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1989-12-07 第116回国会 参議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十二月七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十二月五日     辞任         補欠選任      立木  洋君     吉岡 吉典君  十二月七日     辞任         補欠選任      後藤 正夫君     石渡 清元君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         板垣  正君     理 事                 大城 眞順君                 永野 茂門君                 山口 哲夫君                 吉川 春子君     委 員                 石渡 清元君                 大島 友治君                 岡田  広君                 田村 秀昭君                 名尾 良孝君                 翫  正敏君                 角田 義一君                 野田  哲君                 三石 久江君                 中川 嘉美君                 吉岡 吉典君                 星川 保松君                 田渕 哲也君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 森山 眞弓君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  水野  清君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  松本 十郎君    政府委員        内閣審議官    菊地 康典君        人事院総裁    内海  倫君        人事院事務総局        管理局長     菅野  雄君        人事院事務総局        任用局長     森園 幸男君        人事院事務総局        給与局長     中島 忠能君        人事院事務総局        職員局長     大城 二郎君        宮内庁次長    宮尾  盤君        総務庁長官官房        長        山田 馨司君        総務庁人事局長  勝又 博明君        総務庁行政管理        局長       百崎  英君        防衛庁参事官   小野寺龍二君        防衛庁参事官   村田 直昭君        防衛庁長官官房        長        児玉 良雄君        防衛庁防衛局長  日吉  章君        防衛庁教育訓練        局長       米山 市郎君        防衛庁人事局長  畠山  蕃君        防衛庁経理局長  藤井 一夫君        防衛施設庁長官  松本 宗和君        防衛施設庁総務        部長       吉住 愼吾君        防衛施設庁施設        部長       大原 重信君        防衛施設庁建設        部長       黒目 元雄君    事務局側        常任委員会専門        員        原   度君    説明員        外務省北米局地        位協定課長    森  敏光君        大蔵省主計局給        与課長      中川 雅治君        文部省初等中等        教育局高等学校        課長       林田 英樹君        文部省教育助成        局地方課長    小野 元之君        厚生省生活衛生        局食品保健課長  野村  瞭君        運輸省航空局管        制保安部管制課        長        下里  晃君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○特別職職員給与に関する法律及び国際花と緑の博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 板垣正

    委員長板垣正君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る五日、立木洋君が委員辞任され、その補欠として吉岡吉典君が選任されました。     ─────────────
  3. 板垣正

    委員長板垣正君) 一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律及び国際花と緑の博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。水野総務庁長官
  4. 水野清

    国務大臣水野清君) ただいま議題となりました一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職職員給与に関する法律及び国際花と緑の博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について、一括してその提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  まず、一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案について御説明を申し上げます。  本年八月四日、一般職職員給与改定内容とする人事院勧告が行われました。政府としては、これらの内容を検討した結果、一般職職員給与については人事院勧告どおり実施することが適当であると考え一般職職員給与等に関する法律について所要改正を行うこととし、ここにこの法律案を提出した次第であります。  次に、法律案内容について、その概要を申し上げます。  第一に、全俸給表の全俸給月額人事院勧告どおりそれぞれ引き上げることといたしております。  第二に、初任給調整手当について、医師及び歯科医師に対する支給月額限度額を二十五万五千円に引き上げるとともに、いわゆる医系教官等に対する支給月額限度額を四万五千五百円に引き上げることといたしております。  第三に、通勤手当について、交通機関等を利用して通勤する職員に対する全額支給限度額月額三万円に引き上げることなどといたしております。  第四に、新たに単身赴任手当を設け、単身赴任職員に対し、月額二万円、さらに職員住居配偶者住居との間の交通距離の区分に応じて最高一万八千円を加算して支給することといたしております。  第五に、期末手当及び勤勉手当について、六月期の支給割合をそれぞれ百分の百五十及び百分の六十に引き上げることといたしております。  第六に、非常勤委員、顧問、参与等支給する手当について、支給限度額日額二万九千六百円に引き上げることといたしております。  以上のほか、附則において、施行期日適用日俸給表改定に伴う所要の切りかえ措置等について規定するとともに、関係法律について所要改正を行うことといたしております。  引き続きまして、特別職職員給与に関する法律及び国際花と緑の博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  この法律案は、ただいま御説明申し上げました一般職職員給与改定にあわせて特別職職員給与について所要改正を行おうとするものであります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、内閣総理大臣等特別職職員俸給月額を、一般職職員給与改定に準じ、引き上げることといたしております。  第二に、常勤及び非常勤委員支給する日額手当支給限度額を、一般職委員日額手当改定に準じ、引き上げることといたしております。  第三に、一般職職員単身赴任手当支給されることになるため、秘書官に対しても単身赴任手当支給されるよう改定することといたしております。  第四に、国際花と緑の博覧会政府代表俸給月額を、一般職職員給与改定に準じ、引き上げることなどといたしております。  以上のほか、附則において、この法律施行期日適用日等について規定することといたしております。  以上が、これらの法律案提案理由及びその内容概要でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  5. 板垣正

  6. 松本十郎

    国務大臣松本十郎君) ただいま議題となりました防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、このたび提出された一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案に準じて防衛庁職員給与改定等を行うとともに、退職手当算定の基礎となる勤続期間計算するに際し、防衛大学校等学生としての在職期間について自衛官としての在職期間に通算する場合の要件を改めるものであります。  すなわち、改正の第一点である防衛庁職員給与改定等につきましては、参事官等及び自衛官俸給並びに防衛大学校等学生学生手当一般職職員給与改定の例に準じて改定し、あわせて営外手当について改定するほか、一般職におけると同様、新たに単身赴任手当を設けることとしております。  なお、一般職職員給与等に関する法律の規定を準用し、またはその例によることとされている事務官等俸給通勤手当期末勤勉手当医師及び歯科医師に対する初任給調整手当等につきましては、同法の改正によって、一般職職員と同様の改定防衛庁職員についても行われることとなります。  改正の第二点である防衛大学校等を卒業した者の退職手当算定に係る学生としての在職期間通算要件を改めることにつきましては、現行の学生から自衛官任用されたことに加え、その任用に引き続き自衛官として一定の期間以上在職したことを通算要件とし、本制度をより適切に実施することとするものであります。  以上のほか、附則において、施行期日適用日俸給表改定に伴う所要の切りかえ措置等について規定しております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  7. 板垣正

    委員長板垣正君) 以上で三案の趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 山口哲夫

    山口哲夫君 最初に公務員給与法改正について総務庁長官質問をいたしたいと思います。  ことしは十二月の上旬にこの給与法改正国会で可決する見通しが出てまいりました。今までですと大体十二月下旬が多かったようでございまして、それなりに御努力をいただいたんじゃないかと思います。その御努力に対しまして敬意を表したいと思います。  しかし、考えてみますと、勧告は八月に出るわけでございまして、勧告が出た以上は当然、それは労働基本権との関係からいきましても、これは全面的に尊重していかなければならないということでございますので、できればやはり九月の臨時国会の冒頭にでも提案できるようにしてもらえないものだろうか。これは多くの公務員が念願しているところだと思います。その辺につきましていかがでしょうか。
  9. 水野清

    国務大臣水野清君) 私といたしましては、給与担当大臣でございますので、従来から、人事院勧告制度尊重基本姿勢を守りながら、勧告をできるだけ早期に実施したい、かように努力をしてきたわけでございます。  ただ一方、国民の御理解をいただいて、また国家公務員給与改定を行うに際しましては、国政全般との関連について各方面から慎重に検討をする必要がございます。このため、給与関係閣僚会議におきまして、公務員給与に特に関係の深い閣僚方々などが人勧制度趣旨を踏まえつつそれぞれの立場から十分論議を尽くした上で政府といたしましてはこの方針を決定したわけでございます。このように、取り扱い方針を決定し、関係法案国会に提出するまでにはある程度の期日が必要だということは御理解いただけると思いますが、給与担当大臣といたしましては御指摘の点も踏まえまして今後ともできるだけ早く結論を得るように努めてまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  10. 山口哲夫

    山口哲夫君 国民理解を得なければならない、国政全般との関係等考えてというお答えでございますけれども、先ほどもちょっと触れましたように、人事院勧告制度というのはもう申し上げるまでもなく公務員労働基本権を剥奪したその代償としてつくられたものであります。ですから、人事院勧告が出ればそれに従うというのがこれは政府義務でもないだろうか、私はそんなふうに考えております。国民もそのことは私はもう十二分に理解をしているものと考えておりますので、人事院勧告が出た中でそれ以上改めて国民理解を得なければならないという問題は私はないだろうと、そう思うわけです。  財政的にもいろいろと論議をしなければならないでしょうけれども、少なくともこの人件費というのは義務経費でございますので、そういうことから申しますと、財政的に若干苦しい場合であっても人事院勧告を全面的に尊重して行うというのが人事院勧告制度趣旨だというようにも考えております。そういう点でぜひひとつ勧告が出次第できるだけ速やかに提案をしていただけるようにもう一度お考えをお聞かせいただぎたいと思います。
  11. 水野清

    国務大臣水野清君) 先ほど申し上げましたように、私といたしましては完全実施に向けてなるべく早くと努力をしてきたわけでございますが、御承知のとおり国会内外のいろんな情勢の中でいろいろこの問題が複雑な問題として取り扱われてまいりましてこういうことに相なったわけでございまして、決して、何といいますか、改めて国民の意向を問うとかそういうことではなくて、時間がやや遷延したと、こう思っているわけでございます。国会で御審議いただくのは各党のお考えもございましょうし、そういうものを勘案しながら今日に至ったわけでございまして、その点は御理解をいただくしか方法はない、かように思っております。
  12. 山口哲夫

    山口哲夫君 前の委員会でも長官の方から、給与関係閣僚会議というのはそんなに何回も開く必要はないだろうというようなお話もございました。それで橋本大蔵大臣も、記者団質問かと思いますけれども、それに答えて、給与法関係閣僚会議は二回開けばもう十分だろうというようなお話もございました。  これまではどちらかというと四回も五回も開いておる。幸いに水野長官になられてから大体二回くらいでおさめているようでございまして、そういう点から申しますと、これからも余りほかの法案との駆け引きに使うようなことがあってはこれは非常に政府に対する大きな疑問を感ぜざるを得なくなると思いますので、今もお話がありましたように、ぜひひとつこの人事院勧告制度趣旨を体しましてこれからも今回のように、十二月上旬に出たことは大変結構ですけれども、これをもっともっとひとつ早く、勧告が出たら速やかに臨時国会提案できるように強く要請をしておきたい、こんなふうに思いますけれども、もし御決意がありましたらお聞かせください。
  13. 水野清

    国務大臣水野清君) 先ほども申し上げましたように、人事院勧告制度を尊重して、今後とも勧告が出ましたらなるべく早い時期にこれが実施できるように努力をいたしたい、かように思っております。
  14. 山口哲夫

    山口哲夫君 ぜひひとつお願いしたいと思います。  その次には、一時金の問題について質問いたします。  民間との比較に幾つか矛盾を見出すわけでございます。そのまず一つは、公務員支給率は五・一カ月、こういうことになっておりますけれども、実際には民間の場合にはいわゆる三者ベースというんですか、本俸、扶養手当、それから調整手当、そのほかに通勤手当住宅手当、そのほか一切の手当、そういうものも含めていわば分母が非常に大きくなっているわけですね。それに比べますと公務員の場合には今申し上げた前三者だけを対象にしている、そんなところで分母が小さくなりまして、そんなところから民間との比較にアンバランスが出てきているんじゃないだろうか。  私ども計算してみますと、五・一カ月とは言っておりますけれども、今申し上げたような計算でいきますと四・八四カ月分くらいにしかならない。そうすると〇・二七カ月分民間より低い。金額にいたしますと平均ベースでも八万一千円も低いということになるわけでありまして、この辺非常に矛盾があるんではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  15. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) お説のとおりにその点に私たちは問題があるということは認識いたしております。  公務員期末勤勉手当につきましては、今御指摘になりましたような問題とともにもう一つまた問題が指摘されております。もう一つの問題と申しますのは、民間の場合には役職段階ごと支給率が異なっておりますけれども、公務員の場合にはすべての役職について一律五・一カ月だということが適用されておりますが、その点についての問題を指摘する向きもございます。したがいまして、この期末勤勉手当についての問題を解決するときには、その両者を同時に解決していくことがこの際各方面からいただいておる意見に正直にこたえる道だというふうに私は考えております。したがいまして、私たちは、給与の問題につきましていろいろ解決すべき問題がありますが、この期末勤勉手当をめぐる問題としてはそれが非常に大きな問題だというふうに認識しておりますので、いずれ近い機会に各省の任命権者とかあるいは労働団体側と相談をいたしたいというふうに考えております。
  16. 山口哲夫

    山口哲夫君 今局長からのお話では、役職段階の問題もあるというふうなお話でございましたけれども、しかしこれは期末手当というのは民間のいわば成績主義に基づいたボーナス的なものとは性格が違う、そういうふうに思っております。ですから、基本給が管理職になると高いわけですから、それだけでも五・一カ月掛けますと一般職員とは相当期末手当に差が出てくるわけですね。ですから、そういうことから考えますと、公務員の場合には民間成績主義的な、生産的な段階とは随分違うんで、それを階級段階的なそういうものを取り入れるということについては私は反対であります。この点は非常に慎重を期していただかなければならない問題であろう、そんなふうに思いますので、特にこれは強く私の意見を主張しておきたい、こう思っております。  それからもう一つ民間との比較矛盾がありますのは、民間の場合には、今もちょっと触れておりましたけれども、いわば現業職員というか、作業員というか、そういう方々が入っているわけですね。ですから、そういう低い人たちも入れているために公務員比較しますとどうしても公務員の方が低く抑えられてしまう、そういう問題があるわけです。ですから、比較するんであれば、やはり公務員と共通した、極端に低い作業員なんというのはやっぱり私は比較対象から外すべきだろう、こんなふうにも考えておりますけれども、何か先走った御答弁があったんでお答えにくいかもしれませんけれども、改めてもう一度いかがでしょうか。
  17. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) おっしゃいますように、民間の場合には先生のお言葉では作業員職員と、こういう分類がある、その作業員については期末勤免手当の率が低いじゃないかと。実態調査いたしましてもそういうのが出てきております。ただ、公務員世界におきましても民間作業員に相当するような仕事をしておる方がやはり相当数ありますので、公務員につきまして民間職員に相当する人たちだけを調べて、その支給月数というのを公務員作業員に適用するということになりますと、公務員世界だけを考えると私はそれでいいと思いますけれども、しかしそういうことをやりますと民間サイドの方から納得が得られるかどうかということも人事院としては同時に考えていかなきゃならない問題だというふうに思います。  したがいまして、人事院といたしましては、公務員世界のことを十分考える必要もございますけれども、また民間サイドといいますか、広く国民一般人たちがその問題についてどのように理解するか、どのように承認してくれるかということも考えて我々は対応しなければなりませんので、現在の方法を用いているわけでございます。  現在の計算過程というものをごらんいただきますと、人事院給与局の温かい配慮というものもまた御理解いただけるんじゃないかというふうに思います。私たちそれなりにまたいろいろな配慮をしているつもりでございます。
  18. 山口哲夫

    山口哲夫君 この問題も、先ほど申しましたように、民間ボーナス的な性格性格的に公務員期末手当というのは内容的にも異なるものがあるだろうというように思うわけです。民間の方はどうしても生産的な面を重視いたしますから、成績主義というのがそこに加味されていきます。そういうことで非常に低いところも入っているわけですね。ですから、公務員期末手当性格からいきますとそういうところまで対象にするということについては非常に矛盾もあるだろう。これは先ほどの問題との関連でございますので、この点もそういった内容についてはぜひひとつ十分考えていただいて、今後できればそういったものを含めないで比較してもらいたいものだと、これも強く要望しておきたいと思います。  それから三つ目は、夏の手当対象ですけれども、これは昨年の夏の手当対象にしているわけでして、これをやはり八九年度ということで計算するならば当然八九年の夏を対象にするべきではないだろうか。そうすると労働省調べによりますと、主要企業だけでも八八年の夏と八九年の夏と比較してみますと一万七千三百円も違うわけですね。ことしの方が多いわけです。それを対象にすれば公務員期末手当も当然この程度は高くなるということになると思うわけであります。それから日経連調べで見ますともっと高いわけです。その差額が三万六百円もあるわけで、正確にひとつ、夏の手当対象にするという場合にはことしの夏の手当対象にできないものだろうか、こう思いますけれども、どうでしょうか。
  19. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 今先生お話しになりましたことに関しまして先生にもよく御理解いただかなきゃならないのは、労働省とか日経連というのがよく調査をして新聞に発表されます。日本経済新聞なんかも調査をして発表しているようでございますけれども、その調査対象になっておる企業というのは大体大企業でございます。東京証券取引所とか大阪証券取引所に上場されているような大きな企業三百社あるいは五百社というものを調査してその結果を発表しているわけでございますので、いつも若干高目の数字が出ておるということはひとつ御理解いただきたいなというふうに思います。  それはさておきまして、夏のボーナス対象にしたらどうだということでございます。私たちもできるならばそれを対象にできないかということでいろいろ考えますけれども、私たち調査というのは、かねがね先生よく御存じのように、非常に精密な調査というのを行っております。特に、現実に支給されましたものを、各企業に伺いまして賃金台帳を見せていただいて、それに基づいて調査をするということを行っておりまして、その結果につきましては、その正確さにおいては私たちは、いろいろなところで調査をなさっておりますけれども、人事院調査の右に出るものはないという自負さえ持っております。  したがいまして、夏のボーナスというものを仮に調査をいたしますと、ボーナスを決定する時期というのが民間企業によってそれぞれ異なっておりますので、一体夏のボーナスというものを支給するのがいつか一番正確なものが出てくるのか、そしてその調査をした結果を勧告に反映させることによって公務員に少なくとも民間並みのことが保障できる自信があるのかどうかということも実はよく考えてみなければなりません。  そういう御指摘というのは私たちも今先生からいただきましたし、また時々労働団体の方もそういうことをおっしゃいます。できるならばそういうことはいたしたいと思いますけれども、現在やはり正確性という意味においてそういう自信がいま一つ持てないでおりますので、ひとつまたこれからの検討課題にさせていただきたいというふうに思います。
  20. 山口哲夫

    山口哲夫君 事務的には確かに非常に難しい面もあるというふうな理解はできないわけではありません。八月の勧告ですから、夏のボーナスが決まるのは六月下旬ころでしょうか、それを直ちに八月に反映するというのは非常に難しい点があるかもしれません。しかし、そこはできるだけひとつ克服することをぜひ創意工夫していただけないものかなというふうに思うわけでございます。とにかくこれだけ、三万円も違うということになりますと大きいですから、今局長の方もできるだけひとつ努力はしてみたいというお話でございますので、ぜひひとつ一回考えてみていただきたい、こんなふうに思います。  それで、今局長、大阪なんかは特に大企業関係を中心にしているので差が大きいだろうというふうにおっしゃいましたけれども、しかし私が今申し上げたように労働省調べだけでも結構、一万七千三百円も差があるわけでございます。ですから、大阪だけが大企業だけを対象にして極端に大きいということにはならないというふうに思うわけでして、その点ひとつ十分理解していただきたいと思うんです。  最後に、民間比較で出たのは五・一一カ月、しかし実際の勧告は五・一カ月という、小数点以下二けた目は削っているわけですね。これはばかにならないんですね。〇・〇一でも三千円も違うわけでして、期末手当の交渉なんかをよく民間を見ておりますと、最後は百円単位で妥結をしようなんというところまで一生懸命交渉をやっているわけですね。そういうことから見ますと三千円というのはこれはもう非常にばかにならない数字なんで、やっぱり正確を期すためには小数点以下二けたのところもぎちっと勧告の中に入れていった方が私はいいんではないか、こう思いますけれども、いかがでしょうか。
  21. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 御指摘を今先生からいただきましたけれども、その問題につきましては今までも労働団体の方もそういう御意見を持っておられるし、また衆議院でもそういう議論がされました。 そして、小数点以下第二位を今まで私たちは一定のルールに従って取り扱ってきたわけでございますけれども、その取り扱った中で切り捨てた分が切り上げたものよりも若干多いと、そこに一つの問題があるじゃないかと、こういうふうにおっしゃられれば私たちもそれをあえて否定するような気持ちは持っておりません。したがいまして、伺うところによりますと、本内閣委員会におきましても附帯決議という形でそういう趣旨のことが決定されるようでございますので、そういう決定がされましたら、国会が終わりましたら私たちもまたそういう議論が出てきた背景、あるいはまた先生方のそういう御主張というものもよくかみしめまして、組織の中でひとつよく議論して検討してまいりたいというふうに思います。
  22. 山口哲夫

    山口哲夫君 その点ひとつぜひ検討していただきたいと思います。  以上で一時金の問題は終わります。  次に、単身赴任の問題について質問をいたします。  これは非常に大きな社会問題に今なっておると思います。単身赴任のための保険までできたり、単身赴任という何か流行歌ができて大ヒットしたなんという、そんなことも今言われているわけであります。欧米では単身赴任というのは、私も若干調べてみたんですけれども、ほとんどないようですね。ですから、やっぱり日本の単身赴任ということについては随分諸外国からも批判をされているんじゃないかと思うんです。いわば家庭を犠牲にしてまで日本人は働いているのか、それで日本の経済が発展してきている、これでは国際競争に欧米がなかなか勝てない、だから日本人は働き過ぎじゃないのかという、その一つの問題がやっぱり単身赴任問題だというふうに思うわけです。  これは考えてみるとやっぱり文化の問題でもあるし、人権の問題にもなるんではないだろうか。こんなことを考えたときに、やっぱり単身赴任というのはできるだけなくする方向でこれから努力していかなければ国際的な批判さえ受けかねない、こういうふうにも思うわけであります。やはり健全な家庭を営んでおって初めて仕事の面も立派な職務の遂行というのができるわけでございまして、公務の能率を上げて国民サービスを高めていくという面からいきましても、単身赴任というものはできればやはりなくする方向で努力をしていくというのが私は本当であろうというように思うわけであります。  そういう点でまずお尋ねをいたしたいのは、人事院の方で最近実態調査を単身赴任の問題についてされたようであります。ごく簡単に、どのぐらいの人員がいるのか、それから民間比較してどの程度多いのか、それから年代別にどこが多いのか、単身赴任の理由は一体何なのか、その辺簡単にひとつ説明してください。
  23. 菅野雄

    政府委員(菅野雄君) お答え申し上げます。  平成元年一月十五日現在で給与法適用職員五十万人のうち単身赴任者は一万六千九百四十四名でございます。単身赴任の平均年齢は四十九・五歳となっております。  職員が単身赴任を選択するに至るのはさまざまな原因がふくそうしておりますが、そのうち特に多い単身赴任の理由は、子供の教育問題、配偶者の就職、家族の病気、世話、持ち家の管理でございまして、単身赴任の九七%がこれらのいずれかの理由により単身赴任いたしております。  なお、単身赴任の前後において単身赴任者には一月当たり平均で約四万七千円程度の生計費増ということになっております。  それから民間との関係でございますけれども、最新の状況は不明でございまして、昭和六十年度の労働省調査によりますと、民間企業における有配偶転勤者の中で単身赴任割合は一九・六%、約五人に一人となっております。公務と比べますと、公務の場合は二五・七%、約四人に一人となっております。したがいまして、公務の方が単身赴任を選択する傾向が高いという結果が出ております。
  24. 山口哲夫

    山口哲夫君 社会問題の一つとして単身赴任という問題が特に民間を中心に随分いろんなことがこれまで書かれておりまして、これは朝日新聞の朝日文庫ですけれども、「単身赴任」なんという本まで出ているわけですね。読んでみますと、非常に大変だなと思うんですね。特に今お話があったように平均四十九歳ということになりますと、一番働き盛りですよね。それと健康の面からいってもちょうど変わる時期ではないでしょうか、五十歳ころというのは。それから家庭的にもやはり年老いた両親を持っているころですし、それから子供もやはり高等学校の子供がまだいるころではないでしょうか。いろんな面で家庭生活の中においては一番大変な時期に転勤をさせられる、だからどうしても単身赴任せざるを得ないというのが実態だと思うんですね。  この本なんかを読んでみましても、民間でも、とにかく単身赴任であろうが何であろうがあちこち転勤しなければ出世できないんだということが多いんですね。これは公務員でも同じなんです。もし発令されて家庭の事情で転勤を拒むということになると、それでもう出世はある程度抑えられると。これはヨーロッパでは、アメリカなんかでは考えられないことでしょうね。これはもう人権問題だと言われるんじゃないでしょうか。ですから、そういうこと自体をやはりなくしていかなければならないんであって、以下この問題を少し細かく、今まで余り国会の中では取り上げていなかったようですから、少し細かく取り上げてみたいと思うんです。  先ほど申しましたように、基本はやはり単身赴任をなるべくなくしていく方向で努力しなければならないと思うんですけれども、人事の発令の問題なんです。昇任昇格を前提にしたような異動、こういうものは私はなるべくなくしていった方がいいんではないだろうか。  地域の実態なんかをよく調べてみますと、非常に若いキャリア組が転勤していくんですね。そして地方でどこどこの所長をするとか課長部長をやる。そこの職場へ行ってみますと、私なんかも随分選挙であちこちの職場を歩く方なものですから、管理職についている方が特別若いんですね。二十代、三十代で、もう特別若い人が座っていらっしゃる。周りにいらっしゃる係長とか主任とか、そういう人たちがもう五十代なんですね。そういう若い人がいきなり中央からぽっと発令されてきたときに、これで果たして職場が本当に円滑にいくんだろうかな、一生懸命たたき上げてきて、地域のこともよく知っている人たちがなかなか昇格させられない。こういう人事発令というのは一体どうなんだろうかと思うわけですね。なるべく地方を回して現場を数多く歩いて経験を積んだ方が本庁に来てからもいいんだなんというお話がありますけれども、そんなことをしなくたってきちっと地域の研修をやればそういうことは十分かなえられることだと思う。どうもこういう昇格昇任を前提にした異動というのは私は好ましくない、こう思うんですけれども、いかがでしょうか。
  25. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 一般論として申し上げますと、各省のそれぞれの任命権者がそれぞれ職員の能力とか勤務成績とか資質、適性というものに基づいて人事を発令しておられるんだと思いますけれども、実際国民に行政サービスというのを漏れなく提供するためには非常に辺地といいますか、過疎地域とといいますか、そういうところにも事業所を配置しなければならない省庁がやはりあるんだと思います。そういう省庁の人事管理というのは現実に大変苦労しておられるんだと思いますけれども、そのときにやはりそれぞれの省庁では今申し上げました要素、そういう要素の中には公務組織への貢献度というようなものもあるんだと思いますけれども、そういうものに基づいて行政組織全体が動いて、そして行政サービスが国民に適正に提供されるように苦労しておられるんだと思います。  したがいまして、現実に今先生お話しになりますように、昇任昇格というものと転勤というものがどのように考えられて運用されているかということを私も今初めて聞きましたが、そういうような実態があるかということについても私また各省の任命権者に話も聞いてみたいと思いますけれども、ただ一般的には、それぞれ苦労して人事管理をなさっておる各省の立場というのも私は現実にこういう仕事をしておりますとわからないではございません。
  26. 菅野雄

