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1989-12-11 第116回国会 参議院 税制問題等に関する特別委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十二月十一日(月曜日)    午前十時十一分開会     ─────────────    委員の異動  十二月八日     辞任         補欠選任      今泉 隆雄君     下村  泰君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中村 太郎君     理 事                 井上 吉夫君                 沓掛 哲男君                 宮澤  弘君                 村上 正邦君                 稲村 稔夫君                 及川 一夫君                 本岡 昭次君                 矢原 秀男君                 近藤 忠孝君                 古川太三郎君                 寺崎 昭久君     委 員                 伊江 朝雄君                 小野 清子君                 大木  浩君                 梶原  清君                 鎌田 要人君                 北  修二君                 久世 公堯君                 佐々木 満君                 谷川 寛三君                 前島英三郎君                 松浦  功君                 松浦 孝治君                 守住 有信君                 山岡 賢次君                 吉川 芳男君                 穐山  篤君                 上野 雄文君                 大渕 絹子君                 粕谷 照美君                 渕上 貞雄君                 細谷 昭雄君                 前畑 幸子君                 村田 誠醇君                 安恒 良一君                 山口 哲夫君                 刈田 貞子君                 常松 克安君                 和田 教美君                 吉岡 吉典君                 高井 和伸君                 三治 重信君                 下村  泰君                 野末 陳平君    委員以外の議員        発  議  者  久保  亘君        発  議  者  佐藤 三吾君        発  議  者  梶原 敬義君        発  議  者  小川 仁一君        発  議  者  峯山 昭範君        発  議  者  太田 淳夫君        発  議  者  笹野 貞子君        発  議  者  勝木 健司君    国務大臣        大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君        自 治 大 臣  渡部 恒三君    政府委員        大蔵省主計局次        長        寺村 信行君        大蔵省主税局長  尾崎  護君        厚生大臣官房老        人保健福祉部長  岡光 序治君        社会保険庁運営        部長        兼内閣審議官   土井  豊君    事務局側        常任委員会専門        員        竹村  晟君        常任委員会専門        員        保家 茂彰君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○消費税法廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○消費譲与税法廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○地方交付税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○税制改革基本法案久保亘君外七名発議) ○法人税法等の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○通行税法案久保亘君外七名発議) ○物品税法案久保亘君外七名発議) ○入場税法案久保亘君外七名発議) ○地方税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○消費税法廃止に関する請願(第二号外四一三件) ○消費税即時廃止に関する請願(第二一号外九四件) ○現行消費税反対、公正公平な税制の確立に関する請願(第三五号外七五件) ○消費税廃止に関する請願(第四一号外二件) ○消費税廃止に関する請願(第四五号外一六九件) ○公約違反消費税法廃止に関する請願(第四八号外一三〇四件) ○消費税即時廃止に関する請願(第一一一号外三六件) ○消費税法廃止に関する請願(第一四二号外四一件) ○消費税法即時廃止に関する請願(第二九九号外六五件) ○消費税廃止国民本位税制改革に関する請願(第八三四号外二件) ○医療や福祉に打撃を与える消費税廃止に関する請願(第九五四号外二〇件) ○消費税法即時撤廃に関する請願(第一一〇七号外二八件) ○消費税撤廃に関する請願(第一三三八号) ○消費税廃止等に関する請願(第一三七六号外二四件) ○芸術・文化活動に課する消費税反対等に関する請願(第一六三〇号外一件) ○消費税撤廃に関する請願(第一九二三号外一八件) ○消費税廃止法案成立に関する請願(第一九九四号外七六件) ○公約違反消費税即時廃止に関する請願(第二一三八号外九〇件) ○消費税法即時廃止に関する請願(第二一四〇号外六件) ○消費税廃止国民本位税制改革大幅減税に関する請願(第三三七七号)     ─────────────
  2. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を開会いたします。  消費税法廃止する法律案消費譲与税法廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 井上吉夫

    井上吉夫君 私は自由民主党を代表して、総括して締めくくりの質問をただいまから展開いたしたいと思います。発議者各位の明快な御答弁をお願い申し上げます。  質問の第一は、共産党は、野党としては消費税廃止法案のみを出せばいいところを再改革基本法案及び代替財源法案を提出したのは、自民党にはめられたという、そういう言い方をもう冒顔からされてまいりました。発議者はこのことについて、どのようにお考えになっておるか、まずお伺いをしたいと思います。
  4. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私は、今回御審議をお願い申し上げました消費税法廃止する法案、これに関連する九法案につきましては、四会派の判断と責任に基づいて提案を申し上げたものでありまして、はめられたとかはめたとかいうような、そういう御見解には全く同意いたしかねます。  私どもは、参議院選挙に示された国民皆さんの御意思に対し、そして、私ども選挙公約をしてまいりましたことについて、これを誠実に受けとめ、履行するために今回九法案提案いたしたのであります。  特に、参議院選挙の結果は政権交代可能性を大変現実的なものといたしております。それだけに私どもといたしましては、今回消費税法廃止するに当たっては、財源等につきましても、また税制改革を行う考え方につきましても、明確にお示しをすることが私ども責任考えたのであります。このことにつきまして、本委員会委員長を初め各党委員皆様方が真剣に長期間にわたって御論議をいただきましたことに、深く提案者として敬意を表する次第でございます。  また、今回この議員立法に当たりまして、これだけの多くの法案参議院において真剣に受けとめ、また参議院の職員の皆さん方にも大変な御努力をいただいて、今日この審議が行われてまいりましたことを、私ども参議院活性化といいますか、新しい参議院の立法府としてのあり方についても、国民皆さんの御期待にこたえることができたものと考えております。  ただ、大変残念に思っておりますことは、願わくは、自由民主党公約でありました消費税法見直しについて、これが明確に示されることによって本委員会論議が一層国民皆さんにわかりやすく、そしてその期待にこたえる論議となればなおよかったと考えております。  今御質問がございました、はめられたとかはめたとかいうような見解については、私どもは全く同意できないことを御答弁申し上げたいと思います。
  5. 井上吉夫

    井上吉夫君 今の久保議員答弁は当然のことでありまして、共産党からはしばしば自民党の策謀であるとかあるいははめられたとかいう言葉がよく使われました。そのことは、一方では自民党を悪者呼ばわりする言葉であると同時に、一方では提案者側に十分の知恵がない、政策立案能力がないということを意味することにもなるわけでありまして、今久保議員から、廃止法案を出した以上は、代替財源は通常ならば予算編成権を持つ政府考えることではあるが、我々自身が政権担当能力があるということを国民皆さん方に知っていただくためには、廃止後の再改革についてどうやっていくか、そして当面の代替財源をどうするかということについてはみずからの自信と責任を持って提案したということを述べられました。当然のことであります。  ただ、今日までの私ども論議の期間に、かなり多くの修正を必要とする部分を含めて、たくさんのミスが発見されたということは、この法案自体の中に極めて重大な欠陥を含んでいたということを言わざるを得ない。したがって見方によっては共産党の批判にも一理があるのかなという、そんな感想を一方では持たざるを得ないという部面もあると思います。  このことについては以上でとめまして、私は次に、今回の議論の中で最も数多く議論をされてまいりました物品税等の問題について入りたいと思います。  物品税等個別間接税の問題についてはいろいろと議論をされてまいりましたけれども、今までの間に、野党各党におきまして何回にもわたって、物品税議論をされる機会に、物品税時代おくれであるとか、あるいは最近の消費構造を見ると到底もうこの物品税の仕組みというのは今の時代に対応し切れないという、そういう意味意見がしばしば述べられてまいりました。  私はこの機会に、昭和五十八年の九月二十一日、参議院予算委員会において社会党和田静夫議員が述べられた、物品税時代おくれというくだりについて、どういう言い方をされておるか、社会党から御説明をいただきたいと思います。
  6. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) ただいま御指摘のございました和田静夫参議院議員が、物品税時代おくれだという発言をしているということにつきまして議事録も精査をさしていただきました。また本人にも確認をいたしたところでございます。物品税法の当時の政府税調での議論に対して和田議員が言いたかったことは、課税対象の根拠が不明確であり、恣意的に行われているのではないか、新たに課税するあるいは課税対象から外すということを時代に合わせて行うことができるのにそうした視点から行われていない、時代に対応した課税非課税議論をすべきであるということを申し上げたということであります。  物品税は、適時時代に合わせた見直しが、課税物品のみならず非課税免税点を含めできるようになっております。こうした見直しが必要だということを申し上げたのであって、物品税そのものは極めて有効な税制であることを主張しているということを和田議員は申しておりますし、私どももそのように理解をいたしておるところでございます。
  7. 井上吉夫

    井上吉夫君 今久保議員からお聞きのような説明がありましたけれども、私が五十八年の九月二十一日の参議院予算委員会における物品税時代おくれというくだりについて和田静夫議員質問部分議事録をとってみますと、   この所得税減税に関連してですが、個別物品税のこの課税対象を拡大する方向で税調がどうも議論をされているようにいろいろ読むと感じますが、物品税という税目時代おくれであると私は考えているんです。不合理性がつきまとう、こういうふうに主税当局も私には何回か答えていることを記憶いたしていますが、これは税調会長もそういうふうにお考えになりましょうか。 という問いかけであります。税調会長答えがありますが、それは省略をいたします。  したがって、今久保議員の御説明は、その後和田静夫さんに真意を確かめられた言葉が今のようなことになったのかもしれませんけれども議事録で見る限り、五十八年の九月当時、少なくとも和田議員は、物品税というものは、もうこういう税目時代おくれであるということを指摘しながら質問を展開していると見ざるを得ないと私は思うわけであります。  次に、公明党についてお伺いをいたします。  五十六年の二月二十七日の衆議院大蔵委員会公明党柴田弘議員は、物品税消費構造そのもの変化にだんだん対応し切れなくなっているのではないかという趣旨質問をしておられます。   国税庁が発行しております「私たちの税金」という本の中に、物品税とは「しゃし品、趣味・娯楽用品便益品し好品などを課税対象としている。」こういうふうに述べているわけです。しかし、最近の国民生活実態から見てまいりまして、たとえば昔はぜいたく品であったカメラやテレビ、こういったものがすでに大衆商品である、こういうふうに国民生活向上といいますか、そういったことで消費構造そのもの変化が今日見れらているわけです。私が思いますのは、現行物品税あり方がこういった消費構造変化にだんだん対応し切れなくなってきているのではないか、こういうふうに考えているわけでありますが、この点はどうでしょうか。 という質問を展開しておられます。  明らかに柴田弘議員見解は、現在の国民生活向上ぶりを見ますとこの物品税というのは現在の消費構造には到底対応し切れていないということを強く強調しておられるというぐあいに読み取ることができると思います。  さらに、五十九年の三月二十三日、参議院会議において鈴木一弘議員個別間接税制度限界に来ているという趣旨質問をしておられるようでありますが、このくだりについて公明党からお知らせをいただきたいと思います。
  8. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) お答えいたします。  井上さんの方から御指摘がございましたので、柴田発言と、それから当時全部で四人の御指名がございましたので、四人分とも調べさせていただきました。  柴田発言は、五十六年二月二十七日の衆議院大蔵委員会発言でございまして、相当長い文章になっておりますんですが、要するにいろんなことを言っておりまして、初めに物品税定義とは一体何かというところから始まりまして、もう明らかに大衆課税だと現在の時点で言えるんじゃないか、今回の課税対象の拡大あるいは税率の引き上げ等々はもう大衆課税の強化であるということで、物品税定義を明らかにしてもらいたい、そうでない限り無原則な物品税課税大衆課税になるのではないか。この柴田君の発言の要旨は、要するに物品税の中身を修正しなければ大衆課税になるというのが柴田発言の本旨ではないかな、こういうふうに思います。  それから鈴木君の発言は、これは昭和五十九年三月二十三日の本会議における発言でございます。これにつきましては、物品税抜本的見直し必要性を強調いたしておりまして、政府現行個別物品税制度の不備を認められているようでありますが、そのような短絡的な発想ではなく、これまでの課税品目非課税とすることも含めて、物品税抜本的見直しが必要ではないでしょうかということでございまして、物品税そのもの否定ではなくて、物品税の果たしてきた役割ということも考えまして、要するにこれは柴田発言鈴木発言も本質的には大体同じことを言っていると私は思います。そういうような意味で、物品税課税については現状のままで行くと大衆課税になる、したがってこの点をやっぱり改めていくべきではないのか、その点を強調したのではないか、こういうふうに考えております。
  9. 井上吉夫

    井上吉夫君 私は、鈴木一弘議員参議院会議、五十九年三月二十三日の議事録をとってみまして、今の峯山さんのお答えのようにはどうしても読み取ることができません。   現行物品税は、課税対象品目が八十品目という個別物品税であるため、我が国の経済情勢変化に対応できない面が多くなってきております。 云々の後に、   また、このことは、国民生活様式変化に沿って、新しい商品が次から次へと出ている現在では、これまでのように物品税課税対象品目の追加とか税率の変更では追いつけないということになり、個別物品税制度限界に来ていることを示しているわけであります。 このことが私は鈴木発言中心だというぐあいに読むのが正しいのではないかと思います。  次に、民社党にお伺いをいたしますが、民社党の元委員長春日一幸さんの言われていることでありますが、「不公平不公正の佃煮 物品税法廃止さる 我ら民社は斯く闘えり」でありますから、この前の六十二年の税制改正直後の文章だと思います。   税制改革六法の成立消費税が創設されるのと引き換えに、まず物品税中心に在来の消費税制廃止される。   六十三年度の所得税法人税等直接税総額は三十三兆五千億円で、これに物品税、酒税、たばこ消費税有価証券取引税揮発油税等間接税総額は十二兆九千億円で、今回の税制改革間接税全般に跨って斧鉞を加えたものだが、わけても不公平と不公正の佃煮とも目される物品税が全的に廃止されることの意義は甚だ大きい。   そもそも年間一兆八千億円に昇る物品税のルーツは昭和十二年に北支事変特別税と銘打って、当時の世相に則し、贅沢品奢侈品高級品をターゲットに課税されたものである。しかるに国民平等の原理に立つ新憲法が施行されても戦費調達のためのこの特別税をそのまま存続していたことは行政の重大な手落ちであった。まことに銘記すべきことはこの物品税課税業者はこの税制施行以来五十年この方、消費者より税額を徴収しそれを税務署に納付すると言う重々しい責務を無償で担わされてきたことである。   消費税の創設に反対するからには実体上、物品税の存続を固持するしかないが、それでは「新しい負担は避け得ても現に不公平不公正な政治のせいで呻吟している無辜な犠牲国民を救済することはできない」ことになり、そのような無責任なエゴに常識は決して味方しまい。 という、そういう文書を出しておられます。  なお、民社党寺崎議員民社党のいわば代表質問において、物品税の復活はいろんな方面から疑問の声が上がっている。民社党としても財源法案の前の段階では、不公平、不合理だからやめたのであり、昔に戻すことが前進とは言えないという見解も示している。私も物品税には基本的に反対である、今回財源として加えたのは、時間的制約の中で他に適当な財源を見つけるのが難しいという事情もあって暫定的財源とするのを可としたのである、というぐあいに述べておられます。  このお二人の御意見に対してお答えをいただきたいと思います。
  10. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私も、改めまして亡き春日一幸先生が執筆されておりました「不公平不公正の佃煮 物品税法廃止さる」というのを熟読させていただきました。  今井上先生からもそのくだりの主な部分を読んでいただいたわけでございますが、今は亡き春日先生の胸中に触れ得ないのは残念ではありますが、この論文を素直に一読いたしまして、私は、生前春日先生物品税廃止に賛成であったのではないかというふうに推察せざるを得ません。  また、寺崎発言でありますが、これにつきましても、私ども民社党は、その財源の大部分自然増収に求めるのは財政上問題があるということ、そしてまた、他に物品税にかわるような適正な代替財源がないことということなどから、各方面にわたって真剣に検討したわけでございます。  消費税問題等対策特別委員会を我が党内にも設置をいたしまして、十数回にわたりましてこの消費税廃止に伴う代替財源について議論を重ねてまいりました。その過程におきまして物品税復元反対する論もありましたし、また製造段階課税するという製造業者売上税、いわゆる庫出税という論もありましたわけでありますが、党内議論のコンセンサスを得るのに時間がかかったことは井上先生承知のとおりでありますが、結論的には、旧物品税に不合理があることは十分承知の上で、二年間の暫定財源という立場から私たち民社党は苦悩の中で物品税復元に踏み切ったということでございます。
  11. 井上吉夫

    井上吉夫君 勝木さんのただいまの答弁は、物品税にはいろいろ我が党としては異論もあり必ずしも賛成しかねるけれども、二年間の暫定財源だということで四党の提案に同調する、そういう立場で踏み切ったというぐあいに理解できたわけでありますが、それでは、物品税法は二年限りの時限立法になっておりましょうか、お答えを願いたいと思います。
  12. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 二年間限りの暫定財源とはなっておりません。恒久財源ということで一応提案させていただいております。
  13. 井上吉夫

    井上吉夫君 民社党意思は二年間の暫定財源だからということで同意した、法律の形は時限立法になっていないということになりますと、この間の大きな矛盾というのをどう解決するのかという極めて大きな問題が残ります。このことは軽々に一片のやりとりによって事が解決する問題でないというその重みを深く受けとめていただきたいと思うんです。もちろん、税制改革基本法全体が二年をめどとして新しいあるべき税制の姿を求めて、そして答えを出したいというぐあいになっておりますから、それとの絡みだけで見るならばそのことに矛盾はないことになりますが、ただ、今までの議論の中で、これもまた必ずしも二年ででき上がるかどうかということがどうもはっきりしない。あるいは二年を越えることこれあるべしという答弁もしばしばありました。こういうことも含めて後でまた触れたいと思いますが、今、本来ならば民社党の主張をもってすれば、この物品税法時限法でないと理屈が合わないということだけを強く指摘しておきます。  それでは、野党案では、普通乗用自動車と軽乗用自動車の取り扱いが製造段階で八%課税という形で同じとなっておりまして、現行消費税負担と比較をいたしました場合に、消費税では普通乗用車が六%、軽自動車は三%ということになるわけでありますから、この普通乗用車軽自動車の関連で見る限り、軽自動車については皆さん方のいわゆる物品税に戻すことによって少なくとも二年間は大変不利をこうむる、相対的に不利をこうむるということになると思いますが、この矛盾についてどうお答えになりますか、勝木さんお願いします。
  14. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) おっしゃるとおり、現行消費税では軽乗用車は三%、普通乗用車及び小型乗用車は六%となっております。それを私ども改革案では一律八%としたわけでございます。したがいまして、軽貨物は三%であるのに軽乗用車は八%となりまして、井上先生指摘のような矛盾が存在することは私ども否定はいたしません。  これは、第二種の旧物品税率が一〇%以下のものを四%、そしてまた一〇%を超して一五%以下のものを六%、一五%超を八%と機械的に行ったために発生したものでございます。旧物品税率では、軽貨物は五・五%、軽乗用車が一五・五%となっていたわけでございまして、軽貨物より軽乗用の方が物品税率が高いために、軽自動車の販売台数というのは確かに軽貨物の方が圧倒的に多かったわけでございます。したがいまして、私どもの改正案により旧物品税のような傾向が確かに見られるだろうというふうに思うわけでございます。  いずれにいたしましても、井上先生の御指摘に対しましては今後十分検討させていただきたいというふうに思います。
  15. 井上吉夫

    井上吉夫君 自動車の関係については、同僚の梶原議員から細かく指摘がありました。税制というのは、こういうくくりをして一五%以上のものは八%にしました、それ以下は六にしました、そして下の方を四にしましたという、そういう整理の仕方が生きた実体経済のそれぞれの分野の中で、特に今自動車関係のことで申し上げましたけれども、どれだけ大きな影響を及ぼすかという、税の厳しさというものをもっと真剣にとらえなければならない一つの事例として真剣に受けとめて、言われたとおりこの問題への取り組みをしっかりやっていただきたいと思うんです。  なお、野党が今回の物品税提案に当たって、旧物品税のうち製造段階課税税率をかなり下げておられる。もちろん一種の十品目についても同じでありますが、下げ方がそれぞれ違っておりまして、今申し上げましたような扱いでありますから、ダイヤモンドの指輪、一〇%の小売段階課税であります。従来の一五が一〇%になろうとするわけでありますが、ダイヤモンドを散りばめた時計、これは八%の製造段階課税になります。このことは、片やダイヤを散りばめた時計、かつてはこれは製造段階で三〇%であったわけでありますから、第二種の三〇%と第一種の一五%が途中の中間マージン等がありますからほぼ見合っていたと思われます。ところが、今度の改正で片方は小売段階の一〇%であるのに対して片方は製造段階の八%でありますから、恐らく四倍前後の開きということにここで矛盾が出てまいります。前の率が正しいとすれば、この改正はこのような矛盾をはらんでいる。  カーペットについて見るならば、八%の小売段階課税でありますが、どん帳であるとかじゅうたんは一〇%が八%に小売階段でなるわけであります。ところが電気カーペットは六%の製造段階課税ということになりまして、これもまた今と同じような形で、従来のバランスのとれていた課税がここで四倍ぐらいの開きを生ずるというぐあいになってまいります。  このことは、先ほど勝木議員から一部説明がありましたように、一五%以上を八%にし、そしてそれ以下を六%、そして一番下を四%にしたというそういういわばくくり方、軽減するための手段が必ずしも従来の物品税の姿と甚だしく違ったことに余り思いをいたさなかった結果ということではないかと思うんです。  むしろ、物品税消費税よりもすぐれたものとしていろいろ今までの過程の中で説明がありましたけれども、しかしこれとても国民税制改革協議会の検討にゆだねて、サービス等の課税も含めて十分検討してもらうとするならば、従来の税率のまましばし辛抱願って、そしてどのような理由によって従来の物品税制の税率というものが定められていたかという、そのいわば原形とでもいうべきものから改めて各品目についてのバランスというのを考えるという、そういう手法の方が正しいやり方ではなかったのかなとそういうぐあいに思うわけでありますが、御見解をどなたからでも結構であります、お聞かせ願いたいと思います。
  16. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 確かに、従前の物品税に比べまして、今回提案しております物品税額は約半分ぐらいに落としております。いろいろと検討した結果、現行消費税が三%、これに対して従前の個別物品税との開き、これはやっぱり非常に大きくなっておりますから、その両方を勘案いたしまして、先ほど先生が言われましたように、税率だけはああいう段階を設けまして設定さしていただいた次第です。
  17. 井上吉夫

