運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1989-10-06 第116回国会 参議院 本会議 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十月六日(金曜日)    午前十時八分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第四号   平成元年十月六日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第三日)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、国家公務員等任命に関する件  以下 議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これより会議を開きます。  この際、国家公務員等任命に関する件についてお諮りいたします。  内閣から、  宇宙開発委員会委員久良知章悟君を、  労働保険審査会委員山田正美君を 任命したことについて、それぞれ本院の承認を、  また、国家公安委員会委員富田朝彦君を、  公害等調整委員会委員南博方君を、  中央社会保険医療協議会委員三藤邦彦君を 任命することについて、それぞれ本院の同意を求めてまいりました。  まず、宇宙開発委員会委員及び国家公安委員会委員任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、いずれも承認または同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  3. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 過半数と認めます。  よって、いずれも承認または同意することに決しました。  次に、労働保険審査会委員公害等調整委員会委員及び中央社会保険医療協議会委員任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、いずれも承認または同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  4. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 総員起立と認めます。  よって、全会一致をもっていずれも承認または同意することに決しました。      ─────・─────
  5. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 日程第一 国務大臣演説に関する件(第三日)  昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。鶴岡洋君。    〔鶴岡洋登壇拍手
  6. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 私は、公明党国民会議を代表して、総理所信表明に対し質問を行うものであります。  初めに、総理政治姿勢についてお伺いいたします。  総理は、総理就任後のあいさつで、必要なのは対話改革だとし、その改革第一歩政治倫理確立だと述べておられます。しかし、いかに対話を重ね、また改革を訴えても、戦後四十年間に及ぶ自民党政治延長では、政治倫理確立政治改革も期待できないと言っても過言ではありません。議会制民主主義政権交代によってその機能が発揮されるものであり、私は真の政治改革政権交代によって初めて実現されるものと考えるものであります。  総理所信を伺います。  総理リクルート事件けじめはいまだにつけられておりません。リクルートで汚染された議員はみずから辞職することが政治家としての身の処し方であります。しかし、海部内閣は、総理以下七人の閣僚と、党三役のうち二人までがリクルート関係議員であります。これではリクルート免罪内閣であり、リクルート事件けじめをつけるどころか、これこそ国民への挑戦であると言わざるを得ません。  この点、総理はどのような認識をしておられるのか、お尋ねするものであります。  次に、消費税についてお伺いします。  およそ税制は、国民権利義務にかかわる問題であると同時に、国民生活経済社会に重大な影響を及ぼすものであります。したがって、税制改革を行うに当たっては、国民理解協力を得るということが鉄則であります。竹下元総理も、税制基本国民合意に基づいて成り立っていると述べております。ところが、実際の行動は、三年前の衆参同日選挙において、大型間接税導入しないという公約で得た衆議院における三百議席という多数を背景に、国民の大多数が反対する消費税導入を強行したのであります。  さき参議院選挙最大の争点は、この消費税を是とするか非とするかでありました。消費税に対する国民の答えは明確にノーという審判を下したのであります。  総理参議院選挙の結果をどう受けとめているのか、国民の声を率直に受けとめるならば、当然消費税廃止すべきであります。総理見解を明らかにしていただきたいのであります。  政府自民党は、参議院選挙において消費税見直し公約といたしました。これに対し私どもは、廃止を約束し、選挙戦を戦ったのであります。私どもは、国民の皆様の審判を受けて、消費税廃止するための関連法案と、二年間かけて将来の本格的な税制確立するための税制改革基本法案を既に本院に提案しており、また、消費税廃止し、本格税制ができるまでの二年間財源確保するいわゆる代替財源法案を近く提案する予定であります。参議院選挙が終わって既に七十日が経過しようとしておりますが、自民党からは見直し案がいまだ提示されておりません。  現に、消費税導入後繰り返し指摘されているいわゆる逆進性簡易課税制度免税業者限界控除制度問題等消費税の欠陥はどれ一つ見ても極めて重大な問題であります。実際、消費者が日々の買い物で消費税を払うとき、これは便乗値上げではないか、これが果たして国庫に納められるだろうかと、こういう疑問と不信を持たざるを得ないのが実情であり、事業者消費者間の不信感を募らせているのであります。これを解決しようとするならば、廃案となった売上税法案伝票方式を再び採用せざるを得なくなり、事業者の反発を受けることは必至であります。したがって、事実上見直しは不可能であります。  政府自民党は、最近の世論調査では見直し廃止を上回っていると宣伝していますが、それならば一日も早く見直し案国会に提出し、同じ土俵の上で論議を深めるべきであります。その上で消費税の論点を明らかにし、廃止か存続かをかけて衆議院解散し、国民に信を問うべきであります。所見を求めます。  次に、政治改革についてお伺いします。  政治改革国民が求めているものは、ポーズや単なるスローガンではありません。総理自民党政治資金規正法改正内容は極めて不十分であり、改悪の内容すら盛り込まれているのであります。第二の政治献金と言われる政治資金集めパーティーについては、自民党案は全くこれを規制しようとはせず、逆に政治資金規正法の抜け穴として行われてきた政治パーティーを合法化しようとしているのであります。政治パーティーについては、政治家個人が主催するものはもちろん、発起人形式開催されているものについても禁止するとともに、政党及び政治資金団体が主催するパーティーの会費は政治資金規正法上の政治活動に関する寄附とみなすべきであります。  また、リクルート事件の教訓は、政治家が複数の政治団体を持ち、政治献金を分散して受け取ることによって、事実上企業個人政治献金総量規制を骨抜きにしていることであります。すなわち、資本金十億円未満の企業寄附できる限度額総量規制は七百五十万円であるにもかかわらず、それを確認する方法は規定されていないのであります。  また、政治資金透明度を高めると言いながら、これも中途半端に終わっております。政治資金公開基準の改定は、思い切った引き下げを図るべきであるにもかかわらず、自民党案は六十万円超の引き下げにとどめているのであります。政治家個人及び後援会等政治団体については年間五万円以上とし、また、政党及び政治資金団体については年間十万円以上はすべて公開すべきだと思いますが、いかがでございますか。  総理企業献金は、企業政治家との癒着、政治腐敗の温床にもなっております。団体についてもしかりであります。昭和五十年の政治資金規正法改正附則第八条を踏まえ、企業団体献金禁止し、個人献金に移行すべきであります。総理の決断を要求するものであります。  次に、全国会議員資産公開についてであります。  公明党は、政治倫理法を制定し、現在の政治倫理綱領行為規範法制化とともに、全国会議員資産公開を義務づける制度を創設するよう主張しております。速やかに全国会議員資産公開について結論を出すべきであります。  この際、参議院改革についてお伺いします。  二院制が有効に機能するためには、参議院大局的見地から中長期的な課題について審議する独自の機能をより強化すべきであります。このため、衆議院と類似している十六常任委員会制度を抜本的に見直し、横割り的、すなわち大事項別委員会制度に改めるべきであります。  さらに、決算審議衆参両院で同じように行われております。しかし、予算審議に偏り過ぎて決算審議が軽視されている嫌いがあります。これを改め、参議院審議日数を大幅にふやし、参議院での決算審議衆議院以上に充実させるとともに、その決算審議が次の予算編成に反映されるよう改めるべきと考えます。  それぞれについて総理の御見解を伺います。  次に、我が国の急速な高齢化社会における最大の関心事は老後の生活についてであります。  その中で、まず第一に年金問題についてお伺いします。  本年は、五年ごとの年金制度見直しを行う財政再計算期に当たっており、既に政府から年金改正法案が提出されております。この法律案については、我が党が主張する地域型国民年金基金の創設、完全自動物価スライド制導入などが盛り込まれており、これらについては評価をいたします。しかし、年金支給開始年齢の引き上げについては容認できません。現に、六十歳定年もいまだ定着していない状況のもとで支給開始年齢が六十五歳となれば、六十歳から六十四歳までの間空白が生じ、年金受給者生活が脅かされることは必至であります。  したがって、まず定年延長に取り組むべきであると思いますが、御見解をお伺いいたします。  第二に、老人保健制度の問題についてお伺いします。  七十歳以上の高齢者を対象とする老人保健制度は、七割を各医療保険からの拠出金から、三割を公費負担で賄われておりますが、毎年老人医療費は一〇%近く伸びております。この各保険からの拠出金のうちどの保険者も同じ割合老人を抱えたものとする加入者按分方法は、老人加入率の低い健保組合等事業主、被保険者拠出金を激増させており、私は、現在の老人保健財源の仕組みは維持しつつも、現行国庫負担割合をふやすべきだと考えます。高齢化の進行、被用者保険負担を考慮し、新たな状況に応じて国庫負担の改善を図るべきだと思います。  第三は、老人福祉の問題でありますが、現在、寝たきり老人痴呆性老人、いわゆる要介護老人全国で百万人を超えており、十年後は二百十万人に上ると推定されております。このような状況の中で、介護を必要とする老人施設は全く不足しており、ほとんど在宅介護に頼っているのが現状であります。  我が国の急速な高齢化社会の到来の中で、特に深刻な問題である老人介護の問題について総理はどのような施策をお持ちなのか、御所見をお伺いします。  次に、農業問題についてお伺いいたします。  今、我が国農業は、農産物の市場開放減反政策強化拡大に加えて、後継者の激減や固定化負債増大等が重なり、農家が将来展望を描けない現状にあります。こうした状況は、農業、農村に対する明確な位置づけと長期展望に基づく経営政策的視点が欠落した自民党農政によってもたらされたものと断ぜざるを得ません。  経済社会国際化消費者ニーズ多様化が一層強く要請される中で、総理は、これまでの農政をどう反省し、今後の農業食糧政策展望に向けてどのような具体策を講ずる用意があるのか、お伺いしたいのであります。  水田減反問題については、農家の方々の協力のもとに大規模転作が実施されてきております。すなわち、転作面積全国稲作面積の三割に当たる七十七万ヘクタールに及び、今やぎりぎりの限界に達しております。にもかかわらず、予想を上回る米消費減退等も加わって、来年度から実施する後期対策においては、実に九十三万ヘクタール以上の転作が必要になるという厳しい予測も出てきております。  政府は、稲作経営の深刻な実態から見て、安易に減反面積拡大転作奨励金の縮減という措置はとるべきではなく、むしろ大都市近郊における宅地化促進のため、秩序ある水田の転用を進めるとか、高生産性で低コストの粗飼料生産を推進するなど、減反必要面積を圧縮するための措置を講ずべきものと考えますが、総理はどのようにお考えか。  また、米の自由化問題についてでありますが、米は我が国農業基幹的作物であり、国民の主食であります。第百十三回国会では、米の自由化要求は極めて遺憾であり、認められない旨の決議を衆参両院で行っております。  もとより、海部内閣においてもこの趣旨を遵守されるものと思いますが、米自由化要求に対する総理決意と御所見をお伺いします。  次に、外交・防衛問題について伺います。  初めに、日米関係についてであります。  年間五百億ドルの対日貿易赤字を抱える米国では、議会中心として貿易不均衡の是正を求める強硬な意見が多くあります。米国の対日国民感情を代表する言葉として、ソ連の軍事力より日本経済力の方が脅威であるという論調まであり、日本は不公平な国とする米国国民が極めて多いとの世論調査もあります。日米経済関係は、今や摩擦の段階から日本脅威論にまで進んでいるとの感を深くいたします。さきに訪米され、直接ブッシュ大統領と会談された総理は、今日の日米経済摩擦現状と、また今後の方向性についてどのようなお考えか、御所見を伺いたい。  次に、我が国国内市場開放についてでありますが、実績で見るならば、欧米諸国に比べ日本国内への輸入品浸透度は極端に低いものがあります。総理米国で言われたように、輸入大国を目指す中で我が国消費者の利益の実現を目指すべきであります。総理の具体的な方針を伺いたい。  また、日米構造協議の第一回協議では、合意事項として、我が国市街化農地宅地並み課税努力と大規模小売店舗法運用緩和を約束したとされております。また、米国側公正取引委員会権限強化政府規制緩和を強く求めております。総理は今後これらをどのような手順で進めるのか伺いたい。  次に、防衛問題についてであります。  現下の国際情勢は、新しい緊張緩和、いわばニューデタント時代が到来しました。中距離核戦力全廃条約発効後、一年余りの軍縮をめぐる米ソ首脳の相次ぐ積極的な提言は目をみはるものがあります。特に、来年前半にはブッシュ米大統領ゴルバチョフ書記長との首脳会談開催合意され、懸案の戦略核兵器半減条約への展望が開けようとしております。  こうした中で我が国政府は、口先では新しい国際情勢変化を評価しつつも、事我が国防衛力については、防衛力増強政策をとり続ける時代逆行路線を選択しております。来年度予算概算要求でも、防衛関係費は引き続き特別扱いをされ、四兆一千億円余という巨額に達する見込みであります。政府は、中期防の総仕上げを口実にがむしゃらに防衛力増強を推進する姿勢のみが見られ、政府が公言をしているような節度ある防衛力整備といった配慮は全くないと言わざるを得ません。  防衛力整備に当たっては、単に既定方針があるからと、着実に実行するといった安易な考えではなく、デタントを基調とする国際情勢変化に適合した真の平和のための発想、すなわち軍拡から軍縮への移行へ政策転換をすることこそ大事であると思うが、総理見解を求めるものであります。  加えて、次期防策定作業を踏襲するのかどうか明確にしていただきたい。  