    政府委員(菅野雄君) 転勤の必要性につきましては今給与局長が申されたとおりでございますけれども、我々といたしましては単身赴任者を減少さす努力というのは絶えずやっていかなくちゃならない、このように考えておりまして、各省担当者等にもその旨をよく説明してございます。今後とも努力を続けていきたいと考えております。
  27. 山口哲夫

    山口哲夫君 私、前に地方行政委員会で警察の人事問題、予算委員会でしたか、取り上げたことがあるんですけれども、キャリア組というのは初めからもう別になっているわけですね。そういう人たちを中心に地方の管理職をある程度占めていく。そういうところを私も実際見たことがあります。警察署長が本当にもう三十代から四十代くらいです。そしてその下にずっと次長から課長クラス、もう五十代でみんなおります。新しく転勤してくると、その三十代くらいの署長の引っ越しのために五十代の人たちがみんな集まって一生懸命やっているわけです。非常に私は何か疑問を感じましたですね。こういうことで本当にいい人事管理ができるんだろうかなと思いました。  私も若干人事管理をやらせてもらったことがあるんですが、やっぱり省庁全体の士気を高揚していくということを考えたときに、人事配置というのは非常に面倒な問題ですね。しかし、今までならされていますからね、公務員の方はそういうことで。そんなもんだろうと思ってあきらめがあると思うんですけれども、しかしそういったあきらめの中でいい仕事が私はできないと思うんです。特に、今局長がおっしゃったように、住民サービスということを考えていかなければならないということになりますと、少なくとも現場でたたき上げて住民のことをよく知っているような人たちを、やはり意欲を持って働いている人たちをどんどん上げていくようなことをしなければ、これはもう初めからあきらめたような形で仕事をやっていったら決して能率が向上しないし、それが住民サービスにはいい影響を及ぼさないだろう、私はそんなふうに思っているわけであります。  そういう点からも、今随分前向きの御答弁がありましたので、ぜひひとつ人事院が中心になりましてこういった問題を一つの大きな問題としてとらえて、各省庁ともよく話をする機会をやっぱり見出していただけないものかな、そう思うんですけれども、もう一度いかがでしょうか。
  28. 菅野雄

    政府委員(菅野雄君) 単身赴任者の減少努力というものにつきましては今後ともやっていかなくちゃならないと考えておるわけでございます。各省担当者等につきましても減少努力を続けられておるわけでございまして、そういうものをもそれぞれ各省庁で御工夫いただくように指導してまいりたい、このように考えております。
  29. 山口哲夫

    山口哲夫君 総裁、ぜひひとつ今の問題についても人事院として積極的に取り組んでいただくようにお願いしておきたいと思います。  次に、子供の教育問題、特に高校生の問題です。  単身赴任の第一の理由は、今人事院お話にもありましたように、トップが子供たちの教育問題です、六三・九%。昭和五十九年に労務行政研究所の調査によりますと九四・二%で、やはり単身赴任の理由の第一に挙げられているわけでございます。いかにこの高校生の問題というのが深刻かということがわかるわけです。  文部省でもそのために改善の通達を五十九年の三月一日で出しておりますし、人事院もこれは何回も文部省に改善の申し入れもしていただいているようであります。しかし、依然として解決していない。きょう文部省おいでですね。随分長い通達で内容も多岐にわたっておりますので簡単にこの通達の中身について、どの程度実施されているのか説明してください。
  30. 林田英樹

    説明員(林田英樹君) お答えを申し上げます。  保護者の転勤に伴う高等学校生徒の転入学等につきましては大変社会問題にもなっておるわけでございまして、円滑に行われる必要があると考えておるわけでございます。  今先生の御指摘にもございましたが、昭和五十九年三月に、公立学校の設置者でございまして実際の入試を実施しております各部道府県教育委員会に対しまして、可能な限り転入学試験の実施回数をふやすこと、それから四月当初にも実施をすること、さらには特別定員枠を設定をすること、それから受験手続を弾力化すること、さらには転入学試験に係る情報の提供について努めることなどの配慮を行うように通知をし、指導したところでございます。なお、その後におきましても、担当者の会議等を通じまして再三にわたり指導してまいりました。  その結果、各部道府県におきましては、転入学試験の実施回数の増、それから受験手続の弾力化、特別定員枠の設定などにつきまして改善が進められてきているところでございます。特にこれから高校生の生徒減が参るわけでございますけれども、こういう時期をとらえまして、例えば東京都におきましても明年度、平成二年度から一年生につきまして四月に転入学を希望する者に対しまして一応原則としてすべての高等学校で転入枠を設けて試験を実施するというようなことも予定をされておるような状況でございます。  これらの問題につきましては今後とも引き続き一層の改善が行われますよう指導してまいりたいと考えております。
  31. 山口哲夫

    山口哲夫君 今の話ですと随分進んでいるようにも聞こえるんですけれども、そんなにうまくいっていないんじゃないですか。  例えば一番目の転入学試験の実施回数年三回程度ということですけれども、実際にはそんなに行われていないのではないかと思うんですね、都道府県によっては。だから、行われていないとするならば、なぜできないのか。それから、例えば間口なんというのは各学年ごとに一定の枠をあげておくようなことだってやってできない問題では私はないと思うんですね。それから転入学試験を四月の初めに実施することということについては、転校試験がまだ実施されていないというところでさえ一割あるわけですね。それから時期的に転校試験には間に合わないというのがこれはもう一二・七%もある。  だから、せっかく文部省でそういった通達を出しているのにまだ全然手もつけてないようなところもある。一体なぜそういうことができないのか。どの辺に隘路があるのか。それから、特別の定数枠は何かすべて設けているということですけれども、それは間違いありませんか。その辺いかがでしょうか。
  32. 林田英樹

    説明員(林田英樹君) 先ほど申しましたけれども、この転入学の弾力化についてかなりの県で取り組みが進められておるわけでございまして、各都道府県の状況では、例えば昭和五十九年の通知を出しました以降ではかなりの取り組みが進められておると私どもでは調査いたしておるわけでございますが、確かにまだまだこれから改善をしなければならない点が多々あるということもまた事実であると思うわけでございます。  特に一定の定員枠を設けるというようなことにつきましては、現段階では十三県で実施をしておるというような状況でございますけれども、特に近年高校生が大変急増期であったわけでございますけれども、そういうようなことで各高等学校とも四十五人以上収容せざるを得ないような状況も生じておるところもあったわけでございます。これらのことがやや弾力化していく上で隘路になっていた側面もあるのではないかというような感じがいたしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、今後さらに改善を図っていかなければならないということでございまして、私どもも都道府県に対しまして引き続き努力を促してまいりたいと考えております。
  33. 山口哲夫

    山口哲夫君 これは国の政策と自治体の政策とのかみ合わせをもう少しやっぱりきちっとやってもらわなければいけない点もあると思いますね。例えば、各都道府県におきましてはぜひ特別枠を設けたい、こう思っても、なかなか補助枠が文部省の方でつけてもらえないということもあるわけですね。ですから、単身赴任の問題を真剣に解消しようと考えるのであれば、やっぱり特別なそういう補助枠の設定とかいろんな政策的な配慮も必要になってくると思う。そんなことも含めまして、とにかく高校生を抱える転任者がそれを理由にして単身赴任しなければならないようなことのないようにこれからもぜひひとつ努力をしていただきたいというふうに思います。それについて後ほど御所見があればお聞きしたいと思うんですけれども。  その前に総務庁長官にお聞きしたいんですが、これは各省庁の問題だと思うんですね、任命権者という考え方に立ちますと。今大臣で任命権者でいらっしゃっているのは総務庁長官お一人なものですから、総務庁の長官という立場でお聞きしたいんですけれども、もう少し人事異動を早めてもらえないかという意見が随分ある。要するに、子供の転校に間に合うようなことを頭に入れて人事異動考えてもらえないか。そんなに長い、一カ月とかそんなものではないと思うんですね。ほんの何日か、数日くらいだと思うんですけれども、ぜひひとつそういうことを配慮しながら人事異動というものを考えていただけないものかな、こう思いますけれども、どうですか。
  34. 山田馨司

    政府委員(山田馨司君) お答えいたします。  人事異動につきましては、いわゆる身上調書等によりましてふだんからの本人の希望とか家族の状況とか把握しておりまして、その辺も考慮しながらやっておるところでございます。特に学校に行っている子供を持っている職員の場合には、学校をかわるのになるべく容易なようにということで原則として住居を伴う異動につきましては四月一日になるべくするようにというようなこと、それから内示につきましてもできるだけ早く内示したいということで、遅くとも三週間前には正式に内示ができるように努めているところでございます。
  35. 山口哲夫

    山口哲夫君 総務庁はそういう点では一歩進んでいるのかもしれませんけれども、どうもほかの方を聞いてみますとそうでもないようですね、各省庁におきましては。もう数日内示を早くしてくれれば間に合うのになというような声も結構ありますね。ですから、その点もひとつ配慮してほしいなと思うんです。  それで、一つお伺いしたいのは、これは人事院ですけれども、転校それから転園ですか、幼稚園だとかそういったことも入ると思うんですけれども、こういうものに伴う費用の補助というのは民間では三九・四%もしている。高校生は九万二千七百円、幼稚園でも六万二千六百円、小中学校では四万五千円も民間では補助をしているんですけれども、これは人事院、今公務員の場合にはないと思うんですね。一度考えてみたらいかがでしょうか。
  36. 菅野雄

    政府委員(菅野雄君) 今先生指摘のように、単身赴任者に対する措置といたしまして一般企業において行われていることは承知いたしております。しかし、その性格等につきましては今後よく詰めて研究してまいりたい、このように考えております。
  37. 山口哲夫

    山口哲夫君 検討するということですか、よく聞き取れませんでしたけれども。
  38. 菅野雄

    政府委員(菅野雄君) その性格等につきましてよく研究してまいりたいと考えております。
  39. 山口哲夫

    山口哲夫君 ぜひ研究してみてください。これは教育費の二重負担が実際にあるんです。非常にやっぱり矛盾していると思いますから、そういう二重負担を避けるという意味で民間ではもう既に四〇%くらい補助しておるわけですから、ぜひ一度研究してみてください。  それで、教育問題の最後になりますけれども、今までお答えいただきましたようにまだまだ解決しなきゃならない問題が非常にたくさんあります。やっぱりさすがに単身赴任のトップを占めるように非常に多くの問題が起こっております。それで、今文部省も随分前向きなお答えいただいたと思うんですけれども、そういう問題は文部省だけで解決できる問題ではないと思うんですね。当然都道府県の教育委員会が実際に頑張ってもらわなきゃならないわけですから、それに対する補助政策の問題等もあるわけですね。ですから、教育委員会にも入っていただいて、また人事院にもやっぱり入ってもらう必要があると思うんですね。  それからもう一つは、各省庁がやっぱりこれは相当関係してくると思うんです。発令の問題等を含めましても全部の省庁にまたがるわけですから、できればどこかトップで入って、総務庁でも結構です、どこか入っていただく。それで、何といってもやっぱりそういうことと直接関係してくる労働組合の人たちですね、その人たちも含めましてこういう転勤子弟の教育問題を具体的にもっと掘り下げていくような検討委員会でもつくってやってみたらいかがかと思うんです。そういう積極的な問題の取り上げ方をしない限り、文部省が通達を出してもこれは何年かかっても解決していかないと思うんですよ。いかがでしょうか。
  40. 林田英樹

    説明員(林田英樹君) 御指摘のとおりまだまだ改善をしていかなければならない問題だと考えておるわけでございます。  文部省といたしましても、新年度の概算要求におきまして今予算をお願いいたしておるところでございまして、その中で協力者会議を設けまして転入学の円滑な実施について研究していきたいと思っておるわけでございます。予算が認められました場合には、この協力者会議を適切に運用いたしまして、御指摘のような関係の皆様方との連携にも留意しながら、転入学の弾力化が一層進んでまいりますように努力してまいりたいと思っております。
  41. 山口哲夫

    山口哲夫君 今ちょっとお話の中に協力者会議というのがありましたね。今私が言ったような人たちが含まれている会議ですか。
  42. 林田英樹

    説明員(林田英樹君) まだ予算の要求をしておる段階でございますので、具体的にどういう会議にするか最終的な詰めをいたしておるわけではございませんけれども、いずれにいたしましても関係方々の御意見は十分聞く機会を持ちながら運営をしていく必要があるだろうと思っておるわけでございます。
  43. 山口哲夫

    山口哲夫君 きょうは大蔵大臣いなくて残念なんですけれども、せっかく予算要求されているようですから、文部省としても重点的な予算としてこれだけはぜひひとつつけていただいて、今言ったような関係人たちを含めて、今多くの問題提起いたしましたので、そういう問題が具体的に進むように協議を始めていただけるよう特にお願いしておきたいと思います。教育問題は以上で終わります。  次は住宅問題です。  この住宅問題は、これも人事院調査によりますと五七・三%で二位を単身赴任の理由として占めているようです。労務行政研究所の調査によりますと四六・九%、これも二位です。 ですから、いかに住宅問題というのが深刻かというふうに思うんですけれども、まず一つお伺いしたいのは、単身赴任に伴う家族の住む家の住居手当支給対象から外されているそうでありますけれども、ちょっとこれは矛盾しているんじゃないかと思いますけれども、これは大蔵省ですか、理財局ですか。
  44. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 現在の制度の建前から申し上げますと、住居手当と申しますのは公務員である本人が住む住居というものに着目して支給することになっておりますので、家族の方が本人と別居なさるような事情があった場合に、その家族の方に支給するという制度の建前になっておりません。  ただ、単身赴任ということが現実に問題になっておりますので、こういう問題について民間の方が一体どういうふうな考え方でどういう取り扱いをしているのかとか、あるいはまたそういうふうに別れた家族の方に公務員住宅というものをあっせんするのかしないのかというような関連する多くの問題がございますので、そういう問題の中で一つ総合的な検討の課題になるのかなというふうに思います。  ただ、昨晩通告をいただいたところでございますので、考えもまとまっておりませんけれども、思い当たるところをいろいろ取り合わせて御答弁申し上げますとそういうことになるのかなということでございます。
  45. 山口哲夫

    山口哲夫君 これはそういうことになるんです。  それで、次に進みますけれども、要するに住宅問題の深刻なのは住宅を建ててしまってローンを払っているわけですね。そういう実態にあるんで今そこをあげていくということになるととても大変だということもあるようです。そして、うっかり他人に貸しますと、帰ってきたときに出てもらえないという深刻なこともあるんですね。ですから、もうどうしても二重生活せざるを得ない。ですから、両方に住宅の関係の費用がかかるから住居手当というのは二重に払ってもいいだろうという理屈にもなるわけですね。  それで、民間では持ち家の借り上げ制度というのを結構やっているんですね。それから留守宅の空き家管理制度というのも民間では進んでいるところは結構やっているんです。なかなか細かいところに随分気を使っているなというふうに私は思うんですけれども、残念ながらまだ国の場合にはそういうことが行われていないんですけれども、幸いに、それぞれ地方に行きますと大蔵省の出先がありますよね、地方何と言うんですか、昔は財務局と言ったんですけれども、今財務事務所と言うんですか、そういうところがあるわけですから、財産管理するところが。ぜひひとつそういうところを中心にしてこの問題も検討をしていただきたいなというふうに思いますけれども、あわせていかがですか。
  46. 大城二郎

    政府委員大城二郎君) 単身赴任の理由として持ち家の管理ということがかなり大きなウエートを持っていることは先生指摘のあったとおりでございます。  それに対する対策でございますが、やはりさまざま個別にいろいろな事情があろうと思います。それから単身赴任の理由としましても、持ち家の管理とその他の先ほどお話がありました教育問題等々いろいろなものと複合した理由で単身赴任は行われているというような事情もあるわけでございますので、こういう問題について制度的にどういうふうに対応するかという点についてはなかなか難しい問題があろうかと思います。  したがいまして、当面はやはり職員個人がそれぞれの事情において対応していただくほかはないと思いますけれども、今お話のありましたように、民間におきましてもいろいろな措置が講じられている。私どもの調査でもいわゆる持ち家管理費の援助を行っているという企業が十数%ございます。そういう状況を考慮いたしますと、やはり国の職員の単身赴任につきましても持ち家の管理が大きな問題であるという問題意識を持って検討してまいりたい、そういう必要があるというふうに理解しております。
  47. 山口哲夫

    山口哲夫君 随分積極的なお考えのようで、ぜひひとつそれを実現さしてください。  それで、もう一つ住宅問題で最後にお聞きしたいのは、単身赴任者の場合にやっぱり健康問題というのが第三位の理由になっていますね、非常に苦悩していることについての。健康管理ということになると、食事なんというのは大変なことなんですね。最近単身赴任者用献立の料理のつくり方なんて随分テレビであっちこっちでやっていますけれども、しかしこれは実際問題大変な仕事だと思うんです、なれないだけに。できればそういう単身赴任者に一つのマンションの中で賄いでもつけて、食堂でもちゃんとつくってやっていただければ、これは大分単身赴任者の苦労が解消されるんじゃないかなと思うんですけれども、そういうことを検討したことがございますか。
  48. 大城二郎

    政府委員大城二郎君) 具体的に今お話のようなことを検討したということはございませんけれども、住宅の問題に関連いたしまして、いわゆる世帯用よりは、単身赴任がやむを得ないとすれば、独身者用のそういう宿舎ができないか、そういう独身者用の宿舎を設置する際にそういうサービスが付随するような形のものはできないか、そういうお話もいろいろ出てきております。今後単身赴任を前提としました宿舎整備の中においてそういうことも考えていかなければならないのではないかというふうに考えております。
  49. 山口哲夫

    山口哲夫君 実は私の兄弟も民間で単身赴任しているんですけれども、行ってみますと、やっぱり民間の方がずっと進んでいるなと思いましたですね。そういう人たちをちゃんと集めた立派なマンションがあるわけです。全部ちゃんと食堂があって管理しているわけです。だから、もう食事に関する心配というのは一切要らないというんですね。それだけでも随分楽だと思うんです。  役所の場合を見ますと、省庁みんなばらばらなんですね、今度の問題で調べてみますと。省庁ばらばらにすることはないと思うんです。例えば、札幌なんかへ行きますとせっかく合同庁舎というのが立派にあるわけでしょう。合同の宿舎がつくられたって何も不思議じゃないと思うんですね。その方が私は効率的だと思うんです。そんなようなことも考えてやってみる必要があるんじゃないかなというように思うんです。ほかの問題もあるんで住宅問題はこの辺でやめますけれども、今大変前向きなお答えがありましたので、そんなことも含めてぜひひとつ取り上げて検討していただきたいと思います。  次に、健康管理の問題です。これは非常にやっぱり深刻な問題でございますので、二つ質問しますが、まず簡単な方から。  指定医による定期健康診断、年に一回は定期診断やるんでしょうけれども、どうしても単身赴任しますと健康を害する機会が多いわけでございまして、年に一回なんて言わないで、民間の開業医の方にお願いしてでも一カ月に一回でも気軽に行けるようなシステムというものをつくっておいた方がいいんじゃないかと思いますけれども、どうでしょうか。
  50. 大城二郎

    政府委員大城二郎君) 定期健康診断をお話のように年一回ということで実施しておりますが、その受診結果に基づきまして必要に応じて指導区分を設定するなり、あるいは事後措置を行うということで健康管理の対策をしてきているわけでございます。  そういう中で、単身赴任につきましても当然健康管理については配慮がなされているというふうに考えておりますけれども、やはり単身赴任に伴っていろいろ生活上の問題が出てまいります。いろいろ不摂生をしやすい、あるいは一人でいるということに伴ってメンタルヘルスなどの問題が出てくるということもございます。そういうものを含めていわば単身赴任者の生活全体についてやはり考えていくということが必要なのではないか。そのためにはやはり御本人の自覚というのがまず最初でございまして、それを援助するような形で私どももいろいろパンフレット等をつくってそういうことについての対応を促していく等の配慮をしてきているつもりでございます。そういう意味で、単純に健康診断だけということではなくて、広くそういう生活上の問題を含めてその対策を考えていこうということで取り組んできております。そういう方向をさらに今後も進めたいと思っております。
  51. 山口哲夫

    山口哲夫君 努力してください。  それからもう一つは、夫婦やそれから親子の触れ合い、これは健全な家庭生活を営むためには非常に大事なことです。ヨーロッパでは夫婦別れて暮らすなんて到底考えられないことですね。単身赴任なんて言ったら、それこそ離婚問題を起こされるんじゃないでしょうかね。そのくらい深刻な問題だと思うんですけれども、よくまあ日本ではそういうものを乗り切ってやっているなと、大変苦労だなというふうに思うんです。  せめて月に二日くらいは、年にすると二十四日くらい特別の休暇制度をやっぱり設けてもいいんじゃないだろうかと思う。民間なんかを見ますと、金曜日の午後から帰ってくるんです。そして金曜日の晩、土曜日の晩、日曜の晩泊まって、そして月曜日の午前中に帰るという大体三泊四日くらいの日程を組んでいるようです。せめてそのくらいの家族との触れ合いの機会をやっぱり設けるべきだというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。国会でもよく金帰火来と言っているんですけれども、金帰月来くらいだったらまだいいんじゃないですかね。
  52. 大城二郎

    政府委員大城二郎君) 一般的なお話といたしまして、先ほどお話のありましたような住宅等の問題も含めてこれまで単身赴任対策がなかなか進んできていないという状況にあるのは実はやはり本来的には、外国の例ということでお話しございましたように、家族を帯同して赴任するというのが本来的な姿であろう。そういう意味で、単身赴任の対策を講ずることによってむしろ単身赴任を奨励するということになってはまずいのではないか、そういう考え方がいろいろ内部の検討の過程でございました。  そういう中で社会的にどうしてもやむを得ざる単身赴任が出てくる、それに対する対策というのは公務員についても当然実施すべきではないかということで、いろいろな対策をここで講ずるようになったということでございます。そういうことでございますので、今お話のような休暇の問題等もまだこれまで検討するという段階にきておりません。しかし、そういう状況になるとすれば、やはり単身赴任問題の一環として重要な検討課題になるという認識はいたしております。  ただ、民間の事情等見てまいりますと、私どもの調べた限りではいわゆる帰宅休暇というのを認めている企業はほんの数%、二、三%の企業のようでございます。なぜそういう休暇の普及状況が低いかということの理由は定かではございませんけれども、今もお話がありましたように、比較的近距離の場合であればいわゆる土帰月来というような形で普通の土日の休みの日に帰宅することが可能である。また、遠距離の場合には今度は逆にそうそう帰宅はできない。むしろその帰宅の際には、時間的な休暇というような問題よりも費用の方が問題がかさむということでなかなか進まないのではなかろうかというような推測をいたしております。  いずれにしましても、そういう民間企業等の対応等も含めまして、状況を見ながら今後検討していくべき問題であろうかと考えております。
  53. 山口哲夫

    山口哲夫君 民間が二、三%というのは、私の認識では民間というのは非常に上手に制度を使っていますね。金曜日に帰ってきて会社へ行くんですよ。出張なんですね。ちょっと会社に顔出して仕事をちょっとやって、そして月曜日にもまたちょっと顔出してから帰る。だから、その間の旅費というのは出張旅費に付随した旅費として税制上ちゃんとこれは非課税になるんですね。そういうのを実に上手に使ってやっているんです。役所ももう少しその辺は私は柔軟性があってもいいと思いますよ。もっとやっぱり積極的に本庁との連携を保つとかいろんな配慮を私は考えてもいいと思うんですが、そんなことをやらなくたって、これは人道上の問題としてそのくらいの休暇は考えても私は決して国民の批判は受けないだろうと思う。  そのときに問題になるのは旅費の問題なんですよ。人事院調査でも帰宅旅費の負担が大変だというのが四九%もあるんですね。これはやっぱり深刻な問題だと思います。これは民間を見ますと六一・五%も支給されているんですね。しかし、残念ながら公務員の場合には全然支給されていない。これは考えてみる気はありませんか。
  54. 中川雅治

