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1989-11-30 第116回国会 参議院 税制問題等に関する特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月三十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  十一月三十日     辞任         補欠選任      西岡瑠璃子君     大渕 絹子君      細谷 昭雄君     三石 久江君      橋本  敦君     諫山  博君      野末 陳平君     秋山  肇君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中村 太郎君     理 事                 井上 吉夫君                 沓掛 哲男君                 宮澤  弘君                 村上 正邦君                 稲村 稔夫君                 及川 一夫君                 本岡 昭次君                 矢原 秀男君                 近藤 忠孝君                 古川太三郎君                 寺崎 昭久君     委 員                 伊江 朝雄君                 小野 清子君                 大木  浩君                 梶原  清君                 鎌田 要人君                 北  修二君                 久世 公堯君                 佐々木 満君                 谷川 寛三君                 前島英三郎君                 松浦  功君                 松浦 孝治君                 守住 有信君                 山岡 賢次君                 吉川 芳男君                 穐山  篤君                 上野 雄文君                 大渕 絹子君                 粕谷 照美君                 渕上 貞雄君                 細谷 昭雄君                 前畑 幸子君                 三石 久江君                 村田 誠醇君                 安恒 良一君                 山口 哲夫君                 木庭健太郎君                 常松 克安君                 中川 嘉美君                 諫山  博君                 高井 和伸君                 下村  泰君                 秋山  肇君    委員以外の議員        発  議  者  久保  亘君        発  議  者  佐藤 三吾君        発  議  者  梶原 敬義君        発  議  者  小川 仁一君        発  議  者  峯山 昭範君        発  議  者  太田 淳夫君        発  議  者  笹野 貞子君        発  議  者  勝木 健司君    政府委員        経済企画庁物価        局審議官     田中 章介君        大蔵大臣官房審        議官       濱本 英輔君    事務局側        常任委員会専門        員        竹村  晟君        常任委員会専門        員        保家 茂彰君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○消費税法廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○消費譲与税法廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○地方交付税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○税制改革基本法案久保亘君外七名発議) ○法人税法等の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○通行税法案久保亘君外七名発議) ○物品税法案久保亘君外七名発議) ○入場税法案久保亘君外七名発議) ○地方税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議)     ─────────────
  2. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を開会いたします。  消費税法廃止する法律案消費譲与税法廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 北修二

    北修二君 ただいま議題になっておる九法案についてまず御質疑をいたしたいと思います。  野党四会派が提案されている税制改革哲学についてお尋ねをいたしたいと思います。  何事でも大きな制度改革するには、それなりのきちっとした哲学があって初めて改革を進められるものと思いますが、過去の歴史から見ても、指導者は練られた哲学を持って事に当たってきたことはおわかりいただけると思います。このたびの税制改革という大きな改革を断行されようとしているとき、税の哲学なるものが理解できない。既に四月一日より実施されている税制の大きな柱、消費税廃止を主張する以上は、まず消費税にかわる現実的な代案をあらかじめ示すことが筋であります。野党消費税の即刻廃止を繰り返すだけで、税制改革の具体的な内容を二年後に先送りしています。  今回提出された税制改革基本法を見ると、第一条の目的で、この法案税制改革なるものの趣旨環境整備基本原則及び基本方針といった総論を書き並べているが、具体的な改正内容は、これらからつくる国民税制改革協議会にすべてを白紙委任し、改革中身は二年後に先送りしています。具体的内容の先送りは、野党各党性格から見て恒久的税制意見調整が困難と考えてか、その隠れみのにしている便法ではないか。  消費税廃止そして税制改革を唱える以上は、二年後に再改革をする税の哲学青写真国民示してほしい。いかがでございましょうか、お答え願いたいと思います。
  4. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 北委員にお答えいたします。  確かに税制改革というのは、税の哲学と申しますか、理念に基づいて論ぜられなければならないものであろうと思っております。したがって、今回この税制改革に関して消費税の存続か廃止かということについて議論をいたします場合に、今委 員御指摘のように税の理念哲学、そういうものの上に立って論議が行われなければ、単なるこの消費税の単一の税の問題を論ずるということでは十分でない、私どもそう考えております。消費税導入ということに一体税哲学がどのように存在したのであろうか。私どもはその点に深い疑問を持ちながら、税の理念、私ども考え税哲学というものを、今度の消費税法廃止法提案するに当たりましては、趣旨説明におきましても、また再改革基本法の中でもお示しをしたところでございます。  私ども消費税法廃止を求める税の理念と申しますのは、あくまでも税制というのは国民信頼合意に基づかなければならない。その信頼合意に基づいてつくられてまいります税の制度というのは、税を納める側の立場が十分に理解をされて、公平公正であり、そして税の本来の使命ともいうべき所得と富の社会的再配分目的に沿うものでなければならない、こういう立場で私どもは我々の持つ税の理念哲学の上から消費税をどうしても認めることはできない。こういう立場に立って廃止法を提出しているのでございます。  今、再改革基本法や今後二年後に確立されてまいります再改革青写真というものがないではないかということでございましたけれども、私ども理解では、再改革基本法にこの我々の税に対する基本的な理念示し、そしてこれに基づいていかなる原則税制改革が行われるべきか、そしてその方針はどうあるべきかということをお示しいたしておりまして、私どもはそういう原則方針をかなり明確にしながら、国民税制改革協議会にその具体的な改革案づくりについての御意見を求めていこう、こういうことでお示しをいたしておりまして、先生の今の御批判に対しては、私どもとしては十分にその点について国民の皆さんにもこの廃止法、再改革基本法を通じて御理解をいただけるのではないか、こう考えております。
  5. 北修二

    北修二君 ただいまお聞きをしたところによりますと、哲学青写真というものが漠然として明確でない、こういうように思います。漸次その内容についてお聞かせ願いたいと思います。  税制改革基本法には、「我が国の現在及び将来の経済社会に対応する税制を確立」、「所得資産消費等に対する均衡のとれた課税」と書いてあるが、これは先般の政府自民党税制改革趣旨内容が同じであって、この文章を読む限りでは政府自民党税制を否定する理屈は出てこない。また法案では、「直接税を主とし、間接税を従とすることを堅持し、」と書いてありますが、先般の税制改革の前後を通じ、直接税が主、間接税が従であること自体にも変わりはないわけであります。ただいま提案されている税制改革趣旨政府自民党税制改革趣旨は同一の内容が記されていることから見ても、税制改革それ自体必要性理念は全く不明瞭であって、少なくともこの法案を見る限りでは理解できない。この点、法案発議者として論理的に説明をしていただきたい。
  6. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今先生が御指摘になりましたことは、先ほどお尋ねございまして私がお答え申し上げましたそこのところで違ってくるものだと思っておりまして、世の中には似て非なるという言葉がございますけれども、確かに政府税制改革法と、今回私どもが御審議をお願い申し上げております税制改革基本法では、いわゆる文章の面では大変似た表現がございます。  その点を申し上げておきまして、最初に私が指摘申し上げなければならないことは、昨年の政府改革基本法は、消費税導入を柱とした税制改革必要性を強調するために策定されたということでございまして、不公平感の払拭とか、広く薄く課税する必要があるとして、所得課税減税との抱き合わせで消費税導入を図られたものでございました。私どもが今回提案いたしております税制改革基本法は、消費税廃止を前提とした税制改革基本原則等を定めたものでございまして、この点におきまして提案目的、意図は全く異なると申し上げてもよいのではないでしょうか。  また、民主的な手続により形成された国民合意でありますとか、総合課税主義基本とする応能負担原則を重視しながら、応益負担原則にも適切に配慮した上で、直接税を主とし、間接税を従とすることなどを私どもが明記いたしておりますことは、広く薄く課税するとして消費税導入を目指されました政府改革基本法内容とは大きく異なる点でございます。  また、所得資産消費等に対する課税均衡という文言もございますが、「資産」と「消費」の順番が変わっただけにすぎないのであって、同じような表現ではないかという御意見もございますが、その意味するところは違うのではなかろうかと思っております。政府改革は、所得課税減税して消費税による消費に対する課税をふやして税収数字上のバランスをとっていこうというものでありますけれども、私どもは、総合課税主義などを重視する原則的な考えからそれぞれの課税内容を問うている点が違うのではなかろうかと思っております。  また、「消費」と「資」産を入れかえて「消費」の後に「等」を付しておりますのも、消費に限定されない分野に関する課税消費等に対する課税として分類されることもあることなどを勘案いたしますと、これらの点も、私ども順序を変えているだけではないかということではないのではないか。そういう表現を用いておりますことにも特段我々としては問題はないと思っているのでございます。  全体として、そういう今申し上げましたような立場からいたしますと、やはり基本的に、文面としては大変相似たところがございましても、そのよって立つ基本消費税を中心にして著しく異なるものだと考えております。
  7. 北修二

    北修二君 大蔵省来ていますね。  政府自民党税制改革基本理念とはいかなるものであるか、わかりやすく砕いて説明をいただきたい。
  8. 濱本英輔

    政府委員濱本英輔君) お答え申し上げます。  改革前の我が国税制基本的な枠組みができましたのは、御承知のとおり四十年ぐらい前のことでございまして、この四十年間、世の中は大きく変化いたしました。古い税制枠組みではどうしても変化した新しい状況に対応していくことができなくなった、そういう状況をどうとらえるかということなんでございますけれども改革前の税体系の仕組みの基本にございます所得課税、これはつまり勤労というものに着眼し、働けば働くほど重い税がかかってくる。しかも、所得の中に捕捉されやすい所得と捕捉されにくい所得があるということが広く認識されるようになってまいりました。  そういうことによって生じます重税感あるいは不公平感というものはぬぐうことのできないものになってまいりました。一方、新しいいろいろなぜいたくあるいは便益といったものを含みます消費というものに対します課税がアンバランスなものになってまいりました。そういう側面からも税に対する不満が募ってまいったと我々は感じました。  折から、将来に向けましてだんだん税を支払う人たちとそれからその税によって恩恵を受ける人たち割合というものが変化していくと考えました場合に、今までどおり働けば働くほど重い税金を課していくというそちらの方向へ傾斜していっていいんだろうか、これはやっぱり部分的な手直しということではなくて税の基本的な枠組みに手をつけていただかないことにはどうにもならないというふうに感ぜられた。  そういう認識のもとにどういう基本的な理念によって手直しを行うかという議論が長く続いたわけでございますが、やはり改革基本理念といたしましては、一つには税制に対する最も重要な国民信頼というものをつなぎとめていきますための負担の公平ということをどうして実現していくか。それから、生き生きした経済活動というものに税が加わっていきまして経済活動ということを ゆがめるということがあってはならない、それをどうして阻止するか。あるいは税金というのは非常に複雑なものになりがちでございますので、わかりやすくて、できるだけいろいろな事務負担がかからないような、そういう簡素な税制をつくるべきであろう、そういう基本理念に立って改革が行われたわけでございます。  この精神は、税制改革法第三条に法文として明記されたわけでございます。そして、所得消費資産という課税対象というものにバランスのとれた適正な税制改革を目指したところでございます。
  9. 北修二

    北修二君 ただいま政府自民党税制改革基本理念について審議官から説明がございましたが、それでは野党税制改革基本理念はどうか、御説明をちょうだいいたしたい。
  10. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 先ほど税制改革基本法についても申し上げましたし、また先生最初理念哲学ということについてお尋ねがございましたので私お答え申し上げたつもりでございますが、今大蔵省の御意見も聞きながら、公平とか公正、国民信頼合意、それから社会的再配分機能、こういうものを各面から考えてまいりまして、用語は同じでありましてもその用語をどのように解してやっていくかということについてはいろいろな見解があるものだなと、こう思っておりますが、私どもは今回消費税をめぐって今論議されております税の理念哲学という立場からはこの消費税は認めがたいものである、このように考えております。
  11. 北修二

    北修二君 望ましい税体系とは、ただいまもお話がございましたように、所得消費資産の間で均衡のとれた税体系であると考えるが、この点どうお考えですか、お聞きをいたしたいと思います。
  12. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 先ほどお答え申し上げたのでありますが、私ども所得資産消費均衡というのは、これを定量的にバランスをとるということを重視しないのでございまして、それぞれの所得資産消費が日本の税制の中でそれぞれ公平にそして税制度の中でどういう役割を果たしていくかという点に重点を置きながら均衡のとれたものとしてまいりたいと考えておるのでございます。
  13. 北修二

    北修二君 野党の再改革法案では、第四条で、所得資産消費に対して均衡ある税体系の構築を図ると言うが、政府自民党税制改革法では、第二条で、所得消費資産に対する課税を適切に組み合わせることによって均衡がとれた税体系を構築するとなっており、野党税制改革法の違いは、所得資産消費か、所得消費資産かといった単に消費資産順序が変わっただけで基本的考え方は同じであると考えるがどうかというお話がございました。順序が違うだけでないかと。しかしあなたの方は中身が違う、こうおっしゃるわけでございますが、私としては順番が変わっただけでないか、何ら変わりがないではないか、こういうように理解をいたしておるところでございます。  近年、税収に占める所得課税偏りが著しくなってきている一方消費課税割合が低くなってきたわけでありますが、具体的に申しますと、昭和二十五年のシャウプ勧告のときには消費課税割合は三七・一%だったのが、その後減少し、税制改革前の六十三年度には一七・八%まで低下しております。このような消費課税役割低下は、野党税制改革基本法で言う所得資産消費に対する均衡ある税体系に照らして問題があると考えませんか。そのお考えお尋ねいたしたい。いわゆる三七・一%だったよ、一七・八%になりましたよ、下がりましたね。シャウプ勧告の二十五年は間接税というか消費課税はうんと高かった。そして六十三年は低くなってきた。それに対してどういうようにお考えになっておるか。
  14. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) ちょっと恐れ入りますが、聞き漏らしましたので。六十三年度の直間比率をどのようにおっしゃいましたでしょうか。
  15. 北修二

    北修二君 二十五年のシャウプ勧告のときには消費課税割合が三七・一%だったのが、その後減少して昨年は一七・八%まで低下した。このような消費課税役割低下野党税制改革基本法で言う所得資産消費に対する均衡ある税体系に照らし問題があると考えませんか。そのお考えをお聞きいたしたい、こういう意味でございます。おわかりになりましたですか。
  16. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) はい、わかりました。私がちょっとお尋ねいたしましたのは、政府統計によります六十三年度補正後の地方税を含めた直間比率が一七・八%と今先生おっしゃいましたものですから、そういうふうになっているのかなというのでちょっと調べさせていただいたのでございまして、多少数字が異なるようにも思いますけれども、それは御質問の趣旨ではございませんので、後ほどまた私どもも確認をいたしたいと思っております。  確かに先生お話しのように、間接税税収全体に占める比率がずっと低下いたしておりますことは私どももそのとおりだと思っております。しかし、私どもはその原因には今日まで直接税、とりわけ所得税等に関する減税措置が大変おくれていたというようなこともバランスの上では一つ原因でもあったろう、こう思っております。また、直間比率が開いているから税に対する不公平感が高まっているとは私ども考えていないのでございます。したがいまして、直間比率を定量的、数字的な面だけで対比をして、これが税の公平を欠くという見方は私どもはとらないところでございます。  再改革基本法の中にも、そういう意味で直接税を主とし間接税を従とするという立場税制改革を進めて、そして公平な税制としていかなければならぬと思っておりますので、その点では均衡というものを数字で見るか、それぞれの税制中身が公平公正に確立されしかもその両者が相互に主と従の関係で組み合わされていくという形になるかどうか、そういう意味均衡ということを考えるという立場の違いではなかろうかと思っております。
  17. 北修二

    北修二君 今もお話しございましたしまた審議官から答弁のあったように、近年本格的な税制改革がなかったために税体系の中で負担給与所得そして個人の稼働所得に偏る一方、その裏腹として消費課税ウエートが著しく低下してきたわけであります。これをそのまま放置した場合には、所得への負担偏りが一層進み重税感不公平感がますます増幅されると思う。こうした事態を是正するために先般の税制改革では所得課税の大幅な軽減、消費税導入などで所得消費資産に対する均衡のとれた税体系を組み立てたのでありますが、提案者はこのことをどう評価いたしますか、お聞きをいたしたいと思います。
  18. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) これまでも再三その点について御議論がございまして、私どもは五十九年以来本格的な所得税減税が行われなかったことにかんがみても所得税減税は優先して進められるべきであるという立場を貫いてまいりました。この点について、所得税減税がかなりの規模で行われ、しかもこの税率の区分につきましてもこれが簡素化されるという方向になりましたことは、この点については私どもも一定の評価をいたしておるのでございます。  しかし、消費税がこれとの見合いで導入されるということにつきましては、このことに対して国民理解合意を得られないまま強行されたということ、しかも消費税制度がその性格においても内容においても大変大きな欠陥、欠点、弱点を含むものであるということで国民の反対を受けている、こういう立場からも消費税導入したことは正しくなかった、こう思っているのでございます。
  19. 北修二

    北修二君 望ましい税体系を示さずして、いろいろ久保さんお話しでございますが、こういうことが望ましいとはっきりお示しがないわけでございます。税制のすべてを国民税制改革協議会に白紙委任するのか。また、野党案のように六兆円の 消費税廃止して一兆三千億の物品税を復活すればますます間接税ウエートは低くなりますが、これは野党税制改革基本法で言う所得資産消費に対する均衡ある税体系に照らして問題があると考えませんか。
  20. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 不公平感というものを、それから重税感というものを考えれば税制改革を進めなければならない、この点については私どもは全く同じ意見に立つものと言ってもいいと思うのであります。しかし、不公平感とか重税感とかいうものがどこから生まれたか、そしてそれは一体何であるか、今日の税制の中で国民が求めている、不公平税制というものを税制改革の中でどう是正していったか、こういう問題についてきちんと見きわめなければ、所得税減税したからそれはもう消費税導入する十分なる根拠となる、理由となるということは、不公平感重税感をなくするということで出発した税制改革目的とは違うのではないかと私どもは思っております。  不公平税制は、今日なお是正を急がなければならない課題をたくさん抱えております。これらの点について私どもは再改革基本法の中でも「原則」並びに「方針」としてそういう点をきちんとやろう、こういうことをお示ししているのでございまして、決していわゆる白紙一任で、我々が税制改革について何にも理念哲学もなく、基本的な考え方もなく申し上げているという御批判は全く当たらないのではないかと考えております。
  21. 北修二

    北修二君 ただいまのお話であると、所得資産消費というこのバランスの問題ですね、均衡の問題。これは公正公平、そういう意味で、税制としては直接税を主としあるいは間接税を従とする、それであって均衡というふうにこの税法に書いてあるわけですね、そういう点ではどうも私は納得いかぬ。消費税廃止することしか考えていないで、将来の望ましい税体系についてビジョンは持っていないんじゃないか、こういう感じがするわけでございます。  私は、同じ論議をしておるでないかということでございますが、これは議論にならないんじゃないか、こういう感じを持っておるわけでございます。野党考える将来の望ましい税体系について説明をしていただきたい。
  22. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私のお答えがわかりにくくて同じ御質問を何回もいただくんだと思って恐縮いたしております。  私どもは、先ほどから申し上げておりますように、税制改革になぜ取り組まなければならないか、こういうことについてもう再三にわたって御説明を申し上げ、そしてその再改革国民の求めている消費税廃止を前提にして、そして不公平税制を是正し、今の税制の中にあるいわゆる不均衡国民的な立場から見ました場合の税制の不均衡というものを手直しをしていく、そのことに、私たちは皆さんと御一緒にもう一遍消費税をもとへ戻して、そこから取り組んでいこうではないか、こういうことを申し上げておるのでありまして、基本法にはその目的趣旨環境整備に関する問題、そして原則方針、各面にわたって私どもの意図するところを述べさせていただいておるつもりでございます。
  23. 北修二

    北修二君 今回の税制改革ですね、第三条に明らかにあるように、租税は国民が社会共通の費用を広く公平に分かち合うという基本認識のもとで、税負担の公平、経済の中立性、あるいは税制の簡素化を基本原則として実施されたところであります。  ところが、今回提出されている税制改革では、第四条で、税制改革基本原則として、「国民の租税に対する信頼を確立するため、税負担の公正及び公平を確保すること。」を挙げているが、税制の簡素化についてはどのように考えておるか、この点お聞きいたしたいと思います。
  24. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) お尋ねいただきました税の簡素化についてでございますが、確かに政府税制改革におきまして公平、中立、簡素化という理念を挙げられておることは私たちも承知いたしております。また、税制改革を行うことにとりまして簡素化ということはこれは大事な要素である、このことは私たちも承知いたしております。また、消費税導入のいろいろな参考にいたしておみえになったところのレーガンの税制改革におきましても、公正、成長、簡素という理念が掲げられておりますし、世界的な税制改革一つ理念になっておると思います。  しかし、この簡素化と申しますのは、やはり公正公平ということが大前提にならなきゃならないんだと思うんですね。公平公正というのを無視された場合にはこの簡素化というのはあり得ない、私たちはそう思ってこの基本法にも記載させていただいております。  ところで、いろいろ先生おっしゃっておりました政府税制改革におきまして所得税の税率のフラット化が行われたわけでございますが、この点につきましては私たちも評価はいたしますけれども消費税導入ということは決して簡素になったとは言いがたいんじゃないかと思うんです。  税というのは、私たち考えておりますのは、やはり国民理解して、そして合意した上でこれを納めるものである。ですから、だれにも理解できることが大事でありますし、しかもわかりやすく明確でなければならない、このように考えております。その点から消費税というものを見てまいりますと、免税点とか、あるいは限界控除であるとか、あるいは簡易課税制度ですか、そういうものが設けられておるために、税を納めるところの消費者にとりましては非常にわかりにくくなっておりますし、しかも納めたと思った税金がどこへ行くのかわからないという不明確さを持っております。その点が国民の大きな不信のもとになっているわけでございますね。  したがいまして、私たちはこの再改革基本法案で、一条ではございますけれども、最も基本は公正公平の確保であると、そういう立場に立っているわけでございます。当然その前提に立って簡素化は追求されるものである、このように思っております。
  25. 北修二

