運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1989-11-01 第116回国会 参議院 逓信委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月一日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────   委員氏名     委員長         青木 薪次君     理 事         岡野  裕君     理 事         永田 良雄君     理 事         松前 達郎君     理 事         磯村  修君                 長田 裕二君                 陣内 孝雄君                 長谷川 信君                 平井 卓志君                 宮田  輝君                 守住 有信君                 及川 一夫君                 大森  昭君                 國弘 正雄君                 山田 健一君                 鶴岡  洋君                 山中 郁子君                 足立 良平君                 平野  清君                 沢田 一精君     ─────────────    委員の異動 十一月一日     辞任         補欠選任      宮田  輝君     尾辻 秀久君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         青木 薪次君     理 事                 岡野  裕君                 永田 良雄君                 松前 達郎君                 磯村  修君     委 員                 尾辻 秀久君                 長田 裕二君                 陣内 孝雄君                 長谷川 信君                 平井 卓志君                 守住 有信君                 及川 一夫君                 大森  昭君                 國弘 正雄君                 山田 健一君                 鶴岡  洋君                 山中 郁子君                 足立 良平君                 平野  清君                 沢田 一精君    国務大臣        郵 政 大 臣  大石 千八君    政府委員        郵政政務次官   月原 茂皓君        郵政大臣官房長  白井  太君        郵政大臣官房経        理部長      木下 昌浩君        郵政省郵務局長  小野沢知之君        郵政省貯金局長  成川 富彦君        郵政省電気通信        局長       森本 哲夫君    事務局側        常任委員会専門        員        大野 敏行君    説明員        外務省国際連合        局科学課長    成田 右文君        運輸省海上技術        安全局安全基準        管理官      山本  孝君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国政調査に関する件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査派遣委員報告) ○お年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正する法律案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付) ○電波法の一部を改正する法律案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)     ─────────────
  2. 青木薪次

    委員長青木薪次君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 青木薪次

    委員長青木薪次君) この際、大石郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大石郵政大臣
  5. 大石千八

    国務大臣大石千八君) 逓信委員会皆様方に謹んでごあいさつを申し上げます。  去る八月十日、郵政大臣を拝命いたしました大石千八でございます。  青木委員長を初め、逓信委員会皆様には、平素から郵政行政の適切な運営につきまして、格別な御指導を賜り、厚く御礼を申し上げます。  私が所管いたすことになりました郵政行政は、国民生活と極めて密接なかかわり合いを持つものでございまして、責任の重大さを痛感しているところであります。  もとより微力ではありますが、諸先生方の御指導と御助言を賜りながら、この重大な使命を遂行し、国民皆様の御期待に沿うべく、渾身の努力を傾注してまいる所存でございます。  電気通信放送分野につきましては、国際社会産業経済地域社会国民生活等それぞれの領域における情報化進展対応し適時適切な諸施策を推進するとともに、情報通信分野での先端的、独創的な技術開発重点を置いて取り組んでまいる所存でございます。  また、郵便為替貯金簡易保険郵便年金事業につきましては、物流変革、金融の自由化国際化長寿社会進展等対応するとともに、地域社会活性化にも貢献するべく、サービス改善充実に努めてまいりたいと考えております。  本日は、前通常国会から衆議院継続審査となっておりました電波法の一部を改正する法律案お年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、委員会を開会していただき、御審議をいただけることに深く感謝申し上げているところでございます。  どうか、よろしく御審議の上、速やかに可決してくださいますようお願い申し上げますとともに、今後とも格別の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、一言ごあいさつとさせていただきます。     ─────────────
  6. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査議題とし、派遣委員報告を聴取いたします。  まず、東海班の御報告を願います。磯村修君。
  7. 磯村修

    磯村修君 それでは、東海班報告を申し上げます。  私は、青木委員長岡野理事守住委員及び大森委員とともに、去る八月二十九日から三十一日までの三日間、東海地域における逓信業務実情調査を行いました。  以下、調査概要報告いたします。  東海地域産業経済は、名古屋周辺地域に集中しており、製造業中心とする第二次産業の比重が高いという特徴があります。現在、浜松地域テクノポリス構想に見られますように、世界的な高度技術集積地への転身が図られております。  まず、郵政事業について申し上げます。  東海郵政局では、地域行事イベントへの積極的な参加ふるさと小包の促進など、郵政事業推進に当たっては、地域振興を念頭に置いた取り組みがなされており、激しい社会経済環境の変化の中、郵政事業は着実に進展を見せ、全国的に見て高い水準にあります。  特に郵便貯金事業につきましては、郵便貯金の純増加額減少傾向が続いておりましたが、積極的な営業活動の展開によりまして、前年度から、増加率の上昇が見られます。中でも、小口MMC貯金「ポスト」の販売は好業績を上げております。平成二年に迎える定額貯金集中満期対策が当面最大の課題と見られます。  次に、電気通信事業について申し上げます。  東海地域では、地域振興活性化のためさまざまな開発構想が打ち出されておりますが、その中で電気通信の果たす役割は大きく、地域社会発展に即した電気通信行政推進が期待されております。NCCによる第一種電気通信事業状況は、長距離系三社、地域系無線呼び出し各一社がサービスを開始し、自動車電話も本年度開始予定で、当地域においても本格的な競争状態を迎えることとなっております。  またNTT東海支社では、電話局ブロック化管理機関スリム化等組織改革を行い、サービス強化を図っております。  放送事業について申し上げます。  東海地域では、NHK民放十七社が放送を実施しております。  NHK名古屋放送局では、大型イベントへの協力などによる地域放送充実防災番組充実も含めた緊急報道体制強化業務効率化衛星放送の普及を重点項目として、地域社会に貢献する番組提供に努めております。・  衛星放送受信契約はおおむね順調な進捗状況にあります。CATV事業者に対しては、ソフトの提供など協力関係を維持しながら収納への協力を求める努力が続けられております。  ハイビジョンシティ構想モデル都市管内では名古屋市及び静岡市・清水市の二地域が指定され、地域の特性を生かしたシステムの構築に着手する予定になっておりますが、計画の策定に当たっては、地域住民が広くハイビジョンに触れる機会を持つことができるよう配意することが必要と思われます。  最後防災対策について申し上げます。  東海地域は、静岡県を中心地震対策強化地域に指定されているところが多いことから、防災行政無線NHK民放による緊急警報放送緊急報道体制など災害対策整備が進んでおります。しかし、今般発生した伊豆半島東方沖群発地震に際しましては、住民への防災情報伝達が適切ではなかったため、無用の混乱を招いたことが指摘されております。今後、的確な情報伝達システム運用の方法を改めて検討してほしいとの要望もありました。  以上で派遣口頭報告を終わります。  なお、委員長手元に詳細な調査報告書提出しておりますので、本日の会議録に掲載していただくよう委員長において取り計らいお願い申し上げます。  以上であります。
  8. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 次に、北海道班の御報告を願います。永田良雄君。
  9. 永田良雄

    永田良雄君 それでは、北海道班報告を申し上げます。  私は、山田鶴岡山中平野沢田委員とともに、去る九月四日から六日までの三日間、北海道逓信関係業務実情調査を行いました。  以下、調査概要を御報告いたします。  まず、郵政事業について申し上げます。  北海道では、大きな変革に見舞われた石炭鉱業等基幹産業にかえ、地場産業開発育成を期し、さまざまな町づくり村おこし取り組みが行われており、こうした地域振興策への郵便局参加協力もますます期待されているところであります。  そのため、北海道郵政局では、平成元年度の経営目標を「広がる大地に 魅力あふれる郵便局を」と定め、道内一千五百の郵便局すべてが、地域になくてはならない魅力あふれるサービス拠点として社会的有用性を高め、さらに、その充実したネットワークを北海道地域活性化に生かしていくことを目指しております。  中でも、視察いたしました渡島当別郵便局は、JR駅との一体化という特殊性に加え、局舎にもさまざまな工夫を凝らし、町の新名所として地域住民観光客から好評を得ているとのことでありました。  管内郵政事業の現況につきましては、三事業とも前年度を上回る実績を上げておりますが、その伸び率は、全国水準を下回っております。  このような情勢のもと、当局では、郵便事業にあっては、利用者要望に沿った営業活動の徹底に努めるとともに、周知宣伝活動強化し、また郵便貯金、簡保、年金事業にあっては利用者層拡大を図るとともに、利用者立場に立ったコンサルティングを推進することとしております。  これらの営業活動により、ふるさと小包は、その販売数販売開始からわずか六年で初年度実績の百倍にも迫る急成長ぶりを見せ、地域発展にも大きく貢献していると高く評価されております。  次に、電気通信について申し上げます。  広大な面積と過疎地の多い北海道にとって、情報通信基盤整備産業経済発展地域振興に不可欠であります。このため、当管内では、テレトピア構想各種研究会等を通じ、情報通信への関心と具体化が意欲的に展開され、新しいメディアの数々も実現に向け準備が進められております。  電気通信事業につきましては、昭和六十二年に参入したポケットベル事業者である北海道テレメッセージの業績が順調な伸びを示しておりますほか、来年度には、長距離系及び地域系電気通信事業者の参入、さらに自動車電話サービス開始など、北海道においても本格的な競争時代を迎えることとなっております。  また、NTT北海道支社においては、顧客サービス中心組織に改めるとともに、電話サービス安定的提供、ISDNによる電気通信網ディジタル化拡大等重点に取り組むことにしております。  電波につきましては、現在、北海道では、とる漁業から育てる漁業への転換を図っており、こうした養殖栽培事業発展のために、視察いたしました豊浦漁業協同組合ホタテ養殖用テレメーターに見られるような電波利用による漁業技術開発が急務となっております。  最後に、放送について申し上げます。  管内放送事業は、NHK民放五社によって実施されておりましたが、この十月にテレビ北海道が新たに開局され、長年懸案であった中央との情報格差是正に寄与するものと期待されております。  NHK札幌放送局においては、地域放送充実に努めており、産業経済、交通を初め北海道全域に共通する諸問題、さらに各地域特有の問題を積極的に取り上げ、その解決に資する番組づくりを行っております。  以上で口頭報告を終わります。  なお、委員長手元に詳細な調査報告書提出 いたしておりますので、本日の会議録に掲載していただくよう委員長において取り計らいお願い申し上げます。
  10. 青木薪次

    委員長青木薪次君) これをもって派遣委員報告は終了いたしました。  なお、ただいま磯村君並びに永田君から要請のありました報告書につきましては、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  12. 青木薪次

    委員長青木薪次君) お年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。大石郵政大臣
  13. 大石千八

    国務大臣大石千八君) お年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における高齢化国際化といった状況の中で生じつつある社会的要請にこたえるため、お年玉つき郵便はがき寄附金配分を受けることができる団体について、その範囲拡大しようとするものであります。  現在、寄附金配分を受けることができる団体は、社会福祉増進目的とする事業を行う団体等七つ事業を行う団体とされていますが、この法律案では、これらのほか、健康の保持増進を図るためにするスポーツ振興のための事業を行う団体開発途上にある海外の地域からの留学生または研修生の援護を行う事業を行う団体等配分対象として加えることとしております。  なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。  以上、この法律案提案理由及び内容につきまして御説明申し上げましたが、何とぞ慎重に御審議の上、速やかに可決してくださいますようお願い申し上げます。
  14. 青木薪次

    委員長青木薪次君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 山田健一

    山田健一君 山田でございます。初質問でございまして、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  まず最初に、我が党はこのお年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正する法律案、これに賛成の立場をまず表明をさせていただいて関連する質問を行ってまいりたい、このように考えておりますので、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  まず、このお年玉つき郵便はがきに関連をいたしまして、一つ平成元年度、ことしのいわゆる需要見通しにつきましてお尋ねをいたしたいと思います。  今予定をされておるのは、平成元年度の発行予定が、年賀はがき三十九億枚、そのうち寄附金つきが四億枚ということになっておるようでございます。これ、そのまま計算しますと、三円ですから、三、四、十二億、これから手数料を引いてまいりますから、それが言ってみれば配分をしていく金額にはね返っていくわけですが、どう需要見通しが立てられるのかということが一つの前提になるだろうというふうに思っております。  そこで、去年は見てみますと、天皇陛下の病状等もありまして、若干そこら辺が結果的に影響したということで七億八千五百万円、これが配分されていっておるわけであります。ことしの場合はそういうことはないだろうということで、発行枚数も四億枚、寄附金つきがいっておるわけであります。ただ、ことしの需要見通しを立てるときに一つ心配をしておるのは、御存じのようにことしはリクルート事件等いろんな問題が発生をいたしまして、政治改革が叫ばれております。地方自治体の議会におきましても相次いで虚礼廃止の実は決議が行われております。実際のところ、そのことによってどの程度影響するのか、第一線の郵便局局長さんあたりは大変売れ行きを実は心配されておられまして、どうだろうかということで先般もお話がありました。そういうような状況を踏まえながら、ことしは寄附金つきが四億枚ということでございますが、そこら辺のまず需要見通しについて御見解を賜りたいというふうに思います。
  16. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) 山田先生、初御質問ということですが、私も郵務局長として初答弁でございます。非常に光栄に存じております。  それでは、お尋ねの御心配いただきました需要見通しでございますけれども、年賀はがき我が国のよい生活習慣として国民の間に深く定着してきておりますこと、また、最近における我が国経済の好況という背景のもとで、各地方郵政局の具体的な希望とか、最近四年間の寄附金つき年賀はがき発行枚数伸び、そういったことを総合的に勘案いたしまして、先般、郵政審議会に諮問した上で本年度寄附金つき年賀はがきを四億枚というふうに決定した次第でございます。  先ほど御指摘がありましたように、昨年は昭和天皇の御病気という不幸な事態に見舞われまして、いわゆる自粛ムードという中で年賀はがき販売につきましても苦慮したのでございますけれども、最近の報告による郵便局予約状況等から見ますと、本年は私どもの見通しとして、これから特別な事情が発生しない限り順調な販売が期待できるのではないか、売れ残るおそれはないのではないかというふうに現在のところ判断いたしております。  なお、今お話のありました、御心配いただきました寄附金つき年賀はがきのみが取り上げられた虚礼廃止、一般的な虚礼廃止決議というのはございますけれども、特に寄附金つき年賀はがきのみが取り上げられたそういう虚礼廃止の動きというのは現在のところ特段聞いておりません。
  17. 山田健一

    山田健一君 今のところ、そういう全体的な予約状況も好調だという話でございまして、寄附金つきの方も心配ないという判断に立たれているようでございますが、四億枚という枚数も、これからの対応の仕方もあると思うんですが、昭和二十四年から始まりまして、十年ぐらい前といいますか、四十四年から五十五年ぐらいまでは大体五億枚ぐらい実は出されておりました。これはもちろん一円ということでございましたけれども、その後三円ということになって枚数を多少減らされ、その後年々ふやしてきて今四億枚ということになっているようでございますが、今回も出ておりますように、寄附金配分をしていく範囲拡大していく、こういうこともあわせて出てきておるわけでありますから、これから発行されていく枚数、やがてこれまたふえていくんだろうと思いますが、これからどのような方針でいかれるのか、ぜひそこら辺、これからの対応見通しといいますか、そういったものもわかれば明らかにしていただきたいと思います。
  18. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) 先生指摘の点について心して対応していきたいと思いますが、まず御質問の来年度以降におきます寄附金つき年賀はがき発行方針のうち発行枚数についてでございますけれども、これまでの推移から見て増加していくというふうに判断しておりますけれども、経済動向や最近の販売実績などを総合的に勘案した上で年度年度で決定していきたいというふうに考えております。  また、配分対象団体に対してどのように配分するかということにつきましても、団体応募状況とか寄附金の全体額だとか、あるいは社会的要請、一般の状況、そういったことを総合的に勘案しながら決定してまいりたいというふうに考えております。
  19. 山田健一

    山田健一君 そこで、具体的な配分の問題に移りますけれども、手続については我が党の先輩の大森委員提案もありまして最近改善をされたというようなことも聞いているわけでありますが、問題は、去年は七億、その前は八億幾らありましたけれども、それだけの配分をしていく場合に、今回新たに二分野加えられていく、こういうことですね。それに予防的なものを含めて分野を加えていく。新しい分野としては二分野、こういうことになっております。  これ、先ほども御発言大臣の方からありましたように、もともと発足をした当時は要するに社会福祉の向上、これを目的として事業を行っておる団体、これに寄附金配分していきましょう、こういうことになっていたわけですが、逐次配分範囲がずっと拡大をされてきまして、今七分野、百三十八団体、こういうことになっているわけでございます。今回新たに二分野追加するということでありまして、追加をしていくということそのことについてはこれは結構なことだと思うんですが、いろいろ聞いてみますと、大変国民から要望が強い、多くの強い要望が出されておるということで今回配分枠を広げていこうということにされたようでありますが、考えてみますと、これからいろいろ要望というのが出てくるだろう、こういう時代ですからいろんな各界からも出てくるだろう。  そしてまた、その中身についても、今回の場合は例えばスポーツ振興、それから留学生対策。本来の郵政省趣旨といいますか、国民の皆さんから本当に寄附金をいただいてそれを配分していこう、こういう趣旨で行われているわけでありまして、例えばスポーツの問題にしますといわゆる文部省関係をしてくる、あるいは厚生省の関係、それぞれテリトリーがあると思うんですが、本来、事業によっては文部省が面倒を見るべきものだというような中身もあるかもしれない。あるいは留学生の問題にしてもそうでありますが、外務省が本来見るべき問題、そこら辺の境界がどうなっていくのかということも一つはありますが、大変分野を広げていく、こういう場合に、ただ、国民から要望が強いから広げて枠をふやしていく、分野追加していく、こういうことだけではちょっと問題がありはしないか。もらう方にしてみれば、それはぜひそういうところがあればいいということで、言ってみれば補助金のばらまき的な印象を与えたのでは私はまずいだろうというふうに思っております。  そういった意味では、やはりきちっとした郵政省のこのお年玉つき郵便はがきによる寄附金配分するのだという一つの筋が通った形でないといけないだろう、そういうふうに思いますので、この分野拡大していく際の一つの物差しといいますか基準といいますか、それは一体どういうふうに考えて今回追加をされてきたのか、さらには今後されようとしておるのか、そこら辺のところを明らかにしていただきたいと思います。
  20. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) 御指摘配分対象の決定ですが、一言で、ちょっと抽象的な言い方になりますけれども、私ども所管官庁としての郵政省としての主体的な判断と、あと今郵政省はかなり部外の方々といろんなことについて接触しておりますので、バランス感覚を身につけておりますから、バランス感覚に基づいた主体性の発揮ということで決定していくということでございますが、所管官庁といたしまして寄附金に対する社会的要請などをいろいろと見きわめまして、結果的に、調べてみますと十年ごとに大体拡大しております。ということは、かなり慎重にその間のいろいろな社会的情勢を見守りながら問題点を整理してそれで決めているという、調べてみますとそういう感じがいたしております。そういうことで、関係方面の要望がただ強いからということで、これに応じて見直してきたのではないというふうに考えております。  ただ、先生から御指摘がありましたように、今後における寄附金配分対象拡大に当たりましても、もともと社会福祉増進というこの制度の発足の原点というものを私ども忘れてはいけませんので、この辺をわきまえながら、しかしなお社会情勢というのは変化しておりますから、そこで関係方面の要望とか陳情等も参考にして、それで慎重に決定してまいる、こういうことで臨んでまいりたいと思います。  なお、補助金のばらまきということについてでございますけれども、私どもそれを非常に懸念しておりまして、次のような点から適正な配分が行われているわけですが、例えば法令上に基づく措置といたしましては、寄附金配分対象団体法律に限定列挙しているというようなこと。それから具体的に配分を行う際には関係省庁との協議を行っているということ。それから決定に当たっては郵政審議会の議を経ることとされていること。それから国営である郵便事業寄附金配分を行うことから、配分団体の選定を初めとして、その処理についても法令の規定に基づいて厳格な規定が置かれているということ。そういったことによって今御指摘のようなことのないように配意してまいりたいというふうに考えております。  なお、実数の問題ですけれども、調べたのですが、実際に配分されている団体は、昭和六十三年度の例で申しますと、配分対象団体が一万九千団体あるのですが、そのうちの百四十団体ということで、約百分の一ということで、そういう実数から見てもばらまきというような結果には目下のところなっていないのじゃないかというふうに判断しております。  以上でございます。
  21. 山田健一

    山田健一君 大変バランス感覚をお持ちのようですから、ぜひそのバランス感覚を働かせていただいて、そこら辺はきちっといわゆる対外的にも、そしてまた受け取る方もそういう趣旨の寄付金だということが筋が通っていくようなものにぜひしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  さらに、今までずっと見ますと、二十四年以来総額にして約二百二十億円ぐらいの寄付金が結局ずっと配分をされてきております。それなりに社会のために大変貢献をされてきただろうというふうに思っておりますけれども、やはり有効適切にこれが使用されていく。また、いろいろな施設整備等に使われましても、それが本当に国民の皆さんから喜んでいただけるような中身になっていかなければならぬだろうというふうに思います。配分後の要するにフォローといいますか、どういうふうに使われていって、本当にみんなから感謝をされている施設になっておるのかどうなのか。そういったところを含めて、そこら辺の実態はどういうふうになっているのか、お尋ねしたいと思います。
  22. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) 配分した後のフォローが大切というのは御指摘のとおりでございまして、私どもは、配分金の使途につきましては有効適切に活用されなければいけないということで、そのため二つの段階で大体チェックしているのですが、まず配分金の交付のときに書面でもって次のような指導を行っております。一つは、配分金は郵政大臣が認めた事業の実施計画以外の使途に使用してはいけないということ。一つは、実施計画を変更しなければならないときは、あらかじめその旨を郵政大臣に書面をもって届け出、その承認を受けるということ。三つ目は、配分金は他の資金と区別して経理し、常にその使途状況を明らかにしておくこと。それから四点目ですが、郵政省配分金の使途の監査を行おうとするときはこれに応じなければならないということ。こういう第一段階のチェックをしているわけです。  それから第二段階として配分金の交付後のことですけれども、そのフォローのため、その事業の完了を待って必ず計画どおり実施されているかどうか、配分金をほかの資金と分けて経理されているかどうかということについて実地検査を行っています。それで、その実地検査のこれまでの結果によりますと、配分金はすべて郵政大臣が認めた事業の実施計画どおり有効に使用されておりまして、適切な運用が図られているというのがこれまでの結果でございます。
  23. 山田健一

    山田健一君 一応そういう形で適切に利用されておるようでございますので、今回も二分野拡大をされていくということで、ぜひ国民のそういった福祉向上に向けて活用されていくように期待をいたしたいと思っております。  そこで、郵政事業全般にわたり少しお尋ねをいたしたいというふうに思っております。  まず、この国会は御存じのように私ども消費税国会というふうに実は位置づけをいたしております。消費税の廃止法案も提出いたしておりますが、いろいろこれから参議院の方でも特別委員会が設置をされて審議されていくということになります。特に、この消費税との関連で郵政省関係について少しお尋ねをいたしたいと思っておりますが、先般郵政省の方の資料をいただきまして、要するにことしの四月から八月末までの郵便業務収入、これを見ますと、課税対象収入が約五千三百八十七億です。郵便関係でいきますと、為替振替業務収入が百四十七億、消費税相当額が試算によりますと郵便業務収入については百五十七億、こういうことが示されております。  ただ、実際の消費税の納付額については、いわゆる課税仕入れの部分を除きますからこれより若干少なくなるということなんですが、問題はこれの取り扱いといいますか、消費税の取り扱いに関連をして、郵政省の場合もそうでありますが、いわゆる業務収入として受け入れて経理をしておる、消費税分としては区別は行っていない。こういうことがここに書いてありますけれども、区別を行わずに管理運用をしておるということでありますから、問題はその運用していって出てくる運用益、これをどうするのかということが当然出てくるわけでございます。  基本的には、やっぱり消費税でありますから、利用者なり消費者が一応税金として納めた、それを一時郵政省の方にしてみれば預かっているわけです。それを運用して一つの益が出た場合の取り扱いについてはどう考えておられるのか。もちろん私は、基本的にはそれを消費者といいますか利用者の方に還元をしていく、これが一つの筋だろうというふうに思うのでありますが、そこら辺についてどのような考え方を持っておられるのか、御説明をいただきたいと思います。
  24. 白井太

    政府委員(白井太君) 先生ただいまお話がございましたように、郵便局におきますお金の受け払いというのは、郵便料金だけではなくて、貯金の受け払いの資金でありますとか、あるいは簡易保険郵便年金の資金の受け払い等すべて込みにして行っておりますので、消費税分だけを取り出して経理をするとか、あるいはそれについて運用をするとかということが実際にあるわけではございません。  ただ、理論的に申し上げますと、これも先生お話しのように、消費税分としてお客様からお預かりしておいてそれを今度は消費税として国庫に納付するまでの間にタイムラグがあることは事実でございまして、あえて言えばそれに見合う利子収入と申しますか、そうしたものがあるはずだということになるわけでございます。それがただいま先生おっしゃいました運用益といえばいうようなものになるわけでございます。  実は、この点につきましては、確かにその分の収入がプラスになるわけではございますけれども、あえて私どもの立場で申し上げますと、消費税を導入したということに伴いまして事務経費がかかるという側面も若干はございますし、それから、私どもなりの言い方をさせていただきますと、そうした要因というのは事業収支のプラスの方に働く要因になるわけでございます。あえて申し上げますと利用料金の値上げを抑制するとかそういう方向に働くということでもございますので、収支相償というのを原則にして私どもこの自前の収入で自分たちの支出を賄うという仕組みの中におきましては、結果的にそういう利子相当額の収入分というのは事業収支を好転させる要因になるということで、結果としてはお客様へのあえて言えば利益還元と申すとちょっと言い過ぎかと思いますけれども、値上げを抑制するというような面でお役に立つということになるということで御理解をいただきたいと思っております。
  25. 山田健一

    山田健一君 確かに言われるのはわかるんですが、消費税相当額の試算は出るわけですよね、出してあります。それに基づいて具体的ないわゆる利子収入といいますか、そこら辺も出てきます。それは、要するに入ってきて結果的に業務収入というか収支が好転をしていく、料金値上げをしなくて済むようにということなんでありますが、御存じのように料金、昭和五十五年当時二千五百億近くの累積欠損を抱えておったけれども、改善をされてまいりましたね。それは関係者の皆さん方の御努力に私も敬意を表したいと思っておりますけれども、要するに今業績もかなり好調だという状況です。そうした中で今言われるようにさらにこれに好調要因が入ってくる、こういうことでしょう。だから、これは本来的には、そういった意味で一時税金を預かっているわけですから、それはやはり国民の目に見える形で何らかの還元策というものを検討されなきゃいけない問題じゃないかなというふうに思うのです。そこら辺についてもう一度、検討されるのかどうなのか、お考えをお示しいただきたいと思います。
  26. 白井太

    政府委員(白井太君) 確かに私どもも新聞報道等で承知いたしております限りにおきましては、先生がただいま運用益というようなお言葉で表現なさいました問題についても、消費税にかかわる一つの問題としていろいろ議論がなされておるということもお聞きしているところでございます。したがいまして、消費税全体について政府としても見直しということを行っておるところでありますので、そうした中で仮にこういう問題についての御議論があるとすれば、政府全体の方針として私どもとしてそれに従っていくということは当然でございますので、その辺については全体の動きを見させていただくということが今日お答えできる限度かというふうに思うわけでございます。
  27. 山田健一