    説明員中川雅治君) お答えいたします。  現行の国家公務員の旅費法におきましては、旅費は公務員が公務のために旅行する場合に支給することとされておりまして、単身赴任者の帰宅旅費のように職員の生計費の増加に対する補てんというものを現行の旅費法の体系の中で手当てすることは難しいというように考えております。  また、実際問題といたしましても単身赴任者の帰宅回数には個人差がございますし、現実に帰宅旅費の補てんを制度化する場合には、実際にやはり帰宅したことの確認をせざるを得ないというように思いますが、このようなことは実務上適当でないというふうに思います。したがいまして、こういったことの制度化は現実にはかなり無理があるるというように考えております。  こういった事情をも考慮いたしまして、今年度の人事院勧告におきまして、単身赴任に伴う帰宅旅費を含むその他もろもろの生計費の増加につきましてやはり給与の体系の中で支給するのが適当である、こういった考えに立ちまして、単身赴任職員の実情さらには民間における措置の現状等を踏まえまして単身赴任手当の創設が勧告されたというふうに考えております。そういうことで、現在御審議いただいております給与法の中で単身赴任手当を創設しておりますので、そういう形で措置するのが適当ではないかと考えております。
  55. 山口哲夫

    山口哲夫君 単身赴任手当が今度人事院勧告で初めて出されたことは私は大変結構だと思うんです。しかし、単身赴任手当と今の帰省旅費とを一緒にするというのは間違いでして、単身赴任しますと随分考えられないようなお金がかかるものなんです。外食にかかるでしょう、それから電話料がかかるでしょう、それからそのほかもろもろの住居費がかかるんです。光熱水費だってかかるでしょう。それははかり知れないものがかかりますよ、交際も激しくなるだろうし。そんなことをずっと考えたら、最高額三万八千円の単身赴任手当が出たというのは大変いいことで、単身赴任手当はそっちのもろもろの問題に充てるべきであって、帰省旅費というのは違うんです。  それで、失礼ですけれども、随分大蔵省は頭がかたいですね。法律がそうなっているのは私も知っていますよ。それを改正しなきゃだめでしょう、そういう問題は。法律改正ということを前提に置いて私は質問しているんで、法律の中でそれができないことぐらいわかっているんです。職員をもう少し信頼してみたらどうですか。帰省したかしないか確認できないなんて、そこまで職員を疑って考えられたら何にもできないですよ。民間だってちゃんとやっているわけでしょう。六九%と言ったですかね、六一%ですか、支給しているわけでしょう。やっぱり民間の方がずっと職員を信頼していますよ。だから気持ちよく働けるんです。そんなに疑われたら、私たちが仮にあなたの部下で働いていたら、こんなに疑われていたのならおもしろくないというような気持ちになるんじゃないですかね。もう少し信頼してくださいよ。  そんなことで時間食っていたら大変なんで、もう一つだけ聞いておきたいと思うんですけれども、六十キロ以上だけが赴任手当対象になっているようですけれども、六十キロ以下でも単身赴任をしなきゃならないことというのはあるんですね。例えば離島だとか積雪地だとか、いろんな特殊な事情でもってどうしても赴任しなきゃならないというところがあります。また冬だけ単身赴任しなければならないというところもあるわけでして、半年間では単身赴任とは認めないというようなこともありますけれども、六十キロ以下の問題と半年という期限のこの二つの問題、これを含めてこういうものも単身赴任として認めるべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  56. 菅野雄

    政府委員(菅野雄君) 今先生がおっしゃいました二点につきまして、原則的には六十キロという線がございますけれども、これはあくまでも原則でございまして、先生がおっしゃいましたような官署の所在地域の事情等によりまして通勤することが不可能であり、また著しく困難である場合につきましては支給対象とする方向で今検討を進めております。
  57. 山口哲夫

    山口哲夫君 ぜひひとつ検討してください。  これで単身赴任の問題は終わりたいと思いますけれども、今まで随分いろいろと前向きの御答弁をいただきました。その点は大変ありがたく思っています。ぜひ御答弁にただ終わらないように具体的にひとつ検討して実りあるものにしていただきたい、そういうふうに思うんです。  そのためにも、今出されたいろんな問題を協議するために、これは人事院あたりが中心になりまして、単身赴任を実際にやっている職員を代表する労働団体もあるわけですから、そういう方々とも、今までも協議はされていると思うんですけれども、これからもひとつ積極的に協議をして、単身赴任という問題を大きな社会問題としてとらえて、政府も単身赴任をどう解消していくかというもろもろの問題についてぜひひとつこれから積極的な検討を進めていただきたいと思うんですけれども、最後に人事院総裁でしょうか、御決意のほどをお伺いしたいと思います。
  58. 内海倫

    政府委員(内海倫君) ただいまいろいろ委員からお話のありました点は、私どもがやはり単身赴任問題を考えるにつきましていずれも問題として取り上げてきておる問題で、その第一歩といいますか、あるいは考えた結果の一つの対策として手当というものを今度勧告したわけでございます。だからといって単身赴任の問題のすべてがその手当を出すことによって解決したとはもとより私ども思っておりません。今おっしゃるようないろんな問題が単身赴任の問題の中に内包しておる。 だから、内包しておる問題を広く公務員の内部において、あるいは場合によっては他の意見も聞いてよりいいものに考えていく、これは私どもの立場としては当然のことでございます。  どういう方法でどういうふうにやるかということはまた私どもでいろいろ考えた上でいきたいと思っております。
  59. 山口哲夫

    山口哲夫君 総裁の積極的なお答えをいただきましてありがとうございました。ぜひひとつ実りあるものにするためにも頑張っていただきたい、お願いしておきたいと思います。  次に、通勤手当の問題です。  通勤手当は賃金ではございません。ですから、実費をやっぱり支払うべきではないだろうかというように思いますけれども、いかがでしょうか。
  60. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 私たちは今回通勤手当について相当大幅な改善を実は勧告したわけでございます。したがいまして、その結果というものを職員の通勤実態に合わせて検討してみますと、おおむねの職員がカバーされておるというふうに理解いたしております。  全額支給を三万円にしたということでございますが、それは民間の全額支給制をとっておる事業所、制限支給制ではございませんで全額支給制をとっている事業所の最高支給額というのを調べまして、その分布の中位階層というところに合わせるということで行ったわけでございます。それが三万円でございます。したがいまして、調査対象というか、検討対象にしたのは全額支給制の事業所でございますので、この三万円という額は対民間との関係におきまして極めて妥当といいますか、極めて立派な額だというふうに思いますが、それにプラスいたしまして従来からとっておりました二分の一加算限度額の五千円というのをそのまま存置いたしておりますので、通勤手当としては私は非常に立派な通勤手当になったというふうに考えております。  ただ、今先生がおっしゃいますように全額支給制にしたらどうだと、こういうお話だろうと思いますけれども、こういうような今回の勧告というものを私たちは申し上げて、そしてそれに対してさらに全額支給制ということを検討したらどうだというお話でございましょう。それはそれで理解できないわけではございませんけれども、公務員というのは、現在通勤手当をもらっておる公務員もございますし、通勤手当支給されない公務員もございます。指定職の職員なんかはそういう部類の職員でございますけれども、やはり全体として見た場合には通勤手当支給されていない指定職職員に係る問題というものを解決するのが私は先決だというふうに考えております。その後の問題として全額支給制の問題というのは検討の対象にするならするというのが私は道筋じゃないかというふうに考えます。
  61. 山口哲夫

    山口哲夫君 指定職が支給対象になっていない。指定職というと局長だとか参事官とか、そういうクラスですか。何で対象になっていないんですか。
  62. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) これは、指定職制度というのができた当時というのは、大半の指定職職員が霞が関から非常に近いところに住んでおられた。ところが、いろいろな事情がございまして現在非常に遠くから通勤しておるような人がふえております。人事院の実態を申し上げますと、指定職の中の半分ぐらいの職員が現実に地下鉄とかバスで通勤してきておりますけれども、そういう通勤実態の変化というのがあるということでございます。したがいまして、指定職の俸給表というものをつくり、その給与額を決めた当時においては、指定職職員というのは大体官用車で往復送り迎えしてもらっておったということじゃないかというふうに思いますが、その後の事情の変化というものに対応し切っていないということじゃないかというふうに理解いたしております。
  63. 山口哲夫

    山口哲夫君 それはやっぱり当然支給しても私はおかしくない問題だと思うんです。今まで車で送り迎えしたのが車がなくなった、宿舎も遠くになった、それで一時間もかけて指定職であろうがだれであろうが通勤しているんであれば、それは当然支給してしかるべき問題だと思うんです。ですから、それはそれなりに解決して結構だと思うんです。  私が言いたいのは、局長が相当自信を持ってお答えされたように、これは相当改善されたと思います、あと残っているのは一%くらいだそうですから。その一%の方というのはどうしてもこれは通勤せざるを得ないという方々が多いわけですね、遠距離であっても。ですから、よほどの理由のある方だと思うんです。ですから、指定職の問題が解決すればそういう問題も検討をしてもいいというような今お答えに聞こえたんで、ぜひ検討してほしいと思うんですね。もう新幹線で通勤している人も結構おるようですね。ですから、新幹線だってこれは対象にしたって決しておかしい問題ではないと思うんですね、特殊な事情の人しかそういうものは利用しないでしょうから。その特殊な事情さえ認められるんであれば検討の対象にすべきだと思うんですね。そういう点でぜひひとつその問題も解決しながら検討してください。よろしいですか。
  64. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 正直に私の現在考えているところを申し上げたわけでございますが、山口先生の方からもそれなりのお考えの御披露がございました。指摘された問題も含めまして私たちは将来の検討課題としてちょうだいいたしたいと思います。
  65. 山口哲夫

    山口哲夫君 将来でも遠い将来と近い将来があります。ごく近い将来ということで受け取っておきます。  それから普通旅費ですけれども、いろいろと調べてみましたら国家公務員の普通旅費は十年間上がっていないんですってね。これは随分また我慢していたもんだなと思って、それで一体どのぐらい物価が上がったのかなと思って調べてみました、十年間に物価がどのぐらい上がったか。出張する場合に必要とする物価ということで外食産業ですね、外食関係それから宿泊料を調べてみますと、この十年間で何と外食は三三・六九%上がった、宿泊料が四〇・七%上がった。ですから、仮に宿泊料が八千円であれば、四〇%ですから四、八、三十二、三千二百円くらい上げたって不思議ではないというように思うんですね。  これは出張した人の意見なんか聞いてみますと、最近足が出て大変だよと言うんです。それで、どういうところ泊まっているのと聞いたら、例えば市町村共済組合とかそういうところで建てている宿舎に泊まるんだけれども、込んで大変だと言うんですよ。私なんかもそうなんです。行くときは大抵市町村共済とかそういう共済組合の建物に申し込むんですけれども、まず満足に泊めさしてもらったことないですね、込んで。ですから公務員の方は大変なんだろうなというふうにわかりました。どうですか、これは十年間というのはちょっと酷ではないですかね。
  66. 中川雅治

    説明員中川雅治君) 普通旅費の日当それから宿泊料につきましては、従来から旅館、ホテル等の宿泊料の上昇の状況など勘案しながら必要な改定を行ってきたところでございまして、先生指摘のように直近は五十四年に改定を行ったわけであります。その後の宿泊料の上昇等によりまして、宿泊料の引き上げの要望が出されていることは十分承知しておりますが、財政を取り巻く環境が極めて厳しいものであったこと等の理由で今日まで据え置かれてきたわけでございます。  日当、宿泊料の定額改定を行うかどうかにつきましては、現在宿泊料の実態調査を行っておりまして、その結果を分析し、検討を行っているところでございます。
  67. 山口哲夫

    山口哲夫君 宿泊料の実態調査をするまでもなくこれだけ今上がっているんですから、大蔵省は随分冷たいんじゃないですかね。予算要求していないんですか。
  68. 中川雅治

    説明員中川雅治君) 旅費法につきましては私ども大蔵省の主計局で担当しておりますので、私どもで公務員が通常利用しております全国の各市町村のホテル、旅館等の宿泊料の実態調査を行いまして、また先生指摘のような消費者物価の上昇等も勘案しまして現在改正を行うかどうか検討しているというところでございます。
  69. 山口哲夫

    山口哲夫君 あなたの方で上げなければならないと思えば、来年予算つけられるわけですね。
  70. 中川雅治

    説明員中川雅治君) 今改定をするかどうか検討しているところでございますので、もう少し結論をお待ち願いたいと思います。
  71. 山口哲夫

    山口哲夫君 制度的にできるということのようですから安心しました。ぜひ上げてください。これは全く筋が通る話ですからね。だれが見てもこれは全く今までのやり方が筋が通らない。  あのね、国家公務員だけじゃないんですよ。最近悪い癖がありまして、地方もみんな国家公務員を見るんですよ。国家公務員が上げないから我々の方も旅費を上げられないと言って頑張っている地方も中にはあるんです。あなた方の態度一つでもって日本じゅうの地方公務員にまで影響する。それがその町の民間人たちにも影響してくるところもあるんです。だから、こういう筋の通らないことだけはやっぱりやめて、きちっと上げた方がいいと思いますよ。これは一回真剣に考えてください。  最後に初任給の問題です。  大卒、高卒ともに初任給が民間に比べて低いですね。時間がありませんから数字は申し上げませんけれども、一万から二万ぐらい低いです。 こういう中から人材難が出てくるんじゃないでしょうか。最近の国家公務員の志願者を出していただきましたらずっと減っていますね。公務員を希望する人が少なくなってきた一つの原因にやっぱり賃金が低いのかな、初任給が低いのかなというふうに思うんですけれども、初任給を改善してみる気持ちはないでしょうか。
  72. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 公務員の志願者が減っておるということにつきましての原因というのはいろいろあると思いますが、その一つといいますか、考えられる一つといたしまして給与問題というのがあるかもわかりません。ただ、現実に初任給というのが民間と比べて高卒で七千円ばかり低いじゃないかとか、大卒の場合I種とII種とございますのでそれぞれ差があるじゃないかという話はございます。それは月例給与というものをもとにして比較いたしますとそういうような結果になるわけですけれども、これを年間給で比較いたしますと公務員の方がごくわずかでございますけれどもまだ若干高いという結果が出ております。  しかし、年間給与比較したら公務員の方が若干高いからそれでいいじゃないかというふうに考えるのか、それとも月例給与の差というものをもう少し縮めた方がいいじゃないかという議論に耳を傾けるのかという選択の問題でございます。  私たちは今回、先生も御理解いただいておると思いますけれども、東京等大都市における高卒の民間の初任給というのはこの春三・四%ぐらい上がっておる、大卒の場合は三・九%ぐらい上がっておる、しかし今度の勧告ではそれぞれ高卒で四・三%あるいは大卒のII種で四・三%という勧告をいたしまして、民間の引き上げ率よりも高い引き上げ率というものを実は勧告いたしております。それは公務部内の配分の問題として私たちはとらえた方が全体として秩序がまあ乱されずにと言うと大げさでございますけれども、公務部内の配分の方法としてはそれが一番穏当じゃないかということでそういう方法をとらせていただいたわけでございますけれども、やはり公務員の場合と民間の場合とを比べた場合には若干まだ逆較差のところもございますので、それを是正しながら、若年層、特に初任給あたりに高い配分をしていく今回の方法が最も穏当じゃないかというふうに考えております。  まあいろいろな御意見がございますので、その御意見等にも耳を傾けながら施策というものを考えていかなきゃならないと思いますけれども、私は現在のところ今回とりました方法というのをやはり逆較差が解消されるまでは続けていくべきじゃないかというふうに考えております。
  73. 山口哲夫

    山口哲夫君 今までの単身赴任の問題とか、それからいろんな問題提起いたしましたけれども、そういう中で今お答えをいただいてちょっと気になったのは、初任給の問題を解決するということになるとほかとの関係の中でやっぱり見ていかなければならない、こういう問題が出てくるわけですね。ですから、そういうことになりますとどこか引っ込んでくるという危険性も出てくるわけですね。それが私はちょっとやっぱり心配なわけです、初任給だけの問題に限らず。  例えば赴任旅費の問題も、それはよしわかった、解決しようと思えばどこか別なところが今度は引っ込んでくる。それでは何にも解決にならないわけですね。給与改善の一つの枠というのがもしあるとするならば、その中でやるということ自体に問題があるんで、これだけの今矛盾している問題を解決するためにはそれなりにきちっと予算づけをしていかなければならないんであって、一つの枠の中でやるんであれば、こっちが出ればこっちが引っ込むわけです。そうするとこっちの方をまた問題にしなければならないんであって、そういう全般のやっぱり底上げをしていかなければ改善した意味がないと思うんですね。そういう点で初任給問題は非常に難しいいろんな問題も含んでいると思いますが、私の申し上げたことは理解していただけると思いますので、そういう点も含めて今後検討していただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。  あと八分しか残っておりませんので、最後に完全週休二日制と週四十時間勤務制の問題で質問をしたいと思います。私の後、三石議員もこの問題に触れると思いますので、簡単にひとつやりたいと思います。  日本の時間短縮というのはこれは国際的にも要求されている非常に大きな問題だと思うんです。そういう中で一日も早く完全週休二日制というものをやらなければならない。人事院でも完全週休二日制、四十時間体制というのは、これは速やかに実現するよう努力をしなさいということを勧告しているわけであります。それはそれなりに結構だと思うんです。  しかし、人事院が九〇年の八月ですか、来年の八月で人事院勧告というものをきちっと勧告するということになりますと、これは逆算していきますと相当試行を急いでいかなきゃならないんじゃないかと思うんです。やっぱり試行をできる限り早く実行できるように、実施できるように最大限積極的な努力をするべきだと思うんですけれども、政府全体としていかがでしょうか。これほどこがお答えになるんでしょうか。
  74. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) 先生ただいま御指摘の交代制職員の週四十時間勤務体制のための試行につきましては、本年の人事院の報告において御提言があったところでございまして、現在私ども総務庁を中心といたしまして関係省庁協議の場におきまして事務的に検討をいたしているところでございます。その一環といたしまして、総務庁といたしましては人事院とも連絡をとりながら、試行を必要とする職員の範囲であるとかあるいはその実施方法であるとか、これにつきまして関係省庁からいろいろ御意見を聞いているところでございまして、試行を実施するための勤務体制の見直し、これにつきまして相当の検討が必要じゃないかというふうに申している官署もあるところでございます。  そのような状況でございますので、今の時点におきましてはいつから試行に入れるかということは申し上げる段階ではございませんが、できるだけ検討を急いでまいりたい、かように考えております。
  75. 山口哲夫

    山口哲夫君 交代制職場というのが国家公務員の場合随分たくさんあると思うんですけれども、代表的なのはどんなところがあるんですか。
  76. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) 例えて申しますれば、例えば病院、療養所、こういうものでございます。あるいは航空管制、刑務所、いろいろございます。
  77. 山口哲夫

    山口哲夫君 税関なんかもありますね。そのほかいろんな現業関係もあるでしょうね。そうすると、今申し上げたようなのは全部対象にしているということですね、週休二日制、四十時間勤務制。
  78. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) 一般職国家公務員給与法適用職員が約五十万でございますが、そのうち交代制勤務等職員が約四割弱でございまして、各省庁の意見を聞きましたところ、その九九%につきましては試行が必要と、こういうことを聞いておるところでございます。
  79. 山口哲夫

    山口哲夫君 九九%というとほとんどの今交代制勤務しているところはその対象になる、こういうふうに理解していいわけですね。  それで、やっぱり四月ころからの試行じゃちょっと間に合わないんじゃないんですかね。人事院では一年間くらいと言っているんですけれども、まあ一年も私は要らないと思うんですけれども、実際にやろうと思えば。半年もあれば私はいいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、そうなると逆算していっても一月から試行しなかったら人事院勧告に間に合わないと思うんですけれども、一月からやってみたらどうですか。できるところからやった方がいいと思うんですね。
  80. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) ただいま申しましたように試行の実施につきましてなお検討を要するという官署もまだ多分にあるわけでございますので、そのような官署を抱える省庁との今後の調整、相談を進める必要があるわけでございます。  いずれにしましても、私どもといたしましてはできるだけ多数の職員、多数の官署が参加できる形で試行を実施していきたい、かように考えておるところでございまして、その意味合いも含めまして試行の実施時期につきましても今後早期に検討したい、かように思っております。
  81. 山口哲夫

    山口哲夫君 この週休二日制、週四十時間勤務制を実施するに当たっては三ない主義というのがあるんだそうですね。定員はふやさない、予算はふやさない、サービスは低下しない。これは実際できるんですか。手品みたいな話ですね。私、地方行政委員会で消防庁の週休二日制、週四十時間制の問題で一回取り上げたことがあるんです。そのときの自治大臣は梶山自治大臣です。消防でこういうことを、定員はふやさない、予算をふやさない、サービスを低下しないで実際できるんですかと言って随分議論したんです。そうしたら梶山自治大臣が、さっきから山口議員の話を聞いていると、なるほどそうだなと、不思議だなと思っていたところだという非常にまじめな御答弁をいただきました。  だから、もしできるんなら私は教えてくださいと言うんです、これは手品なんですから。定数をふやさない、予算をふやさない、サービスを低下しないで、そして週休二日制、週四十時間勤務制ができるというんですから、これは手品だと思うんです。本当にできるんですか、そういう何か手品があるんですかね。
  82. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) 先生指摘のいわゆる三ない主義につきましては、職員組合等からも御批判があることは十分承知しているわけでございます。ただ、これまでの週休二日制の推進に当たりましては、行政処理方法の改善であるとか、人員配置の見直しであるとか、いわゆる事務処理体制の整備を行いますとともに、公務能率を向上させるための各般の工夫を行いながらこれまで週休二日制の推進を進めてきたところでございます。  とにかく民間におきます時間短縮と申しますのは民間企業におきます格別の企業努力の上になされているわけでございますので、私どもは今後とも時間短縮、週休二日制を進めるに当たりましては、安易に予算、定員をふやすというような方法をとらず、みずからの努力の中で完全週休二日制の推進に向けて進めていくことが国民理解と合意を得るゆえんだろうというふうに思っております。
  83. 山口哲夫

    山口哲夫君 先ほど申し上げた予算のことと同じなんですけれども、こっちをこう何か実現しようと思うと必ずどこか引っ込まされるんですね。そんな職場は甘いものですかね。そこはそこなりにできればもう少し職員ふやしてもらえないかなというところだってある。深刻にみんな働いているわけです、真剣に働いている。そんなもの適当にやりくりできるような、そんな簡単なものじゃないですよ、職場実態なんていうのは。だから、そういう考え方でやるからだんだん超過勤務が多くなるんです。そして健康を害する。だから最近公務員の病気にかかる率というのは高いんじゃないですかね。  それから、私は何年か前に一回調べたことがあるんですけれども、非常に自殺率が高くなりましたね。それは私に言わせると本当に行革を実施してからふえてきている。 これは私が言っているんじゃないんですよ。ある週刊誌を見ましたら、公務員の自殺がふえたのは行革が行われてからであるといって克明に載っていましたです。なるほどこれは深刻な問題だなと思った。  あなた方は総定員法があるからふやせないと簡単に言うんですけれども、それを乗り越えていかなきゃならないわけでしょう。総定員法そのものが問題があるんですよ、私に言わせれば。例えば、税金をもっとちゃんと一〇〇%滞納がないように徴収しなさい、脱税をきちっと告発して徴収しなさいと。そのために税務署職員が必要であればふやせばいいじゃないですか。ふやしたって人件費の何倍も脱税の分を収入として得ることができるんです。総定員法に抑えられちゃって、そういうやろうと思う仕事までできない。そして働いている人たちの時間短縮も実際にはできない。外国では考えられないような労働強化を強いている。単身赴任を強いている。  だから、いつまでたったって外国から批判を受けるのは当然ですよ、こういうことは。だから、私たちが外国から指摘されないように本当に時間短縮を国家的な大きな政策としてやらなければならないんであれば、やっぱりそういうことを踏まえてやってもらわなければいけないと思うんです。まあこの問題、もう時間が一分過ぎましたので、意見として強く申し上げて終わりたいと思います。
  84. 三石久江

