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井上吉夫君 ありがとうございました。ほぼ
見解を同じくするというぐあいに受けとめることができました。
消費税は既に世界四十七カ国で実施されており、世界の常識となっている税ではありますが、何といっても我が国にとっては初めての税であるだけに
国民の間にはさまざまな御
意見や御批判があることば
十分承知しております。ただし、私としては、この
消費税の問題を契機に
国民の間に財政や
税制の問題について関心が高まったことは、むしろ喜ばしいことではないかと思っております。
今回、
自由民主党は、
国民各界各層のさまざまな声に謙虚にかつ真摯に耳を傾け、
消費税が名実ともに定着するよう検討に検討を重ねた結果、
消費税の
見直し案を取りまとめたものであります。
今回の
見直しに当たっては、
国民各層の声を幅広く吸収し、
消費税をめぐるさまざまな
指摘をすべて検討の対象とし、さきの
参議院選挙における
国民の厳しい批判を謙虚に受けとめ、
消費者の
立場を十分考慮することを基本的な
考え方といたしたものであります。
そこで、この
見直しの内容について簡単に
説明しつつ適宜大蔵大臣に
質問してまいりたいと思います。
この
見直し案は、大きく四つの柱から成り立っております。第一の柱は逆進性の緩和及び社会政策的配慮の実施のために
非課税取引の拡大等の措置を実施することとしたことであります。
私は、
消費税には確かに逆進性の問題があると思いますが、ただそれだけで
消費税を
廃止すべきだという
意見には同意できません。
消費税には、先ほど申し上げたように他の税にはないよさがあるわけであります。また、
消費税の逆進性の問題は、
税制全体、さらには歳出も含めた財政全体で見るべきものだと
考えます。
税制全体で見れば、我が国の
税制は依然
所得税等の直接税が
中心であり、累進度の極めて高い税体系であります。また、
生活保護世帯等、真に手を差し伸べるべき人々には歳出面で手厚い配慮がなされています。しかしながら、
消費税自体の逆進性について何とかしてほしいという
国民の声には切実なものがありました。我が党としては、このような
国民の声を真剣に受けとめ、
消費税自体の逆進性の緩和を図るとともに、社会政策的な見地から次の五点について
非課税取引の拡大の措置をとったところであります。
具体的には、第一に、人の生命に対する
国民感情に配慮し、出産費用及び火葬、埋葬料を
非課税とすることとしました。第二に、学校教育に係る父兄の
負担を軽減する見地から入学金、施設設備費などの学納金及び教科書用図書を
非課税とすることといたしました。第三に、社会的弱者への配慮を充実する等の見地から身体障害者用物品等並びに第二種社会
福祉事業及びホームヘルパーなどの在宅サービスを
非課税とすることとしました。第四に、持ち家がなく、借家住まいをしている方々の
負担を軽減するため家賃を
非課税とすることとしました。第五に、米、パン、牛乳、肉、魚、果物、菓子その他の食料品について特例措置を実施することといたしました。その方式については、我々ほどのような方式をとれば真に
国民のためになり、かつ取引に混乱が生じないか苦悩し、呻吟し続けて検討してまいりました。
具体的に申し上げると、すべての食料品についてごまかしでなく食料品の値段がきちんと下がることが第一に考慮すべき点であり、同時に農業者や漁業者に
負担をしわ寄せしないようにすることが第二に考慮すべき点でした。この二つの条件をともに満たすためにはどうしたらいいか検討に検討を重ねてまいりました。その結果、すべての食料品について
消費者が日々購入する際には
非課税とすることとし、ただし、それだけでは食料品の値段は十分下がらないため、輸送だとか原材料だとか肥料だとか、そういうものには三%が
課税されるわけでありますから、それが生産された農産物等の値段にどういう形ではね返ってくるかということを
考えますと、むしろ事業者間の取引には一・五%の特別低
税率を設定することがこの際最良の解決策であるという結論に達したわけであります。これにより、食料品を全
段階非課税とした場合をむしろ上回る
負担軽減となり、かつ確実に価格の引き下げが実現することとなります。
食料品についての今回の
見直し案は全
段階非課税に比べて小幅であると言われておりますが、私は、今回の
見直し案の方が食料品の価格は大幅かつ確実に下がるという
意味でより大幅な
見直しであると
考えるのでありますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
他方、今回の食料品の
見直し案は、小売
段階は
非課税、事業者間は一・五%ということから、複雑な制度であり、わかりにくいのではないかという声もあるようですが、このような声について大蔵大臣はどう
考えますか。また、一・五%という端数がついた
税率が導入され、取引が面倒になるのではないかと危惧する事業者もいらっしゃるようですが、どうお
考えになりますか。
以上は
消費税の中における逆進性対策でありますが、そのほかに
所得税及び個人住民税において、年金受給者への配慮を実施するとの見地から、公的年金等控除額を引き上げ、年金受給者の税
負担の一層の軽減を図ることとしております。
このような措置の意義と効果について大蔵大臣にお尋ねをいたします。