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1989-11-08 第116回国会 参議院 本会議 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月八日(水曜日)    午前十時二分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第六号   平成元年十一月八日    午前十時開議  第一 所得税法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、元議員岩間正男君逝去につき哀悼の件  一、特別委員会設置の件  一、消費税法廃止する法律案消費譲与税法廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案趣旨説明)  以下 議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これより会議を開きます。  さきに院議をもって永年在職議員として表彰されました元議員岩間正男君は、去る一日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。  つきましては、この際、院議をもって同君に対し弔詞をささげることといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 御異議ないと認めます。  同君に対する弔詞を朗読いたします。    〔総員起立〕  参議院わが国民主政治発展のため力を尽くされ特に院議をもって永年の功労を表彰せられました元議員岩間正男君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます      ─────・─────
  4. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) この際、特別委員会設置についてお諮りいたします。  税制改革に関連する諸法案を審査し、あわせて税制に関する諸問題等を調査するため、委員四十五名から成る税制問題等に関する特別委員会を、  また、土地問題及び国土利用に関する対策樹立に資するため、委員三十名から成る土地問題等に関する特別委員会を、 それぞれ設置いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 御異議ないと認めます。  よって、税制問題等に関する特別委員会及び土地問題等に関する特別委員会設置することに決しました。  本院規則第三十条により、議長は、議席に配付いたしました氏名表のとおり特別委員を指名いたします。      ─────・─────
  6. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) この際、日程に追加して、  消費税法廃止する法律案消費譲与税法廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案について、発議者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 御異議ないと認めます。久保亘君。    〔久保亘登壇拍手
  8. 久保亘

    久保亘君 ただいま議題となりました消費税法廃止する法律案外八法律案は、公明党・国民会議峯山昭範君、太田淳夫君、連合参議院笹野貞子さん、民社党・スポーツ・国民連合勝木健司君並びに日本社会党護憲共同の佐藤三吾君、梶原敬義君、小川仁一君及び久保亘の八名によって発議し、発議者の属する四会派並びに参院クラブと一部無所属議員の賛同のもとに参議院に提出されたものであります。  私は、提案者を代表して、これら九法案について提案理由法律案概要について御説明いたします。  まず、消費税廃止を求める理由について申し上げます。  言うまでもなく、議会制民主主義基本は、国民意思を尊重し、選挙における公約を誠実に履行することにあります。しかるに、消費税は、公約違反大型間接税であり、一度たりとも民意に問うことなく、国会において十分な審議も行わないまま強行採決によって成立し、国民合意なき大増税として実施段階に入りました。政府は、消費税高齢化社会と結びつけて国民理解を得ようとしていますが、あるべき社会保障制度具体像を示し得ず、逆に年金改悪案に象徴されるように、福祉の後退すら提案しているのであります。  去る七月二十三日行われた参議院通常選挙は、現実のものとなった消費税の存廃を最大の争点として戦われました。すなわち、自由民主党見直しによる存続を、野党廃止して再改革を、それぞれ公約としたのであります。その結果、見直し存続を主張した自民党は、比例代表選挙において二七%の支持しか得られず、国民意思は明確となったのであります。  昨年十一月十日、消費税強行採決最初の舞台となった衆議院税制改革特別委員会委員長であった自民党金丸信君は、参議院選挙の結果に対し消費税はリコールされたとの認識を表明し、金丸君の意を受け、委員長席にあって強行採決を指揮した海部俊樹首相は、強行採決に至ったことを参議院予算委員会において国民に謝罪しました。この認識や謝罪を具体的にどうあらわすか、今、政府与党国民に厳しく問われているのであります。  政府与党の中には、参議院選挙の結果を国民理解不足に転嫁しようとする意見がありますが、この認識誤りこそ議会制民主主義を危うくするものと言わなければなりません。国民は、実施段階に入った消費税内容を知れば知るだけ強く廃止を求めているのであります。  第一に、食料品等消費者の選択の余地の少ない生活必需品への課税によって逆進性が如実にあらわれ、年金生活者を初め低所得者への過重な税負担として新たな格差を広げ、不公平感を拡大し、所得配分機能の低下を招いています。  第二に、最近の総理府世論調査でも明らかなように、便乗値上げが発生する一方、下請、零細企業等においては重い負担となり、価格転嫁が機能しておりません。  第三に、簡易課税免税点制度等において、事業者が預かっている消費者が確かに負担した多額の税金が国庫に入らないだけでなく、大企業等において巨額の運用益が生ずることが明らかとなっています。  第四に、独占禁止法の骨抜きによってカルテルが公然と横行しています。  第五に、行財政、とりわけ地方自治体の行財政に多くの混乱と実害を与えております。  第六に、以上を含めて、竹下首相が表明した九つの懸念は何一つ解消せず、現実化しているのであります。  国民は、消費税成立手続において議会制民主主義に反し、その内容において租税民主主義に逆行するものとして廃止を求めているのであります。あまつさえ、最高社会正義が要求される税制が、リクルート疑惑のごとき不正義の権力によって提起され、強行されたことを国民は決して許さなかったのではないでしょうか。  今、政府与党は、みずから参議院選挙公約としただけでなく、選挙の結果を受けて思い切った見直し首相公約としながら、全くその内容を明らかにせず、野党廃止法案批判に終始していることはまことに遺憾であり、まさに政権党の資格を失うものと言わなければなりません。見直し選挙公約とすること自体、消費税の欠陥を認めたものであり、二重の公約違反によって政治不信を招くことがないよう速やかに見直し案提案し、徹底した論議を尽くして国民の声にこたえなければなりません。しかし、抜本的、思い切ったと言いつつ、自民党見直し案は、その実態が明らかになれば必ず国民を失望させるに違いありません。したがって、直ちに消費税廃止し、税制改革方向を明らかにした上で衆議院を解散し、総選挙国民の審判を仰ぐべきであります。  次に、国民の求めている税制改革についてであります。  今日、国民の間に高まっている税の不公平感重税感は、シャウプ税制理念を忘れて、我が国税制を不公平なものに変貌させた歴代自民党政府責任に帰せられる面が小さくありません。国民は、民主的で公正公平な税制を確立するため、直接税を中心とする総合課税税制の根幹に置くことによって、所得と富の社会的再配分機能を向上させるシャウプ税制理念を正しく生かすことを求めているのであります。不公平感重税感を生み出している根源に迫ることなく、ひたすら消費税に結びつける政府自民党税制改革の手法は、まさに羊頭狗肉のたぐいとして国民を欺くものであります。物品税矛盾不合理をあげつらって、消費税導入の口実とするやり方も同様であります。  能力に応じた負担によって所得と富の再配分社会的に行う税の理念に従えば、物品税消費税よりもすぐれており、水平的公平を掲げて悪平等を強制する消費税とは全く税の理念を異にするものであります。しかも、物品税の持つ矛盾は、今日までの歴史の中でさまざまな圧力、思惑の中で政策的に生み出された矛盾であり、社会経済変化に適応できていない点は政策の貧困に帰せられるのであって、消費税物品税よりすぐれた税制と見るのは誤りであります。  我が国税制改革は、今日まで長期に続く自民党政権のもとで、政権維持のための歳出を確保する財源調達の手段とされてきました。しかも、改革は、強者の論理に立って進められ、取る側の都合で検討されてきました。今国民は、大平内閣以来の大型間接税をめぐる長い論議の中で、納税者である主権者の立場から、税を納める側の論理、弱者の論理として主張してきたのであります。そして、国民不在大型間接税導入の試みを主権の行使によって阻止してきました。中曽根政権売上税もまた例外ではありません。しかし、国民の信を一度も問うたことのない竹下政権によって消費税は強行され、現実のものとなったのであります。  この暴挙に対する国民の一票一揆が、今日、参議院与野党逆転をもたらしたのであります。国民は、税制改革のやり直しを求めました。ここに、私たちは、民意の赴くところに従い、参議選挙公約を誠実に履行すべく消費税法廃止する法律案を初め九法案を提出し、その成立のために全力を尽くす決意を明らかにするものであります。  次に、法律案概要について御説明いたします。  九法案は、その性格上三つに大別されます。一つ消費税廃止に関する三法案であり、二つ目消費税廃止を踏まえて税制改革を行うことについての基本法案であり、三つ目は、再改革に至るまでの間、消費税にかわる財源確保に資するための五法案であります。  最初に、消費税法廃止する法律案外二法律について御説明いたします。  消費税法廃止する法律案は、消費税がその成立手続においても内容においても国民理解合意を全く得られていない現状にかんがみ、これを平成二年三月三十一日限りで廃止しようとするものであります。  消費譲与税法廃止する法律案は、消費税法廃止に伴い、消費譲与税法がその基礎を失うことになるため、同法を廃止しようとするものであります。  地方交付税法の一部を改正する法律案は、消費税法廃止に伴い、地方交付税対象税目から消費税を削除しようとするものであります。  以上三法案については、いずれも必要な経過措置を定めております。なお、以上の措置に伴う減収額は平年度約五兆九千四百億円と見込まれます。  次に、税制改革基本法案についてであります。  本法律案は、消費税廃止を求める国民意思にこたえるとともに、不公平税制是正を初め、公正公平な税制の実現のため、国民理解合意のもとに税制改革を確実かつ円滑に進めることに資するために、税制改革趣旨環境整備基本原則及び基本方針を定めようとするものであります。同時に、再改革の具体的な手続として、国民税制改革協議会設置することといたしております。  第一に、税制改革趣旨でありますが、消費税廃止されることを踏まえ、国民合意信頼の上に、改めて我が国の現在及び将来の経済社会に対応する税制を確立しようとするものであります。  第二に、税制改革のための環境整備であります。  再改革国民理解され、確立される税制国民信頼を得るためには、行財政改革が一層推進されること、社会保障に関する総合計画が策定され、高齢化社会における社会保障国民負担のあり方について国民合意形成が図られること等の環境整備がなされなければならないとするものであります。  第三に、税制改革基本原則であります。  それは、一つには民主的手続による国民合意に基づくこと、二つには税負担の公正公平を確保すること、三つには総合課税主義基本とする応能負担原則を重視しつつ応益負担にも配慮し、直接税を主、間接税を従として、所得資産消費等の均衡ある税体系構築を図ること、四つとして、安定した地方財政の確立を図り、分権、自治の発展に資すること、五つとして、税制社会的再配分機能の向上に配慮して、活力ある福祉社会を支える税制を目指すこと。以上を五原則といたしております。  第四に、税制改革基本方針であります。  まず、各種特例措置抜本的整理合理化納税環境整備等により、税負担の不公平を払拭しようとするものであります。所得税については、国民プライバシー保護に十分留意し、国民合意前提にした納税者番号制度を検討することなどにより、総合課税を一層推進することを基本に軽減、簡素化を目指し、法人税体系国際化経済構造変化に対応する合理化適正化を進めることといたしております。また、土地を初めとする資産性所得課税資産課税適正化個別間接税整理合理化及びサービス、流通に対する適正課税の検討によって、所得資産消費等に対する均衡のとれた税体系構築を目指しております。  第五に、国民税制改革協議会設置であります。  国民の参加と合意に基づく税制改革を実現するため、学識経験者及び国民各層代表者の中から国会の承認を受けた五十名以内の委員国民税制改革協議会設置し、二年を目途に税制改革原則方針に従い、具体的措置を調査審議することといたしております。その結果を内閣国会報告し、内閣国会は、速やかに報告に基づく所要措置を講じて税制改革を行うものであります。  なお、本法律案附則において、現行税制改革法廃止することといたしており、この法律の施行に必要な費用は平年度約八千万円を見込んでおります。  続いて、消費税廃止に伴う代替財源確保に資する五法案について御説明いたします。  本来、選挙で明らかになった国民多数の意思に基づいて、消費税政府与党の手によって廃止され、代替財源もまた、財政全体の中で調整すべき責務を政府は有しているのであります。議会廃止立法に基づき、予算を編成し国会に提出することは内閣固有責任として憲法七十三条に明らかにされております。もし政府与党において、消費税廃止されれば国家財政責任を持てないというのであれば政権を放棄すべきであります。  私たちは、自民党にかわって代替財源を提示しているのではありません。国民に対して政策責任を明らかにするため代替財源を示しているのであります。また、野党代替財源案に対し密室協議との批判が行われていますが、私たち協議はその都度公開され、国民各層批判意見を謙虚に受け入れることによってまとめられ、合意に基づいて提案されているものであり、政府与党がみずから公約した見直しのポイントすら明らかにせず、完全な密室の中にあることこそ強く批判されなければなりません。  さらに、政府税制改革は本建築であり、野党の再改革構想仮設建築であって無責任とする論議がありますが、不法に建てられ、国民に入居を強制し、一方的に家賃を決める押しつけの税制改革国民は自分の住む建築物として認めていないのであります。一たん撤去の上、再構築の間、国民の求める改革方向に沿いつつ、再改革を行うまでの暫定的財源措置を講ずることは国民に対する私たちの当然の責任考えるのであります。  消費税廃止に係る代替財源法案五つ法律案から成っており、代替財源としては、法律案によらず政令改正に基づくもの、財政全体の調整の中で、歳入の見積もりを適正に行うことによって財政に寄与するものを含めて措置することにより、消費税廃止に伴う税収減は何ら財政上の問題は生じないのであります。  まず第一に、法人税法等の一部を改正する法律案は、所得税について、有価証券譲渡益課税における源泉分離課税のみなし譲渡利益率五%を七%に引き上げ、これによって譲渡額現行一%の税負担を一・四%とするとともに、有価証券取引税について株券等譲渡価額に対する税率を〇・三%より〇・四%に改めるなど税率の引き上げを行っております。  また、土地譲渡所得課税のうち、長短区分保有期間を五年から十年の本則に戻し、また超短期譲渡所得に係る特例を延長することといたしております。  法人税におきましては、平成年度に三七・五%に引き下げられる予定の法人税率の引き下げを凍結し、現行の四〇%を維持することとするほか、貸倒引当金繰り入れ率を三年で三分の一程度圧縮すること、賞与引当金については、廃止前提としつつ二年間で二〇%圧縮する等の引当金制度改正を行うものであります。  また、受取配当益金不算入の割合現行八〇%から二年間で六〇%にすることといたしております。  さらに、外国税額控除制度につきましては、その計算上、国外所得限度割合を九〇%から八〇%に改めることといたしております。  なお、貸倒引当金圧縮措置外国税額控除制度におきます国外所得限度割合につきましては、政令により定められており、私どもの提案趣旨を踏まえて適切に対処されるよう、行政府に対して要請いたします。  相続税贈与税におきましては、それぞれ最高税率七五%を復活いたしております。  そのほか、酒税では、清酒アルコール分十五度以上十六度未満、一キロリットル当たり税率を十三万三千七百円から十六万六百円に改める等の措置を講ずるとともに、たばこ税では、製造たばこ千本当たり税率を三千百二十六円から三千二百八十六円に改める等の措置を講じ、消費税廃止後も、酒、たばこにおいてその税負担額が変わらないよう調整をいたしております。  第二に、通行税法案についてでありますが、航空機の旅客運賃等課税標準とする税率一〇%の通行税を五%の税率復元し、別途、租税特別措置法により、離島等特例税率旧五%は三%といたしております。納税義務者は乗客とし、徴税義務者旅客運送事業者等であり、料金とともに税金分を徴収し、国に納付することとしております。  第三に、物品税法案は、旧物品税と同品目課税対象とする物品税復元であります。ダイヤや毛皮といった旧物品税小売段階課税されます第一種品目、一五%、一〇%のものについては、それぞれ小売価格課税標準とし、ダイヤ等は一〇%、じゅうたん等は八%の税率としております。納税義務者販売業者であり、国に申告納付することとしております。  製造段階課税されます自動車、家電製品などの第二種品目については、三〇、二〇、一五、一〇、五%の旧物品税原則段階税率を、製造出荷価格課税標準とし、八%、六%、四%の三段階課税調整した上で復元しております。納税義務者製造者であり、国に申告納付することといたしております。  第四に、入場税法案は、劇場等入場に対し課税し、その入場料金に、税率一〇%の旧入場税を五%の税率復元いたしております。また、免税点として、映画二千円、演劇等五千円等を設けております。納税義務者興行場経営者等であり、国に申告納付することといたしております。  最後に、地方税法の一部を改正する法律案は、地方税におきまして電気税ガス税等復元をいたしております。電気税は、課税標準電気料金に、旧電気税率五%を調整して、免税点を三千六百円のままとし、三%の税率により課税し、納税義務者電気使用者とし、その納税方法は、電力会社料金とあわせて徴収し、市町村に申告納入する等としております。ガス税は、課税標準ガス料金に対し、旧免税点月額一万二千円を復活の上、二%の税率課税するものであります。納税義務者ガス使用者とし、その納税方法は、ガス会社料金とあわせて徴収し、市町村に申告納入する等としております。  また、特別地方消費税を改め、飲食及び宿泊等利用行為料金課税標準とし、宿泊一万円、飲食五千円の免税点はそのまま据え置く等の措置を講じ、料理飲食等消費税を一〇%の税率復元しております。納税義務者はその利用行為者であり、納税方法は、飲食店経営者等料金とあわせて徴収し、都道府県に申告納入する等といたしております。  なお、ゴルフ場利用税を改め、娯楽施設利用税を旧フレーム、税率で復活いたしております。ゴルフ場等に係る税率の例では、一人一日千百円であります。納税義務者はその施設利用者であり、納税方法は、施設経営者等料金とあわせて徴収し、都道府県に申告納入する等といたしております。  そのほか、道府県たばこ税税率を千本につき千百八十六円に、市町村たばこ税税率を千本につき二千百円とし、たばこ税消費税廃止に伴う調整を行っております。  附則改正におきましては、国税における改正に伴う道府県民税市町村民税及び事業税所要改正等を行っております。  これら五法律案等によって得られます平年度税収の増は、おおむねキャピタルゲイン課税等適正化で約六千二百五十億円、法人税課税改革で約一兆三千八百億円、相続税等税率改正で約七十億円、物品税等間接税等関係で約一兆二千六百億円、地方間接税関係で約六千億円及び国税改正による地方税のはね返り約三千五百億円と見込んでおりますが、そのほか、税収見積り是正適正化の一部を制度改正で代替されない消費税廃止に伴う減収分約一兆七千億円を充当し、消費税廃止に伴う減収を補てんする考えであります。  以上、九法案提案理由及び内容を申し上げました。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。(拍手)     ─────────────
  9. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。大鷹淑子君。    〔大鷹淑子登壇拍手
  10. 大鷹淑子

