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1990-06-18 第118回国会 衆議院 安全保障特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月十八日(月曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 瓦   力君    理事 鈴木 宗男君 理事 中川 昭一君    理事 丹羽 雄哉君 理事 三原 朝彦君    理事 宮下 創平君 理事 上田 卓三君    理事 和田 静夫君 理事 冬柴 鐵三君       伊藤宗一郎君    中山 正暉君       山下 元利君    小澤 克介君       嶋崎  譲君    関  晴正君       吉田 正雄君    山口那津男君       東中 光雄君    神田  厚君  出席国務大臣         外 務 大 臣 中山 太郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 石川 要三君  出席政府委員         防衛庁参事官  内田 勝久君         防衛庁参事官  村田 直昭君         防衛庁長官官房         長       児玉 良雄君         防衛庁防衛局長 日吉  章君         防衛庁教育訓練         局長      米山 市郎君         防衛庁経理局長 藤井 一夫君         防衛庁装備局長 植松  敏君         防衛施設庁長官 松本 宗和君         防衛施設庁総務         部長      吉住 愼吾君         防衛施設庁施設         部長      大原 重信君         防衛施設庁労務         部長      竹下  昭君         外務大臣官房審         議官      太田  博君         外務省アジア局         長       谷野作太郎君         外務省北米局長 松浦晃一郎君         外務省欧亜局長 都甲 岳洋君         外務省経済局次         長       須藤 隆也君         外務省条約局長 福田  博君  委員外出席者         特別委員会第三         調査室長    中島  勉君     ───────────── 本日の会議に付した案件  国の安全保障に関する件      ────◇─────
  2. 瓦力

    瓦委員長 これより会議を開きます。  国の安全保障に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田静夫君。
  3. 和田静夫

    和田(静)委員 外務大臣がおくれますので、防衛庁長官からまず伺います。  ゴルバチョフ大統領スタンフォード大学の講演で、同盟というものが人々を統合するよりもむしろ人々を分かつものだったと前提を置きまして、しかし我々は飢餓や病気、貧困や麻薬と闘うこれまでと別の同盟をつくる時期に来たというふうに語っていますが、こういうヒューマニズムといいますか、平和への希求、理想の追求こそが政治が担うべきものだと私も考えますけれども、こうした政治の姿勢から今後の日米安保アジア関係考えていった場合に、長官はどういう姿を描かれますか。
  4. 石川要三

    石川国務大臣 今回の米ソ軍縮会議、かねてからの、マルタ会談以来今日までいろいろとSTARTあるいはCFE等につきましての努力が再確認されて、私どもとしてはさらに一層軍縮に向かっての好ましい変化がお互いさま確認され、大きく前進をされつつある、このようなことで大変評価をしているわけであります。  しかし、それと同時にアジア太平洋の中におきましては、私どもが再三答弁しておりますように、欧州とはやはり違った側面がある。その点につきましてはゴルバチョフ大統領自身新聞記者会見の中で認められているような次第であります。  さらにその後韓ソ首脳会議等も行われまして、今後のアジア太平洋地域におきましても、いわゆるヨーロッパに比べましての二極構造ではございませんけれども、それなりに一つの大きな変化が私どもには想定される、こういうふうに一歩前進をしつつある、私はこのように評価をするわけでございます。  しかし、それと同時に、この韓ソ交渉北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国あるいはまた中国等にも一体どのような影響を及ぼしていくか。特に、いわゆる北朝鮮国家の中におきましての今回のいろいろな韓ソ交渉というものはそれなりに大きな衝撃ではなかったか、私はこのようにも思うわけでありまして、これらがいわゆる私どもの好ましい方向にさらに前進されるものか等を考えますと、かなりの不安要素も私どもは想定できないわけではない、かように思います。  いずれにいたしましても、これから、当面の我が国とソビエトの間におきましてのいろいろな未解決問題等もあるわけでありますが、これらも九月には外相、あるいはまた来年早々にはゴルバチョフも訪日というようなことも着々実現に向かっているわけでありますので、そういう中におきましてこれらの問題がどのように進展をしていくのか、私どもは非常に大きな関心を持っているわけでございまして、そういう一つ政治的な未解決問題が少なくとも一つ一つ薄紙がはがれるように解決をしていかれるということは、これからのアジア太平洋地域におきましての軍縮の上におきましても私は非常に大きな影響を及ぼすことではなかろうかな、かように期待をしながら我が国としても注意深くこれに対応していくべきではなかろうか、かように思っているわけであります。
  5. 和田静夫

    和田(静)委員 ちょっと質問趣旨とは違っていましたけれども長官がこれからのアジア情勢を一応見通してこれからの日本防衛体制などを進めょうという考え方の一端はわかりました。  欧州安全保障体制は、新しい時代に向けて明確に変化を模索をしているといいますか、そういう状態になっていると思うのです。残念ながら、衆議院の予算委員会の総括で長官と私が若干のやりとりをした時点では牢固として、あなたと言おうか防衛庁考え方変化はないことを強調されていましたが、きょうは、参議院の予算委員会を経てきょうまでの間、世界情勢を見ながら、見通しに若干の変化を見ることができます。私は、アジアにも新しい時代がやってくる、新しい安全保障をつくる時代が遠からず来る、そう考えてよいと思うのです。そういう意味では、具体的に何か御構想をお持ちですか。
  6. 石川要三

    石川国務大臣 本来ならば外務大臣答弁すべき範疇ではなかろうかと思いますが、しかし、防衛庁長官という立場であえて御質問をいただいたわけでありますから、それに所見を申し上げたい、かように思います。  今、先ほどの質問に触れまして、いろいろとアジア太平洋地域におけるこれからの軍縮デタントというような方向に対する私なりの予測を申し上げたわけでございますが、そういう中におきまして、これからの我が国のいわゆる安全保障というものはどうあるべきか、こういうお尋ねではなかろうかなというふうに思うわけでございます。  事細かな情勢変化については、これからのアジア太平洋の中の軍事情勢というものを見なければなかなか的確には申し上げられないわけでございますけれども、ただ、あえて今の時点で私の考えを申し上げさせていただくとするならば、それは、やはり我が国の基本的な防衛政策というものは、もう先生にるるお話をする必要もない、いわゆる防衛計画大綱水準を維持していくことが、いわゆる軍事空白を避けてこれからの我が国の安全はもちろんのこと、この地域における平和の構築にも大変必要なものである、私はこういうふうに認識をしているわけでありまして、この大綱かようやく平成二年度において概成、こういうふうな状況にあるわけでございます。したがって、その大綱水準というものをまずこれからも維持していくということも当然必要でもあるし、またさらに我が国自衛力だけでは完全に安全を維持することは不可能という観点から、日米安保体制のもとに我が国安全保障を確立していく、こういうことがこれからも必要ではなかろうかな、私はこういうふうに思います。  ただし、安保条約の中には、先生も御承知のとおりただ単に軍事的な面のみならず、経済あるいは福祉等のいわゆる協調、協力という点もあるわけでありますので、そういう点もやはりこれからさらに時勢の推移に従ってその面のウエートがだんだん増大してくるような安保体制というものも当然考えていくべきではなかろうか、かように思っているわけであります。  ただし諸外国でも、東南アジア等におきましても、先般私もいろいろと訪問していろいろなお話し合いをしていく中で、そういった国の中でも日米安保条約というものを非常に積極的に肯定をされている、こういう面もあるわけでありまして、私どもは今申し上げましたようなことから、これからも安保体制というものはやはり堅持していく必要がある、かように思っているわけであります。
  7. 和田静夫

    和田(静)委員 今触れられましたけれども海部総理を初め、あるいは日本経済界の一部でも日米安保を、軍事の重視から経済、文化など総合的な関係からとらえるという新しい視点に立って論じられるようになってきています。今後ますますアジア情勢が平和的に変化をして、緊張状態緩和をし、交流が拡大をしていく、そういうことは必然だろうと思うのでありますが、その意味で、今もちょっと触れられましたが、日米安保条約の役割の変化というものが考えられて至当だろう、私はこう思います。自由民主党の中にも安保解消論が出てきていますし、軍事同盟を廃止して友好協力条約を締結しよう、そういう意図に立った論議もどうも盛んなようであります。世界変化を見通ししてアジア国際関係を積極的に再構築しようという認識があってのことだろうと私は横から眺めていますが、政府としても一つの選択肢として、こういう論調というのは念頭に置いてしかるべきであろう、置いておいてよいものだろう、私はそういうふうに思いますが、長官、いかがでしょう。
  8. 石川要三

    石川国務大臣 今国際情勢は非常に時々刻々として大きな変化をしているわけでありますが、そういう中において、私どもはやはりこれからの我が国防衛考えた場合には当然この世界情勢というものの分析、これを十二分に考えていかなければいけない、かように私は思っております。と同時に、くどいようでございますが、我が国の今までのいわゆる基本的防衛政策というものは、これはやはり安保体制のもとに適正な規模における防衛力を維持して今日まで平和を守ってきたわけでありますので、こういう基本的な考えといいますか、そういうものはやはり私どもは堅持をしていくべきではなかろうか。確かにいろいろと今日に見えるような、肌に感じるような大きな激動があることは事実でありますけれども、しかし反面、冷静にこういう内容分析して、これから何が変わるか何か変わらないのかというようなことも十二分に見きわめていかないと、ただデタントデタントということだけで政策を誤っていくことは大変危険である、そこいらの分析というものをしっかりとやっていかないといけない、私はこんなふうに政府としても考えるべきではなかろうか、こんなふうに思っているわけでございます。
  9. 和田静夫

    和田(静)委員 防衛計画大綱及びガイドラインにつきまして、私は予算委員会でも指摘を幾つかいたしましたが、最近の報道によりますと、大綱国際情勢認識を改めるという政府側考え方のようでありますが、それは事実でしょうか。
  10. 石川要三

    石川国務大臣 今申し上げましたように、やはり大綱というものは当時、五十一年の時代国際情勢というものを分析して、そして大綱というものが策定されているわけでありまして、これからの新しい次期防の中におきましては当然この大綱というものを私は指針としていくべきだ、このように思います。ただ何といっても十五年という経過がありますし、世界情勢の動きというものは非常に大幅に変化しているわけでありますから、そういう意味ではやはり次期防を策定する上におきましても、安保会議の中でこの今日の世界情勢というものは十二分に検討されて、そしてその分析の上に先ほど来るる申し上げましたような基本的政策というものが打ち立てられていくべきである、私はこのように思っております。
  11. 和田静夫

    和田(静)委員 そこで、今後想定し得る日本をめぐる有事というのは一体どういうものだろうか。米ソ関係が大きく変化をした、日ソ関係変化をする、そして朝鮮半島情勢緊張緩和へと向かう可能性が高い、予算委員会でも私は指摘をしたが、日本政府頭越しに米そして北朝鮮との関係が急ピッチに進む、そこにおくれをとる日本外交であってはならないということを申し上げた記憶がありますが、そういう意味で、朝鮮半島情勢も私は緊張緩和へ向かう可能性が非常に高いと思う。中国には対日侵略意図も能力も今日ない。そうすると、どう分析をいたしますか。
  12. 日吉章

    日吉政府委員 現在、我が国防衛力整備は、昭和五十一年につくられました防衛計画大綱に基づいて行われているわけでございますが、その大綱国際情勢認識につきましては、再三申し上げておりますように、国際関係安定化のための諸外国努力によりまして大規模武力紛争というものが起こる可能性は少ない。日本にとりましては、そのような国際情勢と、かてて加えて日米安保体制によりまして日本が本格的に侵攻を受ける可能性も少ない、そういうようなことが防がれている、こういうふうな認識に立ちまして、したがいまして、日本国家として平時から保有すべき基盤的な防衛力のみを保有する、すなわちそのことは、依然として世界関係は、しかしながら力の均衡とそれによる抑止に基づいて平和と安定が維持されているという事実そのものは厳然たる事実でございますので、もし日本が平和と安全のための防衛力整備を怠るとしますと、この周辺地域におきましては、日本によって力の空白が生じ、それがかえって不安定要因になる、そういうようなものを防ぐための基盤的なものは整備していこう、こういう考え方防衛力整備が図られているわけでございます。したがいまして、ある意味では昭和五十一年の防衛計画大綱といいますものは、今日のような国際社会を予見しておったといいますか先取りしておったというようなことでございまして、昭和五十一年当時よりもなお現在の方が防衛計画大綱前提としております国際情勢がそういう情勢になってきているというように言えるのではないかと思います。したがいまして、防衛計画大綱の基本的な考え方防衛力整備、進めていってよろしいのではないかと防衛庁としては考えておりますが、この点は今後安保会議中心といたしまして政府全体で考えるべきことではあろうかと思います。したがいまして、我々は、これまでも具体的にどのような有事が発生するかというようなことを想定して防衛力整備を行ってきたというわけではない点を御理解賜りたいと思います。
  13. 和田静夫

