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1990-06-01 第118回国会 衆議院 外務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月一日(金曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 柿澤 弘治君    理事 園田 博之君 理事 浜田卓二郎君    理事 浜野  剛君 理事 牧野 隆守君    理事 上原 康助君 理事 高沢 寅男君    理事 山田 英介君       伊東 正義君    鯨岡 兵輔君       坂井 隆憲君    塩谷  立君       福島 譲二君    福田 康夫君       五十嵐広三君    井上 一成君       岡田 利春君    松原 脩雄君       遠藤 乙彦君    神崎 武法君       古堅 実吉君    和田 一仁君  出席国務大臣         外 務 大 臣 中山 太郎君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      大島 友治君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房審議官   石田 寛人君         外務政務次官  石井 一二君         外務大臣官房審         議官      太田  博君         外務省アジア局         長       谷野作太郎君         外務省北米局長 松浦晃一郎君         外務省欧亜局長 都甲 岳洋君         外務省経済局次         長       須藤 隆也君         外務省経済協力         局長      木幡 昭七君         外務省国際連合         局長      赤尾 信敏君  委員外出席者         科学技術庁原子         力局政策企画官 広瀬 研吉君         科学技術庁原子         力局調査国際協         力課長     林  幸秀君         科学技術庁原子         力局核燃料課長 結城 章夫君         科学技術庁原子         力安全局原子力         安全課長    谷   弘君         科学技術庁原子         力安全局核燃料         規制課長    大森 勝良君         外務大臣官房審         議官      丹波  實君         資源エネルギー         庁長官官房省エ         ネルギー石油代         替エネルギー対         策課長     大津 幸男君         資源エネルギー         庁長官官房原子         力産業課長   日下 一正君         資源エネルギー         庁公益事業部開         発課長     作田 頴治君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  谷口 富裕君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全管         理課長     倉重 有幸君         海上保安庁警備         救難部警備第二         課長      夷子 健治君         参  考  人         (動力炉・核燃         料開発事業団理         事)      橋本 好一君         外務委員会調査         室長      藪  忠綱君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力平和的利用に関する協力のための日本国政府フランス共和国政府との間の協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件(条約第四号)      ────◇─────
  2. 柿澤弘治

    柿澤委員長 これより会議を開きます。  千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力平和的利用に関する協力のための日本国政府フランス共和国政府との間の協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として動力炉・核燃料開発事業団理事橋本好一君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 柿澤弘治

    柿澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────
  4. 柿澤弘治

    柿澤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。五十嵐広三君。
  5. 五十嵐広三

    五十嵐委員 この機会でありますから、原子力行政にかかわる、殊に最近問題になっておる廃棄物処理処分等を中心に幾つか御意見を伺いたいと思う次第であります。  今審議をさせていただいている日仏原子力協定、これらに基づいて既にイギリスフランスの再処理業者とそれぞれ使用済み燃料の再処理契約をいたしまして、委託処理を進めているわけでありますが、今までの契約状況、それから現在の時点で結構ですが、それに基づいて使用済み燃料我が国から送っている状況等について、まずお知らせをいただきたいと思います。
  6. 結城章夫

    結城説明員 我が国電気事業者イギリス英国核燃料会社BNFL及びフランス核燃料公社COGEMAの間に再処理委託契約が結ばれております。この契約に基づきまして我が国電気事業者は、軽水炉使用済み燃料につきましては、フランスのCOGE MAに対しまして約二千九百トン、イギリスBNFLに対しましては約二千七百トンの再処理委託することになっております。また、このほかにガス炉使用済み燃料につきましてBNFLに約千百トンの再処理委託することになっております。  それから、これまでに幾ら使用済み燃料を引き渡したかということでございますが、本年三月末現在の数値で申し上げますと、フランスCOGEMAに対しましては千七百トンの軽水炉燃料が渡っております。イギリスBNFLに対しましては軽水炉燃料が約千八百トン、ガス炉使用済み燃料が約千トン引き渡されております。
  7. 五十嵐広三

    五十嵐委員 これらの再処理に基づいて今まで返還を見ているプルトニウムの量、それからこれからの返還予定量、あるいはウランについてはどういうことになっているか、これを引き続いてお知らせいただきたい。
  8. 結城章夫

    結城説明員 ただいま御説明申し上げましたイギリスフランスへの使用済み燃料の再処理委託によって回収されましたプルトニウムのうち、これまで合計八百五十キログラム、これは核分裂性プルトニウムでございますが、八百五十キログラムのプルトニウム我が国返還されております。  それから、ウランにつきましては、今ちょっと手元にデータがございませんが、基本的にはイギリスフランスで預かっていただいておるという状況かと思います。そこはちょっと調べてみたいと思っております。
  9. 五十嵐広三

    五十嵐委員 今まで入荷しただけでなくて、この契約に基づいてこれから入荷するプルトニウム予定量、これはさっきお聞きしたことですから、もう一つ続いて質問しますから、今の点は後の質問と一緒にお答えいただきたいと思います。  ウランイギリスで預かっているということなんだろうが、量や返還等についてどうなのか、もうちょっとお知らせいただきたいと思います。  それから、当然再処理過程プルトニウムとあわせて廃棄物が出る。この廃棄物種類別数量、それから形状といいますか容姿といいますか、はどうなっているか。これらについてお答えいただきたいと思います。
  10. 結城章夫

    結城説明員 まず、これからのプルトニウム回収予定量でございますけれども、先ほどの契約量に見合いまして、核分裂性プルトニウム量合計約三十トンのプルトニウムが回収される予定でございます。  それから、廃棄物の方を御答弁申し上げますが、この再処理契約に伴い生じます高レベル放射性廃棄物でございますが、これはガラス固化体にいたしまして、フランスのものとイギリスのものを合わせまして三千数百本程度になるというふうに電気事業者から聞いております。高レベル放射性廃棄物ガラス固化体以外の放射性廃棄物処理方法につきましては、現在までのところ再処理事業者において検討中であるというふうに聞いておりまして、その量あるいは形状については承知いたしておりません。
  11. 五十嵐広三

    五十嵐委員 ウランはちょっとわかっていないようだから、後でいいですから、できればこの質問時間中にお答えする機会を持ってもらえればありがたいと思います。  それから、大体三十トン程度プルトニウムを回収する予定である、それから廃棄物では高レベルガラス固化体が約三千数百本程度、まあそういうことでしょうか。これはできればイギリスフランス別にちょっと知らせてください。  それから、高レベル以外の廃棄物検討中である、まだその姿容だとか数量だとかそういうことについてはわからないということらしいのですが、契約の上では高レベルガラス固化体以外の廃棄物、つまりTRU等ですね。これらも我が国返還をされる、我が国はその返還を受けるという契約内容になっているのかどうか。その点をお聞かせください。
  12. 広瀬研吉

    広瀬説明員 再処理委託契約は、民間電気事業者英仏の再処理事業者との間の契約でございますので、契約そのものを私ども承知しているということではございませんが、私ども電気事業者から聞くところによりますと、英仏の再処理事業者は高レベル放射性廃棄物及びその他の廃棄物について返還選択権を有しておるというふうに聞いております。
  13. 石田寛人

    石田政府委員 若干先ほどの先生の問いに補足して答えさせていただきます。  返還プルトニウムの量、英仏別の御質問がございました。これにつきましては、そもそも積み出す使用済み燃料自身燃焼度違い等々ありまして、なかなか難しいわけでございますけれども、ごく大ざっぱに申し上げまして、大体英仏半々ぐらいというふうに御了解賜れば幸いでございます。
  14. 五十嵐広三

    五十嵐委員 高レベル以外の――高レベル返還、これもしかし聞いておいた方がいいだろうね。高レベル返還を受けるという契約になっているのだと思うのですが、それはどうか。  それから、今お話では高レベル以外の廃棄物に関して返還選択権イギリスフランスの再処理業者側が持っているという内容になっているようだというお話だ。これはしかし私は初めて聞くのですが、今までそんな御説明をしてきているのかどうかわからないのですが、選択権向こうにある。しかし、まさか廃棄物ですからね、欲しいというようなものじゃないですからね、これは。イギリスだってフランスだって再処理から発生する廃棄物等処理に関して随分住民の反対やらあるいは一部被害が出たりして、そういう委託処理のあり方についても国民的批判が多い中でありますから、それはぜひひとつうちの方は戻さないで残しておいてほしいなんという仕掛けのものではないですね。これはどういうことなんですかね。選択権はあるが、返還されることが基本なのか、ちょっとわからないのですが、もう少し詳しくお話ししてください。
  15. 広瀬研吉

    広瀬説明員 お答え申し上げます。  仕組みといたしましては、先ほど答弁させていただきましたとおり、英仏の再処理事業者返還するか否かの選択権を有しているというふうに聞いてございます。さらに、我が国電気事業者から私どもが聞いたところによりますと、英仏の再処理事業者は、高レベル放射性廃棄物ガラス固化体及びそれ以外の廃棄物我が国返還する意向である旨伝えてきているというふうに聞いてございます。
  16. 五十嵐広三

    五十嵐委員 それから、さっきもちょっと聞いたように、高レベルの場合も選択権向こうにあるということになっているのですか。それはどうですか。
  17. 広瀬研吉

    広瀬説明員 そのとおりでございます。
  18. 五十嵐広三

    五十嵐委員 高レベルに関しても選択権向こうにあるわけだ。なるほどね。これは僕初めて聞いた。恐らくそういう内容については初めて知る人が多いのじゃないでしょうか。私も、この問題は、御承知のようにずっといろいろかかわってきているけれども、きょう初めて聞きましたね。これはしかし、戻るか戻らないかによっては、我が国側受け入れ方、例えば今六ケ所村の場合は、これの返還の、高レベル廃棄物受け入れるということで話が進んでいるわけですね。それから、高レベル以外については六ケ所村側とどういうぐあいに話をしているのか、これもこれからお聞きしますが、これは、来ると来ないでは受け入れ側としては大変な大きな問題が出てくるわけで、それは国家的なこの種対策からいっても極めて重大な問題なわけですよ。しかし、契約の上では選択権向こうにある。ちょっとこれは契約書は見せてもらえないのですかね。これは非常に大きな問題です。どうですか。
  19. 石田寛人

    石田政府委員 海外処理委託契約でございますが、これは先生御案内のとおりに民間電気事業者海外の再処理事業者との間の契約でございますので、どうかそのあたりの事情を御理解賜れば幸いでございます。
  20. 五十嵐広三

    五十嵐委員 これは後これからずっと聞くのにさまざまなことが出てくると思うのだけれども、これは民間企業取引のことだからと言ったって、事が事ですからね。ですから、ちょっとそこら辺のガソリンスタンドの取引とは違うのですから、しっかりと国民によく理解されるような説明をしてもらわなければいかぬ。そのためにはそういう必要な情報の提供というのはしっかりしてもらわなければいかぬと思います。この契約書の問題については承服しかねますが、少し後に残しておきたいと思います。  それでは、返還廃棄物受け入れをするところは一体どこになるのか。高レベルについては六ケ所村ということで計画を進めているようでありますが、聞くところによると、高レベル以外のものも返還するということでありますから、そうとすると、高レベル以外の廃棄物受け入れ貯蔵はどこで行うのか。
  21. 広瀬研吉

    広瀬説明員 お答え申し上げます。  先ほど結城課長の方から御答弁申し上げましたとおり、高レベル放射性廃棄物ガラス固化体以外の放射性廃棄物処理方法については、現在までのところ英仏の再処理事業者において検討中でございまして、まだその仕様も決まっていないという状況でございます。今後、将来仕様が明確にされましたならば、その時点で具体的な返還時期等につきまして再処理事業者我が国電気事業者との間で打ち合わせが行われることになるというふうに承知してございます。
  22. 五十嵐広三

    五十嵐委員 しかし、六ケ所村側には、つまり青森県側には高レベル以外の廃棄物に関しても行くことになるが、今お話しのように、姿客等がまだ明らかになっていないから、貯蔵する技術的な内容等もこれからの話だから、それはそれらが明らかになってからひとつ改めてお願い申し上げますと。その申請書は高レベルだけになっておるわけですから、したがって、新たな申請を必要とするということになるのだろうと思うのですが、その辺の話は青森とはしているのでしょう。
  23. 広瀬研吉

    広瀬説明員 御答弁申し上げます。  高レベル放射性廃棄物ガラス固化体英仏からの返還、それの青森六ケ所村での受け入れにつきましては、我が国電気事業者から地元へお願いをいたしまして、現在その施設許可申請がなされておるという状況でございます。その他の廃棄物返還及び受け入れにつきましては、先ほどから申し上げさせていただいておりますとおり、まだ具体的な受け入れ等について計画が立てられない状況でございまして、電気事業者から地元等に対しまして具体的なお話をしているわけではないというふうに承知してございます。
  24. 五十嵐広三

    五十嵐委員 それは少し違うのじゃないですか。何か補完する答弁があればどうぞ。
  25. 広瀬研吉

    広瀬説明員 高レベル放射性廃棄物以外の廃棄物返還につきましては、電気事業者としては原則的には青森六ケ所村で受け入れたいということでございますが、具体的な計画等についてはまだ決まっていないということでございます。
  26. 五十嵐広三

    五十嵐委員 何だかちょっとわからないあいまいな言葉ですが、要するに、高レベル以外のものも青森に入れたい、こういうことですか。
  27. 日下一正

    日下説明員 補足して御説明させていただきます。  先ほど科学技術庁の方から御答弁ございましたのは、入ってくるものの仕様等が明確になっていないので、その申請書を出す段階になっていないという趣旨でございまして、中低レベルにつきましても、海外から返ってきます返還廃棄物につきましては、青森県の六ケ所村の日本原燃サービス株式会社がその敷地内に貯蔵することになっておりまして、その計画具体化に努めているところでございます。
  28. 五十嵐広三

    五十嵐委員 今のお話が実際のお話なようですね。しかし、青森県側では余りみんな知らないですね。そんな検討はもちろん県議会でもやってないようですし、どこもそういう情報持ってないですね。これは新しい問題としてちょっと問題化しますよ。  それから、プルトニウム返還はどこで受けることになりますか、受け入れ地といいますか。
  29. 結城章夫

    結城説明員 当面、イギリスフランスから持ち返ってまいりますプルトニウムは、動力炉・核燃料開発事業団が扱うことになっております。動力炉・核燃料開発事業団東海村にプルトニウム燃料をつくる工場を持っておりまして、ここで加工するということでございまして、持ち返りますプルトニウム東海村に行くことになります。
  30. 五十嵐広三

    五十嵐委員 高レベル返還輸送の仕方はどういうことになりますか。
  31. 広瀬研吉

    広瀬説明員 我が国電気事業者海上輸送を用いまして高レベル放射性廃棄物ガラス固化体受け入れ計画であるというふうに聞いております。
  32. 五十嵐広三

    五十嵐委員 大体いつごろからその輸送は開始されることになりますか。
  33. 広瀬研吉

    広瀬説明員 フランスからの高レベル放射性廃棄物ガラス固化体返還につきましては一九九三年以降というふうに聞いてございます。また、イギリスからのものにつきましては、現在英仏の再処理事業者と日本の電気事業者との間でその取り扱いが話し合われているというふうに聞いてございます。
  34. 五十嵐広三

    五十嵐委員 海上輸送で一九九三年以降フランスから、イギリスもおっつけやってくるということになって、これはさっきお話しのように六ケ所村で貯蔵するということになるわけでありますが、荷揚げ港はどこを予定しているのですか。これは来年以降の話ですから、もう目の前ですね。
  35. 広瀬研吉

    広瀬説明員 電気事業者からはむつ小川原港になる予定であると聞いてございます。
  36. 五十嵐広三

    五十嵐委員 これは荷揚げをする場合には、特殊なものでありますから、一般港湾でいいのですか。やはり特殊な港湾施設をつくって、やや専用的なもので何か部分的にやるのですか。その辺は僕もよくわからないから、どんなことになるのですか。
  37. 広瀬研吉

    広瀬説明員 申しわけございませんが、その辺の具体的な計画については、現在承知してございません。
  38. 五十嵐広三

    五十嵐委員 返還プルトニウム廃棄物等につきましては、今お伺いしたことである程度わかりましたが、しかし、さっき留保している部分に関しては、また後ほどいろいろお伺いしたいと思います。  一方、東海村の動燃事業所で再処理されているものの廃棄物、中でもいわゆる高レベル放射性廃棄物については、北海道幌延町に計画をするいわゆる貯蔵工学センター、ここに持っていこうということになっているわけであります。しかし、よく御承知のとおり、これについては、ここ数年、道民の強い反対世論等もありまして、これを背景にして横路知事が明確に反対姿勢を示している、あるいは周辺自治体なんかも多くの自治体はこれに対して反対ないし慎重という姿勢を示しているわけであります。最近の状況では、幌延の隣に豊富町というところがあるのですが、ここで去年、有権者の七割を超える町民が署名をして町議会に反対の請願をするというようなことも行われているわけであります。あるいは横路知事反対をしている。その反対姿勢をどう評価するかということで、地元北海道新聞が以前アンケートをとったことがあるのですが、知事反対姿勢というのは評価する、これを肯定するのが六七%に及んでいる、否定的な評価というのは一三%にとどまっているというようなことでも、道民のこの問題に対する考え方というのはよくわかっていただけるのではないかというふうに私は思うのです。  今までいろいろな機会歴代科学技術庁長官確認をしてきたところでありますが、現長官におかれても、北海道知事やあるいは周辺自治体等の多くが幌延貯蔵工学センター計画に賛成できない、こういう中で、道知事やあるいは周辺自治体理解協力を得ないままに幌延貯蔵工学センター立地を決めるというようなことはあってはならないことだし、またできるものでもないというふうに思いますが、この機会大臣の所信を伺いたいと思います。
  39. 大島友治

    大島国務大臣 ただいまの委員の御質問に対しまして、私もまさにそのような点もあらかじめ承知はいたしておりますが、一応これに対しましてお答え申し上げたいと思うのであります。  いわゆる貯蔵工学センター計画という形は、我が国原子力開発利用を進める上での重要なプロジェクトであって、御承知原子力委員会の昭和六十二年六月の原子力開発利用長期計画にのっとりまして、その着実な推進を図ってまいっておるわけでございまして、これも委員も御承知だとは思っておるのでございます。  歴代科学技術庁長官答弁してきているとおりに、貯蔵工学センター立地については、地元知事理解協力を得て進めることが基本である、こういう認識をしておりまして、そのために、これに対する理解協力が得られるような努力を私どもはしてまいっておるし、また今後ともなお一層の努力を積極的にしていきたいというのが私の考えでございますので、御了承をいただければ幸いでございます。
  40. 五十嵐広三

    五十嵐委員 動燃事業団が実際の仕事を担当しておられるわけでありますが、動燃事業団としても歴代理事長さんらにこの点については確認をしてきたところであります。きょうは橋本理事さんにおいでいただいているようでありますが、この件に関する見解をお伺いしたいと思います。
  41. 橋本好一

    橋本参考人 お答えいたします。  ただいま大島科学技術庁長官貯蔵工学センターにつきましての重要性も申し上げられましたし、私ども科学技術庁の御指導をいただいております動燃事業団といたしましては、歴代理事長も申し上げてまいりましたとおり、今長官も申し上げられましたような方針にのっとりまして鋭意進めてまいりたいと思っております。よろしく御理解を賜りたいと思います。
  42. 五十嵐広三

    五十嵐委員 橋本さん、今までの経緯はよく御存じだと思うのですが、特に調査に当たって、反対の中で機動隊を導入して夜中に強行するなど、非常に混乱を招いたようなことがあって、道民は必ずしも動燃を信頼している状況ではないというふうに思います。私は、やはりもう少し、この機会ですからきちんとひとつ見解をお述べいただきたい。知事反対している中で立地を強行するなんていうことは、当然だれが考えたってあり得ないものであろうと思いますし、あるいは広域的に影響を与える問題でありますから、周辺町村長さんらの意見なんかも大事にしてもらわなくちゃいけない、それを無視してやっていくということであってはいけないと思いますし、もう少し踏み込んで決意のほどを伺いたいと思います。
  43. 橋本好一

    橋本参考人 お答えいたします。  今先生も御指摘のような経緯が確かにございました。私どもといたしましては、歴代理事長が申し上げておりますように、地元及び道の御理解協力を得て、また先生指摘のような地元の市町村の方々、特に周辺方々の御理解を深めながら進めていくということが肝要かと思っております。今後はこれに向けまして、なお一層の努力を傾けていきたいと思っておりますし、ぜひとも御理解を賜りたいと思います。
  44. 五十嵐広三

    五十嵐委員 殊に地元のおたくの事務所の行動等につきましても地域の人からはいろいろ意見のあるところであります。お聞きしますと、最近また職員をふやして、従前の四人が六人になったということでありますし、広報活動に力を入れるというのはいつでもおたくの方でおっしゃる言葉でありますが、どうか押しつけるということではなくて、やはり住民の声をよく聞く、広報も大事だけれども、公聴が大事だ。それはやはりこの種の民主的な基本に立って進めるべき仕事というのは、私はそうだと思うのですよ。周辺の人の声はどうなんだ、道民の考え方はどうなんだ、知事はどう考えているんだということをよく耳に入れながら、そごのないように進めていただきたい、こういうぐあいに御要望申し上げておきたいと思います。  幌延を論ずるときにいつも問題になるところなんですが、幌延における高レベルの一時貯蔵施設あるいは深地層試験場、この貯蔵工学センターが将来処分場に関連を持っていくのではないかという点はいつも議論されているところであります。  それでお伺いしたいのは、これは道民が率直に心配している点なんでありますが、センターの施設は処分場に転用はしない、これはだれが考えたってそんなものはできる仕掛けのものではないのでありますが、問題は、それを設けるようにしていこうと考えている計画の中で、幌延町の区域だとかあるいは幌延に隣接する周辺地域だとかいうところに最終処分場を求めるというようなことがあってはとんでもない話だ。しかし、ここのところは今まで必ずしも明らかになっていないわけですよ。やらないならやらないとはっきりこういう機会に言っておいてほしいと思います。いかがですか。
  45. 石田寛人

    石田政府委員 お答えを申し上げます。  現在動燃が進めております貯蔵工学センター計画につきましては、同貯蔵工学センターを最終処分場とする計画はないということは先生仰せのとおりでございます。他方、地層処分につきましては、現在動力炉・核燃料開発事業団が中核となりまして研究開発を進めております。今後この研究開発は十数年はかかるものと考えられておるところでございます。     〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕  処分予定地につきましては、この研究開発の成果を踏まえて将来行うことといたしてございますので、現在のところ処分予定地は日本全国全く白紙の状態ということをこれまでも御説明申し上げてまいっておるところでございますし、日本全国全く白紙ということで御了解賜れば幸いでございます。
  46. 五十嵐広三

    五十嵐委員 ただ、同じ白紙といいましても、関係のないところの白紙と、現にそこに一時貯蔵施設ができ、あるいは深地層試験場ができて、その周辺で非常に心配する状況が将来起こるかもしれぬというようなところの心配とでは、これは白紙と言ったって同じ白紙なんというものではないと僕は思いますよ。だからいつでも議論になるところなんです。  それで、深地層試験場の穴そのものをこれを処分場にするなんというものではないあるいは一時貯蔵施設を処分場にするというものではない。つまり、センターの施設をそのまま将来最終処分場に転用するというようなことではないが、しかし、その用地やその周辺は何とも言えないということでは、これは地元としても冗談じゃないよということになるわけで、今のようなどこもここも日本じゅう同じ白紙でございますということで、それは納得のいくものではないですよ。動燃でもよろしいですが、もうちょっと言ってくださいよ。
  47. 広瀬研吉

    広瀬説明員 お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、高レベル放射性廃棄物の地層処分につきましては、昭和六十二年の原子力委員会の長期計画に基づきまして、その推進を進めているところでございます。現在は第二段階にございまして、第二段階の最終目標は処分予定地の選定ということでございますが、そのために研究開発を積み重ねていくことが必要でございまして、そういう研究開発の成果をもって最終処分予定地の選定を進めていくということでございます。このため、最終処分予定地につきましては、現在のところ日本全国ひとしくすべて白紙の状況であるということを御理解賜ればと思います。
  48. 五十嵐広三

    五十嵐委員 逆に聞きますが、そうすると、幌延貯蔵工学センターの、あれは二キロ四方でしたか、その敷地内あるいはその隣地に将来最終処分地ができないとは言えない、こういうことですね。
  49. 広瀬研吉

    広瀬説明員 繰り返しの答弁になりまして恐縮でございますが、貯蔵工学センターにおきまして最終処分をするという計画は現在ございません。最終処分予定地につきましては、日本全国ひとしく白紙の状況であるということでございます。(五十嵐委員「ちょっとちゃんと答えてよ」と呼ぶ)
  50. 石田寛人

    石田政府委員 重ね重ね政策企画官が申し上げておるとおりでございます。全国ひとしく白紙でございます。その最終処分地になる候補地点としての可能性は全国白紙ということでございますので、それぞれ同じようなパーセンテージ、同じような割合でもってその可能性があるということでございますので、そういうことで御認識賜ればありがたいと思います。
  51. 五十嵐広三

    五十嵐委員 非常に不満な答弁ですが、要するに、まあしかしつくらないということではないということを繰り返しお答えになったというふうに受け取らざるを得ないような気がいたします。  そこで、昭和六十三年九月二十一日、動燃の委任を受けた日本原子力産業会議が「地層処分に関する社会・経済的評価調査研究」という報告書を提出しているわけであります。この内容は、私は読んで、非常に重大である、我が国の高レベル廃棄物の処分方針について従前の方針を大きく揺るがすような内容のものだというふうに思うのです。この報告書のさわりのところだけちょっと読んでみますと、  動力炉・核燃料開発事業団委託を受け、(財)日本総合研究所会長の岸田純之助氏を中心とする別紙の通りの委員会 なかなかそうそうたるメンバーですが、  ならびにワーキング・グループによって、地層処分対策の社会的側面に重点を置きつつ、新たな視点に立って計画の目標となる地層処分の基本概念について検討を行った。   原子力委員会は、原子力発電所からの使用済燃料はこれを再処理し、回収された高レベル放射性物質をガラス固化し、数十年間貯蔵した後、深地層に処分するとの基本方針を明らかにしているが、高レベル放射性物質の対策は長い時間を要し、自然環境に依存する度合も大きいところから柔軟な対応をはかることが重要である。   この報告書では、我が国の高レベル放射性固化体処分対策の一つとして、将来の技術革新、状況の変化を考慮し、選択の余地をより多く残し、かつ既存技術を用いて安全で経済的合理性のある方法で固化体を地層に貯蔵し、研究開発の成果を適宜取り入れる方策(管理型高レベル固化体処分)を提示した。 こう述べて、   管理型処分においては立地の選定等にあたって従来のものとはやや異なった条件が要求されると考えられ、以下のような検討を加えた。    管理の効率ならびに山跳ね現象等に対する安全を考慮して、深度は五百メートルより浅いところを候補として想定した。 あるいは    地層施設と同一条件下で研究と技術の実証を行い、これを地層処分に絶えずフィードバックすることが望ましく、このため池層施設に隣接して地下研究施設を置く。    モニタリングによって、万一異常が発見された場合、高レベル放射性固化体を再取出しすることが出来るように施設計画する必要がある。  地層施設への固化体の年間受け入れ量を一千本、施設の規模として第一期分四万本などの条件を与えて地層施設の建設・操業費用と、それが地域社会に与える効果を試算した。 ということをここで示しているわけであります。  以下さまざまに書いているわけでありますが、要するに、今までの一時貯蔵三十年ないし五十年、あとは深地層に埋めてしまうということではなくて、いつでもさわっていけるような状況に管理しながら貯蔵処分をしていこう、こういう考え方で提言を見ているようであります。  これはアメリカのエネルギー省の核廃棄物貯蔵施設計画、MRS計画というのがあるようでありますが、ここのところで監視つき回収可能貯蔵施設というのを言っているわけであります。これはまさに原産会議の提言と非常に類似しているなというふうに思うわけでありますが、こういう一つの考え方というものが今我が国廃棄物の処分の検討の中でどんな位置づけになっているのか、お伺いをしたいと思います。
  52. 橋本好一

    橋本参考人 お答えいたします。  今詳しく中身まで御紹介いただきました「地層処分に関する社会・経済的評価調査研究」ということは、このタイトルで私ども動燃事業団が原産会議にお願いしたものでございますが、これは今後の地層処分の研究開発に資するために広く各界の有識者から提言をいただいて考え方をまとめていきたいということの視点からと、それからもう一点は、先ほど政策企画官も申し上げましたけれども、地層処分の計画を進めるに当たりましては、かなりまだ長期間を要するということ、それからもう一つの大事なことは、地元方々はもとより広く国民の皆さん方の理解を得るということが不可欠でございます。そういうことで、将来どのような形態の地層処分をすることが社会に受け入れていただけるか、こういう観点からの研究というのは非常に重要でございまして、幅広く前向きに調査研究をすることが重要だというふうに考えまして、この調査研究もやったわけでございまして、一つの考え方として受けとめてございます。  先生に中身を紹介していただきましたので、余り詳しいことは申し上げませんが、「高レベル放射性固化体処分の基本概念構築上の視点」ということ、それから先生も御指摘のように、「管理型高レベル放射性廃棄物固化体処分の基本概念」、そして「管理型高レベル放射性固化体の地層施設基本構想」、そして「地層施設の地域社会への経済的波及効果」、こういう観点からいろいろな角度からの評価をいただいて考え方を出していただきました。これは私どもといたしましては非常に参考になる考え方というふうに受けとめておりまして、今後の研究開発の一つの方向性としてとらえていきたいというふうに思っております。
  53. 五十嵐広三

    五十嵐委員 ちょっとよくわからないところがあるのですが、これはつまり一時貯蔵の三十年ないし五十年という貯蔵というものは別にして、それからの話になるのですか、あるいはそういう管理をし、さわりながらいくわけですから、そこのところは同一の設備で接続していくものなのですか。橋本さん、かかわっていたとすればちょうどいいので、そこをちょっと教えていただきたいと思います。
  54. 橋本好一

    橋本参考人 お答えいたします。  先生も御高承のとおり、三十年から五十年程度冷却のために貯蔵いたしまして、その後で処分をしていくという考え方が原子力長計に述べられているわけでございますが、今御指摘のとおり、三十年、五十年の冷却というのは地上でやるつもりをしております。ただし、その辺がまだ明確に定まっているということではございません。そういうことからしますと、今先生指摘の面はまだ正確にはこうするということは決まっていないというふうに思っています。ただし、三十年、五十年の冷却の後地層処分をすると言っておりますので、そして恐らく地層処分をします段階では、ハンドリングの上で数十年を要するというふうに思います。といたしますと、トータルでやはり百年近い年月は要するだろうというふうに理解しております。そういう中で、この考え方をどういうふうに今後固めていくか、また実際の地層処分に応用していくかということが大切かと思っております。
  55. 五十嵐広三

    五十嵐委員 お話しのように、従前の処分の方針というものから見ると大変大きな影響を与える提言の内容であり、今また御説明いただきますと、それをしっかり受けとめて参考にしながら検討していきたいということのようでありますから、私は、そんな意味では、今までの計画に大きな一つの節目が来ているのかなという印象を強く受けるわけであります。いわゆる第二段階に今あるわけでありますが、どうかひとつ今のようなお話を踏まえて、事を軽々に急いで進めていくということでなくて、じっくりとこれらの提言の内容等も含め、さまざまな検討を加えて、将来悔いがあっては大変なことでありますから、慎重な御検討をお願い申し上げたいと思うし、今のお話によれば、そういう点を期待できるのだなという感じがいたします。  さて、それからついでですからちょっとお伺いしますが、従前の計画で深地層試験場ではホットな試験はしないということになっているわけでありますが、この場合には上屋にこの研究施設ができて、ここの上屋のところではホットな試験を、つまり放射性物質を使いながら試験をする、こういうことであろうと思うのですが、いかがですか。
  56. 橋本好一

    橋本参考人 お答えいたします。  深地層試験場でやろうと考えております研究の内容は、地層と、それから一つの地層処分の考え方の中には多重バリアシステムという名前で呼んでおります人工バリアと天然のバリア機能、こういうものを組み合わせました処分の概念を持っておるわけですが、ガラス固化体にします廃液、高レベル放射性廃液、これもまた一つのバリアになっていると思いますけれども、このガラス固化体と人工バリアとの関係は、例えば東海事業所とかそういうところで研究をいたします。一番外側の人工バリア材と地層との関係につきましては、深地層試験場で試験をしたりし、また、地下の状況というのは、実は過去鉱山開発とか、それからトンネル工事とかのいろいろな工事である程度のデータはございますが、実は、地層処分という概念から考えまして、系統的にまた定量的なデータがとられているとは言えません。そういう意味で、深地層試験場によりまして、その辺のデータをとってまいりたいというふうに思っております。  特につけ加えさせていただきますと、数百メーター以深ということになりますと、かなりの圧力がかかっておりますし、そういう状況の中での地下水の動き、岩盤の動き、性質の変化、そういうものを正確につかんでおきませんと、将来どういう変化が起こっていくか、これは未来に向けての仕事でございますので、その辺の解明を図りたいということで深地層試験場の位置づけをしております。  上屋におきましては、貯蔵プラントにおきましては、貯蔵のための研究をいたしたいと思っておりますが、深地層試験場の上につくります工学試験棟におきましては、ホットの試験はいたしません。
  57. 五十嵐広三

    五十嵐委員 ガラス固化体について少しお聞きしたいと思います。  今世界でガラス固化体について実用段階に入っているというのはどこになりますか。
  58. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  現在高レベル放射性廃棄物のガラス固化プラントが実用化しております国は、フランス、西ドイツ及びイギリスの三国でございます。ちなみに、各国の運転開始でございますけれどもフランスのものは一九七八年、これはマルクールでございます。それからラアーグが一九八九年。それから西ドイツ、これはパメラと申しますが、一九八五年。それからイギリスのWVPは本年運転開始予定承知いたしております。
  59. 五十嵐広三

    五十嵐委員 それでは、それぞれの製造といったらいいのですか、処理本数はどうなっていますか。
  60. 広瀬研吉

    広瀬説明員 お答え申し上げます。  フランスのマルクールにございますAVMプラントでは、現在までガラス固化体約千六百本の製造、貯蔵をしているというふうに承知してございます。また、フランスのラアーグにございますR7プラントでは、現在まで約百本のガラス固化体の生産、貯蔵をしているというふうに聞いてございます。また西ドイツ、ベルギーが共同でつくっておりますパメラのプラントにおきましては、現在まで約千五百本のガラス固化体の生産、貯蔵をしているというふうに承知してございます。
  61. 五十嵐広三

    五十嵐委員 このうちマルクールが一番実用段階としては言われているところであります。しかし、あそこは能力は年間千トン・ウランですね。それにしてはガラス固化体が随分少ないな、ガラス固化プラントが動き始めた時点ということがあるのでしょうが。  実はきのうちょっと調査依頼をしておいたのですが、ここ数年の一年ごとのガラス固化の状況、もし把握できておりましたらお知らせいただきたいと思います。
  62. 広瀬研吉

