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1990-06-11 第118回国会 衆議院 安全保障特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月十一日(月曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 瓦   力君    理事 鈴木 宗男君 理事 中川 昭一君    理事 丹羽 雄哉君 理事 三原 朝彦君    理事 宮下 創平君 理事 上田 卓三君    理事 和田 静夫君 理事 冬柴 鐵三君       高村 正彦君    中谷  元君       中山 正暉君    増岡 博之君       山下 元利君    小澤 克介君       嶋崎  譲君    関  晴正君       山口那津男君    東中 光雄君       神田  厚君  出席国務大臣         外 務 大 臣 中山 太郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 石川 要三君  出席政府委員         防衛庁参事官  内田 勝久君         防衛庁参事官  村田 直昭君         防衛庁長官官房         長       児玉 良雄君         防衛庁防衛局長 日吉  章君         防衛庁装備局長 植松  敏君         防衛施設庁長官 松本 宗和君         防衛施設庁総務         部長      吉住 愼吾君         防衛施設庁施設         部長      大原 重信君         防衛施設庁建設         部長      黒目 元雄君         防衛施設庁労務         部長      竹下  昭君         外務大臣官房審         議官      太田  博君         外務省アジア局         長       谷野作太郎君         外務省北米局長 松浦晃一郎君         外務省欧亜局長 都甲 岳洋君         外務省経済局長 林  貞行君         外務省条約局長 福田  博君         外務省国際連合         局長      赤尾 信敏君  委員外出席者         特別委員会第三         調査室長    中島  勉君     ───────────── 本日の会議に付した案件  国の安全保障に関する件      ────◇─────
  2. 宮下創平

    宮下委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のためおくれますので、委員長出席になるまで、指名により私が委員長の職務を行います。  国の安全保障に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川昭一君。
  3. 中川昭一

    中川委員 それでは、国の防衛並びにそれに関連する質問をさせていただきたいと思います。外務大臣並びに防衛庁長官、よろしくお願いをいたします。  それではまず初めに、最近の一年間、特に東欧ソビエト中心に大きな国際変化があったわけでありますけれども、日本は御承知のとおり、四十五年前にああいう大きな戦争の敗戦の中から、今や世界の平和に貢献をする平和大国として努力をしておるわけであります。戦後日本は一貫して平和憲法のもとで国連中心外交、そしてすべての国とできるだけ平和関係を維持したいという努力をしてきたわけであります。また、日本の安全を守るためにも日米安保条約並びに最小限の防衛力ということでずっとやってきたわけであります。そういう中で、特に外交に関しましては、日米を基軸にいたしましてアジア外交、そして一般的には国連中心平和外交を進めてきたわけでありますが、その国連憲法ともいうべき国連憲章前文では次のように書かれております。二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救うため、国際的な平和及び安全を維持するために我々の力を合わせるというのが国連憲章前文に書かれておるわけであります。  以後四十数年間、局地的には数多くの紛争戦争があったわけでありますけれども、世界的な大戦が起こっていないということは事実であると思います。そして、特に最近数年間におきましては、米ソのあらゆるレベルにおける軍縮交渉、そして現実的な軍縮、あるいはまたソ連のアフガニスタンからの撤兵、あるいはここ一年のソ連東欧民主化、またそれに関連いたしまして、戦後分断国家でありました東西両ドイツが民主的な形で今統合に向かっているという状況、さらには定期的な日米首脳会議、そしてつい最近は今まで国交断絶状態、形式的には戦争状態とも言ってよろしいと思いますけれども、韓国とソビエトのサミットが行われるということで、世界の平和と安定に向けて評価ができるような大事件が次々に起こっておるわけでありまして、この流れはまさに日本国憲法前文に掲げられております日本外交方向とも一致するものと思います。  そこで、改めまして国連というものの位置というものを考え、そのために国連憲章というものを読み返してみますと、そこで気になるのが国連憲章五十三条及び百七条のいわゆる旧敵国条項というものがあるわけでありまして、これがこういう流れの中で私には今非常に気になる条文として、今まで以上に私の頭の中でのウエートが大きくなってきておるわけであります。過去におきましても、何回もこの旧敵国条項というものにつきまして国会の場で議論があり、また歴代外務大臣等国連の場等々でお考えを述べられたところでありますけれども、政府はそのたびにほぼ似たような御答弁をされておるわけでありますが、先ほども述べましたような、戦後初めてといっていい大きなヤルタからマルタへというような流れの中で、改めて私は今、この旧敵国条項というものについて議論がされるべき大事な時期に来たのではないかというふうに考え、その観点から質問をさせていただきたいというふうに思う次第であります。  まず、国連憲章というか国際連合そのものは、大戦中のカイロ会談とかヤルタ会談とかいう会談を経て、一九四五年六月二十六日に連合国署名をしたのがきっかけになって、同年の十月二十四日に国連憲章効力発生をしたわけであります。署名時点ではまだ第二次世界大戦が終わっていない、つまり八月十五日以前のことでございまして、戦争がまだ続いていたわけでございます。そこで、この憲章前文といいましょうか、一番最初言葉が「われら連合国の人民は、」という言葉でこの国連憲章が始まっているわけでありまして、また先ほど申し上げましたように、国連憲章の中には随所に敵国という言葉が出てくるわけであります。この敵国という現在も生きておりますこの国連憲章にある言葉、これは一体どの時点でどの国を当時指していたのか、そのことについてまずお聞かせをいただきたいと思います。
  4. 赤尾信敏

    赤尾政府委員 お答えいたします。  今先生から国連憲章に言う敵国とはどういう国を意味するのかという御質問でございますけれども、これは今御指摘の五十三条及び百七条に規定されておりますように、第二次世界大戦中に憲章のいずれかの署名国敵国であった国を指すというふうに私たち解釈しております。具体的には日本ですとかドイツですとかイタリア、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、フィンランドでございます。     〔宮下委員長代理退席委員長着席
  5. 中川昭一

    中川委員 いわゆる日独伊のほかに数カ国、これは戦争中にソ連宣戦布告をしたということが敵国ということの定義に当たっているというふうに思っておるわけでありますが、日本は御承知のとおり、一九五六年十二月十八日に国連加盟する効力発生をしたわけであります。国連憲章上、加盟する条件といたしましては、四条の一項に、平和を愛する国であるということを自他ともに認めるということがあるわけでありまして、文字どおり、まさに日本国連加盟するに当たり平和を愛する国であるということを高らかに宣言し、そして現在もその意味というものを持ち続け、さらに大きな働きをしておるというふうに思っておるわけでありますが、今申し上げた五十三条及び百七条の解釈ではいまだに旧敵国、よく旧敵国という言葉を使いますけれども、五十三条は旧ではなくて今でも敵国に対してはこういうことができるんだという解釈になるわけであります。我々日本国民及び敵国というふうに指定された国の国民にとってみると、これは極めて不快なことであり、我々の意図するところと百八十度違うレッテルを張られることになりまして、我々がいかに平和を希求し、武力紛争等を、憲法はもちろんでありますけれども、国民意識そのものにおいて望まなくても、その国連憲章によって、ほかの国から国連憲章上、合法的に危険にさらされる可能性があるということは非常にこれは我々にとって残念であり、そして不快であり、何としてもこれをなくしてもらわなければいけないというふうに思うわけであります。  現に過去におきましてもソ連は明らかに日本想定をした中ソ平和友好相互援助条約とか、あるいはドイツに対しましてもヨーロッパ各国がそういう条約を結んだ時期があるわけであります。私はこの条項そのものが現在においても、定義上ですよ、現実にどうかということじゃなくて定義上、世界平和あるいは国連の目指す平和の方向に向かって極めて危険な条項であるというふうに思うわけでありますけれども、この解釈についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  6. 福田博

    福田(博)政府委員 先生の御質問は二点あるのではないかと思うのです。一つ敵国条項というのが法的に我が国適用される余地があるのかないのかということと、その問題を別としてまだ国連憲章に書いてあることは甚だ遺憾である、その二つではないかと思われます。  まず前者について申し上げますと、我が国は旧敵国条項はもはや我が国適用される余地はないという解釈を従来とっておりまして、一貫して国会でもその旨お答えをしておるところでございます。  その理由を法的に申し上げますと、国連憲章の旧敵国条項というのは、先ほど説明がありましたが、第二次大戦後の経過的な規定として挿入されているものでありますが、我が国国連憲章第四条に言う平和愛好国として国連加盟を認められております。したがいまして、国連加盟国としての権利義務を持つことになるわけですが、その国連加盟国、ほかの国と我が国との関係というのはいろいろな条文がございますが、例えば憲章第二条、なかんずく主権平等の原則によって規律されることとなっております。したがいまして、法的にももはや我が国に対しては適用がないという考えでございまして、これは非常に多くの国がそういう考えを持っているということが言えると思います。  それから第二が、敵国条項国連憲章にまだあることはいかがかというのは、それはまさにそのとおりでございまして、過去一貫して我が国は、一番最初は昭和四十五年、第二十五回総会でございましたが、これは国連憲章から削除されるべきであるということを総会主張いたしました。その後も一貫してたび重なる機会主張しております。いろいろな事情でまだ実現はしておりません、そういう意味では国連憲章にこの規定そのものが残っているということは遺憾な事態であると考えております。
  7. 中川昭一

    中川委員 今の御答弁については、改めて後でもう一度御質問したいと思いますけれども、過去の政府答弁を拝見をいたしますと、そういう御答弁と同時に、現実的な意味があるんだ、一つベルリンの問題を考えるときに、これは現実的な意味があるんだというふうに御答弁をされておるわけでありますけれども、これについて簡単にひとつ御説明をいただきたいと思います。
  8. 福田博

    福田(博)政府委員 私自身も、たしか一回国会でその趣旨の御答弁を申し上げたことがございます。非常に正確に申せば、ベルリンへのアクセス、つまり通行権についてこの規定が有用であるということを言っている人がいるということでございます。これは他方我が国にとりましては当事者ではございませんので、有権的な解釈をするわけにはまいりません。しかし、そういう議論をして、国連憲章の百七条あたりはそれで有用性がまだ残っているということを言う方がおられることは事実でございます。  他方、かいつまんで申せば、連合国ベルリン管理権を持っております根拠は、実は敵国条項ではなくて、第二次世界大戦終了時の連合国によるドイツ最高権力の掌握、これは四カ国宣言というのがございますが、これによって獲得されたというふうに考えるのが多分正確であろうと思います。  いずれにいたしましても、当事者でないので有権的な解釈ではございませんが、一応考え方としてはそういうことでございます。
  9. 中川昭一

    中川委員 同じ福田、現在の条約局長の御答弁、去年の十一月十日では「ベルリンの地位というようなことについては、まさにこの条項が生き続けているという側面もあったわけでございます。」こういうふうに答弁されておるわけでありまして、そういう人がいるという今の御答弁とちょっと意味が違うんじゃないかな、後退したんじゃないかなと私は今直観的に思ったわけでありますけれども、現実にこういうことがあるという御答弁を過去にされておることについてはこれ以上申し上げません。  これに関連しまして、我が国戦後の懸案の最大の問題の一つであります北方領土問題、これはソ連が今占領し、日本は、歴史的に見ても国際法上からいっても日本の固有の領土であるというふうに主張しておるわけであります。過去、ソ連においては領土問題は存在しないというような門前払いであったわけでありますけれども、ここ数年の間にソビエトは、ゴルバチョフ大統領がつい最近キャンプ・デービッドで言ったのか言わないのか、外務省は否定をされておるようでありますけれども、いずれにしても各レベルで、少なくともソビエト政府関係あるいは専門家北方領土について議論があるというふうに言ったということは、ことしの一月十五日の安倍・ゴルバチョフ会談においても我々そういうふうに聞いておるわけでありますけれども、北方領土についてはこの旧敵国条項というのはどういうふうにソ連側解釈しているのか、我が方は、あるいは主要国はどのように解釈しているのか、お伺いしたいと思います。
  10. 都甲岳洋