    ○三石久江君 三石です。  きょうは、同僚議員も質問されましたけれども、単身赴任、年金制度について私の立場から少しお話をしながらお尋ねをいたします。  私の友人の女性ですが、いわゆる転勤家族、転勤族の男性と結婚をいたしました。東京で結婚をしたわけですけれども、そのお連れ合いが半年くらいで北海道へ転勤が決まったのです。このことは二十年も前のことですけれども、先に夫がまず赴任をし、彼女は仕事を持っているわけですから、やめたくないと思いながら、子供が宿ったということもありまして、仕事をあきらめて北海道へおくれて行ったわけです。その後、北海道で四、五年、次に四国、そして東京、次に石川県という転勤について回ったわけです。  その石川県で私と出会ったわけですけれども、そのとき息子さんは高校二年生でした。その折はもう親の手には負えないという息子さんの様子でした。映画や週刊誌にありましたように親に対しても恐ろしい態度でした。殴る、ける、せびる。ところが、私ども第三者に対してはとても素直なんです。根っから悪い少年ではなかったように思います。それで、その少年に話を聞きますと、父親は留守がち、転勤転勤で友人もできない。また、親は勉強勉強と言うけれども、学校がかわるたびにわからなくなる。そこで勉強をするという気がしなくなるということで意欲をなくしていたのです。そのような家庭で夫婦間の会話もけんか腰になり、不和の状態が続いておりました。少年はますます非行に走っておりました。私どもは婦人少年室というところの方と御相談をしていろいろ手当てをしたわけです。現実に子供にしわ寄せが転勤ということできたんだと思います。  このことは転勤族全部ということではないと思いますけれども、やはり子供にしわ寄せがいくんだなと思いました。私がそのことにかかわってみて、できれば子供は両親で育て、また社会の中で育つものという重要さを感じたのです。母子家庭、父子家庭もありますけれども、常時いる人がいない状態は不自然だと思うわけです。その後はいろいろの方の力添えで今現在は自立した青年になっております。  そこで、官房長官にお尋ねいたしたいのです。遠隔地への転勤制度と男女の役割分業についてですが、女性の単身赴任も、今のところそんなに多くはないと思いますけれども、既に単身赴任がなされているわけです。国連の女子差別撤廃条約の考え方は、家事労働も子育ても男女が共同して担う社会を目指しているわけです。 そんなような中で女性のキャリア進出と単身赴任についてどうお考えでしょうか。先ほどお話をさせていただきましたことも考慮に入れてお答えをいただきたいと思います。
  85. 森山眞弓

    国務大臣(森山眞弓君) 先生が最初に出されました例を伺いますと、それはお父さんが転勤をされたということのように承りましたが、後の方のお話は、女性も単身赴任をするようになったということを問題としておられるように承りました。  いずれにせよ、私どもといたしましては、経済活動が活発になりまして行動範囲が広くなってまいりますと、転勤ということがいろいろな職場で一層ふえていくということは否めない事実だと思います。そのお父さんやそれから先生のお考えになっておられる職場がどういうところかはっきりいたしませんが、仮に国家公務員ということであるといたしますと、仕事の性格上どうしても一部に転勤を始終するという種類の職種があり、またその中には単身赴任をせざるを得ない家庭の事情にある方もおられるということは現実だと思います。  しかし、男性でも女性でも単身赴任というのは決して好ましいことではない。いろいろな負担がございまして、子供の教育上も、また経済的にも、正常な家庭生活という面から見ましても好ましいことではないわけでございますので、そういう単身赴任という問題から発生してくるさまざまな問題の中で、さしあたって経済的にかかる大きな負担を軽くするというために手当の創設が人事院によって勧告されたわけでございます。勧告実施のために今法案審議をお願いしているわけでございますが、そういう単身赴任者の実情を踏まえながらこれからも引き続きよりよい方法はないかということを検討し続けていかなければいけないと思います。  男女平等という観点から申しますと、職場において女性が能力を発揮し、いろいろな機会を与えられ、そしてそれに伴って経験を積んで昇進昇格もし、同じように待遇をされて能力を発揮していくということが望ましいかと思いますので、その観点から申せば女性だからということで転勤を許されないというか、チャンスを与えられないというのはまたかえって差別であるというふうに思うわけでございます。ですから、その人の家庭の状況やまた個人の希望や、そういうことを十分勘案した上で、女性にも転勤を伴うようなチャンスを与えられるということの方がむしろ平等にかなっているのではないか。  現に私も、自分自身の昔の経験を申し上げますと、若い後輩の方で、家庭を持ちながら、自分も転勤をして大いに地方の現実を踏まえた仕事の経験をしたいと心の中でそういうふうに希望しておりましても、自分から言い出せないままにいつまでもそういうチャンスに恵まれないでうつうつとしていた人がおりまして、自分で言い出せないのであれば仲間が言ってみてあげましょうということで、それを持ち出しましたところ、当時の人事管理をしておられた男性の課長が、女性だから転勤はどうせできないだろうと思って全くそれは考えてもいなかった、ああ女性にもそういう希望があり意欲があり能力のある人がいたのかと言って、喜んで転勤をさせていただいたということもございました。  その人の場合はそれをチャンスにそれからいろんな経験を積んで非常に立派な仕事をしているわけでございますが、それぞれの事情によって、女性の能力を男性とともに肩を並べて発揮していくチャンスを与えられ、それにこたえていくということが男女平等を現実に実現していく方法ではないかというふうに私は思っております。
  86. 三石久江

    ○三石久江君 ありがとうございます。  自分から転勤ということを申し出られる方は少ないと思うんですけれども、私はやはり女性に男性社会の論理というものをそのまま押しつけるということはまだ問題だなと考えているのです。  次に家庭科の男女共修問題について少しお伺いします。  私も単身赴任です。連れ合いも現在仕事を持っておりますので、単身で暮らしております。連れ合いは性別役割分業の固定化というものを否定しておりますので、その中から、もっと早くから家庭科の勉強が男女共修であったらなということを常々申しております。森山長官の亡くなられたお連れ合いも同じような思いではなかったかなと思ったりしているのですけれども、そこで、今でも新聞などで見ることがありますけれども、受験科目にない家庭科は進学校には要らないというような高校があると聞いておりますけれども、家庭科の男女共修についてどのように思われますか。
  87. 森山眞弓

    国務大臣(森山眞弓君) 高等学校の家庭科については、男女が協力して豊かな家庭生活を築くという目的のためにことしの三月、高等学校学習指導要領の改訂がございまして、男女ともすべての生徒に家庭科を必修させるということに決まったわけでございます。これは国連婦人の十年が終わった後の二〇〇〇年に向けての行動計画の中にも入っておりまして、そしてナイロビの世界会議の後、大勢の方の努力によりまして文部省としてもそういうふうに方針を進めていただいたわけでございまして、このような結果に現在なっておりますことは非常に喜ばしいことだというふうに思います。  以前はそうでなかった面がございますので、仰せのとおり全く家庭のことは何もおできにならないという男性の方がたくさんいらっしゃいますので、非常にお困りになっていらっしゃるだろうと思いますから、これからの若い方々にはそういうことが少しずつ減っていくんではないだろうか、この成果を期待したいと思っております。
  88. 三石久江

    ○三石久江君 大変ありがとうございました。  私の男性の秘書の方はもう全く男女平等で共同生活を今実際の生活の中でしている男性もおります。  次に男女共同社会での職業生活、家族のあり方についてですが、男女雇用機会均等法をきっかけに女性の職場進出が進んでいく傾向にあります。私が思い描く未来、近未来社会は男も女もともに働く社会、基本的には人間は働いて生きるということを踏まえ、男女がゆとりを持って社会の一員として、ここからが大事だと思うんですけれども、職業を持って働く、家事労働も子育てもともに男女が共同して担う社会、そういう考え方は国連の女子差別撤廃条約の考え方でもあるところです。そういった社会を実現するためには、育児休業や保育問題など多くの社会基盤の整備が必要ではありますが、単身赴任の問題もそのような視点に立ってぜひ考えていただきたいと思うわけです。御所見をお伺いしたいと思います。
  89. 森山眞弓

    国務大臣(森山眞弓君) 先ほど申し上げました二〇〇〇年に向けての行動計画、またナイロビにおける話し合いの成果などを踏まえまして、先生が今おっしゃいましたような理想的な社会を実現していくために我が国も政府としてのさまざまな施策を進めつつあるわけでございます。  家庭の中も、また職場においてもそれぞれ助け合って、そして肩を並べて協力しつつ平等にやっていくという目標のために、職場における雇用機会の均等や、また家庭科については男女の共修や、それから御指摘になった保育の問題その他いろいろな社会環境の整備、そういうことを進めていかなければいけないと考えますし、そのことは先ほども申し上げました行動計画に基づいての政策として鋭意努力を進めているところでございますので、その方向をさらに続けて努力していかなければいけない、そういうふうに考えております。
  90. 三石久江

    ○三石久江君 大変ありがとうございました。大変お忙しいと聞いておりましたので、どうぞこの辺で御退場ください。 どうもありがとうございました。
  91. 森山眞弓

    国務大臣(森山眞弓君) よろしゅうございますか。どうも失礼いたしました。
  92. 三石久江

    ○三石久江君 関連いたしまして人事院と総務庁へもう少し具体的なことをお聞きしたいと存じます。  単身赴任を減少させる努力についてですが、人事院は既に単身赴任を減少させるべきだという勧告を行っておりますが、省庁が単身赴任をなくすためにどのような努力をしてきたか、経過をどのように把握されておられるか、人事院と総務庁にお尋ねいたします。
  93. 菅野雄

    政府委員(菅野雄君) 単身赴任問題につきましての減少努力というものにつきましては、その重要性につきましてかねがね指摘されているところでございます。人事院といたしましても、各省協力のもとに、単身赴任の減少努力に取り組んでいきたいと考えておるところでございます。そういう意味から、各省との打合会あるいは人事管理官会議等によります周知徹底、各省からのヒアリングその他の努力を重ねてきたわけでございます。最大の教育問題につきましては、文部省の初中局長に対しまして勧告の都度申し入れを行っておりまして、文部省の方からも努力いたしたいというような回答を得ておるわけでございます。  単身赴任問題につきまして、住宅問題であるとかあるいは教育問題とか数々の問題がございます。人事院だけでは処理できない問題もございますので、関係省庁とも今後とも連絡をとり合って減少努力に努めてまいりたい、このように考えております。
  94. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) ただいまの御質問についてお答えいたします。若干答弁が抽象的になるかもしれませんが、御了承願いたいと思います。  私ども総務庁人事局といたしましては、毎年度各省庁の人事管理運営方針と申しますものを定めまして総務庁長官から出していただいておるわけでございますが、その人事管理運営方針平成元年度版におきまして、単身赴任問題につきましては、公務能率、職員の生活等への影響などを考慮しながらこの問題について検討を進めていくということをうたっております。これは具体的には関係省庁との事務的な協議を経ながら、具体的にどのような解決策があるかということを今後探っていくわけでございまして、単身赴任問題の第一はその減少策でございますが、単身赴任者の減少策を含め、やむを得ず単身赴任した方に係る各般の問題の摘出とその解決策につきまして検討してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  95. 三石久江

    ○三石久江君 いろいろと減少させるようにお考えのようでございますけれども、私の考えの中で、単身赴任手当を出すということでむしろ単身赴任がふえるんではないか、ふえるとしたら問題だなと。そのようなことにならないように今後も単身赴任をなくすための努力を怠らないでいただきたいと思います。  次に、公務員にとって転勤はなぜ必要なのかということをお聞きしたいと思います。総務庁と人事院の方、いかがですか。
  96. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) 御案内のように、各般の行政需要にこたえるため政府各省庁は全国津々浦々に必要な事務所、事業所を構えておるわけでございます。そのような事務所、事業所の業務の円滑な運営を含めた各省庁の能率的な公務の運営のために適切な人員配置をやっていく上で、職員の士気の向上等もあわせ考えながら考えますと、適時適切な転勤、異動というものはそれなりに必要なものではなかろうかというふうに思っております。  各省庁とも長年の歴史の中からそれなりの人事管理と申しますか、人事運営についてのノーハウを持っておるわけでございまして、そのようなノーハウに沿いながら適切な人事異動、人事管理をやっているものというふうに承知しております。
  97. 菅野雄

    政府委員(菅野雄君) ただいま人事局長からお答えいたしましたように、転勤につきましては、全国的に統一的な行政運営を確保するための人材の適正な配置を行う必要があるということ、あるいは行政対象との利害関係を定期的に遮断して情実を発生しないようにする必要があること、また公務には全国に九千余りの官署があり、離島、山間僻地等にも官署が置かれていることから人事ローテーションにより人事上の公平性、納得性を確保する必要があること、さらには職員の育成のために幅広く業務を経験させる必要があること等の観点から、公務遂行上必要やむを得ないものと考えておるわけでございます。  しかし、先ほど来申し上げておりますように、単身赴任者の減少努力につきましては、総務庁を初め関係各省ともよく相談しつつ今後とも努力を続けていきたい、このように考えております。
  98. 三石久江

    ○三石久江君 ただいまの御答弁でそれなりの必要とおっしゃられたので、それなりの必要とは何だろうなと思ったんですけれども、お答えいただけますか、それなりの必要というのは。
  99. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) 若干言葉が足らなかったかもしれませんが、各省庁それぞれの必要に応じて各地方に展開する事務所、事業所に対し適切な職員配置を図るために異動という形で人員配置を行っているというものと思っております。
  100. 三石久江

    ○三石久江君 まだ私には余り納得できないんですけれども、いろいろ御事情があるようですが、私といたしましては、転勤制度というのは男は仕事、女は家庭にということを前提のもとでつくられた前時代の遺物のように思えてなりません。  そこで、遠隔地への転勤を必要としなくするためには何かいい方策かないかと考えられたことがございますでしょうか。 総務庁の方と人事院の方にお願いいたします。
  101. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) 基本的には遠隔地への転勤も含めまして人事異動と申しますのは任命権を有する各省庁の問題でございまして、私ども総務庁人事局として今まで遠隔地への異動について検討したことはございません。  今後の問題としまして、異動、転勤あるいは単身赴任を伴う異動につきましていろいろ問題があることも承知しておりますが、具体的に必要があれば関係省庁とも協議をする必要はあろうかなというふうに思っております。
  102. 菅野雄

    政府委員(菅野雄君) 先ほど転勤の必要性につきまして数点挙げて御説明申し上げましたが、僻地への転勤の問題につきましては、やはりそこに官署がありやるべき行政がございますから、人事ローテーション等によりまして人事の公平性、納得性を確保する、そういうことを頭に置きつつ実際の人事をやっていかなければならないのではないか、このように考えております。
  103. 三石久江

    ○三石久江君 そこで、私の構想としてちょっとお話ししたいんですけれども、転勤が公正を保つなどの理由から職務上必要ならば、省庁間交流の活発化を行ってほしい。縦割り行政を総合的な行政に、あるいは総合的な考えを持ったお役人を育てることにもつながるはずだと思うのですが、いかがでしょうか。
  104. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) お答えします。  省庁間の人事交流につきましては、これまでもその必要性を認め、各省庁にその推進についてお願いをしてきたわけでございまして、本省庁レベルで申しますと、大体課長昇任時までに他省庁の勤務を経験した方が約八割はあるというふうに承知しておるところでございます。
  105. 菅野雄

    政府委員(菅野雄君) 先生おっしゃいましたように、人事交流によりまして各省の枠を除くという必要性につきましてはかねがね人事院といたしましても認識いたしておるわけでございます。 私どもの方でも、公務員研修所に各省の方々が参加していただきまして、そういうことから各省の壁を取り除こうという努力は続けておるわけでございます。
  106. 三石久江

    ○三石久江君 いろいろな理由という御答弁をいただきましたけれども、やはり二十一世紀に向けてもっともっと発想の転換を希望して、このお話を終わらせていただきます。  次に学校における週休二日制の実施についてでございますけれども、総務庁の方に週休二日制導入の経緯と省庁の実施状況についてお尋ねいたしたいと思います。
  107. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) 国家公務員の週休二日制につきましては、昭和五十一年と五十三年の二回の試行、トライアルでございますが、試行を行った後に、四週五休制、四週間に四日の日曜日と一日の土曜日を休むいわゆる四週五休制というものを昭和五十六年三月から実施したところでございます。さらに、昭和六十一年十一月からは四週六休制の試行を始めまして、昭和六十三年四月からこれは本格実施いたしております。  これらの週休二日制と申しますのは、職員が交代で休む方式、要すれば土曜日も役所をあけておく開庁方式で実施してきたわけでございますが、本年の一月には第二、第四土曜日を行政機関の休日として原則として執務しないことといたしまして、その他の土曜日は平常どおり執務を行うといういわゆる土曜閉庁方式を導入したところでございます。これによりまして、各省庁におきましては原則として土曜閉庁方式によります四週六休制を実施しているところでございますが、交代制の官署やあるいは週末に利用率の高い官署など土曜閉庁の対象とならない官署に勤務する職員につきましては、四週六休制を弾力的な形態によって実施しているというのが実情でございます。
  108. 三石久江

    ○三石久江君 次に、文部省の方にお尋ねいたします。国公立学校での週休二日制の実施状況についてお尋ねしたいと思います。
  109. 小野元之

    説明員(小野元之君) 国公立学校の教員の週休二日制の問題でございますが、これは学校におきます教育活動との関連を考慮する必要があるわけでございます。  現在、学校は教育課程が週六日ということを前提に編成されておるということもございまして、児童生徒が登校しておるときに教員が土曜日休むというのは非常に難しい面があるわけでございます。そういうこともございまして、夏休み等の長期の休業期間中にいわゆるまとめ取り方式という形で実施をしておるわけでございまして、現在国立の附属学校さらには二十六の都県におきまして四週六休制をまとめ取り方式により実施しておるところでございます。
  110. 三石久江

    ○三石久江君 そのまとめ取りの中身を少し詳しくお伝えいただきたいんですが。
  111. 小野元之

    説明員(小野元之君) まとめ取りにつきましては、夏休み等の長期休業期間中、これは教員にとっては勤務時間であるわけでございます。ただ、児童生徒の方は休業日ということで授業自身は行っていないわけでございます。教員は学校に登校いたしまして一般の校務を行ったりあるいは部活動の指導、プールの指導、その他さまざまな活動を行うほか研修等も行っておるわけでございます。ただ、普通の一学期や二学期なんかの学期中と比べますと比較的業務量も少ないということもございまして、こういう期間に通常であれば土曜日の休みの時間に相当する部分を夏休み等でまとめて休んでいただくという方式をとっておるわけでございます。
  112. 板垣正

    委員長板垣正君) 時間ですので締めくくってください。
  113. 三石久江

    ○三石久江君 中途になりましたけれども、それではまた次にこういう質問をしたいと思います。
  114. 板垣正

    委員長板垣正君) 午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時九分休憩      ─────・─────    午後一時十分開会
  115. 板垣正

    委員長板垣正君) ただいまから内閣委員会を再会いたします。  休憩前に引き続き、一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律及び国際花と緑の博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  116. 翫正敏

    ○翫正敏君 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案関連して質問いたします。  私は、自衛隊は憲法第九条に違反する違憲、違法なる存在であると考えております。したがって、自衛隊を廃止し、隊員は速やかに正業についていただくようにしていかなければならないと考えております。  しかし、いかに違憲とはいえ、現に国が隊員を特別の国家公務員として雇用しているわけでありますから、自衛隊員の家族の方を含めた隊員の人が日本国民として健康で文化的な生活を営めるような相当額の給料が支払われるというのは当然なことだと私は思います。ですから、人事院勧告完全実施によるベースアップが自衛隊員にもひとしく行われるべきものである、そのように私は考えております。これは人を雇っている国の責任である、そういうふうに思うんですけれども、この改正案の要綱を見ますと、防大の卒業生が六カ月以内で勤務をやめる場合についての改正ということが書かれておりますので、この点についての現状はどのようになっているのかを御説明ください。
  117. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 防衛大学校等学生に対しましては、防衛庁職員給与法によりまして退職手当支給されないことになっているわけでありますが、学生が正規の課程を終了して引き続いて自衛官任用された場合には、自衛官を退職する際に学生としての在職期間の二分の一に相当する期間自衛官としての在職期間に通算することによりまして退職手当支給されるということになっておるわけであります。つまり、平たく申しますと、自衛官として一日でも在職すれば退職手当が出るという仕組みであるわけであります。  しかしながら、近年、学生としての正規の課程を終了して幹部候補生を命ぜられた者のうち自己の都合によって早期に退職するという者がかなり多くなってきておりまして、自衛官としての在職期間学生としての在職期間を通算するという制度本来の趣旨が生かされないということが見られるわけでございます。 このため、単に学生から引き続いて自衛官任用されたことのみをもって通算するという現行規定を改めまして、学生から引き続いて自衛官任用されてから原則として六カ月以上勤務した場合に限って学生としての在職期間の通算を行うということに改めようとするものであります。このことによりまして、六カ月未満の自己都合による退職者には退職手当支給されないということになりまして、本制度趣旨がより適切に実現されるというふうに考えておる次第であります。
  118. 翫正敏

    ○翫正敏君 過去三年間の数字で、そのように普通の公務員ですと退職金がもらえない期間である六カ月未満というところでやめて、そして防衛大学校に四年間在学していたということでそれを通算されて退職金をもらった、そういう人は何人いて、そしてその三年間の金額、それによって支払われた金額を合計するとどれくらいになるんでしょうか。
  119. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 過去三年の人数でありますが、六十二年の三月の卒業者では今委員指摘の卒業者人数は五人でございました。六十三年三月の卒業者では急増いたしまして二十九人になっております。そして、本年三月の卒業者ではこれが横ばいといいますか、二十四人になっております。  支払われた退職手当の額でございますが、合計をいたしますと約一千万円かと存じます。
  120. 翫正敏

    ○翫正敏君 人数は五十八人ということになりますね。その五十八人で約一千万円が退職金として支払われた。この方々は大学で給料をもらって勉強して、そして結局すぐやめて、また退職金までもらった、こういうことになるわけでありますので、大変大きなむだな支出だったと思うんです。  ところで、この方々の月給は約七万円だと聞いていますが、それでこの人数を掛けまして、四年間でこれで学生時代の給料としては総額幾ら支払われているんでしょうか。――一億九千七百万じゃないですか。
  121. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) ちょっと突然の御質問でございますのであれですが、今御指摘のとおり、給与という形じゃございませんが、学生手当として七万円程度のものが支払われておりまして、それの四年分掛ける当該人数ということで、御指摘のような数字になろうかと思います。
  122. 翫正敏

    ○翫正敏君 そういう意味で、この改正によって六カ月以上勤めないと退職金がもらえないようになるというその改正は妥当なものである、私はそういうふうに考えるわけであります。  ところで、そういうふうにしてこの大学校で勉強し、そして自衛隊員になられる人がたくさんおいでるわけでありますけれども、その自衛隊の学校とかそれから隊員の教育というものの中で、例えば社会党政権ないし野党連合政権というようなものができた場合に、その政権に従うと、そういうことについての学校ないし隊員の学習、勉強ですね、こういうものはちゃんと行われているかどうかお聞きしたいのであります。  ちなみに雑誌にある一等陸佐の文章が載っておりまして、それを見ますと、「自衛隊は「社会党政権」を歓迎する」「「九〇年代の新防衛論」を現役戦略担当エリートが問題提起」という、そういうような内容で書かれておりまして、「ソ連のゴルバチョフ書記長の出現による米ソデタント状況などの国際情勢の変化、先の参院選後、社会党を中心とする野党連合政権が誕生するかどうかが、より現実的な焦点となっている国内情勢の変化の中で、台頭してきた自衛隊「新しい現実」派の肉声を、初めて公開する。」というようなうたい文句で雑誌に一等陸佐が文章を書いておられますけれども、社会党政権になってもこれを支持し歓迎するという方が自衛隊の幹部の中におられるということは大変結構なことだと思いますが、基本的には社会党政権であろうが、共産党政権であろうが、自民党政権であろうが、何党政権であろうが、国権の最高機関である国会の決定によってできた政権を支持してそれに従うということは当然のことであるわけでありますが、その点についての教育というようなものが、ちゃんと給料まで七万円毎月払って大学校で教育をしているという中にちゃんと行われているかどうかを確かめたいので御答弁ください。
  123. 米山市郎

    政府委員(米山市郎君) 先生お手持ちの雑誌につきましては私もちょっと読ましていただきました。冒頭に個人的な見解というようなことで断ってあったと思います。そういう意味で、私の立場でその発言についてコメントする立場ではないかと思っております。  ただ、今さら申し上げるまでもございませんけれども、自衛隊は憲法に従い、内閣の総括のもとに、「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務」とするものでございまして、このことは政権の交代によって何ら変わるものではないという基本的な認識を持ちまして、防衛大学校における教育の中でも、使命感の育成あるいは装備の近代化に対応する知識と技能の修得、また基礎的体力の錬成、さらに統率力のある幹部の育成という観点で教育を行っているわけでございます。
  124. 翫正敏

    ○翫正敏君 最近もフィリピンにおきましては国軍の反乱というものが起こりまして、アキノ政権退陣せよというような要求を出して反乱を起こしたということがありましたけれども、いやしくも国から給料をもらって国家公務員として雇われている日本の自衛隊員が、そしてこのたびの法律改正案におきましても、他の国家公務員と同じく人事院勧告完全実施ということもきょうここで多分通過するんではないかと思いますけれども、そういうふうな状況の中で、そのようなフィリピンにおいて国軍が政権に反乱をして軍を動かしたというふうなことが、我が国の自衛隊においては決してあろうはずはないとは思いますけれども、その辺についての防衛庁長官としての一つの決意と考え方というものを明確な形でお述べいただきたい、そのように思います。
  125. 松本十郎

    国務大臣松本十郎君) 先ほどから政府委員が答弁しておりますように、自衛隊員は憲法のもとで直接間接の侵略に対して国を守るということでございますので、それ以外のことに思いをいたしたり、ましてや行い、行動をするなんてことは到底考えられませんし、また絶対にないと確信いたしております。
  126. 翫正敏