    大鷹淑子君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました四野党提出に係る消費税廃止する法律案外八件について、発議者及び大蔵大臣に対し質問を行うものでございます。  今、国民は、与野党逆転下の新しい参議院の行方に極めて深い関心と期待を寄せています。その本格的な試金石となる消費税廃止法案審議がいよいよ開始されます。  本件は、単に逆転下初与野党対決という次元のものではなく、二十一世紀の高齢化社会日本国際化にとって極めて重要な意味を持つだけに、その審議当たりましては、与野党間で徹底的に論議を深め、国民にわかりやすい国会審議する国会を目指すべきであります。どうか、発議者におかれましては、国民が納得できるよう明確にお考えを示されたくお願いいたします。  そこで、今回の消費税廃止法案等野党四派の共同発議によるものにかんがみ、まず、野党連合政権構想について伺います。  参議院選挙を前にして本年四月七日、京都市で、社会、公明、民社、社民連の野党四党首が集まられ、華々しく野党連合政権構想を発表されました。しかしながら、その後の推移はどうなりましたでしょうか。もともと、立党の精神、思想、信条のほか、重要な基本政策である防衛、外交、原子力など、政治志向政策対応が大きく異なる政党同士が、急ごしらえ、にわか仕立て連合政権構想をもくろんでも、それが無理なことは当初から予想されていたところであります。  一昨日、四党書記長会談が行われておりますが、最近社会党は、新宣言を初めとして、党幹部の提言や基調報告において、かつての党の基本路線を変更して、殊さらに自由主義を強調したり、西側の一員に立つなどの言辞を発表していますが、私たちとしては、本当に責任を持っての発言なのか、既存政策との整合性をどう図るのであろうか、その実効性の担保をどうするのか等々について疑問を感ずるのであります。社会党はこれらについてどのような考え方で連合政権構想を進められようとしているのか伺います。  一方、公明党、民社党は、これら社会党の動きに同調せず、独自性を主張されている向きでありますが、この構想をどう受けとめ、今後具体的にどう進めていくのか。特に、この連合政権構想を進めるに当たって最も重要な日米安保条約、自衛隊、対韓政策、原子力発電について、各会派の考え方をそれぞれ明示していただきたいのであります。  さて、今回の野党案では、まず消費税廃止し、二年後に税制の再改革を行うことが主張されていますが、そこには、あるべき税制の具体的なビジョンを示しもせず、ただ単にあのゆがみ、ひずみの生じていた改革前の税制に戻そうとしているにすぎません。二年後の税制改革が一体どうなるかは、新設するという国民税制改革協議会を隠れみのにしてすべてをゆだねてしまっております。当てもなく税制が変更されて迷惑をこうむるのは国民ではないでしょうか。こうした野党法案は、まさに拙速な密室協議の産物であり、しかも、中身を見れば見るほど多大の矛盾を含むものでありまして、私たちとしては全く容認できるものではなく、我が党は消費税廃止に絶対反対であります。  抜本的な税制改革の実現は、私たちの長年の懸案事項でありました。これは、働き盛りの中堅サラリーマンを中心とした重税感不公平感を解消するための思い切った所得減税、特定の物品だけに偏って重い負担を課していた個別間接税のゆがみの是正など、従来の税制の抱える諸問題を解消するためであります。  また、我が国は世界にかつて例がないスピードで高齢化が進んでいます。現在働き盛りの四十歳から五十歳の皆様が、今から三十年後の二〇二〇年にはピークに達する超高齢化社会の中で、今度は支えられる側になっているのです。そうしたときに、経済社会の活力を損なうことなく、揺るぎない社会保障制度、安心のいく老後生活を築いていくために、今、国民全体で広く負担を分かち合う制度が必要であります。消費税は、こうした従来の税制の不公平を解消し、将来の長寿社会に備えるための抜本的税制改革の柱であり、これにより、直接税偏重の税制是正されるのであります。  まず、私は、我が国の将来を支える消費税をなぜ廃止するのか、野党主張の根拠を明らかにしていただきたいと思います。  衆参両院の予算委員会の論戦や、先ほど行われた消費税廃止法案等趣旨説明を聞く限り、野党の主張は、消費税内容に関する的外れな批判を除けば、衆議院選挙における公約違反税制国会における強行採決参議院選挙における民意と称する三点、つまり消費税成立手続に重点が置かれているように思います。  しかし、今回の消費税は、昭和六十二年四月二十三日、原衆議院議長あっせん、すなわち、「直間比率の見直し等今後できるだけ早期にこれを実現できるよう各党協調し、最大限の努力をはらうこと。」との裁定を、共産党を除く与野党幹事長、書記長が了承し、これを受けて我が党が消費税導入を決定し、政府提案し、制定されたものであって、野党の言う公約違反のそしりを招くものでは決してありません。私は、手続ではなく、税制のあり方として廃止しなければならない理由がどこにあるのか、発議者に伺いたいのであります。  ついては、この際、さきの税制国会において公約違反理由として審議を拒否した社会党公約について触れてみたいと存じます。  社会党公約について勉強しようとしましたが、いろいろな文章が公表されており、何が公約で何が公約でないのか、どの文書を読めば現在における社会党の政治理念、立場、主張を的確に理解できるのかよくわかりません。したがって、その公約に書かれている内容の是非を議論する以前の問題として、次の文書が現在の社会党理念や主張を公式に示すものかどうか、社会党に伺いたいと思います。  一、日本社会党綱領、二、日本における社会主義への道、三、新宣言、四、中期社会経済政策、五、伯仲新時代へ、六、消費税廃止税制改革プログラムの提案、七、新しい政治への挑戦、以上であります。お答えはイエスかノーだけで簡単にお聞かせいただければ結構であります。  さらに、公明党、民社党、連合参議院には、社会党の回答のとおりに理解しているのかどうか、明らかに願いたいのであります。  さて、最近の消費税をめぐる幾つかの世論調査を見ると、存続見直しを求める声が廃止をかなり上回っております。我が党は、消費税法実施以来七カ月、幾つかの点で問題があることを謙虚に認め、今月中にはその骨格が示せるよう税制調査会で真剣な見直し作業に入りました。野党国民の声を率直に聞くなら、過去の経緯にとらわれず、消費税廃止ではなく、むしろ内容見直し提案することが国民の意向に沿うものではないかと思います。私たちは、来るべき二十一世紀の社会を展望し、所得、消費、資産について望ましい税制のあり方を求め、その一環として消費税を導入し、税制改革を実現いたしました。消費税だけを取り出し廃止するのは、我々が意図した所得、消費、資産への均衡ある課税を崩すものとなり、税体系上からも到底消費税廃止を容認するわけにはまいりません。  野党は、消費税を否定されるのなら、私たちが行った税制改革全体を否定し、消費税とセットで導入された直接税の減税五兆八千億円及び既存間接税廃止等による三兆四千億円、合計九兆二千億円に及ぶ大減税も取りやめよと主張するのが筋だと思います。しかし、野党提案を見ると、政府提案の増税の消費税は拒否するが減税だけはいただくという内容となっています。こうした野党の主張は、論理が一貫しないばかりか、国民に対する甘い果実だけを横取りする無責任きわまる内容と言わなければなりません。これについての見解をお願いします。  次に、消費税廃止に伴う国民生活の混乱の問題について伺います。  消費税は、現実国会で議決され、しかも執行されております。これが仮に廃止となると大混乱が起こるのは避けられません。消費税導入当たり事業者は、機械の導入などさまざまな投資を行い、さらに一般には人員の増加など多額の費用をかけたことは事実であります。今までの消費税導入に対応した投資費用、人件費用は一体どうなるのでありましょうか、その具体的対策を伺います。  次に、発議者消費税廃止後二年をかけて税制改革を実現する提案をされておりますので、再改革に関し伺います。  まず伺いたいのは、税制改革内容それ自体についてであります。野党提案の再改革案は、不公平税制是正総合課税主義所得資産、消費への均衡ある税体系の確立の理念を掲げられていますが、改革する税制の具体的内容になると、「適正化」、「合理化」といったあいまいな表現であり、国民が知りたいと望む改革内容が極めて不明と言わざるを得ません。  そこで、不公平税制是正について伺います。  税負担の公平を確保すべきであるという主張それ自体はそのとおりだと思いますが、不公平是正というからには、税制のどこをどう直すかということを具体的に示さねば意味がありません。いかがでありましょうか。さらに野党は、医師税制、みなし法人課税、公益法人課税等の個々の制度を不公平として挙げていますが、野党は、これらの制度の是正措置として、具体的に医師、個人事業者、公益法人に対しどのような負担増を求めるのか、お答え願います。  次に、総合課税について伺います。  利子、株式売却益について公平な総合課税を実施するためには、税務職員の大幅増員と納税者番号制度の導入などによる所得の完全な把握が不可欠であります。野党案でも、こうした観点から納税者番号制度の導入を目指しているものと考えますが、国民に番号をつけて所得などを把握しようとする納税者番号制度の導入には、プライバシー問題等についての国民理解合意が必要であります。私は、率直に言って、納税者番号制度は、我が国における検討状況は甚だ不十分であるばかりか、世界的に見ても広く定着しているとは言いがたい制度だと理解しています。  十年以上の長期間にわたって国民的な議論を行ってきた消費税、世界じゅうで広く定着している消費税とは議論の熟し方において雲泥の差があります。現時点でこの問題についての国民合意が形成されていると考えているのか、二年あれば合意形成が図れると考えているのか、お答え願いたい。  また、所得資産、消費への均衡ある税体系構築個別間接税整理合理化とサービス、流通などに対する適正な課税がうたわれております。参議院選挙の際、我々は、野党消費税廃止の主張は耳が痛くなるほど聞かされました。しかし、野党の一部に物品税の改善とはあっても、サービス、流通などへの新たな課税を検討するとは、土井委員長初めどの野党の党首からも一切聞かされませんでした。国民も知らないと思います。  選挙以来わずか三カ月余、新型の間接税を今ここで検討とはいえ、提案されるなら、なぜ国民負担となる重大な税制について当時考えを発表されなかったのでありましょうか。サービス、流通などに対する適正な課税とは何かが国民の最も関心のあるところであり、それこそが消費税の対案ということになります。  私たち消費税は、生産から消費まで各流通段階に一律の低率課税を行いました。間接税として公平、簡素、中立の三点から見れば、これにまさるものはありません。二年後にどのような間接税を導入しようとしているのか、具体的に見解を伺います。  次いで、税制改革の進め方であります。  税制改革を実現するため、その調査審議を行う機関として国民税制改革協議会設置することとしておられます。政府は、従来、税制改革のみならず毎年の税制改正等に際し、広く国民意見を求めるため、国民各界各層の代表者、学識経験者の参加を求めて税制調査会を構成し、審議をゆだねてきました。そのとき必ず野党は、税制の重要なことば最高機関である国会において審議すべきであり、税制調査会は政府の隠れみのである旨の批判を浴びせました。そのような主張の野党が、なぜ再改革を実現するために国民税制改革協議会をつくる必要があるのでしょうか。消費税にかわる具体的代案をみずから示し、堂々と国会で議論すべきではありませんか。従来の主張と全く矛盾すると思います。いかがでありましょう  次に、消費税廃止代替財源案内容について伺います。  間接税については、物品税入場税電気税ガス税、料理飲食税などの個別間接税の復活が主張されていますが、消費のあり方や価値観が多様化し、消費の支出に占めるサービスの割合が半分を超えています。また、国際化が経済の隅々にまで及んでいる我が国の実情を見ると、物品税などの個別間接税制度のままでは、従来指摘されていたコーヒー、ゴルフは課税、紅茶、テニスは非課税といった個別間接税課税のアンバランスの是正やサービス課税の充実、さらには諸外国からのさまざまな批判にこたえることは困難であります。物品税矛盾があることは、従来は野党政府批判する際に主張してきたではありませんか。これらの欠陥税制を復活させるのはなぜか、お答え願います。  法人税については、税率の引き下げを取りやめ、基本税率を四〇%で据え置くとしていますが、主要諸外国は近年法人税率の引き下げを行っており、経済の国際化のもとで諸外国の動きを無視したまま高率の法人税負担を求めることが我が国経済の活力の低下を生じさせることは、識者のひとしく指摘するところであります。これは、外国企業の対日進出を阻害することにもなり、対外関係の観点からも問題となるのであります。さらに、企業によっては、雇用や設備投資等について中期的長期的な経営戦略を立てているところもあり、先般の改革で示された法人税制の将来的な姿を突然変更することは、企業活動に大きな混乱を与えかねないと思うのであります。これらの点について御意見を伺いたい。  新聞報道などを見ますと、二年間だけ我慢してほしいと述べておられますが、それでは二年後には予定どおり引き下げるのか、明確にしていただきたい。  特に奇異に感ずるのは、税の自然増収の取り扱いについてであります。消費税廃止代替財源というからには、消費税収六兆円に見合う税制改正案を用意すべきであります。それにもかかわらず四兆六千億円分のメニューしか用意できなかったので、つじつまを合わせるため、代替財源案では足りない一兆四千九十億円は税収の見積もり違いを直せば賄えると言い、さらに本日になって一兆七千億円に書き直してきたのであります。もし、税の自然増収を確信を持って補てん財源に活用する気なら、今後の税収見通しをきちんと明示し、歳出への振り分けなどを行った後、消費税の補てん財源に幾ら振り向けるという財政全体のフレームを提示しなければ、単なる願望にすぎず、どんぶり勘定の発想ではありませんか。しかも、仮に消費税代替財源に期待するほどの自然増収が生じなかった場合、赤字公債の増発を余儀なくされますが、そのときの責任をどう考えておられます  補てん財源の問題に限らず、野党の皆さんは、今回の提案に関し、よく二年の暫定措置であることを盛んに強調し、免罪符を得ようといたします。しかし、政治は常に制約の中の選択の反映であり、提案した政策それ自体に正否が問われる厳しいものであります。もしそれを暫定措置理由責任を回避するならば、代替財源案として国民に訴えない方がより正直ではないでしょうか。私は改めて代替財源の哲学と信憑性につき、その所見を伺います。  以上、発議者に対し本件をめぐる問題点についてその考え方をただしましたが、大蔵大臣としてどのような御所見をお持ちであるか、御答弁願います。  最後に、率直な私の意見を発表いたします。  野党は、消費税廃止のスローガンによって、国民のだれしもが潜在的に持つ反税意識に訴え選挙を戦ったものの、今や消費税にかわる税制を求められた結果、参議院選挙で口にしなかった新型間接税の導入を含む税制改革案なる抽象的な文言を作成し、それを、かつては常に批判した国民税制改革協議会という隠れみのの審議会にゆだねるという、全く責任を回避しようとしていると言わざるを得ません。  重ねて申し上げます。野党は、不公平税制是正税制改革の最大の目的としながら、不公平の典型と言われ、とかく批判の大きい物品税を再び持ち出しました。そして、景気の変動を大きく受ける自然増収について、当初三兆円を振り向けるとしていたものが、野党間の折衝が進むにつれて一兆七千億円から一兆三千億円に、さらに先月二十六日には一兆四千億円で最終確定かと思っていたのもつかの間、さきに申しましたように、本日また変わるという二転三転、まるでゴムひものように伸縮自在に、天から自然増収が降ってくるという無定見な試算には全くあきれ果てます。戸惑うのは国民ではないでしょうか。これ以上口先だけで国民を欺瞞することはもうやめていただきたいのであります。  私たちは、こうした野党提案につき、さらに特別委員会において十分な論議を尽くし、国民にその矛盾点、非合理性を徹底的に明らかにする所存であることを申し述べ、私の質問を終わります。(拍手)    〔久保亘登壇拍手
  11. 久保亘

    久保亘君 大鷹さんにお答えいたします。  私、今の大鷹さんの質問、御演説をお聞きしながら、消費税は正当な手続成立し、国民意思に関係なく廃止には絶対反対だとおっしゃったことを、自民党の御主張として大変印象深く伺いました。  また、議長裁定についてお話がございましたけれども、立法府の議長の権威というのを選挙公約よりも上に置くほど重視しておられます自民党で、なぜ強行採決の結果として安易に議長を解任させられたのだろうか。そういう点でも、議会制民主主義に対する考え方とか税の哲学に対する考え方で与野党というのは随分違うものだな、そういうことを思いながら今御質問を伺いました。  私、順次ただいま御質問くださいましたことにお答えいたします。  最初に、我が国の将来を支える消費税を何ゆえに廃止するのか、その根拠を示せ、税制のあり方として廃止しなければならない理由はどこにあるのかということをお尋ねでございました。  大鷹さんは手続ではなくと言われておりますけれども、消費税導入手続は極めて重要な問題でございます。自民党の内部にも公約違反であることを率直に認めるべきだという御意見があるように伺っておりますが、衆参同日選挙における公約違反税制国会における強行採決などを無視できるはずはありません。ましてや、さきの参議院選挙の結果を重視することは、議会制民主主義を重んずる政党であれば当然のことであります。  議長裁定についても、裁定の中に、「直間比率の見直し等今後できるだけ早期にこれを実現できるよう各党協調し、最大限の努力をはらうこと。」とありますが、「直間比率の見直し」という文言をもって大型間接税を認めたということにはならないのであります。しかも、議長裁定により設置さ れた税制協議会でも大型間接税導入の問題は議論されておりません。  消費税は、制度上多くの問題を抱えております。年金生活者や生活保護世帯に過重の負担となるなど国民生活を圧迫しており、また制度の欠陥により、消費者が支払った税金が国庫に入らないということなど、国民の間に租税への不信感を助長し、混乱を招いているのであります。このように、竹下元総理も認めた九つの懸念という消費税の構造的欠陥は全く解消できないのであります。消費税税制上の欠陥、さきの参議院選挙での国民の審判を踏まえるならば、消費税廃止すべきだと考えます。  次に、野党提案は、増税の消費税は拒否するが、減税だけは認めるという極めて便宜的内容であるという御批判についてであります。  自民党の減税と仰せられましたことは、これは何かのお間違いだろうと思っております。昨年末の所得税相続税減税については、消費税廃止されても取りやめる必要はなく、むしろ推進しなければならぬのであります。これらの所得減税は、形としては消費税とセットにされていますが、昭和五十九年以降本格的減税が実施されず、長年放置され、実質増税となってきた分の減税措置であります。我々は、消費税が導入されなくとも本来実施されるべきものと考え、かねてから要求、主張してきたところであります。消費税廃止にかわる財源も示しております。所得減税措置をもとに戻す必要は全くないことは明らかであります。  次に、今までの消費税導入に対応した投資費用等はどうなるのかとの御指摘についてであります。  政府は、消費税導入当たり、レジスターの取得など消費税に対応した投資費用について一括損金算入を認める特別措置を講じてまいりました。消費税廃止する場合でも、導入時と同様に、廃止に伴いコンピューターソフトの組みかえなどの費用を支出した場合には一括損金算入を認めることといたしております。  次に、代替財源案についてであります。  まず、個別間接税復元からお答えいたしましょう。個別間接税は、課税の対象、あるいは課税物品の消費に示される担税力に照応した課税を行うものであるため、消費資金の大きい物品などに特定することができます。したがって、消費すべてに課税される消費税よりも逆進性を緩和するメリットがあります。また、御指摘のとおり、物品間の課税、非課税のアンバランスは消費の多様化に伴って不合理な結果となっているのも承知いたしております。しかし、適時、課税対象に新規物品を加えたり、あるいは課税対象から落とすなどの措置は十分講じることができます。  大鷹さんは、今、物品税矛盾の象徴的な例としてコーヒー、紅茶の例をお挙げになりました。御存じないのではないと思いますが、コーヒーも紅茶も戦時中、昭和十四年に物品税の対象品目とされたのであります。戦後、保守党政府の手によって昭和二十六年に紅茶だけが非課税となったのであります。このような矛盾は歴代政府がおつくりになったのでありますから、その点についても十分御承知おきいただきたいと思います。  むしろ、今まで時代の変化に伴う国民の消費の多様化に適切な対応を怠ってきたことが担税力に応じた負担を失わせてきたものと言えるのではないでしょうか。しかも、復元に際して消費者負担の激変を緩和するため、物品税では、最高三〇%までございました税率を、一〇%を最高に四段階に簡素化し、他の税目についても税率を半分にする、あるいは免税点を引き上げるなどの措置を講じており、国民理解をいただけるものと確信いたしております。  次に、法人税率についてお尋ねがございました。  今回提案いたしております法人税基本税率と配当軽課税率の延長措置は、あくまでも消費税廃止に伴う暫定的な措置であり、暫定期間が過ぎれば、基本税率現行法に沿って引き下げられ、配当軽課制度は廃止され、基本税率に一本化されるものであります。そのほか、法人への課税適正化を目指し、実態に即し、貸倒引当金賞与引当金を圧縮し、配当課税適正化するなど課税ベースの拡大を重視した改正を行っているのであります。今後も、課税ベースについては税負担の公平を重視し、それを拡大する方向考えており、引当金、租税特別措置その他役割を失った過度の優遇措置については、実態に即し、適宜見直す考えであります。  今回の改正は、法人への課税強化などと言われるものではなく、暫定的な税率の据え置きであり、その他についても法人課税適正化にふさわしい措置であると考えております。この改正によって、企業活力がそがれたり混乱が生じたりして、その結果我が国経済の活力が減退するなどとは考えられません。また、我が国企業の海外逃避が急増したり、対外関係がまずくなるなど外国企業の対日進出を阻害することになるとも考えられないのであります。  次に、自然増収の問題、赤字公債の問題についてお尋ねがございました。  年度間の自然増収については、政府においても、平成元年度で六兆二千億円、昭和六十三年度は四兆四千億円を見込んでおり、ここ最近五カ年の平均でも約三兆三千億円にもなっているのであります。昭和六十三年度決算額約五十兆八千億円をベースに、税制改革の影響及び株や土地値上がりの一時的要因を考慮して、税収の伸び率を低目の八%としても三兆八千億円から四兆七千億円の税収が見込まれます。なお、過去五年間の税収の伸び率が九・五%で、これに基づいて推計すれば、元年度以降四兆六千億円から五兆八千億円程度の税収増が見込まれることになります。  なお、代替財源案につきまして自然増収に依存する額がふえたという御指摘がございましたが、これは精査の結果、計数が移動したにすぎないものであります。  最近の経済状況は、本格的な大型景気が定着しており、少なくともここ二年間は各研究機関の調査によっても景気が続くものと見通されております。したがって、赤字国債を発行するというような事態は全くあり得ないものと考えるのであります。  次に、二年間の暫定措置について、我々があたかも責任を回避しているかのごとき御質問がございました。  我々は、税制国民基本的権利にかかわるものであり、国民合意に基づくことが大原則でなければならないと考えております。したがって、参議院選挙の結果に示された民意を受けて、国民合意を無視して強行に導入され、租税及び政治への不信を引き起こしている消費税を速やかに廃止することが今、国会に課せられた責務であると考えるのであります。そこで、改めて二年間において国民合意税制改革をやり直そうとするものであり、何ら具体案な提示しないまま見直しを叫んでいるのとは異なり、我々は責任を回避するどころか、消費税廃止に伴う代替財源法案及び税制改革基本法案提出し、責任を明確にいたしておるのであります。  最後に、ただいまの議題とは関係のない御質問がございましたが、せっかくの大鷹さんのお尋ねでございますから、簡明に御答弁を申し上げます。  まず、連合政権構想あるいは連合政権は、結党の歴史、基本理念基本政策が異なる政党が共通の政策で連合を目指す政治のあり方であり、政党の合同や統一とは根本的に異なるのであります。大鷹さんも御承知のように、四月七日の党首会談以来、憲法の理念を共通項に連合政権協議を続け、参議院選挙における歴史的な与野党逆転の後は連合参議院も加わり、自民党一党長期支配にかわる国民連合政権の樹立に向けて鋭意協議を続けているところであります。  日米安保条約、自衛隊、対韓政策、原子力発電等の問題が重要な課題であることは、大鷹さんの御指摘をまつまでもありません。それゆえにこそ、一昨日から再開されました連合政権協議においても、これらの諸課題についての共通点を見出すべく協議を続行していくことを確認したところであり、協議の過程の問題ではなく、最終的な連合政権協議の成果を見た上で率直な御批判を賜りたいと思います。  次に、大鷹さんは、日本社会党理念や主張について御質問なさいました。  我が日本社会党は、一九八六年の全国大会で新宣言を満場一致で決定し、綱領及び「日本における社会主義への道」は歴史的文書となったのであります。御指摘の七つの文書を大鷹さんはお読みいただいていると思いますが、お読みいただいておりましたら当然おわかりのことを申し上げたのであります。「中期社会経済政策」は、文字どおり中期にわたる経済政策であり、「伯仲新時代へ」は、すなわちさきの参議院選挙における公約でございます。「消費税廃止税制改革プログラム」は選挙中に発表した政策でありますが、選挙後、四会派はそれぞれの政策をすり合わせ、協議、改善等の共同作業を積み上げた結果、ただいま提案いたしております消費税廃止税制改革関連九法案となったのであります。また土井提言、すなわち「新しい政治への挑戦」は、我が日本社会党が目指す将来設計であるとともに、連合政権が目指す政策目標としての提起であり、国民的討議を通じてより豊かで具体的な政策として練り上げたいと考えております。  以上、大鷹さんに御答弁申し上げましたが、私ども八人が共同責任提案しておりますのは、参議院選挙に示された国民意思を尊重し、議会制民主主義原則を踏まえ、四会派の完全合意のもとに消費税廃止に関する九法案を提起したものであることを大鷹さんも御理解いただいた上での質問と思いますが、念のため申し上げておきます。臨時国会に課せられた使命を忘れることなく、私どもの真意と誠意を御理解いただき、消費税をどうするかについて正面から取り組み、論議をそらすことなく、国民の期待にこたえる議論の展開を心からお願い申し上げるものであります。  引き続き、他の発議者から御答弁を申し上げます。(拍手)    〔峯山昭範登壇拍手
  12. 峯山昭範