    和田(静)委員 今の答弁大変距離がありますからあれですが、アジアの安定と言うときに日本としてはどこまでを視野に置くべきなのでしょうか。軍事的シーレーン防衛とかあるいは中東の軍事的緊張とか、インドの海軍力増強とかといったことがテーマとして持ち上がって、実際日本ガイドライン研究ではそうした地域も含めておるわけですが、防衛庁としては、アジアの安定というのはどこまでを考えられますか。
  14. 日吉章

    日吉政府委員 国際情勢全般という点におきましては、広くインド洋等も含めまして極東国際情勢及び日本安全等影響を及ぼす面があろうかと思いますけれども日本防衛力整備いたしまして、もし有事状態が発生いたしましたときにそれに対処するといいますのは、あくまでも日本そのもの外国から侵略を受けるという場合にそれに対処するということでございまして、インド洋緊張が高まったために日本としてどのようなことをする、こういうようなことを考えているわけではございません。
  15. 和田静夫

    和田(静)委員 極東ソ連軍軍縮についての分析ですが、これはどういうふうにお考えになっていますか。
  16. 日吉章

    日吉政府委員 お尋ね趣旨が必ずしも正確に把握できていないのではないかと思いますが、極東ソ連軍軍備力を私ども分析する限りにおきましては、これは極東地方におきますソ連防衛の範囲を明らかに超えた攻撃的、膨大なものであろう、かように考えております。したがいまして、アジア極東地域におきます平和の信頼醸成措置というものが講ぜられていくためには、ぜひとも極東ソ連軍の膨大な軍事力を、ソ連がかねがね申しているような防衛のための合理的十分性のあるものというような程度にまで一方的に削減をしてもらうということがアジア信頼醸成の第一前提条件になるのではなかろうか、かように考えております。
  17. 和田静夫

    和田(静)委員 次期防の方針で固まった点があれば説明してください。
  18. 日吉章

    日吉政府委員 政府レベル検討が緒についたばかりでございますので、あくまでも防衛庁限りの政府検討の参考に資するための検討段階でございますけれども、それを申し上げますと、まず、中期防によりまして、防衛計画大綱が目指しておりました防衛力整備水準を、ただいまも長官から御答弁いただきましたようにおおむね達成し得る状況にあるということ、それから委員ただいまも御説明がございましたように、国際情勢緊張緩和方向に大きく動いている、こういうようなもろもろの条件考えますと、私どもとしましては、防衛力の量的な拡大を図っていくというようなことではなくして、むしろ質的向上あるいは正面、後方というような対比で申し上げますと後方部門を充実していく、こういうような点に重点が置かれるべきではなかろうか、かように考えております。
  19. 和田静夫

    和田(静)委員 その次期防の途中ででも、国際情勢変化に対応してそれを見直すというようなことは想定されますか。
  20. 日吉章

    日吉政府委員 先ほども申し上げましたように、防衛計画大綱はまさに平和時、平時から国家として保有すべき基盤的な防衛力整備しておくという考え方でございます。しかしながら、仮に、極東を含めました世界全体の軍備管理軍縮交渉が急速に進みまして、私どもが基盤的な防衛力考えております具体的な内容以下のものであっても、諸外国、全般的なそれぞれの国が保有しております基盤的な防衛力と同じような水準になるというような状態でも現出いたしますれば、あるいは我々が考えております基盤的防衛力具体的内容をさらに引き下げるというようなことも考えられるかと思います。  しかしながら、これは理念的な考え方でございまして、現在ヨーロッパ中心として進んでおります軍備管理軍縮交渉のその兵力引き下げレベルをごらんいただきましても、まだまだ非常に高い水準均衡を保つ努力がされているわけでございまして、とても次期防期間中に我が方の基盤的防衛力整備水準具体的内容をさらに引き下げるような世界情勢にあるということは、残念ながら見通せないのではないか、かように考えております。
  21. 和田静夫

    和田(静)委員 マッカーサー駐日大使が共同通信と会見をして、核搭載米艦寄港について当時の藤山外務大臣事前協議対象外であるとの明快な了解があった、こういうふうに述べたと言われております。ラロック証言あるいはその後の元駐日大使発言などとあわせ、かつアメリカ機密指定解除外交文書ともこの発言は一致をいたしています。つまり、日本政府はこの了解を国会、国民にひた隠しにしてきたということになるわけでありますが、これはいかがです。
  22. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 最初に、先生が提起されましたマッカーサー大使発言でございますけれども、同大使のインタビューが新聞報道されておりますのを私も拝見をしておりますが、全体として発言の正確な内容も承知しておりませんし、何分にも一私人の発言でございますので、コメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。  それから、先生がもう一つ言及されました一連交渉経緯の問題でございますけれども、これもいろいろ報道があるのは私どもも承知しておりますけれども、この報道にございましたアメリカの公文書の性格、内容等につきましては私ども承知しておりませんので、これもコメントを差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、念のために申し上げたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、日米安保条約及びその関連取り決め上、艦船によるものを含めまして核兵器の持ち込みが行われます場合はすべて事前協議対象となります。また、核持ち込みについての事前協議が行われます場合は政府として常にこれを拒否する所存でございます。米国政府は、核持ち込み問題に対します我が国立場及び関心最高首脳レベルを含めまして十二分に理解しておりまして、政府といたしましては、核持ち込み事前協議が行われない以上、米国による核持ち込みがないことについては何らの疑いを有してもおりません。
  23. 和田静夫

    和田(静)委員 日本外務省答弁というのは、一般的な常識には考えられないような答弁をずっと繰り返されているわけであります。私はそういう答弁であるのならば、少なくとも我々は、明らかになっておる米外交文書とも一致していますマッカーサー大使発言日本政府としては今後国民外交への理解を得るためにも今のような建前の返答だけではなくて、知らないところであると言われるのならば明確に調査をされ、そして調査をされた結果を明らかにされる、この約束くらいはきょうはしっかりしてもらいたいと思っておりますが、いかがですか。
  24. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 今までもいろいろな機会に先ほど私が御紹介いたしました政府の基本的な立場を申し述べてきたところでございますけれども、今先生指摘一連交渉経緯に関する問題でございますけれども、私どもといたしましては、アメリカ政府確認を求める必要はないと考えております。これは、今申し上げましたことをもう一度繰り返すのは恐縮でございますけれどもアメリカ政府最高レベルを含めまして十二分に私ども立場を承知しておりますので、現段階アメリカ政府に改めて確認を求める必要はないと考えております。
  25. 和田静夫

    和田(静)委員 私たち立場アメリカ首脳たちが十分に理解をしているから、したがって我が国事前協議対象考えているような事態についても、通過であるとか寄港であるとかという場合には改めて事前協議としては申し出ない、こういうことになっているわけでしょう。昨日の報道でも明らかなように、アメリカ側は貯蔵をあくまでも意味しているのである、それ以外のことは事前協議対象として申し入れをするはずがない、こう言っている。ところが、あなた方は一貫して持ち込みについても事前協議対象になる、事前協議向こう側からしかけられない限りにおいてそれを信用しているのだ、こういうような論理というのは、これは通りませんよ。私たちは当然、日本側からいってみれば、寄港艦船について疑惑がありとすれば事前協議事前段階としての打診というようなものをやって事前協議に持ち込むというようなくらいの誠意を一遍示す必要があるのだろう、こう思うのですが、今時間もありませんから、そういう論議はこれ以上いたしませんけれども、昨日の元大使発言など一連のものについてしっかり調査をされる、そのことは私の方が求めていることでありますから、調査をされますか。
  26. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 先生が今御指摘ございました核の持ち込みの中には寄港及び通過が含まれているかどうかという点でございますけれども、私どもは、寄港通過が含まれることについては、合衆国軍隊装備における重要な変更を事前協議対象とする交換公文の規定及びいわゆる藤山マッカーサー口頭了解からして十分明らかであると考えておりまして、この点に関しまして日米間の了解の違いはないと考えております。したがいまして、今先生が御指摘のように今回の一連報道を踏まえてさらに調査をする必要はないと考えております。
  27. 和田静夫

    和田(静)委員 外務大臣、お見えになりましたから、アメリカベーカー国務長官と会談してこられたばかりですから、どういう話をしてこられたのだろうかということを聞きたいところですが、今問題にしていたのは、マッカーサー大使が明らかにしていますように、アメリカ側は核の艦船寄港などについて初めから事前協議対象にするつもりは全然ない、藤山外務大臣とはここのところはしっかりもう了解がされていることである、ところが、外務省答弁というのは理解が違うし、それらの問題についてさらに深く追及をし調査をする必要がない、こういうところで完全に分かれている。私は、国民日本外交にもっと真剣に目を向けるという意味からいっても、アメリカ側が発表したところの資料あるいは元大使発言が一致している限り、それらについては日本外務省として厳格な調査をやるべきである、棒をのんだような答弁をいつまでも続けているというようなことでは、これは日本政府外交姿勢が問われてしかるべきだろう、そういうことを今述べているところでありまして、あわせて答弁をいただきたいのでありますが、外務大臣のあれで時間が非常になくなってまいりましたから、二、三続けて質問いたします。  さきに米ソの首脳会談が行われまして、そして戦略核の削減で合意をされたのを初め、留保つきではありますが、通商協定も調印をされた、両国首脳が定期的に会談をすることでも合意をされた、両大統領の信頼関係は深まったというような形で報ぜられていますが、いろいろ不透明な要素はあるにしても、米ソの軍事対立あるいは冷戦が終了したという認識を持って日本政府としてもこれからの外交に当たらなければならぬだろうというふうに私は考えますが、春の予算委員会のころの見方では、政府アジアにおける冷戦構造は変わらないということを一貫して言われておった。ただ、参議院に行ってからは、外務大臣、少し変化を予測できるような御発言をされたというふうに報ぜられていましたが、軍縮アジアに及んでいないというとらえ方で衆議院の段階ではあったわけですけれども韓ソ首脳会談なども行われたその後で、アジアにおいても冷戦が終了したという認識、あるいはアジアにおいても米ソ対立が終了したという認識、そういうものを外務大臣としてはお持ちになっていましょうか。  以上二点。
  28. 中山太郎

    中山国務大臣 先ほどの第一の、政府委員答弁した件につきましては、私は、どういう報道をされたか存じておりませんので、今ここでコメントをすることは差し控えさせていただきたい、後日改めてコメントさせていただきたいと思います。  第二の点におきましては、私は、アジア地域におきまして、委員指摘のように、衆議院のときに申し上げたことと参議院では少し変わっております。その変わりました一つの背景というものは、モンゴルの指導者たちが相当日本に参りまして、モンゴルにおける民主化が着実に進んでおる、また自由主義経済への取り組みも非常に熱心になってきているということで、まずアジアで最も古い社会主義国であったモンゴルが、民主化、自由化の歩みを積極的に進めたということが一つの大きな変化のあらわれであろうと思っております。さらに、ミャンマーにおいて民主的な選挙が公正に行われた、あるいはまた韓ソの大統領の会談というような、長い戦後の歴史では特筆すべきことが最近発生をいたしまして、韓国とソ連、あるいは東側との、社会主義国との外交関係が非常に活発に進んでいる中で、私はアジアにも変化があらわれ始めているという認識を持っております。ただ、米ソの対立が終わったかとおっしゃれば、私はまだ終わっていないというふうに認識をいたしております。
  29. 和田静夫

