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1989-11-28 第116回国会 参議院 税制問題等に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月二十八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  十一月二十八日     辞任         補欠選任      安恒 良一君     翫  正敏君      山口 哲夫君     北村 哲男君      山田 健一君     穐山  篤君      常松 克安君     中川 嘉美君      野末 陳平君     秋山  肇君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中村 太郎君     理 事                 井上 吉夫君                 沓掛 哲男君                 宮澤  弘君                 村上 正邦君                 稲村 稔夫君                 及川 一夫君                 本岡 昭次君                 矢原 秀男君                 近藤 忠孝君                 古川太三郎君                 寺崎 昭久君     委 員                 伊江 朝雄君                 小野 清子君                 大木  浩君                 梶原  清君                 鎌田 要人君                 久世 公堯君                 佐々木 満君                 谷川 寛三君                 前島英三郎君                 松浦  功君                 松浦 孝治君                 守住 有信君                 山岡 賢次君                 吉川 芳男君                 穐山  篤君                 翫  正敏君                 上野 雄文君                 大渕 絹子君                 粕谷 照美君                 北村 哲男君                 渕上 貞雄君                 細谷 昭雄君                 前畑 幸子君                 村田 誠醇君                 刈田 貞子君                 常松 克安君                 中川 嘉美君                 和田 教美君                 橋本  敦君                 高井 和伸君                 三治 重信君                 下村  泰君                 秋山  肇君    委員以外の議員        発  議  者  久保  亘君        発  議  者  佐藤 三吾君        発  議  者  梶原 敬義君        発  議  者  小川 仁一君        発  議  者  峯山 昭範君        発  議  者  太田 淳夫君        発  議  者  笹野 貞子君        発  議  者  勝木 健司君    国務大臣        大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  水野  清君    政府委員        総務庁行政管理        局長       百崎  英君        科学技術庁原子        力局長      緒方謙二郎君        外務省経済局長  林  貞行君        大蔵大臣官房審        議官       濱本 英輔君        大蔵大臣官房審        議官       石坂 匡身君        大蔵省主計局次        長        寺村 信行君        大蔵省主税局長  尾崎  護君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        向 準一郎君        自治大臣官房審        議官        兼内閣審議官   遠藤 安彦君        自治省行政局長  森  繁一君        自治省税務局長  湯浅 利夫君    事務局側        常任委員会専門        員        竹村  晟君        常任委員会専門        員        保家 茂彰君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○公聴会開会承認要求に関する件 ○消費税法廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○消費譲与税法廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○地方交付税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○税制改革基本法案久保亘君外七名発議) ○法人税法等の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○通行税法案久保亘君外七名発議) ○物品税法案久保亘君外七名発議) ○入場税法案久保亘君外七名発議) ○地方税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会開会いたします。  消費税法廃止する法律案消費譲与税法廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題といたします。     ─────────────
  3. 中村太郎

    委員長中村太郎君) この際、公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となりました九法案の審査のため、来る十二月五日午前十時に公聴会開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 御異議ないと認めます。  つきましては、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 中村太郎

    委員長中村太郎君) それでは、前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 昨日に引き続いて質問をいたします。  昨日、途中になりましたので、まず最初にそちらについてお答え願いたいのでありますが、平成年度における代替財源収入幾らになるかについて、金額だけをお示しいただきたいと思います。  私が試算してみますと、平成年度代替財源による税収は約三兆円というふうに思います。当たらずといえども遠からずという数字だと思いますので、まずその三兆円に対して異議があるかどうか。なければ、平成年度代替財源による収入は三兆円ということでこれからの審議質問を進めたいと思いますので、一言で結構ですから、三兆円に対して異議があるかないか。これから私が三兆円ということでこの審議を進めるに当たってそれを拒否するかどうか、それだけをまず簡単にお答えください。
  8. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) おおむねそのとおりでいいと思います。
  9. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 では、その不足する三兆円をどういうふうにして穴埋めしようとされておられるのか教えてください。
  10. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) それでは、昨日の質問の続きでもありますから、詳細に申し上げることにしたいと思います。  私ども考え方といたしましては、昨日も申し上げましたが、もともと税制改正というものの持つ、かねがね政府がやっている手順を大体見習ったわけであります。したがいまして、私ども平年度のいわゆる税収というものがどうなるかということでずっと主張を続けてまいりました。  御存じのとおり、政府消費税税収の場合に、昨年の十二月までは五兆四千億という金額を示しておりました。そういう点から、私ども初年度がどうなるかということについてはかねがねから頭にあったわけでございますが、実際問題として初年度のいわゆる法人税あるいは国税間接税関係、それからその他相続税関係等がどういうふうになるかということを実はいろんな角度から検討させていただきました。それで、きのうからお話がございましたように、ことしになりまして政府平年度消費税廃止による税収が五兆九千四百億という発表がございましたので、これを参考にいたしまして私どもはそれぞれ税収見積もりをやったわけでございます。  いろいろとございますが、まず法人税から申し上げますと、法人税につきましては私ども平年度で大体一兆三千八百億と見たわけでございますが、初年度はこれは法のいろんな建前から、きのうも申し上げましたが、ほぼ半額になる、そういうふうな計算をいたしております。金額で申し上げますと大体六千八百億を見込んでおります。  それから国税間接税関係でございますが、これは平年度どもは一兆二千六百九十億、こう見込んでおりました。これもいろいろと計算をさせていただきまして、国税関係間接税初年度は一兆一千九百九十億と計算をいたしております。その他、キャピタルゲインとそれから相続税等については、これは大体平年度と同じではないか、こういうふうに考えております。  それから地方間接税関係は、実はこれは大体六千億と平年度計算いたしておりました。これもそれぞれ月が欠ける部分が出てまいりますので、地方間接税といたしましては五千二百二十五億円と計算いたしております。  それからもう一つございまして、国税はね返り分につきましては、これは半年決算とかいろんな問題がございますからほぼゼロに近い数字である、こういうふうに見込んでおります。  以上でよろしいですか。
  11. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 私は、そういうことを聞いたんではなくて、その三兆円穴があいたら、その穴をどうされるかということをお聞きしたんですが、今峯山さんはそれに率直に答えてくれませんでしたので、いわゆる本会議やこの委員会でそれをどうするかということについて久保議員から趣旨説明がありましたので、それをまず読ましていただきたいと思います。  それによりますと、「そのほか、税収見積り是正適正化の一部を制度改正で代替されない消費税廃止に伴う減収分約一兆七千億円を充当し、」というのがあります。要するに税収見積もり是正適正化で出てくるお金をこの穴分に埋めたいということを言っておられるわけでございまして、そのことは今も変わりませんですね。久保議員、答えてください。一言で結構です。
  12. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 趣旨説明で申し上げたとおりでございます。
  13. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 そこで、きのうはこの税収見積もり是正適正化というのは何かと質問いたしましたら、自然増収だと言われましたので、恐らくそういう形であると思いますので、私はそれについて議論いたします。  あなた方が言っておられる自然増収は、通常言っておる場合は見積もり誤差年度間増収があるんですが、その年度間増収的な話をされているようには思います。しかし、こうして消費税六兆円が入る。それに三兆円しか代替財源はないので三兆円の穴があく。その穴埋めをそういう年度間増収やあるいは税収見積もり誤差、そういうものでする、そういう予算的な制度、仕組みはありません。そしてまたそういう量的な余裕もありません。それを明快に御説明いたします。  まず、制度的ですが、その見積もり誤差というのは、来年四月から一年間税収幾ら入ってくるかを来月の十二月に見込むわけでございます。その見込んだ金額と、来年四月から実際の経済が動いて一年間で税収幾ら入るか、それとの差額を言うわけでございます。したがって、今の時点、正確に言えば来月に、来年の四月から一年間の税収見積もりを予測するわけでございますから、今のうちから、その税収見積もりが低くて、そして実際の経済は高くなるというそういうことは言えないわけです。もし確実に神様がいて税収幾らになるというならば、それを四月から一年間の税収見積もりとしなければならないわけでございまして、来月、来年四月以降一年間の税収見積もりをすれば、それよりも実際の税がふえる確率も減る確率もほとんど同じでございます。経験的に申し上げましても、財政というのは一年で見るべきものではございません。財政継続性がありますから十年ぐらいで見るのが通常でございます。  そういたしますと、昭和五十年から六十三年まで、いわゆるそういう見積もったものと実際の決算額がどれだけ税収で違ったかをさっと申し上げます。  昭和五十年は三兆五千億マイナスでした。年度は言いません、数字年度別で。五十一年は千三百億のプラスでした。次は九千億のマイナス。次は四千億のプラス。次は二兆二千億のプラス。次は四千億のプラス。次は三兆三千億のマイナス。それからその次は五十七年ですが、六兆一千億のマイナス。五十八年は四百億のプラス。五十九年は三千億のプラス。六十年はマイナス三千五百億。六十一年は一兆三千億プラス。六十二年は五兆六千億プラスというふうになり、六十三年は五兆六千億のプラスになっております。  これを全部、五十年以降のものをプラスマイナスとを足してみますと、見積もったよりも実際が多かった分が十六兆、少なかった分が十四兆でございまして、十四年間でプラス二兆円となっております。一年間で割りますと千五百億円の誤差でございます。非常に適切に大蔵省は見ているなというふうに思います。  その一年だけ見てみれば、景気でいろいろ当然税収には波があります。使う予算の方はそれほど、大体経常的に伸びていますが、税収は非常に波がある。これはなぜかというと、直接税に偏り過ぎているからなんですよ。そういうことでバランスをとらしておくことが必要なんですよ。直間比率というのは、あなたは結果的だけだと言っていますけれども、そうじゃなくて税収全体の姿、そういうものを見る上において大変重要なんですよ。余りに日本の場合は直接税に偏っておりますから、どうしても景気によって大きな変動が出てくる。しかし、十年間ぐらいのインターバルで見れば、まずまずの姿になっております。  したがって、今皆さん方の言っておられることを数字を用いて言えば、来年の歳出予算は恐らく六十五、六兆になると思います。恐らく今度税制改革がなければ、来年四月からの税収見積もりは五十七兆ぐらいだと思います。そうすると、仮に六十六兆と五十七兆としますと、九兆円の差があります。その九兆円はどうして穴埋めするかというと、税外収入が大体納付金等で二兆円ほどあります。そして、残り七兆円は借金をするんですね。国債を発行して国は借金するんです、七兆円。  ところが、今度は五十七兆が恐らく三兆ぐらい減って五十四兆になるとどういう結果になるかというと、借金が七兆でよかったものを十兆円にするんですよ。要するに、あなた方は三兆円の借金国民に押しつける。いわゆる子供から老人まで一人当たり二万五千円の借金を押しつけることによってこの案が成り立っているんですね。そういうのがこの自然増収の中における一つ見積もり誤差なんです。  それからもう一つ年度間のこの増収というのを御説明いたします。年度間の増収というのは、ことしの四月に、税収がことし幾ら入るかというのを見積もりました。しかし経済成長がありますから、来年四月税収、それから一年間で幾ら税収が入るかという見積もりの方はふえるはずです。その経済成長による税収増をいわゆる自然増収と言う場合があります。これについても昭和五十年以降のを全部調べてみますと、これも全然そういう余裕はありません。  申し上げますと、昭和五十年の税収決算額は十三兆七千億です。昭和六十三年は五十兆八千億ですから、この十三年間に税収は三十七兆円ふえております。十三で割りますと、一年間平均二兆八千億ふえております。  しかし、皆さん忘れてはいけませんよ。歳出増というものもまたあるんです。歳出増はどうなっているかと申しますと、一般会計歳出昭和五十年は二十一兆、昭和六十三年は五十六兆ですから、三十五兆四千億ふえております。十三で割ると二兆七千億でございますから、いわゆる税収はこの十三年間平均二兆八千億ふえているけれども歳出もまた二兆七千億ふえておるので、まあ千億は少し税収の方がふえている。しかし、その根っこには、借金がその前からありますので、そういうものも実際は余裕がないわけでございまして、そういうことからいっても、まず皆さん方の穴のあいたものは借金以外でカバーできないんですよ。そういう税収的にも余裕はありません。  また、もし皆さん方の言うことをやるんだったら、私は、サラリーマンは我慢できないと思いますよ。それは経済成長によって一番税金を取られるのはだれかといったら、累進課税をかけられているサラリーマンなんですよ。サラリーマンは自分の所得の伸びよりもずっと高い税金を取られるんです。そして、もしその取られたものをほかの穴埋めにやられるというんだったら、私らサラリーマンでもとても我慢はできませんね。  そういうふうに制度的にももちろん成り立っていません。峯山さんの言うことは制度的にも成り立っていないし、量的にもそういうことはあり得ない。要するに、一言で言えば、皆様方のやることは三兆円の借金国民に押しつける、子供から老人まで一人当たり二万五千円の借金を押しつける、そういうことになるんですよ。それについて何か意見がありますか。
  14. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今長い時間をかけて御見解をお述べになりましたけれども、私はただいまの質問者の御意見には全く見解を異にいたしております。  と申しますのは、今、年度ごと税収見積もり誤差についてお話がございました。確かにこの十数年を例にとってまいりますと、見積もりよりも決算額マイナスとなったことが六回ございます。しかし、見落としてはならないことは、三十一年以来三十数年間の間に前年度決算額よりも翌年度決算額が減少したという例は、昭和五十年第一次石油ショックの年だけでございます。あとはずっと決算額対比では税収伸びておるのでございます。
  15. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 歳出増もありますよ、歳出増
  16. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) その話はまだ、今からやるんです。  それから、この税収年度内の見積もりが赤になった、つまり、見込みよりも税収が少なかったという年を平均して見るということはいかがなものでしょうか。五十六年、五十七年は確かに、昭和五十六年度の場合には当初見積もりよりも三兆一千億余の決算における減収がございます。五十七年度には六兆六千億余の減収がございます。しかし、このときにそういう見積もり誤差がなぜ起きたのかという財政当局政策判断についても私どもはしっかり見きわめなければならないと思うのでございます。そういうこともずっと私どもは検討をいたしました上で、最近五カ年間における税収決算額における伸び率は九・五%になっていることを一つ考え方の基礎に置いて、そしてこの税収伸び見通しながらやっているのでございます。  今あなたは、あなたのお考えとしてそんな伸びはない、こういうことをおっしゃいましたけれども、単年度見通しでさえ専門大蔵省がやりましても七兆円を超えるような見誤りがあるわけでございまして、この見通し一つ見解をもって、君らの見解誤りだということで押しつけることはいかがなものであろうかと思っております。  私どももそのようなことを十分に検討いたしました上で、いわゆる自然増収と言われてきましたものを制度的な財源として言っているのではありません。制度的な財源ということになりますと、増減税関係においては、今度私ども提案をいたしております税制改革によっては、明らかにこれは六兆円に及ぶ消費税廃止する、つまり、これを減税と見ることもできるでしょう。それに対応する分が来年度において税収として三兆円余しかないということになれば、税収伸び率というものを考えながら、そういうもので総合的に歳入歳出を念頭に置いて財政的にどのように整合性を保てるかということは、これは来年度予算編成に係る問題でありまして、結果的に税収伸び、つまり歳入伸び分がこの消費税廃止に伴う財源として充当される結果となってくるということでありまして、これは一にかかって来年度予算編成によって決せられる問題だと考えております。  そのことは、自由民主党におかれても今日まで、例えば昨年、増減税減税超過分二兆六千億円は、本年度予算においてそのような財政的な処理として措置されたはずであります。前年度における二兆円の減税、また前々年度における一・八兆円の減税分についても、そのような予算編成における措置によって結果的には歳入伸びが充当されたものだと考えております。  また、今歳出の増を言われましたが、歳出増は当然増として考えられるものは平均的に三・五%程度であると考えております。
  17. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 もう時間がないので簡潔に言います。  その三・五%というのは一般歳出だけの話でしょう。一般会計の方は六・六%ですよ。あなた方は全然予算書を見ることも知らないんじゃないですか。(発言する者あり)聞きなさい。一般会計があって、いわゆる国債費を出し地方交付税を払う、その残り一般歳出です。これは三・三ですよ。しかし、この国全体の一般会計は六・六%になっているんですよ。まず、ちゃんと義務的経費国債借金したものは払わにゃいかぬのは当たり前でしょう。地方交付税法律で決められているでしょう。それを出した残り一般歳出と言っているんですよ。それの話をしとっちゃだめですよ。一般会計幾ら入るかということなんです。  それから、宮澤大蔵大臣の言われた二兆六千億もあなた方は全然正しく理解していないんですよ。これを宮澤さんが言われたのは去年の八月でしょう。去年の四月に税収見積もりをやりました。そして、もう既に四月、五月、六月、七月と税収も入ってきました。そして、見積もったよりも相当余計入ってくるので、一年の半分近くいけば税収見積もり幾らになるかは、だれだってふえてきたということはわかるので、それをもとにしてやったんですよ。今皆さん方宮澤さんが去年の八月の話をおととしやったとすればそれは間違いですが、それはもう去年の八月に見積もり誤差のものをちゃんとやったので、制度的にぴしっと合っているんですよ。  そこで、皆さん方に申し上げたいんだけれども、要するにいろいろ審議してきたこの法案には既に十数カ所のミスがありました。また、今回のこの代替財源見積もりも、不足するのは当初一兆三千億と言っていた、それが一兆四千億になった、そしてまた一兆七千億になった、そしてまた今度は三兆円となる。こういう欠陥だらけのものを出されて、皆さんまだそういうものを審議されようと思っているんですか。もうここで皆さん潔くきちっと、全部これは提案をやめたと言うべきじゃないですか。  それからもう一つ、時間がないので、それで皆さん方はこの代替財源を示すのはいわゆる政権担当能力があることを示す、政策責任を示すということを言われましたけれども、こんなにミスの連続で、あなた方はそれでも政権担当能力や、あるいはそういうものがあると思われておりますか。それから、それに対して久保議員は、本来ならば我々はそういうものを示す義務はない、いわゆる憲法上予算権内閣にあるから示す必要はない、ただ政権担当能力を示したいだけだと言いましたけれども、その前半もいただけません。  まず、法律は最低限の道徳である。よく覚えてください、皆さんも若いとき勉強された人は覚えていると思うけれども法律は最低限の道徳なんです。この世の中の秩序、またここで議論されることは最高の道徳と倫理観を持ってやるべきことなんです。しかし、まあ私は最高の道徳、倫理観とまでは申しませんが、常識で議論していただかなきゃいけない。いわゆる子供だって権利を行使すれば義務があることはもう当然なんですね。今、道徳もいわゆる倫理観もどうにもならない状態になったときに初めて法律が出てくることであって、やはりここではそういう最高の道徳、いわゆる倫理観で議論するのが理想だけれども、そうでなければ、せめて世の中の常識が通用するようなことで議論をしていただきたいと思います。  またそれから一つ申し上げたいのは、予測が違うとかいろいろ言いましたけれども、今我が国で、世界じゅうでもそうなんですが、いわゆる景気予測と天気予報の予測は外れても責任が問われないことになっているんですよ。結局今まで、じゃ景気予測がどれぐらい違ったかどうか私も研究してみましたら、昭和六十二年、六十三年、二十数機関でいろいろ検討したけれども、全部外れていましたね。六十二年、六十三年、みんな大幅に外れていました。ちょっと数字だけでも申しますと、例えば実質経済成長は五・二%でありましたが、見積もった二十数社の中で一番高いのが三・五、低いのが一・六でございました。六十三年度は、実質が五・一で、一番高く見積もった人が四・四から三・一。五十六年度では逆で、実質は三・三%でしたが、いわゆる最大のものは五・七、最小も四というふうにみんな高く見積もっていました。こういうふうになかなか予測というのは当たり外れがあるものですから、一年だけで見てそういうものを言うべきでありません。  久保議員は五年と申しましたけれども昭和六十一年十一月からこの好況がスタートして、ずっと今に続いているからなんです。景気はやはり必ず波を打つものですから、また波が大きく来る、山高ければ谷深しという、そういうふうに波が来るんですよ。そういうことで、やはり十年ぐらいできちっと見なきゃ、だれも助けてくれる人はいないんですから、日本の財政は日本人がやらにゃいかぬのですから、やはり十年ぐらいでゆっくり見ていただきたい。  景気にいろんな要因がありますから、それだけ申します。日本の現在の景気に非常に影響をこれから及ぼす要因としては、原油価格の見通しの問題、円レートの見通し、物価の見通し、金利の見通し、米国経済見通し、労働需給の見通しなどなど、もう非常に不安要因が多いんですよ。だから、やっぱり経済のことをみんなでしっかり力を合わせてやっていかないと日本はやっていけないし、この間勝木さんが言われたように、税の目的の中に、国民みんなが生き生きとして活動できるような税制でなけりやならぬと言っておられるのが、まさにそのとおりですよ。そういうことで一緒に頑張っていかにゃいけないけれども、ともかくこの皆さんの出されたものは余りにもひど過ぎるということを申し上げて、私の質問を終わります。  答弁は要りません。(「答弁させろ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)答弁は要らない、答弁は求めない。(発言する者多し)
  18. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 時間でございます、時間です。
  19. 梶原清