さて、総理訪米の際、米国防長官から着実な防衛力整備と国際的な責任分担を求められたのに対して、応分の負担防衛予算面での努力を言明したと伝えられておりますが、どのような認識のもとでお述べになったのか明らかにしていただきたいと思います。私は、総理米国国防費削減肩がわりを約束してきたのではないかと危惧するものでありますが、明快な答弁を求めます。  また、駐留米軍経費負担に関して米側には、地位協定を改定しなくても光熱費石油代装備品修理代日本人従業員の本給などは日本負担できるとの解釈があるようでありますが、これは政府の従来の地位協定解釈とは異なっていると考えます。この問題に対する政府見解と今後の対応策についてお聞きしたいのであります。  防衛問題の最後に、本年五月に発覚した水爆水没事故については、先日の安全宣言をもって政府措置は終了したと考えているのでしょうか。事故を起こした空母の寄港先については、その後どのような回答が米側から寄せられたのか明らかにしていただきたい。と同時に、この問題により国民の間に大きく広がった核持ち込み疑惑、非核三原則の空洞化批判に対して総理はどのように対処するつもりなのか、お伺いいたします。  次に、我が国政府開発援助について伺います。  政府開発援助は、我が国世界の平和と人類の福祉に貢献するための極めて重要な平和外交の柱でなければなりません。そこで、日本が国際的に信頼される援助大国になろうとするならば、抜本的にその姿勢を改める必要があります。各国のGNP比で見た援助比率では、日本はいまだ〇・三二%で、DAC加盟国平均〇・三五%を下回っている状況であります。援助体制についても、我が国は十六省庁にまたがり、その実施体制はばらばらの状態であります。援助先進国においては援助基本法を制定し、明確な理念に基づいて援助行政を行っております。  我が国においても、援助大国にふさわしい理念確立すべきであると思いますが、いかがですか。  また、道路、ダム、港湾等ハード型中心援助から、人材養成などソフト型援助の比重を高めていくべきでもあります。  我が党は、開発援助理念援助体制整備などを目指してかねてから国際開発協力基本法を本院に提出してきておりますが、こうした法律の制定を急ぐべきだと思います。総理見解をお伺いいたします。  八九年度ODA予算は財投も含め一兆四千億円にも上りますが、この点について国民の目にはっきりわかる援助行政が求められております。総理の御所見を伺います。  最後に、地球環境の問題についてお伺いいたします。  さきに行われたアルシュ・サミットの経済宣言において「将来の世代のために環境を保護する緊急の必要性」、これが指摘されました。世界に貢献する日本としてかけがえのない地球を守るため、まず地球環境保全を国の基本的方針にするとともに、技術協力資金援助及び人材の派遣などについて思い切った対策を講ずることが必要だと考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。  総理、私は今国会は、さき参議院選挙においてはっきりと示された消費税ノーという国民審判政治に具体的に反映する国会だと考えます。私ども消費税廃止法案の成立をあくまでも目指すことを改めてここに明らかにし、質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣海部俊樹登壇拍手
  7. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 鶴岡議員にお答えをいたします。  私は、リクルート事件反省し、政治倫理確立政治改革への第一歩であると考えております。今、自民党に対する御批判には率直に反省をし、全力を尽くして政治改革を実施し、国民信頼回復に向けて努力を続ける決意でございます。  リクルート事件けじめにつきましては、閣僚及び党三役の任命に際し、候補者からそれぞれ自主的に申告をしてもらい、自民党の定めたリクルート問題における政治献金等に関する見解及び、いわゆるけじめ案に従って対処しておるところでございます。  消費税は、さき参議院選挙において消費税影響もあったことは率直に認めておりますが、税制改革全体の姿や、なぜ消費税が必要であるかについて、幅広い観点から国民皆さんに十分御理解をいただくための努力と説得が十分でなかった点も率直に反省をいたしております。幸い税制に関する国民皆さんの関心はかつてないほど高まってきており、最近の新聞の世論調査の結果等を見ましても、税制は、現在、将来にわたり国民生活に深いかかわりを持つものであり、国会でいろいろな立場から議論を重ね、そして問題を明らかにしていくべきであるという、その角度の御意見が多くなっていると判断もしております。したがって、その具体的内容を十分に理解した上で判断すべき事柄であると私は考えております。  今次税制改革の意義や必要性につきまして、国民皆さんに御理解を求めるとともに、今回の税制改革は、従来の我が国税制が抱えておったさまざまなゆがみやひずみの是正サラリーマン層中心とする重税感不公平感、さらに、急速に進む高齢化社会に向けて安定的な財源確保を目的として行われたものでありますから、その全体の税制改革の姿を御理解いただくようにお願いを続けていくつもりであり、消費税見直しについては、参議院選挙や各種の世論調査等の結果を謙虚に受けとめ、消費税の真の定着を図るために、税制調査会においては既に消費者団体福祉団体、各層から幅広く生の声を伺うなど、見直しのための勉強を精力的に続けているところであります。見直しに際しましては、実施状況を十分に把握をし、消費税を取り巻くあらゆる事項について議論した上で結論を出すことが必要だと考えております。  衆議院解散お触れになりましたが、今、法案を提案して政治改革もしなければなりませんし、消費税見直しについては、実施状況を把握し見直し点の声を聞いておるさなかでございますので、この政策課題全力を挙げて取り組む決意であり、解散のことは考えておりません。  政治改革につきましては、政治パーティーの収入についてお触れになり、政治資金パーティーについて、大口のパーティー券購入禁止多額購入者の公表などにより、政治資金パーティーの節度ある開催を図ることとしておるものと私は理解しておりますが、自民党案は、公開基準を六十万円に引き下げ、また政治家関係政治団体を公表することとしておるものでありまして、資金公開性を高め、わかりやすくする方向への前進も含まれておると考えております。  また、企業献金禁止については、企業も一つの社会的存在であることを考えますれば、政治活動に関する企業寄附がよくないと決めてかかるのは、私は逆に適当ではないのではないかと考えますし、なお、政治資金基本的なあり方に関しましては、選挙制度審議会において御審議をいただいておるところでもございます。  また、全国会議員資産公開を含む政治倫理確立につきましては、各党において法制化に向けた御努力が続けられておると承知いたしておりますが、今国会において適切な結論が得られて法制化されますことを強く期待いたしております。  また、参議院の運営についてもお触れになりましたが、このことは政府がとやかく言うよりも、参議院の中で各党各派の御協議によって結論をお出しいただくのがしかるべき姿かと考えますし、なお、決算審議を次の予算編成に反映させるよう努力せよという御指摘に関しては、そのように努力をさせていただくつもりでございます。  本格的な高齢化社会について御意見をお述べになりましたが、高齢者雇用の安定は、国政の上で重要な問題点と自覚をいたしております。今後とも、六十歳定年を基盤とした六十五歳程度までの雇用の場の確保に努めますとともに、人生八十年時代にふさわしい雇用あり方を示す長寿社会雇用ビジョンを本年度末までに策定する所存であります。  老人保健制度につきましては、来年度の見直しに向けて老人保健審議会において御検討をいただいておるところであり、審議会の御意見をも踏まえ、制度の長期的安定を図るため幅広い検討を進めていく考えでございます。  また、介護を必要とする御老人に対する施策充実は、これも大切な課題である。ホームヘルパーの増員やデイサービスセンター、ショートステイの充実など在宅サービスを大幅に拡充するとともに、在宅生活することが困難な御老人については適切な施設サービスが受けられるよう特別養護老人ホーム老人保健施設整備を今後とも進めていく所存でございます。  農政お触れになりました。農業者に信頼される農政確立し、我が国農業に新たな展望を開くことは大切なことでございます。何よりも農家の方々が誇りと希望を持って農業を営める環境をつくっていくことが重要と考えます。  今後の農政推進に当たりましては、将来を見通しつつ長期展望を示すとともに、農家経営の安定を確保しつつ国民の納得のできる価格での安定的な食糧供給を図っていき、農業の持つ多面的な役割を重視していきたいと考えます。  減反政策については、米の需要の減退や生産力の向上などの結果、大きな需給ギャップが存在しておるような状態であります。米の消費拡大を初めとする諸般の施策は精力的に講じてまいりますけれども、需要に応じた米の計画的生産を図っていくこともまた必要なものと考えております。高い生産力を生かしつつ、米及びその他の作物による食糧供給力の確保を図ることが肝要であり、このような観点から水田農業確立対策を推進中でありますが、転用を含む水田の多面的な利用については、今後ともこれを円滑に進めるため、本年三月には転用許可基準の緩和等の措置を講じてきたところでございます。  米にもお触れになりましたが、我が国における米及び稲作の格別の重要性にかんがみ、議員御指摘のように、国会における決議もございます。その御趣旨を体して今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処していくつもりであります。  外交問題にわたりまして、さき日米首脳会談での議論につき、特に経済関係についてお触れになりました。  両国貿易の不均衡是正が必要であり、また、日米構造問題協議において話し合われておるポイントがそこにあることは御指摘のとおりでございます。両方の努力が必要であり、両方からそれぞれの話し合いを進めていこう、そういう協力と共同作業による解決で日米首脳会談では意見の一致をしてきたのでありますが、最近の我が国の対外不均衡は、輸入促進の努力をすることをさらに日本に求めておるわけであります。私は、我が国を取り巻く貿易・経済環境の中で輸入大国になるとの方針を固め、内需主導型の経済運営を引き続き堅持していきますとともに、規制緩和、構造調整、市場アクセスの改善などを初めとする輸入拡大策を講じてまいりたいと考えております。  日米構造問題協議においては、第一回の会合が九月四、五日に行われましたが、それは両国の抱える構造問題について率直な意見の交換の第一回目であり、米側よりも我が国からも、お互いの持つ構造問題に対してそれぞれの指摘がございましたが、これらの問題についていまだ具体的に合意はできておりません。引き続き個別の問題についての協議を進めていく所存であります。  防衛力整備についてもお話がございましたが、確かにおっしゃるように、現下の国際情勢については、米ソ間の軍備管理・軍縮を初めとする対話の進展や世界各地の地域紛争解決への具体的努力などが見られ、今後の展開が注目されるところでありますが、依然として今日の国際社会において力の均衡が平和と安定の基本的な条件になっておるという事実に変わりはございません。この基本のもとに、現在、大綱に定める防衛力の水準の達成を図ることを目標とする中期防の着実な実施に努め、節度ある防衛力整備に努めておるところでございます。  この中期防が終わったらその先はどうするかという御指摘でありますが、中期的な計画を作成する必要があるという点については昨年の安全保障会議において結論を見ておりますし、また中期防終了後においても中期的な計画をつくることは、防衛力整備というものが継続的にかつ計画的に進められるべきものであるという観点から見ても、また適切な文民統制の充実という観点から見ましても必要なものであると考えております。  日米首脳会談の前後、チェイニー国防長官と会談して約束をしたのではないかとおっしゃいますが、具体的な要請は何一つ約束はしておりません。長官は、米ソ関係の動向、米国内の事情を踏まえて一般的な形で同盟国との協力を進めていく必要があるという意向を述べられました。これに対し私からは、世界の平和が基本的には力の均衡と抑止により維持されているとの認識に基づき、今後とも、節度ある防衛力整備を図り、日米安保体制のもとで協力していきたい旨を述べましたし、米国国防費削減肩がわりを約束するというようなことはございません。  駐留米軍経費の問題については、光熱費とか石油代とか日本人従業員の本給とかいろいろ具体的な要請がなされたわけではなく、仮定の問題につき立ち入って議論することは差し控えたいと思いますが、従来より在日米軍経費負担につきましては自主的にできる限りの努力を払ってきておるところであります。  また、核兵器紛失事故の問題についてお触れになりましたが、本件については、既に米国政府から環境への影響はないという回答を得ておりますが、政府といたしましても、先般、海洋環境放射能調査等を実施いたしました。その結果においても異常は見出されなかったのであります。したがって、政府としても必要な措置をとってきております。  非核三原則につきましては、現在その船がどうなったかは米国に照会中でございますが、いずれにせよ、日米安保条約上、艦船によるものを含め核兵器の持ち込みが行われる場合はすべて事前協議の対象となり、また核持ち込みについての事前協議が行われた場合、政府としてはこれを拒否する所存でありますので、非核三原則を堅持するとの我が国の立場は従前と変わったものではありません。  政府開発援助についても、基本法の問題についてお述べになりました。  我が国開発援助は、相互依存と人道的考慮という基本的な考え方に基づいて、開発途上国の経済発展、飢餓と貧困の救済、国民生活の向上への貢献を目的とし、その自助努力を支援するものであります。特に、相手国の経済の持続的な発展に役立つような援助国民に直接裨益するような援助及び人づくり協力を重視しており、心のこもった協力の実施に努めていく考えであり、御発言の御趣旨を尊重して、今後、現行の法令等の枠内で必要な運用の改善を図ってまいりたく考えますし、情報の公開につきましては、評価報告書の公表、受注企業名の公表など、可能な限り国民皆さんの一層の御理解を得るべく政府としても努力を重ねていきたいと考えております。  最後お触れになった地球環境保全対策でありますが、地球環境問題は人類の生存基盤に深刻な影響を与える重大な問題であり、これに大きなかかわりを持つと同時に、我が国は公害防止等の分野ですぐれた技術力を持っており、また我が国の今日まで経験しました公害に対する対策技術等を、「世界に貢献する日本」の立場から地球環境保全を目指す国際的な取り組みに協力していくなど、積極的な役割を果たしていきたいと考えておる次第でございます。(拍手)     ─────────────
  8. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 小笠原貞子君。    〔小笠原貞子君登壇拍手