    井上吉夫君 ただいまの答弁では私の質問答えたことにはなりませんけれども、この議論を延延続けていたんでは私の持ち時間は消えてしまいます。本題は、こういうところに非常に大きな矛盾をはらんでいるということだけは発議者皆さん方もおわかりいただけたと思う。したがって、こういうことについてしっかりとした見解をさらに詰めていく必要があるということを御指摘申し上げておきます。  それと同時に、とりわけ民社党勝木さんに何遍か答えに立っていただきました。そして、代表質問とでも言うべき委員会における寺崎さんの発言部分についても御紹介を申し上げました。そして、今までの議論の中で、少なくとも物品税の方が消費税よりもはるかにいいんだというようなことが極めてしばしば言われてまいりました。そして、物品税消費税に比べて、その税の性格において担税力を考慮しながら措置ができるという長所があるということを多くの方々が強調されました。しかし、今述べられた民社党お答えはそれと甚だしく異なっていると私は思うんです。このことは、今までの過程の中でどなたか私どもの党の同僚が指摘したことがありますように、同床異夢と言われてもしようがないというそういう感想を持たざるを得ません。このことを指摘しまして、次にいわゆる自民党見直し案につきまして、大蔵大臣にお伺いをいたしたいと思います。  私は、自民党見直し案の中に入る前に、まず消費税導入の意義は何だったのかなということをもう一遍振り返ってみたいと思うんです。私は、消費税導入の意義は大きく三点あると考えます。  まず第一は、税体系の問題であります。直接税と間接税にはそれぞれ長所短所があります。所得税等の直接税には、所得の大きさに応じ、所得の小さい人には負担を小さくし、所得の大きい人により多くの負担を求めることができるという長所がありますが、逆に捕捉に限界があることも否めません。所得の同じ人が必ずしも同じ負担をしないのではないかという不公平感が生じやすい欠点があります。  他方、消費税等の間接税は、所得の捕捉いかんにかかわらず、消費の大きさが同じであれば、同じ値段のものを買ったらみんな同じ税金を払うわけでありますから、同じ負担を求めることができるというよさがあります。俗に水平的公平と言われます。従来の税制では、所得税等の直接税に偏っていたため所得税の欠点が目立ち、税負担の不公平感が高まってまいりました。特に、サラリーマンの重税感という形でサラリーマンの方々の不満が高まってまいっておりました。先般の税制改革では、所得税等の直接税を軽減するとともに、消費一般に負担を求める消費税を導入し、税体系全体を通じた公平を図ろうとしたものだと思います。  第二は、高齢化社会への対応の問題であります。我が国は、現在急速に高齢化が進んでいます。既に高齢化時代に入っている、間もなくすれば言うなれば超高齢化時代に入るという議論も展開されてまいりました。今後増大する社会保障等の費用を、相対的に減っていく働き手のみに負担を求めていくのには限界があります。そこで、今後国民の勤労意欲を損なうことなく活力ある高齢化社会を築いていくためには、国民すべてが広く負担を分かち合う仕組みが必要であると考えられる。このような観点から、国民すべてが広く薄く公平に負担する消費税を導入したわけであります。  第三は、間接税自体の問題であります。従来の物品税等個別間接税は、今申し上げましたように、ぜいたく品中心に特定の物品にのみ重い税負担を課していましたが、人々の所得水準が上昇し消費の仕方が多様化した今日では何がぜいたく品かは人によってさまざまであり、この世に無数にある商品、サービスのうちから個別にぜいたく品を選び出して課税する個別間接税制度はもはや時代おくれとなり、課税されるものと課税されないものとのアンバランスが生じました。また、消費の半分以上を占めると言われるサービスに対してはほとんど課税されていなかったという問題もありました。原則としてすべての物品、サービスに広く薄く課税する消費税は、このような個別間接税制度の問題点を抜本的に是正するものであります。  以上、消費税導入の意義について私なりの整理で申し上げてみましたが、ここはやはり専門家であります大蔵大臣にわかりやすくひとつこのことについて御説明を願いたいと思います。
  18. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員がおまとめいただきました内容は、私はそのとおりのものであると思います。わかりやすくと言われましたが、それ以上にわかりやすく御説明ができるかどうか私も自信がありません。ただ、改革以前の税制というものが経済社会の著しい変化に対応し切れなくなっており、税負担が給与所得を初めとする個人稼得の税制に偏っておった。その反面、裏腹に消費課税のウエートが著しく低下をし、こうした中で納税者の方々の重税感、不公平感が募っておった。そのとおりの状況でありました。  日本は既に高齢化社会に突入しております。そして、これからも人口の高齢化というものは世界に例を見ない速度で進展していくと考えられております。このような状況の中で、従来の税制のままでありましたならば、さらに国民負担が働き手世代の稼得する勤労所得というものに対する直接的な負担に一層偏ってしまう。その結果、納税者の方々にとっては重税感、不公平感というものが深刻化し、ひいては税制に対する国民の信頼が大きく揺らぎかねない、そうした状況を私どもは心配いたしておりました。また、委員が御指摘になりましたように、特定の物品やサービスに高い税負担を課しておりました従来の個別間接税制度というものが消費の実態から既に合わないものにたっておった。これも御指摘のとおりであります。  先般の税制改革というものは、こうした事態に対処しながら、高齢化、国際化などの進展に対して、将来の展望を踏まえながら国民の租税に対する不公平感を払拭すると同時に、所得、消費、資産などに対する課税を適切に組み合わせることにより、委員も御指摘になりましたような、個々の税制がそれぞれ持つ特質を生かし、その欠点を補いながら均衡のとれた税体系を構築することを目指して行われたものでありました。御指摘のとおりと心得ております。
  19. 井上吉夫

    井上吉夫君 ありがとうございました。ほぼ見解を同じくするというぐあいに受けとめることができました。  消費税は既に世界四十七カ国で実施されており、世界の常識となっている税ではありますが、何といっても我が国にとっては初めての税であるだけに国民の間にはさまざまな御意見や御批判があることば十分承知しております。ただし、私としては、この消費税の問題を契機に国民の間に財政や税制の問題について関心が高まったことは、むしろ喜ばしいことではないかと思っております。  今回、自由民主党は、国民各界各層のさまざまな声に謙虚にかつ真摯に耳を傾け、消費税が名実ともに定着するよう検討に検討を重ねた結果、消費税見直し案を取りまとめたものであります。  今回の見直しに当たっては、国民各層の声を幅広く吸収し、消費税をめぐるさまざまな指摘をすべて検討の対象とし、さきの参議院選挙における国民の厳しい批判を謙虚に受けとめ、消費者立場を十分考慮することを基本的な考え方といたしたものであります。  そこで、この見直しの内容について簡単に説明しつつ適宜大蔵大臣に質問してまいりたいと思います。  この見直し案は、大きく四つの柱から成り立っております。第一の柱は逆進性の緩和及び社会政策的配慮の実施のために非課税取引の拡大等の措置を実施することとしたことであります。  私は、消費税には確かに逆進性の問題があると思いますが、ただそれだけで消費税廃止すべきだという意見には同意できません。消費税には、先ほど申し上げたように他の税にはないよさがあるわけであります。また、消費税の逆進性の問題は、税制全体、さらには歳出も含めた財政全体で見るべきものだと考えます。税制全体で見れば、我が国の税制は依然所得税等の直接税が中心であり、累進度の極めて高い税体系であります。また、生活保護世帯等、真に手を差し伸べるべき人々には歳出面で手厚い配慮がなされています。しかしながら、消費税自体の逆進性について何とかしてほしいという国民の声には切実なものがありました。我が党としては、このような国民の声を真剣に受けとめ、消費税自体の逆進性の緩和を図るとともに、社会政策的な見地から次の五点について非課税取引の拡大の措置をとったところであります。  具体的には、第一に、人の生命に対する国民感情に配慮し、出産費用及び火葬、埋葬料を非課税とすることとしました。第二に、学校教育に係る父兄の負担を軽減する見地から入学金、施設設備費などの学納金及び教科書用図書を非課税とすることといたしました。第三に、社会的弱者への配慮を充実する等の見地から身体障害者用物品等並びに第二種社会福祉事業及びホームヘルパーなどの在宅サービスを非課税とすることとしました。第四に、持ち家がなく、借家住まいをしている方々の負担を軽減するため家賃を非課税とすることとしました。第五に、米、パン、牛乳、肉、魚、果物、菓子その他の食料品について特例措置を実施することといたしました。その方式については、我々ほどのような方式をとれば真に国民のためになり、かつ取引に混乱が生じないか苦悩し、呻吟し続けて検討してまいりました。  具体的に申し上げると、すべての食料品についてごまかしでなく食料品の値段がきちんと下がることが第一に考慮すべき点であり、同時に農業者や漁業者に負担をしわ寄せしないようにすることが第二に考慮すべき点でした。この二つの条件をともに満たすためにはどうしたらいいか検討に検討を重ねてまいりました。その結果、すべての食料品について消費者が日々購入する際には非課税とすることとし、ただし、それだけでは食料品の値段は十分下がらないため、輸送だとか原材料だとか肥料だとか、そういうものには三%が課税されるわけでありますから、それが生産された農産物等の値段にどういう形ではね返ってくるかということを考えますと、むしろ事業者間の取引には一・五%の特別低税率を設定することがこの際最良の解決策であるという結論に達したわけであります。これにより、食料品を全段階非課税とした場合をむしろ上回る負担軽減となり、かつ確実に価格の引き下げが実現することとなります。  食料品についての今回の見直し案は全段階非課税に比べて小幅であると言われておりますが、私は、今回の見直し案の方が食料品の価格は大幅かつ確実に下がるという意味でより大幅な見直しであると考えるのでありますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。  他方、今回の食料品の見直し案は、小売段階非課税、事業者間は一・五%ということから、複雑な制度であり、わかりにくいのではないかという声もあるようですが、このような声について大蔵大臣はどう考えますか。また、一・五%という端数がついた税率が導入され、取引が面倒になるのではないかと危惧する事業者もいらっしゃるようですが、どうお考えになりますか。  以上は消費税の中における逆進性対策でありますが、そのほかに所得税及び個人住民税において、年金受給者への配慮を実施するとの見地から、公的年金等控除額を引き上げ、年金受給者の税負担の一層の軽減を図ることとしております。  このような措置の意義と効果について大蔵大臣にお尋ねをいたします。
  20. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 自由民主党におかれまして今回基本方針を決定されましたその翌日、本委員会におきましてこれについてどう考えるのかという御質問がございました。そのとき私は、基本方針におきまして消費税見直しについての基本的な考え方と具体的内容が示されておりますが、その内容は税制面のみならず広く歳出面や他の制度面にも及び、かつ消費者と事業者の双方の立場を十分に考慮されたものとなっており、国民心理と税の理念の両面の調和に腐心されたものとしてその御努力に対して敬意を表します。政府としては、この基本方針の内容を十分勉強させていただきますと同時に、政府税制調査会の今後の御審議ども踏まえて、平成二年度税制改正において政府としての見直しの成案を得るよう最大限の努力をいたしますということを申し上げてまいりました。その上に立ちまして、今私ども政府として一生懸命勉強をさせていただいているさなかであります。  その限りにおいてのお答えというお許しをいただきたいと思うのでありますが、確かにその後、この基本方針が示されましてからさまざまな意見がマスコミ等をもにぎわしておりますし、また本日、他の院における委員会での御質問の中にも同様の問題が出てまいりました。しかし、仮にこの案を考えながら物事を議論してまいります場合に、私は幾つかの点で非常に特徴があると考えております。  例えば食料品の取り扱いにつきまして、全食料品につき小売段階非課税とされ、生産、製造及び卸売段階について一・五%の特別低税率を設定されたわけであります。仮に全段階非課税という方法を御提起になりました場合に想定できますことは、食料品の販売そのものは非課税でありましても、生産、製造及び流通の各段階におきまして使用される生産資材、光熱費、運搬費あるいは包装費等は三%の課税が行われておるわけでありますから、これらの税負担がすべて小売価格にコストとして残るわけでありまして、価格の確実な値下がりというものは見込めないと思います。  しかし、消費者の方々が求めておられるもの、それはやはり確実な価格の引き下げでありましょう。この場合、自由民主党の案が特別低税率を設定されましたことによりまして小売業者の仕入れ価格は確実に一・五%低下するわけでありますから、総体的に見て、全段階非課税の場合を上回る食料品の値下げが実施されるものであろうと考えます。その意味におきまして、私は、税負担軽減を求められる国民の声に誠実にお答えになったものではないか、そのように理解をいたします。  また、事業者の立場からこれを見ました場合、小売業者に該当いたしますなら食料品の売り上げはすべて非課税となるわけであります。その前段階の事業者でありますならすべて一・五%の特別低税率となるわけでありまして、個々の事業者にとりまして必ずしも複雑な制度となっているわけではないと思われます。消費者にとりましては、食料品の購入が非課税となるわけでありまして、その場合には、小売より前の段階の取り扱いがどうなっているかということよりも消費者の方々にとりましては現実の税負担がどのぐらい下がるかということが意味のあることでありましょうし、私は、この措置によりまして全段階非課税より価格が確実に下がるとなれば、消費者にとっては有利な制度ではなかろうかと思います。  また、その一・五%という特別低税率を全食料品に対して設定をされます部分につきまして、これは事業者間取引にのみ適用されることになるわけでありますから、私は必ずしも問題になる部分ではなかろうと考えております。  そのほかそれぞれの分野において新たな非課税措置を提起されておりますが、私どもとしてはそれぞれに意味のある御提起をいただいたと考えており、十分勉強をさせていただき、的確な成案を得たいと考えております。
  21. 井上吉夫

    井上吉夫君 御答弁ありがとうございました。ただ……
  22. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 失礼しました、大変たくさん御指摘いただきましたので一点忘れてしまいまして申しわけありません。  逆進性回避という視点の御論議の中におきまして御提起を受けました中の一つ、公的年金等の控除額引き上げについてお触れになったわけでありますが、年金受給者の方々につきましては、先般の一連の税制改革におきまして課税最低限の引き上げなどによる税負担の軽減が図られておることに加えまして、今回自民党の引き上げ案というものが実施をされたといたしました場合には、年金受給者の所得税課税最低限が現行の三百一万八千円から、六十五歳以上の夫婦世帯の場合、三百二十一万八千円まで大幅に引き上げられることになるわけでありまして、一般のサラリーマンの所得税課税最低限夫婦世帯が百九十二万八千円から見ましても、思い切った税負担軽減を図られようとするものということになろうと思います。これは年金生活者に対して厳しいという声のある点に配意されたものと理解をいたしておりまして、今後なお私どもとしても十分勉強をさせていただき、成案を得たいと考えておるテーマの一つであります。
  23. 井上吉夫

    井上吉夫君 ただ、どこかの変更、見直しをいたしますと、必ず新しい課題、それのなれまでにどうしても時間も手間もかかります。同時に、製造、卸等の段階において一・五の軽減税率、そして小売段階では非課税ということになりますと、一体どう変わるのかなという、そのことをめぐっての不安等は随分と既に言われております。  最も逆進性の最たるものとして、日常みんなが買うものといえばまず食料品であろうということがこの消費税に対する指摘の第一に掲げられて、久保議員もそのことを第一に述べておられました。確かにエンゲル係数等を考えますと、必ずしも消費全体の中に占める食料品の割合というのはそんなに大きくないかもしれません。昔よりもだんだん減ってきている。そして金持ちほどエンゲル係数は低いということが言われておりますが、しかしこのことがやっぱり消費税の中での国民全般からいわば嫌がられた一番最たるものであろうと思います。実質上減る分が何だ一・五%程度かという話があるかもしれませんが、三%が一・五%になれば半分でありますから、一・五%という率だけの議論ではなしに、広く浅く後世代のためにどうしてもみんなで受け持っていこうではないかという間接税の広げ方の中にこの道を選ぶことが正しいとするならば、特にこのことへの理解を求める努力を、いよいよ決まりましたならばひとつ従来以上に、大蔵大臣、政府全体としてその努力をしていただくように希望しておきたいと思います。  消費税見直しの第二の柱は、事業者にばかり配慮した仕組みとなっているのではないかとの批判のあった製造について思い切って手をつけたことであります。  具体的には、第一に、大企業が消費税を納めるまでの間に財テクで金利を稼いでいるという批判に対して、納付の回数をふやして早く国庫に納めさせることといたしました。具体的には、一定規模以上の事業者に対しては、現行六カ月に一回申告納付すべきところを三カ月に一回の申告納付としたことであります。第二に、企業が交際費とか乗用車を社用で支出した際、仕入れ税額控除を否認し税金を負担させることとしたことであります。第三に、価格表示のカルテルについても、独占禁止法の原則を踏まえ、その取り扱いについて廃止を含んだ検討をすることとしました。第四に、免税点制度、簡易課税制度等については、事業者が一巡、一めぐり納税した時点で早急に結論を出すこととし、その準備として簡易課税については、業種間、事業の種類によってみなし仕入れ率が必ずしも同率ではないということから、みなし仕入れ率は政令事項とすることとしたことであります。この措置により、簡易課税のみなし仕入れ率は実態に合わせ速やかな対応が可能になったと考えられます。  このうち、大企業が消費税を納税するまでの間運用して利益を得ているのではないかとの批判にこたえて中間申告納付の回数をふやすこととした措置は余り知られていないようですが、これらの措置も消費税の中の公平を一層追求しようと努力している点で評価できると思いますが、大蔵大臣の見解伺います。
  24. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに、今回御提起をいただきました自民党の基本方針の中におきまして、消費者のお立場から御指摘を受けておりました制度上の問題点の是正の一環として、まさに委員が御指摘になりましたように、交際費などの支出や一定の乗用自動車の購入費などについての仕入れ税額控除の制限、また大規模事業者の申告納付回数の増加を図るということを定めておられます。これらの措置は、一面、事業者にとりましては新たな負担を求めることになるものでありますけれども、基本方針によれば、個人消費と事業用消費の税負担にアンバランスがあるのではないかとか、あるいは大企業を中心として事業者が消費税を納入するまでの間に運用益を得ているのではないかといった、従来行われておりました消費者立場からの御指摘を踏まえてこうした考え方、措置をとられたものと承知いたしております。  また、免税点制度あるいは簡易課税制度などのいわゆる中小零細事業者に対する特例措置は、これはもう申し上げるまでもなく、制度の公平性と簡素性という二つの要請の中でどうバランスをとっていくかという観点から、この種の税になじみのない我が国の現状を考慮して、ぎりぎりの政策的判断の結果として設けてきたものでありますけれども、これらの制度について消費者中心としてさまざまな御論議が行われておったことも私どもよく承知をいたしております。  今回の自民党見直しの案におきましても、それらの制度のあり方については、中小零細事業者の消費税の申告納付などの事務負担に関連する問題であり、申告納付が一巡する来年五月までの間はこれらの事業者の値決めや事務負担の実態などの把握に努めるべきであり、これらの制度をどう見直すかは、そのような実態把握を十分行った上の検討の上提示する旨指摘をされております。  しかし、その中において、まさにみなし仕入れ率について、実態に合わせて速やかな対応が可能となるよう今回の改正で「政令委任事項とする」という定めを入れられたこと等々を考えますと、私は十分に消費者からの御批判というものを受けとめてまとめられた御案であると考えております。  いずれにいたしましても、政府立場としては、十分この内容を検討させていただき、税制調査会の審議を踏まえながら、より国民に迎え入れていただけるような結論を出すべく努力をいたしてまいります。
  25. 井上吉夫

    井上吉夫君 また、事業者免税点あるいは簡易課税限界控除については、私もこれらの制度が事業者優遇であるとして消費者の方々から批判されていることを知っております。しかし私は、これらの制度は公平と簡素という両方の要請をできるだけ満たそうということで導入されたものであって、それ自体問題であるとは必ずしも言えないと思います。また私は、小規模な免税事業者はむしろ価格の転嫁に苦労しているということも聞いています。いずれにしろ、我が国にとって初めての税だけに、実際に納税する事業者の方々に余り無理な負担をかけないように配慮するのはむしろ当然だと思います。  ただ、この制度に対する国民の御意見、御批判には謙虚に耳を傾けるべきであります。今後、納税の状況を見きわめつつ公平、明朗に検討していくべきだと思います。この点について大蔵大臣の御見解伺いたいと思います。
  26. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 私ども消費税必要性を訴え、今次の税制改革の中におけるその位置づけを国民に対して御理解をいただくべく今日までも全力を尽くしてまいりました。その過程におきまして国民から御指摘を受けましたさまざまな問題点の中に、今委員がお触れになりましたような視点がありますことも十分承知をいたしております。そして、今後ともに私どもはこの税制の定着を図り、国民に御理解をいただける、そのための努力を最善を尽くしてまいりたい、そのように考えております。
  27. 井上吉夫

