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1989-12-07 第116回国会 参議院 税制問題等に関する特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十二月七日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  十二月六日     辞任         補欠選任      伊江 朝雄君     永田 良雄君      片山虎之助君     梶原  清君  十二月七日     辞任         補欠選任      山口 哲夫君     三上 隆雄君      粕谷 照美君     篠崎 年子君      橋本  敦君     山中 郁子君      三治 重信君     橋本孝一郎君      構溝 克己君     野末 陳平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中村 太郎君     理 事                 井上 吉夫君                 沓掛 哲男君                 宮澤  弘君                 村上 正邦君                 稲村 稔夫君                 及川 一夫君                 本岡 昭次君                 矢原 秀男君                 近藤 忠孝君                 古川太三郎君                 寺崎 昭久君     委 員                 小野 清子君                 大木  浩君                 梶原  清君                 鎌田 要人君                 北  修二君                 久世 公堯君                 佐々木 満君                 谷川 寛三君                 永田 良雄君                 前島英三郎君                 松浦  功君                 松浦 孝治君                 守住 有信君                 山岡 賢次君                 吉川 芳男君                 穐山  篤君                 上野 雄文君                 大渕 絹子君                 粕谷 照美君                 篠崎 年子君                 渕上 貞雄君                 細谷 昭雄君                 前畑 幸子君                 三上 隆雄君                 村田 誠醇君                 安恒 良一君                 刈田 貞子君                 常松 克安君                 和田 教美君                 山中 郁子君                 高井 和伸君                 三治 重信君                 橋本孝一郎君                 下村  泰君                 野末 陳平君                 横溝 克己君    委員以外の議員        発  議  者  久保  亘君        発  議  者  佐藤 三吾君        発  議  者  梶原 敬義君        発  議  者  小川 仁一君        発  議  者  峯山 昭範君        発  議  者  太田 淳夫君        発  議  者  笹野 貞子君        発  議  者  勝木 健司君    国務大臣        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       高原須美子君    政府委員        大蔵大臣官房審        議官       濱本 英輔君        大蔵省主計局次        長        寺村 信行君        厚生大臣官房総        務審議官     加藤 栄一君    事務局側        常任委員会専門        員        竹村  晟君        常任委員会専門        員        保家 茂彰君    説明員        文部大臣官房調        査統計企画課長  三村 満夫君        文部省初等中等        教育局中学校課        長        辻村 哲夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○消費税法廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○消費譲与税法廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○地方交付税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○税制改革基本法案久保亘君外七名発議) ○法人税法等の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○通行税法案久保亘君外七名発議) ○物品税法案久保亘君外七名発議) ○入場税法案久保亘君外七名発議) ○地方税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議)     ─────────────
  2. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を開会いたします。  消費税法廃止する法律案消費譲与税法廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 小野清子

    小野清子君 私は、今回の税制改革に関しまして、女性立場から、あるいは女性の目から見た今回の税制改革というものを、ぜひ発議者の皆様にお伺いさしていただきたいと思います。  七月の選挙戦の折にはマドンナ旋風ということで、大変厳しい女性の御批判をいただきましたり、また選挙結果もいただいたわけでございます。私は、東京選挙区におきまして、原文兵衛同僚議員のために常に税制改革を唱えて選挙戦を戦わしていただきました。原文兵衛先生前回九十万の得票数でございましたが、今回厳しい選挙戦の中で税制改革消費税問題を話すということは大変勇気の要ることでございましたが、私は自分自身女性である立場から、物事は正しく伝達をするということを、正しく理解をしてもらうということ、これが女性には最も御理解をいただく上で正しいことであるという認識に立って、駅頭であってもスーパーの前であってもこの税制改革、とりわけ消費税というものに対する考え方を述べさしていただきました。  東京選挙区におきます成績は百十四万票と、前回の九十万票に比してすばらしい成果原先生は当選をされたわけでございます。逆風の中にあってもやはり真実を述べていくということが私ども国会議員にとってこの上もなく大切であるということを私自身が学ばしていただいたわけでございます。そういう観点から考えますと、今回の税制改革という問題がただ単に消費税廃止という五文字だけでひとり舞い上がっている、私はそういう感じがしてならないのでございます。  例えば光が丘団地に参りまして、子供から高齢者方々までどうぞ御自由に御意見を、という中でいろいろ御意見がございました。賛成という方もあれば反対という方もいらっしゃいました。また、子供がアイスクリームを買うとなぜ三円払わなきゃならないかという質問もありました。今回はそのような子供たちから高齢者の方までいろいろな方々に対して、日本で初めて行われた税制改革であるということ――子供たちに三円を払わせるのはかわいそうだ、こういう意見がございますので、ここにおいて私はまずその件に関しまして各党から一言ずつ御感想をお願いしたいと思います。
  4. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) お答えさせていただきます。  小野議員選挙成果の本当にすばらしい御意見をお伺いしたんですが、お言葉を返すようで大変悪いのですけれども、私も今度の選挙では消費税廃止を唱えまして女性から圧倒的な支持を受けまして、京都では今までとったことのない票をかち得ましたので、その点は廃止だから選挙に勝った、そう言われるとちょっとお言葉を返したくなりましたので一言申し添えさせていただきます。  今の子供に対する件ですけれども、私は、子供気持ちというのはやっぱり大切にしなければいけないということで、二、三新聞の記事とかあるいは電話でのアンケートなどを調べましたところ、非常にたくさん新聞の「声」とか投書欄にありまして、その中の幾つかを御紹介させていただきますと、例えば電話新聞社に寄せられた「消費税 私の体験」という中に子供の声が随分あります。  例えば「子供も損する税金」というので、文房具を買おうとしてぴったり定価しかなくて買えないで戻ってきた子供消費税子供も損する税金だと思いますという子供意見。それから「五百円集めたらオモチャを買う」と楽しみにしていたお孫さんが、「オモチャにも税金かかるんだナァ」とため息をついているのを見て、小さな胸を痛めさせるこの消費税が非常に憎い。早く選挙をやってほしい。自民党に思い知らせて消費税廃止に追い込んでほしいというおばあさんからの声もあります。あるいは一個三十円の子供大変人気のあるおまけシールつきチョコレートを二個買うと消費税がかかるので、一個ずつ何回もレジを通って買った子供の姿でレジが大混雑したという報道もされています。  確かに子供に税の仕組みを教えるということは大切ですけれども、それ以前に、消費税にいじめられた子供たちが既に節税対策を始めているという、このことも御理解いただきたいというふうに思います。所得のない子供から三%の税を取り上げ、しかもそれが国庫に確実に入るかどうかわからないというのでは、子供たち納税義務をどう教えたらよいかわからないような感じになってしまうというふうに思います。こういう子供意見もあるということを一言述べさしていただきます。
  5. 小野清子

    小野清子君 消費税廃止を唱えて御当選されたということは本当におめでたいことだと思いますが、税制改革内容をどれくらいお伝えになったかということがこれから私の御質問さしていただく問題点でございます。  また、かわいそうであるという言葉、この言葉というのは子供たち教育費がだれによって賄われているかということ、これを教えることが私は教育であると思うんです。日本人としての自由と責任、あるいは日本国家というものはどんなぐあいに成り立っているのかということのいわば消費者教育子供たちは一生懸命賢くそれに対処されたと。そういうことの反面、例えばアメリカの学校では、髪の毛を長くしている子供たち先生髪の毛を切りなさいと言ったら、嫌だと言った。そこで、あなたたちのために税金を払っている両親たちがそれを許さないと言ったら素直に切ったという言葉を私は聞いたことがあります。小学校中学校、高校、いわば学校教育の中において、税金でもってあなたたち教育が受けられているということを考えるということを、私自身も初めて外国へ行きましたときに聞きました。  そこで、文部省にお伺いをしたいんですけれども学校教育の中で税の問題はどのように教育をされているのか、この辺の御説明をいただきたいと思います。
  6. 辻村哲夫

    説明員辻村哲夫君) 租税教育についてのお尋ねでございますけれども税金意義役割あるいは納税義務というようなものにつきましては、小中高等学校を通じまして、子供たち発達段階に応じて指導を行っておるところでございます。  具体的に申しますと、小学校では社会科で国や地方公共団体役割学習する時間がございますけれども、そうした学習を通しまして租税役割とか納税意義というふうなものを指導しておりますし、中学校になりますと、国民生活租税の関係、あるいは日本国憲法というような学習をするわけでございますけれども、そこで租税意義役割あるいは国民納税義務というふうなものを指導することにしております。高等学校はさらに専門性が高くなるわけでございますけれども政治経済というような科目の中で財政の仕組み租税意義役割というふうなものについて理解を深めるというような指導をしているところでございます。
  7. 小野清子

    小野清子君 そのような教育が行き届いているということは、いわばそれは今まで論理として学習していたものが実際の生活面で同時に進行されていくということで、まさに税に対する教育が非常に功を奏するものであると考えさせていただきます。  そこで、今回の税制改革で、例えば六十二年の九月に二兆二千億、六十三年の十二月に三兆三千億、合わせて五兆五千億の減税がなされた、こういう現状にかんがみまして、私自身それが自分家計にどのようにメリットをなすかという実感が正直申しましてなかなかわきませんでした。そんなことで、これは私自身そういう気持ちでございますので、それぞれの御家庭が、例えば独身夫婦子供一人、子供二人というそういう家庭で、二百万、三百万、四百万、五百万という所得に応じてどれくらい減税がなされたのかということを理解しなければ、これはいわば消費税だけが舞い上がってしまって、減税というものの実感が出てこない、そういう意味で私自身それを表にさしていただきましたが、この点に関しましては大蔵の方からちょっと御説明をいただきたいと思います。
  8. 濱本英輔

    政府委員濱本英輔君) お答え申し上げます。  先般の所得税減税によります所得税住民税を合わせました負担軽減額をただいま御指摘がございました例えば夫婦子二人あるいは夫婦子一人のそれぞれのサラリーマン世帯につきまして申し上げてみますと、まず夫婦子二人のサラリーマン世帯の場合、年収三百万円で軽減額が六万九千三百円、それから年収五百万円の世帯でございますと十六万三千円、年収七百万円でございますと三十二万七千二百円の軽減になります。それから、夫婦子一人のサラリーマン世帯で申し上げますと、年収三百万円で七万五千六百円、年収五百万円で十六万四千五百円、年収七百万円で三十万八千八百円の軽減額になろうかと存じます。
  9. 小野清子

    小野清子君 笹野議員、これに対してどんな御感想をお持ちになるでしょうか。
  10. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 所得税減税につきましては私ども評価をしております。
  11. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 今大蔵省から発表がございましたが、所得税住民税減税につきましては、個人所得が増大をしておる中で、累進体系でございますから、減税をしていかなければいけないということを私どもは再三にわたって主張してまいったわけでございますが、それが今回行われた、こういう受けとめ方をしております。  したがって、今大蔵省からも発表がございましたが、夫婦子供二人で有業者一人の場合、年収三百万の世帯云々、それから七百万で云々という数字がございましたように、まさに高額所得者に対する高額な減税、こういう優遇措置が出ておるということは今大蔵省発表どおりでございまして、私から具体的に申すまでもないと思います。  さらに、今回提案されている年金改正案、これを見ますと厚生年金保険料が上がりますから、年間給与三百万の世帯の場合には、大蔵省がさっき発表しましたが、逆に一万円程度の負担増になっておるのじゃないか、私はこう思います。  さらに、高額商品が大変売れておるようでございますが、所得格差生活格差が拡大してきておる、こういうふうに受けとめております。
  12. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) お尋ねのありました所得税減税等の問題でございますけれども、私どももこの所得税減税につきましては一応の評価をしているということは先回も申し上げました。  最近の政府広報で見てまいりますと、「かつてない規模減税です。」と盛んに減税のPRをされているようでございます。実際は、先生もいろいろとお話しありましたように、減税実感というのは非常に薄かった、消費税重税感をやはり国民としては毎日感じていたんじゃないかと思うんです。  最近の世論調査を見ましても、これは十一月四日あるいは九月十六日の世論調査でございますけれども、やはり国民の意識の上では、減税分増税分を比べまして家計は苦しくなったという人は半数の四九%を占めている。あるいは余り変わらないというのは四〇%あるとか、楽になったという方はわずか一%にすぎない。特に地方では、苦しくなったと答えた人は五割を超えているということが九月十六日に発表されておりますし、十一月四日ではさらに、減税感は薄く痛税感は五三%という世論調査も出ているわけです。  私たち公明党もいろいろと試算しました。政府税制改革要綱に基づく家計負担への影響試算ということでいろいろとこの税制改革に入る前に、昨年の七月ですか、発表させていただきましたが、それによりますと、所得税住民税減税されても消費税負担が大きいため、例えば一般的なサラリーマン世帯夫婦子供二人、片稼ぎでは、年収約三百二十九万以下の家庭増税になるということが一応明らかになっておるわけでございますし、さらに共稼ぎの家庭では消費税導入影響をもろに受けるため、年収約八百八十万以下は増税になることがそのときに明らかになりました。またその試算では、会社勤め単身女性の九割までが増税になり、独身サラリーマンのほとんどが増税になったという結果も出ておるわけでございます。いずれにしましても、所得税減税は必ずしも十分ではなかったと私たちは言えるわけでございます。
  13. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私ども民社党といたしましても、六十二年度、六十三年度の税制改正による五兆五千億の所得税減税については評価をいたしております。しかし、この減税については我が民社党を初めとする野党の強い要求によってやはり実現したものであるというふうに考えております。また、このときの減税、六十二年度の改正で二兆二千億の規模所得税減税が行われたわけでありますが、この減税についても評価をいたしておりますけれどもマル優廃止という言ってみれば大衆増税と抱き合わせで行われたことにやはり問題があったんじゃないかというふうにも思っております。  また、昨年の税制改正で三兆三千億円の所得税減税が盛り込まれたわけでありますが、これも私ども要求によって実現したわけでありまして、特に十二段階所得税率を五段階に圧縮するという画期的なもの、またその他の諸控除引き上げ等についても評価できるということで、これも長年私どもが主張してきたものであるというふうに思っております。  したがいまして、これらの減税を見ますと、それだけを見ますと確かに消費あるいは景気の拡大ということで寄与をしているというふうに考えて高く評価はできるわけでございますが、ただ消費税という大衆増税とあわせてみますと、年金だけで細々と生活をする人とか、あるいは中小零細企業勤め収入が低いままの人とか、そういった人々の家計をやはり直撃するなど悪い影響も出ているのではないかという感想を持っておるわけでございます。  特に小野先生女性立場また子供立場に関心をお持ちのようでございますので、そういう点から見ますと、残念ながらさきの政府による税制改革女性に厳しい内容となっていたのではないかというふうに、そう受けとめておるわけでございまして、配偶者特別控除の大幅な引き上げという形で控除制度の拡充が行われたわけでございますが、これに比べまして基礎控除配偶者控除、扶養のそれぞれの人的控除引き上げ幅が低く抑えられておりまして、共働き世帯あるいは単身者世帯だとかは、片働き世帯に比べまして相対的に不利な立場に置かれているというふうに私どもは判断をいたしております。  その意味で、政府税制改革は働く女性にとっては大変厳しい内容であって、問題があるというふうに考えておるわけでございます。男女雇用機会均等ということが保障されるように、税制面においてもより一層の配慮を講じなければならないというふうに考えております。
  14. 小野清子

    小野清子君 大変厳しいお言葉ばかりをいただきました。私も共働きの人間がそばに多いものですから、共働き税制面で不利であるというふうなことで勉強させていただきましたが、一人で働いた場合の所得に対する税からすると、共働きの方は絶対に優位であるということ、これは現実数字の上からも出されますので、それは間違いだと思います。  それから、重税感というのが四九%、変わらないというのが四〇%ですけれども、私もスーパー買い物をすると最後のレジで総計が出ますから余り重税感というのは味わわなくて済むんですが、デパートなどに行きまして一回一回の買い物をしますと、特に消費税が開始された当時は消費税を三%という言葉を毎度言われたんですね。そうしますと、言葉というのはやはり一度はいいんですけれども、二度三度になってきますとだれにも、精神的重税感というんですか、具体的に税金も取られるわけですけれども、そういうものはあるという実感を私自身もそれは理解をしております。  ただ今回は、女性に対して大変厳しい税であるということですが、いわゆる所得税住民税減税以外にも今回は税制改革の五本の大きな柱があるということですね。所得税住民税の大幅な減税消費税の創設により物品税廃止、これがなされたわけですね。ですけれども、目に見えないところでのそういう減税というのは意外と実感がない。負担の公平の確保、国際的視点に立った法人税軽減、それから相続税軽減とかいろんなものがありまして、そういう意味では減税実感がない理由は何だろうかということを私自身も考えてみました。  特にパートに出ている方々は今回皆さんとともに免税点を百万円まで持ち上げるということもさしていただいたわけですけれども実感がわかないというのは何しろ銀行振り込みになったということで、直接手にお金が来ないということ、それと源泉の票というものはほとんど見ていらっしゃらないということですね。さらに、何段階かにわたって給料減税されているということと給料が上がっていくという両方で余り実感が、これというものが目に見えない。ですから、ある企業ではそれがはっきり明示できるようにしようという努力までされているところもあるわけです。さらに、だんな様たちは年末調整というものを奥様にどれくらい表示しているかということですね。私はいろんな会場に行きますけれども、年末調整というのは大体御主人の胸の中で温まっていたり、あるいは年末皆さんのお楽しみの中で消えたり、減税感の最も大きいところが主婦に渡っていないということ、これは非常に大きな問題点だと思います。  ですから、こういうことがありまして、いわば指摘されますように消費税存在感痛税感というものは女性にとって非常に身近なわけです、毎度取られますし、毎日取られますからね。その重税感、いわば今までは所得税働き手に対する税であったわけですから、それが奥様の方に移ってきたわけですね。そして減税感というものが非常に薄い、現実は行われていても薄いということ、このことはやはりそれぞれが一度胸に手を当てていただいたらわかることだと思います。  今まではどちらかといいますと所得税働き手である男性、女の人でも働いている方はそうですけれども消費税使い手に対する税であるということですね。ですから、今までの税というものの触れ方が全く変わったということですね。こういうことが家庭における使い手である女性にとってとにもかくにも精神的な重税ということもありますし、いわば重税感というもの、消費税を導入した税制改革というものは非常に重税感感じてしまう。しかし、実態はどうかということをやはり掘り下げて、物品税あるいは電気、ガス、いろいろと安くなったものがあるわけです。ですから、減税プラス物品税廃止ということも、これから徐々にやっていきたいと思いますけれども、私は非常に大きなものがあると思います。  ですから、これを集約いたしますと、第一に消費税というものは、すぐれて女性の問題である高齢化時代に備えて直間比率を是正して消費税を導入したということ、これはいわば女性に対する一つのもの、高齢化に対して。これも後ほど申し上げます。  それから第二に、男性中心の働き手に対する所得税中心の税から、使い手である女性役割を高めたということです。ですから、使い方によって家計というものは非常に大きく女性にゆだねられているということ。もうだんな様が税金を払っていたときには、あるものの中で操作するということが、使い手である女性に非常に大きなウエートを占められるようになってきたということ。  それから第三には、増加していく働く女性にとって、女性の働く方が非常に多くなりました、そういう観点からしますと、働いて得た所得税に対する負担軽減になっているということも考えられないかということでございます。こうした点に関しまして、野党はもう一度その重税感というものに対する御意見を伺いたいと思います。一言で結構でございます。
  15. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) おっしゃる意味につきましては私どもよくわかるわけでございますが、サラリーマン全体から見ると、先ほど答弁しましたように、何か高額の皆さんが優遇減税で、三百万、四百万の労働者から見ると極めて、厚生年金負担増とあわせて見るとまさに減税というのはどこに行ったのかといういら立ちが実感だと思いますから、その点は私は、小野さんがお聞きする声も、私どもが聞く声もそう変わりはないんじゃないかと。そして、消費税に対して何といっても、さっきから議論がございましたように、所得のない子供さんまで税金が追っかける、こういうことはやっぱり子供を持つ親から見るとそのたびに腹の立つ部分もあるということは私は今の世論に証明されておるような感じがしてなりません。そこら辺はぜひ御理解をもう一つ深めていただければ幸いだと、こう思っております。
  16. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) 所得減税のことにつきましては、先ほど勝木発議者の方からもお話しありましたが、やはり五十九年以来減税もされておりません。所得税は累進的に増加しているわけですから、当然税の負担は中堅サラリーマンの方々に重くなっているわけです。それを減税されたわけでございまして、決して消費税導入とこれが抱き合わせになっているわけではない、私たちそのように思っております。  したがいまして、所得税減税したからその分消費税のいろんな重税感が緩和されているはずであるとおっしゃるのはちょっと私たちは違うんじゃないかと思いますし、やはり先ほどお話ししましたように、東京とか大都市では確かに消費税負担感というのは地方に比べて低いわけです。それは、地方と大都市との所得格差が大分ございますから、地方の方ほど消費税負担感が重いんじゃないでしょうか。そういう意味で先ほどお話しさせていただいたわけです。
  17. 小野清子

    小野清子君 物品税説明を、なくなったことを申し上げたんですが、肝心のそっちの方のお答えはくるまれてなかったように思います。  女性の目から見た今回の税制改革ということは、高齢化社会を考える際に忘れてならないのは、高齢化社会というのはすぐれて女性の問題であるということ。笹野先生いかがでしょうか、平均寿命が今どんなぐあいになっているか、ちょっとお聞かせいただきたい。男女の平均寿命です。
  18. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 済みません、突然の御質問だったものですから正確な資料はありませんけれども女性は約八十一歳、男性は約七十四、五歳だというふうに存じております。
  19. 小野清子

    小野清子君 年々大変幸せなことに私どもは高齢化社会、高齢化時代というものに今直面をしながら、そしてまた一方、それを支える者との間で非常に大きな問題を抱えているわけでもございます。ですから、感覚論で新税は嫌だ、これはもうだれにとってもそうかもしれません。あるいは小銭は面倒くさいということもそうかもしれません。しかし、高齢化社会の費用をみんなでどう支えていくかということは、これはもう女性にとってまことに女性の問題そのものではないかと思いますし、いわゆる高齢化社会における女性の地位を考えますと二つの位置づけができると思います。  一つは、高齢者の中でも男性より多い女子高齢者ということでございます。どうしても女性の方が長生きをしてしまいますので、女性高齢者が多いという問題、もう一つは高齢者を介護していく女性立場、この両面があるのではないかと思います。ですから、女性立場から今回の税制改革を見ますと、所得税の面できめ細かい減税が行われているということが明らかなんですけれども消費税の導入があって物品税廃止され、あるいは精神的負担は多かったかもしれないけれども、しかし現実には家計負担は意外なところで軽減されているということがわかっていない。しかし実際に生活者であればこれはおわかりになることではないか、そんなふうに考えます。  それで、所得税減税について見ますと、今回の税制改革高齢者としての女性、介護者としての女性家庭を守る女性、そういう女性にとって朗報となるようなきめ細かな減税措置がとられているわけでございます。公的年金で暮らしている方々の課税最低限の引き上げとか、寝たきり老人を抱えていらっしゃる家庭への減税とか、御主人を亡くされ女手一つで子供を養育している家庭への減税、御主人に先立たれて相続をされた未亡人への減税、いろんなものがさらにあるわけです。この点、政府よりまた御説明をお願いしたいと思います。
  20. 濱本英輔

    政府委員濱本英輔君) お答えを申し上げます前に、先ほど小野先生からお尋ねいただきました点で、私が収入別のサラリーマン世帯におきましての減税額を申し上げましたけれども、御議論を伺っておりまして一つ重要な点は、その減税率につきまして申し上げておく必要があったと存じた次第でございます。  年収五百万円の世帯でございますと、六十二年九月の改正前の所得税住民税負担に対しまして今回の改正後のレベルで申しますと約四割の減税になっておるという点、それが年収三百万円の世帯になりますと、実に八九%の減税になっておる点、八九%の減税世帯で見ますと、所得税は既に払う必要はなくなっておりまして、残っておりますのは住民税であるという状態になっておるということをお答え申し上げておきます。  それからただいまのお尋ねでございますけれども、いろいろな立場女性に対する配慮というものが今回の税制改革において具体的にどのようになされたか、少し細かく述べてみるという御趣旨かと存じますが、今回の減税は、すべての納税者一般に及びます一般的な減税と、それからそれぞれの方々立場に配慮した減税と、二種類のものが組み合わさっております。もちろん一般的な減税は、すべての女性の方にもそれなりに及んでいるわけでございますけれども、やや立場ごとに具体的に申し上げてみます。  まず、公的年金で暮らしておられるような方々の課税最低限の引き上げ、この点につきましては、公的年金控除というものを新しく創設いたしました。年金のための控除というものを新しく創設いたしました。それから老年者の控除が今まで二十五万円だったのでございますけれども、これが倍の五十万円に上がっております。それから昨年十二月の基礎控除等の諸控除引き上げが行われたこと等によりまして、合わせて見ますと、その公的年金控除の創設と老年者控除引き上げ、これらが含まれる結果、六十五歳以上の夫婦世帯の課税最低限というのは、従来二百四十一万八千円でございましたものが三百一万八千円に引き上がります。  それから次に、寝たきり老人を抱えておられます家庭の場合を見てみましょう。この場合は、寝たきり老親を在宅で介護しておられる場合で考えてみますと、従来八十万円の控除でございましたものが百二十万円の控除になる。つまり介護を要する寝たきり老人を抱えておられる家庭の場合には、百二十万円が恩恵として施されることになるということでございます。  それから次に、御主人を亡くされまして、例えば女手一つでお子さんを養育されておられるような家庭の場合を考えてみます。この場合は、その未亡人の方が年所得どれくらいかにもよりますけれども、例えば三百万円以下の方で見ますと、通常の二十七万円の寡婦控除に加えまして八万円の特別加算制度を創設いたしました。その結果、これらを合計しますと三十五万円が新規に控除されることになります。  それから主婦がパートに出られましたり、あるいは内職をしておられます家庭の場合を考えてみますと、従来指摘されておりましたいわゆるパート問題、つまり配偶者特別控除の創設が行われます前は、パートに出られて収入がふえますと、その結果夫人にも税金がかかってくる、それから御主人の方の控除が減ってしまうということで、世帯としての所得が逆転するという問題がございました。これは今回解消をされました。  それから内職所得者に対しましても必要経費の最低保障制度を新たに創設いたしました。これに加えまして、ことしの十一月に既にお認めいただきましたようにパート収入、それから内職収入の非課税限度を所得税で九十二万円から百万円に引き上げることになりました。  このようないろいろな施策というものの上に、最初に申し上げました一般の所得減税につきましても、例えば高校生、大学生を抱えておられまして生活のやりくりが大変でいらっしゃるそういう家庭に対しまして重点的な減税が行われた結果、例えば十六歳から二十二歳までのお子さんを抱えておられますような家庭の場合には、通常の扶養控除に加えましてさらに十万円の控除が加算されるということになるわけでございまして、広い意味家庭の主婦の皆さん方への配慮としてはかなり行き渡ったという感じをお持ちいただけるのではないかと思います。
  21. 小野清子

    小野清子君 今大変細やかに御説明をいただいたわけでございますが、いわゆる毎日支払われます消費税というものに対する腹立たしさということはわからないでもないわけでございますが、やはり国会議員はこういう実際面の正しい内容を伝達する義務があるのではないかと思います。そういった点を考えますと、ただ単に消費税廃止だけをうたって、じゃその財源はどうするのか、そのあたりが非常にこれまでの議論の中でも定かではなかったりすることを考えますと、やはり責任政党という立場に立ったときにはどうなるのだろうかと、私自身も大変不安な気持ちになったのは正直なところでございます。  そういうことで所得税減税法人税減税、さらにそれぞれ女性立場におけるこのような、いわゆる野党の皆さん方が弱い者いじめであるという言葉をよく吐かれますが、これだけの優遇措置、きめ細やかな減税措置がとられているということの実際に対しまして笹野議員いかがでしょうか。
  22. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) お答えさせていただきます。  減税がよいというよりも、公平で公正な税制というのはこれは好ましいことだというふうに思います。所得税にしても女性控除にしても、これが他の税制から見て公平公正であるならば、これは私も大いに賛成だというふうに思います。しかし、私も随分若いときから働いておりますけれども女性に対するこれらの税制上の優遇とか控除というのはもっと早くにやるべきであって、私に言わせると非常に遅きに失したというような感じがいたしております。ですから、そういう控除があるから消費税はいいんだというような、そういう抱き合わせの論理ではやっぱり女性の問題というのは片づいていかないわけですから、そういう点ではやはり女性というのは、女性として働く権利を全うするための公平な税制生活を守るため不公平な消費税というのは、これは厳然と分けて考えなければいけないというふうに思います。
  23. 小野清子

    小野清子君 男女雇用機会均等法が施行されて三年目でございます。そういう観点から考えますと働く女性は、先生もそうですし、私もそうですし、そのほか昔から大勢の働く女性がいたわけです。しかし、歴史は一歩一歩その方々の御努力で今ここに男女機会均等法、男女差別撤廃、いろいろな問題が法律化され、そして進んできているわけですね。ですから、私どもはそういう先人たちの御苦労に対して敬意を表しながら、しかし、やはり現実に行われたこの改正というものを素直に受けとめながら、そしてそれを広めていくということが必要で、消費税が反対であれば何を恩典にしてもそれが公平か不公平かということでは、何か非常に私自身、素直でないな、そんな感じがするわけでございます。  今、男女の平均初婚年齢というものが大分従来よりは上がってきているようですが、これも別に通告をしておりませんので私の方から申し上げたいと思いますが、大正時代ですと、女の人は二十一歳、男の人は二十五歳、これが初婚年齢だったようです。現在は男性が二十八・四歳、女性が二十五・七歳。先ほど笹野議員から言っていただきましたように、平均寿命というものが七十五歳、八十一歳と上がっていっているわけです。そうなりますと、男性より女性の方が長くいわば生を全うするというこの現実試算をいたしますと、女性は男性と年齢が一緒じゃなくて若く添い合うわけですから、大体男性が先立たれてから約七、八年この世に生を楽しむということになります。そうなってきますと、相続税の問題というのは非常に大きな女性の未来に対する問題ではないか、私はそのように思います。  十一月十四日の委員会におきまして、この税制特別委員会が開催された当初、笹野議員は今回の相続税における配偶者に対する配慮の強化について、女性は働かないで夫の相続だけを当てにするという考え方は余り評価できないとおっしゃっておられますけれども、私はこれを聞いて実はびっくりしたわけです。  今回、相続税改正というものも大幅に行われたわけですけれども、その実態についてこれは大蔵の方からちょっと御説明をお願いしたいと思います。
  24. 濱本英輔

