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1989-12-05 第116回国会 参議院 地方行政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十二月五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員氏名     委員長         渡辺 四郎君     理 事         竹山  裕君     理 事         松浦  功君     理 事         渕上 貞雄君     理 事         諫山  博君                 井上 章平君                 石原健太郎君                 岩崎 純三君                 加藤 武徳君                 斎藤栄三郎君                 須藤良太郎君                 高木 正明君                 岩本 久人君                 栗村 和夫君                 佐藤 三吾君                 篠崎 年子君                 常松 克安君                 神谷信之助君                 高井 和伸君                 秋山  肇君     ─────────────    委員異動  十月七日     辞任         補欠選任      石原健太郎君     野村 五男君  十一月十七日     辞任         補欠選任      岩崎 純三君     初村滝一郎君      野村 五男君     鎌田 要人君  十一月十八日     辞任         補欠選任      鎌田 要人君     野村 五男君      初村滝一郎君     岩崎 純三君  十二月四日     辞任         補欠選任     篠崎 年子君     日下部禧代子君  十二月五日     辞任         補欠選任      斎藤栄三郎君     清水嘉与子君     日下部禧代子君     篠崎 年子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         渡辺 四郎君     理 事                 竹山  裕君                 松浦  功君                 渕上 貞雄君                 諫山  博君     委 員                 井上 章平君                 岩崎 純三君                 加藤 武徳君                 清水嘉与子君                 須藤良太郎君                 高木 正明君                 野村 五男君                 岩本 久人君                日下部禧代子君                 栗村 和夫君                 佐藤 三吾君                 篠崎 年子君                 常松 克安君                 神谷信之助君                 高井 和伸君                 秋山  肇君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    渡部 恒三君    政府委員        警察庁長官官房        長        浅野信二郎君        警察庁刑事局保        安部長      森廣 英一君        警察庁警備局長  城内 康光君        自治大臣官房長  小林  実君        自治大臣官房総        務審議官     芦尾 長司君        自治大臣官房審        議官       紀内 隆宏君        自治省行政局長  森  繁一君        自治省行政局公        務員部長     滝   実君        自治省行政局選        挙部長      浅野大三郎君        自治省財政局長  持永 堯民君        自治省税務局長  湯浅 利夫君        消防庁長官    木村  仁君    事務局側        常任委員会専門        員        竹村  晟君    説明員        科学技術庁原子        力局政策課長   笹谷  勇君        外務省アジア局        審議官      鈴木 勝也君        文部省高等教育        局大学課長    泊  龍雄君        文部省体育局学        校健康教育課長  石川  晋君        農林水産省構造        改善局建設部整        備課長      岩本 荘太君        林野庁指導部基        盤整備課長    福嶋 毅一君        建設省建設経済        局宅地企画室長  木村 誠之君        建設省河川局開        発課長      豊田 高司君        建設省道路局市        町村道室長    山本 邦夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国政調査に関する件 ○小委員会設置に関する件 ○地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○地方行政改革に関する調査  (地方行政改革に関する件)     ─────────────
  2. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ただいまから地方行政委員会開会をいたします。  まず、議事に先立ちまして一言申し上げます。  既に皆様御承知のとおり、本委員会委員でありました岩上二郎君は、去る八月十六日、肝不全のため逝去されました。まことに哀悼痛惜にたえません。  ここに、皆様とともに同君の長年にわたる御功績をしのび、謹んで黙祷をささげ、哀悼の意を表しまして御冥福をお祈り申し上げたいと存じます。  どうぞ御起立を願いたいと思います。黙祷。    〔総員起立黙祷
  3. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) お直りください。  ありがとうございました。     ─────────────
  4. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 委員異動について御報告いたします。  去る八月十一日、大浜方栄君が委員辞任され、その補欠として斎藤栄三郎君が選任されました。  また、本委員会は、岩上二郎君の逝去に伴い一名の欠員となっておりましたが、去る八月二十二日、石原健太郎君が本委員会委員選任されました。  また、去る十月七日、石原健太郎君が委員辞任され、その補欠として野村五男君が選任されました。  また、昨四日、篠崎年子君が委員辞任され、その補欠として日下部禧代子君が選任されました。     ─────────────
  5. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、地方行政改革に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 次に、小委員会設置に関する件を議題といたします。  風俗営業等に関する制度及び運用につきまして調査検討のため、小委員七名から成る風俗営業等に関する小委員会設置したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 御異議ないと認めます。  つきましては、小委員及び小委員長選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、小委員竹山裕君、松浦功君、渕上貞雄君、常松克安君、諫山博君、高井和伸君及び秋山肇君を指名いたします。  また、小委員長松浦功君を指名いたします。  なお、小委員及び小委員長辞任の許可及びその補欠選任、並びに小委員会から参考人出席要求がありました場合の取り扱いにつきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  11. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) この際、渡部国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。渡部国務大臣
  12. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 地方行政委員会開会に当たり、一言ごあいさつを申し上げます。  去る八月に自治大臣国家公安委員会委員長を命ぜられました渡部恒三でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。  委員各位には、平素から地方行政及び警察行政推進に格段の御尽力をいただき、厚く御礼を申し上げます。  まず、地方行政についてでありますが、東京一極集中の是正と多極分散型国土形成のために、ふるさと創生推進することが、国、地方を通ずる内政上の最重要課題となっております。  現在、自ら考え自ら行う地域づくり事業等を契機として、全国地域において、自主的、主体的な地域づくりの芽が育ちつつありますが、この芽を大きく育て、花開かせていくため、新たに地域づくり推進事業を創設し、ハード、ソフト両面にわたる支援を行うなど、ふるさと創生の一層の推進を図ってまいりたいと考えております。  また、国、地方を通ずる行財政簡素効率化を図るとともに、地方公共団体自主性自立性強化を図っていく必要がありますが、臨時行政改革推進審議会においても、国と地方との関係等について審議が行われており、小委員会の報告も提出されたところでありますので、地方公共団体への権限移譲等が進められるよう一層努力してまいる所存であります。  次に、地方財政は、約六十七兆円に達する巨額の借入金残高を抱え、また、個々の地方公共団体においても公債費負担が著しく高くなっているなど極めて厳しい状況にありますが、一方、今日、地域の特性を生かした魅力ある地域づくりが強く求められております。したがって、今後、財政健全化を図りつつ地域づくり積極的展開を図るため、地方税地方交付税などの地方一般財源充実確保に努めてまいる所存であります。  明年度地方財政については、経済動向等や国の予算編成動き等を踏まえ、地方公共団体財政運営が円滑に行えるよう所要地方財政措置を講じてまいる所存であります。  地方税制については、昨年末に税制調査会の答申を踏まえた抜本的な税制改革が行われたところでありますが、今後とも地方税負担公平適正化に努めてまいりますとともに、税源の偏在に配慮しつつ地方税源の着実な充実を図ってまいる所存であります。  次に、消防行政に関しては、災害がますます複雑多様化、大規模化する中で、何よりもまず人命の尊重を基本とし、安全な地域社会づくりを進めるため、消防力充実強化はもとより、住民事業所及び消防機関が一体となった地域ぐるみ消防防災体制確立に努めてまいる所存であります。  次に警察行政について申し上げます。  最近の犯罪情勢を見ますと、連続幼女誘拐殺人事件を初めとして、凶悪な犯罪が相次いで発生しております。  また、武装化の傾向を強める暴力団の発砲事件来日外国人による犯罪が増加するとともに、依然、深刻な状況にある少年非行覚せい剤等各種薬物の乱用についても憂慮すべきものがあります。  一方、交通情勢については、交通死亡事故が増加を続け、先日交通事故非常事態宣言が発せられ、また、交通渋滞も深刻化するなど非常に厳しいものがあります。  次に、当面の警備情勢については、来年に予定されている即位の礼、大嘗祭に向けて、極左暴力集団日本赤軍等国際テロ組織、右翼による凶悪なテロゲリラ事件の発生が懸念されるとともに、成田闘争をめぐっても極左暴力集団が引き続き過激な闘争展開するものと見られます。  申すまでもなく、治安の維持は、国家社会存立基盤でありますが、現下の治安情勢にはまことに厳しいものがあります。現在の治安水準を低下させることなく、国民生活の安全を確保していくためには、今後一層の努力が必要であります。  私は、このような情勢を十分に認識し、事件に強い警察確立に向けて所要対策を着実に推進し、犯罪情勢の変化に的確に対応してまいるとともに、テロゲリラについては、その根絶に向けて、国民の御理解と御協力を得ながら全力を挙げて対処してまいる考えであります。  また、交通の安全と円滑を確保するための総合的な対策推進していくほか、これら各種警察活動を支える警察体制の一層の充実整備を図り、国民の負託にこたえる警察運営に努めてまいる所存であります。  以上、所管行政の当面の諸問題について申し述べましたが、委員各位の格別の御協力によりましてその実を上げることができますよう、一層の御鞭撻と御指導をお願い申し上げる次第でございます。  どうぞよろしくお願いいたします。     ─────────────
  13. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) これより地方交付税法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。渡部自治大臣
  14. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明を申し上げます。  先般、政府におきましては、人事院の勧告に基づき本年四月一日から国家公務員給与改定を実施することといたしましたが、これに伴い、地方団体が国に準じて地方公務員給与改定を実施する場合に必要となる経費を基準財政需要額に算入 するため、平成元年度分の普通交付税の額の算定に用いる単位費用の一部を改定することといたしたいのであります。  以上が地方交付税法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  15. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  この際、地方行政改革に関する調査議題に追加して質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  16. 栗村和夫

    栗村和夫君 約一時間ぐらいの予定と、こういうことですが、私は大臣の隣の宮城県の出身ですので、よろしくお願い申し上げます。  地方自治民主主義の学校だとよく言われますが、私は長い町長の体験からして、地方自治というのは行政側住民、そして住民相互間の対話と協調によってのみ発展させ得る、そういう結論に到達しております。きょうはそういう精神で、おおむね五点に整理をして質問申し上げます。  第一は、地方自治に関する認識の問題です。  きょう初めて大臣の簡潔な所信表明を伺いましたので冒頭このことに触れますが、外交、防衛、あるいは金融政策、こういう国の基本的な命題を除けば、地方自治といっても市町村行政です。そこに国民暮らし、あるいは地域住民暮らしにすべて直接間接かかわり合いを持つ、そういう重さを持っていると思います。そういう中で、よく末端地方自治とか末端市町村行政という言葉が行政の当事者からも一般住民からも、いろんな団体からも聞かれますが、これは根本的な誤りでありまして、やっぱり地方自治体存在する最も実体のある地域社会結集体、こう思います。国家形成の土台であると言ってもいいかもしれません。数学やあるいは自然科学分野では絶対ということが幾つもあります、それ以外のものはありませんが、人文科学社会科学分野で絶対と言えるものは、先ほど交通問題でも触れられましたが、人間の命と地域社会だけだ、こういうような一つ論理構成をしてございます。  三割自治とか時には地方時代とか、あるいは行革とか、こういうことで時代節目節目地方自治そのものがそういう時代をくぐり抜けてまいりました。しかし、新しい憲法、新しい自治法と言ってもう四十年もけみしますが、その間、例えば国家権力も含めて、あらゆる力、どんな力をもってしても地方自治というものはもう後戻りさせることができないほど住民の一人一人の意識の中にも自治意識というのが確かなものになってきている、こういう確信を持って地方自治体活動をより独自性を持って進めていくべきだ。そして、時に中央地方が対峙するとか、あるいは地方自治法の第二章の「住民」の中に、日本国民でない住民、他国籍の人たちですが、そういう人たちも含めて地域社会というのが存在をします。したがって、そういう状況のとき、自治省という役所はあくまでも住民の側、あるいは地方自治を守るとりでとして厳然として存在をしていただきたい、そう期待をしますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  17. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 申すまでもございませんが、地方自治はデモクラシーの根幹をなすものでございますから、先生指摘のとおり内政基盤でございます。私がふるさと創生を強く訴えておりますのも、中央から地方への押しつけでなくて、全国三千三百の市町村皆さん方がみずから考えみずから行う、こういう地方自治を国が応援する、こういうことでなければならないという基本的な認識に立っております。したがって、地方自治に対する考え方は先生と全く同感でございます。
  18. 栗村和夫

    栗村和夫君 質問の第二点は、まあ質問といいますか、私の場合は自分の考えを申し上げて、しからばどう思いますかという形の質問になると思いますが、地方中央かかわり合い、特に地方財政強化についてでありますが、町長をやりながら、毎年毎年陳情の繰り返しをしながら、いつかこのことを中央の場で発言したいなと思いながら、やっとその夢を達せられることになったわけです。  まず、行政改革です。行政改革というのは、ある日突然、声高に叫んで進むものではないと私は思うんです。国も地方も常に、というのは毎日毎日という意味ではありませんが、毎年毎年、決算のときに振り返る、あるいは予算の執行のときに改めて踏みとどまる、こういうことをしながら日常心がけておくべきだ、そういうことになって初めて行政改革というのは実が上がる、こういう視点に立ちます。  そういう視点に立って、二つの点でちょっと整理をしてみますと、一つ行政改革イコール人件費の抑圧、こういうことを短絡して主張する、特に学者、評論家と言われる方々には間々多いんですね。これは私は正しくない、こう思います。人件費を抑圧するのなんか簡単なことでして、行政サービスを低下させればいいことですから。具体的に言いますと、ごみ集めの回数を減らすとか、あるいは義務教育でないから町立の幼稚園は余り建てない。それから保健婦ホームヘルパー最低限度の要員の配置で済ませる。こういうことになりますと、人件費の節約などというのは、簡単にはいきませんが、できます。しかし、それは進歩する時代の中で時代に逆行する行政として住民から率直に言って厳しく糾弾されてまいります。  こういう中で、税特議論していることですが、関連して消費税のことでちょっと例を挙げますと、例えば平均的自治体では約二十前後の公共料金消費税転嫁をしなければならなくなりました。私は平成元年度の予算編成まで、編成以後も町長をやっておりましたが、そのとき、さてな、どういうものに一体転嫁するのかと見てきますと、ガス・水道料金公共下水道町営住宅家賃、こういうのはまあしようがないのかな、こう思いながら見てまいりましたが、幼稚園保育所保育料や事もあろうにホームヘルパー派遣料転嫁をせざるを得ない。こういうようなことでスタートして、正直言ってちょっと唖然とする思いでした。ですから、予算編成当初からとてもそういう対応はできませんので、見送りして様子を見ながら編成いたしました。今度のいろいろな状況展開があって、政府自民党見直し案では食料品のほかに今例として挙げたような公共料金も見直す、こういうことになりました。  そこで私は、消費税基本論についてではなくて、こういう保育所幼稚園保育料や、あるいはホームヘルパー派遣料、こういうものに転嫁をするぞ、これをせざるを得ないぞという議論があった消費税のスタート、今度の見直し議論の中で、自治省として、大蔵といろんな話し合いということになるんでしょうが、行政の本質からして、役割からして、どういう議論をされたのか。結論が出ましたから、その過程の議論役所で言うわけにはいかぬということは、町長稼業をやっていますからわかりそうな感じですが、その辺は大臣から率直にお聞きしておきたいと思うんです。消費税に対する反発というのは、よく一円玉、五円玉の話をしますが、それと同じようなウエートで公共料金にやっぱり転嫁をした。額としては少ないかもしれませんが、そういうことが現実にあった、こう思うんです。その辺のところをもし率直に伺えれば、この機会に伺っておきたい。  それから、そういう中で民間企業行政人件費を短絡的に比較する議論というのはさっき申し上げたように誤りであって、行政の場合の人件費イコール事業費企業に例えれば。だから、幼稚園の数をふやして保母さんの数を多くするということはより住民サービスになるんです。行政人件費イコール事業費だというような認識に立ちながら私は町長稼業を進めてまいりましたけれども、この辺のところは非常に重要なことですから、お考えをお示しいただければありがたい、こういうふうに思います。
  19. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 二点のお尋ねでございますが、私の方から最初の点につきましてお答え 申し上げます。  消費税見直しに関連いたしまして自治省としてどういう対応をしたかという御指摘でございますが、これは御案内のように、二、三日前、自民党の税調でああいう方針を一応お決めになったということでございまして、これを受けて恐らく今から大蔵省が中心になりまして具体的な立法作業に入ると思います。その段階で詳細な点につきましては各省庁と協議をしながら、今からそういう具体の作業に入っていくということになっていくと思います。基本的に決められましたことは、自民党方針として大筋が最近決まったと、こういう状況でございますので御理解いただきたいと思います。
  20. 滝実

    政府委員滝実君) 行革人件費につきましてのお話を承りました。  確かに、地方公共団体が処理している事務には人件費事業費の要素となる面が多分にあることは仰せのとおりと存じます。しかしながら、これは先生御自身も恐らくは実際の町政の中で、事務事業見直しとか事務処理合理化とか、あるいは民間委託とか、こういうようなことで相当にそれなりに御苦心をされた点でもあろうかと思うのでございますけれども、一方においては事業費の性格を持ちながらでもそれなりの工夫を地方団体では現実に進めていただいて、それなり努力をされているという面が多分にございまして、行革人件費の抑制というパターンには必ずしもなり得ない問題がありますけれども、それなり努力も払われているということも現実問題としてあるだろう、こういうふうに考えているわけでございます。
  21. 栗村和夫

    栗村和夫君 大臣にちょっとお聞きしたいんですが、消費税基本的な是非のことを質問しているんでなくて、それはそれで税特でやっているわけですから。保育所保育料とかホームヘルパー派遣料にまで転嫁すると決めたということは、拙速主義だったという状況があればそれもそうだなと思わないわけではありませんが、思いやりのある政治の場合、今度見直しでこれは除きましたが、やっぱり自治省大蔵とか、厚生省と大蔵とか、そのようなところで真剣な議論をなさるべきだと思うんですね。その辺、ちょっと大臣のお考えを率直に聞かせてください。
  22. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 過般の税制改革は、二十一世紀の高齢化社会にたえ得る税制の改革ということで、所得税の減税あるいは法人税の減税、政策減税、それらを中心にして行われたわけでありますけれども、その中の一環として、今や国際的な税に対する趨勢である直間比率の見直し、こういうことを受けまして新しく消費税がつくられました、薄く広くと。また、今日の経済の動向で、サービス、こういった面で資産と所得と消費のバランスのとれた、しかも二十一世紀の高齢化社会にもたえ得る税制改革ということで非常に重要な問題であったと考えます。  ただ、消費税についていろいろな国民皆さん方の御意見等がございましたので、これらの声に謙虚に耳を傾けて、今先生指摘のように、国民にとって生活に極めて重要な食料品であるとか福祉であるとか、あるいは教育であるとか、こういう問題について党が真剣に考えて思い切った見直し作業を進めた結果である、こう考えております。
  23. 栗村和夫

    栗村和夫君 これからもひとつそういう精神で頑張っていただきたいと思います。  中央地方のかかわりの第二点は、きょうの私の質問の柱でもあるんですが、真の行政改革を目指すならば補助事業の思い切った見直しをやるべきだ。これは一朝一夕で、つまり一年や二年ではとてもできませんが、五年とかあるいは中間のローテーションなども含めて、そういう補助事業の見直しの機関をつくってやるべきだと思うんですね。そして補助事業を見直しして、今日的に意味のないもの、余り零細なもの等々はもう思い切って切っていってしまう。そしてそれに見合う分というのは、単純な算術計算になりますが、地方交付税率の三二%を三五とか、あるいは三七とかに引き上げる方向を自治省としてはいろいろしていってほしいな、こう思うのです。  そこで具体的に申し上げますが、一昨年、当時の大林勝臣さんが次官になられるちょっと前、行政局長の最後のころだと思いますが、雑誌の座談会で、大林さんと私と、それからどこかの学者の人と三、四人の座談会がありました、行革をめぐることの話し合いで。それが終わってフランクな話し合いに入ってから、補助事業というのは諸悪の根源だなと、こういうようなことで認識が一致したんですね、非常に乱暴な言い方になりますが。  私は諸悪の根源というのはおかしいとは思うんですが、国家的な規模でコントロールしていく。例えば学校を建てるとか土地改良の基盤整備をやるとか、思い切った市町村道の公共事業での整備をやるとか、これらはもうどんな財政措置をしたって独自財源でちっちゃな町村ができるわけありませんが、こういうものはいっぱいあります。そういうものは一応除いて、今日的意味がないな、こういう補助事業はいっぱいやっぱりあるんですね。そのためにしょっちゅう市町村長や都道府県知事というのは陳情に足を運ばなければなりません。それが実態です。  さらに悪いことに、行革が叫ばれて、それから補助率が一〇%カットになって、箇所づけが少なくなってきまして陳情合戦が熾烈になっていますね。これは物理的な要因なんですね。今まで二回で済んだところが三回も四回も足を運ばなければならない。こういうのが実態なんです。行政改革というのは中央に来て、一々ぞろぞろとそろって来て頭下げて歩くなどという、こういう状況を少なくとも三分の一ぐらい減らすとか、やがて半分に減らすとか、そのことは都道府県の方でまとめてやって整理してしまうとか、こういう陳情行政合理化というのが行革の至上の命題だと思うんです。  それとやっぱり補助事業があれば多少でももらわないよりもらった方がいいですから、じゃどこを削ったらいいかということを市町村長に問うたら、これはもうノーコメントになってしまうと思うんですね。それを巨視的な観点で眺めるのが自治省の役割だと思っております。したがって、この補助事業の整理統合といいますか、行革の面におけるそういう扱い、それにどういうお考えをお持ちか。それと連動する交付税率の引き上げについてどういうお考えをお持ちであるか。  ある時期まで自治省も交付税率は三二%でなく三五にしろと主張されていた時期があったわけですね。調べてみますと、昭和三十一年からずっと、二五%の交付税率が一%あるいは〇・五%、そういう単位で上積みになりながら、今の三二%になったのは昭和四十一年ですね。それが据え置きでいる。だから補助事業はもっとふやせ、交付税率は上げろって、これは整合性のない議論ですから、補助事業をカットして、例えばそこで一兆円浮いたら一兆円を交付税率の方で、単純計算すればですよ、こういうような発想を持つ時期に来ていると思います。その辺についてお考えをまずお聞きしたいと思います。
  24. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 栗村先生の長年の御経験からの御発言だと思いますけれども、行政改革に関連いたしまして補助金の整理の問題でございますが、これはやはり地方行政自主性あるいは主体性を高めていく観点からもそういうことが必要だと思いますし、同時に行財政の簡素化と申しましょうか、細かい補助金をもらうために大変な事務、手間もかかるというような問題もございます。それから国、地方を通じまして財政資金の効率的な活用を図っていくということも必要でございます。そういう観点から補助金の整理合理化は当然必要であるという基本的な認識を持っておるわけでございます。  ただ、お話の中にございましたように補助金と申しましても、例えば義務教育でありますとか、公共事業でありますとか非常に重要なものもございますから一概に申せませんけれども、いわゆる零細なもの、あるいはもっと地方に任せてもいい じゃないかというたぐいの仕事に関する補助金もあるのは事実でございます。そういうものはなるたけ整理をいたすべきであるということにつきましては、私どももかねてからそういう主張をいたしておりますし、地方制度調査会でありますとか臨時行政調査会でありますとか、あるいは現在審議が行われております行革審でも同じような議論がなされておるわけでございます。ただ、現実の問題として各省庁はそれぞれまたいろんなお立場があるものですから、なかなかそれが進んでいかないというのも事実でございます。しかし、基本的な考え方は今申し上げましたとおりでございますので、これからも引き続きそういう面で努力をしてまいらなければならないと思っております。  同時にまた、交付税との兼ね合いでのお話もございましたけれども、まずやめていい仕事もありますからそれはもうやめる。事務事業そのものをやめて補助金もやめるというものもございます。それから仕事は残すけれども地方の財源で今後やっていくというものもあろうかと思います。そういうものにつきましては今後交付税等を通じて所要財源を地方財源として措置していかなければならないということでございまして、率直に申し上げまして一挙に成果が上がるということはなかなか難しい面がございますけれども、やはり毎年毎年地道な努力を続けていくことが必要であろう、このように思っております。
  25. 栗村和夫