    都甲政府委員 お答え申し上げます。  日ソ間の交渉におきましての詳しい議論というのは、外交交渉のことでございますので御紹介は差し控えたいと思いますけれども、ソ連側は、平和条約作業グループの中におきまして、ソ連の北方四島の占拠根拠としてヤルタ協定を挙げております。そして、ヤルタ協定国連憲章の百七条によって戦後秩序の一部として日本を拘束するというような主張をしているわけでございます。  これに対しまして私どもは、ヤルタ協定は当然、これに参加した首脳たちが共通の目的を述べた文書にすぎないので、領土移転のいかなる法律的根拠も持ち得るものではないということを主張しておりますので、その当然の帰結として、国連憲章百七条はこの北方領土ソ連側占拠にいかなる根拠を与えるものでもないし、全く関係のない規定である、そういうふうに反論をしておる次第でございます。
  11. 中川昭一

    中川委員 私も、そういう解釈が当然であるというふうに思っておるわけでありまして、一日も早い北方領土の返還に向けて、政府はもちろんであります、各レベルにおいて、そしてまた国民の総意を我々はさらに強くしていかなければいけないというふうに思っている次第であります。  先ほど条約局長から、この旧敵国条項というよりは、私は先ほど申し上げましたように、旧という言葉ではなくて現在でも敵国条項というふうに呼べるのではないか、この条文を読む限りは旧ではなくて敵国条項ではないかとさえ思うわけでありますけれども、これについてはあくまでも経過措置である、そしてまた国連憲章二条によって主権平等というものが加盟国権利であるから平等的な立場に置かれておるという御答弁がありました。過去においてもそういう御答弁があったわけであります。しかし、この経過的というのは、じゃ一体いつまでかということについては、事前に外務省の人にお伺いをいたしますと、当初想定をしていた国連平和維持軍が創設されるまでとか、あるいは場合によっては関係主要国が要請を受けるまでとかいうような、そういう意味でのタイムリミット的な経過的なものが書かれておるわけでありますけれども、現時点においてはその両方とも旧敵国条項がもう意味がないんだというふうに確信するだけの根拠にならないというふうに私は思うわけであります。  今日、少なくとも日本とかイタリア等のいわゆる旧敵国についてはもう適用がないんだ、過去の答弁におきましては名存実亡という言葉を使った答弁もされておるわけでありますし、私もできればそういうふうに解釈をしたいわけでありますけれども、しかし一〇〇%の担保がないということは〇・〇何%でも可能性がある、危険があるということになれば、我が国安全保障上非常にこれはゆゆしき問題であろう、そしてそれはしかも国連という場で改正あるいは廃止し得る可能性がある。これは後で御質問しますし、改正は極めて困難だという御答弁が出てくるのだろうと思いますけれども、少なくとも国連憲章百八条では改正手続というものも明記されておるわけでありまして、そういう意味において〇・〇何%でもそういう可能性を否定し得ないということになると、我々はこの問題をこれからも議論をし、その方向に向かって努力をしていかなければいけないと思うわけであります。  そこで、これはあくまでも学説であります。学説でありますけれども、いろいろな国際法のいわゆる権威と言われる有名な大学の先生教科書なんかを読みますと、幾つか持ってきたのですけれども一つだけ紹介させていただきます。これは小田先生石本先生、寺沢一先生の「現代国際法」という、実は私の学生時代教科書なんですけれども、そこにはこう書かれております。  そこで、この憲章改正されないかぎり、旧敵国連合加盟国になっても、当然には、この規定の対象から除外されるということにはならないであろう。もっとも、この機構が加盟国の主権平等の原則に基礎をおくとしている点からみて、旧敵国加盟国となればこの規定適用を受けないと解するものもあるが、規定上直接にはこうした解釈は保証されていない。ここでは、国際連合が当初連合国によって組織されたということが銘記されるべきである。 というふうに書かれております。同様の説を高野雄一先生等々も唱えておるわけでありますけれども、まさにあくまでも学問の世界ですから、ぎりぎりまで突き詰めたお考えだとは思いますけれども、これは一〇〇%旧敵国条項がもう過去のものになってしまって、未来永劫どの国連加盟国もこの条文適用することが絶対にあり得ないんだという保証は私はないと思います。いろいろ歴史上あるいは国際政治においても何百年も前の条文条約を突然引っ張り出してきて相手国に突きつける、あるいはまたそれを利用して紛争を起こすというようなことも過去の歴史において幾つかあったわけでありますから、そういうことを考えますと、私は、この旧敵国条項というものをやはり一〇〇%もう有名無実ではなくて無名無実にする努力というものがまさに必要であろう。特に、我が国は、冒頭申しましたように戦後、平和という観点から国際的にも非常に貢献をしてまいりましたし、これからますますその責任が大きくなっていくというふうに思います。現実的にはもう適用余地がないのだとか、あるいは側面的には改正が難しいのだというような御答弁を過去にされておりますけれども、先ほど申し上げましたように、今あえて私がこの質問をさせていただくというのは、世界情勢が大きくいい方向変化をしておるという時点でもう一度この旧敵国条項、つまり連合国がつくった国連の組織というものの根底があるという、今銘記すべきであるということを含めて、まさにその発想そのものを変えていくことが必要ではないかというふうに私は思うわけでありますけれども、その辺大臣にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  12. 中山太郎

    中山国務大臣 委員お尋ね国連憲章における旧敵国条項削除につきましては、私は委員指摘のことが極めて重要なポイントであると認識をいたしております。先ほどの御質問にもございましたけれども、ベルリンの問題を含めてドイツ統合民族自決によって近く終結に向かうということになってまいりますと、一応戦後は全く国連憲章の上でも終わるということでございまして、このような国際情勢の中で日本政府としてはこのような旧敵国条項というものが国連憲章の場から削除されるということは極めて重要であるという認識をしておりまして、この削除のために政府としても努力をするということをこの機会に申し上げておきたいと思います。
  13. 中川昭一

    中川委員 ありがとうございます。今ドイツお話大臣からもありました。まさに今両ドイツが民主的に、しかも民族自決権に基づいて統一の方向に向かっておる。現実には2プラス4という場でいろいろなレベル会議が行われておるわけでありますけれども、進むべきところは両ドイツ国民といいましょうか、ドイツ国民の間でどんどん進んでおる。外交関係とかあるいは軍事関係についてはそれぞれの立場で賛成という国もあれば反対という国もあって、いわゆる2プラス4の会議が行われておるわけでありますけれども、まさにこれは、これからドイツがどうなるかということは我々全く予断は許しませんし、また安易な憶測もできませんけれども、仮にドイツにおいても旧敵国条項というもの、先ほど無害通行権においてというお話がございましたし、そういう人もいるというお話でございましたけれども、ドイツにおいても無害通行権等々この旧敵国条項からますます関係のない方向に行くとすれば、私はこれは旧敵国条項というものの意味がもう完全になくなるというふうに考えたいわけであります。全くの私見でありますけれども、そういう方向ドイツ統合が進んでもらいたいなとも思っておるわけでありますが、まさにこれは日本だけの問題ではない、あるいはまたドイツだけの問題でもない、またいわゆる原加盟五十一カ国だけの問題でもない。今、世界百五十九カ国ですか、国連加盟しているすべての国にとって、こういう条文があるということ自体が、戦後のあの冷戦構造をスタートさせる前の第二次世界大戦直後というか第二次世界大戦中の発想というものが、今まさに死文化したというような言い方はされておりますけれども、厳然と残り、場合によってはこれを適用することも妨げないという可能性が残っていることが、非常に今の時点で我々は問題にすべきであり、そしてまた大臣も御答弁ありましたように、その廃止に向かって努力をしていただきたいと私は思います。  国連憲章というのは三分の二以上の国が提起をして批准には安保理事国を含めて云々という規定があるわけでありまして、現実改正が非常に難しいということでありますけれども、過去において国連憲章改正したことは一体何回ありますか。
  14. 赤尾信敏

    赤尾政府委員 改正手続につきましては今先生が御説明されたとおりでございます。  過去に国連憲章は三度改正されております。これはいずれも安全保障理事会メンバー国拡大及び経済社会理事会議席拡大に絡むものでございまして、最初は一九六三年に安全保障理事会議席数を十一から十五へ拡大する、同時に経済社会理事会議席数を十八から二十七に拡大するという改正が行われました。それで、それにかかわる改正が引き続いて六五年に行われております。これは第百九条の改正でございます。さらに、一九七一年に再び経済社会理事会議席数拡大する改正が行われております。
  15. 中川昭一

    中川委員 今、過去三度改正をしたと、私もこの改正はある意味では形式的といいましょうか体が大きくなったからそれに合うようにという意味での改正であって内容的に今までの思想を変えるというような改正は今までになかったということであろうと思います。それだけ改正そのものは難しいのだろうなと思います。しかし、日本が他国、各国に対して我々の主張、つまり世界の平和により貢献するための改正であるということを訴える努力は、個々の国に対してもこれから今まで以上に大いにやっていただきたい。内容は随分違いますけれども、去年年末に国連において例の公海上のイカ流しを禁止する、しないという提案があったときに、日本外務省、特に国連局を中心に一番過激な提案を随分と日本主張の方に近づけていただいたというような大変な御努力をしていただいた、この場をかりて、当時農林水産政務次官でございましたので、厚く御礼を申し上げたいと思うわけでありますが、やはりそういう努力をこれからまた今まで以上にやっていくことが大事ではないかなと私は思います。繰り返して申し上げますが、私は今の時点だからこそより努力をしていただきたいというふうに思います。また、大臣も、先ほど答弁ありましたように、国連総会の場で毎年必ず強く言っていただきたい。あるいは場合によってはサミットの場でも強く訴えていただきたい。あるいは個々のいろいろなレベル外交交渉の場においても、日本といえばもう北方領土と旧敵国条項のことしか国際的な場では言わないのだ、日本といえば必ずそのことが外国の人たちの頭に浮かぶのだくらいな努力をひとつ大いにしていただかなければ、この改正は容易ではないだろうというふうに私は思うわけであります。この国連憲章にのっとって戦後ずっと外交をやってきたわけでありますけれども、この国連憲章の中でまさに今や画竜点睛を欠く条項がこの二条項であろうというふうに私は思っておるわけであります。ゴルバチョフ大統領が新思考外交という言葉を盛んに使われておりますけれども、この言葉をかりるとすれば、国連憲章つまり国際連合憲法の精神は大戦時代の旧敵国に対しての旧敵国思想から真の友好国思想に、私は真実の真を当てたいと思うのですけれども、国連発想そのものを、全体のよって立つ基本原則そのものの発想をまさに今の世界流れの中に、むしろ国連そのものが後からではあるかもしれませんけれども、変えてもらいたい、そのための二条項廃止あるいは改正であろうというふうに思います。  先ほど申し上げましたように、大臣にひとつ、国連会議にまたことしも行かれるでしょうし、サミットもこれからあるわけでありますし、あらゆる場で今まで以上にこの大きな流れの中で新たな観点から旧敵国条項というものを取り上げ、廃止をする努力をしていただきたい。その行動に対する御決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。防衛庁長官には大変申しわけございませんけれども、時間が来ましたので失礼いたします。
  16. 中山太郎

    中山国務大臣 重ねてのお話でございますが、今委員から御指摘のとおり、この旧敵国条項というものは、もう冷戦が終わるという状況の中でドイツの統一も起こってくる、こういう中でこの旧敵国条項というものが果たしてこれからの国連の活動の中に適用される可能性があるのかということを考えれば、これは再びそういうことがあってはならないし、ドイツ日本もイタリーも、かつて旧敵国として扱われた国々はすべて平和のためにこれから努力をするという国家目的を持っておりますから、そのような意味では私どもは日本としてもこの条項の排除、削除のためにあらゆる機会努力をしてまいりたいと考えております。
  17. 中川昭一

