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1989-11-29 第116回国会 参議院 税制問題等に関する特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月二十九日(水曜日)    午前十時九分開会     ─────────────    委員の異動  十一月二十八日     辞任         補欠選任      和田 教美君     中野 鉄造君  十一月二十九日     辞任         補欠選任      翫  正敏君     安恒 良一君      大渕 絹子君     西岡瑠璃子君      北村 哲男君     山口 哲夫君      刈田 貞子君     常松 克安君      中野 鉄造君     木庭健太郎君      秋山  肇君     野末 陳平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中村 太郎君     理 事                 井上 吉夫君                 沓掛 哲男君                 宮澤  弘君                 村上 正邦君                 稲村 稔夫君                 及川 一夫君                 本岡 昭次君                 矢原 秀男君                 近藤 忠孝君                 古川太三郎君                 寺崎 昭久君     委 員                 伊江 朝雄君                 小野 清子君                 大木  浩君                 梶原  清君                 鎌田 要人君                 北  修二君                 久世 公堯君                 佐々木 満君                 谷川 寛三君                 前島英三郎君                 松浦  功君                 松浦 孝治君                 守住 有信君                 山岡 賢次君                 吉川 芳男君                 穐山  篤君                 上野 雄文君                 粕谷 照美君                 西岡瑠璃子君                 渕上 貞雄君                 細谷 昭雄君                 前畑 幸子君                 村田 誠醇君                 安恒 良一君                 山口 哲夫君                 木庭健太郎君                 常松 克安君                 中川 嘉美君                 中野 鉄造君                 橋本  敦君                 三治 重信君                 下村  泰君                 野末 陳平君    委員以外の議員        発  議  者  久保  亘君        発  議  者  佐藤 三吾君        発  議  者  梶原 敬義君        発  議  者  小川 仁一君        発  議  者  峯山 昭範君        発  議  者  太田 淳夫君        発  議  者  笹野 貞子君        発  議  者  勝木 健司君    政府委員        大蔵大臣官房審        議官       濱本 英輔君        大蔵大臣官房審        議官       石坂 匡身君        厚生省社会局長  長尾 立子君        労働大臣官房長  若林 之矩君        労働省職業安定        局長       清水 傳雄君    事務局側        常任委員会専門        員        竹村  晟君        常任委員会専門        員        保家 茂彰君    参考人        社団法人日本貿        易会常務理事   林  俊範君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○消費税法廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○消費譲与税法廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○地方交付税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○税制改革基本法案久保亘君外七名発議) ○法人税法等の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○通行税法案久保亘君外七名発議) ○物品税法案久保亘君外七名発議) ○入場税法案久保亘君外七名発議) ○地方税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議)     ─────────────
  2. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を開会いたします。  消費税法廃止する法律案消費譲与税法廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 鎌田要人

    鎌田要人君 私は、去る十四日の関連質問に引き続きまして、代替財源問題、税制改革につきましての皆様方の基本的な姿勢、課題の問題及び地方財政問題につきましてお尋ねをいたします。前回同様、あらかじめ質問内容につきましては詳細御通告を申し上げておりますので、お答えは簡単明瞭にお願いをいたします。  質問に入るに先立ちまして一言、私が十四日の関連質問の中で、この代替財源案の取りまとめに当たって、社会党伊藤政審会長が、どうせ実現はしないんだからでしたかね、通りっこないんだからでしたかね、「ひとまずこの代替財源案にウンといってほしい」云々といって反対する労組を説得して回ったという、九月二十一日付日経新聞、同二十九日付産経新聞記事につきまして事実の有無をただしました。  ところが、明くる十五日の日に、この件について何の質問もしておられない安恒議員への答弁の中で、突如久保議員の方から、この私が質問したような事実はない旨の御発言がありました。質問をした本人に対してでなく質問もしていない方への答弁の中で敷衍されたことはまことに奇異の感を免れないわけでございまして、理解に苦しむところであります。そこで、改めて質問者である私に対しまして御答弁をいただきたいと存じます。
  4. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 御指摘をいただきました新聞記事がございますことは事実でございます。鎌田さんの方から、十四日にその旨御指摘がございまして、その事実の確認を求められましたので、これは公党といたしましては大変重大な問題だということを私申し上げてございました。したがいまして、この問題について、先生も御出席のことでございますし、私としては党の名誉に関することでもあり、また本人にとりましても重大な問題でございますから、できるだけ早い機会にこのことについて本人から確認したことを申し上げさせていただきたいと思いまして、あの機会発言をいたしました。質問されました先生お答えという形で申し上げなかったことは大変恐縮に存じておりますが、この問題の重大性にかんがみて、私、日本社会党に所属する者といたしまして、できるだけ早い機会にこの問題については弁明を行っておかなければならないと考えましたことにつきましても、ぜひ御了承を賜りたいと思います。  あの際申し上げましたように、本人はそのような事実はないということを申しております。また、昨日でありましたか、勝木議員の方からもこの問題にお触れになったんじゃなかったかと思いますが、私そのような事実はないと確信をいたしております。ただ、これは個人発言に関する問題でございますから、それ以上私の方でこの問題について追求をするとか、この問題をさらに深く確認するという問題ではなかろうと考えております。私としては、伊藤政審会長が私に申しておりますことを私は信じたい、こう考えております。
  5. 鎌田要人

    鎌田要人君 私は、この問題につきましては、今久保議員お答えの中にございました伊藤さん個人の問題ではないと思うんです。やはりこれだけ大きな問題について、連日精力的な質疑応答が行われておる、まさにその問題について、仮にこれがどうであったにせよこういう記事が出たということ自身が、私の方はもちろんですが、国民に与える影響というものは非常に大きいものがある。したがいまして、事実でなければ当然、はっきりしているわけですから抗議をされ、記事取り消しを求められる、そういう事実があったということが報道されるだけでも、なるほどそういう事実はなかったのかとあるいは我々も思い、世人も思うかもしれません。  ところが、この記事が出て今日に至るまで記事訂正の、あるいは取り消しの、あるいは抗議のアクション一つとられておらないわけです。でありますから、私はそれをこの前から言っているわけです。恐らく久保さんにすれば、それは伊藤さんのこっちゃからおれに言うなと、こういうことかもしれませんが、やはりこれはいみじくも今おっしゃったように公党信頼にかかわる問題、伊藤さんの信頼にかかわる問題であります。きのう伺いますと、久保さんと伊藤さんは青雲の志をともにされたまさにこれは戦友、親友でありますから、そういうことを踏まえてやはり忠告をされるべきじゃないか。そういうことがないと我々はやっぱりあれは事実なのかなと、こういう気持ちで釈然としないわけですね、すっきりしないわけです。そこをもう一つ
  6. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私が申し上げておりますのは、この問題について事実であるとするならば公党として明確に責任をとるべきものだということでございまして、そのことについては先般も鎌田さんにお答え申し上げました。ただ、この問題について当事者であります伊藤政審会長がどのようになさるかということについて私が今ここで申し上げる立場にないということを御答弁申し上げている次第でございます。
  7. 鎌田要人

    鎌田要人君 この問題につきましては、そういう意味で私どもは、伊藤さん個人からこの新聞社に対して明確な抗議あるいは訂正取り消しの手続がとられない限りは、やはりそういう事実があったものだと、こういうことを認めざるを得ないということだけを申し上げまして、質疑に移りたいと存じます。  去る十四日の質問の際に提出方をお願いしておきました代替財源案によりますところの初年度計算、これにつきましての見積もり資料を昨日いただきました。大体私が申し上げましたとおり、一兆七千億プラス一兆三千億、初年度三兆円の穴があく、こういうことで意見の一致を見たようでございます。  そういうことでこれを前提にして申し上げますが、三兆円ということになりますと、これをどのようにして明年度穴埋めをされるのか、その点につきまして重ねてお伺いをいたしたいと存じます。
  8. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) きょうは先般の質疑から初めてでございますので、もう一回昨日の問題とあわせて御答弁をしておきたいと思います。  昨日も数字は申し上げましたが、トータルで申し上げますと初年度は三兆二百八十五億円、トータルでございます。それから平年度が四兆二千三百十億円でございます。したがいまして、平年度は、申し上げましたのは一兆七千九十億円でございました。それが昨日も申し上げましたが、二兆九千百十五億でございます。大体今までの分と合わせまして一兆二千億がふえたということに、概算でございますが、そういうふうになります。  したがいまして、私どもといたしましては、まず一兆七千億の問題につきましては従来から自然増収の問題について申し上げてまいりました。これは先生御存じのとおり、特に平成元年度の予算伸び経済伸びというのが相当大きくなってきている、こういうふうに考えております。  これは、まず申し上げますと、最近の各種の調査機関の、いわゆる政府見通し経済成長は四%でございましたが、これは各機関のものを全部はもう申し上げませんが、例えば東海銀行の場合は三・五%の伸びでございます。
  9. 鎌田要人

    鎌田要人君 申しわけありませんが、簡単におっしゃっていただけませんか。
  10. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) それでは簡単に申し上げますと、各機関のは、いわゆる経済成長伸びというのを相当大きく、大体五%台あるいは六%台を予測しているところもあります。  そういうような点から申し上げますと、私ども予想をいたしておりましたいわゆる経済伸び、これから考えますと、先般も申し上げましたが、トータルで申し上げますと、これはもう同じことは申し上げませんが、元年度予想が五十四兆八千九百二十六億、これは六十三年度決算もとにいたしまして元年度のいわゆる予算伸び計算したわけでございます。そういうところから計算をいたしまして、平成年度は五十七兆というふうに申し上げてまいりました。これは、五十七兆も現在の勢いでいきますともう少し伸びるんじゃないかという感じもいろんな調査機関のあれから出ております。これを比べてみますと非常に大きな経済成長になるわけでございまして、初年度のいわゆる当初予算五十一兆百億から見ますと、五十七兆五千百七十億というのは一二・三%という大変な伸びになるわけでございます。これは、六十三年度と元年度とのいわゆる伸びが一三・一%でございますから、そういう点からいきますと相当大きな伸びが予測されるのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。  したがいまして、特に平年度ベースの一兆七千億はさておきまして、少なくとも私ども初年度に見込んでおります一兆二千億につきましては、これは昨日も久保議員の方から御答弁をさせていただいたわけでございますが、これは六十三年度決算剰余金、これがもう大体確定をいたしておりまして一兆七千三百二十億あるように聞いております。これは二分の一以上を繰り入れるということになっておりますから、そこら辺の問題とか、あるいは元年度における補正予算編成という問題とも絡んでまいります。  こういうようなものをすべて勘案いたしまして、予算編成の折にいろんな角度からこの予算を組んでいただくということになれば、私どもが見込んでおります一兆七千億プラス一兆二千億といういわゆる歳入の不足の分については十分賄えるのではないかな、こういうふうに考えているわけでございます。
  11. 鎌田要人

    鎌田要人君 大変粗っぽい話なんですよね。私が伺っておりますのは、これはもう最初から平行線なんですけれども、あなた方は制度改正によってどう増減収が生ずるかというのを初年度計算、平年度計算をやっておられないわけです。税制改正の常識というのは、そのときにそういう計算をして、それに対してどういう財源制度的に対応するか、制度的ですよ、これ大事なところです。ところが皆さんは、制度の問題も自然増収の問題もごちゃごちゃにしておられるわけです。これをどんぶり勘定というんですね。どんぶり勘定では制度改正はできないわけです。  したがいまして、具体的に伺いましょう。皆さん方が今までずっとおっしゃってこられたことは、今おっしゃったようなことを前提に置かれまして明年度自然増収平成年度自然増収は五兆八千億とおっしゃっておられるわけです。これは本会議でたしか久保先生もおっしゃったですかね、お二方から聞いています、五兆八千億。これは記録があります。まあ丸くして六兆といきましょう。  それで、この穴があくのが今お認めになったように初年度は三兆ということですね。そうすると、残りは三兆しかありません。その三兆の中から、この前の繰り返しになりますが、来年度一般経費で、例えば社会保障系統のものが概算要求基準だけでも一兆円出ているわけです。あるいは来年度赤字国債をやめるということになればことしから一兆三千億を減らさにゃいかぬのです。それでもう二兆三千億でしょう。残り七千億でしょう。七千億の中から地方財政対策もやらにゃいかぬ。国債費も払わにゃいかぬ。これは来年度予算が組めるかどうかという大きな問題になってくる。いわんや地方財政の問題があるわけです。  地方財政の問題につきましては、もっとこれは厄介なことになります。これはもう結論だけ申し上げますが、消費税廃止に伴って交付税譲与税がなくなりますので、約二兆三千八百億の穴があくわけです。それに対しまして、今、初年度でぎりぎり出していただいた資料等も積み上げてお互いに一致した数字では、何と九千百億にしかならないんです残りの一兆四千七百億というものはこれから財源手当てをせにゃいかぬのです。大変なことですよ。この事実というものをお認めになるかどうか、まずそこを明らかにしてください。国と地方と両方おっしゃってください。
  12. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 今鎌田さんがおっしゃったように、地方財政の面から見ますと、初年度の場合には率直に言って、実質予定は、おっしゃったように九千百億でございます。したがって、平年度ベースから見ますと大きく落ち込むということは事実でございます。  そこで、これをどうするかということについてお答えしておきたいと思いますが、まず、地方間接税につきましては、電気税ガス税……
  13. 鎌田要人

    鎌田要人君 いや、それは入っているんです、この中へ。入っているんです。
  14. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) そうです。その説明は要りませんか。
  15. 鎌田要人

    鎌田要人君 はい、それは要りません。
  16. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) そこで、それらの補てんにつきまして、私どもとしましては、総額補正というか、総額の面で税収見積もりの是正に伴う地方交付税増収額が約九千億程度平年度で見込まれておりますが、これは当然現行制度前提にした数字でありますし、平成年度以降についても、税制改正前提とした国税税等収入見積もりを見ますと一つの額として見込まれるんじゃないかということが一つと、もう一つの問題は、二年後に税制改革におきまして税源拡充を図る、こういう前提をしておるわけでございますが、今回は消費税廃止を最大の制度改正と位置づけまして、二年間の代替財源総額確保でどう確保するかという観点からいたしまして、私どもとしては、剰余金の繰り越しの問題であるとか、予算編成において歳入歳出全体の調整の中で行われていかなきゃならない、こういうふうに思っております。  そういう意味で、六十三年度決算に基づく交付税精算額平成年度において約六千億入ってくると思います。さらに不足する分について一体どうするかということにつきましては、消費譲与税年度配分見込みとされていた額と今回の地方間接税復元に伴う増収額の差額につきましては、基本法税源拡充というものが見込まれるまでの間については、やはり国の改正に伴う犠牲を地方に押しつけるわけにいきませんので、交付税特例加算、こういうものも当然ひとつ検討していかなきゃならぬのじゃないか。そして、それらについては平成年度においては後年度精算、こういう措置も考えていく必要がある。こういうことで、大体初年度総額については充足できるんじゃないか、こういう考え方を持っています。
  17. 鎌田要人

    鎌田要人君 どうしてもわからないんですがね。どうしてそういう楽天的なことをおっしゃられるのか。今そして、国税についての、国の財政についてのお話がないんですよ。簡単にやってください、もう時間がないものでね。
  18. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) これは、もう鎌田先生よく御存じのことだと思いますのであれでございますが、先ほども申し上げましたが、これは政府制度改正のときには、例えば去年の消費税の国会のときですが、このときには法案提出時にはいわゆる初年度平年度という出し方はしていないんですね。結局、政府予算編成のときにいわゆる制度改正の分とあわせて提出をしているわけですね。しかもこれは、私の手元にも資料がございますが、政府税制改革の骨格として、例えば減収の部分が直接税が五兆八千億、そしてその中身が書いてございます。そのほか、間接税が三兆四千億、合計で九兆二千億の減税。そして、増収の方が適正化で一兆二千億、消費税の創設で五兆四千億、そして差し引き二兆六千億。この差し引き二兆六千億についても、結局政府としては実際に制度改正の中で出てきたこういうふうな問題については手当てをしていないわけですね。  そういうような点から考えますと、私どもが今回提出をいたしました法案は、確かに先生おっしゃるように政府法案とはちょっと違うと。その点は確かに、我々は考えておりますのが初年度と二年度と、二年という非常に短かい期間ですから、そういうような意味では初年度平年度計算を出せとおっしゃって、私どももいろんな角度から計算をしました。しかし、初年度というのは確かに出してないものを我々は出したわけでございますが、これはやはり予算編成の中で処理をしていただく問題ではないかなと、こういうふうに考えているわけでございます。
  19. 鎌田要人

    鎌田要人君 お答えになっていないんですよ。これは予算編成でやるんだというんであれば平年度だって同じなんです。特に今度の場合には、平年度平年度とおっしゃいますが、二年しかないわけでしょう。皆さん方暫定措置は二年だとさっきからおっしゃっておるわけです。そうすると、平成元年度と平成年度しかないんです。じゃ、平成元年度はどうだ、平成年度はどうだ、これだけの話になるわけです。でありますから、これはもう全くお答えになっておらない。  この点につきましては、せっかくお答えをいただいたんですが、例えば初年度地方財政で、おたくの案のとおりにいった場合には、地方財政だけにもう限定しましょう、一兆四千七百億の穴があくということをお認めになったわけです。その一兆四千七百億の中でどう埋めるかということについての今のお答えでは、一つ交付税自然増収があるだろうということがあるわけですね。ただ、その交付税自然増収というものについては、これは御案内のとおり、交付税の中の譲与税を取った残りの五分の四のその中の二四%というのはなくなるわけですね。だからそんなに出ないわけです。あるいは今の六十三年度剰余金から回ってくるのが、仮におっしゃるように六千億あったとしましょう。それでも八千億足りない。一方、国の方はとにかく六兆円の自然増収の中で三兆円はこれで食われて、残りの三兆円は今さっき申し上げたようなことで持っていくということになると、交付税特例加算に回していくものもなくなるわけです。  この点については私は、この財源の問題ということについて、どうしても皆さん方から納得、理解のいく説明がいただけないんです。これを整理して、書いたものでひとつ資料としていただけますか。まだこれから質問が続きますから、皆さんのまた質問の際にひとつそれをもとにして展開をしていただかないと、これだけ穴のあきっ放しの、大きなものがもうここに穴があくに相違ない、そういうものをやるわけにはいかないと思うんですよ。どうですか。
  20. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 鎌田先生の大変御専門のお立場からの御見解は、私も傾聴して伺いました。    〔委員長退席理事井上吉夫君着席〕  ただ、この財政上の問題、つまり予算編成をどうやっていくかという問題は、税制改革の問題と関係がないことはございませんけれども、私はそれぞれの責任において行われるものではなかろうかと考えておりまして、そして経済見通しであるとか財政全体の整合性をどうしてとっていくかというような問題は、予算編成権を持つことによってそのことにかかわる度合いが非常に違ってくるものだと思っております。  それから経済伸びに伴う税収の伸びをどういうふうに見ていくかという問題も、これは見解がいろいろあると思うのでございますけれども、今日までの政府が対応してまいりましたことを見てまいりましても、古くは昭和二十四年の十一月に織物消費税廃止になりますときの政府答弁も、この財源自然増収をもって充てるという御答弁になっておりますし、昭和三十一年十二月の政府税調の答申にも、減税の財源は見込み得る自然増収によって賄うということができるということを明確に示して、それに基づいて政府予算が組まれたこともございます。  したがいまして、歳入の見方についてはいろいろな見解があると思いますけれども、これはかかって予算編成の段階において責任を持ち得るかどうかという問題ではなかろうかと私は思っているのでございます。
  21. 鎌田要人

    鎌田要人君 わかりました。  いずれにしても、私はまだ聞きたいことが山ほどあるんです。この問題で、入り口でもうこれだけつっかえてしまうとどうにもならない。私はどうしても承知できませんので、理解ができませんので、恐れ入りますが、今おっしゃったことを数字も含めて、この三兆円の歳入欠陥が初年度において出るということはお認めになられた、それについて国税地方税、国の財政地方財政でこれをどうのみ込んでいくのかということを、一つ書きでいいですから皆さん方の考え方を、自然増収で後は全部やります、それはもう予算当局で考えればいいことですと、それでも結構です。そういうものを書いたものとして資料でひとついただけますか、どうですか。それだけ。
  22. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 数量的なものの計算でございましたら既にお出しいたしました。ただ、見解にかかわる問題を資料としてお出しするというのはいかがなものであろうか、検討さしていただきたいと思います。(「そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)
  23. 鎌田要人

    鎌田要人君 そんなことはないと言うとおりで、税というのは何遍も申しますように結局数字です。数字でそれによって財政を賄っていくわけですから、これだけ初年度において埋まらない穴がある、それをどうするかということは提案された皆さん方が明確にする義務があります。それを今の自然増収でこういうふうに見込んでどれだけと、そういうことで考え方を整理していただけませんか。その交付税の六十三年度の剰余が六千億あるとか、あるいは初年度交付税自然増収の見込みがこれだけあるとか、そういうのをひとつ整理をしていただきたい。  それがないと、何かもう八幡のやぶ知らずの中でああでもないこうでもないということでは、これは到底承服できません。
  24. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 承服できないとおっしゃられても、私どもとしても、非常に見解を異にいたします問題についてこれ以上お答えすることもできないわけであります。政府が去年税制改革を行われました際にも、補てん率ということでいきますと、国の場合には六六%、地方の場合七一%の制度改正による財源の補てんということをお示しになりましたが、その残りの部分は予算編成において歳入歳出全体の総合的な調整の中で行われたのではないでしょうか。私はそう思っております。
  25. 鎌田要人

    鎌田要人君 これは考え方が全然違うんです。おととしの中曽根内閣のときの税制改革は、歳入中立ということで、レベニュー・ニュートラルということでプラマイゼロにしたわけです。前回の税制改革では積極的に二兆六千億の減税をやったということなんです。  今のこのケースは、消費税をやめました、穴があきます、二年間暫定措置をやります、その問題でしょう。その穴をどうするかということで、明明白々たることですよ。考え方とおっしゃいましたが、考え方じゃなくて客観的な数字をどう扱うかという問題ですよ。
  26. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 政府がおやりになりました場合には減税と増税とのその差の問題である、こうおっしゃいますけれども歳入という面から見ますならば、消費税廃止というのは消費税五兆九千四百億の減税、そしてそれに伴う制度改正による増税分、その差額をどうするかという問題で、同じことではないでしょうか。  そしてまた、資料として出せということでございますけれども、既に四党の見解といたしまして、先生も大変な御勉強家でいらっしゃいますからお読みいただいているように思っておりますけれども、私どもが出しました「消費税廃止Q&A」の中にも取り上げてございますけれども、四党の共同の考え方として平成年度予算編成においてどうするということについても既にお示しをしているのでございまして、もし見解を資料として出せとおっしゃいますならば、この共同見解をお出しすることになるだろうと思います。
  27. 鎌田要人

    鎌田要人君 これ以上この問答を続けても何か実りがないような感じがいたします。  ちょっとこちらをお向きいただきたいんですが、整理をいたします。まず初年度国税地方税を合わせて歳入欠陥三兆円、これはお認めになりますね。うんとおっしゃっていただければ結構です。その三兆円の穴埋めについては要するに自然増収で賄います、こういうことで整理をしてよろしいですね。違うんですか。
  28. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 先ほどから申し上げておりますように、二兆九千百十五億と先ほど申し上げました。
  29. 鎌田要人

    鎌田要人君 これは、この辺のところは三兆でいいんです。
  30. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) そういうふうになりますが、先ほどから申し上げておりますように、一兆七千億を自然増収で、あと一兆二千億を、先ほどから申し上げておりますように六十三年度決算剰余金を初め元年度における補正予算編成等も絡めまして、これらを勘案して平成年度予算編成の中で措置をしていただきたい、こういうふうに考えているわけであります。
  31. 鎌田要人

    鎌田要人君 昭和六十三年度の剰余といいますか、そういうものにつきましては、それぞれ御案内のとおり、国債整理基金への繰り入れとか、財政が苦しいからとめているものもあるわけです。あるいは厚生年金の特別会計から借りたまままだ返していないものもあるわけです、いろんな需要というものが出てきますからね。ただ、これがあるからこれを右から左へ使えるようなものじゃない。特に地方財政におきましては、再三申し上げておりますように一兆四千億余りの穴があいておるということを厳に頭に置いていただいて、私は今のお答えではとても危なくてしようがない。  それではもう一つお伺いいたしましょう。自然増収自然増収と打ち出の小づちみたいに言っておられるわけです。この自然増収の見方というのは、実は私の理解するところでは方法論的に救いがたい欠陥があると思うんです。時間がありませんので私の方から申し上げます。皆様方からの御説明で伺ったところでは、昭和六十三年度国税決算が五十兆何がしかありました。それに対しまして、五十九年から六十三年までの、六十二年までですか、五年間の税収の平均伸び率、これが九・五ですと、これを連剰して平成年度税収見積もりを五十七兆ないし五十九兆と立てました、こういう御説明でしたね。  そこでお考えいただきたいのは、連乗されるもとが、非常にきつい言い方ですが、全く異質のものに連乗をしておられるわけです。六十三年度税制、おわかりでしょう、旧税制ですね。さきの税制改正による改正前の税制、それから平成元年度の税制、さきの税制改革による制度下の税制、それから平成年度皆さん方が今提案しておられる税制、根っこが全部違うわけですね。  根っこが全部違うものに、しかも今度は掛けるものが大変です。掛けるものが五十九年から六十二年まで、この間の経済成長というのは、実質成長率でたしか一年だけが二・七%で、あとは五・一%とか四・九%と割と高いわけです。だから高いところのそれを算術平均されて、しかも土台は全く旧税制、新税制、今度はX税制、暫定税制、これに連乗しておられるわけです。方法論的にこれはかなり乱暴。そこで、九・五%は高いからひとつ八%と、えいやっと切り込む。非常にそういう意味では勇猛果敢な見積もりでございまして、これも我々としてはいただけない。やはりある程度積み上げ計算というものをやらなきゃいけない。これは私の意見として申し上げておきます。  そこで次に、暫定財源の性格論ですが、これにつきまして私の質問のときに二転しました。最初は、峯山議員お答えでは、これは全く暫定二年です、後の恒久税制に引き継ぐものはありません、こうおっしゃったわけです。そのうちに、後に引き継がれるものもあります、こういうことをおっしゃいました。その後、各委員皆様方の御質問に対しまして、あるときはこれはもう暫定二年ですから少々不合理があっても目をつぶってください、こういうお答えもありました。  私は、ここで改めてお伺いしたいんですが、この代替財源というのは本当に二年だけでぽっきりになるものか、あるいは皆様方のおっしゃる税制改革法案による税制改正というものに引き継がれるものもあるのか、そこのところをもう一遍ひとつお答えいただきたいんです。
  32. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 私どもが今回出しております代替財源の実施時期、実施期間でございますが、この代替財源案は、前々から申し上げておりますように、形式上は恒久法となっております。したがいまして、私どもはその基本法の中にもうたっておりますので、基本的には二年をめどと何回か申し上げております。したがいまして、二年をめどに再改革が完全に実施されるまでのいわゆる暫定財源である、こういうふうに考えているわけでございます。したがいまして、税制改革の結果、代替財源案に盛り込まれているものの中には継承されるものもあるんではないかと先般申し上げたわけであります。  これは十四日の伊江さんの御質問だったと思いますが、特に租税特別措置法についての質問がありまして、そのときに代替案の中でどういうものがということで、具体的には申し上げませんでしたが、租税特別措置の主なものといたしまして、法人税の税率とか、それから土地の超短期重課制度とか、それから有価証券譲渡所得の課税の問題というようなものがあるんではないかなと思っております。これらの期限につきましては、法律上は「当分の間」となっております。したがいまして「当分の間」というのは、先ほども申し上げましたように、具体的には私どもの意図といたしまして二年をめどとする、こういうふうに申し上げたわけであります。  それから、臨時的なものとしての租税特別措置で扱っております理由につきましては、法人税の税率は課税ベースの拡大を前提に将来税率を引き下げたい。  それから二番目に、土地の超短期課税制度につきましては、これは抜本的な土地の対策によりまして地価の異常な高騰がおさまり、あるいは適正な取引に戻ればその役割を終えるということになると思います。  それから三番目の、先ほど申し上げました有価証券譲渡所得課税、これにつきましては、私どもが申し上げております総合課税への移行が所得税法の附則に明記されておりますし、納税者番号制度等の導入検討という問題を含めまして納税環境の整備ができますれば、いずれは総合課税の方向へ移行するのではないかな、こういうふうに考えているわけでございます。
  33. 鎌田要人

    鎌田要人君 物品税あるいは地方の料飲、電気、ガス、こういった個別消費税についてはどうですか。
  34. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) お答えいたします。  電気税については、御承知のとおり、今回の私たちの基本法案の中で復活を行っております。そして、料理飲食等消費税のこの問題につきましても、特別地方消費税は料理飲食等消費税として復活をいたしております。
  35. 鎌田要人

    鎌田要人君 いや、伺っているのは長期税制に引き継がれるものがあるのですかどうですかということです。
  36. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 全部見直しの対象にしております。
  37. 鎌田要人

    鎌田要人君 暫定措置というので、個別消費税で残るものがあるかないかというのは、すべてこれからの皆さんのおっしゃる国民税調で相談願います、こういうことですか。  これは私としてまことに心外なお答えでありまして、この前、後に引き継がれるものもある、こういう御返事でありましたから、当然引き継がれるものはこういうものというのが皆さん方の腹づもりとしておありではないだろうか、こう思って伺ったわけでありますが、お考えだけでもいかがですか。
  38. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 引き継がれるものもあると申しておりますのは、再改革の協議を行いました中で結果的に引き継がれていくものもあるだろう、こういう意味で申し上げたのでございます。
  39. 鎌田要人

    鎌田要人君 消費税はやめます、後は暫定でつなぎます、本格税制をどうするかは挙げてこれは国民税制改革協議会に白紙委任で、そこでおやりください、こういうことですね。
  40. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 白紙委任というふうには思っておりません。再改革基本法で原則や方針等についてお示しをいたしておりまして、これに基づいて検討されるものだと考えております。
  41. 鎌田要人

    鎌田要人君 そこで、税制改革基本法案が出てまいりましたので、ここでお伺いしたいのでありますが、この第二条で、「税制改革は」云々ということで、途中を抜きまして、「改めて我が国の現在及び将来の経済社会に対応する税制を確立するために行う」、こういうことが皆様方の合意の結果として出ておるわけであります。これを見まして、「改めて我が国の現在及び将来の経済社会に対応する税制」、経済社会のいかなる状況に対応しようとしておられるのか、余りにも抽象的でわからないわけであります。  そこで、これも時間省略のために、さきの税制改革法では全く同じまた第二条で、「今次の税制改革は、現行の税制が、」、四つ挙げておりますね、「産業構造及び就業構造の変化、所得の水準の上昇及び平準化、消費の多様化及び消費におけるサービスの比重の増加、経済取引の国際化等を反映して著しく変化してきた現在の経済社会との間に不整合を生じている事態に対処して、将来の展望を踏まえつつ、」云々ということでありますが、こういう認識と理解してよろしいんですか。
  42. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 私どもは、政府税制改革法の第二条につきましても実はいろいろと勉強をさせていただいております。この改革法の第二条は、今先生お読み上げいただきましたように、全部で項目別に分けますと四項目か五項目ぐらいになると思います。しかしながら私どもは、改革法で示された消費税の導入という問題がやはり先般の国民の審判でこれは否定されたというふうな前提に立っておりまして、その前提で私どもは、この税制改革基本法案というものをつくったわけであります。  そこで、今二条のことにつきまして、所得の平準化という問題とか幾つか挙げられました。この一つ一つの問題については、私どもは、確かに政府は今回の税制導入に当たりましては平準化という問題を相当大きく取り上げておられましたけれども、実際問題としては、勤労者の可処分所得がやはり向上しないで所得格差は拡大している、こういうような見方をしているわけであります。また、この中にはやはり今回問題の消費税の導入という問題を正当化しようというふうな考え方があるのではないかと、一つ一つ批判をいたしませんがそれぞれに問題があると私どもは考えているわけでございます。  そこで、先ほどお話しございました私どものこの第二条の「将来の経済社会」の発展ということについてのお話がございましたが、近年我が国の経済社会は、国際化、ソフト化、サービス化などという言葉で表現される特徴を有しておりますように、将来におきましてもそういう方向は変わらないし、また一層そういうような面で発展するということが予想されるのではないかと思っております。  それからもう一つは、私どもも申し上げておりますように、これは見逃せない問題といたしまして我が国の急速な高齢化社会というものがやってくる、そのためにも私どもは現在のこの経済の状態のときに本当に将来のために役に立つ、また国民の皆様方から御信頼をいただけるような税制改革をやるのは今がチャンスじゃないのかと、そういうような意味で私どもはこういうふうに考えているわけでございます。
  43. 鎌田要人

    鎌田要人君 だから消費税が必要なんです。これはいみじくもおっしゃったように、私はこの税制改革法案二条に述べられている経済社会の変化というのは皆様方がやはり共通の認識におありなんだろうと思うんです。まずそれを確かめたかったわけです。  それに、高齢化の問題については税制改革法の第十条で「国民福祉の充実等に必要な歳入構造の安定化に資するため、」と、こういうことで言っているわけです。私は、今いみじくもおっしゃったように、急速な高齢化ということで今のうちにやっておかなきゃいけない、我々の子孫に過大な負担をかけてはいけない、まさにその点が今度の消費税の大きなねらいの一つであったと思うんです。いかがですか。
  44. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) そこが一番大きな問題でございまして、そのことを私はここで一遍お話をさせていただきたいと思っていたわけであります。といいますのは、これは鎌田さんも本当に税制専門家でございますから、時期的にもやはり今この税制の問題について検討するというのは一番いい時期だろう、このことについては同じかもしれません。  しかしながら、国会のいろんな様子を見てみますと、やはり昭和五十四年からの大平内閣の時代のいわゆる一般消費税は導入しないという、これは両院の国会の決議があるわけです。この決議を我々はどういうふうにとらえるかという問題が一つ。それから、中曽根内閣のやはり売上税の問題をどうとらえるかという問題が一つ。それから、今回の参議院選挙の結果をどう受けとめるかという問題が一つ。この三つはどうしても私どもはやはり避けて通れない問題ではないのか、これをこのままごり押しをして国民の大きな不信、あるいは自民党さんの中でもいわゆる公約違反の疑いがあるんじゃないかということでいろいろと御意見があったのも私どもも聞いております。  今の国会の様子、衆議院と参議院の今のこの様子を見てみますと、私どもは今本当に熱心に御議論をいただいているわけでございますが、そんな中にありまして現在の消費税というのを、竹下総理のおっしゃっていることを引きますと、いわゆる実質消費税で二兆円弱の増、しかも今の見直しの点を引きますともう九千億にもならないというふうな実質増であります。そんな姿の消費税が二十一世紀に役に立つわけがありません。もし、役に立つとするならば現在の消費税の税率が相当上がってからのことであろうと私は思います。そうであるとするならば、それではどうしても役に立たないわけでございますから、この際は自民党さんもぜひ我々の意見を聞いていただいて消費税を一たん廃止して、そして皆さん方と同じ基盤に立って、これからの税制のあり方を私は検討していただきたい。  これが私どもの切なる希望でございまして、税制専門家にこんなことを言ってまことに申しわけないのでございますが、ぜひそこら辺のところを、共通の基盤に立っていただいて御議論をいただければ幸いだと私は思っております。
  45. 鎌田要人

