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1989-12-11 第116回国会 参議院 本会議 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十二月十一日(月曜日)    午後四時三十六分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第十一号     ─────────────   平成元年十二月十一日    午後一時 本会議     ─────────────  第一 消費税法廃止する法律案久保亘君外七名発議)  第二 消費譲与税法廃止する法律案久保亘君外七名発議)  第三 地方交付税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議)  第四 税制改革基本法案久保亘君外七名発議)  第五 法人税法等の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議)  第六 通行税法案久保亘君外七名発議)  第七 物品税法案久保亘君外七名発議)  第八 入場税法案久保亘君外七名発議)  第九 地方税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これより会議を開きます。  日程第一 消費税法廃止する法律案  日程第二 消費譲与税法廃止する法律案  日程第三 地方交付税法の一部を改正する法律案  日程第四 税制改革基本法案  日程第五 法人税法等の一部を改正する法律案  日程第六 通行税法案  日程第七 物品税法案  日程第八 入場税法案  日程第九 地方税法の一部を改正する法律案   (いずれも久保亘君外七名発議)  以上九案を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。税制問題等に関する特別委員長中村太郎君。    〔中村太郎登壇拍手
  3. 中村太郎

    中村太郎君 ただいま議題となりました九法律案につきまして、税制問題等に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  これら九法律案は、いずれも社会、公明、連合、民社の四会派を代表する久保亘君外七名の発議に係るものでありまして、その内容について簡潔に申し上げますと、まず、消費税法廃止する法律案は、平成二年三月三十一日限りで消費税法廃止しようとするものであります。  消費譲与税法廃止する法律案は、消費税法廃止に伴い、消費譲与税法がその基礎を失うこととなるため、同法を廃止しようとするものであります。  地方交付税法の一部を改正する法律案は、消費税法廃止に伴い、地方交付税対象税目から消費税を削除しようとするものであります。  次に、税制改革基本法案は、消費税廃止を踏まえて行う税制改革趣旨行財政改革の一層の推進等環境整備、再改革に当たっての五つの基本原則及び所得資産消費等に対する均衡のとれた税体系を求める基本方針を定めるとともに、二年を目途に税制改革具体的措置を調査審議する国民税制改革協議会を設置しようとするものであります。  次に、法人税法等の一部を改正する法律案は、法人税について平成二年度に三七・五%に引き下げられる予定の法人税率の引き下げを現行四〇%のまま凍結し、所得税について有価証券譲渡益課税における源泉分離課税算定基礎となるみなし所得率を五%から七%に引き上げ、土地譲渡所得課税のうち、長短区分保有期間を五年から十年の本則に戻すとともに、相続税贈与税について最高税率七五%を復活するものであります。  通行税法案は、航空機の旅客運賃等課税標準とする税率一〇%の旧通行税を五%の税率で復元しようとするものであります。  物品税法案は、旧物品税と同品目を課税対象として物品税を復元し、税率については、第一種物品についてはそれぞれ一〇%、八%、第二種物品についてはそれぞれ八%、六%、四%としようとするものであります。  入場税法案は、劇場等入場課税し、その入場料金税率一〇%の旧入場税を五%の税率で復元しようとするものであります。  最後に、地方税法の一部を改正する法律案は、地方税において電気税ガス税等を復元し、電気税は旧電気税税率五%を三%に調整し、ガス税税率二%で課税するほか、特別地方消費税を改めて、免税点現行のまま据え置くことにより料理飲食等消費税税率一〇%で復元しようとするものであります。  以上の九法律案のうち、消費税法廃止関連法案及び再改革法案は九月二十八日に、消費税法廃止に伴う代替財源関連法案は十月二十六日に本院に提出され、十一月八日に本会議で、また十日には本特別委員会において九法律案趣旨説明が行われました。  委員会におきましては、九法律案を一括して議題とし、発議者及び関係大臣等に対して、広範多岐にわたり、熱心な質疑を行うとともに、公聴会を開催したほか、参考人から意見を聴取いたしました。  委員会における主な質疑内容について申し上げますと、参議院選挙における民意消費税法廃止関連法案提案との関係国民税制改革協議会の性格及び憲法上の問題、野党会派の考える均衡ある税体系の具体的な内容消費税廃止に伴う代替財源案による措置額及び初年度税収額総合課税化に向けての納税者番号制導入の当否、経済国際化が進展するもとでの法人税負担あり方代替財源として旧物品税等を復元することの妥当性地方自治の本旨に基づく地方財政確立のための具体的方策高齢化社会における社会保障負担と給付のあり方連合政権構想を進めるに当たっての各党の基本政策に対する認識及びその実現の可能性等でありますが、その詳細は会議録に譲ります。  九法律案に対する質疑を終了いたしましたところ、及川一夫理事より、消費税法廃止法案消費譲与税法廃止法案地方交付税法改正案税制改革法案法人税法等改正案及び物品税法案の六法律案について修正の動議が提出されました。  また、国会法第五十七条の三の規定に基づいて、内閣から意見を聴取いたしました。  次いで、六修正案及び九原案を一括して討論に入りましたところ、自由民主党を代表して宮澤弘理事より六修正案及び九原案反対日本社会党護憲共同を代表して上野雄文委員公明党国民会議を代表して常松克委員連合参議院を代表して古川太三郎理事民社党スポーツ国民連合を代表して寺崎昭久理事より、それぞれ六修正案及び九原案賛成日本共産党を代表して近藤忠孝理事より、消費税法廃止法案、同修正案消費譲与税法廃止法案、同修正案地方交付税法改正案、同修正案賛成、他の六法案及び三修正案については、採決に加わらない立場からの意見が述べられました。  討論を終わり、順次採決の結果、消費税法廃止法案消費譲与税法廃止法案地方交付税法改正案税制改革法案法人税法等改正案物品税法案の六法律案修正案及び修正部分を除く原案は、いずれも多数をもって可決され、六法律案修正議決すべきものと決定し、また、通行税法案入場税法案地方税法改正案の三法律案は、いずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  4. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 九案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。村上正邦君。    〔村上正邦登壇拍手
  5. 村上正邦

