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1989-12-01 第116回国会 参議院 税制問題等に関する特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十二月一日(金曜日)    午前十一時一分開会     ─────────────    委員の異動  十一月三十日     辞任         補欠選任      山岡 賢次君     斎藤 文夫君  十二月一日     辞任         補欠選任      三石 久江君     細谷 昭雄君      中川 嘉美君     刈田 貞子君      木庭健太郎君     和田 教美君      諫山  博君     山中 郁子君      秋山  肇君     横溝 克己君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中村 太郎君     理 事                 井上 吉夫君                 沓掛 哲男君                 宮澤  弘君                 村上 正邦君                 稲村 稔夫君                 及川 一夫君                 本岡 昭次君                 矢原 秀男君                 近藤 忠孝君                 古川太三郎君                 寺崎 昭久君     委 員                 伊江 朝雄君                 小野 清子君                 大木  浩君                 梶原  清君                 鎌田 要人君                 北  修二君                 久世 公堯君                 佐々木 満君                 斎藤 文夫君                 谷川 寛三君                 前島英三郎君                 松浦  功君                 松浦 孝治君                 守住 有信君                 吉川 芳男君                 穐山  篤君                 上野 雄文君                 大渕 絹子君                 粕谷 照美君                 渕上 貞雄君                 細谷 昭雄君                 前畑 幸子君                 村田 誠醇君                 安恒 良一君                 山口 哲夫君                 刈田 貞子君                 木庭健太郎君                 常松 克安君                 和田 教美君                 山中 郁子君                 高井 和伸君                 三治 重信君                 下村  泰君                 横溝 克己君    委員以外の議員        発  議  者  久保  亘君        発  議  者  佐藤 三吾君        発  議  者  梶原 敬義君        発  議  者  小川 仁一君        発  議  者  峯山 昭範君        発  議  者  太田 淳夫君        発  議  者  笹野 貞子君        発  議  者  勝木 健司君    国務大臣        大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君    政府委員        経済企画庁物価        局審議官     田中 章介君        大蔵大臣官房審        議官       濱本 英輔君        国税庁間税部長  竹内  透君        厚生大臣官房総        務審議官     加藤 栄一君        通商産業大臣官        房審議官     横田 捷宏君    事務局側        常任委員会専門        員        竹村  晟君        常任委員会専門        員        保家 茂彰君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○消費税法廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○消費譲与税法廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○地方交付税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○税制改革基本法案久保亘君外七名発議) ○法人税法等の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○通行税法案久保亘君外七名発議) ○物品税法案久保亘君外七名発議) ○入場税法案久保亘君外七名発議) ○地方税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議)     ─────────────
  2. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会開会いたします。  消費税法廃止する法律案消費譲与税法廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 守住有信

    守住有信君 当委員会自民党委員をいたしております守住でございます。  予定の時間、質問項目主要項目をあらかじめ御説明申し上げておきましたけれども、その前に、今回、消費税廃止前提とし旧税法復活という一応便法の穴埋め財源関連税制法案を提案されておられますけれども、同僚の鎌田委員沓掛委員などから当委員会開会の当初に指摘されまして、やっと数週間を経て明確となりましたとおり、初年度、国、地方を通じて三兆円に近い膨大な財源の裏づけのない再改革と称する税体系法であることが具体的に示された次第でございます。また、その答弁の中でも、来年度予算編成を担当する政府自民党に挙げていわばその責任を押しつけたような、また突っぱねたような御答弁にしかすぎなかったのではないか、このように私としても受けとめた次第でございます。まず、その点を冒頭明らかにしておきたいと思います。  そこで、提案理由説明以来、税制改革法案消費税廃止法案等々を検討いたしましたし、当委員会質疑や御答弁を聞いていましても、その考え方が抽象的で観念的で、かつ一面的な面もある というふうなことを痛感して、バランス体系という中でなかなか明確に理解できないことをひしひし感ずる次第でございます。  また、もともと皆様方が意図されておられます、その合意を志向しておられる国民やあるいは有識者の方々も、消費税廃止に伴うまた旧物品税復活などなどにつきまして一体これはどうなるであろうか不安に駆られていることを、私自身だけでなくて、そのことを感ずる次第でございます。  また、単に不安というだけでなくて、再度、再再度の税制廃止復活、二年後のめどと称しますけれども、五十人協議会での抜本見直しが仮に結果が出るといたしましても、予算上の計画面あるいは執行面、その双方に矛盾や混乱が出てくるということを私は自信を持って痛感したわけでございますし、まして国や地方財源不足の結果が現実社会のものになりはしないかと恐れる者の一人でございます。  この点、本当に大丈夫であろうか。今後の見通し、いろんな側面がございますが、責任ある予算執行、税収の確保、税体系の変更、事業者消費者もろもろの面にわたって出てくるであろうところの混乱等々を考えますときに、本当に大丈夫だろうか。各会派議員方々が代表されておられますけれども、まずこの点の自信といいますか、見通しといいますか、覚悟といいますか、あるいはまたどのような今後具体的な手だて、方策を予算の面、執行の面、あるいはまた事業者消費者、それぞれもろもろの面でお考えおきをいただいておるのか、これをまず十分お聞きしたいと思う次第でございます。よろしくお願いします。
  4. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 各党から意見を述べよということでございましたけれども、これは私ども会派共同提案となっております。しかし、御質問でございますから、まず社会党提案者であります私の方から最初にお答えいたしたいと思いますが、私ども消費税そのものが、税制の理念に照らしても、また国民皆さんがこれに同意しておられるかという点から見ましても消費税そのものは認めがたいものである、したがって消費税導入という方法によらず税制改革を進めていかなければならぬ、こういうことを提案いたしているわけでございます。  消費税廃止することによっていろいろな混乱が起こるではないかという御意見もございましたけれども、この点については既に、消費税を見直すということについても大変意見がいろいろとございまして、与党自民党においてもなかなか統一したものを国民に示すということが困難な状況が伝えられております。そしてまた、具体的に見直しを行うということになりましても非常な混乱を招くものだと私ども思っておりまして、この際、国民の同意を得られなかった消費税については一遍これを白紙に戻して新しい立場から税制改革をもう一遍考え直すということの方が今議会に与えられている重大な責務ではなかろうか、こう考えているのでございます。  なお、私どもはこの再改革を通じて皆さん一緒国民信頼を得られる税制改革は必ずできるものと確信いたしております。  また、先ほど、消費税廃止してその後の措置について後は自民党に任せるというようなやり方は無責任ではないかという意味の御発言がございましたけれども、私どもはそういうことを申し上げているのではございませんで、平成年度予算編成の中で、歳入歳出の両面を合わせる財政を検討いたしますその中においてこれらの問題は十分検討され、整合性を求めていくべきものであると申し上げているのでございまして、来年度予算について実際に責任を持つ政権ということで申し上げているのでございまして、自民党にその責めを負わすということを申し上げているのではございません。
  5. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 守住先生よく御存じの上でいろいろとおっしゃっていただいているのだろうと私は思いますが、いろいろとお話しございまして、国、地方財源の問題がまず初めにございました。これは非常に大事な問題でございますし、私どももふなれで、こういうことをやるのは初めてでございますから、要するに予算編成というのがどういうふうにしてなされているのか、あるいは平年度初年度というものがどういうふうになっているのかということは相当勉強させていただきまして、経済伸びとか、政府見通しとか、そういうものからずっと詳細に積み上げさせていただきました。  もう既に先生御存じのとおり、ことしの経済成長がどういうふうになってきておるかということから始まりまして、政府見通しより各民間のいろんな調査機関のいわゆる経済見通しというものが相当上方に修正されておりまして、私どもがここで初め申し上げました数字よりももう少し元年度の決算はいい方向に向かっているんではないか、こういうふうに考えております。そういうような意味で、私どもは初めに、きのうも私少し申し上げましたが、国、地方合わせまして一兆七千億のいわゆる自然増収に頼る、これは平年度ベースで、このことを申し上げました。これは今でも変わっておりませんし、平年度ベースでは私ども財源措置ではそういうふうになります。  なぜ私ども初年度ベースを出すのを渋ったかと申しますと、これは私どもが今までいわゆる大蔵省に対しまして、年度の中間で制度改正が行われるときに、私ども資料要求でそういうことを何回もやってきたわけです、実際問題として。その場合に、大蔵省はいつも平年度ベースしか私どもには資料は出しません。なぜ出さないかというと、いわゆる初年度ベース平年度ベース年度が変わる、年度が変わるからそれはあくまでも数字の上のいわゆる初年度であって、実際問題としては出しにくい面もあるんだと。出せと言われて出せないことはないということで、いつも何回か出していただいたことがあります。  そこで実は、私どもは決して自民党さんと言っているんじゃなしに、政府平年度初年度一緒に出したこともあるんです。それはきのうもちょっと申し上げましたが、一番新しいのでは、売上税のときが年度当初の改正になりましたので、私の手元にも大蔵省から初年度平年度ベース試算が出されております。なぜ平年度初年度と出したかといいますと、これは予算編成と同時に、平年度初年度をきちっと組み込んでこういうような試算が出されているわけであります。したがいまして、私どもは、自民党さんの方から初年度を出してもらいたいという要望がございましたので、これは年度が違いますから、私ども平年度の場合はこうなるということはわかりますが、初年度計算をいろいろやりたい、そのためには積算をしなければなりませんね。  例えば法人税積算をするということになりますと、例えば元年度法人税の場合は前月末の分がその当月の末に出てきますから……
  6. 守住有信

    守住有信君 短く。まだ次がございますので。
  7. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) わかりました。  そういうふうにいたしまして、私どもといたしましては積算やり方を詳細に勉強させていただき、例えば法人税の場合は、ここまで申し上げさせていただきますと、例えば平成元年度の場合は十月末までの分が十一月末にちゃんと出てくるわけですね。  そうしますと、次の年のいわゆる初年度法人税伸びとかそういうものが計算ができる。ところが、実際問題としてそういう資料政府にもないということでございましたので、これはもう我我としては今ある資料から推定せざるを得ないということになりましてああいうことになったわけでございます。したがいまして、私どものやった手法といいますのは、先ほど久保議員が申し上げましたように、予算編成の中で十分賄えるような現状にあるということだけおわかりいただきたいと思います。
  8. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) お答えさせていただきます。  私たち連合参議院は、さきの参議院選挙消費税廃止してほしいというそういう国民の声を背 にして出てまいりましたので、この国民の声を率直に反映させるために今このように頑張っております。何せ私たちはできたてのほやほやで本当に素人ですから、いろいろな点につきましては四野党共同提案しておりますので、皆様方と十分協議し、私自身もしっかりと勉強しながらやってまいりたいというふうに思っております。
  9. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私ども民社党は、参議院選挙の結果を受けまして、国民審判を、消費税については廃止すべきだというふうに審判を受けたものというふうに判断をいたしております。  なお、廃止するに当たりましてはやはりその代替財源が必要じゃないかということで、関連法案も含めまして出させていただいておるわけでございまして、昨年の異常国会の中での強行採決強行消費税導入ということに対しての手続の誤りがあったんじゃないかということで、この国会審議を通じて、直間比率のあり方の問題も含めまして不公平の税制というものをやはり是正していくべきだろうということで、私どもはそういった意味でもこの問題を提起させていただいておるというふうに認識をいたしております。
  10. 守住有信

    守住有信君 各会派からいろんな御説明をいただきましたけれども、国の長期的な財政運営税制不公平税制のもちろん見直し税制も含みますけれども、そういう場合に、消費税だけに目を奪われて、少なくとも政権政党を目指そうとする公党の中でそれだけに目を奪われて、あらゆる施策等々、あるいは財源の問題、今、社会党の方からは、何も自民党ではないでしょう、そのときは夢を持っておられます社会党を中心とする政権と、こういうことでございましょうけれども、五十数兆の予算で三兆円穴があく、その場合には補正予算も粗まなきゃならない。年金、福祉関係とか、公務員の給与とか、災害対策とか、その他緊急目の前にある補正予算現実のものになっておる。  だから、いかにも三兆円というウエートにつきまして、非常に軽くというとなんですが、それはどこの政府か知らぬけれども、その政府責任予算編成の中でおやりになればいいというふうな突っぱね方のような御答弁が、私は当事者としてそのときいなかったけれども新聞等には詳しく出ておったわけでございまして、その突っぱねということでは、少なくとも今おっしゃいました自民党ではないかもしれない、こういうふうな意味もおっしゃいましたけれども、それが政権政党を目指す、その政権というものについての執行面も含めまして、予算編成等を含めて、一消費税だけの問題でなくて、これで本当に大丈夫だろうか、こういう不安を国民皆様も、あえて全部とは申しませんけれども、大部分の皆様が不安を持っておられるんじゃないか。  私自身もなかなかわからぬ。一生懸命お聞きしながら理解しよう、し合おうと努力をしておりますけれども、非常にわからない。ますます不安感が出てくる。  その責任執行という問題、補正予算を組んだ後の来年度予算、こういうことを痛感しておりますので、皆様方そこらあたり各党会派で十分真剣に御検討いただきながら今後の展望を、いろいろそれは御相談でございましょうけれども、本当に責任野党として、まして政権まで取ろうという今回の選挙戦をいろいろ意図しておられるようでございますから、あえて冒頭に当たってこういう点を申し上げる次第でございます。  次に、皆さん手元の再改革法案の方をごらんになっておいていただきたいと思います。  この租税体系の再改革と称するものが、この法案の第三条に掲げますところの数多くの理想的な、環境条件が国や地方公共団体の側で制度的にも整わなければ国民信頼を得るものとはならずという法の建前でございます。したがって、国民信頼合意に基づくという前提での再改革もこの環境条件が整わなければ先送りになってもやむを得ないというふうな法律の立て方ではないか、私はこういうふうに理解するわけでございます。  そしてまた、おくれた場合は環境条件整備に努めなければならない国及び地方公共団体責任があると、逆に責任転嫁の根拠にも実はなり得る、こういうふうにも見ますし、また旧物品税等復活税制も、不公平税制と指摘をなさっておられますけれども、今回だけは暫定的にはやむを得ないものと説明して、この条件整備が整わないと皆さん方のお考え税制改革というものは当分の間暫定期間が続いていくんじゃないか、こういう立法規定のようにも受けとめられる、こういうふうな感じを持ったわけでございます。  この点につきまして、そうでないと言うならば、この三条と、第六条に基づきますところの第八条で示す二年以内のいわゆる審議報告とはどのような関係に立つのであろうか。環境条件が全体として整わなくても、この義務は、努力は国と地方公共団体になっておりますけれども協議会の第八条の「二年以内を目途」というのは動かないことであるのかどうか。それぞれの条文が無関係に独立しておるとおっしゃるならいいんですけれども、この点について三条との関係、特に環境条件整備という特異な観念と申しますか、用語が実定法上規定として出ておるものですから余計御質問を申し上げるわけでございます。  この点の御認識を特に社会党あるいは公明党の方からお尋ねしたいわけでございます。
  11. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) まず初めに、第三条の「税制改革のための環境整備」のお話と、それからもう一つ国民税制改革協議会のいわゆる設置後二年以内のめどとのかかわりを含めての御質問かと思います。  この問題につきましては、何回か私も答弁をさしていただきましたが、まず環境整備について申し上げますと、私どもといたしましては、これからの税制改革を進めるに当たりましては、どうしてもこういうもの、こういうもの、こういうものをちゃんと整備してもらいたいということはあるわけでございますが、ここに第一項に書いておりますのは、「事務及び事業見直し行政情報公開の推進、行政監視制度充実行政機能充実を確保した上での公務員総数の抑制、歳出見直し等についての」、これはあくまでもこういうふうなものがすべて完璧にできるとは考えておりません、非常に難しい問題であろうと思います。  先生御存じのとおり、こういう問題についてもそれぞれ今までかかわってこられたわけでございますから、非常に難しい問題であるということは十分承知をいたしております。しかしながら、こういうふうな問題についての、ここに書いてございますように、できるだけ構想でもきちっと明らかにして、それで行く先というものを要するにぎらりと見据えていった方がいい、そういうふうに考えているわけでございまして、「行政及び財政改革が一層推進されること」というふうに書いてございまして、これからの環境整備というものを一歩一歩やっていただきたいという願望を書いているわけでございます。  したがいまして、そういうふうな意味できのうもここで福祉の問題についても議論がございましたが、これから高齢化社会がやってくるわけでございますが、このことは二号に書いているわけでございますが、高齢化社会がやってくるに当たりまして、実際問題として大蔵省と厚生省のデータが昨年出されております。あの数字は、私どもがお伺いしているところによりますと、現在の制度をそのままずっと延長していった場合の数字があの数字として出ているわけでございまして、この間もここで私ども高齢化社会はどういう社会にするかという議論をいたしました。  そのときに、私どもとしましてはいわゆる北欧型の福祉アメリカ型の福祉があるんじゃないかというふうに私どもが申し上げましたら、そこにいらっしゃった大蔵大臣が、日本型の福祉があってもいいのではないか、こうおっしゃいました。ということは、日本がまだどちらの方に進んでいくかという福祉方向が決まっていないわけであります。そういうふうな意味で、この間、藤本元厚生大臣もOECDのいわゆる社会保障担当大臣会議でも、大臣演説を読ませていただきましたが、大体民活、自助というふうな方向を非常に強調されておりまして、どっちかというとアメリカ型の福祉は行くんではないかなというふうな意味演説があるわけでございまして、そういうのを読んでみますと、実際問題として負担給付という問題は大変大事だと私ども考えておりまして、どちらの方向にいくかという方向はやっぱりきちっと決める必要がある。  その方向を決めないと、これからの負担給付というものがきちっと決まってこない。したがって、これからの税制のことを考える場合にも、それが一つ環境整備前提になるのではないかなと思っているわけでございます。  それを実際問題として、今先生おっしゃいましたように、二年以内に決めろということになると非常に厳しい問題でございまして、これはもう今までも大変難しい問題がございましたから、この国民税制改革協議会といたしましては、私どもとしてはもうできるだけ早く結論を出していただきたいと思っておりますが、しかしこれは非常に難しい問題でございますが、早く結論が出るものもあるのではないか、ただし時間がかかるものもあるのではないかと思います。  しかし、いろいろと条件はありましょうけれども、私どもといたしましては、今までいろいろありました議論をすべて無にして、もう台なしにしてやるんじゃなしに、今までのいろんな議論を十分踏まえましてこれからもこの税制改革方向を定めていただきたい、そしてこの国民改革協議会での結論を出していただきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  12. 守住有信

    守住有信君 そうすると、この「環境整備」とわざわざ第二章として独立した条文を起こしてお書きになっておりますけれども国民協議会の方の具体的な審議報告とは直接的には関係がない。審議会の五十名の委員方々はこの第二章の第三条とは関係なく、まさしくここは最後には「国及び地方公共団体は、前項に規定する環境を整備することに努めなければならない。」、こうなっておるわけでございますので、何か前提条件環境条件がまずあって、その整備があってやりながら、全部はできないけれども、やりながらその二年に及ぶところの早くやらにゃいかぬこの協議会、こういうふうに理解しておったものですから、基本法にこの規定をわざわざお入れになったというお考えがちょっと私は理解できなかった。  何か非常に長期的な理想を追って、いろんな環境的な側面の問題、行財政から福祉から、いろんなことをここで国及び地方自治団体に努力義務を課しておる、こういうふうに思うわけですが、いわば切れておりますな、その協議会の方とは。
  13. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 今委員がおっしゃったとおりで私はいいと思っております。  いずれにいたしましても、先ほどいろいろ申し上げましたが、これからの税制改革を進めていく上におきまして、周りの環境を整備するということはもう大変大事な問題でございますし、国の進む方向というものをある程度きちっと決めていくためにも、第二項のところでこういう環境整備に努めていただきたいということをうたい込んでいるわけでございます。
  14. 守住有信

    守住有信君 そういう点からいろいろ考えますと、どなたかの委員が既におっしゃっておられますけれども、この基本法というのはウォーミングアップといいますか、準備法といいますか、再改革方向に向かっての準備法である、手続法である、そういう色彩が非常に色濃いのじゃないか、こういうことを感じたわけでございますが、やっぱりだんだん余計そういう感じになってまいるということを皆さん方にも申し上げておきたいと思うわけでございます。かつての政府の基本法、税制改革基本法には、こういう角度からの言葉が非常に踊っており、理想的で長い体系のテーマを税制改革環境条件、こういう位置づけで入れておられることを非常に私は疑問に思います。  そこで、法というのはこれは仮定で成立を目指しておられるわけですから、一たんできますと法律は手を離れますから独立した存在になってくる。これは立法者の御説明、提案理由とか意図とか、そういうことを離れて、これは万般の問題でございますけれども、そういう意図を離れてしまうという角度から、やはりいろんな角度から御慎重な、より現実的な規定の仕方、法令の用語も「国民合意」という言葉については他の実定法上、憲法は「国民の総意」で、前文の方でございますけれども、憲法と実定法は違うわけで、実定法上に国民合意という用語はぼとんどないし、なじまない。それからまた立法の立て方、内容から見ても何か特異な法案だなあということを感じましたので、皆さん方にも申し上げておきます。  それからもう一つ、時間もたちますのでもう簡単に申し上げますけれども消費税だけを廃止されまして他の物品税等々は、あるいは物品税旧法を復活して所得税の減税あるいは構造的減税、刻み方の問題でございますが、両方を含めた大減税については全然お触れにならない。政府の十二月の提案の税制改革法、基本法と同時に五本の法律は、いわゆる所得税減税、今申し上げました所得税減税が大きな柱にもなっておるわけでございまして、消費税は五本の柱のその一つにしかすぎないし、体系上もバランスよく成り立っておる。  こういう次第ですけれども、なぜ、それなら白紙に戻すということで、消費税はいろいろ選挙公約だ、廃止は選挙公約だ、こういうことで政治論としてのお立場はわからぬでもありませんけれども、それなら全部一遍この間十二月にやった自民党政府税制改革の基本法あるいは関連法、五本の柱を全部白紙に戻して、そして皆さん方野党野党としての立場からの法案体系になぜならなかったのか。一本の柱だけを廃止する、あとはそのまま、こういうことにつきまして非常に論理的な建前論といたしましても何かつまみ食い的な感じも皆さん方はまた受けておる、こういうことでございますが、その点につきまして御回答いただきたいと思います。
  15. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私どもは、消費税廃止する場合でも所得税等の減税措置は原則として継承しようという考え方であります。  昨年実施されました所得税減税等の措置は、確かにおっしゃられますように税制改革の一環として行われた形となっておるわけでございますが、これはやはり五十九年以降の本格的な減税が実施されておらなかったということで、長年放置されて実質増税になっておったというふうに思っておりまして、その分の減税措置でありまして、本来消費税導入されなくても実施されるべき、そういう性質のものであるというふうに私どもは思っておりまして、そういった観点から、したがいまして消費税廃止とは本来別問題でありまして、減税措置をもとに戻す必要はないんじゃないかというふうに考えております。
  16. 守住有信

    守住有信君 そこは非常に基本的認識が違います。民社党を中心に勤労者サラリーマンの方々社会党もいらっしゃいますが、総評、同盟、そしてベースアップをしていって単にならし減税、こういうことでなくて、いわゆる構造的減税、所得税減税、ただ量的な減税だけじゃなくて長期にわたる構造的減税をやったわけでございます。したがって、今まで勤労所得減税が余りやられておらなかったという角度で今度やられた。そういうとらえ方とはまずとらえ方の入り口が基本的に違う。せっかく民社党を代表する勝木さんだし、同盟は連合になるかもしれぬけれども、これはまあ申し上げませんが、そこの基本はもっと根本に戻ってもらいたい。  そこで、次の質問に私は入りたいと思います。  申し上げたいのは、つまり去年の十一月、十二月、今もちょっとした言葉の中に昨年の政府提案のものが強行採決だと、こういう言葉も出る。実は国民皆様選挙戦の最中も、あのテレビの税特委員会委員長席にわっと詰めかけたという映像だけで、あるいは皆さん選挙戦強行採決強行採決だったとおっしゃるので、実はその後のイメージができ上がっておる。  そこで、事実にさかのぼりましてひとつお尋ね をしたいと思うわけですが、衆議院、参議院の去年の本会議で採決された際にあなた方、連合参議院の会はございませんのでそれを除きまして、どういう態度で、つまり賛成されたのか反対されたのか。その他いろいろ後で申し上げますけれども、公党間の約束もいろいろ文書になっておる。そしてそれを修正案としても取り入れた。こういうプロセスがあるわけですが、まず簡単に、賛成されたのか反対されたのか。時間はどんどん食いますので、またいろいろいっぱいテーマがあるわけですから、イエスかノーか簡単に、まず事実のことでございますから、これは意見とか評価は要りませんので事実だけお答えいただきたいと思います。
  17. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) お尋ねでございます。社会党は、一貫して消費税導入に反対いたしました。
  18. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) ただいま賛成か反対かというお尋ねでございますが、公明党も消費税導入には衆参反対をいたしました。
  19. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私ども民社党政府原案に対しては本会議で堂々と反対の意思表示をいたしております。
  20. 守住有信

    守住有信君 最後の御結論は少しやり方は違うようでございますが、社会党、共産党は衆議院本会議で欠席、参議院は不信任案がございましたので、前段これは牛歩戦術をおやりになって、後採決のときは御退席、このように受けとめておりますし、公、民もいわゆる最終は反対投票でございます。投票なさいました。欠席とか何かはしないで堂々と投票なさった、こういうふうに受けとめておりますが、ちょっとその前に、やはり事実でございますから、「行財政改革の推進と消費税率の歯止め」という六十三年十一月十六日、両党間、自民党の幹事長と公明党書記長の交換文書もございまして、申し入れとして参議院公明党・国民会議からそれぞれの責任ある組織の長が九項目にわたって申し入れがございますし、またその申し入れに対しまして自由民主党から、それぞれの九項目について参議院自民党政審会長以下から御回答も申し上げ、また詳細な数字や金額を入れたものの回答もしておりまして、かつこういう一連のものに対しまして、所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案要綱あるいはまた税制改革法案に対する修正案要綱がございまして、この修正案が実りまして、この修正案についてはそれぞれ公明、民社、御賛成になっておられることは御承知でいらっしゃいますか。
  21. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) 今委員仰せになりました点、承知いたしておりますが、衆議院本会議におきまして私たちの党も消費税法案は原案反対、消費譲与税法案と地方交付税法案もまた原案反対いたしました。今お尋ねのございました点につきましては、所得税法とかあるいは地方税法税制改革法案ということであると思いますが、それによりまして私ども国民皆さん方不公平税制を是正しなければならない、こういう国民皆さん方の年来の強い声がございました。そのために、近い将来総合課税制度を再構築しなきゃならないじゃないかということをはっきりと政府も認めて明文化されておりますし、退職金の大幅な減税の問題、あるいは寝たきり老人にかかわる扶養控除の引き上げの問題、有価証券譲渡益課税の強化、そういうことが衆議院段階では修正の段階で入ったことは事実でございます。  しかし、やはりこの消費税に対して私たち賛成したわけではございません。原案には反対しました。その反対する中で、そのように国民皆さん方の強い願望であります不公平税制の是正のための第一歩を開き、あるいは少しでも逆進性が、寝たきりのお年寄りの家庭とか、あるいは年金で生活される皆さん方に少しでも助けになればということで、私たち闘った一つの成果じゃないかと思っております。  また、参議院でも年金の物価スライドの実施とか、あるいは老齢福祉年金受給者への臨時福祉給付金の問題とか、あるいはいわゆる寝たきり老人介護、在宅介護の三本柱と申しますか、そういう福祉の前進がされていることも私たちは承知いたしております。
  22. 守住有信

    守住有信君 私は何も消費税そのものがあれだということを申し上げているわけではなくて、その消費税を取り巻く全体としての税制改革基本法その他いろいろ消費税関連でも、その実行面にわたって法令に根拠を置いた転嫁とかその猶予期間とか、これは法令上でございますけれども、そういうことも自民党として皆様方特に公明党、民社党の方々とは意見を十分闘わしすり合わせながらやっていって、よりよい消費税、欠けた部分はよりよい消費税ということと同時に、予算の歳出面でもおっしゃいますような年度末の臨時福祉給付金だとか、あるいは年金を消費税込みでさらにアップするとか、いろんな事ごとについて公明党、民社党と自民党の間では十分な意思疎通をしながら、対立は対立としながらもいわゆる是は是、非は非としながら国会のあり方ということを考えて、私どもの諸先輩の委員先生方がいろいろ御苦労なさった、皆様方の方の御努力、御苦労もあった、そして政権政党としての自民党の切迫した政策展開、こういうこともあった、こういうふうに私は理解をしておるわけでございますが、大ざっぱでございますけれども大体そんな理解でよろしゅうございますか。
  23. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) この問題につきましては、私も昨年の税制国会におりましたので実情がよくわかっておりますので、やはり一言申し添えさせていただきたいと思っております。  昨年の十二月二十一日に強行採決がございまして、二十二日に私どもはいろんな前後の状況等を勘案いたしまして、自民党に対しまして参議院の税特委で強行採決を行ったことに対する抗議とか、そういうことについてはすべてやらせていただきましたし、その審議そのものが非常に遺憾ということで、その点は国対委員長の談話といたしましても採決そのものは無効であるというふうな申し入れもやらせていただきましたし、採決を撤回していただきたいという申し入れもやらせていたださました。しかしながら、実際問題としては、自民党さんは我々の主張には全く耳をかさないというふうな方向でございまして、本会議での強行採決という方向へ事態が進んでおったのは先生御存じのとおりでございます。  そこで、我々としましては、このまま消費税が成立してしまったならば一体どういうことになるかということで、国民生活にこれは重大な影響を及ぼす、そういうふうな意味で、次善の策でありますので何とかこの法案が直ちに成立をしないように、私どもは少なくとも一年間延期をしていただきたいという申し入れをしたのを今でも覚えております。しかしながら、この私どもの申し入れには自民党さんは応じなかったわけであります。  しかし、これは私ども消費税反対の立場というのは貫きながら、このまま消費税が成立してしまったならばと、これはもう国民生活を守るためにも最大限とにかく我々のやる仕事は何かというふうな立場を考えてやったわけでございまして、消費税廃止するという主張については現在の立場とは何ら矛盾するものではない、こういうふうに考えておりますし、もしあのとき消費税が一年延期になっておりましたならば、ことしの参議院の選挙で自民党さんの立場としても、これはえらいこっちゃということで、消費税廃止に向かって皆さん方と私どもとの共通の土壌ができていたのもこれは間違いないのではないかな、こういうふうに考えているわけであります。  さらに、修正案の中身の問題につきましては、今いろいろとお話がございましたが、この一つ一つの問題については、日ごろ私どもがこれは最低限このくらいはやっていただきたいということを要望していた問題を取り上げてお願いをした問題でございまして、これは消費税とのかかわり合いもございますけれども、とにかく消費税が強行導入された場合に少なくとも弱者の皆さん方の激変緩和という問題もございますし、そういう点を何としてもカバーしたいという私どもの最大限の希望を申し上げたわけでございます。  そういうふうな意味では、私どもは衆参本会議におきまして原案には徹底して反対をいたしましたが、その修正部分に賛成したというのはそういるわけでございます。
  24. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 昨年の十二月二十四日の時点で税制法案が参議院の本会議を通過し成立したわけでありますが、そのとき発表した私ども民社党の声明でありますが、そのときの声明では、政府自民党が衆参両院の委員会におきまして単独強行採決を行うなど、議会制民主主義を踏みにじる異常な事態の中で、いまだ国民合意を得ていない消費税導入を柱とした税制法案を成立させたことは極めて遺憾である、そして我が民社党はシャウプ税制以来の税制の不公平やひずみゆがみなどを抜本的に改革することは政治の重要な課題であるというふうに認識をしておるということでありまして、税制改革はやはりやらなければいけない国民共通の課題であるだけに、改革の理念や手続、手順など、国民合意の形成を得て進めることを強く主張してきたわけであります。  その立場から私ども民社党は、税制改革二段階論とかあるいは塚本三条件を提示したり、あるいは税制改革の手順を明確にしてきたわけでございます。しかし、結果的にはその手順を踏むことなく政府自民党が欠陥だらけの消費税を拙速に導入したことについては残念であるという声明を発表いたしております。  そこで、私ども民社党は、税制法案の本会議採決という土壇場の段階で、確かに議会政治と国民の利益を守るために自民党との修正交渉に踏み切ったわけでございます。自民党の単独強行採決による政府原案どおりの成立という最悪の事態を回避しようということで粘り強い修正交渉をさせていただいたわけでありまして、その結果、消費税の半年間の弾力的運営、消費税の転嫁、税率の歯どめ、納税コストの軽減措置見直し規定、退職金減税、寝たきり老人減税、通勤費の非課税枠の拡大、石油関係諸税の減税、臨時福祉給付金の支給などの修正がなされたわけでありますが、しかし政府原案に対しては本会議で堂々と私どもは反対の意思表示をさせていただいております。  私ども民社党は、結党以来審議拒否はしないというのが党是でありまして、法案には反対であったが審議には応じてきたわけでございます。そういう意味で、委員会段階での自民党が単独で強行採決を行ったということにつきましては、やはり議会制民主主義の観点から極めて遺憾ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  25. 守住有信