    鎌田要人君 この点については平行線でありまして、私は消費税がこの前の国民から必ずしもノーと言われたとは思っておらないわけです。私自身が消費税の賛成を唱えて選挙をして出てきたわけでありますので、それは支持するものであります。反省も何もない。私はその選挙を戦ってきたんだ。  そこで、私が申し上げたいことは、皆さん方が今度の税制改正の前の税制改正ですね、前の税制改正、すなわち昭和六十三年十二月の改正前の国、地方税制でこれをここだけはどうしても改めたいなというところが、日ごろから研究しておられるわけですから、おありだと思うんです。国税地方税について一点ずつ各党順番にひとつお答えをいただきたいんです。まず、社会党からお願いいたします。  国税地方税について、ここだけは旧税制について、さきの税制改正前の税制について国税地方税について一点ずつ。
  46. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 消費税が導入される前の話でございますか。  それは、私どもは不公平な税制を是正するという立場をまず優先して公平、公正な税制の実現を図るということでございますから、一点挙げるというのは大変問題があろうと思っております。
  47. 鎌田要人

    鎌田要人君 公明党さん、いかがでしょうか。
  48. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 私は、昨年の国会におきましても、我が党の坂口政審会長が質問いたしまして、特に所得税の総合課税化ということを述べております。そういうふうな意味ではこれは一番大きな問題として総合課税に持っていくべきであろうというのが一つ。  もう一つは、キャピタルゲインの課税の問題ですね。これを十分取り上げて、これからも取り上げていくべきであろうと、この二点を申し上げておきたいと思います。
  49. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 私も、不公平税制ということが最も問題であると思います。
  50. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 先生の御質問は、政府税制改革前の問題点でございますね。  私どもも、一点ということであれば難しいというふうに思いますが、基本的な考え方は、不公平税制をなくしていこうということでございます。
  51. 鎌田要人

    鎌田要人君 地方税について一つもお触れにならなかったのは大変残念でございます。いずれもこの不公平税制の是正ということでありますが、これは先般の税制改革政府税制改革の大きな柱が不公平税制の是正であったことは御案内のとおりであります。  まず、中堅サラリーマンを中心にして所得税の大減税をやった。これは未曾有の大減税でありま した。特に、働き盛りの所得者に対する減税、あるいはキャピタルゲインに対する課税、これも原則課税に変わった、こういうこと等もあるわけでありまして、今皆さん方が志向しておられる問題、これはさきの税制改革においても行われたわけでありますが、特にこの所得税の総合課税との関係で皆様方が納税者番号制度をおっしゃっておられるわけです。この所得税の総合課税、これ自身が一つの大きな問題でありまして、勤労性の所得と資産性の所得と同じように取り扱っていいのか、あるいは何年かに一遍生ずる所得と毎年経常的に起こってくる所得、こういったものの扱いがいいのかどうかという問題もあるわけでありますが、この納税者番号制度について皆様方のお考えの中に不統一があるんですね。  これは「消費税廃止Q&A」という五党の編著になっておりますこの中で、納税者番号制度の導入についていろいろ述べておられます。Q十九では、「納税者番号制度導入は国民の理解と合意のもとに無理のないやり方が検討され、二年程度で導入にこぎつけることは可能であると思うし、また、そうしなければならないほど重要な問題と考える。」、次のQ二十になりますと今度は「国民の合意を得るよう十分な時間をかけつつ、納税者番号制度の導入について検討すべきと考える。」、こういうことになっておりまして、二年で可能だというお見通しもあれば、十分時間をかけなきゃいかぬというお見通しもあるわけです。  この納税者番号制度について、きのうも同僚の沓掛議員の方から質問がございましたが、納税者番号制度に対する皆様方の腹がどうも決まっておらぬように思うんですね。と申しますのは、納税者番号というものを二年でできるというぐらいに簡単にお考えになっておられるのか、まずそこをお伺いいたしたいと思います。どなたからでも結構です。
  52. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私どもは簡単にはできるとは思っておりませんが、やはりこの導入に際しましては国民のプライバシー保護とか合意形成というのが大前提になっておるということでございまして、しかしながら、長いこといろんなところでも検討されてきた経過がございますし、昨年の税制改正の際にも自民党さんの修正によりまして所得税法の附則第八十一条に、「株式等の譲渡益に対する所得税の課税の在り方については、納税者番号制度の導入問題等所得把握の環境整備の状況」云々に配慮しつつ見直しを行うものとするという文章がつけ加えられておるわけでございますので、私どもも自民党さんにとっても強く反対されておらないのじゃないかということで、いずれにいたしましても、二年間でできれば一番いいわけでございます、理想ではございますが、やはり国民のプライバシー保護とかあるいは合意形成を大前提に協議を重ねてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  53. 鎌田要人

    鎌田要人君 きのうもお尋ねがありましたが、この納税者番号制度は所得課税の公正、公平という面からは有効な手段であることは間違いない。問題は一億二千万余りの国民の皆さん方にどう番号をつけていくか。アメリカではいろいろの紆余曲折がございましたが結局社会保障番号というものをもってこれに充てておる、御案内のとおりであります。あるいは北欧諸国におきましては出生時に番号をつけるということでございますので、これは最も徹底したやり方、そのかわりこれはいわゆる国民総背番号制につながるものがある。イタリア式でございますとこれはまさに税のためにつけられておる。ところが、人情の自然でありまして、納める者のために番号をつけるということについてはなかなか協力は得られない、そのために大変なコストがかかっておるということを伺っておるわけです。  でありますから、国民の合意が得られれば二年間に可能である、こういう問い十九のようなことにはこれはとてもならないと思うわけです。どういうパターン、いわゆるアメリカ型かあるいは北欧型かイタリア型か、どの方法を選択しようとされるのか、これは国民税制改革協議会に当然皆さん方の方針としてもお示しになると思うんですが、その辺のお考えはどうでしょうか。
  54. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 今先生からいろいろアメリカ型、カナダ型あるいは北欧型とか御説明をいただいたわけでございます。  私どもも、この納税者番号制度の導入に当たりましては、行政側のコストとして、番号を国民に付番していく、その番号を維持し管理するためのコスト、あるいは増加する各種法定資料等をいわゆる名寄せして申告内容と照合するためのコストなどが生じるわけでございますので、そういうコストとか、また国民側のコストとしても、金融機関等の利用者は番号提示義務などの煩わしさを受忍しなければなりませんわけでございまして、金融機関等も本人確認や番号を記載した情報申告書の提出などのコストが生じることは確かでございます。このような官民合わせたコストは相当大きなものとなるというふうに考えられますが、情報処理技術の急速な進歩などもありますので、その面での費用は漸次逓減していくものというふうに思われます。また、グリーンカード制度導入に当たりまして国税庁が、コンピューターによる名寄せ等の税務署内部事務処理を行うため朝霞市にADP、オートマチック・データ・プロセシングですか、センターを設置しているわけでございますので、これを利用拡大することにより、納税者番号制度の導入に際しましても十分対応できる能力を持っているものというふうに思われます。  しかしながら、いずれにいたしましても、前向きにその導入を検討するものの、具体的な結論はやはり国民税制改革協議会などにおける検討の結果を待たなければならないものというふうに理解をいたしております。
  55. 鎌田要人

    鎌田要人君 国民税制改革協議会での検討待ちということでありますが、国民税制改革協議会、今までの皆様方の御説明であれば暫定二年の間に結論を出して本格税制改正をやりますよというんですから、これはとても間に合わないですね。その辺のところの問題が一つあることをひとつ皆さん方に、私はこの納税者番号制度はうまくいけばいいと思うんですよ、それだけにこれの取り組みというものはよっぽど腹を据えてやらないと、イタリアの二の舞になっては大変だということを申し上げておるわけです。  それから次に、消費税の問題につきまして逆進性ということが非常に強く言われます。そこで、おととい事務方の方には申し上げておいたのでありますが、税の仕組みとしまして、いわゆる単税制度、単税論と、複税制度、複税論とある。いわゆるタックスミックスということが最近では言われておるわけでありますが、これにつきましてどなたか見解を述べていただけませんか。
  56. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) タックスミックスという考え方が、学者の間にも意見がございますことを承知いたしております。これは、所得、消費、資産等の間でバランスのとれた税体系を構築するという政府税制調査会の答申でありますとか、直間比率の是正といった政府税制改正の考え方の背景にある税制に対する一つの考え方であろうかと思います。  所得課税ならば所得課税で単一の税しか存在していない国というのはほとんど見当たらないわけでございますけれども、単一というわけではないけれども、ある特定の税に偏った税体系をゆがみやひずみを拡大する税制として否定する立場、バランス論を主張する立場、この立場から、直間比率の是正を強調して所得課税に偏った税制改革が必要だ、つまり消費税が必要だという立論の基礎として、タックスミックスという考え方が一つの学者の説としてあるのかなと私は思うのでございます。  しかし、もともとこのタックスミックス論というのは、欧米において消費税である付加価値税とのセットで、所得課税にかわって支出税の導入を提唱した学者が主張した税論であるとも聞いております。支出税というのは個人の支出額に対して課税する税でありまして、付加価値税と同様に消費支出に税負担を求める税と言うことができます けれども、所得課税と同様に直接税の分類に入るという説もございます。したがって、控除を設けたり累進課税を行うこともできるとされておりますが、しかし所得捕捉と同様に支出捕捉をどうやって実現するのかという問題もありまして、いまだに現実に支出税が実施されたことはないと聞いております。  なお、タックスミックス論の最大の弱点は、私どもの考えといたしましては、所得課税なりそれぞれの税制は欠陥を有しておるから、それを是正するのは非常に難しいけれども、この欠陥の多い税制をうまく組み合わせればその欠陥が緩和される、そういう考え方に基づくタックスミックスの主張もございました。しかし私どもは、欠陥を持つ税制同士の組み合わせによって特に不公平感が緩和されるというようなことはなかなかできないことなのではないだろうか。一つの税に偏った税よりもなぜひずみが少なくなるのか、それらの点においては学説としてもなおいろいろな意見もございまして難しい問題ではなかろうかと思っておりまして、元大蔵省におられました亡くなられた福田先生と、政府税調の専門員でもございました貝塚先生との対談でも、このタックスミックスに関するいろいろな御議論がむしろ消費税を推進するという立場からの議論として展開されておりますものなどにつきましても、先生の御質問の御通告をいただきましたので、大変興味深く勉強させていただきました。
  57. 鎌田要人

    鎌田要人君 私はタックスミックスというような片仮名は余り好きじゃないので、日本語が好きなものですから単税論、複税論と言いますが、これは何もきのうやきょうの話じゃないんです。フランス革命のころには、皆さん方が今最も嫌っておられる消費税単一税論というのがあったんです。あるいは土地単一税論というのが重農学派のもとであったわけです。あるいは今の所得税だけでいいという議論もあったわけです。ですから、これはもう十七、八世紀のころからあったわけですね。  でありますから、単税論というのはどういうことかというと、世の中の税をたった一つでやろう。これはつい最近までイギリスでは、地方税はレートという一種の地租、家屋税ですね、これだったことは御存じのとおりなんです。したがいまして、一つの税だけですべてが尽くせるか。そうじゃなくてやはりいろんな税を組み合わせることによって、負担の公平なり歳入の調達なり、あるいは経済変動に対する安定性を持たせるとか、こういうことで、今単税論を言う人は一人もいないわけです。複税論なんです。  そこで、私が特にこれを御通告申し上げましたのは、皆さん方のお話を聞いていますと、消費税憎さの余り消費税単税論に陥っているところがあるわけです。消費税は逆進的で、消費税は悪いんだ悪いんだと。これが所得税単税論だったら、皆さんは今や、かつては悪口を言っておられたのを口をぬぐって所得税ほどいい税はないと。確かに、今ある税の中では所得税が一番、いわゆる垂直的な負担の公平という面からも、あるいは担税力を総合的に把握する上からも、それは一番いいことは間違いない。だけれども、所得税だって欠陥があるわけです。これは通説としては三つほど挙げられますが、一つはやはり、所得税だからということでいわゆる超過累進というものをきつくしていくと働く意欲を失ってしまうということで、いわゆるインセンティブというものを減殺するという欠点があるわけです。  でありますから、ここら辺のやはり税の歴史は、所得に課税するか消費に課税するか、この二大潮流があることは御存じのとおりのはずです。所得は要するに消費と貯蓄ですから、所得に課税をするか消費に課税をするかということで、このどちらかに課税をするということはこれはだれもが認めておることです。  ただ、先般の政府税制改革でも、何も消費税を所得税にとってかわらせようとか、あるいは消費税だけが大きな存在になっているとかいうことじゃないわけですね。御案内のとおり、この税制改革後、平成元年度の我が国の国税の所得課税あるいは地方税の所得課税、消費課税、資産課税、これを合わせて一〇〇%としまして、時間の関係で全体だけ申し上げますが、所得課税が六六・三、消費課税が一八・七、資産課税が一四・九、したがいまして消費課税の占めるウエートというのは所得課税の三分の一もないわけです。でありますから、こういう状況を反映して直間比率それ自身も七五対二五とかこういう率になっておるわけです。  でありますから、何か皆さん方消費税反対論を聞いていますと、消費税だけが一つの税であって、それが非常に大きなウエートを占めておる、こういう誤解と錯覚があるのじゃないかと思うわけでありまして、(発言する者あり)いや、これは厳然たる数字でありますから数字でごらんになってください、そこでほえないで。という点につきましてどうお考えですか。
  58. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 確かに、どこの国の税制を見ましても、歴史的に見ましても、今仰せのとおり複税論ということならばそのとおりだと思います。  ただ、今日いわゆる複税論というのが強調されてきます背景は消費税の導入と大変かかわる面が大きいと私は考えておりまして、むしろ今消費税を単税的に考えているのではないかとおっしゃいましたことは、私は、消費税に反対し国民とともにこれを廃止しようとする側がそうなのではなくて、消費税の存続に固執する立場消費税単税論的な理論の展開になってきているのではないか。税制は全体としてその中で消費税の位置づけというものをどういうふうに考えるかということで考えていくべきだと、私はそう思って消費税廃止すべきだという立場を主張してまいったつもりでございます。  ただ、今先生が歴史的にも詳しく御説明になりましたことにつきましては、大変貴重な御意見と承りました。
  59. 鎌田要人

    鎌田要人君 私が複税論を持ち出しましたのは何か消費税云々ということですが、複税論というのは常識ということを申し上げたかったわけです。これはもう繰り返しません。  それから、どの税といえどもそれ自身で完璧な税というものはない、長所もあれば短所もある。そこで、長所のある税、短所のある税、それぞれに今あるこの税を、所得に対する課税あるいは消費に対する課税あるいは資産に対する課税、こういうことで組み合わせることによって長所を生かし短所を矯めていく、そういう機能によって各国の税制ができておる。  でありますから、私は不思議でならないのは、この席でも再三述べられましたけれども、今の日本のさっき申し上げました所得課税、消費課税、資産課税のバランス、あるいは直間の比率のバランス、所得課税で申し上げますと、OECDに加盟しておる五十三の国で所得課税のウエートが一番高いのはニュージーランドに次いで日本なんですね。逆に消費課税のウエートが一番低いのは、びりから二番目、この日本なんですね。でありますから、今私が申し上げました直間比率の問題、あるいは所得、資産、消費、このバランスの問題、税制改革法でもうたっておられますが、この現状というものについてどう認識をしておられるのか。いや、もっと消費課税を上げるべきだという御認識になるのか。あるいはもっと直接税のウエートを下げるべきだと、むしろそういう御認識になるのが普通じゃないかと私は思うんですけれども、いかがでしょうかね。
  60. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私どもは、税制を考えてまいります場合には国民の多数にとってどういうやり方が公平で公正であるのか、こういう立場から考えていかなければならないと思っておりまして、税務的に税が定量的なバランスがどうとられているかというものよりもそういう立場を重視しなければならぬ、こう思っております。そういう意味で、基本法の中にも総合課税、応能負担原則に立って累進課税主義をとるべきであり、その立場に立てば直接税を中心とし間接税を従、補完的なものとしていくことが税の理念として私どもは正しいと考えていることをお示ししているのでございます。
  61. 鎌田要人

    鎌田要人君 今おっしゃいました、直接税を主とし間接税を従とするということは定性的な御発言ですか、定量的にもそういうことだということですか。
  62. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) この問題につきましては、定性か定量かということでございますが、これは定量というのは……
  63. 鎌田要人

    鎌田要人君 失礼いたします。ちょっと私の表現が悪かったかもしれません。割合の問題としてどうお考えでしょうかということを聞くべきでありました。今の例えば直間比率が七八対二二とか……
  64. 井上吉夫

    ○理事(井上吉夫君) 鎌田君、立って発言してください。
  65. 鎌田要人

    鎌田要人君 問い直します。失礼いたしました、委員長。  今私がちょっと表現が悪かったので申しわけありません。所得課税が六六・三、消費課税が一八・七、資産課税が一四・九、あるいは直間比率で申し上げますと、平成元年度で七二対二八、こういったウエートというもの、今久保議員の方からおっしゃいました所得課税を主体に置いて消費課税で補完するとか、あるいは直主間従と私は申しておりますが、直接税を主として間接税を従とするという観点から見て、この比率というものについてどういう評価をしておられますか。
  66. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) これはもう大変難しい問題でございまして、私どもが目指しておりますのは、先ほど久保さんからもお答えがございましたように、今回の私ども税制改革の一番の基本は、やっぱり税の公平の確保ということを最大の理念にいたしまして総合課税を大原則とするということでございます。  したがって、先ほどもお話しございましたが、直接税を主とし間接税を従とする、したがって現在のいわゆる所得税を主として間接税がそれを補完する、こういう立場になるわけでありますが、これは今まで何回か、税率の問題もありました。四十年代はこう五十年代はこう、そして先ほども六十三年度の問題につきまして七二対二八というお話もありました。これはどこら辺が適当であるかという問題につきましては、竹下総理もしょっちゅうおっしゃいましたけれども、結局アプリオリティーという言葉を使っていつもおっしゃっておられましたが、結果としてそういうふうになるものでございまして、私どもといたしましては、初めにこういうふうな結論が、どっちの方がいいというふうな考え方ではなしに税制そのものを考えていかないといけないのではないかなと、今そういうふうに思っているわけであります。
  67. 鎌田要人

    鎌田要人君 これは結果論だということだけでもないんですね。というのは、やはり各国の税制を見ましても直接税主義で、これはもう皆さん方がおっしゃっていますシャウプ勧告、これはそれまでの日本の税制というのは間接税のウエートが高かったわけですね。シャウプ勧告で所得課税、総合課税ということを言い出した。それによってああいう制度ができてきているわけですから、やはり直接税でいくぞというところと、フランスみたいに非常に個人主義の強いところは自分の財布を調べられるのは嫌だということで、あそこはかつては窓枠税なんというのがあったのは御存じですよね。だから、間接税志向の国とそれから直接税志向の国とあるわけです。  でありますから、この数字はただ結果論だから批評の限りじゃないというんじゃなくて、やはり直接税が重くなればそれだけ直接負担が多くなるわけですから、でありますからおのずからあるべき経験則というのがあるわけですね。だから、直接税が六割、間接税が四割がいいのか、あるいは七、三がいいのか、おのずから各国との比較とか歴史的な沿革で率があるわけですよ。  私は、先ほど申しました所得課税、消費課税、資産課税のバランス、あるいは直間のバランスというのは、現状からこれ以上直接税、所得税にウエートを移していっては、やはり皆さんがおっしゃる不公平、重圧感というのが重くなることは間違いない、それを強調したかったわけです。
  68. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 先生のおっしゃる意味はよくわかります。私どもといたしましても今回の法案提出に当たりまして、私もいろんな学者の皆さんの御意見もお伺いをいたしました。ある大阪大学の先生などはこれは非常に極端なことをおっしゃっておりまして、直接税一〇〇%がいいんだなんという御意見もございましたし、また現在の現状が一番いいんだという御意見もございまして、これはもう本当にこれからの税制改革を論ずる場合にはこの問題は非常に大事な問題であろうと思います。そういうふうな意味では先生の今の御意見は本当に私どもそれこそ、今聞いておりましてそういうふうな御意見があってもいいんじゃないかと思っております。したがいまして、私どももこれからの税制改革の審議の中でそういうふうな御意見を尊重しながらやっていくべきではないのかなと今思って聞いていたところでございます。
  69. 鎌田要人

    鎌田要人君 これからも論議が深まるわけでございましょうし、あるいはまた私は、先ほどもちょっと申し上げましたが、国民税制改革協議会での場に全部を任してしまうというんじゃなくて、やはり一つ皆さん方としての定見、これをお持ちになってそれを中心にして展開しなければ、五十人の委員さんが甲論乙駁しているとこれはとにかく小田原評定以上のものになってしまうんじゃないか。そういう意味におきまして、やはり今の我が国の直間比率、あるいは所得課税、消費課税等のバランス、現状についてこれでいいという御認識なのか、あるいはもっと動かすとすればどういうものなのか、その辺の御見解をお聞かせいただければありがたいと思うわけです。どうぞ。
  70. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 私どもが今回の法案をつくるに当たりましていろんな御意見を聞いたのも事実でございますし、今先生がおっしゃっておるような御意見もたくさんありました。そういうような中で、確かに今私どもがこういうような方向がいいなという意見を持たないわけではございませんが、今ここでそういうことを述べますよりも、そういうような御意見を尊重しながら、私は五十人の皆様方の御意見の中で結局いい方向に行くのではないかなと、こういうふうに感じてただいま聞いておりました。
  71. 鎌田要人

    鎌田要人君 今の国民税協任せということではなくて、峯山さんの私見でも結構なんです。やはりこれは議論が展開しませんよ、これでは。
  72. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) それは、いろんな議論を私もたくさん聞きました。私はそういう面では素人でございますから、例えば一〇〇%直接税がいいなという御意見の学者の皆さんからお話をお伺いしますと、その御意見を聞いておるときにはなるほどいいなと思うわけです。したがって、私自身もそういうふうないろんな御意見を聞いてみて、やはりそういうような中から結論を出していくものだな、結論というのはそういういろんな御意見の中から自然に一つの道として生まれてくるのではないかなというふうに感じました。したがいまして、私がここでつたない意見を先生に御開陳するよりも、税制改革協議会の中でそれぞれの御専門の方が御議論をいただいて、そういう一つの方向を導いていった方がいいのではないかな、こう思っているような次第でございます。
  73. 鎌田要人

    鎌田要人君 なかなか、私が言質をとるのではないかという御警戒感がおありかどうかわかりませんが、おっしゃらないようであります。  それでは、ここでちょっと話題を変えまして、物品税の問題で一言お伺いしたいんです。  物品税の性格について、この席でもいろいろの問答がありました。物品税のいわゆる性格というのは買う人の担税力に着目して課税をするのか、あるいは物それ自身に着目して課税をするのかという、ある意味においては哲学的な問答も行われたわけでありますが、提案理由では、能力に応じて負担を求めるという課税の原則からすれば物品税の方が消費税よりはいいんだ、こういう久保議員の御発言もありました。  そこで教えていただきたいんですけれども、コーヒーと紅茶、コーヒーは担税力があるから税金をしょってもらう、紅茶は担税力がないから課税をしない。何か合理的な説明ができますか。これだけひとつ参考のために教えてください。
  74. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私の方がお伺いしたいのでございまして、コーヒー、紅茶は昭和十五年に同時に物品税の対象となっております。戦後、たしか昭和二十六年であったかと思いますが、物品税の対象から紅茶だけが政府によって外されたのでございます。どうしてそのときに紅茶だけが外されてコーヒーが課税対象として残ったのか、それを私は大変疑問に思っておるのでございます。
  75. 鎌田要人

    鎌田要人君 政府がやったんだからそのまま踏襲したんだということでは、私は税制の合理的な説明にならないと思うんです。前の人が悪いことをやったからおれも悪いことをやるんだ、これと同じようなもので、でありますから、やはりおかしいとお考えになられるんなら、この際やはり手を入れられなきゃいけなかったんじゃないですか。
  76. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) このコーヒー紅茶論争というのが、マスコミ等においてもしばしば物品税の矛盾、不合理の象徴的なものとして取り上げられていたことを私もよく承知いたしております。  なぜそれで昭和二十六年ごろに紅茶だけが課税の対象から外されていったのか、その経過が私よくわかりませんし、そのときコーヒーが残った事情もよくわからないのでございまして、私どもとしてはむしろこのバランスをとっていくためにどうすればいいのか、そういう問題を今後物品税を合理的なものとしてみんなの納得がいくものにしていくために根本的に税目に当たっても税率に当たっても考えていかなければならないと、こう申し上げているのでございます。
  77. 鎌田要人

    鎌田要人君 暫定税制であるからいいころかげんのものであっていいという理屈は毛頭ないわけでありまして、この前も野末議員質問に対しまして暫定だから不合理でいくんだと、こう言わんばかりのお答えがありましたが、これは国民が毎日納める税金でありますから、やはり不合理は正さるべきではなかったかと思います。  あと二十三分しかありませんので、あと二点お伺いします。  地方財源の充実の問題についてであります。  前回も、せっかく税制改革法案の中で地方分権を伸ばしていくんだ、地方自治を伸ばしていくんだ、そのためには地方財政を安定させにゃいかぬのだと、こういうことをうたっておられます。そのやさきから一兆四千七百億の来年は穴あきということで、ここにも矛盾を感ずるわけでございますが、この皆様方の出されました「消費税廃止Q&A」の中で、地方財源の充実につきまして、Q8、百二十八ページでありますが、「地方自治の安定とそのための財源確保に資するため、今回の提案に当って多くの検討を行ってきた。たとえば、国税地方税への税源移譲ないし新たな譲与税の創設の検討、あるいは、交付税の税目の拡大あるいは税率の引上げの検討などである。しかし、」云々。この検討の一端、どういう点についてどういうことを検討されたのか、その一端をお漏らしいただけませんか。
  78. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) Q8ですか。
  79. 鎌田要人

    鎌田要人君 百二十八ページ。
  80. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) の税源の問題ですか。
  81. 鎌田要人

    鎌田要人君 はい。
  82. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) この問題につきましては、我々としても御案内のとおりに昨年の譲与税創設の際にも主張してきたわけでございますが、やはり結果的には自主税源というものができずに、一般財源としては充足しましたけれども、なかなかそういうふうになっておりません。  そこで、我々としては、今度の国民税革協の中でぜひ議論をしていただきたいと思いますのは、やはり自主税源をどういう形で拡大するか、ただ、三千三百の自治体の中で自主税源といいましても、そこには今度は税の偏在というのが出てまいりますので、その辺をどう調整するか、そういう意味交付税制度が現行のままでいいのか、もっとこの際税源移譲を地方にやるべきじゃないか、こういった点をぜひひとつ着手さしてほしいな、こういう気持ちで国民税革協の中でひとつ議論をしていただきたい、かように考えておるわけでございまして、これがこの機会にぜひ実現できてほしい、こういう気持ちでいっぱいでございます。
  83. 鎌田要人

    鎌田要人君 私は、国民税革協のお話じゃなくて、検討をしたということがここに書いてあるわけですね。でありますから、検討された一端をひとつお漏らしいただけませんかということをお尋ねしたわけです、具体的に。ないならないで結構です。
  84. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 消費譲与税にかわる当面の譲与税は設けられないわけでございますから、あるいは交付税率をどの程度まで引き上げられるかなどの検討について、二年間でございますけれども一つの課題として検討した、こういうことでございます。
  85. 鎌田要人

    鎌田要人君 具体的に、国税からどの税目を地方に移譲するとか、あるいは地方税として新税を起こすとか、あるいは税率をいじるとか、そういう項目はないわけですね。なければないで結構です。
  86. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 例えば交付税の場合に単位費用の改善であるとか交付税目の充実であるとか、こういった点についても検討してまいったのでございますが、まだ結論は出ておりません。
  87. 鎌田要人

    鎌田要人君 いよいよ時間が迫ってまいりました。  私がこれをお伺いしたのは、実は皆さん方がこの本でも、あるいは社会党さんでお出しになりました「新税制改革への挑戦」でも、シャウプ勧告を非常に礼賛しておられるわけです。  私は、シャウプ勧告がございました昭和二十四年、駆け出しの事務官でございまして、あの勧告の中に付加価値税というのがございます。御存じでしょうか。この付加価値税を含む今の地方税制の基本になるものをつくりますために大変な苦労をしたわけです。でありますから、まだありありと覚えておるわけでありますが、シャウプ勧告に基づきまして国税地方税の改正をいたしました。それに社会党さんは全部反対しておられるわけです。のみならず、昭和二十五年の四月の十五日、日比谷公会堂で地方税反対国民大会というのを社会党が主催しておられたのを御存じでしょうか。まだ生まれていない人がいるかもしれませんね。
  88. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 生まれておりましたが、存じておりません。
  89. 鎌田要人

    鎌田要人君 私が申しますのは、このシャウプ勧告、皆さんが礼賛されるとおり、戦後の我が国の税制として理論的にも世界的に通る理論、立派なものでありますが、その後我が国が経済的に自立していくために、あるいは資本の蓄積を図らにゃいかぬ。あるいは貿易の拡大を図っていかにゃいかぬ。それでないと日本国民は食っていけなかったわけですから。そういう意味での変容があったわけでありますが、これを通じてシャウプ税制に返れということがあるわけです。シャウプ税制に返れという中の一つに、あのときに地方自治の重視ということがシャウプ勧告にありまして、国税では六百億減税する、地方税は四百億をふやす、その中に付加価値税というものが入っておったわけです。  この付加価値税は要するに企業課税型の付加価値税で、企業が外部から買う物、これを売り上げから落とす、それは当然転嫁をする。でありますから、今の消費税というのがいわゆる消費者負担型の、消費税型の付加価値税、当時ののはまさに企業課税としての付加価値税であったわけです。でありますから、皆さん方がシャウプ勧告礼賛、シャウプ税制に返れということであれば、地方税として付加価値税があった、これも含めて返れというお気持ちであるかどうか、そこをお伺いいたしたいんです。
  90. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 先生御高承のように、シャウプ税制については深くかかわりがあったというふうにお聞きをいたしております。  私どもも税の理念はシャウプ勧告で示されております総合課税主義に基づく応能負担は貫くべきだというふうに考えておりまして、なぜこれを貫くべきかということでありますが、公平を重視しておるということ、そしてまたその枠内で経済的な中立と税収の確保等を図ることを目指しておったわけでありますし、第一の特徴が直接税を税制の中心に置いたことであります。第二の特徴が包括的な所得ベースを確立し、総合課税を基本としてキャピタルゲインの全額課税を強調していること……
  91. 鎌田要人

    鎌田要人君 聞いたことに答えていただけませんか。地方税における付加価値税をどう思うか。
  92. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) シャウプ勧告は、やはり地方自治の充実とか地方財源の確保ということで重要な提言をしておるわけでございます。そのような中で地方税として付加価値税が一たん導入をされたわけでございますが、この付加価値税は実施を見なかった、廃止されることになったということも先生御高承のことだと思います。  今現在我が国においてもそういう税論議が各方面で行われておるわけでありますが、残念ながら国税が中心でありまして、地方税についての論議が手薄になっておるような傾向が依然としてまだ残っております。そういった意味で、私どもはこの税制改革等におきましても、議論の中で、これらの経緯も踏まえて論議をしていきたいというふうに思っておるところでございます。
  93. 鎌田要人

    鎌田要人君 私がお伺いをしましたのは、このシャウプ勧告の中に織り込まれ、それに基づいて法制化された府県税としての付加価値税というものを評価されますかどうか、シャウプ税制に返れということであれば、これも含めて返るということでありますかということをお伺いしたかったわけです。
  94. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) ただいまの問題につきましては、シャウプ勧告の中にも確かに事業税の見直しということで、括弧して付加価値税の創設という項目で入っております。先生の御経歴等を読ましていただきますと、この付加価値税に関する相当たくさんの文献がございましたので、大分読ませていただきました。  そこで、これはもう先生御存じのとおり、事業税の外形標準課税の問題につきましては、これは衆参両院の地方行政委員会で相当長期間にわたりまして議論がされておりまして、地方改正の際に事業税の外形標準課税の検討を行うよう政府に対し全会一致でそれぞれ附帯決議が付されている問題でもございますし、また昭和五十二年だったですか、五十二年の全国の知事会の方から、法人事業税の外形課税の実施ということで要望も出ておりまして、私ども今回の改正の中では、この問題についてはうたってはおりませんが、方向としましてはこういうふうな国並びに地方自治の首長さんからのそれぞれの御要望もあるわけでございますから、この問題については税制改革協議会でぜひ御検討いただきたい、こういうふうに考えております。
  95. 鎌田要人

    鎌田要人君 次に聞こうと思うことを今答えられてしまったんです。私がお尋ねをしてあったのは、シャウプ勧告における付加価値税、あるいはそれに基づく地方税制の中での付加価値税というものを評価されますか、それに返るべきだということですか、そこだけお伺いしたかったんです。もう一回。
  96. 井上吉夫

    ○理事(井上吉夫君) そこだけ答えてください。
  97. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 鎌田先生、シャウプ勧告公表後千条を超えるような条文の作成、審議とか、とりわけ付加価値税導入、創設のため悪戦苦闘されたということは、私どももよく存じ上げております。この税は廃止されることとなったわけでございますが、鎌田先生も、あのときもっと工夫を凝らして、勇断を持ってこれが実施に踏み切っていたならばと悔やまれることであるというふうに御指摘をされております。  また、昭和二十五年度税制改正では、地方税について法人税割あるいは道府県民税、不動産取得税、たばこ消費税、軽油引取税、都市計画税、特別土地保有税、事業所税等の新税の創設が行われておるわけでございますが、シャウプ勧告は地方自治を強化する既存の政策に財政的支持を与えるという大きな目標を持っておったわけでございます。そういった意味で、今後の地方改革の中でこの精神を生かしていきたいというふうに思っておるところでございます。
  98. 鎌田要人