    峯山昭範君 大鷹議員の質問にお答えいたします。  初めに、連合政権について公明党に対する質問がありました。  連合政権につきましては、一昨日、社会、公明、民社、社民連四党による連合政権協議が再開されましたことは御存じのとおりであります。ここでは、さらに協議を継続し、連合政権基本政策合意を目指して、従来の協議の上にさらに真剣に努力していくことが改めて確認されております。さきの参議院選挙を契機といたしまして、自民党の長期単独政権から野党連合政権への交代を期待する国民の声は日増しに強まっております。それだけに、今後とも私どもは、日米安保条約、自衛隊、対韓政策、原子力発電の基本政策について合意できるよう努力していく所存であります。  また、ただいま社会党の新宣言等についても御質問がありました。これらの文書は、社会党理念や主張を公式に示す文書であることを私どもは承知いたしております。  次に、不公平税制について具体的に示してほしいとの御質問がありました。  我々は、税制改革基本法案の第四条の二で、「国民の租税に対する信頼を確立するため、税負担の公正及び公平を確保すること。」を挙げております。あわせて第五条の一に、「社会保険診療報酬課税特例、みなし法人課税、公益法人課税特例、企業に対する課税における各種の特例等の租税特別措置等の抜本的な整理及び合理化が図られるとともに、納税環境の整備が推進されることにより、税負担の不公平が払しょくされていること。」を税制改革基本的な柱の一つとして明記いたしております。  また、国民の税に対する不公平感の大部分が不公平税制にあることは、総理府の税金に関する世論調査でも明らかなところであります。つまり、国民税制に対する不公平感が強いのは、不公平が税制の中に制度化されていることが最も大きな原因ではないかと思います。この制度化された不公平を除去することが、国民税制に対する信頼を回復するために不可欠であると考えます。そのため我々は、前述のように、税制改革基本法案の中で具体的項目を列挙しているのであります。  なお、これらの制度の改革については、国民税制改革協議会において検討をお願いすることにいたしております。  次に、医師、個人事業者、公益法人についての御質問についてお答えいたします。  初めに、社会保険診療報酬課税特例につきましては、今後、社会保険診療報酬の適正化、医療水準の確保、地域医療の確立、実経費率などを勘案して、特例廃止方向で段階的に見直すなど論議を深めてまいりたいと考えております。  みなし法人課税につきましては、零細・中小企業が多いという特徴を有する我が国経済構造にありまして、その保護育成を十分考慮しつつ、小規模企業に対する税制のあり方を含めて今後見直しを検討してまいりたいと考えております。  公益法人につきましては、国民世論の動向をも踏まえ、課税適正化を図る必要があると考えます。適正化の具体的方向といたしましては、一、収益事業の範囲の拡大、二、収益事業から非収益事業への移転、三、金融資産への課税、四、軽減税率の検討、五、認可・行政監督の適正化などが考えられます。  なお、基金等の運用益で公益事業活動を行っている法人につきましては、その存立基盤を脅かすような課税は好ましいとは考えられず、したがって、その運用益に対する利子課税等は行うべきではないことは明らかであります。  なお、これまでに述べた個々の具体的問題につきましては、国民税制改革協議会において検討を重ねていくことになります。  次に、納税者番号制度に対する国民合意は二年では形成できないのではないかとの議員の質問がありました。  我々は、税の公平を確保するためには、所得の捕捉体制を整備する必要があります。そのために、納税者番号制度の導入は避けて通れない課題であると考えております。政府税制調査会に小委員会を設けて検討した経緯があるように、税の公平を確保するためには、国民合意を得ながら導入を図っていくことを国民税制改革協議会にお願いしたいと考えております。いずれにいたしましても、納税者番号制度の導入に際しましては、国民プライバシー保護合意形成が大前提であると考えております。  次の御質問は、参議院選挙の際、野党各党はサービス、流通等への課税についての検討を言わなかったではないかということであります。  我々提案者は、国民意思消費税廃止にあるという確信から、一刻も早くこれを廃止し、消費税導入以前の姿に税制を戻すべきであると考えております。したがいまして、物品税を初めといたしまして各種の税目につきまして、税率調整をした後にこれを復元いたしました。いずれにいたしましても、二年間の代替財源としてであります。その間に、国民税制改革協議会において国民の広範な意見を結集し、新たに公正な税制考えようというものであります。その際において、物品税の従来からの問題点であるサービス、流通等への課税も検討しようというものであります。  また、二年後にいかなる間接税を想定しているのかという御質問でありますが、ただいま申し上 げましたとおり、税制改革協議会において民主的な議論を経て、国民の多くが納得いくものでなければならないと考えております。ただし、今日の消費税廃止を求める国民意思等、状況を考慮するならば、一般消費税売上税消費税のような大型間接税が、過去、国民において否定された経緯を十分踏まえて検討していくべきだと考えております。  次に、国民税制改革協議会設置に関する大鷹議員の疑問にお答えいたします。  御質問のとおり、税制改革基本法におきまして、その第四章で国民税制改革協議会設置について規定をいたしております。  議員の疑問にお答えするために、その特徴と政府税調との違いについて申し上げますと、まず第一に、協議会は、本法によって設置され、本法によって諮問されるということであります。したがって、政令設置され、総理の諮問を受けることとされている政府税制調査会とはその重みが違うとともに、基本原則基本方針を明記した法律で諮問されるわけでありますから、当然立法府である国会意思もそこに表明されていると考えます。また第二に、協議会が活動する間はその活動を休止することは当然と考えます。第三に、協議会の委員五十人は、学識経験者及び国民各界各層を代表する者のうちから国会の承認を得て内閣総理大臣が任命することといたしております。したがって、政府税調のごとく恣意的な人事につきましてはチェックすることができるわけであります。第四に、協議会は本法成立後速やかに設置されることとし、この間の十数年間の議論の蓄積を踏まえ、その結論はでき得れば平成年度予算編成及び税制改正に間に合うように要請するとともに、その報告は、内閣総理大臣のみならず、内閣総理大臣を経由して国会にも報告されるものであります。したがって、言いかえれば、国会が諮問し国会にも報告をいただくことになります。さらに、内閣及び国会は、協議会の報告に基づき速やかに所要措置、すなわち立法府においては立法措置を講ずる努力義務を負うことになります。  以上のように、国民税制改革協議会は、大鷹議員の御指摘とは異なり、政府の隠れみのではないということであります。  また、消費税にかわる具体案につきましては、現に代替財源法案提案いたしており、また、二年後につきましては、税制改革基本法の基本原則及び基本方針について方向性を明示した上で協議会の議論にゆだねるものであり、私どもはまず消費税ありきという昨年の政府自民党誤りを犯さぬ決意であります。  残りの答弁は他の提案者より行います。(拍手)    〔笹野貞子登壇拍手
  13. 笹野貞子

    笹野貞子君 大鷹議員の連合政権構想についての御質問にお答えいたします。  連合政権構想を進めるに当たり、日米安保条約、自衛隊、対韓政策、原子力発電は最も重大な課題であると認識しております。私ども連合参議院といたしましても、国民の期待にこたえる連合政権を目指し、今後、これらの課題について各党との協議を重ねてまいりたいと考えております。  次に、社会党の新宣言についての御質問ですが、社会党の新宣言等は既に公にされたものばかりであり、国民に向けての政治的ないし政策的な公約であると承っております。(拍手)    〔勝木健司登壇拍手
  14. 勝木健司

    勝木健司君 大鷹先生の御質問にお答えいたします。  連合政権協議は、もともと違う政党が基本政策の一致を前提政権構想をつくろうとするものでありまして、政党の吸収合併とは別であります。私どもは、一方で各党のそれぞれの独自性を尊重しつつ、他方、連合政権下の政策ではその完全な一致を目指しまして協議中であります。国民が安心でき、国際的にも通用する政権交代のため、今現在、四党は全力を傾注中であります。  私どもは、連合政権基本政策の一致が不可欠というふうに考えております。特に安保、自衛隊、対韓政策、原発の四つを重視しております。  日米安保は、西側の一員としての日本のあかしであり、これを堅持していかなければなりません。自衛隊は、合憲であり、独立国として不可欠の存在であります。韓国とは、日韓基本条約を尊重し、友好親善を深めていかなければなりません。原子力発電は、既に我が国の電力供給源の第一位を占めており、石油にかわるエネルギー源として重要であります。と同時に、安全性に十分配慮しながら推進していく必要があると考えます。  次に、社会党の新宣言等は、既に公にされたものばかりでありまして、国民に向けて政治的ないしは政策的にも公約であるというふうに私も考えます。しかし、一の日本社会党綱領及び二の「日本における社会主義への道」につきましては、歴史的文書という扱いになっているというふうに私も承知いたしております。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇拍手
  15. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) まず第一に、野党四会派が消費税廃止関連法案提出されたことに対し、その御努力に敬意を表すると同時に、政府としてはこれを厳粛に受けとめております。今後、本院において審議が行われることになるわけでありますが、その過程におきましてさまざまな問題点が提起されるものと考えておりまして、慎重な御審議が行われることを強く期待いたしております。  例えば、二年後に行うこととされております税制改革の具体的中身が、新たに設置される国民税制改革協議会の今後の御審議にゆだねられておりますが、ただいまの御説明を拝聴いたしておりましても、この協議会につきまして、現に今存在をいたしております政府税制調査会との関係をどう法律的に措置していかれるのか等、あるいは、二年後の再改革までのつなぎの代替財源措置として、種々の問題が指摘されておりました個別間接税制度を復活されることとしておられること、さらに、代替財源として財源不足分を税収見積もりの是正として数字合わせを行われながら、その数字自体が何回か変動いたしておるようでありまして、野党案の基本的な枠組みそのものに疑念を感じさせるものとなっていること、以上、こうした点を感じております。(拍手)     ─────────────
  16. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 及川一夫君。    〔及川一夫君登壇拍手
  17. 及川一夫