    政府委員濱本英輔君) お答え申し上げます。  今回の税制改革消費税の導入、それから所得税減税といったいろいろな施策と一つながりの一環の施策といたしまして、相続税につきましても相当思い切った見直しを行ったわけでございまして、例えば課税最低限を従来の二倍に引き上げる、それから小規模事業用の宅地の課税の特例というのがございますけれども、この減額割合も大幅に引き上げるといったような施策を講じました結果、六十二年度の相続税で、半分とは申しませんけれども、約四割に当たります七千億円に達する減税相続税において行ったということでございます。特に配偶者の生活の安定に対しましては格段の配慮が払われておりまして、従来御主人が亡くなりますと、遺産額の二分の一相当額までは非課税ということになっておりましたけれども、これを改めまして遺産額のうちで配偶者の法定相続分までを非課税にする、さらに最低保障額も従来四千万円でございましたものを八千万円に引き上げるといったような措置がとられたわけでございます。
  25. 小野清子

    小野清子君 東京などに住まいをしておりますと、一平方メートル、千代田、中央、あの辺はひどいところ六、七、八千万とか一億とか大変な額になるわけです。そうしますと、本当に小さなたばこ屋さんが何十億という、こういう現状にさらされますといわばこの問題は、いわゆる東京の悲劇とも言われる問題ですけれども、やはり相続税というものが妻に対してどういう考え方を国が持つかということは大変大きな問題だと思います。  今の説明から明らかになりますように、女性家庭にいるということは、ただ単に家でごろごろして何もしないということではなくて、配偶者も家庭という場で家事、育児、私は子育てのときには教育だと思いますし、また家の中をきちんとなさる、これは文化的なことにもありますし、またレジャー時代をどうしようかというと企画からいろんなものをやる。ですから、そういう意味では、国で言えば各種大臣と総理大臣まで、山の神という言葉もありますので、いくのかなと思うほど女性というものは非常に大きな役割を持っているものだと思います。  そういう観点から考えますと、笹野議員の「女半分、男も半分」という本をちょっと拝見させていただきましたが、家事、育児の労働についてはその重要性は認めておられますけれども、一方で働き方が問題であると。本質は自立できる働き方かどうかが問われていると書いていらっしゃいますね。大勢のために働ける母親、つまり外に出て働いている母親の方が一人のためにしか働けない専業主婦より社会的に影響があるので子供には尊敬されると、こう書いていらっしゃるわけです。これを読み続けますと、夫一人のために働いている姿よりも社会に出てばりばりやっている母親が子供には鮮明に映るはずである、こういう決め方をしていらっしゃることに私はこれもまた、そうなのかなと実は驚いたんです。男性社会というのは勤労権の自由と喜び、これを自分たちはとるけれども女性には持たせない。だから、勤労権としての働きではなく奴隷としての働きを強いたと。そうすると私も奴隷かなと、そんな感じがしてこれを読ましていただいたんですが、家事、育児がその代表であると。家事、育児が女性にとって奴隷という理解は私はちょっと不思議だなと思いました。  長い歴史の中で男性は、家事、育児は無報酬なもので、美しい働き方はお金と関係のないものだという考え方を女性に植えつけてしまったと、こういう内容でしたね。これからの女性が経済的に自立するに当たって、その近代性と資本主義経済の資本原理という二つをしっかりマスターしないで美しい働き方という変な言葉にだまされ続けますとと、こういうふうに笹野議員にとっては女性の自立とは外に出て働いてお金を稼がないとだめだ、こんなふうに書いていらっしゃる。こんなふうな考えでいらっしゃるから、いわば相続税における配偶者への配慮の強化という改正を積極的に評価できないのかなと。  妻が外へ出て働くかどうかということ、これは夫婦の問題だと思います。まことに家族いわゆる二人の問題だと思います。やはり夫婦というのは二人協力して財産の形成を行っているのであって、たとえ妻が家庭にいても、経済的な報酬を得ていないとしても、単に夫に扶養され、あるいは夫の相続だけを目当てにしているというわけではないということを、これは家庭にいる主婦を代表して申し上げたいと思いますけれども、今回の相続税における配偶者に対する配慮につきまして評価してよいのではないかと思います。  笹野議員は、十一月二十七日に谷川先生の質問に関して、控除の拡大は評価するとおっしゃっていらっしゃる。十四日のお答えとこれはどういうふうな関係になるのか、その辺のお答えをいただきたいと思います。
  26. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) お答えさしていただきます。  私の本を読んでいただきまして大変ありがとうございました。時々取り違えて読んでいらっしゃるようですので、というのは私も家庭で仕事をしていますし、外でも仕事をしている。小野議員もそうだというふうに思いますから、そう一方的に決めつけてはおりませんので、どうぞその点をもう一度読み直していただければ大変幸せだというふうに思います。  さて、相続税の問題に触れさしていただきますけれども相続税は第一次石油危機の後、昭和五十年に改正されて以来十年も本格的見直しが行われませんでした。その後の物価上昇、近年の地価の高騰などを踏まえて、さきの税制改革では負担軽減のための措置が大幅に拡充されたものと受けとめております。定額控除が二千万円、比例控除が相続人一人当たり四百万だったのが、それぞれ四千万円と八百万円に増加されたことを評価しております。また、税率の適用区分が拡大されたことは評価しておりますが、最高税率を七五%から七〇%に下げたことに対しては反対だということです。今回の我々の案ではもとの七五%に戻しております。  さて、配偶者控除についても拡充が盛り込まれております。すなわち配偶者の法定相続分以内かまたは八千万円以下には相続税が課税されないことになりました。女性の方が一般的に男性よりも長生きであるということを考えると、この措置は妻の立場に配慮したものと評価することができるのではないかというふうに評価しております。しかし、近年資産格差がますます拡大しつつある状況を忘れてはならないと思っております。夫が財産をたくさん持っている場合とそうでない場合とでは、未亡人の生活に大きな差が生じるということは明らかです。夫の地位によって残された妻の老後の生活が左右されるということは、これはやっぱり極力避けなければならないものであります。  いずれにせよ、今後相続税のあり方についても議論していかなくてはなりませんが、女性立場への配慮、資産格差の拡大の是正などさまざまな点から検討を重ねていきたいと思っております。
  27. 小野清子

    小野清子君 大体は賛成をしてくださるということですけれども、夫に財産があったから、その夫が亡くなってその夫の財産をたくさんもらえるのはおかしいというふうな言い方というのは、これはおかしいんじゃないでしょうか。財産というのは二人が協力して財産の形成を行うわけですから、これは女性を差別しているというふうに私は思うんですけれども、非常にそこの理屈は合わないと思います。  それでは、物品税廃止の方に参りたいと思います。  どうでしょうか。お砂糖など一キロ当たりどれくらい減税になったでしょうか、笹野議員
  28. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 小野先生物品税を私にやれと、こう言われておりますからちょっと。通告いただいておりませんので面食らいましたけれども
  29. 小野清子

    小野清子君 物品税、これは通告をしております。
  30. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 砂糖は、黒砂糖甲類一キロにつき基本税率が一円、それから乙類が三円でしたね。これがなくなって消費税に統合された。直接砂糖を買っていないものですから、よくわからないんです。
  31. 小野清子

    小野清子君 買い物をされるので笹野議員にお願いしたわけですが。  白いちょうど四角いビニールに入った、一キログラム二百五十四円、その販売をする店によってもこの辺は少し違いがあるかもしれません。大体キロ当たり九円安くなっております。  勝木先生。ビール大瓶、どれくらい安くなっているでしょう。
  32. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 十円安くなっておるそうです。
  33. 小野清子

    小野清子君 ありがとうございます。瓶の方で十円、缶の方で五円という数字があります。ですから、これは夏場ですと、毎日一本ずつ飲むと三百円という数字も出てくるのではないかと思います。所得税住民税、こういうものと同時に、いわゆる物品税廃止というものが生活の中に、特にお砂糖などはこれからきんとんを煮たり、なますをつくったりとお正月に向けて大変大量に使うわけですから、こういったところも違ってこようかと思います。  私は、消費税消費税というあらしが吹き荒れましたときに、息子に、あなたたちはどういう話をしているのか、そんなことを聞きましたら、いや、我々が買う物は大体安くなっているから、怒っているのは、私を指さしてですよ、おばさんたちじゃないのと、二十数歳になる息子はそう言ったわけです。見てみますと、CDなどは一枚につき百八十八円安くなっております。それからフィルム、これは二十四枚撮りで三十五円安くなっております。ガス、電気、二百二十円、三十七円、これは平均してですけれども安くなって、こういう物品税廃止が意外なところで家計の支出を随分軽くしている。いわゆる消費税廃止というこの五文字は大変わかりやすいんですけれども所得税住民税は振り込みでわかりにくい。また、減税感覚が年末調整などといって自分の手に来ないからわかりにくい。それから、ボーナスのときの減税も何かわかったようでわからない。  そして、物品税もそんなままでだれも説明しないということになりますと、これは国民生活が本当にマイナス面に向かうということを私ども胸を張ってやれるということはあり得ないわけでございまして、この辺は物品税廃止が意外なところで家庭の出費を随分軽くしているということがおわかりいただけるだろうと思います。ですから、物品税廃止の効果が注目されずに、消費税負担ばかりが指摘されるということは大変残念なことだと思います。それで、女性の一円玉ばかりがとかく話題になって、百円のアイスクリームが三円だと、この方にだけ気持ちの重みが実際にいくということ、そういうことは私はやはり指導立場にある者としていかがなものかなと、そんな気持ちになるわけでございます。  男性たちが大変好まれるゴルフも、ゴルフ用品は三〇%かかっていたわけですから、ゴルフボール一個につき八十五円という物品税が取り除かれているということもつけ添えさせていただきたいと思います。  それで、さっきからぜいたくぜいたくという言葉がたくさん言われました。ぜいたくというその言葉ですけれども、中流意識というものがどうかという国民生活に関する世論調査というものがありまして、これを見てみましたら、中の中というのが五二・一%。これは元年の数字でございます。それから、中の下というのが二八・五%。中の上というのが六・七%。これを全部合わせますと、中流意識というのが八七%になっているわけです。  ぜいたく品というのはどういう基準で考えられるのか、やっぱり笹野議員につい伺いたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  34. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 先生、私で済みません。  物品税のことになりますが、要するに、もう一回繰り返させていただきたいんですが、消費税廃止をすると五兆九千億、そしてそこで一体代替財源をどうするかという、その中で今までありました一種、二種、物品税八十五品目をそのまま復元をする。しかし、税率は約半分にトータルで調整をする、税額で言いますとね。そういう考え方でございまして、ぜいたく品と言われているのは第一種の十品目、ただし、これはことしの四月まで適用しておりました国の考え方、大蔵省の考え方そのものを踏襲しているわけですからね。今後何が一体ぜいたく品で、一体何を物品税を払う品物にするかどうかというような問題については、何度も申し上げておりますが、これからの検討課題になる、いろいろのアンバランスを解消しなきゃならないだろう、このように考えております。
  35. 小野清子

    小野清子君 十一月十一日の日経新聞にこんな記事が書かれておりました。  この前同僚議員の方から、三種の神器とかいろんなお話が出されたところですけれども、「高所得・高まる快適生活志向 薄れるぜいたく意識 一万円の食事も六割平然」、「「ぜいたくと思わない」人の比率」というものもパーセンテージでずっと出ておりまして、  「ビデオカメラの購入」は七割強、「レストランでの一人一万円の食事」は六割の消費者がぜいたくとは考えていない――。所得水準の向上、快適生活志向の高まりとともに、従来ぜいたくだと思われていた商品・サービスをぜいたくと思わない消費者が増えていることが、日本経済新聞社のアンケート調査で明らかになった。消費税廃止・見直し論議に関連して、ぜいたく品に課税する物品税の復活が国会での論点の一つになっているが、国民のぜいたく意識はかなり変化してきているようだ。 ここが問題だと思います。要するに戦中の我々のぜいたく意識と今の方々のぜいたく意識というのは全然違ってきている。  調査は、十月下旬に首都圏五十キロ圏内に住む二十歳から六十九歳までの男女千六百人を無作為に選び電話で行った(回答率五八・九%)。   十六の商品、サービスの購入をぜいたくと思うかどうかたずねたところ、商品では、普及率が一割を超えたばかりのビデオカメラで七四%、三十インチくらいの大型テレビで四八%、三百万円くらいの乗用車で三九%がぜいたくと思われていなかった。   サービスについても「音楽会や芝居でいちばん良い席のチケットを買うこと」を七五%がぜいたくでないと答えたほか、「個人の旅行に新幹線のグリーン車を使うこと」では六〇%、「海外の保養地に一週間以上滞在すること」についても、四三%がぜいたくと感じていない。 というこの数字を見まして、私なんかもちょっとびっくりした一人ですけれども、要するにこのごろは価値観が全くばらばらで、我々がぜいたくと思うことがぜいたくでなかったり、そういうことがいわゆる物品税を外し、だから消費税ということになるのではないかと、私はそのように思うわけでございます。  たまたまその消費税という問題に関して裏づけをするような記事が、これは日経新聞で十一月十一日にとってくれた記事でございまして、私が頼んでとったわけではありませんので、一応こういうデータもあるというこの実感ですね、これはやはり政策にかかわる者が、我々はこう思うといっても一般の人間はそう思わないということであれば、政府の考え方はじゃどうなのかということを問いただされるということにもつながってくるのではないかと思うのです。だから、今や多様化、価値観がばらばら、こういう時代の中で公平とは何かという、この公平論ということは非常に大きな問題であると私自身考えるわけでございます。  ですから、最近は三種の神器から3C、クーラー、車、カラーテレビ、日本人には毎日買い物をするという習慣がありながら、大型冷蔵庫が抜群に売れているわけです。しかし一方、大型冷蔵庫が買えるような家をなどという言葉もあるんですけれども、実態は大型冷蔵庫が非常に爆発的に売れている。そしてVTR、電子レンジ、音声多重テレビと、このように日本人の意識というものが非常に価値観がばらばら、そして国民の中で統一されにくいという現状を私どもは押さえておく必要がないだろうかと、そんなふうに思うわけでございます。ですから、こういった現状を踏まえまして、どうしても考え方として消費税の方が物品税よりは時代に合った税制だと、私も心からそう確信をするわけでございます。  野党の方は、サービス税というものを今後取り入れるというお話でございます。「「新鋭制改革」への挑戦」という日本社会党の本の中に、いわゆる就業構造の変化というものが図式になっておりまして、昭和二十五年は第一次産業五〇・七、第二次産業二二・二、第三次産業二六・六というこの表が、六十一年、第一次産業八・五、第二次産業三三・九、第三次産業五七・二と大変大きな差に、このように御自身たちの「「新鋭制改革」への挑戦」の中でも図表にして出されているわけですけれども、現在日本はいわゆる経済のソフト化あるいはサービス化が急速に進んで、第三次産業の比率が大変多くなってきている。社会党のデータでこのように示されておりますように、産業構造の変化というものは大変大きなものが今現在あるのに、なぜこれが今回の物品税復活の折に考慮されなかったのか。特にこのサービス税というものは、私自身言葉では何となくわかったような感じがしたんですけれども現実的な姿が見えなかったんです。どうでしょうか、梶原先生、サービス税というものはどんなものがあるのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  36. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 小野先生、先ほどたくさん言われまして少しお答えして、私の考え、これは一晩たっても立場が違いますから議論は一致しないと思いますが、先生からさっきずっと言われました中流意識の問題ですね、確かに数字はそのような数字が出ておるんですが、東京の人は、東京に住んでみないから余りよくわかりませんが、東京のほとんど多くの家なしの勤労者世帯というのはもう住宅を取得できなくなっている。だからその他の物品に手を出す、まあ外で食事でもするかと。それも一カ月に一回かそこらじゃないでしょうか、家族で一万円を超えて夕食を食べられるというのは、そのように思います。私ども地方に住んでおりますと、もっと地方所得が低いわけで、非常に厳しい現実になっております。  そこら辺の問題はたくさん反論といいますか、申し上げたいことが多いんですが、一体何が公平なのかということを言われました。私はたびたび言っておりますが、今度の三%の消費税の導入に当たりまして大蔵省がまとめた国税、地方税の六十三年度ベースによる減税増税の計算があるわけですね。それを見ますと、直接税の減税、すなわち所得税減税が三兆三千億円、相続税減税が七千億円、それから法人税減税が一兆八千億円、それから既存間接税の廃止が三兆四千億円、合計いたしまして九兆二千億円、これに対して増収の方は、課税の適正化等、これはマル優の廃止等が入っておると思うんですが一兆二千億、消費税の創設で五兆四千億、これが五兆九千億とこう言われておるんですが、要するに三%の消費税の分は所得税減税相続税法人税減税に行っているんですね。だから、非常に弱い層のところに財源が回っていないんですよ、一つは。だから、高齢化社会、こう言われるけれども、これは三%を六にしたり一〇にしたりするとどっとそっちへ行くかもしれないけれども、今言われている三%は動かさない、こう言ってみれば比較的強い層に財源が回っている、こういう現実から見て公平公正ということは口では言えるけれどもなかなか実態はそうなっていない、このように見ております。  それからもう一つは、この前から言っておりますが、給与所得者の昭和六十二年度の平均を見ますと、対象人員三千七百六十七万人、男子が二千四百七十万人、女子が千二百九十七万人、しかも男子の勤続年数は十二・四年で……
  37. 小野清子

    小野清子君 簡単にお願いします。先生、サービス税についてのお話……
  38. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) ちょっと、じゃ結論だけ言いますと、男子の平均所得というのは全部込み込みで年間四百五十二万円、女子は二百十九万円。だから非常に先生の周りにおる人は、比較的高い人との接触が多いんじゃないですか。私ども地方におりますと、本当にもうお互いに貧しい、どうかならないか、こういうような人たちと一緒にやっぱりよく見ておりますからね。だから、公平か公平ではないかという点については、考え方はもう朝まで言ったってこれは結論は出ないと思いますが、その点は御理解をお願い申し上げたいと思います。  それから、ぜいたくと思うかどうか、ぜいたく品かどうかという定義の仕方についても今いろいろおっしゃられましたけれども、それは旅行する、あるいは高いものを買う、あるいは高い夕食を食べる、それがぜいたくかどうかということは、思うのはそれはぜいたくじゃないと思うかもしれない。じゃ自分が本当に海外旅行、あるいは高いものを買えるような力があるかどうかという現実との差は、やっぱり思うことと差のずれはあるのではないか、このように思います。  さて、サービス税でございますが、随分短く言ったつもりなんですが:::。どういうのが実際にあるかということですが、国税においては通行税、入場税、印紙税、有価証券取引税等が今あります。地方税においては料理飲食税や娯楽施設利用税、電気・ガス税などがサービス税と、このように言われております。この前からどなたでしたか、先生から質問がありましたが、政府・自民党としては広告代に対して一体課税をするのかしないのか随分検討されたけれどもなかなか業界の抵抗もあって難しかった、できなかった、こういう部類も入ると思います。
  39. 小野清子

    小野清子君 要点だけぜひお答えをいただきたいと思います。  この前、同僚の松浦議員が車のことで、地方ではもう車はぜいたくではない、庶民の足になって高齢者が病院に通ったりするというお話を聞きますと、物品税を復活して、物品税はいいんだという考え方の中に、やはり物品税そのものが問題になるということがこの前も出てきたわけです。いろいろ問題点はそれぞれ持っているかと思いますが、しかしこれから五七、六〇%近くふえるサービス税というものを今回なぜ外したんだろうか、それを今お伺いさせていただいたんですけれども、まさにこちらの方は生活を豊かにする、ぜいたくという言葉が当たっているかどうかは別にしまして、便利、ぜいたくすべてにかかってくると思います。ちょっと御紹介させていただきますと、美容サロン、それから家政婦サービス、カルチャーセンター、スポーツクラブ、宅急便関係、ビデオレンタル、先ほど先生がおっしゃいました交通機関、電話、ホテル、外食産業、引っ越しサービス、クリーニング、このごろ引っ越し何とかパックなどというものもありますし、ルームクリーニングなどというのはこれは単身赴任の男性陣には大いに何か年末にはお歳暮のかわりをなしているというお話があります。  このようにこれからの時代というのはいわば豊かさというもの、あるいは外で働く女性が多くなってきますと従来主婦の行っていた家事が外に委託をされるという傾向も出てきて、これがサービス産業というものを非常に大きく広げていくわけですね。こういうものがなぜ今回取り入れられなかったのかということも私は不思議だなと。これから大いにふえていくこういうものこそ担税力のあるあかしではないか、私はそんなふうに思うわけです。ですからそこを今お伺いしたのに、ちょっと御説明の方が長過ぎた感じがするわけでございます。ところが、いずれサービスに課税をするというふうにおっしゃっているわけですね。課税をするというふうに考えた場合にはいわば自由民主党が考えている現在の消費税と同じことになるのではないか、そんなこともつけ加えさせていただきます。  これからは余暇時代とか、労働と余暇、これは国民生活に関する調査会でも私も委員として勉強させていただきましたけれども、これからは週休二日、夏季休暇、年次休暇、そういうものを大いに使って、移動の時代であり、大いに交通を使い、そして料理飲食、こういうものも豊かさの一つになろうかと思いますけれども、なぜ料理飲食税を復活されたのか、こういうのは逆に言うと余暇生活の障害に値するのではないか、この辺は私はそのように思います。ですから、庶民のゆとりとか豊かさの上からも復活を図るよりは、いわば宿泊と飲食をねらい撃ちして課税した、何かそんなふうに不公平感を訴える声が私のところにも大変多くあるんですね。そういう声があるということで。これでまた御意見を聞くとちょっと長くなりますので。  宿泊客は一人当たり平均宿泊料を今回五千円から一万円に上げたとか二千五百円から五千円に上げた、そちらの方はそのままで、それでいわゆる物品税でも最高税率の一〇%をここへなぜ持ってきたかという、こういうことですね。そういうことで、宝石や毛皮となぜ同率のものをここへ持ってこられたのか。現状としては宿泊が大体八千円から一万円くらいですから、それに飲食が入ると合計するとほとんど一万円を超すそうです。そうすると一〇%というのは大変重いのではないか。――この辺は結構でございます。  それでは、これから高齢化が進展をしていきますと、高齢化の問題というのは本当に介護等で受け手となることは女性自身の問題になってくるわけです。女性家庭内介護の担い手であるということは、高齢化社会の進展の負担をまず負うのは女性であるということ、この認識は今回の税制改革の中で私は本当に心からそう思いますし、そのことを国民の皆様にわかっていただかなければ消費税の論議というものはできないと思うんですね。ただただ消費税廃止廃止ばかりで、そして将来廃止されて、いざ未来に対する自分生活基盤をなす財源がございませんではこれはまことに悲しいことで、そうなったときに、なぜあのときみんなは正しく説明してくれなかったのかと、こう言われると私は女性として耐えられない。だから、私はあえて高齢化時代というのは女性の問題である、このように考え、そして消費税問題というものを税制改革とした観点でとらえさせていただきたいと訴え続け、これからもそうしていきたいと、そう思っております。  ここで、高原経済企画庁長官は「女は三度老いを生きる」という本を書いておられます。日本の高齢化社会の厳しさというものは特に女性の上に強くのしかかってくるということを書いておられるわけでございますけれども、この本の中で一番おっしゃりたかったことをぜひ御説明いただきたいと思います。
  40. 高原須美子

    ○国務大臣(高原須美子君) 私はいつも女は三度老いを生きるというふうに申し上げているわけで、それを本のタイトルにしたわけでございます。  私ごとを申し上げまして恐縮なんですけれども、実は一昨年亡くなりました私の実の母は十五年以上も寝たきりでございました。その介護が非常に大変だった経験をもとにして「女は三度老いを生きる」という本をまとめたものでございます。  男女雇用機会均等法などが施行されまして、男は仕事、女は家庭という固定的な役割分担は意識の上ではなくなってきておりますけれども、先ほど小野先生も言っておられますように、現実には家庭の中では女性の担当する分野というのが非常に多いというこの現実は否定できないと思います。そういたしますと、寝たきりとか弱い老人の介護というのは主に女性の分担となります。実際に数字を見ましても、在宅で介護を受けております寝たきりの老人をだれが介護しているかといいますと、九割までが嫁、妻、娘といった女性でございます。この介護というのは私の経験からいいましても非常に大変なものです。そこで女性は、中年になると親が弱くなってその親を介護するということで、一度目の老いにぶつかるわけでございます。  次に、高年になりますと、男性の方が平均寿命が短く、また、夫婦の年齢差を考えますと夫の年齢の方が高いために夫が先に亡くなるというケースが多いものでございますので、高年になると夫の老後を見るという二度目の老いにぶつかります。そして三度目には、女性の方がはるかに寿命が長いわけですので、この自分自身の長い老後に対応しなければならないということで、女性は三度老いにぶつかる場合が多く、高齢化社会というのは女性にとって男性よりも深刻な事態だというふうに思います。もちろん寝たきりのお年寄りをなくすといった対策も必要ですけれども、一方で、もし社会保障とか老人福祉が確立されておりませんと、介護といったような高齢化社会の重荷を女性の肩にだけ背負わせて乗り切っていくということになりかねないわけでございます。  そこで、女性の重荷を少しでも軽くしたいという意味を込めまして「女は三度老いを生きる」という本を書き、同時に女性が高齢化の重荷に泣くことなく大変な高齢化社会を乗り切っていくためには、そのためにぜひ安定的な財源が必要であるというふうに思っております。
  41. 小野清子

    小野清子君 長官、ありがとうございました。結構でございます。  ただいまお話しをいただきましたが、まさに到来する高齢化社会というものを先見性を持ってお書きになられた文章であり、私も大変感銘を受けて拝読させていただきました。女性の社会進出の進展を考えますと、働き手として高齢化社会を支える女性負担も忘れてはならない問題であるわけですし、しかし高齢化社会は女性にとって既に直面している深刻な問題となっておりまして、高齢化社会の到来がまだ先のことだという主張は、私は女性の抱えている現在の問題を全く認識していない時代錯誤、認識不足だというふうに考えさせられるわけでございます。ですから、高齢化社会の負担のツケをいわば女性に負わせないためにも、もう既に進んでいる高齢化社会の各般にわたり対応していくということ、なかんずく高齢化社会を支える税制税制に関してきちんとしたものを実現していくことが責任ある政党として当然のことであり、私は、二年も待っているということはどれだけ多くの方々に問題を残すかということを、その深刻さというものを全く理解していないというふうな感じにとれてならないわけでございます。  そこで、今回の税制改革の趣旨、高齢化社会との関係をもう一度確認したいわけですが、今回の税制改革は、高齢化社会の負担所得税を払う働き手に偏らないように、広く薄く分かち合える税制をつくることが目的であったわけでございます。現在は、現役の働き手二十歳から六十四歳六人で高齢者一人を支えております。平成十二年には三・七人で一人、平成三十二年には二・三人で、私が八十歳を超しますと二・三人にお世話になる、こういうことになるわけですが、その現役世代の負担ということを考えた場合に、やはり直間比率を見直しして間接税のウエートを高めるということが私はぜひ必要であろうかと思います。  ここで政府にお伺いをしたいのですけれども、寝たきり老人の問題について、いわば介護を要する老人の数というものは今どうなっておりますか。ちょっと御説明をいただきたいと思います。
  42. 加藤栄一

    政府委員(加藤栄一君) お答えいたします。  寝たきり老人など介護を要するお年寄りの数ですが、六十一年現在で約六十万人おられるわけでございまして、そのうち在宅におられる方が約四割弱になっております。
  43. 小野清子

    小野清子君 現在の在宅老人の介護者はだれがそれを担っているわけでしょうか。
  44. 加藤栄一

    政府委員(加藤栄一君) 在宅老人を介護しておられます方でございますけれども、昭和六十一年の国民生活基礎調査によりますと大部分が同居の親族によるわけでございまして、そのうち九三・三%が同居の親族などと。そのうち、女性の方が八六%を占めております。  内訳としましては、息子のお嫁さん三四・三%、それから寝たきりの方の奥さん二六・一%、寝たきりの方の娘さん一九・八%、その他五・八%、以上になっております。
  45. 小野清子

    小野清子君 私の周囲でこのごろ結婚式をやりますと、長男長女というカップルが非常に多いんですね。子供の数が非常に減少している。そうしますと、夫婦から一人ずつ生まれて長男長女、ちょっと極端かもしれません。その長男長女が結婚して一人また子供を生んだ。この一人の子供は何人を世話しなければならないかというのが、いわば日本のこれからの高齢化社会そのままの図式のような気がするわけでございます。出生率がこれだけ減ってきますと、いわば国に頼む頼むといっても、国というのはこの一人一人の国民働き手によって支えられているわけですから、国が支えるというのはいわば自分たち子供、孫が支えるということになってくるわけです。そうすると、このような図式は、まさに男女雇用機会均等法で外で働く女性がふえるとどうしても子供は少なくという傾向になっていったときに、その働き手というものも先細りをするという心配を私自身感じているわけです。  高齢化という言葉が盛んに言われますけれども笹野議員、高齢化とはどういう定義か、ちょっとお話をしていただきたいと思います。
  46. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 突然の御質問なのでちょっと資料がありませんけれども、六十五歳以上の老人が七%からいかにパーセントを上げていくかというデータが高齢化のあれでございます。
  47. 小野清子

