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1990-04-18 第118回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年四月十八日(水曜日)     午前九時四十分開議  出席委員    委員長 上田  哲君    理事 北村 直人君 理事 鈴木 宗男君    理事 中川 昭一君 理事 中村正三郎君    理事 仲村 正治君 理事 上原 康助君    理事 沢田  広君 理事 玉城 栄一君       阿部 文男君    今津  寛君       上草 義輝君    金子 一義君       小林 興起君    塩谷  立君       鳩山由紀夫君    町村 信孝君       松浦  昭君    五十嵐広三君       伊東 秀子君    川崎 寛治君       五島 正規君    鍛冶  清君       古堅 実吉君    小平 忠正君  出席国務大臣         外 務 大 臣 中山 太郎君         国 務 大 臣          (総務庁長官) 塩崎  潤君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      砂田 重民君  出席政府委員         総務政務次官  虎島 和夫君         北方対策本部審         議官      鈴木  榮君         防衛庁参事官  村田 直昭君         防衛施設庁施設         部長      大原 重信君         沖縄開発政務次         官       宮里 松正君         沖縄開発庁総務         局長      藤田 康夫君         沖縄開発庁総務         局会計課長   山城  勉君         沖縄開発庁振興         局長      水谷 文彦君         外務政務次官  石井 一二君         外務省北米局長 松浦晃一郎君         外務省欧亜局長 都甲 岳洋君  委員外出席者         警察庁交通局交         通企画課長   賀来  敏君         防衛庁防衛局防         衛課長     萩  次郎君         環境庁水質保全         局企画課長   米澤 隆志君         外務省北米局審         議官      時野谷 敦君         文部省初等中等         教育局小学校課         長       近藤 信司君         厚生省健康政策         局指導課長   澤  宏紀君         水産庁漁政部企         画課長     田原 文夫君         運輸省航空局監         理部航空事業課         長       荒井 正吾君         運輸省航空局飛         行場部管理課長 橋本 雅之君         運輸省航空局管         制保安部管制課         長       下里  晃君         郵政省放送行政         局業務課長   長澤幸一郎君         建設省都市局街         路課長     荒木 英昭君         沖縄振興開発金         融公庫理事長  藤仲 貞一君         特別委員会第一         調査室長    寺田 晃夫君     ───────────── 委員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   平田辰一郎君     小林 興起君 四月十八日  辞任         補欠選任   今津  寛君     塩谷  立君   古賀  誠君     金子 一義君   藤原 房雄君     鍛冶  清君 同日  辞任         補欠選任   金子 一義君     古賀  誠君   塩谷  立君     今津  寛君   鍛冶  清君     藤原 房雄君     ───────────── 三月十三日  沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出第二〇号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出第二〇号)  沖縄及び北方問題に関する件      ────◇─────
  2. 上田哲

    上田委員長 これより会議を開きます。  沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。  沖縄及び北方問題に関する政府施策について、外務大臣総務庁長官及び沖縄開発庁長官から順次説明を求めます。中山外務大臣
  3. 中山太郎

    中山国務大臣 外務大臣に再任いたしましたので、一言ごあいさつを申し上げます。  まず北方領土問題について申し上げます。  今日、二十一世紀に向けて新しい国際秩序が模索される中で、日ソ関係抜本的改善は、日ソ二国間のみならず、アジア・太平洋地域の平和と安定の強化、さらには、東西関係の一層の改善観点からも重要な意義を持つと認識をしております。このような認識に立ち、戦後最大の懸案である北方領土問題を解決して平和条約を締結することを最重要課題として、日ソ関係を均衡のとれた形で拡大させつつ、その正常化抜本的改善を図るというのが、我が国基本的な考え方であります。  日ソ間においては、一昨年十二月以来平和条約交渉平和条約作業グループ等政治対話がかつてなく活発に行われております。これらの機会を通じ両国間では領土問題について真剣かつ粘り強い議論が行われておりますが、残念ながら、これまでのところ、領土問題に対するソ連側の実質的な立場には何ら変化は見られません。  しかしながら、国際情勢の大きな変化、また来年にはゴルバチョフ大統領訪日予定等、まさに今後の領土問題に関する日ソ交渉は正念場を迎えつつあると言えます。このような状況もと我が国としては、四島一括返還による領土問題の早期解決必要性ソ連側に対してこれまで以上に強く主張していく必要があります。このような観点に立って政府としても一層粘り強い対ソ交渉を行っていく所存であります。  このような粘り強い対ソ交渉を行っていくに際しては、何よりも揺るぎない国民世論の支援が不可欠であります。この意味において、北方四島の一括返還を求める国民世論日ごとに高まりを見せていることは、外交交渉に当たるものとして、心強い限りであります。政府としては、昨年四月の決議を初めとする累次にわたる北方領土問題解決促進に関する本委員会決議を踏まえて、ソ連との交渉全力を傾注する所存であります。  次に沖縄に関する事項について申し述べます。  日米安保条約に基づき我が国に駐留している米軍の存在は、我が国の平和と安全、並びに極東の平和と安全に寄与するものであり、政府としては、米軍施設区域の円滑かつ安定的使用確保は、日米安全保障条約目的を達成するために極めて重要であると考えております。  同時に、政府としては、米軍活動に伴う住民生活への影響が最小限にとどまることが重要と考えており、これまで種々の努力を行ってきたところであります。また、沖縄において米軍施設区域整理統合要望が強いことも十分承知しており、その一層の促進を図るため鋭意努力を払ってきているところであります。  政府としては、今後とも、安保条約目的達成地域住民要望との調和を図りつつ、沖縄における諸課題解決のため、なお一層の努力を払っていく所存であります。  最後に、外務大臣の重責を無事果たせますよう皆様方の御協力を切にお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。  ありがとうございました。(拍手
  4. 上田哲

  5. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 このたび総務庁長官を拝命し、北方対策本部長として、国民的重要課題であります北方領土問題の解決促進に取り組むこととなりました塩崎潤でございます。  北方領土問題について、所信一端を申し述べたいと存じます。  我が国固有の領土である北方領土が、戦後四十五年を経た今日もなお、ソ連占拠下に置かれ、いまだに返還の日を迎えないことは、まことに遺憾なことであり、この問題を国民の総意に基づき解決することは、国家の基本にもかかわる重要な課題であります。  最近、日ソ外相間定期協議の場で北方領土問題が議論され、北方領土問題を含め日ソ対話を継続発展させていくことについては、双方の意見が一致しており、また、ゴルバチョフ大統領訪日も予定されております。しかし、北方領土問題に対するソ連の態度は依然として厳しく、このような状況の中では、北方領土返還を求める国民世論を結集することが、従来にも増して重要になってきていると考えております。  去る二月七日の北方領土の日には、北方領土返還要求全国大会が、政府国会民間団体等代表を初め多数の方々出席もと開催されたほか、この日を中心に、全都道府県において、多彩な行事が繰り広げられました。また、北方領土返還を求める国民の署名が五千万人を超えたことにより、この大会において、新たに六千万人を目標とすることが決議されました。  全国に展開されているこの北方領土返還要求運動のさらに一層の推進を図るとともに、次代を担う青少年を含め積極的な啓発を進めていくことが、極めて重要であると考えております。  このような観点から、平成二年度予算においては、前年度に引き続き北方領土問題をわかりやすく解説したビデオ作成・配布するほか、新たに、北方領土ふれあいひろば開催計画するなど、各種啓発活動充実強化を図ることとしております。  また、北方領土隣接地域振興等基金造成については、依然として厳しい財政事情もとではありますが、十億円の補助金を計上いたしております。  私は、北方対策本部長として「北方領土問題等解決促進を図るための基本方針」に基づき、今後とも国民世論啓発、元居住者に対する援護隣接地域振興等施策を鋭意推進してまいる所存であります。  委員長を初め委員皆様方の御理解と御協力をお願いする次第であります。(拍手
  6. 上田哲

  7. 砂田重民

    砂田国務大臣 先般、沖縄開発庁長官を拝命いたしました砂田重民でございます。委員長初め、委員皆様方にはよろしく御指導、御鞭撻を賜りますよう、心からお願いを申し上げます。  続きまして、沖縄開発庁長官として、所信一端を申し述べます。  政府は、昭和四十七年五月の沖縄本土復帰に伴い、沖縄振興開発特別措置法を制定し、これに基づき、昭和五十六年度までを計画期間とする第一次沖縄振興開発計画を策定し、各分野における本土との格差是正沖縄自立的発展に必要な基礎条件整備とを図るため、各般施策を積極的に講じてまいりました。  さらに、昭和五十七年には、同特別措置法を十年間延長し、これに基づき、平成三年度までを計画期間とする第二次沖縄振興開発計画を策定し、現在、同計画もと沖縄振興開発を鋭意推進しているところであります。  沖縄本土に復帰してから、十八年近くが経過したのでありますが、この間、県民のたゆまざる御努力もあり、立ちおくれの著しかった社会資本整備が大きく前進するなど、沖縄経済社会は総体として着実に発展してまいりました。  しかしながら、水の確保の問題など生活産業基盤の面でなお一層の整備を要するものが多く見られるとともに、産業振興や雇用の問題など解決を要する多くの課題を今なお抱えております。  沖縄開発庁におきましては、このような沖縄の現状に関する認識の上に立ち、本土復帰後十八年の間に達成された成果を踏まえ、各般事業推進しているところであります。平成二年度におきましても、残すところ二年となりました第二次沖縄振興開発計画に基づく諸事業の着実な推進を図り、地域特性を生かした振興策を展開するため、所要予算額確保したところであります。  また、今後の沖縄振興開発をどのように進めていくかを検討することが重要な課題となっていることから、これまで沖縄振興開発計画に基づき実施されてきた諸施策事業全般について広く総点検を行うとともに、沖縄振興開発総合調査を鋭意実施しており、沖縄振興開発審議会においても二次振計後の沖縄振興開発あり方について調査審議が進められているところであります。  さらに今国会では、沖縄における産業振興開発促進するため、沖縄振興開発金融公庫に新たに社会資本整備事業立ち上がりを支援する融資制度、高度で新しい技術研究開発資金融資制度を創設するために沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案を提出いたしているところであります。  沖縄は、現在、その特性を積極的に活用しつつ、南における国際交流拠点形成国際的評価にたえ得るリゾート地域形成、特色ある産業振興を図り、さらに一層活力と魅力に富んだ地域として、自立的発展を図っていくための基盤を強固なものにする上で重要な時期を迎えております。  私といたしましては、今後とも、沖縄県の実情、沖縄県民の御意向を十分に踏まえながら、県及び県民と一体となって沖縄振興開発に積極的に取り組んでまいる所存であります。委員長を初め委員皆様の一層の御理解と御協力とをお願い申し上げまして、私の所信といたします。(拍手
  8. 上田哲

    上田委員長 この際、外務政務次官総務政務次官沖縄開発政務次官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。石井外務政務次官
  9. 石井一二

    石井(一)政府委員 このたび外務政務次官に就任いたしました石井一二でございます。  中山大臣を補佐いたしまして、微力ではありますが、職務を全うするため全力を傾ける所存であります。  北方領土問題に関しましては、北方四島の一括返還を実現し、平和条約を締結することにより、ソ連との間に真の相互理解に基づく安定した関係を確立するとの基本方針にのっとり、さらに粘り強い外交努力を続ける所存であります。  また、沖縄においては、日米安全保障条約目的達成のために緊要な米軍施設区域安定的使用周辺住民生活との調和を図りつつ、沖縄の諸問題の解決のため努力していく所存であります。  本特別委員会委員方々の御指導、御鞭撻と御協力をお願いいたしまして、就任のごあいさつとさせていただきます。(拍手
  10. 上田哲

  11. 虎島和夫

    虎島政府委員 このたび総務政務次官を拝命いたしました虎島和夫でございます。  北方領土問題の解決国民的重要課題でありますので、塩崎長官もと、誠心誠意努力してまいる所存でございます。  委員長初め委員皆様方の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手
  12. 上田哲

  13. 宮里松正

    宮里政府委員 このたび沖縄開発政務次官を拝命いたしました宮里松正であります。  砂田長官もと総務庁長官の御指導をいただきながら、沖縄振興開発推進全力を傾注してまいる所存であります。  委員長初め委員先生方の御指導、御鞭撻のほどを心からお願い申し上げて、ごあいさつといたします。(拍手
  14. 上田哲

    上田委員長 次に、沖縄及び北方関係予算について順次説明を求めます。山城沖縄開発庁総務局会計課長
  15. 山城勉

    山城政府委員 それでは、お手元配付資料に基づきまして、平成二年度沖縄開発庁予算について、その概要を御説明申し上げます。  沖縄開発庁予算総額は、二千四百九十九億八百万円で、前年度予算額に対し、一〇〇・九%となっております。  その内訳を申し上げますと、まず、沖縄振興開発事業費につきましては、残すところ二年となった第二次沖縄振興開発計画に基づく諸事業の着実な推進を図り、地域特性を生かした振興策を展開する重要な時期に当たることから、所要予算額確保したところであり、前年度予算額に対し、一〇〇・七%の二千二百八十七億百万円となっております。  沖縄振興開発事業費内訳は、治山・治水対策事業費道路整備事業費港湾・漁港・空港整備事業費農業基盤整備事業費等を主な内容とする公共事業関係費二千百三十七億八千六百万円、公立学校施設整備費等内容とする沖縄教育振興事業費百四億一千百万円、保健衛生施設等施設整備費等内容とする沖縄保健衛生等対策諸費十一億六千六百万円及びウリミバエの根絶等目的とする植物防疫対策費等内容とする沖縄農業振興費三十三億三千八百万円であります。  特に、一、水資源開発、二、農林水産業振興基礎条件整備、三、道路港湾空港等交通体系整備、四、住宅、上下水道、公園等生活環境施設整備教育振興保健衛生対策等につきまして配慮をいたした次第であります。  次に、沖縄振興開発事業費以外の一般行政経費等について申し上げます。  第一点は、離島の特性を生かした観光開発を進めるとともに活力ある地域社会形成に資するための経費として沖縄コミュニティ・アイランド事業費五千万円を新たに計上しております。  第二点は、第二次沖縄振興開発計画以降の振興開発あり方の検討に資するための沖縄振興開発総合調査費一億九千万円を前年度に引き続き計上しております。  第三点は、首里城城郭等復元整備不発弾等の処理、対馬丸遭難学童遺族給付経費等いわゆる沖縄の戦後処理問題の解決を図るために必要な経費として、五億四千九百万円を計上しております。  第四点は、沖縄振興開発金融公庫に対し、その業務の円滑な運営に資するための補給金として、百三十六億一千三百万円を計上しており、これらの経費を含めた一般行政経費等総額は、二百十二億七百万円であります。  なお、同公庫平成二年度における貸付計画は、NTTの株式売り払い収入を活用した無利子貸付金を含めて、一千四百七十五億円、また、地場産業振興のための出資計画は、三億円を予定しております。  以上、平成二年度沖縄開発庁予算概要について御説明申し上げました。
  16. 上田哲

  17. 鈴木榮

    鈴木(榮)政府委員 それでは、お手元配布資料に基づきまして、平成二年度総務庁北方対策本部予算について、その概要を御説明申し上げます。  平成二年度の総務庁北方対策本部予算は、十六億五千八百万円、前年度予算に比較して四千七百万円の増となっております。  その内容を申し上げますと、1の北方対策本部に必要な経費九千百万円は、北方対策本部人件費一般事務費であります。  2は、北方領土問題対策協会補助に必要な経費で、五億六千七百万円を計上しております。内容は、備考欄にありますように、(1)の北方対策事業費四億五千万円、(2)の一般管理費一億一千六百万円、(3)の予備費百万円となっております。(1)の北方対策事業費内容といたしましては、①から⑦に示してございますが、まず、啓蒙宣伝関係費として七千二百万円を計上しております。これは、パンフレット等作成、広告塔の設置、北方領土を目で見る運動実施等各種啓蒙活動に必要な経費であります。  次の返還運動関係費は、返還要求運動の盛り上がりを図るため実施する国民大会県民大会開催地域における返還運動強化に必要な経費等で、六千五百万円を計上しております。  次に、国民世論基盤整備関係費一億三千二百万円でございますが、これは、返還要求運動定着化を図り、息の長い国民的運動推進を図っていくための経費であります。その内訳として、前年度に引き続き、全国青年フォーラム開催青少年向けブロック単位での啓発事業北方領土問題をわかりやすく解説したビデオ作成配布等青少年北方領土問題についての正しい認識理解を深めるための事業を行うとともに、新規の啓発事業として北方領土ふれあいひろば開催に必要な経費等を計上しております。このほか、国際シンポジウム開催返還要求運動推進基盤である県民会議運営等に必要な経費であります。  次の推進委員関係費一千八百万円は、地方における返還要求運動中核的役割を果たしている各都道府県推進委員啓発活動を行うために必要な経費を計上しております。  また、団体助成関係費二千七百万円は、青年婦人団体代表現地研修等に必要な経費であります。  さらに、調査研究関係費五百万円は、北方領土問題に関する資料収集及び調査研究に要する経費であります。  次に、貸付業務補給費等援護関係費一億三千百万円でありますが、これは、北方領土問題対策協会北方地域漁業権者等に対してその営む事業資金生活資金低利融資に必要な利子補給及び管理費補給等に要する経費であります。  最後に、3の北方領土隣接地域振興等基金造成に必要な経費でありますが、これは、北方領土問題等解決促進のための特別措置に関する法律に基づき北海道が設置した北方領土隣接地域振興等基金造成に対し、国からその経費の一部を補助するものであります。  現在、同基金規模は、七十五億円となっておりますが、平成二年度には、十億円の補助額を計上しております。  これにより、平成二年度の同基金規模は、総額八十七億五千万円となる見込みであります。  以上が平成二年度総務庁北方対策本部予算概要であります。  よろしくお願いいたします。
  18. 上田哲

    上田委員長 委員長から一言申し上げます。  沖縄開発庁長官所信に対する質疑は、理事協議により、一般質疑機会を後刻速やかにかつ十分に用意することとし、本日は、後日に譲ることになりました。  よって、本日は法律案の審査を進めます。      ────◇─────
  19. 上田哲

    上田委員長 内閣提出沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、趣旨説明を聴取いたします。砂田沖縄開発庁長官。     ─────────────  沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  20. 砂田重民

    砂田国務大臣 ただいま議題となりました沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  沖縄振興開発金融公庫は、日本開発銀行、国民金融公庫住宅金融公庫等七つの国の政策金融機関が行っているそれぞれの業務を、沖縄県において一元的に行う総合公庫として、沖縄本土に復帰いたしました昭和四十七年五月に設立されて以来、産業開発に必要な資金等を融通することにより、沖縄における経済振興及び社会開発に寄与してまいったところであります。  政府は、沖縄本土に復帰して以来、沖縄振興開発を図るため、第一次及び第二次の沖縄振興開発計画に基づき、鋭意、各般施策を進めてきているところでありますが、沖縄における産業振興開発をさらに促進するため、沖縄振興開発金融公庫産業開発資金の拡充を図る必要がありますので、ここに、この法律案を提出することとした次第であります。  以下、この法律案につきましてその概要を申し上げます。  第一に、沖縄県における民活法、リゾート法対象事業のような社会資本整備事業は、立ち上がり期における事業者初期負担が大きく、民間金融のみでは適切な対応が困難な場合が多いことにかんがみ、産業振興開発に寄与する設備主務大臣の定める事業の用に供される場合には、当該設備取得等に関連する事業に必要な人件費賃借料などの資金の貸し付けを行うことにより、こうした事業立ち上がりを支援することができることといたしております。  第二に、産業構造知識集約化情報化に伴って、技術開発国民経済的重要性が増大していることにかんがみ、産業振興開発に寄与する高度で新しい技術研究開発等に必要な研究者等人件費試験材料費技術導入費などの資金を貸し付けることができることといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  21. 上田哲

    上田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  22. 上田哲

    上田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仲村正治君。     〔委員長退席、上原委員長代理着席〕
  23. 仲村正治

    ○仲村委員 ただいま議題となりました沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案に対する質疑を行いたいと思いますが、先ほど砂田大臣から所信の表明がございましたので、御就任に当たっての御決意のほどをまずお尋ねをしたいと思っております。  何はともあれ、砂田大臣のこのたびの御就任を心からお祝い申し上げたいと思います。そして、大臣は政務極めて御多端の折にもかかわりませず、御就任早々沖縄を訪問なされて県民各界各層の御意見をお聞きになられたことは、まことに意義深いことであると心から敬意を表する次第でございます。  特に、沖縄が二十七年間米国の支配下にあって、何としても祖国復帰を図らねばならないということで、昭和四十七年五月十五日に復帰を達成したわけでございますけれども、この復帰を進める上で大変重要な役割を果たされた当時の総理府総務長官山中大臣と相協力されて、副長官として大変適切な復帰の対策をお立てになった方が、このたびまた沖縄の担当大臣として御就任なされたことは、非常に意義深いことでございます。そして、沖縄県も今、五月十五日で復帰満十八周年を迎えようとするところでございますけれども、その間、一次振計、二次振計、極めて順調に推移してきたところでございますけれども、このたび砂田大臣が沖縄担当大臣として御就任をなされて、これからの沖縄問題のお取り組みについてまず御決意をお尋ねしたい、このように考えているところであります。
  24. 砂田重民

    砂田国務大臣 仲村委員にお答えを申し上げます。  沖縄開発庁長官を拝命いたしまして二カ月近くなるわけでございますが、その任務の重大さを痛感いたしておりますことを、まず申し上げておきたいと思います。  仲村委員のお話にございましたように、昭和四十七年、あの沖縄復帰の当時に、当時の担当大臣でございました山中長官を補佐いたしまして、総務副長官として復帰の仕事に携わった経験のあります私といたしましては、先般国会のお許しをいただきまして、土曜、日曜を利用して沖縄にとりあえずのごあいさつに伺ってまいったわけでございます。復帰当時に心からこいねがいました沖縄の持ちます特殊事情の克服、本土とのいろいろな面での格差の解消、そういうことを念頭に置きながら、特別措置法を大変な苦労をして取りまとめて今日に至ったわけでございます。特別措置法に基づく第一次、第二次の振興計画実施とともに、県民皆様方のたゆまざる大変な御努力と相まちまして、相当な国費を投入することができました。社会資本整備の面では、本土との格差を相当克服することができてきたわけでございます。  しかし同時に、あの復帰の当時にこいねがいました水の確保の問題でありますとか、新しい産業の展開、発展の問題でありますとか、基地問題の解消の問題でありますとか、こういった幾多のことが今なお残されておりますことを、先般沖縄へ伺って皆様方の御意見を伺い、目にし、耳にし、そのことをもう一度改めて痛感して帰ってきた次第でございます。沖縄の自立的な発展のための基礎整備に向けて、これからも沖縄振興開発全力を挙げて、平和で明るい活力ある沖縄県づくりに県民の皆さんとともに邁進をしたい、かように決意をいたしておりますことをお答えとしたいと思います。
  25. 仲村正治

    ○仲村委員 ただいま大臣から大変力強い御決意の表明がございましたが、おっしゃるとおり、確かに復帰十八年、政府の積極的な施策の展開と財政の投入によりまして、一次振計、二次振計を通じて社会資本整備は目覚ましく充実してきたような感じがいたすものであります。道路港湾や空港やあるいは学校、農業の土地基盤整備等々目覚ましく発展をしてきておりますけれども、大臣もおっしゃいましたように、今なおやはり格差が存在する、そしてまた産業基盤整備が遅々として進まない、そのために失業率もいつも五%の高水準を推移している。それに加えて、先般経企庁から発表されておりましたけれども、県民所得の面でも、これは一九八七年、東京が三百四十四万一千円、沖縄県が百六十八万八千円、東京の四九%にしか当たらぬわけです。これはいろいろ土地の値段とかそういったものも含まれておりますので、一概に県民経済に直接そのとおりあらわれているものかということは疑問に思うところではございます。しかし、経済の指標とするのは一人当たりの国民所得でありますので、そういう点からすると今なお沖縄県にはいろいろな格差が存在しているということを考えまするときに、一次振計、二次振計をどのように総括、点検をして、その次の計画を立てていくべきか、こういうことを今私たちも盛んに模索しているところでございます。  それでは沖縄にはそういう可能性はないのかということを考えるときに、あれだけ暖かい気候を持つ、それで地理的に優位な条件にある、島嶼性という特殊な自然環境を持っている、こういう条件を生かしさえすれば必ず全国の中で経済的にも文化的にも望ましい地位の確保ができるのじゃないか、こういう考え方を持っているところでございます。  今、二次振計、八年目でございますけれども、これをどのように総括、点検して、皆さんが平成元年度から沖縄振興開発の総合調査費を計上されて、ことしも引き続きその調査に取り組んでいかれるところでございますけれども、いわゆるポスト二次振計、私は三次振計と申しましょう、それを策定されるおつもりなのかどうか。その点について、まず二次振計の評価と、それの次なる計画についてのお取り組みをお聞かせいただきたいと思います。
  26. 砂田重民