    井上吉夫君 第三の柱は、消費者が日々買い物をするに当たって煩わしいと感じておられることへの対応であります。すなわち、消費者との取引における表示の問題については、商品を買う際に最終的に幾ら払えばよいかはっきりわかるようにという消費者への観点から、総額表示を指導していくことといたしました。  なお、この点について消費税隠しとの批判がありますが、総額表示とは消費者に支払うべき総額を示せということであり、その中に含まれる消費税分を示すなということではありません。したがって、総額表示は消費税隠しとの批判は全く的外れであると考えます。  第四の柱は、消費税の使途の明確化などであります。消費税が本当に福祉のために使われるのかという不安にこたえるため、消費税収の国分を福祉に優先して使う旨の趣旨規定を法律で明確に定めることといたしました。また、歳出の分野でも、高齢化に対応した公共福祉サービスを充実し、高齢者保健福祉推進十カ年戦略として、十カ年で五兆円を上回る事業費を確保することといたしました。  以上が、我が党がまとめた消費税見直し案の概要であります。この見直し案は、国民から御指摘や御要望をいただいた事項についてすべて何らかの対応をしており、国民の皆様にも十分納得いただけるものではないかと自負する次第であります。  これまで我が党の消費税見直し案についていろいろ聞いてきましたが、最後に総括して、今申し上げてまいりました消費税見直し案について、大蔵大臣に御所見を伺いたいと思います。
  28. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、先刻最初に申し上げましたように、消費者の声、そして現実に仕事をしていただく事業者の方々の両面に対してぎりぎりの接点を求めるために、非常に御苦労をいただいた御意見をおまとめいただいたと考えております。そして、それが消費税制見直しのみにとどまらず、歳出面等につきましても大変広範な御指摘をいただきました。殊に福祉に向けての努力につきましては、この基本方針をおまとめいただき、その文章にありますのとはまた別途に、政務調査会長から官房長官に対しての申し入れも行われたと承知をいたしておりまして、官房長官の方から自治大臣、厚生大臣、そして私に対して、その実現方についての御指示もちょうだいをいたしました。明年度予算編成に際しまして、こうした点を踏まえて私どもは全力を尽くす所存であります。
  29. 井上吉夫

    井上吉夫君 以上、見直し案について触れましたが、この見直し案が順調に立法化されるとすれば、これは来年十月から実施されることになっています。国民の声を反映したこの見直しにより、消費税が今以上に国民に理解され、一層円滑に定着することを期待するものであります。  それでは、再び発議者皆さん方質問をいたしてまいりたいと思います。国民税制改革協議会について質問をいたします。  協議会の委員は、学識経験者及び国民各層を代表する者の中から選ばれる五十名以内であります。その選出の方法はどういうぐあいにおやりになるおつもりでありますか。  さらに、「国民各層を代表する」という立法例があるかどうか、これはどなたかが一遍質問したことがあったようでありますが、改めてお答えをいただきたいと思います。
  30. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 国民税制改革協議会についてお答えをいたします。  まず、委員を五十名にしたことでございますけれども、これは確かに例えば国会の承認人事といたしまして五十名を承認人事とした委員会は今までございません。最高が今までは二十五名でございます。国民税制改革協議会の重要性にかんがみまして、私どもは大体五十人ぐらいがいいのではないかということで、各種委員会がどういうようになっているかということも調査をさせていただきまして、例えば地方制度調査会が現在五十名ということになっておりますので、そういういろんな点も配慮をいたしまして五十名がいいのではないか、こういうふうに考えたわけであります。  それから、今御指摘の五十名の内容の問題でございますが、学識経験者並びに国民各層を代表する、「国民各層を代表する」という言葉があるかどうかについては実は私ども精査はいたしておりませんが、いずれにいたしましても国民の各界の代表の皆さん方にお入りをいただきまして国民の信頼と合意に基づいた税制改革をしていただきたいということで、私どもはこういうように書かせていただいたわけでございます。  なお、委員の選出等につきましては、これは例えば選出の基準をどうするかとか、あるいは各界各層からどういうふうに選ぶかとか、そういうようなことにつきましては法案成立後、いずれにいたしましても政令できちっと設置をいたしまして、内閣の方でその手続をやっていただくというのが私ども考え方でございます。
  31. 井上吉夫

    井上吉夫君 国民各層を代表する者というのは、例えばどのような委員であるのか、伺いたいと思うんです。現在の政府税制調査会の委員に対して国民各層を代表する者はどのような人を、例えば現在の税調委員に加えるというぐあいに考えた場合、どういう人を加えるということになるのか、全く別に考えるのかということも含め、お伺いをしたいと思います。  実は、このことについてはかなり前に資料要求をいたしまして、国民税制改革協議会の構成あるいは運営等についてぜひ資料でいただきたいと申していたんですけれども、全く出てまいりません。今峯山議員お答えを聞いておりましても、かつてないほどの五十人の国会同意人事案件として選ぶんだという人数の多い点と、そして政府税調委員と違って国会同意を必要とする委員だという、そういう形の上の重みだけは見えるわけでありますけれども、一体どういう選び方をするのか、国民各界を代表するとは一体どういうことなのか、どうやればそんな選び方ができるのか、そういうあたりがちっともわからないものですから、このことをお尋ねしているわけであります。お答えを願います。
  32. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) まず、基本的には五十名の選び方につきましては、これは政府の方で選んでいただくということになります。私どもといたしましては、具体的にこういうふうな人を選ぶというようなことについては、政府の自由な裁量でやっていただく以外にないと考えております。  また、各界各層ということにつきましては、これは例えば産業界とか労働界、教育界、法曹界、医学界とか、いろんなそれぞれの階層の皆さん方からそれぞれ代表が選ばれるということになると思っております。  また、政府税調とのかかわりでお話がございましたけれども、そこら辺のところの判断も最終的には政府でやっていただくということになります。  以上です。
  33. 井上吉夫

    井上吉夫君 今までの質疑応答の中で、こういうことを言われたことがあったと思うんです。国民税制改革協議会が活動をして一定の答えを出すまでの間は政府税調はいわば一時休んでいただくという、そんな感じのやりとりがあったと記憶をいたしております。となると、場合によっては今の峯山さんのお答えは、実際に選ぶのはもう内閣の方に任せるんだという感じでありますが、例えば政府税調の現在の委員の中からあなた方が考えておられるこの国民税制改革協議会に何人かが入るということも想定をされておりますか。それとも、政府税制調査会の委員というのはここに言う国民税制改革協議会の委員としてはどうも適格性を欠くというぐあいにお考えなのか。そういう聞き方でもしなければ、どうも具体的なあなた方が描いておられるこのそれこそ大事な大事な国民税制改革協議会の姿というのがなかなか浮かんでこない。政府に任せるというんじゃどうも責任のない話だなという感じがするものですから、しつこいようですがもう一遍お答えを願いたい。
  34. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 私どもは、もう何回もお答えいたしておりますが、政府税調とそれから今回の国民税制改革協議会の区別は、これはもう政令と法律ですから明確であろうと思います。  それからその活動のあり方でございますけれども、少なくとも国民税制改革協議会につきましては、これから先のあるべき税制の姿につきまして御検討をいただくわけでございます。したがいまして、その点につきましては、今委員が御指摘のとおり、政府税調についてはその期間お休みをいただくということになる可能性が強いわけでございます。ただし、政府税調については政府税調の役目があるわけでございますから、その役目の分についてはぎちっとやっていただくということになると思います。  また、委員の選び方につきましては、私どもがあえて枠をはめなかったのはそれなりの理由があるわけでございまして、かえって枠をはめるということになりますと政府のやる仕事の枠をはめるということにもなりますので、そこら辺のところは、この法律成立をいたしましたらその内閣におきましてきちっとやっていただく、こういうふうに考えているわけでございます。
  35. 井上吉夫

    井上吉夫君 廃止法案並びに関連法案がすべて通過するという状態をどういうときかなと想定すると、衆議院参議院とも通って、そのことは当然衆議院でも自民党が過半数を割るという、そういう状態を描いておられるかもしれません。私はそうなるとは思っておりませんけれども、そうなったら、なるほど今峯山議員が言われたように、自分らの構成する内閣の中で、その中で行政府が人選をすることについて皆さん方のいろんな意見というのを反映させるという、そういうことに結びつくかもしれません。しかし、今現在の状況の中で物を考えてみますというと、何遍聞きましても国民税制改革協議会の選び方、しかもそれが国民の合意を形成する、いわば国会の機能以上の大きな期待をどうもこの協議会に寄せておられるような、そういう感じがずっと質問を続けてくると読まれてならないという気がするんです。  このことについて、後で若干触れますが、例えば私は最後まで調べたわけではありませんが、我が党の十四人ばかり質問をした段階で、国民税制改革協議会で検討していただくことにしておりますという形でほとんどの具体的な答弁をそっちの方にいわばツケ回しした答弁数というのが四十四間ほどありました、十四人で。沓掛議員質問では九回であります。全質問者についてそれぞれ何回かずつこういう答えが返ってまいりました。  例えば物品税率の格差などの矛盾をどうするのかという話についても、国民税制改革協議会で検討してもらうというぐあいに言っておられる。個別間接税とサービス、流通にも課税を検討するというぐあいに法案の中で言っておられますので、それをどうするんだと聞いてみても、これまた国民税制改革協議会で検討してもらう。医療法人やみなし法人あるいは公益法人の課税、そういうものの適正化についてもどうやるんだ、これもまた国民税制改革協議会にゆだねるということであります。納税者番号制度あるいは地方分権や地方自治の確立あるいは地方財政という問題については、代替財源そのものが初年度分について大きな穴があくではないか、そういう指摘等も含めて、随分と地方自治の確立なり地方財政のことを心配する立場で我が党同僚議員が何人もこのことについて質問をいたしました。このことについても答えは最終的には同じであります。将来の社会保障負担あり方についても同じようでありました。クロヨン問題等についてどうするかという話についてもそうでありまして、さっき申し上げましたように、私が教えただけでも十四人で四十四問ほど、答え国民税制改革協議会にゆだねるという形で返ってまいっております。  それほど大きな期待と役割を国民税制改革協議会にゆだねながら、今までの質疑応答の中ではなかなかにその構成なり運営の仕方というのが浮かび上がってこない。世論調査の無作為抽出ならいざ知らず、国民各層を代表する者、そういう者を異論なく五十人選ぶことが可能でしょうか。私は到底不可能だと思います。不可能であればこそ、国会は選挙という仕組みによって選出をされているわけであります。本当に協議会において国民各層を代表する者が国民の合意を形成できるのであれば、少なくとも税制の分野において国会は要らなくなるということに論理的に結びつくのではありますまいか。  お互い国会を構成し、国権の最高機関としての自負を持ち、国民の声を十分に吸い上げて政治を行っていくという誇りと自信にかけては発議者も私どもも皆同じでありますから、私のこの問いかけに対してはね返ってくる答えは決してそうではないということではありましょうけれども、どう考えても今までのやりとりの中で、国民税制改革協議会というものの構成や運営の姿というものが浮かび上がってこないし、したがってそこから、法律により国会が同意をするそういう選び方で五十人を選んだにしても、そこで本当に国民の合意が形成される、そういう手段方法があるだろうか。しかも二年間でこのことをまとめ上げていく、そんなことが実際問題としてできていくであろうかという疑問について、私どもはどう考えても今までのやりとりの中で、なるほどという感じがしないわけでありますが、もしそのことについてのお答えがあればお伺いをしたいと思います。
  36. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 非常にたくさんおっしゃっていただきましたので、一つ一つあれするわけじゃございませんが、いずれにいたしましても、私どもは今回の税制改革基本法の中におきまして、もう委員も御存じのとおり何回かここで答弁をさせていただきましたので、税制改革の基本的な原則、これは第四条でございます。そして第五条におきまして、税制改革の基本方針ということで具体的な中身を掲げさせていただきました。こういうふうな問題を国民税制改革協議会の中で御検討いただきたいというふうにしたわけでございますから、当然私ども四党の中で打ち合わせをいたしましたときに、その国民税制改革協議会の中で検討する項目としてそれぞれ出てくるのはこれはやむを得ないことであろうと私は思っております。  したがいまして、税制改革協議会というのは私ども考えておりますこの基本法に基づいて設置をされるわけでございますから、その役目なりまた使命というのは大変重要である、こういうふうに考えているわけでございます。しかしながら、この点につきましては、何回か説明をさせていただきましたように、国家行政組織法の第八条の機関でございますから、八条の機関としての、諮問機関としての役目を果たすのは当然のことであろうと私は思っております。  それからもう一点、二年間という問題でございます。この問題につきましては、確かに私ども考えて今までの税制改革のいろんな論議を見てまいりました。したがいまして、その税制改革論議というものが非常に難しい論議でありますし、それぞれいろんな御意見があるということもよく承知をいたしております。しかしながら、私どもはそういうふうな論議をすべて無にして一から出直すというのではなしに、そういうふうな今までのいろんな論議を踏まえましてこれから税制論議、いわゆる国民の信頼と合意のもとにないと税制というのはうまくいかないという点がございますから、その点を踏まえまして税制論議をやっていただきたい。  しかも、私どもはこの二年間の間が本当に十分だとは思っておりませんけれども、例えば今回の消費税の場合には、昭和六十二年の十一月の十二日に諮問がされまして最終答申が六十三年の六月十五日ですから、約六カ月で答申が行われております。答申がありましてからそして国会に法案を提出するまでの間は一カ月とちょっとです。そして実際に法案成立するのに五カ月、そして実際に消費税法が実施されましたのが元年の四月一日でございますから約三カ月、したがいまして初めの諮問から実施までの間が一年半足らずでございます。そういう点を考えますと、私どもは年内にこの法律がもし成立をいたしますと、来年の一月にこの税制改革協議会がスタートいたしますと、平成四年の四月一日までは二年三カ月ございます。  そういうふうな意味では全く不可能であるというふうには考えておりませんで、委員の選定の方法にいたしましても、またそういう選び方にいたしましても、これは政府がやるということを決めてしまえば、これはもういろんな面から考えてみましても私は決して不可能であるとは思っておりません。いろんな難しい問題がたくさんありましょうけれども十分やっていける、こういうふうに考えております。
  37. 井上吉夫

    井上吉夫君 私は、二年間でやっていけるか、可能か不可能かの問題というのにそんなに力点を置いて質問したわけではありません。本当に五十人の人間というのでいろいろ協議をして、その方方の協議でもって国民の合意ということが言えるようなそういう機構や運営やというものが考えられるだろうか。本来やっぱり税という国家のいわば基本戦略とでも言うべきその内容を予算という姿で私ども議論をし、その中核をなす税の問題でありあわせて国民の権利義務に直接にかかわる大事な問題でありますだけに、これこそまさにいつも皆さん方が言っておられるように租税法律主義、国会こそこの機能を直接に果たす、それこそが国会のやっぱり仕事の最も重大な仕事ではなかろうかな。それを国民税制改革協議会にいかにもゆだねているというそういう感じが、先ほど事例で申し上げましたようにあれもこれもという、もうほとんどの厄介な問題というのは国民税制改革協議会でというそういう答え方。  同時にまた、この税制改革基本法案で見てみましても、税制改革基本法案において、再改革趣旨、環境整備、基本原則、基本方針を定め、その次にその具体的な手続として国民税制改革協議会を設置するとしておられる。極めて大きな位置づけをこの国民税制改革協議会に置いておられる。それにしては中身がちっともわからないし、同時に二年間という期限でこれだけの膨大な質疑応答の中で出た数々の具体的問題の処理までやっていけるだろうかという、その疑問は依然として残るわけであります。  税制改革基本法案の第八条は、国民税制改革協議会の報告に基づいて内閣及び国会が「速やかに所要の措置を講ずるものとする。」という規定になっておりました。このことは、協議会が内閣、国会に対して法案提出を義務づけるものであるというそういうような解釈をめぐりまして、行政府の一附属機関が特に国権の最高機関で唯一の立法機関たる国会に対して優越することになりかねないとして、憲法違反のおそれがあるという点について我が党の宮澤委員、谷川委員等の指摘で明らかになり、去る十一月二十七日、参議院議長に対し野党みずから修正を行うことを申し出た経緯については各位御承知のとおりであります。  しかしながら、久保議員提案説明では、国民税制改革協議会のくだりで、「二年を目途に税制改革の原則と方針に従い、具体的措置を調査審議することといたしております。その結果を内閣と国会に報告し、内閣と国会は速やかに報告に基づく所要の措置を請じて税制改革を行うものであります」と述べておられる。私がわざわざこのことを改めて申し上げましたのは、発議者はこれほど大きな使命と役割というのを国民税制改革協議会に求めておられる。しかし、私が今までやりとりをいたしました質疑応答の中で、依然として国民税制改革協議会というものの機構なり運営等の姿というものが浮かんでこないし、同時にここで議論をされたこれらの答えが本当に国民の合意を形成するものとして位置づけられるような答えというものが出てくるであろうか。  そういう疑問と、同時にまた一部峯山議員が触れられましたけれども、こういう膨大な仕事が二年という期限で答えが出せるだろうかということ。同時に、ましてやこのことを受けて代替財源というのはいわば暫定的財源として、先ほど勝木議員が触れられた、物品税についても二年間の暫定財源だからということで我々は承知したという、そういう意味答えでございました。となれば、答申だけではなくて、それに基づいての新しいいわばでき上がったあるべき税制の姿というのが二年間ででき上がらなければならない。そうでなければ、提案各派の要望がみんな満たされたことにはならないということにつながるではありませんか。  そのことをあわせ考えた場合に、本当に言われるような期限内に、皆さん方が構想されておりますような答え国民税制改革協議会の手によって成案が得られるということをお考えかどうか、もう一遍お答えを願いたい。
  38. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) まず初めに、税制改革基本法の八条の問題についてお触れになりました。  この問題につきましては、私どもは初めから申し上げておりますように、もともと国民税制改革協議会が国家行政組織法の第八条に基づく諮問機関でございますから、その諮問機関の答申や報告というものが行政府や国会を縛るものではないという考え方で初めから私たちは終始一貫をいたしております。したがいまして、この点につきましては私どもの方からその基本的な考え方、その報告を受けたときには尊重しなければならないというふうに修正をさしていただきました。  それから、物品税の問題と絡みましていわゆる暫定財源の問題、そしてこの問題がちゃんとなるのかというお話がございました。  この問題につきましては、私どもは先ほど勝木議員の方から答えたとおりでございますが、いずれにいたしましてもとにかくこの税制改革というのはそんなに長い間ほっておいていいものじゃございません。長年の税制に関する論議というものを十分踏まえまして、そしてとにかくこの二年の間にきちっとしたいという考えが私どものいろんなところににじみ出ているわけでございます。また、暫定財源としなかったのは、これは何回か説明をさしていただいておりますけれども、既に、例えば政府の中でも租税特別措置法の第一条で「当分の間」という言い方を使わしていただいております。これは本当は時限立法にしなきゃならない部分もたくさんあるわけでございますけれども、そういう点を踏まえてこの「当分の間」というふうな言い方が言われているわけでございます。  私どもといたしましては、そういうふうなことを踏まえましてとりあえず恒久法の体制にいたしておりますけれども、この基本法の中できちっと二年をめどということでうたい込んでおりますので、二年の間に何としても、難しい問題がたくさんあるのは十分承知の上でございます、その上で二年の間にこの法案成立させ、そしてその答申を受けてそれなりの処置をさしていただきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  39. 井上吉夫

    井上吉夫君 到底満足できる答えではありませんけれども、もう残りの時間もわずかになりました。  納税者番号制度について簡単にお尋ねをいたします。  このことは言葉の上では簡単に出てまいりますし、ぜひ総合課税のためにはこの手法を使わなければどうしても正確な所得の把握が難しい、したがっていわば避けて通れないというそういうような言い方でこの問題を取り上げられた、そういうお話もありました。しかし、発議者の四会派の皆さん方と十二日のNHKの討論の場でいろいろ話をしながら、その取り組み方がそれぞれかなり違うな、必要でないとは言わないまでもまず国民の納得と合意、それなくしては到底簡単にやれるものではない、これはすべてに共通する問題でありますが、どうも国民の合意、納得という方に極めて大きくウエートを置いて言われる方と、どうしてもこれは説得をし説明をしながら公平な税制を確立するためには避けて通れない、やらなきゃならぬことだというそっちの方に重みをかけて言われる両論がありました。司会者の小浜維人さんもどうもニュアンスが違うようですねというそういう指摘、それこそがまさに国民のこの問題に対する感想ではないかなと、私はみずからその討論会に参加しながら自分自身も考えたんです。  改めてお尋ねをいたしますが、このことについては久保さん、一番積極的に考えておられる方の側だと思いますが、どうも全体として見るならば私は到底二年以内にある種のめどということすら難しいのではないかな。もう中身の細かい議論はいたしません。納税者番号制度についての取り組み等を含めての所感をお伺いしたいと思います。
  40. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 井上先生、納税者番号制度に対して各党考え方が違うんじゃないかという御質問でございましたが、私どもは決して考え方は違っていないというふうに思っておるわけであります。  一致して私ども四会派は、公平な税制を確立するためということで税制改革基本法の第五条第二項におきまして、「国民のプライバシーの保護に十分留意した納税者番号制度の導入等を検討することにより総合課税を一層推進する等所得税体系の再構築を図ること。」と述べているのであります。  そういうことで、私どもはぜひ、昨年の十二月の政府税制調査会の納税者番号等検討小委員会の報告、また昨年の税制改正の際の自民党の修正によります所得税法の附則第八十一条においても検討していこうということで、見直しを行おうということで文章がつけ加えられておるわけでございますので、私どもは公平な税制体系を構築するためにはやはり国民のプライバシー保護とそして合意形成を行ってこの導入を図りたいというふうに考えておるわけでございまして、そういう観点からは私ども四会派に意見の相違があるとは考えておりません。
  41. 井上吉夫