    中川委員 終わります。
  18. 瓦力

    ○瓦委員長 小澤克介君。
  19. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 昨年からことしにかけて、米軍の日本あるいは韓国、さらには一部フィリピン等も含めて削減といいますか、一部撤退というような事柄が各種報道機関などで報道されているところでございます。チェイニー国防長官が日本に来られた際、あるいは韓国、フィリピン等も歴訪されておられるようですが、当然その点について突っ込んだ話し合いがあったものというふうに思われるわけでございます。これらについて現状把握しておられるところを率直に国民に教えていただきたいと思うわけであります。
  20. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 御質問のございました米軍の極東におきます削減計画でございますが、先生指摘のように、ことしの二月にチェイニー国防長官が来日いたしまして、その際に日本、韓国、フィリピン等、全体といたしまして約一割の削減を今後一―三年の間に考えているというお話がございまして、そのお話を受けましてことしの四月に「アジア・太平洋地域の戦略的枠組み」という報告をチェイニー国防長官は議会に提出しております。その中で、今後の米軍の削減計画につきまして基本的な考え方を打ち出しておりまして、アメリカは、特にこれは日本について申し上げますと、日本における米軍の軍事プレゼンスのレベルを段階的に削減していくということで第一段階、これは今後一―三年でございますが、約五千から六千名程度の削減を考える、そして第二段階、これは三年―五年、第三段階、五年―十年ということで、今後さらに検討を進めていくという考えを打ち出しております。
  21. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 もう少し具体的に、例えば特に我が国においては、報道されているところによりますと、座間にある米陸軍司令部千数百人の横田基地への移駐、それから海兵隊の一部撤退、そして海兵隊の一部撤退の中には岩国基地の第十二飛行大隊と、それからあと沖縄の第三海兵師団の地上部隊、それぞれ一部ずつ撤退するというようなことも報道されておるわけでございますが、もう少し具体的に中身まで把握しておられたらぜひこの際教えていただきたいと思います。
  22. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先ほど私が引用いたしました「アジア・太平洋地域の戦略的枠組み」の中で、具体的にどういう表現になっているかということを御披露させていただきますと、沖縄における削減の可能性を含め、約五千ないし六千名程度の兵員削減ということになっております。これは具体的には今後太平洋軍総司令官が検討していくということになっておりまして、それ以上の記述がございませんし、私どもも米側からこの具体的な削減内容に関しましてはまだ連絡を受けておりません。したがいまして、先生指摘のいろいろな報道があるということは私どもも承知しておりますけれども、その具体的な削減計画は、まさにこれから太平洋軍総司令官のところで検討していくというふうに了解しておりまして、私どもといたしましても非常に関心を持っておることでございますので、米側との連絡協議を密にしてまいりたい、こう考えております。
  23. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 米議会への報告をもとに今お話をされておられるわけでございますけれども、これはアメリカの国内の問題でございまして、より積極的に、特に普通のマスコミが報ずるところになっているということは、それ相当のソースがあってのことだろうと思いますので、この点について十分な関心を持って、まだ報告を受けておりませんということではなくて、積極的に、これはもう我が国、特に基地周辺住民等にとっても切実な問題でもございますので、よく調査といいますか、把握をしていただきたいと思うわけでございます。これは要望としてお願いしておきたいと思うわけでございます。  そこで、少し先走った議論になるかもしれませんが、仮に岩国基地が将来返還されるというような事態もあり得るかなと思うわけでございますが、その際に一つ問題になりますのは、共同使用をしている日本の自衛隊のこの問題でございます。これについて過去防衛庁とあるいは防衛施設庁とそれからこの岩国基地の所在している岩国市長あるいは市議会議長との間に公式の文書でのやりとりがなされ、一定程度の約束がなされていることをまず御承知でしょうか。
  24. 松本宗和

    ○松本(宗)政府委員 私、今存じておりません。
  25. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 今のは防衛庁ですか。防衛施設庁の方はいかがでしょうか。
  26. 瓦力

    ○瓦委員長 今、施設庁です。
  27. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そうですか。防衛庁の方はいかがでしょうか。
  28. 日吉章

    ○日吉政府委員 私の方でも防衛本庁の方でも承知いたしておりません。
  29. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 質問通告の際に、これについてはいろいろ文書等があるようだからということをお話ししておいたはずなんですが、それにもかかわらず知らないというのは大変意外でもあると同時に、大変不当であるというふうに思うわけでございます。  知らないということであればこちらで御紹介するしかないのですが、一つは、昭和三十八年十二月五日、随分古いことというふうに思われるかもしれませんが、実はこのときは共同使用ということで自衛隊がこの岩国基地を使わせてくれということから、この地域、特に自治体との間で大変な問題になりまして、いろいろ曲折があってこのころに結局市当局も同意をしたということなんですけれども、三十八年十二月五日付で防衛事務次官の加藤、これは陽三とお読みするのでしょう、氏の岩国市長あて、当時の市長さんは土肥京一という方でございますが、その中の書簡がございまして、書簡といいましても、これは決して個人的な書簡ではございませんで、防衛庁発経施第一二二二号、こういう公文書でございますが、  謹 啓   向寒のみぎり、貴職には益々ご清栄のこととおよろこび申し上げます。   さて、岩国飛行場に航空自衛隊F―八六部隊を配置することにつきましては、先般来ご説明して参りましたとおり、この計画はF―一〇四の増勢に伴い、飛行場施設の不足を招来したために差し当たり、現有施設を更に効率的に活用する方針で、F―八六の一飛行隊を岩国飛行場に配置することを決定したものであって、F―一〇四を配置しようとするものではありません。 ここからなんですけれども、   又、配置の期間につきましても、米軍に提供期間中、これと共同使用するという趣旨のものであり、米軍が撤退した後も共同使用の名にかくれて自衛隊が使用を継続するということは考えておりませんので、事情ご賢察のうえ、この計画の実現にご理解とご協力を賜わりますよう、重ねてお願い申し上げます。                    敬 具 こういう文章があるのですが、本当に御承知ないのでしょうか。
  30. 松本宗和

    ○松本(宗)政府委員 大変申しわけありませんが、その話は私今初めて伺いました。
  31. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 地域住民は本当にこれをよりどころとしているわけでございますので、知らないということでは大変困るわけでございます。私、持ち時間が四十分与えられておりますのでまだ若干時間があるわけですから、私の質問が終わるまでに電話ででも御確認を願いたいと思います。  もう一つ、施設庁の方についてもお尋ねいたします。  「航空自衛隊の配置に関する陳情書」というのがございまして、当時の市長及び市議会議長の連名で三十九年一月三十一日に防衛施設庁長官小野裕氏に対してありました。その中でいろいろなことを陳情しているわけでございますけれども、この陳情に対する返答として、同じく昭和三十九年二月十四日付で施本第四百三十九号というこれまた公的性格を持った書簡として、市長及び市議会議長あてに防衛施設庁長官小野裕名で「岩国基地周辺の対策実施について」というものがございました。  その中の第一項目として、「米軍撤退後の転用について」と題しまして、   航空自衛隊配置期間については、米軍に提供期間中これと共同使用するという趣旨のものであり、米軍が撤退した後も共同使用の名にかくれて自衛隊が使用継続する考えをもっていないことを重ねて再確認するとともに、貴市の転用要望については、財産所管庁である大蔵省に十分伝えます。また、米軍の返還が明らかになったときは、事前に貴市に連絡するよう配慮します。 こういう項目があるわけでございますが、この点についても御承知でしょうか。
  32. 松本宗和

