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1989-12-04 第116回国会 参議院 税制問題等に関する特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十二月四日(月曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  十二月一日     辞任         補欠選任      前畑 幸子君     篠崎 年子君      山口 哲夫君     吉田 達男君  十二月二日     辞任         補欠選任      梶原  清君     片山虎之助君      斎藤 文夫君     山岡 賢次君  十二月四日     辞任         補欠選任      篠崎 年子君     前畑 幸子君      横溝 克己君     野末 陳平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中村 太郎君     理 事                 井上 吉夫君                 沓掛 哲男君                 宮澤  弘君                 村上 正邦君                 稲村 稔夫君                 及川 一夫君                 本岡 昭次君                 矢原 秀男君                 近藤 忠孝君                 古川太三郎君                 寺崎 昭久君     委 員                 伊江 朝雄君                 小野 清子君                 大木  浩君                 片山虎之助君                 鎌田 要人君                 北  修二君                 久世 公堯君                 佐々木 満君                 谷川 實三君                 前島英三郎君                 松浦  功君                 松浦 孝治君                 守住 有信君                 山岡 賢次君                 吉川 芳男君                 穐山  篤君                 上野 雄文君                 大渕 絹子君                 粕谷 照美君                 篠崎 年子君                 渕上 貞雄君                 細谷 昭雄君                 村田 誠醇君                 安恒 良一君                 吉田 達男君                 常松 克安君                 和田 教美君                 山中 郁子君                 高井 和伸君                 三治 重信君                 下村  泰君                 野末 陳平君    委員以外の議員        発  議  者  久保  亘君        発  議  者  佐藤 三吾君        発  議  者  梶原 敬義君        発  議  者  小川 仁一君        発  議  者  峯山 昭範君        発  議  者  太田 淳夫君        発  議  者  笹野 貞子君        発  議  者  勝木 健司君    国務大臣        大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君        自 治 大 臣  渡部 恒三君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       高原須美子君    政府委員        公正取引委員会        事務局審査部長  植木 邦之君        総務庁行政管理        局長       百崎  英君        総務庁統計局長  井出  満君        経済企画庁調整        局長       勝村 坦郎君        経済企画庁国民        生活局長     末木凰太郎君        経済企画庁物価        局審議官     田中 章介君        経済企画庁調査        局長       田中  努君        大蔵大臣官房審        議官       濱本 英輔君        大蔵大臣官房審        議官       吉田 道弘君        大蔵大臣官房審        議官       中島 公明君        大蔵省主計局次        長        寺村 信行君        大蔵省主税局長  尾崎  護君        国税庁次長    岡本 吉司君        通商産業省産業        政策局長     棚橋 祐治君        自治大臣官房審        議官        兼内閣審議官   遠藤 安彦君        自治省行政局長  森  繁一君        自治省行政局公        務員部長     滝   実君        自治省財政局長  持永 堯民君        自治省税務局長  湯浅 利夫君    事務局側        常任委員会専門        員        竹村  晟君        常任委員会専門        員        保家 茂彰君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○消費税法廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○消費譲与税法廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○地方交付税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○税制改革基本法案久保亘君外七名発議) ○法人税法等の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○通行税法案久保亘君外七名発議) ○物品税法案久保亘君外七名発議) ○入場税法案久保亘君外七名発議) ○地方税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議)     ─────────────
  2. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を開会いたします。  消費税法廃止する法律案消費譲与税法廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 山中郁子

    山中郁子君 私は、去る一日の当委員会で、消費税廃止関連法案が速やかに可決され、参議院選挙で示された消費税ノー国民の願いにこたえるべきであるということが本院並びに当委員会の重 大な責務であるということを再三強調いたしました。その後、皆さんも御承知のように、自民党見直し案なるものが提起されました。これがやはり今国民の間で大きな怒りを買って、改めて国民世論は、消費税廃止しかないという状況に包まれています。  そこで私どもは、きょう初めにこの見直し案なるものをめぐりまして橋本大蔵大臣見解をお聞きしたいと思いますので、関連質問から入らせていただきます。
  4. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 関連質疑を許します。近藤忠孝君。
  5. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 自民党見直し案がようやく出てきました。もともと見直しというのは、消費税廃止という主権者の明確な審判に挑戦して、この悪税の延命、定着を図るものだと思います。十二月一日にまとまった見直し内容は、海部総理が繰り返し言明してきた思い切った見直しとはほど遠いものだと思います。部分修正で、無条件廃止を求めた国民をごまかそうとするものだと私は思うんです。そんなことで済まされるのか、まず大蔵大臣見解を伺いたい。
  6. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 自由民主党考え方が決定をされ、官房長官を経由してその御案をちょうだいいたしました時点で、私は記者会見で以下申し上げるような言葉を申し上げました。そのとおり読み上げてお答えとしたいと思います。  自由民主党におかれては、本年八月以来、消費税見直しに向け国民各層からの声を幅広く吸収されるとともに、消費税実施状況の実態などを把握し、鋭意検討を重ねてこられたが、本日その結果として消費税見直しに関する基本方針を決定された。基本方針においては、消費税見直しについての基本的考え方具体的内容が示されているが、その内容は、税制面のみならず、広く歳出面や他の制度面にも及び、かつ消費者事業者の双方の立場を十分に考慮されたものとなっており、国民心理と税の理念の両面の調和に腐心されたものとして、その御努力に心から敬意を表するものである。政府としては、本日の基本方針内容をこれから十分勉強させていただくとともに、政府税調の今後の御審議なども踏まえ、平成二年度税制改正において政府としての見直し成案を得るよう最大限の努力を傾注していく所存である。  これが案が公表されました段階で、報道機関を通じ私が申し述べた見解そのものであります。
  7. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 大体自民党参議院選挙のさなかから見直しを主張してまいりましたが、これは参議院選挙の敗北によって見直しそのものが私は否定されたんだと思うんです。それは見直しなどでは改善しようのない致命的欠陥消費税にある、そのことを国民が知っていたからだと思います。ところが、この国民の意思に反して、消費税の仕組みを残すことに執念を燃やしてきました。しかし、選挙を前にして、国民の目に大幅な見直しを印象づける必要があるということから今回の見直しになったんではないかと思います。  このことは、現に自民党税調会長西岡さんはこう言っています。どうしても食料品非課税という新聞の見出しになるものが政治的に必要で、そういう意味では、小売業者の反発も覚悟しての小売段階非課税の導入が一つの決断であったと言っていますし、もう一つ報道によりますと、大蔵省幹部も、自民党選挙に勝つために少しぐらい傷つくのは仕方がないけれども、しかし、全段階非課税は何としても阻止しなければならないと。これは毎日の記事ですが、そういう言動から見ますと、まさしくこれは総選挙目当ての対策であったとしかとれないじゃありませんか。
  8. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今二つのいわば意見と申されるものがお述べになられました。一つは、自由民主党責任者としてのお話でありました。これは政府としてその印象を述べるものではございません。また、大蔵省幹部というお話がございましたが、大蔵省としての基本的なこの方針に対する考え方は、先ほど私が申し述べたとおりであります。
  9. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 その後のいろんな自民党関係者言動から見ましても、選挙目当てであることは間違いなかったと思うんです。  見直し案につきましては、最大の目玉とされてきた食料品も、これは小売段階だけが非課税、それ以外は一・五%の税率ということであります。マスコミなどによりますと、食料品が二%近く下がるように宣伝されておるんですが、本当にそうなのか。これは小売段階非課税になるといいましても、生産者食品メーカーから卸まで一・五%課税される。非課税になるのは小売段階だけで、しかも食料品の仕入れに一・五%、食料品以外の包装、配達等々は税率は標準の三%ですから、これは消費者にとっては一%ぐらいしか下がらないんじゃないかと思うんですが、どうですか。
  10. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先刻申し上げましたように、政府としては、本日示されました基本方針内容をこれから十分検討させていただくとともに、金曜日の夜私は申し上げております。ですから、自由民主党の御提示になりました案というものを我々はこれから十分勉強させていただきますと同時に、政府税制調査会の今後の御審議等も踏まえて、平成二年度の税制改正における政府見直し成案を得るように努力しているさなかであります。  その前提で申し上げますならば、私は少なくとも一・五%という軽減税率というものが設定をされ、小売段階非課税措置とあわせました場合に、その程度あるいはそれに多少上乗せをする程度食料品についての価格は引き下げが行われるものと考えておりますが、物価そのものにつきましては私の守備範囲外でありますので、責任ある者から御答弁をさせたいと思います。――だれか、経済企画庁来てないか……。
  11. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 じゃ、準備している間に。  橋本さん、その答弁は通らぬですよ。だって、ここでずっと橋本さんがこの見直しの中で相当な中心的役割を果たしておったということは公知の事実じゃないですか。小沢さんとも何度も会い、それから、大体この全段階にこだわっておった海部総理のところへ行ってあなたが説得したというんじゃないですか。これはもうはっきりしておるんで、私は今の答弁は成り立たぬと思うんです。  そこで、じゃ具体的に聞きますと、実際にそんなに下がらないと思うのは、一つの例で見てみましょう。これは橋本さんとしての見解を聞きたいと思うんです。  売り上げを例えば一〇〇とします、全体として。これは小売食品業者、ここには税金はかかりませんね。付加価値二〇%。中小企業経営手法からいって大体二〇%と見るのが普通です。それから食品原材料を五〇%と見ます。それから物件費三〇%。そうしますと、この物件費に対しては三〇%の三%で〇・九%、食品原材料はその五〇%に一・五%で〇・七五。となりますと、要するに消費税影響というのは〇・九プラス〇・七五イコール一・六五%、これが今回の見直し消費税なんです。三%がどれだけ下がるかというと、この三%から今言った一・六五%を引くんです。そうすると一・三五%になる。要するに、一・三五%しか下がらないんです。さっき一・五%とおっしゃったのかな。一・五%以下ですよ。まして二%はとんでもない。特に、免税業者というのは食品の場合は多いです、半分以上です。これを計算しますと、大体免税業者の場合は、転嫁が二・四%ですから、これは〇・七五%しか下がらない。となりますと、計算してみれば、食品全体として平均で一%しか下がらないというのが実際のところです、どうですか。
  12. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は決して、都合のいい数学を組み立てられたと申し上げるつもりはございません。ただし、一・五%を超える部分につきましては、むしろ税務当局からの還付対象となるというとらえ方の方が正確でありまして、今それがそのまま消費者転嫁されるというような御指摘かと伺いますが、それはちょっと組み立てに問題がありはしませんでしょうか。
  13. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 還付の問題はまた後で議論します、ちゃんと準備してあるから。  そうして、経企庁も大体一・八%値下がりという、これは報道にあります。それから大蔵省の筋でも一・八%とあるんですが、しかし、経企庁が言うには、これは免税業者は入れていないんで、厳密な計算はすぐには難しい。だから、やっぱり一・八%以下になるし、厳密には私の言ったとおりになるんですね。問題は、消費全体の中でどの程度の減税になるのかということなんです。  そこで総務庁エンゲル係数と、それから外食と酒の食費に占める比率はどれだけですか。答弁してください。
  14. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 事務方答弁の前に、今委員還付の問題は別だとお話しになりましたけれども、まさに還付計算をしていただかなければ先ほどお話では不正確であるということだけは申し添えさせていただき、事務方答弁に移らせていただきます。
  15. 井出満

    政府委員井出満君) お答えいたします。  総務庁が実施しております家計調査の昭和六十三年結果によりますと、エンゲル係数は全世帯で二五・五%、勤労者世帯では二四・四%となっています。  それから、食料支出に占める外食と酒類の割合は、学校給食は除きますが、全世帯では二〇・二%、勤労者世帯では二〇・三%でございます。
  16. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 還付の問題は当然考慮に入れるべきですが、しかし、私が先ほど計算した中には、それは別に考慮しなくたっていいんですよ、全体の税額計算なんだから。  今答弁がありましたように、外食と酒は非課税対象にならないから、これはやっぱり消費支出全体の約二〇%を占める食費の約一%が軽くなったにすぎないと思うんですね。というのは、エンゲル係数二五%でしょう。それに、酒、外食を除いた八〇%。となるとそうなるんですね。今の食費の中で一%。そうすると、そいつを今度消費全体で見てみますと〇・二%軽くなったにすぎないんじゃないのかと思うんです。  私のこの計算は、何も私の独自の見解じゃなくて、富士総研試算でも消費支出全体に占める今回の影響は〇・二%下がると出ておりまして、結局この見直しというのは国民生活にほとんど恩恵がないんじゃないかと思うんですが、御答弁いただきたいと思います。
  17. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほど申し上げましたように、還付制度を抜きにしてお組み立てになりました数字というものは現実のものとの乖離を生ずるということが一点であります。  また、今回飲食料品についての軽減税率の適用と小売段階非課税一つの大きな柱となっております。その数字につきましては、先ほども申し上げましたように、党としては十分精査をされたでありましょうけれども、政府立場としてこれはこれから十分勉強させていただくわけでありますが、詳細の数字につきましては事務当局からお答えをさせたいと思います。
  18. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 税収がどれだけ減るかという問題では、今の計算は私は一定考慮をしなきゃいかぬ問題だと思うんです、今物価への影響だから。  今度、逆進性緩和のために今回の措置を設けたというんですが、今言ったとおり、消費支出全体で見れば〇・二%しか影響がない。だから逆進性はほとんど緩和されていないんだと思うんですが、逆進性はどれほど緩和されたというんですか、大蔵大臣
  19. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 物価につきましては経企庁当局からお答えをいただきたいと思いますが、今伺ってみますと、御要求がなかったということで経企庁は参っておりません。ですから、なお物価についての御論議がありますなら、経企庁政府委員を早急に呼びたいと思います。  それと同時に、逆進性につきましては、今までも、例えば平成年度予算の中におきまして現在御審議を願っております年金等、さまざまな処方を講じててまいりましたが、平成年度予算編成時におきましてなお歳出面を含めた手当てをしていくということで我々は対応していくことを考えております。
  20. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 歳出面手当てということは、結局今回の見直し逆進性緩和にはほとんど役に立たなかったという私は反面でもあるかと思います。  ここに消費税負担年収に対する比率、これを年収の低い方から高い方にかけて十段階に分けた資料があります。  この消費税負担年収に対する比率は、見直し前、最も低い層は一・四九%、最も高い層は〇・六三%、見直し後に、最も年収が低い層は一・二一%、最も高い層は〇・五一%、いずれも低所得者の方が高所得者の倍以上の消費税負担率であって、この点は、二倍以上というこの数字見直し前も後も変わっていない。これは静岡大学の試算新聞に出ておりましたけれども、やはり逆進性は今回の措置によっては基本的には変わらない、こうお受け取りしてよろしいですかな。
  21. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 税制改革全体の中で、本院におきましてもたびたび御論議がございましたけれども、それぞれの税の持つ特質、またマイナス点、これは今までも議論がありましたところであります。そして、個別物品税を含め消費に係る各種の税制というものには、同じ物、あるいは同じサービスを受けた方々が同じ税を負担するという意味合いがあるわけでありますから、その限りにおいての逆進性というものが基本的に残るということを私は否定はいたしておりません。  しかし、委員お話しになるような角度で御論議をいただくことはいささか問題があろうかと思います。なぜなら、税制全体の中での御論議から離れ、特定の税の持ついわばマイナス問題点のみをクローズアップして議論をいたしますならば、これはそれぞれの税制に問題はあるわけでありまして、税というものの総合的な体系の中での御論議と、またそれにあわせて、それぞれの持つ問題点に対する歳出までを含めた全体の答えを御論議いただきたいものだと考えております。
  22. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 私は、自民党が今回の措置逆進性緩和するためのものだと言っているから、だから、いや変わっていないじゃないかという指摘をしたわけであります。  今回、食料小売段階だけを非課税にしました。流通のある段階だけ取り上げて非課税というのは欧米先進国の中に例かないと思うんです。これは小倉税調会長も言っていますが、どうですか。
  23. 尾崎護

    政府委員尾崎護君) 付加価値税をとっております欧米の例では、一定段階だけを非課税にしているという例はないと思います。  それから、先ほど来のお話でございますが、逆進性緩和ということでございますけれども、委員指摘のようにエンゲル係数の問題がございまして、所得の低い人の方が食料品に対する支出が多いわけでございます。その食料品に対する税率が低くなるわけでございますから、事柄の筋としては逆進性がその分だけ緩和されるということは確かであろうかと思います。ただ、先ほど来の大臣の御答弁のとおり、私どもこれから自民党案内容を精査する段階でございますので具体的には申し上げられませんが、話としては、食料品に対する税率が低くなるということは、エンゲル係数関係逆進性緩和に役立つはずでございます。
  24. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 はずだと言うんだけれども、実際綿密な計算をしてみたらそうなっていないんです。  帳簿方式も異例の制度、それに加えて食料小売段階だけ非課税にするというのも異例な制度、世界に例のない制度にしたんですが、一体なぜなのか。食料小売段階非課税にした本当のねらいを正直に言ってくれた人がおるんです。こう言っています。取られたか取られなかったかわからないようにするのが今度の見直し案だ。これは自民党有力政治家橋本さんじゃありませんけれども、十二月一日の夜、高松市内で講演しまして、こういう発言をしたんです。一体だれだと思 いますか。
  25. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 自民党のことでありましたら、自民党所属委員方々にお尋ねをいただきたいと存じます。
  26. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 あなたも自民党の有力なる政治家であるからお聞きしたんです。  見直し消費税隠しが眼目だ、こう公言しましたのは、元政調会長渡辺美智雄さんであります。消費者にとって毎日が納税日だという気持ちを小売段階で起こさせないように、痛税感国民に感じさせないように税金を取り立てようということでありまして、この方はよく本音を言う方ですから、海部総理西岡税調会長幾ら消費者立場を配慮したと言いましても、消費税国民の目に見えないようにしてごまかそうということはこれは明白じゃないんでしょうか。  この点では、今回の見直しの一項目である総額表示を指導するというこれも、国民から税金を見えないようにして、やはりだまして税金を取り立てていこうというものでありまして、同時に、これはやっぱり業者にとっては転嫁が困難になるんじゃないかと思いますが、どうですか。
  27. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず第一点、総額表示について申し上げますならば、総額表示というのは、消費者がその物品あるいはサービスを自分の手元に最終的に受け取る時点において負担する金額を明示するとともに、その中における消費税額あるいは本体価格を記載するものでありますから、消費税が隠されてはおりません。消費税隠しという御批判はこれは間違いであります。想定される形態は、「総額(その中に占める税価格)」であるのか、「総額本体価格)」であるのか、いずれにしても税額はその中でわかる仕掛けであります。隠すということではございません。  また、これから後、どういうふうにこれを運営していくかにつきましては、確かに我々は勉強を必要とする部分がございます。事業者方々とも十分相談をしながら、迷惑のかからないような仕組みを考慮してまいるということであります。
  28. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 小売段階税金が見えなくなるということは、食料の場合明らかですね。消費者に税が見えないということは、消費者業者の間にトラブルを発生させて、やっぱり混乱が起きるんじゃないかと思うんです。  以下、混乱を起こすものをつくってくれたので、これから執行する立場大蔵省としての見解を聞きたいと思うんです。  まず、食料品小売段階で、その他の分野の軽減税率となりますと、課税、非課税の区分が困難になるんだと思うんです。そこで、まとめて質問します。食料品とそれ以外をどう区分するのかという大きな問題。もう一つ小売をどう定義するのかという問題。  まず、食料品とそうでないものをまぜて売っているのは小売店の大半ですね、多くがそこにいます。そうするとその小売店の仕分け事務が大変になります。それから食料品の範囲をどう線を引くのか。飼料はどうなのか。それから、特に指摘されているのは外食産業の場合、そこで食べれば消費税がかかるけれども、持ち帰ったらばかからないんじゃないかという問題もあって、混乱が混乱を呼ぶんじゃないか。  小売の定義の問題ですと、食肉、米販売など卸、小売を兼ねる業種もたくさんありますが、これはどうなるのか。消費者に売れば非課税、その他の業者に売れば課税というんじゃ混乱は避けられない。また、これは唐沢総務会長ですが、小売業者を登録制にするという大変な話も出ておるので、これは大変な混乱のもとをつくったんじゃないのかと思うんですが、執行する立場でどうですか。
  29. 尾崎護

    政府委員尾崎護君) 確かに今までのような簡素な制度に比べますと、御指摘のような問題が出てくる要素はあろうかと思います。しかし、売上税のときにも食料品非課税というようなことでいろいろ業界の方々とも検討していたということもございますので、これからよく事業者方々と話し合って、その区分の問題を決めていきたいというように考えております。  小売の定義でございますけれども、やり方としては二つあるだろう。一つは、小売という行為そのものを非課税にするのかどうか。もう一つは、今委員指摘のように、小売業者というものを決めまして、その小売業者が売る物を非課税にするということであろうかと思います。その場合、小売と卸売の区分、あるいは製造小売のようなものをどのように考えるのか、そういうことについて関係者の方々の納得の得られるようないわゆる線引きを考えていかなくてはいけないのではないかなというように考えております。
  30. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 今聞いた線引きだけでもこれは大変です。簡素というのはあるべき税制の大きな柱の一つですね。これをやっぱり壊してしまったということだと思うんですね。そして課税、非課税軽減税率、これが入り乱れる大変複雑怪奇な税体系になって、今これ業界に猛烈な反発を呼んでおります。特に流通業界の反対が強いんですね。これを反映して通産省もこの見直し案に難色を示しています。報道によりますと、「「小売りにしわ寄せする形になり、対応は極めて難しくなるだろう」と、苦々しく受け止めている。」、政府の中の通産省もそうなんですね。業界や政府の一部にもあるこういう極めて強い反対、これを大臣としてどう受けとめておられますか。
  31. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、他の省庁がどうこれについて対応しておられるかについて御説明を申し上げる立場にありません。  先ほど大蔵省としての立場は、金曜日の夜、私が会見で申し上げたとおり、これから十分勉強させていただくと同時に、政府税調の御論議等を踏まえ、政府としての成案を得るべく努力をいたすということであります。
  32. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 次に、大変複雑な状況になるという一つとして還付の問題なんです。一・五%という軽減税率を設けたために仕入れ税額との差の税金を返してもらう還付企業、還付業者が大量に生まれてくる。先ほど大臣が言ったとおりですね。これは相当の数になると思うんですが、こういうのがたくさん出た場合に、還付業者が税務署に税金を納めに行くんじゃなくて税金を取りに行くんだから、これで税務署は対応できますか。
  33. 尾崎護

    政府委員尾崎護君) いろいろな問題を御心配いただいてありがたいのでございますけれども、今回の措置食料品ということにだけ限られておりますからあらゆる段階の話ではございませんで、食料品という割合はっきりしている分野、そこだけでございますので、実務上、税務上の対応は可能であろうかと思います。  それで、還付についてのお尋ねでございますけれども、先ほど先生が設例を挙げられました、例えば原材料に五〇、その他の物件費に三〇%、そういうようなことになると必ずしも全部一・五ではないではないかということでございましたけれども、卸売の段階までは一・五で来るわけでございます。したがいまして、例えば農家というようなものを考えてみますと、農家の場合には仕入れる一・五に当たる物は、例えば種もみでありますとか非常に限られた範囲であり、その他の物については三%のものが多いと思います。例えば農業の資材でございますとか、そういうようなところでは確かに税率一・五%に対しまして仕入れの税の方が多くなりますから、そこで還付の例が発生してくると思います。  その場合には、何もこれは還付というのは税率関係だけではなくて、同じ三%の中でもある企業が例えば設備投資をしたようなとき、その仕入れがどさっとあったようなときには還付が発生するわけでございますから、そういう一連の問題として考えていけばいいことだろうと思いますし、食料品の系列、その流れだけでございますから、それほど対応に困難を感ずるということなしにやっていけるのではないかと思います。下の方にいくに従いまして、一・五%である食料品の仕入れの率が多くなるわけでございます。  例えば最後の小売段階を考えてみますと、食料品を売っております小売業者の仕入れというの は、大部分八割とか九割とかこれは一・五%のものの仕入れになるわけでございますから、したがいまして、その還付のような例は下にいけばいくほど出てこないということを考えますと、現在の体制で何とかやっていける範囲内ではないかなというように考えております。  なお、これは国税庁の問題でございまして、国税庁とも今後よく相談しなくてはいけませんが、私どもの感じはどうかと聞かれますと、ただいま申し上げたとおりでございます。
  34. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 食品メーカーの数は結構多いんですね。これも具体的な例で見てみたいと思うんです。  課税業者である食品メーカーの場合、仮に売り上げを百万円とすると百万掛ける一・五イコール一万五千円、これが税金ですね。ところが、原材料の仕入れを四十万とすると、これが軽減税率で四十万掛ける一・五イコール六千円。それから機械その他の仕入れ、これが四十万としますと四十掛ける三%イコール一万二千円、付加価値は二十万。こうしてみますと、前段階税金は一万二千プラス六千円で一万八千円ですから、一万八千マイナス一万五千イコール三千円、これ返してもらえることになると思いますが、計算上どうですか。
  35. 尾崎護

    政府委員尾崎護君) 売り上げの方が一・五%の税率であり、仕入れの方が三%の税率の物と一・五%の税率の物とあるわけでございますから、その仕入れの三%物と一・五%物の比率によりまして還付の例が発生してくるというのは先ほど申し上げましたとおりでございます。  しかし、食品メーカーなどの場合、大体におきまして、いずれにいたしましても課税業者でございますから、税務署の事務といたしましては、納税のための計算を精査いたします事務あるいは還付のための計算を精査いたします事務、手数としては変わらないわけでございますが、ただ納税していただくか、還付する結果になるかという違いだけでございまして、税務行政の問題としては、いずれにしても課税業者の場合、いろいろの審査はさせていただくということでございます。
  36. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 これは軽減税率二%だったらばそんなに還付は出てこないんだと見ておったんですが、一・五%にしてしまったために三%部分比率、これが相当重くなって、相当出てくるんじゃないかと、これは専門家がそう言っています。私は、こんなことを全く大蔵省、特に税務署なんか、国税庁なんか全く予測もしないうちにこんなものが出てきて、これからこんなのは、大変だと思うんですね。これはこの程度にしておきます。  問題は、今度還付業者が大量に発生して現場で混乱が起きる反面、免税業者の場合ですよ、免税業者の場合には、前段階で今言ったような税金を余計払っておって戻してもらえる状況であっても、これは返してもらえないでしょう、何しろ税金を払っていないんだから。そういうことになりますね。その点どうですか。
  37. 尾崎護

    政府委員尾崎護君) 免税業者の場合とおっしゃいますのが例の三千万円以下ということでございましたら、課税選択ができますから課税を選択していただきまして、還付申請をしていただきましたら、これは還付できるわけでございます。  確かに御指摘のように、その還付によりまして事務的に若干手間がかかることになろうかと思いますけれども、しかしその還付がまさに消費者立場から見ますと、そのような還付事務によって食料品の税負担、価格が下がるわけでありまして、それが軽減税率の効果でございますから、私どもはよく事業者の方と御相談いたしまして、事業者の方にできるだけ手間をかけない範囲内で、また税務行政の上でもできるだけ混乱がないようにこれに対応していかなくてはいけないのかなというように考えているところでございます。  先ほど来の大臣の御答弁のように、具体的にどうするかはこれからよく勉強をさせていただきたいと存じているところでございます。
  38. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 これは年売り上げ三千万円の人が免税業者を選んでいるのはメリットがあるからです。ところが、その免税業者であるメリットよりもデメリットの方がはるかに大きくなる、そうなりますよね、選択の問題と言ったんだから。ということは、選択の問題として、免税業者が大量に課税業者に転換しなければいかぬという、こういう事態が出てきますね。ということは、具体的に言いますと、ほとんど免税業者であった農家、これが大量に課税業者にならないと損をするという、こういうことにこれはなるんです。自民党は今まで免税業者で済んできた農家をこれ課税業者に追いやるんですか。これはこちらですな。
  39. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほどから何遍も申し上げておりますように金曜日、私どもは党から案をお示しいただきました。これを十分精査し、政府税制調査会審議等も踏まえて私どもが成案を得ると繰り返し申し上げております。党についての御論議でありますなら、党同士のお話し合いをお願い申し上げたいと率直に思います。
  40. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 これが税収にどの程度響くとか、細かなやつをどう線引きしていこうか、これはこれから精査し、研究すべき問題かもしれませんが、今私が指摘したのは、この軽減税率を選んだがためにもう必然的に出てくる税の仕組みの問題ですよ。税を扱う大蔵大臣としてこれは答えてもらわなければいけませんよ。  私が指摘したいのは、今回のは農家のためを思って一・五%の軽減税率にしたと言うんですが、その農家をこれは課税業者に追いやるという結果になるんです。特に帳簿をつけることにふなれな農家が還付を受けるには、先ほど主税局長から話があったけれども、相当これは毎日毎日帳簿をつけて、仕入れも売り上げもきちんとつけなければ税務署が認めるわけがないんです。何しろ金を返すんだから、そんな簡単にやってもらっちゃ困るしね。となると、これは大変ですよ、農家は。私はこれは農家の皆さんもここまで予測しなかったんじゃないか。農家のためによかったんだと、自民党はいいことをしてくれたと思ったけれども、逆な結果になって相当数を課税業者に追いやっちゃうんですよ。これひとつ政治家として橋本さん、お答えいただきたいと思うんですが。
  41. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大蔵大臣としてでなく、政治家としてという前提でありますならば、私は一つ申し上げたいと思うことがございます。  この消費税施行以来、農家の方々に対してはいろいろな言葉が浴びせられておりました。そして、課税業者を選択されるされないはこれは御自身の問題でありますけれども、この消費税の仕組みの中で農家の方々もいわれなき汚名を着る必要はなくなった、政治家としてはそう思います。
  42. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 やっと答弁されたけれども、全く質問に答えておりませんね。  やはり記帳にふなれな農家あるいは中小業者がやむを得ず大量に課税業者に追いやられるという、これは大変大事なことだと思います。  それからもう一つ、これは簡易課税制度は成り立たなくなるでしょう。一・五%の軽減税率が導入されますと、売り上げに〇・六%を掛けて納税すると逆に損になりますね。これはお認めになると思うんです。それから、食料品食料品以外を一緒に扱っている業者の場合、売り上げの二〇%に三%を掛けるこんな簡易課税制度はそもそも成り立たなくなるんですよ。そうじゃありませんか。これは事務的でよろしいわ。
  43. 尾崎護

    政府委員尾崎護君) 簡易課税と申しますのは、仕入れの率を売り上げを用いまして簡単に推計する、仕入れについてきちんと積み上げ計算をしなくても売り上げの八割とか九割とかということで仕入れ計算をするということでございますから、そこは従来どおりでありましても、そこで適用される税率が変わってくると、こういう話でございます。
  44. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 適用する税率が変わるとどうなるんですか。今まで売り上げ掛ける〇・六、これはもう成り立たぬでしょう。これは利益が二〇%と見てそれの三%だから〇・六なんですよ。それが三%となり一・五%としたらこれはどう掛けるんですか。何%掛けるんですか。そんなでたらめを言 うんじゃない。
  45. 尾崎護

    政府委員尾崎護君) 〇・六%を掛けるという計算の仕方をしているわけではございませんで、簡易課税は御承知のことと思いますが、売り上げの八〇%を仕入れであると。そういう計算をしなさい、仕入れ計算をする手数を省きましょうというのが簡易課税でございますから、その売り上げから仕入れ率を計算いたしまして引き算をいたしまして、出てきたその付加価値に対しまして結果的には今までは三%を掛けていた。今度は税率が変わるわけですから、食料品関係者についてはそこに一・五がかかる、こういう意味でございます。
  46. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 去年の税制論議であなたの前任者の主税局長は、仕組みは今の仕組みですよ、しかし売り上げ掛ける〇・六%で簡単なんだと、その簡単性を強調した。これは実務の問題ですよ。その〇・六%を掛けるというのがもうできなくなっちゃったんだ。これは論争しても、もう明白なんだからそんな答弁は何にしても成り立たないと思いますね。  これは実務がそういう意味じゃ本当に大変になります。これは課税、これは非課税、一々配分しなきゃいけません。こんなことを業者に押しつける、本当に大変ですね。それから、大体今の帳簿方式では課税、非課税軽減税率、この仕分けが困難になる、そうじゃありませんか。これは小倉政府税調会長も指摘しておるんです。私が心配することはないけれども、これは果たして執行可能なのか、帳簿制度を今のままにしてですよ。執行できないんじゃないかと私は思うんです。大変な混乱が起きると思うんですね。
  47. 尾崎護

    政府委員尾崎護君) その辺の、帳簿をどのように記帳していくのが一番合理的なのかというようなことをこれから検討しなくてはいけないわけでございますけれども、確かに帳簿の上で三%物と一・五%物を分けていただくというようなことは必要になってこようかと存じます。それは一番合理的にやるのにはどういう方法がいいのか、よく関係事業者の方の、あるいは関係省庁の御意見を伺いながらこれから勉強をしてまいりたいと存じます。
  48. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 伺いながら勉強している間に、また混乱が混乱を呼んで、矛盾が矛盾を呼んでこれは大変なことになると思うんです。  時間の関係でこの程度論議にしておきますが、そこで今までの議論をお聞きになりまして、これは大変なものを持ち込んだ、全くこれは大混乱が起きると思いますね。こういうことを見ますと、やはり見直しではなく廃止以外にないんじゃないかとますますはっきりしたと思うんですが、ひとつ久保さんいかがですか。
  49. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) お答えいたします。  ただいまの御議論を伺うまでもなく、私どもは見直しによってこの消費税がその持つ欠陥や弱点を是正できるものではない、こういうことを主張してまいりました。今日、自民党がお出しになりましたこの見直しの案を私ども検討するにつけても廃止以外にないと、こういう思いを強くいたしております。  なお、この見直しの案に対しましては、日本社会党、公明党、民社党、社会民主連合、連合参議院五会派の政策審議会長名をもって共同談話を発表いたしております。ぜひ私どものそのような立場を御理解の上、廃止に関します九法案を御可決いただきますようお願いを申し上げる次第でございます。
  50. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 じゃ最後にもう一つ久保さんに質問します。  この措置によって自民党は一兆二千八百億円規模の減税になるという報道がありますが、私はこれはその具体的な算定の根拠を示せと言ったけれども、全然資料を出しません。残念です。だからきょうはその議論はできません。問題は、その後これだけの減税のその財源を考えているのか。これも新聞報道自民党幹部の皆さんの話によると、これも考えていない。となりますと、今まで盛んに政府自民党発議者の皆さんに対して、減税に対して財源を示さなきゃ無責任だと、自分で示さぬのですよ、自分で示さないでおいて皆さん方に要求するというのは、私はこれはもってのほかだと思うんですが、この答弁を聞いて質問を終わります。
  51. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) できるだけ私どももこの見直し案につきます論議は今後さらに深めていかなければならぬと思っていたのでありますが、これまで私どもが提案をいたしております九法案について、特に財源問題をめぐって厳しい御質問がございました。  当然に自由民主党見直しをお示しになるに当たっては、ただいままでの御論議の経過からしても、代替財源に関しては明示されるものと私ども思っておりましたが、これらの点についてお示しいただいておりません。また、廃止した場合にも物価が下がらないという御議論もございましたけれども、今度は複雑な見直しによって物価は下がるとおっしゃっているのも大変私どもにとっては不可解なことでございます。    〔委員長退席、理事井上吉夫君着席〕 それから業界の負担や混乱について、私どもの廃止案について御批判が厳しくございました。しかし、今回の見直し案によってどういうことになるのか、その点について明確にされておりませんし、さらに納税特例制度については来年また検討するということになっておりますが、これはたび重なる改革によって業界にいろいろな混乱や負担を与えないのかどうか、十分論議をしなければならぬ問題だと考えております。
  52. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 終わります。
  53. 山中郁子