    砂田国務大臣 沖縄本土復帰をいたしまして以来十八年近く、この間、県民皆様方の大変な御努力と相当な国費の投入と相まちまして、学校教育施設を初め交通通信施設生活環境施設整備は大変大きく前進をしてきております。本土との格差は次第に縮小されてまいっておりまして、沖縄経済社会は総体としては着実に発展をしてきた、さように認識をしております。  しかしながら、水の確保の問題、生活産業基盤の面では整備を要するものがまだ多くございます。お話にありましたような所得格差、失業率の本土との差、このような問題が現実にあるわけでございまして、産業振興や雇用の問題など解決しなければならない多くの課題を抱えておりますことは、仲村委員の御意見のとおり私も認めております。沖縄開発庁といたしましては、二次振計に沿って残る二年の期間沖縄振興開発全力を挙げてまいる所存でございます。  また、沖縄の将来はあるかというようなお話でございましたけれども、沖縄の将来に明るい希望と期待を確信を持っておりますのは、仲村委員の御発言と同様な気持ちを私も持っております。  ポスト二次振計の取り組み状況については、現在沖縄開発庁でこれまでの振興開発の現状と課題を明らかにするために、平成元年、昨年から沖縄振興開発の総合調査を実施してまいっておりまして、諸施策事業全般にわたって総点検をただいま実施中でございます。さらに、沖縄振興開発審議会においても専門委員会を設置していただきまして、その審議会でも調査審議を進めていただいているところでございます。また、沖縄県においても、市町村と協力をなさりながら、また県の審議会等にもお諮りになりまして、二次振計の総点検を進めておられるところでございます。  今、三次振計というお話がございました。政府部内ではまだ沖縄県の御意向も御意見も承っていない今日の段階でございますから、政府部内で三次振計という言葉は使われてはおりませんが、私はあえて三次振計に向かってその準備を進めてまいりたい、開発庁の長官としてはさように考えているところでございます。  次期振興開発計画について、今申し上げましたような検討結果や県のいろいろな御調査、御意見等を踏まえて判断をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  27. 仲村正治

    ○仲村委員 一次振計の延長として二次振計が今策定され推進されているわけでありますけれども、先ほども申し上げたように、本土との格差是正あるいは経済の自立基盤整備等々まだ達成されていない面がありますので、やはり二次振計の延長として三次振計の策定を図るべきだ、私たちこういう考え方に立っておるわけでございます。先ほど長官から、その考え方で次の計画を進めていかれる力強いお答えをいただきまして、本当に感謝にたえないところであります。  それでは議題に戻りますけれども、沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案が今回提出されたわけでございますけれども、沖縄振興開発金融公庫法それから沖縄振興開発特別措置法沖縄開発庁設置法、これは沖縄の復帰三法ということで、今日までの沖縄施策を進める上で重要な役割を果たしてきたわけでございます。その一つの法案であります沖縄振興開発金融公庫法の一部が改正されるわけでございますけれども、政府の立場として、今日までこの公庫法の果たしてきた役割、そしてまた、その中で今までの資金量がどの程度になっているのか、また皆さんが貸し付けた事業そのものの成果、いわゆる追跡調査などがどのような形でなされているのか、この点についてまずお尋ねしたいと思っております。
  28. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 それでは私から、まず先生が御質問の沖縄振興開発金融公庫法と申しますか、金融公庫がこれまで十八年間どういう役割を果たしてきたか、こういう点についてお答えをさせていただきたいと思います。  先生御案内のとおり、昭和四十七年に本土への復帰に当たりまして、当時政府といたしまして沖縄の特殊事情を踏まえて、まず先ほどお話がございました沖縄振興開発特別措置法等三法を制定をいたしまして、沖縄振興開発の向かうべき方向と基本施策を示す沖縄振興開発計画の策定と、沖縄の実情に即した特別の助成、振興措置等を講じたところでございます。  沖縄公庫でございますが、この沖縄地域振興施策の一翼を担います国の政策金融機関として設立をされたところでございまして、沖縄振興開発計画で示されました基本施策を金融面から推進する役割を担う、こういうこととなったわけでございます。  沖縄公庫でございますが、先生御案内のとおり、本土におきます一銀行五公庫等の貸し付けを担当する業務を一元的に行ってございまして、昭和五十三年度以降出資業務が追加になっておるところでございます。また、沖縄公庫地域特性とか県民、企業のニーズに対応した資金の供給が可能になるよう、貸付条件あるいは貸付制度の面で沖縄の特殊性に応じた特例措置を実施をいたしておりまして、昭和六十三年度までに約一兆七千億円の貸し付けを行っておるところでございます。  先生御案内のとおり、復帰後、住宅等急速に改善を見ておることも公庫が一つの大きな役割りを果たしておる証左ではないかと思っておるところでございまして、沖縄における経済振興社会開発に大いなる寄与をしてまいった、かように考えておるところでございます。
  29. 仲村正治

    ○仲村委員 今御説明があったとおり、確かに私もそのように沖縄公庫が大変な役割を果たしてきた、これは評価をいたしておるところでございます。しかし、中には資金融資をしても余りうまくいってない事業もあるわけでございます。特に農漁業関係ではそういった点が顕著にあらわれているような感じがいたしますけれども、そういった面の状況はどうなっているのか。中には回収が非常に困難な状況にあるものはないのかどうか。その点について御説明をいただきたいと思います。
  30. 藤仲貞一

    藤仲説明員 まず沖縄公庫の最近の業務運営状況につきまして、総務局長の御答弁を補足させていただきます。  御案内のとおり我が国経済が内需主導型の非常に息の長い拡大を続けております中で、沖縄経済も観光関連あるいは建設投資の伸びを中心にして順調な拡大を続けております。  このような基調のもとで当公庫の貸付実績も大変顕著な拡大を示しておりまして、平成元年度の、これは貸付実績と申しましてもまだ概数というぐあいに御承知をいただきたいのですが、この内容を御報告いたしますと、産業開発資金におきまして三百六十六億円、中小企業等資金におきまして四百二十四億円、住宅資金におきまして六百七十五億円、農林漁業資金におきまして五十二億円、医療資金におきまして三十八億円、環境衛生資金におきまして二十三億円、合計千五百七十八億円という貸付実績となっております。  これは前年度に比べますと二百六十八億円、二〇・五%の大幅な増加でございます。主として産業開発資金、住宅資金が伸びたことによるものでございますが、その他の資金についてもおおむね好調な実績となっております。  この平成元年度の実績をもとにして申し上げますと、公庫創立以来の出融資額の累計は、平成二年三月末におきまして一兆八千九百億円、残高が九千二百二十億円に達しておる状況でございます。  平成二年度の計画につきましては、元年度に引き続きまして好調な資金需要の増加が見込まれるところでございますので、平成元年度当初予算に比べて百十三億円増の千四百七十五億円の事業計画を予定しておるところでございます。  これを資金別に申し上げますと、産業開発資金が三百五十五億円、中小企業等資金が四百四十五億円、住宅資金五百四十億円、農林漁業資金九十億円、医療資金二十五億円、環境衛生資金二十億円となっております。  ただいま御質問にございましたように、その中で私どもも大変残念に思っておるのでございますが、農林漁業関係の貸し付けがここのところずっと低調に推移しておる実情にございます。これは、沖縄県の農林漁業経営を取り巻く状況は、これは私から申し上げるまでもなく仲村先生よく御案内のとおり、まず農業につきましては、パイナップル等農産物の輸入自由化など一般に厳しいものとなっておりますし、漁業につきましても、二百海里規制などによりまして経営環境は厳しさを増しておるというのが偽らぬ現状でございます。そういうことから、農林漁業関係でうまくいってないのが多いのではないか、たしかこういう御指摘かと存じますが、確かにそのとおりでございまして、貸し付けの実績も各資金の中では一番伸び悩んでございますし、また、元金の延滞も大きい、こういう実情にございます。  なお、そういう延滞債権についてどういうことを公庫としてやっておるか、あるいはこういう御質問かと拝察いたしますけれども、私どもは延滞元金はここのところ幸いに毎年減少を続けてございます。その数字を申し上げますと、六十二年度末が三千三百六十九件、百十五億円、昭和六十三年度末が三千四百七十四件、百二億円、平成二年二月末では三千三百三十二件、百二億円、こういうように減少は続けておるわけでございまして、この二月末の貸付残高に占めます延滞元金比率は一・一%でございます。これは、過去におきまして延滞率の最も高かった昭和五十二年度末の四・一%と比較いたしますと三分の一以下に低下しておる、こういう状況でございます。  その延滞債権の回収についてどうしておるのか、先生こういう御質問かと存じますが、私どもも、延滞債権の回収に当たりましては、当該企業の実情というものを十分に把握しました上で、企業の再建が可能と判断されるものにつきましては、貸付条件の変更であるとか経営面の指導助言などを行うというようなことで配慮をいたしております。もとより、担保処分等により回収を図らざるを得ない場合もございますけれども、私どもは、まずは企業の再建支援に取り組む、こういう考え方のもとで対処しているところでございまして、今後ともこういう方針でまいりたい、かように考えております。
  31. 仲村正治

    ○仲村委員 今回この新たな融資制度を創設するために法改正をされるわけでございますけれども、皆さんの概要説明からいたしますと、研究開発資金融資制度本土では昭和六十年度に改正されておりますね。それから、立ち上がり支援資金融資制度平成元年度、昨年度、制度化されているわけでございますが、沖縄公庫法で導入がおくれた理由は一体何であったのかということについてお伺いをしたいと思います。
  32. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 先生から、今回二つの資金立ち上がり支援資金研究開発資金本土で日本開発銀行ではそれぞれ昭和六十年度ないし平成元年度から実施しているのに沖縄でおくれた理由はどうか、こういう御質問でございます。  沖縄公庫でございますが、政策金融の面から沖縄経済振興とか社会開発を図ることを目的といたしておりまして、先ほど申し上げましたとおり、本土政府系金融機関の一銀行五公庫等の業務に相当する業務を一元的に行っております。したがいまして、従来より本土公庫等に設けられております新しい融資制度沖縄にそういう事象が予想される場合には、沖縄公庫業務範囲に対応するものについて同様の措置を講じてきておる、こういう経過がございます。  それで、先ほど申し上げましたとおり、今回の法改正の対象資金、いずれも昭和六十年度、平成元年度に日本開発銀行で創設されたものでございますが、その当時いずれも沖縄において資金需要が具体的に想定されなかった、こういうことで制度改正を見合わせてまいったところでございます。しかしながら、最近相次ぎまして、例えば多ち上がり支援資金で申し上げますと、臨海開発とかリゾート開発、こういう動きが具体化してまいっております。また、研究開発資金につきましても、融資対象となるような新技術開発とか情報処理のシステム化の動きが出てまいっております。したがいまして、こういった制度が適用されないことによって沖縄振興開発がおくれることのないように今回法改正をお願いいたしまして創設をしたい、かように考えておるところでございます。
  33. 仲村正治

    ○仲村委員 先ほども御指摘申し上げましたように、日本開発銀行では研究開発資金融資制度昭和六十年度、それから立ち上がり資金が昨年度ということになっておりますけれども、例えば研究開発資金融資制度、この場合の対象研究開発等の中で情報処理とか高度化とか通信システム、こういうものがあるわけでございますけれども、これは、それと同時に、この立ち上がり資金の問題についてもリゾート関係の企業がなかったわけではないわけですが、そういう点でちょっと取り組みがおくれたんじゃないかという感がいたします。その点についてはどうでしょう。
  34. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 先生の御指摘は、リゾート開発沖縄は進んでいるじゃないか、今回平成元年度から本土に適用しておるのに乗りおくれるんじゃないか、こういう御質問ではないかと思うわけでございますが、今回、例えば立ち上がり支援資金で対象を予定いたしておりますのは、リゾート関係でございますとリゾート法対象事業、こういうことで主としてNTTのCタイプ事業を全体として考えておるところでございます。現在、沖縄県におきましては、リゾート法につきまして基本計画をつくりまして各省と重点地区、整備地区、その他の構想について協議をしておる段階でございまして、起点になるのは平成二年度以降、こういうことになるわけでございまして、今回この法改正をしていただければ、それが一年おくれたことによって沖縄が適用が不利になることはなかろうと考えておるところでございます。また、研究開発資金につきましても、高度で新しい技術の研究開発とか情報処理システムでございまして、設備投資とあわせて非設備資金ということでございます。最近になりましてこういう該当事業が出てまいっておるところでございまして、今回ぜひお願いをいたしましてさきの先生の御懸念の本土から沖縄が取り残されることのないようにさせていただきたい、かように考えておるところでございます。
  35. 仲村正治

    ○仲村委員 これは、ぜひそういうふうな立場から迅速に対応していかれるようにと考えているところであります。皆さんの概要説明からいたしまして、私は、もっと早く改正すべきじゃなかったかなという感じを持っておったものですから、その点をお尋ねした次第であります。  きょうは、前の理事会で申し合わせた中で、法案に関連した一般的な質疑をしていいということでございますので、その点お許しをいただきたいと思っております。  まず、沖縄米軍基地の整理縮小の問題でございますけれども、日本全国の面積は三十七万七千七百八十一平方キロ、沖縄県は二千二百五十三平方キロ、これは全国の〇・六%であります。そういう中に在日米軍基地の七五%が沖縄に存在することは極めて不合理である、県民の負担過重であるとたびたび私たちは指摘をしてきたところでございます。しかもこれが日米安保条約関係なく、占領時代にできたものである、そういうことで、この整理縮小を今まで機会あるごとに求めてきたわけでございますけれども、今、世界の情勢は、従来の米ソ大国を頂点としての冷戦構造から、これが終結する時代に入ったわけでございます。アメリカのチェイニー国防長官も、この三年以内に在日米軍を一〇%削減する、こういうことも言っているわけでございますが、その中にあって、政府として、在日米軍基地、特に沖縄の、偏った一地域国民に負担をかけている状態を考えて、米軍基地の整理縮小に積極的に取り組まなければならない、こういうように考えるところでありますけれども、政府の御見解をお尋ねしたいと思います。
  36. 時野谷敦

    ○時野谷説明員 ただいま先生御提起になりました、沖縄県におきますところの施設区域の問題についてお答えを申し上げます。  先生ただいま御指摘になりました、沖縄におきますところの基地が占める比重が非常に高いという問題、あるいはそれに伴いますところの地元社会に対する負担の問題、そういう状況につきましては、私どもも十分日ごろ認識をさせていただいているつもりでおりますが、そういう観点も踏まえまして、沖縄におきますところの施設区域整理統合問題、これにつきましては、現在日米合同委員会の枠組みの中におきまして、かねて日米安全保障協議委員会で了承をされておりました施設区域整理統合計画のうち、いまだ実施されるに至っていないもの、及び沖縄県知事がアメリカ政府に対して御要望になりました施設区域返還要望、こういうものにつきまして現在検討を行っているところでございます。私ども、米側ともに意味のある成果を得たい、こういうことで鋭意協議検討を行っている次第でございます。現在のところ、どういう成果を得られるかということを申し上げる段階には至っておりませんけれども、私どもできる限り努力をいたしまして、早期に具体的な成果を得るように努めてまいりたいというふうに考えております。
  37. 仲村正治

    ○仲村委員 先ほども指摘いたしましたとおり、沖縄米軍基地というのは日米安保条約に基づいてできた基地ではないわけです。占領時代つくられたものが沖縄の復帰のときに核抜き本土並みというような形でそのまま継続されているような状況でございまして、これは、民間の至近距離で実弾射撃演習をするとか、今ごろ都市型訓練施設をつくるとか、こんなこと全く許される問題じゃないと私は思うわけであります。  そういう中にあって、遊休の施設というのが幾らでもあるのですよ。こういったものを放置して、そのままアメリカの顔色を見るというようなことでは、これは今日の世界の情勢が許さないと思うのですよ。そういう意味で、政府は積極的にこの米軍基地の整理統合、これを図っていくべきだと私は思います。その点についてもう一度、ひとつお願いします。
  38. 時野谷敦

    ○時野谷説明員 先ほど申し上げましたとおり、沖縄の地元社会におきまして問題とされているところ、ただいま先生が御指摘になったような状況、そういうものは私ども十分承知をさせていただいていると思っておりますが、ただいまの先生の御指摘も踏まえまして、引き続き整理統合につきまして努力をさせていただきたいと存じます。
  39. 仲村正治

    ○仲村委員 県民米軍の基地の整理縮小を求めている中で、世界の潮流に逆行するようなことを沖縄駐留米海兵隊司令官が言っているのです。ヘンリー・スタックポール、この人が、十年間は恐らく米軍の縮小はないだろう、こういうことを言っているわけです。これは時代錯誤も甚だしいと思うのですが、その理由として、アメリカが日本に駐留するというのは日本の再軍備を防止するためである、こういうことを言っているわけですけれども、これについてどのようなお考えをお持ちですか。
  40. 時野谷敦

    ○時野谷説明員 ただいま先生御指摘の発言につきましては、新聞で報道されましたところを私ども承知をいたしておりますが、この点につきましては、報道がなされましたときに、ワシントンにおきまして国防総省のスポークスマンが、報道に言われているがごとき発言というのは、チェイニー国防長官あるいは米国政府の見解を反映したものではないということを明確に述べている次第でございまして、私どもも、伝えられる発言がアメリカ政府の見解を反映しているようなものではないというふうに考えております。
  41. 仲村正治

    ○仲村委員 これは、一駐留軍の司令官の発言といえども軽視するわけにはいかない。やはりアメリカ人の心の中にそういう気持ちがある。これだけ日米安保条約を通じて日米間の信頼関係を築き上げた中でこんな発言をされるということは、これは許される問題ではないと私は思います。こういう点については、ひとつ強い姿勢で臨んで日本の立場を明確にしていただかなければならない、こういうように考えているところであります。  そこで、那覇空港の中に自衛隊が弾薬庫を建設する問題についてお尋ねしたいと思いますが、御承知のように那覇空港は年間約四万一千回航空機が着陸しているのです。一日に百機以上の航空機が着陸している。こういうように非常に離発着の頻度の高い空港でありますゆえに、そういう地域に弾薬庫をつくるということになりますと、これは住民感情として果たして大丈夫なのかなという気持ちを持つわけでございますが、その点について、この安全性の面、そこにつくらなければならない理由について、ひとつ御説明いただきたいと思います。
  42. 村田直昭

    ○村田政府委員 先生お尋ねの自衛隊那覇基地に弾薬庫をつくる、その理由及び安全なのかどうかという点について、御説明をいたして御理解を得たいと思います。  現在、政府としましては、我が国が平時から保有すべき防衛力の水準を定めた防衛計画の大綱に従いまして、この水準の達成を図るということを目標として、平成二年度まで、いわゆる今年度までの間、中期防というものをつくりまして、それを着実に実施しているところでございます。  中期防におきましては、継戦能力の向上あるいは訓練等に必要な弾薬の備蓄を推進する、いわゆる正面兵力を備えてもそれに必要な弾薬等が補完されていないというような状態をなくすために、今のような必要な弾薬の備蓄を推進することとしておりまして、このための弾薬保有能力を向上する必要があるということで、全国各基地で弾薬貯蔵所を整備してきているところでございます。  現在那覇基地に配備されております部隊が同じように任務を遂行するためには、必要な弾薬類を貯蔵する火薬庫が極めて不足している状態にありますので、今回那覇基地に火薬庫を建設する必要が出てきたということで、元年度予算で火薬庫三棟の増設が認められまして、整備に着手しているところでございます。  ところで、安全性でございますけれども、火薬庫の建設計画につきましては、火薬類取締法令あるいは建築基準法等の関係法令を満足した構造、配置、保安距離等を確保するようになっておりますが、この点については既に通産省の承認を得ており、安全性に問題はないものと考えております。  なお、建設後の管理面におきましても、自衛隊によって厳重に保安管理、運用が行われるという点でも安全性について確保されておる。また、自衛隊の保有する弾薬はもともと衝撃的な場面で使うわけでございまして、大砲等で撃つというような場面で使うわけでございますから、一般の火薬類に比べ衝撃等に対して格段の安全性を持たせているということで、かつ、保管に当たりましても容器に厳重に収納するというような特別の配慮を行っており、安全性についても確保されているというように考えております。  以上述べましたような防衛上の必要性があり、また、火薬庫の安全性についても私ども確信を持っておりますので、ぜひひとつ御理解を賜りたい、このように考えております。
  43. 仲村正治

    ○仲村委員 私はその弾薬庫をつくるところから直線距離一キロぐらいのところに住んでおりますので、もし危険があれば一番真っ先にその被害を受けるのは私だと思いますけれども、一番大事なことは、私は、皆さんはちゃんと那覇市の建築確認もとって既に着工されているわけでありますから、これは消防法あるいは火薬取り扱い諸法令に適合した形での建築確認だと思いますので、それはそれなりの安全性が確保されているものとは思いますが、ただ、貯蔵量によって民間の他の施設からの距離というものが制限されているというようなことを聞いております。そうしますと、今国道三百三十一号線バイパスの東側は土地区画整理が進められて、近い将来バイパスの近くまで全部民間の建物ができるような感じになるわけですね。そうしますと、皆さんの貯蔵量との関係でその距離はどうなるのか、十分その安全性の確保はできるのかどうか、その点が心配でありますので、その点についてもう一度ひとつお願いいたします。
  44. 村田直昭

    ○村田政府委員 今先生お尋ねの保安距離の問題でございますけれども、現在私どもが申請をしておりますものは、現在のいわゆる物件、家屋でありますとか道路でありますとか、そういうものを対象として申請をして貯蔵弾薬量を承認いただいておる、こういう状況でございますので、仮に将来新たなる物件等がつくられるというような状態になります場合には、火薬類取締法令に基づきまして所要の措置をとる。すなわち、新たな物件を踏まえた上での貯蔵量の変更というようなことによって対処するという考え方でおります。
  45. 仲村正治

    ○仲村委員 この点については十分安全面を留意されて、万が一でもその周辺に被害が起こるようなことがあっては、また、その弾薬庫そのものの事故が起こるようなことがあってはならない、こういうように考えておりますので、その点は十分ひとつ注意を払っていただきたい、こういうことを特に指摘をしておきたいと思っております。  沖縄県においての自衛隊の急患空輸任務というのは非常に重要な役割を果たしているところでございます。御承知のように、離島僻地が多いためにやはり無医地区が多いんですね。そういう関係もあって、復帰後恐らく自衛隊の急患輸送は三千回くらいに達しているのではないかと私は思っております。それだけやはり県民から自衛隊のこの任務については非常に感謝をされているところでございますが、たまたま二月十七日、宮古島で急患が発生をいたしまして、午前一時二十分ごろ那覇空港から飛び立っていったわけです。それが自衛隊の乗員三名、添乗医がお一人行って、そのまま事故が発生したわけですが、どこでどういう形で発生したかわからぬというような状況で、長い間その捜索を続けていたわけでございますけれども、ようやくその機体らしきものを海底に発見をいたしまして、二十一日にこの機体の引き揚げをする、こういうことになっているようでございますが、本当に遭難された方々にとって大変な痛ましい事故であって、心から遭難者の皆さんにお見舞いと御冥福をお祈り申し上げたい、こういうような感じでございます。ただしかし、この事故が発生したために、せっかく添乗医制度を設けておったものが、恐らくお医者さんの立場としても、こんなに危険な仕事にという気持ちが起こってくると思う。これは、急患輸送というのは瞬時を争う業務でありますので、何としてもやはりお医者さんが同乗していただかなければその任務の十分なる達成は果たせないというような感じからいたしまして、この添乗医制度を継続してもらわなければならない、こういうように私は考えますけれども、これについて、これは厚生省がお答えするのですかね、ひとつよろしくお願いいたします。
  46. 澤宏紀

    ○澤説明員 御質問にお答えいたします前に、今般患者搬送に向かわれる途上で事故に遭われた医師及び自衛隊員の方々並びにその御家族の皆様方に対して、心よりお見舞い申し上げますとともに、救急医療への御貢献に対し厚く感謝するものでございます。  さて、離島におきます医療の確保につきましては、僻地保健医療計画に基づき僻地中核病院、僻地診療所の整備充実に努めてきたところでありますが、これら医療機関では対応が困難な重症の救急患者につきましては、ヘリコプター等により設備体制の整った病院へ搬送する必要があるわけでございます。このため、昭和六十二年度から第二次救急医療体制の中でヘリコプターに添乗する医師の確保を図り、機内において早期に必要な処置を行えるようにする観点から、万一の事故に備え添乗する医師等の災害補償の保険料を国が助成するヘリコプター等添乗医師等の確保事業を実施しているところでございます。沖縄県においても、これを受けて事業を実施してきているところでございます。  厚生省といたしましては、今後とも本事業推進を図っていくとともに、沖縄県における離島の救急医療を確保するため、医療機関及び関係者の協力を得て事業推進をお願いしたいと考えているところでございます。
  47. 仲村正治

    ○仲村委員 これはまず一番大事なことは、宮古病院というのは沖縄県における拠点的な県立病院ですから、そういう地域に脳外科の医者がいなかったということが問題。それで、それなりの機器が恐らくなかったのではないか、こういう点が感じられますので、これはこの拠点病院にそれなりの医師の配置をするということ、それなりの機械の設備をするということがまず大事です。そうすれば、別にお医者さんを同乗させなくてもいい、また救助に行かなくてもいい、こういうことが考えられますので、その点をまず充実していただきたい。  これは開発庁の方からひとつお答えをいただきたいと思いますが、厚生省、この点は非常に重要な問題でありますので、やはり医師会の方々ともよく話をしていただいて添乗医制度が続けられるようにお願いをしておきたいと思います。
  48. 水谷文彦

    ○水谷政府委員 ただいま御指摘がございましたように、今回の事故は脳外科の患者を宮古島から沖縄本島へ輸送する際に生じたものでございます。また、平成元年度中の宮古から本島への急患の搬送実績を見ますと、四十二人のうち三十五人が脳外科の患者でございました。そうしますと、ただいま御指摘いただきましたように、宮古の本島にそうした脳外科の施設を持つことがまずは急務であろうと考えます。そうしたことから、県においても今そういったことの対策をお立ていただいておりますし、私どもも県と御相談しながらそれに対して的確に対応できるようにさせていただきたいと考えている次第でございます。  また、全体の急患輸送の問題でございますけれども、制度が発足しました直後にこうして起こった極めて残念な事故でございます。私どもも、この制度がぜひとも必要であり、これが円滑に運用されますように、県の御要望も聞きながら、また関係省庁にも積極的にお願いをしてまいりたいと考えております。
  49. 仲村正治

