運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1989-12-13 第116回国会 参議院 本会議 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十二月十三日(水曜日)    午後一時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第十二号   平成元年十二月十三日    午後一時開議  第一 国務大臣報告に関する件(昭和六十二年度決算概要について)  第二 貨物運送取扱事業法案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)  第三 貨物自動車運送事業法案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、日程第一より第三まで  一、公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院提出)  一、土地基本法案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)  一、国土利用計画法の一部を改正する法律案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)      ─────・─────
  2. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これより会議を開きます。  日程第一 国務大臣報告に関する件(昭和六十二年度決算概要について)  大蔵大臣から発言を求められております。発言を許します。橋本大蔵大臣。    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  3. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 昭和六十二年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計におきまして、歳入決算額は六十一兆三千八百八十七億円余、歳出決算額は五十七兆七千三百十一億円余でありまして、差し引き三兆六千五百七十六億円余の剰余を生じました。  この剰余金は、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計昭和六十三年度歳入繰り入れ済みであります。  なお、昭和六十二年度における財政法第六条の純剰余金は一兆八千九百三十七億円余となります。  以上の決算額予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額五十八兆二千百四十一億円余に比べて三兆千七百四十六億円余の増加となりますが、この増加額には、前年度剰余金受け入れ予算額に比べて増加した額五千九十三億円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、歳入の純増加額は二兆六千六百五十二億円余となります。その内訳は、租税及び印紙収入等における増加額三兆七千八百六十億円余、公債金における減少額一兆千二百八億円余となっております。  一方、歳出につきましては、予算額五十八兆二千百四十一億円余に、昭和六十一年度からの繰越額五千九十三億円余を加えました歳出予算現額五十八兆七千二百三十四億円余に対しまして、支出済み歳出額は五十七兆七千三百十一億円余でありまして、その差額九千九百二十三億円余のうち、昭和六十三年度に繰り越しました額は六千二百八十八億円余となっており、不用となりました額は三千六百三十五億円余となっております。  次に、予備費でありますが、昭和六十二年度一般会計における予備費予算額は二千億円であり、その使用額は千億円余であります。  次に、昭和六十二年度特別会計決算でありますが、これらの決算内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。  次に、昭和六十二年度における国税収納金整理資金受け入れ及び支払いでありますが、同資金への収納済み額は四十七兆四千二百二十四億円余でありまして、この資金からの一般会計等歳入への組み入れ額等は四十七兆四千八十六億円余でありますので、差し引き百三十七億円余が昭和六十二年度末の資金残額となります。これは、主として国税に係る還付金として支払い決定済みのもので、年度内に支払いを終わらなかったものであります。  次に、昭和六十二年度政府関係機関決算内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。  以上が昭和六十二年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書概要であります。  何とぞ御審議のほどをお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  4. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。大渕絹子君。    〔大渕絹子登壇拍手