    村上正邦君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました消費税廃止関連法案について、反対立場から討論を行います。  本論に入ります前に、一言申し上げます。  法案づくりに始まり、八十数時間に及ぶ委員会審議における答弁側に立っての野党会派諸君の御努力に、立場を超えて心から敬意を表します。  また、発議者を陰で支え、連日連夜の事前の質問取り答弁資料の準備など、なれない仕事をこなされた野党会派スタッフ皆さんにも、本当に御苦労さまでしたと申し上げたいのであります。  与野党逆転参議院ではありますが、私ども自由民主党は、比較第一党の誇りと名誉を持って、また政権与党として、国民の負託にこたえなければならないという大いなる責任感を持って、各分野の延べ二十一名のエキスパートが質問に立ち、野党案のもって不当なることを毅然としてただしたのであります。  議員が立法し、議員質問議員答弁する、これは議会制民主主義本来の姿であり、国民がまさしく期待していたところでありましょう。私は、参議院において、成熟した議会制民主主義を育て上げていく上で、攻守ところを変え、お互いの立場を少しでも理解し合った今回の我々の体験は、確かな一里塚となったことと信じます。しかし同時に、国民皆様は、参議院における徹底した審議を通じて、野党政策立案能力政権担当意欲に強い疑問を感じ取られたと確信いたします。  さて、本論に入ります。  反対理由の第一は、野党諸君消費税廃止論は、木を見て森を見ざる議論であり、とても国家国民のためになる税制改革案にはほど遠い内容であるからであります。  我々は、昨年暮れ、急速に迫りくる高齢化社会を展望し、経済活力を損なうことなく豊かな長寿社会を築くため、国民全体で広く薄く負担を分かち合おうとの観点から、消費税を柱とする税制全般にわたる根本的な改革を実現いたしました。したがって、この税制改革の重要な柱である消費税だけを取り出して廃止するという野党主張は、到底受け入れられるものではありません。  発議者は、参議院選挙に示された民意消費税廃止であったと強調されましたが、選挙の争点は果たして消費税だけだったのでしょうか。参議院選挙で議席を減らした公明党民社党共産党諸君は、その敗因は何だったと分析されているでしょうか。何とお答えになりますか。参議院選挙の結果を短絡的に消費税廃止に結びつけるのは、余りにも一面的な見方ではありませんか。現に、最近の各種世論調査を見ましても、参議院における消費税廃止法案審議が進み、その欠陥が次々に明らかになるに比例して、消費税廃止を求める声よりも見直し定着を求める声の方が日に日に強まってきているのは、皆さんも御承知のとおりであります。  我が党は、こうした国民の声を踏まえて、三カ月に及ぶ真剣な論議の結果、小売段階での食料品や出産、入学金を初めとする学納金、家賃などについて非課税措置を講じたほか、さらに歳出面での社会的弱者対策などを盛り込んだ思い切った見直し案を決定したところであります。  野党諸君は、我が党の見直し案に対し、相も変わらない紋切り型の批判を加えておりますが、今後我が党が見直し案を貫く消費者重視精神とその具体的な内容国民皆様に十分お知らせすれば、必ずや御理解を得られ、消費税は一層完全に定着することになると確信いたします。  私は、昨日、「日本未来を憂うる八十七才の一国民より」とした一通のお便りをいただきました。それにはこう書いてありました。   消費税廃止か、見直しかの論議がなされておりますが、大事なことは、未来に向って、国民全体の幸福のために、国家運営するのだという基本哲学です。消費税はいわば国家運営税だと理解すべきです。   自分の子供を育てるのにも、子供に迎合したり、子供のごきげんとりの教育では、よい子は育ちません。国民全部が、毎日国運営に参加しているという認識をもち、目先の利害を云々する論議に迎合することなく進んでもらいたい。 と結んでありました。  野党諸君は、この八十七歳の方の意見をどう受けとめられるのでありましょうか。  反対理由の第二は、発議者は、今後税制のどこをどう変えるのかという基本方針さえ示さないまま、国民税制改革協議会にすべてをゆだねるという責任回避答弁に終始しているからであります。国権の最高機関である立法府としての見識は一体どこへ行ったのでしょうか。  特に私が疑問に感ずるのは、野党が二年後の改革で行おうとしているサービス、流通に対する課税の問題であります。発議者自身が認めているように、旧物品税についてサービスに対する課税が十分でなかったという批判や、現在では消費の半分以上がサービス消費であることなどを考えると、二年後は結局消費税と同じタイプの間接税にする以外に道はないのであります。だとすると、来年四月に消費税廃止したとしても、二年後には再び消費税と同様の間接税を導入することになり、事業者にとっては、二年間という短期間に経理システムの手直しや値札の書きかえなどむだな対応を強いられることになり、国民生活はもとより、我が国の産業、経済全体に大きなマイナスと大混乱をもたらすこと必定であります。  およそ税制は、粘土細工とは違うのであります。具体性に乏しい実現不可能な甘い言葉で国民を欺瞞する党利党略国民を巻き込むことは断じて許されません。  反対理由の第三は、野党納税者番号制度早期導入主張している点であります。  この制度は、その本質において、事、税制に関する限り、個人の金融資産について一切プライバシーを認めないことを大前提としております。だからこそ十月中旬のNHKの世論調査でも明らかになったように、国民の八割という圧倒的多数が反対しております。野党諸君は、常々国民の意向を重視してこれに従うと言っておられるわけでありますが、この件だけは別だと言うおつもりなのでしょうか。いずれにいたしましても、本法案賛成する野党諸君は、納税者の一切のプライバシーを認めないこの制度賛成したものであることを私は声を大にして国民皆様にお訴えして、次に移ります。  反対理由の第四は、消費税廃止に伴う代替財源に対する野党案の策のなさにあります。  一番の問題は、消費税廃止によって生ずる約六兆円の減収に対する財源措置についてであります。当初の赤字公債依存から二転三転し、平年度ベースで一兆七千億に訂正されたことはさておくとしても、初年度には三兆円もの巨額の赤字を出すというに至っては、もはや見過ごすことはできません。  もう一つ指摘しておかなければならない問題があります。それは、野党案消費税廃止するかわりに物品税など旧間接税を復活するとしている点であります。これは、時計の針を逆回転させる全く時代おくれの後退的な発想であると言わざるを得ません。物品税の不合理と矛盾を強く指摘してきたのは、ほかならぬ野党諸君だったはずであります。それが何ゆえに今また物品税を、暫定的とは申せ、復活するというのでありましょうか。全くの無策としか言いようがありません。  最後に、欠陥法案について指摘いたします。  我が党議員の指摘によって明らかとなった憲法違反国民税制改革協議会規定のほか、相続税贈与税適用開始日の問題など、発議者が苦労を重ねておつくりになった法案に幾つもの重大なミスが発見されたことはまことに遺憾であります。確かに同情すべき点もあるとは思いますが、提出した法案の三分の二に当たる六法案、十二事項を修正しなければならないというのでは余りにもお粗末過ぎると申すほかはございません。租税法定主義のもとでは、たとえ小さなミスでも、国民はその誤った税法に従って税金を納めなければならないのであります。発議者は、時間がなかったから、単純なミスだから、スタッフが少ないからといった言いわけをして、特段問題はないかのような姿勢に終始しましたが、立法府の一員としての自覚を著しく欠いた無責任きわまりない態度と断ぜざるを得ません。  以上、九法案に対する反対理由を申し述べてまいりましたが、私どもは、消費税を柱とした先般の税制改革は、国民の長期的、全体的な利益にかなうもので、必ずや将来その本来の意義が国民に高く評価されるものとかたく信じております。  終わりに当たり、共産党本件採決に当たって一部法案棄権態度をとっております。議会運営のルールを定めた国会法参議院規則棄権を認めておりません。棄権とは欠席であり、国会議員固有の最大の義務である投票行為の放棄であります。政治的意図のために代議政治の原点を忘れ、国会法精神にもとる共産党のかかる態度に強く抗議し、今後、本件につき議長に対し問題提起いたす所存であります。  以上申し述べて、私の反対討論を終わります。  どうもありがとうございました。(拍手