    栗村和夫君 意を決して自治省ひとつ頑張っていただきたい、こう思います。  そこで、質問の第三点に入りますが、これは都会の問題であるように見えて地方の重要な関心のある課題なんですが、四全総と大都市周辺あるいは大都市内の農地の宅地並み課税、これを建設省が今打ち出している。今のところはアドバルーンから具体的な執行の方に三年後を目指しながらこれを打ち出しておられますが、私はこれは整合性に欠ける、こう思うんです。  一九六二年、昭和三十七年の全国総合開発計画、六九年、昭和四十四年の新全総、さらに七七年、昭和五十二年の三全総、全総あるいは新全総の時代はもう相当古い時代ですからこれを引き合いに出すのも今は適当でありませんから、三全総と今度の四全総のかかわりですね。流れは地方定住圏構想であり、東京の一極集中を排して多極分散ですね。これは一つの戦略方針だと思いますね、国づくりの。しからば、その戦術はどうあるべきか。大新聞が、例えば朝日新聞がいろいろそれに関する論文の募集をしたり、それから、それぞれの大新聞、経済紙などがそのキャンペーンをどんどん展開してきました。  この目標を西暦二〇〇〇年に向けて実現しようとしているとき、これを平易な言葉で言えばどうかと言いますと、これ以上人も物も金も東京に流れるようにしちゃいかぬぞ。一々東京もうでしなければ許認可も受けられないとか、あるいはさっき言った補助事業も手にすることができない、こういう行政の体質なども改めていくべきで、竹下さんが一省庁一機関移転、こういうことを打ち出されましたね。私もそのときは県の町村会の役員をしておりましたので、町村会を代表して、宮城県へ首都を移せというような懇談会のメンバーになったりしてしまって、はてな、こんなことをやっても空騒ぎかなと思いながら取り組んできましたが、もう全国が沸き立ったわけですね、一省庁一機関の移転で。これは緒についたということで、その成果のほどを総括するにはまだ早い、こう思います。  そういう中で、農地の宅地並み課税をすれば宅地の供給が促されて庶民の宅地は確保できるぞというのがうたい文句。耳ざわりな話で、僕はこれは逆だと思う。今いろんなところに論陣が張られたり賛否両論が渦巻いておりますが、やっぱりこれは不動産業者のえじきになっていく、私はそう思う。もし農地の解放をするなら、それは地方公共団体なり自治体なり国なりが取得をして、将来緑地にするとか思い切った都市改造の代替地に置くとか、それは農地法の改正が必要なんですが、そういう視点に立っての農地解放の誘導ならいいんですが、どうも宅地並み課税というのは私はうなずけない。それじゃますます一極集中が進むだけじゃないか、地方にいる者はそういう受けとめ方も宅地並み課税から連想しているわけですね。  そこで私は、地域社会というのは大都市であろうが、これは学者の言葉でもなく、私自身が概念規定として考え出したことですが、自然と人間の合作だ、まずそこに自然があって人が住みついて、そして地域社会形成され、あるものは大都市になる。利根川があり多摩川があり、東京湾があって東京というのは成り立っている。だから、大都市の中あるいは周辺に生産緑地帯があるというのは非常に私はすばらしいことだと思うんですね。それも事によりけりだと思いますけれども。  ですから、そういう畑や農地を邪魔者扱いにするという発想が大体おかしいし、都会の子供の目の届くところでどうやって米が栽培されて、どうして大根がとられているというのを見聞するだけでも非常な意味合いがある、こう思うんです。したがって、それは単純ではありませんが、やっぱり宅地並み課税はそういう意味では地方自治体、あるいは四全総の具体的な実践の手だてからしても適当でない、私はそう強く考えますが、この辺のところをどうお考えか、これはもしなんでしたら大臣のお考えをひとつ伺わせていただきたい。
  26. 湯浅利夫

    政府委員(湯浅利夫君) 大臣の御答弁の前に私からちょっとお話をさせていただきたいと思います。  最近におきます我が国の状況を見ますと、御指摘のとおり東京一極集中という状態がかなり進んできているということを踏まえまして、各種全国の開発計画におきましては、地方にどのようにこの機能を分散するかという問題が常に問題になるわけでございます。四全総におきましてもこの点につきまして多極分散ということを掲げまして、東京の機能で地方に移せるものをできるだけ地方に分散していくという考え方でいろいろな施策を今政府としても考えているわけでございます。  そういう点を一方に持ちながらも、他方におきまして東京とかその他の大都市圏におきます現状を見ますと、住宅の状況あるいはその他の都市環境というものを見てまいりますと必ずしも現在で十分ではない、やはり今後ともそういう地域におきましても宅地開発なり都市再開発というものを推進していくという必要も他方にはあるのではないかと思うわけでございます。こういう趣旨を踏まえまして、政府としては総合土地対策要綱というのを昨年六月に閣議決定いたしまして、これで全体の整合性をとりながら土地の問題につきましても種々の施策を総合的に実施していこうということになったわけでございます。  御案内のとおり、総合土地対策要綱の中には各種の都市機能を東京から分散していこうというようなことから、いろいろな宅地開発のための各種の施策を盛り込んだ非常に総合的な施策になっているわけでございますけれども、この中の一環といたしまして、今御指摘の三大都市圏におきます特定地の市街化区域農地の問題につきましても触れているわけでございます。市街化区域農地につきましてはすべてを宅地化するという考え方はこの考え方としてとっておりませんで、宅地化すべきものとそれから農地として保全すべきものを明確に区分いたしました。  そして、農地として保全すべきものはこれは農地としてきちんと保全していく、それから宅地化すべきものと決まったものにつきましては、これは良質な宅地化が推進できるように、ただ放置しておきますといろいろなスプロール化が進んでくる、あるいは宅地が細分化するというような問題も出てまいりますので、そういうことにならないようないろいろな施策を講じながら宅地化を進めていくべきであろう、あるいは農地を持っておられる方々の生活の問題もあわせて考えていくというようなことで、宅地化すべきものと農地を保全すべきものをきちっと分けて、そして計画的に宅地化すべきものはしていこう。こういう考え方の中で現在行われている宅地並み課税というものを 見直していくべきではないだろうか、こういう話になっているわけでございます。この点につきましては、閣議で決められた問題でございますので、各省庁この方向に沿いまして、現在宅地並み課税の問題につきましてそういう方向で今議論をし、できるだけ具体的なものとしてなるべく早い時期に成果を得たいということで、関係省庁と努力をしているところでございます。
  27. 栗村和夫

    栗村和夫君 わかりました。  ただ、これは答弁要りませんが、東京に一体どういう試みがあるかということを国会に上がってからちょっと調べてみましたら、東京都で東知事のころからなんでしょうが、葛飾区に水元公園というのがありますね。これはその周辺の田んぼを都が次々次々に買収をしていって今はすばらしい公園、完全に整備されたんじゃなくて、さらにすばらしいものにしよう、こういうぐあいなんです。したがって、今の閣議決定もわかりましたけれども、私の質問の趣旨あるいは不安、こういうものも御理解いただいたと思いますから、公共用地にそれを引き当てるとかということも含みながら農地の対応をひとつやっていただきたい。そしてその生きた教師が区立の水元公園、こういうふうに思います。  第四点に入ります。これは警察庁の方ですが、ちょっとここで取り上げるのはちっちゃいかなと思ったんですが、しかし僕は本質的に非常に重要だと、こう思いましたので。俗に言うママポリス、婦人補導員、この制度、これは警察庁の直轄ではないんですが警視庁、道府県誓本部で対応していることなんです。町長などをやっていますとしょっちゅう署長その他の人と接触がありますが、警察というのは、申し上げるまでもなく法の番人です。第一線の法の番人ではあるが、それ以上にやっぱり正義の味方でなければいかぬですね。  それからもう一つは、住む地域社会が平和で平穏でトラブルなく健康でと、こういうような地域社会形成を目指す重要な役割を担っているわけです。ですから、刑事コロンボとか七人の刑事とか、古くは銭形平次とかというのがいつまでも受けるというのは、やっぱり勧善懲悪のドラマのストーリーに拍手を送る、それで留飲を下げる、こういうことなんですね。警察というのは、まあ警察庁の、中央のことを言うんじゃなくて、そうあるべきだと。そしてやっぱり警察庁の最も庶民に見える姿というのは警察署ですね。ですから、そういう中の婦人補導員というのは非常に地味な存在なんですが、私は最初は、こういうのを配置していかほどのことができるのかなと、こう思っておりました。婦人補導員の話を聞く、それから他に口外できない、例えば町長レベルで抑えておかなくちゃいかぬという話、いっぱいありますね、地域社会に。そういう話を聞いたりするごとに、これはやっぱり非常に重要な機能をしてもらわなくちゃいかぬと、こういう認識になりました。  したがって、ここで全国の頑張っている補導員のためにも取り上げておきたい、こういう結論に達したわけですが、青少年の非行化防止というのは、例えば万引きをやるとか、たばこを吸うとか、ピンク遊びをやるとかいろいろありますが、これは何も今も昔も同じことで、青少年の非行化より非行老人、非行大人の方がむしろ問題なのかもしれませんけれども、春秋に富む若者を本当に誤った横道から正しい道に戻していく重要な仕事だと、こう思うんです。  そこで、婦人補導員の、私が調べましたのでは九百九人となっている、データ見てわかったんですが、その辺の全国の配置状況、それからこれを質、量ともに強化すべきだ、数をふやすべきだということが一つですね。そのためには、待遇のことがありますが、質というのは、これ取り締まりとか補導とか、こういう行政用語を使わなくちゃいかんのですけれども、それ以上に精神としては教育的観点からあるべきだと。私が幸いにも接した何人かの婦人補導員は、非常に感性が豊かで、音楽も絵も鑑賞するとか、なるほどこういう人だから補導の実際の役割を果たせてるんだなと、こういうふうに思いました。教育的観点から、これは警察としても認識をして、ひとつ非常にいい、立派なといいますか、俗に言えば教養高いといいますか、人柄も含めますけれども。単に数だけでなしに、そういう意味の質、量の強化を図るべきだなと。  それからもう一つは、住民二万人に一人とかあるいは一万五千人以下はゼロとか、仮にですよ、どういう基準になっているかわかりませんけれども、これだけじゃだめなんですね。補導員の活動というのはマン・ツー・マンなんです。この子供を、栗村和夫という非行少年を立ち直らせるために一カ月もさしで、家族も含めて話し合う、そういうことで効果が上がるということがありますね。そういうことを含めますと、どんな規模のちっちゃな警察なんかでも、やっぱり一人ぐらい配置したらどうだろうか、この辺についてひとつ御見解と現状、それからこれからの方針、展望を伺いたいと思います。
  28. 森廣英一

    政府委員森廣英一君) お答え申し上げます。  まず実態の面から申し上げますが、婦人補導員の数は現在時点におきまして全国で九百八十一人という数を数えております。採用の基準でございますけれども、都道府県によって大卒程度あるいは高卒程度、その両方を資格にしているというような差はございますが、いずれにいたしましても少年の非行防止、健全育成に熱意のある方の中から選びまして、警察本部長がこれを任命するという制度をとっておるところでございます。  婦人補導員の身分は都道府県の一般職の公務員でございますが、そのうち常勤の方が八百九十二名、さらに非常勤の方が八十九名というようなことで、常勤と非常勤の別がございます。  それから、大変マン・ツー・マンで綿密な少年の補導をというお話でございます。さようにありたいと思うわけでございますが、現時点では全国の四百五十六の警察署にこれが配置になっておるところでございまして、警察署の数全体で千二百四十五でございますので、六三%が未配置ということでございます。今後努力をしていかなければならないというふうに考えております。  それから、婦人補導員の制度というものは昭和三十年に北海道におきまして初めて採用になりまして、その後、自然発生的と言うとちょっと語弊がございますが、国が音頭をとらないで、各都道府県警察の方で非常に工夫を凝らしてこれを発展させてまいってきております。例えば警察官の場合でございますと、都道府県ごとの定数とか階級制度とかいうものをすべて国の政令で決めておりますけれども、この婦人補導員につきましては、各府県におきましてそれぞれ独自に採用をする、あるいは名称につきましても婦人補導員とか少年補導員とか、全国で七種類ほどの名称もあるというようなことでございますが、しかし先生の今の御指摘のように大変活躍をしてくれております。  特に警察官は凶悪な少年の殺人事件等いろいろ難しい事件を扱っておりますけれども、そういう犯罪少年になってしまってからこれを検挙したり取り締まるというだけでは大変せんないものがございまして、やはりもっと小さな少年で非行に落ちかかっているようなそういう段階で、こういった婦人補導員のような、これは捜査権限はございませんけれども、そういう非行の道に迷い込もうとするような早い段階で、比較的年少の少年をやさしく、婦人らしく補導していただきまして、大変大きな成果を上げておるというのは御指摘のとおりでございますので、今後ともこれの充実を図ってまいりたいと思います。  なお、全国の婦人補導員につきましては、毎年全体の一割程度ずつぐらい中央に集めまして、警察庁におきまして研修を実施しております。私自身もいろいろお話を申し上げておるところでございますけれども、こういった全国の交流を通じまして、あるいは東京の大学の心理学の先生等を講師に招いての講話を通じましてその質の一層の向上を図っておるところでございまして、今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  29. 栗村和夫

    栗村和夫君 ひとつ大いに頑張ってください。  じゃ最後ですが、これは事務的には関係者の方、そして締めくくりは大臣にお願いしますが、テーマとして挙げるなら国際平和と友好都市提携あるいは姉妹都市締結運動、これを大いに活用すべきだ、こういう観点の質問です。  私は十一月の中下旬にかけまして、社会党を代表してソ連とルーマニアに行く機会がありました。これはちょうど東欧が物すごく揺れ動いている真っ最中ですから、個人的な多少は空気に触れてみたいという欲望もありました。ルーマニアのブカレストに行ったとき、たまたま国際部の人といろんな状況の話を聞きながら、国際友好都市、日本との交流の話、貿易の話、こう出てきて、はてなルーマニアという国は随分おっかない国だけれどもこういう交流もあるのかなと思いながら、若干もう白けながら、そのときは黒海に面したコンスタンツァここの都市と横浜が姉妹都市、友好都市ですか、昭和五十二年に結んである、そういう紹介を非常に明るい話題として聞いたわけです。  これからの国際友好運動というものは、二、三日前のマルタ島の会談じゃありませんが物すごい激動期に入っておりますが、ああいう国家間のトップの話、外務省間の折衝以上に、友好都市、姉妹都市の提携、締結、あるいは庶民レベルでの外国旅行、こういうものがどんどん友人を外国につくっていく。私は将来これが国際友好運動の、平和運動のやっぱり底流になっていく、土台になっていく、こういう認識なんです。  したがって、どんな政治形態があるか、どんな国家権力存在がというものは、三十年あるいは半世紀単位で見れば、ある意味では一過性のものだと、私はそういうふうに思います。民族や人類の運命というのは、とうとうとしてやっぱり歴史の指し示す方向へ流れているわけでして、自治省としてこの平和友好都市ですか、こういうものについての取り組みと言ったらいいんですか、こういう認識についてどうなのか、この辺は大臣からひとつ格調の高いお答えをいただいて、締めていただきたいと思います。  それともう一つ。具体的には、自治省というのはちょっとかたい役所で、自治省松浦さんいらっしゃいますが、私も講話を拝聴した時期がありましてね、久世さんとか。かたいことばかり言って、余り金を使わないよう緊縮財政でいけよという話だけだった。最近は自治省の評価は高いんです。リーディングプロジェクト、それからまちづくり特別対策事業。まあ、あんまり口を出さない、この金使ってやれ、思い切ってやりなさい、おおむね半分は償還の方に埋めてやれと。これは物すごいやっぱり人気でした。今自治省もうでというのは非常に多くなっている。こういうところに自治省も脱皮しつつありますから、大いに頑張って、市町村の自主的な活動を叱咤激励していただきたいんですが、国際友好運動、村なんかも随分ありましてね、どの程度一体あるものか、政令都市ならちょっと別ですが。これは南北いかなる国あるいは六大陸、どんな国ともどこかで結んでいるんですね。これは驚異的なことだと、こう思います。その実態を簡潔にお話しいただいた後、例えばまちづくり特別対策事業やリーディングプロジェクトにこういうソフトな面を組み込む、一歩踏み込んだことをやっていただけないかどうか。これは陳情的な質問の締めくくりにさしていただきます。よろしくお願いします。
  30. 芦尾長司

    政府委員芦尾長司君) それでは実態的なお話をまず私の方から御説明させていただきます。現在の市町村での国際友好都市の数でございますけれども、昭和三十年に始まりました市町村の姉妹都市提携でございますが、五十年代に入りまして大分活発になってきておりまして、平成元年四月一日現在で私ども把握いたしておりますが、我が国の市町村で姉妹都市関係を結んでおります団体は四百十九団体、二百八十四市区百二十二町十三村、こういうことになっておりまして、その相手国は四十カ国を超えておる、約四十カ国ぐらい、そういう状況でございます。非常に活発になってきておるということでございます。  それから、ただいまお話しございましたその支援措置の問題でございますが、委員お話しいただきましたように、私ども二十一世紀へ向けまして重要な地域政策課題に取り組む地方公共団体の先導的な事業につきまして、リーディングプロジェクトと位置づけまして積極的な支援を行ってきております。この国際交流につきましても、その先導的な事業として取り組みがなされておる部分につきまして支援措置を講じてまいったわけでございます。  この支援措置でございますが、制度が発足しまして四年を経過いたしておるわけでございまして、地方公共団体の国際交流への取り組みというものは、今申し上げましたように非常に定着をしてまいってきております。今年行っております自ら考え自ら行う地域づくり事業の中でも、皆さん方相当にお取り組みをいただいておるわけでございます。そういったこともございまして、そういうフォローアップということも含めまして、平成年度以降は、今回創設を検討さしていただいております地域づくり推進事業といったようなことの中に取り組みまして、引き続き積極的に支援をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。  以上でございます。
  31. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) ただいま政府委員から具体的にお答えをいたしましたけれども、地方自治体の国際交流は世界平和のために大変重要なものであると認識しております。まさに先生考えとこれも同感でありまして、今お話しのように、地方自治体四百に上って、四十カ国を超える国々の自治体との姉妹都市、活発に最近行われております。  また私、先般茨城県の水海道市に行きまして、ふるさと創生のソフト事業の一環として中学校の生徒たちがオーストラリアに行ってきて非常に親睦を深めてきた話を直接聞きまして、これはすばらしいことだな、やはりこれから地方自治体は、先ほど先生指摘の過疎過密の問題とか、そういうものを考えても、国際化、情報化を進めていくことが若者たちの魅力ある定住にもなっていくことであり、しかもこれが世界平和に役立つことである。今や地方自治体の国際交流を積極的に進めていくことは、二十一世紀の未来に我が国の平和、また地域社会の繁栄、このために極めて重要なことだと認識し、今答弁がありましたように、今度新しく要求していくふるさと創生のソフト事業でも、この国際化や情報化の面で積極的に全国市町村皆さん方が取り組んでいただくことを祈願をいたしておるわけでございます。
  32. 栗村和夫

    栗村和夫君 どうもありがとうございました。ひとつ御健闘をお祈りして、期待をして終わります。
  33. 岩本久人

    岩本久人君 私は去る七月の参議院選挙におきまして初めてこの院に議席を得、皆様方の御理解でこの地方行政委員会委員となることとなりました、竹下登元総理と同じ島根選挙区出身の岩本久人でございます。委員の皆さん、どうぞよろしくお願いします。また、渡部自治大臣初め執行部の皆さん、どうぞよろしくお願いします。  第百十六回臨時国会も早いもので二カ月以上がたちました。私は、この委員会に所属させていただいたということで、それなりにいろいろなことについて御質問したいと思っておりましたが、今回のこの国会の位置づけがいわゆる消費税国会ということもありまして、延び延びになって、ようやくきょうこの日が来たということで、いろいろ申し上げたいことがあるんですけれども、簡潔に数点についてお伺いをしていきたいと思っています。  その第一は、渡部自治大臣所信表明というものについての私の意見を申し上げてみたいと実は待っておりました。渡部自治大臣は、御案内のように、私から見れば大変個性のある、また幅広い支持者を得、豊かな人生経験も持っておられるということで、地方行政にも大変造詣が深いということで、きょうの所信表明も一生懸命聞いておっ たんですが、実は私自身どうしても記録をしなければならないというものに触れることができなくて、やはり能あるタカは何とかということなのかなと思って、今後も御指導いただきたいと思います。  そこで、渡部自治大臣にまず二つほどどうしても地元島根県を代表して聞いておかなければならないことがあります。私は現在、県都松江市に住んでおるわけでありますが、去る十月九日に自治大臣は松江市においでになりました。そして、県民会館の大ホールに二千人以上の人を集めてすばらしい演説をなさいました。もちろんできたら私も聞きたいと思ったんですが、入り口のところで入れてもらえなくて残念だったんですが、そのときに参加した何十人の方からそのときの大臣の演説を聞きました。本当かいね、そんなこと大臣言われたかということで心配いたしまして、後から熱烈な支持者の方からテープを聞かしてもらったら、やはり間違いなくそういうことを言っておられるということで、松江の十四万市民を初め島根県全体が大変心配をしておりますので、まず最初にそのことについてお伺いをしたいと思います。  マスコミの報道等によりますと、渡部自治大臣はこの二千人の一生懸命聞いておる人を前にしてこう言っておられるわけですね。「竹下さんが出ている松江は自分の古里・会津若松に次いで日本で二番目に好きな街だ。でも、もし市民の皆さんが選択を誤ったら、日本で一番嫌いな街になるかもしれない。」こう言われたんです。これが単に一政治家、一衆議院議員という立場ならいざ知らず、時の現職の自治大臣が、しかも国家公安委員長を兼ねておられる方があのすばらしい口調で明確に言い切られるということになると、これは大変だとみんなが心配したんです。そして、その選択を誤ったか誤らないかということについては、その次の日曜日の十五日に出ました。大臣には大変申しわけないんですが、大臣からすれば誤った結果が出たわけであります。  そこで、渡部自治大臣にお伺いしたんですが、あなたにとって島根県は、あるいは私の地元の松江市は日本で今でも一番嫌いな町でしょうか、それをまずお聞きしたいと思います。
  34. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 私、小学生のころ、小泉八雲の、松江市の宍道湖の橋を朝早くげたをはいてみんなが歩く、あの場面が今でも浮かんでくるのでありますけれども、島根県も松江市も大変好きな県であり好きな市でございます。
  35. 岩本久人

    岩本久人君 どうもちょっと答弁になってないと思うんです。ということは、あのときはどういう気持ちでそのようなことを言われたんでしょうか。
  36. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 選挙のときはこれお互いさまでございますけれども、やはり自分の応援する候補者を当選させたいために精いっぱいのことを申し上げるのはお互いさまであると存じます。
  37. 岩本久人

    岩本久人君 お互いさまであってもそこにはおのずと守らなければならない節度、限界というものが私はあるんじゃないかと思います。殊に渡部自治大臣の場合は、自治大臣という肩書そのものが持つ意味は、大臣あなた自身が思われるよりか地方自治体にとってはそれはとてもとても大きな位置づけなんです。大変な任務を担っておられるということなんですね。そのことをもう少し心してもらわないと私たちは非常に残念であります。  加えて国家公安委員長という立場があり、大臣がどのような任務で行かれたにしても、国家公安委員長という立場があれば当該県警本部長以下全然関係ないということにもならないし、それなり対応をされているというのが事実でしょう。その人が選挙のときはお互いさまよというようなことで、聞く方にしてみれば、オーバーに言えば、いわば脅迫に聞こえるようなことを言われるというようなことはいかがなものか、こう思うんです。  それで私は、この際警察庁に聞きたいんですが、国家公安委員長というその肩書が持つ任務と権限は一体どういうことになるんでしょうか、それをまず聞きたい。
  38. 浅野信二郎

    政府委員浅野信二郎君) 国家公安委員会は、警察法第五条の規定に基づきまして、国の公安に係る警察運営をつかさどり、警察教養、警察通信、犯罪鑑識等に関する事項を統轄し、並びに警察行政に関する調整を行うことを任務としておりまして、この任務を遂行するために、ただいま申しました五条二項に限る事項について警察庁を管理いたします。また法令の規定によりその権限に属せられた事務につきましては、警察庁の補佐を受けてみずからつかさどる権限を有しております。国家公安委員長は、この国家公務委員会委員長として会務を総理いたしまして、また国家公安委員会を代表するということになっております。
  39. 岩本久人