  5. 大渕絹子

    大渕絹子君 私は、日本社会党護憲共同を代表し、議題となりました昭和六十二年度決算と当面する我が国の諸問題について、海部総理大臣及び関係大臣質問いたします。  社会党を含む野党共同提出消費税廃止関連法案は、一昨日、本院において可決され、現在衆議院において審議が開始されています。ところが政府は、自民党が十二月一日に発表した消費税見直し案に基づき、見直し負担がふえる中小業者に対して、平成元年度の補正予算歳出面から支援していく方針を固めたとの報道がされていますが、これは事実ですか。  いまだに法案さえ提出されていない自民党見直し案を本院で可決された消費税廃止関連法案よりも優先させるということは、議会制民主主義国家としてあってはならないことです。自民党見直し案を正当化させるために補正予算を利用することは許されません。消費税は速やかに廃止し、税制改革をやり直すべきです。総理の見解をお伺いいたします。  昨年は、政治及び行政の中枢で発生した驚くべきリクルート事件の発覚や消費税強行導入によって多くの国民政治不信に陥りました。その責任は重大なものであります。総理所信表明において、「政治への信頼の回復こそ内閣の最も緊要な課題であります。そのため、政治改革の前進に誠意を込めて取り組んでまいります。」と声高らかにうたい上げました。しかし、総理、あなたは具体的にどのような指導力を発揮されましたか。マスコミなどが指導力欠如総理大臣とやゆしているのを御存じですか。  今、総理を取り巻く政治情勢を見ておりますと、どんどん外堀が埋められてしまい、総理の御意思はともかく、通常国会召集後の政治日程案までまことしやかに流布されております。衆議院解散を念頭に置いて、来年度予算編成まで、党指導型で選挙対策の項目がメジロ押し編成作業が行われています。このような批判にどのようにこ たえられますか。速やかに衆議院解散して民意を問われる意思はありませんか。それはいつですか。端的にお答え願います。  「増税なき財政再建」の旗印のもと、昭和五十八年度予算以降、一般歳出予算がゼロベースに抑制される中にあって、防衛費は毎年六%前後の伸びを見せ、平成年度予算案ではついに四兆円を超える見込みです。総理、あなたが師と仰ぐ三木元総理大臣が遵守されてきたGNP比一%枠を一体どうなさるおつもりですか。  今や、東欧諸国政治改革マルタ会談によって米ソ歩み寄りが見られています。世界の動向は軍縮への具体的行動に着手し始めています。そんな中で、我が国だけがアジア情勢は不安定であるとか、基盤的防衛力整備充実が必要であるとか勝手な理由を主張してみても、世界の人々には軍事大国への道を歩んでいるとしか映らないでしょう。今こそ軍縮を進め、世界平和に貢献し、社会福祉充実環境保全を図るために強力な指導力を発揮されることが求められています。総理の御所見をお尋ねいたします。  経済企画庁の国民経済計算によると、昭和六十二年中の民間部門の実需を伴わない有形資産及び金融資産増加額、いわゆる評価額増加は、土地で三百六十兆円、株式で百二十六兆円あります。当該年度国民総生産三百五十一兆円の一・四倍になります。平たく言えば、その一年間、日本企業労働者農民などすべての国民が稼ぎ出した所得の一・四倍分が土地株式の持ち主の資産としてふえたということです。しかし、国民総生産三百五十一兆円はそれぞれコストがかかりますから、資産として残るのは多く見てもその二割の七十兆円ですが、土地株式評価額の増はそのまま資産増加となるわけです。こうした持つ者と持たざる者との格差拡大がこの年の政府経済運営の結果であり、これにより国民中流意識は消え去ったと言われています。政府は、昭和六十二年度経済運営によって生じたこの資産格差をどう評価しますか。また、是正策を講ずるお考えはありますか。  ことしの経済白書指摘されているように、土地株式キャピタルゲイン昭和六十一年以降急拡大しています。特に法人企業部門における昭和六十三年末の含み資産は、土地で三百四十二兆円、株で百七十兆円、合計五百兆円に達しています。一方、国の財政状況を見れば、来年度には特例国債依存体質を脱却できるとはいえ、本年度末で百六十二兆円に達する国債と二十九兆円の借入金を国は抱えているわけです。臨調・行革審路線による財界主導行財政改革によって、社会保障費教育費などを切り詰め、定員削減賃金抑制によって公共部門人件費を圧縮しても、なお百九十一兆円の借金があるのです。法人企業含み資産は、国の財政支出による経済効果を享受してきた結果ですから、この際、臨時特例的な措置として、法人企業土地及び株式帳簿価格を再評価することも必要ではないでしょうか。大蔵大臣、このことにどうお考えでしょうか。  我が国農業は、長期にわたる米の減反政策、農産物の輸入自由化によって縮小されてきました。今、農村は衰退し、後継者も育たないまま、全国の農家は将来の行く末に不安を抱いております。農業後継者数がどのように推移をしてきたか、お尋ねいたします。  