    ○及川一夫君 私は、日本社会党護憲共同を代表して、ただいま提案されました消費税法廃止法案を含む税制改革関連九法案について質問をするものであります。  言うまでもなく、今回提出をされました消費税法廃止税制改革関連九法案は、国民合意の全くないままに、泥の上に泥を重ねるような強行採決の連続で導入された消費税をこの際御破算にするというものであります。廃止に伴う関連法案をつくり上げた四党を代表する提案者並びにスタッフの皆さんの努力に対し、心から敬意を表するものであります。  消費税に対する国民の評価は、さきの参議院議員通常選挙の結果、つまり自民党の記録的な大敗によって既に明々白々であります。    〔議長退席、副議長着席〕 この結果を素直に受けとめるならば、今国会の最優先課題が、消費税をいかに廃止するか、そして廃止後の税制改革をいかなる手順で進めるかにあることは、国民のだれしもが異論のないところであると考えます。社会党、公明党、連合参議院、民社党が参議院選挙の結果を踏まえ、消費税法廃止税制改革関連九法案を提出したことは、まことに議会制民主主義のルールにのっとったものであり、筋の通った提案であると考えます。  このような野党の努力に比べると、政府自民党は、参議院選挙の以後も消費税の存続を言い続け、全く根拠のない見直しムードを振りまくのみであります。加うるに、今日ただいまに至るまで何一つ具体的な見直し案を発表していない事実を考え合わせるとき、政府自民党の態度は政権担当者として全く無責任と言わざるを得ません。私は、本来政府自民党がすべきことは、国民の示した消費税廃止の結論を受け、これにかわる新たな対応を提示することであったと考えます。その点からいえば、先ほども強調されていたように、野党消費税廃止法案だけを示せばそれでよいと考えます。しからばなぜ、あえて今回いわゆる代替財源法案をあわせて提案することにしたのか、その理由をまずお尋ねしたいのであります。  さて、我々野党税制改革基本法の考え方に対し、自民党や大蔵省の諸君からしばしば、税制についての基本がわかっていない、税に対する哲学がないという批判を耳にいたします。私はこの批判をそっくり政府自民党にお返しをしたい。税制を考えるときまず大切なことは、国民すべてが日本という民主主義国家を支えるには一定の負担が必要であるということを認識した上で、国民が喜んで、あるいは進んでお金が出せる仕組みでなければならないと考えます。残念なことに我が国では、税とはお上が強制的に庶民から取り上げるものとなっています。この定義は決して私が思いつきで述べているのではありません。現に市販されている多くの国語辞典にそのように書かれています。私に言わせれば、国語辞典の記述がおかしいのではありません。大蔵省主税局に脈々と流れている税の哲学は、まさにこのとおりなのであります。国語辞典の編さん者たちは、日本の権力者の税の哲学を正確に表現したにすぎないと思うからであります。政府自民党に、国民の多くが納得して納めることのできる税制こそ日本の国を支える基盤であるとの哲学がもしあったとしたならば、いかなる世論調査においても賛成より反対が圧倒的多数を占めていた消費税法案を強行導入するなどということは決してできなかったはずであります。  私が考えますには、消費税導入を強行した政府自民党の諸君の胸の内は次のようなものであったのではないでしょうか。すなわち、政権は我々に任せておけばよい、この国の将来のことがわかっているのは我々だけだ、その我々がよりすばらしい税制だと言っているのだ、国民は黙って我々に従っても心配はない。大要こんなところでしょう。しかし、その考えが大きな誤りであったということは、消費税が徹底的に批判され、完全に拒否されたさきの参議院選挙の結果でも明らかであります。国民意思がどのようなものであったかは、今この本会議場に参集をされている議員の半数がまさに身をもって体験されたはずであります。あれからわずかに四カ月しかたっていません。その間、総理大臣は事実上更迭されましたが、消費税は依然として全く変わることなく国民生活によろしくない影響を与え続けているのであります。  このような情勢を考慮するならば、私は、今や国民によって本院に与えられた使命は、一刻も早く消費税廃止し、消費税の導入以前の姿に立ち戻すことであると確信するものであります。  そこで、提案者にお聞きいたします。  国民の審判であるさきの参議院選挙の結果を受けて消費税廃止し、そして二年間をかけて論議を尽くし、税制の再改革を図ろうというのが税制改革基本法の考え方であると思います。私自身は、二年どころか三年、四年かけてでも、国民全体の納得を得られるまで多くの時間をかけてもよいのではないかと考えますが、二年という期間を置かれた理由は何なのか、所見をお聞かせいただきたいと思います。  また、さきの税制改革におきまして、政府は、公平、中立、簡素化理念として所得、消費、資産の間での均衡のとれた税制の確立を目指したとしていますが、今回の消費税廃止税制改革のやり直しに臨む理念基本構想を示していただきたいと思うのであります。さらに、将来の福祉費用を賄うには増税や国民負担の増加は避けられないとの立場に立つのでしょうか、お答えいただきたいのであります。  さて、政府自民党の中には、国民がまだ消費税をよく理解していない、PR不足だからもっとPRに力を入れたい、あるいは消費税は定着しつつあるから見直しはその様子を見定める必要があるという見方が依然としてあるようであります。この点につきましても、私はいわゆる哲学にかかわる問題であると考えます。私は、国民消費税の仕組みや内容については既に十分に理解していると思っています。むしろ国民にとって今なお理解できずにいるのは、なぜ消費税なのか、なぜあれほどまでに強引な決め方をしなければならなかったのか、なぜ自民党はさきの参議院選挙の結果にもかかわらず存続を言い続けるのかというような点なのであります。  また、政府自民党の中には、廃止を求める人より見直しを求める人が多いと各種の世論調査の結果を持ち出し、消費税存続の免罪符にされる方がおられます。これは全く理解のできない点であります。  第一に、政府自民党見直し案が出されていない時点での調査でありますから、見直し派の中には海部総理の思い切った見直しをするという言葉に過大な期待を抱いている人たちが含まれています。また、見直し派の人たちが要求する具体的な見直し項目についてそれぞれ大きな差異がある点を考えますと、具体的な見直し項目が発表されれば廃止派の方が多数を占めることは明らかであります。第二に、見直し派の中には消費税を凍結して時間をかけて論議をし直せという人もかなりおられると考えます。  以上のように、国民意思は、現在においても事実上は消費税廃止すべしというものであり、政府自民党の言いわけは全く論拠を持たないと考えるのであります。  そこで、提案者にお尋ねいたします。  消費税は凍結して論議をやり直せという意見に対してはいかに考えられているのでしょうか。私は、現実問題として、消費税を凍結して税制改革について時間をかけて行うということと、消費税廃止して二年間をかけて税制改革をやり直すということでは、一見似たような考え方ではあるけれど、その本質的な点で大きな差異があるように思うのですが、いかがでしょうか。また、二年間をかけて税制改革を実施するのであれば、消費税廃止するのも二年後にすればいいという意見もありますが、この点についてもお答えいただきたい。  さらに、今回提出されました税制改革関連九法案のうちの物品税について、時代おくれとか、増税であり消費税以上に矛盾があるという批判が聞かれるのですが、この点の批判についてどのように考えておられるか、お聞きしたいのであります。  物品税については、確かにその課税品目等に合理的な基準を見出し得ない点があったことは私も意見を同じくするものであります。しかしながら、物品税の矛盾が改善不可能というようには考えていません。そのときどきの社会情勢に適応した課税品目見直し税率調整をするなど、幾らでもでき得ると考えるのですが、いかがでしょう。  むしろ、こうした改善を積極的に実行してこなかったばかりか、矛盾を押し広げてきた政府自民党責任は重大であると言わざるを得ません。あまつさえ、これらの税制度の改正をおざなりにして、国民合意のない消費税を導入するとは言語道断であります。消費税のような大型間接税と違い、物品税は、個別の品物の持つ担税力というものに着目して課税できるという大きな利点があるのであります。個別、限定、列挙方式で課税品目を指定する方が縦横十文字に投網をかけるようなやり方の大型間接税より少なくとも民主的だと考えますが、いかがでしょうか。  要は、徴税の論理ではなく、いかに納得して税を支払える制度をつくるかということなのであります。税を取る側からだけの論理ではなく、支払う側の論理で制度を考えるのが租税民主主義原則と考えますが、いかがでしょうか。  また、提案者は、二年後の税制改革実施後における間接税、特にサービスや通信、交通等に対する間接税というものにどのような姿を想定しているのでしょうか、所見を述べていただきたいと思います。  ところで、政府自民党から現在に至るも消費税の具体的な見直し点が明らかにされていないということは先ほども述べましたが、そもそも、本当に国民にとって有効な見直しというものは存在するのでありましょうか。非課税品目の拡大ということで食料品を非課税にするということが昨今しきりに流布されておりますが、私にはこれが実現できるとはどうしても考えられないのであります。  最終小売段階だけを非課税にすれば、その前段階までに累積された消費税分を小売業者は消費者に転嫁できず、結局は仕入れ価格が消費税分だけ上昇するということになります。消費者に転嫁をすれば商品価格は三%の値下げとはならず、何のための非課税かという問題が出てきます。  また、百貨店等などの力の強い小売業者が消費税分の三%を値下げして売り、百貨店に届く前までにかかっていた消費税分の負担を力の弱い納入業者にしわ寄せする可能性も出てまいります。さらに、消費者が問屋さんから直接に商品を購入した場合、消費税を課すべきか否かなど、新たな不公平を生み出す危険性があることは大蔵省ですら認めているところであります。  それでは、食料品の流通の全段階にわたって非課税にするということにでもなれば、生産にかかわる経費の消費税分がやはり転嫁できず、例を農業に求めれば、結局は農家の人たち負担増となるのであります。ただでさえ米の輸入自由化問題を抱えて困難な状況に置かれている農家の人々に、これ以上負担を強いるわけにはいかないと考えますが、いかがでしょうか。  また、流通過程の前段階における税の累積を排除するという観点からゼロ税率を適用した場合はいかがでしょう。確かに、生産者は支払った消費税分を控除できますから、生産者への負担増という懸念は解消されると思います。しかしながら、この方式を採用した場合においても、最終小売段階における課税品と非課税品の仕分けが必要となってくるはずであります。まさに、今見直しの対象だとされている項目を検討すると、あちら立てればこちらが立たずであります。  これらの見直しを行った場合の消費税減収額は、大蔵省試算で、食料品全体を非課税にした場合九千億円、仕入れにかかる前段階までの消費税額を控除できるゼロ税率適用の場合は実に二兆円に上ることは、大蔵省自身も認めるところではありませんか。ちなみに、政府が言う消費税の税収額は平年度ベースで五兆九千億であります。およそ三分の一も税収を減額させてまでこの制度を存続させる価値があるでしょうか。私は全く理解できないのであります。  予想される見直し項目の一つと考えられるものに税の表示方式についての一本化があります。内税に一本化したのでは価格のうちにどれだけの税額が含まれているか消費者には判断不可能で、便乗値上げも容易に予想されます。そもそも、消費税の問題を表示方式の問題に矮小化するのはいかがなものでしょうか。消費者消費税への怒りの原因を、すべて販売時の一円玉が云々というような煩雑さや、あるいは商品を購入する際の痛税感を与えることが問題で、それさえ解決できれば国民消費税を認めてくれると考えるのは、自民党消費者の判断力、それに基づく怒りを見誤っていることを示しております。現職閣僚が消費者は無知だから困ると発言したのは全く逆で、消費者の怒りをどうしてもわかろうとしない政府自民党、大蔵省には困ったものだというのが国民の気持ちであります。  さらに大きな問題は、消費税の根本的矛盾ともいいますか、国民が納得していない部分は、消費者が払ったはずの税金がすべて国庫に入らないのではないかという疑問、つまり国庫不入の問題であると思います。それは、簡易課税制度、免税点、限界控除制度、そして帳簿方式を認めた矛盾であります。これらの制度の最も悪い点は、個々の事業者に何らの悪意もないのに、制度的に脱税に等しい行為が可能であることであります。企業の粗利益が何%、何十%あっても、売上高の〇・六%を国庫に納めればよいのが簡易課税制度の大きな柱でありますが、実際に預かった消費税額と計算上納入すべき消費税額の差額部分は丸々事業者の懐に入るわけです。これは帳簿方式である限り大企業にも起こり得ることであります。  この国庫不入問題を竹下元総理は、よいことではないと認めながら、消費税の制度成立のあめとしてあえて導入したと私は考えます。消費者が怒るのは当然でありますが、良心的な事業者の皆さんにとっても気分のよい制度ではありません。現に、花屋さんとマンションを経営している方がテレビでこう言っておられました。年商は九千万円、消費税はちゃんと二百七十万円預かったが、しかし、簡易課税制度を適用すれば売り上げの〇・六%ですから、わずか五十四万円を国に納めればよい、残りの二百十六万円は雑収入として処理してもよいという政府の指導にこの方は本当に困惑されておられました。これを知って消費税廃止しなくてもよいと思う人はいないでしょう。  このことによって生ずる減収額は四千八百億と政府は言っておられますが、それだけで済むで しょうか。国全体で言えばどれほど莫大な額の脱納税消費税の名のもとに行われることになるのでしょうか。これを見直しなどという手法で直ちに是正できるとは思えませんが、いかがでしょうか。  さらにつけ加えると、事業者消費者より預かっている消費税は、運用の仕方によってばかにならない運用益を生むという問題があります。公共料金にかかわる消費税相当額でも、一例を挙げれば、電気料金関係で約三千五百億円、都市ガス関係で四百六十億円、NTT業務収入関係で一千五百億円に達します。これらを運用、いわゆる財テクをいたしますと、私の試算では年間消費税額に対して平均一・二五%程度の利回りで運用益が生じます。つまり電力九社は四十数億円になります。NTTは十数億円の運用益を上げることが理論上は可能となるのであります。巨大デパートや大手スーパーも年間百億円単位の消費税を預かりますが、仮に三百億円とすれば三億数千万円の運用益であります。消費税全体がすべて運用できるとは限りませんが、それでも数百億円のオーダーで運用益が生ずると考えられます。この利益はだれのものかという素朴な疑問とともに、決して黙認して済む制度とは言えないのではないでしょうか。  以上、消費税基本的問題と思われる点を挙げましたが、果たして合理的な見直しはあり得るのでしょうか。極めて困難であると考えますが、いかがでしょう。  私は、この際、税収の見積もり是正について言及しておきたいと考えます。  現在の税収見積もりは、毎年十二月の予算編成期に翌年の六月から翌々年の五月までの税収を予測する方法が行われています。つまり、見積もり時期の十二月においては当該年度の税収は確定しておらず、したがってその予測が困難であることを認めることは私もやぶさかではありません。しかしながら、昭和六十一年から昭和六十三年度まで三年間の当初予算見積額を見てみますと、私はそこに何らかの意思または思惑が働いているとしか思えないのであります。当初予算額と決算額のギャップ、いわゆる自然増収額と言われるものを見てみますと、昭和六十一年度においては一兆三千億円、昭和六十二年度では五兆六千億円、これに一兆八千億円の減税分を含めると七兆四千億円、昭和六十三年度においても五兆七千億円、これも二兆円の減税分を加えると七兆七千億円であります。実に、合計十六兆四千億円の見込み違いなのであります。言いかえるならば、政府は最近三カ年にわたり税収の大幅な過小見積もりを行ったということになります。これを政府の単なる失策と見るべきでしょうか。私には、売上税消費税のような大型間接税導入を図ろうとする政府自民党の意図的な操作があったとしか考えられないのであります。もし税収を正しく見積もっておりさえすれば、政府自民党が訴えてきた消費税導入の必要性の根拠が崩れ去ることを私はここに指摘しておきたいのであります。ましてや、高齢化社会に備える云々は後からつけた理由であることは明らかであります。  こうした事実を踏まえて提案者にお尋ねいたします。  今回提案されている九法案の中のいわゆる代替財源案の中に、税収の見積もり是正で約一兆七千億円ほどを見込まれていますが、提案者はこれからの二年間における経済動向、税収動向をどのように考えておられるのでしょうか、明らかにしていただきたいと思います。さらに、税の自然増収は土地値上がりや株高による一時的なものであるとの批判も間々聞かれるようでありますが、少なくともこれからの税制改革検討の二年間は税収において確信があることをお示ししていただきたいのであります。  提案者代替財源案の中の地方税制についてお聞きをいたします。  我が国において、いわゆる地方の時代が言われて久しいのでありますが、地方自治の本旨というものを考えるならば、自治体経営には自治体が独自の裁量によってその使い道を決める、つまり自主財源がぜひ必要であると考えるのであります。その意味において、消費税導入の際、地方税を国税に吸収し、国から改めて下しおく消費譲与税によって各自治体はその経営を賄えという政府自民党のやり方には怒りをあらわにしているのであります。今回の九法案の中には消費譲与税の廃止も含めておられるわけですが、そうなりますと、自治体の独自財源を守るという立場でどのような措置をとられるつもりなのか。制度復元により消費譲与税の税収分が完全に補てんされているのでしょうか。  また、今回の提案では、電気・ガス税税率調整の上復元されています。国民生活に深く影響のある両税の復元に関しましては、消費税廃止に伴うものとの前提に立てば国民の皆さんの理解を得ることができるとも考えますが、あえて復元した理由及び国民税負担に与える影響についてお答えをいただきたいと思います。  さて最後に、今回の法人税法等の一部を改正する法律案の中におきまして、受取配当の益金不算入の割合を引き下げるなど法人課税の強化を提案されておりますが、このように法人に対する課税を強化すると、いわゆる企業の活力を損ねてしまうのではないかという指摘がなされていますが、この点についてはいかがでしょうか。日本の法人税率は、名目的には世界においても高位の水準であるということが言われております。すなわち、日本が約五〇%なのに対し、アメリカは四〇%、イギリスは三五%、西ドイツ約五七%、フランス四二%であります。これ以上の企業課税の強化は、国際競争力にマイナスの影響を与えてしまい、優良企業の海外逃避など産業の空洞化が起こると半ば脅迫的に国民に宣伝されてきていますが、このような批判にはどう答えられるのでしょうか。  さらに、キャピタルゲイン課税ということで、有価証券の譲渡に対する課税引き上げは各国でも取り上げられています。ただ問題は、株式の価格変動が起きれば税収が大きく変動する可能性も出てくるのではとの不安に対してどうこたえるかも重要でありましょう。基本的なキャピタルゲイン課税に対する考え方とあわせてお聞かせいただきたい。  以上、いろいろと質問してまいりましたが、私はこの消費税廃止税制改革やり直し関連九法案が一刻も早く本院で可決されんことを強く望み、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)    〔笹野貞子君登壇、拍手
  18. 笹野貞子

    笹野貞子君 及川議員にお答えいたします。  まず、第一の御質問は代替財源案についてでありました。  確かに、今回の代替財源案提案については野党が示さなくても構わないのではないかという議論があったことは事実です。かつての取引高税廃止のときは代替財源の案は示されていませんでした。私も、本来であれば、国民の審判を受けて消費税廃止大型間接税に依存しない財源確保政府責任にあると考えます。しかしながら、国民の圧倒的な野党に対する期待を考えるとき、野党は、国民政策責任政策能力があると示すべきであると考えたからです。当面の税制改革税収増を図り、あわせて税収見積もりの是正に基づく平成年度以降の税収増の一部を代替財源案に充てるというのがその骨子であります。  政府自民党は、不確実な見直し論のみを繰り返し、いまだに消費税存続を言い続けています。今日の消費税廃止というテーマが、国民の要望に沿って本院において議論がされるという事実に、代替財源案を示したことも大きく役立っていると思います。  続いて、税制国民信頼合意に基づくものであり、その改革に当たっては、広く国民の参加を保障し、国民合意を得て行わなければなりません。今回の消費税導入のような拙速さを私たちは何としてでも回避しなくてはならないと考えております。そのためにも、国民の参加による原案づくりの時間と国会での審議の時間を十分に確保する必要があります。しかし、税の不公平をいつまでも放置しておくわけにはいきませんから、ある程度の時間を限って行うこととし、現在の景気拡大がほぼ見込まれる今後二年間に実現することとしました。  続いて、二年間の歳月をかけて再改革を行うゆえんは、広く国民の参加を求め、かつ国民に情報を公開するなどして国民合意形成を図り、租税民主主義を貫徹するためであります。しかし、消費税廃止については既に参議院通常選挙を通じて国民意思は明らかであります。さらに、九月四日に発表された日本経済新聞の世論調査によっても、消費税廃止についての国民合意は形成されているものと判断しております。税制を混乱させ、税制への不信感をいやが上にも高めた消費税平成元年度をもって廃止することが至当であり、義務であると確信しております。  続いて、政府のスローガンであった所得、消費、資産の間での均衡のとれた税体系構築とは、単に中曽根税制改革案での直間比率の見直しにかわるもので、消費税導入のためのまくら言葉にすぎないものでありました。我々は、税制国民信頼合意によって初めて成り立つものであるとの理念を大前提としております。今次の税制改革は、政府が行った税制改革によって引き起こされた税制の混乱を収拾し、国民の税に対する不信感を払拭して、国民合意税制を確立しようとするものであります。  税制改革に当たっては、これまで税制の欠陥として指摘されてきた不公平の一掃を図り、応能原則、すなわち担税力に応じた税負担のあり方を追求して、経済構造及び国民生活の変化に適切に対応した真の意味の所得、消費、資産等に対する均衡ある税体系を確立することに努めます。したがって、税制改革前提条件として、具体的には税制の混乱と国民の不信感を増幅させるに至った消費税をまず廃止し、これに伴い暫定的に緊急を要する税制改革を行います。次いで、二年間をかけて広く国民各階層の意見を求め、具体案作成のため学識経験者国民各階層の参加によって組織する国民税制改革協議会設置し、その答申をまとめ、租税民主主義の貫徹を図ります。  次に、将来の福祉費用の増加を言うのであれば、まずその展望なりあり方を政府は詳細な資料をもって示すべきであります。我々は、税制改革前提として、政府が医療、年金、福祉等に関する二十一世紀に向けた社会保障総合計画を策定し、納税のための国民合意の形成に努めることとしております。  私たちは、国民の声に耳を傾け、あらゆる方策を探り、その上で増収やむなきとの結論に至った場合は、憲法の理念に沿った税制を確立することによりしかるべき税収確保いたします。憲法のいう公平の理念にのっとり、総合累進課税主義を原則とした直接税中心の税制考え間接税によりそれを補完します。  すなわち、納税者番号制度の導入により総合課税化を推進する一方、土地税制改革など資産課税適正化、租税等特別措置など不公平税制の一掃を図り、直接税における漏れをなくいたします。間接税については、公平の理念のもと、担税力に着目した適正な課税を検討いたします。  次の質問に対しては他の提案者がお答えいたします。(拍手)    〔峯山昭範登壇拍手
  19. 峯山昭範

    峯山昭範君 及川議員の質問にお答えいたします。  物品税についてさまざまな御主張を交えながらお尋ねをいただきました。  物品税が個々の商品が持つ固有の担税力に着目をいたしまして税をかけるという利点があるということは、議員が御指摘のとおりであります。したがって、課税品目の選定等に当たりましては、社会情勢の変化等を考慮しつつ、絶えずその見直しなどについても注意を払っていかなければならないなどの点があります。しかしながら、その都度一つの判断を示せるということもまた事実であります。逆に言えば、消費税導入によって廃止された旧物品税というものも、そのような適正な課税品目見直しがなされるという前提で採用されていた税制なのであります。したがって、物品税に対して不合理、矛盾等があるという指摘等が政府自民党よりなされているということは、非常に矛盾したものであると私は考えております。  また、サービスなどに対する課税とのアンバランスが生じるという懸念は、提案者もこれを認識いたしております。ただ、あくまでも二年間の代替財源であるという点、及び消費税が導入された時点まではこれが機能していたという点から今回復元したものであります。  二年後の税制改革のやり直し後の間接税についての姿でありますが、国民税制改革協議会において十分に議論いただけるものと確信をいたしております。ただ、今日の消費税廃止を求める国民意思等、状況を考慮いたすならば、皆さん方も御承知のとおり、一般消費税売上税消費税が、過去、国民において否定された経緯を十分踏まえながら検討すべきであると考えております。  次に、消費税の持つ矛盾等を挙げながら、合理的な見直しはあり得るのかという御質問でありました。  消費税の持つ矛盾というものは、いずれもその制度自身に根差しているものと考えております。 現在、見直しの多くが新聞等で報道されておりますが、どれをとってみても有効であるというものはないようでございます。簡易課税制度や免税点の設定の仕方、帳簿方式の採用、税率一本化等は皆強引に消費税導入を図った政府自民党が取り入れたものであります。その政府自民党が果たして国民の要求に沿った形で消費税見直しを行えるかどうかはまことに疑問であり、不可能ではないかと考えております。  次に、経済及び税収の見通し等についての御質問であります。  最近の経済状況は、本格的な大型景気が定着いたしておりますし、少なくともここ二年間は各研究機関の調査でも好景気が続くものと見通されております。我々も少なくともこの二年間は景気が持続するものと見ております。政府は、税の自然増収が株高、土地値上がり等の一時的要因であることを強調しますが、基本的には新イザナギ景気と呼ばれる本格的な大型景気の定着を反映するもので、構造的なものであると考えております。  年度間の自然増収につきましては、政府においても、平成元年度で六兆二千億円、昭和六十三年度は四兆四千億円を見込んでおり、ここ最近五年の平均でも約三兆三千億円にもなっております。昭和六十三年度決算額約五十兆八千億円をベースに、税制改革の影響及び株や土地の値上がりの一時的要因を考慮いたしまして、税収の伸び率を低目の八%といたしましても三兆八千億円から四兆七千億円の税収が見込めます。また、過去五年間の税収の伸び率が九・五%で、これに基づいて推計をいたしますと、元年度以降四兆六千億円から五兆八千億円程度の税収が見込まれることになります。  あとの質問につきましては他の提案者より答弁があります。(拍手)    〔勝木健司登壇拍手
  20. 勝木健司