    井上吉夫君 勝木さんから今食い違いはないというぐあいに答えられましたけれども、これはもう最後の答えとしてそう言われただけのことであって、今までいろいろやりとりする間に随分とニュアンスが違うな、軸足の置き方、本当にやる気があるのかスローガンとして掲げているのか疑問にすら思うという私の感じを申し上げておきます。  二年間で再改革ができるのか、であるとすれば本来時限法でほとんどの代替財源法等は出しておくべきではなかったか等の意見があるわけでありますが、このことについても改めて質問の形をとることをやめることにいたします。  去る十一月八日、本会議における趣旨説明、同質疑に始まり、十一月十日の特別委員会における趣旨説明から一カ月余り、今日まで熱心に充実した質疑を続けてまいりました。  消費税廃止関連九法案は、修正六法案十カ所余り、正誤表による訂正九カ所等、議員立法とはいえ余りにも多くの誤りが発見されました。本法案は、その形式においてばかりでなく内容においても、きょう私が申し上げた部分だけでも、到底目的とする期限内に実現することは不可能であるばかりでなく、再改革基本法や代替財源法などこの法律を通すということは国民生活にとって極めて大きな問題をはらんでいると思います。高齢化社会を迎えている我が国のあるべき税制考えるとき、私どもはこれを認めるわけにまいりません。必ずや国民各位の正しい判断と御理解が、私ども消費税を何とかして定着させようとする我我の立場答えが返ってくることを期待して、私の質問を終わります。(拍手)
  42. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会
  43. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を再開いたします。  消費税法廃止する法律案消費譲与税法廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題といたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  44. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 私は、ことしの七月二十三日の選挙におきまして愛知県より選出されました前畑幸子でございます。選挙中私が有権者の皆様にお訴えしてきましたことは、消費税廃止であります。したがいまして、私が議員として何よりも果たさなければならない選挙公約は、消費税廃止するということであります。与野党逆転下の参議院において消費税廃止法案を提出された発議者の皆様の今日までの御苦労に、心より敬意を表したいと思います。  与野党の全委員が約一カ月にわたる真剣な再々にわたる論戦及び審議を経て本日最終の総括質問に、そうそうたる先輩議員がおいでの中、一年生議員の私にこの機会を与えていただいたお心遣いに深く感謝を申し上げたいと思います。また、日本じゅうを大願動に巻き込んだ消費税廃止法案審議に参加しているということに、大変感慨を深くいたしております。  発議者の皆様におかれましても、参議院選挙による国民消費税に対する審判を受けて消費税廃止法案を提出され、約一カ月間の審議を経てきたわけですが、今日に至る御苦労と感想はいかがなものかお聞かせをください。代表としてお一人にお願いを申し上げたいと思います。
  45. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) ただいま前畑さんがお話しになりましたように、過ぐる参議院選挙におきましては消費税法の存続をめぐって選挙が戦われたと私も認識をいたしております。そして、この選挙の結果は消費税ノーという国民の御意思が明確になったと思います。  それは、一つには公約違反、つまり大型間接税は導入しないとあれだけ六十一年選挙において公約された自由民主党におかれて、この公約違反の大型間接税である消費税を強行導入されたことに対して、議会制民主政治の上から国民皆様方は大変強い反対の意を表せられたものと考えております。また、四月に強行実施されました消費税は、その逆進性、そしてまたこの消費税が持っております確かに消費者負担した税金が国庫に多額に入ってこないという構造的な欠陥、こういうものを国民皆さんが知られれば知られるだけ、消費税廃止してもらいたいという強い御意思を示されたものと考えております。今度の臨時国会は、この国民の御意思を受けて、また私ども公約をいたしました消費税廃止を実現することにその使命があったと考えております。  私ども四会派はそのような立場に立ちまして九法案を提出し、今日まで皆様方に御審議をいただいたところでございます。この与野党を分ける議員立法が長い時間にわたりまして真剣に御論議をいただきましたことに、提案者といたしまして委員長初め委員皆さんに心から感謝を申し上げる次第でございます。ぜひ、この九法案を本院において御可決いただきまして、国民皆さんの御意思にこたえ選挙公約が実現できますことを、今この最終段階に当たって提案者といたしまして心から期待をし、お願いを申し上げる次第でございます。
  46. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 今回の消費税廃止関連九法案は、初めての議員立法として本格的な審議が行われました。我が国の議会史上、ほかに例を見ないものであったと思います。議員立法の困難さを身をもって体験しましたが、その意味からも今回の審議の持つ意義は我が国の議会政治史に新たな一項目を加えるものと確信いたします。  この点についての発議者の感想をお聞かせください。
  47. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) お答えいたします。  今回のような議員立法がおっしゃるように本格的に、きょうの審議まで合わせますと八十時間に及ぶそうでございますが、一つの法案で、しかも与野党対決の法案で、このように長時間にわたりまして議論が行われ、そして参議院におきまして可決いたしますことは、我が国の議会史始まって以来の出来事でございます。  今日まで自民党の長期政権のもとで、参議院は何かというと衆議院のコピーだとかまた第二衆議院だとか、いろんな批判がございました。そういうふうな中で、先般の参議院選挙の結果与野党が逆転をいたしまして、今回の参議院の独自性そして衆議院のチェック機能の発揮、こういうことがいろんな面から果たされるということは大変私は大事なことでありますし、参議院活性化でありあるいは我が国の議会政治史の中でもその意義は極めて大きい、こういうふうに申し上げた方がいいと思います。  また、今国会におきましては、私どもが提出をいたしましたこの消費税廃止関連九法案以外にも、例えば被爆者援護法案とかあるいは育児休業法案等々が野党の方からそれぞれ続々と野党提出の法律案として提出をされておりまして、国民の支持によって逆転状態ができたということを考え合わせますと、今後もますますこういうふうな議員提案をどんどんふやしていく必要がある、こういうふうに考えているわけでございます。  また、今回の審議を通じまして私ども発議者といたしまして強く感じておりますことは、国民から負託を受けた私ども国会議員が政治に大きな責任を持ち、公僕として国民に奉仕するための行動をとらなければならないとともに、国会はこれまでどちらかといえば政府提出の法案審議に徹するというところが多かったわけでございますが、そういう点からも今後は大きな政治責任を担う立場から議員の立法を大いにふやしていく、そういう活動がこれからは大変大事になってくるんじゃないかということをしみじみと感じているわけでございます。
  48. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 今回の九法案のうち、物品税に対する質問自民党委員皆さんより大変多くありました。時代おくれとか課税対象が不合理とかということですが、代替財源として二年間は原則としてことしの三月三十一日の時点に戻ることになるわけですが、その後には間接税はあくまで直接税の補完税として位置づけ、課税対象が特定または限定された個別消費税の枠の中で整備していくべきと考えます。そうすれば、一律に全消費、サービスに三%かかる消費税に比べて、物品税の方がその運用の仕方によって逆進性の緩和のできる税制であると考えます。  確かに、今までの物品税には不公平があり過ぎました。今後二年間の重要課題の一つと思います。発議者のお考えはいかがでございましょうか。
  49. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) お答えいたします。  消費税は空気以外すべての物品、サービスに一律に、所得のあるなしにかかわらずあるいは大小にかかわらず徴税する、弱い人には負担の大きい税制であり、この消費税廃止して、その後財源の一つとして従前あった物品税はとりあえず立派な公正な公平な税制ができ上がる間復活するというものであります。ただし、税率はほぼ半額に引き下げております。  これが経過でございますが、前畑委員お尋ねの点につきまして問題点を次のように整理してお答えをいたします。  物品税課税対象を限定列挙しており、絶えず時代に対応した見直しができ、また見直しをしなければならない税制であります。したがって、課税非課税の基準を明確にすることによって時代に合わせた税制となります。今回旧物品税をそのまま復元しており、旧物品税矛盾もそのまま復元されています。しかし私たちは十分その矛盾承知しており、今後その解消に向かって努力をしていかなければならないと考えております。提案しております物品税も二年間の暫定措置としており、税率については現行消費税負担額と大きく変わらないように措置をしてあります。どのような課税とするかは、まさに二年間の議論を経て国民の合意のもとに決定さるべきものと考えますが、提案者としての私見を述べれば、課税非課税の基準の明確化がまず議論さるべきだと考えており、先生心配の点は解消できると考えております。
  50. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 今回の消費税廃止税制改革関連九法案は、新聞の世論調査におきましても五八%の国民の支持を得るなど、まさに国民期待にこたえて提案されている法案だと思います。また、参議院における与野党逆転という歴史的な国民の審判を踏まえて、国会史上初めての大議員立法であり、国会の活性化に大変大きな意義を残すものと思います。  しかし、法案作成の日数に余裕のなかったこと、少人数で取り組まれたことなど厳しい条件のもとであったことは私どももわかっていますが、何点かの法案ミスとの指摘を受けたわけですが、こうした点についての発議者としての所感をお聞かせいただきたいと思います。
  51. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 提案者といたしましては、法案のミスを何点か御指摘いただき、また私どもの方から修正、訂正等をお願いいたしましたことは、時間の問題や私どもの陣容が手薄であったというようなことを理由にして私どもはこの責任を回避してはならないと考えておりまして、大変申しわけないことだと思っております。しかし、これらの修正をいただきます法案のミスにつきましては、これは消費税廃止するという今回の立法の根幹にかかわるものではない、こう考えております。また、私どもが今回修正を申し出ております問題等の中には、政策上の判断として見解の異なる問題も幾つかございます。これらの面につきましては、当委員会において政治的に御判断をいただき御処理を願っているものでございまして、私どもとしてもやむを得ないことだと考えております。  今前畑さんがお話しになりましたように、今回の消費税廃止を求める国民の世論は極めて大きなものがございます。また、先般自民党の方でお出しになりました見直し案が明らかになりましてから後は、新聞報道等によりますと私どもが提出いたしております廃止法案について御賛成をいただく国民皆さんの声は高まっていると私どもは伺っております。こういう中で、今回法案に幾つかのミス等がございましたことをどうぞ御容赦をいただきまして、ぜひこの廃止法の持つ根幹的な意義に照らして、九法案を御可決いただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。  なお、この法案のミスをめぐって私どもの感想といたしましては、これから立法府として参議院がその機能を高めてまいりますために、ぜひとも立法機能についてさらに強化をしていただきますことを心から願っております。重ねて、この法案の完璧を期する立場からも、長い時間をかけて御審議をいただきました皆様方に敬意を表しますとともに、この立法に当たって御協力をいただきました参議院事務局の皆さんにも厚く感謝を申し上げる次第でございます。
  52. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 では次に、見直し案についてお伺いをしたいと思います。  七月の参議院選の敗北以来、自民党見直しの柱にするつもりだったはずの逆進性の緩和が余り実っていないのが今回の見直し案だと私は思います。見直しというとあたかも消費税に対する国民の不満が解決するかの感じを持たせますが、消費税とは広く浅く高額所得者にも低額所得者にも同じものを買えば同じ税率がかかるという逆進性の強い本質を持つ税金なのですから、見直しによって消費税の持つこの本質が決して変わるものではないわけです。年金生活者、福祉の対象家庭などでは所得税は多分かかっていないと思います。しかし、消費税負担は平等にかかります。政府は支給額を増額することによって手当てをし、税の負担分を補うと言われるでしょう。この方たちにはそうしていただけばよいわけですが、しかし年収二百万から三百万の新婚家庭、あるいは五百万、六百万の、子供を育てる、そして教育の真っただ中にある家庭においては、収入のうち貯蓄に回る余裕はなかなかないわけですから、収入のほとんどは消費に支出しなければなりません。  例えば年収三百万の若夫婦、乳飲み子の三人家族では、所得税一万九千七百円、市県民税二万六百円、税金の合計が四万三百円です。しかし、この家庭はミルク代、おしめなどを初め、恐らく生活必需品に給料の全額を支出しなければならないと思います。私も若いときはそうでした。二百七十万ぐらいの可処分所得に対し三%の消費税がかかるわけですから、八万一千円の消費税を支払うことになるのでございます。このように、所得の低い階層ほど所得に対する消費税を払う比率が高いのが逆進性の本質であると思います。今回の見直し案によってこうした逆進性は制度的に改正されていると思われますか、お答えをお聞かせください。
  53. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 前畑委員の大変な御研究に心から敬意を表したいと思います。  ただいまの問題ですけれども、今回の自民党案によって逆進性というものは全く緩和されたと言えないと思います。むしろその複雑さが一層増したものとなっていると思います。これでは見直し案どころか改悪であるとさえ言われかねない代物だというふうに私は思います。もともと消費税が逆進性の非常に強い税制であることを承知していた自民党が、この逆進性を緩和するということ自体無理があったのではないかと考えます。私は、消費税見直しではなく、消費税そのものを導入したことを見直す、つまり廃止しかないと考えております。
  54. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 今回の見直し案によって、消費者の目から消費税額が現在以上に見えにくいものになるように思われます。課税商品非課税商品のセット商品税率ほどうなるのでしょうかという問題も出てきます。自民党は、最終的な支払い額を初めから表示しておけば消費者は痛税感を持たないのではないかなどと考えているようでございますが、とんでもない判断だと思います。  現在、百三円と表示している食料品は、小売段階非課税となるわけですので百円になると消費者は思います。しかし、非課税といっても仕入れ、設備費などにかかる税額を価格に転嫁いたしますと百一円か百二円という値段がつくことになるわけでございます。非課税のはずなのに値下げをしていないではないかと消費者からは白い目で疑問視されることになります。そうなりますと、メーカー側が商品の容量などを調整して、小売店が百円で売っても仕入れ等に係る税額を補えるように商品価格を設定することも予想されるわけです。  このように、内税になることによって消費者の支払った価格のうち消費税額が幾らなのかということがわからなくなっていくのではないでしょうか。その辺の心配についてお答えをお聞かせいただきたいと思います。
  55. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 自民党さんの方が十二月に入って見直し案というものを発表したんですが、まだこれは法案でもなければ、率直に言って、具体的な点についてはこれから詰めるという内容でございます。そういう意味で、今御指摘のように多くの問題をはらんでおるんじゃないかと、こういうふうに思います。先日、この席で大蔵大臣に対して野末委員からも御質問されておりましたように、トウモロコシはどうするのだ、こう聞くと、大蔵大臣も答えができないというような内容だと思うんです。  前畑さんはその道の専門家でございますからよく研究なさっておると思うんですが、現行消費税において税額表示については、御案内のとおりに内税と外税がございます。内税につきましては、消費者にとって支払い価格が一体どれだけの税額か、こういった点について含まれておる内容がわからない仕組みになっています。したがって、今御指摘のように、消費者と業者の間に不信感の溝ができますし、同時にまた便乗値上げの危険性が絶えずつきまとう、こういうことが言われておりますが、これはもう御案内のとおりであります。  さらに、今回の見直しについて自民党さんの方の税額表示方式についての発表を見ますと、総額明示方式を唱えておるようでございます。しかし、これは食料品の小売段階非課税も別の面で提案なさっておるわけでございます。  さて、小売段階の前段階までかかってまいりました経費に含まれる一・五%というこの消費税と小売価格を比べますと、私は小売段階商品にどれだけのマージンがかかっておるか、このことが一目瞭然になると思うんですね。そういうことを総額明示方式で業者の方がするだろうか、こういう疑問を持っております。
  56. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 今佐藤議員からおっしゃっていただきましたように、私はきょうまで中小零細事業者とともに生きてきました税理士でございます。税理士は税法に従って納税者に正しい申告と納税を指導しなければなりません。ですから、そのためにも私は税務に携わってきた専門家として、あるべき税の姿を追求し、国民の納得のいく税制度について国民とともに考えていく必要があると思います。    〔委員長退席、理事井上吉夫君着席〕  しかしながら、現在の消費税国民の納得できる税制とはなっておりません。例えば消費者が納めた消費税が国庫に入らないという事業者の免税制度、簡易課税制度があります。これは自民党消費税導入に際して考え出した事業者向けの対策だと思いますが、この制度により事業者は消費者から国庫不入という不信を買い、消費者と事業者との関係にも深い溝をつくっております。  このことは、この消費税がもともと事業者にとっても消費者にとっても大きな犠牲と負担を求める税であることだと思います。今回の見直し案によって、非課税による仕入れ、軽減税率による仕入れ、そして三%による仕入れなどと仕分けする必要が新たに起こり、家族で頑張っている中小企業者などは事務負担と煩雑さに頭を抱え、体を壊してしまうと嘆いて私のところに電話をしてきております。複数税率によることにより、どうしても帳簿方式では対応できなくなるわけです。このことは将来どうしてもインボイス方式を導入する必要に迫られる意図が背景に感じられるが、この道を開くものになりはしないでしょうか。私は心配をいたしております。お答えを下さい。
  57. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) 委員ただいま御指摘のありました点でございますが、私ども同じような懸念を持っております。  消費税は、御承知のとおり、流通の各段階課税がされます。これを多段階課税と申しますけれども、そのために二重課税を防ぐためにどうしても前段階の税額を控除しなければならないことは委員も御承知だと思います。そのために、EC諸国で採用されておりますところの付加価値税、これでは委員が今御心配されておりましたようなインボイス、これを採用してきているわけでございます。これは売上税のときにも自民党提案されました。たしかいろんな論議等がありましたが、我が国の御承知の複雑な流通過程、これがございますものですから、今回の消費税にもこれは採用されなかったわけです。  そこで、ある海外の状況を調査された結果がございますけれども、その調査をされた方のお話を聞きますと、イギリス、フランスそれからスウェーデン、それらの国々では税金の専門家の皆さん方が、日本の消費税の導入については確かに評価をしているようでございますが、帳簿方式をとったことに対して一様に疑念を持っているようでございます。  例えばこういうような理由があるそうでございますが、ヨーロッパには帳簿方式を採用している国はない、EC域外の国を含めましてもすべて伝票方式でございます。帳簿方式は日本の国情に合わせた日本式かもしれないけれども脱税はどうやって防ぐのだろう、私たちの経験からいえば脱税がはやり手の負えないものになりかねない、私たちの目には余りにも特異なタイプと映る、こういう指摘があったようでございます。イギリスやフランスではやはりインボイスを使ったEC型付加価値税、これを採用しているわけでございますけれども、やはり税務執行を緩めた結果脱税の横行に手を焼きまして、罰則の強化あるいは税務職員の増員などへこの間接税体制というものの建て直しを図ったという苦い経験があるから、それらの国々ではこの帳簿方式にみんな疑念を持っているようでございます。  もともと帳簿方式というのは、委員指摘のように、税率が一本であればこれが採用できるという申すまでもなく日本独特の方式でございます。今回の見直し案によって提示をされておりますところの複数税率税率は低いのでございますが、三段階になりました。これは帳簿方式では委員の御指摘のように事業者の負担がかかり、対応できないものではないかと私たちは思っております。それともう一つ、国際的に見ましてもこの帳簿方式はやはり日本独自のものでございます。今回のこの委員会質疑の中でも、国際化ということで大分御指摘がございました。そういう面から考えますと、日本がますますこれから国際化していく段階で、この日本の特異な税制というものが海外から指摘されざるを得ない。  そういう点から見ますと、国際性の問題、あるいは自民党が売上税のときにインボイスを導入しようとしたこと、先ほど委員の御指摘のように事業者にこれは物すごい負担がかかるという点から見ますと、やがてはインボイスへの移行ということが懸念されるのではないかと思います。そのためにも私たち見直しではなくて廃止へ向かって前進しなければならない、こう決意いたしております。
  58. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 今回の見直し案によりますと、小売業者とりわけ食料品の小売業者にとっては、売り上げや仕入れのときに、三%課税、軽減税率適用、非課税の仕分けが必要となる上、値札への対応などから税制を複雑にし小売業者の事務負担を大変ふやします。これは流通の末端ではかなりの困難が出ると予想されます。例えばスーパーなどの店頭では、食料品とそのほかの雑貨品との仕分けをしなければなりません。消費者は二枚のレシートを受け取ることになりかねません。事業者にとっても消費者にとっても混乱を招き、消費税の仕組みを複雑にしたにすぎない気がいたします。  午前の大蔵大臣の答弁におきましては、懸念をお持ちになりながらも簡単な見方をされているような気がいたしますが、業者の負担は一層増すように思われます。発議者のお考えをお聞かせください。
  59. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 自民党の発表いたしました消費税見直し案によりますと、例えば全食料品の事業者間の譲渡については一・五%の軽減税率とするということで、小売段階では非課税とするという問題でありまして、さきに何度か論議されたところでありますけれども、何が果たして食料品なのか、そういう食料品の線引きの問題が起こってこようかというふうに思うわけでありますし、また小売店の定義についても問題があるわけでございます。卸と小売、両方営んでいる店も多くあるわけでございますので、そういう小売店の定義づけの問題、また加えて、この一・五%の税率が本当にスムーズに果たして転嫁できるのかどうかという問題も起こってくるわけでございます。  このような意味でもこの見直し案はさまざまな問題があるということで、矛盾の上に矛盾を重ねるようなものとなるんじゃないかというふうに思います。そういった意味でも、今回の自民党見直し案が事業者の事務負担を一層重くすることは確実であるというふうに私どもは読んでおります。複数税率による煩雑な仕分け作業とかスーパーなどのレジによる混乱は、現実問題として避けがたい問題じゃないかというふうに思うわけでございます。  そこで、この消費者と業者の両方を一遍に解決する見直し案というのは消費税に関する限り存在はしないんじゃないかというふうに思うわけでございまして、そのような消費者と業者の両方を一遍に解決しようとするようなそのような甘い幻想を振りまくことは、いかに自民党責任政党の体をなしていないかということの証拠というふうに私ども考えます。そういった意味でも消費税はもはや廃止するしかなく、今回提案をしております私どものこの九法案の可決こそが参議院選挙で示された国民期待にこたえる唯一の道であるというふうに私ども考えております。
  60. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 では、ここで関連質問として細谷委員にかわりたいと思います。
  61. 井上吉夫