    広瀬説明員 お答え申し上げます。  フランスのマルクールにおきます再処理及びガラス固化でございますが、UP1という工場におきまして再処理を、ちょっと古くて恐縮でございますが、一九八七年現在で約三千トン行っておるというふうに聞いてございます。それに伴いますガラス固化につきましては、AVMプラントで一九八八年現在で約千六百本のガラス固化体の生産、貯蔵をしているというふうに承知してございます。各年別の再処理、ガラス固化の情報については、現在持ち合わせてございません。     〔浜田(卓)委員長代理退席、委員長着席〕
  63. 石田寛人

    石田政府委員 先ほど先生指摘のマルクールにおいては全体再処理量の割には高レベル廃棄物の発生量が少ないのではないかということでございますが、これにつきまして、私ども確たることはあれでございますけれども、マルクールの工場は、軽水炉燃料ではございませんで、ガス炉燃料を再処理いたしておりますので、燃焼度が上がってない燃料を当然処理しておるわけでございます。そういうところから、全体燃料処理量、特にウラン量で処理量を示しておりますので、に対応しますところの高レベル廃棄物発生量あるいはガラス固化体発生量が相対的に少なくなっておるのではないかと私ども想像するところでございます。
  64. 五十嵐広三

    五十嵐委員 三千トン再処理したと言うんだよね。そう言いましたな。三千トンで千六百本と言っておりましたか。そうですな。これは通常一トンで一本というぐあいにも、これはまるっきり素人ですが、常識的にこう聞いていたのですが。この辺の数字はどういうことになるのですか。
  65. 広瀬研吉

    広瀬説明員 お答え申し上げます。  使用済み燃料一トンを再処理をしましてガラス固化体何本程度に当たるかという御質問でございますが、これはガラス固化体の容量によるところが大きいわけでございます。現在、英仏の場合ですと直径約四十センチメートル、高さ約百三十センチメートルのキャニスターを用いているというふうに承知してございまして、その場合ですと、使用済み燃料一トンを再処理をいたしますと、ガラス固化体は約一本未満になるのではないかというふうに見ております。
  66. 五十嵐広三

    五十嵐委員 一トンを処分すればガラス固化体一本未満、こう言うのですね。そうですね。三千トン処分して千六百本というのはおかしいのではないかと聞いているわけですよ。
  67. 石田寛人

    石田政府委員 これにつきましては、私自身としましても正確なところを存じておるわけではございませんが、ごく定性的に申し上げますと、先ほど御説明申し上げましたガス炉燃料でございますが、ガス炉燃料の場合、常識的には軽水炉に比べまして燃焼度は、ちなみにごく大ざっぱに申しまして軽水炉の場合は二万メガワットデー・パー・トンあるいは三万メガワットデー・パー・トンぐらいのものが大体ここのところ出てきておる普通のものかと存じますが、それに比べまして数千メガワットデー・パー・トンというふうな燃焼度のものであろうと承知しております。そういうことでございますので、一トンのウランに含んでおります全体の放射性廃棄物の量は、ガス炉燃料がかなり小さいものでございますから、たまたまガス炉燃料使用済み燃料三千トンを処理して出てきた高レベル廃棄物の量が相対的に少なくなっておる、そういうことではないかと存ずる次第でございます。
  68. 五十嵐広三

    五十嵐委員 しかし、今我が国フランスのマルクールや何かのガラス固化体を受けるのですよ。それでそれを貯蔵せないかぬのですよ。今のお話を聞いていると、どうもあなた方一番専門のところがはっきりしない。そんなことでは困るのですよ。よく御調査をいただいて、改めて一遍御説明をいただきたいというふうに思います。  それで、これらはいずれも、さっきも本数をずっと言われたが、再処理サイト内に貯蔵しているというものですね。あるいはサイトから出して輸送したというような実績のものはありますか。     〔委員長退席、園田委員長代理着席〕
  69. 広瀬研吉

    広瀬説明員 先ほど御説明申し上げました海外におきます高レベル放射性廃棄物ガラス固化体貯蔵は、いずれもサイト内で行われているというふうに承知してございます。
  70. 石田寛人

    石田政府委員 先ほど先生から質問のありました高レベル廃棄物、もっと実態をしっかり認識せよとのおしかりでございます。  ちなみに一言だけ申し上げさせていただきますと、我が日本に返ってまいります返還廃棄物あるいは我が日本が委託いたしました再処理でございますが、これはフランスにおきましてはマルクールではございませんで、御承知のとおりラアーグで行われるわけでございます。したがいまして、ラアーグの再処理施設軽水炉を再処理するための施設、それからマルクールのものは、これまで繰り返して御説明申し上げておりますように、ガス炉燃料の再処理ということでございますので、その辺の違いのことにつきましては、ぜひ御理解賜れば幸いでございます。
  71. 五十嵐広三

    五十嵐委員 しかし、ラアーグはまだ百本ぐらいだというのでしょう。百本なんというのはまだ試運転にもならぬようなものじゃないですか。  これはついでに聞きますが、我が国東海村におけるガラス固化プラント、これはフランス方式ではないですね。それから六ケ所村における今度できる八百トン処理の再処理工場、これもフランス方式の固化の仕方じゃないですね。アメリカ・西ドイツ式、横文字で何とかいうのでしょうが、私はよくわからないが、これも何だか変なものだな。これは今、日仏原子力協定をやりながら、東海村もそうだし六ケ所村も、本体のところ以外の部分では多少あるのかもしれませんが、ほとんどのところはフランスの技術を導入してやるということなのに、ガラス固化の仕方に関してはフランスの技術をとらないということは、つまりフランスのガラス固化について信頼できない技術的な問題があるのかなという感じも受けるのですが、どうですか。
  72. 広瀬研吉

    広瀬説明員 お答え申し上げます。  高レベル放射性廃棄物ガラス固化体のつくり方といたしまして、現在実用化段階に至ったものにつきましては、大別して二種類ございまして、一つは日本、西ドイツ等が開発をしました液体供給式直接通電型セラミックメルター法という方法でございます。もう一つの方法は、フランスが開発をしましたロータリーキルン仮焼器金属製高周波外部加熱型ガラス溶融炉法、AVM法と言ってございますが、大別してこの二種類あるわけでございまして、それぞれ開発が進んできたわけでございます。  先ほど申し上げました海外のガラス固化プラントにつきましては、フランスと英国がこのAVM法を採用し、西ドイツ、ベルギーのプラントと日本がこのセラミックメルター法を採用しておるということで、いずれにしましても、技術的には実用化の段階にあるものであるというふうに承知してございます。     〔園田委員長代理退席、委員長着席〕
  73. 五十嵐広三

    五十嵐委員 東海村のガラス固化プラントは今建設中で、たしか来年度に建設が終わるというふうにお聞きしております。その後は試運転期間が一定期間あるのだろうと思いますが、来年いっぱいで完成する。それから、その完成するというのはあそこにおける四百二十本の附属の保管施設も含めてのことであろうと思いますが、その辺ちょっと確認したいと思います。
  74. 橋本好一

    橋本参考人 お答えいたします。  先生指摘のように、昭和六十三年度から建設をいたしておりまして、現在建設工事は継続実施中でございます。平成二年度末には機器の据えつけを終了いたしまして、その後模擬液を使いました試運転といいましょうか、試験運転をいたします。平成三年度末ぐらいから実廃液を使いました試験運転に入ってまいりたいというふうに予定しております。(五十嵐委員「それから附属保管」と呼ぶ)失礼いたしました。固化体の保管の容量といたしましては四百二十本を予定しております。
  75. 五十嵐広三

    五十嵐委員 それはいつまでにできるのですか。
  76. 橋本好一

    橋本参考人 これの運転状況を申し上げますと、実はこの施設につきましては、ガラス固化技術の実証といいましょうか、そういうために建設いたしておりまして、商用施設というふうには位置づけておりません。そういうことから、いろいろな課題を今後挙げながらそれを実証していくということが使命でございまして、一般に言われる商用施設におきます運転とはちょっと位置づけを変えておりまして、そういうことでいつまでにどう運転していくということは決めておりません。  それから、大変恐縮でございますが、先ほどの先生の私への幌延におきます深地層試験場の御質問の中で、上屋についてはホットでやるのかやらないのかという御質問がございました。私は上屋の一式を深地層試験場の上屋というふうに理解しまして、ホットはいたしませんと申し上げましたが、そのほかの研究棟とか環境工学試験棟、そういうものを計画しておりまして、ここではホットの試験をやる予定をしております。訂正さしていただきます。
  77. 五十嵐広三

    五十嵐委員 そうですな。上屋ではホットの試験をするんですな、センターの。  ちょっと私の言い方が悪かったかもしれないし、細かいことなので理事さんでなくて結構ですが、つまり来年いっぱいでガラス固化プラントができるという場合に、それはそこに附属した貯蔵の、保管の施設四百二十本、これも来年いっぱいで一緒にでき上がることですねということを聞いているんです。
  78. 橋本好一

    橋本参考人 お答えいたします。  大変失礼いたしました。四百二十本の施設も同時にでき上がります。
  79. 五十嵐広三

    五十嵐委員 そこで、私はちょっと素人だからよくわからないのかもしれないけれども、ちょっと持ってこなかった。原子力のポケットなんとかというのがあるでしょう。これはもう関係の人はみんな持っているやつ。それの百二ページ。一九九〇年版の科学技術庁原子力局監修、「原子力ポケットブック」、日本原子力産業会議が出しているやつですね。この百二ページ。ここに(4)で「高レベル廃液のガラス固化処理貯蔵に関する主要スケジュール」というのがある。「動燃」と書いてありますね。ここの真ん中くらいのところに「固化プラント」、これは各年別にずっとスケジュールが書いてあるんですが、今お話しのように、平成二年度いっぱいくらいでできて、平成三年は試験運転をする、四年から運転、こういうぐあいになっている。その下なんですよ。「貯蔵プラント」というのがある。設計、平成三年に終わる、建設が平成三年から始まって平成五年で終わる、六年から運転、これは、貯蔵プラントというのは何ですか。これは一時貯蔵施設のことでしょう。そんな計画はどこで決まったんですか。
  80. 橋本好一

    橋本参考人 お答えいたします。  大変恐縮でございますが、これについて正確なお答えができない状況にございますので、調べましてお答えいたします。
  81. 石田寛人

    石田政府委員 このポケットブックにつきましては、全体の編集に正確を期しておるつもりでございますが、あるいは内容に若干そご、間違いがあろうかとも思われます。あるいはそれ以外のこともあるかもしれません。ちょっと今、事情にわかにはっきりいたしませんので、まことに申しわけございませんが、その辺御了解を賜れば幸いでございます。
  82. 橋本好一

    橋本参考人 大変失礼いたしました。お答えいたします。  この先生指摘の「原子力ポケットブック」に載っております貯蔵プラントは、幌延計画をいたしております貯蔵プラントのことでございまして、これは先生も御高承かと思いますが、貯蔵工学センター計画の段階で昭和六十七年ごろに貯蔵プラントをつくりたいということで計画をしてございました。これがここに載っているということでございます。
  83. 五十嵐広三

    五十嵐委員 これはとんでもない話だ。さっき長官もあなた自身も答えているとおり、これから立地に関しては地域の意見周辺自治体意見をよく聞きながら慎重に調査を進めてやっていこう、しかもその貯蔵と処分との関係に関しても、さっきのような原産会議等の提案等もあっていろいろ検討しているんだ、そういうときにあなた、設計は来年終わっちゃう、来年から建設すると言う、何のことですか、これ。全くこれはもうとんでもない話だ。これはもう全然話にも何にもならない。これは委員長、しようがないでしょう、これ。
  84. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  本件につきましては、今御説明のありましたように、ここに書いております貯蔵プラントのスケジュールは、あくまでもともとありました予定のスケジュールというふうに御了解を賜れば幸いでございます。実際このスケジュールの実施に当たりましては、先ほど来先生から御指摘のございましたような地元理解と御協力をいただきながらということにつきましては当然そうでございまして、これは、こういう小さいポケットブックにまとめる関係上どうしても意を尽くさないところが多々ございますけれども、その辺はぜひ事情御了承の上、御理解賜れば幸いでございます。(発言する者あり)
  85. 柿澤弘治

    柿澤委員長 石田議官、正確な答弁をしてください。
  86. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  本件につきましては、まずこうなっておることにつきましては申しわけございませんでした。ここに書いてございますように、本ポケットブックは科学技術庁原子力局で監修しているポケットブックでございますが、日本原子力産業会議の発行のものでございます。その意味では政府が公式にこれであるということで出したものでないということをまず御理解賜りたいと思いますが、そうでございましても、実際予定のスケジュールにつきまして、こういう意の尽くさない格好で書いてございますことにつきましては、深くおわび申し上げたいと存じます。  そういうことでございますので、ポケットブックの性格を御了解の上、御認識賜れば幸いでございます。
  87. 五十嵐広三

    五十嵐委員 だめだめ。だめだよ。
  88. 柿澤弘治

    柿澤委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  89. 柿澤弘治

    柿澤委員長 速記を起こしてください。  科学技術庁石田議官
  90. 石田寛人

    石田政府委員 申しわけございません。お答え申し上げます。  まず第一に、このポケットブックでございますが、科学技術庁原子力局は監修はしてはございますけれども、日本原子力産業会議発行のポケットブックでございます。すなわち、私ども政府直接の刊行物ではないということをまず御了解賜れば幸いでございます。  それにいたしましても、本件中身につきまして、誤解を生ずるような記述、表現がありましたことにつきましては、深くおわび申し上げます。  なお、この百二ページにあります「固化プラント」は、先ほど答弁のありましたように、東海村における固化プラントでございますし、「貯蔵プラント」と申しますのは、今動力炉・核燃料開発事業団の方で北海道におきましてお願いしております貯蔵工学センターのことでございます。  なお、私ども、先ほど白紙だと申し上げてまいりましたのは処分場のことでございまして、これにつきましては、ここに書いてございます貯蔵プラントではございませんで、処分場のことでございます。  その辺全体、このポケットブックにおきます記述、確かに不確かなところがございましたことは深くおわび申し上げますけれども、その辺の事情、御賢察の上、よろしくお願い申し上げます。
  91. 柿澤弘治

    柿澤委員長 なお、五十嵐広三君、午後の質疑の時間もあるようですから、それまでにまた補足的に今の点についてさらに明快な御答弁ができるようでしたら、していただくようにお願いをします。  ということで、続けてください。五十嵐広三君。
  92. 五十嵐広三

    五十嵐委員 それでは、委員長のお取り計らいでありますから、午後にまた正確な答弁をいただきたい。  それから、さっきの契約書の問題もありますし、この後まだ少し時間がありますので、まだ少し出てくると思いますから、あわせて……。  よく我々貯蔵工学センターの問題で言うのですが、さっきもちょっとお答えがありましたように、今まで、あるいは計画を含めても、世界の各国で、高レベル放射性廃棄物ガラス固化体を再処理工場サイトから離れて一時貯蔵するという例は世界でないのですね。今我が国の下北で言っているのも、これはもちろん敷地内に計画をしている。ところが幌延における貯蔵工学センターというのは、ここだけが世界で初めてただ一カ所八百キロも船で運んで持っていくという計画になっている。何でそんなに危険なことを、しかも膨大な経費のかかることをやろうとしているのか、ここがまず我々は全くわからないのですよ。  しかし、これちょっと古い話で恐縮だけれども、電気事業連合会で、このごろPRせい、PRせいと盛んに科学技術庁も言うものですから、一面広告で、これは毎日新聞ですが、ほかの新聞も同じことですよ、こういう大きな広告が出た。「核廃棄物処理はどうなるのでしょうか?」、上の方には「原子力発電、あなたのご質問にお答えします。」こういうもの。その下の方に廃棄物のことだけ書いてあるのですね。  再処理工場は……   再処理工場では、ウランプルトニウムを取り出す過程で放射能レベルの高い廃液が発生します。この廃液は、蒸発・濃縮して容量を減らした後、溶けたガラスと混ぜあわせ、ステンレス製の丈夫な容器の中で固め密封します。このガラス固化技術はフランスや西ドイツで、すでにかなりの量の処理実績があります。 この「かなりの量」というのは疑問がありますがね。  ガラス固化体は長い間熱を出すため、30年~50年の間冷却しながら再処理工場内の専用施設貯蔵管理します。 いいですか。「30年~50年の間冷却しながら再処理工場内の専用施設貯蔵管理します。」これは違うんじゃないですか。こんなことを、これはあなた全国版で、膨大な金をかけて一面広告で、ほかの新聞も全部そうですよ。それで電気事業連合会ほか各電力ずっと書いてある、日本原子力発電も含めて。このとおりならば、このとおりでしょうね。これはどうなんですか。これでいいんですか、誤りなんですか。
  93. 結城章夫

    結城説明員 ただいま御指摘の電力会社の広告につきましては、これは私の推測でございますが、下北の再処理工場で発生する廃棄物は、下北の再処理工場の中で貯蔵するという趣旨のことを述べたものだと思います。  ちなみに、先生、再処理工場から外に高レベル廃棄物を持ち出す例は、幌延以外にあるのか、世界じゅうないのではないかというお話でございましたが、イギリスフランスの再処理を行いました結果出てまいります高レベル廃棄物は、日本だけではなくて、西ドイツ、その他の国々に返されることになっておりまして、再処理工場から外に運ばれるということになっております。
  94. 五十嵐広三

    五十嵐委員 それは返還でしょう、貯蔵じゃなくて。何、言っているんだ。それは返還のことを言っているのでしょう。そこから外して、三十年ないし五十年の貯蔵施設をサイト内から外してつくるというのじゃないのでしょう。今のお答えでは、六ケ所村の再処理工場について述べているんだろうと思う、こう言うのですが、そんなもの、これは六ケ所村の六の字もないのですよ。廃棄物一般のことですよ。質問はこうなっている。   前略、はじめてお便りさせていただきます。新聞の広告を読みました。安全性は確かにあるように思われます。 まあ勝手なことを書いていますな。  では、核廃棄物処理はどうなるのでしょうか?コンクリートに詰めて、海へとか土の中へうめるとかなようですが、これでは全く「くさいものにはふた」形式ではありませんか。現在、そしてこれからの廃棄物処理方法を教えて下さい。 今読んだのは、これに対する答えですよ。六ケ所村の六の字もないのですよ。六ケ所村はこれからの計画ですからね。これはやはり誤りでしょうね、どうですか。
  95. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  先生お示しの記事につきましては、全く日本全国の一般論として理解いたしますと、確かに漏れているところはあろうかと思います。そこに書いてございますように、電気事業連合会、各電気事業者といいますのは、民間企業が合同してつくりましたJNFS、日本原燃サービス株式会社六ケ所村で再処理施設をつくる、そういう計画でやっておりますので、記事の出ました状況等を考えれば、そういう状況下においてその記事が出たということも御了解賜ればありがたいと存じます。
  96. 五十嵐広三

    五十嵐委員 それは、世界のどこを見ても再処理工場の敷地内で一時貯蔵するものですから、ぜひ大臣もここのところは聞いておいてほしいと思うのですよ。そこから飛び出して一時貯蔵するなんて例はないのですよ。離したところまで持っていく、運ぶのに今の計画では八百億もかけるというのですから、しかもそれは船で運んでいって危険でありますし、一体何でそんなばかなことをするのかと思うのです。だから、そういう一つの通常の常識的なものがあるから、こういう文章になるのですよ。だから言いかえれば、あの幌延計画というのは極めて非常識なものだということを立証されるようなものだと思う。今の答弁なんかを聞いても、その感を深くするのですよ。  いずれにいたしましても、この広告は極めて適切でない。このとおりであれば幌延計画は撤去してほしい。そこのところはいいかげんなことでは困る。
  97. 橋本好一

    橋本参考人 幌延といいましょうか、貯蔵工学センター計画につきましては、今先生指摘のように、私ども動燃に限って申し上げますと、東海に再処理工場があるからそのサイトにということでございましょうが、実は東海事業所につきましてはかなり手狭な状況になってきております。これは前に私ども理事長もお答えしたことがあると思いますが、かなり狭くなってきている状況です。同時に、貯蔵工学センターにおきましては、単に貯蔵プラントだけではなくて、その他に幾つかの試験を計画してございまして、そのための施設もつくろうとしております。そういうことから、かなり広いスペースを必要といたしまして、そういう観点からほかに土地を求めているということでございます。御理解をいただきたいと思います。
  98. 五十嵐広三

    五十嵐委員 とにかく今の広告については、今のような答弁では了解できない。はっきりしてほしい。  それからついでに、動燃も来ている折ですから、もう時間が余りありませんから、ずばり聞いておきますが、TRUのことで、動燃が出している「明日のエネルギーを支える 貯蔵工学センターの役割」、これは最近の刊行物ですが、盛んに配られているものです。七ページのところに「TRU廃棄物とは」という説明があるのですよ。ここではこう書いています。「TRU廃棄物は、プルトニウムなど超ウラン元素と呼ばれる放射性物質を含んでいる低レベル放射性廃棄物のことです。超ウラン元素のなかには、半減期の長いものもありますが、放射能は比較的弱いので、特別な貯蔵法をとる必要はありません。」これはどういうことですか。TRUは特別の貯蔵法をとる必要はないのですか。とんでもない話ですよ。答弁してください。
  99. 橋本好一

    橋本参考人 お答えいたします。  御指摘の「TRU廃棄物とは」という七ページのくだりでございますが、先生も御承知のとおり、TRU廃棄物というのは高レベル以外の超ウラン元素を含む廃棄物というふうに言われておりますが、これはいろいろなレベルのものがございます。またいろいろな核種のものが入っておりますが、主としてプルトニウムなどの超ウラン元素は非常に半減期が長いということがございますし、アルファ線を放出することから取り扱いは注意を要するということは、そのとおりでございますが、アルファ線でございますので、遮へいはかなり容易にできます。それからガンマ線が高いレベル廃棄物に比べますとはるかに弱いということが言えますために、貯蔵に当たりましては、高レベル廃棄物のような厚い壁での遮へいは必要ないということでございまして、そういう意味で「特別な貯蔵法をとる必要はありません。」ということを申し上げた……(五十嵐委員「ちゃんと答えてくださいよ、どうせまた答え直さなければいかぬのですから。そんなことで答えにならないでしょう」と呼ぶ)今申し上げましたように、確かに「特別な」という意味においては誤解をいただくような表現の方法になっているかもしれませんけれども、私どもの意図といたしますのは、遮へいにつきましては、高レベル廃棄物のような厚い遮へいを必要としないということでこういう表現をとっているわけでございます。
  100. 五十嵐広三

    五十嵐委員 TRUを特別な貯蔵方法をとらないでいいなんというのは大変なことであります。ですから、これはもう誤りであることは明確な話です。これはどのくらいの部数配っているのか。今突然のことだからわからないのだろうけれども、既に膨大な数出ていると思いますが、場合によっては、これはきちんとした見解を求めながら回収なら回収することにするかどうか、どうしたらいいのか、そんなこともあろうというふうに思います。  いずれにしても、さっきから既に幾つか重なってきていることであって、これ以上こういう状況質問を進めることにはならないというふうに思いますので、これで質問は一応保留させていただいて、御協議いただきたいと思います。
  101. 柿澤弘治

    柿澤委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  102. 柿澤弘治

    柿澤委員長 速記を起こしてください。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十九分休憩      ────◇─────     午後一時二分開議
  103. 柿澤弘治

    柿澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松原脩雄君。
  104. 松原脩雄

    ○松原委員 チェルノブイリ事故以来、原子力問題につきましては、安全性と経済性につきまして非常に多くの論議もなされておりますし、世界的には、いわば原発政策が見直される、後退するという状態になっておるわけであります。ところが、きょうの午前中の議論にもありましたように、日本だけは、従来のウランを使った原発を推進するという方向からさらにプルトニウム利用のいわゆる核燃料サイクルを推進するという立場が変わっておらないということであります。この立場とも関係するかと思いますが、まず最初に、資源エネルギー庁にお聞きをしたいのです。  最近、二〇一〇年までの長期エネルギー需給見通しの最終案をまとめたということでありますが、そのうち核エネルギー部分についてはどのような見通しになっておるのか、お聞きしたいと思います。
  105. 日下一正

    日下説明員 お答え申し上げます。  エネルギー資源に乏しい我が国としましては、先生指摘のように、供給安定性あるいは価格安定性にすぐれ、またCO2等を排出しない原子力を不可欠なエネルギー源と位置づけまして、従来からその利用を図ってきたところでございます。通産省といたしましては、原子力エネルギー源としての重要性にかんがみ、今後とも安全の確保に万全を期すとともに、国民理解を得て原子力の利用を着実に進めてまいりたいと考えております。  御指摘のございました総合エネルギー調査会におきます審議でございますが、現在、長期エネルギー需給見通し等とともに、原子力エネルギー源としての位置づけ、今後の課題等について検討していただいているところでございます。一部新聞報道等ございましたが、実際にはまだ審議の最中でございまして、六月中旬までをめどといたしまして審議をいただいているところでございます。  その中で、原子力につきましては、エネルギーの安定供給、エネルギーコストの安定化あるいは地球環境対策等の観点から、将来においても欠かせない重要なエネルギーであるとの御議論をいただいております。まだ審議途上でございますから、現在の詳細な検討状況につきましては、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  106. 松原脩雄

    ○松原委員 マスコミでは、総合エネルギー調査会での検討に係る見通し案については、もう既に決めたということで、その内容の紹介があります。その中で原子力発電の位置づけが依然として非常に高いウエートを持っている。報道によれば、現在稼働中が三十九、建設中等のものが十六、それに加えて二十四の新しい原発を二〇一〇年までに計画をしてつくっていくというふうになっているようですが、二十四基としますと、一一〇一〇年までに非常に速いペースで新しい原発ができ上がっていくことになるわけです。その際には、原発の立地等についてもちゃんと見通しを立てた上で原発のエネルギーに依存するという形で議論が進んでいるのでしょうか、その辺をお聞きしたいと思います。
  107. 日下一正

    日下説明員 私もその新聞報道をけさ見たところでございますが、実際の審議におきましては、原発が何基でありますとかという数字は、原子力発電所一つ一つの規模の問題もございますので、出ておりません。しかしながら、御指摘立地について十分吟味しながらやっているかという点は、二〇一〇年におけるエネルギーの需要のあり方、民生用が非常に主体になってくるとか、その中で省エネルギーがどこまで期待ができるかとか、需要のあり方をまず考え、省エネルギーについて万全を尽くした上で、その需要を満たすような供給のあり方ということで全体のバランスを考えておりますので、二〇一〇年までにつきまして具体的な立地地点の検討に入ったものではございません。しかしながら、二〇〇〇年につきましては、電力につきましては施設計画等を毎年策定しているところでございますので、近間の方につきましては具体的な立地地点を踏まえた数字もあるところでございます。
  108. 松原脩雄

    ○松原委員 手続についてですが、こういう長期のエネルギー政策、とりわけ原子力発電というふうなものに依存した形でその内容が決まっておるというような重要なエネルギー政策、このエネルギー政策の長期的な見通しについては、通産相の諮問機関の総合エネルギー調査会で了承された後正式に決まる、こういう記事になっていますが、これは具体的にはどうなんですか。決定はどこの機関でやることになるのでしょうか。
  109. 作田頴治

    ○作田説明員 御説明いたします。  総合エネルギー調査会は通産大臣の諮問機関でございまして、その答申をいただくということの行為のみでございまして、政府部内において正式に何か決定するというような様式はとっておりません。
  110. 松原脩雄

    ○松原委員 そうしますと、長期エネルギーの需給見通し、そういうエネルギー政策ということだと思うのですが、これは通産省で、その諮問機関の了承を得た後、通産省の意思決定をするということもないわけですか。
  111. 作田頴治

    ○作田説明員 お答えいたします。  通産大臣の諮問機関たる総合エネルギー調査会の御報告をいただくわけでございますので、通産省としては、この御報告を十分尊重する。尊重してかつ関係各方面ともろもろの調整等進めながら今後のエネルギー政策をやっていく、こういったプロセスになるわけでございます。
  112. 松原脩雄

    ○松原委員 では、その関係各方面というのは一体どこを指しているのですか。
  113. 作田頴治

    ○作田説明員 お答えいたします。  これはもろもろございまして、例えば原子力政策につきましては科学技術庁とか、対外的な問題でございますと外務省とか、あるいはまた財政面でございますと大蔵省とか、エネルギー政策は大変関連する部局が多うございますので、そういった関係各省庁と十分連絡調整をとりながらエネルギー政策を進めてまいっている、こういったことでございます。
  114. 松原脩雄

    ○松原委員 今度は原子力政策ですが、原子力政策については首相の諮問機関である原子力委員会でこの政策を決定する、こういう形で進んでおるのでしょうか。これはそのとおりでよろしいでしょうか。
  115. 石田寛人

    石田政府委員 お答えを申し上げます。  原子力政策につきましては、先生おっしゃいましたように、内閣総理大臣の諮問機関でございます原子力委員会におきまして原子力政策が形成されるということでございます。そういうことでございますので、まさに原子力全体の政策体系は原子力基本法に基づきまして構築されておるというふうに申し上げてよろしいかと存ずる次第でございます。
  116. 松原脩雄

    ○松原委員 いわゆる長期エネルギー政策も、それからいわゆる原子力政策も、これはある意味では日本の国の将来を決めるような大変重要な政策選択になるだろうと思うのです。今のお話を聞いておりましたら、その両方とも、原子力委員会はおっしゃったような法によってそういう決定権がある、ところがエネルギー政策については、どうも通産省の管轄にはあるようですが、その通産省の管轄にあるエネルギー政策も、実際は関係各方面と聞いてみても、これは他の官庁を相手にしているだけであって、いわゆる国会もしくは国民、そういった方々の声を聞くというシステムにはなっておらぬように思うのです。  そこで、ちょっとお尋ねしますが、エネルギー政策について、アメリカではどういうシステムを使ってこのエネルギー政策を決めておるのか。特に議会もしくは国民、これらの意見や意向といったものをどういうふうに反映しようとしているのか、その点についてはいかがでしょうか。
  117. 日下一正

    日下説明員 アメリカにおきますエネルギー政策の立案過程についてはつまびらかにしておりませんが、エネルギー省におきまして、やはり昨今のエネルギー需要の急増を踏まえまして、今年秋を目途に今後のエネルギー政策について検討を進めておると承知しております。
  118. 松原脩雄

    ○松原委員 アメリカではエネルギー政策についても、消費者や環境団体等の広範な意見を公聴会を開いて聞いた上で、長期のエネルギー政策を決めるというふうになっているのですけれども、通産省としては、そういうふうな民意を反映したエネルギー政策をこれからつくっていくのだという姿勢はありますか。
  119. 作田頴治

    ○作田説明員 お答え申し上げます。  私ども通産省といたしましては、エネルギー政策を進めるに当たりましては、国民各般の広範な意見を十分に反映させつつ政策を進めることが肝要か、このように認識しておるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げました総合エネルギー調査会、言ってみれば審議会でございますが、こういった審議会のメンバーには、各層の声が反映できますように、消費者代表あるいは労働代表、もろもろの代表にメンバーになっていただきまして、忌憚のない意見をいただきながら審議を進め、それを政策に反映していく、こういったシステムをとっておりますので、私どもといたしましては、こういった総合エネ調等を活用しながら国民各層の意見を十分反映した政策を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  120. 松原脩雄

    ○松原委員 これは要望ですが、原発に対する国民世論といったものも、大変に不安であって、むしろ反対であるというのが非常に強い状況です。そういうことを踏まえまして、諸外国ではもう原発をつくるのかつくらないのか、やめちゃうのかというのは国民投票で決めてしまうというところさえ、特にヨーロッパでは出てきているわけです。したがって、今後ともその方向で、エネルギー政策を決めるについては、もっと広く国民や国会の議論を踏まえた上でやっていただかないと大変道を誤ることになるだろうということを、まずこのあたりで指摘をしておきまして、次の問題に行きます。  現在の原発問題というのは、ソビエトのチェルノブイリの原発事故というのがやはり一番重要な要素になっていると思うのです。この辺について、チェルノブイリ事故が原発政策を進めておる原子力政策に主としてどのような影響を与えているか、もしくは周辺国にどのような影響を与えているのか、この辺のところの分析を概括で結構ですから教えていただけますか。
  121. 太田博

    ○太田政府委員 お答えいたします。  チェルノブイリ事故は、その被害自体の大きさ、それから越境被害の広範さ等によりまして国際的に深刻な影響を及ぼした事故であるということはよく知られているところでございます。これを契機にいたしまして、各国におきまして原子力施設の安全性が厳しく見直されることになりました。その結果といたしまして、幾つかの国々、例えばヨーロッパの場合にはベルギー、スイス、オランダ等の国におきまして、原子力発電への依存を減少させる方向に政策の転換が図られたというふうに承知しております。他方、例えばフランス、西独、韓国、それから我が国も入るわけでございますけれども、こういうような国に関しましては、原子力の安全性の確保、これに一層努めつつ積極的な原子力政策を推し進めるという方向にあるというふうに理解をしております。
  122. 松原脩雄

    ○松原委員 そうしたら、チェルノブイリ事故の我が国原子力政策に対する影響、これについてはいかがでしょうか。
  123. 大島友治

    大島国務大臣 ただいまの御質問に対してお答えを申し上げますが、チェルノブイルの事故については、まさに委員の大変問題として指摘されているところでございまして、我が国原子力行政という面にどれくらいの影響を来しておるかというようなことでございますが、原子力安全委員会におきましては、事故の発生直後調査検討を開始いたしまして、昭和六十二年五月に報告書が取りまとめられたのは御承知だろうと思います。この報告書におきましては、チェルノブイルの事故というものは設計上の欠陥とか運転員の規則違反などによって引き起こされた事故であるというようなこと、我が国の場合にはこのチェルノブイルと同様な事態になることは極めて考えがたいものであるというふうにも報告されておるわけでございます。また、我が国の現行の安全規制や防災対策の基本について早急に改める必要のあるものは見出されない、そういう結論も出されているのがこの報告書の内容でございます。  しかしながら、とは申しましても、調査報告書では、改めて心に銘ずべき事項として七項目を摘出しておるというようなこともございまして、これらの項目については、原子力安全委員会においても検討を行うとともに、関係行政庁などに通達をいたしまして、一層の安全性の向上のために努力をしていくということが生かされているものであるというふうに私は承知しておるものでございます。  いずれにいたしましても、安全の確保を大前提として我が国原子力開発利用を着実に進めていかなければならない問題であるというふうに私は承知しておるものでございます。
  124. 松原脩雄

    ○松原委員 今のお話を聞いておりましたら、チェルノブイリの事故と比べて日本の原発はそのような危険性がないかのようにお聞きをしたわけですが、この点については、いわゆる炉心が溶けてしまうとか炉心が崩壊をするような、現在の設計基準で想定されている最大級の事故をさらに超える過酷事故というものの可能性は、日本の軽水炉にもあるのではないかということで、特に国際原子力機関がその可能性を指摘して対応をとるようにというふうな動きがあったと思うのですが、その点はどういうふうな結果になっておるのでしょうか。
  125. 谷弘