    鎌田要人君 どうもぴっとくるお答えでないわけでありますが、私は率直に申しまして、あのときに付加価値税ができておれば、今都道府県にとっても赤字が出ても赤字法人も税を納めてくれる、かなり地方財政は安定をしておったと思うんです。あのときに何で反対をされたか。これは正直に言いまして資本家の皆さんも反対、労働界の皆さんも反対、みんな反対だった。そういうことでありますだけに、シャウプ勧告に返れ、こういう言葉がひとしお私にはうれしいやら複雑な気持ちでございます。  そこで、私がこれを申しましたのは、先にお答えになってしまったんですけれども、法人事業税等を中心とします外形課税の問題ですね、これがその後延々として今日まで続いておるということでございますが、この外形標準課税、これも見ましたが、今度は検討していませんと大変つれない叙述になっておるわけです。本当に事業税の外形課税ということに皆さん方積極的に取り組まれるのかどうか。その場合に、事業税の外形課税と申しましてもいろいろあります。売上金額でいく、あるいは工場の床面積でいく、あるいは従業員数でいく。一番いいのはやはり付加価値だと思うんです。この付加価値というものを外形課税にして、事業税というものを地方財源の安定のためにやっていくということについて、皆様方のお取り組みあるいはお気持ち、それをお伺いいたしたいと思います。
  99. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) ただいま先生から賜りました御所見、私たちもそのことにつきましては十分に検討をしていきたい、検討されるべき課題ではないか、このように考えております。  先ほど峯山発議者の方からも答弁がありましたように、この国会でもこの問題は既に取り上げられている問題でございますので、先生の御意見をまた参考にしながら十分検討していきたい、このように思っております。
  100. 鎌田要人

    鎌田要人君 総じてさきの税制改革、これによりまして地方財政関係、私ども特に貧困な地方団体に身を置いておったわけでありますが、貧困な地方自治体にとりましては有利な財源付与になっておったわけです。全体的にいわゆる富裕団体、財政力の比較的豊かな団体から財源が、それは譲与税という形をとりあるいは交付税という形をとってでありますけれども財政力貧困団体の方に流れておった、これはみんなが認めるところであります。  それを、皆さん方の御意見のとおりでありますと、まず昨日来議論になっておりますように、この財源補てん率といいますか、国、地方のいわゆる失った財源に対して皆さん方の補てん率、これは六七%ということなんです。その六七%の財源もどちらかといえば都市型の税ですから、料飲であり電気でありあるいは娯利であり、こういうことでありますので、この地方財源付与という面から見れば逆行するような形になっておるわけです。その点についてどうお考えでしょうか。
  101. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 確かに都市型というか、先生おっしゃることもわかりますが、これは率直に言って、先ほど私が申し上げましたように、地方財政を見る場合、やはり先般改正になりました消費税の場合にもそうでありましたように、なかなかそこら辺について打開の方法というのが難しいというのが実情じゃないかと思います。
  102. 鎌田要人

    鎌田要人君 もう一つお伺いしたいんですが、先ほど佐藤議員から地方に自主財源をやれば税源が偏在するというお答えがありました。私もそのとおりだと思うんです。非常にこれはジレンマでありまして、地方自治を尊重し地方分権を高めていくためには、やはり自治体ができるだけ自前の財源を持つということが基本であることは間違いありません。ただ、御案内のとおり、非常に人口と産業の集中あるいは逆に偏在ということが進んでおりますので、そういう意味では痛しかゆしでありまして、自主財源をふやすと不交付団体を初め財政力の豊かなところに結局いよいよ金が集まってしまう、こういうことが現実でございます。そこで、自主財源をふやすのと交付税をどうするかというのと、これを結局てんびんにかけなきゃいかぬわけです。  そこで、かつて私どもの先輩の間から逆交付税という話が出たことがございます。いわゆる一種の、東京都でやっておりますが、東京都で港ほか財源の豊かなところから一定の基準で区の税源を吸い上げて都のポケットに入れて、都が今度はそれを貧困な区に配る。いわゆる都区財政調整制度というのでありますが、それ式の、それにアイデアを得て、東京なり大阪なり神奈川なりそういった富裕団体から一定の基準でいわゆる相対的にふえる税金を吸い上げて交付税特会に入れて貧困団体に配る、こういう逆交付税の構想が出たことがありますが、交付税制度の充実ということをうたっておられるわけです、再改革法の中でですね。  この点については、逆交付税の構想ということも皆さん方の頭の中におありかどうか、参考のためにお伺いをいたしたいと思います。
  103. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 私ども地方行政委員会の中でもそういう議論がやられた経緯もございます。ただ、問題は即そういうことで富裕団体の皆さんが承知するはずがございませんし、もう一つの問題としては、やはり今補助金カットをやられておるという中で果たしてそういうものが議論をされる環境にあるのかというと、そこにもやっぱり問題があるようでございますし、そういった点を考えてみますと、地方行政委員会の議論の中でも、何というんですか、やはり行き詰まるというか、こういったのが過去の例じゃなかったかと思いますが、今度の場合でもそこら辺の問題についてそういう方法がいいのかを含めて検討してみることになるかと思いますけれども、以上申し上げたように、なかなか右をとれば左がよくない、左をとれば右がよくないというのが実情じゃないかと思います。
  104. 井上吉夫

    ○理事(井上吉夫君) 時間。
  105. 鎌田要人

    鎌田要人君 時間が参りましたので、一言だけ希望を申し上げておきます。  代替財源問題を初めいろいろ伺ってまいりましたが、どうもここへぐっと来るようなお答えがいただけなかったことが残念でありますし、特に初年度のこの穴あきをどう埋めるか、地方財政についての問題が不十分なまま詰めることができなかったのが残念でございますが、これらの点につきましてはこの後の人たちによりまして充足していただくことを希望いたしまして、これで私の質問を終わります。(拍手)
  106. 井上吉夫

    ○理事(井上吉夫君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ─────・─────    午後一時十二分開会
  107. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を再開いたします。  消費税法廃止する法律案消費譲与税法廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題といたします。     ─────────────
  108. 中村太郎

    委員長中村太郎君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となりました九法案の審査のため、本日の委員会に社団法人日本貿易会常務理事林俊範君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  110. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 午前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  111. 佐々木満

    ○佐々木満君 私は、財政あるいは税制にとりまして大変関連の深い社会保障、とりわけ年金の問題、医療問題等につきまして皆さん方の御意見をお伺いいたしたいと思っておりますが、それに先立ちまして、それと関連いたしますけれども、最初にやや一般的な問題あるいは御提案の法案にかかわる問題等につきまして若干の御質疑を申し上げることから始めたいと思います。  御案内のことでありますけれども、社会福祉なり社会保障を論じます場合には、よく高福祉高負担、あるいは低福祉低負担という言葉があるかどうか知りませんが、いずれにしても福祉と負担の問題というのが重要な問題として指摘をされておるわけであります。最近では高福祉中負担あるいは高福祉適正負担、こういう新語も生まれてまいりましたけれども、いずれにしましても、社会保障あるいは社会福祉というのは負担の問題を避けては通れない、こういうことは共通の認識だろうと思います。  これも御案内のことでありますけれども、よく北欧の福祉あるいは西欧の社会保障、これは大変行き届いた立派なものだ、こう言われます。中身についてはいろいろ私どもも意見を持っておりますけれども、確かに北欧、西欧の福祉につきましては見るべきもの、あるいは参考にすべきものがたくさん私はあると思います。しかし、同時にこうした国では、これも御承知のとおり、大変な高負担を伴っておるわけであります。  国民所得に対します租税負担及び社会保障負担、いわゆる国民負担率でございますが、これもよく引用されますけれども、また皆さんも御承知のとおり、スウェーデンでは七三%強ですとか、フランスは六一%強ですとか、イギリスは五四%弱とか、西ドイツは五二%など、こういう数字が言われております。現在、日本は御案内のとおり三八・八、平成元年度の見通しでそういう数字になっております。しかし、これからの高齢化の進行、進展等を考えますときに、日本でもやっぱり国民負担の増大というのは避けて通れないだろう、こう私は思います。ただ、これが余りにも高くなりますと、国民の勤労意欲にも悪い影響を与えかねない、あるいは経済社会の活力を阻害しかねない。そうなったら、またこれは大変なことになります。  私は、国民負担率というのをどの程度にとどめるべきか、これからの国づくりにとりまして大変重要な問題だ、こういうふうに思っておりますが、皆さんは、あるべき国民負担率、こういうものについてどう考えておられますか。最初でございますので、各党各会派お一人ずつお答えをいただきたいと思います。
  112. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) 佐々木先生お答えをいたします。  高齢化社会の到来に伴って、社会保障費を補うための租税と社会保険料とを合わせた国民負担率が増加するのは一般的に言って当然のことと考えておりますが、数字の上の負担の増加を検討する以前に、高齢化社会において国民が差別なく安心して豊かに過ごせる公的施策としての社会保障政策を明確にする必要があると考えております。  高齢化社会の進展に伴う国民負担増を補うには消費税以外にあり得ないという前提の御質問ではないと思いますけれども政府・自民党は、負担の増加ばかりを強化して、将来に対する具体的なビジョン、展望を明らかにしていないわけでございます。そのかかわりの中で消費税が国民から反発を招いた、こういうことも否定できないのではないかと感じているところでございます。  総合計画を策定する必要性を明らかにしておりますが、豊かな社会保障の実現に向け、国民の声に真摯に耳を傾け、あらゆる方策を検討していく考えであります。したがって、今直ちに国民負担水準を具体的な数字を断言できる段階ではございません。今後、民主的な手続に基づいて二十一世紀に向けた社会保障の総合計画を策定する、同時に、内需中心の適度な経済成長を図り、国民負担率の分母である国民所得の拡大を図ってまいりたいと考えます。財政運営全般を見直して、国民の負担の上昇を可能な限り抑えてまいりたいというのが考え方の中心でございます。
  113. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 高齢化社会における国民負担の問題でございますが、これは非常に重要な問題であると考えております。既に先生もよく御存じのとおり、臨調の五十八年の答申から六十一年の答申、そして政府の新経済計画の六十三年の計画まで、それぞれ国民負担のあるべき姿ということで、大体五〇%よりかなり下回る線をというふうな答申があるのも私どもはよく知っております。  当委員会におきましても、実は先ほど先生お話しございました、いわゆる北欧型の社会保障をすべきか、あるいはアメリカ型の社会保障をすべきかという議論が何回かございました。そんな中で、大蔵大臣がそれを聞いておられまして、大蔵大臣は、日本型というのがあってもいいのではないか、こういうお話をされました。  実は、私も藤本さんが厚生大臣のときに先般のあの会合で演説をされた内容を読ませていただきましたが、それによりますと、現在の日本は自助努力とか、いわゆる個人の、民間の活力を生かしてというふうなお話が大分出てまいるものですから、この演説の中身からは、いわゆる民間活力を導入というふうないろんなところから、新聞報道でもこれはどうも米国型を目指しているのかなという点がありまして、大臣の演説を聞かれましたアメリカの代表等が大臣の演説を絶賛している部分がありました。そういう点では、反対に北欧の皆さん方は何となく批判的な目で見ておる点がございました。  そういう点がありますので、私どももこの福祉の問題につきましては、五十一年以来トータルプラン等を発表いたしまして取り組んでまいりました。しかしながら、先生おっしゃっていただきました国民負担が最終的にどの程度であるべきかという試算が現在ございません。この点については、今までのこういうふうないろんな論調を踏まえまして検討していくべきである、こういうふうに考えております。
  114. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 大変重大な問題であるというふうに思っております。  御存じのように、日本の憲法第二十五条第一項には健康で文化的な生活を保障するというふうに書かれ、その第二項ではすべての生活部面について社会福祉、社会保障の向上に努めなければならないとあります。これは日本は高い社会福祉を目指していかなければならないという宣言ですが、この憲法の精神に沿って私どもも一生懸命頑張らなければならないと思っております。  その経済的な国民負担率につきましては、日本の経済力にふさわしい高福祉適正負担ということを目指してまいりたいというふうに思いますが、私どもはまだその負担率の数字についてはお示しできる段階ではないので、これから大いに研究し、努力してまいりたいと思っております。
  115. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 我が国は今他の先進国に例を見ないようなスピードで高齢化社会を迎えようとしておるわけでございまして、人口の高齢化に伴って福祉需要が増加していく、そしてそれを支える国民負担の増大は避けられないというふうに私どもも認識をいたしております。しかし、急激な国民負担を招かないようにすべきであろうかというふうに思うわけでございまして、そのためには、私ども民社党は、まず実質五%程度の安定成長を持続させていく、そしてそこで財政の安定というものを図るべきであろうというふうに思いますし、第二点といたしましては、引き続き行政改革を強力に推進し、歳出のむだを省く努力を重ねていくことが重要であろうというふうに考えておるわけでございます。  現在の国民負担率は、今先生おっしゃいましたように三八・八%となっております。この国民負担率が上昇することは私どもも避けられないというふうに思いますが、昭和五十八年三月十四日の臨時行政調査会、また六十一年六月十日の臨時行政改革推進審議会の答申におきまして、「ヨーロッパ諸国の水準(五〇%前後)よりはかなり低位にとどめることが必要である。」、あるいは「国民負担率が長期的にある程度上昇することはやむを得ないが、その場合でも当時の西ヨーロッパの水準(五〇%前後)よりかなり低い水準にとどめるべきであり、」となっております。したがいまして、私どもは四〇%台、四〇%前後であれば国民の合意が得られるのではないかというふうに考える次第でございます。
  116. 佐々木満

    ○佐々木満君 これはこの前からこの税特委員会でお聞きをいたしておりまして、提案者の皆様は、後ほど申し上げますけれども、直間比率等でもそうでございますが、なかなか数字をおっしゃらない。数字よりも中身が問題だという論調が多いのでございますけれども、私もそれは確かにそうだと思います。直間の問題もこの国民負担率の問題も中身が大変大事だというふうに私も思いますけれども、しかし、やはり国づくりをする場合にはそういう数字というものも避けて通れないんではないか、こう思うわけであります。  くしくも今勝木さんが臨調の答申を引用されまして、四五%程度なら国民の理解を得られるのではないかというような御所見があったようでございますが、私どもも……(「四〇%前後だよ」と呼ぶ者あり)前後ですか。現在よりも国民負担率は上がらざるを得ない。しかし西欧の水準よりもかなり低いところあたりにとどめなきゃならぬのじゃないか、こういう認識を持っておりますけれども、この臨調で言っておられますところの五〇%程度の西欧の現在の水準よりもかなり低い、しかし今よりはかなり高い。そのあたりのことにつきまして、それよりも高いのか低いのか、これは感じだけお聞きする以外にございませんけれども社会党、公明党、連合さんからお聞かせを願いたいと思います。
  117. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) その前に、正確を期すために、四五%ではございませんで、四〇%台の前半、四〇%前後ということで御理解をいただきたいというふうに思います。
  118. 佐々木満

    ○佐々木満君 その程度のことで結構でございます。その今勝木さんがおっしゃったことと比較して、社会党さんはもっと高いことを考えておられるか、感じとして低いことを考えておられるのか。公明党さん、連合さん、お願いします。
  119. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) お答えいたします。  私たちもいろいろ私たちなりに一つのビジョンを考えております。ビジョンの中身と負担の、国民負担にするか国庫負担にするかというと国庫に大きく依存をしてまいらなきゃならないという考え方を中心にしておりますから、具体的な数字で申し上げますというと、まだそこまではいっておりませんが、四〇%前後というところが一つのめどとして考えられるかと考えておりますが、これも最終的なものではございません。
  120. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 確かにこの社会保障負担は、例えば五十八年の臨調のときには三五%という数字が記されておりまして、その後また少しずつ上がってきまして、現在でも、先ほど委員おっしゃいましたように三八%というように少なくとも三%か四%上がっていますね。こういうようなベースで上がっていきますと、これはもう本当に高福祉といいますか高負担といいましょうか、上がってくるのは確かでございます。  そういうような意味で私どもも、先ほども申し上げましたように、この五〇%という水準というのが臨調の答申の中にありまして、その水準よりもかなり下回るという線をおっしゃっているわけでございますから、四〇%前後というところが私どもとしましては、実際問題これ積み上げて計算したわけじゃございません、これからのいろんな検討の中で出てくる問題だと思いますが、そのあたりが一つのめどの線ではないかな、こう思うわけであります。
  121. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 四〇%というそのめどというのはある程度理解はできますけれども、この数字というのは、単に数字が高いか低いかということではなくて、その内容、そしてビジョンにその数字がいかに適正なものであるかということを考えなければいけないというふうに思いますので、研究してまたその点は出したいと思います。
  122. 佐々木満

    ○佐々木満君 ちょっと聞き漏らしたんですけれども、小川さん、四〇%前後とおっしゃったんですか。いろんな条件がありますけれども、これから研究しなきゃならぬけれども四〇%前後じゃないかと、お感じ、それでよろしゅうございますか。
  123. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) この前の本会議安恒議員が申し上げましたように、まず一つは政治に対する信頼度あるいは福祉プログラムから得られる安心感、三つ目は負担と給付の公平度、こういったような幾つかの政治に対する信頼度、計画を含めながらであります。そういう意味で、さらに負担の方式を国庫負担という方向を高めながらも、やはりその辺のところで一応やっていく。  ただし、その場合に、非常に行政的なむだを省くとか、あるいは分母になる経済成長率を引き上げるとか、こういったような努力もさらに加えてのことでございますから、確定的な数字という形で申し上げているわけではございません。
  124. 佐々木満

    ○佐々木満君 私が国民負担と申し上げたのは、国と申しますか租税、それから社会保障負担、平たく言えば社会保険料、こうしたものを含めたことで申し上げているわけでございますが、これは誤解のないようにお願いを申し上げたいと思います。  そこで、今小川さんからお話がございましたが、この前の去る十月五日の本会議社会党の代表質問で、安恒さんがこの問題について触れておられます。今お話しございましたけれども安恒さんはこうおっしゃっている。「社会保障の負担率が五〇%よりかなり低くなければならない理由は一体どこにあるかを示していただきたい」、これはいわゆる国民負担率のことをおっしゃっておると思いますけれども。あの精密な安恒さんがどうしてここで「社会保障の負担率が五〇%」、こういう表現をなされたかわかりませんけれども、いずれ国民負担率のことだと思いますが、政府は国民負担率が五〇%よりかなり低くなければならない、こういうことをよく言っていますけれども、その理由は一体どこにあるのかを示していただきたいと、こういうふうにお述べになったわけでありますが、その後で先ほどの諸外国の数字を引用されまして、「スウェーデンの七〇%をトップにヨーロッパ諸国は軒並み六〇%前後」だと、こう述べられた。そして、今小川さんがおっしゃったように、いろんな三つの条件を提示されまして、こういう条件が満足されるならば日本では国民は負担がふえてもよい、こういう意見が最も多い、こういう指摘をしておられるわけであります。  私も今小川さんがおっしゃった、また安恒さんが本会議指摘をされましたこの三つの条件と申しますか、政治に対する信頼度、それから福祉プログラムから得られる安心度あるいは給付と負担の公平度、これは大変大事な問題だと思うのでございますけれども、こういうことは当然のことでありますが、結論としまして安恒さんは、「福祉水準を上げるためならば負担がふえてもよいという者が最も多い」、こう結論づけておられるわけであります。そして、国民は高福祉高負担を求めておる、こうもおっしゃっていますけれども、果たしてそうだろうか。私はこの安恒さんのお考えに大変疑問を持っておるわけであります。  と申しますのは、いろんな資料を申し上げますけれども、私どもに入ってくるいろんな調査、世論調査等々の数字からいたしますと決してそういうものではない。むしろ国民は、これ以上負担はふやしてもらっては困る、やむを得ないとしてもある程度の負担にとどめてもらいたい、こういう人が圧倒的に多い、こういう数字を私どもは持っているわけでありますが、私どもに入ってくる資料数字というのは一方的なものであるかもしれませんので、社会党を代表して安恒さんがこういうことをおっしゃったその資料的な何か根拠がありましたらこれは教えてもらいたいのですけれども、ぜひお示しを願いたいと思います。それを拝見して一緒に勉強させていただきたいと思います。
  125. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) 安恒さんにかわって答弁をするわけにはまいりませんが、その間の事情をお聞きしましたら、ちょうど……(「NHK」と呼ぶ者あり)そうなんです、NHKのテレビ討論会の最中のアンケートで、何といいますか、福祉の充実のためなら増税やむなし四九%、福祉水準を切り下げても安い方がよい一二%、どちらとも言えない三八%、無回答一%、このことを一つの例示として申し上げたわけでございますけれども、実際問題として、さっき申し上げました安恒さんの三つの条件、この三つの条件ということが満たされるかどうかということがやっぱり非常に大きな問題であろうかと考えます。  その後に安恒さんはこういう言い方をしていますから、おわかりと思いますがちょっと申し上げてみますと、「第一については、既に述べたように、消費税廃止や政治改革の断行こそ緊急の課題であります。 第二については、国として福祉水準をどこまで達成するかを示す長期基本計画及びその年度別実施計画の策定が必要不可欠であります。 第三については、国庫の負担が少ないために、高い保険料を四十年間払っても月五万円余りにしかならない基礎年金、」、以下申し上げますと長くなりますから、云々と書いておりまして、幾つかの例示をしておりまして、「何としてもこの国会において」老人医療その他を「措置すべきものだと思うものであります。 以上について、」、こう申し上げておりますから、いろいろ社会党として考えております幾つかの条件があるわけでございます。  そういうことを含めて先ほど申し上げましたのであって、一つ数字をきちっと確定したのではございませんので、お互いに勉強して国民の幸せになるという角度から、そのパーセントが少しぐらい上がったって構わぬじゃないかということも含めて十分考えておるわけでございます。
  126. 佐々木満

    ○佐々木満君 安恒さんは社会党を代表して質問されましたし、小川さんは社会党を代表してそこにおられるわけですからお尋ねを申し上げているわけでございまして、そのことはそれでわかりました。  それで、私どもにもこの問題に関するいろんな調査資料というのがございます。  一つは、総理府の広報室で定期的にやっております公共サービスと国民負担との関係についての調査でありますが、これによりますと、負担は現状のままでその範囲内に公共サービスを抑えてもらいたい、こういう人が四八・三%。それから、負担がある程度ふえても公共サービスを充実すべきだ、こういうのが一八・二%。これを二つ合わせますと、つまり負担は現状のまま、ふえるとしてもある程度の増、こういうところでとどめてもらいたい、こう考えておる人が約三分の二程度であることがわかると思います。この調査では、公共サービスが低下しても負担は軽くしてもらいたい、こういう人も一八%おるわけであります。もちろん反対の人もあります。こういうことから、この負担という問題について国民がいかに敏感であるか、こういうことが私は読み取れるだろうと思っております。  また、経済企画庁でやっております国民生活選好度調査というのがございますが、これは社会保障を充実するためには税金などの負担が増加してもやむを得ないと考えているかどうか、こういうずばり問うた問い方でございますけれども、これに対しましては四九・五%が負担がふえるのはこれは好ましくない、こう答えています。あるいはまた、ほかの四三・二%の人たちは、ある程度負担がふえるのはやむを得ない。実に九〇%以上が負担増というのは好ましくない、やむを得ない場合でもある程度の増にとどめてもらいたい、こういう調査結果が出ておるわけでございます。  またもう一つ、厚生省でやっております生活福祉動向調査というのがございますが、これにおきましても、社会保障の水準は現状程度でよいから、負担が余りふえないように工夫してもらいたい、こういう人が五〇%ございます。  いろいろの調査があると思いますが、これらの調査を見ましても、もちろん中には負担が高くなっても構わないという人もありますけれども、大部分の人は負担は現状のまま、そしてふえる場合でもある程度の増にとどめてもらいたい。私はこれが国民の負担に関する考え方ではないかと思っておりますが、今社会党の方からNHKの調査の資料をお示しいただきましたが、私も持っていますけれども、余り簡単でわかりませんので、その資料をよく分析して、私の手元にある資料と突き合わせをしてこれから検討してまいりたいと思っております。  それで、スウェーデンは、皆様御承知のとおりでありますが、大変な福祉国家と言われる。また、大変な高負担の国でもあるということでありますが、スウェーデンにつきまして、最近、高福祉高負担なるがゆえのデメリットと申しますか、悩みと申しますか、国民経済や国民生活への悪影響、そういうものが最近頻繁にあちこちで指摘をされておるようであります。  これは、最近日本のある有力な日刊紙、ごく最近の記事でありますけれども、外国の有力紙の記事としてその日刊紙が伝えておりますが、例えば「北欧スウェーデンでは高福祉政策ゆえに労働者の病欠が急増、いまや国家的危機状態にさえなろうとしている」、こういう記事もあります。スウェーデンでは病欠しても最初の五日間は医師の診断書を提出しなくともよい。そして病欠中の給与は保険で完全にカバーしてくれる。そんなこともあって病欠がふえている。最近の統計によると、イギリスの労働者の年平均病欠日数が十日間であるのに対して、スウェーデンでは二十三・四日に達している。中でも工場労働者の場合には病欠日数が二十九日間に及んでいる。スウェーデン政府が今年度病欠者対策として予算を組んだその予算は四百五十億クローナ、約九千四百五十億円。国内総生産の四%に相当するという。余りにも高い税、失業率の高まり、若者の間に広がりつつあるモラールの低下、労働意欲の低下、病院の前にできる長蛇の列、こうした現状に対して国民の不満が広がってきた。そうして極端な意見として福祉切り捨て論というものも出てきたというこういう有力日刊紙の記事が最近ございます。  福祉切り捨てなどということはお互いにこれはやるべきではありませんし、できることでもございません。しかし、我々はこのスウェーデンの現実というものにもやはり多くのことを学ばなければならないと思います。  私は余り物知りではありませんけれども、最近外国のエコノミストによるスウェーデン経済、スウェーデン社会の分析をした論文などが散見されるわけでありますが、そうした論文の中で、ユーロスクリローシスと言うんだそうでありますが、欧州型動脈硬化症という術語が盛んに使われておるようであります。こういう欧州型動脈硬化症の元凶は公共部門の支出の拡大にある、こういう指摘。また高い税負担、それから政治介入の余りの増加、こういうものが経済の心臓部を直撃している、こういう指摘もございます。そして、国民負担率七〇%にも達しておるこの公共部門支出を五○%未満に引き下げなければスウェーデン経済の動脈硬化症は治らない。これはあるエコノミストの記事でございます。  スウェーデンの高福祉、それから学ぶべき点はたくさんあります。同時に、高負担、こういうものに悩む先進国と申しますか、そういう国の実験、そういうことからも我々はたくさんのことを学ばなきゃならぬのではないか、こんなふうに思っておるわけでございます。  先ほどからお話しございますとおり、私どももこの国民負担について臨調答申にありますような大体ああいう考え方を持っておりますが、これからひとつ皆さんもこの国民負担率というものについて御検討をいただきまして、あるべき国民負担率、こういうものを共通の認識として持てるようにひとつお互いに勉強していきたいものだな、私はこういうふうに思っております。  先ほどこの福祉と負担の問題について、これは私も先般のNHKの連続討論で拝聴、拝見したわけでありますが、民社党の中野政審会長が先ほど申しました高福祉適正負担という言葉をお使いになりました。笹野さんもさっきおっしゃいましたけれども、高福祉適正負担というのはこれはどういうことでございましょうか。もう少しかみ砕いてわかりやすくひとつお教えをいただきたいと思います。
  127. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 高福祉適正負担ということでございますが、福祉を高めていくためにはある程度の負担はやむを得ないということだろうというふうに思います。
  128. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 高福祉といいますのは、国民が安心し、非常に心豊かな福祉という意味で使いたいと思いますし、適正負担というのはそういう福祉に対して国民が納得するというそういう内容に使っております。
  129. 佐々木満

    ○佐々木満君 言葉からいえばやっぱり高福祉に対するのは高負担、低福祉には低負担、適正負担に対応するのは適正福祉ということじゃないかと思うんですけれども。これはあちこちの学者もこういう言葉を使っている方もいらっしゃるようでございますけれども、よくわかりませんが、勝木さん、もう少し詳しくひとつ、もう一言。
  130. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私も社労の委員になっておりますので、一生懸命これから勉強していかなければいけないというふうに思っておるところでございます。  先ほども国民負担率は四〇%前後にとどめることで国民の合意が得られるのじゃないかというふうに述べさせていただきました。租税負担と社会負担のあり方につきましても、佐々木先生から総理府の調査、経企庁の調査、厚生省の調査などからいろいろ御示唆に富んだことを御開陳いただいたわけでございますが、私どもは租税負担、社会負担のどちらに重点を置くかということについては、やはりその選択は最終的には国民がするものだろうというふうに思っております。したがいまして、政府が福祉ビジョンを明示していただいて、国民負担率をも明らかにして、その負担を租税に求めるのかあるいは社会負担に求めるのかというそういう問い方の方が大切じゃないかというふうに思っておるところでございます。  なお、六十一年六月十日の臨時行政改革推進審議会の答申では、「租税負担よりは社会保障負担に重点を置くべきである」というふうに主張をされております。  いずれにいたしましても、人口の高齢化の進展に伴いまして国民負担の増大は避けられないというふうに思いますが、急激な負担増とならないような政策努力を重ねることが私たち政治家に課せられた責務であるというふうに考えております。
  131. 佐々木満

    ○佐々木満君 今も勝木さんからお話がございましたけれども、国民負担には御承知のとおり中身として二つあるわけであります。これは御承知のとおりでありますが、租税負担と社会保障負担とございますが、各国、先進国の国民負担率の中身を見てみますと、大きく分けて二つのタイプがあるんじゃないか、アメリカは別ですけれども、アメリカを除きますと二つのタイプがあるんじゃないか、こう思います。  一つはスウェーデンに典型的に見られますが、国民負担率の中で租税負担に物すごくウエートを置いているところ、スウェーデンは七三・三%の国民負担率ですけれども、そのうち租税負担が五四%、社会保障負担が一九・三%、これはもう租税負担に大変なウエートを置いておるわけであります。イギリスなんかもほぼ同じ傾向のように見られます。五三・九%のうち税負担が四二・三%、社会保障負担率が一一・六%。  これに対しまして、フランスあたりは中身がかなり違いまして、例えばフランスは六一・五%の国民負担率の中で税が三三・七、社会保障負担が二七・八、やや両者が接近をしておる。西ドイツもややこれに似た感じでございます。  今も勝木さんからお話しございましたけれども、また臨調のお話もございますが、国民負担率を考えます場合にやはりどういう形をとるか、税に思い切ってウエートを置くのか、あるいは税と社会保障負担をほぼ拮抗させるのか、そういう考えを固めておく必要が私はあろうかと思います。こういう国民負担率の中身の比率、割合の問題につきまして、民社党さんは結構でございますから、社会党さんと公明党さんのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  132. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 先ほどから佐々木さんの御質問を聞きながら、大変な御勉強をなさっておることに大変感服しました。ただ、お話しございましたように、国民福祉の問題でございますから、私は率直に言って、おっしゃったようにこの問題についてはできるだけ党派を超えて共通点をつくっていく、それがやっぱりお互いの責務じゃないか、こういうふうに思います。  そういう観点でお答えしたいと思うんですが、今お示しございましたように、スウェーデン型というんですか、それから英国型というんですか、それとフランス、西ドイツ、いろいろ国によってこの問題は相違はございます。まあ日本はどっちかといえばフランス、西ドイツ型かもしれません。しかし、これはそれぞれの国の国民の皆さんの環境なり、同時にまた福祉に対する認識なり、おっしゃったように国に対する信頼度もあるでしょう、そういったものが私は一つの姿をつくっていくんじゃないかと思います。  我が党としましては、高齢化社会の進展に伴う国民負担の増大というものは、これは率直に言って大前提として考えなければならぬのじゃないかと思っております。ただ、国が国民に約束する福祉の長期ビジョンというか総合計画というんですか、こういったものをやはり明らかにして国民に示していく必要があるんじゃないか、そう思います。そして、それに基づいて民主的な手続によって国民が納得できる社会保障政策というものを確立していく必要がある、こういうふうに思うわけでございますが、その際に、国民の負担の水準についてどうだという御指摘がございますが、これは基本的にはふえていくのは私どもは当然だと思うんですが、同時に、先ほど高福祉適正負担という適正の問題がございましたが、やはり国民所得や財政運営全般の改革等を含めて、できるだけ負担は抑制するというのが務めじゃないかというふうに思うんです。  では、税負担と社会保険料の負担の比重をどうするか、こう聞かれますと、今申し上げたのは基本に置きながら、私どもとしては社会保障の内容、福祉ビジョンの構築、こういったものを含めて最終的に決定されるべきである、こういうふうに考えております。数字の上だけでなくて、それを含めて国民の合意と信頼を得られる公平公正な税制の確立、そして雇用者と被用者の社会保険料負担割合など、こういった面も含めてぜひ内容の検討をさしていただきたいと思います。
  133. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 租税負担と社会保障負担の問題でございますが、先ほど先生がおっしゃいましたスウェーデンとそれからイギリス、確かにスウェーデンが五四%そして一九%で七三%でございますし、イギリスが四二%と一一%で五三%でございますから、イギリス・スウェーデン型とそれから西ドイツ・フランス型というのと、もう一つあえてこれ言わせていただきますと、日本が二七・三%とそれから一一・五%、アメリカが二五・五%と一〇%ですから、どちらかというと日本はアメリカに近いような感じに現在なっておりますが、確かにこういうふうな点を勘案いたしますと、政府が発表いたしました例のあの六十三年三月の政府の推計から見ますと、いろいろとありますが、私は政府は今アメリカ型を目指しているんじゃないかなという感じはするんです。  しかしながら、現在のあるべき姿という点からいきますと、いわゆる租税負担にウエートを高く置いている国、それから社会保障負担に大きく負担を置いている国、それからもう一つは両方をバランスをとっている国、この三つに分かれるんじゃないか、こういうふうに思います。  そこで私どもとしましては、いろんな角度から検討をさしていただきましたが、国民の負担が将来上昇していくことはもうほぼ間違いない、そういうふうな中にありまして、私どもといたしましても、先ほども申し上げましたが、社会保障負担がある程度引き上げられるのはこれはもうやむを得ないんじゃないか、こういうふうに判断をいたしております。その場合にいろいろな問題が出てくるのも事実でございまして、社会保障負担の引き上げに伴いまして、いわゆる応能負担をどういうふうに加味していったらいいのかという問題も出てくる。そういうふうな問題をいろいろ検討していかなければならないのではないかな、こういうふうに考えております。
  134. 佐々木満