  9. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 私は、日本共産党を代表して、海部総理質問いたします。  参議院選挙の結果、自民党は過半数を割り、戦後日本政治史上初めての重大な新しい一ページがしるされました。画期的なその変化は、海部内閣誕生に当たり早速あらわれました。参議院においてはあなたを総理に選ぶことを拒否したのであります。実に四十一年ぶりの歴史的な出来事と言えます。このように海部内閣も、次々と辞任に追いやられた中曽根、竹下、宇野内閣と同様に、大型間接税はいたしませんなど、国民を欺瞞する公約で三百議席を占めた偽りの多数に支えられた内閣と言わなければなりません。参議院選挙で示された消費税リクルート、金権政治農政問題の緊急三課題での国民審判を無視する限り、自民党政治国民の間の矛盾は深まるばかりです。  総理、あなたはこのことをどう認識し、その教訓を今後の政治にどう生かされるか、そのおつもりいかがですか、伺います。    〔議長退席、副議長着席〕  生まれながらにして能力に男女の差別はございません。女性たちは、今この日本の社会に大きな役割を果たしています。それにもかかわらず、堀之内前農水相、また先日水野総務庁長官らの女性に対するべっ視発言、そして宇野前総理、山下前官房長官のいわゆる女性問題は、女性の人権と人格を傷つける大きな政治問題と言わざるを得ません。宇野前総理は公の場で口にすることではないと逃げ、この問題をあいまいにしてきました。  海部総理、あなたはこの問題を政治家の倫理として重大だと考えられないのですか、はっきりお答えください。  今、女性たちは、夫の両親、自分の両親、そして自分自身の老後と、三つの老後を抱えて働いています。女性の能力を発揮できるよう、育児、看護のための休業制度をつくり、拡充するために具体的な考えをお持ちか、伺いたいと思います。  女子差別撤廃条約批准から既に四年たちました。女性差別をなくすILO百五十六号条約を批准するための障害は何なのですか。また、それを取り除くために、婦人問題企画推進本部長としてのあなたはどのように対処されるおつもりですか、はっきりお答えください。  また、所信表明で青年に大きな期待をかけられました。世界の百以上の国では既に十八歳で選挙権を得ています。二十歳以上というのはサミット参加国では日本だけという今、世界の流れに沿って選挙権を十八歳に引き下げるのは当然と思いますが、お答えください。  さて、今国会の最重要課題である消費税についてお伺いいたします。  有権者は、何よりも公約違反、国会決議違反の消費税にはっきりノー審判を下したのです。政府消費税についての立場はどうあれ、まずは選挙結果に従って消費税廃止して白紙に戻し、それに伴う必要な措置をとることこそ政府の責任であります。ところが、政府自民党は、財源も示さず廃止を言うのは無責任などと開き直り、消費税廃止を食いとめようと懸命になっています。  このように、国民の声にこたえない態度こそ無責任と言わなければなりません。国民の声を謙虚に聞くと言われるなら、選挙で示された国民の意思を無条件で誠実に実行し、消費税はきっぱり廃止することこそあなたの政府のやるべき仕事であり、国民主権と議会制民主主義の原則に立つものと思いますが、いかがですか、はっきりお答えください。  消費税が強引に導入され半年たちました。その間、主婦のつけている家計簿調査では、四万円を上回る負担となっているのです。また、命を産むのに一万円を超える負担増で母親たちを嘆かせ、また、何よりも障害者、お年寄りなど生活弱者を直撃する不公平税制であることが浮き彫りになってきています。切り詰めようがない年金生活、貯金がなくなったら死ぬとき、でも一日でも長く生きたいとお年寄りを悲しませている今の政治。ことしもまた敬老の日に自殺したお年寄りがありました。米、みそ、しょうゆ、ガス、水道、電気、やむを得ずかかる医療、ぜいたくは言わない、最低生きる、その生きることすべてに対し非情にも消費税をかける、命そのものを削るのが消費税。  あなたはこれらの事実に心が痛まないのですか、お答えください。  国民の意思と民主主義の道理に背を向け、政府は、消費税をあくまで存続、定着させようと見直しなどと言って国民の目をごまかそうとしています。大体、あなたは、思い切った見直しなどと言いながら、いまだに所信表明においても何ら具体的に明らかにされていません。それこそ無責任ではないでしょうか、明確にお答えください。  その見直しなるものも、福祉目的税などとんでもないごまかしです。社会保障費十一兆を確保しようとするなら、現行三%の税率で六兆円の消費税では賄い切れず、税率引き上げの最大の口実に使うことは明々白々のことです。それとも、税率を上げないならば、逆に社会保障費を引き下げざるを得なくなり、いずれにしても消費税こそ最悪の福祉破壊税と言わなければなりません。  国民の反対を抑えるには、買い物の都度感じる消費税の痛みをなくせばよいと考え、税額表示方式を見直し、外税を内税万式にするなど、税を隠してしまうことが検討されているようですが、これは、税の極意は羊が鳴かないようにその毛をむしるという中曽根元総理の手法と同じであり、国民を愚弄したやり方ではありませんか。  さらに、生鮮食料品など非課税品目の拡大検討されているようですが、材料費、包装費、流通経費には課税されているので、ほとんど国民負担は変わりありません。逆進性緩和されません。むしろ課税品と非課税品の仕分けなどで負担がふえ、一層の混乱をもたらすに違いありません。どこをどのように見直そうと消費税の根本矛盾は何ら解決されず、だからこそ見直し内容についても何ら具体的に示し得ないのではありませんか。  総理、あなたは海部内閣では税率を引き上げないと言われましたが、内閣がかわれば何の保証もない、結局一時逃れのごまかしではありませんか。しかも、一%上げれば二兆円、一〇%で二十兆円という巨額な税金を取り立てる道を温存したいというのが本音ではありませんか。明確な答弁を求めます。  消費税は、国民の意思に従ってきっぱりと廃止すべきです。そして、国民審判を受けた枠内で来年度予算を組むことは、国民主権の立場に立つ政府であるならば当然負うべき責務です。それができないというなら、政権を担当する能力がないことをみずから告白したものではありませんか。答弁を求めます。  我が党は、消費税抜きで予算案をつくることが可能であることを明らかにしています。課税の公平化のために、例えば現行の有価証券取引税の税率をわずか〇・一%引き上げるだけで三兆円の財源が生まれます。このほか、大企業、大資産家優遇の不公平税制を正し、法人税率を引き下げ前に戻し、適正な負担を求める必要があります。  また、税制と表裏一体の関係にある税の使い道、歳出構造にメスを入れることです。その最大課題として軍事費の削減があります。中曽根内閣以来の七年間に軍事費は五二%以上もふえ、今や世界第三位の軍事大国となっています。その一方、国民生活関連予算は切り捨てられ、文教費の伸びはわずか〇・四%、中小企業対策費はマイナス二二%と極めて対照的なものとなっています。日本共産党は、軍事費の半分、二兆円の削減を要求いたします。同時に、国債費の名目で国債の利子は年間十一兆円、その大半が大銀行、大企業へ支払われているのです。これを低利に借りかえ、国債費の削減を図るなど、財源は十分に生み出すことはできるのです。これらについても真剣に検討すべきと思いますが、いかがですか、お答えください。  次に、国民が願っているのは、金権腐敗をなくし、清潔でガラス張りの政治です。あなたが総裁選に出られたとき、リクルート社から千四百四十万円もらっているが、これは正当な政治活動資金だと言われました。これには国民は驚き、あきれたものです。なぜなら、竹下改造内閣の長谷川法相は六百五十万円、原田経企庁長官は二百万円もらっていたことがわかって閣僚を辞任したのです。あなたのは、黙っていて後でわかったとき、辞任に追い込まれないように先制攻撃をかけ、居直っているとしか言いようのない態度であります。海部内閣発足時で七人、三千六百四十万円、宇野内閣の四・八倍も深く汚染されています。石井国土庁長官に至っては、リクルート事件発覚後に四百万円の献金をもらっていたなど、自民党みずからが決めたけじめさえも守られていないのです。まさに金権腐敗温存内閣そのものではありませんか。お答えください。  あなたは、一九七七年に文部大臣としてリクルート社のシンポジウムで二回にわたって講演、さらに、あなたが二度目の文相在任中の一九八六年、収賄で起訴された高石氏を文部事務次官に任命しましたが、その年にリクルート社で三回目の講演をし、講演料など合わせて五百万円もの献金を受け取っています。この間、また江副氏が教育課程審議会委員になっているのです。こうした深いかかわりを持つあなた自身の疑惑と責任を国民の前にどう明らかにするのか伺います。いかがですか。  参議院での中曽根元首相の証人喚問も含め、国会でこそ政治的道義的立場から徹底的に解明すべきだと思いますが、いかがですか。リクルート問題は、もはや過去のものとして風化させるおつもりですか。明確にお答えください。  金権腐敗政治をなくす上での緊急の根本問題は企業献金禁止であります。ところがあなたは、企業社会的存在であり、その献金も当然なものとしておられますが、経済同友会代表幹事石原氏が企業政治に金を出せば必ず見返りを期待すると公言されているように、事実上のわいろにほかならない企業献金は全面的に禁止すべきです。どのように取り組む決意があるのか、所見を伺いたいと思います。  次に、米の自由化、農政問題について伺います。  既に日本の食糧自給率は、カロリーベースで五〇%を切り、世界最低水準に落ち込んでいます。その上、さきの名古屋でのコレラの発生やアメリカ産トウモロコシから発がん物質が検出されたことなど、消費者は輸入食品の安全性に対し強い不安を抱いています。安全でおいしくて安い食糧を日本の大地でというのが国民の願いです。  総理、あなたは自給率を高める必要があるとは考えられないのですか。安全問題の不安についてもお答えください。  あなたは、さき日米首脳会談後の記者会見で、米の自由化に関してウルグアイ・ラウンドに一任する態度を明らかにされました。国民の食糧を守ることは主権国として当然の権利です。だからこそ、EC諸国は六十四品目に及ぶ農産物の事実上の輸入制限を引き続き堅持することを前提にガット交渉に臨んでいるのです。  総理、せめてEC並みにガット協議においても米自由化はしない立場を明確にすべきであると考えますが、いかがですか。責任ある答弁を求めます。  また、来年から後期に入る米の減反対策、農水大臣は早々と減反面積拡大を公言していますが、農産物自由化のもとで、既に五割に達する減反を実施している北海道を初め全国各地の農村に、もうつくるものがない、食管制度を守るためにと称して減反をやらせておきながら、政府は食管制度を破壊しようとしている。もう減反は御免だという農民の怒りの声が聞こえないのですか。食管制度つぶしを直ちに中止すること、ゆとりある米需給計画に基づき減反面積を大幅に減らすとともに、減反の強制をやめることを要求するものでありますが、明確にお答えください。  次に、核兵器廃絶、防衛問題について伺います。  核戦争阻止、核兵器廃絶を緊急の問題として取り組むことは、世界で唯一の核戦争による被爆を体験した日本国民の叫びであり、これは同時に人類の悲願です。それなのに、総理は核兵器廃絶には一言も触れられませんでした。それどころか、INF条約の成立以来二年近くたっているにもかかわらず、依然としてアメリカの核抑止力への依存を改めようとせず、米核戦略への日本の組み込みは一層強まっています。  中曽根内閣以来、通常兵器がある限り核兵器は必要との見地をとっていますが、この態度では事実上いつまでも核兵器をなくすことはできないということになります。海部内閣でもこの見地をとり続けるおりもりですか、お答えください。  世界では、ニュージーランドなどが核積載の疑いのある艦船の入港をすべて認めておりません。日本においても、一切の核持ち込みを許さないために国是である非核三原則の立法化を行うべきですが、いかがですか、お答えください。  総理は、平和と軍縮への貢献を口にしながら、その一方、防衛力整備に努めることを強調しておられます。世界第三位の軍事費を持つに至った日本軍事力をさらに増強することがどうして軍縮への貢献と言えますか、お答えください。  世界平和への貢献を口にされるならば、北海道での米海兵隊との本格的演習、さらに米太平洋軍の統合実動演習への参加をすぐに取りやめるべきです。カナダ、南朝鮮、オーストラリア、フィリピン、タイなども参加し、新聞報道によると、カムチャッカ半島の無力化、千島列島の占領、オホーツク海・日本海の制圧などのシナリオに基づくと言われるこの演習への参加は、どう説明されても憲法にも専守防衛にも反するものだということは明白です。この演習参加は取りやめるべきではありませんか、お答えください。  総理総理府の世論調査では、我が国が平和を維持してきた理由として最も多いのは、憲法の存在というのが六四%でした。憲法は、二度と戦争を行ってはならない、そのために軍隊保持を禁止しているのです。軍事費削って消費税やめよ、福祉、教育、暮らしに回せ、この切実な国民の声にこたえて、今こそ日本政府は軍事拡大をやめ、軍縮に向けて力を発揮するときではないでしょうか。そのことを強く訴え、日本共産党を代表しての質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣海部俊樹登壇拍手
  10. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 小笠原議員にお答えを申し上げます。  私は、申し上げるまでもなく、参議院議員通常選挙において示された有権者の意思を厳粛に受けとめております。  私は、「対話改革」の精神に基づいて、民主主義の原点に立ち返って、政治を明るい、わかりやすいものにしていきたいと考えております。  そして、リクルート事件反省に立った政治改革の実行、消費税の思い切った見直しを行い、展望を持った農政の推進等を通じて、政治と自由民主党に対する国民皆さんの支持の回復に全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。  女性問題について御指摘もございましたが、私は、かねてから真の男女平等を目指し、女性の人権、人格を尊重いたすという立場でございます。女性の持つ能力と経験を活用し、均衡ある社会の発展を図るべきだと考えております。  今後とも、女性の生活感覚を大切にし、地位の向上を図り、女性がその能力を発揮して、男性とともに力を合わせて社会に貢献できるよう努めてまいりたいと考えております。  また、女性労働者が職業生活と家庭生活との調和が図れるよう環境条件を整備することは重大な問題だと考えておりますし、育児休業制度につきましては、いわゆる福祉ビジョンの趣旨に沿ってその一層の普及促進を図る考えであります。  ILOの百五十六号条約については、家族的責任を有する男女労働者の必要を考慮した措置をとるよう求めているところ、その趣旨は十分理解できますけれども我が国においては、その適用について国内で十分なコンセンサスが得られているとはいまだ言いがたい状況でございますので、なお検討を続けてまいります。  選挙権年齢の引き下げにつきましては、それぞれ選挙権年齢だけを引き出して議論しておるのではなくて、御指摘の世界の国々でも、民法上の成人年齢や刑事法その他法律体系全般との関連の中で、世論の動向、青年層の政治意向等をもいろいろ考慮、判断しながら改革を行ってきた問題であり、将来にわたって慎重に検討をすべきものと考えております。  消費税につきましては、我が国の将来展望から見て必要なものであると考えており、これを廃止することは考えておりません。むしろ、現在国民皆さんの多くは、国民生活に深く関連する税制について国会の場においてもいろいろな角度から御議論を重ねていただきたい、それを目の前に明らかにしてほしいということにあろうと思いますし、政府といたしましては、税制改革全体の意義や消費税必要性について十分御説明をするとともに、選挙の結果を受けとめながら消費税見直しをいかに持っていけば御理解がいただけるかということに意を用いておるところでございますから、どうぞ御理解をいただきたいと思います。  