    岩本久人君 ということでございますので、警察庁を管理、統轄するというその責任、社会的役割、これはとても大きい問題です。しかし法的に詰めていくと、厳密には国務大臣になっているというところでそれが即法律違反にはならないということのようです。ということになれば、国家公安委員長というような重大な任務を国務大臣でなければいけないというふうに規定がある現在の法律というものがいかがなものかということについて少なからぬ疑念を持つものです。  この点についてはまた、今後の私自身の勉強課題にしたいと思いますが、ぜひとも渡部大臣には、あのときは選挙のさなかでもあったのでお互いさまのうちの一つであのようなことを言ったけれども、今は松江はとても好きだ、こういうことですけれども、それをもう一回確認しておきます。
  40. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 政治を行う人がみずからの信念、哲学、志を同じくする人であることを願うのは政治家としてこれ当然でございますから、松江の市長選挙については、私は私の政治家としての信念を申し上げましたけれども、しかし結果として選挙民の皆さん方が御判断されれば、これは選挙は選挙民の皆さんが御判断されたことが神様の審判のようなものでございますから、松江市や島根県に対する私の気持ちが変わるものではございません。
  41. 岩本久人

    岩本久人君 ありがとうございました。  それでは本題に入りたいと思っておりますが、地方交付税法の一部を改正する法律案でこれに関連をして二、三質問をいたしたいと思っております。  去る二日に自治省が発表されたラスパイレス指数の問題であります。これは約二十五年ぐらい前から自治省が特に国家公務員給与と地方公務員の給与を比較するときに採用されたということで、全国民的にこのラスパイレスという数字が今やかなり定着をしてきたということでありましょう。さきの発表を見ますと、ラスパイレスが一一〇以上の地方自治団体、これが昭和四十九年の七百九十三団体から昭和六十三年には五十六団体まで減少してきたというふうに言われておりますが、この数字は合っておりますか。
  42. 滝実

    政府委員滝実君) そのとおりでございます。
  43. 岩本久人

    岩本久人君 反対に一〇〇以下のところですね、低いところ、これは昭和四十九年に比べて六十三年度で七百三十四団体増加をして、今では実に二千五十五団体になっているというふうになっておりますが、これも合っておりますか。
  44. 滝実

    政府委員滝実君) そのとおりでございます。
  45. 岩本久人

    岩本久人君 そうであるならば、ラスパイレス指数というようなものを使って全国民にアピールをしていろんなことをやってこられたと。その趣旨からいけば、自治省の立場として一〇〇以下の団体については公平な行政指導をするという視点からいえば当然に引き上げるための努力を怠ってはならない、このように私は思います。  そのことと同時に、現在全国的に景気が非常によろしいということがあって地方にはなかなか優秀な人材が帰ってこない、とどまらないという現状があるんです。こうしたさまざまな要因、その中には自治省の圧力もありますが、によって賃金がかなり低く据え置かれたということもあったわけでありますが、優秀な人材を確保するという点 で支障を来しているんではないかということについて、その二点についての自治省の見解を賜りたいと思っております。
  46. 滝実

    政府委員滝実君) ただいま二点お話があったわけでございますけれども、その第一はラスパイレス指数一〇〇以下の団体についての引き上げの問題だと思います。  これにつきましては、もともとこの数年間給与を適正水準にするということで行政指導という立場から地方団体それなりの呼びかけをいたしてきたわけでございますけれども、基本はやはり高い給与水準の団体が、これはすべてじゃありませんで、ごく一部の団体でございますけれども、高い給与水準の団体があったと。これに対する世間の批判というものが非常に厳しいものがある、こういう観点から特に高い団体につきまして、この適正水準という立場からの呼びかけをしてきたわけでございます。そういう意味でこの一〇〇を割る団体についてはそういうような立場からの指導というような段階には至っていないということで、専らそういう適正水準にする、こういう立場からの呼びかけをしてきたというのがその背景でございますので、この点の御了解を賜りたいと思います。  それから、二番目にお話のございました人材確保の問題、おっしゃるとおりこれは大事な問題かと存じます。そういう中で、特にこの一、二年、民間企業における景気動向を踏まえ、あるいはそれに対するいわば応募者がふえている、こういうようなこともございまして、地方公務員の場合の人材確保に非常に難しさが出ているんじゃないか、こういう御指摘でございます。  私は、そういう面が多分にあろうかと思います。それはおっしゃるとおりだと思いますけれども、しかしおかげさまでその一方では地方公務員に対する人気と申しますか、そういうものはやはり依然として高いものが現在段階ではございまして、片やそういう心配がある面と、それから引き続き高い人気に支えられているという面があろうかと思います。これはその職種あるいは地域、こういう点においてもかなりのばらつきが実はあろうかと思います。一般的に申しますと、一般行政職部門ではかなり人気が高うございまして、ごく一部の団体におきましては多少応募者が減りぎみの団体があるということを承知いたしておるのでございますけれども、反面では一般行政職に対する人気もまだかなりのものだ、こういうことがあろうかと思います。  ただ、いわば技術系となりますと、これは民間でも採用困難な事態が報道されておりますように、かなり難しい面が出ているということは私どももそれなりに承知をいたしておるのでございますけれども、いずれにいたしましてもこの人材確保の問題は、おっしゃるように大事な問題でございますので、給与面のみならずその他全般の問題からいたしましても地方団体自身が取り残されておりますし、私どももそういう観点からの配慮は今後とも努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  47. 岩本久人

    岩本久人君 いわゆるラスパイレス指数とは何か、自治省はそれを何のために採用したか、さっきの答えで若干それが出ておりますが、明確に答弁もらうためにもう一度聞きますが、公表されるのに、都道府県と政令都市と、それから他の自治体では上位二十位までしか出されませんが、それはなぜそういうことをされるんですか。本来なら全部出さなきゃいけません、どんな低いところも公表を。その点について。
  48. 滝実

    政府委員滝実君) これは専ら便宜上の問題と申しますか、三千幾つも公表するのはなかなか大変であるという専らそういう物理上の問題といいますか、そういうことに尽きると私は理解をいたしております。
  49. 岩本久人

    岩本久人君 それは間違いなく詭弁ですよ。公表の仕方を工夫すればどうでもなりますよ。だから、その点は今言われたことだけが理由だったらぜひとも改善してください。特にお願いします。  それで、今までの答弁で、いずれにしてもラスパイレス指数というものを自治省があえて採用して全国民にアピールする。それは間違いなく地方自治体の賃金を抑えるという意図があることは明々白々であります。しかし、適正化ということであるならば、私が先ほど言いましたように一〇〇以下のところを引き上げるということについても、もっともっと大きなエネルギーを、努力を積み重ねる必要が当然私はあると思うんですが、その点についてはどのように思いますか。
  50. 滝実

    政府委員滝実君) これは先生もこの問題に関して専門家でいらっしゃいますから私の方からあえて申し上げるのもいかがだろうかと思うのでございますけれども、もともといわば地方公務員の給与というのは三つほどの基準があろうかと思うのでございます。国家公務員準拠でありますとか地域の民間給与の動向に準拠するとか、あるいは地域の生計費を考慮するとか、こういういろんなものがございまして、そういう中で適正な水準にお決めいただく、こういう原則があるわけでございます。  そういう中でこういう問題が決まっていくわけでございますけれども、やはり最初申しましたように、何と申しましてもこの数年間の問題を取り上げて言えば一部の団体における高い給与水準、これに対する批判が強かった、これに対して適正水準を守るようにと、こういうような呼びかけをしてまいったというのが経緯でございますので、その点の御理解を賜りたいと思うのでございます。
  51. 岩本久人

    岩本久人君 いや、今のは全然答弁になってないんですよ。また言うとあなたも理屈言われるから時間ばかりたつので、いずれにしても私の言う趣旨はわかったでしょう。  それで、もし私が言う趣旨に全面的に賛同できないというようなことがいささかでもあるんなら、せめて法律で決まっているそれぞれの自治体で労使で決めた賃金決定という事実に対して、自治省として不当に介入して抑えるというようなことは当然やめなければならないというふうに思いますが、その点についての基本的な見解を一言だけお願いします。
  52. 滝実

    政府委員滝実君) これは先生のおっしゃることはそれなりに理解できる面が多いと思うんでございますけれども、給与につきましては、申すまでもなく地方団体における労使間でそれなりの話し合いをされて決まってくる面が多うございますから、そういう意味ではその決定プロセスというものは当然尊重されるべきものだと思いますけれども、片や全国の動向がこうだとか、そういう意味での技術的な助言であるとか、あるいは適正な水準に何とかお願いをしたいという、そういう呼びかけはそれなりに必要な面が少なくとも今までの段階ではあったということを申し上げておきたいと思うのでございます。
  53. 岩本久人

    岩本久人君 今あなたは、そうは言っても自治省として技術的な助言等がと言われますが、そんな技術的な助言をしてもらわなくても、各自治体は十分勉強しておりますからそんな要らぬことを言ってもらわなくても大丈夫ですから、今後一切やめてもらうようによろしくお願いしたいと思います。いいですか、その点。
  54. 滝実

    政府委員滝実君) 先生のおっしゃるようにそういうことは心配御無用ということであれば、私どももそういう心配無用であるということを御期待を申し上げたいと思うんでございますけれども。
  55. 岩本久人

    岩本久人君 次に行きます。  ここに提案になっております交付税法の一部改正の法律案についてでありますが、これはその基本的な原因は、六十一年度より追加財政需要額を据え置きにしてきたというところに一番大きな問題があるんです。本来なら田中内閣時代から慣行になっていたように、当然、給与改善費というものを計上しておればこのようなことにならぬ。今回のようなわずかと言ってはなんですが、これだけの予算措置をするために、自治省の関係の皆さんを含めて、莫大なエネルギーを使ってこれだけの法律案をつくって出して、衆参通していかなけ ればならない、こういうことになるわけなんですね。だから、そういった意味からも今後は当初予算に給与改善費を当然計上された方がいいと思うんですが、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
  56. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 現在は御案内のように給与改善費という形ではなくして、そういった問題も含めて追加財政需要ということで計上さしていただいているわけでございます。確かに、それがもっと多ければこの法案は必要なかったじゃないかという御指摘はそのとおりだと思います。ただ、人事院勧告というのはやはり夏に出るものですから、年度の当初からどの程度のベアがあるかということを見込むのは非常に困難な面がございまして、そういった面でことしの場合は、確かに最初予定した額では足りない、そこでこういう法案をお願いしておる、こういう次第でございます。  まあ今後の問題といたしましては、今現実にことしの場合はこういうことが起こりましたので、来年度以降につきましては、こういうことになったということも踏まえまして、来年度地方財政対策を講ずる際に十分検討してまいりたいと思っております。
  57. 岩本久人

    岩本久人君 当初の段階で今年度のベアを見込むことは困難だと言われるが、そんなことはないでしょう、本当は。だから、その点その見通す能力は十分お持ちなわけだから、自治省は。その辺を含めてよろしくお願いいたします。  次に、この法案では四百八十一億円をそれぞれの自治体で経費節減をして負担をせよ、こういうことになっておるんですが、税収の伸びがかなり見込めるというところならどうかなるでありましょう。しかし、自治体の大半はいっぱいいっぱいの予算で、年度末になればお互いが予算の取り合いっこをするというような実態の中で、しかも今の段階からいうとあと二カ月が三カ月だということの中で、この四百八十一億円というものを節減せよということはかなり無理があると思うんですよ。その点についてどのように思われるか。もしそれが可能だと見通しておるのならば、当初のいわゆる地方財政計画というものに欠陥があったということになるんではないかと思うんですけれども、その点についての見解をお伺いいたします。
  58. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 御指摘のように、四百八十一億の節約ということを予定しているわけでございます。これは従来からこういう取り扱いをしてきておりまして、今回も従来と同じ扱いをしているわけでございますが、確かに、税収の問題といいましょうか、例えば規模の小さい町村等の場合にどうかという問題もあろうかと思います。そういうこともございますので、節約を算定するに当たりましては、例えば直接住民生活にかかわるような、あるいはいわゆる現場行政的なと申しましょうか、民生関係とか教育関係とか、あるいは衛生関係とか、そういうものは節約の対象外としておりますし、同時にまた、国は七%の節約でございますけれども、県は七%でございますが、市町村につきましては四%強というようなことで、節約の率についても市町村については特に配慮をいたしているようなわけでございまして、これまでの毎年やっております例からいたしましても、まあ何とか対応をお願いできるんじゃなかろうか、このように考えております。  それから、だとすれば当初の計画が甘かったんじゃないかという御指摘でございますけれども、当初も確かにそういった物件費系統についてはなるたけ節約をしていくという基本的な考え方は持ちながら計画の算定はいたしておるわけでございますけれども、先ほども申しましたように、人事院勧告あるいは人事委員会勧告を受けまして、給与改定を行う際にはなるたけ節約、能率化というものもさらに努力をしていただくということも、国民の皆さんの御理解を得ながら給与改定を円滑に進めるという面からいたしましても必要なことではなかろうか、そういう考え方で対応しているわけでございまして、各地方団体におかれましてはそういったことで御努力をお願いし、期待を申し上げているということでございます。
  59. 岩本久人

    岩本久人君 時間がありませんので次へ進ませていただきますが、渡部自治大臣は、ふるさと創生一兆円構想というものを発表しておられます。この内容は具体的にどういうものか。また、これは例の竹下総理の一億円の問題もそうであったんですが、私はこうしたことはいわゆる交付税というものを国の補助金化するものというふうに思いまして、これは地方交付税法に違反するんではないか、こう思うんですが、そのことについてお伺いをしたいと思うんです。
  60. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 決してそのようなことはございません。また、竹下内閣の時代全国市町村に一億円ずつ差し上げて、自ら考え自ら行う地域づくりということで、全国市町村皆さん方が非常に将来に夢と希望を持ち、またみずからの町や村の歴史を振り返り、今それぞれがすばらしい町づくり、村づくりの構想を行っております。  ただ、これはいわば竹下内閣時代に種がまかれ、それが今全国の町村に芽を吹き出そうと、こうしておる状態でありますから、このまま放置しておけばそこで芽が枯れてしまうおそれがある。やはり肥やしをやり、水を上げ、これに花咲かせなければならない、こういう考えから私は平成年度にソフト事業で三千億、ハード事業で二千億、その他現在あるいろいろの仕組みの中でぜひ一兆円を超す規模でこのふるさと創生事業に花咲かせ、実らせる。  先ほどからもお話がありましたけれども、今日本の国全体は国民の皆さんが一生懸命働いて、国際社会から見れば大変豊かになっておるのでありますけれども、残念ながらそれぞれの地域に住む人たちは、地方の農山村の人たちは過疎に悩み、大都会に住む人は交通渋帯やあるいは地価の暴騰によってマイホームの夢が持てない、こういうような悩みを解決していくために、ふるさと創生事業を積極的にさらに進めてまいりたいと思いますので、御協力を賜りたいと思います。
  61. 岩本久人

    岩本久人君 質問をしておいて簡単にと言うのは大変失礼なことで、かつ矛盾するかわかりませんが、御協力をお願いします。  それで、今の一兆円構想は渡部自治大臣は、新聞報道によれば十一月七日に和歌山で発表されている、こうあるんですね。しかし、この問題は国会にももちろんまだ出てない。自治省がこう考えておる、それを自治大臣が発表したと。そういうことは、厳密に言えば国会の審議権軽視になるんじゃないか。あるいはまた、それが、例えば自民党のお金とか個人のお金ならいいですよ、そうじゃないわけですから。そういうようなことも含めて考えてみた場合に、やはりそれなりの事前の手続等を踏まえる必要があるという意見を持っておるんですが。それと同時に、大臣があっち行き、こっち行ってそういうことを言われるというようなことは選挙運動目当てではないか、このような批判もあるわけですが、その点について一言ほどでお願いします。
  62. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 今日、政党政治、政党内閣でありますから、私は海部内閣の閣僚の一員として、また自治省を所管する大臣として私の考えを申し述べ、これらを事務当局に努力をしていただき、今後の予算編成作業を通じてこれを実現し、さらに国会の場で先生方の御審議を賜るものが、これが民主主義であると、こういうふうに考えております。
  63. 岩本久人

    岩本久人君 次にいきます。  大蔵省は今度の補正予算で一兆五千億繰り上げ返済をするということを言っておるようであります。そんなゆとりがあるのならこれは当然地方公共団体にすべて交付すべき問題だ、地方財政法に基づいて自治体間の財政調整を保障するように、その意味で使うべきだ、こう思うんですが、その点についての見解を伺っておきます。
  64. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 大蔵省がそういうことを言っておるという新聞を私も拝見しまして驚いたわけでございますけれども、私どもとしてそう いう方針をまだ固めておるわけではございません。今の点でございますが、これどう扱うかということにつきましては、一つはまさに今御審議いただいております法案によります給与改定財源にも使わなくちゃならない、あるいはそのほかに国の補正予算地方の負担が出てくるようなものもあるいはあるんじゃなかろうかということも考えられます。そういった財政需要の面を全般的に見ながら地方団体に今年度どの程度財源措置をする必要があるかということを考えていく必要がある。  一方で、大蔵省は借金の返済ということを言っておりますが、借金があるのもこれは事実でございますから、いずれは返さなくちゃならないということはまた否定できないわけでございます。そういった意味で借金を返すといいましょうか、地方財政健全化に使う金とことし地方団体で必要な金と、きちんと整理をして最終的に固めてまいりたい、こう考えております。
  65. 岩本久人

    岩本久人君 そのことは事前に相談があったわけですか、大蔵省から。
  66. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 大蔵省からは全部返すとか返さないとかいうことについては相談はございません。
  67. 岩本久人

    岩本久人君 時間がありませんので、次に竹島の問題について伺いたいと思います。  この問題は、島根県隠岐郡五箇村に位置するということで、ずっと以前から、神代の時代から私たち県民は固有の領土だということで頑張ってきておりますが、最近は御案内のように韓国警備艇による拿捕事件とかいろんなことがありましてまた大変クローズアップされているんですが、現時点における外務省としての竹島の領土権についての今日的位置づけはどうなっているかお伺いいたします。
  68. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) お答え申し上げます。  竹島の領土的な帰属につきましては、従来から政府が繰り返し御答弁申し上げてきておりますように、歴史的な事実に照らしても、国際法上も我が国固有の領土であるということは疑いのないところである、こういう立場でございます。
  69. 岩本久人

    岩本久人君 不法に占拠されている、こういう立場だと、こういうことですね。
  70. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) そのとおりでございます。
  71. 岩本久人

    岩本久人君 それでは、竹島問題に関する過去の紛争の経緯と、それから韓国側が領土権や漁業権についてどのようなことを言っており、それを我が国としてはどのように理解しているかということについて、できたら簡単にお願いしたいんですが。
  72. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) 竹島の領有権問題が表面化いたしてまいりましたのは昭和二十七年のことでございます。平和条約が発効いたしました直後ごろでございますけれども、先生御承知のとおり、当時の李承晩大統領がいわゆる李承晩ラインなるものを設定いたしまして、その線の内側、すなわち韓国に近い側に竹島が入るような線引きをいたしまして、これに対しては当然のことながら我が国として直ちに抗議をいたしました。以来両国間のやりとりというものが続いておりますが、昭和四十年の日韓正常化の際に、この竹島の問題につきましても、紛争の平和的解決に関する交換公文というものが結ばれておりまして、現在の我が国の立場といたしましては、この問題はあくまでも平和的に解決するという観点から、この交換公文にのっとって話し合うべき問題と、かように心得ております。
  73. 岩本久人

    岩本久人君 十一月十五日に日本漁船がこの水域で韓国警備艇に拿捕されたということがあるんですが、そのときの状況対応についてお伺いいたします。
  74. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) ただいま御指摘のございました漁船は、第六十六大吉丸、これははえ縄・カニかご漁船でございますが、御指摘のとおり、十一月の十五日に竹島の領海内で韓国の警備艇に拿捕されまして、韓国の東側にございます墨湖という港へ連行されたという経緯がございます。  これにつきましては、在韓国日本大使館からの連絡を受けまして、直ちに韓国側に、直ちに釈放しろということで申し入れを行いまして、これが功を奏しまして、十六日には釈放というか解き放たれて我が国に戻ってくる、こういうことになったわけでございます。
  75. 岩本久人

    岩本久人君 つまりそれは、韓国側が主張する竹島周辺は韓国側の領土だということについて、日本側から見れば、いやそうじゃない、そこは日本の領土の中だということの主張をしたらそれが通ったと、こういうふうに受けとめていいわけですか。
  76. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) 当然のことながら、我が方から漁船を解き放つようにという申し入れをした際には、我が国の竹島に関する領土権の立場というものは明確にした上でやったわけでございますけれども、御承知のとおり、日韓間ではこれは長年にわたって応酬の行われている問題でございまして、先方には先方の立場がある、こちらにはこちらの立場がある、両方の立場をこの漁船の問題で害するということがないように、とにかくまず漁船は解き放てと、こういう申し入れをいたしましたのに対して先方は応じてきたと、こういうことでございます。
  77. 岩本久人

    岩本久人君 簡単にいかぬとは思うんですが、竹島は我が国の領域内だと、こういうことが通ってということならば、竹島の現在韓国の警備員が十人程度常駐しているというものも、どうぞ御遠慮ください、お引き取りくださいということが言えるわけなんですね。ところがそれをなかなか言えないということでしょう、現実は。
  78. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) 竹島が不法占拠されております、具体的には警備員が常駐する、それからいろいろな施設が構築されている、この事実に対しましては、政府といたしましても非常にこれを重視いたしまして、ほぼ毎年、外交チャネルを通じまして施設の撤去、警備員の退去につきまして、厳重に申し入れ、抗議をいたしております。
  79. 岩本久人

    岩本久人君 我が外務省としても、毎年のように一生懸命やっておると言われますが、私も一生懸命調べてみましたが、その一生懸命というのが本当の一生懸命かどうか大変疑わしいんですよ。  それで、その一つの証拠といってはなんですが、毎年外務省が出しておる外交青書というのがありますね。これを過去十年間見ましたら、今から十年前から二年前までこう書いてあるんです。「わが国は、韓国による竹島不法占拠に対し、従来から繰り返し抗議してきており、」何年何月にも、「同年九月に行われた海上保安庁巡視船の調査結果に基づき、竹島における韓国側各種建造物の設置及び官憲の滞在につき抗議し、これらの撤去を求める口上書を発出した。」と。これが今から十年前から二年前まで、全くその何年何月だけ書きかえて、同じような文章がずっと書いてあるだけです。こんなおざなりな文章ですよ。そして、昨年度と今年度、一九八八年度と一九八九年度には、その記述も全く消えておるんです。これは一体どういうことなんですか。
  80. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) 毎年の外交青書における竹島関係の記述がおざなりだという御指摘でございます。私ども謙虚に受けとめさせていただきたいとは思いますが、あえて申し上げれば、領土権の問題につきましては、同じ主張を繰り返し行っていくということもまたこれ大事なことだろうと存じます。  それから、先ほど御指摘のございました、最近の外交青書ではその記述さえ消えているということでございます。私ども外交青書を編集するに当たりましては、必ずしも法的な観点だけから対処しているわけではございませんので、基本的にはその年度に起こった主要な外交上の出来事につきましてトピカルなものを優先して書くということになっているわけでございまして、外交青書の記述がなくなったということは領土権の主張とは何ら関係ないことであるということは申し上げられると思います。
  81. 岩本久人