    和田(静)委員 ゴルバチョフ大統領が共同の記者会見で、今、世界政策の最も中心的な位置にあるのがソ連のペレストロイカだということを述べて、世界政治家のすべてがソ連のペレストロイカを頭の中に描きながらいろいろなことを想定しているのですが、ヒューストンで行われるサミットでもソ連のペレストロイカに対する支援が議論されることになると考えられますけれども日本としてはどういう方針で対処されますか。
  30. 中山太郎

    中山国務大臣 委員御案内のように、ソビエトにおけるペレストロイカは大変困難な過程にあり、これは不透明で不確実だということは、今日もなお私の認識は変わっておりません。昨日行われました日米外相会談においても、この点については両外相間の意見は全く認識を一にいたしました。そういう中で、七月二日のソ連における共産党の大会、これが極めて注目すべき大会になろうかと私は認識をいたしております。その大会が七月二日に始まりますが、五日、六日とNATOのサミットが行われるわけでございまして、それに引き続いてヒューストンのサミットが行われるということで、恐らくヒューストンのサミットでは、ソ連のペレストロイカの問題点、それに七月二日に行われるソ連の共産党大会におけるソ連の国内政治情勢がどのように変化を見せるかということを中心にいろいろと協議をされるものと私は認識をいたしております。  そういう中で、日本政府は、サミット加盟国と十分相談をいたしながら、このソ連のペレストロイカというものの方向について認識を持つとともに、ソ連に対する日本政府考え方検討しなければならない、このように認識をいたしております。
  31. 和田静夫

    和田(静)委員 ヒューストン・サミットではどういう問題が討議をされるのか、日本政府としてはどんな問題を討議すべきだとお考えになっているのか、簡単にお願いいたします。
  32. 中山太郎

    中山国務大臣 ヒューストン・サミットにおきましては、いろいろ議題が、現在事務レベルで、各首脳の個人代表、シェルパの間で協議がされ、整理されつつあると認識をいたしております。その中の一つにこのソ連の問題、東欧支援の問題あるいはまた中米に対する支援の考え方の問題あるいは地球環境保全の、あるいは発展途上国の累積債務問題等も踏まえて、全体的にG7の会合でいろいろな問題が多角的に協議をされるもの、このように認識をいたしております。
  33. 和田静夫

    和田(静)委員 カナダ政府世界貿易機構を提唱しているようでありますが、私は、もともとガット設立に当たっての構想にもそうしたものがあったと認識をいたしておりますし、予算委員会でもちょっと触れましたが、今日日米構造協議という二国間協議などというのはガットの原則に反するのだというふうにまで私は考えているのですけれども、ガットの原則はそれとして、各市場間調整が行われるように今なってきているわけですが、日本政府としては世界貿易機構という構想にどういう方針で臨まれるつもりですか。
  34. 中山太郎

    中山国務大臣 先般のOECDの閣僚会議におきまして、WTO、世界貿易機構なる考え方がカナダから強く提案をされております。日本政府としては、今年末までにガット・ウルグアイ・ラウンドを成功裏に終結させるということで参加各国とも合意をいたしておりますから、ガット・ウルグアイ・ラウンドの最終会議を終えた後にこの世界貿易機構というものについてガット・ウルグアイ・ラウンド加盟国がいろいろと協議をするべきものという主張を私どもはいたしております。
  35. 和田静夫

    和田(静)委員 話題を変えます。  ソ連のロシア共和国が一部を除くソ連憲法、法律よりもロシア共和国憲法、法律の優位を宣言した。領土問題に変更が生ずるときには国民投票にかけることも決定した。そうしますと、北方領土はロシア共和国の管轄となる。北方領土返還交渉ソ連とではなくてロシア共和国と行うことになる可能性もある。そして、交渉の結果、あるいは交渉の前や途中でも北方領土返還について国民投票が行われるということになるかもしれない。これは外務大臣、どういうふうに御認識でしょう。
  36. 中山太郎

    中山国務大臣 ロシア共和国の憲法が改正される、あるいはソ連邦との関係がどうなるかということは、現在いろいろと協議されている過程でございまして、そのようなことでどのような協議が進みましょうと、この四島は日本の古来の領土であるという認識については何ら変わるものではございません。
  37. 和田静夫

    和田(静)委員 その基本的な態度はよくわきまえての質問をしているわけでありますが、日本政府としては、ロシア共和国政府との交渉なり、ないしはロシア国民の承認の手続が必要となるというようなことを念頭に置いてこの北方領土問題に取り組まなければならなくなる、そういう事態が生まれないということはないと思うのですね。その辺のことはどういうふうに理解をされながら対処されるのだろうか、そこのところをお聞きしたいのですよ。
  38. 中山太郎

    中山国務大臣 いずれにいたしましても、九月の上旬にシェワルナゼ外相が来日をされて日ソ外相会談を持つわけでございますから、そこでいろいろと双方この問題点を詰めながら議論をいたさなければならない、その結果をまた委員会等におきましても御報告をする機会があろうかと考えております。
  39. 和田静夫

    和田(静)委員 私は、ロシア共和国の国民投票による——先日税特委で、日本にはその制度がないけれども、国論を二分をしている消費税問題について海部総理は勇気を持って国民投票にかけてみたらどうだという提案をしましたけれども、ロシア共和国における国民投票ということを念頭に置きながら、これからの折衝というのはやはりかなりの複雑さを帯びてくるだろうというふうに実は考えるがゆえに問題提起をしたのですが、ともかくソ連内の動きを十分に把握をして対応されることが肝要であります。  私は、このことで北方領土の問題解決への対策がやや変質するのではないかという気が実はするのであります。つまり、ロシア共和国民を納得させるやり方、例えば田中元総理やあるいは最近では金丸元副総理があるニュアンスを含めて発言をされていますが、経済的な解決というか、端的な言葉で言えば取引というか、ロシア国民にとってのメリットを明確にする、また、日本とロシア国民との平和と友好を高らかに宣言できるような交渉をしていくというようなことも当然頭に描かなければならないと思います。そう考えてみますと、北方領土の歴史的領有権やあるいは第二次大戦の戦後処理などという原則だけでどうも済まされない、そういう要因が強まったと思われる側面もあるのですが、大臣、忌憚のない御意見を聞かせていただきたいと思います。
  40. 中山太郎

    中山国務大臣 日ソ間の領土問題を解決して平和条約を結ぶというこの考え方の中に、一昨年合意されました平和条約作業グループで事務次官レベルでいろいろと協議が今日続いているわけでございます。最近のソ連国内においていろいろな意見が出てきておりますことも私どもはよく承知をいたしております。しかし、やはり日本の国内にもいろいろな意見が出ておることもよく認識をしておりますけれども、この領土問題に対する政府の基本的な考え方は一切変更はございません。  そういう中で、日ソ間での話というものがシェワルナゼ外相との会談を通じてどのように展開をしていくのか、あるいは来年来られるゴルバチョフ大統領海部総理との首脳会談の場合にどういう展開になっていくのか、また、その前に私がモスクワへ行って二回目の外相会談を今年中にやるというお話もこの間ありましたが、そういう過程の中で、ソ連政府の中でこの領土問題に対してどのような考え方日本政府に対峙されてくるのか、これは政府としてはまだこれから協議の場を通じていろいろとソ連政府の意向も十分認識をすることが必要でもございますので、私といたしましては、今日の時点日本の基本姿勢を崩さずに従来の方針で対ソ折衝に当たってまいりたい、このように考えております。
  41. 和田静夫

    和田(静)委員 ただ、先ほどちょっと触れましたけれども、そういう認識をそのまま持っていてよいかどうか、私は確かめておきたいのですが、ロシア共和国が交渉相手になる可能性ということを私は述べましたが、その可能性は完全に否定されますか。
  42. 中山太郎

    中山国務大臣 この問題につきましては、ソ連の連邦制度の中における極めて新しい共和国の問題でございますから、専門的な知見を持っております政府委員から御答弁をさせていただきたいと思います。
  43. 都甲岳洋

    ○都甲政府委員 お答え申し上げます。  ロシア共和国が主権宣言を採択いたしましたけれどもソ連邦全体の中で連邦と各共和国の権限関係がどうなるかということについて、いろいろな条約締結というような話もあるようでございますし、連邦と共和国の関係の見直しが今後行われるわけでございますから、その中で権限がどういう形で規定されるかということを十分に見ていく必要があると考えております。  全般的に見てみますと、領土主権とか外交権あるいは軍事という問題は基本的には中央政府が保有するというパターンが世界では多いわけでございますし、ソ連邦におきましても、そういう方向で基本的には調整が進むのではないかと予想しておりますけれども、具体的には今後の体制のあり方を十分に見きわめた上での判断になるだろう、そういうように考えております。
  44. 和田静夫

    和田(静)委員 もう時間がなくなりましたのでたくさんのことを残さなければなりませんが、一つだけ最後に、朝鮮民主主義人民共和国がアメリカに朝鮮戦争で死亡したアメリカ兵の遺骨を返還する、米朝関係改善のシグナルではないだろうかと私は思いますが、そうすると、予算委員会でも私ちょっと指摘しましたが、日本としてまた頭越しに事態が進展してしまうようでは、これは日本外交の失敗と言われることになってしまう。特に、長い間外務大臣政治的にいろいろな意味でともにさせていただいて、あなたの手腕、識見を高く評価している私としては、中山外交が失敗に終わってしまったのだと言われるようなことにならないように十分に考えるのですが、この点、日米間、日中間を含めて対応を検討するため何らかの行動が必要なのではないだろうかと私は考えます。朝鮮民主主義人民共和国をめぐる問題で、例えば今度訪米をされたときにあるいは今後サミットの機会に何か既にお考えになっていることはありますか。
  45. 中山太郎

    中山国務大臣 朝鮮民主主義人民共和国のこれからの外交につきまして、アメリカとの間には、北京において既に十回近い接触が行われていることはよく認識をいたしておりますが、今後私どもアメリカ日本との間あるいは日本中国との間、いろいろな外交チャネルを通じまして、あるいはまた何らかの必要がもし先方にあるということであれば、国連におります日本の国連代表部と朝鮮民主主義人民共和国の代表部との間に話し合いをすることも十分可能ではないか、もし先方が接触をされる、話し合いをされるというお気持ちがあるならば、日本国の政府としては、国連代表を通じていついかなるときでも前提条件なしに接触する用意が既にあるということをこの機会に申し上げておきたいと思います。
  46. 和田静夫

    和田(静)委員 終わります。
  47. 瓦力

    瓦委員長 この際、関連質疑の申し出がありますので、これを許します。関晴正君。
  48. 関晴正

    ○関委員 主として防衛庁長官の方に御質問申し上げたいと思います。  外務大臣には、また大変多忙な中いろいろと御苦労されておりまして、本当に御苦労さまだと思います。願わくは、早期に日ソ平和条約の締結に進まれるように最大の努力を払っていただきたいと希望申し上げておきます。  世界デタント方向に進みつつあるときに、我が国防衛計画が当然またそれに即応して策定されていかなければならないだろう、こう思います。ヨーロッパがどう変わろうと、米ソの関係がどう変わろうと我が国防衛計画は既定方針どおり進むんだということであっては、全く情勢に対応したものとはならない。そういう意味において、今ある中期防衛計画にしても、本年度をもって完了するとはいいながらも、これは抑えるべきものは抑える、これは考えるべきものは考える、そういう方向でなければならないのではないかと思いますし、当然に次期防衛計画においては大きく方針を転換しなければならないであろう、私はこう考えますが、この点についての長官のお考えを重ねてお尋ねしておきたいと思います。
  49. 石川要三