    梶原清君 私は、最初に峯山先生にお尋ねをさせていただきたいと思います。  昨日、谷川先生の質問に対しましてお答えになりましたことを重ねてお尋ねをいたすわけでございますが、先生は、私は、消費税廃止するのだから、税制改革の中で消費税導入に当たって廃止されたものは一応原則的にそれを復活する、こういう原則はある程度持っている、このように御答弁なさったはずでございます。消費税廃止するのだから、消費税導入に当たって廃止したものは一応原則的に復活する、この考え方はそれなりに理解ができるわけでございます。先般行われました税制抜本改革と申しますのは、所得、消費、資産にわたって適正な税負担をどのように求めるか、これを一体的にとらえたものでありましたから、先生のおっしゃいますことには一つの理屈があると思います。  そこでお尋ねをいたしたいのは、税制改革の中でと今申しましたが、その税制改革の中でと申しますのは税制再改革の中でなのか。と申しますのは、先生方がおっしゃっております税制再改革の中でと、このようにおっしゃっておりますのか、今回提案されてまいりました代替財源措置のことを指しているのか、これが私にはよく理解できませんでした。と申しますのは、個別間接税の復活に関するやりとりの中でその御答弁が出てまいりましたので腑に落ちない、もう一つよくわからない。そこでお尋ねをするわけでございます。もし、税制改革の中でというのが税制再改革の中でだとおっしゃいますならば、先生方がお考えになっておりますこれからの税制再改革の方向というもの、あるいは税制再改革の姿、全体像というものがおぼろげながらでもわかってくるわけでございます。その点につきまして御答弁をいただきたいと思います。
  20. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 私どもは今回の税制改革につきまして、まず消費税廃止するということで、そのかわりの財源をどうするかという議論になりましたときに、実はそのかわりの財源をどういうふうにしたらいいかという議論が随分ございました。  その中で、いわゆる代替財源というのは用意をしなくてもいいんじゃないかという御意見と、責任政党としてそういうことは無責任じゃないか、やっぱりきちっと財源を用意した方がいいんじゃないかという御意見とございました。しかもその中で、代替財源を用意するからには、先ほども申し上げましたが、消費税導入に当たって、廃止をされた、あるいは改善をされ、改正をされた部分を本当はそのまま入れかわってもとへ返すのが一番いいんじゃないかという御意見もあったわけです。  そういうような原則的なことを踏まえまして、まことに申しわけないんですが、我々としましては、所得減税についてはいろんないきさつから、サラリーマン皆さん方やいろんなことを考えるとこれはちょっと無理だろう。そういうようなことで、それ以外の問題については、それぞれの税目に従って検討さしていただいて、いわゆるこの改革の、これは税制再改革じゃございませんで、私が申し上げておりますのは、税制改革の中で出てきたいわゆる代替財源というふうにおとりいただいていいんじゃないか、そういうふうに思っております。
  21. 梶原清

    梶原清君 次に、先ほど私が読み上げました峯山先生の御答弁に引き続きまして、このようなことをおっしゃっておるわけでございます。選挙期間中に言わなかったと言うが、これは何を言わなかったかといいますと、個別間接税の復活のことを言わなかった、こういう意味でございますが、選挙期間中に言わなかったと言うが、私どもは選挙の最中に発表した、四野党も発表しているが、私たちも税制改革の基本的考え方の中に、個別間接税の復活は明確にうたい込んである。したがって、選挙期間中に国民に申し上げておったということをわかっていただきたいと。間違いないと思いますが、いかがでしょうか。
  22. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 私どもは、税制改革の問題につきましては、まず選挙の前に発表いたしておりまして、それから選挙の期間中にも発表さしていただきました。  その部分で申し上げますと、税制再改革の基本的な考え方という項目の中で、第四項目の中で個別間接税の復元ということで、個々に詳細に述べさしていただいております。
  23. 梶原清

    梶原清君 そこで、私どもは選挙の最中に発表した、こういうことをおっしゃっておりますことにつきまして、私どもはというのは公明党さんでございますが、今おっしゃいましたように、選挙期間中に個別間接税の復活ということをうたっておられると。そのような文書を見たことがあります。したがいまして、おっしゃるとおりだと、これを否定するものではございません。しかし、四野党も発表しているがということは果たして正しいかどうか。これが私がこれから議論していきます上で非常に重要なことになりますので、この点をはっきりしていただきたいと思います。  四野党といいますのはここにお並びの先生方の会派でございますが、社会党さんと公明党さんは多かれ少なかれ文書の中に出ております。連合参議院さんと民社党さんは一つも出てこないんです。にもかかわらず、四野党も発表しているがとおっしゃいましたのは正しいか正しくないのか、端的にお答えをいただきたいと思います。
  24. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) その点につきましては実は私の勘違いがあったかもしれません。その前に四野党の書記長さん、政策審議会長さんのレベルで話し合いが続けられておりまして、消費税廃止ということで一致をいたしておりまして、中身の問題について発表したかしていないかという点については、発表していたんじゃないかなという私の勘違いがあったかもしれません。
  25. 梶原清

    梶原清君 次に、私たちも税制改革の基本的考え方の中に個別間接税の復活を明確にうたい込んである、したがって選挙期間中に国民に申し上げておったということをわかっていただきたい、このように先ほども読み上げましたが、これは果たして正しいでございましょうか。この税制改革の基本的考え方というものは、いつ、どのような形でお示しになったのか。したがって、選挙期間中に国民に申し上げておったということが正しいか正しくないかということをお尋ねしておるわけでございます。
  26. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) これは七月の十一日、選挙の真っ最中でございましたが、記者会見をして発表さしていただいております。
  27. 梶原清