    山田健一君 政府全体の動きを見てということでございますが、もちろん郵政省だけが突出をしてやるという、政府の一員として立場もあろうかと思いますが、その関連で言いますと、本来郵便料金等についての消費税のかかわり方、これは今回の消費税の前の売上税のときには課税対象から除外をされておりました。今回消費税で入ってくる、こういうことになったわけで、どうも当時の様子を聞いてみますと、端数が出てなかなか難しいということもあって郵政省としては消極的だったというような話も聞いておりますが、結果的には便宜的にはがきが四十一円、封書が六十二円、そういう料金設定をされたように聞いております。  今お話がありましたように、政府全体としても今消費税の見直しというようなことで、いろいろ非課税範囲拡大とか議論がされておるわけでありますから、当然その経過からいうならば、郵政省としても、確かに政府立場はありながらも、一方でそういった消費税については非課税の取り扱いをしていくように要求をしていくこともまた必要なんではないか。私たちの廃止法案が成立をすればこれは問題はないんですが、そこらの辺のひとつ郵政省としての、廃止というわけにいかぬでしょうから非課税に郵便料金を入れていく、こういう一つの要求ぐらいはしてもいいんじゃないかなというふうに思いますが、そこら辺はどうですか。
  28. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) 申しわけございませんが、私ども現行法令を執行している政府の一員という立場であることを御理解いただければありがたいと思いますが、そういう意味で官房長以上の答弁はできないということになるわけですが、ちょっと敷衍させていただきますと、いわゆる税制改革法の第十一条の第一項の規定に基づきまして、消費税というものは「消費に広く薄く負担を求める」という性格を持っていることから「円滑かつ適正に転嫁するもの」とされているわけでございますが、この原則というのは公共料金についても変わることなく、郵政省はそこで本年四月消費税を転嫁するために郵便料金の改定を行ったわけでございます。  なお、御指摘のように、消費税の見直し問題につきましては、現在政府税制調査会におきまして作業が行われているわけでございますが、その場において恐らくさまざまな観点からの検討が行われるだろうというふうに考えております。そこでどういう検討状況になるか、どういうふうに推移するかということを私どもは私どもなりに注意深く見守ってまいりたいというふうに考えております。
  29. 山田健一

    山田健一君 政府みずからも今要するに見直しの検討をされているわけですから、本来こうしたものが消費税にはなじまないという立場を明確にされていく必要があるんではないかというふうに私自身は思っております。確かに政府の一員という立場はありますが、政府みずからが今見直しの検討をやっておるわけですから、過去の経緯からいって、やはりこれは非課税扱いにするようにという要求をされて私は当然なんじゃないかというふうに思っておりますので、一応これは立場もありましょうから、私の意見を申し上げておきたい。もしそういう機会があれば、ぜひ郵政省としてもそういう立場を明らかにしていただきたいものだという要望にしておきたいというふうに思っております。  そこで、郵政事業活性化といいますか、そうしたものに向けて具体的な対応が今求められているわけでありますが、これは大臣お尋ねをいたしたいと思いますが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、とりわけ郵便事業、財政的にも非常に目覚ましいものがございまして、あれだけの累積赤字を六十二年には十四年ぶりに解消するというような大変好調な業績を今上げておられます。去年も見ますと大変、当初百六十二億ぐらいですか、予算的には赤字を単年度予想されておりましたが、結果的には百四十億円近く要するに黒になったということで、業績は大変好調ということでございます。  そういう業績好調のもとで、一方では御存じのようにいろいろ通信メディアが多様化していく。郵便にいたしましても企業間の郵便が約八割を占めるというようなことが言われておりますが、企業間通信にしてもいろいろ最近はファックスがどんどん導入されていくというようなことで、他の電気通信メディアに代替をされていくというような傾向があるわけでありまして、そういった一つの通信メディアの多様化、そしてまた一方では小包等に見られるように民間の同業種との競合、競争、こういった言ってみれば将来を展望していく上でなかなか楽観を許さない厳しい状況があることも事実であります。  したがって、こういう今日のように業績好調の時期にこそ、これから将来に向けて経営基盤といいますか、そういった事業運営していく基盤、こういうものを充実させていかなきゃならぬだろう。そのためには、従来のやはり郵政省としての一つ事業感覚といいますか、そういうものも大分見直しをして、新しい感覚といいますか発想の転換といいますか、そういうものもやはり求めていかなければならないんではないかというふうに思っております。確かに、来年度の予算要求を郵政省として出されておりますが、かなり積極的な中身になっておることも事実でありまして、それなりに好感を持てる部分はあるわけでありますが、そういったこれから将来に向けての事業展開をこういう状況の中でどう進めていかれようとするのか、その辺の大臣の決意をひとつお伺いいたしたいと思います。
  30. 大石千八

    国務大臣大石千八君) 大変情報化が急ピッチで進んでおる、情報化国際化というものがもう既に日本はその先端をいっているというような状況でございまして、通信手段としての郵便の地位が相対的に変化してまいりますとともに、物流分野においてお話しのとおり民間宅配便が伸長してくるなど、競合、競争関係がますます厳しくなってまいったわけでございますが、郵便事業社会的要請に迅速かつ的確に対応して、お話しのとおり六十二年には累積の赤字も脱出する、そして昨年度会計までこのところ八年連続黒字だというような世界に誇れる業績を築き上げることができているわけでございます。今後も、郵便の特性を生かし、お客様のニーズの多様化、高度化に応じた適時適切なサービスを行うとともに、事業運営基盤を強固なものとして我が国郵便事業の健全な発展を図っていかなければならないということを基本的に考えておりますが、そのために、全国二万四千の郵便局ネットワークは地域に深く根づいた国民共有の大きな国家的財産でございますので、これを最大限有効に活用して地域社会振興に貢献することが公共事業たる郵便事業が今後果たすべき重大な使命であるというふうに認識をしております。  このような認識の上に立って、平成年度の予算要求において、地域社会振興への貢献、それと事業運営基盤の整備充実、この二つの重要施策を柱といたしまして、これら公共事業としての使命を達成するための各種の具体的施策の実現に向けて真剣に取り組んでまいるということでございます。  民間との競合の部門におきましても、極めて厳しい郵便物に関してそれを迫られたことがございましたが、これも郵便局全体が一致協力して創意工夫を凝らして郵便局の持てる力をフルに発揮することによって、ふるさと小包等を初めとするいろいろ国民の要求する問題に対応できてきておりますし、それから、今お話ございましたほかの通信手段との競合というものももう一つあるわけでございますが、そのことに関しましても、やはり今申し上げましたような基本的な考えの中でこの郵便業務というものが将来にわたっても国民の利便と、それから情報化国際化社会において十分国民に対する使命にこたえられる、郵便行政としてその使命が達せられるように今申し上げましたようなことで努力をしてまいりたいという決意でおるところでございます。
  31. 山田健一

    山田健一君 今大臣がおっしゃっていましたけれども、確かに来年度の重要施策の要求、これを見ましてもかなり画期的な中身があるということについては私もそれなりに評価をしたいというふうに思っております。「地域社会振興への貢献」、「地域の特性に応じた窓口機能の充実」あるいは「窓口サービスの多様化・情報化」、住民票やパスポート等のサービス等も行えるようにというようなかなり思い切った中身になっていることも事実でありますが、その次に「事業運営基盤の整備充実」、こういうことがこの予算の要求の中に出ております。要するに関連事業への出資ということでございますが、この問題、その中身といいますか、構想といいますか、現行法で対応していくには限界があるだろうし、一定の法改正が求められるだろうというふうに思うのですが、ここら辺の具体的な構想といいますか、方法といいますか、そういうものをお示しいただきたいと思います。
  32. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) 私ども事業運営基盤の整備ということでいろんな施策を初めて掲げているんですが、その中で担当行政として特に困難だと思っている、しかしぜひ実現しなきゃいけないと思っている一つ郵便関連事業に対する出資条項ということですが、このためにはいろんな関係法律を改正しなきゃなりません。大蔵省等との折衝を経なければいけません。そういうことで非常にシビアな折衝を行っているわけですが、非常に困難が予想されるだけに、従来そういったことが果たして予算要求できるかどうか、制度改正要求できるかどうか、法案作成の作業に着手できるかということ、非常に戸惑った面があると思いますが、やはり私ども公務員というのは世の中の流れを見きわめて、困難だけれども大事な各省庁にまたがる問題、縦割り、何十年の縦割りが正しいということがあるわけないですので、そういった問題に政策課題を掲げる、そして挑戦するという姿勢でやっているわけです。そのうちの一つが御指摘の出資条項とか、非常に難しい問題ですが、そういう意味で予算提出前からいろんな緊張した状況があるんですが、今結論はどうなるかは別として冷静な議論、折衝に入ってきております。  出資の具体的な施策の中身としては、関連事業への出資ということですが、そのほか郵便事業固有のいろんな機器、機具、そういったものを専門に運用するような会社への出資とか、あるいはこれから郵便というのは国内の視点だけじゃなくて国際的な視点が必要であるわけでして、国内のネットワークというより全世界のネットワークという観点からいろんな施策を設けなきゃいけないということで、これも初めて予算要求の中に郵便事業国際化への対応ということを重要施策に上げたのですが、次いで「外国郵政庁とのネットワークの構築」が掲げてあるわけです。  そういったことの関連からいって、今ある大事な組織に国際郵便機構というのがあるのですが、これへの出資を要求するということで、初めてだけれども、そして困難だけれども大事な施策に今敢然と挑戦しているというところで、最初はかなり緊張した状況から折衝を始めましたけれども、今かなり冷静な議論、どういう問題点がどこにあるか、困難な点がどこにあるかという折衝に今入りつつあるというところでございます。御支援いただければありがたいと思います。
  33. 山田健一

    山田健一君 ちょっと時間があれですから、また後で詳しく今度お伺いをしたいと思います。  来年度予算要求との関連でもう一点だけちょっとお尋ねをしたいと思うんですが、これは郵貯の関係です。  「金融自由化への対応」という大くくりの中で「資金運用制度の改善充実」、この中に「地方公共団体・第三セクターへの運用」という項目が一つ掲げられております。  郵貯については基本的には自主運用が原則だというふうに私たちは思っておるわけですが、一昨年から金融自由化対策資金といいますか、そういうものの運用が開始される、二兆からスタートするということになったようであります。確かにそのことはそれで結構なんですが、また一方で地方公共団体等立場を考えてみた場合、地方財政の大変厳しい状況は依然として続いておりますし、地方にとっても社会資本の充実を図っていかなきゃいかぬ、こういった形で一つの制度ができればいいというのは確かにあるわけでありまして、郵貯を国民一つの財産として地方に還元をしていく、そういうシステムをつくっていくというのは確かに大事なことだと思います。  ただ、私はこれは変に思うのですが、「金融自由化への対応」としての項目の中で「地方公共団体・第三セクターへ」、こういうことになっているのでありまして、地方公共団体へそういう還元していくシステムをつくるのであれば、「金融自由化への対応」ということじゃなくて別枠でこれは立てていかなければならぬ、要求をしていかなきゃいけない問題ではないか。「金融自由化への対応」の一環として地方公共団体に融資をするというのはこれはちょっと筋が私は違うんじゃないかと。ここら辺についてはどういうふうにお考えになっておられるのか、お尋ねいたします。
  34. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 先生お話ございましたように、郵便貯金資金につきましては、郵便貯金事業が金融自由化に適切に対応するというために資金の一部につきまして郵政大臣が自主運用をしているところでございます。その運用対象は現在のところ債券等に限られておりまして、来年度予算要求として重要施策事項として先生お話ございましたように地方公共団体と第三セクターへの融資を考えているところでございます。  この地方公共団体と第三セクターへの融資を重要施策事項として要求する趣旨は、一点目といたしましては、先生お話ございましたように、全国津々浦々から集められた国民全体の資金であるということから、地方に還元いたしまして地域活性化にも役立てていきたいということが一つございます。  それからもう一点といたしましては、自由化に適切に対応するためには金融情勢に対応して機動的、弾力的に運用できるように運用対象をできるだけ広げておくということが肝心じゃないかというふうに思っております。運用対象を多様化するという観点からも要求をしていきたいということが二点目の趣旨でございます。  今先生指摘のございましたように、別枠でやったらどうかというお話でございますが、これにつきましては財政投融資制度にもかかわる問題でございますので、まずは自由化対策資金といいますか、自由化対応する郵便貯金の自主運用の一部を使いまして、ぜひとも地方還元といいますか、地方公共団体に対する融資と第三セクターに対する融資を実現していきたいというふうに考えているところでございます。
  35. 山田健一

    山田健一君 窓口をずっと広げていく中でそういう形にしたいということのようですが、できれば、本当であれば、こういう一つの財投との絡みもあります、大蔵の方の関係がありますけれども、本来、筋からいえばこれはこれとして郵貯が活用されていく、言ってみれば自立をしていく、そういう方向でこの第三セクターなり公共団体へ流していく、還元をさせていく。これはやっぱり何かこの金融自由化への対応ということにこじつけて入れたような感じがしますので、運用の範囲を広げていくという一環もあろうかと思いますが、できれば新しいシステムとして構築をしていけないものかなというふうな気持ちがいたしておりますので、ひとつ今後とも御検討いただきたい、こういうふうに思っております。  ちょっと時間があれですから次に参りたいと思います。  確かに郵政事業を取り巻く環境、大変変わって厳しくなってきていることも事実でありますが、当面する課題としてやはり私はハード面といいますか、施設の改善、そしてまたソフトの面といいますか、要員の問題を含めて大きな課題があると思います。郵便局舎あたりも相当整備をされてきておりまして、来年度の要求を見ましても一千四百七十九億円の要求が出されております。前年度比でも六百五十九億円プラス、かなり思い切って数字としては上がっているわけでありますが、特にいろいろとこの郵便事業の損益等に関する報告等でも述べられておりますように、大都市部における郵便局の不足といいますか、郵便窓口が大変不足をしておる。「人口・世帯の増加が著しい大都市地域の一部の郵便局においては、郵便物を迅速・的確に処理する体制の整備が、地域発展とそれに伴う郵便物の増加に十分対応できない状況」になっておるということも明確に指摘をされているわけでありまして、ここら辺の対応をぜひ早急に急いでいただきたいというふうにこれも要望をいたしておきたいと思います。本当ならちょっとお伺いしようと思っていたのですが、時間も余りありませんので、ぜひ要望しておきたいと思います。  問題は、それに伴いまして、事業環境の変化に伴っていろいろと事業を展開していく、そういう面では相当積極的に今郵政省対応されようとするその姿勢はわかるのでありますけれども、ただ、それに伴う要員、さらには労働条件がいろいろ変化をしてきておる、そういうものへの対応というのは極めて私はおくれておるというふうに思っております。そのことをまず指摘いたしておきたいと思います。そして郵便物も大変増加をしてきておる。昭和五十七年が大体百五十億通、これが昭和六十三年には二百三億通ですね。郵便物が約三一%増加をいたしております。ところが、郵便事業定員の方を見ますと、五十七年が十四万二百三十四人、六十三年が十四万一千百六十一人。千人ちょぼちょぼ、一%の増。こういうことで、とても現状で対応できるような状況でないということも事実であります。さらに、先ほども指摘をしましたように、郵便事業が大変好転をしてきておるその背景には、やはり何とかこの事業を守っていかなきゃならぬ、そしていろいろ辛い苦しいことがあっても何とか頑張ろうという献身的な職員の努力があったことも事実だろうというふうに思っております。  そうした意味でも、今の郵便物の状況を見ましても、やはり今の要員ではもう限界に来ておる、こういうことを指摘をせざるを得ません。場合によっては業務運営にも支障を来しかねないというような状況でございまして、こうした一つの要員確保対策をどういうふうに進められようとしておるのか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  36. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) お答え申し上げます。  郵便物の増加とそれから定員の増加の状況につきましては、その数字は今先生の御指摘のありましたとおりでございまして、私ども深刻な問題として受けとめております。  また、今先生指摘がありましたけれども、郵便事業は、そのように郵便物数が順調に増加する中で、業務効率化といったような経営努力と、それからやはり私たちのようにかつて労務の問題等を担当した者から見ますと、今何といっても本当にありがたい、心強いのは安定した労使関係でございまして、そういったことに基づいて郵政省全体の職員の勤労意欲が非常に向上して、それに支えられているということがあるわけです。  郵便事業の増加に対応いたしましてお客様のニーズが非常に多様化、高度化してきておりまして、これに的確にこたえることができるサービス水準を確保する必要があるわけですが、そのためには、引き続き業務効率化等の経営努力を図り、職員の勤労意欲の向上に努めるとともに、やはり今御指摘のありましたように、施設の改善や必要な要員措置に積極的に省として取り組んでいかなければいけないというふうに考えております。  そこで、平成年度の予算要求におきまして、初めて重点項目といたしまして「郵便物の増加に対応する要員の配置」という項目を明確に書いて出しております。これ自体新しくないことなんですけれども、今の諸情勢から考えまして。そこで、必要な定員及び超過勤務手当、非常勤職員雇用経費、集配運送費の増加を図るべく、現在大蔵省、総務庁と鋭意折衝中である。後になって私どもの努力が足りなかったということのないぐらいの意気込みで臨んでいるところでございます。
  37. 山田健一

    山田健一君 今御答弁のように、重点要求の中でもかなり労働条件の改善の問題を含めて「勤労意欲の向上に資する能率給の改善充実」、こういう項目まで入っておるというのはそれなりに結構なことだと思いますし、それから、今御存じのように第七次の定員削減計画が一方で進められておるということでありますけれども、考えてみれば、いわゆる税金で賄われていく一般の、一般のというか公務員と、郵政の場合のように特別会計のもとで働く職員、これは同一扱いをしていく必要はないだろうと。むしろ、先ほど申し上げましたように、今、大変深刻な事態も一方であるということで、積極的にこういう状況対応していかなきゃならない。こういった第七次の削減計画についても郵政省として言ってみれば凍結を求めていくぐらいの決意がぜひ欲しいというふうに思っております。郵政省としても言うべきこと、主張すべきことはきちっと主張していく、こういう姿勢をぜひお持ちいただきたいというふうに思っております。そのことを要望いたしておきたいと思います。  もう一点、経営形態の問題についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。  今御存じのように郵便事業、大変効率的に運営をされて良好な業績を上げているわけであります。この背景というのは、何といっても郵便事業の最大の特徴といいますか、三事業が一体的に展開をされていく、そのことによるメリットが発揮をされておるというふうにも私たちは受けとめております。そういう三事業一体を前提にしながら、郵便局のいわゆる全国二万三千ネットワーク構想、さらには郵貯あるいは保険、こういったところを一体とした通信システムの構築といいますか、そういうものも一方で取り組まれておるという状況の中にあって、官と民がお互いに競争しながら国民へのサービスを向上させていくという観点が本当に大事だなというふうに受けとめているわけであります。  一方で、こういう状況の中で御存じのように郵便事業を民営化する、あるいは郵政事業をそれぞればらばらにしていくというようなことがささやかれておることも事実でございまして、郵政事業を根底から崩壊させていく、言ってみれば私は暴論だというふうに思っておるわけでありますが、郵便事業のあり方がどうなっていくのか、ここら辺にやはり最大の関心が寄せられるわけでありますが、その点は郵務局長立場としてどのようにこうした問題をお考えになっておるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  38. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) 郵務局長立場としてお答えする前に、私個人の職歴等から申しまして、第二臨調が発足して以来、あちこちの部局を渡り歩いておりますが、臨調対策、行革審対策、常に何らかの形でかかわっている最後の一人となりましたので、そういう意味では非常に思いが強いのですが、力を込めてお答えしたいと思います。結論として、私ども全力を挙げて挙省体制でもって、あるいは各界の大勢の方の力を得ながら現行の国営事業の形態を堅持しなきゃいけないというふうに考えております。  大体、八年ほど前からいろんな問題に対応してきたわけですが、今郵便、貯金、保険のいずれの事業も基本的にそのまま生々発展しているということは、やはり私どもの携わっている仕事というのは生命力があったんだろう。これほどこの何年かの間にいろんな変革があった、世界的にも国内的にもあった中で、郵政事業がここまで着実に伸びてきたということは、仕事の中身自体が生命力があったんだ、支持を得ているんだということで、これを変にしてしまっては、歌の文句ではありませんけれども、後になってなくしたものを思い出すということになってはいけないというのが基本的な私の考えであり、また、後輩たち、部下たちもそういう意味で徹底的に訓練、指導をしているところであります。  そこで、今申し上げた精神的な心構えを少し理屈っぽく若干申し上げますと、やはり郵便事業の経営形態につきましては国民全体の利益のためにはどうあるべきかという視点から検討するということが第一でなければいけないというふうに考えております。  郵便事業は、為替、貯金事業及び簡易保険郵便年金事業、いずれも私経験しておりますのでわかりますが、三事業一体的にサービス提供することによりまして、不採算地域も含めて全国二万四千の郵便局ネットワークを通じて国民生活に不可欠な基本的通信手段を有効かつ適正に提供できると考えております。また、この郵便局ネットワークを最大限活用して地域社会振興に貢献することこそが郵便事業を初めとする郵政事業の重大な使命であるという認識は日々増しているところでございます。もし仮に郵便事業を民営化し、郵政事業をばらばらにしてしまいますと、国民共通の貴重な財産とも言うべき郵便局ネットワークの本来の機能が失われてしまいまして、例えば不採算地域においてサービスダウンが生じる。そんなことでもって我が国の将来に大きな禍根を残すことになる、取り戻すことはなかなか難しいということになろうというふうに考えております。  また、このことをちょっと国際的に見てみますと、やはり最近痛感しているんですけれども、どうも郵便というと国内と言いがちですが、郵便というのは万国郵便条約などに基づいて一元的なネットワークを維持していくために、どこでも国またはこれに準ずる機関、国に準ずる機関と申しますのは公社または一〇〇%株式を国が保有している株式会社のことですが、によって運営されているわけでございます。そういった点から見ても、今の国営事業の形態というのは意義があり合理性があるというふうに考えているわけでございます。  郵便事業を所管しておりますので言い方があれですけれども、郵務局長に着任して以来日増しに痛感することは、やはり郵便事業というのは郵便局の仕事の核である、そしてそれが郵政事業の根幹だ、ひいては郵政行政の基本をなすものだというふうに確信しております。そういう意味で郵便事業の経営責務を担う者として、先ほど申し上げましたように常に国民全体の利益は何かという視点から臨んで対応していきますと、やはり郵便事業中心として郵政事業というのは現行の国営形態、もちろん時代進展とともに改善すべき点は出てまいりますから、そういった点は早急に的確に直さなきゃいけない点はあるとしてみても、基本的に国営形態は堅持しなきゃいけない。これは大事な私どもの役目であり、そのことを絶えず各界に訴えなければならないというふうに考えております。  以上でございます。
  39. 山田健一

    山田健一君 時間があれですから簡潔にお答えをいただきたいと思うのですが、今郵務局長の方からそういうお答えをいただきまして、確かに民営的な手法をいろいろ活用していくというのはこれは必要なことだろうと思いますし、その基盤である郵政事業は今郵務局長がお答えになったとおりであるというふうに思っておりますが、郵政全体として、この三事業関係については郵政省としてどうお考えになっておるのか、官房の方になるだろうと思いますが、ひとつ簡潔にお願いいたします。
  40. 白井太

    政府委員(白井太君) ただいま郵務局長の方からお答えしたとおりと申し上げていいかと思いますけれども、国営か民営かという問題と、あるいは三事業か分割かというような問題は私どもは不離一体の問題であると考えております。  私どもの事業というのは、郵便、貯金、保険という三本の足に支えられたテーブルのようなものでございまして、どの足を一本とっても倒れてしまうというものであると思っております。そういう三事業が一緒になっておりますがゆえに、全国に二万数千という郵便局を配置いたしまして、その郵便局を通じて山間地域であろうとどこに住んでおられる方もひとしく公平なサービスが受けられるというようなシステムが初めて可能になっておるというふうに考えておりまして、そういう意味で、私どもは今までどおり三事業一体で国営、非営利という体制をこのまま続けていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
  41. 山田健一

    山田健一君 わかりました。  もう時間が参りましたので最後になりますが、大臣最後お尋ねをいたしたいと思います。  先ほども言いましたように、要員の問題を含めて、今の郵政事業をしっかりと支えて今日まで大変職員の皆さんも頑張っておられるわけであります。郵政事業の言ってみれば経費の九割は人件費と言われるように、先ほど郵務局長がお答えになったような安定した労使関係一つは大変寄与しておるんだということも御答弁がありました。まさに郵政事業というのはその意味では人が中心になっていくわけでありまして、企業は人なりということがありますが、まさにその典型だろうというふうに思っております。今日の業績回復についても大変な協力があったことも事実だろうし、労働組合として果たしてきた役割というものも極めて大きなものがあろうというふうに思います。そうした意味では健全な経営をやっていくその第一前提は何といっても健全な労使関係の確立、そして維持をしていく、そういうことが求められていると思うんですが、これからの対応についてひとつ大臣の決意を最後にお伺いをいたしまして終わりたいと思います。
  42. 大石千八

    国務大臣大石千八君) 仰せのとおり人件費のウエートが九〇%、この人的な資源そのものが言ってみれば郵政行政の浮沈に大きくかかわっていると言うことができるわけでございまして、そのために安定した労使の信頼関係のもとで郵政事業を力強く積極的にやっていただくということが不可欠であることは私が申し上げるまでもございません。そういった点に十分労働組合の組合員の皆様も御理解いただきながら、そういったことから組合員一人一人の生活の向上とかあるいは労働条件の向上ということに結びついていくということを考えた上でも、労使関係の重要さ、そして営業成績を上げていくということの重要さを十分に理解しておられるということでありまして、そういった傾向はさらに進んでいくものと私は認識をしているところでございます。  そういった意味では、さらに従来にも増して、より高次な信頼関係が醸成され定着しているという認識ではございますが、今後ともこうした関係をさらに充実発展させていくように努めてまいる所存でございます。
  43. 山田健一

    山田健一君 終わります。
  44. 磯村修

    磯村修君 初めての質問でございますけれども、よろしくお願いいたします。  時間がありませんので、私は年賀はがき寄附金配分に絞ってお伺いしたいと思っております。  これまでいろいろと配分先などが拡大されてきているんですけれども、その経緯と、どういういきさつで拡大されてきているのか。それから郵政省として、この重点配分ということについての見解をまずお聞きしたいと思います。
  45. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) お答え申し上げます。  まず、寄附金配分対象拡大の経緯ということでございますが、昭和二十四年十一月に法律が制定されました当時は、寄附金配分対象社会福祉増進目的とする団体のみでございましたけれども、それ以来、過去三度にわたりまして配分対象拡大を行いました。  まず、昭和三十三年七月でございますが、風水害、震災等非常災害による被災者の救助を行う団体、それから、がん、結核、小児麻痺その他特殊な疾病の学術的研究及び治療を行う団体、さらに原子爆弾の被爆者に対する治療その他の援助を行う団体の三団体追加いたしました。次いで昭和四十三年五月に、交通事故の発生もしくは水難に際して人命の応急的な救助を行う団体追加いたしました。さらに昭和五十五年十二月には、文化財の保護を行う団体及び青少年の健全な育成のための社会教育を行う団体の二団体追加いたしました。  今申し上げましたように、いわゆるお年玉法に定める寄附金配分対象は、それぞれの時代要請にこたえるため、結果的にはほぼ十年ごとに拡大されてきているものでございます。  次に、お尋ねの第二点の重点配分の問題でございますけれども、恐らく先生の御趣旨は、こういうふうに配分団体拡大していきますと広く浅く配分することになってしまって寄附の効果が薄れたりする、そういう懸念がないかという御心配をいただいたというふうに受けとめておりますが、この辺についてお答え申し上げますと、まず結論として、先生指摘のとおり、配分対象拡大の問題につきましては、私ども配分対象団体への寄附効果が薄まることがないようにするというのが一つの基本姿勢だろうというように考えておるわけですが、そのため、いろいろな経営努力といいますか、営業努力を重ねております。  まず一つは、昭和五十七年から寄附金つき年賀はがきには正月にふさわしい絵を入れて発行することといたしまして、さらに最近は、各地方にちなんだ絵入りの寄附金つき年賀はがきをそれぞれの地方で販売いたしまして大変好評を博しております。このようにいたしましてここ数年各郵便局において積極的な営業活動を行っているという成果もありまして、配分するもととなる寄附金総額も年々増加している、そういう基盤はできつつあります。したがいまして、今回の法改正によって配分対象をふやしても現在対象とされている団体への配分が少なくなることにはならないというふうに考えているところでございます。  恐らく、先生重点配分についての考えはどうかという御質問は、そういったことをさらに踏まえた上でもって、今後の問題として配分対象への重点配分という一つの視点というか柱というか、この辺を検討することはどうかというふうに推測させていただきまして、その辺についてお答えしてまいりたいと思います。  これまで、それぞれの時代において社会的要請を見きわめながら、また、いろいろな募金がありますから、ほかの募金活動や、それから各省庁所管の行政施策、それとの兼ね合いなどを勘案しながら各対象分野への配分を行ってきたわけですけれども、そういう意味で、今後とも国民の理解を求めながら本制度の一層の発展に努めていく考えでございます。寄附金配分については、配分対象をいろいろ整理してみたり限定してみたり重点配分に努めるというようなことについて、実は今度この法案について私勉強してみまして、その辺もそういう意味で、相当精力的な検討を行っていたという感じでもございませんので、一つの私の勉強課題じゃないかなというふうに感じております。
  46. 磯村修