    山中郁子君 ただいまの見直し案についての近藤議員の質疑をめぐる経過も、時間が限られておりますので一部分ということにはなるんですけれども、それでもその問題点は日ならずして国民の中に、政府のさまざまな思惑、そして国民消費税を押しつけるというその本質をさらに大きく広げて理解させていくでありましょうと私は考えます。ということは同時に、初めに申し上げましたように、消費税廃止しかないというこういう国民の声が一層大きく広がっていく。ただいま久保議員も答弁なさいましたけれども、まさに消費税廃止しようというその国民の合意に国会の中でも一致して、消費税廃止する立場国民の皆さんの審判を仰いだその実践を直ちに行うということが、今私どもに求められている声だということがますます明らかになってきたと思います。  そこで、私は具体的な法案関連の質問に入ります。  大蔵大臣、結構でございます。御苦労さまでございました。  ただいま申し上げました立場から先日の質疑でも、消費税廃止のために障害を生み出し、そして同時に国民的合意も得られていない関連法案の諸要素、その関連法案自体は早急に行きがかりを捨てて取り除くべきだということを主張いたしました。すなわち、税制改革基本法案に関しましては国民税制改革協議会の問題について、それからまた代替財源問題等に関しましては具体的には入場税法案についてただしたわけでありますが、本日はまず、同様に重要な内容を持ちます納税者番号制度についてお伺いをしたいと思います。  納税者番号制度が導入されるとプライバシーが侵害されるのではないかという心配が国民の皆さんの中で大きくあります。この点は発議者の方々も今までの質問の中でお答えになっていて、その危険性は認めていらっしゃる。実際、納税者番号制を導入しているほとんどの国でこの番号が、税務だけでなく社会保障、住民登録、兵役、運転免許など、税務以外の多くの目的に使用されているのが現実であります。  しかも、行政目的だけにはとどまりません。アメリカなどでは、民間の金融機関、保険会社までが有料ではあるけれども、この番号を利用することができるということになっています。行政目的だけなら公務員の守秘義務などで縛りをかけることも可能であるという論も成り立ちますけれど も、民間にまでこの情報が使われることになると、どのようにして国民のプライバシーを守るのか、歯どめをかけることができるのか。  初めは限定的に導入したとしても必ずこれが大がかりなものに拡大していくということは、もう既に諸外国の例から見ても明らかであることは発議者の皆さんも御承知だと思いますけれども、これらの国民の中にある強い懸念、これはただ何も根拠がなくて心配しているというものではなくて、現実に世界各国で起こってきている問題だから、そういうことをよく知っているから、だからそういう点についての強い懸念があるわけですけれども、この点についてどうお考えになっていらっしゃるか、まず基本的な見地をお伺いいたします。
  54. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 私どもは税の公平を確保するために所得の捕捉体制を整備する必要があるというふうに思っておるわけでありまして、政府税制調査会で小委員会を設けて検討した経緯がございます。そして、その税を公平に確保するためには、やはり問題点は多々あるわけでありますが、納税者番号制度の導入は避けては通れない課題であるというふうに私どもは考えておるわけであります。  プライバシーの保護についてでございますが、民主主義社会にとっては基本的事項の一つであるというふうに考えておりますが、議会制民主主義に立脚して、また個人の自由を保護しておる米国などにおきましても西側先進諸国も採用されているものでありまして、我が国でもできない問題ではないというふうに考えております。また、租税の不公平を一掃していこう、そして徹底した総合課税中心の所得税を再構築するためには、やはりこの納税者番号制度は不可欠であるというふうに考えておるわけであります。  そして、このプライバシーの範囲についてでございますが、個人の収入とか支出とか財産といったものもやはりプライバシーの一部であるというふうに私どもも考えておりますけれども、ただ単に自動的にあるいは一義的に決まっていくものじゃないんじゃないかということで、その目的との関連性や社会通念によって内容というものが決まってくるものだというふうに思いますので、慎重に検討していかなければいけないというふうに思います。  最近におきます資産格差の拡大の状況、この数年間の税制改革論議を通しまして、国民税制についての考え方は大きく変化をしてきておるということでございますので、この国民の公平な税を求める要求というものは大変強くなってきておりますし、私どもとしても国民の信頼に基づく税制の確立こそが大事だということで、この税制改革の原点であるということから、国民の合意を得るよう十分な時間をかけつつ、この納税者番号制度の導入については国民税制改革協議会等において検討していただきたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、この納税者番号の導入に当たりましては、国民のプライバシー保護と国民の合意形成というものが大前提であるというふうに私どもも考えております。
  55. 山中郁子

    山中郁子君 御答弁でも裏書きしているんですけれども、国民的な合意がないということね。で、実際にいろんな意見があるんだと。だからその合意が大前提だとおっしゃるならば、国民的合意として消費税廃止しようということに対してどうしてこういうものを持ち込むのか。私は一日の日にも何回も申しましたけれども、もう一度そのことを申し上げざるを得ません。今いろいろ御答弁がありました。今までも何回も御答弁があるので私も承知しておりますけれども、具体的に税務当局による情報の乱用というのも大変大きな問題なんですよ。  それで、皆さんも御記憶があると思いますけれども、これはNHKが放映いたしました税についての特集番組の中で明らかになって、これがNHKが本にして印刷物にして出していますから、それで申し上げますと、アメリカでは全国的に納税者番号を管理しているのがナショナルコンピューターセンターですけれども、このNHKが放映した特集番組の中で大きな反響を呼んだわけです。そのナショナルコンピューターセンターのボルチモア地区センターをNHKがその番組をつくるために取材しているんですね。その取材班が取材した記録があるんですけれども、ここに自動督促システムというのが登場するんです。それで、ちょっとそれを御紹介したいと思うんです。    自動督促システム   納税者情報をいかに税務当局が握っているかの実例を、私たちは、IRSのボルチモア地区センターで見た。 と。IRSというのはアメリカ内国歳入庁、要するに国税庁ですね。で、ここでも  案内された室内には、コンピューターの端末が並んでいた。滞納者に対して、税の督促電話をかける「自動督促システム」と呼ばれるシステムである。   滞納者についての情報は、すべてデータベースからディスプレーに表示されるのである。それどころか、そもそもだれに電話をするかもコンピューターが決めるのだ。   相手が出ないと、三〇分おきに電話を繰り返す。   さらに、驚いたのは、ディスプレーに表示される情報である。その人の住所、勤務先、所得などはもちろん、どんなクレジットカードを持っているか、どんな車を持っていて、その借金は、いくら残っているか、などという情報が五画面にわたって、続くのである。   係官は、この情報を基に、滞納者に、支払いを迫る。   「あなたは資産をお持ちのようですし、クレジットカードで借金も可能なようです。ぜひ、銀行に行って、お金を借りて、税金を払ってください」 と。こういういわゆる自動督促システムというようなものが出て、これが大変大きなインパクトをこの放送でも与えました。それは御記憶されていらっしゃると思いますけれども、納税者の権利意識が発達しているアメリカにおいてでもこういうことですから、日本における税務署の大変強権的な姿勢というのは発議者の皆さんもみんな御同感だと思いますけれども、そういう姿勢で中小業者やサラリーマンに徴税を押しつけているその日本が、その税務署が納税者番号というような新たな武器を手にしたらこれをどのように使うかというのは、まさに肌寒い思いがするということは、そういうところから国民の懸念が出ている。  だから私は、こういう問題を皆さん方が考えるべきだという御意見をお持ちだということは、それはそれぞれ自由。だけれども、今大事な消費税廃止しようというときに、あなた方が急に急いでこのことを、合意を求めるんだとは言いながら、やっぱりそれは簡単に合意できる問題じゃないというその法律をこの中に持ち込む必要はないということを重ねて申し上げますので、これは大変恐縮ですが、久保議員から端的に私の今申し上げましたことについて御答弁いただきたい。  政治的でいいのよ。あのぐちゃぐちゃってまた同じことを言わなくていいから。時間が足りないから。
  56. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 確かにいろんな問題があるのでということでありますが、私どもも二年間をかけていろんな俎上に上げていただいてアメリカの事例も含めて十分検討していただこうということでありまして、具体的に決まらない限りは、やはり何が何でも二年間で実施するということではございません。あくまでも大前提は国民の合意ということを前提といたしております。  そこで、私どもが考えております納税者番号制度は、プライバシー保護の観点から税務の分野に絞って導入することを考えておりまして、そういう意味では、おっしゃるように税務当局による乱用ということで懸念はあるわけでありますが、どういうことを指すのか現在時点では予想しにくいところでありますので、そこで昨年の第百十三回 臨時国会で制定されましたいわゆるプライバシーの保護に関する法律――行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律というのが制定されておりますので……
  57. 山中郁子

    山中郁子君 なるべく簡潔にお願いします。
  58. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) また、この納税者番号導入の検討に際しては、この現行のただ保護法律だけではとおっしゃいますように不十分であるというふうに思いますので、こういうことも含めましてどういう保護法律をつくったらいいのかということも含めて、やはり税制改革協議会等については十分検討をしていただきたいというふうに思っておるところであります。
  59. 山中郁子

    山中郁子君 いろんな意見があるしいろんな問題があるということを御承知の上で答弁なすっているから、だから私が本当に言いたいのは、そういうものを何でここで持ち込むのかということなのよ。いいじゃない、また後で議論すれば。国会というのはいつだって立法できるので、そういう点では皆さん方そういう条件をお持ちなんだから、それで議論したらいいって言うのよ。それをまさにきょうあしたに迫って、参議院がせっかくあの参議院選挙で審判を下した消費税廃止ということをいつ決めてくれるのかといって国民がかたずをのんで見守っている。また、これをごまかそうとして自民党見直し案なるものを出している。そういう状況のもとで、何でこういうことをやらなきゃいけないの、私が言いたいことはそういうことなの。  時間が足りないから、そこのところを本当に久保議員にちょっともう少し政治的にぴしっと答えてくださいよ。確かにそうだ、だからこれはゆっくりしましょう、相談するということにしてということがあるなら、ちゃんと答えてください。
  60. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 今御意見のございましたこともよく承りました。  私どもとしては、総合課税主義をきちっとしていくためには、一つの環境整備として納税者番号制度が必要となってくるであろうという立場から今度の基本法の中に提案を申し上げているわけでございまして、いろいろの御意見があることは十分承知をいたしておりますので、検討課題としてやってまいりたいということも基本法の中に明示しているところでございますので、御了承いただきたいと思います。
  61. 山中郁子

    山中郁子君 了承できない理由をもう一度繰り返すつもりはありません。もうよく御承知だと思います。  それで、総合課税のために不可欠であるというようなスタンスというのは私はないと。皆さん方も必ずしもそういうふうにおっしゃっていないわけなのよね、要するに答弁を伺っていくと。だから、アメリカの問題をよくおっしゃいますけれども、アメリカでは社会保障番号が納税者番号として使われているんですけれども、社会保障番号制が一九三六年に導入された後、二十六年後にこれを納税者番号制として利用することが決まっているんですね。これが法律で義務づけられたのはさらにそれから十四年も後なんですよ。そして導入に、合わせて四十年の長い年月がかかっている、こういう歴史があります。それだけ長い年月をかけてもいまだにプライバシー問題などの多くの問題が指摘されています。  それで、日本ではどうかといえば、いわゆるマル優の限度管理をねらったグリーンカード制、あの問題ですら国民の反対で流産してしまったことも明らか。その国民の声がどのくらい強いかということは最近の世論調査、これは十一月四日付の読売新聞に発表されておりましたけれども、導入については世論を二分する問題になっているんですね。反対が四二・三%、反対の方が賛成四〇・七%を上回っている、そういう状況があります。こういう状況を判断するならば、皆さん方がこういう国民税制改革協議会の議論の中で合意を得ていくと言うけれども、そんな二年間で合意を得られるような性格のものじゃないということで、本当に税の公平を実現していくという国民の期待にこたえるならば、まさに今日本の不公平税制というものの基本が何なのか、本質が何なのか、そこにきちんとした目を向けてその立場から解決していくべきことがあるというふうに私は強調いたします。  それで次に、真の不公平税制の是正が必要なところはどこにあるか、那辺にあるかという問題でありますけれども、特に正すべき不公平税制の最大は、いわゆるクロヨン対策などということではなくて大企業優遇税制である、ここのところを私はきょうぜひはっきりしたいし、発議者の皆さん方の御見解も明確に伺いたいと思っているところであります。  現在、不公平税制で最大のもの、是正の中心に据えなければならないものは、今申し上げました大企業に対する優遇税制だと私は思いますけれども、四党案ではこの点について余り明確でなくて疑問が残ります。私ども日本共産党は、最大の不公平税制は世界にも例を見ない大企業への優遇税制だと考えております。四党の再改革基本法案では、総合課税、応能負担原則などそれ自体当然の原則は述べておられながら、それを妨げまたゆがめる結果になっている不公平税制についてはあいまいと言わざるを得ないというのが私たちの見解です。  すなわち、第五条第一項で不公平税制対象として挙げられているのは、第一に社会保険診療報酬課税の特例、つまり個人開業医の特例ですね。それから第二にみなし法人課税、つまり中小零細企業へのみなし課税です。それから第三には公益法人課税の特例、つまり宗教法人などへの課税問題などです。いわゆるクロヨン問題だということに尽きます。そして第四番目に企業に対する課税における各種の特例という問題が出てまいります。しかもこれは企業という一般でもって、大企業というものの持つ位置づけが明確になっていない。  こういう点から見ると、少なくとも法案の条文からはクロヨン対策に重点が置かれていて、それが不公平税制の中心であるという認識がバックにあって、それで大企業優遇を是正することを考えていない、つまりそれが重視されていないということとしか私どもには受け取れないのでありますけれども。申し上げるならば、代替財源法案などで、つまり法人税法の問題ですね、その一部改正の中ではそういう部分は若干もちろんあることは私どもも承知しておりますけれども、極めてわずかであります。再改革基本法案には大企業優遇税制の問題ということが記述にない。この点については皆さん方の不公平税制を何だと認識するか、つまりクロヨンが優先しているという、そういう御認識の反映である以外にないと私は考えざるを得ないのでありますけれども、その点についての御見解をお伺いいたします。
  62. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) じゃ最初に、私どもの基本的な考え方を述べさせていただきたいと思います。  ほかならぬ山中委員でございますので正確にお答えさしていただきますが、いわゆる私どもの税制改革基本法案に示しております再改革の基本原則、基本方針、これに示されております考え方は不公平税制の是正であることは、これは間違いございません。その不公平税制の是正にはいわゆる所得捕捉の格差是正ということが挙げられるわけでございますが、今先生がいろいろとお話しになりました社会保険診療報酬の問題とかあるいはみなし法人課税の問題、これは所得捕捉という問題よりもむしろ制度上の問題じゃないかと思っておりますし、私どもその制度の改革には取り組んでいきたい、こう考えておるわけでございます。  また、御指摘のあった大企業優遇ということが根本的に改められていないんじゃないかというお話でございますけれども、ちょっと先生税制再改革法案をお読みになっていただきますと、法人税につきましては第五条の一項で、「企業に対する課税における各種の特例等の租税特別措置等の抜本的な整理及び合理化が図られる」、あるいは第二で、「経済取引の国際化及び経済構造の変化に対応する等法人税体系の合理化及び適正化を図 る」、こういうことで私たち基本的な考え方を述べさしていただいているわけです。金曜のこの委員会でもやはり再三取り上げられておりましたけれども、経済取引の問題、企業の公正な競争条件の整備あるいは国際化の対応のために私たちもこのことはいろいろと検討さしていただくわけでございますが、やはりレーガン税制改革に行われましたように、企業周辺の優遇措置については十分これは検討し、そういう措置を配意しながら課税ベースの拡大を図っていきたい、こう考えておるわけでございます。  代替財源案の中をごらんになっていただきますとおわかりのように、この中でも貸倒引当金あるいは賞与引当金の圧縮を図る等、また基本税率についても先ほども申し上げましたようにまだ課税ベースの拡大は不十分である、そういうことを私は考えとして持ちながら、現在の四〇%のこの経過税制については据え置くということにしているわけでございます。
  63. 山中郁子

    山中郁子君 私が申し上げましたのは、今太田議員が御答弁ありましたけれども、まさに皆さん方がこの法律案の中で書いていらっしゃる第一に挙げているのが社会保険診療報酬課税の特例、二番目に挙げていらっしゃるのがみなし法人課税、三番目が公益法人課税の特例、そして企業に対する課税における各種の特例等の云々というのは四番目なのよね。だから、私は、あなた方が企業に対することを何も一言も書いてないよと申し上げてないでしょう。それで代替財源の方でもそれは触れられている。だけれども、やっぱり位置づけの問題だということなの。  だから私どもは、先ほども申し上げましたように、その納税者番号制度の問題との関連でも、もう一度申し上げるならば、不公平税制の何をもって最も大きな不公平税制としてとらえるのか。それは何も納税者番号制度などを入れなくても、企業に対する、大企業が受けているこの恩典そのものを改正していくことによってその大きな部分である不公平税制を解決することができる、そういうことを私は今申し上げて、いわゆるクロヨン問題が不公平税制の主要な流れじゃないんですよ、そうじゃないですかという御認識を伺ったわけでありまして、今の御答弁では、私の質問に対する的確なお答えになっていないとしか私は申し上げられません。しかし、ちょっと時間が大変限られておりますので、同じ問題でありますが、今たまたま引当金の問題などが触れられましたので、話を進めていきたいというふうに思います。  クロヨン問題につきましては、もちろんそれぞれの持つ問題点をより合理的なものに改める必要があるということは私どもももちろん見解を持っております。しかし、今申し上げましたように、これらは金額的にも内容的にも大企業や大金持ちの優遇税制に比べれば比較にならないんです。そして、せいぜい不合理という程度の問題で、そこに是正の重点を置くことはむしろ弱い者いじめのそしりを免れないと。これが国民の中での大きな大企業優遇に対する不合理への怒りの背景にある現実の客観的な事実です。  こういういわゆるクロヨン対策を不公平税制の中心問題に据えることは、最大の不公平税制である我が国の大企業への優遇税制の是正問題を不当に軽視させる。そして、真っ先にやるべき不公平税制の是正から国民の目をそらせてしまう、そういうことになるのだということを私は主張もし、皆さん方の御見解を伺っているわけであります。もしそうではない、確かにそのように、私が申し上げるように思っているのだとおっしゃるなら、なぜ一番最初に大企業に対する優遇税制、この不公平税制の是正をしなきゃならぬということが位置づけられないのかということを私はお伺いしているわけであります。  それで、とりわけ根本的に直さなきゃならない問題、外国税額控除制度、退職給与引当金、今引当金のお話が太田議員から出ましたからそれに続けてお尋ねいたしますが、株式時価発行差益非課税制度などなど、本会議でも取り上げられていますけれども、世界に例のない我が国の大企業に対する優遇税制の中の一例として幾つか質問申し上げます。  まず第一に、みなし控除、間接控除などは特に問題であります。七大商社が大もうけを続けながら我が国への納税が何年にもわたりゼロであったということに象徴的に示される問題、その根源は、大蔵省自身がこれは私ども日本共産党の工藤議員に対する答弁の中で若干述べているわけですけれども、大蔵省自身が諸外国に比べて多少甘いと言っているところにもあらわれています。それから、税制の専門家の間でも世界一ルーズで根本的な検討が必要だというふうに強調されているものにこの外国税額控除制度があるんです。私が申し上げるまでもなく、皆さん方がよく御承知のところだと思います。もちろん私どもも二重課税をしろと言っているわけではない。だけれども、問題なのは、実際には進出先の外国で納税していないにもかかわらず、我が国企業の税金を控除することにしているみなし控除、間接控除、この制度なんです。この制度がとんでもない大企業優遇なわけです。  私どもの近藤議員の質問に対して久保議員は、間接控除やみなし控除の否定は諸外国との関係などを考慮すれば難しいという趣旨の答弁で、その存続を容認されているというふうに私は認識せざるを得ないんですけれども、これでは問題の解決にならないと思いますが、みなし控除制度というのはアメリカでもないことですし、間接控除制度はアメリカだとか西ドイツなど少数の国以外はどこでもやっていません。これを使っている大企業にとっては完全に補助金同様になっているんですね。どうしてこれをそのまま認めるのか。外国との関係で云々というような形でお認めになる――お認めにならないというならそういう立場で明確にしていただければいいんですけれども、お認めになるという、国際的な問題を理由にしてそのような趣旨を述べていらっしゃる。ぜひここの点については久保議員から明確な御答弁をいただきたい。  それからあわせて、これは本会議質問で連合参議院の古川議員が質問されていらっしゃるんですね、やはりこの問題で。ここで、「現在、我が国の税制には実に多くの不公平な制度があります。例えば、だれもが知っている三菱商事株式会社は、五十五年度以降五十九年度まで少なくとも五年間、法人税の納付額はゼロでありました。」。ちょっと時間が足りませんから省略をさせていただきますが、「そのからくりは、外国税額控除制度の欠陥を利用して、日本という国への実際の納付額はゼロになるという操作をしていたのであります。」。このことを中心にかなり厳しくこの問題について指摘をされておられます。  それで、発議者として久保議員から御答弁いただきたいと同時に、連合参議院の古川議員がこのような御質問をされていらっしゃいます。私はこのとおりだと思います。まさにこれを厳しく問題にしていかなきゃならない。これが不公平税制を是正する一つの大きな基盤だ、スタンスだと思いますが、あわせて、この点に関して笹野議員から御答弁をいただければ幸いです。
  64. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 外国税額控除制度について幾つか御質問がございました。委員から御質問がございますように、この問題は幾つか問題がございます。特に古川さんが取り上げました三菱商事の問題につきましては、私は委員会の席で取り上げた経緯もございます。そういう意味で十分承知をしておるわけでございますが、国際間の課税を考える場合に、二重課税の排除は広く認められておる原則でもあるわけでございまして、制度改正を検討するに当たってその点を全く無視するわけにはまいらないと考えました。むしろ間接控除制度やみなし控除制度を全部否定してしまうのではなくて、諸外国との関係考慮すれば難しいことでございますけれども、制度を悪用した租税回避、こういった面における防止対策をやっぱり検討していかなきゃならぬのではないか、こういうことがまた急務ではないか、こういうふうに私どもはとらえておるわけでございま す。今回は、国外所得の限度割合を八〇%まで圧縮する、こういう措置を提案しております。
  65. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) お答えさせていただきます。  議員の今の御指摘の問題は、確かに非常に大きな問題だというふうに思います。私どもといたしましてもこの問題は決して放置しているわけではなく、今回の問題としてこれから十分に討論し、しかもこの問題を問題としてこれから国民税調でももちろんそうですし、いろいろと研究しながら対処しようと思っておりますので、その御意見を十分拝聴させていただきます。
  66. 山中郁子

    山中郁子君 重要な問題だということを否定なさらないんだけれども、なぜそれじゃクロヨン問題が最初にわっと出てきて、こういう問題が具体的にこの中で明記されてきていないのか。そういう位置づけの問題、つまりスタンスの問題を私は申し上げています。  それで、同じようなことで次に、日本の高度成長期につくられそしてまた拡大されてきたさまざまな大企業優遇措置がありますが、この問題について御見解を伺います。  これらは当時でも不当なものでありました。しかし、今日それがなお温存されて、大企業の実質的な税負担を異常に低くしている重要な要因になっています。専ら大企業のために使われ利益隠しの手段とされている無数の引当金、準備金、これなどは諸外国には全く例がないものです。それでまた、額面をはるかに上回る価格での増資を行いながら、まさにぬれ手にアワの株式時価発行差益非課税制度、それから受取配当益金不算入制度あるいは各種特別償却制度、こういうものが大企業の内部留保を大きくしてきて、それで優遇税制の大きな柱になっているということは抜本的に見直すべき課題として認識すべきことではないかということですが、先ほど若干太田議員から引当金の問題が出されました。  しかし、私がここで問題にしたいのは、例えば八七年分で九兆九千六百六億円という膨大な残高になっているのが何だと思いますか、退職給与引当金ですよね。それで資本金十億円以上の大企業は六九・五%、つまり約七割、七割の六兆九千二百五十一億円をこのうち占めているんです。その目的使用の実績は、東証第一部上場の業種分類によるトップ企業二十八社では八・六%、たった八・六%にしかすぎません。これも我が党の衆議院における税制委員会で矢島議員が質問したことに対して、大蔵省答弁でも、一〇%から二〇%の間というふうに言っています。実際の数字は八・六%です。  このような実態からかけ離れた繰入限度額は直ちに改めるべきだというふうに私どもは思いますけれども、四党案では、皆さん方の御提案では貸倒引当金、賞与引当金などで若干の見直しを行うようになっているんだけれども、どうしてこの退職給与引当金に手がつけられていないのか。同じ近藤議員の質問に対して久保議員は本会議銀の中でも、ちょうど私も見せていただいて読ませていただいたんですが、これが余りはっきりしていないので、圧倒的な金額がこれなんですね。あわせて金額を申し上げますと、貸倒引当金三兆二千三十二億円ですね。それから賞与引当金五兆四千八百七十九億円、それに対して退職給与引当金は九兆九千六百六億円、約十兆、先ほど申し上げましたようにね。この最大の退職引当金になぜ手を触れないのか、ここのところを聞かせてください。
  67. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 先ほど答弁の中で一つ、みなし控除制度の問題に触れていなかったと思うんですが、これは開発途上国に対するいわゆる援助というんですかね、配慮というんですか、そういったものが含まれておりますので、なかなか即云々という議論にはならずに十分検討させていただきたい、こういうふうに思っております。  それから退職引当金の問題について今御指摘がございましたが、私どももこの引当金が問題であることについては問題意識としては変わりございません。全従業員が一時に退職するということも現実的ではございませんし、それから保全措置もないまま放置されておるとか、一律の累積限度額を定める現行制度を改めて企業の雇用実態に即した細かい繰入率を検討すべきであるとか、企業年金制度を補完する意味で外部拠出の年金制度の充実を図るのがむしろ望ましいのではないかとか、いろいろございます。こういった問題についてございますが、御承知のとおりに、賞与引当金であるとか貸倒引当金と違いまして、一々洗い直しておるのではなくて累積積み立てという格好になっておりますから、こういった問題につきましては十分今申し上げた四点の観点から目的遂行できるように検討しなきゃならぬ、こういうことについては私ども発議者としても意思統一をしているところでございます。  ただ問題は、賞与引当金につきましてはこれはもう廃止を目指しつつはっきり圧縮していきたいというし、それから貸倒引当金については実績との乖離がございますからこれについては段階的に解消していく、こういうことについては今回御提起しておるわけでございますけれども、先ほど申し上げたような観点から、退職引当金につきましては四点の基準を検討しながら今後もひとつ詰めていきたい、かように考えております。
  68. 山中郁子

    山中郁子君 ですから、私が申し上げているのは、貸倒引当金、賞与引当金などでは取り上げていらっしゃる。それも私は随分あれだと思います、若干の見直しだというふうに私どもは考えざるを得ませんけれども、それなのになぜ、同じように現実に乖離があるわけでしょう。同じように問題点があるわけですよ。にもかかわらず、何で一番最も、十兆に近いお金を残高として抱えている退職金の問題について、四党案の中では提起がされていないのか。これはまたさらに今後議論していかなきゃ、問題点を同じように持っているとおっしゃる、議論していかなきゃならないことだというふうにおっしゃる。じゃ、この前の二つの引当金との違いというのは、私は抜本的に今の答弁でもないと思いますよ。現状との乖離なんてみんな同じですからね。むしろ退職引当金の方がよほど乖離していますよね。そういう特質を持っています。実際そういうものだということですね。  それで、私はここで社会党の発議者の方にお伺いをしたいのですけれども、社会党はこの引当金について「「新税制改革」への挑戦」という本で、これは土井委員長のポートレートが表紙になっているようでありますけれども、「これは明らかに合法的な利益隠しと言わざるを得ません。」というふうに述べておられるんですね。「たとえば退職給与引当金は、一九八七年分で九兆九六〇六億円にのぼっていますが、利用割合はたった六・四%に過ぎません。これは明らかに合法的な利益隠しと言わざるを得ません。そこでこれに課税するとして五年で五分の一ずつ課税すると年間四〇〇〇億円の増収になります。」、こういうことを明らかにおっしゃっていて、皆さんに訴えていらっしゃる。  だったら、どうしてこれがこの四党案にちゃんときちんと盛り込まれていないのか、そこのところはどういうことなのか、伺いたい。ほかの党がここに賛成なさらないから四党の間で一致できなかったという意味なのか、それ以外考えられないんですけれども、そういうことならそういうことで教えてください。
  69. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 先ほど私申し上げましたように、問題意識としてとらえていないというんじゃございませんで、十分問題がある。しかもさっき申し上げたように四点でこれから詰めていく、こういうことでございまして、言いかえれば、確かに社会党のその本の中にはそういう点は明確にしておりますけれども、今回は四党の提案で来ておるわけでございますから、四党の中で十分ひとつ今後問題を詰めて精査していきたい、こういうことです。
  70. 山中郁子

    山中郁子君 だから、そういうことでも皆さんの中、発議者自身の中で合意ができていないからということで提起されているんだからということを、私は一日にも申し上げました中身と同じで す。そういう合意ができない、発議者の中でも合意ができないものを含めて何で出さなきゃいけないのか。また言います。何回でも言いますけれども。  時間の関係がございますのでこれが最後のテーマになりますが、四党の皆さんは我が国の法人税率と国際競争力とは直接関係はない、競争力が強く海外にいっているのは別の理由にあると言っておられます。そうであるなら、法人税の基本税率消費税導入と引きかえに強行される前の四二%に当然戻すべきであると私は考えます、皆さんの立脚する論点に従えばね。ところが、皆さん方は今回法人税率を当面四〇%に据え置いて、二年後には政府案どおり三七・五%に引き下げる、こうされていらっしゃる。結局、政府案の引き下げ時期を若干おくらせるだけにすぎないということになるのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  71. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) 山中さんの御意見をいろいろ伺っておりましたが、私たちといたしましては、法人税を先般の政府改正以前の税率に戻すのではないかという御質問に対して、今回提案しております法人税の基本税率と配当軽課税率の延長措置、これはあくまでも今回の税制改革暫定期間が過ぎればなくするもの、そして基本税率は現行に沿って引き下げられ、配当軽課制度廃止され基本税率に一本化される、短期間のうちに法人税率を大きく変動させると無用な混乱を起こしかねないため、必要な措置に限定しており、あえて法人税率を復元する必要はないと考えました。  なお、法人税率の適正化を目指して、実態に沿って貸倒引当金や賞与引当金を圧縮し配当課税を適正化するなど、課税ベースを拡大することを重視して改正を行っておりますので、今後も課税ベースについては税負担の公平を重視しそれを拡大する方向で考えており、引当金、租税特別措置、その他役割を失った過度の優遇措置については実態に即して適宜見直す、こういう考え方でございます。
  72. 山中郁子

    山中郁子君 ちょっともう立ち入った議論をする時間が残されておりません。  それで、端的に伺わせていただきますけど、政府自民党税制改革法第八条で、国際化の名のもとに消費税の見返りに法人税の税率引き下げなどを行ったわけでありますけれども、それに対して皆さん方は、小川議員もこれは答弁で日本企業の競争力が経済摩擦の原因であり法人税率とは関係がないということをおっしゃっているし、また久保議員もこれは東京新聞のインタビューに答えていらっしゃるわけですが、「国内企業が海外に移転しているのは法人税が高いからではない。内外の賃金格差や貿易摩擦の回避などいろいろな要素で行っている。」、こうインタビューに答えられていらっしゃるし、まあそのほかいろんな御答弁があります。  要するに、政府自民党が言うように国際化の名のもとにこうした問題が必要なんだというのではないという立場に立っているんだということが主張されているので、それだったらなぜ四〇%ということで、またさらに二年間例えば三七・五%に引き下げるという、政府と同じところに落ちついていく、そういうことをおとりになるのか。そうじゃなくて、今基本の問題は大企業に対する優遇税制の問題をきちんとすることが抜本的な問題なんじゃないかということを私は申し上げたわけであります。それで、この点については、時間が切れましたので引き続き次の機会に我が党といたしまして解明する機会が得られれば進めたいというふうに思います。  要するに、見直しが改めて国民の中に、消費税廃止以外にないという、そういう声を大きくさせている事態でございますので、そういう合意にこたえるべくこの参議院が廃止法ですね、廃止三法、これをとにかく速やかに可決するという責務にこたえるということが何にも増して重要な課題であるということを私は重ね重ね強調いたしまして、質問を終わります。(拍手)
  73. 井上吉夫

    ○理事(井上吉夫君) 午前の質疑はこの程度とし、午後零時三十分まで休憩いたします。    午前十一時三十三分休憩      ─────・─────    午後零時三十分開会
  74. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、消費税法廃止する法律案消費譲与税法廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  75. 前島英三郎