    ○翫正敏君 そういうことをぜひ切望したいわけであります。  前にこの委員会で小松基地の問題について若干質問しましたことについてのちょっと補足をしたいので、防衛施設庁の方に御答弁いただきたいんです。  小松基地周辺に七つの協定等が今日までつくられておりまして、これが何らかの事情によって効力を失ったということがない、この七つの協定はすべて現在も有効であるという答弁を過日いただいたわけでありますが、その中でも特に昭和三十四年十二月四日の約定書の第九項にある「元三昧谷国有林を飛行場として使用しないこと。」「使用することはない。」という、この項目について質問いたしましたところ、答弁としてこの日末町の住民にこの土地が昭和四十年たったですか、年数ちょっと確かめてほしいんですが、そのときに払い下げられたので、その時点でこの協定の履行は終わっている、こういう答弁をいただいたかと思いますが、そういうことで確かめてよろしいですか。
  127. 大原重信

    政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。  先生今御指摘になられました国有林の払い下げの時期、これは四十年八月でございます。  それから、私がせんだって御答弁申し上げました趣旨は変わっておりません。
  128. 翫正敏

    ○翫正敏君 日末町の住民に払い下げるということが目的の協定文であるならば、旧三昧谷国有地を飛行場として使用することはしないでほしい、使用いたしませんというようなこの文面は、地元にこの土地は払い下げをしてください、はいわかりました、払い下げいたしましょう、このように書くべきものであります。しかるにこの文面では使用するかしないかということになっていて、使用いたしませんというふうになっているわけですから、これは公文書の書類に書く文面の言葉ですから極めて厳格でなければならないはずでありまして、使用しないとか使用するということと、地元に払い下げるか払い下げないかということとは全く問題が違うことである、このように考えるものですけれども、それはいかがでしょうか。このような文章をもって地元への払い下げの文面であるというふうに言うことは余りにも強弁なのではないか、そのように考えますが、いかがですか。
  129. 大原重信

    政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。  先生指摘のように三十四年十二月当時の協定第九項によりまして、元三昧谷国有林を飛行場として使用しないというふうに書いてございます。これは質問を受けることについてお答えするというような形で書かれたものでございます。  こういった協定につきましては、いろいろ背景があるわけでございまして、この文言のみならずその背景について思いをはせなきゃならぬと私は思うわけでありますが、この協定が締結されました三十四年の十二月当時には三昧谷地区の土地は農林省所管の国有地でございました。その際、当該地は地元が農林省から払い下げを受けたいという御希望をお持ちでございましたので、防衛庁は当該地を飛行場用地として直接農林省から所管替えを受けていただくということはございませんというふうにお約束したものでございます。それで、先ほど先生指摘になりましたように、この当該地は四十年の八月に農林省からお約束どおり地元住民へ払い下げられておりますので、この本条項はここで履行し終わったというふうに私どもは解釈しているわけでございます。
  130. 翫正敏

    ○翫正敏君 どう考えても、公文書の文面どおりに実施するという当然のことが行われなければならないと考えております。小松基地に関係しますさまざまな七つの協定についてはいろいろ今日まで実施がされていない、不十分であるというのが多々ありますので、これはまた今度機会がありますときにさらに細かく確かめさしていただきたい、そのように思います。きょうはこの点についてはこれで終わります。  次に、米軍や自衛隊が起こした事故に関連して質問します。  一昨年八月、奈良県十津川村で米軍機が林業のワイヤ切断事故を起こしていますが、この問題は米軍機の超低空飛行による事故という大問題であるにもかかわらず、なぜこういう大問題が防衛白書に何らの記述がないのかということを疑問に感ずるわけです。国内航空法との関連でこの事故の問題点というものを明らかにしていただきながら、防衛白書に記述かない理由ということも簡単に御説明ください。
  131. 松本宗和

    政府委員松本宗和君) 御指摘の十津川の事故でございますけれども、これは先生御案内のとおりだと思います。  いずれにいたしましても、米軍機によるいわゆる射撃等を伴わない通常の飛行訓練、これにつきましては、地位協定は施設、区域の上空に限って行うことを想定しているわけではないというぐあいに承っております。ただ、私どもも米軍の訓練につきましては、やはり公共の安全に妥当な注意を払ってやってもらわなければならないという認識を持っておりまして、そこで機会があるごとに米軍に対して地域の情報を提供するとか、また苦情が寄せられた場合にはその内容を細かく米軍に通知いたしまして注意を喚起しておるところでございます。  なお、米軍のサイドでもこの点については十分注意を払って訓練をやっておるというぐあいに承知しております。  なお、白書の件につきましては担当が違いますので……。
  132. 翫正敏

    ○翫正敏君 白書はどうですか。白書になぜ書いてないのか。
  133. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) 日本国内におきます米軍駐留の意義であるとか訓練であるとか、そういう防衛体制に係るものについては記述をいたしましたけれども、個々の事故については今回の白書については記述しておりません。全体の白書構成の上からそのように考えて記述をしていないわけでございます。
  134. 翫正敏

    ○翫正敏君 大体において米軍の事故はすごく頻繁に起こっているわけですけれども、防衛白書を見ましてもほとんど記述がないという状況でありまして、極めて遺憾であるということを強く申し上げておきたいと思います。  特に、米軍機は国内航空法の適用が除外されているということがあって、そのために米軍機の超低空飛行というものによって起こる事故というものは、これを規制し防御するということは極めて困難だ、そういうふうに考えられるんですけれども、具体的にこの一昨年八月の奈良県十津川村で起きた米軍の林業ワイヤ切断事故に関して、簡単でいいですが、その結果米軍に対してどういうふうにして、補償関係はどうなったのか、簡単に説明してください。
  135. 松本宗和

    政府委員松本宗和君) 事実関係から申しますと、昭和六十二年の八月十二日、これは米空母ミッドウェーの艦載機でございますが、航法訓練中に奈良県の十津川村の山岳地帯におきまして伐採材木運搬用のワイヤロープに接触しそれを切断したという事故でございます。私どもといたしましては、在日米軍司令部に対しまして原因の究明、再発防止につきまして強く申し入れをしたところでございます。  米側の対応といたしましては、米側は飛行ルートの事前調査等を行いまして安全対策の徹底に努める旨表明をいたしております。  なお、昭和六十三年三月、これは賠償金を支払いまして解決いたしております。
  136. 翫正敏

    ○翫正敏君 そういうふうにして強く申し入れを行っていただいたにもかかわらず、ことしの四月三十日にはまた同じ場所で米軍機によってワイヤの切断事故が発生した、そういうことではありませんか。
  137. 吉住愼吾

    政府委員(吉住愼吾君) そのような事実は聞いておりません。
  138. 翫正敏

    ○翫正敏君 ちょっと日にちを間違えました。ことしの七月三十日に米軍機がこの場所で超低空飛行の訓練を行って、地元の住民に極めて重大な不安感を与えている、そういうことはありませんか。
  139. 森敏光

    説明員(森敏光君) 私ども、米海軍のミッドウェー艦載機の航空機が七月に航法訓練のためにその付近を飛行したということは確認しております。
  140. 翫正敏

    ○翫正敏君 そのように今後ともに、米軍機の飛行が国内航空法の適用除外ということになっている以上、同種の事故の発生というものを防止することは極めて困難である、そういうふうに思うんですけれども、政府としてこの航空法の適用除外をこれからもずっと続けていくお考えかどうかお伺いしたいんです。これを改めて、米軍機が日本国内を飛行する場合にも日本国内の航空法を遵守しなければならないというふうにするためには、具体的にどのように進めていけば法律その他のことが成って規制することができるのか、それを説明してください。
  141. 森敏光

    説明員(森敏光君) 全く一般論として申し上げますと、一般国際法上、外国軍隊には特別の、特段の合意がある場合を除くほか接受国の法令の適用はないとされておりまして、日米間におきましても、我が国に駐留いたします合衆国軍隊の地位等を規定する地位協定もこのような考え方に基づいて締結されております。  他方におきまして、このようなことは、米軍が我が国において軍隊としての行動を行うに際しまして、国内法を全く無視して行動してよいということを意味するわけではございません。例えば交通の秩序の維持のような公共の安全とかかわりを持つ部分にあっては一般関係法令を尊重しつつ行動すべきであることは当然でございます。本件との関連におきましても、米側は航空法にございます最低安全高度を尊重し、また極力村落を避けて飛行を行うなど安全面での配慮を払うとともに、地域住民に対する影響についてもこれを最小限にするよう努めているものと承知しております。  米軍が我が国に駐留しております目的は、我が国の安全を守り、極東の国際の平和と安全を維持することでございまして、その目的の達成のために軍隊として行わなければならない諸活動を行うということは、安保条約あるいは地位協定が前提として予想しているところであると考えております。したがいまして、私どもとしては御指摘のような問題につきましてはこのような基本的な考え方に立って対処する必要があると考えておりまして、これの見直しを行うというようなことは考えておりません。  いずれにいたしましても、今後とも在日米軍の運用に際します安全確保等につきましては万全の措置がとられるよう米側との接触を含め努力してまいりたい、かように考えております。
  142. 翫正敏

    ○翫正敏君 米軍の事故のことについてもっといろいろ聞きたいんですが、時間がないので、一応挙げますから、そういう事故が起こったということを確かめていただいて、そして米軍の日本国内における行動が非常に危険きわまりないということを明らかにしたいと思うんです。  昨年十一月に東京湾の房総仲で米軍の駆逐艦タワーズというのが訓練領域外で違法な射撃訓練をして、海上保安庁の巡視船「うらが」の後方三百メートルに射撃弾を落としたと、こういう事件があったかどうか確かめてください。  それから、昨年の六月二十五日に四国の伊方原子力発電所近くに米軍のヘリコプターが墜落して、もう少しで原子力発電所の上にぶつかるところであったという、こういう危険きわまりない事故があったかどうか確認してください。  さらに、ことしの三月十六日に青森県六ケ所村の核燃サイクル施設の近くに米軍機が模擬爆弾を投下して極めて危険きわまりない事態になったということがあったかどうか確かめてください。  さらに、ことしの八月三日に長野県で米軍機がニアミスを起こして、そして一触即発の危険な状態に至ったということですが、これはどうですか。  以上、それを確かめていただいて、米軍の行動で危険きわまりないものが頻繁に起こっているかどうかを確認してください。
  143. 吉住愼吾

    政府委員(吉住愼吾君) 海上保安庁の件はちょっと私どもでは資料がございませんので、それ以外の事案について御説明いたしたいと思います。  六十三年六月二十五日の伊方原発の件でございますけれども、これは、六十三年六月二十五日に米海兵隊の普天間基地のヘリコプターが愛媛県の伊方町の山中に墜落しまして、乗組員全員が亡くなりまして、ミカン畑等に被害を与えた事故でございます。これにつきましてはことしの三月、賠償金を支払って片づいております。  それから次に、模擬弾落下事故の件でございますが、これはことしの三月十六日に米空軍の三沢基地所属のF16戦闘機が青森県の六ケ所の民家庭先に模擬弾を一発ですけれども誤投下しました。これについては、被害はございませんでした。  それから、八月三日と先生がおっしゃいましたけれども、長野県の伊那谷の民間のヘリコプターの件でございますけれども、これについては私どもで新聞等で承知していますのは七月と聞いておりますけれども、この内容につきましては新聞等でしか情報を察知しておりません。長野県の伊那谷において米軍機が民間ヘリコプターの近くを飛行したというふうな新聞報道で承知しております。  以上でございます。
  144. 翫正敏

    ○翫正敏君 危険きわまりないと認識しているかどうか。
  145. 吉住愼吾

    政府委員(吉住愼吾君) 私どもとしましては、在日米軍が飛行訓練を行いますけれども、その任務の遂行上これらの飛行訓練は必要なものと理解しております。  しかしながら、訓練に際しましては事故や被害の発生防止につきまして十分配慮すべきであることは当然でありまして、機会あるごとに米側にその旨を注意しているところでございまして、私どもとしましては、今後とも事故等の再発防止等につきまして米側により一層の努力を求めてまいりたいというふうに思っております。
  146. 翫正敏

    ○翫正敏君 終わります。
  147. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 自由民主党の田村でございます。  今日の国際情勢は大きく動いております。 そして我が国の国際社会における責任はますます増大し、果たすべき役割は重くかつ大となっております。このようなときに最も重要なことは、国際社会における常識と我が日本社会における常識との間に大きな隔たりがあってはならないということであります。そのギャップが大きければ大きいほど世界は混乱し、やがて我が国は世界の孤児になってしまいます。私はそういうことを最も心配している者の一人であります。  愚かな者は個人的な体験から学ぶが、私は歴史から学ぶとビスマルクはかつて述べております。また、世界の頭脳と言われたアインシュタイン博士、御承知のとおりでありますが、相対性原理、いわゆる理論物理学の創始者でありますけれども、大正十一年ごろと記憶しておりますが、日本に来られ、日本各地を回られ、その当時アインシュタインブームというのが巻き起こったそうですが、そのアインシュタイン博士が我が国に残していかれた言葉があります。日本の天皇家は武力や金力ではなくあらゆる国の歴史を抜き超えた最も古くまたとうといお家柄である、我々は神に感謝をする、我々のこの世界に日本というとうとい国をつくっておいてくれたことをと述べておられます。これが日本の歴史そして皇室へのアインシュタイン博士の限りなき賛美の言葉であります。  真に民族的なものこそ真に国際的に価値のあるものであるとゲーテも述べております。我々は、理論の世界ではなく、理屈の先走りばかりではなく、日本民族の歴史の姿、文化、伝統に大きな誇りと愛着を持ち、さらにこれに光を与えて次の世代に送る責任があると思います。  当委員会でも同趣旨質問があったと思いますが、来年秋の即位の礼について宮内庁にお伺いいたします。  政府は準備委員会で即位の礼について検討中と聞いておりますが、予算の関連については十二月、今月の来年度予算編成までに政府方針を決定することになると思いますが、いかがでありますか。これが第一点であります。  政府の決定に際しては、大嘗祭は皇室の長い伝統を受け継いだ皇位継承に伴う意義深い儀式、これは皇室の伝統であるとともにもはや国民の文化、民族学上の遺産であるとの判断から当然即位の礼の一環として行い、公的な行事として国事行事として行うとの結論を出すべきだと私は考えますが、いかがでありますか。  以上二点についてお答えを願いたいと思います。
  148. 宮尾盤

    政府委員(宮尾盤君) ただいま二つの点について御質問がございましたが、お答えは順序が逆になろうかと思いますが、まず即位の礼、明年予定をいたしております即位の礼の儀式のあり方の問題でございますが、この点につきましては、大嘗祭を含めまして現在内閣に設置をされております即位の礼準備委員会において慎重に検討がなされておるわけでございます。そういった段階でございますので、ただいま先生の御意見など承っていますが、具体的にどのようにしていくかということはまだお答えをする段階にはございませんので、御了承をいただきたいと思います。  それからなお、予算の関係についてどうかと、こういう点でございますが、現在即位の礼準備委員会で検討されておりますものがまとまり次第、そういうものを踏まえながら予算上適切に対処をなされていくというふうに考えておるわけでございます。
  149. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 今私が述べましたことを強く主張いたしまして、この件に関する質問を終わらせていただきます。  次に、防衛庁職員給与法の一部改正案に関連いたしまして質問をさせていただきます。  最近、防衛大学校の学生の任官拒否の問題があちらこちらで取り上げられております。平成元年三月の卒業生のうち非任官者は五十八名であると聞いております。卒業生は約五百名前後と思いますが、非任官者がその一割前後であれば、病気とか家庭の事情等やむを得ないこともあるでしょうし、それほど特別問題にする必要はないと私は考えております。また、価値観の多元化した現在、高校を卒業し十八歳で国防という崇高な道を志すも、在学中に防衛以外にもいろいろとある他の重要な職業に関心が向く者が出てくることは当然であります。しかし、防衛大学校で規則正しく高度な教育を受けた者は、たとえ自衛官にならなくとも、きっと防衛以外の道において国家、社会に大いに貢献してくれる、そう考えると防衛大学校で学生を教育したことはむだではない、非常に意義深いことであると私は思います。  そのことよりも、現在自衛隊にとって大きな問題は、防衛力発揮の基盤とも言うべき隊員が募集難により集まらないということであります。 将来にわたって精強な自衛隊を維持していく上で優秀な人材を確保することが肝要であります。この募集難の原因については、私は自衛隊に対する国民の評価が必ずしも十分とは言えない。隊員の処遇が十分ではない、あるいは隊員の再就職援護が十分でないといったような原因に起因しているのではないかと考えております。もっと魅力ある職場にする必要があります。  そこで、最近における自衛官の募集状況について具体的に説明をお願いし、あわせてこうした募集難の原因を防衛庁はどうお考えになっているのか、またそれをどのように克服するのか、その対策についてお伺いいたします。
  150. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 御指摘のとおり、現在、特に平成元年度に入りまして募集難ということが非常に厳しくなっております。  具体的にということでございますので、平成元年度におきます二士男子の募集状況について申し上げますと、上半期の実績はわかっておりますが、その期間内に目標といたしましたものの約九割程度のものを確保したにとどまっております。このように募集環境は極めて厳しいという認識をいたしておるところでございます。  こうした最近におきます募集環境の厳しさというのは、年度当初からの求人倍率が急速に上昇したということにも反映されておりますように、景気の拡大に伴いまして労働需給が極めて逼迫しておるということや、あるいはまた先行き企業におきます新規学卒者の意欲的な採用計画といったようなことがその直接の原因となっているというふうに認識しております。  さらに、御指摘のように自衛官の生活環境等の問題が募集難の背景にあるのではないかというふうに認識しております。このため、現在防衛庁といたしましては広報活動の積極的な実施等広報活動そのものを強化していく傍ら、自衛隊をより魅力ある職場とするために隊舎、宿舎等の生活関連施設あるいはまた厚生施設の改善といったようなことで隊員の処遇改善ということを重点的に進めたいということで、これまでにも増してやっていこうということでございます。  それからまた、退職後の生活基盤を確保するという意味合いにおきまして、現職隊員の指摘を高揚し、ひいては優秀な隊員の確保にもつながるということで重要なことだと認識しておりますものの一つに、就職援護施策の充実というのが御指摘のとおりあると思います。  いずれにいたしましても、隊員が国防という任務に誇りを持って日々の隊務を遂行できるということが最も肝要であると考えておりまして、このために自衛隊の任務等について国民の御理解と御支援を得られるよう今後とも一層努力してまいりたい、かように考えている次第であります。
  151. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 ぜひ頑張っていただきたいと思います。  国際情勢は大きく動いておることは御承知のとおりであります。特に東欧においては、第二次世界大戦後歴史に特記すべき大変化がポーランド、ハンガリーにおいてあらわれ始めております。さらに衝撃的な出来事としては、先般のベルリンの壁の崩壊、撤去が挙げられます。また、先日地中海のマルタ島でブッシュ米国大統領とゴルバチョフ・ソ連書記長との首脳会談が開催され、広く世間の関心を集めております。  戦後我が国において四十年余、防衛力の役割、評価についてほとんど無視された状況で過ごしてまいりました。しかし、国際社会では防衛力は国際環境に最も決定的な影響を及ぼす要素として考えられ、積極的に国際環境を変動させる重要な要因として評価され、その力の均衡の上に立って軍縮交渉等が行われております。幾ら私どもが軍縮を望んでも、現在の我が国の防衛力をもってしては、例えば今回のマルタの米ソの軍縮交渉のようなテーブルに着くことができないのが現実の姿だというふうに私は考えております。  現在、世界、世間では冷戦は終わったとかニューデタントの時代が到来したとか言う人があります。今日の欧州情勢を防衛庁はどのように認識され、それを受けて今後の防衛力の整備、特に次期防をどのように進めていかれるおつもりなのかをお伺いいたします。
  152. 日吉章

    政府委員(日吉章君) お答え申し上げます。  最近の国際軍事情勢には米ソ間の軍備管理、軍縮交渉の進展など注目すべき動きがあることは委員ただいま御指摘のとおりでございまして、そのこと自体は私どもも大いに歓迎すべきことと考えております。また、特に東欧諸国の民主化等の動きなど国際情勢は政治的にも大きく動いておりますが、これが今後どのような方向に向かうのかあるいはどういう方向で定着していくのか、その見きわめは極めて微妙な状況にあろうかと思います。  翻りまして、戦後の世界におきましては核相互抑止を含みます力の均衡によって平和と安定が保たれてきたというのは事実でございまして、こうした構造がヤルタ会談後におきましても直ちに根本的に変化してしまうということはないのではないかと思います。これは米ソ両首脳も認めているところだと思います。したがいまして、専守防衛等のもとで我が国が大綱に従いまして整備しております節度ある防衛力までも必要としないような状況が直ちにやってくるというような認識はできないと思います。  いずれにいたしましても我が国としましては、欧州を中心とする政治情勢の変化等に伴いまして流動的な情勢が生じていること、また他方、極東におきましてはソ連軍の質的強化が依然として進められているというような事実にも留意しながら国際情勢の動きを慎重に見きわめて、いかなるような国際情勢の変化にも十分対応し得るような防衛力を整備しておくことが望ましいのではないか、かように考えております。  そういう観点に立ちまして、現在進めております次期中期防計画につきましての作業も、まだ防衛庁限りのものでございますけれども、正面装備について言いますれば量的拡大というよりもむしろ質的向上、また正面装備と後方という概念でとらえますと、正面装備と一体となってその正面装備の能力を十分に発揮し得るように後方支援態勢により重きを置いてはどうか、さらには、先ほども御議論がございましたような人的資源の制約等の問題を考慮いたしまして隊員施策の充実を図る、こういうような点を十分に認識の上で作業を進めていきたい、また作業を進めているという状況でございます。
  153. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 我が国の防衛力の実態について次にお伺いいたします。  言うまでもなく我が国の防衛力は専守防衛に徹するとの基本方針のもとに整備されてきていますので、他国に脅威を与えるようなものではないと私は確信しております。先般総理府が実施した世論調査を見ましても、我が国を軍事大国と思っている人は極めて少ないという結果が出ております。このことは国民が我が国の防衛力についてよく理解している一つのあかしであると考えます。  しかしながら、一部には我が国の防衛力は米ソに次ぐ世界第三位であり大変な軍事大国であると主張する人があります。私自身は我が国の防衛力はおよそ軍事大国といったレベルのものではなくまだまだ努力をしていかなければならない点が多々あると考えております。  そこでお伺いしたいと思います。防衛庁において我が国の防衛力が既に米ソ両国に次いで世界第三位であり、フランス、西独及び英国を超える水準に達していると考えておられるのでしょうか、御意見を伺いたいと思います。
  154. 日吉章