    小野清子君 高齢化社会についてということできのう申し上げておきましたのでなかったということではないと思いますが、しかしパーセントを、数字をお願いしていなかったので……。六十五歳以上人口が七%を超えたときに、国連の定義でこれを高齢化というわけでございます。  そうしますと、日本の六十五歳以上の人口が七%を超えたときはいつか。これは御質問するのには通告をしておりません。これは昭和四十五年でございます。そして、四十五年に七・一%になり、平成七年にこれが一四・一%になります。ということは超高齢化社会になるということでございまして、日本がこの超高齢化社会に向かいますのに二十五年間でこれを達成してしまった。アメリカは七十年かかっている。イギリスは四十五年、西ドイツは四十五年、フランスは百三十年かかり、スウェーデンは八十五年。こういう数字を見ますと、日本の場合に社会、経済あるいは社会保障というものを高齢化に合わせて再構築していくためには時間が非常に少ないということですね。ですから、高齢化高齢化これから高齢化になるといっても、もう既に高齢化にどっぷりつかっているということなんです、現実は。  そして、あと五、六年で超高齢化に入るという現実を踏まえますと、一年、二年ほうっておいてというふうな考え方はこれは当たらないのではないか、そんなふうに私は思うんです。平成五十五年、二〇四三年には二四・二%で、これが日本の高齢化のピークになってくるわけでございます。やはり政治というのは先を見て今を進めなければならないということ。今がよければいい、高齢化は先のことだという野党の意見には私は真っ向から反対の意を表するわけでございます。ですから、そういう意味でこれからという言葉ではなく、現在が高齢化でありそして数年たちますと超高齢化という問題が目の前に来ているということ、非常に人口の高齢化の進行が速いということも御認識をいただきたいと思います。  社会保障の一般歳出におけるウエートというものが、――時間がありませんので私このまま進めますけれども、(「大丈夫大丈夫、しっかりやれ」と呼ぶ者あり)社会保障費の一般歳出に占めるウエート、せっかくですから、じゃ言っていただきましょうか。笹野議員いかがでしょうか。
  48. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 小野議員、私はきょうは先ほどからずっと聞いておりまして、小野議員にそんなまともから反対するつもりは全然ありません。ありませんが、ちょっとだけ食い違っておるわけです。  そのちょっとが大事でございまして、実は私どもは結党以来この福祉の問題に取り組んでまいりました。そして福祉の問題が今、国会の議場で政治の柱としてこういうふうに議論をされているということは大変大事なことだと思います。私どもが結党当時、三十年代の初めあるいは四十年代の初めに福祉を取り上げましたら、福祉なんて政治じゃないと笑われました。そういう時代があったんです。これは事実です。そういうような時代がありまして現在のこういう時代になっているわけです。  私どもも決して高齢化社会が遠い先だとは思っていないんです。厚生省あるいは大蔵省がおっしゃっておりますように、今小野議員もおっしゃいましたように、高齢化社会のピークがこうこうこういう時代になると厚生省や大蔵省がおっしゃっております、こう言うておるわけです。しかも、現在既に高齢化社会が来ておるのもこれは事実であります。したがいまして、先ほど介護の問題がございましたけれども、寝たきり老人の問題にいたしましても、現在六十万人ですか、それが平成十二年には百万人になるんじゃないか、こういうお話もあるわけです。確かにそのとおりです。  そこで、それじゃ国の方の福祉政策というのはどうなっているのかと私どもが一番心配しておるわけです。例えば私どもは「福祉トータルプラン」というのを昭和五十一年に発表させていただきまして、去年は「二十一世紀トータルプラン」というのを発表させていただきました、読んでいただいたと思いますけれども。そのときに私どもが一番心配しておりますことは、国の福祉政策というのは一体どういうふうな方向に行くのか、これが一番大事な問題で、それがはっきりしないと予算をきちっとすることも税をきちっとすることもできないわけです。これはもう委員も御存じのとおり、北欧型の福祉にするのかアメリカ型にするのか、私どもははっきりしないわけです。その点を申し上げましたらこの間も、委員も聞いておられましたように、大蔵大臣は日本型という福祉があってもいいじゃないか、こうおっしゃいました。ということは、日本の国自体がまだどちらへ行くかということをはっきりしていないという事実であります。  この間、昨年の話でありますが、OECDの福祉担当大臣の会議がOECDでありまして、実はそのときの藤本厚生大臣の演説の中身を私もずっと読ませていただきましたけれども、あの中身は結局自立自助ということを中心にいたしまして福祉のこれからの行方というのをだあっと述べておられます。あれをずっと検討してみますと、あの藤本厚生大臣の演説を聞かれて一番賛成したのはアメリカとイギリスです。両方の大臣は物すごく拍手をして、後の談話でも、よく話をしてくれた、こういう話があります。ところが、北欧三国の大臣は藤本大臣の話はおかしい、こう言っておるわけです。ということは、日本は藤本大臣は自立自助の方向へ行こうということを言ったわけですけれども、いやそういうわけでは困るんだという国のいろんなあれもありまして、はっきりしないわけですね。ですから、そういうような意味では、私どもははっきりそこら辺の方向を見定めていくべきじゃないのか。  去年も実は厚生省と大蔵省から出していただきましたあの見積もり、現在の制度を二十一世紀までずっと引き延ばしていきますとこういうふうになるというあの数字の姿を見せていただきました。私どもも検討させていただきましたが、このままで本当にいいんだろうかということがあるわけです。そういうようなことを考えてみまして、さて消費税とのかかわりになるわけでございますけれども、先ほどからいろいろ話を聞いておりまして、女性立場からのいろんなお話、私もおじいさんを、ぼけ老人というんですか、それで亡くしましたものですから、その介護の手当てというのがどんなに大変かということは自分でもよく認識をしているつもりであります。そういうような意味では、私どもは昨年の消費税の国会のときにも自民党の皆さんやいろんな方々にも我々の日ごろの要求を申し上げましたが、ことしを介護元年にしようということでそういうような手当ての問題についても随分国会の中でも取り上げていただいたわけであります。  しかしながら、ここで一番考えていただきたいのは、ちょっと食い違っているというそこは何かというと、私ども小野さんと同じようにこれからの高齢化社会を一日も早くちゃんとしたいわけです。そのためには、やはり国民の信頼と合意というのがどうしても必要だ。税にはそれが必要です。そういうような意味で、私どもは、福祉のこのことをちゃんとするためにも、要するに今消費税を見直しとかおっしゃっていますが、このままずっと行った場合に税に対する不信がどうしても残ってしまう。しかも、現在の姿のままの消費税が二十一世紀に役に立たないことは議員も御存じだと私は思います。そういうふうな意味では、新しい時代の税というのはやはりもう一回みんなで見直した方がいいんじゃないか、そして今の消費税をやり直した方がいいじゃないか、白紙に戻してやり直した方がいいじゃないかというのが私どもの考え方でございまして、そこのところが小野議員とちょっとだけ違うところでございまして、あとはほぼ小野議員の御意見にそんなに私ども目くじら立てて反対するようなところはない、こう考えております。
  49. 小野清子

    小野清子君 私が今質問申し上げたのは、社会保障費の一般歳出におけるウエートはどれくらいのパーセントかということを御質問申し上げたわけでございます。  今いろいろお話を伺いました。北欧型、アメリカ型、いわゆるアメリカ型は自助努力型、北欧型は国が主体性を持って七三%のいわゆる税というものを取り上げている。日本はその中間であるということは、国も見ながら自助努力をする、その両方をやるということにおいて日本型という言葉を使ったわけでございまして、日本は何も考え方がない、そういうことではないと私は理解をいたしております。  社会保障費の一般歳出におけるウエートは一八%、十兆八千億ということで、また文教、科学振興の一般歳出におけるウエートは八・二%、こういうことになっております。野党さんの御意見の中には、就業人口と高齢者人口、この比率に関して就業者人口がふえるから国民負担は余りふえないという主張があるようですけれども、これをどなたかひとつ説明をしていただきたいと思います。
  50. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) これはいろんな学者の論文とかいろんな問題もたくさんありまして、大蔵省発表いたしております数字は先ほどおっしゃっていただきましたが、これは単純に二十歳から六十四歳までの人口といわゆる高齢者との比を言ったものが大蔵省数字でございまして、私どもが就業者人口との割合を計算したものもあるわけでございます。  実際問題としては、これから高齢化社会になりまして就業者人口というのは、これからは女性の働く人もどんどんふえてまいりますし、あるいは高齢者の中にも働く人も出てくると私は思いますね。そういうふうな意味でいきますと、これからの支える人数の割合というのはそういうふうな方面も十分検討して、やはりその支える人数と支えられる人数というものの比率というのは考えていくべきではないのか。それは確かにそういうふうな考え方もあっていいし、私どもはそういうふうに正確に割り出していくべきではないのか、こういうふうに考えているわけでございます。  例えば就業者人口との比率で申し上げますと、一九八五年が総人口と就業者人口の比率が二・〇八でございまして、二〇〇〇年が二・〇八、二〇一〇年が二・一〇、それから二〇二五年が二・〇八でございまして、これは厚生省の人口問題研究所と労働省の試算に基づくものでございますけれども、そういうふうな数字からいきますとほとんど就業者人口と総人口の比率は変わらない、こういうふうな数字もあるわけでございます。
  51. 小野清子

    小野清子君 連合さんの方で「二十一世紀高齢社会への総合福祉ビジョン」というものが書かれておりますけれども、この辺をちょっと御説明いただきたいと思います。
  52. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) お答えさせていただきます。  人生八十年時代の到来と言われておりますが、高齢化社会の急進展の中で国民の福祉、社会保障に対するニーズは確実に高まり多様化していることはもう御存じのとおりです。その中で、公平公正な社会と豊かでゆとりある国民生活を支える将来にわたって信頼のおける制度の構築を目指さなければなりません。世界一の経済力にふさわしい高福祉適正負担を基調とした人間優先の制度拡充を図り、豊かな高齢化社会を迎えるために努力しているところであります。私ども連合参議院といたしましては、連合の御支持をいただいているわけですけれども、これからは連合参議院として大いにこの議論を研究し、検討してまいりたいと思っております。
  53. 小野清子

    小野清子君 連合の方で「人口が高齢化する反面〇~十四歳の年少者人口比は一九八七年の二〇・二%から二〇〇〇年には一八%、二〇二〇年一六・五%に減少するので、教育関係支出等年少人口のための政府支出の対国民所得比を二~三%減少させることができる」と書いてございますけれども、これはいかがでしょうか。
  54. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) この点につきましても、私どもはこれから連合の方と十分検討して一つの試案をまとめたいというふうに思っております。
  55. 小野清子

    小野清子君 「減少させることができる」という言葉を言っておりますけれども、イエスですか、これでいいんですかという御質問でございます。
  56. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 再三申し上げますけれども、私ども連合参議院は連合の組織とは違うわけですので、その連合の申し上げていることに対して私どもまだ検討している最中ですから、イエスともノーとも言う立場にないことを御理解ください。
  57. 小野清子

    小野清子君 生産年齢人口が減少する、しかし女性の社会進出が進むというお話も先ほどいただきました。ですから、就業者は増加すると見込まれる。確かに女性が大いに社会に進出いたしますからそういうことが考えられると思います。しかし、就業人口に当たって高齢者数の比率というものもそれなりに一緒に上がっていくわけなんですね。高齢化による負担の傾向は私は変わらないと思います。  高齢者の方が児童よりも一人当たり社会保障給付費がかかっておりまして、児童の減少が高齢者の増加により社会保障給付費は増加していくという、いわば十四歳以下の子供の医療費と六十五歳以上の医療費の比較、こういうものがどういうぐあいになっているかということ、これが非常に大きな問題になってくると思います。ですから、子供が減るから社会保障負担は余り変わらないという議論、いわゆる子供が減少するからその分、子供の分が高齢者の方に回るのではないか、そういう議論がもしあるとすればこれは違うのではないか、そんなふうに考えるわけです。  これはちょっと文部省の方にお伺いしたいのですけれども、文教、科学技術関係のGNP比、こういうものが一・三%から一・四%、この間高校進学は五八%から九五%、あるいは先生一人当たりの生徒数、小学校で三十五人から二十三人へ、あるいは中学校で二十九人から二十一人へと減少しているわけですけれども、これが費用の上でどうなっているかということを御説明いただきたいと思います。
  58. 三村満夫

    説明員(三村満夫君) お答えいたします。  文部省としても種々の文教施策を今まで展開してきておるわけでございますが、国、地方全体で合わせましてこれらの施策に要する費用、こういうものを考えますと、例えば国と地方公共団体が支出した、児童生徒一人当たりの一年間の公財政が支出した教育費でございますが、昭和六十一年度の場合、公立小学校で約五十一万円、公立中学校は約五十六万円、公立高等学校は約六十万円というようなことになっております。
  59. 小野清子

    小野清子君 子供の数は減りますけれども、十一月二十六日の新聞は「一学級二教員「専科」も充実」というぐあいに、文部省はこれから力を入れて、子供たち教育の充実のために人数がふえるけれども経費の方は決して減らないという、こういう現実を踏まえますと、いわゆる就業者数、これと高齢者の人口、この対比から国民負担は余りふえないという主張は私は当たらないと思うわけでございます。  ですから、現在ですと就業者一人当たりに六十一万三千円、五人に一人、就業者に占める老人の対比があるわけですが、これが先ほどから申し上げておりますように年々三人に一人、二・五人で一人と減少していき、費用の方は二〇〇〇年になりますと就業者一人当たり百六十六万円から百九十万円、二〇一〇年になりますと三百一万円から三百七十万円と大変膨大なものになっていく。そういうことを考えますと、これからの平成三十二年にかけて子供高齢者の現役世代に対する対比はそれぞれどうなるのか、これを厚生省の方にお伺いしたいと思います。
  60. 加藤栄一

    政府委員(加藤栄一君) 子供高齢者の比率でございますけれども、昭和六十二年度でゼロ歳から十九歳の年少人口の割合が四六・二%でございます。これが平成三十二年で若干減ります。三・三ポイント減りまして四二・九%になります。それから六十五歳以上の老齢人口は昭和六十二年で、これは生産年齢人口に対する割合でございますが、これが一七・九%、それが平成三十二年におきましては四四%ということになりまして、約二・五倍になります。年少者と老齢人口を含めましてこれは従属人口でございますが、それの生産年齢人口に対する比率としては、昭和六十二年の六四・一%が平成三十二年に八六・九%ということになります。
  61. 小野清子

    小野清子君 このようにつぶさに経済実態を見ていきますと、社会保障制度が充実をいたしました今日において、今後予想されるような高齢化の進展が医療や年金を中心に財政需要の増加をもたらすことはもう明らかでございます。一方、子供はわずかながら減りますけれども、やはり施策水準の向上でお金は減らないということがわかってまいります。ですから、野党のこうした反論は私は的外れではないか、そのように考えます。  このように高齢化社会を支えるには財政需要がかかる、これをこれまでの税制で支えようとしますとまさに直接税重税社会というものになりまして、働き手にとっては大変大きな負担になるということ、ひいては働き手世代とそれに支えられる高齢者世代も共倒れとなってしまうのではないか。そういうことを考えますと、今日の税制改革はまさにこうした事態を避けるために政府が責任を持ってしかるべき措置を講ずるもの、いわゆる消費税の導入ということが時代に適応した実施ではなかったかと改めてここに申し上げる次第でございます。  このように、社会保障給付費中、高齢者に対する給付費は児童に対する給付費を大変大きく上回っております。これらの給付費を対象者で機械的に割り戻してみますと、高齢者の方が児童の約十倍に当たっております。これは大変な額でございます。ですから、こういう現実を踏まえますと、いわゆる高齢化時代に入っている現在、一般歳出に占める主な経費の構成比というものを見ましても、社会保険関係費というものが三二%、文教及び科学振興費というものは一四・五%、四六・五%、半分に近いものが経費の構成比として出てきているということ。こういうことを考えますと、これからの問題は非常に大きな問題であろうかと思います。  ここでひとつ、厚生年金の被保険者数あるいは受給者数、その成熟度について見通しを御説明いただきたいと思います。
  62. 加藤栄一

    政府委員(加藤栄一君) 厚生年金の受給者数でございますが、昭和六十二年で老齢厚生年金の受給者数で見ますと三百九十四万人でございます。これが平成三十二年で見ますと千百七十八万人になります。  それから国民年金、基礎年金でございますが、これの受給者、老齢基礎年金の受給者数で見ますと、昭和六十二年度で千六十万人でございますが、これが平成三十二年度でございますと三千八十一万人ということになります。  成熟度でございますが、成熟度と申しますのは被保険者がどの程度の受給者を支えているか、こういうことでございます。六十三年三月末現在の成熟度でございますが、国民年金の基礎年金で見ますと一六・五%、厚生年金で見ますと一四・二%でございます。将来の成熟度でございますが、厚生年金の場合は次第にふえてまいりまして、平成三十二年度では三九・九%になります。それから国民年金の基礎年金で見ますと平成三十二年度で四八・四%、こういう数字になります。
  63. 小野清子

    小野清子君 このような数字を見てみましても、やはり現実的な未来構造というものをきちんと踏まえながら、それではどうしていくかということを議論していかなければならないと思いますが、いわゆる租税としてあるいは保険料としての負担論に入っていきたいと思います。  国民負担のうち租税保険料のシェアを大蔵省にお伺いしたいと思います。
  64. 濱本英輔

    政府委員濱本英輔君) お答え申し上げます。  平成元年度で見まして、国民所得を分母にしまして分子を国税、地方税のトータルで見ました場合に、租税負担率と称しますものは二七・三%、それから社会保障の負担率というのは一一・五%、これらを合わせますと三八・八%になっております。
  65. 小野清子

    小野清子君 高齢化社会の財政の支出の多くが社会保障であるというこういう観点を考えていきますと、現在の制度のまま移行いたしますと将来は国民負担の三分の一強が保険料負担となることを考えざるを得ないわけでございます。  四会派の皆様に、租税保険料のシェアの将来像というものを一口ずつお話をお伺いしたいと思います。
  66. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 小野先生から高齢化社会についていろいろとお話を伺いました。私どもも、現実に高齢化社会に対応しなければならない時代が来ているということは、同じような考え方を持つわけでございます。特に私の郷里でございます鹿児島などの場合には、過疎地域で見てまいりますと既に昭和六十年度で一八・一%という状況になっておりまして、推計では二〇〇〇年には二八・一%から三〇・七%の間に入っていくだろう、こういうことになっております。薩摩半島というところのある町では、現在既に二八・六%という町もございます。そういう時代に、高齢化にどういうふうに対応していくかということは大変重要な御指摘であると思っております。  私たちは、高齢化社会の進展に伴う国民負担の増大というものを考えていく前提として、国が国民に約束する福祉の長期的な総合計画を明らかにする必要があるだろうと、こう思っております。つまり税というのは、先生もきょう何回かお使いになりましたが、よく私どもも使うのでありますが、取られるというものではなくて納めるという意識で国民が税に対応するようになることが最も望ましいのだと思っておりまして、それだけに福祉の将来像というものを明確に国民にお示しして、そしてそのこととあわせて負担というものについて国民皆さんの御納得と信頼のもとに納めていただく、こういうことになることが私どもは大変望ましいと考えておりまして、そういう意味国民が本当に安心して元気で生きがいのある高齢の時代を保障されるような社会保障政策の確立と税制の改革というものが、できるだけ深いかかわりを持って一体的に検討されることを望んでおります。  なお、今負担の水準についてどう思うかということでございました。私は、そういう立場からいたしましても、国民負担というのがふえていくということはこれはもうやむを得ないことだと、こう思っております。それで、国民所得や財政運営全般の改革によってできるだけふえていくものを抑制しながらやっていかなければならぬと思いますけれども租税負担と社会保険料負担の比重をどうするかは社会保障の内容にもかかわることでございまして、先ほど申し上げましたように福祉ビジョンの構築の中で最終的には決定をされていくことになるだろうと思っておりますので、今数字の上で負担割合をこうだと言って申し上げることが必ずしも正しくないと思っております。  なお、そういう税制を確立するに当たっても公平公正という問題、また社会保険料負担割りということになりますと、日本の場合には勤労者がみずから負担します社会保険料の比率というのが他の国に比べますとかなり高い水準にございます。こういう問題につきましても、負担割合の内容等の検討もやっていかなければならない問題であろうと考えております。  必ずしも先生の御質問に適切な答弁にはならなかったかもしれませんけれども、私どもはそういう考え方で今後負担割合についても検討してまいりたいと思っております。
  67. 小野清子

    小野清子君 皆さんにと申し上げましたけれども、大体今社会党の久保先生からお話をお伺いしたことで結構でございます。  社会福祉ビジョンにかかわることというお話でございますけれども、そのビジョンが出てこなければ今回のいわゆる議論はできないのではないかと私はそんなふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  68. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) これは、そのビジョンというものを私ども国民皆さんにかなり明確な形で早くお示しするということは大事なことだと考えております。それぞれ今まで各党各会派におかれてもいろいろとお示しになっておるわけでございますけれども税制改革と対比する形でのそういうものをきちんとしなければ、消費税国民に強い反発を受けた一つの原因はまた、政府が二十一世紀にかかっての福祉ビジョンというものを明確に示していないということにもあったのではないかと思っております。
  69. 小野清子

    小野清子君 政府が明確に示していないと申しますけれども、六十三年十月二十五日、きちんとこのようなビジョンをお示しをしているわけでございますので、そういった意味におきましてはそれぞれ御意見もあろうかと思います。  もう時間が来てしまいましたので、午前中はこれにて終わりたいと思いますけれども租税とそれから保険料負担という問題がこれからの高齢化時代の大変大きな問題になろうかと思いますので、後ほどまたこれに触れさしていただきたいと思います。
  70. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時一分開会    〔理事井上吉夫君委員長席に着く〕
  71. 井上吉夫

    ○理事(井上吉夫君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、消費税法廃止する法律案消費譲与税法廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  72. 小野清子

    小野清子君 私の次の質問に入ります前に、関連質問者として永田議員をお願いしたいと思います。
  73. 井上吉夫

    ○理事(井上吉夫君) 関連質疑を許します。永田良雄君。
  74. 永田良雄

    永田良雄君 私は、小野議員質疑に関連して、土地の問題について四党の皆さんに質問を申し上げたいと思います。  ちょうど今、参議院でも土地問題特別委員会で土地基本法の審議最中であります。また、土地の問題は、六十一年から始まりました大都市中心の土地の暴騰によっていろんなひずみを露出しているような状況でございまして、この問題は、やはり今内政の最も重要な課題の一つであると思っておるわけであります。土地基本法もそういう観点で国会に提出されたわけでありますし、かつこの土地基本法も四党の方々が基本法が必要だということで企図された問題であります。  そこで、最初に私は、土地対策の基本の問題をそれぞれの党の皆さんに、土地問題というのは一体どういうことなのか、目的とすることはどういうことなのか、何のためにやるのか、こういうことをそれぞれの党で簡単にお答えいただきたいと思うわけであります。
  75. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) お答えいたします。  先生はもう土地問題については大変な精通された方でございますから、私から簡単にだけ申し上げますが、昨日も私、土地特委のメンバーでございますから一日あっちにおりまして、皆さんの御論議を聞いてまいりました、大臣の御答弁を含めて。そこでは、御承知のように衆議院では野党の二項目を政府合意で自民党と一緒になって受け入れていただき、さらにこの参議院でも野党がまた政府側と話をし、自民党側と話をして幾つかの修正をお願いしながら、この一番大事な現在の、先ほども御指摘のような内政問題で最も大事な土地問題について各党一致して土地基本法をつくり上げようとしていることは御承知のとおりと思います。  そこで、まず私は土地政策について簡単に申し上げてみますと、我が国は確かに経済大国、こう言われておりますが、生活水準、特に住宅等についてはEC諸国から働きバチの、働き中毒でウサギ小屋、こういったような嘲笑を受けるような状況になっていることも事実でございます。国民個々の土地あるいは住宅に対する生活実態は経済大国に伴っていないことは永田委員も御承知のとおりだと思います。特に土地、住宅の供給がおくれております。  御質問の趣旨は、勤労者等国民の土地供給政策についてのようですが、勤労者並びに市民は究極的には土地そのものよりも快適にして低廉な住宅の確保を望んでいる面もあると思っております。それは、住宅の取得、所有はもちろん、賃貸でも歓迎されている、こういう状況があります。  したがって、本院で審議されている土地基本法案が成立したとすれば、その精神を生かして、すなわち土地は財産権として保障するものの、利用については公共の福祉を最優先にするという原則に立って、勤労者、市民の望む公共住宅しかも低家賃の賃貸住宅を大量に供給、建設することができるのではないかと考えております。  重ねて申し上げますが、土地供給は、単に市場原理にゆだねるのではなく、土地基本法の精神に沿って公共的な計画を基本に、つまり可能な限り公有地を拡大し、その上に公営住宅、公社住宅、公団住宅等を最優先に供給することが必要ではないかとも考えております。  以上でございます。
  76. 永田良雄

    永田良雄君 簡単にお願いします。
  77. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) 土地問題の専門家である永田議員にお答えするのはちょっとおこがましいわけでございますけれども。せんだっても予算委員会で持論を展開されておりました。今のお尋ねのように、土地の問題は非常な大きな問題でございまして、確かにおっしゃるとおり内政の最重要課題だと思います。近年の土地の高騰はいろいろな面でのひずみを今生んでいるわけでございます。  基本的な考えとしまして、私ども土地というのは公共的な財であるという考えに立ちまして、六十年あるいは五十年代にもありましたけれども、土地を投機の対象にしてはならないという、そういう理念からこれは出発しなければならない。しかも、今一番大事なことは、先生もせんだって予算委員会で御指摘になりましたけれども、まじめに働いてみえる勤労者の皆様方にどれだけの安い土地が提供できるか、あるいは安い家賃の公共的な住宅を提供できるかということが今問題ではないか、このように私たち考えております。今、土地基本法も審議されているわけでございますから、これをぜひとも成立させて、そういう観点からの土地政策に全力を挙げて頑張っていきたい、こう考えております。
  78. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 大変大きな問題ですが、私どもとしては、簡単に一言で申し上げますと、土地政策というのは、限られた国土をすべての国民のために有効に利用するという理念が最も重大な政策の根本だというふうに思っております。
  79. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 我が党も土地政策については、二十一世紀に向けて国民が我が国の経済力に見合った生活の質を実感できるような、そういう基盤づくりが必要だという観点に立っております。そのために民社党も、社会党、公明党さんと共同提案して土地基本法の早期制定を目指しておるわけでございます。
  80. 永田良雄

    永田良雄君 ただいまお伺いしますと、各党とも現下の最大の問題は勤労者に手に入る土地、住宅を供給することが一番大事だというふうに考えておられるように思いますし、私もこの土地の問題は、いろいろ長期的な問題、いろいろ派生の問題はありますが、現下一番大事なのはそれだと思っておるわけであります。したがって、いろんな土地問題の具体的な施策も、どうやったら勤労者が、収入で言えば五倍ぐらいの収入で手に入る住宅を取得できるか、あるいは家賃にすれば月収の二〇%ぐらいで入れる住宅を取得するかということだと思うわけであります。そういうふうに皆さんの方も基本を理解しておられるというふうに理解して、これから質問を進めたいと思うわけであります。  先ほどからまた出ておりましたのは、限られた財産であり公共財である、一般の自由な経済原則だけに任せておってはなかなか大変だ、こういうお話であります。もちろん、この点も私も理解するところでありますが、現在行われている土地に対する公共的な制約というのは、一つは利用の制限として、例えば都市計画法で土地の利用について何らかの制限が加えられること、あるいは建築基準法で高さを制限されるとか建物の建て方について規制を加えられるとか、そういう問題があります。  それからもう一つは、土地の取引そのものに何らかの制約を加えられるという問題があります。これは御承知のように、現在あるのは国土利用計画法によって監視区域になったり、規制区域になったりする場合に自由に取引ができないという問題があります。  そういった、大きく分ければ二つぐらいの話だろうと思うわけでありますが、これからこの問題を強化していかれるのかどうか、強化していくとすればどの点を強化していこうと思っておられるのかということをお伺いしたいわけであります。
  81. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) お答えをいたします。  まず、やはり土地を取得する方法は、先生おっしゃったとおり二つの方法があると思います。私たちが四党で土地基本法を提出いたしましたのは一年余り前でございますが、その基本法の中にこんなふうに私たちの考え方を明記しております。「土地は、現在及び将来における国民のための限られた貴重な資源である」ことから「公共性を有するものである」、「これは、すべての国民が健康で文化的な生活を営む上で欠くことのできない原則である。」、こういう格好で公共性ということを非常に一つの大きなウエートとして置いております。  政府の方の案も同じように「土地は、現在及び将来における国民のための限られた貴重な資源」云々というふうに、共通点が非常にあると考えております。土地について、公共の福祉のためにその特性に応じた公共的制約が課せられるものとするというのも政府原案でございます。こういった共通の認識の中で、衆議院では御承知のように野党と自民党一緒になって修正事項が一つ入っております。そして、宅地供給その他について公的な利用という、それを最優先する、公共性を最優先する、こういう考え方で今進んでいるものと考えております。
  82. 永田良雄

    永田良雄君 その公共性を強調するために今ある規制に加えてどういう規制を新たにつくろうとしておられるのかということをお伺いしておるわけであります。  私がちょっと今、頭の中へ入れながら御質問したのは、土地特別委員会の中でも、監視区域という制度がありますが、これは大変なまぬるいから規制区域を指定してしまえ、こういう議論が簡単によく言われるわけであります。規制区域をかけるということになると、当該地域の中の取引は原則的にストップするわけでありますから、これはこの地域の経済活動は全く停滞するというふうになるわけであります。しかも、その地域とその隣接地域との差もなかなか大変であります。広ければその経済全体を混乱させてしまうわけであります。だから私は、土地の問題は、やはり土地そのものが自由な資本主義経済社会の中に組み入れられているわけですから、全くそれを公的な規制でシャットアウトするというのは間違いだと思っておるわけであります。恐らく今の監視区域で勧告をし、注意を喚起しという格好がぎりぎり限界ではなかろうか。  そこでもう一つ、先ほど土地の対策の基本と言ったのは、結局はそういう強権的にやっても経済を混乱させるようなことがあったらこれまた大変なことになりますから、そういうことは厳に避けなければならない。それを避けて、勤労者に低廉な住宅を供給する方策は何かということを考えることが今一番大事なんではないかというふうに思うわけであります。そういう点について、公明党の太田先生
  83. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) 土地には専門家じゃないものですからあれですが、お答えになるかどうか。  私どもの考えは先生おっしゃった部分とある程度は合致する点もあるわけですが、私たちも、今自由主義経済体制ですから、土地につきましては原則自由である、こういう考え方でありますけれども、先ほど申し上げましたように、土地というのはこれは有限の資源でございますから、その中には公共の福祉のために有効に利用されてしかるべきではないか、こういう考え方を持っております。そういう点から、憲法上の私的所有権を認めますけれども国民共有の財産としての土地という立場からもやはりこれは、厳しいあれじゃなくて、的確なある程度の私権の制限というのもやむを得ないんじゃないか、こういう考えもありますし、あるいは地域開発とか都市開発などに伴う地価の大幅な上昇で得た利益につきましては、開発利益の適正分を社会に還元してもらいたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  確かに大都市中心の宅地の供給という面も考えますと、やはり遊休地というのが大都市の中にもまだまだあるんじゃないかと思うんです。そういう面についてどう活用していくか、その点で地権者の方々にぜひとも住宅宅地を供給してもらうようなある面の誘導政策も考えなきゃならないんじゃないかと思うんですが、そういうようなところでございます。
  84. 永田良雄