    ○仲村委員 確かにこれは第一義的には県の仕事でありますので、県の方で取り組んでいただかなければなりませんけれども、それについては開発庁としても可能な限りの支援をしていただきたいというふうに御要望を申し上げておきたいと思っております。  次に、糸満地区のマリノベーション構想についてお尋ねをしたいと思っております。  昭和六十年、政府が提唱し、地区指定をしたマリノベーション構想は、我が国の水産業の直面する厳しい現状から脱皮して、我が国沿岸及び沖合水域の総合的水産業開発の展開を図ろうということだと思います。それを受けて糸満市も昭和六十二年に地区指定を受けたわけでございまして、大々的にその事業推進のアドバルーンを上げてきたわけでございますが、私は先般、糸満市の担当の職員を呼びまして、このマリノベーション構想という事業の進展状況について聞いたところでございます。このように非常に夢のようなバラ色の絵を描いているわけです。浮き魚礁をして魚が集まってきて、本当に手づかみのできるくらいの夢のような絵を描いているわけでございますが、ではどれだけの仕事をしているかと聞きましたら、全く予算がついておりませんということでございますけれども、このマリノベーション構想について、どのような計画で、どういうこれからの推進の御方針をお持ちであるのか、お尋ねしたいと思います。
  50. 田原文夫

    ○田原説明員 お答えいたします。  マリノベーション構想につきましては、ただいま先生が御指摘になりましたようなことで、具体的には昭和六十三年度から全国四十地域ということで地域指定いたしまして、それぞれ自分たちの御発案のもとに、水産業を核といたしましたいろいろな施設整備を行っていただくという全体的な基本計画、これはマスタープランというふうに称しておりまして、ただいま先生が掲げられましたものがそのマスタープランということで、全体的な将来の希望と申しますか、基本計画ということで作成していただいているものでございます。  これに対します支援といたしましては、私どもはまず基本計画の策定に対します事務費の助成、あるいは策定しました後の計画管理と申しますか、全体的な進行管理のための助成といったことを基本としつつ、また水産庁関係では、漁港関係事業でございますとか沿岸漁場の整備開発関係事業でございますとか、いろいろな施設整備関係の助成がございますけれども、こういった事業につきまして、マリノベーションに基づく基本計画を策定した地域予算の重点配分を行うとか優先採択を行うということで支援しているところでございます。  具体的には、計画が策定されたばかりということでございまして、どういったものをどういった順番でやっていくかということ等につきましては、今後私どもといたしましても、県それから地元の糸満市等を中心といたしました二市三村、こういったところの御意向等も踏まえまして、具体的な、先ほど申し上げました漁港関係事業でございますとか沿整関係事業でございますとかといったものが着実に進展していきますように、今後とも十分に相談しながら援助させていただきたい、かように考えている次第でございます。
  51. 仲村正治

    ○仲村委員 糸満といえば沖縄で漁業の中心になる町であります。市としても、今後とも漁業を中心にして町づくりをしていこうということが市の政策の柱になっているような状況でございますので、指定をした以上、やはりそれなりの支援をぜひしていただいて、事業に対する積極的な取り組みをしていただきたいというように思うわけであります。  これは水産白書の中で見たのですが、平成二年度で五地区に二十億三千万円つけるということでございますけれども、五地区といいますと約四億円ぐらいの平均になるわけですが、これはどこを予定しているのか、また、糸満市にそういう形での計画をするとなるといつごろの予定であるのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  52. 田原文夫

    ○田原説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘になりました事業は俗にふれあい漁港漁村整備事業と申しておりますもので、ただいまの国会で御審議いただいております平成二年度の予算におきまして新規事業ということで取り組んでいるものでございます。御指摘のように、全国五地区、四年間程度は行いたいということで、現在予算案には盛り込まさせていただいているところでございます。したがいまして、具体的にどの地域でどういうふうにやっていくかということは、予算案が成立しました段階におきまして、先ほど地域指定は六十三年度全国四十地域指定しているというふうに申し上げましたけれども、その後、平成元年度が八地域、それから平成二年度七地域、合計五十五地域になりますが、そういった地域の中でこの新しい事業も取り込みたいという御希望をお伺いいたしまして、順次この事業の対象地区ということでさせていただきたい、かように考えている次第でございます。
  53. 仲村正治

    ○仲村委員 もう時間がありませんので、最後に、先島地区の民放テレビ施設整備についてお尋ねをしたいと思います。  今宮古、八重山ではテレビはNHKしか見られません。NHKはNTTの海底ケーブルを利用して放送しているわけですけれども、民放二社はその海底ケーブルを利用するとなると一年間一億円ぐらいずつ負担しなければいかぬということで、どうしても引き合わない。こういうことで宮古、八重山地区には民放は届いていないわけです。今ごろこれだけの情報化時代に民放が見られないということは大変な問題だと思っているわけでございまして、私もたびたびこの点を指摘しているところでございますけれども、郵政省としてこの問題についてどのように取り組んでいかれるのか、また、開発庁としてのそれに対するお考えがあるのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思っております。
  54. 長澤幸一郎

    ○長澤説明員 御指摘のとおりの事情でございます。それで、私どもといたしましては、難視聴を解消するための沖縄本島と先島地区との間の放送番組の伝送設備及び先島地区の島々を結ぶ中継局を設ける必要があるわけでございます。それで、これらの建設及び維持に要する経費というものは、御指摘のとおり大変多額でございます。これを沖縄の民放各社が負担しなければならないという問題がございます。したがって、私どもとしては、これをどのような方法によりますればより小さな経費負担で済むのかということなどを中心といたしまして、その実現の可能性について具体的に検討をしてまいりたい、かように考えております。
  55. 仲村正治

    ○仲村委員 具体的に検討をなさるということでございますが、先ほども指摘をいたしましたように、今どきこれだけの情報化時代にテレビ放送が見られないということは、これはもう教育、文化の面での大変な問題だと思います。そういう意味で、私は可能な限り――皆さん検討を進めておられるということでございますので、大体いつごろまでにその結論が出るのか、その点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  56. 長澤幸一郎

    ○長澤説明員 できる限り早くしたいと思いますが、いろいろ経費の負担の問題あるいは方法の問題、具体的に詰めて、民放に負担してもらえるのかどうかというところまで詰めなければならないわけですから、できるだけ早く、早ければ一年以内にも、遅くても二年以内には結論を出したい、このように考えております。
  57. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 郵政省の方から検討して二年くらいをめどに結論を出したいというお話でございます。その検討の結果、私のところでお手伝いするものがございましたら積極的に対応してまいりたい、かように考えております。
  58. 仲村正治

    ○仲村委員 時間が参りましたので終わります。どうもありがとうございました。
  59. 上原康助

    ○上原委員長代理 沢田広君。
  60. 沢田広

    ○沢田委員 大臣おめでとうございます。  大臣が沖縄を担当するということになりまして、沖縄は県ですから地方自治体、こういうことになるわけですが、地方自治体の上に国があえて沖縄の担当大臣を置いた、そういう意味と役割は何であると御認識をなさっておられるか、その見解をまずお聞かせをいただきたいと思います。
  61. 砂田重民

    砂田国務大臣 これはもう御承知のように、日本国の中で沖縄県のみが大変な戦闘のもとに置かれた。とうとい生命を多数官民ともに失い、このような不幸な状態にあった沖縄のそのような事情、そしてまた昭和二十六年のサンフランシスコ平和条約が締結されましてから、このような貧乏から抜け出そう、真の独立をかち取ろうと、本土では全国民が一斉に大変な意欲を持って働き出したわけでございますけれども、四十七年までの間、長い間外国の施政権下に置かれて本土との隔絶状態にあった沖縄、このような特殊事情を勘案をいたしまして、四十七年の五月十五日に沖縄の復帰を目指して復帰の準備に取りかかりましたときに、やはりそのような沖縄の特殊事情、沖縄が持っております本土との大変な格差というものを克服して真の自立的な明るい豊かな沖縄県というものを創設していくために、やはり政府として特段の努力が必要であるという認識もと沖縄担当の大臣というものを設置されたものと理解をしております。
  62. 沢田広

    ○沢田委員 私もちょうど五十一年ですが、国会に来ました。その翌年、地籍法を本会議でやったときに、それぞれ資料も調べさせていただきました。この間、沖縄北方領土委員長を仰せつかって、この問題で議論をするというのは、いろいろ意見は持っていましたが、大蔵の方が多かったので、大蔵も十何年やっていますから、大蔵の方でも議論はやりましたが、ここの委員会でやるのは初めてと言ってもいいのであります。  非常に初歩的な質問で申しわけございませんが、私も三カ月か四カ月しかならないのですが、内地というのか、国内というんですか、本土から沖縄に行く人は一年間大体どのくらいか。大臣は見当つかないかもしれない、おおよそでいいのですが、感覚的に言ってみてもらって、専門的な数字でなくていいのですよ。大体どのくらい行っているのかなと、ちょっと頭の中をよぎったら。別にこれで権威を失墜するとかなんとかという問題じゃないですから、どの程度動いているのかなと。局長が答えるなら専門的でしょうから、局長が答えてください。大臣いいですよ。
  63. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 正確な数字を覚えておりませんけれども、観光客という形で統計は出ておりますが、それによりますと平成元年で大体二百七十万。それ以外にビジネスその他の用で行かれる方があると考えられますので、かなりの方が本土から沖縄を訪れていらっしゃる、こういうことかと思っております。
  64. 沢田広

    ○沢田委員 私も知事にお会いいたしましたときに、沖縄がこれから何で県の特性を出していくのかあるいはどういう県の長所というものをつくっていくのか、ビジョンというものをお伺いしました際にも、言うならばやはり第三次産業的なものにウエートを置く県とならざるを得ないでしょう、そういう見解を述べられました。それで私も、そういうことであれば相当な水の使用量というものを考えなければならぬし、かんがい排水も下水道も、同時に飲料水も皆、海に出てしまえば戻らないのでありますから、当然水資源というものが重要な資源の一つになります、そのためには今から準備しなくちゃならぬでしょうという話をしました。大臣がいみじくも、そのことが重要な一つの役割だというふうにおっしゃっておられました。その前提として、運輸省にも来てもらっておりますが、今沖縄へ行くのには航空運賃は幾らかかるのですか。
  65. 荒井正吾

    ○荒井説明員 東京-沖縄でございますと片道で三万四千九百円になっております。
  66. 沢田広

    ○沢田委員 北海道は、千歳になりますが、幾らかかりますか。――私の方も調べてあるからいいです。どの程度理解してくれているかなと思って聞いただけの話ですから。  北海道が二万三千八百円なんですね。それで、大臣、さっきも言ったように大体二百七十万人くらいの人が行くわけです。列車で、船で行くと、鹿児島からさらにかかります、六万円くらいかかるのですね。ですから空港を持たないところから行くとするとさらに金額が多くなる。これじゃハワイヘ行った方が得だ、こういうことをだれしも考えてしまう。ですから、そういうことから考えて、沖縄の復興なり活力なりを生み出していくためにはやはり航空運賃を下げてやる。沖縄の学生さんは国会図書館も使えないのですからね。国会図書館に来て勉強しようと思ったって、おっくうというよりも、まず金がないですよね。帝国劇場で見られるかといったらこれも見られないですね。ですから、同じ日本国民でありながら相当な格差をつけられているということだけは間違いのないことなんです。だから、それを運賃の方で便宜を図って一万円程度安くして、そして往復を楽にするということになればやはり、経済的な活力あるいは文化的な活力、そういうものにも波及をすると思うのです。まず交通の便というのが最低限必要な要素だと思う。今ここで運輸省なり大臣がどう答えられるかわかりませんけれども、まずその部分を下げることによって沖縄の入り口を楽にしてやるということが必要なのじゃないのか。我々こういう同じところにいる人ではわからない一つの感覚だと思いますので、大臣、もしお答えいただければ、これは運輸大臣とも相談しながら、あるいは全日空や日本航空その他国内航空とも話し合いながら政治的な料金というものを若干つくってもいいのではないか。最悪の場合としても、組まれた予算の中で不用額がそのくらい出ているのですよ。総理府の方の通算のところでいけば大体一億出ているのです。一万円くらいの補助を出しても十分間に合うのではないかというような感じもしますし、運輸省でも決算の上では百四十一億ぐらい不用額を出しているのだ。だから、そういう不用額をそういうところに、例えば国会議員の乗車証、幾ら出しているか中身はわからないけれども、乗車証を買って発行しているのと同じように、そういう沖縄県民なり北海道も同じなのですが、ある程度国家的な補助をしながら、会社も努力してもらって半分ぐらいに下げられる、そういう方法を考えることがまず第一ではないか、こう思うのですが、それぞれ御回答いただきたいと思います。
  67. 砂田重民

    砂田国務大臣 端的に同感と申し上げればいいのですが、いろいろな問題を抱えていると思います。東京-札幌と東京-那覇間の運賃のことをお話しになりましたけれども、キロ当たりにいたしますと沖縄の方が安くなっているわけでございます。そうはいっても、沖縄県の西銘知事とお話しになったことを沢田委員がお話しになりましたけれども、今大変周到な準備を県が進めておられまして、リゾート開発に真剣に取り組んでおられるわけでございます。  ただ、観光開発というのは沖縄県にとどまっているわけではございませんで、国民所得のこれからのあり方、労働時間の短縮等を考えてまいりますと、二十一世紀を目指して日本全国的にリゾート開発気分が巻き起こっていると申しますか、沖縄県もそういうリゾート産業を育成していくについても、国内各方面と、あるいはもっと申し上げれば外国とも相当な競争を覚悟してまいらなければならないと思います。そういう意味で、東京-那覇間の航空運賃が今なお単価が高い、やはりこれを下げていただくことも沖縄のこれからの産業発展のために大変重要な要素であろうと思いますので、沢田委員の大蔵委員としての御経験からの、今の何か直接余剰金と結びつけてのお話がございましたけれども、そういうことが可能であるかどうかはちょっと定かではございませんが、国内と沖縄との間の運賃をなお一層下げていただけるように航空会社にもまた運輸大臣にも私からも要請を続けてまいりたい、かように考えているところでございます。
  68. 荒井正吾

    ○荒井説明員 航空運賃につきまして沢田先生かねてから大変博識でお詳しいところでございますが、運賃を下げるという方向につきましては、運輸省もそういう方向で頑張っていきたいと常日ごろ考えておるところでございます。  それで、今先生申されました普通運賃の比較でございますが、もう先生は御承知のことでございますけれども、今大臣からの答弁の一部にございました東京-那覇が一番需要が多い路線でございます。普通運賃につきましてはよくキロ当たり賃率の比較をされるわけでございますが、現在キロ当たり二十・一円ということになっておりますけれども、たまたまこれは全国で一番安いキロ当たり賃率になっておりまして、東京-札幌でございますと二十五円、平均値に近いものでございますが。あるいは東京-鹿児島で二十六円、似たような距離の福岡-札幌で二十六円という並びになっております。(「北海道が一番高い」と呼ぶ者あり)これはたまたま北の方が高いということで、南北格差ということでこのたび運賃の値下げを二十七路線で北の方を中心にいたしたところでございます。(「それでも高いんだよ、まだ」と呼ぶ者あり)北の方は南北格差というのは北が高いとおっしゃいまして、南の方は南北格差というのは南が高い、両方……
  69. 沢田広

    ○沢田委員 はい、わかった、時間がないから。  例えば我々が朝の通勤電車に乗って、スチュワーデスなどいないですよ、車掌もいないくらいだ。肌を寄せ合い、ひしめいて通勤しているのだ。だから、何も沖縄と北海道だけは特別待遇でなくても、立ち見席というわけにはいかないだろうけれども、少なくともそのぐらいの人件費をある程度削減して、通勤みたいにいす席を多くして、そのかわりスチュワーデスは乗せないというようなことも考え合わせながら、何も同じ旅客で遊覧で行くという前提でかからないで、我々の通勤電車と同じ仕組みで、通勤のつもりで考えていけば、麗々しくやらなくともいいのじゃないのかという気もします。  もっと少し合理的に考えて、ハワイヘ行くとか、アメリカへ行くとか、パリヘ行くとかいうのじゃないのだから、同じ国内で旅行をするという意味なんだから、普通の生活者がちょっと一万円ぐらいで行けるというのがやはり国内の政策の一つだと思うのだね。やはり遠いものがそれだけ意識して被害を受けているというものもあるわけですから、それを同じような平等の権利を確保するためには、ある程度遠距離逓減法で安くして、東京にも出入りができるという一つの条件をつくっていくことが、やはり隣人愛を育てていく道につながると思うのです。そんなしゃくし定規なキロ数など、そんなもので言っているようでは、あなた日本人じゃないよ。  だから、そういうことで、もう少し幅の広い考え方で、一万円で沖縄からも来られるのです、北海道からも来られるのです、そういうふうな政策がとれなかったら、これは政治家じゃないのだから。あなた政治家じゃないのだからしょうがないけれども。大臣はそんな意味で考えてもらいたいと思うのです。首を縦に振っているから、これは速記録の関係上、そういうことで検討してもらう。  あなた、何か答えるか。では、今のひとつ答えてみてください。
  70. 荒井正吾

    ○荒井説明員 一つだけ、先ほど先生おっしゃいましたように、観光と入り込みで地域振興というのは大変有益な考えだと思っております。  それで、実は普通運賃はなかなか体系論的に勉強せねばいかぬところがあるのですが、パック運賃というのがございますけれども、団体・包括は三五%割引可能になっております。それをなるべく利用して、例えば北海道では雪まつりのイベントが盛んになりまして非常に旅客がふえてきております。ああいうような地域のイベントなりアトラクションと一緒にパックでいろいろ運賃を安くするというのも一つかと思っておりますが、私どもも一緒に地元の方と考えていきたい一つの道だとも思っております。
  71. 沢田広

    ○沢田委員 我々定期のパスで乗れば、六カ月を買えば大体二カ月と十日くらいの通常の運賃で乗れるようになるんだね。一カ月の分でも大体十五日間の分を支払えば乗れるようになるのですね。ですから、回数券も同じようにその程度の割引率があるわけだし、あなたは三五%などと言ったけれども、そんなものじゃないですね。今の旅客の輸送というものを考えていくとその程度の割引になっているのだから。それは月に五回も十回も行く人がいれば、一万円ぐらいになればもっと多く行くかもしれませんよね。ですから、そういうことによって割引率を高めていくという方法もあるということをひとつ念頭に置いて、三五で得々としているのじゃなくて七〇ぐらい引く、こういうことを発想を転換してやってください。これはお願いだけしておきます。  それで、大臣、私はちょっと地域の、先ほどの同僚議員からの質問の中でいろいろありましたが、これを言っていると時間が足らなくなりそうですから、後で大臣のところへお届けしますから、こういう資料があるのだということをひとつ沖縄の長官として見てもらって、我々が沖縄を見るという場合に、例えば預金高はどうなのかなとか、あるいは生産率はどうなのかな、あるいはまた教養、娯楽の面はどうなのかなというようなことを見ますよね。やはりその点で低いということだけは間違いないのですね。ですから、そういうものをどうやって格上げするかというのを、私は、今のまず出入りが自由になってみんなが行ける、そういう形をとることによってその前進を図りたい、こういう意味で申し上げたわけなんです。  それから次の問題で、文部省に来てもらっていますから。沖縄は戦後の復興の後で日の丸の思い出とか君が代の思い出というのはいい思い出を感じる人は少なくて、我々もそうかもしれませんが、憎らしいというか、連想するものはいい思い出は出てこないですね。沖縄の人は皆そういうふうに感じているだろうと思うのです。だからそういう立場で見ると、今の文部省の指導要領の問題ですが、私の方の質問はそこから進めますが、指導要領は法律的拘束力を持つという見解はいつ決めましたか。     〔上原委員長代理退席、委員長着席〕
  72. 近藤信司

    ○近藤説明員 学校教育は公の性質を有するものでございますから、全国的に一定の教育水準を確保し、全国どこにおきましても同水準の教育を受けることのできる機会国民に保障することが要請されていると考えておるところでございます。学習指導要領につきましては、学校教育法に基づきまして、文部大臣が教育課程の基準として定めているものでございます。これにつきましては、そういった学校教育法に基づき、告示という形式で定めているものでございますから、法的拘束力を有する、かように解釈をしておるところでございます。
  73. 沢田広

    ○沢田委員 法律的拘束力を持つと言ったのはこの間の最高裁の、福岡の言うならば教員の運動の結果として判決にあったと解して、なぜ「的」という言葉を使っているのですか。これがまず質問の一つ。どうして法律的と言っているのですか。それからもう一つは、法律的であるとするならば国会審議をして議決を経るべきである。それはかわる旗がないんだから当分しょうがないとは思いますよ。嫌だったら違った旗をつくればいいんだから、それは別なんですが、当分そのことを私は否認をしようとは思ってはいません。しかし、こういうものは自然に懐くものであって、強制すべきものでないというのが私の主張の原点なんです。やはり忌まわしい思い出もあるわけですから、腹巻きに巻いていって鉄砲の弾が当たっている思い出もあるわけですから、そういうようなことであえて強制すべきものでないと私は主張しているのですが、今も言った「的」というのはどこから出てきた「的」なんですか。向こうのアメリカの敵を言っているわけじゃないのでしょうが、「的」という言葉の出てきた語源をちょっと言ってください。
  74. 近藤信司

    ○近藤説明員 学習指導要領は、学校教育法並びに学校教育法の施行規則の規定に基づきまして、文部大臣が法令を補完するものとして告示という形式で定めているところでございます。そういう意味におきまして、法的拘束力を有するというふうに従来から文部省においては述べておるところでございます。
  75. 沢田広

    ○沢田委員 この間の福岡の裁判の最高裁の判決文なんですが、最高裁の判決文の中にはそれらは触れてないのですよ、学習指導要領が法律的な拘束力を持つとは。授業の内容は、日の丸とかそういうものでは全然ないのですね。それで、しかも「本件各懲戒免職処分は社会観念上著しく妥当を欠き、上告人の裁量権の範囲を逸脱したものであるとした判断は、是認することができない。」そういうことで、公務員法で、これは教育基本法はありますが、教育基本法の条項でその裁量権が言われているのですね。その教育基本法の条項は今言われているようなことではないのですね。これは授業の内容とかそういうものは別ですが。だから、上告を棄却されていますから。じゃ、高裁の分はどうなっているのかと見ると、高裁の中でも同じように日の丸の問題や君が代の問題がこの論争の中に出たわけでも何でもない。だから、もし最高裁が言ったと解釈するとすれば、これは教科の科目の中で言ったのであって、今言っているようなものが該当しているとは言わない。あなたが言った「的」というのは従来から言っている。いつから言ったか言ってみなさいよ。僕はいまだかつてそういうことを聞いたことがない。法律的だなんていいかげんな言葉を法律家が使うなどということはあり得ない。政令だとか何かは法律的だということを包括して物を言うなら話は別ですよ。しかし、それは法律に準ずるとか――それだって準じていないと思う。そういう意味において、法律的だなどといういいかげんな言葉を使ってごまかしていくというようなやり方はよろしくない。少なくともそれは法律ではないでしょう。じゃ、逆に聞いていきます。法律ではないですね。
  76. 近藤信司

    ○近藤説明員 学習指導要領は文部省が告示として定めているものでございますから、法律ではございませんが、法的拘束力を有するということは従来からも私ども述べておるところでございます。
  77. 沢田広

    ○沢田委員 だからその語源を、どこでそういうものが決まって法律的な拘束力を持つということが生まれたのですかということを聞いているのです。答えなければだめじゃないか。法律的な拘束力を持つというのはいつ、どこで、だれが決めたのですか。
  78. 近藤信司

    ○近藤説明員 昭和五十一年に学力テストの最高裁の判決が出ているわけでございますが、ここにおきましてもそういった旨の内容の判決が出ております。  また、先ほど委員御指摘の伝習館の裁判につきましても、これは高等学校の学習指導要領でございますが、「学習指導要領は法規としての性質を有する」、このような判決が出ておるところでございます。
  79. 沢田広

