程の中で生まれてくる高レベル放射性廃棄物ガラス固化体でありますが、これは国内の場合、今東海の動燃事業団の再処理工場から発生するわけでありますが、東海村の動燃再処理工場というのはいつまで稼働する予定であられるか。下北には一応計画としては再処理工場のプランがあるわけでありますが。、東海村の方はいつまで続けようとするのか。そうなりますと、東海村で今ガラス固化プラントを建設中なわけでありますが、これらの発生量の見込み、これはその後の貯蔵なんかにずっとかかわることでありますのでお聞きしますが、西暦二〇〇〇年ぐらいで発生量見通しは、今の段階ではどの程度をお考えになっておられるか、その辺をちょっとまずお聞きしたいと思います。
  112. 佐藤征夫

    佐藤説明員 お答えいたします。  動燃の東海再処理工場の稼働期間の今後の見通しにつきましては、東海再処理工場我が国における再処理需要の一部を賄うという役割を持っておりますが、それに加えまして民間再処理工場の要員の養成等の役割もございますので、民間工場が運転を開始するまでの当分の間はこのような形で運転を行うことを考えております。  しかしながら、原子力開発事業長期計画にもございますとおり、民間工場の運転開始に伴い再処理需要を賄うという役割は次第に減少していくと考えられます。その後は技術開発に重点を移した役割を担わせていくことが望ましいと考えられますので、この方向に沿って東海再処理工場のあり方について検討を行っていくところでございます。いずれにいたしましても、現時点で東海再処理工場の運転期間について明確に申し上げられる段階ではございません。
  113. 広瀬研吉

    広瀬説明員 高レベル放射性廃棄物のガラス固化体の累積発生量についてでございますが、今動力炉開発課長からお答え申し上げましたとおり、今後の東海再処理工場の運転期間にガラス固化体の累積発生量はよることになるわけでございますので、恐縮でございますが、あわせて明確な答弁は差し控えさせていただきたいということで御了解をお願いいたします。
  114. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 今建設中である、近々一応完成すると言われている高レベル放射性廃棄物ガラス固化プラントでありますが、このプラントはいわば実証プラントであろうというふうにお聞きしておりますし、またそう思うわけであります。つまり実用ではないということで、実際に我が国でガラス固化体の安全性が安定的に確認されるという段階は一体いつごろになるのか。専門家に聞くところによると、それは十数年はかかるだろうというような意見等もあるわけでありますが、それを知らせてください。
  115. 広瀬研吉

    広瀬説明員 お答え申し上げます。  先生御案内のように、ガラスは長期間にわたって安定な物質であることなどから、高レベル放射性廃棄物の固化処理技術として世界的にガラス固化技術開発が進められてきておるところでございます。現在までの世界の状況を見ますと、既にフランスでは工業規模のガラス固化貯蔵設備が一九七八年から順調に運転を続けておりまして、これまでに約千六百本の固化体を製造し貯蔵しておるところでございます。また西ドイツでも一九八五年からベルギーと共同でガラス固化プラントを稼働させておりまして、これも約千五百本のガラス固化体を製造し安全に貯蔵しておるところでございます。このような世界の状況から見まして、ガラス固化技術は既に各国で実用規模で実証されつつあるということが言えると考えてございます。  我が国でございますが、動力炉・核燃料開発事業団におきまして、過去数十年間にわたって進めてきた研究開発等の成果を活用しまして、固化プラントの計画を立てまして、厳重な安全審査を経て現在固化プラントの建設が進められてきておるところでございます。このような状況から見まして、安全上問題のないガラス固化体ができ、また安全上問題のない貯蔵ができ得るものと考えてございます。
  116. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 しかし、言うまでもなくまだ一本のガラス固化体試作品もできているわけではないわけですね。ガラス固化プラントができる、そこで試運転が行われる。試運転というのはプラントそのものの試運転ということなんでしょうが、そこでちょっとつくりつつテストしながら、また安全性を確認しながらだんだん自信のある方向に進めていくということなんでしょうが、つまりそれは何年ぐらいかかるのかということなんですよ。これは相当かかるというのが皆さんのお話なんですが、その辺のところをひとつお聞きしたいと思います。  それと関連しながら、東海村の稼働の状況もあると思いますが、西暦二〇〇〇年といったってもうそう大したことないわけでありますから、そうすると、今あそこで廃液は三百四十立米ぐらいのものらしいのですが、後、稼働によって廃液が出る、ガラス固化するということになるわけで、その辺の見通しは全くないのかどうなのか、どなた でもいいですけれども、ちょっと御返事いただきたいと思います。
  117. 広瀬研吉

    広瀬説明員 若干繰り返しになって恐縮でございますが、まずガラス固化体の安全性につきまして、先に御説明をさせていただきます。  ガラスが長期的に安定した物質であるということは、例えばエジプトなどの数千年以上前のガラス工芸品が今なお健全に残っていること等から、ガラスが非常に安定な物質であるということは御理解賜れるかと思います。特に、高レベル放射性廃棄物のガラス固化に用いております硼珪酸ガラスは、耐食性にすぐれている、それから耐熱性にすぐれている、また耐放射線にすぐれているということで、ガラス固化の材料としては世界的なレベルにあるものでございまして、安全なガラス固化体ができるということについては実用化の段階にあるということが世界的に言えるかというふうに考えてございます。  また一方、そのガラス固化体を貯蔵する際でございますが、ガラス固化体の貯蔵におきましては、高レベル放射性廃棄物中の放射性物質といいますのは……(五十嵐委員「全然聞いてないことを答えているでしょう、あなた。聞いたことを答えてくださいよ」と呼ぶ)核燃料物質が原子炉の中で燃えた後の核分裂生成物等でございまして、その貯蔵の際に核反応の事故が起こるようなことは考えられないわけでございまして、また高レベル放射性廃棄物は、長期にわたり安定なガラスの形態に固化された形でキャニスターというステンレスの容器の中に入れられまして、安全に貯蔵ができるというふうに考えてございます。
  118. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 済まないけれども、三十分しかないものだから、聞きたいことはいろいろあるものだから、だめだよ、こんなお答えでは。僕もなるべく余分なことを言わないで、聞きたいことだけずばっと聞いているのだから、そのことに簡単にひとつ答えてほしいというふうに思うのです。お答えありますか、今のは。もう一遍言いますか。
  119. 柿澤弘治