    永田良雄君 土地は公共的な財である、公共の制約に従わなきゃいかぬということを大変皆さん強調して言われるわけでありますが、ここに土地収用法というのがあります。これこそまさに公共物のために土地を提供してもらうときの法律であります。これの利用状況が大変悪いということも御存じかと思います。  古い話でありますが、成田空港をつくるというときの話を私も思い出すわけであります。あのとき社会党さんは、かなりの国会議員の方が一坪運動としてあそこに土地を持たれて、あれに反対されたことを思い出すわけであります。今はそういうことはやっておられませんが、あれについてどのように考えておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  85. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) 成田空港、今もきのうきょうの新聞をにぎわしておりますが、やはり土地収用法と住民のいわゆる憲法上の私権といいますか、こういったもののかかわりというのが非常に今後のあらゆる土地問題の一つの接点になるのではないか、こう考えております。土地収用法の公権力と住民である地権者との対立は非常にいろいろな形を持っております。したがって、場合によって土地収用法というのは、やはり上から一つの力をもってぐっと押しつけてくる、こういったような形で土地の公共利用あるいは土地の収用、こういう形が出る。  私たちは土地基本法で物を考えていますのは、何とか国民合意、合意という言葉を言うとしかられますが、国民の総意を、その地域の人たちに一人でも多く納得をいただいた形の中から一つの土地の利用方法、こういうものを考えていきたい、こう思っている次第でございます。
  86. 永田良雄

    永田良雄君 成田空港の一坪の所有の問題には余りお触れにならなかったわけでありますが、あれはまだ正しいと思っておられるわけではないだろうと思います。そして、土地収用法で上から収用するのがけしからぬので下から合意を得てやっていくのは正しい、これは教科書に書いてある、だれでも同じであります。現実にそういう問題に遭遇したときにどういうことになるかというのが大事なのであります。お経の文句を幾ら並べてみたって、そんなものは何の解決にもなりません。私は現地に出ていろんな場面に対応してきましたから、そんなきれいごとで通るわけではないわけであります。やはりある段階になったら断固としてやるべきときはやらなきゃいかぬと思うわけであります。  例えばもう一つ例を申しましょう。美濃部さんが都知事のときに、一人たりとも反対があったら仕事はやらない、こうおっしゃったわけでありますが、こういう論理は社会党は今も考えておられますか。
  87. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) 最初の段階の土地収用法というものは、私自身も幾つかそういう問題を見、聞き、そして体験をいたしておりますから、どういう段階でどうとかというふうな話し合いは、これはやっぱり住民の意思とそれから事業者、そういう人たちの間の対話というもの、そこに含む補償問題とか、その後のその地域をどういう都市計画にするかとか、いろんな条件を含めてお話し合いをしていただくことが私が参加した幾つかの問題の中にはあったと思っております。現にそういう話が進まないままに各地域に残っているのもあるわけです。  さて、美濃部さんの話ですが、これも岩手県の私が美濃部さんの話を申し上げるのも……
  88. 永田良雄

    永田良雄君 いや、そういう考え方。
  89. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) はい、わかりました。美濃部さんは、確かに対話集会での発言内容は、先生がおっしゃるようなことをお話ししておりました。美濃部知事は、御承知のように日本を代表する憲法学者の美濃部達吉博士の子息として、だれよりも法の運用、執行には気を配った民主都政という考え方で都政を行ってまいりましたが、その知事が、一人でも反対していたら土地収用はやらないと言ったというのは、数字的に一というものを言ったのではなくて、民主都政の哲学として、行政当局側はあくまでも住民の意見を広く聴取して、可能な限り同意を得たいという、言うなればあの方の高い法哲学を知事としておっしゃったのではないかと私は想像と言うと失礼ですけれども、承知をいたしております。
  90. 永田良雄

    永田良雄君 大変きれいなお話でありますが、現実は東京美濃部都政のときに、外郭環状線もできませんでしたし、東京都が将来必要になるというようないろいろなプロジェクトが全部ストップしたのは間違いのない事実であります。  それで今この東京都の道路の大渋滞があり、あるいはゴミ処理の問題のもとがあると私は思っておるわけであります。それは理念としてきれいかもしれませんが、理念で行政はできません、政治はできません。やはりある程度尽くした後は多数決の原理に従って粛々と物事を決めてやるという、これがやはり最も国民に親切な行政ではないかと思うわけであります。  そういう意味で、社会党の皆さんからあれは間違っておったという答えを聞きたかったわけでありますが、なかなか頑張って言われないようでありますからこれにとどめておきます。  それからもう一つ、何も皆さんをやり込めるというつもりは全くありませんが、勤労者に安い住宅を供給しなきゃいかぬという目的のために土地問題をやるということでありますが、現実にこの東京都周辺で土地を開発しようと思っても極めて難しいのが現状であります。先ほど太田議員がお答えになりましたが、遊休地がありますよと。もちろん遊休地はあります。だけれども、それに住宅を建てるのに大変な障害がいっぱいあります。まず公共団体がそれに賛成しなければ全くできません、これは。  ところが、現実にはなかなか公共団体の理解が得られないというのが現実であります。なぜ理解が得られないか。東京都へ勤める人の住宅は要りませんよ、あるいは住宅団地をつくったらいろいろな公共施設がいっぱいかかりますよ、そんなものに使う金はありませんよと、そういう話とかいろいろありますが、これでほとほと参っておるというのが現実であります。  今、政府は、そういうことで公共団体の協力を得てやらにゃいかぬということで地方公共団体と協議会をつくってやろうと思ってやっておるようでありますが、私も国の役人をしたときに、現実に各都道府県を頭を下げて回った例があります。それでもなかなか大変です。特に革新公共団体というのはなかなか御協力が得られないわけであります。これをどうやったらいいとお考えか、皆さんの方で政権をとって、勤労者のために住宅を建てるという立場になったらどういう手法をとられるか、お聞かせ願いたい。社会党さん。
  91. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) 非常に行政の立場で苦労された先生のお話ですから、いろいろな意味で私もそれを身にしみながら、同じ今土地特別対策委員のメンバーとして考えているところでございますが、確かにかつて一九六〇年代の高度経済成長に入り、その裏側では公害の激化、都市住宅環境の悪化、福祉の低下が顕著になりました。その現象の進行と正比例していわゆる革新自治体が誕生したことは事実でございます。  その革新自治体の中心的政策は、公害防止条例の制定、宅地開発指導要綱の策定、そして老人医療費の無料化、こういうのが中心課題でございました。この三大政策のうち公害条例は、もう御承知のように、公害国会と言われる状態も出て公害基本法が出たわけでございますが、この中で乱開発やウサギ小屋などを未然に規制するための自治体レベルにおける開発指導要綱の行政手法だけが今なおオーソライズされていない。すなわち、国の開発規制として法定されていないのであります。当時、革新自治体先導型政治と言われながらこの開発要綱だけは国が後追いをしたと、こういうふうに私たち考えております。  ところで、住民としては乱開発規制と学校、保育所、道路、防災公園等用地提供の負担義務づけた指導要綱が良好な住環境を保障されるとして歓迎したために、保守自治体にまで広がり、一時は全国で七百市町村に及んだのでありますが、この自治体レベルで国が放置している開発規制行政は今なお有効に作用しています。にもかかわらず、国は執拗に住民の強い意思によって策定され、環境防衛に役立っている開発指導要綱の弱化、改廃を命じているようでございますが、このことの方がむしろ悪徳不動産業者を暗躍させ、地価つり上げ、そして超高級マンションを虫食い的に進出させてきた、市民生活を脅かすものではないでしょうか。保守革新を問わず、多くの自治体の中に相当厳しく、若干行き過ぎ的要綱もあるかもしれませんが、そうしたケースは多少是正するとしても、この要綱は基本的に正しいと考えております。そして、政府としてはできるならば住宅宅地関連公共施設整備促進事業費の大幅な増額を行っていただきたいものだと、そう思っております。
  92. 永田良雄

    永田良雄君 どうも余り聞いたことに端的にお答えにならなくて、聞かないことまで答えていただいて大変困るのでありますが、私は負担金のことは一つもまだ聞いておりません。  負担金のことを申し上げますが、開発負担金も私がこれから問題にするのは、そんな格好のいい、悪徳不動産業者がけしからぬからと、そういう単純な短絡的な発想では物事が進まないということを申し上げるわけであります。それは、開発負担金を過重なものを課せば土地は高くなるわけであります。当たり前の話であります。土地の値段が高くなれば住宅も高くなる、これまた当たり前の話であります。公園も要る。何でも、別に金を何億くれという話だって出てくるわけであります。だからこういう面も、ただただ庶民の、勤労者の住宅を供給せにゃいけませんよと、こういうきれいごとだけで、現実の政策とは全く違った方向へいっているような現状をよく知っていただきたいと思うわけであります。  今、私らちょっと聞いてみますと、もう関東周辺には売り地はないといいますね。だれも売らない。そうなるとどうして勤労者に安い住宅を供給できるんでしょうか。住宅をつくるからといって私人から取り上げるわけにはいかないわけであります。やはり出しやすいようにしなきゃいかぬし、安く提供してもらえるようにせにゃいかぬわけです。そういう政策はやらなきゃいかぬと思うわけであります。  したがって、社会党の皆さんも在来の考え方を一歩踏み込んで新しい立場に立って、土地基本法はお互い皆協力一致してつくってやろうというわけでありますから、そういう姿勢で対応をしていただきたいと思うわけであります。これは要望として、これからいろいろな場面が出てくるだろうと思います。それは一にも二にも政府のやることも結局勤労者に安い住宅を供給するための施策でありますから、これをぜひ御協力賜りますようお願い申し上げておきます。  それからその次に、土地の供給の源として今大変新聞紙上をにぎわしております市街化区域内の農地の高度利用という問題がありますが、これについて社会党さんと公明党さん、どのようにお考えになりますか。基本的な考え方でよろしゅうございますが、お聞かせ願いたいと思います。
  93. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) 先ほどのさきのお話の部分にはあえて反論はいたしませんけれども、私もメンバーの一人であります土地基本法、これを与野党一緒になってつくりたい、こういう気持ちでおりますから、この点はどうかひとつ自民党さんの方もよろしく御協力を、一緒になってやらしていただきたいと、こう思います。  そして、特にこの東京都の問題等は単に美濃部知事時代とか何とかということよりも、東京都が持っている経済、情報、政治のあらゆる中心地としての集中性、これをどうするかということで、既に遷都問題等が大きく取り上げられているような状態であり、関東各地に売り地がないと言われますとそれは……
  94. 永田良雄

    永田良雄君 市街化区域内農地をどうされますかという質問に端的に答えてください。
  95. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) 失礼をいたしました。  じゃ、その部分はやめまして、このほど建設省が三大都市圏内の農地に対する宅地並み課税を打ち出していますが、それは基本的に正しいとは言えません。このため、関係の農水省を初め自治省、東京都など、建設省と歩調を合わせた宅地並み課税を推進している様子が見られません。これらの市街地内農地に宅地並み課税をする前に、遊休地が相当あり、これらを有効活用した後に対応すべきであって、単に課税を強化しても大企業の民間デベロッパーに売り渡すということではなく、自治体レベル、賃貸を含め公共的計画利用をまず図るべきであると考えております。  例えば市民参加による農地利用の計画を進め、市営住宅、防災公園等を策定することが増税対策よりも優先されなければならないのではないか。鈴木都知事の先日の発言もまた我々傾聴に値すると思います。
  96. 永田良雄

    永田良雄君 聞いたことに答えてください。
  97. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) だから零細農民に大幅増税というおどかしで吐き出させるというような手法はとらない。あくまでも土地利用は公共の福祉に照らして住民本位に進めなければならないと考えているところでございます。
  98. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) 基本的な考え方だけ述べさせていただきますが、私どもは、三大都市圏における市街化区域内の農地につきましては宅地並み課税をすべきであると考えております。  その際、やはり長期営農を希望される方々、そういう方の農地につきましては、生産緑地法に基づきまして、生産緑地地区に指定をして、都市計画法による農地として存続を認められるべきである、こう考えております。  また、せんだって予算委員会で先生がおっしゃった大企業、大法人の遊休地、未利用地もあるじゃないかというそういうものも、私どもの四党のいろんな話し合いの中でも、やっぱり特別な保有税をかけるべきじゃないかといういろんな議論はありました。しかし、今回は保有に関する税の問題につきましては提案はさせていただいておりません。
  99. 永田良雄

    永田良雄君 公明党さんのは端的にはっきりお答えいただいたわけでありますが、社会党さんは市街化区域内の大都市の農地については手をつけないというお話のようであります。  大企業の遊休地を使えばいいと、常にこれも言い古された、非常に過去三十年間同じことを言っておられるような言葉であります。全く私は信用ができません。一体本気になって勤労者に安い住宅をつくろうという意欲があるかどうか、全くその気持ちが出てこないわけであります。極めて残念であります。言うことは常にきれいに勤労者に住宅をと、こういう物の言い方でありますが、現実の政策になると全部逃げであります。こういうことでは、私は国民は信頼しないと思う。厳しいときは厳しく、そして温かい手を伸べるときは温かい手を伸べる、こういうことをやらないと、その場限りの調子のいいことだけで政治は進みません。そこは強く社会党の皆さんに、もっと現実的に目を開いて政策をまじめに議論してほしい、こう思うわけであります。  もちろん自民党も真剣にやります。土地基本法をつくって出発点を一緒にしてやろうとしているわけであります。今言ったやつは全部出発点が一緒で、それから具体的政策をどういうことに持っていくかというところになると途端に違ってしまうということであります。最初に言った土地基本法の基本的目標を私がはっきり皆さんにお聞きしたのもそこであります。勤労者に安い住宅を、夢でなく与えることをやらにゃいかぬじゃないか、自民党はこれに全力をかける、こう言っておるわけでありますが、そこの点へいくと、それに資するような政策は私どもはとりません、大企業の何とかがあります、もちろん大企業の遊休地についても対応すべきことはしていきます、それだけで逃げるというのはひきょうであると思うわけであります。反省をしていただきたいと思うわけであります。  もう時間が余りなくなりましたがもう一つお聞きいたします。四党連合の政策だったか各党の政策であったか忘れたわけでありますが、土地増価税の問題が出ておりました。引っ込んだような気がするわけでありますが、土地増価税の問題はどのように考えておられますか。公明党さんが持っておられた話だったでしょうか。
  100. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 今回の法案の中には出しておりませんけれども、四党で話し合いをする前にそれぞれ各党が、我が党はこういうふうな案があるがどうかということで考えた中に、私どもは土地増価税のことを考えてはどうかということで、原案を考えたことがございます。
  101. 永田良雄

    永田良雄君 現在はそういう考えは持っておられないかどうかということをもう一回お伺いします。
  102. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) これは非常に大事な問題でございまして、特に個人のいわゆる固定資産税の洗い直しの問題と、それから法人の持っている含み益の問題との絡みというものがございまして、個人から見ますと非常に不公平ではないかという意見もございますので、そこら辺のところは私の方の土地増価税を考えましたときに、そういう点を考えたらどうかということで随分議論になりました。これは今私どもがすぐにというよりも、いずれにしてもこの問題は将来のいわゆる含み益に対する考え方を明確にしていかないといけないという考え方を今でも私どもは持っております。
  103. 永田良雄

    永田良雄君 もう一点、勤労者に安い住宅を供給するために必要だと思う施策についてお伺いします。  それは社会党さんも四党さんもおっしゃっておられますが、分譲、持ち家だけじゃなくて、安い賃貸住宅を供給せにゃいかぬじゃないかということを言っておられます。現在、賃貸住宅は学生の独身のマンションか社宅以外ほとんどできていないというのが現状であります。理由は簡単であります。一たん貸したら大変なトラブルでありまして、値上げもままにできない、使う必要があるから出ていってくれと言ってもなかなか出ていってもらえない。特に市街化区域内の農地の方々がみずからの土地を利用していろんなことをやろうという場合に、家を建ててそれを貸すということは大変その人たちにとっても利用の仕方としてはすばらしい利用の仕方だと思うわけでありますが、それが絶対できないような今のシステムであります。  それは借地借家法の問題であります。借地借家法というのは御承知のように、大正の時期に地震売買と言われて、借家が払底したときに家主が借家人を非常に厳しく追い払った、それから、戦後荒廃して家がなくなったときに大変な効力を発揮した法律でありますが、現在はもう社会情勢が全く違っております。やはり合理的な格好で家賃の値上げができるようにならなきゃいかぬということ。それから、必要なときに、契約すれば、例えば十年なら十年と決めたら、その期間が来たらスムーズに出ていってもらえる、そういう定期借地権あるいは借家権という問題とか、そういう問題をうまく解決しなければならないと思うわけであります。  それはわざわざ高い金を出して家を買う必要がなくて、低廉な家賃の賃貸住宅を供給できる一つの大きな柱になると思うわけであります。この借地借家法が今検討されておりますが、この問題についてどのように考えておられるか、社会党さんと公明党さんにお伺いしたいと思います。
  104. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) ただいまの御指摘の点は、ことし三月に法務省の法制審議会民法部会から発表された「借地法・借家法改正要綱試案」についてであろうかと存じます。  これは、時期的に見て今国会で審議されております土地基本法の策定以前のものでございますから、私たちはさらにこの土地基本法の成立後、速やかにこれを含めて用意されなければならないと考えているところでございます。これらの借地借家の合理的なあり方が整理されるのはその一緒の討議と、こう考えております。とにかく、借地借家法の新しいあり方は、土地の憲法とも言われます本院の基本法とのかかわりで考えてまいります。  さらに、今日の地価高騰、何らか政策的な歯どめをかけなければならない。さらにそのために、土地、住宅を持つ者と持たない者との資産格差が非常に広がっている、こういう状況の中で借地借家側が一方的に地代、家賃の引き上げ攻勢に遭って大変な被害、しわ寄せを受けているという状態も御承知のとおりと思います。したがって政府は、そうした社会的弱者に対して法の保護を必要とすることも当然であります。  しかし、今後とも三年ないし五年後に法案として提案された際に十分にこれを考えながら、いわゆる近代国家にふさわしい公的な住宅を中心にした住宅のあり方を考えてまいりたいと思っております。
  105. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) 借地借家法につきましては、やはり時代の変化に対応して見直しをすべきではないかと思います。しかし、借地人や借家人の方々の権利が大幅に弱められるようなことがあってはならない、こう考えております。今法務省でいろいろと検討されているようですが、まだ一年ぐらいかかるんじゃないか。  今お話がありましたように、土地基本法も出しておりまして、やはり総合的かつ抜本的な土地対策が必要なときでございますから、土地基本法ともあわせながら借地借家法も見直しの検討をさるべきじゃないかなどいう考えもありますが、法務省で今いろいろと出されている試案についてもいろんなやはり問題点があろうかと思います。その点はまた、私どもじっくりと検討させていただきたいと思います。
  106. 永田良雄

    永田良雄君 私は細かいことを聞いているわけじゃないんです。そういう問題がもう時代おくれになっている、したがって検討しなきゃいかぬという姿勢があるかどうかということを聞いたわけであります。ましてや土地基本法の前か後ろかという、そんなことを聞いているわけじゃありません。社会的実態はずっとあるわけですから、土地基本法が出ようが出まいが、社会的実態はあるわけだし、住宅を供給しなきゃいかぬという要請もあるわけですから、そういうことを真剣に考えていただきたいということを要請して、私の質問を終わります。
  107. 小野清子

    小野清子君 午前中は租税と社会保険料の問題について御質問をさせていただきました。いずれの場合にも国民の合意という言葉がいろいろと出てまいります。  せっぱ詰まってまいりましてちょっと急ぎますけれども、社会保障や高齢化社会についての国民の合意の形成は、具体的にどんな状態になれば国民の合意が得られたということになるのか。例えば世論調査でもするのか、何か客観的な判定基準があるのか、お答えをいただきたいと思います。
  108. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 国民の合意ということについては何回かこの委員会でお尋ねもございました。  私どもとしては、今の法的な手続で申しますと国会の議決が国民の合意となろう、こう思っておりますが、その際、議会は議会としてあらゆる努力を重ねて、国民の世論が十分に尊重される、国民の意思が決定に反映することに誤りがないようにやっていくということでそのいろいろな手だてを講じなければならないものだと考えております。国会の議決が国民の合意でありましても、そのことに対する議会の持ちます重い責任というものを絶えず顧みながらやっていくことが国民の合意ということを誤りなく見出していく道ではないでしょうか。
  109. 小野清子

    小野清子君 その五十人を選ぶ場合に、だれがイニシアチブを持って選ばれるのか、お答えいただきたいと思います。
  110. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) これは政府の機関として置かれるわけでございますから、内閣総理大臣がお選びになる、そしてそれを国会が承認するという形になります。
  111. 小野清子

    小野清子君 この前からのお話を伺っていると、内閣総理大臣が選んだんだから国の税調の委員はだめだというお話を何か聞いたような感じがいたしましたが。  高齢化社会における社会保障と国民負担とのあり方について国民の合意の形成ということをおっしゃっているわけですけれども国民負担というのは社会保険料負担租税負担と両方あるわけでございます。国民負担のあり方とは、やはり租税のあり方そのものを含むものでありますから、税制のあり方そのものに関係するもの、これは税制再改革法案の中で、税制再改革の基本原則として、直接税を主として間接税を従とするということを堅持しということをおっしゃっている。  それから「税制の社会的再分配機能が十分に発揮されるよう配慮し、」と定めて、税制のあり方について国民の合意形成に枠をはめることになり矛盾をしているのではないかと私は思うわけでございます。枠をはめられたことに、例えば学識経験者からいろんな方々をこれから五十人お願いするとすれば、大体学者というのは非常にそれぞれが一家言を持っている先生たちでございます。そういう研究者が枠をはめられたこういう委員会に御承認して参加されるものかどうか、その辺をちょっとお伺いさせていただきたいと思います。
  112. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 基本法を今御論議いただいているわけでございまして、私どもはこのことに関しましても、国民皆さんに基本法がどういう内容のものかということも検討の過程でも十分明らかにしてまいりましたし、また、国会の大変長い熱心な御論議を通じても、国民皆さんもよく御承知いただくようになってきているんじゃないかと思っております。  この基本法がこの国会で議決になりますとこれを一つの原則、方針として御論議をいただくわけでございますが、私は、必ずしもこの原則や方針に賛成の人たちだけがこの協議会を構成するということにならなくてもよいと思うんです。その立場からいろいろ御意見をお述べになることも必要なんじゃないでしょうか。しかし、どういう方が自分は嫌だとおっしゃるか、自分はぜひ入りたいとおっしゃるのか、それは具体的にならないと、こういうことが起こるだろう、こういうことにならないかと御質問になりましても、仮定で私がそういうことになりましょうかとか、いや、それはならないとかいうような御返事をすることは非常に難しいと思います。
  113. 小野清子

    小野清子君 私は、国民の合意形成に枠をはめるということを指摘させていただいたわけでございます。  今回、いろいろと四会派の社会保障政策なども勉強させていただきました。老人対策につきましても、例えば民社党などは特別養護老人ホームや老人保健施設などを増設し、改良してよくしていこうというお考えであり、社会党は逆にこの二つは廃止をして、ケアつき住宅やナーシングホームを再編成するとか、それぞれの党派によって非常に内容が食い違っております。こういうことが具体的にどういう姿になるのか、そういう未来における四会派のビジョンというものがまだ出ていないということでなかなか難しいわけです。  この辺をずっと見させていただきまして、ちょうど永田議員が今美濃部都政時代のお話をされましたが、どんなにすばらしい内容をもって、あるいは施策をもってやりましても、結局赤字を出してしまってそれがひっくり返ってしまったんでは、支える方と支えられる方が共倒れしてしまうという、美濃部都政というのは、実は昭和四十二年から五十四年までの十二年間、いろいろ公共料金の抑制をしたり、いわば都民にとってはありがたいことであったかもしれません。  しかし、現実はと申しますと、先ほど永田委員が申し上げた道路の問題等、道路予算というものを国に返上して、車が走ると公害が起きるとか、一人が反対をするとやらないとか、そういうことを言いながら、結局結果がどうであったかということが私は問題だと思いますけれども、三千三百九十二億円の赤字で倒産をしてしまったわけでございます。これからの高齢化社会というのも、やはり財源というものがあって、そして支える者、支えられる者、その入りと出というものがきちんと確立をされなければ、どんないい政策をもってしても、それはやぐらがぐらついてしまうということを非常に危惧しているわけでございます。  そんなことでこれからもいろいろと双方あわせて議論をしていかなければならないことだと思いますし、また社会保障問題あるいは地方制度そのものまでもし国民税制協議会で議論されるということになりますと、これは社会保障制度審議会とか地方制度調査会等法律で決まっておりますそういったものとの絡みもあるわけでございます。この辺はどのようにお考えになっていらっしゃいますか、お伺いをしたいと思います。
  114. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 納税環境の整備などは、これは政府が具体的に行政の仕事を通じてやっていかれることになる、そういうことだと考えております。
  115. 小野清子

    小野清子君 その審議会関係の状態はどうなりますか。この前政府税調はお休みをしていただくというどなたかのお話がございました。今回は社会保障とかあるいは地方制度そのものまでいろいろその内容が絡んでまいります。それも全部国民税制協議会の方にゆだねる、任せるという言葉がいろんなところで出てまいります。しかし、社会保障制度審議会や地方制度調査会というのはこれは法律で決まっている委員会でございます。この辺はどういうふうにお考えになられますか。
  116. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 時間がございませんから簡単に申し上げますが、そちらの方の審議会とかそういうふうな問題は、私どもが今考えております税制改革協議会とは全く別問題でございまして、この基本法の中にも「環境整備」ということで第二項目でうたっておりますように、国及び地方公共団体は、いわゆる社会保障の国の目標とかそういうようなものをきちっと定めるためにどんどん開いてやっていただいていいということで、そちらの方につきましては全く歯どめとかそういうことは一切やっておりませんということです。
  117. 小野清子

    小野清子君 もう時間が参りましたので終わりにしたいと思いますが、高齢化時代は既に到来をしているということ、そして超高齢化時代がすぐそばまで来ているということ、それを考えますと、国民税制協議会に二年間お願いするといいましても、その出てきた結論あるいは出るかどうかということ。議長裁定から、数字を見てみましたら、六十二年四月二十三日に議長裁定が行われ、それから考えますと二年八カ月たっているわけでございます。二年八カ月の中で各党がいろいろと試案をどれくらい出されたかということをかんがみますと、非常勤である国民税制協議会の皆さんがわずか一年半でどれくらいの結論を出されるのか、もし出されない場合にはその責任をどうするのか、いろいろ疑問を持ちながら今回勉強さしていただきました。どうもありがとうございました。
  118. 松浦功

    松浦功君 私は、ただいま議題になっております九法案、これに関連をいたします地方税財政に関係する部分、その問題を主体として御質問をいたしたい、また御意見をお聞かせ願いたい部分もありますので、お聞かせをいただけたらありがたい、こんなつもりでおるわけでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  この前も一つ議論がありましたが、今度の税制再改革基本法の四条の四号に「地方自治の本旨」という言葉を使っておられます。これは出どころは憲法九十二条だと思いますが、地方税財政に対する皆様方四会派のお考えを承る上で、このことをちょっと伺ってから入った方がどうも入りやすい、こんな気がいたしますので、どなたでも結構でございます、地方自治の本旨というものをどういうふうに考えておられるか、お伺いをいたしたい。
  119. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 今お話しございましたように、十分御承知の上での御質問だと思いますが、憲法九十二条に規定されている言葉であります。一般的には団体自治、住民自治、二つを指すと言われておりますが、私見をあえて言わせてもらえば、住民自治が基本でないかと私は考えております。現在国会に出されております地方自治法の改正案、国の代執行権の強化などは、この本旨に外れる最近の代表的なものではないか、こう思います。
  120. 松浦功

    松浦功君 地方自治の本旨についてどういうことかという議論をするつもりはございません。それを導入部として、これから四会派の地方行財政に対する御認識なりお考え方なりを伺わせていただきたい。  まず第一に、四会派の代表者にお願いをいたしたいのでございますが、国の財政と地方の財政との関係をどうお考えになっておるかということをお聞かせ願いたいと思います。
  121. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 何か松浦試験官に詰問をされているような感じがしますけれども、お答え申し上げます。  その特徴を挙げれば、第一に、国の財政は一つの財布と考えてよいと思いますけれども……
  122. 松浦功

    松浦功君 それは聞いていないですよ、財布というのはこれから聞くことですよ。伺っているのは、国と地方財政の関係を伺っているんです。違いは聞いていない。関係を伺っているんです。どういうふうに関連があるのかということです。
  123. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 今申し上げましたように、国は国の財政、そして地方は三千三百の自治体で財布を持っておる、こういった意味での違いがございます。
  124. 松浦功

    松浦功君 それは違いですよ。違いはこれからもう一遍伺うんです。  もう一度御説明を申しますが、国の財政と地方の財政の間に上下があるのか、どちらが優先しているのか、そういった国と地方との関連をどういうふうにとらまえておられるか伺っておるわけでございます。どうぞひとつお願いいたします。
  125. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) わかりました。  地方政府、中央政府という意味で、私どもは対等の関係にあると思っております。その大小だと思います。
  126. 松浦功

    松浦功君 公明党さん、どうお考えですか。
  127. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) ただいまの佐藤発議者のお言葉と一緒でございます。
  128. 松浦功

    松浦功君 連合、笹野先生
  129. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 佐藤発議者と同じです。
  130. 松浦功

    松浦功君 民社党勝木先生
  131. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 佐藤先生と同じだと思います。
  132. 松浦功