    磯村修君 いろいろこの寄附金を各方面に配分するということは、大変理解はできるんですけれども、福祉行政というのは、地方においても国においてもそれぞれの関係機関が行っているわけですね。年賀はがきというのはつまり寄附金をもって側面的に行政に援助していくというふうな意味もあると思うんですけれども、そういう意味合いからいったら、この寄附金配分というのは、本当に今社会が何を求めているんだ、そういうものをピックアップして、そしてその寄附金というものを集中的に配分して社会効果を上げる、こういう姿勢、考え方というものが必要ではないかというふうに私は思うのですけれども、もう一度お願いいたします。
  47. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) 先生の御指摘趣旨、十分私として理解できますので、私どもの考究課題の一つにさせていただきたいと思います。
  48. 磯村修

    磯村修君 要望ですけれども、いわば行政というのは大変総花的に物を運ぶというふうな考えが支配的のようなんですけれども、このように時代がいろいろ複雑化してきて、しかも経済的にもいろんな変化が出てきている、そういう中での福祉行政への側面援助ということを考えた場合は、この寄附金が寄附する側の立場から考えてもやはりそれがどういう社会効果を上げるのかという、いわばお互いに共通の認識が持てるような寄附金配分、こういうことをこれからぜひしていく必要があるんではないか、こういうふうに私考えております。特に、年賀はがき販売も年々ふえているようなんですけれども、限界もあるでしょう。それから、そういう中での配分ということになりますと、余り広く薄くというふうな総花的なことをしていくとやっぱり関心が薄らいでくるんじゃないか。私たちが買った年賀はがき寄附金がどういうふうに使われているんだと。例えば、局長、町を歩いていて行き会う人たち十人に質問して、私たちが売っている年賀はがき寄附金は何に使っているか御存じですかと聞いたときに何人の方がそれに対して答えられるかということなんです。  やはりこの寄附金というものは、重点的に配分してお互いに認識が持てるような社会効果を上げることによって関心度というものが高まると思うんです。総花的に物を運んでいったならば、それはやっぱり関心も薄らぐでしょうし、効果も薄いということなんです。だから、一人一人に尋ねてみても、ああ、あれはこうなんだ、こういう効果が上がっていますねというふうな答えが返ってくるような配分の仕方というものを私は一歩も二歩も進んで考えてほしいということなんです。
  49. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) 私どももいろいろな施策を推進する場合に、幅広い視野とそれから突っ込んだ鋭さと両方持たなきゃいけないというふうに感じております。  ところで、この施策を担当するのは郵政省組織の中で言いますと切手文通室という小さな組織なんですが、今おっしゃったような趣旨も考えますと、そのほかにいろいろな問題がありますけれども、切手文通関係の仕事は着任早々からいろいろ力を入れていますけれども、やはりもっと行政的な視点に立って行政的な手法を使ってやると随分いろいろなやるべき仕事がある組織だろうと考えておりますので、来年度組織改正要求でもってこの切手文通室を拡充する、そういう組織改正案を今出しているところであります。
  50. 磯村修

    磯村修君 時間がありませんので、最後大臣にこの配分についての基本的な考え方をもう一度確認したいと思いますので、よろしく。
  51. 大石千八

    国務大臣大石千八君) いろいろこの配分に関して真剣にお考えになっての御意見も賜りましてありがたく拝聴しておりましたが、寄附金つき郵便はがきの制度は、昭和二十四年に開設されて以来およそ十年ごとに所要の法改正を行いながら、長い間にわたってそれぞれの時代社会的要請にこたえて国民の善意の寄附金として社会福祉事業を初めとする数々の団体寄附金配分し、国民の福祉増進等に貢献してきたという歴史があるわけでございます。  今後とも寄附金配分対象につきましては、多くの国民の善意の集積であるという本旨を十分踏まえ、なおかつ、時代の変遷に伴ってそういった最も配分すべき観点ということも変わってくるという要素もあろうと思いますので、その辺のところも十分研究しながら国民の負託にこたえてまいりたい、このように考えております。
  52. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 時間がございませんので簡潔にお願いいたします。  まず最初に、郵便料金が高いのではないか、こういうことですけれども、郵便料金は五十六年に五十円から六十円に値上げされて八年以上ですか、現在の料金が据え置きになっているわけでございますけれども、郵便事業財政というのは非常に順調なようで、昭和四十五年を基準にした物価指数でいくと、現在の郵便料金を比較してみますと、卸売物価指数では一・八倍で三十六円、また消費者物価指数に応じた料金でも二・七倍の四十・五円、こういうふうになるわけなんで、郵便料金の水準はその点からいくとちょっと高過ぎるのではないか。  実際の書状の料金は一九七〇年、十五円時代には指数に応じた料金というのは二十円と換算されますし、それからその後、一九七二年、これは二十円になりましたけれども、このときは指数に応じた料金はちょうど二十円。そうして計算していくと、一九八八年、六十三年、この場合には指数に応じた料金というのは今申しましたように三十六円。物価指数でも一九八八年、六十三年、四十・五円、こういうふうになるんでございますけれども、郵政省はこの点についてどういうふうにお考えになっていますか。
  53. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) 今先生お話にもありましたけれども、一九七〇年と一九八八年を比較してみますと、消費者物価指数は二・七五倍、また卸売物価指数は一・七八倍というようなことになっているわけですが、同年比較で郵便料金について申し上げますと、封書が十五円から六十円と四倍、はがきが七円から四十円ということで五・七一倍ということになっていることは事実でございます。  またちなみに、今度はその十年後の、五年ごとに大体統計とってありますからあれですけれども、五十五年と六十三年とを比較してみますと、消費者物価指数では一・一六倍、また、これはちょっと数字あれですけれども、卸売物価指数では〇・八六倍ということになっております。  これに対して郵便料金は、封書が一・二倍、はがきが二倍ということになっておりまして、これが時の推移を示す数字なんでございます。  ここで私ども御理解をぜひいただきたいことは、郵便料金の水準を考えます場合、商品の価格とかサービスの価格という側面をとらえて郵便料金の上昇割合とほかの商品価格やサービス価格の上昇割合とを比較するという視点のほかに、私ども事業の経営者としてやはり一般的に事業運営していくために必要な経費がどのように上昇したかという視点に立って比較することも必要ではないかというように考えているわけです。そうしますと、郵便事業特殊性といたしまして労働集約型の事業でございまして、人件費とこれに類する経費、例えば非常勤職員の賃金などですが、これが約八五%を占めております。そのため、郵便事業というのは体質的に賃金の上昇による影響を非常に大きく受けやすい、こういう特質を持っているわけでございます。  そこで、こういう指数の比較をさせてもらったわけでございますけれども、労働省が作成いたしました産業別常用労働者賃金指数、名目について昭和四十五年と昭和六十三年とを比較しますと、それは四・五倍となっております。これに対して先ほど申しましたように封書の料金が四倍、はがきの料金が五・七倍ということでありましたので、いろんな物差しがありますけれども、今申し上げました物差しとの比較でみますと、賃金の上昇に比べて郵便料金が特に値上げし過ぎているとは言えないんじゃないかという考え方もあろうかというふうに考えているわけでございます。
  54. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 もう一点ですが、年賀はがきについては年々国民の利用率がふえてきた、これは私は非常に結構なことだと思います。しかし若い人たちは最近書く機会が非常に少なくなっている。しかし年に一度のこの年賀はがきで文通するというんですか近況を知らせる、こういうことで、そのことについては非常にいい機会でもあるし、私は心の潤いというのですか、楽しい社会生活というのですか、そういうことからいってもいいんじゃないかな、こういうふうに思います。ただ年賀状をたくさん買ってもらって、それではがきを、切手をと、こういうことで多く発行してもうけるというか、そういうことばかりではなくて、やはり手紙文化というものを郵政省としては考えていかなきゃならないんじゃないか。この手紙文化の件について、これからどう発展させていくのか、また普及について郵政省としてはどんな考え方を持っているのか、この点について伺っておきます。
  55. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) 郵務局長に就任する前から、やはり郵便事業というのはダイレクトメールとかあるいは小包等いろいろありますけれども、基本として手紙文化の振興ということを押さえなきゃいけない、そういうスタンスが必要だとかねがね思っているわけですが、今非常にありがたい先生の御指摘をいただきました。  近年、手紙離れ、あるいは文字離れということが言われておりますけれども、手紙は単に用件を相手に伝えるだけではなくて、書き手の心を伝えるぬくもりを持っておりまして、心豊かな潤いのある社会づくりにも貢献できる貴重な通信手段である。私どもは、こうした手紙の持つ文化的・教育的意義に極めて大きなものがあるというふうに認識しております。また、その辺のことをよくわかっている方々の世代がだんだん減ってきますから、今のうちに若い人たちにその辺のことをわかってもらう努力をする責務があるだろうというふうに考えております。  そういう意味では、年に一度であっても年賀はがきの交換が若い人たちに手紙を交わすことの大切さを理解してもらうよい機会であるということで、今、年賀はがき一生懸命努力しているわけですが、これは単に年賀はがきや切手が売れればいいということじゃなくて、それが使われることが手紙文化の振興につながるということで、そこに目を据えているつもりでございます。  そこで、具体的な施策としてどういうことをやっているかと申しますと、郵政省では毎月二十三日をふみの日と定めまして、全国各地で手紙教室、郵便教室などの行事を開催するなどキャンペーンを展開し、国民皆様に手紙を書いていただくよう積極的に行っております。また、特に青少年を対象といたしました施策として手紙の書き方の冊子を配ったり、手紙作文コンクールとか、はがき作文コンクールを実施しているほかに、各郵便局ごとに郵便友の会を結成いたしまして、国の内外における文通の促進を図っております。さらに、これからも国民皆様に手紙のよさを再認織していただき、郵便事業の基本とも言うべき手紙文化が今後国の内外にわたって一層普及、振興するよう積極的に諸施策の実行に取り組んでまいりたい、こういうふうに決意しております。
  56. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 もう一点だけ。この手紙文化の振興というのですか、手紙が書きたくなるようなそういう施策をしているのは、それはそれとして私は結構だと思うのですけれども、本当に手紙が書きたくなるような切手ですね、それをもう少し私は考えてもらいたいと思うのです。  いわゆる消費税の導入によって一円切手、二円切手、これが多く使われるようになったんですけれども、私最近感じるんですが、この一円切手、二円切手というのはデザインが全然変わってないですね。昭和二十年代に発行された一円切手は前島密さんですか、二円切手は犬、これが依然として続いておる。こんなのは今世界じゅうにないわけです。今それこそ何でもカラフルになって、特に若い人は、我々はいいとしても、若い人はカラフルなものを好むわけです。どこの壁へ行ったって絵はかいてあるし、マンホールのふたまで絵をかいてある。そういう時代ですから、楽しくなるような、一円切手はもう四十年ですか、これではちょっと私はいただけないような感じがするんです。何か新しいデザインを検討しているのかどうなのか、この点をお伺いいたします。
  57. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) 私も個人的にはカラフルな楽しいことが大好きなんでありますけれども、先生おっしゃるように、時代進展とともに国民の価値観の多様化、個性化というのは、私ども年配になってきますと、ちょっと肌で理解できないぐらい日曜日なんか散歩していますと感じるわけでございますけれども、そういう意味から、今御指摘にあった通常切手のデザインにつきましてもいろいろな意見があるということは承知しております。そのようなことも視点の一つといたしまして、地方の振興を図るとともに文通の促進に資するということで、ことしの四月から切手の種類の豊富な地方切手というのを発行しているわけでございます。  また、今度初めてのアイデアを実行したんですけれども、世界じゅうの郵便利用者とか切手愛好家とか、デザイナーなどが注目する優秀なデザインの郵便切手を発行するとともに、郵便切手に対する内外の関心を集め手紙文化の振興に資するため、現在国の内外から斬新な郵便切手のデザインを募集する郵便切手デザインコンクールというものを実施しております。世界にもそれをPRしているところでございます。  それから先生が御指摘になりました通常切手のデザインにつきましてですけれども、今御指摘がありましたけれども、調べてみましたところ、発行以来これまで料金改定の際は変更しているわけでございますけれども、それを除きますとほとんど変更していないという事実をきのう勉強いたしました。そこで、今の御指摘趣旨も踏まえまして、今後市場調査を行うなど需要動向を的確に私ども把握いたしまして、各界の有識者の意見も聞いた上で、また、それをもし何か改善でもするときには発行体制も整備しなければいけませんから、そういう発行の組織、体制も整備しながら今お話しになりましたデザインの変更については鋭意検討してまいりたいというふうに昨夜ひそかに決意したところでございます。
  58. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 終わります。
  59. 山中郁子

    山中郁子君 私どもは本法案には賛成の態度をとっているものでありますが、ただしたいことは多々あります。しかし、本当に短い、論外な時間しか使えないので、当面この年賀はがきの問題に関して具体的な、ぜひ解決しなきゃならないというふうに認識している問題について善処方を要望しつつ郵政省の見解をお伺いしたいと思います。  御承知かどうか、これは郵便局に張り出されたビラなんです。(資料を示す)皆さんにも見ていただきたいんですが、何と書いてあるかというと、「絵入り年賀葉書近畿版「飾り馬」「春陽」は予約で完売となりました。発売日当日、窓口で販売できなくなった事を深くお詫び申し上げます。全国版(二種類)も近日中に完売見込みです。」。これ、二日から発売する発売すると言って宣伝していて、予約でもうみんな完売しちゃったから二日になったらもう売れないよと、ないよと。これは随分ひどい話だと思うんですけれども、私こういうのは余りにも人をばかにしていると思うのです。近畿が特にこういう状況が出ているらしいんです。そちらの方で調査もしていただいていると思うんですが、近畿版の新聞でもかなりこのことを報道しているんですね。  例えば、これは産経ですけれども、「新年用お年玉付き年賀はがきが来月二日から、」、これは十月ですから「来月二日から」となっていますが、「全国の郵便局で一斉に発売されるが、絵入り年賀はがきのうち、近畿地方版二種類二千万枚が予約段階ですでに売り切れ状態になっていることが、近畿郵政局の三十日までの調べでわかった。四十一円はがきを含めた近畿二府四県全体の発売枚数も約六割が予約済み。」、ことしの正月は去年の自粛ムードからの関連で売れ行きがよいと、こうなっているわけです。売れ行きがいいのは結構なんですけれども、こういう状況が出てくるということは、私はやはり解決しなきゃならない問題だというふうに思うのです。朝日新聞もこういうふうに書いています。「近畿郵政局が独自に製作した二種類の図柄の寄付金付き年賀はがき」「来月二日の発売開始を前に、予約販売で売り切れた。六年前の予約制度始まって以来の異変に、郵便局窓口には「他の全国版二種類も近く完売見込み」」、これですね。この「張り紙が出された。」といってニュース報道されているんです。  私は、予約でみんな完売になっちゃって、売り出しだということでみんな朝どんなに早く行って並んでももうないですよと、そんなばかな話があっていいものかと、こう思うんですけれど、まずこの辺どうですか。とにかく短い時間しかないので簡潔に答えてください。
  60. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) その事実、事態の報告を昨夜私受けまして……
  61. 山中郁子

    山中郁子君 もうちょっと大きい声で話して。
  62. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) 今先生指摘の事実、事態を昨夜報告を受けまして、正直申し上げて、年賀はがき販売のあり方として困ったということで愕然としたというのが私の本当の気持ちでございます。  そこで、調査してみたのですけれども、今若干先生お話にも触れてありましたけれども、近畿郵政局以外の郵政局における予約の方法というのは、各郵便局がそれぞれ自局窓口の販売分を一定量、例えば局によっては発売関始から数日分だとか、あるいは配分枚数の約二割程度はとっておくとか、そういう確保をした上でもって、その残の範囲内でもって予約活動を行うということ、ほかの郵政局ではこうしております。そこで、予約の段階で自局割り当て数量を完売してしまうという事例はこれまでになかったというのが実態でございます。  近畿郵政管内では今回初めて統一的な予約活動を行いました。それはなぜかといいますと、近畿管内で例年寄附金つき年賀はがきが完売されるのは十二月の中旬だものですから、そこで予約数量に制約を設けずに予約活動を行ったというのが実態でございます。ところが、今年度は予想以上に好評だったために、自局の割り当て枚数、割り当て数量を予約で完売してしまったということで、私ども反省いたしますに、やはり予約活動に当たっては、お客様の需要に十分な見通しを立てるとともに、自局窓口の販売分を一定量確保するなどの方法についてもっと万全な配慮をなすべきだったのじゃないかということで反省いたしております。
  63. 山中郁子

    山中郁子君 私が申し上げて愕然とされるんじゃ困るんですよ。  これは、近畿郵政局が何しているかというと、これももう少しちょっと正確に調査していただきたいんですが、どうしてこういう事態になったかというと、全戸配布したんですと。どういう形で全戸配布したか知りませんよ。まだ直接私は具体的に把握できていないんですけれど、とにかく多分新聞折り込みか何かなんでしょうね、きっと。それともあるいは個別に何か、折り込みじゃなくて、こういうものを各戸にみんな配布していったんでしょう。それは何を配布したかというと、要するに予約してくださいと、予約しなきゃ買えませんよと言わんばかりの内容の何かそういうことをしたらしいんです。それで、その時点でもう市民の人たちからは、国民の側からは、じゃ年賀はがきは予約しなきゃ買えないのかという、何というのか、疑問とか不信とか批判とかがかなり殺到したらしいんですよ。そういうことが組織的に行われているのに、郵政省がそういうことを全然把握しないで、私がちょっとこのことを申し上げて愕然とされたんじゃ本当困るんだけれども、本当にそういうこと御存じなくてやっているんですか。  と同時に、私もう一つはっきりさせたいのは、予約というのはそもそも、今もちょっと郵務局長触れられたんじゃないかと思うんですけれども、よく聞き取れなかったんですが、売れ残ったら困るという、なるべくたくさん売りたいという気持ちで予約をとるとか見当をつけるとか、そういうことだと思うんですけれど、完売なんというのはわかるわけでしょう。売り始めて、予約とり始めたら、これは人気があるからこのままいったら、完売すればもちろんわかるし、ぐあいからいったって、あっ、これは少し残しておかなきゃ窓口でもって売るものがなくなるなということぐらいは判断がつくと思うんですよね。そういうことを一体どう考えているのか。常識の範囲で判断できることだと思うんですけれど、そういうことはどうなっているんですか。予約販売というのはどういう趣旨でやり始めたのかということなんです。
  64. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) 年賀はがきの購買の予約活動でございますが、これは営業活動の一環といたしまして、昭和五十八年ごろからチラシ類の配布、職員による一声運動、そういったことによって事前に幅広く周知し、購入を希望されるお客様の便宜を図ってきたというものでございます。  そこで、こうした郵便事業の主要商品の予約制度というものは、やはりお客様の利便、販売促進の視点から事業運営上必要なものだというふうに私ども考えておりますが、しかし、具体的な予約の進め方に当たりましては、発売日以降の窓口販売分を一定量確保するための施策を講ずることによってお客様に迷惑をかけないように配意すべきは当然でございまして、なお詳しくこの実態、実例を調査いたしまして、注意すべきは注意指導を徹底してまいりたいというふうに考えております。
  65. 山中郁子

    山中郁子君 それで、新聞でも指摘しているんですけれども、企業が大量に予約で買っているとか、あるいはここで述べているんですが、解散総選挙を控えた代議士先生が大量に注文するケースもあるというようなことが両方の新聞でも出ています。大量に予約するというのは大体どのくらい大量に予約するんですか。そういう人がきっとたくさんいるんでしょう、企業なんかでも。
  66. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) 調査しました結果によりますと、結論的に申しますと、今回の予約のほとんどが小口のお客様であったということが判明しております。  ちなみに、予約件数が全体で千三百九十三件ですが、一万枚以上の大口予約というのは四十一円の年賀はがきについて八十件ということで、そのパーセンテージからいって特に大口の人が買い占めたということはなかったんじゃないかというふうに考えております。
  67. 山中郁子

    山中郁子君 一番たくさん買ったのはだれ、何枚。
  68. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) そこまでは承知しておりませんけれども、一万枚以上の大口予約が八十件。  全体像を描くために数字を申し上げますと、今報道に報じられました大阪中央郵便局予約状況を見てみますと、年賀はがき配分枚数が千六百五十四万枚ですが、十月三十日現在の予約枚数が五百十三万枚。そこで、十月三十日現在の予約率三一%ということで、十月三十日現在の予約件数が先ほど申し上げましたように千三百九十三件ということで、一件当たりの平均予約枚数を計算いたしますと三千六百八十五枚。それから、これを今度一万枚以上の大口予約件数について見ますと、四十一円のみで八十件、約百五十万枚ということになっております。また、一件当たりの最高予約枚数ですが……
  69. 山中郁子

    山中郁子君 そういうことを聞いていないからいいです。  これで最後になりますが、きのうも私お願いしたのは、企業なりなんなり、一人というか、そういうところで最高でどのくらい買う人がいるのか、そういうことを教えてほしい。今あなたがお答えいただいたことも教えていただくことはありがたいので、それをお願いしてあったので、そういうこともちょっと後ほど資料として出していただきたい。  それで最後に、もう最後になるんですけれども、大臣にこれはぜひ御検討方、改善方をお約束いただきたいと思うんですが、例えば飛行機の切符だって、お正月、年末年始、用意ドンでもって買うためにみんなすごい苦労しているわけですよ、朝早くから並んだりとか。要するにスタートラインは公平にフェアでやらなければ、必ずそれはみんな不平不満が起こるわけでしょう。JRの切符なんかもそうでしょう。そういうところで必ず問題が起こるのに、こういうふうにして宣伝しておいて、さあ今度はこういう年賀はがきを出しますよ、出しますよ、二日から売り出しですよといって、それでみんなが買いに行くでしょう、二日に売り出しだというから一生懸命買いに行ったらもう全部予約で完売ですというのじゃちょっとフェアでないし、郵政行政としてはお年玉つき年賀はがきというのは一つの目玉、目玉商品というのはおかしいけれども、そういう性格を持っているものでもありますから、これは何らかの形での国民が納得できる善処方を研究もいただき、改善を図っていただきたいということを強く要望いたしますが、いかがでしょうか。
  70. 大石千八

    国務大臣大石千八君) 私も今のことは初めて実は承りまして、結論からいえば大変残念なことだと。それは、お客さんの立場になってみれば当然そうだというふうに認識をいたしました。  しかし、年賀はがきで青田刈りみたいなものがあるとは私も想像もできなかったものですから、実は日本人のたくましさに改めてびっくりしているわけでございますが、しかし、郵政省としては売れないときのことも当然心配になるということは一方にあろうと思いますので、その辺のところはさらに見誤りのないように、それから、あくまでも公平という見地からしっかりこれからそういった点を研究していかなければならないという認識を持ちましたが、何せ今初めて知ったことでございますので、深いことに関してちょっと勉強が足りませんので、その点は御理解いただきたいと思いますが、確かに今のお話はこれは仕方がないということで済まされない問題だというふうに認識をしております。
  71. 山中郁子

    山中郁子君 終わります。
  72. 足立良平

    足立良平君 逓信委員会質問させていただくのは私実は初めてでございますので、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  古来、「情けは人のためならず」という言葉がございますが、最近の若い人たちの解釈の仕方というのは古来の解釈から全然変わってまいりまして、情けを人にかけることはその人のためにならない、こういうふうな解釈になってきているようでございます。そういう面で私は、このお年玉のはがきで社会福祉のため、あるいはまた社会的に困っている人たちのために補助をしていく、こういう気持ちを全国民が持っていくということは、これからの潤いのある社会をつくっていくためには大変に必要なことではないか、こういうふうに私は思っているわけでございまして、そういう観点で、この法案につきましても私は賛成をする立場で二、三質問をさせていただきたい、このように思うわけでございます。  実は、この一部を改正する法案につきましてずっと拝見をいたしておりまして私はっと思ったわけでございますが、例えばの点でございますが、従来、結核の問題についてこれの治療の補助をしていく、こういうことになっているわけでございますが、さらに今回、予防等について行う事業についてもこれはひとつやっていこう、こういう感じで実は出てきております。  昭和二十年代あるいはまた三十年代の前半でございますとそれなりに、例えば国民病と言われた結核事業等については相当いろんな問題点がある、こういうものにこのお年玉からひとつ補助をしていこうということは大変な意義があったと思うんですけれども、今日の状況では、確かに老人結核とかいろんな問題、若干ございますけれども、社会的に相当変化してきた。そういうふうな問題でさらにこれを継続するということに当たっての郵政省として検討をされました過程、その辺のところをちょっとお聞かせ願いたいというふうに思います。
  73. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) 先生から御指摘がありましたとおり、結核は昭和二十五年まで我が国の死亡原因の第一位を占め続けまして、私の子供のころにも発病後二年以内ぐらいで半数の人が死んでしまうんだというような恐ろしいイメージを持っていたわけなんですけれども、ストレプトマイシンとかカナマイシンなど結核に有効な薬剤が次々と登場いたしまして、昭和二十五年当時に比べますと昭和六十二年現在で死亡者数は三十分の一に減少しております。また、死亡原因別のランクづけで言いますと第十六位になっております。  これは縦並びなんですけれども、今度は横並びで先進諸国の中の比較を見てみますと、我が国の肺結核による死亡率はまだ依然として高いという見方もできるわけでございまして、昭和五十九年現在の統計資料ですが、最も低いオランダの約二十倍、アメリカの約六倍となっております。これは我が国では七十歳以上の高齢者の結核患者が多いことが影響しているというふうに言われております。そこで、また慎重に考えてみますと、これから長寿社会を迎えますので、高齢者の肺結核の治療及び予防の重要性というのはまだ薄れてはいないだろうというふうに考えられるのではないかというふうに考えております。  今回の法改正に当たりましても、既存の配分対象団体に当たるものにつきまして結核の例のようにいろいろな観点から検討を行ったわけでございますけれども、この肺結核については、先生指摘のとおり我が国という縦並びからいうと相対的に配分対象としての比重が低下してきたということは言えるんですけれども、まだ先ほど申し上げたような観点から依然として社会的要請があるということで、削除という措置を講ずるまでの理由は現時点ではまだ無理じゃないかという判断をいたしたのでございます。
  74. 足立良平