    柿澤委員長 答弁は簡潔に。
  120. 橋本好一

    橋本参考人 お答えいたします。  東海ガラス固化技術開発施設につきましては、現在建設中であることは、先日お答え申し上げたところでございますが、これはTVFと呼んでおりますが、このTVFの運転計画につきましては、先生も御指摘のように、試験運転を行う過程安全性、機能の検討を行いつつ立案することを考えております。現時点では、そういう点からしまして、詳細な計画というのはまだ確定してないというふうに思っております。  しかしながら、長期的に見てみますと、TVFにつきましては、東海再処理施設の運転計画と整合をとりつつ運転をしていきたいというふうに現時点で考えております。
  121. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 依然としてわからないのですね。ガラスというものが長期に安定的なものだとかなんとかということを、そんなことを聞いているわけではないので、しかし、技術としては、今一生懸命皆さん開発して、安定的に安全なものに完成をしていこうという開発の段階でいるわけですね。それで、これからそのプラントは一応できて、そして試運転をして製品も出てくる。出てきたからといったって、それがいきなり完成というものではないわけで、それを安全性を確認しながら次第に自信の持てるようなものにしていくということになろうと思うのですね。ですから、そういうようなところまでの段階はどのぐらいかかるのかということを聞いているわけですよ。これは人によっては十何年もかかるという人もいるし、五、六年で大丈夫だろうという人もいるし、いろいろなものだから、それによって以降の貯蔵のスケジュールがまた変わってくるでしょう。だから明確には言えないでしょうね。開発しつつというものであるから明確には言えないのだろうけれども、ほぼどのぐらいか、そのほぼというのもやはり言えないよということであれば、言えないという答弁でいいのですよ、きちんと答えてください。
  122. 橋本好一

    橋本参考人 お答えいたします。  私どもが今考えております計画は、先ほどちょっと申し上げましたが、開発の内容につきましては、先生も御承知のとおり、ガラス固化そのものにつきましては、ガラスを用いまして、これを廃液と混合して溶融したものをキャニスターの中に入れる、この試験は既に十数年繰り返してまいっております。それからもう一点は、実廃液を使いましてガラス固化する試験は、これは小規模ながらCPFと呼んでおります施設でやってまいりました。そういう意味ではある程度の見通しを持っております。  しかし、先生指摘のとおり、実際に工学的に、このTVFを動かしてみましたときに、果たして我々が今の時点で想定しているものができるか、そしてそれが着実にエラーを少なくできるかということは、そういう意味からの健全性、安全性を確認していくということになると思います。それにはできるだけ早くそういう状態に入りたいと思っておりますが、現時点ではなかなか詳しくは申し上げられないというところでございます。
  123. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 もう少し、ほぼどのぐらいかかるというお話を聞きたいと思いますが、実際の話、お話しのように、なかなか見通しは立たぬということであろうと思います。東海の再処理工場自身のこれからの運転見通し、あるいはその性格というものも、さっきお話があったとおり非常に不確定で、どうもそんなような話も、まだここ十年ぐらいのものの見通しからいいましてもどんなになるかわからぬ。殊に下北に関連して新しい性格等の位置づけ等もある。つまり稼働自身の見通しがなかなか出ない。その稼働によって廃液が出てきてガラス固化するわけだ。そのガラス固化そのものも、今お話しのように、安心してといいますか、一応の技術上の安全性を皆さんが思っているような確認のできる状況はいつごろかということになると、これもちょっと申し上げられるような状況にないということでは、これは、それから出たガラス固化体というものを三十年ないし五十年一時貯蔵施設で冷やして、それから深地層処分をするという段階に入るわけですが、とても一時貯蔵施設にいつどうこうなんというような段階ではないということを、今のお答えを聞きながら私は改めて知ることができたというふうに思います。  そこで、次にお聞きしたいのは、ガラス固化のプラントがある、それからそのガラス固化体の一時貯蔵施設がある。これはお話しのように、我が国だけでない、世界的に再処理工場のあるところでは大体三十年ないし五十年ぐらいの一時貯蔵をしてから深地層処分をするというのが一般的なやり方になっているわけですが、そのうちのガラス固化プラントの次の段階、ガラス固化されたものの貯蔵の問題なのです。  まず聞きたいのは三つぐらい。時間がありませんから一緒にあわせてお聞きしたいと思うのですが、一つは、今東海の動燃事業所再処理工場で考えている固化プラントに附属した貯蔵施設といいますか保管施設、これはキャパシティーは四百二十本というふうに聞いておりますが、これの保管分だけのスペース、建坪といいますか面積は何平米か。それから二つ目は、今計画している――もちろんそれは設計図も何もどんどんできて進んでいるわけですが、我々としてはこれは納得のいかない計画であるわけですが、下北の再処理工場サイト内にガラス固化プラントができ、そして一時貯蔵施設もそのサイト内に計画されている。この一時貯蔵施設のキャパシティー及びその貯蔵施設の面積、建坪は何平米か。それから三点目は、これはなかなかお知らせいただけないで長い間お願いしていたんですが、ようやくお知らせいただけるようでありますが、フランスのマルクールの再処理工場に接続するガラス固化体の貯蔵施設、これのキャパシティー及び貯蔵施設の面積、建坪ですね、これが何平米であるか。  以上をあわせてお答えください。
  124. 広瀬研吉

