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山口哲夫君 社会問題の
一つとして単身赴任という問題が特に
民間を中心に随分いろんなことがこれまで書かれておりまして、これは朝日新聞の朝日文庫ですけれども、「単身赴任」なんという本まで出ているわけですね。読んでみますと、非常に大変だなと思うんですね。特に今
お話があったように平均四十九歳ということになりますと、一番働き盛りですよね。それと健康の面からいってもちょうど変わる時期ではないでしょうか、五十歳ころというのは。それから家庭的にもやはり年老いた両親を持っているころですし、それから子供もやはり高等学校の子供がまだいるころではないでしょうか。いろんな面で家庭生活の中においては一番大変な時期に転勤をさせられる、だからどうしても単身赴任せざるを得ないというのが実態だと思うんですね。
この本なんかを読んでみましても、
民間でも、とにかく単身赴任であろうが何であろうがあちこち転勤しなければ出世できないんだということが多いんですね。これは
公務員でも同じなんです。もし発令されて家庭の事情で転勤を拒むということになると、それでもう出世はある程度抑えられると。これはヨーロッパでは、アメリカなんかでは
考えられないことでしょうね。これはもう人権問題だと言われるんじゃないでしょうか。ですから、そういうこと自体をやはりなくしていかなければならないんであって、以下この問題を少し細かく、今まで余り
国会の中では取り上げていなかったようですから、少し細かく取り上げてみたいと思うんです。
先ほど申しましたように、基本はやはり単身赴任をなるべくなくしていく方向で
努力しなければならないと思うんですけれども、人事の発令の問題なんです。昇任昇格を前提にしたような
異動、こういうものは私はなるべくなくしていった方がいいんではないだろうか。
地域の実態なんかをよく
調べてみますと、非常に若いキャリア組が転勤していくんですね。そして地方でどこどこの所長をするとか
課長、
部長をやる。そこの職場へ行ってみますと、私なんかも随分選挙であちこちの職場を歩く方なものですから、
管理職についている方が特別若いんですね。二十代、三十代で、もう特別若い人が座っていらっしゃる。周りにいらっしゃる係長とか主任とか、そういう
人たちがもう五十代なんですね。そういう若い人がいきなり中央からぽっと発令されてきたときに、これで果たして職場が本当に円滑にいくんだろうかな、一生懸命たたき上げてきて、地域のこともよく知っている
人たちがなかなか昇格させられない。こういう人事発令というのは一体どうなんだろうかと思うわけですね。なるべく地方を回して現場を数多く歩いて経験を積んだ方が本庁に来てからもいいんだなんという
お話がありますけれども、そんなことをしなくたってきちっと地域の研修をやればそういうことは十分かなえられることだと思う。どうもこういう昇格昇任を前提にした
異動というのは私は好ましくない、こう思うんですけれども、いかがでしょうか。