    北修二君 簡素化については理解をされておるようですが、今回の税制改革では所得税率の刻みを十二段階から五段階に、あるいは住民税は七段階から三段階に簡素化したところでありますが、税制改革では第四条で「税制の社会的再分配機能が十分に発揮されるよう配慮」と言っていますが、所得税や住民税の税率を昔のように複雑にしようと思っておるのかどうか。これは先ほども評価をするというお話がございましたが、私は税制全般、皆さん方の議論をお聞きすると、まあ憶測すると、税についてはできるだけ下には安くというかあるいは軽く、もう少し上に税を重くする必要がある、あるいはもう少し言うならばお金持ちやあるいは企業家に税を重点に課税すべきであるというような感じがするんですが、そこらあたりはどうなんですか、お聞きをしておきたいと思います。
  26. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) 先生おっしゃっておりますことは、税の社会的再配分機能のことをおっしゃっているんでいらっしゃいますか。私たちは公平ということは二つあると。すなわち所得の多い人はその所得に応じて納税していただく、これは垂直的公平でございますね。それと、同じ所得の人は同じだけの税金を納めていただく、これは水平的公平と申しますが、その両方が同時にこれが達成されますこと、それはやはり私たちが目標としておりますところの総合課税制度が達成されることが必要ではないか、このように考えておるわけでございます。したがいまして、この税制改革におきましては、その総合課税主義によります応能負担主義が達成されますことを私たち一つの課題として御審議願おうとしているわけです。先生おっしゃいましたように、所得の多い人がたくさん税金を納めていただくところにやはり税の再配分機能が働いてまいります。  いろんな例も挙げられるわけでございますが、東京都でいろいろと調べましたところ、一番税の負担の多い方々と申しますのは所得が二千万から 三千万の方々に税の率がかえって高い。それ以上の所得のある方々は、株とか投資とかいろんな面がございますが、そういういろんな収入というものは分離課税によって税が捕捉されない、掌握されない部分がたくさんあるわけです。かえってそういう二千万、三千万の方々に現在所得税負担が多くかかり、それ以上の収入があり余分に所得のある方々につきましては負担をしていただく税率がかえって低くなっているのが現状でございますね。そういった点でやはり不公平を正していかなきゃならないんじゃないか、私たちはそのように考えておるわけでございます。
  27. 北修二

    北修二君 これは太田さんに私は聞こうと思って言ったわけではないわけです。社会党さんは階級政党から国民政党に脱皮をした、こういうような感じのことを政審会長がおっしゃっておるわけですね。しかし一方、そういう考え方で言うと大きなものだけで対応する――垂直的公平とか水平的公平とかといろいろこれは議論をされておるわけですが、そういうことを思いながら申し上げたんですが、太田さんの御答弁については理解はしますが、そういう意味も含めてしたわけでございます。  それでは次に参りますが、簡素化の話をしておったわけでございますが、税制改革基本原則一つとしてこの簡素化は認めるべきではないか、こういう意味で申し上げておるわけでございますが、アメリカの所得税は一五%と二八%の二段階ですね。これはアメリカは所得は百七十八万ぐらいからと思いましたが、英国では二五%と四〇%の二段階ですね。英国は九十八万二千円になりますね、それから課税と。このように税制の簡素化は世界の流れである。また、経済への中立性は政府税制改革基本原則一つであります。  野党四会派は、税制の経済への中立性についてどうお考えになっておるかお聞きをいたしたいと思います。
  28. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) 税の経済に対する中立性についてのお尋ねでございますが、やはり税制にとりまして、先生お話しのとおり、経済への中立性というのは重要な要素でございます。税制改革によって経済の姿を大きく変えてしまうということはあってはならない。私たちも今回の再改革におきましてもそのように考えております。  そこで、先ほどの自民党さんの税制改革を見てまいりますと、やはり公平、中立、簡素化ということが掲げられております。これは私も先ほど申し上げました。しかし、税制改革の柱であります消費税というものについて見てまいりますと、簡易課税制度導入がございます、あるいは独禁法の特例を設けたこと、こういうことはやはりこの経済への中立性という問題から見ますと大きな問題があるんじゃないかと思うんです。それは、消費税の中には簡易課税制度、先ほど申し上げました、それが今は影響はございませんけれども、やがてそういう制度を利用することによりまして、企業の合併、あるいは子会社化とか、あるいはロボット化による雇用の縮小であるとか、そういうことが促されてくる。いわゆる経済に介入するような形になってくるおそれがあると思います。あるいは、現在でも卸業のみなしマージン率の問題がございますが、これによりまして、何と申しますか、卸業扱いになった場合には一〇%というみなしマージン率でございますので、それを利用しましていろんな業務の形態が変わってくるとか、やはりこれも経済への中立性の介入ではないかと思うんです。  そういう点を考えますと、私たちもこの税制改革におきましては基本法四条、五条におきまして基本原則基本方針が掲げられておりますけれども、その中で先ほどから御論議になっておりますところの均衡のある税体系、これはやはり税制の持っておりますその中立性ということを私たちは大事に考えながらこれから御審議賜りたいと、このように思っておるわけです。
  29. 北修二

    北修二君 今いろいろ御指摘もございましたが、これはやはり消費税導入の経過の一部としてこれを始めたわけでございますが、これは一年経過をすれば当然それは改善をすべきで、御指摘のないようにやることが最初からの目的でございますから、経過の一部であると、私はさように理解をしておるわけでございます。  今回の税制改革について税制の中立性の原則に配慮して、例えば企業が国内で活動する場合と海外に進出する場合では税制が企業活動に中立になるよう法人税を国際水準まで引き下げたところでございますが、間接税についても個別間接税制度から一般的な消費税制度に移行することによって物品税課税、非課税のアンバランスを解消し、消費に対して税制が中立的になるよう配慮したところでありますが、野党税制改革は公平でありさえすれば経済活動にひずみを生じさせてもよいとお考えになっておるのか、この点お聞きをいたしたいと思います。
  30. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) 私ども考えますに、やはり公平公正ということが税制の最大原則でございますので、先生おっしゃいますようなおそれは私はないと、このように考えております。
  31. 北修二

    北修二君 野党の創設する物品税税制中立の点で問題と考えますが、どうお考えでございますか、物品税について。
  32. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) 個別物品税のこと、あるいは私たちが提案している代替財源案ですね、それがある物には課税しある物には課税されないで、すなわち中立性から見て問題もあると、こういう御指摘かと思いますけれども、その点につきましては、自民党さんが見直しを今いろいろとお考えのようでございますが、もしも仮に出されたとしますと同じようなことが言えるのではないかと思うんですね。したがいまして、私たちも速やかに消費税廃止しまして、やはり中立性についても十分配慮をした国民合意税制改革を行う必要がある、このように考えておりますし、この代替財源案につきましては、物品税の復元というのは、これは多くの問題点のあります消費税廃止を私たち目指しておりますものですから、それにかわるものとして今提出している暫定的なものでございますので、決してこれは中立性に反するものではない、このように思っております。
  33. 北修二

    北修二君 野党が今回創設される物品税についてお聞きをいたしたい。  税制経済社会枠組み一つでありますから、安定性、連続性が不可欠であることは申すまでもございませんが、二年後に再改革するまでつなぎとして物品税の創設等が提案されておりますが、これでは、消費税導入廃止物品税の創設、さらに二年後再改革と、短期間で税制が何度も大きく、これは四回あるんですね、変更されることになりますが、国民経済、国民社会の混乱は耐えがたいと憂慮するが、この重大問題はどう考えておりますか、お答えを願いたいと思います。
  34. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 北先生、少し質問の要旨が聞き取れなかったからずれるかもわかりませんが……
  35. 北修二

    北修二君 言い直しますか、四回も変わりますよと……
  36. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) その点は、やっぱり私ども考えているのは、要するに消費税が一体いいのか悪いのか。私どもは、消費税はこれは非常に逆進性が強い。その消費税で占める税収の総額は約六兆円に上る。この消費税廃止するという前提の上に立ちまして一体財源をどうするか。それは万々やむを得ないが、間接税の個別物品税、この復活やむなし、これを二年間。そして将来にわたりましては、この二年間で真剣にトータルの財源等と見合いながらこの個別間接税のあり方も国民税制改革協議会の中で検討していく。確かにくるくるくるくる変わりますから一体どうなのかと言われることにつきましては、やっぱりいいことはいい、悪いことは悪い。勇気を持って私はいいことに対しては早く決断をする。悪かったら早く引き揚げる。そしていい方に歩を向ける。このために若干のそういう面はあり国民の皆さんに迷惑をかけると思いますが、やはりいい方向に向かっていく、このような信念で考えており ます。
  37. 北修二

    北修二君 税制議論は本来税制として何が望ましいかという観点で論議すべきであって、当面の財源になりさえすればどんな税制でもよい、取れるところから取ればよいというわけではないと思う。特に、税制改革具体的内容が明らかにされていない時点において、二年間の代替財源の持つ意味は非常に大きいと考えるわけでございますが、その代替財源の主体が旧物品税など間接税の復活となれば、国民はこれが恒久財源化されかねないと心配し、国民生活の混乱は耐えがたいと思うがどうか、この点についてお伺いいたします。
  38. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 物品税が耐えがたいかどうかという御質問であったと思いますが、確かにそういう面もあるかもしれませんが、要するに、しかし逆進性の強い広く薄くみんなにかかってくる消費税よりは、品目を八十五品目に今限定しております物品税の復活、これの方が公平だと考えております。
  39. 北修二

    北修二君 十月の二十四日ですか、四党税制改革協議会が消費税廃止に伴う代替財源を発表する記者会見ですね。本来消費税廃止に伴う財源確保は予算編成権を持つ政府の責任であるが、四党の政策責任、政策能力を示すためにあえて提示したと説明していますが、これは毎日新聞ですね、十月二十五日。私はこの記事を見て四党の無責任さに怒りを覚える次第でございます。  また、十一月二十八日の当委員会で、沓掛委員から初年度に三兆円の歳入欠陥が生じると指摘され、久保委員が同様のお答えをしておるようでございますが、こんな無責任なことを発議者が語れる話ではない、私はこう思うんです。今施行される税制に反対する立場から消費税廃止関連法案を国会に提出する以上、みずからの党の責任において代替財源をまとめるべきであるという認識を私は持っているわけであります。代替財源確保は予算編成権を持つ政府の責任というのは、政権交代を求める提案者として極めて無責任である。しかし、代替財源のミスを指摘されれば、四党の政策責任と政策能力を国民に示すためあえて提案したと弁解されているが、これはまことに情けない限りである。税制改革という国家的重要な政策課題を持って対処するに当たって、野党四党は今政権交代を目指す限りにおいて政権政党の重大性について真に理解されていないように思うがどうか、この点についてお聞きをいたしたい。
  40. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) なかなか手厳しい御指摘でございまして、ある意味では私どもも真剣に考えなきゃならないことだと思います。  ただ、やっぱり予算編成権というのは政府にありまして、なかなか資料がない中で代替財源案を四会派が苦労してつくっているその状況についても、では立場をお変えになったときにどうか、この点についてもぜひひとつ御理解をお願い申し上げたいと思います。政権能力を示す云々という表現がいいかどうかは別といたしまして、精いっぱい努力をしてきたということに対しては、あとは能力不足と言われればそれまでですが、御理解をお願い申し上げたいと思います。
  41. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 北先生もよくおわかりの上でおっしゃっていることだと私は思いますが、代替財源案の問題について御指摘がありましたので、私の方からもちょっと補足させていただきたいと思っております。  まず、先般から私は何回もここで説明をさせていただいておりますが、制度改正による初年度あるいは平年度という書き方ですが、これは年度の当初に制度改正をやる場合には平年度と初年度と両方を提示しておられるわけです。これは政府もそうです。具体的に申し上げますと、例えば昭和六十二年の一月のあの売上税のときがそうでございますね。今回のように年度途中で制度改正をする場合、例えば政府の場合では前回の消費税のときがそうでございますが、そのときには平年度だけしか出してないわけです、政府も。これは私の手元にきちっとした資料がございますが、平年度だけしか出しておりません。  それで初年度という数字をいつ出すかといいますと、要するに次年度の予算編成のときに、予算書の中にあわせて出すわけです。それは今私の手元にも来ておりますが、平成元年度の予算の説明の中に制度改正による平年度と初年度という出し方をいたしております。これは私どもが前から説明をいたしておりますように、この中に詳細に説明がしてございます。したがいまして、私どもが前からここで説明いたしておりますこの財源案につきましては、私どもの申し上げたとおり何ら間違いもないし、私どもの主張したとおりでございます。  もう少し詳しく申し上げますと、例えば法人税の例を一つ挙げてみましょう。政府の資料によります平年度ベースで出しております法人税の減税は一兆五千二百十億です。これは政府の資料によります。政府の資料はこういう部分とパンフレットになった部分と二つございまして、こちらの方は一兆八千億になっております。そしてその次に出てまいりました資料は先ほど申し上げましたように法人税一兆五千二百十億です。そしてこの政府の資料によりますと、制度改正による法人税は、なぜ私がここで前のときにも見積もりがしにくいと言いましたかといいますと、今度は積算をしなきゃいけないわけです。私はどんぶり勘定と言って沓掛先生にしかられましたけれども、実際問題として積算をしようにも実際の資料がないわけです。基礎資料がないわけです。私は大蔵省に言いました、基礎資料を教えてくださいと。教えてくれませんでした。それをできるのは実際問題として大蔵省事務当局しかできないんです、残念ながら。  そして、今の法人税がこの制度改正の中では三百十億円の減税となっているわけです。なぜこういうふうになるかというと、要するに年度が違うから、初年度と平年度と年度が違うから、法人税そのものの伸びとかそういういろんな出入りがいっぱいあるわけです。そういうような中で調整をしてこの我々に示された制度改正による初年度の部分がどれだけと、こういうふうにきちっと大蔵省が示しているわけであります。こういうふうにいわゆる年度中間、途中でやる場合にはそういうやり方をするのが通常だと私どもは聞いておりまして、そのことを私どもはこの間から説明したわけでございます。  平年度、初年度合わせて二兆九千億、算術的にそうなるからそれがそれだけ欠陥になるというわけじゃないわけでございまして、そこら辺のところは十分おわかりだと思っておりますが、あえて説明をさせていただきました。
  42. 北修二

    北修二君 ただいまの点については沓掛あるいは鎌田委員からも子細に質問をしておるわけでございまして、各委員ともこれには納得がいかない。私も長い間政審におりまして予算の全般を審議してきた一人でございますが、変更する場合もやはり初年度の幾らになるということは明らかに計算しながら処置をしてきたわけでございまして、大蔵省が教えてくれないからわからぬということでは私は納得がいかない、こういうことでございます。  まあ今は物品税の問題をやっておるわけでございますので、次に、代替財源の一つに旧物品税を復活されたが、長く続けてきた物品税は今日の社会経済進展に伴い物の価値観も多様化して税の基準が不明確となってきた。一方、我が国の国際地位が高まって、既に物品税は貿易摩擦の対象にもなっているわけです。世界の先進国も物品税廃止してきている等から、物品税は今日の時代にそぐわないということで我が党は廃止することにしたわけであります。それにかわり、課税ベースを広くして一律に薄く公平に課税することとしたわけでございますが、今回物品税の復活の理由についてお考えをお聞きいたしたい。
  43. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 北先生、理由につきましては先ほど言いました見解の相違になると思うんですが、繰り返して申し上げなければなりませんか。
  44. 北修二

    北修二君 いや、よろしいです。何回も聞いて いますから大体わかりますが、確認をしておきたい、こう思って申し上げたわけでございます。  それでは、物品税課税対象品目の選定と税率の設定は何を基準とされたのか、この点ちょっとお聞きをしておきたい。
  45. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 課税品目は、前回生きていた八十五品目そのまま踏襲いたしました。  率につきましては、第一種のものが、旧物品税一五%のものを新物品税といたしまして一〇%、それから一〇%のものが八%、第二種は、一五%を超えるものを八%、そして一〇%を超え一五%以下のものを六%、一〇%以下のものを四%といたしました。比較的わかりやすくしたつもりです。
  46. 北修二

    北修二君 古いやつを四段階にしましたと。この中身についても、一度廃止した物品税から顧みますといずれも中身が非常にアンバランスだ、こういうふうに考えて私は批判を申し上げたい、かように思います。  それでは次に、サービス、流通についてお聞きをいたしたいと思います。個別間接税を改善してサービス、流通への課税について検討されることとなっていますが、消費税はサービス、流通に適正に課税されるものと評価していますが、その代案に個別物品税を土俵に持ち出してきたわけでございますが、この点どうなんですか。お聞きをいたしたいと思います。
  47. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) お答え申し上げます。  今お読みいただきましたように、基本法の中で、第五条二項のニで「サービス、流通等に対する適正な課税の在り方について検討を加え、その結論を得ること。」と、こうしております。これは、消費税廃止によりましてサービス・流通課税がほとんどなくなることから、それにかわる課税として問題を記したわけでございます。どのような課税をするか、それがまさに二年間の論議を経て国民合意をもとに決定する、こういうふうに考えておるわけでございますが、私見でございますが申しますと、現行三十七年間ですか自民党政府の中で愛され続けてきた国、地方の間接税、これをまず復元しておりますが、この整理、改善を議論されるべきではないか、かように考えておるところです。
  48. 北修二

    北修二君 全消費の支出の中でサービスに係るウエートは五〇%以上を占める段階に至っております。このとき、消費課税の中でサービスに対して課税されない個別物品税復活には幾多の問題が生じることは皆さん御承知のとおりでありますが、既に個別物品税制度については今日の経済社会には即応しないことは我が国においても経験してきたところであります。  そこで、個別物品税のままサービス、流通に対して適正な課税を行うことができると思うか。そもそも、無数にあるサービス、流通において課税、非課税を決める基準や、個別の税率を決める基準を見つけ出せると思うのかどうか。さらに、サービスに限らず、一般に新しい技術の開発によって新製品が次から次へどんどん出てくる。新製品にすぐに課税することができない。やがて量産が進み普及してくるともはやぜいたく品ではなくなる。このように無数に出てくる商品、サービスをその都度法律を改正して課税することができるとお考えですか。政府自民党は、このような事態にかんがみ、個別間接税はもはや時代おくれと考え廃止した。野党考えはどうか。まずこれについてお聞きをいたしたいと思います。
  49. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 確かにおっしゃるとおりに、個別物品税でもって対応するということは、基準を含めて大変難しい問題もございます。ですから、先ほど申し上げたように、これらについては純粋の立場議論できるこういう国民税革協の中で議論をしていただこうと、こういうふうに考えておるわけでございますが、個別間接税の場合は担税力に着目した課税でありますから、したがって課税品目は個別、限定列挙しておりまして、納税義務者も限られてまいります、限られた事業者になります。しかも、単段階の課税でございます。そういう意味で、消費税と違って、言いかえれば適切な基準とそして課税をするという体制をつくっていく。例えばそういうための委員会みたいなものをつくってやっていく。こういうことがなせれば、極めて合理的な、奢侈品であるとかもしくはサービス関係に対する課税も可能であるというふうに思うんです。  で、なぜ政府自民党で三十七年間この問題が持続してきたのか、それからまた、なぜああいうアンバランスな状態になったのか。それを一つ一つたどってみると、次々に新しい製品が出てくるということだけじゃなくて、多分にやっぱり政治的な圧力なりもしくはよこしまというか、そういうものが介在してアンバランスをつくり上げていったというのが率直な姿じゃなかろうかと私は思うのでありまして、言うならば、そういう面から見れば、やっぱり企業献金禁止、完全にそういったものの体制でないと適正な課税というものはできがたい。それが今の姿じゃないかというふうに思うのでございますから、そこら辺を含めて国民的な合意のもとにやっていくならば、私はむしろ消費税よりも個別間接税の方がいいんじゃなかろうか、こういうふうに思います。
  50. 北修二