  6. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 稲村稔夫君。    〔稲村稔夫登壇拍手
  7. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 私は、日本社会党護憲共同を代表して、ただいま議題となりました消費税廃止する法律案外八法律案賛成立場から討論を行うものであります。  本論に入る前に、今回のこの審議に当たり、提案の側も反対の側も、それこそ全力を挙げて対応し、審議に当たってこられたことに心から敬意を表したいと思います。特に、自民党皆さんの激しい攻撃には特別の敬意を表したいと存じます。  さて、そもそもこの九法律案は、去る七月の参議院選挙を通じて、消費税に対する怒り、不満を一票に託して、参議院での与野党逆転を選んだ多くの国民期待意思に正しくこたえるために、日本社会党護憲共同公明党国民会議連合参議院民社党スポーツ国民連合の四会派共同提案による議員立法として本院に提出されたものであります。  改めて言うまでもなく、選挙の際の公約を実行することは政党並びに議員としての当然の国民に対する責務であります。そして、それは同時に、公約を守るということを通じての、憲法規定されている議会制民主主義の正しい実践にほかならないと思うのであります。したがって、この九法案は、大型間接税は導入しないとの国民との公約に反して強行採決された消費税とは根本的にその生い立ちから異なっているのであります。それゆえに私は、この九法案賛同者となり、その審議に参加できたことを誇りとしながら、今この討論に立っている次第であります。  振り返ってみれば、参議院選挙は、リクルート疑惑消費税強行といういわば二重の要因が重なった国民政治不信怒りの表明でありました。本来ならば、リクルート疑惑だけでも、あるいは消費税強行に対する国民の反発の大きさだけでも、内閣は総辞職して信を国民に問うというのが良識ある政治家のとるべき道だったはずであります。このことは、近代的議会制民主主義とは言えなかったあの過去の時代においてさえ、気骨のある政治家という方々はそうしてこられたのであります。しかるに今は、同じ党内での首相の首のすげかえをするだけで、総選挙による国民意思表示の場が与えられなかったのであります。参議院選挙の結果は、その当然の帰結であったと言えるでありましょう。このような観点からの反省は、まことに残念でありますが、ただいま行われた反対立場からの討論の中からもとうとううかがい知ることができませんでした。  そこで、まず私が指摘しておきたいことは、もし政府与党にそのことへの正しい反省があるならば、この九法案という議員立法をまつまでもなく、政府の手によって消費税廃止して税制改革の出直しのための手続がとられなければならなかったということであります。そして、そうならなかったことが極めて残念であるということであります。  さて、消費税廃止法案等法律案が本院に提出されたのが九月二十八日、本会議に九法案が提出されたのが十一月八日、税制問題等に関する特別委員会での実際の審議が始まった十一月十四日から本日までを数えても、委員会審議期間二十七日間、委員会での総審議時間八十三時間四十六分という長い期間審議が行われたのでありますが、そのうち、自民党皆さんの二十一人が質問に立たれました。そして、自民党皆さん質疑時間は五十三時間余にわたりました。総質疑時間の約七五%を占めたのであります。  こうして九法案は本日の委員会において多数をもって採択されたのでありますが、この点、委員発言中に審議を打ち切って採決強行したあの昨年暮れの消費税審議とは全く様相を異にしているのであります。今回は、審議の過程ではいろいろとありましたけれども、結果として、昨年の強行採決で失われてしまっていた参議院の良識をここでやっと回復できたと言えるのではないでしょうか。  ここで感想を述べて甚だ恐縮ですが、この委員会審議を通じて自民党委員皆さんの御勉強ぶりが私には印象的でありました。例えば、我が社会党定期出版物の一部や選挙政策集綱領綱領的文献規約類に至るまで目を通しての御質問など、参議院規則第百条とのかかわりは別といたしまして、私はこれからは、我が党関係者の中に不勉強な者がいたら、税特委自民党委員皆さんに学べと言おうかと思うほどでありまして、この点大いに敬意を表するところであります。  しかし、もしこうした御勉強や御努力が、提案会派基本政策の違いにくさびを打ち込み、連合政権への矛盾をついて足並みの乱れを誘い、九法案審議未了をねらっていたとしたら、そうではないと思いますが、もし不幸にしてそうでありましたら、それはむだな御努力でございました。それはあたかも、カレーの専門店に入って、カレーライスを食べないで、ジャガイモをつくった畑作農家と牛肉を生産する畜産農家農家として整合性があるかとコックさんにただすようなものであります。  これに対して、公約を守って消費税廃止への決意を固めている発議者皆さんは、こうした九法案とは直接かかわりのない質問が繰り返されれば繰り返されるほど、党や会派の違いを越えてその結束を固くされて答弁に当たっておられたのが、これまた印象的でありました。  重要な論点として、この九法律案ミスや適切さを欠く箇所が多くあるとして、これを欠陥法律案だとする主張がなされました。もちろん、しょせんは人間のつくるものでありますから、完全無欠のものはありません。豊富なスタッフの手によってつくられる内閣提出法律案でも、時として正誤やミスが出るのであります。ましてや、補助するスタッフの決定的に不足な議員立法でありました。しかし、法案の根幹にかかわるような決定的ミスはなかった立派な法律案だったと確信しております。加えて、これはミスとは異質のものでありますが、そのよって立つ立場によって解釈に大きな違いのある部分ミスと断定したり、断定しないまでも疑いがあるとして九法案欠陥法案だとする主張があったことは極めて残念であります。  ともあれ、これらの点が最終的には委員会審議を通じて調整され、法律案の一部に修正が加えられたところでありますが、この消費税廃止を明確にした法律案は、政府に相対する法律案国民皆さん期待にこたえる形で提起されたこと、議員立法として提案され、これほどの長時間にわたる審議がなされたこと等、国会の歴史に残ることだったと思うのであります。そして、この九法案内容国会史上にさん然と輝く一ページに書き加えられるものと私は確信をしております。  消費税は、逆進性を初め、竹下元首相が九つの懸念を表明せざるを得なかった問題点を何一つ解消できておりません。だからこそ多くの国民反対しているのでありますし、その国民の声に反して施行された消費税こそ、国民の目から見れば欠陥法律なのであります。  ここで私は、さきに公表された自民党のいわゆる消費税見直し案なるものに触れなければなりません。  それは、消費税欠陥を解消するどころか、さらに矛盾拡大するものだからであります。非課税軽減税率を折衷した食料品に対する措置、その他の今回の案では、とても思い切った見直しなどと言えるものではないことを指摘しなければなりません。