    岩本久人君 ただ、あなたが今言われたことが、あなたがまじめに本気で言っておるんなら、 それは国民全体の常識、なかんずく日々そのことで難渋をしておる地域住民の気持ちとはかなり大きくかけ離れていますよ。この世の中、どんなことでも理屈をつけることは可能です。しかし、今のはどう見ても私は詭弁だと思います。そういう姿勢がこの問題に対する弱腰という批判にたえないところだ、こう思っておりますので、その点は十分心していただきたい。  次に進みます。  最近のあの地域における日韓間の漁業紛争の状況が好転したという見方もある、そうでないという見方もありますが、現在どのようにとらまえておられますか。
  82. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) 近年、日韓間の漁業関係におきましては、いろいろと困難な問題が起こってきております。主として韓国側漁船の活動が我が国沿岸水域で非常に活発化してきているということでございまして、何とか円滑な秩序を維持していこうということで、昨年の一月から日韓間の話し合いに基づきまして自主規制措置というものを実施しておりますが、ただいま御指摘ございましたように、韓国側の漁船による違反の件数というものはなかなか減らない、場合によってはむしろ増加しているというような状況でございまして、これにつきましては私ども、水産庁、海上保安庁ともに韓国側の関係省庁に対しまして強く申し入れをいたしております。
  83. 岩本久人

    岩本久人君 言うまでもなく、この竹島問題というのは漁業の問題ではありません。その問題は二次的な問題だ。あくまでも領土権ということですから、そこの原則を踏まえて、私がきょういろいろ申し上げたその趣旨をしっかり受けとめていただいて、少なくとも関係地域住民から見て、今の国民から見て、そうはいっても余りにも弱腰ではないかということが言われないように頑張ってもらいたいと思いますので、最後にその点についての決意表明をお願いします。
  84. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) 確かに漁業の問題と竹島の領土権の問題とは全く別の問題でございます。漁業の問題につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、私ども機会あるごとに韓国側に自主規制措置の遵守ということを要請いたしております。  それから、領土権の問題につきましては、弱腰との御指摘ございましたけれども、私ども領土権の問題をあくまで平和的に解決する、そういう意味での、対処策の限界というのはございますけれども、その範囲内でぎりぎりの努力を続けておるつもりでございますし、当然のことながら今後も機会あるごとに我が方の立場というものを強く申し入れていくつもりでございます。
  85. 岩本久人

    岩本久人君 ぎりぎりの努力を続けておるし、今からも続けると言われますから、半年先、一年先にもう一回質問しますから、本当にそうなったかどうかをちょっと確認させてもらいたい。今までそれがどうもないと思っておりますので、そのことを特にお願いしておきます。  これに関連をして次に文部省に伺いたいと思うんですが、今回の拿捕事件、これは日韓だけでなくて日朝間もある。それから、いわゆる中国、ベトナムといったボートピープルの問題もありますが、そういう紛争とかいろんなことがあったときに一番問題になるのは、言葉がまず通じない、そのために結果的に見たら大変大きな問題になったというようなことがたくさんあるんですね。それで私は、特に日本としては対岸の国との友好関係を深める、国際化に対応するという意味も含めて、朝鮮語、中国語、ロシア語、これを中心とした教育施設、高等教育にそういうカリキュラムを充実させるとか、あるいは一般社会人でも参加できるような専門学校をつくるとか、こういうことが今緊急に求められていると思うんですが、その点についての見解を伺いたいと思います。
  86. 泊龍雄

    説明員(泊龍雄君) お答えいたします。  大学における外国語教育ということであろうかと思います。御案内のとおり、大学における外国語教育としては、いわゆる一般教育として外国語科目を履修させるということと、それから特に外国語等を専攻する者に対して専門教育科目として履修をさせる、こういう二つのことがあろうかと思います。いずれにいたしましても、大学におけるカリキュラムにつきましては、やはりその性格から大学自体の自主的な判断にゆだねているのが現行の基本でございます。  お尋ねのように、諸外国の事情を理解し異文化を理解する、これは今後の国際交流等を考えますと非常に大事なことだと私どもも認識をいたしております。お尋ねの中にございました中国語でありますとかロシア語あるいは朝鮮語といったような言語に関する授業科目の開設は逐年ふえてまいっております。こういったことも含めまして、今後とも各大学における積極的な取り組みを期待いたしておりますし、また、そうした取り組みに対しまして私どももできる範囲でそれなりの意を用いてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  87. 岩本久人

    岩本久人君 実はちょっと答弁が足らぬけれども時間がないんでまた聞きます。  それでは最後に、竹島問題についての自治大臣の見解をちょっと聞きたいんです。
  88. 森繁一

    政府委員(森繁一君) 事務的なことをまず申し上げたいと思います。  竹島は、先ほど来御指摘ありましたように、昭和十四年に五箇村に編入されました厳然たる日本固有の領土、こういう認識をいたしております。ただ、韓国が現在同島を不法に占拠いたしておりますので行政権の行使ができない、こういう状態にあろうかと思います。この問題は、先ほど外務省からもお答え申し上げたとおり、平和的な手段によりまして解決することが望ましいと考えておりまして、一日も早く問題が解決されるよう期待しておるところでございます。
  89. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 我が国の固有の領土であるという強い信念で臨んでまいらなければならないと存じております。
  90. 岩本久人

    岩本久人君 最後に、福岡県苅田町の住民税不正流用事件についてお伺いいたします。  この問題は、六十二年四月の事件発覚以来、現職の町長が深く関与する形の中で多額な住民税が不正流用されたという全国民的にも大変衝撃的な疑惑事件であります。しかしこれは、検察当局では証拠不十分で不起訴になったという経緯があります。その後、本年一月に福岡検察審査会は不起訴不当として議決をいたしております。また先般、十一月二十一日に、町の損害賠償命令に対し異議申し立てが当時の収入役花房氏からあったという新たな展開に今発展をしておるというふうにマスコミは報道しております。いずれにしてもこれは大きな疑惑事件として国民多数が注目しておるときでありますから、まあまあでこれにふたをするということは許されないことだと思うんです。  そこで、自治省として、恐らく苅田町に対して県の地方課等を通じていろんな調査をされておると思うんですが、どういうふうに自治省としてはこれを内容的に把握しておられるか、現在どのように指導しておられるかということを一つ。それから最近のこうした動き、新たな状況も含めてこの問題について自治大臣の見解を伺って私の質問を終わりたいと思います。
  91. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 大変残念な事件と申しましょうか、常識では考えられないような事件が起こったわけでございまして、その把握でございますけれども、これはもう御承知かと思いますが、昭和五十六年度分から昭和六十二年度分までの住民税一億二千九百万円をいわば流用したということでございます。そのうち一部は個人県民税の方に補てんするとかいう措置がとられまして、最終的に約八千万が使途不明という状況になっております。もちろん、私どももこれは重大な関心を持っておるわけでございますけれども、あるいは県の地方課等を通しまして事情をなるたけ調べるようにということもお願いしておるわけでございますが、何せ関係の書類が検察庁の方に押収されておるというような状況もございまして、この事実関係についてはその後解明がされていないわ けでございます。  したがいまして、確かに今お話しございましたように一度不起訴にはなりましたけれども、さらにまた去年の十一月に住民の方々から告発が出てまいっておりまして、また刑事事件という形になっています。同時に、今お話しございました異議の申し立てもございますから、そういった問題については検察当局あるいは町の当局がさらに内容をきちっと事実関係を確認といいますか、解明されていくものだろう、このように思っておりまして、私どもといたしましても、なるたけ早くその状況がわかり次第、県の地方課の方で調べていただいて報告をしていただくようにお願いをしているような段階でございます。
  92. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) ただいま財政局長から御答弁申し上げましたように、大変残念なことでございますので、二度とこのようなことの起こらないように指導、助言をしてまいりたいと存じます。
  93. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十二分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会
  94. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、日下部禧代子君が委員辞任され、その補欠として篠崎年子君が選任されました。     ─────────────
  95. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 休憩前に引き続き、地方交付税法の一部を改正する法律案及び地方行政改革に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  96. 常松克安

    常松克安君 大臣、お久しぶりでございます。寒さに向かうころでございますから、どうか風邪を召されぬように、三千三百団体の長でございますから御壮健でありますことをまず心より申し上げたいと思います。  さて、先ほど大臣は、所信と申しますかごあいさつと申しますか、述べられましたが、筋として私大々大不満がございます。一応私も六年間これから続けて自治省にお世話になる委員の一人として、私は私なりの理想と申しますか考え方を披露したい。お聞きください。  まず一つは、人間の顔が見える行政を、これを一番に掲げます。第二番目には、地域に、生活者に付加価値を求める行政を。第三番目に、時代の変化に対応できるスピードの行政改革をと。これを基準にして一生懸命勉強させていただき、大なる声を皆さんにお伝えを申し上げたいと存じております。  しかし、せんだっても所管大臣として尊敬する大臣に、信頼できるとして心してお訴えいたしました。消防庁には救急隊はもうなくなったんですか。私は、何が不満ですか、非常に私情が絡まっているとおしかりを受けることを覚悟の上でお訴えいたします。今大変なんです。くどくは申しません。十三秒に一回は全国どこかの街角で、村で、急病人を救急隊が運んでいるんです。その中においても、けがをなされた方よりも救急隊員の名誉にかけて、なぜ救急隊の、今大変な中を時代の要求を受けてやっていることがごあいさつになかったんだろうか。この一言があったら第一線に立って生と死に直面している救急隊の皆さんがどれほどか……。  そして大臣、一番今怖いのは何でしょうか。エイズなんです。B型肝炎なんです。けがをされた人をいらったがためにB型肝炎に隊員がもしも一名でもなったら大変なことになりますよ。そういう趣旨について、私がこの問題で熱を上げているわけで言うわけじゃございません。名もない、安い給料で、人の命ということで真剣に取り組んでいらっしゃるそういう隊員、今求められている時代の、二百二十万件出動しているその救急隊員のことも重要であるという一言が大臣のごあいさつの中に入ったらどれだけ、言葉でいいんです、予算をつけてくれと言ってるんじゃないんです。私はそういうことで非常に、大臣の言われることをお聞きしたんです。六項目言われました。消防のことをおっしゃいました。消防の火の問題、それも大事です。しかし、現実問題としてのことが、ああ心温かき、人間性あふるる大臣だったと信頼し、御尊敬申し上げていますが、抜けておりました。ここでさあ、答弁などと失礼なことを言いません。どうかひとつ心の片隅で結構でございまするから、救急隊員のことも所管の大臣としてはどうか存念していただきますることを要望申し上げます。  次いで質問に入ります。  昨日でございましたか、新行革審の小委員会の報告が上がってきたようにお聞きいたしております。これに対して大臣の御所見をまずお伺いしたい。
  97. 森繁一

    政府委員(森繁一君) 今お話しございましたように、昨日新行革審の国と地方関係等に関する小委員会の報告がまとまりました。今後、本審議会でそれが議論が重ねられまして、大体のめどとしましては今月の二十日ごろには本審議会からの答申がなされるやに承っております。  その内容でございますけれども、御承知のように国と地方の関係に関しまして全般的に議論が重ねられまして、幾つかの問題点が投げかけられておるわけでございます。大きく分けまして、一つ地方行政に関する部分と、一つ地方財政に関する部分があろうかと思いますが、地方行政に関する部分で特に申し上げなければいけませんのは、権限の移譲につきまして格段の努力が払われておるということだろうと思います。これまで、地方制度調査会等を含めまして、たびたび権限移譲につきましての答申があったわけでございますが、ただ地方の側から申し上げますと、必ずしも十分でなかったと、こういううらみがございます。それを背景に置きまして、その小委員会では権限移譲をさらに積極的に進めよう、また具体的に項目を挙げまして、こういう項目は権限移譲しなさい、こういう答申をいただいておるわけでございます。  そのほか、例えば広域行政に対処いたしますために、新しく都道府県連合なり市町村連合なり、こういう制度というものも検討すべきである。このほか地方行政に関しまして、各般の御提言をちょうだいしておるところでございます。また、他方、地方財政の方につきましても、地方財政健全化という観点から幾多の提言がなされておりまして、これも私どもが従来まで認識しておりました方向とほぼ同じ方向の立論がなされておりまして、こういうこの小委員会の答申をいただきまして、今後私ども本審議会の答申を待ちまして、さらに具体的に検討を重ねていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  98. 常松克安

    常松克安君 今御答弁ございましたが、先ほど私、三本に分けての自分の考えまするところを申し上げました。すなわち、スピードの行政改革でございます。この問題を提起されてかれこれ、小委員会は別でございますよ、こういうふうな問題提起をされてかれこれ十年も近くになって、やっと問題提起のテーブルにのってきた。しましたからには、これからまたこの小委員会が上の方へ上がって、それから各省庁の関係するところへ根回しがあって、できるとかできないとか、毎日新聞によりますと、原案がもう既にここで修正されておると。言うたとおりや。ところが、地域住民にとってはバス停一つつくるのにも、移動するのにも、運輸大臣の許可、わかりやすく一口に言っちゃいますと、これが何年かかかっているのか。こういうふうな具体例の上からいたしましても、これをどういうふうにしたら、いい御意見を実際行政の上に受けとめて、地域住民の皆さんの生活に直結するようなものになっていくだろうか、その施策はございましょうか。
  99. 森繁一

    政府委員(森繁一君) 行政改革につきましては、今回の答申の以前に、臨調以来たびたび指摘を受けておりまして、特に、私どもは地方行革というのは、国に先んじてむしろ進んで行われてき たんではないか。全般的に、住民の方々の理解と協力を得ながら、地方行革というのは順調に進んできておる、こういう理解をいたしております。ただ、行革でございますから、ここまでやったらそれで十分だと、こういう話では毛頭ございませんで、今回の答申を一つの機会にいたしまして、また改めて地方行革推進しなければいけないと思っておりますし、その際、今委員お示しのように余り時間をかけた行革というのは、ややともするとなかなか成果が上がりにくいということもありますので、その辺のタイミングも十分見計らいながら今後地方行革を進めていきたいと、かように思っております。
  100. 常松克安

    常松克安君 それをひとつ展開いたしまして少し確認をまずさせてください。  新しい地域に付加価値をつけよう、新しいライフサイクルをということで国挙げてのリゾート、各方面にわたって希望ある新しい段階をしていきたいと。ところが、このリゾート開発についてそれを計画立案、ペーパーはいいんですが、実際それを進める上についてのネックがいろいろあろうかと思います。このネックをどのような法律の名のもとに今掌握していらっしゃるか、述べてください、そう存じます。
  101. 芦尾長司

    政府委員芦尾長司君) 今リゾート開発につきましての御質問がございましたが、その中で今リゾート開発をどういうふうに円滑に進めていったらいいのかといったような観点からの御質問だったと思うわけでございますが、御承知のようにリゾート開発、総合保養地域整備法が六十二年の六月九日に公布、施行をされておりまして、その法律の円滑な実施に資していくためにということで、現在主務六省庁の局長クラスで総合保養地域整備推進連絡会議といったようなものを設けております。そこで連絡調整を図っていくことにいたしておりまして、私自身もメンバーの一人になっておるところでございます。現在のところ、そういう中では特に支障が生じておるという報告は聞いていないわけでございます。
  102. 常松克安

    常松克安君 私がお聞きいたしておりますのは、どういう法律の第何条がネックになっておるか、これをお伺いしています。
  103. 芦尾長司

    政府委員芦尾長司君) このリゾートを進めていくために、いろいろ国有林の開放の問題でございますとかいった規定がなされておるわけでございますけれども、このリゾートを進める上で今何条がどうだというような具体的な話は実は聞いてはいないわけでございます。
  104. 常松克安

    常松克安君 それでは、こちらの方から少しお教え願いたいという気持ちで謙虚にお尋ねいたします。  まず、農地転用許可、第一種、第二種または二ヘクタールというこの制限で非常に地域は困っております。第二番目、せんだっての法律改正で少しは弾力的な条項が出ましたが、森林法におきましては水源涵養保安森あるいはまた土砂流出防備保安森、たとえそれが一つでもひっかかるとあかんのでございます。第三番目、自然公園法。一つ、高さ十三メートル未満、二つ目、一区画一千平方メートル、三つ目、一フロア二千平方メートル以下、そして最後に傾斜率三〇%未満、こういうところでは規制があって建物が大きく建てられないんですね。今のところないとおっしゃいましたが、これがひっかかっておるんです。第四番、公有水面埋立法という法律、これは所管は、いろいろ知事に権限もあり、少しは譲渡されておるんですが、重要港湾だとかそういうところはすべからく運輸大臣の許認可になっておる。それを進めるについては、企画はいいんでございますけれども、ほとんどがこういうふうな状況。  ところで、私が住んでおりますのは、ちなみに例を申しますと三重県です。国立公園がもうどんとあるんです。全面積の三五・四%ですから、滋賀県に次いで規制がもうどんとかかっておる。ところが、お国の方からは国際リゾート、三百だってよろしい、許可、うわっ。全然進まへんのです。私は問い方が悪うございましたけれども、こういう法律があるんでございますが、御認識でございましょうかしら。
  105. 芦尾長司

    政府委員芦尾長司君) ただいま先生の御出身でございました三重県でございますけれども、リゾート法の第一号指定をされまして、今積極的にお取り組みをいただいておるというふうに聞いておるわけでございます。  そこで、今おっしゃいました農地法の問題でございますとか森林法の問題でございますとか、港湾の問題でございますとか、そういうようないろんな問題があることは承知いたしております。  そこで、総合保養地域整備法では、十四条、十五条で農地法等による処分についての配慮といったような規定が設けられておりましたり、それから国有林野の活用等といったようなことで、港湾管理者は利用について適切な配慮をするといったような規定が実はここで規定されておるわけでございまして、そういうものの規定を生かす意味で先ほど申し上げました連絡会議ということも設けられておるわけでございまして、これから具体的にそういうような問題が出てまいることも予想はいたしておるわけでございますが、現在、私どもの方には具体的な形では耳に入っておらぬものでございますから、今後は十分にまたよく意見を聞いて、もしあれであれば、こういう場で拝聴をしていきたいというふうに思っておるわけでございます。
  106. 常松克安

    常松克安君 まことにありがとうございました。よろしく御指導の方、お願い申し上げておきます。  有名な自治大臣がこうおっしゃいました。なかなか行政改革というものは大変なことでございます。あなたが本音で言えとおっしゃるから言いましょうと。私はこの委員になるそれよりもずっと五カ年にさかのぼって、衆議院、参議院の議事録を全部目を通さしていただきました。その中の一部にございました。会社の中で、会社の合理化、近代化ということで、一つの課でも減らしたらその人は出世するんや。ところが、官僚機構という中で、そんなもの命がけになって一つの課を減らしたら、その人は一生うだつが上がらぬ、こういう場面の、もうえぐった言い方が答弁の中に入っていました。  大臣も言いたそうですけれども、言わないでください。こういう状況の中で、今お願いしますと言いましたそういう具体例が地元から要望が大きく上がってきたときに、各省庁をリードして、少し力をかしてやってスムーズに調整できるように、自治省の方でこれが果たしてできるんだろうかな、大変だろうな、しかしやっていただかなきゃならない、いまだかつてない大臣が就任していらっしゃるんですから。大臣に大きな新しいものを、卵の殻をちょっとでもよろしいわ、被って、こういうふうなものをやっていただかないと。  私の心配は、三十年も五十年もたっているんですよ、国の国家的見地で一たん決められたら、下の地元が嫌であろうがどうであろうが絶対承知されません。受けねば補助金カットするぞと、こうおっしゃいます。例えば、岡山県の例なんかテレビに出ておりましたですね。いろんなやられる国家的見地もあるんでしょうけれども、余りにも長い年限住んでおるもんですから、地元の方では新しいそのことよりももっとこっちと言っても通らぬのです。長いものに巻かれようという根性も卑しゅうございますけれども、通らぬのです、というふうな場合も多々ございます。耳にし、私も経験し、身にしみじみはかなさを感じてきて、上り詰めた場所がここでございます。あえてその旨を全部ひっくるめてお願いを申しておるわけです。  ですから、地元からそういうふうな要望があったら、これに全力を挙げて対応していただけないだろうか。全国のリゾートの一覧表をいただきました、自治省から、国土庁も建設省も。全トータル金額の今の建設費用が金利合わせて負担して、一年おくれることによって一年間で一兆円の欠損をしておる。このお金はだれが出すか、皆税金で賄うんです。それは例えじゃないか、じゃ現実問題を引っ張り出してもいいんです。私が申し上げ たいのはそういうことじゃなく、各所管庁の話し合いというものは大変な御苦労であろうと思います。しかし、地域住民は、これはもうリゾートで、サンベルト地帯で第一号だと言って万歳。ところが、夢物語で、これはこのままほったらかしにしておいてごらんなさい。失礼でございますが、十年、十五年、二十年たってもまだ各省庁の連絡調整がとれておりませんのでということになる。どこか別法でそういうような運用というものをお図りいただけるような大きな問題として、六局長がお集まりなんですから、その辺のところは大いなる前進ある時代にしていただきたい、かように思います。よろしくお願いします。  次に行きます。  私はふるさと創生、大賛成です。大いにひとつ推進していただきたい。ところが一つひっかかるんです。といいますのは、先ほど出ていましたけれども、たった十万や十五万の補助金もらうのに地方団体がどれだけ大変な思いをするか。書類にしても、人を動かして、町会議長さんや村長さんとか。これは御指摘のとおりです。ところが、ふるさと創生の方は、二千万、八千万交付金で組み入れる。補助金のときは十五万でも十万でも日参して何たらかんたらチェックして、通らなきゃならない峠をチェックしてもらう。ところが片方は、実行率は八〇%、七〇%とおっしゃいましたけれども、それはそれでいいです。実際もらった一億で計画していらっしゃるところもございましょう。ところが、今までいろんなやったもので、これをきちっと計画せぬとまた後で自治省でおしかりを受けたら次の交付金に差しさわるというので今までの事業のところへ入れたり、こういうふうな対応なんです。いまだその計画書はないけれども、金は皆一般財源でございます、交付金いただいているんです。なくなっちゃったんです。この辺のところの兼ね合い。もう補助金のメニュー化と言ってもあかん、補助金の削減と言ってもなんだかんだおっしゃる。ところが、やる気があれば大臣の一声で、内閣の一声で一億円。もう皆喜んで参画をされます。ここら辺のところの、びた一文、一円でも血税という立場からいくと、片方の補助金のこのシステムと、交付金がよかろうと悪かろうと、はい、はい、はいと入っちゃう。今まで一億という金は、どれほどのペーパーであろうと、実施計画、基本計画、もううるさいぐらいに積まなきゃならない。ところが積まぬでもいいですわ。自由にそういうようなことができる。まず僕はこれやったら、補助金という制度がどうなるのやろうかと心配している。大臣結構です、担当官で結構です。おっしゃってください。
  107. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 補助金につきましては、今御指摘ございましたようなことで大変その出し方につきましても使い方につきましてもいろんな制約があるわけでございまして、この整理につきましては、先ほども申し上げましたように進めていかなきゃならないと思っております。  一方交付税の問題でございますけれども、今お話しありましたように、いわゆる一億円は交付税で算定をして措置しているわけでございますが、これはあくまで一般財源でございますから、各団体の自由な意思でお使いになれる。ただ、私どもが交付税の算定をいたしましたのは、いわゆる地域づくり地域の活性化、そういうことをお考えいただくためにという考え方で措置はしたわけでございますけれども、あくまでもこれは一般財源でございますから、これは各団体で自由にお使いになってよろしいということになるわけです。  その兼ね合いでございますけれども、補助金につきましては、先ほど申し上げましたが、義務教育とか公共事業とか、いわゆる重要な補助金もございますから一概には申し上げられませんけれども、地方で判断をし地方で自主的に実施してもいいような仕事につきましてはなるたけ補助金を整理する、そして一般財源という形で財源措置をしていくことが基本的には望ましいというふうに考えているところでございます。
  108. 常松克安