    守住有信君 長い御説明で、事実に即してこれはありがとうございますけれども、どうも言葉が強行採決強行採決、それで国民大衆その他テレビの前の皆さん、きょうもテレビが入っておるようですけれども委員長席でわあっといくとか、かつての大昔でございますけれども会議でどうだとかですね、それが強行採決とか。(発言する者あり)それは乱闘国会というんだよ。多数決原理で粛々としてそれぞれの党が投票をしていく。反対は反対、成賛は成賛、それぞれの党が是々非々としてやっていく。議場で混乱も起こさず粛々としてやっていく。こうなきゃいかぬ。  それをまた、手続論に従って議長の指揮のもとにやっていくものを、強行採決という言葉でおっしゃっていかれますと、その院の構成をしておる強行採決という言葉をお使いになる方々、その周辺が国会というものはそういうものだと。参議院は良識の府ということでさらに参議院の改革を、また具体的にもきょうの本会議にもございましたけれども、こういうものに取り組んでいかにゃいかぬ。こういうときに、やはり言葉という、特にシンボリックな言葉、私は、法律が手を離れるといいますけれども、言葉こそ手を離れまして、民主主義の多数決の原理というのはどこへ行ってしまったかわからぬと。そして、国会の品位とか運営自体にもかかわってくる、このように私は受けとめておりますので、ひとつまた答弁が長くなると肝心の中へ入れませんから、政治論の方ばかり今は言っておりますので、中身に入らせていただきます。  冒頭にも申し上げましたけれども国会の正当な手続で成立して施行されましたこの消費税法を短期間のうちに廃止するということに皆様方の意図、体系はそうなっておるわけですが、やはり税制、特にいろんな法律、体系法がございますけれども、この税制というものは御承知のとおり国民生活、国民経済に密接にかかわっておる。そして、この世界の中の日本、国内にもいろんな矛盾がございますけれども、それを克服しながら日本丸を国民経済の羅針盤でやっていこうというのが、私はこの税制に裏づけられた財政、またその財政に裏づけられたところのいろんな国や地方公共団体の施策ではないか、このように受けとめておるわけでございます。  こういう非常に基盤的な法律、体系的なものを正反対の方に一部分だけ、所得税の構造的減税はそのままで、消費税だけの廃止、そうしてあとの具体的なものというのは協議会にゆだねる。環境条件のことだけは前座で申し上げましたけれども、こういうことで一体この日本丸というのはどういうことになっていくだろうかという、日本丸の中のきしみというものを、日本国民がそれに乗っておるわけでございますけれども、これを非常に私は恐れておる者の一人でございます。  しかし一方では、この間経済企画庁長官もいろいろ委員の御質疑の中で、実体的な状況というものを、特に物価とかいろいろインフレの懸念がありますよということに対して、実はことしの六月の末に御案内の社会党の選挙公約であるところの消費税廃止税制改革プログラムの提案、こういうものの中で消費税導入によってインフレの懸念もありますよということを具体的に指摘されておられますけれども、この辺のところはあれは選挙中でございましたのでそういうことがこのプログラムの中で余計出たのか。現在でもこういうことで表現されておるような御認識であるのか。これは社会党のプログラムでございますので、御説明をお願い申し上げます。
  26. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 消費税導入されるに当たって、インフレの懸念ということについては、この国会の論議の中でも提案者の側からも、またこのことを審議いたします私どもの側からも、共通してそのことは論議になったのではないでしょうか。そして、実際にインフレの状況は今ないではないかということだと思うのでありますけれども、しかし物価の上昇につきましても、きのうでありましたか、大蔵省の方から一・一という見通しがそう大きく変わっていないというような御説明があったように私記憶をいたしておりますが、実際には三%に近く物価は上昇しておりますし、品目によりましてはかなりな値上がりのものもございます。  何よりも、本来ならば内外価格差の是正等によって四割も欧米に比べて高いと言われる物価が下がっていかなければならないときに、この消費税導入によって物価がさらに上昇しているということは、学説上のインフレということに当たらないにしても、国民生活上は物価の上昇ということが私は大変な重圧になっているものだと考えております。
  27. 守住有信

    守住有信君 事前に自民党社会党もとおっしゃいましたけれども、当然に国民生活を預かる政権政党として、あるいは政府としてこういう懸念を持ってこれに対して万全な対策を講じたわけでございます。それと同時に、賢明な事業者消費者皆さんが、いろいろないらいらはございましたけれども、賢明に対処していただいた。一部にはいろんなものがございましたが、だんだんだんだんと生活のなれ経済活動のなれの中から、よくまたPRもやっとこき浸透し出したとこういうことでございまして、事前に責任を持つ政府としてインフレの懸念、物価上昇がしないようにどういう万般の手を打つかというのが議論の中で出たのはこれは当然のことでありまして、これは皆さん方は非常に真剣に取り組んだ。  自民党もいろんな会合がございまして、その中で各省庁を呼びましてみんなやりましたし、それ からいろんな業界や消費者代表の、全消費者というわけにはいきませんけれども、そういう方々とコミュニケーション、いわゆる情報交換といいますか、それをやっておったと思うわけでございます。  それから、内外価格差の問題はちょいとこれは全く別の問題でございまして、輸入業者、その他の通産省、経企庁、公取も、今我々自民党の方からも、この残ったいわゆる輸入物品が下がっていないというふうな問題について、品目別にグループ別に徹底した行動を開始しておられるし、消費税のこの問題とは直接かかわりがない。いろいろ論議を聞いておりますと、ほかの話がいろいろ出てきまして時間はどんどんたってしまうということでございますので、ほかの話で肝心な消費税をめぐる問題を何か薄めていかれるような感じが逆にするわけでございます。  それから、物価だけでなくて、これは筆頭の久保先生の趣旨説明の方でございますけれども、便乗値上げが発生する一方、下請、零細企業者においては重い負担となり、価格転嫁が機能していないと、こういうふうに具体的に趣旨説明の中で指摘しておられるわけでございますが、心配されました便乗値上げは一部に限られて、価格転嫁はおっしゃいましたように小売はまだ――過半数は過ぎておりますけれども、だんだんだんだんと小売の方にも価格転嫁が月を追うに従ってどんどんいきよる、こういうのが経済企画庁からの説明にもあったわけでございまして、この点はまたインフレ論、別の話をなさいませんように、価格転嫁の問題の状況、これについてまだ残っておる、こういうふうな御説明なのかどうか。いかがでございますか。
  28. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 政府の統計によりましても、四―六月期におきまして三%を超える物価の上昇は七%程度、その統計においても品目別それから業種別に出ておるのでありまして、これをなかったと言うことはできないと私は思うのでございます。
  29. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会    〔理事井上吉夫君委員長席に着く〕
  30. 井上吉夫

    ○理事(井上吉夫君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、消費税法廃止する法律案消費譲与税法廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  31. 守住有信

    守住有信君 先ほどの御答弁の中で二点だけ御指摘したいと思います。  一つは、やっぱり強行採決ではなくて単独採決、こういう正確な言葉。強行採決というと何か絶対物理的強行、こういうことになりますよ。単独採決。これはマスコミの皆さん方もおられるが、お帰りになったら政治部関係、編集局長そこらにも、世論を惑わす、こういうことを御指摘申し上げておきます。  もう一つは、久保委員が、私が消費税導入に際しましての物価インフレの懸念ありということで政府その他いろいろ努力をしたという中で、物価が三%上がったと、こういうふうにおっしゃいましたけれども、それはいわゆる前年との対比でのものでございまして、消費税に直接かかわりのあるものについては、まず前座の二、三月、これは駆け込みその他の動きもございました。それから特に四月、五月、あるいは六月まで含めてもいいと思いますけれども、そこの前月対比の上昇率がどうであったか。これについては三%ですが、実質は一・数%、物によって違いますけれども二%から一%の間くらい。  これは政府委員がたびたび正確なデータに基づいて経済企画庁を中心に御説明しておるところでございますから、消費税の直接関係、間接も含めましてそれは前月比、こういうことで把握をしていただかぬと、やはり同じように、それは単独採決、強行採決とは次元が違う言葉ではございますけれども、三%上がりましたよと、消費税が三%ですからそのまま消費者に転嫁されたんだと、こういう誤った認識が起きてまいりますので、この点をまず指摘しておきたいと思います。峯山先生ともよく御相談なさいまして、四派連合、並みいる方々もよくそこは、これは経済の客観的な指数でございますから特に強調しておきたいと思います。  冒頭いろいろ消費税廃止、さらに物品税復活、刻み方だけは変わっておりますけれども、税目等は八十五品目と同じでございます。それの物品税復活消費税廃止、これに対しますところの事業者側、消費者側、各界における混乱なりコストの上昇なりいろんな点を私は申し上げたいと思います。  その前に、じゃこういう専門の経済学、特に税というのは私は会計学、会計法、その上に乗っておると思いますし、行政法の広範囲な学問的なバランス感覚を持った知識が必要な世界ではないかと思いますが、その中で私は、水野教授という、中京大学の教授でいらっしゃいますけれども、こういうことを専門誌に書いておられるわけでございます。ちょっと読み上げますので、皆さん方よくお聞き取りいただきたいのですが、消費税廃止の後、物品税復活し、二年後には物品税廃止して、サービス・流通課税を実施するというが、そのような朝令暮改ということについての水野中京大教授の、例えばこれは一つでございます。   このような野党の基本的姿勢については、根本的に問題があると言わなければならない。税制改革をあまりにも安易かつ無造作に考えすぎている。税制の変化は経済国民生活に大きな影響を及ぼし、一旦、税制が変更されると、新しい制度に適応するために、納税者側においても徴税者側においても多大なコストを要するのみならず、企業や家計の行動も変化を余儀なくされる。また、新しい税制が定着するためにはかなりの時間がかかる。野党のような税制改革は、消費税導入以上の大きな混乱を惹起し、税制の安定性を阻害し、税制に対する信頼性をますます失わせることになろう。 いろいろ国民信頼、その合意ということをこの理念の中にも、基本方針、原則、いろんな中で強調されておられます。  この法案の意図、大前提、目標とする国民信頼に対して、どのようにこれを現在受けとめておられますか。この点につきまして、皆様方も実態やいろんな統計データや、いろんな業界の方々消費者方々とも触れ合っておられますが、デフォルメされた意見だけではなくて、本当にクールに受けとめたことを短くお願いします。短く印象をお話しいただきたいと思います。
  32. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 中京大学の水野教授のお話ですか、今お聞きいたしまして、水野教授のお考え、あるいはまた先生がお考えになっていることがよくわかりました。  ただ、次々に制度を変える、こういうことで消費税廃止した後、今度物品税復活して、今度はサービス課税に持っていくんじゃないか、こういうことですが、物品税あるいはサービス課税、そういうものをひっくるめまして国民税制改革協議会でよりよい方向を求めて審議をしてもらう、こういう方針を提案し、御審議をお願いしていると私は受けとめております。  それから、国民信頼あるいは合意のことにつきまして、これは全く消費税というものをどちらの側からとらえて解釈するかによって、信頼合意というのはまるっきり反対の結論が出る、このように考えております。立場、考え方の相違、消費税に対する見方、あるいは物品税に対する見方、そういうものではないかと、このように思います。
  33. 守住有信

    守住有信君 ほかの党はそれぞれこれはどうでございますか、公明、民社、連合参議院の方。ゆっくり読み上げたつもりです。
  34. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 私どもが今回、消費税廃止のためにこういうふうに立ち上がりましたのは、先生御存じのとおり、先般の参議院選挙の結果を受けてではございますけれども、これは守住先生、私どもも参議院に長い間籍を置かせていただいておりますが、これはこれから将来のことを考えるに当たりまして、ここで何回も議論になったことではございますけれども、私どもは昭和五十四年以来十年間にわたりまして、御存じのとおり、大平内閣のあの一般消費税国会の決議がありますね、こういうような決議を我々はどういうふうに受けとめたらいいのか。  これは国民皆さん方が、国会でいわゆる消費税導入しないという決議をしている、そのこと自身、それから中曽根内閣の時代のいわゆる売上税の問題、今回の消費税の問題等を、それぞれ国民が大型間接税の導入という問題を非常に否定している。そういうような観点に立って考えますと、私どもはこれから将来のいわゆる税制改革いかにあるべきかということを深刻に考えなければいけないと、こう考えているわけでございます。そういうふうな中にありまして、今回の消費税廃止するに当たりまして、代替財源の一部としてこの物品税を復元したわけでございます。  先生おっしゃるように、中京大学の先生がおっしゃっていることもよくわかるわけです。経済の継続性という問題は当然これは理論上もありますし実際上もあるわけでございますから、そういうことには十分配慮をしながらも、私ども消費税を存続させていた場合のいわゆるデメリットという問題と、そして今度は物品税復活した場合のデメリットという問題、これはそれぞれあると思いますけれども、これは消費税廃止した方が一般の消費者皆さんにもメリットはうんと大きいと、こういう判断をしたわけでございまして、いろいろ問題があることは承知の上で私どもはその点はやったわけでございますから、暫定財源として国民皆様方もそこら辺のところは十分御理解をいただけるのではないかなと、こう考えているわけでございます。
  35. 守住有信

    守住有信君 大体ほかの方も似たような抽象的な理念的だけのお話だろうと。具体的などういう影響が出てくるのか。そこで、それを防ぐのに政府は随分転嫁とかその他、便乗値上げがないようにいろいろな手を尽くしました、地方公共団体もそうでしたけれども。今度は、皆様方責任ある政党としてこれを執行されるという、法律前提ですから。それの便乗値上げ等々を予防する。これに対して、本当にやめて三%、実際物価は一・何%、二%、これが下がるのかどうか。それは温存されたまま。消費者の立場というお考えがちょっと出ておりましたけれども、その消費者の立場に立ってみて、一%ないし二%の消費税分が本当に下がるのか。それは内蔵したまま。物品税はその物その物ですから、これはびっと計算すれば出てくるわけだけれども、一般的ないろんな業種の中で本当に物価は下がるのか。消費者の立場からいえば、私は声を大きくしておっしゃるだろうと思いますよ。  そこを前提として、じゃどういうふうに、抽象論じゃなくて具体的な手だてを考えておられるのか、そういう施策につきまして。まあ考えつくだけでも結構でございます、ひとつ具体的にお示しをいただきたい。これはそれぞれ各会派責任を持って考えていかなきゃいかぬことですから。法律だけの問題じゃございませんからね。お願い申し上げます。
  36. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 消費税法律が通りましてわずか三カ月で実施をされたわけでありまして、消費税が実施される以前はその適用に当たって本当に実務上さまざまな混乱が生ずるということを懸念されて、先ほども守住先生からるるおっしゃられておったように、政府国会も挙げて、業界も挙げてそういう混乱を生じないようにということで努力をしてきたわけでございまして、結果的には日本人の勤勉性あるいは適応力等によって、業種によっては多少の混乱は確かにあったわけでありますけれども消費税そのもの、中身そのものには問題はあるわけでありますけれども、実務上、大勢としては大きな混乱もなく、確かに実務上はスタートしたというふうに思っておるわけでございます。  また、この付加価値税という日本で初めての消費税が三カ月間の準備期間で導入されて、実務上は確かに大きな混乱もなく適用された経緯を考えますならば、消費税廃止しても、国民生活上多少の影響はあるにせよそう大きな混乱は生じないんじゃないかというふうに思っておるわけでございます。また、その件につきましては、消費税廃止法案の附則にもさまざまな経過措置を設けておりまして、また、消費税導入時に図られたと同様のさまざまな行政措置をとることによりまして、廃止時におきましてもその影響をできるだけ抑えるように、国民生活にとってそう大きな混乱は生じないように措置をしなければならないというふうに思っておるわけでございます。  さて、消費税廃止で本当に物価が下がるのかという御指摘でございます。消費税の実施に際しましても、政府は転嫁とか、あるいは表示のカルテルという独占禁止法の適用除外を認めてまで三%の税額の転嫁というものを促進してきたわけでありまして、消費税廃止する以上は三%相当額の税率の引き下げというものもやはり指導していくようにしなければならないんじゃないかというふうに思っておるわけでございます。  また、消費税導入に際しましては、物価モニター制度の活用によりまして便乗値上げを監視してきた経緯があるわけでございますので、廃止後も引き続き税額相当分の引き下げがスムーズに行われているかどうかなど、そういう調査を行うと同時に、モニター制度の活用を図っていきたいというふうに私ども考えておるわけでございます。こういう措置によりまして物価は当然下がるものだというふうに確信をいたしております。  ただ一方では、確かに物品税復活するのでありまして、その税率については税負担を考慮いたしまして一〇%とか八%、六%、四%としたわけでございまして、一部で価格が上昇する品目も確かにございます。したがいまして、物価全体については何%果たして下がるのか、実際には下がるのかということについては、私ども手元資料を用意しておりませんので、ここでは申し上げられません。
  37. 守住有信

    守住有信君 何も私は何%上がるか下がるかということを言ったんじゃなくて、まず下げるもの。物品税は別ですよ、物品税に直接関係する部分は。幾ら段階を四段階にせよ、ちょっと下げたといったってぐわっと上がるわけですからこれは別として、一体消費税の三%、物価値上がり一、二%、平均でですよ。これは本当に下げられるだろうか。  そして、今お話を聞いておりましても、いろいろ独占禁止法のカルテルのやつも出ましたけれども、本当にそのままでその一、二%、消費者にとっては溶け込んだまま、そして物品税でいきますね。そしてまたさらに、今再改革法ですけれども再々改革法。二年後ですよ、こう出てくる。そして、それは流通、サービスでしょう、大型ではないとおっしゃるけれども。時間がないものですから、流通、サービスのところで詳しくお聞きしようと思っております。  流通、サービスはまた後でお聞きしますが、そういうふうな再々改革が、国民にもまさしく合意と理解ですから、これはお約束を法律上はっきりしておられる。再々改革法の実施があるわけですな、流通、サービス等に対して。お気持ちはわかりますよ、参議院選挙で公約だと言って、これは義務を果たさにゃいかぬ。そこまではいいんだが、それから先でございます。これからの問題ですよ。現実経済国民生活、事業者消費者、特にこれから消費者のことを考えていかにゃいかぬ。私らも考えようと思っております。  しかし、再改革または再々改革、そしてその中 心はよくわからない流通、サービスへの課税、こういうふうになっていくわけでございますから余計この点を、どうも具体的に下がるかどうか、どういう施策を講ずるか。これは消費者方々にも、皆さん方もその部分だけ黙っておらぬではっきりおっしゃっていただく。何%かは別にして、そういう消費税を含んだ価格体系が残ってしまう、そしてそれを黙認してしまう、こういうことに私は姿が見えるわけです、生きた経済というものの中から。それを特に申し上げておきます。  もう一つが、いろいろちょぼちょぼは出しておりましたが、物品税復活の不合理性、こういうことにつきましてやはり同じ水野中京大学教授が税の専門誌の方でおっしゃっておられますので、御紹介申し上げます。   間接税としては、個別消費税が多くの難点を有し、高齢社会に対応する間接税としては不適格であることは、単に租税理論上のみならず多くの先進諸国の永い経験に照らして、ほとんど、通説となつている。ヨーロッパ諸国を始め世界の多くの国々で実施され、経験も重ねてきている消費税(基本的には付加価値税である)を廃止し、   当面の措置であるとしても、それが永続的なものにならない保証はどこにもない。   野党は間接税のあり方については、これから十分に時間をかけて検討した上で結諭を出すとしている。確たる対案もないままに、政府・与党が数年以上(考えようで十数年)もかけて検討した上で導入した世界的傾向でもある消費税廃止して、欠陥の多い旧間接税を復活させようとしていることは、いたずらに税制混乱を招くのみで、責任のある公党の採るべき態度ではない。「瓢簟から駒」のたとえもあり、十分な検討の結果、結局、消費税の方が良かつたと言うことも起こりうる。この可能性は野党としても否定していない。もしこのようなことにでもなれば、経済社会の重要な基礎の一つである税制が、政争の具としてもてあそばれることになり、それによる社会的損失は計りしれない。 こういう、多少言葉の端々は野党という言葉であれでございますけれども、クールにとらえられておる。私もまた、ずっといろんな角度から考えてもみましたけれども、これを余計痛感するわけでございます。  そこで、時間があれでございますので、これから流通、サービスの一番また気になっておる問題を御指摘申し上げ、御回答をいただきたいと思います。  現実法案税制改革法の第五条に「国及び地方の個別間接税の整理及び合理化を図るとともに、サービス、流通等に対する適正な課税の在り方について検討を加え、その結論を得る」、そして報告して内閣はこれを尊重しなければならぬ、こういうふうになるわけでございます。具体的にお答えをいただきたいと思います。どのような課税を考えておられますか。サービス、流通に対する課税を具体的に、国民皆さんも見ておられるし、マスコミも聞いておるわけでございますので、よくわかるようにお願い申し上げます。
  38. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 先生おっしゃるように、水野教授ではございませんが、私どもも決して安易には考えておりません。しかし、現実参議院選挙の結果、国民皆さん消費税を拒否なさった、こういう上に立って民意にこたえるという決意から廃止法を提起しているわけでございまして、そういう意味でひとつぜひこの問題を、私に言わせれば、党派を超えて国民の民意にどうこたえていくかという観点から受けとめていただければ幸いだというふうに思っております。  さて、本法に基くところの流通、サービスの課税はどういう発想なのかという御質問でございますが、この五条の二項のニで「サービス、流通等に対する適正な課税の在り方について検討を加え、その結論を得ること。」、こういたしておりますが、これは消費税廃止によりましてサービス、流通課税がほとんどなくなることになります。それにかわる課税の問題を記したわけでございまして、どのような課税にするか、これはもうまさに二年間の論議を経て、国民合意をもとに決定されるべきものと考えておりますが、提案者としての私見を述べますと、これは現行あるいは復元される個々の国、地方の間接税の整理、改善、こういった問題についてまず議論をしていただくのが至当じゃないかと思っています。  例えばという意味で申し上げますれば、国税においては通行税であるとか入場税であるとか印紙税、有価証券取引税、こういう流通税がございますし、地方税については料理飲食等消費税や娯楽施設利用税、電気税、ガス税、こういったものもあると思います。
  39. 守住有信

    守住有信君 よく一般的に言われますサービスの産業化、すき間産業とかベンチャー企業とか、いろんな知恵を出して競争の中でサービス業、御案内のとおりもう五割を超しておる、五〇%を上回っておる。それから物品につきましても、新技術開発に伴いまして毎年毎年いろんな多様な物品も出現している。この物品につきましても、一体どういう形で捕捉できるか、租税法定主義でございます。  何か、聞いておりますと租税民主主義という言葉をよくお使いになりますが、憲法八十四条は租税法定主義、法律主義といいますか、そういうことでございまして、租税民主主義という言葉は独自の用語で、何でも民主民主と言えば、民主に集中だといろんな間違ったあれになる。法律は、まして憲法は、八十四条、三十条もございます。唯一残った納税の義務。昔は徴兵の義務がありました、これはなくなりました。納税の義務だけ。教育だけが権利と義務、私はこのように受けとめております。  その一番大事なあれに対して、これは法定主義でございますので、だから一つ一つの物品に、地方の税務関係者が、いろんな業者から新しい商品ができました、これを調査したりして一つ一つ認定して、じゃこれにかけますよというわけにいかない。今までの矛盾があると同時に、新商品についてもある。  それからお尋ねしたいのは、今幾つかの例示をおっしゃいましたけれども、理容とかクリーニングとか、劇場その他入場税、流通というか運輸の方でございますが通行税、人の通行がございましたけれども、いろんな物の運輸、人の運輸から始まりまして各種サービスがある。並べると、学習塾からレストランからホテルからスポーツクラブから、いろんなものができております。やっぱりこれも当然に皆様方が描いておられる流通業という対象になると思っておりますけれども、この流通という意味あるいはサービスという意味がなかなかわからないし、かつ二年間かけてということでございますが、ちょっと余談でございますけれども。  協議会の方へ入らせていただきますが、五十人の方を選考される。私は正直言って選考されるまでに何カ月かかるだろうか、そして各界あるいは国民各層を踏まえてということでございますから、どういう選考になっていくのか。ある者は入っていないとか、入っていないと何か除外されたような、そっちの世界だけ重税が出てくるんじゃないかとか、いろんなあれも出てくるでしょう。まず時間が委員の選任にかかる。それから調査検討あるいは意見聴取もありますでしょうし、それの意見をまとめなきゃいかぬ。このまとめる場合も一体多数決でいかれるのですか。総意というオール合意、オーケー、オーケーというふうになるまでには、そしてそれはならぬ場合もあります、絶対、現実は。そのときも合意がないからと。「合意」というのがついておりますからね。そして二年をめどにする。  そこで、峯山先生も前にもちょっとおっしゃっていましたが、実際は二年間にならぬかもしれない、それは一部分になるかもしれない、再々改革の方でございますけれども。こういうお話もございましたが、今両面からサービス業とは何ぞや、流通業とは何ぞや、一体これは製造は入るのかどうか、流通といった場合に。そういう疑問も明確 になっておりません。だから、製造から小売に係る物品の流通ということをおとりになっておられるのか、まずこの部分からお尋ねします。
  40. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 先生質問、必ずしも全部把握できていないかもわかりませんが、そのときはお許しください。  国税、地方税全体に占めるサービス課税の割合というのは今一・一%ですね、大体。それから間接税全体に占める割合が四・九%。その割合は現在は非常に小さなものになっております。
  41. 井上吉夫

    ○理事(井上吉夫君) 守住君、再質問してください。答弁者がわかってないようだ。ずばり質問部分をもう一遍言ってください。
  42. 守住有信

    守住有信君 パーセントだけおっしゃられましたけれども、定義ですよ。流通業、どういう概念、範囲を考えておられるのか。
  43. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 流通は、先生ももう御承知のとおりだと思うんですが、権利の移転あるいは商品の流通、生産、製造から卸、小売、そういう段階の流通、大きく分けてそのように考えております。  ただ、先ほど言いました現行税制、現行というか、前ありました税制の中で、さっき言いましたパーセントというのは、登録税とか取引税、印紙税、そういうものを言っているわけです。
  44. 守住有信

    守住有信君 パーセントだけせっかくおっしゃっていただいて、私は逆にありがたいと思う。それほどいわゆる応能負担と申しますか、そういうものが非常に少ない流通業界、サービス業界であるから、また皆様方もこれをお取り上げになったんだと私はそれなりに理解できるわけですけれども、しかし、この概念をずっと考えていけばいくほど余り現在の消費税と変わらなくなってしまう、こういうことをまず申し上げておきたいと思います。それは、いろいろ学者も入った各界各層の代表ということでございますから。  しかし、そこをもうちょっと皆様方も詰めてひとつ検討していただかぬことには先の願望が、いろいろかなり委員からも出ましたけれども、具体的な再々改革案についての展望がすべてこの国民税制改革協議会にゆだねられてしまっておる、そういうふうな制度、体系になってしまっておるということをいろんな角度から先生方が御指摘になっておられるので、その点だけを特に強く申し上げておきます。  今申し上げました手続論としても、国民合意の形成と言うが、この協議会では、選任の仕方もありますけれども、それからこの議事の進め方、決まらぬときはどうするか。意見がいろいろ出る、それで延々かかる。もう二年近くもかかってしまった、それでどうするか。各般の多面的なテーマが山のようにある。そのときにやっぱり最後は多数決か何かでいかないと、本当に二年以内をめどというのが現実可能だろうかということを私は予感しておりますので、その辺何かの方式があるなら、最後は多数決、国会も同じようなものですがね。そういうお考えなのかどうか、お聞きをしておきたいと思います。
  45. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 先生えらいようけ言うてはるんで、あれこれ全部お答えしようと思うと非常に大変なことでございますので、順次お答えしてまいりたいと思います。  まず、一番最後の国民税制改革協議会の問題からお答えしたいと思います。  先生が先ほどからいろいろ委員の選任の問題とか、国民税制改革協議会の中での運営の問題とか、これは先生の長い間のいろんな経験則を通しておっしゃっておられるのであろうと思って私は聞いておりましたのですが、先生が御心配になっていらっしゃるようなことがたくさんあるんだろうと思います。今までのところで、例えば政府税調とかいろんなところの審議会等もそういうふうな御心配の問題がたくさんあったのであろうなと思って私は聞いておりました。  そこで私どもは、まず委員の選任につきましては、この国民税調の第七条で五十人という人数を決めさせていただきました。これは地方制度調査会とか政府の中にも幾つかありますので五十人と。人数は大体適当ではないかなと思っているわけです。政府税調の三十人より多くしましたのは、やはりこれからのいろんな大事な問題をやらなければなりませんのでこういうふうに決めさせていただいたわけでございます。  きのうも少し申し上げましたが、先ほどおっしゃっていただきました多数決になるんだろうかとか、そういう運営の中身ですね。これは実は私ども法律の中では一切うたっておりません。といいますのは、これは例えば委員の選任の仕方についても非常に難しいというお話がございましたが、確かにそういう問題があるのかもしれません。しかしながら、これは私どもといたしましては総理府の一機関として置かせていただくわけでございますので、総理に御一任をいたしまして、後は国会の承認をお願いする、こういうふうな体制になってございます。  それから賛否の問題につきましては、これはこの委員会の運営の問題でございますので、そういうふうにさしていただきたいと思っております。  それから先ほどから経済の継続性という問題がございました。これはもう先生おっしゃるとおり、経済というのはそれぞれ理論的にも実際上も継続性というのはあるわけでございますから、例えば物品税にいたしましても、私どもといたしましては消費税廃止いたしまして物品税導入して、そこでその極端な価格差とか、あるいは国民皆さん方に御迷惑をおかけすることがあってはいけないということで、昔の高い税率とか、現在の事実上の価格よりも相当差が開くというようなことでは国民皆様方に大変御迷惑をおかけするということにもなりますので、そこら辺のところを十分配慮してやらしていただいた、こういうふうに考えているわけでございます。
  46. 守住有信