そもそも、消費税所得に対する逆進性の問題は最も深刻な問題であります。それは、非課税枠の若干の拡大軽減税率適用等ではとても済まされるようなことではありません。にもかかわらず、食料品小売段階での非課税、その他での軽減税率適用を中心とした見直しをするということは、消費税をいたずらに複雑にするだけであって、関係事業者はもちろん、消費者からも歓迎されていないのであります。  消費税による低所得者への過重な税負担は、新たなる格差をもたらし、不公平を拡大し、税制所得配分機能の低下を招いておりますが、これも到底見直しで対処できるものではありません。逆に、食料品に対する複離課税非課税取引拡大は、税収を確実に減少させるために、税率の引き上げを早めるのではないか、帳簿方式からインボイス方式への転換をねらっているのではないかなどといった危惧を呼び起こしているのであります。  そこで、痛税感からくる消費税への反発を和らげようというのでありましょうか、消費者との取引については総額表示方法の普及に努めるというのでありますが、これらのものは消費税の実態には何の変更も伴わないのであります。まさに小手先の措置にすぎないと言われてもいたし方ないでありましょう。かえって価格転嫁が不明確になり、便乗値上げ、あるいはその逆の価格への転嫁の困難などを助長しかねないのであります。国民はそのことを正しく理解していると思うのであります。そのことは単なる私の憶測ということではありません。この十二月九日の朝日新聞に掲載された同社の世論調査の結果として、見直し案に否定的な評価五八%、さらに、消費税廃止法案賛成も五八%という形で証明されていることなのであります。  以上のように、見直し案は、消費税欠陥を解消するどころか、さらに混乱を上塗りする欠陥拡大案であります。したがって、九法案欠陥法案だと主張することこそ、みずからのお考えになっていることが欠陥であるということをあらわしているのではないでしょうか。  これに対して九法案内容は、重大な欠陥を持つ消費税平成二年三月三十一日をもって廃止し、国民税制改革協議会を設けて国民合意の税制改革を目指し、さらに、それに至るまでの代替財源の確保を図る方策を明確にするなど、責任ある具体的対応を示したものであります。私は、冒頭に述べたごとく、これこそ議会制民主主義による国民に対するみずからの責任を果たす道筋だと確信をしているのであります。  以上の観点から、私は、消費税廃止関連法案はぜひとも可決されるべきものとして全面的に賛成する理由を申し述べた次第であります。  最後に、この際ぜひとも強調しておきたいことがあります。  それは、このたびの審議を通じて痛感したことでありますが、今回のような大がかりな議員立法に対して、現在は国会として対応できる体制がいかに不十分かということ、これが判明をしたのであります。提案会派発議者皆さんとそれを支える事務局スタッフ皆さんの不眠不休の御努力法案化に当たっての本院法制局の大変な御努力、その他多くの皆さんの熱意によってその不十分さがカバーされてきたわけであります。しかし、法的にも、人的にも、予算の上でも、議員立法のためには余りにも現在の体制は不十分であります。  これを機に今後改革されるべき課題として、アメリカ合衆国やヨーロッパ各国の議会における議員立法あり方などを参考に積極的に検討すべきであるということを強調いたしまして、私の討論を終わります。(拍手
  8. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 矢原秀男君。    〔矢原秀男君登壇拍手
  9. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私は、公明党国民会議を代表して、ただいま議題となりました消費税法廃止する法律案など消費税廃止関連法案税制改革基本法案及び法人税法等の一部を改正する法律案など代替財源法案の計九法案につきまして、修正案及び原案に対し賛成討論を行います。  去る十一月八日から審議が始まった消費税法廃止する法律案を初めとした九法案は、今日まで徹底した審議が行われてまいりました。その質疑時間は、本会議で約五時間、税制特別委員会で約八十三時間余り、計約八十八時間に及んだのであります。この間、四会派提案者は、自民党初め他会派質問者に懇切丁寧に答弁し、九法案について理解を求めてきたのであります。    〔議長退席、副議長着席〕  言うまでもなく、さきに行われた参議院選挙の最大の争点は、消費税についてこれを廃止するか、存続し見直すかでありました。国民は、この選挙において消費税はノーという明確な審判を下し、参議院与野党逆転をつくり出したのであります。野党会派が今臨時国会消費税廃止を初めとする九法案を提出したのは、この参議院選挙の結果を踏まえたものにほかなりません。  本来ならば、参議院選挙見直し公約した自民党見直し案提案し、正々堂々の議論を戦わすべきであったのであります。しかし自民党は、参議院選挙後四カ月たった十二月一日、ようやくその骨子を発表したのみにとどまり、実施のための具体的な法律案は何ら提示していないのであります。しかも、その内容の柱は、食料品について小売段階非課税と生産・卸段階軽減税率にするというもので、制度欠陥には手をつけておらず、思い切った見直しとは到底言いがたいものであります。  さきの参議院選挙の結果を受けて、野党会派提案した消費税廃止法案を初めとした九法案が本格的に審議され、今まさに可決されようとしていることは、我が国の議会史上まれに見る快挙であり、議会制民主主義を健全化させるという面からも、極めて大きな意義を持つものであると考えるものであります。したがって、本法律案を提出された発議者の方々の御労苦に対し敬意を表するとともに、本院において九法案をすべて可決し、衆議院においても可決成立することを強く念願するものであります。  以下、九法案賛成する主な理由を申し述べます。  賛成する第一の理由は、消費税法廃止こそさきの参議院選挙の審判であり、また、消費税の持つ構造的欠陥の是正は廃止する以外に道はないからであります。  消費税は、政府自民党が昭和六十一年の衆参同日選挙における大型間接税は導入しないとの公約を踏みにじり、三百議席という数の力で強引に導入されたものであります。議会制民主主義の基本は、民意の反映と公約の実現であります。選挙公約は、国政の信託に当たっての有権者と政党及び候補者との約束であり、この履行こそまさに議会政治のよって立つ基盤と言っても過言ではありません。政府自民党公約違反が厳しく指弾され、参議院選挙の結果、消費税廃止の審判が下された以上、消費税廃止は当然であります。  また、消費税の持つ構造的欠陥は、竹下元総理自身が九つの懸念として示しておりますが、四月に実施されて以来、この欠陥が改めて浮き彫りにされております。すなわち消費税は、所得の低い人たちにより負担が重いという逆進性や、社会的に弱い立場の人たちの家計を直撃している実態が明確になってきているのであります。簡易課税制度、免税点、限界控除制度を採用したことにより、消費税の一部が事業者の手元に残り、このため消費者の支払った税金が国庫に入らないという新たな不公平も生じさせております。  私は改めて、公約に違反し、構造的欠陥を持つ消費税は早急に廃止すべきであると主張するものであります。  賛成する第二の理由は、税制改革基本法案によって四会派税制改革に真正面から取り組もうとされていることであります。  昨年の税制改革が拙速に行われ、しかも不公平税制にはほとんど手を加えず、消費税の導入を強行したこと等を考えたとき、消費税廃止し、国民の合意を得て確固たる税制度を確立することが今日の最重要課題であります。  我が国の税制は、シャウプ勧告によって基礎が築かれました。