    前島英三郎君 去る十一月三十日に、私の質問時間におきましていわば給付と負担の問題をお伺いいたしたわけであります。それは、発議者を代表して久保さんが、この社会党の「伯仲新時代へ」、これはいわば公約であると、こういうことを申された。その公約に基づいて私たちも、年金、社会保障についてこの税制改革は大変重要な位置づけをしているだけに、その問題に限って議論をさせていただき、そしてまた、いわば最低保障年金も私たちの考えは九万二千七百円であるという言葉も聞きましたし、あるいは国民負担率も小川さんの方から四〇%前後でいきたいというふうな言葉もあった。  ですから、一体そうすると、最低保障年金を今の五万五千五百円のこういう形を一・六六倍にするとこういう負担になっていくんだけれども、その財源はどうするんだということをお尋ねしたわけでありますが、やはり御答弁にお間違いがあったということも、訂正すべき点もあるというようなことのお話もございましたが、先般この年金に対するいわば数字的な若干メモを私もいただいたわけでありますが、この際お答えすべき、あるいは訂正すべき点があったらお伺いをしたいと思っております。
  76. 梶原敬義

    委員以外の議員(梶原敬義君) 前島委員、長いこといろいろと迷惑をかけておりますが、一言申し上げます。  先日の委員の御質問の中で、我が党の社会保障政策にかかわる記述の不十分な問題及び計数に関する御質問がありました。  まず第一に、年金制度の改革及びその給付水準、生活保護等に関する記述については、既に当委員会で御答弁申し上げましたとおり、誤解を受けるような表現あるいはあいまいな表現等がございますので、できる限り早い機会に訂正するよう党の政策責任者に申し伝えました。  第二に、計数についてでありますが、将来の国民負担率、とりわけ租税負担率については政府もいまだ明確にできていない問題であります。発議者においても、当委員会で発言いたしました例えば国民負担率等についての数値についても、私見でもよいからという佐々木委員のたっての要請で私見として述べたのであります。我が党の選挙に際する年金制度の改革に関する提案も、我が党の基本的な考え方基本方針を述べたものであり、具体的な計画等については今後検討作業を進めることといたしております。したがいまして、現段階においては数値は持ち合わせておりません。  ただし、委員からのせっかくの御要求でありますから、党の専門分野に若干の作業を依頼し、現在において当面の党の重点事項として予算措置をすべき経費についてはこれからお示しをいたします。しかし、これも来年度直ちに実施すべしというものではなく、歳入歳出の全般的な整合を図る中で検討をすべき問題と考えます。  なお、本問題について御理解いただきたいのは、第一に、政府自民党においても国民負担率その他の具体的な数値、政策は示していないこと。第二に、私ども発議者は九法案の提案についてはすべて責任を有しておりますが、おのおのの党の税外問題については必ずしもすべてについてお答えする立場にないこと。第三に、これは社会 党固有の問題であり、今回の御提案は四会派共同提案の税制九法案であることであります。前島委員におかれましては、以上の点について御理解をいただきますようお願い申し上げます。  続きまして、現時点で作業した数値について申し上げます。  社会党の選挙政策集の中にある最低保障年金については、将来について全額国庫負担を目指すということであって、当面は基礎年金国庫負担率の現行三分の一を平成四年度からは二分の一にまで引き上げることを考えています。そのために必要な国庫負担の追加費用としては、平成四年度で一兆四千億円、平成八年度で一兆七千億円になります。また同時に、老人医療費拠出金が平成四年度で六百七十四億円、平成八年度で八百五十一億円、ホームヘルパー増員、政府平成三年度五万人が、社会党案では平成四年度で五万四千人で二十五億円、平成八年度で社会党案は七万人で百二十四億円。さらに、原爆被爆者対策国家補償措置平成四年度で千百三十三億円、平成八年度で千百三十三億円であります。したがって、合計いたしますと、国庫負担分の追加費用といたしましては、平成四年度で一兆五千八百三十二億円、平成八年度で一兆九千百八億円となります。なお、この試算は社会党で行った試算であり、試算根拠となっているのも平成元年価格であります。  最低賃金水準とリンクした最低保障年金について少し説明させていただきます。  現行の基礎年金、これは四十年加入者が平成元年価格で五万五千五百円。これを将来は全額国庫負担とすることを目指すということで、これを最低保障年金として、この水準を直近の最低賃金水準、今ですと八万円ということになりますが、これの一定割合を維持するというものであります。したがって、四十年加入者は、保険料財源によっている五万五千五百円の三分の二である三万七千円が押し上げられ、五万五千五百円プラス三万七千円で九万二千五百円となります。  なお、前島委員のさきの質問の折に、最低保障年金五万二千五百円を全額国庫負担というようなニュアンスの表現をしておったのかおらないのか、ちょっと今記憶は定かでございませんが、その点については訂正をさせていただきます。
  77. 前島英三郎

    前島英三郎君 この「社会党はめざす」「最低保障年金の創設」、今、段階的なもので、すぐやるべきものではないという御答弁ですけれども、その中の冒頭の「最低保障年金の創設」については、「一定年齢(当面六十五歳、段階的に早めて十年後は六十歳)」にする、もうこういう数字を明記しているわけですよ、「十年後は」と。「十年後は六十歳)に達したすべての国民に、たとえ在職中であっても無条件で保障する」、こういうことを言っているわけですね、この提言では。「その水準は、最低賃金水準とのリンクを原則とし、その財源は、全額国庫負担をめざします。」、こういう「めざします。」といういわば文言の意味をどうとるかは別としましても、そういう数字とあるいは十年後という一つの限られた年度を提示しているところに私は大変問題があると思うんです。今訂正を受けましたけれども、私はひきょうだと思うんですね。  私が数字にこだわったのはなぜかというと、そういう数字というものがひとり歩きをしていくという心配もさることながら、一体そのバラ色の一つの政策を有権者の皆さんに与えておいて、これは三月、皆さんのいわば党大会で決定された一つの政策集が十カ月間、選挙を挟んでずっと歩いてきたわけですよ。私はこの一つの政策集に気持ちを持って、私の友人にもおるんです、いや年金はやっぱり社会党はすごいよと。とても今度は自民党には入れられないよ、社会党だなと、こう言う人もいたことも事実なわけですね。だから、私たちの公約に対する御指摘もさることなから、皆さんの公約というものがこういう誤りの中で行われてきたということを私は大変残念に思うわけであります。  私がお願いをした、そして今訂正する、また数字もこの紙をいただきました。それはまあよしといたしましても、しかしその結果出てきたものは、公表された公約どおりの数字だと甚だ都合が悪いことに気がついたのでしょうか、公表していた公約そのものを変更しなければならない、こういう事態に私はなったと思うんです。全額国庫負担を黙っていつの間にか二分の一国庫負担に変えてしまったわけですね、この数字で見ますと。全額国庫負担が二分の一の国庫負担にいわばこの三日で変わってしまったということになると思うんです。税制改革基本法案が、年金医療等の社会保障の総合計画をあらかじめ明らかにしてその上で税制改革をするというんですから、やっぱり社会保障の柱の一つである年金につきましてその基本的な考え方を私はお尋ねしてきたわけであります。皆さんが公表した公約とこれまでの答弁をもとにいろいろ聞いてきたんですが、ところがその内容に全く整合性がなく、今度は公表した公約が違っていたということになるわけですね。  こうなりますと、社会党の主張によると何兆円かかるといったレベルの話ではもうなくなってくるわけです。私の試算では十兆円を超える、十何兆円にもなる、これでいいんですかということを金曜日にはお尋ねしたわけですね。主張そのものがもうめちゃくちゃにぐらついているということが言えると思うんですね。全額国庫負担と書いてあるからそのつもりで計算すると、これは意味が違うんだという今御答弁であります。どう読んだら、国庫負担が二分の一になるというのはこの本のどこに書いてあるんですか。社会党がそう主張してきたことは一体この中で何を見ればわかるのか、ぜひ教えてもらいたいと思うんです。いかがですか。
  78. 梶原敬義

    委員以外の議員(梶原敬義君) その点は、先ほど党の政策責任者に私どもは不明確な点があると、この点について修正方を申し入れたところでございまして、文面には「社会党はめざす」と非常に先のことを言っておりますが、具体的にそれはすぐあしたから、来年からというふうなとらえ方をしている文面になっている。その点については問題があり反省をしているところです。
  79. 前島英三郎

    前島英三郎君 国庫負担を今の三分の一から二分の一にすべきだと書いてある社会党のペーパーがぜひほしい。選挙期間中、その前を含む中で、例えば公表したものがあるかどうか、その資料を要求したいと思うんです。それはいかがですか。
  80. 梶原敬義

    委員以外の議員(梶原敬義君) あるかないか、今即答できませんが、後日検討さしてください。
  81. 前島英三郎

    前島英三郎君 いずれにしましても、「伯仲新時代へ」という本としては、これは三月一日に発行されていまして、以来約十カ月間公約として存在をしてきたわけですね。選挙結果にも相当の影響を及ぼしたと僕は思っています。先日の質疑の中でも、梶原さんも久保さんも、「伯仲新時代へ」というこの社会党の政策集は適当ではない表現があるということをお認めになりましたが、それは久保さん、どういう部分にその部分があるとお考えですか。
  82. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 先日来、前島さんから「伯仲新時代へ」の中で社会党がお示しをいたしております政策について御批判や御指摘をいただいておりますが、これは社会党の将来にわたって目指す政策目標を掲げた部分と、それからその具体的な実施計画にかかわる部分とが必ずしも明確に区分してない。そういう点については、今後これは私どもが政策にかかわる文書を出します場合には、それらの点について、将来の目指す目標と当面の具体的な実施計画といったようなものが明確に区分して読み取れるようなことを今後は留意しなければならないなと、そういうことを御指摘いただいた中で感じておるところでございます。
  83. 前島英三郎

    前島英三郎君 そうすると、「伯仲新時代へ」というこの政策集は、やはりうその部分が多いということはお認めになりますか。どうですか、梶原さん。
  84. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 記述が、今申し上げましたような点で社会党の政策の意図が国民の皆さんにきちんと理解しがたい点があって、もう 少しその辺は記述を工夫しなければいけないし、具体的な計画等についても当面の計画等が明らかになるようにしなければいけないという点では、御指摘をいただきましたことを大変感謝いたしておりますけれども、この政策そのものを私どもは虚偽のものであるとか、あるいは大変間違った政策目標を示しているとは考えておりません。
  85. 前島英三郎

    前島英三郎君 いや、それは間違った政策をしたつもりはないと。しかし、人間はいろんな階層の人たちがいるわけですね。特に、障害を持った人々あるいは年金生活者あるいはまた生活保護に依存せざるを得ないという人々にとっては、これはまさしくもう天からわいてきたバラ色の政策でしかないわけですよ。その辺はわかりますか、私が言わんとすることは。また総選挙が近いですね。またこの政策集がそのままいったら、国民の皆さんは理解をせぬまま、この政策集をやはり信じてまた一つの形の中で問題を引き起こすと私は思うんです。  そういう意味でも、これはやはり党の責任ある政策担当者に早速訂正を申し入れたと思うんですけれども、それに対して、この正誤表はいつごろまでに出していただけますかね。
  86. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) お言葉でございますけれども、私はこの訂正ということではなくて、「伯仲新時代へ」に記述いたしております党の政策が、非常にダイジェストされておりますために全部をそこへ表現していないという意味で、今前島さんがおっしゃるように、誤解を招く点もあると。ことしの五月に発行いたしております党の政策資料の中では、最低保障年金の確立に関しては全額国庫負担を目指し、当面、国庫負担率を三分の一から二分の一とするということを詳しく出しました中では明示をいたしております。
  87. 前島英三郎

    前島英三郎君 いずれにしましても、やはり生活保護世帯というのは今七十万世帯百万人以上と言われておりますよね。で、社会党の政策集の表現によって百万人の皆さんの心を惑わした部分も私はあるように思います。最低保障年金についても佐々木さんが指摘をしたような形になっておりまして、やっぱり年金生活者というのは千六百万人もいるわけですから、こういう人たちが社会党に投票すれば年金が高くなる、こういう思いを何人か持ったということも私は言えるのではないかと思いますので、こうした非常に暮らしの中で生きしのぎをし、一生懸命生きている人たちの心を惑わすようなことはやっぱり政策の中に掲げるべきではない、こう思います。  そうした部分の人々に妙な期待を与えるような書き方は厳に慎まなければならない、この辺をもう一度私は久保さんに申し上げておきたいと思います。いかがですか。
  88. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) この政策目標、社会党が目指す最低保障の年金に関する目標は、私は社会党の政策目標としては正しいと考えております。ただ、そこへ至る過程というようなものについても十分な説明を行うことは必要なことであろうかと思っておりまして、この「伯仲新時代へ」の中にそれらの点に関して御指摘のような御批判を受けやすい記述となっておりますことについては今後十分に留意をすべきだと考えておりまして、社会党が直ちに全額国庫負担とするということを申し上げたのでないことは、党が月刊で発行いたしております詳細な政策に関する政策資料の中にはそれらの点を明確にしていることも御理解をいただきたいと思うのでございまして、御指摘のような点で、もし誤って政策が受け取られるというような点で国民の皆さんに御批判を受けるといたしますならこれは大変問題だと思いますから、これらの点については今後私どもも十分な御説明を申し上げるように努力をしてまいりたいと考えております。
  89. 前島英三郎

    前島英三郎君 それでは、次の問題に入らしていただきます。  提案者は、消費税廃止の代替財源は本来野党は示す必要はないのだ、財源確保は政府の責任なのだ、しかし四党は政権担当能力を示すために代替財源確保のための五法案を提出したんだと、こういう力説をされておるわけですけれども、そういう力説は今も変わりませんか。
  90. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 野党与党ということに余りこだわりたくないと思っておりまして、私どもといたしましては、立法府が法律の廃止にかかわる立法をいたしますならば、その法の制定を受けて政府はこれに対応する予算を編成すべきものと考えております。  ただ、私どもといたしましては、先般の衆議院選挙の結果等にも思いをいたしますときに、今後我々が政権の立場に立っても消費税廃止して国の財政運営についてはこういうことによって大丈夫でありますということを国民の皆さんにお示しする責任があらうかと考えて九法案を提案いたしている次第でございまして、本来的には、私どもが廃止立法をいたしましても、これを受けての総合的な財政運営の責任はこの法律を受けて政権を担当する者が第一義的に負うべきものだと考えております。
  91. 前島英三郎

    前島英三郎君 消費税の代替財源を用意したと言いながら初年度の増収額は消費税の半分しかないことも明らかになりましたし、二年間の暫定税制の話をしているのに初年度は半分しかないというふうなことも出てまいりました。これについて峯山さんは、財政運営はもともと政府の責任であるとあなたもそういうぐあいに強弁したんですけれども、これはちょっと無責任だと思うんですが、いかがでございますか。
  92. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) この問題は私どもは、全部はもう申し上げませんけれども、代替財源案といたしまして、初めから五兆九千四百億の代替財源として、委員も御存じのとおり、法人税で一兆三千八百億、そして国税関係で一兆二千六百九十億、それからキャピタルゲイン関係で六千二百五十億、相続税関係で七十億、地方間接税関係で六千億、そして国税はね返り分で三千五百億ということで、初め平年度ベースで一兆七千億のいわゆる自然増収、税額調整によってやるということでございました。  それで、今委員もおっしゃいましたように、初年度ベースといたしまして二兆九千億というお話をさせていただきました。それで、これは無責任というお話をおっしゃっておりますが、私どももその後も随分いろんな角度から調査をさしていただきました。これは、いずれにいたしましても、今まで私どもは申し上げませんでしたけれども、初年度は消費税廃止したことによりましていわゆる二年度に入る分が元年度に入るという税収もあるわけでございまして、そういうような部分というのは約一兆円を超える部分があります。  こういうような部分はもちろんこれは元年度の予算になるわけでございますから、そこら辺のところはこの財政運営の問題にかかわってくる問題でございまして、そういうふうな問題もあわせまして、現在のいろんな税収やまた経済の伸び等から勘案をいたしまして、初年度は現在の、きょうの経済新聞等にも出ておりましたが、先般から私どもが申し上げておりますように、税収全体から見ても初年度、いわゆる平成二年度は現在の私どもの財源案で十分やれるのではないかと、こういうふうな自信を深めているような次第でございます。
  93. 前島英三郎

    前島英三郎君 いろいろこう審議に参加していますと実に妙に思えるわけですけれども、我々自民党消費税廃止するつもりは毛頭ないわけでありますね。とすると、消費税廃止が実現するときというのはすなわら野党が政権を握っているときであろう、こう思うわけですね。でも、あなた方は代替財源確保は政府の責任だと人ごとのように言うわけなんですけれども、その政府というのは実はあなた方の政府であらなければならないと、こう私は思うわけです。つまり、もともと消費税廃止の代替財源をどうするかというのはやはり皆さんの責任というとらえ方をもっと自覚してもらわなければならない、こういうふうに思うんです。  それなのに、本来代替財源確保は政府の責任などと言っているところは、やっぱりあなた方の頭 にあるのは、実は消費税廃止が実現しても政権の方はひとつ自民党にお願いして代替財源は自民党政府に考えてほしい、どうぞよろしくとこういうふうなことではないかというような思いを持つんですけれども、いかがですか。
  94. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 私どもは大変謙虚に考えておりまして、しかし確信を梓って申し上げているつもりでございますから、我々がこの廃止立法をやりましたら後は自民党政府でおやりくださいとは申し上げておりません。今前島さんがおっしゃいましたように、三段論法的にいきますと消費税廃止は政権の交代の可能性を現実にすることと一体的なものだと考えております。そういう意味で、私どもはあえて代替財源案も再改革の基本法案もお示しをすることが我々の責任であると考えまして、九法案を提案している次第でございます。
  95. 前島英三郎

    前島英三郎君 心意気は心意気といたしまして、私が言いたいのは、消費税のように六兆円という大きな税収が予定されている租税を廃止するということは国家財政の土台を揺るがしかねない大変なことだと、こういうことを皆さん方に認識してほしいという点でございます。それをかわり財源を見つけることはというような先ほど来の話、これではやはりみずからの責任を考えていないのではないかという気がしてならないわけであります。  やはり政権担当能力ということを示す上からも、単にまた逃げ口は国民税制改革協議会という言葉が何回も何回も出てくる、しかもそれは平成四年の四月一日からこういう方向でいくんだと、こういうふうな言葉のいろいろなからくりを見てみましても、やっぱり責任を負うべきが法案を提出した皆さん方の政策責任でもないかと、こういう気がするんです。それが筋だと思うんですが、いかがですか。
  96. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 今お話しございましたようなことについて、私どももそのように考えていると申し上げてよいと思います。私どもが消費税廃止することによってもし自由民主党が政権を担当なさることができない状況になりました場合には、当然に私どもは国民の負託にこたえて政権を担当しなければならないわけでございますから、その場合に私どもの財政運営の基本的な方向をお示しする、こういう責任を持つものだと考えております。  国民税制改革協議会にすべてを逃げ込むという御批判がございますけれども、その点は見解を異にするのでございまして、私どもとしては消費税国民の判断によって否定された、そういう立場に立っております。この国民の御意思を受けて消費税廃止することによって税制改革は新たな出発点に立つと。新たな出発点に立ちます場合には、基本法に申し上げました原則や方針に従って、国民の皆さんとともに、国会としても政府としても、全力を挙げてこの国民の信頼と合意を得られる税制改革をできるだけ短い時間をもってやり上げなければならない龍大な責任を負うものだと考えております。
  97. 前島英三郎

    前島英三郎君 この前も私は、税制改革協議会の矛盾を、峯山さんがその窓口でありますからいろいろお伺いしていったわけでありますけれども、野党代替財源を二年間のものとしているわけですが、これについてはその税制改革法第八条では、「設置後二年以内を目途として、その調査審議の結果を、」「報告するものとする。」、こうなっているわけですね。国民税制改革協議会の報告が出てからその新税制についてもちろん周知徹底をしなければならない、こう思うんです。皆さんの答弁の中に拙速拙速拙速の消費税ということがたび重なって出てくるわけですけれども、皆さんのこのひとつ十分な国民周知の期間というものを設定した形の二年間目途というのは私は物理的に見ても到底不可能だと、こういう気がするんです。  もう一度その辺について、峯山さんは大体平成三年の秋ごろを税制改革協議会の一つの答申の時期と踏まれておりましたけれども、そういうことを計算しますと、平成三年の十月あたりでしょう、秋ですから。秋に出てくる。それからいよいよ法案づくりに入る、国会で審議をする、そしてそれが実施段階平成四年の四月一日ということの後ろだけを担保にしましても、じゃ一体入口論はどこなんだと、そこを伺っておきたいと思うんです。
  98. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) いろいろと御心配をいただきまして、まことに恐縮でございます。  まず私どもは、税制改革の再改革基本法の中でもうたっておりますように、今までいろいろな税制改革議論が特にこの十年来行われてきております。したがいまして、この十年来行われてまいりましたそういうふうな税制改革のいろいろな議論を踏まえまして、これから税制改革議論をしていただこうというのがまず大前提であります。したがいまして、この国民改革協議会での議論といいますのは、決して私ども野党だけが議論をするというのではなくて、皆さん方も含めてこの議論をやっていただくということでございます。したがいましてできるだけ早く、いつまでもほうっておくわけにいきませんし、いわゆる国の経済状態とかいろんな問題も絡んでまいりますから、現在のいろんな状態の中で今が一番税制改革をがっちり議論する時期であろう、こういうふうに判断をしているわけでございます。したがいまして、この法案が成立をいたしましたら、もう年内にでもできましたらこの国民協議会を発足させていただきまして早速議論に入っていただきたい、こういうふうに私どもは念願をしているわけでございます。  したがいまして、今平成三年の秋口というお話がございましたが、確かに平成三年の秋口までには二年弱でございますから、二年という期間が長いか短いかという議論はこれはいろいろあろうかと思いますけれども、多少短いかもわかりませんが、今までのいろんな議論を踏まえまして議論をしていただければ十分私どもは間に合うのではないかな、こういうふうに判断をしているわけでございます。
  99. 前島英三郎

    前島英三郎君 拙速でという言葉を回避するにも、やっぱり一年ぐらいの国民周知の期間は必要になってくると私は思うのです。これは親切心から言っているんですから、お気を悪くなさらないで聞いていただきたい。そういう意味では、代替財源案はその二年間のつなぎという考え方をいたしましても、実施までには私はやっぱり一年ぐらいはかかるというふうに思うのです。  そうしますと、再改革実施には最短でも三年間近くは必要になり、どんなに早くても平成五年四月実施がせいぜいじゃないか、こういう気が大変強くするわけです。代替財源案は二年間だけのものではなく、少なくともやっぱり三年間ぐらいは必要であろう、こういうふうに思うのですけれども、所変わって野党流に言えば、きっとこれはもうこの法案は公約違反であるというふうなことにならぬとも限らないわけですが、これは親切心からそう思うのですが、いかがですか。
  100. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 前島先生がおっしゃるような御意見があるのも十分承知をいたしております。  実際問題として、国民の皆さん方に周知をするという問題につきましては、国民税制改革協議会の中で公聴会とかいろんな会合等いろいろやっていただいて、そういうふうないろんな議論の中で御議論をしていただきながら周知していただくということもございますし、またいろんな中で周知のやり方はいろいろあるのではないかなと思っております。  私どもももちろん、例えば政府税調の場合は消費税の場合は昭和六十三年の四月二十八日に中間答申がございまして、六月十四日に自民党税制改革の大綱発表がございまして、六月十五日に政府税調のいわゆる最終答申がございまして、七月二十九日に政府税制改革の関連法案の閣議決定がございまして、十二月二十四日に参議院の本会議で最終的に法案が成立をいたしまして、十二月三 十日に公布をしそして四月一日から消費税実施ということで、この期間を見てみますと、もちろん六十三年の四月二十八日に至るまでは例えば公聴会とか会合とかいうものが二十回とか、いろいろな会合がたくさん開かれましたということは私も承知いたしておりますが、少なくとも中間答申から公布までの間というのは非常に短い期間で実施された経過もございますので、それがいいと言うわけじゃございません。そういうふうなことを踏まえながら、できるだけ御心配のようなことがないように実施しなければいけないな、こう感じております。
  101. 前島英三郎

    前島英三郎君 そういう中で代替財源案、物品税というものを復活してこういうことになるわけでありますけれども、私もその物品税に対しましてはいろいろと私なりの意見を持っているわけでありますけれども、特に勝木さんが物品税につきましては随分お答えをしておられるわけであります。  消費税にかわる代替財源という意味で同僚議員も代替財源についていろいろ質問したわけですが、やっぱり消費税と同じタイプの税は世界四十七カ国で採用されている。これも何回か議論をされております。この税制消費税というものをもちろん一たん取り入れて廃止したという国は、勝木さん、ございませんね。
  102. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 最後の部分聞き取れませんでしたけれども、おっしゃるとおりだというふうに思います。
  103. 前島英三郎

    前島英三郎君 日本の物品税は何年に制定されたかということは、経緯はこれは昭和十二年、ちょうど私が生まれた年でもありますけれども、税の歴史を考えますと戦費調達のためというのがこの物品税であります。物品税というものが一体奢侈品として――ぜいたくかぜいたくでないかという線引きは私は大変難しいというふうに思うんです。そういう皆さん方の暮らしぶりを考え今の生活を考えますと、やっぱり物品税というのには余りに矛盾が多い。しかも、社会党は憲法違反ということをこの物品税については述べてこられたわけですけれども、物品税のよしとすることをもう一度理論的に久保さんから伺っておきたいと思います。(「曲解だ」と呼ぶ者あり)  いや、結構です。今後ろの方で曲解だと、こういうことですけれども、十一月十四日の本委員会審議で伊江さんが伊藤さんのかつての発言を引用いたしましたね。社会党はかつて物品税は憲法違反だと主張したことをお尋ねしたわけですけれども、これに対して正式に伊江委員に皆さんの考え方はお伝えいたしましたか。
  104. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 委員会で御答弁を申し上げておりますし、伊江先生も委員として御出席でございますからお答えしたことになると思っております。
  105. 前島英三郎

    前島英三郎君 委員の質問に対して本人に答える前に、実は同じ社会党同士でこれはやりとりをしているんですね。委員会のこの場でこの件を持ち出しまして、理事さんが集まって後ほどこれはしっかりと理事会の協議になるという形をもとっているわけで、私はやっぱり同じ委員会に属する委員として甚だこれは失礼ではなかったかというふうに思うんです。その辺はまだ伊江さんにはやっておりませんね。
  106. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) この問題は理事会の扱いになったと私は理解をいたしておりませんけれども、私の方が何か提案者として間違って受け取っておりますでしょうか。
  107. 前島英三郎

    前島英三郎君 ちょっと、じゃ申し上げましょうね。これは理事会の協議ということになっているんです。「久保君の方から、近日中に調査の上回答する旨申し出がありましたので御了承願います。」、伊江議員「それで結構です。」と、こういうことですけれども、それはいかがですか。
  108. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) そのとおりでございます。伊江先生にはそのようにお答えをいたしまして、その後この問題につきましては当委員会において伊藤茂君にも確認し、当時の議事録等についても調べました結果を御報告申し上げたと思っております。
  109. 前島英三郎

    前島英三郎君 どういうお調べの仕方したか知りませんけれども、昭和五十九年改正の審議の中で伊藤茂議員は、昭和五十九年三月二十一日の衆議院大蔵委員会質疑におきまして、従来物品税の本質はぜいたく品課税という説明を政府はしてきたと、物品税の性格を変えないまま課税対象を拡大したのは憲法違反ではないかと、こういう主張をしているんですよ。その辺は精査されましたか。
  110. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 精査いたしております。
  111. 前島英三郎

    前島英三郎君 その結果として、憲法違反ではないと。そういう文言に対してはどういう認識をお持ちですか。
  112. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 物品税を憲法違反だと申し上げたのではなくて、物品税を拡大したり内容を改正していく場合に、租税法定主義という立場に立てば一方的に大きな変革をやらせることについてはいかがなものかという意味の質問であったと思います。
  113. 前島英三郎

    前島英三郎君 しかし、憲法違反と述べているんですよ。憲法違反という言葉を使って物品税に対する考えを述べたことはどうですか、あったかなかったか、その辺はどうですか。
  114. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 物品税を課税いたしてまいります場合の課税の物の考え方について、これは憲法違反になるのではないかと言っているのでありまして、物品税そのものを憲法違反だと言ったものではないと、私どもはこの議事録によりましてもそのように読んでおります。
  115. 前島英三郎

    前島英三郎君 伊藤議員の質疑の五日後の昭和五十九年三月二十六日のまた委員会で、採択前の討論において今度は渋沢議員は伊藤議員の質疑を紹介しまして、物品税はぜいたく品課税と説明していたのに生活必需品にその課税範囲を拡大しておると、「これは明らかに憲法八十四条に反するとの我が党委員の強い指摘に対して、政府は何ら説得的見解を示し得なかった」と、こういう主張をしているわけですね。すなわち、物品税が生活必需品にまで課税対象を拡大していることが憲法違反だということが伊藤議員の趣旨だと解釈を私はしているわけです。そして、同僚の渋沢さんが補強して述べているわけですね。このときの課税対象と今回の野党案の物品税の課税対象とは全く同じなわけです。  したがって、この主張からすれば、今皆さんが提出している物品税法はまさに憲法違反ではないのかなと、こういう私は今問いかけをしておるわけです。いかがですか。
  116. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 当時の議事録によりますと、物品税の課税の理念というものをそのままにしておきながらごまかしごまかしでやるというのは憲法違反だし、こんな調子で議論したらこれは国会の権威といいますかそれがなくなると思いますよというのが、これが伊藤茂君の発言でありまして、これを受けて渋沢君が発言をしたものだと思っておりまして、物品税を憲法違反だと主張しているのではない。そういうふうには読み取ることはできませんし、また本人も今党の政策の責任者でございまして、そのようなことをこの五十九年の論議において自分は言っておらないということをはっきり申しております。
  117. 前島英三郎

    前島英三郎君 それは議事録の前段の部分でありまして、「とにかく憲法問題を含めた、これについてのきちんとしたけじめを出してください。そうでなかったら、こんな法案を審議して、こんな法案を通しては絶対にいけません。私は一委員としても、一議員としてもはっきり言っておきます。こんなばかげたことはないですよ。憲法違反ですよ。」と。それでもう伊藤さんは退席されているわけですよ。最後、力強く「憲法違反ですよ。」と、前段と後段の結論というのは。やはりそれは前段の部分ではいろいろ含めた解釈もあるかもしれません。しかし、後段はしっかりそう述べておるんです。それはいかがですか。やりとりに食い違いもあるかもしれませんが、私の指摘はどうですか。
  118. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 重ねてのお尋ねでございますけれども、その前段を受けて結びとして、こんなやり方をすれば憲法違反ですよということを伊藤君は力説したものだと私は思っております。まあそれで御理解いただけないものかなと思いますが、もしもこの問題でということになりますと議事録を逐一細かく見ていかなきゃなりませんけれども、私は、本人の確認におきましても、また議事録を私どもが読んでまいりましても、私が今申し上げたような立場で主張していることは間違いないとこう思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  119. 前島英三郎

    前島英三郎君 いろいろな言葉で憲法違反ということを伊藤さんが述べておった。そういうその物品税が今度の代替財源案の主流になっている。特にその主流になっている部分でも、女性の香水とかあるいはまた口紅とかあるいはまた車などに対しましてもいろんな形の物品税の復活、中にはかつての三%よりもはるかに高いものも列記されている。これこそ私はやはりいろんな疑念、懸念というものが出てくるような気がするわけであります。  さてそれでは、だんだん残り時間も少なくなってきたわけでありますけれども、続きまして代替財源案ももうちょっと聞いてみたいと思うわけでありますけれども、代替財源案について、税の自然増収をもって代替財源の相当部分は充てようということであります。それが最初は一兆三千億円でありましたが、一兆七千億円に変わりまして、それから近年税収が非常に好調であったと、これはいろんなとらえ方がありますけれども、皆さんはどういうとらえ方でこの好調ということの裏づけを語っておられますか。
  120. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 前段の一兆七千億というのが私どもの平年度における自然増収の最終的な見解でございまして、そういうふうにお考えいただきたいと思います。  それから、自然増収の問題につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、やはり経済成長が現在どういうふうになっているかというのが一番大きな問題ではないかなと考えております。
  121. 前島英三郎

    前島英三郎君 やっぱり税収が好調であったのは、実体的な景気のよさに加えまして三高二安、よく株、土地、円高ですか、それから原油、金利安といったものがあるということが大きいと思うんですけれども、今後の景気という見通しですけれども、それはどのような形、やはりこういうものの一つの国際的な流れが定着しつつあるというとらえ方なんでしょうか。
  122. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) そういうふうなことも一つの要因であることは確かであると思います。しかしながら、それだけではなしに、現在各経済予測を立てております民間のそれぞれの機関を初め大蔵省当局も最近の経済成長、例えば平成元年度の決算見込み等の予測が発表されておりますけれども、大体私どもが予測を立てておりました数字にほぼ間違いないというふうに私ども認識をいたしております。
  123. 前島英三郎

    前島英三郎君 ここでちょっとまた社会党さんに伺うんですけれども、その政策集の中で、「国民いじめとNTT株の売却益、加えて思わぬ好景気による見積りを大幅に上回る税収の好調さとによって、数字の上では財政再建の目標に近づいているといえますが、財政再建の考え方や財政運営のあり方を抜本的に見直す必要に迫られています。」、こういう述べ方をしております。この見解はいかがでございますか、変わりはございませんか。
  124. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 大体において今お読みくださいましたような方針で私どもとしては考えてまいりたいと思っております。
  125. 前島英三郎

    前島英三郎君 その中で、つまり御紹介した見解の中で「思わぬ好景気」と、こう言っているわけですね。他方、先ほどは代替財源案では大型景気は定着したというふうな述べ方をしておられるわけですが、つまり、一方では「思わぬ好景気」と言って現在の好景気がいかにも偶然でもう危なげなものという認識を政策集で示しながらも、他方では代替財源で好景気による増収を当てにしておるということなんですね、突き詰めて言えば。そうしますと、若干社会党の景気見通しというのは矛盾しているんじゃないかという気がするんですが、いかがですか。
  126. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 「思わぬ」という言葉は、これは日本語の読み取り方にもよると思いますが、私どもとしては予想を超えるという意味でそういう表現をいたしておると考えておりまして、そして内需の拡大等へいろいろと努力が続けられる結果、そういうような考え方で今後の景気の見通しというものを十分に予測していけるのではないか、こう思っております。
  127. 前島英三郎