    守住有信君 今協議会の問題を幾つかの角度から、これは大変な時間がかかるんじゃないかなと。これは運営は政令で定めることに第七条の最後、第五項ですかでなっておるはずです。よく政府提案のときは政令の骨子は絶対、私も役人をしておりましたけれども、絶えず皆様方はこれがないと審議に入れぬと、実はそういうことだったんですよ。ベテランの先生方、新人も多数おられますけれども、これは一言申し上げておきたい。(「昔の話をしている」と呼ぶ者あり)昔って今です、これからでもそう。これはこっちの席だからね。  これからはもうそういう、政府には政令案も持ってこいとか骨子まで出せとか、中には省令までということもあったが、まあそういうことは絶対になさらぬという前提でこれを政令にゆだねられる。皆さん方は政令案の骨子なんかお考えになっていないわけですから、一番国民も疑問を持っていますよ。いろいろ先生方から御議論が出ました、二年以内をめどと言うが本当に出るのかと。はっきり言うならば、別の法案の方は時限立法で二年間と切っておくべきである、こういう意見も出たんですよ。法体系の整合性という問題からも、実態論として私が言うておることからも。こういう点も、これは皆さんお互いに議論しておるから余り言いたくないけれども、いろんな面でずさんなあれがありますな。急遽取りまとめられたという感じが深くします。  さて、もう一つ気になることは政府税調との関係でございます。同じ内閣総理大臣のもとにあるのに、片や答申をする、こっちは報告をしてそれで国会報告、こうなる。政府税調と国民税制協議会、これが審議しておる間、一体政府税調は個々のテーマは除く、こういうことになるのか。政府税調とのまず運営面からの両者の関係をお尋ねしたいと思います。
  47. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 政府税調とのかかわりという問題は、これからの運営の問題も含めまして大変大事な問題でございます。実はこの国民税制改革協議会といいますのは、先生御存じのとおり、国家行政組織法の第八条の機関でございまして、総理府にその設置をするということで法律で制定をするわけでございます。したがいまして、政府税調は先生御存じのとおり、総理 府組織令の第十八条によりまして設置をされております。したがいまして、それぞれ役目も違うわけでございます。  そういうような意味では、まず政府税調の仕事といたしましては、少なくともこの国民税調が正式に設置をされまして運営を開始いたしますと、国民税制改革協議会の場合はこの使命、役目等がこの法律の中で明確にうたい込まれておりますので、うたい込まれたこの目的に沿いまして国民税制改革協議会が運営を開始いたします。その場合には、少なくとも政府税調は国民税調の役割を妨げないようにして運用されるということになるのではないかと私ども考えております。その間、政府税調としては原則的には税制改革全般についてはお休みをいただくということになるのではないかと思っております。  ただし、先生御存じのとおり、例えば日切れ法の審議だとか、それぞれ政府政府税調に委託をしてお願いをし検討していただかなくちゃならない問題が幾つか出てくるかもわかりません。そういう問題については将来の税制改革の問題と切り離してそれぞれ審議をいただくということになるのではないかと考えております。
  48. 守住有信

    守住有信君 この原則とか基本方針に従った、いわば私から言うと法律上の枠組みつきの協議会、このように理解をしておるわけですね。普通、こういう協議会というか審議会というか、こういうのはもともとは異例でございます。  それともう一つ、申し上げました政府税調との関係、お話が出ましたように毎年度の日切れその他もございます。現実の処理を政府はやっていかなくてはいかぬ。そのときに、基本の問題が片や協議会の方で議論をされておるときに、これは影響がないからということでなくて、やはり両方の意思疎通が必要になってくる、場合によっては調整機能すら別のところで必要になってくる、こういうことを想定するわけでございます。これはもういや応なしでございます。  そうすると、一体この協議会の方が権能を持って調整するのか、目的、趣旨は多少違うにしてもということを感じるわけで、これはもう内閣の中で、役割は抽象的に違う違うとおっしゃいますけれども現実税制を処理していく、意見を聞いていく組織の二つとしてはこれは食い違ってくる。これはいや応なしだと思う。きれいごとでは済まない。今の発議者の方々皆さんきれいごとで済むと思っておられると思いますけれども現実のことになってくる。これはもう必然だと思う。ここらあたりにも非常に私は疑問があるということだけを時間がまだありますので申し上げておきます。これは非常に重大な内閣の内部に意味を持つ構想である、制度であるということだけ申し上げておきます。  それからちょっとあとあれさせていただいて、実は後の方、財政の方がありますけれどもこれは後回しにさせていただきまして、皆さん方のお手元の連合政権構想ということで、社会党新宣言についても幾つかの点をお尋ねしたいわけでございますが、また確認したいわけですが、その前に非常にこれは具体的な問題、切実な問題、人権にかかわる問題、三十年余にわたって放置されておる問題。何かというと、北朝鮮に三十年前帰っていかれました日本人妻の方々の墓参もできないという問題についてでございます。  今からちょうど三十年あるいはちょっと前ぐらい、約三十年でございますが、当時、実は社会党さんを中心といたしましてその支持者の方々や一部マスコミなど、朝鮮の、在日の半島系の方々が母国へお帰りになるということ、そのプロセスの中で、非常に社会主義国家の王道楽土だと当時は盛んに具体的に新聞等にも多数報道されておりますから御承知かと思いますけれども、そのときに約九万三千人、帰国運動、帰還運動ということでお帰りになりました。そのことはそのことで非常に結構だったと思うんですけれども、意思に従ってお帰りになった。  ただ、残ったのが日本人妻、戦中戦後のことでございます。日本の御婦人もいらっしゃいますが、我が国の婦道ということで、妻は夫に従い、そして夫婦ともに家庭生活を築いていくということで、奥様方は御主人に添われまして、約六千七百人御一緒に行かれたわけでございます。それは日本国籍を持ったままでございます。朝鮮半島の方々はそれぞれの国籍を持ったまま、それぞれの母国にお帰りになった。その中で、北朝鮮の方へお帰りになった日本人妻六千七百人、これらの人たちは、三十年間里帰りどころか墓参も一回も一人もできない、こういう現実があるわけでございます。  私は実は、ここにおられます新潟県の吉川先生もそうですけれども、今運輸大臣でございますが、江藤隆美先生を会長として、超党派で北朝鮮日本人妻自由往来促進議員連盟をつくりまして、このメンバーの中に入っておるわけでございます。このこと自体御承知かどうか、各会派、四会派からまずお聞きを申し上げたいと思います。
  49. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 今おっしゃいましたように、私どもも七千人近い日本人妻の問題につきましては、先生と同じ気持ちであることは間違いございません。正確な数字はわかりませんけれども、何とかこの方々が家族や友人との通信、往来を含めて人道上の問題として実現してほしい、こういう気持ちでいっぱいでございまして、社会党はそういう意味で、戦後今日まで全力を挙げてその努力をしてきたと思っております。  ただ、問題なのは何かといえば、社会党に問題があるわけではございませんで、日本政府との間にいわゆる国交関係が樹立できていない。これは韓国との、日韓条約も含めて、韓国との関係もあるかもしれません。しかし、ここを乗り切っていかない限り、今先生おっしゃったような人道上の問題でありながら決着できないというところがあるんじゃないかというふうに私は思うのでございまして、今その思いについては全く同じでございますが、自由往来促進議員連盟について承知かということでございますが、承知はしておりますが、私は入っておりません。在日韓国人政治犯を支援する国会議員懇談会、これには私入っておりますが、自由往来促進議員連盟の中には入っておりません。  ただ、入る、入らないは別にしましても、私はやっぱり一日も早い国交回復を図って、そして自由往来ができる体制は、単に人道的な問題だけではなくて、極東アジアにおける火薬庫と言われる朝鮮半島、その朝鮮半島そのものを平和な中で統一させることが日本の平和でもある、そういうふうに考えますだけに、まさにこれは超党派に徹して実現していかなきゃならぬというふうに思うんです。しかし、先般の衆議院の集中審議ではございませんけれども、ああいったパチンコ問題をめぐって、言うならば北朝鮮を非難するような、そういうようなことがやられますと、ますますこれは打開の道が難しくなってくる、こういうようなことで私ども胸を痛めておるところでございまして、ぜひそういう意味では、先生ともどもに、これは人道上の問題であるだけに、何とかひとつ早急に解決できる、こういった意味での御努力もひとつお願い申し上げたいと思います。
  50. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) 今、守住委員からお話がありました北朝鮮に行かれました日本人妻の方々が里帰り、墓参も不可能であるということで、私らもかねてからお聞きいたしております。そのために、民間人でありながら一生懸命この問題に取り組んでおみえになる方もおみえになります。この問題、私どもも、人道的な立場から見ましてもやはり速やかな実現を心から念願する次第でございます。  この問題につきまして、相手もあることですが、朝鮮民主主義人民共和国政府の対応の点もやはり一番大きな問題かと思いますが、根本は、やはり日朝関係が改善されていない点にまた帰するんじゃないかと思うんです。その点では、私どももかねてから申し上げておりますけれども政府自民党の対応も、北側を無視する態度を何としてもとり続けておみえになりましたその点も反省もしていただきたいと思っております。今、全世 界的にも東西関係がいろいろと、ニューデタントと申しまして関係も変わってまいりましたので、その点で新しい展望が開ければと、このように願っているわけでございます。  御指摘のこの点につきましては、党派を超えまして人道的な立場から赤十字などを通して取り組み、解決を図っていきたい、こう考えております。  それから、議員連盟のことについてもお話がありましたが、私たち公明党も、今私を含めまして七名の議員がこれに参加いたしております。先生等、真剣におやりになりました発会式にも参加さしていただきました。現在の議員連盟の活動を踏まえまして我が党も、けさも全議員に呼びかけましたけれども、北朝鮮におります日本人妻の皆様方に食料品あるいは医療品、衣料、文房具等の救援物資を送るための呼びかけも行っておるところでございます。今後もあらゆる機会を通じまして世論に訴えながら、また、委員会審議等あらゆる場を利用してこの問題の解決について頑張っていきたい、こう考えております。
  51. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) お答えさせていただきます。  ただいま議員の御指摘になりましたこの北朝鮮に行ったままの七千人に及ぶ日本人妻の問題は、これはまさに人道上の問題ですから、私たち連合参議院も大いに努力をいたしたいというふうに思っております。  こういう人間の人道上の問題というのは、国境とかあるいは体制の違いを乗り越えて十分な配慮がなされるべきであるというふうにかたく思っております。しかし、先ほど議員から御発言がありましたように、夫唱婦随で日本の妻は行ったということでしたけれども、ちょっとその点だけは私と認識が違うように思います。日本の憲法十三条、十四条、二十四条、特に二十四条は夫婦の平等ということが書かれておりますけれども、私は日本人妻は、夫唱婦随ではなくて、愛があるから行ったというふうに認識いたしております。ですから、夫婦というのは義務とかそんなものではなく、平等というのはお互いに愛が同じなものであるというふうにどうぞ御認識いただければ女性として大変ありがたいというふうに思います。  また、議員連盟の問題につきましては、これは大変すばらしいことだというふうに思います。私どもも前向きに十分慎重に検討さしていただきたいと思います。
  52. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 昭和三十四年に日本と北朝鮮との赤十字間で北朝鮮帰還協定が結ばれまして、それに基づいて北朝鮮に行ったまま帰ってこられない多くの日本人妻がいることは、人道上極めて憂うべきことであるというふうに私ども考えております。私ども民社党もこの問題をいち早く取り上げて、残された家族の人々を支援する運動を展開してまいっておるところであります。安否調査と里帰りの実現を目指しまして、永末現委員長も昭和四十九年に衆議院の外務委員会でこの問題を取り上げたのを初め、今日まで努力をいたしておるところであります。一日も早くこの問題を解決しなければならないというふうに思っております。  また、北朝鮮日本人妻の自由往来の実現を目指しての国会議員の連盟かつくられ、活動していることはよく存じております。今日、約百七十名の議員が参加していると伺っておりまして、私ども民社党議員もほとんどこの議員連盟に参加をいたしておりまして、私もその一員となっております。超党派の議員連盟の力によりまして内外の世論を一層喚起して、この問題の早期解決が図られるよう今後とも頑張ってまいりたいというふうに思っております。  なお、ただいま議員連盟が救援物資を送るために幅広く皆様方に呼びかけているところでありますので、十二月十五日が締め切りということでありますから、この場をかりて、何とぞよろしく御協力いただきますよう私からもお願いをいたしたいというふうに思います。
  53. 守住有信

    守住有信君 実は議連の方、自民党が衆参合わせて九十三名入っております。今民社党は全部で三十名。それから公明党二十三名、参議院七名でいらっしゃいますけれども、全部合わせて二十三名。社会党が四名でございます。そして、実は社会党方々、幹部の方々はよく北朝鮮にいらっしゃいますし、お名前は挙げませんが、国内においても北朝鮮労働党の幹部の方々にこの日本人妻の方方の書簡をお渡しいたしました。ところが、それに対してもナシのつぶてということでございます。  今、日本政府のというふうなお話もございましたが、例えば我々北方領土墓参、そしてソ連のビザでは墓参には行けないということで、択捉は軍事基地があります、天寧という軍事飛行場と、どでかい艦艇もおるのでこれはあれですけれども、国後までやっと十数年ぶりに行けるようになった。そして申し上げますと、実は韓国とソ連は国交関係はありませんけれども、韓国人の方が樺太とか沿海州とか、行っておられましたそこへ墓参を、相互に人道上ということで小さな小さなパイプがあいたわけでございます。  そういうことをいろいろ思うにつけましても、一番の社会党の全方位外交、等距離外交とか、新宣言その他理念の中に出ておりましたけれども、しかしそこのところをひとつ念頭に置かれまして、また民社党の方は本当に、永末委員長とか、特に柳澤錬造先生、ついこの間予算委員会でこの点非常に熱情あふれるお話でございましたけれども皆さん一緒になって、税制だけでなくてこういう人道上の問題は、これは対立と同時に、私はそういう気持ちを持っておりますので、これちょっと皆さんおられますので読み上げたい。  名前は省きますけれども、「北朝鮮の日本人妻からの便り」。   ○子、皆様お元気で居りますか。○子が送ってくれた品物を無事受け取りました。   ○子今、住んで居る所はたいへん寒い所です。今は日本の二月の季節ですから、品物を送ってくれるのだったら、冬の着物を多く送ってくださいね。○子、厚いくつしたを送ってください。そして、うすい物もいいんです。 厚いものがいいけれども、薄いものでも結構ですと。  又、ネッカチーフとかふろしきを十枚ぐらい、いっしょに、送ってくださいね。   ここでは、米国製は受取らないから、日本製だけを送ってくれるように。   帰国して三十年になっても日本の味噌とヨーカンをわすれられません。ですから、これも同じで送ってくださいな。   ○子が送ってくれた砂糖を三十年ぶりに、食べたので気持ちがすこしへんになりました。年がもう七十になってくるから、あまい奴なんか食べたくなるんですね。 云々。これは徳島県生まれの六十八歳の方で、三十年前でございますから、御両親は既にお墓の中に入っておられます。私らはまずその墓参からと、こういうことを申し上げた。  もう一つ、非常に切実なものもございますので、これだけはひとつと思います。   この度送って下さった荷物は受け取りましたが、私の手に届いた時には箱の中に入っているものは半分だけありません。二月の初め受け取りました。本当に残念です。税金が高くて私達の日給一年間の金を払いました。五百円です。 これ、ちなみに調べてみますと、月給は一月に四十円から八十円ぐらい。日本人妻の方の御家庭には五百円だ、こういうことでございます。それでまた省略しまして、   少しでもお金を送金して下されば本当に嬉しく思います。又、お砂糖とカンヅメはおいしく味わいました。何年振りです。お金が、日本円がなくて私達は何も買う事ができません。 云々。これは東京出身の御婦人で、母親は八十歳、都内でまだお元気でいらっしゃる。  具体的にいろんな方がいらっしゃいます。私はやっぱりこういう、特に三十年余でございますから、そしてまた社会党先生方にお願いをしたい。一番強力なパイプも持っていらっしゃいまし て、前からの御関係もある。政府のというお言葉でございますが、政府は統合的に、第十八富士山丸の問題で一生懸命でございますが、我々は、民間、赤十字その他ということで、この席をかりましてお願いを申し上げておきます。  そこで、また本論に入らせていただきますが、今度は財政の角度から見ました税制について申し上げたいと思います。  まずは税制の問題、税制のあり方、歳入構造を検討する、その中で皆さん方の案でございますけれども、この厳しい我が国の財政の現状と将来に向かいまして十分な認識からスタートしないと、やはり共通の認識がないと、出発点が違えばこれはみんな違ってしまう、国論は二分するということになるわけでございます。  我が国の財政の経緯は十分御承知のとおりでございます。赤字国債の問題、やはりこの赤字国債と同時に、きのう前島先生がおっしゃいましたような福祉負担、この両方から若い世代に負担がかかってくるというのは明々白々でございます。数字的に挙げないでも明々白々でございますけれども、年金の掛金や社会保険料等、あるいは赤字国債の利子つきの負担、返済等、両面からかかってくるものにつきまして、それぞれ党派としてこの新しい税制改革を御検討になりますときに、あるいは現在も将来もどのような基本的認識に立っておられるのか、そこからお尋ねをしたいと思います。
  54. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 先生は熊本で私は大分です。財政の厳しさ等、よくわかります。同時に社会資本のおくれというのが非常に私どものところは出ております。  ちなみに過疎率といいますか、後から先生お聞きになるんじゃないかと思うので先に答えておきますが、要するに、過疎率ナンバーワンが久保さんのところの鹿児島です。二番目が大分、三番が北海道、四番が前の総理の竹下さんのところの島根、そういうようになっておりまして、たしか熊本は六番か七番か、どこかその辺でございますが、そういう面から見まして財政は非常に厳しい状況ですが、やはりできるだけ多極分散型といいますか、国土の均衡発展、どこに住んでおろうがやはりあまねく文化やあるいは経済の恩恵がこうむれるようにしていただきたい、そういう政治の手がやっぱり差し伸べられるべきだと、このように考えております。
  55. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) お答えいたします。  先生は先ほどから非常に大事なことをおっしゃっているわけでございます。人道的な問題のお話を初め、いよいよ高齢化社会がやってくる、しかも、現在の赤字国債の残高百六十兆円があるわけでございまして、この百六十兆円、毎年の公債返済額だけでも十一兆円を超えるという大変な状況にあるわけでございますから、こういうふうな国の財政状態というものを私どもの孫や子の時代に持ち越してはいけないという思いの中から御質問をされていらっしゃることはよくわかります。そのためにこそ私どもも取り組んでいるわけでございまして、また皆さん方もそういうふうな意味で取り組んでおられるであろうということはよくわかるわけであります。  そこで、私どもが一番大事にしておりますことは、私ども消費税廃止してその上でもう一回国民合意を取りつけて、何とか二十一世紀にわたるすばらしい税体系をつくり直したい、こういうふうに考えているわけでございます。皆さん方は、またこの消費税見直してというところがちょっとだけ違うわけでございます。そういうふうな意味では、私は今非常に大事なポイントに差しかかっていると思っているわけでございます。  確かに、大蔵省が示しておりますように、この高齢化社会のピークが参りますのは二〇二〇年でございます。今からちょうど三十年でございますから、この三十年のうちの前半のこれからの五年、十年が一番大事になる、こういうふうに考えております。この五年、十年の間に将来の見通しをばっちり立てた福祉の計画、税制の計画等がきちっとしていかなければいけないと思っているわけです。これは先般から相当議論をいたしておりますけれども、国の福祉のぴちっとした方針もまだ明確ではないわけでございまして、福祉というのは税制の中で見逃しにできないたくさんの税金を使う事業でございますから、そういうふうな意味では、本当にこの五年、十年しっかり私どもは腹を据えて体系を考えていかなきゃいけないと思っております。  そういうふうな意味では、この税の基本というのが国民のいわゆる信頼合意の上に成り立っているという点を考えますと、先般の参議院選挙消費税が否決されたということを考えてみますと、そこら辺のとり方は皆さん方と私どもは百八十度違うわけでございますけれども、これから先のことを考えますと、ここ一年、本当に皆さん方一緒にもう一回消費税を白紙に返してこれから考え直した方が多少の混乱はあっても将来のためには役に立つのではないかなと本当に真剣に考えているわけでございまして、ぜひ先生もそういうお立場に立っていただいてお考えいただきたいことを心からお願い申し上げたいと思います。
  56. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) この問題は本当に重大ですし、しっかりと考えていかなければいけない問題だというふうに思っております。しかし、私たち連合参議院はまだ新しいものですから、この点に関しては研究しながら、大いに議員の御意見ども参考にしながらやっていきたいと思っております。しかし、この行財政の問題はその事柄の性格から、日々見直していかなければ肥大化する傾向にありますから、そういう点でも何とか頑張っていきたいというふうに思っております。
  57. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私ども民社党も行財政改革については一生懸命に取り組んでおるつもりでございます。特に地方財政改革というものを進めていくに当たっては、やはり国と地方事務配分また財源配分のあり方を明確にしていかなければいけないだろうというふうに思っておりますし、そしてその次にはそれに伴う税源配分を明らかにすることが重要であろうというふうに思っております。
  58. 守住有信

    守住有信君 まあそれぞれのニュアンスが多少、こういう短い時間でございますから、急な御質問でもございますし、梶原先生の方から九州、社会資本の充実、しかしそのためにも財源が要ると、長期的安定的な財源が要るわけでございます。まあNTTの無利子融資で、あれは二十年先三十年先に、補助事業等民活もありますが、返せばいいんだけれども、それを内需拡大、社会資本の充実に使えるようになったと。これは民営化という、活性化という電電改革だけの意味でない。私は副次的な効果と思いますけれども、ところが、来年度予算では株価の低迷その他からなかなかこれが活用できない。一年間で一兆三千億でございますからね。こういう点もありますけれども、話を戻せば、おくれた社会資本の充実でいろんな公共投資が要る。そして地元は三割自治というか一割自治でございます。  過疎がお話に出ましたので私もお話し申し上げておきますと、これは福祉の方、峯山先生からも、より根源的な福祉の問題をお取り上げになり、この十年ぐらいが一番大事、しかもここの三年、五年が一番大事だこういう御認識もいただきましたが、この高齢化社会、何かいろいろ聞いておりますとそれは二十一世紀の話ではないか、こういう話はよく聞くわけです。とんでもない。今、大分、鹿児島とおっしゃいましたが、ちょっと申し上げておきます、熊本県の例で。  六十五歳以上の方、私ども熊本県九十八カ市町村ございますが、そのうち五十四市町村が過疎地域の指定を受けております。昭和六十年は、六十五歳以上一〇・三%でございます。それが十五年後、平成十二年「西暦二〇〇〇年一六・三%。それでこれが平成三十二年、二〇二〇年には二三・六%、これは全国平均でございます。ところが、熊本県の今言いました過疎地域では、既にこれは六十三年十月現在、至近距離でございますが、六 十五歳以上が一八・五%。したがって、西暦二〇〇〇年をとっくに上回っておるわけでございます。  そういうことは当然、鹿児島でもいらっしゃいますから余計御認識があると思います。高齢化社会の到来というのは何も抽象論だけでなく、全国の経済政策等でございますから絶対財源が要りますけれども、同時にそういう過疎、高齢化が進行しておる地域がこれはもう一番肌で感ずる。こういう問題を長期的に、この財源と今、年金の掛金、保険料等々両面からあるわけでございます。その両面から見たところの我が国の地域社会を含めた日本全体の将来、そのためにも安定的な財源が要るし、土地税制その他も抜本的にあれして税制の方もやらにゃいかぬ、痛烈に考えておりますけれども、そういう意味皆様方もひとつ税制全体の問題として消費税の問題、裏腹の財源財政、将来の借金だけでない、さらに借金がありますな、利子つきの、こういうことの三者を長期的、総合的に御認識の中で消費税の問題や税制改革、その後の問題もお取り上げお考えをいただきたい。四派連合の方々に特に、御質問も時間もあれでございますので強調をしておきたいと思います。  そしてまた、今民社党の方からお言葉の中にもありました行財政改革、これも私もその一員として一部分だけでございますが担当してまいりましたけれども、例えて言いますと、この間久保先生のお話の中で、NTT、JRの民営化、これについては社会党はもう昔の英国労働党みたいにまた戻すぞというふうなあれはとらないとおっしゃいましたが、今後起こるであろう行政改革、こういう似たようなものが地方自治団体の問題も含めて、起こると思うわけでございます。  こういう点についてはやはり具体例が出ぬとお答えができないと。しかし、一つの理念、方向として行政改革は終わったわけじゃございません。終わったのは百本ばかりありますけれども、まだまだいろんなテーマが積み残しになっております。こういうのに対して社会党はどういう姿勢でいかれるのか。官公労系の労働組合とかいろいろおりますので、過去もいろいろございました、国鉄の問題のときは国労、動労等々。ここが非常に国民も我々も気にするところでございますので、お答えをいただきたいと思います。
  59. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 先生は少し誤解なさっておるような部分があるように感ずるんです。国鉄の場合、社会党は決して反対という闘いではなくて、むしろ全国一社の対案を出して、そして対案で政府案と最後まで対立する部面はございましたけれども、決して行政改革そのものに反対ということではございません。その意味でひとつ御理解いただきたいと思います。  例えば地方自治体に対しても、行政改革と称して補助金カットとか、政府の施策の中に出てくる年金改悪であるとか、そういったものについては確かに私どもとしては反対の立場をとってまいります。しかし、基本的にむだをなくす、そしてスリムにしていく、同時に国民の視点から見て官僚主義じゃなくてもっとサービス行政の徹底を図っていく、こういう意味での行政改革については社会党は提案もし同時にまた推進もしておる、こういう立場をとっておりますから、そこら辺はひとつぜひ御理解いただきたいなと、こういうふうに思っております。
  60. 守住有信

    守住有信君 誤解があるとおっしゃいましたけれども、表に出た修正案とかは最後でございますが、そのプロセスの中で、やはりいろんな労働運動、組合も幾つもあります、それはセクト集団もおればいろいろありますけれども、しかしあのプロセスの実態を見まして、私のところにも実は国労、動労の諸君まで公労協という名のもとに具体的に、向こうから言えば粘り強くですか、そういうことももろもろあったわけでございまして、見ておりますと、これは言い過ぎになるかもしれませんけれども率直な感じですが、労働組合にどちらかというとリードされておられる社会党先生方ではなかろうか、これは私は長い体験で痛切に、労務屋ばかりやっておったものですからそう痛感をいたしました。  そしてその中で、私は民社党とは申し上げませんが同盟の諸君たちが一生懸命頑張って知恵を出してやって、そしてその配分にははっきり堂々と団体交渉で主張していくんだ。しかし地域社会のために、私は郵政でございますけれども、郵政事業をどうやって安定していくか、拡大していくか。正直言うと最近全逓さんは、私首切り浅右衛門と言われておりましたけれども、それ以来路線の変更、運動方針変更ということで非常によくなっております。これは時間がありませんが、JRの最近の安全問題だけは別でございまして、東日本その他積極的に取り組んでいくと言っております。当然だと思っておりますけれども、最近三年間ばかりの活力、意欲とか厳しさ、サービスの親切さ、いろんなのが出ておる、こういうふうに見ております。  そこで、今後気になりますことは、ちょっと先生がおっしゃいましたが補助金のカットとかそれはまた別で、地方の権限の分散、分権と関連したやり方地方自治体の執行部や議会側も対応していく方向じゃなかろうか。一つ一つの問題、民間委託もありましょうし、スリムにならなきゃいかぬ、効率的にならなきゃいかぬ。一方では、地方財政も大変ですから当然に政府みずからがやっておる行革と同じような、むしろ私は、行革の意味では地方自治団体はおくれておる、どんどん定員がふえておるところがある、憂慮を感ずるわけでございます。しかしその場合民間委託等を始めるとまた反対闘争と。近ごろ表立ってストライキはありませんけれども、そういう根に入ったところの運動展開があって執行部側はたじたじである、こういうのを痛感いたしております。  それぞれの先生方、まだ抽象的なお話でございまして十分納得もできるものは挙がりませんけれども、今後の皆さん方の行財政改革、その上に立って、将来はますます福祉の時代と、これは前島先生からどんどんお話が出ておったと思います。それと赤字財政、それからおくれた地方の地域振興策、その必要性、その実践の上に自民党税制改革は、長期展望を目指して十数年かけてやってきたもので、それから所得税も構造的減税をやる、法人税につきましても国際化の中で法人の活力等々をやっていこう。それで残る問題は、もちろん皆さん方も御指摘のとおり、例えて言うなら医療関係の問題とかみなし法人の問題とかいろいろな優遇、あるいは公益法人、宗教法人の問題とか、こういうものがはっきり書かれておるわけであります。  こういう問題も本当にこの国民税制協議会の中で具体的にテーマとして俎上に上げていただくのか。不公平税制の最たるもの、なお残ったものと言われております問題につきまして、ひとつそれぞれのお考え税制協議会ができるという大前提でございますけれども、その上に立っての具体的な方針、措置をお聞きしたいと思います。
  61. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) おっしゃるように過去の、例えば国鉄問題にしても地方自治体の中のいろんな労働争議の問題にしましても、ございました点について私は否定しませんけれども、ただ先生、一番大事な点は、今あなたがおっしゃったように郵政の関係で今の全逓は別だけれどもと、こういう表現がございました。
  62. 守住有信