    松浦功君 皆さんがそうおっしゃるだろうと思いましたけれども、私は、そういう表現は使わないで、車の両輪、こういう言い方をしております。全く対等であって、一つが欠けたら片一方は困る、動けなくなってしまう。そういう意味で、国の財政も非常に重要に考えなきゃいけないけれども地方の財政についても国の財政に対すると同様の配慮が必要だ、そういう考え方でおるわけでございます。これは皆様の御意見と表現が違っただけで、恐らくお気持ちは一緒だろうと思うのでございますので次に進みます。  それでは、国の財政と地方の財政とは一体何が違うんでしょうか、違い、相違点、この点をひとつ。
  133. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 試験官に言われているみたいで……  さっきちょっと触れましたが、第一に国の財政は一つの財布、地方財政は三千三百の財布と。ただ、一部事務組合を入れますと、一部事務組合が約二千五百ございますから、それでいけば五千八百ということになるでしょう。したがって、地方財政計画ではつじつまが合っておっても個々の自治体においてはそうとは限らない。例えば消費譲与税についていえば、全体の額はおおむね消費税に吸収、調整された額に見合っているわけでございますけれども、個々の自治体を見れば見合っていないという実態がございまして、政府も三年計画で補正をかけるということにしておりますけれども、四年目になると激変は免れない。  また、国と地方との税財政の違いとして挙げられるのは、地方の財政支出については原則として防衛とか外交、こういったところについてはないわけでございまして、したがって地方財政の支出のそのすべてが住民の福祉に使用されていくと考えてよい。そういう意味で、この数年来続いております補助金カットというのは福祉切り捨てという面で非常に多くの影響を与えておると言って差し支えないというふうに思います。  さらに違いを挙げますと、地方財政は自治体の財政運営が円滑に計画的に行われるように財源もまたそういった要素が求められます。自治省税務局編集の「地方税制の現状とその運営の実態」、ここにおいて、地方税の原則を普遍性、二番目に安定性、三番目に伸張性、伸縮性、負担分任性、地方行政、施設との連関性、こういった点を挙げておりますのも、また別項において自主性を挙げておるのもそこにある、こういうふうに考えるわけでございます。  国と地方の税財政はこの自主性という点で大きく異なる。譲与税も交付税も一般財源でありますけれども依存財源であって、しかも自主税源を吸収して創設されたという点から、将来の地方自治の展望に大きな不安を残していると言って過言でないのではないでしょうか。
  134. 松浦功

    松浦功君 ありがとうございました。  公明党の皆さん、あるいはその他の二会派の方にも御意見をいただきたいんですけれども、時間の関係もございますし、恐らく佐藤先生のお答えと同じという答えが返ってくるだろうと私も思っておりますので、その点は省略をさせていただいて次に進みます。  現在の地方自治行政、その中で地方分権という問題が、私どもも主張しております、皆様方からも非常に強く主張がございます。しかし、なかなかこれが進まないというのが実情でございますが、この地方分権というものをさらに強めていく必要があるとお考えになっておるのか、あるいは今のままでよろしいのかということについて御意見をお聞かせ願えたらと思います。これは社会党の方のみならず、各会派にも非常に御意見がおありだと思いますので、率直な御意見をお聞かせいただけたらありがたい、こんなふうに思います。
  135. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) もう御承知のとおりに、地方自治の本旨と分権が同義語に言われておりますように、私どもとしては、近代国家のありようとしては地方分権を進めていくことが緊急な課題だとこう思っております。  ただ、問題は、御案内のとおり、今度の十二月四日の行革審の答申の中にも出ておりますが、やはり中央官庁の縄張りというんですか、この縄張りがどうも分権を阻害するというか、もうこれは典型的な御存じのとおりな状況になっておりまして、地方制度調査会が十六項目にわたる権限移譲を出してもにっちもさっちも進まない、こういうのは御存じのとおりでございます。
  136. 松浦功

    松浦功君 公明党さん、お願いいたします。
  137. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) せんだってからいろいろと地方財政の重要性についても勉強させていただいております。今のお尋ねの件につきましては、現行の地方分権、あるいは地方への財源措置につきましては、三割自治と言われるように、十分ではないと私ども考えております。これからの福祉を初めといたしまして高齢化の問題、国際化の問題、都市化への対応、特色ある地域というものを構築し、多様化する住民の要求にこたえるためには、やはり大幅な権限、財源の地方分権というのが必要であろう、このように考えます。
  138. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) この問題につきましては非常に重大な問題で、私ども連合参議院もこれから一生懸命に学びたいというふうに思っておりますが、今の議員の御指摘の地方財源は、これは地方の時代と言うにふさわしい実情をつくるためにはまさにこの財源の地方分権は必要なことだというふうに認識しております。    〔理事井上吉夫君退席、委員長着席〕
  139. 松浦功

    松浦功君 民社党さん、どうでしょうか。
  140. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 我が党は、この臨時行政改革推進審議会でのいろんな小委員会の報告が出されておりますけれども、この報告が、国と地方の関係及び役割の見直しを行っておる、そして地方分権の新たな推進の方向として地域行政主体の整備・多様化、広域化や、補助金等の制度・運用の改革、あるいは地方自治体の自己改革の推進などを示しておる。また個別事務について権限の移譲の方針を積極的に打ち出しておるということで、評価できるというふうに考えております。
  141. 松浦功

    松浦功君 どうも、御質問をしないのに、これからしようと思うことをみんな答えてしまわれて、こちらもやりにくくてしようがないんですが……。  ただいま御質問申し上げましたように、皆さん地方の権限についてはもっと強化すべきだということについては共通のお考えのようでございますからそう承っておきます。  財源につきましても、私は財源付与が今のままでいいのかということをお聞きしたかったわけですが、太田先生笹野先生、それから民社党勝木先生に至っては一番最後にお聞きしようと思った小委員会の報告書に対する評価までしていただいちゃったんでちょっと迷っておりますが。  財源も恐らく不十分だと、もうちょっと措置をすべきだという皆さんお考え方だと思いますけれども佐藤先生はまともにさっき財源の問題をお答えをいただきましたんで、財源の付与が十分であるとお考えか、あるいはそうでないかだけ。
  142. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 地方税と国税の割合は三対七前後を推移しておりますが、国庫支出金等を含めますと、最終的には地方が七、国が三、こうなっておりまして、都道府県の予算に占める相当額、機関委任事務にかかわる支出であるとされておりますが、また地方の起債等について当分の間とされていながら既に三十数年間許可制のままになっていること、こういった点についてはもう先生御承知のとおりでございまして、決して財源として補助金削減等を含めまして十分だと、こういうことは言えないんじゃないか、こういうふうに思います。
  143. 松浦功

    松浦功君 そこで、現実地方財政を眺めた場合に、非常にたくさんの財源を持っておるいわゆる富裕団体というものがあり、もっとお金が欲しくてしようがないといういわゆる非富裕団体、まあマルビ団体ということを言っておりますが、これは余り品のいい表現でございませんので、貧乏団体でございますとかそういう表現を使わないで、非富裕団体という言葉を使わしていただきたい。筆頭の提案者である久保先生の御所属になる鹿児島などというのは、まさにその何かの方の典型であろうかと私も思っておるわけでございます。  その金持ちと非金持ちとの間が大分差があるようでございますが、今のままのような差があることを四会派は是認なさるのでしょうか。できるのであれば少しでもその差を詰めていきたいというふうにお考えになっておられるんでしょうか。その点について四会派から御回答、感触をいただきたい。
  144. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 税源の不均衡はもう厳然として存在をしております。また、拡大の方向にいっていることは今御指摘のとおりです。この原因はゆがめられた国土利用と効率化のもとで中央集権にあったことは、私がもうここで今さら強調するまでもないんじゃないかと思います。  ただ、落差を容認するのか、こういう意味を御質問なさったわけでございますが、この真意がどこにあるのかわかりませんけれども……
  145. 松浦功

    松浦功君 いや落とし穴に落とすつもりはありません。率直に、詰めた方がいいとお考えになっておるかどうかということです。
  146. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) いわゆる横の財政調整と言われておるわけでございますけれども、まず、私はやっぱり国と地方の財政秩序の回復が第一ではないか。第二に、地方分散政策をいかに真剣に進めるかということを真剣に検討さるべきではないか。第三に、地方税源の拡充がどのように強化されるかということでないかというふうに思います。  我々は財政調整制度の充実としての地方交付税制度の拡充を主張しておりますけれども、それは、消費税のように地方自主税源を国税に吸収して再配分する、こういうことを直ちに意味しているのではございません。では何かと聞かれますと、国ができる努力をまずやるということ、その上で事業税の分割基準のさらなる改善や法人課税の改革、こういったものと、地場産業の振興を考えていかなきゃならぬのじゃないかと……
  147. 松浦功

    松浦功君 いやそんなことを聞いてないんです。差を広げていいか悪いかと聞いているんです。
  148. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) いえ、私どもとしては、やっぱり今申し上げた三点から要約するように……
  149. 松浦功

    松浦功君 質問にお答えください。
  150. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 縮めるということです。
  151. 松浦功

    松浦功君 縮めるということですね。  公明党、お願いします。
  152. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) 私どもの考え方でございますが、今先生、縮めるのかというお尋ねでございますが、非常に難しい問題ではあろうかと思います。今地方の自主財源をふやしますと富裕団体の財源がふえることになってしまうもので難しさがあろうかと思うんですが、この落差をなくすためには、やはり交付税というものを活用しながら非富裕団体の財政保障を行う必要があるんじゃないか、このように私たちは考えております。
  153. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) お答えいたします。  理由は略させていただきまして、縮めるという方が正当かと思います。
  154. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 地方財政の健全性を確保するためには、自治の発達に資するためには、地方間の財政力の格差はやはり合理的に是正しなけりゃいけないというふうに思っております。
  155. 松浦功

    松浦功君 佐藤先生は何かひっかけられるんじゃないかと思って盛んに周りの予防線ばかり張っておられますが、決してそういう悪意を私は持っておりませんので、どうか率直にお願いをいたしたいと思います。  それで、具体的に格差は縮めるべきだというのが皆さんのお考え方のようで、私も全く同じ考え方を持っている一人でございます。できるならば非富裕団体の方に金が回るような仕組みが何かないかなと考えておる。皆様方は今度の税制改革基本法案の中で地方財政について非常に好意のある表現を使っておられる。第五条の第三号、そこに「国及び地方の税源配分の見直しによる地方税源の拡充」、さらには「財政調整制度としての地方交付税制度の充実」と、非常に私どもにしてみたら理解のある言葉だなといって涙が出るほどうれしい表現なんです。  そこでお伺いしたいんですが、これは一体何のことですか。気持ちとしてはありがたいと思います。しかし、これは一体何を考えておいでになるのか。私は三十年間専らこれに携わってきて、何としても解決の方法が見出せない。どういうお気持ちでお書きになったのか。そして、お書きになった以上は何かをお持ちなんでしょうから、私に知恵をつける意味で、ここに書いてあることの内容、具体的に何を考えているかということを御教示いただけたら非常にありがたい、こう思っております。
  156. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) そう言われますと、私も地方行政で一緒にやっておって、悩みは同じですけれども、苦労も同じですが。ただ、ここにこういう記述をしましたのは、私の信念でもございますが、できないことはない、実現さしていかなければ、それこそ高齢化社会を迎える中で私どもとしては全力を挙げて確立さしていかなきゃならぬと、そういう決意も込められておると言っていいと思います。  そこで、松浦委員から御批判を受けておる今回の代替財源等においても、今回提案に至るまでの間にはさまざまな検討を行ってきたわけです。そしてその中には、また後ほど出るかもしれませんが、その際にまた詳しくお答えしますが、事業税の外形標準課税の問題とか、これも全国知事会から再三の提言もございましたし、鎌田委員からも先般御指摘ございました。毎年の……
  157. 松浦功

    松浦功君 それはいいです、時間がなくなりますから。
  158. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) ちょっと待ってください。  毎年の地方行政委員会の附帯決議等もありますので、そういった意味でこれも考えてみました。さらに、均等割の関係の問題であるとか、いろいろ知恵を尽くして二年間の地方財政計画の議論の中でぜひひとつ優秀な結論を出していきたい、こういうふうに考えておるところでございます。  もう一つの問題がございます。これは、国税の地方税への移譲について、我々も全く検討しなかったわけではございません。具体的には、たばこ税の地方への傾斜配分、また譲与税化などもこの際ひとつ検討してみたらどうかと。それから、先ほどございましたけれども、土地税制もどうか、こういった点等も検討したのでございますけれども、今申し上げましたように、二年間のいわゆる税革協の中で十分そこら辺は意を尽くしていきたい、こういうことでございます。
  159. 松浦功

    松浦功君 余りこれといって飛びつきたいような御提案があったとは思いませんけれども、御苦心のほどはよくわかりますし、また、決意表明だというふうにも承っておきたいと思います。  ただ、皆さんよく御承知のことだと思いますけれども、どんな税源をとってきて地方に配っても、必ず寄るべきところに集まってしまうのでございますね。たばこが一番平等で人口一人当たり違わないと思ってたばこを配ってみたところが、やっぱり東京が高くなるんです、一人当たり。それは当然のことであって、神奈川や埼玉から通勤している方が昼間東京でお買いになるわけです。それが入ってくる。それから、東京では二百二十円のたばこを吸わないで二百六十円のたばこを吸う人が多い。そういうようなことからどうしても格差が出てくるんで、税源配分で片づく問題だとはなかなか考えられないんです。佐藤先生は、例えば事業税の外形標準という問題もちょっとお述べになりました。外形標準をやったらどうなるか。やっぱり増収を図るような法制をつくっても、全部東京へ寄っちゃうんですね。だから、この問題は、非常にきれいごとを書いてあるけれども、実現は恐らくまず不可能に近い難題ではなかろうか、こんなふうに思っておりますので、私ども佐藤先生の御発言のように、決意を表明した条文だというふうに受け取って、ここは、この問題はおさめておきたい、そんなふうに思います。  それから最後に、三日ばかり前に新行革審の小委員会の方からの報告がございました。これに対する各四会派の感想だけ承っておきたい。
  160. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 先ほどちょっと触れましたが、正直に言ってこの程度のことかという印象を受けたと、これは熊本の細川知事の感想でございますが、私もやっぱりそうかと、こういう同感の持てる言葉だと思います。  率直に言って、地域の活性化、東京一極集中の是正、高齢化社会への対応、行財政の地方分権化、これを基本課題とする「国と地方の関係等に関する報告」なのでございますけれども、先ほどから言われておりますように、どうもやっぱり地方分権への実現についてはほど遠い結論……
  161. 松浦功

    松浦功君 なまぬるい。
  162. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) なまぬるいと言うんですかね、結果になったんじゃないかと。  残念ながら私どもとしては、その上で特別地方公共団体としての都道府県連合、市町村連合、こういった発想も出ておるようでございますけれども、これは分権との関係で一体どういうふうな位置づけになるのか、そこら辺も定かでない。そのことを理由にして中央の権限移譲の問題についても全然前進していなかった。こういうことで、多くの問題を抱えておるのではないかと思いますし、私どもはさらに一層、これらのことにくじけることなく分権を着実に前進させていかなきゃならない、こう思っております。
  163. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) 三点について申し上げます。  ただいま御指摘の新行革審の答申については、国、地方間の不信感あるいは地方の国への依存傾向を改め、新しい試みを行おうとする意欲はうかがわれます。  しかし、今日の重要課題でありますところの一極集中の是正あるいは多極分散、あるいは時代に対応しました特色のある地域社会を構築するための対策としては具体性がないんじゃないか。国の権限、財源の地方移譲、国の関与、必置規制の緩和等についてもさらに踏み込んだ改革を行うべきである。これで第一点を終わります。  第二点目は、地域中核都市への権限強化、都道府県や市町村の事務の広域化に伴う事務処理のための都道府県・市町村連合制度の導入等、これにつきましては、住民に密着した行政、特色のある地域、区域を越えた大都市の抱える問題を解決するための時代の要請と考えております。  しかし、この問題は、地方自治の形骸化あるいは住民と行政との距離を拡大すること、あるいは中央集権化等の懸念も考えられますので、さらに検討を加えたい。  三点目は、地方税財政制度については、歳出の伸びを名目成長率以下に抑えようとするなどの抑制基調じゃないか、こう思います。地域の活性化、住民生活の向上、社会資本の充実等の面から見ると検討も必要であろう。また、地方自治体間の財政調整制度については新たな提言をしておるものの、自主財源の充実については具体的な提言が見られないのはまことに残念であります。地方自治の基本である自主財源充実のために、国税の地方移譲等を図るべきであります。また、補助金については整理合理化、統合、メニュー化を推進すべきではないか、こういう考えを持っております。
  164. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) お答えさせていただきます。  東京あるいは大都市への一極集中の是正という重大な課題に早急に取り組むべきだというふうに思います。  いわゆる新行革審では「地方分権の新たな次元を目指し、これまでの官主導でどちらかと言えば中央集権型であった意思形成や資源配分のパターンを個人、地域等が主体的に参加し決定していくものに改める」という意思が示されているわけですが、その具体的な方策については非常になまぬるいように思います。私どもとしてもこれから十分検討していきたいと思っております。
  165. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 先ほどは大変失礼いたしました。  評価できる点ということで、今回の報告は国と地方の関係、また役割の見通しを行っておる。そして、地方分権の新たな推進の方向として、地域行政主体の整備、多様化、広域化や補助金等の制度・運用の改革、そしてまた、地方自治体の自己改革の推進などを示したという点、また個別事務についての権限の移譲の方針を積極的に打ち出したことは評価できるというふうに考えておるわけであります。しかし、この報告が事務事業の地方移譲とか、あるいは補助金の一般財源化等を言う一方、国と地方の財源の再配分の問題、また地方自主財源の充実等について触れていないということについては、やはり極めて不満じゃないかというふうに思いますし、税制のあり方の再検討を含めて財政面においても地方分権の確立を目指すということを明らかにすべきであったというふうに思っております。
  166. 松浦功

    松浦功君 本当に貴重な御意見をありがとうございました。  十分理解できる部分について、その実現を図るべく私も皆様方と一緒に手を握って努力をしてまいりたいと思っております。  最後に、地方行財政問題に絡んででございますが、介入はいかぬということでよく私おしかりを受けます。  私、役人の時代もそうでございました。介入と指導ということでございますけれども、介入は私もよくないと思います。しかし、必要な指導はやっぱりないと、三千三百がばらばらになっちゃっても困る。それから妙な団体が出てくることによって地方行財政に対する非難が集中するようなことになっても困る。そういう意味で、必要な指導はやっぱり今後もあるべきだと思っておりますが、それについて佐藤委員どうお考えでしょうか。
  167. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) おっしゃるとおりに介入については私はすべきじゃないと、先ほどお答え申し上げたように、地方自治の本旨に基づいて、それを保障する体制というものが必要じゃないか、こういうふうに思っております。
  168. 松浦功

    松浦功君 適切な指導であれば指導はよろしい、こういう立場理解してよろしゅうございますね。
  169. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) よく純粋に考えての指導なら私はあっていいと思いますよ。しかし、指導という名のつく介入とか強制とか、こういうのが往々に多い事例でございますから、そこら辺で、一方で私は地方自治の本旨に基づいてきちっとしてほしいなと、こう思っております。
  170. 松浦功

    松浦功君 それでは、地方行財政に対する認識なりお考え方なりを伺わせていただきました。本当にありがとうございました。  これから提案されております九法案の総論についてお尋ねをし、それから具体的に各法律について御質問を申し上げてまいりたい、こんなふうに思っております。  まず第一にお伺いをいたしたいのは、なぜ消費税法を直ちに廃止するということをお決めになったのか、その理由を久保先生から承りたい。
  171. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 第一には、消費税の導入は国民に対する約束違反である。特に、これは大平内閣時代の一般消費税をめぐる論争がありました後の決議がございます。それから、その後、六十一年選挙における中曽根総裁を初めとする公約がございます。それから、国会における大型間接税に対する統一見解もございました。そして、売上税はそのゆえんをもってこれは廃案となったわけであります。  最近、議長あっせんをなさいました原健三郎氏が、ある新聞に、インタビューを受けられて、一番悪いのは中曽根さんが大型間接税である消費税のようなものはやらないと言ってうそを言ったことだ、こういう御発言がございます。  それから、この問題につきましては、これらの公約違反の大型間接税であったにもかかわらず国会において、私どもの見解としては、衆議院の昨年十一月十日の委員会強行採決以来幾たびかの強行採決が繰り返されて、無理に国会の議決に至ったものであるということであります。  そして、消費税はその内容、制度において欠陥や国民にとっての多くの問題点を内包いたしておりました。代表的なことを申し上げますと、しばしば私どもここで申し上げてまいりました逆進性が一つでございます。もう一つは、確かに消費者が負担した税金が国庫に入らないという制度上の欠陥がございます。これらの問題に対して国民皆さんは、この消費税に対して制度上からも納得ができなかったと私どもは考えております。  そして、去る七月の参議院選挙において、国民選挙の大きな争点となりましたこの消費税に対してノーという判断を下されたものと私どもは判断いたしました。  それらの面を総合して、消費税廃止して改めて税制改革を国会において考えるべきである、こういう立場廃止法を提案いたした次第でございます。
  172. 松浦功

    松浦功君 四会派がどうして廃止ということを決定して廃止法案を出したか、その廃止の決定に至るまでの考え方はお伺いいたしました。必ずしも私どもと一致するわけではございませんけれども、お伺いをしたことは間違いございませんので、それで結構でございます。  そこで、具体的にお伺いしたいのでございますが、税制改革基本法案の中で八条の一項に「設置後二年以内を目途として」ということを書いて、そして、その二年たった後に報告をいただいたならば、新しい税制体系を確立してそれを実施していくんだということが答弁の中で再々言われているわけでございます。ところが、私は頭が悪いのかどうかわかりませんが、非常にうまいことが、先ほどの地方自治の問題でもきれい事がたくさん書いてありますけれども、どうも本当に深い霧の中から向こうをながめているようなもので、新しい税制の体系というのは全然浮かんでこない。言いかえるならば、行き先のわからない船に乗らなきゃならないような格好になっているので、オーストラリアに行こうと思って南極に着けられちゃったんじゃ私どもも困るんです。何か一つでもよろしいんですけれども、ぼんやりしたものでもいいんだけれども、行き着く先の二年後の税制体系というものはどんなものかということをお示し願えないものでしょうか。久保先生お尋ねいたします。
  173. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 行き先がわからないとおっしゃいますけれども、私どもとしてはこの基本法の原則と方針によって行き先、方向はお示しをいたしております。行き着いた後がどういう景色のものになるかということについては、これからの進行の時間の中で十分協議をしてつくり上げなければならぬ、こう思っておるのでございまして、まず何といっても、この不公平税制を是正して課税ベースを広げていくということが今国民税制改正に求めている一番大きな課題だ、こういうことだと思っております。そして重税感、確かに国民の間にございます重税感というものをなくしていく努力と不公平税制の是正とが同時に進行できる面もあろうかと思っております。  しかし、これらの具体的なものを示せとおっしゃいますと、これはもう私ども基本法におきまして今後の協議にゆだねる部分となっておるわけでございますので、今逆に私がここで予断を持って結論を申し上げることはかえって私どもの提案の趣旨に反する、こう考えております。
  174. 松浦功

    松浦功君 当然そういうお答えになるだろうと思います。もうこれまで何十時間という質疑があったんですから、皆さんからお尋ねになっておられることで、行き着く先がはっきりわかってどういう姿のものであるかということならお示しがあったものと思うのでございます。その辺は見解の相違かもしれませんが、我々としては非常に不安に思っておるということだけ申し上げておきたい。  そこでお伺いをいたしたいのでございますが、八条の一項には「設置後二年以内を目途として」と書いてございますが、峯山先生、二年でおできになりますか。
  175. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 二年でできますかということでございますが、私どもとしましては、法律の中では「二年以内を目途」ということで書いてはございます。私も、その二年が非常に短いし、あるいは過去のいろんな経験からいっても、難しいのではないかなという不安は決してないわけじゃありません。しかしながら、今までのいろんな経験も――全く白紙の中からこの税制改革をやろうとすれば、皆さんに大変御心配していただくような問題がたくさん出てくるだろうと私は思うんです。しかしながら、それは過去の、いわゆる昭和五十四年ごろからの、特に間接税の問題とかいろんな問題がございましてこの十年余りいろんな議論をしてまいっておりますので、そういうようなものをやっぱり踏まえてこれからのあるべき姿を検討していかないといけないんじゃないかな、こういうふうに思っております。  そういうふうな意味では、実は昨年の消費税の場合も、昭和六十二年の十一月の十二日に諮問がございまして、四月の二十八日に中間答申がございまして、六月十五日が最終答申という、もちろんそれまでの経過がずっとあることはもう十分踏まえておるわけでございますが、約半年でございましたですね。そういうようなこともありますので、私どもこれも全く白紙からやるということになるとこれはもう大変なことで、先ほどからお話がございました地方自治の問題一つ取り上げても、それはもうとてもじゃないけれども間に合わないというのはよくわかりますが、今までのいろんな経験を踏まえまして、また皆さんにもよく御協力いただきまして何とか早くこの協議会をスタートさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  176. 松浦功

    松浦功君 「協議会は、設置後二年以内を目途として」と書いてありますね、「設置後」と。「設置後」ということですが、設置はいつになるんでしょうか、この法律が今国会中に通ったと、私は通らないと思っていますけれども、仮定した場合に。
  177. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 私どもとしましては、この国民税制改革協議会がスタートする前提条件というのはたった一つでございまして、それは消費税廃止されているということが前提でございます。この法律を成立させていただきましたならば、できるだけ早い機会にスタートをさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  178. 松浦功

    松浦功君 できるだけ早い機会というのはいつのことでしょうか。法律が通ったからすぐ設置するというわけにはなかなかいかないと思うんです。
  179. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) おっしゃる意味、よくわかります。年内ももう一カ月ないわけでございますから、非常に短期間ではございますが、今国会中に何とかこの法律を成立させていただきましたならば、直ちに私どもとしましては、できるだけ速やかにと言うと、またそれはいつかということになりますとなかなか日にちを限定するのは難しゅうございますけれども、私ども立場といたしましては、これから人選とかいろんなことを政府に一任しなければなりませんので、政府の方で一日も早くスタートできるように御努力をいただきたい、こういうことでございます。
  180. 松浦功

    松浦功君 おっしゃられることはよくわかるんですけれども、常識的に考えて、政令も決めなきゃいかぬわけですね、組織、運営。それから、発足をするにはやっぱり人選で人も決めなきゃいかぬわけです。そんな一カ月や二カ月でできる問題じゃないんです。どんなに急いだって、今国会で法律が通ったならば、発足できるのはどんなに早く考えても四月だと思うんです。それ以上前にはできない。どうですか、この点は。
  181. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) いろいろと難しい問題、確かにおっしゃるように今国会で成立いたしたといたしますと、それから例えば事務局の設置から始まりまして、政令の設定とか人選の開始、そういうようないろんな問題があることも事実であります。また人選の問題も、五十名というたくさんの人数でございますから、非常に難しい問題がたくさんあることも事実でございます。したがいまして、それが終わりますと、今度はその五十名の人員について国会の承認が必要ということになります。そういうような意味では、私どもはできましたら、私どもの願望として申し上げますと、一月中には何とかスタートして検討を開始するということになればいいなというのが私どもの願望でございます。
  182. 松浦功

    松浦功君 私は正直申し上げて、一月の発足なんというのは全く夢物語、絵にかいたもちだと思うんです。実際に私どももこういうことをやってきたわけでございますけれども、やっぱり来年の四月というのがどんなに早くても常識じゃないか。まあこれは見解の相違として置いておきます。  そこで、先生にお伺いしたいのは、先生は今までの答弁の中で「二年以内を目途として」というふうに書いてあるけれども、それよりは早く結論が出るものもあるだろう、あるいは二年以内では結論が出ないものも出てくるかもしれないということを繰り返して御答弁なさっておられる。その場合に、早く決まったものだけ立法する、それで遅く決まったものは後回しだと、そういうことはお考えになっていないので、恐らく全部まとめて税制協議会の報告というものを一体のものとしてとらえて立法化作業に入られる、こう思いますが、どうでしょうか。
  183. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 今お尋ねの問題は、答申の中身の問題でございます。それで、私どももこの点につきましては何回か検討させていただきまして、とにかく税制改革は非常に範囲が広うございまして、また答申の中身も幅広くなりますので、これは一遍にまとめて答申をいただくということになれば一番いいわけですけれども……
  184. 松浦功

    松浦功君 法案をお出しになるのはばらばらになさらぬでしょうな、答申が別々に出たからといって。
  185. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) これは答申につきましては、それぞれ一年で答申ができるものも、それから大体二年でほぼ全部まとめて答申できるものも、あるいは施策の面としては、方向は二年以内に決まったとしてもそれから手当てをしなきゃならない分も、いろいろあるんじゃないかなと思っております。したがいまして、まあこれは政府のこれから先の法案化とか立法化の問題はそこら辺の問題にもかかわってくるわけでございますが、この答申が出てきた分から順次検討をして、そして法案化できればいいのではないかと、そういうふうに考えております。
  186. 松浦功

    松浦功君 その御研究を答申が出てきたものから始めるということはわかりますけれども、法案をばらばらにというのでは、これほど国民をばかにしたことはないのであって、新しい税体系というものがばらばらに出てくるなんというばかな答弁は、私は納得しませんよ。そんな非常識な答弁をされたら困ります。やれるものならやってみてください。
  187. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) おっしゃる意味はよくわかります。したがいまして、税の体系としては全体としてする必要があるということはそれは事実でございます。そういうふうな意味で全体としてやるのは当然でございます。それは最終答申のところできちっとやるということにして、ただし早くやらなきゃならない分が出てきた分については、それはそれ相応の対応をしていただきたいと考えているということでございます。
  188. 松浦功

    松浦功君 大きな声を出して済みませんでした。  そこでお尋ねをするんですが、「二年以内を目途として」と書いてございますので、設置されてから二年、御答弁の中に、その間二年を経過するものもあるかもしれないという、何というか二年間のめどということについて余り自信のないような御答弁もあるんですが、それは全部割り引いて、二年以内に全部結論が出たとして、それで一体峯山先生は新しい税制をいつから施行なさろうとしておるんでしょうか。それはもう御答弁なさっておるんですよ。私はちゃんとどなたかの質問だということも承知して言っておるんです。何年からおやりになりたい、平成四年の四月一日から実施したいということを答弁しておられるんです。それでよろしいんですな。
  189. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) そのとおりでございます。
  190. 松浦功