    政府委員(日吉章君) 防衛力を比較するのにつきましては、各国の置かれております政治的あるいは地理的諸条件等事情がいろいろ異なりますものですから、単純に防衛予算あるいは国防費というようなものを比較いたしまして第何番目に位するというようなことを言うことは必ずしも防衛力の規模を、防衛力の大きさを比較するのには適当ではないのではないかというふうに考えられます。  巷間伝えられております世界第三位グループに入るのではないかというのは、単純に我が国の防衛予算を為替レートで換算いたしまして英独仏三位グループに入っているのではないかというような議論ではないかと思います。しかしながら、その点につきましては、今申しましたようにそれが即防衛力をあらわすものではないと思います。  しからば我が国の防衛力がどのような位置に位するのかということは非常に比較をするのは困難な点はございますけれども、一般的、常識的、感覚的に申し上げましても、そもそも米ソと比較するということは論外なことはおわかりいただけると思いますが、例えば我が国の地上兵力といいますか、陸上自衛隊は十数万人でございますが、例えば中国というようなものになりますと二百万人、百万人を超えます国はインド等がございます。さらには、我が国と防衛費では同じくらいの規模と言われております英国やフランスは固有の核兵器を保有いたしております。そういうような点を種々比較してみますと、我が国の防衛力といいますものは巷間言われておりますような世界第三位グループに位するというようなものでは決してないということは常識的におわかりいただけるかと思います。
  155. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 時間が参りました。  我が国の防衛は国家存立の基本にかかわる事項であります。国を守る決意のない民族の五十年、百年後の独立と平和と安全と繁栄はあり得ないと私は確信しております。国際情勢は大きく動いております。その中で、国民理解を得て我が国の防衛に遺漏のなきよう、長官初め防衛当局の一層の御努力をお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
  156. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 人事院勧告どおり一般職職員給与を引き上げるのは当然過ぎるほど当然のことだと思います。しかし、それでは問題は全くないのかといえば、若干指摘しておかなくちゃならない問題があります。  その一つは、公務員給与改定に当たっては民間賃金と合わせるということだけでなく、当該職員の生計費並びに生活実態を十分考慮して改定が図られるというのが国家公務員法に照らしてみても本来あるべきあり方ではないかというふうに私は思います。この点は私の要望として述べさせていただいておきたいと思います。  もう一つの点、これは国家公務員給与改定人事院勧告から四カ月もたってやっと政府の決定が行われ、そしてまた一カ月近くもたってから国会に提出される、こういう状況が続いているのを放置していいものかどうかという点で、これは国家公務員の中からこういう状態は改めてほしいという強い要求が出ております。なぜこんなに四カ月もかからなければ閣議決定もできないのか。勧告が出たら直ちにこれを決定して、できるだけ早く国会にもかける、そうしなければ新賃金が支払われるのは年末ぎりぎりになったり、時には越年する、こういうふうな状況もあらわれている。こういうことがないようになぜもっと早くこれを行うことができないのか、この点をまずお伺いします。
  157. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) 総務庁といたしましては、従来から人事院勧告制度尊重基本姿勢に立ちまして勧告をできるだけ早い時期に完全実施するよう努力してきたところではございますが、一方におきまして、国民理解を得て公務員給与改定を行うためには国政全般との関連について各方面から慎重に検討する必要があるわけでございまして、このために給与関係閣僚会議におきまして公務員給与に特に関係の深い閣僚方々等が人勧制度趣旨を踏まえながらそれぞれの立場から十分議論を尽くした上で、政府としての方針を決定しているというところでございます。  このように取り扱い方針を決定し、関係法案国会に提出するまでにはある程度の日時を必要とすることは御理解いただきたいと思うわけでございますが、御指摘の点も踏まえまして、今後ともできるだけ早期に結論を得るよう努めたいというふうに思っております。
  158. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 今、できるだけ早く決定するよう努力するという点は結構な話ですが、おくれる理由として、勧告があっても国民理解を得てという検討のためにおくれるということは、人事院勧告どおりやるかやらないかということを何カ月もかかって検討しているということになるわけですね。そういうことだとすると、政府の立場というのは人事院勧告というものを一体尊重するつもりなのかどうなのかという点で疑問が出てまいります。  そこでお伺いしますけれども、人事院勧告どおりに完全に実施した年だけでなく、部分的な実施しかなかった年、あるいは全く見送られた年もあるというふうに私は理解しておりますが、この点については詳しく各年ごとでなくても結構ですけれども、お答え願いたいと思います。
  159. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) ただいまの御質問につきましては、昭和五十年以降について御説明申し上げますと、人事院勧告を完全に実施した年が多いわけでございますが、一部見送りをしたような場合もございます。  それを逐次挙げますと、昭和五十四年につきましては、指定職につきまして実施時期を六カ月ずらしております。さらに、昭和五十五年につきましても同じく指定職の職員につきまして実施時期を六カ月ずらしております。さらに、昭和五十六年につきましては、勧告内容でございますが、いわゆる期末勤勉手当は凍結いたしますとともに、調整手当の実施時期を一年おくれといたしますとともに、指定職及び本省課長等の職員に係るベースアップ、給与改定の時期は一年おくらせております。さらに、五十七年につきましては人事院勧告の実施を見送っております。それから五十八年につきましては、実施時期は勧告どおりでございますが、改定率につきましては、勧告六・四七%に対しまして実施率は二・〇三%でございました。翌五十九年につきましては、実施時期は勧告どおりでございますが、改定率は勧告の六・四四%に対しまして実施率三・三七%ということでございます。また、昭和六十年につきましては勧告どおりの内容の実施をいたしておりますが、実施月を三カ月おくらせております。その他の年は完全実施いたしております。  以上です。
  160. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 今答弁がございましたように完全実施していない年、見送ってしまった年があるということも明らかになりました。  しかし、この問題で重大な点は、人事院勧告というのはそもそも国家公務員から憲法が保障する団体交渉権、争議権を奪ったかわりの措置であります。だとすれば、その勧告を完全に実施するのが当たり前で、その完全実施を行わない、ましてや完全に見送ってしまうというふうなことになれば、これは二重の意味での権利の侵害だと私は思います。そういう点で、今後はそんなことなく完全実施を続けていくというふうに言い切れるかどうかお答え願います。
  161. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) 今後とも人事院勧告完全実施基本姿勢に立って対処していきたいと思っております。
  162. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 今の答弁どおり、私が最初に要望したことも含めて実行されることを期待したいと思います。  次の問題ですが、公務員労働者の団体交渉権それから争議権、そのもっと前の問題としての団結権、こういうふうな問題があります。 この中で、日本では団結権は一般的には保障されておりますが、団体交渉権、争議権、これは与えられておりません。団体交渉権に限定してで結構ですが、これを与えていない国というのは先進国ではどういう国があるのか、お答え願います。
  163. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) 資料は若干古いのでございますが、先進国ということでアメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、イタリア、スイス、これらの国々につきまして団体交渉権の付与の有無を申し上げますと、西ドイツの官吏及びスイスの公務員につきましては団体交渉権は与えられておりません。その他のただいま挙げました先進国におきましてはおおむね団体交渉権は与えられておりますが、これらの国の中でも例えばアメリカなどではいわゆる管理運営事項、これは交渉対象から外されているというような例もございます。
  164. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 今の答弁に見られるように団体交渉権を与えていない国というのは先進国ではほとんどありません。全く日本は例外的な国の一つです。団体交渉権だけでなく、多くの国では争議権も与えているというのが現状です。この問題については日本でも長い歴史的な運動と経過があります。  そこでお尋ねしますけれども、日本の国家公務員の中で労働組合、つまり団結権を与えていないというのはどういうものがあるんですか。これを明らかにしてください。
  165. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) 日本の国家公務員のうち一般職の非現業職について申しますと、団結権は、警察職員、海上保安庁職員、監獄職員、入国警備官、これらの職員につきましては与えられておりません。
  166. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 私は今日本が特別に公務員に対する権利がおくれているという意味で言いましたけれども、ヨーロッパでは警察官にも団結権を与えているという国さえあります。私自身もフランスに行って共産党が主催するユマニテ祭りという、日本で我々もやります赤旗祭りに当たるものですけれども、そこへ行ったときに、警察官の労働組合の売店までつくられているんです。 そうして華々しくやっている。私はこれを見て日本での常識という点から見ると大変驚きました。 私は、日本の公務員に対しても本来団結権、団体交渉権、争議権、こういうふうなものが与えられるべきだというふうに思います。しかし、これをここで私は答弁を求めようとは思いませんが、公務員給与という問題を考える場合に日本はそういう非常におくれた状況にある、その中での人事院勧告だということを考えなくちゃならないということを引き続き指摘しておきたいと思います。  ついでですから、私お伺いしておきたいと思いますが、今幾つか警察その他団結権も与えていないという事例がありましたが、それ以外の国家公務員についてはすべてに完全な団結権を認め、いかなる差別も行わないということが断言できますか。
  167. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) 先ほど申しました一般職国家公務員につきまして団結権が付与されていない、その他の職員につきましては団結権の行使は完全に保障されております。
  168. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 形式的にはそうかもしれません。そしてまた、そう答弁なさらなければ立場がないかもしれませんけれども、私が聞いている実情では幾つかの省、名前を一々挙げませんけれども、そこでは労働組合員であることによるさまざまな攻撃があるという実情、時間があれば詳しく述べたいんですけれども、それが日本の労働組合の現状です。そして労働組合に対する分裂攻撃、そしてどこの組合に入っているかということによる差別、その差別というのは昇給昇格あるいは配転にまで響く、こういうたくさんの事実を私は訴えを受けております。そういうふうなことはないと断言できるか、あるいはそのようなことが仮にこれまであっても今後はないように努力するというふうに約束できるかどうか、これは明確にお答え願いたいと思います。
  169. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) 国家公務員法におきましては、職員は、職員団体の構成員であること、あるいはこれを結成しようとしたこと、もしくはこれに加入しようとしたこと、または職員団体の正当な行為をしたこと、このような行為のために不利益な取り扱いを受けることはないと明記しておるわけでございまして、公務員が団結権を行使したことにより差別されることはあり得ません。
  170. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 私はあるから言ったわけです。しかし、あり得ないという答弁ですから、今後その答弁に沿って職場でそのようなことが絶対起こらないように徹底していただきたいということをつけ加えておきます。  この際あわせてお伺いしておきたいと思いますが、人事院勧告を受けての閣議決定の中に私は若干気になる表現があるので、これはどういう意味かということをお答え願いたいのですが、こういうことが書いてありますね。今回の給与引き上げ決定の十一月二日の閣議決定ですけれども、「公務員給与改定に関する取扱いについて」というこの閣議決定で、「人件費の累増を抑制するため、」「行政事務・事業の整理、民間委託、人事管理の適正化等行政の合理化」などの措置を講ずるものとする、こういうふうなことが書かれております。これは具体的には人事院勧告完全実施をする条件として今後とも人員削減、合理化等を強化、促進する、そういうことなのですか。ここで言わんとしていることはどういうことなのかお答え願います。
  171. 百崎英

    政府委員(百崎英君) ただいま御指摘の点でございますけれども、今回のこういう給与改定を行うに当たりましては、あわせて国民の期待に沿うよう行政サービスの一層の向上等を図るとともに、引き続き行政経費の節約等のほか人件費の累増を抑制するための諸般の措置を講ずるということにしているわけでございます。
  172. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 私は人員の削減ということを特にお伺いしたいのです。
  173. 百崎英

    政府委員(百崎英君) この本文にも書いてございますように、「新規増員を厳しく抑制することにより、引き続き国家公務員数の純減を図る。」、こういうふうに書いておるところでございます。
  174. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 それで考え方はわかりました。  そこで、私は今の問題に関連して質問を進めていきたいと思いますけれども、私は公務員というのはふやせばふやすほどいいという立場をとる者ではもちろんありません。しかし、少なければ少ないほどいいというものでもないと私は思います。そういう点でまず最初に、日本の国家公務員の数というのは人口比率で世界的に高い方か低い方か、この点をお答え願いたいと思います。
  175. 百崎英

    政府委員(百崎英君) 今御指摘公務員数の国際比較でございますけれども、これは各国ごとに行政制度等が異なりますので単純な比較は困難でございますが、一応各国政府の資料等をもとに人口千人当たりの公務員数、これはちょっと資料が古くて恐縮でございますけれども、いずれも原則として一九八五年の資料でございますが、これをもとに主要国について計算をいたしてみますと、フランスが人口千人に対しまして百二十二人、アメリカ、西ドイツが七十九人、イギリスが九十人ということでございますのに対しまして、我が国は四十三人、最も少ないものとなっております。
  176. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 今言われましたように、私は多ければ多いほどいいと言うわけじゃありませんけれども、日本の公務員の数というのはけた外れに小さいのです。世界の先進国で最も低い。イタリアに比べれば三分の一ぐらいの人数だということなのです。私は少し古い資料も持っていますけれども、そのときと比べるとこの格差というのは一層大きくなっていることを発見しました。そういうわけで、日本の政府というのはいわゆる大きい政府か小さい政府かということで言えば、私は典型的な小さい政府だと思います。もちろん、だからと言って不必要な人員を残したりふやしたりする必要はありません。  しかし、日本の公務員の状況というのを見ますと、一九六八年から八八年までの二十一年間に、政府からもらった資料によりましても、三万五千人も減少していると。私は、この三万五千人というのを官庁規模で見ると、労働省と通産省と二つの役所を同時になくしたぐらいの人数が減らされたんだという数字になるということを聞いて大変驚きました。その人数をさらに減していこうということだというわけなんですか。
  177. 百崎英

    政府委員(百崎英君) 私どもが行っております定員管理の基本的な考え方でございますけれども、行政需要の変化に対応いたしまして行政機関の各部門ごとに適正な人員が配置される、そして全体として効率的な業務処理体制が確保される、こういうことを基本方針といたしておりまして、そういう意味でさらに引き続き行政事務の機械化あるいは事務の民間委託等々を進めまして、合理化できるところはその定員を減らし、また一方で真に必要な部門については増員措置を講ずる、こういうような考え方で定員管理を行っておるところでございます。
  178. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 必要なところへの人員の増加は考えるというふうにおっしゃっていますけれども、全体として私が今言いました三万五千人もの削減の結果、非常に重大な問題が起こっている。国民の側から見ればサービスの低下、そして労働者の側から見ればこれはもう健康を直接脅かされるという問題が出ているわけですね。そういう点で、今必要なところへの配置ということを言われましたので、私もここで必要なところへの配置は思い切ってやるという考えがあるかどうかということについてお伺いしたいと思います。  その点で、まず私ここで取り上げたい問題は外国からの食品輸入の監視体制がどうなっているかという問題です。  いいか悪いか、この議論は別として、今日本の食糧、食品の半分は外国からの輸入食品、そういう状況になっております。その輸入食品の検査体制が完全でないというのが今日本の社会的な問題になっている。外国旅行もしていない人が輸入食品によってコレラになったというふうな事件も起きておりますね。一体どういう体制が今の現状なのか、一体どれだけの港あるいは空港に外国食品が輸入され、それを監視する体制はどうなっており、そして政府はそれで十分だと考えているのか、十分でないと考えていればどういう対策を講じて万全を期そうとしているのか、お伺いします。
  179. 野村瞭

    説明員(野村瞭君) お答えを申し上げます。  輸入食品につきましては、全国二十一の海港、空港にございます検疫所におきまして、八十九名の食品衛生監視員が安全性の観点から監視業務に当たっております。この輸入食品の監視体制につきましては、かねてから食品衛生監視員の増員また必要な検査機器の整備等その充実を図ってきておりますけれども、今後とも監視体制の充実ということで一層努力をいたしてまいりたいと考えております。
  180. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 参考までにお伺いしますが、日本国内の食品衛生監視員の数は何人ですか。
  181. 野村瞭

    説明員(野村瞭君) 正確な数字は記憶しておりませんけれども、ほぼ約六千八百人程度と考えております。
  182. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 日本国内の食品衛生監視員は六千八百人で行う。ところが、日本の半分の食品が外国から輸入される。その食品に頼る時代にその検査員は今御答弁がありましたようにわずか八十九人ですね。これはどこからどう見ても、さっきも言いましたようにいいか悪いかは別として、日本の食糧がそういう外国食品に頼るようになった時代に対応していないことの非常にはっきりしたあらわれだと私は思います。  ことしの三月、東京弁護士会が輸入食品に関する意見書というのを送って、これは非常に重大な事態だということを警告しておりますね。その意見書の中では、外国からの輸入監視も日本国内と同じ程度の監視体制をとらなきゃ安全を期せないじゃないかということまで提示しております。私はすぐ六千八百人にしろと、そこまでは言いませんが、しかし抽象的な、今後とも充実を図りますというふうなことでは安心して食事をすることもできなくなると思いますけれども、もうちょっとこれは抜本的な措置が必要だというふうにお考えにならないのかどうか答えてください。
  183. 野村瞭

    説明員(野村瞭君) 先生指摘になりましたように輸入食品につきましては量的にもふえてきておりますし、多種多様な物がございますので、安全性の観点からこれをチェックしていくということは私ども非常に大きな責任があるというように感じておるところでございます。国内の食品衛生監視員と業務がおのずから異なりますので、直ちに現在の人員をふやしていくということは現実問題としてなかなか難しゅうございますけれども、先ほども御説明申し上げましたように今後も一層食品衛生監視員の増員も含めまして努力をさせていただきたいと考えております。
  184. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 とにかく外国からの輸入食品を食べたためにコレラにかかるなんというふうなことが起こるようなことは絶対ない体制を責任持って政府でとっていただきたいというふうに思います。  こういう例を取り上げていけばもう無数にあるわけですね。私はその一つとして航空交通管制体制の問題についてもお伺いしたいと思いますけれども、日本の社会変化の大きな一つとして空に頼る時代が来た。飛行機が足になる時代が来、北海道や九州の方は今は鉄道よりも飛行機を利用する人が多くなったという統計もあるそうですけれども、そういう時代に日本の航空管制の人員というのは万全な体制だというふうにお考えになっているのかどうなのか。私が聞くところによると、もう万全の体制どころかひやひやの連続で、いつどういう事故が起こるかわからない。ニアミスなんというのはもういつ、どういう形で起こるかわからない、これはもう本当に責任が持てない、そういう状況下にあるというふうに聞いていますが、政府はこの点についてどういう認識を持ち、これで十分だと思っておられるのか、十分でなければどう対応しようとなさっているのか、お伺いします。
  185. 下里晃

    説明員(下里晃君) ただいま御質問の管制官につきましては、航空交通の安全を確保する観点から、各官署の運用時間やそれから取り扱い交通量等を勘案いたしまして、これに十分対応し得るよう従来から適正な人員配置を行ってきておるところでございます。すなわち交通量が増大すれば、空港の管制にありましてはその業務内容の種別に応じた管制席の細分化、それから航空路管制にありましては担当区域の細分化によりまして必要な増員措置等を講じてきております。  運輸省といたしましては、今後とも見込まれる航空交通量の増大や多様化に対応いたしまして十分な安全対策が講じられるよう、引き続き管制官の適正な人員配置に努めてまいりたい、このように思います。
  186. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 十分な配置を行っているという答弁には私は納得がいきません。私が持っている資料によりますと、同時管制機数の限度というのは平均的には六機、短時間ピーク時には八機、こういうふうなのが限度だと言われているが、実際にはラッシュ時には八機未満どころか十三機、多いときには二十六機という状況だと、そういう全く管制作業量の限度を超えた状況になっている。だからニアミスがいつ起こるかもわからない状況だ、これが日本の空をめぐる状況だというふうに聞いております。それを十分な配置が行われているというような答弁だと、私ども安心して飛行機に乗れなくなるということになるので、私は今の答弁は納得いきませんが、十分だとあくまでおっしゃるんですか。
  187. 下里晃

    説明員(下里晃君) 今御質問の過密な交通量につきましては、私どもといたしましては航空交通の特に混雑する大空港、こういうところでは管制処理能力を勘案いたしまして、所定の時間内における最大処理枠を設けるほか、航空会社に対してダイヤの編成に当たって特定時間帯への集中、これを極力避けるよう指導する等ダイヤの平準化を図り、管制官の取り扱い交通量の均質化に努力しているところでございます。
  188. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 やはり私は努力していると言うだけでは私の質問に対する答弁になっていないというふうに言わざるを得ません。しかし、ここでこの問題の論議を繰り返そうと思いません。私は、今のような認識じゃなくて、本当に我々が安心して飛行機が利用できる、そういう体制をとってもらいたいと思います。  挙げれば切りがありません。例えばがけ崩れで自動車が下敷きになって死者が出たというふうなのが最近も、福井ですか、テレビでも放送されておりましたし、しばしばそういうふうな事故が各地で起こっております。テレビを見ていたときにも、もうそれはかねてから予想されなくもないものだったけれども、それを監視する監視体制、つまり建設省の監視体制が不備なために、そういう全国にたくさんある危険な箇所を十分に前もって点検する体制がないために起きているんだということを言っておりました。そういうふうな問題。  あるいは、医療機関における総定員数の中での医療従業者の人数が少ないために患者に十分な医療ができない。待ち時間三時間で診療三分と言われるような状況にならざるを得ない状況。特に国立病院・療養所の職員数というのは自治体病院の三分の二しか配置されていないのが現状だというふうなことも私は聞いております。そして、そのことは患者にとって大変であるだけじゃなく、働く労働者の生活、権利にもつながる問題であり、とりわけ看護婦不足というものが今日本でも大きな問題になっております。そして、看護婦の中では、そういう過重労働のために例えば三割もの人が異常出産をするという状況が生まれるというような訴えも我々は受けております。  もっと挙げればたくさん各省庁のいろいろな部局にわたってそういうふうな問題が起こっております。そういう状況に応じて、とりわけ日本の社会状況の変化、また国民へのサービスに直接かかわる部分、そういうふうな部分についてはやはり必要な思い切った人員配置ということをやらなければ、公務員をただむやみやたらに減らす一方、三万五千人も減らしたということを誇っているような状況ではこれはだめだ、私はそう思います。冒頭の日本の公務員数というのがもともと先進国の中でも最も人口比においては低いという状況を念頭に置いて、私はこのことをさらに強く求めたいと思います。こういう必要な箇所には思い切った、またとりわけ重大な問題を抱えているところには抜本的な人員配置をも含めた措置をとるというふうに言えるかどうか、お答え願います。
  189. 百崎英

    政府委員(百崎英君) ただいま食品衛生監視員あるいは航空管制官等々の例を挙げられまして定員配置の問題等について御指摘がございましたが、こういった分野につきましては、私どもといたしましてはこれまでも業務量の増加あるいは業務の実態等を踏まえまして、関係省庁とも十分協議の上、所要の増員措置を行ってきたところでございます。今後におきましても、こういった特に安全あるいは人の健康にかかわるような行政分野につきましては、できるだけ業務の実態等を的確に把握いたしまして適切に対処してまいりたいと考えております。
  190. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 今の答弁も、所要の人員配置を行ってきたところだ、こうおっしゃると、今の状況がよかったということを言われることになって、私は今の状況がよかったなどとはとても言えません。さっき東京弁護士会の意見書というのも紹介しましたけれども、だから問題にしているわけです。今の人員配置の中に不備があるから私は言っているわけです。そのことを再度指摘しておきます。  もう一つ私は、最近の新聞報道やその他の資料を見て、公務員の中にまで過労死という問題が生まれているということを知って、これは大変重大だなと思っているところです。日本の過労死という言葉が一つの流行語になっていますけれども、今この過労死ということはそのままの言葉で世界に通用する言葉になったそうですね。これは日本が世界の中でも最も長時間労働、西ドイツに比べると四カ月分多く働いているそうですけれども、そういう労働条件と相まって起こっている出来事であり、ある意味ではそういう過労死というふうなことが世界に通用するようになるということは日本にとって恥ずべきことだと私は思います。  しかもそれが国家公務員の中にまで生まれている。例えば、これは新聞で大きく出ましたけれども、入管局の体制が弱い、今世界との交通が非常に大きくなった国際化時代、また難民問題を抱えて過労死が出たということが報道されております。これは法務省だけではなく他の省でもこういう問題が報道されていますが、こういう国家公務員の中に過労死という状況が生まれているという事態を非常に深刻な事態だというふうにお考えにならないかどうか、お伺いします。
  191. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) ただいま先生指摘のように、あるいは新聞報道で伝えられていますように、過労によって公務員が亡くなるということがございますとすれば、当然のことでございますが大変痛ましいことだというふうに思う次第でございます。  私ども人事局の立場といたしましては、職員の人事管理という観点から職員の健康管理につきましては従来からも健康診断などの福利厚生施策の充実などに努めてまいったわけでございますが、今後とも、例えば超過勤務の適正化の問題、あるいは年次休暇の計画的な使用促進の問題などに努めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  192. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 私は次に防衛庁職員給与に関する問題に移りたいと思います。  私が今言いましたように、日本では三万五千人もの国家公務員が削減された、そういう結果さまざまの重大な問題が国民へのサービスの面で、また労働者の生活と権利の面でも起こっているということを取り上げてきましたが、それと対照的に増員の一途をたどったのが、先ほど来減らすべきだという立場ともっと強化すべきだという立場とここでも論議がありました自衛隊の問題ですね。自衛官だけは軍事予算とともに増大し続けて、今も防衛二法で自衛官五百五十人、予備自衛官千五百人の増員を政府は要求しています。私はこれは逆さまじゃないかと思います。国民へのサービス部門を減らして、そして憲法違反の自衛隊はふやしていく、まさに逆さまだと思います。  そこで防衛庁にお伺いしますが、新防衛計画構想というふうなもの、これはまだ最終的に決定はされておりませんけれども、しかし検討は進んでいるわけですから、この程度のことは言えると思いますが、今の中期防よりも小さいものになるのか大きいものになるのか、まずお答え願います。
  193. 日吉章

    政府委員(日吉章君) 今の中期防衛力整備計画は来年度をもちまして終了するわけでございますが、その後の防衛力整備につきましては、昨年十二月の安全保障会議内容を踏まえましてその後も政府計画として中期的な防衛力整備計画をつくるということで、防衛庁も政府の一員として現在作業を続けているところでございます。  この規模等につきましては、今後国際情勢あるいは経済、財政の状況、そういうようなものを総合的に検討いたしまして決められなければならないということでございまして、現在私ども防衛庁での作業は、次の中期的な期間に防衛力整備の観点からどのような事業内容のものが必要になるか、そういうふうな作業をしているところでございまして、全体の規模をいかにすべきかというようなところまで作業は進んでおりません。
  194. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 私は内部の検討は進んでいると思いますけれども、今のような答弁です。  自民党の安全保障調査会で大村襄治自民党防衛力整備に関する小委員長が欧米視察報告というのを行っておられます。去年の九月十二日の会合です。ここで、アメリカでいろいろな要求を受けたということの中で、どういうことをアメリカがバードンシェアリングで今日本に要求しているかということを報告しておられます。   第一が、「中期防衛力整備計画」の完全達成。第二が在日米軍の円建経費の負担増大。第三が、ODAの増大と日米共通の利益となる地域への投入。例えばトルコ、パキスタン等々の国名を挙げながらこの点を強調していたわけでございます。第四に、ポスト中期防は、より大規模かつダイナミックなものにする。第五が技術協力の拡大です。 こういうアメリカ側からの要求が伝えられたという報告を行われております。  新防衛計画については中期防よりも大規模かつダイナミックなものにせよ、こういうのがアメリカ側の強い日本に対する要望だ、こういうことが報告されております。日本はこういうアメリカの要求にどう対処されますか。
  195. 日吉章