    ○谷説明員 御説明申し上げます。  ただいま大臣から御説明申し上げましたように、私どもとしましては、日本の原子炉とチェルノブイリの原子炉は基本的に構造が違うということで考えております。  一、二具体的な例を申し上げますと……(松原委員「いや違う、私が今聞いたのは国際原子力機関のことだ」と呼ぶ)そういうことでやっておりますが、実は日本の安全審査におきましても、想定事故あるいは機械的に設計上は起こらないものについても仮定をしまして、仮想事故ということで審査を行っております。現在も行っておりますので、もちろんそういうことも踏まえまして、現在、安全審査は十分安全であるという判断をしておりますし、将来の動向も十分勉強していっておる状態でございます。
  126. 松原脩雄

    ○松原委員 その国際原子力機関が、いわゆる従来の想定した基準をさらに超えるような過酷事故が起こり得る可能性が日本にあるじゃないかというふうな指摘があって、それに対して、それを踏まえた上で科学技術庁は、この国際原子力機関の指摘、この動向については今どう対応されておるのかということをちょっとはっきりさせておいていただきたい。
  127. 谷弘

    ○谷説明員 先ほども説明しましたように、IAEAの中ではいろいろな基準をつくっております。それからいろいろな研究もいたしております。この席上には日本からも参加をいたしまして貢献をいたしておりますけれども、私どもの現在の審査は、先ほども説明しましたように、工学的に発生するであろうということを想定しております想定事故と、それから工学的には一応起こり得ないけれども、なお一応仮定をしてやってみようということを考えましてやっております仮想事故というのを、現実には既に想定していっております。IAEAでもそういうような勉強が始まっておりますが、それは日本も当然そういうものに参加しておりまして、また一方でNUSSと呼ばれます、ニュークリア・セーフティー・スタンダードの略でございますが、そういうものを研究いたしております。その基準は、日本もその作成に参加をしておりますが、現在のIAEAがそういうようにつくっております基準と、私どもが現在実施している基準の中には、そう大きなそごはないと現在考えておるところでございます。
  128. 松原脩雄

    ○松原委員 そうしますと、単純に申し上げて、先ほど大臣がおっしゃったことと、今の御説明を聞いておりましたら、これは一般論ですけれども、やはり日本の原子力発電もいわゆる過酷事故と言われるような大きな事故の起こり得る可能性については否定できないことだ、したがって、それをいわば仮定をして対応、対策を考えていくべきなんだ、こういうふうに取りまとめていてよろしいのでしょうか。
  129. 谷弘

    ○谷説明員 一般的に私どもが審査をいたしますのは、先ほど御説明したとおりでございますが、例えば先生指摘のIAEAの指摘の中では、確率論的に評価をしてみたらどうかというような提案がございまして、これは手法が少し違いますけれども、幾つかテスト的に同じような手法で評価をしてみましたところ、日本が評価をしている手法を使ったそのものを評価をしましても、ほぼ同じような安全側の答えが出ているということをもって、現在の安全手法は、別の角度から提案されているものとも相当する安全性を確保しているというように判断をしているところでございます。
  130. 松原脩雄

    ○松原委員 今回の原子力協定は、いわゆる核燃料サイクルを実施、実現をするために非常に重要なフランスの再処理技術を日本に移転する道を開く、そういう意味では、核燃料サイクル計画を進めるに当たっては、いわば根幹に当たる位置づけの一つだと私は思うのですが、核燃料サイクルの問題は、要はプルトニウムを使うことだということだと思うのです。  そこで、プルトニウムというのはいわゆるウランなんかとは別の物質ですが、まずプルトニウムという物質の重要性について、その毒性とかあるいは元素としての性格とか、こういうのはまず最初にきちっと押さえておかないとだめなような気がするのです。その毒性や元素の特性について大臣はどういうお考えを持っておられますか。――ちょっと大臣に聞きたいのです。これは大変大事な話なんだよ。基礎的なことだから、ちょっと先に大臣に聞いておるのです。
  131. 結城章夫

    結城説明員 大変技術的なことでございますから、先に御説明させていただきます。  プルトニウムでございますが、これはウランと同じように核燃料でございます。したがいまして、燃料ということではウランと余り変わらないわけでございます。ただ、そのプルトニウムそのものがどういうものかというお尋ねでございます。この生物に対する影響ということになるかと思いますが、このプルトニウムというのは、やはり放射線による影響が問題になると理解しております。その化学的毒性ということよりも、むしろ放射線による影響の方が問題になるということでございます。ただ、このプルトニウムというのは、主として、放射線の種類でございますが、アルファ線というものを出しておりまして、そのアルファ線というのは飛程が短いということから、外からプルトニウムに被曝をするということは余り問題になりません。それで、動物実験により得られた知見によりますと、口から入る場合、体内に取り込まれるわけですが、それは大部分が排出されてしまいます。吸収されるのは約〇・一%という程度だと聞いております。それから、呼吸に伴いまして肺などに入ってくる場合でございますが、その場合は大体二五%ぐらいが骨とか肺とかにプルトニウムは沈着していくということでございます。ただ、これはあくまでも動物実験でございまして、これまでにこのプルトニウムの放射線被曝を受けて人体に障害が出たという例は世界的にも報告されておりません。
  132. 大島友治

    大島国務大臣 まことに技術的なもので、政府委員をして先に説明させましたが、私は私なりに、このプルトニウム燃料としての必要性というものはかねてより頭に置いてやっているものでございます。しかしながら、今結果的にそれが害をなしたとかということはないこともありますけれども、といって絶対に安全だからなんということでなく、やはり安全性ということについては十二分に注意を払って取り扱うべきものであるというふうに私は考えておるし、同時に、我が国燃料としての必要性を十分わきまえてやっているつもりでございます。
  133. 松原脩雄

    ○松原委員 私もこの間国会で質問をいたしましたときに指摘をしておいたのですが、例えばプルトニウムの場合、それが一グラムで八千万人から九千万人の人をがんに至らしめるほどの猛烈な毒性を持った物質であるというふうに、科学技術委員会の参考人で高木仁三郎さんが指摘をされているのですよ。私も国会で言いましたように、実際、二キログラムあれば地球上の全人類をその毒性だけでがんに至らしめて死亡させることができるというほどの、要するに極めて猛烈な物質なんですね。御存じのとおり、プルトニウムは、それを使えば原爆の材料にもなります。原爆の材料ですよ。もう一つ、プルトニウムというのはそもそも自然界にないのです。ウランを原発で使ったりした後に新しくできてくる、本当に人工の元素なんですよね。そういう三つの大きな特性を持っているから、これから後で質問しますけれども、例えば輸送するときにこんなものがどこかで漏れたりしたら、大変大きな、強烈な打撃を与えるわけです。ですから、そういうプルトニウムという物質はもう並み尋常のものじゃないんだということは大臣もぜひ認識をしておいていただきたい。そこから問題を立てていかないとだめになるということをまず指摘をしておきたいと私は思うのです。  そこで、プルトニウムですが、先ほどもちょっと出ましたように、原発のごみだよね。いわばごみの再処理を今イギリスフランスにしてもらっておりますが、この再処理については、先ほども契約書についてはまた後で五十嵐委員の方に御回答があると思いますけれども、これはそもそもいつ、だれがその契約を取り交わしたのか、これはどういうふうになっておるのでしょうか。
  134. 結城章夫

    結城説明員 この海外への再処理委託契約でございますが、日本の電力会社九社と日本原子力発電株式会社、合計十社がイギリスBNFL及びフランスCOGEMA社と取り交わしている契約でございます。  この契約は幾つかに分かれておるようでございまして、一九七〇年代に順次取り交わされております。一番新しいものは一九七八年の五月というふうに承知しております。
  135. 松原脩雄

    ○松原委員 それで契約内容ですけれども、そこで取り交わしをしたわけですが、その契約の中で、再処理したものをこちらへ引き取る時期、日本が引き取ってくる時期、これについてはどのような内容になっておりますでしょうか。
  136. 結城章夫

    結城説明員 再処理をした結果、プルトニウムウランが回収されへ放射性廃棄物が分離されるわけでございますが、それが日本に引き渡される時期については特段の決めはないというふうに承知しております。
  137. 松原脩雄

    ○松原委員 それは、先ほども五十嵐委員が出した、選択権というような言葉が出てきたから、それについてはまた後ほど五十嵐委員がお聞きになると思いますのでちょっと置いておきまして、午前中の答弁の中で、その再処理をしたプルトニウム八百五十キログラムが既に日本に戻ってきたという答弁だったと思うのですが、じゃその戻ってきた時期、そして戻してきた方法、これはどんなものだったのでしょうか。それに、それを戻した主体。だれが持ち帰ってきたのか、これも。
  138. 結城章夫

    結城説明員 これまでにイギリスフランスから再処理の結果回収されましたプルトニウム合計八百五十キログラム、これは核分裂性プルトニウム量でございますが、日本に返されております。  この時期でございますけれども、昭和四十五年から始まっておりまして、最後に行われましたのが昭和五十九年でございます。合計十四回にわたって運ばれております。昭和四十八年までは航空輸送で運ばれてきております。その後、昭和五十四年から最後の昭和五十九年までは海上輸送により運ばれてきております。  それから、だれが運んだかという御質問でございますが、この輸送の一番最後、昭和五十九年に、これはフランスからでございますが、動力炉・核燃料開発事業団海上輸送により持ち帰ったものでございます。それ以前のものにつきましては、これはいろいろあるかと思いますが、主に外国の事業者が運んで日本の動力炉・核燃料開発事業団がこれを引き取ったというふうに理解しております。
  139. 松原脩雄

    ○松原委員 そうしますと、航空輸送の場合をちょっと聞きますが、航空輸送ではどういう機種というか、民間とかそういう意味ですが、どういう飛行機を使ってどのルートを飛ばしてきたのですか。
  140. 結城章夫

    結城説明員 私どもが調べておりますところでは、これは外国の事業者がやりましたものですから余り詳細はわからないのですが、外国の民間航空会社の航空機などによって運んでおりまして、すべて羽田に到着しております。
  141. 松原脩雄

    ○松原委員 それじゃ海上輸送について、一番最後は五十九年のは核燃の事業団が海上輸送したと言いましたね。これをもう少し詳細に説明していただきたいのです。  どこの国から出て、そして日本のどこの港に着いたのか。しかもそれに使った船は一体どういう種類のものなのか。五十九年といっても、その要した期間、それからどういうルートを通して運んできたのか。最後に、動燃事業団が運んだプルトニウムの量ですね。
  142. 結城章夫

    結城説明員 お答えいたします。  昭和五十九年の輸送でございますが、我が国の電力会社、これは関西電力でございますが、関西電力がフランスの核燃料会社COGEMA社に委託して再処理を行いまして、そこで回収されたプルトニウム動力炉・核燃料開発事業団が買い取りまして日本まで運んだものでございます。  その量でございますが、核分裂性プルトニウム量にいたしまして約百九十キログラムでございます。  これは動力炉・核燃料開発事業団が開発を進めております高速増殖炉の実験炉「常陽」の燃料に使うということで持ち帰ってまいりました。この輸送動力炉・核燃料開発事業団が実施主体となって行ったわけでございますが、具体的には晴新丸という一万四千総トンの船を使いまして、昭和五十九年十月五日にフランスを出航し、大西洋を通りまして、パナマ運河、さらに太平洋を通りまして、十一月十五日に東京港に着いたものでございます。
  143. 松原脩雄

    ○松原委員 そうしますと、百九十キログラム、先ほど申し上げましたように、二キロで全人類をがんで死なせるかもしれないというのですから、そこからいうと大変な量のプルトニウムが今のようなルートを通じて船で運ばれてきたわけですね。このときに、巡視船をやるのか、それとも自衛艦をやるのかということで、防護について今まさに問題になっているじゃありませんか。途中で核ジャックをされたりしては困りますね。そういうふうな防護設備、防護体制は、このときはどうだったのですか。ちょっと説明してください。
  144. 結城章夫

    結城説明員 この昭和五十九年の海上輸送に際しましては、核物質防護対策に万全を期するために、国際的な基準、これはIAEAの勧告などでございますが、そういうものを踏まえて十分な対策を講じました。具体的には動力炉・核燃料開発事業団でございますが、輸送船の一部を特別に改造する、これはクレーンの能力を無力化するとか追加の無線設備を設置するなどでございます。それから、輸送船はフランスから日本まで無寄港で航行させました。それから、輸送船と通信連絡体制を整備して、輸送船の状況や位置を常時把握できるような体制をとりました。さらに、輸送船の警備、点検のために、核燃料物質の取り扱いや核物質防護の専門家を乗せるというようなことも行いました。これは当時の国際的な基準を十分に満たすものであったというふうに理解しております。さらに加えまして、科学技術庁は海上保安庁にお願いいたしまして、この輸送船、先ほどの晴新丸でございますが、この船に海上保安官の警乗をしていただきました。さらに、我が国の近海に参りましてからは、海上保安庁の巡視船を配備していただきまして警戒に当たったと承知しております。
  145. 松原脩雄

    ○松原委員 そうすると、五十九年までで一応輸送は終わっているわけですけれども、その後輸送ができなくなった原因、これは何か特に原因があったのでしょうか。どういう事情でその後の輸送をしていないのでしょうか。
  146. 結城章夫

    結城説明員 昭和五十九年の輸送を行った後今日までその後輸送は行っておりませんが、これは、我が国の国内のプルトニウムが今手元にございますので、運ぶ必要がなかったということでございます。これからまた必要に応じて運ぶことにしたいと思っております。
  147. 松原脩雄

    ○松原委員 先ほどの説明では、現在日本がイギリスフランスで再処理をしてもらうために再処理待ちとなっておる使用済みの核燃料、これは現在ではまだどの程度残っておるのでしょうか、あるいは今後どういうふうな推移になるのでしょうか、ちょっと聞かせてください。
  148. 結城章夫

    結城説明員 通常の原子力発電所、これは軽水炉というものでございますが、その軽水炉使用済み燃料、これはイギリスフランスを合わせてでございますが、合計五千六百トンの量を再処理してもらうという契約になっております。これまでに、これまでと申しますのは、今年度の三月末現在でございますが、このうち三千五百トンの使用済み燃料を既にイギリスフランスに送り出してございます。これらの大部分のものはイギリスフランス貯蔵されておりまして、このうちのほんのわずかなもの、二百トン弱でございますが、二百トン弱のものは既に処理済みでございまして、残りはイギリスフランス貯蔵されておる状況でございます。
  149. 松原脩雄

    ○松原委員 そこで、一九九二年からプルトニウムを日本に持ち帰るというふうな御答弁がありましたけれども、そもそもこの一九九二年にプルトニウムを日本に持ち帰るというふうな決定をしたのは、原子力委員会がこれを持ち帰るという決定をしたのでしょうか。
  150. 結城章夫

    結城説明員 プルトニウムの必要な時期に持ち帰ってくるということでございまして、それではいつ必要になるかということで検討を行いました。具体的には、原子力委員会のもとに核燃料リサイクル専門部会というものがございまして、ここでこれからの我が国プルトニウムの必要量、それから国内における生産量等を評価いたしまして、このプルトニウム輸送を一九九二年の秋までには行う必要があるという結論を昨年の十二月に出していただいたものでございます。
  151. 松原脩雄

    ○松原委員 それは原子力委員会がそういう決定をされた。ところで、別に原子力委員会がこのプルトニウムを引き取るわけじゃないですね。そうしますと、実際これを引き取ってくる主体ですね、だれがこれを引き取ってくることになるのですか。フランスからの場合はだれが引き取るのですか。
  152. 結城章夫

    結城説明員 当面プルトニウムを大量に必要としておりますのは動力炉・核燃料開発事業団でございます。この九二年の秋までに持ち帰るプルトニウム動力炉・核燃料開発事業団が高速増殖炉などの研究開発に用いるものでございます。したがいまして、この輸送動力炉・核燃料開発事業団が実施主体になって行うという予定にいたしてございます。
  153. 松原脩雄

    ○松原委員 そうしますと、当初の契約では、これは電力会社と向こうの再処理会社が契約をしたということになっていますね。その契約内容でいきますと、返還を受ける義務あるいは返還を受ける時期については契約上は一体どういうふうになっておるのでしょうか。
  154. 結城章夫

    結城説明員 使用済み燃料は日本の電力会社のものでございますから、その再処理をした結果生じてまいりますプルトニウムも日本の電力会社の所有物になります。当面、今プルトニウムを必要としておりますのは動力炉・核燃料開発事業団でございまして、動力炉・核燃料開発事業団が日本の電力会社からプルトニウムを譲り渡してもらうという形になると思っております。
  155. 松原脩雄

    ○松原委員 私が聞いたのは、最初の一九七〇年代にできた再処理委託契約の中に――これはなぜ聞いているかといいますと、九二年から輸送をする必要があるのかないのかという問題が今大きな議論になっているのですよ、プルトニウムの使用の問題に絡んで。そうすると、仮に一九九二年から使う必要はない、アメリカの核管理研究所の場合は一九九八年まで日本はプルトニウムが余っているはずだと言っておるのです。そうすると、私が今わからないのは、これはもともと私的な契約委託契約をしているのですから、仮にこちらが日本の都合で一九九八年までプルトニウムを使わないから、必要ないから、そのままイギリスフランスに置いておいてくださいというふうに決めた場合に、契約をした電力会社は果たして当初の契約上からいうとどういうペナルティー、あるいは当初の契約の約束条項からしたらどういうふうな扱いに陥るのかという点を私は聞いているわけです。その辺の、当初の委託契約における返還をする時期並びに返還をする義務条項、受け取らなければならないという義務条項といいますか、それを守らないときにはどんな損害賠償なりペナルティーが来るのか、この点について当初の契約ではどうなっていましたかということをちょっとお聞きしたいのです。
  156. 結城章夫

    結城説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、プルトニウムは日本の電力会社のものでございます。プルトニウムというのは我が国の貴重なエネルギー資源でございますから、日本に持ち帰って核燃料として利用するということになっております。したがって、日本の電力会社が基本的にはその所有者であり、持ち帰ることになるわけですが、当面必要とされるプルトニウム動力炉・核燃料開発事業団が使いますので、その譲り渡しを受けるということでございます。
  157. 松原脩雄

    ○松原委員 今のは全然答えになっていないじゃありませんか。言っておきますが、さっきの、昭和五十九年まではいわゆる民間の船でも使ってプルトニウムを気楽に運んできているのです。ところがこれからはそうはいかないでしょう。二年前の日米原子力協定もあって、物すごい重要な警護をしなければ、これは運べなくなってしまったのじゃないですか。ですから、単純に民間会社に任せておいて、じゃ、電力会社が運んできます、動燃が運びますと決めていけるものじゃないじゃありませんか。だから私は、当初電力会社が相手方の外国の会社と結んだ契約の中身を、あなた方は承知しているはずなのだから、それを明らかにしてほしいと何回も言っているのです。それにあなたは答えていない。それを答えてください。大事な問題です。日本がもし引き取らない、必要ない、もうちょっと置いておいてくれというふうになったときに、イギリスフランスが、はいそうですかと、それを置いてくれるのですか。もし損害賠償条項がでかければ電気料金にはね返ってくるじやありませんか。そうでしょう。ちゃんと答えてください。
  158. 結城章夫

    結城説明員 繰り返しになりますが、プルトニウムは日本の電力会社のものでございます。した がって、それを引き取ることになります。ただ、いつまでに引き取らなければいけないということは、特に時期的な義務づけはないというふうに理解しております。
  159. 松原脩雄

    ○松原委員 そうすると、引き取らなくてもいいということは、要するに、イギリスフランスを考えなくても別によろしい、我が国原子力政策でプルトニウムが必要かどうかということさえ決めてしまえば、それでまた置いておいてください、これでいいというふうに理解しておきますよ、あなたの答弁を。今の件につきまして、大臣、ちょっと確認をしておいてください。今の私の要約でよろしいのかどうか。ちょっと大臣確認してください。
  160. 大島友治

    大島国務大臣 今の私への御質問でございますが、事務的、技術的な面を政府委員の方からとりあえず答弁させますから。
  161. 結城章夫

    結城説明員 日本がプルトニウムを引き取らない場合には、引き取るまでの間、イギリスフランスの再処理会社に預かっていただくことになります。
  162. 松原脩雄

    ○松原委員 そうなっておりますと今断定したということは、そういう契約内容になっていることを科学技術庁承知しているのだね。しっかり見ているのでしょうね。  それでは、ついでに聞きますが、置いてもらっている間の保管料はどうなっているのでしょうか。
  163. 日下一正

    日下説明員 私契約の中身でございますので、つまびらかにはしていませんが、契約内容は、再処理業務を委託する、役務を委託するということでございますので、物事の修理を頼んだりするのと同じ、サービスを頼むのと同じでございますから、適当な期間、例えば引き取ることが期待されていると考えるのが通常だろうと思います。したがいまして、ちょっと私は契約の中身は承知しているわけではございませんが、常識的に考えましたら、適当な合理的な期間を超して両当事者間でさらに保管していただけるということになるといたしましても、それはそれなりの対価を請求されるのが通常であろうかと思います。一般論でございます。
  164. 松原脩雄

    ○松原委員 一般論じゃないよ。今の資源エネルギー庁の方の解説を私は聞いているのじゃないのです。先ほど科学技術庁のあなたが契約内容をいかにも知っておるようにしてはっきりと答えてくれたでしょう、返す時期は決めておりませんと。先ほどは断定していただいたのだったら、ついでに見ているはずですよ。そのまま置いてもらっていた場合はどういう保管料の形になっているのですか、それをあなたは知っているはずだから教えてくださいと私は申し上げているのです。結城さん、もう一度答えてください。
  165. 結城章夫

    結城説明員 私も私契約内容でございますからつまびらかには承知しておりませんが、プルトニウムが日本の電力会社のものであること、それをいずれは日本が引き取ること、その引き取る時期は、特にいつまでに引き取らなければいけないという義務づけはないこと、それで、もし引き取る時期がおくれれば、その間は預かっていただくことになるということを申し上げた次第でございます。
  166. 松原脩雄

    ○松原委員 そのときの保管料、そこをさっきから聞いているのです。  それでは、先ほどからあなたは私契約内容だから知らないという立場をとっておりますが、しかし、さっきから聞いていると大分よく御存じだ。科学技術庁はその私契約をもし知らないという立場をとっておるのであれば、一体、その私契約内容の今あなたが答弁したような情報をどういう形で電力会社から収集したのでしょうか。そこをちょっと聞いておきます。
  167. 結城章夫

    結城説明員 私ども原子力政策を進めていく立場でございますから、私どもの行政遂行上必要な範囲において電気事業者から契約内容をお聞きしておるということでございます。
  168. 松原脩雄

    ○松原委員 では、その聞いておるというのは、電力会社の方から文書の形で報告があるのでしょうか。もしあるならば、その文書を国会審議の必要上あわせて出してもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  169. 結城章夫

    結城説明員 法的に電気事業者がこの契約書科学技術庁に届ける、例えばそういう義務は全くございません。私どもはそういう形では内容は受け取っておりません。
  170. 松原脩雄

    ○松原委員 では、時間ですので、大臣にちょっとお願いしたいのですが、プルトニウム輸送問題というのは、これから物すごく重要な問題になりますよ。海上保安庁が機関砲を何ぼかくっつけた新しい船をこしらえて、それで持ってきますと今やっているようですけれども、それで果たして諸外国がいいと言ってくれるかどうかもわからない、アメリカがいいと言ってくれるかどうかもわからないのですね。そういう点からしますと、プルトニウム輸送時期、一九九二年と決まっているけれども、私どもの考えでは、まだこれは必要ない、先まで延ばし得るんだというふうに私は思っている。そのときに、今議論になりました、いわゆる再処理委託についての相手方、外国と、日本というか電力会社の契約書について、私契約だから国会に出せないとするならば、彼らから受けた報告を科学技術庁としてまとめて、そして国会の方に、委員会の方に提出をするというぐらいのことは私はやっていいと思うのですが、ちょっとそれについての大臣の御意見を聞かしていただきたいと思います。ぜひこれはお願いしたい。
  171. 大島友治

    大島国務大臣 御要望にこたえられるように検討していきたいと思いますから、御承知願いたいと思います。
  172. 松原脩雄

    ○松原委員 それでは、科学技術庁長官の今の御答弁でございますので、ぜひその点について必ずお約束をしていただきますように、特に委員長並びに理事の皆様方にも御検討いただきますように御要望申し上げて、質問を終わります。
  173. 柿澤弘治

    柿澤委員長 遠藤乙彦君。
  174. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今日、我が国原子力政策を今後どうするか、大変重大な地点に差しかかっていると感じております。したがいまして、十分な国民的論議を踏まえ、コンセンサスの形成を踏まえて、今後の方向の決定づけをすべきであると考えます。そういった観点から、この日仏改正議定書に関連しまして、幅広くさまざまな観点から質問をさせていただきたいと思っております。改正議定書内容に即してお伺いしていきたいと思っております。この改正議定書自体は、我が国の核拡散防止強化に沿っての努力の一環であると思いまして、その点評価するものでございますが、協定に即して、以下の点につきましてお伺いをしたいと思います。  まず、第一点でございますけれども我が国からフランスへ移転される核物質及び機微な技術がフランス以外の第三国に移転されて軍事目的に転用される心配はないのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。特に具体的なケースとして懸念があるのは、フランスがパキスタンに対して原子力協力を行っているわけでございますけれども、こういったケースにおいて、今申し上げたような点が起こり得るのかどうか、この点につきまして、まずお伺いをしたいと思います。
  175. 石井一二

    ○石井(一)政府委員 お答えいたします。  外務省といたしましては、そのような心配はない、そのように確信をいたしております。その理由でございますが、改正議定書では、移転される核物質や機微な技術等について、その平和目的利用を十分に担保しておる、そう理解をいたしておるわけでございます。もう少し具体的に申し上げますと、御質問我が国からフランスに移転された核物質や機微な技術等の第三国への移転に関しましては、核拡散防止の観点から設けられた管轄外移転の規制を受けるということに理解をいたしております。したがって、万全を期しておると思っております。  なお、パキスタンの件につきましてもそのとおりでございますけれども、さらに詳細を期するために、審議官レベルでもう少し御説明をさせていただきたいと思います。
  176. 太田博

    ○太田政府委員 お答えいたします。  最近フランスがパキスタンに対して原子炉を売却するというニュースが伝えられました。このフランスによりますパキスタンへの原子炉の売却自体は、日仏原子力協力関係あるいは日仏協定とは直接関係はございませんけれども我が国といたしましては、核拡散防止の観点から、万が一にも核拡散の危険が増大することがあってはならないということで、パキスタンは核防条約に入っておりませんで、パキスタンの中にございますすべての原子力施設についてIAEAの保障措置を受け入れているわけではございませんので、この点につきまして、フランスに対し我が国の懸念を表明したところでございます。
  177. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 その点はぜひ強く詰めていただければと思っています。  次の点ですが、今回改正協定で、協定上機微な技術が規制の対象として含まれるようになったわけでございますけれども、現実問題として日本からフランスへ移転されるような機微な技術とはどんなものか、これにつきまして御説明をお願いしたいと思います。
  178. 林幸秀

    ○林説明員 お答えいたします。  今回協定が改正された際に、直ちに我が国からフランスに移転される機微な技術というものはないというように考えておりますが、将来、我が国の技術開発の成果、あるいは青森六ケ所村の再処理工場の建設、運転を通じて得られる日本独自の改良技術あるいは運転経験といったものがフランスに移転されるということも、可能性として考えられるのではないかというふうに考えております。この場合には、これらの我が国からフランスに移転される改良技術等につきましては、当然協定に基づきまして機微な技術というものとして取り扱われるというように考えております。
  179. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 次に、防護の関係でございますけれども、今後日仏間で実施される回収プルトニウム返還輸送につきまして、この防護規定がどのように適用されるか、これを少し御説明をいただければと思っています。
  180. 太田博

    ○太田政府委員 お答えいたします。  先ほど来議論が行われておりましたように、我が国フランスに対しまして再処理委託しておりまして、一九九二年ごろから回収プルトニウム返還輸送が行われる予定でございますけれども、この輸送に関しましては、今回の改正議定書によりまして核物質防護措置に関する規定というのがございますが、これが適用されることになります。具体的にはプルトニウム輸送に関しましては、国際輸送でございますので、例えば輸送に責任を持っている者の責任の移転する日時、場所、手続等をはっきりさせること、それからプルトニウムという極めて重要な物質でございますので、護送者による常時監視等が行われるべしというのが日仏協定に基づく防護措置としてとられることになります。
  181. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 我が国原子力利用が平和的利用の分野に限られることは、我々にとっては自明のことになっているわけですけれども、これは国際的に見ますと、核弾頭の材料となり得るプルトニウムを大量に返還輸送することは、軍事目的への転用の危険を増大させるのではないかといった印象を与えることになるかもしれません。今回の協定改正に当たりましては、こういった返還されたプルトニウムについても、平和的目的使用に限定されることは明らかにされているものと考えるわけですけれども、具体的にはどのようにこの点が確保されているか、これにつきましてお答えをお願いしたいと思います。
  182. 太田博

    ○太田政府委員 お答えいたします。  今回の改正議定書によりまして、本件協定の対象になるものはあらかじめ事前通告をするということになっておりまして、フランスから返還されるプルトニウムにつきましても、まずフランス側が我が国に対して事前通告をすることによりまして本件の協定の対象となります。  対象となりますと、具体的には協定の規定に従いまして、まずこのプルトニウムというのは平和的非爆発目的のみに使用されるということになっておりまして、これを確保いたしますために保障措置が適用されることになっております。それから、先ほどの御質問に対してお答えをいたしましたけれども、核物質防護措置の適用の対象になり、また、管轄外に移転をする場合に規制の対象となるということで、以上のようないろいろな規制の対象になりまして、平和的目的に限定する、そういう確保に万全が期されている次第でございます。
  183. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 協定自体の内容につきましての質問は以上のとおりでございますが、続きまして、六ケ所村の核燃料サイクル施設及びそのプルトニウム利用計画につきまして質問をさせていただきます。  まず、第一点でございますが、六ケ所村の核燃料サイクル施設建設と本件改正協定との関連はどうか、この点につきましてお答えを願います。
  184. 林幸秀

    ○林説明員 お答えいたします。  青森六ケ所村において建設予定でございます再処理施設の技術といいますのは、フランスのSGNという会社からの導入技術を中心に建設されることになっております。したがいまして、現時点では現行の日仏協定に従って協力が行われているというふうに承知しております。今回、協定が国会の承認を得て改正されました場合には、先ほど先生の御質問にありましたように、改正協定の中に再処理などの技術を対象とします機微な技術に関する規定が新たに設けられることになります。したがいまして、六ケ所村の再処理施設で使用されますフランスからの導入技術といいますのは、当然この機微な技術の規定の適用を受けることになるということでございまして、改正後におきましても引き続き日仏協定に従って協力が行われるというふうに承知しております。
  185. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今の点に関連しますが、この改正議定書が成立しなければ機微な技術の移転は受けられないということになるわけですか。
  186. 林幸秀

    ○林説明員 今ほど答弁いたしましたように、現在の日仏協定におきましても、フランスからの技術というのは導入されておりまして、それは現行の日仏協定によって協力が行われておる、しかし、その協定が改正された場合には、機微な技術として取り扱われるということでございます。
  187. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 それでは、基本的な質問になってしまいますが、この核燃サイクル計画の概要と進捗状況、これにつきまして御説明をお願いしたいと思います。
  188. 結城章夫

    結城説明員 現在青森六ケ所村において進められております核燃料サイクル施設計画でございますが、まずウラン濃縮施設につきましては、最終的に千五百トンSWUパー年、毎年千五百トンの能力を持った工場を建てるわけでございますが、昭和六十三年八月に第一期分といたしまして年間六百トンSWUの事業許可がなされ、現在工事が進められておるところでございます。  次に、低レベル放射性廃棄物の埋設施設でございますが、これも当面は二十万立米の埋設を予定いたしておりまして、最終的には約六十万立米の埋設を行う予定になっております。これにつきましては、科学技術庁におきますいわゆる一次審査が終わりまして、現在原子力安全委員会及び原子力委員会のダブルチェックを受けている状況でございます。  それから再処理施設でございますが、これは年間八百トンの処理能力を持った再処理施設及び返還廃棄物の管理施設として高レベルガラス固化体貯蔵を行うわけでございます。この貯蔵能力が千四百四十本という予定になっております。この施設につきましては、現在科学技術庁において安全審査を進めているところでございます。
  189. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 それでは、続きまして、六ケ所村の核燃サイクル施設立地条件の検討ぶりにつきましてお伺いをしたいと思っております。  何点か疑問点があるわけですけれども、こういった非常に危険な施設をつくる場合、さまざまな厳しい条件のもとに立地を選ぶ必要があると思うわけですが、幾つか気になる点がございます。  一つは、この六ケ所村の建設予定地の近隣に米軍の実弾射撃場が存在する、南々東約十キロの地点に米軍の実弾射撃場があるはずでございまして、よく誤爆事件も起きるというふうに聞いております。これが第一点です。  それから、二つ目に地下水の問題ですけれども、本来こういった施設をつくる場合には、降雨量が少なくて地下水が非常に深い地点につくるべきなのでしょうが、現在の予定地の場合は、地下水の水位が非常に浅くて、したがいまして廃棄物等を埋めるドラム缶の腐食が起こりやすい、こういった状況が非常に問題視されていると思います。  それから、もう一点ですけれども、この地層に断層が通っているということでございまして、こういった点、地質的な安定性といったものも非常に危惧されるわけでございます。  本来ならば、こういった施設をつくる場合、降雨量が少なくて、それから地下水が深くて、断層もなくて、人里離れた、さまざまな条件を満たすべきものであると思いますけれども、そもそもこの六ケ所施設の建設に際して、こういった立地条件が本当に十分に検討されたものかどうか、これにつきましてお伺いをしたいと思います。
  190. 大森勝良