    勝木健司君 まずもってお断りしておきたいのは、今回私どもが提案いたしております当面の二年間の制度改正におきまして、法人税課税強化は提案しておりません。正確には、さきの税制改革におきます法人税減税の凍結及び引当金等に対する適正な課税というものであります。  ところで、先進主要国との比較で見た法人の実効税率についてでございますが、日本は四九・九八%、アメリカ四〇・三四%、イギリス三五・〇%、西ドイツ五六・五二%、フランス四二・〇%でありまして、我が国は、アメリカ、イギリス、フランスよりは高いが西ドイツよりは低く、しかもこれは表面上の税率でありまして、諸外国に比べて租税特別措置による特例が数多く適用されていることを考慮いたしますと、我が国の大法人の税負担水準は実質上大幅に軽くなっているのが実態であると言わざるを得ません。  一九八五年のプラザ合意後の円ドルレートは趨勢的には円高傾向となっておりまして、これは我が国企業の国際競争力の力強さを証明するものにほかなりません。我が国企業は、急激な円高を乗り越えて現在の長期にわたる好況をもたらしております。すなわち、大企業を中心とする法人の担税力の背景となります企業収益の向上が恒常的な傾向を示しているということであります。そこで、法人にさきの税制改革によってなされました減税の凍結を求めたといたしましても、懸念されるような企業活力の停滞とか国際競争力の低下を来すようなことはあり得ないと言わなければなりません。  次に、産業の空洞化という現象につきましては、その原因が法人の税負担の重さによるものか否かの分析を行ったものは見当たりませんが、大蔵省の対外直接投資急増の要因分析を示したものに財政金融統計月報の四百二十八号があります。ここには、その要因として、資源の安定的確保の必要性、賃金や原材料等コスト面での海外立地の有利性、海外諸国の外国企業誘致の積極化、貿易摩擦問題を背景とする現地生産拡充の必要性などなどが掲げられておりますが、法人税負担理由として対外直接投資がふえたなどの記述は全く見当たりません。したがいまして、法人税負担を引き上げれば産業の空洞化が生じるというのは短絡的な幻想でありまして、単に法人の税負担増を回避するための宣伝にすぎないと考えます。  次に、直ちに株価が暴落すると考えるのはいささか早計ではないかということでありますが、早計ではないかと私も考えます。株価が形成される要因として、金利、為替、物価、景気、個々の企業の業績等さまざまなファクターから成り立っているわけでございますが、この中には株式に対する税制も含まれるかもしれません。私どもとしても、税制は極力中立を守らなければならないと考えます。何も資産家から取れるだけ取ればいいという考えを持っているわけではありません。  今、問題なのは、株式の取引によって得たキャピタルゲインに対する課税が源泉分離あるいは申告分離という特別措置によって優遇され、一部の資産家が多大な利益を得ていることであります。今までは、資本市場が育つまで投資家が企業に直接投資することを優遇しようという考えでありましたが、日本の株式市場は今や世界最大の市場に成長したわけでありまして、ひ弱だった日本の市場とそれを支えてきた企業、個人投資家も大きくなってまいりました。そうなりますと、資本市場育成のための非課税という大義名分がなくなってきますし、キャピタルゲインも他の所得と同様の取り扱いをすべきであると考えます。  残余の答弁は他の提案者がいたします。(拍手)    〔佐藤三吾君登壇拍手
  21. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 最後になりましたが、及川議員にお答えします。  まず、地方財政の問題で消費税廃止後を御心配いただいておりますが、昨年の税制改革におきまして、政府消費税の平年度収入見込み額は五兆四千四百二十五億円でございました。平成元年度の政府の本則税率三%による課税見込み額五兆九千四百億円をベースに影響額を考えたわけであります。そのため、消費税廃止による地方財政の影響額につきましては、消費譲与税の廃止分を一兆一千八百八十億円、地方交付税の減少分を一兆一千四百五億円、合計二兆三千二百八十五億円と見通しております。  この消費税収入の地方分二兆三千二百八十五億円については、消費税廃止によって地方財政運営に支障を来さぬよう次のような財源対策を考えております。  すなわち第一に、地方間接税復元によって平年度約六千億円の増収を確保することとしています。第二に、国税改正によって、国税の増収にあわせて法人住民税、法人事業税の増収を図ることとし、その額は約三千五百億円と見込んでおります。第三に、国税三税及び国のたばこ税の増収に伴う地方交付税の増収が約六千億円見込まれます ので、以上によって約一兆五千五百億円の財源確保されることとなります。なお七千五百億円が不足することとなりますが、これについては税収見積もりの是正による税収増によって補てんすることとしておるのであります。  六十二年度、六十三年度とも、年度途中の所得減税約二兆円を除いても五兆円を超える自然増収があり、これは税収の過小見積もりによるものであると思います。したがって、これを是正すれば今年度、すなわち平成元年度においては租税印紙等収入は約三兆八千億円程度の決算増となると予測され、平成年度以降の税収は大蔵省の財政の中期展望を大きく超える見込みとなります。この税収見積もりの是正平成元年度ベースで考えれば、地方交付税において約九千億円、法人住民税において約二千五百億円の増収となり、これにさらに法人事業税の増収が上乗せされます。したがって、制度改正において補てんされない約七千五百億円については、この見積もり是正によって完全に吸収され、平成年度以降の地方財政運営には何ら支障を与えず、また財源不足は生じないものと確信しております。  なお、あくまで制度改正によって手当てすべきだという御意見はごもっともでございます。第一に、消費税という混乱と不信を招いておる悪い制度を廃止することが最も緊急を要する制度改正であります。また第二に、消費税導入によって地方間接税の体系が崩れ、抜本的な改革を行わずしては制度改正による手当てが不可能であること。第三に、その改革については国民税制改革協議会の二年間の議論にゆだねていること。そして第四に、現実税収状況等を勘案すれば総額において地方財源が十分に確保されていることなどを検討して、前述のとおりの考え方を採用したのであります。  しかし、今回の改正野党提案といえども、国と地方の関係においては国の責任税制改正を行うこととなるために、提案者としては、少なくとも地方間接税復元による増収額と消費譲与税の平年度配分額の差額については、他の地方税収の増額状況を勘案しながら、基本的に別途交付税への特例加算措置を講ずべきであると考えております。具体的な方法については、平成年度の交付税の状況を見定めつつ検討することといたしまして、税制改革においては地方税源及び交付税制度の充実を図るべきと考えております。  なお、提案者財源対策には、個人住民税など国税にかかわらない自然増収についてはカウントしていないし、さらに消費税の歳出における負担分、昨年の政府の説明による地方財政計画ベースで約六千億についてもカウントしておりません。  なお、先月二十四日に四党税制改革協議会の名において発表しました文書における地方税増収見込み額と今示した額について相違がありますが、これは国税法人税の増収額を性格別に精査した結果でございまして、説明のとおりの数値となったものであります。先ほど大蔵大臣も心配されておりましたが、御懸念ございません。  地方間接税復元に関する質問にお答えします。  昨年の税制改革調整した地方間接税については、当面二年間の暫定的代替財源確保措置として、原則的には復元考えておりますが、具体的には次のような措置提案しております。  一つは、地方たばこ税についてでございますが、消費税廃止に伴い、税制改革調整した地方税の分について、国、地方を合わした現在の消費者税負担が変更されないようにしながら従量税率を変更することとしました。二つに、電気税ガス税について、それぞれ税率三%及び二%で免税点とともに昨年の改革前に復します。第三に、旧料理飲食等消費税につきましては、免税点宿泊等を五千円から一万円に、飲食等を二千五百円から五千円に引き上げたままとして、税率は一〇%で復元することとしました。第四に、旧娯楽施設利用税につきましては、完全に復元することとしまして、ゴルフ場所在市町村に対する交付金の交付率を二分の一に引き下げます。現行は十分の七でございます。それから第五に、旧木材引取税は廃止のままとします。第六に、不動産取得税につきましては現行のままとします。  以上の措置により、約六千億円の増収が見込まれます。  昨年の税制改革に伴う地方間接税減収分に対しては、消費譲与税の配分において、国勢調査の人口と事業所統計による従業者数で案分する本則割合に対して、税制改革前の地方間接税減収割合が用いられることとなっていました。しかし、減収割合は三年間の経過措置で、平成元年度四分の三、二年度四分の二、三年度四分の一でございます。四年度は本則割合だけでありまして、恒久的な補てんとは言えないと考えます。  電気税ガス税については、確かに提案者は本来的には意見を持っておりますが、消費税廃止すること、免税点があり低所得者にとっては減税となること、税率も三%としていることなどによって、当面暫定的に復元することといたした次第でございます。  以上でございます。よろしく御審議をお願いします。(拍手
  22. 小野明

    ○副議長(小野明君) これにて午後一時四十分まで休憩いたします。    午後零時三十八分休憩      ─────・─────    午後一時四十三分開議
  23. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続けます。矢原秀男君。    〔矢原秀男君登壇拍手
  24. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま趣旨説明のありました消費税法廃止する法律案など消費税廃止法案税制改革基本法案その他法人税法等の一部を改正する法律案など代替財源法案につきまして、提案者に質問するものでございます。  さきの参議院選挙における最大の争点は、消費税廃止するか、存続、見直すかでありました。国民はこの選挙において消費税はノーという明確な審判を下したのであります。このように国民消費税廃止を選択したことの一つは、政府自民党が、さきの衆参同日選挙における大型間接税は導入しないとの公約を踏みにじり、三百議席という数の力で強行導入したことであります。選挙公約は、国政を信託するに当たっての有権者と政党との約束であり、議会政治においては極めて重要なものであります。したがって公約違反は、議会政治に対する有権者の期待を裏切り、ひいては政治不信を招くものであり、極めてゆゆしき問題であります。  また二つには、消費税が全く欠陥だらけの税制であるという点であります。消費税が本年四月に実施されて以来、竹下元総理自身が示した九つの懸念が改めて浮き彫りにされました。消費税は、低所得者負担が重い逆進性という根本的難点を持ち、社会的に弱い立場の人たちはもとより、所得の低い人たちの家計を圧迫しております。また、消費税は、簡易課税制度、免税点、帳簿方式を採用したことにより、消費税の一部が事業者の利益にすりかわるなど構造的に重大な欠陥を持っているのであります。このため、消費者の支払った税金が国庫に納入されず、事業者消費者の間で、また事業者事業者の間で不信感を生じさせるなど社会の混乱を招くとともに、税制の新たな不公平を生じさせております。  公約違反を犯し、しかも問題の多い消費税国民が反発するのは当然であり、この結果、参議院選挙与野党の逆転が実現したと言っても決して過言ではありません。国民の声を厳粛に受けとめ、消費税廃止に踏み切った提案者の選択は賢明であると考えるものであります。  そこで、お伺いしたいのでありますが、提案者選挙における公約の重みをどう受けとめておられるのか、見解を明らかにしていただきたいのであります。  また、海部総理は、さきの参議院選挙の争点は消費税だけでなく、他にも政治改革などたくさんの課題があったと言っております。確かに参議院選挙では争点は他にもあったわけでありますが、その中で消費税の比重は極めて重いものであったと考えます。提案者は、この点についてどのような御見解をお持ちか、また与野党逆転したさきの参議院選挙の意義をどのように受けとめられているのか、お伺いをいたします。  さらに、提案理由で述べられておりますが、重要な問題でありますので、改めて本廃止法案提出するに至った経緯並びに廃止に踏み切った理由について明らかにしていただきたいのであります。  また、消費税導入の際に竹下元総理が示した九つの懸念に対して、海部総理を初め大蔵大臣等も懸念は解消しつつあると主張しておりますが、提案者はこの政府の見解に対してどのようにお考えか、お伺いをいたします。  さて、海部総理は、消費税の出発点は売上税廃止の際の衆議院議長裁定であると述べております。この発言はまことに不適切であります。議長裁定は、直間比率の見直し等最大限努力を払うことというものであります。ここで言う直間比率の見直し大型間接税の導入を意味するものではない上、また同裁定では、各党協議し、最大限の努力を払うこととされていたにもかかわらず、議長裁定で設置された税制改革協議会の協議を事実上打ち切ったのは自民党であります。提案者は海部総理のこのような発言についてどのような御見解をお持ちなのか、お伺いをいたします。  ところで、自民党は、参議院選挙消費税見直し公約したにもかかわらず、選挙後百日を過ぎた今日まで何ら具体的な見直し案なるものを提案されておりません。今国会は、参議院選挙後の初めて実質的審議を行う国会であり、参議院選挙与野党の争点について議論すべき国会であります。したがって、野党廃止法案とともに自民党見直し案を提示し、正々堂々の議論を展開すべきであります。いまだに見直し案を提示しておりませんが、このような自民党の姿勢について提案者はいかがお考えか、お伺いをしたいのであります。  また、自民党見直し項目として挙げている生鮮食料品等の非課税は、帳簿方式を伝票方式に改めなければ事実上困難であり、しかも見直しをすればするほど廃案となった売上税に逆戻りするのであります。免税点簡易課税制度の見直しも中小事業者の総反発が予想されるのであります。したがって私どもは、消費税の構造的欠陥を是正する見直しは不可能と考えております。結局、自民党見直し案は、国民に幻想を振りまき、期待倒れに終わるであろうことは必至と見ざるを得ないのであります。提案者は、自民党公約した消費税見直し見直しを期待する人たちの期待に沿う内容になるとお思いでしょうか、お考えを伺いたいのであります。  次に、廃止関連法案並びに再改革基本法案などについてお伺いをいたします。  提案者の説明によりますと、消費税は明年三月三十一日で廃止をして、二年間かけて本格的な税制度を確立するということであります。私も国民合意を得るために二年程度かけて十分な議論を行うべきであると考えるものでありますが、どのような手順と方法税制改革を行うのか、改めて御説明をいただきたいのであります。  また、税制改革基本法案には、二年かけて検討する税制改革趣旨並びに基本原則基本方針が明らかにされているにもかかわらず、野党案は理念なき税制改革との的外れの批判が出されております。提案者はいかなる理念に基づき税制改革を行おうとされるのか、お伺いをいたします。  さらに、自民党は、消費税は二十一世紀の高齢化社会に対応するための恒久税制であり、野党案は二年間の暫定税制にすぎないと批判をしております。しかし自民党は、消費税高齢化社会へどのように対応するものであるか、何ら説明していないことは御存じのとおりであります。私は、高齢化社会に備える税制は、まず高齢化社会のビジョンを描き、同時に行財政改革を進めつつ、納税者である国民合意と納得を得るものでなければならないと考えるものであります。提案者は、このような観点から、来るべき二十一世紀の高齢化社会に向けての税制度のあり方についていかがお考えか、伺いたいのであります。  次に、自民党は、さきの税制改革を行うに当たり所得課税は給与所得者税負担が偏っており、サラリーマンの重税感不公平感を増大させている、土地や株式等の資産所得に対する課税が不十分との声が強い、また消費が多様化している等から、消費税の導入によって税の不公平を解消することが可能であるとして、消費税の導入を正当化しております。しかしながら、さきの税制改革では、不公平税制是正といえば株に対するキャピタルゲインの原則課税を行った程度で、不公平税制是正は甚だ不十分と言えます。提案者不公平税制是正についていかに取り組まれるのか、お伺いをいたします。  さて、最近の地価の高騰は、首都圏にとどまらず、全国の主要都市まで拡大をしております。このため、土地を持つ人と持たない人との間の資産の格差は拡大する一方であります。半面、サラリーマンのマイホーム取得は困難になるばかりであります。土地対策について適切な手を打たなかったことが今日の地価上昇をもたらしたことは言うまでもありませんが、税制においても適切な対策が必要であります。提案者土地高騰についてどのような対策をとるつもりなのか、御見解をお伺いいたします。  また、提案者は、国民税制改革協議会において土地保有課税の立法化を優先的に議論されるとしておりますが、既に構想をお持ちでありましたらお示しをいただきたいのであります。  さて、税制の再改革が広く国民理解信頼を得て行われる前提として、再改革法案では環境整備として行財政改革の推進を挙げておられます。現在、消費税廃止国民の声が高まっている背景として、今まで政府みずからが思い切った行財政改革を行わないまま消費税の強行導入を図ったことを見逃すことはできません。提案者はこれまで政府が行ってきた行財政改革についていかなる評価をなさっているのか、お伺いをいたします。また、提案者の描く今後の行財政改革の具体的な姿についてお示しをいただきたいのであります。  次に、野党税制改革案は、消費税廃止し、原則として消費税実施以前の税体系に戻ることとしております。消費税廃止する以上、このことは当然と言えるのであります。ところが自民党は、減税はそのまま、物品税は中途半端に復元というのでは税制改革の一貫性に欠けるのではないかとの批判を繰り返しております。  そこで、二年間の代替財源とされている物品税についてお伺いします。  物品税は、従来から課税品目のアンバランスを生じるなど、さまざまな問題点が指摘されたことは事実であります。しかし、消費税廃止するかわりに暫定期間の二年間に限って復元し、その税率も緩和されております。政府自民党が今年三月まで実施してきたことを考えると、私は国民の皆さんの支持を得られるものだと思っております。矛盾、問題点を解消しないままに安易に物品税を導入することは時代錯誤との自民党批判に対して提案者はいかがお考えか、改めて御説明をいただきたいのであります。  次に、代替財源案において有価証券譲渡所得課税の強化がうたわれております。証券投資が大衆化されたとはいうものの、個人株主が所有している株式数は全体の約八%にすぎず、大半の株式は百万株以上を所有する大口投資家であることを考えると、株式に対するキャピタルゲインの課税強化は当然だと考えます。家庭の主婦などが行っている庶民のささやかな株式投資に対する課税の強化には問題があるとの指摘がありますが、提案者はいかがお考えか、伺いたいのであります。  また、提案者は、総合課税への移行に当たって納税者番号制の導入を考えておられます。総合課税主義を徹底し、応能負担原則を重視した所得税制を再構築するためには、プライバシーの保護を前提納税者番号制が不可欠だと思います。最近の世論調査では、納税者番号制の導入についてはよく理解をされていない面が強いようでありますが、納税者番号制度の導入について納得のいく説明を求めるものであります。  さらに、消費税廃止後の二年間の代替財源について、自民党から、不確定な自然増収を前提とした財源案であり、恒久財源とは言えない、いずれは歳入欠陥が生じ、赤字国債を発行するのではないかとの批判があります。  私は、現在の経済情勢から、提案者はむしろ控え目な税収見積もりをされているように思えてならないのであります。現に、民間研究機関の試算によれば、今後三年間の自然増収は、平均五兆円を上回るとも指摘されております。また、ここ数年の政府税収見積もりは過小見積もりではないかとの疑問も持たれております。今後二年間の税収見積もりの問題について、景気動向の見通しとあわせ提案者の御見解を求めるものであります。  以上、消費税廃止関連法案について提案者に重点的にお伺いをいたしました。私は、さきの参議院選挙国民の審判に謙虚に耳を傾け、消費税廃止法案提出を決断された提案者に深く敬意を表するとともに、いまだに消費税見直しの骨格を示せない自民党の姿勢を厳しく指摘し、質問を終わります。(拍手)    〔勝木健司登壇拍手
  25. 勝木健司

    勝木健司君 矢原先生にお答えいたします。  さきの参議院選挙国民消費税廃止の審判を下したわけでありますが、この理由といたしましては、消費税公約違反である等、民主的手続を欠いていること、また、消費税は制度の欠陥により消費者が支払いました税金が国庫に入らないなど、国民の間で不信感を助長し、混乱を招いていることなどが挙げられるというふうに思います。  さて、お尋ねの第一は、選挙公約をどう思うかという点についてであります。  選挙議会制民主主義の基盤でありまして、憲法の前文におきましても、「国政は、国民の厳粛な信託による」と記されております。国民は無条件で信託したのではなく、信託の条件は選挙公約であり、したがいまして選挙における公約は極めて重いものであると考えるものであります。今回の参議院選挙の結果は、一つには公約違反に対する国民の厳しい審判であると考えるものであり、こうした厳しいチェックが働いている限り、民主主義は健全であると私は考えるものであります。  次に、参議院選挙の争点とその意義についてでありますが、さきの参議院選挙の最大の争点は消費税にあったことは明白であります。海部総理は、さきの参議院選挙消費税のみが争点になったものではないと強弁をされておりますが、消費税のみが争点でなかったといたしましても、総理みずから認められておりますように、三十年にわたった自民党一党長期政治そのものに対する不信任であり、その中には当然消費税導入問題が含まれていることは明らかであると思うのであります。  次に、消費税廃止に踏み切った理由とその経緯についてでありますが、私どもは、参議院選挙消費税廃止公約いたしましたが、ただいま申し上げましたとおり、国民の厳粛な審判が下されたわけでありますので、したがいまして、この公約実現のために消費税廃止法案提出した次第であります。参議院選挙後直ちに廃止公約した四党で税制改革協議会を結成いたしまして、消費税廃止に向け検討を開始いたしました。その結果、九月二十八日、今国会の冒頭に消費税廃止法案廃止関連二法案及び税制改革基本法案提出いたし、去る十月二十六日に、消費税廃止し再改革ができるまでの二年間の財源案といたしまして、法人税法等の一部改正案外三法案提出いたし、ただいま審議をお願いいたしておるところでございます。  次に、九つの懸念は解消の方向にあるという政府見解についてでありますが、私どもは解消しているとは考えておりません。社会的に弱い立場の人々が苦しんでいる実情はあえて申すまでもありません。これらの人たちに対する財政措置も決して十分とは言いがたいのであります。消費者が支払いました税金が国庫に入らないことに対する不満も充満をいたしております。率直に申しまして、九つの懸念は解消されるどころか拡大しているというのが現実であるというふうに思います。いずれにいたしましても、参議院選挙の結果がこのことを如実に物語っていると考える次第であります。  このほかの点につきましては他の提案者より答弁があります。(拍手)    〔梶原敬義登壇拍手
  26. 梶原敬義

    梶原敬義君 私からは次の六つの点についてお答えいたします。  初めに、消費税の出発点は衆議院議長裁定であるとの総理発言についてであります。  議長裁定の中に、「直間比率の見直し等今後できるだけ早期にこれを実現できるよう各党協調し、最大限の努力をはらうこと。」と述べられております。言うまでもなく、直間比率の見直し等が大型間接税の導入を意味しているものではありません。このことは議長裁定の際、社会党の山口書記長が確認したところでもあります。また、この裁定を受けて設置された税制改革協議会においても、大型間接税については全く議論されておりません。それのみならず、一方的に自民党税制改革協議報告、いわゆる中間経過報告を行ったために、協議会が終了してしまったのであります。したがって、衆議院議長裁定が消費税の出発点であるなどということは全く根拠のないものであり、出発点を云々するのであれば、六十一年の衆参同時選挙における大型間接税は導入しないという公約に基づき廃止すべきであると考えるのであります。  次に、自民党見直し案についてであります。  御案内のとおり、今国会参議院選挙の結果を受けての国会であり、最大の争点である消費税について議論するのが当然であります。我々は、公約である消費税廃止するために、廃止法案を初め九本の法律案を本院に提出いたしました。自民党見直し公約したわけでありますから、両者が同じ土俵で正々堂々と議論を展開すべきであると考えるものであります。いまだに自民党見直し案提出しないのは甚だ遺憾であると言わざるを得ないのであります。また、参議院選挙後百日を経過したにもかかわらず、いまだに自民党見直し案は示されておりません。したがって、自民党見直し案をどうこう言うことはできません。非常に残念なことであります。  各種の世論調査等で明らかにされた国民の望む見直しの要求は、生鮮食料品の非課税化であるとか、消費者が納めた税金が国庫に入らない問題の解決等、制度の根本にかかわる見直しが挙げられております。仮にこれらを見直すならば、消費税の根本的改革であり、矢原議員御指摘のとおり、売上税に戻ることになります。このような見直しは、消費税導入の際事業者に約束した帳簿方式をやめ、伝票方式に切りかえない限りほとんど不可能であると言わざるを得ないのであります。したがって、自民党見直し案は、国民の期待を裏切る幻の案にすぎないのではないかとの感を深くするものであります。問題が明らかになればなるほど消費税廃止の声がさらに高まるものと確信をしております。  次に、税制改革の手順についてであります。  今回の消費税廃止法案及び税制改革基本法案に示しておりますとおり、平成二年三月三十一日で消費税法廃止し、二年間かけて二十一世紀の高齢化社会を展望した確固たる税制度を確立することとしております。また、国民合意に基づく成案を得るため、国民税制改革協議会設置し、民主的な手続によって再改革を推進することとしております。  また、税制改革理念でありますが、税制は、国民基本権にかかわるものであり、国民合意に基づくことが大原則でなければならないと考えるのであります。税制改革理念としては、税制改革基本法案の第四条の基本原則に示しているように、一、国民合意、二、公平公正、三、総合課税主義、四、地方分権、五、福祉社会を支える基盤としての税制度の五つを定めております。このように、我々が目指す税制改革は明確な理念を備えたものであります。  次に、高齢化社会に向けての税制度のあり方についてであります。  高齢化社会における国民負担問題は確かに重要でありますが、この問題は、社会保障制度、雇用制度等のあり方と並行して議論さるべきものであります。自民党は、高齢化社会に対応するためには消費税の導入が必要であると言うだけで、その関連づけも示さないばかりか、高齢化社会における具体的な総合計画も示しておりません。その一方では、高齢化社会に備えてと称し、厚生年金の支給開始年齢を六十五歳に繰り延べる年金の改悪だけを提案しているのであります。これでは国民理解合意を得られないことは当然であると言わざるを得ません。国が国民に約束する福祉の総合的なビジョンの確立を図ることは当然であります。これに向けて民主的な手続に基づく議論を広く行い、二十一世紀に向けた社会保障総合計画を策定し、国民合意形成に努める必要があると考えるのであります。  次に、不公平税制に対する取り組みについてであります。  自民党のさきの税制改革では不公平税制是正を掲げたのでありますが、その内容は、有価証券譲渡益課税に見られるように極めて不徹底であります。すなわち、有価証券譲渡益課税原則課税としたものの、源泉分離課税の選択を認め、売却額のわずか一%の負担率にとどめたのであります。また、所得税減税等を行ったというものの、総合課税化の再構築法人税課税ベースの拡大等、制度自体の不公平是正には手をつけようとしておりませんでした。このために不公平は温存されたままであり、我々はこの問題に全力で取り組んでいるところであります。  基本的には、国民税制改革協議会で行う税制改革の重点的課題となっており、ここで根本的改革が行われることになっておりますが、当面二年間の代替財源案でもキャピタルゲイン課税適正化法人税課税ベースの拡大など不公平税制是正を行っておるところでございます。  以上でございますが、続いて他の提案者より答弁をいたします。(拍手)    〔笹野貞子登壇拍手
  27. 笹野貞子