    梶原清君 それを国民の皆様がいかに理解し認識しておったかということが私は問題になろうかと思います。  それでは、次に進めてまいりたいと思います。久保先生にお願いをいたします。  これは社会党さんが選挙中にお出しになりました参議院選挙政策ダイジェストの写しでございます。「社会党はこう考える 怒りの一票、日本を変える」という題での文書でございます。これをちょっと関係のところを朗読させていただきます。  日本社会党委員長の土井たか子先生の署名入りで、「いっしよに変えましょう。日本の政治」。文書の中身でございますが、「社会党は、他の野党をリードし、幅広い国民のみなさんとともに、こん身の力をふり絞って頑張る決意です。」「消費税、やめさせます。」「こんな私たちの問いかけに、イエスですか、ノーですか。投票日に、お答えを出してください。」、この文書をお出しになっております。このように社会党さんは、先般の参議院選挙で、消費税廃止するということは強くそしてかつ明確に国民に訴えられておる、このように私は理解をいたします。それならば、物品税等の復活につきまして、具体的に国民皆さんに、有権者の皆さん方にどれだけ認識し理解されるような訴えをなさったかどうか、これをお尋ねいたします。
  28. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) ただいまお尋ねの問題につきましては、消費税廃止の党の税制改革プログラムとして国民皆さんに選挙中にお示しをしてございます。
  29. 梶原清

    梶原清君 大変失礼な言い方かとも存じますけれども、土井委員長の「消費税、やめさせます。」、このようなイエスかノーですかという問いかけが選挙の期間中に行われてきた。物品税等が復活されるなどとは夢にも思わないで選挙権を行使された有権者の方が多いんではないだろうか、私はそう思うわけであります。社会党さんの「消費税、やめさせます。」という消費税廃止という公約だけが前面に大きく出て、個別間接税等の復活についてはささやかに言われてきたような、文書は出されたけれどもそれが有権者の目にも耳にも余りとまらないで選挙権が行使された、そして参議院選挙が行われた、私はそう理解しておるわけであります。  そこで、重ねて久保先生にお尋ねをいたしますが、先般の参議院選挙で消費税廃止について国民の理解と合意が得られた、これは常々おっしゃっておるところでございますが、それならば、物品税等の復活についても国民の理解と合意が得られた、国民の審判を得ていると、このように断言されますかどうかお答えをいただきたいと思います。
  30. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今、選挙中に党が公約としてお示しをいたしました文書をめぐってのお尋ねでございますが、消費税廃止するかどうかというのは、これは先ほど沓掛議員からも御意見がございましたが、法律はまさに最高の道徳、正義に貫かれていなければならない、こういうことについて私は同感でございますが、それならば消費税は議会制民主主義に照らして正義に貫かれたものであったろうか、私は、これはまさに道徳を言うならば政治の道徳にもとるものであったと、こう思っております。  そういう意味で、消費税に対する国民皆さんの御判断を参議院選挙で問うたことはただいま御指摘のとおりでございまして、消費税をやめさせるかどうかについて国民皆さんの御判断が明確に参議院選挙の結果として示されたものだと考えております。これが問題の主題でございます。ぜひ今度のこの法案審議当たりましても、この消費税をどうするかという問題の本質を皆様方と十分論議させていただけたらありがたいと思っているのでございます。  その中で、物品税の復活が果たして問われたかどうかという御意見でございましたが、この消費税をどうするかという主題の上に立って、具体的にそれでは廃止に伴ってどうするかという手段についても私どもはお示ししてございます。当然に国民皆さんはそれらのこともお読みいただき、お聞きいただいて御判断をいただいたものだと思っておりますが、この選挙後、最近も行われております各種の世論調査の中にも、消費税廃止できるならば物品税の復活を認めてもよい、これはやむを得ないのではないかという国民皆さん方の御意見はかなり多いと承っております。
  31. 梶原清

    梶原清君 御意見は御意見として拝聴いたしまして、見解を異にしておることだけを申し上げさせていただきまして次に進ませていただきます。  社会党さんは、先般の参議院選挙で「消費税廃止させます。」という中小商工業者向けの政策シリーズを出しておられるわけでございまして、これがそのコピーでございます。お認めいただけると思います。その中に、「間接税という名の直接税。」というページがございます。短い文章でございますので、ゆっくり読み上げさせていただきます。   消費税の導入の理由として、自民党は「税負担の公平の確保」を言っています。直接税と間接税とのバランスを是正すると言われても、納得することはできません。 これからが大切になります。   消費税は、物品税などの間接税と違い、直接税である法人税・所得税と同じように、申告・納付という手続きにより、消費税額を税務署に納めます。   これでは、自民党の宣伝のように「税金を取られる痛みがない」どころか、納税義務者である中小企業は、毎年一回か二回の消費税納付のために、借金をしなければならなくなりました。   これでは、間接税の衣を被った、直接税としか言いようがありません。 このようにお書きになっておるわけでございます。  そこで、大変細かいことを言うようで恐縮でございますが、お許しをいただきたいと思います。二、三御指摘をいたします。  旧物品税も、そしてこのたび皆さん方提案されております物品税も納付手続というのは申告納付ではないかと思いますが、いかがですか。
  32. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) そのように承知いたしております。
  33. 梶原清

    梶原清君 それでは、先ほど読み上げました文章、消費税は物品税などと違い「直接税である法人税・所得税と同じように、申告・納付」であるといいますことは、逆に言いますと、物品税は申告納付ではないということをおっしゃっておるわけですね、この文章は。そうですね。もう一遍読みますよ、これはもう一遍。「消費税は、物品税などの間接税と違い、」「法人税・所得税と同じように、申告・納付」手続をすると。そうすると、物品税は申告納付でないということをここにお書きになっておるんです。正しいですか。正しくないですか。
  34. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 大変恐縮でございますが、私もここにその現物を今見せてもらいました。それで、今梶原さんが御指摘になっております点は、このパンフレットを担当いたしました者が少し、今御指摘のような点で申されますと、少しこれは理解不足もあったのかなという気がいたしております。  ただこれは、間接税という名の直接税であるということを特に中小商工業者の皆さんに強調いたしておりますゆえんのものは、この消費税によってこれが第二事業税とかそういうものに、転嫁できない場合にはなってくる、そのような場合にはこれは間接税という名前の直接税になってくるおそれがあるのですよということを強調したものである、このように理解いたしております。
  35. 梶原清

    梶原清君 この文書は公にされておると思いますね。その公の文書に天下の公党が一般に向かって、「中小商工業者の皆さんへ」ということで出しておられますね。そうしますと、これから物品税が復活をいたしまして申告納付しなきゃいけませんね。申告納付でないというふうに社会党さんはおっしゃっておるということの、この文言はだれが読みましてもそのようにしか理解できないんです。  今おっしゃいましたような点の第二事業税になるかどうかというようなお話は、これは話は別でございます。問題は、ここに書いてあります納付手続がどうかということについて、間違った国民向けの宣伝をしておられる、PRをしておられるというふうに私はとるのですが、いかがでございますか。
  36. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) この全体は、今私が申し上げましたようなニュアンスのことを後段でお示ししているわけです。確かに今の御指摘の問題について、申告納付という物品税が、申告納付ではないというような意味にここをとられるといたしますと、この辺は正確を期さなければならなかった問題だと思います。  ただ、その申告納付のやり方というのは、物品税の場合と消費税の場合とは違っております。
  37. 梶原清

    梶原清君 申告納付であることは、前も今回予定されておるものも変わりないわけです。消費税もそうです。にもかかわらず、この文書は――学者でおられます笹野先生がおられますから、解釈されるのはお得意だと思いますが、私が読みましたとおりに読むべきだと、このように思いますが、笹野先生、いかがですか。今ゆっくり読みました文章でございますので、当然お聞きになっておると思いますので、御答弁をいただきたいと思います。
  38. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) まことに恐縮でございますが、これは社会党の文書でございますので、私に答えさせていただきたいと思います。
  39. 梶原清

    梶原清君 そうしますと、この文章は間違った認識を有権者に与えたというふうに受け取っていいでしょうか。その点だけ。
  40. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 確かに御指摘されました点を素直に読みますと、物品税が申告納付の方式によらないかのごとき印象を、認識を与えるものであると思っておりまして、その点については、意図のいかんを問わずそういう読み方を一般的にされるとしますならば、これは訂正をしなければならぬ問題だと考えております。
  41. 梶原清

    梶原清君 このような文書が出た状態で選挙が行われたということはこれは紛れもない事実だと思いますが、次に移らせていただきます。  先ほど読み上げました文書の中でございますが、消費税が申告納付であるために、「納税義務者である中小企業は、毎年一回か二回の消費税納付のために、借金をしなければならなくなりました。」、先ほど読み上げましたとおりでございます。これはどういう認識からこのような表現をなさったのか、私にはその御趣旨が理解できないんです。事実に反すると思いますけれども、お答えをいただきたいと思います。
  42. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) これは、私どもが承知をいたしておりますところでは、所得税や法人税を納付いたします場合に、中小企業の皆さんの中にはその税金を納付するという義務を果たすために借金をしなければならない例を私どもは幾つも承知しているわけでございます。これにさらに消費税納付ということが加わってまいりますと、実際にはその消費税は預かっているお金でありますから借金しなくてもあるじゃないかと、理屈はそうでございます。しかしまた、転嫁できない場合もございます。いろいろな場合もございますし、また実際にその預かり金となったものが経営のために使用されるという場合もございます。実際に中小企業の実態としては納税期にその税金を納めるために金策に苦労をされているというのはこれは実態ではないでしょうか。そのことに基づいて私ども借金をしなければならない場合があるということをここにお示ししているのでありまして、もしこの点について中小商工業者の皆さんに訴えましたこの文書が事実に反しておれば、中小商工業者の皆さんからこの問題については、先生の御指摘を受けるまでもなく、御反論があったはずだと思っておりますが、私どもはそのようなことをいまだお聞きしておりません。
  43. 梶原清

    梶原清君 この消費税の仕組みにつきまして深い御理解をいただいておりますので預かり金という今お言葉がありましたが、消費税が申告納付であるために借金をしなければならないという文章になっておるわけです。何度読み返しましてもそういう文章になっておるわけです。転嫁ができないからどうこうという表現にはなっていないんです。ここを私はお尋ねしておるわけです。  そこで大蔵省さん、政府当局から、今の問題につきましてどういう仕組みになっておるのか。今、久保先生は十分な御理解をいただいておると思いますが、この点についてもしコメントすることがあればしていただきたいと思います。
  44. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) この「消費税廃止させます。」という文書でございますけれども、ただいま御指摘のございましたように、「物品税などの間接税と違い、直接税である法人税・所得税と同じように、申告・納付という手続により、消費税額を税務署に納めます。」と、まずこう書いてございますが、ここは御承知のとおり物品税も消費税と同じように申告納付であったということは同じでございます。それを受けまして、「これでは、自民党の宣伝のように「税金を取られる痛みがない」どころか、納税義務者である中小企業は、毎年一回か二回の消費税納付のために、借金をしなければならなくなりました。」というようにございますけれども、これは資金繰りの問題ではございますけれども、他方で年に一回か二回の消費税の納付ということのために消費税を運用しているというような御意見が逆にあるような状況でございますので、必ずしもこれによって借金をしなければならないということにはならないのではないかというように存じます。
  45. 梶原清

    梶原清君 それでは、次にもう一つ、大変恐縮でございますが、お尋ねをさせていただきます。  社会党さんは「消費税廃止のプログラム」という政策シリーズを出しておられます。長文のものもありますが、国民に対して「社会党は提案します」というこういう印刷物が出ておることは御案内のとおりだと思います。  この中に気になることが若干点あります。「間接税はどうするのか」というくだりで文章が書かれておりますが、ゆっくり読み上げます。   社会党は、直接税を中心として、資産課税の適正化間接税の改善を主張しています。消費税廃止したら間接税はどうするのか、という疑問がありますが、社会党のプログラムではちゃんとそのことも盛り込んでいます。物品税を復活・改善し、三段階の税率に簡素化します。もちろん、食料品や教育、医療など生活必需部分には課税しません。ただし、ミンクの毛皮やダイヤモンドなどには従来並みの税金をかけます。また、物品税の最低税率は三%にしますから、電機製品などの値段も現在と変わりません。消費税のように逆進性も物価上昇も心配いりません。 これは間違いないと思います。  そこでお尋ねをさせていただきますが、旧物品税ではミンクの毛皮、ダイヤモンドの税率は何%であったか、お答えをいただきたいと思います。
  46. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 一五%でございます。
  47. 梶原清

    梶原清君 それではこのたびの物品税法ではこれらの物品の税率を何%にしておられますか。
  48. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 一〇%にいたしてございます。
  49. 梶原清

    梶原清君 社会党さんの御主張は、担税力のあるぜいたく品には多くの税を負担してもらう、こういうお立場であると伺っております。物品税の性格からしましてもそうだと思います。このミンクの毛皮、ダイヤモンドなどいわゆるぜいたく品に従来は一五%、あるいはそれ以上にしなければいけないというのが社会党さんの常々おっしゃっておりまする理念に沿うものだと思うんですが、一五%を一〇%にされたのはどういうわけですか。
  50. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私どもといたしましては、選挙の段階で物品税の復元を暫定的に検討いたします場合には、これらのこれまで旧物品税法で第一種としてまいりましたものにつきましては従来の税率でよいのではないかという考え方を持ってまいりました。しかし、今回これを法案として提案してまいりますに当たりましては、各党でいろいろと協議をいたしました。また、消費税が実際に三%として適用されてしまった現状も十分に勘案の上、これは一〇%にとどめる方がよかろうという判断をいたしたものでございます。
  51. 梶原清