消費税は、原則としてあらゆる物品やあらゆるサービスが課税対象となるため、お年寄りや社会的に立場の弱い方々にもその負担が及ぶということは、これは御指摘のとおりであります。しかし、こうした消費税の有する逆進性については、論すべきは、消費税そのものだけを見て御議論賜らないで、歳出面をも含めた税制全体の中でのように扱われておるのか、これを御理解賜りたいと思いますし、政府といたしましては、真にを差し伸べるべき必要のある方々に対しては、出面における配慮など可能な限りきめの細かな対策を講じてまいる所存でございます。  消費税見直しについては、参議院選挙や各種の世論調査等の結果を謙虚に受けとめ、真の定着図るために現行制度実施状況を十分に把握し、消費税を取り巻くあらゆる事項について議論し、検討した上、結論を出したいと思っております。  税率についてもお触れになりましたが、国会こそが税率引き上げについての最大の歯どめとして機能するものと考えておりますが、私の内閣としては消費税率の引き上げを行う考えはございません。  共産党の代替財源案を検討しろということでございますが、今いただいた案や御発言をお聞きしながら、軍事費の半額削減や国債費の削減やいろいろなことを申されましたが、いささか非現実的なのではないかと私は考えております。  また、リクルート問題に関して、私自身がリクルート社から資金の提供を受けた問題につきましては、当時、いわゆるリクルート問題が明らかでなかったときに通常の政治資金として受け取っていたものではありますけれども、今後そうしたことのないように、私自身、みずから注意を払っていきたいと考えております。  組閣に際し、閣僚候補者から自主的に申告をしてもらって、自民党リクルート問題における政治献金等に関する見解及び、いわゆるけじめ案に照らし、閣僚任命に対処してきておる次第であります。  また、文部行政との問題についてもお触れになりましたが、私は、文部大臣として公正な行政を行ってきたところであります。文部行政の上でリクルート社に対して疑惑を招くようなことは一切いたしておりません。  証人喚問につきましては、国会においてお決めをいただく問題であると考えております。  企業献金については、企業も一つの社会的存在でありますことを考えれば、政治活動に関する企業寄附がよくないと初めから決めてかかるのは適当でないと考えております。  食糧自給率については、我が国の気候、風土や自然条件を生かし、安全で品質のよい農産物を生産することが重要と考えており、国内で自給できるものはできるだけ自給する方針でおります。  輸入食品の安全対策の推進は極めて重要な課題でありますが、今後とも、検査体制の充実を図るなど、安全性の確保には努めてまいる考えでおります。  米の問題につきまして、我が国における米及び稲作の格別の重要性にかんがみ、国会における決議の御趣旨を体し、今後とも国内産で自給するという基本的な方針で対処をいたしてまいります。  減反政策については、米の需給について、需要が減退し、生産力の向上等の事情のもとで大きな需給ギャップがございます。このような状況のもとで、消費拡大対策を講じつつ、需要に応じた米の計画的生産を図っていくことは今後とも必要であろうと思います。  水田については、その高い生産力を生かしつつ、米及びその他の作物による食糧供給力の確保を図ることが肝要であると考え、生産者、生産者団体と行政とが一体となって水田農業確立対策を推進しているところでございます。  次に、言うまでもなく、核兵器の廃絶は我が国の究極的な目標でございます。しかしながら、このためには、核兵器を含めた力の均衡に基づく抑止により今日の国際社会の平和と安定が保たれているという現実を踏まえ、均衡を維持し、安定を崩すことなく、確実な保障のもとに核兵器が削減されるよう粘り強く交渉が行われることが必要であり、究極的な核兵器の廃絶はその結果として初めて実現されるものであると考えております。  非核三原則につきましては、これを堅持するのが政府の一貫した政策でございます。また、既に内外に十分に周知徹底されており、非核三原則を改めて立法化する必要はなく、この一貫した態度を堅持していきたいと考えております。  我が国は、依然として今日の国際社会において力の均衡が平和と安全の基本的な条件になっている事実を踏まえ、この均衡水準をできる限り引き下げるべく、軍備管理・軍縮促進の重要性を訴え続けてきたところでありますが、閣議決定に従って、節度ある防衛力整備を行うという精神を今後も引き続き貫いてまいりたいと思います。  日米共同訓練については、自衛隊と米軍それぞれの戦術技量の向上を図り、我が国が有事な場合に共同対処行動を円滑に行うためのものでございます。今回の訓練についても、従来から実施してきたものであり、憲法や専守防衛に反するものではなく、これを取りやめる考えはございません。  我が国軍縮についての努力は、軍備管理・軍縮のための国際的努力に積極的に参加することは我が国基本政策であり、今後とも、関係国の安全のために国際平和と安全に寄与する軍備管理・軍縮の実現に向け、ジュネーブの軍縮会議、国連等を通じ、西側の一員として努力していく所存でございます。(拍手
  11. 小野明

    ○副議長(小野明君) ただいま議院運営委員会の理事が協議中であります。しばらくお待ちください。  答弁の補足があります。海部内閣総理大臣。    〔国務大臣海部俊樹登壇拍手
  12. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 女性問題について、私の発言しました中に一行つけ加えさせていただきます。  私は、政治家の倫理としても、この問題は極めて大切な問題だと考えております。(拍手
  13. 小野明

    ○副議長(小野明君) これにて午後一時まで休憩いたします。    午前十一時二十九分休憩      ─────・─────    午後一時一分開議
  14. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  国務大臣演説に対する質疑を続けます。山田耕三郎君。    〔山田耕三郎君登壇拍手
  15. 山田耕三郎

    ○山田耕三郎君 私は、連合参議院を代表して、去る二日の海部総理所信表明にあわせ、当面の政治課題に関しお尋ねをいたします。  まず、連合参議院について申し上げます。  私たちは、さき参議院選挙に連合の会として選挙を戦ってまいりました。友党の御理解と広範な国民の御支援をいただきました結果、自民党候補を相手に十一名がトップ当選をするという結果を招き、与野党逆転の原動力となりました。そのこと自体が自民党政権に対する国民不信任の表明ではないでしょうか。  私たちは、十二名の議員で連合参議院を結成し、新しい政治の流れを目指して努力をいたしております。私たち十二名の集まりである連合参議院政党ではございません。時代は変わったのです。イデオロギーに基づく政治活動や戦後四十年続けられた与野党の国対政治にとらわれることなく、市民感覚や庶民感覚を生かして、日本の憲法が保障する民主主義、基本的人権、そして平和な社会を構築するため、市民やサラリーマンの目となり耳となって国会で活動をし、新しい時代日本をつくり上げていこうとする公明正大な集団であります。  よい政治とは何かという定義をめぐって論議をする場が国会だと心得ております。しかし、国会はともすれば権力的になることもありますので、連合参議院は、それを避け、国民に親しんでいただけるように、議員を呼ぶときには、先生とは言わず、さんづけで呼ぶところから始めております。  私たちは、選挙戦を通じ、消費税廃止リクルート徹底究明、農産物輸入自由化反対を公約してまいりました。その達成のために全力を尽くしてまいります。  次に、消費税がこれほどまでに国民の反発を買っている理由は、大きな不公正が温存されたままの税制であるのに加え、出生から墓場まですべてに課税される弱者に対する重税であり、汗して納めた税金が本当に国庫に納められるのかどうかという疑問があることはもちろんですが、忘れてはならないことは、政治家姿勢が問題であります。国民大多数の庶民に重税になることを承知の上で、みずからはリクルートからの献金に群がり、一夜のパーティーで十億円単位の大金を懐にしながらも無税、あげくの果ては、今さら口にすることも恥ずかしいような、秘書が、親戚の者が、甚だしきは妻がと国民を愚弄した答弁。総理の地位にある方までが率先、内外に恥をさらした罪は大きいと思います。  政治家が清潔で、本当に国民のためを思い、誠実に対応してきたのであったなら、たとえ今日の負担が苦しくとも国民の気持ちは変わっていただろうとさえ思います。施行後わずか三カ月たたないうちに政府自民党が大幅な見直しを公言せざるを得なかったのは、全くその証拠だと思います。そして、国民の反発がいよいよ厳しくなると、福祉目的税とかで福祉の聖域に逃げ込もうとする政治家姿勢です。見直し案が今に至っても公表されないのは、もともと消費税法そのものが欠陥商品だからではありませんか。果たして国民が得心できる見直し案があり得るのか、極めて疑問と言われている中で、今回の所信表明にも具体策が示されないままに、新聞は消費税見直し関連法案の提出は通常国会になると報道をしています。  国会は、総理国民に語りかけられる場ではありませんか。国民の苦痛やいら立ちをよそに、今もなお党利党略の具に利用しているのではないかとさえ思われるような感を受け、まことに残念でなりません。速やかに現行消費税廃止し、真の税制改革に向けて内容を十分国民に公開しながら、その理解の上に立って時間をかけ審議し、世界に誇れる次元の高い税法を制定すべきだと考えますが、総理所信をお尋ねいたします。  次に、リクルートに関する鶴岡議員質問に対する総理答弁と、現実の自民党政治との間につながりが感ぜられないところに今日の問題があると判断いたします立場から、重ねてリクルート事件に対するけじめについてお尋ねをいたします。  今年は全く異常な年でありました。かわった総理大臣による国会での首相演説が早くも三回を数えております。いずれも政治改革を最重要課題として取り上げ、竹下演説では、リクルート問題などを契機として政治に対する不信が広がっていると反省。宇野演説では、リクルートだけではなく、不祥事を二度と起こさないように措置するとともに、政治的道義的けじめをつけることが何よりも肝心だという約束をされました。海部演説も、政治信頼回復こそ内閣の最も緊要な課題とされながら、政治不信のきっかけとなり、自民党が大敗されました原因ともなったリクルートには一言も言及をしておいでになりません。  海部総理リクルートはもう国民の間で風化したとでも思っておられるのでしょうか。国民の間では、風化どころか、いまだに政治的道義的に重い責任を問い続けております。自民党を離党したからとか、役職を辞任したからけじめはついたとしている意見も一部には承ります。それはその党内だけで通用する論理にほかなりません。リクルート事件に関しては、常識的に考えてももっと軽微だったと思われる民間の方々でさえ責任のとり方を心得、職を辞してその責めを果たしておられます。これと比較して、国民政治家に対してどう思っておられるのでしょうか。これで政治家国民のお手本になれるとでも思っておいでになるのですか。  日本の今日の政治のお手本となった先進国の政治制度の発展の過程で生まれてきたのが政治家政治責任の観念であります。例えば、首相の政治責任とは、議会国民の信頼を維持する義務を負うているということであり、議会国民の信頼を失えばその地位を去るというのが政治的責任のとり方であると心得ます。この政治的責任は法廷の判決ではありません。政党間の不断の論戦を通じ問い続けられることとなるのですが、選挙国民の参加において政党間の論戦に一応の判定を下す機会であるはずです。その意味では、先般の参議院議員選挙の結果は関係者と自民党政治責任を明らかにしたものであります。当然のこととして、関係議員議員を辞職、内閣は総辞職、国会解散して国民におわびを申し上げ、総選挙国民に信を問うのが政治責任のとり方であり、けじめのつけ方ではありませんか。  総理の決断ある答弁を求めます。  次に、外交面についてであります。  この一年間我が国政治は混迷をきわめ、自民党政権が二度も交代する状況で、降りかかる火の粉を払うのに手いっぱいで、まともに外交に取り組むどころではなかったと私は思います。ただでさえ日本は国力に合った政治的な地位を国際社会の中に占めていないと言われている現状にあって、政治の混迷が続き、さらに民意を問う総選挙すら行わず、いわゆる政権のたらい回しでは、外国がどうして胸を開いて将来を語り合おうとしてくれるでしょうか。  今、アメリカとの間に日米構造協議が行われております。訪米の海部総理ブッシュ大統領が、対日貿易赤字に関連をして、不均衡が拡大をすることになれば二国間に緊張をもたらすと異例の警告を発しておられるとありましたが、総選挙を済ませ、国民の信頼を背景に対米外交に臨まれるべきだったと思いますけれども、残念でなりません。  次に、内政面についてです。  今日の政治が果たして民意を反映していると言えるでしょうか。三代の総理が同じように公言をした政治改革は全く進まない上に、国会に提出されておるといって胸を張っておいでになります政治資金規正法改正法案でさえ、私をして言わしむれば現行法と五十歩百歩で、政治資金透明度すら確保されないものではありませんか。  お金や物に対する清潔度を確保することはもちろん、政治をよくする制度のきわめつきは情報公開法の制定であります。私の友人がつい最近ワシントンを訪問、電話でアメリカ政府の倫理局にブッシュ大統領資産公開の資料を請求しましたところ、簡単に入手できたといいます。しかもそれは無料で、徹底しております。国民の知る権利を保障したアメリカの情報公開度が日本とけた違いであることがわかりました。  アメリカの情報自由法に基づき、アメリカ原子力委員会に福島原発で発生した再循環ポンプ事故に関する資料を請求いたしましたところ、約三百ページにわたる情報を入手することができ、その中には日本の通産省がアメリカ原子力規制委員会に送ったファクシミリがありました。日本政府は、それに類似するものすらないと拒否をしているのが現状であります。今後は、日米交渉の結果が日本政府よりもアメリカ政府から公開される可能性もあるように思われます。ナンセンスなことが起こりかねません。  野党も、すべて情報公開法制定の促進を党議決定し、政府にも要求しています。御協力をいただき、長い懸案である同法の実現を議員立法で成立させたいと考えております。  海部総理の言われる真に実効の期待できる政治改革は本当にできますのか。できるとすればその時期はいつごろなのか。
  16. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 山田君、時間が超過いたしております。簡単に願います。
  17. 山田耕三郎

    ○山田耕三郎君(続) それと同時に、情報公開を政治改革の柱として法制化努力すべきと存じます。総理の御所見をお伺いします。  最後に、婦人問題についてお尋ねをいたします。  政界や職場への……
  18. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 山田君、簡単に願います。
  19. 山田耕三郎

    ○山田耕三郎君(続) 女性の進出が目覚ましい勢いで続いております。いわゆる共働きの女性が専業主婦を百万人も上回っております。これが今世紀における特徴であり、社会現象であります。今後ますます拡大する傾向にありますが、海部総理所信表明にもありましたように……
  20. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 山田君、時間が超過いたしております。
  21. 山田耕三郎