政府は、米の輸入自由化は絶対しないと確約できますか。適地適産を指導するとともに、穀物の自給率をせめて今の倍ぐらいにすることを目標として掲げるつもりはないですか。農林業国民生命維持と再生のために不可欠なものです。また、自然環境保全水資源の確保など、その社会的、公益適な機能ははかり知れない大きな役割を果たしております。その意味で、農林業に対する保護は、単に農家保護するだけでなく、国民全体に対する保護なのです。アメリカから市場開放を迫られて、政府輸出産業が上げた利益のツケを農民に払わせようとする態度をいつまで続けるつもりですか。政府農業問題に取り組む姿勢についてお聞かせください。  昭和六十二年度決算書参照書及び決算説明を見ても、財政運営の姿がわからないことを痛感しました。そこで、わからない原因を追求してみました。  第一に、予算決算の比較が補正後でなされているため、当初予算説明文書の是非を検討できなくなっています。第二に、予算書には、参考書類ではありますが、項の下の事項というところがあるんですけれども、その数字があるのに、決算にはその事項数字が示されていないんです。第三に、予算は幅広いのに決算歳入歳出のみです。  具体的な例を挙げてみますと、昭和六十二年度当初予算の一番の論点は売上税導入だったんです。それをめぐって二カ月近い暫定予算を組んだわけですが、決算数字には売上税関係は見事に無視され、最初から売上税などなかったかのようになっています。財政運営の恥部を隠す姿勢のためか、今の仕組みのためなのかは不明ですが、国民財政運営を正しく理解してもらうという積極的な姿勢からはほど遠いと言わなければなりません。財政当局は、今の決算制度を改革し、予算と対比しやすい決算にするお考えはありませんか。  次に、昭和六十二年度税収入について伺います。  補正予算と比較して三兆七千億円の増収だけでも誤差率八・六%ですが、当初予算税収見込みと比較すれば、年度途中の減税額一兆八千億円余を含めても七兆四千億円余の増収になり、実に一八%の誤差が生じたことになります。これだけ大きな見込み違いを出した財政当局が過去にあったでしょうか。売上税導入のため、故意税収を低く見込んだと非難されても仕方がないでしょう。仮に故意でないとするなら、今までの税収見積もり作業に大きな欠陥があると言わざるを得ません。去る十月、政府は本院の予算委員会税収見積もり方法見直しを約束されましたが、その見直し点はどこですか。平成年度にそれは生かされるのですか、明確な御答弁をお願いします。  会計検査院昭和六十二年度決算検査報告においては、二百九件の指摘がなされ、総額百七億九百四十七万円の税金のむだ遣いがありました。中でも、不当事項指摘されたのは百七十件に上り、その金額は四十一億三千九百九十九万円になっています。  そこで、総理お尋ねをします。  政府は毎年、検査院指摘については、再発防止に努めるというような答弁を繰り返していますが、実効が上がっているとは思えません。総理国民の血税のむだ遣いをなくするために、予算執行に当たってはこれまで以上の不正防止策を講ずるべきです。会計検査院指摘事項について、再発防止策を明確な形でお示しください。  本院において、六十二年度一般会計予備費(その2)、六十三年度一般会計予備費(その1)、特別会計予備費(その1)が否決されましたが、これは、政府予備費使用姿勢に対し強く反省を求める国民意思の反映であります。この国民意思に対し、政府はどう政治的責任をとられますか。  また、ただいま大蔵大臣から御報告がありました昭和六十二年度決算ですが、この中には否決された予備費使用部分が含まれています。予備費につき再び審査を求めるに当たっては、今後否決されるという事態が繰り返されないような是正措置を確実に講ぜられる御決意があるか、お答えください。  最後に、私はわずか半年前に消費税に対する国民の怒りを背景に当選させていただきました。女性議員の立場から総理お尋ねをいたします。  本院に女性議員がふえたことをどのように評価されますか。自民党や閣僚の中には、女には政治ができないとか、女は家庭を守っていればいいと かという声がありますが、これらについて総理はどう思いますか。さらに多くの女性議員進出を望まれるかどうかお尋ねをして、私の質問といたします。  ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣海部俊樹登壇拍手