    ○大森説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生から米国の射爆撃訓練基地の問題、それから地下水、それから断層等の六ケ所村の核燃料サイクル施設に関する立地条件についてお尋ねがございました。  まず、安全規制当局といたしまして、どのような形で安全規制を進めているか、特にその立地条件についてはどうかということについて簡単に申し上げたいと思いますが、ウラン濃縮施設、それから再処理施設として計画されておりますもの、これは我が国では初めての大型商業用施設であるということ、また、低レベル放射性廃棄物の埋設処分ということも、我が国では初めて行われるということで、これまで非常に慎重に安全審査を進めてきておるわけでございます。特に、本立地点におきましては、先ほど御指摘の航空機に関連します問題、地下水、断層等安全面につきまして、地元を中心に関心が高いということは承知しております。現在、安全規制の第一の関門でございます事業の許可あるいは指定という際の安全審査において、それぞれ検討を進めております。  そこで、それぞれの状況でございますが、ただいま射爆撃訓練基地の問題をまず御指摘になりました。これにつきましては、実弾を使っておるわけではございませんで、模擬弾でございますが、非常に訓練回数が多いということでございます。ただ、評価いたしますと、その距離が比較的離れているということから、この核燃料サイクル施設に墜落してくるという可能性は低いものと考えておりますが、既に許可をいたしましたウラン濃縮施設については、その訓練している飛行機が墜落した際に、どのような問題を生ずるか生じないかというところまで検討いたしまして、災害の防止上支障がないということを確認して許可してございます。また、同様のことは埋設施設についてもやっておりまして、現在審査を進めております再処理施設につきましても、検討を進め、問題がないということが確認されるまで許可を行わないということになっております。  さらに、地下水の問題の御指摘がありました。地下水の問題につきましては、核燃料サイクル施設施設のうち、特に低レベル埋設処分にかかわる問題として提起されている問題でございます。本件につきましては、科技庁といたしまして一次審査を既に終了しておるわけでございますが、その審査の中では、地下水につきまして、地下水の浸入防止のための対策を施すなど、放射性物質を閉じ込める設計は立地条件との関係で妥当なものである、そのような判断を下しておるところでございます。本件につきましては、さらに現在原子力安全委員会のダブルチェックという、慎重にその安全性の検討が再度進められている状況でございます。  また、断層について御指摘がございました。これもこの三施設それぞれ共通する問題ではございますが、特に再処理施設は、断層等地質、地盤に関します設計は原子力発電所と同じように対応することになっております。そういうことから近隣の断層等の状況につきまして、現在安全審査において慎重に検討している状況でございます。  以上でございます。
  191. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今も立地条件の質問につきまして何点か御説明をいただきましたが、御説明をいただいた範囲でも、必ずしも青森県の六ケ所村が場所として適当なものかどうか、まだかなり疑問を有しております。いずれにしましても、この立地条件につきましては、極めて安全にかかわる問題でございますので、ぜひとも慎重に十分な検討をお願いしたいと思っております。  もう一点は、そういったいわゆる物理的な立地条件とともに、地元住民との関係というものが大変大きな問題だと思います。やはり地元住民の十分な理解協力がなければこういった施設の建設を進めることは難しいわけでございまして、そういった点で地元状況がどうなっているか。特に地元住民に対する説得ないし対話、この辺がどう進められているかにつきまして、御説明をお願いしたいと思います。
  192. 大島友治

    大島国務大臣 現在行われております六ケ所村の核燃料処理の問題につきまして、まさに委員の御指摘になりましたようないろいろな問題も、かつまた地元での御懸念等も、十分私も承知をいたしておるわけでございます。これをいかにするかということについては、慎重に検討しながらやっておるわけでございますが、しかし、先ほども説明員の方からも具体的な進度の状況もございますし、また、この事業というものは、我が国エネルギーという点からしましてもぜひ必要であるというような観点に立ちまして、これは欠くことのできない重要な事業であるというふうに認識をして進めておるのが現状でございます。  そこで、問題がいろいろあるについては、やはり地域の地元の人たちから少しでも理解を得るというようなことについては本当に真剣に取り粗んでやらねばならないということを、私も就任以来まだ日は浅いのでございますけれども、いろいろな事情からいたしまして、それは痛切に感じておるのでございます。また、そのためにもいろいろと対話の方式をとりまして、地域の方々に御理解いただくような方法もとっております。また、時にはこちらから専門員をどんどん派遣して、そうして御理解を得る場を持つ、さらにまたいろいろな広報的な手段も講じて真剣に現在までもやっております。また、私も先日もちょっと現地へ行ってまいりましたけれども、まだまだ決して十分とは言えないから一層強力に積極的にこういう問題を進めて、そして少なくとも一人でも一日でもいいからまず御理解をいただくことを念頭に置いて今後とも進めてまいりたい、こういうふうに私考えておりますので、どうかひとつ御理解と御協力をいただきたいと思います。
  193. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 特に地元との話し合いにつきましては、最初のボタンのかけ違いというのは大変最後まで尾を引いて、大きな余分な犠牲を生むわけでございまして、成田とか三宅島とかいろいろさまざまな問題がございますけれども、常に対応のまずさ、誠意のない対応ということがその後の大きな犠牲を生んだ原因になっておると思いますので、ぜひともこの点につきましては留意をいただいて、十分な情報提供、さらに誠意ある対話というものを進めていただければと思っております。その上で、十分なコンセンサスの形成を待って、この計画の進行を検討いただければと思っております。  続きまして、我が国プルトニウム利用計画につきまして御説明をいただければと思います。
  194. 結城章夫

    結城説明員 我が国におきましては、使用済み燃料を再処理して得られますプルトニウムを核燃料として利用していくということになっております。その利用する原子炉の種類といたしましては、高速増殖炉、新型転換炉及び通常の軽水炉と三種類ございます。  まず、そのうちの高速増殖炉でございますが、これは現在動力炉・核燃料開発事業団が開発を進めておりまして、実験炉の「常陽」が運転中でございます。これに加えまして、原型炉の「もんじゅ」というものを一九九二年の臨界を目途に建設を進めておるところでございます。また、原型炉の次の段階の実証炉につきましては、現在、一九九〇年代後半の着工を目標に、その計画具体化を図っているところでございます。それでFBRの実用化の時期といたしましては、二〇二〇年代から二〇三〇年ごろになるという見通しになっております。  次に、新型転換炉でございますが、これは現在その原型炉の「ふげん」というものが運転中でございます。また、一九九九年の運転開始を目標に電源開発株式会社が青森県の大間町に実証炉の計画を進めておるところでございます。  次に、軽水炉におけるプルトニウムの利用でございますが、現在は、日本原子力発電株式会社の敦賀一号機及び関西電力の美浜一号機に少数体のプルトニウムウランをまぜ合わせました燃料が装荷されて燃焼中でございます。一九九〇年代の前半には、PWRというタイプの軽水炉とBWRというタイプの軽水炉、それぞれ一基に大体四分の一炉心をこのプルトニウムウランの混合燃料にするという計画を進めてございます。さらに、一九九〇年代の後半には、その規模を拡大いたしまして、百万キロワット級の発電用原子炉十基程度に本格的なプルトニウムの利用を図っていきたいという計画になっております。
  195. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今のプルトニウムの利用に関して、最終的には高速増殖炉が実用化できるかどうかということが最大のポイントだと思いますけれども、現時点でさまざまな問題点があると思います。高速増殖炉自体が果たして本当に実用化されるのかどうか、あるいはその経済性の問題等があると思うわけですけれども、こういったものに関連しまして、米国のNCI、核管理研究所のレポートが我が国の場合を分析しまして、九八年まではプルトニウムの不足は生じない。したがって、輸送の必要もない。そういうことで、プルトニウムは大変危険性があるものだから、そういった他国の経験にも学んで慎重な路線をとるべきではないか、こういった趣旨のコメントをしておりますが、この点につきまして政府の御見解をお聞かせいただきたい。
  196. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  アメリカの核管理協会が先生のおっしゃるようなことを言っておることは承知いたしておりますが、我が国の実情を申し上げまして、御了解を賜りたいと存じます。  一つは、全体のバランスを申し上げますと、現在我が国国内におきましては、東海処理工場におきまして使用済み燃料の再処理が行われましてプルトニウムが回収されております。この東海処理工場におきまして回収されましたプルトニウムによりまして、一九九〇年三月末、すなわち、この三月末までに、核分裂性プルトニウム量にいたしまして約〇・九トンの原料プルトニウムがつくられておるところでございます。また、これまでに海外から輸送いたしましたプルトニウムの量は合計で約一・三トンでございます。一方、動燃事業団の新型転換炉原型炉「ふげん」、それから高速増殖炉実験炉「常陽」の燃料等のために消費されましたプルトニウムは約二・七トンでございます。この結果、一九九〇年三月末現在におきます原料のプルトニウムの保有量でございますが、これは約〇・五トンということになっておるところでございます。  次に、動燃事業団は、昨年十月に高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」の初装荷燃料の製造を開始いたしまして、一九九二年度の春ごろまでにその製造が行われる予定でございます。また、これに引き続きまして、「もんじゅ」の取りかえ燃料の製造が行われる予定でございます。現在運転中の新型転換炉の原型炉でございます「ふげん」、それから高速増殖炉「常陽」は、通常でございますれば年間おのおの約〇・一トンのプルトニウムを必要といたしますが、当面は極力その消費量の削減を図ってございます。  以上から、一九九〇年度から一九九二年度までの我が国プルトニウムの消費量の見通しは、「ふげん」「常陽」及び研究開発用で約〇・三トン、「もんじゅ」で約一・三トンの合計約一・六トンが必要となることになります。  一方、この期間、国内のプルトニウムの生産量は動燃事業団東海処理工場におきまして再処理いたしております分が、この工場が今後順調に操業したといたしまして約一・一トンでございます。したがいまして、一九九二年度末におきます原料プルトニウムの保有量は、現在の保有量約〇・五トンと生産量の約一・一トンを加えたものが原料プルトニウムの供給分でございまして、消費量はこれに見合う約一・六トンということでございます。こういうことになりますので、一九九二年度末におきましては原料プルトニウムが払底するということになろうかと思われます。  なお、原料プルトニウムにつきましては、その入手から燃料製造の開始までに約六カ月間の試験期間が必要であるわけでございますので、一九九二年度末に生ずる原料プルトニウムの払底を避けるためには、一九九二年度秋ごろまでに海外からのプルトニウムが日本に到着していることが必要、かように推測しているわけでございます。  申しわけございません。東海工場におきまして回収されましたプルトニウム、一九九〇年三月までに約〇・九トンと申し上げましたが、これは約一・九トンの誤りでございます。申しわけございません。
  197. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 プルトニウム利用計画に関しまして、さらに質問させていただきますが、先ほどの御説明の中に、高速増殖炉の実用化の見通しが二〇二〇年以降ということに伺っておりますけれども、外国の例をいろいろ見ますと、見通しが非常に遠のいているという感じがいたします。特に、経済性の面で最近ウランの価格が低迷していることも関連しまして、高速増殖炉の技術的な見通しに加えて、経済的な採算の点で実用化の見通しが遠のいているという印象を持っておるわけですけれども、この点につきましていかがでございましょうか。
  198. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  確かに先生指摘のように、諸外国の高速増殖炉計画、いろいろな計画の変更等々もあるという情報もあるわけでございますが、基本的に高速増殖炉は消費した以上の核燃料を生成する画期的な原子炉でございますし、核燃料の資源問題を抜本的に解決する原子炉というものと私ども理解しておるわけでございまして、将来におきます原子力発電の主流をなすものと了解しておるところでございます。  現実に、高速増殖炉の経済性ということになりますと、当然現在の主流でございます軽水炉との相対比較等々の問題が先生指摘のとおりに発生するわけでございますけれども、全体、高速増殖炉自身を開発いたしまして利用できる潜在燃料量あるいは潜在的なエネルギー源の量をふやしますことは、将来的に非常に安定な原子力発電の価格をもたらすと思われますので、短期的には建設費が高い等々の問題はございますけれども、技術のすぐれた高速増殖炉をつくり上げていきますれば、長期的に原子力発電全体の経済性を非常に安定化させることができるもの、かように存じておるところでございます。
  199. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 続いて、プルトニウム利用に関する他の主要国の動向を少しお聞かせ願いたいと思います。特に、アメリカ、イギリスフランス、西独、できればソ連、こういったところのプルトニウム利用計画の最近の動向につきまして御説明をいただければと思います。
  200. 結城章夫

    結城説明員 諸外国におきます再処理及びプルトニウム利用の動向でございます。  まず、フランスでございますが、フランスは従来から自国内において再処理を実施しております。さらに高速増殖炉の研究開発も積極的に推進しておると聞いております。  次に、イギリスでございますが、イギリスも国内において再処理を行っておりまして、一九九〇年代にはプルトニウムウランの混合燃料の製造施設を建設していくということで、プルトニウムの利用を図っていく計画であると聞いております。  西ドイツでございますが、昨年、バッカースドルフというところに建設中でございました再処理工場の建設計画を中止してございますが、これはECの統合等を背景にいたしまして、イギリスフランスに再処理をドイツとしては頼むということにしたものでございまして、再処理自体を行わないということにしたわけではございません。したがいまして、西ドイツにおきましても、今後ともプルトニウムの利用を図っていく計画であると理解いたしております。  次に、アメリカでございますが、目下のところアメリカにおきましては、商業用の使用済み燃料の再処理計画や商業炉でのプルトニウムの利用計画はないと聞いております。しかし、アメリカは高速増殖炉の開発は持っております。  最後に、ソ連でございますが、ソ連は余り詳細はわかりませんけれども、高速増殖炉の開発は進めていると聞いております。
  201. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今御説明をいただきましたが、特に高速増殖炉で最も先進的に進んでいると言われるフランスでございますけれども、ここのスーパーフェニックスの計画が、高速増殖炉ですか、プルトニウムの増殖をやめるという方針に転換したと聞いております。特に経済性、技術性の問題、相当深刻であると聞いておりまして、こういった点をどう評価されるか、御意見をお聞かせいただきたい。
  202. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおりに、フランスの高速増殖炉の実証炉でございますスーパーフェニックスの増殖比は、御承知のとおりに増殖比はどれほど新しい燃料がふえていくかというその比率をあらわす数字でございますけれども、これが現在一・二であるわけでございます。これを一九九六年以降一・〇二にする、すなわち増殖の部分をかなり落とすという、おっしゃるとおりのことでございますけれども、これは運転者でございますNERSAという会社でございますが、これによりますと、現段階ではプルトニウムの備蓄量が十分であることもあり、純粋に経済的な理由のために増殖比を落とすという決定をしたわけであって、将来における高速増殖炉における増殖の可能性を放棄したものではなくて、フランスにおきます高速増殖炉開発方針の変更であるということはないと言っておると承知しておるところでございます。  高速増殖炉につきましては、御承知のように、高速中性子が減速されることなくすぐ次の核分裂の過程で利用される、そういう原子炉であるわけでございまして、それが非常に増殖に結びつくわけでございますけれども、先ほど申しましたように、核燃料の資源問題を抜本的に解決し得る原子炉という大きな長所を持っておりますので、今後とも我が国の将来におきます原子力発電の主流ということで鋭意開発に努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  203. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 いずれにしましても、今の主要国のプルトニウム利用計画、最近かなり重要な変更が見られておりますので、こういう各国の経験というものはぜひとも十分吸収し参考にして、我が国の核燃料サイクル計画、慎重に十分に検討を進めていただきたい、そのように要望したいと思います。  続いて、今度資源エネルギー庁関連と思いますが、我が国エネルギー政策と原子力につきましてお聞きをしたいと思います。  まず第一点が、我が国の場合エネルギー政策は大変重要な位置を占めておりますけれども我が国エネルギー政策全体の中でこの原子力というものをどう位置づけておるか、いろいろな観点があると思いますけれども、この点につきましてひとつお聞きしたいと思います。
  204. 作田頴治

    ○作田説明員 お答えいたします。  資源に乏しい我が国にとりまして、原子力はその燃料の調達の安定性、価格の安定性等々あるいはまたCO2を発生しない等さまざまなメリットを持っておりますので、私どもにとりましては、今後とも原子力我が国エネルギー政策の大宗、重要な電源と位置づけ、着実にその推進を図ってまいりたい、かように考えております。
  205. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 きょうの新聞にも非常に野心的な原子力計画が出ておりますけれども、原発の安全性が非常に世界的に云々されているときにおきまして、やや勇み足の感じもしないでもないわけですけれども、この原子力の点は、特に安全性の点でぜひともさらに慎重な検討をしていただきたいと思っております。  さらに、これに関連しまして一点お伺いしたいのですが、原子力の経済性、よく発電コストとして一キロワット時当たり九円という数値が引用されていまして、原発の経済性が評価されているということになっておりますけれども、この積算基礎、これにつきましてお伺いしたいと思います。
  206. 作田頴治

    ○作田説明員 各種電源のコストでございますが、私どもがことしの一月に行いました平成元年度の電源別の耐用年発電原価試算によりますと、おのおのの電源の発電原価はキロワットアワー当たりそれぞれ、一般水力で十三円程度、石油火力で十一円程度、石炭火力で十円程度、LNG火力で十円程度、それから原子力が、先生がおっしゃったとおり九円程度となっております。これらにつきましては、おのおのモデルの発電所をケースにとりまして、例えば原子力発電所でございますと、百十万キロワット程度の最近運開いたしました発電所を例にとりまして、もろもろのコスト等々を組み込んで耐用年で展開して計算しますと、キロワットアワー当たり九円程度というふうになるわけでございます。
  207. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 この積算基礎の中には原子炉の廃棄の費用あるいはその放射性廃棄物処理コスト、あるいはさらに将来このプルトニウムを利用するようになった場合の再処理のコスト、相当いろいろなコストの上昇要因が考えられるわけですけれども、こういった点につきまして、さらに御説明をお願いしたいと思います。
  208. 作田頴治

    ○作田説明員 お答えいたします。  ただいま御説明申し上げました一キロワット寺当たり九円程度の中には、先生指摘の廃炉の費用等は入っておりますが、一部廃棄物の最終処理の費用等には入っていないものがございます。これはまだ最終的な処分方法が確定していない等々の理由によりまして、これを入れていないということでございますが、ただ現在我々が得られております知見等から推察しますと、これらもろもろの費用を組み込むにいたしましてもせいぜい数十銭程度でございますので、先ほど申し上げました電源別の発電原価、他の電源と比べますと、原子力発電の経済的な優位性はなお失われることはないのではないか、かように考えているところでございます。
  209. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今後のエネルギーの供給源としましていろいろなソースがあるわけですけれども、やはりそれぞれにメリット・デメリットがあると思います。特に水力の場合には環境破壊になるし、あるいは火力の場合にはCO2の源泉となる。あるいは原子力の場合には、やはり安全性の問題が非常に大きい問題としてあるということで、やはり今後代替エネルギー、新エネルギーの開発がぜひとも必要になってくるわけですけれども、そういった点、この新しい代替エネルギーの開発努力の現状、見通しにつきまして御説明をお願いします。
  210. 大津幸男

    ○大津説明員 お答え申し上げます。  二度の石油危機の経験を通じまして、私ども石油に依存しないエネルギーを開発導入するために、石油代替エネルギーの開発導入に努めてまいりました。その結果、昭和四十八年の石油依存度は七七%でございましたのが、昨今は五七%前後になってございます。ただ、これらの石油依存度の低下に寄与しましたエネルギーは、今先生質問されました新エネルギーじゃございませんで、原子力なり石炭なりLNGでございます。  今質問ございました新エネルギーにつきましては、昨今環境問題等もございまして、非常にクリーンなエネルギーということで評価を受けていますが、現在まだ開発の途中でございますが、最近は経済性とかいろいろな面でも開発の成果が出てきまして、私ども使えるところからどんどん使っていきたいと思っております。そういう意味では、今後非常にわずかではございますが、この新エネルギーの導入に全力を挙げて努力したいと思っています。
  211. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今の御説明でも、新エネルギーの場合、いまだ実用性はほど遠いということだと思いますけれども、そうしますと、資源エネルギー庁としては、エネルギー需要が今後どんどん伸びるという前提で原子力というものを非常に重要なものとして位置づけているわけですが、やはり私の感じでは、これからエネルギー全体の総量規制ないしはエネルギーの有効利用ということを真剣に考えて、本格的な省エネルギー社会システムへの移行ということを考えていく必要があるんだと思っております。そういった点で政府として、そういう省エネルギー社会システムへの移行ということにつきまして、どういう見解あるいは研究の現状にあるか、お答えを願いたいと思います。
  212. 大津幸男

    ○大津説明員 お答え申し上げます。  省エネルギーにつきましても、新エネルギーと同様、石油危機のときに我が国は全力を挙げて取り組んできたわけでございます。その結果、特に産業界を中心に我が国の省エネルギーの成果というのは世界でも誇れるような現状に至ってございます。昨今は、先生も御存じのように、エネルギー価格が特に低迷をしておるところでございまして、どちらかと申しますと、省エネルギーの意識がかなり薄れているような感じでございます。そんな視点におきまして、またこれも新エネルギーと同様、地球温暖化の関係で省エネルギーが物すごく大切だという意識が世界的にも強まっています。私どもは、資源エネルギー庁としまじても、今総合エネルギー調査会の省エネ部会を開きまして、これからの省エネがどうあるべきかということを議論をお願いしてございます。その中で、結論はもうすぐ出る状態でございますが、単に今までのような個別の省エネルギーの単位だけではなくて、社会として全体でエネルギーがより少なくなるようなそういうシステムをつくるべきではないかというような提言をいただいておりまして、そういうような移行に全力を挙げたいと思っております。
  213. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 ぜひとも、安易に原発をふやせばいいという視点ではなくて、どのようにして新エネルギーを開発するかあるいは省エネルギーシステムに移行するか、そういった点に特に力を注いでいただければと要望したいと思っております。  続いて、原発事故関連につきましてお伺いしたいのですが、あのチェルノブイリ事故以来、原発事故につきましては大変大きな反省が起こっておりますけれども我が国におきまして、最近の事故としましては、福島第二原発の三号機事故、いわゆる再循環ポンプの破損による事故が最近の大きな事故として考えられておりますけれども、この事故原因の認識について、特にいろいろな報道等を見ますと、共振現象、これは必ず起こるものなのだそうでございますけれども、これに対する認識が非常に甘かったのではないか。また、事故以後も、この共振現象に対する過小評価の姿勢があって、何らこれに対応するような設計の変更とか対応措置がとられていないということもコメントとして聞いておりますけれども、この点につきまして見解をお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕
  214. 倉重有幸

    ○倉重説明員 お答え申し上げます。  先生指摘東京電力福島第二原子力発電所第三号磯原子炉再循環ポンプ損傷事象につきましての原因でございますけれども、この事象が発生した原因は、直接的には原子炉再循環ポンプの水中軸受けリングのすみ肉溶接部に溶け込み不足があったということを考えております。その背景には、すみ肉溶接のやり方といいますか、すみ肉溶接が強度上十分な余裕がないということ、それから溶接の不良が検知できないということがその背景になっていると考えております。また事象の当初、振動の警報が発生したわけでございますけれども、直ちにポンプをとめていれば、少なくとも大量の金属粉等の原子炉圧力容器内への流入という事態は避け得たと考えられておりますが、運転マニュアルの規定が適切なものでなかったということが事象の拡大、それから進展を許す要因となったというふうに考えております。  先生指摘の共振の現象でございますけれども、これにつきましては、事故の原因、その再発防止対策を検討する過程で、いろいろなこと、実規模の試験、それからそれに基づく詳細な応力解析を行ったわけでございます。その結果は、溶け込み溶接型の水中軸受け、それから一体遠心型鋳造の水中軸受け、それぞれにおきまして強度評価を行いまして、共振現象を考慮しても、強度上十分な余裕を有するということを確認しているわけでございます。
  215. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 続いて、チェルノブイリ以降、原発の安全強化、世界的に意識が大変高まっておりまして、その一環としてIAEAがいわゆる原発の安全原則というものを打ち出したわけでございますけれども、これに対する我が国の評価及びこれを具体的にどのように取り入れているのか、この点につきましてお伺いしたいと思います。
  216. 谷弘

    ○谷説明員 御説明申し上げます。  IAEAの基本的安全原則は、我が国を初めとしまして欧米諸国の共通的な考え方を取りまとめるという形でまとめられたものでございまして、原子力に携わります個人、企業、すべての活動の安全意識を高める、英語ではセーフティーカルチャーという言葉が使われておりますけれども、それを確立するというのが一つの大きな特徴でございます。  この原則は、御案内のとおり、私ども原子力開発を進めてまいります段階から、日本の場合には安全が第一であるということを基本原則にしてまいっておりますので、日本の考え方に沿うものだというように考えておりますが、先ほど御指摘のありましたチェルノブイリの事故のときには、一国のみの安全ではなくて、他国にも被害を及ぼさないようにというところは、特に重要な原則というように理解しておりまして、こういうことも踏まえて、私ども今後安全を確保していかなければならないということで、我々のとってきました道をさらに一層きわめていくということで受けとめ、今後採用させていただいてまいりたいというように考えております。
  217. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 新聞報道によりますと、通産省において原発事故に危険度のランクづけをするという試みが行われているようでございます。ランク0からランク8ということで九段階の評価ということになっておりますけれども、こういった危険度のランクづけの試みをする趣旨、それから実際の効用といったものにつきましてお伺いしたいと思います。
  218. 倉重有幸

    ○倉重説明員 お答えいたします。  原子力発電所におきますトラブルに関しまして、さまざまなトラブルが起こるわけでございますけれども、その安全上の意味につきまして簡便に表現するための指標として策定されたものでございます。先生今御指摘のように、0から8ということで九段階の評価をしております。昨年の七月十日からこのクラス分けを使いまして評価をしておりまして、現在まで二十三件の事象につきまして評価を実施いたしました。その結果、六件がレベルの1、それから残りの十七件がレベルの0ということでございました。  この尺度の導入によりまして、国民の過剰な不安感の解消ということが図られているというふうに理解しております。今後とも、この尺度の定着を通じまして、原子力発電の安全性につきまして国民理解の増進に努めてまいりたい、このように考えております。
  219. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 こういった試みはフランスでも行われると新聞報道では承知しておりますけれども、国際的な動きはどうなっているか、そこにつきましてもお伺いしたいと思います。
  220. 大森勝良

    ○大森説明員 御説明申し上げます。  国際原子力機関、IAEAでございますが、これとOECDの原子力機関、NEAといっておりますが、この両国際機関が各国の協力を得まして、今般国際的な評価尺度を策定いたしまして公表し、約一年間試行運用しようというふうに決まったところでございます。この評価尺度を策定する審議の中に我が国は専門家を派遣しまして検討をしております。その結果、我が国の考え方は、先ほど倉重課長から説明のありました影響度階の内容も反映されておるところでございますし、また我が国の尺度とそれからこの国際的な尺度の対応関係がつくというふうなことでございますので、先ほど申し上げましたように、我が国の影響度階による評価を基本といたしまして、あわせこの国際的な尺度による評価も参考的に試みてみようという状況にございます。  国際尺度の試行によって得られました知見、経験等は、我が国としましては適切な方法で国際機関にフィードバックいたしまして、この国際尺度が現在試行中でございますが、さらにその内容が正確かつ公衆の理解の促進を図るものになるよう貢献していきたいというふうに考えております。
  221. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 続いて、今度は原子炉事故の際の賠償問題についてお聞きをしたいと思います。  特にチェルノブイリ以降、いろいろな問題点が非常に意識されております。その一つに賠償問題がございます。チェルノブイリの場合、ソ連近隣国に随分大きな被害をもたらしたわけでございますけれども、そこでまず第一点が、こういった原子炉事故の賠償問題に関する国内法及び国際法は一体どういう体制になっておるか、この点につきましてお聞きしたいと思います。
  222. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  我が国におきます原子力損害賠償を定めました法律といたしましては、いわゆる原賠法、原子力損害の賠償に関する法律という法律と、いわゆる補償契約法、原子力損害賠償補償契約に関する法律という二本の法律がございまして、被害者の保護を図るとともに原子力事業の健全な発達に資することを目的として昭和三十六年に制定されております。  その内容といたしましては、一つには、原子力事業者の賠償責任を無過失責任といたしまして、不可抗力性の特に強い特別の場合を除きまして、いかなる場合におきましても賠償請求を可能ならしめるとともに、その責任を原子力事業者に集中すること、二つには、被害者に対する賠償を迅速かつ確実ならしめるための具体的ファンドとしての損害賠償措置を講ずることを強制し、三つには、賠償措置額を超える損害について原子力事業者に対して必要に応じて国が援助することにより確実な賠償履行を確保し、四つには、賠償に関する紛争処理のための特別な機関を設置する等々の一連の制度を導入し、被害者の保護を図っているところでございます。  なお、国際的にはバリ条約及びウィーン条約という、これらに関します両条約がございます。
  223. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 チェルノブイリの事故被害に際して、ソ連が他の被害国に対してとった賠償措置、その内容を御説明いただければと思います。特に近隣国のポーランド、オランダ、オーストリア、イタリア等、穀物とか野菜あるいは家畜に大変甚大な被害を与えたわけでございますけれども、こういった点への補償があったのかどうか、そういった点も含めて御説明をいただければと思います。
  224. 太田博

    ○太田政府委員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のとおり、チェルノブイリ事故は各方面に多大の被害を与えたわけでございますけれども、本件の事故に関しまして当方が承知しております限り、ソ連が他の被害国に対して何らかの賠償措置を講じたということは承知しておりません。
  225. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今の御説明にもありましたが、特にチェルノブイリの場合被害が国際的に及ぶということでございまして、原子力の安全に対する国際協力重要性が特にチェルノブイリ事故を通じて認識されたと思います。特にまた、この賠償の問題も大変重要な問題としてクローズアップされたわけですけれども、こういったことを考えますと、原子力の平和利用を行っている国が同一の条件で加入できるような国際賠償制度がぜひとも必要ではないかと感ずるわけですけれども、こういった点についての政府の見解及びもし問題があるとすればどういったところにあるのかということにつきまして、御説明をいただければと思います。
  226. 太田博

    ○太田政府委員 ただいま御指摘の国際的な賠償制度の確立の必要性でございますが、この必要性はあるというふうに考えております。  すなわち、原子力開発利用を行っている国は、いずれも厳格な安全規制を行い、その安全性の確保には万全を期しているところでございますけれども、万一の際の国際的な損害賠償制度を確立することは、事故発生国のみならず、同事故により被害をこうむる国の被害者の保護に遺漏なきを期すとともに、原子力事業の健全な発展の基盤をつくるという意味で、こういう制度の確立が必要であるというふうに考えております。  その際、問題点と申しますか、あるいは参考にすべき点でございますけれども、このような国際的な賠償制度の確立を図るためには、現在各国間で異なっております関連国内法、これとの関係を十分に検討する必要があろうかというふうに考えております。  それからまた、このような制度が効果的であるためには、一国だけではなくて、近隣諸国がこのような制度に加わっているということが重要であろうというふうに考えております。
  227. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 こういった国際的な賠償制度の実現に向けて、ぜひとも我が国としてもIAEAとも十分協議しながらイニシアチブをとっていただければと期待をしたいところでございます。  最後に一問だけですが、現実問題、賠償能力のない国、必ずしも適切な例かどうか知りませんけれども、先般中国で列車事故があって、我が国の要求額と中国との間で大変大きな開きがあったわけでございますけれども、賠償能力のない国に対して原子力協力を行うことの是非、こういったことにつきましてどう考えられるか。または、そういった賠償能力のない国に対して原子力協力を行って、その国が大きな事故を起こした際の協力を行った国の責任はどう問われるのか。こういった点につきまして御見解をお聞きしたいと思います。
  228. 太田博

    ○太田政府委員 お答えいたします。  我が国原子力協力を行います際には、いろいろな点を考慮に入れる必要があると思います。一つは、先ほど来しばしば指摘されております核不拡散上の配慮でございます。それから、それと同時に相手国の実情、これを見きわめる必要があるかと思います。この相手国の実情の中には、その国の置かれた政治状況も含まれますし、それから、原子力という技術的に極めて高度な分野での協力でございますので、技術的な能力の問題がございます。それと同時に、御質問に関係のございますその相手国の経済的な能力、これを見きわめた上で現実のニーズに対応した協力を行うべきだというふうに考えておりまして、今後ともこのような方針に従って協力を進めてまいりたいというふうに考えております。
  229. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今後ともこの原子力の安全に関しての、技術的な面のみならず制度的な面でも、ぜひとも我が国の積極的なイニシアチブを期待いたしまして、私の質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。
  230. 浜田卓二郎

    ○浜田(卓)委員長代理 古堅実吉君。
  231. 古堅実吉

    ○古堅委員 日仏原子力協定の改正がなぜ必要とされたか、そこからお尋ねします。
  232. 太田博

    ○太田政府委員 お答え申し上げます。  日仏間には十八年前、昭和四十七年に発効いたしました原子力協定がございまして、その後の国際情勢の進展に照らしまして、核拡散防止の観点から規制を強化する、そういう必要が生じてまいりました。具体的には、特に一九七四年にインドの核爆発がございまして、それ以降二国間の原子力協定というのは、核拡散防止の観点から、それ以前に比べまして一層規制を強化する、そういう必要が強く国際的に唱えられまして、国際的な世論になったわけでございまして、日仏協定に関しましても、そのような国際世論の動向を踏まえまして、核拡散防止の観点から規制を新たに強化する必要が生じたわけでございまして、そのような観点から今回改正議定書の署名に至った次第でございます。
  233. 古堅実吉

    ○古堅委員 本協定は、去る四月九日に署名されて、フランス側としてはその早期発効を強く希望しているというふうに聞いております。そのとおり間違いありませんか。
  234. 太田博

    ○太田政府委員 フランス側が本件改正議定書の早期発効を強く希望しているというのは、先生指摘のとおりでございます。
  235. 古堅実吉

    ○古堅委員 外務省にいただいた資料によりますと、日仏原子力平和利用協力関係の現状というところで、今後はさらに再処理委託に伴う回収プルトニウム返還六ケ所村再処理施設建設等の面でも一層緊密な協力が予想されているというふうに言われています。この協定の発効が急がれているのはそのためでもありますか。
  236. 太田博

    ○太田政府委員 お答えをいたします。  先ほど申しましたように、基本的には今度の日仏原子力協定の改正の目的といいますのは、現在国際的に常識になっておりますような核拡散防止の観点からの一連の強化された規制を盛り込むということでございまして、その点から日本とフランスの間の原子力協力の法的な基盤を整備する、それが一刻も早く行われることが望ましいという点でございまして、そういう点からできるだけ早期に本件改正議定書が発効することが望ましいということでございます。  それに加えまして、ただいま先生指摘のように、フランスとの間には具体的な協力関係が幾つかございまして、このような協力を具体的に推進するという観点から、本件のできるだけ早期の発効が望ましいという面があることも事実でございます。
  237. 古堅実吉

    ○古堅委員 御存じのように、この六ケ所村の再処理施設の建設については地元でも強い反対がございます。あのスリーマイル島の事故やソ連における事故などを通じて、世界的な規模でも原子力エネルギーの開発の問題についていろいろと再検討が迫られる、そういう一面がございます。当然のこととして全国的にも大きな関心を持たれているものとなっておりますし、我が党もこの六ケ所村の再処理工場の建設その他の全体としての計画に強く反対してまいっています。この国際的な意味での動向や、我が国全体として今政府や財界が進めている、電力資本が進めている、こういう急がれている開発、それに対する強い批判的な態度に対して政府はどうこたえようとされるのか、最初にその点についてお伺いします。
  238. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  御承知のとおり、プルトニウム我が国の貴重なエネルギー資源でございます。このために、使用済み燃料を再処理いたしましてプルトニウムを利用していくというのを基本的な方針とさせていただいておるところでございます。特にエネルギー資源に恵まれない我が国といたしましては、ウランの有効利用を図り、原子力発電によるエネルギー供給の安定化を図るという観点から、使用済み燃料を再処理する、回収されるプルトニウムを核燃料として利用していくということが重要な課題であると認識しておるところでございます。使用済み燃料の再処理につきましては、引き続き茨城県東海村の動燃事業団東海処理工場の運転を行うとともに、六ケ所村の民間処理工場の建設計画を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  239. 古堅実吉