    北修二君 圧力だとかあるいは云々というお話がありましたが、物品税については早くから、改善をしなきゃならぬ、これは改善することについては関係者も早くしてほしい早くしてほしいと。しかし、新しいものをつくるということについては、このように難しい問題があるわけですから、なかなか切りかえが容易でなかった。しかし国際的な諸情勢、そういうことを見ると、この際消費税に変えることが適切だ、こういうことで消費税に変えたわけでございますから、その点が、圧力だとか献金だとか、そんなことは私は聞いていませんし、サービスについてどうだこうだと言うのはおかしいじゃないか、こういうふうに思います。  いろいろ議論をしてまいりましたが、サービスに対する課税というのはそんな簡単にできるものではない。もしサービスに対する個別物品税でやるとすれば、とてもとてもその項目だけで容易でないだろう。あるいは仕分けするのも容易でないだろう。これから皆さん協議を国民税制改革協議会でやる、こういうお話でございますが、もしやろうとしても、二年間かけてもなかなかこれは結論が出てくるものではない、非常に困難なものだ、こういうように私は理解をいたすわけでございます。  大分時間がたちましたので次々進めていきたいと思います、大分飛ばしまして、時間の関係がございますから。  消費税廃止後に改めて四党提案の大型間接税導入するつもりでございますか。そうすると、国民、特に事業者は何度も経理の仕組みや値段のつけ方を変更しなければならないことになりますが、先般の税制改革は、所得税への偏りや個別間接税のアンバランス等、従来からの問題点を解消し、我が国の将来に向けて対応できる税制を築くために改革されたのであります。このような税制改革の必要は、野党は内心認識しているのではないか。この点どうですか。
  51. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) ただいまの御質問の点につきましては、根本的に、消費税導入し存続しなければならないというお立場と、消費税廃止して新しく税制改革にもう一遍取り組もうではないかという立場とは違っておりますので、同じような認識だとは考えておりません。  それから、先ほどから何回も法律が変わる、つまり税の制度が変わるということになれば国民生活や経済に混乱が起こるし事業者の皆さんに迷惑がかかるではないか、こういうことをおっしゃっておりますけれども、だからこそ消費税導入については拙速とならないよう十分な配慮が必要だったと考えておりますし、きょう発表されると聞いております自由民主党の側の見直しの内容によっては、今みずから御指摘になりましたようなことを拙速に導入した消費税のためにみずからお やりにならなければならなくなるのではないかな、これは見直しの内容を見てみなければわかりませんけれども、私そのようなことも心配をいたしておるわけでございまして、これらの問題はまず出発点に誤りがあった、そこでやっぱりきちっと税制改革のスタートからやり直す、こういうことが大事になってきているんだと私は考えております。
  52. 北修二

    北修二君 いろいろお尋ねしてまいりましたが、四党の税制改革協議会の税体系はいかなるものであるか示されたい。案も出さないで国民の声を聞くといっても現実性がなく、国民は納得しないと思う。  ところで、最近、消費税に関して各種の世論調査結果によれば、廃止というよりも見直しという国民の声が大きい。世論を見ますと、毎日新聞は廃止は三八%、そして見直しが五六%。読売新聞は四二%が廃止です、五五%が見直し。あるいは、朝日新聞は三五%が廃止で六二%が見直しだ。あるいは、NHKは四一%が廃止で五七%が見直しだ。こういうように、マスコミの世論結果は見直しか廃止かで見直しの方が上回ってきた。前の調査に比べて調査時点が新しいほど、明確に見直し存続の声が大きくなっていることについてどう見ておりますか。報道各社の論説には旧物品税の復活に厳しい批判が向けられておりますが、この点どうお考えになっておりますか、お聞きをいたしたい。
  53. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 委員がおっしゃるとおり、最近の新聞の世論調査等の資料を私も実はここへ持ってまいりました。私の資料は十一月十五日付の毎日新聞の資料でございます。これによりますと、委員がおっしゃいましたように、電話による調査の質問というふうになっておりまして、消費税についてどう思うかという質問に対しまして、廃止と答えたのが今委員おっしゃいましたように三八%、これに対しまして見直しが四三%、こういうふうになっております。それで、確かにこの中身をちょっと読んでみますといろんな問題がありまして、やはり「六十歳以上の男女と五十歳代の女性は廃止論が強く、高齢層の消費税への反発は消えていない。」というようなところ等を非常に私ども注目をいたしております。  先ほどから議論にもなっておりますように、先生も幾つか世論調査の結果を挙げられましたが、世論調査の結果は確かに見直し案がたくさん上回っているようであります。しかしながら、現在の時点では見直し案がまだ明らかにされていないわけでございまして、現在の段階で見直し賛成というよりも廃止の選択の方が確かな数字であると私は思っております。そういうような意味では、見直しいかんによってはいわゆる廃止になるという人もいるんじゃないか、そう思うわけです。見直しについて、例えば自分は免税点をどうかしてもらいたいと思っている人もいると思いますし、あるいは食料品の非課税を何とかしてもらいたいと思っている人もいると思いますね。それぞれいろんな人がいるわけでございまして、自分が思っているところを見直してもらいたいということで、自民党さんの見直し案が自分の思うところになれば確かにそれは見直しに賛成されるかもしれませんが、自分が思っていたところより違ってくると、これは確かにその見直しから変わる可能性もあるわけでございまして、そういうふうに私は受けとめております。  したがいまして、私は、いずれにしましても、さきの参議院選挙の結果をやっぱり国民の声として厳粛に受けとめて、一日も早く消費税廃止するというのが私ども立場でございます。    〔委員長退席、理事井上吉夫君着席〕
  54. 北修二

    北修二君 物品税の問題について二、三お伺いいたしたい。  物品税は二年間の暫定措置としてかなり税率を考慮されておられますが、もしこれが二年後の再改革で恒久税制化したとすれば、消費税に比べると課税ベースは小さいので、税収確保の面から当然税率は高くせざるを得ないという理屈になるが、この点どうお考えになりますか。
  55. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 税制改革協議会等の場で率の問題等についても十分全体を見渡して検討をしていただくということになっております。  あえて私、私見を申すとすれば、やはり今の経済諸情勢、あるいは皆さんの御意見も聞いておりまして、今私どもが提起しました率というのは非常に妥当性に近い線ではないかな、このように考えております。二種の場合は製造段階にかかりますから、消費段階では幾つかの商品を除いて今の三%の消費税に非常に近くなっている。下がっているのもありますが、そのように、これは私見でございますが、考えを申させていただきました。
  56. 北修二

    北修二君 今お話がありましたこと、これは三兆六千億ぐらいいわゆる物品税廃止であれしたわけでございますが、一兆三千億ですね、税率を下げたから。そうしますと、これはいつまでも自然増収を財源にするわけにいきませんから、その他の税もお考えでしょうが、このままではなかなか財源にはならぬ。恐らく相当見直しをしなきゃならぬ、あるいは皆さんが大型消費税と言うならば大型間接税をつくらなければならぬのではないだろうか、こういうように思うわけでございます。  各党の物品税に関して、仮にこの物品税は地域の伝統工芸を保持する観点から課税の対象より除外してほしいと国民から要請を受けた場合、どう対処しますか。民意を無視するのか民意を受けるのか、これが物品税の持つ問題の一つでございますが、この点お伺いをいたしたい。
  57. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) ただいまの問題につきましては、これは政策的な判断をケース・バイ・ケースで必要とする問題だと考えております。
  58. 北修二

    北修二君 物品税課税対象品目の選定あるいは見直しは二年かけて検討するので、とりあえず旧物品税対象品目をそのまま復元したということでありますが、それはそれなりに理解していますが、物品税を復活するという各党として物品税の税率格差の設定は今後どのような尺度でお考えになるんですか、今後の問題としてお聞きをしておきたいと思います。
  59. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 今暫定的に提案をしております物品税八十五品目につきましては、今まで行われておりました税率を基準にして、それをもとにして先ほど言いましたように段階的に下げました。これからの問題については、やはり周囲の状況、経済、国民生活を勘案して、国民税制改革協議会の中で十分バランスのとれた均衡のある税率を考え出していただきたい、このように考えております。
  60. 北修二

    北修二君 次に、税制改革のスケジュールについてお聞きをいたしたい。  国民税制協議会は、設置二年以内に協議会の審議結果を内閣へ報告されることになっている。結局は、再改革後の税制改革は平成四年四月一日から実施されると考えるが、それでよいのかお聞きをいたします。
  61. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) ほぼそのとおり考えております。
  62. 北修二

    北修二君 再改革法による協議会設置後二年以内に報告であるから、協議会設置までの期間、立法作業に要する期間等を考えますと、法律上は平成四年に新法が施行されるのは不可能ではないか。もしそうなら二年後再改革というのはまやかしでないか。これこそ国民から非難されるべき大問題になりはせぬか。漸次聞いていきますが、この点にまずお答えを願いたい。
  63. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 確かに、期間的な問題といたしましては窮屈であるのは事実であります。これは私どもは、今回の法律が成立をいたしましたら直ちに国民税制改革協議会を設置していただきまして、スタートをしていただきたいと思っているわけでございます。それで実際問題として、今おっしゃっていただきましたように、平成四年四月一日を実施といたしますと、遅くとも平成三年の秋口には報告が出ておらなければいけないことになるわけでございますから、そういうような意味では二年足らずの間にある程度の結 論を出していただくということになりますので、精力的に御審議をいただくということになります。
  64. 北修二

    北修二君 これからのプランを尋ねる前に、政府税制調査会が取り進めてきたスケジュールを参考に申し上げたい、こういうふうに思います。  昭和六十二年十一月十二日の第一回総会で、内閣総理大臣から、長寿福祉社会の維持のために、所得消費資産等の間でバランスのとれた税体系を構築することを目的とした諮問を受け、以来、地方公聴会を開催して直接国民の声に接するなど、広く税制全般にわたり検討を重ねてきたわけでありますが、その審議結果を昭和六十三年四月二十八日の第二十回総会において税制改革についての中間答申として取りまとめて、これを即刻内閣総理大臣に提出いたしました。もう少し具体的に言いますならば、総会は二十回、それから直接税特別部会が十三回、間接税特別部分が十四回、基本問題小委員会が八回、納税者番号等検討小委員会は四回、運営小委員会は四回、六十三回に及んでおりまして、そのほかに地方公聴会を全国の二十五カ所で開催して、精力的に税制改革の日程をこなして成案を得たわけでございます。  このような経過を踏まえて、次にお聞きをいたしたいと思いますが、政府税制改革関連法案消費税の元年四月実施を前提に前年の七月に提出されたのでありますが、野党政府案について拙速と批判されたのであります。野党みずから少なくとも実施より一年前には提出すると思うわけでございますが、提出の立法作業には三カ月を要するとすれば、少なくとも平成二年の、来年の秋には協議会の結論が出ることが前提になると考えるが、もしそうでないとすれば二年後再改革というスケジュールは物理的に不可能ではないか。具体的にこのプランの提示をしていただきたい。お聞きをいたします。
  65. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 今おっしゃったとおり、私も政府税調のお考えとかこういうスケジュールについては十分調べてまいっております。私ども税制改革は、何回か御答弁をさせていただいておりますが、いずれにいたしましても、今までのいろんな議論というものを全部無にして一から出直しというのではなしに、それこそ今までの過去十年間のあらゆる議論を踏まえてそして議論をしていただく、そういうことにいたしております。  したがいまして、私どもといたしましては、政府税調さんも、今お話にございましたように、中間答申までの相当いろんな細かい部会とかそれぞれの会合の話も今ございましたのでお伺いいたしましたが、四月二十八日に政府消費税の中間答申を受けまして、六月十四日に自民党の大綱が決定をいたしまして、六月十五日に政府税調のいわゆる税制改革についての最終答申が決まりまして、そして七月二十九日に政府税制改革関連法案を国会に提出いたしております。こういうふうな日程等も私どもは十分勘案をいたしました。  そうしますと、こういうふうな過去のいろんな事例もありますので、そういう点から考えまして私どももできるだけ早くこの税制改革をスタートさせていただきますと、大体平成三年の秋口にはほぼ成案を得ることができるのではないか。その間もちろん精力的に御審議をいただくということはこれは御無理をお願いしなくちゃいけない点も十分あると思いますが、ぜひそういうふうな方向になっていただきたい、こういうふうに点えているわけでございます。
  66. 北修二

    北修二君 二年後に再改革ということであればすぐに協議会を設置して協議に取りかからねばなりませんが、今答弁のありました三年の秋にはできる、こういうことでございますので、それはわかりました。  協議会運営についての青写真は恐らくできておるとこう思いますが、まず五十人の委員はどのようにして選ぶのか、国民各層を代表する者はどのようにして選ぶのか、各層とはどの層とどの層を言われるのか、その点をお聞きいたしたい。
  67. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 非常に厳しい御質問でございまして、私ども国民の各界各層からという言葉を使っているわけでございまして、その国民にいろんな層がそれぞれあるというふうに考えたわけでもないんですが、いずれにしましても、五十名の委員の選任に当たりましてはもちろん学識経験を有する者を選ぶのはもう当然でございます。それから、国民の各層という言葉を使っておりますが、それぞれのいわゆる政府が今まで選んできたいろんな問題もあると思います。基準はそれなりに私はあると思います。それぞれの層から選んでいただくということであります。したがいまして、学識経験者とそれから国民の各層を代表するという立場とはそれぞれ違うと私は思っております。  いずれにいたしましても、この法案が成立いたしますと、その選ぶ基準についてはこれは政府において決めていただくということになると思いますね。したがいまして、私どもといたしましては、そこら辺のところは政府において自由に対応できるようにしていきたい。そのために、こういうふうな基準で選べというふうなことについてはここでは私どもは拘束した規定等は一切考えておりません。  いずれにいたしましても、そういうような意味で選んでいただいて、この委員の任命については、前々からここでも議論がございましたが、両議院の同意を得て発令をされる、こういうことになると思います。
  68. 北修二

    北修二君 政府税制改革では、政府税調において中央及び地方で二十五回の公聴会を聞くなど国民の声に耳を傾けてきたわけでございますが、協議会では具体的にどう考えておりますか、その国民の声を聞くという点については。
  69. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 今まで政府税調さんがやってこられたそういうふうな会の運営の中身、それは当然私は必要なことだと思っております。したがいまして、具体的な会の運営の問題とか、あるいは事務局をどこに置くかとか、それから会長の選び方はどういうふうにするかとか、そういうふうなことについては実は私どものこの基本法の中ではうたっておりませんで、政令の中で決定をしていただきたい、こういうふうに考えております。
  70. 北修二

    北修二君 政令で政府でやってくれ、こういうことでございますが、近く政権をとられる皆さんでございますからお聞きをしておきたい。五十人の委員はどうやって取りまとめられるのですか。委員会の運営の問題ですね。全会一致ですか、それとも多数決ですか。もし国民各層を代表する人が集まっていれば全員一致は可能か、逆に多数決なら国民合意したと言えるのか、この点どうお考えになっていますか。
  71. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) それは大変難しい問題でございまして、実はそういうことにつきましては、今回の私ども提案いたしました法律の中にはそういうことは全くうたっておりません。これは運営の問題でありますので、運営細則とかそういうところで決めるか、あるいは政府のいろんな政令の中ですべて一任をしているということであります。
  72. 北修二

    北修二君 いろいろ申し上げてまいりましたが、国民税制協議会なるものを設けてそこへあるべき税制を白紙委任して、成案を得られたものはすべて国民の声としておのれの責任を転嫁して税制改革を進めようとしているのではないか。このことを申し上げて、私は意見としてたくさんまだあるんですが、簡単に結論だけ申し上げて、税制についての質問は時間ですから終えたいと思います。  次に、農政問題について各党の基本的な考え方お尋ねいたしたい。  先般行われた参議院選において各党は農政問題について公約をされ、その後さらに新しい提案などをされているようでありますが、我が国の農業は申すまでもなく食糧の安定供給、活力ある地域経済、地域社会の維持、国土、自然環境の保全など国民生活にとって基本的かつ多面的な役割を担っており、国家存立の基礎とも言うべきもので あります。したがって、農政問題は我が国にとって極めて重要な政策課題であり、各党よりいろいろな政策提言がなされることは歓迎すべきことと言えましょう。  しかしながら、各党の政策提言を研究してみますと、その中にはどう考えてみても農業に対する誤った認識に基づいているとしか考えられないようなこと、単に世間受けをねらったとしか思えないようなことが堂々と提案されているように見受けられます。  農業は自然を相手にする息の長い産業であり、そう簡単に生産の合理化あるいは方向転換をすることのできるものではありません。それだからこそ、一層その政策転換等には慎重でなければなりません。各党よりいろいろな農政提案がなされ、それが国民的な農政論議の端緒になるものと考えられますが、まことに結構なことと思います。農政問題は財政支出を行うことが不可欠の問題でありますので、税制を論議するこの機会に農政の問題についての各党の基本的な考え方をお聞きし、自民党と各党の農政に対する考え方の違いを明らかにした上で、農家の方々を初め国民に対し、農業政策についての正しい選択は何かということを明らかにしたいと考えております。    〔理事井上吉夫君退席、委員長着席〕  まず第一に、食糧政策について質問したいと思います。食糧は国民生活にとって最も基礎的な物資であり、一億二千万に及ぶ国民に対し食糧の安定供給を図ることは農政の基本役割であるとともに、国家存立の基礎であります。戦後四十年、日本人の食生活を振り返ってみますと、この間日本人の食生活は著しい変化を遂げました。一つは、食糧の不足の状態から現在は飽食が語られるほど栄養水準が大きく改善されました。もう一つは、栄養水準が向上する中でその食生活の内容が畜産物や油脂類の増加等、非常に豊かなものになりました。これはだれしも認めるところであると思います。食生活の改善向上の裏にはもちろん経済の成長があるわけでございますが、同時に、戦後の政府自民党による農業、食糧政策が適切であったと確信しております。  このような食糧状況の中で、まず参議院選前後から各党は選挙公約や独自の提案により自給率の向上を唱えております。もちろん、我が国のように制約された国土条件のもとにおいて、可能な限り国内での食糧供給力の確保に努めることが肝要であります。しかしながら、各党が提唱されている食糧自給率の向上の議論は、とかく自給率の数値は、実現性はともかく、大きければ大きい方がよいといった感のする上滑りの議論であり、根本的にあるべきはずの食糧政策のあり方、国民に対していかに安定的に食糧を供給し、豊かで健康的な食生活を保障するかという議論がなされていないように感じます。  そこで、各党が提唱している食糧自給率向上論について、まず各党の食糧政策の基本的な考え方、特に食糧政策の根幹とは何と考えているか、お尋ねをいたしたいと思います。まず社会党、公明党、民社党の皆さんにお聞きをいたします。
  73. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 今、北先生の御高説を承りまして、ほとんど認識を同じくするものでございます。ただ、戦後自民党の農業政策が正しかったという段については、私ども必ずしもそのようにすべて賛成はできないと思います。  私は農村の出身で実家が百姓でありますが、特に私の出身の県は中山間地が多い。そういうような状況の中でぐるぐる回っておりまして、今日の農業、農家、農村、農山村の置かれておる状況というのはあらゆる面から非常に深刻なんです。北先生、これは本当にそのとおりだと思います。  したがって、私どもは、確かに社会党は政策は出しておりますけれども、この農山村の緊急な非常に寂しい状況というのは超党派で、党派を超えて私は何とかしなきゃならない、我が国の将来を考えた場合にやはり何とかこれはしなきゃならない、そのような基本的な考え方に立っております。北先生もずっと長い間日本農業の発展に向けて非常に情熱を傾け努力されている面について伺いました。ぜひ、きょうはその点についてさらにまた御意見を承り、一緒に考えていきたいと思います。  私ども社会党が考えている食糧政策の基本的な考え方についてでございますが、「新農業プラン」というのを出しておりますが、そこで食糧、農業政策の基本国民に安全で良質な食糧を安定した価格で供給することを基本としております。そのために、農業の果たす役割を見直し、安定した食糧供給をするための食糧自給率、穀物自給率の向上を目指すこととしております。  さらに、その食糧自給率の考え方でございますが、少し長くなりますが、基本にかかわる問題ですから読ませていただきたいと思います。  食糧自給率については、御承知のとおりに食糧農産物総合自給率、主食用穀物自給率、飼料自給率、穀物自給率、カロリー自給率などの食糧自給率についての指標があります。我が国の農業生産力、そして食糧供給能力を示すことで重要な指標と考えておりますのは、米などを初め麦など食用穀物と飼料穀物を合わせた穀物自給率と、国民に供給するカロリーの指標であるカロリー自給率であると考えております。米などの食用穀物は当然でありますが、飼料は家畜の腹を通して卵や肉、牛乳などを国民に供給する重要な役割を持っている農産物と考えております。  我が国の穀物自給率は、かつて六〇%を長い間維持しておりました。最近における大量の農産物の輸入によって、一九八九年度には主食用穀物自給率で六八%は維持しているものの、穀物自給率は三〇%、カロリー自給率は四九%まで低下し、先進工業国では最低の水準になっております。私どもは、さきに第一次案として発表したこの「新農業プラン」の中で穀物自給率を引き上げることを最重点施策、このように考えて努力をしているつもりであります。
  74. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) 最初お尋ねは、食糧政策の基本的な考え方ということでございます。  農業は国の基本であり、農業政策が重要であることについては先生と認識は御一緒だと思います。現在の世界の食糧需給状況を見てまいりますと、長期的にはやはり不安定視する向きが多い、このように思います。  食糧はもちろん国民の生存に直結するものであります。したがいまして、私たちは万一の事態に備えておく必要があるだろう。そのために、一つには国内生産体制の整備を図らなきゃならない、二つ目には輸入の安定化、三つ目には備蓄体制の整備、やはりこれを図る必要があろう。そして、世界の食糧事情の不安要因を解消するためには、途上国内において自給率が向上できるように、また関係国から要請があった場合には技術、資本面から援助して差し上げることも必要ではないか、こういう考えを持っております。しかし、いずれにしましても、消費者のニーズの多様化、それに合わせまして、やはりできるだけ安全で良質な食糧を安く供給できる体制を強化すべきである、こういう考え方を持っております。  また、次にお尋ねの、食糧自給率に対する考え方ということでございますが、私ども考えておりますのは、やはり食糧の需給状況というのは長期的には過剰傾向と不足基調、これが繰り返されてくるのではないか。過剰傾向のときは自由化要求も強いわけでございますが、万一不足した場合には自国を犠牲にしてまで他国を救済しようというほど現実の国際関係は甘くないんじゃないか、こういう認識を持っております。そして、振り返ってみますと、昭和四十七年、八年の食糧危機のときも、アメリカは自国のインフレを防止するため大豆の輸出禁止を行いました。またこのとき、米の伝統的輸出国であるタイ国は、世界的なコーン相場が暴騰しましたので輸出ドライブがかかり過ぎる、そういうことで慌てて同じように輸出禁止をした、こういった事実もございます。それを忘れてはならない、そう考えております。  また、政府は自給力の維持強化と言っておりますけれども、これではいざというときに十分対応 できるかどうか疑問に考えているわけでございます。やはり平素から一定水準の自給率を維持していくことこそ万一の場合にも弾力的にこれは対応できるのではないか、またこの自給率という考え方で農業の衰退にも歯どめをかけることができるんじゃないか、こう考えております。  そこで、我が党は、先生指摘のように今カロリー自給率六〇%の実現を目指しておるわけでございまして、四年前にもそのカロリー自給率六〇%を目指すための私どもの試算をいたしております。それは米あるいは麦類、豆類、野菜、果実、牛乳、乳製品、肉類、鶏卵、砂糖、そういうような品目の中で需要及び生産量、それを一つ一つ私たちは計算いたしまして、国民一人当たりの供給熱量というのをいろいろと計算しました。これは自給率でございますので、輸出されたものについてもいろいろと計算しまして、その時点でも約五九%までは自給できる可能性がある、こういう試算をいたしております。その後いろいろと円高等の影響もございますので、また改めて試算していかなきゃならないなと、こういう考えを持っております。
  75. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 北先生のような農政問題の専門家に対しまして私のような農政のど素人が答えることは甚だ僣越とは存じますが、先生の御見識の高さに敬意を表しながらお答えさせていただきたいというふうに思います。  私ども民社党の食糧政策の基本的な考え方でございますが、御案内のように日本農業を取り巻く環境は極めて厳しいということでございます。しかし、豊かな農村社会と活力のある農業を維持発展させることは、やはり地方そして都市及び第一次産業から第三次産業までの調和のとれた発展、そしてまた健全な国土の存続に貢献するという観点においては、国民全体の利益にかなったことではないかというふうに思うわけでございます。  そのため、私ども民社党は、第一点は日本農業の活性化、そして第二点は消費者の合意、第三点は国際協調という三つの要請を配慮いたしまして、二十一世紀に向けての希望の持てる農業を確立するための農業先進国ビジョンという形で政策提言をさせていただいておるわけでございます。その中で、農水産業の体質強化と、そして食糧の安定供給を図るための食糧基本法の制定というものを提言しているわけでございます。
  76. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時二分開会
  77. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、消費税法廃止する法律案消費譲与税法廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  78. 北修二