    石川国務大臣 本質問につきましてはもう再三いろいろと御答弁を申し上げておりまして、重ねるようなことになるかもしれませんが、確かに今関委員の申し述べられたように、やはり我が国防衛政策というものは、これは国際情勢変化というものに当然影響されるわけでございます。したがいまして、今日のような激変する国際情勢の中におきましてこれからの次期防を策定するにおきましては、当然そういう国際情勢、なかんずくアジア太平洋地域における展望等も踏まえて次期防というものは策定されることは当然であるわけであります。  ただし、答弁におきまして再三申し上げておりますが、そういう前提条件はさることながら私どもの今日までの防衛というものの基本的な考え方、これはもう釈迦に説法かもしれません、私ども我が国の安全というものを、これは日米安保体制のもとに適切な規模防衛力、こういう基本的な考え方に立ちまして今日まで戦後の平和と繁栄を築いてきたわけでありますので、それは要するに世界国多しといえども、ある意味においては我が国防衛政策というものは非常にュニークな政策ではないかな、私はこう思います。  そういうことで、極論するならば、要するに我が国防衛というものは平時において最低持つべき防衛力、要するに戦力の空白を置くこと自体が、非常に我が国のみならず周辺の安全を阻害する、こういうような考え方に立ちまして、平時においての持つべき最小限の防衛力、こういうことが一つの基本的な理念でありますので、そういう点を十二分に御認識をいただきたい、そういうことでございます。  したがいまして、今委員国際情勢が変わったのだからうんと変わる、このうんとというのはどの程度を意味しておるかわかりませんが、私はやはり国際情勢変化もさることながら、基本的なそういう我が国防衛政策の理念というもの、これを私どもは逸脱してはいけないのじゃなかろうかな、かように考えているわけでございます。
  50. 関晴正

    ○関委員 どうも防衛庁長官はこれまでの観念が固定して、ちっとも柔軟性のないようなお答えをされておる、こう思うのです。私は、世界が大きく変わったといいまして、言うなればアジア以外のところだけが変わってアジアが変わらないだろうというのならば別です。このアジアも物すごく変わったじゃないですか。ソビエトと韓国が話し合いをする、そうして平和条約まで進むであろうというところまで来ておりますよね。一体日本はどこの国を脅威国とみなして今日まで進んできたのです。かつては中国、そうして最近に至ってはソビエト、その中国といいソビエトといい、我が国の脅威の国という認識はここで変えなきゃならない、変えて差し支えないところに来ているんじゃないでしょうか。朝鮮民主主義人民共和国といえども同じだと私は思います。  そういう点からいけば、我が国防衛というこの白書を見ますときに、とにかくどこかの国が攻めてくるであろう、それに何の防衛もないというのでは困るだろう、この理念でずっと来たと思うのです。しかし、この理念が進み過ぎて、私は日本の最近の軍備の増勢というものは物すごく過剰だ、なくてもいいものまで買い過ぎておるし、支度し過ぎておると思うのです。そこで、私はとにかくこの後というものはどんどん削減していく、アメリカといえどもソビエトといえども世界軍縮方向にあるのだから、当然に我が国も恐れとする国が個々にない、そう見ていいと思うのです。さればこそ日ソ平和条約へもまた進む、あるいはまた北方領土の問題も急いで解決をしてもらおう、こう願っているわけですね。そういうときに次期防衛計画というものは大幅に改定されてしかるべきものであろう、私はこう思いますので、この点を強く意見として申し上げておきたいと思います。  そういう中にあって、この間の委員会でも私質問申し上げたのですが、私どもの青森県の東北町に二百五十ヘクタールという広大な地域を持つ大規模な弾薬庫を建設するというわけなんですが、これほど合わないものはないだろうと思うのです。しかもこれは中期防衛計画の中で計画されてありながら、とてもとてもその実現までには至らずして今日を迎えているわけです。言うなればいいチャンスが来たのじゃないだろうか、こういう計画は早速改めていいのじゃないだろうか、考え直していいのじゃないだろうか、こうも私は思っておるわけです。  そこで、この際、この大規模弾薬庫の計画というのは何がゆえに必要であり、どういう規模のものを想定して、何のためにここに持ってこなければならないのかというその考え方をひとつ示していただければと思います。
  51. 村田直昭

    ○村田政府委員 お答えいたします。  前回の御質問のときにもお答えしたわけでございますけれども防衛庁としましては、現在、大綱防衛力水準の実現を目指しまして、中期防衛力整備計画に基づきましていわゆる後方支援能力を向上しようということで今努力をしているわけでございますが、その後方支援能力の一つとして、前回も既に申し上げましたように継戦能力の向上ということで弾薬の整備等を図っておるわけでございます。この弾薬の整備を図りますと、それを入れるところの弾薬庫、保管する弾薬庫が不足してくるということで、現在ここにいわゆる東北町を対象として、この地を有力な候補地として今弾薬庫の整備をお願いしているという状況でございます。しかもこのような弾薬庫は、先般も御説明しましたように、現在航空自衛隊としては愛知県の高蔵寺の地に第四補給処の支処ということで持っておるわけでございますが、これだけでは不足する、賄い切れないということで東北の地にまたお願いをしておるわけでございます。
  52. 関晴正

    ○関委員 単に不足しているとか補給処難というのでは私は納得できません。大規模弾薬庫がなぜ必要かということにはちっとも答えていないと思うのです。概念だけで言っています。もっと具体的に、ここのところにとにかくこれほどの量のものが必要なんだ、ここのところにこういう質の弾薬が必要なんだ、その質といい、その量といい、そうしてこのくらいの金もかけてここに使わねばならないという計画等もとにかく中期防衛計画にあったとするならばきちんと示してください。金額も示してください。
  53. 村田直昭

    ○村田政府委員 それでは、まずこの規模が約二百五十ヘクタールを要するということでお願いしているわけでございますが、なぜ二百五十ヘクタールも要るんだというという御質問でございますが、これはかねがね御説明しておりますとおり、まず一つには弾薬庫十数棟を建設するために必要な地積が要るということでございます。この一棟については約二百平米のものを考えておりますけれども、この弾薬庫十数棟を建設するために必要な地積。さらに、弾薬庫でございますから火薬類取締法及び関係法令に定められました基準に応じた弾薬庫の保安距離をとり、安全性に十分配慮する必要があることから、これに必要な保安用地としての地積が要る。この保安距離につきましては、主として弾薬庫について二種物件、村落の家屋等が対象でございますが、これに対して四百八十メートルの距離をとるということでございまして、十数棟の建物を建てる、その周りに約四百八十メートルの保安距離をとるというようなことから用地が必要である。さらに、同支処を運営する上で必要な管理施設、体育館、ヘリポート等の施設を建設するために必要な地積が要ります。これらを勘案しまして約二百五十ヘクタールの程度を見積もっておるわけでございます。  それから、ここに何をおさめるんだ、どんな種類の弾をおさめるんだ、こういうことでございますが、新補給支処が、今調査をしている段階でございますけれども、これが整備された暁には、同支処には航空自衛隊が保有する誘導弾、ロケット弾、機関砲弾、小銃弾等のすべての弾種を保管したいと考えております。先般も申し述べましたように、これは各基地にここからさらに補給をするという機能でございますので、全弾、各種類の弾を保管したいと考えておるわけでございます。  それで、その量はどのくらいだ、こういうことでございますが、その量についてはまだ私ども申し述べる段階にはございませんが、要するにその弾薬庫におさめる最大量というものについては、いわゆる通産省の承認に基づいても最大量四十トンということでございますから、四十トンの弾薬庫が十数棟建つ、こういうことでございます。ちなみに高蔵寺では二十六棟ほどの弾薬庫がございますけれども、現在約五百七十トンほどの弾を保管しておるということでございます。  それから、先生から経費についてお尋ねがございましたが、経費につきましては、この計画が現在まだ用地選定の段階でございますので、経費について申し上げる段階にはなく、いわゆる平成三年度以降のつくられる計画の中で経費が具体化されていくというふうに考えております。おりますが、ちなみに参考までに、二百平米の弾薬庫というものは各基地でそれぞれつくっておりますので、これについて一例を申し上げますれば、現在つくっておりますものは一棟約二億円ということでございますが、これはつくるところが基地の中でございますので、その辺のつくる場所によりまして、例えば今回のような山岳地というようなところでありますと土木工事等が伴いますので一概には申し上げられませんが、平地で基地内につくっておるものについては約二億円前後というふうになっております。
  54. 関晴正

    ○関委員 こういうところにつくって、そうして各基地に補給するためにと言うけれども、今弾が必要ですか。今日ある弾薬庫における充当の率と申しましょうか、弾の入っている状況、また使用している状況、その過不足の状態やあるいは余剰の状態、これをひとつ御報告してください。その結果これが必要であるのか必要でないのかという判断もまた私ども出てくると思います。  それからもう一つ、今あなたから、これは三沢の航空自衛隊の使用するものではなくて各基地の補給の基地として使うんだ、こう言っておりますよね。では、各基地というのはどこです、どこどこです。これも明示してください。
  55. 村田直昭

    ○村田政府委員 お答えいたします。  まず、現在弾薬庫は各基地に十数棟なりあるいは少ないところでは四棟とかあるわけでございますけれども、これは各基地と申しますのは航空自衛隊の各基地でございます。例えば千歳、三沢、百里、小松、新田原、築城あるいは沖縄の那覇というような各基地でございますけれども、ここの弾薬庫が不足しているという事実に基づいて予算要求をし、その必要性を認められて予算措置をしておるということでございますが、各弾庫に、先ほど私申し上げましたように最大容量というのは例えば二百平米のものであれば四十トンでございますけれども、どのくらい入っておるかということについては事柄の性質上答弁を差し控えさせていただきたいと思いますけれども、当然予算要求の段階ではその実情を御説明し、それに基づいて必要性が認められて予算措置が行われておるという状況でございます。
  56. 関晴正

    ○関委員 今のお答えは私は非常に不満であります。なぜ不満であるかといいますと、ただいまの各基地の説明は、今の説明でいきますというと我が本土内におけるすべての基地ということになりますね。そういうことを意味していますね。だとすれば、あなたの方で出した文書がございますよ。この文書によりますというと、全部読みませんよ。「防衛庁は、北海道・東北地方所在の各基地に対する迅速なる補給態勢の確立を図るため、航空自衛隊の補給支処(弾薬庫)を建設することを計画しており、貴町をその設置場所として有力候補地と考えております。」これは平成元年十二月十八日付の仙台防衛施設局長から東北町長に出した「航空自衛隊における補給支処の設置について」という要請の文書でございます。この文書からいきますというと、北海道、東北の各基地に対する——あなたが今示したところのものは、北海道、東北地方所在でない所在地の航空基地の話も出されています。その点からいくというと、この文書が誤りなのかあなたの方が正しいのか、これも極めてまずいことだ、こう思います。  その次に、あなたの方でどのくらい弾薬庫に弾薬が入って余っちゃってそうして困っているかという説明、何にもありません。不足しておればこそ設置するというのが普通だと思うんだが、不足の有無にかかわらずつくるということはこれは過剰じゃないですか。  そうして、私はこの問題についてなお申し上げたいことは、昭和六十一年、二年、東北町の未来館というもののコミュニティー会館と申しましょうか、これは東北町の役場のすぐ後ろにあります。この建設に当たってあなたの方から二億六千八百万円という金が出ていますよね。二億六千八百万円。大体四億円の建物についての三分の二という補助でありましょう。実際は七億近い建設費で完成しているわけなんですが、この建物に補助金をくれるときに、将来は弾薬庫のことについてもよろしくというお話があったやに言われておるわけです。言うなれば、弾薬庫設置のための地ならし工作としてそういう補助金を出していたんじゃないだろうか、こういう疑いが私にはまたあるわけです。そういう点からいきますというと、未来館に金を出すときの経緯というものはどうであったのだろうか、これに対する補助金の支出というのは至当なものであったのだろうかということも考えさせられるわけです。さらに、あの地域においてはいろいろと防音装置のためにそれぞれ補助金が出ている。金額はわずかなものです。しかし、この未来館に出している金額はもう格別です。これは横綱級ですよ、この出し方というものは。ですから、あなた方の方でこの金を出すときに、将来は弾薬庫もねというお話を期待しておったんじゃないだろうか、こうも思えます。その経緯等についてもしございましたら、この機会に御報告かつまたお答えいただければと思います。
  57. 村田直昭