    足立良平君 ずっとそれぞれの項目等を拝見しておりまして、一般的に、先ほど来先輩の委員の皆さん方も御指摘でございますけれども、一たん決定をいたしますと、その配付先等につきましては大変硬直的な感じを実は私受けるわけでございまして、そういう面では社会の変化、あるいはまた医療技術の変化、いろんな変化の中でもう少し弾力的な取り扱いをしていく。単にそれは年賀状の発売枚数がふえる、そしてその原資がふえるからそれを重点的に配分するというだけにとどまらずに、もう少し社会の変化に順応できるように弾力的な取り扱いをしていくということが必要なのではなかろうか、こんな感じを実は私受けるわけでございまして、それぞれ先輩の各委員の皆さん方もその論点で既に質問をされておりますから、私はそのことだけを申し上げさせていただきたい、このように思うわけでございます。  そして、その上に立ちまして、若干年賀状から外れるかもしれませんけれども、少しお聞きをしておきたいというふうに思うわけでございます。実は年賀状も若干関係いたしますが、よく正月といいますか、一月の三日か四日あるいは十日前後くらいに、マスコミ等でよく散見をしますけれども、郵政省側からすると若干問題あるのかもしれませんが、年賀はがきの束が溝のところにほかされて放置されていたとか落とされていたとか、あるいは出したつもりが全然来ないとかいうことも若干出てきたりいたすわけでございまして、最近、一般の郵便等につきましては大変迅速に配付をされているということも私は承知をいたしているわけでございますが、そういう前提で考えてみましても、これは郵便本来の仕事という観点からいたしまして、郵政省としてこの利用者のニーズに合わせて一体どのようなサービス改善というものをこれから行われようとしているのか、こういう点につきましてちょっとお聞きをいたしたいと思います。
  75. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) お答え申し上げます。  冒頭先生がおっしゃったとおり、私どもやはり日常の業務運行がきちんと行き届くことが原点でなければならないということをさらに戒めてまいりたいと思うわけですが、今後のサービス改善のあり方とか方向についてのお尋ねについてお答えさせていただきますと、郵便事業はこれまで情報化が急進展する、また民間宅配便が伸長するというようなことで競合、競争関係が非常に厳しくなっている中で、多様化、高度化するお客様のニーズに応じてさまざまなサービス改善を行ってきたわけでございます。  その観点として、料金の低廉性だとか、サービスの迅速性とか確実性、利便性というようなことに着目した施策を講じてきたわけでございますけれども、郵務局長に着任して子細に冷静に点検してみますと、現行法令の中でのサービス改善はここ数年間で郵務局を中心にかなり質量ともに努力をしてやっているというのが私の印象で、よくやってきたなという感じでございますが、これ以上時代進展に合わせた郵便事業改善、改革をしようと思うと、現行法令自体を各界の理解を得つつどういうふうに改正していくか、そこにいよいよ取り組まなきゃいけない時期に入っていると思います。  そういう意味で、私どもが来年度の予算要求で掲げております重要施策事項というのは各省庁ともいろいろ絡み合う、そこに今果敢に挑戦しながらしているということで、それが一歩、二歩、三歩と実現していきますと、今度は質的にまた今までと違った、やっぱり郵便局があってよかったな、郵便制度があってよかったなという制度改正につながっていくじゃないかということで日夜頑張っているところでございます。
  76. 足立良平

    足立良平君 最後でございますけれども、先ほど来ずっといろんな資料等を調査いたしておりますと、近年におきましては郵便物も相当急増してきている、あるいは業務運行もそういう中において極めて大変な状況になってきているというふうに承知をいたしているわけでございますけれども、その現状と、そして今後郵政省としてそういう観点からどういう対策をとっていこうとされているのか、これを最後にちょっとお聞きいたしておきたい、こう思います。
  77. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) 私どもの最大の責務というのは、さっき先生がおっしゃった基本的な郵便サービスを安定的に提供することだというふうに考えて、そのための努力をこれまで積み重ねてきたわけでございますが、その結果、全国的にはおおむね業務運行を順調に推持しております。  ところで、今ちょっと心配になってきましたのは、経済の好況と相まちまして最近郵便物数は非常にふえてきているわけなんですが、特に人口、世帯の増加が著しい東京、関東、近畿の各郵政管内の一部の郵便局では、郵便物を迅速、的確に処理する郵便局の体制の整備地域発展とそれに伴う郵便物の増加に十分対応し切れない状況が出てきているというふうに判断しなきゃいけないんじゃないかというふうに考えております。そういったことからお客様に御迷惑をかけることのないように努力しなきゃいけないという気持ちが今強くなっているところでございます。  そこで、この急増する郵便物を効率的に処理し、安定したサービス提供するために、これまでも、またこれからもそうですが、創意工夫を凝らした作業方法の改善を行ってきましたし、また行っていこうというふうに考えているわけです。ところが、やはり作業方法の改善だけでは急増する郵便物の迅速、的確な処理のための根本的な解決とはなり得ない段階に来ているんじゃないかという直観がいたしております。  そこで、平成年度の予算要求におきましては、初めての出し方ですが、郵便事業運営基盤の整備充実等に資するという施策の一環として郵便物の増加に対応する要員の配置というものを要求いたしまして、必要な定員、超過勤務手当、非常勤職員の雇用経費、集配運送費の増加というようなことを図るべく今真剣に関係省庁と努力をしているところでございます。
  78. 足立良平

    足立良平君 終わります。     ─────────────
  79. 青木薪次

    委員長青木薪次君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、宮田輝君が委員を辞任され、その補欠として尾辻秀久君が選任されました。     ─────────────
  80. 平野清

    平野清君 最初に、大臣から慎重な御審議をいただきますという御発言がありましたけれども、たった十分ですのでとても慎重にやっていられませんから、五問用意しましたけれども、最低三間はできるかなと思っておりますので、簡潔な御回答をお願いしたいと思います。  配分方法につきましては諸委員から御発言がありまして、私も本当に原点に返って、貧しい人にも重点的に配分されることがこの寄附金つきはがきの原点だと思いますので、その原点から余りはみ出ないようにしていただきたいというふうに思います。この問題は皆さんおっしゃいましたが、そうは言ってもいろいろ範囲拡大してまいりました。  その中で、郵政省所管の問題を見てみましたら、何かないようなんですね。先ほども手紙の重要性ということが訴えられましたけれども、国際文通ということも大変なこれからの日本を理解してもらうために重要な問題になってくると思います。特に、発展途上国の子供たちと日本の子供たちと文通をさせたらお互いに人類的な理解ができるんじゃないかと思いますが、自分のところで集められた寄附金が自分の所管の中で使うことに異議があるからこういうことがやれないのか。ぜひ国際文通にもそういう配分をしたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。
  81. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) 郵務局長としての私の立場からして非常にありがたい御指摘、御発言をいただいたわけですが、お年玉法の第五条第二項に定める「青少年の健全な育成のための社会教育を行う団体」というのが規定されているわけですが、その団体として現在郵政大臣が所管しております日本郵便友の会協会というのがあるんですけれども、ここが青少年の文通の促進、指導を行っているわけでございますが、ここに対しまして昭和五十五年十二月の法改正に伴いまして昭和五十六年から寄附金配分しております。同協会は、国内文通とともに国際文通のあっせんもその事業の中には掲げられているんですけれども、その業務の実態を私どもなおこれからよく調べまして、今、時代の流れ、特に国際化の潮流というのは非常に激しいですから、昔の考え方、昔の対応でよかったかどうかということをさらに検討しなきゃいけませんから、国際化の潮流の中でなお同協会が一層国際文通を促進する役割を果たせるかどうか、果たさなきゃいけないということで、今の先生お話趣旨を十分踏まえて、その方面の配分充実のあり方について検討をしてまいりたいと思います。
  82. 平野清

    平野清君 交付を受けたい団体事業計画に基づいて幾ら幾ら欲しいという申請をすると思います。  聞くところによりますと、全額出るもの、何十%出るもの、わずか一〇%ぐらいしか出ないもの、いろいろあるように思いますが、大きな団体が一億なら一億欲しい、そういうことはないと思います。六千万なら六千万欲しいと言いますと、二千万円ぐらいは自己資金がなければ出さないというような場合もあると思います。福祉団体等から二百万円の例えば身体障害者用の車を欲しいといったときに、仮に百十万円か百二十万円しかおりないと、その団体は大変な負担をして車を購入するということになるわけです。その査定というのはどういうふうにやっていらっしゃるのか。
  83. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) お尋ねの査定の基準として私どもが思っておりますことは、一つ事業計画の必要性、重要性が高いということ。二つ目が新規申請団体に対してはできるだけ配分するように配意したいということ。特に必要な場合を除いて特定の団体に対して毎年継続的に配分することはしないということ。事業基礎額が小さいものを除きまして、幾らかでも自己の負担金を準備していただくことということでこれまで審査してきたというふうに聞いておりますけれども、実際の配分の方法に当たりましては、やはり事業目的、性格、計画などによって個々の団体ごとに判断する必要があると考えておりますので、今先生がおっしゃったような趣旨も今後の配分に当たって十分生かさせていただきたいというふうに考えております。
  84. 平野清

    平野清君 この寄附金国民の善意で集められたのですから、厳重な審査とかいろんな面倒な手続を経て申請者に行くのは当然だと思いますけれども、いただくまでに余りにも煩雑な事務手続が必要だったり、実際に申し込んでから交付金を手にするまでの期間が余りに長くてはありがたみも減ってしまうと思うのです。  私、たまたま理事長をやっている友達が福祉団体におりまして、この寄附金の金額から何がしかのお金をいただいたわけですけれども、それに伴う書類が簡単なもので八つございます。それで、実際に申請してから事業が終わりますまでの年表、年表といいますか、あれをつくらせましたらこんなに長くなりました。(資料を示す)某大商社のそういう同じような寄附金、助成金をやっている団体がございます。わずかこれだけでございます。出す書類もたったこれ一枚です、大商社。  なぜかといいますと、この大商社の社会福祉助成金というのは調査部を持っていまして、申請が来ましたら、ここの調査部員がこの団体はどういう団体で過去にどういう省庁からどういう表彰を受けてどういう作業をしているかを一気に調べてしまうわけです。ですから、この商社の場合は十一月十日に助成金が決まったという通知を出しております。そうしましたら十二月四日にはもう振り込まれておるわけです。郵政省の場合は、五月十日に地元の郵便局で交付金の伝達式が行われた。その局の局長さんは初めてだったので紅白の幕を出して、その理事長を呼んで華々しく伝達式を行った。しかし実際に振り込みの通知が来たのは何と九月二十五日。事務局長が一々何回か行きました、浦和郵便局に行きました、どこへ行きました、どこへ行きました、こういう書類を出しました、これだけ長くなるんです。もう一度言いますと、民間団体はたったこれだけでございます。  それは確かに国民の善意ですから、きちっとやらないでいいかげんなところへ行ったらそれはもう大変なことになります。その意味はわかりますけれども、調査期間というのか、何かもうちょっと敏速に対応をして、百万なら百万もらったら本当にありがたいなというような感じを起こさせるのが寄附金趣旨だと思うんですよね。余り長くなってしまって、しかも現物を買った後じゃないと金が来ないシステムになっています。そうしますと、五月に郵便局長から伝達式があったから、目録もらったからといってすぐ買うわけです。そうすると、九月まで金が来ないですから、喜んで車を買った何カ月間は自分たちの資金で買っているわけです。こういう事務の煩雑さの改善について何かお考えがあったらお願いしたいと思います。
  85. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) お答え申し上げます。  世の中の物事は複雑よりは簡素がずっといい、それから遅いよりは速い方がずっといいというふうに個人的に考えております。そういう意味で、この種の施策というのは最終的にありがたみを感じていただけるかどうかということに尽きると思いますので、今後事務処理の実態を的確に把握しました上で迅速で円滑な処理ができますよう、恐らく今まで事務処理の抜本的な簡素化はなされていないんじゃないかという予感もいたしますので、事務処理の抜本的な簡素化をこれから真剣に検討いたしまして、処理日数の短縮を確実に図ってまいりたいというふうに考えています。
  86. 平野清

    平野清君 終わります。
  87. 沢田一精

    沢田一精君 今まで出なかった問題について一、二お伺いをいたしたいと思いますが、先ほども時代は大きく変わりつつあるというお話が出ておったわけですが、このお年玉はがきの賞品の中身等についてもやはり時代進展に即して改善を行うと申しますか、検討が加えられてしかるべきではないだろうか。できるだけ魅力のある賞品を提供していただくということによってさらに需要もふえるだろう、こう思うわけなんです。正直に申しましてなかなか当たらない。もっと広く薄く、皆さんが正月ですから楽しみになって、そして期待を持てるようなことをお考えになったらどうだろうか、こう考えるわけなんです。もちろん、一等、二等、目玉になるような内容も検討さるべきだろうと思いますが、私は、やはり広く皆さん方にできるだけ期待を持たせるようなそういう賞品をひとつ提供していただいたならばと、こう考えます。いかがですか。  それと、一昨年ですか、改正されたはずですが、くじつき郵便切手の発行についてどう郵政省はお考えになっておるのか、お伺いをいたします。
  88. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) 先生の御発言趣旨と軌を一にすることを既に着手し始めておりまして、非常にうれしく思っておりますが、お年玉つき年賀はがきの制度につきましては昭和二十四年から実施されているんですけれども、お年玉賞品の内容の抜本的見直しというのはこれまでなされておりませんでした。そこで、このたび我が国国際化の問題だとか、お客様のニーズが多様化、個性化しているとか、そういったことを考えまして、その辺にこたえるために、一等及び二等の賞品につきましては、一つの等級につき従来は一点の賞品だったんですけれども、そういった賞品設定の方法を改めまして、複数の賞品の中からお客様に選定していただくということで、なおかつ、その複数の中身も、なるべく利用者の皆さんが欲しがる、魅力を感じる、そういう賞品をそろえた施策をいたしました。  例えば、一等賞品についてでございますけれども、昨年は海外旅行券のみでございましたけれども、この次からは海外旅行券または衛星放送受信回路内蔵型AVテレビのどちらかということで二者択一にしたわけでございます。それから二等賞品もこれまでの一点主義から変えて、貿易摩擦緩和施策の一環という意味も込めまして、グラスセットとか高級万年筆とか、そういった外国製品五点の中から一点を選択していただくといういわば五者択一方式としたとか、あるいは三等賞品につきましては、これはふるさと小包が好評なので好評なものまで変える必要はありませんから変えておりませんが、四等賞品については従来は手紙セットでありましたけれども、これに代えて、本年度からは地方切手を新たに発行したことにちなみまして数種の地方切手シートを組み合わせるというような改善をお年玉はがき制度発足以来初めてこの次から実行することにいたしております。  なお、今の先生お話と精神を一にするのでございますけれども、やはりお年玉はがきを皆さん方に喜んでいただくために、従来は一月十五日に抽せんしまして賞品を交付するのが一月二十日なんですけれども、そうすると、せっかくお年寄りや子供さんが当たった、当たったと喜んで郵便局にすぐ行ってもないわけです。そこで、この次から抽せんの翌日の一月十六日からお当てになりました賞品は交付するようにいたしました。そういう改善点を加えました。  それから最後お尋ねのくじつき切手でございますけれども、本年の十二月一日から二千万枚を発行するということで今準備を進めております。  以上でございます。
  89. 沢田一精

    沢田一精君 もう一つお伺いしますが、地方振興郵便事業とのかかわり合い、特に過疎地域の振興のために国はいろんな施策をとっておるわけでございますが、郵便事業関係でも大いにひとつ今後そういう観点を頭に置いて検討をしていただきたい。  具体的な問題でございますが、さっきの調査報告にもございましたが、私も北海道渡島当別郵便局を視察いたしまして非常に感心をいたしました。あれはJR駅との共同でございますけれども、全国各地にはもっともっと過疎地域、例えば第三セクターで、民営で鉄道事業を経営してその採算がなかなかとれないという地域もたくさんありますが、郵政省とされましては、ああいった渡島当別郵便局のような方式、これを今後積極的に助成し推進していかれるおつもりであるかどうかということをひとつお伺いしておきたいと思います。  もう一つは、六千四百品目のふるさと小包、品目は非常に多種多様になってきたようでございますが、問題は、今後大切なことは質の向上ということだろうと思います。物珍しく一遍は注文をするけれども、中身は大したことないというのが間々あるようでございますが、もっともっと郵政事業として本格的に伸ばしていこうとされるのであれば、本当に地方団体あるいは生産者グループと緊密に連携をとってみんなから喜ばれるような質の高いふるさと小包に一層ひとつ努力をしてもらいたい、こう思いますが、いかがですか。
  90. 小野沢知之

    政府委員小野沢知之君) まず、個別問題として先生お話にありました渡島当別の郵便局と駅の合築の問題ですけれども、条件を整備して推進してまいりたいというふうに考えております。  それから過疎地域の振興対策郵便事業のかかわりをどう持っていくかということと、ふるさと小包充実ということの二点のお尋ねですが、今度予算要求するに当たりましては、初めて両方とも重要施策事項の項目に掲げました。過疎地域の振興ということを郵便事業関係の予算要求の項目に堂々と掲げました。そうしますと、大きな項目を掲げますといろんな施策、アイデアが浮かんでくるんですね。そこへくっつけていくということで、そういう意味で過疎地域の振興というものは私ども郵務局の一つのスローガンになっております。  それから、ふるさと小包関係ですけれども、今先生おっしゃったように、確かにこれから量じゃなくて質の問題になっていくだろうというふうに考えております。そうすると、その辺の手法として何が大事かというと、やはりふるさと小包というのは、地方ですから、今お話にありましたように、地方自治体との連携とか、あるいは地域の有識者等の支援を得るとか、その辺のことが大事なので、この辺の幾つかの施策も予算の重要施策の中に入れて今要求中でございます。そういう意味で我が意を強くしているところでございます。
  91. 沢田一精

    沢田一精君 終わります。
  92. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 他に発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  お年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  94. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  松前君から発言を求められておりますので、これを許します。松前君。
  95. 松前達郎

    松前達郎君 私は、ただいま可決されましたお年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ国民連合、参院クラブの各派及び各派に属しない議員沢田一精君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     お年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。  一 お年玉付郵便葉書等寄附金配分に当たっては、社会的要請に応えるとともに、寄附金国民の貴重な善意に基づくものであることを踏まえ、今後とも適正に行われるよう配意すること。  一 手紙のもつ文化的・教育的意義にかんがみ、文通活動の啓発等をとおして、手紙文化の普及・振興に一層努力すること。  一 郵便事業は、国営事業として、時代進展に適切に対応するため、郵便局のネットワークを活用し、地域住民の利便の向上と地域社会振興に資する諸施策を積極的に講ずること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  96. 青木薪次

    委員長青木薪次君) ただいま松前君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  97. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 全会一致と認めます。よって、松前提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、大石郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大石郵政大臣
  98. 大石千八

    国務大臣大石千八君) ただいまお年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正する法律案を可決していただき、厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重して今後の郵便事業運営に当たりたいと存じます。まことにありがとうございました。
  99. 青木薪次

    委員長青木薪次君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  101. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 次に、電波法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。大石郵政大臣
  102. 大石千八

    国務大臣大石千八君) 電波法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における無線通信技術の進歩等に対処するため、主任無線従事者制度に関する規定を定める等無線従事者に関し所要の措置を講ずるとともに、国際電気通信条約に附属する無線通信規則等の改正に伴い、船舶地球局等の運用要件を整備する等のため所要の改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案概要を御説明申し上げます。  まず第一に、無線従事者でなければ行ってはならないことととされている無線局の無線設備の操作について、免許人により選任されその届け出がされた主任無線従事者の監督のもとであれば、無資格者も行えることとしております。  第二に、免許人は、主任無線従事者に定期講習を受けさせることとするとともに、郵政大臣は、その指定する者(指定講習機関)に当該定期講習の事務を行わせることができることとしております。  第三に、無線従事者の資格の区分を陸上、海上及び航空における電波利用の実態に応じたものに改め、あわせて資格の名称も改めることとしております。  第四に、指定試験機関に行わせることができる無線従事者国家試験の実施に関する事務について、現在一定の範囲に限られているものを全部または一部に拡充することとしております。  第五に、船舶地球局及び航空機地球局に関し、これらの無線局が遭難通信等を取り扱う無線局として位置づけられることから、当該無線局の免許手続に関する規定を整備することとしております。  第六に、遭難通信等について、新たな海上安全システム対応した方法により行う無線通信を含めることとしております。  第七に、公衆通信等の疎通を確保するため、海岸地球局、航空地球局等の運用義務時間を定めることとしております。  第八に、遭難通信等の疎通を確保するため、船舶地球局、航空機地球局等の聴守義務を定めるとともに、遭難通信等に関する運用手続を整備することとしております。  以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律案の施行期日につきましては、無線従事者に関する部分は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日、無線通信規則等の改正に伴う規定については、同規則等の発効期日等とすることとしておりましたが、本年十月三日及びインマルサット条約の改正が日本国について効力を生ずる日から施行することとしておりました部分は、衆議院においてこれを公布の日から施行することと修正されております。  以上が、この法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  103. 青木薪次

    委員長青木薪次君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  104. 及川一夫

    及川一夫君 郵政大臣には大変申しわけないんですけれども、質疑をするということになると、物には順序がありまして、その部分で全く郵政大臣がおいでにならないということになりますと、質問をしにくいだけじゃなしに、もし対立をしたらどうするかということなどもございまして、何となく飯が食べられないような時間になって大変恐縮なんでありますけれども、意のあるところを御理解いただきまして、したがって十分ということになっておりますから、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  まず、一番先にお聞きいたしたいのは、昨日衆議院の大蔵委員会で特に株価の問題が取り上げられたようであります。NTT株の株価の問題が取り上げられました。中を見てみますと、電通審の中間答申というものが発表されて以来値下がりを続けまして、約十万ほど、百三十五万円に値下がってしまった。そこで、大蔵の持ち株が今約一千万株強あるんですが、それを評価損ということで計算をすると幾らになるか。政府としては一兆五千億ということになる、そういう報告が理財局長の方からもございました。これは政府だけが損しているわけじゃないんで、株主が全部損をしている。損の仕方は段階があるでしょうけれどもね。これがもし中間答申ということに仮に原因があるとすればやはり大変だなと思うのです。  しかも、内容的には三論併記のような形になっていることは私も承知はしているんですが、マスコミの評価はどう見ても分割ということにつながっていくものですから、中間答申が出る以前からのさまざまな出来事もありますので、何となく株価にいろんな意味での影響を与えて損害が出ている。株というのは本来そういうものだと割り切ってしまえばそれまでなんですけれども、何といっても単位が大分違うようですので、そういった点で我々の一挙手一投足いろんなことに関係をするので、当然そういう配慮も必要ではないかというふうに思っておるんですが、郵政大臣として、昨日の大蔵委員会の議論をお聞きになっているかどうかということと、お聞きになっているとすれば一体どんな感想というものをお持ちになっているか、それをお伺いしたい。
  105. 大石千八

    国務大臣大石千八君) 昨日は、私は衆議院のパチンコ問題等に関する質疑の方へ出るという、どこからの命令かわかりませんが、そういうことになっておりましたので、そちらの方に出席をしておりました関係で大蔵委員会には出席ができませんでした。ただ、ちょうど昼休みの時間、午後一時のニュースのときに、電気通信局長が答弁をしているところを偶然ニュースで見まして、ある程度のことはわかっておるつもりでございます。  NTTの株の問題に関しましては、もちろん郵政省としても無関心というわけではないわけでございますけれども、郵政省といたしましては、昨年の三月十八日に今後の電気通信産業のあり方について電気通信審議会に諮問し、電気通信審議会に小委員会を三つつくって御審議いただいておる、それが十月二日に中間答申をしていただいたということでございます。  この答申の内容につきましては、NTTのあり方について経営上の問題点、あるいは公正有効競争上の問題点を幅広く検討していただいているが、その解決方法に関しましては複数の方策を並列的に提示しておられるということでありまして、問題点を指摘していただき、改善の方法論を並べていただいたということでございますので、まだ答申の方向づけというものは全く出ていないというふうに認識をしておるところでございます。報道の仕方、いろんな面が確かに株価に及ぼす影響もあろうとは思いますが、郵政省としてはそういった電気通信審議会の審議、そしてその指針をやはり重要視していかなきゃならないというふうに考えておるわけでございます。  また、御指摘の株価等配慮すべき点についても、例えば再編成による株価への影響や株主保護の検討の必要性について御指摘いただいているように、組織再編成の問題点の考察、組織再編成にかかわる検討事項という形で幾つかの点を整理して御提示いただいておりまして、今後議論を深めていく上での十分な素材が提供されたものと考えております。つまり、株価の問題に関しましても、こうすべきだという結論はもちろん出ておりませんが、株価に関してはこういった検討が必要だというようなメニューは当然提出していただいておるわけでございます。  NTTのあり方については、現在、電気通信審議会において中間答申を踏まえつつ、さらに深めた審議が行われているところでありまして、あくまでも郵政省としてはこの審議を見守っていきたいという考えでおるところでございます。
  106. 及川一夫

    及川一夫君 この問題で時間をそう費やそうとは思いません。いずれにしても、郵政大臣に就任されて所信もお伺いする機会がこれから先あろうと思うんです、一般討論的な意味で。その際にも少し論議を交わしたいというふうに思います。  そこで、もう一点だけ電波法の問題に関係しまして大臣の意思を確かめておきたいんですが、今回の電波法の改正というのは、いわゆる無線通信士、こういう方々の職業というものを雇用という意味から削減していこう、そういうねらいがあって電波法の改正をしているんじゃないんだということだと私は受けとめたいんでありますが、その一点だけははっきりしておいてもらいたいと思う。  というのは、現在の海運業界の競争の激しさ、厳しさというものがありますから、とにかくそれに打ち勝つためにはいろんな意味での機械化、合理化をしていかなきゃいかぬ。俗に言えば人件費をどんどん詰めていかなきゃいかぬというのが何となく存在をしている。そういう中で電波法の改正が、今まではかくかくしかじかの資格を持った人間でなければ手をつけていかぬというのに、今度はそういう資格者がおればもうずばり無資格の人でもだれでもいいよ、さわっても何でもいいよ、監督さえいればと、こう変わるものですから、やはりその受けとめ方としては、何か無資格でもできるようなところにどんどん要するに持っていこうと、監督者は要らない、有資格者は要らない、こういうふうにつながっていくような意味で受け取られる方々もかなりおられるわけです。ですから、船主のためになどということとか、あるいは、いや労働者の雇用を狭めりゃいいんだと。そういうことをねらって今回の法律というものが改正を打ち出しているんではないというふうに受けとめたいのですが、よろしゅうございますか。
  107. 大石千八

    国務大臣大石千八君) 今の御質問はほかの部分でお答えするようになっていたような気がいたしまして、その資料を探すのにちょっと時間がかかりますので的確な御答弁にならないかもしれませんが、私がちょっとこのことに関して勉強させていただいた記憶によりますと、とにかく今まで雇用ができていたものが雇用ができなくなるというようなことにはならないように最大限の配慮をしておるということが基本的な問題であります。  それから船などに乗ってこういう仕事に従事している方は、むしろ非常にニーズが少なくなるというか、逆に専門家の方が少なくなって資格のある方だけをやると雇用が間に合わなくなるということでしょうか、そういった問題もあって、言ってみれば今の移り変わっていく、そういった雇用の問題とか仕事の問題の需給関係にアンバランスが出てきているということも一つの問題であろうというふうに思っております。  今回の電波法改正の目的は次の二つの事項がございますが、特に最近における無線通信技術の進歩に対応し、電波利用の一層の促進を図るため無線従事者制度を改める、こういうことと、それから、新しい全世界的な遭難通信システムの導入等に伴い国際電気通信条約附属無線通信規則が改正されたことによってその国内措置を図ること、つまりこういった国内外の時代の変化にこの電波法が適切に対応できるための改正でございまして、雇用ができなくなるという面にも配慮をした上で、主任無線従事者制度の導入により、単に無線設備の操作を担当していた無線従事者は無線設備の操作の監督という新たな職務に当たることとなって管理的な地位につくことも可能になることから職場における地位の向上が図られる。これは一面ですね、一面こういうこともあるということで、監督にならない人はどうかということになるわけでございますが、そちらの方も今申し上げましたとおりでございます。
  108. 及川一夫

    及川一夫君 いずれにしても、大臣には後半約三十分ほど出席できるように聞いておりますので、今の意見ですべて終わりでありませんけれども、おおむね我が方の意は通じているようでありますから、あと最後の方でひとつ確認をさせていただきます。  終わります。
  109. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 及川君の質疑の途中でありますが、午後一時三十分に再開することといたしまして、休憩いたします。    午後零時四十七分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  110. 青木薪次

    委員長青木薪次君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、電波法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  111. 及川一夫