    常松克安君 いや僕が聞いておるのはそういうことを聞いているんじゃないですよ。一億という金を補助というふうなもので、地方債にしても、縁故債にしても、起債をいただくにしても何にしても地方公共団体にとってはえらいことなんです。それは物すごくチェックなんですよ、専門家の。これは血税のお金ですからこういうことでいいですよ。会計法上からいって、政府というのはやっぱり力あるんですな。一億という意思が決定さえすれば、会計法上超法規的にばんといくんですわ。その会計法上で、これから大臣ふるさと創生推進される。これは大賛成。ところが、これを推進していくについては、まじめに計画したところもあれば、今までのところ、いまだにいただきましたという領収証だけのところもある。僕はここを心配するんですよ。  そうしたら、今までは国が地方への権限移譲に対しては、そんな能力あるんか、お金をもろうてだれが立案するんだ、整合性をどこに求めるんや、こんなこと言って押さえつけられた。よろしいですか。今回のがこれからも続いていくとなると、その辺の、会計法上どこから見ても微動だにしない、大蔵省から文句を一つも言わさぬ、そういうものをきちっと立案して、法律化をはっきりさせておいてやらないことには、こんなのどうせまたいただけるなら、ありがとうございます、ハード三千億、それでソフト二千億ですか、いただきましたら、はい、自由に使わさせてもらいます。それで何もせぬでもええのや、交付金でもらえるんのやでと。またそういう態度に今度は何かのときに大きなしっぺ返しでこられると、今大臣が所信で言われたように、せっかく本当にいい芽を出してきたんです。これに水をやって、何をやっても、何の考えもなしにやったからって、後であの一億返せと言ったらこれはもうたまったものじゃないです。それの先々、皆さんはいつも先々を見ておられるものですから、先々を心配して御提言を申し上げておるわけです。  もう一度言いますよ。会計法上として狂いのないようにしていただかないと補助金制度というものがつぶれてしまう、それはそういう法律によるんですけれども。じゃ片一方でどんどん出していけるかと、そう言うんですよ。
  109. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 補助金の場合は、会計法上と申しましょうか、いろいろコントロールがきちっとなっております、御指摘のとおりでございます。交付税の場合は一般財源で付与をいたしますから、これは先ほども申しましたようにあくまで使途は自由ということでございます。ただ、私どもの意図としては、そういう地域の活性化ということを図るためにやっていただくという財政需要を算定しているわけでございますから、それを最終的にどう有効に活用していくかということは、やはり基本的には住民の批判にまつ、最終的にはそういうことになるだろうというふうに思っております。
  110. 常松克安

    常松克安君 どうしても私も感激派なもので抑えて抑えて物を言わぬといかぬわけですよ。一言おっしゃるからと言葉じりをひっかけてやる、そんなこまいけつの穴の小さいことは言いません。そういう補助金制度がつぶれぬように十二分なる配慮をし、かつ、ただ計画なくして何に使ってもいいというふうな御指摘があったけれども、ふるさと創生という大目標があるんですよ。そんな何に使ってもいいと、それに生かされぬものに使ってもいいというように誤解を受けたら困りますから。大臣の言うことが全然合わなくなってくるんですよ。それはそっちの局長さんが言うと、今度大臣がめちゃくちゃになっちゃうんだ。これは予算委員会でやられますよ。そういうことではいかぬので、その辺のところを整合性をとっていただきたい、こういうふうに思います。よく整合性をとって、そしりを受けないようにしていただきたい。  最後に大臣一つ。これはもうこの委員会を別にしてのあれでございますけれども、これから自治省としましてはいろんな考え、いろんな視点がございましょうけれども、臓器移植だけが医学じゃない。もっと大事なのは、十八兆円の医療費を少なくするための健康町づくりこそがこれから の大きな問題であろう一面を内在していると思うんですが、この健康町づくりについての考えを申し上げる時間はございませんが、一部で伺いますと、自治省では既にプロジェクトをおつくりになってそれを研究なすっていらっしゃるかと存じておりますので、最後にまとめてこの健康町づくりの考え方に対する大臣の御答弁をちょうだいしまして、これで締めくくりたいと思います。
  111. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 私はかつて厚生大臣を経験いたしました。今日、これは何の大臣であろうとやっぱり人の命は最もとうといものであると思っております。しかも人生五十年から八十年、さらにがん撲滅運動等が進んでいけば、いずれは人生八十年から九十年と言われるような時代が来るわけですから、この長い人生を明るく健康で生きていくことは何よりも大事なことであり、これは国の政治の最重点項目でもあると同時に、地方自治体は直接住民にサービスする一番大事な窓口でありますから、その地方自治体が健康町づくりの宣言をして、町に住んでおる老いも若きもみんなが健康で頑張っていけるように、こういうことで町や村の行政を進めていかれることは大変結構なことだと、まさに常松先生のお心にかなうものだと、私どももその精神に協力をしていきたい、こう考えております。
  112. 諫山博

    諫山博君 十二月一日の衆議院の決算委員会で、我が党の野間友一議員が渡部自治大臣の政治資金について質問しました。自治省及び福島県選管の政治資金収支報告書によりますと、自治省所管の渡部さんの政治団体である恒山会、新時代の会、渡部恒三を育てる会から、福島県選管所管の政治団体である阿武隈恒山会、渡部恒三政治経済研究所、渡部恒三を育てる県南の会に多額の政治資金を寄付したように記載されています。ところが、政治資金収支報告書をよく見ますと、自治省所管の三つの政治団体から寄付した金額と福島県選管所管の政治団体が寄付を受けた金額が一致していません。その食い違いは、一九八六年分が合計五百八十七万、一九八七年分が合計四百三十万円、一九八八年分が合計五百八十万円、非常に多額に上っています。寄付した金額と寄付を受け入れた金額が合わないというのはおかしい、どうしてこういうことになったのかというのが野間友一議員の質問です。渡部自治大臣調査すると答弁されたようですけれども、調査の結果どうなりましたでしょうか。
  113. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 御指摘の点については、各政治団体について調査したところ、寄付を受け入れた福島県選挙管理委員会所管の各政治団体において、事務的ふなれや誤りから一口百万円以下で受け入れられた寄付について政治団体からの年間百万円以下の寄付として整理し、指定団体からの寄付に含めなかったこと、寄付者を取り違えて一方の団体では過大に、もう一方の団体では過小に計上してしまったことが主たる理由となって、報告書上の支出金額と受入金額の不一致が生じたものであるが、指定団体の支出に記載した寄付は、いずれも福島県選挙管理委員会所管の三団体において受け入れているとの報告を受けております。各政治団体においては早急に所要の訂正手続をとるとの報告を受けておりますので、今後このようなことのないよう十分指導していく所存であります。
  114. 諫山博

    諫山博君 野間議員が衆議院でどのような政治団体からどのような政治団体に寄付をしたのか、その食い違いは幾らになるのかということについて資料を大臣にお渡ししたはずですけれども、この資料の記載は間違いありませんでしたか。
  115. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 私は野間委員の御質問の際にも申し上げましたけれども、これは天下国家のために政治家は働くものと考え、このようなことの事務はそれぞれの担当の職員にいたさせておりますので、一円、二円の計算は私はしておりませんので、今即答を申し述べるということは無理だと思います。
  116. 諫山博

    諫山博君 この資料について正確なものであるかどうか、自治省調査をお願いしましたけれども、間違いありませんでしたか。
  117. 浅野大三郎

    政府委員浅野大三郎君) 先般衆議院の委員会におきまして、野間議員から資料としてお見せいただきました数字につきまして、自治大臣所管分は私どもが直接確認できますし、それから福島県の選挙管理委員会所管分はこれは県の方に問い合わせをいたしまして調べてみましたところ、その資料に記載していただいております数字はいずれもそれぞれの収支報告書に記載されておる数字と一致しておるというふうに考えております。
  118. 諫山博

    諫山博君 野間議員は、一九八六年、八七年、八八年、三年分について具体的な事実を指摘しまして、その指摘誤りなかったということです。  自治大臣は訂正するつもりだと言われましたけれども、特徴的なのは、同じような誤りが三カ年にわたって継続しているということです。それ以前は私の方は調べておりません。調査した三カ年については共通して誤りがある。しかも、それは一回、二回の誤りではなくて、非常に普遍的で、誤りの金額も非常に大きいということです。例えば一九八六年分を見ますと、恒山会から渡部恒三政治経済研究所に六百七十五万円寄付したように記載されています。ところが、渡部恒三(つねぞう)政治経済研究所は五百五十万円の寄付を受けた。結局百二十五万円の差額が出ている。これが実態です。  これは挙げれば切りがありませんけれども、少なくとも三年間にわたって相当多額な誤りが記載されている。こういうことになりますと、何らかの意図に基づいてこういう操作がなされたのではないかというふうにしか思われませんけれども、その点自治大臣はどう考えますか。
  119. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 私は渡部恒三(つねぞう)ではありません。渡部恒三(こうぞう)でございますので、ひとつ正確に御記憶をいただきたいと思います。  それから、今御指摘のあった点については、計算上のミスがあったものは率直に反省して訂正する、こういうふうに申し上げたとおりでございます。恐らく、私の政治団体を預かっておる職員の中で、そのような悪意があるはずのものと考えておりません。
  120. 諫山博

    諫山博君 こういうことは事務責任者がやることであって政治家は余り関与しないという立場のようですけれども、これは自治大臣にあるまじき発言ではないでしょうか。例えば、政治資金規正法によりますと、収支報告書に虚偽の記載をすれば刑事罰の制裁があります。同時に、その場合に政治団体の責任者に対しても刑事罰が伴うわけです。例えば恒山会という渡部自治大臣の関係している政治団体があります。この代表者は金丸信と書かれています。政治団体の責任者は政治家だから責任を問われなのかというと、そうではないんです。  自治省に聞きますけれども、政治資金規正法二十五条の二項では政治団体の代表者の責任が規定されてるはずです。「政治団体の会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠つたときは、二十万円以下の罰金」こういう規定があるのは間違いありませんか。
  121. 浅野大三郎

    政府委員浅野大三郎君) 政治資金規正法の二十五条というのは、これは規定違反で、報告書の提出を怠ったりあるいは虚偽記入をした場合の規定がしてあるわけでございまして、一項でそういうことをやったことについての罰則が規定されておりまして、第二項では、そういう違反があった場合に、政治団体の代表者が「会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠つたときは、二十万円以下の罰金に処する。」こう決めてございます。
  122. 諫山博

    諫山博君 今説明がありましたとおり、一番重い責任を問われるのは会計責任者です。これに対しては罰金とか禁錮というような制裁があります。ただ、会計責任者だけではなくて政治団体の責任者についても刑事罰があるわけです。こういう問題は事務担当者がやることだからと言っては済まされないわけで、特に渡部自治大臣は政治資金の総元締めの立場にあるわけです。どうも、政治資金規正法に違反する行為というのはリクルート事件以来さまざま問題になっておりますけれども、責任をとろうという政治家はどこにもいない ですね。誤記だったから訂正をしますということで済ましているわけです。  私がこの場合に単なる誤記ではないと言っているのは、一回二回ではないからですよ。毎年同じような間違いが繰り返されておる。しかもその誤差金額は何百万円に上っている。何らかの意図で操作がされたと見るのが私は常識だと思いますけれども、この点もっと詳細に調査していただけませんでしょうか。特に自治大臣ですからこの点では特別の責任があるはずです。自治大臣として、なぜこういう間違った記載がされたのか。間違った記載というのはそれ自体刑罰の対象になるわけですから、自治大臣の政治団体でなぜこのような誤りが繰り返されたのかということをぜひ調査していただきたいと思いますけれども、いかがですか。
  123. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 私は人を信頼して使っておりますから、私の政治団体を担当しておる職員が、委員指摘のように、悪意を持ったりあるいは故意に過ちをしたなどとは考えておりません。ただこれ、政治資金については、今日の政治信頼を取り戻す一つの重要な問題点でもあり、これは他に疑念を抱かれないように努力しなければならないことは当然のことでありますから、必要とあればなお念を入れて調査してみたいと思っております。
  124. 諫山博

    諫山博君 事務担当者を信頼していますというのも自治大臣の答弁としてはふさわしくないと思いますよ。事務関係者を信頼するという問題と監督指導するという問題は別物です。さっき指摘しましたように、政治団体の代表者は会計責任者の選任と監督について相当な注意を払えというのが法律の規定ですから、信頼しているからということで責任を逃れることはできないわけです。  そこで、まだ今国会で当委員会はこれからも繰り返されますから、ぜひ次の委員会までに今の問題を調査して、改めて答弁していただきたいと思いますけれども、どうですか。
  125. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 同じことを繰り返すようになりますけれども、最初に諫山委員から御指摘のありました点について、これらの過ちのある部分については訂正をいたさせます。
  126. 諫山博

    諫山博君 訂正をすれば政治資金規正法違反の罪はなくなってしまうのかと私は聞きたいぐらいです。それが多くの国民の率直な疑問です。こういうことで政治改革ができるのかということを私は本当に痛切に感じます。虚偽の記載をすれば処罰をされる、虚偽の記載を指摘されると訂正をいたします、これで責任が逃れられるなら、泥棒して捕まっても贓物を返せば済むというような理屈に通じるわけです。そこで、さらにこの問題の調査を求めつつ別な問題に移ります。  ことしの九月八日、一斉に各新聞が自民党の政治資金についてさまざまなことを書きました。毎日新聞は、二段にわたる非常に詳細な「収支報告書から見た六十三年政局とカネの動き」という一覧表を発表しました。この一覧表は大臣の手元にお渡しをしていますけれども、二つの欄に分かれて、上の欄が政局、下の欄が金の動きとなっています。この中に自民党の組織活動費がどういう政局の中でだれに幾ら渡されたかということが記載されると同時に、その政治的な背景が分析されています。組織活動費の引き出し人として名前が出てくるのは橋本幹事長代理、小渕官房長官、梶木参議院幹事長、それぞれおられますけれども、その中に渡部国対委員長の名前がしばしば出てきます。  この毎日新聞の記載の正確性について私は自治省調査を求めましたけれども、六月二十日の分が幾らか違うという指摘を受けたが、それ以外は記載されているとおりだと聞いていますけれども、そのとおりですか。
  127. 浅野大三郎

    政府委員浅野大三郎君) ちょっと私もただいまの御指摘につきましては本日御質問に対してお答えする資料を実は、御通知されておれば用意してまいりますが、そういうふうに伺ってなかったものですから用意してないんですが、恐らく先生のおっしゃること、私どもが申し上げたことを正確におっしゃっていただいているだろうとは思いますが、そういう意味で用意しておりませんので恐縮でございますが。
  128. 諫山博

    諫山博君 これを見ますと、昭和六十三年の分ですけれども、渡部国対委員長に渡された自民党の組織活動費、一月二十九日一千万円、二月十二日五百万円、四月十四日五百万円、五月十七日五百万円、六月の二十日一千万円、六月二十九日六百万円、七月五日八百五十万円、七月二十三日千五百万円、七月二十七日五百万円、七月二十八日五百万円、十二月八日八百五十万円、十二月二十一日六百五十万円、これは自民党から渡部国対委員長に渡された組織活動費です。このような事実があったことは御記憶ですか。
  129. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 私もコンピューターではありませんので、一々細かく今せっかくお調べをいただいたことについてどれが本当でどれがどうでということをここでお答えするほど私の頭脳が正確でないということでございます。
  130. 諫山博

    諫山博君 そういう答弁が出たら議論が進まないなと思って自治省調査を求めたんです。自治省の方では毎日新聞の記載は、私が指摘した分を除いて正確だと言っております。そして、午前中に渡部自治大臣の秘書官にもこの問題を質問するからと言って資料をお渡ししたはずです。  そこで、問題は、しばしば渡部国対委員長自民党の組織活動費を引き出していることは事実ですけれども、これは何に使ったんでしょうか。
  131. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 自民党の機関の一つである国会対策委員会委員長として党の活動のために適正に支出したものであって、今自治大臣としてお答えすべきものではないと考えております。
  132. 諫山博

    諫山博君 非常に公式的な答弁ですけれども、今お答えすべきものではないというのは、答える材料を持ち合わせないという意味でしょうか、それともここで答弁すべき性質のことではないという意味でしょうか。
  133. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 一般的に申し上げて、政党自体の活動のため、その責任にある機関に対して資金を交付した場合、その機関についている政治家個人の政治資金になるわけではないと考えられるので、その政治家自身が当局に対して収支報告をする性格のものではない。
  134. 諫山博

    諫山博君 自民党の組織活動費は毎月同じように使われているわけではありません。集中的に使われている時期があります。昨年度についていいますと七月と十二月です。七月はどういう時期だったか。七月の初めに竹下首相と宮澤蔵相などのリクルートコスモス株の問題が発表されました。七月の十九日に臨時国会が召集されました。七月の二十九日に政府税制改革六法案を衆議院に提出しました。この時期に集中的に国対費が使われています。  もう一つの山は、昨年の十二月です。どういう時期だったか。十二月九日宮澤蔵相辞任、十二月十四日真藤NTT会長辞任、この時期に中曽根氏、竹下首相への厳しい追及がなされたことは我々がよく知っているとおりであります。さらに、十二月二十一日参議院税特委で税制改革六法案を強行可決、二十四日参議院の本会議で可決、成立。この本会議で共産党や社会党が牛歩闘争で抵抗したことも御承知のとおりです。そして、十二月三十日に法務大臣辞任。この二つの時期に集中的に自民党の国対費が使われた。こうなりますと、すべての新聞が指摘していますように、大部分は野党工作に使われたのではないかという疑いが持たれていますけれども、どうですか。
  135. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 私が党から受領しておるのは党の組織活動費でございます。
  136. 諫山博

    諫山博君 その組織活動費が野党工作に使われたのではないかと質問しているんです。
  137. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) そのようなことはございません。
  138. 諫山博

    諫山博君 渡部国対委員長は、国対委員長時代に野党、あるいは野党の議員に金を渡したことはありませんか。
  139. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) お答えする性格のもの ではないと考えております。
  140. 諫山博

    諫山博君 政治資金の使い道をガラス張りにするということがこれほど言われているわけですよ。そして、政治資金の総元締めが渡部自治大臣です。こういう立場にある人が、自民党の組織対策費が野党工作に使われたか使われていないのか、これを否定も肯定もしない、説明すべき性質のものではないと言うのは、これは余りにも無責任な答弁ではありませんか。
  141. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 当時、私は党の幹部として党より組織活動費を受領し、みずからの責任によってこれを使ったのであって、それについてここでとやかく申し上げる性格のものではない、私自身の責任において受領し、私自身の責任において使ったものでございます。
  142. 諫山博

    諫山博君 あなたに限らず、国対経験者はみんな野党工作に金を使ったことを具体的に説明しようとされません。中には、小此木元建設大臣とか、あるいは浜田幸一議員とか、あるいは石原慎太郎議員とか、抽象的に野党工作のために国対費が使われていることを述べておりますけれども、あくまでも抽象的です。そして、自民党の国会議員の中には、この問題は灰になるまで口にしてはいけないんだというふうに言われているそうですけれども、これでは政治資金のガラス張りも実現できないし、清潔な政治などというのは絵にかいたもちじゃありませんか。  そこで、一般マスコミがどのような見方をしているかということを二、三紹介いたします。  毎日新聞、「臨時国会を前にした六月中旬以降、自民党側の攻勢と歩調を合わせて「国対費」ははね上がる。」、「六月二十九日、渡部国対委員長二回で六百万円、」、「この日は衆院予算委で理事会が開かれ、七月の臨時国会召集をめぐる与野党の折衝がスタートした日でもあった」。つまりこれは、渡部国対委員長が六月二十九日に引き出した六百万円というのは、臨時国会を前にした野党工作に使われたのではないかという指摘です。  幾らもあります。同じ毎日新聞、「リ疑惑が政界にまで波及した七月、十九日に臨時国会が召集」された。「国対費は野党の共闘を崩そうとするかのように」、ずっと数字が列挙されて、渡部国対委員長には七月に三千三百五十万円渡されたと書かれております。毎日新聞の分析では、「国対費は野党の共闘を崩そうとするかのように」引き出されたと書かれているんですよ。違うと言えますか。
  143. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) いろいろ何か諫山先生、小説家になられれば結構だと感じるような御想像をめぐらしておられるようなことでございますけれども、それはあくまで悪意に満ちた御想像であって、私はこれらについてお答えする必要を認めておりません。
  144. 諫山博

    諫山博君 私は悪意に満ちた質問をしたんじゃなくて、毎日新聞を紹介したんです。  あなたがそう言われるなら、九月八日の読売新聞の記事を紹介します。「税制攻防多額の国対費」これが見出しです。多額の国対質というのは税制攻防の中で使われたという見出しです。「自民党の支出のどこにも「国対費」という項目は見当たらない。自民党から野党へのカネの流れも、政治資金収支報告だけでは完全立証するのは難しい。」、つまり国対費という名目ではどの帳簿にも記載されていないけれども、税制攻防の中で多額の国対費が使われたと読売が言っているんです。  さらに、朝日新聞を紹介します。同じ九月八日、「自民組織活動費 税のヤマ場支出が集中」、これが見出しです。多額の国対費が税制論争の山場に集中している。これは私の悪意のある質問ではなくて、朝日新聞の見出しです。中身を読んでみます。「幹事長らに渡されるカネの使い道は、報告書に一切、記載されていない。しかし「幹事長への組織活動費には当然、国会対策費も含まれている」ことは常識だ。今年四月には小此木建設相が「私が国対委員長のとき、社会党の政権構想研究会のパーティーに二百万円出した」」、こう言って野党工作費の存在を記者懇談会の中で裏づける発言をした。当然これは自民党の中でも問題になったはずですけれども、こういう事実の有無は御承知ですか。
  145. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 国対費国対費とおっしゃっておりますけれども、私が受領したのは、党の幹部の一人として組織活動費として受領をいたしております。
  146. 諫山博

    諫山博君 私は組織活動の中身を聞いているんですよ。新聞も実際に多額の国対費が使われていながら帳簿の表面には全くあらわれてこない、こういう指摘をしているんですね。小此木元建設大臣はこの問題について、ことしの四月十二日、予算委員会で答弁しています。「記者懇談会で私が申し上げたことは報道等で各紙に出ましたけれども、その報道は事実であります。」、予算委員会における答弁です。小此木さんがこういう答弁をされたのに、自治大臣が使い道を述べられないというのは、私は政治資金の元締めとしては適当でない態度だと思います。石原慎太郎議員の発言も大変問題になりました。「サピオ」一九八九年六月創刊号、括弧で引用しますと、「共産党を除く各党とも国会対策委員長を出して、密室で何をやっているかといえば、法律を上げるために、アンダーテーブルで金のやりとりをしているようだが、それはもう周知の事実でしょう。これまで、国会対策費として野党に渡った金といったら、数億、いや、数十億になるのじゃないの」、石原慎太郎氏はこう書いているんですよ。そして、石原氏がこれを取り消したということも聞きません。自民党の中で、この発言に対して取り消し要求が出たとも聞きません。石原慎太郎氏は、アンダーテーブルで金のやりとりが行われている、それは数億、いや数十億ではないか、こんなことは周知の事実だ、こう言っていますけれども、野党工作費に自民党は金を使っていないと断言できますか。
  147. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) これ今石原君についての発言がいろいろございましたが、私は石原君とそのようなことについて話をしたこともありませんから、それがどういう根拠でなされたかはわかりませんが、私は先ほど申し上げたように、党の幹部として責任を持って党より組織活動費を受領し、それをみずからの責任において使った、こういうことであります。
  148. 諫山博

    諫山博君 私は金を渡した側の発言をいろいろ紹介しましたけれども、佐々木良作元民社党委員長が、恐らく金を受け取った側だと思いますけれども、今の国対政治に対して厳しい発言をしておられます。朝日ジャーナル三月三日号です。私は、もう中身は紹介いたしません。  そこで、重ねて聞きたいんですけれども、自民党は、いわゆる政治改革論議の中で、国対政治を改める必要があるということを言っておられます。これは既に発表された大綱の中にも記載されています。なぜ国対政治を改めなければならないという認識になったんでしょうか。
  149. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 竹下内閣が発足し私が国対委員長をお引き受けすることになったとき、私は、国会運営に当たる責任者としての心構えとして、与野党が国民をお互いに代表する立場でできる限り話し合うことが大事であるということを旨としてまいりました。そのためには、野党の皆さん方審議放棄はしない。国政で国民のための法律、予算審議するために国民の皆さんからとうとい投票をいただいて国政に選ばれ、また国民の皆さんのとうとい税金を歳費としてちょうだいし、また国会活動費もちょうだいしておるわけでありますから、まず野党の皆さんは審議放棄はしない。同時に、与党である我々も多数を持っているからといって一方的に強行採決をするようなことはできるだけ避けたい。やはり国会の場はできる限り話し合いの場として臨みたい。これが国会運営に対する私の哲学でありましたけれども、残念ながら、私の国対委員長在任中、野党の皆さん方の一方的な審議拒否のために心ならずも強行採決というようなこともせざるを得なかったことを私はみずから反省をいたしておりますし、今自由民主党の政治改革の中で、国会改革、こういうことが今後の国民に対する政治の信頼を取り戻すために非常にこれは大事なことであるということ で、これに取り組まれておるわけでございます。
  150. 諫山博