    広瀬説明員 あわせてお答えをさせていただきます。  最初に、動燃事業団の東海再処理工場のガラス固化プラントでございますが、生産されたガラス固化体を一時保管することになってございまし て、その保管する面積は約百六十平方メートルでございまして、容量は四百二十本でございます。  日本原燃サービスが現在青森県六ケ所村で計画をしております再処理施設についてでございますが、日本原燃サービスから聞いたところによりますと、ガラス固化体貯蔵区域の面積は約二千七百平方メートルであり、容量は約三千二百本であるというふうに聞いてございます。  マルクールのAVMプラントの建屋のうち、ガラス固化体を貯蔵する区域の面積は約五百平方メートルであり、貯蔵容量は二千二百本と聞いております。
  125. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 このマルクールの場合はたしか十段になっていると思いました。積み重ねて一時貯蔵しているわけですね。その直径にちょうど合った穴を掘って十段に積み重ねて、そういうものをずっと敷き詰めているということなようでありますが、これは今お聞きしましても、今まで我々がどうも何としてもわからないということで皆さんに常に言ってきた、お願いしていた点は、廃液が再処理工場から出る、その隣でそれをガラス固化する、ガラス固化されたものを接続して隣に一時貯蔵施設を設ける、クレーンでそこへ持っていく。これはマルクールでもそのほかの再処理工場でも、世界じゅう共通の再処理工場の設計の仕方なわけです。これが一番金がかからないし安全であるということは言うまでもない。  それから今度は、将来処分場を選択して深地層処分をするということになるわけですが、しかし、今皆さんが考えている東海村のガラス固化体の一時貯蔵に関しては、これだけを東海村から八百キロも離れたところに持っていって、そして一時貯蔵施設をつくって、そこに三十年ないし五十年貯蔵をするということであって、全く納得いかない。そこで、なぜ一体東海村の動燃事業所にそれをつらないんだ、よその国並みのようにつくらないんだと聞きますと、面積が小さい、こう言うわけです、あそこの東海村の動燃事業所。まあ小さいといったって、これはもう私も全部調べているのですが、それは大変な面積だ。そういう中で、ここで言うようにマルクールは二千二百本で五百平方メートル、東海村で、今さっき本数が見当つかない、こう言っておりましたが、以前の計画では二千本弱ぐらいのことを聞いたことがある。それはまた、幌延に計画されている一時貯蔵施設の一応持っていくガラス固化体の本数も約二千本という計画を以前は聞かされている。今変わっているかどうかわかりませんよ。そうしますと、今あそこで計画している四百二十本、百六十平方メートル、この施設をちょっと広めれば、そんなもの二千本くらいの、五百平方メートルといったら坪数にすれば百五、六十坪ですよ。そんなものがどうして一体全体の面積の中で多いとか少ないとかいうことになるんですか。そういうことの理由で何ぼ言われたって我々わからない。それはやはり安全性からいったって予算の上からいったって、あそこに一時貯蔵施設をつくることが絶対に私は妥当な方法だというふうに思う。恐縮ですが、お答えをごく短く言ってください、あと何分もなくて他にちょっと質問があるので。出だしのところで時間をかけられちゃったものだから。
  126. 橋本好一

    橋本参考人 お答えいたします。  先生今東海事業所のことでお話をいただいたわけでございますが、私どもが幌延でお願いしようと考えております貯蔵工学センターにつきましては、毎度申し上げておりますように、高レベル固化体の貯蔵プラント、それから低レベルアスファルト固化体等の貯蔵施設、そして熱及び放射線等の有効利用のための研究開発棟、深地層試験場、そして環境工学試験施設、放射線管理施設等を設置しまして、総合的な研究センターとしてまいりたいと思っております。このためには約四百ヘクタールの用地を欲しいというふうに思っているわけです。そういう意味で、貯蔵施設だけで申し上げますと、先生のような御指摘の面があるかもしれませんが、今申し上げましたような広さは東海事業所では求められませんので、別のところに手当てしたいと思っております。
  127. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 私言っているのは一時貯蔵施設について言っているわけですよ、橋本さん。深地層試験場をどうするとか何だとかということを言っているんじゃないですよ。深地層試験場をあそこへつくることも我々は賛成でありません。しかし、今問題になっているのは、その全体の貯蔵工学センターの中の一時貯蔵施設について言っているわけです。高レベルガラス固化体の約二千本くらいあそこにやりたいということについてのことを言っている。それはわざわざそこへつくらないで、動燃のところへつくればいいではないか、何にも問題ないではないか。あそこに移動するだけで千億近く金がかかるというんでしょう。しかも、海を通してガラス固化体を一々船で危険を冒して運ばないかぬ。だから北海道の漁業協同組合は、この間の漁業協同組合の会議で全員反対ですよ。当たり前の話なんです。何でそんなことをしなければいけないのかということなんですよ。だから、余分なことを言わないで結構ですから、そこのところだけ聞きたいのですよ、本当にわからないから。これは北海道の人たちはみんなそう思っているんだ。しかもそれにきちんとした答えがないんだ。非常に残念であります。  それで、時間がないからもう一つあわせて聞いておきますが、この幌延に計画されている貯蔵工学センターに道民の多くが反対している、横路知事が反対しているというのは御承知のとおり。けさの新聞を見ますと、ごらんになっていると思いますが、いよいよ道議会に道民投票条例制定の直接請願運動というものを展開しようということになったようですね。それが出ている。これは非常に重要な段階に入ったなと我々思うのですね。北海道の道民の意思がそこでどういうことになるかということであろうと思う。この重要な段階に入ってくる中で私は橋本さんにお願いしたいのは、動燃の事務所があそこでやっているわけですから、冷静にこの道民の意識の状況というものがどうであるかということを、つまりいろんな策動だとか動きなんということなしにちゃんと静かにその動きというものを見てほしい、そのことを非常に僕は思うのです。妙なことをして刺激したり問題を起こさないでほしい、こう思うのですね。そこのところのお答えも含めてちょっと御答弁いただきたいと思います。
  128. 橋本好一

    橋本参考人 繰り返しになりますが、確かに一時貯蔵プラントにつきましては、先生の御指摘のような側面もあるかと思いますけれども、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、これを利用するいろいろな研究施設もつくりたいというふうに思っております。また、これは必要なことではないかというふうに思っておりまして、そのために、先ほど申しましたようなある程度の面積を欲しいということを考えてまいっておるわけでございまして、その辺の御理解を賜りたいと思います。  それから、道民の皆さん方のいろいろなお考え、それにつきましても、私どもは冷静に受けとめてまいりたいというふうに思っておりますし、また私どもの考え方もぜひとも冷静にお聞き願いたいというふうに思っております。その辺の今後の努力は重ねていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  129. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 それでも橋本理事が今指摘の一時貯蔵の面については、そういう面もあるという点でお認めいただきました点を私は確認しておきたいというふうに思います。  それから、今のそういう直接請求の運動が起こった折ですから、どうかそこのところは、殊におたくの方は事務所を現地に置いているわけですから、そういう職員の皆さんの動き等についても自戒をしていただきたい、問題を起こさないようにしてほしい、この際お願いを申し上げておきたいと思います。  そこで、もう時間がなくなっちゃって、最後に恐縮ですが、ほんのわずかな時間で終えたいと思いますので、委員長よろしくお願いしたいと思いますが、外務大臣にちょっとお聞きしたいと思います。二点ありまして、もうごく簡単に聞きます ので、お願いしたいと思います。  一点は、この前の一日の委員会でお願い申し上げていたチェルノブイリの被曝者救援の問題で、ぜひひとつ国としてもそういう積極的な努力を願いたいというお話をお願いしていたのでありますが、一部新聞でこれについての政府方針的なものが示されておりまして、私は非常にうれしいと思うのですが、ぜひこの点について、この機会に明らかにしてほしい。細かい点はまだこれからだろうと思いますが、粗筋でもお話をしていただきたい。  そういう中で、日ソ間の原子力協定締結可能性について、もしそこまで何か構想の部分で、もちろん遠い将来のことかもしれませんが、もしおありでしたらちょっとお聞きしたいと思います。  もう一点は、実はこれは事前に通告をきのうあたりからすればよかったのですが、先ほど入ったニュースなものですから、急に二、三十分前にお知らせするというようなことで恐縮だったのでありますが、それはタタール海峡、つまり以前の間宮海峡、ここにかかわる問題で、ソビエト海軍がソビエツカヤガバニ湾に潜水艦を集めて、原子炉も含めて解体して湾内に廃棄する計画があるという、その計画を聞いてハバロフスク地方の住民等が、これでは放射能の汚染のおそれが強いということで反対をして、このタタール海峡を非核地帯と宣言するための署名を集め始めたというようなことが六日付のソ連労働組合中央評議会機関紙トルードに伝えられたということなんであります。  これは、言うまでもなくタタール海峡は北海道に接する地域でありまして、我が国としても非常に関心を強く持たざるを得ないのであります。しかし、急な通告でありましたから、これらの報道等についての確認をなされているかどうかという点もあろうと思いますが、もしお答えしていただける点がございましたらお答えをいただきたい。つまり我が国側としての考えというものです。
  130. 中山太郎