    ○古堅委員 政府にとっては、スリーマイル島の事故やソビエトのチェルノブイリその他における事故、そういうことから何ら謙虚に教訓を引き出そうという真摯な態度がないような答弁に見られます。大変残念です。  スウェーデンでは、議会が一九八八年六月七日、一九九五年と九六年にスウェーデン南部のベルセベックと西部海岸にあるリンガルスの二基を廃棄する法案を可決したと広く報じられているとおりです。これは、八〇年の国民投票でスウェーデンにある十二基の原発を紀元二〇一〇年までに全廃することが打ち出されている、そういう一連の施策に基づくものです。  特にチェルノブイリ原発事故の後の国際的な幾つかの国での動きでありますが、オーストリア国民議会は八六年五月に原発廃棄を決定。アメリカでは八九年六月、ついにカリフォルニア州で操業中のランチョセコ原発が住民投票で閉鎖に決まったというふうに報じられています。西ドイツでも再処理工場問題について否定的な立場でのいろいろな動きがございます。  我が国エネルギー源に乏しいというふうな立場だけをもって、こういう民族的な重大な問題、万一のことが起きればそういうことにまで展開されていく問題、そういうことを抱えながら、一方的な、エネルギーをここに求めたいというだけをもって、このような大事故から重大な教訓を酌み出すことに謙虚に対応しようということを離れて、このように突進していいのかということが問われる問題だと思うのです。そこらあたりについてもう一度見解を伺いたい。
  240. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  原子力発電所あるいは原子力施設の安全性に関しましては、従来とも、すなわちソ連のチェルノブイル原子力発電所の事故が起こる前から、私どもは安全性の確保を第一にいたしまして原子力開発利用を進めてまいりましたことにつきましては、御高承のとおりでございます。もちろんチェルノブイル事故が起こった後に関しましては、その事故から可能な限りの教訓を酌み取り、さらに一層安全性の確保に万全を期するということで原子力発電を進めておるところでございます。  先生ただいま御指摘のように、諸外国でいろいろ動きがあることは承知いたしております。しかるに、例えばスウェーデンの場合を例にとりましても、スウェーデンは原子力発電所をそのうちやめるという意思決定を一度はしながらも、最近に至りまして、そのかわりのエネルギーを見つけるのにかなり苦労しておられるという情報も聞くわけでございます。このように、もちろん原子力発電あるいは原子力利用の安全性を確保することは第一でございますが、それは私ども原子力施設の建設、運転、管理を適正厳格に行えば必ず確保し得ることと思っておりまして、それを大前提といたしまして、エネルギーの安定供給のために全力を尽くしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  241. 古堅実吉

    ○古堅委員 こういう大事な問題にかかわる安全性との関連では、ただ気持ちでそのように思い、決意でそうしますというふうな言葉だけでは保障されないものがあります。私たちはそうやすやすとソビエトもアメリカもその他の国々もこの原発の開発に着手したとは思わない。それにかかわらず事故が相次いで、国際的な意味でも、あっちでもこっちでも起きている。我が国でも重大な事故が何回にもわたって発生した。ですから、この原発の開発にかかわるところの技術というのは未完だ、まだまだこれからきわめなくてはいけない、多分にそれをそのまま突進するという意味では、危険きわまりない内容が残っておるんだというふうな理解に立っています。ですから、そういう懸念の立場からのいろいろな質問もけさから同僚議員が次々と展開しているのだと認識しております。だから地元も、国内的にも広い層でそういう開発に大きな反対の態度がずっと続くんだと思うのです。  それでお尋ねするのですが、この安全を確保するということについての面で、西ドイツでも再処理施設の安全性についていろいろな問題があって建設中止になるというような事態も聞いておりますが、この難しい安全確保の問題について、科学技術の面から、我が国では我が国の水準をもって十分国民に自信がありますというふうなことを言ってのけられるだけのところまで事が進んでいるのか、確信を持ってそう言えるような事態なのかということについてお聞きしたい。
  242. 結城章夫

    結城説明員 再処理工場の安全性の問題でございますが、この再処理技術につきましては、イギリスフランスで既に二十五年以上の商業工場としての運転実績がございます。この間何度かトラブルが生じたとも伝えられておりますけれども、逐次改良が続けられまして、現在商業工場として順調に運転が行われているというふうに聞いております。さらに、このような実績を踏まえまして、フランスにおきましては昨年大型の再処理工場が新たに操業を開始いたしました。イギリスにおきましても大型再処理工場の建設が現在進められているところでございます。  我が国におきましては、動力炉・核燃料開発事業団が昭和五十二年から東海処理工場のホット試験を開始いたしまして、昭和五十六年から本格運転に入っております。使用済み燃料の再処理を実施し、所要の技術開発が進められております。これまでこの工場で生じた幾つかのトラブルがございましたが、その都度我が国の技術力によりまして徹底的にその原因を究明し、所要の対策を講じ、問題点を克服してきておりまして、昭和六十年度からの数年間におきましては、年間約七十トンベースの再処理を達成し、昨年からは年間約九十トンベースの処理を開始するなど、順調に運転が行われております。  こうした国内外の状況から見まして、この再処理技術というものは、基本的には確立されたものであるというふうに考えております。
  243. 古堅実吉

    ○古堅委員 今お答えがありました東海村の再処理工場の能力などにかかわってちょっとお聞きしたいのですが、これが出発の当初の年間の処理能力として政府に報告されているものは何トンの予定でしたか。
  244. 大森勝良

    ○大森説明員 御説明いたします。  申請の当初の数字は年間二百十トン、一日〇・七トンという量で許可されております。
  245. 古堅実吉

    ○古堅委員 出発して以来、昨年末までどれだけ処理されましたか。
  246. 結城章夫

    結城説明員 昭和五十二年度から平成元年度末までに、累積で四百四十トンの使用済み燃料を再処理してございます。
  247. 古堅実吉

    ○古堅委員 この処理能力の問題ですが、最初の政府への申請では年間二百十トン、一日〇・七トンの予定でそれは始めたと思うのですが、その後の経緯を見ますと、年々平均的にいったということでもなく、また二百十トンに近かったなどということでもなく、申請されたものとはかけ離れた現状になりました。七七年以降の毎年の処理実績について報告してください。
  248. 結城章夫

    結城説明員 一九七七年、昭和五十二年でございますが、処理量は八トンでございます。その後、毎年度の数字を申し上げます。昭和五十三年度は十一トン、五十四年度十二トン、五十五年度五十五トン、五十六年度五十三トン、五十七年度三十三トン、五十八年度二トン、五十九年度五トン、六十年度七十四トン、六十一年度六十九トン、六十二年度五十一トン、六十三年度十九トン、平成元年度四十九トン。以上、合計四百四十トンでございます。
  249. 古堅実吉

    ○古堅委員 以上の毎年の推移に見られるように、最初の申請とは余りにもかけ離れた実績になりました。なぜそうなったのですか。
  250. 結城章夫

    結城説明員 この再処理工場の一日当たりの最大の処理能力が〇・七トンでございます。それで、当初の二百十トンという処理量でございますが、これは設計の当初、年間の稼働日数を三百日という前提で計算しておりまして、これは現実には法令に基づく定期検査あるいは保障措置のための核物質の在庫調査といったことを実施いたしますので、年間の実際に稼働できる稼働日数としては二百日ぐらいが限度であるというのが現状でございます。これに加えまして、この二百日の稼働期間中でございましても、剪断機周辺の清掃であるとか、剪断機の治具の交換といったやむを得ない作業によりまして、工場全体としての稼働率は低下いたします。  そういうことで、現在のところ、年間九十トン程度がこの東海処理工場において処理できる実際の量であるというふうに考えております。
  251. 古堅実吉

    ○古堅委員 なぜもっと素直に、あった重大な問題なども含めて説明されようとはしないのですか。今安全の問題を重視する立場からのいろいろな質問をしておるのです。もう一度答えてください。
  252. 結城章夫

    結城説明員 先生指摘のとおり、この工場では過去に幾つかのトラブルを生じております。溶解槽にピンホールが発生したり、あるいは酸回収蒸発缶にピンホールが発生して、それを取りかえるというようなこともございました。ただ、このトラブルは、その都度我が国の技術力により徹底してその原因を究明し、所要の対策を講じまして問題点を克服してきております。  そういうことで、昭和六十年度からの数年間は、先ほど私御紹介したとおり、年間約七十トンベースの処理を達成しておりまして、昨年からは年間約九十トンべースの処理に入ったということで、きょう現在、順調に運転が行われておるところでございます。
  253. 古堅実吉

    ○古堅委員 いろいろな思わぬトラブルが起きるほどに、こういう重大な運営の中では計画との関係でも大きな狂いが出てくる。そこに見られるように、まだ大事な技術の面で十分完成されてない。ここにこういう計画狂いが生ずる。そこにまだまだ国民の大きな反対、それについての重大な指摘を無視して突進してはならない重大な問題が隠されておるんだということとの関係で、重大な教訓を酌み出そうとしないところに大きな問題がある。  今も説明をしますと、もう技術的には十分問題は処理されて、年間九十トンの処理能力ができたかのごとくさらさらっと説明に及んでいる。実態はそうではないんじゃないですか。昨年の処理も、昨年は幾らですか、四十九トンでしょう。八八年は幾らですか、十九トンでしょう。八七年は幾らですか、五十一トンでしょう。何をもって九十トンなどということをこうさらさらと言ってのけられるのですか。
  254. 石田寛人

    石田政府委員 御説明申し上げます。  御高承のとおり、動力炉・核燃料開発事業団の建設、運転いたしております東海処理工場は、我が国におきます再処理技術を確立するとともに、国内再処理実需要の一部を賄う、その二つの目的を持っておることは御案内のとおりでございます。  すなわち、その実プラントに先行するプラントとしての使命も持っておるわけでございまして、こういう使命から申しまして、先生指摘になり、核燃料課長がお答え申し上げました各種の計画外停止、トラブルが発生いたしましたことは、一面、その使命から見ましてやむを得ないところがあったかと存じます。  ただし、そうあったからといいまして、その原因を究明しないでそのままにしておくことは非常によくないわけでございますし、当然、例えば酸回収蒸発缶のトラブルあるいは溶解槽のピンホール等々につきましては、その原因を徹底的に究明いたしまして、その都度補修してきておるところでございます。  そういうような再処理工場とのつき合い、あるいはいろいろな建設、運転、保守点検等の経験を踏まえまして、実際、事業の運営者たる動力炉・核燃料開発事業団自身の実感といたしましても、再処理技術は大体これでやっていけるなというふうに判断しておるものと私ども聞いておるところでございます。
  255. 古堅実吉

    ○古堅委員 指摘はしましたから、今後の六ケ所村における核燃料サイクルの施設建設の問題を初め、原発問題についての今政府がとっておるような、電力資本がとっておるような、そういう方向ではなしに、根本的な検討を強く要求しておきます。  次に、先ほど質問ございましたが、プルトニウム輸送の問題について二、三お伺いしておきたいというふうに思います。  一九九二年秋までに海上で輸送を再開するというような説明がございました。それを輸送するについて、このプルトニウムを入れる容器、容器の強度の問題についての一定の基準があろうというふうに考えますが、そこの説明を求めます。
  256. 結城章夫

    結城説明員 一九九二年の秋までに行いますプルトニウム海上輸送に当たりましては、輸送容器その他、我が国の関係法令の定めるところに従いまして、安全対策を十分に講じてまいります。  ただいま御質問輸送容器の基準ということでございますが、これは運輸省の方の基準でございまして、私が御答弁するのは余り適当でないと思いますが、国際原子力機関、IAEAが定めております勧告に基づいて我が国の基準もできておるというふうに聞いております。
  257. 古堅実吉

    ○古堅委員 飛行機で輸送する場合に、万一落ちたらどうするかということなどを含めていろいろと容器の問題、それが論議されてまいりました。船でも同じだろう、万一船が沈没した場合にどうなるのかということとの関係で、当然いろいろと論議がされてまいっております。今使われるところの容器は、海没をしたとする場合に、どのくらいの深さ、深度に耐えられるような容器になっておるのですか。
  258. 結城章夫

    結城説明員 一九九二年に行います輸送のときに用います輸送容器というのはまだ決めておりません。今世界じゅう、フランスイギリスあるいは日本にあります容器の中から最も適当なものを選んでいきたいと思っております。ちなみに、前回、昭和五十九年に行いました輸送、そのときに用いました輸送容器については、これは輸送の実施主体でございます動燃事業団の方で解析を行ったわけでございますが、水深七百五十メートルまでは大丈夫であるという安全性の確認動燃事業団が行った上で輸送を行いました。
  259. 古堅実吉

    ○古堅委員 フランスから運んでくるについて、どういうルートを通るか、詳しい説明を受けられるのには時間がございませんけれども我が国の周囲を見ただけでも七百五十メートルではきかない深いところをずっと通ってくる、そのように思われます。万一の事故が起きた場合に耐えられない容器をもってプルトニウムが海中に拡散されていい、そういうことをもやむを得ないということになりますか。
  260. 結城章夫

    結城説明員 プルトニウム海上輸送を行う場合には、輸送船が沈没しないよう、輸送船の構造であるとか衝突の防止といったことに万全の措置を講じてまいりたいと思っております。万が一輸送船が沈没した場合には、最新のサルベージ技術を用いまして、できるだけ輸送容器の回収を図っていく方針でございます。
  261. 古堅実吉

    ○古堅委員 一九六五年十二月に米空母タイコンデロガの事故が起きました。五千メートルの海底に水爆が沈んでいきました。これは耐えられないわけですから、このプルトニウムが拡散したというふうに言われています。今言うように、沈んだら間に合うような形でサルベージを持っていって回収しますなどとかいうような形でそれができるのですか。そんないいかげんな答弁国民を納得させることができるのですか。もう一度お答えください。納得いきません。
  262. 結城章夫

    結城説明員 まず、輸送船が沈没しないようにすることが第一だと思っております。それで、万が一沈没した場合には、最新の技術を用いて回収を図ります。そこで現在、今度使います輸送容器の具体的な細目はまだ検討中でございますが、万が一沈没した場合でも問題が生じないよう、イギリスフランスあるいは日本で所有しておりますプルトニウム輸送容器の中から最も適当なものを選んで使用する予定でありまして、その選定の際に、どのくらいの水圧に耐えられるかといった問題についても十分に事前に解析を行って安全性を確認してまいりたいと思っております。
  263. 古堅実吉

    ○古堅委員 時間が参りましたので、最後の一点だけ。三十分という短い時間で質問をしても答えられないのですよ、いいかげんな答弁をされて。ですから、この問題については、みずからの命、安全を大事にする国民の立場に立って、今政府が進めているような突進型の開発ということではなしに、やはり再検討が、根本的な検討が一番大事だという立場を踏まえて、もう一度そのことについて要求をして、質問を終わります。
  264. 浜田卓二郎

    ○浜田(卓)委員長代理 和田一仁君。     〔浜田(卓)委員長代理退席、委員長着席〕
  265. 和田一仁

    ○和田(一)委員 きょうは、日仏原子力協定の議題をめぐりまして、原子力発電への安全性とかエネルギー政策であるとかいう大変大事な議論が行われておりますが、私もちょっと角度を変えて、この問題で御質問をさせていただきます。  現在、我が国は世界的に見て大変経済的には大国であり、また日々の国民生活も、大変物はちまたにあふれている、豊かな、飽食の時代と言われるような恵まれた状態にあります。日本がこれだけ大きな国として、世界の中でもその重みが非常に増してまいりました。そこで大臣、きょうは長官がせっかくお座りでございますので、いろいろ長官にお伺いしたいと思っております。  この経済的にも、また国民生活でも豊かさを支えているもの、これはやはり我が国の経済、産業の中でエネルギー政策がきちっとしている、エネルギーが必要なだけ安定、良質な供給を受けている、こういうことではないかと思うのですが、これをこれからも維持発展していきながら、日本の経済力を国際社会の中でいかに寄与、貢献していくか、これは大変大事だと思います。資源エネルギー庁は、長期のエネルギー需給の見通し等を持っておりますけれども、このエネルギーを、資源としてできるだけ海外依存度を低くしながら、かつ化石燃料への依存度も下げていきたい、こういうことが考えられているようです。  特に、地球環境問題が世界の大きなテーマになってまいりました。これは人類共通の大きな新しい課題でございますけれども、そのためにはエネルギー政策の中でクリーンなエネルギーの開発というものが非常に急がれてきている、こう思うのです。クリーンなエネルギーと言えば太陽であるとか水力あるいは地熱、風力、潮力等々いろいろ新しい代替エネルギーが開発、研究はされておると思うのですけれども、今申し上げたように、日本の現状を支えてきているエネルギーというものは、やはり経済性ということも考えなければいけません。そういう意味で、産業の米であり、社会生活をしている国民生活の血液みたいなこういうエネルギー、特に電力、これの供給にはコストを無視した代替エネルギーということだけではなかなかいかない、こんなふうにも考えるわけですが、そうなると、どうしても低コストで、かつきれいなエネルギーは何か、こういうことになってくるのではないかと思うのです。  私は、そういう意味で、長官にまずそういった環境問題、地球温暖化の問題、こういうことが非常に大きなサミットの課題として先進国の共通の課題になっておりますが、そういう世界の大きな政策課題を踏まえながら、これからの科学技術が日本のエネルギー政策にどういう貢献をしていったらいいか、その辺について責任を、日本の科学技術が地球環境の保全のためにいろいろな面で寄与、貢献しなければなりませんが、特にエネルギー政策の中ではどういう方向が望ましいか、今長官としてお考えになっていることをまずお聞かせいただきたい。
  266. 大島友治

    大島国務大臣 ただいま委員の御質問に対して、基本的な我が国エネルギーのとらえ方については、私も基本的に同感でございます。と申しますのは、我が国が今日の世界的な経済大国、こうなったのも結局資源をどこに頼ったか、エネルギーをどこに頼ったかということになると、もう九〇%に近いいわゆる石油を戦後外国に依存した、ここから科学と技術のものを取り入れまして、そうして国際貿易のもとに今日の大国をなしたということは、これは私も承知していることでございます。しかしその反面、いわゆる今日の地球上のいろいろな大気汚染の問題、こういうものが出てきておりますので、この問題をいかにこれから処理していくかということもさることながら、資源のない日本の、エネルギーを何に求めていくかということが今日また将来に向かって大事なことなのです。  そういう観点から、従来のエネルギー、いわゆる電力にしても火力発電に依存してきたことというものがいかなるものであったかということ、さらにまた、いわゆる自動車等の発展もさることながら、排気ガスというものからくる地球汚染の問題、こういうことを考えますと、やはり今日のエネルギーを、私どもはいろいろな問題をとらえながら、これを何とか克服してやってまいりたいというのが、原子力に依存するエネルギーというものを決して無視することはできないのではないかというふうに私は考えておるものでございます。  さらにさらにこれにかわるべき優秀な代替エネルギーというものが十分発見できるということであるならば、そこにも次第はあると思いますが、今日の状況では、いわゆる我が国の一番大事なエネルギーといたしまして、まず電力を考えた場合には、火力によるものが約六〇%、そして水力によるものが約一〇%、そして原子力による電力というものが約三〇%であるということを今考えて、これを基礎にやはり地球上のこの汚染を何とか解消しながら、いわゆる日本の産業、経済に結びつくエネルギーは何であるかということを考えて、この原子力の問題についての研究、究明をしながらこれを進展していきたい、こういうふうに考えておるものでございます。
  267. 和田一仁

    ○和田(一)委員 科学技術庁としては、あらゆる先端技術を駆使して新しいクリーンなエネルギーを開発する努力は当然だと思いますが、現状の国のエネルギー政策の中で、今長官は、やはり原子力発電の重要性を認識されている、これは進めなければならない、こういう観点の御答弁だったと私は受けとめておりますが、それでよろしいですね。私はそういうことを踏まえながら環境問題を考えて、化石燃料にはこれ以上頼れないのだから、まあそれならば原子力発電しかないよ、なかなかストレートにそこにいかないところに原子力発電の大変大きな悩みもあれば課題も抱えている、私どもはこう思うわけなのです。そのためにこそ長時間かかっていろいろな議論がされていると思うわけなのです。  そういう意味で、これは先般エネ調の方からでございますけれども、長期エネルギー需給見通し案というものが出てまいりました。これを拝見しますと、これは大変な計画でございまして、このとおりいくのかどうか、これをまず一遍きちっと御説明をいただきたいと思うのですが、科学技術庁いらっしゃいますか。
  268. 谷口富裕

    ○谷口説明員 先生指摘の総合エネルギー調査会における検討につきましては、ただいままだ審議の途上でございますので、詳細な検討状況についてはお答えすることができませんが、原子力につきまして、エネルギーの安定供給、それからエネルギーのコストの安定化、さらには先生が御指摘されました地球環境対策等の観点から、将来において欠かせない重要なエネルギーであるということで御議論をいただいているところでございます。  通産省としましても、大島長官が申されましたように、資源エネルギーに乏しい我が国としまして供給安定性、価格安定性にすぐれて、ただいまの環境問題に関しても非常にすぐれた特質を有している原子力を不可欠なエネルギー源と位置づけまして、従来よりその利用を図ってきたところでございますけれども、今後ともその安定に万全を期しつつ、国民の皆様の理解を得て着実にその利用を進めてまいりたいというふうに考えております。
  269. 和田一仁

    ○和田(一)委員 今の御説明では十分ではないので、新聞で拝見したもので補足してさらにお聞きしますけれども、具体的に何か二〇一〇年まで、あと二十年です、現在稼働中三十九基の原子力発電に加えてさらに四十基新設をして、そして今大体三千万キロワット容量の原子力発電容量を七千二百五十万キロワットまでに伸ばすのだ、これが長期エネルギー需給見通しで必要な原発への依存の計画であるというふうに、私はこの新聞で読ませていただきました。これは今建設中、準備中を含めて十六基、約千六百万キロワットのものが計画されつつあるわけなのですけれども、さらに足りませんね、二千四百万以上足らない。これを二十年の間に四十基、年平約二基、今計画中のものが大体十六基ですね。これがこの計画どおりいけるのかどうか。特にチェルノブイリ以降、建設予定地の住民における反対運動というものは大変なものになってまいりました。そういう環境の変化を踏まえながら、エネルギー政策全体としては従来どおりの方針でいけるというふうに踏んでおられるのかどうか。であるならば、やはりさっき言ったように、環境に影響するかわりのエネルギーとして、原子力はそういう環境汚染の危険はない、しかし一方、安全性の問題について非常な不安がある。こういう問題で反対運動が起きているのですから、これの誤解やら理解を求めるということを積極的にやらない限り、こういう計画はとても思ったようにはいかないと私は思っているのです。  したがって、こういう場においてそういう問題をクリアできるような答弁をひとつしていただきたいと私は思うのですけれども、それについて、時間がないので私一人でちょっとしゃべり過ぎていけませんけれども、これは八八年にも、それからその前にもサミット等でこの安全性の問題は論議されている。それで八八年の東京でのIAEAのシンポジウムでも言われてまいりまして、ヒューマンエラーを防ぐ方法としてのセーフティーカルチャーというものは非常に大事になった、こう言って、さっきもそういうお言葉が出ました。セーフティーカルチャーというのは一体どういうことなのか。私は一〇〇%の安全というものはあり得ないと思いますが、九〇%安全で、あと一○%のヒューマンエラーを何としても防ぐために、そのセーフティーカルチャーという言葉だけでいけるのかどうか、大臣も含めてその辺をどんなふうにお考えになっているのか、ちょっとお知らせいただきたいと思うのです。
  270. 谷口富裕

    ○谷口説明員 先生指摘の具体的な数字につきましては、ただいま検討中ということでもございますので、まだ最終的な結論を得てないということでございますが、御指摘のように、今議論されている原子力開発、特に二〇一〇年に向けたレベルにつきましては、このレベルは当然のことながら世界的な、特に日本国内におけるエネルギー、電力の需要の伸びあるいは先生指摘の環境制約問題等、それからほかのエネルギー供給の制約等々勘案しまして、全体のバランスでこれだけはぜひということで議論していただいている数字でございますが、率直に申し上げまして、先生指摘のように、原子力を取り巻く社会情勢、非常に厳しいものがございまして、原子力がこういうレベル国民受け入れられるためには、特段の思い切った措置を講じなければならない、この課題は非常に厳しいという認識を持っております。  総合エネルギー調査会の需給部会のみならず原子力部会におきましても、この達成のための具体的課題としまして、特にその安全確保対策あるいは広報対策、さらには立地促進対策、そして廃棄物処理等含めましたバックエンド対策を重点に、ただいま御検討をいただいているという状況でございます。
  271. 谷弘

    ○谷説明員 先ほども説明申し上げましたけれども、安全を確保していくといいますのは、ハド面で現在もやっております多重防護、何重にも防護をするというものと同時に、あわせて運転に当たります人間面といいますか、そういう面での安全の心構えというのを慎重に運転をやっていく必要があろうかと思います。この点につきましては、原子力に携わります関係者一同が、少しの問題でもあれば慎重に物事を考えていくということが非常に重要かと思いますし、また、異常事態が発生しました場合には、冷静に対応できるように前もって訓練を積む、あるいはそれをマニュアル化してシステム化しておくというようなことが非常に重要かと思います。  私ども従来もそういうことをやってまいりましたけれども、先ほど御説明申し上げましたチェルノブイリの事故あるいはTMIの事故のときにも、例えばTMIのときに、五十二項目という項目を具体的に抽出いたしまして、その個々の項目ごとに対策を立てて進めてまいってきたわけでございます。チェルノブイリのときには、このTMIのときに五十二項目を進めてまいっておりますので、それほど多くはございませんでしたけれども、さらにその中でももう一回七項目を抽出いたしまして、改めて肝に銘じてその辺の推進をしていくというように具体的に今進めているところでございます。
  272. 和田一仁

    ○和田(一)委員 今原発の計画を立ててから稼働に入るまで平均して十年かかっているのですか。どれくらいかかっているかよくわかりませんが、恐らく今の環境からいえば十年でできていたものがさらに十二年、十三年、稼働に入るまでの時間は延びているのではないか。普通ならそう延びているんだろうと思うのです。そういうことを考えますと、今十六基の計画ですが、さらに残りの分、これはやはり十数年のスタンスを見て計画を立てるので、今のお話では、まだ細部についてはというようなことでしたけれども、本当のところはもうそろそろ煮詰まっているのではないかと思うんですね。ですから、そういうことも踏まえて、急ぐということになれば、またこれがなければ将来の日本のエネルギーは確保できないということになるならば、やはり理解をしっかりと求めていかないといけない、こう思うわけなんです。  その中で、特にプルトニウムの占めていくこれからの立場というものは重くなっていくと私は思うのですけれども、このプルトニウム問題についても、非常に怖いというその恐怖心が先立っておると思うんですね。本当にそんなに怖いものであれば、これは大変なことなんでございますけれども、私もよくわかりませんので、お尋ねしたいと思います。  この原子力利用で今問題になっておりますプルトニウムは、なぜそう言われながらも導入し、使う必要があるかをまず簡単にひとつお知らせください。
  273. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  先生御高承のとおり、プルトニウムは技術によって生み出された我が国の貴重なエネルギー資源ということであろうかと存じます。資源に恵まれない我が国にとりまして、使用済み燃料を再処理し、そこから回収されるプルトニウムを核燃料として積極的に使っていくということは極めて重要であろうかと思いますし、私どもそのプルトニウムを安全に使っていくということで全力を挙げているところでございます。
  274. 和田一仁

    ○和田(一)委員 要するに、危険ではあるが、しかしながら日本のエネルギーの自給率を高める、海外依存度を低くするという意味での必要性がある、こういうことでございますね。  ところが、民間ですけれども、米国の核管理研究所というところのレーベンソールという人が最近日本においても講演をしたりいろいろなことを言っておりますけれども、その中で、日本のプルトニウムはそんなに要らないのだ、余っているではないか、こういう提言をし、また一部アメリカでもそんなふうなことを言っている方がいるように伺うのですが、現状として余るというこのあれは正確なのかどうか、その辺がきちっと知りたいわけです。
  275. 結城章夫

    結城説明員 我が国プルトニウムの需要と供給の現状を御説明申し上げます。  現在、我が国が持っております原料プルトニウムでございますが、これは、ことしの三月末現在におきまして、核分裂性プルトニウム量にいたしまして約〇・五トンでございます。これから三年間を考えますと、一九九〇年度から九二年度まででございますが、この間に我が国が必要といたしますプルトニウム合計一・六トンでございます。この三年間の間に東海村の再処理工場で回収される予定プルトニウムは、東海村の再処理工場が順調に操業したといたしまして約一・一トンという見通しでございます。したがいまして、現在の〇・五トンに一・一トンを加えまして、その間の消費量一・六トンを引きますとゼロになるということでございまして、一九九二年度末、つまり一九九三年の三月末には我が国の原料プルトニウムが払底することになるという見通しでございます。この原料プルトニウムが手元に入りましてから実際にプルトニウム燃料につくるまでの間に約六カ月間のいろいろな試験を行う期間がございますので、こういうことも考えますと、一九九二年の秋ごろまでには海外からのプルトニウムをぜひとも我が国に持ち帰ってくる必要があるという状況にございます。
  276. 和田一仁

    ○和田(一)委員 必要性は今の御説明で、そのとおりならばそれで結構でございますけれどもプルトニウムは非常に毒性が強い、怖い。先ほどもここで例に引かれて、高木さんという方が二キロで全人類をがんで殺すほどの毒性があるという発言が紹介されておりました。事実でしょうか。
  277. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  プルトニウムにつきましては、確かにいろいろな専門家等々の議論の中でも注意して使うべき物質と言われておるようでございます。御質問の点につきましては、プルトニウム一グラムをすべて理想的な微粒子に分けまして多数の人に何のロスもなく広く均てんする、そういう計算をすればそういうことであるのかもしれませんけれども、実際そういうことは起こり得ないことと認識いたしておるわけでございます。さりながら、プルトニウムはアルファ放射線を出す物質でございますので、その管理には十分厳重に注意をしていく必要があろうかと思います。  それからもう一つ、プルトニウムの毒性に関しましては、いわゆる放射能毒のほかに金属毒性というものがあるのではないかという言われ方もしておるところでございます。これにつきましても、私も何遍も専門家に確かめて聞いたこともございます。その専門家の言いますには、金属毒性に関しましては、人体に対する影響という意味では、やはり基本的にアルファ放射体、アルファ放射線を出す物質としての毒性が非常に強い、それが卓越しておるわけであって、金属毒性が顕著になり、それが放射線を出すものとしての毒性を上回ってあるということは、どうも目下のところ見当たらないということを専門家は言っておるようでございます。
  278. 和田一仁

    ○和田(一)委員 御説明が専門的なのでもう一回伺いますけれども、要するに、微量でもそれがある状態で粒子になって平均して体内に入れば、その分量で相当数の人が障害を受け、がんになるのですか。その毒性で即死というわけではないのでしょう。がんになって死ぬということですね。そういう環境になるという心配はまずない、こういうことでしょうか。ですから理論的には、それがある条件下で人体に入れば非常に危険だが、そういう状況にはまず普通にはならない、こう理解してよろしいのですか。
  279. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  先ほどからいろいろ御説明申し上げておりますように、動力炉・核燃料開発事業団では、再処理いたしまして回収しましたプルトニウムを加工したりあるいは研究開発の用に用いたりしておりまして、長くプルトニウムとつき合ってきております。その動燃事業団の現場の技術者あるいは研究のリーダーたちとこれまで話してみますと、彼らはプルトニウムとつき合っていくことに自信を持っておるようでございます。我が日本でプルトニウムと一番深くつき合ってきたのは動燃事業団の現場の技術者であり研究者であろうと思いますが、彼らは自信を持っておるということでございます。もちろん、それはプルトニウムに対しまして油断をしていいということでは毛頭ございませんで、厳重に安全性に注意しながらプルトニウムを取り扱えば、その安全性は必ず確保されるというのが現場の技術者の実感ではなかろうかと認識しておる次第でございます。
  280. 和田一仁

    ○和田(一)委員 そうすると、現場の技術者というか専門家は、この人類がつくった新しい物質は非常に危険はあるけれども、コントロール可能だ、これが人類の福祉向上やら人類のこれからの新しい未来に向かっての新技術としてこの物質は完全にコントロールできる、こういう方針でこの物質は扱える、こういう確信があるということですね。
  281. 石田寛人

    石田政府委員 そのとおりかと存じております。
  282. 和田一仁

    ○和田(一)委員 その確信があれば結構でございますが、それはかつ、だから毒性はない、安全だというものではないので、それが完全にコントロールされないと危険であるということから、輸送問題等についても極めて厳しい国際間の取り決めがあるのだろうと思うのです。  きょうは私はもう時間が来てしまったので、また次の機会に聞かせていただきますけれども長官我が国の科学技術は、経済力と同時に世界で最先端を行っている科学技術国家であると私は思うのです。この科学技術の力を、これから日本だけのものではなくて、世界共通の人類の宝としてこれを使っていく、この技術を移転していく、これは大変大事だと思うのです。その一つに、こういう原子力関係の技術もあると私は思います。そういう意味では、どうぞ安全性が確保されるならば必要だという条件つきで私ども原子力の将来を見ているわけなので、ぜひ長官の御決意を聞いて、また次の機会質問をさせていただきたいと思います。最後をよろしくお願いいたします。
  283. 大島友治

    大島国務大臣 先ほども申し上げましたが、日本は資源のない国としては、どうしても委員お話しのようなものにエネルギーを頼らざるを得ないということは私も重々承知なのでございますが、それにいたしましても、安全ということについては従来にも増して十分にこれを念頭に置いてこの仕事は進めるべきである。しかも、日本の国際的な立場において、経済というところまで来ておりますが、その根源であるこの科学技術を通じてのエネルギーの確保、それがすなわち原子力によるのではなかろうかということを考えると、まさに委員のお考えにも私は同感の気持ちで、今後十分進めてまいりたいと思うのでございます。よろしくお願いいたします。
  284. 和田一仁