    ○松本(宗)政府委員 先生ただいま御指摘になりました文書につきまして、今お話しになりました分も含めて大至急調べさせて、後ほどお答えさせていただきます。
  33. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 これについては、いろいろ約束があるはずだからということはお伝えしてあったわけでございますし、仮にそうでなくても、これだけ重要な事柄ですから当然承知あるものと思っておりましたけれども、少し古いことですし、しかも人がかわっているというような面もありましょう。大至急お調べの上、私の質問持ち時間の間に御確認を願いたいと思うわけであります。  それでは、この点はそういう形で留保といいますか、置いたまま、次の質問に移りたいと思います。  実はこの岩国基地にはハリアーⅡという垂直離着陸の機能を持った戦闘機あるいは戦闘爆撃機でしょうか、それが配備されているわけでございます。これについて、幸い岩国基地周辺ではまだ発生しておりませんが、世界じゅうで事故の発生が大変多くて、岩国基地周辺の住民が大変な不安感を抱いているわけでございます。  まず基礎的なことで、このハリアーⅡは岩国基地にいつから何機ぐらい配備されたのでしょうか、そして現状は何機程度が配備されているのでしょうか。
  34. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 お答えいたします。  平成元年六月にハリアー十四機がスカイホーク二十機にかわって岩国の飛行場に配備されたと承知しております。今申し上げましたのはAV8Bハリアー十四機でございますが、これは六カ月の任務を終了して、それに伴いましてAV8Bハリアー部隊、これは第五四二攻撃中隊でございますが、平成元年十二月までに岩国飛行場に到着をしたと承知しております。この新たな部隊は二十機のハリアーを保有していると聞いております。
  35. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 今私はちょっとうまく把握できなかったのですが、そういたしますと最初に十四機、その後に二十機追加で、合計三十四機とお聞きしてよろしいわけでしょうか。
  36. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 私の御説明がちょっと不鮮明であれば申しわけございませんでしたが、最初に参りましたのは十四機の部隊で、これは六カ月の任務を終えて去りまして、その後に二十機の新たな部隊が到着したということで、現在ございますのは二十機でございます。
  37. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 その点はわかりました。  そこで、このハリアーというのは垂直離着陸という機能を持っていることから、恐らく技術的にかなり無理があるのではないかと想像するわけでございますが、事故が大変多い。ごく最近の例をとっても、一九八九年五月から九〇年二月までの間に六機も重大な事故すなわち墜落事故を起こしているわけでございます。もちろんこれは国外での、米本国のも含めての話でございますが、これについてどのように把握しておられますでしょうか。またその原因等について把握しておられるところを教えていただきたいと思います。
  38. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先生が今御指摘になりましたハリアー機の世界的な規模での事故の現状に関しましては、残念ながら私ども承知しておりませんが、ことしの一月二十六日に、先ほど御披露いたしました新たに参りました岩国駐在の部隊のハリアー機が沖縄沖の公海上におきまして墜落するという事件が起きております。この事件に関しましては私ども直ちに日米合同委員会の場などを通じまして事故原因の究明及び再発防止を米側に要請しておきましたところ、米側から今回の事故の原因に関連いたしまして、機体のエンジン及び構造に欠陥はなかったという説明がございました。それからあわせまして、他の展開場所、これは具体的には岩国所属のハリアー機が展開している沖縄以外の場所で、韓国、フィリピン等を指しておりますけれども、そういう場所では無事故で飛行及び訓練任務が実施されているということからハリアー機は安全であると判断しているという連絡も受けております。
  39. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 機体、エンジンに機能上の欠陥がなかった、それにもかかわらず墜落したその原因はどういうことだという報告を受けておられるのでしょうか。
  40. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 残念ながら今申し上げた以上のことが米側にもわからないようで、私どもも一番関心がございましたのはまさにこういう構造的な欠陥があったかどうかということでございますが、これは先生が冒頭の御質問でも指摘された点でございますけれども、それに関しては今申し上げたように機体のエンジン及び構造には欠陥がなかったというふうな説明をしてきているところで、それでは具体的に何が原因だったかということでございますけれども、残念ながら事故機は回収されておりませんので、目撃者が、ハリアー機は二機で飛んでおりましたからもう一機のパイロットが見てはおりますけれども、どうもそれ以上のことは残念ながらわかっておりません。
  41. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 現実にこの岩国基地には先ほどお話からも二十機このハリアーが配属されているわけでございまして、基地周辺住民にとっては頭の上をこれは飛んでいるわけでございますから、今のような心もとないことでは大変不安がむしろ大きくなるわけでございます。新聞に報道されているところによりますと、これはパイロットが意識喪失をしたということも聞いているわけです。こんな飛行機を操縦しながら上空でやたら失神なんかされたら困るわけなのですけれども、そういうことは把握しておられませんでしょうか。
  42. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 私も米側の関係者との雑談の中で、このハリアー機が急激に上昇したために、先生が御指摘のようにパイロットが意識を失ったのではないかと想像するという話を聞いたことがございます。これはただ、あくまでも米側の関係者の想像でございまして、先ほど申し上げましたようにこの事故機が回収されておりませんし、残念ながら想像で最終的な結論を出すわけにまいりませんので、合同委員会等の場では正式には米側はそういう説明をしておりませんが、私もそういう可能性があるという話は耳にしております。
  43. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 今沖縄での事故についてお話があったわけですが、私どもの方の承知しているところでは、そのほかにも大変事故の発生が多いのです。一九八九年五月三日には、これはパリスアイランドというところで墜落事故があって、これはパイロットが死亡しておりますし、同じく八九年八月二十五日にはチェリーポイント、ここで、これは同型の練習機だそうでございますが、やはり墜落事故を起こし、これは幸いにもパイロット二名生存だそうでございます。それから同じく八九年十月三十一日にはアリゾナ州ユマ、ここでも墜落事故を起こしまして、これはパイロットは生存、それから今の沖縄の事件、それからことしに入って九〇年二月二日にはこれまたアリゾナ州ユマで墜落事故、これもパイロット死亡には至らなかったようです。それからその十日後の二月十二日にはパームスというところでやはり墜落事故でパイロットが死亡、これだけ立て続けに墜落事故を起こしているということになりますと、これはどう見ても欠陥機ではなかろうか。特に、先ほど指摘しましたように垂直に離陸できるという大変複雑な機構を持っているわけですから、それだけ危険が多いということは容易に想像されるところでございます。それから沖縄の件についても今のところ不明ということで、それで終わってしまったのでは大変住民の不安がとれないわけでございますし、急上昇中に意識不明、急激な加速、Gが加わりますと、ほんの一瞬意識を喪失する、いわゆるブラックアウトというのでしょうか、こういうことはある事柄だそうですけれども、これは一瞬ですぐ回復する、そうでなければとても戦争なんかできませんから。そういうことは聞いているのですけれども、意識不明のまま墜落したとなると、これはまた大変なことだと思うわけです。うわさとして聞いているとか雑談で聞いているということではなくて、基地を抱えている周辺住民の立場に立って、もっと徹底した調査をお願いしたいし、直接調査する立場にはないわけでございますけれども、少なくともそのようなことを米側に要請するということは当然だろうと思いますが、いかがでしょうか。
  44. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 沖縄沖の公海上のハリアー機の墜落事故に関しましては、私どももちろんこれは非常に重視しておりまして、したがいまして、先ほど来御説明しておりますように、日米合同委員会の場等で徹底的な調査を米側に依頼したわけでございまして、それに対しまして米側としても徹底的に調べた結果として、先ほど来御披露しているように機体のエンジン及び構造には欠陥がなかったという説明をしているわけでございます。  いずれにいたしましても、先生が御指摘のように岩国の方々がそれなりに心配しておられるのは私どもよくわかりますので、私どもといたしましてもできるだけこの地域住民の皆様方の御理解と御協力を得て進めたいと思っておりますので、機会あるごとに米側に申し入れはしておりますけれども、今後とも日米合同委員会の場などを通じまして、米側に対しましては事故の再発防止のために十分な配慮をとるよう申し入れていきたい、こう考えております。
  45. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 結局原因はわからなかった、しかし毎日飛び続けるなどというようなことのないように、ぜひその点よろしくお願いを申し上げたいと思います。  それから同じくこの米軍岩国基地で夜間の着艦訓練、これがまた大変騒音もひどいわけですし、時間も夜間ということで地域住民にとっては大変な迷惑この上ないことなんですけれども、これが行われている。着艦訓練といいましても、着艦というのは本来空母に着艦するのが着艦でしょうけれども、これを陸上の飛行機で訓練を行う。特にタッチ・アンド・ゴーというのでしょうか、車輪を地面につける段階でもう一度推力を上げて復行していく。この訓練が大変危険でもあるし、大きな迷惑をまき散らしているわけでございます。これについて、そもそもこんな着艦訓練などやってほしくないわけでございますが、事前に時間等を通告していながら、この通告に反して着艦訓練が行われるというようなことが頻発しているわけでございます。この点については、これは約束違反でございますのでこういうことはぜひないように、当局としても米軍に対して申し入れ等厳重にやっていただきたいと思うわけでございますが、これについてはいかがでしょうか。
  46. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先生指摘のように、この艦載機が着艦の訓練を岩国でもやらさせていただいているわけでございますけれども、これは艦載機のパイロットには極めて高度の技術が求められておりまして、それを維持するためには不断の訓練が不可欠であるということでございまして、例えば空母の離発着訓練の間隔が三週間以上になればパイロットの熟練度は急速に低下すると言われております。したがいまして、常時訓練を行わなければならないわけでございます。そもそもこういう訓練を行うということは、日米安保条約の目的でございます日本の平和と安全、ひいては極東の平和と安全に寄与するという目的でやっておりますので、その点はぜひ御理解いただきたいと思います。  しかしながら、同時に先生指摘のような深刻な騒音問題等が地元で生じておりますことは私ども承知しておりまして、累次の機会に米側に対しまして地元住民への影響が最小限になるよう訓練を調整するよう求めておりますと同時に、防衛施設庁におかれましては、近くの住宅の防音対策も実施しておられるということでございます。今の時間の点も、今申し上げたように地元住民への影響をできるだけ最小限にするという見地から、みずから時間を設定しておりますが、どうしてもやむを得ない場合にその中におさまらないということがあろうかと思いますが、その点米側も努力している、いろいろ配慮しているという点はぜひ御理解いただきたいと思います。
  47. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 これは去年のことなんですけれども、八九年五月二十三日でしょうか、この日は三時から五時の間に、これはもちろん昼間の話ですが、訓練を行うという事前の通告があったわけですけれども、時間外の五時過ぎにやってきて、そして着艦訓練をする。結局九時ごろまで行われた。しかもこれには通告になかった戦闘・攻撃機FA18ホーネット三機、これも着艦訓練に加わったというようなことから、余りにも違反がひどい。そしてまた、七十ホンを超える騒音が百五十三回、そのうち百三回は五時から九時までの間に騒音が発せられたというような、まさに傍若無人といったような訓練が行われているわけです。  今その訓練の必要度についていろいろお話ございましたが、それは専ら軍の論理でありまして、これほどの傍若無人な着艦訓練を、岩国基地というのは御承知でしょうが本当に市街地に隣接といいますか、真ん中にあるような基地でございますので、これは何ぼ何でもひど過ぎる、勘ぐって言えばいまだに占領軍意識が抜けないのがこういう結果になってあらわれるのではないかと思うわけでございます。やはりこういう違反については、もちろん市、自治体レベルではきちんと申し入れをしているわけでございますけれども、国としてもちゃんと対処していただきたいと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  48. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先生指摘の具体的な点については私残念ながら承知しておりませんが、一般論で申し上げますと、先ほどから申し上げているように、米側に対しても私ども繰り返し、地元住民への影響が最小限になるよう訓練を調整するよう求めてきておりまして、これからも求めていきたいと思います。  ただ、先生指摘の具体的な訓練の時間でございますけれども、これは一応それを設定して、その中におさまるように努力をいたしますけれども、もともとやむを得ないときはそれを外れるということも了解しておりますので、外れたから了解違反というふうには直ちに言えないわけでございます。今先生指摘の具体的な点に対して、私は具体的に何があったか現時点では承知しませんので自信を持って申し上げられませんが、一般論として申し上げれば、その点はぜひ御理解いただきたいと考えます。いずれにしましても、米側に対しましては、地域住民への影響が最小限になるよう配慮してもらいたいと思っておりますので、引き続きそのラインで対応したいと考えております。
  49. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 この八九年五月二十三日のケースでは米軍の基地側の説明では、これは二十二日のケースでしょうか、厚木基地から飛来して訓練をする、天候不良で飛来がおくれた、しかしそのまま訓練をやらせた、こんなことを説明しているようです。これはどう考えてもやむを得ない事情とは思えない。一たん着陸して、そして翌日でも時間内に訓練をすればいいわけでございますので、これはやはりまずいのではないかと思います。指摘をしておきたいと思います。  あと時間がなくなってまいりましたので、先ほど質問しました返還後の自衛隊基地使用に関しての公文書についてはいかがでしょうか、御確認願えたでしょうか。
  50. 松本宗和

    ○松本(宗)政府委員 大変申しわけございませんが、文書が古いせいかもしれませんが、文書そのものがちょっとまだ今見つかっておりません。  ただ、これは防衛施設庁に関してでございますけれども、現在行っておりますさまざまな対策事業、これは、やはりその当時の申し合わせその他に基づきましてその後の状況も踏まえて実施しておるものと理解しております。
  51. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 この点については、きょう確認できないということですからこれはそれでやむを得ません。また他の機会にぜひきちんと確認をさせていただきたいと思います。この基地使用が続いている限りは時効にかかることはないわけでございますから、文書整理がどうこうなどといういいかげんな対応では許されないということをこの際指摘をしておきたいと思うわけでございます。  それでは、あと時間がなくなりましたけれども、そのほかにも米軍による岩国基地使用について、本当に地域住民を無視した、あるいは占領軍意識丸出しといいますか、傍若無人な振る舞いが他にも多々あるわけでございます。  その一つは、岩国基地の沖合に姫小島という小さな島があるわけですけれども、そこで弾薬処理と称して弾薬を爆破処理しているわけですね。これなども、本当に市街地と目と鼻の先でございまして、なぜここでこんな乱暴な、いきなり爆発させるというようなことをしなければならないのか、到底これは理解できないわけでございます。それこそどこかアリゾナの砂漠にでも運んでいって処理をすればいいだけのことだろうと思います。  それから、さらにもう一つ重大なのは、廃油処理ということで、この廃油というのがどういう廃油なのかなかなかつかみにくいのですが、多分航空燃料その他ではないかと思うのですけれども、廃油をまき散らしておいて火をつけて燃え上がらせる。基地上空に大変な黒煙が立ち上って、地域住民にすすなどの汚れをまき散らすというようなことが行われております。これは名目は消火訓練というふうに言っているようでございますが、実際には消火訓練をかねて廃油を処理しておりますということを基地関係者が正直に言っておられるというようなこともあって、廃油を処理していることは明らかである。日本のいろいろな事業者等は、公害関係からの条例等ございまして廃油を燃してはいけないということで、廃油処理業者にきちんとお願いをして、もちろんそれなりのコストをかけて処理をしているにもかかわらず、米軍だけが基地内でどんどんこれを燃やしてしまっている、これはどう考えても許しがたいことだと思うわけでございます。こういった事柄について、やはりこれはこれで毅然とした態度でこういうことをしないように申し入れることが必要ではなかろうかと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  52. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 最初に、先生指摘の姫小島におきます弾薬の処理でございますけれども、確かに先生指摘のように姫小島で弾薬の処理が行われているようでございますが、米軍の運用上の問題でございまして、私ども詳細は承知しておりません。しかし、これは先ほども申し上げた点の繰り返しになりますけれども、米軍も我が国の公共の安全や国民生活に十分配慮して物事を進めるというのは当然でございまして、この弾薬の処理に当たりましても、周辺地域への影響を最小限にとどめるような安全対策を講じた上で行ってほしいと思っておりますが、米軍はまさにそういうことをやっていると言っておりますし、弾薬処理は安全かつ最も問題の少ない方法で処理されており、制限水域外に影響を及ぼさないように実施されておる、こういうふうに承知しております。  それから廃油に関しましては、私どもの了解では米軍と民間業者の契約により処理しているということで、先生指摘のような形で廃油を燃焼させて処理しているということはないと承知しております。
  53. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 きょうはほかにもいろいろお尋ねしたいことがあったわけでございます。とりわけ基地全体の沖合移設問題について現状等あるいは見通し等御報告願いたかったわけでございますが、残念ながら時間が終了いたしましたので、これらについてはまた他の機会にさせていただくことにいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  54. 瓦力

    ○瓦委員長 関晴正君。
  55. 関晴正

    ○関委員 外務大臣にお尋ねをしたいと思います。  日米安保条約が締結されてまさにこの年は三十周年というときを迎えております。今から三十年前、安保反対、岸やめろ、この声がこの国会の周辺をどれほどにぎわせたかわかりません。あの国内情勢、それから三十年たった今日、大変な変化である、こう思います。アメリカはソ連に対して援助をするという。米ソの間には学生の交流、毎年千五百名やろうじゃないかということに進んでおります。そうして、お互い核兵器の製造も使用も廃止の方向で取り組もうじゃないかという交渉が大変に進んでおります。こういうことを見ますときに、まさしく世界は変わった。ただ単に変わったというだけじゃなくて、平和の方向に大きく前進した、私はこう見ていいと思う。そういうときに、私どもの国の日本日本憲法というものをまさに世界の進むべき道として宣言したことが今具体的に示されてきたものと認識してもいいのじゃないだろうか、こう思うわけであります。  それだけに、なお日本にとっての脅威国はアジアにあると思って外交を進めるのか、脅威国の存在というものはもうここでなくなったと思って外交を進めるのかというときに今あるのじゃないだろうか、そう思いますときに、私は、安保条約の持つ質というものは当然に変わっていかなければなるまい、こう思います。また、いつまでも日本ソビエトの間に平和条約が結ばれないままにじんぜん日を過ごすというわけにもいかなくなっているのじゃないだろうか、こう考えますというと、まさに外務大臣の仕事は、平和のためにそれらの懸案を解決すべく、また我が国憲法上の内容から照らし合わせても、この安保条約というものについても変更をしていく、改正をしていくあるいはなくしていく、そういう方向に進んでいかなければならないのではないだろうか、こう思いますが、大臣のこれにかかわる所信を伺いたいと思います。
  56. 中山太郎