    梶原清君 笹野先生は女性でいらっしゃいますが、化粧品は女性の必需品だと思います。これは間違いがないですね。その化粧品は旧物品税では五%なんです。それが今度の税率は四%になっていますね。五%のものを四%に、わずかしか引き下げられておりません。  担税力のあるぜいたく品には多くの税金をかけます、生活必需品には余り税金をかけません、これが社会党さんの年来の御主張じゃございませんか。生活必需品であるところの化粧品を五%からわずか四%にしておいて、私どものとても手の届きませんミンクの毛皮とかダイヤモンド、こういうぜいたく品を一五%から一〇%にした。これは「従来並み」という公約とどのように関係するのか、公約違反になると思いますが、その点をお尋ね申し上げたいと思います。
  52. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) この選挙公約として今お読みになりましたことを文字どおり今度の法案と厳密なすり合わせをすると、税率において確かに違いがございます。しかしそのことは、私どものこの税制に関する公約の主題であります消費税廃止するという線上のもとでの私どもの判断の範囲内に入るものだと私は考えております。厳密な御指摘でございますとその文章どおりにはなっておりません。
  53. 梶原清

    梶原清君 お考えがよくわかりました。  先ほど読み上げました文書で、物品税の税率を三段階に簡素化する。八%、六%、四%にされておりますね。第一種物品の方はたしか一〇%、八%でございますか、になっておりますが、一般の方は三段階に簡素化する。それで、最低税率を三%にする、このように公約をなさっておりますね。ところが今回提出されてまいりました物品税法によりますと、八%、六%、四%なんです。三%はないんです。他の野党をリードして国民皆さんにこたえるような税制をつくります、このように土井委員長さんもおっしゃっておるわけです。そうするならばなぜ三%になさらないのか。三%にするという公約をなさったんですからそれをなぜ実行されなかったのか、私は遺憾に思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  54. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 他の野党をリードするということを強調されておりますが、選挙のときには党の主体的な立場というものを強調してまいりますのは、これは自由民主党におかれても各政党におかれても同様でございまして、別に社会党が思い上がって他の党を我々の思うようにしていくんだというようなことを申し上げているのではございません。その点についてはよく御理解をいただきたいと思います。  なお、今三%ということがございました。確かに物品税の最低税率を三%とするという表現をいたしております。ただこの場合、三%というのは消費税率三%とのかかわりが一つございます、三の字に。しかし、私どもが今回物品税の復元で出しております税率はこれは製造段階の税率でございます。したがいまして、製造段階四%の税率というのは小売段階になりますと三%を下回る場合もたくさんございます。そういう意味で御理解いただきたいと思うのでございます。
  55. 梶原清

    梶原清君 今久保先生がおっしゃいました蔵出し段階の四%だからということは私もよく理解できます。しかし、選挙公約であると思われますこの文章には物品税の最低税率は三%にすると書いてあるんですから、そのとおり、公約どおりなさるべきだと思うんですが、いかがですか。
  56. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私ども選挙の公約としては、消費税廃止するという立場に立って、この財源を補てんする手段としていろいろな考え方をお示しいたしております。しかしこのお示しいたしましたものは、消費税廃止するという国民の声にこたえる私ども考え方をまとめていく中で、それぞれ四党並びに連合参議院の皆さんとの協議を重ねてまいりまして、そしてその都度合意に達した段階までを国民皆さんにも発表いたしまして最終的にこういう結論になったものでございまして、どうぞひとつ御理解をいただきたいと思います。
  57. 梶原清

    梶原清君 そういうお立場であったということは、新聞紙上でもいろいろ見ておりますのでそれなりにお立場はわかります。しかし、公約違反であるという事実だけは間違いない、このように指摘をして、次に民社党さんにお尋ねいたします。  先般の参議院選挙で民社党も消費税廃止を選挙公約に掲げられたと思いますが、いかがですか。
  58. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) おっしゃるとおりでございます。
  59. 梶原清

    梶原清君 それでは物品税の復活についてお触れになったのかどうか。これは後でも出てまいりますので、私としては非常に重要に考えておりますので、触れられたか触れられなかったのか、その点を端的にお答えください。
  60. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 先生御指摘のとおり、選挙期間中は触れておりません。しかし、その復活に至る経緯について御説明させていただきたいと思いますが……
  61. 梶原清

    梶原清君 ここに民社党さんからいただきました「平成元年予算修正要求大綱」というものがございます。ことしの三月二十二日付のものでございます。ここに書いてありますことを読みますと、「消費税問題については、わが党が修正でかちとった半年間の弾力的運営が厳格に守られるよう監視するとともに消費税の欠陥是正のための見直しを強力に推進」する。ここにあらわれておりますのは、消費税廃止ではなくて消費税の欠陥是正のための見直し、これを強力に推進する、こういうふうに書かれております。  さらにもっと詳しく言われておりますが、「消費税への対応」というところでございます。   われわれの強い反対にもかかわらず導入された消費税によって国民生活や経営に様々な混乱が予想される。われわれはこうした混乱を少しでも防ぐため、半年間の弾力的運営や見直し規定の創設などの修正をかちとった。われわれは、その約束が果たされるよう厳しく監視し、あわせて、消費税導入によって生ずる価格転嫁や便乗値上げなどの多くの問題について国民の声を吸い上げ、その是正を求めていく運動を展開しつつ、政府に対し以下のことを求める。 いろいろ項目が書いてございますが、その中の一つか二つを読み上げさせていただきます。   民社党が導入させた見直し規定を活用し、混乱を最小限に抑えること。とりわけ、消費税の円滑で適正な転嫁がおこなわれるかどうかを厳しく見守り、転嫁が不可能な場合は救済措置を早急に確立すること。   消費税導入に際し、便乗値上げが行われることのないよう、また、物品税などの廃止で価格が適正に引き下げられるよう適切な措置を講じること。 このように書いてあります。ここであらわれております考え方というのは消費税の見直しであって、消費税廃止ということは民社党さんとしてはこれに反することになる、私はそう思います。  そしてさらに、七月十四日にお出しになっております「国民生活防衛のための補正予算の緊急提言」というのがございます。タイトルは「生存の源には消費税を課さず 民社党」というのであります。ちょっとこれを読ませていただきます。  最大の課題は、消費税の逆進性から国民生活を守ることである。ダイヤモンドや高級毛皮のような奢侈品と、住宅・水・食料など生存の源といえるものとを同一視し、一律に課税する消費税は、世界にも類を見ない悪税である。 そしてずっと来まして、「消費税の逆進性緩和のため、生活必需品の非課税化」ということを要求しておられます。   消費税の導入以来、毎日の買物や食事のたびに消費税を取られる消費者、とりわけ家計を預かる主婦の方々には、家計を圧迫し、煩わしい消費税に極めて強い不満がある。   このように、庶民の生活を直撃する今のような消費税は到底放置できないところであり、飲食料品等の生活必需品については、非課税とする。 と書いてございます。  結局、三月に出されたものも七月に出されたものも、消費税廃止ではなくて消費税の見直しであったはずですね。それを選挙のときは消費税廃止という訴え方をされた。そして一方において、増税になりますところの物品税、個別間接税の復活ということを一言も触れておられないで選挙を戦われたはずですね。  消費税廃止ということだけはうたわれたけれども、個別間接税の復活についてどこでどういうふうに訴えられましたか、それを具体的に教えてください。
  62. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 三月二十二日の時点でのお話でございますが、まず、私ども民社党が消費税につきまして見直し規定を入れさせたということは確かに事実でございます。もともと私どもは実施延期を要求して粘ったわけでありますが結果的に通らなかったわけでありまして、それにかわりまして半年間の弾力的運営や見直し規定が導入されたということでございます。しかし、私ども民社党は、この修正だけでは不十分であるということで、消費税そのものには反対の意思表示を本会議初めやっておるわけでございます。そして、成立後の態度といたしまして、廃止を含む抜本的な見直しというものを主張してきたわけでございます。しかし、消費税が実施されてまいりましてから大きな混乱を引き起こしておるということで、少々の見直しではどうにもならないのじゃないかということで私ども廃止に踏み切ったという経緯でございます。  なお、七月の時点のお話もございますが、私たちは消費税に確かに反対をいたしてきました。成立後は廃止を含む抜本的な見直しを主張してきたわけでございまして、消費税が実施されてからやはり日本経済になじまないということで廃止しかないということで、書記長見解で三月の段階でもまた六月の段階でも私どもは発表をしてきたわけでございます。六月の段階では、欠陥消費税の撤回、税制改革のやり直しという表現で発表をいたしております。そして、どういうことかと申しますと、四月に導入されましたが、欠陥、混乱だらけである、そしてまた、これは一たん廃止、撤回をし税制改革全体をやり直すしかないという判断を私どもは下したわけでございます。  今廃止法案が出ているのもここから来るものでございまして、その意味では、若干の手直しではなく、参議院選挙で示された国民の意思からしても廃止に踏み切らなければいけないのじゃないかというふうに思っておりますし、また、今先生から御指摘のありました七月の十四日の補正予算の緊急提言の中でございました食料品の非課税化を発表いたしましたけれども、このときも政審会長がコメントいたしておりますが、欠陥消費税撤回への緊急措置としてでありまして、決してそのことは、廃止法案成立までのつなぎの措置としてということでコメントをしたわけでございまして、これによって私ども民社党は消費税の定着化を目指したものではないということでございまして、この時点での、三月二十二日での提言または七月の十四日の提言については、もはや今日の時点では無用になったというふうに考えておるわけでございます。
  63. 梶原清

    梶原清君 大分私と認識の差がございますが、それでは物品税の復活についてお触れになったのかならないのかということだけを端的にお答えください。
  64. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 私どもは確かにこの選挙期間までは物品税の復活については触れておりません。しかし、私ども民社党は、選挙に当たっては欠陥消費税の撤回をしよう、税制改革のやり直しをしようということで、これをスローガンに選挙を戦ってまいったわけでございます。そして選挙の結果は、御案内のように参議院におきまして与野党逆転という状況からいたしまして、国民の審判は明らかにノーだな、消費税にノーだなというふうに私どもも受けとめておる次第でございまして、物品税の復活については確かに御指摘のとおり触れておりません。しかし私ども民社党は、消費税廃止するに当たりまして、やはり責任野党としてその代替財源を示すことの必要性というものも一方では強調してきたわけでございます。  この立場に立ちまして、党内でも消費税問題等対策特別委員会を設置いたしまして、十数回にわたりまして代替財源について議論を重ねてきたわけでございます。この議論の過程におきましては、消費税廃止する代替財源として製造段階で課税するといういわゆる庫出税と申しますか、製造業者売上税という論などもありまして、種々検討してきたわけでございますが、これらはいずれにつきましても党内で意見の統一を見ることができませんで、結局最後は物品税を復活するということで審議をいたしたわけでございます。  この物品税を議論した際に、課税品目は旧のままで復元することで一致を見たわけでございますが、先生御指摘のように、その税率につきましては審議がいろいろなされたことは先生も御承知のことだろうというふうに思っております。いずれにいたしましても、私どもはこの物品税税率についての審議の過程におきまして、原則としては現行の税負担より重くすべきではないということを強調してそれを確認していこう、そういうことから第二種につきまして八%、六%、四%としたわけでございます。我が党民社党の支援団体の中には確かに物品税の復活に反対している団体もあることは十分承知をいたしておりますが、税率を八%、六%、四%とすること、また二年間の暫定措置であることで納得をいただいておるというふうに私は考えております。
  65. 梶原清

    梶原清君 勝木先生にお願いを申し上げたいんですが、選挙中に物品税等の個別間接税の復活に触れたか触れないかということを端的にお尋ねをしたんです。そのようにお答えをいただきたいと思います。  後で私は民社党さんに対しまして割り切れない気持ちを持っております。ということは、私は自動車の出身でございます。自動車に関連する税金というのはたくさんございます。物品税を廃止していきたい、廃止というよりも物品税が非常に過重な負担になっておる、これを何とかしなければいけないということで業界もそして労働組合の代表の方も、JAFといいましてユーザーの団体の方々とも常に接触を密にして連携をとって今までやってきたわけです。その方が、その民社党さんが物品税の復活、そして個別間接税の復活をするということをよもや参議院選挙の最中におっしゃるはずがないと私思っておるんです。そして、それを今のお話ではしてないということですから。  それではお尋ねをいたしますけれども、選挙中に何も触れなかったことについて、物品税の復活、個別間接税の復活について何も触れなかったにもかかわらず、四会派の提案されますものに名を連ねたということは、実は私どもはがっかりしておるんです。有権者の方々、裏切りになると思うんですが、これは有権者を裏切ることになるのではないかというふうに私は思っておるんです。いかがですか。
  66. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 梶原先生が運輸の関係、自動車の関係であるということは十分承知をしております。私も販売を担当いたしておりましたので、自動車の会長とも御懇意に、労働組合の方でありますが、御懇意にさせていただいておるわけでございます。  いろいろ注文がありましたけれども、最終的には代替財源の、廃止法案のその代替財源として今の消費税を上回らないということで妥協、納得をしていただいたというふうに私どもは確信をいたしておるわけでございまして、また選挙中に一切物品税復活について触れていなかったじゃないかということでございますが、これもやはり私どもは欠陥消費税の撤回、税制改革のやり直しということだけはスローガンとして戦ってきたわけでございます。しかし、選挙の結果として国民消費税にノーだということであれば、その消費税廃止をやはり私どもは主張していこう、その方がやっぱり責任野党としてその代替財源については論議をしていこうじゃないかということで党内でもいろいろ論議をした結果、代替財源として二年間の暫定措置としてこの旧物品税を復活させるということで論議をしてきたわけでありまして、決して国民皆さん方を裏切っておるというふうには私どもは認識をいたしておりません。
  67. 梶原清