    松浦功君 もしそうだとすると、法案を訂正していただきたいんです。二年以内をめどとしてきちんとその期間に答申があったとして、四月一日から計算してできますか。物理的に不可能ですよ。どうしても四月一日からやるんだというなら、二年以内じゃなくて「一年以内」に改正してもらわなきゃ、修正していただかなきゃいかぬ。私はそういうばかなことはしたくない。皆様にそんなことを申し上げたくない。  何でこんなことを申し上げているかというと、峯山先生初め提案者の皆様方は全部一人残らず二年間の暫定法律だということを繰り返して財源対策法案について言われるんです。二年間じゃないんです。どんなに短く見ても、私からすれば常識的に見て三年。もっとも皆様方が、消費税の導入についてたった三カ月の期間しか置かなかったために大変な問題を起こしたじゃないかと、そう言っておられるんです。仮にその期間を見れば、私は四年とっていただくのが一番安全な方法ではなかろうかと、皆様方の立場に立ってですよ、そういう気持ちがするんです。  そこで、私はこの際、峯山先生にはっきりお願いをいたしたいのは、二年間の暫定措置だということについて今後も言い張られるのかどうか。要するに、この委員会の当初からの二年間の暫定措置という発言を一切取り消していただきたい。そして、今後二度と、どういう表現をお使いになるかは別にして、二年間の暫定措置であるということはおっしゃらないということを確約していただきたい。そうでない限りは「二年以内を目途として」というのを「一年以内を目途として」というふうに書き直していただかないと、どうしても事実問題として理屈が合わない。  これは理屈じゃないんです。私が申し上げているのは、要するに時間的な経過の流れの中からどうしても無理なんだよということを申し上げているのでございます。だから、法案の修正などということになるとまたいろいろと理事さん方にも御迷惑をかけますから、御党のためにもよくない、四党のためにもよくないと思いますので、どうか二年間の暫定措置だということを今まで言ってきたことだけはお取り消しいただきたい。これは答弁の取り消しでございますから、この場で委員長の御了承をいただければそれで結構だということでございます。その点について、峯山先生、御答弁をお願いいたします。
  191. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 先生の大変御見識に基づいた御指摘でございますけれども、私ども提案者といたしましては、四会派、この法案を作成いたします段階でも論議をしてまいったところでございまして、今日までの私どもの答弁で御了承を賜りたいと思います。
  192. 松浦功

    松浦功君 私は、これは事実関係でございますから、了承のできるはずがないんです。それならば、この法律が通ってからどういう過程で四月一日から新しい税制を施行されるか、その手順をここで具体的に述べてください。それが、どこができないかということは私簡単に指摘をいたしますから、どうぞひとつお願いいたします。
  193. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) これはまず、私どもは先ほどから何回も申し上げておりますように、この国民税制改革協議会がスタートいたしますのが、先ほどから話をしましたように、来年の一月、遅くとも一月にはスタートしてもらいたいと私どもは考えているわけでございます。もちろん、人選の問題とかそういうことは十分承知の上で申し上げているわけでございます。そこで御検討いただきまして、少なくとも平成三年の秋口には何らかの結論を出していただきたいと、この間から申し上げているわけでございます。そして、その上でできるだけ平成四年の四月一日から実施をできるようにお願いしたい、こう考えているわけでございます。  これは先ほども申し上げましたように、我々がこの税制改革というものを全く白紙の中から始めるんじゃなしに、従来のいろんな税制改革の問題を踏まえてやるということになっているわけでございまして、そういうふうな意味では、今までのこの消費税の中間報告から最終答申に至り、そして法案が提出された期間等を見てみますと、実際問題として大体諮問から最終答申まで約半年でございます。そういうようなことを考えますと、もちろん窮屈であるのはこれは私もよくわかりますが、いずれにしましても私どもとしましては、この間でぜひ皆さんの御協力をいただいて、答申をいただいて四月一日から実施できるようにお願いしたい、こう考えているわけでございます。
  194. 松浦功

    松浦功君 今までお話しになられましたことは私どもも全部承知をしておるわけでございますから、余りそうかたくなにならないように。  この法律が通って、来年の一月から一体どうやって出発するんですか。国会はないんですよ。二十二日から、二十五日からとか、いろいろの説はありますけれども、それまでは国会の同意も求められないんですよ。それでどうして一月に――多数決であるのか全会一致であるのかという、政令まで含めてできて、人選までできて、そして協議会がスタートできるんですか。  それからもう一つ、秋口に出れば四月までに間に合うということです。本当に間に合いますか。協議会が御意見として出されるのは方向を出されるんだと思う。それについて細部をお決めになるのは相当時間がかかりますよ、細部をお決めになるのは。それから、お決めになった細部に基づいて、それを取り上げながら法案化にも、恐らく大法案になると思うんです、三カ月や四カ月かかっちまうと思うんです。そうでないと今度のようにいろいろなミスが出るということになるんです。そういう形にしなきゃいかぬ。  その上、一番難しい問題は国会ですよ。二カ月や三カ月でこの問題は国会で決着がつきますか。常識的にお考えをいただいたら、どんなに短くても、答申をいただいてから一年間、一年間でも私は若干無理だと思うんです。そして、国民の皆様から誤解を受けないために、その宣伝期間なり周知期間なり、そういうものをできるだけ多くとるべきだということを、たびたび皆さん方、自民党の消費税に例をとって御主張なさっておられる。その辺をお考えになって半年なり一年なりというものをおとりになるということになれば、どうしても最低三年、長ければ四年、それだけの時間がかかることになるんです。それなのに二年間の暫定措置であるということを繰り返して言っておられるということについては、私は全く二枚舌としか受け取れない。その点ひとつもう一度御答弁を。
  195. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) お説ではございますけれども、私どもも窮屈なことは十分よくわかっております。しかしながら、四党で随分いろんな角度から検討さしていただきまして、この二年の期間で十分やれる、こういうふうに判断をしたわけでございまして、その点は私どもは、例えば国会があるとかないとかいう問題もありますけれども、これは、国会が一月中スタートということになれば、それはそれなりの判断ができると思いますし、これはいろんな問題はありましょうけれども、今までのいろんな問題を積み重ねてやるわけですから、そういう点はできないと決めつけることもないんじゃないか。私は、いろんなことがありますけれども、国会の中で絶対なんていうことは言いたくありません。  そういうふうな意味では、私は、いろんな難関はあろうとも、ぜひ我々としてはやらなくてはいけない問題でありますし、二年の間に何とかこの問題を解決して将来のために備えたいという私ども気持ちは、立法の我々として一生懸命やっているわけでございまして、そこら辺のところは、私どもとしては、いろいろ問題はありましょう、あるのも十分承知の上で申し上げているわけでございまして、御了解いただきたいと思います。
  196. 松浦功

    松浦功君 私にはとても了解のできる問題ではございません。谷川先生の御質問に、何で代替財源法を時限立法にしなかったかというお尋ねがございました。恐らく、私は、これの裏返しの問題じゃないか。何年間で一体新しい税制度を施行できるかということについて自信がおありにならない。自信がおありになるなら時限立法にすべきですよ。自信がないから時限立法をおたく方はお断りになった。そこいらの点を考えると、私は、余りこの問題におこだわりにならない方がいい、こう思うんです。  まあ、ここで同じ問題を繰り返しても見解の相違だということになるかもしれませんが、私どもは絶対に納得をしていないということだけについては皆様のお耳に入れておきたい。なおかつ、もう一つ申し上げておきたいことは、どうせ通らない法律なんだからそう言っておけばいいやというお気持ちが若干なりとも見えることが残念です。それだけ申し上げておきます。
  197. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 私は後段の問題は全く考えておりません。
  198. 松浦功

    松浦功君 それで、峯山先生にお願いでございますけれども、これまでのことを取り消せというと少し荒っぽくなると思いますからそれはいたしませんけれども、どうか、二年の暫定措置であると言うことを今後は代替法案についてお慎みいただけないでしょうか。いかがでしょうか。
  199. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) これは基本法の中で、二年間をめどでやるわけでございますから、我々としては、四党で話し合っていわゆるこの代替財源というものを探し出すときにどのくらいの期間になるかということで、これは二年間の代替財源として何があるかということでいろいろ検討さしていただきましてあの法案ができたわけでございます。そういうことで私どもの四党できちっと決めて話し合ったわけでございますので、その点は、その言葉を使うなと言われましても非常に困るわけでございます。
  200. 松浦功

    松浦功君 今の説明を幾ら承っても納得できません。少なくとも二年間の暫定措置であるということはいかがかと思うんです。私は、皆様方で御相談をいただいて善処いただくことを希望して、この席で待っております。
  201. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  202. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 速記を起こして。  松浦君に申し上げます。  ただいまの案件につきましては、理事会において別途協議をいたしますので、今の問題以外の点について質問を継続してください。
  203. 松浦功

    松浦功君 はい、わかりました。  そこで、新たな問題をお聞きしたいわけでございますが、代替財源法案を出していただいて一部を埋めていただいたが、これは当然のことであろうと思いますが、鎌田委員が先般の質問において、地方間接税の復活について、棚の上から物を取りおろすというような簡単なものじゃないので、新税をつくるのと同じだよということをおっしゃられましたが、私も全くそう思うのでございます。  そこで、お尋ねをいたしたいのは、今国会でこの法律案が成立した場合に、地方税に関してお尋ねするわけでございますが、地方税法の一部を改正する法律の中に、皆様方の手で改正案が出ております電気・ガス税、本当に四月から実施できるでしょうか。非常にたくさんの問題があるわけでございます。  具体的にこちらから申し上げますけれども、課税に対する取り扱いの変更の通知を出さなければいけません。申告書を作成、送付、あるいは課税に対するPR文書の作成、そういったことがございます。一番面倒くさいのが電気・ガス税でございますけれども、非課税業者の非課税割合の決定でございます。これに相当の時間がかかるようでございます。それから、変えることによって生ずる、特別徴収義務者のソフトの変更等の費用でございますね、そういった問題。さらには新しく電気・ガス税が復活することによって担当職員を配置したり、新しい制度はどうなるかということを研修もしなければなりません。  そういうことを考えた場合に、法律が通ってから三カ月で四月一日になってしまうわけでございますが、四月一日から電気・ガス税というものが創設できるんだろうか。非常に困難ではなかろうかという気持ちを持つのでございますが、いかがなものでございましょうか。どなたでも結構でございます。
  204. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 松浦先生、先ほどから時間の問題を言われておりますが、私ども、そう言っちゃなんですが、やっぱり早く、参議院でこんなに時間が審議に、一人三時間の、時間が非常にかかる。そういう参議院を早く通過していただいて、そして衆議院で……
  205. 松浦功

    松浦功君 そんなことは伺っていないんです。  要するに、法案が通るという前提で四月一日に実施が可能かと聞いているんです。
  206. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 三カ月以内でやれるように……(「発議者委員会の運営についていちゃもんをつけちゃいかぬよ」と呼ぶ者あり)いや、そんなことはないですよ::・・(「一人三時間、そんな長い時間をかけて云々なんという、発議者委員会の運営について、答弁も求めていないことをおっしゃるのはよくないよ。理事会で決めた運営について発議者が答弁の中で言うことはよくない。梶原先生、だめだよ。委員長注意してください」と呼ぶ者あり)  前の部分は取り消させていただきます。  時間的に非常に私はやっぱりせいていると思うんです、実際にですね。その点については、とにかく法律が国会を通過した以上、私はそれは三カ月あれば、真剣になってやれば、これはやらなきゃならない場合にはやっぱり行政として全力を挙げるべきだ。今おっしゃられるように非常に難しいというのはよくわかっておりますが、これはとにかく急いでやらなければ四月一日に間に合わないと思っております。
  207. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) 事前調査の問題とか通知の問題をいろいろ御心配されたと思いますが、この問題につきましてはまだ十分間に合うのじゃないかと思います。この三月まで実際徴収されておったわけですから市町村の皆様方もノーハウを持っておみえになりますし、あるいは仕組みもそう難しく変わっていないという点があろうと思います。
  208. 松浦功

    松浦功君 そんな実情を知らないことを言っていただいちゃ困るので、電気・ガス税が廃止になった途端にその人たちはもう別の部署へ行っているわけです。それをそこにいたんだからすぐ持ってくりゃいいんだと、そんなわけにいきませんよ。そういう簡単なことはお考えいただかないようにお願いしたい。しかし、三カ月でできるかできないかということはやってみなきゃわからぬのですから、皆様方がやるとおっしゃる以上、私はそれが無理だからと言ってどうこうしろということを申し上げるつもりはさらさらございません。ただ、非常に難しいということは、困難であるということは皆様方も御認識になっておられるようでございますから、その場合は精いっぱい頑張っていただきたいということを申し上げる以外に方法はないのじゃないか、こう思っております。  そこで、今のような話の中で考えると、自由民主党が提案して成立させた法律を廃止してしまうよりは、そのままにしておいて新しい税制協議会でどういう税制をつくるかということを検討して、そしてその姿が出たところで消費税廃止していただいた方が、国民税制関係者に対していろんな混乱を巻き起こさないのじゃないかという気がしてならない。これについては御答弁は要りません。恐らく全く行き違いになると思いますので御答弁をいただくつもりはございませんけれども、私どもはそういう考えを持っているということだけ申し上げておきたい。  それから、次にお尋ねを申し上げたいのは、なぜ廃止法案を出したかということでございます。これは先ほど久保先生のお話で、廃止という方針に決めたことと法案にしたことと一緒に絡んでいると思いますから御答弁は求めませんけれども、四会派の代表にお伺いをしたいのは、廃止法案は本当に衆議院まで通過をして法律として成立するとお考えになって御提案になっておられるのかどうか、ちょっと失礼な聞き方かもしれませんが、ひとつ率直にお答えをいただけたらありがたいと思います。
  209. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私は、国民選挙で示された意思を国会が尊重するという立場に立てば、国会はその国民の期待にこたえて議決されるものと確信をして提案いたしております。
  210. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 私どもは、この法律は衆参とも何とか成立していただきたい、そう考えております。
  211. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 私どもといたしましては、この法案が一刻も早く通過することを願っております。
  212. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私どもも一刻も早くこの法案が通ることを信じて出させていただいています。
  213. 松浦功

    松浦功君 この廃止法案をお出しになるときにそういうお気持ちであったということはよくわかりました。  そこで、重ねてお伺いいたしますが、きょうは十二月の七日ですか、会期は十二月十六日まででございますので、もうあと余すところ十日ということでございます。今の状況においてこの法案が成立するとお考えになっておられるかどうか、四党から御回答をいただきたい。
  214. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私どもは、九月の二十八日でありましたか、この廃止法を国会に提出したのでございまして、その後の問題について、見通しやその他で提案者が申し上げることではないと考えております。私どもとしては全力を挙げてこの法案が成立することを望んでおります。
  215. 松浦功

    松浦功君 皆さん同じことと考えてよろしゅうございますね。  私は少し意地悪い言い方をさせていただきたいと思うのでございますが、あるいは腹が立ったらお許しいただきたいと思いますけれども、今の国会の状況ではこの法律は正直なことを申し上げてなかなか成立しにくい、はっきり申し上げれば成立する可能性はない、私はそう思っておるのでございます。そうであるならば、なぜ参議院の決議という形をおとりにならなかったのだろうか。わざわざ法案を出して議論をするのは結構でございます。私どもも議論をするのは大歓迎でございますけれども、こういう形にするというのは何か一つの目的があって、具体的に言えば次の衆議院議員選挙ということを目標にしてこういう行動にお出になったのではないかというふうに私は受け取るのでございますが、それはひがみでございましょうか。お一人だけで結構でございます。
  216. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 政党は選挙のことはいつでも念頭にあるものだと考えております。しかし、私どもがこの法案を提出いたしましたのは、先ほど消費税をなぜ廃止するのかとお尋ねになりましたときにお答えいたしました。そして私どもは、これが議会にある者、選挙消費税廃止を公約した政党、政治家の責任であると考えておりまして、この法案を選挙の目的のために提出するなどということは全く考えておりません。大変失礼でございますが、それは先生のひがみでございます。
  217. 松浦功

    松浦功君 私のひがみと言われると私も率直に認めるわけにいきませんけれども先生の考え方も一つの考え方だという意味での理解はさせていただきたいと思います。私の考え方も、社会党対自民党という立場で考えたら、私どもがそういうふうに考えることもまた先生も裏の方から御理解をいただけるのじゃないか、こんなふうに思っております。  それでは第三番目に、なぜ参議院に先議として出されたか。今まで我々は、予算関連法案で参議院先議というようなことを皆様方の方から責められた記憶は全然ないのでございます。ほとんど衆議院から行くべきだという御主張をいただいて、我々はこちらで先議をしたらいいというものまで涙をのんで譲っておった、それが私の記憶にあるわけでございます。それをなぜ参議院の先議に出されたのか。  憲法六十条のその例を引っ張り出す必要はないと思いますけれども、衆議院の予算委員会で憲法違反じゃないかという議論まで出ておることも御承知のとおりだと思います。少なくとも、私どもは今度の税法の改正案は予算に近い内容のものだと思っております。そうであるとすると、その予算に内容としてはほとんど近いものであると思われる税制改革法案を参議院先議に出すということは憲法の精神に必ずしも沿わないものじゃないだろうか。違憲とまでは私は申し上げません。そのつもりはございませんけれども、そぐわないものじゃないかというふうに考えるんです。  その点についても、わざわざ参議院に出したのは、衆議院に出したらばっさり最初から否決されちゃって問題にならないから、参議院なら一院で可決という結果を得られるだろう、そういうことで参議院にお出しになって次の衆議院の選挙に何か影響を与えるようにという御配慮があったのではないかというふうにまた疑いたくなるわけなんです。それはまたひがみとおっしゃられるかもしれません。それはそう言われても結構でございますけれども、その点について明確にしていただけたらありがたいな、こういうふうに思います。
  218. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) この法案につきまして憲法上参議院先議はおかしいのではないかというのは、自由民主党の三塚政調会長がこの臨時国会の冒頭の代表質問でおっしゃっております。そして、これを衆議院の議院運営委員会で協議を願いたいという意味の御発言がございました。しかし、このことについては衆議院の議院運営委員会で論議をされたというのを聞いたこともございません。私は憲法上のこの問題に対する疑義は全く存在しないものと思っております。  そしてまた、参議院がこの問題について、参議院選挙の洗礼を受けた後、その民意にこたえてこれらの法案を参議院で提出するということについて、これは当然のことだと考えておりますし、この法案に対する自由民主党を代表されました大鷹議員の質問のその冒頭に、与野党逆転下の新しい参議院の行方に国民は関心と期待を寄せているということが述べられております。私はその主張には全く賛成でございまして、私どもはそういう立場でこの法案を参議院から審議をすることは正しかったと考えております。
  219. 松浦功

    松浦功君 参議院議員選挙の結果ということ、この点については非常に皆様方と私どもとの間に食い違いがあるわけですね。久保先生は、参議院選挙において消費税というものの存廃を右か左か決める選挙であったというふうにおっしゃられる。我が党はそれだけによる選挙じゃないと言っているんです。これは全くの見解の相違なんです。  結論は何で見出せるかということになれば、衆議院の選挙だと私は思っておる。そうなると、憲法違反でないということは私も了解できます。憲法違反だとは申しません。しかし、憲法違反でないという理屈をどこにお求めになられているんでしょうか。憲法違反でないという理屈をどこにお求めになられているんでしょうか、法令的に。
  220. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) それは憲法上参議院の議案提案権に基づいて出しているのでございますから、もしこれが憲法に触れるものであれば、当然に本院においてもそのことが御協議に相なったものと思っておりますが、こうして皆さんが御審議いただいておりますことは憲法上何も問題がないものと考えております。
  221. 松浦功

    松浦功君 今度の税法改正を予算そのものでないという前提に立てば全然問題はないわけですね。それで、国会法にも規定があるわけで、予算の伴うものは二十人以上の賛成が必要だという国会法の規定もあるわけですから、私もよくわかります。  この点はひとつその辺におきたいと思いますが、今三つ申し上げました。何で廃止するのか、何で法案にしたか、何で参議院にかけたか、私が何を言おうと思っているかは、もう恐らく賢明な久保先生はおわかりだと思います。全く私どもと考えは違うのでございまして、私どもは、現行法のままで検討して結論を得たときに直せばいいじゃないか、それから法案じゃなくて決議でやればいいじゃないか、それから参議院先議じゃなくて衆議院に出すべきじゃないか、こういうことを言いたいわけでございます。その三つから、皆様方は次の選挙を意識しての行動ではないかという、久保先生から言わせればひがみとおっしゃると思います。そういう考えを持つために、この三つの問題を税法の総則という形でお伺いをしてみたというふうに御理解をいただけたら結構でございます。そういう見解があるということだけ御記憶をいただければありがたいと思います。  続いて、もっと具体的な内容についてお伺いいたしますが、代替財源法案、代替財源措置と申しましょうか、これは税制改革の一環として、その一部を構成するものと理解してよろしいかということでございます。どなたかからお答えをいただきたいと思います。もう一回申し上げましょうか。代替財源措置は、税制改革の一環として、その一部を構成するものになるのかということでございます。
  222. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 税制再改革とはまた別の問題と考えております。
  223. 松浦功

    松浦功君 だとするとちょっと答弁に、私が聞き違えたのかもしれませんが、存続することになった地方間接税の中にはそのまま残るものがあるという趣旨の答弁をどなたかなさっているはずです。そうすると非常に矛盾してくるんです。その点は、もし間違っておるなら取り消しておいていただきたい。
  224. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 代替財源案の中には、いろいろと御検討いただくわけでございますが、この間のときに、間接税のお話のときだったと私は思いますが、間接税につきましてもこれから税財源として御検討いただくわけでございますから、私どもが復活した税財源というものがすべてなくなるというわけではなしに、将来に残るものもあるのではないか、こういうふうに申し上げたような気がいたします。
  225. 松浦功

    松浦功君 そうすると、どれが残るということを確定的におっしゃれる案はお持ちになっていないわけですね。税制国民協議会でいろいろ検討の結果、残るものが出てくるかもしれないと思っている、こういうことでございますね。
  226. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) これはいろいろと御検討いただきまして、結果として残るものもあるのではないか、こういうふうに考えております。
  227. 松浦功

    松浦功君 わかりました。  そこで、代替財源措置と関連をしてお尋ねいたしたいんですが、平年度、初年度ということでえらい長い時間をかけて、鎌田議員の御質問に対して資料をお出しいただくまでに時間がかかるというようなことでもめてまいりました。私は、こういう形をやる以上、二年間の暫定措置だということは私は認めませんけれども、三年間かかるにしても四年間かかるにしても、平成二年はこれだけ穴があくからこういう形で埋める、三年はこれだけ穴があくからこういう形で埋める、四年はこういう穴があくからこういう形で埋めると、そういう案を年次別に示さなければなかなか代替財源措置ということにはならないと思うんです。私はそうだと思います。  そこで、なぜそういう考え方をおとりにならずに、ああいう形で混乱を招く結果になったのか。私は、年次別に、年度別にそれぞれ財源、減る分ですね、減る分が幾ら、埋める分が幾ら、埋め足りない分が幾らあるということを年度別にやっていただきたかったなという気持ちがあるわけなんです。
  228. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) この問題につきましては、本当にたくさんの委員の方からいろいろと御質問いただきまして、私どもも初めてのことでございまして、いろいろと勉強さしていただきました。  実は、これはまず二年間ということでございましたので、財源措置といたしまして平年度ベースで計算さしていただきましたのは前から話してきたとおりでございます。それでもう一回、きょう数字を申し上げさしていただきます。
  229. 松浦功

    松浦功君 いや、私の方から言いましょう。それで確認していただいた方がいいと思いますから、その方が早いですから。
  230. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) そうですか、わかりました。それじゃお願いします。
  231. 松浦功

    松浦功君 国、地方を通じての平年度の数字については、恐らく皆様方との食い違いは全然ないと思います。自動車税の廃止を六%と見込んで六兆七百七十億円、それで財源補てんの不足額は一兆八千四百六十億、これまでは完全に一致していると思うんです。それから先の平年度でどれだけ税が入らなくなるかということの違いだと思うんですが、この前も鎌田委員に資料をお出しいただいて、おおむね三兆円という言葉はこの委員会で出たはずでございます。その点は確認してよろしゅうございますね。
  232. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 初年度の不足財源につきましては、先般の答弁のときには自動車の特例の分を読み上げておりませんので、あれを入れますと約三兆円を超えるということになります。
  233. 松浦功

    松浦功君 そこで、鎌田委員ともいろいろ計数の突き合わせをしてみたのでございますが、法人税の減の七千億に伴う交付税の減が算入されていないのではないかということで、今いろいろともめております。まあそれは二千億のことですからよろしゅうございますが、三兆円をオーバーする財源措置の不足が出るということは、甚だ失礼ですけれどももう一度確認させていただきますが、そういうふうに御理解してよろしいですね。
  234. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) したがいまして、初年度は要補てん額といたしまして、自動車分もすべて千三百七十億を入れまして三兆四百八十五億と見ております。
  235. 松浦功

    松浦功君 二千億の差が出てくるのでございますが、それはまた事務当局とでも詰めさせていただきます。別にどうということではないと思います。  そこで、それだけの三兆円を超える補てん不足額が出てくるんですが、この補てん不足額についてはどうするのかということでございます。その場合、当初にお約束をいたしましたように、私は国の問題については余り触れるつもりはございません。ただ、計数からいきますと、国の補てん率が五一%で地方の補てん率は三九%にしかなっておらないんです。何でこんなに地方は冷遇されなきゃならぬのか。そのことを、これは一番専門家である佐藤委員から御回答をいただきたい。
  236. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 再三この問題についてはお答えしてきたわけでございますが、決して冷遇するという考え方は持っておるわけではございません。ただ、結果として今数字を読み上げたような状態になっておることは事実です。  そこで、どうしてそういうことになったのかということでございますが、地方間接税については、電気税、ガス税について初年度の場合に十二分の十程度しか見られないのじゃないかということが一つと、検針日の実態等からいいまして:::
  237. 松浦功

    松浦功君 結構です。それはもうわかっていますからいいです。
  238. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) いいですか、説明は。
  239. 松浦功

    松浦功君 説明なら要らないです。
  240. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) よくわかっておると思いますが、冷遇する考えはございません。ただ、総額では今度の場合には十分できるようにそれだけの措置をとる、こういうことです。
  241. 松浦功

    松浦功君 地方財政においては、消費税と交付税の減を合わせて二兆三千八百二十億、それに対して補てんをしていただいた額は消費税と交付税で九千三百億、一兆四千五百二十億の穴があきっ放しになっている。これを一体どうしていただけるんですか。どういうふうに補てんなさろうとして考えておられるんでしょうか。それをお伺いいたします。佐藤議員にお願いいたします。
  242. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) もともと今回説明しておりますのは平年度の税制改正による増収額の概数を示しておりまして、また地方財政においては、二年後の税制再改革において制度改正による税源確保を図るとして、今回は消費税廃止を最大の制度改正と位置づけ、地方財政の二年間の代替財源については総額確保というところにポイントを置いております。
  243. 松浦功

    松浦功君 いや、そんなことを聞いていないですよ、何で埋めていただけるのかと聞いている。
  244. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 今から申し上げますので。  したがって、初年度の財源確保については、我々は平成元年度の補正予算による剰余金の繰り越し、あるいは平成二年度における予算編成において歳入歳出全体の調整の中で行われるべきものであると考えております。  また、六十三年度決算に基づく交付税の精算額も、平成二年度においては約六千億入ってきます。また我々は、平成二年度の地方財源に不足を生じないことを前提として、消費譲与税平年度配分見込み額とされていた額と、今回の地方間接税復元に伴う増収額との差額について、基本的には基本法において、地方税源の拡充が実現されるまでの間、交付税に特例加算すべきである、平成二年度において後年度精算などの措置をとるべきだという考えを示しておりますが、これも平成二年度の地方財政計画における税収や交付税の状況を見なければならないと考えます。  いずれにしましても、初年度の問題は、元年度の補正予算あるいは平成二年度の予算案及びそれにかかわる地方交付税改正そのものとかかわる問題であると考えます。  では、平成二年度の交付税はどうなるのかという疑念がわくと考えますが、これは制度改正による増減等、当然、消費譲与税、交付税の算入部分の減収にも含まれ、それに増収分を加味し、さらに成長要因を加えたものを勘案した結果、結果として租税印紙収入見込み額五十七兆五千億の算定からしたものでおります。したがって、我々は制度改正によるもの、平年度、初年度の額は制度改正要因ということで積算しておりますが、自然増収全体においては総額確保という観点からさきのような試算になったわけでございまして、平成二年度の予算編成の中で検討させていただきたい、かように考えます。
  245. 松浦功

    松浦功君 もし今佐藤先生がおっしゃったような答えを我々がしたとしたら、目の色を変えて怒られると思うんですよ。あなたと何年間つき合いました、一度だってこんな発言を聞いたことはありませんよ。自然増収というものは地方自治体の金なんだ、だから勝手なことはできないんだと。地方自治体のために交付税特会の借り入れを返すとか、あるいは六十兆に上る公債返還のための積立金に利する、そういう形に使うべきだというのがこれまでのあなたの主張じゃありませんか。一度だって自然増収をこういうことに使っていいということをおっしゃったことはありませんよ。正反対のことをなさっておられるんですよ、良心がとがめませんか。  もし皆様が自治労の代表だとおっしゃるんならば、自治労の皆さんにでも聞いてごらんなさい、こんなことが言えるかどうか。だめですよ、これはそんなことを言われちゃ。私は当然、途中でちょっと出てまいりましたけれども、臨時の加算、暫定の交付税率引き上げ、そういうことをはっきり、要するにこういった出た差額についてはこういう措置を講じますということを入れるべきですよ、入れておかなければおかしいと思うんです。  ここでどうこうしろということをもう押し迫った時間帯の中で申しませんけれども、少なくともその考えに同調していただかなければ、地方行政委員会でともに語り合っていく間柄にはなれません。そうなると思うんですよ。私は非常にその意味で残念です。どうですか、佐藤さん。
  246. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 何か立場が変わったような……。  確かに、言われる点についてはわからないでもないんです。ただ、政府の場合でも、昨年の消費税導入の際には約八千五百億ですか、自然増収を充てておりましたですね。やっぱり国が制度を変えたわけですから、それを自治体にしわ寄せすべきではない、それはもうそのとおりだと私は思うんです。そのために、先ほども申し上げましたように交付税特例の設定であるとか、予算編成の際には十分そこら辺を国の責任において処理する、こういう方向で検討させていただきたい、こう思っております。
  247. 松浦功

    松浦功君 どうも国の責任とおっしゃられても、大蔵大臣が久保先生ならば、この場で言質がとれますからよろしいんですけれども、まだそうなっておらぬものですから、臨特で措置をすると言われても、佐藤さんから一札もらっても全然これはほごと同じなんですよ。それでは困るんです。  だから、皆さん方に十分御記憶をいただいて、今後そういう事態になった場合にはしかるべき措置を、地方公共団体が財政運営に困らないように措置をとるということを代表提案者である久保先生から一言。
  248. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 十月二十四日の四党の合意に基づいて今先生おっしゃられましたことは確認をいたしておりますので、もしそういうことになりましたら、そのとおりやらせていただきたいと思います。
  249. 松浦功