    ○沢田委員 四メートル道路の二メートル後退と同じなんです。そのときの状況の中に生まれた判決がすべてオールマイティーに、あらゆる部門に適用するという解釈を敷衍して物を言っていくというのが政府の従来のあり方なんです。今回も具体的な例は、確かにやり方の中身は悪いですよ。悪いですけれども、そのことをもってすべて学習指導要領が法律的な拘束力を持つという普遍的な解釈をしていくということは間違いですね。この場合についてその条項に該当するということなんで、犯罪はすべてそうなんですよ。犯罪に対する判決というものはそのときのケースとそのときの状況の中に生まれて、その一部分がそうなったのであって、すべての学習指導要領が法律的に拘束力を持つということに、普遍的に概括的にそうなるということにはならぬのですよ。あなたも幾らか法律をかじったんだからそのくらいのことはわかるでしょう。五十一年の場合もそのとおり。今回の場合もそのとおり。確かにテレビには法律的にということが出た。僕は疑問を持ったのです。だから判決文までもらって見た。そんなことはどこにも書いてない。だから、そのことをもって日の丸や君が代の強制に及ぶという議論には発展しないということをはっきりさせたかったわけなんで、これは大臣も聞いていて、閣議の中で何かの際には、いわゆる拡大解釈をして物を、我々からいえば歪曲してしまうわけですが、それだったら学習指導要領をきちんと国会審議をして、国会の議決を経てそれからやるべきだ、こういうふうに私は考えますので、あなたも答弁はいいが、そういうことを申し添える。  あといろいろ申し上げたいことがあるのですが、沖縄のいろいろおくれている問題や今後解決しなければならぬ問題、それから知事の要望事項も拝見させてもらいました。第二次振興計画の進行状況はどうだろうか、そんなことも聞きたかったし、米軍の基地とか増便だとか自動車道とかいろいろ出ております。それはまた別の機会に大臣と論争することにして、こういうもののおくれを、沖縄を立ち返らせる、北海道を立ち返らせるという問題もあるのですが、それで、沖縄なり北方領土返還も含めて、そういう宝くじなどを出したらどうか。資金もなかなか大変だというのなら、今北方領土は大変国民世論のあるところですし、私はまた若干別な意見も持ってはおりますが、そういうことは別として、国民もとにかくそういうことを期待しておることは事実ですから、沖縄開発もそのとおりですから、あるいはその沖縄離島の各島々の復興計画もあるわけですから。ダム一つつくるといったって、三百億ぐらいじゃちょっとできないでしょう。これは理事長、ひとつ答えてもらいたいのですが、もしダムをつくるとすればどこへつくって、理事長じゃ答えられないかな、金を利用する方だから。じゃ、沖縄開発庁。これは沖縄にダムをつくるとすればどこへつくりますか。それで概算大体どの程度かかりますか。そういう金を国から出すというのも大変だろうから、まあ宝くじでも、沖縄復興宝くじ、北方領土返還宝くじ、こういうようなものでも、大臣にも権限はないかもしれませんが、ひとつやはり発想を持ち出して、これは我々も、自民党さんにも御協力をいただきながら、そして各党で、ひとつそういう宝くじを出して、その利益は沖縄なり北方領土返還なり、開発のために使っていく、そして国民の平等性をやはり図っていくということを考えるということが必要じゃないか、こういうふうに思いますが、これは両方からお答えいただきます。
  80. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 沢田先生から、宝くじを発行してその収益を公益事業に充てることができることになっておりますので、沖縄振興開発のためにそういうものをやったらどうかという御提言かと存じます。  当せん金付証票法の所管でございますが、具体的にはこれは自治省の所管ということになるわけでございまして、突然のお尋ねでございますので、事実とあるいは反するところがあるかとは思いますが、現在私どもが承知をいたしておりますのは、現在宝くじ、いわゆる当せん金付証票の発行権を持っておりますのは四十七都道府県と政令市でございます。このうち単独発行いたしておりますのは東京都だけでございまして、先生もよく御案内のとおり、宝くじは売れなきゃ収益は上がりませんので、大きなマーケットといいますか市場のあるところ、そういうことで、広域発行という形でやっております。沖縄県におきましても、西日本ブロックで共同で発行したりいたしておりまして、この収益金、これは公益事業等に使用されているところでございまして、また先生の御提言等も踏まえまして、そういう趣旨のあることは関係省庁にも連絡してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  81. 沢田広

    ○沢田委員 大臣、時間がなくなってきましたので、じゃちょっとお答えいただけますか。
  82. 砂田重民

    砂田国務大臣 今二次振計の総点検を私どもやっております。また、沖縄県においても二次振計の総点検に精力的に取り組んでおられるところでございます。二次振計を終わった後何が具体的に残ってくるかというようなことを、その調査結果を見て沖縄県とも意見交換をしながらポスト二次振計への取り組みを考えなければならない、ちょうどそういう時期でございますので、せっかくの沢田委員の御提言でございますけれども、売れる確信の持てないものよりは、まず第一義的には、社会資本整備というものが拡大傾向にあるわけでございますから、ポスト二次振計というものを予算的に確保していくことがまず第一義であろう、さように考えます。  今沢田委員の御提案のことは、しかと御意見受けとめさせていただきたいと思います。
  83. 沢田広

    ○沢田委員 理事長にも残ってもらいましたからちょっとお伺いしておきますが、これも旅客の方に回るかなと思ったからなんでありますけれども。  損益計算書を見ますと、雑損で、結果的には九千八百万くらいの雑損が出ているのですね。どうしてこの雑損がこんな金額にまで出ているのかなというふうに、九千八百万、一億くらい出ているのですか、そのくらい出ているのですが、先ほどの話で見ると、その分もどういう損害なのかなとちょっと疑問に思いました。  それから、当期の利益も、これは一億円くらい上がっているのですか、一億一千万ですか、上がっているわけですね。これは決算書だから年単位で言っているんでしょうな。単位がちょっと見えなかったから、一億一千万ですね。だから、そのくらいの当期利益も出ているくらいですから、その分は、そういう利益をそういうものに回すということも可能なんじゃないか。新しい事業を起こすことも可能なんじゃないか。なぜこんな利益を残しているのかな、こういうふうに思いましたので、ちょっとお伺いします。
  84. 藤仲貞一

    藤仲説明員 お答えいたします。  今先生御指摘の雑損は、六十三年度において金額は千万未満のものでございますが、未収の利息等を償却したようなもの、このように御理解をいただきたいと思います。  こういう利益が出ているんだから云々というお話でございましたが、御案内のとおり、国から大変たくさんの補給金をちょうだいしている状況でございますので、利益が本当に相当出ますと、これは国庫納付をしなければならない、こういう制度になっておりますことを御了解いただきたいと思います。
  85. 沢田広

    ○沢田委員 いや、わかっているのですよ、それは。それはわかっているのですけれども、公庫なら公庫なりの運用で、焦げつきも、これは五年で償却しているのか、七年で損金に入れているのかわかりませんけれども、これを雑損という言葉で上げている、その言葉にちょっとひっかかったということなんですよ。だから、損金なら損金で引当金を充ててまた繰り入れればいいんですから、そういうことで明確にした方がいいんじゃないのか。これは決算委員会じゃないから、それ以上は言いませんが……。
  86. 藤仲貞一

    藤仲説明員 大変失礼いたしました。損益に余裕がございますときは、先生御指摘のとおり、なかなか回収困難なような債権につきまして……(沢田委員「七年ですか、五年ですか」と呼ぶ)それは個々の事情によりまして、例えば担保権の実行が可能なものとそうでないもの、それから事業が閉鎖しているようなものであるとか、そうでないものとか、いろいろございますが、先生御指摘のとおり、損益の状況を見まして、そういうものは償却をいたしております。大変失礼しました。
  87. 沢田広

    ○沢田委員 もう時間がありませんから、最後に、自治省と会計検査院に来ていただいておりますから、一言だけ。  自治体の開発指導要領というものがいろいろ横行しておりますね。土地の寄附まで強要したり、あるいは相当の負担金を取る。マンションとかなんかについては共益費の負担であるとかいろいろあるからまあいいと思うのでありますけれども、沖縄も含めてでありますが、そういう意味においての自治体の開発指導要領が行き過ぎている面もあるんじゃないのか。土地の寄附なんかさせろなんというのは、これは憲法上にも問題が起きるんじゃないのかというふうにも、これは道路として二メートル後退なんかの場合は道路として利用するんですからね。それで強要してとった分を地方交付税の算定の基礎の中へぶっ込んで面積に入れてきたりなんかしたら、二重取りの詐欺なんだ、これは。そういうようなことを自治省としてはどのように見ているのか。その点きちんと答えてもらいたいのが一つ。  それから、会計検査院はそういうものに対しての検査をやっているかどうか。イエスかノーか、それだけ答えてください。――自治省来てない。ちゃんと朝言ったんだよ。  じゃ、いい。そんなことで議論していると時間たっちゃうから。  じゃ、会計検査院は。――まあこれは自治体の関係ですから、いわゆる沖縄におけるそういうものとの関係を含めて、住民の土地なんかの財産の寄附とかなんかというようなものは指導要領で、これもさっきの法律的にも同じなんで、指導要領で召し上げてしまうなんというのは、これは越権も甚だしい。憲法の所有権の侵害ですよ。ですから、大臣は偶然大臣の立場で物を言わざるを得ないと思うのですけれども、それは別なところへ譲りますけれども、そういう形で指導要領――それだったら条例で決めて、それなら行政措置でも何でもできますよ。そうしたら、各議員が決めて、そこでやれば法律に準ずるんだから、それが法律違反なら法律違反で無効になるでしょうから。ただ、行政指導というのは片っ方は泣く子に地頭で、いじめられるから泣く泣くみんな出しているのですからね。そういうことで、こういうやり方はやめてもらわなきゃならぬ材料だ。  大臣よりも、ひとつ局長、答えられるかどうかわからぬが、沖縄を含めて、こういうことによって住民が泣かされることのないように、お客が行ってもお客が泣かされることのないようにするためにあえて申し上げたわけです。
  88. 上田哲

    上田委員長 自治省と会計検査院、どうしますか。
  89. 沢田広

    ○沢田委員 いいです。しょうがないです、もう。時間がないから後でまた……。
  90. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 沢田先生の、経費負担の適正化を図るべきじゃないか、それぞれ負担すべき者が負担していくべきじゃないか、こういうお話かと思っております。私ども、直接県、市町村を指導する役所ではございませんが、先生の御提言、まさしくそのとおりではないかと個人的には考えておるところでございます。
  91. 沢田広

    ○沢田委員 さっきの文部省の法律的拘束力と言われている分の解説は、後でちゃんと書面でみんなに配ってください。どこからその語源が出て、いつどこでだれが決めたのか、そのことを文部省の見解として配ってもらうように委員長にお願いいたしまして、終わります。
  92. 上田哲

    上田委員長 文部省、いいですか。いいね。――はい、じゃ確認します。  午後零時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ────◇─────     午後零時三十一分開議
  93. 上田哲

    上田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上原康助君。
  94. 上原康助

    ○上原委員 午前中の同僚委員のお尋ねとも関連する面もあると思うのですが、提案されました沖縄公庫法の一部改正とも関連しますので、十分調査した上のことではありませんが、まず非常に重要な節目の段階で沖縄開発庁長官に御就任をなさって、砂田大臣、国会の忙しい時期を御利用なさりながら現地にも足を運んでいただいて、いろいろ沖縄県知事初め各界の代表の皆さんとの意見交換、また復帰前後に沖縄問題に関係をしてこられた大臣という立場で、今日の沖縄の、復帰二十年をやがて迎えようとする実態をごらんになって、いろいろお感じになったと思うのです。  そこで、先ほどもございましたが、あえて第三次振計の必要性というものを強調したい、こういうことをこれまではポスト二次振計ということで、政府は残された期間に二次振計の目標、目的を達成するために全力を尽くすということが一貫した姿勢でございましたが、県民が今求めているというか、期待をしていることは、やはり第三次振計は必要だ、これは既定の事実だと私は認識をしておる一人でございますが、改めてポスト二次振計、いわゆる第三次振計を策定するに当たって、沖縄開発庁としてどのように推進をしていかれるのか、ぜひ御見解を聞かしていただきたいと存じます。
  95. 砂田重民

    砂田国務大臣 今まで、政府におきましてはポスト二次振計という言葉しか使ってきていないと思います。それは、二次振計があとまだ二年残されているところでございます。私はあえてもう三次振計という言葉を使わせていただきます。恐らく二次振計では終わらないという感じを持つからでございます。  ただ、その内容いかんということになりますと、もう御承知のように二次振計の総合調査を実施中でございます。この調査から出てまいります各様の残された問題点、そしてまた沖縄県御自身でも大変熱心に二次振計の総点検をなさっているわけでございますから、沖縄県の審議会にも諮られまして、沖縄県としての御意見がいずれ出てまいることでございます。政府の内部におきます沖縄県並びに沖縄県民の御意思の代弁者だと私は心得ておりますので、県が今取り組んでおられます二次振計の総点検、開発庁自身が取り組んでおります総点検、この結果を踏まえて、その次の計画というものは作成されるべきもの、かように考えているわけでございます。
  96. 上原康助

    ○上原委員 政府が進めている作業は、いつごろまでにめどが立つのですか。
  97. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 ただいま大臣からお話がございましたが、現在私ども平成元年度から沖縄振興開発総合調査を実施いたしておりますし、総点検の作業も取りかかっておりまして、この夏ごろまでにはまとめたいと考えておるところでございます。沖縄県もおおむねそういうタームで検討をしておるようでございます。  先生御案内のとおり、現在の沖振法でございますが、沖縄県が原案を出して国が決定するというシステムになってございまして、県の作業の進捗というのが一つ大きな要素になってくることは先ほど大臣から御答弁いたしたとおりでございます。沖縄県から聞いておるところによりますと、十二月ころまでには次期振計の大綱的なものをまとめたいということでありますが、その進捗状況も眺めながら、その後結論を考えていくという手順になっていくのではないかと考えております。
  98. 上原康助

    ○上原委員 県も既に総点検に入って、今御答弁がありましたように着々進めているようですが、第三次振計でどういうことを織り込んでいかなければいけないかということはかなり議論がされてきたような感もするわけです。  そこで、この公庫法の改正も恐らくそういう点も見越してのことだとは思いますが、けさもありましたが、立ち上がり支援制度にしても、必要性は我々も十分理解をしますし、またこの法案にも賛成をする立場でまずお尋ねをしておくわけですが、この対象事業主務大臣の定める事業であって云々というのがありますね。この主務大臣は何を指しているのですか。
  99. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 公庫を所管いたしております内閣総理大臣と大蔵大臣の両者ということになります。
  100. 上原康助

    ○上原委員 その場合に、沖縄開発庁長官の意見とか協議とか、そういうのはどうなるのですか。
  101. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 役所としては沖縄開発庁でございますが、主管大臣ということになりますと内閣総理大臣という形になるわけで、当然沖縄開発庁が主体的に大蔵省と一緒に決めていくという形になろうかと思います。
  102. 上原康助

    ○上原委員 行政上の管轄上はそういうことかもしれませんが、対象事業を決める場合、ぜひ積極的に沖縄開発庁の意向も反映できるような、しかもその主務大臣が決めたら融資対象になるわけですから、そこは大事な点だと思いますので、ひとつ指摘をしておきたいと存じます。  それと、対象事業になるのは既に予定があるのかどうか、それもお聞かせください。
  103. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 立ち上がり支援資金につきましては、本土におきまして日本開発銀行で同様の制度が平成元年から実施をされておりまして、それによりますとNTTのCタイプ事業、例えば民活法とかリゾート法対象事業、テレトピア事業といったような社会資本整備事業が対象になる、こういうことでございます。沖縄につきましても同様の事業内容を考えておるところでございます。  最近の沖縄の動きといたしまして、例えば観光開発あるいは臨海開発等、こういう事業の対象となるような事業が出てまいっておりますので、今回改正をお願いいたしておるものでございます。
  104. 上原康助

    ○上原委員 まだ特定はされていないような感じを受けるわけですが、特に今回の改正によって、沖縄側として運用というか力の入れ方によっては有望に展開していくのではないかと思うのですけれども、研究開発などというところに、新技術開発、情報処理の高度化、情報処理通信システムの促進などである、いわゆるソフトの面を対象にした事業開発への融資制度が新たにできるということは、運用いかんによっては大変有望ではないかと思うのですね。そういう面で、特に離島県であるということと、いま一つは、これだけ国際的にも国内的にも情報化社会になっていますと、沖縄の立地からすればそういった情報システムという面での活用の仕方というのは第三次振計の中でも非常に大事な点だと私は思うのですね。それとの関連づけで、若い青少年の人材を育成していく。けさほどありましたが、すべて本土に来ていろいろ学校に入るとかでなくして、沖縄の立地を利用したそういった人材の育成、情報収集、ソフトウエアということを、ぜひこの制度が取り入れられた段階で公庫開発庁も、もちろん沖縄側、地元もそうですが、力を入れてもらいたい。何かそういう見通しなり構想があってこういうことを考えておられるのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  105. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 研究開発資金についてのお尋ねでございますが、先生御指摘のとおり産業集積が沖縄県においては乏しいわけでございますが、こういった集積の拡大とあわせて高度化も同時に進めていくことが重要な課題であるということは先生の御指摘のとおりでございます。したがいまして、技術開発とか情報化促進等の支援をする観点から、現行の設備資金は現在でも貸せるわけでございますが、それに加えまして、高度で新しい技術研究開発等に必要な非設備資金、例えば研究者の人件費ですとか、そういったものを対象とする融資制度の創設をお願いいたしておるところでございます。  具体的にどうかということでございますが、最近の動きといたしまして、新技術や情報処理システム化の動きが出てきたやに聞いております。こういった動きの芽を育てる意味からも、ぜひ融資制度を早急に創設いたしたいということでお願いをいたしておりますので、ぜひよろしくお願いをいたします。
  106. 上原康助

    ○上原委員 後でまたいろいろリゾート問題をお尋ねする中で、もう少し関連づけてお尋ねします。  そこで、これは藤仲理事長さんのところかもしれませんが、公庫の出資がありますね。この資料にもあるのですが、五つの事業に出資をしておられる。この出資をしている五事業の経営状況というかあるいは進行ぶりというか、何かけさもありましたが、赤信号とまでは言わないが、かなり黄信号が点滅するというようなことも時々聞くのですけれども、この実情はどうなっているか簡潔にお聞かせをいただきたいということと、また今後の出資対象事業はどういうのをお持ちなのか、あわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  107. 藤仲貞一

    藤仲説明員 大変申しわけないのですが、ちょっと先生のあれを聞き漏らしたのでございますけれども、当公庫の出資企業の中でうまくいっていないのがあるか、こういう御質問と了解してよろしゅうございますか。(上原委員「はい」と呼ぶ)そういう点で申し上げますと、私ども公庫創立以来出資しました企業の中で、既にもう清算を結了いたしておる企業が一つございます。これは、申すまでもなく先生御案内の例の天然ガスでございます。  現在出資企業が五法人ございますが、その中で特別に赤信号というようなものはない、私はこういうぐあいに信じております。ただ、若干心配しておりますものもございまして、これは先生のおっしゃいます黄信号とまではいかないかもしれませんが、それに近いものも一つございます。そういうものにつきましては、私どもの方も株主の立場にあるわけでございますので、随時企業との間に業績の好転を図るための支援をしたいと思いますし、またその前提として、企業の業績がよくなるような企業努力をこちらの方からお願いしております。現在のところそういうところでございます。現在存在いたします出資法人は、今申し上げましたように五法人でございます。
  108. 上原康助

    ○上原委員 大事な点だと思うのでお尋ねしたわけですが、沖縄産業開発というか、事業、生産部門を高めていくという面でいろいろな構想はあるけれども、なかなか思うようにいかないのが現状、もう出てくるのは、観光だ、リゾートだ、これも悪くはありませんがね。公的機関、公庫が出資をした事業がうまくいかないとなると、県民に与えるイメージもよくないですね。非常に不安を抱かせる面もありますので、その点は、既存のものはもちろんですが、てこ入れすればうまくいきそうなものについてはもっと臨機応変、寛大にやってもらいたいし、そういった法人なりいろいろな第三セクターでも結構ですが、これから有望なものがあれば、ぜひひとつ産業経済の構造改善という面も含めて力を入れていただきたいと強く要望をしておきたいと思います。  それと、あと一点確かめておきたいことは、これは指摘するまでもありませんが、沖縄公庫本土公庫などの基準金利を比較する場合に、公庫開発庁の政府全体の御努力によって、もちろんこれは沖振法、特措法という基礎を前提にしてですが、基準金利が幾分安くなっております。これは今後ともこの程度の差はぜひ維持していただきたい。さっきもありましたように、依然として県民所得は低い。その他の面でも全体的になかなか思うようにいかない面がある。この見通しはどうなんですか。
  109. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 沖縄振興開発金融公庫の金利が本土公庫等に比べて低くなっておる、これが今後どうなるのか、こういうお尋ねかと存じますが、沖縄公庫の貸付金利につきましては、沖縄本土に復帰いたしました際、本土に立ちおくれております経済社会の実情等を勘案して、金融上の措置として本土の対応公庫等より低い金利を設定したものが多くございまして、その後の金利体系の変更の際にも、沖縄の実情等を十分考慮しつつ設定してまいったところでございます。しかし、一方、当然のことながら、公庫の平均貸付金利は借入金利より低うございまして、逆ざや分等損益上の収支差は補給金として一般会計から繰り入れをされておりますが、この補給金は毎年累増していることは先生御案内のとおりでございます。しかしながら、公庫の貸付金利、例えばの話ですが、これを本土並みの水準にするかということでございますが、先生御指摘のとおり、これは沖縄経済県民生活に与える影響は極めて大きいものがあると考えられておりますので、今後とも振興開発の進捗状況等を見ながら、適切に対応させていただきたい、かように考えておるところでございます。
  110. 上原康助

    ○上原委員 砂田大臣、これは大事なことですから、ある面では政治的な御判断も必要なことですね。さっき御答弁ありましたように、第三次振計というのが既存の方針として進んでいく。そうであるならば、その他の面ももちろんいろいろ再検討というか吟味しなきゃいかぬ面があるのですが、少なくともそういう前提に立つ限り公庫金利というものも沖縄側により有利な方向で行く、これは閣議の中でも特に御配慮いただきたいと思いますが、よろしいですね。
  111. 砂田重民

    砂田国務大臣 二次振計が終わります後に恐らく残るであろうと私も想定いたしております大きな課題の一つに、沖縄産業振興の問題がございます。そういうことでございますから、本土公庫との金利差というものは確保する最善の努力をしてまいります。
  112. 上原康助

    ○上原委員 ぜひ特段の御配慮、御努力をお願いしたいと思います。  そこで、既に第三次振計の中でリゾートというのが大変話題になっている。私も観光振興、観光産業の発展あるいはリゾートを全面的にとやかく言う立場はとりませんが、いろいろ問題を精査しなきゃいかぬ点もあると思うのですね。  最初にお尋ねしますが、具体的な問題に入る前に、沖縄県が策定した「リゾート沖縄マスタープラン」というのがあります。副タイトルが「世界に誇れる「トロピカルリゾートおきなわ」の形成を目指して」。本当に夢とロマンを持ったような中身なんですが、これは開発庁もごらんになりましたか。
  113. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 先生お話しの県のマスタープランでございますが、これを作成するに際して開発庁が指導してやったというわけではございませんが、そのものの内容についてはよく県からも連絡がございますし、見せていただいております。
  114. 上原康助

    ○上原委員 中身は追ってお尋ねいたします。  もう一つ、「部瀬名岬地域海浜リゾートマスタープラン」というのも去る一月にできておるわけですが、これもごらんになりましたか。
  115. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 これも先ほどと同じ立場ではございますが、県がそういう部瀬名の計画をつくっておられるということは知っております。
  116. 上原康助

    ○上原委員 既に事業主体というか会社も設立したやに聞いております。  そこで、この県の策定したリゾート沖縄マスタープランあるいは今の部瀬名海浜リゾート、これは国際的な一大リゾートに持っていくという大変大規模な構想ですが、それを見ますと、沖縄のリーディング産業として第三次振計の中に位置づけていく、そして二十一世紀を展望した沖縄の戦略産業として位置づけて国際的リゾートに持っていくんだ、こういう構想のようなんですが、果たしてこのリゾート開発というものがリーディング産業として位置づけて沖縄の二十一世紀を展望した戦略産業としてうまくいくのかどうか懸念視をする、疑問を持つ慎重論もあることは御承知のとおりなんですね。その点についてどうお考えですか、まず基本的な点について。
  117. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 リゾートに対する開発庁としての基本的な取り組み状況についてのお尋ねかと思います。  先生御案内のとおり、沖縄は自然景観や伝統文化など魅力ある観光資源に恵まれていることは事実でございまして、観光客が年々増加いたしておりまして、平成元年度には観光客が過去最高の二百六十七万人になるなど観光、リゾートが県経済において占める位置は重要なものがあることは先生御指摘のとおりでございます。四全総あるいは「第二次沖縄振興開発計画後期の展望と戦略」の中におきましても、豊かな亜熱帯性、海洋性の自然あるいは特有の伝統文化を生かして国際的な評価にたえ得るリゾート地域形成を図ることが今後の沖縄振興の重要な柱の一つであるということが示されておるところでございます。先生は、今後ポスト二次振計においてこういうものをどう扱っていくか、こういうお話かと思います。このリゾートだけではございませんで、沖縄振興開発、今後第三次振計はどういうものを柱にしてやっていくのかにつきましては、現在、総合調査あるいは総点検作業あるいは沖縄振興開発審議会の専門委員会での調査審議、こういうことを重ねておるところでございまして、県自体もまた総点検等の作業、審議会等の審議を進めておりまして、沖縄振興開発全体の検討の中で今後判断されていくものと考えておりまして、リゾートを戦略産業にしていくかどうかその方向性についてもその中でおのずから明らかにされていくもの、かように考えておるところでございます。
  118. 上原康助

    ○上原委員 もちろん、主体というか、推進をしていくのは沖縄県、県民の意向だと思うのですが、ただ、第一次というか、案の策定は県側にしても、やはり国の振興として最終的には進めていくという面では、第三次振計でこれをどう位置づけるかというのは、私は大変重要な問題だと思うのです。  確かに観光開発というのは、振興というものは、第一次、第二次の重要な目玉でして、けさほど来ありますように、約三百万内外の観光人口の移動というのは、当初予定されておったものよりこの二、三年来はテンポを速めている感もしないでもありません。その反面、いろいろな弊害もまた出てきていることも御承知のとおりで、時間の都合で全部は申し上げられませんが、リーディング産業としてのリゾート産業への期待として四項目、四つの柱を挙げているわけですね、この県の案を見ますと。これは、昭和四十七年の復帰以来の観光リゾート地域としての整備を官民挙げて推進してきたから、その延長線上に今度国際的リゾートに持っていくんだ、こういう構想のようであります。  このリゾート沖縄マスタープランの計画フレームは、入域者数を五百万から六百万を想定をしている、波及効果として観光、リゾート関連収入六千九百億円から八千三百億円、結構なことですね。生産誘発効果一兆三千四百億から一兆六千億、雇用効果十一万七千人から十四万人を見込んでいる、これはあくまで企業のプランですから必ずしも現実的にこのようになるとは、期待をしつつも、こんなに遠大というか夢のような話でいいのかと思って、私は、策定したのではないかという見方もしないわけではありませんが、一体こういうフレームでリゾート開発振興していった場合の、沖縄の全体的なキャパシティーの問題であるとかあるいは自然環境であるとか農業振興であるとか、地元沖縄にずっと生活をしている県民の立場というものとの整合性というものが、どう位置づけられていくのかという素朴な疑問を私は持つわけです。こういった計画フレームについては開発庁としてはどういう御認識なのか、お考えを聞かせておいていただきたいと存じます。
  119. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 先生からお話がございましたマスタープランでは、今先生御指摘のとおり、五、六百万の観光客が入り、かなり巨額の県に対する所得の導入がある、こういうことを予定しておるようでございます。  ただ、先ほどから申し上げておりますように、これから、ポスト二次振計については検討している段階でございまして、そこで観光産業、リゾートをどう位置づけていくのか、現在県も検討しておりますし、開発庁としても総点検、今後の検討をしていきたいと考えておりますので、その中でおのずから次期振計がもしつくれるということになりましたら、その段階で全体のフレームワークの中で検討させていただきたい、かように考えておるところでございます。  ただ、先生がおっしゃいますように、観光開発を進めます場合には、自然環境の問題、地域住民に悪影響を与えないかどうか、こういう配慮が当然必要なことは県も十分承知をいたしておるところでございます。何をおきましても、沖縄は亜熱帯地域に位置しまして、広大な海域とか多彩な自然景観に恵まれておりまして、これを保全していくことがリゾート開発に際して何よりも肝要である、それを壊してしまっては何にもならない、かようなことは県も十分承知しているものと聞いております。  いずれにいたしましても、開発庁といたしましても、沖縄におけるリゾート地域形成が適切に行われるよう、指導する立場にはございませんけれども、今後ともアドバイスをしてまいりたい、そして、必要な社会資本整備については協力して努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  120. 上原康助