    中山国務大臣 二つお尋ねでございますが、最後の方のお尋ねの方から申し上げておきますが、御通告がございませんでしたので、十分確認いたしておりませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。  なお、チェルノブイリの被曝者の救援について前回の委員会で委員からお尋ねがございました。その後、早速外務省の欧亜局、それから国連局に調査を命じました。御案内のように、外務省にはソ連邦の政府からは公式にこの話は参っておりません。ただ、この時期にちょうどWHOの中島事務総長が日本に来られておりまして、実はきょうお目にかかりまして、WHOとしてチェルノブイリの被曝者の問題をどのように扱っているのかということをお尋ねをしてまいりました。そういう中で、今まで、ソ連の国内ではグラスノスチが進む前は情報が遮断されていた、最近グラスノスチが進んだためにいろいろな被曝者の声が上がってくるようになった、それで、あの事故が発生しました当時は、現地の周辺の人たちの救援に全力を挙げた、しかし噴き上げた灰がウクライナ共和国だけではなしに白ロシアとかロシア共和国の一部にまで実はおりていたんだ、その灰に被曝した人たちが結局数年後に症状が出始めた、こういう状況であるというのがきょう中島事務総長から聞いた話であります。中島事務総長は、十一日からソ連の首相に招かれて、この件についてモスクワを訪問することになっているという話を承りました。  その際に、日本がどういうふうな協力ができるかという問題でございますが、問題は、実は世界じゅうで日本でないとこのノーハウはないんだというのが一つであります。それは、戦後四十五年間、広島周辺の被爆者の調査あるいは地域の住民の健康管理を日本はやってきた経験があるので、この白ロシアあるいはウクライナ共和国、ロシア共和国の一部の被曝をしたと思われる地域の集団健康管理をどうするか、あるいは日本のように被曝者手帳を出すとかいろいろなやり方があるだろう。そういう問題をこれからやっていくについては、ソ連からもしそのような調査団を日本に出したいといった場合には、日本が受け入れて広島あたりで現実にやっているところを勉強してもらう。あるいはまた、このようなやり方をどのようにすれば多くのソ連の行政機関の人たちが身につけることができるかということについては、日本から専門家を派遣して訓練をする必要がある。さらに、その次の段階として、医療器材をどのように協力するかというような問題が出てくる。それは、いずれにいたしましても、中島事務総長が今月の二十日前後に再び日本に参りますので、その際に、ソ連の首相と協議した結果を詳しく報告してもらいたいということを先ほど申し伝えて、ここに参ったような次第でございます。
  131. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 ありがとうございました。大臣、今の例のソ連の原潜の解体に関しては、そのとおりだと思います。まだお調べになっていないと思いますが、御確認のお気持ちはありますか。最後にそれだけ……
  132. 柿澤弘治

    柿澤委員長 五十嵐委員、約束の時間が過ぎておりますので、よろしく。
  133. 中山太郎

    中山国務大臣 よく報道を検討させていただきたいと思います。
  134. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 わかりました。
  135. 柿澤弘治

    柿澤委員長 松原脩雄君。
  136. 松原脩雄

    ○松原委員 けさ方五十嵐委員が質問をしまして、いわゆる使用済み燃料の再処理委託に関しまして一定の報告がありました。私は、その点で少し抜けている点があると思いますので、その点をお聞きします。  当初の契約では、電力会社と相手方、英仏の会社との間ではいわゆるプルトニウムの返還をする時期の定めはどうなっておったのでしょうか。その点はいかがでしょう。
  137. 結城章夫

    ○結城説明員 契約上プルトニウムの返還時期の定めはないと聞いております。ただ、日本としては、日本の需要に応じまして、一九九二年の秋までに次の輸送を行いたいと思っております。
  138. 松原脩雄

    ○松原委員 そうすると、当初の契約では返還時期の定めがなかった。それを今度返還をしましょうというふうにした場合、その電力会社、私契約当事者ですね、当事者の間では具体的に返還の時期をいつとするというふうな約束事ができ上がったのでしょうか。でき上がったとしたら、それはいつでしょうか。
  139. 結城章夫

    ○結城説明員 回収されますプルトニウムは日本の電力会社の所有物でございます。これをいつ引き取るかは電力会社と相手の再処理会社の話し合いになりますが、今私ども考えておりますのは、動力炉・核燃料開発事業団がこのプルトニウムを当面必要としておりますので、一九九二年の秋までに電力会社から動燃事業団が買い取りまして、これを日本に返還輸送したいと思っております。
  140. 松原脩雄

    ○松原委員 そうしますと、返還時期、とにかくこちらが引き取らなければならない、日本が引き取らなければならない時期の定めはないわけですから、ある意味で、例えば九二年の秋までにプルトニウムの海上輸送、これから大変な問題になると思いますが、その海上輸送を仮におくらせても、電力会社と相手方の会社との間の私契約上については何ら問題は起こらない、こう見ていていいのですね。
  141. 結城章夫

    ○結城説明員 仮にその返還の輸送の時期が多少おくれたとしても、その間はイギリス、フランスにプルトニウムを預かってもらうということで問題は生じないかと思っております。
  142. 松原脩雄