    ○村田政府委員 四点ほどお尋ねがございましたけれども、そのうちのまず前の方の二点についてお答えいたしたいと思います。  要するに防衛庁の説明によると、これは東北、北海道地区の部隊に対する補給のものだというふうに言っておるが、私の説明が各自衛隊の基地に、航空基地に補給するということを言っておるじゃないか、違うじゃないかということでございますが、実は私、まず一般論として今回つくられる楠給支処というものの機能を申し上げておるわけでございまして、楠給支処は先ほど申し上げましたように愛知県の高蔵寺にあります。それで量が不足するということで今回現在地にお願いをしておるわけでございますけれども、当然のことながらこれらの機能というものは全国の各基地に対して補給するわけでございますけれども、地の利とか近さ、そういうことも含めますれば当然のこと、東北地方にあるものについていえば北海道とか東北地区について補給がまず優先されるでしょうし、それから高蔵寺にあるものについていえば、今まで一カ所だったわけですけれども、主として南の方に対する補給ということが任務となると思いますけれども、補給支処の機能としてはあくまで各基地に対して補給をするということでございます。今北海道、東北ということがもし書かれておる文書がありますとすれば、それはそういうことの趣旨で、より近いところについて補給するということをあらわしたものでございます。  それから、不足の有無について明らかにしないで次々と整備するのはけしからぬじゃないか、こういうお話でございますけれども、先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、どれだけの弾量があり、それがどの弾薬庫にどの程度入っておって、どこがどのくらい不足しておるか、こういうことにつきましては事柄の性質上お答えできないわけでございますけれども政府部内で予算要求する際には当然その弾薬の実情、弾薬庫の不足の状況というようなものを御説明して財政当局から予算を認められておるということで、十分その辺の審議をした上で、決してむだなものをつくっておるわけではないわけでございまして、御理解をいただきたいと思います。  あとの質問についてはちょっと別のところから……。
  58. 松本宗和

    ○松本(宗)政府委員 昭和六十一年、六十二年にわたって実施させていただきましたいわゆるコミュニティーセンターでございますけれども、これはいわゆる防衛施設周辺の生活環境の整備法の第八条に基づきまして、三沢飛行場の航空機による騒音の被害の緩和に資するという目的のために東北地方で計画されました当該施設に対しまして私ども、基準に基づいて補助をさしていただいたというものでございまして、今回の弾薬庫の整備とは全く無関係でございます。
  59. 関晴正

    ○関委員 時間がありませんので終わりますけれども、とにかく防衛庁の予算の執行あるいは決算等においてもむだ遣いが強く指摘されている現況にあります。私はそういう点からも、今弾薬庫の性質だとか弾薬の量なんかも申し上げるわけにいかないなんて、そんないいかげんなことで、そうしてどんどん弾薬庫をつくっていきますなんということは、これは許されることじゃありません。ここは国会における審議の中にあるところです。不足であるか余っておるかも言えないということはないでしょう。大体何も使ってないんじゃないですか。そうして新しく弾をかえなきゃならないようなことにばっかり進んでいるんじゃないですか、よくわかりませんけれどもね。  いずれにしても私はこれからの進み方としては、もう大きく世界が変わった、アジアも変わった、我が国外交方針も今新しく取り組んでいかなきゃならない、そういうときに、それに逆行するような大規模弾薬庫をつくっていきますなんということは、これはもう全く現実性に反するものだろう、現実を考えないものだろう、こう思いますので、幸いにまだつくられているわけじゃありません、ようやく土地をはかってみようかというところにあるだけでございますので、これ以上深く入らないようにして、早々にこの問題については切り上げていただいて、そうして新しい方途を見つけて進んでいくことを強く望んで、特に防衛庁長官には余り固執しないで当たっていただくことを強く要望して、質問を終わりたいと思います。
  60. 瓦力

  61. 山口那津男

    ○山口(那)委員 外務大臣には非常にお疲れのところ恐縮ですが、若干の質問にお答えいただきたいと思います。  先週私がIAEAとの関係北朝鮮の査察受け入れについて御質問したわけでありますが、先週ウィーンにおいて理事会等が開かれたと言われております。また、一部報道によりますと、ソ連が原子炉の売却を停止する、それによって査察の受け入れを促す、こういう話があります。これは八月のウィーンのNPTの再評価の機会にそれを実現できるんじゃないか、このような報道もあるわけですが、その動向を踏まえて情勢についてお伺いしたいと思います。
  62. 太田博

    ○太田政府委員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のIAEAの六月理事会でございますけれども、先週十一日から十五日までウィーンで開催されまして、この理事会におきましては今御質問北朝鮮の問題が取り上げられまして、我が国を初めといたしまして多数の理事国が北朝鮮がフルスコープ保障措置協定、これはIAEAと北朝鮮が結ぶ協定でございますけれども、これが未締結であることを遺憾といたしまして、核不拡散条約上の義務を早急に果たすべしという趣旨発言が行われまして、我が国の代表もこの趣旨発言をいたした次第でございます。  それから、先生質問ソ連北朝鮮に対して原子炉の売却を中止するのではないかという報道につきましては、我々もそういう報道があったということは承知いたしておりますが、事実関係に関しましては内容をまだ承知いたしておりませんで、現在事実関係について照会中でございます。
  63. 山口那津男

    ○山口(那)委員 過日、カンボジアの和平東京会談が行われたわけでありますが、その意義につきましてアメリカ側評価と、それから中国ソ連側の評価とでは多少異なるところがあるようでありますが、その評価及び今後の見通しについて外務大臣の御見解を伺います。
  64. 中山太郎

    中山国務大臣 カンボジア和平の評価につきましては、いろいろと関係国がそれぞれの意見をコメントの形で出しております。  私ども日本政府といたしましては、この会議はあくまでもカンボジア人同士の話し合いということが基本的な原則でございまして、シアヌーク殿下とフン・セン首相との肩書なしの調印ということになりましたが、その中身は、問題はこのクメール・ルージュであるポル・ポト派の合意、そこへ署名がなかったというところが一番大きな問題ではあろうと思います。ソン・サン氏は今回の署名にはみずからは賛成である、こういうお話が私どもにございました。  そういうことで考えてまいりますと、七月に行われます国連の常任理事国の五大常任理事会議にこれがつながっていくということで、私は一つの過程をつくる道標であるというふうな認識をいたしておりますが、いずれにいたしましても昨年八月に行われましたパリにおけるカンボジア和平会議、これが散会になってからほぼ一年に近くなっておりまして、このカンボジア和平の話し合いというものは停滞する心配が実はございました。そういうことで、今回日本政府は、このようなカンボジア人同士の話し合いがここで行われることに積極的に協力をするという姿勢を示したわけでありますけれども、いずれにいたしましても、国連においては今後東京会議というものがしかるべき評価をされるものということでございます。
  65. 山口那津男

    ○山口(那)委員 この点についてパリの国際会議で四派の最高国民評議会が成立するのではないかというふうにソ連外交当局が述べているわけですが、その見込みはいかがですか。     〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕
  66. 中山太郎

    中山国務大臣 非常にデリケートな状態にあると私は認識をいたしております。それで、ここでこの合意に達するということになれば、一挙に和平会議再開ということに、再開というのはパリでの国連を監視機構に入れる国際会議の開催というものが要するに考えられると思いますが、いずれにいたしましても、それに向かって日本政府は積極的に関係諸国と協力しながら今後とも引き続き努力をしていかなければならないと考えております。
  67. 山口那津男

    ○山口(那)委員 アメリカ評価についてお伺いしたいのですが、ベーカー長官との間ではその話題は出なかったとも報道されていますが、アメリカ評価について一言お伺いをしておきます。
  68. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 中山大臣はベーカー長官と全体で三時間にわたりましていろいろな問題をお話しになられて、時間がさらにあればカンボジア問題をお話しされることにしていたのですが、残念ながら時間がございませんでしたので、私がベーカー長官に同行してまいりましたソロモン次官補と夕食を挟んでいろいろな問題を話し合いました過程でこのカンボジア問題についても話し合いをいたしまして、アメリカとしては基本的には今回、今大臣が御説明になりました日本側努力を高く評価するということを言っておりますが、同時に日本努力が全体のカンボジア和平のプロセスの中でしっかり生かされていくということが重要であるので、そのためにさらに日米間で緊密な連絡をとっていきたい、これが基本的なアメリカ考えだと思います。
  69. 山口那津男

    ○山口(那)委員 質問を変えますが、防衛庁後方重視ということをしきりに訴えております。アメリカの駐留軍施設に対する日本側の負担が今後増額するであろうとも言われておるわけでありますが、この駐留軍施設との格差が広がっていく傾向があるとすれば、駐留軍の施設がますます充実をしていく。日本側の各施設と比べて格差が生じる、そういうことになれば、自衛官の士気にもさまざまな影響があるか、このように思うわけでありますが、その後方重視と、この駐留軍経費の負担の増額等の関係について、防衛庁長官、どのようにお考えになるでしょうか。
  70. 石川要三

    石川国務大臣 我が国防衛上、特に施設が共用されているところがあるわけでありますから、そういう点から見ても、今委員お尋ねになりましたような思いやり予算の増額によって我が自衛隊のいろいろな施設が非常に格差がある、これが物すごく大きな格差になれば御質問のようなことも私は影響ないと思っておりません。そういう点も十分配慮しながら、やはり自主的に判断をしていくべきである、かように思っております。
  71. 山口那津男

    ○山口(那)委員 防衛予算の中身を見ますと、非常に硬直的な部分がありまして、後方重視の財源を確保するというのは必ずしも容易ではないと思います、近年の予算の中ではかなり充実が図られているとは思いますけれども。  そこで、その硬直的な部分、例えば人件費、今回若年定年制による一時金の制度が発足することとなりました。また、それに伴って若干の定年延長がございますので、それによる人件費増ということも考えなければならないと思います。また、先ほど言いましたアメリカ軍の駐留経費の分担額が順次ふえていくと予測されるわけであります。  一方、後年度負担がかなりの額に上っておりまして、例えば平成元年度予算における後年度負担の総額は二兆七千億余りであります。また、平成二年度の概算ですが、これによりますと、新規契約分と以前の契約済みの分とを合わせますと、これも二兆九千億余りという相当な額であります。  また、平成二年度の予算の中身を見ますと、人件糧食費が約四〇%、そして以前の契約済み分の歳出化の経費が三八%、それから新規の物件費が二一・八%あるわけであります。しかしその中で、その新規の物件費と新規の契約分とを合わせますと、その合計が二兆六千四百七十四億円近くということであります。この金額だけを見ますと、この契約ベースでの物件費ということですね、この金額を今年度の予算と比較してみますと、実に六四%近くという膨大な数字になるわけですね。これらのいずれも硬直的な部分だろうと思うわけであります。そうした中で、後方対策の財源を生み出すということはますます困難であろうと思うわけでありますが、この点、防衛庁当局はどうお考えになるでしょうか。
  72. 石川要三

    石川国務大臣 細かいことがもし必要でございますならば、経理局長の方からさらに御説明申し上げたいと思いますが、大ざっぱに申し上げますと、今先生が御指摘のように予算が非常に硬直性になっていることは事実であります。私もこの点をいろいろと勉強してみましたが、約八〇%というものは本当に完全な硬直性を帯びておるわけでありまして、残りの二〇%の中においても訓練費だとか教育費あるいは油とかそういう面も非常にあるわけでありまして、さらに今回国会を通過させていただきました例の若年者の特別給付の点につきましても、平年度化されれば六百億ですか、相当な額になります。そういうことで、これまたその中も非常に見繕えない要素のものもあるわけであります。  ただ、幸いなるかなおかげさまで本年度、平成二年度の中でこれがおおむね大綱を達成する状況になってきたわけでありますから、そういう面におきまして今後の正面装備、今までに比べてそこにすき間といいますかゆとりも若干あるのじゃなかろうかな、こういうふうに思います。と同時に、また全体的な合理化節減等も含めましてできるだけの努力をして財源を生み出し、そしてまだまだ残されておる後方整備をこれから重点的にやっていきたい、私としてはこういう基本的な考え方を持っているわけでございます。
  73. 藤井一夫

