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国務大臣(
橋本龍太郎君) 確かに、消費税が発足をいたします前、
竹下元
総理が九つの懸念というものを表明されました。しかしその後の
状況の中で、例えば
物価あるいは転嫁の懸念につきましては、最近における
物価の動きというものが極めて安定的なものとなっておりまして、転嫁も適正に行われております。
また、逆進性というものがもう一つの問題になったわけであります。これは消費税という税の持つ問題点、確かにそのとおりでありますけれども、歳出面の配慮など可能な限り対応をしてまいりました。また、
所得税、住民税の減税の中で課税最低限が大幅に上昇いたしましたこと等、中・低所得者対策という意味での対応もなされております。そしてまた、社会的に弱い立場の方々に対する対応というものはこれからももちろん十分
努力をしてまいらなければなりません。
税率の引き上げというものについての懸念がこれもございました。
海部内閣において税率の引き上げは行わないという旨を既に
総理は国民に対して約束をしておられるわけであります。
また、事業者の事務負担というものにつきましても、その仕組みについて中小企業者の納税事務負担に配慮してそれぞれの措置を講じてまいりました結果、今、半年間の弾力運営の期間が経過をいたしまして本格的な
申告納付の開始を迎えたわけでありますけれども、各種の届け出あるいは申告が順調に提出をされておりますことを考えてみますと、むしろ私どもとしては納税者を含め関係者に御協力に対してお礼を申し上げたい心境であります。
また、納税した、納付した消費税が国庫に入らないのではないかという懸念がよく当時述べられました。しかし、これは通産省に御
調査をいただきますと、
売上高三千万円以下の小売業のうち約四割の方々がほとんど転嫁をしておられない。また、サービス業にあっては七割の方々が転嫁をしておられない
状況でありまして、事業者免税点制度等によって生じ得る減収の多くの部分というものは、消費者がそれだけ安い価格で物を購入することができるということを意味しておるわけでございます。
また、地方団体の財政運営に対する懸念というものもございましたが、これは地方に対する
財源配分など必要な措置を講じてまいっておりまして、自治体からも異論が出ておる
状況ではございません。
こうして、一つずつ対応策を講じ
努力を続けてまいりましたし、これからもそうした
努力は継続していかなければなりませんけれども、私どもとしては今後とも今回の税制改革全体、殊に消費税の定着について全力を挙げてまいりたい、そのように考えております。