    ○上原委員 もちろん、そういった配慮というのは当然必要でありますが、私も、このリゾート構想というのが昨年の夏ごろから大分マスコミで報道されておりましたので、県の担当者に会っていろいろ聞いてみたのですね。果たして、ここでは、あの当時は八百万から一千万を想定しておった、私は、とんでもない、そういうことはとてもじゃないが可能性としては無理じゃないのかと言って、実際、どういう基礎データでそういう構想になるのか。いや、入ってくるか来ないかは別問題だ、そういう言い方をしたのですね。まず大々的なリゾートをつくってそれを社会的に宣伝をしていく中で、五年になるか十年になるか、必ず入ってくるんだという。私のような素人にはちょっと夢のような話だったので、もう少し慎重にやっていただいたらと言ったが、あれから落としたのかどうか知りませんが、こういう構想というものは大変問題だと思うのですね。  しかも、沖縄県における民間主導によるリゾート開発はこれまでも幾分なされておるわけですが、成功している面、うまくいっている面あるいはなかなかピンチのところもあるようです。一昨年でしたか、いわゆるリゾート法ができて以降というのは、沖縄だけじゃなくして日本全国でこのリゾート開発というものが今大変問題になってきている。ゴルフ場の問題、しかりですね。沖縄本島も先島を含めて当初は大体八十七ぐらいのリゾートの開発主体、残るところがないじゃないかと話したらそれはそうだと。現在、要件を満たす計画というのが四十四プロジェクトぐらい想定している。  その計画内容を見てみますと、開発総面積で何と二千五百五十ヘクタール、事業総額が約五千百億円、これは九〇年度ベースですか平成元年度ベースですか、宿泊施設が約一万四千室、収容人数三万八千人、ゴルフ場十四カ所、二百十六ホール。これらは大臣、現状に比べてみると宿泊室数で何と約二倍、ゴルフ場のホールで約一・五倍、こういう計画が完成して沖縄のリゾートというものが、国際的リゾート観光地域になるのだということが、このマスタープランのようです。  先ほども申し上げましたように、果たしてこういうリゾート計画で進んでいくと仮定した場合に、沖縄全体の地理的条件とかあるいは地勢とか自然環境、県民生活にどういう影響を与えていくのか、そういうことについての分析あるいは納得できる方針というものは今のところ出ていない、これから出すのかどうか知りませんが。  ですから、ややもすると、沖縄開発庁あるいは国、政府を含めて沖縄の亜熱帯性自然がいいから観光だ、リゾートだという号令だけかけて、実際に県民生活に与える影響というものがどうなっていくのであろうか。果たしてこれだけの投資をし進んでいった場合に、それを活用できてうまく県経済の発展、将来性につながっていくかというような綿密な分析なり、方向性というものがない限り、リゾート法ができた、金余りで投資をすれば幾らでも融資はしてあげるんだということでは大変な結果を見ないとも限らないという一つの懸念を持つ側面があると思うのですが、この点については、政府はいかようにお考えですか。
  121. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 先生御指摘のお話はいわゆるリゾート法、総合保養地域整備法に基づく基本構想に関連するお話かと存じますが、現在、県では基本構想の案をつくりまして、関係所管省庁、国土庁を中心とします六省庁で協議をいたしておるところでございます。その中にも当然、基本構想においては「自然環境の保全との調和、農林漁業の健全な発展との調和、居住機能との調和、」こういったことを定めることになっておるところでございまして、こういう観点からも検討が進められていくものと考えておるところでございます。
  122. 上原康助

    ○上原委員 ですから、そういったフレームあるいは目標を設定してあるわけですが、今私が指摘をしたものも含めてぜひ慎重にこの点は検討する必要があるということだけ指摘をしておきたい。  そこでもう一点。たくさん聞かねばいかぬことがあるわけですが、沖縄のリゾート振興というものは国際的評価にたえ得るリゾートにしていくんだ。そのためには、国際的水準を持つ目的地リゾートへの転換を図る、リゾート沖縄のブランドイメージを確立するための地域戦略として展開をしていく、多様なニーズに対応した総合的機能を持つ通年型リゾート形成を試みる、これらの条件を整備していくにはどういう整備というか条件確保が必要なのかということも施策推進していく上でいろいろあると思うのです。  そこで、聞くところによりますと、国際的リゾート水準に持っていく、あるいはその国際的評価を受けていくために官民一体となってやらねばいかぬという役割分担という面もあるようですが、例えばオーストラリアのゴールドコーストという砂浜、リゾートの整備に当たっては相当行政も、オーストラリア政府自体も関与したということも聞かされている。そういうことで国際リゾートがどうなっているかという観点から、何か開発庁首脳も先進国のリゾート視察をしてきたとか、沖縄側も三役のだれかがこのオーストラリアあるいはハワイ、そういった面を視察をしたということなんですが、その結果はどうなのか。今私が言ったようなそういった国際リゾートに持っていく、リゾート沖縄のブランドイメージを高めていくという面で既に海外視察も兼ねて沖縄開発庁もやっておられるのかどうか、この点もぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  123. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 先ほど先生から二面からリゾートについてお話をいただいておるわけでございます。一つは自然環境の保全とか地域住民との関連から、そういったものを侵さないように調和をとってやるように、こういう話と、もう一つは、さりながら沖縄のこれからの振興の柱としてリゾート開発というのは大きなウエートを占めるので、国際的な評価にたえ得るようなものをやっていくにはどうしたらいいのか、こういう観点からのお話と両面お話があったかと思います。今回の質問は、その後段についてどうか、こういうお話かと考えておるところでございます。  開発庁といたしましても、県ももちろんそうでございますが、これからのリゾート開発はいかにあるべきかということで先進地等も拝見をさしていただいていることも事実でございます。先進地それぞれいろいろなやり方がございまして、民活といいますか私法人が先行的に土地等を取得してやっているところもございますし、先生御指摘のように公も入ってやっているところもあるわけでございます。これからどういうふうに国際評価にたえ得るようなリゾートをつくっていくのがいいのか、現在、県でも考えておる段階でございまして、開発庁としてもそういった観点から御協力できるものがあれば積極的に考えてまいりたい、かように考えているところでございます。  いずれにいたしましても、繰り返しになって恐縮でございますが、次期といいますかポスト二次振計における観光開発の位置づけにつきましては、現在進めております総点検作業あるいは審議会の審議の結果、あるいは県自体での審議の結果によるわけでございまして、そういった中でいろいろ県等の案が出てまいります。そういったものを引き続き検討させていただきたい、かように考えておるところでございます。
  124. 上原康助

    ○上原委員 ちょっと私のお尋ねが要領を得なかったかもしれません。私が懸念しているのは、国際的リゾートを目標に開発庁もそういった海外の大規模リゾートを既に視察をしている、県もやっているということになると、これは表裏一体として推進をしていく立場でやっているのか。果たしてそういったことでいいのか。もちろん見るのは結構ですが、慎重にやらなければいけないと建前としてはおっしゃりながらも、どうも本音としては県の策定したそういったフレームで国もどんどんバックアップをしていくんだという立場をとるのじゃないか、こういう面も含めてのお尋ねでありますので、その点も指摘をしておきたいと思います。  それと、雇用の拡大というのは大変重要で結構なことなんですが、仮にあれだけのリゾート地域ができれば相当の人手が必要になってくることは確かですね。十一万七千から十四万だ。果たしてそううまくいくのかと思うのです。ただ問題は、沖縄にどういう産業なり企業が立地をしてもあるいは新しくできても、県内雇用というのがなかなか少ないというか、パートであるとか臨時であるとか、そういう面は確かに多くなっている。雇用拡大の一助になっている。しかし、これは昭和六十一年三月に総合事務局が大規模リゾート、沖縄の既存のものを調べてみたものでも、雇用状況を見ると、県内雇用者のうち正職員というのはほとんどいないですね。パートとか、せいぜい係長。課長くらいになるのが、例えば十名の課長がおると、県内からの起用というのは二、三名くらい、こういう実態なんです。全部本土から行く正社員を幹部職には持っていく。これは適材適所もあるから数字だけでは一様に言えないかもしれませんが、雇用拡大になるんだ、いろいろいいこと、甘いことで土地を確保したりあるいは海浜を押さえつけたり、いろいろ確保したりやるわけですが、現在でも実態はそうではないということを指摘をしておきたいと思うのですね。ですから、そういった面をあわせてやらなければいかぬということです。  もう一つ、リゾート産業推進、その波及効果をつくって県内のいろいろな産業経済に寄与していくということもこのプランでは指摘、強調されているわけです。しかし、第一次産業、特に野菜など、リゾート関連ホテルで使う野菜の需要というものも年々ふえてはいるけれども、大部分は県外野菜で賄われているという実態、これは本当なんです。もちろん、沖縄で生産する野菜の規格の問題であるとか量的に継続して確保できないという難点もあって、それらも本土からぱっと一度に確保しておった方がいいというようなこともいろいろあるようですが、そういうことを差し引きして聞いても、やはりもっと県内のそういった生産品を活用していくということも十分に当初からリゾートホテルなりいろいろな企業との取り交わしとか申し合わせみたいなことをやっておかぬと、県内の第一次産業なりそういった野菜生産者等々に果たしてどれほどのメリットがあるのかという懸念を現在の実態を見ても私は感ずるわけですね。さすがに読谷村あたりは、ホテルを立地させる場合に、砂浜、海浜は村民との共同ですよ、独占はさせない、そういう契約というか取り交わしをやっていますから、うまくいっている面もあるのです。しかし、恩納村、今問題になっている村条例をつくろうとしている。真栄田岬から恩納一帯のきれいな砂浜というのは全部大手の資本に、ホテルに独占をされて、沖縄県民が自由に入れる、あるいは一般の民衆が自由に入れる砂浜というのは少ない、ほとんどないと言っていい、こういう状態なんです。そういった点にもより配慮をする必要があるという点を指摘をしておきたいと思うのですね。これに対するお考えがあれば聞かせていただきたいわけです。  もう一つ大事なことは、きょうの長官の見解にもあるわけですが、これだけのリゾート計画をやる、あるいは部瀬名の超大型のリゾートになると、一日に使う水の量というのが何と十五万トンとも聞かされていますよ。これだけの今さっき申し上げたフレームでいくと、この水資源確保はどうなさるの。本当言ってこれは大問題ですね。果たしてそれだけ本当に見通しが立つのかどうか。大型企業リゾート地域だけが水を確保して、一体県民には、そういった一般の人はどうなっていくのか心配を持つのは当然でしょう、こういう点。  それと大事な点は、私は全面的には否定はしませんが、リゾートを立地させるならば、その企業に水の再利用まで含めて自助力でどのくらいできるのか。単に県内でつくったダムとか一般の水道事業から確保するというだけでなくして、事業主体が水の再処理を含めて独自で使用する水の確保というものはどうするのかもあわせて三次振計の中では企業立地というものは位置づけないと、大型の資本にどんどん水の需要までとられて、結局ひでりになったり、あるいは夏場になると断水の中で県民は辛抱せよといったってこれは我慢ならぬですね。そういう危険性は私は十分あると思うのですが、こういうことが県民生活という面からはこのリゾート構想というのは余り配慮されていない。今指摘をした雇用の問題あるいは県内製品をどう使うかという問題、水確保をどうするかという問題、この点について政府としての考えを聞かせていただきたい。
  125. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 水の問題につきましては後刻振興局長から御答弁させていただきますが、先生御指摘ございました一つは、雇用の問題がございました。リゾートの問題を論ずる場合には、いわゆるソフト、人というものを育てていくということも極めて重要なことは、先生御指摘のとおりでございます。幹部社員を全部県外からでというか、大部分を占められるという事態はどうかというお話がございました。いずれにいたしましても、沖縄県の方がいわゆる高度な専門知識を有するスペシャリストとして計画的に養成していくことがまず肝要かと思っております。そういう形で漸次幹部職員もできるだけ県内の方になっていただく努力は、これからも沖縄県もやるつもりと伺っております。  それからもう一つは、農水産物等につきましてリゾートが大部分県外産の物を使って、県内需要を喚起してないのではないかというお話でござい ます。  これも、ホテル等で使用する性質上規格の問題等あることも、先生御指摘あったとおりでございます。例えば魚等につきましても、同じテーブルで並んでいる方が違った種類の違った型、大きさの魚が同じ値段で売られている、こういう事態になっても困ることも指摘されているところでございますが、いろいろ知恵を絞る面もあろうかと思っております。恩納村でも、ホテル等と何回も懇談会等もやっておりまして、そのあたり何とか乗り越えられないかと議論していることも事実でございます。そういった点については、私どもも気づく点があれば、必要に応じて助言は求められればお手伝いもしていきたいとは思いますが、何をおいても地元で進出されるホテル等と十分協議していただくことも肝要か、かように考えておるところでございます。
  126. 水谷文彦

    ○水谷政府委員 リゾート開発の中で水問題でございますけれども、御案内のように、沖縄県は大変自然的にもあるいは気象的にも水の条件が悪いわけでございます。かたがた、人口がふえておりますし、あるいは生活水準の向上もございます。そうした中にリゾート開発を初めとして大きなプロジェクトが入ってくる、そのときにどんなことを考えたらいいかということでございましょう。  御案内のように、現在北部を中心として、本島で申し上げれば幾つかのダムの建設をいたしております。あるいは、離島でございますともう少し条件が悪うございますので、ダムの開発のほかに、例えば海水淡水化等も進めておりまして、いわば考え得るあらゆる手段を駆使しまして多角的な水資源開発をしているという状況でございます。そうした開発の中で、そうした苦しい中でリゾート等の新しいプロジェクトが入ってくる。私は、それにつきましては現在県に対しても申し上げておりますし、また県の方も十分考えていてくれるわけでございますけれども、できるだけ具体的にこのプロジェクトの将来像をつかみましてきめ細かな水の需要を出してほしい、そうした上で供給面でどんな対応ができるかということだろうと思います。その際に、本島で申し上げれば今までは多目的ダムを中心にやってまいりましたけれども、そのほかにどんな新しい水の開発の手法が考えられるか、十分検討をしていかなければならないと思っております。  いずれにしましても、リゾート開発につきましてはトータルとしてのキャパシティーがやはりあるのだろうと思います。環境問題のキャパシティーもありましょうし水というキャパシティーもある、あるいは交通というようなアクセスの問題もある、そうした全体としてのキャパシティーの中にリゾートがどんな形で調和あるたたずまいをしてくれるかということだろうと思います。その辺のことは十分心得てやっていきたいと考えております。
  127. 上原康助

    ○上原委員 これから具体化をしていくわけですから、いろいろ紆余曲折もあるでしょうし、また県民の関心もだんだん高まっているようですから、いずれにしても、この雇用の問題、県内生産品の使用あるいは水、特に水の問題というのは大問題ですね。今沖縄の人口は、御承知のように百二十三万ですよ。たしか宮崎、香川県よりは多いですね。宮崎、大分に匹敵している。米軍まで入れますと約百三十万近いです。だから、県内のこういったフレームについては、水の利用にしても何にしても、米軍の存在というのは、軍人軍属は入っていない。それも問題なんです。だから、一日に十五万トンも消費するような企業であるならば、果たして独自で水を確保できるのかということ、再処理はどうするのかということ、こういったものを半強制的とまでは言わないにしても義務づけないと、県民の水の確保というのは非常に不安を持ちます。その点は強く指摘しておきたいと思うのです。  そこでもう一つ、第三次振計の中で、あるいはまだ二次振計の二年あるわけですけれども、私は大変残念なことなんだが、那覇空港のターミナル整備というものが、二十年近くなろうとしているのにああいう変則的というかばらばらな状態にあって、利用者は非常に不便をかこっている。これはだれが見ても不自然な状態です。それも、那覇空港が民間専用にならずに自衛隊がひさしを借りておっていつの間にか母屋まで取られている状態、これは何回も運輸省とも議論してまいりました。ですから、大臣、二次振計の後半、残っている間にも、那覇空港の南の玄関としてのたたずまいをもう少し県内外から印象づけられるようなというか、利用できるような状態に持っていってもらいたいと思うのです。特にこのターミナル地区の抜本的整備というのは、第六次空港整備計画平成三年から七年に向けてやるのか、あるいはこの事前でやるのか、その点は開発庁あるいは運輸省としてもぜひしっかりお考えになっていただきたい。これが一つです。  もう一つは、砂田長官は文部大臣もなされたし、また沖縄にも大変深い御造詣を持っておられる。私は、さっきのリゾートとか、そういうのも大事なプロジェクトではあり、それを全面的に否定する、あるいはそれはいかぬという立場はとっていないということは冒頭申し上げましたが、今後、よりやらなければいかぬことは、沖縄の伝統文化というものをどう大事にしていくかということなんです。例えば、この間沖展をやっている。沖展をやるにも美術館とか、そういう県立の美術館とか何にもないものだから、転々として借り家住まいで方々でやらなければいかぬという状態です。これは四十七都道府県のうち恐らく沖縄県だけだと思う。わずかに浦添市がこの間市立の美術館をつくった。私も何回か各歴代の文部大臣に予算の分科会などでも指摘をし、この間も中島元文部大臣でしたか、国立劇場的なものをつくるということをぜひやりたいと答弁なさっておるわけでありますが、何か第二国立劇場のあれが文化庁の予算云々で、まだなかなかめどが立っていないようです。沖縄総合事務局も沖縄の伝統文化による地域振興調査というものを昨年、平成元年にやっています。この中でもいろいろ指摘されております。そこで、ここでも指摘されておりますように、常設の郷土劇場建設を県も復帰二十周年事業としてやってみたいというお考えもあるようですが、沖縄の伝統文化を振興していく意味で、多目的常設劇場というか国立文化劇場というか、そういうものをできればこの二次振計が残っている後半の中で、二年の間に調査費ぐらいつける、あるいはそれを第三次につないでいく、これは今県民一致した強い要望です。この夏には世界の「ウチナンチュウ」大会もやろうとしている。時期が熟していると思うのです。  ですから、砂田大臣、歴代の方々もいろいろ御苦労なさったのですが、大臣期間中にターミナルを整備させるという方向性と、この長年の沖縄の伝統文化を守るために国立の常設劇場をつくる、あるいは美術館をつくる、そういうソフトで、沖縄県民性、感性が本当に伴う文化施設にこの際力を入れていただきたい。このことは砂田大臣のお手柄と言ったらあれですが、実績として将来高く評価されるような、それは政治家としては、大臣としては必要です。私はそう思うのですが、この二点について御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  128. 砂田重民

    砂田国務大臣 例えば国立の組踊劇場、そういうものを設置してほしいという県からの御要望も承っておるところでございますけれども、何さま国の文化予算が貧弱きわまりない、やっと先般の補正予算で一つの基金が設けられたわけでございます。今、美術館もないというようなお話がございましたけれども、国全体の公募展をやる国立の美術館すら我が国は持っていない、東京都の美術館を借りて日展をやっておるようなまだ情けない状態でございます。しかも、第二国立劇場という予算的に大変な重荷をしょった文化庁でございます。沖縄の伝統芸能をどう伝承していくか、後継者をどう育成していくか、その劇場をどう確保していくか等について、文化庁と沖縄開発庁沖縄県が参加いたしまして連絡協議会を設けて検討してまいっておるところでございますが、今大臣在任中にというお話でございましたけれども、最近は大臣の寿命が短うございますから、そこまでの自信はございません。第二国立劇場というもの一つであれだけの重荷になっておる文化庁でございます。今、連絡協議会等で御相談しておりますのは、あの組踊を立派に伝承して後継者を育てていくということに文化庁にも全力を尽くしてもらう、予算措置等も特段の配慮を文化庁にもしてもらう、当面の組踊をかけます会場としては県もお考えになっております東町会館を改装して使ってはどうか、浦添のコンベンションセンターがまさに多目的な劇場でございますからこれを利用することはどうか、こういうようなことが連絡協議会で協議が続けられておるところでございます。今の文化庁予算というものを私も承知いたしておりますだけに、率直に申し上げて直ちに国立劇場といったことに踏み切る自信はございません。しかし、組踊を立派に伝承して後継者を育てていくということだけはぜひきちっとやっていきたい、かように考えておるところでございます。  今先生からお話がございましたターミナルの問題も、運輸省ともよく協議をいたしまして、どなたでも感じる不便なことになっておるわけでございますから、あのターミナルの統合整備を一日も早く実現させたいと考えております。  それからもう一つ、リゾート開発の問題でいろいろな多くの角度からの先生の御意見でございます。  国土庁のリゾート法による指定を受けるべく、県も御準備になっているわけでございますけれども、リゾート法の指定を受けて具体的にこの事業を進めてまいるとするならば、自然を専ら保護する地域開発をする地域調和をとっていく地域、その区別もきちんといたさなければならないでありましょうし、水の問題も解決をしていかなければならない問題でありますが、もう一つは国際的な資格を持ったリゾート地。もうハワイやオーストラリアだけが競争相手ではありません。東南アジア各国も大変観光に力を入れていることでございますから、タイ国もマレーシアもインドネシアもフィリピンも、恐らくそれぞれの海岸地にそれなりの施設をつくっていっているわけでございますから、国際競争力を持った沖縄リゾート地域にならなければなりません。  それに、一つ忘れてはなりませんのは、観光地としての魅力というものは施設よりもむしろホスピタリティーではないか。そのホスピタリティーについての人づくりが、まだ沖縄県としてはこれも後発をしたわけであります。今おっしゃった雇用の様子を見ても、課長クラスは本土から来るではないか、こういうお話もございましたけれども、県としてもやはり観光事業に従事をする人づくりを心がけていかなければならない。民間のこういう教育機関だけに任せていっていいかどうかということもひとつ県で御検討いただきたい、かように考えているところでございます。  お手伝い、助言をいたしますことは、やはりポスト二次振計の重要な産業になっていくことだけは間違いないことだと考えますだけに、できるだけいろいろな角度からの検討を私どもも勉強しながら、県のお考えに協力をしていきたい、かように考えているところでございます。
  129. 上原康助

    ○上原委員 短期間でやるというのは大変難しいことはわかりますけれども、ある程度大臣の御決意のほども理解できます。  また、このリゾートの問題、ポスト二次振計にどういうプロジェクトを位置づけていくのかという点で、私の考え方とそんなにギャップがあると私は見ていないわけですね。しかし、こういう計画に対しては、非常に楽観的に物を考える人と、慎重論、いろいろなことがあっていいと思うので、ややもすると机上のプランでどんどん進んでいった場合どうなるのかという立場から指摘をしているわけですから。  しかしそれにしても、第二国立劇場ができないなら、それこそ政治じゃないか。開発金融公庫はほかの黄色い信号のところに投資をせずに、そういうものに投資をしてもらって、つくったらいいですよ、これ。それはぜひ実現をしていただきたいと存じます。  次に、いろいろお尋ねしたい点があるのですが、もしお尋ねできなければ、政府関係者、来ておられる皆さん、御勘弁を願いたいと思います。  基地の問題もたくさんありますが、まず、けさの那覇空港の弾薬庫問題で同僚議員が聞いておったわけですが、実にいいかげんな御答弁をしている。これは那覇空港が民間専用の空港である、共同使用にはなっているが、私たちは主体は民間だと思うのですね。そこに新たに弾薬庫を三基もつくるというのは、これは保安距離がどうのとか安全性がどうのとかいう問題ではないのです。県民感情ですよ。しかも僕は、けさの防衛庁の村田さんだったかな、答弁を聞いておって、沖縄における自衛隊の弾薬が極端に不足している、それはどういう意味なのか。著しく不足しているから備蓄をしなければいけないからつくるなんて、何のためにそんなに弾薬を今沖縄に駐屯している自衛隊が必要なのか。私たちはこの間、参議院の喜屋武先生を含めて県選出の四人の議員で申し入れた。自民党さんだって申し入れるということに対しては反対じゃないんだ。これは再検討してもらいたい。もうあなたが抗堪性の問題であるとか弾薬が不足しているとかどうとか言うのは、これは県民感情として許せないんだ。いみじくも言ったように、全国の基地で弾薬庫増設をやっているから沖縄にもやるんだ。予算があるからつくるというだけのことじゃないの、私に言わせれば。今その必要性もなければそういう状況でもない。だからこれは県議会も議決をしているし、那覇市議会も全会一致、県選出の国会議員も皆これは好ましくないと思っている。安保を認めるとか自衛隊がどうのとかいう問題じゃない。再検討以外にないと思うのだが、その余地があるのかどうか、それだけ答えてください。あとの説明は要らない。
  130. 村田直昭