    ○松原委員 それでは次に、やはりまた午前中既に関委員がお聞きになりましたけれども原子力船の「むつ」の問題です。  どうも今回また、三月にテストを開始してから既に六回ほど事故を起こしておるというふうな状態で、昨今のやつは五月二十八日ですか、原子炉が緊急停止をするということで、きょうの関委員の質問ではなぜこういう緊急停止が起こったかわからぬというふうな状態になっておるというところまではわかりましたが、ここまで来ますと、「むつ」が再びテストを今後再開することがあった場合、万一大きなそういう事故が発生するようなこ とは想定しているのか。想定しているとしたら、それに対するいわば対応措置ですね、既にそれは持っておられるのかどうか。それをちょっとお聞きしたいと思います。
  143. 服部幹雄

    ○服部説明員 原子力船「むつ」の安全性につきましては、それを確保するために遮へい改修工事及び安全性総点検を踏まえた補修工事、原子炉容器ふた開放点検、さらには冷態及び温態での機能試験、それから最近行っております出力上昇試験というふうに、各段階において厳格かつ厳重に原子炉等規制法に基づきまして安全性の確認を行ってきてございます。  そういうことから、これまで見られましたような一部の機器のふぐあいまたは不調等は別といたしまして、周辺公衆または環境に影響を及ぼすような万一の事態は、万々一起こらないというふうに考えてございます。しかしながら、万一、万々一放射性物質の大量放出のようなことが生じた場合には、これは災害対策基本法に基づきまして、国、地方公共団体がそれぞれの役割分担と責任のもとに、地域防災計画等を踏まえまして所要の対策を講ずることにしてございまして、原子力船「むつ」についても、青森県において地域防災計画を策定いたしまして、緊急時の連絡体制、環境モニタリング体制、資機材の整備等を行っているところでございます。さらに青森県むつ市は、ことしの一月二十九日に「むつ」に係る防災訓練を実施してございまして、緊急時における防災関係機関相互の連携による防災対策の確立、あるいは関係者の防災技術の向上といったようなものを図っておるところでございまして、国としても、これらの活動に対して技術的な支援を行っているところでございます。
  144. 松原脩雄

    ○松原委員 今原因がわかっておりませんから、いわゆる「むつ」の公海、外へ出て公海での実験の見通し、それは今どんなふうになっておりますでしょうか、あるいは時期ですね。
  145. 白川哲久

    ○白川説明員 お答え申し上げます。  当初の予定では、この六月七日から第一次の洋上試験に出発をする予定でございました。第一次の洋上試験では、これまで関根浜の母港の岸壁の方でおよそ二〇%までの出力上昇試験が終了しておるわけでございますけれども、第一次の航海では、第三段階、第四段階といたしまして出力五〇%、七〇%までの試験を一カ月弱の予定で実施をする予定でございました。  現在の状況でございますけれども、午前中も関先生の御質問にお答えをいたしましたように、先週五月二十八日に起こりました、トラブルがございましたので、それの原因調査を鋭意やっておるところでございますので、第一回目の航海にいつ出発するか、現在のところは未定でございます。
  146. 松原脩雄

    ○松原委員 それでは次に、本改定議定書の条約的な面につきましてお聞きをしておきたいと思います。  先ほどから問題になっておりますプルトニウムの海上輸送については、これは日米原子力協定で当初は航空輸送ということを前提としておりました。ところが一九八八年の十一月に、この協定が発効した後ですが、いわゆる包括的な海上輸送も行うという形で実施取極の附属書の五というのを修正をしたという経過があります。その当初国会でも、航空輸送がこの場合は問題になるのだという議論をずっとやってきたのに、急に海上輸送というのが入り込んでしまいました。その入り込んできた海上輸送、外務省とアメリカ政府との間のいわゆる行政的な取り決めによって変更をされてしまう。それを今度は国会に報告を、理事会の方にたしか報告をしたということになっておるようですが、こういう海上輸送のような非常に重要な事項について国会の関与を抜きにして行政当局だけで決めてしまう、国会の議論を一切無視した形で海上輸送を入れ込んでしまう、こういうふうな取り扱い方については、いわゆる太平三原則、国会と外務省との間のこの種の承認もしくは報告に関する大平三原則との関係からいって果たして妥当な措置であったのかどうか、その点についてちょっとお伺いしたいと思います。
  147. 丹波實

    ○丹波説明員 時間の関係もございましょうから、手短にお答え申し上げたいと存じます。  まず、英仏からの回収プルトニウムの返還の輸送につきましては、先生指摘のとおり、八七年十一月に署名されましたこの日米原子力協定の実施取極におきまして、その附属書五のガイドラインに沿った航空輸送による返還に対してアメリカの包括同意が得られたということでございます。その後アメリカの国内でいろいろな論議があった結果、この附属書五に追加した形で海上輸送のガイドラインが盛り込まれたというのが経緯であることは、先生ただいま御指摘のとおりでございます。  さて、日米原子力協定、先般国会にお出し申し上げて御承認いただきましたのは、協定本体及びこの協定第十五条で言っておりますところの協定に不可分としてついております附属書、この二つの書類を国会の承認の対象として提出申し上げたわけでございます。それに関連します文書が、数え方によって違いますけれども、三つまたは四つと数えられますが、ございます。一つ協定の合意議事録、二つ目は協定第十一条に言及されておりますところのいわゆる両政府間の実施取極、それからこの実施取極の附属書、四つ目が実施取極に関する合意議事録でございます。ただいま先生が御指摘になっておりますところのプルトニウムの輸送の態様につきましては、実施取極の附属書において規定されていたものでございます。この協定合意議事録、実施取極及びその附属書及びこの合意議事録は、国会の御承認の対象として御提出申し上げた協定本体及び附属書の実施細目あるいは運用を定めたものとして御参考までに提出したものでございます。したがいまして、もともとこの実施取極及びその附属書というのは行政府の外交権の範囲内で処理できるということでございまして、したがって、その追加の海上輸送のガイドラインにつきましても、行政府としての取り決めを行ったという次第でございます。しかしながら、先生まさに御指摘のとおり、過去の経緯もございますので、外務委員会の理事会に御報告申し上げ、かつ当時の外務委員会の全先生方に事後的に御報告申し上げたということでございます。  最後に一点つけ加えさせていただきますと、もともとこの実施取極には、海上輸送の場合には個々のアメリカの同意があればできるということが含まれてございますわけで、その個々の同意というのが煩瑣でございますので、包括的に附属書の五に追加したという経緯でございます。御承知のとおりだと思います。
  148. 松原脩雄