    ○理事(井上吉夫君) 関連質疑を許します。細谷昭雄君。
  62. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 消費税の持つ制度上の欠陥、これは今回の自民党の思い切った見直し案によりましても少しも是正されておらない、このように考えるわけでございます。そして、ただいま同僚の委員からもお話がございましたとおり、このことが具体的に証明されたと思うわけでございます。むしろかえってこの自民党見直し案によりまして消費税は複雑になり、しかもむしろ税が見えなくなってしまう、このことが懸念されるわけでございます。国民が、ようやく出てまいりました自民党のこの見直し案、これには大変大きな失望を持っておる、このように思うわけでございます。  ここに十二月九日の朝日新聞に「消費税廃止野党法案 五八%が成立賛成」、このように出ておりますが、この世論調査でもそのことがはっきり出ておると思うわけでございます。この調査は、見直し案が出た十二月一日から五日間を置きました十二月の六、七、この両日にわたりまして全国の有権者に直接面接調査をしたというふうになっております。  今度の消費税見直し案に関係した項目でこのようなことがございます。「自民党消費税見直し案をまとめました。あなたは、この見直し案をどの程度、評価しますか。(回答カードから一つ選択)」、もう一つは、「野党消費税廃止し、税制改革をやり直す法案を国会に提出しています。あなたは、この法案成立することに賛成ですか。反対ですか。」、この二つの項目がございます。こうした国民の意向に対しまして、廃止法案を提出しております発議者立場からどう受けとめられておりますか、お伺いしたいと思います。
  63. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) お答えいたします。  当委員会審議において、我々はさきの参議院選挙に示された国民意思消費税廃止であって見直しではない、こう再三表明をしてまいりました。今回の朝日新聞の調査は、五八%もの国民消費税否定いたしております。三七%の国民消費税を肯定しているという結果が出ているわけでございます。これは自民党見直し案が出た後の調査でございます。したがって、今回の自民党見直し案は国民の要求にこたえていない、こういうことの一つの国民の認識のあらわれかとも感ぜられます。わかりにくい、複雑、構造的な欠陥、いろいろな問題が解決されていないわけでございます。  そしてまた、見直しという今までの国民の多くの方々の要求は幾つもの項目がございました。食料品非課税という問題もあり、あるいは教育費という問題もあり、お産あるいは埋葬料、加えて消費者が納めた税金が事業者の懐に入る不透明さ、帳簿方式等による、あるいは脱税を誘発するかもしれないような方式等々幾つもの問題がございました。これらが解決されていないということを国民が今回の見直し案と照らし合わせて感じた結果であろうと考えます。  調査内容によりますと、海部内閣の政策肯定が二一ポイント、否定が五七ポイントで、否定のうち税制改革部分が二四ポイントも占めているということがわかります。なお、注目すべきは海部内閣の不支持率が支持率を上回りました。発足後半年で逆転するという、こういう状況は三木内閣以来本当に珍しいことだと考えているところでございます。私たちは、大幅なかつ根本的な消費税矛盾を解決するために見直しは存在しない、具体的な見直しの内容が発表されれば必ず廃止賛成がふえるであろう、多数を占めるであろうということを主張してまいりましたが、今回の調査結果は我々の主張の正しさを証明したものと考えております。
  64. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 自民党見直し案を私は税収の面からとらえてみたいと思うわけであります。  ここに自民党見直し案が新聞に載っておりますけれども、この案によりますと、減収は平年度ベースで食料品の小売段階非課税と範囲を広げること、そして生産、卸段階で一・五%の特別低税率を設けていることによって一兆一千四百億円、それに公的年金等の控除で五百億円、そしてレジやソフトウェア等の特定事務用機器の即時償却費で九百億円、合わせまして、これは予算的には一兆二千八百億円の減収額でございます。(「減税、大減税だ」と呼ぶ者あり)自民党は減税と申しておるわけでありますが、問題はこの一兆二千八百億円のこの財源をどこに求められるのかということでございます。この代替財源案については全く触れておりません。その後も何らの説明もされておらないわけでございます。  本委員会でこの一カ月余りにわたりまして審議されております野党提出の廃止法案で、代替財源の一部を自然増収に求める点について、繰り返し繰り返し厳しい御批判が自民党皆さん方からやられておるわけでございます。そうした考え方からしますと、この一兆二千八百億円の代替財源によもや野党案のような自然増収を充てるというようなことは考えられないわけでございます。明確な財源法案国民の前に明らかにすることが、政権党としてこれは当然の責務と考えるのであります。そして、国民はそのことを求めておりますし、国民はそのことを見詰めておるわけでございます。発議者の御意見伺いたいと存じます。
  65. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) お答えいたします。  私、野党代替財源案につきまして、自民党皆さん方から非常に厳しい御指摘をいただいてまいりました。  ただいまのお話にもございましたように、自民党の今回の見直し案、いわゆる平年度ベースというやつで、今お話がございましたように、一兆二千八百億ということでございます。実は、自民党さんがなぜ消費税にこんなに一生懸命こだわるかということを非常に私は気にしているわけでございますが、今回の自民党税制改革では、委員も御存じのとおり、消費税で五兆四千億というのが一番先に発表になりました。これは消費税を創設するかわりに物品税廃止したわけです。物品税廃止というのが大体三兆四千億あったわけでございますから、当時の竹下総理のお話をそのまま受け取って説明いたしますと、消費税による純粋の収入は、一兆九千億ちょっとで二兆円弱ということでございます。そうしますと、今回の見直し案によりまして一兆二千八百億減るわけでございますから、消費税による純粋の収入というのは八千億ちょっとになるわけでございます。  ということは、もうその八千億そこらの予算で何が一体できるのか。一体何を考えていらっしゃるのかわからないということを私はしみじみと感じるわけでございますし、自民党さんが、いわゆる今回の見直しでも消費税の持った制度の欠陥を何一つ直さないで、そのままで据え置こうとする魂胆、その裏には何があるのかということを国民皆様方はぜひ見ていただきたい、こう私は考えているわけでございます。  私どもは、そういうような意味では、いろいろとお話がございましたけれども、今回の代替財源案といたしまして、消費税を創設するときにいわゆる消費税の創設とかわりに廃止をした部分をできるだけそのまま復活させるということで物品税を復活させたわけでございますが、そのまま物品税を復活させたならば国民生活に大変影響を与える、物品税そのものは三兆四千億もあるわけですから、そんなにたくさん復活させると大変なことになるということで調整をいたしまして約一兆二千五百億ぐらいにしたわけでございますから、私どもはそこら辺のところは国民生活考えて調整をさせていただいたわけでございます。  またもう一つ申し上げますと、あえてそういうふうな代替財源案を私どもが示したからこそこの委員会で長期間にわたりましていろんな議論が行われたということもできるわけでございまして、そういうふうな意味では、私ども代替財源案を出して税の構造がどういうふうになっているかということがあらゆる面で明らかになったということは、それだけ私はこれからの国会のあり方審議あり方に大変貢献をしたんじゃないか、こういうふうに考えております。また、今回の見直し案に関しましては、先ほども委員の御指摘のように、自民党代替財源を現在でも示していないわけでございますが、示さないこと自体といたしましては、これはやはり責任政党のあり方としてはいかがなものかなということを私は感じているわけでございます。
  66. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 ただいまお答えをお聞きいたしまして私も感ずるわけでございますが、私自身は地元が秋田でございます。秋田は農村地帯でございますが、大変な農政の不信、そしてこのような消費税というものに農民そのものが苦しめられておる、これは御案内のとおりだと思います。  例えば今の低税率を設けました農産物、食料品の生産段階における一・五%の軽減、あれなんかも当然これは今回の選挙を意識しました自民党選挙対策だろうと、こんなふうに思うわけでございますが、この一・五%だって、恐らく三%から一・五%果たして転嫁できるのかどうか、この点についても農民は非常に不安を持っておる、このこともつけ加えたいと思うわけでございます。  そこで、私は次に見直し案の減税額、つまりこれは減収額でございますが、大変大きな疑問を私たちは持っておるのでございます。ここにちょうど、十二月一日に自民党見直し案が発表になりまして、その二日に静岡大学の税制研究チームが行いました自民党見直し案をもとにしたシミュレーションがございます。これは発議者のお手元にもお上げしておったと思います。これによりますと、まず自民党見直し案では消費税非課税範囲の拡大及び一・五%にした特別低税率の設定で一兆一千四百億円の減税としております。その減収総額一兆二千八百億円の九八%に当たるのであります。ところが、この静岡大学の分析によりますと、自民党の一兆一千四百億円の約半分の六千百八十四億円にしか当たらないと算出されております。これでは減税額を水増しして過大見積もりや誇大宣伝をしているのではないかという批判を招きかねないと私はひそかに自民党に対しましてこれは心配をしておるわけでございます。  また、今度の見直し案によりますと、どれだけこれは逆進性が是正され、どれだけ税負担が変わるのかといいますと、このシミューレーションによりますと、年収六百万円の平均世帯でございますが、これは軽減されるのは月々一千百十六円であります。七月の参議院選挙以来、公約されてから今日までまる四カ月間、新聞の政府広告まで使われて国民に宣伝されました思い切った見直しの実態でございます。  朝日新聞の世論調査でも、自民党を支持すると答えた層でさえ野党廃止法に賛成する人が四四%、反対の四一%を上回っていることも、自民党見直し消費者国民が見限ったものと言うべきであります。  さらにまた、逆進性の緩和や社会政策的配慮の名目で挙げております社会的弱者への配慮がどうなされておるか。静岡大学の分析はこのように言っております。今の消費税の年収別負担率では、最も所得の低い年収二百九万円以下の層では一・四九%、最も高い年収一千三百四十万円以上の層で〇・六三%となっておりますが、見直し案でどうなっておるのかといいますと、最も低い層で一・二一%になり、最高所得層で〇・五一となり、その間の差はどちらも二倍以上で変わりません。家計支出に占める低所得層の負担は依然として変わっておらないのでございます。つまり、逆進性はほとんど是正されないままに見直し案というものが出されておると言わざるを得ません。  このような減収見積もり、逆進性の是正というものが、数字を見る限り自民党見直し案なるものは極めて疑問であると言わざるを得ません。これについて発議者のお考えをお伺いいたしたいと思います。
  67. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 今回の自民党が発表いたしました消費税見直し案による減収額につきましては、いろいろとその試算方法も含めて議論があるということは私も存じております。いずれ自民党よりその正確な見積もり試算が代替財源とともに示されるものと信じるものであります。しかし、現時点ではどうかといいますと、この見直しによって税収減になるわけでありますが、その補てん財源をどうするのかについては何も言っていないわけでございます。  また、私ども参議院提案いたしました消費税廃止税制改革関連法案審議自民党は二年間の財源問題に集中して攻撃したにもかかわらず、自分の問題では一切一言も触れていないのは極めて不自然であり不誠実な態度であるというふうに私どもは思っております。平年度の概算で一兆二千八百億円につきましては自然増収なのかあるいは別の財源措置を講ずるのかを明らかにしないのは、現時点での判断でありますが、やはり無責任見直しと言わざるを得ないというふうに思っておるわけでございます。  そこでお尋ねの、思い切ったと言えるかどうかという御質問でございますが、私どもはどうしてもそうは考えられないんじゃないかというふうに思っております。減収額によって見直しの内容が思い切ったものかどうかという問題もありますが、そういう問題ではなく、その見直しの内容によってこそ見直しの真価というものが問われてくるんじゃないかというふうに思っておるわけでございます。そういった意味では、今回の見直し案は矛盾の上に矛盾を重ねた内容となっておりまして、国民をさらなる混乱に導くものというふうに考えておるわけでございます。そこで私どもは、国民にとって本当の思い切った見直しというのは消費税廃止しかないというふうに重ねて思っておるわけでございます。
  68. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 また私にかわらせていただきます。  自民党議員の皆様の努力によりましてことしの四月一日スタートしたばかりの消費税でございますが、早くも見直し案が出されたわけです。しかし、海部総理が繰り返し申されてきました大幅見直し公約は実現せず、またしても国民を落胆させたのではないでしょうか。逆進性の緩和も実らず、消費税の透明度も一層低くなりました。消費税の不公正にも手をつけられておりません。いろいろな矛盾と混乱だけが予想される見直し案のように思われてなりません。  今回示された自民党見直し案と野党連合にて提案しております消費税廃止法案とどちらが国民のためによいかは、来年二月の総選挙で判断が下されることと思います。国民の審判に従うわけでございますが、国民の意識は永田町論理をはるかに超えた目と判断力をお持ちだと私は思います。消費税の最大の功績もございます。それは一億人がすべて納税者となりました。そして、一億人が政治に関心を持ち、税の使い道をしっかり見詰めつつあることだと思います。私も、これから一人の税理士として将来に向かって国民の納得のいく税制度確立のために一生懸命勉強をしていきたいと思っております。  最後になりましたが、一九八九年十二月十一日、消費税廃止法案参議院の採決を前に私は感無量でございますが、幾多の御苦労を乗り越えてこられました発議者の新たな決意を改めてお聞かせいただきたいと思います。
  69. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 前畑さんから、本日採決をしていただけるとすれば感無量だというお話がございました。私どももこの席に一カ月余り座らせていただきまして、皆さんの長い真剣な御審議をいただきまして、本日もし御可決いただけるとすればまことに感慨無量なものがございます。  現行消費税国民の審判によって否定され、また私どもはそれを受けて廃止法案提案いたしたのでございますが、この審議のさなかに、消費税を強行されました自由民主党におかれても見直し案を、大綱を示されることによって現行消費税をみずから否定されたのであります。今や現行消費税はすべての党によって否定されたものと私は考えております。  なお、この審議の過程を通じて全国のたくさんの皆さんからお手紙や電話をいただきました。そして、御意見や激励の言葉をいただきましたことを私はお礼を申し上げますとともに、これらの国民皆さんの御意思におこたえするためにも消費税廃止をどうしても実現しなければならぬと、本日改めて決意をいたすものでございます。  本院において御可決になりますならば、これは衆議院に送付をされて衆議院の御審議をいただくものと思っております。衆議院においても、ぜひ民意を受けて御審議の上、消費税法廃止を可決せられるよう心から期待をいたしております。しかし、この臨時国会の会期は十二月十六日をもって終わろうといたしております。衆議院でどのようなお取り扱いをいただけるか、これは送付をされてみないとわからないことでございますが、私ども提案者といたしましては、最後まで全力を尽くしてこの臨時国会において廃止にかかわる九法案成立することを期待し、頑張ってまいりたいと考えております。  また、これが仮に衆議院で会期切れのために可決に至らないとしても、国民皆様方参議院選挙で示された御意思を受けてこの参議院において可決されたということになりますならば、その政治的な重さは決して小さいものではないと考えております。これを受けて、政府におかれても必ず国民期待にこたえるような努力をしなければならないものと私は確信をいたすのであります。そして、もし伝えられるような総選挙が行われるということになりますならば、この総選挙こそ、既に見直しまたは廃止両面から否定されているこの消費税を改めるために国民皆さんの、今自民党が大綱として示している見直しか、私ども野党法案として提出し御可決いただきますならば、参議院において国民の合意として可決されるこの消費税廃止と、どちらを国民皆さんが最終的に御判断をいただくか、総選挙の持つ意味は大変大きいと考えております。    〔理事井上吉夫君退席、委員長着席〕  私どもは、国民皆さんとともに消費税廃止し、国民の信頼と理解の上に新たな税制改革を進めていくためにも、この消費税法廃止の実現のためになお一層決意をして頑張ってまいるつもりでございます。
  70. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 ただいまのは社会党久保議員でございますが、民社党公明党皆さんにおかれましても、一致団結してきょうまで一緒に頑張っていただきました。  最後に、公明、民社、連合の皆さんにも一言ずつ御意見をいただきたいと思います。
  71. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 本当にこの一カ月余りの間、消費税廃止法案法案に対しましての委員各位の御熱心な審議に対しまして心から敬意を表する次第でございます。  いろいろと振り返りまして何かと感想がたくさんあるわけでございますが、一つだけ私はここで正しておきたいことがあります。  それは、実は自民党さんの議員の中で、私どもがモーリス・ローレさんのお話を引いてここで答弁をいたしましたときに、野党の私どもはローレさんの本文は引かないでいわゆる附属のところだけを引いて答弁をしている、本文を引かないとは何事だということでさんざんおしかりを受けました。実は私、その後テープを取り寄せまして、何回もそのテープを聞かせていただきましたし、私がこれから申し上げることをその議員さんがもしおかしいと思いましたならば後ほどテープをお貸しいたしますから聞いていただきたいと私は思っております。  それは何かといいますと、まず主文の点でございますが、これはこういうふうなお話でございました。ローレさんのお話です、日本も消費税の導入によって近代的な税制を採用したことは評価できる、これが主文だと。あとの点はいわゆる附属だとおっしゃいましたが、この主文のところは私が思いますのに、何回も聞いたんですが、これはお世辞です。この人はもともと付加価値税を創設した人でございますから、日本がこの消費税を導入したことに対しまして少しだけお世辞を言っている。そうしてその後は、全部で五項目にわたりまして消費税には構造的に五つの矛盾があるということできちっと矛盾を述べていらっしゃいます。矛盾の一つ一つについてはきょう私は申し上げませんが、最後にまたこの方はこうおっしゃっています。日本人は賢明でそういうことはないと思う、日本の英知に期待したい、こういうふうにおっしゃっておりますが、これはどっちかというと皮肉みたいな感じでございまして、そういう点から思いますと、私はこの消費税の持つ欠点、五つの点からきちっと指摘をしているということだけ申し上げておきたいと思います。  それからさらに、今回の参議院選挙消費税が最大の争点であり、また国民皆さん方廃止を強く望んでおる。このことはもう何回も話がございましたので私からは申し上げませんが、いずれにしましても私ども国民の審判を受けてそしてここまで頑張ってくることができた。そして、本当に議会制民主主義の上からも、私ども提案いたしましたこの九つの法案参議院の一つの院でもとりあえず議決がされるということ自体が、私はこれからの議会政治の中でも大きなインパクトになることは間違いない、こういうふうに心から思っております。本日この九つの法案参議院で議了される運びになりましたことにつきまして私は心から感激をいたしておりますし、どうか速やかに衆議院におきましても審議、議決そして成立されますように心から念願をしているような次第でございます。
  72. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 夏の参議院選挙から半年と経ずして、きょうこのように四会派提案消費税廃止関連九法案の締めくくり総括の御審議をいただき、まことに感無量です。また、本院においてもこのような重要法案議員提案議員同士が質疑応答する過程は、今後の議員立法あり方へ受け継ぐ大きな財産であり、また国会改革に向けて努力する起点も明らかになったというふうに思います。特に私ども連合参議院は、この参議院選挙消費税廃止によって大勝を得た会派でありますので、ここでこうやってこの法案審議していただいていることに対しては心よりうれしく思います。  また、消費税は、女性が税制に本当に興味を持ち、女性によって税制というのを日本全体に訴えたような、そんな選挙でありました。私も女性の一人としてここに参加できたこと、そしてきょうの前畑委員の御立派な御質問に対して、これから国民の声を十分反映できるように頑張っていきたいというふうに思います。ありがとうございました。
  73. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 誤解があってはいけませんので、昨年の税制国会において、私ども民社党消費税法案に反対意思表示を堂々と本会議で行ったということでございます。  今回の自民党のこの消費税見直し案を見たとき――もう時間が来ていますので、税理論を無視しておる、また国民の声もないがしろにした見直し案だというふうに私どもは判断をいたしておりまし、各方面から失望と抗議の声が殺到しているのも当然のことと私どもは感じざるを得ません。そういった意味で、私ども民社党は、公平な税制を確立していこう、そして真に国民から信頼される税制を構築するため、消費税廃止し、税制改革をやり直すことを強く参議院選挙以来主張いたしておるわけでございます。そういたしますことが、二十一世紀を展望したとき、国民から信頼される税制を構築できる唯一の道であるというふうに信じております。
  74. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
  75. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 さきの参議院選挙の最大の争点は、消費税に対し国民はノーという明確な審判を下したのであります。また、この参議院選挙の結果を受け、このように議員提案による法案が本格的に本日まで審議されましたことは、我が国の議会史の上からも、また議会制民主主義の面からも極めて大きな意義がございます。  公明党は、消費税廃止に全力を上げております。野党四党の皆さん一緒になって闘っておるわけでございます。顧みますと、昭和六十一年の衆参同日選挙における当時の総理大臣の大型間接税は導入しないとの公約を踏みにじり、三百議席という数の力で消費税を強行導入したことであります。これはいけないことであります。また、議会制民主主義の上からゆゆしき問題であります。もう一点は、逆進性により消費税が社会的に弱い立場の人や所得の低い人たちの家計を圧迫していることでございます。また、消費税の一部が国庫に入らないという構造的欠陥の消費税は早急に廃止をして国民生活を守らなければなりません。  私は、この消費税の悪法についての前提条件をまず申し上げて質問に移りたいと思います。  御了解をいただいておりますけれども、資料を示すこれは公明党の神戸の婦人局が皆さんに御依頼をして、百世帯が四月から五月、六月、七月、八月、九月、半年で消費税をどれだけ負担しているかという家計でございますが、こういう中で皆さん、七月が一万二百三十八円の消費税がかかっております。これはやはり子供さんがお休みで、いろんな経費がかさんでいることを示しているものでございます。こういうことでございますので、本当にこの消費税については早急に廃止をしなければいけない、こういう問題があるわけでございます。私が今これを読み上げましたことを発議者皆さんよく聞いていただきたいのでございますが、生計を支えているこういうふうな収入額の世帯という方々の七九%が給与所得者の方でございまして、一カ月の平均の収入額は三十五万八千二百八十七円でございます。そして、弱者と言われます年金受給者の方々が一五%、これは十五万八千七百四十九円の一カ月の生計でございます。こういう状態を考えておりますと、本当に国民生活のためにこの消費税廃止しなければいけない、これが私たち公明党の願いでございます。  まず、質問の第一点でございますが、野党四会派の提案は、一つは消費税廃止する、二番目には再改革の基本方針を示す、三番目には再改革が実現するまでの二年間の代替財源を示すという整合性のとれたものでございます。さまざまな角度から自民党皆さんより批判が寄せられましたけれども、私はここで改めて三点について質問をしたいのであります。  第一に、代替財源の一部を自然増収に頼ることは疑問だという主張もございますけれども、私はこれは全くおかしいと思います。代替財源案では平年度ベースで一兆七千億円を自然増収に依存しているが、さきの税制改革において自民党は二兆六千億円の減税超過分については財源措置を講じていない、いわば自然増収に頼ったものだと言わざるを得ないのであります。自然増収に依存するのは疑問という批判についてどうお答えになるのか伺いたいと思います。
  76. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) お答えいたします。  私どもは、現在の景気の見通し、日本のこれからの景気がどういうふうになるかということを見定めるのがまず第一であろうと思います。そういうふうな意味では、私どもが予想いたしました景気の動向、これはいろんなデータがたくさん出ておりますし、また来年度の政府予算の骨格も新聞等でいろいろと報道をされております。そういう点をずっと見てみますと、私どもの予想は全く狂っていなかったし、ぴったり当たっている点が多かった、こういうふうに思っております。したがいまして、代替財源案の一部といたしまして、私どもは平年度ベースで一兆七千億円を充てることにいたしております。  ただいま委員指摘のとおり、さきの税制改革におきましては、政府は減税超過分の二兆六千億円が穴埋めされておりませんでしたし、確かにその点につきましては政府といたしましても自然増収に頼ったものだと私ども指摘をしているとおりでございます。  また、自然増収につきましては、委員も御承知のとおり、一般的には制度改正によらないで経済規模の拡大によって生じた税収増加、これは年度間自然増収と言われております。また、決算における税収が当初予算における見込みを上回る額というのが年度内自然増収、こういうふうに言われております。そんな中にありまして、政府では六十三年度の当初予算では四兆四千四百九十億円、平成元年度におきましては当初予算で六兆二千百九十億円の年度間の自然増収を見込んでおりますし、しかも六十二年、六十三年度の年度内自然増収はそれぞれ五兆六千億円、五兆七千億円にも上がっております。また、初年度につきましては、これに加えまして一兆三千億円を上回る税収が不足するわけでございますが、これにつきましては六十三年度の剰余金の半分の約八千六百六十億円、それから二番目に、平成元年度の補正予算の編成などを踏まえまして、平成二年度の予算編成で十分措置をすることができる、こういうふうに考えているわけでございます。
  77. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 本委員会では、自民党から、四会派は地方財政の安定を強く主張しながらも実際の財源対策ではこれと逆行した対策がとられているなど、さまざまな批判がございました。消費税の創出に当たって、地方間接税を廃止して消費譲与税に吸収することについては、地方自治体から地方財源を奪うものだとして反対も強かったのも事実でございます。四会派は、消費税廃止に伴い、消費譲与税の廃止、地方交付税の対象から消費税を削除するなどの措置をとってきた。一方では、地方個別間接税を復活、国税の不公平税制の是正によって地方財政対策を講じている。この地方財政対策についてわかりやすく説明をしていただきたいのであります。
  78. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 再三この問題についてはここで御答弁してまいったわけでございますが、先ほど井上さんの時間に、国民税協のお話しの際にお聞きしますと、何か意識的になさっておるのではないかと思うんですけれども、誤解があるような感じがしました。そこで、あわせてお答えしておきたいと思います。  国の税制改正を行いますと、これは率直に言って地方財政とはもう密接なつながりがございますから大変大きな影響を受けます。したがって、代替財源提案に当たっても慎重な検討を行ってまいりましたし、今おっしゃったように、地方財政の安定を日指して、そのための財源確保というものについて十分配慮を加えたつもりです。  そこで、お話しのように、消費税廃止になりますと、地方の財源は、その額が消費税廃止による影響額として、五兆九千四百億円ベースで見ますと、平年度で約二兆三千二日八十五億円と見込まれております。この代替財源につきまして、第一に、六十三年十二月の政府税制改革消費税に吸収されましたところの地方間接税、これを次のように復元することにしたわけです。一つは、地方たばこ消費税は、消費税廃止された分を、たばこの値段は現在と変わらないようにしましてたばこ税を調整しました。それから第二に、電気税は税率を三%、ガス税については旧税率と同じように二%としまして、いずれも免税点はそのまま旧法どおりに据え置きました。それから三番目に、料理飲食等消費税免税点現行の特別地方消費税におきまして税率を一〇%としました。それから四番目に、娯楽施設利用税は旧税制のまま復元をしました。  第二に、国税改正による法人住民税等の増税を図ることとなっております。  それから第三に、国税の制度改正による地方交付税の増収を図ることとなっております。具体的には、国税の法人税の改正で、普通法人の基準税率を四〇%のまま据え置くこととしまして、加えて貸倒引当金、賞与引当金の圧縮、さらに受取配当金益金不算入制度の強化などを措置することにしたわけでございます。これによってもなお不足する、こういう分につきましては、税制の適正な見積もりによるところの地方交付税の増額によって総額は十分に確保することにしたわけであります。地方財政に支障は来さないようになっておると考えております。  さらに、平成二年度における地方財政計画におきましては、総額は十分確保されるとともに、税制改革においては、地方税源の拡充及び交付税制度の充実を図ることとしております。今回は消費税廃止という国民期待を最大の制度改正と位置づけましたが、これこそ地方自治の将来展望にとって最も肝要なことではないか、かように考えておるところでございます。
  79. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 四会派は消費税廃止し、税制改革を進めょうとしておられます。そのための協議機関として国民税制改革協議会を設置しております。政府税調のような言うなれば政府の方針をそのまま具体化する機関よりも、法律によって再改革の基本原則、基本方針を示し、これに基づいて再改革の原案を作成する国民税制改革協議会の方がはるかに国民合意の再改革が進められると私は思います。法律上、国家行政組織法の第八条機関であり、提案者発言を控えられているような点が見受けられますが、しかし、基本原則、基本方針に提案者の意図が明記されていると思います。国民税制改革協議会の役割及び政府税調との違いについてわかりやすく説明をしていただきたいのであります。
  80. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) お答えいたします。  今、矢原さんが申されましたように、国民税制改革協議会は、税制改革基本法によって設置されます機関で国家行政組織法第八条の機関となります。さきの税制改革国民の理解を得ていないという判断のもとに、税制改革基本法に再改革の基本原則、基本方針をお示しして、それに基づいて国民合意の税制改革を検討してもらうことになる機関でございます。委員についても五十人とし、各層の代表者によって構成されることとなっております。委員はなお国会の同意を得ることといたしております。政府税調は政令において設置されたものでございまして、これまで政府の方針をそのまま具体化する機関であるとの批判がございました。委員についても国会の同意は必要とされておりません。  私ども国民合意の税制改革を実現するために、国民税制改革協議会を設置しようとするものであります。国民の合意は国会の議決によって定まるのでございますけれども、国会が審議して結論を出してまいりますためには、国民の合意を正しく反映させているかどうかということについて絶えざる努力をしなければならないと思っておりまして、そのために国民税制改革協議会の御論議をいただくことは極めて重要であると考えております。
  81. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 自民党見直し案の内容に対しては、国民の各層から多くの批判の声が上がっております。思い切った見直しへの期待が裏切られた、あるいはこれは第二の公約違反である等々の指摘がなされております。食料品の軽減税率にいたしましても、消費者にすれば百三円のものが百二円になる程度ではないか、こういうふうにいろんな諸問題が浮き上がってきているのであります。  これは笹野さんにお伺いしたいんですが、私も今このデータを示しましたように、本当に働く人とか社会的弱者の方々はこのデータを見ていただきましても消費税廃止していただきたい、こういう叫びでございます。そういう意味でございますので、自民党見直し案並びにこの国民皆さんの血の叫びを代弁して答えていただきたいと思います。
  82. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 矢原先生にお答えいたします。  大変貴重なデータで、四月から九月まで合計して五万四千百四十四円という大変高い消費税が取られていることがこのデータでわかります。  自民党見直し案に対して各方面から失望と疑問、抗議の声が上がっています。この表の状況を見るにつけ、国民が望んでいた見直しの内容とは決して言えないと思います。見直し中心は食料品の小売段階非課税と生産、卸段階での軽減税率ですが、党内で紛糾した議論を足して二で割ったような折衷案で、政策的整合性は全くありません。この結果、消費者にごまかしを、業者には煩雑さを、生産者にはコスト転嫁の難しさを押しつけるだけのものだというふうに思います。  消費者立場を尊重してとは述べていますが、消費者にとっては食料品がせいぜい一%安くなるだけで、他の商品やサービスに対する三%課税は何ら変わっておりません。食料品の小売段階での非課税は必然的に内税となり、本当に値下がりするかどうかの保証はありません。消費税の最大の欠陥である逆進性を緩和するものでは決してないというふうに思います。  今回の見直しに対して小売、流通業界から大きな反発の声が上がっていることが証明するように、レジやソフトの切りかえ等、事務負担が増大することが必至であり、加えて流通段階での消費税が価格に転嫁できるかどうかの不安等、業者にとっても厳しい環境になります。また、農家や漁業者など、食料品生産者にとっても農機具、肥料などの生産コストには三%の消費税がかかります。出荷段階では一・五%の軽減税率の適用となり、包装、輸送での税負担を含め新たな不安を抱えるものとなります。  以上のように、国民経済に新たな混乱と負担を強いるもので、この見直しによって国民のだれも潤わず、食料品非課税といった言葉だけを踊らせる選挙向けのスローガンだと言わざるを得ません。
  83. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 自民党見直し案では、消費税国民福祉財源に使うことを明記するとか、高齢者保健福祉十カ年戦略を推進するとか言っていますけれども、疑問があるわけでございます。  第一に、消費税国民福祉財源に使うといいますけれども平成元年予算の社会保障関係予算は約十兆円、消費税は約六兆円でつじつまが合わないわけでございます。  第二に、高齢者保健福祉十カ年戦略といいますけれども消費税とどう結びついていくのか、こういう問題も国民皆さんの前に明確にしていただきたいのであります。
  84. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 自民党消費税導入の際にも高齢化社会に対する財源として必要だというふうに述べてきたわけでありますし、今回の見直し案でもこの使途の明確化ということで、消費税収のうち国税分については国民福祉に充てるというふうに述べておるわけでございます。しかし、消費税収は一般財源でありまして、特別財源でもないのに福祉目的とするのは中身を変えずに表紙だけを張りかえる不当表示のたぐいじゃないかというふうに思えまして、制度的な保証は何もないわけでございます。  しかも、先生がおっしゃいましたように、現在でも福祉関係予算の総額は十兆円あるというところでありますが、消費税収は約六兆円にすぎないわけでありまして、将来の高齢化社会に消費税だけで対応するとすれば、二十五年後には税率が一五%になるんじゃないかと試算する学者もおられるわけでございます。そういった意味で、福祉目的というイメージの先行は、国民にいたずらにやはり幻想をもたらすだけのものであって、そういう福祉予算の不足を理由とした消費税率アップの口実を与えることになるんじゃないかというふうに大変懸念をいたしております。  また、構造的にも、その逆進性からいいましても、反福祉、弱者いじめの税でありまして、今回の分娩費、障害者用機器、入学金等を非課税とするとしていることも、本来課税の対象とすること自体があってはならないものであるということでありまして、そういった意味では、矛盾の上に矛盾を重ねるやはり継ぎはぎだらけの欠陥消費税を物語っておる問題であるというふうに思っております。
  85. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 日本共産党を代表して質問を行います。  きょう十二月十一日は、日本の政治にとって画期的な意義を持つ日になるであろうと思います。というのは、消費税ノーという国民の審判にこたえて、この日いよいよ消費税廃止法案を可決することが確実となっているからであります。私は、このことを喜びを持って迎えつつ質問に入りたいと思います。  第一の問題は、参議院選挙で示された国民消費税ノーの審判を生かす道は何かという問題であります。この答えは、消費税は、自民党の言うように修正ではなく、廃止しかないということだと思います。  自民党が発表した見直し案なるものを見ますと、これは海部首相の言明に全く反し、大幅見直しどころか、かえって新たな国民負担と大混乱のもとになりかねない、そういうものであります。最大の目玉と宣伝されてきた食料品の扱いも複雑怪奇なものになっただけで、軽減は微々たるものであり、また業者にとっては、また生産者農家にとってはますます面倒な事務負担を強いることになり、国民の間での怒りと批判が広がっております。自民党のこの見直し案を見るにつけても、我我は消費税廃止しなければならないという責任が一層大きくなったと思いますが、発議者はどういうふうにお考えになりますか。
  86. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 吉岡さんの今申されましたことに同感でございます。私どもも、参議院選挙の結果に示された国民意思消費税廃止にあるということをしっかり受けとめて九法案を御審議いただいてまいりました。  また、抜本的に消費税矛盾見直しによって解消することは不可能であると考えてまいりました。今回の自民党見直し案を見せていただきまして、一層その確信を強めております。
  87. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 消費税は、一たん導入すれば必ず税率が上げられるというところに危険な内容を持っております。政府自民党内には、税率は〇%でもいい、導入さえすれば後はどうにでもなる、こういう意見があったことは発議者も御存じだろうと思います。  最近自民党議員が各地で行っている演説会の内容を見ますと、将来は五%、一〇%にしなければ賄えない、こういうことを言っている。あるいはまた、消費税は三%で出発した、しかしこれは未来永劫にそうだというのはうそである、こういうふうな発言を現に講演会で行っているのが現状であります。自民党消費税の存続に執念を燃やし続けている理由、また消費税の危険はここにあると思います。  したがって、我々は消費税廃止するとともに、将来ともどんな名目、名称であれ、消費税、大型間接税の復活を許してはならない、こう我々は思います。発議者考えをお伺いします。
  88. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) お答えいたします。  委員おっしゃるように、この大型間接税につきましては、私ども、御存じのとおり、昭和五十四年に大平内閣におきまして衆参両院におきまして国会決議でそれを導入しないと決議をしているわけでございます。そのほか、御存じのとおり、中曽根内閣の売上税、そして今回の消費税と、いずれも消費税につきましてはノーというサインがきちっと出ていると私ども考えております。  それからもう一つの問題点といたしまして、私もこれは心配していることでございますが、確かにイギリスや西ドイツやフランスのいわゆる付加価値税の税率がアップした様子を見てみますと、私どもが一番心配する点でございますが、自民党さんが特にこの消費税のかけらを残そうとしている根幹はここにあると私は思っておるわけでありますが、要するにそれぞれのヨーロッパの国々が税率をアップするときに、所得税の減税とリンクしてこの税率を上げているというところがあります。この点につきましては、やはりこれからのいろんなところで出てくるんじゃないかと思って私ども心配しているわけでございまして、そういうふうな意味でも、やはり消費税につきましては、名目であらうと何であろうと、どんな形であろうとその形を残してはいけない、そういうふうに私ども考えております。
  89. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 消費税廃止しなければならない、将来とも復活を許してはならない、この点で発議者と我々との間に一致点がある、そしてこの一致点は非常に重要な一致点だというふうに確認して、次の質問に入ります。  次の問題は、そもそも自民党消費税を導入した目的は何かという問題です。  私どもはこれまで、例えば竹下元総理の言明、その他日氏党の首脳の言明によっても、その最大の目的はアメリカの強い要求に基づく軍事費、またアメリカの世界戦略に基づく政府開発援助の財源をつくるところにあるということを言い続けてきました。発議者消費税導入の目的についてはどのようにお考えになりますか。
  90. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 政府自民党消費税の導入に当たり、高齢化社会に対応した税制の確立が不可欠であることを特に強調したというふうに私どもは受けとめております。  そこで、もし福祉財源として消費税を言うのであれば、具体的にやはり福祉ビジョンを国民に提示し、国民の合意を得るべきであるというふうに思うわけでございます。確かに政府は昨年三月「二十一世紀初頭における高齢化状況等及び社会保障の給付と負担の展望」と題したビジョンを示しましたし、また十月でしたか、「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」を国会に提出いたしております。しかし、その内客たるや極めて不十分なものでございまして、国民の合意を得たものとは言いがたいものであります。政府は、高齢化社会の到来を消費税導入の大義名分としながら、高齢化社会の進展に伴う福祉支出の増額と消費税による税収の関係をいまだに明示していません。したがいまして、現行消費税は高齢化社会に対応したものとは到底言えるものではないというふうに思いまして、消費税導入のための名目として高齢化社会を掲げていると断ぜざるを得ないというふうに思うわけでございます。そのためにも消費税廃止し、税制改革をやり直すべきであるというふうに私ども考えております。
  91. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は消費税の目的は軍事費だ、その財源づくりだと言いましたが、その点についての言及はありませんでした。  今の消費税だけでなく、そもそも間接税、大型間接税というのは、戦争、軍拡と歴史的にも結びついている。第一次世界大戦はヨーロッパに大型間接税を見出した。戦前の日本での物品税を初めとする一連の間接税は戦争、軍拡と結びついて導入されてきました。  先日、当委員会で、ローマの滅亡、これは過酷な税金にあったと、二千年前のローマの消費税のお話がありました。私はそのお話に一言つけ加えますと、ギボンの書いた「ローマ帝国衰亡史」によっても、二千年前にローマで導入した消費税の使途は軍隊の維持費であったと、そういうふうに書かれております。私は提案者にこの問題を今後真剣に考えていただきたいと思います。  次に、消費税廃止するために必要な法案、これは私ども消費税廃止法案、これだけでいいというふうに主張し続けてきました。発議者は今も九法案全部が消費税廃止に必要だとお考えになりますか。
  92. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 法制上の消費税法廃止するためには三法案で十分でありますが、消費税廃止するためには私どもは九法案を必要と思って提案いたしております。
  93. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 消費税廃止そのもののためには消費税廃止関連三法案だけでいいというお話がありました。しかし、今言われた理由で、発議者はそれ以外の税制改革基本法代替財源法案を提出されました。  先ほど、共産党のわな云々という自民党議員発言がありましたので私は一言それについても触れておきたいと思いますけれども、新聞報道によれば、自民党自身が我々のわなにはまってきたと、こういう発言をなさっております。これは新聞にも大きな見出しで出ております。私どもはこの二つの関係法案税制改革基本法代替財源法案については意見を異にします。しかし、我々は意見を異にしますが、先ほど確認したように、消費税廃止しなければならない、そして将来とも大型間接税を復活してはならないという重要な一致点があることを重視し、そしてこの一致点を守り抜き、国民世論をさらに広げて消費税を確実に廃止する道を切り開くために、社会党の要請もあり、この採決に当たっては採決に加わらないという態度を表明しております。  我々は、国民とともに消費税廃止の世論を一層広げ、そして総選挙でも確実に消費税廃止勢力が多数を占め、そして消費税廃止が実現されるように全力を挙げて奮闘したいということを表明して、私の質問を終わります。(拍手)
  94. 古川太三郎