    中山国務大臣 委員から今御指摘の安保条約について、今年はちょうど三十年になるわけでございますけれども、考えてみると、今委員指摘のように、三十年前は安保反対の運動が国会を取り巻いた、そういうふうなことがございました。しかし、この三十年間を振り返ってみて、安保条約があったから日本が大きな悲劇に見舞われたかということを考えてみると、率直に申し上げて安保条約の存在は日本に対して大変有利に作用したというふうに私は認識いたしております。  そういう中で、三十年前に改定されました安保条約には、第二条に示しておりますように、国際的ないろいろな観点から、「締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによつて、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。」というふうに決めてございまして、いわゆる貿易立国としての我が国の輸出の対象国としても、米国は日本の輸出のほぼ三分の一をもっていわゆる国民の富の確保に大きく貢献してきている。そういうことから考えますと、私どもは日米安保条約というものは単に軍事的な側面だけではなく、また経済的にも日本国にとっては極めて意味のある条約であったというふうに考えております。  なお、この条約をこれから変えていくことについての考えはどうかということでございますが、当分の間まだこのアジアにおいては、北方領土におけるソ連軍の占領状態あるいはソビエトにおけるペレストロイカの不透明な姿あるいは軍部の一つの巨大な存在、こういうものを考えると、極東の情勢というものはヨーロッパとは地政学的にも異なっておりますし、引き続き当分の間、このアジアの平和というものについての考えについては事態の推移を十分見詰めていく必要が国民のためにはあるのではないか、私はそのように認識をいたしております。
  57. 関晴正

    ○関委員 今の軍縮方向というものが、米ソにおいて、ヨーロッパにおいてあるいは東ヨーロッパにおいて大きく進んでおるが、この影響がアジアにもひしひしと及んでいるわけです。日本は当初、これはヨーロッパのことである、これは東欧のことである、こう言うて眺めておったようでありますが、もうこの問題は、私どもの日本海の対岸におけるソビエトの姿においても大きく変わっております。  かつてF16を私どもの県の三沢に配備する際に、相手の国には核搭載の飛行機がわんさとある、SS20がある、バックファイアも飛んでくる、そういうお話が理由としてありまして米軍のF16の配備に至ったことは御承知のことだと思います。しかし、今どうでございましょうか。その脅威というものはずっと薄らいだでありましょう。そうしてまたアメリカがソ連との間に、ウラジオであれナホトカであれ、空港であれ軍港であれお互いに査察する、そういうところまで進んでいるでしょう。こういうときに、我が国ソビエトに対して日ソ平和条約を結ぶ。言うなれば脅威国という存在は変わったわけであります。これは変わったと思うか変わらないと思うかの認識の問題がありますが、だれが何と言おうともう変わったじゃありませんか。  そこで、一番の我が国世界貢献する平和の道、我が国憲法に照らして進んでいく日本の道というものは、ソビエトとの間に平和条約を結ぶことであろう。この平和条約を結ぶのに、二島返還論あるいは四島返還論がある。返還なしには平和条約は成り立たないもの、しないものとのかたくなな態度もまたあるようでございます。しかし、経済的交流もまた日本ソビエトに対して今進めるところに来ております。アメリカでさえ助け合おうといってやっているわけであります。その意味において、二島返還論あるいは四島返還論あるいは全千島の返還論、これは我が国としても捨てるべき問題じゃなくて堅持していかなければならないものだと私は思います。思いますけれども、それがおくれることによって平和条約もまたおくれるということであっていいのだろうか、こう思いますと、これは並行してやりながらも平和条約の方を片づける、そうして日本が平和の確保のために率先してその道を開いていくことが大事な選択じゃないだろうかと思うわけでありまして、この点についてもひとつ大臣の所信をいただきたいと思います。
  58. 中山太郎

    中山国務大臣 今委員指摘のように、世界が平和の方向に向かいつつある、米ソの間にも戦略兵器削減交渉の基本的合意が、基本条約の基本的な合意ができたということはまことに好ましいことであろうと思います。それぞれ一万発以上の核弾頭つきのミサイルを持っている大国同士が話し合って削減をするという話でございますが、米ソのいわゆる対立の問題が緩和に向かうということと日本ソ連との関係というものは、またおのずからその主権国家として立場が異なるもの、こういう認識に立って日本としてソ連をどう見ていくのかということも考えておかなければならない。  そこで、御指摘のように平和条約をつくるということは我々の長年の願望でございます。しかし、今問題のように領土問題がある。こういうことで、先週土曜日にソ連政府から次官が参りまして、出席しております欧亜局長が直接話を聞いておりますので、最も最近のソ連日本政府との間の交わされた考え方について答弁をさせていただきたいと思います。
  59. 都甲岳洋

    都甲政府委員 お答え申し上げます。  先週土曜日にロガチョフ外務次官が参りまして、日ソ関係の今後の話し合いにつきまして意見交換をいたしましたけれども、当方からはそれぞれ前向きなことがいろいろと行われているけれども、ただし二つの問題において停滞しているということで、平和条約作業グループにおける領土問題を含む、領土問題を解決して平和条約を締結するという方向での作業がやや停滞しているという状況、それから外務大臣の訪日によってゴルバチョフ大統領の訪日の準備を進めるという合意がいまだに実現されていないので、一日も早くこの来日を期待するということを述べましたけれども、先方は、前者につきましては平和条約そのものは早く進めるべきであるけれども、領土問題を前提にするということはいかがなものかという従来の主張をなお繰り返しておりました。それから外務大臣の訪日につきましては、米ソ首脳会談後早急に先方から期日を確定するということを言っておりましたので、この点は近く日本に通報できるだろうということを言っておりました。  私どもは日ソ関係におきまして拡大均衡ということをやっておりますけれども、平和条約の締結の問題を中心に据え、外務大臣の訪日あるいは我が方から外務大臣の訪ソを通じてゴルバチョフ大統領の訪日に向けての準備を着々と進め、そして基本的な問題の解決のためになお努力していくというふうに考えております。
  60. 関晴正

    ○関委員 日本が率先して日ソ平和条約を結ぶ、その道を歩まなければならない、そしてこれは現内閣の最大の仕事になるのじゃないだろうか、ここに中山外相ありということで歴史に刻まれる年にできるのじゃないだろうかと私は思っておるわけであります。ぜひ外務大臣の良識とまた的確な国際情勢の判断によって速やかに日ソ平和条約の締結に至るように存分の御奮闘をお願いしたいなと思っておりますので、希望を申し上げておきたいと私は思います。  その次には、安保条約のことについて先ほどいろいろお答えがございました。しかし、安保条約の本質というものはアメリカが日本を守ってあげる、いざというときには守ってあげる、こういう一つの高邁な意気込みがあったかと思います。しかし今日、アメリカの姿はどうでしょう。思いやり予算などというようなことで、今どっちが助けられているのですか。思いやり予算なんかアメリカの実勢からいけば要らない。また思いやり予算を必要とするならばみずから自分たちの配備を変更していく、縮小していく、そういうことこそ対等な立場における安保協定の生かし方ではないだろうか。毅然たる協定がありながら、条約がありながら、経済的に成り立たないから、因っているからということで日本の思いやり予算をいただいておるという姿は、果たして大国のあるべき姿として、敬意というものがどこかへ飛んでいっているのじゃないだろうかという感もまた持つわけであります。したがって、思いやり予算ということで日本がいいことをしているかのように見えるけれども、アメリカの方の姿から見れば何と情けない姿だろうと私は思うわけであります。しかも、今思いやり予算をそんなに必要とする情勢でもなくなっているだけに、ここには対等、平等の形の条約において保全されるべきものじゃないだろうか。この条約は侵されていると思うのです。侵されているならばここで新しい条約に踏み込むか、我が党が言うところの日米友好条約という方向に切りかえていくことが必要じゃないかと主張もされてきているわけだけに、この点についてはもう一度御見解をいただきたいと思います。
  61. 中山太郎

    中山国務大臣 委員お尋ねの安保条約のいわゆる質的転換を図るという問題も踏まえて、私どもは日本防衛防衛庁長官もここにおられますけれども、我々の国にとって一番の力、防衛力というものは、自衛隊が日本防衛に責任を持っている、しかし我々の国には残念ながら核を実は国として持たないという国民のコンセンサスがございます。そういう中で私どもは、日本防衛力だけで国家を守るという問題に、現状では残念ながら抑止力が不足しておれば非常に危険性が伴う、こういう中で日米安保条約によって日本の安全及び日本近海の安全を確保するために抑止力をどうしても欠如さすわけにいかない、こういう中で日米安保条約が必要であるという考え方に立っておりますけれども、今委員指摘の思いやり予算につきましても、アメリカとの話で委員は一方的じゃないかというお話でございますが、日米双方が協力しながらアジア・太平洋の平和と繁栄のために努力をしていくという考え方に立てば、日本政府としては自主的に駐留軍経費の負担も今日まで努力をしてまいりましたが、今後とも日本の安全のために、別に米国にとやかく言われるわけでなく、自主的に物事を考えていかなければならないと考えております。
  62. 関晴正

    ○関委員 核に対するに核をもってするという思想がある限り今のようなお答えになるのだろうと思います。しかし、我が国は非核三原則、核は持たず、つくらず、持ち込ませず、この原則があります。この原則があって他国の核に頼るということは、自分の国では持たないが人の国にはやってもらうということは、思想的に一致しないと思うのです。そういう意味からいけば我が国の方針というものが世界の方針になるようにしなければならない。でも、きょうこの論戦を外務大臣とこれ以上することはとてもとても時間が不足でありますのでこれ以上は申し上げませんが、ただ、外務大臣にして今なおそんな考えをお持ちになっておられるのかなということではちょっと意外であったわけであります。外務大臣は少なくとも別な見識を持っておられるのじゃないだろうかとも思っておるだけに残念でございました。とにかく今の日本防衛の進め方というものは、日本憲法に照らして日本が道を築いていく原点に立たなければならないときに来た、こう思うだけに、なお一層お考えを改める、あるいは御検討する、そういうふうに向かっていただければと思います。  次に、防衛庁長官にお尋ねしたいと思います。  中期防衛計面がこの年をもって一応完了いたします。この中期防衛計画の今年度の言うなれば予算の執行において、この計画はことごとく完成するということになりましょうか。その達成率はどの辺までと読んでおられるのでございましょうか。先に伺いたいと思います。
  63. 石川要三

    ○石川国務大臣 内容の、どの程度達成されてきたかということでございますので、その内容については防衛局長の方から先にお答えさせていただきたいと思います。
  64. 日吉章

    ○日吉政府委員 中期防衛力整備計画は防衛計画の大綱に定めます防衛力の整備水準をおおむね達成することを目標といたしまして立てられたわけでございます。本年度はその中期防衛力整備計画の最終年度に当たりますが、その中の主要な部分はおおむね達成される、そういうふうな状況になってございます。金額的に申しますと約九九%、それから正面装備で申し上げますと九七%程度、金額ベースでございますがこういうふうな達成率になろうかと思います。
  65. 関晴正

    ○関委員 この防衛計画というものは、計画を設定された時点と現時点とではまさしく大変な情勢の変化だろう、こう思います。したがって、今後、次期防衛計画の設定に当たってはいや応なしに大きく変化せざるを得ないであろう、私はこう思っておりますけれども、その点についての考え方は、これは大臣、どうでございましょうか。
  66. 石川要三