    前島英三郎君 私は、その思わぬ好景気がそんなに当てになるのかと言いたいわけですよね。東ヨーロッパのああいう政治情勢、全く予想だにつかないこれからの速いテンポの国際情勢ということを考えますと、皆さんがおっしゃる思わぬ好景気が思わぬ不景気だってこれは当然想定しなきゃならないと思うんです。そういう気持ちはお持ちになりませんか。いかがですか。
  128. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 国際的な状況というのは、確かに御指摘のようにそれこそ思わぬ激しい変化を見せておると考えております。しかし、私どもといたしましては、当面予測される今後の日本の経済の景気の状況というのは、先ほど峯山議員も申し上げましたように、順調な成長を当分は続けるという見通しを立てて間違いはないのではないかと思っておりまして、国際的な大きな変化の中でどういう状況が起きてくるかというのはもう少し推移を見なければ判断のつけにくい問題もあると考えておりますけれども、最近の景気が内需の拡大によってもたらされているということを考えてまいりますと、今後の政策の選択を誤らなければ、私どもとしてはこのような景気の状況というものをこの税制改革をやってまいります間の見通しとしては十分に持ち得るものと考えております。
  129. 前島英三郎

    前島英三郎君 政策集ではそれに続きまして、社会党の財政再建計画として、第一段階は一般会計における国債依存率を二〇%以下にする、第二段階は国債依存率を一〇%以下にする、第三段階は特例国債の発行を取りやめるとして、いずれもその期間を五年間を目途にしているわけですね。国債依存率一〇%以下を赤字国債発行を取りやめるよりも優先する理由がちょっとわからない部分もあるわけですけれども、政策集ではさらに、「第二段階に位置している今日、財政再建については今後三年程度で国債依存率を一〇%以下にすることを目標にします。」と、こういう言い方をしております。今後三年間は赤字国債を発行することを考えているということではないかというふうな気もするんですけれども、その辺はどういう説明になりましょうか。
  130. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 私どもは、国債の累積が百六十兆を超えるという状況の中で、建設国債を含めて国債の発行をできるだけ縮小していく努力をしなければならぬ、こう思っておりまして、国債を今後新たに赤字国債として発行するというような考え方を持っているのではありません。これは今日まで私どもが国債をいわゆる赤字国債、建設国債と見てまいりました国債の全体を指して言っているのでありまして、いわゆる赤字国債を向こう三年間発行しようという考えではありません。
  131. 前島英三郎

    前島英三郎君 百六十兆円も私たちは子々孫々に今のままでいったらツケを残してしまう。今年度の国家予算も六十兆円のうちの二割、十二兆円はその利払いで消えていく。その三割は地方へ配分するとしましても、その中の十二兆円弱はいわば福祉予算である。その次は教育予算である。こういう流れを見ますと、やっぱり税制改革は当然必要で、そしてまたこれからの高齢化を考えれば当然この消費税の導入というのを私たちは避けて通れなかった、こう思うわけであります。全体の流れをいろいろ聞いてまいりますと、やっぱり私たちは二十一世紀を、高齢化時代を本当にユートピアのようにしなければならない責任があるだろうと思うんですね。そういう中におきましてもや っぱりこの消費税というもの、それから税制改革というもの、私はたくさんなるべくいただくものはいただく。しかし、その中で消費すべき点でそれなりに生活に合った消費の方法があると、私はこう思っているわけです。  そこで、物品税というものへの非常な批判におこたえして一つの薄く広くという本来の消費税というものが導入されたわけですが、いま一度私は、自由民主党見直し案も出ました。そして、広く薄くのこの問題、私たちはしっかりと評価をしたいと思っているわけですが、この見直し案につきまして皆さんはどういう考えを持っておられますか。
  132. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 今前島さんのおっしゃいましたことが議論の分かれるところだと思っておりまして、私どもは二十一世紀を見通しながら、歳出の面、歳入の面、両面にわたって今後の国家財政というものを考えていかなければならないと思っておるのでございます。その中で、この税制改革という歳入にかかわる部分、そしてそこへ消費税を持ち込むという税制改革が絶対的な条件であるとするところに私は今日の大きな誤りがあろう、こう思っておりまして、税制改革をどのような形で行って歳入を確保しつつ歳出を工夫して二十一世紀に、前島さんのお言葉をおかりしますならばユートピアを建設していくかという問題であろうと思っておりまして、そこが議論の分かれ道であります。  そこで、その消費税見直し案をどう見るかということでございましたけれども、私は、発表されました消費税見直しに関する自民党のお考えというものを読ましていただきまして、これはやはり大変だなと思っております。  一つは、参議院選挙で示された国民の皆さんの審判を謙虚に正面から受けとめたものであるかどうかということです。そして、その内容はますますこの消費税の矛盾と混乱を大きくするばかりであろう。今日まで私どもの代替財源案や税制再改革の基本方針について御批判をいただきました点は、そのままそれよりももっと大きな形で消費税見直しの中へみずから持ち込んでしまったのではないだろうかと、こう思っております。  さらに問題なのは、これが法律案としていつ一体どういう形で出されるのか、そういうことが明らかにならないまま来年度の予算がこの見直しの大綱なるものを根拠にして組まれるということになれば、これは一体どういうことになるのであろうか。私は今これらの点について、この見直し案は徹底的に議論されなければならない問題だと考えております。
  133. 前島英三郎

    前島英三郎君 私たちはとにかく消費税へのやはり国民の皆さんの理解を求め、そして今度の選挙も戦いました。それは御指摘のように、やはり皆さんのおっしゃるように、消費税のイエスノーというふうな戦いだけではなくて、そこには農業問題や政治不信やいろんなものが絡み合ったと思うわけであります。皆さんの主張を聞いておりますと、特に社会保障の関係につきましては、まことに非現実的なものであるということがわかったような気もするわけであります。今我が国がほかに例を見ないスピードで人口構造の高齢化が進展していることを考えますと、やっぱり年金、医療のみならず、障害者福祉も含め、確かに社会保障というのは今後重要な課題になっていくわけですから、そういう意味でも高齢化時代を目指した、これからのやはり給付と負担の問題も含め、税制のあり方というのは大変重要だと思うわけであります。  皆さんの思いつきのような形の代替財源案では国民はただ戸惑うばかりだということを大変強く遺憾に思う次第でございます。やっぱりこれからは給付をふやしていけばいいというものでもありませんし、日本は日本の福祉をどのように構築していくかということも大変重要になってきましょうし、支える人と支えられる人というのがいるわけでありますから、そのためにもやっぱり人という字になるように、これから私たちは真剣に考える必要があるように思います。  皆さんのいろんなことを私は問題の中で申し上げてまいりましたけれども、バラ色の皆さんへの公約を振りまいて、そしてそれがあたかも消費税だけによって審判を受けられたような誤解を私は国民に与えているような気がするわけであります。社会党は確かに票は伸びたかもしれない。そして自民党は票は減ったかもしれない。しかし、それは消費税がすべてであるとは私は到底思っていないわけであります。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)ね、そのとおり。そして、そういうためにも、ならば公明党も伸びなきゃおかしかったし、あるいは民社党もともに伸びなきゃおかしかったんです。もちろん共産党も負けました。そういう意味では、社会党だけが一つの形として、確かに消費税イエスかノーかという形の中だけで私はこの選挙が行われたようにも思っているわけであります。  そこで、最後になりますけれども、公明党の皆さんは今度の選挙の敗因ほどのように分析されておられるのか、まず公明党、それから民社党にも伺いたいと思います。
  134. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 私どもは、今回の選挙消費税廃止ということで戦わせていただきました。したがいまして、私どもはいろんな状況がございましたから、現在の二十一議席を確保することができたというのは、私どもとしましては議席は多少減りましたけれども善戦健闘であったと、こういうふうに思っております。  しかし、選挙の中で私どもは消費税廃止ということを大きく掲げまして選挙を戦わせていただきましたので、今回選挙が終わりましてからも、早速消費税廃止のための闘いを開始したと。国民の皆様方と公約した公約を守るというのが勝ち負けにかかわらず私どもにとっては大変大事な問題であると、こういうふうに考えておりますので、そういうふうな意味では、今回の国民の審判というのは私どもには大変厳しい審判ではございましたけれども、いずれにしても選挙消費税廃止するという大きな看板を掲げて戦った私どもにとりましては、選挙が終わりましてから早速その問題について取り組み、現在社会党さんや各党の皆さん方と一緒になってこの法案を提案し、そして御審議をいただいているというのが実情でございます。
  135. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 参議院選の敗因の一つとして、消費税問題に対する我が党の対応が国民の皆さん方には大変わかりにくかった点もあるのではないかというふうに反省をいたしております。
  136. 前島英三郎

    前島英三郎君 いろいろ言いわけといいますか、それは理由はあるにいたしましても、消費税国民のすべての合意でそれは廃止だという決めつけ方はやっぱりおかしいんですよね。やっぱりおかしいんです。選挙というのはそれだけがすべてではなくて、いろいろなものが錯綜した中で選挙が行われたんだということを私は強く言いたいわけです。  そして、今度皆さん方のいよいよ消費税廃止法案が今国会で議論されているわけですけれども、その矛盾点もいろいろついてまいりました。特に私は社会保障関係に長年携わってきておりますだけに社会保障に対する関心も大変強いわけでありますけれども、やっぱり先ほど来御指摘したように、社会保障を充実させるといいましてもただ給付をふやせばよいというものでは決してなくて、常に給付と負担のバランスを考えなければならないわけでありますから、社会党の給付と負担のバランスを全く無視した夢物語を聞いているような気がいたしまして、私は大変腹立たしい思いを感じたわけです。  数字を出してくれというようなことを言いましたら、まあそれはやくざの言いがかりだとやじられもしましたけれども、そうじゃなくって、私たちはこういうものはやはり数字がしっかりしていかないと、その数字国民の心というのは動かされやすい。それによって一票を投ずる人たちへの一つの皆さんの裏切りということを思いますと、やっぱりその辺はしっかりと反省をしていただか なければならないというふうに思います。久保さんも国会での答弁の中でこの新政策集は私たちの公約であるということでありますから、間違った公約の中で当選してきたという反省を一面ではする必要もなきにしもあらずだと、このようにも私は思うわけであります。  そういう点でも、ぜひ今後社会保障というものは大変厳しい情勢を迎えるということにかんがみまして、やっぱり慎重な、皆さんのバラ色だけの公約は横行させないような反省を強く私は求めまして、私の残された質問を終わらせていただきたいと思います。(拍手)
  137. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 前島さんの御批判や御意見はよく承りました。ただ、私といたしましては、公約を偽って選挙を戦ってきたとは考えておりません。選挙は、あくまでも公約というのは政治の理想を語り、現実を訴えて戦うものだと考えておりまして、その点について足らざる点はあっても、この公約を誤って選挙を戦ったとは全く考えておりません。  ただ、今前島さんが、将来に向かって日本の政治をいかにすべきかということでいろいろと御意見を開陳なさいました点について、党派を超えて私どもがともに政治家として心すべき点については、これからもまた皆さんと一緒に努力をしたいと考えているところでございます。
  138. 前島英三郎

    前島英三郎君 どうもありがとうございました。
  139. 松浦孝治

    松浦孝治君 十一月の十日に九法案に対する趣旨説明が行われまして、十四日から本格的な九法案に対する論戦が続いておるわけでございますが、私聞いておりますと、質疑をすればするほど疑問を持たざるを得ない九法案であると感じておるわけでございます。そこで、前段者からいろいろ御質疑があった点と重複するわけでございますが、私も十分理解できませんし、また税は国民経済並びに国民の生活に大きな影響を与えるものでございますので、今後質問いたします点につきましては明瞭にお答えを願いたいと思います。  それでは、まず最初に、過般の政府が行いました税制改革につきましてでございます。これに対しましていろいろな効果が出てきておるわけでございます。そういう点で、我が自由民主党も五年をかけまして、あるいは政府も五年もかけまして、過般の抜本的な税制改革ができ上がっておるわけでございます。そういう中で、六十二年度、六十三年度において五兆五千億円の所得税、住民税の大幅な減税が行われ、国民経済や国民生活に大きな影響をもたらしております。今年の四月一日より個別物品税廃止され、新しく消費税が導入されておるのでありますが、さしたる混乱もなく経済は順調に推移しておると私は見ておるわけでございます。  そこで、経済企画庁長官にお尋ねをいたしたいのでございますが、過般の税制改革国民の勤労所得あるいは一般所得消費の向上にどのような影響を与えておるかどうか、お聞かせを願いたいのでございます。そのときに、あわせて最近の経済動向、物価動向、これは諸外国の状態がわかっておりましたらそれも含めて御説明をいただきたいし、また今後の景気の見通し、予測についても御説明をいただければ幸いでございます。
  140. 高原須美子

    国務大臣高原須美子君) まず最初に、国民生活への影響を御説明申し上げたいと思います。  先ごろ発表いたしました平成元年国民生活白書では、昭和六十三年度の所得税、住民税の減税と平成元年度の消費税の創設並びに既存間接税等の改廃により、夫婦と子供二人で給与収入五百万円という平均的な勤労者世帯では、平年度で四万八千円年間の負担が軽減されるという試算が行われております。  それから、税制改革消費に与えた影響につきましては、昭和六十二年度、六十三年度に行われました所得税、住民税の減税は、六十三年の好調な消費を支えた一つの要因となったとこの白書は分析しております。  また、平成元年度では、消費税の導入による物価の上昇は、確かに消費を抑える方向に作用いたしますが、一方で物品税の廃止等による価格の引き下げ、六十二年度以降の所得税、住民税減税は消費をふやす効果があり、税制改革全体といたしましては元年度で〇・二%程度消費を押し上げる効果があると分析いたしております。  次に、消費税が導入されてからの日本経済の動向を御説明申し上げます。  最近の我が国の経済を見ますと、個人消費、設備投資等を中心に国内需要が堅調に推移し、また企業収益は一段と改善しており、雇用者数も引き続き増加するなど、拡大局面にあります。こうした中で、九月下旬に発表されました本年四―六月期の実質経済成長率は、季節調整済み前期比でマイナス〇・八%となりましたが、これは消費税導入前に駆け込み需要があり、その反動から低下した一時的要因によるものと思われます。その後の各種経済指標などから見ましても、基本的には内需主導型の着実な成長が持続しており、大変に息の長い好況になっております。  今後につきましても、個人消費が雇用者所得の増加等を背景に堅調に推移すると考えられること、また設備投資につきましても堅調な国内需要等を背景として着実な増加が見込まれること、これらの理由により、引き続き内需主導型の着実な成長が見込まれます。  次にお伺いの消費税導入後の物価の動向でございますが、消費税は最終的には消費者に負担を求めることを予定している税であり、導入時には若干の物価上昇が生じました。しかし、この物価上昇はいわゆるインフレ的な物価上昇とは性格を異にする一回限りのものでございます。  消費税消費者物価への影響は全体として見ますと、四月に大部分あらわれた後、五月にも若干見られましたが、六月におおむね出尽くしたと考えられます。最近の消費者物価の動向を見ますと、十月の全国総合指数は前月比〇・八%、前年同月比二・九%の上昇となっております。また、十一月の東京都区部の速報は、天候が順調に推移したことなどにより生鮮野菜が急落したこともありまして前月比〇・九%の下落、前年同月比は十月の三・一%上昇から二・五%上昇へと上昇率は鈍化しております。これらを踏まえますと、消費者物価の安定基調は基本的には変わっていないと考えられます。  そこで、消費者物価の上昇を海外と比較いたしますと、十月の数字では前年同月比でアメリカ四・五%上昇、西ドイツ三・二%、フランス三・六%、イギリス七・三%、イタリア六・八%の上昇となっており、二・九%という日本の上昇率は消費税の導入による上昇分も含めましても諸外国の上昇率に比べて低くなっております。  いずれにいたしましても、物価の安定は国民生活安定の基本要件であり、経済運営の基盤となるものであることから、今後も為替レート、原油価格及び国内需給の動向などに十分な配慮を行って、物価の安定に努めていきたいと思っております。
  141. 松浦孝治

    松浦孝治君 ただいま高原経企庁長官の方から、消費税導入状態に対する国民経済あるいは物価に対しての御説明をいただきました。また、先行して六十二年、六十三年度に大幅な所得税減税、住民税減税を行っておるわけでございます。それが現在の平成元年度のあるいはまた六十三年度の経済あるいは国民消費動向に大きなインパクトを与えて順調な日本経済の状態をつくり出しておる、そういう認識であるわけでございます。これは税制改革の効果と、あるいはまた今まで行ってきた政府自民党の経済政策がうまくいっておると判断をしていいと私は思うわけでございます。  そういう中で、こういう状態に対して発議者はどのように判断されておりますか、お聞かせを願いたいと思います。
  142. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) 所得税、住民税減税が五十九年来減税措置が行われておりませんことは御承知のとおり。個人所得に対する増税が進んでいたことを勘案すれば、当然行われなければならなかった措置ではないか、こう一つは考え ます。  今回行われた所得税、住民税減税の国民経済と国民生活に及ぼす影響を私たちなりに考えますと、減税と同時に消費税の導入が実施されたことを考慮しなければならないのではないでしょうか。大蔵省試算でも、夫婦子供二人、有業者一人、この場合年収三百万円の世帯では一万五千円の減税になり、年収一千万円では二十三万二千円の減税となります。減税率はともかく高額所得者ほど優遇された、こういう印象は明らかでございます。また、今回提案されている年金改正案によって厚生年金の保険料が上がりますと、年間給与が三百万円の世帯では逆に一万円程度の負担増になるのではないかというおそれがございます。個人消費が順調に推移しているとしても、高額商品が売れている現状を見ると、所得格差、生活格差が拡大しているのではないでしょうか。  税制改革は景気にそれほど影響がないのではないか。仮に景気の持続に大きな影響を及ぼすとしても、政府あるいは自民党が主張している税制の中立性に反することになるのではないかと考えております。
  143. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 所得税減税、住民税減税の問題につきましては、ただいま答弁がありましたとおり、これはもう委員もよく御存じのとおり、四十年代には毎年それぞれ減税がございましたのが、五十年代になりましてからはもう御存じのとおり、五十二年とたしか五十九年だったと思いますけれども、二回しかございませんでした。そういう経過からも、私どもといたしましては、今回の所得税減税についてはそれなりに評価をいたしている、こういうふうにも申し上げてきております。  それから、先ほどの今回のいわゆる物価の問題から申し上げますと、高原長官は四月、五月、一回限りの物価の上昇と、こうおっしゃいましたね。確かにそうではありますけれども、これはいずれも消費税影響ということでお話しございましたが、ことしの一月から三月までを見てみますと、物価は大体前年同月比で一%台で推移してきております。それが一回限りとはいえ四月から五月になりまして大体二%台になりまして、三%台に近くずっと上がってきているわけです。少なくとも消費税の導入がなければ一%台で推移したんじゃないかなと、私はそう思うわけです。今外国の例をアメリカ四・五%、西ドイツ三・二%、フランス三・六%というようにお話がございましたけれども、そういうような面でいきますと、日本も諸外国と同じぐらいの上昇率になってきたなと、こういうふうに感じているわけでございます。  それからもう一点、高原長官から五百万円台のいわゆる標準世帯での全体として四万八千円の年間負担が軽減されるというお話がございましたが、国民生活白書によりますと確かにそういうふうになっておりますけれども、ここの計算の基準というのがありまして、これはなかなかいろんな計算がございまして、五百万円の基準で申し上げますと大体全体で私どもは一万六千三百円の増税になる、こういうような考え方を持っておりまして、これはいろんな基準がありますからそれなりの考え方があるわけでございまして、消費税に対する見方、考え方で変わってくるわけでございますけれども、私どもとしましてはそういうふうに考えているわけでございます。
  144. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 私どもといたしましては、所得税減税あるいは住民税減税につきましては、社会、公明、民社、社民連の四野党と協力をして減税を実現したということにつきましては評価いたしております。
  145. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 昭和六十二年度、六十三年度の税制改正によりまして所得減税がなされたという点でございますが、これらの減税は我が党を初め野党の強い要求によって実現したものというふうに私どもも考えております。  昭和六十二年度の改正で二兆二千億円規模の所得減税が行われました。このときの減税は私ども野党の要求によって行われたものでございまして、売上税廃案後の与野党税制改革協議会が行われておりますが、ここでも野党は二兆円規模の減税を求めておったわけでございます。したがいまして、このときの減税を確かに評価いたしておりますが、このときマル優廃止という大衆増税と抱き合わせで行われたことに我が党は強く反対をいたした次第でございます。  また、昨年の税制改正に三兆三千億円規模の所得減税が盛り込まれましたが、これらのうちの一部は確かに私ども野党の強い要求によって、六十三年に大型間接税と切り離して先行実施されたものでございます。これは十二段階所得税率を六段階に圧縮するという画期的なものでございました。これには全党が賛成しております。また、その他の諸控除の引き上げ等も、もともと私どもが主張していたものであることを指摘したいというふうに思っておるわけでございます。これらの減税は政府だけでやったのではなく、私ども野党が強く求めたから実現したということを再度強調しておきたいというふうに思います。  また、これらの減税が国民経済にどのような影響を与えたかという点でございますが、平成元年国民生活白書でも、これら減税は「六十三年の堅調な消費を支えた一つの要因となっていた」と述べられておりますが、私もこれらの減税は消費を拡大し、景気を上昇させることになると考えております。しかし、税制改革はトータルで論じなければならないんじゃないかということで、大衆増税たる消費税導入が行われておりますので、減税の効果は大きく減殺されたものというふうに考えます。国民生活白書によりますと、「税制改革全体で元年度〇・二%程度消費を押し上げる効果があると考えられる。」というふうに述べられております。しかし、経済はマクロ的な側面はもちろんのこと、ミクロ的な側面にも注意を払わなければならないんじゃないかというふうに思うのでございます。仮に全体として消費が拡大したといたしましても、年金生活者とか低所得者など社会的弱者は逆にしわ寄せを受けているのではないか、そういう気がするわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、六十二年度、六十三年度におきまして実施されました減税は、それだけを見れば確かに消費や景気の拡大に寄与しているというふうに考えます。これを高く評価いたしておりますが、消費税という大衆増税とあわせて見てみますと、ミクロの面からでありますが、年金だけで細々と生活をする人、また中小零細企業に勤め収入が低いままの人、そういった人々の家計を直撃するなど悪い影響も出ているのではないか、そういう感想を持っております。
  146. 松浦孝治

    松浦孝治君 それぞれ御答弁をいただいたわけでございますが、野党の皆さん方の要求で大幅な所得減税がなされたのではありません。それは中堅サラリーマンへの直接税の偏りという大きな問題点を抱えていたわけでございます。それを抜本的に改革しよう、そして所得消費、資産の均衡ある課税体系をつくろう、こういうことで政府自民党は考えて過般の抜本的税制改革を行ったわけでございます。そういう結果が最近の日本の経済を安定化させておると私は判断をいたしておるわけでございます。  そして、もう一点は物価でございますが、確かに消費税を導入すれば物価が上がる。これは政府の見通しでも一・二%ぐらいは影響するということを導入する前から公表いたしておるわけでございます。それを入れましても、諸外国と比較をいたしまして日本の物価はかなり低い状態で安定をいたしておるわけでございます。そういう点は十分御理解をいただかなければ、過般の消費税導入に対して、これを導入すれば大いに物価が上がって日本の物価が混乱するようなそういう宣伝をされたわけでございますが、数字から見ればこのように安定しておる、それを認識をいただかなければならないと私は思っておるわけでございます。  それでは、消費税廃止九法案につきまして論議に入りたいと思うわけでございますが、今までの論議を聞かしていただいておりますと、どうも消 費税廃止ありきが進んでおりまして、将来展望は国民税制協議会へ逃げ込むという、そういうスタイルが答弁であるように思うわけでございます。私の質問の内容は、それぞれの方々と重複をすることになりますけれども、私が十分理解ができないのかわかりませんが、しかし先ほども言いましたように税は国民にとって非常に大切でございますので、今後具体的なことを聞いてまいりますので具体的にお答えを願いたいと思います。  まず、消費税における中小企業者への課税の特例についてでございます。それは消費税には免税点、限界控除、簡易課税制度があって、消費税だと思って払ったものが国庫に入らず事業者の手元に残るという構造的な欠陥がある税制だと殊さら強調をされておりますけれども、またそれを消費税廃止一つの理由と考えられておるようでございますが、その点どうでございますか。
  147. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 今委員がおっしゃったような問題は、消費税の持つ構造的な欠陥の一つだと考えております。
  148. 松浦孝治

    松浦孝治君 それでは、その三つの中小企業に対する特例による減収額はどれぐらいですか。
  149. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 大蔵省の資料によりますと、いわゆる小規模事業者の特例措置によって国庫に入らないという金額は、まず課税ベースからいきますと十六兆円とされております。
  150. 松浦孝治

    松浦孝治君 課税ベースで計算して、大体……
  151. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 課税ベースで十六兆円、そして国庫に入らないと言われております金額は四千八百億でございます。
  152. 松浦孝治

    松浦孝治君 四千八百億とお答えがあったわけでございますが、これはすべての免税業者、限界控除、簡易課税制度の適用者がこの制度をすべて適用し、かつ消費者に三%を全額転嫁して、それによって四千八百億の消費税が出てくる、こういうことの計算になるわけでございます。  そういう点で政府にお聞きをいたしたいわけでございますが、転嫁状況等について御説明をいただきたいと思います。
  153. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) お答えいたします。  通産省におきましては通産省所管の主要な商品、サービス百四十七品目につきまして毎月末時点転嫁状況の調査を行っております。それによりますと、おおむね転嫁しているとする事業者の割合が、消費税実施直後といいますか間もなくの四月末の時点で八〇・五%、それから七月末の時点で八二・五%となっておりまして、転嫁はおおむね順調に進展しているものと考えております。
  154. 松浦孝治

    松浦孝治君 それでは、三千万以下あるいは五億円以下ですね、三千万から五億円までの業者転嫁状況はどうでございますか。
  155. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 私ども三千万以下の免税業者につきましても転嫁状況の調査をいたしたことはございますが、転嫁しておるものと考えておる業者転嫁が必ずしも円滑にいっていないとする業者の割合はおおむね半々程度ではないかと考えております。
  156. 松浦孝治

    松浦孝治君 今政府答弁で、三千万以下の免税業者への転嫁状況は半分ぐらいである、こういう御答弁でございます。  そうなりますと、三千万以下の業者消費者に全額転嫁をした場合に、その分が事業者に入りまして、それによって、免税でございますから仕入れに対する消費税業者が仕入れに支払いまして、その差し引いたものが残るということになるわけですが、先ほど発表されました四千八百億、この中に、免税業者の謀税べースはどれぐらいあるとお考えですか。
  157. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) これも大蔵省の資料によりますと、約八兆円とお伺いしております。
  158. 松浦孝治

    松浦孝治君 そういたしますと、八兆円でございますから二千四百億円、こういうことになります。それの半分が転嫁がされていないということになると一千二百億はそれは転嫁がないわけでございますから、免税業者はそれを受け取らないということになるわけでございますから、そういう点を考えると四千八百億というのは大きい。これは丸々入っておるという認識を皆さん方は言われるけれども、実態はそうでないということでございます。  そういう中で、中小企業関係の事務負担軽減ということを考えてこういう制度をつくっておるわけでございまして、そういう点につきましては諸外国においても例があると思うのですが、その点どうでございますか。
  159. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 私どもは、この四千八百億が一〇〇%転嫁した場合のことであるということは十分承知をいたしております。したがいまして、一〇〇%四千八百億がその事業者の手元に残り、国庫に入らないと言っているわけではございません。先般の本会議におきましても、海部総理小売で四割、サービスで七割の業者しか転嫁していないというお話もございましたし、そういう点も十分承知をいたしております。したがいまして、実はこの委員会に入る前に資料が手に入ったわけでございますが、今委員のお尋ねの、三千万円以下の免税業者の課税ベースが約八兆円、今委員計算されましたように、今政府委員答弁によりますと二分の一転嫁しているわけでございますから、約千二百億が手元に残っておるということになります。  それから、それ以外のものにつきまして転嫁が八〇・五%というお話でございましたから、この八〇・五%を、簡易課税の課税ベースが六兆円とお伺いいたしておりますのでこの分と、それから限界控除分の二兆円の課税ベースということに聞いておりますのでこれは六百億でございます。この両方を計算いたしますと、大体八〇%と計算いたしまして千二百億の三千万円の分と、それから簡易課税と限界控除の両方を合わせまして大体二千億ですね。計算は間違っていないと思うんですが。それでトータルでは、政府の今のお話によりますと、トータルで約三千二百億がいわゆる業者の手元に残る、こういうふうになるのではないかな、こういうふうに考えております。
  160. 松浦孝治

    松浦孝治君 外国に例があるかどうか。
  161. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 中小企業の皆さん方の手当ての問題ですね。そういう例は外国にもあると聞いております。
  162. 松浦孝治

    松浦孝治君 ただいまも申しましたように、この免税点、簡易課税制度は、やはり零細業者に対するあるいは中小企業者に対する納税事務負担を軽減することに配慮してつくられておるわけでございます。諸外国にも例があるわけでございます。  そういう中で、こういう徴税費用を出しておる状態があるわけでございます。それを見てみますと、納税組合組織というのがございまして、地方税、県民税、住民税をこれを納めてもらうというか、共同してお世話をいただく、こういうことが行われております。六十二年度で組合補助金として二百四十三億円が出されておるわけでございます。また前納報奨金という、これは個人的なことであるわけでございますが、三百三億円。こういうようないろいろな徴税コストに対するそれの緩和ということをそれぞれ処置しておる面がいろいろあるわけでございます。  そういう点で、七〇%をこの免税点でカバーできるという中で、先ほどお話がありましたような制度によって三千二百億全体でその事業者の中に残るかもわかりませんが、それは徴税事務経費ということを考えた場合に、私は中小企業者に対してこういう配慮はなされるべきであるし、また外国の例を見ましてもあるわけでございますから、これがいかにも消費税の欠陥だと、しかもこれによって消費税廃止する一つの根拠としておるのは、私は余りにも短絡的ではないかとこう判断するわけでございますが、御意見どうでございますか。
  163. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) これはちょっと話が多少食い違っている点があると私は思います。  やはり一番大事なことは、税というのは国民の納めた税金が国庫に入るか入らないかという問題 がこれは非常に大事な問題です。したがって、この点は、私たちが納めた税金が国庫に入らないということになりますと、税に対する大きな不信が起きてまいります。やはり税というのは国民の信頼と合意というのがその前提に非常に大事な問題であると考えております。したがいまして、そういうふうな意味では、私はこの消費税制度の中にこういうふうな国民の不信を買う制度が含まれているというのは抜本的な欠陥であると考えております。  今委員がおっしゃった問題、いわゆる中小企業のいろんな事務手続とかそういうふうな問題は違う制度でそれなりの対応をすべきであって、制度の中で税に対する不信を増幅するような制度があるということ自身が私は問題である、こういうふうに考えております。
  164. 松浦孝治

    松浦孝治君 制度の中にそういうものがあると言われますが、やはりこういう形がありますよと、しかし徴税コストがかかるためにこういう制度を設けさしていただいているんですよということではっきりと法律の中にそれをうたい込んであるわけでございまして、それはやはり、そういう中小企業者、零細業者への徴税の配慮だと私は考えております。  それでは、次へ移らせていただきたいと思いますが、野党の代替財源の問題でございます。  物品税のことについてお尋ねをいたしたいわけでございますが、先ほども申しましたように、税制国民経済、国民生活の基礎であり、税制の変更はこれらに大きな影響を及ぼすものでございます。そこで、税制に対する理念や合理的な根拠を示さなければ、国民の信頼も合意も得られないわけでございます。なぜ消費税の財源として個別間接税の復元を選択されたのか、合理的な根拠をお示しいただきたいと思います。
  165. 梶原敬義

    委員以外の議員(梶原敬義君) 個別間接税をなぜ復活したかということだと思いますが、考え方を申し述べます。  単に課税ベースだけを比較いたしますと、課税対象個々に挙げている個別間接税が消費一般に課税する消費税に比べて狭く、その中で税収増を図ろうとすれば税率を高くしなければ必要な税収が確保できないことは事実であります。ただ、個別間接税は個々の物品の担税力に応じた課税ができ、消費税の最大の欠点でもある逆進性についてもかなり緩和できるというメリットも持っております。私たちは、直接税を主とし間接税を従と位置づける中で、所得、資産、消費等について均衡ある税体系の確立を目指しており、税収のウエートが単にバランスがとれたから均衡ある脱体系が確立できたと言えるものではないと考えております。要は、所得、資産、消費等の間で担税能力に応じた適切な税負担を求めることが均衡ある税体系を確立する基本であると考えております。
  166. 松浦孝治

    松浦孝治君 それでは、物品税の課税品目を選んだ基準を示していただきたいと思います。
  167. 梶原敬義

    委員以外の議員(梶原敬義君) たびたびこれは御答弁さしていただいておりますが、消費税廃止する以前にありました物品税、それをそのままこの二年間に限って暫定的に復活さしております。
  168. 松浦孝治

    松浦孝治君 それでは、実は野党四党も物品税の課税品目、先ほど梶原議員の方から御説明がありました逆進性が少ないしあるいは担税力がある、そういう基準で今回の物品税を旧物品税の品目のまま取り上げた、こういうことですか。
  169. 梶原敬義

    委員以外の議員(梶原敬義君) 基本に考え方の違いがあると思います。要するに消費税約五兆九千億円、これを廃止をします。そして、では廃止をした場合に一体その財源をどうするのかという考え方に立って、その考え方一つとしては、不公平税制、不公平をなくす、そして同時に総合累進課税を応能主義に従ってやっていく。そしてさらに、それで財源が全部出てくるわけではない、そういう意味でキャピタルゲインの課税もありますが、そういうのを入れてそしてやはり物品税も復活させてもらおう、そういうことです。要するに消費税廃止、五兆九千億円は先にこれを廃止するというのがありますから、そこから出てきているわけです。
  170. 松浦孝治