    ○藤井(一)政府委員 ただいま大臣の御答弁されたことに尽きるわけでございますけれども先生指摘のように防衛庁の予算の特質といたしまして、どうしても後年度負担というものが多くならざるを得ないという性格がございます。これはやはり装備品の調達から取得に至るまでどうしても二年、長いものでは五年というような期間がかかるということからやむを得ないものだというふうに考えております。したがいまして、将来的に後方の財源を確保していくという観点からいたしますれば、この正面装備の後年度負担額を抑制していくということがかなり重要なことではないかと思っております。  その件に関しましては、ただいま大臣が申し上げましたように幸い中期防大綱概成という段階まで参りましたので、今後はこの正面に投入すべき経費というものがある程度抑制できるのではないか、その部分を後方の方に重点的に回し得るのではないか、かような見通しを持っておる次第でございます。
  74. 山口那津男

    ○山口(那)委員 後年度負担を抑制するという見解ですが、今後の予想される新規契約分について、思い切って契約を停止するというようなお考えはありますでしょうか。
  75. 日吉章

    日吉政府委員 これまで整備しております正面装備につきましても、年々耐用命数が到来いたしまして更新、近代化をする時期になるものがございます。したがいまして、正面装備の新規契約を思い切って停止するというようなわけにはなかなかまいりませんので、その点は十分御理解を賜りたいと思います。ただ、量的拡大は極力抑制をいたしたい、かように考えております。
  76. 山口那津男

    ○山口(那)委員 もう一つの不安定な硬直要因として、為替の変動ということがあり得ると思うのですね。例えば、為替レートで一円円安になった場合に予算的にどれほどの変動があり得るかという点について、一点だけ大蔵省、お願いいたします。
  77. 藤井一夫

    ○藤井(一)政府委員 お答えいたします。  為替が一円動いた場合防衛関係費が幾ら動くかという問題でございますが、これは防衛予算の中身によって、年度によって若干差があると思いますけれども、一円動きますと大体十億強ぐらいのお金が上下するというふうに考えております。
  78. 山口那津男

    ○山口(那)委員 武器調達の契約について為替リスクが予想されるわけですが、著しい円安が生じた場合にどのように対応するのでしょうか。
  79. 植松敏

    ○植松政府委員 お答えいたします。  契約ベースの段階の話かと思いますけれども、私ども契約をいたします場合に、社会通念に従いまして著しい経済情勢の変動その他著しい事情の変更によりまして契約の定めるところが不当となったと認められるような場合については、契約を変更するための協議をすることができるという協議条項を入れて契約をいたしております。  これまでのところ、経済情勢の変動によりまして契約の価格を変更した例といたしましては、変動相場制への移行でございますとか、あるいは大幅な円の切り上げ措置等がございました場合、こういう場合にはそれが発動されることになっておりまして、実際にはいずれも円高のケースでございますので、予算の節約になるという形になっております。  また、著しい経済情勢の変動がない場合でも、現実に為替相場は年々あるいは月々に変化いたしますので、契約をいたします場合に、契約時点におきましては当然予算の範囲内で、かつその時点での予算の積算いたしておりました為替レートまたは実勢レートのいずれか円高のケースで契約をいたしまして、さらに支払い時点でまた実勢レートで支払いをしなければなりませんけれども、この場合にもさらに円高が進めばその部分は返納していただく、また、逆に増加する場合には契約金額の範囲内でやりくりで対処するという形をいたしております。
  80. 山口那津男

    ○山口(那)委員 これが、年度内に著しい変化が生じて当初予算では対応できなくなるような場合も生じ得るでしょうか。もしその場合にはどのように対応されるのでしょうか。
  81. 植松敏

    ○植松政府委員 今申しましたように、原則といたしましては予算の範囲内で契約をいたしますので、その契約金額の範囲内で対処をいたすことになります。したがいまして、円安が進んだ場合で当初のコストを上回るようなケースにつきましては、第一に契約金額の範囲内で外貨建てで契約してない部分もございますものですから、そういったものでもしも余剰があればそれで対処する。さらに、それでも対処できないような場合には、差し支えない範囲で仕様の変更等をいたしまして、契約金額、予算の範囲内で対処するということをいたしておりますが、さらにそれでも対処し得ないというようなケースになれば、翌年度以降の予算あるいは補正予算で増加、対処ということも考えられるわけでございます。
  82. 山口那津男

    ○山口(那)委員 円建てで契約するケースもあり得ると思うのですね。ドル建ての方が実際には多いのはもちろんだろうと思いますが、この比率はどれくらいかわかりますか。
  83. 植松敏

    ○植松政府委員 詳細なところはちょっと持ち合わせておりませんけれども、総じて防衛庁が輸入しております装備品の全体の調達量の約一割弱に当たります。そのうちの過半はFMS契約に基づきまして米国政府との間で契約をいたしまして輸入しているものでございまして、これはドル建てが原則でございます。そういったことから、大半はドル建てで輸入をしておるということになろうかと思います。
  84. 山口那津男

    ○山口(那)委員 もう一つ、この後方財源を生み出す可能性として武器の調達価格が非常に割高なのではないかということが指摘されます。例えば、F15、P3Cという例をとってみますと、F15が昭和五十三年の当初予算のFAC価格で四十六億円、それからライセンスの国産機になりますと、これがその当時五十三年度で六十九億円、現在の平均価格でいきますとこれが八十六億一千三百万円、こういう価格です。実に倍近い開きがあるわけですね。五十三年以後、輸入の実績がありませんので、この現在の輸入価格というのは判明しないという防衛庁の見解でしたけれども、当時の為替レートが一ドル二百十円ちょっとです。現在が約百五十円前後ですから、このことを考慮すれば輸入価格は五十三年当時よりもコスト上昇を考えたとしても、若干低いんじゃないかというふうに思われるわけですね。それからP3Cについて言いますと、五十三年が輸入価格で四十九億円です。ライセンス国産価格が七十一億円、現在での平均価格は百六億一千方円という数字が出ております。これも著しい差になっておりますね。したがいまして、これらの調達構造というものを変えることによって財源を生み出すといいますか、安い調達ができるということはもちろん考え得るわけですね。そうした意味で、現在F15、P3Cはすべてライセンス生産ということになっておると思いますが、このライセンス生産を、輸入ではなくてこういう方式を選択する基準というのは、どういうところにあるのでしょうか。
  85. 植松敏

    ○植松政府委員 お答えいたします。  今御指摘の点は事実でございますけれども、私ども装備品を具体的に整備いたします場合考えますことは、まず我が国の運用構想に適合しなければならない、外国の武器では日本の自衛隊に合わないというものもございます。また、地理的な特性その他から外国製品をそのまま購入したのでは実際の運用上支障を来すというものもございます。また、実際に輸入ということになりますと、海外市場に供給力がなければならないわけでございますが、とりあえずそういったものがあれば早く取得ができますけれども、逆に外国の供給市場の供給力の状況によって不安定な供給ということも考えられます。また一方、当然こういった装備品につきましては、後はそれぞれ整備、補修が必要でございますし、またいざというときには、特に正面装備につきましては消耗度が激しいわけでございまして、それを壊れたものを補修する、あるいは不足分をまた緊急に調達するという必要性が出てくるわけでございますが、こういったもろもろのことを考えなければなりません。その上で、当然のことながら費用対効果ということで経済性も十分考えながら、そういった一長一短それぞれ長所短所、総合的に考えまして開発でやるか、あるいはライセンス生産にするか、場合によっては外国品の輸入にするかということを決定をいたしておる次第でございます。     〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕
  86. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今のは一般的な話だろうと思いますけれども、このF15、それからP3Cについては数多くのライセンス生産がなされているわけでありまして、それぞれ一機当たりでも四十億とか五十億とかの価格差があるわけでありますから、すべてライセンス生産をするというのではなくて、そのうち何機か輸入に回す、そういうことも可能であろうと思うわけです。折からアメリカでは軍需産業のレイオフあるいは民需の拡大等の傾向が出ているわけでありまして、国際情勢の動向を考えると、この傾向は一層進むものであろう、こういうふうに思われます。そうした場合に、この日本において世界的な傾向を考えると、このライセンス生産等の軍需の生産ラインあるいは新規の設備投資というのはできるだけ控えた方がいいのじゃないかというふうに思うわけであります。その上でこの輸入のウエートを少しでも変えていくということは、アメリカ政策とも必ずしも矛盾しないと思うわけであります。そういう点で、この調達構造を見直すということはどうお考えになりますでしょうか。
  87. 植松敏

    ○植松政府委員 今申し上げましたように、特に正面装備品で一朝有事のときに非常に消耗度の激しいようなもの、こういったものについてはやはり取得の確実性と申しますか、補給の容易性ということを当然考えざるを得ないわけで、これはまさに武器の特性、性格上からいって必ずしも外国品の輸入に全面的に依存するわけにはいかない。しかし、先ほど申し上げました幾つかのそれぞれ長所短所を持っているわけですから、総合的に検討していずれの方式で調達するかを決めるということについては当然私ども考えております。先生おっしゃるとおりだと思います。  なお、参考までに申し上げますと、F15のライセンス国産価格とFMS価格の比、これはたまたま五十三年度導入時でございましたものですから、一部にFMSで輸入し、ライセンス生産に備えるという形でその一部をライセンス生産という形をしましたときの価格の差が、先ほど先生指摘のように約五割ぐらいライセンス生産の方が高かったわけでございますが、これは当然、ライセンス生産をいたしますとそれぞれ新規の設備投資をいたしますので、特に最初の年度におきましてはそういった償却負担でございますとかいろいろな面で初度コストがかかります。漸次、それぞれいわゆるラーニングカーブ効果といいますか、慣熟度に応じまして日本の企業も工数が減ってくるということでコストダウンが図り得ます。そういった点から日本の、例えばF15につきましても、過去十年をとってみますと、日本の国産価格についてはほとんど変化がない、それに対しましてアメリカの国防白書等で出ております資料から推察いたしますと、米国の方は二倍以上のコストになっているというような資料もございまして、また現に昭和六十年度にたまたまFMSを検討したこともございまして、そのときにFMS価格とライセンス生産の価格とを比較いたしましたところが、年度当初五〇%程度の割高だったものが約四%程度の値開きになっておりまして、むしろ長期で考えますと、ライセンス生産をした方が安定的なコストということもございまして、一概にその初度段階での輸入価格と国内生産のコストでは比較し得ないという面もございます。ただ、いろいろそういった総合的に考えなければいけないということにつきましては御指摘のとおりでございますので、今後ともベストの調達方式というのを考えていきたいと思っております。
  88. 山口那津男

    ○山口(那)委員 NATO諸国やイスラエル等でも、ミリタリーバランス等の資料によれば、米国から日本で全部ライセンス生産されているものも輸入している部分があると思われますけれども、この点についてはどうですか。
  89. 植松敏

    ○植松政府委員 詳細調査をいたしたことがございませんので正確なことは申し上げられませんけれども、一般的に申しまして、それぞれ武器の性格上、いずれの国もできるだけ自国に生産基盤、技術力でございますが、それがある場合にはできるだけ、少々高くても国産でやろうというのが各国共通でございます。そういった点から申しましても、それほど我が国と差がないのではないかというふうに推察いたしております。
  90. 山口那津男

    ○山口(那)委員 基本的な考え方我が国と似ている面もあると思いますが、確かに輸入実績はあるであろうと思います。その価格の差というのが各国で違いが出ているのではないだろうかとも思います。そうしたことを考えた上で、これからの防衛費の予算構造を弾力的に考えるという意味でも、この武器の調達という面の構造をぜひとも見直していただきたいというふうに私は思います。  以上で、終わります。
  91. 瓦力