    北修二君 先ほどお話をお聞きいたしましたが、いずれの党も自給率を向上させ、そして食糧の安全保障をしていこう、こういうお気持ちについてはわかりました。  農村といいますと、御承知のように、我々感激すべきものがたくさんございましたね。それは昔は真っ暗なところで、北海道は特に、私は北海道ですから、開拓当時はわらの中に潜って寝た、こういうこともございますね。わらってこんなに暖かいものかな。さらに、ろうそくがついて明るくなったな。ランプがついて世の中が全く明るくなった、すばらしいな。そのうちに電気がついて本当にすばらしいな。みんなの一つ一つの努力が実って、苦しい中にも農村に希望、理想というものがあったわけでございます。ようやく御案内のように生活もまあ人並みになった、こういうのが農村の実情ではないだろうか。自分の経験から、農村の今日までの発展、そして農家の苦労、こういうものを十分私は理解をしておるつもりでございます。  さて、選挙公約によりますと、社会党は七年を一期として三次にわたる生産計画を策定し、二十一世紀初頭には穀物自給率を現在の三〇%から六〇%に向上させる、公明党はカロリー自給率を現在の四九%から六〇%に向上させる、民社党は食糧自給率を少なくとも先進国並みとなるように向上させるということのようですが、各党が考えている食糧政策上、食糧自給率の数値というものはいかなる意味を持っているのか、その関連性を説明していただきたい。これは社会党にお願いをいたしたいと思います。
  79. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) かつて穀物自給率が六〇%あった時代が比較的長く続きました。やはり時をかけてもそこまで持っていきたい、こういう希望と決意が含まれております。
  80. 北修二

    北修二君 社会党にお尋ねいたしますが、公表された「新農業プラン」によりますと、穀物自給率を二〇一〇年ごろまでに六〇%に引き上げると提案されています。確かに農業については中長期的な観点に立って政策を考えることが重要であるとは思いますが、目まぐるしく社会経済が変動する中で、二十年後の自給率の数値の目標を六〇%に設定し、これに特別の意味を持たせることにどれほどの意味がありましょうか。  先ほど答弁にありましたように、今から二十年前といえば高度成長のど真ん中であります。その時期に今日を見通すようなものがあったか。そもそも二十年後の数値の予測などというものは不可能ではないか。実現性のない提案は絵にかいたもちにすぎず、農家の方々を初めとする国民に甘い期待を抱かせる上、結局は失望に終わらせるものであり、国民を惑わすもので、国民の信託を受ける政治家として無責任でないか、こう言えるわけですが、この点について見解をまずお尋ねしたい。
  81. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) よく比較をされますEC諸国あるいはアメリカ、こういう国の状況を眺めてみますと、先生御承知のように、穀物自給率はアメリカは一七二%、フランスが二〇三%、イギリスが一一三%、西ドイツ九五%、イタリア八三%、カナダ一三八%、オーストラリア一三三%、スイスですら三三%。日本は三〇%でありますから、やはり我が国の総合安全保障、そういう面から考えても少なくともかつて維持をしておったパーセントぐらいまでにはしなければいけない、そういう決意を込めた意味でございます。
  82. 北修二

    北修二君 具体的な中身の論議に入る前に、まず穀物自給率の六〇%ということについてお尋ねいたしたい。  現在の穀物自給率は三〇%であります。それを六〇%に向上させるというのは倍増でありますから、はた目には格好がよいわけです。しかしその前に、社会党はなぜ穀物自給率を取り上げたのでしょうか。  申し上げるまでもなく、穀物自給率というのは食用の穀物と飼料用の穀物を合わせたすべての穀物の自給率を言いますが、我が国では主食用の穀物については、米を自給しているのを初め、日本めん用の小麦の生産を行っており、食用穀物自給率については六八%を維持しております。また、小麦などは昭和五十年に比べて一〇%も自給率が向上しております。食用穀物の品目ごとの自給率が低下していないのに穀物自給率全体を見た場合それが三〇%へ低下したのはなぜでしょうか。それは食生活の多様化、高度化に対応して畜産物の需要がふえ、これに伴って国内畜産業の生産が拡大したためで、必要となる家畜のえさの需要量がふえたことに主な原因があります。我が国の場合は、国土条件の制約から穀物価格は割高なものになっております。畜産振興のためには家畜のえさは安価な輸入に頼ることが適当で、主食用の穀物自給率は高水準を維持し、飼料用の穀物は輸入することが最も適切な選択。  そこでお尋ねしたい。社会党が殊さらに飼料も 含めた穀物自給率を取り上げる理由は一体何でしょうか。その六〇%という数値の意味するところは何でしょうか。どのような考え方、根拠に基づいて六〇%という数値を目標に掲げたのか、その数値の意味するところをお伺いいたしたい。
  83. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 北先生、穀物自給率六〇%と私ども先ほど少し答弁の中で触れさしていただきましたが、カロリー自給率、これも私どもとしては七〇%から八〇%に同時に引き上げたい、このように言っているわけでございます。その六〇%の実現の可能性について考えを述べさしていただきたいと思います。少し長くなりますけれども。  食糧自給率、特に穀物自給率を引き上げなければならないのは、まず第一に、他国に食糧を全面的に依存することは、国際紛争や港湾ストなど食糧供給国に不測の事態が起きたとき国民への食糧供給が困難になること、これは昭和四十七年のアメリカの大豆輸出禁止で経験済みであります。  第二に、アフリカ諸国の飢餓状態が克服されていないように、世界的には食糧不足が続いており、今後、発展途上国の人口増、オゾン層の破壊、酸性雨など気象変動などによって食糧不足の事態が予測されます。農水省の一九八三年食糧需給予測でも、穀物、大豆、肉は世界的に不足するという指摘がされているところです。  第三に、食糧は本来、自給的性格が強く、まず自国の自給を前提にして、余った部分を輸出するという性格があると思います。また国際貿易量としても限られております。  第四に、食糧の安全性を確保する上で、輸入食糧の安全性に比較して国内生産は、生産、加工、流通の全過程で安全性を確認できる利点があります。しかし、何よりも我が国農業は、農産物の自由化、減反政策によって荒廃の一途をたどっており、改めて我が国農業の役割を見直さなければなりません。  農林業は土地を通じて人間の生命と生活を維持するばかりでなく、良好な自然環境を保全する産業と言わなければならないと思います。この自然環境を保全する公益的機能の経済的評価は、一九八〇年の推定で約三十七兆円、GNPの約一五%、農林業粗生産の額十二兆円の三倍にも当たるわけであります。農林業は工業と違って見えざるストックをつくり出しており、それを豊かにする産業と言えます。食糧自給率の向上とこの公益的機能を国民の福祉機能としていかに保全、利用していくかは今後の国民的な課題だと考えております。  したがって、自給率六〇%に戻りますが、「新農業プラン」では七年を一期といたしまして、三期二十一年にわたる長期計画を持って穀物自給率を総合的に勘案し、六〇%まで引き上げることを目標にしております。もちろん、先生が今言われますように、これは並み大抵なことではないと思いますが、世界の食糧危機あるいは飼料をひっくるめた食糧危機。  私は、先般、外交・安保調査会で各党の皆さんと一緒にソビエト、フィンランド、西ドイツに行ってまいりました。ソビエトの飼料穀物が不足をしている。そして、いろいろ調べてみましたら、パンが日本円に換算しまして私の計算で約一キロ当たり三十五円、そして家畜に与える穀物飼料が一キロ当たり三十九円。したがって、場合によってはパンを買って与えている農家もあった。それはやっちゃいけないという政府のお達しが出たそうですが、そのように穀物に限っても、場合によりますと、今は比較的安く日本の国内に入っておりますが、将来ともそういう状況を維持できるかどうか。その点も私はやはり現地に行ってみましてつくづく感じた次第でございます。
  84. 北修二

    北修二君 社会党の「新農業プラン」において、穀物自給率を六〇%とともに、カロリー自給率、今お話しのありました七〇ないし八〇という数値が掲載されていますが、穀物自給率とカロリー自給率はそれぞれ別の算定方法により算定されるものでありますが、社会党のカロリー自給率七〇ないし八〇については必要最低限の目安としての数値のみが示されておるだけで、その考え方、算定の方法などは何ら示されておりません。これらの数字はお互いにどのような関係にあるかお尋ねをいたしたい。
  85. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 現在、穀物自給率三〇%、カロリー自給率四九%でございますが、カロリー自給率につきましては、もう御承知のように一日の国民平均供給熱量二千六百カロリーといたしまして、お米が六百九十九カロリー、これは一〇〇%自給。小麦は三百十カロリーとっておりますが、そのうち一四%が自給。そういうようなことを前提にして二千六百カロリーをもとにはじいた数字でございます。
  86. 北修二

    北修二君 社会党は二〇一〇年における穀物自給率六〇%を目標として掲げておりますが、明確に六〇%という目標を設定した以上、二〇一〇年における穀物総需要量と穀物の国内供給量をしっかりした根拠に基づいて見込んでおられると思いますが、一体それぞれどのくらいを見込んでいるのかお伺いをいたしたい。簡単でいいですよ。総量でいいですよ、きちっとした総量。
  87. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 少し行き違いがあるかもわかりませんから読ましていただきたいと思いますが、正確を期すために。  今質問いただきました件ですが、率直に申し上げまして二十年後の穀物自給見通しについては社会経済の動向、食生活の変化など諸条件の予測が困難な面があると思います。しかし、米の消費拡大を図りながらも需要が減少する反面、水田を初めとした農業生産力は品種改良、栽培技術等の進歩によって飛躍的に発展する可能性を秘めておるのではないか、そのように思います。過去、米の単収が平均四百キロ程度でございましたが、五百キロを超える水準まで高まったのを見ましても、将来五百五十キロ水準まで高まるのは二十年を待たずに可能となるような品種改良、技術改良を進めなければならない、そうすればそういうところまで進むと考えております。  また、食生活の多様化により牛肉を初めとした畜産物の消費がふえるものと予測され、それに伴って飼料穀物の需要がふえるものと予測をいたしました。したがって、二十年後の穀物需要量は五千万トン水準を大幅に超えるものと予測し、生産量も三千万トン水準を確保しなければならないと考えております。もちろん、私ども、一期七年三期二十一年にわたる生産振興計画の中でこの数字を常に見直し、ローリングを図ることを前提にしているわけでございます。
  88. 北修二

    北修二君 今いろいろ、一千万トンぐらいふえる、こういうような見通しですね。四千万トンが五千万トン、国内が二千万トンが三千万トンになるんだ、こうお聞きをいたしました。  我が国においても、四半世紀前の四十年には穀物自給率は六二%あったんですね、先ほど御答弁にありました。当時の食生活の内容を見ると、米の消費は現在の一・六倍あった。一方、肉類の方は消費は現在の三割、それから牛乳、乳製品は五割、油脂は四割にすぎませんでしたが、こうした食生活を反映して飼料用の穀物需要が現在の三分の一以下であった。穀物需要全体が現在の六割にすぎなかった一方、米などの国内生産量は現在よりも多かったこと等により、当時の穀物自給率は現在の二倍もあったわけであります。穀物の需要はそのときどきの食生活により、その量、内容ともに大きく変化するものであります。  そこでお尋ねしますが、社会党は二〇一〇年における国民の食生活、カロリー水準、米、畜産物の主要品目の消費水準についてどう見込んでおるか、お聞きをいたしたい。
  89. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 米の二十年後の消費量がどのくらいになるかという数字は今手元に持っておりません。  ただ私は、これは持論でございますが、今異常に米の消費量がやはり落ち込んでいるような気がいたします。何年か前、私はアメリカのカリフォルニアでコウダ農場等を自費で調査に行ったことがあるんです。いろいろと米の事情を聞いてまいりましたが、やはりアメリカの中では米が成人病、 キャンサー、がん、そういうものに非常にいいんだといって非常に宣伝をして、そして米の消費量もやはり健康にいいということで伸びておる。特に玄米におきましては、もとの量は少ないけれども、二年間に三倍に伸びている。実際に精米工場で袋詰めをしている現場も見ました。  そういう点で、私も超党派でつくっております米消費拡大議員連盟に入っている。私は、祖先伝来続いてきました最も国民に合ったこの米というのが日本人の体にいい、こういう観点から日本の農業、食糧を考えた場合に、今お互いに米のよさというものを国民的に見直して、そしてむしろそういうところは国を挙げて宣伝をしながら、米の消費の拡大、これはどうしてもやらなければならない、そういう気持ちであります。  そういうことで党の米消費拡大、それがかつて一・六倍あった消費量、そういうところに近づくようにやはりやるべきではないか、そのように考えております。  基本的な数字がなくて大変申しわけありません。
  90. 北修二

    北修二君 社会党の「新農業プラン」というのは、後ろの方で二十年後のことだと、こうおっしゃっていますが、そういう社会党のプランがあるわけですから、それに伴って聞いておるわけでございます。  なお、前段としまして、これからは自給率を上げる、六〇%というのは非常に厳しいということを私が申し上げようとするのはどういう意味かというと、御承知のように鶏を飼うと、一キロの肉をつくるのに三・二キロ、豚でございますと七・七キロ、牛肉ですと十・七キロ、それで一キロとれるわけですね。これから鶏はそうふえないと思いますが、特に牛肉、これはまだまだ頭数でいくと百万頭以上ふえるであろう、今の計画にあるように。六十五年目標には全然達していないわけですね、頭数が。それは牛肉は先ほど申し上げましたように二十万トン食べてなかったんですね。これが今、年々七、八%ふえてきている。もう七十万トンを上回りましたですね。近くは百万トンになるであろう。家畜がふえれば相当数の穀類が要るんですよ、こういうことで輸入は減りませんよ。  特に格差がございますから、人間の食べる食糧については自給率をこれからも一層上げていかなければならぬ、こういうように私は考えておりますし、一方、飼料用穀物については安い輸入、わかりやすく言えば六十キロ一俵を千円で買える。国内でやれば一様に一万円になるわけですね。したがって、安い飼料を入れて畜産農家の所得を多くする。一方、消費者には安く畜産物を与えていく。こういう意味で私は飼料用のものについては輸入が適切でないか。  これは全体の二千万トンのうち、御承知のように家畜で、大家畜の方は三、豚が三、鶏が四、こういう比率で国内の飼料用穀類が消費されておる。こういうことでございまして、その点は御承知のように国内の問題もありましょうが、輸入とあわせて処置をするということが大事でないだろうか。その点について六〇%とおっしゃっておりますが、家畜がふえていきますとどうしても比率が下がってくるんですよと、こういう意味で申し上げたわけでございます。その点ひとつ前段の総合として申し上げておきたい、かように存じます。  さて、公表された「新農業プラン(第一次案)」によりますと、二十一世紀の初頭に穀物自給率を六〇%、カロリー七、八〇%にするため、七年を一期として、三次にわたって生産計画を策定し、一つの大きな柱として、現在八十三万ヘクタールあります減反田への飼料米、飼料作物の作付を行うとのことでございますが、家畜用の飼料穀物として大宗を占めている輸入トウモロコシの価格と、現在の国内生産の米価との間にどの程度の格差があるか、お伺いをいたしたい。
  91. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) 今ここに具体的数字を持っておりませんが、トウモロコシが二万円ぐらいでございます。そう思っております。
  92. 北修二

    北修二君 今お答えのありましたように、今一万七千円から二万円ぐらいでございます。米は二十八万円あるいは他用途米で十六万円でございます。したがいまして、主食用の農家手取りは、今申し上げた二十八万円、他用途米は十六万円、価格差が存在しておるわけでございますが、畜産農家が飼料代として支出できる金額には経営上制約があります。畜産経営の体質強化、特に生産コストのうちでも大きなシェアを占める飼料費の低減に努めることが最大の課題となっておりますが、養豚、養鶏において飼料費の割合が一体どの程度を占めているか、お示し願いたいと思います。
  93. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) お答えしますが、具体的な数字を私は申し上げかねますので、お許しを願いたいと思います。  ただ、私は東北出身でございます。したがって、今東北の畜産農家というのが、北海道と違って大変な危機にあるということだけは御承知おき願いたい。そして、飼料を輸入する商社によって、牛と飼料を一緒に農家にやって、手数料だけで畜産農家が生活をしている。こういう形で畜産農家が、農家というよりは農業労働者、こんな形に追い込まれている実態がどんどん岩手県の県比や東北の山間地帯の中に出てきています。  こういう状態を何とかしたいために、飼料作物というものと、それから畜産農家との経営を一体化する方法がないかということを考えている次第でございます。
  94. 北修二

    北修二君 まあ、よろしゅうございます。諸情勢については聞くまでもなくよく私は存じておりますし、事実、今も私は農家でございますから諸般について知っておりますが、肥育の豚の方は六〇%ですね、飼料費は、生産費の。それから、鶏は五三%、ブロイラーは六七%。畜産農家については、飼料穀物を原料として位置づけるのに当たりまして、非常に飼料費というのは経営のポイントであるわけでございます。  そういう中で、輸入飼料穀物との価格の実勢から見て、約二万円と評価される飼料。お米を与えた場合に、これは二万円以上高いと畜産農家に大変な過重な負担をかけることになりますし、また、これをつくる稲作農家に安くやれというと、稲作農家にこれまた支障を来すわけでございます。その点どういうようにこれらの調整をしようとお考えか、それをお聞きいたしたいというふうに思います。
  95. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) 先ほども申し上げましたが、トウモロコシ、港着で二万円ぐらいで、農家の庭先に入ってまいりますと大体四万から五万、トン当たりいたすと私たちは考えております。したがって、飼料米でトン当たり三万五千円から四万円ぐらいのところでつくり出していこう、こういう考え方を持っておりますし、また、飼料作物としては、青刈り米等を含めて、サイロに入れていく、これもトン当たり一万五千円ぐらいで供給できるような総合的な計画をつくってまいりたい、こんなふうに考えている次第でございます。
  96. 北修二