    笹野貞子君 続いて矢原議員にお答えをいたします。  初めに、土地政策及び土地税制についての御質問ですが、今日の地価高騰は政府が適切な対策を怠ったことが最大の原因です。社会党、公明党、民社党、社民連の野党四党は、総合的な土地対策として土地基本法案を昭和六十三年五月二十日に国会提案しており、その制定を強く働きかけているところであります。この法律案は、一、土地政策の目標の明確化、二、土地の公共性の明確と私権制限、三、土地利用計画の義務づけなどを明らかにしております。野党提案基本法の速やかな成立を期待するものであり、この法律案成立すれば土地対策が大幅に推進することは明らかであります。  また、土地税制については、土地対策の一環として、今回、土地譲渡所得課税の長期・短期区分について五年から本則の十年に戻すことにしております。この理由は、土地税制は長期にわたって安定した制度であることが望ましいわけであり、そうしなければ税制の緩和期待による土地の売り惜しみや仮需要を誘発し、かえって土地の安定供給が妨げられることになるからです。  また、土地保有課税の立法化の構想を示せとの御質問でありますが、この問題については、今後、国民税制改革協議会で優先的に検討していただくことにしておりますので、ここでの協議にゆだねたいと考えております。  次に、行財政改革についてのお尋ねであります。  政府の行政改革は、第二臨調、またそれに続く行政改革審議会が設置され、推進されておりますが、国民の期待した行政改革とはほど遠いものになっております。特に最近の好調な経済のもとで、行政改革に対する取り組みが一層低下したのではないかとの感を深くするものであります。私どもは、税制改革を実施するに当たり、その前提条件として徹底した行財政改革を挙げております。国民参加、地方分権、行政情報の公開など、国民の要求にこたえる制度・機構の改革、具体的には歳出の洗い直し、補助金の整理統合、行政機構の見直し、許認可や補助金の抜本的改革等々を実施すべきであると考えております。  続いての答弁は他の提案者よりいたします。(拍手)    〔太田淳夫登壇拍手
  28. 太田淳夫

    太田淳夫君 続いて矢原議員にお答えいたします。  まず、自民党の言う物品税復元は時代に逆行したものではないかという点でございます。  物品税は、課税物品の消費に示される担税力に照応した課税を行うもので、消費に対する課税としては、消費税と異なり、逆進性も少ないものであります。  また、物品税課税、非課税のアンバランスは、単に国民の消費の多様化に伴ってぜいたく品の判断基準が明確でなくなってきたというだけでなく、例えば、地域の伝統工芸を保持するとの観点から課税除外になっているものもあり、結果としてアンバランスを生じたというものも少なくありません。さらに言えば、このような物品税のアンバランスをもたらしたのは、長年政権を担当してきた政府自民党責任でありますし、人為的にゆがめられたものも少なくないのが実情であります。  次に、キャピタルゲイン課税強化の問題であります。  一口に個人投資家といっても、家庭財テク程度の庶民投資家と大口投資家がおります。この二極分化が進んでいることは御指摘のとおりであります。大口投資家は、その多くが企業経営者や土地の高騰で余裕資金のできた資産家であります。個人投資家が得たキャピタルゲインのほとんどはこの層に集まっていると考えられます。したがって、所得課税資産課税とのバランスをとるためにキャピタルゲイン課税適正化を追求しなければならないと考えております。  このような立場から、最終的に総合課税へ移行をすることが望ましいと考えるものでありますが、納税者番号制度等の諸条件の整備が行われるまで、当面はみなし譲渡益率を現行五%から七%に引き上げ、これに二〇%の税率を課し、売却額の一・四%の税負担率としております。なお、再改革におきましては、一定の範囲内の小口取引は非課税とするなどの措置について検討を要請したいと考えておるわけでございます。  次に、納税者番号制度についてであります。  税の公平を確保し、総合課税中心の所得税制を再構築するためには、所得の捕捉体制を整備する必要があります。そのために納税者番号制度の導入は不可欠であります。個人の収入支出、財産といったものもプライバシーの一部であることは当然でありますが、その場合、保護されるべきプライバシーの範囲は、自動的、一義的に決まるものではなく、その目的との関連性や社会通念によって決まってくるものと考えられ、慎重に検討していきたいと考えております。  国民の公平な税を求める要求は大変強く、我々としては、国民信頼に基づく税制の確立こそが税制改革の原点であることから、国民合意を得るよう十分な時間をかけつつ納税者番号制度の導入を行う所存であります。いずれにしましても、納税者番号制度の導入に際しては、国民プライバシー保護合意形成が大前提であると考えるものであります。  最後に、代替財源案は、自然増収に依存しており、歳入欠陥を生ずるのではないかとの自民党の指摘についてであります。  年度間の自然増収については、政府は、平成元年度で六兆二千億円、昭和六十三年度は四兆四千億円を見込んでおり、ここ最近五年の平均でも約三兆三千億円にもなっております。昭和六十三年度決算額約五十兆八千億円をベースに、税制改革の影響及び土地や株の値上がりの一時的な要因を考慮して、税収の伸び率を低目の八%としても三兆八千億円から四兆七千億円の税収が見込まれます。なお、過去五年間の税収の伸び率が九・五%で、これに基づいて推計すれば、元年度以降四兆六千億円から五兆八千億円を超える税収が見込まれることになっております。  さらに、財政当局の税収見込みが過小見積もりではないかとの指摘は、まさにそのとおりであります。大型間接税導入の環境づくりとも言えるここ数年の政府の過小見積もりは極めて重大であります。  最近の経済状況は、本格的な大型景気が定着しており、少なくともここ二年間は各研究機関の調査でも景気が続くものと見通されております。したがって、赤字国債を発行するというような事態はあり得ないと考えるものであります。  以上、矢原君の質問に対する答弁といたします。(拍手)     ─────────────
  29. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 近藤忠孝君。    〔近藤忠孝君登壇拍手
  30. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました諸法律案について質問いたします。  今、国民の注目と強い期待の中で消費税廃止法案審議が始まりました。参議院選挙における国民の厳粛な審判は消費税廃止でありました。この国民の審判を受けて、今、国会が第一義的になすべきことは、消費税廃止法案の速やかな可決であります。  消費税は、言うまでもなく、八六年の同時選挙公約国会決議に二重に違反したものであります。    〔議長退席、副議長着席〕 しかも、相次ぐ強行採決によって成立させられた議会制民主主義に全く反するものであります。内容においても、国民生活のあらゆる面に課税し、低所得者ほど負担の重い最悪の大衆課税であり、最悪の不公平税制なのであります。  特に、年金生活者や生活保護世帯、障害者の暮らしを直撃しております。消費税は、このような全くゆとりのない家計に残酷に襲いかかる福祉破壊税です。さらに、中小零細企業にも過大な負担を強要しています。消費税は、我が国が戦後打ち立ててきた直接税中心、総合・累進課税、生計費非課税などの税制の民主的原則を真っ向から破壊するものであります。  高齢化社会のためという政府自民党の口実と大宣伝は、これまでの我が党の追及によって全くごまかしであることが明らかになりました。紛れもなく消費税は、政府自民党首脳もしばしば言明しておりますように、軍備拡大の財源づくりにほかなりません。日本共産党は、歴代自民党政府大型間接税導入の策動に当初から反対し、今回の消費税についてもその廃止を一貫して主張してまいったものであります。  提案されております消費税廃止法案については、これは国民の要望にこたえたものであり、我が党は賛成であります。日本共産党は、その一日も早い成立のために全力を尽くすことを表明いたします。  以下、法案に即して率直な質問に入ります。  第一に、参議院選挙の審判に従うならば、消費税は無条件で廃止すべきだと思いますが、提案者の見解はどうですか。  同時に重要なことは、いかなる名称、名目、仕組みであれ、大型間接税は将来にわたって導入しないようその根を完全に断ち切ることだと思いますが、いかがですか。  その見地から見れば、税制改革基本法案には重大な疑問があります。それは、税制改革基本方針として「サービス、流通等に対する適正な課税の在り方について検討を加え、その結論を得る」ことがうたわれていることなのであります。政府統計によっても、サービスの支出が家計支出の五一%になっている今日、このサービス、流通への課税は、結局大型間接税の容認になるものではありませんか。  そこで提案者にお尋ねします。  サービス、流通への課税には大型間接税が含まれているのかどうか。含まれているとすれば、大型間接税をなくすのではなく、先延ばしにするにすぎないことにたりますが、明快な答弁を求めます。  含まれていないと言うなら、大型間接税復活へのよりどころとなるような余地は残すべきではありません。消費税公約違反であることが明らかであるにもかかわらず、政府自民党は、直間比率見直し議長あっせんを持ち出して、公約違反でないと居直る根拠にしています。私は、大型間接税への口実になるようなものはこの際一切残してはならないと思いますが、明確な答弁を求めるものであります。  あわせて、政府自民党公約違反合理化する口実としておりますのは、直間比率見直し衆議院議長あっせんがあるから公約違反は取り消されたというのでありますが、これは、選挙における公約という最も厳粛な問題も、その後の若干の政党間の取引によって無効にしてしまうという全くの国民べっ視の見解であり、議会制民主主義の否定であります。提案者の多くが所属しております各党はこの議長あっせんを受け入れましたが、日本共産党は、これは大型間接税につながるものとして受諾を拒否したのであります。この提案者といたしまして受け入れたことについて今日どう考えているか、見解を求めるものであります。  参議院選挙国民の審判が下された以上、これに無条件に従うのが国民主権の憲法のもとでの国会政府責任であります。したがって、政府は本来、選挙で示された国民多数の意思に沿って、みずから消費税廃止する責任と義務を負っております。そして消費税廃止後の問題は、来年度予算編成の際、国民が納める税金の範囲で歳出を検討すれば十分やれることです。大蔵省の元幹部で住宅金融会社社長の庭山慶一郎氏がNHKの討論会で、財政は国と地方で百兆円、税金は国と地方で八十五兆円国民は納めている、この中で財源は幾らでも見つけられる、政府の働きは入るをはかって出るを制すだ、国民の納めた範囲で皆さんは政治をすればよいと述べているとおりなのであります。  それなのに、政府自民党が、消費税廃止せず、あくまで定着を図ると開き直り、消費税廃止した後の財源を示さなければ無責任であり、検討の対象にならないと消費税廃止の主張に攻撃を加えております。これは民意に挑戦する言語道断の態度であり、これこそ無責任そのものではありませんか。また、政府自民党財源セット論は、単に無責任というだけでなく、自民党野党にしむけた策略です。すなわち、財源法案国民の関心を集中させ、自民党の土俵での論議に引き込み、ここに攻撃を集中して、国民世論を分断して消費税廃止を阻止しようとするものであります。我が党は、このことを早くから警告してまいりました。残念ながら、税制改革基本法案代替財源法案提案は、政府自民党のこの財源セット論の策略に乗ってしまったものと言わざるを得ません。  国民は、とにかく消費税廃止という気持ちで投票した、財源論議に投票したのじゃないという新聞投書は提案者も御存じだと思います。提案者法案発表の際、本来は消費税廃止大型間接税に依存しない財源確保政府責任であると言っております。それなのに、なぜその本来あるべき立場を貫かないで、自民党の思惑どおりに代替財源法案提出し、政権担当能力を示すどころか、逆に政府自民党に攻撃の口実を与えるようなことをしたのか、お答えいただきたいのであります。  消費税廃止後の問題について申しますと、財源セット論と切り離して考えるべきものでありますが、代替財源関連法案提出された以上、この法案は二年間の時限立法ではなく、場合によっては将来とも国民を拘束する可能性があるので、その内容について我々の見解と疑問点を表明せざるを得ません。  最大の問題は、世界に例のない大企業への優遇税制をどうするのかという税制のあり方の根本問題と、税金の使い道、とりわけ軍事費問題であります。  我が党は、直接税中心、総合・累進課税、最低生活費非課税を中心とした戦後の民主的原則を生かした税制を実現することを主張し続けてまいりました。そのためには、大企業・大金特も減税の中止、多国籍企業課税適正化、財テク、金転がしへの課税の強化などにより、世界に例を見ない大企業・大金持ち優遇税制の不公平を改めることが何よりも重要であります。代替財源法案にはごくわずかの大企業課税強化案があるものの、世界に例を見ない大企業優遇税制を抜本的に是正することにはほど遠いのであります。  提案者に尋ねますが、大企業の法人税率をなぜもとに戻さないのでありますか。外国税額控除について特別批判の強い間接控除、みなし控除をどうして認めるのでありますか。大企業のための無数の引当金、準備金のうち取り上げておりますのはごく限られておりますが、それ以外の退職給与引当金など多くのものは容認するということでありますか。ぬれ手にアワの株式時価発行差益にはなぜ課税しないのでありますか。それぞれ具体的にお答えいただきたいのであります。  特に、今後の税制方向を示す税制改革基本法案は、不公平税制として個人開業医への特例、零細企業へのみなし課税問題など、むしろ弱い者いじめとなるものを例示し、これと並べて企業一般に対する各種の特例等を挙げているだけで、最大の問題である大企業優遇の不公平税制を根本的に正そうとする姿勢がほとんどうかがえません。提案者は、大企業優遇税制に根本的なメスを入れるべきだと考えているのでありますか、それとも必要ないという考えでありますか。  物品税地方税の復活については、新聞世論調査を見ても国民にかなりの反対意見があります。こうした状況下で、自民党財源セット論の策略にかかり、代替財源法案提出すれば国民世論を分断する矛盾も生まれます。我が党は、政府自民党のねらいを打ち砕くためにも、消費税廃止法案は他の法案と切り離して無条件に可決することをこの際提案いたします。この点について提案者は、午前中の答弁で、まず廃止と言いました。切り離して無条件で消費税廃止法案をまず可決しますか、はっきりした答弁を求めます。  そのほか、提出法案にはいろいろただしたい点がありますが、ここでは納税者番号と入場税についてだけ質問します。  プライバシーの侵害を招くとして国民多数が反対している納税者番号の導入と、これまた文化に課税するものとして長年反対運動が続いてまいりました入場税復活については、我々は賛成できません。提案者の見解を求めます。  こういう複雑な矛盾を持ち、消費税廃止に賛成している人々の中にも多くの異論を引き起こす諸法案提案者はどうしても今必要と考えているのでありますか、見解を求めます。  次に、軍事費の問題です。  提出された諸法案では、軍事費の削減について一言も述べられておりません。政府自民党国民意思議会制民主主義も踏みにじって消費税をあくまでも残そうとする本当のねらいは、軍備拡大の財源づくりのためであります。  日本の軍事費の増大は、アメリカが高く評価するように、世界でもずば抜けたものです。そして、憲法で戦力の保持を禁止している日本の軍事費が、何と世界で第三位になっております。しかも、アメリカの軍拡要求はとどまるところを知りません。そして、来年度の概算要求では軍事費が初めて四兆円を突破いたしました。しかも、最近アメリカ議会では、在日米軍経費の全額日本負担を要求する決議を採択しようとしております。加えてアメリカは、アメリカの世界戦略を補強するための政府開発援助の抜本的増額を求め、軍事費、政府開発援助費合わせてGNPの三%にせよという要求まで突きつけているのが現状であります。  世論調査でもわかるように、国民の圧倒的多数が税の使い道としても軍事費の増額に反対しております。世界でも平和と軍縮の政治への方向が強まっているではありませんか。こういう状況のもとで軍事費については全く手をつけないというのでは、軍拡競争を容認する立場に立ち、かつ消費税のような大型間接税が息を吹き返す根源を残すものと言わざるを得ませんが、提案者の明確な答弁をお願いいたします。  以上、法案について率直な質問をいたしましたが、最後に、国政選挙で示された国民の審判に従うことは国民主権に立つ国会の責務であり、日本共産党は消費税廃止法案の速やかな可決のために全力を挙げる決意を重ねて表明いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔峯山昭範登壇拍手
  31. 峯山昭範

    峯山昭範君 近藤君にお答えいたします。  まず初めの御質問は、参議院選挙の審判に従えば消費税は無条件に廃止されるべきであるが、提案者の見解はどうかということであります。  御指摘のとおり、さきの参議院選挙の結果は、国民消費税廃止の審判が下されたものと考えるものであります。消費税は、昭和六十一年の衆参同日選挙大型間接税と称するものはやらないという公約に違反するものであり、しかも強行採決という手段によって強行に導入されたものであります。その上、この大型間接税である消費税は、逆進性という基本的な難点を持つとともに、簡易課税制度、免税点、帳簿方式等を採用したことによりまして、消費者の支払った税の一部が事業者のもとに残るなどの制度上の欠陥をも持っております。国民は、こうした導入における手続的な問題と消費税の持つ欠陥について、参議院選挙を通じて厳しく批判を下したものであると我々は受けとめております。  議員の御主張のとおり、消費税は無条件で廃止されるべきだと思いますが、この意味の中に代替財源を示す必要はないということが含まれているとするならば、いささか我々と考えを異にするものであります。我々は、選挙公約を実現するために、今回の消費税廃止法案廃止後二年程度かけて本格的な税制度の確立を図るための税制改革基本法案、またその間の財源確保法案としての法人税法等の一部改正案など五法案提案したものであります。  次に、消費税は無条件に廃止せよ、その上で将来にわたって大型間接税の根を完全に断ち切らなければならないという御指摘であります。  この問題につきましては、まず前段の問題につきましては、私ども四会派の提案者参議院選挙における国民の審判を厳しく受けとめ、消費税廃止法案提案しているわけでございまして、そのことをもってお答えといたしたいと思います。  大型間接税につきましては、大平内閣の一般消費税、中曽根内閣売上税、そして今日の消費税と、大型間接税のいずれにも国民は明確に反対の意思表示をしております。したがって、提案者といたしましては、その意思に従うのは当然であると考えております。  次に、税制改革基本法における基本方針の問題でございます。  この基本方針では、国民税制改革協議会において審議していただく上でその審議方向を提示しているものでありますが、御指摘の間接税の問題につきましては、間接税が直接税を補完する地位にあるべきことを踏まえまして、「国及び地方の個別間接税の整理及び合理化を図るとともに、サービス、流通等に対する適正な課税の在り方について検討を加え、その結論を得ること。」といたしております。  まず、この「国及び地方の個別間接税の整理及び合理化を図るとともに、」ということについては、今回改正提案している酒税、たばこ税を初め国及び地方の間接税等をも含んでいることは当然であります。また、「サービス、流通等に対する適正な課税」といいますのは、消費税廃止によってサービス課税が一切なくなること等から、これにかわる課税のあり方等を検討していただくという趣旨であります。  検討の中に大型間接税が含まれているとすればという仮定を置いた御質問でございますが、先ほども申し上げましたように、大平内閣の一般消費税、中曽根内閣売上税、そして今日の消費税と、大型間接税のいずれにも国民は明確に反対の意思表示をいたしております。また、基本法におきましてもその第二条におきまして、「税制改革は、消費税の創設を中心とする先の税制改革が広く国民理解信頼を得た上で行われたものとはいい難い状況にかんがみ、かつ、消費税廃止されることを踏まえ、国民合意に基づき、改めて我が国の現在及び将来の経済社会に対応する税制を確立するために行うものとする。」と明確に規定をいたしておりますし、また大型間接税につき ましては、こうした趣旨に基づき設置される国民税制改革協議会の検討に際しましては、こうした国民意思基本法の趣旨が踏まえられるべきは当然であり、提案者大型間接税の検討を想定してはおりません。  したがって、近藤議員が言われる大型間接税へのよりどころの余地を残すべきではないとの御指摘はごもっともではありますが、もともとそうしたよりどころは存在しないと考えております。ただし、提案者間接税そのものを否定しているわけではなく、現に、暫定的ではありますが、個別間接税復元提案いたしておりますし、これらの改善は必要と考えております。そうした意味で、「直接税を主とし、間接税を従とすることを堅持し、」と第四条の基本原則で明記をいたし、第五条に「間接税が直接税を補完する地位にあるべきことを踏まえ、」としているわけであります。  次に、議長裁定の問題についてお答えをいたします。  海部総理は、消費税の出発点は衆議院議長議長裁定であるとの発言をいたしておりますが、この発言は全く根拠のないものであります。議長裁定には「直間比率の見直し等今後できるだけ早期にこれを実現できるよう各党協調し、最大限の努力をはらうこと。」とあります。ここで言う「直間比率の見直し等」につきましては、先ほどから答弁がございましたように、大型間接税の導入を意味しているものではないということは、再度議長裁定の際に社会党の山口書記長が確認したことでも明らかであります。また、この裁定を受けて設置された税制改革協議会においても大型間接税については全く議論がされておりません。それのみならず、いわゆる中間経過報告自民党が一方的に行ったために、この改革協議会が終了してしまったわけであります。  近藤議員は、政党間の取引が存在したかのような発言を先ほどされておりましたが、政党間の取引などは何もないことは言うまでもありません。国民が強く反対し、しかも公約違反である売上税廃止するために議長裁定を受け入れたものであり、それ以外の何物でもございません。  したがって、政府自民党が言っている衆議院議長裁定があるから公約は取り消されたなどということがあるはずがなく、政府自民党の言い分をそのままに受け入れようとしている姿勢につきましては、まことに遺憾であると言わざるを得ません。  続いて他の答弁者より答弁がございます。(拍手)    〔久保亘登壇拍手
  32. 久保亘