    守住有信君 今のです、四年ぐらい前から。
  63. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) そういうあれがございましたが、これは一体何かといいますと、労使の信頼関係ができたかできなかったかというところに問題があるんです。ですから私は、今全逓と郵政の間には信頼関係があるからこそおっしゃるとおりの状況になっておると言って過言でないと思うんです。これは私も体験をしてきたものですからそこら辺については確信を持って言えると思うんですが、それは徐々に日本の労働運動も、そこら辺の慣行を含めて信頼関係をつくってほしいなと、こういう気持ちで私はいっぱいでございますし、社会党としてもそういう意味での立場から、決して労働組合をあふり唆すだけが能で ございませんで、そんなことはやっておりません。その点はひとつ御理解いただきたいというふうに思います。  同時に、今税革協の問題がございましたけれども、大変難しい問題です。けれども、今御指摘いただいた点を私どもも大事にしながらぜひこれを成功させるように努力していきたいなと、こう思います。
  64. 守住有信

    守住有信君 今のお言葉の中で労使の信頼関係、これは本当は、なかなか単純にそのまますっと観念論でいくわけじゃございません。私の体験から言うと、妙な言い方でございますが一遍けんかして本当に仲よしになる、こういうものでございます。人間関係もそうだ。がんとけんかして、そして本当の労使というか人間関係もそこへできてくる。そして切るべきやつは切る。  こういう是々非々が必要だということを最後に申し添えさせていただきまして、どうも御苦労さまでございました。(拍手)    〔理事井上吉夫君退席、委員長着席〕
  65. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 御指名をちょうだいいたしました斎藤文夫でございます。重要な税制特でこれから三時間御質問を申し上げます。率直にお尋ね申し上げますので、御答弁をされる皆様方におかれましては懇切簡明にお答えをいただきたい、まずもってお願いを申し上げます。  きょうは大蔵大臣にもおいでをいただきました。そこで、先に大蔵大臣に御関係質問をさせていただきたいと思います。  なぜ今税制改革だったのか。シャウプ税制以来四十年ぶりの抜本的な税制改革は、今日国論を二分するような騒ぎになりました。廃止法案提案者皆様は、「消費税の創設を中心とする先の税制改革に代えて行う」、これは基本法第一条に書かれておりますけれども政府自民党税制改革はだめだから廃止をさせようという趣旨のようであります。しかし、なぜ今税制改革であったかということを真剣にお考えになっていただかなければならない必要があると思っております。高齢化、国際化、そして産業構造の変化は、消費、サービス分野のウエートの高まり等とあわせまして、四十年前に導入されたシャウプ税制のゆがみや重税感や不公平感が積もりに積もりました。それを、二十一世紀の展望、そして日本民族の繁栄を願いながら新しい税制導入というものをしていかなければならない、それが今だったと私は確信をしておるのでございます。大蔵大臣、いかがでございましょうか。
  66. 橋本龍太郎

    ○国務大臣橋本龍太郎君) 今委員から御意見を踏まえながらの御質問をいただいた次第でありますが、私は、昭和五十年代後半の各種世論調査にあらわれた政府への国民の要望というものを今思い起こしております。五十年代の半ばから次第次第に税制改革に対する要望が高まり、五十年代の末になりますと、政府に対する国民の御要望の中で税制改革に対する御希望はピークに達しておりました。改革前の税制というものが、経済社会の著しい変化に対応し切れないまま、税負担が給与所得を初めとする個人の稼得所得に偏っており、他面その裏腹に消費課税のウエートが著しく低下をして、そうした中における納税者の重税感、不公平感というものが高まっていたということはどなたにも否定のできないことであります。  また、日本は既に高齢化社会に突入しております。そして、これからも人口の高齢化が恐らく世界に類例を見ない速度で進展していくと考えなければなりません。こうした状況の中で、従来の税制のままで参りました場合にさらに国民負担が、働き手世代の稼得する勤労所得というものに対する直接的な負担というものが一層高まっていく、その結果として納税者の重税感、不公平感というものは一層深刻化し、ひいては税制に対する国民信頼というものが失われていくという危険性すら我々は感じておりました。同時に、特定の物品でありますとかサービスに高い税負担を課しておりました従来の個別間接税制度というものが、消費の実態などに対応し切れなくなっていたということも事実でございます。また、国際的にも批判が高まっておりました。  先般の税制改革と申しますものは、こうした事態に対処いたしまして、高齢化、国際化の進展など将来の展望を踏まえながら、国民の租税に対する不公平感というものを何とかしてぬぐい去りたい、そして所得、消費、資産などに対する課税というものを適切に組み合わせることによりまして均衡がとれた税体系を構築しよう、こうしたことを目指して行われたものでございます。
  67. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 ただいまお聞きをいたしまして、まさに私どももそのとおりとなるがゆえに、日本のあすを期待しながら、より豊かな発展を日指して思い切った根本的な税制改革に踏み切ったと存じております。  ところで、その問題について久保さんはどのようにお考えになられますか、簡単にお答えをいただきたい。
  68. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 私から答弁させていただきます。  今大蔵大臣から政府の今回の税制改正に対する基本的な考え方が御提起ございました。私どもも、高齢化、国際社会という方向社会経済がますます進展していくという中で二十一世紀を展望した税制改革として先般の税制改革は行われた、こういうふうに決まり文句のように伺っております。しかし、将来を展望し社会経済の変化に対応しようとすれば広く薄く課税する必要があるとして、税率のフラット化を柱とした所得課税の減税と抱き合わせて消費税導入をしたということでございますが、理念に述べられたことと逆に消費税は公平公正な税制に反する税でありまして、不公平感を払拭されるどころか逆に拡大し、経済に対する中立性からも簡素な税制からもほど遠い税制がつくり上げられたと思うのであります。  私どもは、社会経済の現状や将来の展望に立って不公平が存在しておる税制の現状を考えてみましたときに、やはり税制改革を行う必要があると考えております。しかし、国民の反対する消費税のような大型間接税を、公約違反を犯して強行採決を行って、無理やり導入したことには真っ向から反対をしてまいりました。そして、先般の参議院選挙において御案内のとおりに国民皆さん審判を下したと判断しております。その意味でここに消費税関連法案を提出したのでありまして、将来展望を踏まえて税制改革をやり直す必要があると考えております。  私どもは、民主的な手続により形成された国民合意、そして総合課税主義を基本とする応能負担の原則を重視して、応益負担の原則にも適切に配慮した上で、直接税を主としてそして間接税を従とすることなどを法案に明記して国民の納得できる税制改革を実施したい、かように考えております。
  69. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 御説明がございましたが、税は消費税だけではございませんし、ましてや公平公正というのはあらゆる観点から判断をされるべきことである、このように思っております。  そこで、先ほど大臣からお言葉がございましたが、言うならば私どもは旧税制ではこれからの時代の変化には絶対対応できない、しかもそういう観点に立って新税の導入の時期というものを考えてみますと、日本経済を取り巻く環境、例えば景気とか物価とか雇用とか、そういうファンダメンタルズがこんな恵まれた時期というのは日本経済始まって以来ではないんじゃないでしょうか。だからこそ、国民経済に最も影響を与えない今、ここで税制改革をしなかったら一体いつできますか。大臣、どうお考えでしょうか。
  70. 橋本龍太郎

    ○国務大臣橋本龍太郎君) 確かに今我が国は非常に安定した経済の運営がなされておりまして、これは国民の英知の結晶また努力の結晶によるものと心得ております。そして、この状況が続いておりますその間に税制改革を思い切って行わせていただきたい、そう願いながらこの改革に踏み切りました。
  71. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 提案者の方にお尋ねをいたします。  二年後本格的な税制を再構築する、こういうお 考えのようでいらっしゃいますが、二年後まで現在のこのすばらしい優等生と言われる日本経済の各種のファンダメンタルズが続くとお考えになっておられますか。また、その保証はどこにありますか。
  72. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) お答えいたします。  今までいろいろと先生のお話を聞いておりまして、なぜ今税制改革が必要かというところから始まったわけでございますが、そのお考えにつきましては私どもはもう先生と全く同じ考えです。また、現在の景気の状況から見ましても、過去私の経験からいきましても、現在のような時期は余りなかったのではないかというぐらい、現在税制改革はやるべきであろうと私は今思っております。  そこで、実は昨年の暮れの国会におきまして、私もそのことが気になりましたので竹下総理にそのことを質問いたしました。ここで随分議論いたしまして、税制改革についての国民のコンセンサスはどうだろうかという議論をいたしました。そのときに竹下総理は、確かに税制改革を今やらなきゃいけないという国民のコンセンサスはあると思うと、だから私と総理は一致したわけであります。ところが、そこからもう一歩踏み込みまして、それじゃ総理、消費税導入していいかどうか、大型間接税を導入していいかどうかという国民のコンセンサスはどうだろうかという議論をいたしました。そうしたら結局、総理はいろんなことをおっしゃいましたけれども、まだそこまではいってないんじゃないかという感じでございまして、そこのところが私どもちょっと食い違ったわけでございます。そういうようなことを考えながら先生質問を今聞いておりました。  そして、これから先どうなるかというお話でございますが、これは私どもも今回の法案を提出するに当たりまして一番心配した問題でございます。したがいまして、いろんないわゆるそれぞれの経済見通しや景気の見通しをやる経済関係の機関の情報等もそれぞれ取り寄せましていろいろいたしました。そういうような情報等を取り寄せまして、詳細は余り申し上げませんが、この一、二年、私どもが見込んでおりますこの二年間ぐらいは少なくとも現在の調子がほぼ継続されるのではないかなというふうな感触をつかんだというのが実態でございます。
  73. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 景気というのは当たるも当たらぬも八掛ですから、二年後順調にいっているということならばそういうことになるのかもしれません。ただ、万一物価が上昇する、あるいは景気が下降する、こういうときに税制改革をしたとしたら、経済そして国民の生活に及ぼす影響というのは大変なことだ。そうなったら結局は導入できない。二年後今よりもっと悪くなったときには、先ほど来申し上げましたが、保証はだれしも持つことができない。なれば、今がこういう時期だから導入ということを我々も政府も一生懸命努力をしたところでありまして、これについては私どもは今が一番よかったと、今もって大きな流れを見ておって思っておるところでございます。  特に大臣にお尋ねをいたします。本当に景気や物価が変動する時期に税制改革というのはできないんじゃないかと私は思っておりますが、御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  74. 橋本龍太郎

    ○国務大臣橋本龍太郎君) 私は今日本経済が安定し、持続的な成長が保たれておりますことは、本当に国民の英知、努力の結晶と考えておりますけれども、同時に幾つかの要因に支えられているという事実も否定するわけにはまいりません。そして、今日までやはり何と申しましても、いわゆる三高二安と言われる現象がこれを支えておりまして、非常に大きな柱でありました。しかし、必ずしも日本経済力を正確に反映しておるとは言いがたいただいまの為替レートの状況、今後の推移、あるいは多少ずつとはいいながら価格の心配されております原油、先日のOPECの総会等におきましても相当な議論が行われております。  こうしたことを考えてまいりますと、私どもはやはり物価の安定というものに目配りを続けながら、これからの経済運営というものには相当細心な注意を払っていかなければならないのではなかろうか、そのような気持ちを持って職に当たっておるところであります。それだけに税制について、委員の御指摘のとおり、こうした安定した時期でなかったら思い切った改正はできません。
  75. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 ありがとうございました。  それでは、消費税に対する我が党の当時の御提案をされました竹下元総理が、国民に対する責任と理解を求めまして九つの懸念というものをみずから公表をされました。御承知のところでございましょう。この九つの懸念は間接税改革の最大の論争点でもございました。野党は、九つの懸念が全く解消されないから消費税は悪税だ、廃止だと、こう主張されておりますが、私は、この九つの懸念というものは必ずや行財政努力によって解消されるものと、このように考えております。もちろん対応を迫られる問題も多く存在はいたしておりますけれども、だからといって直ちに早急な廃止論の根拠にはならない、このように考えております。  今日までこの九つの懸念に対しまして、既に実施してから八カ月、その対策に政府、御当局それぞれ大変な御努力を払ってこられたと思っておりますけれども、この九つの懸念に対し、今日振り返られまして、どう大臣はお考えになっておられますか、お述べをいただきたいと思います。
  76. 橋本龍太郎

    ○国務大臣橋本龍太郎君) 基本的に私は最大限解消に努めた効果は出ておると思いますし、また今後も努めてまいります。  もし、細かい御説明が必要でありましたならば、政府委員から補足をいたさせます。
  77. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 なるべく簡単にお願いします。
  78. 濱本英輔

    政府委員(濱本英輔君) 九つの懸念、なかんずくこの逆進性の問題というものが一番配慮を要する点と考えられたと存じます。あらゆる物品、サービスが課税対象となりますために、やはりお年寄りですとか社会的に弱い立場にあられる方々に対しまして消費税負担が及ぶ、これは事実でございます。これは消費税というものの持っております固有の性格でございます。しかし、税制にあるいは財政には幾つかの道具がございまして、結局、消費税導入することによって生じます所得に対する逆進性というものを埋めまして、さらにそういった立場にあられる方々に対して配慮を上乗せするということまで考えました場合には、新しい税制そして税制に連動しました財政措置というものが考えられなければならない。それ以外にうまい方法が、長い間安定的、持続的にこういった立場の方々を支えていこうといたしますと、考えられないという問題に逢着したわけでございます。  以下、幾つかの懸念がございましたけれども、簡単に振り返ってみますと、今の逆進性の問題につきましては、税制財政でいろんな措置が講ぜられておりますけれども、ほかに例えば納付した消費税が国庫に入らないのではないかというようなこともしばしば言われました。  これも繰り返し議論されてきたことでございますけれども、要するに税制を仕組みますときには、長々この席でも御議論ございますように、やはり公平性ということが一番重要な理念でございますけれども、公平を追求していきますとどうしても制度は複雑になります。ある程度のところで簡素ということがどうしても必要になる。その公平と簡素のバランス、その政策判断の問題でございます。幸いにいたしまして、最近の状況を見ておりますと、業者の方の転嫁状況を見ますと、比較的仕入れに消費税のかかり方が少ない、そういうサービス業の方々の転嫁しておられます割合というものは五〇%に満たない。つまり、七割ぐらいの方が転嫁をしていない状況にあるというデータも出てきております。といたしますと、その分だけ消費者方々は安い価格で物品、サービスを求めることができているはずでございます。そういうことも事実として考えていただかなければならない大事な事実だと思います。  さらに、物価転嫁の問題のほかに、税率の引き上げにつきましてもいろんな懸念が言われました。しかし、税率の引き上げの問題につきましては、海部内閣としましては税率の引き上げを行わないという旨が既に所信表明されております。それから、事業者事務負担の問題につきましても措置が講ぜられました。それから、地方団体の財政運営の問題等につきましても、消費税全体の四割相当の財源が配分されております。  そうこうお考えいただきますと、当時懸念されました九つの懸念に対しましては一応の措置が講ぜられておりますし、懸念は解消されつつある、その意味におきまして消費税は一層の定着に向かっている、その限りについてはと思われるわけでございます。
  79. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 例えば消費税は水平的にはまさにだれが見ても公平です。しかし、いろいろ御議論野党方々はおありになる。それを補うのが逆の意味の垂直的な、累進的な公平さと。いろいろと一つのものを取り上げ一断面で論議をすればいろんなことが言えるわけでありますけれども、大方財政的に九つの懸念については大変前向きな明るい問題として御報告いただいたことを了とするところであります。  そこで、特に逆進性に問題があるのは私どもも十分理解しております。弱い方々へ本当に温かい手を差し伸べるための福祉政策、こういうものについて御担当の厚生省はどのようにこの導入努力をしておられますか、お聞かせをいただきたい。
  80. 加藤栄一

    政府委員(加藤栄一君) お答えいたします。  逆進性への配慮の問題でございますが、所得税等の減税の恩恵に浴されない層のうちで、生活保護世帯でございますとか老人、障害者、母子家庭など、真に手を差し伸べるべき方々に対しまして、消費税導入の影響に配慮いたしまして各般の対策を実施しております。  まず臨時福祉特別給付金でございますが、老齢福祉年金受給者の方、あるいはそれに関連いたしまして扶養手当等の受給者の方々、また市町村民税非課税世帯に属されます七十歳以上の方々、これらに特別給付金として一万円を支給いたしております。  また、臨時介護福祉金ということでございまして、寝たきり老人等の方々に対応いたしまして五万円の福祉金を支給しております。  次に生活保護でございますが、生活保護受給世帯に対しましては、生活扶助基準の引き上げを四・二%いたしております。  さらに年金及び各種手当でございますが、現在所要の改正法案国会に提出、御審議をいただいているところでございますが、四月分からの物価スライド〇・七%を計上いたしますとともに、実質改善といたしまして基礎年金で六・二%、原案では十月分からということでございますが、衆議院の御審議によりましてこれをさかのぼって四月から行うということで、現在御審議をいただくということになっております。  その他、身体障害者関係施策等に対する世帯更生資金上の配慮等を講じております。
  81. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 いろいろ御努力をいただいておりますが、特に高福祉社会を標榜する我が国そして我が党といたしましても、一層きめ細かな対応をお願いいたすものでございます。  なお、どうしてももう一つ懸念で私も問題になるのは、先ほど野党方々からも厳しい御指摘がございましたように、政府委員の御答弁の中にあった簡素、公平のバランスを求めて中小零細企業の方々の対応というところから、免税業者とか簡易課税制度を導入したということでありますが、これはなかなか国民皆さん消費税をお支払いになられる立場から見ると不満の声も非常に強い。こういう点については、率直に今後とも検討をしていただかなければならないことと思っておりますが、いかがでしょうか。
  82. 橋本龍太郎

    ○国務大臣橋本龍太郎君) これらの点につきましては、政府税制調査会総会に提出をされましたフォローアップ小委員会の御意見の中にも、定着の状況を見ながら見直すという趣旨の御意見をいただいておりますし、今後ともに検討していくべき課題であろうと考えております。
  83. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 いろいろ九つの懸念もひところよりははるかに中和されているという状況を私なりにも理解いたしたところでございます。  そこで、消費税の現状認識についてお尋ねをさせていただきます。  私の選挙区の八十歳をお超えになられた年金生活者の方から、今まで税金は全く払っていなかった。ところが、問題の消費税で毎日税金を払うようになった。何とか今日生活できるのは国や社会のおかげだ。明治生まれの自分たちにはこんな世の中は想像できなかった。だからこそ報恩感謝の気持ちを込めて消費税を私は喜んで払っている。あなた頑張りなさい。こういう御激励もちょうだいをいたしました。また、消費税導入以来いろんな新聞の投書がございました。もちろん賛否両論でありますけれども、とりわけ最近の傾向というものを考えてみますと、将来を見据えた長期的な広い視野に立って税制というものは考えるべきなんだな、ただいたずらに感情論だけで消費税けしからぬ、一円玉憎し、こういうことで子供や孫のために将来を失うようなことがあってはならない、三%は奉仕だ、こういうような投書がいっぱい新聞に載っている。  この事実は、私は最近の消費税というものがある意味において国民に御理解のいただける段階に入ってきたのではないかな。  それともう一つ、十月から十一月に行われました各新聞社のアンケート調査によりますと、現行のままとかあるいは見直し存続、こういうようなものが大体五五%から六二%、極めて高い率を占めるに至りました。ひところから見れば、まさにこの数字こそ消費税の姿を今日しっかりと示しておるのではなかろうか。ましてや、もしも見直しが出るとすればもっとこのパーセントは上がるだろう、私はそのように思っております。  そこで、もう一つ、私、実はこういうことがあるんだなと思ったんですが、社会党の御関係でございましょうか、「社会労働評論」。この七月号に東大の大内力名誉教授が「消費税礼讃」というタイトルで寄稿をしております。久保先生御存じですか。ほかの方、御存じありませんか。大変私は実はこれを興味深く拝見いたしました。  その内容は、今コピーもございますけれども、私なりに割合客観的に御説明をいたしますと、大した混乱なく消費税が実施されているようだ。残念ながら七月号ですから、お書きになったのはまだ一カ月か一カ月半の時点の御判断。その当時まだテレビや新聞で、一部は大変混乱混乱だと大騒ぎをしているところですが、そういう観点にお立ちになっておられました。いろいろ問題はあるが、一年たたないと正確な判断はできないよ、こういう御説明もございます。  そしてまた、いささか逆説的だが、この税はなかなかいい税だと。よくお聞きください。もう少し修正をすればもっといい税になると大内先生が保証してくれた。しかも御丁寧に、こんなことを書くと社会党や労働組合からしかられそうだが、とまでお書きになっておられる。悪税だ、修正だという、それは意見ですからいろいろな方がお互いあっても当然のことです。決して、大内さんがいいと言ったから、皆さんおかしいじゃないか、こんな私は極端な考えは持ちません。しかしながら、この消費税が施行されたことによってさらに国の財政や政治のあり方にみんなが、国民が強い関心を持つことになった、これは非常にいいことじゃないか。ですから、野党国民の多くは選挙を通じて、消費税けしからぬ、先ほど来言ったように、公約違反だ、導入の仕方が悪かったとか、いろんなことの中でおっしゃるかもしれないけれども、本当は改善をした上でもう一回よく野党も労組も検討してみたらどうだ、最初から悪税だと決め込んで廃止廃止とおっしゃるのはいかがかと、新たな提案をしておられる。  私はこの意見を読みまして、なるほどなと。しかも、それが皆さんの御関係の評論に載っておっ たということになりますれば、久保先生、これをどうお考えになりますか。
  84. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 御指名でございますので、お答えを申し上げます。  先生経済学を御専攻になりまして、また藤山愛一郎先生のところにもいらしたと伺っております。大変これらの問題について御見識の高いお方でありますから、私が申し上げるのは素人の議論になるのかもしれませんけれども、私は学者がいろいろと御意見をお持ちになりますことは、これは当然だと思っております。大内先生はいろいろな会合等で私も存じ上げております。  「社会労働評論」は先月をもって廃刊になると聞いておりますけれども、この「社会労働評論」は確かに私どももいささか関係を持ってまいりましたものでございまして、御指摘のとおりでございます。しかし私は、我々の関係するこの刊行物にあえて大内先生のような御意見も掲載した上で、皆さんの率直な批判や意見を仰ぐというところに大変民主的なやり方をしておると思っております。  しかし、私、先生の御意見の中でいささか見解が違います点は、見直しが出てくればもっと廃止に対する国民の世論は小さくなるだろう、こういうことをさっきおっしゃいましたけれども、これは見解の相違と言えばそれまででございますが、私は逆だと思っております。恐らく、今明日自由民主党の方で見直しの中身を決めてお示しになりますとこれは結果で明らかになってくる問題でございますから、そのときにまた先生の御意見も伺えればと考えております。
  85. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それでは、大蔵大臣に最後にお尋ねをさせていただきます。  我が党は、各界各層いろいろと対話やヒアリングを通じまして、税制についての御疑問点、御不満、そしてまた手直しを考えていかなきゃならない、そういうような問題について広く聴取をさせていただいておるところであります。とりわけ、大蔵大臣への手紙、これはかつてない手法で国民から広く税制意見をお求めになられました。ひところ委員会でも早い時期にお尋ねがありましたが、その結果、最近どういう結果になられたでございましょうか。総括的に大蔵大臣の所感を交えてお聞かせをいただきたいと思います。
  86. 橋本龍太郎

    ○国務大臣橋本龍太郎君) 四月一日以降既に八カ月余りが経過をいたしました中で、転嫁の状況あるいは物価への影響、また私自身としては心配をしておりました消費税の申告届け出状況等を見る限りにおきまして、消費税は日一日と国民生活に定着しつつあるという感がいたします。しかし同時に、国民の中になお御不満が強いことも間違いがありません。  そうした中で、お手紙をいただきたいという呼びかけをいたしましたところ、三十日現在で一万八千百六十六通のお手紙をいただきました。そして、その中におきまして現在までに分析を終えておりますのは一万二千二百三十二通でありまして、残るお手紙も全部目を通させていただくつもりでおりますが、それぞれ私は拝見をいたしまして、いわば特定のグループあるいは特定の考え方の集団として同じ文章で投書をされるようなものが全くと言っていいほどない。一人一人が真剣に、賛否をそれぞれ明らかにされながら御意見をいただいていることには非常に心を打たれております。  そして、その中には私どもとして非常に厳しいおしかりをいただいておるものもございますし、あるいは消費税導入以来生活が厳しくなったという御自分の実感を訴えれらておるものもございます。一方では、小学校五年生のお子さんで、消費税反対と言っている人たちを見るたびに、僕たちが大人になったときおばさんたちどうするのと僕は思うんです、というお手紙もありました。お笑いになりますけれども、それも国民の声であります。  そして、全体に今分析をいたしました中では、無条件で支持とおっしゃる方は一三%であります。条件つきで支持という御意見をお寄せいただきました方々が四八%であります。反対であるけれども条件によっては考えてみてもよいと言われる方々が二八%ございました。そして、無条件廃止をうたわれたものは八%であります。  なお、正確を期すために申し上げますならば、消費税に言及をせず、むしろ立法の過程あるいはリクルート事件等に対する御批判を述べてこられたものが二%ございました。そして、男性が全体の五九・八%、女性が三一・一%、性別不明が九・一%、大体そんな状況であります。  そして、その一通ずつを私は非常に真剣に読ませていただいているということであります。
  87. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 大変ありがとうございました。  私ども消費税は必ずこのように定着をしてくるだろうと期待をいたしておったところでございますが、先ほどの新聞のアンケート、また大蔵大臣自身のお手元に行かれた手紙のそういう数字を初めて拝見をさせていただきまして、やはり世の中は御理解を深めていただいているなという感を一層強くいたしました。御担当の大臣として、これからもぜひひとつ国民の声をよくお聞きいただき、日本の前途を誤らないように御活躍をお願い申し上げます。どうぞお引き取りをいただきます。  それでは、いよいよ本題の御提案の諸問題に入らしていただきます。  二十一世紀を展望した現行税制を提案された竹下元総理は、先ほど申し上げましたように、みずから進んでこの九つの懸念を国民に提示をして、そしてその克服のために行政財政面の種々の対策を実行し、また国民に理解を得るためにはつじ立ちをしてもという努力をされた。これは責任政党として責任、誠実を持って国民に最大限の努力を示されたものと私は評価をしております。選挙で敗れたりとは言いながら、私ども責任政党のこれこそ自覚、自負でもある。それに対して、連合政権を夢見ておられる提案者の四党の皆様方、ただただ消費税廃止と主張をなさいます。そして、二年後の暫定税制を今回提案されたわけでありますが、もう既に連日いろいろな観点から数々の問題、矛盾、疑問が強く指摘をされております。失礼ながら、全く新鮮味のない、むしろ満身創痍のつじつま合わせの税制と申し上げざるを得ないと思うのであります。  今回提案の九法案について懸念がおありにならないんでしょうか、各党にイエス・ノーでお聞かせをいただきたいと思います。このイエス・ノーは、テレビでさきの選挙のときに社会党の土井委員長消費税問題でお使いになった方法であります。私はこういう重要な税制をイエス・ノーで回答する、決してそんな単純なものでないと思いながらも、その手法をこれから少しまねをさせていただきたいと思います。  そこで、どうぞ各党ひとつイエス・ノーで疑問、疑念をお持ちにならないのかどうかをお答えいただきたい。――どうぞ、イエス・ノーで結構ですから、疑念をお持ちならば持っている、持ってなきゃノーと、それで結構なんです。
  88. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 持っておりません。
  89. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 持っていない、はい、わかりました。持っていないんですね。  どうぞ、峯山先生
  90. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 大変端的なお尋ねでございまして、ちょっと誤解があってはいけませんので申し上げますけれども、私どもは二年後の暫定税制というのはまだ全然、これから検討していただくわけでございまして、要するに国民税制改革協議会をスタートしていただいて、そこで御検討していただいて、その結論が要するにこれからの税制になるわけでございますから、そういうような意味では、これからそういう方々に御一任をするわけでございまして、そちらの方に私どもは満幅の信頼を寄せるということになるのではないかと、こう思っております。
  91. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 ちょっと補足です。  今、峯山さんからお言葉をいただきましたが、廃止法案をお出しになって二年間の暫定期間、これを復活してこうやっていくという案を御提示に なった。その御提示になった案について、疑問がイエスかノーか、こういうことです。
  92. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) その点につきましては、この暫定税制の問題につきましては、二年間、私どもは五つの法案で提案をいたしておりますが、これで十分やっていけると考えております。
  93. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それは社会党さんと同じですね。
  94. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 私どもといたしましても、この五つの法案でやっていくというように希望を持っておりますので、その点はないと思います。
  95. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 ないと思うと。  はい、どうぞ。本当に懸念はないんですか。
  96. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私どものただいま出しております法案については懸念はございません。  ただ、二年後どうまとめていくかということについて、本当にどうまとまっていくのかということについては懸念がなきにしもあらずですけれども、確信を持ってやっていきたいというふうに思っております。
  97. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それだって懸念の一つです。  私どもは実は連日、先輩、同僚がいろいろ角度を変えて疑問点を指摘している、これは間違っているんじゃないですかと。皆さんの方も、やむを得ず修正に応じられたかどうかは別として、いろいろとお直しになっておられる。そういうような観点の中で、いやおまえさんたち導入したあの新税制は全部けしからぬ、おれたちのこの今提案している二年間の暫定税制でも、その方が疑問は全くない、本当に天地神明に誓ってそういうことをおっしやれますか。  私は、謙虚にそういう点は素直にお認めになった方がいいと。そして、自民党国民責任政党として、かくかくの九つの懸念がある、あるけれども、この懸念を中和するためには最大の努力を払う、これこそ日本丸のかじ取りの責任者として当然な姿じゃないんでしょうか。皆さんは、場合によっては連合政権を樹立して日本丸のかじをとろう、そういう意気込みで今日こうやってお集まりになっているんじゃないんですか。なれば、なぜ国民にもっと真剣に、自民党にはこれだけの疑念があるが、我々の今提案しているのにも問題がある、二年後にはもっといいものをつくりますよと、この謙虚さが皆さんおありにならないんですか。もう一度、久保先生ちょっと御不在でしたから、お尋ねをいたします。
  98. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私どもが提案をいたしております基本的な考え方について懸念を持っているわけではございません。  しかし、法案が提出時点においてすべて問題はなかったのかとおっしゃれば、既に御指摘をいただいたり、私ども自身がこれは欠落や法制上問題があると考えました点等については、既に私どもの方から申し上げた点もございます。これらの点につきましては、この委員会審議の終了時点において、これらの点のお取り扱いについては委員会として御処理いただくことを委員長の方からも御発言いただいております。これらの点についての御指摘でございますならば、懸念と申しますよりは、私どもが出しました法案の一部に不備があったと、こういうことでございまして、その点は率直に認めております。  しかしそれが、消費税廃止して再改革を行うということについて、私どもが不安や懸念を持っているということではございません。
  99. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それではもう少しイエス・ノーを続けさせていただきます。  そうしますと、二年後税制見直しはなさるんだということですから、これは了解をいたしますが、高齢化社会に対応するための税体系の構築の必要性を否定されますか、どうですか。イエス・ノーです、お答えください。――もうイエス・ノーで答えていただけばいいんです。落とし穴はありませんよ、どうぞ。時間がもったいない。
  100. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) もし、御質問の趣旨を取り違えておりましたら御指摘いただきたいと思いますが、私は、税制改革に当たって将来の高齢化社会に対応するということは当然に考えていかなければならないことだと思っておりまして、その点につきましては、再改革基本法の中にも、将来の高齢化社会のあり方についてビジョンを明確にしていくということと税制改革を一体のものとしてやらなければならないということを申し上げているのでございます。
  101. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それはわかりました。  しかしながら、それでは今現在これから直ちに高齢化へ向けての準備のための税体系をお考えになりますか。今は考える必要ない、そう言っていらっしゃるんですね。将来は考えますよと、こう言っているんですね。今はどうですか、イエス、ノー。
  102. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) そういう点をしっかり見据えながら税制改革はやっていかなければならぬと思っております。
  103. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それでは、もう一つ二つ。  消費税廃止するかどうかはさておきまして、個別間接税制度の改革は必要とお考えですか。イエス、ノーでお願いします。
  104. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) それも税制改革協議会の中で議論をしてもらうということですから、必要は認めておると思います。
  105. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 二年後というので、二年の間は個別間接税。さまざまな矛盾があってこれを改定しようという中で消費税等が導入されたわけでありますが、根本的に見解の相違という形になるのはまことに残念だと思います。  法人税負担も高いという指摘を私どもはしておるわけでありますが、国際的に適当な水準とお考えですか。イエス、ノーでお願いします。
  106. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) 委員御存じのとおり、実効税率は確かに西ドイツよりは低いけれども他の諸国よりは高い。しかし、実際税額、こういう形になりますと、種々の税額控除あるいは損金の算入問題等がございまして、世界でも安い方に入っているのではないかとさえ言う人もございます。こういう状況の中で、私は今四〇%を据え置くということは適当であろうと考えております。
  107. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 わかりました。この程度でイエス、ノーをやめさせていただきます。  この際、委員長、御許可をいただきまして、これからお尋ねするとりあえず十一項目に及ぶ私の考えた懸念の印刷物を委員方々に配付をさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  108. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 理事会で承認をしております。
  109. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 発議者の方に御了解をいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。    〔資料配付〕
  110. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 まず、ごらんをいただければおわかりのように、十一項目ありますが、そのうちまず第一の懸念、私が考えた懸念ですからいろいろ文言も決してうまい文言がないかもしれませんが、お聞きをいただきたい。  国民生活と国民経済混乱が生ずる懸念。  消費税皆さんの御提案により仮に一年で廃止をして、来年四月一日から、私ども考えておる矛盾や公平さを失ってお蔵入りをした個別間接税の復活をお持ち出しになられた。そしてまた二年後には、先ほどからのお言葉がございますように再改革を行うと言っておられるわけでありますが、間接税は、税が物やサービスの価格の中に織り込まれている税金だけに、その改廃によって物価の変動、これは絶対避けられません。そしてまた、国民はそのことに敏感でありますから、買い急いだり、買い控えたり、この混乱は目に見えておるところであります。その都度値札の書きかえや、またレジスターのソフトの変更など、業者としても大変な経費負担はこれまた明らかであります。  そこで、まず政府に伺いたいと思いますが、消費税導入による事業者のレジスターの変更に要したコストはどのくらいだったでしょうか。
  111. 横田捷宏