    ○石川国務大臣 その点については関委員と私とはかなり見解を異にしているわけでございます。  その理由はと申しますと、確かに今委員指摘されたように、昭和五十一年時代と今日の国際情勢、なかんずく軍事情勢というものの変化というものは、これは確かに委員が御指摘のとおりでございます。最近の平和に向かっての動きというものは本当に日に日に新たと言ってもいいくらいでもございますし、またその行き先は私どもには考えられないほどの変化でもあるし、本当にただただ驚きというような言葉にも値するような状況であります。しかし、それはそのように五十一年とは大きく違っていることは事実でありますけれども、私どもがこの現在の防衛大綱を設定したときの国際情勢のとらえ方、それの基本的な考え方は私は違ってないんじゃないか、こういうふうに思うのであります。確かにスピード、内容、質、これは大きく違っていることはもう申し上げるまでもないわけでありますが、しかし、基本的な枠組みといいますか、そういう認識力、これは考えが一致している。というのは、やはりあの昭和五十一年もまた今日も、確かに米ソの、いわゆる何といいますか、デタントに向かっての結果は、両者の一つの軍事対峙というものが努力の結果非常に下がってきているけれども、しかし、依然としてやはりその東西のいわゆる対峙というもの、特に、先ほど外務大臣も言われたようなそういう核を中心とする一つの対峙、そしてその均衡、抑止、こういうものによって結果が生まれてきている、私はこういう見方であります。  それから第二点は、やはり私どもの日米安保体制というものが少なからず今日までの平和が構築された大きな要因をなしている。こういう点については当時もまた現在も基本的には変わってない、こういうふうに私は認識をしているわけであります。  そういう前提のもとに、ただ脅威論に直結することではなくしてそういう前提のもとに、しからば我が国としてどういう防衛をやっていくのがいいかということになると、そういう世界情勢認識のもとに、私どもは、平時においても、やはりこれは軍事力というものを全く持たないということの方がかえっていわゆる危険を生ずる。こういうようなことで、平時の中におきましての最低の必要な防衛力を持とう。これが平和憲法のいわゆる趣旨にも合致することでもあるし、国の基本的な政策であるいわゆる専守防衛というものにも合致するということで、私どもは平時における最低の必要とする適正な防衛力というものをやっていこう。これが要するに大綱の考え方でありまして、その水準に私どもは今日まで努力をして、先ほど防衛局長から言われたように、平成二年度をもって正面装備におきましては九七%の達成率になった。こういうわけでありますから、確かに今日の国際情勢というものは大きく変化しておりますけれども、私どもは独立国家である限りは、やはりその国の存立というものを全うしなければならない。そうなった場合に、私どもはその防衛計画の大綱の水準だけはやはり維持することが必要ではなかろうか。そういうふうな見解を持っているわけでございます。
  67. 関晴正

    ○関委員 世界がどう変わろうと、米ソの間にどう平和が維持され、堅持されるように進もうとも、とにかく我が国防衛計画を進めていくんだ。私は、この考えはもう捨ててもらわなければならないと思う。そういう点においては、かつて石川防衛庁長官は、極めて民主的で平和的な自治体の長として、また、考え方においてもタカ派ではなくてハト派だ、こう言われて、見られておったんだが、つくところにつけばハト派もドバト派になるのかなということで、非常に残念だなと思うわけです。先般、テレビに映っているときに、僕はハト派じゃなくてドバト派だよ、こう言ったときに、これは何というハトなんだろうな、こう思って、はっと思ったところでもあるわけです。とにかく、あなたもやはり防衛庁長官になったんですから、あなたでなければならないという色を出して、ゴルバチョフに負けない思い切ったことをするんだ、それは憲法に基づいての日本づくりなんだということを考えて、私は進むべきだと思うのです。  そこで、時間がありませんので、具体的な問題でお尋ねをいたしたいと思うのです。  今青森県の東北町というところに、驚くなかれ大規模弾薬庫を設置しようという計画が出ております。二百五十ヘクタールです。航空自衛隊の弾薬庫だ、こう言うのであります。青森県、御承知のように、核の放射能のごみの捨て場にされるというので大変な騒ぎであります。そのすぐ近くに、今度は弾薬庫だというのです。ごみだ、放射能だ、弾薬庫だ、これでは青森県は死んでしまいます。青森県のイメージは、これから観光に力こぶを入れて、そうして環境においても汚れのない青森県だということで、世界に、全国に青森県を生かしていこうじゃないかといって今頑張っている中にあります。そうして、恐ろしく軍縮の時代に今かかっているのに、航空自衛隊の弾薬庫二百五十ヘクタールの規模のものをここにつくるなんというのは一体どこから出てくるのです。町の議会は、年度内に防衛庁の予算が繰り越しになれば困るからということでお義理を立てて、一週間の言うなれば要請を受けて御返事をしているわけですよ。要請を受けてわずか一週間。何の吟味もしない。お国のやることに間違いはあるまいという封建制が一つ理由にありますし、いま一つは、弾薬庫が来る場合に、あわせて補助金がたっぷり来る。弾は怖いけれどもお金は欲しい、こんなことだからたまったものじゃありませんよ。  私は残念なんです。核燃料サイクル基地に至っては、まだ許可にならないうちにじゃんじゃん金をばらまいて、言うなれば選挙の買収費と同じじゃないかと私は言ったら、大蔵大臣は全然違うといって答えておりましたけれども、そんな違うものじゃない。弾薬庫、何するのですか。中期防衛計画の中にあるからと言っておられるけれども、中期防衛計画のどこにあるのです。中期防衛計画のどこに何と書いてあるのです。書いてあるところがあるならば、書いてあるところをひとつ読んで知らせてください。この弾薬庫、だれが使うのです。自衛隊が使うのですか。アメリカ軍が使うのですか。どんな弾をここに入れるのです。二百五十ヘクタールですよ。日本一の弾薬庫でしょう。調査のために、一億の予算が六十三年度に組まれた。六十二年度にも組まれた。しかし、なかなか進まないというので、また繰り越しになっては困るというので、六十四年度、平成元年度何とか繰り越しだけにはならないようにということでお願いを受けて、とにかく意思をいただいた。東北町の議会は、国に忠実なものだし、お金もまた欲しいものだからよしとしておられます。  しかし、町議会や町長がよしとしたとしても、我が国の今の防衛の予算から見て、また防衛の計画から見て、航空自衛隊がそんな大きなものを何に使うのだろう。東北町に運動公園の補助金をもらってくるために、つくるようなものだとするならばとんでもない。また、ここで町議会が上げている決議の中に、この弾薬庫はアメリカ軍には使わせないこと、こう言っておりますが、使わせるためにつくるのでしょう。航空自衛隊だけの使う弾薬庫ですか。いざとなったらアメリカ軍が使う、そのためにつくる計画になるのじゃないでしょうか。アメリカ軍には使わせない弾薬庫、そういうような性格のものになり得るものですか。また、この弾薬庫の建設に当たってはどのくらいの金を見込んでおられるものですか。それらについてお答えください。
  68. 石川要三

    ○石川国務大臣 急にデタントになったから弾薬庫が不要になる、こういう説については私は意見を異にするわけでありますけれども、いずれにしましても不必要なものをつくるわけじゃないわけでありまして、確かに二百五十ヘクタールというのは非常に広い面積でありますが、その内容、必要性等については、担当から説明させますので御理解いただきたいと思うし、それからまた、町が実は御理解を示されておりますが、そう補助金が欲しいからとか、あるいは国に忠誠を尽くすとか、そういうことだけで短期間のうちに審議もせずにそのような意見をまとめたということには、私は決してそういうふうには理解しておりません。いささか私も自治体を経験しておりますので、そうではないということを信じておりますが、いずれにしましても内容が具体的なことのお尋ねでございますので、まずよく御理解を賜りたい、かように思います。
  69. 村田直昭

    ○村田政府委員 幾つかお尋ねがあったと思いますが、まず、今何でこんなものをつくるんだ、こういう御指摘でございます。  先ほど大臣からも御答弁いたしましたように、政府としては、我が国が平時から保有すべき防衛力の水準を定めた防衛計画の大綱に従いまして、水準の達成を図ることを目標とする中期防の着実な実施に努めておる。そこで先生先ほど、中期防でどこに書いてあるんだというようなお話がございましたが、六十年九月十八日に決定されました中期防衛力整備計画の中で、「即応態勢、継戦能力及び抗たん性」という欄がございまして、その中で継戦能力の向上を図るため、引き続き弾薬の備蓄等各種施策を推進するという項、あるいは「施設」という欄におきまして、装備品の取得に必要な施設を整備するほか、弾薬施設等の改善充実を図る、このように明記して、これに基づいて継戦能力の向上ということで整備を図っておるわけでございます。  それから、どんなものをつくるんだ、こういうようなお話でございまして、先生も二百五十ヘクタールというお話がございましたけれども、新補給処の整備計画としましては、御指摘のとおり敷地約二百五十ヘクタール程度のものを予定しており、同敷地内には弾薬庫十数棟のほか管理施設、体育館、ヘリポート等を建設する計画であります。このほか、敷地外に隊員の宿舎を建設する計画でございます。この計画につきましては、事前に計画の必要性とか概要等を関係者に説明し、理解と協力を得るとともに、先ほど指摘ありましたように平成元年十二月、東北町に対し協力を要請し、町長及び町議会の了承を得られた上、関係の林野庁、営林局等と調整をして、今工事に着手している段階でございます。  それから、米軍がこれを使用するのではないか、こういうお話でございますが、これは自衛隊の継戦能力を向上するための弾薬の取得に伴ってそれを入れる施設が不足してくる、こういうことに伴って整備するものでございまして、米軍が使用するものではございません。  なお、経費はどのくらいを考えておるかということにつきましては、現時点で申せることは、六十三年度に諸種の環境調査、地形測量等の調査費を約一億五百万円ほど計上し、平成元年度予算では約十数億計上してございますが、これは用地取得費に係る経費でございますので、これからの契約等に差し支えることもございますので、正確な額については差し控えたいと考えていますが、また平成二年度、本年度の予算ではいわゆる道路造成経費というようなことで約一億近く計上しておる、こういうことでございます。
  70. 関晴正

    ○関委員 もっと具体的に聞きます。建設費は幾らを見込んでおられるのですかということが一つですね。それから、航空自衛隊が必要だというけれども、三沢の航空自衛隊においてこんな大きな弾薬庫が必要だということには合点がいかないわけです。それから最近、三沢の基地に米軍は弾薬庫をつくりましたよね。あの弾薬庫はどんな弾薬庫なんです。それで間に合うようなことにならないものなんですか。それについてもお答えいただきたい、こう思います。
  71. 村田直昭

    ○村田政府委員 まず今、建設の総経費についてということをちょっと私、手元に資料を持っておりませんので、調べた上でまた御報告したいと思います。  それから、今三沢にある弾薬庫は、かなりあることはあるのでございますが、これは基地弾薬庫でございまして、三沢の基地に配備されておる部隊が、その使用するための基地に常時置いておくものとして弾薬庫をつくっておるというものでございます。これから、今回お願いをして、今まだ用地調査の段階でございますけれども、つくろうとしておるものは、航空自衛隊全体に対する補完用の弾薬庫でございまして、いわゆる基地の弾薬庫とは違って、弾薬支処の関係、いわゆるそれぞれの基地にここからさらに補給をするための施設でございます。これに類するものとしては、現在、愛知県の高蔵寺に同様のものが一カ所ございますが、それに類するものとして今回お願いをしておるわけでございます。
  72. 関晴正