    ○山田耕三郎君(続) この問題に対する早急なる解決を要望いたしまして、時間を超過いたしました罪をおわびし、私の質問を終わりといたします。  最後に、以上申し上げました質問に対し、総理から明快な答弁をお願いいたします。(拍手)    〔国務大臣海部俊樹登壇拍手
  22. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 山田議員政治姿勢についての御意見はよく拝聴させていただきました。  消費税につきましては、何度も申し上げておりますように、我が国税制が抱えた今日までのさまざまなゆがみやひずみの是正サラリーマン層中心とする重税感の解消、急速に進む高齢化社会に備えた安定的な財源確保を目的として行われたものでありますから、私は、この改革国民の長期的、安定的な利益にかなうものと考えておりますから、消費税廃止考えないで、消費税を含む全体的な税体系の改革に取り組み、これに対する御理解をいただきたいと考えておるところであります。  また、見直しの問題についてもお触れになりましたけれども参議院選挙や各種の世論調査の結果を謙虚に受けとめて、真の定着を図るために現行制度見直しを行おうとしておるものでありますから、私は、予算編成日程をも念頭に置きながら、できるだけ早い機会に国民の御理解がいただけるような見直し案を具体的にお示しするようにしたいと思っております。  リクルート事件に関しては、御指摘のように、国民の間に政治不信を引き起こしたことは深く反省をいたしております。政治信頼回復への努力を私が所信表明で強くお訴えしましたのもこの考えに基づいたものでございました。このようなことが二度と起きないよう政治改革の前進に誠意を込めて努力することが大切と考えており、ただいま自民党はその反省に立ってけじめ案に沿って対処しておるさなかであり、御指摘の議員の辞職については、議員本人が判断されるべき問題であろうと私は考えております。  解散をせよとおっしゃいますが、今申し上げましたように、いろいろな政策課題がございますので、解散のことは考えておりません。  また、外交問題について、日米首脳会談でどうであったのかという御心配をいただきましたが、首脳会談では、両国の首脳としてお互いに立場を主張し合い、特にお触れになった経済構造協議の問題を通じて違いだけを露出するのじゃなくて、全体的、包括的な信頼関係に立って、話し合いによって解決していこうということで合意をいたしておりますし、両国の信頼関係と相互の協力関係の一層の促進については、実りのある会談をしてきたと私は判断をしております。  また、御指摘の情報公開のことでありますが、行政に対する国民の信頼を確保する観点から、行革大綱に基づいて文書閲覧の窓口、閲覧目録の整備などにより、行政情報の公開には努めておるところでございます。  情報公開法の制定など制度化の問題については、広範多岐にわたる関連諸制度との調整を初め、検討すべき課題がたくさんございますので、引き続いて調査検討を進めてまいります。  具体的に御指摘になりました米国原子力規制委員会に提出した通産省資料の公開の問題でありますが、原子力発電所の安全性に関する資料を公開することは、国民理解協力を得て原子力発電の開発利用を進めるという観点から大切なことだと私は考えております。したがって、御指摘の米国原子力規制委員会に通産省が提供した情報につきましては、御請求があれば公開をする考えでございます。  政治改革への取り組みについては、政治倫理確立とともに、政治資金における公私の区別の明確化と透明性の確保、金のかからない政治活動や政策を中心とした選挙の実現など抜本的な改革が不可欠であると考えており、政治改革に関する有識者会議の提言や政治改革大綱を踏まえて、この改革には全力を挙げて尽くしてまいりますし、定数是正を含む選挙制度及び政治資金制度の抜本的改革のための具体案については、政府といたしましては、選挙制度審議会において御議論を願っておるところであり、明年三月を目途に御答申をいただくようにお願いしております。答申が出ました暁は、国会にもお示しをし、各党各会派の御理解と御協力を得て、明年十一月の国会開設百年を目標としてその実現に努力を重ねてまいりたいと考えております。  育児休業制度介護休暇制度についても最後お触れになりましたが、女子労働者が職業生活と家庭生活の両方を両立させる、調和が図れるように環境条件を整備することは、御指摘のように大事だと考えます。  育児休業制度については、普及状況にかんがみ、いわゆる福祉ビジョンの趣旨に従ってその一層の普及促進に努めてまいりたいと思います。  また、高齢化、核家族を背景として、お年を召した親の介護負担は勤労者家庭にとって大きな問題であるということも認識をいたしております。そのような問題に対応する一つの有力な制度として介護休暇制度考えておりますが、今後の課題として引き続いて検討を続けさせていただきます。(拍手)     ─────────────
  23. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 橋本孝一郎君。    〔橋本孝一郎君登壇拍手
  24. 橋本孝一郎

    ○橋本孝一郎君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表し、海部総理所信表明演説に対し質問いたします。  まず、政治姿勢についてであります。  さきに行われました参議院選挙の結果は、日本政治にとってかつてない変化をもたらしました。すなわち、第一に、自民党が大敗し、国民自民党政治不信任したという重大な事実であります。第二に、強行された消費税について国民ノーとの意思表示をしたことであります。第三に、参議院で与野党逆転し、今後長期にわたって国会は一党一派の意思によっては動かない時代に突入したことであります。総理が今後の政治を進めるに当たってまず肝に銘ずべきは、この参議院選挙の結果を厳粛かつ率直に受けとめることであり、いやしくも自民党の派閥力学や党内事情であってはならないと考えます。  そこで、総理は、国民自民党政治不信任の原因は何とお考えか、また、消費税に対する批判をどう受けとめているのか承りたいのであります。  総理、次に伺いたいのは政治改革についてであります。  総理、あなたは「信なくば立たず」という言葉を繰り返し使われております。政治はまず国民の信頼がもとだというこの言葉は、亡くなった三木元総理の生涯を貫く言葉でありました。あなたは三木元総理のまな弟子としてこの言葉を愛用されているのでしょうが、あなたが政治改革で口にしていることば宇野前総理と同じで、自民党が決めた政治改革の大綱や自民党内のリクルートについてのけじめ文章からほとんど一歩も出ておりません。あなたは本当に三木さんの弟子なのでありましょうか。  特に、総理は、就任時の記者会見で、国会政治倫理審査会をもう少し改正し、実行ができるようにしなければならないと述べていますが、我々は野党四党で、国会政治倫理綱領に加えて、国会議員の資産・収入の公開、違反した者を審査する委員会の設置の内容を含む政治倫理法を今国会に提出すべく用意いたしております。  総理の尊敬する三木元総理も強い意欲を示した政治倫理法について制定する意思がおありかどうか、御見解をお伺いしたいのであります。  次に、税制改革について質問いたします。  さき参議院選挙では、国民消費税ノーとの意思表示を示しました。何よりも消費税は、食料、水、家賃など国民の生存の源に対しても一律に課税する逆進的な税金であり、年金受給者あるいは低所得者、身体障害者など社会的弱者の生活を圧迫しています。それゆえ国民消費税ノーと判断したのであります。我々は、国民審判を厳粛に受けとめ、もはや消費税の一部手直しや抜本見直しでなく、消費税廃止し、税制改革をやり直すことが国民の生の声だと認識しております。  この見地から、我々は、まず消費税廃止することが先決であり、しかる後に、手順を踏んで間接税論議をすることも含め、税制改革を進めることが今求められているものと考えます。今や消費税の部分的手直しは租税民主主義に反するものであり、論外と言わざるを得ません。海部総理大臣にこの場で、まず消費税廃止する、そして税制改革はやり直すと約束していただきたいのであります。  税制改革最大課題は、資産課税の強化を柱とする不公平税制の抜本的是正であります。我が国世界に誇る平等社会を築き上げてきましたが、今や持てる者と持たざる者との格差は急速に拡大しつつあり、この平等社会も崩壊しようとしています。懸命に汗を流しても豊かな生活を送ることのできない勤労者がいる反面、株式取引や土地転がしによって法外な収入を得ている人もいます。  例えば、貯蓄動向調査によると、昭和六十三年末で勤労者世帯の平均貯蓄額は八百九十三万円となっています。貯蓄高が最も集中している階層は年収二百万から二百五十万未満であり、このことは、多くのサラリーマンはささやかな蓄えに頼って生活を支えているのであります。  このように資産格差が拡大しているのは、歴代保守党内閣が資産課税を骨抜きにしたことに最大の原因があります。所得、消費、資産に均衡ある課税をと主張してきた政府自民党が、資産課税の強化に踏み込まないことに国民は強い不満を抱いております。まず、土地税制を新しい観点から再構築する必要があります。相続税、固定資産税の土地評価額の一元化、社会開発による地価上昇の利益の社会への還元を目標としつつ、保有税、相続税、譲渡益課税の洗い直しを早急に進めるべきであります。  また、国民のプライバシー、経済の安定に配慮して納税者番号制度導入し、これまで政府が骨抜きにしてきた総合課税を徹底させることが急務ではありませんか。私は、総合課税体制の整備を早急に求めるとともに、その際には、所得税率の抜本的なフラット化を軸とする所得税体系の根本的な再構築を図るべきだと考えますが、海部総理の御所見をお伺いいたします。  次に、行政改革についてお尋ねいたします。  二十一世紀初頭には、国民の四人に一人が六十五歳以上という高齢化社会を迎えようとしております。政府は、目前に迫った高齢化社会に対処するとの名目で消費税の強行を行いましたが、このように国民負担を求めている以上、政府も率先して行政改革を進め、財源をつくり出すべきことは言うまでもありません。にもかかわらず、平成二年度の赤字国債脱却以後の目標は何ら明らかにされておりません。また、赤字国債脱却で財政再建が終了するわけではありません。平成元年度の国債発行残高は約百六十二兆円にも達し、国債利払い費は十一兆六千六百四十八億円と歳出予算の約二割を占めるなど、我が国の財政事情の硬直化は深刻と言えます。そこで、この際は、行革五カ年計画を策定し、新たな財政再建目標の策定、公共事業関係補助金の第二交付税への移行など抜本的な行財政改革を断行すべきであります。  政府の今後の行革への取り組み及び来年四月の新行革審終了後の展望をお聞かせ願いたいのであります。  次に、国際関係、特に重大な局面を迎えております日米関係について質問いたします。  まず、日米構造協議についてであります。  日米経済摩擦是正するため、九月の四、五日に日米構造協議開催されました。私は、こうした日米協議がなぜもっと早い時期に行われなかったのか、米国からの要請を受けて渋々行うものであってはならないのではないか、そして、我が国国内問題を米国から指摘されるのを待つのではなく、みずからが判断し解決すべきではないか、こうした認識に立った上で御質問申し上げます。  まず第一に、構造協議に取り組む日米間にある認識の違いについてであります。  日本側は、あくまでも協議であり、相互の経済構造を認識し合う場だというのに対し、米国側は、この協議は交渉であり、具体的成果を得ようとしております。この両国の認識の違いこそがまさに構造的な問題であり、この認識の差を改めることこそ日米構造協議であると言っても過言ではありません。総理はこの認識の差をどのように改めていくのか。  第二に、日米構造協議に見られる二国間協議とガットとの関係についてであります。  自由貿易の旗手でありガットの生みの親である米国が、ガット体制の不備に業を煮やし、本来多国間協議で解決すべき通商問題を二国間で決着を図ろうとしております。この強硬な姿勢は、八八年米国包括通商法スーパー三〇一条でのスーパーコンピューター、人工衛星、木材製品の三品目特定に象徴されております。我が国としては、こうした個別品目の協議を短兵急に二国間で進めるのではなく、あくまでもガットの場に持ち込むべきではありませんか。  第三に、我が国国内対策について伺います。  日米経済摩擦の根本的原因である日米経済不均衡の改善の処方せんである前川レポートを、米国の指摘をまつまでもなく、具体的に実行していくことが必要であります。それは、国内の流通構造を合理化する政府規制緩和を進める、国民生活向上に資する社会資本の整備をすることであります。  これらの課題につき、総理は、国民の暮らしの質を高め公正な社会をつくると申されておりまするが、今後どのようなプログラミングを行おうとされるのか、所見をお伺いいたします。  次に、日米責任分担問題、具体的には在日米軍の費用負担についてであります。  米国の上下両院では、それぞれ在日米軍に対する我が国の一層の費用負担を求める法案が議決されております。米国議会の今後の行方を今判断することは確かに困難でありますが、現に米国政府は在日米軍費用の一層の負担を求めてきているのであります。しかし、これ以上の負担を行うとすれば、それは特別協定というわけにはいきません。日米地位協定そのものの改定が必要であります。  総理は、日米責任分担問題と在日米軍の一層の費用負担に対しどのような方針で対処していくのか、御所見をお尋ねいたします。  次に、難民問題についてお尋ねいたします。  本年に入ってから我が国へのインドシナ難民が激増し、しかもその中の相当数が中国からのいわゆる出稼ぎ難民であります。一時、収容所内では難民同士の抗争が起きるなど大きな問題が生じております。  難民急増の原因は何か、政府はこれに対してどのような対策を講じてきたのか、また今後どう対処していくのか、総理の御所見を求めるものであります。  次に、福祉対策、とりわけ介護を要する老人に関する福祉対策についてお尋ねいたします。  労働省の調査では、親を扶養する三十五歳以上の労働者の四割近くが過去五年間に一カ月以上の療養、介護を要する親があったという結果が出ております。高齢化社会の進展に伴い、介護を要する高齢者が今後ますます増大することは確実であります。こうした高齢者介護の多くは女性によって行われております。働く女性は、有給休暇をとったり勤務条件を変更したりして介護の時間を確保し、介護のために退職のやむなきに至った場合もあります。また家庭の主婦は、家事、育児とともに介護による心身の疲労が激しく、家庭生活に大きな影響を及ぼしております。  厚生省は、来年度の概算要求寝たきり老人ゼロ作戦を打ち出しております。寝たきりになったら施設に収容すればよいというこれまでの発想から、寝たきりのお年寄りそのものをなくしていこうとする発想の転換は評価すべきでありますが、残念ながら、予算要求額はわずか四十四億円弱であり、極めて不十分な内容であると言わざるを得ません。  民社党は、在宅ケアの拠点となるデイセンターの大幅な増設とホームヘルパーの増員、ホームヘルパー利用券の支給制度介護家族のための月五万円の介護手当制度介護休暇制度の創設を提唱しているのでありますが、総理はこれを実施する考えがおありかどうか、お答えをいただきたいのであります。  総理は、日の当たらない場所に政治の光を当てるとおっしゃっておられます。戦後、我が国の復興と繁栄に懸命となって働いてこられ、現在寝たきりになってしまったお年寄りの方々、年金生活の方々にどのような光を当てようとしておられるのか、具体的にお聞かせを願いたいのであります。  次に、地球環境の保全への取り組みについてお伺いいたします。  現在、地球環境の保全について国際的にも積極的な取り組みが求められています。中でも我が国は、石油、木材などさまざまな資源を世界に頼っており、積極的かつ具体的な取り組みを果たしていく必要があると考えます。途上国の貧困と環境破壊という悪循環を断ち、発展と環境保全の両立という要請に今こそ積極的にこたえるべきであります。  政府は、今後三年間で三千億円を開発援助による環境影響への配慮に振り向けられるとの方針ですが、その具体化、中身についてどのようにされるのか。さらに、東京会議で論議された熱帯林の保全に関し、その資金拠出の手法、規模などについて我が国としてどのように取り組まれるのか。また、途上国のエネルギーの確保、温暖化対策の推進などによって効率的でクリーンなエネルギーの開発を着実に進め、その育成普及を図っていくべきであると考えまするが、どう取り組んでいくのか。  地球環境の保全には先進国がその責務を果たすとともに、南北世界間での協調のもと、その対策を進めていくべきであります。総理の御所見をお伺いいたします。  最後に、今後の国会運営のあり方について質問いたします。