    久保亘君 近藤君の御質問に引き続き答弁をいたします。  確かに、今回の代替財源案提案については野党が示さなくてもよいのではないかという議論があったことは事実でございます。かつての取引高税廃止のときは、これは政府提案でありましたけれども、代替財源案は示されていませんでした。私も、本来であれば、国民の審判を受けて消費税廃止し、大型間接税に依存しない財源確保政府責任にあると考えております。しかしながら、さきの参議院選挙で示されたように、国民の圧倒的な野党に対する期待を考えるとき、野党国民政策責任政策能力を示すべきであると考えたのであります。当面の税制改正税収増を図り、あわせて税収見積もりの是正に基づく平成年度以降の税収増の一部を代替財源に充てるというのがその骨子でございます。  政府自民党は、不確実な見直し論のみを繰り返し、いまだに消費税存続を言い続けています。今日の消費税廃止というテーマが、国民の要望に沿って本院において議論がされるということに、提案者代替財源をも含めて消費税廃止法等の案を示しましたことも大きく役立っていると考えているものであります。  消費税廃止法案は他の法案と切り離してはどうかという御提案でありますが、提案者としては消費税法廃止法案をまず初めに提案いたしております。よろしく御審議いただけるようお願いいたします。  次に、法人税関係の御質問にお答えいたします。  法人税をさきの政府改正以前の税率に戻すべきではないかとの御主張ですが、今回提案しております法人税基本税率と配当軽課税率の延長措置はあくまでも消費税廃止に伴う暫定的な措置であり、暫定期間が過ぎれば、基本税率現行法に沿って引き下げられ、配当軽課制度は廃止され、基本税率に一本化されるものであります。短期間のうちに法人税率を大きく変動させると混乱をもたらしかねないため、必要な措置に限定しており、あえて法人税率復元する必要はないと考えたのであります。  私どもは、法人課税適正化を目指し、実態に即して貸倒引当金賞与引当金を圧縮し、配当課税適正化するなど、課税ベースの拡大を重視した改正を行っております。今後も課税ベースについては、税負担の公平を重視し、それを拡大する方向考えており、引当金、租税特別措置その他役割を失った過度の優遇措置については、実態に即し適宜見直す考えであります。  外国税額控除制度についての御質問でありますが、国際間の課税考える場合、二重課税の排除は広く認められている原則であり、制度改正を検討するに当たってはその点を全く無視してしまうわけにはいかないと考えております。間接控除制度やみなし控除制度を全部否定してしまうのは、諸外国との関係などを考慮すれば難しいことではないかと思っております。むしろそのような制度を悪用した租税回避の防止対策を検討し、実施するのが急務ではないかと考えるのであります。  株式発行差益に課税せよとの御意見でありますが、時価発行による増資がふえていると言われており、増資を建前にして内部留保された利益に課税することは検討に値するにしましても、資本に組み込まれたものを課税対象とするのは、法人課税原則にかんがみると問題が多いのではないかと思われます。  大企業優遇税制とは何か、種々論議があるところでありますが、そのような問題を含めて法人税適正化考えており、何度も繰り返すようでありますが、私どもは、税率だけではなく、課税ベースの拡大という観点を重視してまいりたいと考えております。  納税者番号制度は導入すべきでないとの近藤君の御質問でありますが、我々は、税の公平を確保するには所得の捕捉体制を整備する必要があり、そのために納税者番号制度の導入は避けて通れない課題となってきておると考えておるのであります。政府税制調査会に小委員会を設けて検討した経緯があるように、税の公平を確保するために、国民合意を得ながら導入を図っていくことを国民税制改革協議会にお願いしたいと考えております。  いずれにせよ、納税者番号制度の導入に際しては、国民プライバシー保護合意形成が大前提であると考えているのでございます。  消費税廃止に伴う代替財源についての間接税基本考え方は、税制改革以前、つまり昭和六十三年度税制に戻すということであります。したがいまして、入場税についても消費税に伴って廃止された税目であり、代替財源基本考え方に沿って入場税を復活させております。ただし、一律に復活させるということでは消費者にとって負担の激変となるため、税率を以前の一〇%の半分、五%といたしております。また、免税点も復活させており、例えば映画ですと二千円まで、演劇でありますと五千円まで税がかからないということになります。したがって、現行消費税ではすべての入場料金消費税がかかっているのが、映画ではほとんど、演劇でも大衆的な料金のものについては一切税がかからないということになるのでございます。  文化、芸術に税をかけるのはいかがかとの意見は十分承知いたしております。今後二年間かけて国民税制改革協議会で御議論いただくことになりますが、提案者といたしましては、将来は、文化、芸術に税をかけるのは好ましくないと考えており、そのような結論が出るものと想定いたしております。  最後に、軍事費支出の増大と大型間接税の関係について御質問がございました。  私が趣旨説明においても強調いたしましたように、私ども八名が共同責任提案いたしました消費税廃止に関連する九つの法案は、あくまでも歳入の中の租税に限定した改革案であり、軍事費支出を初め歳出に関係する御論議予算委員会等の場において徹底してお願いしたいと存じております。  近藤君は、消費税法廃止する法律案の速やかなる可決のために全力を尽くすという御決意でございました。そのため、日本共産党はお立場に立たれまして御奮闘くださることと存じます。  以上で答弁を終わります。(拍手)     ─────────────
  33. 小野明

    ○副議長(小野明君) 古川太三郎君。    〔古川太三郎君登壇拍手
  34. 古川太三郎

    ○古川太三郎君 連合参議院を代表して、提案者に質問いたします。  我が国の経済成長、経済社会の安定、そして近年における主要諸国に比較しての相対的に良好な経済の基盤は、働く方々の高い労働意欲と安定した労使関係にあったと考えます。しかし、現在我が国財政運営と税負担構造には、このような経済基盤を崩壊させる危険が十分にあることもまた深刻な問題であると言わなければなりません。  我が国は、先進工業国への仲間入りを急ぐ余り、これまで一貫して産業保護、生産者優先の政策をとってまいりました。生産者の側には政治家もつき、行政の対応も十二分に行われてきましたが、反面、消費者はそのパイプも持たず、この消費税の実施に当たっても、負担する肝心かなめの消費者の意向を全く無視する形で行われたのが実情でございます。  そのため、さきの参議院選挙において多くの国民は、消費税の強行導入、リクルート疑惑等の政治不信・腐敗に怒りの一票を投じました。私たち連合参議院は、この良識ある国民の声を背景に誕生いたしました。そしてこの国民の声は、単に消費税廃止にとどまらず、実はその根底にあるもっと本質的な税負担構造の問題として不公平税制に対しての大きな怒りであったと思います。  税の基本理念は、あくまでも応能負担原理に立脚して、税負担者の担税能力に即し、それに合った課税を行い、あわせて所得の再配分を行わなければなりません。この点に関し、提案者の御意見を伺うものであります。  現在、我が国税制には実に多くの不公平な制度があります。例えば、だれもが知っている三菱商事株式会社は、五十五年度以降五十九年度まで少なくとも五年間、法人税の納付額はゼロでありました。税務署は、個人については毎年五月一日に多額納税者として納税額を公表します。しかし法人については、なぜか納税額は公表せず、税率を乗ずる前の課税所得額しか公表しません。ですから、三菱商事の昭和六十年三月期の申告課税所得金額が五百七十一億円と公表されても、その税額は国民一般に対しては不明です。当時の税率で計算すれば、法人税として約二百六十億円の税額になります。ところが、実際は一円も税金を払っていない。そのからくりは、外国税額控除制度の欠陥を利用して、日本という国への実際の納付額はゼロになるという操作をしていたのであります。これは不可思議と申しますか、国民だれもが信じられないことであります。昨年の竹下税制改革では、外国税額控除制度につき一部の手直しをしましたが、その欠陥の是正は極めて不十分であります。  今、企業は、その利益を還元し、地域社会に貢献することこそその存在意義を持つものであると、企業みずから声高らかに主張しております。このようなときに、日本に本社を持ち、日本で生まれ、日本で大きく育ち、今や世界の中の企業とまで言われるようになった会社が、この日本の地で納税義務を免れ、法人税としては自分の国にその稼ぎ高にふさわしい納税をしなかったそういう事実こそ、毎日が消費税に苦しむ多くの国民はこれを何と感ずるでありましょうか。このたびの選を戦ってこられた提案者にその所見を問うものであります。  また、この際、法人も個人と同じく納税額を公表すべきであることを政府に要求いたします。  これは三菱商事一社に限ってのことではございません。日商岩井、丸紅、伊藤忠、トーメン、ニチメン、兼松江商もこの例外ではないのです。ただ、企業も激しい生存競争の中で戦っております。少しでも自分たちの戦いを有利に展開したいのはやむを得ません。社会的道義的には非難されても、しかし法律的には是認されるのです。私が弁護士だからといって、これら商社を弁護するわけではございませんけれども、これは脱税ではなく、節税というか、これが許されるのは、まさに我が国税制の欠陥と言うべきであります。外国税額控除について提案者の見解を問うものであります。  いま一つは、法人株主が受け取る配当金についてであります。  ここ数年、財テクブームと言われておりますが、保有株式総数の七五%は、銀行、保険、証券その他の金融法人、事業法人株主であります。その受取配当金は実に一兆円という巨額なものであります。ところが、それは法人税課税対象外になっております。この法人間配当益金不算入というのは、配当を払う企業が税金を払っているから二度も課税する必要がないというのが理屈でございます。  今や、だれしも日本の大企業が擬制的存在であるとは考えておりません。今日、一大企業が風邪を引けば肺炎になる地方自治体がたくさんある現実では、法人を擬制的存在であると見るのは大きな誤りを犯すものであります。全く現実離れした、時代おくれも甚だしいと言わざるを得ません。少なくとも、不特定多数の人から市場を通じて自己資金の調達可能な法人は、税制上においても社会的実在性を認定すべきであると思いますが、提案者の御意見を伺いたいと思います。  不思議なことに、政府は、法人擬制説的な考え方の立場に立ちながら、さきの竹下税制改革消費税の導入に少々の後ろめたさを感じたのか、受取配当金に対し平成元年度は一〇%、二年度には二〇%について課税するという妙な改正をしました。本来、税法では、それが益金と認定されればその一〇〇%が課税ベースにならなければならないと思うのであります。まことに不合理きわまりない優遇措置と言うべきであります。何かとアメリカを見習う政府は、なぜかこの点に関しては見習おうとしません。もちろんアメリカは一〇〇%課税であることを付言するものであります。この点、提案者現行の二〇%から四〇%課税提案され、少しの前進を見ましたが、しかしそれでは不徹底であり、その不合理性はいまだ残っております。提案者に所見を伺うものであります。  さらに、個人の利子所得についても大きな不公平があります。納税免除者は無論のこと、一〇%程度しか所得税を払わなくてもよい納税者にとって、利息の二〇%課税は酷であります。逆に、何千万、何億円もの利息を受け取り、本来なら五〇%以上の納税義務のある人でも、わずか二〇%の税率で済む完全分離課税方式は不合理であります。消費税に見るごとく、この利子所得課税も同じ逆進性論理であります。平等という言葉は聞こえはいいが、到底公平ではありません。消費税と同じく、さきの竹下税制改革ではこの点改悪された点でありますが、提案者意見を求めるものであります。  このほかに、法人税には税務会計制度の自由化の乱用、各種引当金の過大設定を許していること、海外ではタックスヘーブンの乱用による税逃れが寛大な扱いを受けていること、公益法人課税がルーズなことなど、ぜひ是正すべき重大な欠陥がたくさんあります。  今また、地価高騰に象徴される資産の格差が進んでおります。固定資産税や相続税など資産に対する課税は強化すべきであるのに、土地の値上がりを理由に実質的には軽減されております。保有に軽い税体系は、持てる者と持たない者の格差をさらに大きくするばかりであります。これは単に税収の問題だけでなく、社会の活力という意味でも大きな問題であると言わなければなりません。提案者の所見を問うところであります。  以上述べました点は不公平税制のほんの一例にすぎません。日本法人税は諸外国に比べ高いと言われていますが、必ずしもそう言い切れるものではありません。本来課税されるべき所得が、さきに述べました優遇措置資産所得課税の空洞化によって虫が食った葉っぱのように抜け穴だらけになっております。つまり、課税ベースが削られているのです。これでは税収が減るのは当然です。そこで、税収を上げるために税率を上げなければならないということになり、政府はその悪循環を繰り返してきたのであります。  このような状況にもかかわらず、さきの税制改革では、肝心の課税ベースでの正常化を全く行わないで法人税税率を下げました。その税収不足分を、何をか言わん、消費税でカバーしたのであります。私が声を大にして申し上げたいのはこの点であります。多くの国民は、不公平税制を少しも是正することなく置き去りにしてしまう政府に対し、大きな怒りを感じているのです。  消費税は、まさに税金を吸い上げる増収装置としての安定財源確保の意味であったと言えましょう。政府は、盛んに来るべき高齢化社会に備えてと言いますが、それはここ二、三年の話ではなく、二十一世紀のことであります。今直ちに消費税を導入しなければならない緊急性は全くなかったと言わなければなりません。そればかりか、消費税導入と、それを定着させてしまうことは不公平税制是正を不問にすることになるという点に重大な問題があると思います。この点、廃止提案された方々の御意見を問うところであります。  また、このことは、安易な税収によって放漫財政を許すことになりますが、この点についても御意見を問うものであります。  今、自民党は、消費税見直し案として食料品等の非課税を検討しております。諸外国では、政策的配慮による非課税も幅広く認めており、負担者への配慮をし、逆進性の緩和に努めているのが実情であります。しかし自民党は、極めてずさんな帳簿方式でしか消費税の導入をなし得なかったのであります。この方式では、非課税品目をふやすのはもちろんのこと、事業者の反対を抑え込むために高額の免税点簡易課税制度を必要とするこの現実こそ、消費税導入そのものに無理があったと言わなければなりません。何でも三%という一律課税によって辛うじて形式的公平を保っている消費税を、今、複数税率や非課税品目を導入することそれ自体自殺行為と言わなければならないのではないでしょうか。  私も提案者と同じく、今我々がなすべきことは、不公平税制是正することに力を注ぐべきであると思います。消費税は現在では百害あって一利なしです。それどころか、タックスエロージョンをなくすることによって、法人税も個人の所得税もその税率を下げることさえ可能であります。国民政府の奴隷ではありません。税は年貢でもありません。税は国民信頼合意によって体系づけられるものでなければなりません。税はまさしく政治の顔であります。税制国民の知恵、文化を反映するものであります。  平成元年、新しい時代に入りました。この際、国民の総意を結集し、高度な文化を持った新しい日本の顔をつくり上げようではありませんか。消費税廃止提案された発議者に敬意を表するとともに、真の税制改革を心から念願し、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)    〔峯山昭範登壇拍手
  35. 峯山昭範

    峯山昭範君 古川君にお答えいたします。  初めに、税の基本理念についてお答えいたします。税の基本理念は、応能負担原則に立脚して担税力に即した課税であるべきであるとの御指摘であります。  我々も、税の基本理念は、シャウプ勧告で示された総合課税に基づく応能負担が貫かれるべきであると考えております。ところが、戦後我が国税制は、シャウプ勧告解体の歴史でありました。その結果として今日の不公平税制が生まれたのであります。政府税制改革では、所得税中心の総合課税主義が形骸化されておりますが、あくまでも我が国税制の基幹税目は所得税であります。  したがって、我々の提案は、税制改革基本法案の中に基本原則として、総合課税主義基本として応能負担原則を重視すること、また、税制社会的再配分機能が十分に発揮されるよう配慮することをうたっております。現在の税制シャウプ税制を政治の力学で不当にゆがめてきたものであり、今こそシャウプ税制の精神に立ち戻るべきであると考えております。  次に、外国税額控除についての御質問がありました。  二重課税の防止などの面から、外国税額控除制度そのものについては否定するものではありません。本制度については、さまざまな角度から問題点が指摘されていることは承知をいたしております。今回の代替財源法案におきましては、外国税額控除について、国外所得割合の限度を九〇%から八〇%に下げておりますが、引き続き検討されるべき課題であると考えております。  次に、企業課税及び受取配当益金不算入制度の問題についてであります。  企業課税の論拠として、法人実在説と法人擬制説の二つがあります。しかし、この問題については、転嫁、帰着の問題とあわせ、いまだ結論が得られていないところであります。  さて、法人の株式は一種の投資物件という性格があり、また、企業の資産選択の実態に着目すると、法人が投資対象として保有する株式にかかわる配当についてまで益金不算入として非課税扱いする必要はないと考えております。したがって、受取配当益金不算入の割合を暫定期間においては六〇%、二年度が七五%、三年度六〇%に引き下げる案を我々は今提示しているわけであります。  以上で私の答弁を終わります。  引き続き他の提案者より答弁があります。(拍手)    〔小川仁一登壇拍手
  36. 小川仁一

    小川仁一君 続いて古川議員の御質問に簡潔にお答え申し上げます。  利子所得に対する二〇%の分離課税につきましては、私どもは税制基本所得を合算して課税する総合課税にあると考えております。利子所得についても当然他の所得と合算して所定の課税をするのが望ましいことであります。御指摘のとおり、利子所得に対して一律二〇%の分離課税が適用されており、原則的に少額貯蓄非課税制度が廃止されたことは、高額所得者の優遇であると同時に、老後や病気などの不安に備えて、生活を切り詰めて貯蓄をしている庶民にとっては大変過酷な政策であると言わざるを得ません。  私どもは、税制改革における所得税改革の中で、中低所得者の勤労意欲と貯蓄意欲を損なわないための措置を講じていきたいと考えております。  次に、土地税制についてでありますが、私どもは、土地問題の重要性にかんがみ、以前から土地基本法を共同提案し、また、今回税制改革提案においても指摘いたしましたように、土地税制について優先課題として検討していただくよう国民税制改革協議会にお願いしたいと思っております。  土地は、社会的に重要であり、また有限な資源であります。これが投機の対象となっている今日の事態はまさに異常と言わなければなりません。土地対策は、税制だけで完結するものではありません。税制の有する意義は大きく、土地保有課税適正化など抜本的な是正を図る必要があります。今回は、地価高騰の全国への波及などの現状を勘案し、当面の対策として土地譲渡所得課税適正化措置提案しております。  以上、答弁を申し上げまして、次の提案者に引き継ぎます。(拍手)    〔勝木健司登壇拍手
  37. 勝木健司