    松浦功君 そこで、それ以上は今ここで確認書をとるとかなんとかいってもこれは余り意味がないのでいたしません。ここで終わります。  具体的に御理解をいただきたいことは、実は私、計算機をはじいてみたんですけれども、今度の料飲税を旧料飲税と比べてみた場合に、皆様方が控除額を五千円、一万円に上げて一〇%ということで新しい消費税を原案の中でお立てになっている、それとの差額が約三千億あるんです。仮に、この三千億の差額を法人二税、それのシェアがわかりますから、それによって割り振った場合にどうなるかということを実は計算してみたんです。そうしますと、恐るべき数字が出てくるのでございます。増になります県が十一県で四百二十億、三千億で四百二十億、十一の県がふえるんです。それで、減る県が三十一県の四百二十億で、五県はパラレル、ちょうど合うということ。だから、どの税金を取るかによって非常に大きな差が出るんだということを御認識いただいて、これからよほど御注意をいただかなければいかぬのじゃなかろうか。  具体的に申し上げてみますと、久保先生の鹿児島でも六億減ります。東京では何と百三十一億、それだけふえる。やっぱり法人が非常に鹿児島が弱くて東京が強いということだろうと思うのでございます。鹿児島をえらい貧乏県ということを言って、鎌田先輩にも申しわけないと思いますけれども、まあ本当でございますから。  しかもまた、考えなければいけないことは、この四百二十億ふえた十一県のうち、三百二十億が不交付団体である東京と神奈川と大阪と愛知へ行ってしまう。三百二十億はロスでございます。わかりますね、ロスになっちゃうんです。そうすると、新たに三百二十億どこかから税源を持ってこないと貧乏県の方、いわゆる富裕団体でない団体は三百億分だけ持ってこないと穴があいちゃう、ロスが三百億ふえちゃう。こういう実態があるのを見て実は愕然としたわけでございます。  よほど地方の問題については、一番初めにお伺いしたように、一つの財政である国の財政と三千三百の団体の合算である地方財政というものの差を十分御認識いただいて、それぞれの個々の団体の財政運営が困らないようにしていかなければならない、こういうことに思いを深くいたしたわけでございます。これについて御答弁をいただくつもりはございませんけれども、どうかそういう角度からの主張についてはできるだけ御理解のある御配慮をいただくように、高い席からお願いを申し上げておきたいと思います。  時間も大分たちましたので、まだ一般論としてお聞きしたいことはたくさんございますけれども、時間がなくなってこの問題を取り上げることができなくなるということが一番困りますので取り上げたいと思いますが、お手元にお配りしております質問事項の八番目の、消費譲与税法廃止法附則二条第一項の問題でございます。  消費譲与税法廃止する法律案の附則第二条第一項によると、平成元年度及び平成二年度の消費税の収入額の五分の一に相当する額については、消費譲与税法の規定は効力を有する、こういう規定があるのでございます。ですから、消費譲与税法廃止されても、元年に入ります消費譲与税は必ずしも全部が国庫に入るわけじゃございませんので、繰り越しその他という格好になってまいりますので、平成二年にも消費税の収入があると思うのでございます。それは皆様方がお考えになって、それについては二〇%は効力を有するということで配分するんだというふうに読めるように手当てがしてあるのでございます。ところが、三年以降についてはその規定がないんです。そうすると一体どうなるんでしょうか、これは。質問の過程として、単刀直入にいかずに遠回りにちくちくとやっていきたい。どうなるんですか、佐藤先生
  250. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 御指摘の点については、いわゆる消費譲与税の三年度分の滞納というか、おくれて入ってくる分というんですか、この問題だと思うのでございます。私ども立法過程におきましても、どこまで配分するか検討いたしてまいりましたが、そこにあります本の中では、額が少ない、多いというような書き方をしておりますが、そんなことではございません。
  251. 松浦功

    松浦功君 そんなことは聞いていない。三年度に入った消費税はどうなるんですかと聞いているんです。単刀直入に答えてください。
  252. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) それは滞納と還付その他、不明の分もありますために、規定ではできませんでしたが、平成二年度において滞納等の状況が明確になった段階で、改めて交付税の特例加算等の措置もお願いできればという考え方を持っております。よろしいですか。
  253. 松浦功

    松浦功君 聞かないことを答えないでいいですから。  非常におかしなお答えなんです。二年度の消費税収入の二〇%は譲与税でくれるよと書いてある。三年度はどこへ入るのかということを聞いたんだけれどもお答えがない。消費税は全部大蔵省へ入っちゃうんでしょう。国庫へ入っちゃうんでしょう。地方へは一銭も来ないんですよね。そうでしょう。それでしかも、言っちゃいけないことだけれども、何で臨特を措置すればなんていうことをおっしゃるんですか。あなたは大蔵大臣でも自治大臣でもないんですよ。だれがそれについて約束してくださるんですか。完全に私は、立法過程で皆様方は御審議したということはちゃんと了解はしますから、政策論ではあろうと思うけれども、政策判断が全く誤っておったと、私はそう言わざるを得ない。  もう少し激しい言葉で言わせていただけるなら、やっぱり法律の欠陥である。三千三百の地方自治体というものは、それが合算されて地方財政になっておる。あなた方は地方団体の了解を得たんですか、これ。一言も話していないでしょう。恐らく社会党推薦の市長さんも議員さんも、こんな話を聞いたら泣いて悔しがりますよ。  私は金額の大小ということでこのことを論議しているんじゃないんですよ。(「考え方だ」と呼ぶ者あり)今そちらで考え方だという話がありましたが、まさに考え方なんです。国と地方の財源配分の基本は交付税法の三二%であり、同時に交付税法の二四%であり、消費譲与税法の二〇%なんです。それをいとも簡単に切り飛ばしてしまうというのはどういう神経ですか。それで、地方財政についていいことだけ書いている。もう全然、やっていることと法案に書いておることとは逆さになっておるんじゃありませんか。もし臨特でこの問題を措置するのであるというならば、法案に書いてください。法案に書いていただいて、法案が通ったならば実行の可能性は一〇〇%です。しかし、あなたの口から約束していただいたってゼロ%の確率しかないんですよ。それじゃだれだって納得できないんです。佐藤さんにもう一回答弁を求めます。
  254. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) おっしゃることについてはよくわかるんです。消費税については、御案内のとおりに、地方の財源でございますからね、その譲与税の財源は、来年の四月に廃止となってそして平成二年度についてはきちっとこの規定の中で入れるようにしていますけれども、三年度に入ってくる分、言うならば、何というんですか、かなり滞納であるとかおくれて入ってくる部分でありますから、金額の多少であろうともこれは地方の固有の財源だから、当然やっぱり地方交付税に入れるべきじゃないかという御主張でございましょうから、その点は私はわかるのでございますけれども、交付税、これは政策判断の問題もあって私どもとしては一応二年度でもって打ち切っておるわけでございまして、したがってそこら辺の御指摘の点についてはわからないわけではございませんけれども、極めて一つの判断の問題として受け取っていただければよろしいんじゃないかと思いますが。
  255. 松浦功

    松浦功君 意識的にそういうふうにしたんだということは、私も理解できます。  というのは、ここにある本の中にちゃんと答えが書いてある。この答えがまたでたらめ。こんなことを書いていいのか。これについては、だれでしょうか、四党の代表者ですと久保先生ですかね。非常に不適当な文句が使ってあるんです。恐らくそう答えると思ったけれども佐藤先生もさすがにそれほど厚かましくないと思ったんですが、お答えになれなかったんじゃないかと思う。読んでみましょうか。「これは、三年度以後の収入は納期遅れ等消費税法廃止法が本来的に予想しているものではなく、かつ、額的にも少額なので、」と書いてあるんです。私は額などということを言うておらぬのです。ルールを被っちゃっているよということなんです。額なら額で論議はいたします。非常に不適当だと思うんですね、こんなこと。どうでしょうか。
  256. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) ただいまのその本の記述につきましては、先生の御指摘のとおり、表現が適切でないと私も思います。
  257. 松浦功

    松浦功君 少額であるということについても議論の必要があればいたしますけれども、私は二十億だ三十億だというような少ない額じゃないと思います。交付税も同じようになっちゃっているんです。だから、両方合わせると百億を超えるものになると思うんです。それで、額が少なくなるといって還付金が出てくるだろうということを一生懸命おっしゃる人がいるんだけれども、還付金が出てくるんなら更正決定が出てきますよと、片一方で。だからほとんど影響はないですよと。私も神様じゃないから、どれだけのものが何年度に入ってくるかわかりません。わかりませんけれども、まともに考えると、いろいろなデータを使って算出してみると、百億を下らない額になりそうなんです。それを地方から切り飛ばしてしまって国へ持っていってしまう、こんなことが許されるんだろうか。特に地方自治を守るという観点からだったら、私はそんな論議はいただけないと思う。  また、この中にも、繰り返して言うようになりますけれども、「納期遅れ等消費税法廃止法が本来的に予想しているものではなく、」と書いてある。だけれども消費税であることには間違いないんですね。だから、恐らく久保先生もかぶとを脱がれたんだと思う、この本の問題についてだけ。そういうことをお考えいただいたらどうでしょうか。この問題は私は法案の欠陥だとは申しませんよ。法案の作成ミスだとは申しません。意識して政策判断をされたんだと思います。しかし、政策判断が基本的に考えなければならないことを忘れていた。そういう意味では、やっぱり法案の欠陥であると言わざるを得ないと思う。どうですか、その点お認めになりますか。
  258. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) そういう詰め方をされますと、率直に言って私どもも、もともとがそういうことをいろいろ言っていましたからね――ございますが、ただ、これはまさにおっしゃるように政策判断の問題ですね。私どもとしてはそこら辺の意味でわからないわけではございませんけれども、ですから私はさっき申し上げたように、特例措置等についても、法定特例等も考えなきゃいかぬということを臨特を含めて申し上げたんですが、いずれにしてもここで、何というのですか、これを変えるとかどうするとかいう考え方じゃなくて、むしろ御指摘の部分については今後の予算編成を含めて私どもの方でひとつよく勉強さしていただくと、こういうことで処理をお願いしたいと思うんです。
  259. 松浦功

    松浦功君 今までおつき合いした範囲で佐藤先生からいろいろとお教えをいただいたことの正反対になっておるわけです。全く正反対になっておるわけでございます。ですから、この問題についてはぜひお改めをいただきたい。  その問題にもう少し突っ込んで入る前に、同じような問題がございますから、あと三点指摘をさせていただきます。  今と同じようなことが交付税法にございます。三年度分の消費税収入の八〇%の二四%ですから一九・二%、これだけは交付税としていただくというのが国と地方の財源配分のルールでございます。三年以降の消費税についてはその規定がございません。この法案によって、百億の半分とすれば五十億は猫ばばされて大蔵省に持っていかれるということになるわけなんですよ。国庫に持っていかれるということになる。大蔵省もこんな金は欲しがっているとは絶対に思いません。これはルールだから当然地方の金だとおっしゃると思うんです。だとしたら、率直にお認めになって、私は訂正すべきものは訂正されるべきではないかと思います。それが第二点。  第三番目の問題としては、譲与税法の廃止法案の附則の二条四項では、平成二年度の見込み譲与額にかかわる精算分を三年度に精算、譲与する旨の規定がございます。ところが、この配分した譲与税については、交付税の基準財政収入額に算入するという規定がないわけでございます。欠落しているわけでございます。もらった金を基準収入に入れないなどという交付税制度は、私の先輩であるここにおいでの宮澤先生も鎌田先生もお考えになったことがないと思うんです。こういう法律の構成では欠陥商品であるということを申し上げざるを得ないと私は思っております。  しかも、この問題についても、やはり政策的に御検討をいただいたらしくて、この五党でおつくりになった本の中の百六十八ページに「平成三年度における精算譲与金について平成三年度の基準財政収入額に算入することとしなかったのは、平成二年度分の消費譲与税が消費税を譲与するという本来の目的を有するのに対し、この譲与金が二年度の精算にすぎないこと、及び、その金額が交付税の基準財政収入額に算入する程の額とならないと予想されることによる。」と書いてあります。これもまことに不穏当な記述であると思います。これは、久保先生も恐らく表現としては舌足らずだ、不十分だということをお認めになると思います。そういうことまでこれに書いてあるんです。  消費税消費税なんです。消費譲与税は消費譲与税なんです。一円になろうと五厘になろうと、やっぱり税金税金なんです。だから私どもは、具体的に修正するときにお困りになるでしょうと。消費譲与税を切り飛ばす額、入ってくる額がある年度において五億、三億になった場合に、それを自治省に配れといったって自治省は困るでしょう、配る方に金がかかって。そうであるならば、その金は交付税特別会計に入れて交付税として配るという特例をお書きになったらどうですかということまで私は親切に御示唆を申し上げている。だけれども、直すとはおっしゃっておられない。この議論を聞いていて、皆さんはどう思われますか。野党の皆さん、おかしいでしょう。どうですか、本岡先生。非常におかしいと思うんですよ。何で切り飛ばしてしまうのか。非常におかしい。  そして、最後にもう一点申し上げますけれども、今の消費譲与税法の中には、見込み譲与額が実際の収入額を上回った場合、精算方法が規定されております。ところが、逆の場合の規定がないんです。交付税についてはちゃんとどちらが多くなっても行ったり返ったりという形の規定が入っているんですけれども、譲与税にだけは配り過ぎた場合に国に返さなければならないという規定がないんです。どう考えたって、これは明らかに制度的な欠陥だと思うんです。これは一体どうなさるつもりなんでしょうか。質問をすれば、地方はもらいっ放しで、地方が余計もらっちゃった場合には国に損させて返さなければいいんだという答弁が恐らく来るんじゃないかと思っておりますが、私はそういうものだとは思わない。やはり国と地方との間の関係は、精算をきちんとすべきだと思っておる。その精算規定が抜けておる。  この四つの問題については、もはや額の問題とかなんとかということではなくて、国と地方の財源配分の基本を侵すものとして何としても私には納得できません。政策判断をそれぞれ皆様方はなさったと思いますけれども、その過程において重大な誤りがあったということをお認めいただいて、ぜひ御修正をいただくように御要望を申し上げたいと思います。久保先生、いかがでしょうか。
  260. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 順序不同になりますが、決算額を上回った場合の、配り過ぎというんですか、その問題について御指摘がございました。いろいろと私もこの問題については実務的な面で勉強させてもらいましたが、結局ここにございますように執行当局の事務上の困難性はわかるという前提に立って、平成二年度分の具体的な譲与の時期は自治省令にゆだねておるわけですね。そこで、そういう類のものでございますから、果たして見込みの場合に、配り過ぎになるような見込みをするだろうか、むしろやっぱり低目に見るのじゃなかろうか。こういうこと等も考えてみると、この条文でよろしいのじゃないか、こう思っておるわけです。それが一つ。  それから、もう一つの場合でございますが、先ほどから申し上げておりますように、交付税もそうでございますが、決してこれはよしあしという議論とか、今までの国と地方との関係等から見て、おっしゃることについては私もわからないではございませんけれども、先ほどから申し上げておりますように、一つの政策判断としてとった方法でございますので、そこら辺も含めてひとつ十分御意見を参考にさせていただいて、今後の対応措置をとるという前提で御了承いただけますれば幸いだ、こう思っております。
  261. 松浦功

    松浦功君 私はちっとも幸いでございませんので、了承いたしません。  まず第一の見込み違いの問題でございますが、皆様方もこの委員会でたびたび口にしておられるように、自然増収が出てくる場合もあれば逆に穴があく場合もあるわけでございます。ですから、そういう可能性がないというようなことはおっしゃらない方がいい。特に、後ろの方から余計な知恵はつけないでください。そんな間違った議論はしていただきたくありません。  それから自治省令という言葉がございましたけれども、自治省令ではそういうことは考えておりません。そんなことは書けないはずです。やっぱり法律で書かない限りは、これはだめです。もし皆様方の法律論が正しいか、私どもの法律論が正しいかということならば、内閣の法制局を呼んで意見を聞くということになっても私はやむを得ないかとこう思っております。  そういう意味で、何としてもこれは皆様方の御主張には納得できませんし、政策判断であるからこれでいいんだという御主張で私を屈服させようとしてもそれは無理でございます。政策判断にも正しい判断もあれば非常に間違った判断もある、こういうことです。私は、間違った判断で決められたことで、結果的に間違いで、地方公共団体の人たちを怒らせる大きな要因になりかねない問題だから御修正をいただきたい、こういうことを申し上げているわけでございます。
  262. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 今自治省令の問題でちょっと言葉が足りずに誤解を与えたようでございますが、年四回のうち一回にまとめて出す時期の問題を省令ということで言ったわけです。  確かに、おっしゃる点についてはわからないわけではございません。ただ、補助金カットの問題と同じで、やっぱりそのカットをよしとする、あしとするという議論はあるでしょう。それが私はこの問題を即そうだとは言いませんけれども、もっと言うと、これは地方の固有の金でございますし、国の制度改正のしわ寄せを何で地方に置かなきゃならぬのかというのが基本でございますから、今の御質問の。そういう面でございますけれども、今申し上げましたように、四党としては政策判断として提起し、法律をまとめて出しておるわけでございますから、ここら辺はぜひそういう意味で御理解願いたい、こう思っておるわけです。
  263. 松浦功

    松浦功君 私が欠陥ではないかと言っていることについてはどうも皆さん賛成のようで、非常に静かでございます。提案会派の皆様からも一言の異議も私の耳には入ってまいりません。皆さん、なるほどちょっとむちゃだなあということをお考えになっておられるのではないかと思います。特に地方自治に理解のある方はますますその思いを深くしておいでになるのではないか、こんなふうに思うんです。  それで、私が地方行政委員会でいろいろと議論をし、意見の交換をしてきているからということで佐藤先生に御答弁をいただいておりますけれども、社会党だけでこの問題についてどうこうするという結論をお出しになるのはなかなか難しいのではないか、こう思いますので、私この席に黙って座っておりますから、どうぞ四会派の代表がお集まりになって、この問題をどう取り扱うかを御協議願えないでしょうか。
  264. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  265. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 速記を起こして。
  266. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今、提案四会派で統一した見解をという御要求でございました。私ども、この問題につきましては、法律案を作成いたします段階で検討をした課題でございました。そして、先生おっしゃいますように、国の財源、地方の財源、それぞれの立場というものは尊重せられるべきものだと考えております。先生おっしゃっておられるように、これをずっと後年度まで法律上明文化しておくというのは、私はそれは一つの正しい見解だと考えております。  ただ、私どもは、制度が終わります翌年度まででおおよそのこの消費税の税収が集結してくるわけでございますから、この段階でさらに三年度以降に引き継がれる分については、その実績を勘案しながら政策、予算の上で地方の財源として適切に処理されるような方法が可能であろう、こういうことでこのような法律案にいたしましたので、先生からの大変法体系上の適切な御要請だと思いますけれども、私どもは今申し上げましたような立場で合意をいたしまして提案いたしておりますので、この点については修正というような形はとりにくいということを御了承いただきたいと思います。
  267. 松浦功

    松浦功君 四会派の一致した意見として受け取ってよろしいのでございますね。まことに残念でございます。  仮に三年度以降の分をネグるとするならば、法律の書きようがあるわけでございますね。三年度に収入された消費税の二〇%に相当する額は臨特として交付するということを別の角度から書いておきさえすれば、何ら私は文句を申し上げる筋はないんです。それは立派な政策だと思うんです。ところが、何にも手当てをしないで、相当額に上る金額を切り飛ばして、地方財政に属すべきものを国庫に回してしまうということについては私は賛成できないんです。  しかも、それに輪をかけて申し上げなきゃならぬことは、四会派の皆様方からはこの問題についてはこれまで全部正反対の意見を述べて、私どもはその仰せに従うようにできるだけ努力してきたんです。にもかかわらず、こういうやっちゃいけないよと言っておられる方法をおとりになったということについて納得ができないんです。そういう意味で、私は繰り返して修正案をお出しいただくようにお願いをいたしたい。そうでないと、地方団体の方が泣きます。考え方の問題です。四会派の方は一体何を考えているんだろうかということになり、しかもこの法案が成立するしないにかかわらず、参議院は、私は明確なことを申し上げませんけれども、皆様方のおっしゃるように成立する可能性が非常に強くなっている。その強い中で四会派という大きな固まりが御提案になった中に、可決された法案の中に整合性のないものが入っておったということは、四会派のために非常に名を惜しむんです。ですから、私は納得いたしません。もう一度御答弁をお願いいたしたい。
  268. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 速記をやめて。    〔速記中止〕
  269. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 速記を起こして。  ただいまの案件につきまして、理事会で直ちに協議に入りますので、暫時休憩いたします。    午後四時三十六分休憩      ─────・─────    午後五時三十分開会
  270. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 委員会を再開いたします。  松浦君に申し上げます。  先ほどの問題につきましては、理事会に預かりおき、引き続き協議を行いますので、質疑を続けてください。
  271. 松浦功

    松浦功君 はい、わかりました。  休憩前に引き続き、もう残り時間も余りありませんけれども、行政改革の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  地方団体は、政府指導によりまして、行政改革大綱を決定するなどいたしまして、各方面に行政改革を進めております。この実情に対して、四党のそれぞれの代表者の方からそれに対する評価のほどをお伺いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  272. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 行政改革につきましては、我々はそのものについては賛成でございます。そういう立場から民主、公正、効率を貫いて、そしてこれを通じて国民の政治への信頼を回復し、参加と分権と公開を制度として実態的に推進していく、こういう立場から行政改革に対処しております。
  273. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) 今後の地方自治体の自主的な行政改革を阻害したり、あるいは地方行財政の膨張をもたらしている現行の国の関与をできるだけ排除するなど、国、地方を通ずるこれらの問題について解決を図る必要があろうという基本的な考え方を持っております。  また国、地方間の行政改革を進めるとともに、事務事業の整理合理化、組織、機構の簡素合理化と統廃合、定員管理の適正化などを一層推進してまいりたい。公明党も今まで行政改革につきましてはこれを推進する立場でいろいろとやってまいりました。
  274. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) お答えさせていただきます。  国と並んで地方自治体の役割が大変重要であり、高い福祉サービスを支えるための行政に切りかえる必要があると思います。地方行政に関する情報公開とあわせ、住民ニーズに対応し機構、事務処理の改革合理化などが当然必要であり、地方分権の充実を図りたい所存であります。
  275. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 地方におきます行政改革は、やはり国に劣らず重要な課題であるというふうに私どもも受けとめております。高齢化社会の到来、また物から心へ、また個性の尊重が求められておる今日、地方の果たす役割というのはますます重要となってくるというふうに思われますので、各自治体はこのような時代の変化に適切に対応することが必要であるというふうに私どもも認識いたしております。
  276. 松浦功

    松浦功君 今のお答えを聞いておる限り、必ずしも現在地方公共団体が行っておる行革が十全であるというふうにはお認めになっておらないようですけれども、一応の評価はされなおかつこれから努力が必要だというふうに承りましたが、それでよろしゅうございますね。  それでは、現在の自治体において非常に目立った形で行われておりますのは議員定数の縮減の問題でございます。都道府県では百四十七名、市町村では一万九千四百七十名、合計しますと約二万人の議員を条例で減少させております。これに対する評価を各党お伺いをいたします。
  277. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 議員の定数是正といいますか、みずからの議員の定数削減を含めて今おっしゃられるようにやられておりますが、それはそれなりにそこの町、市、住民との一つの接点がございましょうから私はそれなりに評価をしますけれども、問題はやっぱりそのことによって住民の意思が議会に反映する度合いが薄らいでくる、こういうことについては十分ひとつ留意していかなきゃならぬのじゃないか、こう思っております。
  278. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) 現在、各地方自治体で議員の定数の縮減が行われていることはよく存じております。しかし、議員議員としてのやはり立場等があり、地域住民の声がしっかり届くような議員の構成になっていなきゃならぬじゃないか、そういうことでいろいろと慎重に対応したいと思っております。
  279. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) この問題につきましては、やっぱり住民の意思を尊重するということが非常に重要かと思っております。
  280. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私どもは、地方自治体で決められておりますそれぞれの議員定数の削減については評価をいたしております。
  281. 松浦功

    松浦功君 そこでお伺いをいたしたいんですが、少し古い問題になりますので笹野先生は御存じないと思いますので、お答えいただかなくても結構でございます。もしお答えいただけるならお答えいただいたらなおありがたいのでございます。  世の中で社会党主導による自治体行政の見本のように言われておりました美濃部都政十二年間に対する評価をお伺いいたしたいと思います。各党にお願いいたします。
  282. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 美濃部さんの都政の評価の問題でございますが、率直に言って伏魔殿とそれまで言われておりました東京都政を、美濃部都政を通じて都民の参加できるようなそういう親しみのある都政に変えていったという功績というのは大きいんじゃないかということが一つと、それから、御案内のとおりに東京は公害、環境、一つの具体的な例で言えば富士山がガスでなかなか見えない、また隅田川に魚がすめるようにという意味で非常に努力していった、その跡は私もやっぱり大事に評価していかなきゃならぬのじゃないかと思います。  ただ、時、運がいいか悪いかは別にしまして、非常に都財政が後半において赤字財政ということから、ばらまき福祉とかいろいろな評価がございましたけれども、そういう意味では本人も無念な点があったかと思いますけれども、私自身は高く評価しておりますし党としてもそういう立場です。
  283. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) 私どもの党は、美濃部都政の前半は野党でございましたが、後半は与党として都政に携わってまいりました。その与党になりましたのは、やはり美濃部都政が福祉の充実に努力した点を私たち評価したわけでございます。このことからも、美濃部都政の福祉面については評価いたしております。  ただいま話がありましたように、都財政を窮地に追い込んだのは美濃部都政の放漫財政によるという批判があったことも確かでございます。あるいはまた問題点があったことも確かでございますが、しかし、この期間は全国的に地方公務員の人件費について批判があったときでもありますし、東京都はより中心的存在として批判を受ける立場にあったのではないかと思います。もう一つは、この時期は石油ショックによりましてやはり国あるいは地方とも厳しい財政難が続いたときだと。一面こうしたことも加わりまして都財政が批判されたのではないかと、このように思っております。
  284. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 美濃部都政時代は私ども民社党は常に野党としての立場をとっておりまして、批判的態度をとってきたわけでございます。それは、美濃部都政が福祉などを重視した面があったものの、ばらまき的な福祉とそして行政の肥大化をもたらしたからであるというふうに評価しております。特に職員数の増加、管理職ポストの急増、さらに最高九十カ月分にも達した法外な退職金の支給などをもたらし、その結果毎年一千億前後の財政赤字という都政史上最大の赤字を生んだというふうに見ております。このような状況を改めるため、私どもは鈴木都政を強力にバックアップし、行政改革の断行で財政再建を実現させたのであります。
  285. 松浦功

    松浦功君 当時のデータを私は手元に持っておるのでございますが、これは各会派の先生方に御記憶を願いたいのでございますが、昭和四十年度の東京都を一〇〇といたしますと、昭和四十九年度の職員数は一三六でございます。九年間に三割六分ふえている。ところが、他の道府県は一五%しかふえていない。それから人口十万人当たりの職員数で申しますと、これは最終段階に近い時期で調べておりますが、他の道府県を一〇〇とした場合に東京都は百三十三人、三割三分多い。ラスパイレス指数、いわゆる給与の高さです。これは全国の平均が五十二年の四月で一〇七・七でありましたものを東京都では一一三・六、六%も高い。管理職の比率が他の道府県は五・四%なのに東京都は七・五%である。年齢六十歳以上の人間が、これは五十二年の四月現在でございますが、他の道府県では○・三%であるのに都には六十歳以上の職員が当時一・七%もいた。  こういったデータを見る限り、私は美濃部さんの行政というものが、確かに福祉面にいろいろ新しい開拓面をお開きになったという御意見もおありのようでございますけれども、財政運営、行政改革という点については全くルーズであったというふうに申し上げざるを得ません。  それについて社会党と公明党さんは評価をし、民社党さんは評価をしていない。その三党に連合が加わって、同じ文章の行政改革というものを盛り込んだこの税制再改革法案ですか、これをお出しになった。どうも私には奇妙でしようがないんです。全然皆様方の意見が合っていないじゃないか。皆様方がお考えになっている行革をもっと進めなきゃならないというのであれば、その線を最初からお出しになっておれば結構ですけれども、その線をお出しになっているのは民社党だけ。そうすると、何か民社党を引き込むために妥協したような感じすらこれで受けるわけです。その辺、非常に遺憾なんです。  先ほど美濃部さんの問題で、一人でも反対がいれば何もしないんだということを言った。それは確かにフィリピンかどこかの偉い方がおっしゃったんだと思いますが、一人でも反対があれば橋をかけないと言ったんですね。ところが、その裏にはただし書きがついておって、ただしみんな泳いで渡るということを覚悟した場合においてというのがついているんです。それを忘れちゃって、意図して消したんだと思うんですけれども、一人でも反対があれば橋はつくりませんとおっしゃった。  私が住んでいる杉並区の清掃工場は、当時若干の反対があったために手がつけられませんでした。当時の計画額では三十五億でございました。それが何と十年後、やっと納得をして美濃部さんが手をおつけになったときには三百五十億から四百億かかっているんです。そういう行政がいいかどうか、これはもうここで結論は申し上げませんけれども、皆様方に御批判、御判断をいただきたい、私はこんな気持ちでおるわけでございます。  恐らく現在、鈴木都政にかわりまして大分そういう意味の姿勢は直ってまいりました。したがって、大きな声で、富裕団体だと言われて財源を召し上げられることは迷惑だということが堂々と言えるようになった。それだけの時代の変化というものを感じつつ、これから一体富裕団体をどう扱うかということについては、この税問題を含めて本当に慎重に扱っていかなければならない難しい問題ではなかろうかと、こんなふうに考えておるわけでございます。  そこで、もう時間も余りございませんのでお尋ねしたいんですが、「公務員の綱紀粛正」ということが大綱の中にはうたわれておった。大綱の中に「公務員の綱紀粛正」ということがうたわれておった。それがいつの間にか法案からはなくなっちゃっている。なぜ大綱で「公務員の綱紀粛正」を掲げ、そしてどういう理由で法案から外したか、その点をお伺いいたしたい。どなたか代表者で結構でございます。
  286. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 公務員の綱紀粛正ということは、これはきちっとやっていかなければならぬ問題だと思っております。私どもが今度政策大綱として出してまいりました場合には、そのことを今御指摘のように明示いたしておりました。税制改正の大綱、それから法律としてまいります場合にはこれは直接には税制とかかわらない問題でございまして、綱紀粛正については公務員の問題としてこれは当然にやっていかなければならない問題だと、こう考えております。
  287. 松浦功