  25. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 橋本君、時間が超過いたしております。簡単に願います。
  26. 橋本孝一郎

    ○橋本孝一郎君(続) 例えば、税制改革や年金改革について、野党案を犬の遠ぼえなどと称して自民党がつぶし、また自民党の案を野党が納得しない場合、今後新たな提案はすべて廃案となります。これでは国会は何のためにあるかわかりません。とりわけ重要法案については、与野党ともに謙虚な姿勢で、国会における徹底審議はもとより、各政党協議を積み重ねるなど実りある国会運営を構築しなければなりません。衆参両院の与野党勢力のねじれ現象が不毛の対決のスタートであってはなりません。  今国会を真の議会制民主主義の起点としなければならないと思いますが、総理見解をお伺いし、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣海部俊樹登壇拍手
  27. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 橋本議員のお話の中に、さき参議院議員通常選挙の結果をどう受けとめるか、そこから始まりましたが、私は選挙の結果は厳しく受けとめております。そしてその理由は、リクルート事件に端を発した政治不信に加えて、消費税影響もあったことは率直に認めなければなりません。私は、税制改革の意義や消費税必要性について、国民皆さんに十分御理解をいただく努力が不足をしておったということも率直に反省をいたしておるところであります。  また、政治倫理法の制定については、政治家が保つべき政治姿勢の姿は政治倫理綱領に既に言い尽くされており、政治家一人一人がこの綱領を尊重していくことが何より大切なことだと考えておりますが、ただいま国会議員の資産公開を含む政治倫理確立について各党において法制化に向けられた努力が続けられておると承っておりますが、今国会において実りある論議が尽くされ、法制化されていきますことを期待申し上げております。  消費税廃止してやり直せという御説でございましたが、先般の抜本的な税制改革は、来るべき高齢化社会展望し、すべての人々が社会共通の費用を公平に分かち合っていただくとともに、税負担が給与所得に偏ることなどによる国民重税感不公平感をなくすことを目指したものであり、私は、この改革によってもたらされる安定的な税体系こそが将来安心して暮らせる福祉社会の基盤をつくるものだと、こう信じております。  したがって、改革の一環として入れられた消費税だけを取り上げて、これを廃止することは考えておりません。各種の世論調査の結果を謙虚に受けとめて、各界の御意見を十分承りながら、できるだけ早い機会に国民の御理解と御納得のいただけるような見直し案をお示ししてまいりたい、このように考えております。  相続税、固定資産税の土地評価額の一元化についてのお話でありますが、御承知のとおり、相続税は一世代に一回限りの税であり、固定資産税は毎年課税される税でもありますから、両者の間にはその性格上の違いもございますし、その評価につきましても、相続税評価は毎年改定され、固定資産税評価は三年に一度の改定でございますから、三年間固定資産税の評価は据え置かれるなどの事情が存在しております。そのため、この両税を直ちに一元化することにはいささか問題が多いと考えております。  また、地価上昇利益の社会還元についてもお触れになりました。  昨今の首都圏を中心とする地価高騰などの土地問題が国民生活に深刻な影響を及ぼし、総合的な土地対策を講ずることが緊急の課題となり、一環として土地税制に対する期待が高まっていることはよく承知をさせていただいております。  土地に対する課税は、現在、取得、保有、譲渡、相続等の各段階において国税、地方税にわたる各種の税が組み合わされておりますけれども、先般取りまとめられ、国会で継続審議となっております土地基本法案の趣旨や、それに即して講じられる関連制度施策整備を踏まえ、各段階を通じて土地に対する適切な課税のあり方検討していく考えでございます。その際に、御指摘になりました受益者の負担等による開発利益の還元方法とあわせて、税制による開発利益の社会還元のあり方についても同時に検討させていただきます。  納税者番号についてお触れになりました。  現行所得税制基本が総合課税であるということは御承知のとおりと思いますが、租税特別措置により分離課税とされておる株式売却益や利子などについては、所得の捕捉体制が不十分なままで本則の総合課税に戻しますと、かえって実質的な不公平を招くことにもなりかねないのであります。すべての所得について完璧な総合課税を実施するためには、納税者番号の導入による捕捉が必要となってきますけれども制度の前提となる番号を一体どうするのか、あるいはプライバシーの問題はどうするのか、制度導入に伴い、国民皆さんが受忍されなければならない煩わしさや費用負担等についての国民理解合意が必要になる問題でありますから、いずれにせよ番号の導入については、税制調査会の答申にも指摘されておるとおり、国民合意形成の状況を見守りつつ、さらに検討していくことが適当であると考えております。  新行革審終了後の行政改革展望についてお尋ねがありましたが、行政改革は、いついかなる内閣においても、社会経済情勢の変化に応じて絶えず進めていくことが大切な問題であると認識をいたしております。行革審の審議を踏まえつつ、行政改革を手綱を緩めることなく今後も推進していく所存でございます。  財政改革についても申されましたが、政府としては財政改革を強力に今日まで推進してまいりました。そして、財政改革の第一段階である平成二年度特例公債依存体質から脱却するという目標を実現するよう全力を尽くしておるところであります。さらに、公債依存度の引き下げに努めるなど、引き続き財政の健全化、効率化を図っていかなければならぬと考えております。御指摘の第二交付税的な、地方に一括交付せよという考え方については、補助金、公共事業の国と地方の役割分担の基本にかかわる問題でありますと同時に、全国的な観点からの公共施設の整備など、政策遂行の上での補助金の重要な機能を損なうおそれがあるなどの問題がございますので、慎重に考えさせていただきます。  外交問題に入って、日米構造問題協議についてお触れになりましたが、まさにこれは対外不均衡是正に向けての経済政策協調努力を補完するものでありまして、日米それぞれに問題を抱え、日米それぞれに主張と言い分はございますけれども、それを両国において率直に話し合い、そして話し合いによって解決されていくことが有意義であると考えておりますし、我が国としましては、国民生活の質の向上という観点からも、我が国自身の考えとしてできる限り努力を続けていくことはお説のとおりでございます。  また、スーパー三〇一条についてお触れになりましたが、基本的には、スーパー三〇一条の三品目について我が国としては、米側による一方的な制裁措置の発動を前提とするような交渉には応じることができませんと態度を明らかにしておりますが、かかるアプローチは、日米経済関係の維持発展にとっても決して好ましい影響が出るものではなく、また、ガットを中心とした多角的な国際貿易体制の観点からも憂うるべき問題だと思っております。あくまで協力と共同作業の精神で、信頼関係に立脚して対応していくべきであると考えております。  前川レポートについては、政府といたしましては、このいわゆる前川レポートを参考としつつ、経済構造調整の推進を図ってきておりまして、経済構造は内需主導型に移行しつつございます。これによって対外不均衡の是正世界への貢献、豊かさを実感できる多様な国民生活の実現、産業構造調整の円滑化と地域経済社会の均衡ある発展という、我が国が直面しておる三つの重要課題についてこれを同時に達成してまいりたいと考えております。  在日米軍について、政府は、我が国の安全保障にとり大切な日米安保体制の効果的運用を確保していくことは極めて重要であるとの観点から、従来より、在日米軍経費負担につきましてはできる限りの努力を払ってきておるところでございますし、今後ともこれを行うことは国力にふさわしい役割を果たす当然の責任であると考えております。  難民問題について急増の原因は、私は、我が国と近隣諸国の経済格差を背景とした経済的な動機から我が国に向かう者がふえたということ、ASEAN諸国等がスクリーニング制度によりインドシナ難民に厳しい対応をとるようになったこと、多人数が乗り込んだ大型船で直接に日本を目指すことが増加してきたこと、これらが原因だと受けとめております。  対策として、政府は、難民の一時的な収容施設の拡充など当面必要とされる措置を講ずるとともに、国際社会の合意に基づくいわゆるスクリーニング制度を実施することとし、その結果難民と認められない者についての速やかな送還と、今後におけるボートピープルの流出防止について関係国への要請を進めるなど所要の措置を講ずることとしておりますが、難民と認められた方については、従来同様に、人権上の問題に配慮しながら処遇することといたしております。  寝たきり老人対策の強化については、おっしゃるとおりであって、寝たきり状態になることをまず防ぐこと、介護を要するようになっても家庭や地域で安心して暮らすことのできるようなきめ細かいデイサービスセンターの増設やホームヘルパーの増員などを行うようにするのは当然でありますし、介護手当制度の創設については慎重に検討すべきものと考えております。そして、人生八十年時代を迎えた今日、寝たきり老人等に対しては介護を支援する諸施策の拡充を図るのはもとより、高齢者だれもが心豊かに安心して暮らせるための福祉施策充実に努めてまいる所存でございます。  地球環境問題にもお触れになりましたが、人類の生存基盤に深刻な影響を与える大きな問題であると受けとめております。高度な経済活動を営み、地球環境に大きなかかわりを持つ我が国は、同時に公害防止等の分野ですぐれた技術力を持っており、すぐれた対応をしてまいりました。国際的にもこれらの経験を生かして十分に貢献、協力をしていくのは当然のことと思いますし、また、地球環境問題の取り組みに当たっては、二国間援助及び国際機関を通ずる援助を通じて環境保全の全うのために全力を尽くしていく考えでございます。  また、熱帯林を中心とする森林の保全、研究の問題について、特に途上国の環境問題対応能力の向上についても積極的に取り組めとのお説でございますが、同感でございます。国際機関との連携強化も大切であり、国際熱帯木材機関等の機関を通じて引き続き支援を続けてまいりたいと思います。  さらに、加速度的に深刻となっておる熱帯林減少への対応は重要な課題であります。今後とも、熱帯林の保全、造成に資する二国間協力を実施するとともに、多国間援助については、国際熱帯木材機関の活動を引き続いて支援していく考えでおります。  クリーンなエネルギーの開発普及についてお触れになりましたが、開発途上国においては、今後、経済社会の発展に伴いエネルギー需要の急速な増大が見込まれるところであります。積極的にこうした問題に取り組んでいくのは当然でありますし、エネルギー利用効率化等の技術の移転、原子力分野の協力など、エネルギー協力を積極的に進めてまいる考えであります。  最後に、橋本議員国会運営のあり方についてお触れになりましたが、私はやはり真の民主主義を基点とすべきと考えます。国会審議がわかりにくくてはいけません。非能率であってもいけません。国民政治不信の原因の一つと指摘されておるのも、そのように私は考えます。  法律採決は、議論を尽くし、合意できる点と合意できない点を明らかにして決をとるのが議会政治のルールであり、国会における徹底的な御審議と各政党間の協議を積み重ね、実りある国会運営を構築すべきであるという御意見に対しては、私も全く同じ意見を述べさせていただき、与野党間で御協議の上、早急に推進されていきますことを心から期待させていただきます。(拍手)     ─────────────
  28. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 山本正和君。    〔山本正和君登壇拍手
  29. 山本正和

    ○山本正和君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、海部総理所信に対し、総理並びに関係大臣に質問を行います。    〔議長退席、副議長着席〕  まず第一に、今日国民の間に広くかつまた深くある政治不信と、総理所信表明に言う公正で人間性豊かな社会の追求との矛盾についてであります。  総理は、今日の我が国民の政治不信、特に政治家に対するあきらめとも言える不信の横溢をどのように受けとめておいででしょうか。単に言葉の上で謙虚に受けとめるとか、自己撞着に満ちた政治改革関連法案国会に提出することによって糊塗し得るとお考えでしょうか。前回の参議院選挙の結果は、多くの国民皆さんが自由民主党に対し、その名の示す自由と民主とは裏腹に、リベラルではなくリベートであり、デモクラシーではなくデマゴギーであることに怒りと不信を表明したのではないでしょうか。  私は、自民党内にあって、故三木総理や故木村外相を初め国民に敬愛された幾多の政治家皆さんが、我が国政治のために献身された事実を否定するものではありません。しかしながら、自民党結党以来の三十余年間に醸成された一党支配下のうみは、まさに元中曽根内閣の言う民活路線の中で一挙に噴き出したのではないでしょうか。総理を初め与党の首脳と言われる皆さんが、参議院選挙の中で自由社会を守るために自民党への支持をと訴えられました。しかし、国民皆さんは、今日の自民党の言う自由社会の何たるかを賢明に見抜いていたのではないでしょうか。  自由な市場経済の発展のためには適正な枠組みの整備が必要であり、その役割を果たすことが自由社会における政府の任務でなければなりません。企業活動は、市場経済を発展させるため、また国力を維持増強するために不可欠であり、当然尊重されるべきであります。そして、我が国の中小企業我が国経済の活力の源となっていますし、また松下や本田等、大企業の中でも国内外で社会的貢献を積極的に行っていることも事実であります。しかし、企業活動は、国家権力や特定の政治家との利権に絡む癒着によって優先や独占を図るようなことは許せません。また、政治家がその政治家であるがゆえは知り得る情報を企業に提供し、それによる見返りの利益を得るようなことは断じて許されないのであります。  民活と言い、規制緩和と称して、公共性の最も強い、また国家の基盤たる土地に対する投機を放任し、株式市場における不公正を温存し、その他あらゆる利権のはびこる事態を事実上容認し、さらに老人医療の改悪に見られる福祉の切り下げなど、国民の不満が頂点に達しようとするとき、政官財の癒着の醜い姿をあらわしたのがリクルート事件ではなかったのでありましょうか。