    政府委員(横田捷宏君) 御説明申し上げます。  消費税導入に当たりまして、ただいま御指摘のございましたレジスターの新規購入、このほかにいろいろなシステムの改造でございますとかコンピューターソフトウェアの改変、あるいは伝票、カタログ、値札等の改変、さらには従業員の教育等々さまざまなコスト負担が必要であったわけでございます。  こうしたコストが事業者全体でどのぐらいになるかというのは、必ずしも定かな数字はございませんけれども、私どもの推定できる範囲で申しますと、レジスターの新規購入、システムの改造に要しました費用は約五百億円、それからソフトウェアの改変という面では約三千億円程度と見込んでいるところでございます。
  112. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 三千五百億、巨額な費用が要ったことを承知したわけであります。  したがって、これは御提案の皆様方にお尋ねをいたしますが、物品税復活、そして二年後の再改革、まことに目まぐるしい制度の変更を国民に強いるわけでありますから、これは一回変えるだけで三千五百億、二度三度変えれば七千億。単純な算術計算ですが、このように大きな影響を与えるということをどうお考えになっておりますか。あわせて税法上の措置もされるのかどうかお聞かせをいただきます。
  113. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 確かに、消費税導入によって、今御報告がありましたような業者の負担がかかっているということは私どもも承知をいたしております。  しかし、このような負担が、廃止によってそれではそのまままたかかってくるのかということにつきましては、専門家の意見等も聞きまして、廃止に伴うレジスター等の負担というものは、そういう形にはならないであろう、こう聞いております。むしろ見直しによっていろいろと税率を変えたり、非課税を拡大したりいたしますと、そのことによって起こる負担混乱は大変大きいと聞いております。  なお、私ども廃止に伴って必要な業者のこういう事務負担、そういう設備上の負担等については、これは経費として税制上算入をする方向考えております。
  114. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 とはおっしゃいますけれども、二年間という短期間で、どっちにしても何度も仕組みを変える、それはお認めになるでしょう。これは確かに倍々に費用がかかるというようなことはお互いよくわかります。申し上げません。  しかしながら、現実に大きな混乱になるということだけは御認識がないと、皆さんが今廃止を提案する、そして個別間接税を蔵から出してくる、二年たったら国民税制改革協議会で別の本建築の税制改革をする、それはそのたびに国民が右往左往して振り回される、この事実だけは御認識いただかなきゃいけません。一言でお願いします。
  115. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私は、そのことによって負担やいろいろな困難が全く生じないとは申し上げておりません。しかし、そのことは消費税廃止ということと一緒考えました場合には十分許容できるものだと思っておりまして、むしろ先ほど申し上げましたように、見直しに伴い、来年また納税のいろいろな控除制度などを見直すという御方針のようでありますが、こういうものを次々におやりになりますことの方がもっと負担混乱は大きいものだと考えております。
  116. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 混乱をお認めいただいておるわけですから、私どもならそれも疑念の一つにするところでございます。  続いて、第二の懸念に進みます。二年後どうなるかわからない懸念。  これはもう私どもの各質問者からいろいろな角度でただされました。税制改革協議会なるものが一体どういう機能を果たすのか、いろいろあります。しかしここでは、税制改革基本法案第五条で「サービス、流通等に対する適正な課税の在り方について検討」する、このように書かれている。その具体的な内容についてまず御説明をいただきたいと思います。
  117. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 斎藤先生、サービス、流通に関しては今具体的にこれとこれをこうするというのは、もう何回も聞かれておりますが、ありません。しかし、国の経済の中に占めるサービス、流通、たしかきのうでしたか、どなたかの御質問の中で、OA機器や広告の問題についても課税問題は随分考えたけれどもとうとう結論が出なかった、こういうお話もありましたが、要するにそのように客観的にやはり一度、そのサービス、流通も例外ではない、それも入れて考えようというような意味の内容になっております。
  118. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 しつこいようでございますけれども、今までの論議を聞いておりまして、なるほど二年後にバラ色かどうかは別として本建築をお示しいたしますということで、どうしてもそこの論がかみ合ってまいりません。しかしながら、大型間接税を行わないとももろん言っておられるんですけれども、何となく重大な内容が見え隠れしているように思えてならない。  というのは、やっぱり消費税というものが今日世界の趨勢だと思うときに、私は、皆さんが今日再改革基本法だけを成立させよう、そしてあとは二年後だ、この発想に根本的に無理があったのではないか、こうも考えておりますが、提案者の方、いかがでございますか。
  119. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 税制はやはり国民信頼合意に基づくものであらうかというふうに思います。その改革に当たっては、やはり広く国民の参加を保障して、また国民合意を得て行わなくてはならないというふうに思っております。政府改革のような拙速さを我々としてはやっぱり回避しなくてはならないというふうに思っておるわけでございます。公約に違反して、またさきの参議院議員選挙でリコールされたこの消費税をまず廃止して、税制改革をやり直すことが今私たち政治家に求められておる最大の課題というふうに思っておりますので、ここでその再改革を進めるために国民の参加による原案づくりの時間を十分に確保する必要がございます。  しかし、税の不公平をいつまでも放置しておくわけにはいかないという観点に立ちますと、ある程度の時間を限って行うことといたしたわけでございまして、二年間は短いという議論が確かにございますが、ここ数年の売上税論議あるいは消費税論議をめぐる動きの中で、国民皆さん方の税に対する関心、知識というものは飛躍的に高くなっているというふうに考えておるわけでございます。そういう意味で、税制改革国民とともに進めていく環境はまさに熟しつつあるように、そう考えているところでございます。
  120. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 また民社党さんには後ほどいろいろその辺の問題についてもお尋ねをさせていただきたいと思いますが、とにかく二年間、御提案をされた今日の廃止法案代替財源法案、全く懸念がないと、このようにお考えになる提案者の政治的な感覚というものを私は根本的に疑問に思うものでございます。どんな法案にも必ずプラス、マイナスがある、それをきちんと国民説明することが責任ある政党の責務じゃないんでしょうか。言いかえれば、それが政治だと私は教えられてきたところでございます。この点について久保先生、御所見を聞かしてください。
  121. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 先ほどから申し上げておりますように、私ども消費税の方の廃止法案として提案いたしております以上、そのことについて疑念を持っているわけではございませんので、その疑念を率直に認めるとおっしゃいましても、それに私はお答えすることはできないと思います。
  122. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 もう一つ取っかえてお尋ねをいたします。  問題をすべて二年後に先送りしておられる。これは率直に言って、皆さんの明確な意思を表明していない、こう私はとっております。今日の廃止法案にそれでは哲学がありますか。理念がありますか。全くないじゃありませんか。そうなりますよ、疑問を持たないというんだから。どんな問題でも、例えば個別間接税の矛盾、不公平というも のを本当に、御提案された皆様はお感じにならないんですか。そんなものを引っ張り出してきて、いや我々は過去にやっていたことだから全く疑問はございませんと。やっぱりこういうのは不十分なことであるけれども、先ほどちょっとそんな意味のお話もありましたが、消費税よりこっちの方がいいと思っている。なるほど疑念にも大きいのもあれば小さいのもある。私はそういうような認め方を皆さんが素直にされることが政治家の要諦だ、このように思っているんです。  それがどうしてもおわかりにならぬというならば、あえて一言言わせていただければ、そこが欠落しているということが今回の最大の私は疑念であるし欠点だとはっきり申し上げたいと思います。  同時に、各党のそれぞれ審議の中で聞いておりました公約の中でも微妙な食い違いが出てきております。だからこそその緩衝地帯を、国民合意とか国民税制改革脇をお使いになられてその土俵に逃げ込んでおられる、こう私は失礼ですけれども解釈をしております。だからこそ一向に実は先が見えてこない。そこへ行ってしまえば、プールされた池みたいなもので、沈み込んで論議が進まない、これが現実の姿じゃないでしょうか。だからこそこれを疑念だ疑念だと何回も申し上げるんですけれども、これでも全然疑念はない、こうお考えでしょうか、聞かしてください。
  123. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私どもの今回の再改革基本法に関して税に対する理念や哲学がないということをおっしゃっておられますけれども、そんなことはないと思うのであります。私どもは、この改革基本法の中に原則や方針として明確に私どもの税に対する考え方をお示ししているのでございまして、その私どもの理念に立てば消費税は認められないものであるから廃止法を提出しているのでございます。  なお、消費税物品税とのことでお話しでございますけれども物品税にはいろいろな矛盾がはらまれていることを私どもは否定していないわけでございます。しかし、消費税廃止されることによって、間接税の問題を一応消費税導入される前の状態に近く戻して、そしてそれを我々の税の理念によって検討し直すべきである、消費税導入という方向をとるべきでない、こういうことを申し上げているのでございます。
  124. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 もうまさにお聞きをすればするほど霧が全く晴れません。私どもとそこが、今お話がございましたが、意見をまさに異にする分岐点だと思います。  続けてお尋ねをいたします。  再改革法案第五条、土地税制等資産課税の適正化についてお触れになっておりますが、これは増税強化の方向考えておられることと思っております。その具体的な内容を御説明いただけますでしょうか。
  125. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) 今回の私どもの提案いたしましたところは二年間の代替財源にかわる部分でございますので、土地の長短区分の見直しだけ提案させていただきました。土地の保有税の問題、固定資産税とかそういう問題につきましては具体的に税制改革協議会で協議していただきたい、こう考えておるわけでございます。しかし、やはり最近の土地のいろいろな問題点等々がございますので、この資産課税につきましても私たちは十分これは考えていかなきゃならないだろう。やはり公平な税制を確立するためにも、国民信頼を得る税制を確立するためにも必要な部分である、こう思っております。
  126. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 公明党さんは御自分の大綱の中で平成年度から土地増価税を導入する、こう言っておられましたが、これは公約でございましょうね。今どうなっておりますか。
  127. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) これは今回の代替財源案の公明党の案として提出をいたしました。したがいまして、この問題についても、今資産課税の問題が非常に重要な問題になっておりますので、四党で御検討をいただきましたが、これは後々の問題として取り上げていただくということになったわけでございまして、現在はそういうふうに考えております。
  128. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 また、社会党さんはひところ土地保有税、富裕税というようなことを御提案されておりましたが、今はこう何となく沈んでおられますが、これは一体どうなりましたか。今後税制の中で具体化されていかれるんでしょうか。
  129. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今度の代替財源を検討するに当たりましては、土地増価税の問題について社会党は直ちに考えていたわけではございません。それで、そのほかの土地税制に関する問題については、峯山さんから今お答え申し上げたようなことでございます。
  130. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 まだお話を続けたいんですけれども、時間がありますから。  続いて、第三の懸念、全くむだな対応を国民に強いる懸念。  これは、先ほど来いろいろございましたが、まず第一に、二年後の税制改革導入される間接税はどんなタイプなのかお聞かせをいただきたい。
  131. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 斎藤先生はなかなか手厳しいので頭の回転が追っつきませんが、税の哲学といいますか、思想、考え方が、結局基本がもとにありまして、そして間接税が後から出てくるという形になっておるわけです。  私どもは、この基本法の四条の三号ですか、要するに総合累進課税方式をとる。したがって、いろんなことで株や金融でもうかった人はやはり所得に累進していただいて、そして応能負担の原則で、まず財源の基本は直接税累進総合課税でいただく、そして物品税、間接税についてはこれは従とする。こういう基本的な考え方に立っておりまして、とりあえずこの二年間は今までありました物品税八十五品目を復活さしていく。その後の二年後はこれらの現実を踏まえてそれにさらにサービスとかその他のことを入れて一体どのようにしていくか。こういうことですから、具体的にはまだまとまっておりません。
  132. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 私どもの谷川先生質問の中でもお尋ねしましたけれども、どうもはっきり見えてきません。要するに、消費に広く課税する間接税は対象外なのかどうか。例えば間接税の類型も個別と消費に広く課税する間接税、またその間接税の広く課税する間接税には多段階の付加価値税とか単段階とか、さらにその単段階がいろいろな形で分かれていく。こういう姿の中で本当に皆さん、二年後二年後と何でもおっしゃる。そして、しかもそれは国民合意という美名のもとだと言われちゃいますと論議がかみ合わなくなっちゃう。少なくともその片りんぐらいはお話をしていただけないんでしょうか、重ねてお尋ねをいたします。
  133. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 何度もそのお尋ねで、本当に先生の納得できるような答弁をしたいんですが、持ち合わせておりません。ただ、今から想定をしてみますと、消費税三%を廃止することによって約六兆円、五兆九千四百億円ですか、これが国庫に入らなくなる。さあそれで、これから基本法に照らしながら総合課税を急いでいく、そして総合課税との見合いでやっぱり財源が現状の間接税で足るのか足らないのか、そこら辺の瀬踏みもこれから急いでやっぱりやらなきゃ何とも今言えないことでございます。
  134. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それではやむを得ませんので、次に第四の懸念に移ります。個別間接税の問題点が噴き出し、国際的な批判が生ずる懸念。  私は大変国際化時代は重要だと思っております。これはもう今までも論議をされましたが、例えばコーヒー、ウーロン茶、テレビが課税で、紅茶、緑茶、パソコンが非課税。どうしたって理屈で子供にだって説明ができない。こんなアンバランスがお茶の間に復活するということはどう見ても私は不公平だと、こう思います。  しかしながら、またその物品税復活させるということでありますから、例えば金地金非課税、金貨課税、金貨を輸出しているカナダなんかからまたこれクレームかついてまいります。あるいは 普通の時計と金属の時計、スイスからこれまたクレームがついてくる。また種別は違いますけれども、お酒、スコッチウイスキーは英国があれだけサッチャーさんが柳眉を逆立てた。いろんな今までの経過があります。これらを踏まえて発議者の御提案されている皆様方はどうお考えになられますか。
  135. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 前提があります。確かに、個別物品税の今までのあり方に対しては、私どももこれまでもたびたび指摘をしてきたように、コーヒーと紅茶の問題とかいろんな問題が指摘されているとおりで、そのように思います。  ただ、今度この二年間、私どもはそういう先生が今言われましたような国際的な問題やあるいはいろんな問題を加味いたしまして、第一種については一〇%、したがってダイヤモンド、こういうものについては一〇%。一〇%、八%、二つの税率に下げました。それから第二種は八%、六%、四%で、これは製造段階にかけますから、消費の段階になりますと税率は物によっては相当下がる。そういうことで、要するにこの税率を下げたことによりまして、余り大きな国際問題は引き起こさないのではないか、そのように考えております。
  136. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 私は今の梶原先生の御答弁と違いまして、時代逆行の個別間接税の復活は絶対に新たな貿易摩擦を起こすだろう、そしてまたジャパンバッシングに火をつけかねない懸念が大です。こういうのをやっぱり懸念として対応をお考えにならないというところに、私は皆さん提案者としての根本的な理念が欠けているんじゃないかな、指摘だけして第五の懸念に移ります。  消費税廃止しても物価が低下しない懸念。これはまたいろんなお立場からの御質問がございますから、なるべく簡単にしたいと思います。  消費税導入して一回上昇した物価が、今度は廃止したからといって、三%きちんと低下するという考え方は余りにも安易な短絡な考え方です。私は微力ですがやはり経済を勉強させていただいた者の一人として、また今日の日本の流通機構のあの複雑な流れの中で、とても皆様考えておって安心していられるような状況のものではない。またこれも大きな懸念だと思っておるところでございます。消費税廃止で品物が下落しなければ消費者負担は変わらない、単純に申し上げればそうなる。  そこで、お伺いいたしますが、消費税廃止後の物価の下落をどう見ておられるのか、また現実にどうそれを実現させていくのか、お聞かせをいただきたい。
  137. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) お答えを申し上げます。  先生のような経済の御専門の方に私がお話をするなど、今ひざががたがたしておりますけれども、つたない資料でお答えさせていただきます。  物価の動向を見ますと、ことしの一月から九月ぐらいまでの指数を見ますと、消費税導入した四月以降、これは政府が一・二ぐらいで上がるだろうという予測だったわけですが、この指数を見ますと、その予想を上回って非常に上がってまいりました。ですから、そういう点では、この消費税導入したということそれ自体がやっぱり物価を値上げさせたということになりますので、その点をまず御懸念と言う前に、それを認めていただかなければいけないというふうに思います。  そこで、そういうことを勘案しながら、消費税導入したときに独占禁止法の適用をしてまで三%の転嫁を指導したわけですから、そういう点では、今度私たち消費税廃止する場合には、この三%はそういう意味できちっと下げるような指導をしたいと思いますし、また政府は、物価モニターという制度をつくりまして転嫁については随分指導をなさったようですので、私どももそういう方法を導入いたしまして、きちっとそういうふうに下げられるかどうかということを行政指導という面でも取り入れてまいりたいと思っております。
  138. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 転嫁ができないできないと大変な御指摘が野党皆様から出た。そういうことで、いかに中小零細企業が転嫁ができなくて下請企業が転嫁ができなくて困るか、そのための対応ということであの当時配慮したことは十分に承知をしております。  また同時に、消費税導入によって物価が上がるということば当初から明確に示されておるところでございまして、もちろん季節的な要因といいますか、円安に振れてきたとか、あるいは原油が今度いよいよOPECで一バレル十八ドルというようなものが出てくるとするならば、さらに物価高の要因にもつながっていくことは明らかなところであろうと思っております。  ただ、今笹野先生が御答弁をされましたが、このモニターだとか、公取だとかいろいろそういうようなものをお使いになって、消費税廃止分についての、これは全廃ですからね、物価を引き下げるということは並み大抵のことじゃないと思いますよ。要するに、今まで消費税は全部上がるということで一応いろんな問題がございましたが、転嫁もそれなりにできた。  ところが、今度の場合には消費税廃止だから三%下がる。後でも触れますけれども、逆に四%から一〇%までの四段階の物品税皆様方はそれぞれの違う業態の中に入れていこうとする。これはもう大混乱が起きるのは間違いない。ましてや、三%ダウンといったって、これは流通の流れの中でしたら本当に難しい、恐らく解決不可能だと思います。一言、政府関係意見を聞かせていただきたい。簡単で結構です、できるかできないかでも結構です。
  139. 横田捷宏