    諫山博君 私の質問は、なぜ国対政治を反省しなければならないという立場に立ったのかということで、全く答弁になっていませんけれども、この問題については私は今後も質問をしますから、いろいろ事実を調査していただきたい。とにかく自治大臣は政治資金の総元締めだ、そしてガラス張りの政治資金ということは自民党のうたい文句になっている。ところが、何百万何千万という金が使われ、これが不明朗な使われ方ではないかということをこれほどマスコミで指摘されていながら何一つ明らかにしない。  私は、最後にことしの十月十一日の衆議院予算委員会における浜田幸一氏の質問を紹介します。「党の国対委員長をやった人、経験のある人、手を挙げてください。」、こんな質問はなかなか私たちにはできませんけれども、会議録にはそう書いてあります。「国対委員長をやった人、経験のある人。——結構です。答えられたら答えてくだされば結構なんです」、「野党の方々に理由なく金を渡したことのある人、手を挙げてください。」、「これはやがて私が政治家をやめたとき本に書きますから。」、どうも有名な浜田幸一議員でも政治家をやめたら書きますとしか言えないんですね。政治家をやめて書くぐらいなら、なぜ堂々と今書かないか、なぜ堂々と今口にしないのか。そうしなければ、自民党の政治改革というのは口先だけだということになります。私は、そういう立場からさらに渡部自治大臣が再考して、次の私の質問に答えていただくことをお願いしまして終わります。
  151. 神谷信之助

    神谷信之助君 大臣、今の諫山委員質問は、今一番国民が明らかにしてもらいたいということを迫った問題であるわけです。金の力が政治を動かす、そのために主権者が大変な迷惑をする、いじめられる。そんなばかなことがあるか。この怒りが先般の参議院選挙の結果にも出たと思うんです。また、いずれ諫山さんの方から続編があるそうですから、十分御準備ください。  私はきょう二つの問題を聞きたいんです。一つ消費税問題です。  自民党のいわゆる思い切った抜本見直し案なるものが出ましたけれども、これは率直に言って抜本的でも思い切ったものでもない、小手先いじりのますます矛盾を深める内容でしかないことは今さら申し上げるまでもないし、また、そのことをきょう議論をしようとは思っていません、それは税制時でもおやりになっていますから。ただ消費税を、ああやって公約に違反をして、そして大臣も今おっしゃったように強行採決をせざるを得ないような状況で無理やりおつくりになった。そのために自治体の周辺では一体どういうことが起こったのか。政府方針どおり消費税転嫁するという努力をしたけれども、住民の声に押されて議会はそれを認めないというようなことも起こっているし、それからいろんな場面場面で、主人公である住民の皆さんがそれぞれの経験の中で納得のできない矛盾に逢着をして、そして怒りがますます広がっているという状況も出ています。  そういった問題で、例えば保育所ですね、これは認可されている保育所というのは一般的には消費税は非課税です。ところが、無認可の保育所は課税なんです。ですから、これは四月十二日の朝日新聞の投書ですが、「これはおかしくはないだろうか。公のバックアップする認可保育所の数と定員が少ないから、民間の無認可施設に預けざるを得ない。預ける親、預けられる子にとっては認可無認可の違いはなく、預かる保育所側の仕事も同じ。」、ところが、公的補助が少ない分、無認可の保育所の方は設備も職員構成も貧弱で、保護者の金銭的負担は大きくなる。ところが、この条件の悪い無認可保育所の方は消費税がかかっていく。月千百円余計に出さなきゃならぬ。この投書をなさった方は、私は「毎月の千百円も惜しいが、何よりこの差別に私は耐えられない。法律を作った人、通した人に強く再考を求める。」という投書が四月十二日の朝日に載っております。ここにも、細かいようだけれども、しかし現実国民が直面をしている矛盾があり、怒りがある。消費税のあの強行導入というのはこういったものを生み出してきているんですね。こういう投書をされた方の声に自治大臣はどうこたえられますか。やむを得ないと言うんですか。
  152. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) ただいま保育所をお取り上げになりまして……
  153. 神谷信之助

    神谷信之助君 財政局長、ええわ。これ、事務的な問題を聞いているんじゃないんです。こういった国民の怒り、矛盾、こういったものについて政治家としてどのように政治的な判断をなさいますかということを聞いていますからね。もう制度はできているんだから。公立の一般の認可保有所は皆非課税で、片一方、困難な条件の無認可の方は消費税がかかる、こんな不合理なことがあるか。一体これ、君ら法律をつくった人はどう考えているのかと、こう言って怒りを寄せているんです。だから、そういう意味ではおつくりになった方ですからね。どういうようにお考えですか。
  154. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 今回の税制改革、これは大平内閣の当時から長い論議を重ねてまいりましたけれども、二十一世紀への高齢化社会を迎えて、直間比率の見直しをやっていくというのはもう先進諸国間における税のあるべきおおむねの方向でございます。また、長い間勤労者の皆さん方からは、サラリーマンに対する思い切った所得減税、また国際化社会に対応するために我が国の法人税は高過ぎる、やはり法人税を安くすべきではないかとか、あるいは相続税の問題、また御婦人の皆さん方の職場進出によって政策税制としてのパート減税とか、いろいろの国民皆さん方の声をお聞きして、二十一世紀の高齢化社会にたえ得る税制として、もうあの戦後の混乱の貧しい廃墟の時代につくられたシャウプさんの勧告による税制にのみすがっていては将来の展望はないということで、思い切った税制の改革が行われたわけであります。資産、消費、所得にバランスのとれた税制ということは国民のだれもが望んでおるところで、その方向に私は進んだものと思っております。  ただ、新しく税制六法案の中の一つとして行われることになった消費税についてはいろいろの御批判を受けてまいったことも率直に我々反省しなければなりません。私は学生時代財政学で時子山常三郎という先生から、新税は悪税なりと、後世どのように高く評価されようと、どのように立派な理論があろうとも、納税者にとっては新しく課せられた税はなれるまでは悪税であるということを教えられたことを、今回の税制改革後の国民皆さん方の反論の中で身にしみて感じたわけでございます。  政治はこれ生き物でありますから、常に国民の声に謙虚に耳を傾けていかなければなりません。したがって、我々の党はこれらのことを十分踏まえた上に立って、やはり庶民の毎日毎日の生活、毎日毎日今夜のお総菜にと、あしたの朝の御飯の用意にというお買い物をなさる奥様方、こういうような庶民感情という中で、食品の非課税とか、また今御指摘のあった社会福祉の問題、あるいはかわいい子供たちの教育の問題、そういう点についてはできるだけ庶民の皆さん方の御負担にならないような非課税措置を講ずるといったような今思い切った見直しを社会福祉の充実とともにやろうという党の方針が定まっておるところでございます。
  155. 神谷信之助

    神谷信之助君 長々とおっしゃいましたが、ずっと最初から終わりに至るまで。だけど、この投書をなさったお母さんは、その今の大臣説明を聞いて納得をするでしょうか。納得をしないですよ、そんなのは。  認可保育所消費税はかからぬが、無認可の保育所消費税がかかる。設備その他の条件は、認可の方は制度的にも公的ないろいろ援助があります。片一方無認可の方はそうじゃない、条件が悪い。ところが税金はこっちの方が取られる、こんな差別はやめてくれ。だけど今の大臣の回答を奥さんにそのまま話したってだれも納得しない。事ほどさようにあの消費税というのはむちゃくちゃをやって、矛盾に次ぐ矛盾を生んでいるんです ね。大臣おっしゃるように、税金は初めは悪税なんやと、どれも。じゃこの奥さんはいつまでたっても怒りは消えないんだ、悪税であるということは消えませんよ。子供が保育所に行かぬようになったらもう払わぬでいいからその分だけは助かるでしょう。しかし、その怒りは消えない。  次の問題に行きます。  学校給食ですが、これは消費税は課税ですか、非課税ですか。
  156. 石川晋

    説明員(石川晋君) 学校教育費全体でございますでしょうか、それとも学校給食費……
  157. 神谷信之助

    神谷信之助君 学校給食費。
  158. 石川晋

    説明員(石川晋君) 学校給食費につきましては、消費税法上手当てされているわけではございませんが、学校給食費の性格上課税されない。すなわち、学校給食費というのは、学校給食に要する経費のうち、人件費等管理運営費を除きました消費的な経費についていわば実費を預かり金として徴収するものでございますので、実際上課税されていない、こういうことになっております。
  159. 神谷信之助

    神谷信之助君 実際上今課税されていない、非課税になっているの。
  160. 石川晋

    説明員(石川晋君) はい、そうです。学校給食としては非課税であって、課税されていないということです。
  161. 神谷信之助

    神谷信之助君 いやいや、学校給食費を集めるでしょう。その金額には消費税は入っているの、入っていないの。
  162. 石川晋

    説明員(石川晋君) それはもう入っております。ですから、百円のものは百三円で買ってくるわけでございます。食品なら百三円しますが、それはもちろんそのままでございますが、新たに学校給食としてその上に課税されることはない。
  163. 神谷信之助

    神谷信之助君 それはそういうものじゃない。新たに取られたらどういうことになるか。  だから形式的には預かり金形式という方法もあったりして、そういう形式を踏んでやれば非課税だという見解も一時は文部省にもあったけれども、結局今おっしゃったように原料は全部三%かかっていますからね、だからもう原則課税ということになっています。だから、自治省の「消費税地方公共団体」か、これにもそういう説明をして、当然資産の譲渡等に該当する、消費税の対象になるという説明をしていますね。  ところが、これも今のと同じように朝日新聞の投書で、これは四月の二十一日ですけれども、この問題でこう言っているんですね。余りに性急な消費税の実施によって、学校現場では子供の給食に、しわよせが来て困惑している。給食費は前年度並みに据え置きのところへ、原材料すべてに三%の消費税がかかってしまった。だから、一食二百円としても二百六円となる。六円分はどこからも出せずに、結局百九十四円で献立をする。これはもう質の低下になる。といって値上げをするわけにもいかぬ。父母負担の軽減はもう至上命令だから、どうしてもそれはできない。だから、少しでも栄養のバランスを損なうまいとして必死の努力をしている学校の給食の人たちの苦労というのは非常に頭が痛いという投書ですね。  これについて、これはことしの五月に東京都の教員組合の栄養職員部が調査をしました。その中で、ある中学校では一学期間で消費税が一校で三十万円余り。それで給食に影響も出てこざるを得ないという状況が起こっている。それから別の中学校の場合、一食が二百五十円の予算だけれども、このまま消費税がやられると、やはり年間で五、六日はもう給食をやれないということになってくる、計算上はね。そういう状況が起こっているわけですね。  給食というのはどうなんですか。単なる飯を食わしてあげるというそういうことなのか、あるいは教育なのか、この辺は文部省、どうですか。
  164. 石川晋

    説明員(石川晋君) お答えいたします。  学校給食というのは、学校の教育活動の一環として実施しているところでございます。
  165. 神谷信之助

    神谷信之助君 平たく言ったら教育の一環なんですよね。それについてできないような状況が出ているんですが、そういう中でいろいろの変化が起こっているんですよ。  東京都の保谷市で、父母市民の声を集めた運動をやりまして、そして市長に要求をして、市の方からそのために給食材料費に八百三十一万円、市の財政から補助をするというそういう措置がされました。そうすると、これは消費税を無理やり導入して、給食費にまで税金をかけるということになったために、市民の負担、教育上の観点からいっても、何とか手を打たざるを得ないということで、市の方からの財政援助をせざるを得ない、こういう状況がもう起こっているんです。だからこのように、ちょっとやそっと手直しをしてもどうにもならぬのがあっちこっちに、これは例を二つほど挙げたんですけれども起こってきているんですね、自治体では。  例えば、御承知のようにそれぞれの自治体では議会の承認が得られなくて、そして転嫁ができないままに来ているところというのがずっと最近またふえているんですね。自治省の方は内簡を出して転嫁をするようにいろいろ指導されているわけです。ところが、これで、共同通信社が九月二十七日現在行った調査によりますと、四十七都道府県、それから道府県庁所在市、政令指定都市の合計九十五自治体。この調査によりますと、九月議会の時点で決定状況をまとめましたら、公共料金への消費税転嫁を、実施を決めたものも含んで完全実施をしているのは、半数以下の四十六にしかすぎない、こういうようになっています。それから札幌市と高知市では継続審議になっていましたけれども、これも九月議会で転嫁条例が否決されていますね。高知では自民党の議員さんも反対する、こういう状況になりましたし、横浜市の場合は議会で否決されるのを避けるために提案を取り下げる、こういう状況になっています。  ですから、こういうように自治体それぞれ住民の反対、主権者である住民の声に押されて、そして転嫁できない状況が広がってきているんですね。こういう事実上不可能になっている状態というのを、自治大臣としてはどういうようにお考えになるのか。いかがですか。
  166. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 転嫁状況につきましては、今具体的にお話しございましたけれども、前段の計数的な問題はちょっと確認いたしておりませんが、後段おっしゃいました札幌とか横浜とかいうのはおっしゃったとおりだと思います。  この問題につきましては、消費税そのものについてはいろいろ御意見があることは承知しておりますけれども、現に消費税法はあるわけでございますから、その法律の趣旨に従ってやはり適正な転嫁をしていただくことが当然必要だろうと思っておりまして、そういう指導もしてまいっておりますし、地方団体におきましても、なるたけ議会の皆さん、あるいは住民の皆さんの御理解をいただきながら、そういう措置をとるようにすべきものであろうと思っております。
  167. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、これはその事務上の問題ではないんだね。これをどうするのかというのは極めて政治問題なんだ。現実自治体でそういうところで半分以上にわたって、今言った政令指定都市及び道府県庁所在市、都道府県、こういう九十五の自治体では半分以上が転嫁できない状況なんです。これは大変な事態ですね。  片一方でもう定着して、もう消費税は皆納税してもらっていますとおっしゃるけれども、現実にはそうはなっておらぬ、そういうところでは。一人一人、小売業者のところで野菜や魚を買うときに、私は消費税分は払いませんよと言うわけにいかぬしね。そして、扱った限りは納めなきゃいかぬし、それは、そういうところは納税になりますよ。だけれども、片一方はもう転嫁しないですよ。問題は、今度は転嫁しなかったらどうなるかだ。そうしたら、その市なり府県なりがかわって納税せなならぬ。そうでしょう。税金はいただいていなくても払わないかぬということになります。これがまた大変だということになります。  これ東京都の交通局では、都営交通全体でその分が二十一億七千万円だという今試算をしています。恐らくこうなる。このために都営バスが再び 赤字に転落、せっかく黒字にしてきたのが、消費税分を転嫁できないから自分のところで払わないかぬ、そのために赤字になる。だから、どうにもこうにもならぬという状況です。私の地元の京都も、ちょっと調べてみましたが、市バスで四億七千八百万の持ち出しになるし、これもやっと黒字になったところがもうまた赤字に転落ですね。  それから、上水道で一億六千万消費税転嫁できない。だから累積赤字がまたふえますよ。国民がだめだと言っているものを無理やり強引にやってみても末端へ行けば末端へ行くほど矛盾はさらに激化をしてどうにもこうにもならぬという状況になっているんです。こうなってくると、大臣、これは廃止以外にはないというように思うんだけれども、自治体の立場、自治体のそういう苦境なり地域住民の要求というものを基礎にして考えると、その声を背に受けておる自治大臣としては、これはもうあちこち直してみたってどうにもこうにもならぬ、消費税そのものはもう一遍撤回をする、そういう立場に立って内閣の中でも頑張ってもらわないかぬというように、自治大臣ならばですよ、と思うんだけれども、いかがですか、大臣の答弁。
  168. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 今いろいろ御意見がございましたけれども、現に消費税法が施行されており、これ地方公共団体は事業者として、また新税制の円滑な推進に資するための環境の整備に配慮すべきものとして消費税の円滑かつ適正な転嫁を行うべき立場にあるものでございます。したがって、自治省としては地方公共団体において法律の趣旨に即した適切な措置を講ずべきものである、こう考えております。
  169. 神谷信之助

    神谷信之助君 現実に今この国会で消費税を廃止する法案を議論していますが、その帰趨いかんによってはまたそれに基づいて政治は進められると思うんだけれども、現に今のさばっておるこの消費税、これについて、それはもう法律で決まってやっているんだからそれは転嫁をやってもらうという、それは決まった現行の状況でおっしゃるわけだ。僕が求めているのはそうじゃなしに、そういう実態を見た上で政治家としてはこれはやっぱり廃止すべきだ、そうしなかったら問題の解決はできないというように政治家としての御判断をなさいませんかと、こう言っているんですよ。法律ができているのにわしは実際には個人は反対だからやらぬ、そんなことは言えません。そんなことを言っているんじゃない。しかし、こうやっていろいろな矛盾が起こり、転嫁もできないところもでき、地方行政にも大きな混乱を起こしてきている、そういう実態から見るならば、これは少なくとも早く廃止をするという方向で私としても努力をせにゃいかぬ、こういうようにお考えにはなりませんか。
  170. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 税制改革が行われ、四月に消費税が実施され、その後いろいろの御意見が出てまいりました。その中で、これを廃止すべきであるという意見、またこれは二十一世紀の未来に向かって断固として存続すべきものであるという意見、またやはりこの税制改革基本は正しいことであるから、この基本を崩すことはできないけれども、国民の声に謙虚に耳を傾けて直すべきところは思い切って直すべきではないかという意見等いろいろ行われました。海部内閣はこの消費税を見直すということを国民皆さん方に申し上げ、その後は廃止論と見直し論というものが世論を二分するような推移をたどってまいりまして、今新聞社等で行われておる世論調査の大部分が、むしろ廃止すべきであるというよりはこれは見直すべきであるという意見の方が強まってきております。新しい海部内閣が誕生した後の最初の、今まで唯一の国政選挙である茨城県の参議院補欠選挙等でも見直し論を展開した野村議員が見事に当選して、ここに座っておられるわけでございますけれども、私も海部内閣の一員として総理と同じような考えを持っておりますし、特に地方財政を預かる自治大臣としては、この消費税のほぼ四割がこれは地方財政になっておる、これを無責任に廃止などしたらこれは地方財政が大変なことになってしまうということも地方自治を御心配いただく委員に御考慮を賜りたいと思います。
  171. 神谷信之助

    神谷信之助君 海部内閣の一員である大臣に今のような質問をするのはやぼな話かもしらぬですよ。私は答弁の初めの方は必要なかったので、終わりだけでいいんですがね。今の、かわり財源、無責任に廃止は言えぬ、四割どうするんだ、それは政府考えたらいい。よう考えられぬというのだったら我々野党側に政権を渡したらいいじゃないか。だから、それはみずからの責任を棚に上げて、白を黒と言いくるめるやり方です。  それからもう一つは、確かに海部内閣の一員だけれども、反対の声というのはうんと大きいのです。とりわけこの一日にやっと自民党の小手先だけの案が出ましたけれども、思い切ったと言うから期待したけれどもあかん。見直しではだめだというようにぐうっと変わりました。要求しているのはあんなものやめると言うんですよ。思い切った大胆で抜本的と言うからなくすのかと思って見直しだと言う説もあるのですから。  それは同時に、私はもう一つ言っておきたいのは、そういう国民の圧倒的な声に耳を傾けることが民主主義なので、御承知のように、今東ヨーロッパでいろいろ起こっています。ソ連型社会主義の押しつけというか民主主義じゃない一党独裁の体制、それについてのそれぞれの国の国民の怒りがずっと起こって今変化が起こっているのでしょう。日本でも必ずそうなりますよ、余りにも合理化をやったら。まあ近く行われる総選挙の結果はそういうことになるということを申し上げておいて次の問題に移っていきます。  もう一つ次の問題は岡山県の苫田ダムの建設にかかわる問題です。これは先般、先日NHKでも放映されましたからごらんになっているかと思います。お忙しいからごらんになってないかもしれませんが。先ほども、午前中にもちょっと話がありましたように、地方自治とは一体何かというものが問われる私は大変重大な問題だと思っています。  岡山県苫田郡奥津町で先般、十月二十九日に町長選挙が行われまして、前の助役の森元三郎さん、これはダム建設反対の立場で選挙をされて、建設反対側の前助役の森元三郎さんが当選をされました。ただそれだけなら選挙で結果はそうだというだけの話なんですが、実は三年半の間に三回も町長選挙がやられているんですよ、建設に賛成か反対かで。ここが非常に私は異常な事態だというように思うのです。自治省の方でも把握しておられると思うのですけれども、三年半の間になぜ三回も町長選挙が行われざるを得なくなったのか、この辺はどのように見ておられますか、まずその点を。
  172. 森繁一

    政府委員(森繁一君) 今お話しございましたように、岡山県の奥津町では苫田ダムの建設問題に端を発しまして、三年半程度の間に三回町長が途中で辞職されて今日に至っておるわけでございます。ただ、この問題はいずれにいたしましてもダム建設問題につきましての話でございまして、地域住民の生活問題などを含めましてそれぞれの当事者がお互いの立場で御相談いただくということが一番適切であろう、こういうように考えておりまして、自治省の方でこの問題を右か左かということはコメントする立場にないということを御理解いただきたいと思います。
  173. 神谷信之助

    神谷信之助君 いやいや、ダム建設に賛成か反対かが争点になっているのです。それはおっしゃるとおりです。何で三年半の間に三回もやらなきゃいけないのか、なぜ三年半の間に、前の二人の町長は次々に、その前を入れたら三人ですね、なぜダム反対派という町長が次々やめては選挙、ダム反対という町長だったらまたやめざるを得ぬ。三年半に三回だったら一年そこそこでやっているわけでしょう。なぜそうなったのかと聞いている。
  174. 森繁一

    政府委員(森繁一君) それぞれ辞職なさいました方はそれぞれお考えがあっておやめになったのだろうと思いますけれども、いずれにいたしましてもこのダム建設の問題に絡んでのお話だろう、 こういう推測はできます。  ただ私ども、おやめになった方々が一体いかなる理由によっておやめになったかそれを確かめるすべもございませんし、それは町の問題としてお考えいただくのが適切ではなかろうか、こう思っておるわけでございます。
  175. 神谷信之助

    神谷信之助君 問題を知りながらその問題を知ろうとしない、目隠しをして見ようとしないという態度では本当に弱小の市町村が苦労しているというのを助けることは全然できないですよ。地方自治を守るというそういう自治省の最大の任務を私は放棄していると言わざるを得ない。ダム問題が起こったのは、昔の苫田村の時期に一番最初に起こっていますが、町村合併で町制になった三十四年から考えましても七代連続の反対派の町長がずっと出ているんですよ、もう一貫して。だから、初め村時代に一遍ありましたよ。そのときはやっぱり村長も反対ですね、例外なしに。それから奥津町に町村合併で大きくなったわけだけれども、昔の苫田村の人たちだけではなしにその他の近隣の一緒になった村の人たちも含めてダム反対が決められて、このダム建設阻止が町是になったんですよ。そして、苫田ダム阻止特別委員会条例というものが三十四年の三月にできて今日まで、だから三十二年間一貫して反対してきている、こういう状況になっています。  問題は、特に六十一年の五月以来三人の町長が任期途中で辞職をするという状況になってきたのは、これは国と県の行政的圧迫、これでどうにもこうにも動きがとれぬということでやめざるを得ぬと、まあ昔風に言ったら、私の腹、私の首をささげますからとにかく仕事をやれるようにしてくださいということで辞職をした。このダムの建設にかかわる事業という名目で一切の国や県の補助事業が予算化をされても、その省庁がダム建設を前提にした、それを承認をした振興計画を認めない限り、あるいはつくらない限り執行はできませんよといって、ずっときて九月、十月になったらどうにもこうにもならぬから町長がやめて、自分の首と引きかえに事業は執行される。それで、町長選挙をやったらまた反対派の町長が出る、こういう繰り返しですよ。こんなことが許されるんだろうか。こんなことが許されるんだったら、国や県は補助金を持っているんだから、うんと言わなかったらこの金はやらぬぞ。これは小さい町で補助金が大半を占めるんですから、これは町長として何にも仕事ができない。町民は多数は反対だ。しかし片一方、町民の暮らしは守れと。過疎が進む、奥津温泉というような温泉もありますけれども、だけれどもあの地域の産業の振興も考えにゃいかぬ、何一つやれないんだ。そうすると、私の首をささげますからということでやめて、そして町長選挙をやったらこうなった。これがずっと続いて、とりわけこの三年半の間はきつくなった。  そこで、きょうは建設省、農水省それから科技庁、来てもらっていると思いますが、ことしの、平成元年度の事業で、資料をきのうお渡しをしていると思いますが、奥津町の補助事業の一覧表をお渡ししていると思うんで、そのうち建設省の方には、地方道の改良費補助の事業、これは二件あります。これは継続事業なのかどうか。それから現在はどうなったのか。  農水省の方は林道舗装事業、第三期山村振興農林漁業対策事業、土地改良総合整備事業が二件、農村基盤総合整備事業が二件、森林地域活性化緊急対策事業、森林組合活性化促進対策事業、それから森林総合整備事業関係が三件。  それから、科技庁は、電源立法のやつで、電源立地促進対策の羽出公民館建設事業、それから町民グラウンド建設事業、この二件。  それぞれ継続事業かどうかということと現在どういう状況になっているかお答えいただきたい。
  176. 山本邦夫