  6. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 大渕議員にお答えを申し上げます。  ゆがみやひずみのある税制を改めて、高過ぎるとか不公平だとか言われる御不満を解消しながら、またサラリーマン層重税感を取り除くそういった目標を置きつつ、高齢化社会に対して、社会全体で必要な費用はすべての国民皆さんに分担して、広く薄く負担をしていただこうということを目的として御提案申し上げた税制改革でございますから、私は、消費税を含む今回の税制改革は、国民皆さんにとって長期的、全体的な利益にかなうものであると確信をいたしておりますので、消費税を廃止するということは先生と意見を異にするわけであります。  また、自民党からの消費税見直しに関する基本方針が示されたこともそのとおりでございますが、政府といたしましては、その党の見直し案内容を十分勉強させていただくとともに、これを評価し、また、政府税調の御審議を踏まえて、平成年度税制改正において政府としての成案を得るようにただいま最大の努力をしておるところでございます。  なお、平成年度補正予算については、財政法第二十九条に定められた補正事由に基づきまして、今後、追加の財政需要国債整理基金資金繰りなどを慎重に見きわめまして検討をしていく考えでおります。  また、政治改革につきまして御指摘がございましたが、私は、リクルート事件に端を発した批判を率直荷受け止めて政治改革をすることは、内閣の大きな使命であると考えてお訴え申し上げたことは事実でございます。幸い、国会で与野党の皆さんの御議論を通じて、選挙法の一部改正法律案も成立に一歩一歩ちかづいてきておるということは、まことに私にとっては評価すべきことだと考えておりますし、さらに、出ております法案の御審議を通じて各党間で適切な結論をだしていただきますように、また、政府・与党の方では、出しております政治改革大綱が一歩一歩中長期問題等も含めて前進していきますように、そういったことを踏まえて政治改革の実をあげていきたいと考えておる次第でございます。  したがいまして、やらなければならない政策課題がたくさんございますので、衆議院解散にお触れになったお尋ねがありましたが、ただいまは政策課題の解決に全力を尽くしておりますので、選挙のことは考えておりません。  また、軍縮の問題について、マルタ会談を通じて世界情勢が変わったから日本防衛予算もどうかという、そういった角度の御質問でございました。  確かに、先般の米ソ首脳会談というのは、本日までの冷戦の枠組みを超えた発想の中で米ソ首脳が率直な話し合いをした。それは、対立から対話と協力の方へ大きな歩み寄りを見せたという評価があることは、私も全く同感の目で見ておりますけれども、ただ、地域問題やアジア太平洋地域に関する平和と安定の問題について、あの会談があったから直ちに手のひらを返したような情勢の変化があったとはまだ見きわめることができません。  同時に、我が国の安全と我が国防衛という責任考えますと、現実に力の均衡による抑止が平和と安定の基本的な条件になっておるということは、これは現実的な問題でありますし、また、政府といたしましては、平和なときにおける我が国防衛力の水準を決めた大綱がございますから、平和時におけるこの基盤的な防衛力整備を目指して努力を重ねていくつもりでございます。  なお、来年度予算編成に当たりましては、御指摘があった昭和五十一年の閣議決定における節度ある防衛力整備を行うという精神を引き続き尊重していくことは、これは当然のことと私は心得ております。  不当事項会計検査院から指摘されたことについて御指摘がございましたが、その不当事項がいかなるものであったのかよく研究をし、検討をし、周知徹底を図りまして、不適正使用が再発しないように、今後一層予算執行に当たる者のモラルの確立にも努力をしてまいりますし、政府といたしましては、財政事情にかんがみて、厳正な適正な運営に努めてまいる決意でございます。  また、予備費使用について参議院の御承諾がなかったことについては、まことに遺憾であったと思っております。政府といたしましては、今後とも予備費使用に当たってはその適正な使用に一層留意をしてまいる考えでございます。  また最後に、女性政界進出について、この議場を眺めてどう思うかというお尋ねでございましたが、先生おっしゃったように、五カ月前に御当選をくださった議員が本日ここで御質問を堂々とされたことについて、また大勢の皆さんがそこにおかけになっていらっしゃることについては、率直にそれをお認めいたしますと同時に、婦人問題企画推進本部昭和六十二年五月に策定しました「西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画」の重点目標一つとして、「政策方針決定への参加の促進」が掲げられており、政治への参加も含めあらゆる分野における御進出は、私は女性皆さんとともに評価をさせていただきたい、こう考えております。  また、女性べっ視の風潮についてのお尋ねでありましたが、真に男女平等な社会を目指していこうとして、婦人皆さんの知識や地位や経験やそういったものを大切にしていこうというのが私の基本的な考え方でございまして、どうぞ御理解をいただきたいと思います。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  7. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私にちょうだいをいたしました御質問、大きく分けて四点であります。  その第一点は、法人企業部門におきます五百兆円にも上る含み資産についてお尋ねでありました。  土地株式を初めといたしました企業含み資産に対する課税というものには、以下申し上げるような問題点があろうかと思います。  