    ○和田(一)委員 終わります。
  285. 柿澤弘治

    柿澤委員長 上原康助君。
  286. 上原康助

    ○上原委員 私は、この原発問題には全く素人で、やさしい質問をいたしますので、ぜひわかるようにお答えをいただきたいと思います。けさほどから同僚委員の各先生方のお尋ねに対してどうも納得しがたい面が多い感がします。  そこで、限られた時間ですから、私は原子力の平和利用の問題と輸送上の安全性の点、また日本を中心というかアジア近隣諸国の原子力政策とのかかわりでの情報交換あるいは技術提携といいますか、事故対策とかそういうことに対して、後ほど外務大臣もおいでになるようですからお尋ねしたいわけですが、最初にお尋ねしたいのは、先ほど来議論がありましたが、一九七九年三月二十八日の米国ペンシルベニア州のスリーマイルアイランド原発事故、それから八六年四月二十六日のソビエト連邦ウクライナ共和国におけるチェルノブイルの原発事故、これはそれぞれ人災的事故というか、あるいはわかれば、経済的な面もそうでありますが、その事故のもたらした影響度についてもう少し明確にしていただきたいと存じます。
  287. 谷弘

    ○谷説明員 まず最初にスリーマイル島の事故でございますけれども、この事故につきましては、運転途上に信号が出ましたものに対しまして運転員が若干ふなれがあったというようなことで、それが一つの原因になってございます。それで、私ども原子力安全委員会の中にこの検討会をつくりまして、いろいろこの事故の教訓を検討いたしまして、不適切な運転をしないようにするようなことが一つ防止策になるということ、それから、運転の手順書をつくって運転のやり方を正確にしなければならないとか、あるいは警報の出し方、一つの問題点は、一度にたくさん警報が出たものですから、どういう対応をしていいかわからなくなったというような要素もございましたので、その不適切な指示、あるいは制御板の系統を直さなければならないというようなこともございました。  この事故そのものは、炉心の一部が溶融いたしまして、現在もその状況がどうであったかというのが調査中でございまして、そのプロジェクトには日本からも技術者が参加をいたしております。私どもとしましては、その結果を、日本で再びこういうことが起こらないようにということで参考にさせていただきたいと一生懸命勉強しているところでございます。  ただ、外部に対する影響につきましては、一部の方が避難をされたようでございますけれども、若干の放射線、放射能が、外部へ希ガスが出たわけでございますが、実際に人体に影響があるというような被害は出ていないというように聞いております。  一方、ソ連のチェルノブイル事故でございますけれども、これも細かく申し上げますとちょっと時間がないようでございますので、概略を申し上げますが、一つは運転員の規則違反で、種々の安全装置を切って運転したという大きな側面がございます。  それから、もう一つ大事な面は、日本の原子炉と違いまして設計上の問題が幾つかある。これも代表的なものだけ申し上げますと、一つは、何か問題が起こりましたときに反応度、原子炉の反応がプラスの方へ行く。日本の原子炉は全部マイナスの方へ行って、何か問題が起こりますと小さくなっていく方に働くわけでございますが、ソ連の原子炉の場合はプラスの方へ働くような設計になっている。それから、原子炉をとめる制御棒をスクラムするという装置があるわけでございますが、それが非常に遅かったというような設備上の問題があります。
  288. 上原康助

    ○上原委員 私が端的にお尋ねしているのは、人災の影響度をどう認識しているかということを聞きたいわけです。それをあたかも人為的ミスで起きたんだというような、あなた方のその認識がいけないと私は言うのです。今日これだけ核燃料サイクル問題、原発問題が国際的に大きな政治社会問題になっているのは、やはりアメリカにおけるスリーマイル、ソ連のチェルノブイル、その事故の影響というものが国内だけでなくして国際的にもショックが大きかったからこそ今日の事態になっているわけでしょう。後でお尋ねしますが、ゴルバチョフ大統領が核兵器の削減に対してこれだけ熱心に国際的にやらねばいけないというその発端も、やはりチェルノブイルの事故なんですよね。そこを歪曲するような、どうして皆さんはいつも人為的ミスであった、影響度が弱かった、小さかったというふうに見せかけようとするのですか。これは先ほど来問題になっているこのハンドブックにもちやんと書いてある。五十七ページに書いてある。いまだにチェルノブイルの場合なんかさらに移住をしているわけでしょう、避難をさせられているわけでしょう、新たに何十万と。一説なら百万とも二百万とも言われている。死者だって公式の数字とは全然違うと私たちは見ている、残念なことなんだが。だから、そういった基本的な認識のもとにこの原子力問題というものを科技庁も外務省も政府全体がお考えになっていただかないと、国民の感覚とは大分違ったことになるよということを指摘をしたい。けさほどからの議論を聞いておっても、そういうことでは非常に困る。科学技術庁長官、この件に対する御認識はいかがですか。
  289. 大島友治

    大島国務大臣 チェルノブイルの事故は、もちろん国際的ないろいろな面からの問題にはなっておりますが、大量の放射能が国境を越えて各国に影響を与えた重大な事故であるということは私どもも十分承知はいたしておるのでございます。このために、原子力安全委員会におきましては、事故後直ちに調査検討を開始いたしまして、昭和六十二年五月に報告書が取りまとめられたのでございまして、委員も御承知のとおりだと思うのでございます。  この報告書におきましては、チェルノブイルの事故の問題については設計上の欠陥とか運転員の規則違反等による、それによって引き起こされたんだということはございますが、では我が国における場合はどうなのかといった場合に、チェルノブイルと同じような事態になることは極めて考えられないものであるというふうに報告の内容も出ておりますし、また、我が国の現行の安全規制や防災対策の基本について早急に改める必要のあるものは見出されないということもまた結論的にはうたわれていることは事実なのでございます。そうは申しましても、調査報告書では改めて心に銘ずべき事項としても七項目を摘出しておるものでございます。これらの項目については原子力安全委員会においても検討を行うとともに、関係行政庁にも通知をいたしまして、一層の安全性の向上のための努力という形で生かされているものであるというふうに私も承知はいたしておるのであります。  そこで、この事故後の状況につきまして、健康に対する影響等に関しては我が国としても大きな関心を持っておりまして、これらに関する調査研究には専門家を派遣し、招聘する等のことを行いまして、今後とも積極的に対応してまいりたい。これだけでいいんだということでなくて、なおこの問題については十分に究明もし、それに対応してまいりたい、こういうふうに考えておるものでございます。
  290. 上原康助

    ○上原委員 先ほどもそういう御答弁はありましたが、確かに日本の場合は、技術面、安全性、そういう面ではあるいは独自の政策をとっておるからより安全だという御認識かもしれません。しかし、事故というものはいつ何どき起きるかわからないですね。それは不可抗力の面もあるし人為的な面、人間のやることは間違いだってある。しかし、この二つの事故がもたらした影響というのがいかに大きかったかということは、だれも否定できない事実だと思うのですね。  そこで、次に進みますが、今の御答弁は余り納得しがたいのですが、こだわるわけにまいりませんので……。  使用済み核燃料の再処理問題、先ほど来いろいろ出ておりますように、青森県の六ケ所村の核燃料サイクル三施設、言うところの三点セット、使用済み核燃料処理工場とウラン濃縮工場、低レベル放射性廃棄物貯蔵庫、こういう三施設をつくる費用、予算というか投資というのはどのくらいかかるのですか。
  291. 結城章夫

    結城説明員 事業者の計画によりますと、約一兆円を超すプロジェクトであるというふうに聞いております。
  292. 上原康助

    ○上原委員 それはどの時点計画の評価ですか。
  293. 結城章夫

    結城説明員 先生からお話しございましたウラン濃縮施設、低レベル放射性廃棄物埋設施設、再処理施設を全部合わせた総額でございます。
  294. 上原康助

    ○上原委員 ですから、いつの時点計画を立てて、約一兆円というのは金高ですか。一兆二千億というのもあるし一兆五百億という回答もあるわけてすよ。どの時点でそういう計算をしているのか聞いている。簡単に言ってください。
  295. 結城章夫

    結城説明員 ただいまの数字はこの計画スタート時点の数字でございまして、現在も大体そのとおりになっておるというふうに承知しております。
  296. 上原康助

    ○上原委員 スタート時点というのはいつですか。
  297. 結城章夫

    結城説明員 この計画具体化いたしましたのは昭和五十九年でございまして、そのときに地元六ケ所村及び青森知事に事業者の方から申し入れを行っております。そのときの計画の数字と承知しております。
  298. 上原康助

    ○上原委員 どうしてこうポイントというか知りたいところになると、何かごまかそうとしているのか逃げよう逃げようとして、どの時点なのかはっきりしない。いずれにしても、一兆円以上の金がかかるということははっきりしている。まだかかるでしょう。四、五年前とか七、八年前の計算、今ごろは地価にしてもその他のいろいろな面でもっと多くの金を要するのははっきりしている。  それでは、プルトニウム、いわゆる廃棄物の再処理フランスに移出する、あるいはまた持ってくる、それに要する費用、コストは一体幾らぐらい見積もっていらっしゃるのか。
  299. 結城章夫

    結城説明員 イギリスフランス使用済み燃料の再処理を頼んでおりますのは日本の電力会社でございまして、個別の私企業の契約にかかわることですから、その金額につきましては、私どもからお答えすることは差し控えさせていただきます。
  300. 上原康助

    ○上原委員 その答弁では納得できないですよ。これは政府の原子力政策の重大な政策課題でしょう。あなた方が電力会社も動燃にしても指導助言する立場にあるのじゃないですか。これだけの重大な問題に対して、どれだけのコストがかかるかも試算をせぬで、こういう協定を結んだり政策を出すのですか、先ほどの長期計画にしても。これでは納得できません。はっきりさせてください。
  301. 結城章夫

    結城説明員 使用済み燃料の再処理の価格につきましては、これは一概には申し上げられないわけでございますが、一例といたしまして、動力炉・核燃料開発事業団東海処理工場におきます再処理価格、これは動燃事業団と日本の電力会社の契約になりますが、その金額は、使用済み燃料一トン処理いたしますと、約一・八億円という価格になっております。
  302. 上原康助

    ○上原委員 けさから的確な御答弁がなかなか得られないわけですが、一トン処理するのに一・八億円ですか、処理でそれだけかかるのでしょう。輸送全体を総合して幾らかかるか私は聞いている。これに要するコスト。いわゆる日仏原子力協定に基づいてこれから皆さんが再処理をしてやっていく場合に、それは電力会社だけのあれじゃないわけでしょう。電力会社だけが全部負担するのですか。そうじゃないでしょう。はっきりさせてよ、はっきり。
  303. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  今ほどの先生のお尋ねでございますけれども、これにつきましては核燃料課長が申し上げましたとおりの状況にはございます。ただ、この御議論におきまして、大体どういうオーダーでどのぐらいのものだということにつきまして、なるべくしかるべき格好の数字を申し上げさせていただくこともあるいはお役に立つかもしれないと存じますので、OECDのNEAという機関がございますが、数年前にこの機関で核燃料サイクルコストに関しまして試算をしたことがございました。そのときに用いました数字、これは若干古い数字でございますし、絶えず為替レートの状況等々もございますので、その後の変動があろうかと思いますが、一例としましていろいろな数字を申し上げさせていただきますと、再処理、これはガラス固化を含む再処理でございますが、キログラム当たり、したがいまして、これは先ほどの核燃料課長のトン当たりよりも千分の一小さい数字になるわけでございますが、キログラム当たり七百五十ドルという数字を使っております。それから、使用済み燃料輸送、これは実際ヨーロッパでやりましたのが主たる計算でございますので、欧州地域での平均輸送単価ということでございますが、キログラム当たり四十ドルという数字を使っております。それから、加工あるいは処理処分等々に必要な経費を見積もって核燃料サイクルコストを比較しておるわけでございますが、繰り返して申しますと、再処理、これはガラス固化を含む再処理価格といたしまして、キログラム当たり七百五十ドルという数字を使っておるということを御了解賜れば幸いでございます。
  304. 上原康助

    ○上原委員 古い数字を持ち出されてアップデートで話すのもいかがかと思うので、それはもう少し精査をして、資料として提出をしていただきたい。いいですね。  今の皆さんのは輸送コストも入っていないですね。あなた、ヨーロッパの陸と、一万数千海里も離れている海上輸送のコストなんというのは全然違う。そんなのは絶対根拠にならぬ。
  305. 石田寛人

    石田政府委員 繰り返して申し上げますように、 電気事業者英仏の再処理事業者との間の契約内容、特にそのコスト等につきましては、まさに当事者間の私契約ということでございますので、申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じますが、先ほど申しましたOECD原子力機関等におきますいろいろなモデル的な核燃料サイクルのコスト等々につきましては、公表されたものでもございますし、国際的にもいろいろな議論が加えられた結果のものでございますので、提出させていただきます。
  306. 上原康助

    ○上原委員 資料要求をすると、すぐ私的契約であるとか企業何とかでお逃げになるのですが、もう少し公開の原則というのをお守りになったらどうですか。原子力政策で、自主・民主・公開がやはり国民理解協力を得られると皆さんいろんなところに書いている。たくさんお金をかけてこんな立派な本をつくって、さっきのパンフもそうなんだけれども。  なぜ私が冒頭そういうコストの問題からお尋ねしたかといいますと、これはいろいろ賛否の濃度はあるわけですが、プルトニウムを使用する方法というかそういう面で非常に危険性が高いということ、安全性の問題あるいはまたコスト問題等々考えると、地域住民も反対をし、国際的にも大変危険度が高いし、もう今やそういう時代ではないと言われながら、我が政府はなぜそれにこんなにこだわるのか。資源小国だから、エネルギー資源に乏しいからやむを得ないというだけで片づけられる問題じゃないのですね、コストの面から考えても。お金のむだ遣いのような気がしてならぬ。これはまた後でまとめてお答えいただきたいわけです。  もう一つは、議論をすればいろいろありますけれども、時間がないからできませんが、日米原子力協定の場合も、当初は航空輸送だった。しかし、アメリカ国内でいろいろ反対が出て、あのときは私は外務にいませんでしたので、いきさつはよく知りませんが、結局また協定を改定をして海上輸送に変わった。これもおかしい。おかしいというか問題がありますね。この海上輸送については既に政府の方針が出ておって、いわゆる海上保安庁に一任をするということで予算化もされていると聞いておるわけですが、この方針には変更はないですね。これはそれぞれ外務省、海上保安庁、運輸省から的確にお答えをいただきたいと思います。
  307. 太田博

    ○太田政府委員 お答えいたします。  英仏からのプルトニウム海上輸送の護衛の問題でございますけれども、これは昨年の十二月十九日関係閣僚及び党四役の打合会におきまして、海上における犯罪の予防、鎮圧の第一義的な責任を持っている海上保安庁がこの海上の輸送の護衛に当たるという申し合わせをいたしまして、そのための予算を計上したわけでございまして、海上保安庁の巡視船をもって護衛に充てるというのが政府の方針でございます。
  308. 石田寛人

    石田政府委員 太田審議官の御答弁のとおりと承知しております。
  309. 夷子健治

    ○夷子説明員 太田審議官がお答えいたしましたとおりで、海上保安庁では、補正予算を認められまして、現在護衛のための巡視船を建造中でございます。
  310. 上原康助

    ○上原委員 この件につきましては予算委員会などでもいろいろ議論をされておりますし、非常に慎重を期さねばならない問題だと思いますので、ぜひこの点は政府として確たる方針をお持ちになっていただきたい、もちろん安全性の問題についてはいろいろ議論もあるでしょうが。  もう一点確かめておきたいことは、仮に輸送開始になって護衛される場合の、いろいろありますね、公海上の問題、相手国の領海に入った場合の件等、これは詳しくは言いませんが、今までも既に民間部門でプルトニウム輸送したと先ほど答弁があったわけですが、その経緯も踏まえてお答えいただきたいわけですが、米仏政府が護衛のための費用を我が国に請求した経過はなかったと聞いているわけですが、今後はこの件についてはどうなるのか、ひとつ御見解を聞いておきたいと思います。
  311. 結城章夫

    結城説明員 昭和五十九年に動力炉・核燃料開発事業団プルトニウム海上輸送を実施したときには、アメリカからもフランスからも特に何も請求は受けておりません。  これからの問題でございますが、一九九二年にまた動燃が行うことを計画しておりますが、科学技術庁といたしましては、海上保安庁にその護衛をお願いする方針でございます。
  312. 上原康助

    ○上原委員 これは外務大臣はどういう御見解ですか。
  313. 太田博

    ○太田政府委員 お答えいたします。  ただいま科学技術庁の方からお答え申し上げましたように、一九八四年のプルトニウム返還の際のアメリカの護衛につきましては、アメリカは費用を要求しなかったということでございます。  今後でございますけれども、今後は、原則といたしまして、日本のプルトニウム返還に関しましては我が国が責任を持って護衛に当たるということになっておりまして、この方針に基づきましてアメリカ側と輸送計画の協議を行っていきたいというふうに考えております。
  314. 上原康助

    ○上原委員 ちょっとひっかかるのですが、輸送コストの点は科技庁はさらっとお答えしようとするのですが、国民が負担する、あるいは電気料金にはね返ってくるのは、そういうものを全部含めてトータルとして輸送コストというのは見なければいかぬということ。なぜこの点を言うかといいますと、ある新聞に元外務省の初代原子力課長さんという方がいいことを言っていらっしゃる。外務省にもなかなか骨っぽい人もおったんだなと思うんだが、この方は、「ちなみに、私個人は、わが国の現実的なエネルギー政策の一環として原子力発電の必要性を容認する立場に立つが、」かつて原子力課長もしたんだからそう言わざるを得ないでしょうね、私はその見解は異にするんだが。その後がいいのです。「プルトニウム利用については、最近の諸情勢にかんがみ、経済的、技術的視点から、さらに徹底的に点検し直すべきではないかと考えている」こういうふうに指摘をしているわけです。  同時に、これもよく国会で議論をされている点ですが、先ほども私が間接的というか遠回しにお尋ねしたわけですが、絶えず問題になるのは、海上輸送になった場合の核燃料輸送の護衛の問題、これは大臣の方から見解を聞いておきたいわけです。いろいろ難しい事情があることは私たちも理解をしないわけではないですが、海上自衛隊の海外派遣、派兵、集団的行為の突破口にされる危険性があるわけです。そうなると、核燃料問題、原子力問題でさえ国民の感情というのは非常に機微、まさに機微の技術だ、これは。加えてこういうことが、国民意見の分かれていることに対して踏み出すというような方法をとるとすると大変問題が複雑になる。そういう面で先ほど御見解を聞いたわけですが、この点は政治的判断のこともありますので、ぜひ外務大臣のしっかりした御方針をお聞かせいただきたいと思います。
  315. 中山太郎

    ○中山国務大臣 海上における犯罪の防止あるいはまたそれに対する対応につきましては、かねていろいろと御議論をいただいておりますが、プルトニウム海上輸送につきましては、海上保安庁の船を使うということで今回御審議をいただいているわけでございます。
  316. 上原康助

    ○上原委員 ぜひその点はしっかり政府全体の御方針として堅持をしていただきますことを重ねて強く要望をしておきます。  次に、核不拡散条約とのかかわりでお尋ねをするわけですが、何といっても核の平和利用ということは徹底をしなければいかぬ点であります。原子力年報を見ましても、いわゆる我が国の近隣諸国というのがほとんど原発の面でもそれぞれ開発をしている。韓国にしても台湾にしてもそういう傾向にある。また大変問題なのは、フランスは不拡散条約に入っていない、中国も。最近も、インド、パキスタンへの技術提供その他のことが大変国際的に話題を招いている。そういう面からしますと、今後のアジア地域における核不拡散の条約の趣旨をどう徹底させるか、あるいはそういった 地域の国際的情報交換というか、いろいろな面での事故対策等々についての協議機関、前提というものは私は必要だと思うのです。これから発展途上国も場合によってはそういう方向に行くかもしれない。そういう面でもう少し日本側がイニシアチブをとって、そういったことを展開をして、展開というか積極的外交をやってしかるべきだと私は思うのです。これだけ今核軍縮の問題が重要な課題になっている、ソ連を含めて。むしろ日本側の外交というか原子力政策というものは、そういうところにもっと大局的立場で今日確立をしていくべきだと私は思うのですが、いかがでしょう、外務大臣
  317. 中山太郎

    ○中山国務大臣 委員御案内のとおり、日本を初めアジア地域にもたくさんの原子炉が稼働中であり、また建設中であると認識をいたしております。現在、韓国では九基ございます。また、韓国との間には日韓科学技術協力協定のもとで若干の協力が行われてまいりましたが、本年五月二十五日に日韓原子力平和利用協力取り決めを行いまして、この安全性の確保のために二国間の協議をすることを進めることになりました。また、台湾につきましても、一九七二年の日中国交正常化以降日台関係は民間レベルの地域的交流として維持されており、政府レベル協力はあり得ませんが、民間レベルでは社団法人日本原子力産業会議と台湾の原子力関係の学会との間で原子力施設の安全運転に関する協力についての覚書がございまして、所要の協力が進められておると認識をいたしております。現在台湾では六基の原子炉が稼働中でありますし、四基が計画中である。北朝鮮については協力は行われておりません。さらに中国については、日中原子力協定のもとで原子力の安全性の分野における情報交換や専門家の交流を行っております。また、IAEAにおきましても、情報交換、人材交流を含めて原子力の安全分野における国際的な協力が行われておりますが、日本政府としてこのアジア地域における原子力の安全に関しまして積極的に協力をすることには何らやぶさかなものではございません。
  318. 上原康助

    ○上原委員 ですから、IAEAとのかかわりもいろいろあるわけですが、アジアを主体にしたそういった安全確保の問題とか核軍縮ということ、不拡散の国々を拡大していく、そういうのが私はもっと必要だということを特に要望しておきたいと思います。  最後に、せっかく外務大臣おいででありますので、実はけさのある新聞に大きく報道されているわけですが、せんだっても内閣委員会でもお尋ねしたのですが、いよいよ沖縄の基地の返還問題が具体化をしておる。十七施設、区域約九百ヘクタールに及ぶ返還をするということがほぼ日米間で合意に達しつつある、今月二十一日にも日米合同委員会を開いて確認というか合意を取り交わすということでありますが、いろいろ議論すべきことはありますが、これは間違いないのかどうか。それと、この中にも、私たちが問題と思うのは、今度の返還で最も期待をしている那覇軍港であるとかあるいは普天間飛行場等々が欠落をしているというのは大変残念なのですが、こういう一連の報道なり動きについて、ぜひここいらで、余り断片的に出さずに、外務大臣、最高責任者と言ってもいいと思いますので、県民も非常にこのことは関心を持っている、そろそろ具体的に明確にしてもらいたいということでありますので、改めて外務大臣の決意といいますか、見解をお聞かせいただきたいと思います。
  319. 中山太郎

    ○中山国務大臣 かねて沖縄におきます米軍基地の縮小問題につきましては、委員会等の御意見も踏まえて、政府としては日米合同委員会で話を進めてまいりましたが、ただいま最終的な折衝をしておる段階でございまして、ごく近い将来に発表できるものと考えております。
  320. 上原康助

    ○上原委員 これで終えますが、大体この道筋で進んでいる、今近々という言葉ですので、意のあるところはわかりますが、そういうふうに理解していいですね、私が述べた方向で。
  321. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 今外務大臣が御説明されましたように、日米合同委員会を中心に鋭意米側と折衝しておりまして、近い将来最終的な合意内容が発表できることを希望しております。現段階で先生が言及されました新聞報道を初めいろいろな報道がございますけれども、今まさに折衝中でございますので、具体的な諸点がどういう折衝段階にあるかということは、申しわけございませんが、答弁を差し控えさせていただきまして、最終合意ができましたら、先生まさに御指摘のように、まとめて発表さしていただきたい、こう考えております。
  322. 上原康助

    ○上原委員 二十一日に合同委員会はあるわけですね。
  323. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 現段階では具体的にいつの合同委員会で最終的な合意が達成できるか、まだ見通しが立っておりませんので、先ほど外務大臣が申し上げましたように、近い将来ということで御理解いただきたいと思います。
  324. 上原康助

    ○上原委員 終わります。
  325. 柿澤弘治

  326. 五十嵐広三

    五十嵐委員 動燃橋本理事さん、忙しいところきょうは午前、午後とありがとうございます。きっと忙しいと思いますので、頭のところでちょっとお聞きして、後はどうかお帰りいただきたいというふうに思います。  これはきのうちょっと担当の方にお知らせしておきましたからお調べになっておられるというふうに思いますので、お答えいただきたいのですが、動燃東海事業所内の各施設で核反応の異常を知らせる臨界警報装置が作動して、そうしますと関係者全員が一斉に緊急避難をするということになるわけですが、こういうことが今まで何遍ぐらいありましたか。それをちょっと聞かせてください。
  327. 橋本好一

    橋本参考人 お答えいたします。  先生質問の臨界警報装置の過去の鳴った回数でございますが、これは合計十回でございます。  動燃事業団といたしましては、いかなる施設におきましても臨界事故が発生しないように施設を設計しているわけでございます。しかしながら、万が一臨界事故が発生した場合に備えまして、臨界警報装置を設置してございます。四十年にプルトニウム燃料第一開発室に最初に臨界警報装置を設けておりますが、それ以来六つの施設に同様の装置を設置してございます。そして、これまで二十六年の間に、先ほど申し上げましたが、合計十回警報装置が吹鳴いたしました。  警報の発生した原因を調査しました結果、装置の絶縁の不良とか電気回路のふぐあい、それから点検中の誤操作、そういうことでございまして、すべて誤警報でございました。臨界事故は一件も発生しておりません。
  328. 五十嵐広三

    五十嵐委員 警報装置ですからなるべく敏感な方がいいわけだし、危ない状況なのにちっとも作動しないというのではうまくないわけです。それにしても、臨界のおそれがあるという警報装置が作動して、これはもう作動すると関係者一同はとにかく何も持たないでもみんな緊急避難をするというような事態が十回もあったというのは相当なものだ。これは私は初めて聞いた回数なんですけれども、さっきいろいろ議論の中で、一番プルトニウムとつき合っているのは動燃の技術者で、彼らはそのコントロールに自信を持っているというようなお話もあったけれども、とにかくそういう強気といいますか、これが一番鬼門だという感じが私はするのですね。原研ですけれども、この間原研の労働組合で組合員の調査をした。安全性に心配があるかどうかというアンケートに関しては、私もあれを見てちょっとこれはびっくりしたのですが、不安を持っている人の回答の方が数が非常に多かった。  さっき御質問にもありましたが、長期エネルギー需給見通し案が各新聞に出てきているわけであります。原発は向こう二十年間に四十基増設する、今三十九基ですから、大体倍にするということです。この審議に関しては、総合エネルギー調査会のメンバーの中からもその強気について批判が出たということが報道されているわけですが、全体として最近この強気がどうも心配だという感 じが私はするのであります。臨界警報装置が鳴ったときは、恐らく誤作動であろうと思うものの、それは本当に肝を冷やしてみんな飛び出ていくわけですから、そういう危機感というものを仕事の上でぜひひとつ持ってほしい。きょうの論議全体を通じても、そういう点ではどうも少し懸念があるという感じが私はするので、橋本理事さんにお話を申し上げ、また、それは動燃だけでなくて、全体の関係者に心からその点を要請申し上げたいと思う次第であります。  橋本さん、御苦労さまでございました。
  329. 橋本好一

    橋本参考人 お答えしたいことがございますので、発言をお許し願いたいと思います。  今申し上げましたような誤警報がございましたので、原因をいろいろと調べてみました。そして、先ほど申し上げましたような状態でございます。これらの経験を踏まえまして、動燃事業団といたしましては、電子部品の故障や点検中の誤操作による誤警報が発生しないように、信頼性の高い臨界警報装置を開発いたしまして、これに順次更新してきております。現在までを申し上げますと、先ほど申し上げましたが六施設、その五施設について既に完了しておりまして、この新しい警報装置の使用経験によりますと、既に七年間全然誤警報がございません。そういう状態にございます。  また、先生指摘の件はよく肝に銘じて行動したいと思います。ありがとうございました。
  330. 五十嵐広三

    五十嵐委員 どうぞお引き取りください。先ほどの質問で留保している部分に関しては、次回の折に、それまでによく御調査をいただきながら改めて御質問申し上げたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。四点にわたっていると思いますので、御了承いただきたいと思います。  さて、お疲れのところせっかく外務大臣が帰国早々御出席をいただいておりますので、心からその御苦労をねぎらいながら、ひとつ御質問申し上げたいと思うわけなんです。大変であったろうと思います。何か飛行機もおくれたとかなんとかで向こうの方では随分御苦労になったようであります。  そこで、我々が一番心配していたのは農業問題です。コミュニケで一体どうなるのだろうということであるわけなんです。きょう午後にコミュニケをお届けいただいたのでさっと読みましたけれども、なかなか難しい内容で一読したくらいではよくわからないのでございます。しかし、日本が今まで主張していたいわゆる食糧安保論を含む非貿易的関心事項に関して考え方がコミュニケの上で通ったということであるとか、あるいはアメリカが関税化について強く主張していたわけで、コミュニケに関してこの辺は我々実は一番心配していたところでありますが、この言葉が入らなかったというようなこと等は、我々も通読して評価できるなというふうに思うところもあるわけであります。しかし、全体として大変厳しい雰囲気であったということはもちろんのことでありますし、ぜひこの機会に、湯気の立った生の声で、お帰り早々の大臣のこれらについての若干の御報告といいますか御所見をいただきたいと思います。
  331. 中山太郎

    ○中山国務大臣 このパリにおきますOECDの閣僚理事会は、出席加盟国、ECも含めまして大体二十五くらいでございました。私も何遍か外務大臣就任以来国際会議に出ておりますけれども、今度ほど激しい議論が展開された会議はいまだかつてございませんでした。それほどこの年末に最終のラウンドを控えたガット・ウルグアイ・ラウンドに対する、各国の代表がそれぞれ自国の主張を展開して譲らなかった特筆すべき会議であったという認識を持っております。  日本はかねてから食糧安全保障、特に世界でも有数の食糧輸入国でございますし、カロリーベースで計算いたしましても極めて低いカロリーを自国の生産に頼っている、こういうことで、私どもは食糧安全保障という観点でかねて主張を続けておりますし、メキシコのガット・ウルグアイの非公式閣僚会議でも、議長報告にはその言葉を記載をさせることをやってまいったわけでございます。  今回はどういうことで激論になったかと申しますと、この十二月までにこのラウンドを成功させようと思えば、七月末のジュネーブにおけるTNCという会議で各国の代表が大枠の合意をしなければならない。それも十五項目に上るパッケージをマキシマムパッケージとして十二月にまとめるための実務者の協議でございますから、それに向けての各国のいろいろな自国の主張を貫く姿勢が激しく感じられた。特にアメリカとECの間での議論は、本当に一時間以上激しい議論が出ました。コミュニケ一つの文章に関しましても、二十ぐらいの案が用意されましたけれども、結局私が出席をしておりました間には、その合意には達しなかったというのが現状でございました。食糧安全保障及び環境の保全、それから農村地域における雇用の問題、あるいは地域の政策に関する問題、このようないろいろな問題が何カ国かから提案されたわけであります。そのコミュニケの素案は既に事務レベルで協議されておりましたが、それにつきましては、例えばスイスあるいはデンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、オーストリアあるいは日本という国が、この二十五の出席している国から食糧安全保障を初め環境の問題について議論が出たわけです。それらは総括いたしまして非貿易的関心事項という言葉でくくられておりまして、その後に食糧安全保障と環境、あるいは農村における雇用の問題、あるいは地域の政策の問題というものが列記されておりました。  議論の過程では、主張する国が少ないわけでありますから、多数の国々はそういうものに余り大きな関心を示していない。私どもは事前に関係国ともいろいろ協議をしておりましたけれども会議の過程におきましては、農村地域における雇用の問題などについては、全くの保護的な考え方ではないかというふうな議論も出まして、実はもう全部省けという議論まで出てまいったことも事実でございます。  しかし、私どもは徹底的に主張を繰り返しまして、非貿易的関心事項という項目の中に全部が含まれるということで、最終コミュニケにその文章を記載することを得たというふうに私は認識をいたしておりまして、この点に関しましては愁眉を開くことができたという認識を持っております。しかし、これから行われるいろいろな協議におきましては、大変激しい議論がガット・ウルグアイ・ラウンドでは展開されるものという認識を持って帰ってきております。
  332. 五十嵐広三

    五十嵐委員 この後また、これを踏まえてサミットがあるわけでありますし、ウルグアイ・ラウンドは年内に決着をつけることになっているわけでありますから、大変な状況を迎えつつ、ひとつ今回のこの方針をさらにしっかりと貫き通して、国会決議でもありますから、どうか米に関しては守り抜いてほしい。このことを御要望申し上げておきたいと思います。  あのOECDの閣僚理事会のコミュニケの中にはエネルギーという部門もありまして、それとは直接関係ありませんが、御承知のように、今フランスとの原子力協定に関する議論をしている折であります。きょうもいろいろ話が出てきておりましたのに、使用済み燃料の再処理委託フランス及びイギリスと交わしている。恐らくきょうも再処理委託料金についてはなかなかお話しいただけないのでありますが、今契約している分だけで、オーダーで言えば数兆円ということになろうと思うのですが、莫大な金額の問題です。したがって、今の計画はたしか一応二〇〇二年までだと思いましたが、これの後の再処理委託契約は追加して行うことになるのかならないのかというのは、やはりイギリスフランスにとりましても大変な問題であろうと思うのです。日本との経済関係において一体どういう配慮をしていくかということは、これまた、そういう経済協力面からの観点での配慮も必要になってくるのかなと思うのですが、こんな点について外務大臣としての見解のようなものを、見解というのはなんですが、印象的なもので、殊に今お帰りになつてきたほやほやの感覚の中でお考えになってどういうようなことか、 ちょっとお聞かせいただきたいと思うのです。     〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕
  333. 太田博

    ○太田政府委員 私の方からまずお答えを申し上げたいと思います。  今先生指摘の現在の英仏に対する再処理委託の後も、英仏との経済関係にかんがみて再処理委託の追加を行うアイデアはどうかという御質問であったと思います。もちろん日本と英国、フランスとの間の経済関係の拡大が望ましいことは言うまでもないと思います。ただ、再処理委託の問題となりますと、いろいろな側面があるかと思われます。我が国原子力計画自体との関係もございますし、それから本日いろいろ指摘がされておりましたように、我が国におきましても、本格的な規模の自前の再処理施設をつくる計画もございます。このようにいろいろな側面があるわけでございますので、今先生指摘イギリスフランスとの経済関係も含めまして、今後の再処理委託の問題というのは考慮されてしかるべきかというふうに考えております。
  334. 五十嵐広三