    松浦孝治君 それでは、復活した旧物品税と品目は同じでございますが、これには矛盾がある。それはどうですか、考えられていますか。問題があるでも結構です。
  171. 梶原敬義

    委員以外の議員(梶原敬義君) もうたびたび指摘をされておりますように、その中にはこれにかかってこれにかかっていないじゃないか、こういう指摘がありますのはもう承知をしております。ただ、ダイヤモンドには三%の消費税でそして生活必需品にも三%の税金、これにも逆に消費税そのものを入れて物品税を廃止する、そこにも矛盾がある、その点もあわせて御理解を願いたいと思います。
  172. 松浦孝治

    松浦孝治君 それでは、税制改革基本法案があるわけですが、これは置いておいて、今回物品税を復活されています。それについて矛盾があるということを今認められておるわけでございますが、昨年の八月、四野党が不公平税制の共同提案というのを出されていますね。それは御存じですか。――もう一回きちっと聞きます。不公平税制是正の共同提案というんです。八月十七日です。
  173. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) おっしゃるとおり、八月十七日の不公平税制の共同提案、ございます。
  174. 松浦孝治

    松浦孝治君 その是正をしようという中での十項目、これの第十項目目を読んでください。
  175. 梶原敬義

    委員以外の議員(梶原敬義君) 読みます。   現行の個別物品税制には多くの矛盾がある。そのため物品税のあり方については時代の推移にあわせてどうあるべきかの議論を重ねる必要があると考える。しかし現行の問題点を放置してきた、政府自民党国民の合意なしに一挙に消費税=大型間接税の導入の口実にすることは承認できない。今後われわれは受益者負担、環境保全、省資源、消費抑制などの観点をふまえた個別物品税制の再構築を図ることをふくめ、国民の合意を図りつつ、時間をかけて検討する。 こうなっております。
  176. 松浦孝治

    松浦孝治君 そううたわれておるわけですね。  野党四党の共同提案ということで、しかも不公平税制の是正というそういう十項目の中で、「個別物品税制の改革」、こういう項目を一項目立てて、これに問題がある、そういうことをうたいながら今回もう一年四カ月たっているわけですね、今ぐらいであれば。だから、今この提案をされておるのはこれから一年後、十一月ですからもう一年以上たっている。しかも、こういう不公平税制として是正をしなければならない個別物品税であるということを四野党は認めながら、今回の代替財源として物品税を復活してきた。それでいいんですか。実際に欠陥があると認めておるそういう税制を提案してくるというのは私はおかしいと思いますが、御見解を。
  177. 梶原敬義

    委員以外の議員(梶原敬義君) 松浦先生厳しく指摘されるのはわかるんですが、この文面はちょっと意味が先生が言っていることと少し違っていると思います。  要するに、物品税に矛盾があるからといって消費税導入の口実にしてはならないということが一つはっきりうたわれております。そしてまた後段では、矛盾はあるけれども、この個別物品税の再構築を図る、これから検討を重ねてよりよいあるべき姿を求めていこう、時間をかけて。そういうようなことを書いておりますから、その点については御理解をお願いしたいと思います。
  178. 松浦孝治

    松浦孝治君 しかし、大々的に逆進性緩和できる、しかも担税力のあるのが物品税だという、そういう説明をして導入された理由に挙げられておるわけでございますね。そうすると、いろいろ問題がある、多く直さなければならない、こういうことは認めつつ今回は提案をされておる。しかし、この個々の物品、これには担税力が皆さん方あると思われていますか。笹野さんで結構です。
  179. 梶原敬義

    委員以外の議員(梶原敬義君) 物品税は少し私の方で重点的にやっているものですから、笹野さ んのかわりに……。
  180. 松浦孝治

    松浦孝治君 ああそうですか。申しわけない。
  181. 梶原敬義

    委員以外の議員(梶原敬義君) ただ、何回も申し上げますけれども、二年間の代替財源案を示すということで、そういう意味で、要するに消費税廃止をするという前提があって、五兆九千億の財源を一体どうするか。その中で、幾つか考えた中でやはりこれは消費税廃止する、逆進性の強い消費税廃止する、そういうことで物品税の復活。その物品税は、したがって個々の物品についてはもう前に行われていたものを踏襲してきたわけでございますので、その点はそのまま素直に御理解をお願いしたいと思います。
  182. 松浦孝治

    松浦孝治君 私は素直に実は理解をしておるわけでございましてね。税金というのは、二年間だから我慢してくれ、こういうわけには私はいかないと思うんですね。欠陥もある、しかし消費税よりもいいから二年間我慢してくれ、こういうことかもわかりませんが、それは私はおかしい。すなわち、欠陥があると認めながらその税を求めていくということは私は許されていない。税とは国民の財産権を直接に侵害するものであるからでございます。  そこで、今回の物品税の導入は、個々の担税力あるいは逆進性の問題もさることながら、都市と地方との問題の中で、私はかなり地方への問題を残すということを考えておるわけでございます。資料といいますか、私の考え方を事前に皆さん方に一、二お渡しをいたしておりますので、その点でちょっとお聞きをしてみたいと思います。  それは、まずテレビのことでございますが、一人当たりの県民所得を見てみますと、東京都では一年間三百三十八万六千円、これは資料をお渡ししてございますのでおわかりだと思うんですが、あるわけです。大阪府では二百五十六万円。そうなっています。    〔委員長退席、理事井上吉夫君着席〕 一方、私の出身県であります徳島県では百七十九万円しかございません。山形県でも百七十八万一千円。一人当たりの県民所得が東京とか大阪とかと比べますと徳島とか山形とかこういう地方は非常に少ない。格差があるわけでございます。  また、老人のいる世帯を見てみますと、東京都は一六・六%でございます。大阪府は一七・九%。それに引きかえ徳島県は三〇・五%、山形県は三七・二%となっておるわけでございます。所得の低い県が老人のいる世帯数の比率が高くなっておる、こういうことでございます。  それで一方百世帯当たりのテレビの受信契約数、これを比較してみますと、東京都が六十八・五件、大阪府が七十三・九件、それに引きかえ徳島県は八十一・六件、山形県は九十二・七件と、これまた所得の低い県がテレビの受信状況が高いのでございます。このような状態をどう判断されますか。所得が低く老人の同居が多い県でテレビが普及している実態を考えますと、テレビに担税力があるとは思わずまた逆進性が強い、こう考えるのですが、どうでございますか。
  183. 梶原敬義

    委員以外の議員(梶原敬義君) 松浦委員の作成に成ります貴重な資料をきのういただいて、本当に感心をして見ております。  私の出身の大分県も、所得の面で見ますと東京に比べて八一・二%、また百世帯当たりの老人率ですか、老人のいる世帯数も非常に多いですね、二九・五%。それからテレビの場合も八六・九。  先ほど山形の例をずっと言われましたけれど、最後に百世帯当たり契約数九十二・七と言われましたが、あれは秋田のようです。
  184. 松浦孝治

    松浦孝治君 ああそうそう、間違いです。
  185. 梶原敬義

    委員以外の議員(梶原敬義君) それで、確かに地方に行きますと過疎が進み、高齢化社会がどんどん進んでいるという実態をこの表は物語っておると思います。  お尋ねの地方、高齢化社会が進んでいるところに限ってテレビの普及台数も多いではないか、まさに言われるとおりであります。したがって、先生が言われます逆にこういうところはむしろ逆進性が強いんじゃないかと、こういうことのようでございます。そう言われればそういうような理屈も私は成り立つと思うんですが、今度の私どもが復活したこのパーセントは製造段階での率でございまして、それを消費税の三%と比べてそんなに大きくなるような数字にはなっておりません。
  186. 松浦孝治

    松浦孝治君 それでは自動車で考えたいと思いますが、百世帯当たりの乗用車保有台数を見てみますと、東京都は五十二・二台です。大阪府は五十五・八台です。我が徳島県は七十九・八台です。岩手県は七十七・三台ですね。こういうふうに、やはり所得の低い県で車の所有台数が比率において多くなっておる。また、その中で乗用車台数に占める軽四乗用車の比較を見てみますと、東京都は二・二%、大阪府は五・八%、徳島県は一一・三%、それに岩手県が六・七%、こういうふうにやはり地方の県が軽四乗用車の保有率が高くなっておるわけでございます。  こういう中で、今回軽四乗用車の物品税率が他の物品に比べまして八%と、非常に問題があるような税率になっておる。こういう自動車の保有状況、あるいは軽四乗用車のウエートについてどう考えますか。
  187. 梶原敬義

    委員以外の議員(梶原敬義君) 質問の結論にお答えする前に、これは私の私見ですが、本当に地方においては通勤関係あるいは仕事をする上においても交通の便、遠いところからやはり仕事に行かなきゃならない。生活必需品に私はなっていると思うんです。私どもも前は、――したがって所得税の基礎控除の控除額の中にこういう自動車の償却費とか、あるいは油代とか、こういうものを入れなければ、勤労国民というのは非常にそういう税では不公平ではないか、厳しいのではないか、こういう考え方は私はこの表を見ながら瞬時に浮かびました。  さて、お尋ねの軽乗用車でございますが、少し調べてみましたのですが、軽自動車の販売総合数が昭和六十二年度には一千四百二十二万二千八百五十九台と、このようになっております。そして、軽の四輪の乗用車でございますが、百七十七万六千三百五十九台、そして四輪のトラックが一千九百九十二万九十二台と、このようになっておりますね。したがいまして、四輪の税率八%、この問題がしばしば議論になっておりますが、今の傾向といたしましては、軽貨物の売れ行きというか、軽貨物にウエートがかかっている面も否定できないのではないか、このように考えております。軽乗用車の問題点については、もうたびたび質問が出ていることについては十分承知をしているところです。
  188. 松浦孝治

    松浦孝治君 軽四の問題について、乗用車と貨物との比較のお話がございましたが、貨物はやはり農家とかそういうところでこれはあくまでも生産用として使われておるわけでございまして、そういう点では地方で軽四貨物は非常に多いわけでございます。しかし、御説明のありました軽四乗用車、百七十万ぐらいですか、これにつきましてもその比率先ほど私はお話をしたわけでございます。一人当たりの県民所得の低い県で、先ほどお話をしておりますように、老人の同居している世帯数の比率が非常に高い。そして、テレビの普及率も高い。お話にもございましたように、テレビは全くの生活必需品に実はなっておるわけでございます。  そういう中で、今後在宅福祉を推進していかなければならない。あるいは高齢化社会にあって老人が必要とするテレビや電気毛布ですね、こういう物品、これに物品税をかけておる今回の物品税復活は私はやっぱりおかしいんじゃないか、もう少しきちっと考えて法案を出していただかなければ困ると、私はこう言いたいわけでございます。  また、乗用車も全く同じでございますが、所得の低い県で軽四乗用車の乗用車台数に占める比率がこれまた高いわけでございまして、都市の場合は公共交通機関があるわけでございます。したがって地方の場合は、道も狭い関係もありますが、軽四乗用車はこれはコストが安いですからやっぱり所得の低い家庭はそれを持たざるを得ない、そういう実態に実はなっておるわけでございます。 そういう中に老人を抱えておる世帯が非常に多いわけでございます。病院へ家族が連れていく場合でも、公共的な交通機関を使うことができません。やっぱり送り迎えをやらなければならない。そういう形になっておるわけでございます。  そういう状態を考えると、こういう軽四乗用車への税率についてもやっぱり細かく配慮して決めなければ私はおかしいんじゃないかと。ただ、従来からそれがなされておる、これは自由民主党としてはあるいは政府としては問題があるから、担税力とか逆進性とかただいま言いましたようないろいろな問題点があるから同じ物品間に大きな問題が起こる、したがってそれを廃止して広く薄く負担をしていただく消費税にしようということでやったわけです。どうですか。もう一回御意見を聞きたいと思います。
  189. 梶原敬義

    委員以外の議員(梶原敬義君) 松浦先生、物品税の導入問題、確かにそういう御指摘の面もあるかと思いますが、今度の税制改革六法案を中心にした税制改革というのは、要するに物品税の問題があるからそれで消費税導入一律三%という結論では、そういう理由も一つあるかと思いますが、一番大きな理由は要するに所得の刻み、税の刻み、これが一つ。それから、法人税の減税、相続税の減税、この辺の問題。そして、将来にわたっては高齢化社会に向けてと、こういう理由の方が私は一番強かったんじゃないかと。  これに対して私どもは、何回も言いますが、やっぱり消費税というのは逆進性が強い。そして、地方に行けば行くほど、今先生が出されましたあの数字で私よくわかるんですが、東京が一五一と、所得は。一五〇にした場合に地方は八〇ぐらい、こういうようになっておりますから、この消費税でぱあっと網を打たれたら、地方の中小の未組織やあるいは農家の皆さんやそういうところで働いている人というのは本当に非常に大きな影響を受ける。したがって、そういう消費税は一たん廃止をして、そして、今御指摘をいただきますように、代替財源案の中で物品税には非常に矛盾がある、こういう指摘もありますが、これも、そういう中の矛盾についてはこれから二年かけて税制改革協議会で十分議論をしていきましょう、こういうことでございますから、考え方の違いが根本にありますから議論は平行線になると思いますが、その点についての御理解はお願いしたいと思います。
  190. 松浦孝治

    松浦孝治君 ちょっとくどいようでございますが、ただいま御答弁いただきましたけれども、消費税の場合は地方へも大きな負担がかかっておるんだと言いますが、私はそうじゃないわけです。やはり東京とか大阪とか、大都会の消費の額が非常に大きいわけです。あるいはまた、消費税の場合は末端の消費者でないわけです。その間の企業家であろうがいろいろな方々が買われるものもみんな消費税をかけておるわけですね。だから、都道府県を見ていただいたらわかると思いますが、やはり大都会の方が非常に消費税額が大きいわけで、地方の場合はやはり消費量が少ないわけですから消費税も少ない。  そういう中で、やっぱり個別物品、特にそういうテレビとか生活必需品をねらい撃ちにしておるこの個別物品税を採用したということは、逆に消費税よりも逆進性が強い、特に地方の人に対して強い、私はこう言いたいわけでございます。  それでは、消費税がいいということを示していくためにもう一点聞きたいわけでございますが、代替財源として一兆円を見込まれておりますけれども、この品目別収入状況はどうなっておりますか、お聞きいたしたいと思います。
  191. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 品目ごととおっしゃっていただきましたが、現在私どもが提案をいたしております物品税の中身につきましては、昭和六十二年度の課税品目ごとの課税価格をもとに、新たな適用税率並びに最近の消費状況等を勘案いたしまして税収見込みを算定したわけでございまして、物品税に係る見込み額は約一兆円と算定をいたしました。
  192. 松浦孝治

    松浦孝治君 課税ベースはわからぬのですか。
  193. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 課税ベースは、これは六十二年ベースで申し上げますと十二兆二千九百十六億でございます。
  194. 松浦孝治

    松浦孝治君 消費税の課税ベースが約二百兆円と言われております。それで三%を掛けた六兆円、これが消費税になっておるわけでございますが、皆さん方は十二兆円の課税ベースで、そしてそこから一兆円を取る、こういうことになると大体何%ですか、五%にならぬ……。そういうことで、非常に課税ベースの低い状態の中で特定のものにねらいを定めて税を徴収しておる、こういう形にあるわけでございます。  そういう中で、現在の状態では非常に国民消費ニーズは多様化し、また物もいろいろな物があるわけでございまして、いろいろ論議もありましたようにサービスもある流通もある、そういう中で個別物品としてこういう特定の十二兆円ぐらいの課税ベース、消費税では二百兆円、これだけ違った形で取り上げておるというのは、やはり課税ベースを広げれば低い税率で済む。したがって公平感も出てくる。やっぱり課税ベースが低いとどうしても高い税率を掛けざるを得ないし、それを購入する人たちにかなりの負担をかけていく、こういう形になるわけでございまして、先ほど論議をしておりますように、今回の物品税の復活には、皆さん方は二年間の代替財源だと言いますけれども、しかしやっぱり二年間であっても国民が負担をしなければならない、そしてまた不公平であってはならないわけでございまして、そういう点を考えると大きな矛盾があると私は思うわけでございますが、もう一度答弁をいただいてこの物品税については終わらせていただいて、次へ進めたいと思います。
  195. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 課税ベースのことを言わせていただきますと、消費税の場合は大変広い課税ベースになるわけでございますから、要するにこれは特に零細な皆さん方はもうすべての品目にかかるわけでございますからそれこそ逆進性という問題が大変な問題になりまして、現在の消費税の大きな欠陥の一つになっているわけでございまして、私どもが提案をいたしておりますこの物品税の場合は八十品目という非常に少ない品目で、それぞれの品目について税率をも調整いたしまして提案をいたしているわけでございまして、例えば今六十二年度ベースで私は十二兆円という課税ベースの話をいたしましたが、十二兆円のとき国の場合は一兆七千億の税だったわけでございますが、六十三年度ベースでいきますとこれが約二兆円の税になるわけでございますが、私どもはそれも調整をいたしまして約一兆円ということになっているわけでございまして、そういうふうな意味では今までの物品税よりもうんと、何といいましょうか、激変緩和といいましょうか、そういう点をいたしておりまして、そういう点では消費税よりもうんとこちらの方がいいのではないか、こういうふうに考えております。
  196. 松浦孝治

    松浦孝治君 物品税について終わらせていただくと言いましたが、一つつけ加えさせていただいておきますが、現在情報化とかソフト化とかいうことで非常に情報産業が発達をしておるわけでございますね。  そういう中で、先ほど来課税ベースの話をいたしておるわけでございますが、手元にあります資料によりますと、生産高が六十三年で乗用車が十兆一千五十三億、家電関係が六兆七千五百二十九億、コンピューターが五兆五百四十億ですね。そして、伸び率が五十六年と比較して乗用車は一・六三倍、家電は一・三〇ですね。コンピューター、これは通信機とか情報サービスとか入っていません。コンピューターの生産額だけですが、これが三・七四倍ですね。これだけ伸びておる。そういうふうな形でやはり乗用車とか家電というのはこれはもう生活必需品になって、その生産額あるいは購買力等は大きな伸びがないわけでございます。  それに反してこういう新しい産業、コンピューター等はこういうように伸びてきておるわけでご ざいますから、やっぱり物品税を考える場合はそういう面も考えて、そして復活をするのであれば考えないと私はおかしいと。先ほども言いましたように、去年の八月に皆さん方はそういう個別物品税税制は問題があるということを認めながら、そして一年も時間があるにもかかわらず従前のそのままで課税物品も同じで出してくるというのは、私は見識がないのではないかとこのように思うわけでございます。  先に進ませていただきます。  税制再改革の問題でございますが、直間比率について論議をいたしたいと思います。皆さん方は直間比率についてどれぐらいをめどにしておるのか、お聞きいたしたいと思います。
  197. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 最近の直間比率の推移を見ますと、昭和四十年度には六対四だったものが五十年度にはほぼ七対三となり、六十三年度決算では直接税が税収の七五%、間接税が二五%となっております。  このような直間比率数字は、適切な減税、不公平税制の是正等の実施を怠ってきたことによる結果であり、直接税の比率の高まりが直ちに国民の不公平感を生んだものとは考えておりません。直間比率数字のみによって税制度の公平性を判断するのは誤りである、こういう考え方を持っております。
  198. 松浦孝治

    松浦孝治君 それでは思い出していただきたいのでございますが、この直間比率論議ですね、六十二年四月の議長あっせん、御存じだと思いますが、その中で与野党間で「直間比率見直し等」を約束されました。  これについては、私がお尋ねいたしたいのは「見直し等」には消費税は含まれないとか、あるいはまた直間比率の目標値をどこに置くとか置かなければいけないとかこういう論議じゃなくて、そのときの認識として直接税のウエートを低くして間接税のウエートを高くしなければならない状況であるということが与野党間で共通の認識であったと思うんですが、それはどうですか。
  199. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 再三お答えを申し上げておりますように、議長裁定は、売上税を廃案とするというその前提に立って、国会の正常化を図るために議長がごあっせんになったものと私どもは考えております。  その中で「直間比率見直し」という言葉がございますが、これはその前提となりました大型間接税である売上税を議長の手元で預かって廃案としていくということで決められたものでありますから、当然に売上税と同じ性格を持ってまいります大型間接税である消費税がその中に考えられたものとは私どもは理解をいたしておりません。そして、この議長あっせんに基づいてつくられました税制改革協議会も大型間接税に関する論議は行っていないのでありまして、その論議が進まないうちに中間報告という形でこの税制改革協議会は実質的に解消してしまいまして消費税が提案をされたという経過をたどっておりまして、議長裁定が大型間接税を意図して直間比率見直しの問題を考えたのではないということは、その後の経過を見ましても明らかでございます。
  200. 松浦孝治

    松浦孝治君 私はそういうことをお尋ねしているのでないんです。  その「直間比率見直し等」というのが、大型間接税と皆さん方は言われますが、売上税を廃案にするそのためであった、しかしあるいはまた後から現在執行されておる消費税を意図したものでなかった、それは一応理解します。しかし、この議長あっせん案をのまれたその時点の中で、直間比率見直しということは直接税と間接税を見直さなければならないという、そういうことを思っておられた。認識しておられた。これは与野党一致しておるわけでしょう。したがって「直間比率見直し」という言葉を議長あっせん案の中に入れておるんじゃないんですか。
  201. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) それは直間比率を見直すという結論を指しているのではなくて、税制改革協議会で売上税を廃案とせざるを得なかった状況の中で、直間比率の問題についても与野党、議長あっせんに合意をいたしました各会派で検討してもらいたいという議長の御意見だと理解をいたしております。
  202. 松浦孝治

    松浦孝治君 その他の党の皆さん方も御答弁いただきたい。  質問はわかりますか。なんだったらもう一回言ってもよろしいよ。質問いたしましょうか。議長あっせん案を皆さん方は受けられたわけですね。それは事実ですね。
  203. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) そのとおりです。
  204. 松浦孝治

    松浦孝治君 民社党さん。
  205. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) おっしゃるとおりです。
  206. 松浦孝治

    松浦孝治君 そのときに、これを読んでみますと、もういろいろ何回も読まれておりますが、「従って直間比率見直し等今後できるだけ早期にこれを実現できるよう各党協調し、最大限の努力をはらうこと。」、こういう内容で合意されているわけですね。  その中で私がお尋ねしたいのは、「直間比率見直し」という、そういう文言が入っておるわけですから、そのときに直接税と間接税の比率は見直さなければならないなという、そういう認識はお持ちでこれに合意されたと思うんですが、それはどうですかという質問です。
  207. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) その問題については、先ほどから久保議員も御答弁がありましたように、この直間比率の問題につきましては、既に委員も御存じのとおり、この議長裁定を受けまして衆議院の方で税制改革協議会というのが実際開かれたわけですね。  そして、その開かれた中身が一体何であったかということをよく見ればわかりますように、第一回から第十二回までそれぞれいろんなことが議論になっておりますけれども、最重要課題はやっぱり税制改革の問題そのものであって、不公平税制とか最終的にはマル優の問題で中間報告が行われて打ち切られたわけでございますけれども、これも端的に言いますと、これは当時から何回も言われていることでございますが、自民党さんの一方的なこれによって打ち切られたわけでございまして、したがってそれを受けてやった中身の委員会審議を見ればそういうことではないということは明らかであると思います。
  208. 松浦孝治

    松浦孝治君 いや、その議長裁定の文言の中に「直間比率見直し」ということは、やはりその時点での直接税と間接税の実態、私が言いますと、このときは六十三年ですが、六十二年度の予算ベースで七〇・四対二九・六であったんですね、直接税と間接税が。だから、七対三ぐらいですね。それぐらいであったということは認識をされておったと思うんですが、それはされていませんでしたか。
  209. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) それは私どもはちゃんと認識をいたしておりまして、例えば六十三年度の当初予算のときには七二・二対二七・八、補正後でも七三・四対二六・六でございますから、そういう点では十分認識をいたしておりますし、したがって、私が先ほどから申し上げておりますように、「直間比率見直し等」というのは要するに直間比率見直しというのがいわゆる議長裁定の中心のテーマではなかったのでないのか。もし中心のテーマであったとするならば、その後開かれた十二回にわたる審議の中でも当然取り上げられていたであろうにもかかわらず、実際は十二回の会議の中ではそのことは取り上げられていなかったということを先ほど申し上げたわけでございます。
  210. 松浦孝治

    松浦孝治君 いや、売上税の段階のこの議長あっせんの状態のとき、これはやはり直接税が余りにもウエートが高過ぎる、したがって間接税にもいろいろ考えていかなければならない、こういう認識で直間比率見直しということをうたっておる。それが消費税とかあるいは売上税とかいうことじゃなしにそういうことを考えられて、そして議長裁定に自民党も応じて売上税の廃案をしたと私は考えておるわけでございます。  そう見てきますと、今回の皆さん方が出されております代替財源の中で、その直間比率計算するとどういうようになるんですか。
  211. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 国税で見ますと、直接税が七七・六%、間接税が二二・四%、地方税を含めた場合が直接税が八一・五、間接税が一八・五。以上です。
  212. 松浦孝治

    松浦孝治君 お聞きのとおりであるわけでございますが、やっぱり議長裁定のときに、常識的にこれは直間比率七対三は直接税に偏り過ぎておるからもう少し間接税はお互いに考えようや、こういうことで私は合意していると思うんです。それが今回出されておるのは、あくまでも今お答えになったようなこの数字よりも逆に直接税にウエートがかかり間接税が少なくなっておる、こういう実態になっておるわけでございまして、この議長裁定から考えると、私が大胆に計算をすると大体四兆円ぐらいの差があるようでございます。  それはそれとして、こういう直接税、間接税の比率はやっぱり見直さなければならない、そういう与野党認識が私はあったと。そういう中で、今回出された代替財源案を見るとそれからかなりトーンダウンをしておる。逆行している。新聞にもこのように逆行と書いてありますが、そういう形になっておる。そうすると、これからだんだんこのままいくと税制再改革が二年後にできるということでございますが、しかしそれができなければ、やっぱり直接税にウエートを持たせた、そういう税制強化を行っていかなければならない、こういうようになってくるように思うわけでございます。  それでは次に進ませていただいて、二年後の間接税の姿ということでお聞きをいたしたいと思います。  税制改革基本法案第五条二号ニを見ますと、間接税が直接税を補完するべきことを踏まえ、「国及び地方の個別間接税の整理及び合理化を図るとともに、サービス、流通等に対する適正な課税の在り方について検討を加え」る、こうありまが、抽象的でわかりません。どのような間接税を考えられておるのかお聞きをいたしたいわけでございます。  その中で、復活されたこの個別物品税を手直ししてでもそのまま継続をしていこうとしておるのかどうかお聞きをいたしたいわけでございますが、答弁の中でもう聞き飽きておりますので、皆さん方の考え方を言っていただいて、国民税制協議会に任すというのだけは言わないでほしい。
  213. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 言わないでくれと言ってみてもそうはなかなかならぬのでございまして、我々としては、先ほどから直間比率の問題をいろいろ御指摘ございました。確かに、何というんですか、直接税のウエートが高くなっておることでございますけれども、これは率直に言って二年間のいわゆる暫定措置が前提でございますから、そこで従来間隔のある直間比率と対比して云々ということだけは私はちょっとお控えいただいた方がいいんじゃなかろうか、こう思っているわけです。  そこで、サービス・流通課税につきまして今後どういう考え方を持っているのかと。これはもう率直に言わしてもらいますと、基本法案にもございますように、国民税制改革協において審議をいただく、こういう前提になっております。ただ、文言の中でも書いてありますように、「間接税が直接税を補完する地位にあるべきことを踏まえ、国及び地方の個別間接税の整理及び合理化を図るとともに、サービス、流通等に対する適正な課税の在り方について検討を加え、その結論を得ること。」と、こういうふうに明記をしておりますから、一応その点は御理解を得ておきたいと思います。  ただ、「国及び地方の個別間接税の整理及び合理化を図る」ということについては、今回の提案しております酒税、たばこ税初め国及び地方の間接税も含んでおるわけでございますが、「サービス、流通等に対する適正な課税」というのは、消費税廃止によってサービス課税の分が一切なくなる、こういうことから新たな角度からひとつこれにかわる財源として検討していこう、こういうことでございますから、ここで一体何をするのかとこう聞かれてみても、これこそ非常に重要な問題でございますから皆さんのお知恵をいただいてまとめるということしか答えができぬのじゃないかと思いますので、御容赦願います。
  214. 松浦孝治

    松浦孝治君 それはおかしいですよ。重要な問題だから次といって、それじゃ国民税制協議会、五十人で組織する、それがすべてを決める、それはおかしい。それよりも、それは後で、時間がないんですが、社会党の皆さん方はどう思われていますか。今までのをずっと見てみますと、個別間接税を整理して個別間接税でやるんだということを国民に訴え続けてきておると私はこう思うんですが、どうでございますか。
  215. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 社会党がどこで訴え続けてきておることを言っておるのかちょっと質問の趣旨がわからないんですが、それは党は党として持っております。ただ問題は、ここで今提起しておるのは、四党として新しい税のありようをどうするかということについては国民税制改革脇で協議する、こういうふうに提起をしておるわけでございますから、それをそれぞれの党はそれぞれお持ちだと思いますから、その点はひとつ御理解いただきたいと思います。
  216. 松浦孝治

    松浦孝治君 国民税制協議会でやるといってもやっぱり党として、社会党さんとして今までの、ここにも持っております「「新税制改革」への挑戦」ということで、社会党編で、ちょうど百ページ、ここにも「個別物品課税こそ、運用しだいで公平・公正な課税が可能となる、大きな可能性を持った税制といえる」であろうと、こういうような形を言っております。また、さきに行われた選挙のこういう公約集の中でも、第三項として「物品税の復活・改善」と、こういうことをはっきりうたわれておるんです。  それと、さきに行われました予算委員会、十月二十七日の安恒議員の質問でございますが、ここでも、これは後からちょっとお話ししますが、普及率五〇%以上の物品物品税の品目としてはなくせ、それ以下だというような論戦を張られておるわけでございます。その中で「私たちは二年後にもこの物品税のあり方について議論をしなきゃなりませんから、そのときに一つの基準として」普及率を基準とする、そういう論戦まで張られておるわけでございまして、そうなりますと社会党さんは個別物品税でいこうとされておる、私はそう解釈する。他の提案者の皆さん方はどうでございますか。
  217. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 先ほど安恒さんの話も出ておりますが、どこでどういう発言をなさったか知りませんが、これは安恒さん個人の意見としていろいろあるでしょう。党もやらないとは言っていないんですよ。そんな言い方をしておるわけじゃないんです。私は、今言ったように四党の中では国民税制改革協をつくってここで議論をしていただく、こういうことになっておりますからそこでどういう結論が出てくるか、例えば物品税を基本に置いて云々という意見が出てくるか、それは定かでございませんから言葉を控えておるわけでございます。  したがって、私の私見を言わせてもらいますと、個別間接税は特定の物品サービス消費に示された担税力に応じた課税ができるわけでございますから、したがってそういうメリットを持っておりますよ、担税力の軽重を無視して一律に三%とする消費税よりは私はましだと、こういうふうに考えているわけです。酒やたばこなど嗜好品については、消費税導入後も御案内のとおりに消費税に比べて若干高い、高率の税負担を課しておりますし、したがって個別間接税があるから物品サービス間の負担の公平を失するということは、これは私は松浦さんも当たらないと思っておるんじゃないかと思うんです。  個別間接税が物品サービス間の負担の公平を阻害するというのであれば、シャウプ税制勧告以来三十七年間自民党政府の中で愛し続けてきたこ とが一体どういうことなのかということにもなるんじゃなかろうかと私は思うのでございますから、したがってこれまで何度か大型間接税の構想が出されてまいりました、政府自身から。しかし、それはすべて個別間接税が欠陥とか悪とかこういう類から出ておるのじゃなくて、すべて財政収入をねらいとしたものであって、そういう意味での見直しでなかったかと私は思うんです。  そういう意味で、個別間接税の方が我が国は適しておるのではないか、こういう考え方を私は持っております。
  218. 松浦孝治

    松浦孝治君 ただいま政府自民党個別物品税をやってきておるから皆さん方も悪くないということでやったんだというような受けとめ方を私はするわけですが、やはり先ほど来言っておりますように、国民の生活が非常に多様化して価値観が変わってきておるわけですね。先ほどお話ししましたように、消費税の課税ベースは二百兆円ぐらいある。皆さん方が出されておる個別物品税は十二兆二千億。そういう中で物品間でも、もう皆さん方御承知のとおり、非常にこちらにはかかってこちらにほかからないという同じようなそういう物品間の不公平も露呈をしておったわけですね。  そういう中で消費税を導入したわけでございまして、そういう個別物品税に大きな矛盾があるから課税ベースを広げて広く薄く負担をしていただくそういう方式に切りかえた、そういうことなんですよ。私が今までいろいろ矛盾点をつくと、自民党もやってきたじゃないかと、こういうようなことでございますが、そういう矛盾があるから先般の税制改革でやったわけで、何も財源対策だけでない。  それでは、サービスについて先ほど考えていくということなんですが、個別物品税をどうするかはまた税制改革協議会、それで検討していただくというんです。しかし、それもわかりますが、わかるというよりもそれ以外に方法がないような気がしますけれどもね。しかし、サービス、流通、そういうことも今回消費税廃止すればかからなくなるから考えていこうと。どういう税が考えられるんですか。
  219. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 例えば印紙税であるとかそれから通行税であるとかもしくは地方税関係では電気税であるとかガス税であるとか、いろいろあると思いますが、今申し上げましたように、消費税と対比しますとかなり大幅に落ち込んでまいりますので、したがって個別サービスに対する課税はどういうものが一番担税力も含めてあるかということで広く皆さんの御意見を徴していきたい、こういう意味で税革協の中に提起したいというふうに思っております。
  220. 松浦孝治