一つは、所得課税として考えました場合、実現をしていないキャピタルゲインに対する課税という問題になります。また、保有課税として考えました場合に、不動産につきましては現行の固定資産税特別土地保有税との関係整理する必要がございます。また、企業生産活動使用されております土地への課税考えました場合に、土地供給の増大にはつながりませんし、むしろ資本集約型産業を中心として企業活動に打撃を与えるおとにもなりかねません。また、株式につきましては、土地と比べまして市場価格の変動が非常に大きいこと、また市場に与える影響などにつきましても十分考慮する必要がある。そうした問題がありまして、慎重に検討すべき課題であろうかと思います。  しかし、土地税制につきましては、土地基本法の趣旨やそれに即して講じられる関連制度・施策の整備を踏まえまして、土地政策全般との関連において適切に処置してまいりたいと考えております。  また、過去の税収見積もりに対して本院におきまして御指摘を受けました際、見直しの問題が論議をされました。毎年度税収見積もりにつきましては、見積もり時点における政府経済見通し課税実績など、内外の諸状況が変動いたします中におきまして、利用可能な資料に限界があることを御理解いただきたいところであります。しかし、その最大限の努力を傾けて行ってまいらなければなりません。  平成年度税収見積もりにつきまして、現在鋭意作業中でありますけれども、税収見積もりに必要な資料の収集あるいは推計方法等につきまして、引き続き工夫を凝らしながらその精度向上に努めてまいりたいと考えております。  また、予備費使用につきまして参議院で不承諾という事態になりました。私は、これは極めて遺憾でありますし、この事実は重く受けとめなければならないと思います。政府は、今日までも予備費につきまして節度ある使用に留意しながら、みだりに流されることのないようにその適正な処理に努めてきたところでありますが、事態を真剣に受けとめながら、今後こうした御指摘を受けることのないように、予備費の一層適正な使用努力してまいりたいと思います。  また、現在の決算制度がわかりにくいという御指摘を受けたわけであります。  決算は、収入支出実績をしめすものでありまして、財政法規定によりまして、一定の形式に従って計算整理、記録をいたしております。その決算作成に当たりまして、歳入歳出予算と同一の区分によって作成をしているところでありますが、膨大な決算をいかに区分すべきかにつきましては、一つは、予算執行結果を国会国民にわかりやすいように表現する必要があること、また、収入増減理由支出予備費使用額不要額の生じた理由などにつきましてできるだけ明らかにしていることなどによりまして、現在の決算は相当技術的なものになっております。  ともすればわかりにくいという御批判も受けましょうけれども、決算状況をわかりやすく国民に十分知っていただきますことは、確かに御指摘のように重要なことでありまして、従来からその補足資料整備充実を図るために決算説明作成し、可能な限り事業施行箇所の記載あるいは主要な長期計画実施状況決算などにつきまして物量的な表示も取り入れてまいりました。今後とも、必要に応じまして参考資料工夫などにより、できる限りの努力を払ってまいりたいと思います。(拍手)    〔国務大臣高原須美子登壇拍手
  8. 高原須美子

    国務大臣高原須美子君) 資産格差拡大についての御質問にお答え申し上げます。  金融資産につきましては、近年の株価の急上昇は、株式保有の割合の高い高資産保有階層金融資産残高を高め、保有階層間格差拡大する影響を持ったことは否定できません。また、近年の大都市圏における地価の上昇は、一面では、土地を所有している者の資産価値を増大させ、他面では、住宅取得費用上昇により、土地を所有していない者の貯蓄などの資産を実質的に減少させるなど、両者の間の資産格差拡大する影響を持ったと見られます。  企画庁が行いました昭和六十三年度国民生活選好度調査によりますと、格差に対する国民意識は、個人の選択や努力などによる格差については容認する度合いが強く、格差があることを一概に悪いとは考えておりません。しかし、地価高騰のような個人の力が及ばない外部的要因による場合には国民の不公平感につながると考えており、勤労意欲などにゆがみが生じるおそれがございます。  この個人の力の及ばない要因に対しては対策が必要であり、政府といたしましては、こうした弊害が生じないよう、総合土地対策要綱に沿って一極集中の是正、土地の有効・高度利用の促進等による土地対策の推進、土地評価制度見直し等による地価形成の適正化等、諸般の施策において十分配慮してまいりたいと思っております。(拍手)    〔国務大臣鹿野道彦君登壇拍手