しかし、シャウプ税制の柱である総合課税主義は、利子配当所得、有価証券譲渡所得の分離課税など分離課税化が進み、大きく崩されてきたのであります。また、法人税制についても、各種の租税特別措置等により課税ベースが侵食され、資産課税の適正化が叫ばれながら全く手がつけられてこなかったのであります。二十一世紀を前にした今、いま一度これらの課題について真剣に議論し、高齢化社会に備えるべきであります。  したがって、四会派税制改革基本法の制定によって改革の手順、方法を明確にされようとしていることは、まさに時宜を得たものであります。  賛成する第三の理由は、消費税廃止し、再改革が実現するまでの二年間の財源措置を講じ、政策責任を明確にしている点であります。  参議院選挙の結果から、消費税法をまず廃止すればよいのであって、廃止後の財源を提示する必要はないとの一部にある意見もそれなりの考えではあると思います。しかし私は、代替財源案の提示があったればこそ、国民が安心して消費税廃止を支持し続けているものと確信するものであります。  代替財源案内容を見ると、株式等のキャピタルゲインや法人課税について課税の適正化を図るなど、不公平税制の是正に努めております。また、物品税の復元については、消費者にとって大きな負担とならないよう、税率を変更するなどの工夫をしております。その他、地方財政の安定に努力し、地方税について、料理飲食等消費税電気税ガス税を復元し、しかもその復元に当たっても、一般家庭に大きな負担にならないよう配慮した跡がうかがえるのであります。  このように、明確な代替財源案を示すことにより、税制改革が一貫性のあるものになっていることを高く評価するものであります。  以上、賛成の主な理由を申し述べ、消費税廃止法案を初めとする九法案に対する賛成討論を終わります。(拍手
  10. 小野明

    ○副議長(小野明君) 市川正一君。    〔市川正一君登壇拍手
  11. 市川正一

    ○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、消費税廃止関連法案賛成討論を行い、あわせて税制改革基本法案並びに代替財源法案採決には加わらないという立場を表明するものであります。  さきの参議院選挙において、国民消費税廃止という明確な審判を下しました。したがって、今国会がなすべきことは、主権者である国民のこの審判に沿って、消費税を無条件かつ速やかに廃止することでなければならぬのであります。  消費税、それは公約違反、国会決議違反、相次ぐ強行採決など、議会制民主主義を真っ向からじゅうりんするものであるばかりか、導入以来のこの八カ月間、国民の実際の体験からしても、生活と営業に深刻な打撃と影響を与えている最悪の大衆課税、最悪の不公平税制であることがいよいよ鮮明になったのであります。しかも、その目的とするところは、今国会の論戦を通じても究明されたように、政府自民党が口実として宣伝する高齢化社会のためにというのは全くの偽りであり、紛れもなく軍拡と大企業奉仕の財源づくりにほかならぬのであります。このような反国民的悪税、消費税は、無条件に廃止する以外にはないということを、私は圧倒的な国民世論の名において改めてきっぱりと宣言するものであります。  ところが、政府自民党は、主権者である国民のこの意向を真っ向から踏みにじり、大幅な見直しなどと称して、あくまでも消費税の延命、定着に執念を燃やし、開き直り、居直りを続けております。しかし、十二月一日、ようやくにして発表された自民党見直し案なるものを見ても、それは全くの小手先細工にすぎず、まさに国民を欺瞞し愚弄するものと言わなければなりません。  例えば、自民党が最大の目玉にしようとしてきた食料品も、小売段階だけを非課税とし、それ以外は税率を一・五%にするだけで、家計全体から見ればその影響はまことに微々たるものにしかすぎません。それどころか、消費者には内税方式で消費税を隠し、業者にもまた生産農家にも複雑怪奇な税体系を持ち込んで、膨大な事務負担と転嫁の一層の困難を押しつけるものであります。こうして消費税国民の目からますます見えなくする、言うならば消費税隠しという卑劣な手段に対して国民の新たな怒りが燃え上がっているのは当然であります。しかも、消費税そのものの本体は何ら傷つかずでそっくり残されるのであります。したがって、その定着を待って近い将来税率の引き上げが避けられないことは火を見るよりも明らかではありませんか。かくて消費税は、見直し存続ではなしに、廃止以外にはないということをほかならぬ自民党見直し案そのものがみずから立証したということを私は最近の世論調査からも断ずることができるのであります。  日本共産党は、歴代自民党政府大型間接税導入の策動に一貫して反対し、今回の消費税についてもその廃止を徹底して主張し闘ってきた党として、社会、公明、民社、連合参議院提出の消費税廃止法案国民世論が一致できる法案として賛成するという態度をここに表明するものであります。  なお、税制改革基本法案並びに代替財源関連法案について言えば、これは自民党のいわゆる財源セット論に乗せられたもので、本来、来年度予算編成の際に政府が処理すべき性質のものでありました。にもかかわらず、これが提出されたことによって、財源問題をめぐる法案ミスなどとも相まって、自民党に絶好の攻撃標的を提供し、国民が最も期待した消費税廃止か存続かという問題を中心にした論戦はついに影を潜め、消費税廃止に結集した世論を分断させる役割を演じたことを指摘しなければなりません。  またその内容においても、サービス、流通等への課税とか、中曽根内閣流の審議会方式の採用、大企業優遇税制の是正の軽視、納税者番号の導入、入場税の復活、さらに予算の歳出構造に手を触れていないことなど、国民の審判、国民の利益から見て合致しない問題を含んでおります。  しかし同時に、我が党は、国民の審判に沿って四党派が消費税廃止ということを掲げている以上、その立場が生かせるようにということを判断の基調に置いて行動するということを、先般の我が党第七回中央委員会総会においても明らかにしているところであります。そうした中で、八日、社会党参議院国対委員長から正式に協力要請の申し出があり、率直な協議によって、一、一致できる消費税廃止については今後とも互いに共同する、二、他の六法案については意見の違いは大きいが、互いに自民党を利することがないようにするという合意を得ました。消費税廃止というこの一点での共同団結を何よりも重視する立場から、我が党の具体的対応としては、消費税廃止法案以外の六法案については採決に加わらないという態度をとることをここに表明するものであります。  先ほど、自民党村上議員から我が党のこの態度に対して不当な非難が行われました。棄権というのは前例もあり、また国際的にも認められている正当な投票権行使の一形態ではあります。が、我が党は原則として棄権という態度をとらないことを基本としております。もちろん、諸条件のもとで棄権という態度をとることはあり得ますし、特に今回は、消費税廃止とは直接関係のない六法案採決においてではあっても、消費税廃止の三法案にも関連するものととられないように、あえて棄権態度をとったことをここに明らかにしておきたいと思うのであります。  今、まさに行われんとしている消費税廃止法案可決という日本の近代政治史上歴史的な採決が、日本の政治の新しい展開、国民世論が政治を動かすという方向への転機となり、火ぶたとなるであろうということを私は確信し、日本共産党消費税最後のとどめを刺すまで闘い抜く決意を重ねて披瀝し、討論を終わるものであります。(拍手
  12. 小野明

    ○副議長(小野明君) 高井和伸君。    〔高井和伸君登壇拍手