    梶原清君 勝木先生は、今の有権者を裏切っておるのではないかという私の問いに対して、裏切っておりませんということをおっしゃいましたですね。なるほど自動車関係の労働組合の方には説得をされたでしょう。私はその事情を全部知っておるんです、説得をされた。嫌々説得に応じた、不承不承説得に応じられたと思います。しかし、自動車関係団体といいますのは、業界もあれば労働組合もあれば自動車の保有者があるんです。たくさんの自動車の保有者がいるんです。このたくさんの自動車の保有者、その人の合意と納得を得られたのか。もう一遍御答弁ください。
  68. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 梶原先生も自動車業界にはお詳しいことは私も十分承知をいたしております。私どもも自動車の組合の会長さん初め、私たちの民社党の有力な支持団体でもございますので、いろいろ意見を聞きながら検討を重ねてきたわけでございまして、結果的には現在の消費税をおおむね上回らないということで御納得をいただいたというふうに認識をいたしております。
  69. 梶原清

    梶原清君 勝木先生、違うんです。労働組合の幹部の方は説得されたでしょう。自動車保有者ですね、日本の国はたくさんの自動車があり、それの保有者がいるんです。自動車の保有者も有権者ですよ。それの納得と合意を得られたのか、このように言うんです。それは公約をしてないものを出されたというところに問題があるんです。これは非常に重要なんですよ。選挙の際の公約は重いということを久保先生はずっとおっしゃっておりますね。全然触れないものを選挙の済んだ後で出すということについてどういうふうにお考えになりますか。国民の同意と合意を得たのか。
  70. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 先生のおっしゃるところもわからぬわけではございませんが、私どもはユーザーの立場も考えてそういう形でお願いをしたいということで考えておるわけでございまして、よろしく御理解をいただきたいというふうに思っております。
  71. 梶原清

    梶原清君 ユーザーの立場を考えてとおっしゃいます点については、また後で御質問をいたします。  次に、連合の笹野先生にお尋ねをいたします。  全く同様の御質問を申し上げるんですが、連合参議院さんも選挙の際に消費税廃止ということは訴えられたと思いますが、どうですか。
  72. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) そのとおりです。
  73. 梶原清

    梶原清君 連合の会からちょうだいいたしました「選挙の公約と主張」というものが手元にございます。「消費税税制改革」の関係のところでございますが、これをゆっくり読み上げます。   欠陥消費税をはじめとする税制改革をやり直します。とくに一兆千二百億円の追加減税を行うとともに低所得者層への軽減税率を適用します。また土地保有税率など資産課税の強化をはかるとともに、プライバシー保護を前提にして納税者番号制度を導入します。 これだけが選挙公約ですね。物品税の復活、個別間接税の復活について一つも触れておられませんが、触れておられたかどうか。
  74. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 私のところのパンフレットを持ってまいりまして、確かにおっしゃるとおりに消費税廃止ということを訴えております。また、私ども連合参議院は十二名立候補いたしまして、この消費税廃止を訴え十一名が圧勝して出てまいりました。現在、連合参議院という院内の会派をつくっておりますが、税制再改革につきましては私どもは不公平税制を見直すという基本的な立場に立っておりまして、今議員が御指摘の個々の細目につきましては、私どもの連合参議院の最も本旨でありますところの社会党、公明党、民社党、社民連の四党と歩調を合わせてこれから国政を改正するということですので、十分この四党と協議をしながらこういう問題についてはこれからやっていきたいと思っております。
  75. 梶原清

    梶原清君 長く御答弁いただきましたが、結局、参議院の選挙の際に個別間接税の復活についてお触れにならなかったわけですね。それだけを端的にお尋ねしておるんですから、それだけをお答えいただければ結構なんです。あとのことは全部承知しておりますから。
  76. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 先生が余り怖い顔をして言われますのでちょっと私も戸惑っておりますけれども、現在の質問では、触れておりません。
  77. 梶原清

    梶原清君 私は、怖い顔になっておるかもしれませんが、気立ての優しい男であることは御承知のとおりでございます。  ただ、選挙の際に、非常に大切であるという選挙公約の中には全然入っていなかった。それを、個別間接税を復活する提案者の中に名前を連ねておられるわけですよ。私は国民を裏切っておる、有権者に対する裏切りであるというふうに思っておるんです。そうではございませんか。  この物品税なり入場税、通行税という復活ですね、これは先日伊江先生の御質問に対しまして久保先生が御答弁なさっております。明らかに増税になるとおっしゃっておられますね。増税になるものを何も言わないで、有権者の方の耳には聞こえのいい耳ざわりのいいことだけをおっしゃって、個別間接税復活については全然お触れにならなかった。そして、例えば物品税の第一種物品というのがありますね。御存じですね、第一種物品。物品税の第一種物品、ちょっと済みません。
  78. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 先ほどから何度も女性の例に出しますように、宝石とかそういうものが入ると思います。
  79. 梶原清

    梶原清君 小売段階課税ですね、第一種物品は。これは明らかに増税になるんです、今回ですね。その増税になる案を提出されるその提案者の中へ入っておられるんです。有権者に対する裏切りになりませんか。
  80. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 六兆円の消費税をやめて一兆円ですから、私はこれはかえって減税になるのではないかという認識をしております。
  81. 梶原清

    梶原清君 それは先生間違いなんです。それはもう少し御勉強をいただかなければいけないと思います。  消費税とは、多段階にかかります消費税三%ですね。化粧品を買う人は、その人はその物だけを買うわけでしょう。それは小売段階での一〇%、八%はかかるんじゃございませんか。確かに高くなるんです。増税になるんです。それをお認めになりますか、ならないんですか。そうでなかったら議論ができませんです。認識が十分でなかったら議論できませんよ。  もう一遍重ねて申し上げますが、なるほど消費税、これを廃止したと、六兆円近くのものを。そういうトータルの話でなくて、物品物品についての細かい議論をしていかなければならないんです。おわかりになりませんか。
  82. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) これから大いに勉強はさせていただきますけれども、その部分については確かにそのとおりだと思います。しかし、増減税については、やはり減税になるというふうに認識をしております。
  83. 梶原清

    梶原清君 四党さんにお伺いしてまいりましたが、社会党さん、公明党さんは多かれ少なかれ、どのような程度であれ個別間接税の復活ということを選挙のときにうたっておられるんです。ところが、連合参議院さんと民社党さんはお触れになっていないんです。  そこで、先ほど冒頭に峯山先生にお尋ねしました。四会派は訴えてきたというこのことは間違いでしょうということを申し上げてきたわけです。大分暇がかかりましたけれども、そのように申し上げてきた。  そこで、それの総括としまして、選挙の公約は議会民主主義のもとでは重要である、重みがあると、これは私どもも認めます。しかし、公党としてお出しになります文書が、誤解を与えたり間違った文書を出すということは厳に慎むべきだと思います。そしてまた、何も触れなかったものを、増税になるものを選挙があった後持ち出してこられるということは、連合参議院さんと民社党さんに対して私はどうも納得がいかないということを申し上げたかったわけであります。御理解だけをいただいたらそれで結構でございます。  そこで、私は物品税を主として担当させていただいておるわけでございますが、物品税につきましては、御存じのように、長い間社会党さんも、物品税というのは戦時に戦費調達の必要性からぜいたく品課税として導入されたものである、その課税対象はやはり担税力のあるぜいたく品に課税すべきである、それに傾斜をしてかけるべきである、こういう御主張をされて、生活必需品的な電化製品などに広げるのは絶対だめだ、こういうことを常々おっしゃってまいっておるわけでございますが、それを今度課税対象にされたのはどういうわけかということをまず疑問に思うわけでございますので、できましたら久保先生からお尋ねにお答えをいただきたいと思います。
  84. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 梶原清先生、私も物品税の方を担当するようになりました。少し回転の方が悪いものですから、よろしくお手やわらかにお願いいたします。  要するに物品税を復活せぬで済むなら、それはせぬ方がいいと思うんです。しかし、消費税廃止する、約五兆九千億、約六兆の消費税廃止する、この大前提に立ちまして、そしてしからば財源をどうするかという、そういう観点から物品税の復活は当面二年間これはやむを得ない措置として暫定的に復活をしていこう、こういうことで御提案しているところです。
  85. 梶原清

    梶原清君 個々にちょっと申し上げてまいりたいと思います。  これまでも野末先生、谷川先生等がお触れになっておりますので重複するかと思いますが、旧物品税、したがってそれを恐らくそっくりそのまま踏襲されております物品税法案、同じ布団でも電気布団には税金がかかるんです。羽毛布団には税金がかからないんです。同じたんすでも、普通のたんすは税金がかかります。物品税がかかります。桐製のたんすは非課税となっております。今度の物品税法をそうなさっておると思います。お年寄りが使われる電気布団の方が羽毛布団よりもぜいたくである、普通のたんすの方が桐のたんすよりもぜいたくである、このようにお考えになるのかならないのか、これをお尋ねしたいんです。
  86. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 私どもは、そういう矛盾があるということは以前から国会でも取り上げ、また今もそう考えております。ただ、この種の問題については中小企業育成の問題とかあるいは業界の意向とか、こういういろんな問題があって、これは大蔵省当局も過去努力をされた結果やはりこういう矛盾がさらに温存されてきたんじゃないかと思うんです。  ただ、私どもは、梶原委員そうおっしゃいますが、ついこの前までやっぱり政府・与党がこれをしっかり抱いて、物品税というものを中心に個別間接税税金を取っておったわけですから、そう、みそもかすももう過ぎ去ったから関係ない、まあそういうようにひとつこれは共通の理解に立っていただきたいと思うんです。
  87. 梶原清

    梶原清君 個々の物品を挙げてまいりますと、また同じことをずっとお答えになるだろう。また距離も遠いものですから、私が指摘だけしてまいります。  物品税は、名のとおり、物品にだけしか税金がかからない。サービスにはかからない。これは当然でございます。物品税では電気掃除機、電気洗濯機、冷蔵庫といった基本的家電商品に税金がかかってきた。家政婦を雇って家事をしてもらう場合のサービス消費には課税しようにも課税ができない。しかし、家政婦を雇って家事をしてもらうような方、これはいろいろあろうと思いますが、どちらかといえば裕福な方ではないかと思うんですね。今後経済のサービス化が進む中で、余裕のある家計が利用する度合いが高いこうしたサービスは非課税にしておく。基本的な物品、電気掃除機とか電気洗濯機とかというような物品にまで課税することについて、矛盾があると私は思うんです。今までの個別物品税の体系について社会党さんがおっしゃっておりましたような考え方からしたら矛盾がある、私はそう思うんですね。  それから、対外的な関係でございますけれども、旧物品税につきましては諸外国から各種の批判があったことは御案内のとおりでございまして、このたびの物品税法案でも金地金が非課税になっております。しかし、コインは課税です。普通の時計が四%、それに対して貴金属時計は八%、こうした矛盾があるわけです。こうした問題につきまして国際的な批判が再燃するのではないだろうか、このように危惧をするんですが、この二つあわせて梶原先生に御答弁いただきたいと思います。
  88. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 前者の場合については、先ほどもちょっと申し上げましたいろいろな矛盾があります。税制改革基本法案の中である程度また協議をして審議もしていこう、国民税制改革協議会の中で、そういう方向で御理解を願いたいと思います。  それから、対外的な関係でございますが、確かに幾つかの、八十五、第二種の品目の中で御指摘されることもある、第一種にも幾つかあるかもわかりませんが、ほとんど今度は税率調整をいたしましたから、その点からしますと、第二種の製品については製造段階にかけていますから、小売段階では実質安くなっておりますから、そんなに大きな国際的な問題が今起きるようには考えておりません。先生、この商品については多分起きるんじゃないかというような予測がつくのがもしありましたら、また教えていただきたいと思います。
  89. 梶原清

    梶原清君 たくさんの物品についてそれぞれ問題があるわけですね。これは、物品税法というのは御案内のとおり個々の物品名を、品目を法定する、そしてそれぞれに税率が掲げられておる、こういうことによっていろいろと矛盾点が生じてくる、こういうことは私どもも十分承知しておりますし、先生方も御承知だと思います。そしてまた、大蔵当局自身もこれは十分承知をしている。そのためにこそ、今度広く薄く消費全般に税を負担していただこう、特定の品目といいましょうか、サービス等につきましては非課税にする、こういう消費税に移ったわけですね。  そこで、諸外国、特に西側の一員としてやるということを社会党の先生もおっしゃっておるわけですが、OECD二十四カ国の中でこうした一般消費税的なものを採用していない国というのは一つもないはずです。全部一般消費税を採用しておる。そして、きのうの谷川先生の御質問にもございましたように、諸外国からは高い評価を受けてきておるわけです。  そこで、今のような個別間接税、特に物品税をしました場合にそうした矛盾が出てくる。それに対する外国からの批判がやはり再燃してくるというふうに私は思うんです。その点についてちょっと御答弁がなかったように思うんですが、いかがですか。
  90. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) あくまで消費税というものを基本に考えて、個別物品税やその他提案していることについてどうか、こういう考え方に立っていただかないと、これだけで言われてもちょっと困るんです。要するに、私はきのう言いましたが、消費税というのは、EC諸国と我が国の状況というのは随分違う。  例えばきのう申し上げました民間給与の実態、これは国税庁が出した統計資料でございますが、年次は昭和六十一年ではないかと思うんですが、数字はそんなに変わらないと思います。一年を通じて働いた給与所得者は三千七百六十七万人、男子が二千四百七十万人、女子が千二百九十七万人、こうなっておりまして、この民間で働いている人の給与総額は百四十兆六百八十五億円、そのうち、年間平均給与が男子で四百五十二万円、女子が二百十九万円、このようになっているわけなんです。平均勤続年数は男子が十二・四年、そして年齢が四十一・一歳、女子の場合は、平均勤続が八・五年で四十・四歳、こうなっているんです。この人たちがやっぱり消費税で受ける打撃というのは非常に大きい。特に婦人の場合が大きい。これは、私は大分県ですが、東京の数字も入っているわけです。毎勤統計あたりで見ますと、東京近辺よりも約二割方ぐらいまださらに賃金は安いんです。  だから、そういう点からすると、消費税そのものがこういう方やあるいはもっと仕事のない人や年金生活者にどしっとかかってくる。だから、EC諸国はどうあろうと、日本の場合は今度の参議院選挙で私どもはこれは支持されたと。したがって、それは与党の消費税を導入された皆さんは気に食わないかもしれぬ。EC諸国はこうなっているじゃないか。しかし、日本の場合はこういうような形で今回あなた、それを素直に、四者が法律案をつくってこうしてお願いをしている、そのこともぜひ理解をしていただきたいと思うんです。
  91. 梶原清