    政府委員(横田捷宏君) 消費税導入に際しましての物価への悪影響を避けつつ適正な転嫁を図るという意味で、政府を挙げて、また通産省といたしましても民間諸団体と一体になりまして努力をしてまいりました。何とかレベルというところを達成いたしておると思います。  これが一斉に廃止になった場合のその効果なり対策いかんということでございますが、これまでも例えば物価対策の面では円高差益の還元をどうしていくとか、これを公共料金等々でどうやってまいるとか、いろいろな行政ノーハウはあるわけでございます。大変難しい御質問でございますけれども、我々の限られた行政ノーハウと努力の中で最大限の努力をすべきものと、こう考えております。
  140. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 大変な行政の手間暇がかかることだけは間違いございません。  そこで、第六の懸念、転嫁しにくい懸念と挙げさせていただきました。  これは今消費税の転嫁は割合円滑に行われたということになりて、私どもも大変安心をしておるところでございます。しかしながら、今回は特定の物品だけに物品税復活させるという案でありますから、先ほども言いましたが、ほとんどの物品が三%下がる。その中で、例えば、私が一番今度のあれでもひどいなと思っているのは、料飲税は三%下がる、合わせて六%。それを底上げはなさいますけれども、今度は一〇%と増税をされる。こういうことになったら、これはもう飲食業界が大変な騒ぎになることは、私はもう火を見るよりも明らかだと思っておりますが、それも懸念の中にお入りにならないという感覚では、いかにも論議をしてむなしさを感じさせるものだと思っておりますが、本当に転嫁できないという可能性がこれからどんどん出てきやしませんか。  特に製造段階で課税されるものは、消費税との差し引きでどれだけ実質的な税負担になったか全くわかりにくくなりますね。本当にその意味では転嫁がしにくくなると私は率直に考えておりますが、いかがでしょうか。
  141. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 料理飲食税はまたかわって答弁させていただきますが、先ほどの三%の転嫁の問題、確かにいろいろあるんです。私もいろんな中小企業やあるいは下請の皆さんもずっと知っておりますが、三%表面上は転嫁しているが仕入れ値をたたかれたり何やらして非常にやっぱり輸出業者やなんか厳しい対応を迫られて おる。その実態も幾つも知っております。  ただ、今度の間接税の転嫁の問題ですが、私ども資料を作成するに当たりましていろいろ検討したんですが、三%の消費税と今度の税率を下げた、特に第二種の物品の税との差というのは余り大きな開きがない、私ども試算で。これは多分大蔵省の方もそんなに間違いないと思います。余り大きな差はないんです。したがって、物によっては三%より下がるものもありますが、とりあえず八、六、四でいける、このように考えております。
  142. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 第七の問題に進みます。番号制度を無理に導入する懸念がございます。  基本法の中で、納税者番号制度導入を検討するとされておりますが、一体どうお取り組みになられますか。納税者番号というのはいろいろとプライバシーの問題等長い間論議をされている問題でございますが、それらを踏まえて取り組みの基本姿勢をお聞かせいただきたい。
  143. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 基本姿勢でございますが、やはり一番大前提国民のプライバシー保護と合意形成が大前提であるというふうに思っております。  税の公平を確保するためにはやはり所得の捕捉体制を整備する必要があろうというふうに思っておりますので、そのための納税者番号制度導入は避けて通れない課題だというふうに受けとめておるわけでございます。政府政府税制調査会の小委員会などで検討した経緯もございますし、昨年の政府税制改正の際にも自民党さんの修正によりまして所得税法の附則に、「株式等の譲渡益に対する所得税の課税の在り方については、納税者番号制度導入問題等」云々ということで「見直しを行うものとする。」という文言がつけ加えられたわけでございます。  そこで、所得税法に納税者番号制度という文言を入れておられます自民党さんでもやはり検討課題であるわけでございますので、私どもも、やはりこのプライバシー保護ということが最大の課題でありますので、個人の生活を息苦しいものとしたり、あるいは経済の活力を減じることのないような十全な措置考えていかなければいけないというふうに思っております。  そういった意味で、私どもは納税者番号制度、議会制民主主義に立脚して個人の自由を保障している米国など西側先進諸国の多くで採用されているものを、西側でも多く採用されておるわけでございますので、我が国でもできない問題ではないというふうに思っておりますが、いずれにしても、二年間をかけてやはり国民の御納得と御理解がなければ導入できないわけでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
  144. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 ひとつ視点を変えてお尋ねします。  この背番号制度、プラス、マイナスこれも両面あることはお互い御承知のところです。導入によって不公平是正、税収の増加というものに期待をかけておられるんでしょうけれども、過大な税収増にはならないんじゃないか。  時間がありませんからこちらで一通り申し上げますから、しかとお答えをいただきたい。ましてや不公平税制と言われるクロヨンとかトーゴーサンピンの不公平是正はできないんじゃないですかね。もし不公平是正をするというならば全取引のチェックが必要になって、こんなことは不可能じゃないでしょうか。  さらに続けます。資産所得の主流をなす例えば土地ですね、これは登記簿がありますから流通をしていけば既存の各種の税制でチェックができます。とすれば、この背番号制度というのはよって来るところ株と預金。預金というのはお年寄りからお子さんまでみんな貯金通帳を持っておられる。グリーンカード反対ということになったわけでありますから、預金がこれは外されるということになったらまた株だけになる。株取引のためだけの番号制度ということになれば一体幾らの増収を見込むことができるんでしょうか。その辺のところをお聞かせいただきたい。
  145. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私どもは公平な税制ということで、とにかく総合課税ということでその把握ができればいいということで、財源的にこれで増税をしていこうという基本的な考え方は持ち合わせておりません。
  146. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 株だけになりますよ、現実には。どうですか、ほかのものまでチェックできますか。
  147. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) ええ、例えばということでそういう問題提起を、株式の取引についてそういうことが導入できればいいなということで問題を提起しておるわけでございます。
  148. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 ああそうですか。  背番号制度という大きなものを考えるのに株の取引だけのためという発想では、これは根本的にさらに大きな疑念を抱かせます。この導入による把握手段の強化は皆さん税制改革の私は最大の柱だと思っている。その最大の柱の背番号制度が株取引だけのような印象を与えるということは基本的に私はおかしい問題だと。ましてや、そういう技術的な導入の困難さに加え、国民感情の面から見ても大変デリケートな問題です。したがって、二年間と期限を切った上で、皆さんはプライバシーの保護に十分留意する、検討だとこうおっしゃるけれども、本当はそういうその仕組みについて十分御認識をしていないんじゃないんですか。
  149. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 先ほどからずっと聞かしていただいておりまして、本当に大変な御議論をしていらっしゃるわけでございますが、斎藤さん、実は昭和四十四年の本会議のことでございましたけれども、本会議が終わりまして、皆さん方の大先輩の総理が私に、峯山さん、あなたのきょうの演説の中で絶対という言葉が二、三度出てきたけれども、政治の中に絶対というのはないんだよと、こう教えていただいて、私もショックを受けまして、これは大変なことだったなと思って、それからは絶対という言葉は使わないようにしておりましたんですが、斎藤さんの話を聞いておりましたらきょう二、三度出てまいりました。  本当に私はもういろんな面でショックをきょうは受けているわけでございますが、私どもも決して完璧な人間ではございませんし間違いもございます。しかしながら、理念や考え方で間違っていてはいけない、そういうことははっきりしております。例えば今の納税者番号の問題も私どもは、私どものいろんな書類を見ていただければいいと思いますが、国民背番号という考え方は全く書いておりませんで、要するに背番号という言葉は全く書いておりません。納税者番号というふうな表現をさしていただいております。それも、納税者番号をこれから検討さしていただいたらどうかというふうなことになっているわけです。  しかも、この問題については、御存じのとおり、先般の所得税法の改正のときにも、所得税法を将来の問題として総合所得というふうな考え方に持っていくためには、いわゆる納税者番号という制度が必要なのではないかという政府の方の御意見もありますし、また政府税調で御検討していただいた経過もあるわけですね。  それから、現在私どもは各業界、政府のそれぞれのいわゆる政府機関がどの程度の番号を持っているかということもすべて調べております。そういうことを十分調べた上で、いわゆる資産所得やキャピタルゲイン、おっしゃるようにそういう点を掌握する面については確かにそういう点が大事でございますが、クロヨンとかそういう点は確かに難しい点もございます。そういう点も含めまして十分検討さしていただいておりますので、そこら辺のところは御了解いただきたいと思います。
  150. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 なるほど、峯山先生のうんちくのある御経験のお話を聞かせていただきました。攻める側ですとつい力が入りますから、皆さんも絶対廃止、こうおっしゃっているから、絶対という言葉も何回か使わせていただきました。  さて、第八の懸念、インフレ及び景気悪化の懸念、私は素直にそういうふうに思いました。  なぜかといえば、消費税導入、物価高、インフレ、これは皆さんがかつてさんざんおっしゃった言葉であります。それだけに、私もこういう問題について同じような懸念をお考えなのかなときょう一生懸命こうやって書き上げましたが、いずれもそうでないというようなお立場の御見解で残念に思っておりますが、しかし今日、消費税導入して皆さんが予測した以上に物価も安定した、景気も順調だというのは、まさに日本経済のすばらしいファンダメンタルズ、そしてまた導入円滑のための諸施策、これはもう行政努力をしたと思いますし、それ以上に国民方々の知恵と御協力がだんだん高まってきた、こういうことに私はあると思っております。  しかしながら、ここで皆さんの代替案を拝見させていただきますと、特に消費ベース考えてみますと、消費税廃止によって六兆円でしたね。物品税復活で一兆三千億、単純というお言葉で御返事が返るかもしれませんが、差し引き四兆七千億の消費過熱、こういうふうに経済的にはとれるんです。これだけ今の景気の中で、もしも四兆七千億、こういう消費過熱を来す原因というものをつくれば、これはインフレへの道、その引き金になりはしないでしょうか、お尋ねいたします。
  151. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 斎藤委員は金融界の出身でございますし、インフレの理論、理屈なんかはもう大変詳しいわけですから、余りいろいろ言うことはないと思うんです。  私は、インフレの懸念というのはやはり過剰流動性、余った資金が今海外にどんどん行っておりますが、国内、土地あたりはぐるぐる回っておりまして、むしろインフレの懸念というのは基本的には過剰流動性の問題が一番あると。したがって、今の物価は落ちついておりますが、しかし土地については、インフレと表現していいのかどうかわかりませんが、持っている者と持っていない者との格差が非常に拡大をしてきた、私はむしろこれの方が大問題で、やがてはやはりそういうインフレの引き金になるような気がしております。私どもは今、消費税廃止して物品税を入れても約二十万ぐらいの業者でございますし、そんなに個別間接税の関係で大きな税額になりません。約一兆ちょっと超すか前後ですから、その辺は余り心配をしていないのであります。全くないということではございませんが。
  152. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 これは、インフレ論議というのは実際どういうふうに動いていくかによってもたらされるものですから、お互いそれぞれに注意を配ればいいということです。ただ、本当に消費税廃止で六兆円浮いて物品税で取り立てても、本当に大きな資金が動く、こういうようなことから見ますと、インフレになればこれはもう消費税の三%どころの話じゃない。低所得者にとっては、それこそ台所直撃の打撃を与えることになるということをお互いに心していきたいものだと思っております。  続いて、第九、国内資本市場空洞化の懸念。  皆さん代替財源案では、有価証券のキャピタルゲイン課税三千億が盛り込まれておられますけれども、特にみなし利益率をなぜ五%から七%に上げられたのでございますか、根拠を伺いたい。
  153. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) みなし売却益を現行五%から七%にしたのはなぜかというお尋ねでございますが、全国上場株式の加重平均株価は、過去十年間、七九年から八八年で年平均一九%上昇しております。昨年の税制改革時の政府試算では、過去十年間の加重平均の利益率を一五・二%と算定しておりますので、これについて年三回の回転率を想定し、取引税や手数料を差し引いて利益率を五%としているというふうに思われます。そこで個人の平均の回転率は年一回前後というふうに私どもは推定をいたしておりますので、仮にこれを年二回として、有取税や委託手数料を考慮いたしますと、利益率は七%程度となるということでございまして、したがって、みなし売却益を七%としてもこの数字は決して高いものではない、妥当なものであるというふうに思っております。
  154. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 年二回ぐらいという御算定ですけれども、株というのはそんなにもうかるものではない。この間もお話がありましたが、山高ければ谷深し、まさに今の過熱的な状況がいつまでこれまた続くか。ブラックマンデーも東京からというようなこともないとは限らぬ。これが相場ですね。となりますと、年二回ではとてもこの七%を生むだけの利益は個人投資家じゃ出てこない。私がちょっと考えてみても、年三回しかも毎年二〇%以上の利益が出なければ、これはもうできないんです。なぜかといえば、取引一回についての手数料や有取税のコストがこれは二%当然かかる。となれば、毎年三〇%近くの株価の上昇というものを期待しなかったら、この七%にアップしたものは出てきませんよ。  これはもうまさに皆さん現実離れをしておられませんか、重ねてお聞きをいたします。
  155. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 専門家の斎藤さんにこんなことをお話しするのはあれかと思いますが、実は私どもも証券業協会の皆さんと懇談をさしていただきました。そして、現在のいわゆる実態がどういうふうになっているかということをさんざん検討もさしていただきまして、その結果の数字が今申し上げた数字でございます。  といいますのは、まず実態から申し上げますと、現在は確かに個人株主が大変ふえております。大体千株から四千株を持っていらっしゃる零細な株主と言っていいと思うんですが、そういう方々が大体千八百万人でございます。私どもの方に提出いただいた資料は大体千八百万人、トータルのいわゆる株主の皆さん方というのは大体二千二百万人という資料でございました。そういうふうな資料によりまして、それじゃ実際問題として回転率がどうなっているかということも、これはいろんな数量、資料等を全部提出をいただきまして、私どもはいろんなところからの資料を検討さしていただきました。  これは、きょうは実はデータ、数字を持ってきておりませんが、大体一・何ぼというのをオーバーしそうな勢いでございまして、二にはまだなっておりません。政府は二ないし三という数字をおっしゃっておりますが、そこら辺の数字のことについて、政府にも私どもはこの五%という数字を出した根拠を随分ただしましたけれども予算委員会で私どものところへ出てきた資料というのは明確な資料ではございませんでした。  そういうようなことをいろいろ検討さしていただきまして、アメリカも総合課税の方向へ持っていっておりますので、そういう点からいきますと、将来はやはり総合課税の方向へ持っていくという点からいきましても、現在の私どもが見ております、証券会社の方もおっしゃっておりました、要するにプロみたいになって座り込んでやる人というのは大体こういう人なんだと。そういう方は回転数というのはもっと多いんだけれども、一般的にはそう多くない。しかも持ち株制で持っておりますから、法人のものを入れるともっと落ちる。そういうようなお話もございまして、そういう点も随分検討さしていただきました。  それから、先ほどのインフレの問題ですね。これは、先生の御質問を聞いておりましたら、消費税で六兆円減税するのと同じだと、いわゆる物品税で一兆円しかふえないから、差し引き五兆円の流動性が出てきてインフレになるんじゃないか、こういうお話でしたが、これはちょっと勘違いがあるかもわかりませんので。  そうじゃなくて、先生消費税平年度の減税する部分というのは五兆九千四百億でございまして、これは物品税だけではなしに法人税とかそのほかの部分がずっとありますので、平年度でいいますと一兆七千億でございまして、そういうような意味でいきますと金額もそんなに多くございませんので、先生経済の専門家ですから、大したことはないんじゃないかなと思っているわけでございます。
  156. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 いろいろございます。特に、今峯山先生お立ちになりましたからいろんなあれですけれども、公明党さんは、キャピタルロスの差し 引きを認める総合課税、源泉分離課税ね、売却額の三%という案。私はそれをお聞きしたときは、これは筋がそれなりに通っている、このように思っていたんですけれども、今回有価証券譲渡益は譲渡額の一%を一・四%に引き上げる。ちょっと今度の案と今までの御主張と比べまして、いつの間にかできの悪いものに乗りかわったんじゃないかな、こう思いますが、いかがですか。
  157. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) これは私どもの今度の財源案の中に全部出ておりませんし、私今資料なしで申し上げておりますので、多少正確度を欠くかもしれませんが、私どもが三%と申し上げましたのは、要するに全体を総合課税に持っていく、読んでいただけばそうなっております。  キャピタルゲインをすべて総合課税に持っていく。しかしながら、私ども日本人の中には要するに自分の株取引の中身を全部知られたくないという人がいらっしゃいます。そういうふうな意味で分離課税を認めるというふうにしております。その場合、分離課税を選択する場合には三%という分離課税にしたらどうかということでございまして、自分の特殊な状況を考えまして、そういう方々は分離課税で、そのかわり少しだけ税率が高いよ、こういうふうに私どもの案として今度代替財源のかわりに一遍みんなの検討していただくあれとして私どもは出したわけでございます。
  158. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それでは進めます。  昨今の金利自由化とか財テクブームの中で投資の金利選好というのは非常に強くなっている。御承知だと思います。これが例えば株式譲渡益課税一%引き上げられる、かつ有価証券取引税が〇・一%引き上げられれば、番号制度導入とあわせまして、先ほど二千二百万、実際これは千八百万か千五百万か、個人の数にすれば、シングルにすればそうなるんでしょうけれども、完全に投資意欲をそぐことにはならないでしょうかね。そしてほかの金融資産へ投資がえというようなことが起こる。また、資本取引の国際化により機関投資家は有取税がゼロのニューヨーク市場へもう絶対これは流れ出る。その結果、産業の空洞化ならぬ資本の空洞化が起きて、今世界一と言われる日本の金融市場の活力が全く低下をする。そこで株価の下落やブラックマンデーは東京からというような危険をはらんでいるんじゃないんですか。  だから、有価証券取引税は元年度予算額を確保することすら不可能になると言われているんです。皆さんの御提案は、イソップ物語の金の卵で、金の卵を産むから本体をもっと搾れよ、こんなことを言っていたらどんどんと海外へ流出して空洞化によるところの結局アブハチ取らずという状況が生まれてくる、こういう懸念が内在しているということをお認めいただきたいと思います。
  159. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 専門家の斎藤先生の言う意味は、キャピタルゲイン課税の強化と有取税のアップによって証券市場から投資家が離れていくんじゃないか、海外市場への逃避が行われるのではないか、あるいは株価が暴落する、そしてかえって税収減になるのではないかというような御質問でございます。  例えばアメリカでは、有価証券譲渡益課税につきましては総合課税が実施されておるわけでございまして、名寄せにより個人の株取引が捕捉をされております。したがいまして、今回の私どもの案は必ずしもそういった面から見れば厳しいものとは言えないんじゃないか。また、私どもはキャピタルゲイン課税強化という一要因だけで大口の投資家が海外に逃避するとは、全然考えていないわけではありませんけれども、そうオーバーに考えてはいないわけでございまして、海外に資金をシフトさせるにしても、海外市場に対する情報量とかあるいは為替とか時差等々のリスクを負い込むこととなるわけでございますので、さらに世界の証券市場は一九八七年の十月のニューヨーク証券市場の大暴落以来低迷を続けておるにもかかわらず、日本の証券市場は独歩高を続け、高いパフォーマンスを上げているのも事実でございますので、そういう事実も見逃せないんじゃないかというふうに思っております。  また、株価が直ちに暴落すると考えられるのは私どもにとってはいささか早計ではないかというふうに思っております。株価が形成される要因として、金利の問題、また為替、物価、景気、個々の企業の業績等々さまざまなファクターから成り立っておるわけでございまして、この中には株式に対する税制も当然含まれるかもしれませんが、私どもとしては税制は極力中立を守らなければならないという考え方は持っております。しかし、このことだけをもちまして株価が直ちに暴落するとは考えられないんじゃないかというふうに思っております。
  160. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それは確かに株価というのはそう単純にいくものではありませんけれども、例えば連合政権誕生となればこれは株価は暴落します。私はそういうふうに思っていますね。ですから、これはいろんなファクターで株の上下というのはある。ただ会社の内容とか金融状況とか、それだけでは決定できないファクターを含んでいるということを申し上げておきたいと思います。  第十、我が国経済の活力低下と産業空洞化の懸念です。  皆さん法人税率四〇%凍結を打ち出されました。そしてさらに各種引当金の圧縮も行おうとしておられる。その財源約一兆円を超すものでございます。主要先進国、これはもう何回もお尋ねを申し上げておるところでございますから簡単に申し上げますが、法人税率はどんどん近年引き下げを行っております。経済の国際化時代、諸外国の動きを無視してこの高率の法人税負担を求めるということは、それだけで日本経済の国際競争力を低下させる。また、外国企業の日本進出を阻害する。そしてさらに、新しい経済摩擦として対外関係からも問題となってくると思っております。それだけに、法人税の引き上げについて皆さん方は二年間だけ据え置かれるというようなことですけれども、基本的に引き下げは必要だ、このようにお考えなのか聞かせていただきたい。
  161. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) 一昨日でしたか、大木先生の参考人の日本貿易会の林さんのお話もやはり同じような観点からの御意見がございました。林さんの御意見を私がまとめてみますと、税制面から言うと、日本の企業が安心して……
  162. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 小川先生意見でいいよ。人の意見は要りませんよ。
  163. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) そうですか、参考人としてのお話をちょっとまとめてみたわけですけれども、これが失礼でございましたらおやめします。  これは何遍もお答えを申し上げていることでございますから、あえてそれでは申し上げることもないと思いますが、一つ申し上げれば、参議院選挙が終わりましてから、社会党を含めて野党が勝ちましたら株価が上がりましたので、この点は、連合政権になったら株が下がるというような御断定はひとつ御容赦のほどをお願い申し上げたいと思います。
  164. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 あなたにそれを質問したわけじゃない。僕はあなたに産業空洞化を聞いているんですよ。
  165. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) じゃ申し上げましょう。  確かに、税率の大幅な引き上げなくして税率の暫定的な据え置き措置でありますが、これによって企業が急激に国際競争力を失ったり、産業界に混乱を引き起こしたり、また企業活動が停滞して不況がもたらされるということは予想しておりません。確かに、私たちの国の表面的な法人税率は先ほども申し上げましたような状況でございますが、しかし、激しい通商摩擦、経済摩擦の大きな原因が我が国企業の競争力の強さであるということは御承知のとおりと思います。税率の据え置き程度で産業に悪影響がもたらされるとは思えません。実質的な税負担がそれほど高いものかどうかも慎重に検討してみる必要があると思います。  会計における損金算入や租税特別措置に限らない広い意味での優遇措置などによる課税範囲の浸 食によって税負担率は大きく変動いたします。また、国際競争力を取り上げる場合、諸外国では社会保険料などの税外負担の大きさもあることを勘案する必要があると思います。今後、法人税率については課税ベース拡大を図りながら基本税率を引き下げる方向で検討してまいりたいと思っております。
  166. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それはそういう御答弁をずっとされておることも承知をしているんです。でも今度の代替財源案でも既に課税ベースが拡大しているんですから、一体これ以上何を措置すれば本当に法人税率を引き下げるということをなさるのか、私は大変疑問に思っております。  それはそれとしまして、今もう一つ、国際化時代、タックスヘーブン制度を拡大しても、このような重税政策、私どもは下げようと言っているんですから、皆さんの方は簡単に下げないということでありますと、有力法人の海外流出はやっぱり避けられない懸念があると思います。  英国病、言うまでもないと思います。こういう産業空洞化による雇用不安とか景気後退、国民生活の沈滞ということを我々は起こしてはいけない。なれば、そういう問題意識をきちんと持って税制改革に当たっていただかなければならないのですけれども皆さんは、ただ消費税廃止をすれば、もうそれでもって鬼の首をとった、税制はもうあとは何だって構わないんだ、二年後だ、こうおっしゃっておるように思えてならないのでございますが、いかがでございますか。
  167. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) 今度の消費税を実施するに当たりましても法人課税の減税がございました。そういったような観点から考えますと、法人税の課税を減らして大衆課税の消費税を拡大するというのはいかがかというような意見等もあったことも御承知と思います。それらを勘案しながら私たちは当面据え置いたわけであります。  大体、法人、企業というのは所得、利益を中心にして物を考えてまいると思いますので、特に海外に産業が逃避する、こういう条件の中には、あるいは海外に進出するという条件の中には資源問題、労働力問題、そして貿易摩擦による現地生産、こういったようなことを一つ一つ詳しく申し上げる必要はないと思いますけれども、そういう面からの利益を考えながら海外に出ているのでありまして、税率そのものだけでという考え方をとっておりません。
  168. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 続いて、第十一に進みます。赤字公債を発行し無節操な財政運営に陥る懸念。  これはやはりいろいろ御指摘を申し上げてきたところでありますが、最近の好調な税収というのは三高二安、株、土地、円高、そして原油、金利安、こんなような格好で支えられてきた、言うなら、長期的な観点に立てば一時的な要因でございます。しかし、最近はまた微妙に要因の流れに変化が来ておりますし、また先般の税制改革で税の仕組みも大幅に変わってきておるところであります。それだけに今後同様の税収の伸びを期待することは私は困難になりつつある、こう思っておるわけでありまして、そのときに消費税廃止代替財源としてこれらを挙げることは私は非常に無責任なお立場じゃないか。いわゆる自然増収を代替案に盛り込まれるということはどうも納得がいかない。いろいろな立場から御指摘を受けておりますけれども、それは即裏を返せば、自然増収が万一とまれば赤字国債を容認する、こういうことになるんじゃないんでしょうか。  まあ代替財源について短期的、長期的にもいろいろなお立場から皆さんにお伺いを申し上げましたが、お聞きをしておっても本当に納得できるものではない。となれば、結局困れば最後は、もしも景気が変わって困れば赤字国債に逃げ込むという結論になるわけであります。それならば平成年度は赤字国債絶対大丈夫でしょうかね、お尋ねをいたします。
  169. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 大変御心配をいただいておりまして、私ども先生が御心配になっているようなことがないようにしたいと思って今一生懸命やっているわけでございます。これはもう余り詳細は申し上げませんが、いずれにしましても現在の景気の状態とか景気の持続をどう図っていくかというのがやっぱり根本的な問題であろうと思います。  この点につきましては、私ども皆さん財源案を発表した当時と現在とちょっと比べてみましても、元年度の決算見込みも私どもの予想よりちょっと伸びているようでございます。そういう点からいきますと、少なくとも来年度とその次の年ぐらいはほぼ間違いないような状態であります。したがいまして、私どもは、絶対なんてことはないと私は思いますけれども、現在の状態の中では赤字公債の方に逃げ込む必要はないんじゃないか、そういうふうに考えております。
  170. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 一・七兆円の財源不足、いろいろ試算をされるとまず来年度は不足が三兆円になると先般来指摘をされているわけでありますが、確かに赤字国債依存体質脱却というのは今日までの我々政府・与党のもう大命題でありました。本院においても、特に野党方々は機会あるごとに、実現不可能なそんな赤字体質脱却のにしきの御旗をおろせと強く言っておられたことをよく記憶しておるところでありますが、しかし現実に今の段階で来年度赤字国債を発行しなくなったということは、大変政府・与党の我々の努力が実った、このように自負をしております。しかし、来年度の三兆円の不足分を、本当に先ほど峯山先生がおっしゃられたように懸念なくいけるのか、私はその辺についても大きな疑念を持っておりますので提起をいたしたところでございます。  そこで、実はいろいろこうやってまいりますと、またさらに新たな疑念というものが浮かび上がってきまして、時間の関係もございますからまあ軽くやらしていただきますが、二年間の暫定税制が恒久化する、こういう懸念がありはしないでしょうか。皆さんは二年間限りの暫定税制だよ、仮に私は矛盾があると言っても、ないと御指摘になるわけでありますが、仮にあってもそれはやむを得ないよと今までそういう説明をしておられる。しかし、この法案には、先輩が御指摘をされましたように、期限がついてないんですね。ですから、形式で言えば恒久立法だ。二年間だけというならやはり時限立法にするのが本来提案者の精神じゃないんでしょうか。二年たって、国民合意にはまだ日時を要するよということになれば、私の考えるこの矛盾税制がさらに続くことになる、言うなら恒久化につながっていく、このように考えますが、いかがでしょうか。
  171. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) この点につきましてはこちらで何回か答弁をさせていただいております。いずれにいたしましても、まずこの二年間のいわゆる税制改革協議会での審議の経過を見なければわからないわけでございますが、審議の中には、今までのいろんな経過を踏まえて税制の検討をするわけでございますから、大体一年ぐらいで決まるものもあると私は思います。そして、方針も二年末満で決まるものもございましょうし、あるいは多少はみ出すものも出てくるかもわかりません。その時点でそれぞれ処置をしていただくということになると思います。  したがいまして、私どもの精神としては、ぜひ、恒久法にするんではなくて、この改革法のいわゆる処置が終わりましたならば、それぞれきちっと手当てをしていただく、こういうふうにお願いしたいと考えております。
  172. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 次は、新たな不公平が生ずる懸念。  これは軽自動車のことでありますけれども、現行消費税では三%でありまして、普通乗用車の六%に対して競争力とかあるいは大衆性、庶民性といいますか、それを考慮して税負担に差が設けられたということであります。今回皆さんの御提案は、普通乗用車の税負担を意図的に御軽減をされたようでありますから、その結果として軽乗用車の負担が重くなった。そこに新たな不公平というものが生まれてきたんじゃないんでしょうか。ましてそれが新聞報道にございますように密室で、 しかもこれももう御指摘を申し上げたところですが、取引をされた妥協の産物だというようなことを新聞で見ますと、これは国民にとってこんな冒涜された話はないと思うんですね。御意見いかがでしょうか。
  173. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) たびたび指摘をいただいております自動車の物品税のことですが、確かに軽の乗用車は指摘をされるとおりでございます。私どもこの前から説明しておりますように、税率の刻みで一律にはじいた面もありますからその点は指摘されるとおりでございますが、ただ、今売れ行き等から見まして軽貨物の方がよく売れておりますから、余り大きな問題にはならないんじゃないかと、そのように考えております。
  174. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 実態は仮に大したことがなくても、そこへ決まった経過というものを実は問題にしたかったわけであります。  それから次は、法案のミスの懸念でありまして、これはもう我が党の質問の中で国民の前に明らかになりましたように、今回の提案には失礼ですけれどもあっちこっちにミスがございました。たびたび訂正をされた、いわば失礼だが満身創痍の法案と私は位置づけております。ふなれなことは十分お察ししますけれども、それによって法案全体の信憑性が私は崩れたんじゃないかなと、このように思っております。いかがでございましょうか。
  175. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 消費税廃止を求める法案の基本を崩したものではないと思っておりますが、法案自体に幾つかのミスがありましたことは、これは事実でございますし、恐縮に存じております。
  176. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 人間です、ふなれです、それはもうよくわかります。てにをはのミスはわかりますけれども、私どもは憲法違反の疑いがあるとまで追及した大きな問題もあったわけでございます。これは仮にそういう重大な過ちがあった場合、一度決まってしまえば法律である以上は国民を縛ることになるわけでございます。また、国民はそれに従うというおそれを私は今回の提案でひしひしと感じた一人であります。道義的責任をどうお考えになっておられますか。特に憲法学者の笹野先生、お尋ねをしたいと思います。
  177. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 私どもは四党で提案をしておりますので、私の個人というよりも、今久保提案者から御発言したのと同じ趣旨です。
  178. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それでは最後に、もう一つ疑問点を指摘したいと思います。  十月二十四日に公表された消費税廃止に係る法案等の共同提案について添付された代替財源の増収額について、これは最初精査中とこうなっておりましたが、そしていつ明示されるのかと見ておりましたところ、久保先生の趣旨説明の中で自然増収が三千億円も上積みされておりました。これは修正、変更があったようでありますが、現時点で最終確定数値というのは変わりないのかどうか、お聞かせをいただきたい。
  179. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 一兆四千億という計算をいたしまして四党でやっております段階というのはまだ最終的に固めた段階ではございませんでして、私どもが正式に国会に申し上げましたのは一兆七千億で申し上げたのでございまして、これは国会に対して訂正をしたとかそういうものではございません。一兆七千億は今日変わりはございません。
  180. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 代替財源として相続税、贈与税の最高税率の引き上げで平年度増収額を七十億円と見込んでおられますね。これは先般野末先生も御指摘をしたところでありますが、その計算方法というのを資料としてやっと我が党の要望に対してきょうちょうだいをいたしたところでございますが、一つお尋ねをさせていただきたいと思います。  十一月十七日の当委員会において、相続税の改正のうち、期日に問題点が見つかりました。とりわけ贈与税でありますが、皆様平成二年四月を平成二年一月にお改めになりました。これは、野末先生は課税強化が本則よりさかのぼるのはおかしいとして、むしろ平成三年一月一日にすべきではないかとも指摘されましたが、そのまま明快な回答をいただけず今日に至っておるところでございます。この際ぜひ明確にしていただきたい。
  181. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 一応私どもは、変更いたしますことについて、四月では税の制度上、年の扱い方について暦年の扱いになっておりますために、これはやはり問題があるのではないかということで、一月の扱いとすることで、平成二年一月ということにして理事会に申し上げました。しかしその後、野末委員からもいろいろ御意見もございました。最終的にこの審議の終局いたします段階で修正案として出すようにという委員長のお言葉でございますので、この審議の経過も踏まえました上で、この点については最終的に結論を出させていただきたいと考えております。
  182. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 お気持ちはわかりますけれども、七十億円を平年度増加額と見込んでおられる。そしてその計算方法は、きょうのちょうだいした回答によりますと、税務統計、税収見積もり等により増収見込み額を算出した、こうなっておるんです。  ところが、今委員長の方にお申し入れになったのはとりあえず平成二年一月一日だとなりますと、この七十億円程度の当初のお見込み、これは平成年度で見れば四月から十二月の九カ月間であったわけですね。これはもう子供でもわかる。ところが今度は二年の一月、さかのぼれば一月から三月までのを七五%に上げた、その上積み分だけ一体どういう計算をしたらいいんでしょうか、お聞かせをいただきたい。
  183. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 七十億と申しますのは平年度計算を申し上げているのでございまして、その点は変わりはないと思います。
  184. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 そうですか、私はこれはちょっと平年度とは、最初四月一日からとこういうことになっているんですから、初年度の七十億、そうとるのが久保先生、普通なんです。それが、今度は平年度に引き延ばした、引き延ばしても七十億だ、同じだということはこれはちょっと納得ができない。こう思いますが、違いますか。
  185. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 改正に伴う税収につきましては、これは平年度計算を全部申し上げております。一兆七千億の場合にも、それから法人税一兆三千八百億の場合も、キャピタルゲイン六千二百五十億も、全部そういう計算で申し上げておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  186. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 これ実は金額七十億だよ、まあその程度のことはこんな大きな予算の中だからとおっしゃるのかもしれませんが、そのアバウトこそ私は大変大きな問題だと思っているんです。今日提案されているこの法案というものが、結局全体像としてはこの七十億で象徴されるように実はアバウトなんだということを物語っている、そうまで御指摘をしなきゃいけないんじゃないか。  例えば一億以上七五%にお直しになった。松下幸之助さんのような方がそうそうざらざら遺産相続その他に出てくるはずはございません。また、贈与で考えますと、今までは、一億以下七千万までは七〇%ですから、じゃもう七五%はやめてみんな人間の知恵で一億以下にしていこうとか、いろんな工夫がなされてくるわけでございまして、七十億、言うならば最初読み上げました税務統計、税収見積もり、この計算した結果ですと、印刷物で公党間の御回答であるとするならば、基本的に言えば、大変失礼ですけれども、根拠を明確にお示しになるだけのよって来るところを余りお持ちにならない。七十億と最初に書いて、それは平年度のものでございます、じゃ今度三ヵ月さかのぼって暦年にお直しになったときに、それじゃどうなんですか、本当に七十億、同じ見積もりですか。その辺を基本的に、これはもうお考えいただければ英邁な久保先生ですから、本当におかしいとお考えにならないですかね。
  187. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私が理解力がない のかわかりませんけれども平年度一月一日から十二月三十一日までの暦年で計算をしてまいりますその税収が七十億ということで申し上げているわけでございますから、その改正の起点をどこに置くかということによって最初の年度の問題は先生御指摘のように変わってまいるかと思いますけれども、私が趣旨説明の中で申し上げておりますのは平年度ということでございます。もちろん贈与税とか相続税の場合にはほかのものとは違いまして実態が働きますからアバウトだと言われればアバウトだと思いますけれども、大体大蔵省あたりでおやりになります根拠を適用しながら計算をしたものでございます。
  188. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 その点は私もちょっとあれでございましたので、了解いたします。  それでは、もう一つこの問題についてお尋ねいたします。  皆さんは、廃止法案をぜひ通して我々の税制改革をと、こういうことになるのでございましょうけれども、もしも御要望のとおりになったとすると、これから見たって、半月かそこらでもって国民に、一月一日からもう税は上がりますよと、これは文字どおり大変な拙速じゃないんでしょうかね。こういうことはもうむしろ消費税どころの騒ぎじゃない。消費税だって一年間ぐらい余裕を置いたらばどうなんだという御指摘だってされた政党もあるんですけれども、まさに十日間というような格好のことでは、これはちょっと私は納得がいかない。今ちょっとお内輪の中で、理事会が承認をしているからと。理事会は、皆さんが間違ったと思うところを訂正されてお出しになったことについて了解をしていることであって、内容について了解なんかしていることではありませんから、私はあえてお尋ねをさせていただきます。
  189. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私はそんなことは申し上げておりません。理事会に私どもの方から申し上げましたと。そして最終的には、委員長のお裁きによって、修正案として審議を終局後に提出するようにとこういうことでございますから、それに従いまして私ども考えてまいりたいと思っているのでございます。
  190. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それから、実は新聞報道の中には、野党法案ミスにつきまして、国会は立法府だから審議の中で直していけばいいんじゃないか、よいものにしていけばいいんじゃないかと、こういう論調を私拝見して、本当のことを御理解いただいていないなとちょっとがっかりしたんですけれども審議の過程でよいものにするというのは、原案が立法者の意思も明確、条文も明確、財政的な裏打ちもきちんとできている、それが前提でなきゃならない。それによって政策論争というものをして、その結果修正するものがあればするというのが、これは先輩皆さん本筋だと思う。  ところが、実は先般選挙応援におうちの土井委員長が川崎へおいでになられた。その駅頭の演説は、自民党は重箱の隅をつつき文言にけちをつけて、国民の期待する廃止法案審議の引き延ばし策をしておられると。これは選挙のときだからそう言ったといえばそれまでですけれども、私たちはまさに真剣に皆さんに、国民のためにいかに一番いい税制か、あなたたちの方がいいのか我々がお願いしている方がいいのかと真剣な論議をしている。決して文言のてにをはについていちゃもんをつけて引っ張ってきたわけじゃない。こういうことを国民の前でおっしゃられるということは、私にとってはまことに皆さん不見識きわまることだとこのように思っておりますが、いかがですか。御発言者じゃないから無理ですけれども、とかくそういうことをおっしゃる仲間もおられるものですから、あえて一言触れさせていただきました。
  191. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) どのようなことを土井委員長が申しましたか私正確にはわかりませんけれども、今先生御指摘のような発言だといたしますと、川崎の市長選挙は、ちょうど今先生が申されました問題で当委員会が大変もめているときでございました。そして、それが決着いたしましたのは川崎の市長選挙が終了した後であったように私は思っております。今先生が申されましたように、選挙の際はしばしばその表現は少し極端になったりする場合もあろうかと思いますが、できるだけこれらの点については慎重に心を配った方がよろしかろうかとは考えております。
  192. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 選挙の公約違反とかいろいろな問題で御指摘になっておられるそういうお立場の方々からまたいろいろそういうような気になる御発言があるということでありますから、あえて言うならば、お互いに十分注意をしていただかなきゃいけないと思います。  さて、我が党の久世委員から二十八日の質問の中で、税制改革基本法案第四条の所得、資産、消費に関する課税について、現行の税制改革法第二条の「所得、消費、資産等に対する課税」と比べて「資産」と「消費」の順序が逆になっている、こういう御質問をしたのに対しまして久保先生は、応能負担の原則重視、主にこういうような意味のお立場から御答弁をいただきました。確認の意味久保先生、もう一回伺います。
  193. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) さように申し上げました。そして、「消費等」というものの中には流通等も考えられることになろうと、こういうことを申し上げたと思います。
  194. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 そういたしますと、「所得、消費、資産」の順は応能原則軽視、応益原則重視、私はそういうふうに思います。  そこで、野党税制改革の趣旨にはむしろ合わないような意味を持っているんじゃないかな。この逆になっていることに意味があるということを承知したわけでありますが、峯山先生、御意見は同じでいらっしゃいましょうか。
  195. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 同じで結構です。
  196. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 ところで、公明党の「八九国政選挙にのぞむ―公明党重点政策」、さらには公明党の税制改革基本法案、六十三年に御発行になっていますが、を見ましても、「所得、消費、資産」の順になっているんですね。これは非常に微妙な問題を含んでおります。今度お出しになった方は「所得、資産、消費」、御党の今までの公約は「所得、消費、資産」、この食い違いはどういうことでございましょうか。
  197. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) お答えいたします。  私もそこまで精査をしていなかったんですけれども、実は私どもの初め六十三年の夏に出しました税制改革の基本法の中には確かに「所得、消費、資産」となっていたんだろうと思います。それを四党で今回いろいろと議論をした中で、実はそれが逆に「消費」と「資産」が逆転をした。そこら辺のところの議論は、政審会長を中心に議論をしていただきましたので、詳細はお伺いしておりませんが、大体そういうことだろうと思います。
  198. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 「所得、消費、資産」、「所得、資産、消費」、この並びに相当な意味をお持ちになっているとするならば、政策の継続性ということを公党としてお考えになったときにはこれはもう大変大きな私は問題だと、やっぱり公約違反の一つかな、このように考えておりますが、いずれこの問題はまた別途お話をさせていただきたいと思っております。  そこで、いよいよ時間もあと三十分足らずでございますが、今回の提案をなさいましたとりわけ、失礼でありますが、公明党さん、民社党さんの政治姿勢について少しお聞かせをいただきたいと思っております。  まず、昨年暮れの税制改革のときに、我が党と公明党そしてまた民社党御両党との間にそれぞれ、先ほど守住先生からも御質問がございましたけれども合意事項がございました。両党、御記憶をなすっておられますでしょうか。それぞれお答えをいただきたい。
  199. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 確かに、昨年の十二月二十二日の日に私どもは、私どもの当時の国会対策委員長中野明君とそれから当時の党の政審副会長の塩出啓典君の名前で申し入れをいたしております。
  200. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 午前中も守住先生質問にお答えしましたけれども、確かに合意事項がございます。
  201. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 連合の方は新しくおいでになりましたが、大変な騒ぎの中でこういう取り決めがあったということを御存じでいらっしゃいましたか。知らなきゃ知らないで結構です。新聞で見たら見たでも結構です。
  202. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 存じておりません。
  203. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それでは、社会党にお伺いいたします。  このことをきっと御存じであったと思うんですが、今共同提案のお立場にあられる現在、この問題についてどうお考えになりますか。
  204. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私、その当時党のそれらの問題についての責任ある立場にはおりませんでしたので詳しく承知いたしておりませんけれども、私ども消費税を成立させないために頑張ることで対応してまいりました。しかし、実際に国会の勢力の分野等から考えて、これがもうやむなく成立するであろうという見通しもなかったわけではありません。公明党、民社党の皆さん方がその事態の中で可能な弱者救済の中身を具体的に取り入れるためにいろいろ御努力なさったことは、消費税反対の立場に立ってそのようなことをなさいましたことについては、私は一つの非常に貴重な見識ではなかったか、こう思っております。
  205. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 公明党にお尋ねを申し上げます。  公明党さんは、在宅三本柱、福祉充実を中心に九項目にわたってお申し入れをいただきました。我が党としても一生懸命誠意を持って回答したと思いますが、そのときの回答はいかがでございましたか。印象で結構です。
  206. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 私どもは、実は当時消費税導入されるということに対しまして終始反対を続けてきたわけでございますが、いよいよ最終盤の土壇場になりまして、何としても、日ごろ私どもの党は特に弱者の皆さん方の立場に立って物事を考えてまいりましたので、特に一番影響を受ける皆さん方福祉、在宅という問題について何とかしてもらいたいという日ごろの要望もありまして、それを申し入れたわけでございます。しかしながら、自民党さんの方からは九項目のうち、それぞれ大体福祉関係については私どもの要望を受け入れていただいたわけでございますが、肝心の消費税の二つの分がアウトでございまして、これはまことに残念であったと考えております。
  207. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 九項目中御希望に特にこたえられる、消費税そのものについてのいろいろ見解は別といたしましても、一項目、それは消費税の実施時期を一年延長するということであったと思っておりますが、実施延長というお申し入れは、真っ向から消費税を否定した、反対ではあるけれどもいろいろ諸般の将来事情を考えればやむを得なかったんじゃないかな、こんなようなお気持ちがあったから、ではせめて福祉充実とあわせて一年間国民混乱を防ぐために延長したらどうだと極めて建設的な御意見を我が党にお申し入れになられたのかな、このように私なりに理解をいたしておりますけれども、率直な御意見を聞かしてください。
  208. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) この点は全くそういうふうな考え方ではございませんでして、あの強行採決の後、私どもは当時の中野参議院の国対委員長が採決は無効である、撤回しろということで談話も発表し、同時に参議院議長にも申し入れをいたしております。そして、その後私どもは、特に本会議での強行も辞さないというふうな雰囲気の中でのことでございましたので、特に先ほどの消費税の成立を何とか阻止しなくちゃいけないということで頑張ってきたわけでございます。そんな中で、とりあえずまず一年でも延長してもらいたいという強い消費税反対の立場からの意見がございまして、そのことを私どもは正式に申し入れたわけでございます。  その場合、今私どもが振り返って考えてみますと、あのときに一年延期していたならば、きょうの午前のときにも私申し上げましたが、今時分はことしの参議院の選挙の結果を受けて斎藤さんと私どもと、消費税廃止してよかったなということで、同じ基盤に立ってこれからの新しい税制の話し合いができるようになっているのではないかなと、こう考えているような次第でございます。
  209. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 いろいろ物の考え方というのは裏表ございます。私の方は、きょうは敵であってもあすは味方になれるかな、こんなようなことだって長い歴史の流れの中で、うねりの中で考えられることだと思っておりますが、残念ながらいろいろなお立場の御意見もありますから、この程度にさせていただきます。  続いて民社党さんにお尋ねをいたしたいと思います。  御党に対しまして、やはり御党から九項目のこれは修正要求、こういうことでお申し入れをいただいています。公明党さんのは申し入れとこういうことでしたが、おうちのは修正要求、こういうようなことでございましたが、我が党の回答をどう評価しておられますか。
  210. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私ども民社党は、やはり税制法案の本会議採決という土壇場の段階で、議会政治と国民の利益を守るために修正交渉に最終的に踏み切ったわけでございます。その結果、自民党さんの単独強行採決による政府原案どおりの成立という最悪の事態を回避することには成功したわけでございまして、粘り強い修正交渉で何点かの回答を得たわけでございますが、しかし残念ながら力が、余り民社党の勢力がありませんもので、これぐらいの結果しかとれなかったということは残念に思っております。  結果的に、私どもは参議院の選挙の結果を見ますと、やはり国民はノーと言っておるのだなということでこういう現在の状況に来ておるわけでありますが、この時点の段階ではやはり最悪の事態を回避するということで、国民の利益を一歩でも守るという意味で私どもは九項目の要求をいたしたわけでありまして、しかし残念ながら一部のマスコミ等々では玉虫色で終わったということで、その結果が選挙にも影響したのじゃないかなというふうに反省をいたしております。
  211. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 反省までされたんじゃちょっと簡単に後ろへ引けなくなりました。  ほとんど私は文言で読ましていただいて満額回答と、俗に言えばそう言うことができるんじゃないでしょうか。重ねてお聞きします。
  212. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) その時点での交渉事でございましたので、確かに修正交渉の結果いろんなところは修正をいただいたわけでありますが、結果的にはやはり国民審判を受けたわけでございますから、そういうことで、私どもは最悪の事態だけはこの結果で避けられたんじゃないかというふうに思っていますが、やっぱりそれ以上のもっと原案に対しての消費税反対、あるいは延期するということに対して強力にとれなかったということは残念であります。
  213. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 民社党の「豊かさを実感できる生活先進国をつくろう」という印刷物がございますね。その中の消費税対策の項では、導入混乱を防止するため、半年間の弾力的運営や見直し規定の創設などの修正をかち取ったと述べておられますが、御存じですか。
  214. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) そのとおりでございます。
  215. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 消費税対策のそのうち一項から七項まで、見直しや適切な措置を講ずるとは書いてございますけれども廃止や反対という言葉は一言一句書いてない。これはどういうことでしょうか。ごらんになっていただければわかる。一言一句書いてない。
  216. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 現物にはそのとおりでございます。
  217. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 にもかかわらず、今日廃止法案提案者になられた真意を率直にお聞かせいただきたい。
  218. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私ども民社党が最後の段階で消費税についての見直し規定を入れさせたのは事実でございます。もともと実施延長を要求して粘ったわけでございますが通らなかったわけでありまして、それにかわって私どもは半年間の弾力的運営や見直し規定で確かに合意したというのは事実でございます。しかし私ども民社党は、この修正だけではやはり不十分であるということで、消費税原案そのものに対しては反対の意思表示をしたことは御承知のことと思います。
  219. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 なるほど、おっしゃられますように参議院選間近の六月三十日、民社党さんとしては中執の決定で欠陥消費税の撤回とかやり直しとかいろいろお決めになった、あるいはまた米沢書記長が補足をして消費税は欠陥税制だとかいろいろおっしゃられたこと、これは事実ですが、しかしその一方で参議院選後その改廃、見直しを含め税制の再改革に取り組むと。見直しという言葉も入っている。そしてこれは党の従来の方針に変わりがない、こう言い切っておられるわけでありますが、とすれば、国民の理解を得られないような欠陥税制だと。なれば、次善の策として注文をつけて修正をかち取ったということになると、これは私は単純に物事を考えた場合に、例えばかち取るという言葉とか修正をさせたとかいうようなことで、全く反対で、それは反対だという一面、何らかの理解がなければこういうような文言は使えないんじゃないだろうかな、このように私は考えているんです。  特に、民社党から消費税の実施の際の弾力運営のお申し入れに対しまして、我が党はもう本当に誠心誠意を持って対策を回答した。そして、大蔵当局を通じてこの六カ月間の弾力運用期間というものをきちっとその合意に基づいて実施をさせました。この弾力的運用については、この際政府委員、ひとつ御説明を願います。
  220. 濱本英輔