    ○村田政府委員 先生今お尋ねの、極端に不足している部分ということについての御説明はまずさせていただきたいと思うのですが、那覇基地について見ますと、部隊がその任務を遂行するために必要な弾薬類を貯蔵するわけでございますが、火薬庫が極めて不足していると私が申し上げましたのは、他の航空自衛隊の基地と比べまして現在約十五分の一ぐらいの状態になっておるということでございまして、ぜひ任務遂行あるいは訓練のために必要な弾薬の貯蔵庫を設置させていただきたいということをお願いしておるわけでございます。  それから次に、先生方から先日申し入れを受けまして、大臣から、立場の違いはあるものの、意見は意見として十分お聞きし、その上でこの計画必要性、その安全性等について確認をしたところ、今申し上げましたように、那覇基地に配備されている部隊が防衛の任務を遂行するために必要な弾薬類を貯蔵する火薬庫が不足しているという一点と、それから安全性も確認し得るということから、どうしても那覇基地に建設する必要があるということで、設置計画は変更できず、推進せざるを得ないというのが私どもの結論であるということでございます。
  131. 上原康助

    ○上原委員 それは防衛庁はそういうお立場をとろうが、我々は納得できませんよ。しかも現在は二十八・七トンの貯蔵しかない。新規は四十五トン。倍近くやるんじゃないですか。それは防衛庁長官の見解なの。この間の申し入れは無視するのですか。あとは要らぬから、防衛庁長官に我々が申し入れたことに対してはどういう見解なの。
  132. 村田直昭

    ○村田政府委員 私がただいま申し上げましたのは、防衛庁長官によく御説明した上での見解でございます。
  133. 上原康助

    ○上原委員 それは県民としては絶対承服できませんね。皆さんはそういう強権で、いろいろ法律を何だかこじつけた解釈でやるかもしれませんが、県民感情はそういうことは許しませんよ、しかも今の国際状況の中で。私はこれはいずれ防衛問題の中で十分議論をしたいと思うのですが、絶対著しく不足をしているとかそういった緊急性はないと思う。百歩譲ってもない。しかも航空も海上も陸上も、別々にそういう弾薬庫をどんどんつくって競い合う状況じゃないですよ、百歩譲っても。そういう面を含めて再検討しなさい。今の答弁は受け付けません。  次に、那覇空港がそういう状態でありながら、沖縄の空の問題も大変厳しい状況、もちろん海上もですね。まずACMIの現状はどうなっているのか説明してみてください。
  134. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  昭和五十九年九月十一日の合同委員会の合意に基づきまして設置されましたACMIの装置でございますが、マスターステーションブイの係留線が切断される等の事故がございましたので、現在に至るまで使用されておりません。
  135. 上原康助

    ○上原委員 使用されてないのは結構。僕らはそれはつくるなと言ったんだ。しかし外務省も防衛庁も、今防衛庁の弾薬庫をつくると言うあなたも、聞いてもらいたい。皆さんは緊急性があるとか必要性があるとか日米安保条約を尊重する取り決めなんだと言っている。このACMI問題で国会でどれだけ激しい論議をしたか。また沖縄県がどれだけこれに反対をしてきたか。一九八一年からこれは出始めているのよ。すったもんだのあげく八四年に日米間で合意をして八五年から設置をする。何のことはない、あれだけ必要性を言っておきながら、約十年近く設置はしたものの五カ年間使用してないじゃありませんか。使用してないことは結構なことなんだが、皆さんが国会で答弁をしたり、日米間で取り決めというのはそれほどいいかげんなものだということを証明しているということを指摘したいのです。今後どうなるのですか、このACMIは。
  136. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 外務省からも外務省の考えを御説明させていただきたいと思います。  今防衛庁からも御説明ございましたように確かに五基のブイを設置いたしました後、係留線が切断される等の事故が生じましたので、現在まだ使用されるに至っておりませんが、米軍といたしましては、パイロットの練度向上及び維持のためにこれは不可欠なものと考えておりまして、できるだけ早期にこのACMIの運用を開始する計画を有していると承知しております。
  137. 上原康助

    ○上原委員 練度向上に不可欠なものであるということは最初から言っておったのだよ。練度向上に不可欠なものなら、四、五年もほったらかして、必要がないから今までやらなかったわけでしょう。いつまでもやめておれ、そんなもの。もうこの中身は余り言いませんけれども。  それと、北部訓練場内に通信施設タワーを最近米軍が建設したというが、この施設の機能、中身はどういう状況なの。これとACMIとは関係あるの、ないの。
  138. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  米軍は北部訓練場内に通信鉄塔を建設中でございます。この工事は通信システムの近代化を図るのが目的でございますが、同時に米軍は、ACMIを既存の海底ケーブル方式からマイクロウェーブ方式に変更する必要が生じましたことから、このためパラボラアンテナを当該鉄塔にあわせて設置することを計画しているものと承知いたしております。
  139. 上原康助

    ○上原委員 そこでこれは念のために、後日の議論を展開していくために聞いておきたいわけですが、八五年に設置をして今日まで、ブイの何やかんやと皆さん言いわけしているけれども、その間の日米間の話し合いというのは何かあったの。それと、ACMIをつくるとき空域問題、大変問題になりましたね。新たな空域を米側に提供したわけでしょう。その空域、ブロックされたものは今日までどうなっておったの。
  140. 下里晃

    ○下里説明員 ただいま先生御質問の空域の面に関して申し上げさせていただきます。  私ども、空域使用に先立ちまして告示がなされるわけですが、その告示の内容どおり民間機等については通過させておりません。  以上でございます。
  141. 上原康助

    ○上原委員 日米間の話し合いというのはどこか、外務省か。ACMIについて。
  142. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 先ほど御答弁申し上げたのは外務省の基本的な考えでございまして、必要に応じて米国側とも接触しておりますけれども、繰り返しでございますが、米軍といたしましてはパイロットの練度向上とその維持のためにこの施設は必要不可欠であるということを言っておりまして、先ほど御披露申し上げましたように、できるだけ早期にこのACMIの運用を開始することにしたいと言っております。したがいまして、私どもも、そういう見地から考え、なおかつ地元の住民のお考え、さらには民間航空等の考えも考えた上でこの設置に踏み切ったという経緯は先生御承知のとおりでございます。
  143. 上原康助

    ○上原委員 外務省の答弁は聞く程度にとどめて、運輸省。そうすると、このW173のAというのはACMI提供空域として民間利用はできなかったということね、あなたのさっきの答弁は。
  144. 下里晃

    ○下里説明員 先生のお話のとおりでございます。
  145. 上原康助

    ○上原委員 だからこんな調子なんだよ。ACMIを設置しなければいかぬ、必要不可欠だと言って、すったもんだ議論をして、これは国会でも大問題になった。私も何回かやった。沖縄県も全部反対だった。運輸省も当初は難色を示した、航空管制官の皆さんも。しかし、日米安保があるからと、外務省は何やかやうやむや言って173のAというのを、わざわざこういう空域を設けて提供したんだ。この五カ年間この空域内を民間は利用できなかったのよ。こんなばかな話がありますか。そんなずさんないいかげんなことをやっているんだ。だから、あの弾薬庫なんていうのも、必要不可欠とか何やかや言ったって、そこに予算があるから、取り決めだからつくるというようなものにすぎないんだよ、皆さんが言うのは。国会質問もいいかげんにしているんじゃないんだ、こっちも。  そこで、もう一つ大問題がある。嘉手納RAPCONの問題等もきょう聞きたかったのですが、リゾートで大分時間とりましたので時間がありません。あれも大事なことですが。  そこで、こういうACMIの問題、空の問題から、沖縄は陸もそうなんだ。七五%専用基地。海だってそう。第一一徳丸にああいう被害を与えながら犯人はわからない、爆弾がおっこちてきても。恩納の都市ゲリラもそうだ。宜野座も何か完成したから近いうちにやるというけれども、それも答えてください。恩納と宜野座のあの訓練はやるのかやらぬのか。絶対やめてもらいたい。  そこで、私がいろいろ調査をしてみますと、この夏に米軍が、これは自衛隊も参加するかどうかまではまだ定かでありませんが、空の大演習を計画していると聞いております。それは事実なのかどうか。訓練しようとするその呼称というか名称は何というのか、それをまずお答えください。
  146. 下里晃

    ○下里説明員 私どもが知り得た範囲内でお答えさせていただきます。  三月下旬に米軍担当が我々那覇管制部に参りまして、夏ごろ、正確にはその日程等はよくわからない状況でございますけれども、演習を計画したい旨、申し入れがございました。内容等につきましては、今申し上げましたようにまだまだこれから詰める段階でございますが、名称につきましては、私どもが聞いておるところではオーガスト90と聞いております。
  147. 上原康助

    ○上原委員 外務省はどうなんですか、この件については。知っているのですか。
  148. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 私どもは聞いておりません。
  149. 上原康助

    ○上原委員 聞いておりません。――施設庁は。
  150. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  聞いておりません。
  151. 上原康助

    ○上原委員 ややこしい問題とか重要な問題になると、聞いても聞かないふりをしたり、後でまた、ばれたらというか、後でわかると、あのときは聞いていませんと逃げたり、では運輸省だけですか。  これは今もありましたように、コープノース90ということで、訓練したいというわけでしょう。それは間違いないですか。
  152. 下里晃

    ○下里説明員 ただいま先生おっしゃられた名称と私どもが聞いている名称とはちょっと異なっておりまして、それが同一のものであるかどうか、ちょっとわかりかねます。
  153. 上原康助

    ○上原委員 期日は、あなたは八月ごろと言ったが、八月の六日から十日までの五日間、コープノース90ということで臨時訓練空域を設定をして、沖縄上空で、海上を含めて大規模な演習をやる。既に日米間で話し合いに入っているんじゃないの。今ごろなぜ――アルトラブの話とかあるいはウォーニングエリアなど、さっきのACMIを含めての空域の制限のあれを一々指摘するまでもないのですが、これをちょっと見ていただきたいのです。  大臣、この黒いところが沖縄本島です。こういうところがみんな米軍が民間空港を排他的に空域として独占的にいつでも使っているところなのです、この点線で囲んであるところ。これがさっき問題になったACMIで新たに提供をした、八十五年に、日米間で。しかし、五年間訓練も何もしない。ここは囲ったままでそのままほったらかしてある。今度八月に訓練をしようとする。私が赤で入れてある、これはいろいろ調べてみると、これだけの空を新たに囲って大演習をやろうというのだ。冗談じゃないよ。もうやめなさいよ、本当に。しかも八月というと夏休みでしょう。こういうことをすれば大変な空のパニックになりますよ。どの規模でどういうような、何の目的の演習なのか、それを明らかにしてもらいたい。これをあなたに見せるから……。委員長。――こういう計画でやるのかどうか、ぜひひとつ。
  154. 下里晃

    ○下里説明員 この演習の規模でございますけれども、那覇管制部の方に米軍の方から話があったのはあくまでも事務レベルの検討の段階でありまして、その内容、実施の可否そのものについてはまだ未定と聞いております。
  155. 上原康助

    ○上原委員 いやいや、せっかく人が難儀してつくったのに、これが当たっているのかどうか、見なさいよ、あなた。
  156. 下里晃

    ○下里説明員 失礼しました。私ども、まだ具体的な資料等は入手してございません。那覇管制部の方でもって現在事務的に話し合いが行われていると聞いております。
  157. 上原康助

    ○上原委員 事務的にと言うが、事務的というのはだれなの、あなたはもっと偉いのか。
  158. 下里晃

    ○下里説明員 那覇管制部の方に私ども、前年それから一昨年も演習等がございましたけれども、その際まず最初に空域面の検討、これを担当者に行わせております。この検討に際しましては、当然のことながら民航機に影響のないよう安全については最大限の配慮を払う、こういうことでもってまず事務的な調整を行っているということでございます。
  159. 上原康助

    ○上原委員 いずれにしても事務的な調整をやっている。米側から申し入れがあった。今進んでいることは間違いない。それで八月にそういう演習があるというのもあなた、冒頭に答弁なさった。これは本当に、国際的にはこれだけデタントということで、どこを見たって、今そういった緊急状態でない。しかも、今でさえ空というのは大変なパニック状態。この間も那覇空港でニアミスがあったのでしょう、一月の十日、十一日でしたか日本航空と。その調査結果もまだ明らかにされてない。そういうさなかに夏の、しかも観光もいろいろな面で忙しい時期に、これだけの空を囲って米軍が排他的に一週間近くも大演習をするとなると、これは問題なんです。これは運輸省は運輸行政を預かる者として内心はそう賛成しかねる面もあると思うのだが、問題は外務省だ。これはぜひ米軍と、具体的に合同委員会なり日米間の協議があったときには、日本側としてはこういう時期にこういう大演習をすべきでないということをきちっと対処をしていただきたい。よろしいですね。
  160. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、先生が御指摘の演習に関しましては私どもまだ承知しておりませんが、一般論で申し上げますと、訓練につきましては、安保条約及び地位協定が、訓練を含め、軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを当然の前提としております。したがいまして、米軍は個々の訓練の内容について我が国への事前通告を行う必要はない建前になっております。しかし、米国側が我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきであるということは当然でございまして、こういう観点から国民生活に重大な影響を与える訓練については、事実上米国側は可能な限り我が国に対し、自主的に通報をしてきております。これが従来の慣例でございます。一般例で御説明させていただきました。
  161. 上原康助

    ○上原委員 そんな一般論で通るものでないよ。通報の義務もないなんて、そうじゃないんだ。慣習としてもうやられているわけです。地位協定でもたしか五条では、空港とか港とか使う場合には通告義務があるはずなんだよ。それはきょうはよしましょう。  そこで、これは絶対まかりならぬ。しかも、ACMIのあの空域を確保した場合に、いかにでたらめであったかということがわかるわけですよ。一事が万事だよ。米軍は何でも必要、必要と言うでしょう。そんなのをみんな認めるわけにいかぬ。時間ですから、時間どおりやめますが、そういう計画があるということははっきりしたので、私たちはこれは絶対認められないということを強く指摘をしておきます。  あと、恩納の都市ゲリラあるいは宜野座のあれはどうなっているの。米軍はやめるのでしょうね。
  162. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  恩納及び宜野座の都市型訓練施設は、米軍は使用いたしたいというふうにかねて言っておりますけれども、今のところ特段いつから使用するというような連絡はございません。
  163. 上原康助

    ○上原委員 これで時間ですから……。大臣、今お聞きのように空も陸も海も大変な状態なんです。私は大臣のお人柄、その誠実さ、沖縄に関する熱意、情熱、意欲というのはよく理解しますが、残念ながら基地問題に対して、沖縄現地に行かれると大変結構なことをおっしゃる。だが沖縄振興開発計画あるいはリゾートを進めていく、いろいろなものをやっていくのに基地の整理縮小ということを、担当大臣の口からみずから所信表明なりこういったやりとりの中で出ないというのはちょっと……。やはりもう少しこの問題についても熱意を持っていただきたいという、これは私の強い期待ですからね。今私がやりとりした基地問題について、今後振興開発推進していくのにこれは絶対に考えていかなければならない問題、解決していかなければならない問題なんで、きょうは大臣お一人しかいないですから、最後にひとつ今後の沖縄の基地問題、整理縮小あるいは今言った県民感情をどう解消していくかということに対しての所見を聞かしていただいて、終わりたいと思います。
  164. 砂田重民

    砂田国務大臣 沖縄米軍基地の高密度的なあり方というものが沖縄振興開発計画を進めるについて障害になっている、私どもは明確にそう考えているわけでございます。沖縄に行って言ったこととこういう場で言うことが違うとおっしゃいましたけれども、私は同じことを申し上げているわけでございます。整理縮小ということが私どもの期待するところでございます。二次振計にも明確に文章として書き入れてありますのも、そういう趣旨からでございます。日米合同委員会にできるだけ早くその結論を出していただくことを期待しているものでございます。
  165. 上原康助

    ○上原委員 終わります。
  166. 上田哲

    上田委員長 玉城栄一君。     〔委員長退席、沢田委員長代理着席〕
  167. 玉城栄一

    ○玉城委員 私は、砂田沖縄開発庁長官並びに中山外務大臣並びに塩崎総務庁長官所信表明に対し、並びに沖縄振興開発金融公庫法の一部改正を一括しまして、若干質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、外務省の方に、今上原先生とのやりとりで、お礼というのでしょうかね。私も長い間外務省に強く要請してまいりました。あれだけ沖縄米軍基地を置いて、いわゆる外務省として重要な所管である安保条約、そのかなめとして沖縄に基地を置いておきながら、外務省はどういうわけで外務省の出先といいますか、そういうつながりを持たない形で今までいたのか。北海道なんかでは大使も置いてちゃんとやっているではないか。そのことを強く要請をしてきたわけですが、今回四月一日からですか、外務省の職員を沖縄県庁に常駐させるという目的で派遣をされました。何らかの形で、形はどうであろうと、そういうことが実現いたしましたので、私もそれなりに感慨深いものがあるわけです。  松浦さん、この間おたくの外務省のある方がこのことで、非常に外務省と沖縄が近くなりました、大変感謝しますというお話をしておられましたので、それは非常に結構なことですと。近くなりましたという意味は、いろいろな考え方があるのでしょうけれども、少なくともそれだけ重要な若手の有能な外交官を常駐されるわけですから、沖縄の実態を外務省はよくつかんでいただいて対処してもらいたい、いわゆる実りある成果をちゃんと、沖縄県民の気持ちをよくわかって対応していただきたいという期待を込めてその話を伺ったわけですが、局長さん、いかがでしょうか。
  168. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 先生御指摘のように、私ども外務省といたしましても、沖縄県民方々がどういうふうに感じられて、どういうことを希望しておられるのか、最大限の努力をいたしまして理解を深めつつアメリカとの折衝に当たりたい、こう考えておりまして、私も、北米局長に就任いたしましたのが一月の下旬でございますが、二月早々には早速沖縄に出張して、いろいろ見学、視察をさせていただきました。  先生御指摘のように、この四月一日から外務省から課長クラスの者を沖縄県庁に出向させていただくことになりまして、四宮という、本省で企画官、これは課長クラスのポストでございますが、それをやっていた者が沖縄に参っておりまして、所掌事務は沖縄におきます米軍に関する問題の処理と国際化時代に対応するための国際交流の促進、この二つを担当させていただくことになりましたので、これからも引き続きよろしくお願いいたします。
  169. 玉城栄一

    ○玉城委員 私から申し上げますと、むしろ本当に遅きに失した。けれども、しかし、これからでも非常に活躍をしていただきたい。といいますのは、専門家でいらっしゃいますから今さら私がとは思いますが、世界が物すごい激動といいますか変化が非常に激しいわけですから、その波は当然我が国にも、あるいはこれだけ基地を抱えている沖縄にも今どんどん来ているわけですね。この前チェイニー長官の来日等でもいろいろお話があったとおりでありますから、ぜひ的確に沖縄県民の望む方向で対処していただきたいと思うわけであります。  そこで、これは午前中もちょっとお話がありましたけれども、私もこれは簡単に見過ごせないと思いましたので。アエラという週刊誌がございますね。四月二十四日号でありますが、この記事の中にこういうことが書いてあるわけです。沖縄第三海兵隊司令官ヘンリー・C・スタックポール少将の、三月二十七日ですか、ワシントン・ポストのインタビューの紹介記事としてこういうふうな内容があるのです。「もし米軍が引き揚げれば日本は、すでにきわめて、きわめて」、「ベリー、ベリー」とダブルで、「きわめて、きわめて強力になっている軍隊を一層強化するだろう。われわれは瓶の栓なのだ……。」いわゆる瓶のふたなのだ。「日本人は人種的優越を信じている……。彼らは銃を使わず、経済力で大東亜共栄圏を獲得したのだ」、こういうようにこの週刊誌に書かれているわけです。  これは一民間人とか学者とか評論家とかと違いまして、第三海兵隊という米国の強力な軍隊の指揮官ですからね。司令官ですからね。この人のワシントン・ポスト紙に対するいわゆるコメントですから、これはこのままでいいのかなと思いますが、局長さん、どうお考えになりますか。     〔沢田委員長代理退席、委員長着席〕
  170. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 先生が引用されましたアエラ誌の記事、私も拝見いたしましたが、そこに引用してございますスタックポール司令官の発言は、三月二十七日にワシントン・ポスト紙に報道されたものからの引用ではないかと思っております。これはワシントン・ポスト紙が報道した直後に、そういう報道があったということは私も直ちに気づきましたけれども、ワシントンにおきまして国防省のスポークスマンが定例記者ブリーフにおきまして、このワシントン・ポスト紙の報道はチェイニー国防長官あるいはアメリカ政府の見解を反映したものではないということをはっきり言っておりまして、さらに、日米安保条約は今後とも日米関係の基礎をなす強固なきずなであり、アジア・太平洋の平和と安定にとって不可欠な枠組みであるということを強調する発言をしております。
  171. 玉城栄一

    ○玉城委員 そのことはわかりますけれども、この司令官は在沖四軍調整官でもありますし、在日海兵隊の司令官でもあるわけですから、この人のこの考え方、認識が、どういう意図でそういう発言をされたかは別にしましても、いやしくも自分らの在日駐留軍としての役目は瓶の栓である、ふたである、日本の軍国化を抑制する意味があるんだという内容であるということになりますと、これは非常に問題になるわけです。  実は大臣、沖縄の基地については非常に積極的にお考えも披露しておられますので、御存じのとおり、在日米軍の駐留費用というのは日本全国民一億二千万で一世帯当たり一万円余りですね。これは約四万九千九百人の在日米軍、一人当たり八百二十五万円負担しているわけです。一年間米国が日本に駐留する米軍費用として約六十億ドル、約九千億円、それの四五%は日本が負担しているわけですね。これはいろいろ、環境庁の予算に比べるとこうだ、あるいは科学技術庁の年間予算に比べるとこの四千億という金はこれだけなんだ、法務省の予算に比べてもこう、そういうことがいろいろこの雑誌にも書いてあります。  それだけ莫大な経費我が国が負担しておいて、今申し上げました海兵隊司令官の発言となりますと、我が国としてもこれは黙ってはおれないなと思うのです。むしろ松浦さんの方が抗議なりなんなりするのが当然だと我々は思うのですが、長官、こういう米軍の駐留というものが、今考え方も変わり、立場も変わりつつあるわけですね。そういう意味では、沖縄米軍基地というものの整理統合、縮小、返還ということは積極的にぜひ政府としてやっていただきたい。先ほど長官もおっしゃいましたように、二次振計後、また三次振計についても基地の存在が非常に重要であるというお話もされましたので、いかがでしょうか。
  172. 砂田重民

    砂田国務大臣 米軍沖縄にあります基地に対する沖縄開発庁の考え方というものは、先ほども上原委員にお答えをしたとおりでございまして、これは沖縄四十七年復帰の際の佐藤総理、当時の沖縄担当の大臣であった山中長官の国会答弁以来、終始一貫している姿勢でございます。ただ一方において、日米安保条約、地位協定による基地の提供という現実の問題がございます。そこをクリアをしてもらいますために、日米合同委員会が一日も早く結論を出してくださることを、振興計画推進をしてまいります開発庁長官としては期待をしているところでございます。  そして、今の海兵隊の司令官の発言云々のお話でございますけれども、直接聞いたわけではございませんし、私も新聞の報道としてこれを見たわけでございますから、私がお答えしていいかどうかいささか迷うところでありますが、報道されているような発言の内容であるとするならば、日本国憲法、日本政府の、経済大国になっても軍事大国にならない、総理が機会あるごとに申しておりますことを理解しておられないなという印象を受けます。
  173. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、大臣、沖縄に行かれて記者会見の席で、日米合同委員会で今在沖米軍基地の整理統合、詰めで、合意もされている、近々発表されるであろうというお話、それはアメリカの大使、アマコストさんも春の終わり、それから夏の初めごろには公表されるであろうというようなことをおっしゃっているわけですね。外務省は、松浦さんの方は、今のお話はそんな感じでよろしいのですか。いわゆる春の終わりと夏の最初というのも五月か六月かということなんですが、そういうことで詰めた話が合意されて公表される、そしてまた、後も続いていろいろ公表も出てくる、そしてその五月、六月というのは中間報告だ、こういうふうに理解していいのですか。いろいろ単発的に出てきますので、その辺をちょっと御説明してください。
  174. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 沖縄米軍施設区域整理統合に関しましては、今砂田大臣からもお話がございましたが、けさの委員会の冒頭におきます中山大臣所信表明におきましても、外務省といたしましても、「その一層の促進を図るため鋭意努力を払ってきているところであります。」ということを申し上げた次第でございます。まさに私どもは鋭意、合同委員会の場を通じまして今米国と折衝をしておる段階でございます。  先生御質問の具体的な発表の形式及びそのタイミングでございますけれども、いろいろ報道が行われていることは私も承知しておりますが、アメリカ側と折衝しております責任者として申し上げますと、現段階で私が申し上げられますのは、できるだけ早い機会に発表させていただきたい、こういうことで、いついつまでということを今の段階で責任を持って申し上げ得ないのは非常に残念でございます。できるだけ早い機会に具体的な発表をさせていただきたいということを申し上げたいと思います。  それから、先生御質問の形式の問題で、最終的な報告を一挙に出すのか、中間的な報告を出すのか、という点でございますけれども、一定の成果が得られる、しかし全体に関してはまだまだ詰め切れないという点が残っているということになりまして少し時間がたつようなこともございましたら、中間報告といったような形でもできるだけ早い機会に発表させていただきたいと思っております。
  175. 玉城栄一

    ○玉城委員 重ねてですけれども、五月とか六月という新聞報道等がありますけれども、それはそのとおりでよろしいのですか。それは違うということですか。
  176. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 現段階では、非常に申しわけございませんが、今申し上げましたようにできるだけ早い機会に発表させていただきたいということで、先生御質問の具体的な時期に関しましては、御質問の五月ないし六月がどうかという点に関しましては具体的なコメントは差し控えさせていただきまして、できるだけ早い機会にということで意を酌んでいただきたいと思います。
  177. 玉城栄一