  13. 高井和伸

    ○高井和伸君 私は、連合参議院を代表いたしまして、久保亘議員外七名の発議による消費税法廃止する法案外八法案及び六修正案のいわゆる消費税廃止関連法案賛成討論を行うものであります。  賛成をする第一の理由は、七月二十三日の参議院通常選挙で、国民皆様消費税廃止を求められたからであります。  本来ならば、政府は、こうした国民選挙を通じて示された消費税廃止意思を踏まえて、消費税廃止法律案を出すべきでありました。しかし、政府自民党国民の声を無視されました。消費税廃止国民の声を無視した上、さらに衆議院解散で民意を問うべき憲政の常道をも無視されました。  七月の参議院通常選挙の争点は、リクルート疑惑徹底究明、そして農政問題、それとともに消費税廃止見直しかでありました。その結果、見直し派の自民党が議席の過半数割れをし敗北され、廃止派のいわゆる野党が勝ったのであります。政府見直し案を出さないのならば、せめて自民党が具体的な見直し内容を示した上で、過ぐる衆参同日選挙大型間接税はやらないとの公約に違反する消費税導入について衆議院を解散し、総選挙国民の審判を受けるべきでした。これが議会制民主主義の基本原理ではありませんか。政府自民党議会制民主主義のルールを守らない以上、議員立法として本法案参議院発議されたことは、国民の声を反映させ得る残された最後の手段だったと言えます。  私は、こうした点から、消費税廃止関連法案が本院で可決されることを望むものであります。  消費税廃止関連法案賛成する第二の理由は、新しい税制改革国民的合意のもとに行おうとしているからであります。  税制改革基本法案は、これからの新しい税制改革のプログラムを示しており、国民皆さんの理解と信頼をベースに置くことを明らかにし、税制改革のための前提としての環境整備行財政改革を求め、総合的、長期的な社会保障プランの国民合意のもとでの策定を行おうとしています。また、税制改革基本原則としての五つの原則、基本方針としての三つを掲げ、税制改革の中心となる協議機関を国民税制改革協議会と称し、従来の審議会より権威あるものとして五十名の構成で任に当たらせようとしています。これらは消費税廃止後の税制改革の手段として妥当な方法と考えます。この協議会の結論を内閣総理大臣に報告し、総理大臣はこれを尊重しなければならないと規定していることから、内閣による税制改革関連法案の提出が期待され、再度国会における審議が可能となることは、国民が納税義務者としての立場でこのような慎重な手続を経ることに満足し、納税意識をかき立てるものがあると信ずるからであります。  賛成する第三の理由は、消費税廃止により減収となる財源を、法人税及び地方税の一部改正、通行税物品税及び入場税の復活など消費税導入前の姿に原則的に戻すという五つの法案は、消費税廃止後の混乱を避けるためにやむを得ないし、このことは、消費税廃止意思表示をした国民皆さん意思の中に旧税制に戻ることもやむを得ないとの暗黙の理解が得られているものと考えるからであります。  委員会審議を通じ、反対意見の中に、物品税の対象品目のアンバランスを指摘された点は、品目を加えたり削ることによって議論が沸騰することが予想される段階では、旧に復することもやむを得ないし、税率を簡素化した点も評価できます。審議を通じて明らかになった品目間のアンバランスなどは、国民税制改革協議会において検討されるのであれば、いわゆる代替財源法案としては現時点で考えられる最高のものと信ずるものであります。  賛成する第四の理由は、去る十二月一日に発表されました自民党見直し案消費税廃止関連法案を比べるとき、自民党見直し案は、さきの参議院選挙で示された自民党公約である大幅見直しからはほど遠いものであり、近く予想される衆議院議員選挙を強く意識された見せかけの見直しと言わざるを得ないものであります。思い切った見直しなどではなく、食料品に関して小売段階での非課税を強調することと、生産・卸段階で一・五%の軽減税率にすることで、また幾らかの非課税対象の範囲を広げる程度の、いわば複雑な体系に改悪するための見直しと言うべきものでございました。これでは思い切った見直し期待した皆さんも大きな失望感を抱くことは疑問の余地なく、大多数の消費税不信の国民期待はまさに裏切られたということであります。  自民党内における見直し案の合意に至る時間的、内容的経過を見るとき、税制というものの持つ困難性が明らかになり、消費税廃止関連法案反対する自民党ですら、税制問題等特別委員会審議の場において、消費税の利点として挙げられた簡易性をみずからの手でその性格を取り崩し、非課税対象範囲を広げることによって消費税の広く課税するはずの特色をみずからより狭く課税する方向に向かわざるを得なかったのであります。自民党観点から見ても、改悪以外の何ものでもなかった見直し案ではありませんか。  このように、見直し案ですら到底賛成できないものである以上、消費税そのものを廃止することを目指した消費税廃止関連法案をより強く賛成するものであります。  次に、個々の争点について、消費税廃止関連法案賛成立場から二点を選んで意見を述べます。  第一点、自民党批判されました自然増収を代替財源とすることは、代替財源を考えるとき、それは邪道であるとの点につきましては、自然増収も明らかに見込めるものであれば一つの財源であることに違いありません。消費税導入の際、その口実にされた所得税減税も、いわば税制改革の先取りという視点から見れば、自然増収分に見合う他の財源を探す一つの選択として妥当なものと評価できるものであります。  第二点、自民党は、消費税廃止関連法案で新たな税制をとることは、国民税制改革協議会税制改革をやることと消費税導入とを合わせると、短期間に三度も税制改革をすることになり、消費者事業者の煩わしさを考えない悪政だとも非難されました。しかしながら、消費税がまずあったと、こういうことを忘れるわけにはいきません。国民の多数が消費税廃止を選んだことに従うのが民主政治のルールであり、提案された代替財源法案も、従前の税制に戻すことを基本としている以上、混乱を避けるためにとられた妥当な措置であります。  この際、衆議院に対しては次の点を要望しておきたいのであります。  消費税廃止関連法案が本院で成立し、衆議院に送付されましたならば、会期末を控えた現状からは成立させることができないのならば継続審議のお取り扱いを願いたいのであります。  申し上げるまでもなく、衆議院では、消費税に関しての民意を問う総選挙での洗礼を受けておられないのであります。憲法上、国会法上問題はないとしても、国民が日々の生活の上でかつて経験したことのない消費税に直面し、参議院選挙では消費税にノーの答えを出し、これを受けて現に本院の意思として消費税廃止関連法案がまさに成立しようという段階にある以上、衆議院解散、総選挙が目前に控えているとはいえ、単に審議未了という手続の問題ではなく、消費税廃止関連法案参議院成立を厳粛に受けとめた形での衆議院の真摯な対応を求めたいのであります。  最後に、八名の発議者におかれましては、さまざまな制度的、物理的ハンディがあったにもかかわらず、議員立法の難しさの中で、参議院通常選挙での公約である消費税廃止を見事に果たされようとしておられますことは、議会制民主政治を守った参議院として議会史上永遠に記憶されるべきものであり、連合参議院の総意として深く敬意を表し、私の賛成討論を終わります。(拍手
  14. 小野明

    ○副議長(小野明君) 三治重信君。    〔三治重信君登壇拍手
  15. 三治重信