    ○松原委員 確かに今の大平三原則の国会の承認条項という形で問題を取り上げるよりも、むしろその後に外務委員会の理事会にその報告をされておられますね。その報告について、当時の大平大臣の議事録等を見ておりますと、報告の事項については、「当該条約を承認した国会としてその条約がどのように実施あるいは運用されているかを把握しておく上で必要と思われる重要なものは締結後できる限り速やかに外務委員会に資料を提出することといたしたい」こういうふうになっておりますが、では、ここで言う「重要な」と言われるもの、これについてはちょっと基準なんかはございますでしょうか。
  149. 丹波實

    ○丹波説明員 お答え申し上げます。  大平外務大臣の答弁にございます「重要な」という意味につきましては、どういうものが重要であるかという客観的なものが示されておりませんので、私たちといたしましては、その必要なケース・バイ・ケースのときに、与野党の理事先生方に内々御相談あるいは御意見を求めて、御指示をいただき、そういう処理の仕方をしておる。先生指摘の先般のこの追加取り決めにつきましては、まさにそういう経緯を経て、まあ外務委員会の理事懇に諮るということでよろしいだろうという内々のお考えをお示しいただきまして、諮ったものでございます。
  150. 松原脩雄

    ○松原委員 そうしますと、今回の議定書に戻るのですが、今回の議定書で、いわゆるプルトニウムが中心となると思いますが、機微なる技術とい うものがフランスから日本に入ってくるというのは、当初の、あるいは今の想定ですけれども、日本にもそれなりの機微なる技術が東海村あたりでは既にできておりますから、そういう機微なる技術が、今度は逆に将来はフランス移転をするかもしれない。フランスは御存じのとおり核不拡散の拡防条約に入っておりませんから、そのまま第三国へまた流れていく。この間指摘しましたように、パキスタンというような拡防条約に入っていないところにまた流れていく。それが平和利用から今度は軍事利用で爆弾の方向をつくっていくということのおそれが実はあるわけですよ。そういう点からしますと、この機微なる技術移転について、将来この改定書に関して修正をするなりあるいは取り決めを結ぶなりしないと、国会の承認が入ってこない、外務省だけでできる、そういうものであっても、機微なる技術移転については、皆さん方がそういう取り決め等をした場合には、国会に報告する重要な事項ということになるのではないでしょうか。その辺の見通しを聞かせていただきたいと思います。
  151. 丹波實

    ○丹波説明員 お答え申し上げます。  機微なる技術の日本からフランスへの移転及びフランスから日本への移転につきましては、今般の改定議定書の第八条の(j)、先生承知と思いますけれども、「「機微な技術」とは、濃縮、再処理又は重水生産の設備又は施設の設計、建設、運転又は保守にとつて重要なものとして両締約国政府が合意により指定する有形の資料をいい、」云々ということでございまして、まさに日仏両政府が指定することによって、日本からフランスあるいはフランスから日本に移転されるということで、この場合には、この改正議定書の附属書の修正といったようなことではございませんで、恐らく口上書の交換によって指定される。それによって機微な技術移転される。移転後、先生がおっしゃったパキスタン云々、その他の管轄外の移転の問題につきましては、改正議定書の第四条に厳格なる条件がいろいろ規定されておりますので、日本政府承知できないような移転というものが行われない形になっておることは御承知のとおりだと思います。
  152. 松原脩雄

    ○松原委員 そうすると、今後将来その機微なる技術移転に関して、海上輸送のときには外務委員会の方に報告がありましたけれども、本協定に関しては、機微なる技術移転に関してそのような報告をするような事項は生じ得ないというふうに、今の御説明は聞いていてよろしいのでしょうか。
  153. 丹波實

    ○丹波説明員 この点につきましては、ただいまお読み申し上げた議定書の八条(j)は、両国政府が指定するということになっておるわけでございますが、私たちといたしましては、この指定の一々につきまして御報告申し上げるということは、現在のところ考えてございません。
  154. 松原脩雄

    ○松原委員 先ほど申し上げましたように、将来のことを考えますと、機微なる技術移転については、核防条約あるいは核拡散を許さないということからしましても大変重要な諸問題が出てくるかと思いますので、そのようなときには、大平さんがおっしゃった重要な報告に関する件だという立場で国会の方にぜひ報告をされるように、この点は要望しておきたいと思います。この点については大臣、いかがでございましょうか。
  155. 中山太郎

    中山国務大臣 今委員指摘のような点を十分頭に置いて検討させていただきたいと考えております。
  156. 松原脩雄

    ○松原委員 次に、原子力施設に対する攻撃の件につきまして、ちょっとお聞きをしておきたいと思います。  まず、この件については、日本の外交が今後どういう基本的な立場でもってやっていくのかということにかかわることでございますので、その点に関連してちょっとカンボジアの問題を一点だけ大臣にお伺いしておきたいと思うのです。  カンボジアの和平に関しまして、今度東京会談が行われて、全面的な、包括的な解決には至りませんでしたけれども、一歩前進があったということでありまして、外務省の方も大変御苦労されたということだと思うのです。そこで、今後のカンボジアの包括的な、全面的な解決についての残された課題と外務省の行動、方針、そういったことにつきまして、ちょっと大臣の方にお聞きをしておきたいと思います。
  157. 中山太郎

    中山国務大臣 細部にわたる問題につきましては、アジア局長がおりますから御答弁させていただきますが、包括的和平にどのように近づけていくかという問題については、これは非常に重要な問題でございまして、先般行われました会談の結果つくられたコミュニケにはクメール・ルージュが参加をしませんでした。しかし日本政府としては、この三派のうち一派が署名をしていないという形になっておりますけれども、クメール・ルージュはいつでもこのコミュニケに参加できるという姿勢を絶えず堅持しなければならない、基本的にこういう考えでおります。そして七月に行われる国連の常任理事国の五カ国会議にこのコミュニケをつないでいって、そしてパリにおけるカンボジア和平の国際会議が再開されるようなプロセスをつくっていかなければならない、このように考えております。
  158. 松原脩雄

    ○松原委員 そこで、このカンボジアの共同声明の中で、アンコール遺跡周辺についてはこれを非敵対地域として宣言をする、国際社会がその遺跡の保護保存のため協力を拡大することを歓迎する、こういうふうな声明が行われ、日本の方でもアンコール遺跡救援日本委員会というのも発足をさせたいというふうに素早く動いているわけであります。このように、いわゆる文化遺産というものについて非常に熱意を持って日本もこれの保護に当たるという動きを出されましたが、この点については一九七二年十一月に採択をされた世界文化遺産及び自然遺産の保護条約というのがあります。これについてはまだ批准をされておりませんね。一方で、カンボジア和平でアンコールワットを守ろうということで非常に大きな熱意を示されながら、今申し上げたこの種の条約についてまだ批准がおくれておることについては、実は今度の予算委員会でも山口書記長が聞いておりますね。まだちょっと時間がかかるというような答弁ですけれども、そういう感覚ではいかぬのじゃないかと思いますが、この批准についてはもう少し前向きに、もっと早期にやるというような形にもならぬものでしょうか。いかがでしょうか。
  159. 赤尾信敏