    及川一夫君 大臣に出席を願って一応確認を求めたわけですが、政務次官もおられますので、別に無視しているわけじゃありませんから、政務次官にもお聞きしたい点もございます。そういう点で、最終的に後半三十分ぐらいは大臣予定としてはおいでになるようですから、そんなことを頭に置きながらひとつ提案内容について詰めてみたいと思います。  第一は、先ほどの大臣のお答えとも関係するんですが、要するに今回の法律の改正というのは、何といっても船の航行の安全ということが大変大きな問題だし、救難体制というものをいずれにしても充実強化をするという観点から、そのための機械化、合理化といいますか、そしてそれに伴う無線通信士や技士の配置ということが国際的にも論議になっているし、また一定の取り決めをしている。そのことが主題であって、何か雇用削減を図る、こういうねらいを電波法自体に持たせて、あるいはこれにかかわる諸規則に持たせて法の改正をやっているんじゃないんだということをそのとおりというふうに私は確認したいと思っているんです。  そうしなければ、もし仮に雇用減を図ってやったのはよかったけれども、あっちでもこっちでも船の遭難が起きたなんということになれば大変なことになるわけですから、やはり第一義的に安全確保、救難体制の充実というものをねらいとして今回の電波法の改正があるんだというふうに受けとめたい、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  112. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 大臣から冒頭に、ただいまの法律提案理由説明を幾つかの項目、総計八つばかりについて申し上げました。いろんな中身がございますので、お尋ねのような疑念が出てこようかと思うのであります。冒頭、先生から大臣に対しても同じ質問ございましたので、この点についてはっきり申し上げたいと思うのでありますが、今回の法改正は、御指摘のような雇用問題に照準を当ててそうした対策を立てようということは決して我々の念頭にないわけでございます。  改正が多岐にわたっておりますのですが、要約しますれば二つに整理ができる。一つは、御案内のとおり現在の電波法では電波の交通整理といいますか、むやみに混信が起きたりしては役目を達せないものでございますから、非常に厳格に無線通信を扱っておるわけであります。したがいまして、無線局の無線設備の操作というのは、その資格を持った有資格の者でなければ絶対扱ってはいけませんぞという、そういう大原則を貫いて今日まで来たわけでございますが、御案内のとおり最近の電子・通信技術の進歩というのは大変著しいものがございます。そういう意味で、無線設備に対する信頼性というものは、昔と比べれば比較にならぬほどレベルアップをいたしておりますし、それから自動化のシステムも随分進展をしてきておるわけであります。その一方で世の中全体に電波に対する需要は、御案内のとおりいろんなところに我々の生活に入り込んでおりまして、電波利用の増大といいますか、需要が非常にふえておって、結果的に無線局の数が急速にふえておりまして、現在日本での無線局というのはざっと五百万ございますが、これが三年間で百万ずつふえるという最近の傾向でもございます。  こういう最近の環境をめぐって、このままでは、今までのシステムでいけば無線従事者をいっぱい確保していかなければならない。このまままいりますと、一律に技術者の配置を求めるということが現在の社会情勢では非常に問題になる。そこで何かの対策を立てたいということで、先ほど申し上げましたいろんな技術進歩というものが背景にあるものでございますから、現在の制度を見直しまして主任無線従事者制度というのを入れまして、一定の条件のもとにあれば資格のない方が運用してもよろしい、それでも安全だと。しかし無条件にはいかぬから、そこで主任という制度を入れて全体としての調和を図っていこう。それからもう一つ、この機会に無線従事者の資格も改めよう、これも長いこと、これまでずっと従前の形でまいっておりますから、資格の取り方も容易にしよう、こういうことも入っておるわけでありますが、いずれにしても、こういう形で電波利用の一層の促進を図るために無線従事者制度を改める、これが一つのポイントでございます。  もう一点は、先ほどから及川先生お話のございますGMD SS、つまり、古いモールスで長いことやってまいりましたが、これも新しい技術開発を背景にGMDSS、余りふだん使いなれない言葉でございますが、これは御案内のとおり、グローバル・マリタイム・ディストレス・アンド・セーフティー・システムの略称で、新しい全世界的な海上の遭難安全通信システム、こういうことでございます。従前、モールスも大変重要な役割を果たしてきまして、例の御案内のSOS、これが海上安全に大変大きな役割を果たしてきたのですが、やはりどうしても長いこと続いてきただけにいろんな欠陥がある。  大変長くなって恐縮でございますが、冒頭の御疑問もございましたので、この際ちょっとあれですが、このモールスには一つは、同じ行き会っておっても一方が無線電話を持っている、一方が無線電信を持っている、モールスを持っているというんじゃお互いに連絡ができない。それから届く範囲に船がいないとSOSを出しても届かない。あるいは、いざというときに、最近よく見られますように突発的に一遍に船が沈んじゃったときにSOSを発信するいとまもない。こんなところに十分対応できないという欠陥がありましたので、御指摘のような新しい技術を、つまり衛星通信技術あるいはディジタル技術、こういったものをひとつ安全の対策に使おうじゃないか。これも随分長い議論をかけてようやく御案内のとおりITU、国際電気通信連合でございますが、それからもう一つはIMOという国際海事機関というところで十年かけて検討してこれでいこうということが最近決まった。こういうことで、これを我が国電波法にも受け入れてまいろう。  この二点が御指摘のとおり背景にある。これが改正の内容でございます。
  113. 及川一夫

    及川一夫君 ということは、一つの不安を持つ立場から考えれば、今言われたように、実際に資格を有する無線技術者というか通信士というか、今日の電波を使用するいろんなサービスとか安全装置とかいうものを考えていくと、トータル的にはむしろ少ないんだと。少ないから増の要素にどう対応するかということになれば、やはり監督を置けばできるというような人もやっていかないとそういう社会の条件に対応できないんだ、産業の条件に対応できないんだ、こういうようなものであって、何か無線通信士なら通信士の資格要件を下げてみたり、あるいはそれが仮に待遇につながっているとすれば待遇を下げるためにやるんであるとかそういうものではない、そんなことができるような条件にない。この数多く要求されている技術者とか通信士というものをどうするかということの方がむしろ大変なんであってというふうに私は受けとめられるわけです。そのことが明らかになれば少なくとも誤解に基づく不安というのは私はないという前提でこの電波法というものに対する個々の問題について質問を進めたいと思うのですが、端的に言ってそれでよろしいですか。
  114. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) おっしゃるように技術が大変進歩しておる、それから電波に対するニーズが非常に強くなった。こうした背景から従前の体制ではうまくいかないので、さらによりよく電波というものをみんなの生活に取り入れていこう、これがいわば終局の目的だ、そういう意味で、先生ただいまおっしゃったことと私どもの考えていることに基本的な原則において食い違いはないというふうに考える次第であります。
  115. 及川一夫

    及川一夫君 では具体的にお聞きをしたいのでありますが、まずSO LAS条約というのがございますね。これは海上における人命の安全に関する条約ということになるわけでありますけれども、このSO LAS条約は国際的な打ち合わせ、今日時点における問題点というものはもう取り決めをされたという前提に立つんですか。それとももう少し先にいってもう一度議論をする内容があるんだというふうに受けとめるべきなんでしょうか。これは運輸省になるかもしれませんけれども、運輸省の方おったらお答えいただきたいと思うのです。
  116. 山本孝

    説明員(山本孝君) 運輸省海上技術安全局安全基準管理官の山本でございます。  海上における人命の安全条約の改正条約というものは昨年十一月に採択されまして、平成四年二月一日からこの条約が発効することが確定しておりますので、現状におきまして世界的にこのGMDSS制度が取り入れられることは確定していると考えております。
  117. 及川一夫

    及川一夫君 それに基づく法律の改正というか整備、それは今回出されているんですか、いないんですか。
  118. 山本孝

    説明員(山本孝君) 現在、この関係法令でございます船舶安全法並びに船舶職員法の改正案はまだ今国会には提出しておりません。
  119. 及川一夫

    及川一夫君 今国会に出していない理由は何ですか。
  120. 山本孝

    説明員(山本孝君) 私ども現在、本件の関係法令の整備を進めます考え方といたしましては、この条約の改正部分、改正条約の発効が平成四年二月一日からでございますので、その時点において十分対応できるようにということで考えて現在鋭意改正のための作業を進めているところでございますが、今国会においてそのお願いをしなければ平成四年二月一日からの実施に間に合わないというような状況ではございませんでしたので、今国会には改正案の提出を見合わさせていただきました。
  121. 及川一夫

    及川一夫君 それならどのぐらいあれば間に合うのですか。それでいつ提案される予定を考えておられますか。
  122. 山本孝

    説明員(山本孝君) 現在のところ、まだこれは確定というわけではございませんけれども、私どもの目標といいますか、タイムリミットといいましょうか、そういうことで検討中でございますところは、来年末の開始予定通常国会には改正案を提案させていただきたいと考えております。
  123. 及川一夫

    及川一夫君 来年末ということになると臨時国会という意味ですか。それとも、通常国会と今言われましたですな。通常国会は来年の春なんで、来年の末といったら秋と、こういうふうに聞こえるんですが、要するに二年後ですか。一年ちょっとですな。来年の通常国会の次の通常国会という意味ですね。三年。
  124. 山本孝

    説明員(山本孝君) 現在、次期の通常国会と申しますと、ことしの十二月には法律の改正案の提出手続が必要になるかと思いますが、私どもが考えて目標にしておりますのは、その次、一年後の常会を考えてございます。
  125. 及川一夫

    及川一夫君 わかりました。  それで問題は、法律整備しそして改正案をつくるに当たって、この問題はひとえに安全の問題に関することになるでしょうから、安全をどう確保するかという立場に立って、いわば国内法の整備もSO LAS条約というものを意識しながら整備をしていくということになるといろんな作業というのが必要だろうと思うんですね。意見も聞かなきゃいかぬだろうし、なかなか机上だけで船の問題を論ずるというのは、これは非常に難しい問題が私はあると思うんです。そういう意味で、あなたの方で整備をされる上に当たっていろんなことをやるんですが、例えば関係団体ともいろいろ話し合っていきたいというようなことはお考えですか。
  126. 山本孝

    説明員(山本孝君) 私ども、このGMDSSの導入に伴います関係法令の改正に当たりましては、関係者の御意見を聞いてまいりたいと考えております。
  127. 及川一夫

    及川一夫君 要望になりますけれども、その際に、関係団体といってもどこからどこまでかというのがあると思いますけれども、少なくともこのGMDSSによっていろんな影響が出てくる、あるいはどうせやるならこうやった方がいいとか、あるいは従来のシステムと違うような方法になればなるほどこれに関連をしている人たちというのはいろんな意見を持つでしょうから、そういう主役の人たちが正直言っておりますよね。例えば海員組合におけるそういう通信士の方であるとか、あるいは通信士の組合とかいろんなものが僕はあると思うんですが、ぜひともそういう方々の意見というものが聞かれる、同時に意見を交換しながら取捨選択をされて、少なくとも国会に法律案として出てくるときには基本的な点で争いが起きることのないような配慮というのをぜひ私はしていただきたい、こう考えるわけです。  今回のこの電波法の改正に当たっては、RRに基づくことを念頭に置きながらいろんな作業を郵政省としてもされたというふうに聞いているものですから、なおのこと今度は船の装置そのものになっていくでしょうから、ぜひひとつそういった点を配慮していただきたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  128. 山本孝

    説明員(山本孝君) よく承らせていただきます。
  129. 及川一夫

    及川一夫君 それでは、電波法改正自体の問題として、実は衆議院会議録を読みますと、答弁自体が海のことを語っているのか陸のことを語っているのか空のことを語っているのか、どっちにしても陸海空と、こうなっているものですから、答弁する方もどう受けとめるかによって、答えが返ってきますけれども、その答え自体が海の人が聞く場合と陸の人が聞く場合と空の人が聞く場合とはどうも受けとめ方が違うんですね。したがって、答弁自体をずっと抜いて並べますと、一つの意見に対して、ある人には肯定、ある人には否定、またそれを否定しているというようなところが郵政省自体の答弁の中に見られたわけですよ。それは質問者がどういう質問をしているかにもよるから一概にいいとか悪いとかは言えないんですけれども、私はそれらを整理してひとつずばりずばり聞きたいというふうに思うんですが、その第一は、通信長制度というものはなくなるんですか、なくならないんですか、電波法の改正によって。
  130. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 通信長は廃止されるのかというお話でございますが、現行の電波法では、御案内でございますけれども五十条という規定がございます。この五十条では通信長を配置しなければならない、こういうことに御案内のとおりなっているんですが、これは今回の改正法案では全然いじっていない条文の一つでございますので、したがいまして、この通信長の配置自体は現行どおり、何らの改正は加えていない、こういうことでございます。
  131. 及川一夫

    及川一夫君 いや、そうしますと、それはそれでよろしいんですけれども、一方では主任無線従事者というものをつくって、それで監督という言葉が出てくるわけでしょう。そうすると一体どういうことになるんだろう。こっちに主任制度ができて、それにしかも監督をさせるということになると、今の通信長というのは一体どうなるんだろう、すぐそういう疑問が要するに出てくるわけですよね。ですから、通信長制度が廃止をされないということになれば、この主任無線従事者というのは通信長などを含めてそれで主任従事者というものを決めていくんだというふうに解してよろしいんですね。
  132. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 確かに、この主任制度というのが新しく入りまして、今残っております通信長あたりとどんな関係になるのかという何かわかりにくいところございますので、いろんな疑問を呈する点、もっとわかりやすい仕組みはなかったかという気はするんですが、ただ、冒頭申し上げましたように、これは船だとか陸だとか空だとか、いろんなことの無線通信の資格全体を議論して主任というものを考えてきたということでございます。  たまたま海の話だということでちょっとややこしくなるのかと思いますが、結局、先ほども申し上げましたけれども、無線機をいじるにはすべて資格を要求しておった。ところが、そればかりずっとやっていくと今日の体制、先行きの体制にうまく順応できない。そこで無資格者であってもさわってよろしい、操作してもよろしい、しかし、それには条件がございます。ぜひひとつ主任制度というものを入れてください。しかし、主任制度を入れるか入れないかはそれはその事業体なり免許人の考え方でそこは強制はいたしません。必要があったら御採用くださいませ。しかし、決して無資格で操作していいということじゃありませんぞ。こういうためにこの主任を入れた、こういうことに相なっておるわけでございます。  したがって、主任を入れましたらその主任のもとで無資格者が行うということになるわけでありますが、お尋ねの通信長との関係でございますが、今回の改正によっても依然として最高の無線通信士としての位置づけはあるわけで、その資格要件には変わりはないわけですが、主任という場合に、主任を置く置かないはその船あるいは状況によって自由ですが、仮に置くとした場合は、いわば通信長がそういう役割を担うというのは常識的に当然そういうことになるだろう。通信長は通信部門全体の管理総括の責任ということを負うわけでありますが、そういう場合には、普通は主任として選ばれるということになりますれば通信長が新しい制度の主任無線従事者となる、そしていく。しかし、お尋ねの場合……
  133. 及川一夫

    及川一夫君 まあいい。わかった。私もちょっと前段をはっきりさせなかったから悪かったんですけれどもね。  要するに、船舶局と海岸局と、空の問題は余り議論になっていませんからこれはちょっと横に置いて、陸と海という意味でいうと、確かに陸の場合には海岸局がありまして、ここには一人とか二人とかいう無線通信士じゃないですよね。五十名とか、あるときには百六十名とかそういうふうにおったわけですから、今でこそ五十名、六十名というふうになっていますけれども。そういったところにじゃ主任無線従事者というのは一名でいいのかといったら、一名で五十名管理監督するなんということはなかなか難しいです。当然もう陸の場合だったら、それなら主任無線従事者というのは三名欲しいとか、いや三名でない五名なきゃできないとかという話が出てきそうですよ。  ところが、船の場合に一体どうなんだろうというふうに見ますと、五名も十名も通信士が乗っているというのは余り、余りというよりも全く私たちは聞いたことがない。かなり大きい船でも二名ぐらいなんですよ。そうすると、二名という前提でこの電波法の改正を受けとめて、通信長がおって主任無線従事者をつくるということはどういうことだということになると、指揮命令系統の話からいろんなふくそうした疑問が起きてくるわけです。  ですから、私は主として、森本局長も言ったように、船のことを意識して質問をしていますから、これを法制上あるいはまた政令あるいは省令、規則というものに仮に書くとした場合にどうするかということは一つの課題があるかもしれませんけれども、それはそれとして、ひとつ答えていただきたいと思うんですよ。船舶の場合ということを前提にして考えたときに、通信長制度はそのまま残ります、こう言っておられるわけですから、そこに主任無線従事者を置くか置かないかの問題は、当該の船なら船というものが要するに取り決めをすることです、したがって何らそこには矛盾がありません、こういうふうに受けとめてよろしいですか。
  134. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 非常にいろんなケースがございます、船の上に限ってもいろんなケースがあるだろうと思うのですが、端的に申して、通信長がいて、その指揮下に何人かの通信の資格を持った方がいてというような船のときに仮にこの主任制度を導入いたしますとするならば、一つの従前と変わってくる問題といいますか、新たに出現する事態は、主任が置かれますから、そうすると今まではその通信士以外の方は一切無線機にさわれなかったんでございますが、その主任たる方が今度は指揮監督をすればそのもとで資格のない方も、一定の条件のもとでございますが通信機がいじれる、操作ができる、こういうことが可能になる。逆に言いますと、何とかしなきゃならぬといって無理無理資格を一生懸命取ろうと努力をなさった方もそういう必要がなくて本業に、ほかの技術に専念していただける、通信士が、あるいは通信長が主任として見ている限りはそういうことも可能になるというところが一つ新しい事態で出現したということが言えようかと思います。  それからもう一点、大きな船で昼夜交代みたいなことになった場合には、これまた大勢の通信士がいらっしゃる事態ということも考えられるのでありますが、通信長以外に、資格を持った上位の方になると思いますが、そういう方が新たに主任になるということになれば、これまたデータイムとか夜のタイムとかというような形で全体として通信部門が非常に充実された運用ができる、こういうことも新しくこうした主任を入れるということで出てこようか、こう考えているところでございます。
  135. 及川一夫

    及川一夫君 森本さん、この主任無線従事者という名称で監督がおれば無資格者でもできるといった場合、船の乗員が例えば十名だとした場合に十名が十五名になりますか、この制度をつくったからといって。船に乗っておる人が十名おる。それで走っている。もちろん通信長もおりますね。そして無資格者の人も主任無線従事者がおれば監督のもとに通信装置がいじれますよといったときに、そのいじる人を十名の乗員のほかに五名ぐらい乗せますとか、あるいは三名ふやしますとかいうことになりますか。ならないでしょう、これは。要するに、十名の枠内で今までは一級無線通信士以外は一切いじっちゃだめだ、運用もしてはだめだ、これではもう対応し切れなくなってきたから、この際、無資格者もいじれるようにするには改めて主任無線従事者というものをつくって、その人がおれば要するにいじれますというわけだ。だから、いじる人というのは何かといったら、極端に言えば船長から航海士から機関長から、あるいは一般甲板員まで全部含めて要するにいじれるということになるんですよ。全くゼロの連中がいじれるとは思わないけれどもね。  そういう意味で、何となく通信装置をいじる人が今までは一名でしかなかったのに三名、四名になるというような感じが船舶の場合はしてくるんですよ。だけれども、私から言えば、じゃ十名を対象にしてこういう主任制度ができたから、この際船長にもやらせます、航海士にもやらせますといって、それで十名を監督するのは大変だから通信長以外に主任無線従事者をもう一人つけましょうか、そんな話にはなりっこないんですよ、これは。だから私は、船舶に関する限りは平常は何だかんだ言ってみたってやはり今までどおりの形の運用になると思うんです。いざ遭難、あるいは船が危ないといったときに、手が足りなくなって、それで、あれだこれだというときに初めて一名とか二名ぐらいが通信室に来て手伝い的に監督のもとに動かす、こういうことが想定できる範囲だと思っているのですよ。  だから私は、船舶の場合には通信士のほかに主任無線従事者ができる、有資格の主任というものが併立できる、こうは私は思っていないんですよ。恐らく今までどおりおおむね一名、二名という中ですから、そうしないとまた指揮命令系統もごたごたするからというふうに私は受けとめているので、そういう理解で間違いですか。
  136. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) どうも法律論議をするときにはいろんなケースを想定して包括的に申し上げるから余計わかりにくくなるということを大変うらみに思いますが、端的なお話のように、通常のケースというふうに限定して考えれば、普通の船は通信士という方の配置は一人というのが普通でございますからその方が主任におなりになって、従前と変わったことは、先ほど申し上げましたように主任制度をとることになればその監督のもとで操作が可能になるという事態になる、そういうことになろうと思います。  ですから、あと複数置かれている場合、さっき申し上げましたように、二十四時間体制になったらどうなるかとかいうようなことはいろんなケースが起こり得るだろうと思いますが、それは、そうして複数の主任が選任される場合も当然あり得るだろう、そういうことでございます。
  137. 及川一夫

    及川一夫君 緊急の場合というのは想定をしながら、やっぱりお互い緊急の場合の訓練があるように、船にあって緊急の場合にはどういう体制をとるかというのはやっぱり事前に決まっていますよね。船が出ていくということになれば決まっているわけですから、余りそんなに変なケースを想定せぬでも私は十分だと思うのです。  したがって、ちょっと角度を変えてじゃお伺いいたしますが、この際面倒くさいから主任と言いますよ、主任無線従事者のことを。主任の任命というのは一体どういう要素で行われるんだろうかと、現状との関係を含めて考えるわけですよ。そうすると、いずれにしても通信長という人がいますね。これも一級無線通信士であり技師であるということになるんですが、通信長がいる、二名の場合にはもう一人一級無線通信士という方がおられる。あるいは通信長制度、置かなきゃならぬということになっているから置くことになるんですが、一級無線通信士が二人いる、そういう場合に一体どっちが主任ということになるのかというようなことを想定すると、やはり経験の長い人ということになるんじゃないか、こういうふうに私は思うんですが、ここさえ、物の考え方、常識といいますか、原則的な理解としてそうでしょうねということになれば先ほどの問題は解けるわけですよ。指揮命令系統の問題もおおむね解けていくということになるんですが、いかがですか。
  138. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 通信長が置かれているような船のときにはその通信長が主任に当然選任されるであろうというふうに考えております。
  139. 及川一夫

    及川一夫君 余り細かくするとなおややこしくなるからもうこの辺は申し上げませんけれども、いずれにしても船を単位にすれば限られた人たちなんですよね。だから、そういう意味では何か順位をわっとつけてやらなければ争い事になるなどというふうには私は思っていません。特に船の通信長の場合には、船長に対して航海長、機関長それから通信長と、この三人が決定的なやっぱり役割を持つことだけははっきりしていますから、そして船自体のすべてのことの責任は船長ですから、通信長で判断できない問題は船長に問いただして船長の指示のもとに動くということにもなっているわけですからね。  どちらにしても、主任の任命ということになれば船主が発令することになるんでしょうけれども、通信長、そのほかに一級無線通信士がおる場合には経験の長い者からそういう役割を持ってもらおうということになるのは常識だというふうに受けとめておきますから、また、そういう発言、すべて私と同じじゃありませんけれども、前段の方で通信長がおられれば通信長がなるのが普通でしょうと、こういうふうに言われたことも含めて主任の任命の問題は受けとめておきたいと思います。  したがって、私は次の問題として、船舶局にあっては主任というものが二人出るというようなことはあり得ないんじゃないかというふうに思うのですが、先ほどどうしても局長がひっかかっているようだから、あり得ないと言い切れませんか。
  140. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 船の場合に通信なさる通信士、資格を持っておられる方ですね、これは普通は一人だということですから、そうした場合にこの方が主任になられるというのが普通の格好だろうと思うのでありますが、さっきも若干申し上げましたように、主任を複数置くケースというのはどんなケースか、これは非常に限定的なケースだと思うのです。どこへ行っても、そんじょそこらにあるような形には普通の場合はないのかなと思いますが、お尋ねのようにそういうケースもあり得る。これは結局二十四時間動かして交代制をとっているというようなケースのときには複数の主任無線従事者がいらっしゃるケース、置かなきゃならぬケースということは出てこようかと思います。  しかし、その場合は相当大がかりな船だと思いますから、そうとすれば通信長はまず主任におなりになる。それで、通信長は一人でございましょうから、ほかにも資格を持った通信士の方でこれが主任におなりになって、通信長が主任でありその他の通信士の方で主任であるというケースということは、これはあり得ると考えます。
  141. 及川一夫

    及川一夫君 今二十四時間体制という話が出たんですけれども、確かに航海中二十四時間傍受を少なくともしていなければなりませんね、これは。しかし、それを一人の通信士が二十四時間、一日ならいざ知らず、何日も何日も一人の通信士が二十四時間傍受していることは、これは不可能に近いでしょう。だから機械で傍受をして、緊急事態になったら警報が出るとか、いろんな装置があるはずですよ。だから今現在、じゃ森本局長が言われること、よしわかった、そうかということで今の船に当てはめた場合に、二十四時間人手だけでやっているということになるなら一名の通信士じゃできないんじゃないか、こんなふうに思うのですが、いかがですか。
  142. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 今のお尋ねで聞くというのがございますけれども、船舶の場合には、ただ聞いておるんじゃなくて、運用という問題、二十四時間運用しなきゃならない、そういう船もあるということだと思います。
  143. 及川一夫

    及川一夫君 それは船自体がみんなそういう任務を持っていますよ。それで傍受をして、緊急事態があればそれをまた措置をしなきゃいかぬでしょう。海岸局に連絡をしたり近所の船があればそういうものに連絡をして、どういう救難態勢をとるかとか、それぞれの船の役割、任務がその限りにおいて出てくると思うのですよ。  だから、私が言いたいことは、今現在でも傍受もしなければいけないしそれから運用もしなければいけないと。それが二十四時間一人の通信士だけでやれるだろうかということになったら、やれない。だから機械傍受があると。少なくとも傍受という問題についてはそういう措置がされていると私は聞いておるわけですよ。だから、この制度が新しくできても、何か人数がぱっとふえるとか、減ることはないと思いますが、どっちにしても二名も三名も四名もなっていくような、そういうお話にはならないというふうに思っているのですけれども、違うのですか。
  144. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 大変大型の旅客船とか、そういう船だからといって、常時すべてというわけではなくて、二十四時間運用を義務づけられておる船舶というのがございます。そういうケースのときには、そして交代制をとるというふうなケースのときがございますから、そういうときにはさっき申したような複数の主任というのがあり得るということを申し上げておるわけでございます。
  145. 及川一夫

    及川一夫君 それならその場合の、いざというときの指揮命令系統はどうなるんですか。通信長がおって、そしてそのほかに主任無線従事者がおるということになりますよね。その場合のいざというときの、あるいはふだん運用に関する問題でも、どういう指揮命令系統になるんですか。しかも今度の場合には主任従事者という名称のもとに監督という言葉がついておるんですよ。だから通信長との関係で一体どうなるんだというふうに聞きたくなるんです。
  146. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 今申しましたような大型のときに、そして複数の主任がいるといったときの指揮命令のお尋ねかと思うのでありますが、これは通信長というのは、先ほども申し上げておりますように大変業務経験が豊富であることにかんがみて、この主任無線従事者に選ばれたわけです。しかし同時に、ほかにも主任がおるといったときには、これは通信士の長であります通信長が他の主任に対して指揮命令を行うと。これは当然従前どおりこの点は変わりがないということ、電波法では変更してないということでございまして、その部分は指揮命令を他の主任に対しても行う、こういう状態になると考えております。
  147. 及川一夫

    及川一夫君 というのは、通信長の職務とか監督とか運用権限とかいうものは電波法上に何か書いてありますか。
  148. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 具体的に電波法上、通信長が何をするかということは確かに法律上条文で明定はいたしておりませんが、この電波法ではそれぞれの船舶の種類に応じて経験が、例えば最上級の二百五十人以上の旅客を乗せている場合は一級通信士の資格が四年要るとか、そういう複数を置くときに一人を最高責任者と決めるということになってございますので、そうした意味で通信長は通信部門全体の指揮監督を行うということに相なると考えておるわけであります。
  149. 及川一夫

    及川一夫君 ちょっと局長、そこ大事なところだから、これは勝つとか負けるとかの話じゃないんですよ。本当に船に乗っている人から見れば、一体そういう場合にどうなるんだろうと、通信長というのが。監督とか運用とかいうのが明記されてないということになって、いや常識的にはこうじゃないかと言われても、主任無線従事者の方には監督という言葉が入ってくるんだから、そうすると一体、指揮命令といったら監督といった方が指揮命令することになるじゃないかというのは常識的に受けとめるでしょう。そこのところを大事なところですからはっきりしてもらわないと、そして電波法そのものを、改正そのものが不十分だというなら、そこはそう直せばいいだけの話ですからね。そう理解しておるので、ちょっと今課長から話があったと思いますから述べてください。
  150. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 先ほどから非常にややこしいことになって恐縮でございますが、通信長が選ばれている場合は、繰り返しになって恐縮でございますけれども、他の通信士を指揮するということは従前の電波法に書いてあるとおり変わりはないと、全体の従前の体系は変わってないということでございます。
  151. 及川一夫