    ○三治重信君 私は、民社党スポーツ国民連合を代表して、ただいま議題となっております消費税法廃止する法律案を初めとする九法案原案修正案を一括して、賛成立場から討論を行うものであります。  九法案野党会派による議員提案であります。与党自民党委員会委員全員が質問するという従来にない審議が行われたことは、参議院に画期的な変化をもたらしたものであります。本来の立法府審議の一つの型かもしれません。参議院に活性化をもたらしました。    〔副議長退席、議長着席〕  さて、九法案に対する賛成の第一の理由は、国民が強く求めた自民党選挙公約違反の消費税廃止が盛り込まれている点であります。  国民は、さきの参議院議員選挙で、消費税ノーという審判を下したのであります。民社党は、綱領でも明らかにしているように、議会制民主主義に立脚した経済社会改革を着実に進めることを党是としております。すなわち、国民民意を反映させていくことこそ政治の基本だと考えているものであります。しかるに自民党は、みずからの公約を破り、強行採決を図り、欠陥矛盾に満ちた消費税の導入を強行した事実を隠ぺいいたし、国民消費税反対するのは彼らの理解不足によるものと強弁する始末であります。法案成立後わずか二カ月後の四月から施行に踏み切ったのは、国民に理解を得られる時間不足は当然ではないのか、なぜ強行を急いだのか。消費税を理解できない国民が悪いとする論理は本末転倒で、このような政府自民党態度は絶対に容認することができないのであります。  これまで自民党は、各種の世論調査では消費税廃止より見直しを求める声の方が多いと宣伝してきました。しかし、十二月一日に自民党消費税抜本的見直し案の骨子が発表されました。国民はこの見直し案を見て、また自民党にだまされたと怒りをぶちまけています。それは、消費税食料品非課税ですら完全に改正できない実態であるからであります。自民党は、難航に次ぐ難航の末ようやく見直し案をまとめたわけですが、その内容は、抜本的見直しからほど遠く、小手先のものであります。消費税の簡易課税免税点の高さ等により、納められた消費税が国庫に納められぬ額が四千八百億円もあると指摘されながら、手をつけておりません。一カ年以上経過しないと実態がわからないとの理由であろうと考えられます。政府税制調査会も早急な見直しは考え物だとの中間答申が行われております。それならば抜本的改革ができるわけがないのであります。総選挙対策のための見直し案だと指摘せざるを得ません。  食料品には生産、流通段階で一・五%の課税をし、小売段階非課税とする案で本当に食料品の価格は下がるでしょうか。殊に生鮮食料品の価格の上下は、需要供給の変化による変動の方が強いのであります。私は、物価が下がるという保証は何一つない、こう思うのであります。小売の範囲はどうするのでしょうか。小売業者の登録認定制度というものを創設するようなことが言われておりますが、新たな混乱や不公平をもたらすことは必至であります。食料品の定義もいまだ不明確ではありませんか。持ち帰り弁当はどうなるのか、食品と食品以外をセットにした贈答品の価格設定はどうなるのか、全く不明であります。これでは、事業者はもちろんのこと、消費者の反発するのも当然だと考えられるのであります。  特に、小売店の事務は複雑になると言わざるを得ません。食料品以外の品物も扱うスーパーなどの小売業者は、仕入れや小売で課税非課税を仕分けする必要があり、新たにレジのプログラムを組みかえたり、食品と他の品物を処理するため、二枚のレシートを出したりする必要に迫られるとも指摘されております。  賛成の第二の理由は、消費税廃止のための最小限の代替財源が盛り込まれているという点であります。  法人税の基本税率の引き下げ凍結、有価証券譲渡益課税の適正化、物品税など旧間接税の復元等が盛り込まれております。あくまでも二年間を目途とした暫定的なものであり、おおむね妥当なものと考えます。  これに比べますと、自民党見直し案は、その減収額一兆二千億円の代替財源は何ら示されていないのであります。消費税が減収となれば、地方交付税、地方譲与税も減収となるわけでありますが、地方財政への手当てについても全く論じられておりません。政府は、さきの税制改革で二兆六千億円の減税超過分を自然増収で賄っているにもかかわらず、我が党を初めとする野党案の自然増収の代替案について非常な非難をしておりますが、そこまで主張するならば、自民党消費税見直しによる減収額を増税によって賄う以外に道はないのではありませんか。  賛成の第三の理由は、税制改革基本法案によって今後の税制改革やり直しの方向が明確に定められている点であります。  国民の税に対する不公平感、重税感を解消し、国民が潤いとゆとりのある生活が送れるよう抜本的税制改革を進めていく必要があると主張している点であります。しかし、税制改革は二十一世紀に向けての最重要課題であるだけに、政府自民党消費税導入を強行したときのような拙速なやり方を絶対繰り返してはいけません。  政府自民党も抜本的消費税見直し主張したにもかかわらず、選挙対策上の小手先の見直しなのです。この際政府自民党も、自然増収が七兆円も予想される現在、五兆円もの追加予算案のようなばらまきをやめて、消費税の撤回すなわち廃止に賛同されて、早急に抜本的見直し、すなわちやり直しに同調されて、最終的な税制改革に各党がこぞって取り組むことこそが国民に対する義務だと考えるものであります。  いかにして国民合意を形成するか、どのような手順で税制改革に着手するのか、これらの問題を明らかにした上で行財政改革の中期計画、高齢化社会の福祉ビジョン等を策定し、公平公正な税体系を構築していくことが生活先進国づくりへの第一歩であることを主張して、私の賛成討論を終わります。(拍手
  16. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  17. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これより採決をいたします。  まず、消費税法廃止する法律案消費譲与税法廃止する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案を一括して採決いたします。  表決は記名投票をもって行います。  三案の委員長報告はいずれも修正議決報告でございます。  三案を委員長報告のとおり修正議決することに賛成諸君は白色票を、反対諸君は青色票を、御登壇の上、御役票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  18. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  19. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  20. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百四十七票   白色票           百三十六票   青色票            百十一票  よって、三案は委員長報告のとおり修正議決されました。