    ○玉城委員 私も沖縄に帰りまして、沖縄の有力な方々から、ぜひ国会ではこの米軍基地の問題についてはとにかくしつこくやってもらいたい、それが報道されますと、基地の問題は案外国会で論議されたのと似たような形で動いていくということもありまして、それでお伺いしているわけです。今度の問題も、在沖米軍基地の整理縮小など十何年前からですから、安保協議、これは昭和四十九年、十五年近くも議論して、これが半分は返って、半分はまだそのままという状況でしょう。そこで私は、これは早急に決めていただきたいのです。  今のお話は日米合同委員会で、沖縄に関しての米軍基地の整理統合の話ですね。地上の基地ですね。さっき上原先生も、空域あるいは水域、あるいはまた米軍が管制権を握っている空域は今のお話の合同委員会での話の中身としては含まれていないわけですね。
  178. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 私どもが施設区域と申し上げておりますときは、その関連の上空の訓練空域が入っているのもございまして、具体的に申し上げますと、今先生が言及されました日米安保協で了承されました計画の一つで、これはまだ最終的な実施がされていないものでございますけれども、例えば伊江島の補助飛行場がございまして、この飛行場につきましては上空の米軍使用空域も含めて今折衝しているところでございます。
  179. 玉城栄一

    ○玉城委員 局長さん、私が先ほど最初にちょっと大臣にも申し上げました、この雑誌の海兵隊の少将のお話を申し上げたのは、当然米国の正式な政策ではないということはよくわかりますよ。しかし現地の、それだけの海兵隊の司令官がそういう認識を持って、またワシントン・ポスト紙にちゃんと発言しているということになりますと、これは我が国としても、在日米軍基地についてもあるいはあり方についても総見直し、ある意味では総点検といいますか、これでいいのかな、いわゆる日米安保条約に言う我が国の平和と安全並びに極東の平和と安全のために本当にこのくらい必要か、これが必要なのかということを見直しをしていかなくちゃいけないと思うのですね。ですから私さっき申し上げました、これは沖縄に限りませんが、一応沖縄について、空域、臨時的なアルトラブ、それから管制の空域、これも含めて米軍と、こことここは返還というか解除すべきだとか、特に管制権を握っている部分、これなんかは当然返還交渉を進めてもそろそろいいんじゃないでしょうか。管制権の返還については、これは今までされたことがありますか。
  180. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 先生今御質問の点は、沖縄本島におきます進入管制業務についての御質問だと思いますが、先生御承知のように、昭和四十七年の合同委員会で、日本政府沖縄の飛行場のレーダー進入管制業務を行うまで暫定的に米国政府が那覇空港の進入管制業務を実施する旨合意されているということで、これは暫定的にということになっていることでございまして、私どもとしてはその後何回かにわたりまして、まさに合同委員会の場、あるいはその下部機構でございます民間航空分科委員会におきましてもこれを取り上げまして米側に移管を要望しておりますが、米側といたしましては、嘉手納の飛行場は米軍にとりまして極めて重要な飛行場であるので、種々の米軍の運用上の所要にかんがみ、本件移管は極めて困難であるということを言っておりまして、当面移管は困難であると考えております。しかしながら、私どもといたしましては、引き続き米国側と接触を深めて対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
  181. 玉城栄一

    ○玉城委員 ちょっとこの件で運輸省にも伺いたいのですが、運輸省の管制の方、今外務省の方がおっしゃったように、返還がされる時期において運輸省としてはこの能力はちゃんとあるのか、管制業務としてちゃんとやれるのかどうか、やれないのか、いかがでしょうか。
  182. 下里晃

    ○下里説明員 運輸省といたしましては既に進入管制業務を十分実施し得る能力を備えていると考えておりまして、今外務省さんの方からお話がございましたように、昭和六十三年五月に開かれました合同委員会、その下部機関である民間航空分科委員会、ここでもって申し入れをしてございます。
  183. 玉城栄一

    ○玉城委員 さっき申し上げました、在日米軍というのは瓶のふた、栓、そういう考え方も現地の司令官の中にあるのであれば、我が国としても、極東の平和と安全、それも大事、あるいは我が国の平和と安全も大事。そうかといって、ちゃんと要求すべきものはしていかなくてはいけないと思うので、こういう問題もぜひ今後も続けていただきたいと思います。  もう一つは、例えば嘉手納の飛行場、ここに四千メートルの滑走路が二つあります。ですから、この滑走路についてもせめて一つは日本側にあるいは民側に使用させるあるいは共同使用もいいというようなことも、これも昨年の暮れでしたか、いわゆる五年間で海兵隊は撤退するという報道の中にありました。これは現地で非常に要望が強いんですよ。いわゆる嘉手納飛行場の一本を、常時でなくても、最初は月に何回とか、そういう要望もあるわけですから、そういうこともひとつ考えてみられる必要があるんじゃないですか。いかがでしょうか。
  184. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 先生御承知のように、本年の二月にチェイニー国防長官が参りまして、東京に参る前にまさに沖縄にも行ったわけでございますが、東京に参りまして海部総理以下と会談しております。その席で、東アジアにおきます米軍の約一割の削減を再編ということで今後二、三年間で考えていきたいということを発表しておりまして、この細目に関しましては、これは日本のみならず韓国、フィリピンも関係しておりまして、米軍の中で詰めると同時に、関係国とよく相談していきたいということになっておりますが、先生が先ほど来御指摘の沖縄におきます具体的な施設区域整理統合の話は、まさにこの十数年来アメリカ側と話をしておりまして、一言で申し上げますと今大詰めに来ておりまして、合同委員会の場でもいろいろ話をしております。  私もつい先日もクーパー少将と非公式にも話をして、最後幾つか残りました難問に関しましてそれを解決すべく今鋭意努力している最中でございまして、この問題は、今のチェイニー長官が二月に発表いたしました全体の米軍の再編問題と私どもは切り離しまして、これは前々からの経緯で本当に最後の段階に来ておりますので、これはこれでできるだけ早く合意に達して発表さしていただきたい。これは先ほど御答弁したとおりでございまして、それと新たに出てまいりました米軍の再編ということで約一割を東アジア全体で削減しようということ、これをどう受けとめて、これに対してどう対応していくかというのは、これは今後二、三年の問題でございまして、もう少し時間をかけてじっくり考えさしていただきたい、こういうふうに考えております。
  185. 玉城栄一

    ○玉城委員 私が申し上げましたのは、嘉手納基地、米軍の嘉手納飛行場は四千メートル滑走路が二本あるわけですね。一つは使わしてもいいという考え方が国防省の中には一部あるという報道もあるわけですから、遠慮せずにそういうものを含めて米側との交渉に入ってもいいんじゃないでしょうかということをお伺いしたいんです。
  186. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 昨年の秋以来、米軍の日本からの引き揚げに絡みましていろいろな新聞報道が、私どもから見まして非常に不正確な形で行われておりまして、その中に先生が引用されましたいろいろな報道があるということは私も承知しております。米国側は、先ほどちょっと私が御披露いたしましたのは、まず第一段階として今後二、三年の間に先ほど申し上げたように東アジア全体で約一割ということで、その先については今後検討していくということで、新聞報道はその先ももう何かいろいろ決まっているかの報道がございまして、その関連で先生御指摘のような話も出ておりますが、当面の問題として申し上げますと、先ほど来強調さしていただいております施設区域整理統合の従来からの懸案をこの際しっかりした結論を出して発表さしていただくという関連では、今先生御指摘の嘉手納の滑走路の話は入ってきておりません。これは、先ほど来ちょっと申し上げましたが、今後の問題として全体として今後二、三年間で約一割を再編ということで削減する、これは第一フェーズでございまして、あと第二フェーズ、第三フェーズというのがその後に控えておりまして、これはまだ現段階では米軍も全く白紙でございまして、そういう今後の中長期のいろいろな話し合いをして、その過程でいろいろ今後の日本全体におきます施設区域あり方についても当然話し合いになっていくと思います。そういう全体のことに関しましては、現段階で具体的な問題について私が申し上げるのは若干時期尚早かと思いますので、具体的なコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  187. 玉城栄一

    ○玉城委員 よくわかります。第一段階、第二段階、こう三段階ありますから、これはよくわかります。  そこで、今度はまた質問を変えますが、沖縄の場合は赤土ですね。赤土の流出の現況といいましょうか、これはもう米軍だけじゃありませんよ。企業もやっています、県もやっています、国もやっています。道路建設、ゴルフ場の建設。沖縄の土は赤土で土地改良、農林省もやっています。その中でも米軍さんのやり方、これはまたひどいのです。キャンプ・ハンセンのデータをきのう施設庁からもらいましたけれども、これは毎年とにかく赤土を流して、それをまた防衛施設庁は毎年この対策を立てています。きのうもらった資料によりますと、五十二年度、キャンプ・ハンセンの戦車道をつくったとき以来、五十二年、同じく五十三年、五十三年、五十五年、五十七年、五十八年、五十九年、六十年、六十一年、六十二年、六十三年、平成元年、そして、次から都市型訓練とかハリアーパッドということになる。そのたびにまた防衛施設庁はこれを流さないように手当てしているのです。毎年こういうことをやっているのです。そして、常にこう流れてくるわけですね。  私はなぜこれを申し上げますかといいますと、アースデーというのは四月二十二日ですね。そういう今世界的に環境問題が非常に関心が高まっているわけです。だから、私がきょうざっと申し上げたのは、米軍はブート岳とか恩納岳、これは実弾をぶち込みますから実態ははげ山になっているわけですね。だから、このアースデーなんというのは本当にアメリカさんが中心になってやっていますけれども、肝心のそこの軍隊が来て、人の地域に来てこんなことをやっているということは大問題だ、こう思うのです。  ひとつ防衛施設庁の方にお伺いしたいのは、何でこんなに戦車道を――毎年手当てしないと赤土が流れて、赤土が海を汚染しますね。モズクがあります、養殖がありますね。そういうのも死滅、サンゴも死滅するわけですから、そういうことをさせているかということを防衛施設庁、ちょっとお答えいただきたいのです。
  188. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  米軍の諸活動に伴いまして、演習場等から赤土が流出しているということは事実でございますが、提供施設区域内における米軍活動に当たりましては、従来から周辺住民生活に十分配慮するように機会があることに当庁からも注意を喚起しているところでございます。また、米軍もその趣旨理解しているものと承知はいたしておりますが、なお委員御指摘のように、時折赤土が流出するという問題が生じているわけでございます。
  189. 玉城栄一

    ○玉城委員 時折じゃなくて毎年こういう状態ですから、皆さんも予算をそういう対策のために毎年こんなことをやっているわけですから、軍というのはもともとそういうことは余り関心がないのですね。  それで問題は、専門のお役所の環境庁にお伺いしたいのですが、環境庁という役所はこういう赤土、その赤土というのは御存じでしょうね、これがこのように流出されるという事態を。軍が、また県もやっていますよ、総合事務局もやっていますよ、民間もゴルフ場をつくってやっていますけれども、軍がやっているということについて、環境専門のお役所としてどういう認識を持っていますか。
  190. 米澤隆志

    ○米澤説明員 今先生御指摘の沖縄県の赤土問題につきましては、私どもといたしましても、海域の自然環境などに影響を及ぼすという観点から、その問題については非常に関心を持っておるところでございます。  そこで、在日米軍に係ります環境問題につきましては、日米合同委員会の下に環境分科委員会という機関がございまして、ここにおきまして協議を行うということとなっておりまして、ただいま先生から御指摘のありました在日米軍に係ります赤土の流出問題、このような問題につきましても、沖縄県ですとかそれから防衛施設庁、そのほか関係の機関とも十分に相談をさせていただいた上で、必要に応じてこのような場を通じまして適切な対応を図ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  191. 玉城栄一

    ○玉城委員 いや、ですから、私も農林水産委員会にいましたが、そのときに、沖縄において土地改良事業をやるのも結構だけれども、そのために赤土が全部周辺海域に流れて汚染していろいろな問題が出ているというこのことについて大臣はどう認識するかという質問に対して、大臣は非常に重大な問題だと認識しているという御答弁をいただきまして、あと具体的にどうするかという議論をしたわけですが、今関心があるというだけですか、こういう今の問題は。
  192. 米澤隆志

    ○米澤説明員 沖縄の赤土問題につきましては、私ども先ほども関心があるというふうに申し上げましたけれども、非常に重大な問題というふうに考えております。
  193. 玉城栄一

    ○玉城委員 それでは、さっきおっしゃいましたけれども、私がさっき申し上げました昭和五十二年からもうずっと、今平成二年ですから十三年、そういう戦車道、米軍からずっと赤土が流れて、そのために防衛施設庁はやっている。そういうことを、日米合同委員会の環境委員会があるので、ちゃんと向こうの環境問題の専門家と話し合いされましたか。
  194. 米澤隆志

    ○米澤説明員 先ほど申し上げました環境分科委員会におきましては、主として従来は基地から出てきます水質汚濁の問題ですとかそれから大気汚染の問題等について議論をしてまいりました。したがいまして、今までこの赤土問題については議論はされておらなかったという状況でございます。
  195. 玉城栄一

    ○玉城委員 まあここら辺でけしからぬともう言いたいところですが、とにかくそういう場があるわけですから、ちゃんと環境庁もそういう――向こうもまた専門家がいますよ。ちゃんとそういう場で議論もし、要望も強く言い、そういうことを二度とさせないという強い環境に対する、あなた方は理念もあるのかないのかわからぬ、そんなことじゃ困るのですね。絶対しては困る、そういうことを歯どめをかけるように具体的にやってもらいたいのですね。よろしくひとつお願いします。  そこで次に、防衛庁ですか、那覇空港のいわゆる弾薬庫ですね、三つをつくるという話。先ほど上原先生もおっしゃったことと同じなんですが、問題は、あれは弾薬庫は今那覇空港に四つありますね。五十一年とそれから五十九年、二回つくっている。沖縄県が復帰した四十七年から五十一年に三個つくっていますよ。これは規模はそんなに大きくないです。小規模です。これはわかりますよ。いや、これはわかるというのは、これを容認してわかるという意味でなくて、復帰した四十七年に自衛隊が向こうに入ってきましたから、その自衛隊の組織という、火薬とかそういうものが必要なんでしょうが、その程度はわかる。それで五十九年の、今百五十平方メートルの大きさですか、これをつくりました。五十九年ごろは東西冷戦がたけなわとまではいかなくても、今のような状況でないことはわかりますわね。ですから、これもけしからぬとは思いつつも、ところが今度は三個でしょう。一個二百平方メートルの弾薬庫、これが三つでしょう。合わせると六百平方メートルですね。今までのものは四つ全部合わせても四百平方メートルですか。これは間違いないですかな。間違いなければ四百と、急に六百の火薬庫をつくる。この御時世に、この時代の流れの中に、あれ、これは強力な防衛増強を図るのかな、これはもうだれしもそう思いますよ。しかも、この空港はこれだけの人の出入りするところなんですね。なぜそうなるのか、これがもう全然理解できないですね。
  196. 村田直昭

    ○村田政府委員 お答えいたします。  何点かお尋ねがあったと思います。まず、今の情勢がデタントといいますかそのような情勢じゃないか、こういうようなお話でございますが、その点につきましては、最近の国際情勢を見ますと、米ソを中心とする軍備管理、軍縮の交渉の進展等、いわゆる望ましい変化というものは生じているというふうに私どもは思っております。しかしながら、このような動きも、米ソを中心とする力の均衡と抑止が引き続き国際社会の平和と安定の基本的条件であるということを前提として進んでいる動きではないかというふうに私どもは理解しているわけでございます。したがって、我が国としましては、引き続きこうした枠組みを前提としまして、けさ方も申し上げたわけですが、我が国が平時から保有すべき防衛力の水準を定めた防衛計画の大綱に基づきまして防衛力整備に努める必要があり、現在、この水準の達成を図ることを目標とする中期防の着実な実施に努めているところでございます。中期防におきましては、継戦能力の向上及び訓練等に必要な弾薬の備蓄を推進することとしており、このため弾薬保有能力を向上する必要があることから、全国各地に逐次弾薬庫の整備を進めてきて、今回那覇で整備をお願いしているということでございます。  そこで、先生が第二点目に御質問になりました、現在もう既に四棟あるじゃないかというお話でございますが、現在の状態は、一棟は我々が今回整備しようとするようなものと同様のものでございます。残りの三棟につきましては、銃弾等を入れる弾薬庫が一棟、発煙弾等を入れる煙火の弾薬庫が一棟、それからアラート用に使う完成弾薬庫が一棟ということで、今回つくろうとするものと同様なものが一棟あるという状況でございます。そしてその量は、那覇基地におる部隊が任務を遂行するために必要な弾薬等を貯蔵するためには極めて不足しているという状況でございまして、これも先ほど申し上げましたように、他の航空自衛隊の基地に比べますと、これは平均の話でございますけれども、十五分の一にすぎないということで今回火薬庫を建設することをぜひお願いしたい、こういうことでございます。
  197. 玉城栄一

    ○玉城委員 私は、最初に申し上げたように、結論としてこれは絶対だめだ、認めるわけにはいかないという前提で申し上げているのです。だから、私は最初に申し上げたでしょう。このヘンリー・C・スタックポール少将、米第三海兵師団長が言っているのです。「もし米軍が引き揚げれば日本は、すでにきわめて、きわめて強力になっている軍隊を一層強化するだろう。われわれは瓶の栓なのだ……。」こういうことを裏づけるようなことを皆さんやっているのです。唐突ですよ。今まであった四つの弾薬庫が合わせて四百平米ですか、今度はさらに六百平米でしょう。こういうのを今のときに那覇空港でやるということは唐突過ぎます。幾ら不足だ何だと言ったって、じゃどこを相手にしてそんな訓練をするのか。まさか日米間の武力衝突ということの想定はあり得ない話ですが、ソ連とは脅威がないということをアメリカ自身が言っているわけですから、そういうところでそんなことをするということが理解できないのです。
  198. 萩次郎

    ○萩説明員 今のお話でございますが、今も私どもの参事官から申し上げましたように、各自衛隊の部隊にはそれぞれ弾薬庫を当然持つわけでございます、弾のないような自衛隊というのは自衛隊として存在し得ないものでございますから。それで足りているかどうかという話になるわけでございますが、今のお話にありましたように、例えば航空自衛隊の飛行場にも大体平均して十数棟、すべて弾薬庫を持っておるわけでございます。例えば、官民共用しております千歳に十九棟、それから小松に十三棟ということで、航空自衛隊の飛行場基地には大体それぐらいはどうしても必要だということで従来からやっておるわけであります。それに対して那覇の場合は、航空自衛隊にプラスアルファ海上自衛隊もおるわけでございますが、それで従来四棟ということでございまして、従来は海上自衛隊は航空自衛隊の一部間借りをしておるという状態でございます。海上自衛隊の飛行場基地でも、八戸は四十八棟と大変多いのですが、そのほかの基地でも、大体五棟とか九棟とか十棟とか、そういうものを持っておるわけでございます。こういうのと比較していただきますと、従来、那覇基地はおくれて自衛隊の基地になったせいもありますけれども、弾薬の貯蔵庫が大変少ないということをおわかりいただけるかと思います。  いずれにいたしましても、一カ所百五十平米とか二百平米のものをささやかに建てさせていただくということで、その辺の必要性をぜひとも御理解いただければというふうに思っております。
  199. 玉城栄一

    ○玉城委員 少なくていいのです。うちの党の書記長の市川さんも予算委員会で、この時代の流れからいって三年間凍結と言っておりますから、こんなものは必要ないと思いますので、これはぜひ取りやめていただきたいと思います。  次は、今度は基地問題と離れまして沖縄の交通事故の問題です。  きのう、交通事故の資料をずっともらって沖縄についていろいろ説明を受けましたけれども、昭和五十五年から六十三年の約十年間で、二年間は少ないところもありましたが、全国平均指数より沖縄は常に上なんです。それが一つ。それから二番目は、沖縄の場合は夜の交通事故が全国の数字から見て非常に多い。それから三番目は、余りよくはないのですが、沖縄の場合は酒酔い運転が多い。これはいろいろ理由があると私は思うのです。向こうは車社会、車しか使えませんから。四番目に、オートバイ事故が全国平均よりも非常に多い。それから、若年層が多い。こういう特徴的なお話を伺ったのです。  そういうように全国に比べて沖縄の交通事故には今申し上げた特徴的なことが非常に多いということで、その対策は警察としてどのようにとっておられるのか、お伺いいたします。
  200. 賀来敏

    ○賀来説明員 お答えいたします。  御案内のとおり、沖縄県においては交通死亡事故が昨年九十二人ということで、前の年より十三人ほど増加しております。今お話がございましたように、特徴も、若者の事故が多いということ、また二輪車の事故が多いということ、特に際立って目立つことは酒酔い運転が多いということでございます。酒酔いにつきましては全国平均の五倍ということで、酒天国と申しますか、地獄かもわかりませんが、飲酒の事故が多いという特徴がございます。  そういうことにつきまして、現地県警ではその特徴に基づきまして所要の対策を講じておるところでございますが、酒の問題は、モラルという問題もございますけれども、かなり習慣、生活ということで、まず飲食店等に対しましてその辺の問題提起をいたしておりますし、広く県民の皆さんにも御理解をいただくようにしておりますが、やはり一罰百戒的に厳重に取り締まりをすることも大事なことでございますので、飲酒の取り締まりを強化いたしております。そのほか、パトカー等で警ら活動強化する等やっております。  なお、酒に限らず夜間の事故が多いということから、管内、町を明るくするということで、ライトアップという方向でいろいろと施設整備を進めておりますし、カーブ等では、目がすっとその流れに沿うように視点を誘導するような施設を順次整備いたしておるところでございます。  また、全国的な特徴で沖縄県でさらに特徴的な形で出ておりますが、二輪車の使用者が多いということで二輪車の事故が多いわけでございますが、学校等と連携して安全指導強化する、また最近の若い人は、ただ話を聞くだけでは物足りませんで、実践的な教育が必要ということで、県警では白バイ隊員等を地域に出しまして、いわゆる体験型の研修をする方向で進んでおります。このほか、みずからがルールを守るということで、若者の安全クラブ等の結成を進めているところでございます。  いずれにいたしましても、とうとい命を何とか守らなければならないということでいろいろな形で努力をしておりますが、県民皆様方の温かい御支援によりまして沖縄県でも比較的成果が上がりつつございますので、よろしく御支援のほどお願いいたしたいと思います。
  201. 玉城栄一

    ○玉城委員 はい、よくわかりました。  これは行政に大きな責任があるのですよ。まず、沖縄は酒が多いどうのこうのとありますが、酒はどこでも全国飲みますよ。だけれども、飲んだ後帰る手段がないのですね、沖縄の場合は。いわゆる車しか乗れないという状態がありますね。それで、米軍基地の大きな問題はパイプライン、宜野湾から四千六百メートルの浦添、このパイプラインがありまして、そのボックスが九個あるのですね、道路の真ん中に。そこへ激突するわけです。こういう基地の問題もありますね、道路の問題が。だからこういうものを総合的に整備しないと、そういう酒酔いは全国と比べて沖縄の場合はそんなに対策としてはとれないのではないかと思います。  そこで、時間がありませんので、最後にモノレール、これはどうなっていますか。もう十数年議論はされておりますけれども、一向に……。大体国自体がどういう方針なのか、やるのかやらぬのか、これがはっきりしないものですから、県から市から全然あやふやになって、最近は立ち消えになりそうな感じなんですね。沖縄開発庁、それから建設省、お願いします。
  202. 水谷文彦

    ○水谷政府委員 那覇市の市内の交通混雑を緩和しますために都市モノレールの整備計画を持っておりまして、現在その実施計画を進めるとか、関連する道路整備を行ってきております。道路整備等は大体七〇%くらい完了いたしておりますけれども、モノレールの本体工事の着工につきましては、これはかねてからそうでございましたけれども、幾つかの大きな問題がございます。とりわけ一つには、事業の収支採算がどうなるか。仮にそれが収支相償しない場合にどんな対策をとり、どこが負担するかといった、そういう収支損益上の問題がございますし、それから御案内のように、那覇市内には既にバス網が張りめぐらされておりますので、そこに一本新しい交通体系を導入することになりますと、当然その間にバス網との調整という問題がございます。当然のことながら、営業の縮小という問題が出てくれば、それをどう考えるかといった問題とかそういった難しい問題がかねてから残されておりまして、その点につきまして、県は今いろいろな角度から調査をしていただいておりまして、その状況を踏まえまして私どもの方としましても慎重に検討させていただきたいと考えております。
  203. 荒木英昭

    ○荒木説明員 建設省でございます。  今沖縄開発庁の方から御説明がありましたように、モノレールの事業の採算性とか既存バス事業との調整等のような問題があるようでございます。これらのものにつきましては、沖縄県の方で鋭意バス事業者との調整、それから最新のデータに基づく需要予測の調査検討を進めておりますので、我々建設省としましても、これらの状況を踏まえまして開発庁とも十分連絡をとりつつ協力してまいりたいと思っております。
  204. 玉城栄一

    ○玉城委員 最後に、先ほど沢田前委員長が、沖縄振興開発に金がなければ宝くじでも発行してというお話がありましたけれども、本当に国自体がきちっとやるという方針がぐらぐらしているものですから、さっきの交通事故の問題もしかりですよ。ちゃんと物をつくってあげて交通事故を減らすというなら話はわかるけれども、注意しろ注意しろじゃだめですから、ひとつよろしくお願いします。  終わります。
  205. 上田哲