    古川太三郎君 連合参議院を代表し、総括質問に入りたいと思います。  我が国のこれまでの政策は、企業の産業基盤整備に重点を置き過ぎ、国民生活基盤整備については非常におくれてきました。我が国は、先進工業国への仲間入りを急ぐ余り、これまで一貫して産業保護、生産者優先の政策をとってまいりました。生産者の側には政治家もつき、行政の対応も十二分に行われてきました。反面、消費者はそのパイプも持たず、消費税の実施に当たっても負担をする肝心かなめの消費者の意向を全く無視する形で行われたのが実情でございます。  現在、我が国は世界に誇れる企業を数多くまで持つほどになりました。しかし、それは消費者を踏み台にして築き上げれらてきたものではないでしょうか。このことは一昨日、十二月九日の日経新聞での「日本の物価」と題した記事の中でいみじくも指摘されていることであります。また同じ紙面で、日本企業の一物二価戦略、つまり、同じ製品が国内では高く海外では安いという状態が内外からも批判されていることが述べられております。  まさに、今ある貿易摩擦は、日本の消費者を踏み台にして引き起こされているのであります。日本の企業は、販売系列化の手段として、独禁法にも触れるような価格維持の目的でリベートで流通形態を系列化したり、商慣習と称して返品による価格維持を行ったり、小売業者がメーカーに特定の卸売業者を要求したり、さらにメーカーが資本参加による役員派遣をし、継続的、固定的取引関係を維持しながら価格を支配する、こういったことが日米構造協議の場でも問題になっているのでございます。これは単に貿易摩擦の問題としてだけではなく、日本の物価問題として、消費者立場に立つならば、重要な意味を持つものと言わなければなりません。  また、日本企業のカルテル体質でも、先日も大きな問題となりました建設業界の談合問題、アメリカから恫喝されてすぐに四十億、五十億で和解するという企業体質、株式手数料の自由化の問題、先般最高裁判決がありました主婦たちの灯油裁判と言われる鶴岡灯油訴訟、これらの問題は、企業が受ける利益は膨大でありますけれども消費者の利益は全く無視されていると考えなければなりません。  我が国の消費者がこのような状態にあるにもかかわらず、最近消費税見直しをした同じ自民党税調では、輸入促進税制が検討されております。これは商社や輸入代理店だけを優遇し、そのメリットは消費者には届かないものであり、大蔵省自身も反対しております。このことは、利益は企業だけが取り込んで物価が下がらなかった円高差益の還元が一体だれのためにあったのかを考えれば、答えは明白であります。  今、日本が見直すべきは、産業優先のコストを消費者が知らず知らずのうちに支払わされているという社会システムそのものであります。声なき大衆と言われた消費者消費税についてこれほどまでに反対の声を上げるのは、今申し上げました深い理由があると言えましょう。今こそ消費者の視点に立った政策を必要とするときと考えますけれども提案者の所見を伺いたいと思います。
  95. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 古川委員お答えいたします。  委員がお指摘のとおり、多くの国民はたとえ理屈でなくとも肌ではしっかりとこの消費税反対というものを感じております。それがさきの参議院選挙での怒りの一票にあらわれたのであると思います。私たちは、その良識ある国民の声を反映させなければなりません。  消費税導入は、消費者の視点で考えるという基本的な部分が全く欠落していたと申さねばなりません。不公平税制を一つでも是正していかなければならないときに当たって、なおさらのことだというふうに考えております。
  96. 古川太三郎