  9. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) お答え申し上げます。  まず、農業後継者対策からでございますが、農業後継者の動向を見ますと、近年、減少傾向にありまして、新規学卒就農者、平成元年は二千百人、いわゆるUターン青年は昭和六十三年で四千四百人程度となっております。  我が国農業の発展を図るためには、次代の農業を担う若い農業者を育成確保することが極めて重要と考えておりますが、このためには、基本的には、農業を魅力ある産業として育成し、住みよい農村をつくり、若い農業者が配偶者にも恵まれつつ、意欲を持って農業に取り組めるようにすることが重要であると考えております。  このため、農業・農村のよさを積極的にPRするとともに、農業構造の改善、農業生産基盤、生活環境の整備等各般の施策を推進しているところでございますが、これとあわせて、バイオ等の先端技術を含む高度な技術・経営能力を有するすぐれた若い農業者を育成確保するため、改良普及員によるところの技術・経営等の指導の強化、あるいは県農業者大学校におけるところの実践的研修教育の充実、あるいは農業青年の海外派遣研修の実施、あるいは無利子の農業後継者育成資金等の貸し付け等の対策を推進いたしておるところでございます。  今後とも、技術・経営能力にすぐれた若い農業者の育成確保のため、これら施策の充実強化に努めてまいりたいと、このように考えております。  次に、米の貿易問題についてでございますが、米は、御案内のとおりに、日本国民の主食であり、かつ我が国農業の基幹をなすものであります。また、水田稲作は、国土や自然環境の保全、地域経済上不可欠の役割を果たしておるわけでございます。  このような米及び稲作の格別の重要性にかんがみ、国会におきます決議等の趣旨を体し、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいりたいと考えております。  次に、穀物の自給率についてお答えをいたします。  穀物につきましては、食用穀物と家畜のえさとなる飼料用穀物とに大別されます。食生活の変化に伴い、食用穀物の消費が減少する一方、畜産の発展により飼料用穀物の需要が大幅に増加をしてきておるところであります。主食用穀物につきましては、米を自給するなど全体で自給率は六八%、かなり高い水準を維持いたしております。他方、国民に良質で安価な畜産物を供給するために安価な飼料穀物を輸入いたしております。この飼料穀物の輸入の増加が穀物自給率の低下をもたらしておるわけであります。飼料穀物を国内で生産することは、我が国農業生産構造や生産性等から見て、輸入飼料穀物価格に比べ相当割高なものとならざるを得ず、畜産農家の利用には無理があるものと考えております。  したがいまして、現在の豊かな食生活を享受するため、国内で畜産物を供給していくためには安価な飼料穀物の安定的な輸入を図ることが不可欠でありまして、穀物自給率を大幅に引き上げることは困難であります。  現在、二〇〇〇年を目標年次とする「農産物の需要と生産の長期見通し」の策定作業を進めてい るところでございますが、米は自給するのを初め、その他の作物につきましても、消費者ニーズ等需要の動向に対応いたしまして生産性向上を進め、国内生産の維持拡大を図りながら自給率の低下傾向に歯どめをかける方向で検討してまいりたいと考えております。  最後に、農業問題に対する取り組み姿勢についてお答えをいたします。  農業は、国民生活にとって最も基礎的な食糧を安定的に供給するという重要な使命を担っているほか、活力ある地域社会の維持、国土・自然環境の保全等、我が国の経済社会国民生活の土台を支える重要な役割を果たしております。私は、このような農業の健全な発展なくして我が国経済社会の調和ある発展はあり得ない、このように考えておるわけであります。  農業は、豊かな自然環境の中でみずからの創意工夫を存分に発揮できる職業であります。また、技術進歩の余地も多く、十分に魅力ある産業となり得るものと考えております。さらに、農村は、緑と水に恵まれたゆとりある生活空間として、都会にはないよさを持っております。このような農業・農村の持っているよさを十分に生かしつつ、文化の薫りのする明るく新しい農業・農村づくりを目指していくことが必要と考えております。  このため、農業者が将来を見通しつつ農業を営むことができるように長期展望を示すとともに、農業のより一層の生産性の向上を進み、農業経営の安定を確保しつつ、国民の納得し得る価格での安定的な食糧供給を図ることを基本といたしまして、農業生産基盤の整備、担い手の育成、技術の開発普及等各般の施策を推進してまいる所存でございます。また、農村生活環境の整備、就業機会の確保等を通じ、農山村地域の活性化を図るよう全力を傾注してまいる所存でございます。(拍手
  10. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────
  11. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 日程第二 貨物運送取扱事業法案  日程第三 貨物自動車運送事業法案   (いずれも第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)  以上両案を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長中野鉄造君。    〔中野鉄造君登壇拍手