    ○佐々木満君 次に、直間比率の問題でございますけれども、これは今までいろいろ各方面から論議をされましたので私は省略さしていただきますけれども、やはり一言だけお尋ねをし、また申し上げておかなきゃならぬと思っております。  それは、今までの御答弁の中で、直間比率というのは結果だ、こういうお言葉もございました。私もそれは確かにそういうことも言えるだろうと思います。また、直間比率を論ずる場合には、単なる直間の比率だけでなくて、直の方の中身、間の中身、そういうものもあわせて議論していかなければいけない。これは皆さんもそうだろうと思うのでございますけれども、そういうことを頭に置いてもなおかつ、税を仕組もうとする場合、直間比率をどう見込むかということは、やはり私は大変重要な問題ではないか、こう思うわけでございます。こういうことは学界でも、あるいは実務家の間でも、あるいはまた広く国際的にも共通した私は認識ではないか、こういうふうに思います。  そこで、重複して恐縮でございますけれども、もう一遍ひとつ伺わせていただきますが、直間比率の持つ意義、いろんなことを申し上げました、結果だということも結構、直の中身、間の中身の審議ももちろん必要。しかし、それにもかかわらず、やっぱり数字としての直間比率というのは税を仕組む場合に大変大事だ、私はこう思うんですけれども、そういう意味で直間比率の持つ意義、そして皆さんはやっぱりあるべき直間比率というのをなかなかおっしゃいませんけれども、どう考えておられるのか。これはどなたか、どうぞ。
  135. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 佐々木委員が今言われましたように、私もただ単なる直間比率の比較だけでは本当の意味がないと。特に我が国の場合は法人税、相続税、これらが、諸外国もそうなんですが、直接税に入っております。アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、イタリア等の直接税の中にも法人税が入っておりますが、日本の場合は法人税率が非常に高い。したがって所得税と法人税と相続税、この直接税部分が非常に高くなっておりますから、直間比率が非常に直接税が高く出ております。  そういう点で見ますと、アメリカの場合は直接税が九一・一%、間接税が八・九%、イギリスが直接税が五三・九、間接税が四六・一、西ドイツが五二・八、間接税が四七・二、フランスが四〇 ・二、そして間接税が五九・八、イタリアが五八・五、そして四一・五、このようになっております。  ただ、昭和三十年の統計資料を持っておりますが、我が国の場合、直接税が五一・四、その場合非常に法人税率が低い、二〇・五%、したがって間接税の割合が四八・六%、このようになっております。ずっと最近の傾向としては、景気もいいということで法人税率は高くなっておりますから、直間比率の割合は非常に直接税が高く出ている傾向になっております。  要するに、これはあるべき直間比率の問題という以前に、今の税制の矛盾の中には直接税の所得税の中で源泉所得をしているもの、あるいは申告所得をしているもの、その直接税の所得税の中に非常にクロヨンとかなんとかいろんな矛盾が一つは出ておりますから、その中の問題もこれは非常にそういう意味では直間の直の中の問題が存在していると思います。  最後に、いろいろ長く申し上げましたが、結論といたしましてはどういう割合がいいのかと、そういうことで、日本の場合は法人税が二〇%からあるいは三四、五%、景気の上下によって左右しますからなかなかパーセントは出にくい。しかし、非常に究極的には直間比率としてはもう少し縮まっていいんではないか、このように考えております。
  136. 佐々木満

    ○佐々木満君 ありがとうございました。  この直間の問題につきましては、私も拝見しましたけれども、先般のNHKの連続討論でも各党の皆さんが八、二だとか七、三とか六、四とか、確定的なことはおっしゃらなかったようでありますけれども、いろいろな数字を挙げておられた。先般の本委員会での御質疑を拝聴いたしておりますと、あれはやはり個人的な見解じゃなかったんだろうかというような御答弁があったように私はお聞きしましたが、しかしテレビを見ておる国民というのは、恐らくあれは各党のそれぞれの公式見解だというふうに受け取ったんじゃないかと私は思いますし、私もそう受け取ったわけでございます。  これはこの前の質問とダブるかもしれませんが、あれはいずれも党の公式見解ではなかったのかどうか。これは民社党の勝木さん、ひとつ。
  137. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) あれは党の正式見解ではございません。  どうしてそういう発言をしたかということでありますが、中野政審会長がそういう発言をしたことは事実でございます。直間比率につきましてはもう既に述べられておりますように、本当に望ましい比率は当初から想定できるものではないんじゃないかというふうに思います。しかし、だからといって全く無視していいという問題でもなかろうというふうに思います。  例えば、直接税の比率が高くなっていることとサラリーマンの税負担が累増している点に着目をして、やはりそういう点からは直接税の比率は下げねばならないという見解もそれなりの説得力を持つわけでございます。政府・自民党内におかれましても、直間比率にこだわる意見とそうでない意見があったりするわけでございますし、例えば昭和六十二年五月六日の参議院予算委員会でも当時の宮澤大蔵大臣は、「六十一年度は七三対二七でございます。これをどこまでということを正確に申し上げることができませんけれども、まず、直接税が七〇というところを割っていくことは必要なのではないかというふうに考えております。」という、そういう方向性を示しておるわけでございます。  また、竹下元総理大臣も、昭和六十三年十月二十四日の税制問題等に関する調査特別委員会におかれまして、先ほどもありましたようにアプリオリということで、「何度も、いわゆる直間比率とはあらかじめアプリオリに固定的に決めるべきものではなく、その結果として出てくるのが直間比率であるということを何回も申し上げました。」ということでありまして、「私は、直間比率というのは構築されたものの結果として出てくるものである、その場合の経済成長率等によって予測も違ってくることもあり得るものだという原則は、今でもそのとおりに思っております。」というふうに竹下元総理大臣は発言されておるわけでございます。  そういうことでありまして、長々と答弁させていただきましたけれども、正式な見解ではございません。
  138. 佐々木満

    ○佐々木満君 これは先般も質疑があったんじゃないかと思いますけれども皆さんはシャウプ勧告、それに基づくシャウプ税制、とりわけシャウプ勧告そのもの、これを大変高く評価しておられるように私はお見受けをいたしておるわけでございます。久保さんの提案理由の御説明の中にも、それを不公平なものにゆがめたというか変貌させたのは歴代自民党政府だ、その責任は小さくないと述べておられるわけであります。  そこで私は、ひとつお教えをいただきたいわけでありますが、シャウプ勧告のどこを評価なさるのか。これは具体的に一何、二何、項目だけで結構でございますから、どなたかからひとつ、シャウプ勧告のどこを評価なさるのか、お願いします。
  139. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 今お話しの中に出ましたように、久保さんからも強調されたと思いますが、私どももシャウプ勧告は今日でも世界に通用するすぐれた理念を持つ税制報告である、こういう認識をしております。それは、特に総合課税主義に基づく応能負担を貫く姿勢は今日においても税制の達成すべき課題であるとともに、資産課税の適正化を目指し、そして租税特別措置を公平の原則に反するものとして廃止を目指すという面で大いに評価できるものだというふうに思っておるわけでございますが、今御指摘のように、特にどことどこという点がございました。  それは、シャウプ博士は、御存じのとおり、地方自治の確立を目指してその基盤としての地方財政の基盤強化を図ったわけですが、特に地方税制の基本原則は税制の簡素化、それからこれは納税者が容易に理解できるというものでございまして、政府や自民党が言う簡素化とは異なります。  二番目に税収の十分性、特に市町村優先主義ですね。これは市町村の間接税国税に吸収する消費税とは異なります。  独立税主義、そして、これは現実的にはさまざまな問題がございますけれども国税の租税特別措置地方に連動するという現行とは異なるわけでございます。  四番目に租税改革の自由裁量権、いわゆる自治体の課税自主権の尊重、こういう問題。  それから五番目に直接税主義、これは形はそうでございますが、直接税における不公平を放置し、政府の大型間接税導入を強行するということとは異なるわけでございまして、大変共鳴を覚えている五つの点を申し上げました。
  140. 佐々木満

    ○佐々木満君 大変ありがとうございました。  皆さんが、今おっしゃいますとおり、大変高く評価をなさった、また、なさっておられるこのシャウプ勧告、これに基づいて日本の戦後の新しい税制がスタートしたわけでありますが、そのときに、その結果、皆様が評価をなさっておられるそういう点に従って税制を仕組んだ結果、直間比率が五五対四五になった、こういうことでありますが、この直間比率の数字そのものの評価までは及ばないわけでございますか。
  141. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) そこの評価の問題もございますけれども、今私が申し上げたのは、五つの点を主体的に申し上げたわけです。
  142. 佐々木満

    ○佐々木満君 次に、御提案の法案の中身について二、三お尋ねをさしてもらいますが、これは先ほども鎌田さんの方からお話がございましたが、税制改革基本法案の中で、所得、資産、消費等に対して均衡ある税体系の確立を目指す、こうございます。ということは、皆様の御認識では所得、資産、消費について現行税制はバランスがとれていない、こういうことだろうと思います。それがゆえに均衡ある税体系の確立を目指す、こういうことだろうと思いますが、端的にどこが少なくてどこが多いのか。これはそれぞれ中身の問題はありますよ、いずれも中身の問題がございますけれども、この三つについて均衡ある税体系と申しますが、現行税制のどこがどうなのか。所得課税が少ないのか、消費課税が多いのか、資産課税が少ないのか。どこがどうだから悪いのか、バランスがとれていないのか。どういうふうに御判断なさるのか簡単にひとつお答えをいただきたいと思います。
  143. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) お答えいたします。  今佐々木さんが御指摘になりましたように、所得、資産、消費の均衡というものを考えてまいります場合に、私どもとしては量的なバランスという立場を重視して申し上げているのではございません。この均衡と申し上げます場合には、それぞれの税の制度の中にあります欠陥、不公平、こういったようなもののあり方がそれぞれの所得、資産、消費においてバランスが崩れている問題もございますし、それで、こういったようなものを考えてまいります場合に、私どもがこの均衡をとって税制改革を図りたいと申し上げておりますのは、これらの欠陥や不公平の一掃を図ることによって税制の持つ所得、資産の健全な社会的再配分機能をそれぞれに向上させる。そして公正公平を確保していくということによって経済構造や国民生活の変化に対応できる均衡のある税体系を確立したい、こういうことで均衡と申し上げているのでございます。  この均衡を目指します場合には、応能負担原則を重視した総合累進課税主義を基本としなければならないと考えておりまして、この総合累進課税主義が可能なのは直接税であり、間接税は逆に逆進性を生むおそれが非常に強く、能力に応じた応能負担を実現していくという上に、消費税のような間接税においては問題が多いと思っているのでございます。したがって、直接税を主にし間接税を従とする税制を堅持していくということもまた、この所得、資産、消費のバランスをとっていくということになるんではなかろうかと思っております。  なお、これらの均衡を図ってまいります場合に、税制の基本的なあり方としては、勤労所得軽課、不労所得重課の原則もまた重視されなければならないであろう、このように考えて私どもはこの三つの均衡を申し上げている次第でございます。
  144. 佐々木満

    ○佐々木満君 次に私は、勤労者、サラリーマンの立場から二つほど御質問させていただきますけれども、先般の税制改革、現行税制もとでは、私は、サラリーマン全体の立場から見ますと大変以前と比べてよくなったと、こういうふうに思います。先般の税制改革は大幅な減税が行われましたから、サラリーマン全体から見ると大変メリットが大きかった、こう思います。もちろん、個々のサラリーマンにとりましては、あるいはメリットが少ない、あるいはかえって負担がふえたという人もそれはあると思いますけれども、全体として見るならば、消費税も含めてやはり負担軽減が行われたと、こういうふうに私は思っておるわけであります。  先般の税制国会の審議の際に、大蔵省からこういう資料を、これは皆さんもいただかれたと思うのでございますけれども、これは勤労者の標準世帯につきまして、こういう一連の税制改革が行われれば減税はこれだけになる、消費税導入に伴ってこれだけ支出がふえる、差し引きこれだけの負担の減になるんだと、こういうことを示した表でございます。三百万の収入世帯では差し引き二万八千円の負担減、消費税を含めて負担減と。四百万では六万円の負担減等々、収入別の表でございますが、この表は法案の審議の際にいただいたものでございますから、もちろん消費税導入の前につくられたものだと思います。消費税が導入されてから相当になりますけれども、今日の状況を踏まえてこの表を訂正しなければならない点があるのかないのか、大蔵省からひとつお答えをいただきたいと思います。
  145. 濱本英輔

    政府委員(濱本英輔君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘がございましたデータは、家計調査を用いましてモデル計算を行ったものでございますが、御指摘のように所得税、住民税の減税額から消費税導入によります負担増分を差し引いて計算したものでございます。  御指摘の、消費税導入後の実情に照らしてどうであろうかという点でございますけれども消費税導入後の物価の推移ということがその際ポイントになろうかと存じます。私どもがその計算を行いました当時、消費税導入によります負担増といたしましては消費支出の約一・一%相当と試算しておったわけでございますけれども消費税が実施されました後の物価の推移を見てみますと、四月、五月と物価の推移は、大蔵省の試算がそれほど的外れなものでなかったということを示しているというふうに私どもは受け取っております。
  146. 佐々木満

    ○佐々木満君 今の大蔵省の御答弁、そして私も先ほど申しましたとおり、サラリーマンにとっては大変メリットが大きかったと、私はこう思っていますけれども、それらを踏まえて何か御意見がございましたらお願いいたします。
  147. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 昭和六十二年、また昨年の税制改革によりまして、所得税、個人住民税などおのおの約二兆二千億、約三兆三千億円規模の減税が行われましたが、私どももこのことについては評価をいたしております。しかし、これは昭和五十二年以降本格的な所得減税というのが行われておらなかった、しかも所得税率が累進構造となっておるため、賃金上昇以上の伸び率で税金がアップをしておるということで実質増税となっておったんじゃないかということで、これによって勤労者の不満というものが高まってきたという事実を忘れてはならないんじゃないかというふうに思っておるわけでございます。政府は時宜に応じて本来なら所得減税を行うべきであったのでございますが、これを怠った結果でございまして、したがって、私どもといたしましては、所得減税は評価しますが、これは当然の措置である、そしてむしろ遅過ぎたんじゃないかというふうにも言えるわけでございます。  また、これは私ども野党の強い要求によって実現したものでございまして、所得減税は何も政府・自民党だけがやったような印象を国民に与えようとするのは問題じゃないかというふうに思っております。消費税導入などの税制改正で確かに大幅な所得減税をしたと政府は宣伝をしておりますが、所得税の税率構造緩和の大部分というのは、与野党協議を重ねた結果として、消費税導入とは全く別次元で昭和六十三年に先行実施したものでございます。また、そのほか諸控除の引き上げや住民税減税も、かねてから私ども野党が求めてきたものであることを強調しておきたいというふうに思います。
  148. 佐々木満

    ○佐々木満君 これは何も自民党がやったわけででもないし、野党がやったわけでもないので、国会として十分御相談の上そういうことになったわけでありますが、いろいろお話しございましたけれども、先ほど大蔵省からもお話しございましたが、結果として所得減税をやるのが遅かったとか、それはそういう御意見もありましょう。しかし、結果として三百万、四百万、五百万のこの世帯につきましては、やはり消費税が導入されましてもプラスマイナス減税になった、こういうことはお認めになるわけでしょう。それがゆえにこそこの減税というのは評価しておられるんじゃないでしょうか。もう一度お願いします、その途中の理由は結構でございますから。
  149. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 先ほど申し上げたとおりでございます。
  150. 佐々木満

    ○佐々木満君 そこで、もう一つだけ。  サラリーマンの立場に立って考えてみますと、この基本法案の中では、税制改革のための環境整備あるいは基本原則、大変立派なのが示されておるわけでありますが、なかなかサラリーマンにとって具体的なビジョンというのは浮かんでこない。  そこで、端的にお伺いをいたしますと、皆さんがこれから二年たって税制の再改革をなされば、サラリーマンにとっては今よりも減税になると考えてよいのか、今よりも一層可処分所得がふえると考えてよいのか、そういう前提で生活設計をしてよいのか、その点を端的にどなたかお答えいただきたいと思います。
  151. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 税制というものはやはりまず公平でなければならないというふうに思うわけでございまして、所得税においても応能負担原則によってその実現を図ることができるわけでございます。そのためにはやっぱり所得税に累進性を持たせることは不可欠の条件であろう。しかし、総合課税を確立していきますと、従来もとられておりましたように、一〇%から七〇%の税率の強い累進度を持たせずとも公平の確保は可能じゃないかということでありまして、したがいまして、当面はこの所得税の最高税率は五〇%のままでいきたいというふうに考えておるわけでございます。  また、私ども税制改革に当たりましては、所得課税のさらなる簡素化というものが必要になってくる。そしてまた、負担軽減のための所得税の再構築を追求することといたしておるわけでございまして、これはすべての所得を総合するという総合課税を基本原則といたしておるわけでございます。これにつきましても政府改革が高額所得者に余りにも有利なものじゃないかということで、これ以上税率を引き下げる必要はないとの意見と、もう一方では総合課税を前提とするなら当然税率を下げるべきだという意見もあるわけでございますので、これらの論旨を踏まえまして、所得税の最高税率の水準についても国民税制協議会等々で議論をしていただきたいというふうに思っておるわけでございます。  端的に申し上げれば、将来ともサラリーマンにとっても、総合課税主義ということでそれを貫いていけばサラリーマンにとってはプラスになるというふうに確信をいたしております。
  152. 佐々木満

    ○佐々木満君 次に、これもいろいろと論議がございましたので端的に伺っておきますが、同じく基本法の第二条で「消費税の創設を中心とする先の税制改革が広く国民の理解信頼を得た上で行われたものとはいい難い状況にかんがみ、」と、こういう文言がございますけれども、国民の理解信頼を得られていない、これは一体何を根拠としてそうおっしゃるんですか。もう一遍お願いします。
  153. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 趣旨説明でも申し上げてございますが、私どもは第一にさきの税制改革がその手続において問題があったものと認識をいたしております。この手続の問題につきましては、本委員会で御質問くださいました皆さんの中にも何人か手続には反省すべき点があるということをおっしゃられておりますし、そのことについては相互に認識が統一できるのではないかと思っております。  詳細に申し上げますならば、昭和六十一年の同日選挙における当時の中曽根首相の自民党総裁としての公約に違反して、大型間接税である消費税が導入されたことが第一であります。また、国会における決議にもこれは反するものでございます。さらに、いろいろ御意見も出されておりますけれども、国会の審議が十分に尽くされたと言えないままに強行採決で議決されたことであります。さらに、法律が成立いたしましてから、わずか三カ月余りの準備期間しか置かないで拙速に消費税法が施行されたことなどでございます。  そして、国民の理解を得たとは言えないということが具体的に示されてまいりましたのは、先般の参議院選挙において消費税の導入の是非が争点として争われた結果、明確に国民の意思が参議院選挙の結果として示されたと私どもは認識いたしております。そういう立場に立ちますと、さきの税制改革消費税導入を中心として行われたものでありまして、国民の理解信頼を得た上で行われたものとは言いがたいと、私どもはこの法案の中で明示をいたしたものでございます。
  154. 佐々木満

    ○佐々木満君 今久保さんから懇切なお答えをいただきましたが、私は先般来、あるいは昨年の税制国会以来と申してもよろしいんですけれども、ずっと税制問題についての論議を聞いておりますと、政治論と法律論、これが非常に混交しておるんじゃないかという感じを強く持ちます。  公約違反だとおっしゃいます。これは皆さんのお立場で結構なんでございますが、自民党の方、私の方は公約違反じゃない、こう申し上げておる。強行採決をやったとおっしゃるのに対して、我々は審議拒否じゃないか、こういう議論はこれは政治論でありまして、私はどこまで行ってもこれは決着がつかないだろうと思うんです。これは街頭で大いにやればいいのであって、やっぱりこれは政治論、それぞれに言い分があるだろうと思うので。しかし、去年の暮れに税制改革関連法案が成立したことにつきまして、法律論としてこれを見ますと、全然これは瑕疵がない、法律的に瑕疵がない、手続の欠陥がない、有効に成立した、有効に現在施行されておる、私はこういうふうに思うわけでございまして、法律論は法律論で大いにこれまた引き続き戦わせることにして、政治論と法律論とやっぱりきっちりと区別していかなければならぬ、私はこう思うのでございます。  そういう意味で、消費税廃止法案ですか、あれを拝見しまして私は大変感心しました。あれは何も書いてないですね。「消費税法は、廃止する。」と書いてある。これは法制執務提要の上からいって模範的な立法例だと私は思うんです。これは法律論です。その背後には政治論がたくさんあると思うんですけれども、私はそういう点を区別して議論すべきじゃないか、こういうように思います。  そこで、これは政治論になりますけれども、今一つだけ。最終的に参議院選挙でこういう国民の判断が示された、こうおっしゃいましたが、それでは、近々行われる衆議院選挙で自民党がもし勝った場合は、この条文はどういうふうになるんでしょうか。
  155. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 選挙はその結果が出てからでないと何とも申し上げにくいのでございますが、今佐々木先生がおっしゃいました法律論という立場において、消費税法が成立いたしておりますことはそのとおりだと思います。これは国会において法律として成立し、施行されているものでございます。したがいまして、私どもも国民の意思を受けて、選挙の公約に基づいて、法律論としてここに廃止を提案いたしているわけでございます。  この国会が私ども提出いたしておりますこの廃止法案をどのように結果づけられるか、これは今審議中でありますからわかりません。しかし、これが最終的に総選挙において国民の意思が、見直し等が明確にされた上で、もう一度問われることになるのかなとも思ったりいたしております。海部総理もこの場所において、最終的な決着は総選挙だということをおっしゃられました。私どもは、この国会において廃止法が成立することを期待いたしておりますが、これがもしこの国会において成立まで至らない、こういうことになります場合には、今お話しございました予想される総選挙において国民の意思を問うことになろうと思っておりまして、その結果に基づいて消費税はおのずから決着をつけられるもの、こう考えております。
  156. 佐々木満

    ○佐々木満君 次に、具体的な問題について二つ三つほど御質問申し上げますが、いわゆる医師税制の問題についてでございます。  皆様は、この基本法の中で社会保険診療報酬課税の特例、こういうものを見直しの対象と申しますか、不公平税制一つというふうに位置づけておられるようでございますが、この医師の特例措置というのはどこに問題があるのか、何がゆえに不公平とおっしゃるのか、これをどのように整理合理化なさるのかお伺いいたします。
  157. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) いわゆる必要経費率と言われております概算経費率が高過ぎるんじゃないか、実経費率を用いるべきではないかという問題も今あるわけでございます。また、事業税における社会保険診療報酬の非課税措置廃止すべきではないかという、そういう意見もございます。社会保険診療報酬に係る法人事業税及び個人事業税は非課税となっておる現状から見て、そこが問題じゃないかということでもございますので、したがいましてこれらの点を考慮して今後は検討していかなければいけないだろうというふうに思います。  具体的には、私どもは今後社会保険診療報酬の適正化、医療水準の確保、地域医療の確立、実経費率などを勘案して、特例を廃止の方向で段階的に見直す方向で論議をしていただきたい、その具体的な内容につきましては国民税制改革協議会で検討を重ねていただきたいというふうに思っておるところでございます。
  158. 佐々木満

    ○佐々木満君 この医師の特例措置というのは、これは御承知のことでありますけれども、昭和二十九年に診療報酬との関連あるいは医療の公共性、そういうものにかんがみまして議員立法でもってこの仕組みをつくった、その後の改正を経て今日に至っておるわけであります。  この特例措置によりまして、医師は複雑な税務記帳をしなくとも簡単に税の手続ができる、そして本来の医療に専念することができる、そういう面で大変なメリットがあるわけであります。もちろん都会の大病院とか高額の収入のある医師につきましては、この特例によることなく実額の計算によって経費を算定して申告しているわけでありまして、僻地のお医者さん、離島のお医者さん、あるいは都市でも高齢なお医者さん、こういう小規模な開業医の皆さんはほとんどこの特例措置の適用を受けまして、そして医療の経営基盤を守る大切な措置であるこの特例の恩恵を受けておるわけであります。もしこの特例が廃止されることになりますと、国民医療にとって大切であります家庭医機能と申しますか、そういうものが失われるおそれが十分ある、大変重大な結果を招来するのではないか、私はこう懸念をいたしております。  医療機関というのは、そもそも、その公共性のゆえに、御承知のとおりいろいろな規制を受けております。例えば開設の許可制ですとか、病床数のコントロールとか、行政庁による報告の徴収・立入検査、広告の規制、診療の拒否ができないとか、さらには医療法などによりまして営利を目的として病院や診療所を経営してはいけない、あるいは医療法人については剰余金の配当は禁止されておる等々いろんな制約が加えられておることは御承知のとおりでございます。  こうした公共性あるいは非営利性というのは医療というものに本質的に付随したものである、私はこういうふうに考えておるわけでありますが、皆さんはこの医療の公共性についてどういうふうにお考えなのか、御所見をお伺いいたしたいと思います。
  159. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 専門家である佐々木先生から僻地の医療の問題、あるいは零細なお医者さんの問題、あるいは公共性、非営利性ということで御高説を承っておりますので、私どももそこら辺はよく勘案をしながら、しかし全体の不公平という中での見直しということで、そういうところもバランスよく考えていかなければいけないものだというふうに思っておるところでございます。
  160. 佐々木満

    ○佐々木満君 医療の公共性につきましては、私ども社会労働委員会でございますけれども、終始この議論が交わされておるわけでございまして、かつて国会の社労委員会でこの公共性に関しまして附帯決議がなされたことがございます。このことを御存じなのか。御存じであれば内容をお答えいただきたいと思います。
  161. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 申しわけありませんが、私は存じ上げておりません。知りませんので後でまた調べて、一生懸命勉強したいというふうに思っておるところでございます。
  162. 佐々木満

    ○佐々木満君 大変失礼いたしました。  昭和六十年の十二月でございますけれども、こういう附帯決議がございます。「医療の公共性、非営利性を重視した医療法制、税制、金融等の確立に努めること。」、こういう決議がございますので、どうぞひとつ参考にしていただいて御検討をいただきたいと思います。  医療機関は御承知のとおり、さらに地域における保健医療サービスですとか、学校保健、予防接種、住民健診、休日・夜間診療、救急医療、こういう不採算部門と言われる分野でも自治体あるいは地域社会に大変貢献しておる、これは御承知のとおりであります。また、先ほど申し上げましたとおり僻地医療、あるいは離島の医療、あるいは小規模の開業医、こうした方々も非常にこれは国民医療にとって大切な役割を果たしていただいておるわけでありますが、重ねて申し上げますけれども、本当にこの特例措置の存続が図られるかどうか今大変心配をしておるわけであります。これは私の杞憂でございましょうか。この特例措置の整理合理化によって僻地、離島のお医者さんにとって有利な改正がなされるんじゃないかということを推測する人がいますけれども、どうですか。
  163. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 今佐々木先生のおっしゃいました医療の公共性というものを十分尊重しながら、私どもは今後社会保険診療報酬の適正化とか医療水準の確保、そして特に地域医療の確立などを重点に置いて特例の廃止の方向、そしてその反面、医療法制あるいは税制という決議の一項もあるわけでございますので、十分しんしゃくをしながら見直す方向で論議を重ねていただきたいというふうに思っております。
  164. 佐々木満

    ○佐々木満君 もう一つ、公益法人課税について一言だけ申し上げて御意見を伺いたいと思いますが、やはり同じく公益法人課税の特例というのもいわゆる不公平税制一つに挙げておられるようであります。公益法人はいろいろございますけれども、公益法人課税の特例措置のどこが不公平だとお考えなのか、そしてどうなさるおつもりなのか、これはひとつ具体的に、できれば峯山さんからでも。
  165. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 公益法人の課税の適正化という問題は非常に重大な問題であると私どもも考えております。租税に対する不公平の一掃という問題が今国民の税制に対する信頼の獲得のためにも非常に重大であると思っております。そういうふうな意味で、各種の特例措置等の抜本的な整理合理化が現在大きな課題になっているわけでございますので、そういうような中で特にこの公益法人だけを見逃すというわけにいきませんので、公益法人もやはり国民の世論の動向を踏まえながら課税の適正化を図っていく必要があると思っております。  そういうような中にありまして、具体的な方向といいましょうか、中身でありますが、例えば一つは収益事業の範囲の拡大だとか、それから収益事業から非収益事業へ移転する場合の課税の問題だとか、金融資産への課税の問題あるいは軽減税率の中身の検討、それから許認可行政監督の適正化、こういうような問題が考えられるのではないかなと思っております。  さらにもう一言申し添えますと、公益法人の中では特に運用益で公益事業活動を行っている法人があります。こういうような法人の場合には、いわゆる存立基盤を脅かすというようなことにもなりますので、そこら辺の課税についてはこれは好ましいとは考えておりません。したがって運用益で、利子等で運営をしている公益法人につきましては、その利子課税等はできないのではないかな、こういうふうに考えております。
  166. 佐々木満

    ○佐々木満君 この問題の最後でございますけれども、サービス課税について二つだけお伺いをさせていただきます。  今度料飲税を地方税は復活なさることになっておりますけれども、これは二年間の消費税代替財源を確保するためだけのものなのか、それとも宿泊、飲食等に対する何らかの政策判断、政策的な意図を背景としてこれをおつくりになるのか、その点を御答弁願いたいと思います。
  167. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) ただいま御指摘の料理飲食等消費税を復元する問題でございますが、これは午前中の審議にもございましたが、やはりこの問題につきましてもいろいろと検討をしていただくということに考えておるわけでございます。
  168. 佐々木満

    ○佐々木満君 今御答弁がございましたが、こういう戦時中に軍事費の調達等々でつくられた、しかし今日国民生活も大きく変貌して、まあ一万円の宿泊、五千円の飲食というのが果たして奢侈的行為であるのかどうか。まして、内需拡大、サービス化の時代、余暇重視、国民の外泊外食志向、あるいは旅行ブーム、こんなことを考えてみますと、私は旧料飲税の復活はどうも理解できないところでございます。  しかも、物品税の税率についていろんな議論がございましたけれども、物品税の最高税率と同じ一〇%課税というのは果たしてどうだろうか。宝石だとか、お話しありましたいろんなそういうものと同率の一〇%課税というのは、私はやっぱりバランス感覚と申しますか、今日の一般国民の気持ちというものとかなりずれておられるのではないか、そういう感じがいたします。電気・ガス税というのはもともと五%であった。それを今度復活して三%にした。それなら料飲税もひとつ六%、地方の特別消費税も入れて六%ぐらいに、復活するならばその程度に抑えるべきじゃないか、こういう感じがいたします。  しかし、これは物品税等についていろんな議論がございましたが、二年間の代替措置ですけれども、私はこういうのはやっぱりみんなで相談して物品税の品目を洗い直すとかあるいはこういうものとのバランスをとるとか、そういうことをやった方がいいんじゃないかとこう思いまして、これは御答弁は要りません、ぜひひとつこの料飲税についても一般国民の気持ちを御理解いただいて善処をお願い申し上げたいと思います。  それからもう一つ、通行税の問題でございます。私は秋田ですけれども、東京―秋田間、飛行機にも乗ることがございますが、新幹線は五、六時間かかる、夜間の列車では十時間。まあ田舎の中小企業、零細企業の人たちは飛行機を使います。こういう飛行機に通行税がかかるというのは一体どんなものだろうか。片っ方では、東京あたりでゴルフ場へ行くのにハイヤーを使う。それは課税されない。もう今そういう飛行機に税金をかける時代じゃないだろうと私は思うんですけれども、これらも含めて、二年間とは申しますけれども、どうぞひとつ料欲税、物品税等も洗い直して、みんなで知恵を出してもう一遍つくり直していただきたいなと、こう思っておる次第でございます。これはどうですか、ひとつ太田さん。
  169. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) 先ほどいろんな税率を引かれて先生はお話しになりました。私はまだその御質疑があるかと思って先ほど簡単に申し上げたものですから、一言だけお話しさせていただきます。  先生指摘のように、今回料理飲食等消費税を復元いたしましたが、これにつきましては、私ども、いろんな利用者の税負担の増大にならないようにいろいろ考えました。現在でも消費税もとでは六%ですね、消費税地方消費税を含めますと六%の税率が根っこからかかっているわけでございますが、私どもは免税点を今度は設けさせていただきました。確かに一〇%は高過ぎるから六%にすべきではないかというお話もございましたが、それは免税点について今まで、消費税の前は二千五百円だった、飲食等の利用につきまして。それを今回五千円にいたしましたし、旅館等における宿泊並びにそれに伴う遊興飲食につきましては、五千円だったものを一万円ということにいたしました。それも、考えてみますと、料理飲食等消費税というのは地方自治体の重要なこれは財源でございますので、その点私たちは設けさせていただいたわけでございますのでよろしくお願いしたいと思いますし、またそういった個別の問題につきましても、通行税等を含めまして、私ども十分に審議が行われるものと思っております。  以上です。
  170. 佐々木満