    ○赤尾政府委員 確かに、この問題につきましては、先生初め多くの方から国会の場でも御指摘を受けております。私たちといたしましても、条約の趣旨は非常に結構であるということで既に署名は了しておりますが、批准するに当たりまして、もう少しこの条約の運用上必要な国内の実施体制の整備の問題を中心検討しているという状況でございます。特に、世界遺産委員会というのがございまして、そこに提出するいろいろな文化遺産、天然遺産の目録の作成等の問題がありまして、そういう点を中心に在外公館等に訓令を出して今調査しておる段階でございます。
  160. 松原脩雄

    ○松原委員 七年前から次の国会には提出するという大臣約束がずっと重なってきて、なおかつまだそういうふうな議論がされていることについては大変残念でありますが、時間がありませんので、原子力施設の攻撃問題についてまとめて聞いておきたいと思います。  今、世界のいろいろな、先進国のみならずいわゆるその他の国においても原子力発電所というものがどんどん建設されていっている。パキスタンもしかりだし、隣でいえば韓国にもありますし、北朝鮮にもあるのではないかというふうな形で原子力発電所が世界にずっと広がっていっておるわけであります。今までアメリカとソビエトの冷戦体制の中で、原子力施設に対する攻撃という問題についてはなかなかうまく事柄が進展しませんでした。しかし、このようないわば米ソの和解の中で、一方では核がずっと世界に拡散していっておる。そうしますと、この原子力施設に対する攻撃という問題については、実際そういう地域紛争が起こる危険性は随所にありますから、これが起 こったときには、そういう戦闘行為等の中で十分考えられます。もしそれが行われたときは、原爆を落としたと同じような危険をもたらすわけです。仮に朝鮮半島で紛争が起こったときは、原子力施設の破壊は直ちに日本にチェルノブイリ的な打撃を与えるだろうというふうに思います。したがって、この原子力施設への攻撃を禁止する国際的条約については、日本が今こそイニシアチブをとってやってもいいはずです。この問題についてジュネーブの軍縮会議の方で既に外務省としてはかつて動きを起こしたことがありますが、その動きは今現在どのようになっておりますでしょうか。
  161. 柿澤弘治

    柿澤委員長 時間の制約がありますから、答弁は簡潔に。
  162. 赤尾信敏

    ○赤尾政府委員 この問題につきましては、一九八〇年以来ジュネーブの軍縮委員会、次いで軍縮会議の場でいろいろと議論されてきておりまして、八二年には日本が具体的な提案も行っております。それに先立ちましては、国連の第二回軍縮総会におきまして、当時の鈴木総理より国連の場でも強調しております。我々としましては、合意ができるように一生懸命努力しているわけでございますけれども、参加国の間でいろいろな解釈の違い、例えばどういう範囲のものを対象にするかという範囲の問題も含めていろいろと意見が分かれておりまして、残念ながらまだ合意に至っておりません。引き続き我が政府としては努力をしたいというふうに考えております。
  163. 松原脩雄

    ○松原委員 国会の議論では、我が党の土井委員長が外務委員のときに、この種の禁止条約を日本がイニシアチブをとって条約化するために動くべきだということで、そういたしますという趣旨の弁が五十七年七月の外務委員会で行われているはずですね。その後、これは報道によると、五十七年の九月にジュネーブ軍縮委員会において大川軍縮代表部大使が原子力施設への攻撃禁止に関する議定書草案を提出したというような報道まであるのですよ。だから、ここから後もうちょっと具体的に説明してもらえませんか。
  164. 赤尾信敏

    ○赤尾政府委員 軍縮会議の場におきまして、アドホック委員会というのができまして、この問題を検討してきております。八二年には今先生の御指摘のように、日本から具体的な案を出したわけでございますが、残念ながら、その後進展を見ていないということでございます。この春の会期におきましても、この問題が取り上げられて議論をしております。  日本政府といたしましては、特に停滞状況にあるこれをいかに打開して前進を示すかという観点から、各国に積極的に働きかけをしてきたわけでございますけれども、残念ながら、まだ効果を上げていないということで、引き続き軍縮会議の場あるいは国連の場を中心に働きかけを行いたいというふうに考えております。
  165. 松原脩雄

    ○松原委員 これはちょっと大臣にお聞きをしておきたいと思うのですが、カンボジア和平でも一定のイニシアチブをおとりになった、それからこの原発攻撃の禁止について、やはり日本がイニシアチブをとって本当にいい立場にあると私は思うのですね。せっかくジュネーブの軍縮委員会で、こちらが草案まで出す、七年前に出している。なかなか動かないのをやったということで、七年間こんな形でほったらかしになっている状態を今こそ前へ進める、そのために日本がイニシアチブをとって強力に進めるという形でやられるべきだと思いますが、ちょっと大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  166. 中山太郎