    及川一夫君 何条、条文言ってください。
  152. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) ケースによって主任たる、主任無線従事者に対しても指揮命令することは当然通信長としてはあり得る、その点は変わりはないということでございます。
  153. 及川一夫

    及川一夫君 それは何条ですか、条文。そういうふうに書いてあるというなら。
  154. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 先ほどから申し上げているように、通信長の設置については第五十条で通信長の配置を定めておるわけであります。
  155. 及川一夫

    及川一夫君 森本さん、責めているんじゃないからね。配置されることはわかっているんですよ。それは変えませんと、だから従前どおり。ただ、片一方で主任無線従事者が出てきて、これが監督という役割を持つと言うから、通信長のところはどうですかと言ったら、いや通信長がそれは指揮命令やるんだと、こう言われたでしょう。だから通信長が指揮命令をやるということは何条に書いてあるんですか、今の電波法で。
  156. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 先ほど申し上げましたけれども、その通信長の職務について今回つくりましたような主任無線従事者の職務内容のような形での職務規定は、明定している規定はないわけで、五十条に配置義務をうたっておって、その配置義務の内容からすればこれは通信の長だという、通信士の長をいうという、それを配置をしなければならないということの規定にかんがみて他の通信士に対する指揮監督を行うということでこれまで電波法を運用しておった。この部分は今回の改正は行っておらない。したがって従前と変わりはないということを申し上げているわけであります。
  157. 及川一夫

    及川一夫君 船に乗らない人から見ればそれで済むのかもしらぬけれども、大体もともとの電波法には主任無線従事者というのがなかったわけでしょう。そして、いずれにしても一級無線通信士という資格がなければいじってはいかぬと、そういう方がまた通信長にならなきゃ意味がないし、したがって自然に通信長の役割、任務というのが出てくるわけですよ確かに、そういう意味では。しかし、今度はそこを動かさずに、何にも手をつけずに、片一方の方で主任無線従事者ときて、しかも監督をやると書くんですから、それは船に乗っている人から見ればおれはどうなるんだというふうに通信長は思うだろうし、主任になった人は今度はおれが監督をやるんだという話になるし、一体おれの権限とあんたの権限はどこがどうなるんやということになりはしませんか。  だから、そういうことを明記しなければならぬというなら、ならぬということでやったらいかがですか。それを法律でやるのか、政令でやるのか、省令でやるのか、規則でやるのか。いずれにしても、何かその辺をやはり明確にしないといかぬのじゃないかと思うのですよ。  今のように、それは動かさないんだから常識だ、こう言われても、現場では必ずぶつかる問題ですから、その点をはっきりされたらいかがですか。その方がむしろ現場では問題が起きません、こういうふうに申し上げているんですが、だめですか。
  158. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 主任は新しい概念でございますので、主任について新しい規定を置いて、新しく「その選任の届出がされた主任無線従事者の監督の下に無線設備の操作に従事する者は、当該主任無線従事者が前項の職務を行うため必要であると認めてする指示に従わなければならない。」という指示を受ける側の規定を一方でつくっておりますし、それからその主任無線従事者の範囲についても、郵政省令で定めるところに従って職務を誠実に行わなければならないということをまた別項でうたってこの三十九条ができ上がっておるわけでありますので、主任は新しく選任されて資格を持たない方に対する指揮命令の権限というも のをこの法律によって付与された、こういう次第でございますので……。
  159. 及川一夫

    及川一夫君 それはわかっていますよ。受けとめていますよ、十分に。だから、今度現実の問題で、こういう場合どうする、ああするという疑問が残るから今申し上げているわけです。これはちょっと横に置きましょう。  それで、一体主任の職務というのは何だという議論も出てきているんですよ。監督というけれども、監督というのはどこからどこまでだ、こういう疑問も出るんですよ。つまり、運用管理というものが監督という概念の中に入るのか入らないのか。現場の人たちは入らなきゃ困ると言っているんです。簡単に言って数人の無資格者を使うんでしょう。そのときに機械をいじるのをじっと見ていて間違っているか間違っていないかというそれだけじゃ困る。こうしろ、ああしろと言うことについて従ってもらわないことには有資格者から言うと困るんですよ。運用それから指揮命令、こういったものも監督という概念に入るんですか入らないんですか、こう聞いたらどうしますか。
  160. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 今回、無線の操作に関しまして選任をいたします主任無線従事者の行うその監督というのは、無線設備の操作を行う資格者と、それからその指示を受けて無線設備の操作を行う無資格者とのいわば相互の関係について規定をする概念でございますので、具体的に資格者が無資格者に対して行う監督というものについては、先ほどお尋ねがございますように、これについては次のような要素が必要だと考えております。  この監督を行う際に、一つは臨場性。その場にいて無資格者が無線設備の操作を行っている状態を的確に把握できる範囲内で資格者が勤務できておる、こういう状態。それからもう一つは指示可能性。無線設備の操作を行っている無資格者に対して資格者が随時有効適切な指示をなし得る状態である、そういう状態。それから継続性ということで、資格者とその監督を受ける無資格者とが当該無線局において継続的に業務を行っている状態。こうした状態を含めて監督ということが成り立つというふうに考えておるところでございます。
  161. 及川一夫

    及川一夫君 船舶における通信の仕事というのは全く自分の意思で、自分が勝手にという言葉は不穏当だけれども、要するに自由に操作できてやってきた。だれにも文句を言われることがなかったわけですよ、これ。そういうのが通信室だとみんな思っているわけ。そこに今度は無資格者が入ってくるわけですよ。その他大勢なんだ、簡単に言えば。航海長だって入ってくるかもしらぬ、これ。航海長がいじくるときには、これは監督していればいいと。だけど、それはまずいんじゃないかと。こうしろ、ああしろと。あるいはそこのところをさわったら大変だと。例えば設備の故障だって起きるでしょう。そのときに手伝ってもらおうといったって、いや、それはこうしなきゃだめです、いや、おれの体験ではこうだなんてやられたんじゃ、ぶっ壊すだけの話になってしまうんですよ。  だから、そういう問題も含めて、指揮命令というか運用という問題まで含めて監督という要素の中に入れていただかないと、いざというときに要すれば困る。そういうものは入っているんでしょうねと。僕は当然そういうのは入れるべきだと思うんですよ。そうでなければ、とてもじゃないが一級無線通信士でなければできないものをやらせることはできないと思いますよ。そういうふうに私は受けとめたいというふうに思うのですが、これもだめですか。
  162. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 先ほどお尋ねのとおり、無資格者に対する操作を認めるかわりに主任を置いてその主任の監督のもとに操作を行わせることが可能になった、こういうことでございますので、あくまでもこの無資格者による操作の監督というのが主任の仕事でございます。
  163. 及川一夫

    及川一夫君 僕は監督の中身を聞いているんだよ、中身。わかったですよ、あなたから言われたように変えたんだから、それは。設備でしょう、それから操作でしょう、こういったものをいじくるわけですね、これ。そのときに、一級無線通信士という人を主任無線従事者と定めてその人の監督のもとにやってもらう、その監督がいなきゃだめだと。じゃ監督ができる範囲というのは設備と操作だけですかと、それはそうですということでしょう、今までの答弁では。  しかし、それ以上にやはり問題が起きてくるんですよ。そういう意味では、監督の指揮に従わなければいかぬというふうにも書いてあるわけだから、そこには極端に言えば、何持ってこい、かに持ってこいと言う、修理するために、そう言ったことに対してだって従ってもらわなければ通信というエリアでは仕事にならぬ。そういう心配があるということが出ているわけですから、そこのところはそういうふうにしなきゃだめじゃないですか。
  164. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 監督の概念を先ほど申しましたが、具体的にはこれは郵政省令で定めるというそのことを申し上げるとおわかりよかったかと思って反省をいたしますが、郵政省令で定めるとしか法文にはないわけでございますので、確かにお尋ねのようにちょっとあいまいだということでございますが、私どもこの法律をお認めいただいて省令を定める場合には、その主任無線従事者の行うべき職務として幾つかを予定いたしております。  一つは、先ほどから御主張のように、無線設備の操作に関して、電波法五章の運用に関する規定に適合するように当該操作を行う者に対して必要な指示を与える。それから二点目には、無線設備の点検調整に関すること。三つ目には、無線設備を操作する無資格者に対する教育訓練計画の立案とか実施とか、そういうことを担当する。その他無線設備の操作に関し必要な監督業務を行うこと。まだこれからの話でございますから、おおむねこんなイメージを申し上げれば概念がはっきりするかと考えます。
  165. 及川一夫

    及川一夫君 もったいなかった。いや、本当に。それを最初に言ってくれれば、ああそうかということで、あとは私たちが言おうとする意見がどれほど取り上げられるかということはあるけれども、概念としては省令でやるというのならよくわかりました。  やはりそういうものをある程度きちっとしてあげないと、今まではたった一人の通信士がやっていたものが、監督という要素が出てくるわけですからね。したがって、通信長との関係とかいろんなことが要するに出てくるわけでして、そういうものについてはこうだよということを明示してあげないと船で混乱が起こる。陸の混乱なら逃げようもあるけれども、船の中じゃ逃げようもないということになりかねないだけに、ちょっとうるさくつきまとったような格好になるけれども、省令の中で私が指摘をしたような問題については処理することになります、その概念というのは先ほど局長が言われたような概念で考えておるところですというふうに受けとめておきたいというふうに思います。  それと、今度はこの話と逆なんだけれども、要するに無資格者を監督してやらせるんですが、無資格者にどうしてもやらせてならないものもあるじゃないかというのがあるんですよね。時間も大分迫ってまいりましたからこちらの方から申し上げますと、遭難通信それから安全通信、緊急通信、少なくともこの三つについてはやはり有資格者というか一級無線通信士、主任無線従事者という人でなければやれない、やってはいけないものだ、こういう現場の認識があるんですが、これは違わないと思うのですが、いかがですか。
  166. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) おっしゃるとおり、新しい改正の中身でございます三十九条の第二項でございますが、ここに「モールス符号を送り、又は受ける無線電信の操作その他郵政省令で定める無線設備の操作は、」「無線従事者でなければ行つてはならない。」と、間を抜かしますとそういうことに相なっておりますので、御指摘のとおり主任を入れるにしても、やはりここだけは人命の安全その他電波秩序の維持、そういった点からどうしても任すわけにいかないという意味では今申しましたような形になっております。ここでは法律上出てくるのはあくまでもこのモールス通信だけでございますが、「その他郵政省令で」という部分に委任をされておるわけでございますが、この省令では、御指摘のように人命の安全にかかわるものであり、極めて重要と考えられる遭難、緊急、安全通信、この通信操作は除外をいたそう、こう考えておるところであります。
  167. 及川一夫

    及川一夫君 私の質問としてはこれ以上やりますと大変細かくなってしまうんですけれども、GMDSS問題で、先ほど各団体の御意見も広く聞いて対処をしようと、こう運輸省の方がおっしゃっておりますから、それはそれとしてよろしいんですが、大体国際的な安全に関する協議の中で現状をこう変えなければいけないという問題点、それをもし今おわかりでしたら出していただきたいというふうに思うのですが、いかがですか。
  168. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) このGMDSSは、これは日本国内だけの問題じゃございませんで、先ほど運輸省の方からも話がございましたとおりITU、国際電気通信連合と、それからIMO、国際海事機関とが協議をしてようやく結論にたどりついた。これに関する部分として国際条約としては二つございまして、御案内のとおりでございますけれども、一つはRR、つまり国際電気通信条約の附属無線通信規則、それからもう一つは海上人命安全条約、略称SOLASと言われておる条約でございますが、それぞれこの条約にはGMDSSに関しては分担というか受け持ちがございまして、このRRの方にはこのGMDSSにおいて使われる周波数、それから技術、それから無線局の運用手続、これを決めよう、こうなっておるわけでございます。  SOLASの方は、対象となる船舶の無線設備の搭載要件と言っていますが、いわば設備の内容と考えてもいいと思います。それから技術基準、こっちをSOLASで受け持っている、そういう背景もございますので、今回の電波法改正ではさっき申しましたRRが受け持っている部分で法律上手当てを要するものを今回の改正でお願いしたわけでありますが、具体的に船舶の聴守義務だとか、あるいは遭難通信の運用手順とか入ってくるわけでありますが、それ以外の周波数の問題というのはこれは御案内のとおり行政レベルで対応ができますし、それから技術基準については現在いろいろこれを受けて準備をしておりまして、近く最終答申、来年になるかと思うのでありますが、そういう格好になる。法律的手当てを要する部分を今回お願いした、こういうことでございます。  ただ、先ほど運輸省からもございましたように、SOLAS条約自体は発効が平成四年になっておりますので、この最終発効に向けて国内法上どういう手当てが必要かと。船舶関係法律については、ただいまさっきのお話のようないろんな計画がございますが、同時に、電波法としてもこれに対応してどういうことが必要になるかということはこれからまた再度いろいろ研究をしてまいり、関係省庁とも連携をとりながら、お願いを申し上げる時期が来たらお願いをしなきゃならぬ、こう考えておるところであります。
  169. 及川一夫

    及川一夫君 来年、再来年のことも考えながら質問しなきゃならぬことはたくさんあるんですけれども、ただ一つだけちょっとお伺いしたいんですが、このGMDSSの問題は国際的な一つの申し合わせによって、それにふさわしい設備というものをそれぞれがつけていかなければ安全交信が要するにできないわけですから、そういう意味では何も先進国であるとか、あるいは開発途上国という差別なしに本来やらなければならない問題です。  そういうふうに考えていきますと、今我が国でそういう安全交信装置をつけている船の割合は一体、それは漁船まで含めると相当の数になってしまうんだけれども、それを前提とすると必ずしも大きな船の数にはなってない。しかし全部つけようということになると大変な金になってしまう。とてもじゃないが魚の値段がえらい暴騰してしまうみたいな話まで出てきますから、観念的な立場では言えないことは事実なんですけれども、しかし少なくとも国際という意味では開発途上国なんかのGMDSSに対する反応、つまり賛成できるできない、何かアメリカが必ずしも全面的に賛成していないという話も聞くんですけれども、この辺、運輸省の方が専門だと思うのだけれども、いかがですか。事情を知っておったら教えてください。
  170. 山本孝

    説明員(山本孝君) お答えいたします。  IMOのSOLASの関係改正条約の採択に当たりましては、これは先進国、開発途上国を問わず全会一致で採択されております。なお、アメリカが若干違う意見を持っておるという話でございますが、これはいわゆる今回対象になりました貨物船とか国際航海の旅客船とかそういったものではございませんで、漁船の一部についてそういう違う考え方があったようでございますが、その件については今後検討課題になっておりますので、まだ未定の事項でございます。
  171. 及川一夫

    及川一夫君 それじゃ最後になりますけれども、これは要望ということになるでしょうが、何といっても船の安全航行、それから遭難に対する対応というのは機敏であり、また完全なものに向かってやはり充実強化をしていかにゃならぬということだけはお互いに確認できると思うのです。  そういう立場に立って、何をもって完全なものにするか、何をもって充実強化という内容にするかという点では、これからもいろいろと問題が出てくるんだろうと思いますけれども、このGMDSSを仮にやるとしても、本当にそれが船の安全のために、遭難対策のために十分に機能するかしないかという問題では、俗に言うテスト期間といいますか、あるいはそういうものを、いろんな訓練を続けながら、完全なものだと言い切るにはやはり何だかんだ言ってもかなり時間がかかるだろうと思うのです。そして、現実に平成四年発効ということになるんですから、船の大勢がそうなるには七年、八年、十年というぐらいかかる問題であるかもしれないのです。  そうしますと、従来SOSで救難通信とかそういうものをやっていたものについて、もう一、二の三でやめてしまうなどということは、私はあってはならないことじゃないか。やはり従来のものであっても大きく役立つ要素を持っているわけですから、特にこのモールスという問題について、当分の間というか、当分の間というのはいつまでだということも出てくるかもしれませんけれども、モールスというものについての設備をそのままやはり帯同していく期間というのがあってよろしいんじゃないか、こんなふうに実は思っているわけであります。  これは設備との関係、それから具体的に完全だということが認識されるのが早くなればなるほどそれ自体が逆に問題になるかもしれませんけれども、いずれにしても、そう簡単なものじゃないだろうという前提に立っているものですから、モールス設備の問題、それからモールスというものを身につけている通信士ですね、こういった方々が安心して働けるような、作業に従事できるような、そういうことを意識されて政令、省令あるいは規則の中で必要なものは盛っていただくということをひとつ要請しておきたいというふうに思います。  その上で、郵政大臣、冒頭御確認いただいたつもりでありましたけれども、再度局長質問をいたしまして、要すれば雇用削減のための法律ではありませんということもはっきり言い切っていただきましたから、そのことを前提にしてさまざまな御質問を申し上げて、解明できた点もかなりあると思います。そういった点で、この法案に対しては賛成の立場最後に表明したいというふうに思いますが、郵政大臣に再度この法律改正に当たって所信を述べていただきまして終わりたいというふうに思います。
  172. 大石千八

    国務大臣大石千八君) 電波法電波の使い方を規律するものでございますことは申し上げるまでもございませんが、今回の改正案もその観点から行うというものでございまして、通信士の雇用の場をなくす等を目的とするものではもとよりございません。  改正の目的は、一つには無線従事者の側面からの電波利用の増大への対処であり、二つ目はGMDSSに対応する遭難通信等を目的とするものでございまして、このような目的にかなうように、また実行面でも十分配慮してまいりたい、このように考えております。
  173. 及川一夫

    及川一夫君 ありがとうございました。終わります。
  174. 磯村修

    磯村修君 大変理解しにくい面もあるんですけれども、私はこの一部改正案につきましては賛成の立場で、ちょっと理解できない面をもう一度確かめたいと思っております。  一つには、いわゆる船の主任無線従事者、この選任というのは、この改正案では無線局の免許人に任せられている、こういうふうになっているわけです。そうしますと、免許人の判断のすべてによって主任が決まる、こういうふうなことにもなるわけです。そうすると、いわば無線従事者の主任の選任というのは大変安易に陥る懸念があるんではないか、こういうふうな感じもするわけなんです。そういう点からも主任無線従事者制度そのものが形だけのものに終わってしまうのではないかというふうな心配も出てくるのですけれども、まずその辺から当局のお考えを伺いたいと思います。
  175. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 先ほどから及川先生のところでの質問関係で申し上げましたとおり、今の電波法の体系というのは、本来この無線従事者の資格を有する者でなければ操作をしてはならない、こういう大前提に立っておったわけでございますが、最近の情勢の変化というものに対応して、将来の無線の利用をもっと身近なものにしてまいろうという趣旨でこの主任無線従事者の制度を入れて、この主任無線従事者の監督のもとであれば無資格者にも無線設備の操作を行うことを認めようということでございます。  ただ、先生指摘のとおり、この主任制度を入れるか入れないか、これは確かに実はこの免許人の選択にゆだねたんでございますけれども、先ほどからお話がございますとおり、無線の職場というのは大変多岐多様にわたっております。先ほど船の問題が出ておりましたが、航空機の問題もございましょうし、あるいは放送局もございましょうし、また、いろんな無線で業務をなさる職場もたくさんあるわけでございますので、運用形態が非常に多種多様でございますので、これをかえって一律に、こういうケースには置きなさい、こういうケースでは置かなくていいとか法律で決めることにしますとかえって実情にそぐわない。無資格者に操作を一定の監督のもとに認めるが、それは免許人の選任にゆだねる。  しかし、事は重大でございますので、御懸念のように何か形だけということになっては相なりませんので、この主任無線従事者制度を導入したならば、その免許人はその事実を届けていただかなきゃならない、こういう規定にいたしておりまして、その中で、ああ、この職場は無資格者が主任のもとにやっている職場だと、その届けがないところで無資格者がやっていればこれは明らかに電波法違反だと、こういうことになりますので、そこの点についての御懸念はないものだろうと考えておるわけでございまして、御指摘のように法律で一律に規定をいたしますことはかえって実情にそぐわなくなるものと考えてこのような提案にさせていただいておるところでございます。
  176. 磯村修

    磯村修君 法律で定めるとかえって煩雑になるというふうな御趣旨のようですけれども、この選任の主任というのは操作だけの指導ではございませんね。無資格者のいろんな講習とか、計画立案してそれを実施していくという、言ってみれば、反面、監督者としての能力というものも大変問われるわけです。そうしますと、大変この主任というのは責任の重大さということがその辺にもうかがえるわけなんで、いわばこれを円滑に、本当に安心ができるような制度に持っていくためには、やはりこれは法律等でもってきちっとした選任基準というものを決めておく必要があるんではないか、こういうふうに私は感ずるわけなんでございますけれども、いかがでしょうか。
  177. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 御指摘のように、主任が無資格者を監督してその形の中で操作を行わせようということでございますから、従前にはなかった体系に移ろうとするわけでございますので、当然その主任についての要件というのは、資格さえ持っていればだれでもいいということには相ならぬということで、この法律の御提案お願いしております三十九条の第三項というところにその資格要件を定めておるわけでございます。  この主任については省令で定める事由にいろいろ欠格を設けたい、こう考えておるわけでありますが、これには、資格は持っていても主任にふさわしくないという方には主任として選任を許してはならぬと考えておる問題が一つございますが、これは免状を持っているが、いわばペーパードライバーみたいに実務から長く離れておる、その方がただ免状を持っているだけで監督をするというのでは重大な問題も予想されることなしとはしないわけでございますので、そういう意味の非適格な要件というものを考えたい。それから講習について、これもまた別途考えていかなきゃならぬと思っておりますが、講習を一定期間義務づけるというふうにいたしたい。さような範囲でできるだけひとつ主任の資質の向上をいろんな側面から図っていきたいと考えておるところであります。
  178. 磯村修

    磯村修君 主任の監督の問題がございますけれども、いわばどの程度を監督の範囲として考えればよろしいのでしょうか。
  179. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 先ほどから申しておりますように、この主任を設けたゆえんは、無資格者に操作を行わせるが、そのことによって、資格がないゆえをもって重大な問題を生じないようにさせるという意味で主任については無資格者に対する監督を行わせると。具体的には、監督をすべき対象者の無資格者に対してその操作に関して必要な指示を与えると。それから無線局の運用に関して無資格者に一定のレベルアップといいますか、技能の向上を行うための教育訓練に関する事項をお願いしようと。さらに、その他無線設備の全体に関しまして必要な操作に熟達するような監督業務を行わせる、こんなふうに考えておるところでございます。
  180. 磯村修

    磯村修君 そういう意味からいったら大変責任は重大な意味を持っているわけですから、その辺はきちっと法文でもって決めるべき要件のものではないかというふうに私は理解するわけなんです。  時間がありませんので先に進めさせていただきます。  現在の電波法では無線設備の製造等につきましては特定の資格は必要でないということのようでございますけれども、基準に合ったそういう設備というものを利用していわば改造的な機器も最近は出てきておりますね。そういう意味合いにおいても無線設備の保守あるいは修理といったものにつきましては、いわば一定の資格を持っている人がそういうものに当たるべきではないかと思うのですけれども、その辺のお考え、いかがでしょうか。
  181. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 話が広範に及びますが、例えば船舶局の事例等に関して申しますと、先ほど来申し上げておりますRR、国際電気通信条約の附属無線通信規則では、無線設備の操作としては、無線従事者として一定の例えばモールスとかそういうものに関して、こうした条約を受けて現在法律で一定の郵政省令で定める条件を付したりしていまして、限定をいたしておるわけでありますが、これも先ほどお尋ねでございましたけれども、遭難とか緊急とか安全通信のための操作等、人命の安全にかかわるものについては無資格者が操作を行えば電波監理上重大な問題が生じる可能性が高いと思われるものについて省令で規定いた そうとしておるわけでありますが、船舶局の無線設備の操作のうちで無線設備の内部の調整等の高度な技術操作については、無資格者がその操作を行うということは重大な問題を生じかねないと考えておりますので、これはやはり無線従事者でなければ行ってはならない、こんなふうな操作という範囲を規定いたしたいと考えておるところでございます。
  182. 磯村修