(拍手)      ―――――・―――――   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      百三十六名       会田 長栄君    青木 薪次君       赤桐  操君    穐山  篤君       一井 淳治君    糸久八重子君       翫  正敏君    稲村 稔夫君       岩本 久人君    上野 雄文君       小川 仁一君    及川 一夫君       大渕 絹子君    大森  昭君       梶原 敬義君    粕谷 照美君       菅野  壽君    喜岡  淳君       北村 哲男君    久保  亘君       久保田真苗君    日下部禧代子君       國弘 正雄君    栗村 和夫君       小林  正君    小山 一平君       佐藤 三吾君    清水 澄子君       篠崎 年子君    庄司  中君       菅野 久光君    鈴木 和美君       瀬谷 英行君    田渕 勲二君       竹村 泰子君    谷畑  孝君       谷本  巍君    種田  誠君       千葉 景子君    対馬 孝且君       角田 義一君    田  英夫君       堂本 暁子君    西岡瑠璃子君       西野 康雄君    野田  哲君       野別 隆俊君    浜本 万三君       肥田美代子君    深田  肇君       福間 知之君    渕上 貞雄君       細谷 昭雄君    堀  利和君       前畑 幸子君    松前 達郎君       松本 英一君    三上 隆雄君       三石 久江君    村沢  牧君       村田 誠醇君    本岡 昭次君       森  暢子君    八百板 正君       矢田部 理君    安恒 良一君       安永 英雄君    山口 哲夫君       山田 健一君    山本 正和君       吉田 達男君    渡辺 四郎君       猪熊 重二君    及川 順郎君       太田 淳夫君    片上 公人君       刈田 貞子君    黒柳  明君       木庭健太郎君    塩出 啓典君       白浜 一良君    高木健太郎君       高桑 栄松君    常松 克安君       鶴岡  洋君    中川 嘉美君       中西 珠子君    中野 鉄造君       広中和歌子君    三木 忠雄君       峯山 昭範君    矢原 秀男君       和田 教美君    諫山  博君       市川 正一君    上田耕一郎君       小笠原貞子君    神谷信之助君       沓脱タケ子君    近藤 忠孝君       高崎 裕子君    立木  洋君       橋本  敦君    林  紀子君       山中 郁子君    吉岡 吉典君       吉川 春子君    粟森  喬君       井上 哲夫君    池田  治君       磯村  修君    乾  晴美君       笹野 貞子君    新坂 一雄君       高井 和伸君    中村 鋭一君       古川太三郎君    星川 保松君       山田耕三郎君    足立 良平君       猪木 寛至君    勝木 健司君       小西 博行君    三治 重信君       田渕 哲也君    寺崎 昭久君       橋本孝一郎君    今泉 隆雄君       喜屋武眞榮君    下村  泰君       西川  潔君    平野  清君       宇都宮徳馬君    小野  明君       紀平 悌子君    櫻井 規順君     ―――――――――――――  反対者(青色票)氏名      百十一名       青木 幹雄君    井上 吉夫君       井上 章平君    井上  孝君       井上  裕君    伊江 朝雄君       石井 一二君    石井 道子君       石川  弘君    石原健太郎君       石渡 清元君    板垣  正君       岩崎 純三君    岩本 政光君       上杉 光弘君    遠藤  要君       小野 清子君    尾辻 秀久君       大河原太一郎君    大木  浩君       大島 友治君    大城 眞順君       大鷹 淑子君    大塚清次郎君       大浜 方栄君    合馬  敬君       岡田  広君    岡野  裕君       岡部 三郎君    長田 裕二君       加藤 武徳君    狩野 明男君       鹿熊 安正君    梶原  清君       片山虎之助君    鎌田 要人君       川原新次郎君    木宮 和彦君       北  修二君    久世 公堯君       沓掛 哲男君    熊谷太三郎君       倉田 寛之君    木暮 山人君       後藤 正夫君    佐々木 満君       斎藤栄三郎君    斎藤 十朗君       斎藤 文夫君    坂野 重信君       山東 昭子君    清水嘉与子君       下稲葉耕吉君    下条進一郎君       陣内 孝雄君    須藤良太郎君       鈴木 省吾君    鈴木 貞敏君       世耕 政隆君    関口 恵造君       田沢 智治君    田代由紀男君       田中 正巳君    田辺 哲夫君       田村 秀昭君    高木 正明君       高橋 清孝君    竹山  裕君       谷川 寛三君    名尾 良孝君       中曽根弘文君    中西 一郎君       中村 太郎君    仲川 幸男君       永田 良雄君    永野 茂門君       成瀬 守重君    野沢 太三君       野村 五男君    長谷 川信君       服部 安司君    初村滝一郎君       鳩山威一郎君    林田悠紀夫君       原 文兵衛君    平井 卓志君       福田 宏一君    藤井 孝男君       藤田 雄山君    二木 秀夫君       前島英三郎君    前田 勲男君       松浦  功君    松浦 孝治君       宮崎 秀樹君    宮澤  弘君       向山 一人君    村上 正邦君       本村 和喜君    守住 有信君       森山 眞弓君    柳川 覺治君       山岡 賢次君    山崎 竜男君       山本 富雄君    吉川  博君       吉川 芳男君    秋山  肇君       野末 陳平君    横溝 克己君       沢田 一精君      ―――――・―――――
  21. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 次に、税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案及び物品税法案を一括して採決いたします。  三案の委員長報告はいずれも修正議決報告でございます。  三案を委員長報告のとおり修正議決することに賛成諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  22. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 過半数と認めます。  よって、三案は委員長報告のとおり修正議決されました。(拍手)  次に、通行税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案を一括して採決いたします。  三案に賛成諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  23. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 過半数と認めます。  よって、三案は可決されました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十一分散会