    松浦孝治君 今お聞きいたしますと、結局は広く薄く負担をしていただく消費税に最終的に戻らざるを得ない、こういうような私は受けとめ方をするわけでございます。  もう時間がございませんので、まだまだ論議をいたしたいのでございますが、クロヨンの問題を皆さん方はどう受けとめられておるかお聞きをいたしたいと思います。  皆さん方の「消費税廃止Q&A」の中にクロヨンという言葉の項目をとらえておるわけでございます。これについてどのような認識をされておりますか。
  221. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) いわゆるクロヨンとかトーゴーサンピアンとか言われておるわけでございますが、所得捕捉についての業種間格差であることは、松浦先生指摘されるまでもなく言うまでもないところじゃないかというふうに思います。  また、この所得捕捉についても、源泉徴収によりほぼ完全に所得捕捉されておりますサラリーマンと、農業者に代表されますように農業所得者やその他の事業者では、業種間においても格差があることは学者先生初めの研究なんかでも示されておるところでございます。  そこで、この業種間の所得捕捉の格差につきましては、所得税の納付方法が異なるという点も大きゅうございまして、現在、サラリーマンは源泉徴収制度により、その他の事業者は確定申告制度によることとなっておるわけでございまして、そして必要経費につきましてもサラリーマンは給与所得控除による概算控除であるのに対しましてその他の事業者は実額控除であることから、必要経費の認定に関しまして不満感があるなど、制度面に根差した問題であるとも思われるわけでございます。  また税務執行面につきましても、所得税では二十五年に一度、また法人税では十年に一度しか税務調査が行われておりません。その一方で毎年発表される国税庁の脱税白書なんか等々では、脱税額の規模が大きくなりその手口も年々巧妙になっておるという報告が出ております。したがいまして、この問題はやはり租税制度の根本に触れるだけに、国民税制改革協議会において所得税の納税方法また税務執行体制の充実などについて広範にわたり徹底的な検討が行われる必要があるということで、その結果を待って具体的な施策を出されることになるというふうに私どもは考えております。
  222. 松浦孝治

    松浦孝治君 「消費税廃止Q&A」というんですか、これを読ましていただくと先ほどお答えがございましたようなことが書かれておるわけですけれども、実際に九割の捕捉、六割の捕捉、四割の捕捉、そういう実態があるとお考えでしょうか。
  223. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) このいわゆるクロヨン問題は極めて重要かつまた困難な問題でありまして、絶対にクロヨンは存在する、あるいは逆に絶対にないと言い切れる状態にはないのじゃないかというふうに思います。確かに新聞紙上にはしばしば脱税の事件が報じられております。しかし、これは例外中の例外で、大部分の事業所得者はこのようなごまかしをしていないという意見も確かにございます。一方では、これらの事例は氷山の一角であって、実際は大部分の申告者がごまかしを行っているという意見もあるわけでございます。  いわゆるクロヨン現象が起きる理由としては、やはり給与所得の場合所得税は源泉徴収されるためほぼその全額が課税対象となるというのに対しまして、事業所得、農業所得等々につきましては、所得税は申告納税であるため収入の一部が抜けたりする可能性があるということでございます。事業所得者や農業所得者の場合、経費をどれくらい使うかについて自由裁量権を持っておるということでございまして課税所得を調整できるが、給与所得者の場合はこのような調整を行い得る余地がないというところでございます。  また、事業所得、農業所得計算におきましては、割り増し償却制度や各種引当金制度などの優遇措置が認められたりいたしておるわけでございますが、給与所得者の場合はこれに対応する優遇措置はないと言った方が当たるかというふうに思います。特に給与所得者におきましては、事業所得者は売り上げの一部を隠したりまたは経費の水増しをして、故意に課税所得を小さくする脱税を行っているのではないかという各方面からの疑念も出ておるわけでございます。  いずれにいたしましても、私どもは現在の段階では絶対にクロヨンがあるとも、また逆に絶対にないとも言い切れない状態にあるわけでございますが、しかし、各方面から専門家等々の御意見を聞いたりして議論を進めていかなければならないというふうに考えておるわけでございまして、この問題については松浦先生にもぜひ御指導をいただきたいというふうに思っておるようなわけでございます。いずれにいたしましても、私どもはこの不公平税制の是正がやはり必ずしも大幅な税収増をもたらすものとは考えておりません。税収が上がればそれにこしたことはないわけでありますが、あくまでも制度上あるいは執行上の不公平を除去していこうということが第一でありまして、税収が幾らになるかということは第二義的な問題だというふうにとらえております。
  224. 井上吉夫

    ○理事(井上吉夫君) もう余り時間がありませんから……。
  225. 松浦孝治

    松浦孝治君 まだまだ聞きたかったわけでございますが、いろいろ個別物品税、間接税問題を中心に論議をさしていただきました。しかし、具体的なイメージが一つも出てきません。と同時に、個別物品税の復活にはいろいろな矛盾点があり、新しく都市と地方との問題も生ずるようなそういう状態であると私は思っております。  そういう点で、この個別物品税の復活は私は絶対あってはならない、薄く広く負担をしていただく消費税であるべきだと言いまして、質問を終わりたいと思います。(拍手)
  226. 井上吉夫

    ○理事(井上吉夫君) ここで五分ほど休憩いたします。    午後三時四十四分休憩      ─────・─────    午後三時五十一分開会    〔理事井上吉夫君委員長席に着く〕
  227. 井上吉夫

    ○理事(井上吉夫君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、九法案に対する質疑を行います。
  228. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 十一月八日より始まった本税制特別委員会は、各党一巡の後二巡目に入り、自民党委員では私が十二人目、全体では二十人以上の質問が続いているわけでございます。およその問題は出たようですが、これから私がお聞きする項目も議論があったところですが、人がかわれば聞きたいことも変わるということで、重複のところはお許しいただきたいと思うのでございます。また、私は法律と数字に弱いものですから、主としてこれからの問題の底流になっておる考え方と申しましょうか、本音のところをお聞かせいただければよいと思っております。  なお、私の持ち時間の中で後刻片山虎之助委員関連質問されますので、申し添えておきます。  前置きはこれぐらいにいたしまして早速質問に入りますが、まず最初に、発議者の皆さんを驚かすようなことを言って恐縮でございますが、端的に言って、野党の消費税廃止法案提出は誤りではないかな、こういうふうに私は思うわけでございます。  ずっと税制特別委員会論議を聞いておりますと、提案者は、廃止法案は先般の参議院選挙で野党が勝利したからだ、この勝利は消費税廃止の公約を掲げたからだ、したがって公約を実行する責任があるので廃止の法案を出したと説明されておりまするけれども、私は、この七月の参議院選挙というのは消費税だけを争点としたものでもなく、ましてこの消費税の信任投票を国民に求めたものでもないと考えているのであります。この点は既に我が党の質問者がしばしば指摘しておりますので多くは申しません。提案者の方は、参議院選挙に勝ったことで冷静さと平常心で政治を行わなければならないという鉄則を忘れてはいませんかということなんです。国の政治を動かすことができるでしょうか。また、本当に国民のための政治になると考えておられますか。  言うまでもなく、国会は衆参両院で構成されておりまして、しかも憲法は衆議院に第一院としての立場を規定し、幾つかの優越権、つまり予算の審議権であるとか条約の承認権、内閣総理大臣の指名権というものを認めております。こうした憲法の立場を踏まえて考えるならば、参議院選に勝ったことを理由に、国の政治を支える根幹とも言うべき税制を、参議院から廃止法案を出すというのはどうしても理解しかねるところでございます。国民の目から見ると、衆議院には廃止法案を出しても問題にされないだろう、参議院だから参議院に出しているとだけしかこれは映らぬと思うんです。  また、野党の皆さんは政権担当能力ということをしばしばおっしゃっておりますが、この能力を示すためにもこの法案を出したと言っておりまするけれども、法案は両院の同意でつくらなければならぬ、成立しないということも百も承知であろうと思うのでございます。成立しないことが明らかな消費税廃止法案を提出しているこの姿勢は、実は政権担当能力どころか、本当の意味での議会政治を忘れたものではないかと批判されても仕方がないと私は思うんです。  野党が主張している二十一世紀を見据えた税制再改革を本気でやるというのであれば、国会で法案が成立する見通しが立つ条件がそろった場合に出すべきではないかと思うのでございます。  消費税廃止法案の提案は、二院制の議会政治のあり方から見ても誤りであり、乱暴過ぎると思うのでございますが、まずその辺について御答弁願いたいと思うのであります。
  229. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 吉川先生でもう十五人目でございまして、本当に熱心に御審議をいただきまして大変恐縮に存じております。  本音の辺でしゃべれということですから、私も本音の辺でしゃべらせていただきますと、先般の参議院の選挙は、皆さんも御存じだと思いますが、私どもは消費税廃止という大きなスローガンを掲げて戦ったわけであります。自民党の皆さん方の中には、大部分の方が見直しという看板をかけて戦ったのは、これは御承知のとおりであります。そういうような意味では、国民の審判はもうここで何回も御議論がありましたから明らかである、私はこういうふうに思っております。  そこで、憲法も引いて衆議院の優越性の話がございましたが、これはもう先生おっしゃるとおりであります。しかしながら、参議院からこの法案を出すということについてはこれは何ら問題はない、こういうふうに考えております。  そして、しかもここで一番大きな問題は、昭和五十四年以来のこの十年間の消費税に関するあるいは一般消費税に関するそれぞれのいわゆる国会における決議、こういうふうなものを私どもはどういうふうに考えたらいいかということをやっぱり考えないといけないのじゃないか。少なくともその問題について、大平内閣における衆参両院における決議があるわけです。あるいは中曽根内閣における売上税の問題もあるわけです。そして今般のこの消費税。こういうふうに見てまいりますと、少なくとも国民の皆さん方は、消費税に対しては明らかにノーというサインをしている、こういうふうに私は思うわけです。  そういうふうに思いますと、それじゃ我々はどうしたらいいのか。これは吉川さん、本当にお考えいただきたいと思うんですけれども、二十一世紀を見据えたとおっしゃいました。確かに二十一世紀を見据えて、政府がおっしゃっておりますように、本当の高齢化社会というのはやはりこれからの十年、二十年、政府がおっしゃっている二〇二〇年までは三十年間ありますが、これはすぐやってまいります。そういうふうな意味ではこれからの五年間、十年間が大変大事になってくることはもう明らかであります。そういうふうな意味で私どもは、少なくともこれからの五年、十年の間に本当に国民の皆さん方に御了解をいただけるような将来の体制をつくらなければいけないと思います。    〔理事井上吉夫君退席、委員長着席〕  そのことで、先生がおっしゃいましたようにこれからの新しい体制、今先生おっしゃいました参議院と衆議院の体制が違ってきた、衆議院の方が議席が三百議席ある、この三百議席そのものが、中曽根内閣の時代におけるいわゆる大型間接税を導入しないと国民の皆さん方と約束して得た議席であります。そういうふうに考えてみますと、私どもはこの消費税の導入に当たっても、やはりその点を国民の皆さん方にもう一回問い直す必要があったのではないか、そういうふうに思うわけです。  そういうふうにこれからの二十一世紀という問題を考えますと、参議院の議席を考えてみましても、例えば衆議院から予算関連法案が参議院に参りましても、これは与野党逆転しているわけですからなかなか通過しにくいという大きな問題もあるわけです。そういうふうな意味では、ただ単にここでお互いに対決しているだけではなくて、やはりお互いに将来のことを見据えて話し合うという姿勢が大事であることは当然であります。私ど もは、決してお互いに対立するだけではなしに、二十一世紀のことを見据えてお互いにゆっくり話し合いたい、そして新しい体制をつくりたいというのが私どものしんからの念願であります。
  230. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 対立だけでなくて協調していこうという精神のことについては後刻私も述べたいと思いますから、まあまあその点は承っておきます。  この七月の参議院選挙が百歩譲って消費税に相当なウエートあるいは最大のウエートが置かれた選挙であったといたしましても、当時は消費税導入初期の混乱期であって、相当異常な状況の中での選挙ではなかったかと思うのであります。四月に実施されてふなれであり、日常買い物の消費への課税が面倒だとかあるいは煩わしいとか、一円玉のはんらんだとかといったような混乱や驚きや不安等が広がっているさなかであったことは事実だと思うのでございます。  さらに、当時のマスコミ報道も、時間がたった今日時点で振り返りますと、初めての消費者課税ということで消費者事業者も戸惑いがあった、この戸惑いがあることをあたかも消費税が悪税かのごとく報道して、消費者の不安をかき立て、消費税の悪印象を増幅させたことは私は否めないと思っております。こう言ってはなんでございますが、七月の参議院選挙は野党が言う消費税が最大のテーマであったというなら、私が言う異常事態のもとで行われたことも認められるべきだと思うが、いかがでございますか。本当に冷静な判断が下されたのでしょうか。  その証拠に、この参議院選挙後の世論調査を見ますると、消費税廃止の意見よりも消費税存続、見直しの意見が多いことではっきりしております。もうしばしばこの委員会でも出ましたが、北さんの御指摘をもう一遍紹介させていただきますと、毎日新聞では廃止三八%、見直し五六%、読売新聞では廃止四二%、見直し五五%、朝日新聞では廃止三五%、見直し六二%、NHKの調査でも廃止が四一%、見直しが五七%と、こういうことになっておるのじゃございませんか。  野党のこの消費税廃止の態度は、実は、民意に従って政治を行う、国民の声を聞いて政治を行うと言っている皆様方の立場と私は矛盾しているのではないか。失礼な言い方になるかもしれませんが、どうも一つの姿勢に固執し過ぎる政治姿勢。特に社会党の場合は、日本と朝鮮半島との関係や、また日米安保条約をめぐる安全保障の問題、さらには原子力発電等エネルギー政策等というものが問題になっておるわけでございます。  いささか脱線になるかもしれませんが、ある皮肉な政治評論家は、自民党がかくも長期政権を維持しているのはその政策が無原則、無節操、無定見なるがゆえだ、こう言っていることを聞いたことがありますが、これはそっくりそのまま受け入れるというわけには私はいきませんけれども、言い得て妙なところがあると思うんです。ということは、社会党を初め野党の皆さんが言い始めた政策の中で、特に福祉関係については我が党がどんどんと取り込んで実施に移しているものが相当あるわけです。つまり、自民党の政策は時代とともに柔軟な姿勢を持っている。政策にフレキシビリティーがある。それに対して皆さん方の政策というのは硬直した政治姿勢である。これが私は政権担当能力を失わせている根本原因ではないかというふうに思っているのでありますが、いかがでございますか。
  231. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) いろいろとおっしゃっていただきました。まず私は、国民の声の話、要するに消費税導入に当たっての時期がいわゆる混乱期で国民の皆さん方に周知徹底ができなかったとか、いろんなことをおっしゃっておりますが、私は、国民は賢明に判断をしていると思います。いろんな問題がありましょうけれども、少なくとも今回の選挙を通して国民は厳粛に審判をしていると思います。この国民の審判を少なくとも自民党の皆さん方がそれをどう受けとめるかという問題であります。  この問題については、竹下総理も当時、その後の海部総理も、要するに消費税の導入に当たっては国民の方を向いていなかった点があった、どちらかといえば事業者の方に配慮していた点が多かったということを発言されていますが、そういう点では明らかに国民の方の声を聞くのが少なかった。そういうふうな面では、大蔵省消費者の方に対していわゆる周知徹底がおくれたとか少なかったとか、そういうふうにおっしゃっておりますが、そこら辺のところは私は国民はもう厳粛に審判をしている、こういうふうに受けとめております。  したがって、私どもは国民の審判をどう受けとめるかという判断の問題である。しかも私どもは、自民党さんが税制改革の問題について御議論になった問題が新聞にも随分報道されておりますけれども、これは見直しという問題と同時に、やはり公約違反ではないかという御意見が随分出ておったことも事実でございますし、そういう点も見てみると、自民党の中にも見識のある方がいらっしゃるんだなと思って私は見ておったわけであります。  それからもう一つ見直しの問題でございます。先般、北先生のときにもお答えいたしましたが、確かに朝日新聞のいわゆる十一月十五日付の新聞の世論調査並びにその後の読売新聞の世論調査等も、委員がおっしゃるとおり、確かに見直しの点が多くなっているのもこれは事実であります。例えば、毎日新聞の方では廃止が三八%で見直しが四三%ですから、確かに見直しの方が多くなっているのも事実であります。しかしながら、その中身をいろいろ見てみますと、これはいろんな問題がこの中には含まれているということも御理解いただきたいと私は思います。それから、読売新聞の世論調査によりましても、見直しが四七%、廃止が四三%でございますから、確かに見直しの方が多いのも事実であります。しかしながら、自民党さんから先日、見直し案が出たわけでございまして、この出た後のこれからのいわゆる世論調査というのは私どもは多少変わってくるのではないかな、こういうふうに判断をしているわけでございます。
  232. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 どう変わるかということについては今後のことでございますから、それは承っておくことにします。  問いの三としましては、野党の皆さんが最近口にされている政権交代論の政治手法というものはどうも古臭いんじゃないか、革命的手法と同じではないかと思われてならぬのでございます。消費税でふなれであった、その国民の不安と動揺をあおるやり方で混乱の輪を広げて、その機に乗じて当選者の数をふやす。国民の不安、動揺を可及的に鎮静化させることが政治及び政治家の任務ではないかと思うのに、逆のことをやっている。あおる要因がないと政権交代のチャンスもつくれないということは、政治哲学の貧困といいますか、古い政治的革命手法で、これは政権奪取なんということはいかがなものでしょうかね。  さらに、消費税導入が公約違反だと盛んに言っていますが、野党提案者の皆さん方は、参議院選挙でどこまで廃止後の税制改革のことを公約に明示されてきたか。物品税の復活で、たとえ二年間といえども、私に言わせれば不公平税制野末さんも指摘されましたですね。百万円を超す和服や帯は無税とする。また、海外旅行の場合は三%の消費税が、物品税復活になって、サービスにはかからない。冷蔵庫やテレビは消費税三%を八%に引き上げるといった内容を、いつどこで公約されたかを明確にされたいと思うのでございます。  野党は、この消費税廃止は声高に訴えてきたけれども、物品税復活や消費サービスに関連して、二年間であっても不公平税制に戻すなどということは一言半句も私は聞いていなかったと思います。  さらに、公約に明示しないでいるじゃないかということについては、十一月二十八日の我が党の梶原委員の質問に答え久保提案者は、消費税廃止の意思が明確に示された、あくまでもこれが主題だとした上で、物品税の復活についても消費税廃止に伴い財源をどうするかとあわせて示し、 有権者に判断していただいたと述べられて、国民の同意を得たとの見解を示されているのでありますが、しかし私は、これは余り独断に過ぎやしないかなと思います。  国民の大多数は、声高に皆さん方が消費税反対、消費税廃止ということを言われたことは耳にしていますし、十分理解しておりまするけれども、消費税廃止した場合の物品税の復活や代替財源論というのは、ずっと後になってきて、最近になって国民は聞いておると思うのでございます。消費税よりましだとか、古い税で国民になじみがあるとか、へ理屈とまでは申しませんが、腑に落ちない理屈で物品税の復活をしている。これじゃまさにこれは勝てば官軍だ、負けた者が何を言うかというような不遜な態度ではないかな、私はこう思うのでございます。  消費税自民党の公約違反と言うなら、消費税廃止にかかわる代替財源及びこれに関連する不公平税制復活も公約違反のおそれがあると私は思うのでありまして、こういうことをどう考えられるのか。
  233. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 非常に温厚篤実な吉川先生がおっしゃるようなことではないように私は先ほどから聞いておりましたのですが、要するに、野党が選挙に際して国民をあおっているかどうかというのは、例えば一歩下がってもし野党があおったにしても、国民は正確な審判をすると私は思います。したがってこれは、野党が言っていることをあおりだなんて言うことは、私は国民に対して失礼ではないかなというふうに思いながら聞いておりました。  ですから私どもは、そういうふうな意味での議論というのは、いずれにしても今度の選挙を通して明確に私は国民は判断をしてくれていると、こういうふうに思っております。  それから次に、税制改革基本法の問題とあわせまして物品税の問題について、選挙の最中に全く公約をしていないとおっしゃっておりましたが、私どもは、選挙の最中の七月の十一日に委員長記者会見をいたしまして、消費税廃止税制再改革大綱というのを詳細に発表さしていただいております。その中に、明確にこの個別間接税の復元とその中身について詳細にうたわれております。この点は明確に申し上げておきたいと思います。  それから次に、消費税廃止の意思、これは十一月二十八日の久保さんの答弁を通してお話がございましたが、いずれにしましても、今回の参議院の選挙は、国民の皆様方は消費税廃止を明確に宣言をし、審判をしていると私どもはこのように受けとっているわけです。それを受けとって、今一生懸命に皆さん方にお願いをし、こういうふうな審議をお願いしているわけでございます。
  234. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 この点についても見解の相違もありますし、最終的には次の衆議院選挙でもって決着をさるべきものだという久保さんの御意見もありますから、これはこれだけにしておきましょう。  次に、この基本法案の中で一番論議を呼んだのは国民税制改革協議会でございまして、この点についても、私から二、三意見を交えて質問を申し上げたいのでございます。  この四党提案の税制改革基本法案の中でも、とりわけ国民税制改革協議会については質問が集中したところでありますが、疑念はいまだ晴れておりません。本会議での我が党の大鷹淑子議員の質問から始まって、肝心なところへいくと必ず二年後のこの協議会の結論待ちで終わってしまうわけでございますが、私もちょっと大鷹議員の議事録を読んだときに、答弁者の峯山議員は、この税制改革協議会にお任せとでもいうんですか、逃げ込むとでもいうんですか、四回答弁されておるわけでございますが、医師、個人事業者の問題、公益法人、それから納税者番号制度の問題、サービス、流通への課税の問題、二年後の間接税のありようの問題。  それから野党の質問に対して笹野さんは、均衡ある税体系、土地保有課税というものもこれは協議会で御審議願うんだと。また及川さんや近藤さんや足立さんの質問に対して峯山さんは、これまた二年後の間接税の姿、国及び地方の個別間接税、それから大型間接税というのは否定しながらも、これらについてもそこで審議をいただくんだと。土地税制もそのように答弁されているわけでございます。また、佐藤三吾議員も、地方財源確保のことについても、勝木議員も高齢化社会展望のことについて、また久保議員は均衡ある税体系ということについて、すべてこれ税制改革協議会にお任せ。まことにこれは重宝なものだなと。我が党の委員の中でも、これは玉手箱だ、打ち出の小づちだ、こう申し上げてきた人もおりますけれども、私は到底そのように美化したり詩的に申し上げるわけにはいかぬと思うんです。  このことについてのまず質問の第一は、野党の方々政府審議会利用を隠れみのだ、あるいは結論の先延ばしだ、国会を無視し審議会の結論を押しつけ、議会の空洞化をねらっているものだというような厳しい批判をしてきたことはお忘れいただいてはいかぬと思うのでございます。最近でも本参議院の中での一、二の例を申し上げますならば、六十一年の三月十一日には参議院予算委員会で公明党の中野鉄造議員は税制問題の質問で、審議会の中で鋭意検討中だからその答申を待ちましてという答弁が返ってくるけれども、国権の最高機関である国会ですぐ審議会に逃げ込むのは遺憾である、税の問題についても基本的政策は納税者の代表である国会がつくるわけだから、そこのところを明確にしてほしいというものであったわけでございます。  また、五十人年の五月十七日、参議院内閣委員会では、臨時行政改革推進審議会設置法案にかかわって矢田部議員は、政府の責任でやるべき行革推進ではありませんか、改めて審議会をつくってやるのはいかにも屋上屋を重ねる感じだと言えます、特に、政府の責任でやるべきことをさらに審議会に御相談をしながらやるということは一体どういうことか、もともと実行ややり方についていかにすべきかについては、国会があるわけでありますから、国民と国会、とりわけ国会の意見を聞いてやるべきだというふうに考えていますが、その点はいかがですか、というようなものでございます。  これらの質問は、国会が国民の代表としてやるべきで、審議会は屋上屋か政府の責任回避のどちらかだという立場で、審議会はつくるべきでない、やめるべきだというふうな主張だと思うんです。これらの同様の趣旨の質問は私もこの場でもたくさん聞いておりますのでございますけれども、一々御披露申し上げなくてもいいと思うのでございます。  そこで、あえてまたこの税制改革協議会という名前だけで中身のない審議会に逃げ込もうとするのであるならば、私はこの協議会というのは端的な言い方をすれば駆け込み寺でありブラックボックスだと言わざるを得ないと思うんです。常々野党の皆さんが言っているところは、政府自民党だから悪いので野党かつくるならやってもいいのか、こういう矛盾があると思いませんか。その辺についてひとつ御答弁願いたいんです。
  235. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 非常にたくさんおっしゃっていただきました。  まず、この審議会の問題については二つに分けて考える必要があると思います。  まず一つは、国家行政組織法に基づくいわゆる八条機関と言われる審議会、先生は五十年代の例、そして六十年代に入ってからの例も引いてお話しになりましたが、私どもはこの問題について、政府がかねがね隠れみのとして使った部分が具体的にたくさんありました、したがいましてその都度具体的に指摘をしてまいりました。したがって、私どもはこの国家行政組織法の改正のときに猛烈に反対をしたわけでございますけれども、要するになぜ私どもが反対をしたかといいますと、国家行政組織法の第八条で従来は法律で設置されることになっておりました審議会が、各省庁の政令で設置する、政令でも自由にできるというふうになったものですから、そういうことをした ら、それこそ大臣やそれぞれの省庁が国会の審議、立法府の審議を経ないでやるというのはとんでもないことだということで議論が随分沸騰したわけであります。しかしながら、現在は国家行政組織法の八条の中から各省庁の審議会というのは政令で設置されることになったわけであります。  さらには、もう一つ問題がありますのは、いわゆる国家行政組織法とか政令できちっと審議会を設置されることになっておりながら、実際は私的諮問機関という形で審議会が、大臣のいわゆる好みによって人を選んで設置をするというふうなものがたくさんふえてきた。これが中曽根行革で批判された問題であります。この二つの問題があるということだけはおわかりいただきたいと思います。  私どもは、そういうふうな意味で、そういうふうな国の行方に、また国のいろんな基本的な政策にかかわるような問題はきちっと法律に基づいて設置をし、そして御意見を述べていただくべきだと、こういうふうに日ごろから申し上げてきたわけでございます。  それから、今回のこの審議会につきましては、もう何回も申し上げておりますが、国家行政組織法第八条に基づきまして、総理府のいわゆる附属機関としてきちっと設置をさせていただいたわけでございます。  したがいまして、いろいろとおっしゃっていただきましたけれども、いずれにしましても、先生がいろいろと御心配になっているようなことが起きないように、私どもは一つ一つきちっと手続をとりながらやっていきたい、こういうふうに考えております。
  236. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 手続をとってきちっとやるとおっしゃいますけれども、まだ聞きたいことがございますからそれでよろしゅうございますとは言えないわけですが、国民税制改革協議会に関する二つ目の質問としましては、この協議会の今おっしゃいました組織でございますが、まず人選をどうするのか。野党の案では、学識経験者、国民を代表する者となっているだけで全くよくわからぬわけでございます。  通常この種の審議会は三者構成となっておりまして、国民の各界各層の英知を集めつつも利害調整という点に目配りをしている。したがって、多くの場合、公正妥当な答申が出されて、大多数の国民の支持が得られてきたものだと思っております。野党の案は余りにも漠然としており、強いて言えば、国民の各層を代表する者と言っていますけれども、今どき国民に上流社会だとか下層階級だなんていうことでどういうふうに区別するんですかね。あるいは納税の多い人、少ない人を代表として選ぶんだというふうになるんですか。ただ各層を代表する者と言われたって、これは基準があいまいでまことに理解ができないわけでございます。  法案の提出者は、税金問題という極めて、しかも鋭く利害対立が生じやすい問題を審議する協議会の人的構成を示さずに、納税者の理解が得られると思っているんでしょうかね。国民税制改革協議会の人的構成というものをほとんど白紙委任の形で法案をつくられてもとても賛成できるものではないのでございます。  この法案には何ら意味のある規定を示していない。そうであれば、結局この提案者の考えに同調する人だけを集めることになるのは火を見るよりも明らかなことだと思うのでございます。一体提案者は人選の公平を保つ対策をお持ちなのかどうか。これほど重要な再改革の法案にこれをどうして明記していないのかということを答弁願いたいのでございます。
  237. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 人選につきましていろいろと御心配をいただきましてまことに恐縮でございますが、少なくとも発議者の意思によって選ばれるということは全くないわけでございます。これは御存じのとおり、この法律の中にも明記いたしておりますけれども、この五十人の選び方につきましては総理に一任をしているわけであります。それで、中身といたしましては、ここに法律として書いてある部分につきましては今委員がお読み上げになった部分だけでございまして、いわゆる学識経験を有する者からと、それから国民各界各層から幾人かを選ぶということにいたしておりますが、今委員国民各界各層の例として挙げられましたそういうふうな例は、私どもは全く考えておりません。そういう考え方、そういう例は私は不適当ではないかなと思っております。  したがいまして、具体的にどういう基準で選ぶかということについては、政府において、自由にといったらおかしいですけれども、フレキシブルに対応していただくということで、私どもが法律の中で拘束はしないというふうにしているわけでございます。
  238. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 我が党の同僚議員から、税制改革協議会の結論が、消費税見直しとかあるいは消費税はやむを得ないという結論が出たらどうするのかという質問に対しまして、提案者は、そういう結論は基本法の中で原則的なフレームをきちっと決めているので出ないんじゃないかと、こう言っておられまするけれども、これでは国民の声を聞くというのは、全くあらかじめ結論に引っ張り込むという意図が見え見えだと思うのであります。それでは今改革のあらしが吹き荒れている東欧の共産圏の諸国の人民協議会というものとうり二つだと言われても仕方がないんじゃないですか。  広く国民の声を聞くというなら、これはもっと率直に選び方等も明確に答弁があってしかるべきものだと思うわけでございます。硬直的で時代おくれ、そういったようなあなた方の都合のいい御用学者やその手の学識経験者だけ入れるということでは、私は国民の全体を代表する協議会にはならないと思うんですが、いかがでございますか。
  239. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) したがいまして、吉川さん、私どもの御用学者とかそういうことにはならないのでございまして、私どもの手からはこれは明らかに離れるわけですから、いわゆる時の政府が選んでいただくわけでございますから、そういうところは自由にしているということでございます。東欧の問題とかそういうこととは全くかかわり合いはないと私は思っております。  それで、しかも私どもは、少なくとも一つはっきり言えますことは、我々としては大型間接税の導入というようなことにはならないのではないかという点は、これは再改革基本法の中でもうたい込んでおりますので、その点を申し上げていたわけでございます。
  240. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 国民税制改革協議会についての三つ目の質問といたしましては、この協議会が二年間の審議で二十一世紀を展望した確固たる税制をつくられるのか、これでできるだろうかということを大変疑問に思っております。幾ら急いでも二年間の審議でまとまらないと思うのはもちろんでございますし、結論が出せないのではないかと私どもは判断せざるを得ません。国民の意見を聞くということは民主主義政治では当然でありまして、別に皆さん方の専売特許ではないんです。  それはともかくとしまして、審議を進めて一つに案をまとめるということは、大変な根気と強力なリーダーシップが必要だと思うわけでございます。今回の提案の各党にその能力、大変失礼ですが、まとめていかれる能力があるのかどうか。  先日、ここでの質疑で民社党の寺崎さんは、物品税に基本的には反対でありますと。到底この法案を提出している党の所属の議員だとは思われないような質問があったわけでございまして、これは私はちょうどそのときは聞いていなかったんですけれども、テレビを見た私の選挙区の地元の人たちが、そんな進めておる方と質問する方と適当に、食い違うようなことではこれは信用できないというふうな声があったわけでございます。物品税の復活は、野党の代替財源の目玉商品でしょうけれども、それについてさえ意思統一が図られていないようでどうして税全体の構築ができるのか。私は非常に不安でもありますので、そのことについてお伺いいたしたいと思うのでございます。
  241. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 吉川委員、大変御心配いただいていることにつきましては、私ど もも確かに二年間という非常に短い期間に結論を出さなければなりませんので、おっしゃることはよくわかります。  しかしながら、実際問題として私どもは全く白紙のところからこれからの税制改革に取り組もうというのではなくて、従来長い間、税制改革についてそれぞれいろんなところで検討を重ねてきたわけでございますから、そういうふうなものを踏まえましてこれからの新しい時代の税制改革を御検討いただくということにしているわけでございます。したがいまして、今御心配のようなこともありますけれども、従来の政府税調の答申の経過とか今回の消費税の導入のいろんないきさつ等を見てみますと、決して無理なあれではない。大体このくらいの、例えば我々は平成四年の四月一日から実施するといたしましても、少なくとも平成三年の秋口には答申をいただきたいと思っておりまして、そういうふうな意味では多少急いでやっていただかないといけませんけれども、そういう点につきましてはぜひ吉川委員の御協力もいただきまして、この法律が成立をし、速やかにこの税制再改革に取り組めますように御協力のほどをよろしくお願いいたします。
  242. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 具体的な問題を一つ指摘しておきますが、国民税制改革協議会の取りまとめの責任は一体どなたがやられるのですかね。提案者が責任者になってやるという構想なんですか。  また、国民税制協議会の事務局、俗に言う裏方というものはだれがやるんですか。どこがやるんですか。今回の法案でも非常にミスもありますし、代替財源計算も同僚議員の指摘のたびに余り自信のないような答弁が続いているわけでございますが、どうもこういうことでは本当にそこにお任せして全部つくっていただくというわけにいかないんじゃないか。協議会をどう動かすのか、結論はだれの責任でまとめていくのかということについてお聞かせ願いたいと思うんです。
  243. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) これはすなわち、もともと総理府に設置するわけでございますから、しかも総理に委員の任免等についてもお任せをしているわけでございますし、また今、会の運営とかあるいは会の取りまとめとか、そういう問題につきましてはこれは会長とかそういうようなのになるんだと思いますが、会長の選任とか手続、会の運営ですね、それからいわゆる会の事務局ですね、それをどういうようなところに置いて運営をするのかということになると思うんですが、こういう問題につきましては政令で設置していただきたいと考えておりまして、いずれにしましても非常に難しい問題あるいは多々いろんな問題が出てくると私は思いますけれども、そういうような問題も今までのいろんな経験からいたしますと十分やっていけるのではないかなと、こういうふうに考えております。
  244. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 この問題ばかりにかかわっているわけにはいかないので先へ進みますが、次に、提案理由の説明の中から久保議員に、提案者にひとつ二、三お聞かせ願いたいと思うのであります。  このたびの消費税廃止法案は、去る十一月八日、発議者を代表して久保議員が趣旨の説明をされ、そこから議論が始まったわけでございますが、当日は大変なやじの応酬で、喧騒で余り中身を聞き取れなかったわけでございますけれども、改めて議事録を見てみますと、かなり私は一方的といいますか、独善といいますか、事実とは受け取りがたいところが多々見受けられます。  そこで、二、三お伺いしたいのでございますけれども、その前に政府委員より事実関係についてひとつ確かめておきたいと思うのでございます。  まず、公正取引委員会にお尋ねいたしますけれども、議案の提案理由の説明の中の中段に第一から第六まで箇条書きで言っておられる中に、「第四に、独占禁止法の骨抜きによってカルテルが公然と横行しています。」というふうな記述もございます。それからまだ、第二も非常に気になるんですけれども、第二は「便乗値上げが発生する一方、下請、零細企業等においては重い負担となり、価格転嫁が機能しておりません。」というふうに、こうはっきりうたっておるわけでございますが、実際のところはどうなっているか、お聞かせ願いたいと思うのであります。
  245. 植木邦之