    説明員(山本邦夫君) お答えいたします。  泉源線につきましては現在事業を実施中でございまして、本年度平成元年度の事業費は三千万でございます。それから、養野線につきましては県からの要望が出されておらない状態になってございます。  以上でございます。
  177. 岩本荘太

    説明員岩本荘太君) 農水省構造改善局関係の事業でございますが、第三期山村振興農林漁業対策事業、土地改良総合整備事業並びに農村基盤総合整備事業とも継続事業でございます。  それから、現在の実施状況でございますが、土地改良総合整備事業につきましては、二地区でございますが、現在実施中でございます。農村基盤総合整備事業の羽出地区でございますが、これは神原、原の二団地をつくっておりますが、これにつきましてはまだ県から農政局の補助金の交付申請がなされていない状況にございます。これにつきましては、当該地区に係る補助金について、今後補助金の交付申請が県からあれば対応する予定としております。  もう一つ、第三期山村振興農林漁業対策事業の圃場整備事業でございますが、これは地元の要望もございまして、平成元年度の実施は取りやめてございます。平成年度に実施したいということを県から聞いております。したがって、本年度はこの事業については実施しておりません。  以上でございます。
  178. 福嶋毅一

    説明員(福嶋毅一君) 林野庁関連事業についてお答えいたします。  林道舗装事業につきましては継続事業として計画しておりますけれども、その他の事業についてはいわゆる継続事業ではございません。  それから、これらの事業の実行状況でございますけれども、林道舗装事業については、岡山県から今年度計画を取りやめることとした旨の申請がなされているところであります。その他の事業につきましては、同県から今年度実施する予定と聞いております。国といたしましては、補助金の交付申請があれば交付決定してまいりたいというふうに考えております。
  179. 笹谷勇

    説明員(笹谷勇君) 科学技術庁関係で、電源立地促進対策として行う予定になっております町民グラウンド建設事業につきましては新規事業でございます。十月三十一日に申請を受けまして、現在実施協議中でございます。羽出公民館建設事業につきましては、新規事業でございますが、これは県との協議により、平成年度の事業で行うことになっております。  以上でございます。
  180. 神谷信之助

    神谷信之助君 今説明の中で継続事業が大分あるわけですね。ところが、その継続事業が今年度の当初予算には全然計上されなかった。そういう状況になって、議会で質問されても、それに対して長野知事は、ダムの建設をうんと言わぬから計上しておりませんと、こういう答弁もしている。だからどうにもこうにもならぬわけですね。だから町長は、この秋やめて十月二十九日の選挙、こうなったわけですよ。  こうなると、継続事業は何年かの継続で、去年もやっておればことしもやるというのは当たり前なんだ、来年もやるという事業だってあるでしょう。国の方は継続事業としてやる、こういつもおっしゃる。ところが県が、町がおれの言うことを聞かぬからそれを予算化もしないし、本省にもその手続もとらない。本省の方は、今お聞きになったように県の方から出てきたらやりますと、こうなる。そうして、結局町長選挙をやるということになって、一定部分予算化をして復活させます、選挙の結果がどうであれ。そうせざるを得ぬですよね。奥津町だけ国や県の補助事業は一年間一切やらない、そんなことは通りっこないんだから一定部分はやらなきゃいかぬ。だから、圃場整備など八件ですか、三億四千万円ほど認めるというのを、町長選挙の結果が出た上で、推進派、賛成派が出たら全部認めたんだろうけれども、反対派だから一部になる、こういう状況になっているんですよ。  これは、奥津町という自治体の自治権というのは、大臣どう思いますか、存在しますか、これ。領主が嫌だ、大名が嫌だと言ったらどうにもこれならぬ。私は、大変その辺で地方自治に関して、地方財政を担当してここで十五年余りずっとやっていますがね、国会でも。その問題を一貫し て追及しているんですよ。それで、自治省地方自治を守るためには我々全力を挙げてやりますと何遍も答弁してきておられる。だから、それで来たんだけれども。実は四月に現地調査に行きましたが、そこで明らかになったのは、そういう行政圧迫の窓口としてできているのが建設省と岡山県と奥津町の三者で構成する行政連絡協議会というものなんですね。  それで、建設省にちょっと聞きますが、この行政連絡協議会というのは、行政機関が相互に連絡し合って調整をしていくというので一般的に使われるんですけれども、この奥津町にできておる、あるいは苫田郡にあるこの行政連絡協議会というのは、法的根拠は一体何で、何をやるのか、この辺建設省にひとつ説明をしてもらいたいと思います。
  181. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) 御説明いたします。  苫田ダムにつきましては、まず昭和五十六年の十二月にダム法に基づきます基本計画が公示されました。その後、昭和五十七年の五月に至りまして奥津町長さんの了承を得まして、地権者団体と苫田ダム現地立入調査に関する協定書というものを締結いたしております。それに基づきまして、水没地域の用地測量あるいはいろんな用地の調査に着手いたしました。その後、昭和六十年三月に至りまして損失補償基準というのを提示いたしまして、翌年度の六十一年五月に妥結いたしました。  こういうような条件下で進んできたわけでありまして、このような経過を踏まえまして、相互に協議、協力して水没者の生活再建対策、非水没地域の整備対策の具体化を図るということを目的といたしまして、昭和六十一年の九月に、建設省と県と奥津町のこの三者で行政連絡協議会というものを設置したものでございまして、そういった背景の中で奥津町の長期振興計画の策定だとか水没者の生活再建対策等につきましておのおのの立場で確認を行っておるという状況でございます。
  182. 神谷信之助

    神谷信之助君 建設省、今おっしゃった一番最後のところで行政連絡協議会、これが六十三年、去年の二月十九日に確認事項を調印していますね。この第三項。第一項は「奥津町長期振興計画の策定について」、今あなたがおっしゃった題。第二は「水没者の生活再建対策について」。第三は「奥津町における昭和六十三年度事業の執行について」、ここで「奥津町における各種事業は、奥津町長期振興計画に位置付けられたものから計画的に実施するものであるが、当面昭和六十三年度事業については、長期振興計画の前倒し事業として実施するものである。」、こうなっているんですが、これが六十三年、恐らく六十四年にも同じようなことがやられて、今言ったように建設省所管の事業だけじゃなしに、農水省やあるいは科技庁所管の事業であろうと何であろうと、奥津町における各種事業はその三者協議会でうんとならないとできないということになって、今年度予算で初めて予算化されないという状況が起こったんですが、その経過、それは間違いありませんか。
  183. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) 六十三年二月十九日の覚書の中には、第三項として「六十三年度事業の執行について」という項目がございます。これは、それぞれの事業はそれぞれの機関の権限で行うという、それぞれの立場で行われることを前提として六十三年度事業を行うというものを決めたものでございまして、建設省といたしましても起業者という立場で協力をしてまいっておるところでございます。
  184. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう最後にします。大臣の意見も聞こうと思ったら、もう時間が来ていますからなんですけれども。  いずれにしても、ダムを建設すれば様子が変わりますから、それに関連をする事業ができないという範囲ならばまだわかります。ところが、今問題になっているのはそうじゃなしに、ダム建設予定とは違うんです。ダム建設と関係ない事業まで全部ストップしちゃう。こうなりますと、私から言わすと、もう常軌を逸する。悪大名のもとで奥津町民は泣いているという状況が起こっているというように思います。これは大臣の意見も聞きたいけれども時間がオーバーしていますから。  そこで、委員長、これは地方自治あるいは地方行政の根幹にかかわる大変な問題だと思うんです。それで、これはひとつ理事会で御検討いただいて、当委員会で現地調査をぜひ検討して実現をしてもらいたいということをちょっとお願いをして私の質問を終わりたいと思います。
  185. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 承っておきます。
  186. 高井和伸

    高井和伸君 連合参議院を代表いたしまして、まず、前の神谷委員質問に続きましてちょっと消費税についてお尋ねしたいのでございますが、自民党税調の見直し案を聞く前に、転嫁の問題で、先ほど半分にも満たない転嫁しかなされていないというようなことでございますが、きょう現在でもいつ現在でも、最新の転嫁状況を教えていただけますか、地方自治体、わかれば。
  187. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 手元にございますのは八月一日現在でございます。これで申し上げますと、まず都道府県、指定市の場合でございますが、普通会計と公営企業とあるわけでございますけれども、普通会計につきましては率で申しますと約七四%の団体が実施をしておる。公営企業で、主なものでございますけれども、上水道について申し上げますと約八四%が実施をしておる。工業用水につきましては九四%が実施でございます。  市町村につきましては、普通会計で申しますと約七三%。同じく主な公営企業といたしまして、上水道につきましては約八四%、下水道につきましては六九%というような状況になっております。
  188. 高井和伸

    高井和伸君 これは金額的にはどのぐらいになるかということは積算はできてないんでしょうかね。わからなきゃわからぬでいいです。
  189. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 金額は算定しておりません。
  190. 高井和伸

    高井和伸君 こういった転嫁できないという状況につきまして先ほど大臣の御答弁を聞いておりましたんですが、基本的にはどこで吸収していくようになるわけでしょうか。国に対して消費税を払わにゃいかぬですね。こういった財政の財源はどこら辺に吸収されていくんですか。それともどこから持ち出すんでしょうか。
  191. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 納税義務は今お話しのようにあるわけでございますから、その財源をどうするかということになりますと、これはそれぞれの団体対応はいろいろあると思いますけれども、例えば極端なことを申し上げますと、その分だけ欠損が出る、赤字が出ると申しましょうか、それを将来の例えば料金改定で賄うとか、あるいは企業努力によりましてコスト引き下げによって賄うとか、いろんな対応はあると思いますけれども、いずれにしても何らかの対応をしなければ、納税義務は当然あるわけでございますから、いろんな形で対応されると思います。
  192. 高井和伸

    高井和伸君 私も税特委員で、ちょっと前半失礼いたしましたんですが、納税義務者が払う、これは非常に大事なことだと思うんですが、エンドユーザーといいますか、最終的な実質納税すべき人が払わずに中間の人が払ってしまうというのは、これは消費税の理念、それから国の税体系においては非常に重要な問題で、こういったことが公共機関において行われているということは、地方自治体といいましょうか、想像に絶する法治国家の仕組みでありまして、私に言わせれば、そういった公益事業だという名のもとでいろいろやっておられることはもうすべて民間におろすべきでないかというような発想さえ出てくる理論上の問題があると思うんですがね。この点いかがでございますか。できたら大臣にお答え願えればありがたいんですが。  要するに、納税する人が本来的に納税義務者ですから、税法上はその地方公共団体が納税義務者であって、課税者はそれぞれ税務署であるわけですけれども、本来的には消費税が予定しているのは最終の消費者、サービスの提供を受けている人、その最後の最後が受けて払うべきことが国家 の体制として予定されているわけですよ。今の話を簡単に言えば、公益性の高いことだから地方公共団体が自腹を切って消費税をお払いしましょうと。これはねじれ現象がございまして、地方公共団体の長がいろんな与野党一致で推薦されているだとか、そういった政治情勢もございますが、法制度としまして、国家大計を推進するためには納税者から、最終的な税金を御負担願う国民の方々から納めていただけなくなったらもう国は倒れますね。もう基本的な一番大事なところだと思うんです。  そういった納税者の気持ちからいえば、政治的に抵抗すれば何とかなるんじゃないかと。簡単に言うと国の方が消費税全部肩がわりしてしまえばいいんでしょうけれども、そんなことをやったら自分でタコ足配当でございますから何もできない。そこの溢路がやっぱり地方公共団体財政の仕組みの中に隠されているんだろうと、まあ簡単に言うと、隠されているというか仕組みの中で何とか拾い出せるというか、そういったことになるんで私は聞いているんです。私の言いたいのは、納税者が本当に消費税を納税する気になるためには、そんな自分のタコ足配当みたいなことして消費税を払う地方自治体国家としては存続させるわけにいかぬだろうと私は思うんですよ。これは非常にへんぱな理論上の話だけでございますけれどもね。何らかのペナルティーがあってしかるべきだろうと。払わぬ人は税務署がちゃんと納税義務者に対していろいろ強制措置だとか徴収措置ができるわけでございますが、この場合難しいのは、納税義務者が事業者である、最終負担者がサービスを受ける国民というんですか、地方公共団体の構成員といいますか、そういったことになるわけですね。その合間をほっておいて消費税もあったもんじゃなかろう。  というのは、私が税特質問したときに、国民としてはやっぱり決まった以上は払わないかぬと、こういきたいわけですが、地方公共団体が自分でかわって払ってくれているなんて、こんなすばらしいことが、これは日本の税体系というか仕組み上非常に極めて遺憾も遺憾、大遺憾の段階だろうと大臣の立場だと思うんですが、先ほどのようなやさしい、期待しているだとか、そうあるべきだとか、そういう方向にいってくれというだけじゃとてももつ話じゃないと思うんですが、私の考え大臣考えにそごがございますか。
  193. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 今のお話は、結局消費税の性格からして最終負担は消費者が負担すべきである、そういうお立場からの御意見だと思います。私どもも当然そのように考えているわけでございます。そこで、現在のところまだ転嫁がきちっとできてない団体現実にあるわけでございますけれども、そういう団体におきましては、ほかの財源で、例えば税金でカバーするということは好ましくないと思っております。したがって、仮にその企業で経営努力をしてコストが下がる、それでもって消費税相当分の財源を生み出せるんであれば、それはそういう対応も結構でしょうし、あるいはどうしようもなければ、言葉はよくないかもしれませんけれども、欠損が出る、赤字が出る。それについてはまた将来の利用者から利用料金という形で負担をしていただくべきものだろう。税金で利用者にかわって税金を出すというのは好ましい方法じゃないと思っております。それは、先生おっしゃったように、まさに消費者が負担すべきであると思っております。
  194. 高井和伸

    高井和伸君 今のお話は税金でカバーするのは好ましくない、好ましくないどころじゃなくていけませんわね、そんなことは。好ましくないというのは訂正されますか、ちょっとそこだけ。税金でカバーするのは好ましくないと言われるが。
  195. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) カバーすべきでないと思っております。
  196. 高井和伸

    高井和伸君 それから、将来の方に転嫁するのも一策だとおっしゃいますが、消費税の精神に合いますか、その点だけ。
  197. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) これも消費税の精神に合うかとおっしゃれば合うとは断定できないと思いますけれども、しかし、結果としてそういう方途をとらざるを得なくなる場合もあるかもしれませんが、いずれにしてもそういうことにならないように早くやはり住民の皆さんあるいは議会の皆さんの御理解をいただいて、転嫁をちゃんとやっていくということは大事なことだと思います。
  198. 高井和伸

    高井和伸君 転嫁指導するという言葉で今集約できるんですが、指導する方法はあとどういうことがあるんですか、具体的に。  簡単に言うとおどし、すかし、予算をやらない、いろいろあると思うんですが、そういう言葉は悪いんですが、そういうことがあるんだが、単なる大臣の命による依命通達だとかいろいろ通達でやるだとかいろいろあるでしょうけれども、強制的な措置はあるんですかないんですか、自治省の手元にある手段はどんなものがあるんですか。
  199. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) これは料金の改定ということになりますので、当然執行部だけではなくして各地方団体の議会の議決も必要でございます。そういった意味におきまして、結論的に申しますと、強制的な手段はございませんので、粘り強く指導してまいりたいと思っております。
  200. 高井和伸

    高井和伸君 要するに地方の政治がそこに厳として存在しているわけでございまして、そこで行うことは自由勝手でございますが、国のレベルとして地方自治体を掌握している自治省としては、お願いするというよりは、もうその段階になれば、まあこれは先ほどから神谷委員がおっしゃるとおり政治的判断を下すべき時期じゃないか、もうそんなに転嫁できない消費税は、これはやめるべきじゃないかというような方向には自治省としては動けないんでしょうか。
  201. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 先ほど大臣からもお答えされたわけでございますけれども、改めて私から今回の税制改革の理念とかいうことは繰り返して申し上げませんけれども、税制改正の必要性、あるいはこの消費税地方財源としても非常に貴重な財源になっておるということもございます。また、確かにさっきもお答えしましたように、転嫁が完全にはいっておりませんけれども、まあかなりの団体ではそういう対応がされておるということがございますので、そういった意味から転嫁については引き続き指導してまいるという考えでおります。
  202. 高井和伸

    高井和伸君 簡単に言えば、地方自治が健全に機能しているというふうに逆に結論づけられて、国の方向と違って、地方地方なりの政治をやっていくと、住民自治との関係で。そのように理解して、その方が私はいいんだろうと。変に強権を発動して脱法的な面で、裏の手で転嫁を強制的に一〇〇%にするようなことをおやりにならない方がより好ましいと、私はそう思うわけでございます。  この話はこれにしまして、今度の自民党税調の消費税見直しによりまして、地方財政ではどういう点に影響してくるでしょうか。簡単に言えば、地方譲与税だとか、そのあたりに来るとは思うのですが、大体どこら辺に影響するんでしょうか。
  203. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 消費税のうち地方交付税地方譲与税という形で、両方合わせますと消費税収入の三九・二%、約四割が地方の財源ということになっております。したがって、見直しによりまして税収が減収をする場合には、その減収相当額の三九・二%が地方財源としても減少するということでございます。
  204. 高井和伸

    高井和伸君 そうすると、具体的な金額はどのぐらいになるんですか。平年度ベースで結構ですが、おわかりになりますか。
  205. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) これは正確にきちっとした形で確認しているわけではございませんけれども、聞いておりますところによりますと、消費税見直しによる減収が、これは自民党の案による見直しの減収でございますが、約一兆一千四百億円と聞いております。したがいまして、その場合は地方への影響が約四千五百億円程度になると見込んでおります。
  206. 高井和伸

    高井和伸君 今の措置で、仮の計算で四千五百 億程度ということは、基本的にはこれは国の方で財政的に、またそれにかわる財源で穴埋めしていくということが当然予定されるんでしょうか。
  207. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 四千五百億円が減少した場合の財源、いわゆる代替財源と申しましょうか、ということのお尋ねかと思いますけれども、これにつきましては、これから来年度のそのほかの税制改正がどういうふうになるか、今からの問題でございます。  それから、当然来年度財政収支も今からの問題でございまして、あるいは歳出のあり方、全体を見ながら、いずれにしてもこの地方財政の運営には支障がないような形で対応していかなければならないと思っております。
  208. 高井和伸

    高井和伸君 もう一点、消費税による税収を福祉目的的に使うということで、将来的にはそっちの方へ持っていくということで財政編成されるということになりますと、地方税にはどのような影響になるんでしょうか、いわゆる地方財政上のレベルでは。
  209. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) いわゆる福祉目的税化という点のお尋ねと思います。  これは確かにいろいろ議論の経緯はございましたけれども、私どもが承知している限りにおきましては、今そういう問題が残っておりますのは、国の取り分についてそういう議論が残っておるというふうに承知をしておるわけでございます。  なお、地方の分につきましては、仮にこの譲与税とかあるいは交付税について目的財源というひもつきをするということは、やはりそういう交付税、譲与税の性格からしても非常に問題があるということもございますし、特に交付税なんかに非常に多く依存している。つまり、地方の小さい団体、弱い団体ほど使途が制約されますから、弾力的でなくなるという問題もございますので、地方の分についてはそういう使途を特定する、目的化するということは好ましいことではないと思っております。
  210. 高井和伸

    高井和伸君 今のお話は私もそのとおりだと思って聞いておるわけでございますが、福祉という事業は何も国だけじゃなくて、むしろ地方公共団体の方がより積極的に行われる部分が多いんだろうと思うんですね。そうした場合、ひもつきになってしまったらどうなるんでしょうか。それは仮定の話でまずいんでしょうか。自治省としては、そうなったら全力を挙げて、御遠慮願うということになるんでしょうか。
  211. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 地方もこの福祉の金はたくさん使っておりまして、地方が福祉をやらないから目的財源化をすべきじゃないということを申し上げているわけではないわけでございます。仕事は大いにやっているわけでございます。  今申しましたように、目的財源にするかどうかということは、もともとこの消費税地方財源にしたという経緯がございまして、それは地方税なり、地方交付税が減ったと、つまり一般財源が減ったものを埋めたという経緯が一つございます。  それよりもやはり重要なことは、さっき申しましたように、小さな団体ほど財源が特定化する部分が多くなるということは非常に困るわけです。というのは、これは市町村と県の役割分担の違いもございまして、例えば生活保護行政というのは県、市はやっておりますけれども、町村はやってないわけです。そういう役割分担の違いから、どっちかというと、町村の方が福祉の支出のウエートが割合少ないということがございます。  一方、交付税に頼るのは町村の方が頼る度合いが大きいということがございますので、そこで非常に個々の団体財政運営が困る事態が出てくると、予算編成ができなくなるという、そういうことがございますので、福祉目的化については適当でない。福祉を進めることについて反対をしているわけではございません。それは誤解のないようにお願いしたいと思います。
  212. 高井和伸

    高井和伸君 わかりました。  続きまして、地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして御質問いたしますが、ちょっと素人的な質問で恐縮でございますが、国の公務員の人事院勧告とリンクするということは、これは昔から決まっているというのですか、地方公務員法二十四条三項には、国の給与も一つの参考にしてやりなさい、地方設置される人事委員会でやりなさい、条例で決めなさい、こうなっていますが、その中で、国の公務員の給与の改定にリンクするということは昔からそうなっているんですか。こういう仕組みでこの法案はわりかし毎年の定例的な法案だというような発想で、我々新人は、ああそうですかということで聞いておるわけでございますが、こういうような仕組みは昔からの姿なんでしょうか。
  213. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 結論的に申しますと、昔からの姿でございます。  ただ、年度の初めに一定の額を追加財政需要というか、つまり予備費的な形で若干組み込んでおりまして、それで対応できる年もございますから、そういう年にはこういう法案を改めて御審議をお願いすることはないわけでございまして、そういう意味で、最近十年間ぐらいはこの趣旨の法律の改正は実はお願いしないで済んだわけでございますけれども、ことしは給与改定財源が割合たくさん要るということもございまして、こういう改正を今お願いしているわけでございまして、内容としては昔からのと同じものでございます。
  214. 高井和伸

    高井和伸君 もとへ戻りまして、そうすると、地方公務員の給与と国家公務員の給与はどのように位置づけて考えたらいいのか、どういう理念でとらえられているんでしょうか。まあ一つのファクターだということはわかりますけれども、この財政措置の本法案の説明書を見ると、もう当然リンクされているというようなことに書いてしまってあるものですからね。そこの点についてはどう考えているんでしょうか。  私の言いたいのはあともう一つ地方には人事委員会もあって、そこがある意味で、条例もあってやるんだけれども、財源的には国のひもつき的に、ひもつきという言い方はおかしいんですけれども、見てやると、それも国家公務員のベースアップに準じて見てやると、こういうふうな法律の提案なものですから、そこら辺はどのように理解しておりますか。人事委員会国家公務員の給与と地方公務員の給与と、この地方交付税を改正するというこの四つを。
  215. 滝実