そして、国民は今、リクルート事件の背後にあるものに不信の念を募らせています。何ゆえに日経連を中心とした財界が消費税を守るために力を入れているのであろうかと、何ゆえに財界はアメリカでは全く考えられない、アメリカでは法律禁止されている企業からの政治献金を易々として、それも庶民からは考えられない巨額を寄附し続けるのであろうか。それは、巷間伝えられる庫出税の論議、中曽根総理はその構想の中にあってこれを提起したときに、財界から厳しく差しとめられた庫出税の論議の復活をとどめるためではないか。  我が国の大企業が、その納税実額や社会的負担が一部を除いてアメリカと比して余りにも少なく、それを許容しているのが今日の税制であり、自民党政権であること、自民党はしょせん財界の意向には逆らえないのだと言われること、このような国民の疑念に総理はどうお答えになるのでありましょうか。  GNPに象徴される国際的な我が国の経済的地位、国内外での高価な美術品や資産買収等の企業の財力と比較して、庶民の高い物価の中における不安な生活、公園や上下水道を初めとする社会資本の貧困さ、世の中から見放されはしないかという社会的弱者、特にひとり暮らしのお年寄りの不安などは、この数年間自民党三百余議席下の強権政治のもとにあらわになったものと言えるでありましょう。教育や医療、さらに就職といった人間生活基本とも言える部分も企業のどん欲な利潤追求の場となっていること、このことがリクルート事件の中で国民の前に明らかにされたのであります。自由と民主の政治ではなく、金権腐敗の政治と言わなくて何でありましょうか。  自由経済社会における政治の役割、すなわち市場経済の枠組みの整備、不公正取引の排除、私的独占の禁止など市場経済のルールを設定し、審判の役割を果たさなければいけないという政府の使命を裏切ったものと言わなければなりません。  さらに、国民政治不信に対する怒りを爆発させたものが三百余議席の公約を踏みにじった消費税の強行導入であり、この強行導入は政財の癒着そのものの不公平税制の温存のためではなかったのかという疑いがあることであります。リクルートにまみれた手でもって国民の浄財を懐から奪い取るようなことは断じて許されません。施行後半年もたたないうちに抜本的見直し政府の責任者が表明するような法律は、その例を見たことがありません。  この法律は、税法として憲法上の疑義もあることを私は指摘いたしました。憲法のいう租税法律主義の意味するところは、明確、公平、応能の三原則の貫徹であります。このいずれの原則にも背反しているのが消費税法であります。おまけに、納入した税金が国庫に入らないことが保証されている、このような税法は古今東西例を見たことがないのであります。あまつさえ独禁法の趣旨を曲げ、カルテルを許容するにおいては、自由な市場経済を否定し、法治国家の名を汚すものと言わなければなりません。国民が今真に求めているのは、口先だけの公正な社会の実現ではなく、消費税を含めた抜本的な不公平税制改革であり、政官財の癒着の解消であります。  海部総理、あなたが国民の皆様の前に、今日この煮えたぎる、それでいて冷め切った政治不信を解消するために行うべきことは、まず次の二つではないでしょうか。  一つは、リクルート疑獄につながる一切の調査の内容国民の前に明らかにし、関連する議員に対し辞職を勧告することであります。二つは、総理として、また自民党総裁として速やかに消費税廃止法案を提出し、その成立を図り、国民の前に謝罪することであります。  総理の御決意を伺います。  次に、農業問題についてお尋ねいたします。  総理、七月の参議院選挙における自民党惨敗の大きな要因の一つに農村の自民党離れがあったことは御承知のことと思います。ある県の農協青年部の委員長は次のように語っています。農政に対するふんまんは今さらの問題じゃない。六〇年代の減反に始まり、米価の据え置き、切り下げ、農機具の借金、一つずつ進行する農産物の輸入自由化、挙げれば切りがない。でも、それが限界に達したと感じるようになったのは、政府が、自民党が守ると公約したオレンジ・牛肉が一遍にほごにされて自由化されたことだ。自民党は今米を守ると農民に言っても当てにならない、こう言っているのであります。  総理、この農民の声にどのようにお答えになりますか、お聞かせください。  このすさまじい農政不信の爆発につながったのが一九八六年秋の農政審議会報告「二十一世紀へ向けての農政基本方向」以降の農政の大転換ではないかと私ども考えるのであります。国の政策によって自給率を高めるのではなく、国境措置をどんどん緩和して日本農業を丸裸で国際競争にさらす、そして自由化されていない作物についても急激で乱暴な価格引き下げを行っていく。加えて、牛肉・オレンジの自由化に見られるように、本来一定の国境措置によって守る予定だったものについても予定を急に変更して自由化してしまう、そういう転換が行われたのであります。なし崩しに国際競争にさらし、価格はむちゃくちゃに下げる、こういう不安定きわまりない農政ではやっていけないというのが現在の農民の叫びではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。  今こそ、農民に約束をしてはこれを破る従来の農政を転換すべきであります。そして、農業に対する国民理解を得る努力を行いながら、確固不動の目標を掲げた安定感のある農政確立すべきであります。  現在、我が国のカロリー換算の自給率は四九%、穀物自給率は三〇%であり、食糧輸入にかかわる不測の事態に際して、我が国厚生省の示す一日国民一人当たり最低限必要な二千カロリー、この六五%前後しか供給できない状況にあります。そして、不測の事態に際しても最低限必要なカロリーを供給するためには、我が国の場合、穀物ベースで六〇%、カロリーベースで七〇から八〇%の自給率を達成しなければならない。これが私どもの分析でございます。  政府としても、このような明確な自給率の目標を掲げ、これに向かって邁進すべきときと存じますが、いかがでしょうか。  そして、自給率向上のためには水田の有効利用が必要であります。水田農業後期対策においては減反面積を九十万ヘクタールまで拡大する方針と伝え聞きます。そうなれば、減反の割り当てで膨大なエネルギーが浪費され、農村に一段と暗い影が差すことになります。減反面積拡大するのではなく、単位面積当たりの収量の多い品種を飼料用米として本格的に導入し、自給率の向上と減反政策緩和の一石二鳥を目指すべきときと考えますが、いかがでしょうか。  なお、自給率向上のため、これ以上の農産物自由化は許されません。ガットのウルグアイ・ラウンドの農業交渉においては、いわゆるミニマムアクセスによる輸入も含めて米の市場開放には応じない姿勢で臨むべきと存じますが、いかがでしょうか。  また、日本農業の再生のためには、二十一世紀に向けての担い手確保のための対策が必要であります。  現在の農業後継者不足の大きな要因に文化と教育の問題があります。すなわち、東京から発信される画一的文化が、国民に工業的、商業的、都市的論理とその価値観を優先させ、農業・農村的なものをべっ視する気持ちを植えつけている。そして、これが農業に対する国民理解を妨げる要因にもなっている。このことを見逃すわけにはまいりません。農業にかかわる教育に関して言えば、米飯給食についてその拡大と活用を図り、我が国農業についての理解を求めてもらう一助とする。あるいは学校教育、社会教育を通じて、現場視察も含めて日本の農林漁業の重要性を理解させるなどの対策が必要ではないでしょうか。また、文化の面では、農業、農村の側からの文化運動に対して奨励策を講じたりという新しい発想に基づく政策が必要ではないでしょうか。  そして、農村内部あるいは農村からほど近い場所に病院、集会所その他の文化施設などを導入し、また兼業のための職場を確保し、あわせて農村内部の生活環境整備を行う農村整備政策を強化するとか、さらに、一定の枠内に入る担い手農家に対しては、所得保障のために思い切って一定額の財政資金農家個人に定期的に交付する賃金補助的な政策を導入するなど、農業後継者、担い手の確保のための万全の対策を講ずるべきときであると考えますが、いかがでしょうか。  教育問題についてお尋ねいたします。  総理、今日我が国の教育は、日本国憲法の理念とこれを受けた教育基本法のもとに推進されるべきものと思いますが、いかがお考えでありましょうか、御所見を伺いたいのであります。  また、我が国の文教予算は、一九八〇年に国家予算の一〇%を割り、今日では七・七%に落ち込んでいます。文化予算に至っては、我が国の国家予算規模よりはるかに少ない予算のフランスの文化予算の十分の一にも満たないありさまであります。国民教育の充実、文化立国に向けた文教予算として、せめて国家予算の一〇%を確保すべきだと考えますが、総理はいかがお考えでありましょうか。  次に、教育行政のあり方についての見解を伺いたいのであります。  アメリカ、カナダは言うに及ばず、西ドイツを初めヨーロッパ各国においても、教育は学校を中心に父母と市町村がその責任の多くの分野を持ち、また州や県がそれぞれの特色を持っていることは御承知のとおりであります。全体主義国家は知らず、民主主義を奉ずる国のほとんどが地方自治体に教育をゆだね、また教育の方法は学校にその多くをゆだねているのも実態と言えましょう。我が国は、もちろん我が国としての伝統や特性を尊重することは当然でありますが、今日の状況は余りにも画一的、また地方の特性を殺していると言えないでしょうか。  この意味から、地方教育委員会と文部省のあり方について検討を加えるべき余地があるのではないかと思いますが、御所見を伺います。  さらに、学習指導要領の問題であります。  北海道から沖縄まで、また巨大都市東京から人口数百人の村に至るまで、児童生徒はそれぞれの環境の中で育っています。その一方、学習指導要領は、その内容の多さと画一性から、学校現場はその扱いに苦しんでいるのであります。児童生徒の置かれた状況に応じ、学習指導要領はこれを基準とはし得ても、拘束性を持つことは不可能であり、また、教育の本質からも拘束性を強調し得ないと考えるが、御所見を承りたいと存じます。  総理に教育観についてお尋ねいたします。  教育基本法にいう「能力に応ずる教育」の意味についてであります。例えば、ハンディキャップを食っている子供、あるいは能力の発現の遅い子供にはより丁寧な教育をしていく。例えば、十の手だてではわからないけれども二十の手だてをすればわかる子供には、そのことを保障するために努力する、こういうことが教育の立場から見た「能力に応ずる教育」の原点だと思いますが、御所見を伺います。  先般、総理と相前後して、岡野、久世、喜屋武の三議員とともにカナダ、アメリカに参りましたとき、ボストンにおいて、アメリカの自閉症に悩む子供たちを、我が国の武蔵野東学園から派遣された校長以下の教職員がハーバード大学の教授との連携のもとに立派に育て上げている状況を見ました。また、多くのアメリカ人のお父さんお母さんから、大変な感謝の気持ちを私どもを通じて日本日本の教育者に伝えるよう表明されました。女性校長を先頭に、我が国の教職員はアメリカ社会の、人権を大切にし、ハンディを持った者を援助するのは当然の義務であるという社会的風土の中で、生き生きと活躍しておったのであります。  我が国の教職員に教育の仕事をしているという喜びを与えるためには何が必要か、管理と統制ではなく、教育という営みのすばらしさ、人間が生命をうけて成長していくことを援助し、カルチャーライズすることのすばらしさを自得するために何が必要かを探ることこそが文教行政の役目ではないでありましょうか。  今日、我が国から海外に出て活躍している人のは増加の一途をたどっております。この海外子の教育問題は、今、大変な難しい問題を抱えているわけであります。この人たちは我が国にとって極めて貴重な存在であります。しかし、海外においても帰国した後も、その対策は極めて不十分であることは御承知のとおりであります。在外公館を含めて海外滞在者の皆さんは、こういう海外滞在というハンディキャップを背負った者をも切り捨てる我が国の教育体制に対して大変な悩みを持っておるわけであります。  我が国の公教育が、過密な枠づけされた教育内容を受験体制下の競争の中で、条件の不利な者は切り捨てていくという状況にあること、そして、これは全く教育とは異質なものであるというこの教育の体質を強く指摘しておきたいのでございます。  今日、我が国の教育の状況に満足している人は極めてまれだと言えるでありましょう。偏差値、非行、登校拒否、いじめ、親と教師の悩みは尽きません。一方、教育産業は隆盛をきわめ、十兆円産業と言われて久しい状況にあります。公教育以外に要する子供の教育の経費は親の生活を圧迫し、家庭破壊まで起こしているのであります。  私は、今日の教育を改革するためには、初等中等教育における父母と教師の真剣な話し合いとともに、高等教育における教員と学生の大学改革のための話し合いが必要だと思います。また、政府は、特定の立場に偏らず、広く国民意見を求めるべきだと思います。いたずらに審議会にのみその提言を求め、審議会の名により政策を提言するにとどまる、このことの繰り返しであってはならないのであります。  教育改革についての総理の御所見を伺います。  最後に、国会運営に対する政府協力について伺います。  その前に、衆議院における自民党三塚政調会長の野党の審議拒否云々の発言について、その誤りを厳しく指摘しておきます。  私ども社会党は、昨年暮れの税制国会において、野党一致して消費税中心とする税制改革法案に対し慎重審議を要望し、与党も含めて日程を決定いたしました。私どもは、大蔵省の十分なる資料提供がなかなか得られない中で、それでもお互いに懸命に勉強し、法案問題点を指摘し、十日を超える集中審議の中で厳しい論戦を展開しておったのであります。国民の前に税制改革問題点を明らかにするための徹底審議を行っておったのでございます。しかしながら、日程が残され、しかも理事会において認められていた野党議員の質疑中に突如強行採決をし、審議を拒否したのは自民党であったことを厳しく指摘しておきます。  さて、昨年のこの国会において痛感したことは、政府の資料提出要求に対する不誠実さであります。国政調査権の発動をするまでもなく、重要法案審議の際に要求資料の提示に積極的に応ずるのが政府の任務であると思います。しかしながら、国会論議の最も重要な資料の提示に対して、従来政府が極めて消極的であったことを私はここに強く指摘しておきたいのであります。  総理が、国会で十分な審議をしてほしい、こう所信の中で言われたこととのかかわりから、ぜひとも総理はこの法案審議に際する資料の提示に積極的に応ずるよう表明をしていただきますことを期待いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣海部俊樹登壇拍手