    政府委員(植木邦之君) お答えいたします。  今の御質問の関係の事実関係でございますけれども、公正取引委員会消費税の導入がありましたときにカルテルによる便乗値上げが起こるかどうかということを監視するために、ことしの三月の中旬以降特設の電話を設けまして消費者から情報を集めてきたところでございます。この情報をもとにやみカルテルの疑いがあるという事案を六十七件ほど調査いたしまして、それで違反行為を早急に取りやめさせたということでございます。この値上げの案件、やみカルテルの案件というものは、消費税の導入の前に行われた、私どもは先取り値上げと言っておりますが、そういう案件でございます。そして、消費税が実施されたつまり四月一日以降でございますけれども、便乗値上げのカルテルは私どもは顕在化してないと、こう考えております。したがいまして、四月一日以降我々がそのようなことをしないようにと強く要請をしたこともございますので、横行していると申しますか、極端な例というのはないと申し上げられるだろうと思います。
  246. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 次に、自治省にお尋ねいたしますけれども、第五条に行財政、とりわけ地方自治体の行財政に多くの混乱と実害を与えておりますというふうに、これまた言い切っておるわけでございますが、具体的にはどんなことがあったのでございますか。
  247. 持永堯民

    政府委員(持永堯民君) 財政的な面から見ますと、御承知のように消費税につきましては、その約四割が地方の財源となっておりまして、地方団体にとりましても非常に貴重な、重要な財源であるわけでございます。同時にまた、消費税の創設に伴って歳出面でも確かに歳出はふえた部分がございますけれども、これにつきましても財源措置手当てをいたしておりますので、そういった面での支障はないと思っております。  なお、この法律にもございますけれども、地方団体は消費税とのかかわりで考えますと、一つは「税制改革の円滑な推進に資するための環境の整備に配慮しなければならない。」という立場がございます。もう一点は、事業者という立場で「円滑かつ適正な転嫁」ということをするという立場もございます。そういった面も十分これまで指導をしてまいっておりまして、確かに転嫁についてまだ結論を得ていない団体も一部はございますけれども、多くの団体におきましては適切な対応がなされているものと、このように受けとめております。
  248. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 そこで、発議者にお伺いしたいんですけれども、今お聞きいただいたとおりの状況であります。この日本全体の中でわずかな事例があったからといって、ほとんどスムーズに行われておるこの消費税が定着していないかのような記述といいますか、をなさることは、これは私は悪意と偏見に満ちたものと言わなければならぬと思うんですね。かつて、我が国の総理大臣で、曲学阿世の徒と言って物議を醸し出して、これが導火線となって解散になったという例もありますけれども、そんな私は大仰なことを言うつもりはありませんけれども、わずかにあることを針小棒大に言うというか、牽強付会というか、宣伝臭が非常に強くて、これはどうも困ったことだと思うんですが、どういうふうに思うんですか。
  249. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) それでは最初の、独禁法の骨抜きによる公然たるカルテルの横行についての御答弁をさしていただきます。  これにつきましては、公正取引委員会で七月の二十八日に発表した、六月三十日現在ということでございますが、転嫁カルテルについては二千三十八件、それから消費税の表示カルテルについては二千五百二十八件、合計四千五百六十六件ということで承っております。この消費税の導入に伴いまして政府は独禁法の適用除外というのを認めたわけでございますが、言うまでもなく消費税転嫁カルテルまで認めたというのは我が国しかな いのでございます。世界にこれは例がない。これは委員もよく御存じだと思います。このようなやはり市場経済のルールに反するカルテルを我が国だけが認めざるを得なかったところに消費税の欠陥が浮き彫りにされていると私たちはとっておるわけでございます。また、中小の業者でありましても、消費者の反発を覚悟してまでカルテルを結成しなければ消費税転嫁ができない、また、独禁法の適用除外によって我が国の産業界全体にカルテル体制が定着すること、そういうことも強く憂慮する発言等も参考人の中にございました。  なお、日米構造協議でも、国際的にも我が国は独禁法の適用をさらに厳しくするように今求められているのが現状であることもつけ加えさしていただきたいと思います。先生から今お話がありました、カルテルが公然として横行している、私どもも一生懸命調べさしていただきましたが、公然というのは、意味は表立ったさまとか一般に知られ渡った様子、こういう意味がございますし、あるいは横行というのはあまねく行き渡る、あまねくめぐるという意味でございます。私どもの趣旨説明の中で「カルテルが公然と横行し」とあります。これは、公然というのは表立ったさまでありますし、横行とはあまねく行き渡る、こういう意味で私たちは使わせていただいております。転嫁カルテル及び表示カルテル合わせて六月末現在でやはり四千五百六十六件という数字は、まさに御心配なく公然と横行している様子ではないか、このように私たちは考えております。  以上です。
  250. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 今公然とか横行とかの言葉の解釈を聞いているわけではないんでして、ただいま公正取引委員会でも確かに初期にもあったと、しかしそれは勧告というか申し入れによって取りやめていただいたとはっきり言っているんですから、まあそのことについてはあれしましょう。数だけでもないと思うんです。  次に、国際的にも国内的にも物品税は時代おくれだという点についてお伺いしてみたいと思います。  野党のこの税制改革では、二年間は物品税を復活し、もしその間に新しい税制改革ができないならばそれ以後も続けられるという恒久税制だということを聞いております。しかも、ここでは民社党の元委員長の春日氏が物品税は不公平不公正のつくだ煮だと指摘されたと言って紹介されましたけれども、老練な政治家だけに、与野党を超えてさすがに私は高い識見をお持ちだったと感銘を受けたわけでございます。今さら数多く申し上げなくとも、物品税が矛盾と不公平な税であることははっきりしております。ここではもう何回も紅茶とコーヒーの例が出されましたし、また毛皮はぜいたく品だと一言で言えるでしょうか。これは複雑な税制度になっているということをちょっと御紹介してみたいと思うんです。  毛と皮を使用した毛皮のコートは課税だ。しかし、毛の部分だけを使ったカシミヤのコートは非課税だ。また、皮の部分だけを使ったレザーのコートも非課税だ。なぜ毛と皮が一緒に使われればぜいたく品で、これが別々に使われたらぜいたく品でないのか。生活必需品だからということについては合理的な説得力ある原則をだれもこれは説明することはできないと思うんです。  それから、毛皮の製品を扱っている業者の陳情文書を見ますると、野党のこれに対しての課税強化というのに対しましては非常にふんまんを漏らしておられますね。それは昔はギンギツネのボア一本は千五百円だ、当時中古の家が一軒買えた、当時の大学卒業生は月給が七十五円か百円の時代だった、こういう話でございますが、今では養殖化に伴って毛皮製品も大衆が手が届く御婦人のファッションとしての部類に入っているということはもう私から言うまでもないわけでございまして、現にミンクのコートの平均価格は三十万から五十万程度だと、こう言っております。どうであるかはまだ私もよくわかりませんけれども、そういうことに対してどう思うか。  さらに自動車、これに対しても、今日国民各層に深く浸透して国土の隅々まで行き渡り、本当に国民の足であり生活の用具となっておるものに対して、これを我々の法律ではやがて三%に下げますけれども今のところは暫定で六%。ところが、皆さんは下げるとはいっても八%にするということは、これはもう世の中の動きに逆行している税制だと私は思うのでございます。  そういうことについて、物品税を拾い上げて代替財源だと言っているということはどうも野党さんもそう知恵がなかったんだな、こういうふうに思わざるを得ませんけれども、どうしてこういうことについて、自民党政府がもうこれはお役御免にした方がいいと言う税を取り上げてまたこの財源にされているのかということについて、お聞かせ願いたいと思います。
  251. 梶原敬義

    委員以外の議員(梶原敬義君) 皮と毛の話ですが、大蔵省もお見えですから、去年まではなぜそういうものにそういう矛盾した課税をしてきたのか、逆にひとつ聞かしていただきたいと思います。  私どもは今度の個別物品税の復活に当たりましては、吉川先生、たびたび申し上げておりますが、五兆九千億に上る消費税廃止するということを前提にいたしまして、一体財源はどうするのか。財源は知らぬ、あとは大蔵省でプラス・マイナスしてどうせいという、そういうわけにはまいりませんと。したがって代替財源案も考えましょうと。  そこで、それは知恵がないな、こう言われましたけれども、そう言われればそうかもわかりませんが、いろいろ不公平の税制を正しそして総合累進課税を中心にして、そしてさらにまた財源の問題をいろいろ考えた場合に、やはり二の次として個別物品税の復活、これはやむを得ないだろう。そして、その個別物品税の中に、いろいろと今言われましたようにコーヒーと紅茶の例、あるいは逆に言いますとダイヤモンドにはじゃ消費税三%でいいのか、こういう矛盾もあるわけですから、そういう個別物品税の持つ矛盾をこれから第三者機関の国民税制改革協議会等で、また国会の皆さん方の意見も聞いて直すところは直していこう、こういうような観点からでございます。  さらに、自動車の普通乗用車の場合、今三%プラス三%で六%でございます。私どもの八%の場合でいきますと、これは製造段階に八%かけるわけですから、恐らくこの六%の消費税よりは少し低くなってくるだろう、そのような目算をしております。
  252. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 国際的に見ますと、OECD加盟二十四カ国のうち付加価値税を採用している国は十九カ国、さらに売上税を採用している国は五つあるわけでございまして、個別間接税を採用している国はないのであります。外国はやっていないから物品税をやってはいけないんだということは直ちには言えないかもしれませんけれども、先進国が全部消費一般に課税する方式をとっているのにはそれなりの私は合理性があるだろうと思うんです。もし物品税をこうして国際的な流れに抗してつくるというなら、何がこれらの先進国と違うか、なぜ復活するというのか、税財政論の立場から説明してもらいたいのでございます。  これまでの消費税導入が公約違反だという答弁は国内向けの政治論であっても、国際的に諸外国にあなた方と違う税制がどうしても必要だという説明にはならないと思うのでございます。国際化時代は日本の進むべき方向ですが、先進国に納得してもらえない税制だとこれは逆行ではないでしょうか。  EC諸国が付加価値税を導入するのは経済発展の原則にもマッチしております。個別物品税では対応ができないからです。国際的に共用できるものはできる限り譲り合って共用するという姿勢と政策づくりが私は大事だと思うのでございますが、野党案はそういう点で大きな欠落を持っていると思いますが、その点についてはいかがですか。
  253. 梶原敬義

    委員以外の議員(梶原敬義君) 確かにいろいろな御意見があると思いますが、やはり国民の意思 を中心に据えて、日本の、我が国のこの国会の中で議論をしているわけですから。その点については私は意見が違うところがあります。  今お尋ねの、EC諸国は導入しており我が国も導入すべきではないか、こういう御質問だったと思います。その点につきましては、御指摘のとおり世界において付加価値税を導入している国が多いということは、私ども提案者もよく理解しているところであります。ただ、EC諸国においては間接税の占める割合が大きいのは事実でございまして、その理由といたしましては直接収入を捕捉されるのを嫌う国民性に負うところも大きいのではないかと考えております。また、いわゆる開発途上国においては付加価値税が多く用いられているのは、法人税などを引き受ける企業の力が十分でないためによるものであると考えております。  このように、各国の税制はそれぞれの国民性、社会状況等を勘案してその国民が判断すべきであることは言うまでもありません。したがいまして、既に審判の下った消費税については、私どもとしては国会で議論をしていただいて廃止すべきだ、このように考えております。
  254. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 通告した最後の質問は直間比率の問題についてでございますが、野党の提案理由では直接税を主に間接税を従にすると述べられております。直接税を主にするという点ではサラリーマン層には重課の税制になりはせぬか。過去の実績にかんがみて必至だと思われます。それでこれからの二十一世紀の高齢化社会及び経済大国日本の国際責任を果たす財政運営に必要な財源は確保できるのかどうか。もし確保するとすれば、サラリーマン重税を本当に納得してもらえるとお考えですか。直接税主で間接税従だというだけでは国民にはわかりません。  直間比率は結果であって初めからその比率は考えていないと野党の皆さんは答弁されておりますけれども、そんな税制では困ると思うんです。私は最小のけたぐらいの数字まで云々する気は毛頭ございませんけれども、しかし直間比率について例えば五〇、五〇だとか七、三だとか、そういう線を頭に描きながら個々の税制をどう考えるかということでなくてはならぬと思います。何が何だかわからぬがやってみたら直間比率が結果として出てきたというようでは税制や政策運営ではないと思うのでございまして、この点について、しましば出ておりまするけれども提案者の御答弁をいただきたいのであります。
  255. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 直間比率の目標値をどこに置くのかという何回かの御質問をいただきました。  確かに、直間比率というのは過去我が国の税制の中で歴史的にずっと推移がございます。私どももこの直間比率というものについて、税制改革の結果に関してそれぞれ一つの直間の関係に評価を与えるということは必要なことだろうと思っております。しかし、税制改革に当たって目標値を定めて、そのためにこの直間の目標値に到達するための税制改革をやるということは私どもは今日考えていないのでありまして、税制改革を直間それぞれについてきちっと公平公正の立場に立って貫くことによって、結果として出てくるものであろうと思っております。
  256. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 次に、提案者の間でも直間比率考え方に相当食い違いがあると思うのでございます。これまた既に紹介がありましたように、NHKのテレビでは社会党の伊藤政審会長は七対三が望ましい、民社党の中野政審会長は六対四に近づけると言ったと思います。約五十兆円のこの平成元年度の税収を前提にいたしましても、一〇%違うといえばもう五、六千億ぐらい違うわけでございまして、これを直接税で取るか間接税で取るかということになりますと、負担される国民立場はもう大きく影響があると思うのでございます。源泉徴収のサラリーマンの場合で言えば、給与袋から天引きで取られるか買うか買わないかの選択でできる間接税で取られるか、重税化への影響も大変違うはずだと思うんです。  野党の、間接税が従というならば、最終的にはどの程度のことを考えておるのか、数字でお聞かせ願いたいと思うんです。
  257. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 政審会長の発言をしばしば問題にされまして大変恐縮に存じておりますが、いろいろな討論会等の場合にはその討論の流れとか雰囲気とかいうものもございますから、そこでいろいろな見解を述べることもあろうと思っておりますけれども、私どもそれが全く私どもにとっては関係のないことだとか責任のないことだと申し上げるわけではございませんけれども、きちっとした方針ということでお尋ねでございますならば、目標値というものを定めてそれに拘束されるという形で直間の関係を考えて改革を行うという立場は私どもとしてはとらないということを申し上げているのでございます。
  258. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 それでは、野党の文書でも将来のあるべき税制というのはやっぱり流通とサービスに課税を拡大する、当面は物品税でということになっているわけでございまして、この際のサービス課税は現在の消費税課税とどのような点で違う税制度になるのか聞かしてもらいたいんです。その際も、個別サービスを指定して課税するものしないものに区別するような考え方なのか、流通への課税という場合も消費税課税とどこが違うのか。複雑多岐になる流通過程の課税ということになりますと、行き着くところは私は消費一般ということで、何らこの消費税と変わらないところに落ちつくのではないかと思いますので、お聞かせ願いたいと思うんです。
  259. 梶原敬義

    委員以外の議員(梶原敬義君) 直間比率議論がずっと出ておりますけれども、先生御承知のように、直接税の中には平成元年度で法人税が三四・五%を占めておるんです。そして、さらにまたその中には相続税も入っておる。昭和三十年の直接税の中の法人税は二〇・五%でした。これが平成元年度では三四・五%なんです。だから、我が国の直間比率が直接税と間接税の開きが非常に大きくなっておるというのは、直接税の中の法人税の占めるパーセントが非常に高く出ている、これはそれなりの理由があって出ているんですが、その辺でやはり一つは考えていただかないと必ずしも議論がかみ合わないんじゃないかと思います。  それから、サービス課税につきましては何と何とをどうするかということではなくて、いろいろとこの前議論がありましたように、広告とかOA機器の問題についても、自民党の議員の質問の中にあったように、いろいろと考えたけれども業界の圧力等があってこれはできなかったということを言われておりました。そのように、これから個別間接税を見直す場合に、検討する場合に、そのサービスの問題も改めて一体どうなのかと、そういう検討課題ということで基本法の中に挙げている、そう理解をしていただきたいと思います。
  260. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 片山さんの時間も迫りましたので、私から最後に望ましい税制について私の所見を申し述べてみたいと思うんです。  野党の提案理由では国民に納得されない税制度というものは認められないと言っておりますが、これは私は野党でなくても民主主義政治の鉄則で、我々も常にそうした気持ちで政治に当たっていると思うんです。問題は、野党の皆さんは消費税にノーと、まさに二者択一、そして対決主義一色的な対応で今日税制論議に臨んでいると思いまするけれども、その点について私は反省していただく必要があるんじゃないか。対決ではなくて話し合いの中からよりよい税制度をつくる姿勢が、本当に国民に納得してもらう税制度のつくりになると思うのでございます。  今日、米ソの間でも、長い間の対立と冷戦の終わりとマルタ島会談で確認して、新しい時代や新しい世界づくりの出発が始まろうとしておるわけでございます。参議院選挙に野党が勝利した。しかし、その中は四党一会派その他にみんな分かれているんですね。そしてこの消費税廃止法案を出しましたけれども、しかし九法案全部が参議院を通るめどは私はないと思うんです。また、衆議院での否決は火を見るよりも明らかだと思うんで す。また、政府・与党が発表した消費税見直しも、現状のままでこのままを前提ということで考えれば、衆議院を通過してもまたこれを参議院の審議で停滞する危険も高いということは率直に私も認めます。  衆参両院の構成がこう違ってくると、私は対決やこういうことで激化して国民が喜ぶかどうかということなんですね。国民のための政治や税制度がつくられるでしょうか。国民の納得が得られるためには何をするか、野党の皆さんに私はいま一度よく考えていただきたいと思うんです。参議院は衆議院に一歩譲った姿勢であってもいいんじゃないか。皆さん方が参議院選挙の勝利、しかし対決ではなくて国民のための政治と政策を実現させるために、それこそ大胆な妥協とか協調が今こそ大切ではないかと思うんです。このことがこの参議院の税制審議の意義を高めるということになると思うんだけれども、私はそう申し上げたいんです。  最後に、ひとつ皆様方に古歌を披露して、こうなるのでないかなと思うんですが、「瀬をはやみ岩にせかるゝ滝川のわれてもすゑにあはんとぞ思ふ」と。私は必ずこれはやがて一致した形で国民の合意を得られる税制が得られると思うんです。私の新潟県の偉大なる偉人の田中角榮先生も、人に色紙を頼まれると、「末々に海となるべき谷水もしばし木の葉の下くぐるなり」という心境で、これは自民党は、自民党全体ではなくても私はそういう心境でいましばらくは我慢はしておりまするけれども、国民の望ましい税制というのは対決や対立だけで生まれない、やっぱりそこの協調ということで必ず生まれてくるものだというふうに私は認識しておりますが、いかがでございますか。
  261. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 大変心にしみるお話をいただきまして、ありがとうございました。  ただ、私どもといたしましては、自民党のお出しになる見直し案が限りなく廃止に近いもの、そう考えてまいりましたけれども、今回お出しになりました見直し案は限りなく存続に近いもの、こういうものだと思います。私どもは国民の皆さんの御意思は消費税廃止にある、これは参議院選挙の結果はもちろんのことでございますが、この消費税が昨年論議をされました段階からこの選挙の期間を通じて、国民の皆さん方は消費税に対して非常に強い反対の御意思をあらわしてこられたわけでありまして、それがはっきりした集約的な結果としてあらわされたのが参議院選挙の結果であったと思っております。  私どもは、その国民の皆さんの御意思にこたえるために今この国会が何をなすべきか、こういうことで廃止に関する法案を提案いたしているのでございまして、ぜひこの国会で消費税廃止法を初め九法案を成立させていただきますことを――特に参議院は最も直近の国民の意思を反映して今組織されている、その参議院がこの消費税廃止法を先議いたしましたことの意義は日本の民主主義にとりまして極めて大きいものだと考えております。ぜひそれを酌んでいただいて、この消費税廃止法が今国会において成立いたしますよう――今先生が仰せのように、もしもこれがこの国会において成立できないということになりますならば、私どもは近づいております総選挙国民の皆さんの御意思を問う以外にないのではなかろうか、こう思っております。  どうぞ、皆さんのこの長時間にわたります御審議の結果に基づいてこの法案を成立させていただきますよう、心からお願いを申し上げる次第でございます。
  262. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 時間になりましたので、片山さんにお譲りいたします。
  263. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 関連質疑を許します。片山虎之助君。
  264. 片山虎之助

    片山虎之助君 それでは関連質問をさせていただきますが、今吉川議員から御所見が述べられ、それに久保議員からもお答えがあったわけであります。私は、七月の厳しい参議院選挙を戦った者として、先ほどああいう問答がございましたので、若干の感想をまず申し上げることをお許しいただきたいと考えるわけであります。  七月の選挙は、御承知のとおり自民党にとりましては大変な逆風でございました。私も大変きつうございました。しかし、私は今日の我が国の繁栄や安定や平和はもう世界で最良のものである、トップレベルだと。これがこうなったのは、もちろん国民の皆様の懸命な努力はありますけれども、同時に、太平洋戦争後のほとんどの時期国民の負託を受けて我が国の政治を取り仕切ってきた自民党ないしはその前身の党の基本的な政策は間違いでなかったと。自由と民主主義ですね、市場原理を貫徹した経済体制あるいは西側の一員としての集団安全保障あるいは国際協調の中で加工貿易立国でやっていく、これが成功したから今日があるんだ、こう私は申したわけであります。  また、消費税につきましては、消費税だけをお考えになるんじゃなくて、二十一世紀を見据えて、国、地方を通じる大きな税制改革の一環としてとらえてもらう。消費税はいろんな議論があるけれども、よくできた税金なんです。広く薄くよくできた税金なんです。もし皆さんに御意見があって、将来消費税よりもっといい税金ができて国民の皆さんがそっちがいい、こう言われるならやむを得ないけれども、今の段階では消費税を見直すべき点は見直して、改善、運用して定着さしていくことが私は正しいのじゃなかろうか、こう思いますと有権者の皆さんに訴えまして私は幸い当選させていただいたわけでありますけれども、自民党の全体は御承知のとおりなことであります。  自民党ができましたのは昭和三十年の十一月十五日と記憶いたしておりますけれども、衆参に限って過半数をとったかどうかを見れば自民党は連戦連勝なわけであります。土つかずであります。それが前回七月の参議院選挙で初の一敗というのでしょうか、初の一敗でした。これは自民党が勝手に負けたようなものでございまして、相手が勝ったのか自民党が負けたのかよくわかりませんけれども、そういうことである。しかし、それは率直に自民党は受けとめて、私は真剣に反省せにゃいかぬと思います。しかし、それはそうだけれども、勝ったとされる方だっていつまでも勝つわけじゃない、いつまでも負けるわけじゃない。国民の選択、判断、評価というのは次第に変わっていくわけであります。それをもってもう全部だということにはとてもなりません。  そういう意味で、今もお話しございましたが、勝ったとされる側も負けたとされる側も国民の意向を真摯、謙虚に受けとめて一生懸命やっていく、こういうことが必要じゃなかろうかということを私は生意気にも冒頭に言わせていただきまして、質問に入らせていただきます。関連質問といたしまして、地方自治、地方行革、地方財政を中心にお話をさせていただきたいと思いますけれども、その前に、この委員会で何点か議論されてきちっとしていない積み残し的な問題がございますので、まずそこから入らしていただきたいと思うわけであります。  せんだって久世委員指摘しました「国民の合意」について再度お尋ねいたしたいわけでありますが、「国民の合意」あるいは「国民の合意の形成」という文言が入った法律の条項がございましたかどうか久世委員は調べてくれと皆さんに申したわけでありますが、いかがでございましょうか。笹野議員、よろしくお願いします。
  265. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) お答えをさせていただきます。これからの合意が片山委員と私との合意になれば本当にうれしいのですけれども。  今の端的な御質問にお答えをさせていただきますと、この間久世委員は「合意」という言葉があるかというふうに私に突然御指名があったわけで、これは共通の認識を持っておかなければこれからの議論がかみ合いませんので、まず共通の認識としてお話をいたしますと、久世委員は「合意」という言葉は日本の法律のどこにもない、憲法にもない、こうおっしゃって、「合意」という言葉がないことを言いましたけれども、これは私もあのときにちょっとお答えし損ねたわけですけれど も、「合意」という言葉はたくさんあります。日本の憲法の第二十四条にも「合意」がありますし、またもっと細かく言いますと建築基準法にもありますし、あるいは民訴の中の二十五条にもありますし、たくさんあります。  しかし、今お聞きの御質問は「国民の合意」という意味ですね。「国民の合意」という段階では、ありません。そしてその「合意」という言葉を使うのが憲法違反であるかのような御指摘でしたけれども、私はこれは共通の認識といたしましてそういう言葉を使うことが憲法違反だということには、これはいささか、非常に認識が違うというふうに思います。  さて、御指摘の「国民の合意」についてお答えをいたしますと、国民主権の要請は国家権力の正当性の根拠が国民の総意にあるという理念、つまり理念が国政の機構や作用に具体化されるところに重要な価値があります。ここで言う「国民の合意」とはまさにこの理念であります。しかし、主権の具体的政策の行使は国民の厳粛な信託によって選ばれた代表によってなされていることはもちろんです。つまり、憲法改正に対する国民の投票、最高裁判所の裁判官を決める国民審査、またこれは地方の場合に限られますけれども、地方特別法に対する住民投票などを抜かした以外はこれは国会の決議が主権の行使とされることは言うまでもありません。しかし、とても重大なことは、国民の合意を得て決議をするということは、これはつまり議員がするわけですから、厳粛な信託にこたえるというのは、公約に違反しないことが一つ。また、審議に当たっては十分に審議をするということが一つ。つまり、強行採決などはしないということが一つ。また、法律を施行していくときにはしっかりとした準備期間を要するということは言うまでもありません。  ここに言うところの「国民の合意」というのは、最後の結論といたしまして国会の議決を名実ともに国民の合意と言い得るために、国会の議決に至る前に広く国民の意思を吸い上げようという趣旨ですので、その点を御説明さしていただきます。
  266. 片山虎之助

    片山虎之助君 答弁者は質問に的確に、必要最小限答えていただければいいわけでありまして、自分の意見をべらべら述べるようなことはやめていただかなければいけません。注意してください。それから、今私がお聞きしましたのは「国民の合意」だとか「国民の合意の形成」という言葉が法律の条項としてあるかどうかでありまして、これは過日久世委員も同じ意味でお聞きしたわけでありまして、「合意」という言葉が法律の条項にあるかないかはだれだってわかっている、そんなことは。  今いろいろ笹野議員は言われましたけれども、私も「合意」という言葉を調べてみました。完璧ではないかもしれない。「合意」という言葉が含まれる法律の条項は百七十三あるんですよ。それで、その「合意」は百七十三ありますけれども、「国民の合意」だとか「国民の合意の形成」だとか、「合意の形成」という言葉は一つもない。「合意」というのは種類としては二つあるんです、当事者間の合意、関係者間の合意。当事者間の合意、これは対立する双方の主体の合意であります。この言葉が百二十七ある。国際関係が十九ある。それから関係者間の合意、これは集合としての複数の主体の合意形成でありますけれども、これが四十六。国際関係では一つある。それから、「国民の合意」あるいは「国民の合意の形成」というような不特定多数の人が確認ができない方法で合意をする、あるいはそれがどうなるかという法律的効果は定かでない、こういう言葉は法律としては使わないわけであります。したがって、一言も言葉はないんです。  そこで、スローガンや何かならよろしい。今いろいろ言われましたから、スローガンや原稿にお書きになったり演説されるときに大いに使ってください。それは構いません。しかし、法律としては「国民の合意」だとか「国民の合意の形成」という言葉は使わない方がいいという多くの判断で、私は今日まで一つも例がないんだと思う。これは皆さん御意見が違うかもしれない。しかし、「国民の合意」や「国民の合意の形成」を使ったらだめだ、使えないということは私はないと思う。ないけれども、それを使うことによっていろいろな問題が起こる、疑義が生ずる、こういうことは困ると私は考えている。  そこで、皆さんの税制改革基本法案の中に、久世委員指摘しましたように、「国民の合意」という言葉が四カ所ある。その一つ一つについて具体的に、これはどういうことか御説明いただきたいと思う。  まず、第二条「税制再改革の趣旨」「税制再改革は、消費税の創設を中心とする先の税制改革が広く国民の理解と信頼を得た上で行われたものとはいい難い状況にかんがみ、かつ、消費税廃止されることを踏まえ、国民の合意に基づき、改めて我が国の現在及び将来の経済社会に対応する税制を確立するために行うものとする。」、ここで言う「国民の合意」とは具体的に何ですか、笹野議員。簡潔に。
  267. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) お答えをいたします。  つまり、ここで言う「国民の合意」というのは、私は先ほど申し上げましたように、つまり理念のことです。この基本法はプログラム規定としての理念ですから、この言葉を使ってはいけないという、そういうことはありません。
  268. 片山虎之助

    片山虎之助君 これは理念だというわけですね。実体はないんだと、飾り言葉だと、こういう意味ですか。法律ですよ。私が言っているのは、法律というのは、私もそう法律は詳しくありません、ありませんけれども、大学で学び、役所で教えていただいたのは法律の尊厳ということであります。法律というのは、適当な言葉で文章をつくるようなものじゃないんです。これは国民国民生活国民経済を律する規範なんですから。これはそうすると、今理念と言われたのは実体がないという意味ですね。まあよろしい。  それから、第三条の第一項第二号、「国民の広範な議論を経て確立される社会保障に関する総合的な長期ビジョンに基づき、医療、年金、福祉等に関する総合計画が策定され、来たるべき高齢化社会における社会保障と国民の負担との在り方についての国民の合意の形成が図られること。」、これは具体的にどういうことか、どこでだれがどうやって合意の形成をやるのか説明してください。
  269. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) ただいま第三条についてのお尋ねでございましたけれども、第三条で申します「国民の合意」というのは、税制再改革そのものを言っているのではなくて、環境整備についての規定でございます。したがって、その手続等については直接この法案では規定してございません。
  270. 片山虎之助

    片山虎之助君 だから今の二号の意味を言ってください。具体的にどういうことですか。具体的な意味はないと言われるならそれで結構です。あるなら説明してください。まくら言葉なら結構ですよ、それで。そう言っていただけば。
  271. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 手続の問題として、合意をここへ規定していないのでございますから、信頼と理解という意味になってまいるかと思います。  手続の問題ということになれば、最終的には「国民の合意」というのは、代表制民主主義をとっております今日の日本の場合には国会の意思がどう決まるか、こういうことになろうかと思います。
  272. 片山虎之助

    片山虎之助君 久保議員が言われました、それじゃここの「国民の合意の形成」ということは、最終的には国会の意思だ、法律だ、こう理解していいわけですね。なるほどこれは基本法ですから手続は決めておりません。これはまた別の法律ということになると思いますけれども、そういうふうに理解していいですか、私の理解で。
  273. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 憲法改正に関する以外は、法律上、憲法上の国民投票の規定はございませんから、だから国民の合意というのを何で 手続として求めるか、こういうことになりますれば、国会の議決、こういうことになろうかと思います。
  274. 片山虎之助

    片山虎之助君 そうするとここは、国会の議決、まあ議決というのか国会で法律をつくることだと、こういう意味ですか。日本の法律というのは全部国会で決まるんですよ。何でここだけこれを書かないといかぬのですか。
  275. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 今回のこの消費税導入を中心にする税制改革を私どもはなぜ今廃止を求めているかといいますと、これは国民の理解と信頼を得たものとは言いがたい。これは見解が違うかもしれません。そういうことを私ども申し上げているわけです。そうなってまいりますと、国民の合意というのを、最終的には手続としては国会の議決ということになりますが、その国会の議決の段階において我々がどのように国民の合意を得る努力をしていくかというのは、いろいろと工夫し、それらの手続に準ずるようないろいろな措置等も講ぜられることが必要であろうかと思っておりますが、法的な手続ということになれば、最終的には国会の議決、こういうことだと思います。
  276. 片山虎之助

    片山虎之助君 それはちょっと私は理解できないんです。これは手続としては国民の合意というのは国会の議決で、それ以外に国民の合意があるようなお話と受けとれるんですよ、久保議員の意見は。国会の議決こそ国民の意思の形成なんですよ、議会制民主主義では。我が国は議会制民主主義なんですから、よその国のような直接民主主義をとっていない。だから、今言われることは、国会の議決は手続だと言われた。これは議会制民主主義にとっては大変なお話ですよ。それでいいんですね。
  277. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 国会の議決が国民の合意の最終的なあらわし方ということになりますね。  ただ、国民の合意の最終的な段階である国会の議決に至るまで、どのように国民の合意を形成する努力をするかということは、また国会が負っている責任ではないでしょうか。
  278. 片山虎之助

    片山虎之助君 事実行為と混同されているんですよ。もういいですよ、時間がかかりますから。久保議員が言われているのは、国民の合意の形成を事実行為としてやっていく、最終的な判断は国会だと。まあそれはそれでいいでしょう。  第四条第一号、「国民に広く意見を述べる機会が与えられるとともに国民に情報が公開される等の民主的な手続により形成された国民の合意に基づくこと。」、これは何ですか、笹野議員。
  279. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 今の御質問にお答えしますけれども、これは四条のこのままを読んでいただければ結構かと思います。
  280. 片山虎之助