    磯村修君 その辺は、特に船舶航行中のそういう無線設備の保守管理というものが、やはり自分の船だけではなくて他人の船にも及ぼすような大変悪い結果を与えることにもなるわけですので、その辺は厳格にひとつ考えてほしい、このように私は思います。  それから最後に、GMDSSというのが平成年度から導入が始まるというふうなことなんですけれども、郵政当局のこの制度移行へのスケジュールを一言伺っておきます。  それからもう一つは、現在のシステムとの併存状態が続くと思うのですけれども、その場合にGMDSSの適用が強制されない船もあると思うのです。その辺の取り扱いにつきまして見解をただしたいと思います。
  183. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 御指摘のとおり、このGMDSSの移行は一挙にはいきませんで、平成四年からスタートいたしまして平成十一年に本格的な世界的な移行態勢に移る、こういうスケジュールになっておりますので、平成四年から十一年はいわば旧来のモールスと新しいGMDSSとの併存期間ということになろうかと思うのであります。この関係については、まだまだいろいろ船舶の関係でありますとか電波法の改正等について重ねて準備をいたさなきゃならない段取りでございますが、そのためにまた改めていろんな必要な措置を講じてまいりたいと考えております。  お話の、無線設備の設置強制がない部分というのは確かに御指摘のとおりございます。これは主として小型船舶ということになろうかと思うのでありますが、例えばヨットでありますとかモーターボートでありますとか、こういうレジャーに使うような船舶、あるいは小型の漁船とかあるいは遊漁船――魚釣り船みたいな、そういう小型船舶は無線設備の設置というものは義務づけられておりません。また、現実につけようとしましても船体が非常に小そうございますから構造上無理がある。あるいはまた電源が電池みたいなものしかないとなると小さい出力しかないというようなケースもいろいろございますので、現実に小型の船についての設置率というのは、こういう電波の普及率といいますか、こういう大がかりなGMDSSの強制はもちろんない、あるいはモールスの設置強制もない船がたくさんあるわけでございまして、その結果、現実についているものも全体としまして、例えば五トン未満の小型漁船につきましても一五%強ぐらいしかついていないという状態にございます。しかし、これらの小型船舶の事故というのも最近大変心配をされる事情にもございます上に、だんだん世の中が忙しくなってまいりまして、漁に出ておりましても沿岸との間の連絡が絶えず必要になるというような通信需要もふえてまいりますので、私ども強制にはならない分野に対してもこうした電波需要について十分な対応が必要だろうと考えておりまして、できるだけそうした船の需要に見合うようなシステムということも考慮していかなきゃならない。  ただ、無理無理高価なものをつけると言っても現実には困難でございますので、こうした面でできるだけ安価に、しかも技術の面でも、大変な高度な技術がなきゃ扱えないというものでもまた普及もいたしませんので、できるだけそうした安価で簡便に使える、こういうようなものもぜひ考えたいということで、最近でございますけれども、港湾無線電話、略称マリネット電話というようなものも開発いたしておりますが、こういうものもひとつ普及を図っていきたい。これに限りませず、小型船舶については御指摘の点ございますので、今後ともいろいろ通信ニーズを十分見きわめてこうした通信手段に対しての確保の方策ということについても鋭意努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  184. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 最初に、郵政省が今考えている電波法の改正、この中身は、電波利用の促進のために、一つは無線従事者免許のいわゆる取得の簡易化、それから二つ目は無線局免許運用条件の簡素化というか簡易化、三つ目は外国人が開設可能な無線局の種別の拡大、こういういろいろな施策を講じてきておりますけれども、今後、地域の特質に応じた、いわゆる山間部もありますし平地もありますし、そういったところを踏まえて、例えば法人税の控除、減額、そういう面も含めて電波利用がなされなければならない、私はこういうふうに思うのですけれども、この点については具体的にどんな考えを持っておられますか。
  185. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 御指摘のとおり、今日の情勢からいたしまして、中央と地方の格差是正といいますか、均衡のある国土の発展というのは大変な課題でございますので、そうした意味合いで、電波に限らず情報通信全般を通じて寄与できないかということでいろんな施策をやっておるわけでございます。とりわけ御指摘のような電波というメディアは、他の有線系のメディアに比べますと、いわば設置が比較的期間的にもたやすくできる、あるいは設置自体が比較的現実に有線を引っ張りますよりは経済的になる、あるいはいろんな災害が起きましたときに、地震が起きたというようなことで線が切れたりということがないというようなことで、これまでの情報通信基盤の整備がおくれた地域でも比較的取っつきが早い形で地域振興への寄与ができるのではないかというようなことで、現在私どもいろんなことを考えております。  特にそうした面で地方振興ということを重点にこの電波利用を考えてまいりたいということで、これまでは電波は全国共通の形で、どこへ行っても、一つの例えば無線機でございますればどこの地域でも同じ周波数が使えるということ、これも一つ大事なことでございますけれども、余りそれにこだわっておりますと、東京では非常に過密になっているけれども地方に行くと比較的需要が少ないからいわばあいた空になっておる。東京は過密だけれども地方はがらがらあいておる。こんな状態もございますものですから、そうした電波というものを地方の振興に役立てるような生かし方はないものかということで、これには御案内のとおり地方のそれぞれ単位に地方電気通信監理局というものを設置いたしております。地域の実情を一番よく承知いたしておりますので、地元の経済の実情あるいは地域産業の現況、そうしたものを地元の地方公共団体等あるいはいろんな団体地域団体等とよくいろんなコミュニケーションを図りながらこうした対応をひとつ督励したいということで、一つには地域にそのセクションを設けまして、それ専門の担当の課を設けております最近でございます。  それから、そうした意味で、さっき申し上げました周波数の権限というものを一部地方に委譲しようと、そうしたことで基本的な枠組みはひとつ大いに整えたいと、現在こうした形の中でいろんなプロジェクトをいわばサーチをしている状況でございますが、そうした意味では新しいものがいろいろ出てこようかと思うのであります。  既に、現実に動いております地域的な電波メディアといたしまして二、三御紹介申し上げますと、一つはマルチメディアタワーというのがございます。これは東京タワーの小型版みたいなものを各地域につくりまして、それでいろんな無線の需要をそのタワーから発出して、いわばできるだけ共用の、共同のタワー、そして同時に、それに附帯しました形でのいろんな社会情報化進展するような研修施設だとかあるいは展示施設だとか、そうしたものを附属させましたようなこういう共同利用施設というものをペアにいたしまして、できるだけこれについての財政援助もいたしてみたい。いろんな面で資金面での援助をいたしたいということで、これはおかげさまで現在民活法の対象施設に相なりまして、無利子融資とか補助金等の支援措置ができるわけでございますが、これは現在この近間でございますが、田無のスカイタワー西東京といいます、それから福岡でも福岡タワーということで、これは来年の二月に完成する予定でございますが、こんな形のプロジェクトが一つ進行いたしております。それからまだ全国的にもいろんな各地で構想がございます。大阪とか神戸でも現在検討中でございますが、こうしたもの。  それからもう一つは、マリン・コミュニティー・ホン、先ほどもお尋ねがございました小型の部分でございますが、さらにこれを漁業船とかあるいは小型ヨットというのにできるだけ小型軽量で、かつ安いということで、しかも公衆通信というんじゃなくて、いわば会員制みたいな共同の自営設備といいますか自営の共同通信、自営通信を行わせる、こんな形で現在研究をいたしておりました結果がようやく実りまして、これは千葉の館山でございますけれども、百局ばかりが加入をしていただいて、できるだけ安い負担金でこうした沿岸地域の無線を大いに利用いただくということを始めておるわけであります。  そんな形で、できるだけいろんな形での準備をいたしたいと考えているところでございます。
  186. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 無線の今回のこの改正では先ほどから話がありますように無資格者のいわゆる操作が認められる、この点でございますけれども、基本的に言いますと、無線局の操作というのは無線従事者が行うというのは、これは無線局の免許制度とともに電波法制定以来の基本原則であるわけです。これは電波の特質等を考慮して電波の効率的利用を達成するために要請されたものであるわけでありますが、それがこの改正で、無線従事者の監督のもととはいえ無資格者にいわゆる操作を認める。これは電波法の原則の言うならば大きな方針転換だ、こういうふうに私は認識しているんですけれども、一点だけ。  一つ目は、このような操作の方法をなぜ取り入れようとするのか、簡単で結構です。二つ目は、採用することによって電波監理上支障は生じないのか、これも簡単で結構でございますから御答弁を願います。
  187. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 一点目の、なぜこういう制度にしたかということは、無線局の数が大変ふえておるということでございますので、これに対処したい。それから無線通信技術が非常に進化いたしまして、設備が非常に自動化し、レベルアップしておる、こういうことに対応したいということで、資格者でなければ操作ができないという体系を何らかの形で緩和をしたいというのが一つ目の大理由でございます。  それから二点目の御心配といいますか、しかし、そうしたことによって電波の秩序が乱れて有害な問題が生じないかという懸念でございます。確かにこの点は、こうした制度を入れるについては十分な考え方をしていかなきゃならない問題だと思っておりますので、一つには緊急・安全通信、こうしたものは無資格者がみだりに操作にかかわってはならないだろうということで、こういう制度を入れましてもこの除外例のところを設けていこう。それからさらに、主任というのが今まで自分の機械だけをいじればよかったわけでございますが、先ほどから話が出ておりますように、他の無資格者を指導いたすわけでございますので、その資格要件を新たに定めて主任の行うそういう体系というものをできるだけ全体として機能を向上させるような形でこの電波の運用に支障のない体制をとってまいりたい、かように考えております。
  188. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 それにダブりますけれども、先ほどからお話があったように、無資格者が操作できるということになると、この主任制度、いわゆる主任という言葉と監督という言葉、これが新しく出てきたわけですね。三十九条の三項ですか、これでは監督はどういうことを職務内容とするのか、監督の字の意味ですね。これは先ほどお話がありましたけれども、もうちょっと詳しくもう一遍確認をしたいんですけれども、監督というその字の解釈。
  189. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) この監督を行う範囲でございますが、具体的には「郵政省令で定める」ということに法文上いたしておりますが、私どもといたしましては、この法案が成立いたしますならば、その段階での省令では、監督の問題につきましては、一つは無線設備の操作に関して必要な指示を与える、二点目がその設備の点検とか調整とか、円滑に動けるようなそういう点検、調整に関することを監督の範囲で無資格者をしてやらせるにはそういう問題が必要でございますから、この部分を予定したい。それから無資格者に対する指導を具体的に行うためには教育とか訓練とかが必要でございますから、これに関する部分。その他必要と認める監督の範囲については、これはこれ以外のことでございますから、これに附帯するようなことになるかと思いますが、おおむねこの三点を中心に考えてまいりたいと思っておるところでございます。
  190. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 これも先ほどお話がありましたけれども、主任という言葉がつけばそれだけ責任は重くなるし、今までのいわゆる無線従事者というのですか免許を取った者、国家試験を受けておれば自分自身のいわゆる専門知識が豊富であり、それから技能的にも非常に卓越しているというか、それであれば仕事は済んだわけですけれども、今度主任ということになると今言った監督をしなきゃならない。監督をするということになると、統率力とまでもはいかないと思いますけれども、やはり今言ったような省令でいろいろ決められるわけですから、それをやらなきゃならないということになると、やっぱり管理能力といいますか、それから指導力といいますか、そういうのも私は必要になってくるんじゃないか。先ほど森本さんの答弁の中で、ペーパードライバーに匹敵するような人は主任にしない、こういうことでございますけれども、ただそれだけでは私は済まされないんじゃないか、こういうふうに思うのです。  もちろん、それを明記するわけにはいきませんけれども、この法改正に当たって主任を設けるということについて、いわゆる主任従事者像というのですか、その点はどんなふうに考えておられるのか。もちろん、実際的には航空機でいえば何時間飛行時間があったとか、それから今までどれだけの経験があるか、こういうことが基準になると思うんですけれども、いわゆる主任従事者像というのですか、これをどういうふうに考えておられるのですか。
  191. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) この主任が大変重要な役割を果たすということは御指摘のとおりでございますので、さっき申しましたように、一定の、ペーパードライバーの期間が非常に長い方は御遠慮願うような仕組みにしたい。しかし、それだけじゃ不足だということでできるだけ技能講習といいますか、技能のレベルアップをしたいということで、これについては法の三十九条七項にも設けておるわけでございますが、省令で定める期間ごとに無線設備の操作の監督に関して郵政大臣の行う講習を受けていただく、こういうことに相なっておりますが、この点につきまして、おおむね三年に一遍ぐらいはぜひひとつ今日的な技術の状況について技能の向上を図る。おおむね一日か二日程度の講習を考えておるわけでございますが、そうした形で技能の向上を図ってまいろうと思っておるところであります。
  192. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 もう一問だけ。  外務省来ていますか。――一点だけお伺いします。  航空機地球局、それから航空地球局についての電波法改正の前提条件でありますけれども、国際海事衛星機構、いわゆるインマルサットですね、これに関する条約についてでございますが、この航空衛星通信のための条約改正が昭和六十年十月の総会で採択され、本年の十月十三日に効力が発生しているわけです。この機構に対する日本のいわゆる出資比率は御存じのように世界第四位であります。積極的に条約発効のために取り組むべき立場でありながら受諾の通告を行っていない。これは事実ですね。  本条約の改正は、条約本体に関する改正でありますから国会の承認を私は必要とするものと考えますけれども、国会にはまだ提出されておりません。国会で審議をしない、また受諾の通告もしないで、ただ自動的というんですか、自然的にといいますか、発効を待つのみというのでは、私は国民に対しても国際的に見てもその責務を果たしているとは言えないと思うのです。ましてや出資率が第四位でありますから、それだけの私は権限を持って、責任を持ってやるのは当然じゃないかと。  先ほど及川さんから話があったが、SOLAS条約においても私は同じようなことじゃないか、こういうふうに思うのです。ということは、結論を私の方から申し上げますと、国会軽視になるんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、この点についてどうして国会の承認を受け、受諾の通告を行わなかったのか、この理由だけ聞かせてください。
  193. 成田右文

    説明員(成田右文君) お答え申し上げます。  ただいま先生が御指摘のとおり、本条約につきましては第四回総会で改正が全会一致で採択されました。この国際海事衛星機構条約におきましては、この条約の改正の要件といたしまして、採択時の締約国の三分の二以上で、出資率の三分の二以上を代表するものによる受諾によって改正が発効する、こういうふうになっております。  我が国といたしましても、先生指摘のとおり、インマルサットにおける重要な役割にかんがみまして、本件条約の改正につきまして早期に受諾する必要性について政府内で検討を行ってまいったところでございます。  他方、一般論で申し上げますと、条約の国会提出につきましては政府といたしまして国会提出を要する多数の条約がございます。そういったものの条約の中でそれぞれの案件の緊急性を勘案いたしまして、さらに国会の御日程をも念頭に置きつつ、発効また我が国の締結するための緊急性というものが極めて高いと判断されるものから順次国会に提出させていただくということにしておりまして、本件の条約改正につきましては、他の案件との間でその緊急性を勘案した結果、国会に提出するに至らなかった。  他方、最初に申し上げましたような発効要件でございましたので、その発効要件を政府提出する前に満たしたということで自動的に改正が発効した、こういうことでございます。
  194. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 これ、処置はこれからどうするのですか。
  195. 成田右文

    説明員(成田右文君) 法律的には、官報告示をもちまして、この条約の改正部分につきまして我が国について自動的に発効いたします。
  196. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 今回はしようがない、こういうことですか。
  197. 成田右文

    説明員(成田右文君) はい。
  198. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 わかりました。また後で聞きますから、時間が来ましたので。
  199. 山中郁子

    山中郁子君 本改正案は、GMDSSと言う以外言いようがないですけれども、その移行をにらんで、このシステムを搭載している場合は主任無線従事者を置き、その監督のもとで無資格者も操作可能という体制をとろうということが一つの大きな論点になっているわけであります。  衆議院でも六月十四日に逓信委員会で議論をされました。本日も先ほど来これらの点について議論が交わされております。衆議院での答弁の中で、当時の塩谷局長のたしか答弁だと思いますが、日本語で言うと全地球的な規模の海上遭難安全システムとでも言うのでしょうかと言われているんですが、そうも一々言っていられませんので私もGMDSSと言わざるを得ませんが、いずれにしても大変私は基本的に問題があるというふうに認識をしています。  それで、大変限られた時間しか質問ができないので、具体的な点に絞って解明もしたいし、はっきりさせたいと思っているんですけれども、先ほどの及川委員質疑の中でもかなり時間をとっておられましたが、指揮系統ですね、新たに主任、それを置くことによって従来の通信長との指揮系統の二つが並存するという状況が実際に理論的には生まれるし、先ほど来の質疑を伺っていても、それからまた衆議院での質疑会議録を読ませていただいても、それをやはり郵政省はきっぱり、きちんと責任を持って否定するというふうになってないわけです。  そのことは、象徴的には衆議院逓信委員会での当時の塩谷局長の答弁の中にあるんですけれども、これは衆議院松前委員質問に対してですが、「こういう主任をどう選んで、どう無資格者に対しての指揮監督をやったら合理的かという無線局での判断で混乱のないように運営されることを私どもは期待しているわけでございます。」とおっしゃっているんですね。これは、御質問趣旨は私も申し上げたし先ほど来議論になっているそういう従来の通信長の指揮系統、それから新たに監督をあれされている、権限を持つ主任が置かれることによって実際の指揮系統が分かれてしまうという混乱に対して、そのことはどうなのかということに対して、混乱がないように運営されることを期待している、こうおっしゃっているわけですね。そこをもうちょっとはっきりしない限りは、先ほどからおっしゃっているような新たなGMDSSの移行に伴う主任制度的なものについてやはり当事者の方たちを初めとしてさまざまな不安なり危惧があるということは払拭できないと私は思うのですけれども、その点いかがですか。
  200. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) この主任制度を導入する必要性についてはるる申しておりますので繰り返さないこと……
  201. 山中郁子

    山中郁子君 繰り返されていると困るんですよね、時間がないから。私は意見はあるけれども。
  202. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) と思いますので。  それから一方、通信長という制度は現行電波法そのままにしておる。そういう状態の中で、御指摘の指揮命令の問題でございますけれども、通信長が置かれておる船舶局に主任を入れるかどうか、これは必ずしも一義的ではない。もし置かなければ従前どおり通信長がそのまま指揮命令のことについては何らの問題はないわけで、しかしこれを、仮に主任を通信長兼任といいますか、通信長とする場合、これのメリットというのは先ほどもこれも述べていますとおりで、新たに資格のない方でもその監督のもとで簡単な操作が行えるような事態になるということでございますので、ここは特にそういう意味での指揮命令の問題はない。問題は、通信長でない方を任命するということがあった場合に確かにそういうことが考えられる。しかし、重ね重ね申し上げているように、通信長が置かれるような船舶局においては一番経験の豊富な方が通信長になっておられるわけでありますから、その通信長がこれは主任に選ばれるのが当然、また普通そうでなきゃおかしかろう、そういうふうに考えているわけでございます。
  203. 山中郁子

    山中郁子君 私は、無資格者にさせるということ自体根本的に問題があるということは前提として意見を持っています。だけれど、その一からやりとりしていたら時間がなくなりますのでいいわけですけれども、だから私が申し上げるのは、この法律で、法改正でそれが担保されないじゃないかということなんです。あなた方は常識的にそうなるであろうとか、それから、このときの塩谷局長の答弁かりるならば、そういうものを期待しますとか、要するに船主がそこにどういうふうにしようかということについてまで法律では担保できないわけでしょう。だから、もしそうなった場合と今局長はいみじくもおっしゃったけれども、もしそうなった場合にその指揮系統が二つになっちゃったり、あるいは通信長がもともといるのにその人が本来の指揮をとる立場を失うというか、そういう立場にいられないみたいな状況が出てくる可能性だって、今の御返事の中でだってそういうことはあり得ないと思うとか、常識的に言ってそうではなかろうと思うとか、そういうことはないように期待するとか、こういう話になっているけれども、やはり実際にはそれは断固としてあり得ないんだと、そういうことは、法律がそれを担保しているんだと、そういう御答弁はいただけて ないんですよね、と私は理解しているんですけれども。あと一言だけ。それはいいでしょう、率直にそうであるならあるで、担保しているならどういうことで担保しているかということをおっしゃってください。
  204. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 端的に申せば法律にはそのことを書いてございません。それはなぜかと申す理由がございますが、というのは、主任制度というのは、船に限らず通信長が置かれているような特別なケースでなくてあらゆるものすべてに共通した制度にするわけでございますから、いろんなケースが想定されるわけでございますので、法律上その上位の者に限ると、あるいは上位の資格だというふうに限定することは、現実の問題として、またせっかく導入した制度が導入した趣旨を十分生かされ切れないという問題もございますのでこのようなシステムにしてある、こういうことでございます。
  205. 山中郁子

    山中郁子君 問題は、理屈とか考えられるいろんなケースということではなくて、今現在遭遇している問題で当事者の方たちを含めて問題点が浮き彫りになってきているんだから、そこに対して私どもは焦点を当てて解明を図っていかなきゃいけないという第一義的な任務があります。そういう立場で申し上げているんですが、私どもはそういうことに反対する立場です。しかし、そういう事態としては現実に進むとするならば、行政指導として通信長への権限の一本化というものは郵政省としては強力に推し進めるという考えは持っていると、大きく言って、余り細かいことは言っていただかなくてもいいんですけれども、基本的な考え方としてそういうことはお考えになっていらっしゃいますか。
  206. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 主任を置きましたゆえんは、無資格者に安んじて運用しても差し支えないように、それを監督し得るような方を主任に選ぶ、そういう前提でこの法律をやったものでございますが、それを法上最上級の者とか、細かいことを書くと、さっき申しましたように大変現実には不自由なことになる側面が出てくる懸念があるということで、そこは法上書いてございませんが、おっしゃるとおり、現実の実態に応じてこの上位の者が主任になるようなそういう運用について指導を行ってまいりたいと考えておるところであります。
  207. 山中郁子

    山中郁子君 もう一つの問題は、先ほどもちょっと及川委員の御質問に対する答弁の中で触れられたように承ったんですが、監督に必要な要件は、臨場性、指示可能性、それから継続性であるということですね。これは衆議院質疑の中でも当時の塩谷局長が答弁をされていらっしゃいます。  それで私は、もう一つ重要な問題は、専任する立場でこれに当たらなくちゃいけないのは当たり前の話なんだけれども、もし資格を持っている人間がいればいいということになれば、あとは無資格でもいいということになれば、資格を持っているのは船長だって資格を持っているわけですよね、航海長だって資格を持っているわけです。そういう人が、資格を持っているからということでいて、それで無資格者でよろしいという理屈だって成り立ってしまうのではないかという点についてちょっと明らかにしておきたいのです。  これもやはり同じく衆議院逓信委員会で、佐藤委員質問していることに対して当時の塩谷局長がこう答弁されているんですね。「船長さんでありましても、ちゃんとした無線通信士の資格を持っておられる、有資格者であるということであれば、主任無線通信士として、無線従事者として兼任される、その意味で船長との兼任ということはあり得ると思います。」と、こうおっしゃっているんです。  私は、これはやっぱり断固として専任でなければならないはずの仕事である。船長が資格を持っているから、船長の仕事をしながらこれを兼任するとか、航海長の仕事をしながらそれを兼任するなんという性格のものではなくて、当然のことながら船の安全運航にかかわる専任的業務としてそれが確保されなければならないというふうに思っておりますけれども、その点は明確にしていただけますでしょうか。
  208. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) これはいろんなケース、法律でございますから、何といいますか、法律の出し方としてはどうしてもこれは一義的にならざるを得ないわけでございますから、そうした意味合いでいろんなケースがあるんじゃないか、あったら混乱するんじゃないかということもさっきから御指摘が何回か繰り返されるわけでございますが、あくまでもこの主任というのが上位の経験者ということを想定して、しかも現実に運用もそういう形にしたいということで考えておるわけでありますので、例えば第一級無線通信士のように非常に上級の資格をお持ちの方が、現にその方が船に乗っておられて、しかし、船長さんが非常に簡易な資格をお持ちだといったケースを考えました場合に、その船長さんというのは、あくまでも上位の資格を持たれておる通信士に比べればはるかに操作範囲は非常に限定された範囲に当然おのずからなるわけでございますから、仮に主任になったところですべてのものには操作ができないわけでございますから、そういったケースにあるような船舶局というのは、当然船長が簡易な資格を持っていたとしても、上級の資格者としてこの通信士なる方が、一級の通信士なら一級の通信士の方が主任の無線従事者として専任されるものと期待をいたしておるところでございます。
  209. 山中郁子

    山中郁子君 ほら、やっぱり期待をするとおっしゃるんですよね。だから、期待どおりいかなかったらどうするのかということを私どもは言っているんですよ。それは何か新しい法律をつくって、新しい法律でああいう場合、こういう場合、一から百まで千まで考えるということじゃないの、現状があるんだから、現実があるわけだから。特に船舶の場合、現実に資格を持っている人たちによること以外にできないはずになっているところを、無資格者でもできるというふうに法律を変えるというわけでしょう。そこから生まれる問題点、それはまずかろうと私は少なくとも言っているんです。  それで、衆議院のときの塩谷局長の答弁をもう一度言いますよ。「船長さんでありましても、ちゃんとした無線通信士の資格を持っておられる、有資格者であるということであれば、主任無線通信士として、無線従事者として兼任される、その意味で船長との兼任ということはあり得る」とおっしゃっているんですよ。  だから、これはない、それは違っているというなら違っているとおっしゃってください、このときは塩谷さんこうおっしゃっているけれども。こういうことがあり得るなら、あなた方が幾らここで言おうと、やっぱりそれは自分たちの都合のいいような期待をするだけであって、現実には大きないろんな危険をはらむような事態を生じさせかねないということが変わらないということになります。
  210. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 大変ややこしい制度なものですから恐縮でございますが、具体的に申し上げますと、主任になったからといって船なら船のあらゆる機器が全部いじれるというわけでは決してないわけであります。あくまでもその資格の限度においてそれより以下のレベルの人のいわば監督と自分の操作を行うということだけでございます。  したがいまして、仮に今の塩谷局長の答弁のように、船長でございますが、大変通信のことには造詣が深くて、自分で一生懸命勉強なさって一級通信士の資格もお持ちだというケースであればその方が主任になられる、そして主任としての業務を行うことは、これは可能であろう。  ただ、私が申し上げたように、一般的にあるのは船長さんが簡易な資格をお持ちであろう、こういうケースのときにはこの船長さんが主任になってしまったからといってすべての船舶の無線設備を監督なさるというわけにはこれはまいらない。したがって、そうとなれば、資格をお持ちの通信長がおなりになるのを当然我々も期待するし、現実に船としてもそうでなきゃ動かない、こういう ことだと思っております。
  211. 山中郁子

    山中郁子君 もう時間が少なくなってきていますので、今の回答を何回か伺いまして、私はやはり郵政省立場というのは、これに対する見解というのは、そういうことがあり得る、しようがないという前提に立っている。つまり、専任でもってきちんとやるんじゃなくて、要するにだれか乗っていさえすれば、有資格者が乗っていれば、専任でなくても無資格者の人をそこへ置いて無線業務に従事することができるのだということについて何ら歯どめがないということ以外に承れません。  最後に、GMDSSへの移行を決めたいわゆるWARC―MOB、つまり無線主管庁会議でただし書きをつけたいわゆる現行システムも、完全に実施されるまでは、つまりGMDSSが完全に実施されるまでは継続することとされていて、一九九九年までに移行するスケジュールになっているということでありますけれども、いろいろ一般的に考えて、日本の国内もそうですけれども、世界的に考えても経済的な理由その他さまざまな状況から移行が不可能なところがかなり出てくると私は思うのです、一九九九年までに計画どおりにGMDSSを搭載するのにね。そういう措置ができないところがある程度出てくる可能性はあると私は思います。  そういうことについて、例えば八〇%整備できたからといってもうそれ全部用意ドンで移行しちゃうんだと。そうすると、今までの救助システムによって救助されていた部分が切り捨てられるということになってはいけないと私は思うんですが、その辺についての日本の主管庁としての郵政省の考え方、つまり国際会議に臨むというスタンスでもあると思いますけれども、それをお伺いしておきたいと思います。なるべくそういう機械的なことでなく、生きた対応をされるべきだというふうに考えた上でお尋ねをするわけでありますけれども、簡潔にお答えいただければ幸いです。
  212. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 御指摘のとおり、これは一遍にある日どんとやらないで、平成四年になったらもうスタートをしましょう……
  213. 山中郁子

    山中郁子君 西暦で言ってくれない、国際条約なんだから。
  214. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 一九九二年からいよいよこのGMDSSに移ろう、こういうことでございますが、そこで、じゃモールスどうするのという問題になりますから、それはモールスと併存してまいりましょう、しかし短い期間ですとおっしゃるようにいろいろ問題もございますから、西暦で申しまして一九九九年、平成十一年になったら、そのときにはもうモールスで人命安全というものを、今やっておるようなシステムはもうこれは打ちどめにいたしまして、そこから後はすべてこのGMDSSという新しい機器で全体のシステムを構築しよう、こういうことでございますので、移行期間はいわば九二年から九九年の七年間置いて、おっしゃるとおり日本だけがやっても意味はなさないわけでございますから、機械的に共同歩調でまいろうということの約束を、さっき外務省も出て御説明申しましたとおり条約で、しかもそれを十年かけて議論してようやく合意ができた。それにも長い各国のいろんな批准がございますから、そうしたものを待って最終的には一九九二年にスタート、始めと、こういうことでございますので、大変長期間、この間おっしゃるとおり諸国に対して、先進国ばかりじゃございませんものですから、途上国に対してはこれはぜひひとつGMDSSへの導入に関して技術協力で積極的な支援をしてまいりたいということが議論をされましてこれが決議になっておりまして、我が国も当然日本としてこうした整備に向けての支援をいたしてまいらなきゃならぬと考えておるところでございます。
  215. 山中郁子