    梶原清君 同姓の梶原先生にこんなくどく申し上げるのは悪いんですが、外国との関係でいろいろの問題が起きてきやせぬか。それについての御答弁だけをいただきたかったんです。  そして、参議院選挙で国民の審判がおりた。それは消費税廃止についておりたとおっしゃるけれども、土井たか子先生は、また私は兵庫県で同郷でございますが、消費税はやめます、この問いかけに対してイエスですかノーですかという問いかけでやってこられましたね。それであの参議院選挙があった。それでもってそうおっしゃるけれども、私が御質問を申し上げておるのは、消費税の問題でなく、消費税消費税でしばらく置いておきまして、物品税を復活した場合に外国との関係で矛盾なり抵抗がありませんかということだけをお尋ねしておるんです。
  92. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 消費税が導入される前から、主にアメリカやECから批判があったのは酒税、物品税であったと理解しております。酒税については、従価税制度や級別制度を採用しているために、アメリカのワインやECからのウイスキーが国産品に比べて不利である、こういうことだったと思うんです。それから物品税については、特に自動車について排気量に応じて税率が異なり、大型車の多い輸入品が不利になるんじゃないか、この点だったと思うんです。  その点について、酒税については今回も何らトータルで変わっておりませんが、政府の改革では級別制度廃止するとともに従量税一本に税率を統一しており、提案者も酒に対する税負担を変えることなく、税率の方式は従量税方式のままとしております。それから、物品税は政府税制改革では消費税に吸収されましたけれども、我々が提案しております物品税法では、物品税復元においては税率四%を下限として四段階に簡素化しております。そしてそれは製造段階ですから、小売段階になりますと、先ほど言っておりますように、消費税の三%と近くなってきているものが非常に多くあります。  したがって、指摘されているような問題は、本当に我が国政府一体となってこのことを諸外国に説明をすれば、そんなに私は問題は起きない、このように見ております。
  93. 梶原清

    梶原清君 実はなかなか説明することが難しいから申し上げておるんです。  そこで、このような例をずっと挙げましても、前に谷川先生なり野末先生が御質問されておりますので時間の関係で取りやめたいと思いますが、ここに日本社会党さんが編集された「新税制改革への挑戦」という本がございます。これに社会党さんのこの問題についての基本的な考え方、理念というものが出ております。  できる限り担税力に応じたものでなければなりません。「ぜいたく品」を購入し得る人は、それだけ担税力があるということで、こうした商品に物品税などの「個別間接税」をかけることは、税制が目指す所得の再分配機能を発揮するということでもあります。こうしてみると、物品税には優れた点があるのです。 また、別のページでございますが、  物品税は公平性を確保するためには、絶え間なく見直さなければなりませんが、きめ細かな課税ができることこそメリットなのです。  個別物品課税こそ、運用しだいで公平・公正な課税が可能となる、大きな可能性を持った税制といえるでしょう。 これは間違いがないわけです。  しかし、それに対しまして、九月二十九日の産経新聞の「産経抄」という欄にありますが、時間の関係上この要点だけを申し上げます。  いろいろ例を挙げまして、「一体何がぜいたく品で、何がそうでないか。十人寄れば十通りの考え方があって、公平など期せるものではない」、「消費税はそうした不公平と不合理を排したもののはずだった。消費税はリコールしたけれど…、さて野党代替案で国民は幸せになれるか、今国会を通じてじっくり検証しよう。」とこの新聞に載っておるわけでございますが、これについての御感想だけ承りまして、午前の部を終わらせていただきたいと思います。
  94. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今お取り上げになりました社会党が出しました本の内容につきましては、消費税と物品税の比較を中心にしながら申し上げているものだと考えております。  また、今新聞の記事をお取り上げになりましたことにつきましては、私は税制などというのは一〇〇%支持を得られるものは大変難しいものだと思っております。例えば消費税につきましても、それじゃ消費税なら物品税の難点を克服したのかと言われれば、一千万円のダイヤモンドと子供が買うノートと同じ三%でよいのかといういろいろな意見も出てくるわけであります。  やっぱり私は、政治の責任としては、最大限国民の支持と合意を得られるものをどうして我々が見出すか、そのことに全力を挙げなければならないものだと考えておりまして、政治にかかわりました以上、そのことは逃れることのできない大きな責任であると心得ております。
  95. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  96. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を再開いたします。  消費税法廃止する法律案消費譲与税法廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題といたします。     ─────────────
  97. 中村太郎

    委員長中村太郎君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となりました九法案の審査のため、来る十二月六日、参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  100. 中村太郎

    委員長中村太郎君) それでは、午前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  101. 梶原清

    梶原清君 午前中の質疑の際に梶原先生がおっしゃったことでございますが、物品税にはたくさんの矛盾点がある、問題点がある、それをつくってきたのが政府・自民党ではないか。それを、お言葉どおりでございますと、大事にしてきたのは政府・自民党ではないか、このようにおっしゃったわけでございます。  私ども、物品税にはたくさんの矛盾点、問題点があると十分承知をいたしておるわけでございまして、例えば二、三年前にOA機器に対する課税をしようとしたときがあります。その際、党の税制調査会の中でも大激論になりまして、とうとうつぶれてしまいました。大蔵省が意図されておりました課税品目に加えるということが成功しなかったわけであります。業界ももちろん反対されましたし、そして党の税制調査会でも大激論になった。広告税もそうでございまして、新聞とかテレビの広告サービスに対して課税しようとして大蔵省が考えられた、提案をされましたけれども、業界挙げて大変激しい抵抗がありまして、そしてまた党の税制調査会におきましてもまさに大激論をいたしまして、とうとう成功することができなかったわけであります。  そうした個別間接税制度の矛盾点等を改善していきたいという努力を長年にわたって自由民主党・政府がやってきたわけでございます。その成果が、その成果といいましょうか、行き詰まった、もう困りに困った果てに、世界各国でやっております、四十四カ国、主要各国全部一般消費税を採用しておるわけでございますので、それと同じ消費税を採用しよう、広く薄く税を負担していただこう、特定の品目だけには課税しない、こういう消費税の導入を図ったわけでございます。  梶原先生が、自由民主党が、政府がそれをつくって大事に大事にしてきた、矛盾点のある、問題のあるものをつくってきたのは政府の責任である、こうおっしゃるわけでございますが、私どもは、今申しましたように、それではだめだということで消費税に踏み切ってきた、こういうわけでございます。  そこで私のこれから申し上げたいことは、矛盾の多い、問題の多い個別間接税制度をそっくりそのまま復活するかどうか。税率は変わっておりますですよ、変わっておりますけれども、そっくりそのまま復活するかどうかということは、一にかかって今お並びの先生方の政策判断です。選択です。自分たちでそれを選択されたんじゃありませんか。その点を私は指摘したいんです。矛盾が多かったことは認めます。あるからこそ消費税を採用してきたわけです。それを今梶原先生があのようなおっしゃり方をされるというのは私どもは受け取れない、このように思うわけであります。その点御答弁をいただきたいと思います。
  102. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 政府・自民党だけにすべて責任があると言ってしまうとちょっと無理があるかもわかりません。やっぱり我々も国会を形成しておりますから、その点についてはお互いに反省をするところはしなければいけないと思っております。努力をされてきた結果ということも、OA機器や広告税の問題についても今聞きまして理解ができるところです。  ただ、それができなかったから、だから梶原委員が言われますようにもう消費税で広く薄くざっと取るんだ、こういうこと、それだけと私どもは受けとめていないんです。消費税の導入については、来るべき高齢化社会への対応の問題、そういう言われ方を一般的にされております。しかし、今度の三%の内容を見ますと、所得税の減税、それから法人税減税相続税減税、ここにほとんどの財源が行っておりまして、要するにそういう税体系のあり方そのものを変えるというのが今度の消費税の導入だと私どもは見ております。だから、物品税の関係消費税の導入という、そこは無理が私はあるんだろうと、そのように考えているんです。
  103. 梶原清

    梶原清君 税制改革を論じますときに、直接税の分野の問題、直間比率の問題等々があることは承知しております。間接税の分野で象徴的にあらわれますのは、個別間接税か一般消費税か、こういうとらえ方が一番正しいと思うわけですね。個別間接税は特定の対象を課税対象とする税ですね。消費税というのは特定の対象を非課税として、広く薄く一般的な消費全部に税金をかける、これだけですね。  今先ほどおっしゃいましたことについてやはり御認識が大分違うなというふうに思うんですが、それはさておきまして、このことだけはひとつ、矛盾のある物品税をつくって大事に大事にしてきた、竹下総理のお言葉のようになりますが、大事にしてきたのは政府・自民党だ、しかし我々は、物品税にたくさんの矛盾点がある、それを脱却するために消費税を導入したということを御認識いただきたい、御理解いただきたい、このように思うわけでございます。御答弁は結構でございます。  そこで、午前中の質疑で民社党さんにいささか苦言めいた御質問をいたしてまいりました。実は私は、運輸省の自動車局長出身でございますし、そして国会に出させていただきましてからも自動車関係諸税の問題に長らく取り組んでまいりました。ですから、業界、労働組合、それから消費者の方々との接触が非常に多い人間でございます。  御高承のとおり、自動車関係諸税は九つありましたね。まず第一番に物品税。一番上が、本則は三〇%ですが、今までは二三%。一八・五%から最低五%の物品税があった。自動車取得税、自動車重量税、自動車税、揮発油税、地方道路税、軽油引取税、石油ガス税、全部で九税目でございます。物品税以外は、自動車取得税にしろ重量税にしろ、自動車税あるいは四つの燃料課税、すべて道路損傷負担金的な性格を持った、あるいは道路特定財源税金であります。ひとり物品税だけは一般財源なんです。大蔵省の方に一般財源として入る税金なんです。しかもその税金が、物品税の税収は六十二年度数字で申しますと一兆八千五百八十五億、そのうち自動車から上がりますところの税金が物品税収入ですね、これが四七・九%、四八%を占めておるんです。  私どもは、私どもはといいますのは、先ほど挙げましたそのすべての者は、この物品税が高過ぎる、負担が重過ぎるということで常に連携を密にして運動をしてきたわけです。これだけ大衆的な商品になっております自動車、地方に行きますとそれこそ庶民の足になっております自動車になぜこれだけの物品税負担をかけなければいけないのか、負担をしなきゃいけないのかということで、ともに相携えて努力してきた仲なんです。民社党さんもそうなんです。間違いありませんか。御答弁ください。
  104. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) おおむね仰せのとおりでございます。
  105. 梶原清

    梶原清君 それならば、なぜ物品税の復活に賛成されるんですか。なぜ物品税法の提案者の一人にお加わりになるのですか。これは午前中質問させていただきましたけれども、重ねてお尋ねをいたします。
  106. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 午前中も御回答させていただきましたけれども、私どもはこの消費税廃止するに当たりまして責任野党としての代替財源を示すことの必要性を強調してきたわけでございまして、この立場に立って代替財源をどこで埋めるのかということで、我が党内でも消費税の問題等対策特別委員会を設置いたしまして十数回にわたり論議を重ねてきたわけでございます。その過程において、代替財源の一部として、製造段階で課税するいわゆる庫出税と申しますか、製造業者売上税という論議等もありました。しかし、いずれについても党内では意見の統一を見ることができませんで、最終的には物品税を復活するということで審議をいたしてきた経過がございます。そして、課税品目についても確かに時代にそぐわない部分も、不合理な点もあるわけでございますが、時間的な制約もございまして、旧のまま復元することで一致を見まして、その税率についても、審議過程は先生御承知のとおりでございます。原則として私どもは現行の税負担よりも重くすべきではないということでございます。  御案内のように、自動車には物品税以外の税金幾らでもかかっておるじゃないかということも私どもも存じております。承知をいたしておりますが、今回はとりあえず物品税ということで、消費税との絡みにおいてそういう方向で、我が党も二年間の暫定措置ということを条件にそういう税率を八%、六%、四%とすることに御納得をいただいたというふうに考えております。
  107. 梶原清

    梶原清君 今、二年間の暫定措置というふうにおっしゃいましたが、これにはいささか、今までの御質疑の中で二年間ということにはならないように私は思いますので、その点だけは御指摘をいたしておきます。  それでは、税率を八%にされたという理由はどういうところですか。
  108. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 現行の消費税負担水準と余り最終的には差がつかないように基本的には考えまして、旧物品税率が一〇%以下のものは四%、一〇%超一五%以下のものは六%、一五%超は八%といたしました。
  109. 梶原清