    片山虎之助君 そんな答弁はないでしょう。具体的に中身を説明してほしい。
  281. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 国民に広く意見を述べる機会が与えられるとともに、国民に情報が公開される等の民主的な手続により形成された国民の合意という意味です。
  282. 片山虎之助

    片山虎之助君 そうすると、この「国民の合意」というのも、必ずしも必要な文言ではないということになるわけですか。
  283. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) これは、やっぱり民主的な手続ということが非常に重大なわけですから、その民主的な手続を形成するために国民の意見をいかに多く聞くかというそういう意味です。
  284. 片山虎之助

    片山虎之助君 国民の意見を聞くのはいいんですよ。国民の意見を聞くことを国民の合意の形成と言っておるわけですね、それだけの意味ですねということを申し上げておる。中身を聞いているんですよ。
  285. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 多分こういう意味だろうと思いますので、間違ったらごめんない。「民主的な手続」というのは、具体的には、まず国民の意思が反映されますので、国民税調が設置されるという旨、それは当然その運営が民主的な手続によって行われることを要請されることが一つ。もう一つは、国民税調のメンバーを国民各層から幅広く採用することがまず第一に考えられることですが、国民税制改革協議会自体の運営においても広く国民各層の意見を聞くということが二つ。具体的には、やっぱり公聴会をできるだけ多く開催するということが含まれると思います。その次にもう一つ、三つ入っておりまして、国民に情報が公開されるということです。そのためには、国民税制改革協議会の調査あるいは審議を原則として公開して行うという、調査審議の様子をまとめた中間報告をできるだけ多く行うという、この三つが入っております。
  286. 片山虎之助

    片山虎之助君 時間がだんだんなくなってまいりましたので、それでは最後の第六条の「国民の合意に基づく税制再改革を実現するため、」云々とありますけれども、この「国民の合意に基づく」、これはどこにかかるわけですか。税制再改革にかかる、国民税制改革協議会にかかる、どちらにかかるんでしょうか。
  287. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 税制再改革にかかります。
  288. 片山虎之助

    片山虎之助君 それでは、今までの税制改革その他は国民の合意に基づくものでなかったと。どういう理解でしょうか。  今、久保議員は、何度も国民の合意というのは最終的には国会の意思だ、国会の議決だと言われたわけでありますね。今までの税制改革を含めていろんな諸制度は、最終的には国会の意思によって法律になっていく。ここの税制再改革にだけなぜ「国民の合意に基づく」というのが要るんですか。国会の意思でと、こういうことになりますよ。
  289. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 御留意をいただきたいのでありますが、私どもはさきの政府税制改革国民の合意があると擬制されることは認めておるのであります。これは法制度国民の合意が国会の議決と、こういうことであればそう申し上げておりますから、これが国会において議決成立しているということにおいては国民の合意ということを否定してはいないのであります。しかし、私どもは、そのことがありますために、今度のこの基本法におきましても、政府税制改革国民の合意に基づいていないとは表現しておりません。私どもは、政府税制改革国民の理解と信頼を得たとは言いがたい、こういう表現をしているのでありまして、いわゆる法制上の用語として今議論をいたしました国民の合意という表現ではやっていないわけであります。  しかし、私たちはそういう立場に立って、この国民の合意として制度上成立させられた政府税制改革国民に支持されていない、この立場を踏まえて今、今度は新たな国民の合意を形成していただくために廃止法を提案している、こういうことでございます。
  290. 片山虎之助

    片山虎之助君 国民の理解と協力と国民の合意の形成が違ったと、こう言われるわけですか、今のお話は。政府税制改革は、これは国民の合意の形成だと言われた、国会で法律として決めたんですから。ところが、国民の理解と協力は得られなかったと、今そう言われました。そうすると、国民の合意と国民の理解と協力は違うんですね。
  291. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) それは、法制度上はあなたが言われるように、政府税制改革は国会の議決を得ているんですから国民の合意と、こういうことになるわけです。  しかし、それじゃ国会が議決したら、国民はこれに対して批判の自由を持たないということではありません。国民がこれを支持しないという意思表示をすることもまた国民に与えられた権利であります。だから、私どもは、その国民の意見を尊重して、廃止法を提案していると申し上げているのであります。
  292. 片山虎之助

    片山虎之助君 私が申し上げているのは、ここでは法律論を申し上げているわけで、政治論はまた別なわけであります。今法律の審議でございますから。  そこで、それじゃここの「国民の合意に基づく税制再改革」ということは、法律的な意味からいうと同じことを言っているんですね。国会で決めますよということを言っているんですよ。それは御理解できますか。法律論を言っているんですよ、私は。法律の審議ですから。
  293. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 法律の審議でありますから、それは国会でお決めになるのが最終的な国民の合意と、こういうことになると思います。
  294. 片山虎之助

    片山虎之助君 それじゃ、法律論としては、税制改革も皆さんの税制再改革もすべて国民の合意に基づくものだと、法律論ですね。
  295. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) そういうことはないと思います。政府税制改革国民の合意として国会で議決された。しかし、そのことは国民の理解と信頼、つまり支持を得られていない。したがってこれを廃止する法律が出されているわけですから、この廃止法が国会の議決となれば、政府税制改革国民の合意としての資格を失うわけです。
  296. 片山虎之助

    片山虎之助君 それは久保議員、できてからの話でございます。国会の意思として確定してからの話でございます。そういう意味では税制改革の方は確定しているわけです。皆さんの方は途中経過であります。むしろ国民の合意は税制改革にあるんですよ、今は。
  297. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 私は、今消費税法が存在していないとは言ってないんです。これが国会の議決として成立しているからこれを廃止しようという法律を出しているんです。
  298. 片山虎之助

    片山虎之助君 それは答弁になっておりませんけれども、それはそれとして、そこで私は、この税制再改革基本法を読みまして、もうひたすら、法律的には内容がない「国民の合意」を四カ所も使われている。しかも、国民税制改革協議会の上に「国民の合意に基づく」とわざわざまくら言葉をつけられたということは、国会の意思とは別に、国民税制改革協議会によって国民の合意を形成する、これが国会の上になるんだ、したがって協議会の報告は内閣も国会も所要の措置を講じろ、言うことを聞け、こういうワンセットになった思想があるんじゃないかと思いますけれども、恐らく否定されるでしょうが、いかがでございますか。
  299. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 税制再改革について国民の合意ということを申し上げておりますが、国民税制改革協議会の話し合いの結論が国民の合意というその規定を申し上げているわけではありません。
  300. 片山虎之助

    片山虎之助君 それじゃ、時間の関係がありますから、第三条もせんだって少し議論になりました。第三条の一項と二項ですね。一項は義務的に書き、二項は努力規定的に書かれている。これはどういうことでございますか。第三条、税制再改革の環境整備であります。
  301. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 環境整備について書かれた項目でございますが、国民負担の基本である税制についての根本的な改革を行うに当たってということで、納税者たる国民の理解と信頼を得る必要がまずあろうかというふうに思うわけでありますが、そのためには、この改革によってもたらされる税制そのものの合理性等について国民の理解と信頼を得ることはもちろんでありますけれども、それ以前に、そもそも国民の納めた税金の使い道についての国民の理解と信頼とを得ていなければ改革自体の必要性に疑問が持たれるということでございますので、改革に着手することができないということで、こういう項目を一項目入れておるわけでございます。  したがいまして、この法律で環境が整備されたと言い得るのは、一つは「行政及び財政の改革が一層推進されること。」ということでありますし、もう一つが「社会保障と国民の負担との在り方についての国民の合意の形成が図られること。」というふうに規定をいたしております。  そこで、いずれも推進される状態あるいは図られる状態であればいいというふうに私どもは思っておりまして、行財政改革が達成されている状態、国民合意が形成されている状態であれば最も望ましい状態であるわけではございますが、そこまで達していなくても、それに向かって進んでいる状態があれば一応の環境は整っているというふうに私どもは考えておるわけでございます。そういうふうに考えております。
  302. 片山虎之助

    片山虎之助君 今、勝木議員のお答えで少しあいまいなところが残ったんですけれども、この環境整備の行財政改革なり福祉のビジョン等は税制改革の前提ではないんですか、前提としてやるんですか、同時並行的にやるんですか、やってもやらなくてもいいんですか。
  303. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 私どもは、環境整備の項目の中でこの二つを項目として掲げておるわけでございまして、本来ならばそういう合意ができておる、要するに財政改革はもう推進されておるという確証があれば一番いいわけでありますが、この委員会を通じましてのやりとりの中でも、去年の税制改革論議の中でも、また今回のこの委員会を通じて行財政改革が必要だ、また福祉のあり方についての、そういう社会保障と国民の負担とのあり方についての合意の形成が図られることが重要であるということの論議をお互いに確認しておるというふうに思いますので、そういった意味では今現在環境は整いつつあるな、そういう状態にあるなというふうに私どもは判断をいたしております。
  304. 片山虎之助

    片山虎之助君 整いつつある。いつまでに整うんでしょうか。
  305. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) これは現在必ずしも行政及び財政の改革が完全に推進されておるのかどうかということでは問題があるわけでございまして、なお努力すべき点も多いというのが私どもの認識でございます。また、行政とか財政については、その事柄の性格からも、いつまでにやるということよりも、日々見直しをしていかないとやっぱり肥大化する傾向にあるということでございますから、その意味からも行政及び財政の改革は将来的にも常に取り組む課題であるというふうに私どもも考えておるわけでございまして、そういった意味でこの環境整備については税制改革法第三条第二項で規定したところでありまして、この改革は国、地方を通じてやはり常日ごろから行っていかなければいけないというふうに思っておるところでございます。
  306. 片山虎之助

    片山虎之助君 この第一項は、環境整備をしなければならない、今環境整備は整いつつある、進みつつある、こういう御答弁でございましたけれども、この二カ年で皆さんは税制再改革をおやりになるわけでしょう。二年間では行財政改革は、福祉ビジョンはどこまでいくんですか。二年間で税制改革はできちゃうんでしょう。税制改革の環境整備として行財政改革や社会福祉のいろんな施策の合意形成その他を言われている。いつまでにどうされるんですか。
  307. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 私どもは、いつまでにという期限は切っておりません。常々やっていかなければいかぬということで、そういう環境にあるのかどうかということをやはり環境整備の項目としてうたっておるわけでございまして、そういう状況になければ当然税制再改革法の論議がなかなか難しいわけでありますが、国民的な課題としての税革論議の環境は今熟しつつあるというふうに双方が、政府また国会も国民もそういう認識に今あるんじゃないかというふうに私どもは理解をいたしております。
  308. 片山虎之助

    片山虎之助君 それじゃ、端的に言うと、この環境整備は皆さんの決意や姿勢を示されていると。今着々と進んでいるんだから、まあ着がどこまでいくか知りませんよ、知りませんけれども進んでいるんだから、それはそれで、そのままその流れに任せておいて、それを環境整備だととらえている、こう考えていいんでしょうか。  それと、時間がございませんからもう一つ。一項は、しなければならないと書いてあるんですよ。義務づけている。だれに義務づけているか。二項は、国、地方団体は努めなければいけない。努力目標を示している。これはどうしてですか。
  309. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 必ずしも行政及び財政の改革は推進されていないと考えるわけではないわけでございますが、なお努力すべき点も多いというのが私どもの認識でございます。  そして、環境整備の義務事項でございますが、事柄の性質上、国及び地方公共団体がイニシアチブをとるべき問題であるわけでございますが、広く国民や住民の協力がなければ実現困難な事柄でありますので、すべての国民や住民もひとしく責 務を負っているものと私どもは考えております。
  310. 片山虎之助

    片山虎之助君 第一項は国民や住民に義務を課していると。そうすると、国民や住民が行財政改革はできませんよ。福祉のビジョンをおまえつくれといってもなかなかそうはいきません。本来の主体である行政主体には、これは二項で書いているんです、「努めなければならない。」と。
  311. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 失礼いたしました。  第三条の第一項第一号と第二号にそれぞれ記載されておりますが、これを国及び地方公共団体が環境整備することに努めなければならないというふうに規定をいたしておるわけでございます。
  312. 片山虎之助

    片山虎之助君 一項は主体がないんですね。一項は何ですか。しなければならない。だれがしなければならないんですか。今のお話を聞いていると、一項と二項はもう一緒にしてもいいんですよ。国、地方団体は努めなさいと、環境整備をしなければならないと大上段に前提を与えるような書き方をしながら、実際は二項で国、地方団体の努力義務にして、しかも今お話を聞くと、少しずつ進んでいる、徐々に進んでいる、それはそれで認識も合っているんだから我々としてはそれを見守って後押ししていくんだ、こういうふうに理解していいんですね。
  313. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 先ほどからいろいろと御心配をいただいているようでございますが、第二章の「税制再改革のための環境整備」の問題につきましては、まず第一項では、「税制再改革に当たっては、当該税制再改革が国民に理解されるとともに、それにより確立される税制国民の信頼を得るものとなるため、」ということは、税そのものがやはり国民の信頼と合意というのが基本にあります、私どもの考え方のね。要するに、税の理念がどんなに立派であっても、やはり税の基本は国民の信頼と合意がなければうまく運用されないという基本的な考え方がありまして、要するに国民の信頼を獲得するためにはどうしたらいいかという考え方があるわけですね。  そういうような意味で、私どもは次のような環境整備がなされていなければいけない、そういうような意味で二つ挙げたわけです、環境整備をきちっとしようと。そして、それは一つがここにありますように、第一項目として事務事業の見直しとか、いろいろこううたったわけですね。それで第二項目に、社会保障の総合ビジョンというのも、現在の社会保障の国のビジョンというのはあるにはあるんですけれども、これはもう御存じのとおり将来のビジョン、二十一世紀のビジョンには現在なっていないわけですね。ですから、そういうような意味で、そこら辺の合意をきちっと図る必要がある。この二項目をうたいまして、そしてこの二つの問題について、国及び地方公共団体はこの環境整備に御協力をいただきたいということで、いわゆる努力義務をうたい込んだわけでございます。
  314. 片山虎之助

    片山虎之助君 峯山議員の御答弁を聞きましても、まあ同じことなんですね。  それじゃ一項はだれがやるんですか、同じことを何度もお聞きして恐縮なんですが。
  315. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) これは一項は「税制再改革に当たっては、」ということで、人をうたい込んでいるわけではございません。
  316. 片山虎之助

    片山虎之助君 それじゃ一項は人でなくて状況ですか、一つの目標を示していると。  それじゃこの書き方は必ずしも適切でないでしょう。主体は二項だ、二項は努力目標でよろしい、こういうことですね。
  317. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 大体おっしゃるとおりです。
  318. 片山虎之助

    片山虎之助君 時間がだんだんなくなりますので、次に入りたいと思います。  四条の四号で大変いいことを書いていただいているわけであります。「地方自治の本旨に基づき安定した地方財政の確立を図り、地方分権及び地方自治の発展に資すること。」。私は三十年余、地方自治の仕事を中央や地方でしてまいりましたから、地方自治や地方財政を大変愛しております。ここに書かれていることは大変賛成でございまして、我が国の本当の発展は地方自治を尊重し、自治大臣もお見えでございますけれども、地方財政を充実し、地方分散や地方分権を推進することだ、こう思っておるわけであります。  ここでまた文言にとらわれて恐縮でございますけれども、「地方自治の本旨に基づき安定した地方財政の確立」、具体的にどういうことでございましょうか。
  319. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 片山さん、よく知っておって言われるから、自治省出身でございますし、まさにあなたが行政課長時代でも、自治省時代にいろいろ物をお書きになった中で地方自治の本旨の問題について強調なさっておりますが、言いかえれば自治権というんですか、自治権に基づいた趣旨というか、自治権の確立というんですかね、そういったもの、表現については私はあなたのようにうまくないですが、精神としてはやっぱりそういうものだと思います。
  320. 片山虎之助

    片山虎之助君 大変高尚な、観念的な御答弁でございました。私のような実用型の人間にはよくわかりませんけれども、まあそれはよろしゅうございます。佐藤議員にもいろいろ御指導いただいたものですから、それはよろしゅうございます。  そこで、「安定した地方財政の確立」ということは、私は三つ要件があると思うんです。一つは、国、地方を通じる収入、税源というんでしょうか、公経済、国、地方の財政を通じて収入が景気の変動に左右されない、安定して収入の原資が確保できるということが一つある。それから二つ目は、国と地方の関係では、税源の配分、お金の配分が地方にウエートがかかる、シフトする、こういうことが私は二つ目だと。それから三つ目は、地方団体の中ではお金持ちの団体もお金持ちでない団体も財政力としてはきちっとミニマム的なものは確保される、財源調整がきちっと行われる。この三つが安定した地方財政の確立の要件だと思いますが、佐藤議員いかがでございますか。
  321. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 基本的にそのとおりだと思います。
  322. 片山虎之助

    片山虎之助君 そうしますと、今回の政府の方の税制改革、特に消費税を導入してその三九・二%を地方財政に還元している。これを今私が言った要件、佐藤議員も大賛成されましたが、要件からいいますと、収入の原資が所得、資産、消費のバランスがとれて安定化するわけであります。景気の影響力というか、景気に左右される率が低くなる。それから二つ目は、財源配分から見て政府の方の案では措置率がずっと地方の方が高い。逆シフトじゃなくてシフトされている。後ほどその点問題にしますけれども。  それからさらに、消費税を原資に地方交付税が拡充されるわけでありますから、財源調整機能が強くなる。そうすると、少なくともこの消費税導入と四割を地方に返すというこの仕組みは、佐藤議員、地方財政にとってはプラスと考えますか、マイナスと考えますか。
  323. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 私は、地方財政の面から見ると、消費税の今回の制度的な配分から見れば、あなたがおっしゃるように安定財源で、そして言いかえればシフトしておるという意味で評価できると思います。  ただ問題は、言うなら調整財源としてのあれはありますが、言いかえれば自主税源という面から見ると、これは率直に言ってそうでございませんものですから、そこに一つの難点があるんじゃないかと思いますし、もともと消費税そのものが御案内のとおりに今度の参議院選挙を通じて事実上否定された、こういう経緯もございますから、したがって、そういう意味でも、地方財政の面から見ても決してその安定度だけをもって云々ということはいかがなものかと、こう思っています。
  324. 片山虎之助

    片山虎之助君 今、佐藤議員、自主税源としては譲与税や交付税がふえることは自主性が低くなるというお話ですけれども、今地方に税源を与えますと、東京都や大阪府のような富裕団体に税が偏るんですよ。だから、自主性の比率を高めることだけが、地方財政グロスにとってよくないんです。皆さんは消費税そのものの大前提を議論されるわけですから、消費税込みのいろんな仕組みが地方財政にプラスであったとしても、なかなかプラスとは言いがたいと思いますが、地方にとりま したら、二年間の暫定財源案というものは大変な迷惑なんです、収入としても後退しますし、手間も大変ですし。地方団体の率直な気持ちは、消費税を残して、その中で見直しなり改革の案を練るなり、こうやってほしいと。消費税を入れる、またやめる、またどうする、もう地方は大迷惑だ、こういう議論があるわけですよ。野党の四会派の皆さん、特に社会党の皆さんは大変な地方自治論者でしょうから、今回の消費税廃止や代替財源案については地方団体の意見を一生懸命聞いたと思いますけれども、聞きましたか。
  325. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) それぞれ各党の中でお聞きになったんじゃないかと思いますが、私自身は率直に言って地方行政をずっとやっておりますから、いろんな意見を聞きまして、地方自治体から見ると確かにあなたのおっしゃるような主張ですかね、これはございます。  ただ問題は、今言うように消費税そのものが国民の有権者を通じて拒否されたという前提に立って私どもとしては二年間の暫定予算を組んでいるわけですから、その点ひとつ御理解をお願いしておきたいと思います。
  326. 片山虎之助

    片山虎之助君 その前提が違うんですね。皆さんは消費税について国民が不信任をしたと。私は冒頭生意気にも若干の感想を申し上げましたけれども、国民が七月の選挙で判断したのは、消費税もありますよ、しかしもっといろんなものがあるわけですね。総合的な御判断、評価でああなったと私は思っておる。認識が違います。それは認識が違いますけれども、今それじゃ佐藤議員は自分は聞いたと、どういう形でだれから地方の意見を聞きましたか。それから各会派の方もそれぞれ聞いたと思うと。各党の方、どういう形で地方の意見を聞きましたか。
  327. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 私についてはもう率直に言って、所々方々を含めて聞いております。
  328. 片山虎之助

    片山虎之助君 ほかの会派の方、どうぞ。
  329. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) この選挙を通し、国民の皆様方の声が消費税廃止であるということで私どももいろいろと請願等を受けまして、その面でお聞きしているつもりです。
  330. 片山虎之助

    片山虎之助君 皆さんに聞いていますと時間がかかりますが、私は消費税廃止についての意見を云々と言っているんじゃないんです。消費税廃止に伴う代替財源の案が地方財政にいろんな影響、迷惑をかけるんで、少なくとも地方団体の意見を聞くべきじゃなかろうか、こういうことを申し上げているわけでありまして、代替財源案についてですよ。消費税がどうあるべきかについては、これは大変な政治的イシューですから、地方財政として代替財源案がどうかということについて意見を聞いてほしい、こう言っているわけです。その点はいかがですか。
  331. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 聞く時間とあれがあればそれは四団体で聞く機会があったかもしれません。しかし、これは御案内のとおりに、参議院選挙を通じまして一つ国民の態度と受け取って、その上で各党できちっと把握した上での作成でございますから、したがって私はさっき申し上げたような御答弁をしたわけです。
  332. 片山虎之助

    片山虎之助君 それじゃ、次に進みます。  十月二十四日、野党の共同声明で野党の皆さん、発議者の皆さん代替財源案を出されました。国税改正のはね返り分六千五百億円を含めまして地方税一兆二千五百億円確保するとされておったわけでありますが、十一月八日、参議院本会議の趣旨説明を聞きますと、突如これが九千五百億円と蒸発している、なくなっている、大幅に後退している、ますます地方の財源不足が拡大しておりますけれども、この経緯と理由を詳しく教えてもらいたいと思います。
  333. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 説明は何回かしたと思うんですが、結果的に私どもはこの計数整理をやっていく途中の段階で発表したものが、最終的に確定した段階で九千五百億ですか、こういう形になったわけでございまして、何も突然なくなったとか消えたとか、そういう認識は持っておりません。初めから最終的にはこうなりました、こういうことなんです。
  334. 片山虎之助

    片山虎之助君 二十四日に皆さんの共同声明で数字をきちっと出されたんですよ。二十四日ですよ。十一月八日、期間がどのくらいありますか、二週間、そこで三千億なくなったんです。計数整理の途中の段階で佐藤議員はそれを公にするんですか。代替財源として国、地方ともに関心を持っている。皆さんはその計数整理で三千億がふえたり減ったりするんですか。いかがですか、その点は。
  335. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 確かに二週間ですかね、若干その間に数字が異動したということで疑問を持ったと思うんですが、国税改正の状態を押さえていく中で若干見込み違いというか勘違いというか、まあ勘違いかどうか知りませんがね、そういうことで数字の訂正をした、こういうことです。
  336. 片山虎之助

    片山虎之助君 三千億は勘違い、三千億は若干の異動、私はその辺の認識をかなり疑問に思うわけでありますけれども、勘違いがあったわけですな。若干でなくて大いなる勘違いがあって三千億円なくなりた、地方財源が不足したと。  そこで、先般、政府に対しましての質問の中で、消費税廃止に伴う減収額の代替財源による措置率、これが国と地方でどうなっているか。今度は措置額自身のシェアですね、国、地方の。これがどうなっているか、皆さんの方からちょっとお答えをいただきたいと思う。
  337. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 代替財源案の平年度における姿におきまして、自治省流の帳じり合わせをしてまいりますと、確かに国の補てん率が七三%程度、地方の補てん率が六八%程度という考え方になります。  我々は、第一に消費税廃止が最大の制度改善ととらえておりますので、したがって、消費税が地方の間接税をがたがたに崩しており、抜本的改革抜きには復元は難しい、こういう判断をしております。
  338. 片山虎之助

    片山虎之助君 今、佐藤議員、率を言われましたが、私の計算では国は七四%、地方は六七%になっております。  そこで、政府税制改革による国、地方の減収額と消費税の配分額、措置率、これはどうなっているか、自治省答弁してください。
  339. 持永堯民

    政府委員(持永堯民君) 昨年行われましたいわゆる税制の抜本改革の際の国、地方の減収に対する措置措置といいますのは、つまり消費税の配分でございますけれども、国の場合が六六%、地方の場合が七一%でございます。
  340. 片山虎之助

    片山虎之助君 国、地方の補てん措置率が国は六六、地方は七一、地方が五%高い。皆さんの方の代替財源の措置率は、国が七四、地方が六七、七%低い。「地方自治の本旨に基づき安定した地方財政の確立」はどこに行きましたか。
  341. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 先ほどから申し上げておりますように、今回の場合は二年間の暫定措置としての非常措置ですから、そこで一足飛びに判断されるんじゃ、私どもも率直に言って、地方自治との関係を踏んで議論されたんではちょっといかがかと思います。ただ問題は、おっしゃるとおりに基本法の中でも明記しておりますが、地方自治の本旨に基づいて地方自治確立の財政保障としての財源の確保、これについてはこの二年間の国民税革協を中心にひとつ十分議論してこたえてまいりたい、かように思っておるわけです。
  342. 片山虎之助

    片山虎之助君 今の佐藤議員のお答えは、二年の暫定だからいいんだ、どっちでもいいんだと、地方自治を愛する、地方財政の充実を願う者が――一事が万事なんです。この二年は恒久化するおそれもあるんです、皆さんの答弁を聞けば。いかにも言うこととやることが違うじゃないですか。いかがですか。
  343. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 総額面では御案内のとおりに確保しておるわけですけれども、確かに今おっしゃるように、言うこととすることが違うじゃないか、こういう御叱責をいただいたんですけれども、率直に言って、国民の第一の要求課題である消費税廃止するという前提に立って、そしてその上で、(「いいかげんでいいのか」と呼ぶ者あり)いいかげんでいいとは申しません。言うならば私どもも懸命に努力をしてきたわ けです。その結果が、二年間の暫定措置としては総額確保に最重点を置きましたから、したがって若干この補てん率その他を見ると、今御指摘部分が残りました。その点はひとつ二年間に十分議論をしてこたえていきたい、こういうことです。
  344. 片山虎之助

    片山虎之助君 総額も、その総額確保は率は低いけれども総額は確保したと。確保していないじゃないですか、何を言っていますか。ちゃんと確保していない。そこで、私は人が大変よろしゅうございますから、これは先ほどの三千億が消えてしまったことと関係があるんじゃないんですか。三千億がある段階措置率を計算しますと、これが地方が七九%になるんですよ。三千億円を皆さんの勘違いで、若干の異動で、計数ミスで三千億なくしてしまった。三千億があれば、措置率が七九と七四になるんです。政府税制改革の七一と六六と同じことになる。地方が五%高いんです。今いろんなうまいことを言っておられますけれども、本当はそうじゃないんですか。
  345. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 片山さんのそういう見方もあると思いますが、私はさっきから申し上げておりますように、消費税廃止が最前提に立っての二年間の代替措置、こういう前提でございますから、もともと四党の中で議論した際には総額措置をするというところにポイントがありまして、今の補てん率その他については検討して、そこに重きを置いていなかった、こういうふうに考えております。
  346. 片山虎之助

    片山虎之助君 いろんな言い方がありますが、やはり地方自治や地方財政を言われるのなら、もう一事が万事きめの細かいところまでちゃんとしてもらわなきゃいけません。やることが、措置率がこんなに逆転して、逆シュートなんですよ。少なくとも皆さんの措置で言うと、地方の財源は国に行くんですよ。逆にシュートするんですよ。何が地方自治の尊重、地方財政の充実ですか。しかも、地方財政は私はアジサイの花だと思っている。一つ一つの三千三百の花があって大きな地方財政という一つの花になっているんです。一つ一つをちゃんと面倒を見てやるということが、国の財政と違う地方財政の特質なんです。皆さんの措置率を低くするということは、一つ一つのアジサイの花が死んでしまう。国の財政よりはずっと一つ一つに配慮したきちっとした措置率をしなきゃいかぬと思うんです。それについてどうですか、お考えは。
  347. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 平素私の方が言っておることをきょうは片山さんから言われておるわけですよね。率直に言って、(「ちゃんとやらないから」と呼ぶ者あり)ちゃんとやらないじゃなくて、二年間の暫定ということもありましたし、同時にまた時間的問題がございましたから、精いっぱいやったつもりなんです。しかし、それが今あなたが言われるように、補てん率その他を見ると、そういう言われ方をされてもやむを得ない部分は確かにございます。しかし、平素言うことと違うじゃないかというのじゃなくて、平素言うような方向でこの二年間に努力する、こういうことでひとつ受けとめていただきたいと思います。
  348. 片山虎之助

    片山虎之助君 だんだん時間がなくなりましたので、次の問題に入ります。  そこで補てんについてでありますけれども、地方間接税、これにつきましては消費税の創設に伴い間接税が廃止されたんですね。廃止された。それによっていろんな措置政府はしたわけでありまして、その消費税をもう一遍やめる、こういうことなら、これは地方間接税というのは長い伝統と歴史を持つ既得権なんですね、地方財政にとっては。だから、それは消費税との見合いで消費譲与税というのができて、これは完全に地方間接税を補てんしたわけであります。消費譲与税で地方間接税のマイナスを全部きちっと補てんしたわけです。何でかというと、見返りだから。既得権だから。ところが、皆さんの今度は消費税廃止に伴う補てん措置では完全な復元をしていない。地方間接税が廃止されて消費税になる、消費税廃止されてもとに返るのなら、地方間接税も完全に復元すべきではないですか。いかがですか。  そこで、時間がありませんからあれですが、皆さんは料飲税の免税点は政府税制改革案のとおりにされている。電気税については五パーを三パーに落とされている。あるいは木材引取税は切り捨てている。それぞれの理由について御説明ください。
  349. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) 先生いろいろと御指摘がございましたが、消費税によりまして地方間接税の体系が多少崩れているんじゃないかということで私たち考えました。地方間接税につきましては、今お話しのとおり、いろんな経緯と歴史もあるということでございますし、私たちも基本的には復元するという原則でいろいろと検討はしてきたわけでございますが、消費税廃止したいという国民の声を聞きまして、私たちはそれをもとにしていろいろと検討しました。それで、復元に当たりましては多少の調整をしたわけでございます。  お話しのように、特別地方消費税は料理飲食等消費税として復活するわけでございますが、やはり国民の皆さんへの影響を考えて免税点はそのままにさしていただきました。また、税率も旧一〇%にしました。これは今消費税の体系のもとでは特別地方消費税と地方消費税で六%になっておりますね。私たちは免税点はそのままにして税率は一〇%にしましたけれども、これからも外税をいろいろと励行することによりまして実効税率としては約七%程度の負担になるんじゃないか、余り消費税と変わらないんじゃないか、こういう考えでおりますし、従来ありました公給領収制度等も廃止いたしますので、負担等は軽減されてくるんじゃないかと思います。  また、電気税につきましては、御承知のとおり五%が三%になったものを税率消費税と同じ三%に戻しました。その上に、一カ月の電気料金が三千六百円以下の家庭には免税点を設けました。そのために約半数の四三%の家庭は電気税がゼロとなりまして、中所得、低所得者世帯には負担がかからない。ガス税につきましても、税率は二%ですが、一カ月のガス料金が一万二千円以下の家庭には免税点を設けておりますね。これで九四%の方は非課税ということになります。電気税及びガス税につきましては、生活にかかわる税でございますし、本来は私たちは廃止の方向で検討するべきものと考えておりました。しかし、電気またはガスの使用者を納税者とするものですから、税源の所在状況は普遍的でありかつその税収は安定的であるということで、電気またはガスの消費量と消費者所得との間には相関関係がありますので、担税力があるんじゃないかということを考えさせていただきました。  また、木材引取税につきましては、理由としましては、木材引取税は輸入木材は課税されず国産材だけが課税されるという矛盾があった。二番目は、現在熱帯雨林等の伐採が環境問題等の立場から大きな問題になっている。熱帯雨林における伐採量の三〇%を日本が輸入しておる。そのために大きな批判を受けているわけです。そこで、復元しなかった理由としましては、先ほど申し上げましたように輸入材と国産材の均衡を図るためということでございます。このことにつきましてはこの委員会でも鎌田委員から御指摘がございまして、私たちもその御意見については受けとめていきたい、こうお答えしてあるはずでございます。確かに木材引取税の税収に頼っている市町村の財源、これにつきましては交付税等の措置影響が出ないように十分対策が講ぜられるのじゃないか、こう思いますし、また不交付団体が相当数存在していることでございます。当該市町村においてその税収の相当額を占める自治体が存在していますけれども、今回の場合は先ほど申し上げました政策的な趣旨で復元はしない。しかし、鎌田委員の御指摘のあったことにつきましては私ども十分受けとめていきたい、こう考えております。
  350. 片山虎之助

    片山虎之助君 今いろいろ御説明がございました。一々反論いたしたいところでございますけれども、私が予定された時間がだんだん来ております。私は、地方間接税については消費税廃止するのなら完全に復元するか、そうでなければ完全に額を補てんすべきだと思います。しかし、その補てんの仕方は大変難しいですね。今の三千三百の一つ一つの花に補てんしていくには私は大変難 しいと思いますから、そういう点は四会派の方に大いにこれから御努力、御検討をいただきたいと思います。  それで、最後に自治大臣に。今のような四会派の地方間接税の復元のあり方が税体系その他から見て妥当だとお考えでしょうか。
  351. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 大変残念なお答えを申し上げなければなりませんけれども、今片山委員指摘のとおりに、税体系に非常な混乱を起こした復元案でございまして、税というものの公平、そして極めて重要なものであることを考えますと、四十七都道府県、三千三百の市町村の皆さん方は、万々が一でもこの野党の提案された消費税廃止法案が成立するようなことになれば、これは地方財源にも大きな混乱を生じ大変な実害を生ずることを大変に心配しておるとお答え申し上げるしかございません。
  352. 片山虎之助

    片山虎之助君 終わります。(拍手)
  353. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 九案に対する本日の質疑はこの程度といたします。  明五日は午前十時から公聴会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十四分散会