    勝木健司君 不公平税制是正についての御質問でありますが、私どもは、税制改革基本法案の第四条の二項で、「国民の租税に対する信頼を確立するため、税負担の公正及び公平を確保すること。」を掲げております。あわせて第五条の一項におきまして、「社会保険診療報酬課税特例、みなし法人課税、公益法人課税特例、企業に対する課税における各種の特例等の租税特別措置等の抜本的な整理及び合理化が図られるとともに、納税環境の整備が推進されることにより、税負担の不公平が払しょくされていること。」を税制改革基本的な柱の一つとして明記いたしております。  また、国民の税に対する不公平感の大部分が不公平税制にあることは、総理府の税金に関する世論調査等でも明らかでありまして、国民税制に対する不公平感が根強いのは、不公平そのものが税制の中に制度化されていることが最も大きな原因であろうかと思います。この制度化された不公平を除去することが国民税制に対する信頼を回復するために不可欠であると考えまして、そのために私どもは、先ほど述べましたように、税制改革基本法案の中で具体的項目を列挙しているのであります。  なお、これらの制度の改革につきましては、国民税制改革協議会等において今後十分検討をお願いすることといたしたいと考えております。  引き続き、他の提案者より答弁があります。(拍手)    〔笹野貞子登壇拍手
  38. 笹野貞子

    笹野貞子君 古川議員の最後の質問にお答えいたします。  安易な税収は放漫な財政を許すのではないかという御質問に対する回答です。  私たちは、消費税による安易な税収によって放漫財政を許さないためにも、また、不公平税制是正国民の税に対する信頼を取り戻すためにも、消費税廃止税制改革をやり直すことが不可欠であると考えております。この立場から、私は消費税廃止法案など九法案成立に全力を尽くす決意であります。(拍手)     ─────────────
  39. 小野明

    ○副議長(小野明君) 足立良平君。    〔足立良平君登壇拍手
  40. 足立良平

    ○足立良平君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表いたしまして、ただいま提案のありました消費税法廃止する法律案を初めとする消費税廃止関連九法案について、提案者に質問を行うものでございます。  質問の第一は、消費税についてでございます。  私どもは、欠陥消費税の撤回、税制改革のやり直しをスローガンにさきの参議院議員選挙を戦ってまいりました。この選挙において国民は、消費税廃止をはっきりと求めたのでございます。    〔副議長退席、議長着席〕 消費税は、国民に納得できるような明確な理念も目的も示されることなく、しかも、民主的手続を経ずに拙速に導入された税制でございます。また、庶民の水、食料、家賃など、まさに生存の源まで課税対象となる消費税は、特に低所得者や年金受給者の生活を圧迫するものと断ぜざるを得ません。国民消費税廃止を求めたのも、けだし当然であると考えるものでございます。  したがって、私は、国民の審判を厳粛に受けとめ、まず欠陥消費税廃止し、国民の参加と合意形成のもとに税制改革をやり直すことこそが政治家の責務であると強調したいのでございます。本来なら、国民意思である消費税廃止を行うのは政府与党の義務であり、その代替財源を示す責任があると考えるものでございます。しかし、与党自民党は、いまだ国民の声にこたえようといたしておりません。そこで、本院において過半数を得た野党こそ、政策能力、政策責任を明らかにするため、堂々と代替財源案を示すべきだと主張したいのでございます。  かかる観点から、野党四会派が消費税廃止関連法案税制改革基本法案及び代替財源確保関連法案をこのたび国会提出いたしましたことは、まさに国民の声にこたえるものであると高く評価するものでございます。実りある審議を行い、これら法案成立し、我が国税制改革の歴史に新しいページが開かれんことを心から期待するものでございますが、提案者の決意のほどをまず第一点目に伺いたいのでございます。  加えて、今日、消費税廃止についてさまざまな意見が提起をされております。すなわち、今や世 論調査では、廃止だけでなく見直しも多数を占めつつあり、日本経済の中で消費税は完全に定着をしている、また、コンピューターソフトなどの更新により膨大な経費をさらに要する、税収およそ六兆円の消費税廃止はインフレを招きかねない、あるいは一度上がった物価はたとえ消費税廃止しても下がらないなどなどであります。こうした指摘に対する提案者の明快なる御所見を求めるものでございます。  今、政府自民党は、食料品などの非課税化、税額表示方式の変更などに的を絞って見直し作業を進めていると聞いております。つくったばかりの消費税を見直さざるを得ないこと、また、政府みずからが九つの懸念を指摘して消費税には重大な欠陥があることを認めていること、これらの事実はいかに現在の消費税が問題であるかを物語っていると言えましょう。  消費税の抜本的見直し参議院選挙で声高に公約しておきながら、今日においても国会への改正法案提出はもちろん、その基本的な考え方の提示さえしていない自民党は、政権政党として極めて問題であると考えますが、提案者の見解を伺いたいと思います。  質問の第二は、税制改革についてであります。  抜本税制改革は、租税民主主義に基づき、国民合意の形成と民主的ルールにのっとり進めるべきであります。その意味で、税制改革基本法案において、国民各層から成る国民税制改革協議会設置、公平公正な税体系をつくるための基本原則基本方針が盛り込まれていることは、国民の声をまさに反映しているものと称賛をしたいのであります。  この税制改革基本法案について、国民税制改革協議会に逃げておる、あるいはその内容は抽象的で具体性に欠ける、二年間で再改革は本当にできるのかなどの批判もございます。こうした批判に対して提案者はどのように考えるのか、見解を明らかにしていただきたいのでございます。  質問の第三は、消費税廃止のための代替財源確保についてでございます。  提案者は、有価証券譲渡益課税の強化を打ち出しております。今回の案は、さきの政府改革基本的に踏襲しており、みなし売却益を五%でなく七%と仮定しているので、源泉分離課税税率が自動的に一・四%となるだけの話でございます。他方、申告分離課税については以前と変わりません。また、有価証券取引税の引き上げも盛り込まれておりますが、政府が実施した引き下げを調整するもので、増税と見ることは全く当を得ていないのであります。したがって、この改正によって証券市場に悪影響が出ることは全く考えられません。しかし、残念ながら世間において、我が国の資本が海外に逃避する、金融の空洞化、あるいは証券業界の壊滅的な打撃は免れないとの懸念が提起をされております。これらについて提案者の見解を求めるものでございます。  さらに、土地課税については、譲渡益課税の長短期区分を本則の十年に戻す超短期重課措置の延長が盛り込まれております。資産課税の強化を主張する野党の案としては余りにも甘いとの批判があることも事実でございます。確かに、今日の地価・株価高騰による資産格差の拡大は極めて深刻で、一刻の猶予もならない重大問題であると言わざるを得ません。それであるがゆえに、単に財源確保のために小手先の改革をすべきでないと考えるものでございます。土地税制を初めとする資産課税の問題は、国民参加による民主的ルールに基づき行うべき税制改革の最大のテーマの一つと主張したいのでございますが、提案者の御所見を求めるものでございます。  次に、法人課税については、基本税率の引き下げの凍結など約一兆四千億円の増収策が盛り込まれております。しかし、これはあくまでも減税のスケジュールを変更するだけのことであり、経済に対しては影響を及ぼすものではないと考えます。堅調な個人消費、設備投資の伸びが続く新イザナギ景気と呼ばれる今日の状況下におきましては、法人税減税を凍結しても今日の経済にマイナスにはならないと判断をいたします。その意味で、提案者の案は経済的に見ても全く問題のないものでございます。しかし、世界的に見ても高い法人税の引き下げを凍結するのは世界の流れに逆行する時代錯誤の措置だ、あるいは法人いじめがひどく、企業がおかしくなってしまうとの不満も上がっていることも事実でございます。この声に対して提案者より責任ある回答を求めたいと思います。  また、提案者物品税を初めとする間接税復元代替財源に挙げております。提案者の案は、個別間接税復元に関しては、原則として消費税負担をはるかに上回ることのないよう配慮いたしており、やむを得ないものと判断をいたします。そして、二年間の暫定措置としては十分たえ得るものであると評価をするものでございます。しかし、一方において、はるかに合理的かつ公平な消費税廃止物品税復元は、国民生活の現状、経済のソフト化、サービス化の実態を無視している、あるいはコーヒーは課税、紅茶は非課税という矛盾がまた復活するなどのかなり厳しい批判もございます。この批判について提案者より再度納得のいく答弁を求めたいと存じます。  さらに、提案者は約一兆七千億円に上る自然増収を財源の一部としてカウントいたしております。過去の財政当局の税収見積もりが極力低く抑えられていたこと、内需を中心とした経済成長が今後も見込めることなどを考慮いたしますなら、自然増収を財源とすることには何の問題もございません。つい最近も、自然増収を前提とし、二兆六千億円の財源を見込んだ税制改革が行われております。それは政府自民党が実施した消費税導入を柱とする税制改革でございます。自民党の幹部の中には、自然増収を財源とするのは財政のイロハを知らない者がやることだと主張する方もおいでになります。その方は、当然さきの政府改正案に反対していないと論理の一貫性を失うことになろうかと思います。自然増収を財源とすることについて、不確実きわまるものを当てにしているなどの批判がございますので、提案者から再度この点につきましても責任ある回答を求めたいと存じます。  次に、納税環境の整備について伺いたいと存じます。  公平公正な税制度の確立が急務であることは、今や国民的な課題となっております。特に、勤労者が税の不公平に対する強い怒りを感じていることが各種の調査からも明らかになっております。いわゆるクロヨンあるいはトーゴーサンピンと言われる現状に対する不満でございます。また、脱税も国税庁が示すように巨額に達しており、収入がガラス張りとなっているサラリーマンには全く納得のできることではありません。公平な税制構築するためには、制度面のみならず執行面でも公平を確立し、納税環境の整備に努めることが不可欠であると考えるものでございますが、提案者より明快なる答弁を求めるものでございます。  最後に、欠陥消費税廃止税制改革のやり直しが唯一の正しい道であること、国民合意と民主的なルールに基づき、高齢化社会福祉ビジョン、行財政改革の中期計画を策定し、抜本税制改革を着実に進めることこそが生活先進国づくりの大前提であることを主張し、私の質問を終わります。(拍手)    〔久保亘登壇拍手
  41. 久保亘

    久保亘君 足立君の質問にお答えいたします。  まず、関連法案成立に向けての決意をお尋ねでございますが、消費税廃止税制改革のやり直しは、これまでの選挙結果で明確なように国民の声であります。この国民の声を厳粛に受けとめることこそ政治家、政党の責務であると考えるからであります。  また、代替財源については、本来は政府責任でありますが、当院において与野党が逆転した現状を踏まえ、野党としても政策責任を示すため関連法案提案したのであります。消費税廃止与野党政権の交代をも意味するからであります。  これら九法案は、国民の声を公正に反映させたものであり、その成立を目指すことこそ政治の正道であると私は確信をし、全力を尽くして法案成立を目指す決意でございます。  次に、税制改革についてであります。  国民の支持を得られていない、当初の目的を達成できていない欠陥だらけの先般の税制改革は、当然再改革が必要であります。我々は、国民参加のもとに不公平を一掃し、公平公正を確保し、経済や国民生活の変化に対応した所得資産消費等に対する均衡ある税体系を確立するため、新たなる提案を行うものであります。  税制は、国民信頼合意に基づくものであり、その改革に当たっては広く国民の参加を保障し、国民合意を得て行われなくてはなりません。それゆえ、国民税制改革協議会において二年間かけて十分論議を尽くし、再改革しようとするものであり、国民の皆さんの御理解を得られるものと考えております。  我々は、消費税廃止し、税制改革をやり直すことを主張しているのであり、消費税見直し論とは全く異なるものであります。(拍手)    〔峯山昭範登壇拍手
  42. 峯山昭範

    峯山昭範君 足立議員にお答えします。  御質問は、世論調査、消費税廃止に伴う各種の影響についてであります。  消費税は、政治的にも経済的にも問題があり、かつ税法上も構造的欠陥を持つものであります。参議院選挙の結果は、消費税に対し国民がノーという審判を下したものであります。最近の世論調査では、見直しを求める人が五一%と過半数を占めた反面、廃止せよという人も四一%と確かに拮抗しているとも考えられます。しかし、これは自民党が今もって見直しの具体案を提示していない状態での世論調査であり、自民党見直し案が提示された段階では、廃止という意見はさらに増加することが確実であると考えております。したがって、自民党見直し案を明らかにすることが先決であります。  また、消費税廃止の際、事業者にとってレジなどの変更をお願いすることになりますが、それら事務負担については租税特別措置法の中で損金扱いとする措置を講じております。  また、インフレの問題については、四兆二千億円は増収措置で賄うこと、消費税廃止による物価の引き下げなどを考慮いたしますと、インフレの懸念はないと考えております。また、物価の引き下げはまさに行政当局の責任であり、適切に下がるよう対策を講じていかなければならないと考えるものであります。  欠陥消費税廃止し、税制改革をやり直すことが国民の声であり、消費税廃止による国民生活への影響に配慮した措置を講じていると考えております。  次に、自民党消費税見直し作業についての御質問であります。  私どもは、国民の期待にこたえるべく、消費税廃止税制改革、そして代替財源の三点セットを本院に九法案として提案し、現在御審議をいただいているところであります。これは、参議院選挙における公約を果たす義務があるとの立場から、責任政党として提案した次第であります。しかし、自民党選挙において見直し公約し、また海部内閣は、思い切った見直しを言明しながら、今なお見直しの具体案を明示していないことは国民を欺くものと言わざるを得ません。  今、非課税の拡大などの見直し作業を政府自民党が進めているようでありますが、それこそ消費税に欠陥がある、特に低所得者年金生活者に重い税負担を課している逆進性のあることを政府自民党がみずから認めたものと考えております。  次に、土地税制などの資産課税の問題についてであります。  我々も、土地税制を初めとする資産課税の問題については、議員の御指摘のとおり重要な問題であると認識をいたしております。地価高騰の結果、資産格差の拡大、住宅の取得困難などさまざまな弊害を招いております。これは政府が適切な措置を講じてこなかったことに最大の原因があると考えております。  我々野党四党は、総合的な土地対策として土地基本法案国会提出し、土地の有効かつ合理的な原則を確立するとともに、あわせて土地税制など資産課税については、こうした土地基本法を踏まえ、今後優先的に国民税制協議会で検討していくことを要請したいと考えております。  以上で私の答弁を終わります。  続いて、次の提案者より答弁があります。(拍手)    〔笹野貞子登壇拍手
  43. 笹野貞子

    笹野貞子君 足立議員の御質問にお答えさせていただきます。  自然増収による財源確保についての御質問ですが、現在、新イザナギ景気と呼ばれる本格的な大型景気が定着しております。こうした経済状況は税収の伸びが期待できる大きな要因であります。少なくとも二年間は好景気が持続するものと予想されております。政府は当初予算で、平成元年度は六兆二千億円、昭和六十三年度は四兆四千億円を自然増収として見込んでおり、ここ最近五年間の平均でも約三兆三千億円です。税制改革の影響及び株高や土地値上がりの一時的要因を考慮して、昭和六十三年度決算額約五十兆八千億円をベースに税収の伸び率を八%とすると、三兆八千億円ないし四兆七千億円程度の増収が見込まれます。なお、過去五年間の税収の伸び率は九・五%で、これに基づいて税収を推計すると、元年度以降四兆六千億円ないし五兆八千億円程度の増収が見込まれることになっております。したがって、平成元年度並みの歳出増三%を前提にしても、自然増収は消費税にかわる財源の一部に充当できるものと考えております。  昨年の政府税制改革においては二兆六千億円の減税超過となっていましたが、それは二兆六千億円を政府自身自然増収に依存したものです。当時の大蔵大臣宮澤氏も、昭和六十三年八月五日の衆議院予算委員会で、財源不足の穴埋めを自然増収に依存する旨答弁しております。  次に、納税環境の整備についての御質問ですが、いわゆるクロヨン、トーゴーサンピンとは、所得徴捉についての業種間格差であることは言うまでもないことです。また、所得捕捉について、源泉徴収によりほぼ完全に所得捕捉されているサラリーマンと、農業所得者やその他の事業者では業種間において格差があることは学者の研究でも示されております。業種間の所得捕捉の格差については、所得税の納付方法が異なるという問題があります。現在、サラリーマンは源泉徴収制度により、その他の事業者は確定申告制度によることになっております。そして必要経費については、サラリーマンは給与所得控除による概算控除であるのに対し、その他の事業者は実額控除であることから必要経費の認定に関して不満があるなど、制度面に根差した問題であるとの指摘もあります。  また、税務執行面についてですが、所得税では二十五年に一度、法人税では十年に一度しか税務調査が行われず、その一方で、毎年発表される国税庁の脱税白書では、脱税額の規模は大きくなり、その手口も年々巧妙になっております。したがって、この問題は、租税制度の根本に触れるだけに、国民税制改革協議会において、所得税納税方法や税務執行体制の充実などについて広範にわたり徹底的な討論が行われる必要があります。その結果を待って具体的施策が出されることになると考えております。  以上の諸点を念頭に入れ、今後国民税制改革協議会等で議論を進めていただくことになるという考えを持っております。  他の質問についてはほかの提案者が回答いたします。(拍手)    〔勝木健司登壇拍手
  44. 勝木健司

    勝木健司君 いわゆるキャピタルゲイン課税についてでありますが、例えばアメリカでは、有価証券譲渡益課税については総合課税が実施されておりまして、名寄せにより個人の株取引が捕捉されております。したがいまして、今回私どもが提案いたしております法案は必ずしも厳しいものとは言えないというふうに考えます。  また、私どもは、キャピタルゲイン課税強化という一要因だけで大口投資家が海外に逃避するとは考えておりません。海外に資産をシフトさせるにしても、海外市場に対する情報量あるいは為替、時差等のリスクを背負い込むことになります。御案内のように、世界の証券市場は一九八七年十月のニューヨーク証券市場の大暴落以来低迷しているにもかかわらず、日本の証券市場は独歩高を続けておりまして、高いパフォーマンスを上げているのも事実であります。  さらに、本年四月から本来の譲渡益に対し課税が行われ、一 %のみなし課税が実施されましたが、現在株式市場は好調であります。私どもは、税率を一・四%にするもので、わずか〇・四%アップさせるものでありまして、そのことが即金融の空洞化を招くことはないと確信するものであります。  有取税につきましても、〇・三を〇・四に戻すだけでありまして、これによって証券市場に混乱を来すことはないと考えます。  キャピタルゲイン課税は、総合課税に移行することが税の公正を図るために不可欠な課題であります。その際、有取税をどうするかが問題となることは十分承知いたしておりますが、この問題は流通税をどうとらえるべきかという問題でもありまして、今後十分論議をすべきであるというふうに考えております。  次に、法人税につきましては、現行の四〇%の基本税率平成年度まで延長しようとするものでありまして、決して増税であるとは考えておりません。また、中小法人については二八%とすることを提案いたしております。  同時に、私どもが法人課税適正化を求めていますのは、引当金制度等の実態に即しました見直しによりまして、課税ベースの合理的な拡大というものを図ることにあります。そのため、貸倒引当金賞与引当金の圧縮を行っておりますが、この措置は増税というよりは課税ベースの適正化というべきものでございます。  なお、法人税率につきましては、国際的に見て高い等のさまざまの議論がございますが、今回の基本税率、配当軽課税率の延長措置はあくまでも消費税廃止に伴う暫定期間中の措置でありまして、それを過ぎますと、基本税率の引き下げが実施されますとともに、配当軽課税率法人税に一本化される予定であります。  また、将来にわたる法人の税負担のあり方につきましては、経済社会の動向、財政事情、課税ベースのあり方等を勘案し、いわゆる国民税制改革協議会等におきまして今後十分検討されるべき課題であるというふうに考えております。  最後に、物品税についてお答えいたします。  物品税復元は時代に逆行したものではないかとの御指摘でありますが、物品税は、課税物品の消費に示される担税力に応じて課税を行うものでありまして、消費に対する課税としては消費税と異なり逆進性も少ないものでありまして、間接税としては決して劣るものではないというふうに考えております。  また、物品税課税品目のアンバランスを生じているのではないかとの御指摘についてでありますが、物品税課税、非課税のアンバランスは、ただ単に国民の消費の多様化に伴ってぜいたく品の判断基準が明確でなくなってきたというだけではありませんで、例えば、地域の伝統工芸を保持するとの観点から課税除外になっているものもありまして、結果としてアンバランスを生じたというものも少なくないわけであります。  このように物品税のアンバランスをもたらしたのは長年政権を担当してきた政府自民党でありまして、新規物品に課税しようとすると政治圧力がかかり、人為的にゆがめられたものも少なくないのが実情であろうかと考えられます。(拍手
  45. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────
  46. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 日程第一 所得税法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。大蔵委員長藤井孝男君。    〔藤井孝男君登壇拍手
  47. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 ただいま議題となりました所得税法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本法律案は、最近における社会経済情勢にかんがみ、パート所得者税負担軽減の見地から、平成元年分以後の所得税に係る給与所得控除額の最低保障額を引き上げることにより、非課税限度を現行の九十二万円から百万円に引き上げるとともに、家内労働者等の事業所得等に係る必要経費の最低保障額についても同様の引き上げ措置を講じようとするものであります。  なお、本法施行による国税減収見込み額は約五百億円で、住民税への影響をも含めますと約七百五十億円と相なります。  委員会におきましては、パート所得者等の非課税限度額を百万円とした理由、パート労働者の気配り勤務の解消についての対応策、キャピタルゲイン課税のあり方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。  質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  48. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  49. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 総員起立と認めます。  よって、本案は全会一致をもって可決されました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十八分散会