  30. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 山本議員御指摘のように、私は戦後の日本経済の発展は自由な市場経済の枠組みによって初めて可能であったと考えておりますけれども、ただ、自由な市場経済と申しましても、企業が何をやっても構わないということではなくて、そこにはおのずから社会、公共のための限度があることも事実でございます。政府としては、行き過ぎた経済活動を調整し、真に自由な市場経済が今後とも維持発展されていくように、その環境整備に努めてまいりたいと考えます。  また、各方面からいろいろな御意見がある。それは民主主義の社会の根底であって、自由社会というものは自由にすべての人が議論をされる場所であると私は思いますから、企業やあるいは財界が消費税その他の問題について発言すること自体については、私は問題はなかろうと思うんです。自由な御意見はどんどん言ってもらう。そして、消費者の御意見も生産者の御意見も、そのほかあらゆる立場の国民皆さんの御意見も謙虚に聞きながら、その中で、本当のあるべき姿、見直しその他、政策の立案に参考にしていく意見があれば、それに耳を傾けていくというのは当然のことであろうと考えております。  また、リクルート事件の捜査資料を公開しろということでございましたが、さき国会において法令の許す範囲内で可能な限り最終報告をいたしたものと承知いたしておりますが、新たに国会から要請があれば、法令の許す範囲内でどのような御協力ができるか検討をしてまいる所存であります。  リクルート事件に対しましては、御指摘を受けるまでもなく、党は厳しく反省し、いわゆる自民党けじめ案に沿って対処をいたしておるところでありますし、関連議員の辞職については、議員御自身で判断されるべき問題であると考えております。  また、消費税廃止法案を出せということでありますけれども、本院においても繰り返し申し上げさせていただいたとおり、消費税を含む今回の税制改革は、我が国税制が抱えておったさまざまなゆがみやひずみの是正サラリーマン層中心とする重税感の解消、不公平感の解消、急速に進む高齢化社会に備えた安定的な財源確保を目的として行われたものでありますから、今、我が方から廃止法案を出すようなことは考えておりません。  農政についても申されましたが、農政批判のポイントは、やはり農民の皆さんの先行き不安となるような急速な変化がいろいろ起こっておるということであります。六十一年の農政審報告は、二十一世紀に向けての我が国農業の発展を目的として政策の基本方向を示したものでございました。今後とも、これに沿って農業が自立できるよう確固たる長期展望を示し、農家の人々が希望を持って農業を営むことができるような環境をつくり上げることが重要であると認識をいたしております。政策決定については、これまで以上に十分手順を尽くすとともに、きめ細かな配慮を行ってまいりたいと考えております。  農業に対する各種の御意見があることはよく承知しておりますが、農業は命の糧である食糧を生産するとともに、健全な地域社会の形成、国土・自然環境の保全など多方面な役割を有する極めて重要な産業であると認識をいたしておりますので、このような農業の役割について広く国民皆さんの御理解が得られるように努力を続けていくことが大切であると考えております。  教育について言われましたが、教育は憲法と教育基本法の理念に従って行っていくということは当然のことでございますし、また、そのようにただいまの文教行政は推進されております。予算については、やはり教育を推進するために必要な予算確保は毎年図っておるところでありますが、平成元年度の国の一般歳出に占める割合では一三・六%、その中で、文化庁予算については対前年度八・三%増の四百九億円を計上して、今後とも教育の改革、文化振興のため予算充実には意を用いていきたいと考えております。  地方の特性を生かすように考えろということでございますが、教育行政のあり方は各国でそれぞれ異なるものでありますけれども我が国においては、既に地方の教育委員会の意向を尊重しながら教育行政を進めておることは御承知のとおりでございますし、また、先ごろ来日されたサッチャー首相も、イギリスは最近教育課程の基準を国が定めることにしたと、私どもの今日まで行ってきた文教行政に対して、どのような姿かたちでそれが行われてきたかということを熱心に私にお尋ねになったところでもございます。  しかし、今御指摘のあった画一的であるという指摘については、臨教審の答申でもその画一教育に対しては考えろという指摘を受けており、個性を生かす教育の充実こそ大切と考え、地域の実態に即した特色のある教育行政を展開するよう、教育委員会のそれぞれの活性化を指導しておるところであり、今後とも教育改革の推進には努めてまいる決意でございます。  学習指導要領は、全国的に一定の教育水準を確保するとともに、実質的な教育の機会均等を保障するため、国が学校教育法に基づき教育課程の基準として定めているものでありまして、いずれの学校においてもこれに従っていただいております。しかし、学習指導要領は大綱的な基準を示すものであり、その枠内において地域や学校の実態に応じ、教師が創意工夫を十分発揮していただくような対応をしております。したがいまして、ゆとりのある教育を主張したときに、例えば義務教育レベルで一週三十三時間の授業時間を二十九時間として、余る四時間は現場教師の創意と工夫にゆだねて、地域の特性を生かした教育をしていただけるような仕組みも私ども考えて、現場の御理解と御協力も求めておるところでございます。  また、能力に応ずる教育は、教育基本法第三条において、「すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならない」、これはそのとおりであります。それぞれの国民がその教育を受ける能力に見合った内容、見合った水準の教育を受ける機会が与えられるべき旨を規定したものと私は思っております。  御指摘のハンディキャップのある児童生徒については、その個性、能力を最大限に伸ばすことができるよう、そのハンディキャップに応じた適切な教育が行われることがその児童のために最も大切なことではないか、こう考えております。  教職員に仕事の喜びを与えるべきだという御指摘はそのとおりでございまして、教育の成否は児童生徒に直接触れる教員の資質や愛情や熱意によって大きく左右されることはそのとおりであります。私は、一人一人の教師が真にみずからの指導力を養うとともに、資質の向上に努めながら取り組んでいただくよう、今後とも期待をいたしておるところであります。  教育改革につきましては、将来の日本を支える児童生徒の育成でありますから、真に豊かな社会を築くためには、心の豊かな人が社会を支えていくように、そうして基礎、基本の教育においてはそのことをしっかりと身につけていただくとともに、個性を伸ばし、能力を伸ばし、高等教育のレベルでは世界に貢献できるような学術研究の峰を高くしていくように、多様な選択、進路の用意をしていかなければならないと考えております。  重要法案審議に際して資料を要求したときは積極的に応ぜよという御指摘でございますが、今日まで政府といたしましてはできる限り行政運営に支障のない限り資料の提供に応じてきておりますが、御審議に供するためにはいろいろな資料の提供も必要であろうと考えますので、今後前向きに提供をし、努力をしていきたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇拍手
  31. 橋本龍太郎

    国務大臣(橋本龍太郎君) 私からは三点総理の御答弁を補足させていただきます。  まず第一点は、大企業の納税実額がアメリカに比して余りにも少ないという御指摘でございました。  日米両国の法人税収につきましてのとり方が大変比較の問題として困難な点はございます。ただ、一九八七会計年度の米国の法人税収八百三十九億二千六百万ドル、これを百四十円で換算いたしまして約十二兆円、昭和六十二年度の我が国の法人税収は約十六兆円でありましたが、それらの国税収入に占める割合は、アメリカにおきましては約一六%、日本は約三三%であります。また、資本金十億円以上の法人数が我が国の場合全法人数の〇・二%でありますけれども、納税額としては全法人税収の五〇%を超えるものとなっておるのが事実であります。  また、大企業の社会的負担がアメリカより小さいという御指摘がございました。アメリカの場合には、一定の適格団体に対する寄附金について課税所得の一〇%を限度とする控除を認めているのに対しまして、日本制度では、一般の寄附金につきましては一定の限度内で控除をすることを認めた上で、公益の増進に著しく寄与する法人に対する寄附金につき別枠の控除率を設けており、また国、地方公共団体などに対する寄附金につきましては、その全額を控除することを認めている。制度が全く異なっておるわけでありまして、一概の比較は困難であると考えております。  また、消費税について憲法違反の疑いがあるということで租税法律主義に言及されました。租税法律主義は議員よく御承知のように、租税の賦課徴収につきましては、必ず国民の代表であります国会の議決する法律の定めによらなければならないとする原則でありますが、これによりまして、単に租税の種類及び根拠を法律で決めるのみならず、納税義務者、課税物件、課税標準及び税率といった課税の要件並びに基本的な徴税手続についても法律で定めることを要することとなっております。消費税は、これらの要件を明確に定めておりまして、憲法八十四条に規定する租税法律主義に違反するものではございません。  なお、事業者免税点制度簡易課税制度は、零細事業者、中小事業者の事務負担などに対する配慮として設けられたものでありますが、類似の制度は付加価値税制度をとります諸外国におきましても採用されておるものでございます。(拍手)    〔国務大臣鹿野道彦君登壇拍手
  32. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) お答えいたします。  まず、我が国の食糧自給率についてでありますが、食糧は国民生活にとりまして最も基礎的な物資でありまして、その安定供給をしていくということが農政にとりまして最も重要な課題であります。自給率は、そのときの経済情勢、また食生活の動向等によりまして変動するものでありますが、政府といたしましては、今後とも、より一層の生産性の向上を進めてまいりまして、国内での基本的な食糧供給力の確保を図ってまいる所存であります。将来どうなるのか、この辺のところがポイントであります。現在、農業者が将来を見通しつつ営農を展開することができるよう、農業生産の向かうべき方向を示す指針として、西暦二〇〇〇年を目標年次とするところの新たな農産物の需要と生産の長期見通しを策定すべく作業しておるところであります。  次に、飼料用米につきましてでございますが、これは、水田農業確立対策におきまして、ほかの作物と同様に、転作作物といたしまして新たに認めておりまして、助成の対象としているところであります。しかしながら、飼料用米につきましては、トン当たり二万円、主食用に比べまして大きな価格差があり、収益性が極めて低い、このようなことからその作付はごく限られた面積にとどまっておりまして、現状では大きな期待をかけるということは困難であると考えております。  次に、米の問題でありますが、米は我が国にとりまして大事な主食であります。我が国農業の基幹をなすものであります。そのほかに、国土の保全なり自然環境の保全、また地域社会をつくっていく上において、地域の経済を発展させていく上において不可欠な役割を果たしてきておるわけであります。このような米及び稲作の格別の重要性にかんがみまして、また国会におきましても決議をしていただいておるわけでありますから、その趣旨を体しまして、国内産で自給するとの基本的な方針を貫いてまいりたいと思っております。  次に、農業後継者確保の問題でございますが、次代の農業を担う若い農業者を育成確保するためには、基本的には農業を魅力ある産業として育成し、住みよい農村をつくり、若い農業者が意欲を持って農業に取り組めるようにすることが重要なところでございます。  このために、農業、農村のよさを積極的にPRするとともに、文化活動の奨励や農村文化、生産環境施設の整備、経営規模拡大あるいは付加価値の高い、またバイオテクノロジー等先端技術を活用したところの多様な農業の振興による農業所得の確保、並びに農業年金制度の円滑な運営等いろいろな施策を推進いたしているところであります。また、これとあわせまして、高度な技術、経営能力を有するすぐれた若い農業者を育成するために、技術、経営等の指導の強化、実践的研修教育の充実、また資金援助、例えば農業後継者育成資金、これは無利子でございますけれども、このような対策を推進いたしているところであります。  今後とも、若い農業者の育成確保のために積極的に推進を図ってまいる所存であるということを申し上げます。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣石橋一弥君登壇拍手
  33. 石橋一弥

    国務大臣(石橋一弥君) 山本議員にお答えをいたします。  議員御指摘のとおり、私もかねてから、稲作農業我が国文化の原点であるという認識を持っております。学校給食に関しても、従来から米飯が我が国の食文化の源泉であるということについて深く認識し、かねてからその実態についても関心を持っており、先般も米飯給食を実施している学校を視察したところであります。  米飯給食については、栄養を配慮した米飯の正しい食習慣を身につけさせるという教育上の観点から、また我が国の食糧事情等をも考慮して昭和五十一年度から米飯給食を導入し、その推進を図ってまいりました。この結果、昭和六十三年五月現在では、完全給食実施校の児童生徒のうち九八・二%が米飯給食を受け、また、その実施回数は週二・三回に達しております。文部省としては、児童生徒が我が国農業についての理解を深める一助ともなるよう、引き続き週三回程度の実施を目標に、米飯給食の推進についての指導を進めてまいる所存であります。  次に、学校教育においては、農林水産業が我が国の重要な産業であるとの認識のもとに、児童生徒の発達段階に応じて農林水産業に対する関心と理解をさせるよう指導しているところであります。すなわち、小中高等学校を通じて、社会科を中心として我が国農業や水産業の特色、国民の食糧確保の上で農産物や水産資源の生産が大切であること、地域の地理的諸条件と関連づけて、農業、林業、水産業の様子などを理解させることといたしております。また、勤労のとうとさや意義を理解するとともに、働くことの喜びなどを体得できるようにするため、特別活動やゆとりの時間などを活用した農作物の栽培などの勤労体験学習を推進しているところであります。さらに、高等学校の農業や水産に関する学科においては、農林水産業の各分野における生産や経営に関する基礎的、基本的な知識と技術を修得させ、農林水産業の意義や役割を理解させるとともに、農業水産業の発展を図る能力と態度を育てることといたしております。  今後とも、このような教育が適切に行われるよう指導するとともに、農林水産業をめぐるさまざまな変化に対応し、主体的に農林水産業の発展を図る有為な職業人の育成に努めてまいる所存であります。  社会教育においても、公民館等の社会教育施設における各種の学級、講座や、大学、高等学校における公開講座等において農林水産業の重要性を理解させる教育が実施されており、今後ともその充実に努めてまいりたいと思います。  次に、先般私自身も帰国子女の多い学校を視察する機会を得ましたが、今後、我が国の一層の国際化を進める上で、海外子女教育と帰国子女教育の充実は重要な課題であると考えております。海外子女については、日本国民としてふさわしい教育を行うとともに、海外における教育という特性を生かして国際性の涵養を図ることが大切であります。また、その帰国後においては、国内の学校への円滑な受け入れを図り、海外で身につけた長所を保持、伸長していく教育的配慮が必要であります。このような認識のもとに、今後とも日本人学校等への秀な教員の派遣や教材整備などを行って、海外子女教育の充実に努める所存であります。また、帰国子女教育については、高校や大学の入試における特別な配慮の促進、さらに、研究協力校への教員の加配など受け入れ態勢の一層の整備を図ってまいりたいと考えております。  終わります。(拍手
  34. 小野明

    ○副議長(小野明君) これにて質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十三分散会