    松浦功君 私は幾つか大綱の中にうたわれておって法案の中には姿を消しているものを知っておるものですから、今の御説明でわかるような気もするんですけれども、例えば地方団体の課税自主権というような問題は非常に税法に大きな関係があるわけです。ただ余り文言が長くなって結びつけにくいということからお外しになったものだと私は思っておるので、そういうふうに御理解してよろしゅうございますか。
  288. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 御指摘の点につきましては、私どもこの法案にいたします際には「地方税源の拡充」という表現の中に織り込んだつもりでございます。
  289. 松浦功

    松浦功君 余りいろいろなことを麗々しく書くと法律の体裁としてはうまくないんで、等という中に含めたり字句の解釈でその部分に入るんだというようなことをお考えになってやられたものだというふうに、私も善意で解釈をいたしております。  ただ、綱紀粛正についてもう一点だけお伺いしておきたいんです。  綱紀粛正については、政府地方行政を行っておる地方団体に対して、いろいろな不祥事を起こしてはいけないということで強い指導を行っておることは御承知のとおりでございます。そこで、私どもとしてはちょっと心配になるのは、地方公務員については地方公務員の組合等で法律に違反したストライキ等を行っている事例がまだ見られるわけでございます。そういうものに対しては、違法な争議行為とみなされた場合、もちろん違法でないものがあるとは思いませんけれども、違法な争議行為であると認められた場合には、やっぱり綱紀粛正という態度から具体的に処分をするということについて各党御異議はないものと思いますが、いかがでございましょうか。
  290. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) なかなか厳しいですね。  御案内のとおりに、公務員の場合にはスト権が奪われております。そのことのゆえにストライキが違法だとこういう認定になるわけでございますが、御案内のとおりに最高裁判例にもございますように、それに対する代償措置としての人事院勧告を含めて所要の措置がきちっとされて初めて憲法違反であるかどうかというような認定もできるということもございますから、そういう類のものでございますので、我々としてはいわゆる違法な行為についてはこれはやっぱりいけない、できるだけ自粛していかなきゃならぬ、しかしそのものの何というんですか客観的な条件ですね、さっき申し上げましたようなそういうものの中で判断していかなきゃならぬのじゃないか、こう思っております。
  291. 松浦功

    松浦功君 私が申し上げたいのは、現在地方公務員法という法律は私どもは適当な法律だと思っておる。ところが、社会党さんの一部には必ずしも適当な法律だと思っていないという方もおられるわけです。しかし、現在法律としてある以上、この前も議論になりましたけれども、悪法は悪法であっても法律なんです。私は悪法と思っていないんですよ。良法と思っているんです。だけど悪法と思っておられる方も法律であることはお認めをいただいておるわけです、この前。したがって、違反した場合には当然処罰があるということを確認しておかないと、これから皆様方にまともにやっておしかりを受けるというようなことになっては困るので、公の場で速記録に残る形で皆様方のお答えをいただきたいというつもりで御質問を申し上げたわけです。大体御回答はそのようになったようでございますから、これ以上申し上げません。  さらにお願いしたいことは、行政改革ということを言ってすぐ思いつくのは私は三つだと思うんですね、現在。一つは給与の高い低いの問題、それからもう一つは人数が多いか少ないかという問題、さらにもう一つ、現在地方行財政でもめておるのは委託がいいか悪いかという問題、この三つが私はぴんと頭に浮かぶわけでございます。それぞれの問題についてこれから、もう時間がありませんからこれを最後にいたしますけれども、御見解を承りたい、こんなふうに思うわけでございます。  給与については、非常に皆様方の御協力をいただきまして、ついこの間発表になりました数字では地方公務員全体で一〇三・九――これは去年の数字ですかな、一〇三・九。非常に地方公務員全体について前に比べると妥当な水準に近づきつつあるようです。ただ言い得ることは、私も自分で給与課長のような仕事をした経験がございますが、やっぱり当該地域の給与に準拠した形というのが最も妥当な給与水準じゃないかということで指導してまいりました。これについては、強い御反対をいただかずにこういう結果になったことを喜んでおりますが、一体どこまで給与というものを指導して引き下げていったらいいかということについては、まだいろいろと各人の間に議論があることと思うのでございます。  現在、ラスパイレスが一一〇以上になっている団体は五十六団体、これは指導団体として指導を受けております、高過ぎるということで。それから、退職手当については三十一団体が国公並みにしたらどうだということで指導を受けておる、こういう状況でございます。  私どもとしては、もう少しの辛抱で妥当なところへ行くのじゃないかと思っておりますので、この点については御理解を賜って御協力をいただけたらありがたいと思います。何か佐藤さんに御意見がありましたら、どうぞお願いいたします。
  292. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) これはあなたとは何十年もいろいろ議論してまいったことですが、私はやっぱり地方には任命権者あり、自治体の中で議会もあり、住民の意見もあり、その中で決められてきた経緯等を考えてみますと、基本的にはやっぱりそこに帰属すべきであって、自治省の指導がいわゆるラスパイレスということでやられておりますけれども、国家公務員の基準のとり方、それと職種も国家公務員にない職種もたくさんございます。そういうものを考えてみると、まあ一遍あなたにも議論を吹っかけたことがあると思うんですが、地方公務員給与表というのがあれば別、国公基準が一つあってそしてそれに右へ倣えという発想は私はやっぱりいかがかと。これはあくまでも現場の自治体の皆さんが、いろいろ労使関係を含めてそれに納得するという前提を置いてやられるべきものではないかというのが私の持論です。  以上です。
  293. 松浦功

    松浦功君 若干意見は食い違いますけれども、二人が棺おけに足を突っ込むまで十分に相談をしてまいりたい、こう思います。  それから職員の数の問題でございますけれども税制再改革基本法の中にはちゃんと文言がうたわれておるわけでございます。地方公務員の総数の抑制につきその部門、機関、人員あるいは抑制の方法、そういったことについて何か具体的な構想があるならお示しをいただけたらありがたいと思います。どうでございましょうか。
  294. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) ちょっと済みません、もう一遍。
  295. 松浦功

    松浦功君 税制再改革基本法の中に行政整理が出てまいりますね、言葉が。これは何条でしたか、三条の一項の一号。そういうことについて、具体的な対策が何かあるのならお示しを願いたい。
  296. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 率直に言って、行政改革、定数抑制といいますと総体を一律的に抑えていくという式が今までの政府がとってきたやり方でございますけれども、例えば今政府自体が言っておりますようにホームヘルパーを高齢化社会に備えて充実強化していかなきゃならぬとか、こういったこともやっぱり私は行政改革だろうし、それから脱税がどんどんあれして、クロヨンとかいろいろ言われておりますように、それを督促するのに税務関係の、国税庁の職員をふやすことも公平公正の原則に照らして必要ではなかろうか。こういう意味で、単に一律方式の抑え方じゃなくて、行政機能をきちんと充実させながらやっていく方式を検討したらどうかということを言っておるのであって、具体的にまだそこまではいっておりません。
  297. 松浦功

    松浦功君 極めて穏当な御答弁をいただいたわけですけれども、それができないから一律に掛けているんですね。おまえのところは増員はせぬよと。そうすると、そこは納得をしません。おまえのところを増員するよと言えば、あっちが増員されてなぜおれのところはへずられるんだという文句が出る。そういうことになるから、部門別の減員などということはなかなかできない。難しい。それで一律ということになりがちなんでございまして、その辺は私もよくわかりますけれども、理由がある納得できるような総職員数の縮減であるならば反対する理由はない、こういうふうに理解してよろしゅうございますね――はい。  そこでお伺いをしたいんですけれども、勤務時間の短縮に関しまして政府は公務員数は増員しません、予算もふやしません、こういうことを基本方針として決めているわけです。そうすると、この基本方針には反対であるといって騒ぎ回る――騒ぎ回るというのはちょっと穏やかじゃないかもしれませんが、そう言って歩く組合があることは事実だと、そういうことでいいんでしょうか。
  298. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 政府の言うことがすべて正しくて、それに反する労働者が云々という発想ではいかがかと思います。  私はやっぱり労使でよく世界の情勢――今日の体制というのは日本は非常におくれておるわけですから、時間短縮問題は。ILOの方からも再三にわたって指摘されておるわけですから、そういった点を踏まえて議論していけばおのずと一つの一致が出てくるんじゃないか。同時にまた、高齢者対策というのが今緊急の課題になっておりますから、そういった意味での必要な人員をどう確保していくか、こういった問題もあると思います。そこら辺はひとつ労使の円滑な議論をお願いしておきたいというふうに思っております。
  299. 松浦功

    松浦功君 若干の意見の相違が残ることは仕方がないと思います。  もう時間も大分たちましたので、私の理事会にお願いをいたしましたことについて希望が通りますように委員長に御努力をお願いしたいということをお願いして、本日の質問はこれで打ち切らせていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
  300. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 もう定刻の、本来でしたら六時になったわけでございまして、発議者の皆様におかれましては大変御苦労さまでございます。  自民党もずっと御質問を続けてまいったわけでございまして、総括、ここに井上真打ちが残っておりますが、大体我が方は最後でございまして、今まで提案をしていただきました法律について、整合性に合わないというところの御指摘をさせていただいているわけでございますが、全体を通じて残っているそういう問題、また今まで御発言をなさったところで納得のいかないところ、こういうところをお聞き申し上げることが一つと、また長いこの時間の間に比較的討議の薄かった、こういう点について少しくお聞きを申し上げたい。特に、法人税、キャピタルゲイン、納税者番号等々についてお聞きを申し上げたいと思うわけでございます。  それでは最初に、整合性に欠ける、こういうところでお尋ねを申し上げるわけでございますが、物品税法附則の第十八条に関してでございます。その前に、物品税法の附則において各種法律の一部改正を行っているわけでありますが、この法律改正はおおむね旧物品税があった当時と同じ体系でつくられている、こういうふうに思うわけでございますが、その点はいかがでございましょうか。
  301. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) おおむねそういう基本線を貫いております。
  302. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 わかりました。  それでは、そういうふうにつくられているという前提で解釈をしてまいりますと、今申し上げました附則の第十八条、「輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律」、普通輸徴法こう言っておりますが、その一部改正が行われておりまして、その内容についてお伺いを申し上げたいと思います。
  303. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 今御指摘の附則の十八条、これはちょっと読んでみますと、「輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律の一部を次のように改正する。」ということでずっと出ておりますが、要するに免税措置をする、物品税のこういうものについては免税をする、そういうようなことをうたっております。
  304. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 そのことを問うているわけじゃございませんから、そういうことが書いてあるということで結構でございます。  問題は、その輸徴法第十三条におきまして、特定物品を輸入した場合関税とともに内国消費税を免除することとしておりますが、野党が物品税を創設する際に現行法の第十三条三項の改正は必要なかったのでありましょうか。野党さんの方ではそれを輸徴法の第十三条一項にしておりますが、その中身の改正が必要なかったのであるかどうか、こういうことをお伺い申し上げます。  ついでにその中身も申し上げておきますと、例えばその中身は、国際機関から贈与される勲章あるいは賞牌、ユネスコ等から寄贈される教育用のビデオテープ、こういうものについては関税とともに旧物品税も免除すること、こうされていたわけでありますが、野党の提出法案におきましては輸徴法第十三条第一項の規定が改正されていないわけでございまして、これらの物品が課税の対象になってしまう、こういうことになるわけでございますが、この点については間違いなのか、いかがでございましょうか。
  305. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) お尋ねの件につきましては、山岡委員の御指摘のとおり、それらの物品は関税定率法第十四条で関税については無条件免税とされており、その関係から従来は輸徴法第十三条で物品税についても免税とされていたところであります。  今回の物品税法におきましては、輸徴法の改正については必要最小限度のものにとどめることといたしまして、関税定率法を初めとして、関税に関する問題につきましては関税自体の今後の動向を見きわめた上で判断すべきものと考えました。この点の必要な改正については関税の年度改正等の際に別途至急考えていくべきだと、このように考えております。
  306. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 せっかくのお答えですが、全然お答えになっていないわけでございます。全く答えになっていない。私も無理にこのことで内容についていろいろ申し上げるつもりはございませんが、先に申し上げておきますと、簡易税率の質問と間違えているんじゃないですか。全然違いますよ。もうそれじゃ質問できませんよ、幾ら何でも。もう一度答えてください。
  307. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 御指摘をいただいておるのは四つ項目はありますが、外国政府等から付与される勲章等、ユネスコ等から寄贈される教育用物品、それから難破船等の艤装品等、それから課税価額の合計額が一万円以下の物品、これらでございまして、これらも私は関税定率法の改正時にこれは速やかに改正をすべきものだと考えております。
  308. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 それは大変奇妙なお答えでして、私もそういう筋書きでお答えいただくと思っていないものですから非常に困るのでございますが、余り筋書きが違い過ぎて困るんですが、この法律が今あるわけですね、ある。じゃ、この法律は直さない、そうですね。そして、別途直すときに直すとこう言っておられるのですか。そういうことを言っておられるのですか。困るよ、そういうことを言われても。
  309. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 考え方を申し上げますが、年度改正等にゆだねる問題ですが、今回の私どもが提案をしております消費税廃止関連九法案につきましては、消費税廃止して税制再改革を行うこととするとともに、その間の代替財源につきまして措置するというものでありまして、関税については必要最低限の措置を講ずることとし、その上で必要なものについては年度改正等において措置をすることが適当であろう、このように考えておりまして、ぜひその件につきましても私どもとしては早急に改正時にやらせていただきたい。私どもの考えであります。
  310. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 いや、私へのお答えになっていないんですけれども。最初のことを繰り返していただいても困るんで、これは物品税法案をやっているんです、物品税法案。附則第十八条ですよ。いいですか、物品税ですよ。これはもうきのうのレクで細かくお話ししてあるはずなんだけれども。話が食い違うとちょっと、余りに食い違い過ぎて話をしづらいんですけれども、これをこのままの法律にするのか、別途直すとこう言っているんですか。だから、言われていることを私は聞きたいんです。これは話にならないな。  いま一度、私はこれで意地悪しようと思ってやっているわけでもないんですが、話がかみ合うようにもう一度よく研究をしていただきお答えをいただきたく、お取り計らいをいただきたいと思います。
  311. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) お尋ねの件につきましては、先ほども述べましたとおり、これらの物品は関税定率法第十四条で関税については無条件免税とされており、その関係から従来は輸徴法第十三条で物品税についても免税とされていたところでありますが、実は消費税法が導入されました際に、関税定率法について一万円以下の物品の無条件免税の範囲が、寄贈されたものであること等の要件が外されるといったように広げられたところであります。したがいまして、この点を含め、関税定率法の無条件免税とされる物品について物品税を免除するかどうかに関しては、関税の今後の動向を見きわめた上で、この法律が成立し次第できるだけ速やかに関税定率法の無条件免税の範囲を検討する中であわせて検討さるべき問題であると考えております。昭和五十八年あるいは五十九年、六十一年、六十二年、六十三年、平成元年、こういう関連する問題で関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律、そういうこの法律をもとにそういう問題も改正をされてきたという経緯もあるわけでございまして、ぜひ御理解をお願いしたいと思います。
  312. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 ぜひ御理解できないんです。  それでは、別な角度からいま一度お伺いいたします。  今のお話では、いずれかのときに法律改正のときに直すんだと、こう言っていますね。しかし、これは法案を出して通ればもう法律で動き出すんです。いいですか。次に直すからいいんだよと、そういうわけにはいかないんです。出た法律というのはそのまま適用されるんです。いいですか。今おっしゃっているとおり、同じ法体系でやっていると言っておられる。しかも、これは明らかなミスなんです。しかし、それはわかっていながら次の法律が出るときにはまた直す。ということは、この法律は次の法律まで引っ込めるのか、あるいはこの法律をこのままやるのか、あるいは修正するのか、こういうお答えがないと私も困るのでございます。
  313. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) そういう点は確かにあろうと思いますが、この法律が成立し次第三月いっぱいにこの改正はやらなければならない、急いでやらなければならない、そのように考えております。
  314. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 これもまたおかしなことを言われるんで、今法律を出そうとしているわけなんです、法律を。何で成立し次第三月まで待って直さなきゃならないのか。最初から直してお出しになったらいいんじゃないですか。不思議なことを言われますな。どうして今直さないんですか。
  315. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 今回私どもが提案をしております消費税廃止関連九法案につきましては、消費税廃止して税制再改革を行うこととするとともに、その間の代替財源につきましては措置するというものでありまして、したがいまして物品税法案についても旧物品税法の復元ということでございまして、関税については必要最低限の措置を講ずることとし、その上で必要なものについては年度改正等において緊急に措置することが適当であろう、そのように考えております。
  316. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 言っておられることはわかります。必要最小限度に変えようと思っているから、最初にお聞きしたとおり、同じ法体系としているんですねと言ったらそうですと、こういうことを答えるわけですね。それは必要最小限に決まっているわけです。だから、それはそれで結構なんですが、必要最小限にする、同じ法体系にすると言っておられるのにしては明らかなお間違いがあって、必要最小限じゃなくなっているんですね。非常に大きくなっているんで、そんなに大きくすることはないんじゃないですか、もともとのお考えどおりお間違いになったところをお直しになられた方がよろしいんじゃないですかと、こういうふうにお伺いを申し上げているんです。
  317. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) ただいまの問題につきましては、関税定率法を来年の三月に年度改正がございます。それを受けて、輸徴法の物品税をどうするかという問題もその時点でこれは改正されるべきものだということを申し上げているわけでございます。
  318. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 それは私よくわかっているんです。そのように受け取っているんです。だから、そのときにそういうふうにお変えになるのは自由です。それはもうお変えください。しかし、今の法律は、そのときに問題があったら変えようということで、旧体系で最小限でおやりになっているとこういうわけですから、それならそのままにしておけばいいじゃないですか、間違っている部分があるのをわざと間違えておいて、わざと間違えておいてですよ、言い方によるば、次に変えることはないじゃありませんかと、こういうことを申し上げている。だから、次に変えることは結構ですよ。お変えいただいて結構なんです。今回は最小限にしておきたい、こうおっしゃるわけでしょう。それなら最小限にしておけばいいものを、これは最小限じゃなくわざわざされておられますから、最小限にされておいたらどうなんですか、おっしゃるとおりするならばこれはおかしいじゃないですかと、こういうふうに申し上げているわけでございます。
  319. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 次々同じようなことを言って申しわけないんですが、実は消費税法が導入をされた際に、関税定率法において一万円以下の物品の無条件免税の範囲が寄贈されたものであること等の条件が外されるといったように広がりが出てまいりました。そういう点も含めまして、関税に関するこの問題につきましては、関税自体の今後の動向を、関税も動いておりますから、見きわめた上で判断すべきものと考えております。この点の必要な改正については、したがってこの年度改正は三月いっぱいにぜひやらしていただきたい、そのように思います。
  320. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 ぜひやらしていただきたいと。おやりになるのは結構なんです。ぜひそれはおやりいただいていいんですが、それからいま一つ一万円以下のものというのはまだ聞いていないんです。これから聞こうというのを先に答えられてもこれもまた困る話でございまして、どれか読めば当たるだろうというふうにやられても私も非常に困るわけで、順番にやっていただきたいわけでございます。  そういう意味では、私が言ったのは、お変えになるのは結構です。だからもっとわかりやすく、同じ法体系なんという言葉を使うからわかりにくいんですが、今まではそうだったけど、消費税をやったことによってそれが多少組みかえたものですから、中に組み込まれた。しかし、その消費税をおやめになるんですから、当然もとに戻しておかないと差し引きが合わなくなるでしょうと、こういうことでございます。したがって、それをまたお変えになるのはそれはまた別な話であって、それは結構です。いつでもおやりいただいて結構なんですが、変える前のこういう状況だ、旧体系でやっているんだとこう言っておられるにしてはこの入れかえをやり損なっているんじゃありませんか、直した方がよろしいんじゃないですか、そうじゃないと今の法律がこのまま動き出しますと次の三月ですか、直すという間に大変重要な欠落が生じますよと、こういうことを申し上げているんです。いかがですか。一万円の話は次なんです。
  321. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 関連九法案がもし採決していただいて成立をした場合も、四月一日から動き出すわけですね。したがって、それまでに私ども立法者の意思といたしましては政府に早急に、速やかにこれらの立法もやっていただきたい、我々立法者の意思がそのように働いている、このように解釈をしていただきたいと思います。
  322. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 それじゃ、一万円のことを言われましたから一万円のことも一緒に聞いておきましょう、進みませんから。問題はそれだけではないわけでございまして、一万円の問題もあるわけでございます。  現行輸徴法第十三条第一項の規定においては、少額一万円以下輸入物品については輸入者、税関当局双方の事務省力化の観点から消費税を免除している、これが現在の規定でございます。この規定は例えば消費税廃止されたとしても存続すべきものと考えられるわけでございまして、そうでございますね、旧体系ですから。これも野党提案においては手当てがされていない、直されていないわけでございます。  この両方でございます。お直しになってはいかがでございますか。
  323. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) その一万円の件も、私ども今指摘されている四つの項目があるわけですが、その一つの項目でございまして、同じように考えております、先ほどの答弁の繰り返しになりますが。
  324. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 それでは、同じように考えているということはミスはあるが次の直すときまで変えない、こういうことですか。
  325. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) もう一度、繰り返しになるかもわかりませんが答えさせていただきます。  委員の御指摘のとおりに、これらの物品は関税定率法第十四条で関税については無条件免税とされており、その関係から従来は輸徴法第十三条で物品税についても免税とされていたところであります。今回の物品税法案におきましては、輸徴法の改正については必要最小限度のものにとどめることとし、関税定率法を初めとして関税に関する問題につきましては、関税自体の今後の動向を見きわめた上で判断すべきものと考えたことから、この点の必要な改正については関税の年度改正等の際に別途考えることとしております。これが立法に当たっての私どもの考え方です。
  326. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 繰り返していても切りがないんですけれども、同じことを読まれないで内容をわかるように御説明いただきたいんです。  要するに、この物品税法案の附則の第十八条のこの品物について、また一万円以下のこの品物について、これはそのままにしておくんですか、それでは。
  327. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) ちょっと聞き取れなかったところもあるんですが、年度改正で、先ほど言いましたようにこの法律が成立すればこれは急いで政府の方にもやってもらいたい、そういう私どもの立法の意思が働いているわけであります。
  328. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 もう同じことを繰り返しているんでは論議がかみ合いません。これじゃ質問できない。私が言っているのは、改正されるのも結構、それじゃ今のままにするのか、こう言ってもするともしないとも言わない。ミスと認めるのか。どうするのか。これじゃ、同じことを読んでいるだけでは全く進みません。これじゃ審議を続けられない。
  329. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 梶原さんが御説明申し上げておりますのは、関税定率法、関税の関係は毎年いろいろ変化がありまして、改正が行われるわけであります。その三月の末に改正が行われますときに、これと関連して輸徴法の十三条にかかわる部分も改正を行えばよいと私どもは考えているのでありまして、三月三十一日までは消費税法がそのまま適用されているわけでありますから、決して法律の改正の欠落やミスではない、こう思っております。
  330. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 これは出そうという提案でしょう。出そうという提案をいずれ直しゃいいというわけにはいかないんですね、今我々に出しておるわけですから。直すならここで直すか、あるいは欠陥はあっても直さないと、それはどっちでもそちらの答弁は御自由でございます。私がどうせいこうせいと言っているんじゃないんです。そこがはっきりしないから、どういうおつもりなのかと、こういうことを言っているわけで、このことはもう繰り返していても貴重な時間を費やすだけですから、いま一度質問を申し上げますから、次の問題に先に入っておきます。  次は、簡易税率の問題でございます。  簡易税率は、関税と内国消費税の税率を総合したものを基礎としてつくっているということは御案内のとおりでございますが、旅行者の手荷物に適用する簡易税率として設定されているものでありまして、これも消費税廃止物品税を創設させたにもかかわらず、野党さんがですね、関税定率法に定める関税率の改正を行わなかったこの理由をお聞かせいただきたいわけでございます。
  331. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) お尋ねは入国者の輸入貨物に対する簡易税率についてでありますが、これにつきましては関税定率法第三条の二第一項におきまして、「関税の率は、」「輸入貨物に対して課される関税及び内国消費税の率を総合したものを基礎として算出した別表の附表簡易税率表による。」こととされております。  このために、この点につきましては、物品税の税率だけではなく関税の動向を見きわめた上で必要な措置を講ずることが適当であるということから、この点の必要な改正につきましては本法律案が成立し次第できるだけ速やかに関税の年度改正等と合わせて別途考えることといたします。  これが立法に当たっての意思であります。
  332. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 これも同じようなことを答えているわけでございますが、要するに今のままで、提出法案のままでいきますと、消費税率三%を廃止して、例えば革のハンドバッグについては物品税が八%、金のネックレスについては物品税一〇%、そういうふうに野党さんは定めているわけでございますから、関税と物品税を合わせた簡易税率をそのままにしておくということは、これはその部分だけは安くしちゃうと、こういうことになってまことに合わないことになると思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  333. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 内容を今御指摘をいただいております問題点はそのとおりだと思いますが、私ども立法者の意思といたしましては、三月三十一日までにこの改正を行う、そして四月一日からには間に合うようにする、そういう意思が働いているわけでございます。
  334. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 まっことおかしいことを言っておられるんですけれどもね。それを言うなら、法律は別なように決めておく、施行日までに別なように直しゃいいんだと、こういう話ですね。いかがですか。法律は決めておくが、それが施行されるのは四月一日だ、それまでに直しゃいいんだ、そんなばかなことを論議できると思っているんですか。法律は決めるときに決めなきゃならぬでしょう。何を言っているんです。
  335. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) お尋ねは、入国者の携帯品である輸入貨物に対する簡易税率についてであります。これにつきましては、関税定率法第三条の二第一項におきまして、「関税の率は、」「輸入貨物に対して課される関税及び内国消費税の率を総合したものを基礎として算出した別表の附表簡易税率表による。」こととされております。このために、簡易税率表の税率は関税が平成二年四月一日以降どうなるかということによってもその税率が変わり得るのであります。したがいまして、この点につきましては立案に際し十分に検討をいたしたところでありますが、提案者といたしましては関税についての来年度の改正を今回の消費税廃止法関連法案で拘束するのもいかがかと思い、物品税の税率だけではなく、関税の動向を見きわめた上で必要な措置を講ずることが適当であると判断して、この点の必要な改正につきましては関税の年度改正等の際にあわせて考えることといたしました。(「よくわかった」と呼ぶ者あり)
  336. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 よくわかったそうですが、不思議な方がいらっしゃるわけでございまして、関税の動向を見きわめて法律を直すのは結構でございます。法律はいつ何どきにおいたって、古くなったあるいはこうしたいということでお直しになるのは結構です。しかし、今つくる法律は今のやり方でやるのであって、それが今度は四月一日に施行されるんだからそれまでに動向を見てまた直すと、それではこの法案は出さないでいただきたいとこういうことになるわけでございまして、この法案はこの法案でどういう法案にするのかと、そして関税の動向を見ておかしかったらそれはまたお出しになればいいことであって、そういう論議ではこの法案に対する論議にはならないわけでございまして、それではもう審議は続けられません、きょうは。――同じことを読まなくていいよ、もう。
  337. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) まあそう言わないでください。  こういう関係する立法の経過を見てみますと、昭和四十八年に物品税法の一部を改正する法律附則で改正した例はあるんですが、昭和五十八、五十九、六十一、六十二、六十三、平成元年の三月三十一日、これらは関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律によって改正をずっとされてきている例が多いわけですね。  したがって、私どももこれは十分立法のときにはいろんな関税の動向とかなんかを見て検討したんです。したんですが、なかなかそこまで物品税で関税をひっくるめるということはこれは難しいだろうと、こういう判断もあって今回の法律になったわけでございます。
  338. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 検討をしたんじゃなくて、検討していないからこういうことになったわけで、これ以上はもう続けても同じことを繰り返すことになるので、よく研究された方がよろしいんじゃないかと思います。  これ以上、審議は続けられません。
  339. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 梶原さんが何回も申し上げておりますように、消費税法が三月三十一日まで適用されているわけです。それで、この関税法はほとんど毎年のように日切れ法案のようにして改正になるわけです。だからその際に、四月一日からの問題なんですから、その際に輸徴法の方もあわせて改正をすればよいと、こういうことを申し上げているんですよ。
  340. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 言っていることはわかっているんです。だから、それはそのときに改正されればいいのであって、それじゃ今の法律はこのままなんですかと、こういうことを聞いているんです。不思議なことは聞いていませんでしょう。改正されるのは結構ですと。しかし、今この出された法案は、それじゃこのままなんですかということをまずお聞きいたしたいんです。
  341. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 三月三十一日までこのままでよろしいわけです。
  342. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 この法案をこのまま出したということになりますと、直さないということになりますと傷口はますます深くなるわけでございまして、これは大変なことなんです。  といいますのは、今申し上げたとおり簡易税率というのはこれは関税と消費税を合わせて一緒に払っているわけですから、これが一つの出し方ですね。ところが、物品税は野党さんは幾らだと出しているわけです。この額も決まっている。関税も出している。ところが、これは消費税と合わせて出しているのをそのまま使っているわけですから、そのままでいくんだといったらもう法律が合わないわけです。これはとても、そんな法律をますます認められない。
  343. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 合わなくならないんです。四月一日以降の問題なんです。だから、関税法の動向、関税の動向を見きわめて年度末までに輸徴法の改正を行うとこう言っているんですから、何も支障はないわけです。
  344. 山岡賢次

    ○山岡賢次君 これは胸を張って堂々とお答えになっておられますが、それはなかなか御立派ですけれども、しかしそれなら今の法律は今の法律のままにして、改正改正でおやりになるのは別に結構ですよとこう言っているんです、しかし今の法律のままであって、例えば何カ月であろうともこれは法律になるわけです。そうですね。そうすると、法律になった場合には、別な法律も出ているわけですから、これは八%でございます、関税は何%でございますとこう言っているわけですから、そうすると簡易税率にならないわけでございます。足したものが簡易税率なんですね。例えば八足す二は十、これを簡易税率にしているんです。ところが簡易税率だけは、消費税の三足す二で五となるのは、これは合わないんです、両方の法律が。そうでしょう。だからだめなんです、そういうふうに決めたらですよ。直せば別ですけれども
  345. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  346. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 速記を起こして。  九案に対する本日の質疑はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十八分散会