    北修二君 飼料米を高く買って安く売る、こういうことに相なりますれば、この価格差が政府の財政負担となるわけでございます。そして、六〇%への向上をさせるために必要な千二百万トン、これは必要なわけですね、飼料として食べさすのには。トウモロコシ千二百万トン入っていますから。これを国内で生産して財政負担させる、こういうことに相なりますと一兆六千八百億必要ですね。これは国が負担しなきゃならぬ、こういうことになるわけでございます。また、一戸平均にいたしますと、今各家庭の食料の年間負担額というのは九十七万円と言われておるわけですが、一戸当たり、この価格にいたしますと四万円以上各家庭が負担をしなければならぬ、こういうような方策で消費者の理解を得られると思いますか、疑問とせざるを得ません。  また、「新農業プラン」によりますと、穀物自給率を上げるために、六〇にするためには、社会党は、飼料用の生産とあわせて麦作の裏作をして麦作振興を行い耕地利用率を高めようということ でございますが、水田裏作麦の作付は確かに減ってきているんですね。また、それに伴い耕地利用率も低下してきておりますが、それにはそれなりの理由があるわけです。その分析も当然した上での提案であると思いますが、まず水田裏作麦の作付が減少してきた理由をどう認識されておるかお聞きをいたしたいと思います。
  97. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) 私が先ほど北先生お話を聞いておりましたら、昔からの農業の話をしておられました。私も農村におりました時代は、やはり水田裏作は岩手県にもございました、もっとも県北はありませんでしたけれども。それが第一回目にこの裏作が減ってきたのは、早場米、こういう形で米の非常に大きな需要が存在をし、価格が向上していった。それで、裏作をやっていたんでは早場米はできないということが、私が住んでおった岩手県の県中央部から南の具体的な実態でございましたし、多くの地域もこの早場米の影響を受けた裏作の減少というのが一つ理由があったと思います。  その次の課題でございますけれども、今度は、日本がその後工業化してまいりました。お米の値段がまた政府によって農民の生活を安定させるための価格がとられてきた。しかし、それ以上に、都市部の建設労働者とか、そういう形で出てまいりますいわゆる季節労働者、そういう者の現金収入が非常によくなった。農村が機械化されることによって、今度は機械化貧乏が出てまいりました。その機械代を払うためには、いや応なしに季節労働者として出ていかなきゃならなかった。こういうことが非常に大きな原因になって、もう今私のそばの農村でも裏作はできない。できないのではなくて、やらないのではなくて、今の市場経済の中における農業というものが置かれた産業あるいは農産物の価格体制がこういう状況を生んでいるのではないか、こう思っております。
  98. 北修二

    北修二君 いろいろお話し申し上げていきたいところですが、時間がなくなりましたので、今の社会党の「新農業プラン」につきまして。  米との関係については、あの新プランでは米を飼料化していきたい、そして自給率を上げたい、こういうのが趣旨でございますし、あるいは国内においてもトウモロコシをつくろう、そして自給率を上げよう、こういうことでございます。  御承知のように昭和四十年から今日の二十三年間、六十三年までの経過を見ますと、二十年間で農地造成では七十万ヘクタール、反当たり百三十七万円かかったんですね。そしてこれが皆さんのプランを見ますと、百万ヘクタールぜひ農地開発をして、そして自給率を上げていきたい、こういうわけでございますが、もしこれを二十年間でやる、こういうことになりますと、総事業量は十三兆七千億投資をしなければならぬわけでございますし、これからは、開発するところということになると非常に傾斜地が多くなって、さらに単価が高くなるであろう、非常に至難な問題だ、かように思うわけでございます。  先ほどから申し上げておりますように、社会党さんの言われる「新農業プラン」というものは、私は自給率を上げるということは結構なことだ。しかし内容に入ってみますと、家畜が多くなってくると、どうしても先ほど比率を申し上げましたように穀類は大幅にふえてくる。それとあわせて自給率を上げていくということになれば大変なことだ。私が自給率を上げようと言うのは、人間の食べるものは自給率をぜひ上げて安全保障を確保していきたい、こういうのが私の考え方で、家畜のものまで上げるということは、自給率全般について上げるということは非常に困難性がある、こういうことを申し上げて、六〇%の自給率新プランについてはこれは私は問題であり、また可能性についてはでき得ないだろう。  また、小川先生からお話がございましたが、東北でございます。このプランをつくったのは四国の田中先生でございます。したがって、あの人は二毛作のところで原案をつくったわけですからこういう問題が出てきたのではないだろうか、かようにも思っておるわけでございます。  あと二十分しかございませんから減反の問題にちょっと。  今やっております点について減反を皆さんは大胆に見直す、こう言われておりますが、どのような方策を講じて四百万トンの需給ギャップを解消し得ると考えておるか、この点についてお伺いをいたしたい。
  99. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 先ほどからお話をいただきましたように、大変この農業の問題というのは難しい課題でございます。  特に今問題になっている米の生産調整、これにつきましても、食生活そのものが多様化してまいりまして米の消費が減少するという半面もございます。一方、農業の生産向上は単収で増加していく。そこから今先生おっしゃったように、食用米の部分についても四百万トンという需給のギャップを生じておるわけでございますが、先ほどから小川、梶原議員から幾つか提起もございましたけれども、やはり飼料米というのも考えてもいいんじゃないか。飼料作物を含めて他用途利用の米を大幅に導入しない限り減反、生産調整、こういう道に落ち込んでいってしまうんじゃないか。したがってこの際、そういう意味でそこに提起しております内容は、思い切って飼料米、飼料作物の導入、その拡大を含めて問題提起をしているところでございます。
  100. 北修二

    北修二君 だんだん飛ばしていきまして、転作の見直し、廃止論に対する疑問についてお伺いいたしたいと思います。  現在、政府自民党で進めている水田農業確立対策は、単に稲から他の作物へ転換を行うというものではなく、稲作転作を通じて生産性の向上、地域輪作農法の確立といった水田農業の体質強化を図ることを主眼とするものであります。米の需給ギャップがなおかなり存在するという状況のもとで食糧管理制度基本を守るためには、稲作への過度の依存から脱却し、稲と他の作物とを合理的に組み合わせた営農を確立することが必要であります。このためにも水田農業確立対策の着実かつ的確な推進が不可欠であります。  社会党は一方では食管制度を守ると言っていますが、その上で転作はやめるというのは矛盾しているではありませんか。現在、地域の農業者、農業関係者においても、需要に応じた生産を行うことは農業者自身の問題でもあると受けとめて、各地で作物の転換を図りつつ、生産性の高いすぐれた水田営農が実践されておりますが、その農業者の取り組みに対して水を差し、惑わすようなことは慎むべきではないだろうか。この点どういうようにお考えになっておるかお聞きをいたしたいと思います。
  101. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 先ほど衆議院の田中議員の話が出まして、先生は北海道、私は九州。特に私のところの大分というのは中山間地が多くて、今食管制度を本当にやめてしまいますと、あの広大な段々畑、段々の田んぼというのが一気に荒廃してしまう。日本のこの国土の中でどっちかというと農地は恵まれていない、そういう状況ですから、食管制度はやはり堅持をして、国土の自然が環境を守り、そして地域を守っていく、農山村を守っていくためにも、どうしても食管制度を今なくしてしまうということはできないことだ、このように考えております。
  102. 北修二

    北修二君 私は食管を守っていこう、それは同じでございますが、しかし米を、食べるものと、その他今皆さんが見直していくもの、見直しには、減反を今八十三万ヘクタールやっておりますが、それはつくっていこう、こういうような意味で大変生産が多くなってくると食管が守れなくなるんではないですかと、こういう意味でお聞きをいたしたわけでございます。その点、お答えに対して私の趣旨でないということを申し上げておきたい。  次に、農産物価格の基本的な考え方、農産物の価格政策のあり方について、皆さんどういうように考えておるか、お聞きをいたしたい。
  103. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) この価格の問題も、御案内のとおりに我が国の価格は高過ぎる、 国際価格水準に引き下げろ、こういう御意見もございますことは承知のことでございますが、耕地面積が狭い、そして生産条件も悪い我が国の農業の場合、国際水準まで引き下げるということについては困難な部分がたくさんございます。総理府の世論調査でも、少々高くても国内での食糧生産という、国民が半数ほど理解をされておるようでございますが、この農産物のコスト引き下げの努力は、今後とも放棄をすることなく努力はしてまいりたいと思いますが、そこら辺はひとつ今後の課題として私どもも重要にとらえていきたいと思います。  そこで、農機具を初め、農業資材の価格を引き下げられないか、規模拡大や協業化という方向がとれないのか。私は、農家を回ってみますと、三反、四反という農家の中で、大分県内を回ってみるとそんなのが多いんですが、そこでも田植え機から一通り皆そろっているわけです。聞いてみますと、大体一年に二日か三日しか使っていない。それであとは昔の馬小屋に置いておる。こういう点は何とか生かされることはできないのか、協業化、集団化を通じて。そういった問題や、基盤整備事業のもっと効率的な補助というものはできないのか、農業の経営努力とあわせて、コスト引き下げの方向でのそういった面からの検討もこの際ひとつ考えていくべきじゃなかろうかということが一つ。  それから、いわゆる米価の新算定方式のように、コストが下がるペースを上回る急激な生産者の価格の引き下げ、こういった点はすべきでないんじゃないかという考え方を持っております。下がった分は生産者と消費者で公平に分配するようなそういった価格政策の進め方がないものか、こういった面もぜひ今後の課題として検討させていただきたいというように考えております。
  104. 北修二

    北修二君 農産物の価格というのは農家経済に重大な影響があるわけでございます。したがいまして、今お話のありました農機具の共同化、あるいは部落の協業といいますか、そういう部落活動を一層活性化させて、そして農機具の効率的な活用をするということは大事なことでございますし、ぜひ我々もその点については構造対策の中で進めていかなければならぬ、かように考えております。  一方、御承知のように、肥料の問題。肥料も肥料法案廃止いたしましたですね。国内と国外の肥料の格差が随分あるわけでございますから、今後競合の中でよりよくより安いものを農家に与えていくという必要があるであろう、私はかように思っているわけでございます。  そういう観点からいたしますと、私は国際価格に農産物を合わせるということは適切でない。しかし一方、そういう生産費が下がった分については農家の価格を下げることはやむを得ないことだし、当然のことであろう。しかし、生産性向上、今まで五俵とっておったものが七俵とれた。努力したものの半分は消費者に返すべきだ、そして努力したものの五〇%は農家の所得にすべきだ、所得全体は下げませんよ、そして努力したものの五〇%は農家の所得にしますよ。これは上がるわけであります。しかし一方、消費者のことも十分考えなければなりませんから、生産性向上については消費者に戻していきたい。これが価格対策ではないだろうかと私は思うわけでございます。ぜひそういう意味消費者との連携をとり、また農産物の価格に対して国内で合意を得ていきたいものだ、かように考えておるわけでございます。  次に生産性向上の問題について。土地利用型農業の体質を強化し生産性の向上を図るためには農業経営の規模拡大が重要でありますが、これについてどのように考えているでしょうか、お伺いをいたしたい。これは社会党さんにお願いをいたします。
  105. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) どうしても穀物自給率六〇%を達成するのに必要な農地、この確保というものが大変大事でございますが、御承知のような日本の国土でございます。したがって、現在の農用地五百三十二万ヘクタールはもちろん確保しなければなりませんが、過去のように優良農地のむだな壊廃が随分あるような感じがいたしておりますし、これはやめてまいりたい。水田の二百八十九万ヘクタールも積極的な利用をしたい。裏作の導入も一緒にやって一〇三から一二〇ぐらいまでの水準に引き上げてまいりたい、こういうことを考えながら、さらに食糧の畑や草地、こういったようなもの、今盛んに農用地開発公団等を含めて草地開発等をやっております。百四十、百五十万ヘクタールを確保する、こういった形で逐次確保してまいりますが、同時に、畜産その他にまいりますと、草地というだけではなしに林と草地とを合わせたような農地の拡大、これも考えてまいりたい。草地だけでございますと、東北では凍ってしまいまして十分な草地になり切れない、こういう形もありますから、そんなことも考えながら進めているところでございます。
  106. 北修二

    北修二君 たくさんお聞きをしたいことを全部飛ばしてまいりましたが、まだ五分ございますので。  ここで皆さん方の質疑をお聞きしておりますと、農業所得税、農家は税がクロヨンとかトーゴーサンだとか、サンは農家、ヨンも農家と。農家はいかにも脱税というか、農家の所得を的確に把握できないからそうなっておるのだ、こういうふうに言われておるわけでございますが、私は団体に長くおりましたので、農家の所得税というのはどうやって税務署は把握をするか。  まず農業団体が、農業委員会とかあるいはその他もございますが、各農家の単収を全部計算いたすわけです。一方、統計事務所も全部これを計算いたします。さらに税務署は独自で、御承知のように稲でございますと茎数が何本あるか、粒数が何ぼあるか、そして収量が幾らあるかというのを、脱穀し、一粒も機械でやるんでない、手で全部やるんですね。実はそういう収量計算をするわけであります。  したがいまして、統計事務所や団体が例えば八俵、こう見た、あるいは統計事務所が八・五俵と見た、税務署の算定は幾らか、こういうと、たまたまこれは例でございますが、九俵と見るんですね、九俵。計算したら九俵になるわけですね、ロスが一切ありませんから。そういうことで、その町々の総数量、食べるもの、種もみ、全部計算をいたします。ここの町では十万俵とれましたよ、一反当たり幾らですよ、これが自己申告ではありますが、個々に単収を、あなたのはこうですよと全部示されるわけでございます。  あるいは野菜にいたしましても、御承知のように家の前に野菜をつくる。そうしたら、何畝つくっています、どの作物を何ぼ、ナスビは何ぼ、キュウリは幾ら、トマトは幾ら、全部計算するんですよ。店へ行って、朝市へ行って売ったから幾らという、そういう計算はしていない。もとで全部把握をしておるわけでございます。  例えば、百人の臨時雇用を使いました。こういうときでも、御夫婦あるいは三人働く人がいたら、二ヘクタールありますと一・五ヘクタールは自家労力でできます。あとの五十アールだけは臨時雇用を認めます。百人使っても三十人しか認めないんですよ、標準でやりますから。特別百五十人使いました、家内が体が悪くて寝込みました、そのときは温情ある税務署ですから、そこは見てくれますね。  そういうことで、何かクロヨンと言えばいかにも節税、脱税をしておるというがごとき皆さんのお話でございますが、決してそうではない。八俵しかとれないのを九俵に見るじゃないか。あるいは、費用についても全部計算しますから。といしとか、かまの一丁まで全部計算しますよ、町であれしたの。そして、その中で経費はこれですよ。違いますと言えば、青申をやってやりなさい、白色申告では標準以下のことは認めないわけであります。そういうことですから、クロヨンなどとはとてもそういう情勢ではない、きちっと納めておりますということを私は農家所得税についてはっきり申し上げておきたい、かように思うわけでございます。  時間になりましたので、以上で終わりたいと思います。(拍手)
  107. 前島英三郎

    前島英三郎君 連日御苦労さまでございます。  先ほどは北先生、きのうは佐々木委員の質問がございましたが、私の関心分野ときのうの佐々木質問は大変重なっておりますので、随分勉強いたしたところでございます。佐々木委員は、その見識が高いのみならず、人格も極めて温厚でありまして、心は寛大でありまして、あらゆる場面で思慮深い方でもございます。それに引きかえ私は、同じような社会保障とか社会福祉の分野にかかわりは持っておりますけれども、佐々木委員のように温厚な人間ではございませんで、またその心は佐々木委員のように寛大にはなれない部分も多々ございます。さらに、思慮も深くなく、どちらかといえば行動の方が先に立つ、そういう人間でございますので、失礼の段はお許しいただきたいと思います。  考えてみますと、私は参議院議員になりまして十二年半になるんですが、全期間の半分と少しは与党の立場ではないところにおりました。したがいまして、質問の仕方などには発議者の席におられる皆さんと同じような体質がどこかにというか、濃厚に残っているかもしれません。そんな気もするんですけれども、とはいえ発議者の先生方の質問には到底及びませんけれども、私も少し突っ込んだ質問をすることにいたしますので、答弁はひとつ政府のように誠実に答えていただきたいものだ、このように思うのでございます。  佐々木委員は、きのうの質問の中で生活保護の果たしている役割や意義を強調するとともに、高齢者も若者と同様に仕事を持つことの重要性を強く訴えられたわけでございますが、給付があればその裏に負担があるのと同様に、福祉や保障があれば、その結果としての自立というものを常に考えながら政策を形成していかなければならないと私は思うわけであります。したがいまして、福祉や給付というものは手厚さも必要ではありますけれども、それが人々の自立に対していかに効果的であるかという観点も十分に考える必要があるわけであります。  例えば社会党の年金構想について、きのう佐々木委員が試しに計算された結果を示されましたけれども、現役の働き手の収入より高い水準の年金が支給されるということになりますと、多くの高齢労働者の働く意欲をそぎまして、ひいては自立を損なうようなことになりかねないと、私は聞いておりまして考えていたわけであります。その点、野党各党の福祉ビジョンはどうも、バラ色の色の濃さを競い合う結果、財源的に現実性を欠くばかりではなく、人々の自立しようとする意欲や、将来を考えて自力で積み重ねている努力といったものを甚だ軽く考えているんじゃないか、そんなふうに思えてならないわけであります。国民の皆さんの自立、自助の意欲を守り立て、それと相まって必要なときに必要なものについて手厚く提供する、こういうのが理想的なあり方であると考えるんですが、各党の皆さんの御所見をまず承りたいと思います。
  108. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 今御指摘をいただきました私どもの公約といいますか、きのう質問のありましたその問題については御意見を承りました。ただ、仕事をしない者が何か給付をもらってと、そういうような社会を望んでいるような印象を与えたとすれば、私どものそれは努力の足らないところでありますし、反省をしております。  ただ、言っているのは、やはり高齢化社会になって、その人の人生の生きがい、あるいは働ける間は働いていこう、そしてどうしても年金の給付と定年の間に時間のずれがあったり、あるいは体を壊したりした場合には、基本的な精神としてはやはり社会的な措置をしてもらう。したがって、ずっと流れている精神は、やはりお年をとっても仕事ができる場合にはこれはやっぱり仕事をする。ただ、そのときに一律に八時間労働とか七時間労働とか、そこのところは佐藤提案者が答弁したと思いますが、やはりタイムの問題なんかはもう少し幅を持つように、そしてそれは法律でやはり定年制というのは具体的に原則を決める。しかし例外がある。そして年金の支給の問題もその範囲でやる。したがって、できるだけ国の財源は使わないでいいのなら、お互いが生きがいと同時に仕事をして、そして貢献するところは貢献する、生きがいを見出すところは生きがいを見出す、このような基本的な考え方が流れておりますから、その点はぜひ御理解をお願い申し上げたいと思います。
  109. 前島英三郎

    前島英三郎君 今の答弁はなかなかいい答弁なんですね。しかし細かい部分で非常に矛盾がありますから後でそれは伺うとしまして、次、では公明党さん。
  110. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) 福祉に活躍されている先生に私御答弁するのもちょっと恥ずかしいんですけれども、今先生のおっしゃっていることをお聞きしまして、やはり私たちも社会保障制度につきまして真剣に考えてまいりました。それに、一つは疾病、障害、事故、貧困、死亡、失業及び老齢等、人生の中には不慮のいろんな問題が生じるわけでございますね。そういう場合に、自己も家族も転落することのないように、再起や自立が可能になる、そういった社会的な援助システムというものを私たちは整備することが必要ではないかと考えております。  一つは、老齢期においても安心して生きていけるような条件づくり、あるいはお年寄りだからといって閉じ込められることじゃなくて、社会の中で本当に安心をして活動できるようなやはり環境づくりが必要ではないか。二つ目は、やはり御障害を持たれる方あるいはお子様たちのそういうハンディのある人たちも特殊と見ないで、地域や職場の中でともに生きともに働く、それが当然なんだというような、福祉のノーマライゼーションと言われておりますが、そういう考え方に立脚した労働あるいは雇用、生活、町づくり、そういうものも整備することが必要ではないか。  三番目は、やはり社会保障が進んで、怠けると申しますか、何となく働かないで得をするような社会であってはならない。社会の活力が低下するような社会保障であってはならない。またそれに対するいろんな、どういうふうにしてその点のバランスをとっていくか。一つは、公費の負担ということも考えなきゃなりません。二つ目は、やはり自助努力が必要でしょう。三番目は、社会的にお互いに助け合っていく、そういうシステムの中でバランスをどう考えていくか、これもいろいろと御論議いただきたいと思うんですが、私たちはそのように考えております。
  111. 前島英三郎

    前島英三郎君 では、連合さん。
  112. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) お答えいたします。  日本の憲法は、もちろん高い福祉の向上を目指しており、そういう国づくりをするように求めているわけですから、私たちは日本の福祉国家というものには十分努力をしなければいけないというふうに思います。しかし、高い福祉、高い社会保障というのは、決して怠け者をつくったり、自助努力を怠るような人をつくるようなことがあってはいけないというふうに思います。その点では、議員の御説に私は最も賛成をいたしたいというふうに思います。
  113. 前島英三郎