  12. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 ただいま議題となりました二法案について、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。  貨物運送取扱事業法案は、物流の分野における利用者の需要の高度化及び多様化に対応し、各運送機関ごとの事業法において規定されている貨物運送取扱事業の規制制度内容見直し、利用運送事業を許可制とし、運送取次事業を登録制とする等横断的、総合的な制度整備しようとするものであります。  なお、衆議院におきまして、法施行後三年を経過した場合において、法律の施行状況検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる旨の修正が行われております。  次に、貨物自動車運送事業法案は、輸送ニーズの多様化及び高度化に対応して事業者の創意工夫を生かした事業活動が的確に行えるよう、一般自動車運送事業を許可制とする等、事業規制の抜本的見直しを行うとともに、過労運転等輸送の安全を阻害する行為を防止するため、貨物自動車運送に関する秩序の確立に資する民間団体等の自主的な活動を促進する措置等を講じようとするものであります。  委員会におきましては、以上の二法案を一括して審査し、参考人の意見を聴取するとともに、過労・過積載の防止対策、諸外国における規制制度の実情、二法案の運用方針、物流業における労働力不足の現状と対策、貨物運送取扱事業法案に対する港湾運送事業の関係影響等、各般にわたる問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終局し、まず、貨物運送取扱事業法案について討論に入り、日本共産党の小笠原委員より反対の意見が述べられ、次いで採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法案に対し、貨物運送取扱事業者が実運送事業者に対して不当な運賃料金の引き下げを強要することのないよう、関係者に対する指導監督を強化する等の十項目の附帯決議を全会一致をもって行いました。  次に、貨物自動車運送事業法案に対し、田渕理事より、自由民主党、日本社会党護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合の五会派共同提案に係る輸送の安全に関する規制について、事業用自動車の運転者の適切な勤務時間及び乗務時間の設定を加える旨の修正案が提出されました。  続いて、討論に入り、日本共産党の小笠原委員より原案に反対する旨の意見が述べられ、採決の結果、貨物自動車運送事業法案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、本法案に対し、貨物自動車運送事業者に対する許可後の指導監督を強化する等、十九項目の附帯決議を全会一致をもって行いました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  13. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これより採決をいたします。  まず、貨物運送取扱事業法案の採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  14. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。  次に、貨物自動車運送事業法案の採決をいたします。  本案の委員長報告は修正議決報告でございます。  本案を委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  15. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 過半数と認めます。  よって、本案は委員長報告のとおり修正議決されました。      ─────・─────
  16. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) この際、日程に追加して、  公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。選挙制度に関する特別委員長前田勲男君。    〔前田勲男君登壇拍手
  18. 前田勲男