    五十嵐委員 今再処理委託をしている。これはお聞きすると、フランスあたりは十年で資本費が要らなくなるんだそうですね。つまり十年の償却といいますか、そんな意味では、十年目からは再処理料金そのものも大変安くなるんじゃないかというようなことも言われていたりしているのであります。  きょうも議論にあったのですが、私もどうしてももう少ししっかり聞きたいと思うのです。再処理契約している料金、もうちょっとはっきりしたところでお示しいただけないか。保管料なんかもきょうは議論になったようでありますが、恐らくプルトニウム等は現地で電力会社から動燃事業団が買うわけでありますから、買う時点もまた、これは一体プルトニウムが生産されたその時点で直ちに買うことになるのか、あるいは、そうすると、支払いはその時点で支払うことになるのか、もちろんそうなれば、その後の保管料というのは動燃持ちということになるわけだろうというふうに思うのですが、そんなことなんかも少しちゃんと聞いておきたいというふうに思うのです。  それから、そうやって再処理委託をしている海外の料金を我々ちゃんとお聞きして掌握する。一方で東海村の状況というのは一体どうなんだろうか、あるいは今考えている六ケ所村の新しい再処理工場の計画されているコストというものは一体どうなんだろうか。そうすると、再処理海外委託の方が安いんだな、高いんだな。これはもちろん国内における自主的な開発を目指していくという我が国原子力行政の考え方というものもお伺いしておりますが、そのことはそのこととして、当然結果的には全体として国民の電力料金の負担にかかわっていくことなのでありますから、そんな意味では、我々が議論の中で比較、検討できるような資料というものを出してもらわなければどうにもならない、こう思うのです。あるいはプルトニウムの価格にしましても、ちょっとお示しをいただいている部分はあるようでありますが、こんなものだって、今言うような格好でなくて、もう少しきちんとした形でお示しをいただきたい、こう思いますね。プルサーマル、ここのところでプルトニウムをまぜてそしてたいている。これだってコストの上からいうと一体どうなるんだろうという感じが非常にするのであります。一説では、この前、三%濃縮ウラン燃料一トンの価格約三億ぐらい、それから三%プルトニウムを含むMOX燃料、これは十億から十二億ぐらいだろう、経済的な意味では比較にならないというような説もまたあるのです。  こういうさまざまな説のある中で、おたくの方からの明確な情報の提供がないということでは非常に困るのですよ。これは議論ができないですよ。しかも、さっき言うように、今契約している分だけでも、海外の再処理委託の面で見ても恐らく数兆円のオーダーになるだろうというような巨大な取引や事業の単位のことなんですから、もっと明確にひとつお示しいただかなければ大変困る。いかがですか。
  335. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  今ほど先生から御質問の件でございますが、先ほど先生お話しになりました質問の留保事項四点、その一点が、英仏との再処理委託契約内容を示してほしい、返還選択権と書いてございます。まさに今の英仏処理料金等につきましては、その内容であるわけでございますが、これは先ほどから申し上げておりますように、私契約内容でございますから、全くお出しすることは難しいわけでございますが、先ほど申しましたように、この四項目の中を事務的に勉強させていただいて努力させていただきたいと思っておりますので、何とぞよろしく御理解賜れば幸いでございます。
  336. 五十嵐広三

    五十嵐委員 期待をしたいと思うのです。  電気事業というのが自他ともに認めている特質というのは、電気事業は公共事業として地域独占を認められているということですな。それから料金に関しては政府の認可によって決められる。それはただ単に民間事業だから、私的事業だからなんというものではないわけであります。したがってまた、料金は言われているように、原価主義、公平主義、公正報酬の三原則によって決められるということ等からいいましても、これはぜひしっかりした資料をお示しいただきますように、次回を期待したいというふうに思う次第であります。  それから、この機会でありますので、外務大臣に要望し、また期待をし、お願いをしたいというふうに思うのでありますが、それはチェルノブイリの被曝者の救済、援護のことなんであります。  これは、この前外務委員会の理事会があって、私は理事でないのですが、そのときどういうことかいたんですな。それでいろいろ話をしている中で皆さんから話が出ておりました。公明党の山田さんなんかも非常に積極的にお話しになっておられる。やはりみんな同じ気持ちなんですよ。我が国は、言うまでもありませんが、広島や長崎の非常に不幸な体験を持っている。しかし、それがゆえにまた、その被爆者のさまざまな医療対策等については蓄積を一番持っているということにもなるわけであります。最近のこの状況を報道なんかで聞きますと、本当に心配で、これらの報道の中には必ずしも正確でないものもあろうというふうには私は思うのでありますが、例えば自国内、つまりソ連の国内だけで約二百二十万人が汚染地域に住んでいる。これは、この間白ロシアが援助要請というのを、外国の援助を求めるアピールを出しているわけであります。聞きますと、IAEAが、早ければ四月にもというのですから、あるいはもうやったのかもしれませんが、各国専門家でつくる特別調査団を現地に送ろう、アピールにこたえてそういうような動きも出ているようであります。オーストリアの新聞では、最近現地からの報告として六千人ががんで死んだというような報道もある。これはしかし真偽はいかがなものかというふうに感ずるわけでありますが、あるいは被災者への援助を名のり出たアメリカの製薬会社でも、ソ連邦内で四万人の子供たちが事故の後遺症に悩んでいるというような情報を持っているようであります。  何にいたしましても、当初の発表をはるかに上回るような状況になってきているというふうに思うわけで、これは何といいましても隣国でもある我が国が人道的な立場でこれに対して積極的な救済、支援をすべきものではないかというふうに思うわけなのですよ。殊に大臣は医者でもおありになるわけだから、そういう思いというのは非常に深いものがあるのではないかというふうに思うわけで、ぜひひとつ大臣自身の口からこれに対するお考えをお伺いしたいというふうに思うわけです。
  337. 中山太郎

    ○中山国務大臣 チェルノブイリの原子炉事故というものは、相当大きな規模の問題で事故を発生させたということについては私ども認識を共通にいたしておりますし、日本は、今も先生から御指摘のように、広島、長崎という不幸な原爆の被爆地を抱えた唯一の国家でございますから、私どもの地域における原子力の放射能汚染に関する医療対策また経験というものは世界で最高の水準にあ ると私は認識をいたしております。  そのような立場で、ソ連政府から正式にチェルノブイリ地域の放射能汚染に関する人々の医療的救済について御要請があれば、私は外務大臣として積極的に協力をする用意があるということをお答え申し上げておきたいと思うのです。
  338. 五十嵐広三

    五十嵐委員 これはつい最近の新聞記事でありますが、「タス通信によると、ソ連保健省と世界保健機関(WHO)はチェルノブイリ原子力発電所事故による住民などの健康被害対策を協力して進める覚書に一日、ジュネーブで調印した。それによると、事故対策に従事した人々や、放射能汚染地域の住民の健康を守るため、長期的な計画をたてる。このため、モスクワの南西約百キロのオブニンスクに国際放射線医学センターを設置する。」というようなことも伝えられているのであります。いろいろな動きがあるようであります。  申し入れがあればという点もわからないものではないが、しかし我が国として、そういう実態に対して進んでさまざまな支援、協力というものもあっていいのではないかというふうにも思うのですね。ですから、できれば人道的な見地における積極的なこれへの御支援の姿勢をお示しいただければありがたいというふうに思うのです。  僕は国際間のことというのは案外そうだと思うのですね。僕らなんかも小さなこと、御承知のようにいろいろやっておりますが、求められるというよりは、それぞれが、殊に人道的な見地なんかの場合には、みずから発想して動くことが大事だと思うし、そのことが両国間の深い信頼感の醸成につながっていくというふうに思うので、重ねて聞くのは失礼でありますが、なお意欲ある御見解を、言い残した部分をいただければありがたいと思います。
  339. 石田寛人

    石田政府委員 実務的なことを補足して簡単に申し上げます。  先生が先ほどおっしゃいましたWHOの動き等々につきましても、私どもよく認識しておるところでございます。それとともに、国際原子力機関、IAEAにおきましても、ソ連と協力いたしまして、先ほど先生指摘の広島大学原爆放射能医学研究所の所長さんあるいは放射線影響研究所、これは財団法人でございますが、その重松理事長さん等々、ソ連に行かれたりいたしまして、IAEAの全体研究活動計画に従いましていろいろな努力がなされておるところでございます。  なお、私どもといたしましては、六月の末に日ソ放射線影響研究に関する講演会等、ソ連の専門家約十五名、ソ連の医学アカデミーの副総裁あるいはソ連の保健省の国際部の副部長さん等々にもお越しいただきまして、全体、日ソでこの状況につきましていろいろ検討し、進めていきたい、かように考えておるところでございます。
  340. 中山太郎

    ○中山国務大臣 この問題に関する政府の考え方は今申し上げたとおりでございますが、問題はやはりチェルノブイリの周辺の隣接国にも重大な関心のあることでございますし、私もヨーロッパへ行くたびに東欧の人たちにはその影響がどのようなものかも聞いております。これはWHOとも協力をしていかなければならない立場にあると思いますし、私は先方から御要請があればということで申しましたけれども、私どもとしては、いつでも積極的に協力をいたすだけの用意をいたしておるということを、この国会の場を通じて、先生に対する御答弁を通して、ソ連政府にもメッセージを送っているつもりでございます。
  341. 五十嵐広三

    五十嵐委員 そして、できればプロジェクトチームといいますか、そんなものもおつくりいただいて、そういう体制を一日も早くおとりいただきたい、このことも要請を申し上げたいと思います。  実はきょう、柿澤委員長がおられないのですが、柿澤委員長もこの間理事会の席で、この問題が議論になれば委員会としても何か相談しながら考えなければいかぬなというようなこともありましたので、なおひとつ委員長の方でもお取り計らい、御検討をお願い申し上げたい。
  342. 浜田卓二郎

    ○浜田(卓)委員長代理 これはまた理事会で……。
  343. 五十嵐広三

    五十嵐委員 では、どうもありがとうございました。
  344. 浜田卓二郎

    ○浜田(卓)委員長代理 遠藤乙彦君。
  345. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 先ほどの質問に引き続きまして、日仏改正議定書に関連した問題についてお聞きしたいと思っております。  まず最初に、核拡散の問題でございます。冷戦構造が劇的に変化をしてまいりまして、これから世界も多極化の方向に向かいつつあると思いますけれども、当然核の問題も多極化傾向にございまして、今後の世界の安全保障の問題の中におきまして核拡散は非常に懸念される点の一つでございます。特に核拡散が地域紛争と結びついた場合には非常に危険性が高いものとなるわけで、我が国としても非常に大きな関心事項であると思うわけでございますけれども、これに関連しましてまずお聞きをしたいと思っております。  我々よく原子力の平和利用と言っております。これがどんどん今国際的に普及をしておりますけれども、それ自体はもちろんエネルギー事情等の観点からはいいことなのかもしれませんが、他面、原子力の平和利用という名のもとに核拡散の危険性が当然内在しているわけでございまして、ある意味では原子力の平和利用の国際的普及ということと核拡散の危険ということは非常に矛盾する問題であるわけでございます。この点につきまして、まず大臣の御見解をお伺いしたいと思っております。     〔浜田(卓)委員長代理退席、委員長着席〕
  346. 中山太郎

    ○中山国務大臣 原子力の利用につきましては、平和的な目的のために利用するということが一つございます。それとあわせて反面がございまして、いわゆる核拡散する危険性が国際的な問題としてございます。それにつきましては、政府は、国際的な枠組みである核拡散防止条約をやはり厳守していかなければならない、そういうことで、原子力を開発する国家についてはこの条約に加盟をさせ、これを世界的にみんなが守っていくということが基本的には必要ではないか、このように考えております。
  347. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 核拡散の問題、世界じゅう各地で懸念があるわけですけれども、特にアジアに限って言いますと、やはり一つは朝鮮半島、特に北朝鮮の動向があると思います。もう一つは印パ関係に絡んだ問題だと思います。  そこで、まず北朝鮮に関してお伺いをしたいのですが、北朝鮮の核開発の動向はどうなっているか。特に最近の新聞報道等によりますと、もう既に再処理施設を完成しておるということでございますが、この北朝鮮の核開発動向につきましてお伺いをしたいと思います。
  348. 太田博

    ○太田政府委員 お答えいたします。  北朝鮮に関しましては、原子力施設といたしまして、国際原子力機関の報告等によりまして、現在研究炉が二基あるということは確認されておりますけれども、その他の原子力施設については確認が行われておりません。同時に、ただいま先生指摘のように、北朝鮮には再処理施設があるのではないか、あるいは既に完成しているのではないかという報道があるということは承知いたしておりまして、我々といたしましても、本件について重大な関心を有しておるところでございますけれども、この点につきましても確認ができていないというのが実情でございます。  一方、北朝鮮は核防条約に八五年の十二月加盟いたしております。核防条約に加盟いたしますと、その条約の規定に従いまして、IAEAとの間に保障措置協定締結することが義務づけられておりますけれども、北朝鮮は現在に至るまでまだこの協定締結していないということでございまして、今大臣から申しましたような核防条約による核拡散防止体制の維持強化という点から、北朝鮮が一日も早くIAEAとの間に保障措置協定締結することを強く希望するという立場を我が国はとっておりまして、これをいろいろな機会に表明しているところでございます。
  349. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今の御説明のとおり、北朝鮮の核武装の抑止のためには、このIAEAの査察を受け入れるということが一番のポイントであると思いますけれども、具体的にその関係国においてどういった努力がなされているかということをお聞きしたいと思います。  特に最近では、ソ連が何かかなり北朝鮮に対してこのIAEA査察の受け入れにつきまして説得を試みているというような新聞情報もあるわけでございますけれども、こういった点につきまして情報があれば教えていただきたいと思います。
  350. 太田博

    ○太田政府委員 北朝鮮に対するIAEAとの保障措置協定締結に関します働きかけに関しましては、主としてウィーンのIAEAの場、例えば理事会等の場におきまして、関係国がその希望、要請を表明しているということでございますが、ただいま御指摘のソ連につきましては、ソ連も核拡散の防止という点については非常に強い関心を持っておりまして、北朝鮮に対しましても外交的な働きかけをやっているやに聞いておりますけれども、具体的な詳細については承知しておりません。中心は先ほど申しましたようにウィーンでございまして、ウィーンのIAEAの理事会等におきまして、アメリカ、ソ連あるいは我が国その他の関係国が、北朝鮮が一日も早くIAEAとの保障措置協定締結するように希望を表明し、働きかけているということでございます。
  351. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 続いて、アジアにおけるもう一つの核拡散の焦点地域でございますインド、パキスタンについてでございます。  インドにつきましては、既に七四年五月に核実験を行っておりまして、いわば核兵器国になったとみなしてもいいのだと思いますけれども、他方、もう一方のパキスタンでございますが、ここもずっと長いこと印パの対立関係、緊張関係が続いておりまして、非常に核武装への願望が強いというふうに理解をしております。ハク前大統領の時代にもイスラミックボムということをよく言っておりまして、キリスト教圏あるいは社会主義圏、ヒンズー圏が原爆を持った以上、やはりイスラム圏としても核兵器を持つべきだというような議論が強かったように感じておりますけれども、そういった点、まずインド、パキスタンの特に核兵器開発の動向につきまして御説明をいただければと思っております。
  352. 太田博

    ○太田政府委員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のとおり、インドに関しましては一九七四年に核爆発の実験をやったということでございます。  パキスタンがインドの原子力開発政策に非常な関心と懸念を持っているということは御指摘のとおりでございますが、最近パキスタンの指導者は、パキスタンの原子力開発計画というのは平和利用に限っているのであるという見解を表明しております。なお、この点についてはインドもそうでございます。  ただし、問題は両国とも核不拡散条約に加盟していない。したがいまして、インド、パキスタン両国につきまして、国内のすべての原子力施設を保障措置に開放していないというところが問題でございまして、我が国といたしましても、インド、パキスタンが核防条約に加盟して、すべての原子力施設につきましてIAEAの保障措置を受け入れるように機会あるごとに意見を表明している次第でございまして、先般の海部総理の両国訪問の際にも、このような日本側の基本的な見解を両国の指導者に述べたところでございます。
  353. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 この日仏協定にも関連をしますが、フランスが南西アジア地域、特にインドとパキスタン双方に対して原子力協力を行っていると思います。パキスタンにも原子炉を輸出するということもありますし、またインドに対してもタラプール発電所に対して協力を行ってきておると了解をしておりますが、こういったフランスの南西アジアに対する原子力協力というものが、私の印象として、非常に商業的動機が優先をして、どうも核不拡散についての配慮が少し足りないのではないかという感じを持つわけでございますけれども、この点に対しまして、政府としてはどういう見解を持っておられるか、またフランスに対してどういった働きかけをしておられるか、その点につきまして御説明をいただきいと思います。
  354. 太田博

    ○太田政府委員 お答えいたします。  フランスが最近パキスタンに対しまして原子炉の売却の約束をしたというのは御指摘のとおりでございます。フランスフランスなりに、フランスからの原子炉の売却が核拡散につながらないような万全な措置はとっておるというふうに説明はいたしておりますけれども、我々といたしましては、やはり原子炉の売却等が核拡散につながらないための最善の保障というのは、核防条約に関係国が加盟して原子力機関のいわゆるフルスコーフ保障措置の適用を受けることである、そういう条件がない場合の原子力協力というのは、核拡散防止の観点から問題であるという立場をとっておりまして、この観点から最近のフランスのパキスタンに対する原子炉の売却の件に関しましても、我が国の懸念をフランスに対して表明したところでございます。
  355. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 続いて、このNPT体制自体につきまして御質問をしたいわけですが、現在のNPT条約は一九九五年で一応終了することになっておりまして、それ以降どうするかということがまた大きな課題でございます。世界の多極化状況、それからまた、核の拡散傾向を踏まえまして、ポストNPTの核不拡散体制のあり方についてどうするか、我が国としてどう考えるか、この点につきまして、これは大臣から御答弁をいただければと思います。
  356. 中山太郎

    ○中山国務大臣 今お尋ねの件に関しましては、この核不拡散条約がもともと核拡散防止と原子力の平和利用とを両立させる国際的な枠組みの基本をなしております。これを基礎として核不拡散体制が一九九五年以降も存続し強化されることが国際的な平和と安全のために不可欠の問題であるという認識を私は持っております。
  357. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今後の核不拡散体制につきましては、やはり米ソの動向というのは大変大きなポイントだと思います。NPT自体米ソの利益の一致が大変大きくて、その結果でき上がったものなわけでございますけれども、やはり今後の核不拡散体制も、米ソの動向、話し合いというのが大変大きなポイントだと思いまして、その関連で最近の米ソの核不拡散に対する動向いかんということ、特に先般の米ソ外相会談、また今般の米ソ首脳会談等でも当然話題になっているのだと思いますが、この点に関してどういった話し合いになっているか、わかる範囲でお教えいただければと思います。
  358. 赤尾信敏

    ○赤尾政府委員 アメリカ及びソ連ともこの不拡散体制につきましては非常に強い関心を持っておりまして、両国ともあくまで普遍性、できればすべての国がこの条約に加盟するということを究極の目標として努力してきております。  今度の米ソ首脳会談の結果、共同声明にどういうふうにうたわれるかうたわれないかということは、まだ声明を見ておりませんのでわかりませんけれども、これまで開かれました米ソ・サミットにおきまして、例えば八七年十二月の共同声明及び八八年六月の共同声明、いずれにおきましても、普遍性の重要性、その問題について米ソは引き続き協議していくという点が確認されております。
  359. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 続いてチェルノブイル原発事故に関連しまして御質問したいと思います。  チェルノブイル原発事故以来四年が経過をしたわけですが、いまだにこの事故の規模といい、その被害といい、想像を上回る深刻さにあるということでございまして、なかなかその全貌がつかめない状態ではございますが、この事故の持った意味、教訓につきましてどう考えておられるか、これは両大臣につきまして御見解を伺いたいと思います。
  360. 中山太郎

    ○中山国務大臣 私は所管外でございますから、具体的な科学技術に関する専門的な領域でのお話を避けさせていただきますけれども、やはり原子力発電所の事故というものは起こる可能性があるということを一つ証明したことではないかと思います。  一方、我が国においてはエネルギーが極めて乏しい国家でございますから、電力をおこすための一つの方法として原子力発電を導入した。私もいろいろ科学技術政策も勉強させていただきましたが、その中で言えることは、やはり地震国としての日本における軽水炉の開発というもの、これはよその国よりもはるかに厳重ないわゆる防護措置がとられているということを私自身確認をいたしております。  そのようなことで、日本ではあのような事故は起こってはならないし起こるべきではない。そのためにも全力を挙げなければならない。しかしチェルノブイルのような事故が起こった原因については、政府としても関係各国と協力しながらこの問題の原因の究明、こういうものについてはやっていかなければならない。また、その被曝者に対しても、日本としては、先ほど答弁申し上げましたけれども協力するのに積極的でなければならないと考えております。
  361. 大島友治

    大島国務大臣 チェルノブイルの問題につきましては、けさも朝から各先生方にそれぞれ御質問いただいておりますが、総じて言えば、あの問題は、先ほどもちょっと問題になりましたけれども、やはり従事者のちょっとした不注意というか、そういう問題だとか、あるいは構造上の問題だとかということもございますけれども、それはそれなりにソ連の原子力の過程における実態であろうと思います。しかし、そのことは全く日本の場合には、直ちにそれに対応してすぐ問題が起きるというようなことはあり得ないというような調査団の報告もございまして、一応はそれなりに私ども受けとめてはおりますけれども、そうだからといって完全に日本の場合は心配ないというようなことでもないし、また今後もこの原因の究明と実態については、さらに綿密に我々は追求する必要があるのじゃなかろうかということを感じておりまして、この報告書の結果に基づいても、さらに日本の場合といたしましては、御承知だと思いますけれども、七つの項目について念には念を入れよというような考え方で、やはり操作をするのは人である、人そのもののいわゆる安全というものの前提に立った以上は、少しの油断もなくやるというような問題をとらえて警告を受けておるわけでございますので、まさにそうであるというようなことから、七つの項目を私ども十分わきまえて、今後この問題には――いずれにいたしましても、基本的にはいわゆるエネルギーとしての資源の少ない、従来外国に余りにも依存し過ぎているという我が国の特質に対応して、今後のエネルギーの確保ということについては、こういう問題を参考にして、しかも安全ということをあくまでも前提にして進めるべきではなかろうかというふうにして、現在直接はチェルノブイルの問題は運営上あるいは行政上あるいはまた政策上の大きな支障などとは考えておりませんけれども、念には念を入れて、これを究明、承知の上に我が国エネルギーの進展を図っていきたい、こう考えております。     〔委員長退席、園田委員長代理着席〕
  362. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 そこで、次の質問に移りますが、チェルノブイルの事故に関連しまして、昨年の六月ですか、IAEA理事会の場でソ連の提案としてチェルノブイル国際研究センター設立構想というのが出たと承知しております。詳細はよくわかりませんが、いずれにしましても、この事故の実態究明、それから被害の究明等の分析をして、人類共有の経験として今後役立てていこう、そういった発想に立つものだと思うわけでございますけれども、この構想の概要につきまして御説明をいただきたいことと、それに対する我が国の態度はどうなのかということをお聞きしたいと思います。
  363. 太田博

    ○太田政府委員 ただいま御指摘のありましたように、昨年の六月のIAEAの理事会の場におきまして、ソ連の理事の方からチェルノブイリ国際研究センターの設立についての提案がございまして、昨年の九月のIAEAの総会の際に、ソ連の代表から正式に提案されたものというふうに承知いたしております。  これまでのソ連側、それからIAEAの事務局側の説明によりますと、この構想といいますのは、チェルノブイリ周辺の約百に上りますソ連側の研究機関と連携を有するチェルノブイリ国際研究センターというのを設立いたしまして、そこにおいてIAEA加盟国の研究機関等がチェルノブイリ事故の教訓を踏まえまして、原子力安全の一層の向上、それから原子力施設から放出された放射性物質の環境への影響、さらには放射線による生物への影響等に関する調査研究を行うものというふうにされておりまして、本年末をめどにいたしまして、この構想の具体化に必要な法的な枠組みでありますとか、具体的な研究対象項目等の整備が行われる予定というふうに承知しております。  我が国の態度でございますけれども、この構想が先ほど来指摘されております原子力の安全性の向上を図るという点から有意義であるというふうに考えておりまして、この構想の円滑な実施に向けて可能な範囲内で協力をしていきたいという方針でございまして、事前の検討におきましてもできる限り積極的に参加していきたいというふうに考えております。
  364. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 我が国の態度につきましてはよく理解できましたが、ぜひとも積極的な姿勢で推進をしていただければと思う次第でございます。  続きまして、チェルノブイルの被災者への救援問題ということで五十嵐先生と同じ質問を実は用意しておったわけでございますが、既に大臣から大変立派な御答弁をいただきましたので、ちょっと別の角度から少し質問をさせていただきたいと思います。  我が国としまして、このチェルノブイルの被害の救済に対して人道的な観点から積極的に援助をする、大変重要な点だと私は思っております。私もこの問題に関心を持ちましていろいろ調べてみたわけですけれども、特に白ロシア共和国が既に国際的なキャンペーンをやっておりまして、我が国に対しましても国連大使を通じて要請、依頼があったということでございます。特に白ロシアとしては、被災地の中でいろいろな甲状腺異常とか白血病、がんあるいは奇形児の出生が非常に多数にわたっているという状況にあって、他方、薬品の不足、それから検査機器の不足、医師の不足、その他の施設の不足という大変厳しい状況にあるということで、国際的なキャンペーンをしておるわけでございますけれども、外務省に照会をしたところ、そういった接触はあったけれども我が国としては、白ロシア共和国を承認していない、したがってソ連の連邦政府から正式の要請がない限りは検討する立場にはないというお答えをいただいたわけでございます。  それはそれとして、今後の世界に貢献する日本として一歩踏み出して、ぜひとも、先ほど五十嵐委員の方からの御質問にもあったように、我が国の政治的意思として積極的に人道的な面で協力をしていくということが大事ではないかと思っております。特にソ連から、白ロシア共和国などで要望していることは、薬品の供給、それから検査機器あるいは重症患者について我が国で治療をしてみる、こういったことがあり得ると思いますけれども、ぜひこういった具体策も含めて積極的に検討していただければと思う次第でございます。  この問題を取り上げた私自身の問題意識はあと二つありまして、一つは日ソ関係を進める上で一つの材料になるのではないかという気がしております。現在日ソ関係は米ソあるいは米欧の関係に比して若干停滞をしているような印象がございます。もちろん北方領土問題があることは重々承知しておりますけれども、ゴルバチョフ大統領の訪日が来年に予定されていながらなかなか具体化していないという状況にございまして、こういった中で、やはり日ソ関係を進める上に政経不可分あるいは拡大均衡原則に触れない形で何かとる手はないかということで、人道面からの協力というものをぜひ我が国が積極的に進めてみたらどうか。これは必ずや日ソ間の信頼関係を確立して、長い目で日ソ関係の促進に資するであろう、そういった点が一つでございます。  もう一点は、単に日ソ関係というコンテクストを超えて、今日本は世界に貢献する日本を標榜しておるわけです。他面、日本が不動産を買いまくるとか企業を買収するとかそういったエコノミックアニマルの面がいまだに強く出ておるわけですけれども、日本がぜひここら辺で、世界に貢献する日本であるとともに、世界から尊敬される日本になるためには、やはりこういった人道面での協力ですね。ノーブレスオブリージュという言葉もございますけれども、そういった面で、日本が一歩姿勢を踏み出して、日本自身の政治的意思としてこういうことを積極的に取りまとめをしていく、こういったことが我が国の今後の外交姿勢としてもぜひ望まれるのではないか。そういった観点からこの点を提起したいと思っております。  ぜひそういった面からも大臣の積極的な御支援、御配慮をひとつお願いをしたいと思っておりまして、大変恐縮でございますけれども、重ねていま一度大臣からひとつ所感をお願いできればと思っております。
  365. 中山太郎

    ○中山国務大臣 先ほども五十嵐委員の御質問にお答えをいたしておりますが、重ねてのお尋ねでございますから、さらに踏み込んでお話を申し上げたいと思います。  広島のABCCというようないわゆる原子爆弾の被爆の知見、データを蓄積している国は世界で日本がただ一つであります。また長崎もそのようなことでございまして、私どもといたしましては、そういう意味で世界で最も悲しい経験ではございますけれども、医学上では極めて貴重な治療の経験も持っている。また、その追跡研究も行われていると思っております。そういう意味で、白ロシアから要請があれば、政府としてはいつでもこれに対応する心づもりは私は持っております。人道的な立場で、いかなる地域においても悲惨な状況にある人たちを救うというこの姿勢は、日本政府のこれからのあり方でなければならない。しかし、WHOという国際機関があることでございますから、関係諸国とも連絡をしながら、白ロシアあるいはソ連の連邦政府から協力依頼があれば、私どもとしてはこれに積極的に協力をいたすということをはっきり申し上げておきたいと思います。
  366. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 大臣より大変心強いお言葉をいただきまして感謝をするものでございます。  次の質問に移りたいと思います。  次は、原子力安全のための国際協力ということなのでございますが、チェルノブイル事故の一つの重要な教訓として、原子力施設安全のためには国際協力が不可欠であるということがやはり一つの大きな教訓であったかと思います。チェルノブイル事故以降、早期事故の通報、それから相互援助につきましては条約も採択されたわけでございますけれども、これはごく一部にすぎないわけで、さらにもっと包括的な原子力安全のための国際協力のフレームワークがつくられるべきだと考えております。実際、日本の場合をとってみても、今までのところ原子力の安全性につきましては、国内での問題に非常に議論が集中をしておりますけれども、もう一つ大事な側面は国際的な面、特に近隣国における原子力施設の安全性ということになるのだと思います。特に朝鮮半島あるいは中国、台湾、こういった地域におきまして、もしチェルノブイル級の事故が起きれば必ず我が国も大きな被害を受けることは明らかなわけでございまして、ぜひともそういった国際的側面、特に近隣国の原子力施設の安全性につきましても十分な配慮をしていくということが大事なことではないかと思っております。  そこで、質問でございますけれども原子力施設の国際的な安全性の確保のために、現在の状態をさらにもう一歩進めて、例えば安全監視システムのようなものを充実していく必要があるのではないかというふうに感じております。単にIAEAの原子炉の安全基準というものを決めるのみならず、さらにそれに基づいてサーベイランスといいますか、あるいは査察といいますか、原子炉の安全性に関する国際的査察のシステムを確立して、必要とあらば改善勧告のようなものも出す、こういったシステムを考えていく必要があるのだと思いますけれども、この点につきまして政府の御見解をお聞きしたいと思います。
  367. 谷弘

    ○谷説明員 先生指摘ございましたように、原子力の安全確保は基本的にはそれぞれの国がまず責任を持つということが大事でございますが、あわせまして、それを高いレベルに保持するためには国際協力が必要でございます。その高いレベルを維持するためには、これもお触れになりましたけれども、安全基準をまず高くキープする。これにつきましては、既に国際原子力機関IAEAあるいはOECDのNEAという原子力機関で技術基準をたくさんつくっておりまして、我が国もそこに参加をいたしまして貢献をしてまいってきておるところでございます。  これに加えまして、今御指摘ございました、まずそれぞれの国の方々がそういうことを実施していけますように、途上国の方につきましては日本にお越しいただきまして、研修の事業をやっておるのが一つございます。  それからもう一つが、まさに御指摘のございました、外国の原子炉を外国の方が見ようというプロジェクトが進んでおりまして、これもIAEAが中心になってやっておりますが、OSARTという名前がついた国際原子力機関の運転管理の専門家集団がそれぞれの国を訪問いたしまして、原子炉をチェックいたしまして、評価をし、調査をし、勧告をする、意見を述べるというような事業が始まっております。既に八九年の六月までで三十三カ所へ訪問いたしております。我が国にもお越しいただきますと同時に、我が国からも専門家が参加しておりまして、今後ともこういう事業には積極的に参加をしてまいりたいと思っております。  それと、もう一つ大事な点は、事業者レベルでWANOという機関ができております。これは世界原子力発電事業者協会、事業者レベルで団体をつくりまして、お互いに援助をし、意見交換をし、情報交換をするという、この二つを使いまして、先生今御指摘の点について今後重点的にやってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  368. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 国際的な枠組みにつきましてはわかりましたが、他方近隣国の原子力施設の安全性につきましては、国際的な枠組みにとどまらず、いわば二国間でも相当協力をしてもいいのだと感じておりますけれども、具体的に中国、韓国、北朝鮮あるいは台湾などの原子力施設につきまして、その安全性に関しましては、我が国はどのような協力関係にあるか、この点につきましてもお答えをいただきたいと思います。
  369. 太田博

    ○太田政府委員 今御指摘のアジアの国々、地域との原子力の安全性に関する協力でございますけれども、北朝鮮との間には協力が行われておりませんが、中国に関しましては、八六年に発効いたしました日中原子力協力協定、このもとで原子力の安全性の分野における情報交換、専門家の交流というのを行っております。  それから、韓国につきましては、つい先日盧泰愚大統領の訪日がございましたが、その機会に日韓原子力平和利用協力取り決めというのが締結されまして、この取り決めのもとで、これまでも実は日韓科学技術協力協定のもとで若干の協力が行われてまいりましたけれども、今後は原子力の安全面での協力を重点的に推進していきたいというふうに考えております。  それから、台湾に関しましては、原子力施設の安全運転に関する協力というのが民間レベルで進められているというのが実情でございます。
  370. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今の御説明でよくわかりましたが、いずれにしましても、原子力の安全、最大の関心事項でございますので、多数国間の枠組みあるいは二国間の枠組みあるいは政府間あるいは民間レベルとさまざまなしベルを通じて、水も漏らさぬ安全体制を我が国努力とともにぜひこれを進めていただきたいと思っております。  続きまして、今度は原子力協力とODAの関係について御質問したいと思います。  新聞報道によりますと、インドネシアから我が国に対しまして、ODAを使って原子力協力をしてほしいという要請があったやに理解をしておりますが、この報道は事実かどうか、あるいはその内容につきまして御説明をお願いしたいと思います。
  371. 木幡昭七

    ○木幡政府委員 お尋ねの件でございますが、インドネシア政府より、JICAの技術協力事業の一環として、開発調査の案件の形で、我が国に対し原子力発電所建設に係るフィージビリティー調査を要請をしているということは事実でございます。本件については、今関係省庁間で検討を行っているところでございますが、御参考までにどういう点が考慮すべきかということを御説明申し上げたいと思います。  まず、インドネシアにおける電力需給の問題あるいは電力政策における原子力発電の位置づけ、建設に係る資金手当ての見通し等、いろいろインドネシア側における諸問題、この辺について私どもとしてもいろいろ先方と詰めを行う必要があるわけでございます。他方、開発調査自体についてのインドネシア政府の要請というのは、これまた非常にたくさんございます。したがいまして、そのような原子力分野に限らないそれ以外の分野の多くの要請案件、その辺の兼ね合いを踏まえてどのように対処するか、その辺を今慎重に検討している段階でございます。
  372. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 特に私、この原子力協力とODAに関しては、安全性の観点から非常に関心を有しておりまして、単に今御説明があったような視点のみならず、ぜひとも安全性確保という観点からも、ODAを用いることの是非につきまして慎重に御検討いただければと思っております。もし何か御説明があれば、その点につきましてもお願いしたいと思います。
  373. 木幡昭七