    前島英三郎君 民社党さん。
  114. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 福祉国家をつくろう、建設しようということが私たち民社党の結党時の一つの目標でありました。今日もこの目標を日本の政治目標にすべきだと考えておりまして、今日まで努力をいたしておるところでございます。またその結果、社会保障制度の整備なりあるいは完全雇用の確保、経済の安定化などのシステムがようやくでき上がりつつあるというふうに考えております。  しかし欧米に比べますと、まだまだ生活費が高いとか労働時間が長いとか、あるいは住まいが劣悪であるとかなどの多くのまだ課題があるわけでございます。また、高齢化社会に対する責任ある福祉ビジョンというものがまだ不十分ながら示さ れていないんじゃないかというふうに思いますし、国民の老後の不安が高まっておると思います。これらを克服して高度な福祉社会をつくる必要があるんじゃないかというふうに考える次第でございます。  この福祉社会づくりに対しましては、国や自治体の責任はもとよりのことでありますが、それだけに頼るのではなく、家庭とか地域社会あるいはボランティア活動などに支えられた人間らしい触れ合いのある福祉社会づくりでなければならないというふうに考えております。
  115. 前島英三郎

    前島英三郎君 給付と自立との関係につきまして各党の皆さんの考え方を伺ったわけでありますが、ところで、佐々木委員のきのうの質問に対する発議者であります社会党の梶原敬義さんの答弁について、ちょっと確認したい点がありますのでお願いをしたいと思うんです。  まず、社会党の最低保障年金構想について佐々木委員が、その水準は最低賃金水準とのリンクを原則とし、その財源は全額国庫負担を目指すというのだから国庫負担額がこんなに大きくなると、こういうぐあいに質問したのに対しまして、梶原さんは――済みません、さんづけでお許しをいただきたいと思いますが、生活保護の財源が国が十分の七・五、地方が十分の二・五となっているのを国が全額負担するように目指すという意味だ、こういう答弁をしたと思うんですが、そのとおりでしょうか。
  116. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) そのように答弁したと思います。
  117. 前島英三郎

    前島英三郎君 それはちょっとごまかしなんですよね。佐々木委員指摘した全額国庫負担というのは、いいですか、政策集、きのう梶原さん、これを私きょう初めて見たと、こうおっしゃいましたが、百一ページの上の段の記述についてでありまして、明らかに最低保障年金の財源のことであるわけですね。この本です。お持ちですね。  それを生活保護制度廃止の問題と結びつけて質問しましたのは、社会党の政策集がその百六パージの記述の中で「差別的烙印となっている生活保護制度廃止とその最低保障年金制度への統合をめざす。」と、これを公約しているからなんですね。生活保護制度廃止のくだりには全く国庫負担のことは触れられてはいないわけですよ。いいですね。最低保障年金の部分の全額国庫負担を目指す、がどうして生活保護の国庫負担のことになるのか。きのうの答弁はやっぱりおかしいでしょう。今佐々木さんが後ろにいらっしゃいますから謝罪でもいたしますか、どうですか。取り消しますか。どうぞ。
  118. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 私、余計なことを言ったつもりはないんですが、生活保護制度廃止云々というところに私は適切でないとこの文章を読んだんです。ただ、ここで書いているその意味というのは、やっぱり地域地域では隣近所からそういうことがわかるとなかなか生活保護を受けにくい、そういう意味でやっぱり国の公な制度でこれはまず最低保障というものを底に据えた方がいいのではないかと、こういう意味の答えをしたと思うんですがね。
  119. 前島英三郎

    前島英三郎君 さらに梶原さんは、生活保護廃止考え方は、隣近所いろいろあるので、六十五歳以上の生活保護世帯を前提としたものであり、高齢者のすべてに最低保障年金を支給する、つまりこういう意味なんですね。いかがですか。六十五歳以上。高齢者ということは六十五歳ととらえましょう。いかがですか。
  120. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) そこはそう答弁したと思うんです。ただ、最低保障金額と現行の差がありますね。この部分についてはそれは当然見ると、そういう意味のことを言ったと思うんです。
  121. 前島英三郎

    前島英三郎君 それで、百六ページの記述をどう読みましたらそうなるか、もう一度ちょっと私が読みますね。「差別的烙印となっている生活保護制度廃止とその最低保障年金制度への統合をめざす。」の「差別的烙印」、これはもちろん問題ですよ、こんな言葉を公党が使うことは。私は問題だと思いますよ、いいですか。それで「生活保護制度廃止とその最低保障年金制度への統合をめざす。」、この記述からは、生活保護制度廃止の動機は「差別的烙印」という点にあることはこれは明らかですね。  それを高齢者世帯を前提にしたというこの言い逃れというのはちょっと納得がいかないんです。ここではそんなことは全然入ってないんですよ。いいですか。「「弱者」を排除しないようにする配慮 ハンディキャップをもつ人を物理的にも精神的にも隔離しないようにするため、次の諸点を目標とします。①自発的な人間関係を形成する権利、または隔離からの自由を基本的人権として位置づける。」、これはいいですよ。  さて、「②差別的烙印となっている生活保護制度廃止とその最低保障年金制度への統合をめざす。」、これが答弁では六十五歳以上というすりかえをしているけれども、そうじゃないんでしょう。つまり、生活保護というものは烙印を押されたようなものだからということなんですね。どうです、その辺ちょっときのうの答弁とあやふやな点がありますので、もう一度答えてください。
  122. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 前島委員、これは私もきのう初めて読んだ、そう言っては悪いんですが、そしてこの中に書いていることも私から見ますと全部全部、これは何か少し矛盾もあるような内容になっておりまして、しかも先ほど言いました7の表現も適切でない、このように思っておりますから、その辺についてはもう少し私どもも精査をしてみたいと思うんですが、よろしくお願いします。
  123. 前島英三郎

    前島英三郎君 結局、答弁のとおりでありますと公約である政策集が全くのうそを書いてあったと、こういうことですね。いいですか、書いてあったと、こういうことが言えると思います。あるいは政策集が間違いでない、後ろでは読み違いとか何とか言っています、政策集が間違いでないとするなら、梶原さんの答弁が今まで格好いいことを言ったけれどもこれはうそだと、こういうことになる。どっちをとりますか。どうぞ遠慮なんかしなくていいですよ。本音で言ってください、本音で。
  124. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) どうも格好いいことを言ったつもりはないんですが、私もなかなかこれを見てすぐ理解ができません。あるいは矛盾をしたことを答弁しているのかもわかりませんが、その点については私自身少し整理をしてみたいと思う。
  125. 前島英三郎

    前島英三郎君 じゃ、こちらが間違っている。政策集が間違っている。
  126. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 私が間違っているのか政策集が間違っているのか、私がきのう格好いい答弁をしたとすればどの辺か、その辺はちょっと今気がついておりませんから。
  127. 前島英三郎

    前島英三郎君 わかりました。  梶原さんは最低保障年金の水準についてどの程度の金額を考えているかということを佐々木さんが尋ねました。たまたま私は、きょうのちょうどレクチャーがありまして、退席をしておりました。ちょっと秘書が速記をやるものですから、速記を調べました。九万二千円と考えていると、最低保障年金ですね。九万二千円と考えていると答弁したと思うんですけれども、そのとおりでよろしいですか。
  128. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) そのように答弁したと思います。
  129. 前島英三郎

    前島英三郎君 そこで、そこもちょっと聞いてなかったんですけれども、将来の国民負担率は大体四〇%前後を目途とする、こういうふうに答弁されたようですが、これは間違いありませんか。国民負担率ですね、社会保障も含めて。
  130. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) 四〇%前後と申し上げまして、社会保障その他が必要になってくる場合には急に高くなる場合がありますが、今そこまでは計算をしてないというような意味のことを申し上げたと思います。数字では四〇%前後ということを申し上げておきます。
  131. 前島英三郎

    前島英三郎君 今九万二千円、最低保障年金は と、こう考えているわけですね。政府提案の、今衆議院でもう審議されている、すぐ参議院へ来るんですが、五万五千五百円の基礎年金ですね、これが九万二千円であると。これは年々、物価スライドが今度導入されますから、伸びていくでしょう。そうすると、一・六六倍ということになりますね。それを国庫負担にしようというわけですね、この政策集では、また答弁では。国庫負担となると国庫負担が三分の一ですから、これが三倍になるわけですね。そうすると、これは全額ですから三倍ということになりますね。そうすると一・六六掛ける三は四・九八倍、約五倍ということになりますね、今までよりも、現状よりも。今、国は二兆六千億円この基礎年金に支出をしている、歳出をやっているわけですね。  それに約五を掛けると十三兆円。よろしいですか、十三兆円。国庫負担額の増加分だけで十三兆円、十兆円以上になる、こういう計算になりますが、やはりこれは租税負担率なども含めまして、社会保障のあり方全体を含めまして、きのう私は、一体どういう根拠で最低保障年金、しかも生活保護もやっぱり屈辱的なものだからいわばこの最低保障年金の中に組み入れると。今は六十五歳以上という言い方をされましたけれども、全体としてそこに組み入れちゃうんだと。そして社会保障というものはやっぱり一方では自立も促進しなければならない。もちろん給付と負担というのは表裏一体ですからね。  そういう計算をしていきますと、スウェーデンのようにしていいのか、デンマークのようにしていいのかといういわば負担の問題は大変私たちも真剣に議論しているわけです。それがこの消費税導入哲学的ないわば僕は入り口だろうと思うんですね。そういう中であなた方が、一方ではそういう形を述べながら、四〇%前後であると公言しつつ、そして最低保障年金は今よりも一・六六倍にして九万二千円ですよと。それでちょっと来年度を試算しただけでも、私の試算だけでも十兆円を超える国の支出が必要になってくるわけですよ。それで資料を私が昨日出してくださいと、向こう五年間でいいと。  政府もそれはいろいろ批判されましたよ。それはこの議論のときに批判されました。民社党さんからも言われた、公明党さんからも言われた。それぞれの皆さんから言われましたが、形とすれば、「二十一世紀初頭における高齢化状況等及び社会保障の給付と負担の展望」、「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」、こういうことで、厚生省と大蔵省が、そしてまた厚生省と労働省で議論をして積み上げてこういう一つの展望を明らかにしているわけです。  皆さんは、この消費税廃止されて来年の四月からはこれが実施されると。新たな物品税が入ってくる。そうすると、次の皆さんの政権の中では、この物品税をどう年次的に、この給付の中に、負担の組み入れ方が数字として出してあるかないかということは非常に重要なことでしょう。重要なことですよね。その資料をきのう私は文書でお願いをいたしましたが、その資料を出していただきたいと思います。
  132. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 結論から申しますと、なかなか数字がぴしゃっと出ません。ただ、全額国庫負担あるいは最低保障年金というのはすぐ来年からということじゃなくて、将来にわたってこういうような最低保障年金を考え、そして国庫負担のことも考えておるわけです。なかなかきょうから、来年から、こういうことまで言っておるわけではない、このように受けとめております。  それからスウェーデンのお話が出ましたが、私も先般スウェーデンに行ってまいりました。確かに非常に国民負担率は高い。きのう佐々木委員から言われたとおりでございます。ただ、いろいろと聞いてみますと、非常に高いけれども、じゃ国民はその高い国民負担率に対してどういう反応を示しているのか。これは国民は、スウェーデンの皆さんは、高いけれどもやはりそれで満足をしている、こういう世論調査の結果がやっぱりスウェーデンでは最近出てきた。これはきょう同じ委員の斎藤先生も一緒に行かれたんですけれども、そのように受けとめてまいりました。したがいまして、将来の社会保障のあり方というのは私は非常に難しいと思います。  ただ、社会保障に国の財政がどんどん投入されることによって国の経済の活力が非常に落ちてくる、そういうときには非常にやっぱり難しいと思うんです。ただしかし、今日本を取り巻く国際環境のもとでは国際経済摩擦等の問題等もあり、やはり……
  133. 前島英三郎

    前島英三郎君 いいですよ、わかりました。数字を出してくれるかどうかの話なんですから。
  134. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 数字は先ほど言いましたようです。
  135. 前島英三郎

    前島英三郎君 これは、国民負担率は将来の重要課題なんですよ。これがやっぱり消費税というものの導入のいわば入り口なんですよ。そして、なるべく税金を取られるものを少なくして、懐は太くして、そして消費の中でそれぞれが応分の負担をしていく。その応分の負担をしていくという形の一つの水平的な公平がいわば消費税の入り口なわけですよ。  この細かい部分は後で議論をするとして、やはり高齢化時代を展望した私たちの考え方、皆さん方の給付と負担のあり方というものを、私はきのうからデータを出していただきたい、五年でいい、十年は難しいかもしらぬ。しかし十年、二十一世紀はもう目の前ですよ。おぎゃあと生まれた赤ちゃんが二十一世紀には十歳になるんですから、二十年後には負担をする立場になっていくんですから。そういうことを考えると、五年や十年のものはそれは当然出さなければいけません。政府でもちゃんと出しております。平成二十二年……(「政府だから出しているんだ」と呼ぶ者あり)政府だからじゃないです、それは。そんなことは関係ない。政府自民党でやっているんだ。いいですか。  とにかくその資料がないと、社会保障を中心としていくこれからの展望ということを私たちは議論をしたいわけですから、資料がないとちょっと私は審議ができない。それは申し上げておきたい。
  136. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 前島委員にはお言葉を返すようですが、これは社会党だけが今度のこの問題を提起しているわけではない。私ども四会派が一緒になってこの九つの法案審議をお願いしているわけですから、今言われたことは社会党にかかわる問題、しかも社会保障の関係についてはまだこれから十分勉強していかなきゃならない、あるいはそういう中の数字やなんかの問題についても、少し私どもも疑問のところもまだありますし、あくまで四会派が統一して出した問題ですから、それは審議を続けてください。よろしくお願いします。
  137. 前島英三郎

    前島英三郎君 だって、発議者ですから、九万二千円というやり方の中の五年か十年は出してもらわなきゃ。
  138. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  139. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 速記を起こして。  暫時休憩いたします。    午後二時四十三分休憩      ─────・─────    午後四時三十四分開会
  140. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を再開いたします。     ─────────────
  141. 中村太郎

    委員長中村太郎君) この際、一言申し上げます。  先ほどの委員会におきまして、傍聴議員から品位を汚す言辞がありましたが、当該発言者から関係者に対し陳謝の意の表明がありましたので、審議を再開いたします。  委員長といたしましては、審議を円滑に行うため、今後とも不規則発言は慎むようお願いをいたします。     ─────────────
  142. 中村太郎

    委員長中村太郎君) それでは、休憩前に引き続き、九案に対する質疑を行います。
  143. 前島英三郎

    前島英三郎君 大変エキサイトしておりましたが、まことに残念でありました。  私が先ほどるる申し上げたことにつきましては、さきの本会議におきまして「伯仲新時代へ」は社会党の公約であると、こういう御答弁をいただいているからでもあります。梶原さんは、その本を適当ではないと先ほど言われたような気もするわけでありますけれども、つまりは社会党の公約がよくないということを何かお認めになったような気もしないでもありません。公約として最低保障年金を示しておるわけでありますから、その給付の水準と、それを支える負担の資料というのは、これはどうしても私は必要であります。なぜならば、先ほども申し上げましたように、これから高齢化時代は待ったなしでやってくる。あるいはまた障害者福祉の充実を図らなければなりません。いろいろな政策を私たちはまた子々孫々に残していく責任ということを思いますと、どうしてもこの給付と負担という問題は真剣に考えていかなければならないと思うからであります。  社会党単独であるということであるならば、私は消費税廃止法案を提出した四党が、四党共同提案の形でも、これから五年後、十年後一体国民負担率はどういうぐあいに推移していくんだろう、そして高齢化時代に向けてどういう給付と負担のあり方を示すべきであろうかということは、私はどのような形であれ数字として御提示いただきませんと、この社会保障とそれからまた高齢化時代に対応するそのための消費税導入という一つのこの政策を私どもが提出したということにかんがみますと、どうしてもその五年、十年という皆さん方のお考え数字として、資料としてお示しいただかなければならないと思っているわけであります。  ですから、昨日のレクチャーのときにもその旨は御要求申し上げました。そして、この税特委のメンバーであります方にも私の資料をメモにいたしまして、その御要求をいたしたところでございます。そして御快諾もいただいたわけでありますので、私はどうしてもその資料がないと、今後の私の与えられた時間の中で、特に福祉の問題を中心に皆さんのお考えをただしたいと、こういう思いに立っておりますので、その部分はどうしても先送りせざるを得ない。それは皆さん方からいつ御提示をいただけるか、それをまず伺っておきたいと思います。
  144. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 前島さんにお答えいたします。  ただいまお尋ねがございましたことに先立って、今回の法案は四会派の共同提出の税制改正の法案でございます。社会党固有の税外の政策自体が直接にかかわるものではないと考えておりますので、今御意見もございましたけれども、この際一言申し上げておきたいと思います。  なお、さきの参議院選挙の際に社会党が発行いたしました選挙政策の中の社会保障に係る記載については、党の政策を正しく表現する点において大変欠けた点もございまして、それで真意を伝えることにならずに、非常に誤解を受ける表現がありますことは御指摘のとおりでございます。これは佐々木委員、今また前島委員の御指摘もいただきまして、私どもはこれらの点については訂正の上、党の政策を正しく伝えるよう努力をいたしたいと思います。したがいまして、党の政策責任者に責任を持ってこれらの御指摘いただいております点について訂正方を申し入れまして、できる限り早い機会にそのような措置をとるようにいたしてまいりたいと考えております。  なお、前島委員からただいま提出の御請求のございました党の政策に係る計数につきましては、これはその政策自体、党としての将来の目標に係るものでございまして、残念ながら現在これが達成されました場合における計数を私どもも直ちに持ち合わせているわけではございません。社会保障の計画及びその負担のあり方につきましては、周知のとおり政府も明確なものをお示しになっているわけではございませんで、今後の我が国の政策課題となっておるものだと理解をいたしております。したがいまして、これは今後の課題として、今御意見のありますことも踏まえて、私どもとしてもこれらの点について負担と給付のあり方について十分検討を急がなければならない問題であろうかと考えております。当委員会にそのような立場で計数を直ちにお示しできませんことにつきましては御了承を賜りたいと存じます。
  145. 前島英三郎

    前島英三郎君 それではちょっと納得できないんです。なぜかといいますと、四〇%前後を一つ負担率とする、これはもう再三述べておられますね。しかし給付は、例えば最低保障年金は九万二千円を妥当とする、こうおっしゃっているわけです。例えば米の一トンに対して二十八万であると、先ほど北委員のときに。それから、穀物をそれにかえる場合には二万円で、その差額は国庫負担がいい。減反政策もだめだ。こういうことになってきますと、しわ寄せは一体どこへ来るんだろう。  それをすべて国の財政で補てんしていくときに、これから皆さんの御提示になった物品税がどういう形ではね上がっていくんだろう。一体四〇%で抑えることができるんだろうか。今、年金という一つの問題を挙げただけでも、私の試算でざっと国庫負担は十兆円を超えるわけですよ、十兆円を超えて十二兆というような数字になっています。防衛予算の三倍以上になるわけですよ。  そういうことを考えますと、確かにバラ色ではあるが、現実に私たちは国民負担によってこれからの高齢化社会を迎えなきゃならないということであるならば、私は、既に皆様方は二年を一つの再改革ということで提示されているわけですから、当然として、粗削りでも結構ですよ、そういう数字を並べた背景となるもの、そしてそれによる負担と給付のバランスはどうあるべきかということは提示されなければならないと思います。  この委員会は何日までかかるかわかりませんけれども、私は時間を残しますので、それまでに御提示をしていただくお約束だけは取りつけたいと思っております。
  146. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 反論を申し上げるわけではございませんけれども、小川発議者が四〇%前後と申し上げましたのは、私の記憶では、大体どの辺になるのか発議者として考えている数字があればということで重ねての御質問があって、それで、党としてそのような数字を出しているわけではないということで四〇%前後になるかなということを申し上げたのでなかったかと思います。それでこの問題は、非常に短い期日に、政策の目標として掲げましたものを責任ある計数として提出いたしますことは大変難しい問題ではなかろうかと思っております。  今、それでは四党の税制改革の中で例えば物品税率がどうなっていくんだとかいろいろお尋ねでございましたけれども、先ほどお示し政府の計画といいますか計数による、ずっと延ばした場合二〇一〇年にどうなるかという金額も、社会保障の国の負担もかなり大きなものになっております。そうすれば、消費税がそのために用意されたということならば一体消費税の税率はどうなるのかという問題と同じように大変難しい問題でございまして、これを非常に短い時間でお示しすることは大変困難であると思っております。  しかし、私どもがこれを今後政策課題として論議をしてまいります中では、今御意見のございましたようなことは、今後当然にその計数についても私どもなりに一つの見通しといいますか方向をきちんとしていかなければならない問題ではあろうと思っておりますが、ここで前島委員に、いついつまでにあなたの方にお届けしますというお約束は非常に困難でありますことを御了解いただきたいと思います。
  147. 前島英三郎

    前島英三郎君 大体四〇%というから別に代替財源をつくったとは思いませんけれども、私はやっぱりその数字を出していただきたい。そのために私のその部分の質問は留保したいと思うんです。ぜひそれは確約をいただきたい。
  148. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 質問時間を御留保になりますことにつきましては、私どもがそのことに対して意見を申し上げる立場にはないのではないかと思っております。
  149. 前島英三郎