    古川太三郎君 先日、当委員会で山岡賢次委員が、私が本会議で討論した内容について少々触れられました。誤解のないよう企業間受取配当益金についての不算入制度についてお答え申し上げます。  山岡委員のお説では、企業の配当収入に対する課税は二重課税で本来課税されるべきものではない、国が金を欲しいと言うから一部課税消費税導入の際に認めたものだということでありましたが、私はこのような考え方がいまだにまかり通っていることがそら恐ろしい気がいたしました。時代錯誤も甚だしいと言わなければなりません。  企業の受取配当金は、企業会計では益金であります。ただ、税務会計上、政策的にこれまでは益金としてこなかったという事実だけでございます。益金と認められた以上、一〇〇%課税するのが理の当然ではないでしょうか。それを一〇%にするか、二〇%だけを益金として仮定しそれに課税するかは、企業寄りの政策をするか否かの点だけでございます。二重課税論を持ち出すのは五十年も前の理論でしかありません。法人を実在と見る限りこれは成り立たない議論だと思います。  議題を変えて、次に、自民党消費税見直し案についてお伺いします。  広く薄くということで実施された消費税は、水平的公平という意味では、理論としてはそれなりに一貫性がありました。しかし、今度の食料品についての見直しは、逆進性の緩和に名をかりた選挙対策と言われても仕方がありません。私は今、水鳥の羽ばたく音で源氏の大軍が押し寄せてきたと錯覚し、平家軍が総退却したあの歴史に残る富士川の戦いを思い出します。今の自民党の姿は当時の平家の軍勢そのものであります。消費者の影を恐れる余り、やらずもがなのことをしてしまったように思われてなりません。そのため、中立、簡素という税の理念を忘れた相変わらずの利害調整の政治しかできない、政治哲学を持たない、まさに理念なき政治と言われるほどに成り下がってしまったとしか言いようがありません。税を複雑にしただけで、その効果もなく、国民期待を全く裏切ったと言えましょうo  消費者消費税に対する不満の一つは、生活必需品、特に食料品も税金がかかるということです。いま一つは、払った税金が国庫に納まらない。この二つの問題にかかわることとして、生産者、事業者側から見た場合、特に零細業者の不満が大きいのではないでしょうか。なぜなら、このたびの見直しによって、小売段階だけの非課税化は、零細業者にとって税の転嫁が非常に難しいことになりました。非課税になった小売業者がコストを消費者に転嫁できない場合、生産者にまでそのしわ寄せが及ぶ懸念があります。  この関係で、特に生産者である農家の問題を取り上げなければなりません。  農家は免税業者が非常に多いため、課税業者を選択し、還付請求しないと負担増になるケースがかなり出てきます。農家の平均的な経費率は六割なんです。農薬、肥料、農機具、こん包、運送費等にかかってくる三%の消費税額が農産物、つまり食料品の売上高に上乗せできる一・五%分を上回ってしまい、免税農家にとってはこの分が明らかに減収になります。畜産農家などは、平均経費率が八割にもなるため、より深刻な問題と言わなければなりません。  現行制度だと、還付を受けるためには売り上げなど仕入れを帳簿につけ、細かい計算をしなければなりません。米、野菜、畜産、花の栽培等を一緒にしている複合経営者である場合、さらに細かい品目の分類などが必要になってきます。米や野菜は食料品だから一・五%の税率で、また、花は食料品でないから三%のままであります。このような場合、帳簿にふなれな農家にとってはますます納税事務が複雑になり、営農規模拡大や生産品目多様化の意欲を失うことになり、中核農家育成という農政の基本方向に反する結果になりはしないでしょうか。  私は福井県を選挙区とする者でありますが、福井県は、大半の農家が兼業で、農業外所得の方がはるかに大きいのであります。全国平均で見れば、農家総所得に占める農業所得の割合は一三%にすぎないという統計があります。  お尋ねしますが、こうした農家の状況の中で、提案者は、見直しをした食料品についてどのような効果が生産者である農家と消費者に及ぼされるか、お答えいただきたいと思います。
  97. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 太田君、答弁を簡潔に願います。
  98. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) 委員長の許可をいただきましたので、御答弁させていただきます。  一つは、消費者立場からですが、やはり見直しにつきましていろいろと検討していますと、食料品価格が下がるという保証はどこにもないということは言えると思います。  また、農家と見直しの案についての御質問につきましては、確かに、農家にとりましても、新しいビジョンを形成していくことに真剣になっている方々、この環境の厳しい中で一生懸命頑張っている方々にとりましては、ますます煩雑な事務を押しつけられることになり得るわけでございますので、農家の方々の勤労意欲にも問題があろうかと、このように考えております。  以上です。
  99. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 民社党・スポーツ・国民連合を代表して総括質疑を行うに当たり、二つの点について意見をお伺いしたいと思います。  去る十二月八日の本委員会における質疑の中で、勝木発議者から我が国経済における企業の役割について言及され、日本の経済が自由世界第二位の経済力を実現した理由として幾つか挙げられ、つまり自由主義体制のもとで良好な労使関係を築き、労使一体となって企業発展のために努力をしたこと、あるいはオイルショック後の企業の柔軟な対応によりいち早く合理化、省エネ、産業構造の転換を進め、インフレを克服し持続的な成長の基礎を築いたこと、そして背景に国民の勤勉さや努力があったということを指摘されました。経済における企業の役割に関しては私も全く同感でございますが、答弁を聞きながら同時に私は、日本が第二次世界大戦後の廃墟の中から奇跡とも言える復興をなし遂げてきたその秘密として、かつてOECDが終身雇用制、年功序列型の賃金、企業内組合がいろんな問題を含みながらも全体として労使関係の安定をもたらし、それが日本経済の成長に寄与しているということを指摘したレポートの内容を思い出していたわけであります。  ところで、その経済を支えまた成長の原動力になったサラリーマンは、今日果たしてその努力に見合う正当な報われ方がされているでありましょうか。私はこの点を問題にしたいのであります。日本がこれからも繁栄をしていく上で、これは大事な問題だと思います。これからも四千三百万サラリーマンが暮らしに豊かさやゆとりを感じ、また将来に夢や希望を持つということは、社会の活力を維持する上でも極めて重要な問題であると思います。  昨年の暮れでございますが、「八九年の生活大予言」というテレビ番組がございました。その中で、ある大手の広告代理店がどんなライフスタイルになるかということに触れまして、「私・大航海時代」とか「ゆらぎ」というキーワードで予測を発表しておりました。これを私なりに解釈いたしますと、これまでの一丸となって働くというやり方を改め自分らしいライフスタイルを確立しなければいけない、そういうことを求める動きが広がっているということではなかろうかということであり、また裏返して言えば、大変これから先のことに不安を感じているということではなかろうかと思ったわけであります。  その背景にあるものは何か。一口で言えば、成長の神話の崩壊ということではないかと思います。三十年間こつこつ働いた、でも家一軒持てない、あるいは経済がこれだけ発展したといっても生活にその実感が持ち込めない、やっとこれから少しは楽ができるのかなというような時期になってもまだまだ出向だとか配置転換だとか分社化の中で身分が不安定であり、終身雇用制もどんどん変わってきている、年功序列型賃金も崩れていくようである、不労所得に軽く勤労所得に重い税制に釈然としない、老後も不安だ、一言で言えばこんなはずじゃなかったという思いではなかろうかと思います。日本の高度成長を支えてきたサラリーマンは、既に五十代にかかろうとしているわけであります。これから日本がさらに繁栄していくためには、こうした人たちにきちんと報いるということが何よりも大事なことだと私は思います。  こういう先輩の姿を見ながら、後輩は後輩で、さてどういうふうに自分のライフスタイルをつくるのか、そういったことを模索しているのが昨今ではなかろうかと思います。要は不安とか不満とかそういったものがうっせきしているわけであり、もはや放置できないということではないかと思います。もちろん、こうした問題というのは恐らく結局のところ個人に帰着する問題だとは思いますけれども、だからといって政治が手をこまねいていていい問題ではないと思うわけであります。大事なことは、努力をすればきちんと報われる、そういうシステムが社会にあることだと思います。  その意味で、私は、土地、住宅対策、内外価格差の解消、大幅な所得税減税の実施、労働時間短縮のための環境づくり、福祉ビジョンの確立、公正な税制の実現というのが政治の緊急課題であると思います。こうした観点から、私は、十一月の十七日にも不公平税制の是正について見解を求めたわけでありますけれども、大事な問題でありますので再び、給与所得者が言う不公平税制をどうとらえられているのか、また今回の二年間の暫定財源の中でどう生かされているのか、残された問題があればそれをどう解決していったらいいのか、その点について見解を求めたいと思います。
  100. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私も寺崎議員と同じようにサラリーマンの代表でもありますから、よくわかるような気がします。一生懸命に頑張ってまいりたいというふうに思っておるところであります。  さて、不公平税制特にサラリーマンの不公平税制の問題について御質問をいただいたわけでありますが、戦後我が国の税制はシャウプ勧告を出発点にしてきたわけでございます。包括的な課税ベースに基づく総合課税主義を柱として、何よりも公平という原則を重視して、また経済的な中立を追求しよう、シャウプ勧告はそういうものであるというふうに私も伺っておるわけでございます。しかし、その後のたび重なる改正は、資産課税を骨抜きにし租税特別措置を創設するなど公平を犠牲にしてきたというふうに思いますし、またシャウプ勧告で求められました執行面での公平の確保という点でも後退が見られたわけでございます。これは言ってみれば、政権政党であります自民党が資産課税をないがしろにしてきておる、また総合課税体制を骨抜きにしてきておる、また政治的圧力によって税体系をゆがめてきたッヶが今日の私ども国民に回ってきたのではないか、そう考えておるわけでございます。寺崎議員指摘のように、とりわけサラリーマンの税に対する重税感、不満感が高まっておりまして、今後不公平税制の是正を進めていく上で給与所得者に対して十分配慮をしていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。  サラリーマンが税に対して不満を抱くのは、制度面、執行面、両面におきまして現行税制に大きなひずみ、ゆがみがあるからだというふうに私も考えます。サラリーマンは原則として必要経費が認められておりませんし、したがいまして給与所得者のための実効ある必要経費申告制度をつくっていかなければならないというふうに考えております。また、いわゆるクロヨンという言葉に象徴されますように、サラリーマンの所得だけがガラス張りで完全に把握されているという不満もあります。したがいまして、納税環境の整備、これを進めるなど執行面における公平というものを期していく必要があるというふうに考えております。  私どもは、税制改革基本法案におきまして、総合課税体制を確立するとともに納税環境を整備していこうということをうたっております。国民特に勤労者の不満を解消することに重点を置きつつ、不公平税制を徹底的に洗い直していくべきだというふうに考えております。いずれにいたしましても、税制は社会を築く重要な骨組みでありまして、公平な税体系をつくることが将来の国民に真に潤いとゆとりのある生活を享受せしめるための最大の課題であるというふうに主張したいのでございます。今日、国民の税に対する関心は飛躍的に高まっているというふうに私も思います。私ども提案している九法案成立しますことが、我が国税制史上、また経済、国民生活史上にも輝かしい第一歩となるであろう、そういうふうに思いを抱いておるわけでございます。
  101. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 時間がなくなりましたので、意見だけ申し上げたいと思います。それは、消費税見直し案についてでございます。  今回自民党の出された消費税見直し案というのは、とりわけ消費者意見を聞いてというふれ込みでありましたので、私は消費者が問題にしている制度上の問題についても一歩踏み込んだ分析なり検討なり見直しなりが行われるのであろうということを期待していたわけでありますけれども、残念ながらというか、それは予想を全く裏切るものでありました。この際、消費税が存続するということを仮定に置いたとしても、問題が残っていると思います。例えば帳簿方式の問題あるいは取引高における簡易税制の問題にもメスが入っていない、みなし税率を政令事項にしたことでいいのだろうか、あるいは限界控除制度についても放置しているというような問題が感じられるわけであります。百歩譲って、簡易課税の中に例えば事業者の配分等を含ませるとしても、それはそれで正当性だとか正当な金額だとかそういったものが証明されなければなりませんし、またそうしたことを消費者に理解してもらう努力がなされなければならないと思うんですが、そういったこともございません。  この点についてはまた改めて質問させていただくとしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
  102. 下村泰

    下村泰君 発議者皆さん、長い間本当に御苦労さんでした。もうしばらくでございますから。  私は、消費税廃止法案に賛同者として名を連ねました。その理由は、現行消費税が障害者の働く意欲をそぐ、奪うなど余りにも欠陥が多過ぎること、そして導入時にとられました強行手段、ちょうど私どもの喜屋武眞榮さんの質問最中に質疑が打ち切られました。そういうことも理由の一つでございます。  しかし、私の立場から申しますと、障害者や児童、高齢者問題と極めて密接な関係にある将来の福祉社会への対応を税制改革の大きな目的、理由に挙げながら、税制論議の前にまず示すべき福祉ビジョン、これは昨年の十月二十五日ですか、極めて抽象的なものでしかなかった。それで、税制改革をほとんど見えないものにしてしまったんですね。それでもなお導入されたことが、国民に対してきちんと説明するという責任が果たせないと考えたからでございます。  そこで、さきの自民党見直しの中で、高齢者保健福祉推進十カ年戦略というものが打ち出されました。それに対し政府も検討に入ったと伺っておりますが、その内容とスケジュールについて、厚生省並びに大蔵省の方から御説明を願いたいと思います。
  103. 寺村信行

    政府委員(寺村信行君) 高齢者保健福祉推進十カ年戦略は、消費税見直しに関連いたしまして、与党から政府に対して検討するよう要請があったものでございます。政府としても適切に対応すべき課題であると認識をいたしておりまして、現在関係省庁間で鋭意検討を進めているところでございます。  その具体的内容につきましては確たることを申し上げる段階にはございませんが、高齢者の寝たきり状態を防止するための保健福祉対策、それからホームヘルパー、ショートステイ、デイサービスの在宅三本柱など在宅福祉対策の一層の充実、それから特別養護老人ホームとか老人保健施設など高齢者のための施設の緊急整備、在宅福祉等の充実のための基金の恒久化、総合的な長寿科学研究の推進などでございまして、与党からの要請の趣旨に従いまして関係省庁間で協議検討の上、今後の予算編成の過程で具体案を取りまとめるようにいたしたいと考えております。
  104. 下村泰

    下村泰君 大蔵省の方からも、大蔵省首脳が六日夕刻自民党税制調査会で消費税見直しに伴う高齢者福祉対策の事業費として五兆円を充てる十カ年計画の策定を盛り込んだということが発表されておりますけれども、大蔵大臣の方に何かお考えがございましたらひとつお聞かせ願いたいと思います。
  105. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員から御指摘がありましたように、政務調査会長から官房長官に対し、消費税見直しに関連し、歳出面における別紙の事項について政府において検討を行うよう要請するという申し入れがあったということでありました。そして、それは今政府委員から御答弁を申し上げた内容でございます。  これに対し、官房長官の方から直ちに自治大臣、厚生大臣と私に対して御指示がございまして、検討を命ぜられました。これはまさに高齢者対策という視点にポイントを置かれてのお申し入れであります。  無論これについて我々は全力を尽くすわけでありますが、福祉の社会はそれで終了というわけではございません。ですから、例えば各種の障害に苦しまれる方々への対策といったようなものは、このお申し入れの趣旨とは別に政府として予算編成の中において十分検討していかなければならない課題であると、そのような受けとめをいたしております。
  106. 下村泰

    下村泰君 発議者の方に伺いますが、先ほど申し上げましたように、私は税制改革を煮詰める前に使い道としての福祉ビジョンを示すべきだと思いますが、その辺の段取り、手順、スケジュールはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  107. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 高齢化社会を迎えるに当たりまして、給付と負担の割合がどういうふうにあるべきかということは大変重大な問題であると考えております。  私どもといたしましては、税制改革基本法の中で第三条の二項でその点をうたい込んでいるわけでございますが、いずれにいたしましても、先ほど委員の方からお話しございましたように、政府のいわゆる現在の高齢化状況とか、あるいは六十三年の三月十日に発表された案、並びに六十三年の十月二十五日に長寿・福祉社会を実現するための方策というのが発表されておりますけれども、これ自体は国民期待にこたえるものであるとかあるいは中身がきちっとしたものであるというようには考えておりませんので、私どもといたしましては、いずれにしましても給付と負担の割合を整合性のある企画をきちっと立てないといけない、その手順がどうしても大事である。考え方といたしましては、私どもの党といたしましても随分長い間この問題に取り組んでまいりましたので、詳細はもう時間がございませんので申し上げませんが、いずれにしましても御意図に沿うように頑張っていかなければならないと考えております。
  108. 下村泰

    下村泰君 はい、ありがとうございました。(拍手)
  109. 野末陳平

    ○野末陳平君 この国会で年金法の改正案が成立すると思いますが、そうなった場合に年金受給者の皆さんに対して幾らぐらいの増額があるのか。すなわち改正による差額ですね、この差額が何カ月分そしていつごろ支払われるかというのが一番年金受給者の皆さんの気になるところですけれども、それをまず政府に聞きます。平均どのくらいの金額になるか。平均でわかりにくければもう少し詳しく、国民年金の場合は幾らで厚生年金の場合はどうなるかというモデル年金のケースで、ひとつ金額的にはっきりと示してほしいと思います。
  110. 土井豊

    政府委員(土井豊君) 私どもは、今国会におきまして法案成立した場合の支給につきましては、来年二月の定時払いの際に差額を含めて新年金額を支払うべく準備をいたしております。  具体的な支給金額でございますけれども、幾つかの例を挙げて御説明申し上げますと、老齢福祉年金、これにつきましては新年金額が二万八千四百円でございまして、差額が月額九百円アップという内容でございますが、四月から十一月までの八カ月分七千二百円をお支払いする。それから、同じく五年年金でございますけれども……
  111. 野末陳平

    ○野末陳平君 時間がないから。
  112. 土井豊

    政府委員(土井豊君) わかりました。  二月の支払い額は六万五千八百円という金額でございまして、そのうち差額は八カ月分八千四百円含まれている。それから国民年金の平均的な場合でございますが、三万円程度のケースで計算をいたしますと、新年金額は三万一千円、月額の差額が約千円でございまして、二月の支払い額は約七万一千円程度でございます。厚生年金でございますが、十三万五千円程度の平均のケースで申し上げますと、合計四十五万五千円程度をお支払いする。そのうち差額は七カ月分で三万五千円、新年金額は三カ月分で四十二万、そのように推計をいたしております。
  113. 野末陳平

    ○野末陳平君 これは与野党の協力のたまものでありますから、しかし年金がこういうふうにアップしてきますと、一方でまた所得税や住民税の心配をする人も出てくるわけです。やはり来年はこういう年金生活者への減税というものを充実しなくてはいけない、これは当然なわけですね。  そこで、この年金減税は消費税の逆進性の緩和にもややプラスだとは思いますが、大蔵大臣にお聞きしたいのは、そうした減税によって年金者の所得税が幾ら安くなるのかということを金額的に、特に六十から六十五までの二百万円から二百五十万円ぐらいの普通の年金者を中心お答えいただきたいと思います。
  114. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員が御承知のように、六十五歳以上の夫婦世帯で課税最低限は現在三百一万八千円に、また六十五歳末満の夫婦世帯で百九十万九千円に、それぞれ年金の方々に対する控除が設定されております。仮にこれを今回自由民主党の基本方針に盛られたような改正をいたしましたとすると、六十五歳以上の夫婦世帯の場合には、例えば年収四百万円とした場合に一万四千百円の軽減額となります。そして、六十五歳未満の夫婦世帯の場合には年収四百万円で七千五十円の軽減額となります。今提案されております年金所得者の所得税課税最低限は、現行の三百一万八千円を六十五歳以上の夫婦世帯におきましては三百二十一万八千円に、六十五歳末満の夫婦世帯では現行の百九十万九千円を二百万九千円に引き上げられるというふうにしておられるところであります。
  115. 野末陳平

    ○野末陳平君 消費税廃止は確かに民意のかなりの部分である、そういうふうに思いますけれども、かといって消費税の中だけで議論をしていくといっても限界がありますから、当然私は税制全体の中での改正、それから消費税の弱点をカバーするための歳出のいろいろな配慮、これも当然必要である、そういうことを考えながら大蔵大臣に重ねて要望しておきますが、年金生活者の減税というのをやはりさらに充実していかなきゃならない。もちろん減税はサラリーマン全体にも及ぶ問題でありますから、来年以後は所得税減税の検討というのはもっと前進さしていただかないとこれは国民の納得を得られない、そう思いますので、最後にこの点についての大臣の所見を伺って、やめましょう。
  116. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 今申し上げましたように、今回自由民主党消費税見直しに関する基本方針の中に、年金生活者の方々に対する控除の拡大を主張されておりますことをよく承知いたしておりますし、私どももこうした声に十分耳を傾けてまいりたいと考えております。  ただ問題は、一般のサラリーマンの所得税課税最低限、これは夫婦世帯の場合に現行百九十二万八千円でありますから、今度の自民党から提起をされました数字というもの、例えば六十五歳以上の場合に現行の三百一万八千円から三百二十一万八千円にという引き上げの御案というものは、その意味ではバランスを失しないぎりぎりのものではなかろうかと私は考えておるところでありまして、これから先も注意して見守ってまいりたい、そのように思います。
  117. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 以上をもちまして九案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 御異議ないと認めます。よって、質疑は終局いたしました。  及川一夫君から修正について発言を求められておりますので、この際、これを許します。及川君。
  119. 及川一夫