    梶原清君 それでは、一部の軽自動車は別ですが、軽自動車一般についてもなぜ八%にされるんですか。軽が八%になっていますが、その理由を教えてください。
  110. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) これはこの前一度指摘があった問題ですが、同じような回答になるかと思います。  現行消費税においては、軽乗用車は三%、普通乗用車及び小型乗用車は六%となっております。それを今度の私たちの改革案では一律八%といたしました。したがって、軽貨物は三%であるのに軽乗用車は八%となり、先生御指摘のような矛盾が存在することは否定できません。  これは、第二種の旧物品税率が一〇%以下のものを四%、一〇%超一五%以下は六%、一五%超は八%と機械的に一律にした結果でございます。旧物品税率では、軽貨物五・五%、軽乗用車一五・五%となっておりまして、軽貨物より軽乗用車の方が物品税率が高いために、軽自動車の販売台数は軽貨物の方が非常に多かったように受けとめております。したがいまして、私たちの改正案により旧物品税のような傾向が見られると考えております。
  111. 梶原清

    梶原清君 お考えはわかりましたが、勝木先生に御答弁をいただきたいということで申し上げておりました、今度消費税が物品税にかわりましたときに、普通車、小型車と軽との関係はどうなるのかという、価格の面につきまして大蔵省から既に試算が発表されておりますが、これを教えていただくようにということを要求いたしておきましたが、この席で御答弁いただけますか。前回どなたかの御質問の際に、勝木先生はこの数字につきまして御答弁がなかったんです。そこで、お調べをいただきたいということを申し上げておきましたので。
  112. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 物品税は私の担当ではありませんで梶原先生の担当ですので、民社党の経緯ということについてはいろいろ私の担当でございますので……
  113. 梶原清

    梶原清君 了解しました。  私が指摘をいたしたいのは、現行で六%の消費税率が適用されております小型自動車、これは五ナンバーの車ですね。普通乗用車、三ナンバーの車については、大蔵省から発表されました試算によりますと、現在の税込み小売価格が百四十一万八百六十円の小型乗用車が百四十万八千四百七十五円、このように安くなるんです。小型乗用車が安くなるんです。それに対しまして現行で三%の消費税率が適用されている軽自動車につきましては、現行の税込み価格は八十二万八千百二十円のものが八十五万一千百十三円と逆に大幅に上がるんです。  普通乗用車、小型乗用車の負担軽減になるのに、庶民の足である軽自動車に負担増を求めるということに結果的になるんです。この数字を教えていただきたい。私の方で調べておりますから申し上げるわけでございますが、庶民の足である軽に負担が重くなる、普通乗用、小型乗用に比べて負担が重くなる。地方へ行かれましたら、普通乗用車や小型乗用車よりも軽の方が多いんです。地方の方は経済力がそれほどございませんので、軽がたくさん走っておるわけですね。その人に負担をようけ求めるという結果になるような提案をなさっておるわけです。この点についていかがですか。  これは梶原先生の御担当ですか、この前の関連がございますので、ぜひ私は今、民社党さんにお尋ねをしたいと思うておる。既にきのう申し上げたんです、そのために。
  114. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 私どもも、旧税率から現行消費税も加味いたしまして、八%、六%、四%ということで機械的にやっております関係上、確かに不合理な面があることは承知をいたしております。  また、この八%の物品税率で、私どもの試算でも、消費税込みで百四十一万円程度の千五百ccの車の場合は百四十万八千円程度ということで二千円をやや上回る減税となるんじゃないかということで、これらの数値については四党の事務局において独自に計算したものでございます。  そして、普通乗用車、いわゆる三ナンバーでございますが、これは旧物品税率三〇%で、消費税六%でございまして、私ども提案いたしております案が八%でありまして、現行の負担水準六%をやや下回るというふうに思われます。また小型普通乗用車、いわゆる五ナンバーでございますが、これが旧物品税率は一八・五%、消費税の現在六%、私どもの案では八%でございまして、現行の負担水準六%をやや下回るというふうに思われます。  また軽普通四輪自動車ということで五百五十cc以下ということで、平成二年の一月一日から六百六十cc以下ということにつきましては、旧物品税率が一五・五%でございまして、消費税が三%、私どもの案が八%でございまして、これも六%をやや下回るというふうに思われます。  次に、いわゆるバンと申しますか、乗用兼用貨物自動車でございますが、これが旧物品税率一〇・五%で、消費税は三%でありますし、また私どもの案が六%でございまして、確かに四%をやや超えるというふうに思われます。  また、いわゆる軽貨物でございますが、軽乗用兼用貨物自動車につきましては、旧物品税率が五・五%、消費税三%、私どもの案が四%でございまして、ほぼ現行水準になるというふうに思われます。  そういうことでありまして、確かにそういう不合理な面があるということは私どもも認めておるわけでございます。委員御指摘の点に対しては、この二年間をかけまして物品税の存廃も含めまして今後鋭意検討していきたいというふうに思っております。
  115. 梶原清

    梶原清君 二年間二年間とおっしゃいますが、先日来の御質疑の中で、二年という保証はないわけですね。法律上も明定されておりませんね。それで、このままの状態がずっと続く可能性があることはお認めになると思うんです。峯山先生もそのようなお話をなさっておりました。  そこで、これは何度も出た話ですから重ねて申し上げませんけれども、私どもは軽自動車というものにつきまして、自動車に関係する者は軽というものとどのように取り組んでいくかということが非常に重要なんです。前回の消費税のときも、今まで二三%、一八・五%であったものを、すべて三年間は六%にしましょうと、暫定税率で。ほかのは三%になりますね。しかし、自動車につきましては三年間六%の暫定税率を設けるというのは軽自動車業界に対する配慮じゃございませんか。企業はもちろん、そこで働く従業員のため、全部を配慮してそういう暫定税率を設けたんじゃございませんか。  そしてまた、軽自動車の規格が変わりまして、来年の一月一日から施行されることになっています。長さが十センチふえるわけです。排気量もふえるわけでございます。これは消費税と直接関係はございませんけれども、軽自動車に対する配慮から生まれてきておるわけです。そういう経緯、実態を無視して八%の税率に賛成されるということが私には全く理解できないんです。民社党さんがそういう態度をとられるということが、政治判断をされるということが私には了解できないんです。ですから申し上げておるんです。
  116. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 梶原先生御指摘のところは、私どもも問題点は問題点として受けとめております。ただ、この旧物品税率を機械的に八、六、四ということに分けた段階で、軽普通乗用四輪自動車に対する判断ということで梶原先生は問題じゃないかという御指摘をされておるわけでありますが、私どもは、そういうことで問題はありますけれども、そういう形でぜひ御理解、御協力を賜りたいというふうに考えております。
  117. 梶原清

    梶原清君 消費税が導入された後も軽自動車の伸び率がダウンしております。ほかの車は伸びております。軽はダウンしておる。今度の物品税を採用されるならばさらにその影響が大きく出るということは指摘をせざるを得ないんです。  余りこの問題ばかりにこだわって議論するわけにいきませんので議論を進めていきますが、四会派の方がお打ち合わせをされて、そして民社党さんが重い腰を上げられて、私の表現が悪いかもしれませんですよ、賛成者の中に入られたと。この税率をめぐりましてもいろいろと議論があったと思うんです。税率が二転、三転、四転しております。私はここへ新聞の切り抜きを持ってまいっておりませんけれども、全部新聞の切り抜きをいたしております。そのように二転三転したようですけれども、三転、もっといたしておる。ずっと新聞によりますと変わってきておりますが、どのような議論が行われてどのような最終案、決着がつくまでになったのか、それを教えていただきたいと思います。勝木先生でも結構ですし、梶原先生でも……。梶原先生お願いできますか。
  118. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 今梶原委員が聞かれていることは、我々四会派でこれをまとめるその経過についてお聞きになっているのか、その業界のことを言われているのか、ちょっとそこのところが――前者ですね。
  119. 梶原清

    梶原清君 はい。
  120. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) お答えします。  野党各党は七月の参議院選挙において消費税廃止税制再改革を公約し、自民党の候補者が消費税の見直しを公約して選挙戦が戦われました。その結果、国民の審判はいわば野党に上がったと思います。参議院は史上初の与野党逆転が実現をいたしました。したがって、私たちは消費税廃止税制改革のやり直しという参議院選挙の結果を受けまして、八月十一日の第一回の四野党税制改革協議会を皮切りに、その後数多くの会合を重ねまして、多くの試行錯誤を繰り返し、今回の消費税廃止法案を含む九法案提案した次第であります。したがいまして、今先生からお話がありますように、苦労いたしました四会派の会議の内容等はその都度新聞紙上でも発表されていることだと思います。
  121. 梶原清

    梶原清君 私の立場からしますと、よもや民社党さんが物品税の復活に賛成されるわけがない、そんなことは絶対にあり得ない、しかも八%の税率で合意をされることは絶対にない、私ども皆友達ですからそのように信じておったんです。ところが、されたと。  そこで、午前中の質問の延長でございますが、どうしてこういうことになったのか、これが不思議でならないんです。そこで、大変恐縮ですが、日ごろ尊敬しております久保先輩にお尋ねをしたいんです。よもやあり得ないことが起こったと、私はそう思うんです。  久保先生が本会議場で述べられました、「野党の代替財源案に対し密室協議との批判が行われていますが、私たちの協議はその都度公開され、国民各層の批判や意見を謙虚に受け入れることによってまとめられ、」提案されているものであります、このようにおっしゃっておるわけであります。大変御苦労されておることは察しがつきます。しかし、この八%の税率を決めるとかいうことにつきまして、私どもは残念ながら密室協議であったというふうに理解せざるを得ない環境にあるんです。  そこで、これまた、久保先生に恐縮でございますが、前回同僚の鎌田先生がお取り上げになりました九月二十九日の産経新聞「産経抄」に出ておりますね。「「どうせ実現はしないんだから」と、社会党の政審会長は自動車労連や電機労連を説得して回ったという。「だからひとまずこの代替財源案にウンといってほしい」。」――これがかぎ括弧がかかっていますね。「本当ならひどい話だ」。また、飛ばしますけれども、「代替案の大きな骨子の一つに物品税の復活があり、その税収の八割を自動車と家電がひっかぶる。当然、反発する関係労組をなだめなければならなかった そこで飛び出たのが「どうせ実現はしないんだから」のせりふ。」。「どうせ実現はしないんだから」というのはかぎ括弧がかかっています、「のせりふ。その無責任さはそのまま、野党代替案のその場しのぎのいい加減さを象徴する。」と。これは私が言っておるんじゃございません、この「産経抄」に書いてあるんです。  また、九月二十一日付の日本経済、ここに「共闘維持へ政治的妥協」というタイトルで出ております。少し読ませていただきますが、「代替財源案とりまとめにあたって最も難航したのが、個別物品税復活の是非と税の自然増収をどの程度見積もるかだった。社会、公明両党が個別物品税復活は「やむを得ない」としていたのに対し、復活反対を唱える自動車総連などを支持労組に抱える民社党は強く難色を示した。さらに民社党内には」、これがかぎ括弧でございますが「「個別物品税の復活は税制改革の大きな流れに逆行する。それなら消費税見直しの方が良心的」」、ここでかぎ括弧を閉じる。「との筋論も根強く、執行部としても他野党との協調路線か独自路線かの選択で揺れ動いていた。」。ちょっと飛ばしまして、「一方、社会党は「伊藤政審会長が個別物品税復活に反対する労組首脳をまず成立する見通しはないから細かい点には目をつぶってくれと説得して回った」」、これは「(民社党筋)」と書いてある、「という。」と。これは、昔から火のないところには煙は立たないということわざがあります。    〔委員長退席、理事井上吉夫君着席〕  なぜ、このことを鎌田先生が御質問されたのを重ねて質問するかと申しますと、先ほど来申し上げておるように、民社党さんは絶対物品税の復活に名を連ねないだろう、よもや八%の税率に賛成されないだろうという大きな期待を民社党さんにかけておったのです。裏切られたような感じです。  そこで申し上げます。この伊藤政審会長の御発言がもしそのとおりであるならばこれは大変ゆゆしい問題でしょう。今回の提案された法律の根幹を揺るがすものではございませんか。国会を冒涜出演し、国民を冒涜するものではございませんか。私はそう思うんです。もしもこのことがうそであるなら、産経なり日本経済がお書きになっておることがうそであるならば、堂々と抗議をなさるべきではありませんか。伊藤政審会長の人格と名誉にかけてしかるべき抗議をなさってしかるべきだと私は思いますが、いかがでございますか。
  122. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 日経新聞について今御指摘がございましたが、私どもも幹部の方々に尋ねた結果、そのような事実はないということでございます。また、民社党の中でも物品税の復活についてはいろいろな論議をいたした経過は午前中並びに午後の冒頭にも御説明させていただいたわけでございますが、決まったことについては執行部一丸となって民社党はそういう方向で固まっておりますことをつけ加えさせていただきたいと思いますし、梶原先生は非常に民社党のことについていろいろ御心配をいただいておるわけでございますから、帰りまして民社党の執行部の方にも申し伝えたいというふうに思っております。
  123. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 先般もただいま梶原先生仰せの点について御指摘をいただきました。私、この問題については御意見をまつまでもなく大変重大な問題であるとその際もお答え申し上げました。したがいまして、私といたしましては、本人にも確認の上、そのような事実がもしもあり得るとすれば大変なことだと思って、この問題についてはきちんとしたけじめをつけなければならぬ、こう私も考えたのでございます。本人の方から、この問題については全くそのような事実はない、こういうことでございました。私も、伊藤茂君とは戦時中、少年時代に、志を同じゅうして同じ学校に学んだ仲でございます。当委員会におられます久世委員もそうでございます。私は、そういうことを通じましても、彼は誠実で責任感の強い男だと確信をいたしております。  今、それならば対抗措置をとるべきではないかというお話がございました。しかし、その点につきましては、私は当事者でございませんので、私がお答えする立場にないと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  124. 梶原清