    山中郁子君 そのときまでにできないことがあるだろうということを言っているわけですけれども、時間ですので終わります。
  216. 青木薪次

    委員長青木薪次君) あと本会議が残っておりますので、できるだけ時間どおりにお願いいたしたいと思います。
  217. 足立良平

    足立良平君 私は本改正案に一応賛成をいたしたいというふうに思っているわけでありますが、その前提で二、三郵政省の考え方というものを私ははっきりしていただきたい、このように思っております。私の質問させていただきます焦点は、この電波法関係は陸海空とそれそれぞれあるわけでございますけれども、むしろ船舶の関係中心にお聞きをいたしたいと思いますので、そういうことでひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  船舶と申しますのは、これはもう私が今さら申し上げるまでもなく、航行途上におきまして、陸上とは全く違った条件下に置かれているわけでございまして、そういう面で船舶の場合には船舶特有の振動、あるいはまた外気温の急激な変化、いわゆる気温の変化とかいろんな変化ですね、あるいは多湿、湿度の問題等々で極めて劣悪な自然環境に実は置かれている。したがって、そういう点から考えてみますと、陸上、地上では考えられないような機器における故障というものが想定をされるのではないか、このように実は思っているわけでありまして、そういう面で今日までのいろんな状況を考えてみましても、大体機器というのは急激に近年進歩してきておりますし、故障率というものも低くなってきているということは承知をいたしておりますけれども、しかし故障の発生というものは今日段階におきましても依然として続いている、このように実は考えているところでございます。  したがいまして、GMDSSの搭載機器がハイテクを駆使いたしたといたしましても、しょせん人間のつくった機器であるわけでございますので、そういう故障というものも当然考えられるというふうに思っているわけであります。例えばこのハイテクのシンボルでございますインマルサットの最新型のレーダーにおきましても相当の故障の報告が実はあるわけであります。実は私が内々ちょっと調査をいたしましたところ、これは昭和六十年からことしの四月くらいまで約三年有余でございますが、すべての船舶を調べ切っておりませんが、百三十三隻、これの故障の件数をずっと調べてまいりますと、報告として挙がっておりますので三百六十七件、実はここにその故障の報告がございます。  そして、この報告の中で、さらにある会社等におきましては、そこに乗組員が実際に直した、手直しをした件数は実は入っておりませんから、実際にそれぞれ約百三十三隻の中において故障の発生した件数というのを見ますと、約四百件くらい、四年弱くらいでございますけれども、実は数えられるわけであります。したがって、そういうふうに個々をとってみますと、船舶におきましての通信関係の機器の故障というのは、これは大変な危険度といいますか、人命にかかわる問題であるわけでございます。  そういう面で、私はその前提でひとつお聞きをいたしたいというふうに思いますのは、まず一つは、今日までこの調査をずっとやってまいりますと、現在のところ設備では二重化をして一台が故障してももう一台が機能をしていくというふうなこともやられているわけでございますけれども、二台ともこれが故障した、こういうふうなケースも実はあるわけでございます。  したがいまして、そういう故障から乗組員の命を守り、そして航海の安全を確保してきた有資格者、もう常にそういう通信士の有資格者が全部故障を直してきているわけでありますから、そういう面で有資格者の役割というものについて郵政省のお考え方というものをひとつお聞きしておきたい。  これは、もっとざっくばらんに申し上げまして、先ほど主任という問題があって、無資格者云々という話が出てきているわけでありますが、現実に故障が相当出ている。そうすると、相当の技能というものを持ち合わせている人でないと、なかなかその故障を直していくというか、修理をしていくということは難しいわけでございますので、そういう観点で、有資格者の役割について郵政省としてどのようにお考えになっているか、これをまず第一点目にお聞きをしておきたい、このように思います。  それから二つ目に、故障の関係からの問題でございますけれども、万一故障が発生をいたした場合でございますけれども、これは船舶におきましても可及的速やかに修理が可能になるように、修理のために十分な予備品あるいは計測器、あるいは工具などの備えつけを法的に義務づけておくべきではないか、このように実は考えるわけでございますけれども、その点につきまして郵政省の方の考え方をまずお聞きいたしたいと思います。
  218. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 船舶の通信の重要性はもう先生るる御指摘のとおりでございます。とりわけまた、多数の船舶が限られた周波数を共用するというような他にない事態もございますので、船舶の安全を図る上で無線設備がちゃんと動いておる、十分な機能を維持していくということは大変重要な問題でございますから、この点につきましては、これまでもこの電波法の一連の体系で無線従事者という資格を持った方が定期的にその機能をちゃんと点検する、あるいは無線設備をどんな状態のときでもすぐ動かせる状態にするということをお願いしておるわけです。資格者の仕事としてやっておるわけでありまして、そのこと自体は船舶の安全に大変重要な役割を果たしておる、こういうふうに認識をいたしております。  二点目のお尋ねの故障発生の場合の修理の問題でございますが、これは現在の船舶局の無線設備につきましても保守修理に必要な計器というものはちゃんと電波法で具体的に、こういう電圧計だ何だというようなこともございますし、それから予備品についても、ヒューズだとか、あるいは水晶発振子がどうだとかというようなことをちゃんと義務づけておるわけで、こういうものを備えておかなきゃならないということでございます。  お尋ねの今度新しくできますGMDSSの問題との関係でございますけれども、これはこちらの条約でも十分な工具とか予備品とかを備えなさい、こういうことになっておるのでありますから、国内法令でこれについては対応しなきゃならないと思います。ただ、どんな工具だとか、どんな計器だとかいうようなことについては、先ほどからございますように、条約の発効にはまだ時間がございますので、その間に十分に慎重に安全確保の視点で進めてまいりたい、検討してまいりたいと考えております。
  219. 足立良平

    足立良平君 その上に立ちまして、ちょっと二、三要望をこれは申し上げておきたいというふうに思います。  これは、ずっと先ほど来それぞれ先輩の委員の皆さん方から提起をされております内容にダブる場合もあるわけでございますが、まず第一点目は、GMDSSの船舶に来年ですか搭載されることは一応予定をされておるようでございますけれども、今後の問題といたしまして、電波法で決められる技術基準などにつきましては事前に関係者の意見を十分にひとつ取り入れるべきだというふうに実は思っておりますし、先ほど来お話としてもその方向性を確認をされているようでございますので、私の方からも再度そのことをひとつお願いをしておきたい、このように思います。  それから二つ目に、先ほど山中委員とのお話の中で実は私少々疑問を持ったわけでございますけれども、例えば主任ということで、仮に船長あるいは航海長とか、船の例えば船長に一応限定いたしますと、船の最高責任者でございますね、その方が主任ということで資格を持っていると仮にいたしましたときに、これはちょっと及川委員とのお話の中にもあったんではないかと思いますが、人命の安全上遭難とかあるいは緊急の事態とか、そういうときには無資格者が対応せずにその主任等有資格者が対応しなければならないというのを省令として考えていきますということが先ほど答弁としてございました。山中委員とのお話の中では、形として仮に主任というのは今まで一級通信士ですか、通信長の資格を持っている人が船長さんとしておればこれは主任として認定できることもあり得る、こういうことの話であります。  例えば緊急事態のようなとき、船の遭難のようなときに船長は船全体の指揮をとっていかなきゃならないわけですね。そのときに一方で、先ほどの及川委員とのお話の中にありましたように、無資格者がこういう緊急事態のときに対応できませんよ、それは当然でしょうと、こうおっしゃっている。実際的にはこういう緊急事態のときには全然対応できない、不能になってしまうということが想定をされるわけであります。  したがって、そういう面からすると、これは今後の省令の決められる範囲とか、いろんな点でその種の問題が、及川委員指摘されておりましたように、こういうふうにまさに安全上の問題でございますから、遭難とか緊急の安全の通信の維持はまさに有資格者でないといけない。そうすると、それは当然若干その辺のところですね、主任の選定に当たっては何らかの担保がきちんと実際の運用の中でされなければならないのではないか、こんなことを私は先ほど来のお話を聞いておりまして実は感じましたので、これはひとつ要望として、時間の関係もございますので出しておきたい、このように存じます。  それから三つ目の要望でございますけれども、今日、ハイテク技術を中心にいたしまして大変な技術の進歩がございます。この技術の進歩を、働いている人たちの側からこれを全く阻止するということは、私は今後の我が国の技術立国という立場からするならこれは現実的ではない、妥当ではない、このように実は考えておりますけれども、しかし問題は大変長年にわたって、しかも大変苦労して、その技術を習得してきたその資格者が、技術革新なり何なりによって今までの技能、能力というものがある日突然ぱっと否定をされてしまう。こういう状態が繰り返されてまいりますと、今度は逆に働いている人たちの側からそういう技術革新なりそういうものに対してセーブをしていかなければならないではないか。極端に言いましたら、これは単に技術の問題だけではなしに、その働いている人たちの人間の生きがいの問題という問題にかかわってくるわけでございます。  したがって、そういう点からいたしますと、そういう技術革新というものや技術進歩を否定しない立場でさらにそれを進めていこうとするならば、今日までそういう技能を蓄積してきた人たちに対して大変温かい施策というものが郵政省側におきましても、あるいはまた個別の労使の中におきましても行われないと、私は実際的にその技術の進歩というものをゆがめてしまうことになりかねない、このように思っておりますので、この点について私は、そういう観点からのひとつ施策というものを郵政省あるいはまた労使の関係、あるいはまたひょっとしたら運輸省も関係するのかもしれませんけれども、お願いをしておきたい、このように考えるわけでございます。  さて、その上に立ちまして、私時間も余りございませんが、ちょっとこれはお聞きをしておきたいと思いますのは、今後のGMDSSの導入によりまして、従来のシステムより安全のレベルが低下することが絶対にあってはならない、このように私は実は思っているわけでございますけれども、この点につきまして郵政省側の考え方をお聞きしておきたい、このように思います。
  220. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) レベルが低下することがあってはならない、これはおっしゃるとおりだと思っております。  従前のシステムがしかし問題があって変えたということについては、もうお聞き取りのことでございますので繰り返させてはいただきませんけれども、基本的にはやはり新しい技術ができたので、その技術を、成果を取り入れて従前の遭難通信が持っていたレベルをさらに一歩向上させたい、一段と向上させたいというのがこのねらいだと受けとめて対処をいたしてまいりたいと考えておるところでございます。
  221. 足立良平

    足立良平君 それでは、ちょっと時間があれですから一点だけ簡単にこれは大臣の方にひとつ考え方をお聞きしておきたいと思いますけれども、今回このように大幅な無線従事者制度の改正を行ったわけでございますけれども、今後の無線従事者制度の将来展望につきましてひとつ考え方をお聞かせ願っておきたい、このように思います。
  222. 大石千八

    国務大臣大石千八君) 近年における電波利用の増大等に伴って無線局数は増加の一途をたどっており、この傾向は今後も続くものというふうに認識をしております。  また、最近の無線通信分野における技術進歩には著しいものがありまして、無線設備の信頼性は向上し、システムの自動化も進展しております。これらを考慮してみますと、無線局に一律に無線従事者の配置を求めることにより、かえって電波利用の促進を妨げる局面が出現することも予想されるわけであります。  このことから、今回の改正案では無線設備の操作を行うすべての者に無線従事者資格を求めることをせず、十分な能力を有する無線従事者の監督のもとで無資格者にも無線設備の操作を認めることといたしましたが、これは現時点における電波利用の実態に最も即した措置であると考えております。  この主任無線従事者制度の導入によりまして、電波利用拡大に伴う無線従事者に対する需要の増大にも対応できるものと考えており、同時に、無線従事者が無線設備の操作だけでなく、無資格者の操作の監督を行えることとなることから職場における地位の向上が図られることを期待しているところであります。  今後は新制度の普及に努め、その適切な運用に万全を期し、電波利用促進の一助となることを期待しているところでございます。
  223. 足立良平

    足立良平君 終わります。
  224. 平野清

    平野清君 改正点そのものについては諸委員からいろいろお尋ねがありましたので、電波法一般についてお尋ねをしたいと思います。  その前に、先般ヨットを含む沿岸小型船舶の安全対策について質問がありました。  しかし、この夏行われましたヨットレースで、あるヨットが行方不明になってしまったと。完全に無事に戻ってきたんだけれども、原因を究明したら無線を切っていたというのが発見がおくれた原因のようでございますけれども、これからの緊急無線の設置、運用指導郵政省はどうやられるのか。  それから、レジャーの普及とともに山の遭難が大変ふえております。先般もSOS問題等がありまして、非常に遭難等に対する電波利用というものが重要性を帯びてくるんですが、郵政省としてはどういう対応をされようとしているか、お聞きしたいと思います。
  225. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 大変レジャーが盛んになってまいりまして、新しいいわば生きがいという形になっておりますが、お説のように非常に危険を伴うものでございますので、通信の役割というのはこうしたレジャーの面でも大変重要になってまいるいうことは御指摘のとおりだと思います。  ただ、現在のレジャー関連の無線システムというのは、それなりにレジャー専門のいろんな山岳遭難防止用無線だとか、あるいはスポーツレジャー用無線だとかという設備もございますが、あるいは市民ラジオとか物を用いてやるケースもあるわけですが、全般的な既存のシステムでは通話距離が非常に短いということ、あるいは通信が需要が多いものですから非常にふくそうして十分かからないというような問題もございますので、私どもとしてはできるだけひとつ広範にこうしたレジャーの大勢を現実を直視してかかるべきだ、こんなことで現在研究会ということでまず着手をいたしておるわけであります。各界のレジャー関係の方、いろんな機器に関する専門家というところで対応いたしたい。特に新しい通信システムなんかが、先ほども出ておりましたマリネット電話とかマリン・コミュニティー・ホンだとかというのもございますので、こうした新しく誕生したシステムもあわせて普及に努めてまいりたい。いずれにしても、おっしゃるようになかなか大変な問題だと考えておるところであります。
  226. 平野清

    平野清君 次に、このように無線局がどんどんふえますと、それに伴って電波を不正に利用する人がいっぱい出てくると思うのです。それで、電波法違反防止旬間というのが毎年行われておりますけれども、ことしも六月一日から多分十日だったと思います、行われました。その実施概況及び不法無線局の取り締まり結果はどうなったのか。また、不法無線局の措置数がほとんど数字を見ていますとふえておりませんけれども、それは不法無線局自体もふえていないのか、それとも取り締まり実態が追いつかないのか、どちらなのか。それからまた、不法無線局探査に関します平成元年の予算はどのぐらい持っているのか。例えば移動探査車とかセンサス等の施設数はどのぐらいになっているのか、お聞かせいただきたい。
  227. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 御案内のとおり、毎年六月を中心にいたしまして不法無線防止の旬間というものを広報活動としてやっておるわけであります。この期間に不法無線局の取り締まりもあわせてやっておるわけでありますが、今回では、トラックに搭載しているハイパワー市民ラジオ、不法パーソナル無線など百三十一局を告発いたしました。残り、その他に六十二局というのがございましたが、これは注意指導にいたして、言えば百九十三のケースに対して措置をした、こういう実態にございます。  なお、こうした不法無線についてはなかなか悪戦苦闘といいますか、相当一生懸命やっておるわけでございますが、措置局数というのは確かに減少をいたしておりますけれども、やはりこの辺は、自動車に搭載する不法な無線局というのは非常にふえてまいりまして、発射電波の確認とか、あるいは発信した人間はだれかということの特定が困難になってきているという事情にございます。  そこで、いろんな新しい新鋭の機械等も導入してやっておるわけでありますが、予算としては、監視関係では、人件費を除きまして平成元年度では総額としては三億三千万円ばかりの予算でございます。しかし、純粋に不法探査の部門だけでは五百万だということでございますが、おっしゃるように、予算としては決してこれで十分余り返っているという状態ではないわけでございますが、ぜひひとつ予算の確保に努めて必要なセンサス等も整備をしてまいりたい、こう思っております。現在のセンサスとしては、各地にいろんなことがございますが、固定のセンサスが三システム、車載システムが一システム等々の設備をいたしておるところであります。
  228. 平野清

    平野清君 それでは、この間NHKが杉並方面で電波ジャックされたという報道があったんですが、電波ジャックの監視体制はどうなっておりますか。
  229. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 一般に電波ジャックと申しますのは、放送とか警察とか消防とか、こういった重要無線に対する意図的な妨害ということでございます。最近も確かに後を絶たないのでございますが、監視体制としましては、やはりこれは非常に大変な問題だということで、まずは未然防止ということが必要だということで、とりわけ最近の情勢を見ますと、選挙があるとか、あるいは外国の要人が来日するとか、社会的に大きな行事があるとか、そういったときに発生が見られがちでございますので、こうした傾向にかんがみまして、こういう事態が十分に予想される場合には、事前に重点地区を設定しまして示威的な監視者を巡回するとか、あるいは重点地区の設定をいたすとか、そんな形で万全の監視体制をとっておるところでございます。
  230. 平野清

    平野清君 不法無線の方でお聞きすることを漏らしてしまったのでちょっともとへ戻りますけれども、基準不適合の設備をつくったり売ったりすることに対する電波法の改正があって勧告、公表、報告の徴収などができるようになったというふうに聞いております。電波法の百二条の十一、十二ですか、それが成立してから現在までそれをどのように法律上生かして勧告などが行われたのかどうか。私たち見たり聞いたりしていますと、秋葉 原なんかへ行きますと、いまだに平気で不法の機器が売られているように思えるのですが、どうでしょうか。
  231. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) おっしゃるとおり、この製造過程に対する電波法における対策ということで法改正をおかげさまでお願いしたわけであります。これは御案内のとおり、必要があれば業者に対して勧告が行える、あるいは勧告に従わなければ公表ができる、あるいは製造業者に対して報告を徴収ができると、一連のことはございます。これを、これまでのところはこうした制度ができたということを強力に関連業界、メーカー、販売店に対しまして周知徹底をしてまいっておるわけでありまして、主としてこれまでは法改正まだ日が浅いということで、こうした制度ができ上がったからうかつな対処では大変問題になりますぞということを十分これまで重点を置いてやってきた、こういうことでございます。  幸いにしてこれまでのところ、この法律でいう今申しましたような措置をとらなきゃならない悪質なケースというのは、まだそこまでには至ってないわけでございますが、ただ、今後ともさらに徹底を図る必要があるということで、現在行政指導といたしましては、こういう不法コードレス電話とか、違法なハイパワーの市民ラジオに対しては法令遵守についての注意喚起をするような行政指導を現在重ねておる、こういうことでございます。
  232. 平野清

    平野清君 先般アメリカのサンフランシスコ付近で大地震がありまして相当な被害が起きました。しかし、あの場合には電波設備等には余り被害がなくて幸いだったんですが、関東大震災みたいな大きな災害が起きたとき、通信確保というものが非常な大きなウエートを占めてくると思います。地震、台風、非常災害時の通信回線確保のために郵政省はどのような対応をとっていらっしゃるか、お聞きしておきたい。
  233. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) まず、日本には各種の防災の体制をとっているシステムがございますので、この体制、例えば国土庁とか消防庁とか、あるいは地方公共団体、こうした防災ネットワークの整備ということをまず第一の大きな仕事にいたしております。  それから第二は、いざ災害が起きました場合に、それぞれのネットワークが有効に働くようにということで平時の体制が大変重要でございますので、現在国土庁とか警察庁とか電力会社とかいろんな各種の団体を網羅いたしました非常無線通信協議会というものを設置いたしました。各構成員のネットワークがいざというときに有効に機能するようにいろんな連絡体制を平素から整備に努めるということを二つ目にやっておるわけでございます。  三つ目には、これ以外に、御指摘のように有効な機関としては電力会社だとか、あるいはガス会社だとか、自前の平素は自分の業務の用に供しておる設備がございますが、これは緊急時のときにはやはり災害にも直接絡みます上に、災害情報の徴収でも大変大事なことになってまいりますが、この辺がしっかりしたネットワークを整備していなきゃならない。そこが変なことになりますと予想せざる結果になるわけでございますので、こうした自前の自営通信ネットワークに対する安全信頼性の強化ということの対策をいたしております。そのためには、バックアップ回線をぜひ常備しろとか、そんなことについていろいろやっております。これから先はとりわけ重要でございますので、通信衛星を活用したシステムを考えたいということで、非常災害時には高度のシステムとしての映像情報等から災害情報あるいは災害対策に活用できるようにひとつ考えてまいりたい。  それから、さっき申しましたいろんな各種の防災ネットワークが個別ばらばらであっては機能いたしませんので、これをもう少し相互接続という形で有機的に接続できるような体系をとってみたいということで、現在これに向けているんな施策を検討して実現に努めたい、こう考えているところでございます。
  234. 平野清

    平野清君 机上論ではなかなか実際に災害が起きたときには困るわけなので、地震がいつ起きるかわからない日本ですから、早急な整備お願いしておきたいと思います。  最後に、簡単なお答えでいいですが、航空機の安全航行に関しましては電波の役割が大変重要だと思いますが、航空機安全航行に対する運輸省の電波利用の今後のスケジュールを御説明ください。
  235. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 運輸省でなくて郵政省でございますが、これはやはり航空機ではございますけれども、私どもこの電波の利用というのは大変重要だということで、一つはACASという航空機衝突防止装置というものの開発の問題がございます。これは、現在の衝突というのは比較的パイロットの目視によって回避をしておるんですが、やはり人為的なミスというのが世界的にも発生しているのは確かでございますので、これを電波を利用して回避しようという仕掛けがございます。ACASと言っておりますが、これは自動的にお互い飛び交う航空機に対して機械的に質問を発して、おまえは今どこにおってどれだけのスピードで飛んでいるかということを確認して、それを手元に返していろんなコンピューターで計算をいたしまして、このまま行くと衝突の可能性があるかないか、あるいは一体このまま行くといつ衝突するかというふうなことの計算をして、それをパイロットに音声で伝える、こんな仕掛けでございますが、こういう問題につきまして既に電気通信審議会へ諮問をいたしておりますので、来年早々には答申が得られると思っております。  現在、日本の航空会社でございますJALとかANA等もこうしたものを受けながら来年二月からは実験に入りたいというふうに考えているというふうに承っております。  さらにまた、もう一つ離着陸の問題で電波をうまく使えないかということで、MLSというのがございまして、電波を利用した離着陸の安全な方式ということでございますが、今までの方式もこうした電波利用をいたしておりますが、端的に言えば、これは進入路が一つしかないということでやっておったのに比べまして、今度の新しいMLS、マイクロ波着陸方式ということになりますと、空港周辺の状況に応じて自由なコースが設定できる、そして安全な着陸をいたそうということで、現在ICAOでも二〇〇〇年以降は現在の着陸方式を全部マイクロ波方式に改めようということに相なっております。  我が国としてはもうちょっと前へ行こうということで、昨年十一月に関係省令の改正を行いまして、既に国内の整備条件は整えたということになっております。できるだけ電波をこうした面で人命安全に寄与させるようにいたしたいということで、さらに努力を重ねていきたいと考えておるところでございます。
  236. 平野清

    平野清君 終わります。
  237. 沢田一精

    沢田一精君 非常に初歩的なお尋ねでございますが、今回の改正の主眼であります主任無線従事者制度は、実際にはどのような分野で一番活用されると考えておられますか。  二番目には、先ほど三年に一回ぐらい資質の向上のために定期講習を実施するというお答えがございましたが、日進月歩の技術の進歩の時代でございますが、三年に一回でいいのか。特にこの際無線従事者全般に法律上の義務として講習を課するということをお考えになっていないのかどうか、その点についてお伺いをいたします。
  238. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 先ほど来、主任の問題、船とかいろんな御指摘もございましたが、私どもは、実態としてはむしろ地方公共団体でさっき御質問もございましたような安全のためのシステム、防災のためのシステムというのがございます。これも皆資格がある方が必要でございますが、こうした防災関係とかあるいは運輸関係で自動車無線みたいな、要するに移動体の通信が非常にふえております。こういう陸上の移動通信、あるいはさっきも話が出ましたが、これはそういう移動通信の問題じゃございませんで、航空業界とか、必ずしも飛行機との通信だけではなくて、空港の中でいろんな整備の車とか、飛行機の中だとか、そ ういう空港の地上というような問題がございまして、こうした各般の業界でこうした主任制度というのは相当大きく活用されるのではないかと期待をいたしております。こうした分野に限らず、こうした主任のその点は十分生かしていただきたいと思っておるわけでございます。  二点目には、三年に一回でいいかという問題でございます。先ほど申し上げましたのは、現状で余り過重な負担にならない程度にと思っておりますが、この辺については今後の実態を見ながら御指摘のような点を踏まえて実情に即するように対処してまいりたいと思っております。  なお、法律で義務づけたらどうかという御指摘でございますけれども、全体として義務を課すというのは、法律上はやはりいろいろ問題があろうかということで、負担の軽減ということで今回の改正案には盛り込んでいないところでございますが、ただ、できるだけ技能の向上という点については意を用いなきゃならないことでございますので、むしろもう少し誘導策といいますか、資格者ができるだけ向上意欲を持つような、そういう働きかけの施策というものをできるだけ考えてまいりたいなと思っております。
  239. 沢田一精

    沢田一精君 我が国における社会経済活動、これは我が国だけではないと思いますが、目覚ましい進展に伴いまして、今年は無線局数が五百万局に達したと聞き及んでおりますけれども、今後の社会の周波数の需要を満たすための郵政省としての方策いかんということを次にお伺いいたします。と同時に、無線通信分野の技術進歩には極めて著しいものがあるようでございますが、この電波利用の実態に合わせて電波法の見直しは今回に限らず不断に行われる必要があると思いますが、これらについてのお考えを承って終わりにいたしたいと考えております。
  240. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 五百万局、現在はそうですが、三年前には四百万でございましたので、大変なこのままいくと数がふえてまいりますので、周波数の問題が大変心配でございます。御案内のとおりでございますけれども、電波の利用というのは、AMラジオ、一番最初はラジオでございましたが、これはいわば波長が波を打ちますが、非常に長い、十メーターぐらい、これが御案内でございますとおりの短波帯でございますが、これから始まって次第に短いところに押し寄せてFMラジオ、テレビジョン、それから最近の自動車電話というところにまいりました。今一番よく使われております、先ほどから出ております通信衛星とか放送衛星の部分はマイクロ波帯というところでございまして、ここは波長が短波が十メーターぐらいでございますのに対して一センチから十センチの幅だというところまできておりますので、この次の問題というのは、まだ使ってないところ、あるいは使っても不十分なところをぜひ安定化して使いたいということで、当面、準マイクロ波帯というのがございまして、これは現在は固定した電話回線の中継回線のような形で使っておる準マイクロ波という部分がございます。これは十センチから三十センチぐらいの見当のところでございますが、移動体にはちょっと今のところこのままでは弱くて使えなかったのですが、ぜひひとつこれを移動しながらも使えるところへ使いたいということで、現在この技術開発を一生懸命進めておるところでございます。さらには先行きミリ波というところ、これも現在のままでは例えばレーダーぐらいにしか使えないのでございますが、これをできるだけ通信に使えないかということで、こうした問題について現在ミリ波帯に関する技術問題ということで技術審議会から答申をいただいておりますので、さらにこうした未利用の分野の開拓にうんと力を入れてまいりたい、こう思っております。  最後に、電波法の改正についてはできるだけ不断に行っていく、これはもうご指摘のとおりでございますので、ひとつ再々お願いをしとうございます。よろしくお願いを申し上げる次第でございます。ありがとうございました。
  241. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  242. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  243. 山中郁子

    山中郁子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました電波法の一部改正案に反対の討論を行うものであります。  反対する第一の理由は、この改正により、海上の場合、例えば船長など重要な任にある者が主任無線従事者になる可能性がある点であります。これは遭難などの緊急の事態に際して、主任無線従事者とされた有資格者が無線業務に専念できない事態を招くおそれがあり、船舶における安全の確保の上で重大な不安につながりかねないからであります。本日の私の質疑に対しても、政府はこの点を明確には否定されませんでした。事前に予測できないからこそ緊急の事態なのだということを銘記し対応すべきであることを強調しておきます。  反対する第二の理由は、資格要件を緩和することや無資格者がふえることによって起こる保守技術の低下の問題であります。通信機器も高度化して操作が簡便になる一方で修理にはかなり高度な知識が必要とされるわけで、そのためにも専任の通信士を乗り組ませるなど海上での保守整備が一層重要になっています。しかし、今回の法案ではこの点に対する配慮が何ら払われておりません。  反対の第三の理由は、主任無線従事者の選任は免許人任せで、主任無線従事者による監督の範囲、権限も何ら法で規定されておらず、すべて政令にゆだねられ、その内容も明らかにされていない点にあります。こうしたもとで無資格者の操作を認めることは誤操作などを増大させる危険を内包していると言わざるを得ません。  最後に、私は、こうした法改正は専門的な知識と技術を持つ通信士の社会的地位の低下をもたらすおそれがあるだけでなく、その整理合理化に道を開きかねないことを指摘して反対の討論を終わります。
  244. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  245. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  電波法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  246. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  松前君から発言を求められておりますので、これを許します。松前君。
  247. 松前達郎

    松前達郎君 私は、ただいま可決されました電波法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ国民連合、参院クラブの各派及び各派に属しない議員沢田一精君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。  一 海上における無線通信の重要性にかんがみ、船舶局の主任無線従事者には最上級の有資格者が選任されるように努めるとともに、無資格者の監督が的確に行われるよう、主任無線従事者の職務内容等を適切なものとすること。  一 遭難、緊急、安全通信については、その重要性にかんがみ、無線従事者が操作するものとすること。  一 海上関係の新資格に要求される知識及び技能については、国際電気通信条約附属無線通信規則に準拠するとともに、旧資格からの円滑な移行が行われるよう配意すること。  一 GMDSSの導入に当たっては、無線設備について実証実験を充分に行い、システムの信頼性の確保に努めること。また、開発途上国に対する技術協力等国際協力に努めるこ と。  一 電波が有限稀少な国民共有の財産であることにかんがみ、更に周波数の有効利用及び電波利用の普及促進に努め、もって国民生活の利便向上と高度情報社会の実現に積極的に貢献すること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  248. 青木薪次

    委員長青木薪次君) ただいま松前君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  249. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 全会一致と認めます。よって、松前提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、大石郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大石郵政大臣
  250. 大石千八

    国務大臣大石千八君) ただいま電波法の一部を改正する法律案を可決していただき、厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。まことにありがとうございました。
  251. 青木薪次

    委員長青木薪次君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  252. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十九分散会