    ○佐々木満君 それでは次に、年金問題について若干の御質問を申し上げたいと思いますが、まず各党各会派の皆さん方に一わたりお伺いをいたしたいと思います。  年金制度のビジョンと申しますか、ビジョンと言わぬでも現在の年金制度というもの、いろんな評価がおありだろうと思いますので、現行の年金制度というのを皆さんはどういうふうに変えようとしておられるのか、どういう年金制度につくりかえたいというふうにお考えなのか、そのお考えをひとつ順番にお聞かせを願いたいと思います。
  171. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 社会党の年金改革ビジョン、ビジョンとはいきませんが、大体の構想でございますが、二つの柱から成っております。一つは、年金と雇用の接続でございます。二つ目は、最低保障年金を一階とし、さらにそれにつけ加えて三階建ての年金構想、この二つの柱になっております。  簡単に申しますと、年金と雇用の接続につきましては、本年一月現在、六十歳未満の定年制の企業が三八・二%あります。しかもその中で、アバウトでございますが、五十五歳定年の企業が中小企業では大体二〇%前後あります。そのような状況でございまして、それに対して、六十歳未満定年を禁止するような法的措置をとりたい。そして、年金の六十歳支給と接続をさせたいというのが一つであります。  それから第二段階目といたしましては、定年退職制の禁止措置を段階的に六十五歳までに引き上げていく、そして六十歳からの年金受給権を保留して、その保留部分が割り増しとなるような年金を選択する者が事実上多数となるような雇用環境が整備される、そういう方向を打ち出しております。  二つ目の柱の、最低保障年金を一階とし三階建てとする年金制度についてでございますが、現在の基礎年金の国庫負担を段階的に引き上げていき、最終的には全額国庫負担の最低保障年金といたします。そして、現在の保険料に見合う給付を二階部分といたします。さらに、それぞれの地域や職場での任意に設計された部分を三階と考えております。  以上であります。
  172. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) 私ども公明党は、社会の繁栄と個人の幸せが結びつくような社会の建設を理想といたしております。  基本的には、公的年金を中心にそれぞれ補完する企業年金やあるいは個人年金の適切な組み合わせと申しますか、それによりまして老後の安定した所得保障が図られるような多層選択型と申しますか、そういう年金体制を築き上げていきたい、こう考えております。  二点目は、やはり今就業から年金生活へ移られる場合に、急激な変化のないようにソフトランディングしていくために、やはり六十歳支給というものを維持しながら、一方では高齢者の方々の就労所得等に合わせて、年金をそれぞれの立場で選択あるいは受給できるような部分年金あるいは部分就労制度、そういうものを図っていきたいと思っております。  三点目は、やはり高齢化社会、これはさまざまなニーズがございますけれども、それに対応していきますように、例えば介護等の福祉ニーズと年金を適切に結びつけていけるような福祉とサービス型社会、そういったものの確立を目指してまいりたいと思っております。  こういうビジョンで年金改革を進めてまいりたいと思いますけれども、一方ではこうした年金改革というのはやはり高齢者の方々の雇用環境の改善、これとあわせて進めていかなければならないんじゃないか、このように考えております。
  173. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 佐々木委員は大変お優しいので、私のような新米でもやっと息をしながらお話ができるような感じでおります。  年金の問題は、これからの高齢化社会を迎えて大変重大ですし、私、個人的にも大変大切にしなければならない問題だというふうに思います。とりあえず公的年金の一元化の具体的内容とそのプロセスを明らかにし、年金制度に対する国民の不安、不信感を解消し、老後保障の中心的役割として信頼を回復するための抜本的改革を行うべく、これからしっかりと練りながら検討してまいりたいと思っております。(「女性の年金権をちゃんと確立して」と呼ぶ者あり)女性の年金もしっかりとお願いいたします。
  174. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 民社党でございますが、年金制度についてでございますが、私ども民社党は昭和五十二年に中期経済計画におきましての基礎年金構想というものを中心とする年金改革を提唱してきたわけでございます。おかげさまで政府は六十年の年金制度の抜本改正におきまして、現行給付水準を維持しながら世代間の給付と負担の適正化を図るとともに、妻固有の基礎年金を確立すること、また障害福祉年金を基礎年金に改めること、初診日から五年を過ぎると障害年金が受給できない制度廃止すること、子のある寡婦に付する遺族年金を改善すること等が実現したわけでございます。  私ども民社党は、この年金の抜本改正は多年にわたる主張が盛り込まれたものということで評価をし、賛成をいたしたわけでございます。この年金制度についてはまさに抜本改正でありまして、おおむね年金制度は国民に御納得いただいておる、納得できるものになったというふうに考えております。  ところで、ただいま審議されております年金改正でありますが、給付の改善、国民年金基金制度の充実等評価できる点も多々あるわけでございますが、問題は六十五歳支給開始年齢への繰り延べでありまして、これには強く反対をいたします。  また、今後の年金制度につきましては、老齢福祉年金の充実等の改善とともに、むしろ早急に公的年金制度の一元化をすることであろうというふうに考えております。また、年金財政も重要な政治課題でありまして、年金積立金の自主運用枠の拡大、基礎年金への公費負担率をどう引き上げていくかが課題になるであろうというふうに考えております。  同時に、企業年金の育成、個人年金の普及、拡大も進めるべきであるというふうに考えております。
  175. 佐々木満

    ○佐々木満君 ありがとうございました。  そこで、これから若干社会党にお尋ねをいたしたいわけでございますが、皆さんの方の政策、選挙公約、こういうものを拝見いたしまして、私なりに社会党の年金の仕組みというのを整理してみますと、まず第一番目に、おっしゃいましたとおり、最低保障年金を創設なさる。この中身は、要するに現行の国民年金というか基礎年金、そういうものにかえてこの最低保障年金にする、こういうことだと思います。そして、その最低保障年金を一定の年齢に達した場合にはすべての国民に支給する。この一定の年齢というのは、当面は六十五歳ですけれども、十年後には六十歳に下げる。そして、すべての国民に、たとえ在職中であっても、無条件に支給する。三番目は、その最低保障年金の水準は最低賃金とリンクさせる。そして四番目は、財源は全額国庫負担だと、こういうふうに私は整理をしたわけですけれども皆さんの選挙公約からこう理解してよろしいでしょうか。
  176. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 私は、公約の「伯仲新時代へ」、この本じゃないかと思うんですが、私も先生から質問通告をいただいて初めて読んでいるような状況ですが、確かにそのように書いております。
  177. 佐々木満

    ○佐々木満君 全く私と同じ読解力でございます。  そこで、梶原さん、ひとつそこでごらんをいただきたいんですけれども、これは百一ページですね。百一ページの下段、二番目の「選択的な所得比例年金」とございますね。ここのところがちょっと日本語として読みにくいので教えてもらいたいんですが、このページには「厚生年金、共済年金においては、最低保障年金とあわせてILO基準の「全労働者平均賃金の六〇%保障」を行なえるよう所得比例年金を設計し直します。」と、こう書いていますね。このことの意味はこういうことですか。よろしいですか。このことの意味は、最低保障年金、これが一つ、それからILO基準のこれこれこれに相当する所得比例年金と、二つ合わせて支給するように仕組みをつくるということですか。
  178. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) これは一階と二階を合わせて六〇%支給、そのような意味のようです。
  179. 佐々木満

    ○佐々木満君 結局こういうことですね。最低保障年金と所得比例年金と二つを合わせたものがILO云々の六〇%になるようにする、これでよろしゅうございますね。  そこで、労働省いらしていますね、労働省にお尋ねをしますけれども、最低賃金というのは現在幾らですか。
  180. 若林之矩

    政府委員(若林之矩君) 平成元年度に改正されました地域別の最低賃金の全国加重平均額は、日額で三千九百二十八円、時間額で四百九十二円でございます。
  181. 佐々木満

    ○佐々木満君 若林さん、済みません、月額幾らですか、月額にして。
  182. 若林之矩

    政府委員(若林之矩君) 労働者の一人平均の月間の出勤日数を二十二日と計算いたしますと、月額に換算いたしまして八万六千四百十六円になります。
  183. 佐々木満

    ○佐々木満君 もう一つ、恐縮ですが、平均賃金は今幾らですか。
  184. 若林之矩

    政府委員(若林之矩君) 労働省の毎月勤労統計調査によりますと、昭和六十三年平均で、常用労働者の一人平均月間の定期給与、これは所定内の給与と所定外の給与とを合わせたものでございまして平均賃金に相当すると考えますが、これは二十五万四千八百六十五円でございます。
  185. 佐々木満

    ○佐々木満君 そこで、これは梶原さんにお尋ねをいたしますけれども、先ほどのこの公約の中にありますILO基準、全労働者平均賃金、これはどういうことですか。その額は幾らになるんですか。
  186. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 額は出ておりません。六〇%と、だから額はちょっと推計できないですね。
  187. 佐々木満

    ○佐々木満君 額は結構でございますけれども、このILO基準、全労働者平均賃金というのはどういう考え方のこれは賃金なんですか。単なる平均賃金と違いますか。
  188. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) これは定かでないんですが、それぞれの国における平均賃金の六〇%、そういう解釈ではないかと思うんです。
  189. 佐々木満

    ○佐々木満君 連合さんもこういう表現を使っていらっしゃいますけれども、連合参議院の笹野さん、これはどういう賃金でしょうか。
  190. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 突然のお尋ねでしたので、資料が手元になくてお答えできず申しわけありません。
  191. 佐々木満

    ○佐々木満君 大変失礼しました。  それじゃ、労働省ひとつ説明してください。  私の理解するところでは、これはいろんな意見があるようですけれども、日本で言う賃金、それにボーナスを含めた額じゃないか、こう言われておるようでありますが、労働省、わかりましたら御説明をお願いいたします。
  192. 若林之矩

    政府委員(若林之矩君) 事業所の賃金台帳からとりました実質賃金の数値でございまして、使用者から支払われました現金給与といいまして、所定労働時間の報酬及び特別手当、年末賞与などを含むものでございます。
  193. 佐々木満

    ○佐々木満君 私もそう理解しておるのでございますけれども、そうなりますと、賃金にボーナス等を含めた額、これがILO基準、全労働者平均賃金だといたしますと、これは現在、月額幾らになりますか。
  194. 若林之矩

    政府委員(若林之矩君) 現金給与総額、これは定期給与と特別給与を合わせたものでございますが、これは三十四万一千百六十円でございます。
  195. 佐々木満

    ○佐々木満君 ありがとうございました。  そこで、先ほどからお聞きをいたしましたとおり、最低賃金は丸く八万円、平均賃金は二十五万四千円、ILO基準の賃金は丸めて三十四万円。これを基礎数字として社会党の公約に従って年金 額を計算すればどうなりますか。これはきのうこの基礎数字も申し上げて、計算をお願いしておいたんですけれども、もし計算ができましたら御説明願います。
  196. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 少し計算をしてみかかったんですが、なかなかこれだけでは勤続年数の問題等があって出ないと私は思います。したがって現行のモデル年金、これといたしましては、今平均的な加入者の給与額を示した数字というのは十九万五千円程度に三十五年加入でなっております。私どもは、サラリーマンの年金においては、現行制度と同様に加入期間の平均賃金の六八ないし六九%水準を維持していこうという考え方に立っているわけです。できれば、先生専門家ですから、今のいただいた数字計算根拠を教えていただきたいです。
  197. 佐々木満

    ○佐々木満君 おっしゃるとおり、私もこれは計算はできないんですけれども、大変難しいと思うので、きのう事務局の皆さんと打ち合わせを申し上げたときにもそういう御質問がございました。勤続年数をどう見るかとか、いろんな御質問がございましたから、私は、これは所得比例に関係する部分でございますから、所得比例部分についてはなかなか面倒だから、便宜現行法のモデルで計算してみてください、こう申し上げたんですけれども、結構でございます。  私なりに計算してみますが、間違ったらこれおわびしますよ。後でひとつゆっくり計算してください、きょうでなくても結構ですから。間違ったらこれはいつでも訂正いたしますが。  まず、ILO基準の六〇%保障をするということでございますから、厚生年金の場合ですね、共済もそうですけれども。そうなりますと、先ほどの基礎数字の三十四万円掛ける六〇、二十万四千円、これが皆さんが保障しようとなさるILO基準の六〇%相当の金額でございます。  そこで、計算してまいりますと、最低保障年金というのは、最低賃金にリンクさせるということでございますから、夫の最低保障年金は八万円、妻の最低保障年金八万円、合わせて十六万になるわけでございます。ILOの六〇%、皆さんが保障なさろうとするILO基準の六〇%というのは二十万四千円ですから、十六万円とこの二十万四千円とを比較しますと、四万四千円しか差がない、所得比例部分。現在の現行法で計算してまいりますと、平成元年度の計算で言えば、モデルで所得比例部分は八万六千四百円になるんです。そうしますと、あなた方の年金の計算では、この所得比例部分を半分ぐらいに減らすわけですか。その点が大変私は疑問に思っております。現行制度におけるよりも所得比例部分を引き下げることになるが、それでよいのか、それでサラリーマンの厚生年金、共済の受給者が納得するのか、被用者の皆さんは納得するのか。  恐らく現行のこの所得比例よりも下げない、下げることはないと私は思いますけれども、仮に下げないとしますと、最低保障年金と合わせますと、老夫婦二人で年金額が月額二十四万六千円になる。そうすると、現役の人は賃金が二十五万四千円だ。このバランスは一体どうなるのか。現役の賃金とほとんど同じ額を老夫婦が年金でもらう。これは一体どういうことなんだろうか。  しかも、同じ「伯仲新時代へ」の九十一ページをごらんいただきますと、社会党は全国一律最低賃金を平均賃金の五〇%にすると書いてあるんです。これはどういうことかと申しますと、最低賃金を平均賃金の五〇%ですから、二十五万四千円が平均賃金ですから、これの半分、十二万七千円になる。それとリンクして最低保障年金ができますから、夫の最低保障年金は十二万七千円、妻の最低保障年金十二万七千円、合わせて二十五万四千円。それに所得比例の八万円が加わる。そうするとどうなりますか、これは三十四万ぐらいになる。現役の人が月額二十五万円の賃金をもらっているときに、それから税金を払ったり、子供の教育をやったり、住宅ローンを払ったりしているときに、皆さんの方のは老夫婦に対して三十四万円の年金が出る、こういう計算になります。  実は、白状しますと、ここまでは私も知らなかったんです。どこでこういうことを教えられたかと申しますと、せんだっての参議院選挙なんです。参議院選挙で、我が秋田県選挙区でございますけれども、ここにおられる細谷昭雄さんに歴史的敗北を喫したんです。しかし、この人は私が長年尊敬する友人ですからこれは結構なんでございますけれども、その選挙で私は自民党の候補者を応援して、いろんな集会で自民党の年金の話をしておりました。余り評判がよくなかった。その集会が終わりましてから控え室へある御老人が参りまして、いや、年金については社会党の年金の方がよっぽどよい、おれは四十万近くもらえるんだと、こういうことなんですね。これはやっぱり御自分で計算しておられるんですよ、各党の政策について。これでやれば自分はどうなるかと計算しておられる。私は、そんなはずはない、こう言ったんですけれども、どうもそうなると言うんです。ただ、その人は熱狂的な自民党ファンですから連合政権はよいとはおっしゃらなかったんですけれども、年金だけは社会党の年金が魅力がある、それを自民党は採用してくれと、こういうお話でありました。  私も落ちついてからこれを拝見しましていろいろ計算してみると、五十万にはなりませんけれども、三十四、五万になるんですね。これは梶原さん、数字は結構でございますから、お感じだけひとつ。
  198. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 多分計算をし直して実はお答えしなけりゃいけないと思うんですが、私どもちょっと、先生言われる数字にはならぬのではないか、そんな感じを今持っておりますが、後日検討させてください。
  199. 佐々木満

    ○佐々木満君 私も、私なりに計算した数字を今申し上げてみたわけでございまして、どうぞひとつ一遍計算してみていただけませんか、私も一緒に計算してもよろしゅうございますから。もしこの数字に間違いがあれば訂正をいたしますし、別に今でなくて結構でございますのでひとつ御計算をいただきたいと思っております。  私はそういう一応計算をしてみましたけれども、まあ年金というのはもらう人からしますとそれは多いにこしたことはないわけですけれども、常にやっぱり現役の人の負担も考えてバランスというものを考えていかなきゃならぬ、こういうふうに私はかねがね思っておるわけでございます。そういう意味で申し上げておるわけでございます。  次に、最低保障年金の件でございますけれども、これは一定年齢に達した場合にはすべての国民に、在職中であっても、無条件で支給すると、こうなってございます。また社会党は、生活保護というのを廃止しましてこの最低保障年金で肩がわりをする、こういうことを書いていらっしゃるんです。これもやっぱり同じ選挙公約の百六ページでございます。どのようにして統合なさるのか中身がはっきりいたしませんけれども、私はこれはまたいろんな難しい問題を含んでおるんじゃないかと、こう思います。  生活保護制度というのは、御承知のとおり、生活に困っている人たちに対してその困窮度に応じて必要な保護を行う、しかもそれは全額国費だと、地方団体も含めて税金で賄う、こういう制度であります。それだけにこの困っている人が、もし資産があればその資産を活用してもらわなきゃならない。あるいは、その他あらゆる能力というのをまず自分の生活の維持のために活用してもらう必要がある。また、民法上の扶養義務者があればその扶養もしてもらわなきゃならない。そうしたことを要件として生活保護というのは行われておりますし、行われるべきものだと、私はこう思っております。また生活保護には、必要即応の原則というのが御承知のとおりございます。これは要保護者の年齢別、性別、健康状態その他その個人または世帯の実際の必要に応じて有効適切に行う必要がある、こういうことでございまして、これも当然のことと思います。  そこで御質問を申し上げますが、まず第一番目に、生活保護制度廃止してすべて最低保障年金で統合するというのですから、当然のこととして、これは莫大な預貯金その他の資産を有する者に対しても支給されることになる、無条件で支給するというわけでありますから。また、働けるのに働かない人にも一律にこれが支給される。私は、これではまじめな勤労者の犠牲のもとに金持ちや怠け者を優遇することになるんじゃないか、こう思います。殊に、先ほど申しましたとおり、皆さんの最低保障年金というのは、その額、それを最低賃金にリンクさせていらっしゃいますから、汗水流して働いて税金を納める、保険料を負担するよりも遊んでいて最低保障年金をもらった方が得だということになりはしないか、人間の勤労意欲を失わせることになりはしないか、私はそういうふうに心配しますけれども、まずその点についていかがお考えですか。
  200. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 考え方といたしましては、現行基礎年金が五万五千円、それに対して三分の二の国庫負担の三万七千円、これを入れた九万二千円ですか、この辺を今のところ最低保障年金と考えておるんですが、ただ、この社会党の政策集の中で「生活保護制度廃止」云々というところに対しまして、誤解を生むとよくありませんから考え方を述べさせていただきたいと思います。  六十五歳以上の生活保護世帯を前提にしております。私たちの最低保障年金は六十五歳からの支給であり、これを全額国庫負担化した段階では、保険料納付の実績の有無にかかわりなく、高齢者のすべてに給付しようというものであります。したがって、生活保護受給者の中の高齢者にもこれが給付されることになり、これにより高い生活保護費との差額を生活保護財源から付加給付することになります。一方、生活保護財源の負担割合は今、国が十分の七・五、残り地方負担となっております。この選挙公約については、この六十五歳以上の付加給付部分の生活保護財源について地方負担をやめて全額国庫負担とするという趣旨であります。  したがって、それはすべて最低保障年金として給付しても、実質的には何ら差し支えないこととなるばかりか、せめてお年寄りだけでも生活保護のレッテルから解放してあげるという、そういう趣旨がこの中に入っておるわけでございます。ただ表現が必ずしも適当でなかったと、このように今考えております。
  201. 佐々木満

    ○佐々木満君 次に、個々の世帯が置かれております状況というのは千差万別でありますし、住んでおります地域も違う、世帯の人員も違う、家族に病人があるかどうか、家賃負担があるかどうか、個々の事情がみんなこれは違うわけであります。それだけにこの生活保護制度では、ケースワーカーの役割というのが非常にこれは大きいわけでございます。ケースワーカーがこれらの状況を綿密に調査しまして必要な給付を行わなきゃならない。ところが、最低保障年金のような画一的な給付ではそういう個々の事情、個々のニーズに的確に私は対応できないと思うんです。そうなれば生活が困窮した方々の権利が守られないおそれが出てくるんではないか、そういう点が心配でございますけれども、この点はどうお考えでございますか。
  202. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 佐々木先生のお考えになっていること、あるいは御心配されていることはもっともな点もあると思います。あくまでこれは私ども党の方針ですから、今言われましたようなことを今後十分さらにこれを発展させるために参考にさせていただきたいと思います。
  203. 佐々木満

    ○佐々木満君 まあ御理解いただいたと思いますけれども、生活保護制度では日常の生活の扶助のほかに、必要があれば住宅の扶助、教育扶助、医療扶助等々、必要に応じて的確な対応をしていかなきゃならない、そういうふうにすることになっておるわけでございます。  一律に最低保障年金を支給して、これでもって生活保護をカバーしようとなされますと、先ほど申し上げましたとおり、ケースワーカーも要らなくなる、福祉事務所の職員も要らなくなる。そういう点で行政改革、定員削減には役立つかもしれませんけれども、これはもう御承知のとおり、生活保護で一番大切なことは対象者が早く生活保護から脱してもらって自立をしてもらう、これが一番生活保護行政で私は大切なことだと思うんですけれども、そういう相談に乗ったり、指導をしたり、助言をしたり、そういう仕事が私は一番大事だと思うんですけれども、ただ年金を支給するだけで、それがそういうことはできない。私はこれは明らかに福祉後退になるんではないか。金額は多くなるかしれませんけれども、やっぱり自立の促進という生活保護のこの一番のポイントを私は失うことになるんじゃないか、こういう感じがしますけれども、こういう点もひとつどうぞお含みの上で御検討をお願いいただければ大変ありがたいと思います。  今いろいろ生活保護について、最低保障年金との関係で私の考えも交えて申し上げてみたわけでありますが、生活保護の実施官庁として厚生省、何か御所見があればお伺いをいたしたいと思います。
  204. 長尾立子

    政府委員(長尾立子君) お答えをさせていただきます。  生活保護にかえまして最低保障年金を導入するという構想につきましては、今先生から御指摘がございましたように、生活に困窮する国民の需要は健康、家族、住宅等の事情により非常にさまざまでございます。こういったきめ細かな対応をしていくということが生活保護の原則的な考えでございます。また、生活保護は単に金銭を給付するということだけではなくて、今先生がお話しいただきましたように、その世帯が自立して地域社会の中で生活していけるような意味のいろいろな援助を多角的にともに考えていくという態度で担当の者が進めている行政でございまして、そういう意味では、きめ細かなこういった対応をやらしていただきたいというふうに思っておるわけでございます。  確かに、こういった年金制度それから生活保護という両制度、所得保障の私どもは車の両輪ではないかというふうに考えております。先ほど来お話がございましたスウェーデン等の社会保障制度の先進国におきましても、年金と生活保護は併存しているというのが通常の姿ではないかというふうに認識をいたしております。
  205. 佐々木満

    ○佐々木満君 ひとつ御検討をいただきたいと思います。  次に、先ほど申しましたとおり、この最低保障年金の財源というのは全額国庫負担だ、これは一遍にするわけじゃございませんでしょうけれども、逐次引き上げていって全額国庫負担だ、こういうことでありますが、これは将来にわたることですけれども、これを仮に現在やったとすればこれはどのくらいの負担になるだろうか。私はわかりやすくするために、現在の価格で現在の国家財政とか、現在の税収とか、現在の国民所得とか、そういうものとあわせて並べて考えれば非常にわかりやすいと思って申し上げるんですけれども、全額国庫負担をいたした場合に国庫負担は幾らになるか計算をなさったことございますか。
  206. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) これは誤ったら訂正さしていただきたいんですが、現在の基礎年金の給付総額六兆九千億円、国庫負担九千億円総額が、と考えております。
  207. 佐々木満

    ○佐々木満君 現在の基礎年金部分の国庫負担というのは平成元年度で二兆九千億ということになっていますが、それは結構でございますけれども。私の計算では、すべての数値を平成年度の数値でとってまいりますと、この社会党の公約の計算でまいりますと、最低保障年金として必要な国庫負担は十六兆になる、こういう計算でございます。さらにこれは高齢化のピーク時には百七兆になる、現在の価格で百七兆になる。しかも先ほども申し上げましたとおり、この基礎年金、最低保障年金というのは六十歳支給にするといいますから、これをしますとまた大変なこれはふえ方だ。しかも最低保障年金を平均賃金の五〇%に上げるというんですから、そういうことを考えていきますと、これは天文学的な数字とは申しませんけれども、大変な大変なこれは国庫負担になるだろうと思いますが、こういうことは計算をしていただいていないかもしれませんが、私はやっぱり公約として掲げる以上はそういう負担の問題というものも、もちろん将来にわたることですから正確な数字は別としても、そういうものもやっぱり一遍計算をして、そして国民の前に選択する材料として提供するのが当然じゃないかな、私はこう思ったりいたしております。  さらに、きょうは時間がありませんから申し上げませんが、それに加えまして減額繰り上げ年金という仕組みをおつくりになる。この減額繰り上げ年金というのは、これは五十五歳から五十九歳までは繰り上げ受給の道を開く、年金額は当然減額する、しかし、一定の年齢がたてばこれを満額に復元する、これもまた大変な財源を要する問題であります。  私はいろいろ考えてきますと、こういう国庫負担ということを考えてまいりますと、やはり、皆さんはそういうことをお考えじゃないと思いますけれども、もしこれに対応しようとするならば大増税、もう大も大も全くの大増税をやらないとこれは対応できないと思うのでございます。あるいはこれに一部保険料負担を加えるといたしますと、これまた保険料というのが大変な額になる。  これ以上申し上げませんけれども、いずれにいたしましても、この年金の給付を引き上げることは私も大賛成であります。しかし、そういうことを御検討なさるときには当然負担というものもやっぱり考えていただいて、国民に対しては給付と負担と両方ともやっぱり一緒にお示しをする、こういうのがお互いに責任政党としての私は務めではないか、こういうふうに思っておりますので、私の意見も含めて申し上げさしていただいたわけでございます。  次に、年金の支給開始年齢の問題について若干申し上げてみたいと思います。  やはり社会党の公約によりますと、年金の支給開始年齢を六十歳にこれを一元化する。今、国民年金、最低保障年金六十五でありますけれども、これも逐次下げて、十年後にはすべての年金は六十歳支給にする、こういうふうに公約されております。  ひとつ、時間もございませんのでずっと申し上げてみますが、私はこの年金の問題、あるいはこれだけでなくて、これからの日本社会を考えてまいります場合に一番大切なのは、高齢者の雇用対策だろうと思っておりまして、後ほど若干お伺いをいたしますけれども、高齢者の雇用の促進というものを皆さんの年金政策からまいりますとどうも阻害しかねないのではないか、こういう心配をいたしております。同時にまた、先ほど申し上げましたとおり、年金財政の面から見ても現役の世帯の負担、これは大変なものになるだろう。そして、公的年金の破綻を招きかねない、こういうふうに心配するわけであります。  本格的な高齢化の中で日本が、我々がこれまでのような高い生活水準を維持していく、あるいはもっと生活水準を上げる、あるいは国際的にももっと役割を果たす、そのためには今の日本の情勢から、あるいは将来の見通しからして、若者だけの働きではとても日本経済はもっていかないと思います。つまり、高齢者も元気な人たちは若者と一緒になって働く、そして社会の重要な一員として役割を果たしてもらわなければ、これからの日本の経済、日本の国民生活、そういうものはもっていかない、私はこう思います。  ある調査によりますと、日本の労働力というのは二〇〇〇年には百万人以上不足する、それ以後も人手不足経済が一段と深刻化する、こう言われております。  これは労働省にお伺いいたしましょう。この労働力の今後の需給見通し、年齢別に日本の労働力はこれからどうなるだろうか、こういう見通しについて、労働省からお答えをいただきます。
  208. 清水傳雄

    政府委員(清水傳雄君) お答え申し上げます。  今後につきまして、いわゆる労働力需要そのものにつきましては、基本的には、我が国経済の内需を中心とした景気拡大、これがどんなふうに持続をしていくか、これによるものが非常に大きゅうございますし、また今後の生産性の問題をどういうふうに考えていくか、そうした面も大きく影響してくると思うわけでございますが、供給につきましては、これもいろいろな試算もございますが、今後二〇〇〇年までの労働力供給につきましては、いわゆる若年層、三十歳未満層は当面、いわゆる団塊の二世層が就業年齢に到達する、そうしたところから増加は見込まれるわけでございますが、中年層、三十から五十五歳末満層についてはほぼ横ばいという状況、それから高年齢層につきましては大幅な増加が見込まれるということになるわけでございまして、昭和六十三年から二〇〇〇年、平成十二年の間に見込まれております労働力人口の増加数は約五百七十万人、そのうちの約七割の四百万人の増加を高年齢層の増加が占める。さらに、高年齢層が労働力人口全体に占める割合が、昭和六十三年の一九・三%から、二〇〇〇年、平成十二年には二三・六%というふうに高まり、労働力全体の高齢化が急速に進展してくることが予測されるところでございます。
  209. 佐々木満

    ○佐々木満君 今お話しのとおりだと思いまして、これからやっぱり日本の経済あるいは国民生活を維持していくためには、元気な人の場合はもうお年寄りも若者と一緒に働いてもらわなければこれはいけない、日本の国はもっていかない、こういうことだろうと思います。  さらに我々は、皆さんと同じでございますけれども、共通の目標として、労働時間の短縮というのもこれは真剣に取り組んでいかなければならないわけでございます。労働時間の短縮というのはもう今や時代の要請である、こういうものを先ほどの労働力の需給の見通し等とあわせて考えますときに、やっぱり今一番大事なのは、元気な高齢者が思い切って働けるような、そういう環境条件を整備していくことが私は一番大事だ、こういうふうに考えます。  また最近、生活水準の向上等あるいは医学の進歩等によりまして、人間の体格、体力などにも大きな変化、進歩が見られております。そして、例えば厚生省の国民栄養調査なんかによりますと、高齢者について、これは体格でありますが、平均身長も平均体重なども、この二十年間で大変な伸びを示しております。また、文部省の体力・運動能力調査、これは体格でなくて体力の方でありますけれども、やはりこの二十年間で体力、運動能力――握力、反復横跳び、急歩、大変な伸び数字の上で見られます。総合いたしまして、二十年前の同じ年齢の人に比べますと体力の面で五歳から十歳ぐらい若返っている、こういうふうにも言われております。さらに、これはいろんな調査がございますけれども、高齢者自身の意識の面でも大変な変化がございます。やっぱり働ける以上は働きたい、そうして社会活動に参加したい、こういう方が圧倒的に多うございます。私は、そういうことを考えますときに、この高齢者の雇用というのにみんなで真剣に取り組んでいく、これは日本の国のためでもあり、また高齢者の生きがいでもある、私はこういうふうに考える次第でございます。  社会党の同じ選挙公約のパンフレットの中に、なかなかおもしろいことが書いてあります。これは「どう変わる・どう生きる高齢化社会」という、十二ページでありますが、大変おもしろい、ユニークなことが書いてあります。  「高齢者の雇用創出には大胆な発想が必要です。たとえば、喫茶店やレストランに蝶ネクタイのシルバーが働くことや、保育所でおもしろいおじいさんが保父さんをやっていてもいいではありませんか。」また、「趣味と生きがいで小・中学校の臨時スタッフを引き受けたり、公設の昔話コーナーを高齢者チームで担当したり、」「アイデア豊かなまちになるでしょう。」こう書いてあります。まことに大胆な御発想でございます。  まあ私も、高齢者がその趣味、経験、あるいは余暇、そういうものを生かして楽しく働くことは大変結構である、ぜひともそうしたい、そういう社会にしたいと思います。しかし、大量に発生する高齢者の群れ、これを社会党はまさか、今読み上げたような、職場で吸収すればよいと考えておられるはずはないと思うんですが、どうでしょう。私は、高齢者の雇用促進について、このパンフレットというのを、この本をいろいろ読ましていただきましたけれども、なかなか高齢者雇用の柱というのが見えてこないのでございますが、柱があって、それに今申し上げたことがプラスされて初めて潤いのある社会ができると思うんですけれども社会党の高齢者雇用のための柱になる対策は何でございますか、御説明をいただきたいと思います。
  210. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 大変有益なお話を聞かせていただきまして、私はどっちかといえば専門の方でないものですから、耳新しく、非常に勉強になりました。ありがとうございました。  率直に言って、社会党は選挙公約パンフの中で提起しまして、お褒めの言葉をいただいたのでございますが、私は、やっぱり高齢化社会の到来という情勢というのは、これは何人も否定できないし、今先生おっしゃるように、単に賃金だけでなくて、生きがい、こういう面からいって、いつまでも、健康である間は働きたい、これはもう私は共通のものだと思うんですね。そういう観点に立ちますと、今までの概念の中での雇用でなくて、もっと新しい分野をどう広めていくか、高齢者対策のために。そういった意味で、一つの、何というんですか、アイデアと申しますか、先ほどお読み上げいただいた選挙のしおりの中で提起したわけでございます。  しかし、それをやるためにも、例えば早稲田大学の鈴木教授が旬刊「福利厚生」の中で、これは十月十八日ですか、論文の中で出されておりますように、やっぱり、労働省の年齢と職業能力に関する調査の中でも明らかになっておりますが、勤務時間をどう調整するか。朝八時から夕方の五時じゃなくて、時間短縮を含めて高齢者に適応する勤務時間というもの、一週間に六日勤務じゃなくて休暇のとりやすいような状態、こういった意味での改善措置をやはり先行させていかなきゃならぬのじゃないか、私はこういうふうに思うんです。そういう意味で、労働基準法の改正も出てこようし、同時にまた積極的な運用なり行政指導というものがやられていかなきゃならぬのじゃないかと思うのでございます。  そういう意味で私どもとしては、基本は何かというお尋ねでございましたが、やはり一つは、ILOでも提起されておりますけれども、一九八〇年に採択された高齢労働者に関する百六十二号勧告ですか、この趣旨にもございますように、一定の年齢に達したことを理由として一律に強制退職という我が国の定年制、このありようもやはり検討していかなきゃならぬのじゃないか。そして、少なくとも公的年金の支給開始年齢未満の定年はこれを禁止する、こういうことも原則として法的措置をとる必要もあるのじゃなかろうか。そして同時に、例えば障害者の場合に雇用率及び納付金制度というのがございますが、やはりああいったものを高齢者の場合も検討することも一つのアイデアじゃないか。私どもとしてはそういった点を真剣に検討する時期に来たと考えまして、幾つか提起させていただきました。
  211. 佐々木満