    政府委員滝実君) まず、この基本的なことを申し上げたいと思うんでございますけれども、人事院の勧告は国家公務員に対してあるわけでございますけれども、実際問題として、その人事院が勧告をするに当たっては地方団体で組織する労働団体、職員団体と申しますか、それと地方団体の当局の意見を聞く。人事当局あるいは職員団体の意見を聞くというのを実際上人事院がおやりになっているわけです。ですから、基本的には国家公務員に対する勧告ではあるわけですけれども、そういうような地方公務員の立場も一応は念頭に入れて勧告されているんじゃなかろうかという推測は実はしておるわけでございます。  それから、基本的にはこの国家公務員に対する人事院勧告を受けまして、それを一つのメルクマールにしながら各都道府県の人事委員会が、これは独自でやはりその地域の民間給与でありますとか生計費とかそういうものを客観的なデータで集めて、それに基づいて人事院と同じような格好でその都道府県の職員の給与の勧告を人事委員会がおやりになる、こういう格好でございます。  したがって二重になっている点が確かにあると思うんです。一つは、地方公務員法の二十四条に書いてありますように、国家公務員の給与ももちろん参考にしますけれども、そのほかにやはりその地域の民間の賃金あるいは生計費、そういうものも参考にして人事委員会が人事委員会としての勧告をお出しになる、こういうことでございます。そういう意味では、国家公務員準拠でありますけれども、やはりその県の人事委員会の勧告を尊重して各地方団体、都道府県が給与改定に取り組まれる、こういう格好になっているわけでございます。
  216. 高井和伸

    高井和伸君 そうしますと、国が算定して地方 交付税としておろす金額と地方の人事委員会が勧告する金額とずれますわね、簡単に言えば。交付税はもともとひもつきじゃありませんわね、しかし対応関係はありますね。そこはどう理解したらよろしいんですか。
  217. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 交付税で算定いたしますやり方といいますのは、結局、今公務員部長から答弁がありましたように、基本的には国に準ずるという形をとっておりまして、これは地方交付税の計算は給与に限らずすべての経費がそうでございますけれども、標準的な歳出を計算するという基本的なあれがございますから、したがいまして、給与を計算する際におきましても、基本的なというのは国公並みのベア率で計算をして措置をする。確かに具体的に個々の団体ごとに見た場合に、その措置額と実際の必要額と若干ずれは出てくると思いますけれども、これは交付税制度を考えますと、給与に限らずあらゆる経費でそういうでこぼこが若干出てくるのはやむを得ないと思っております。
  218. 高井和伸

    高井和伸君 わかりました。  次に、基準財政需要額というものが基本的に交付税の算出の基礎にございますね。そういったことで、それを改定するという格好が今度の法律案になっているわけでございますが、そこで、それを改定するときの不足金額が六百六十九億円というふうになるこの計算の過程は、一般財源所要額が五千五百五十億、既措置額、先ほど言われた予備費的なものだということだと思いますけれども、これが四千四百億あると。この四千四百億をこの地方財政計画のどこに載せたのですか。そこだけちょっと教えていただけますか。一応それなりに探したのですけれどもわからないので。
  219. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) この資料をお持ちでございますので、二十六ページの公債費という欄のちょっと上のところでございますが、「追加財政需要の発生に備えるため五千億円を計上」と書いてございます。これは「現年発生災害等年度途中における」云々とございまして、一応私どもの予定といたしましては、災害関係に六百億、その他に四千四百億という内訳を持っているわけでございます。
  220. 高井和伸

    高井和伸君 今の御答弁をお聞きしますと、五千億という数字は出ておりますが、四千四百億という数字はこの中には出てないんですね。
  221. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) この本の中には出ておりません。今申しました全体として五千億ということを記載させていただいているわけでございます。
  222. 高井和伸

    高井和伸君 続きまして既定経費の節減ということで四百八十一億円と。これも一応聞きましたら、第二次的な予備費だということも聞きましたのですが、これはこの財政計画には載っているんでしょうか。
  223. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 節約そのものは載っておりませんけれども、節約の対象となりますものは、一般行政経費、今ごらんいただいた二十六ページの(2)というのがございます。一般的な事務費とかそういうものをここに含んでいるわけでございますけれども、この中のいわゆる物件費、つまり印刷費とかそういったたぐいのものと、それから維持補修費というのが二十七ページの五番というところにございますけれども、この二つを節約の対象経費ということにいたしておるわけでございます。
  224. 高井和伸

    高井和伸君 そうしますと、予算で通った中からこういったものを寄せ集めるというのですか、努力してひねり出しているのが四百八十一億、こういうことになるわけですか、そうですね。
  225. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 今申し上げましたいわゆる物件費とか維持補修費を対象として従来からこういうことをやっておるわけでございますけれども、従来のルールといいましょうか、やり方によって算定いたしました結果、四百八十一億を節約するという前提で給与改定の財源措置をさせていただきたい、こういう趣旨でございます。
  226. 高井和伸

    高井和伸君 そうしますと、今の数字は一般行政経費それから維持補修費の中の何%ぐらいになるのですか、この四百八十一億。
  227. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) この節約の率でございますが、まず一つは国は七%でございます。それから、私どもの方といたしましては、市町村はやはり財布の規模が小さいものですからなかなか無理もあるだろうということで、都道府県は七%で計算しておりますが、市町村は四・三%で計算しております。  もう一つは、物件費の中でも例えば住民の生活に直接影響のあるようなもの、あるいはいわゆる現場行政的な小中学校とか民生とか衛生とか消防とかそういうものは節約対象から除外いたしまして、いわゆる役所の中の内部管理的なものを対象にするという、それから維持補修につきましても公営住宅につきましては除外をする、そういうことでございまして、一言で申し上げますといわゆる内部管理的な事務費を辛抱していただきたい、こういうことでございます。
  228. 高井和伸

    高井和伸君 あと、基準財政需要額、今のような算出方法がいろいろあるということはわかりましたのですが、市町村によっていろいろ実力、いろいろ事情が違う。簡単に言えば、財政の豊かなところもあるでしょうし、それから物価の安いところもあるし、交通の便のいいところもある、悪いところもあるという、そういうファクターはどのように入っているのですか。きょうの改正法律案の中のいろんな計数を変更しておりますが、どこらに入っているんですか。これには入ってなくて別の装置があってそれで調整しているというのでしょうか。その点だけお聞きしたい。
  229. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 交付税の計算、基準財政需要額の計算でございますけれども、今お話がありましたそれぞれの地域の特殊性、寒冷地とか僻地とかいろいろございますけれども、そういった問題は、当初の交付税の計算をする際にいわゆる補正係数等を用いましてなるたけ地域の実態に合った需要額を捕捉するように計算をしているわけでございまして、今回の給与改定の問題につきましては、交付税の費目の中に積算の中に入っております人件費分を国のアップ率に見合って上げるという改正でございますので、今回の場合は寒冷地がどうとかあるいは僻地がどうとかいうことまでは計算の中に入っておりません。
  230. 秋山肇

    秋山肇君 大臣、私の方は税特に行ったり来たりで大臣の最初の所信はお聞きをしておりますけれども、途中の答弁をお聞きしてないので、皆さん方とダブる質問が出てくるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。  今税特で、公述人に福岡県の久山町の小早川町長さんがお見えになっていまして、今高井委員から質問のあった点等含めてお話がありました。我々地行委員として一番よく聞いておかなきゃいけないと思って、まあほかの人がいいかげんに聞いていたというわけじゃないんですが。その中で消費税は、町長さんの言われるには、我々の行政体のところでは定着をしている、しかし今度の見直し、廃止両案とも、今のお話ではないんですが、消費税地方を余り無視した形じゃないかということをおっしゃっておられましたけれども、この点について大臣は、ちょっと質問通告をしていないんですが、どのようにお考えになりますか。
  231. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 今御質問の問題、これは党の方針として決めておることでございますから、これからまた党税調等もございますから、地方財源の確保については十分に配慮してもらうように努めてまいるつもりでございます。
  232. 秋山肇

    秋山肇君 ぜひひとつ我々この地行の委員会としても、今大臣の御答弁にありましたように、地方の実態というものをつかみながら対応していきたいというふうに思っております。  それでは、地方交付税の一部改正案について一点質問をさせていただきますが、昨今の民間における給与の状況を勘案すれば、当初からある程度の財政需要額を見込んでおくべきではなかったかと思うんですが、その点はいかがなものでしょうか。
  233. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 当初から見込むことが 可能であればそういう方法もとれると思いますけれども、率直に申し上げまして、当初の段階で、といいますのは、つまり年末の段階で翌年度のベースアップの率がどのくらいになるかということを見込むことは非常に難しいわけでございまして、そういったことから従来から一定の枠を追加財政需要額ということで計上させていただいて、それで対応する。それで不足する場合は今回のような形でまた法律の改正をお願いするということで対応しているわけでございまして、いずれにしても、最終的には各地方団体給与改定がきちんとできますような措置はしていかなければならないと考えております。
  234. 秋山肇

    秋山肇君 まだことしは少し委員会が早いように思うんですが、いつもぎりぎりになって、かなり地方の皆さんは、国の方は出ているのに我々のところへ本当に来るのかなというような感じが、私はいつも委員会でそういうような感じを受けているんですが、それでこんなやぼったい質問をしたんですけれども、こういうこともやっぱりもう少し実情に合わせてできる、働いている人に不安を与えない、また行政当局の方々にも早くめどが立つ、目標が立てられるような方法というのをもう少し考えなきゃいけないと思うんですが、この辺はいかがですか。
  235. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) 今のお話は、各地方団体給与改定を実施するに当たりまして、その財源のめどが……
  236. 秋山肇

    秋山肇君 ちょっと質問が、私の言っている意味と持永さんの受け取り方とあれかもしれませんが、私の言わんとしているのは、何か、国が決まり人事委員会が決まって順番に来るわけですね。ですけれども、十二月も、ことしは私も早いと思うんですが、もうちょっといつも遅いんじゃないんですか、委員会は。だから、そういうようなことを含めてもうちょっと早目に皆さん方に安心をさせておく。まず、お正月が来るのにもらえない、民間と違うからもらえないとは思っていないんですが、やっぱり計画が立たないんじゃないかなと思ってこんな民間とというふうなあえてやぼったい質問をしたんですが、その辺四角四面なことばっかりを言っているといつまでもこういうことが続いていくので、その辺の対応策はありませんか。だから、なきゃないで、まだできませんでいいんですよ。
  237. 持永堯民

    政府委員持永堯民君) ことしの場合は、先ほど申しましたように、金が足りなくなったものですからこういう措置をお願いしておるわけでございまして、例年より早いとおっしゃいましたのは、恐らくこの委員会が普通ですと年明けなのがことしは早いという御趣旨かと思いますけれども、これはやはり年内に各地方団体が財源の見通しを立てて、そして給与改定ができるようにするために、今回は十二月、早目にこの法案の審議をお願いしているような次第でございます。  それから、今後の問題といたしましては、結局地方財政計画の上で、先ほど来御議論がございます追加財政需要、これをどういう形で組み込んでいくかということでもございますので、これにつきましては、ことしこういうことになったということも踏まえまして、来年度はまた一つの検討課題としてこれを金額をどうしていくかということは十分検討してまいりたいと思っております。
  238. 秋山肇

    秋山肇君 先日、建設省で市街化区域内農地への宅地並み課税を求める一九九〇年度税制改正要望の大綱案をまとめられたんですが、その中で宅地並み課税に関する部分だけで結構ですので、簡単に説明してください。
  239. 木村誠之

    説明員木村誠之君) 近年の地価高騰によりまして、大都市地域におきましては勤労者が良質な住宅を確保することは著しく困難になっておりまして、建設省といたしまして、今お尋ねのありましたとおり、大都市地域における総合的な住宅宅地供給方策を取りまとめ、発表いたしました。  三大都市圏の市街化区域内農地につきましては、緑地、防災等に一定の役割を果たしておりますが、一方住宅宅地対策を進める上で重要な空間でございます。この三大都市圏の市街化区域内農地につきましては、保全するものと宅地化するものの区分の明確化を図りまして、保全するものにつきましては、生産緑地の拡充指定あるいは調整区域への編入を行い、また宅地化するものにつきましては、農地所有者等によります計画的な宅地化を進めることといたしております。これらの施策とあわせまして、保全する農地につきましては、お尋ねの現行の固定資産税等にかかる特例措置を存続させますとともに、宅地化するものにつきましては、この特例措置の見直しを行い、平成四年からは長期営農継続農地の新たな認定あるいは更新等は行わないこととするというのがその骨子であります。
  240. 秋山肇

    秋山肇君 宅地並み課税が実施されても、それだけでは農家が土地を手放す保証というのがどこにもないと思うんですね。都市近郊の農家は大部分が兼業で、農業以外の収入が多いわけですね。ですから、私が調べた東京都の例では、純農家の戸数は二万六千五百六十八戸、そのうち専業農家が二千百七十戸、兼業農家は二万四千三百九十八戸と、兼業農家率が九一%というようにもなっているわけですね。同じように、兼業農家率が千葉県では八三・九%、埼玉県では八八・六%、神奈川県では八七・四%と、いずれもほとんどが兼業農家が多いわけですね。  このような兼業農家にとっては、固定資産税の水準が低いこともあってそんなに負担になってないんです。だから、宅地並み課税の実施と同時に、農地の相続税猶予制度の適用除外がないと農家がまず農地を手放さないと思うんですが、この相続税猶予制度についてはどうなんですか。
  241. 木村誠之

    説明員木村誠之君) 農地につきましての相続税の納税猶予制度につきましては、これは相続によります農地の細分化防止等の政策目的に配慮した制度と承知いたしております。この相続税納税猶予制度につきまして、昨年六月に策定されました総合土地対策要綱におきましては、ただいまの保有税と同様、市街化区域内農地にかかる相続税につきましても保全するものと宅地化するものとの区分を明確化することとの関連において宅地との均衡を考慮しつつ見直しを検討する旨言及されております。  したがいまして、建設省といたしましては、先ほど申しましたような農地に係る諸施策の検討推進とあわせまして、固定資産税と同様、保全する農地につきましては現行の特例を存続させますとともに、宅地化する農地につきましては特例を見直すこととすべしと考えております。     ─────────────
  242. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、斎藤栄三郎君が委員辞任され、その補欠として清水嘉与子君が選任されました。     ─────────────
  243. 秋山肇

    秋山肇君 もう一つ問題なのは、農家が農地を手放した場合のことですね。さっきお話にもあったんですけれども、例えばこの大綱がストレートに意図どおりに事が運んだとして、一九九一年度末まで行う予定になっている保全する農地と宅地化する農地の選別の過程で、認定要件を緩和した生産緑地や市街化調整区域への編入を求める農家が多くなると、都市計画に沿った住宅宅地の供給ができるかどうか疑問な点も出てくるわけですね。単に乱開発化が進み、昨今の金余りした現象の中で土地への投資意欲を高めると、鎮静化しつつある首都圏の地価がまた再上昇する引き金になるかもしれません。そのためには、宅地並み課税する農地についてはしっかりした地区計画をつくり、上下水道などの施設整備をした上で計画的な都市化を図る必要があると思いますが、その点はどうでしょうかとお聞きをします。私は東京にいますけれども、なかなか都市計画、上下水道、インフラの整備はできないでしょう。その点含めて答弁してください。
  244. 木村誠之

    説明員木村誠之君) 市街化区域内農地の宅地化に当たりましては、基本的には農地の所有者みずからの賃貸住宅建設・経営等の促進を図ることが重要だと考えております。また、その際、特に 今御指摘ございましたとおり、計画的な市街地整備を進めてまいることが肝要と考えております。このため、先ほど申しましたとおり、都市計画において、保全するものと宅地化するものの区分の明確化を図ることが基本でございますが、保全すべき農地につきましては、生産緑地地区の積極的活用を図って適切に保全を図ってまいりますとともに、逆線引きという措置も考えておりますが、そのような措置を図りますとともに、宅地化するものにつきましては、御指摘のとおり、計画的な宅地化を進めるということで、特に土地区画整理事業等の積極的実施を図りますとともに、今お話しございました地区計画につきましても、地区ごとの整備の方針と建築物等に関する詳細な計画を内容とする地区計画制度等の活用、あるいはさらに開発許可制度の適切な運用を図ってまいりたいと考えております。  また、特に計画的な宅地化、市街化の誘導をより的確に推進できますよう、このたび公共施設整備とあわせて、高さ制限、容積率の緩和を行うことなどによりまして、良好な中高層住宅の供給を可能とする新たな制度の検討も進めているところでございます。  いずれにいたしましても、建設省といたしましては、農地所有者に対する賃貸住宅建設のための助成策の充実、あるいは公的主体によりまする支援体制の整備等各般の施策の充実を図りまして、良好な町づくりを進めることが肝要と考えております。
  245. 秋山肇

    秋山肇君 それで、今の答弁にもありましたけれども、今まででも生産緑地ってあるでしょう。長期営農継続農地と二つがあって、それで生産緑地を例えばその所在する市、その次は都でしょう、東京都の場合。そのときに買わないと言ったら、ほかのところに売っていいわけでしょう。そういうことが今まででも、実際にはそういう形がありながら、買ってくださいと言うと、例えば生産緑地と長期営農継続農地とが隣り合っている。今の答弁が悪いというわけではないけれども、その区分けをきちっとしなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、その点はいかがですか。
  246. 木村誠之

    説明員木村誠之君) ただいまの長期営農継続農地制度、十年間の営農ということでございますが、途中で譲渡した場合には、徴収猶予になっておりました固定資産税を納めていつでも譲渡できるという形でございます。  確かに先生指摘のとおり、生産緑地制度につきましても、第一種の場合には十年経過後に買い取り請求が出てまいりまして、買い取りがなされない場合には行為制限が外れるということもございますが、一応十年なり、第二種でありますと五年間という行為制限の期間がございます。そういう意味で、従来の長期営農制度とは行為に対する規制の仕方は違うということがございます。ただ、今のままですべて十分というふうには考えてございません。先ほど申しましたとおり、地区計画等の活用によりまして良好な町づくりへ誘導を図ってまいりたい。あるいは保全する場合についても適切な保全を図ってまいりたいと考えております。
  247. 秋山肇

    秋山肇君 なかなか厳しいというか難しいのは、今私が言っているのは、生産緑地がこうあるでしょう。こっちに長期営農継続農地があるでしょう。こういうことをいつまでもやっていくと、今度の改正でもそれをやったんでは、お互いが今の答弁でいいんですけれども、現実に今そうなっているんですよね。片方はそれの買い取りを言い、こっちはもういつでも宅地としてすぐ売れちゃうというようなこと。だからこの辺は逆線引き、地域をどうするかということを決めていくことが大事だろうと思うんですね。ですから、今までやってきたことで不合理だった点はしっかり直していただきたいというふうに思うんですね。  それから、大臣一つお伺いしますけれども、宅地並み課税の問題は、固定資産税の不公平感、これは新聞に出ている。テレビでもしょっちゅうやってますが、隣の宅地と畑とでは百分の一である、相続税は、相続税は自治省じゃありませんけれども、三百分の一であるというようなことを踏まえて、固定資産税を担当する自治大臣として、私は、積極的に農家をつぶせということじゃなくて、そういう線引き、よく区分けをしていくべきだと思うんですが、大臣、この大綱案に対してこれからいろいろなアクションがあるんだと思うんですが、自治大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  248. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 今建設省からいろいろ答弁があったようでありますけれども、土地問題、これは国の大きな内政一つということで、各省間でいろいろ相談し、特に三大都市の宅地並み課税の問題、これは大きな問題として取り上げられ、生産緑地として残すべきもの、これから宅地として供給されるべきもの、そういうものが今線引きされたわけでございますから、今後これらを実効ある施策、制度として講じられることを踏まえて、今後検討していくべきものである、こう考えております。
  249. 秋山肇

    秋山肇君 ぜひ大臣の力で頑張っていただきたい。  もう一つ、ちょっとこれに関連して提案というか、私の意見を申し上げてお考えをお聞きしたいんですが、どうも自治省は、地方自治体もそうなんですが、固定資産税を取れるところの面積は把握をしていますけれども、取れないところ、学校法人だとか宗教法人の分であるとかあるいは各行政体が持っている分だとか、これは台帳もなきゃ何もないわけですね。ですけれども、これもやはり土地台帳というのを自治省あるいは各地方自治体がしっかり把握をして、それで面積はもちろんですけれども、そこのところは固定資産税を取ったら幾らになるのかというようなことは、やはり私は基礎台帳として置いておくべきだと思いますよ。登記所へ行けば登記簿、台帳ありますよ。だけど、私は東京都議会に長くおりましたからこの問題を随分やってますけれども、主税局にそれじゃ取れないところの面積を教えると言ったら、全然何も持ってません。国会へ来て自治省にも聞いたことあると思いますけれども、自治省も持ってない。これは土地政策の根本としてやはりお考えをいただきたいと思うんですが、この点についてはいかがですか。
  250. 湯浅利夫

    政府委員(湯浅利夫君) 固定資産税を課税するだけの立場から見ますと、いわば固定資産税を課税できないところというのは課税のいろんな資料というものがとれないわけでございますので、課税する立場のところでそういう資料を整備するということは、これはやっぱりなかなか難しい問題ではないかと思うわけでございます。むしろ今お話しの問題は、都市計画とかあるいは都市の整備をする場合にどういう土地の現況かということを把握して、それに基づいて各種の計画を立てるという立場からそういうものを捕捉するということはわかるんでございますけれども、課税をするという立場で課税してないところを捕捉するということは、現実の問題としてなかなか難しいという点をひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  251. 秋山肇

    秋山肇君 それはわかるんですよ。ですけれども、消費税の論議の中でも、それはイギリスのゼロ税率という問題だって出てくるわけでしょう。だからゼロでいいですよと。学校法人、宗教法人、ちゃんと本来の目的に使っているところはゼロでいいですよということをはっきり言った方が、この宅地並み課税の、何で農家ばっかりいじめるんだという声だってあるのは、やっぱりそういうところにもあると思うんですよ。全体がつかめていて、大規模法人の遊休の土地はこれだけあるという、それでこれは課税されているわけです。学校法人としてグラウンドでちゃんと使っているんならいいけれども、何かちょっと使い方がおかしな法人もあるじゃないか。そういうようなことを含めると、私が言うのは、取るんじゃなくて、一応は全部は台帳として持って、これはゼロにしておきますよと。目的が違うといったらすぐ課税しますよというぐらいな、もう一歩突っ込んでいかないと不公平感というのはなくならないと いうふうに私は思うんですが、この点について大臣のお考えはいかがですか。
  252. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 今御意見を承っておったわけですけれども、自治省の税務局というものが何を役割とするか、こういうことを考えますと、固定資産税を取るためにそういう仕事をしているということなら、これは固定資産税の課税対象になる土地を把握しておかなければならないのは当然でありますけれども、今度は国土の総合的な利用ということになれば、今委員指摘の非課税である学校法人であるとか宗教法人の土地とか、そういうものも全体としては把握しておかなければ、これは土地政策は総合的に公平にできないわけですから、国のいずれかの機関でこれは総合的に把握しておく必要はあると認めていますけれども、自治省でそれを全部把握する必要があるかどうかについてはさらに勉強させていただきたいと思います。
  253. 秋山肇

    秋山肇君 あえて反論するわけじゃないんですが、やはり地方自治体の税収ということになると、固定資産税なんかは一つの大きな柱になるわけですね。ですから、そういうことからすると、取れないからもうそれは調べないということじゃなくて、何か今大臣の御答弁にありましたけれども、どこと連携するのがいいのかわかりませんけれども、この点ぜひお考えをいただいて、一つの財源の確立と不公平感をなくすという前提で前向きに御検討いただきたい、これは要望にして質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  254. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ただいま議題となっております案件のうち、地方行政改革に関する調査は本日はこの程度にとどめ、地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、他に御発言もなければ質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  255. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 御異議ないと認めます。  これより地方交付税法の一部を改正する法律案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  地方交付税法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  256. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  257. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五分散会