    ○木幡政府委員 原子力の安全性の関連でのODAの協力でございますが、これまでも国際協力事業団を通じまして研修生の受け入れとかあるいは専門家の派遣、関連の機材の供与等は行った実績があるわけでございます。このような実績を踏まえまして、私どもとしてもてきるだけこのような面の協力を進めてまいりたいと考えております。
  374. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 協定関連の質問は以上でございますけれども、せっかく大臣出席をいただいておりますので、この機会に御質問したいのですが、先ほどOECD閣僚理事会の印象につきましては大変ホットなお話を伺いましたが、もう一つ、日・EC閣僚会議にも御出席されております。ぜひその点に関する御印象、もう一つは、欧州に行かれましてさまざまな首脳と会われたと思いますけれども、欧州情勢そのものにつきましても、大臣のホットな御印象をひとつお聞かせいただければと思います。
  375. 中山太郎

    ○中山国務大臣 日・EC関係閣僚会議は、実はこの一月に海部総理が訪欧されましたときのドロール委員長との話し合いのもとに、五月末までに必ず開こう、実は三年半ぶりに開かれたわけでございますが、残念ながら国会審議の最中でございまして、国会からは十分な協議をする日程をちょうだいすることができませんでした。率直に申し上げまして甚だ残念でございました。わずか三時間余りの会議でございましたが、私は率直に申し上げて、ECが九二年の統合に向かって大きな勢いを出している。さらに彼らはEFTAとの関係を強化しようとしております。さらに東ヨーロッパが自由化していく中で大ヨーロッパになっていくだろう。やはりECというものは、その中での一つの核の力をなすものではないか。そのECとの間に、日本が政治あるいは経済、科学技術、文化、各分野においていろいろな各級のレベルで協議をしていく機会を設けることは極めて重要であるという認識に立っておりまして、EC側からは日本に対して貿易の不均衡、二百億ドル余りの赤字がEC側にずっと上がっております。こういう問題につきまして、この赤字を解消したいという大きな願望があるわけでございますが、私どもは、それにもう一つ加えて、日米構造協議というものが七月の最終報告をめどに現在作業が進められている中で、これは何も日米関係だけの問題ではない、ECを含めあらゆる国に対して均てんするものであるということを今回さらに明確に申してまいりました。また、自動車等における対日QR差別については、これを一日も早く撤廃してもらいたいということを強く要請をいたしてまいったようなことでございます。私どもといたしましては、大臣レベル会議をもう一度年内に開くことが必要ではないかということで、そういう考え方を相手に伝えて帰国をいたしてまいったわけでございます。そういうことで、これからも日本とECの関係は強化する必要がある、それがやがては日米欧の関係を大きくつくり上げていく基本の問題ではないか、このような認識をいたしておることでございます。
  376. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 一点、日・EC間でお聞きしたいのですが、今般、EC側としては、特に構造協議に大変興味を示して、ECとの間にもこういった同じような構造協議みたいなものをしたいという要望があったやに承知しております。これに対して日本側は、日米構造協議の成果は均てんするけれども、こういった種の協議自体はしないというような消極的な対応だったというふうに新聞報道はなっておりますけれども、ここら辺の話し合い及び今後の見通しにつきまして、一言大臣からお聞かせいただければと思います。
  377. 中山太郎

    ○中山国務大臣 いわゆる構造協議については、EC側は強い要望を日本側に示しております。日本側にいたしましても、いわゆる固定的な協議機関をつくるということではなしに、十分話し合いを行っていこうということでECとの間にやっておりますけれども、やがて次回の関係閣僚会議におきましても、このような問題は協議が続行されるものと考えております。
  378. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 最後の質問になりますが、現在米ソ首脳会談が最中でございますけれども、ちょっと今の時点で会談の見通し、評価を聞くことは非常に時期尚早であるかと思いますけれども、せっかく大臣出席でございますので、現時点での大臣のこの米ソ首脳会談の見通し、またこの会談の持つ意味、評価というものをお聞きできればと思います。よろしくお願いいたします。
  379. 中山太郎

    ○中山国務大臣 今回の米ソ首脳会談に関しましては、先般私が出席をいたしておりましたOECDの加盟国の出席閣僚の間でも大変大きな関心を持たれておりました。  私どもは、今米ソの間で軍縮を初めいろいろな話し合いが進む、そういう中で、ソ連の中におけるいろいろなペレストロイカの問題がどうなっていくのか、あるいは米ソ間の軍縮の話し合いができた場合に、どのような経過をたどって軍縮が実現を始めるのか、こういう問題につきましては、今回の首脳会談の結果を見詰めておるというのが率直な感じでございます。私どもとしたら、実りの多い会談になることを心から期待をし、ソビエトにおけるペレストロイカの正しい方向性を引き続き日本政府としは支持をしてまいりたい、このように考えております。
  380. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 ありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  381. 園田博之

    ○園田委員長代理 次に、古堅実吉君。
  382. 古堅実吉

    ○古堅委員 最初に、協定内容について一点だけお尋ねしたいと思います。  協定の第八条(d)ですが、改正の方は「「公開の情報」とは、秘密指定を受けていない情報をいう。」ということになっています。これは現在の規定をどうしてそう改めるのかということについて、いろいろ考えを読んでみたのですが、余りよく理解できない面があります。同時に、現状よりも秘密指定ができる方向に広げられる、そういうものとはならないかという懸念がございます。そこらあたりについて説明を受けたいと思います。
  383. 丹波實

    ○丹波説明員 お答え申し上げます。  御承知のとおり、原子力分野で日仏間が協力する分野として現行の第一条に四つの項目が挙げてございまして、その中に「公開の情報を相互に提供する」ということが書かれてございまして、現行の第八条(d)、先生指摘のところに、現在の条文では、「「公開の情報」とは、「秘・防衛」又は「極秘・防衛」の秘密区分に属しない情報をいう。」というふうに定義をされておりますが、ここで書かれております「秘・防衛」、「極秘・防衛」といいますのは、もともとフランス政府が使っております行政用語でございまして、必ずしも日本側から見ますとなじまないということで、今回この改正議定書をつくるに当たりまして、もっと一般的な表現にしようということで、「「公開の情報」とは、秘密指定を受けていない情報をいう。」ということに変えたということでございまして、それ以上の意味はございません。
  384. 古堅実吉

    ○古堅委員 あえてお聞きしますが、民主・自主・公開、この三原則に照らして、公開、その態度を貫くということは安全を確保するという面からも大変大事なことだと考えます。仮にも懸念される形で、この秘密の指定を受けないものということで広げられるということになりますと、勢い公開という面で狭まっていく、そういういろいろなことが起きようかと言えると思います。そういう方向ではないということをはっきり確認できますね。
  385. 丹波實

    ○丹波説明員 今般の議定書の交渉に当たりまして、私たちといたしましても、この原子力基本法第二条の公開の原則ということは十分に念頭に置いております。先ほどそれ以上の意味はございませんということを申し上げましたが、要するに、今回の字句の変更によって実質的な意味内容には変更はないという点については、交渉の過程を通じまして日仏双方が認識しておるところでございます。
  386. 古堅実吉

    ○古堅委員 ちょっと関連の問題を一、二お聞きしておきたいというように思います。  先ほどお尋ねがございましたが、けさの新聞に沖縄の基地返還について大きく報道されています。大臣はきょうお帰りですから、あるいはごらんいただいていないかもしれません。その説明によりますと、複数の政府筋が三十一日明らかにしたということで、その複数の政府筋が明らかにした内容というもの、しかも報道も全部断定的なものとなっています。先ほど質問に対して、なかなか内容にわたる御答弁が出てこなかったのですが、国会で、特に沖縄関係の議員からこれだけこの問題についての重大な関心が払われ、あらゆる場所をとらえてこれにかかわる質問をしてきておるのですが、なかなか内容にわたって、この時点でこのぐらいは話せるとかいう程度のことについてさえも納得のいくような御答弁がこれまでやられなかった。そういうことで大変残念ですが、なぜ、国政を論ずる、しかも日米安保に基づく沖縄の基地の問題などというのは国政の中心的な課題でもある、そういうものについて、国会の場でそういう質問に対して説明的な内容にわたる御答弁さえもやられないのか、そう思います。  それであえて質問ということになったわけなんですが、先ほどのごく近いうちに発表できるということは、今月、六月に行われる、これまで言われてきた中間的な報告というふうに理解してよろしいですか。
  387. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先生指摘のように、いろいろな報道がえてして不正確な形で行われておりますこと、私どもも非常に残念に思っております。先生初め皆様方が非常にこの問題に関しまして関心を持っておられますのを、私どもも重々承知しておりまして、できるだけ早く、大げさに言えば一日も早く米側と話し合いをまとめまして、全体像を公表させていただきたいと思っております。  それがいつまでにできるかという御質問でございますが、これは先ほど中山大臣からも御答弁ございましたが、近い将来公表させていただきたいと思っておりまして、その内容に関しまして、今まさに先生が御指摘のように、米側と合意に達しましたものにつきまして、中間報告というような形になりましてでも、一日も早く公表するように持っていきたいと思いますが、具体的にそれがいつできるかということになりますと、外務大臣が申し上げましたように、近い将来と、今鋭意努力中であるというふうにぜひ御理解いただきたいと思います。
  388. 古堅実吉

    ○古堅委員 中間的な報告ということなのですが、その意味がよくわからないのです。例えば半年とか一年とか一定の期間内において話を詰めようというものがあって、その話を詰めていく段階での中間的なものか、あるいは第十五回、第十六回の日米協議委員会で一たんは返還の合意がされているもの、それが全部完結するまでを中間というふうに言っておられるのか、そこらあたりはどうなのですか。
  389. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 その点に関しましては、先生重々御承知のように、現に今検討の対象にしておりますのは、日米安保協で了承されました案件と、それから沖縄県知事が米国政府に行いました案件、これはダブっているのもございますけれども、それを中心に検討しております。できれば私どもといたしましても、これらの案件全体に関しまして米側と最終的合意に達し、それを発表させていただきたい、こう考えて折衝しておりますけれども、どうしても今回合意に達することができないというのも恐らく残念ながら出てくると思います。これを達成するまで、つまり最終的な合意をすべてについてつくるまで交渉を続けますと、さらにまた発表するのは先に延びてしまうということになりますので、今回どうしても交渉の過程で合意ができないものは、さらに継続して話し合いを続けるということにして、合意ができたものを発表するということにしたいと思っております。それが先ほど私が申し上げました中間的な報告という意味でございます。
  390. 古堅実吉

    ○古堅委員 理解の仕方がいろいろ出そうな感じもするのですが、結局、全体としての協議の結果の合意を得たいのだが、なかなかそう簡単にいかないものがあるということを前提にしてのお話だというのであれば、申し上げたように、十五回とか十六回とかの日米協議委員会で合意に達したもの、あるいはその後知事やその他の形で出てきたような内容のものを含めてこれからずっと協議していくのだが、さしあたってということ、ですから、年内である程度詰めようということがあって、十二月の中間的な意味でこの六月ごろにでもやろうかというふうなことじゃなしに、これまで何年も何年も続けてきた、これから政府の側としては、何年かかるかわからぬが、残ったものは来年か再来年か、あるいはそれ以上かけてでも話を進めていく、そういう意味で今回の発表は中間的ということになるのですか。
  391. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先生も御承知のように、この安保協、十四回、十五回、十六回、合わせますと残っております案件が十八件ございますし、それから知事が要望されたのが七件ございまして、これはダブっているのもございますのですが、これらを対象にいたしまして、幾ら中間的とはいえ、そのほんの一部しか合意できない形で発表するのは、私どもとしては非常に不本意でございまして、できるだけ多くの合意を盛り込んだものを発表させていただきたい。ただ、私が中間的という言葉を使わさせていただきましたのは、全部をカバーした最終的な合意ができないときには、合意をできているものを今回一応取りまとめて発表するという意味においてであって、それは今申し上げましたほんの一部しかカバーしてないということではなくて、できるだけたくさんカバーしたものを今回発表させていただきたい、こう考えております。
  392. 古堅実吉

    ○古堅委員 私があえて聞いておるのは、期間的な意味で今中間的と言っておるのだが、中間というのは全体のものを考えての中間なわけで、三年も四年も五年も先を考えての中間ということなのだろうか、あるいは半年とかそういうような比較的短期間においてもっと詰めて、全体としての結論が出せるようにしたいということを前提にしての中間というふうに言っておられるのか、そこを聞きたいのですよ。
  393. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 現在米側と鋭意折衝中でございますので、今回発表できますのがどういう形になるのか、ちょっとまだ具体的な形をつかんでおりません。今先生の御質問に残念ながら明確にお答えできないのをお許しいただきたいと思います。  と申しますのは、繰り返しになりますけれども、できるだけ多くカバーしたいと思って交渉しておりますが、どれだけカバーできるかわかりませんし、その裏返しになりますけれども、どれだけ案件が取り残しとなるか、正確に申し上げれば継続審議となるかというのもちょっとわかりません。なおかつ、この継続審議になるのが一体いつ解決できるめどが立つのか、これもなおさら予測を立てるのが難しいので、今先生が御指摘の二つのうちどちらかということでございますが、ちょっと明確な形でお答えできかねます。いずれにいたしましても、できるだけ多くの合意事項を盛ったものを今回発表して、残りは残りでさらに折衝していく形にしたいというふうに御理解いただきたいと思います。
  394. 古堅実吉

    ○古堅委員 大臣にお聞きし、お答え願いたいのですが、沖縄の基地の占める比重というのは、言われておりますように、もう全国一般とは話にならないほど大きなものがございます。ですから、そういう日米間の話し合いが進めば返還してほしいという期待感がありますから、極めて大きな関心を全県的に持たれます。ですから、今回の発表についても、そういう立場からのそれなりの大きな一定の期待を持たれながらの関心というものは強いと思います。しかし、本日この新聞に出ている範囲ということになりますと、一般的には期待外れということになりかねない。那覇軍港はどうなんだ、普天間基地はどうなんだということも含めて、こういう国際的な情勢のもとで日本政府がもっともっと県民、国民の立場から強力な折衝をしてほしいという強い期待を込めての要望が出ると思います。近く中間的な発表がされるということなわけですが、それに向けてさらに政府としての強力な折衝をすべきではないか、そのように考えておりますが、大臣の御意見を聞かしていただきたいと思います。
  395. 中山太郎

    ○中山国務大臣 沖縄における米軍基地問題、この基地をできるだけ縮小して早期に返還をしてもらいたいという沖縄県民の御要望は、私も沖縄開発庁長官を経験しておりますからよく存じております。この沖縄における米軍との交渉において返還ができるように私ども努力をしておりますし、これからも努力をしてまいる、こういう意味で、近く発表されるものにつきましても、それ相応の評価がいただけるものと考えております。
  396. 古堅実吉

    ○古堅委員 米ソ首脳会議が昨日から開かれております。日本・アジアの核兵器体制にかかわって我が国の立場もありますから大臣にお聞きしたいのですが、核兵器体制の日本・アジアにおける削減の方向への期待を持っておられるのか、あるいは現状維持か、あるいはもっと強化してほしいという立場からの関心を持っておられるのか、米ソ首脳会議にかける大臣の御意見を聞きたい。
  397. 中山太郎

    ○中山国務大臣 今回の米ソ首脳会談におきましては、大陸間弾道弾を含む核軍縮の問題、あるいは米ソの協力の問題、地域問題、いろいろと協議されるものと推測をいたしておりますが、私どもは、できるだけ核の削減、そして地域の安定のために米ソ首脳会談が一定の成果が得られることを期待しておるものでございます。
  398. 古堅実吉

    ○古堅委員 既に行われた米ソ間の外相会議の範囲では、核兵器の全廃の方向ではなしに、かなり大きな宣伝がされながらも、実際には戦略核兵器というものは、その何十%程度しか削減されないんだ、そういう実態になろうとしております。唯一の被爆国である日本として、核兵器というのは一発もないのがすべての人類の心からの願いだと思います。それにこたえるような努力をすべきだということを申し上げて前に進みたいと思います。  原子力発電とかかわって原潜の問題ですが、日本全体にかかわって原潜の寄港というのが非常に頻繁です。一九八四年六月から原潜に核トマホークが搭載されるような体制になりました。トマホークを搭載できる原潜が日本の幾つかの港に、そして沖縄にも寄港し続けています。  そのことにかかわってですが、一九八五年からことしの五月、昨日まで原潜の入港回数が全国では二百十五回、沖縄には三十六回です。そのうち核トマホークを積載できる軍艦は、全国には百二十六隻、沖縄には二十三隻。しかも沖縄への原潜の寄港がこの数年非常に多くなっています。八五年がゼロ、八六年が三隻、八七年が七隻、八八年が八隻、八九年が一隻、九〇年が四隻。これは核トマホーク積載可能な軍艦の寄港です。そうでないものも含めますと、八五年がゼロ、八六年が三隻、八七年が十隻、八八年が十一隻、八九年が三隻、九〇年が、昨日まで五カ月間で既に九隻が寄港しています。こういう事態というのは、沖縄の基地が、一面で部分的に遊休地が返還されるような方向にいきながら、機能としては強化の方向にあることがはっきりしております。  そこで、現地でもこういう事態というものは米原潜の母港化への方向ではないか、こういう声が聞かれます。こういうことにさせてはいかぬというように思いますが、米原潜の母港化ということはあり得ないということが言えるかどうか、そこについて外務省の見解を伺いたい。     〔園田委員長代理退席、委員長着席〕
  399. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、米国の原子力潜水艦の沖縄への寄港が増加していることは私ども承知しておりまして、ことしに入りましても、先生指摘のように、既に九回に及んでいると承知しております。これらの寄港は急病人の移送などの人道上の理由とか、あるいは休養、補給、維持を目的としたものであると承知しております。  いずれにしましても、この米国の艦船が米国に提供されております施設、区域に出入りすることは、地位協定上認められた米国の権利でございまして、それに基づいて沖縄にも出入りしているということでございまして、先生今御指摘の母港化云々という点に関しましては、私ども先生の御指摘は当たらないと考えております。
  400. 古堅実吉

    ○古堅委員 当たらないということは、母港化はあり得ない、そうおっしゃっていることですか。
  401. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 今申し上げたことの繰り返しになって恐縮でございますけれども、先ほど申し上げたような目的のために米国の艦船が沖縄のホワイト・ビーチに出入りしているわけでございまして、これは米国の地位協定上、第五条に基づく条約上の権利でございますということを繰り返し申し上げさせていただきたいと思います。
  402. 古堅実吉

    ○古堅委員 私が尋ねているのは、母港化の方向か、あるいはあり得ないという見解なのかということについてです。それを答えることができないということは、母港化もあり得るというふうに理解してよろしいですか。あえてお尋ねします。
  403. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 現時点におきましては、私どもは母港化の動きがあるとは承知しておりません。
  404. 古堅実吉

    ○古堅委員 将来はあり得るということですか。
  405. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 これも繰り返しになって申しわけございませんが、現時点ではそういうことは私ども承知していないということでお答えさせていただきたいと思います。
  406. 古堅実吉

    ○古堅委員 まことに許せません。こういうことに明確に答えられないということは、結局質問とのかかわりでいえば将来母港化への方向も考えておるということを思っておるということにほかならないと思うのですね。断じて許せないだけに、そういう方向への検討が仮にも外務省の中にあるということであれば、そういうことは直ちにやめるよう強く要求して、終わります。
  407. 柿澤弘治

    柿澤委員長 和田一仁君。
  408. 和田一仁

    ○和田(一)委員 きょうは大臣、大変お疲れのところをお帰り早々委員会で御苦労さまでございます。もうあと七時くらいまでですから、よろしくお願いしたいと思います。  大臣も国際会議等で各国首脳とお会いになられて、最近のサミット等での主要課題は、かつての東西対立の冷戦からこれがだんだん雪解けになり、緩和されて、軍縮問題はまだこれからの課題ですけれども、そういう方向から一転して、やはり南北問題が先進国としての大きな国際課題であると踏まえまして、先般、先週は向精神薬条約というのも承認されましたけれども、やはり地球全体、人類の問題が先進国家としての大きな国際課題になってきているというふうに感ずるわけでございます。  その一つに環境問題、世界の環境保全をどうしていくとか、これは大変大きくて大事な問題だと思います。いつまでこの限られた地球の上で人類が共存していけるか、そういうことを考えるとなかなか難しい問題ではございますが、当面いかにして我々先進国家が持てる科学技術の力を駆使して、この汚染され破壊されていく地球環境の寿命を少しでも長くしていくということに尽きるのではないか。やがてはエネルギー問題にしても、新しいクリーンなかわるべきエネルギー源というものを人類は手にすることができるものと思いますが、それまでどうやって食いつなぐか、これは人口増大問題と絡めて全人類の大変切実で大きな問題だと思うわけでございます。  そういう中で、きょうは日仏原子力協定の問題が論議されているわけでございますけれども、昨年のサミットでも、またことし七月のヒューストンへも大臣は行かれると思いますけれども、今申し上げたような中で、大臣として、この環境問題と絡んで、日本のエネルギーの需給をにらみながらどういう対応が世界に対して日本としては言えるのか、また約束してよろしいのか、こういうことについての大臣の御見解を伺いたいと思います。
  409. 中山太郎

    ○中山国務大臣 地球環境の保全という問題は、国の立場を超えて全人類的な課題であろうと思います。そして工業化が進む先進工業国が排出する公害、大気汚染あるいは水質汚染、いろいろな問題が起こっておりますし、また発展途上国では焼き畑農業といったようなことをその国の人たちが生きるために行っている。こういう地球環境を踏まえながら私どもは二十一世紀に向けてこの地球全体をきれいな環境の中に維持していかなければならない。そのためには先進工業国が持っている科学技術というものがいかに貢献をしていくか。こういう中でいち早く公害問題を経験した日本が蓄積した技術力あるいはまたこの経済力というものを地球のために提供していくということで、昨年アルシュ・サミットで、三年間に三千億円の資金を提供する、また技術も提供するということを国際社会に約束をしておりますし、国連におきましても、政府の演説の中に明確にそのことを主張しておりまして、今後とも私ども努力をしていかなければならない、このように認識をいたしております。
  410. 和田一仁

    ○和田(一)委員 海外先進国も同じ思いであるだけに、先進国の中には現に持っている原子力発電施設ももうやめようか、新しくつくるのはもちろんだけれども、今あるのでももう少し考えようとか後退の方向も言われておるわけでございますが、特にスウェーデンとかイタリア等では、そういう問題に対して大変敏感に反応しているようですが、世界全体のエネルギー問題の中で、こういった傾向について我が国としてはどうしていくのか、推進していこうとしているのか、やはり歩調を合わせていこうとしているのか、その辺は大臣、いかがでしょう。
  411. 中山太郎

    ○中山国務大臣 委員も御存じのように、石油、天然ガスにかわるエネルギーがどこでどのようにつくられていくかということについては、エネルギーがない日本にとっては一番大きな政策課題であろうと思います。例えば地熱発電あるいは潮力発電、風力発電あるいは核融合といったような次世代のエネルギーへの模索が続いておりますけれども、それが果たして経済的なべースに乗るか乗らないかという問題は、また別の問題として存在しているのではないか。我が国のようにエネルギー資源の乏しい国家においては、新しいエネルギーの開発に努力をする一方、現在の火力、水力あるいは重油による発電、それ以外に原子力発電というものが今日大きなウエートを占め始めている。ただし、我々の国は地震国でもございますし、導入した発電用の原子炉の安全運転をいかにやるかということで、原子力基本法に基づいて、日本における電力の確保とエネルギーの確保というものが避けて通れない問題ではないか、このように認識をいたしております。
  412. 和田一仁

    ○和田(一)委員 私も、スウェーデンのような国が一たん廃止の方向で合意しても、現実対応としてはやはりなかなか難しいという御説明も聞きました。ましてヨーロッパ等は比較的電力の融通が簡単にできる地理的条件がありますけれども、太平洋の真ん中にある我が国が、一億二千万の人口を抱えてこれだけの経済活動をして、国民生活もこれだけ豊かにやっている、よその国からちょっと足らなくなった電力を買おうというわけにはなかなかいかない環境にあるということは、もう確かなことでございまして、埼玉県よりちょっと多いくらいの八百万くらいの人口のスウェーデンと軌を同一にするわけにはいかない、私もそういう観点で考えております。  そういう観点からもいろいろこれから進めていかなければいけないのですが、今回の議定書の中で一つお尋ねしたいのは、我が国原子力エネルギーというものは、もう純粋に平和利用にしか考えておりません。そういう意味で、核物質の平和利用以外に何かやるのではないかというような注文はつけられるべきものでもないし、そんなことは全くない、こう思っておるのですけれども、今回、議定書の中では、平和利用目的から非爆発目的を新たに加えているわけなんですが、このようにこれを変えていかなければならなくなった理由等があったら教えていただきたい。
  413. 太田博

    ○太田政府委員 お答えいたします。  現行の日仏協定締結された昭和四十七年当時は、平和目的を担保するということで十分であったと考えられておりましたけれども、昭和四十九年、一九七四年にインドが平和目的と称して核爆発実験を行うに至りまして、単に平和目的を担保するだけではなくて、平和的と称しても、いかなる形の核爆発も禁止さるべきである、それが条約上担保されるべきであるという動きが国際的に見られるようになった結果、今回核爆発の禁止が明示されることになったわけでございまして、特に日本がどうこうということてはなくて、ただいま申しましたような国際的な動向が今回の日仏協定の改正にも反映されたということだと思います。
  414. 和田一仁

    ○和田(一)委員 先ほども私ちょっと触れて御説明を聞いたのですけれども、日本のエネルギー政策全体の中に占める原子力発電のウエートというものは非常に重いし、その原子力発電の中でもプルトニウムの核燃料サイクルというものは必要である、こういう御説明でした。ただ、それを将来にわたっての総合的なエネルギー計画の中で、それだけ重要な位置づけをしているのにもかかわらず、それを実施していくのに大きな障害になっているのは、どうもやはりプルトニウムは怖い、こういう非常に大きなハンデがございます。これは先ほどもちょっと御説明をいただいて、太田さんの御説明で大体わかったような気もしたのですけれども、とにかくわずか二キログラムで全人類ががんで死ぬとか、数グラムで一億人ががんになるとかいうような宣伝というか、そういう見解が表に出て、またマスコミがそれを大きく取り上げると、やはり非常に怖いと思うのですね。私どもはそういう点についてもうちょっときちっとした理解をしておかないと、これは大変なことになると思うのが一つ。  それから、輸送の問題が当面出てまいりました。九二年に輸送する、その輸送手段として空はやめよう、そして海で輸送しよう、こういうことになって以来いろいろなことが言われてまいりました。その中で、海で輸送するについては、今回は海上保安庁の船でこれを護衛する、こういうことで政府は決定をした、こういうふうに聞いております。それについて先般予算委員会で同僚議員も伺ってはいるのですけれども、一部報道で、アメリカの方からそれで大丈夫かという確認の話があり、もっときちっとしてほしいんだというような話があったやに報道されております。それに対しても、そういうことはないと予算委員会でははっきりと答弁をされました。そして、そのことについて、従来答弁のあったように、先ほどもありましたが、海上保安庁の船を今建造中、こういうことでございましたが、もう一回この点について、その通りなのかどうか、それで十分だとお考えなのかをまずお聞かせいただきたい。
  415. 太田博

    ○太田政府委員 プルトニウム海上輸送の護衛に関しましては、ただいま先生指摘のように、種々の報道がなされておりまして、その中には海上保安庁の巡視船を使用するという方針に対して、アメリカから同意ができないという通告があったというような報道もございましたが、このような報道は、前にも予算委員会で総理からもはっきり申されましたように、事実無根でございまして、アメリカからこのような申し出があったということはございません。  政府といたしましては、昨年の十二月十九日の関係閣僚会議の申し合わせに従いまして、プルトニウム海上輸送の護衛船として海上保安庁の巡視船を派遣するという方針で、ただいま先生からもお話がございましたように、既に予算的な手当ても講じられ始めているというのが現状でございます。
  416. 和田一仁

    ○和田(一)委員 毒性の問題はもうちょっと後にして、この輸送の問題ですが、そういう申し入れがあったということは全くないのですね。だとすれば、日本では相当有力な出版社の月刊雑誌に相当のページ数を割いて載っている記事も見ました。こういう事実を御承知のことだろうと思うので、その出版社に対して何らかの対応をなされたのでしょうか。
  417. 太田博

    ○太田政府委員 ただいま御説明いたしましたように、アメリカ側から海上保安庁の巡視船を使用するという方針には同意できないという通告があったというようなことを内容とする記事がございましたけれども、これは先ほど申しましたように、全くの事実無根でございましたので、この報道に対しまして外務省の方から、この雑誌を発行しております出版社に対しまして、この報道の当該部分は事実無根である、それのみならず、この記事には、そのほかにも事実に反する箇所が多々ございましたので、十分な事実確認もなく、このような記事が掲載されたことは極めて遺憾であるという申し入れを行うとともに、同出版社に対しまして抗議の投稿を行った次第でございます。
  418. 和田一仁

    ○和田(一)委員 そういう対応をなされたのならば、何らかの反応はあろうかと思いますけれども、前回の五十九年の輸送のときのアメリカの護衛の実態、それからフランス協力していただいた、そういう実態を説明していただくと、なるほど海上保安庁の護衛船では、護衛の姿勢としては大分軽いな、こういうふうな印象を我々が受けるのは間違いないのですね。五十九年のプルトニウム輸送民間の晴新丸一隻で行ったのだとするなら、これは別ですけれども、そうでなくて、それにはやはり米軍、仏軍の海軍がエスコートしていたということを考えると、その体制から見ると随分軽微な体制で構わないんだな、こう思うのですが、その点は大丈夫なんですか。
  419. 太田博

    ○太田政府委員 プルトニウム英仏からの海上輸送の問題につきましては、ただいま御指摘のありました一九八四年の晴新丸の際のプルトニウム輸送も参考にされまして、その経験も踏まえた上で日米間でプルトニウム海上輸送の際にどういう安全上の措置が講じられるべきであるかということについて協議が行われ、その結果が日米原子力協定の附属書にガイドラインという形で明確に規定された次第でございまして、このガイドラインといいますのは、詳細は省略させていただきますけれども、総合的な安全上の措置をとるということで、その一環といたしまして、プルトニウムを運ぶ船の護衛に関しましては、武装された一隻の護衛船をもって充てるということで、その護衛船に関しましては、海上保安庁の巡視船で任務を達成できるということについて日米間で共通の認識があるということでございます。
  420. 和田一仁

    ○和田(一)委員 それは一隻の護衛艦というふうに明記してあるのかということなんですね。私がしつこく聞いておりますのは、プルトニウム輸送が万が一核ジャックに遭ったときに、さっき申し上げたように、日本は平和利用の目的で扱っておりますけれども、核ジャックする人は、これをそうでない目的に使おうという意図があるので、厳重な防衛が必要なんだ、こう思うのですね。核ジャックして使うのでなく、ただ、これは怖いんだという心理的なおどしの材料にこういったものを使うということになると、これは毒性の問題だと思うのですよ。さっきも質問の中でございましたけれども、これがもし沈没したということになって、積んでいるプルトニウムそのものが欲しいんじゃないんだ、そういうものを運んでいるのを破壊して沈めるという行為が世界への大きなインパクトになるんだ、こういう目的でやられたとすれば、これはまた違うわけですね。そのときには、そんなものは、爆発の方にはいかない、もうどこへ沈んだか、衛星ですぐ所在ははっきりわかるのですからいいのです。それを沈船で引き揚げるかどうかよりも、それが拡散して、毒性が人類に大変大きな影響を与えるかどうか、そこが大変気になるのですが、その辺はどうなんでしょうか。さっき言っていた毒性というのは非常に怖いという先入主で考えると、沈んだだけでも大変なことになると思うのですが、いかがですか。
  421. 太田博

    ○太田政府委員 海上輸送されますプルトニウムの安全を確保するという観点から、どういう脅威が想定されるかということを検討するのは当然のことでございまして、一応アメリカ側との間には、テロリストによる襲撃、これを前提といたしまして、今後具体的にどのような脅威があり得るか、ただいま先生が御指摘になりましたような形の脅威も含めまして、具体的な脅威の分析をして、それに対応するのに十分な防護措置を講ずるということで、今後日米間で詳細な輸送計画というのを策定することになっております。  ただ、その想像される脅威を想定いたしまして、分析いたしまして、具体的な輸送計画を策定するわけでございますけれども、護衛する船につきましては、先ほど申しましたような形で、日米間に共通の認識がございまして、それを踏まえて、さらに具体的な安全措置、万全な安全措置を講ずる、そういうことになっております。
  422. 和田一仁

    ○和田(一)委員 時間が少なくなりましたので、余り細かいことは御質問できないので、大臣、今申し上げたように、やはり国際的に大変関心の高い物質を輸送するわけでございまして、これは我々がそのプルトニウムについて毒性を怖がるというだけではなくて、世界の人も同じようにそういう認識もあると思うのですね。それとこの物質が持つ爆発の方への転用、これも含めますと、この輸送は相当国際的には責任を持たなければいけない、こう思うのですね。万が一にも、さっき言ったように、この輸送中に、綿密な計画等これから検討するとおっしゃいますけれども、やはり相当うるさくチェックされるのではないかと思うのですよ。万が一、今の計画でいったら、そういった問題にいろいろな障害が起きたときには大変な国際的な信用問題になってくる、私はこう思うのですね。  大臣、この点については、国際法の中で認められている日本の自衛艦、海上自衛隊の自衛艦、これは軍艦なのですか。きょうは防衛庁の方は来てないと思うのですが、我々はそれはそう認めてなくも、国際的にはあの自衛艦が出ていった場合には、これは軍艦と認められるのでしょうか。それとも公船、いわゆる海上保安庁の持つ巡視船と同じような公船としか見ないのか。軍艦として認められれば、ここには主権が存在します。そして、これは他国の領海内でも臨検を受けることはございません。しかし、公船の場合は、その領海内における軍隊の阻止に遭えば、これはとまらなければなりません。そういうような基本的な性格の相違もあることを十分御承知の上、今国策的にこれは海上保安庁の船でよろしいとお考えになっているのかどうか、最後にお聞きして、終わりたいと思います。
  423. 丹波實

    ○丹波説明員 お答え申し上げます。  国際法上、用語の問題いろいろな使い方があるかと思いますけれども、海上保安庁の船も、一定の場合には武力というものを使って、その護衛をする行為ができるという意味では、自衛艦とその点は違わないというふうに考えます。
  424. 中山太郎

    ○中山国務大臣 今政府委員がお答え申しましたとおり、政府の考え方としては、一つの考え方を今お示ししたわけでございますが、いずれにいたしましても、先ほどからのお尋ねのとおり、プルトニウム輸送というものにつきましては、政府は重大な警戒をしなければならない、こういうことで関係諸国とも十分その運航については事前に綿密に協議の上、その運搬に当たりたい、このような考えでおります。
  425. 和田一仁

    ○和田(一)委員 大臣、お疲れさまでございました。きょうはこれで持ち時間が終わりましたので、また次の機会に譲らせていただきます。終わります。
  426. 柿澤弘治

    柿澤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時五分散会