    ○佐々木満君 以上、私は高齢者の雇用問題につきまして多少時間をかけて申し上げてまいりましたが、これは単に年金の支給年齢を引き上げるとかどうとかという、それもそうですけれどもそういう問題だけではなくて、これからの日本の人口構造あるいは日本の経済、国民生活、国際的な役割、そういうことをもろもろ考えますときに、やはり高齢者も元気なうちには若者と一緒に働いてもらう、社会に参加してもらう、そういうことをしていかなければ国がもたないと、こういうふうに思うからでございまして、そういう意味で高齢者の雇用対策というのはひとつみんなでこれを進めていかなきゃならない。そうした中で年金の支給年齢等も考えていって、そして若者との間に均衡のとれたお互いに共存共栄のできる社会をつくらなきゃならない、そういう意味で申し上げておるわけでございます。  時間がございませんので、あと医療問題についていろいろとお尋ねを申し上げたいと思って通告も申し上げておりましたが、これはまた後の質問者に譲ることにしまして、その医療問題の中でただ一つだけ最後に御所見を伺っておきたいことがございます。  これはやはり社会党さんのこの資料の中でございますが、寝たきり老人、難病患者、これらに準ずる慢性病患者については、登録した主治医からのみ診療を受けるようにする、そして主治医に対しては年単位で委託料を支払う、こういうことを述べておられます。これは診療報酬の支払い方式でよく議論になります登録人頭払い方式のことだと思いますが、これを採用なさる。私はこの登録人頭払い制度そのものに大変な問題があると思いますが、これは時間がございませんから申し上げないことにしまして、その財源は全額国庫負担だ、医療保険でなくて国家財政で賄う、こう書いております。これは一体どの程度の財政負担になるのか。さらに、もうちょっと後の方をごらんいただきますと、この制度を将来高齢者にも広げる、こう書いています。現在の老人保健法対象者、こういう人にこれを広げまして当然全額国庫負担だと。さらに乳幼児一般にも広げる、これも全額国庫負担だと、こうなります。  私はこういうことを考えますと、これは国庫負担でございまして大変結構なように聞こえますけれども、これまた先ほどの年金と同じように大変なものになるだろうと思いますが、この負担というのは一体どういうふうになるのか、御計算いただいたことがあるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  212. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) 佐々木さんにお答え申し上げます。  佐々木さんもおわかりと思いますが、岩手県の和賀郡沢内村、あそこの方式は、それはそのまま今の医療方式の中に取り入れようとしても実際は国の方針と違いまして各市町村でこれを取り入れる状況にはございませんが、あそこは御承知のようにそれで国保が黒になっているような状況があるわけです。私たち岩手におります者もあの方式を何とか全国へと思いながら、しかしそういう方式がなかったら、せめても各種の難病や長期慢性疾患の患者さんを保険制度から何とか外して、という言い方はちょっと語弊がありますけれども、患者の負担のない公費医療制度というものを考える方法がないだろうか。ああいう医療体制ができているところはこれはまた特殊でございます。  そして同時に、あの沢内村では村のお医者さん、これは前に参議院議員をした自民党の増田さんの弟さんでございますけれども、お医者さんと村民とが完全に主治医の関係になっている、カルテが全部診療所にそろっている。こういう状況というのはなかなか難しいと思いますけれども、そういうことを念頭に置きながらこの長期の医療公費負担制度というものを考えてみたわけでございます。  しかし、まだ現在それは検討の段階でございまして、医療の皆さんとの御相談もまだ不十分な面がございます。まして先ほど申し上げました高齢者とか乳幼児の部分までは踏み込んでおられない状況でございまして、大変申しわけございませんが現段階では確定的な金額を申し上げる状況にはございませんが、念頭にそれだけのことがあったということを御理解願いたいと思います。
  213. 佐々木満

    ○佐々木満君 先ほど年金の例で申し上げましたけれども、やはり国民は各党の選挙公約というものを自分の身にこれを移して考えるものであります。計算をするものでありますから、どうぞひとつ、いろんなことを公約なさることは結構でございますから、それと同時に負担の問題も十分御検討をいただきまして、整合性のあるものにしてお出しいただくことがお互いに責任政党として必要 ではないか、こういうふうに思いまして、そのうち御計算をしていただいてお知らせいただければ大変ありがたいと思います。  この社会党が取り入れようとしております登録人頭払い方式は現在イギリスとかイタリアで採用されておるのは御承知のとおりでありますが、診療報酬請求事務が簡素化される等のメリットもございますけれども、実際にこれらの国で採用してみますといろんな欠点が指摘をされておりまして現在反省期にある、こう言われております。  登録医にしかかかれませんから患者にとって不便だとか、あるいは高度医療、どうせ国からもらう金は決まっていますから医師側に高度医療をやるというインセンティブがわいてこないとか、あるいは診療してもしなくても収入が保証されますから乱診乱療でなくて粗診粗療になって患者が迷惑する、こういう指摘もありますし、あるいは早く患者を病院に回してしまえということで、英国なんかでは盲腸を手術するにも一週間以上待たなきゃならない、病院の前に長蛇の列が並んでいる、こういうような指摘もされております。こういう既に実験済みの、そして欠点が余りにも多い制度をなぜおとりになるのか。今の出来高払い制にもこれは大変欠点もありますけれども、それを直しながら、やはりいつでもお医者さんにかかれる、先端医療も受けられる、そういう仕組みが私は一番よいのじゃないかと思います。  それから、こういう登録人頭払い制をつくりますと開業医というものを適正に配置しなければならなくなります。開業医の配置について当然行政的にこれが関与することになります。自由開業医制度というものを廃止することにつながる。まさか社会党は、医療の国営だとか医療の国家管理、こういうものを考えておられることは私はないと思いますけれども、それらを全部含めて、最後にひとつお答えをいただきたいと思います。
  214. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) お答えをいたします。  私たち、自由開業医制度をなくして医療の国家管理を進めるといったようなことは考えておりません。ただ、私も僻地に育っておりますから、今言った各地域における医者の確保というのが大変難しいこと、このことはわかっておりますが、それなら出来高払い制だけでお医者さんをこういう地域に持っていけるかというと、制度だけでもなかなかそういう地帯の医師難の解消をやることができないわけでございます。したがって、これは行政、専門家、そして市民が一体になった形で将来の理想的な形を目指したいと思いますが、ぜひ今後も皆さんの卓越した御意見をいただきたい。本日は非常に意見を多く伺って議員同士の討論ができたことを感謝しながら、答弁を終わります。どうも失礼いたしました。
  215. 佐々木満

    ○佐々木満君 以上で私の質問を終わらせてもらいますが、大変御懇篤な御答弁をいただきまして厚く感謝を申し上げます。いろいろと御質問申し上げておる中で失礼な言葉がございましたら、おわびを申し上げたいと思います。  要は、いろんな公約を掲げることはお互いに大事なことでございます。しかし、いろんな公約をする場合には財源の裏づけと申しますかそういうものも考えて、やはり現実性のある訴えをお互いにしていかなければこれは国民を惑わすことになりかねない、そういうことを心配する余り申し上げたことでございます。大変失礼しました。ありがとうございました。(拍手)
  216. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから十五分間休憩いたします。    午後四時十四分休憩      ─────・─────    午後四時三十二分開会
  217. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、九法案に対する質疑を行います。
  218. 大木浩

    ○大木浩君 我が党を代表いたします豪速球投手が連日連夜にわたりまして、連夜はまだありませんけれども、連日にわたりまして大変に熱烈なる御質問を申し上げておりまして、そちらにお座りの先生方もいささかお疲れかとは思いますけれども、やはりこの場を通じまして国民に今度の税制問題の本質、そして内容というものをしっかりやっぱり知ってもらうということが一番大事だと思いますので、どうぞひとつそういう意味でしっかりした御答弁をお願いしたいと申し上げるわけでございます。  さて、現在の日本の政治経済を取り巻く環境、そしてまた最近税制論議が行われているわけでありますけれども、その背景として二つの大きな、何と申しますか、現象があるということではないかと思います。いわゆる国際化の進展、そしてまた国内におきましては高齢化社会の接近、到来と申しますか、そういったこの二つがあるわけでございますが、高齢化社会につきましては既にいろいろと我が党の専門家の先生も御質問になっておりますし、また後から後からと出てまいりますと思いますので、私は主として国際化の方の観点から御質問を申し上げたいと思うわけでございます。  私、皆さん方が現在の国際化についてどういう受けとめ方をしておられるかということを少し勉強しようと思っていろいろ資料も見てみたんですけれども、余り税制との関連では直接には書いてないような気もするわけでございます。  いささか古い資料ですが、本年の五月四日、これは四党、四党といいましても四つ目は社会民主連合でございますから、連合参議院はちょっとお立場が――五月四日の「新しい政治をめざして」という、これは五月ですからその時点の「国民連合政権の共同政策」ということで、連合参議院はお名前は出ていませんけれども、大体同じようなお立場にあるんじゃないかという前提で引用さしていただきますけれども、その紙の中の一節「(6)平和と環境」というところがございます。「われわれの国民連合政権は、自民党政治による友人なき日本から、「世界を友人とする日本」へ、真剣に努力して平和国家として「国際社会において名誉ある地位を占める」」、これは「(憲法前文)」と括弧してありますが、「国にしていく。」と。「そのために」「世界の緊張緩和と核軍縮の前進など、東西と南北の接点にある立場から、平和への戦略を推進し、世界に貢献する日本としての外交を展開していく。」と、こう書いてございます。そこに括弧で「(憲法前文)」と書いてありまして、憲法には別に自民党は友人があるとかないとかそういうことは書いてないと思うんですが、いずれにいたしましても、これは今引用させていただいた文章があるわけでございますが、最近それでもっと新しい資料がないかなということで探さしていただいておるんですが、今度お出しになりました税制改革基本法第五条二ロというところに多少、国際関係かと思いますが、「経済取引の国際化及び経済構造の変化に対応する等法人税体系の合理化及び適正化を図ること。」と書いてございます。前の方は非常に一般的な何と申しますか、基本的な外交姿勢、それから後の方はやっぱり国際経済について、そしてまた日本の企業がそういったところで活躍することについての記述だと思いますが、どうもちょっとその二つのつながりがよくわからない。  現在の日本の置かれた状況というのは、言うなれば第二、第三の黒船時代と言っていいほどよそからいろんな注文が来ておるわけでございます。そういった第二、第三の黒船時代という時代を迎えまして、一体皆様方、この今の国際化時代というのをどういうふうにお受けとめになっておるのか、そしてまた、もしできれば、今回の税制改革法案等々でそれがどういうふうに反映されておるのか、その辺につきまして、これはまずひとつ代表で社会党さんお願いいたしたいと思います。
  219. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 外交の専門家の大木先生に外交の問題をお話しするのはあれですけれども、実は初めの御認識の現在のいわゆる国際化それから高齢化という問題につきましては、私どもも決して皆さん方と考え方が全く違うというわけじゃないと私は思うんです。国際化という問題それから高齢化という問題は、私どももそれを踏まえてこれからの税制を確立していかなければいけない、こういうふうに考えております。したがいまして、今回の税制改革もできるだけ同じ基盤に立って、例えば大蔵省が示しておりますように、二〇二〇年という高齢化のピークの時代が本当に来るわけでございますから、それまでに何とかきちっとした税制の体系をつくりたい、そういうふうな意味で私どもも今回の廃止法を出させていただいたわけでございます。  実は、先ほど挙げていただきました初めの文章は、これは連合政権の協議を進める中で出てまいりました共同政策として一九八九年五月四日に発表になった文章でございますから、これはそんなに詳しく解説はもう私いたしませんが、第五条の「経済取引の国際化」という問題のところがあります。実はこの問題につきましては、私どももこの税制改革基本法におきまして、第五条の中に「経済取引の国際化及び経済構造の変化に対応する等法人税体系の合理化及び適正化を図ること。」ということで、法人税改革では国際化への対応がどうしても基本的に必要である、こういうような考え方に立っているわけであります。  今回の代替財源案におきましても、法人税につきましては、法人税の今後のあり方及び国際化への対応を念頭に、引当金、租税特別措置を縮減し、課税ベースの拡大を図っている、さらに税率の引き下げを目指した措置をやっていきたい、こういうふうに考えております。その他酒税につきましては、もう御存じのとおり、昨年末の税制改革がガット勧告で指摘された問題点の解消を図ったものであることを踏まえまして、税負担格差の縮小等簡素合理化の措置は今回も継承しているわけでございます。物品税につきましては、復元に伴い税率の引き下げ等を行っております。税率区分の問題は幾分緩和されておりますけれども、いずれにしましても物品税は、税制改革の中で今後あるべき姿を検討していただきたい、こういうふうに考えているわけであります。
  220. 大木浩

    ○大木浩君 各物品税なり消費税なり、あるいは法人税、それぞれについてまた個別にお伺いしたいと思うんですが、今の御引用になりました経済取引云々のその第五条のところ、これを読みましても、どちらかといえば規制をするというような感じを私は読み取るわけでございます。やっぱり現在の国際化時代に対応するためには、言うなればそれこそさらに開国を進めなきゃいかぬわけでございまして、そのためにはこちらから出ていく、向こうから入ってくるというのが、一言で言えばより自由化されて活発なる交流が行われる、そういうのが望ましいんじゃないかという感じがしておりますが、今の御説明は一応その御説明として聞かせていただきます。  国際化についてどう対処するんだと、一般論についてまたいろいろとお聞きしたいんですけれども、きょうはたまたま参考人の方も来ておられますので、いろいろと御都合もあるでしょうからちょっと順序を飛ばさせていただきまして、法人税の方に移らせていただきたいと思います。  我が国の税収に占めます直接税、最近は七割前後のところで動いておるわけですけれども、国際的に比較してまだまだ高い。その中でも法人税は約三割ということで、非常に国際比較からすれば高いということは先ほどの佐々木先生の方の御議論の中でも出てきたと思うわけでございまして、大体先進工業国の平均といいますと一割ぐらいじゃないかと思うので、非常に高い水準にある、こういうふうに私ども理解をしております。それから、企業に対する法人税、いろいろその比較の基準があるわけでございますが、一番わかりやすいということで皆さんも私どもも時々使わせていただいておりますが、実効税率というのを外国と比較いたしましても日本の法人税は高過ぎるというのが大体の認識で、したがって先般の政府税制改革でもこれは引き下げということが一つのポイントであったと理解をしております。  ところが、今回の野党さんの再改革案というのを見せていただきますと、日本の法人には貸倒引当金だとか退職給与引当金、賞与引当金等々の特別措置があって、そういうものも考えなきゃいかぬのだ、比較するときにはそういういろんなものを入れなきゃいかぬということでございますし、Q&Aの解説書の方にも、九十三ページでございましたか、「企業会計における損金算入や、租税特別措置に限らない広い意味での特別措置」、これは引当金のことを言っておられるのかどうかよくわかりませんけれども、とにかく名前が何であろうといろいろな特別措置、「などによる課税範囲の浸食によって、税負担率が大きく変動するため、わが国法人の脱負担水準が国際比較でどの程度であるのかについては、さまざまな論議がなされている。」と、こう書いてあります。  さまざまな議論がなされているというのは、私もそのとおりだと思いますが、議論がなされているので実際の負担は外国企業に比べて重いとは言えないと書いてある。議論がなされておるから重いとは言えないというのもちょっと、じゃどう判断されるのか。そこで、いずれにいたしましても、その結果として、法人税の引き下げ、今すぐに引き下げる必要はない、こういう御判断が今度の野党さんの内容になっておるわけでございます。  それからもう一つ、これは多少関連があると思いますが、外国税額控除制度につきましては、諸外国との租税協定ということで、それをベースにしていろいろと日本側としても調整措置を進めておるということで、先般もインドとベルギーでございましたか、二国間の二重課税防止条約が本院においても共産党を除く各党の賛成により可決承認されたということになって、これは御記憶のとおりでありますが、今回の野党さんのまた再改革案では、控除制度の対象となる国外所得割合を、前回の政府案では九割であったわけですけれども、今度は八割しか認めないということで、圧縮をしておられるわけでございます。  そこで、さっき申し上げましたように、大いに国際化だとおっしゃるんですけれども、何となく日本の法人の海外活動につきましては、どちらかといえば抑えぎみとでも申しますか、そういった御提案が含まれておりますので、実際に海外で活躍しておられる日本の法人さんとしては、そういうことかなと、どう考えておられるのか、ちょっとひとつ実際にやっておられる立場から御意見を聞きたいということで、きょうは日本貿易会の林さんに参考人として来ていただきましたので、ひとつ全般的な御意見を伺いたいと思います。
  221. 林俊範

    参考人(林俊範君) ただいま御指名を受けました林でございます。  大木先生よりいろいろお話しになった中で、私に対する課題は、国際化の時代において、法人税等について、国際企業としていろいろ海外等々でも動いている立場から、ひとつ率直な意見を述べろというように課題をいただいたように考えております。したがいまして、簡潔に次の五点について申し上げたいと思います。  まず第一は、今日、日本の置かれている国際社会での地位であります。第二は、日本の法人税の率、これは地方税を含めまして、実効税率ではどうであるかということ。それから先ほど先生方のお話にもありましたように、じゃいろんな特別措置法等々によるメリットを換算してみたら、実際の企業の負担率はどの程度になっているのか。それは諸外国と比べてどうであるのかという点。それから三つ目は、御承知のように累積債務国の対外債務というのが非常に大きな問題になっております。これの処理に関して、日本の企業に対してアメリカあるいは世界銀行等々から非常に厳しい要請が出ているわけであります。そういうものと、先ほどお話しの貸倒引当金との関連について、企業の立場から申し上げたいと思います。それから四番目は、やはりお話に出ましたいわゆる外国税額控除の問題であります。それから最後に、退職給与引当金、賞与引当金の制度について。この五点であります。  まず第一に、国際的な日本の立場であります が、御高承のとおり、今日、日本は世界最大の貿易黒字国であり、また技術の最先進国でもあるわけであります。したがいまして、発展途上国だけではなく、中国、ソ連、東欧諸国あるいはアメリカ、米州各国、EC各国からも日本企業の進出について、ほとんど毎日のように要請が来ているのは皆様御承知のとおりであります。また逆に、日本が将来とも非常に有望な市場であるということで、新たに外資系のいろんな企業が日本への進出を試みております。「世界に貢献する日本」というのがやはり国際社会において日本に課せられた現在の課題であるように我々としては感じておりますが、この責任を果たすために、税制の面からいえば、二つのことが大事ではないかと、かように考えております。  その第一は、日本の企業が安心して世界市場へ出て、世界を舞台に活躍できるような税制であることが第一であります。  二つ目は、今度は日本へ進出してまいりました外資系の企業が、それぞれの本国と比べて日本が何となく税金が高いというような、いわゆる痛税感と申しますか、こういうようなことを与える税制でないことも必要ではなかろうか、かように考えるわけであります。  第二の問題に移らせていただきますと、先ほどの法人税率でございますが、いろんな試算の数字があると思いますが、経団連が作成いたしました資料に基づいてお話し申し上げますと、次のような数字になっております。  実効税率、これは国税地方税を含む表面税率に基づいて計算した脱負担率でありますが、八九年度は日本の場合五一・〇三%。これは御高承のように、この四月から実施されました所得税四〇%への引き下げ後の数字であります。これに対してアメリカは、同じく八九年度四〇・一四%であります。イギリスは、これは八九年度数字がございませんが、八八年度で三五%であります。また、先ほどお話しの政策税制による負担軽減措置を考慮した法人の実際の負担率でありますが、これは日本が四九・九五と五割の線を若干切りましたが、これに対してアメリカは三一・五七%であり、英国は二四・三〇%であります。このように米英と比べますと相当高い実情にございます。  じゃ、この税率の差というのは企業に対してどのような影響を与えていくのかということでありますが、これはもう本当に釈迦に説法で申しわけございませんけれども、まず、市場原理の働きます経済社会では当たり前のことだと思いますけれども、諸外国の企業は高ければ日本への進出は妨げられるということでありますし、また日本の企業からいえば、自由な社会になればなるほど、これは余りに高い税率であれば、企業の主要拠点も海外でやった方が得ではないかというような行動に走るのは、これは当然のことであろうと思います。したがいまして、一つ間違えば産業の空洞化にもつながりかねないというような懸念を抱いているわけであります。  第三の問題、累積債務の問題とそれから貸倒引当金の問題でありますが、現在世界貿易上の最も大きな問題は累積債務の処理の問題であります。しかも、これは非常に急を要する問題でもございます。全体は、発展途上国の累積債務だけで一兆三千億ドルと言われております。このうちで、日本の占める割合は大体一五%から二割ぐらいではなかろうかと推計されておるわけであります。  じゃ、それがどんな意味を持つのかということでありますが、ことしになりましてメキシコの一部の対外債務が処理されたわけでありますが、御高承のように、この場合日本の企業に対して非常に巨額な切り捨てであるとか、あるいは金利の軽減であるとかの負担を要請されたわけであります。また、フィリピンの債務の処理の問題につきましては、非常にリスクを伴う新しい巨額の資金の供与を要請されておるのが実情でございます。これは恐らく、今後各国の債務処理の場合も同じような傾向にあろうかと思います。これらは企業の健全性の原則から申しますと、引当金等々でカバーしなければならないケースばかりでございます。しかし、今日の税制におきましては、この面での手当ては非常に不十分でございます。したがいまして、企業がみずからのリスクにおいて前向きに、しかも日本の国際的責務を十分に果たす前向きの姿勢がなかなかとりにくいのが現状であります。  したがいまして、質倒準備金制度の問題につきましても、ひとつこの累積債務の処理についての国際社会での日本の責務という立場から、段階的な軽減というよりは、むしろその面からの拡大も含めて御検討いただきたいものだと。このことによりまして、累積債務問題の処理を税金で賄う国の支援措置だけではなく、企業がみずからのリスクも負担しながらいわゆる民活の形で協力していくことも可能になるかと思いますので、ぜひともこの貸倒引当金の前向きな御検討をお願いしたい、かように考えておるわけであります。  四番目は、外国税額控除の制度についてであります。この制度は、御高承のとおり、個人や企業が世界を舞台にいろいろ働きますときに、この制度があるから二重課税が避けられて安心してどこででも働ける制度であります。また、これは国際的にも既に確立した制度でございますことは、先ほど大木先生が述べられましたように、参議院におきましても、各国とのいろんな租税協定が結ばれております。その中で、二重課税防止の形でこの税制が広くうたわれておることは皆様御承知のとおりでございます。  若干蛇足になるかもしれませんけれども、この制度の骨子を申し上げますと、極めて簡単なことであります。要は、税金というのは稼いだところで払うんだというのが第一。それから二つ目は、どこの国で払おうとその払った分に対しては本国で二重課税にならないような措置をとるんだというのが国際的に確立されている原理であります。  御高承のように、ことしの四月からこの制度は非常に厳しく見直されました。この改定は、単に控除限度額の全所得割合九割に制限されただけではなく、さらにこの国外所得とは何であるかの計算、それから外国税法の範囲、控除余裕額及び控除限度超過額の繰り越し期間等についても非常に、何といいますか、限定された形で法の運用が厳しくなっております。これに加えて、現在、じゃ、この後の形で世界各国、一番先進国でありますいわゆるG7の各国と比べてみますとどのような形になっているかということでありますが、まず全体的に言えますのは、控除対象会社の持ち株要件が非常に厳しいことが一つであります。  御高承のとおり、日本は二、三の例外はありますが、原則二五%以上の持ち株の会社しか認められておらないわけであります。日本を除く六ヵ国はすべて一割以上の持ち株であれば対象会社としているわけであります。また、第二は適用会社の範囲、これは日本の場合は子会社までであります。ところが、イギリスでありますとかカナダでありますとかは、これは要件、要は支配要件さえ整えば、これは無限に孫であろうとひ孫であろうと続くわけであります。またアメリカはひ孫まででありますし、大体子までというのはG7の中では二、三カ国だけでございます。したがいまして、このような現状でありますので、さらに控除限度額を限定しようという案がもしございますれば、これは今後の国際競争の場において日本企業はさらに非常なハンディキャップを背負うことになろうかと存じます。この点をぜひ御留意いただきたいものだと、かように考えるわけであります。  最後に、退職給与引当金制度とか賞与引当金の問題を簡単に申し述べたいと思います。  企業というのは、国の経済発展の原動力でありますとともに、いま一つは社員、従業員の生活を支える収入の基盤でもあります。いかに努力いたしましても、私企業というのは経済構造の変動でありますとかあるいは景気の変動に左右されるのはいたし方ないところであります。しかも、経済構造の大きな変化が今日本経済には迫っているわけであります。また、これが世界から期待もされているわけであります。このような現状でありますので、企業経営の中身を厚くしていくことが企業の経営者にとって大事でありますとともに、社員、従業員にとっても非常に大事なことになろうかと考えます。要は、こういった変動に際して、この変動が仮にあっても、中長期にわたり退職金の支給とかあるいは賞与の支給を安定して行える企業にする責務が企業にはあるわけでありまして、またこういった制度があるから従業員、社員は物心両面の支えを持っているということも言えるわけであります。確かに、この両制度というのは企業にとっては将来必ず起こる費用に対する引き当てでありますけれども、しかし一定政策目的を実現するために導入される各種の租税特別措置法上の準備金等とは性格を異にするものであります。したがって、現在の制度は私としては日本的な非常にいい制度だと思いますので、経営者とか株主の立場だけではなく、従業員、社員の立場からもぜひ現行どおりお願いしたい、かように考えるわけであります。  時折聞きます意見でありますが、例えばヨーロッパあるいはアメリカにはこんな引当金はないよということでありますが、そのとおりであります。もともと日本的な退職金制度でありますとか、あるいは賞与の盆暮れの支給でありますとか、こういったのは日本の独特な制度でありますので、先方にないのは当たり前のことであります。しかし、考えてみますと、戦後日本経済が発展してきた大きな柱は非常にすぐれた労使関係にあったと思いますし、またそれの極めて大きな柱の一つがこういった退職金であるとかあるいは賞与のよき慣行であったように思います。したがいまして、海外にないからといってみずから日本のよき慣習、よき制度を否定していくことはこれは私としてはむしろ逆ではなかろうか、むしろ世界にこういったよきものをPRしていく方が日本の経営者あるいは社員、従業員を含めた企業体としての責務ではなかろうか、かように考えるわけであります。  非常に簡単でありますが、以上で私のお答えを終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  222. 大木浩

    ○大木浩君 今参考人からいろいろとお話があったわけでございますが、参考人のお話とも多少重複するような意味のことを申し上げさせていただきますけれども、要するに私の判断といたしましても、いろいろな控除制度というようなものを全部入れて比較してみても、やっぱり日本の法人税率というのは少し高いんじゃないかなということで、これは細かいことを言い出しますといろいろございますし、野党さんの方のあれにもいろんなあれが書いてございますけれども、必ずしも数量的に御説明はされていないわけで、いろいろ議論があるというようなお話で終わっているわけなのでございます。  ですから、私といたしましては、数字についてもやはり最終的には法人税がまだよそに比べて高いというところから出発しないと間違いじゃないかなという感じがいたしますし、海外でこれから活躍する日本企業、これは過去におきましても、今でこそドルが余ってしまって余り輸出するなというような話もあるわけですけれども、かつては本当にいかにしてドルを嫁ぐかというのが日本経済の一番大きな命題であったという時代もございます。それ以来日本の企業が海外において頑張っておるわけでございますから、やはりこれはそういった活動をできるだけ容易にする、そしてまたもう一つ、先ほどもお話がありましたけれども、外から入ってくるのも容易にする、これも相互乗り入れを進めるということが必要だという観点からすれば、やはり日本における税のレベルというものを余り高いところにしておくというのは望ましくないんじゃないかというふうに思うわけでありますが、どうでしょう、これ野党さんの方で今の御説明につきまして何か反論といいますかコメントといいますか、あればお聞きいたしますが。
  223. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 実は、私自身法人税のことについては全く素人でございまして、ことしの夏からこの問題につきまして随分テレビの討論会にも出させていただきましたし、またいろんなところで議論をさせていただきました。そして、実際問題として日本の法人税が高いのか安いのかということで随分資料も集めさせていただきましたし、それからいろんなデータも出させていただきました。  先ほど御紹介がございましたように、大蔵省が発表いたしております税率等は先ほど委員から御紹介があったとおりでございますし、またこれは今ちょっと申し上げますと、外国と比べてみましても日本とアメリカ、これは実効税率で先ほどお話がございましたから私も実効税率で申し上げますと、これはコンマ以下は多少違いはあるかもしれませんが、日本が五一・〇四%、表面税率が四〇%のときでございます。アメリカが四〇・一四%、イギリスが三五%、そして西ドイツが五六・五二%、フランスが三九・九〇%。これはいずれも大蔵省の資料もとにした数字でございますから、西ドイツよりは少し低いけれどもそのほかのアメリカ、イギリス、フランスよりは高い、こういうふうな数字が出ているわけでございます。  そこで、それじゃ本当に高いのであるならば我我としても、日本の産業界の皆さん方もこれだけ頑張っていらっしゃるわけですから、税率を安くすることができないのか、どうしてこんなに高いんだということで、データをいろんなところから集めて聞きましたら、日本の税率はアメリカの税率と同じなんだと言う人もいるわけです、実際問題として。それは、例えばいろんな日本の優遇性、アメリカにないもの、切ってはいかぬというお話が今ありましたけれども、日本の伝統的ないいものがあってそれは切らない方がいいんだというお話もありましたが、いずれにしても、要するにアメリカと同じベースでやると日本とアメリカはほとんど変わらないというデータを持ってきた学者もいらっしゃるわけです、実際ここにあるわけですけれども。  それはそれといたしまして、私どもといたしましては、その前にいわゆるアメリカも日本と同じ税率であった時分があるわけですね、そういうような意味でアメリカも税率を下げたわけです。どうしてアメリカはそんなに税率を下げることができたのか。よく調べてみますと、アメリカはやっぱり課税ベースというのを相当広げていらっしゃる。そういうような課税ベースを広げる作業というのを我々はやっぱりやるべきじゃないか。そして、それをやることによって日本の法人税もばっちり下げることができるんじゃないか、そういうふうに今考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、あと細かいことを申し上げると時間があれですからこれだけしか申し上げませんが、いずれにしましても、私どもも法人税を上げればいいなんて決して考えておりませんでして、本当に日本の法人税が高いのであるならば、できるだけ同じ条件にして、そして下げるような方向へ持っていくというのが私どもの基本的な考え方であるとお考えいただいていいのではないかと思っております。
  224. 大木浩

    ○大木浩君 私は先ほど細かい議論をしなかったんですけれども、ちょっと、アメリカでも謀税べースが違うというようなお話がございました。実は恐らく峯山先生の頭にあるような項目というのは全部私も考えた上で議論しておるつもりでございまして、例えばアメリカではある時期には非常に大幅の投資税額の控除制度などというのがあったのを手直ししたとか、時々によりましていろいろ変化はあるわけでございます。しかし、そういったものを全部含めても、私としてはやはりせっかく先般法人税の引き下げということで提案して、それをまた延期しなきゃならぬほどの状況じゃない、むしろそれはせっかく始めたわけでございますから続けていただくのが妥当なレベルであるというふうに理解をしておりますが、これはいつまで議論しておりましてもあれでございますから、野党さんの方もいろいろ議論があるというところで最後はくくらないといけないような状況だと思いますが、これはひとつ今後の検討の中でさらに勉強をさせていただきたいと思っております。  法人税につきましては今一応お話が終わりましたので、ちょっともう一遍一般論の方に戻って恐縮でございますけれども、先ほど国際化の話を始めたわけでございますけれども、これは既にいろいろと御議論もございますけれども社会党さんが先般来、国際関係の中で、言うなればかなり大きなお立場の変化を示しておられるように私どもは感ずるわけでございます。  私、今税制と関係のないことを長々とやるつもりはないんですけれども、しかしやはり基本的な政策というものは歳入でございます税とその裏腹になります歳出ということにもひっかかってくるわけでございますから、いつも私どもと野党さんといろんなところで議論があり意見も違うわけですが、少なくとも従来非常に違っておりましたのは外交関係、特に西側あるいはアメリカとの関係ということで、これは先般来御議論のございましたように、社会党さんが西側自由圏の一員としての日本、あるいは日米安保条約と自衛隊とを基礎とする安保体制というものを認めるということを言っておられるわけでございまして、少なくともこれは非常に大きな変化だというふうに理解をしております。  ですから、そういった大きな変化というものは当然これから私どもが例えば歳出面で防衛予算をどういうふうに考えるかというようなことにも大いに影響してくるわけでございますので、あえてお尋ねをしておるわけでございますが、まず今社会党さんが従来のお立場からお変わりになったというのはこれはどういうことなんでしょうか。今までは違った立場をとられておったけれども、やっぱりよく考えてみたら間違っておったということなのか、国際情勢が変わってきたから変えたということなのか、その辺のところをひとつごく簡単でよろしゅうございますので御説明をいただきたいと思います。
  225. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 恐縮でございますが、今峯山さんからお答えいたしましたことに私ちょっと一言だけ補足させていただきたいと思います。  先ほど参考人の林さんからも法人税率について表面税率、実効税率ということで御説明がございましたけれども、実効税率というのは、私どももそういう言葉を使われますとつい実際に納めた税金という印象を受けやすいのでございますが、これは国と地方の表面税率を足した分でございまして、実際に税金が法人から幾ら国税庁に納められたかということとは全然別のものでございまして、大蔵省がこの場で発表いたしましたものでも課税申告所得の公示されております上位五十社のうち四〇%以上を納めた法人は一社しかありません。二〇%台が半数以上を占めております。これは、私どもが国際的な比較をしてまいります場合にはこの実態についてもよく議論をしながら、実際には国際的な関係の中で日本の法人税率が実質的に国際的に高いという状況は我々も望ましいとは思っておりません。そういう意味で、法人税率の引き下げということを目指しながらも、実質的にどういう状況になっているかということも参考にしていかなければならないんじゃないかな、こう思っております。  失礼いたしました。  今お尋ねございました西側の一員ということについて、最近社会党の書記長が申し上げましたことについていろいろと皆様から御意見を賜っておりますが、これは社会党の従来とってまいりました全方位外交というものの中で連合政権という立場に立ってまいります場合に、日本の現在置かれている政治的、経済的な枠組みというものを尊重しながら政権にかかわってまいります場合に、西側の一員という立場を当然にとるべきものであろうということを述べたものでございます。  この西側の一員というのは、詳細に申し上げますと、十月二十日の社会党の中央委員会で書記長報告で述べられたものでございまして、これは連合政権の政策の枠組みについて申し上げたものでございます。  その内容は、第一に、政治的には自由と民主主義を基本とすること、第二に、経済的には自由な市場経済の枠組みを基本とすること、第三に、国際経済については日米基軸の現実から出発し日米経済を重視すること、第四に、対米偏重外交を是正し全方位外交を目指すことを明確に規定する立場に立って西側の一員ということを申し上げたのでございまして、したがって今お話しございましたようなことについて申し上げますと、西側の一員ということを大義名分として防衛力の増強とか戦略援助の拡大を図っていくというような考え方とは異なるものだと御理解をいただきたいと思います。
  226. 大木浩