    上田委員長 古堅実吉君。
  206. 古堅実吉

    ○古堅委員 最初に、公庫法の一部改正に関連して質問いたします。  態度を一言最初に申し上げておきますが、この公庫法の一部改正については我が党の基本的な態度は賛成であります。  市場規模が小さく、民間資本の小さい沖縄において、産業振興のためにも国の積極的な融資制度は大事なことですし、必要なことだというふうに考えます。一方、今回の改正によって懸念される問題も多分にございます。この点について幾つか政府の見解をお伺いし、確認しておきたいというふうに考えます。  一つには、融資対象事業は、民活法、リゾート法等の十三の事業と伺っておりますけれども、それはいわゆるNTT・Cタイプ、民活事業事業で、第三セクターで組まれるとはいえ、その基本は大企業主導で推進される大きなプロジェクト、これが向いている方向でありまして、そういう意味では大企業優遇措置というふうに言わざるを得ない、そういう面を持っておるというふうに考えております。  同時に、先ほども同僚議員からございましたが、今沖縄ではリゾート法に基づく事業として部瀬名岬地域リゾートマスタープランが発表され、具体化されようとしております。このリゾート構想自身が、下水道等の公共施設の問題、環境破壊や地域住民生活への影響等、さまざまな懸念も現地でも出されております。大規模プロジェクトが具体化されれば、また当然のこととしてこれまでの経緯に照らして本土企業の沖縄進出が活発となり、結果として地元企業が圧迫されてしまうのではないか、そういう懸念もわいてまいります。  そこでお伺いしますけれども、今回の法改正による融資制度を、今申し述べた懸念される方向にではなくて、あくまでも地元企業を育成し、沖縄経済の豊かな発展に寄与する、そういう立場で運用していかれる考えがあられるかどうか、その基本点について最初にお伺いしたい。
  207. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 今回の立ち上がり支援資金ないし研究開発資金でございますが、先ほど先生からお話がございました沖縄産業資本の整備あるいは研究開発必要性に迫られて今回導入するものでございます。具体的な事案についてのお話もございましたが、まずはそういう制度をつくらせていただいて、そういう機も熟してまいっておりますので今回法改正を考えておるところでございまして、地元企業の育成の問題、あるいは研究開発についてのいろいろな御指摘の問題、そういったものを十分踏まえながら、現実には公庫運営に当たっていただく形、貸し付けを決めていただく形になるわけでございますが、そういう形で運営されていくものと考えております。
  208. 古堅実吉

    ○古堅委員 運用にかかわる面は公庫が直接という御返事だと思いますが、今申し上げた同様の趣旨の質問に対して公庫の側からどなたかお答えいただけますか。
  209. 藤仲貞一

    藤仲説明員 お答えをいたします。  私も沖縄産業振興にとって地元企業の育成というのは最大の課題だ、かように考えておりますが、沖縄公庫の融資は沖縄県の区域内で事業等を行う個人または法人に対しまして、もちろんそれが沖縄産業振興あるいは社会開発に寄与するというものでなければなりませんが、沖縄の企業であるかあるいは本土の企業であるかを問わず融資をいたします。そういう仕組みになっております。
  210. 古堅実吉

    ○古堅委員 私がお聞きしようと思っているのは、そういうしゃくし定規的な言い分での説明を求めるというものではございません。法制度として、本土から入ってきて沖縄に事務所を置き、そこで融資を求めればそれに対してもできていきます、そういう説明を受けておりますし、仕組みとしてはそうだろうと思います。しかし、なぜ公庫法が特別法として設置されたのかという趣旨に照らせば、そういう法制度として、本土の企業が沖縄に入ってきて融資を受けようとする場合にとめられないということはあるとはいえ、その心を大事にしてどういう方向への努力をするか、それは求められる大事な点だというふうに考えるのです。そういう面でもう一度理事長。
  211. 藤仲貞一

    藤仲説明員 最初に申し上げましたとおり、地元企業の育成というのは非常に大事な仕事であるというぐあいに考えております。ただ仕組みを念のために申し上げただけでございます。
  212. 古堅実吉

    ○古堅委員 ぜひ今申し上げた、指摘しております点を考慮して公庫運営にも当たられる面で御努力を願いたいというふうに考えます。  次に、今回の法改正によって産業開発資金の需要量がふえて、その結果中小企業資金あるいは農林漁業資金など現在の重要な貸付制度へのしわ寄せが来るのではないか、そういうことについての懸念がございます。それで二、三点お伺いしておきたいと思います。  既存の他の貸付資金との関連についてですが、例えば今回の創設による産業開発資金の需要量がふえた場合でも他の貸付資金を奪うようなことではなく、それらへの影響がないように予算枠を全体としてふやすことによって解決を図っていく、そういう点について明確な態度が表明できるかどうかお答え願いたいと思います。
  213. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 先生の御懸念は、新しい融資制度の導入によりまして産業開発資金の需要が一段と増加をいたしまして他の資金枠を圧迫することにはなりはしないか、こういう御懸念かと思います。先生御案内のとおり、沖縄公庫事業計画予算は、産業開発資金、中小企業等資金、住宅資金、農林漁業資金などというように各資金別に計上されておりまして、その執行も四半期別に各資金枠の中で事業計画を策定して対応するというのが原則でございます。年度末になりますと各資金間の需要緩和を見て資金の流用等を行うことはございますが、原則は先ほど申し上げたのが原則で、そういう形で運営させていただいております。したがいまして、産業開発資金の増加が直接他の資金枠を圧迫するという仕組みになっていないことも事実でございます。しかも、今回導入をいたします立ち上がり支援資金及び研究開発資金でございますが、いずれも設備資金融資を補完する意味で、どちらかといいますと限定的と申しますか、そういうような形で行うものでございまして、現在のところ他の資金需要を圧迫するほどの規模になるとは想定をいたしておりません。したがいまして、これらの融資制度の創設が他の資金枠に影響を与える心配は現在のところないものと考えております。
  214. 古堅実吉

    ○古堅委員 これは、今度創設される資金面での需要が将来高くなっていって、その場合どうなるかということについても当然のことながらこの時点で考えておかなくてはならぬ、そういう立場から質問しているわけなんですが、現在、例えば農林漁業資金などは貸付計画に対して実績が低いから融資計画を削減しろという声もあるようであります。しかし、調査してみますというと、需要、希望がないのではなくて、実態は、農家の皆さんからは融資の希望があるんだが、融資資格の条件とかあるいは手続、そういう面で厳しい、煩雑だということがあってなかなか融資を受けられるだけの農家の側の力の発揮ができぬ、そういう隘路があって受けられない、こういう実態があるようであります。公庫はそういう声があることを聞いていらっしゃいますか。
  215. 藤仲貞一

    藤仲説明員 実情を申し上げますと、公庫の農林漁業資金も近年毎年計画を相当下回るという状況で推移しておりまして、確かに先生おっしゃるように、融資条件と申しますか手続を簡素化してほしい、こういう御要望があることはよく承知しておりますが、この農林漁業資金の低迷の状況は必ずしも融資手続の問題ということには限らない。農林漁業を取り巻く環境が非常に厳しゅうございまして、そういうことからどうしても投資需要というものが上がってこない、こういう状態にあるものと私は思っております。  ちなみに、これは公庫の融資だけではなくて、先生御案内かと思いますが、国、県の利子補給制度を備えました農業近代化資金というのがございます。これは、系統金融機関が扱っておる融資制度でございますが、この農業近代化資金も近年非常に伸び悩みの状況を続けておるわけでございます。また、県が行っております無利子の融資制度でございますところの農業改良資金というものがございます。これも近年同様の状況にある、さような状況でございます。  ただ、先生御指摘の手続の簡素化という点につきましては、これは私ども大変重要な問題だということで、年来いろいろ改善努力しているところでございますが、今のお話もございましたのでさらに検討を加えまして、できるだけ利用者の方に便利な手続というものをつくってまいるよう努力してまいりたいと存じます。
  216. 古堅実吉

    ○古堅委員 公庫が発行している農業資金のパンフレットによりますというと、融資を受ける資格の中に「一、経営の担当者が若年であること。二、必要な技術を習得していること。」そういうことなどが挙げられております。確かに御説明のありますように、全体として農業を取り巻く環境が厳しくて、融資を受けてどうこうしようということになりにくい、そのこと自体が重大な問題だと思うのですが、そういう面もあろうかと思います。しかし、おっしゃっておられますように資格、条件が厳しい、あるいは手続が煩雑なゆえにという声が大きいということもあるわけですから、それらの状況を踏まえて、どうしていくかの問題は当面の重要な対策、課題だというふうに考えます。この厳しい条件のゆえに融資が受けにくい、貸付資金の消化実績が上げにくいという問題は、真に沖縄産業を発展させていくために寄与するという公庫の役割に照らしてみますと、今態度の御表明がありましたように、それそのものを本当に真剣に検討して、足腰の強い沖縄の第一次産業、そういうものを育てていく、中小企業を育成していく、そのために融資も受けられるように、それも活用させていく、そのための条件づくりをどうしていくか。そういう面から、ただ単に申し出た者をできるだけ公庫が安全なように条件をつけて、それに見合う者だけが受ければいいということではなしに、公庫が設立されたという本来の大事な趣旨に照らして、ただ一般的な言い分ではなしに、この機会を契機にしてぜひ調査もされて、それなりに御配慮ある検討と、願いにこたえられる方向での御努力に一段と努めてほしいというふうに強く要望を申し上げたい。
  217. 藤仲貞一

    藤仲説明員 私どもも農林漁業関係資金需要が低迷しておりますことを非常に苦にしております。私どもの職員は、そういうことから関係団体との協議であるとか、あるいは個々に農業関係者のところへ伺ったりしまして制度の周知徹底等を図りまして、何とかこの農林漁業の融資が上向きになるようにと思って、日夜苦労してくれておるわけでございます。ただ、御指摘のとおり、もちろん私どもはこのままでいいと考えておるわけではございませんので、またいろいろ工夫を重ねまして、御要望趣旨に沿うように努力をしていきたいと思います。  なお、今古堅先生おっしゃいました条件でございますが、これはごく一部のことでございまして、特定の、非常に低い金利がございます。この金利を適用する場合の要件としてそういう規定がある、ごく一部のものであることを御了解願いたいと存じます。
  218. 古堅実吉

    ○古堅委員 以上で法案に対する質問を終わりまして、わずか十分ほどしか残っていませんが、新しく就任された長官に質問させていただきたいというふうに考えます。  沖縄を担当される長官ですから沖縄の問題についてそれなりの御努力がございますし、この間も早速沖縄を訪問され、いろいろと対応もしてこられたようで、敬意を表したいというように思います。沖縄担当の長官がどういう態度で沖縄の心をつかんで対処されるかは、沖縄問題についてどれだけ力強く前進できていくかということにかかわる問題ですから、これからも県民の願いにこたえて、ぜひ御努力をしていただきたいことを最初に要望申し上げて質問に入ります。  阿部前開発庁長官が二月二十七日の大臣退任あいさつの中で、沖縄振興問題に絡めて、一番大事なことは基地問題だ、重要、肝心なところは全部基地にとられている、県民の期待とは裏腹に基地の機能は強化されている、そういう趣旨のことを述べられたと新聞報道されました。大臣も先日沖縄へ行かれて基地の存在をいろいろと考えてこられたと思いますし、先ほども御答弁もあったかと思いますが、そういうことにかかわって、沖縄振興開発とのかかわりで基地の存在についてどういうお考えなのか、大変大事な基本的な問題にかかわりますので、私からも改めて最初にお尋ねしておきたいと思います。
  219. 砂田重民

    砂田国務大臣 沖縄におきます米軍の基地密度が非常に高うございまして、依然として地域開発県民の日常生活にさまざまな影響を与えておりますことをよく認識をいたしております。この問題は四十七年の沖縄復帰の当時から、当時の沖縄担当の総務長官、引き続いての沖縄開発庁長官ができるだけ早い時期の整理縮小を願ってまいったわけでございまして、その姿勢は今日も依然として変わっておりません。したがって、米軍施設区域の整理縮小については当庁の直接の所管ではございませんけれども、二次振計において「土地利用上大きな制約となっている米軍施設区域をできるだけ早期に整理縮小し、産業振興生活環境の整備に資するよう跡地の有効利用を図るための施策推進する。」ということが明文化されているわけでございます。広大な米軍施設区域が存在することによって厳しい土地利用上の制約を受けておりますことは、これからの残された沖縄振興開発を進める上でも解決を要する基本的な課題の重要なものであると認識をいたしております。先ほど北米局長が答えておりましたように、日米安全保障協議会で合意を得ております基地すらまだ日米合同委員会で半分以下しか現実に返ってきておりません。この問題を日米合同委員会でできるだけ早く結論を出していただくべく期待をしながら、直接担当の当局に私からもお願いをしているところでございます。
  220. 古堅実吉

    ○古堅委員 次に、那覇空港の民間専用化にかかわって一言お伺いしておきたいと思います。  先ほど、新たに航空自衛隊の弾薬庫が建設されることについては同僚議員から詳しく質疑がございました。政府の答弁は、県民の願いにこたえる立場とは全く逆の方向で、それを県民に押しつけようという態度に終始しています。しかし、今問題になっている弾薬庫の問題は、日米安保条約とかあるいは自衛隊とか、そういうものについての政治的な立場、そういうものの違いを乗り越えて、これはけしからぬ、やめるべきだという全県的なそういう世論です。那覇空港は年間七百五十万のお客さんが出入りする全国でも有数の空港です。その空港が民間専用空港として望ましい、そういう方向で整備充実させていくということにかかわって今の自衛隊との共用の問題を常に見ておりますし、共用となっている自衛隊側の基地が強化されるという方向への一つ一つの動きというものについては、それそのものとして限定して見た場合の見解が異なる立場からも、那覇空港の民間専用化ということにかかわる点から見て、みんな挙げて反対だ。ですから、那覇市議会でも全会一致でそんなことはやめろということが決議されますし、県議会でもそういう意見書が採択されて要請される、こういう実情がございます。  こういう立場から運輸省側に一点。この弾薬庫がつくられるということそのものは、将来の民間専用化の方向に重大なかかわりを持って逆行する方向につながるというふうに県民が見て、そのことを問題にしている。そういうことについて、運輸省側として、同じような受けとめができるか。沖縄担当の大臣として、県民からこういうふうに懸念されていることに対して、民間専用空港の方向に推進する立場からは、そういう意味では問題だなという認識があられるかどうか、その双方についてお答えをいただきたい。
  221. 橋本雅之

    ○橋本説明員 問題になっております弾薬庫の設置の件でございますが、運輸省が管理いたします空港の範囲外の事柄でございますので、本件についての答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。  なお、防衛庁におかれましては、運輸省が設置、管理する那覇空港が近くに存在するということを考慮いたしまして、その運用に当たるもの、かように考えております。
  222. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 自衛隊那覇基地の火薬庫の設置の問題でございますが、那覇防衛施設局が那覇市に建築計画通知書を提出するに先立ち、その安全性につきましては、もう先生御案内かと思いますが、火薬類取締法令に基づき審査され通産大臣から設置を承認されたと聞いております。また、去る三月十五日付の文書をもちまして那覇市から建築基準法に基づく建築計画も適法通知がされ、四月九日に着工されているということは、先生も御案内かと思いますが、私どもも伺っておるところでございます。いずれにいたしましても、一般論になって恐縮でございますが、基地における施設の設置運用については可能な限り周辺地域住民生活に及ぼす影響を少なくすることが非常に重要であると考えておりまして、適宜そういう趣旨のことは関係省庁にも伝え連絡をとってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  223. 古堅実吉

    ○古堅委員 長官、もう時間もございませんので、一言お伺いをしておきたいと思います。  今申し上げたように、この弾薬庫の問題は、ただ単にどこかの自衛隊基地に弾薬庫をつくりますなどということとは意味が違います。那覇空港を共用している航空自衛隊とのかかわり、那覇空港を背景とする自衛隊とのかかわりにおいて、その空港の近くにつくられるのですよ。それで民間空港を目指している沖縄側からは、自衛隊を認めるとか安保条約を容認するとかという立場の違いはあっても、那覇空港の民間専用化ということについては一致しておるだけに、それに逆行するようなものには一つ一つ厳しく反対して対処してきている。そういう沖縄側からの切実な願いを込めての、那覇空港を安全なそういう空港の方向に持っていってほしいということに逆行するのじゃないか。そういう面での認識がおありかどうか、そういうことにかかわって一言お聞きしたいということです。
  224. 砂田重民

    砂田国務大臣 地域社会住民の方々のお気持ちは痛いほどわかります。ただ、法律的に安全が確保されているという防衛施設庁から聞いております範囲で、開発庁長官がちょっと口出ししにくい問題ではございます。願わくは後の運用を地域社会住民に心配をかけることのない万全の体制で取り組んでいただきたいと願うばかりでございます。それから那覇空港、民間専用の空港に期待を持たれております。そういう事態に相なってまいりましたときに、この弾薬庫があるから民間空港にはできないということには直接的にはつながらない問題であろうと考えます。
  225. 古堅実吉

    ○古堅委員 終わります。
  226. 上田哲

    上田委員長 小平忠正君。
  227. 小平忠正

    ○小平委員 民社党の小平でありますが、質問させていただきます。  砂田大臣は、沖縄復帰に伴い、本土との格差の是正、自立的発展を可能とする基礎条件整備を図ることを目的とした第一次の沖縄振興開発計画の策定に携わられ、沖縄にはまことに造詣の深い大臣だと伺っております。またさらには、この三月末には大臣就任後初の沖縄視察に出向かれ、つぶさに沖縄を視察された、まことに御苦労さまでございます。また、今週末には今度は一転、北海道に行かれるそうで、本当に御苦労さまであります。  その大臣に、まず沖縄に対しての基本的な認識、御所見をお伺いいたします。
  228. 砂田重民

    砂田国務大臣 小平委員にお答えをいたします。  沖縄復帰のときの閣僚の仕事に参画をさせていただきましたけれども、それほど沖縄に造詣が深いわけではございませんので、当委員会沖縄出身の先生方にもいろいろまだ御指導をいただいてまいらなければなりません。  ただ、沖縄は、さきの大戦で国内唯一の戦場になったところであります。県民をも含む多数のとうとい生命が失われ、県土が徹底的に破壊をされた、このことを断じて忘れてはならないことであると考えております。戦後二十七年間にわたり外国の施政権下に置かれて本土と隔絶をされてしまい、四十七年にやっと本土に復帰をされたわけでございます。しかも、広範囲にわたって米軍基地が今なお存在しているという特殊事情がございます。沖縄は、社会経済の各面で本土と著しい格差を生じますとともに、地域開発県民生活の面で大きな制約をこれまた受けているわけでございます。私は、復帰当時の総務副長官として沖縄本土復帰にかかわりましたが、その当時と比べますと、学校教育施設でありますとか道路でございますとか空港等の社会資本整備は大きく前進をいたしております。沖縄経済社会は総体としては着実に発展をしてきておりますけれども、現在なお、本土との所得格差の問題、産業振興のおくれ、高い失業率、水の確保の問題等解決を要する数多くの問題を抱えているわけでございまして、沖縄にとって本土との格差の是正と自立的発展のための基礎条件整備はなお極めて必要な状況にございます。  私といたしましては、県当局及び県民と一体となって、残すところあと二年となっております第二次沖縄振興開発計画に基づく諸施策を鋭意推進いたしますとともに、本土との格差是正社会経済自立的発展のための基盤整備に向けて、そしてまた、ポスト二次振計、何と取り組まなければならないかということをひとつ懸命に取り組んで検討をしてまいりまして、平和で明るい活力ある沖縄県づくりに邁進する所存でございます。
  229. 小平忠正

    ○小平委員 ありがとうございました。  次に、藤田局長さん、今大臣がお答えいただいた点とも重複するかもしれませんが、「第二次沖縄振興開発計画後期の展望と戦略」、これらの提言が先般昭和六十二年になされております。その中に、沖縄について、来るべき二十一世紀社会にふさわしい国際交流拠点国際的評価にたえ得るリゾート基地の形成及び地理的、自然的特性を生かした産業振興を図る必要があり、今後振興開発促進するに当たっては交通通信体系の整備充実、水資源開発等、所要基盤整備に努めるとともに、将来国際化社会を担うに足る多様な人材の育成を図っていく必要がある、こう言っております。これらの柱が、今後のこのポスト二次振興開発計画の土台となるのかどうなのか、その方向性についてお伺いいたします。
  230. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 二次振計が中間点を過ぎた時点で、後期の振興開発をどう進めていこうかという際にまとめられたものが「展望と戦略」でございまして、先生今お話ございました三本柱、一つは亜熱帯性の気候を利用した農業の振興、あるいは国際的評価にたえ得るリゾートの振興あるいは国際交流拠点形成、こういう大きな三本柱を立てて今後の振興をしていこう、こういうことで進めてまいってきておるわけでございます。  先生の御質問はあと二年、二次振計が終わった後のポスト二次振計に向けてどういうふうなことを考えていくのか、こういうお尋ねかと思います。第四次の全国総合計画も同じような柱立てで、沖縄振興をワンブロックとして考えておることも事実でございますが、現在私ども総合調査を実施するとともに、総点検を実施をいたしておりますし、また審議会でも専門委員会で検討しておることも事実でございます。沖縄県も総点検あるいは審議会による検討、こういうことをやっておることも事実でございます。今後、そういったこともいろいろ念頭に置きながら、ポスト二次振計が必要かどうかも含めまして検討を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  231. 小平忠正

    ○小平委員 次に、私は沖縄県に二つの大きな問題があると思います。その点についてお伺いいたしたいと思います。  沖縄の抱えている問題として、一つは雇用問題。沖縄の失業率は確かに全国平均を大きく上回っております。三十歳未満のいわゆる若年層では、全国平均の失業率が三四・七%に対し、沖縄は五五%にも達する、こんなふうな状況にあるとお聞きいたしております。また、賃金面でも本土との格差が依然解消されておらず、今後労働入口が着実に増加する中で、二十一世紀に向かって長期的展望に立った雇用対策が特に肝要である、このように考えますが、この雇用問題についてお伺いしたいと思います。
  232. 藤田康夫

    ○藤田政府委員 沖縄の雇用についての御指摘でございます。  先生御指摘のとおり、沖縄の労働市場における主要な問題は、若年を中心といたしました就職難でございまして、本土において最も求人の多い新規学卒者についても、県内では就職が難しいのが実情でございます。これは、県内企業の多くが零細な、経営基盤の脆弱なことによるほか、県内の産業構造自体が季節性の強い観光産業とか建設業とか農産加工業、こういうものに依存をいたしておりますために、安定した雇用機会が少ないことによるものでございます。また、沖縄の新規学卒者の県内志向が非常に強うございまして、一たん本土に就職いたしましても数年後には県内にUターンする、こういうことも原因かと考えておるところでございます。  この問題に対処いたしますためには、沖縄振興開発により県内における雇用機会の拡大に努めることが基本ではございます。それが何より重要であることではございますが、雇用対策の面からは、一般対策のほか、沖縄県全域を雇用開発促進地域に指定をいたしまして、地域雇用開発助成金制度の活用等により雇用開発促進するとともに、県外就職者の定着対策等を実施いたしておるところでございます。開発庁といたしましても、産業振興のための諸施策に呼応しつつ、沖縄の雇用機会の拡大について労働省を中心とします関係省庁に働きかけてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  233. 小平忠正

    ○小平委員 もう一点、簡潔で結構であります。  私は、沖縄につきましては水資源が大変不足しておるとお聞きいたしております。そういう意味では、県の振興開発は今お話ありましたように着実に前進されると思いますけれども、特に水の安定確保という面でまだ不十分である、このように考えます。今後予想されるリゾート開発の進行に伴い、その面からも水の需要は高まる。さらに、ほかの開発等々、そういう中で、今沖縄県では水資源の問題は早急に対処すべき大きな問題であると考えますが、水の安定確保のためにどのようなお考えをお持ちかお聞きしたいと存じます。
  234. 水谷文彦

    ○水谷政府委員 ただいまお示しいただきましたように、沖縄県は水の確保を図る上におきまして、気象的、地形的な条件が極めて不利な状況でございます。片や、人口は増加しておりますし、生活水準が向上する、あるいはリゾート等の新しい開発が進んでいくということで、水需要も増大をしてきておりまして、沖縄振興開発を図る上におきまして、水資源開発を進めていくことは大変重要な課題認識いたしております。  そうした中で、既に北部に五つのダムを完成させておりますけれども、現在それに続きまして三つのダムを建設中でございます。さらに本年度、つまり平成二年度に新たに一つ着工いたしたいと考えておりますし、また、県レベルでももう少し小ぶりのダムと申しますか、取水施設整備も行っております。さらに、離島におきましてはもう少し条件が厳しゅうございますので、例えば海底送水管で送水をするとか海水の淡水化を進めるとか、あるいは本土と同様でございますけれども、ダムをつくるとか、島の実情に応じましていろいろと手を打ってはおるわけでございます。  今後につきましては、お話がございましたように、リゾートの開発が進みますれば水需要が飛躍的に増大するということも考えられます。そうしたことで、今後の開発がどうなるか、それに伴って水需要がどうなっていくかということにつきまして、できるだけきめの細かい需要見通しを出しまして、それに対してどんな形で水の供給を確保していったらいいのか、これまでの多目的ダムの建設を中心として、それ以外に新しい手法がないものかどうか、水の節約あるいはリサイクル等の問題も含めまして総合的に考えていかなければならないと考えております。
  235. 小平忠正

    ○小平委員 一言だけ。沖縄公庫法の改正について質問したかったのですが、時間ということなので、我が党もこの改正には賛成の立場でありますので、ぜひこれの改正にのっとって今後沖縄振興発展に取り組まれんことを心からお願い申し上げます。  終わります。
  236. 上田哲

    上田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  237. 上田哲

    上田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありません。よって、直ちに採決に入ります。  沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  238. 上田哲

    上田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  239. 上田哲

    上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  240. 上田哲

    上田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十二分散会