    政府委員(濱本英輔君) お答え申し上げます。  消費税は、税になじみの薄い我が国の導入時の状況を踏まえまして、発足当初いろいろな配慮を要すると考えられたわけでございますけれども、具体的な対応といたしましては、例えば税務署に対します提出書類の期限猶予、あるいは税務執行の弾力的な運用、そうしいったものを幾つかの項目にわたりまして実施してまいったところでございます。  これらの措置は、法制度あるいは政令等で措置いたします制度に係りますものはほぼ平成元年の九月三十日までを期限とするものでございまして、ただ九月三十日が到来いたしまして以後もなお引き続き弾力的運営に配慮すべき事柄が残っておるという認識から、税務執行の問題につきましては、引き続きそのような対応に現在も配慮しているところでございます。
  221. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 今説明を聞きまして、何も民社党の御要求だったから全部そうしたというわけではありません。国民消費税導入に伴うところのいろいろな混乱を本当に緩和しようということの中でありましたが、特に民社党さんの強い御要望で六カ月間の弾力運用を実施したということは、当時の税制特の論議の場でも十二分にうかがい知れるところでございます。言うなら、公党間の約束によって今説明を受けたような税務執行の弾力運営を行った期間であったにもかかわらず、いかに選挙があったからといって、廃止をてんきりに御主張なすったということは大変私にとっては不可解だ。運用されているその期間の出来事で、選挙のためなら、勝つためなら、こうおっしゃられるお気持ちであったとするならば、民社党さん、この間の参議院選挙で躍進されましたか。お尋ねをいたします。
  222. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 参議院選挙の結果につきましては、私ども民社党は残念ながら敗北をいたしました。この敗因についてはさまざまの分析をし、今後再起をいたしたいというふうに思っておるところでございます。  この敗因の一つとして、消費税問題に対する我が党の対応が国民にわかりにくかった点もあるのではないかと率直に反省をいたしております。この結果を踏まえまして、私どもは、消費税について廃止を含む抜本的見直し論を一歩進めていこう、そして消費税を一たん廃止し、税制改革全体をやり直すという今日の方針をとった次第でございます。  そして、さて、自民、民社の合意事項についてでございますが、私どもは、民社党は昨年の税制国会において消費税法案に対し本会議において堂々と反対の意思表示をしたことを忘れないでいただきたいというふうに思っております。同時に、自民党の単独強行採決による政府原案どおりの成立という最悪の事態を回避しよう、そして議会政治と国民の利益を守るためにぎりぎりの修正交渉をし、私ども民社党といたしましては一定の成果を上げたことも御承知のとおりであります。このような与党と私どもの修正交渉は、日本の議会政治を守る上でまた国民生活を守る上でも有意義なことであったというふうに私ども考えております。  自民党にとっても単独強行採決を回避できた点で大きなメリットがあったというふうに思われるわけでございますが、むしろ私どもはこれによりましてあたかも消費税に賛成したかのように言われ、大きなダメージを受けました。それが参院選敗北に結びついたと考えている次第でもございます。  しかし、日本の議会政治、そして国民の利益を守るために、政党や政治家は時には身を犠牲にする覚悟がなければならぬというふうに考えておるわけでございます。私ども民社党は、今日までこうした努力をしてまいったと自負いたしておりますし、同時にその結果も引き受けていくのが当然であろうというふうに思います。もしそういうことに対しまして過去にさかのぼって政党間の信義というものに反すると言われるのならば、私どもは何をかいわんやということでございます。  私ども消費税に賛成の意思表示は一度もしていないという事実がございます。参議院は与野党逆転をいたしまして、一党一派では何もできない状態を迎えておるわけでございます。しかし、政治は生き物でございますので、停滞させ国民生活を混乱に陥れては断じてならないというふうに信じております。そのためには、今後与野党の党利党略を超えた政治的な英断と合意がますます必要となるのではないかというふうに私どもは思っております。
  223. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 御説明は御説明なりにもちろんお聞きをしたところでありますが、民社党さんのあの選挙の前、そしてその関係の書類を私も幾つとなく見させていただきました。おうちの公約である政策大綱の中等においても、消費税廃止するなんていう言葉は率直に言って一言も出ていない。だからこそ、おかしいんじゃないですかと指摘せざるを得ないような内容の文言が連なっているだけに、大変しつこかったんですけれども皆さんがともすれば自民党は公約違反、だから消費税廃止だ、こういうことを御主張なさるから、あえて、御無礼でございましたけれども、民社党さんの書類を見た限りでは決して廃止という言葉がないだけに、これは失礼だけれども公約違反と言われてもやはり仕方がないんじゃないかな、こういうように考えたのでお尋ねをさせていただいたところでございます。  確かに、本院の採決に当たりましては、御指摘がございましたように、公明党さんも民社党さんも粛々と反対の意思表示を示されましたから、公党として今のお立場は当然であろう、先ほど来御主張されておられることで、私どもとしては別の考えもありますけれどもやむを得ないかな、このように思っております。しかし先ほど来、くどいようでありますけれども、修正をかち取ったとかいろんな表現で、これは単なる表現だよとおっしゃるかもしれませんけれども、少なくとも政策の継続性というものを無視してはこれはその公党の真価を問われるものだ。先ほどもお話をさせていただきまして、永田町の論理ではあるいは通用することでございましても、国民への説明となれば、これはいろいろな問題を内在していると思い ます。  その一つの例が、先ほども触れましたけれども軽自動車税であります。これは本当に国民にすぐわかりやすい税なんです。消費税の中で条件をつけられて、軽乗用自動車についての税を特別配慮せよ、民社党さんの御要望だった。そういう中でちゃんとそれにおこたえをしておったところが、機械的税率の設定で今回は自動的にアップをした。その間には政策の継続性などはこれっぽっちも見かけられない。これは国民信頼を失うお互いに反省をしなければならないところではないでしょうか。  本当はお尋ねをいたしたいところでありますが、もう時間でございますので、そこで最後にまとめのようになるわけでありますが、失礼でありますが、今回の消費税廃止法案は、衆議院議長の裁定に示されたように、新しい間接税の必要性というものはそれぞれがあの時点ではお認めになっておられた。それが今日、公約違反、成立手続問題、あるいは選挙結果だ、国民の声だ、こういうような形の中で廃止法案というものが提案をされて今日に至ったことは、私ども十分承知をいたしました。  ただ、日本の世界に果たす役割、二十一世紀の高齢化社会、そして国際化時代、産業構造の変革、もろもろ考えますときに、日本国民のためにあすの税制改革は一体どうあるべきか、これがお互いに基本に置いて考えなければならない点だと思っております。それが、いろんな事情があったにもせよ、野党と与党の政争の対決の場で廃止こそにしきの御旗だとばかりに感情対決をしておったのでは、いつまでたっても不毛の論の域を出なくなる。私自身もむなしさを、長いこと質問してきましたが感じざるを得ないのであります。  提案者皆さんにあえて提案をさせていただきたい。三年間の暫定というバラック法案よりは現行の本建築法案、いろいろ住みよくするためにお互いが力を集めていくことが国民に対する最も現実路線の一つであると思いますが、久保先生いかがでしょう。
  224. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 先生の御意見は御意見として承りました。  私どもは、今日この委員会において御論議をいただいておりますのは与野党の感情的対決とは考えていないのでありまして、参議院選挙の結果を踏まえて、そして消費税の持つその構造的欠陥や逆進性その他から国民皆さんが強く消費税の撤廃を求めておられる、そのことにこたえる責任として私どもは今日法案を提出し、皆様方の御審議をいただいておるのであります。  私どもは間違って建てられた建造物は一遍撤去して、その跡に本当に国民の期待にこたえられる建築物を建てるべきである、こう考えておりまして、本建築とバラックという対比で論ぜられることについては大変心外に存じております。願わくは、この委員会におきまして皆さんの十分な御論議をいただいて消費税法廃止され、そして新たな税制改革に向けて与野党一致して国民の期待にこたえられるよう、心からお願いを申し上げる次第でございます。
  225. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 斎藤君、時間が参りました。
  226. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それでは、ありがとうございました。  私ども税制全体像を早く完成して日本の平和と繁栄、国民のために立派な税制をつくりたい。その意味見直し案も立派に出てくると確信をいたしております。まことにありがとうございました。(拍手)
  227. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  228. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 速記を起こして。
  229. 山中郁子

    山中郁子君 私は、まず初めに、この本委員会で論議が重ねられております消費税廃止並びに関連して提出されている諸法案をめぐって、今国会会期も余すところ二週間余りになったところで、どう決着がつくのか広範な国民、有権者の皆さんがかたずをのんで見守っているという時期にあるということをお互いに確認したいと思うものであります。  ところで、参議院選挙で示された自民党過半数割れという事態は、消費税ノーという一点に凝縮し集約された厳粛な国民審判であったことは明らかであると思いますけれども発議者の皆さんはこの点どうお考えでしょうか、お答えいただきたい。
  230. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) その点につきましては、全くそのとおりだと思っております。
  231. 山中郁子

    山中郁子君 以降の問題もそうでございますけれども発議者の皆さん方はそれぞれ所属される政党、会派が違っていらっしゃいますから、私がお尋ねすることについて御答弁のニュアンスが違うという御意見がおありになれば、それぞれお答えいただいて結構でございます。  この問題は、参議院選直後あるいはその後も引き続きさまざまな発言が自民党の幹部の方からもなされておりますけれども、例えば金丸さんは消費税はリコールされた、それが参議院選挙の結果であったということが伝えられて話題を呼びました。また、現在の橋本大蔵大臣は、当時幹事長でありましたけれども参議院選挙直後に、選挙後消費税は多くの国民によって否定されたという趣旨の発言をされたことも新聞に報道されております。そういうことも、今私が申し上げ発議者の皆さんの御確認されたことを裏書きしていると考えます。  したがって、私は、この参議院選挙の結果、よくマスコミなどでも言われておりますさま変わりした院の構成のもとで、国民の期待にこたえるべき第一の問題は、何にも増して優先してこたえるべき第一の問題は消費税廃止する法案を可決することであって、一刻も早くその実現を見ることのために努力することが参議院そのもの並びにとりわけ当委員会に課せられた責務であると考えておりますが、この点についても発議者の皆さんの御見解を伺います。
  232. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) そのように考えておりまして私ども消費税廃止に関する九法案を提案いたしておりますので、速やかに可決していただくようお願いを申し上げているところでございます。
  233. 山中郁子

    山中郁子君 私はこのことについては、この参議院税制特別委員会審議が開始された以降、非常に遺憾な事態が続いたということも考えております。それは後においおい質疑の中で取り上げてもいきたいと思いますけれども、まず今私が申し上げたい点は、早速私ども参議院議員が本日の本会議の中で身をもって改めて確認をしたことであったと思うのです。  これはきょうの夕刊でございますけれども、日経それから私はちょっと手元にあるので朝日新聞を持ってまいりました。つまり、「昭和六十二、六十三年度予備費「逆転」参院で四十年ぶり否決」ということがかなり大きな記事として伝えられているわけであります。「参院は一日午前の本会議で、昭和六十二、六十三年度の予備費使用六案件のうち、竹下首相の外遊費用支出を含む三案件を社会、公明、共産の三党と連合参議院、参院クラブなどの反対多数で不承諾(否決)とした。予備費の不承諾は昭和二十四年以来、四十年ぶり。」と。朝日新聞では、特にそうした記事に加えて、政府答弁や学説では内閣に政治的責任が残るとされているというようにも報道されております。  私はお互いに参議院の皆さんが共通して経験をしたきょうの本会議の事態でありますのでとりわけこの問題を強調したのでありますけれども、そういうことを前提として、まさにこの参議院に国民皆さんが凝縮して集約的に求められた消費税廃止するということを何としてもなし遂げるという観点で、発議者の皆さんに以降御質問を申し上げたい。ぜひとも率直にそして今最初に御答弁いただいたようにお答えもいただき、その国民の期待にこたえていきたいと思います。  次には、今進められている自民党消費税見直し問題でありますけれども、これに触れて御見解を伺いたいと思います。  自民党がいわゆる見直し案づくりなる作業をずっと進めている中で、新たな矛盾を生んだりさまざまな要因が出てきてなかなかまとまらないで四苦八苦されている状態だということは既に御承知のとおりであります。これは海部さんが再三、十一月中にまとめるというふうにいわば公約をしてきている、約束をされてきていることでありますけれども、同時にそのことによってさらに海部さんの責任と指導性が問われているという事態になっているということもお互いに共通して認識できる事実であります。現にきょう現在も、まだ今現在で私が認識している範囲ではまとまっているという結論は伺っておりませんし、ニュースなどではまとまる段取りができた、あるいは今晩じゅうにはなどということも伝えられているようでありますけれども、そういう実態に今あります。  この中で集中的に一つの問題となっているのが非課税範囲の拡大の問題ですけれども、このことについて私は、これが非常に国民をごまかすものであるということで既に我が党は批判を展開してきておりまずけれども、そのことについて最近発表されました政府税調の中間報告で次のように述べていることを皆さんにも思い合わせていただいて、御見解を伺いたいと思うものであります。  まず第一に、公平性の面、中立性の面、簡素性の面での問題を惹起する。それから、単なる生活実感で境界があいまいな非課税を設けることは経済取引と税務行政混乱をもたらし、国民の間の不公平感を高める。あるいは転々流通する物品について非課税を設定すると税の累積を発生させ、事業者事務負担を増加させるなど経済取引の攪乱要因になるなどと指摘し、否定的であります。ただ、それらの措置国民心理にどのように適合するかという点についての配慮が必要だと、中間報告はそのようにも述べています。  これは多くの問題点があって、私は政府税調にきょう来ていただいて質問するという予定をしておりましたが、御都合できょう来ていただけないということでありましたのでこれは政府税調に対する質問は省略せざるを得ないのでありますけれども、しかしこの問題は、この中間報告によれば、自民党見直しは要するに消費税を定着させていくための国民心理への適合、まさに政府税調中間報告が言う国民心理への適合の問題にすぎないということになってしまう。そういうことについては、この自民党見直し案づくりそのものについて廃止法案を打ち出していらっしゃる発議者の皆さん方の御見解を伺いたい。私はそれだけの問題じゃなくてもっとたくさんありますけれども、この国民心理への適合の問題にすぎないというその見直しの問題ですね、そのように政府税調が見解を、中間報告を打ち出しているということとの関連発議者の皆さんの御見解を伺いたい。
  234. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 御質問意味がちょっとわかりにくい点もございますけれども政府税調の中間報告というのは、いろいろな小委員長のコメントなども含めて私どもも絶えず注意を払っております。しかしこの中で言われておりますことは、結局今の消費税というのはもし非課税を拡大したりあるいは納税特例制度を扱ったりすると消費税そのもの整合性がとれなくなるのではないかというようなことを随分おっしゃっておりまして、政府税調としては見直し自体についても積極的に取り組むというお立場ではないのではないかなというような感じを持ちながらずっと見ておりますが、自民党見直し案が決まったら政府税調として意見をまとめるというようなことでもおありのようでありますから、その上でまた政府税調に対する私ども考え方も申し上げる機会があろうかと思っております。
  235. 山中郁子

    山中郁子君 もう一度、それじゃ端的にお伺いをいたします。  要するに、政府税調の中間報告では国民心理への適合だと、そのためには――もともと今久保発議者がおっしゃいましたように否定的なんですよね、見直しについて。だけれども見直しをするということについて位置づけるとすれば国民心理への適合という問題があるということが述べられているんです。私は今そういうことを引用しつつ、ほかにもいろいろ問題点がありますからそのことだけではありませんが、要するにそういうことの路線の上に立って自民党見直しを今いろんな形で国民にあたかも抜本的なバラ色の見直しができるかのように言ってきているし、またそれを出すと言っていること自体が、そのものがそういうまやかしにすぎないんだということを私どもは批判をしておりますが、この点について、自民党見直しなるものについて、中身の問題はともかくとして、とにかく見直すんだというそういうことについて、発議者の皆さん廃止法案を提出していらっしゃる立場からどのようにお考えかということを伺っております。
  236. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 失礼いたしました。私、先生国民心理への適合とおっしゃったのを、メンタルの方というふうに聞き取れなかったものですから、大変失礼いたしました。  それは、確かに消費税に反対する国民の気持ちを緩和させるためにという意味でおっしゃっておるんでしょうが、そういうようなことで解決する問題ではないと私は思っておりまして、ただ自由民主党がお出しになろうとしております見直し案というのはまだきっちり出てまいっているわけではありませんし、出せるのか出せないのかもう少し時間がかかると思っておりますが、今まで伝えられてきた内容のもので消費税の持っている本質的な欠陥、それから今度つくられた消費税の例えば納めた税金が国庫に入らないとかいう構造的欠陥、こういうものは見直しによって簡単に解決する問題ではないのではないか、非課税枠の拡大というものをどういう形でおやりになるのか、今伝えられているような問題はますます問題を複雑にするだけではないかなと大変心配をしながら、出てくる案を今待っているところでございます。
  237. 山中郁子

    山中郁子君 私どもは、見直し結論がいつどういうふうにして出るにしても、先ほどから申し上げておりますように、これは要するに選挙目当ての国民をごまかそうとするもので、消費税の本質は何ら変わらないという基本的な批判的な見解を持っております。私は、それは消費税廃止するということを公約に掲げてそれで参議院選挙を戦った者として当然のことであると思います。  私ども日本共産党は、昨年十二月末消費税強行採決された直後から、公約違反、国会決議違反で内容も世界一課税ベースの広い最悪の消費税で、廃止以外にないと主張してまいりました。七月の参議院選挙では、我が党を初め野党は一致して消費税廃止を公約に掲げ、見直しによる消費税存続を公約した自民党が過半数割れに追い込まれるという事態に相なったわけであります。  改めて私はまず確認をしたい。消費税を無条件廃止することこそ国民の意思を実現するただ一つの道ではないか、廃止こそ国民の意思でありその実行しかないと思いますけれども、その点について明確な御判断をいただきたい。
  238. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 消費税廃止そのものに条件はないと思っております。廃止廃止であります。  しかし、消費税廃止を提案するに当たって、私たちはこの税制改革をいかに進めるべきか、また当面この消費税廃止が国家財政の上でどういうふうな整合性を必要とするかというようなことについても、できるだけ国民皆さんにもその内容をお示ししてそして消費税廃止すべきである、こういうことで今回九法案を提案し御審議をお願いしているところでございます。
  239. 山中郁子