    ○関委員 どのくらいかかるかもわからない。中期防衛計画の中には書かれている。書かれているならば、あの十八兆円の算定の基礎の中にあって計算されていると思うのだけれども、聞いたらその計算はできていない。ですから私は、なるほど中期防衛計画の中にはあっているかもしれませんが、実質的にこの弾薬庫を建設していくというようなことはこの後になる、言うなれば次期防衛計画の中に入っていく性質のものだろうと思う。それだけに、言うなれば、十年前に考えたときにおいて必要と思ったものだが、今の時点ではもう用がない。先ほど、弾薬庫が必要だ、こう言っておりますけれども、あなた方が必要だと言えばそれは必要があるでしょう。しかし今日、戦後四十五年、そうしてまさしく世界がデタントの方向に大きく歩を進めているときに、逆行するような大規模な弾薬庫をつくるなんというのは、これは頭がどうかしているんじゃないかと思う。  私は現地を訪ねましたよ。国有林の中につくるという。林の中に隠れてつくればいいんだという話も出てきた。隠れたってあるものはみんな見える。また、見えて悪いこともないと思う。しかし、こういうようなものをつくるという場合には、もっともっと事前の説明が私は必要だと思う。昨年の十二月の十八日に申し入れをした。そうして、十二月の二十五日に町議会は協議会を開いた。それから三日後の十二月の二十八日、御用納めの最後の日に、たくさん反対の諸君たちが行っておるのを、隠れるかのごとくにして町議会を開いて、思わざるところからこそこそ逃げて散会しているのですよ。やるならば堂々とやったらいいじゃないですか。また、そういう説明はきちんと全町民に聞かせてやったらいいじゃないですか。  やみくもに認めてもらうようなやり方、これが防衛庁のやり方ですか。年度の予算が使われなければ、また不用になれば困る。これは一つのメンツもあるでしょう。メンツもあるだろうけれども、我が国防衛上の問題でこれは必要だということになるならば、その必要性をじゅんじゅんと説いたらいいでしょう。しかも、五百ポンドの弾丸だとか二百五十ポンドの弾だとか、その弾の性格はどういうものだと聞いても、これは言うわけにはいかないと。みんな驚いちゃっているんですよ。しかも、日本一の弾薬庫、これは何の要があります。これからつぶしていく時代でしょう、兵器を。軍縮の時代ですよ、これからは。そういう意味において、幸いに今のところ調査をしてくれという話の段階にあるだけでございますから、もうその調査の要もない、その必要もない、そういう方向で私は、防衛庁長官が御判断していただきたい。  今ここで言えばまた、必要なものだからといって繰り返しお答えするしかないのでありましょうが、しかし、真剣に考えて、だれのための弾薬庫なのか。武器製造業者のために、そういう諸君のための弾薬庫になるのじゃないだろうか。また、弾薬庫というものはどういう使い方をしているのか、弾というものはどういうふうにして生かされているのか。生かされていないから投げる一方でしょう、次々と新しい弾を入れなきゃならない。全くたまらないということもそこにあるのですよ。戦争をしないのですからね、日本は。そういう意味においてむだ遣いの最たるもの。そうしてそれに便乗して町が、学校の施設、公共の施設、道路、そういうものに補助金をたっぷりいただく。いい補助率ですよね。国の行政の公共事業に行っている補助率よりもはるかにいい補助率です。  そういう意味において私は、金にほれてよしとするようなこともよくない、防衛思想だとか、本当に日本の国のためになるというようなことでやるというならば、わからないわけでもありません。とにかく、この際もう一遍思い返していただいて、なるほどそうだ、もうソ連の攻めてくる心配はなくなったんだ、その意味においてはプラスする弾薬庫は用がないんだ、こうお考えになって、賢明なる石川長官のしかるべき御決断を期待して、私の質問を終わります。
  73. 石川要三

    ○石川国務大臣 今委員がいろいろと指摘されました点について、若干私も拝聴しまして、そんなことは絶対あり得ないとむしろ反駁をしたい点が多々ございます。しかしそれは、この中でやったところでただ時間がたつばかりでございますから、きょうは受けとめているだけにしておきますが、ただ一言、防衛庁がこそこそと何かごまかしながらやっているんだ、そういうことは断じてあり得ないと私は信じておりますが、しかしその点は、さらによく確認をしたいと思います。  そういうことではないということと、もう一つは、幾ら平和の時代でも防衛は必要だ、やはりそのための弾薬庫も適正規模のものは必要だ、これだけは御理解もいただきたい。正々堂々と国民説明をし、理解を得るように努力をしなければいけない、これだけは付言をさせていただきたいと思います。
  74. 関晴正

    ○関委員 まだ言いたいけれども、終わります。
  75. 瓦力

  76. 山口那津男

    ○山口(那)委員 防衛庁にお伺いいたしますが、ソ連太平洋艦隊の廃艦を予定される老朽艦の現状について過日公表されましたけれども、そのうち潜水艦については、総隻数が約百四十隻のうち、艦齢二十五年以上のものが約七十隻というふうに言われております。一方新聞報道では、現在百四十一隻あって、廃艦見込みが六十七隻という資料もあるわけですけれども、この数字はどちらが正しいのでしょうか。
  77. 内田勝久

    ○内田政府委員 お答え申し上げます。  私どもが把握しております数字は、ソ連太平洋艦隊の潜水艦につきましては、これはあくまでも概数でございますが、約百四十隻というように把握しておりまして、そのうち、ただいま委員指摘の艦齢の問題につきましては、艦齢二十五年以上と思われるもの約五割、したがいまして七十隻ということでございます。
  78. 山口那津男

    ○山口(那)委員 一九九〇年代半ばまでの新規の配備の見込み、この隻数が二十四隻という資料があるわけですが、この点についてはどうやって確認されたのでしょうか。
  79. 日吉章

    ○日吉政府委員 委員ただいま御指摘のものは一部新聞に報道されました資料に基づいてお尋ねと思いますが、これにつきましては、私ども防衛庁といたしましてそのような分析をした結果が出ているわけではございませんので、その点につきましては私どもといたしましてはお答えいたしかねるところでございます。
  80. 山口那津男

    ○山口(那)委員 原子力潜水艦の配備の率がこれから高まっていくだろう、このように思われますけれども、現在の原子力潜水艦の率は百四十隻中七十五隻というふうに言われております。そして、一九九〇年代半ばまで約九十八隻程度にコンパクトになるであろうと予測されておるわけでありますけれども、そうしますとかなりの数の原子力潜水艦が老朽化したものから順に廃棄されるであろうというふうに思われるわけですが、この点についてどのように認識されておられましょうか。
  81. 日吉章

    ○日吉政府委員 先般私が参議院の予算委員会におきまして、ソ連の潜水艦及び主要水上艦艇の中で艦齢が二十五年以上と思われるものといたしまして、潜水艦では約七十隻、こういうふうに申し上げたわけでございますが、二十五年というところで一つの線を引きまして数字を申し上げましたのは、国際的に見まして二十年ないし三十年程度の船齢の艦艇が通常老齢化していると観念されているということでございまして、必ずしも二十五年を超えたものがスクラップ同然のものである、あるいはまたそれぞれの国がこういうようなものは廃艦するあるいは廃棄する、削減するというふうに決まっているわけではない、あくまでも一つの客観的な指標として申し上げたものであるというふうに御理解賜りたいと思います。
  82. 山口那津男

    ○山口(那)委員 それでは、原子力潜水艦の廃棄はこれからどの程度あるか認識していないということですか。
  83. 日吉章

    ○日吉政府委員 ただいまのところ、ソ連の古い原子力潜水艦がどのような形で削減されていくか等につきましては、防衛庁といたしましてはまだそこまで確たる分析が行われておりません。
  84. 山口那津男

    ○山口(那)委員 艦艇については老朽化の内容についてのある程度の分析が進められて、来年の防衛白書においてはこれまでの白書の数字とは違った改訂がなされるというふうに言われております。  ところで航空機については、例えばヤゾフ国防相の発言によれば、作戦用の航空機が八百七十機程度である、このように言われておるわけですが、現在の白書では二千五百機、このようにかなり数字の開きがあるわけであります。したがって、この航空機の記載においても、平成三年の防衛白書においては訂正する用意があるかどうか、この点いかがでしょうか。
  85. 日吉章

    ○日吉政府委員 私は白書担当ということでは必ずしもございませんけれども、先般参議院の予算委員会で答弁いたしました関係がございますので、私から申し上げさせていただきたいと思います。  まず、ソ連の艦艇についてでございますが、これにつきましても私は、これまでのところ艦艇を潜水艦と主要水上艦艇に分けまして艦齢等に関係なく隻数を書いておりましたけれども、かなり艦齢の古いもの、長いものがございますので、そういう点が明らかになるような資料を工夫して出してみたい、こういうふうに申し上げたわけでございます。白書を訂正するというふうなものではございませんで、従来どおりの基準で掲上したいと思いますけれども、なおその内訳をより詳細に明確にできれば明確にしてみたい、そういうことでございます。と申しますのは、昨年度の白書におきましても書いているわけでございますけれども、ソ連は近年艦艇の除籍といいますか、廃棄がかなり進んでおりますので、そういうふうな事実も考え合わせまして、それらに参考になるような記述をしてみてはどうかと考えたわけでございます。  それから航空機についてでございますが、既に昨年までの白書におきましても、委員御案内のように、航空機につきましては国際的に第一世代から最も新しい第四代までの世代別区分けがございますので、それをグラフ化いたしまして、ソ連の航空機の中の第一世代から第四世代までの分布といいますかシェアを明らかにしているところでございます。したがいまして、その意味では、むしろ艦艇の方が内容が今までは抽象的であった、具体性に欠けていたというようなことではないかと思います。
  86. 山口那津男

    ○山口(那)委員 ところで、新聞報道によりますと、ソ連の労働組合中央評議会の機関紙でトルードというものがあるそうでありますが、この新聞によれば、ソ連海軍としては老朽化した原子力潜水艦の解体作業を予定しておる、タタール海峡、間宮海峡のことですが、この付近にソビエツカヤガバニという軍港があるわけですが、この湾に潜水艦を集めて、原子炉を含めて解体をし、湾内に廃棄をする、このような計画があるというふうに報道されているわけです。この内容については承知いたしておるでしょうか。
  87. 都甲岳洋

    都甲政府委員 先生指摘のように、ソ連の労働組合関係の機関紙トルード紙にそのような記事が掲載されたということは承知いたしております。しかし、事実関係として私どもはその確認はまだできておりませんで、現在調査中でございます。
  88. 山口那津男

    ○山口(那)委員 先ほど防衛局長は、原潜の廃棄については何ら承知していないというような御答弁であったかと思いますが、今の点についていかがですか。
  89. 内田勝久

    ○内田政府委員 防衛庁といたしましても、ただいま外務省から説明がございましたとおり、そういう報道がなされて、そういう報道と申しますのは、間宮海峡の近くで潜水艦の解体作業が行われるという趣旨の報道があることについては承知しておりますが、事実関係については把握していない次第でございます。
  90. 山口那津男

    ○山口(那)委員 さらに、その新聞によれば、このソビエツカヤガバニ地区の海軍当局者の話によると、解体作業では安全性を一〇〇%保証することはできないと述べた、これに対して付近の住民は、放射能の汚染のおそれが強いということで反対を表明し、この間宮海峡、タタール海峡を非核化しようということで署名運動を始めたという報道があるわけです。もしこのような安全性の点で問題があるとすれば、日本にも何らかの影響が考えられるわけでありますが、この点について防衛庁長官いかがお考えでしょうか。
  91. 石川要三

    ○石川国務大臣 今突然の質問で、先ほど政府委員答弁されましたように、その事実についてはまだよくわからないというようなことでございますので、そういう前提のもとに私は何とも答えられないわけでございますが、今の委員質問がもし事実とすればこれは大変なことだ、こういうふうに思うわけであります。
  92. 都甲岳洋

    都甲政府委員 先生指摘のような事実が報道の中にあらわれておることは私どもも承知しておりますので、このような事実についてはなお確認を要するものであると思っております。そういうことで、もし事実が確認されましたならば、やはりそれなりの措置をとる必要があるというふうに考えております。
  93. 山口那津男

    ○山口(那)委員 あえて言うまでもないことかもしれませんが、このソビエツカヤガバニは北海道北端から約四百キロという至近距離にあります。そしてまた日本の漁船、これはイカ釣り漁船でありますけれども、沿海州に沿って夏場かなり北上する。樺太西部の海馬島という小さな島がありますが、そのかなり北方まで、ソビエツカヤガバニから約百数十キロのところまでイカを追って漁船が操業している、こういう実態があるわけであります。漁獲量も相当な量に上るわけであります。またリマン海流という海流が間宮海峡北部から日本海へ南下をしてくるという海洋上の問題があります。その海流に乗って海洋資源が日本付近まで来る。これらが日本漁船によって漁獲されるということもあるわけであります。また一方では、大気の関係を言いますれば、この梅雨どきにはオホーツク気団が勢力を増して、沿海州あるいは樺太方面の大気がまた日本上空へ流れてくる、あるいは冬場でいえば大陸性の高気圧が張り出して、かなり強い吹き出しがある。それら地理的、気象的な条件を考えますと、日本に影響がないとは言えないわけであります。  したがって、このような重大な影響をこうむる可能性のある点についてはきちんと外交ルートを通じて確認をしていただいて、しかるべき申し入れが必要であればやっていただきたい、このように思うわけでありますが、外務大臣、いかがでしょうか。
  94. 中山太郎

    中山国務大臣 今委員指摘の問題は、周辺の国々、特に日本にとりましても極めて重要な問題でございますので、外交ルートを通じて調査をさしあたりさせていただきたい、このように考えております。
  95. 山口那津男