    ○前田勲男君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本法律案は、最近における政治活動等の実情にかんがみ、金のかからない政治の実現と選挙の公正の確保に資するため、公職の候補者等が行う寄附の禁止についての罰則の強化、後援団体が行う寄附の禁止の強化、あいさつ状の禁止及びあいさつを目的とする有料広告の禁止等を主な内容とするものであります。  委員会におきましては、衆議院公職選挙法改正に関する調査特別委員長左藤恵君より趣旨説明を聴取した後、採決を行いましたところ、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  19. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  20. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 総員起立と認めます。  よって、本案は全会一致をもって可決されました。      ─────・─────
  21. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) この際、日程に追加して、  土地基本法案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案   (いずれも第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。土地問題等に関する特別委員長福間知之君。    〔福間知之君登壇拍手
  23. 福間知之

    ○福間知之君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、土地問題等に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、土地基本法案は、近年の地価高騰が国民の住宅取得を困難とし、社会資本の整備に支障を及ぼすとともに資産格差拡大し、社会的不公平感を増大させる等、我が国社会経済に重大な問題を引き起こしている現状にかんがみ、土地について公共の福祉を優先させる等の基本理念を定め、国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、土地利用計画の策定、土地取引の規制等、土地に関する施策の基本となる事項及び土地に関する総合的かつ基本的な施策を審議する土地政策審議会の設置等を定めることにより、正常な需給関係と適正な地価形成を図るための土地対策を総合的に推進しようとするものであります。  次に、国土利用計画法の一部を改正する法律案は、最近における土地取引の状況等にかんがみ、地価の高騰に対処し、適正かつ合理的な土地利用の確保等を図るため、監視区域に所在する土地について投機的取引と認められる土地取引の届け出があった場合における勧告の特例を設けるとともに、遊休土地制度について、面積要件の引き下げ、期間要件の短縮等を行おうとするものであります。  委員会におきましては、両案を一括して審査し、京都、大阪、兵庫の三府県に委員派遣を行い、また、参考人から意見を聴取するとともに、地価の抑制、投機的土地取引の防止、土地税制、住宅宅地の供給、公有地の拡大、首都機能の移転等、広範多岐にわたる熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終了し、土地基本法案について村沢理事より、公有地の拡大の推進、施策の整合性確保と行政組織の整備等に関する自由民主党、日本社会党護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合共同の修正案が提出されました。  次いで、土地基本法案について討論に入りましたところ、日本共産党を代表して市川委員より、原案及び修正案に反対の意見が述べられました。  討論を終わり、採決の結果、本法案は多数をもって修正議決すべきものと決しました。  次に、国土利用計画法の一部を改正する法律案について採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決しました。  なお、両法案に対し十二項目の附帯決議を付することに決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  24. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これより採決をいたします。  まず、土地基本法案の採決をいたします。  本案の委員長報告は修正議決報告でございます。  本案を委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  25. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 過半数と認めます。  よって、本案は委員長報告のとおり修正議決されました。  次に、国土利用計画法の一部を改正する法律案の採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  26. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 総員起立と認めます。  よって、本案は全会一致をもって可決されました。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十六分散会