    山中郁子君 今の御答弁とかかわってまいりますので、私は次の具体的な問題に入りたいと思います。  今の点で重要なことは、私どもが一貫して主張し、かつ近藤議員も本会議や当委員会質疑の中で指摘してまいりましたように、消費税廃止のための障害を持ち込んではならないということであり、消費税廃止法案が正常に審議がされこれが可決されるということが国民の期待にこたえる道であるということであります。この間の本委員会の経過を見ましても、税制改革基本法案、代替財 源関連法案などが障害になっていることは明らかです。これはもう皆さん方がいろいろ苦労なさってきていらっしゃるという事実の上に立っても明らかであります。これは、この廃止法案以外の諸法案国民的コンセンサスが得られていないという弱点を持っていること、これが一つであります。  同時に、一方では自民党皆さん審議のスムーズな進行を妨げる、つまりは消費税廃止をするという法案が可決されるということをおくらせるないしはこれを流す、そのような思惑を持ってその材料に使われている。たくさんの方々の発言があります。新聞報道もあります。今さらとやかく言うことではありません。そういうことでも証明されたとはっきり言えると私は思います。  さらに、私はこの点をめぐって私ども日本共産党の見解をもう一つ明らかにしておきたいことがあります。それは、本来提出された法案をめぐる見解の相違、これは国会で自由に討議することでしかるべき結論を得るものであるということで、今回いわゆる憲法違反云々という先般の問題がありましたけれども、そのほか類似するものがさまざまありましたけれども、そのように自分の見解が容認されないからといって審議を妨害することは、まさに議会制民主主義に反する行為であるということを私は強調しておきます。国民皆さんが認め新聞もそのように報道した客観的事実に照らして申し上げます。  それから、こういう立場で私は次に国民税制改革協議会の問題をめぐってお伺いするわけでありますけれども税制改革基本法では、国民税制改革協議会設置の目的として第一条に、「広く国民の理解と協力を得る」と、このようにうたっておられます。それから同時に、「協議会は、税制改革の基本となる原則及び方針に従い、税制改革として行うべき具体的な措置について調査審議する。」、このようにも第六条で述べておられます。私はその第一条の「目的」のところに照らして初めに伺いますが、その意見を聞きこれをまとめることはまず立法機関である国会がその機能を発揮して行うべきことであると思うけれども、いかがお考えでしょうか。
  240. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) お答えいたします。  税制改革について広く国民意見を聞き、そしてその国民意見を立法機関がそれぞれ立法に反映させる、それは当然のことでございまして、第一義的にはそれが私は当然やるべきことであろうと思います。
  241. 山中郁子

    山中郁子君 であれば、この国民的コンセンサスの上でも弱点を持ち、さまざまな問題点の根源になっているこの国民税制改革協議会というようなものを消費税廃止の我々の今の課題に持ち込まないということが重要であって、したがってだから私どもは、近藤議員もかねて要求いたしましたけれども廃止だけを切り離してこれをやるべきだということについての御同意がいただけたものと考えてよろしゅうございましょうか。
  242. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) それは、先ほど税制改革についてのいろんな意見を広く聞くということについては立法機関である国会がその機能を果たすべきじゃないかというお話でございますから、それはもう立法機関でございますから当然そういうことはやるべきである、こういうふうに申し上げたわけでございます。しかしながら、私ども考えておりますこの税制改革協議会につきましては、これは従来から、もちろん設置の手続とかいろんなこともありますけれども委員も御承知のとおり、国家行政組織法の第八条で、国のいろんな基本方針とかあるいは考え方とか、そういうことについていろんな審議会等をつくって、そして諮問して御意見を聞くという制度ですね。  これ、大体国の中にもたくさんそういう制度がございますので、そういうことをしてやるということについては決して私どもは間違っていないと思っておりまして、現在政府税調というのがございますけれども政府税調の御意見では多少我々納得できない点がございますので、本当にこれからの新しい体制の中での協議会というのは、多少この協議会に力を持たせてそして未来のための、将来のための税制改革ができるように私ども考えでこういうふうな税制改革基本法の中でこの協議会の設置をうたい込んだわけでございます。
  243. 山中郁子

    山中郁子君 私がこの問題を強調いたしますのは、いわゆる中曽根内閣当時の審議会政治と言われた問題の持ったかなり重要な内容、本質的な問題との関連一つは申し上げているわけであります。  専門家の知識だとか、広く国民の声を聞くとかいうことは立法機関である国会が行うべきことであって、さらにそれを具体的に現在審議会、諮問機関いっぱいあります。これがどういう弊害をもたらしてきたかということを私はここで強調したいわけでありますけれども、そういう面で言うならば、例えば公聴会だとか参考人質疑だとか、そういうものももっといろいろ工夫して、今までのような形式的なものに過ぎてしまうようなことでないような、そういう場合がないようなものに充実していくことが必要だと思っておりますけれども、なぜこのような協議会方式を持ち込まなければいけないのかということは、これがコンセンサスを得られていないということと同時に、皆さん方の御提案の中で、また御答弁の中でも今までもあったんですが、基本的な問題がそもそもあると私は考えています。  例えば協議会のメンバーは国会の同意を必要としているという今までの御答弁もあったし、とはいいますけれども、内閣総理大臣の任命する一行政機関である審議会、そういうものにすぎないわけで、このようなところに改革の基本的な方向だとかそれに基づく具体的な内容をゆだねるというそういうやり方は、私が先ほどから申し上げているように、とりわけ中曽根内閣が悪用してきた審議会政治と軌を一にする危険を持つものになる、そのように申し上げなければならない。まず、その点についてはどのようにお考えになっていらっしゃるか。
  244. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) その点につきましては、私も中曽根内閣のいわゆる審議会政治ということにつきまして相当ここで議論をしてまいりました。私どもは、中曽根内閣の時代のいわゆる審議会政治とは全く違うと思っております。  それはどこが違うかと申し上げますと、中曽根総理が一番やったのは、法律に基づかない、特に私的諮問機関をたくさんつくりまして、そしてその私的諮問機関の御意見をあたかも法律でつくった諮問機関の御意見と同じような扱いを随分いたしました。具体的に申し上げてもよろしゅうございますが、たくさんあります。そして、そういうふうな審議会政治というのは日本の行方を危うくする、そういう心配があるということで私はここで何回も取り上げたわけであります。  そういうふうな意味では、いわゆる法律に基づかない審議会でございますから、それは委員の選び方にいたしましても、例えば教育に関する研究会とか、防衛に関する勉強会とか、文化に関する勉強会とか、いろいろありました。そういうふうなものはすべて中曽根ブレーンと言われた中曽根さんの好きな方を大体集めまして、そしてその一つ一つの御意見というものが例えば臨調、教育臨調のときとかそれぞれのときに、それぞれ中曽根さんのいわゆる国民意見だとして出てきたわけでございまして、そういうふうなことをやってはこれはいけないという私たちの基本的な考え方に立っております。  したがいまして今回も、先ほど委員もおっしゃいましたが、その委員の承認にいたしましてもやはり国会の承認がきちっと必要である、そういうふうにしないといけないというふうなことも織り込みまして、先ほど委員が一番初めにおっしゃいました予備費の、きょう不承認になったわけでございますが、憲法でうたわれております、憲法八十七条で予備費の承認のことがうたわれているわけでございますが、本当に新しい時代になったわけでございまして、そういうふうな意味では私どももこれからの時代を考えまして、本当に将来の ために役に立つ法律を何とかしてつくりたい、そういう願望でつくらしていただきましたので、ぜひ御賛同いただきたいと考えております。
  245. 山中郁子

    山中郁子君 峯山議員が諮問機関のことについて多く議論されていらっしゃるということについても私は存じております。しかしそれは、諮問機関であるとか、審議会であるとかの違いじゃないんですね。私はそこのところを申し上げたい。本質の問題は、いわゆる審議会政治というふうに申し上げましたけれども、先ほど峯山議員が御答弁の中にいろいろありましたように、中曽根さんが自分のブレーンを集めてそれで自分の都合のいいようなことを言ってもらって、そしてそれがあたかも国民の代表の声であるかのように国会に押しつける、そういう結果を招いたことが審議会政治として大きな糾弾を招いたわけです。  私は思い起こしていただくまでもないとは思うのでありますけれども久保議員もこの点については、いっぱいあります、私もいろいろ見せていただいて記憶もたくさんあるのですけれども、これは社会党の政策審議会の発行された「政策資料」の一九八五年十二月の「巻頭言」の中で述べられておることであります。次のように書いていらっしゃいます。「議会制民主主義を否定する御用審議会の乱用で、どんどん世論をつくり上げてしまう。御用審議会の一つ臨時教育審議会は、教育基本法の精神にもとづいて審議することになっていたはずなのに、審議会が教育基本法の解釈を審議すると言い出す始末である。戦後政治を、こんな政治家に総決算されてしまってからではもう遅い。」ということを、ほかにもたくさん久保議員は述べていらっしゃるわけでありますけれども、ひとつ私は今そういうことを思い起こしていただきたい。  それからさらに、これは山口書記長が述べていらっしゃることでありますけれども、同じく「政策資料」の八七年でありますが、「臨調、行革審の在り方については、少数者による密室・諮問政治、国会軽視、戦後民主主義と福祉国家の追求のもとで培ってきた社会保障、地方自治などの政策理念・体系の蓄積の放棄、という重大な問題が発生しています。」というように述べておられます。  また、発議者のお一人である小川議員も、これは国会での質問の中でありますが、同じく臨教審に当たって、「しかるにこの法案は、総理大臣直属の審議機関を設け、その委員は総理大臣が任命し、会長は、委員の中から総理大臣が指名することになっています。これは国家権力が、教育に直接介入し、教育の中立性を脅かすことになり、国民は強い危惧の念を持って、注視いたしております。」。  その他多くありますけれども委員長でおられますので土井委員長が述べていらっしゃることもちょっと紹介をさせていただきます。これは八九年の二月十三日、ことしの代表質問の中でありますけれども国民の政治参加に関して一票の重みを平等に近づけることを主張されて、以下のように述べておられます。「そうした是正を責任があいまいな審議会や私的諮問機関にゆだねたりすべきではありません。」、そのように述べておられる。  私は、先ほど峯山議員の御答弁はありましたけれども法律的に言うならば、臨教審、また臨調、行革審、そうしたものは皆さんがおっしゃるそういうものを備えることになるんです。私どもは、その点でいわゆる審議会政治というものにつながるこの税制の基本などについて国民税制改革協議会というようなものを設ける必要は何らないし、そういうことが持ち込まれていることによって、消費税廃止ということだけでとにかくやってほしいという国民皆さんの期待にこたえられない障害をつくり出しているということを申し上げているわけでありますので、ぜひともこの点についてはそういう立場に立っての御見解を聞かせていただきたい。
  246. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) 私の名前までお引き出しをいただきまして、思い出しておりましたが五年ぐらい前で、その後の衆議院で物の見事に落選したことを思い出したわけでございます。これは余計なことでございますけれども。  確かに、あの時点における単なる直属機関としての審議会というものは問題でございますが、今回私たちが提案しておりますのは中曽根内閣のいわゆる審議会政治と言われるものと軌を一にしているつもりはございません。今回の税制改革基本法で設置しております国民税制改革協議会というのは、八条機関ではありますが、国会で御審議をいただいて法律によって改革の基本原則、基本方針をきっちりお決めを願って進行し、また委員国会の同意を得てとこういう形で私たち考えているのでございますから、どうかその気持ちをお酌み取りいただきまして、消費税廃止関連の九法案あわせてぜひ御賛同をいただきたい、速やかに御可決を願いたいものとお願いを申し上げる次第でございます。
  247. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) ちょっとだけ補足さしていただきます。  先ほどから御指摘がございましたように、そういう心配もたくさんあるわけでございますが、委員ここで一つだけお考えいただきたいことがあるんですけれども、それは委員が今回の質問のしょっぱなにきょうの新しい事態の話をされました。  これは要するに委員国会の承認が要るわけです。したがって、従来のようにいわゆるゆがんだ方向にはならない。といいますのは、野党がみんな反対したら否決されるわけです。だからできないわけでございまして、総理もやはり与野党ともゆっくり――委員の選び方も変わってくる、今までと同じではないということだけおわかりいただきたいと思います。
  248. 山中郁子

    山中郁子君 時間も限られておりますので、私は、つもりというふうに小川議員もおっしゃいましたし、今峯山議員もそういう立場に立ってやるのだとおっしゃったけれども、これはもう私が申し上げるまでもありません。法律ができればそれはひとり歩きするということを私たちは今までいろいろな経過の中で、だからこそ我々は法律をつくるに当たっても本当に実際に議会制民主主義の立場に立ってやってきたわけです。つまり私どもは、こういうことを積み重ねてきて国会を形骸化してきた自民党が、今それにほおかぶりして消費税廃止法案審議を妨害しているのはもってのほかだということを申し上げているんです。  こういう策略というか、そういうものはかねてから考えられているけれども、要するにその弱点がこういうところで露呈されていて、いわゆる参議院選挙での消費税ノーの国民審判にこたえるためには、私は今率直に申し上げるけれども、行きがかりを捨ててそしてそういう集約されてきた国民の声に今こたえるために、廃止法案を他の財源法案と切り離して速やかに可決するべきではないかということを申し上げているわけであります。  それから、先ほどから政策能力、あるいは言葉にして言えばそういうものを示すためという今までの審議の中の御見解もありましたけれども、こういう法案で示さなければならないということはないのであって、逆にこういうことによってさまざまな障害をつくり出すもとをつくり出しているということで、私は結局自民党皆さんが、今までの経過の中でも廃止法案そのものについては何も攻めることができないけれども、このほかのことについていろいろいろいろ攻めてきている、そして審議をおくらせているということが何よりの証拠じゃないかと考えております。  自民党の言う消費税廃止した場合の六兆円をどうするかということを、何も私はここで発議者の皆さんたちがどこからひねり出すかなどということを考える必要はないと思います。それは国民消費税はだめだという審判を下したのだから、それを政府が率直に受けとめるならば、金丸さんも言ったし当時の橋本幹事長も言いました、消費税がリコールされたのだと。だったら、それを率直に受けとめて、消費税をやめてどうするかということは来年の予算案の中で政府が示すべきものであり、それに対してそれぞれ政党も国民意見 を言う、そのことによって新たな審判をまた政府が受ける、自民党が受ける、政権与党が受ける、そういうことが当たり前な理屈だと思いますが、そのようにはお考えになりませんか。
  249. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 山中先生の御意見も御意見として一つの見識だというふうに思いますが、確かに本来は消費税廃止、大型間接税に依存しないこういう財源の確保というのは政府責任であるというふうに思うわけでございますが、私ども責任政党として国民に対して政策責任を示す立場からこの代替財源法案をただいま国会に提案し、御審議を願っているところであります。  消費税廃止は確かに約六兆円の国民減税になりますので、その財源国民に明示することはやはり責任政党として当然の責務であるというふうに私ども考えております。消費税廃止法案を初め九法案が速やかに可決成立し、私どもが提示しております代替財源が来年度予算案の中で予算に取り入れられることを切に私どもは願っておりますので、九法案の可決にぜひとも御協力をいただきたいと存じております。
  250. 山中郁子

    山中郁子君 私が申し上げているのは、どうしてここでその政策能力を示さなきゃいけないのということなの。示すところはいっぱいありますよ。この問題は、国民消費税はだめだって言ったんだから政府消費税をやめればいいんです。やめなきゃいけないんです。それで、その財源をどうするかということは政府責任で、政権与党の責任考えるべきことなんでしょう。それで、こういうふうにやりますよと言って出してきたものに対して我々は、この問題については私たちはもちろんちゃんとした見解を持っていますよ、責任ある見解を持っています。今までも、例えば軍事費を減らせとか不公正税制を是正せよとか、いろいろいっぱい言ってきています。だから、そんなものはみんなお互いそれぞれの見解に自負を持っていると思いますよ。  だけれども、今消費税がだめだという審判が下った以上、政府はこれを直ちにやめて、やめるという国民の声をちゃんと実行して、それでそれではそれによって起こる自分たちの思惑の今までの違いはどこから捻出するのか、あるいはどういうふうな予算を組むのかということは政府がやって、そしてそのことに対して国民審判するということじゃないんですか。そのことが基本じゃないですか。  基本だということをお認めになるとするならば、なぜその上にさらにここで皆さん方の政策能力なるものを、責任なるものをお示しにならなきゃいけないのか。なおかつ、そのことは世論の中で国民のコンセンサスが得られていないという問題が持ち込まれることになるということでありますので、端的にお伺いをいたします。
  251. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私どもも、国民がノーと言った審判が下ったわけでありますから、即時廃止という方向で、そしてその中でその財源は一体どうするんだということで、自民党さんから言わせれば減税も含めて全部返してもう一回見直しをすべきだという意見も我々の四会派の中にもあったわけでございますが、結局、終局的には四会派一致で、やはり国民の前にこの六兆円の穴埋めをどうするんだということもやっぱり廃止法案関連法案として代替財源法案を、五法案を示していこうということで見解が一致をいたしました。  そういった意味で、山中先生の御見解も御見解として私ども受けとめておるわけでありますが、私ども会派はけんけんがくがく論議した末、やはり責任政党として責任あるそういう財源案についても出さしていただいたところでございます。
  252. 山中郁子

    山中郁子君 発議者の皆さんの中でもけんけんがくがく議論になるようなことでしょう。だから、国民の中にはけんけんがくがく議論があるんですよ。コンセンサスは得られないの。そういう現状のもとにあるということを私は重ねて指摘しておきます。だから、そういう問題が持ち込まれることを国民的コンセンサスでは一致し参議院選挙審判も受けている消費税廃止法案を可決する上での障害にしてはならないということを、繰り返しですけれども申し上げます。  それで次には、同じく再改革基本法案の中で、基本方針でサービス、流通への課税の検討が明記されている点について、やはりこれも今と同じような立場で、国民的なコンセンサスも得られないし、消費税廃止するということでの障害になるという観点からお伺いいたします。  これが新間接税あるいは中型間接税さらには大型間接税、そういうものに限りなく近づいていく危険を持っているということは既に近藤議員が指摘してきたところであります。近藤議員に対する皆さん方の御答弁の中でも、消費税廃止によってサービス課税が一切なくなるからそれにかわる課税のあり方を検討していただく、こうおっしゃっているんですけれども、新しい大型間接税に道を開くのではないかという疑念がいよいよ強まっています。それは私の見解ということじゃありませんよ。先ほどから山中先生の見解と何回もおっしゃるけれども、私の見解また私どもの党の見解というだけには決してとどまらない、国民皆さんの中での疑念になっているということを私は申し上げています。  まずサービスに対する課税についてでありますけれども、サービスに対する支出は家計支出の半分ぐらいを占めている。先日の本委員会質疑の中で、散髪だとかパーマだとかいろんな項目が挙げられて、そういうことについてどうなのかという御質問があったと認識しておりますが、それについても検討するという御答弁があったというふうに承りました。そうすると、一体これらのサービスは個別に課税されようとしているのか、それとも一括してサービス全体に課税されようとしているのか、つまりそういうことをどういう提起をされているのかちょっと明確にしていただきたい。
  253. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) サービス・流通課税の問題につきましては、先ほども答弁申し上げましたように、第五条第二号のニで「サービス、流通等に対する適正な課税の在り方について検討を加え、その結論を得る」、こういうことを明記しております。これは先ほどから議論がございますように、個別間接税に復元しますとどうしてもやはりサービス関係、流通関係がほとんどなくなる、そういう意味でこの課税の問題を提起したわけでございますが、これは率直に言って今後二年間税制改革協の中で議論をいただくという前提でそこで合意を求めたい、こういう立場に立っておりますので、今おっしゃったようにはっきり何と何だとこういうわけにいきませんけれども、私の私見から言えば、先ほど申し上げましたように間接税で復元するものを整理改善する、こういうところに議論の焦点が残されてくるのじゃなかろうか、こういうふうに思います。  どういうことかといえば、例えば通行税、入場税、印紙税、有価証券取引税などの流通税、地方税で言うなら料理飲食税や娯楽施設利用税、電気・ガス税、こういったところがスタートとなるのじゃなかろうか、こう思っております。
  254. 山中郁子

    山中郁子君 そうすると、要するに個別に課税するという考え方が基礎になっているというふうに承ってよろしいのかどうか。  それからまた、今佐藤議員は私見によればというふうにおっしゃいましたけれども発議皆さん全体の合意としてそのように考えていらっしゃるというふうに承ってよろしいのか、伺います。
  255. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 基本的な考え方は思想が貫かれておると思うんです。総合累進課税方式、これを基本にする。そして、これを主にして従は間接税でいくということが基本だと。そして消費税廃止、こういう大型間接税の導入はやらない、こういう基本を前提に立てて進めているわけですから、そんなに言われているような心配は毛頭ないと思います。  どういうことを考えているのかと言われることでございますが、これも何回もここで答弁しておりますが、二年間の国民税制改革協議会の中でそ ういう問題も、経済的には非常に大きな範囲の流通の問題ですから、どうするのかこれはそこで検討していこう、そういう範囲しか今のところ答弁としては出られないわけでございます。
  256. 山中郁子

    山中郁子君 もう一つ流通の問題でありますけれども、これは具体的にどのような課税を考えておられるのか。メーカー段階、卸段階、小売段階、どの段階にしても、個別にかけるのではなく一括してかけるということになるのじゃないかと私は皆さん方の今までの御答弁や提起されている中身については考えるんですが、いかがでしょうか。
  257. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 先ほどパーマとか何か言われましたけれども、そういうサービスにかけるということまでは言っているわけではないんですね。今まで答弁の中でもそれにかけるということはだれも言っていない。そういうこともひっくるめて検討するということでございます。  それから流通については、今付加価値税のような全段階のそういうものを考えているわけではない。そういうことじゃなくて、流通の段階でも今幾つか間接税をいただいているやつがありますね。そういうのもひっくるめまして、一体どうするかこれからしたいと。しかし、全段階ああいう付加価値税のような形でずっとかけていくというような考え方は、もうこれは最初からないわけです。
  258. 山中郁子

    山中郁子君 今の御答弁ですけれども、私はもう時間もないから余り横道に入るつもりはありませんけれども、もちろん私も承知しております。そんなことを皆さん方がかけるんだなんというふうにして決めて提起しているなんということじゃなくて、そういうことを議論するんだということでおっしゃっているそのことに対して、そういう中身、皆さん方考えている中身には何が入るのかと言って、この前たしか沓掛議員の御質問だったんじゃないかと思うんですけれども、いろんな項目が出ていましたね。  そうしたら、そういうお考えになっていることの中にはそういうものはみんな入ると。それはかけるとかかけないとか、そういうことを皆さん方がおっしゃったという意味じゃないんですよ。そういうことは当たり前なことなので、ぜひ余り時間をとらないようにしていただきたいんですけれども。  ですから私が思うのは、今個別のサービスそれから流通への課税の検討としてうたわれているそのことが、結局片や物品に対する課税、それから片やサービスに対する課税、これをつなげることになっていくのかどうか。そういうことになっていくということになれば、これはやっぱり大型間接税になるのか。かつて社会党の伊藤政審会長が述べられたというふうに伝えられている中型間接税というふうになるのか。あるいはまた、新しい何か新型間接税みたいなものとして呼ばれるようになるのか。そういうようなものに通じていくんじゃないですか。そういうことは皆さん方考えていらっしゃること、提起されていることがもし合意されてできたとすると、それは例えば何と呼ぶべきものになるんですか。
  259. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) トータル五兆九千億円に匹敵する消費税廃止すると、さあそこで財源問題、先生はそれはもう考えぬで廃止だけでいけ、こういう先生の理屈、それは理屈です。私どもが今提案しているのは、それに対してまず第一に総合累進課税でやはり応能負担の原則を最初にきちっと貫く。そしてその後さらに財源問題というのがやはり出てくる可能性だってある。だから国民税制改革協議会で、そういう場合には間接税を従として、そして今八十五品目と同時にその他のことも考えの範囲に入る。しかし、それは今までの経過からして大型間接税にはならない。消費税導入の反省の上に立って今度の基本法の精神が貫かれておるのは御承知のとおりだと思いますから、私はその経過からして、先生は大変心配されておりますけれども、そういうことにはならない。大型間接税あるいは中型間接税かという議論も余り必要なことではないのではないか、このように思います。
  260. 山中郁子

    山中郁子君 あのね、いろんなふうにおっしゃるけれども、だって実際にこの法案の中では、基本方針でサービス、流通への課税の検討というのがうたわれているんですよね。だから、そこのところを私は申し上げているの。結局それを何と言うか、あるいはどういうものになるかということをどう分析するかは別として、私どもはこういう極めて大きい、今までも何回も指摘してまいりました大型間接税に限りなく近づいていく、あるいは中型間接税と言うのか、あるいは新型間接税と言うのか、今国民が一致して消費税という大型間接税を拒否した、そこのところでまたこれが出てくるということが、一審議機関にすぎないはずの皆さん方のおっしゃる国民税制改革協議会なるものにゆだねられるということは、議会制民主主義に反する大問題ではないかということを申し上げているわけであります。  この点の具体的な問題としてさらにもう一点だけきょうの議論として申し上げます。それは入場税のことであります。  我が党の近藤議員が本委員会でも指摘いたしましたけれども代替財源法案については世論が分かれている。私も先ほどから主張しました。その大きな問題の一つとして入場税があります、個別の問題で言うならば。それで、皆さん方の案では、代替財源として入場税を復活するとされていますけれども、これについて本会議答弁では、代替財源についての間接税の基本的考え方は、昭和六十三年度税制に戻すということ。入場税についてもこの考え方に沿って復活させているが、税率を下げ、免税点も復活させた。将来は文化、芸術への課税は好ましくないと考え、そのような結論が出るものと想定しているというふうに久保議員答弁をされています。  そこでお伺いいたしますが、一たん消費税導入前の状態に戻すのが基本的考え方だと言いながら、間接税すべて戻していらっしゃるわけじゃないですね。砂糖消費税だとかトランプ類税だとか木材引取税だとかは復活させていない。にもかかわらず、六十三年度税制に戻すということだけで入場税復活国民の中でこれはもう本当に大きな悪評高いものでしょう。何が文化国家かということが大きな国民的な世論になっている、そういうものをなぜ復活させなきゃいけないのか。この問題は、国民世論が大きく同意できないものとして大衆運動の面でも皆さん方にもたくさんの陳情が行っているはずですよ。私たちもいただいている。  そういうことをどうしてあえてこういうものを持ち込むのか、だからこそ私はこういうことと切り離して消費税廃止をやりなさいということを言っているんです。
  261. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 大変御熱心な御意見をお聞かせいただきましたが、私どもこの入場税について随分いろいろと検討をいたしました。入場税には映画、演劇、それからもう一つ競馬、競輪などもあるのでございます。それで、今度のこの入場税につきましては、消費税は全部にかかる。しかし、私どもが一応復元いたします入場税は映画等で二千円、演劇等で五千円の免税点を設定いたしております。  したがいまして、かなりな部分は実際には入場税はかからない。しかし、今お話しのように芸術文化政策、そういったような立場から、この二年間の検討の機会に入場税については将来これはなくしていく方が望ましいのではないかという意見が多数あることも承知いたしておりましたので、私、本会議であのような御答弁を申し上げている次第でございまして、映画の二千円、演劇の五千円までは消費税三%がなくなって税金は一切かからなくなっているという事情も御理解をいただきたいと思います。
  262. 山中郁子

    山中郁子君 もちろんよく知っております。しかし、今御答弁の中だけでは解決できないです、具体的なことだけ言っても。つまり、そこが免税点だから苦労して苦労してそれで抑える、そういう芸術運動に携わっている人々の切実な願いがあ る、願いというか声があるんですよ。本来ならよりよいものをつくりたい、だけれどもそのためにお金がかかったらまた税金がかかる、こういうことで、そういう面では皆さん方がその免税点で芸術活動に参加している人たち、また国民の芸術を享受する権利というものが保障されているとお思いになったら、それは私は考え方としてお間違いだと思います。実態としてそういう部分が今現在はあるということはあっても。それが一つです。  それからもう一つは、本来理念上からいって、芸術活動に税金がかかるなんということはやはり大変おくれた国の実態ですよ。  そういう意味から私がぜひとも皆さん考えていただきたいと思いますのは、具体的に最近でも、一九七四年に百五十六万人、一九八七年、ごく最近ですね、百九十四万人と多くの請願署名が行われて、つい最近も百七十万の署名を携えて国会への要請行動が行われました。皆さん各党でも多分応対されたと思います。この方たちが、せっかく消費税廃止される条件ができて私たちの念願がかなうと思ったのに、また入場税の復活だなどという亡霊はもう本当にやめてほしい、免税点五千円で五%の税を取ってもわずかな額で、こういうことで何で亡霊の復活をさせるのかということを本当に切実に言っておられまして、やはり文化、芸術へ課税するということの基本的な理念の問題と実態の問題、両様あわせてからも大きな問題がある。  私は、これは国民的な合意が得られていない一つの問題として、しかも大変積極的な運動が展開されている一つの問題として、いわばそういうことに携わってきた人たちの神経を逆なでするような、そしてそういう運動に共感を示してきている国民の神経を逆なでするようなことを持ち込むなどということのどんな必要があるのか、また、だからこそそういう問題が国民的なコンセンサスを妨害しているということを重ねて申し上げざるを得ません。  それで、理事会の御協議により、きょう私は約一時間程度で終わるというお話でございましたので、引き続きは四日の月曜日になるということでございますので、最後に一点だけこの入場税の問題についてお伺いいたします。  入場税撤廃の声に対してこれまで政府大蔵省は、国税で数少ないサービスに対する消費税一つである入場税、こういうふうにして、今後のサービス化時代を考えると廃止すべき税目であるというふうには考えていない、こういうふうに答えているんですね。これは衆議院の大蔵委員会での我が党の正森委員質問に対する主税局長の答弁です。つまり、サービス部門というものが広がったので、そこに着目してサービス課税を強化することを考えなければならない時代だ、だからサービス課税の一つとして現存する入場税を撤廃することはできないし、これをよりどころにしていこうという、これが政府大蔵省の言い分だったんですよ。このことは御存じですか。
  263. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 存じております。そのような考え方は私たちのとらないところであります。  それからなお、先ほど山中さんがお話しになりましたけれども、私ども税制の面からも芸術、文化に対して御発言のありますような立場で今後検討を進めなければならぬと思っておりますけれども、芸術、文化に対する、その創作活動に対する国の予算措置のあり方も今私は大変問題の多いものだと思っております。これらの点についても、税制の面からだけでなく積極的に芸術、文化の振興のための予算措置等について努力をすべきものと考えております。
  264. 山中郁子

    山中郁子君 私はもちろん、今総予算審議をしているわけではないので、したがって入場税の問題についてお伺いをしているわけでありまして、今久保議員が御答弁なさいましたように、当然のことながら、ただいまのような日本の国の予算がその芸術、文化分野に税制だけじゃなくてもっと手厚い、尊重をしていくという態度を貫くべきであるということは、我が党が一貫して主張してきているところであります。  にもかかわらず、今大蔵省がそういうことを言っているということを知っているとおっしゃりながらやっぱりこういうものを出されているということは、結局発議者の皆さん方大蔵省と同じ考え方に立っているというふうにつながっていく、そういうことを知っていらっしゃるのだったらなおさらのことそれはお出しになるべき筋合いのことではないんじゃないかということを重ねて強調し指摘をいたしまして、本日のところの私の質疑は終わらせていただきます。
  265. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 九案に対する本日の質疑はこの程度といたします。  次回の委員会は来る四日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十分散会