    政府委員(日吉章君) 日本の安全は日米安全保障条約とともに我が国みずからの防衛努力によって達成されるというふうなことでございまして、米側との間におきまして、米側がどのような考え方を持っているかということは一つの参考にせざるを得ないところであろうと思います。しかしながら、私たちの防衛力整備はあくまでも私たちが自主的に決めるべきことでございます。我々といたしましては、今後政府部内で慎重に検討いたしまして、次の中期的な期間の中におきましてどのような防衛力整備を行うことが最も我が国益にかなうかを検討した上で判断をすべきものと考えております。
  196. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 私の完全に予想していたとおりの答弁でございました。ですから、私もそうおっしゃることに対して、これは防衛庁の答弁に対して外務省の人の言葉を使って申しわけありませんが、外務省の岡崎久彦さん、この人が同じく去年の五月の自民党安全保障調査会で行われた講演があります。この講演は、世界的に著名な戦略理論家という紹介で行われた報告ですが、ここでこう言っておられますね。日本の防衛努力というのは「今まで、アメリカの圧力というかアメリカの要望でやって来たということは否定すべからざる事実であります」、こういうふうにおっしゃっています。ですから、幾ら今のように自主的に日本で決めるとおっしゃっても、そうじゃないんだということを世界的に著名な戦略理論家であり、しかも外務省のお役人さんがおっしゃっているわけですから、私は今の答弁はいただきかねます。  もっと私はお伺いしたいと思いますが、海部総理がこの間アメリカに行ったときには、アメリカ側からは極めて露骨な形で、軍事費について国民理解が得にくくなっている、だがら同盟国、日本、そういう国が一層の防衛努力を行ってくれ、こういう要求があったということですね。日本側は安保条約に基づいて可能な限りの約束をやるという態度を表明してきている。アメリカは一方では日本の自衛隊というものを高く評価しつつ、同時に一方では一層の増強を求めてきている。それに日本が応じていくということになれば、やはり自衛隊の増強、日米軍事同盟の強化というのはどこまで進むかわからないという不安を持たざるを得ないわけです。  そういう状況にある自衛隊、私は軍事力とは言いません、軍事予算について言えば世界三位と言われるようになっている。こういう日本の状況、これが軍事大国でもない、そしてまた憲法に言う戦力にも当たらないというふうに言い切れるのか、そうお考えになっているのかどうなのかお伺いします。
  197. 日吉章

    政府委員(日吉章君) 我が国の自衛隊の整備は憲法の精神に基づきまして進めているところでございまして、これはもう委員に今さら申し上げるまでもないことかと思いますが、憲法第九条は我が国が主権国として有する固有の自衛権までも否定しているものではございませんで、この自衛権の行使を裏づける自衛のための必要最小限の実力を保持することは同条の第二項によって禁じられていないものと解釈いたしております。  我が国は現在、我が国が保有すべき防衛力の水準を定めました防衛計画の大綱に従いまして防衛力の整備に努めているところでございますが、これは当然のことながらただいま申しました憲法及び専守防衛等の基本的な我が国の防衛政策のもとで行われているものでございまして、委員が御心配のような御指摘には当たらないのではないかと思います。
  198. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 それは建前として憲法がある以上そう言わざるを得ないでしょう。その憲法解釈に私はもちろんくみするものではありません。  しかし、今の日本の実態は何か。これも私はひとつ今の防衛庁長官はどうお考えになっているかということをお伺いしたいと思いますけれども、伊藤元防衛庁長官の現職時代、一九八二年の秋訪米して、アメリカでさんざん日本の防衛努力を要求された。帰ってから雑誌に書かれているところによると、机をたたいて迫られてもうたじたじだったということまで書いておられる。何と情けない防衛庁長官だなと私はその雑誌の論文を読んで思いましたけれども、その人がその帰った直後の十月二十一日、仙台で講演会をやってこうおっしゃっている。これは新聞にも報道されました。平和憲法、非核三原則、専守防衛などはひとりよがりの議論である、こうおっしゃっている。これは防衛庁長官が現職当時の講演ですからね。これは八二年の十月二十二日の新聞に出ております。これが本音。それから七年たった今、私は、実態はもう平和憲法にも反する、専守防衛にも反するものになっている、これが実態だと思います。  長官、この伊藤元防衛庁長官の発言についての意見を求めるのはなかなか答弁しにくいかもしれませんけれども、同じ認識かどうかお伺いします。
  199. 日吉章

    政府委員(日吉章君) 現長官でありません伊藤元防衛庁長官の御発言を引用されましたので、まず事実関係等につきまして私の方からお答えを申し上げたいと思います。  政府としましては、憲法のもとで専守防衛に徹し他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従って、日米安保体制を堅持しつつ節度ある防衛力を整備してきているところでございまして、自衛隊の現状が我が国の基本的防衛政策を無視したものであるという委員のただいまの御指摘は私たちが首肯できないところでございます。  なお、伊藤元防衛庁長官の発言でございますが、このような我が国の基本的防衛政策を堅持しつつ、さらに我が国は国際社会における責任ある一員として、このような我が国の基本的防衛政策については諸外国の理解を十分得る必要があり、このため粘り強い努力をしていかなければならないとの趣旨を述べたものと承知いたしております。  私も、質問の御通告がありましたので、そのときの速記録でございますでしょうか、公刊されております記録を持っておりますけれども、私が持っておりますのを見ますと、委員がただいまおっしゃられました平和憲法、専守防衛、非核三原則、あるいは世界でただ一つの原爆被爆国という大変な云々という、これを日本は持っております、これをしっかり大事にすることは必要ですというふうに伊藤元長官はおっしゃっておられまして、その後、世界に向かっていろいろな説明をするときにひとりよがりの議論を展開することはそれは説得的ではないということを言っておられるわけでございまして、平和憲法、専守防衛、非核三原則等の基本政策をひとりよがりなものだというふうには伊藤元長官お話しになっておられないと理解しております。
  200. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 時間ですけれども、最後の締めくくりですから……。  私はかつて伊藤防衛庁長官の記録を要求したけれども、もらえなかった。今そういうふうにおっしゃるなら、その記録をいただきたいと思います。  それから、私は専守防衛などもう全然念頭にないと言うのは、さっき言いました外務省の岡崎久彦氏、この人はさっき言いました自民党の安保調査会でこうおっしゃっています。「今や日本というのは、世界的な東西対決の不可分の一部であるとは考えられている。ヨーロッパで戦争が始まると、同時に日本でも始まる。」、もう専守防衛なんという考えは全然ないわけですね。中曽根元首相はロンドンの戦略研究所の講演で、自衛隊というのは極東での役割を果たしているという講演をなさっているわけですね。もうどこからどう見ても専守防衛というふうなものではなく、まさにアメリカと一緒になって世界戦略の一部分を担うものになっているんだ、こういう状況にあるわけです。  こういう状況にあるときに、私は一般論として言えば、自衛官防衛庁職員の生活は完全に保障され、その権利も保障されなければならないという、これは私らも異論はございません。 しかし、日本の自衛隊というのが今や憲法のあらゆる規定を踏みにじったこういう危険な状況にあるときに、給料だけは公務員並みによこせということだけで国民が納得するかどうかということについては重大な疑問を持ちます。そして、自衛隊の充足率というのは給与だけに問題があるのではなく、まさに今の自衛隊がこういう危険な性格を持つようになったところにあると私は言わざるを得ないということを結論的に申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。
  201. 中川嘉美

    中川嘉美君 まず、法案質疑に入る前に、去る八月三十一日の当委員会で官房長官にお尋ねしたベトナム難民問題について一点だけここで伺っておきたいと思いますが、事務当局の御答弁もあろうかと思いますけれども、この一年を通じて一体どのぐらいの難民が我が国に漂着したのか、その実態について詳細に御報告していただきたいことと、あわせて不法入国の容疑のある難民についての具体的な送還スケジュールをここでできれば明らかにしていただきたい。この点についてまず御答弁をいただければと思います。
  202. 菊地康典

    政府委員(菊地康典君) 今委員からお尋ねがありました前段について私の方からお答えいたします。  現在までに到着しました難民の総数は、件数にいたしまして三十八件、人数で三千四百九十八名でございます。さらにこの内訳を申し上げますと、三十八件のうち二十二件は直接到着、これの人数は二千八百四名でございます。さらに内訳を申しますと、この中で法務省が審査をした結果、不法入国容疑で退去強制令書を発布された者が千二十一名ございまして、この千二十一名の中で中国側に身元の確認を要請しております者は九百二名でございます。
  203. 中川嘉美

    中川嘉美君 今、漂着した人数、いわゆる実態ですね、これを御報告いただいたわけですけれども、先ほど伺ったように難民についての具体的な送還スケジュール、これほどうなっているか重ねて御答弁いただきたい。
  204. 森山眞弓

    国務大臣(森山眞弓君) これまでの日中間の実務レベルでの協議をいたしました結果、難民に偽装していた中国からの不法入国者のうち三百名、ただし中国国内で第一回送還船が出るまでの間に新たに身元の確認ができた者があれば今の三百人にさらに加えることになると思いますが、この人々をことしの十二月下旬に中国側のチャーター船によりまして長崎から送還するということになっております。  その後の送還につきましては、日中双方ができるだけ早期に行うように努力するということで合意しておりますが、具体的なスケジュールが決まるまでには至っておりません。この第一回送還スケジュールの詳細についても、今後さらに詰めるという必要がございますので、これ以上の詳細なことは今まだ申し上げることができないような次第でございます。
  205. 中川嘉美

    中川嘉美君 どうも中国側との交渉といいますか、あるいは対応が非常におくれているように思えてならないわけなんですが、いずれにしましてもこの問題に関しては今後とも不法入国という事実を念頭に置いた前向きなやはり交渉というものを行っていただきたいし、そしてまた人道的な立場からも、一日も早く積極的な対応というものを講じて結論を出すことをここで強く要望しておきたいと思います。  ちょうど官房長官がおられますので、法案審議に入ります前にもう一つだけちょっと伺っておきたいと思いますが、御承知のように最近になって年末年始の政治日程、これが問題になっているわけですけれども、自民党首脳あるいは各派最高幹部の間で取りざたされておりますけれども、きのうもこの政治日程について官房長官は総理と話し合ったと、このように伺っておりますが、その内容について、特に重点が置かれたテーマといいますか、これはもちろんすべて云々というわけにいかないと思いますけれども、これを明らかにしていただければと思いますし、また特に衆議院解散問題について党執行部や実力者の意見、こういった御意見に総理が非常に不満を持っておられると伝えられておりますけれども、この点についてお答えをいただければと思います。
  206. 森山眞弓

    国務大臣(森山眞弓君) 昨日私が総理とお話しした内容についてということでございますが、昨日新聞がいろいろと観測の記事を大きく書いておりましたので、そのことについて雑談をいたしただけでございまして、具体的にどうこうということを何も決めたり相談したりしたわけではございませんので、それ以上のことは申し上げかねる次第でございます。
  207. 中川嘉美

    中川嘉美君 この場では官房長官のお言葉を信じて、次の質問に移りたいと思います。  では、法案について若干伺いますけれども、人事院給与勧告、これは単に完全実施すればいいというものではない。これは、先ほど来たびたび各党からも述べられておるわけですが、勧告後できるだけ早期に実施するということが民間準拠に基礎を置く人勧制度の本旨であると私は思います。今回人事院給与勧告から法案提出まで四カ月、先ほど来述べられておりますとおり日数を要したのはどういうわけなのか。けさほども出ていますし、午後からもこのような御論議が出ておりますけれども、この理由を官房長官からやはりひとつ伺いたいと思いますし、また総務庁当局は人事院勧告の早期実施に向けてどのような対応を行ってきたのか、いま一度確認をしておきたいと思います。
  208. 水野清

    国務大臣水野清君) 給与担当でございますので、最初に私から申し上げさしていただきます。  総務庁といたしましては、人事院勧告につきましては御承知のとおり従来から労働基本権制約の代償措置であると、こういうことを認識しておりまして、人事院勧告制度の尊重の基本姿勢は変わっておりません。  ことしの人事院勧告の取り扱いを決定するに当たりましては、勧告の実施に伴う所要額などを、所要金額、財政上の金額でございますが、これを踏まえまして、財政事情それから地方財政に与える影響、さらには納税者である国民世論の動向、あるいは国政全般との関連について各方面から慎重に検討する必要がありまして、給与関係閣僚会議を二回開催いたしましたが、十分論議を尽くした上で政府としましての取り扱い方針を決定したわけでございます。  いずれにいたしましても、今後とも人事院勧告が出されれば、私どもは給与担当者として国政全般との関連は考慮いたしますが、できる限り早い時期に結論を得るように努力していくつもりでございます。
  209. 森山眞弓

    国務大臣(森山眞弓君) ただいま総務庁長官からお答え申し上げたとおりでございまして、できるだけ早期に提案するという従来の方針は堅持してまいりたいと思っております。
  210. 中川嘉美

    中川嘉美君 特に今年度は四月からの消費税の導入によって勤労者の実質賃金が目減りを強いられた上に、国家公務員の場合には十月から財政再計算に伴う共済長期掛金率の大幅引き上げというものが実施されておりますけれども、人勧の早期完全実施、早期とここであえてつけて申し上げておきますが、全公務員の切実な願いであったと言えるわけであります。しかるに、人事院勧告が出されてから、先ほど来言っておりますとおり、四カ月近く経過してようやく政府法案国会に提出するということ、私としては国家公務員を使用する者としての責務を放棄する態度と断ぜざるを得ないと思います。  このような政府の態度に対して人事院はどのように考え、どのように対応してきたのか、また今後どう対応していく考えを持っておられるか。各項目別にもう一度言います。責務に関する考え方、次はどう対応してきたか、三番目が今後どう対応するのか、明確にひとつ答えていただきたいと思います。
  211. 内海倫

    政府委員(内海倫君) たびたび論議されておりますように、人事院の行う勧告というのは公務員にとりましては年一回の給与改善の唯一の機会でございます。したがって、この勧告というものは、国家公務員にとりましてはできるだけ早くかつ完全に実施していただくということが一番願わしいことです。したがって、私どもも勧告をする際に、勧告を両院議長及び内閣総理大臣に提出いたします際に、その中にできるだけ早急にこの勧告勧告のとおり実施するようにしていただきたいということを内容として書いております。さらに、総裁談話におきましてもその点を強調しております。また、私が勧告を持って総理大臣にお目にかかった場合も、その際、総理大臣及び関係の向きに早期の実施を強く要望をしてきておるわけであります。  これは、おくれたかどうかという問題はいろいろ論議はあると思いますが、私どもの目から見ておりますれば、政府におかれても、いろいろ難しい政情の中においてあるいは事情の中において、大変努力をされて勧告の実現ということに努めておられると私どもは見ております。
  212. 中川嘉美

    中川嘉美君 どうも十分なるお答えとは正直申し上げて受けとめられないと思います。  時間がございませんので、次に進んでいきたいと思うわけですが、いずれにしても過去十年の実績を見てみますと、人徹提出後閣議決定まで最も長いので最長百十四日、最短で七十日、平均が八十八日かかっている。また、給与改定法案提出までは最長で百三十六日、最短で八十日、平均百十日、こういう長い日数を費やしているわけです。このために給与改定法案成立、そして差額の支給は十二月の末、こういう状況が恒常化しておる。政府としても年内に差額を支給できれば自己の責任を果たしたと、こういうふうに考えておられるんではないかなと。  この背景には政府・与党が給与改定法案国会対策のいわば人質として使用しようという考えがあるためだというふうにも言われているわけですけれども、今後は人勧提出後敏速に閣議決定、法案提出をするということ、先ほども御論議がありましたけれども、これを約束すると受けとめていいかどうか、いま一度この点を確認しておきたいと思います。
  213. 水野清

    国務大臣水野清君) 先ほど来申し上げましたように、諸般の情勢から、私どもは努力をいたしておりますが、最初の給与関係閣僚会議から二回目に決定いたすまでに若干の時間を費やしたことを私どももやや認めざるを得ないのでございますが、これは私どもの問題よりも、今先生の御質問にありましたように国政全般の問題として考えているわけでございます。私どもといたしましては、人事院勧告が出されましたらなるべく早くこの実現に対して努力をしていくつもりはいささかも変わっておりません。
  214. 中川嘉美

    中川嘉美君 期末勤勉手当についてですけれども、この手当に関する人事院民間調査対象期間、これが前年の五月から当年の四月ということで、たとえ人事院勧告どおり実施されたとしても期末勤勉手当改定実施がやはり民間と比べて完全に一年おくれる、こういうわけですけれども、ことしの夏と冬の民間におけるボーナス改定を見ますと、現下の好調な景気の動向を反映しまして、国家公務員改定後の年間支給割合を大幅に上回る改定が行われているようでありますけれども、民間準拠ということならば民間におけるボーナス、このボーナス改定の結果というものを国家公務員期末勤勉手当に実質的にあるいは速やかに反映させるべきではないか、このように私は思いますけれども、人事院及び官房長官お答えをいただきたいと思います。
  215. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 従来から人事院民間ボーナス調査対象期間というのは、今中川先生がおっしゃいましたように前年の五月から当年の四月ということで行っております。これはなぜそういうことを行うかといいますと、私たちの今までの経験から申し上げまして、民間企業の従業者の給与が最も変動する時期というのは春でございます。したがいまして、その直後から調査を始めてそして勧告を申し上げるというのがやはり一番最新の資料に基づく勧告だと、こう考えるわけでございますけれども、期末勤勉手当については今の御指摘のような問題は確かにございます。  ただ、私たち勧告申し上げる内容というのは、国家公務員だけではなくして地方公務員あるいはまた特殊法人を含む各種の団体にも非常に大きな影響を与えますので、私たちはやはり調査をする内容とか調査をすることによる、その結果得られる結論というのは正確を期さなきゃならないという大変重要な使命もこれまたございます。したがいまして、考え方というのは中川先生がおっしゃる考え方に私も同調するものでございますけれども、ただ正確性を期するという使命からいいまして軽々にそれを変更することができない、あるいはまたそれ以外の方法をとることができないという立場にあることも御理解いただきたいというふうに思います。  ただ、午前中にも御議論がございましたので、私たちは、議論される方が具体的にいい提案があると、こういう方法はどうだというふうにお持ちくださるならば、それもまた検討させていただきたいというふうに思います。
  216. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) 期末勤勉手当改定につきましては、その実施時期も含めまして専門的な第三者機関であります人事院勧告に基づいてこれまで決定してきたところでございます。ただいま先生指摘の問題につきましても、総務庁といたしましてはこのような人事院の慎重な検討の結果である勧告完全実施するという姿勢で今後とも対処してまいりたいというふうに思っております。
  217. 中川嘉美

    中川嘉美君 官房長官、これでもちろん御退席いただいて結構だと思うんですが、この今の問題、これについて私としては一年の繰り上げ実施とかあるいは追加勧告といったことも考えられるんじゃないだろうか、こう思いますが、これも含めて先ほど来のこの問題に関しての質問に御意見がありましたらお答えをいただきたい、このように思います。
  218. 森山眞弓

    国務大臣(森山眞弓君) 政府といたしましては、労働基本権制約の代償措置であります人事院勧告制度を尊重するという基本的な姿勢に立ちまして今日までも対処してきたところでございますが、今後とも人事院より勧告が出されれば、その段階給与関係閣僚会議を開催し、取り扱いについて協議することになります。政府といたしましては、従来どおり国政全般との関連配慮しつつ勧告完全実施に向けて最大限の努力を続けてまいりたいと考えております。
  219. 中川嘉美

    中川嘉美君 最大限の努力ということで結ばれたわけですけれども、本来ならもう少し具体的にこの問題は詰めていくべき性格のものじゃなかろうかと思います。そういうことできょうは御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。  時間が余りございませんので、八月四日の人事院勧告と一緒に出された報告の中で、人事院は懸案の調整手当支給地域についての見直し、これを行って、平成二年四月から実施することと、こういうふうにしておりますが、調整手当支給地域の見直し、これは該当者にとって直ちに給与の額に響くだけに見直しに当たっては客観的かつ合理的な基準が必要ではないか、このように思います。人事院は「地域の民間賃金、物価及び生計費等の実情に応じて適正化を図るよう」見直しを行うと、こういうふうにしておりますけれども、民間賃金、物価、生計費等についてどのような基準で見直しを行ったのか、御説明をいただきたいと思います。
  220. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 調整手当につきましては法律民間賃金、物価、生計費が特に高い地域に在勤する職員支給すると、こうなっておりますので、そういう要件を満たしている地域が新たに出てくれば対象にすると、その要件から外れるようになれば指定を取り消していくということは法律が予定しているところでございます。  したがいまして、私たちはその法律趣旨に従いまして今回見直しをさしていただこうと、こういうことに相なったわけでございますけれども、この調整手当性格というのが、四十二年に設けましたときの経緯から申し上げますと、やはり地域によっては民間賃金が公務員賃金をオーバーしている地域がある、そういう地域においてはやはりその差を何らかの手当によって埋めなければ公務の世界民間企業との間で人材獲得競争が賃金面において平等に行われないと、こういうことで調整手当が主として設けられた経緯がございます。  したがいまして、今回私たちが見直す基準として考えましたのは、調整手当の中で最も低い支給率というのが三%でございますので、公務の方では全国一律の本俸、全国一律の手当によりましてどこの地域におりましても一〇〇の給与水準というものを保障しておるわけでございますけれども、その三%を出すかどうかにつきましては、今三つの要素を申し上げましたけれども、その三つの要素の中間、一〇一・五というものを基準にして調整手当を新たにつける、あるいはまた支給地域から外していくという措置をとるのが対民間関係においても、公務部内におきましても最も納得性のある基準であろうということで、そういう方策をとらしていただくということを原則に考えたわけでございます。
  221. 中川嘉美

    中川嘉美君 時間が来たようでございますので、最後にあと一点だけ伺いたいと思います。  人事院は報告の中で、「今後は、定期的に支給地域区分を見直すことを考えている。」と、このように述べておりますけれども、それ以上に緊急な課題、それは調整手当支給割合の改善ではないかと、こういうふうに思います。特に東京においては大きな官民較差、あるいは官官較差ですね、この存在が指摘されているわけですけれども、今回人事院調整手当の見直しに際して行った民間賃金、物価、生計費等についての調査の結果、東京についてはどのような結果が出たのか、この点を明らかにしていただきたい。今後の支給割合の改善に対する人事院の決意を最後に伺っておきたいと思います。
  222. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 東京につきましては調整手当一〇%を現在支給しております。  そこで、その一〇%が適切かどうかという議論なんですが、今の民間賃金、物価、生計費、全国平均を一〇〇にいたしましたら、一一〇をいずれも若干上回るような指数になっております。したがいまして、今回支給地域の見直しというのをやらしていただくわけでございますけれども、その次にはやはり支給率の見直しというのも次の大きな課題だというふうに私たちは認識しております。  ただ、この支給地域の見直しというのを行うために私たちの方では各省の任命権者との間、また労働団体との間で一年ばかりかけていろいろ折衝し、そしてお互いに意見を交換して見直しをすることができるようになったわけでございますが、ざっくばらんに申し上げまして、それぞれの任命権者側も、私たちの方も、また労働団体側も相当疲れまして、現在まあ支度部屋に帰って汗をふいているというような状況でございます。したがいまして、そういう各任命権者とか労働団体側の方の意見を聞きながら、支給率の見直しの時期というもののタイミングというものをまた慎重に見計らっていかなきゃならないというふうに考えております。
  223. 中川嘉美

    中川嘉美君 終わります。
  224. 星川保松

    ○星川保松君 今回人事院単身赴任手当ということで新たな手当を出すことになったということは、不十分ながら評価をいたしたいと思います。しかし、これで単身赴任の問題が根本的に解決できるというものではございません。  単身赴任というものが極めて大きな問題を抱えておるということは、何といいましても家庭が分断されるということにあるわけでございます。家庭が大事か仕事が大事かということがよく言われますけれども、今までは家庭を犠牲にしても仕事はやらなければならないというような気持ちの人も多かったかと思いますけれども、今の若い人は家庭を犠牲にしてまでも仕事に専念するという気持ちはもうだんだん薄らいでまいりまして、人生にとって家庭の方がはるかに大事だというようになってきておるわけであります。そういうことを考えますと、単身赴任というものの深刻さがだんだん深まってくるというような傾向にあると私は思います。  それで、単身赴任というのは日本特有の現象であって欧米の先進国では到底考えられないことだ、まずそういうことはないと、こういうふうに言われておるわけでありますが、なぜ欧米先進国にない単身赴任というものが日本に存在をしておるのだろうかと不思議に思うわけでありますが、この点についてはどういうふうな分析をなさっておられますか、まずお尋ねをしてみたいと思います。
  225. 菅野雄

    政府委員(菅野雄君) 単身赴任の問題につきましては、先生の御指摘のように日本におきまして現在社会問題になっておることでございますが、欧米ではそのような形にはなっておりません。  日本におきましては、単身赴任の理由といたしまして大きなものが三つございます。子供の教育問題、高学歴化というのが一つでございます。それから女性の社会進出、それに伴って配偶者の就業問題、それから高齢化社会の到来によりまして家族の病気、世話というような問題が生じてまいりましたし、あるいは住宅事情の関係から持ち家の管理というような問題が出てまいっているわけでございます。それぞれが複合した理由となっておる場合が多うございますけれども、そういう理由によりまして単身赴任が生じてきたと。そして、現在社会問題になり、これに対してどのような対応をしていくかというのが次の段階でございまして、今回は経済的な面での手当といたしましてまた新しく勧告いたしたわけでございます。
  226. 星川保松

    ○星川保松君 今我が国で単身赴任が深刻なことになっておるということの理由として挙げられたわけでありますが、例えば教育の問題というのは、これは日本だけの問題ではない、やはり欧米諸国でも同じように教育の問題はあるわけでございます。配偶者の仕事の問題も、これはやはりよそでもあるわけでございます。それから、持ち家の問題やお年寄りの扶養の問題、いろいろあると思いますが、これはいずれも外国にもあることだと思うんです。しかし、それがあっても外国では単身赴任が問題にならない、単身赴任というのがない。ということになりますと、今の理由だけではちょっと私は腑に落ちないのでございますが、子供の教育なら子供の教育の問題が日本と欧米の場合はこういうふうに違っているから欧米の場合はないとかと、こういうふうな何か分析はなさっておられないんでしょうか。
  227. 菅野雄