    ○及川一夫君 私は、消費税法廃止する法律案外五案に対し、日本社会党・護憲共同、公明党国民会議、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合を代表し、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されておりますので、御参照願いたいと存じます。  これよりその趣旨について順次説明を申し上げます。  まず、消費税法廃止する法律案に対する修正案について申し上げます。  普通乗用自動車に対する特例税率に関し、附則第十条第一項及び第十四条第一項の規定について整備を行うことといたしております。  次に、消費譲与税法廃止する法律案に対する修正案について申し上げます。  附則第二条第一項中「平成元年度及び平成二年度の」とあるのを削り、規定の整備を行うとともに、附則第六条第二項中「平成二年度分の」とあるのを「附則第二条第一項の規定によりなおその効力を有することとされる旧法の規定により消費譲与税が譲与されることとなる年度分の」と改めることといたしております。  次に、地方交付税法の一部を改正する法律案に対する修正案について申し上げます。  附則第二条及び第四条中「平成元年度及び平成二年度における」とあるのを削除することといたしております。  次に、税制改革基本法案に対する修正案について申し上げます。  第八条第一項中の国民税制改革協議会の報告については、内閣総理大臣のみに対して行うこととし、同第八条第二項につきまして、「内閣及び国会」とあるのを「内閣総理大臣」に改め、「速やかに所要の措置を講ずるものとする。」とあるのを「これを尊重しなければならない。」と改め、さらに附則第四項を追加し、臨時脳死及び臓器移植調査会設置法の規定の整備を行うことといたしております。  次に、法人税法等の一部を改正する法律案に対する修正案について申し上げます。  相続税法の改正規定の施行期日及び経過措置の適用区分に係る期日を平成三年一月一日に改めることといたしております。  次に、物品税法案に対する修正案について申し上げます。  第一に、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律第八十五条第一項に物品税を加えることといたしております。  また第二に、軽自動車の範囲について、別表における課税物品表のうち、第二種の物品第七号中「三二〇センチメートル」、「五五〇立方センチメートル」とあるのを「三三〇センチメートル」、「六六〇立方センチメートル」とそれぞれ改めることといたしております。  以上が修正案の概要でございますが、何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。  終わります。
  120. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 先ほど質疑を終局いたしました九案中、消費税法廃止する法律案及び税制改革基本法案並びにただいま及川君から提出されました修正案中、消費譲与税法廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案法人税法等の一部を改正する法律案及び物品税法案に対する修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から意見を聴取いたします。橋本大蔵大臣。
  121. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 最初に、消費税法廃止する法律案について申し上げます。  消費税は、先般の税制改革の一環として、個別間接税にのみ依存しておりました従来の間接税制度が直面しておりました諸問題を解決し、所得課税の大幅な軽減などと相まって、所得、消費、資産などの間で均衡がとれた税体系を構築するとともに、高齢化社会に対応し得る安定的な歳入構造の確立に資するため創設されたものであります。  政府としては、この消費税の導入により、税体系全体を通ずる税負担の公平及び産業、経済に対する中立性が確保されるものと考えております。また、将来を展望した望ましい税制あり方についての具体的な見通しもないままに、現に現行税制の一環として実施され、既に価格体系の一要素として経済取引に溶け込んでおります消費税廃止することは、社会、経済に対して大きな混乱を招くほか、いたずらに事業者などに種々の事務的な負担と多大な支出を強いることになりかねません。  さらに、平年度約六兆円の税収のある消費税廃止され、適切な財源の手当ても行われないということは、税体系上も、健全な財政運営を確保する観点からも極めて大きな問題であります。  また、消費税廃止に伴い消費譲与税が廃止され、地方交付税の対象税目から消費税が除かれることとなり、地方公共団体の健全な財政運営を確保する観点からも極めて大きな問題であります。  したがいまして、本法律案につきましては政府としては反対であります。  次に、税制改革基本法案について申し上げます。  先般の税制改革は、経済の中に円滑に織り込まれてきており、国民の理解も高まりつつあると考えております。むしろ、御提案のように、本年四月に創設されたばかりの消費税廃止し、二年間の暫定税制を経て二年後に新税制に移るという、三年間で三度にわたる制度の抜本的改正を行うことは、経済、社会に大きな混乱を引き起こすおそれがあります。  また、国民税制改革協議会につきましては、既に内閣総理大臣の諮問に応じて租税制度に関する基本的事項を調査審議する機関として税制調査会が設置されておりますので、屋上屋を重ねることとなり、租税政策立案の一貫性を確保することが困難となります。  したがいまして、本法律案につきましては政府としては反対であります。  次に、法人税法等の一部を改正する法律案に対する修正案について申し述べます。  政府としては、原案に対して反対であります。したがいまして、本修正案に係る部分にのみ意見を申し述べることは適切でないと思料されます。  次に、物品税法案に対する修正案について申し上げます。  政府としては、原案に対して反対であります。したがいまして、本修正案に係る部分にのみ意見を申し述べることは適切でないと思料されます。
  122. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 渡部自治大臣。
  123. 渡部恒三

    ○国務大臣(渡部恒三君) 初めに、消費譲与税法廃止する法律案に対する修正案について申し上げます。  政府としては、原案に対して反対であります。したがって、本修正案に係る部分にのみ意見を申し述べることは適切でないと考えます。  次に、地方交付税法の一部を改正する法律案に対する修正案について申し上げます。  政府としては、原案に対して反対であります。したがいまして、本修正案に係る部分にのみ意見を申し述べることは適切でないと考えております。
  124. 中村太郎

    委員長中村太郎君) それでは、これより九案並びに六修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  125. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 私は、自民民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました消費税法廃止する法律案外八法律案について、修正案及び修正部分を除く原案に対し、反対の討論を行います。  私は、先般行われました自民党政府による税制の根本改革は、急速に到来しつつある高齢化社会を展望し、所得、消費、資産等の間で均衡のとれた税体系を構築することにより、すべての人々が社会共通の費用を分かち合うとともに、税負担が給与所得に偏っていたこと等から来る国民の重税感、不公平感を解消することを目的とするものであり、我が国の現在及び将来にとって必要不可欠なものと考えます。野党四会派がこの抜本改革を広く国民の理解と信頼を得た上で行われたものと言いがたいと決めつけて、これを否定しようとして提案した本九法案には強く反対するものであります。  以下、その反対の理由を申し述べます。  まず第一に、税制改革基本法案では二年後に税制改革を行うとしておりますが、その趣旨や理念は抽象的かつ内容に乏しい言葉の羅列にすぎず、再改革の具体的な内容が一向に明らかにされておりません。特に、サービス、流通等に対する適正な課税、納税者番号制度の導入、土地税制見直しなど、これらを具体化すれば国民生活に多大の影響を与えることが必至であるにもかかわらず、すべて国民税制改革協議会において検討するとして先送りし、しかも協議会の設置、運営方法や審議のスケジュール等、再改革の手順すら全く不明であります。  このように、消費税廃止を唱えながら、問題の多い矛盾に満ちた暫定税制を示すのみで、二年後の税制改革の具体的な姿を何ら明らかにしないのは、提出四会派の政策立案能力、ひいては政権担当能力を疑わしいものとしていると考えられます。  第二に、税制改革基本法案では「サービス、流通等に対する適正な課税」の検討とありますが、二年後の間接税としてどのようなものを想定しているかについて、結局発議者から明快な答弁が得られませんでした。しかしながら、旧物品税に対し、サービスに対する課税が十分行われていなかったとの批判があったこと、現在では消費の半分以上がサービス消費であることなどを考えれば、二年後は結局消費税と同じタイプの間接税を復活するほかはないと考えられます。  そうだとすれば、来年四月に消費税廃止物品税を復活し、二年後再び同様の間接税を導入するということは、二年という短期間において経理システムの手直しや値札の書きかえ等、事業者に対して二度も三度もむだな対応を強いることになるほか、買い急ぎ、買い控えが起きるなど、国民生活国民経済に極めて大きな混乱を生じさせることになります。  第三に、消費税廃止に伴う二年間の代替財源は、まず消費税廃止ありきから来る無責任なつじつま合わせの感があり、発議者もみずから認めているように問題が多くかつ理念に乏しい税制であります。例えば、代替財源案によれば、直接税と間接税の比率は七対三からほぼ八対二になるなど、ますます直接税への偏りが著しくなり、国民の重税感、不公平感が拡大することになります。また、発議者は、復活した物品税等について、問題があるのは認めるが自民党政府がつくり出したものであるとか、二年間だけだからと弁解しておりますが、我々は問題があるからこそこれを廃止したのであり、これをそのまま復活するのは発議者責任であって、自民党政府責任ではありません。しかも、物品税等の復活に際し、恣意的な修正を加えているため、新たな不公平が生じることになっております。  また、二年間の我慢と言いつつ、代替財源を規定する法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案地方税法の一部を改正する法律案の五法案には二年間の期限が付されておらず、単に税制改革基本法案において「協議会は、設置後二年以内を目途として、」内閣総理大臣に報告することとなっているにすぎません。発議者みずから認めているように、二年はあくまでも目標であって、問題の多い代替財源は二年で終わるとは限らず、半恒久税制となるおそれもあるわけであります。したがって、二年間だから我慢してほしいという弁解は根拠のない言い逃れだと言わざるを得ません。  第四に、消費税廃止による約六兆円の減収に対して十分な制度的代替財源措置を講じることができず、平年度ベースで約一兆七千億円、初年度ベースで約三兆円もの大幅な歳入不足が生ずることが判明いたしました。自民党政府は長年の努力によりようやく平成二年度赤字公債依存脱却の目標達成まであと一歩のところまでこぎつけたわけでありますが、野党案はこれまでの自民党政府の力を全く無にしてしまうおそれがあるものであります。  以上、主な反対の理由を申し述べましたが、最に、今回の審議の過程を通じて本九法案に関し、国民税制改革協議会の憲法違反問題を含め幾つもの重大な問題点や誤り等が発見されたことについて、まことに遺憾である旨表明しておきたいと思います。審議を通じて問題点が指摘されまた誤りが発見されても、提案者意思は明らかになっているとか、単純なミスだからとか、発議者としてなれていないからといったような言いわけで済ませ、特段問題視していないかに見受けられる発議者の姿勢は極めて問題であります。  税法は国民の権利義務に直接かかわる重要な法律であり、たとえ単純な誤りであっても一たん法律となればその文言に従って国民は税金を納めなければならないのであります。言いわけや猶予は許されないのであります。この点、強く指摘して私の反対討論を終わります。(拍手)
  126. 上野雄文

    ○上野雄文君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました消費税法廃止する法律案並びに六修正案を含めて賛成の討論を行います。  これらの法律案は、十一月八日に提案され、本日に至るまで実に三十四日間にわたって審議が行われました。この間、与野党を問わず各委員の熱心な審議が行われたことに改めて敬意を表したいと思いますし、同時に、発議者皆さんに対しましてもその御労苦に対して感謝の気持ちを表したいと存じます。  さて、税制改革議論が始まって以来既に十数年の歳月がたちました。自民党は、一般消費税、売上税、そしてその改革の目的も財政再建から高齢化社会への対応と変わってきて、しかも、最終的に公約違反、議会制民主主義、租税民主主義を踏みにじって消費税を強行導入してきたことは御承知のとおりであります。このことは委員会でも議論されましたが、打ち出の小づちのように税率を変えることによりどんどん税収を上げることができる税制の導入そのものにのみこだわったとしか言いようがありません。その目的がどのように変わっても、そのこと自体は問題でないことを明らかにしています。その消費税が、七月の参議院議員選挙国民に明確に否定されたのであり、とりわけ主婦の皆さんの一票一揆があずかって大きな力となったことは、その後の各マスコミの世論調査によっても明らかであります。  私が今回の審議で極めて残念に思うことは、今次臨時国会冒頭の海部総理の所信表明が守られなかったことであります。  すなわち、海部総理言うところの思い切った見直しをする案が提案されて、私ども提案消費税廃止法案などとともに同時並行で審議することができなかったことであります。自民党見直しの骨格ができ上がったのが公約違反である十二月一日、しかもその全貌が固まったものではありません。そのことは、はしなくも本日の自民党の総括質疑の中で明らかになっております。そして、自民党はみずからの手によって法案化しようとしませんで、相も変わらず自民党税調政府税調政府提案という今までのパターンでこれを進めようとしているのであります。  このようなやり方に対して、国民皆さんが強い反発を持っていることにお気づきにならないのでありましょうか。憲法に定める議会主義、民主主義を基本とするのであるならば、原点に返ってみずからの力によって本国会に具体的な改革提案をしてほしかったと思うのであります。その限りでは、国民皆さん期待を大きく裏切ったと言うべきであります。逆進性の問題も、あるいはまた国庫に入らない税金の問題も一向に解決をいたしませんし、やりもしない福祉目的に使うなどという精神規定を入れようとするごまかしすら含んでいると言われているのであります。私ども提案の本法律案、その中に含まれている国民税制改革協議会の設置や代替財源について批判することは、単なる誹謗中傷でしかないと言うほかはありません。  このような中では、もはや消費税廃止し、国民の合意を目的として税制改革をやり直すことが最も求められており、そのことこそが国民期待にこたえる唯一の道であることを確信しながら、提案されている消費税廃止法案外八法案並びにこれに関連する修正案について全面的に賛成の意思を表明し、本日が我が国議会制民主主義の歴史的な日になることを心から願いつつ、賛成の討論を結びます。(拍手)
  127. 常松克安

    ○常松克安君 私は、公明党国民会議を代表して、ただいま議題となりました消費税法廃止する法律案など消費税廃止関連三法案税制改革基本法案及び法人税法等の一部を改正する法律案など代替財源法案の計九法案につきまして、修正案及び原案に賛成討論をいたします。  さきの参議院選挙の結果を受けて、野党四会派が提案した消費税廃止法案を初めとした九法案が本格的に審議され、今まさに可決されようとしていることは、我が国の議会史上まれに見る快挙であります。  以下、九法案に賛成する主な理由を申し述べます。  賛成する第一の理由は、消費税法廃止こそさきの参議院選挙の審判であり、また消費税の持つ構造的欠陥の是正は廃止する以外に道はないからであります。議会制民主主義の基本は、民意の反映と公約の実現であります。選挙公約は、国政の信託に当たっての有権者と政党及び候補者との約束であり、この履行こそまさに議会政治のよって立つ基盤と言っても過言ではありません。また、消費税の持つ構造的欠陥は、所得の少ない人により負担が重いという逆進性や、社会的に弱い立場の人たちの家計を直撃している実態から明確になってきているのであります。  賛成する第二の理由は、税制改革基本法案によって四会派が税制改革に真っ正面から取り組もうとされていることであります。昨年の税制改革が拙速に行われ、しかも不公平税制にはほとんど手をつけられず消費税の導入を強行したこと等を考えたとき、消費税廃止し、国民の合意を得て確固たる税制度を確立することが今日の最重要課題であります。したがって、四会派が税制改革基本法の制定によって改革の手順、方法を明確にされようとしていることは、まさに時宜を得たものと考えるものであります。  賛成する第三の理由は、消費税廃止し再改革が実現するまでの二年間の財源措置を講じ、政策責任を明確にしている点であります。参議院選挙の結果から、消費税法をまず廃止すればよいのであって、廃止後の財源を提示する必要はないとの一部にある意見もそれなりの考えではあると思います。しかし、私は、代替財源案の提示があったればこそ、国民が安心して消費税廃止を支持し続けているものと確信するものであります。明確な代替財源案を示すことにより税制改革が一貫性のあるものになっていることを高く評価するものであります。  以上、賛成の主な理由を申し述べ、消費税廃止法案を初めとする九法案に対する賛成討論を終わります。(拍手)
  128. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、消費税廃止する法律案など廃止関係三法律案及びこれに対する修正案に賛成の討論を行います。あわせて、税制改革基本法案及び代替財源関連五法案並びにこれらに対する修正案については採決に加わらない立場を表明いたすものであります。  公約違反、国会決議違反、世界一課税ベースの広い最悪の間接税である消費税に対し、国民はその実施によるみずからの生活体験と判断に基づき、ノーの審判を下しました。消費税は存在してはならない税制であり、速やかに無条件廃止することこそ国民意思に最も忠実な態度であります。  しかし、自民党はこの国民意思に挑戦して消費税は絶対に廃止しないと居直り、消費税廃止阻止のためにあらゆる手段を尽くし妨害、攻撃を加えてまいりました。また、ようやくのことまとまった自民党見直し案なるものは、食料品の価格をわずか一%下げるにとどまり、消費支出全体では〇・二%程度の微々たる影響を持つにすぎず、逆進性を何ら解消するものではありません。それどころか、消費者には内税方式で消費税を隠し、事業者には複数税率を持ち込むなど事務負担と混乱を押しつけ、さらには将来の伝票方式への移行や税率の引き上げを想定するものであり、国民負担増により消費税を何が何でも定着させようと図ったものであることが明らかであります。消費税見直しではなく廃止以外にないことを改めて示したと言っても過言ではありません。日本共産党は、消費税廃止関連三法律案及びこれに対する修正案に賛成いたします。  あわせて、税制改革基本法案及び代替財源関連法案についてでありますが、所得、資産、消費に均衡ある税体系、サービス、流通に対する適正な課税などの規定、納税者番号制度の導入、最大の不公平である大企業優遇税制の温存、いわゆる中曽根流審議会方式である国民税制改革協議会の採用、入場税の復活など、これらの法律案国民の利益に合致しない問題点を持っております。しかし同時に、日本共産党は、消費税廃止を目指す提案四会派の立場が生かされることを重視して行動する必要があると考えるものであります。  この点に関し、去る十二月八日、社会党参議院国会対策委員長から正式に協力要請の申し入れがあり、率直な協議を通じて、第一、一致できる消費税廃止については今後ともお互いに共同する、第二、他の六法案については互いに自民党を利することがないようにするという合意を得たのであります。この立場を具体的に生かす道として、日本共産党は、税制改革基本法案及び代替財源関連五法案の採決には加わらない態度をとることを表明するものであります。  日本共産党は、参議院選挙に示された消費税廃止という国民意思を実現するために引き続き全力を挙げることを申し上げ、討論を終わります。(拍手)
  129. 古川太三郎

    古川太三郎君 本委員会においてこれから採決に入ろうとするとき、私は、連合参議院を代表し、消費税廃止関連九法案並びに修正六法案について賛成討論を行いたいと思います。  本委員会は、委員全員が長時間にわたり熱心に議論を交わし、単に消費税だけでなく、日本の税制がどうあるべきかについても多くの理解を深めることができたと思います。ここに提案者並びに質疑者に対し深く敬意を表するものであります。  今、日本の社会では、勤労所得で見る限り所得の平準化、格差の縮小があります。しかし、資産性所得について言えば、持つ者と持たない者とがあり、またその資産から生まれる所得の格差は何十倍、何百倍もあり、それは拡大の一途をたどっております。そればかりか、分離課税制度の徹底によって国民の所得格差は増大し、この環境下での消費税の導入は新たに大きな不公正を生みつつあります。このようなとき、消費税の存続はますます逆進性を倍加するものであると言わなければなりません。  今我々がなすべきことは、現在ある不公正税制をまず根本的に是正することから始まり、消費税廃止することであります。  先般出されました見直し案で、単に食料品に関し軽減税率非課税をセットし、少なくとも国民期待した免税点や簡易課税制度といった仕組みの見直しを先送りしたことは、思い切った見直しが実は何の成算もない思いつきの公約であったことを露呈しました。存続を前提とした見直し派の理念なき見直し案は、税意識の高まった国民の前では選挙対策にもならないことを自覚すべきであります。  終わりに当たって、消費税廃止関連九法案並びに修正六法案は、その成立国民の多くが待ち望んでおります。連合参議院は党ではなく一会派ではありますが、全議員が賛成していることを申し添えたく思います。終わります。(拍手)
  130. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表して、ただいま議題となりました消費税法廃止する法律案を初めとする九法案にかかわる修正案並びに修正案を除く原案に一括して賛成する立場から、討論を行うものであります。  本年四月実施の税制改革は、言うまでもなくシャウプ税制以来四十年ぶりに行われたものであり、そしてそれはこの間の経済、社会、国民生活変化を踏まえ、それによって生じた税制上のひずみ、ゆがみを公平公正の原則に照らして徹底的に見直し、二十一世紀の社会を展望する中で国民合意のもとに再構築されるべき重大な使命が課せられておりました。  それゆえ民社党は、税制改革に当たっては初めに間接税ありきではなく、まず不公平税制の是正を行うこと、そして福祉ビジョンや将来の財政展望を固め、また行政改革を促進しつつ、その上で公平な税負担という観点から税制改革を諭ずべきであるとのいわゆる二段階改革論を主張してまいりました。しかるに自民党は、まず財源確保をとの態度を固執し、給与所得者に不満の多いみなし法人問題等不公平税制の是正や資産課税の適正化などを先送りし、またクロヨン問題にも何ら有効な手を打たないまま、欠陥の多い消費税導入を強行したわけであります。今や税制改革のやり直しは国民大多数の声であります。  こうした経緯を踏まえ、九法案は我が党が主張してきた欠陥消費税の撤回、税制改革のやり直しを具体化したものであることを強調して、九法案に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)
  131. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 御異議ないと認めます。よって、討論は終局いたしました。  それでは、これより順次九案の採決に入ります。  初めに、消費税法廃止する法律案の採決を行います。  まず、及川君提出の修正案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  133. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 多数と認めます。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  134. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  次に、消費譲与税法廃止する法律案の採決を行います。  まず、及川君提出の修正案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  135. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 多数と認めます。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  136. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  次に、地方交付税法の一部を改正する法律案の採決を行います。  まず、及川君提出の修正案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  137. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 多数と認めます。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  138. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  次に、税制改革基本法案の採決を行います。  まず、及川君提出の修正案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  139. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 多数と認めます。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  140. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  次に、法人税法等の一部を改正する法律案の採決を行います。  まず、及川君提出の修正案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  141. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 多数と認めます。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  142. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  次に、通行税法案の採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  143. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、物品税法案の採決を行います。  まず、及川君提出の修正案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  144. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 多数と認めます。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  145. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  次に、入場税法案の採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  146. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、地方税法の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  147. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)  なお、各法律案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  149. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 次に、請願の審査を行います。  第二号消費税法廃止に関する請願外二千四百八十三件を議題といたします。  これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、いずれも保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十分散会