    ○大木浩君 その最初のお話の実効税率云々のところは私も全部わかったつもりでおりますので、これは一応企業の立場から先ほど御説明がありましたし、これは今余り細かくやりますとまた時間を費やしますので、私も全部そういったことを頭に入れた上で私の方の判断を申し上げたつもりでございますので、そう御了解いただきたいと思います。  それから、今の西側自由圏の一員としての云々というお話でございます。今、たまたま全方位外交というお言葉をお使いになりました。これは、全方位外交、どこの国とも仲よくするというのは、戦争をしていない以上は外交関係があって仲よくする、努力するというのは当たり前でございまして、全方位外交とよく並べて等距離外交なんという言葉もありますね、等距離とおっしゃっているわけではないんだろうと思いますけれども。いずれにいたしましても、やっぱり今の時代におきまして西側の自由圏の一員としての日本とこうおっしゃれば、これはあくまで全くどことも等距離というわけじゃなくて、それは西側としてそしてまた自由圏の一員としていろいろな義務が出てくる、いろいろ具体的な関係も出てくるということだと思うわけでございます。  そうしますと、私気になりますのは、例えばこれは書記長のお話にもあったかどうか忘れましたけれども、いろんなところで既に話が出ておりますが、在日米軍基地というようなもの、あるいは日米共同演習とおっしゃったか作戦とおっしゃったか、いずれにいたしましても今のところは演習ですわな、現実には。そういったことについてはむしろ否定的な態度をお持ちのようなのでございますが、これはどうなんでしょう。もしも否定的なというお考えだといたしますと、これはやっぱり現在の国際情勢についてまだちょっと違ったお考えを持っておられるんじゃないかな。  それから特に日米関係ですね。現在確かに東西冷戦はだんだんおさまりつつあるということは、これは私は国際情勢としてはそのとおりだと思いますが、日米関係というのはそういう状況においてはむしろいろいろと厳しい面もふえておるということもあるように感ずるわけでありますから、やっぱりそこのところがどうもつながらないような気がするわけでございます。  まず、東西冷戦がだんだんおさまるというか、少なくとも表面的には少しずつ静かになっておるということは確かだと思いますけれども、だからといって日本を中心にしたアジア・太平洋地域における情勢というのは全く平和一色かといえば、それは決してそうではございませんし、あるいは朝鮮半島あるいはインドシナ半島あるいはフィリピンの国内におけるいろんな不安な状態、そしてまたソ連との関係におきましても、先般来いろいろと人的な交流はございますけれども、やはり日本と目と鼻の先といいますか、実は日本自体なんですが、とにかく北方領土に一個師団程度の軍隊がまだおるというようなことを考えますと、私は今すぐに防衛問題はないがしろにしていいというような状況では決してないというふうに感ずるわけでございます。  そういう意味で、私は今の東西冷戦について世界がより緩和に向かって努力するということは当然必要だと思いますけれども、だからといって、例えば日米が安保体制を持っているわけですから、やっぱりそれに基づく必要なものというのは維持していく必要があるんじゃないかという感じを持っているわけでございます。そういうことからいいますと、先般も、たしかあれは池子ですか、米軍のキャンプではなくて宿舎ですな、つくるということについて、社会党の党首、委員長さん、共産党の委員長さんが先頭に立ってデモしておられましたけれども、ああいうことというのはどうでしょう、やっぱり西側の一員である、あるいは日米安保体制のパートナーである、そういうことでアメリカが受け取るかどうか甚だ疑問に思うわけでございます。  御参考までにもう一つ。現在、今の東西冷戦がだんだん緩和に向かっておるということはありますけれども、防衛問題というのはそう簡単に情勢が変わったからすぐにやめるというような話じゃなくて、これはやっぱり一たん緩急に備えるということでございますから、そう軽々には減らしたりとかやめたりという性格のものではないというふうに私どもは感ずるわけでございます。  これはちょっとよその話になりますけれども、最近、十一月二十六日ですからいわゆる東西関係が非常に進展した後のことでございますけれども、スイスにおきまして国民投票がありました。これは御存じのとおりに、スイスは中立ではございますけれども非武装ではございません。むしろ、ある意味においては重装備の中立国であります。そこにおきまして、これはやっぱりスイスでもそういうことを考える人があると思うんですよ。これだけ東西緊張緩和になったからスイスのような国でももう軍備を減らしてもいいんじゃないか、そういうことで実は国民投票をやりました。そこで、投票結果が出ておるわけでございますけれども、結論としてはスイスはちゃんと軍備は維持していくんだということでございます。スイスというのは、御存じのとおりに、あたりを見渡してみますとすぐ隣がオーストリアですか、それからドイツ、フランス、そしてイタリアですね。こう見渡してみたところ今すぐに攻めてきそうな国はないんですけれども、しかしそのスイスでさえ国防というのはそれだけ必要だということで、やっぱり軍備は持っているわけです。  そういった状況であれば、やはり私は日本としては、レベルの問題はありますよ、どのレベルがいいかということは別として、基本的には日米軍事協力体制というものは必要だというふうに感じておりますが、ひとつコメントをいただきたいと思います。
  227. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今大木さんがお話しになりましたことと、私どもは、お聞きしておりまして、やっぱり考え方が少し異なるのかなと思っております。  私どもも、仮に政権を担当いたします場合に、外交の継続性それから今日日本が国際的に置かれております政治的、経済的な立場というものをきちんと認識して、その現実の上に物を考えていかなければならないことは当然であろう、こう思っております。しかし、今日、今お話しございましたように、ブッシュ大統領も冷戦の時代は終わったという表現をお使いになっているようでありますが、そういう東西緩和の時代、しかも日本が本来果たすべき役割というのは、世界の軍縮、平和を進めるという立場において日本は国際的に貢献をしなければならない立場を強く持っていると私どもは考えております。そういう中で、今日の日米間の軍事的な関係をどういうふうに考えていったらよいのかということになりますと、今日の世界的な緊張緩和、軍縮、平和、米ソを初めとしてみんなそういう方向へ大きく動いております時代に、アジア、西太平洋を含む平和を我々がどういうふうにこれから目指していくかということになれば、やはり日米共同作戦、演習、こういったものをできるだけ縮小し、また日本における米軍の基地もできるだけ縮小していくという方向で私どもは今日の世界情勢の中での日本の軍縮、平和に対する貢献を真剣に考えていかなければならない時代ではないだろうかと思っております。  私どもはそういう立場をきちんとしながら、そして今日日本が西側の一員として存在する現実を踏まえてこの問題に対処していかなければならない、こう考えております。
  228. 大木浩

    ○大木浩君 今のような時代に、私は、原則的にせっかく世界の緊張緩和があるんだからそれをとらえていろいろなことをやっていこう、それは抽象的にはよくわかるわけでございます。しかしながら、現在の日米安保体制の中で、バードンシェアリングというような話も出ておる。これは日本がたまたま経済力が非常に強くなった、他方アメリカの方はいろいろと苦労しておる、こういう状況の中でこういう話が具体的に出ておるわけですね。ですから、そういう問題について今この段階で非常に消極的といいますか否定的なお話をされれば、これはやっぱり日米協力関係にマイナスな感じが出るんじゃないかと思います。  私はもう一つ、この話をいつまでやっておってもあれなんで私どもは見解が違うということでおさめさせていただきますけれども、現在自衛隊あるいは米軍がせっかくおりますけれども、そういったものについて訓練するなというようなお話というのは非常に理解しがたいわけでございます。私は、現在の自衛隊というのはあえて言えばめったに抜かざる、永久に抜かないのが一番望ましいんですけれども、めったに抜かざる伝家の宝刀でありますけれども、いかに抜かないからといってもちゃんといざというときには働ける自衛隊でなければならない。そういう意味におきましては、やはり必要な演習というのはどうしてもしなきゃならぬ。せっかく自衛隊というものをお認めになるなら、その存在をお認めになるなら、それはしっかりした自衛隊でなければいけない。自衛隊をつくっておいて大して働けない自衛隊なら、これは私は税金のむだ遣いだと思います。  自衛隊につきましては従来から民社党さんは非常に御理解ある態度をお示しいただいておるわけでございますが、勝木先生どうでしょう、そういった今の米軍基地、共同演習について社会党さんと全く同じようなお考えなのか、多少その辺は違いますか、教えていただければありがたいと思います。
  229. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私ども民社党は、今後とも、自由と民主主義を共通の価値といたしております西側自由陣営の一員として我が国の安全を図っていくべきであるというふうに考えておるわけでありまして、その際日米安保は我が国の防衛を補完するとともに我が国を西側の一員たらしめている基礎をなすものでありまして、今後ともこれを堅持していくべきであるというふうに考えております。
  230. 大木浩

    ○大木浩君 先ほどちょっと池子のデモのことをお話し申し上げたんですが、笹野先生、さっきからずっとお座りいただいておりますので、どうでしょう、今の日米関係の中でああいうデモというのは非常に日米関係をさらに親密にさせるものでしょうか。
  231. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) お答えさせていただきます。  日本の憲法の前文を見ますと、日本の国際的立場というのを非常にわかりやすく書いておりますので、まず私たちといたしましては、この日本国憲法の基本理念というものを理解した上ですべての政策をつくってまいりたいというふうに思います。日本国憲法にはこのように書いております。  われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。   われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。  私は今の質問の、直接はデモに参加をしておりませんので、その点は私どもは平和を愛しながら そういう国際的な政策をとってまいりたいと思います。
  232. 大木浩

    ○大木浩君 恐縮ですが、公明党さんも今のデモといいますか、こういった基地とか演習とかといったことについてどんなお考えですか、お聞かせいただきたいと思います。
  233. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 私どもは、連合政権の場合には今特に四党で協議が進められているわけでございますけれども、それぞれ政党の成り立ちが違うわけでございますから、その党が持っておる理想とか理念というものはそれぞれ尊重しながら、それであっても、しかしながらどうしてもこれだけはという点がございますので、それらの四点について私ども立場を明確にしているわけでございます。  その立場といいますのは、日米安保の問題、それから自衛隊の問題、原子力発電の問題、それから対韓政策の問題と、この四つであります。したがいまして、もう一つの在日米軍基地のいろいろな問題がたくさんあるわけでございますが、私は在日米軍基地につきましては、私どもは大体現在ある在日米軍基地をできるだけ整理、縮小しようというのが私どもの基本的な考え方です。これはいろいろな方々と、自民党の方々とも御懇談したことがあるんですけれども、これ以上拡大しようという御意見はなかったと私思っております。できるだけ整理、縮小しようという御意見が多かったように思っております。  また、基地のデモの問題等につきましては、私どもは参加しているかどうかちょっと確認はいたしておりませんが、いずれにしましても現在の住宅事情とかいろいろな状況があるわけでございますから、地元の皆さん方の御意見とかそういうようなものを十分尊重しながら、要するに反米感情といいましょうかそういうようなものを逆なでしないように、やっぱりそこら辺の合意を取りつけながらやっていかないといけないのではないのかなと、そういうふうに思っております。
  234. 大木浩

    ○大木浩君 基地があれば周辺住民といろいろな問題が起こるというのは、これは何も日米だけではなくてアメリカの中だってあるわけですね、アメリカの基地の周辺とその住民というのが。ですから、そういった個々の問題ではなくて、私は基本的な姿勢というか、基本的な気持ちだと思うんですね。その点につきまして何となく各党多少ニュアンスの差があるようでございますが、これ以上議論しておりましてもあれでございますから、次の課題に移らせていただきます。  日米関係といいますか、西側陣営の一員としての立場と申しますか、やはり防衛問題以外にもいろいろとこれから、これだけ日本が大きくなりましたから、いわゆるバードンシェアリングの問題が出てきておる。最近アメリカの大使などは、バードンというのは何となく負担ということで言葉が悪いので、リスポンシビリティーシェアリング、責任の分担というような言葉を使っておりますけれども、言葉は別としましてもやっぱり責任がふえてくるということは間違いないわけでございますが、これからの日本といたしまして特に経済の分野でいろいろと市場開放、広い意味での日本の開放それから経済協力の増大というようなことを言われておるわけですが、そういったことについて各党さんはやはりこれから前向きに考えていこうということなのか。  それから、市場開放につきましては、これはいろいろ国内的な問題もございますから、仮にこれを進めるとすれば国内的な措置もとらなきゃいかぬということで、やはりこれはお金の問題として考えればだんだんにそういう負担はふえてくると思いますけれども、そういったことについて各党さんはどういうお考えなのか。  ひとつ今度はレディーファーストで笹野先生いかがでございますか。今申し上げたのは、西側の陣営の一員としてバードンシェアリング、要するに責任がだんだんふえてまいりましていろいろと歳出がふえるであろう、こういうことを申し上げておるわけであります。
  235. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 私どもといたしましては、平和というのを心から愛しているわけですから、そういう負担がふえない方向にやっぱり行くことを願っております。
  236. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 大木先生は外交官として御活躍でございましたので、大変これらの問題について御造詣が深くいらっしゃいますので、私が申し上げますことは大変専門的でないかもしれませんけれども、私は、日本経済が今日世界のGNPの一五%を占めるようになったこのような状況下において、平和国家としての日本が世界にどう貢献するかということは、今後の日本の政治的な課題として重視しなければならないことだと思っております。そういう中で日本の世界に対する貢献、今おっしゃいましたバードンシェアリング、こういうものをどのように担っていくか、これは非常に重要なことだと思っておりまして、その場合に国内に負担が生じますことも、直接ODA等を通じて海外に援助を行いますことも、それは日本の今日の世界において負うべき大きな責任となりつつあるものだろうと思っております。  ただ、日米の関係で申しますと、経済的なインバランスに起因をいたしますアメリカからのバードンシェアリングに対する要求が軍事的な肩がわりの面にも非常に強くあらわれてまいっております。これらの点については、私どもは必ずしもそのことが世界に貢献することにつながるとは考えられない場合が多うございまして、そういう点ではなくもっと国際的に協力できる、日本の平和国家としての平和憲法下における日本の果たすべき役割分担というものを考えていくべきであろうと思っております。  ただ、日米の関係を申し上げますと何かすぐアメリカと日本の関係について私どもが大変反対の感情を持っている、こういうふうに受け取られますと私どもとしては大変心外でございまして、先ほど申し上げましたように、日本とアメリカとの関係というのは今後の外交の上でも最も重要な関係に立つべきものだと思っておりまして、先ほど私御答弁を忘れましたけれども、池子の問題にいたしましてもこれは反安保とか反米とかという立場でとらえるよりも、住民の環境保護とか自治の問題として今日私どもはこれを重視しているのでございます。
  237. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 西側の一員としてのバードンシェアリングの問題でございますが、私どもは西側の一員としての立場から、我が国に対し例えば軍事面でのバードンェアリングの要求があるといたしますと、この点につきましてはやはり軍事大国にならず平和国家に徹するためにも、余り容易な妥協は許されないのではないかなと思っております。しかし、経済大国たる我が国が世界の中の日本として経済面での貢献を行っていくことはこれは必要である、こういうふうに考えております。  そこで、まず市場開放につきましては、市場開放はこれはできる限りやった方がいい、私はそういうふうに思っておりますが、市場開放といいますとすぐ米の自由化の問題になります。米の自由化につきましては、これは反対であります。他の農産物につきましても安易な市場開放をしてはいけない、そういうふうに思っておりますし、そのためには国内対策に十分配慮したものでなければいけないと思っております。  それから日米協力の問題でございますが、これは防衛問題も含めまして基本的には現在の日米関係が何ら変更なく維持されるべきである、こういうふうに考えております。でき得る限り米軍の基地につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、整理縮小していくことが望ましい。日米共同演習につきましては、憲法で禁止されております集団自衛権の行為につながらないようにしていただきたいし、その点についてはもしつながってしまうことについては反対であるということです。  それから貿易摩擦の問題につきましては、貿易不均衡是正のために基本的には国民生活の向上に視点を当てた内需中心型の経済構造に転換すべきである。内外価格差の縮小の面からも、適切な輸入の拡大を図るべきであるということ。  それからODAにつきましては、我が党といたしましては国際開発協力基本法案を本院に提案しておりますし、ODAの質、量の拡大を目指す。国際開発協力基本法案の内容は、総合的な経済協力計画の策定、国際開発庁の設置などによる実施体制の整備、援助内容の再検討、評価体制の確立、人材の確保などを行おうということで提案をいたしております。  それから、国内対策といたしまして特に農業問題でございますが、農業が基幹産業としての自立、輸入自由化にも耐えられるよう育成するということが大事でございますが、特に米の自由化には私どもは反対である。  以上が私どもの見解でございます。
  238. 大木浩

    ○大木浩君 これ日米関係あるいは西側の一員としてのお話、いつまでもやっておりますと税金の方に時間がなくなりますので、次にキャピタルゲインについてでありますが、株式等の譲渡益に対する課税の強化、それから有価証券取引税の引き上げという二つの増税案、少なくとも現状に比べて増税案をこれ今度の再改革法案で野党さんの方が出しておられるわけでございまして、これは二つとも強化でございますから、これは言うなれば株式取引に対するダブルパンチだということで、これがどういうふうにか個人投資家あるいは内外、これはもう外も含めてですが、内外の法人投資家についてもいろいろと影響が出てくるだろう。  私どもとしては、やはり課税の強化というのは個人資本家を株式市場から撤退させるし、あるいはまた法人投資家についても、これは法人投資家というのは世界じゅうを見ながらいろいろ商売しておるわけですから、やっぱり日本から離れていくという傾向があることはどうしても否めないんじゃないか。その辺いろいろ野党さんはいやいやそうじゃないよというような御判断は書いてございますけれども、やはりそういうことはあるんじゃないか。これは株式じゃないんですけれども、税がちょっと動きますと金がさっと動くというようなことは往々見られるところでございまして、最近もドイツで銀行利子の課税、これは法制上の強化及び実質的な徴税の強化、両方あったようでございますけれども、をやりましたら、あっという間に何百億マルクという程度の金がすぐ隣のルクセンブルクへ動いてしまったというようなことが情報として伝えられております。現在の国際市場というのは非常にオープンになりましたから、世界じゅうを見ておってどこの税金が高いとか安いとかいうことを見ておりましてお金が動く、あるいはそれにつれてまた企業も動くということはこれはやっぱり相当あるんじゃないかというのが私の判断でございます。  基本的に野党さんにお聞きしたいんですが、株式市場というのは、特に日本の株式市場は今やロンドン、ニューヨーク、シンガポール等と並んで世界に冠たる指折りの一つ、一番大きいと言われておりますけれども、世界の有力市場になっているわけですね。そういった有力なる株式市場があるということは、やっぱり内外の経済界に対する資金の調達あるいはそれに伴ういろいろと経済情報というようなものも集まってくるわけですから、これはやっぱり経済大国日本としては一つの重要な、何と申しますかインフラストラクチャーと申しますか、そういったものがあるということは非常に重要じゃないかと私は感ずるわけでございます。  今ロンドンと申しましたけれども、イギリスというと残念ながら最近では世界の経済的な超大国じゃないんですけれども、それでもイギリスがいろんな意味におきまして国際経済で影響力を持っておるというのは、いろんな例えば保険とか商品取引だとかあるいは通信社とか、そういった、言うならば経済活動のインフラストラクチャーは非常に強いものを持っておるということが、やっぱりイギリスをあれだけ国際的に影響力のある国にしておると思います。  どうでしょうか、今の日本の株式市場をこれからどうするかということなんですけれども、実は私ちょっと気になりましたんですが、この辺に書いてありましたけれども、このまたQ&Aに。ちょっと読んでみますと、「日本の株式市場は今や世界最大の市場に成長した。それを支える企業、個人投資家も増えてきた。そうなると資本市場育成のための非課税という大義名分がなくなってくる。」、こう書いてある。  非課税の方は非課税じゃないんですけれども、要するに強化してもいいぞ、こういうお話のようなんですが、私としては基本的にこれからも日本の株式市場というのは今申し上げましたような理由も含めてきちっと育成をしていただきたいというふうに考えておりますが、いやいや株でもうけるやつばかりでけしからぬというようなお考えで、もう助けてやらぬでよろしいんだ、助けてというか、育成しなくてよろしいんだというお考えではないと思うんですが、どうでございましょう
  239. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私どもは総合課税体制を整備して、株式の譲渡益についてもその中できちんと課税をすべきだということで考えておるわけでありまして、しかし早急に実現できる問題ではないので、当面は現行制度の枠内で適正な処置を講じていこうということでございます。  今、現行の分離課税については売却高の一%でありますので、これを一・四%を税額とすべきだというふうに考えておるわけでございます。これは現行の制度と枠組みは同じでありますので、利益に対して二〇%の税を課すという点でも何ら変わりはございません。単にみなし売却益を何%とみなすかによってだけの違いでございまして、これを五%とすれば一%の税率になりますし、七%とすれば一・四%の税率となるだけの話でございます。  また、有価証券取引税につきましても、確かに私どもの案は税率の引き上げとなっているわけでございますが、しかし、これはさきの政府改正によります有価証券取引税の引き下げを調整しているにすぎません。政府改正によりまして株式売却の際の有価証券取引税は〇・五%から〇・三%に下げられたわけでございますが、私どもは、〇・三%でなく〇・四%でよいというふうに考えておるわけでございます。これは、政府と私たちの違いは税率をどれだけ引き下げるかという点に違いがあるだけの話であろうかというふうに思います。  御懸念のように、私どもの案によりまして日本の証券市場が甚大な影響を受けるとの指摘もございますが、しかし私どもはそうは思わないわけでございまして、なぜなら我が国の証券市場は非常に安定しておるということでございまして、この程度の改革で被害をこうむることはないというふうに主張したいわけでございます。もし私どもの案によりまして証券市場がおかしくなると考えている人がいるとするならば、そもそも現在の日本の証券市場というものが極めて脆弱だと仮定しておられるというふうに断ぜざるを得ないわけでございます。  なおそれと、例えばアメリカでは有価証券譲渡益課税につきましては総合課税が実施されて、名寄せにより個人の株取引が捕捉されているわけでございます。したがいまして、今回の私どもの案も必ずしも厳しいものとは言えないんじゃないかというふうに思うわけでございます。また、私どもはキャピタルゲイン課税強化という一要因だけで大口投資家が海外に逃避するとは考えていないわけでございまして、海外に資金をシフトさせるにしても、海外市場に対する情報量とかあるいは為替、時差等のリスクを負い込むこととなるわけでございまして、さらに世界の証券市場は一九八七年十月のニューヨーク証券市場の大暴落以来低迷をいたしているにもかかわりませず、日本の証券市場は独歩高を続け、高いパフォーマンスを上げている事実も見逃せないことでございます。  なお、今後の株式市場についてどう育てていくのかという御質問でございますが、私どもは我が 国経済の国際化、世界経済における地位の向上に伴いまして、近年我が国の金融市場、株式市場は非常に大幅に拡大していると思います。同時に、世界の金融市場に占める我が国の重要性は非常に大きくなってきておる、そして世界経済の安定に大きなインパクトを持っておるというふうに思います。したがいまして、株式市場につきましても、今後とも国際協調体制のもと、利用者の効用を最大化するための効率性あるいは安全性、公平性に配慮をして、経済の国際化に対応していきたいというふうに考えております。
  240. 大木浩

    ○大木浩君 いろいろと御説明いただきましたのですが、ちょっと欧っただけだからほとんど関係ないとおっしゃいますけれども、例えば一%が一・四%というのは四〇%で、やっぱり細かいところでいろいろ勝負している人もたくさんあるわけでございますから、ちょっとというのはちょっといただけないんですが。まあこの数字で議論しておりますので、私どもはやはり影響がないとは言えないということでございますし、いきなり二つとも強化してということはやっぱりダブルパンチだということで、これから育てていこうということであればそれほどぎしぎしと抑えなくてもいいんじゃないかという感じがしておりますけれども、これはこれ以上――基本的に育てるか育てないかという問題でございますから、その辺は育てる育てないんじゃないんだというお話でございますから、それ以上の議論は避けさせていただきます。  大分ほかの方の議論に時間をとっておりますが、いよいよ間接税あるいは消費税の話を申し上げたいと思うわけでございます。  既にいろんな税をめぐる理論論争が過去数日を費やして行われておるわけでございまして、しかしいろいろとまとめてみますと、所得、資産、消費への課税の配分、これをどうするかということから始まるわけですけれども、この配分というのはやっぱり国民の所得水準あるいは所得格差あるいは人口構成、老人が多いのか若い人が多いのかといった言うなればライフサイクルとしてどういう課税が行われるのか、あるいは資産の形成と分布といったようなもの、そういったものを全部考慮して最も適当なバランスを考えるべきであろうと思うわけでございます。  そういう意味で、私はやはり現在世界でも有数の高い、言うなればみんなが中産階級以上になったと、ほとんどの人が。それで、しかも格差の面からいいましても非常に平準化しておる。非常に平準化した所得分布である。しかも、一方におきましては急速に高齢化が進んでおる。そういう日本におきまして、やはり私は直接税だけに過度に依存しておるということではなかなか問題が出てくるんじゃないかというふうに思うわけでございます。  実は、大平内閣以来いろいろと政府といたしましても言うなれば大型間接税の導入について努力をやろうと思ってやったけれども、なかなか国民の御理解が得られないということでありまして、苦労の末最近の消費税に至ったわけでございますけれども、実は、御記憶だと思いますけれども、大平内閣の前にもずっと古い昔に日本におきまして政府が短期間ながら大型間接税を提案して現実に実施したことがございますですね。古いことになるのであれですが、いわゆる取引高税というのが実施されたことがございます。  先ほど鎌田先生、たしか昭和二十五年のお話を持ち出されまして、おまえらは生まれておったかというような御質問がありましたが、私も鎌田先生に負けないように古い資料もちょっと調べてみましたが、昭和二十三年のころに取引高税をめぐっていろいろと議論が行われております。  私ちょっとそのころの、これは衆議院ですけれども、衆議院の予算委員会の会議録、昭和二十三年五月二十四日というんですからこれは芦田内閣のときのあれでありますが、予算委員会で次のような議論が時の労働大臣と野党の青年代議士との間で、これは取引高税ばかりじゃないんですけれども、ちょうど政府が予定しておりました鉄道運賃及び通信料の値上げと、それから取引高税の導入をめぐってのやりとりが行われております。ちなみに労働大臣は加藤勘十先生でありまして、野党のこの青年議員というのは民自党、自民党じゃなくて民自党ですな当時は、民自党の原健三郎先生であります。  こういうことを言っておられます。  原議員が、ちょっと前のところは省略いたしますが、「過般の片山内閣が倒壊した原因は、言うまでもなく、鉄道運賃、通信料金の値上げによつて、これが国民大衆の生活を脅かす、だから反対だというので、われ々とともに反対をして、片山内閣を倒壊に導いた、それは社会党においては、左派の人がわれ々の意見と同調してやつてくれたのであります。しかるに聞くところによると、今度は鉄道運賃を三倍半値上げ、通信料金四倍値上げをしようとしておる。しからば加藤労働大臣は、こういう予算に一体賛意を表されたのであるか、反対されたのであるか、もし自己の信念に忠実であつたならば、これに反対されて、大臣をやめるのが当然であると思う。」、こう鋭く迫っておるわけでございます。  それに対して加藤労働大臣、いろいろ釈明というとあれですが御答弁はありますが、なかなか原委員の方が納得いたしませんで、「今加藤労働大臣は、なか々雄弁に自己の御心事を弁解されましたが、大局から考えて、これほどの鉄道運賃、通信運賃を上げて、この予算に賛成すれば、だれが一番困るか、勤労者、無産大衆が一番困る。そういうことは十分御承知のはずである。それをきのうは反対しておいて、きょうは大臣になつたからといつて、いろ々な理由をつけて、かれこれ弁解されるが、国民はそんなことには納得できない。」、またちょっと一部省略いたしますが、今度は取引高税の話が出てきまして、「たとえば取引高税においても、こういう税金は国民大衆をいじめるところの大衆課税であることは言うまでもない。大蔵大臣がいくら言つたつて、世界の学者が認めている。この取引高税のごときは、インフレを助長することは一番大である。」、それからまたちょっと省略いたしまして、加藤大臣は、「御質問の要旨として、売上税」と言っていますがこれは取引高税の間違いだと思いますが、取引高税「の問題が取上げられました。売上税が大衆課税であるという点は、原君の御意見をまつまでもなく、すべての人が知つておることであります。それにもかかわらず、なぜこの大衆課税が課せられなければならなかつたか。御承知のように、今度の税制改革案が国会に提案されれば、御了承でありましようが、三党政策協定の精神に則って、勤労所得税の大幅軽減が行われるのであります。」云云と言って、大変古い話でございますけれども、そういうやりとりがございました。  私は、かつての皆様方の御先輩の社会党の大臣が大型間接税を導入されたから、だから今我々がやっている消費税がいいんだといっていきなり申し上げる、そういった短絡的な議論をするつもりはございません。  実は、この取引高税というのは非常に短命に終わりましたですね。一年半ぐらいで廃案になりました。失敗の原因は、この取引高税が一つは各段階で累積的に、あれはたしか一%ずつ取引ごとに累積的に課税されるということで、国民に対する重税感が非常に大きかったということもありますが、基本的にはやはり一般的な消費税というものを取り入れる実力が当時の日本にはなかったということが私は決定的な原因であったと思うわけでございます。  たまたまこの議事録のほかのページを見ておりましたら、同じ予算委員会の会議録の中に、政府の任命した臨時給与委員会の提案する月額二千九百二十円の基準賃金ベース、先ほども基準賃金のお話がございましたけれども、当時は二千九百二十円をめぐって議論をしておったわけであります。この基準賃金ベースについて、果たしてこれで国民が生活していけるかどうかという議論も行われておったわけでありまして、恐らく物価水準の違いを考慮しても、この二千九百二十円はもう現在のもちろん十分の一以下であると思うわけでございます。当時に比べれば平成元年の日本は私は全く違った状況にあると思います。インフレなき経済成長、そして世界で最も低い失業率、そして今や欧米諸国をむしろ凌駕するほどの個人所得水準にも達しておる。そして所得の平準化も進んでおります。このような状態にあるからこそ、一方において所得税減税を行いながら、他方において広く薄い間接税を取り入れる環境は整ったと私どもは信ずるわけでございますが、皆様方のひとつ、今の状況をおいて、じゃ一体どういう状況があったらいいのか。今の日本は消費税を取り入れるのに最もいい環境だと私どもは信ずるからこそあえて提案し法律をつくったわけでございますが、この点はひとつ各党お一人お一人、四党から御意見を伺いたいと思います。
  241. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 大木先生、私も長いこと一緒に商工委員会でお世話になっておるんですが、取引高税のお話が出ましたけれども、私はやっぱり結果的に廃止をしてよかった、今日の我が国の経済あるいは豊かさというのは、やはりシャウプ税制が基本にありながら、随分変わってきましたけれども、それがやっぱり結果的にはよかったと思います。それから、今日我が国は経済がこれからまだまだ発展する力というのを持っていると思います。そういう状況の中で考えた場合にも、そう一概に今の税制を大きく変えてECヨーロッパ諸国のような形にしなきゃならないようなそういう要素はない、そのように考えております。  もちろん基本的には、何回も言っておりますが、やはり非常に多くの未組織あるいは中小零細企業やそういう弱いところで生活している人にとってこの消費税の導入というのは非常に大きな経済的な打撃を与えるし、また三%がこれが率がどんどんいきますと非常にまた差が、持てる者と持てない者との格差が拡大する。したがって、私どもはやはり経済の変動にも強い総合累進課税を基本に置いて、間接税は従とする、そういうような基本的な考え方に立って提案しているのであります。
  242. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 昭和二十三年の取引高税のお話から始まりまして非常に大事な話をきょうはしていただきました。私は、今考えておりますのに、先ほどからいろいろお話ございましたように、非常に今は大事な時期であると。これは私何回かここで話をさせていただきましたけれども、やはり大木先生と同じ土壌に立ってこれからいろんな話を、特に税制改革の話をするということは大変大事なことだと思っております。特に、今過去のいわゆる取引高税を含めまして大平内閣の時代のお話もございましたけれども、確かに大型間接税をどうするかという問題ですね、これは御存じのとおり大平内閣の時代の一般消費税を導入しないという国会の決議があるわけですね。この決議をどう取り扱うかという点から、やっぱり我々はしっかり考えていかないといけない。  そういうような意味では、三つの問題点があるわけでありますから、本当に私どもはこの取り扱いをぜひともお考えいただきまして、今高齢化社会そして国際化の時代に向けて新しい税制を少なくとも私は、二〇二〇年の高齢化社会まで三十年あるわけですから、そのためにもこの大体五年十年の間が大変大事な期間になるのではないか、そういうような意味で国民の信頼をどうしてかち取るか、また税というもの、その税自身が国民の信頼と合意があって初めて税の基本が成り立つわけでございますから、そういうような意味ではぜひとも私どもと同じ基盤に立って議論をし、そしてぜひとも今回の法案を成立させていただきたい、このことを心からお願い申し上げる次第であります。
  243. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 大木委員の売上税のお話、大変興味深く聞いておりました。私が生まれた直後の話かなというふうに思いながら聞いておりましたけれども、突然の御質問なんで急に夢を覚まされたような感じです。  この消費税導入という問題に対しましては、私ども四党は景気の非常に安定しているこの時期にやはり税制というのはしっかり議論していきたいですし、大変国民にとっては重大な問題です。私は今夕刊を見たわけですけれども消費税が導入されて一年もたたないうちに自民党政府は見直しを出してまいりました。これを見ますと、食品だけではなく住宅の問題、教育費の問題、分娩費など、非課税化によるたくさんの部門を議論しております。こういうふうに一年もたたずに自民党みずからが見直さなければならない消費税というのは、やはりいろんな意味で私どもと同じようにしっかりと税制というのを考えなければいけないわけですから、今御指摘のように、この重大問題を私どもと共通の基盤で議論してまいりたいというふうに今思っております。
  244. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私ども民社党も、現在も将来も大型間接税は導入については反対でございます。  大平内閣の一般消費税とかまた中曽根内閣の売上税そして今日の消費税ということで、大型間接税のいずれにも国民は明確に反対の意思表示をいたしておるわけでございまして、また私どもの提案をいたしております基本法におきましても、その第二条、「税制改革の趣旨」におきまして、「税制改革は、消費税の創設を中心とする先の税制改革が広く国民の理解信頼を得た上で行われたものとはいい難い状況にかんがみ、かつ、消費税廃止されることを踏まえ、国民の合意に基づき、改めて我が国の現在及び将来の経済社会に対応する税制を確立するために行うものとする。」というふうに明確に規定をいたしておりますので、大型間接税につきましては、こうした趣旨に基づきまして設置されます国民税制改革協議会の検討に際しましては、こうした国民の意思と基本法の趣旨が踏まえられるべきであることは当然であるということで、私どもも大型間接税の検討を想定いたしておりません。  なお、先ほどの質問にございました株式市場育成の問題で、舌足らずでありましたので追加させていただきますが、大木先生、株式市場が一・〇から一・四になれば非常に混乱をするということで育成の問題もあったわけでありますが、私どもも小口取引のそういう庶民のささやかな取引につきましては、将来総合課税化を進める際にはやはりそういうささやかな取引に配慮することを検討しなければならないんじゃないかなというふうにも考えます。例えば一定の範囲内の小口取引については非課税にするなどの措置が考えられると思うわけでありますが、いずれにしても国民税制協議会なり国会の審議の場を通じて検討していかなければいけないものだというふうに思っております。
  245. 大木浩