    中山国務大臣 このジュネーブの会議において、政府としては積極的に努力をしてまいります。
  167. 松原脩雄

    ○松原委員 終わります。
  168. 柿澤弘治

    柿澤委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  169. 柿澤弘治

    柿澤委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。園田博之君。
  170. 園田博之

    ○園田委員 私は自由民主党を代表して、ただいま議題となっております千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力平和的利用に関する協力のための日本国政府フランス共和国政府との間の協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件につきまして、賛成の討論を行います。  エネルギー資源の約八割を海外からの輸入に依存している資源小国の我が国にとりまして、国民生活の充実、産業経済の拡大等により電力需要が今後とも大幅にふえることが見込まれる中で、電力の安定供給を図っていくためには、多様な電源を着実に開発していくことが必要であります。とりわけ、原子力発電は、供給安定性、経済性、地球環境に与える影響等の面ですぐれており、既に我が国の総発電電力量の約三割を賄っております。このような基軸エネルギーとしての原子力利用は、産業経済の着実な発展を図っていくためにも、安全確保を大前提に、今後とも一層推進していかなければなりません。  我が国は、原子力分野において、核燃料の供給、ウラン濃縮役務、使用済み核燃料の再処理委託、東海再処理工場の建設等、種々の面でフランス協力を得てきております。さらに今後は、六ケ所村再処理施設建設等の面でも協力を得ていくこととなると聞いております。今回の議定書締結は、このような日仏間の原子力分野での協力のための法的枠組みを一層整備することにより、我が国にとって重要な長期的に安定したフランスとの間の協力を確保するものであり、自主的な核燃料サイクルの確立を含む今後の我が国原子力利用推進にとって、重要な意義を有するものであります。  また、原子力利用の先進国である日仏両国が、現行協定締結後の核拡散防止に係る国際的な動向を踏まえ、現行協定を改正することを通じて核拡散に対する厳しい姿勢を明らかにすることは、世界の核不拡散体制の強化にも貢献するものであります。  さらに、フランスとの間の友好協力関係の維持増進の観点からも、本改正議定書締結は大変有意義なものであります。  以上のとおり、この議定書は、原子力分野における日仏間の長期的、安定的な協力を確保することにより我が国原子力平和的利用を促進し、さらには、世界の核不拡散体制の強化に資するとの観点から極めて意義深いものでありますので、この議定書締結について早期に承認することに関し、積極的な賛意を表するものであります。(拍手)
  171. 柿澤弘治

    柿澤委員長 松原脩雄君。
  172. 松原脩雄

    ○松原委員 私は日本社会党・護憲共同を代表して、日仏の新原子力協定に反対する討論をいたしたいと存じます。  本会議での質問と二日間にわたる本委員会での質疑を通じて、この新原子力協定は国民にとって必要でないばかりか、極めて危険なものであることがいよいよ明確となりました。  第一に、世界的にプルトニウムが軍事利用のみならず平和利用も否定される方向に大きく歩み出しているときに、ひとり日本がプルトニウムの本格的な利用に突入しようという協定であるからであります。今さらながらいわゆる機微な技術として使用済み核燃料の再処理技術を導入し、大きな再処理工場をつくるなどということは、あらゆる観点から見て無用の長物であるばかりでなく、国民の生命と健康にとって極めて危険な事態を招くことになります。  第二に、フランス等に委託する再処理について、日本とフランス間の契約内容が詳細に至るまでは公開をされませんでした。まして、日本に建設が予定されている再処理工場についてさえ企業機密の名のもとに、国会での求めにもかかわらず、必要な論議のための資料がさっぱり提出されないのは、危険な憂うべき事態だと言わねばなりません。莫大な資金を投じ、国民生活のよって立つ基礎を変えることとなるプルトニウム利用の展開を前に、そのプルトニウムの生産コストすら国民に知 らされないなどということが許されてよいのでしょうか。原子力基本法が述べている自主・民主・公開の原則は全く軽視をされていることが本委員会の審議でも明らかとなったと言わなければなりません。全国民を代表する国会に対して、本委員会で答弁を行ったような全く国会を愚弄するような、正しい知識、正しい事実を知らせることのないような態度が今後とも続くことのないように強く警告をしておきたいと思います。  第三に、ほかに類を見ないほどの猛毒物質であるプルトニウムは、また、絶えず軍事利用と背中合わせにある物質であります。公開の原則が厳守されなくては、軍事利用さえ防止することが困難になります。他国への核拡散も促進されるおそれがあります。  第四に、このままでは、再処理事業とプルトニウムの大量商業利用とともに、核ジャック防止を名目として、国家による国民の管理と抑圧、機密保護の体制がつくられかねませんし、原子力施設に対する攻撃といったことも想定をされ、それが世界の国民の安全保障に対する最重要の関心とならざるを得ないようなあらゆる厄介な問題が次々と出てくるのも、また、このプルトニウム社会の持つ一つの大きな危険点であります。  第五に、今や日本も原子力発電の推進は根本的に見直す必要が出てまいりました。ましてや、プルトニウム社会への突入は、今述べましたような事情で、英断を持って私は中止をしなければならないと思います。科学技術者やあるいは官僚の皆さん方の既に引かれた路線を守っていくということであっては、「むつ」に見られますように、一千億円ものむだな金をどぶに投げ込んだような状態が生じました。このプルトニウムや原子力のような巨大技術は、一回間違えますと猛烈な国家的損失を生みます。そしてプルトニウムが今まさに世界で後退を余儀なくされているということは、ここに投じられるこれからの膨大な資金が、国民の資産が泡となる危険があるわけであります。したがって、これについては政治及び国会が最後にその決断を下すべきであって、科学者であるとかあるいは一企業にこの問題を任せてはならない、こういうふうに考えます。  以上の理由から、新原子力協定に対して私は強くこれに反対をし、以上の理由に基づいて反対討論を終わりたいと思います。(拍手)
  173. 柿澤弘治

    柿澤委員長 古堅実吉君。
  174. 古堅実吉

    ○古堅委員 日本共産党を代表して、日仏原子力協定を改正する本件議定書に対する反対討論を行います。  本件改正が、いわゆる核兵器の水平エスカレーションを防ぐための規制をさらに強化する点については反対するものではございません。  反対する理由の第一は、今回の改正がフランス協力を得て六ケ所村に計画されている再処理施設の建設を推進するための改正であるという点であります。使用済み核燃料の再処理は、世界的にも安全性が確認されておらず、西ドイツなどでも建設が中止されています。政府技術安全性が確かめられたという根拠にしている東海村の再処理技術についても、科学技術庁が当委員会の審議の中で、予想されないトラブルが起こり、そのため予定した稼働日数が確保できなかったのはやむを得なかったと述べたように、確立されたものでありません。規模も再処理能力も東海村の比ではない六ケ所村の再処理施設の場合は、さらに重大となることは明らかであります。  第二は、現行協定に基づいてフランス使用済み核燃料の再処理を委託しておりますが、再処理技術安全性が確立されていない現在、また、高速増殖炉など日本の原発が危険な状況に置かれている中で、再処理を委託すること自体が問題だということであります。  第三に、フランスから提供される公開の情報の範囲が、改正によって狭められる可能性が生まれたということであります。  最後に、今重要なことは、米国のスリーマイル島原発事故やソ連のチェルノブイリ原発事故からの教訓を生かし、我が国原子力開発政策を、安全優先の立場から根本的転換を図り、民主的規制を強めることだということを指摘して、反対討論を終わります。(拍手)
  175. 柿澤弘治

    柿澤委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  176. 柿澤弘治

    柿澤委員長 採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  177. 柿澤弘治

    柿澤委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 柿澤弘治

    柿澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  179. 柿澤弘治

    柿澤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十四分散会