    政府委員(菅野雄君) 子供の進学問題で一番問題になりますのは、高等学校に対する転入学ということが一つの大きな問題になっておりまして、これらは日本の特有の問題ではないかと思うわけでございます。この辺につきましても、我々は文部省の初中局長に対しまして転入学の問題の解決方をお願いしてあるわけでございます。文部省の方でもいろいろと検討を始められておるわけでございまして、我々といたしましては今後の検討に期待いたしたい、このように考えております。
  228. 星川保松

    ○星川保松君 そういうことで、同じような問題がありながら欧米諸外国にはない、そして日本にはあるということで、やはりもう少しお調べになって、そして日本の特殊性というものをひとつ調べて対策の資料にしていただきたいと思います。  欧米で単身赴任というのはもう考えられないということは、つまり転任するときは必ず家族同伴だということになっているんじゃないかと思うんですね。転任する本人たちも、動くのは家族同伴、一緒に行くものだと、そうして動かす方でも、家族を分断して、家庭を分断して赴任させる、転任させるということはやらないものだ、やってはならないものだというふうになっておるのではないかと私は思うわけです。その点についてはどうお考えでしょうか。
  229. 菅野雄

    政府委員(菅野雄君) 確かにおっしゃるように我々は赴任は帯同赴任が原則だと、このように考えております。したがいまして、いろんな理由がございますけれども、今後これらの問題につきまして関係省庁とも連絡をとりながら解決していき、単身赴任の減少の努力をいたしていきたい、このように考えております。
  230. 星川保松

    ○星川保松君 そういうことで、単身でなければ赴任できないような立場の人は恐らく転任することを拒否するのではないかと思うんです。そして、そのことが理由として恐らく通っているんじゃないかと思うわけです。ひとつそういう点も十分お調べになっていただきたい、こう思います。いずれにいたしましても、単身赴任というものはこれは将来なくさなければならない、こう思います。  今、残念なことに、人事異動には単身赴任というものが必然的に伴うというような考えがまだ我が国には民間もお役所の方も両方ともかなり強く残っているのではないかと思いますが、これはやはり家庭分断ということはもう本当に人権問題、いろんな問題が生じてまいります。私どもの東北地方なんかではいわゆる農家の出稼ぎ、これがいわゆる家庭分断で働くということでいろんな問題、家庭での問題、それから社会問題を引き起こしてきたわけでございます。それら農家の出稼ぎなんというのは、これはまあ自主的に出てくるわけでありますが、公務員の場合は命令で出ていかなければならないというところにまた極めて大きな深刻の度合いの相違が出てくるわけでございます。  これはどうしてもなくしていかなければならないということになりますと、人事院の方でも例えば週休二日制についてはいわゆる公務主導で民間も週休二日を徹底させるようにというような態度でおられるようでありますけれども、やはり単身赴任のことについてでも、どうもこっちの方は現状追認といいますか、民間追従のような形になっておるようでありますので、これをやはりなくするという方向に公務主導の形で持っていくというふうに私はしていただきたい、こう思うわけでございます。  そこで、転勤というものを外国の場合もいろいろ見てみますと、例えば都会に住んでいる公務員の皆さんが家族ぐるみで農山漁村の方に赴任をしていくというようなことをいろんなテレビやなんかで見るわけでありますが、むしろ非常に楽しそうに喜んで出ていくというような姿が見られるわけでございます。考えてみますと、長いお勤めの間に数年間は大都会に住んでいらっしゃる皆さんが広々とした空気のいい、水のいい大自然に囲まれた田舎の方、そういうところに家族そろって転勤をするなんというのは考えようによっては大変楽しいことではないか、こう思うわけです。  ですから、単身赴任というものでなくて、とにかく家族みんなそろって転任をするんだというようなことがしやすいような環境づくりをやっていけば、むしろ今のようにいわゆる飛ばされるとか都落ちとかということで暗い気持ちで赴任する、転任するというようなことがなくなって、喜んで我先と希望して行く人が出てくるのではないかと思うわけです。ですから、そういう形で転任ができるように環境づくりをしていくということをまず将来ビジョンに据えて、それを発表しながら今回のような当座の対応をやっていくというふうに、まずさしあたりの施策と将来のビジョンとを掲げてこの単身赴任の問題は解決していけばいいのではないか、こう思いますが、いかがなものでしょうか。
  231. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 今委員のおっしゃる単身赴任を取り巻く諸条件、これをどう改善していくかという問題は、まことに御意見は私は十分傾聴いたしたいと思います。  ただ、日本の現実というもの、あるいは日本の社会生活の現実、あるいは社会のいろいろな仕組みの現実、さらに国家公務員の勤務する行政機構の現実、そういういろんなものを考えてきますと、なかなか今おっしゃるように一挙に理想の状態に到達するということは容易なことじゃない。いわば日本の社会生活の意識にまでさかのぼらなければならない問題だろうと思います。  したがって、私どもは実は単身赴任の問題を院内で論議いたします、あるいはいたしたときは今おっしゃるような問題も随分俎上にのせて議論をいたしました。 そして、それのいわば一歩前進ということでこのほど単身赴任手当を設けるとともに、各省に対しては単身赴任をできればせずに済むような諸条件の充実というものをぜひ期していただきたい、あるいはまた人事管理上いろいろな方策を考えていただきたい、こういう要望もしておるところでございます。  今おっしゃったような御意見を私は決して軽視はいたしません。十分傾聴いたしますが、それの実現については、やはり日本じゅう挙げて考えなきゃならぬ問題でもあるということを申し上げておきたいと思います。
  232. 星川保松

    ○星川保松君 すぐさまそういうふうにできるということは私も考えておりませんが、やはり向かうところというものをしっかり掲げて、そして今おっしゃるように日本国じゅうみんなで考えなければならない大きな問題だと、こういうふうに思います。  私は、東北の山の中で市長をやっておったわけでございますが、その経験からいたしまして、中央の方から転任でたまたま単身で来られるわけでございます。そういう方に会いますと非常に暗い気持ちでいるわけですね。私はそういう方に、あなたがここへいらっしゃって、そして仕事をしていただくわけですけれども、仕事をするのも大事ですけれども、あなたの生活も大事だと、ここへ来たら、ひとつ私の方でもお手伝いをしますから、山が好きだったら山を案内しましょう、川が好きなら川も案内しましょう、そしてあなたがここへ来てよかったと後で思うような生活もここでしてください、こういうふうに慰めながらやってきた覚えがあるわけでございます。  そういうふうに転勤先で、仕事のことだけでなくて、そこでやはり生活も楽しめるようなそういう異動を頭において皆さんやっていけるようにすればもっと私は改善される、こう思うわけでございます。  今公務員の試験を受ける青年たちに聞いてみますと、やはり人事異動が激しいあるいは単身赴任ということになるというようなことからして、一番希望の多いのが市町村のようでございます。その次が県であります。その次が国家公務員であります。国家公務員で転任になってきた方からお聞きいたしますと、いや私たち本当につらいと本音を吐かれまして、市町村の役場の職員の方がよっぽどよかったというようなことも漏らすわけでございます。そうして、国の方から地方に来まして、今度三年ぐらいでまた転任だ、今度は東京へ帰るんですかと言いますと、いやもっと北の方ですよというようなことで、本当にかわいそうな方が大勢いらっしゃるわけです。  そういうことを考えますと、本当に人を動かす方々が一人一人のそういう苦しみをよく知って、理解して転勤ということをなさっておるんだろうかというふうに私ども疑問に思うことがしばしばあるわけでございます。ですから、そういうもっと人間的な配慮というものも人事について配慮をしていっていただきたいと思います。そういうことがまた公務員に対する優秀な人の応募が少なくなるというようなことになっても私はいけないと思いますから、それらの点についての御所見をお伺いしたいと思います。
  233. 菅野雄

    政府委員(菅野雄君) 国家公務員の転勤ということにつきましては、やはり全国的な統一的な行政運営を確保するために人材の適正配置を行う必要があるということ、あるいは行政対象との利害関係を定期的に遮断して情実の発生を防止する必要があること、それから国家公務員の場合におきましては、全国に九千余りの官署がございまして、山間僻地まで人を配置し行政を行わなくちゃならないということになっておること、それから人事上の公正性の確保、納得性の確保、そういう観点から転勤が行われておるわけでございます。  ただ、転勤発令するに際しましては、私は人事院の人事管理の担当者でございますけれども、やはり先生のおっしゃるような配慮をしつつやっていこうと思っておりますが、各省任命権者におかれましてもそれぞれの転勤の際にいろいろ御配慮いただいているものと考えております。
  234. 星川保松

    ○星川保松君 当面の単身赴任に対する手当を充実していくと同時に、家庭分断というような形で働かなければならない深刻な単身赴任というものは将来なくしていくんだということについてのひとつ知恵を出し合ってその対策を立てていっていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  235. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 初めに公務員試験の申込者の減少の件についてお伺いしたいと思います。  近年国家公務員試験の申込者数が大幅に減少しておりまして、I種、II種、III種、それぞれ昭和五十三年度をピークにしまして後は長期低落の傾向をたどっております。五十三年に比べますと大体半分あるいはそれ以下というふうになっておりますけれども、この申込者数減少の理由を人事院としてどう考えておられるかお伺いしたいと思います。
  236. 森園幸男

    政府委員(森園幸男君) 過去の受験申込者の推移を見ますと、景気変動に伴います企業の採用意欲というものが極めて大きな影響を与えているというふうに考えております。  本年の場合は昨年に引き続きまして相当の減少を招いたわけでございますが、私どもいろんな試験の内容でありますとかあるいは各省の業務、こういうものについて各大学等に出向きましていろいろ説明をしておるわけでございますが、そういう説明を求められた大学からは申し込みがふえるというような実情もございますので、今後そういう方面についてはさらに気をつけて対処してまいりたいというふうに考えております。
  237. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 最近は確かに人不足が甚だしくて民間企業でも人の採用が非常に困難という状況になっておるわけでありますが、確かに好況のときには公務員志望者が減る、不況時にふえるということは従来からその傾向が把握できるわけでありますが、ただもう十年以上にわたりましてずっとほぼ一貫して下がってきておる。これには景気循環だけではない他の要因があると思いますが、いかがでしょうか。
  238. 森園幸男

    政府委員(森園幸男君) 今御指摘のような実情にあるわけでございますが、最近の学生の就職に関しますいろんな意向をいろんな形で調べてみますと、まずその業務内容に興味があるかどうか、あるいは職場が安定的なところであるかどうか、自分の性格、能力に合っているかどうかというところがおおむねベストスリーでございまして、そういう観点からいたしますと、各職場の実情というものにどのぐらい通じているかどうかということが極めて重要でございますので、私たちはそういう公務の側から見ました就職情報の提供ということに相当力を入れる必要があるというふうに考えております。
  239. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 民間の場合は人気業種というのがありまして、時代によってそれは変わっていくわけでありますけれども、公務員の場合は私は仕事の内容がそんなに激変はしていないと思います。それにかかわらずこのように長期低落の傾向をたどっておるというのは、やはり賃金が民間に比べて低い、こういう考え方が一般に思われておるのではないかという気がしますが、この点はいかがですか。
  240. 森園幸男

    政府委員(森園幸男君) 先ほど申しましたとおり、就職志望を決定する場合のベストスリー要素といいますものの中には賃金というのは実は入っていないわけでございます。  そのほかに私どもが六十二年から六十三年にかけまして、先ほど申し上げました公務員試験の概要等についての説明を要請されました大学の学生約一万七千人ぐらいにアンケートをやりましたところ、その中で公務員試験を受験するつもりはないという学生がございますが、どういう理由で試験を受けないのかという点について見ますと、今御指摘給与等の勤務条件が悪いからという比率は極めて低いわけでございまして、一番大きいのは試験の内容が難しい、あるいは公務の実態がよくわからない、試験のことがよくわからないというようなところが高うございます。そのほかに公務の仕事に興味がないというのももちろんございますが、今おっしゃいましたような給与が非常に致命的な要素になっておるとは理解しておりません。
  241. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そのように言われますけれども、最近の学生というのは非常に経済的な観念が強くて、特に初任給の高い低いというのは私は非常に大きな原因になると思うんです。  公務員民間の賃金はできるだけ民間との較差をなくするように人事院としては努力されておると思いますが、しかし実際に民間との格差をなくするというのは言うはやすくして難しいことではないかと思うんです。本当に同じような職種が把握できて比較されているのかどうか。  そこで、私は初任給の問題に触れてみたいと思いますけれども、初任給は比較比較しやすい賃金だと思うんですね。 それほど仕事の経験とか内容とかそういうものに余り差がない。これで比較してみると高いか安いか一番端的に出てくるわけであります。  人事院民間給与実態調査によりますと、新卒の事務員について大学卒で十五万六千三百四十三円、短大卒で十三万一千九百九十九円、高卒で十二万一千三百五十八円。これに比べて、今年度の人事院給与勧告によりまして、しかも一〇%の調整手当を含めても、I種の大学卒が十六万一千二百六十円、II種の大学卒が十三万八千九百三十円、III種の高校卒が十一万七千二百六十円。このI種の大学卒においては民間の初任給を四千円余り上回っておりますけれども、II種においては一万七千円余り下回っておる。III種の高卒においては四千円も下回っておる。こういう結果が出ておるわけであります。このような歴然とした格差があるわけでありますけれども、これは民間準拠という人事院考え方からしても非常におかしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  242. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 公務員民間給与比較いたしまして毎年勧告をさせていただいておるわけでございます。そのときに民間企業というのは、前回も田渕先生の方から御指摘がございましたが、私たちの方ではやはり民間の会社組織の労働者の過半数というものを代表することがいいだろうということで、企業規模百人以上と事業所規模五十人以上という基準を設定いたしまして官民比較をさせていただいておるわけでございます。その官民比較をいたしました結果、全体の水準としては公務員の水準と民間の水準というのは均衡しておるわけでございます。その全体としては均衡しておりますけれども、公務部内の配分においては必ずしも先生の御満足いただくような結果にはなっていない。それが今の初任給の話だと思います。  したがいまして、私がかねがね機会あるごとに御説明申し上げておりますように、官民比較いたしました場合に、年齢層とかあるいはまた等級ごと号俸ごとというのを見てみますと、中には官民の逆較差になっているところもございますので、そういうところから初任給とか若年層の方にやはり移していく、配分を少し傾斜していくということをやらなきゃならないだろうというので、ことしは相当思い切ったことをさせていただいたわけでございます。  そういうことをするというのは、結局公務部内における秩序といいますか、公務部内におけるいろいろなことを考えますと、どういう方法が一番穏当かということでそういう方法をとらせていただいておるわけでございますけれども、それによりまして今回は民間の初任給のアップ率よりも高いアップ率で勧告をさせていただいたということでございますので、初任給の改善といいますか、月例の初任給の改善については私たちそれなりの問題意識を持ってこれからも努力してまいりたいというふうに思います。
  243. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 今回の俸給表の引き上げ率を見ましても、行政職で一級が四・三%、そして上の方へいきまして六ないし十一級は二・九%、下の方に厚く上に薄くなっておりますが、このようにされた原因は何ですか。
  244. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 今申し上げましたように全体として公務と民間との間ではバランスがとれているということでございますけれども、高年齢層といいますか、高位号俸のところは若干逆較差になっておりますので、少しそこのところの配分というものについて調整したというふうに御理解いただきたいと思います。
  245. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうすると、全般ではバランスがとれておるけれども、それぞれ年齢別に見ると若年では公務員の方がやや低めである、高年齢層は高めである、そのように理解していいわけですか。
  246. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 月例給与について一般的といいますか、概括的に申し上げますと先生の今お話しになったことがほぼ当たっていると思いますけれども、ただ公務員給与というのは月例給与だけではございませんで、年間収入というのも考えてみなきゃなりません。年間収入ということで見ますと、採用初年度におきまして公務員民間のどちらがたくさんいただいておるかということになりますと、若干でございますけれども、年間収入ではいずれの職種につきましても公務員の方が若干高いという結果が出ております。
  247. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 次に指定職の給与についてお伺いします。  本年度の人事院勧告は、その報告の中で指定職俸給表について、「諸般の事情を考慮し、行政職と同程度の改定にとどめることもやむを得ないと考える。」と述べておられます。同時に、「しかしながら、同俸給表については、従来から参考としている民間企業の役員給与との間に引き続き差が認められるとともに、公務部内における指定職とそれ以外の者との間の均衡にも配慮する必要がある。」「今後関係方面理解を得ながら、同俸給表について相応の改善を図るよう引き続き検討を行っていくこととしたい。」、このように述べられておるわけです。  そこで、この指定職と氏間企業の役員給与との較差、これの現状はどのようになっておるのかお伺いしたいと思います。
  248. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 詳しく申し上げるのは差し控えさせていただきますが、従来から本省の事務次官の給与民間の専任役員の第三位の者、通常、専務さんということになるんだと思いますが、その両者の給与というものをにらみながら決めておるわけでございますけれども、その場合、額で申し上げますと、民間の専任役員の第三位の者の給与というのはことしの四月現在で百五十一万でございます。事務次官の場合には、今度の勧告が受け入れられまして法律が成立いたしますと百二十一万ということで、三十万ばかりの開きがある、二五%の開きがあるというふうになっております。
  249. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 このように大きな較差が発生した理由は何でしょうか。
  250. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 昭和五十三年まではほぼ両者が均衡しておったわけでございますけれども、昭和五十三年、民間が非常に厳しい年でございますが、その五十三年には一般職員につきましては三・八四%という勧告をいたしまして、それが法律化されて実施されたわけでございますけれども、指定職につきましては三・八四%の勧告を見送って、それ以来今日までそのままにされておるわけでございます。  先ほど先生が報告の中の文章を引用してお話しになりましたけれども、実はやはり一般職につきましても勧告は凍結され、あるいはまた抑制されてきたわけでございますけれども、皆さん方、いろいろな先生方の御努力によりまして完全実施をしていただく、そしてことしで四年目になるわけでございますけれども、一般職員についての完全実施が定着したという状況のときには、やはり五十三年で見送ったその分につきましてもぼちぼち指定職についてお考えいただくように関係者の方に理解を求めていきたいというような意味も込めましてそういう報告になったわけでございます。
  251. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 指定職の給与が政策的に抑えられてきたということだと思うんですけれども、言うまでもなく指定職は一般職俸給表の上位に位するものでありまして、上の方の率が抑えられると、今度は指定職と一般職との均衡において一般職の方がそれにつれて抑えられるというような現象が生じやすいと思うんですが、この点はいかがですか。
  252. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) そういうことがないように人事院といたしましては配慮してきたところでございますし、かねがね総裁からもそういうようなことがないように注意するようにという注意をいただいておりますので、指定職というのが昭和五十三年に遠慮した、そのことが一般職員に及ばないように人事院全体として細かな配慮をしてきたつもりでございます。
  253. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 次に指定職のいわゆる官職と号俸との関係についてお伺いしますが、指定職俸給表における官職と号俸の関係を見て感ずるのは、まず第一に、国立大学の学長が一般行政官職に比しては高い位置にある。そして第二には、国立大学の中でも東大、京大が最上位、そして次には旧制帝国大学、さらには旧制大学、新制大学、このように差がついておるわけであります。このような差をつけるというのが果たして適当かどうか、この点はいかがですか。
  254. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 釈迦に説法ということになるかと思いますが、給与というのは職務の複難、困難、責任の度合いに基づいて決めるわけでございます。  一口に国立大学というふうに申し上げましても、やはり学部の数とか、あるいはまた博士課程があるとか修士課程があるとか、あるいは附属研究機関の数がどうだとか、いろいろな要素によって学長の職務の複難、困難、責任の度というのが異なってまいります。そこで今先生お話しになりましたように分類しておるわけでございますけれども、私たちは、大学の学長の俸給につきましては、今までの経緯というもの、歴史というものを踏まえながら、先ほど申し上げました要素を加味してそういうようなランクづけをしておるということで御理解いただきたいと思います。
  255. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうしますと、今度は各省庁の事務次官については各省庁の歴史とか権限の大小、職員数、非常に大きな差があるわけですけれども、これはすべて一律に十一号俸に格付されております。これは先ほどお話と比べますと非常に矛盾があるようですが、いかがですか。
  256. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 霞が関にはたくさんの省がございまして、それぞれ事務次官というのがおりますけれども、それぞれの省はやはり対国民に対しまして非常に重要な責任というものを背負って仕事をしておるわけでございます。特定の省が特定の力があるとか特定の重要性を持っておるという認識をやはりすべきじゃない。すべての省庁が担っておる行政というのは対国民から見れば平等に重要なものだというふうにやはり考えざるを得ないというふうに思います。
  257. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そういう言い方をもってすれば、大学の場合も同じだと思うんですね。特に文部行政上も大学の格差をできるだけなくするというのがその方針だと伺っておりますけれども、ちょっとこれは問題ではないかと思います。  人事院は指定職俸給表の改善の検討を行うことにしておると伺っておりますけれども、その際の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
  258. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 指定職俸給表というものにつきましては額の改定というのがやはり第一番目にあるだろうと思います。先ほど先生の御質問お答えして申し上げましたように、やはり今までの過程というのを見ますと、昭和五十三年に少し遠慮してそのままになっておるというのはいかがなものだろうかということにつきましても検討する必要がございましょう。  もう一つは、やはり指定職というのは一官一給与制という考え方が従来から定着しております。事務次官になると指定職の十一号だと、事務次官を二年やっても三年やっても十一号から変わらない。あるいはまた局長は原則として七号だということで、一官一給与制というのが定着しておるわけでございますけれども、やはり六十歳定年制が施行されましてだんだん本省の公務員も高年齢化しております。したがいまして、同一ポストに非常に長くなっておるという実態もぼちぼち出てきておりますので、そういう一官一給与制というものをいつまでもとにかくとり続けるのかどうかということについても検討しなきゃならないだろうというふうに思います。  その両者のサイドからこの指定職俸給表についてはその運用を含めまして考えていく必要があろうかというふうな感じを持っております。
  259. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 終わります。
  260. 板垣正

    委員長板垣正君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  261. 板垣正

    委員長板垣正君) 御異議ないと認めます。     ─────────────
  262. 板垣正

    委員長板垣正君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、後藤正夫君が委員辞任され、その補欠として石渡清元君が選任されました。     ─────────────
  263. 板垣正

    委員長板垣正君) それでは、これより三案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  264. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成、特別職職員給与に関する法律及び国際花と緑の博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案並びに防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  特別職給与法改正案のうち、秘書官の給与引き上げや単身赴任手当の新設などは、その給与水準から見て必要な改善措置も含まれておりますが、現状でも高額である大臣、政務次官、大使など一部特権官僚の給与の引き上げは、一般職のそれを下回ったとはいえ依然として一般職給与国民の平均的生活水準とは格差が大きく賛成できません。  防衛庁職員給与法改正案についてでありますが、我が党は防衛庁の一般職員、曹士隊員、下級幹部とその家族の生活は保障されなければならず、一般職職員と同様その生活の保障は必要であると考えます。しかしながら今日、核、通常兵器を含めた全般的な軍縮と軍事費の大幅削減が国際政治の焦眉の課題となっているにもかかわらず、政府世界と日本の世論に真っ向から逆らって自衛隊の正面装備の質量ともの増強や、実戦化を進めるなど、危険な性格と役割をますます強めています。このような危険な性格を持つ軍備増強政策のもとで、防衛庁職員給与を引き上げることは、国民感情からも許されないと思いますし、我が党もこれに賛成することはできません。  また、日本が米国の世界戦略にさらに組み込まれ、安保条約がより攻撃的な性格を帯びてきている中で自衛隊が一層憲法違反の性格を強めていることとあわせ、本法案には反対であります。  以上申し述べまして、討論を終わります。
  265. 板垣正

    委員長板垣正君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  266. 板垣正

    委員長板垣正君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  267. 板垣正

    委員長板垣正君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、特別職職員給与に関する法律及び国際花と緑の博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  268. 板垣正

    委員長板垣正君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  269. 板垣正

    委員長板垣正君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  山口君から発言を求められておりますので、これを許します。山口哲夫君。
  270. 山口哲夫

    山口哲夫君 私は、ただいま可決されました一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、日本共産党、公明党・国民会議、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府並びに人事院は、次の事項について十分配慮すべきである。  一 公務員期末勤勉手当改定に当たっては、民間における賞与等の特別給の支給実態を確実に反映させるよう努めること。  一 労働時間の短縮が国民的課題となっていることにかんがみ、公務における完全週休二日制の実現に向けて、さらに積極的に検討を進めること。  一 単身赴任が大きな社会問題になっていることにかんがみ、その減少に向けてさらに一層努めるとともに、単身赴任者の生活の改善について各般にわたり努力すること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ皆様の御賛同をお願いいたします。
  271. 板垣正

    委員長板垣正君) ただいま山口君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  272. 板垣正

    委員長板垣正君) 全会一致と認めます。よって、山口君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、水野総務庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。水野総務庁長官
  273. 水野清

    国務大臣水野清君) ただいまの一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、今後とも検討してまいりたいと存じます。
  274. 板垣正

    委員長板垣正君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  275. 板垣正

    委員長板垣正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十一分散会