    瓦委員長 東中光雄君。
  92. 東中光雄

    ○東中委員 外務大臣にお伺いするのですが、海部内閣は東西の力の対決、冷戦時代の発想を乗り越えて、対話と協調による新しい世界秩序を模索する、新しい平和共存の世界への構築を目指す、こういう趣旨のこれは現在における基本的な理念だと思うのですけれども、東西の対決といえばあるいは冷戦時代といえば、ソ連アメリカ中心にしてそれぞれが軍事ブロックをつくって、そして核軍事ブロックの体制で対峙をしている、これがいわゆる東西の力の対決の方向ですね。それを乗り越えるということになりますと、当然その逆の方向に向かうということでなければならぬと思うのですが、核兵器の廃絶の方向、それから軍事ブロックの解消の方向、そして軍事費の削減の方向、こういう方向でこそ東西対決の発想を乗り越えていく方向ということになると思いますが、そういう方向をこそ目指すべきだと思いますが、どうなのでしょう。
  93. 中山太郎

    中山国務大臣 日本政府として基本的な考え方は、あくまでも専守防衛に徹し、そしてそれだけではこの国を守ることができない、こういうことで日米安保条約を補完機能として抑止力として今日まで整備して平和を守ってきた。こういう中で私どもは東西の、米ソの激しい対立から対話そして話し合いという、この協調から対話、協力に入りつつあるという過程で、私は先般の米ソ首脳会談というものは極めて意義の大きいものであったと思います。  御案内のように、双方が核弾頭つきミサイルを一万発ずつ持っているわけでありますから、これを撃ち合ってやれば地球全部、何十個でも破壊されてしまう、そういうことで結局この背景には米ソ両国が膨大な軍事費を費やしてきた、こういう中で両国の首脳がいわゆる財政赤字というものをどのようにして解消して財政の健全化に向かうか、こういう中で先般の戦略兵器の削減の条約への基本的な合意というものが見られた。しかし、この話し合いがもし実現を実際にするとしても、これは双方がまだ六千発ずつ持つということでございまして、この残された米ソ両大国の核弾頭というものは、地球の一人当たりの計算をしましても恐ろしいような力を持っている、こういう現実の中で私どもはさらに平和を模索しなければならない。日本は非核三原則を守ってやっていくという中で、私どもの平和を目的とする国家としては、この世界の巨大な軍事大国が緊張緩和に向かって軍備を削減していくということに大いなる期待をしているわけでありまして、そういうことで冷戦を乗り越えて、日本としては次の時代の二十一世紀に向かって平和を求めていくという考え方であろうかと思います。
  94. 東中光雄

    ○東中委員 核軍縮方向に向かっている、これは確かに私たちもそういう方向は好ましいことだと思っております。しかし一番問題は、冷戦の体制、東西の対決の状態の発想を乗り越えるということを言った以上は、その意味というのは国連憲章なり国連決議で言ってきている方向ですね。例えば、国連の安全保障強化に関する宣言、七〇年の国連総会のものです。ここではこう言っています。「すべての国家が、平和と安全をすべての国民に保証し、かつ国連憲章に従って、軍事同盟のない世界的集団安全保障の効果的な体制を確立するため」に努力をすること、軍事同盟のない集団安全保障体制、これは軍事同盟解消でしょう。それから、第一回国連軍縮総会最終文書、これは七八年ですが、「永続する国際の平和と安全は、軍事同盟による兵器の蓄積の上にうちたてることはできない」、それから「また不安定な抑止のバランスによっても戦略的優位の理論によっても維持されえない。」「国連憲章に規定された安全保障体制の効果的な履行、」と、そして軍縮ということでこそ保障されるのだ。これは今そういう線でしょう。  ところが、日米安保条約は堅持をする、アメリカ日本への配備は続けてほしい、前方展開をむしろ質的に強化する、自衛隊は拡大整備と称して軍拡の道を進んでいる、これはまるきり逆なんです。だから、抽象的に一般的に言われていることと実際とは違う。それから、東ヨーロッパのあの事態が起こって、そしてドイツは両軍事同盟から離脱するというふうにすべきだと私ども日本共産党はすぐそういう提案をしました。それからワルシャワ条約加盟国で、ソ連の基地撤去を要求している国が出ています。NATO側でも西ドイツからの撤退をするという動きが出ているでしょう。まさに軍事同盟をなくしていく方向、こういう方向でしかも軍縮方向、それで核廃絶の方向を目指す。私はそういう方向をとったら日米安保条約についてもそれを解消していく方向、そういう方向こそ望まなければいかぬ方向ではないか、こう思っているわけですが、そういう点どうも一般的に言われていることと、具体的に進めていることは逆の方向に行っていると思うのですが、いかがでしょう。
  95. 中山太郎

    中山国務大臣 委員お尋ねはもっともなことだと思います。しかし、現実にこの日本国民の生命と財産を守っていくという責任を持っている政府といたしましては、日本国周辺の軍備の状況はどうかということを絶えず注目しなければなりません。そういう意味では、北方領土に展開しているソ連の地上軍あるいは空軍、あるいは対日本海を含む太平洋にいるソ連の海軍戦力の増強というものを考えながら、我々の国の安全をどうしていくのかということをこれから真剣に考えていかなければならない。ヨーロッパにおいて私は大変いい方向に向いていると思いますけれども、私は昨日サンフランシスコでベーカー国務長官ともこの東ヨーロッパ変化あるいはソ連軍縮問題、いろいろと意見を交換いたしましたが、私とベーカー長官との意見は全く認識を一致いたしております。それは、なるほどいわゆるヨーロッパ大陸におけるこの核に関するいろいろな問題点の話し合いが進んでいる。しかし、現実問題として果たして東ドイツに駐留しているソ連軍がいつまでに撤退できるのか、あるいはポーランド、ハンガリー、チェコに駐留しているソ連軍がいつまでに撤退できるのか。これは現実問題として非常に難しい。私は昨日もベーカー長官に申し上げたのは、私の考え方では、チェコやハンガリーやいろいろ回ってみて、ソ連軍の撤退を要求してもなかなかそれができない、それは一にかかってソ連の国内経済の問題にかかっている、兵器は破壊することができても、そこに駐留している軍隊を連れて帰っても住まわせるアパートがない、それからその軍人たちが軍隊をやめて働く職場かない、この問題がどういうことになっていくのかということを私どもは十分見きわめながら、現実にこの東西間の軍縮問題というものがどのような帰結をたどっていくのかということは当分の間慎重に考えていかなければなりませんので、私は、これから次期防の作成に当たる政府としては、これらの国際情勢を十分踏まえながら次期防考え方というものの議論を続けていかなければならない。今委員からは、自衛隊をふやしていくんじゃないか、こういうお話でございましたけれども、これからの次期防の編成、作成に当たって、国際情勢あるいは日本のあるべき姿というものの議論を十分しなければならないと私ども認識をいたしております。
  96. 東中光雄

    ○東中委員 残念ながら私の言うておることはそらしてお答えになったと思うのですが、外務大臣は御都合があるそうですからこれで終わりますけれども、遺憾であるということだけ申し上げておきます。  それと、続いて聞きたいのですが、今アメリカアジア太平洋戦略について再検討するということで「アジア太平洋の戦略的枠組み—二十一世紀に向かって」を四月に発表しました。これは外務省にお聞きするのですが、その中で、この再検討は、ソ連脅威の認識変化が起こってきたこと、それからアメリカの財政的圧力、財政的制約があること、そしてさらに、この太平洋アジア地域の国々の中で駐留米軍への批判が高まっていることを挙げています。その部分を読んでみますと、「枠組み」の「序論」の中で、「さらに、繁栄したアジア国家のいくつかでは、民族主義的感情が高まっている。これらの国の指導者は、国内への米軍駐留の継続は主権の侮辱とみなす大きな影響力のある世論と取り組まなければならない。」この訳がいいかどうか知りませんが、大体そういう方向のことが言われている。そして、「戦略的環境—過去と現在」の中で、「基本的にこの地域のすべての非ソ連同盟国は今日、米国が強力な軍事的駐留を維持することをのぞんでいるが、ほとんどの国は、国家的威信の点から、米国への依存を少なくしたいとの思いを強くしている。」ということが書かれています。要するにほとんどの国、あるいは前の方は「繁栄したアジア国家のいくつか」、複数の国家で主権の侮辱とみなし、とにかく米軍の撤退を求めているという情勢があるんだということを言っているのですが、「繁栄したアジア国家」あるいは「ほとんどの国」というのは一体どこを言うているか、アメリカ側のこの文章を見て、日本はこの中に入っているのですか、入っていないのですか、ちょっとお伺いしたいのですがどういうふうに理解されていますか。
  97. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 先生言及されましたこの四月に発表されました「アジア太平洋地域の戦略的枠組み」についてでございますけれども、御承知のように、アメリカ同盟関係を持っております東アジアの国々は日本、韓国、フィリピンでございまして、そこに米軍が前方展開戦略の一環として駐留しているわけでございます。米軍が駐留している国について今先生読み上げられた文章も書かれていると思いますけれども、ただ、具体的に先生の言及しておられる国々がどこの国であるかということは、これはアメリカの国防省の報告書でございますので、私があえて想像を申し上げるのはちょっと控えさせていただきたいと思います。
  98. 東中光雄

    ○東中委員 向こうは、「戦略的枠組み」、そういう中での情勢の三つのうちの一つに入れているんですよ。それを、どこのことを言うているのか何かようわからぬ、これじゃまともに考えているということになりませんね。向こうは三つの要素の中に入れていますよ。何かわからぬけれども、まあそうなっておるということなんでしょう、私は非常に無責任だと思うのですが。  それで、この「枠組み」の「戦略計画」の中でも、「国別の具体的目標」「日本」のところでも、日本における米軍が維持していく体制を三点ほど挙げていますね。特に、例えば「戦略計画」の中では、「対ソ抑止任務の三沢基地に配備された戦力」要するにF16のあの二個中隊の核攻撃機の戦力ですね。それから「世界的・地域的事件を支援する横田基地にある米軍の中心的兵站施設、さらに西太平洋最高の海軍修理施設をもち、海軍戦力」これはアメリカの海軍戦力です、「海軍戦力を増大する横須賀の海軍施設」これは何としても置いておくのだ、こう言うのです。これを見ますと、西太平洋におる、今ミッドウェーが来ている、ミッドウェーが修理をやった、今度は来年にはインデペンデンスにかわる、うんと強化する、そういう世界的な行動をする米国の海軍戦力を増強する。あるいは横田基地についても、世界的、地域的事件への支援、要するに全部規模世界的になっているんですね。  「国別の具体的目標」の中で「日本」の項の三項目に「世界の重要地帯における安定を維持するための西側同盟諸国とのわれわれの政治努力に、日本をより緊密に引き込むこと、同時に日本から作戦するアメリカ部隊にたいする経済的支援の増加を含めて、」云々と書いてあります。要するに世界的に行動することですね。世界の主要地帯における事件に対応するために米軍の行動を日本が支援するんだ、こう書いているんです。  だからこの「枠組み」は、日本の基地、日本における米軍は世界的に作戦をするということ、これは安保条約の枠なんかぐうっと超えていますね。そういう体制で今出してきているということについて、日本はどう思っているのか、伺いたいと思います。
  99. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 先生指摘のように、今回の報告書で三沢、横田それから横須賀の施設、区域に明示的に言及がございまして、それぞれの役割について米側の考えが記述されておりますのは私どもも承知しております。  先生御承知のように、安保条約日本の安全、それから極東の平和と安全のために在日米軍が基地を使用することを認めているわけでございまして、在日米軍の駐留目的は、あくまでも日本の安全と平和、それから極東の平和と安全の維持に寄与するということでございます。今回の報告書にいろいろな記述はございますけれども、それは、アメリカが広くグローバルな平和の維持のための役割を担っている、今申し上げました日本の安全、さらに極東の平和と安全というのはそういうグローバルな、世界的な規模での平和と密接に関係している、そういうグローバルな平和がなければ極東の平和も安全も日本の安全もないのである、こういう認識を述べたものでございまして、安保条約の運用、安保条約のもとで駐留米軍が駐留しております目的というのは条約にきちんと書いてあるわけでございまして、これに従って行動してもらうということでございますので、その間に何ら矛盾はないと私ども考えております。
  100. 東中光雄