    前島英三郎君 それでは審議がちょっとできませんので、その答えをいただくまではできません。
  150. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) ただいま前島委員から御要求のございました資料につきましては、私どもとしてもどのような形のものでできるか精いっぱい努力をしてみたいと思いますが、いついつまでにということについてはちょっと私今申し上げられませんので、誠意をお酌み取りいただきたいと思います。
  151. 前島英三郎

    前島英三郎君 私がなぜ何回も繰り返し申し上げたかというのは、きょうの新聞に、    国民負担率四割前後に 社・公が初の見通し   消費税廃止関連九法案を提出している社会、公明、民社、連合参議院の四会派は、二十九日の参院税制問題等特別委員会で、社会保障給付と負担の問題に関連し、国民所得に占める租税負担率と社会保障負担率の合計である国民負担率の水準について、「今後も上昇するのは避けられないが、四〇%前後で抑えたい」との見解をそろって示した。社会、公明両党が国民負担率の見通しを公式に表明したのは初めて。 この新聞記事はひとり歩きをしていくんですよ。  だから私は、皆さん方が答えておられる、最低保障年金を九万二千円という数字を出した。それを聞いた人はそんなふうになるのかと思いますよ。そういう意味でも、私は皆さん方の財政計画というか福祉の計画というのは余りにもバラ色過ぎる、そこにはやっぱり負担というものが絶えず表裏一体であるんだということをこの時間を通じてお尋ねしたかったわけです。ですから、その部分は一時間ほど残させてもらい、あと残る時間を別の角度から質問させていただきます。  さて、私もずっとこの特別委員会に出席をしておりましたが、大概御答弁の中で国民税制改革協議会という文言が、一人の委員さんの質問に対して恐らく十回ぐらいは出てきたでしょう。私が自民党として十一人目の質問をさせていただいておりますので、まあ百回は超えているだろうなと、このように思っているわけでありますが、そこで国民税制改革協議会につきまして伺ってまいりたいと思います。  協議会の委員は学識経験者と国民各層を代表する者から五十人以内で組織する、こういうことになっているわけですが、先ほど北さんも触れられましたが、その選任方法をお伺いしたいと思います。
  152. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) お答えいたします。  まず選任方法につきましては、実は再改革基本法の中には詳細にはうたっておりません。うたっておりますのは、委員も見ていただいて御存じのとおり、第七条の第一項で人数を「五十人以内で組織する。」、こういうふうに限定いたしておりまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、この人数の選び方につきましてはここの第二項の方で「学識経験を有する者」、これは専門家の皆さんというふうな意味を含めております。それからもう一つは「国民各層を代表する者のうちから、」と、こういうふうな書き方をいたしておりまして、できるだけいろんな階層からお選びをいただく、こういうふうな意味でございます。そして、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命をしていただくということで、その選び方とか中身につきましてはこれは政府の方に一任をいたしている、そういうことでございます。
  153. 前島英三郎

    前島英三郎君 「国民各層を代表する者」と。通常の審議会は審議事項につきまして学識経験のある人や直接の利害関係のある人などから組織されまして、専門的な知識に基づく意見などを答申するもののように思うんですけれども、協議会のように「国民各層を代表する」とする、こういうふうなものですね、こういう例というのは今までにありましたでしょうかね。いろんな審議会、いろんなものを含めて。
  154. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) お答えいたします。  政府税調の方は「学識経験のある者のうち」というのが中心でございまして、今まで私ちょっと具体的なそのほかの法律を調べたことはございませんので、国民各層を代表するというふうなことを記載した法律があったかどうかということについては調査をいたしておりませんが、余りなかったのではないかな、こういうふうに思っております。
  155. 前島英三郎

    前島英三郎君 「国民各層」といいますから、いろんな意味を先ほど峯山さんお答えになりましたが、収入階層が主流になりましょうか、職域が主流になりましょうか、性別が主流になりましょうか、その基準なんかはどうでしょうか。
  156. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) お答えいたします。  そういうふうな意味では非常に大事な問題ではないかと思うんですね。それで、実はそういうふうな例えば男性とか女性とか、あるいは各階層のそれぞれの問題については全く法律の中では予定をいたしておりませんで、政府において自由に選んでいただく、そういうふうに考えておりまして、もっとわかりやすく言いますと、運営の中身につきましては政令で決めていただくということになるんではないかな、こう考えております。
  157. 前島英三郎

    前島英三郎君 どうも何も決まっていないようなんですけれども、いずれにしましても、私たちは消費税廃止は反対でありますから、皆さんは賛成であるということになってこれが成立をするということになると、来年は皆さんの内閣が誕生するということでありますから、時間的にいきますと。そうすると、政府政府などというような形のお答えは私はやっぱり非常にまずいんじゃないかというような気がするわけですね。  税制改革基本法案では、協議会は設置後二年以内を目途に報告を出すことになっているということでありますから、二年後の税制改革にこの分では間に合いそうもないということでありますけれども、せめていつごろこの協議会を決めるか、その見通しなどはございますか。
  158. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) お答えいたします。  まず一つは、委員の選び方についてこういう人を選べというようなことを書いている法律があるのかもしりませんが、かえって書かない方がいいのではないかということで、そういうことを書いたのではいわゆる枠をはめたり縛ったりすることになってもいけませんので、その点ではある程度フリーハンドを持たしているということでございます。  それから、ただいま御質問のございました二年以内ということでございますから、先ほども先生からもお話しございましたが、大変窮屈なんですね。これはもう私ども、今までのいわゆる税制改革とか過去のいろんな問題をすべてゼロにしてこれから税制改革をやろうというのではなしに、今までのいろんな税制改革を踏まえてということにいたしております。したがいまして、過去の税制改革のいろんな議論というのがたくさん出ていると私は思うんですね。そういうようなものも十分踏まえて、そしてしかも、先生も先ほどからいろいろおっしゃっておりますように、高齢化社会が急速にやってくるわけでございますから、できるだけ早く結論を出す必要もある。そういうふうな意味で、二年間というのがこれは短いとおっしゃる方もいると思いますし、とても二年間では結論が出せないのではないかと言う人もいるわけですけれども、我々としては、できるだけ早く結論を出して将来の見通しを立てたいという、そういうこともございまして二年間ということを決めさしていただいたわけでございます。  先ほど北先生からお話がございまして、例えば平成四年の四月一日から始まる予算に間に合わそうとすれば、もうこれは平成三年の秋口には答申が出ないと間に合わないわけでございまして、そ ういうような意味では大変急いで我々としては設置をしてこの税制改革協議会をスタートしなければいけない、こういうふうに考えているわけでございます。
  159. 前島英三郎

    前島英三郎君 まだその入り口も正直言ってわかっていない、こういうことで平成四年の四月一日からということを思いますと、余りにも拙速過ぎるのではないか。消費税が拙速拙速ということで非常に厳しく御指摘もいただいておるわけでありますだけに、皆様方のこの協議会なるものがいつごろから始まるか、そういう目途もないというのは非常に私は問題がある、このようにも思うわけであります。  例えば高齢者問題、今峯山さんおっしゃいましたが、当然高齢者は入るわけですね。母子家庭の皆さんとか障害者とか、こういう皆さんもこの協議会には入る御予定ですか。入る見通しですか。入るように指導なさいますか。いかがですか。
  160. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) お答えいたします。  これは、私どもは高齢者の皆さんとかそういう方々が入るようにするとかしないとか、そういうような指導とかそういう考え方は一切述べておりませんし、これはもうすべて政府に一任をしているわけでございまして、当然そこら辺のところは政府の自由裁量でやっていただくということになると思います。そして、この法律が成立をいたしましたならば、私どもとしてはできるだけ速やかにこの税制改革協議会をスタートさせていただきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  161. 前島英三郎

    前島英三郎君 労働団体も入るでしょう。政府税制調査会には総評と連合の代表が入っているわけですね。消費者団体は入るのだろうか。多分入るでしょうね。政府税制調査会には地婦連の代表が入っておりますよね。これでは不十分です
  162. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 私ども議論の中で一番議論になりましたことは、今回の法律を提出するに当たりましては、政府税調との言いますと一番の違い、どこが違うか、これはやっぱりその委員の任命に対しまして、政府税調の方は総理大臣の任命でございます。したがいまして総理大臣が自由に選べる、こういうふうになっているわけでございます。ところが私どもの方は、総理大臣に選んでいただくわけではございますけれども、両院のいわゆる同意が必要である、こういうふうになっているわけでございます。  したがいまして、いわゆる立法府の意見というものが十分反映をされる、この人選につきまして意見を述べることが、意見を述べるというよりも同意が必要であるということが、私どもの大きな違いでございます。そこの点だけが、今までの選び方がどうだったかということよりも、これから私どもが予定をいたしております国民改革協議会というのは両院の同意が必要である、そこが大きく違う、こういうふうにお考えいただければいいのではないかと思います。
  163. 前島英三郎

    前島英三郎君 総理大臣が選んだと。総理大臣はだれが選んだのですか、峯山さん。
  164. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) これは、議院内閣制ですから、御存じのとおり議院が選ぶわけでございます。
  165. 前島英三郎

    前島英三郎君 総理大臣が、両院の国会議員で選ばれたその人が選んだ政府税調と皆さんの協議会とが何で違うんですか。それは総理大臣だからけしからぬ、海部さんだからけしからぬ、土井さんならいい、こういうことでしょうかね。
  166. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 委員の選び方につきまして国会の同意人事になっている委員会というのはこれはたくさんございまして、ですから決して総理大臣がどうのこうのという意見は私述べる立場にございませんから、これはもう明らかに国会の同意人事というのは、こういう審議会とかその審議会の重要性という点から考えますとそういうことがあってもいいのではないかと、こう考えております。
  167. 前島英三郎

    前島英三郎君 どうも基準がはっきりしないわけですけれども、リストアップする段階でそうしますとすべてが決まってしまうように思うわけです。そのリストアップの権能というのは私はやっぱり内閣総理大臣でなければならないという気がするんですけれども、どうなんでしょうか。
  168. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) そのリストアップをする段階ですべてが決まってしまうという御意見ですね、これはどちらかといいますと今までの政府税調に対する御意見がそういう意見が多かったわけです。これは総理が意図的に選べるということもございますし、これは前に問題になりました政府税調でリクルートの関係の皆さん方を選んだということで大分新聞で問題になったこともございますが、そういうふうなことがないようにという意味も含めまして、私どもの場合は決して結論が先に出ておる、方向が決まっておるということにはならないのではないか、かえって新しいこれからの議論ができるのではないか、逆にそういうふうに思っているわけでございます。
  169. 前島英三郎

    前島英三郎君 そうしますと、これまた後ろからもおしかりの言葉がありますが、「国民各層を代表する者」というのは、我々国会議員国民各層を代表する者とは違いますかね。どうなんでしょう。
  170. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) それはもう先生御存じのとおり、私ども国民各界各層を代表して出ているわけでございますから、当然そうだと私は思います。  また、この法律の中でこういうふうに書いておりますのは、もともと国家行政組織法の第八条の附属機関ということになっておりますので、国家行政組織法の第八条の機関そのものが国民のいろんな御意見を聞くためにつくる機関でございますので、そういうふうな意味も含めましてこういう言葉を使っているわけでございます。
  171. 前島英三郎

    前島英三郎君 どうもいろいろずっと何人か聞いて議論に参加してまいりましたけれども、「国民各層を代表する者」が苦労なく五十人絞り込めるとすれば、何か国会は要らないのではないか、こういうちょっと危惧をするのですけれども、その辺をわかりやすく説明していただけますか、危惧のないように。
  172. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) おっしゃる意味はよくわかりますが、そうおっしゃっていただきますと、国家行政組織法第八条に審議会がたくさんあるわけですけれども、これはみんな要らぬということになってくる可能性があるわけでございまして、そうじゃなくて、やっぱりそれぞれ専門の方とかそれぞれの問題につきましていろんな御意見を聞く機関が現在各省庁別に見ましてもたくさんあるわけでございまして、決して必要じゃないんじゃなくて、立法府がございましても行政府の附属機関としてそういうふうないろんな意見を聞く機関、いわゆる国家行政組織法に基づく八条機関。  先生も御存じのとおり、国家行政組織法の第八条というのはもともとはすべて国のいわゆる政令じゃなしに、国家行政組織法の第八条で審議会というのは全部決めるということになっておったわけですけれども、国家行政組織法の第八条の改正が昭和五十九年にございまして、全部政令で落とされることになりまして、各省庁が政令で設置するということになったわけです。そういうことを考えてみましても、私どもとしましては、いずれにしましても国家行政組織法の第八条のそういう機関でございますので、決して無理なことではないと、こういうふうに考えております。失礼しました。
  173. 前島英三郎

    前島英三郎君 国民各界各層を代表するのは私はまさに国会議員だと思うんですよ。委員の任命には国会の承認が必要だとしましても、国会議員がまた国会議員のような存在を選ぶことになって何か甚だ妙だと僕は思うわけです。その辺はどう御説明いただけますか。
  174. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) これは大変難しい質問でございまして、要するに私ども先生おっしゃるとおり国会の審議の、これは行政府の総理府に設置するわけでございますから、我々と しては総理府のいわゆる附属機関と、組織としてはそういうふうになっているわけです。したがいまして、総理府の附属機関のいわゆる国民税調ができて、そこから答申を総理大臣にする。ですから、私どもがいるから逆に言えばそういうのは要らないのではないかと、そういうようなことにはなりませんで、実際問題として国家行政組織法に基づく審議会というのは現実の問題としてもう各省庁にたくさんあるわけですよね。  しかも、それだけではなしに、最近は政令でもつくられておりますし、今度は政令や法律に基づかない私的な諮問機関というのもたくさんございますから、こんなことを申し上げたら恐縮ですけれども、私どもの及ばない分野とか専門的な分野とか、また新しい時代ですから新しい分野もあるでしょうね。また、先生の御専門のいわゆる福祉の分野というのもこれからどんどん出てくるんじゃないか。そういうような意味では御専門の方がいらっしゃるからいいようなものですけれども、それ以外のもっと専門的な分野の皆さんにもお集まりいただいて御意見をお伺いする機関というのをつくっていただいた方がいいのではないかなと、こう考えているわけでございます。
  175. 前島英三郎

    前島英三郎君 大変無理もあるような気がするんですけれども、さっきも北さんが採決方法なんかを伺っていましたですね。国民各層を代表する者が税制具体的内容を多数決で決めるとすると、協議会はますます国会に似てきてしまうような気もするんですね。確かに「講ずるものとする。」という文言は修正されるということでありますから、尊重するに変わりましたからそういう拘束力はなくなるにいたしましても、やっぱり国会に似てきてしまうというような感じがするわけです。委員の構成次第で既に結論が見えてしまうのではないか、こういう思いがするんです。そういう危惧はいかがですか。多数決も含めて、採決も含めて。
  176. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 採決とか結論の出し方とかそういうことにつきましては、これは実際問題としてすべてが運営の中身の問題になりますので、そういうことは政令の中で決めていただく以外にないと思っております。これはもちろん会長の選び方とか、それから会の運営の問題とか、それから事務局の設置の問題とか、こういうような問題が大体政令になるのではないかなと、こういうふうに思っております。したがって、採決で決めるとかそこら辺のことについては、私どもとしましてはその運営の中で決めていただく以外にない、こういうふうに考えております。
  177. 前島英三郎

    前島英三郎君 そうすると、多数決で話が、とにかく二年間で仕上げなきゃいかぬわけですから、それはけんけんがくがくになりまして、最後は多数決だということにならぬとも限りませんな。それから、全員が全会一致というような方向になるかもしれない。全会一致ということは、これは社会主義国ならいざ知らず、なかなか今のこの民主主義を尊重する我が国民にすればそれは難しいだろうと思いますね。そういうことになりますと、学識経験者、専門家は理論と公益に基づく全員一致があるとしても、国民各層から選ばれた委員で全員一致というのはこれは基本的に無理だろうと思うのです。これは絶対あり得ないと思うのですね、基本的には。無理がありますね。  そうすると、国民合意というのが出てくるわけですよ。そうすると、とても国民合意に到達できるとは思えないと私は考えるわけですね、国民合意ですから、国民合意に到達はできない。合意ができるとすれば委員の任命が非常に歪曲されてくる。そうでしょう。あなたは消費税廃止派ですね、はい、じゃ任命。あなたは消費税廃止反対、それはちょっと遠慮してください。こういう形にならぬとも限らない。それはそんなことはないと思いますがね。その辺の心配はどうでしょうか。
  178. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) いろいろと御心配をいただいておりますが、委員のおっしゃることを聞いておりますと私もますます心配になってくるわけでございますが、そういうことが全くないなんて言えませんからね、実際いろんなことがあるわけです。そういうことは幾らでも、確かにおっしゃるとおりいろんなことが想定されるわけですね。委員の選び方もそのとおりだと私は思います。  そういうような意味では、私どもが法律をつくるときにできるだけこういうふうな選び方をしろとか、こういうような人をこうしろと逆に決めるということの方がかえってまずいんじゃないかと思っておりまして、そこら辺のところはやっぱり今までのいろんな審議会の設置の方法等を見ておりましてもフリーハンドを与えている部分が多いものですから、そういうふうに決めさせていただきました。いずれにしましても、確かにこの国民税調がこれからの二年間に本当に結論を出すというからには、委員会の運営とか選び方とかも非常に大きな問題がたくさんあるということも十分承知をいたしております。
  179. 前島英三郎

    前島英三郎君 私は、その委員の選び方、運営のやり方で恐らく一年や一年半はかかるだろうと思っています。そのくらい私は大変だと思いますね。ここの責任が国民合意という形をつくらなければならないからなんですよ。ここに無理があると私は思っているわけですね。  政府税調があるわけですけれども、その関係についてちょっと伺っておきたいわけですが、協議会開催中は政府税調というのはどうなるわけでございましょうか。
  180. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 政府税調と仕事がダブる面もあるかもわかりませんし、いずれにしましても私どもとしましては、これから先の税制の大きな方向を決めるこの国民税調がやっている期間は、政府税調はしばらくお休みをいただくということになるかもしれませんし、またもう一つ政府税調独自の仕事がありますね。これは予算の編成とか政府に対するアドバイスとかいろいろあるわけですから、そういうことについてはそれなりの働きができるのではないかと、こういうようにも考えております。
  181. 前島英三郎

    前島英三郎君 「消費税廃止Q&A」ですね。これは日本社会党、公明党、民社党、社会民主連合、連合参議院というこの本では、政府税調は休止すると書いてあるんですね。年度改正はどうなるんだろう。税制改革基本法案審議事項には年度改正は入らないと思うんですけれども、だれがそれは審議するようになるんでしょうか。
  182. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) したがいまして、国民税調といたしましては将来の税制改革税制のあり方について審議をしている最中でございますけれども、例えばそういうふうな方面の活動については当然お休みいただくことになるかもしれませんが、いわゆる政府の税調としての独自の働きというのは役目がいろいろあるわけでございますから、そういう面では活動をしていただく部分も出てくるかもしれないと考えております。
  183. 前島英三郎

    前島英三郎君 そうすると、年度改正は政府税調が審議することもあり得るということでよろしいですか。
  184. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) これはもう委員も御存じのとおり、日切れ法の問題だとかいろんな問題がありますので、政府税調としての役目を果たさなきゃならない部分が私は出てくるのではないかなと、精査したわけではございませんがそういう点もあると思いますので、政府税調の役目というのはそれなりにあるのではないかなと予想をするわけであります。
  185. 前島英三郎

    前島英三郎君 税制というのは非常に継続的なものでありまして、これはなかなかいろんな政府審議会と区別するのは難しい部分が出てくると思うんです。例えば土地税制はどちらで審議するようになるんでしょう、土地税制野党は二年間の代替財源と二年後の税制改革ということでありますけれども、土地の問題、これは大変いろいろと問題をはらんでいるわけですが、継続的な部分もありますね。どちらがやるようになるんでしょう。
  186. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 私は、国民税制改革協議会がスタートいたしますと、その審議する中身は本質的には国民税調の中で決めていただ くわけでございますが、今お尋ねの土地税制の問題というのは私どもも非常に重大な問題であるということで、今回の税制改革の中でもそのことを頭に入れてこの法案ができておりますので、そういうような意味ではこの国民税調の中で審議がされる部分もあるのではないかなと、こう考えております。
  187. 前島英三郎

    前島英三郎君 そうするとその部分、政府の土地の一つの何といいますか税制の中と、それから政府税調と協議会と一緒に、いい言葉で言えば両輪のようにという部分ですが、政府税調の意見が協議会と違った場合、この場合は内閣総理大臣はどちらを尊重したらいいとお考えになりますか。これは基本的には違う部分もあるだろうと思いますね。内閣総理大臣はどちらを尊重すべきか。
  188. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 大変難しい問題でございまして、そこまで踏み込んでいいのかどうかわかりませんが、これは私はきょうここでは原則的なことしか申し上げられないわけでございますが、少なくとも国民税調、総理府に設置される国家行政組織法の第八条のいわゆる税制改革基本法に基づくこの国民税制改革協議会が設置された場合は、政府税調は少なくともその活動の範囲としてはこの国民税制改革協議会の活動を妨げない範囲で活動をする、そういうことになるのではないかと、こう考えております。
  189. 前島英三郎