    ○大木浩君 ここ数日間、税をめぐるいろんな理論闘争といいますか御議論がございまして、野党の四党の皆さんいろいろなことを言われますけれども、結局何というかキーワードは応能主義ということですよね。要するに能力に応じて払え、金を出せ、こういうことだと思うんですけれども、ただ応能主義というのは応能主義を本当に、これは多少仮定の問題ですけれども、極端にいけば要するにみんなが最小限の生活費だけ残してあとは全部払え、こういうことになりますね。まあこれはもちろん仮定の問題ですし、そうなれば全く空想的社会主義だか共産主義だかユートピアだか何だか知りませんけれども、もちろんそういうことは考えておられない。  そうしますと、垂直的公平と言いますけれども、一体何が公平だという物差しがあるのか、こういうことになるわけでございます。私どもは、今むしろ垂直的な不公平というか累進性が余りにも大き過ぎてこれじゃ公平じゃない、こう考えている人もあるわけです。ですから、どこを物差しにしてお考えになるのか、ひとつお考えを聞かせていただきたいと思います。
  246. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 所得の高い人もやっぱり働いて税金を取られていくというのは苦痛ですし、その辺のこともありまして今度の税率というのは上限五〇%になっておる。ただ、どこを基準にして物の判断をするかというと、圧倒的な国民多数、特にきのうも申し上げました民間で働いております女性の労働者というのは非常に低賃金なんですね。あるいは本当に民間の八〇%、九〇%、これは商工委員会で何回も議論しておりますが、そこの人たちというのは無権利状態あるいは低賃金の皆さんが多いわけです。これは国民の大多数なんです。そこに響いてくる消費税の導入というのはやはり家計に大きな打撃を与えるから、そこに焦点を当てて、応能主義に沿った税金の取り方というのが私どもはベターだと、このように考えております。
  247. 大木浩

    ○大木浩君 今大変に低所得で苦労している人が国民の大多数だとおっしゃいましたけれども、その辺に私どもは多少違った考えを持っているわけでございまして、所得が少ないということからいえば、それはパートタイマーの人もおるでしょうし、それからいろんな人がおるわけですね。親がかりのこのごろの労働貴族、いやOLですか、というような人、OL貴族、何というんですかな、要するにいろんな立場の方がおるわけでございますよ。  ですから、私は先ほども申し上げましたけれども、一人の個人のライフサイクルの中でどういうふうに課税をするのが望ましいかということについてやっぱり考え方があるんだろうと思いますけれども、そういったことを無視して、今の時点でこの人たちは非常に低所得層だから税金をもう絶対かけちゃいかぬとかそういう議論ではないと思うんですが、今申し上げましたライフサイクルとの関連でどういったお考えをお持ちなのか。私はこの間政府が導入いたしました所得税の軽減とそして非常に低率の消費税とその組み合わせというのは非常に合理的なものだと思いますが、今ライフサイクルとの関連においてどういうふうにお考えになっておるのか、ひとつお考えを伺いたいと思います。
  248. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 確かに、さきの税制改革法案の中身というのは構造的な改革が中心でございました。その大きな中身というのは所得税の減税、そして累進構造の状況を非常にフラットにするということで、上限を五〇%に下げましたですね。この点につきましては、しかしよく中身を分析してみますと、そのことによってやはり二千万以上の所得を取る人というのは非常にこの税金の率が下がってきているわけですね。ところが、いろんな計算があるだろうと思いますが、私どもは私どもなりに計算をしている。先ほど言いましたように、本当に圧倒的に多い国民の中小未組織で働いている人たちは、逆に私どもが推計している中ではこの消費税で家計が圧迫される、こういうことがやはりそのライフサイクル云云以前に現実の問題として出ている、そのことを言いたいわけです。そして、しかも今のこの三%がやがて三が六になり一〇になるということは、持てる者と持たざる者との格差が大変開いていく。このことをやはり一つは問題にしていると私は思うんです。  それからもう一つ、この税制改革の大きな柱というのは法人税の減税でございますね。一兆八千億の法人税の減税、これは大変な金額ですから、要するに広く薄く大衆から取った税金を、所得税の減税しかも割合所得の高い人の減税とそして法人税の減税に充てている。このことについてはしかとお互いに認識をして、いろいろ考える前にここが共通の認識に立つかどうかで先生意見が分かれるんじゃないでしょうか。
  249. 大木浩

    ○大木浩君 先ほどちょっと私途中まで言いかけたんですが、梶原先生国民の大多数とおっしゃったですね。ですから、今そういう非常に低所得層だということで、先ほど申し上げましたライフサイクルの問題を含めても、どうしても消費税じゃ困るという人は一体大多数というような数字なんでしょうか。どういう方を考えておられるか、ひとつ御説明願いたいと思います。
  250. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 今数字はかばんの中に入っていてすぐ出ないんです。  たびたび言っておりますように、私これで三回目ですが、総理府の統計で勤労者世帯の毎勤統計かなんかの数字で見ますと、たしか三千数百万の雇用労働者が民間で働いている。その人たちの男性の勤続年数と年齢と賃金、所得、それから婦人の所得と賃金というのはこの前から何回もここで言っております。それに家族を入れますと要するに非常に多くの、大多数の国民をそこで網羅することができる。それ以外に年金生活者あるいは仕事のない人、そういう非常に困っている人、そういう人のこともさらにまた含めるべきだと考えております。
  251. 大木浩

    ○大木浩君 どうも納得しないんですけれども、やっぱり身体障害者とか母子家庭だとか、いろいろ特別の立場の方がおられますよね。そういう方方につきましてはいろいろと歳出の面も含めて考えることができるということでございますから、やはり消費税という非常に大きな全体について対象としているときに、一部について問題があるから、それだから全体が動かないんだというのは、ちょっと私は理屈としては通らないことじゃないかというふうに考えております。  それからもう一つ、今垂直的公平の話のついでに、今度は水平的公平でございますけれども、これは水平的公平というのはやっぱり私はいろいろ問題があるので、制度としての公平が保たれておるかそれから現実に徴税ができるかできないかというような公平と、いろいろ問題はあるわけですけれども、そういう面からいえば少しずつ制度の面でも政府としては努力をしてきておるわけでございます。これは一朝一夕では解決できないからこそ、それについては引き続き改善をしながら、しかし先ほど申し上げました消費税というものがある意味での水平的な公平というものを達成するわけですから、それについてはやはりそういったプラスの面を考えて、そして先ほどの御議論もございましたけれどもいろいろな税制を、タックスミックスという言葉、どなたか英語は嫌いだとおっしゃっていましたけれども、日本語では何といったですかな、いずれにいたしましてもやっぱりいろんなものをまぜ合わせてあるいはかけ合わせて上手に使っていくというのが私はいい税制じゃないかと思います。  それはビタミン剤だって一つだけではなかなかだめですから、いろいろなものを飲めばやはり効果があるわけで、確かにそれぞれの税制については欠点がございます、ビタミン剤だって副作用があるかもしれない。しかしそういったものを上手にかけ合わせて、副作用はできるだけ少なくしながらしかし全体としてバランスのとれた税制というものをつくり上げていくというのがどこが悪いかと思うわけでございますが、ひとつ御意見をいただきたいと思います。
  252. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 大木先生、失礼しました。先ほど言いました数字がありましたから、ちょっと時間をいただいて申し上げさしていただきたいと思います。  これは国税庁が調査をいたしました資料ですが、先ほど言いました数字は昭和六十二年度の給与総額、これは民間の方の給与総額ですが、一年を通じて勤務した給与所得の平均年齢は男子が四十一・一歳、勤続年数が十二・四年の方が平均給与四百五十二万円、女子が八・五年で四十・四歳で二百十九万円、このようになっております。そして、給与所得者三千七百六十七万人、うち男子が二千四百七十万人、女子が千二百九十七万人、非常に多い数字です。
  253. 大木浩

    ○大木浩君 今のはフルタイムの数字ですか。
  254. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) これは恐らく勤続年数が、国税庁の調査ですが、女子の場合が八・五年、こうなっておりますから、パートが入っておるかどうかはそれはわかりません。  それから水平的な公平の問題について、特に私は今の税制の中で問題があるのは直接税、間接税というそれの対比の中じゃなくて、直接税の中に所得税、所得税の中に源泉徴収でもう給料から天引きされる者と所得申告をする者と、その内部で同じ所得でありながら税金を納めている人は所得の把握等がなかなか税務署等で難しい。そこでやっぱり差が出る、矛盾が出ている、不公平が出ている、この辺の問題も非常に大きいんだと私は考えておる。ここを一体どうするかという問題がやはり課題になっていると思うんです。
  255. 大木浩

    ○大木浩君 どうもなかなか意見が合いませんけれども、先ほど消費税についての一番大きな御反対の理由といたしまして、今は三%だけれどもすぐ上げるだろうと、こういうお話でございました。  これは非常に乱暴なお話でございまして、これはあくまで国民の代表である国会によって税率はどうするかということでございますし、少なくとも今の内閣は三%でやっていくと言っておるわけですよ。だから、それはむしろ皆さんの言っていることの方が非常に不正確でございまして、さっきもほかの先生のお話にも出てきましたけれども、この選挙のときの皆様方のお使いになったパンフレットに、「来年は五%にアップか。」と書いてございますけれども、別に我々は五%なんて絶対に言っていないので、こういう紙をお流しになって五%だ五%だと言うのは、やっぱり私は、申しわけないけれども、これはインチキとは言いませんけれども、虚偽というのか誇大広告というのかとにかく不正確であることは間違いないので、こういうものをお流しになって選挙をやられてやっぱり国民の判断が下ったとおっしゃっても我々はこれはなかなか納得できないわけでございまして、どうぞひとつその辺は、我々は今三%と言っておるんですから少なくとも今の段階で三%がいいか悪いかということを議論していただくわけでありまして、全然我々が言っていないことを基準にしてもらっては困ると思いますが、いかがでございますか。
  256. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 先ほど佐々木先生と大分年金問題で議論いたしまして、数字でいろいろまだ解釈が違っていることもありますけれども、いずれにしても高齢化社会の到来に向けて何らかの形で財源措置をしなきゃならない時期が来るだろう。それに対して今の三%の消費税では到底これは間に合うものではない。しからばどのような方向で、我々が今言っているのは総合累進課税を中心にしてそして間接税は従という、それを主にして従という形で財源を今後は考えていこうという基本的な考え方だと。じゃ、いや間接税を入れて間接税で対応していくという考え方がニュアンスの中で出てくるわけですね。だから、私は先ほど上げるとか上げないとか言ったつもりはない。ニュアンスはそんなことは言っていないと思いますが、しかし先のことを考えた場合には今の三%ではどうも対応できるものではない。どっちの方向でだから財源を賄うかという問題で、これはやっぱり大きな岐路であると考えております。  パンフレットの問題については私よく知りませんが、見ておりませんが、党として三を五にすると断定したようなものは私は出していないんじゃないかと思うんですが……。
  257. 大木浩

    ○大木浩君 いやいや、それは「来年は五%にアップか。」と、「か」と書いてありますわね、それは。「か」だけれども、これは「か」というのは、やっぱりだろうということですよね。これは選挙中のパンフレットでございますから勢い余って筆が滑ったかわかりませんけれども、しかしやっぱりもらう方の国民の立場になって考えてくださいよ。これはもう今にも、あした五%になるというふうに感ずるじゃないですか。どうも申しわけないけれども、これはやっぱり少し不正確な何というんですかね、少なくとも不正確だとは申し上げられると思うわけでございます。後でお渡ししますけれども。  大分時間がたってまいりました。外も暗くなってまいりましたので、私は時間はありますけれども、大分お疲れのようでございますから多少サービスしようとは思いますけれども、今までの議論の中をひとつ私は取りまとめさせていただきますと、四党さんの御議論は一つは先ほど申し上げました応能主義ですよね。しかし、応能主義についてどういう物差しがあるんだということについては、結局どうもはっきりしたたとえ抽象的にもしろわかるような御議論というのは私はなかったと思います。ですから、もう一遍聞け聞けというお話がございますので、一体応能主義の基準というのをもう一つ。これは梶原先生ですか。
  258. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 税制というものの本来の目的というのは、所得や資産の大小に基づいて社会的な再配分を行う、そういう任務が大きいのだと思っております。その場合には所得や資産の大きい人が大きな負担をしてもらう、少ない人は小さな負担をしてもらう、非常に少ない人はマイナスの負担ということで政策的援助が行われるわけですね。これが税制を通じての政治の任務だと私は思っております。  その前に、今お尋ねございました応能主義というものの基準は何かということでございますが、国民の皆さん方の納得を得られるような基準を決めていくことが政治の責任を持つ者の重要な判断なのではないでしょうか。もしそれが何かのきちっとした物差しがあるのであれば政策上の論議を行う必要はないわけでございまして、その基準をめぐって論議を行うところに税制をめぐる私どもの使命の上に立った論議が必要なんだと考えております。
  259. 大木浩

    ○大木浩君 私どもは先般消費税を含む法案を出したわけでございます。そして我々の判断からして、我々はもちろん応能主義というのは十分に主義としてわかっておるわけですから、それを我々なりに解釈して、現在置かれた状況からすれば例えば所得税の上限の方は低くするとか、そういったようなことも含めて全部が応能主義として適当であるということで私どもは出しました。  それに対して今度は野党さんは四党案を出しておられるわけですから、もしも我々の判断が間違っておるということであるならば、どこが間違っておるかということをもう一歩踏み込んで御説明をいただかないと、要するに応能主義だ応能主義だと言うだけでどっちがいいんだということを国民は判断できないわけですよ。たまたまこの間選挙で私どもは大変に厳しい結果をいただきましたけれども、私は本当にそういったことまで含めてよくわかって投票したのかどうか甚だわからないというふうに考えております。
  260. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 趣旨説明以来何回か申し上げてまいったことでございますけれども消費税というのはこれは議会制民主主義の上から考えてまいりますとその導入の手続に重大な誤りがある、これが一つでございます。それから消費税の内容は、いろいろ御議論がございますが、これは逆進性が非常に強い。これは消費税そのものが昨年論議をされます際にも、提案されました側からも懸念として言われていることでございます。さらに、この消費税がいよいよ実施されます段階で、消費者として税を実際に負担した人たちが、自分たちが確かに納めた税金が非常に多額に国庫に入らない、このことを知ったわけですね。  それじゃ、こういう欠陥のある逆進性の強い消費税というものを手続を誤ってなぜ強行されたのであろうか。だから、この消費税についてはもう一遍もとへ戻して、そして税制の再改革を国民の意見もよく聞いてやってもらいたい。そこに今日ここ消費税廃止法が提案され、御議論を願っている問題があるのではないでしょうか。自民党の政調会長さんも、消費税を導入するに当たっては消費者の意見を聞くことが十分でなかったということを言っておられるわけです。消費者が税金を直接負担する人たちであります。こういう人たちの意見を聞かなかった、こういうことになれば、やはり消費税はその導入において決定的な誤りがあったと思うのです。そのことが参議院選挙の結果として国民の皆さんの御判断になったのではないでしょうか。
  261. 大木浩

    ○大木浩君 私は今応能主義について、現実に今の日本の状況で自民党が案を出しまして、社会党さんも案を出して意見が違っておりますから、それとの関連で応能主義をどういうふうにお考えがということを聞いたわけでありますが、いろいろお話しになりましたけれども、依然として新しいお話はないわけでございまして、特に今手続のことをおっしゃいましたけれども、それじゃ手続によって応能主義の基準が変わるわけですか。
  262. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) いや、今消費税は間違っているかという意味のお尋ねだったと思いましたので、私申し上げたのでございます。  応能主義ということでまいりますと、消費税は応能主義というこの原則を適用するには非常に難しい税制だと思っております。
  263. 大木浩

    ○大木浩君 どうもこれは同じところをぐるぐる回っているわけでございますが、ですからいろいろなものを組み合わせて全体として必要な累進性を実現すればいいと申し上げているわけでございまして、それは消費税というものに逆進的な性格が結果として出てくることはそのとおりでございます。  しかし、そういうことを言えば、それじゃ自動車に乗れば事故が起こるということで自動車に乗るのは全部やめるかというような話でありまして、あるいは薬にもいろんな副作用があるけれども薬は必要があれば飲むわけでございますから、それはやっぱり、だからといって消費税が絶対に適用できない税であるということは私はどうしても理解できないわけでございます。もう既に世界各国がみんな、日本だけが逆進性が出るわけじゃなくて、消費税というのはどこの国にだって逆進性が出るんじゃないですか。この日本という国だけが非常に違った機構だから逆進性があらわれると思いませんが、どうでございましょうか。
  264. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 所得税の場合には、これは応能主義の基準がございますですね。消費税の場合にはそういう基準というのは立てようがないんじゃないでしょうか。  それで、水平的公平というのは税制の上で不公平感、重税感をなくするために税制改革を行うということが言われてまいりましたけれども、不公平感、重税感というのは何であったのだろうか。これは所得税の累進性をなだらかにする、所得税の軽減を行う、課税最低限を引き上げるというようなことによって重税感がある程度解消されていくという面もございます。  それから不公平感というのは、先ほど梶原提案者も申し上げましたように同じ所得、同じ資産の人が同じように税金を負担しているのかということに対する問題、それから税制上のいろいろな特例や優遇措置が不公平になっているのではないかという納税者の気持ちですね、こういうものが不公平感と言われてきたのであって、同じ品物を買ったらだれでも同じようにそれに税金を払うんだということでそのような不公平感が解消されるということにはならないと私は思うのでございます。
  265. 大木浩

    ○大木浩君 いやいや、それは物事のいろいろな違うところの面を全部並べて議論をしておられるわけでございまして、例えば消費税についてだって一種の応能性、応能的な結果が出てくることはあるわけですよね、たくさん買えばたくさん。それはあくまで、結果的には逆進性になるのか、あるいは比例性になるのか、全く消費パターンがだれでも同じなら本当は同率になるわけですけれども。だから、それはあくまで一つの性格でありますから、私は消費税について応能性があるとかないということを余り議論してもしようがないわけです。ただ、一種の応能性はあるということを一つは申し上げました。ですからあくまでこれは、何遍も同じことを申し上げますけれども、全体としてどうかということを議論していただかないと、さっきから申し上げておりますように、要するに多少副作用があるから薬を飲まない、あるいは自動車事故が起こるから自動車に乗らないというのと全く同じでございまして、どうしても議論にならないと思うわけでございます。  これは何回も同じことを申し上げていてもあれなんですが、もう一遍先ほどの、余り時間もございませんので、手続のことを非常に申されました、そうして国民の審判としてこれは消費税というものはだめなんだということだからだめなんだと、こういうお話ですよね。後は議論でなくて、要するに手続がだめだからもう絶対にだめだというお話でございますが、私は先回の参議院の投票結果というのは一体何であったろうということを私なりに考えておるわけでございます。もちろん私どもは非常に厳しい結果が出たことについては反省をしておりますけれども。しかし本当に国民が、まさに消費税がいいか悪いかという一点だけで投票したかということになれば、これは私は全く違った判断を持っております。  要するに、あの参議院の選挙において国民はいろんなことを考えながら判断をしたと思います。その判断の基礎にある知識、そういうものもあるわけですね。そうすると、あのときの判断の基礎にあった知識あるいは情報、情報というのは先ほどのビラなども見せていただいて得た情報でありますが、それはどういうことかといってまとめてみますと、一つはみんなが何となく増税だと思うから反対だと、そういう人もあったと思います、それは。必ずしも増税でなかったけれどもよくわからなかったから、少なくとも自分の、私のポケットから税金が出るから全体として増税だと思った人もある。あるいは消費税の逆進性だとかいろんなことを言われて、その部分だけをわかったか何となく聞いて投票した人もあるかもしれません。それから、私先ほどから強調しましたけれども、ライフサイクルという問題について我々は随分に説明したつもりですけれども、これは残念ながらなかなかわかりにくかったということでございます。知識としてわかりにくいし、実感としても、なかなか若い人が自分の老後のことについて実感として理解することも難しかったかと思います。  それからこれは既に午前あるいはきのうの議論でも出ておりましたけれども、私は野党さんの方の物品税の話ということについて十分な知識を持っておったとは思いません。それから物品税についてもう一つつけ加えますと、仮に物品税にしてもサービス課税というようなことも考えておるとおっしゃった。ですから、いずれ近いうちに出てくると。しかし、それについても私は国民は十分な知識はなかったと思います。したがって、あえて言えば、大変失礼な言い方ですけれども、私は国民は十分なる知識がないままに消費税について、あるいは今回の全体の税制改革について十分に知識がなくて投票をした。それについては私どものPR不足でございます。その点は我々の立場から言えば残念だと、その点について私は反省をしておりますけれども消費税という悪いものを出したから国民にノーと言われた、だからその消費税を出したことについて反省しているかといえば、私どもは反省はしておりません。だからこそ今こうやって一生懸命国民に理解をしていただくように議論をしておるわけでございます。  今の点につきまして何かコメントがございましたら、伺いたいと思います。
  266. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今の大木さんの御見解は、御見解として私はあなたが御主張になる御自由があると思っております。しかし、自由民主党に所属される政治家の中にも手続の問題についても公約違反であるということをおっしゃっている方もございますし、参議院選挙の結果を党の幹部であった方やそれから、強行採決と私ども思っておりますが、あの本会議の採決の指揮をとられた当時の議長さんでさえも、あの消費税は参議院選挙においてリコールされたようなものだ、こういうことをおっしゃっていると新聞に掲載をされております。だから、それぞれ御見解があるんじゃないでしょうか。  それから、国民の皆さんは知らなかったということについては私はいささか見解を異にいたしております。昨年あれだけかなりな時間論議がされ、そして連日のように報道される中で、むしろ国民の皆さんはこの消費税の何たるかをよく御承知だったのではないでしょうか。そして、参議院選挙が行われるときには既に消費税が導入されて四カ月を経過していたのであります。そういう時間の経過の中で、消費税を実際に負担する中で国民の皆さんは審判を下されたものでありまして、このことについて国民が無知なるがゆえに消費税に対する判断を誤ったというとり方は、私の絶対に受け入れることのできない見解でございます。
  267. 大木浩

    ○大木浩君 私は、国民が無知であるとは言っていないんです。国民は国民でそれなりにいろいろと情報も得たと思います。しかし、今回のこの税制の問題に関する限りは、やはり税制というものは非常に難しいわけですね。そして、各野党の皆さん方は反対の立場からいろいろとPRをされました。まあPR合戦におまえ負けたかと言われれば、私は負けたということを認めざるを得ないと思うんです。しかし、だからといって本当に国民に十分な情報が伝わっておったかということになれば、それは私は伝わっていなかったと申し上げておるわけでございまして、別に国民が無知であったとか、そういう言葉で言い争おうとは思っていないわけでございます。  そこで、いろいろと議論をしておりますと、今度の野党四党さんも物品税という形で要するに間接税は提案しておるわけですよね。全く間接税なしでいいと言っておられるわけじゃない。ただ、直接税が主で物品税が従だと。何をもって主とか従とかするという、これもまた実は数量の問題になりますけれども、まあいいでしょう、主であろうと従であろうと。しかし、そうしますと今度は物品税というもののいろいろな問題点と消費税の問題点と、これを並べ合わせてどちらがいいか、こういう問題になると思います。  物品税についての議論もここ数日もうさんざんにやりましたので私は今一々は繰り返しませんけれども、やはり私は物品税もサービスを含めて相当実質的な物品税をやるといえば、だんだんに消費税に近づいてくるのではないかというふうに考えるわけでございます。ですから、むしろ物品税が含んでおるいろいろな問題点というのは消費税によって解決できる問題もたくさんあるわけですね。個々の商品間のいろんなバランスというような問題は、初めから全部同率にしておけばそれを前提にして国民は判断するわけですから、むしろ非常にわかりやすい。あるいは物品税でどういうものを入れるかということについていろいろ議論がございました。私は、個々の品物について、どれが入るべきだどれが外れるべきだということのほかに一つ申し上げたいのは、やはり現在のこの高度大衆消費時代と申しますか、そして国民が買う品物というものが非常に高度化し多様化し、もうどんどんどんどんと新しいものが出てくるわけでございますね。  先般いろいろとお話がございましたように、野末先生はおれに任せればちゃんと教えてやるとおっしゃいましたけれども、いかに野末先生といえども、私はこれから出てくるいろんな新しい品物について一々これは入れるか入れないか、何%だということをお決めになる暇はとてもないと思います。今度おつくりになると言っておられます何とか協議会で私はそんなことを本当に十分に議論して、毎日毎日一つずつ品物が入るか入らぬかということを議論できるであろうかと思いますと、私はそうじゃないと思うわけでございます。結局、私は消費税と物品税の差というのはごく相対的な話であって、こちらは絶対にだめこちらはよろしいというようなことにはならない、むしろ物品税の方に多くの問題点を含んでおるのじゃないかというふうに感ずるわけでございます。  先日も、あれはどなたの御質問のときでございましたか、野党の先生の名前を出して恐縮ですけれども、春日先生のお話がございまして、例のつくだ煮論でしたかな、つくだ煮論が出てきましたけれども、ああいう問題も出てくるわけですね。  私、野党の先生のお話ばかりして恐縮なんですが、ちょうど私同郷でございますので、ここに民社党の前委員長の塚本先生の対談録があるんですけれども、それを見ましても、塚本先生もかなり物品税についての問題点、そして結局は消費税になっていくのじゃないかなというようなことを述べられております。これは週刊朝日の九月十五日号でございますが、ちょっと読ませていただきますと、これは質問で、  連合政権協議で当面の問題になっている消費税について、民社党の立場が分かりにくいという声はやっぱりありますね。 それに対して、  民社党が廃止と潔くいえなかったのは、すでに実施されているからです。その中には、所得税の減税も入っております。不公平といわれた物品税も廃止されました。九兆二千億という大減税をさせておいて、そして一方における五兆四千億の消費税だけを廃止するということになれば、その財源をどうするんだということで、どう探してみても適当な財源を全額見つけることは極めて難しい。 云々と、こう言っておられるわけです。  で、またいろいろとやりとりがございまして、結局、塚本先生発言というか、ここに、記事ですけれども、  私は、今後いちばん問題となるのは年金だと思うんです。 と言っておられます。これはさっき佐々木先生がさんざんやられましたので、もう大変な問題ですよね。そして、年金をどうするんだということについて、いまだにはっきりとしたお答えはないわけでございますが、塚本先生のお言葉に戻りますと、  今後いちばん問題となるのは年金だと思うんです。消費税財源だけの問題ではない。というのは、私たち、産めよ増やせよのときに生まれた昭和初めの人間が、いままで年金を積んできて六十七・三兆円。これからは、これをいただく番なんですよ。十年でなくなりますよ。これから追加で納めてくれる若者は各家庭で平均二人か三人ですよ、子どもは。そうすると所得を中心とする税だけでは、福祉国家を続けるのは、物理的に不可能でしょう。   だから、年金を確保するためにどうしたらいいか。やっぱり間接税という問題は当然議論の対象とならざるを得ない、欧米諸国と同じような道を歩くんです。 それから後またいろいろとやりとりがありまして、結局  大型間接税はいずれ必要という認識のようですね。 という質問に対して、これはいろいろと細かく言っておられますけれども、要するに、自分は大型間接税消費税が必要だと思っておったけれども、もう選挙で社会党さんが大変勝たれまして勢いが強くなったので、ほかの人の声がどっかへ吹っ飛んじゃったというようなお話でございます。  だんだん時間がなくなってまいりましたので、これは民社党さんのお話でございますから、しかしいろいろと社会党のことも触れておりますが、まずもって民社党さんからひとつコメントをいただきたいと思います。
  268. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 後でまたお見せいただきたいと思うわけでございますが、私ども民社党は自由に論議をやっていこうということで、いろいろ自由な発言もやっていこうということでございます。しかし、この税制論議につきましてはもう参議院の選挙の結果こういう審判が出たので、やはり消費税については廃止を我々も訴えていこうということでございまして、そのためにはもう廃止だけではやはり国民の皆さんが納得ができないだろうということで、責任野党としてのその代替財源論議を私たち民社党内でもやってきたわけでございます。けんけんがくがくいろいろやりました結果、結果的には御提案いたしておりますように物品税の復活に落ちついたわけでございまして、問題は確かに種々抱えておることは十分私ども承知をいたしておりますので、二年間をかけまして物品税も含めて存廃も含めて一体どうするのかということを論議していきたいというふうに私どもは思っております。  また、年金法が重要だということにつきましても、私もやはり年金は重要であるということでございまして、これの財源は大型間接税でやるというような今ニュアンスの塚本前委員長のお話がありましたけれども、それについてはまた本人からお聞きをしてみたいというふうに思いますが、私どもは大型間接税は避けては通れないというふうには思っておりません。大型間接税よりも、直間比率とか直接税の不公平の是正、間接税の不公平の是正の中で、直間比率の問題もまた間接税の中でのどういう間接税が必要なのかということも、この二年間をかけて十分論議をしていこうというのが私たち民社党の主張でもございます。
  269. 大木浩

    ○大木浩君 時間がもう余りございませんので、ひとつまとめとして各党さんの御意見を伺いたいんですけれども、先ほども年金の話がございましたですね。そして、細かい数字は別として、社会党さんなりほかの――あれは社会党さんの数字でしたか、先ほど議論しておりましたのは。とにかく、野党の方でいろいろと壮大なる年金計画、福祉政策というものが打ち出されておりますけれども、私どもの判断では全然その裏打ちができていないという感じがするわけでございます。  そういう点も含めますと、もう一遍申し上げますけれども、私は皆様方がおっしゃるように先般の参議院の選挙で審判が下ったんだ、だからまず初めに消費税廃止ありきだということはどうしても同意できないわけでございます。  むしろ私どもは、確かに国民に御理解を得られなかったから残念ながら選挙で大変痛い目に遭いましたけれども、もう一度努力して、本当に私どもとしては国民のためにはよかれかしと思って提出した消費税、もう一遍議論をさせていただけるなら十分に御理解いただけるんだと思って出しておるわけでございますが、ひとつ野党さんから最後のまとめのコメントをいただいて、終わりにしたいと思います。
  270. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 大木先生の御意見は御意見として承りました。ただ、大変私どもとは見解が違っておる、こういうこともきょうのお話を伺いながら私どもなりに理解をいたしました。  私どもとしては、消費税廃止法がこの臨時国会において成立いたしますことを強く希望いたしております。しかし、会期の関係等もあり、もしこれがいろいろ議論もあって決着がつかないとするならば、総選挙において今お話がございましたように国民の皆さんの改めての御審判を仰ぐ以外にないのではないかな、こう考えております。
  271. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 私は、先ほどから大木さんの御意見をお伺いしておりまして、非常にびっくりいたしております。  それは何かといいますと、先般の参議院選挙の結果を本当に皆さんがどういうふうに受けとめていらっしゃるかということであります。現在の参議院が要するに議席がこれだけ自民党さんも減ったわけです。そして、これからの三年間の議会運営というものを考えますときに、これは大変な状況であるということはもう御存じのとおりです。そういうふうな意味で私どもは、先ほどから話を聞いておりますと、大木さんのおっしゃっていることを私メモしたんですが、国民が十分なる知識がなかったままに投票をした、こうおっしゃいましたけれども、私は国民はそれなりにきちっと審判をしたと受けとめております。そういうふうな意味では、国民に対するやっぱりあれじゃないかなと私は思うわけです。本当にそこら辺の受けとめ方の違いというのが今ここに出ているわけでございまして、そういうふうな意味では、これからの新しい時代を考えるに当たりましては、どうしてもやはりそこら辺のところをよくお互いに話し合って、共通の土壌をつくってこれからの話し合いをしなければいけない、そういうふうに私はしみじみと感じた次第であります。
  272. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 大木委員のお話を聞いて、私も新しい会派として消費税反対ということを公約にいたしまして圧勝した一人として、少々腑に落ちないところがたくさんありました。それは、やっぱり反省はしていないというその言葉に非常に私は驚きました。日本の憲法にこのような言葉があります。「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、」、そして、「その福利は国民がこれを享受する。」という言葉があります。私たちは、国民の厳粛な信託によって出てきているわけですから、国民の声というものに謙虚に耳を傾けるのが本来の政治家の姿であるというふうに思います。私も、これからそういうつもりで国政を担当し、この消費税廃止法が一日も早く可決されることを願っております。
  273. 大木浩

    ○大木浩君 いろいろと御意見がありましたけれども、あと一分でございますから私は最後にまとめとして言わせていただくわけでございますけれども、確かに国民の声を聞くというのはこれは民主主義の第一歩でございます。しかし先ほど、いつだったか、リンカーンの話を持ち出して言われた方もありますけれども、私は国民が誤ることもあると思うんです。国民が誤る、情報不足あるいは判断を誤ることだってあると思います。したがいまして国民に自動的に追随するだけでは私は政治家としての責任は果たせないと思うのであります。  古くはポーツマス条約の際の小村外相、あるいは近くは日米安保条約改定の際の岸首相に対しまして、国民は日比谷公園の焼き討ちやあるいは国会議事堂への乱入というような行為をもって応じたわけでございます。しかし、私はその後の歴史は二人の政治家の判断が正しかったことを示しておると思います。  今回の消費税についても、確かに非常に私どもは国民から厳しい審判、審判というか判断をいただきましたけれども、あえて国民のためには善であるということを信じて消費税を毅然として提出しておるわけでございます。その声が国民に届くことを祈りまして、私の質問を終わります。(拍手)
  274. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 九案に対する本日の質疑はこの程度といたします。  次回の委員会は明三十日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時二分散会