    ○東中委員 もう時間がありませんので指摘をしておきますが、世界的、地域的事件を支援する横田基地、それから米海軍力を増大する横須賀の施設、米海軍力、インデペンデンスは行動は極東でないことは明白です。そして「日本から作戦するアメリカ部隊にたいする」これも世界の重要地帯に対してです。そういうふうに書いているのですから、しかも公式にそう書いている。それをそのまま容認しているというような姿勢は、事実上安保条約の枠さえも大きく超えて大変な体制だ、断じて許せないと私は思いますので、この点を指摘して、時間ですから質問を終わります。
  101. 瓦力

    瓦委員長 神田厚君。
  102. 神田厚

    ○神田委員 大変短い時間ですので要領よくお答えをいただきたいと思うのであります。  まず最初に、日米安保条約の発効から六月でちょうど三十年を教えるわけでありますが、この三十年間の安保条約の意義と役割についてどういうふうにお考えになりますか。
  103. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 先生指摘のように安保条約を改定いたしましてちょうど三十周年になりますけれども、これは、今日の国際社会におきましては日本が単独で安全を確保することは困難である、したがいまして日本としては必要最小限の自衛力整備するけれども米国との安全保障体制によってその安全を確保するということが最も賢明な道であると考え安保条約を締結いたしまして今日に至ったわけでございます。こうした我が国の選択が正しかったことは、この三十年間におきまして日本が他国から軍事力を背景とした政治的な圧力を受けることもなく、個人の自由と尊厳を基調といたしました民主主義体制のもとでこれほどの繁栄を築き上げてきたという事実があるわけでございまして、私どもは、こういう事実からしてこのような選択は正しかったし、現に国民の多数によって支持されていると考えております。
  104. 神田厚

    ○神田委員 昨日のテレビの報道や本日の新聞報道などで安保改定におけるところの問題が指摘をされておりまして、当時のマッカーサー駐日大使がいろいろな発言をしているようであります。例えば核の持ち込み問題等について、艦船等の核の持ち込みについては日本外務省外務大臣了解をしていたというような報道がございますが、その点はどういうふうにお考えですか。
  105. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 先ほども答弁申し上げたところでございますけれども、いろいろな報道がございますけれども、私ども基本的に今回の米側の公文書の性格、それから内容について承知しておりませんので個々の報道されました文書などにつきましてのコメントは差し控えさせていただきますが、重要なことは交渉の一過程において当事者がどういう立場からの交渉をしたかということではなくて、あくまでも交渉の結果得られた両国間の合意がどういうものであったか、それがどういうふうに運用されているかということが重要で、それに基づいて判断されるべきであると私ども考えております。  先ほども申し上げたことでございますけれども事前協議対象になっております核持ち込みの中には寄港、領海通過が含まれておりますことについては、交渉の結果得られました事前協議に関する交換公文の規定、それからいわゆる藤山マッカーサー口頭了解に照らしましても十分明らかであると私ども考えておりますので、このような交渉の結果が一番重要なことであると考えております。
  106. 神田厚

    ○神田委員 詳細にその辺のところは外務省としてはきちんとした資料を持っていただいて、それでちゃんとした事実関係を把握していただきたいというふうに要望しておきたいと思います。  それからもう一つは、極東における軍事情勢変化の問題でございますが、東欧情勢韓ソ関係の改善などで国際情勢は大きく変化しております。極東におけるこの軍事情勢変化について防衛庁はどのように考えておりますか。
  107. 内田勝久

    ○内田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま委員指摘のとおり、ヨーロッパ中心といたしまして世界情勢は大きく動いております。ただ、その世界情勢変化がそのままアジア太平洋地域情勢に引き移されていくかという点になりますと、例えば先般ゴルバチョフ大統領自身米ソ首脳会談の後の共同記者会見の席で述べておりますように、アジア太平洋地域情勢は非常に複雑かつ多様でございます。したがって、欧州におけるような変化がそのまままだアジア地域で生じているというわけにはまいらないわけでございまして、具体的に申し上げますと、何回も私ども御説明申し上げているとおり、この地域では膨大なソ連極東ソ連軍の蓄積がございます。確かにこの極東ソ連軍の量的な面につきましては一部削減の動き等ございますけれども、軍の近代化等を通じまして質的な強化が継続されている次第でございます。したがいまして、私どもはこの地域の安定化のためにはソ連自身がその膨大な極東ソ連軍についての早急かつ実質的な一方的削減を実施して、そういうことを通じてこの地域の安定化あるいは政治的信頼関係の醸成を図っていくということが大事であると考えている次第でございます。  また朝鮮半島につきましても、先般のサンフランシスコでの韓ソ首脳会談等ございましたけれども、基本的には朝鮮半島についてなお緊張状態が続いているというのが私どもの見方でございまして、特にこれは軍事的に見て、北朝鮮の最近の朝鮮半島をめぐる特に韓国の動きに対してどのような反応を示していくかという点につきましては、なお大いにこれから注目していかなければいけないことであると思っております。ただ、もとより私どもはこの朝鮮半島の緊張緩和方向に向かうということは大きく期待をしていることでございます。  総じて、この地域につきましては政治的にはいろいろな動きが見られ始めているということは言えるかと思いますけれども軍事情勢という点に着目してみますと、基本的にその動向には、アジア太平洋地域情勢には大きな変化はいまだ見られていないというのが私ども考えでございます。  以上でございます。
  108. 神田厚

    ○神田委員 これもきょうの新聞に出ておりましたが、北朝鮮がことしじゅうに核を持つだろうというふうなことをソ連アメリカに伝えた、そういうふうなことがございますが、それらについてはどういうふうにお考えでありますか。
  109. 内田勝久

    ○内田政府委員 お答え申し上げます。  北鮮が核関連施設の開発を進めているのではないかというところは、防衛庁といたしましてもかねて注目をしている点でございます。先ほどの質疑にもございましたけれども、北鮮がIAEAの査察を拒否している、それに対して、アメリカはもとよりソ連も懸念を持っておりまして、国際社会全体が北鮮に対してIAEAの査察の受け入れについて圧力をかけているという点は私どもも承知しております。ただ、北鮮の核関連施設の開発が現在どの段階にあるかということになりますと、私どもも必ずしも詳細な情報を持ち合わせているわけではございませんで、現時点で核兵器そのものを所有しているかどうかという点についても、遺憾ながら、この場で私どもも申し上げられる状況にはございません。  ただ、申し上げたいことは、このような北朝鮮の動きについては、この極東地域の平和と安定の大きな不安定要素になるということから、大変な懸念を持って私どもも注目しているということであろうかと思う次第でございます。
  110. 福田博

    ○福田(博)政府委員 突然のお尋ねでございますが、そういう新聞報道が行われていることは承知しております。  他方、ソ連アメリカにそういうことを通報したとかそういう報道でございますが、例えば最近の米ソ首脳会談においてどういう話し合いが行われたかということにつきましては、私どもアメリカ及びソ連双方から通報は受けておりますが、その中身については外に申さないことになっておるのでそれは申し上げられませんが、今報道されているような事実があったかということにつきましてあえて申せば、そういう具体的な話があったというふうには私ども承知しておりません。
  111. 神田厚

    ○神田委員 次期防の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  国際情勢の変動に伴いまして基盤的な防衛力水準も変動していくと思いますけれども次期防の計画ではどういうふうに考えているのか。その辺をお聞きします。
  112. 石川要三

    石川国務大臣 もちろん基盤的防衛力というものはあくまでも基盤的なものでございますので、しかも、大綱の中には諸外国軍事技術に変動がある場合にはこれに対応していくというようなことも明示しているわけでございますので、簡単に言えば、やはり諸外国の——特にまた大綱の中におきましては、先生も御承知のとおり基盤的防衛というのはあくまでも限定的なそういう侵略に対する対応ということでございますから、その侵略する力が増せば理論的には上がるし、また下がれば下がるという、理論的にはそういうふうになろうかと思いますが、しかし今の国際情勢の中から、これが実際問題として、そういう限定的な侵略であってもその能力というものが増大してくるであろうということの想定はなかなか難しいわけでありますが、いずれにしても理論的にはそういうことではないか、このように思います。
  113. 神田厚

    ○神田委員 次期防大綱の枠の中でつくられることになるのですか。それとも大綱を変更することを考えておりますか。
  114. 石川要三

    石川国務大臣 御承知のとおり、大綱水準を私ども努力してきたわけでございます。  次期防におきましては、当然国際情勢分析前提にして決定されるわけでありますけれども、しかし、再三私も答弁の中で申し上げておりますように、現在のこの防衛計画大綱というものは、やはり当時の国際情勢の中でいろいろと検討した、その結果として二つの大きな柱を立てているわけであります。一つには、やはり核の抑止力を中心としてのいわゆる米ソの抑止力というもの、これを前提にした場合に、当時の世界情勢から見て東西の正面衝突というものは恐らくないだろう。したがって、私どもとしては極めて限定的な小規模の対応というものを前提にし、また、もう一つの柱は、日米安保体制というものの堅持によりましてこれからも我が国の平和と安全を守っていく。こういう二つの大きな前提条件、これから大綱水準というものは決まっているわけでありますから、したがって、今後の国際情勢を十二分に検討するものといたしましても、基本的な考え方は私は変わらないでもいいのではないか。したがって、現在の大綱の枠の中で検討していきたい、検討すべきではなかろうかな、こういうふうな見解を持っているわけであります。
  115. 神田厚

    ○神田委員 米軍のアジア地域からの削減が、今後、我が国に対して防衛分担をさらにふやす要求になるという懸念もありますが、その点はいかがでありますか。
  116. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 この四月に米国防省が議会に送りましたアジア太平洋における戦略的な枠組みと題します報告の中で、今後十年間の展望を述べております。これは第一段階、第二段階、第三段階ございまして、とりあえず第一段階は、今後三年間でございますが、東アジアに展開している米軍の約一割をこの第一段階で削減の対象としたい、第二、第三段階については、第一段階の結果等も勘案してさらに検討していきたいという姿勢を打ち出しております。
  117. 石川要三

    石川国務大臣 今外務省から申し上げましたようなことで、この削減計画というものは慎重に行われるわけでありますが、しかし、米軍がこの地域で果たしていく役割には大きな変化はない、かように認識をしておりまして、日米安全保障上、それぞれの役割についても基本的な変化はないものと認識しております。
  118. 神田厚

    ○神田委員 平成三年度の業務計画に関する長官指示では、日米安保体制の信頼性の維持向上がうたわれておりますが、具体的にはどのようなことでありますか。
  119. 日吉章

    日吉政府委員 平成三年度の業務計画に関します長官指示でございますが、これは、次期防が策定されるとしますと初年度に当たるわけでございますけれども、ただいまも御議論されておりますように次期防計画がまだ策定されておりませんので、そういう意味で、例年の長官指示に比べますと若干抽象的な内容になっております。  そこで、お尋ねの条項の具体的な内容でございますが、私どもは、今後庁内におきます業務計画審議を通じまして具体的に検討していくということになりますけれども、一般的に申し上げますと、この長官指示といいますのは統幕議長それから三幕僚長に対しまして発出されるものでございいます。したがいまして、その形式からお考えいただきますれば、ここで意味しておりますことは、日米共同訓練の実施とか、日米間におきます防衛協力に関する研究とか協議等の推進などがこれに該当すると御理解賜ればありがたいと思います。
  120. 神田厚

    ○神田委員 最後ですが、在日米軍駐留の円滑な維持に対してどのように考えているのかということであります。思いやり予算が給与の本俸に触れる場合、特別協定の枠でできるのかどうかを含めて御答弁をいただきたいと思います。
  121. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 在日米軍の経費問題に関しましては、今般の中山大臣とベーカー国務長官の話し合いでも一般的な期待の表明が米側から行われた次第でありますけれども、私どもは従来から日米安保体制の効果的な運用を確保していくという見地から自主的にできる限りの努力を払ってきておりますが、基本的にはこのような自主的にできる限りの努力を払うということで考えていきたいと思っております。  具体的な点に関しましてはこれから検討してまいりますので、先生質問の点に関しては現在まだ考えが固まっておりませんので、具体的にお答えすることは残念ながらできない状況でございます。
  122. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  123. 瓦力

    瓦委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時一分散会