    前島英三郎君 協議会の条文は、質疑の中で、憲法違反のおそれが大きいとかいろんなやりとりがありました。私に言わせれば法案の撤回、出直し的な修正が行われることになった、こういうふうに位置づけてもいいと思いますけれども、これは院の歴史に傷がつかず大変結構だと思うんですが、しかし修正の結果政府税調とほとんど変わらず重複するのではないか、非常に重複する部分が起きるという可能性はこれは否定できませんね。どうです。
  190. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) これは何遍かここで答弁をさせていただきましたが、この国民税調の基本的な考え方といいますのが、委員も御存じのとおり第四条で税制改革基本原則ということと、それから第五条で基本方針というのがございまして、この方針に基づいていろんなこれからの税制のあり方を協議いただくということになりますので、御心配のようなことが起きないようにと私ども考えているわけでございます。
  191. 前島英三郎

    前島英三郎君 どうも今、行財政改革、行政改革というのは公明党さんもおっしゃっていますし、民社党さんも強力に推進をしていただいているわけですが、そういう行政改革の面からいっても二つの審議会が存在してよいのかというような気がするんですが、その辺はちょっと勝木さん何か御意見がありましたら。あるいは峯山さん。どちらでもかまいませんが。
  192. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 私は前島委員考え方がそんなに大きく違うとは思っていないわけです。といいますのは、私どもは、前島先生は今消費税を賛成、継続とこうおっしゃっているわけでございますが、そうおっしゃっておりましても、私どもも二十一世紀を目指して、とにかくもう間もなくやってくるわけでございますから、私ども公明党といたしましても結党以来それこそ福祉の問題に一生懸命取り組んで、未熟ではございますけれども一生懸命やってまいりましたし、これからのことも本当に心配しておるわけです。また、それだけじゃなしに、これからの参議院のこと、国会のこと、いろんなことを心配しているわけです。そういうような意味では、私はもう考え方は全く違わないと思います。  そういうような意味で、本当にこれからのあり方を同じ土壌で一生懸命勉強したい、そして考えたい、そしてこれからのあり方を検討したい、そういうようなことを含めまして今やっているわけでございまして、できましたら、ただ廃止すればいい、あるいはただ継続すればいいというものではないと私は思うんです。そういうような意味では、これからの新しい体制を考えるチャンスが今なのではないか、こう私は考えております。
  193. 前島英三郎

    前島英三郎君 次への質問のちょうどイントロを峯山さんが振っていただいたような感じがいたします。  いろいろ考えてきますと、消費税廃止法案それから再改革基本法案いろいろ見ますと、この国民税制改革協議会というのが非常に大きな責任を持たせられる、また持たす形になっているわけですね。それゆえに今細かく私は質問をさせていただいたわけであります。私は、消費税は賛成であります。そして皆さんは反対である。しかし、事福祉に関しましてはやっぱりみんな富士山のてっぺんを目指すような思いであろうと思います。私は山梨県ですから、登り方は山梨県が一番いいと思います。しかし、静岡の人は静岡から登るのが一番だと言いますが、福祉という分野ではてっぺんの三千七百七十メートルは私は公明党も自民党もそんなに変わりはないような気を持っておるわけであります。  じゃ峯山さんには少しお休みをいただきまして、それでいろいろ考えていきますと、四党の皆さんの出された消費税廃止法案哲学というのは、基本的なものというのは私はやはり本会議で述べられた趣旨説明の中に凝縮されている、こういう思いがするわけであります。久保さん、それはいかがでございますか。
  194. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) そのようにお考えいただいて結構だと思います。
  195. 前島英三郎

    前島英三郎君 そこで、私ども自民党のそれぞれが三時間担当しておりますが、私がちょうど中間点の折り返しでございますから、いま一たび原点に戻らせていただきまして、その趣旨説明を逐条的にお伺いしてまいりたいと思います。  「まず、消費税廃止を求める理由について申し上げます。言うまでもなく、議会制民主主義の基本は、」民意の尊重と公約の履行にあります、ということでございます。私は、議会制民主主義とは国民がみずから選んだ議員による国会の議決に従って行動することを意味していると思うんですが、間違いでしょうか。
  196. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 議会制民主主義は代表による民主主義でございますから、その選ばれた代表が構成しております国会で決まりましたことが立法府の意思として決まるわけでございますから、それが法律として効力を持つという点においては今おっしゃったとおりだと思います。  しかし、その立法の過程において、議会制民主主義というのは選ばれるに当たっての選挙での公約がございます。その重大な公約についてはこれを守ってくれるという信頼に基づいて国民は代表を選んでいるわけでございますから、その公約の履行とそれから国民が選んだその国民の意思というものは絶えず国会としては留意をし、その国民の意思が尊重できるような決定をしていくということはまた国会の責任であろうと思っております。
  197. 前島英三郎

    前島英三郎君 それも一理あると思いますね。公約の履行は確かに重要なんです。重要なんですが、憲法が国民はみずから選んだ代表者に従って行動するという間接民主主義を採用している以上、代表者たる議員国民に次の選挙という洗礼を受けるという意味で拘束されると私は思っているんですね。もし公約の履行を議員に拘束するのであれば、それは憲法の採用する間接民主主義を否定するものだと私は思うんですが、いかがですか。
  198. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) それは、議会制民主主義に関するそれこそ理念において、少し私と前島さんとは見解が違うかなと思っております。  私は、公約というものに対して、特に重大な公約、例えば今度の消費税のような大型間接税導入しないという政党の責任者の公約がございます。これらの公約というものは、私はその任期中守られるべきものだと思っております。もしその公約をどうしても変えなければならないという判断に立つときには、改めて民意を問うということが議会制民主主義の基本ではないでしょうか。
  199. 前島英三郎

    前島英三郎君 消費税は公約違反の大型間接税であり一度たりとも民意に問われていない、まさしくそこへそれが入っていくわけですね。  私は、確かにあの売上税、あれは私たちは党の税調の中でも公約違反のおそれあり、こういう議論が本当にたくさんありました。そして、それをもって廃案という形になったと思うわけです。私は、今度の税制改革減税は大型、しかし三%というのは小型であろう、このように思うわけです。もちろん非課税のいろいろな問題もあります。そして、今私たちは見直しの作業もいたしておるわけでありますけれども、大型間接税と称する定義というのはどんなふうにお持ちでございますか。
  200. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) これは学説としてはいろいろな見方があろうかと思っておりますが、少なくとも国会の論議を通じては、衆議院予算委員会において公明党の当時の書記長であられました矢野議員に対して中曽根総理がお答えになって、一つの国会における見解となったものがございます。  それは、多段階、包括的、網羅的でそして投網をかけるような間接税を大型間接税の定義としてお出しになって、一応国会においてはその中曽根さんの答弁が考え方としてまとまって皆さんの理解になっておるのではないでしょうか。その意味では、疑いもなく消費税は大型間接税に当たるものだと考えております。
  201. 前島英三郎

    前島英三郎君 私は売上税の議論をしました。大型間接税にならないためにどうするか。あるいは五十八品目の非課税品を設けました。むしろこの五十八品目が私はあの売上税には大きな問題があったようなまた一面もいたします。縦横十文字、投網をかけるように、こういうものであるならばこれは公約違反でありましょう。しかし、売上税は議論の未廃案になったということは、それは一つの国会の決定だろうと思います。そして消費税ということになりました。  皆さんの二年後の税制改革案に含まれるサービスとか流通をも含めた間接税の創設、こういうことを含めていきますとこれは大型間接税にはなりませんか。
  202. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私どもは大型間接税としての一般消費税、売上税、消費税国民の皆さんによって否定されたものだと考えております。そのような大型間接税の範疇に入る間接税というものは我々が今後考えてまいります税制の中では取り入れられない、こう思っております。
  203. 前島英三郎

    前島英三郎君 国会において十分な審議も行われていない、こういう説明でございました。私の考えは、審議に応じなかったのは野党側であろう、こう思います。また、審議に入りましてもリクルート問題にばかり焦点を向けまして、せっかく創設した税制特別委員会を有効に活用できなかったのは野党の責任だと私は思います。  確かにリクルート問題は看過できませんが、それを口実に他の政策論議まで放棄するのはまさしく党利党略ではなかったか。私は、国政に携わる者としての反省をむしろ野党に申し上げたい気がするわけです。  それならば、十分審議が行われた上での採決、実施であったならば、あなた方は公約違反とは言いませんか、手続的な部分での。
  204. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) いや、これは審議を通じて公約違反であることを私どもは主張いたしているわけです。したがって、どうしても消費税導入を図ろうとするならば、総選挙によって民意を問うべきだということを主張したのであります。さればこそ、ここに衆議院において自由民主党の代表が行われました代表質問の全文がございます。  この中にも明確に、我が党は国民からかってない不信と鋭い批判を受け、記録的な大敗を喫しました。ということから自民党の代表質問は始まっているのであります。そして、その中で特に、絶えず国民の声に耳を傾けることはもちろん、声なき声にも心耳を澄まし誤りなきを期さなければならない、これは私は自由民主党の代表質問であってもまことに正しいことをおっしゃっていると思っているのであります。  同じようなことは税制改革に関する部分にもそのように書かれておりまして、税の最終の負担者たる消費者の理解と協力を得ることが不十分であったことにほかならない、政治は国民あっての政治であります、政治の主人公は国民であり国民の中心は消費者であります。  これが自由民主党の主張でございます。私はこのことを実行することが議会の今の任務だと思っております。
  205. 前島英三郎

    前島英三郎君 それが、比例代表制において自民党はだから二七%の支持しか得られず、そして消費税廃止という国民の意思は明確であるという言葉へつながっていくのだろうと思うわけであります。比例代表選挙での二七%の支持しか得られなかったのは事実でありますし、仲間を失ったことは大変私も残念でございます。しかし、残りの七三%が消費税廃止という意思を示したとは私は思ってはいないんですね。私は思っていない。さきの参議院選挙が消費税の存廃のみをめぐる国民投票ではなかったからであります。その辺はいかがですか。
  206. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 日本には、憲法の改廃をめぐる以外の国民投票の公的な制度というのはございませんから、そういう意味では、さきの参議院選挙は消費税の存廃をめぐる国民投票であったとは申せないと思っております。しかし、これぐらい重大な政策に関して存続と廃止が明確に争点として争われた選挙もまた大変珍しい選挙であったと思っておりまして、その意味では国民投票的性格は持ったと思っております。そして、その結果存続を主張されました自由民主党の得票は、比例代表において今前島さんがおっしゃいましたように二七%でございました。廃止を主張いたしました者は、今回この法案を提出いたしております比例区を戦いました社公民三党だけで五〇%を超しております。
  207. 前島英三郎

    前島英三郎君 そういう意味で、「政府・与党の中には、参議院選挙の結果を国民理解不足に転嫁しようとする意見が」あると、そういうことにつながっていくのでしょう。しかし、確かに社会党は得票をしました。今、社公民合わせて五〇%とおっしゃいました。公明党はあるいは民社党は今度の選挙結果は、消費税は反対を叫ばれましたけれども、しかし結果は芳しくなかったと思うんですね。その敗因は何だったと分析されますか。――いや結構です。  私は、つまりそれは消費税の存廃だけイエスかノーかというような形の選挙もありました。しかし、その背景にはいわゆる農産物の問題やリクルートの事件が招いた政治不信、こういうものもあったと思います。そしてまた、こういうことは我々は厳粛に受けとめなければならないと思っているわけです。「国民は、実施段階に入った消費税内容を知れば知るだけ強く廃止を求めている」ということを、いろいろな委員の中から、しかしそうではないんだよ最近は、こういう流れだよ、こういう質問がございました。そしてまた皆さんは、この法案一つの成否というものは次の総選挙で決せられるべきものであるということをきのう久保委員は申されておるわけであります。そういう意味におきまして、私たちは見直しということを国民の世論に従って今作業をし、今夜あたりきっとどんと出るかもしれないわけでありますけれども、どうもあの選挙というのは森を見ないで木を見た選挙であった。私はそのように思うわけであります。  やっぱり消費税のよさは、どんな財貨サービスにもひとしく課税できるという点に長所があります。もともと逆進的でありますから、私たちはそうした一つの逆進性の緩和を一生懸命政策的に行っているわけであります。しかるに、消費税のみを取り上げて逆進的だと非難するのは、今も言いました森を見て木を見ない、こういう例えだと私は思っているわけであります。いかがですか。
  208. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 前島先生のおっしゃっておることは木を見て森を見ないだろうというふうに思いますが……
  209. 前島英三郎

    前島英三郎君 そうそうそう、木を見て森……
  210. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 国民は実施段階 に入った消費税内容を知れば知るほど強く廃止を求めているのでありますということでございますが、国民はやはり公約を無視して拙速に導入された消費税であるということで、その実施前から不安を抱いておったんじゃないかというふうに思われるわけでございます。しかし、国会でやはりわけのわからないうちに、何だかわからないうちに消費税導入された中で、国民の中にはこのことをよく理解できずにおられた方もあったのではないかという、そういう感想も持っておるわけであります。  そこで、わずか三カ月という余りにも短い準備期間が過ぎて消費税が実施されることになったわけでございますが、ことしの四月一日、あの日以来国民消費税の正体を知るようになりまして、その内容を知れば知るほどやはり消費税というものは廃止しなければならないんじゃないかというふうに思うようになったんだというふうに私どもは解釈をいたしております。  何しろ、どんな物を買いましてもやはり三%の消費税がかかるのでございまして、奥さんたちが毎日毎日やりくりをして買い物に出かけて食料品を買うと消費税がかかっておる。そしてまた、ダイヤモンドを買ってもお米を買っても三%、また低所得者や年金だけで細々とお暮らしになっておられる人たちが買い物をされましても三%であります。しかも、消費者が払った税金がそのまま確実に国庫に納められるという保証もありません。  また、限界控除制度あるいは簡易課税制度あるいは免税点制度あるいは帳簿方式という、そういった不合理な制度が採用されたために、せっかく消費者が負担をいたしましてもどうなるかわからないというところでございまして、そういった意味で、間接税というのはそもそも事業者は他の人が負担した税金をかわりに税務署に納めるということでございますが、事業者が本当に間接税でもうけたりするということがあってはならないんじゃないかという、そういう心配もありまして、この点でも消費税はおかしな言ってみれば欠陥税金と言わざるを得ないんじゃないかというふうに思うわけでございます。  また、便乗値上げも数多く見られておるわけでございまして、特に内税万式をとった場合は一体本体価格は幾らで消費税は幾らなのかさっぱりわからないというような声もお聞きをするわけでございますし、政府は当初三%分だけ物価は上がると言ったのに三%を超える値上がりも多く見られるわけでございまして、こうしたものについての適正な措置も不十分なまま、そのままにされておる場面も間々見られるわけでございます。さらに、立場の弱い事業者の中には転嫁ができずに自分で税をかぶらなくてはならないという問題も生じておりまして、とりわけ末端の消費者と接する零細の小売店の方々の中にはそのようなところが多いというふうに私どもは伺っておるわけでございます。  以上のようなことを考えただけでも、国民の皆さんが消費税廃止を強く求めるようになったことは当然じゃないかというふうに思いますし、国民の声をよく聞いて消費税廃止する以外に正しい道はないんじゃないかというふうに私どもは確信をいたしておるわけでございます。平成の時代がよい時代となるか否かは、やはり私ども提案をいたしておりますこの九法案が成立するかどうかにかかっていることを私は強調したいのであります。
  211. 前島英三郎

    前島英三郎君 演説を聞きましたが、「最高の社会正義が要求される税制が、リクルート疑惑のような不正義の権力によって提起され、強行された」というくだりもございましたね。私はやっぱりリクルート疑惑と税制とを同一視するのは、白馬は馬にあらずといった詭弁のたぐいだと思うんです。確かに税制改革を担当した内閣の閣僚の何人かがリクルート社との関係を有していたのは私たちもまことに遺憾です。本当に遺憾に思っておりますが、それをもってその人の行う行動すべてを悪とみなすのはいかがなものかと私は思うわけですね。  政治倫理とあるべき税制の姿とはこれは切り離して論ずるべきであった、このように思います。政策論争が国会の務めだと私は思っているわけです。なぜなら、それならばなぜリクルート疑惑に汚染された内閣の提案した所得税減税はもとに戻さないのか、ここがどうも腑に落ちない。いかがですか。
  212. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今のお言葉を返すようで大変恐縮に存じますが、私、前島さんのおっしゃった方が詭弁のように感ずるのでございます。  それで、やっぱり私ども趣旨説明で社会正義の問題に触れましたのは、国民がなぜあの選挙で消費税導入の強行に反対をしたか。その一つの理由は、提案なさった総理大臣、直接ここでその説明を行われた大蔵大臣、いずれもリクルート疑惑の問題の中でおやめになっていくわけです。こういう状況を見ながら、国民としては今の国会を信頼できるか、税制改革をあのような国会の中で強行していいか、こういう気持ちを国民の皆さんがお持ちになったに違いない、そのことを申し上げているのでございます。
  213. 前島英三郎

    前島英三郎君 わかりました。それも一理あるかもしれませんね。しかし、基本的に私とは違うようであります。  そこで、いずれにしましても、次の社会保障へ残す時間がなくなってしまうと大変ですから最後の質問をしたいと思うのですが、委員会はいろんなプロセスで皆さんから問題の指摘を受けましたね。しかし、法案の最終的な決定というものは本会議でやるわけです。そうしますと、本会議というのは私たちは記名投票をしてこれが成立をいたしました。消費税というのは現段階においては私たちは守るべき責任があるとこう思うんですが、久保さんはいかがですか。
  214. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 国会が法律として成立させたのでございますから、この法律が存在する限り守るべき義務があるものと制度上は考えております。それゆえに、私どもはこの法律を廃止しなければならないということで廃止の法律を提案したわけでございます。
  215. 前島英三郎

    前島英三郎君 そのとおりです。私たちは多数決でそれを間接民主主義、議会制民主主義の中で決定するわけですね。したがって、我々は、特に国会議員そして、また、政党はその法律を守っていく責任もまたあると思うんです。しかし、この消費税廃止法が新たに出てこれがまた多数決で可決されたら、これもまた一億二千五百万は当然守っていく義務を負っていると思うんですね。それでよろしいですか。
  216. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) はい。
  217. 前島英三郎

    前島英三郎君 しかし、皆さんのこの「Q&A」を私は書店で買いましたが、「千三百六十円、悪税四十円」と記載するわけですよね、「悪税四十円」と。私たちは、皆さんから見ればけしからぬと思うかもしれないけれども、必死に政策を立案し必死な討論をして血のにじむような思いをしてつくり上げた法案、いろんな批判はされようとも今その制度というのはしっかりと私たちは法律として守る義務がある。今おっしゃいましたね、久保さん。こういう表示は一つの公党としてあるべき姿だとあなたは思いますか。
  218. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 率直に申し上げまして、私は前島さんが御指摘になるまで気がつかなかったんですが、御案内のとおりに、この出版物は日本社会党、公明党、民社党、社民連、連合参議院の五会派の政策審議会が編者となって発行したもので、これら五会派は消費税廃止関連九法の共同作業を担当し、その意図を国民に熟知していただくために発刊したわけでございますが、御案内のとおりに定価は千四百円、本体価格千三百六十円、そして悪税四十円と、こうなっておるわけです。当該出版社が記述したのでありますが、私どもの意図を巧みにあらわしたと、そういうふうなことかもしれません。しかし、率直に言って発議者の方も出版社のこの記事までほとんど気づいてなかったというのが実態でございます。  ちなみに、御指摘いただきましたから、悪税四十円という記載は不当景品類及び不当表示防止法第四条第二号に規定する不当な表示の禁止には当たらない、こういうようなことになっておるようでございます。
  219. 前島英三郎

    前島英三郎君 当たる当たらないを私は聞いているわけじゃなくて、当たる当たらないは、それま……。だけれども、我々は多数決で決めた。決めたものは法律としてある。それは国民は尊重すべきなんですよ。そして、それを私たちは率先して範を示さなければならないのが国会議員ですよ。  その国会議員の各政党の、それは税の「Q&A」かもしらぬが、表示のところに「悪税」ということを人心を惑わすようなことをやって、あなた方は正論だと思いますか、率直に。峯山さん、それから連合の笹野さん、勝木さんにお伺いして、きょうのところの私の質問は終わりたいと思います。回収してもらいたいよ。
  220. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 私どもは悪法でも法は法ですからそれは守らないといけないと私は思っております。したがって、私ども消費税の法律に基づきまして党の方の機関紙も消費税を納めるようにいたしておりますし、そういうように思っておりますが、これは先ほど佐藤さんがお答えになりましたが、出版社の意気込みというのはこういうところにあらわれておるのかなというように感じてはおりますけれどもね。
  221. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 私は出版社に直接聞いたわけではありませんので、出版社の立場としてのお話は申し上げられませんけれども、つまり私としては消費税として払うことにはやぶさかではありません。
  222. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 前島先生のおっしゃるとおりのところもありますから、悪法であっても法は法であるわけでありますので、そこら辺は……
  223. 前島英三郎

    前島英三郎君 回収。
  224. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) いや、廃止というよりも、次の版からできたら改訂できればいいなというふうに私は個人的には思っておりますので、あとそういうふうにした方が混乱がなしにスムーズに審議が進むことを願っております。
  225. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 九案に対する本日の質疑はこの程度といたします。  次回の委員会は明十二月一日午前十一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時一分散会