    ○山口(那)委員 ぜひとも早期に調査をして、その結果を御報告いただきたい、このように思います。  さて、話変わりますが、米ソ、韓ソの首脳会談が終わったところでありますが、この意義につきましては、一部ではアジア・太平洋地域の不安定化をかえって増すのではないか、このような評価もありますけれども、私はこのアジア・太平洋地域にグローバルな今日の変化が及びつつある、そして緊張緩和へ向けての新しい出発のときである、このように認識するわけでありますが、外務大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  96. 中山太郎

    中山国務大臣 アジアにおける緊張緩和、またヨーロッパからの大きな影響がアジアにいつ来るか、これはもう重大な関心を持って私どもは見ておりまして、既にその兆候は見え始めている。モンゴルにおいては既に民主化が行われて複数政党制が実現をいたしました。そして日本とも関係は緊密化を今いたしております。一方北朝鮮においては、先般の韓ソ大統領会談、こういう問題は、長らく隣国の日本として、朝鮮半島全域の平和的な安定を大きく期待いたしておりましたが、ここに長い間の膠着着状態に一つの転機をもたらしたものと私は認識をいたしております。ただ、その結果、いわゆる北の方が非常に孤立感を深めるのではないか、こういうことによって、かえって半島全体に不安定な状況が起こる可能性があるという認識も私どもは持っております。そういう意味から、北を孤立させないということがいわゆる朝鮮半島の安定には不可欠の問題であるというふうに考えておりまして、日本政府としては、国交はございませんけれども、関係機関を通じていろいろと話し合いに応ずる用意があることを伝えておりますし、また、北朝鮮の方から日本政府に対してもし何らかの人たちが来るというようなことであれば、我々はいつでもこれを迎え入れる用意がある、しかも前提条件なしに迎え入れる用意がある。こういうことによって、いささか日本政府としても朝鮮半島の安定にこれから努力を一層強めていかなければならない、このように認識をいたしております。
  97. 山口那津男

    ○山口(那)委員 我が国は非核三原則を国是としております。我が領土内に核兵器は配備されていないということになっておるわけであります。また一方で、防衛計画の大綱によれば、核の抑止力については米国に依存するということにもなっているわけであります。韓国には在韓米軍によって核兵器が配備されているのではないか、このような指摘があるわけでありますが、この点についてはどのように認識されていらっしゃるでしょうか。
  98. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 お答えいたします。  朝鮮半島におきます平和と安定の維持が日本を含む東アジアの平和と安定にとって緊要でありますところ、米韓安保体制は、韓国の防衛努力と相まって朝鮮半島の平和と安定の維持のための重要な要素であると認識しております。  先生指摘の具体的な点に関しましては、米国政府は核兵器の所在を確認することも否定することもしないとの立場を種々の機会に明らかにしているところでございます。
  99. 山口那津男

    ○山口(那)委員 韓国に核兵器の配備があるかないか、この存否というものが非核三原則を持つ我が国安全保障にとってどのような意義があるとお考えでしょうか。
  100. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 今申し上げましたように、米韓の安保体制は、韓国の防衛努力と相まって朝鮮半島の平和と安定の維持のための重要な要素であると私どもは認識しております。
  101. 山口那津男

    ○山口(那)委員 先日の韓ソ会談の折に、ゴルバチョフ大統領は盧泰愚大統領に対して、韓国から米軍の核兵器を撤去すべきである、このような北朝鮮の意向を伝えたと言われているわけでありますが、北朝鮮の核兵器の開発が取りざたされている今日において、北朝鮮のこのような伝達の意向についてどのように理解されていらっしゃるでしょうか。
  102. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 お答え申し上げます。  私ども、先生お話しのような新聞報道がございましたことは承知いたしております。ただ、この韓国とソ連の首脳会談の結果につきましては、もとより私ども日本政府としましては韓国側より説明を受けました。しかしながら、この説明はあくまでも外部に公表しないという前提で行われたものでございまして、また第三国同士の関係にかかわるものでございますので、ただいま先生から御指摘のございました点も含めましてどのようなやりとりがソ連と韓国の間であったということにつきましては、事実関係をここで紹介することは差し控えたいと思います。
  103. 山口那津男

    ○山口(那)委員 朝鮮半島の安定はもちろん望むところでありますが、北朝鮮における核兵器の開発の実態についての現状の認識を伺いたいと思います。
  104. 太田博

    ○太田政府委員 お答えいたします。  北朝鮮の核開発の現状でございますが、我々が知り得ているところでは、IAEA等を通じまして北朝鮮に原子炉の研究炉があるという事実は確認をいたしております。それ以上につきましては、例えば北朝鮮が再処理施設を建設しているのではないかというような報道がなされておりまして、もし再処理施設が建設されているといたしますと、これはプルトニウムが抽出されるということがございますが、この点につきましては、現在までのところ我々としては確認をいたしておりません。
  105. 山口那津男

    ○山口(那)委員 韓国においても核兵器の配備が必ずしも明らかではない、否定はされていないということであります。北朝鮮においても核の開発が進んでおる、らしいということまではわかるわけであります。しかし、朝鮮半島のこれからのデタントに向けては、まずこの非核化ということを第一歩として考えていかなければならないと私は思うわけであります。  北朝鮮はIAEA、国連の原子力機関に加盟をしております。韓国、中国も同様であります。また、核の拡散防止条約に北朝鮮及び韓国は加盟をしております、締約をしております。そういう前提のもとに、例えばIAEAの核の存在についての調査視察団の現地検証というような安全保障制度もあるわけでありますが、このような制度の活用を通して北朝鮮及び韓国の核の実態を明らかにし、非核化へ向けての何らかの歩みをすべきである、このように思うのですが、外務大臣、いかがでしょうか。
  106. 中山太郎

    中山国務大臣 北朝鮮は、今御指摘のように核不拡散条約に加入をしておりますし、同条約上遅くとも加入後十八カ月以内に国際原子力機関との間で保障措置協定が締結され、効力を生じていなければならないが、右協定はまだ締結をされておりません。このようなことで、我が国としては米国、ソ連等の各国とともに従来より、核不拡散条約による核拡散防止体制の維持強化の観点から、北朝鮮が早期にIAEAの間でフルスコープの保障措置協定を締結することを強く希望しておりまして、今後とも努力をしてまいりたい、このように考えております。
  107. 山口那津男

    ○山口(那)委員 北朝鮮との関係ではその他複雑な問題がありまして、なかなか思うように進むかどうかわかりませんけれども、ぜひとも御努力をいただきたいと思います。  続いて、ソ連のシェワルナゼ外相が訪問する、そして来年にはゴルバチョフ大統領が訪問する、その過程においてアジア・太平洋に向けてソ連側から何らかの軍縮に関する提案がなされるのではないか、このような観測があるわけでありますが、もしこのような提案がなされた場合、日本としてはどのように対処されるおつもりでしょうか。
  108. 都甲岳洋

    都甲政府委員 お答え申し上げます。  今までソ連側から、ウラジオストク演説あるいはクラスノヤルスク演説等を通じてさまざまなアジアの方面における安全保障に関連する提案がなされておりますが、私ども今までのところの評価におきましては、これらのものはアジア・太平洋の現実を踏まえた提案であるとは必ずしも評価できないということを考えております。ソ連側におきまして基本的に極東におけるソ連軍の大幅な削減を主とする提案をするということであれば、それは私どもとしても歓迎し得るところであると思いますけれども、今後どのような具体的な提案が行われるかということを現実的に踏まえた上で対策を考えていきたいというふうに考えております。
  109. 山口那津男

    ○山口(那)委員 ヨーロッパでは急ピッチな軍縮が進んでいるわけでありますけれども、アジアでそれが容易に進まないという背景には、やはり米ソも含めた意味でのこのアジアの関係諸国の話し合いの場、協議の場というものが存在していないということが大きな問題であろうと思います。日本がこのデタントについて大きなイニシアチブをとるためにはぜひともそういう場を設定すべきであると思うわけでありますけれども、この点について大臣の御所見があればお伺いします。
  110. 中山太郎

    中山国務大臣 ヨーロッパと異なりまして、アジアの紛争というものはやはり地理的な問題、歴史的な問題あるいは宗教的な問題、いろいろとヨーロッパと違った素因というものがこの地域には残念ながら長い歴史的な過程において存在している。そういう中で、ヨーロッパにおける緊張緩和、また全欧安保の大きな動きがある中で、恐らくアジアの多くの国々の指導者も、やがてアジアにも平和を構築しなければならないという基本的な考え方を持っていると私は信じております。  そういう中で、日本もさきのカンボジア和平会議を行う際につきましてもいろいろと関係国と協議をいたし、また特にタイ国とは十分な連携をとりながらあの会談をセットしたという経過もございますし、また会談の最中では、東京においては中国大使館が大変積極的に協力をしてくれた。またその後、日本に来ておられましたタイのチャワリット副首相は、ポル・ポト派に対する軍事援助をやっている中国に対しての交渉のために北京へ行っておられます。一方ソ連は、さきに欧亜局長が御答弁いたしておりますように、土曜日に外務次官が日本に参りまして、東京会談ソ連政府としては高く評価する、こういうメッセージを伝えてきております。またアメリカ政府も、東京会談を評価するというメッセージを送ってきた。こういう中で一つの地域の紛争についてもいろいろな国が大きな関心を持っておるわけでございまして、日本政府としては、このような一つのプロセスを通じてアジアに平和を構築するための努力をこれからさらに続けてまいりたい、このように考えております。
  111. 山口那津男

    ○山口(那)委員 ぜひとも鋭意努力していただきたいと思います。  最後になりますが、先日の内閣委員会で明確な御答弁をいただけなかった点があるのですが、武器輸出三原則というものがあります。共産圏に対する輸出は許されないということになっておるわけであります。現時点においては、外為法あるいはその他の法制において共産圏への武器輸出は事実上ないということになっておりますけれども、そういうことではなくて、国際情勢認識として、この武器輸出三原則に言うところの共産圏に現在東ドイツが当たるか否か、この点について御答弁いただきたいと思います。
  112. 林貞行

    ○林(貞)政府委員 先生指摘のとおり、我が国の武器輸出に関しましては武器輸出三原則というものに基づいてやっております。それからさらに武器輸出に関する政府方針というものがございます。武器輸出三原則におきましては、三つの地域につきましては武器輸出は認めないということでやっております。その三つの地域の中に先生今御指摘の共産圏諸国というものがございますが、どういう国を、地域を武器輸出三原則対象地域とするかという問題につきましては、例えば国際紛争の当事国またはそのおそれがある国かどうか、または特定の国を共産圏と認識すべきかどうかということにつきましては、あらかじめ特定のリストがあるというわけではございませんで、具体的に輸出申請がなされた時点でそのときの国際情勢等を勘案しながら、ケース・バイ・ケースで検討していくということでございます。  東独につきましては、西ドイツへの統合のいろいろの大きな動き等がありますし、経済、通貨では七月一日から統合がなされますが、これにつきましても、申請がなされた時点でいわゆる共産圏に属するかどうかということを検討していくことになる、こういうふうに考えております。
  113. 山口那津男

    ○山口(那)委員 ココムについて交渉が進んでいるわけでありますが、共産圏に当たるかどうか、こういう認識がまず先にあって、そして個々の物品についての対象規制を外すかどうかという考え方をなすべきであろうと思うわけでありますけれども、その前提となる認識について私は伺いたいと思っておるわけであります。もう一度答弁をお願いしたいと思います。
  114. 林貞行

    ○林(貞)政府委員 当然のことながら、共産圏諸国という表現が武器輸出三原則の中にございますので、どういう物が、どういう国がそれに当たるかということは、これを決めた当時には当然特定の国が頭の中にあったかと思いますが、先生先ほど指摘のように、東欧を含め世界にはいろいろ激しい動きがございます。そういうことも踏まえまして、私どもとしましては、具体的申請があった時点でそういうことを考えていきたいということを考えておる次第でございます。  なお、武器輸出を認めるかどうかの基準というお話がありましたが、先ほど私が申し上げました武器輸出に関する政府方針におきましては、武器輸出三原則地域外に対しても武器の輸出は慎むということを政府としては決めているわけでございます。
  115. 山口那津男

    ○山口(那)委員 従前と同趣旨の答弁で納得いきませんが、時間がありませんので、これで終わります。
  116. 瓦力

    ○瓦委員長 次回は、来る十八日月曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     正午散会