○松原
委員 私は日本社会党・護憲共同を代表して、日仏の新
原子力協定に反対する討論をいたしたいと存じます。
本
会議での質問と二日間にわたる本
委員会での質疑を通じて、この新
原子力協定は国民にとって必要でないばかりか、極めて危険なものであることがいよいよ明確となりました。
第一に、世界的にプルトニウムが軍事
利用のみならず平和
利用も否定される方向に大きく歩み出しているときに、ひとり日本がプルトニウムの本格的な
利用に突入しようという
協定であるからであります。今さらながらいわゆる機微な
技術として
使用済み
核燃料の再処理
技術を導入し、大きな再
処理工場をつくるなどということは、あらゆる
観点から見て無用の長物であるばかりでなく、国民の生命と健康にとって極めて危険な事態を招くことになります。
第二に、
フランス等に委託する再処理について、日本と
フランス間の契約内容が詳細に至るまでは公開をされませんでした。まして、日本に建設が予定されている再
処理工場についてさえ企業機密の名のもとに、国会での求めにもかかわらず、必要な
論議のための資料がさっぱり提出されないのは、危険な憂うべき事態だと言わねばなりません。莫大な資金を投じ、国民生活のよって立つ基礎を変えることとなるプルトニウム
利用の展開を前に、そのプルトニウムの生産コストすら国民に知
らされないなどということが許されてよいのでしょうか。
原子力基本法が述べている自主・民主・公開の原則は全く軽視をされていることが本
委員会の
審議でも明らかとなったと言わなければなりません。全国民を代表する国会に対して、本
委員会で答弁を行ったような全く国会を愚弄するような、正しい知識、正しい事実を知らせることのないような態度が今後とも続くことのないように強く警告をしておきたいと思います。
第三に、ほかに類を見ないほどの猛毒物質であるプルトニウムは、また、絶えず軍事
利用と背中合わせにある物質であります。公開の原則が厳守されなくては、軍事
利用さえ防止することが困難になります。他国への核拡散も促進されるおそれがあります。
第四に、このままでは、再処
理事業とプルトニウムの大量商業
利用とともに、核ジャック防止を名目として、国家による国民の管理と抑圧、機密保護の体制がつくられかねませんし、
原子力施設に対する攻撃といったことも想定をされ、それが世界の国民の
安全保障に対する最重要の関心とならざるを得ないようなあらゆる厄介な問題が次々と出てくるのも、また、このプルトニウム社会の持つ
一つの大きな危険点であります。
第五に、今や日本も
原子力発電の推進は根本的に見直す必要が出てまいりました。ましてや、プルトニウム社会への突入は、今述べましたような事情で、英断を持って私は中止をしなければならないと思います。科学
技術者やあるいは官僚の皆さん方の既に引かれた路線を守っていくということであっては、「むつ」に見られますように、一千億円ものむだな金をどぶに投げ込んだような状態が生じました。このプルトニウムや
原子力のような巨大
技術は、一回間違えますと猛烈な国家的損失を生みます。そしてプルトニウムが今まさに世界で後退を余儀なくされているということは、ここに投じられるこれからの膨大な資金が、国民の資産が泡となる危険があるわけであります。したがって、これについては政治及び国会が最後にその決断を下すべきであって、科学者であるとかあるいは一企業にこの問題を任せてはならない、こういうふうに考えます。
以上の理由から、新
原子力協定に対して私は強くこれに反対をし、以上の理由に基づいて反対討論を終わりたいと思います。(拍手)