    梶原清君 重ねて、日ごろ尊敬しております久保先生に申しわけございませんが、安恒先生が御質問されましたときにこのことを御答弁いただいております。鎌田先生に対する御答弁を安恒先生にしていただいておりますので、この点についても若干私としましては釈然としない点がございますので、私どもの同僚の鎌田先生に対するきちっとした御答弁をいただくようにお願いを申し上げたいと思います。これは非常に重要な問題であると認識をいたしておるものですから、そのようにお願い申し上げたいと思います。  そこで次に移らせていただきますが、物品税につきまして、特定の品目を法律に掲げる、八十五品目でございますね。税率も午前中に御答弁いただきましたような税率になっておる。そこで、非常に大切なのは免税点なんです。免税点をどのように決めるかということが、メーカーにしましても消費者にとりましても非常に重要なんです。きのうでございましたか、梶原先生が、この問題について御答弁ありましたときに、課税最低限というお言葉を使われたような感じがいたすのです。これは課税最低限と免税点とは取り扱いが違うはずです。  大蔵税務当局、もしその点の違いをすぐ御答弁いただくなら、尾崎局長お話をいただけませんか。きのうは課税最低限というお話をされました。私は、課税最低限と免税点とは明確に違うんですから、この点を取り違えてお話をなさったんじゃないかと思いますので、税務当局の説明をいただきたいと思います。
  125. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) 突然のお尋ねでございますが、課税最低限という言葉を私ども通常使いますのは、所得税などにおきまして、そこから税金がかかる、そこまでは税金がかからないというその境目のところを通常使っております。免税点と申しますのは、例えばあるものを課税いたしますときに、ある金額以下のものについては課税をしない、それを超えるものについて課税をするという場合に通常用いております。
  126. 梶原清

    梶原清君 そこで、免税点につきましてどのような取り扱いがしてあるのかなと、提案されました物品税体系でどのような取り扱いがしてあるのか、これが疑問でございます。特定の品目に対して税率はこれこれ、免税点はこれこれ、こういうふうに決まってこそ皆さんが納得できるわけです。これは政令事項になっておりますので、その政令事項をどのような内容にしておられるかということにつきまして、十一月九日に自由民主党から、御提案なさっております四会派に資料要求がしてございます。  その資料要求に対しまして、きのうでございましたか、これだけのものが出されて来たんです。(資料を示す)「野党提出の九法案に係る政令事項とその具体的内容」。免税点は政令事項として考えておられますので、その具体的内容を知らせてくださいと言ったところが、「次の各号に掲げる法律の区分に応じ当該各号の定める旧法の従前の例による」と、三くだり半という言葉がありますが、ただこれだけです。これだけでどうしてわかるんでしょうか。消費税審議が行われましたときに、大変な政令の内容を国会にお出しをして御審議をいただいたと思います。消費税法案に政令委任事項が百二十七、省令委任事項九、これだけのものを詳細にお出ししてあるんです。そして御審議をいただいた。十分な御審議をいただかないまま強行採決をして、強行採決と言ってはどうかわかりませんが、採決をして、そして成立したわけです。  これだけの重要な法律案につきましてこの一行でどうしてわかるんですか。免税点と税率というものとは関連があるはずなんですよ。先ほど申しましたように税率を下げておられるでしょう。免税点はどうなさるんですか。前のとおりでいいというそういうことについての政策判断をお尋ねしたいわけです。
  127. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 質問通告がありまして、私もこれは気になりますから、いろいろ研究をしてみたんです。物品税法案第十一条をちょっと読んでみますと、「別表に掲げる物品のうち、その価格の同種物品に係る価格体系のうちに占める位置が低いこと又は特殊な性状、構造若しくは機能を有することにより、一般消費者の生活及び産業経済に及ぼす影響を考慮して物品税を課さないことが適当であると認められるものとして政令で定めるものについては、物品税を課さない。」ということ、この十一条を前提にしてきょう資料提出されたのとあわせて御理解をお願いしたいと思います。
  128. 梶原清

    梶原清君 私は、この免税点をそのままの姿で従前のとおりとするということにつきましては疑問を持っているんです。ですから、これだけの法案審議をしますときに、この税率と免税点とが相関連してまいりますので、それが物品税の収入見積もりの根拠になるわけですね。一兆円を予定しておられますけれども、その際の免税点はどうかという、またその免税点がそれでしかるべきかという議論をしていかなければならないと思うんです。  そこで、きのう、このたった一行だけの資料が届いたんです。私はもっと時間をかけて質問をさしていただきたいと思います、この問題について。しかし、新聞を見ますと、もうはや九日公聴会、八日採決と、こういうことが、これ新聞が正しいかどうかわかりませんけれども、これ違いますか。(「採決した後公聴会じゃないでしょう」と呼ぶ者あり)これは違うんですか。いや、新聞はもう採決の日がいつだというようなことがきのうもきょうも出たでしょう。そうすると、この免税点についてもっと詳しい資料をちょうだいしませんと審議が十分できないというふうに私は思うんですが、いかがですか。
  129. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) 先ほどの答弁、ちょっと補足させていただきます。  通常の免税点と申しておりますもの、例えば旧物品税法上、ダイヤを例にとりますと、三万七千五百円までのダイヤは課税にならない。この三万七千五百円を通常免税点と言っているのでございますが、政令上、先ほど梶原委員がお読み上げになりました物品税法十一条を受けましての政令の中で、課税最低限の金額というように書かれているそうでございます。  ちょっと私存じませんで、失礼をいたしました。
  130. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 資料の提出がおくれて申しわけありませんが、ただ、十一条を読んでいただければ、政令にこれは委任する事項だということがおわかりだという判断に立っておりました。
  131. 梶原清

    梶原清君 税率を旧物品税と違った税率にされておりますね。そうしますと、免税点も当然検討の対象にされるべきではなかったかと思うんです。その点をお尋ねしておるわけです。
  132. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) そこはしておりません。
  133. 梶原清

    梶原清君 また、この点は少し時間を残しまして、後刻この免税点の問題につきましては質問をさせていただく機会をいただきたいと思っておりますが、私の時間の中でそういうふうにさせていただきたいと思いますが、今のようなお答えでございますので次に進ませていただきたいと思います。  通行税でございますが、通行税につきましても、先ほど来御質問申し上げております物品税の場合と同様に、課税対象はそっくりそのままで税率だけを下げておられる。私はこれについて、物品税の場合と同様の疑問を持つんです。  ちょっとお話しなさっておりますので、ずっと先になにさしていただきますと、通行税収入の九四%が飛行機からの通行税でございます。あとの大半がJRのグリーン料金というのが実態でございます。そうしました場合に、東京から北海道へ行く飛行機のお客さんよりも私はハイヤーの方がまだぜいたく品じゃないかと思うんですね。社会党さんがずっとお考えになってきております理念からしますと、飛行機よりも個別運送機関であるハイヤーの方がぜいたく品ではないだろうかと、こう思うんです。なぜハイヤーを対象にされないのか。ハイヤーを対象にされるということになりますと、実は運輸交通の出身であります私も反対せざるを得ないんですが、しかし社会党さんのお立場からすると、ぜいたく品のものには課税すると、担税力のある者に対しては多くの税金を負担してもらうという社会党さんの理念からするとそういうような判別があってしかるべきだと。率だけ下げて、そっくりそのまま課税対象を踏襲するということについてどのようにお考えになりますか。
  134. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 梶原委員これ専門のところで、まさにごもっともと思います。ただ、今回の提案している物品税につきましては、従来の物品税を原則的には踏襲するということにしておりまして、その関係でハイヤーの問題等については検討をしておりません。したがいまして、今おっしゃられましたそういう内容につきましては、今後二年間の間に国民税制改革協議会の場を通じて真剣に検討すべき課題だと考えております。
  135. 梶原清

    梶原清君 先ほど連合参議院の先生から怖い顔をして言うって言われましたが、もともと気の弱いおとなしい男でございます。  そこで実は本岡先生が先日、梶原先生に御質問されたことがございます。どういう内容かと申しますと、年金生活者夫婦は消費税で生活が苦しくなり、年に一回の楽しみの旅行もできなくなったと言われたと、大変心優しい御答弁であったと拝聴いたしました。しかし、今度出されております四党案によりますと、旅行します場合に便利だから航空機を使う、年寄りだからグリーンに乗る。そうしますと消費税よりも高い五%の通行税がかかるんです。そうなりますね。せっかくの旅行に免税点以下の宿泊に泊まれとおっしゃるのかどうか。年に一回の旅行に一〇%の料飲税がかかるんです。復活されるんでしょう、料飲税を。そうすると、お年寄りとかそういう方に酷になりませんか。私はそれが不思議でならないんです。梶原先生に御答弁いただきます。
  136. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 私が申し上げましたのは実際の話でありまして、よく知っているお年寄りがきちっと毎日毎日帳簿をつけまして、消費税関係で二人で月に大体四千八百円から五千円。すると、それの最低十二倍。そういうような数字を出したことに対しまして、本岡委員質問に対して、非常に強く訴えられましたから、そのことを言いました。  ただ、今回のこの物品税絡み、この通行税あるいは料飲税関係の絡みについて、すべての国民にそのことを敷衍するために言ったつもりはない。私は年金生活者の話をあのときはしたんです。しかし、一般に今度の消費税というのはそういう内容を持っておるわけです。この通行税あるいは料飲税の問題につきましては、これは二年間の暫定措置として、消費税廃止するそのかわりにということで出してみたわけですから、その点については御理解いただけるんではないかと思います。  また、旅行旅行とこう言いましても、私のところは温泉がたくさんあるんですが、県内の温泉めぐりをする人もたくさんおるわけで、その人は特急の電車あるいは飛行機に乗らぬでも行けるわけですからね。そういうこともあわせて御理解をお願いしたいと思います。
  137. 梶原清

    梶原清君 それでは、入場税の問題。入場税につきましては、野党案では税率を一〇%から五%に引き下げた上でそのまま復活するということになさっておるわけでございますが、実は、野党の皆さんはこの入場税の撤廃というものを強く主張されてきたはずでございます。また、芸術、文化等につきまして、消費税が現在三%なんですが、これをも撤廃してほしいという非常に大きい声があることも御承知だと思うんです。にもかかわらず、その率を五%に引き上げた上でそのまま踏襲するということをおっしゃるのは、どうも合点がいかない。  また、梶原先生は、二年間だけの暫定措置である、御理解をいただきたいとおっしゃいますが、しかし、くどくなりますけれども、二年間でおさまらない可能性があるわけじゃございませんか。それなら二年間なら二年間ということをちゃんと法律に明記をされてしかるべきだ、明定されてしかるべきだと思うんです。二年間の間だけのことだと言われても、それを私どもは信用するわけにはまいらない。従来、入場税の廃止を強く訴えられてきた社会党さん、そして現に芸術、文化等につきましては消費税三%でさえやめてほしいという声があるのに対してどういうふうにお考えになっておるんですか。
  138. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 消費税廃止というものが先にすべて来ているわけです。五兆九千億の財源を一体どうするか、そういう中で万やむを得ず検討した結果、税率は五%に下げまして、消費税はもとへ返す、こういうことに結論がなったわけです。もちろん、関係団体の皆さんから消費税三%の分も文化、芸術、スポーツについては廃止をすべきじゃないか、このような強い要請を連日受けております。できればそうする方がいいと思うんですが、先ほど言いました消費税五兆九千億円、この財源関係でやむを得ずそういう結果になったわけでございます。  ただ、この中に、やはりそうはいっても思想が貫かれているのは御理解いただけるんではないか。やっぱり映画、演劇、映画は二千円以下は取らない。消費税は取る。そして演劇五千円以下。これは消費税はもう幾らでも取る。しかし、五千円以上を五%、こういうことですから、苦しい層には配慮をした結果になっていると思います。
  139. 梶原清

    梶原清君 時間の関係もありますので、あと三点ほど御質問をしますので、ひとつ簡潔にお願いを申し上げたいと思います。  消費税廃止してそして原則的に個別間接税をもとへ戻す。そして二年間程度かけて新しい税制体系を確立する。そうしますと、わずかの期間の間にやめてまた新しいものに移るわけですね。余りにも税の安定性というものが私は損なわれると思うんです。  私は運輸交通の出身でございますので、非常に気になりますのはタクシーのメーター器ですね、タクシーは全国に約二十五万五千台ございます。メーター器を全部かえなきゃいかぬです。一台かえますのに十万かかるんです。これはこの前も峯山先生が御答弁なさっておりましたが、全部損金経理する、必要経費に上げます、法人の場合でしたら損金計上します、と。私は、そういうことでは解決できないと思うんです。そういうことでやってはいけないと私は思うんです。  一例を挙げますと、例えば理容、美容の関係の、今消費税がかかっていますね。やめますね、そうしたらこの理容の方の料金は一体どうなるのか、こういう問題すべてに影響するんです。そんな短期間の間に税をいらうんじゃなしに、今までのものを踏襲、消費税皆さん方からすれば評判が悪いかもしれませんが、我々は最も適当な税だということを信じて消費税を導入していった。それをそのままにして、若干の見直しをしてもそれをして、そしてその間に税制改革協議会というものをもしされるならば、そうしてやられるのが一番穏当だと私はそう思うんです。これは御意見を聞かせてもらっておりますと時間がたちますので、先へ進ませていただきます。  そこで、国民税制改革協議会の関係、今までいろんな角度からの御質疑がございました。また、法案を修正するというお話もございました。私は別の角度からこれを申し上げたいと思うんです。  と申しますのは、こうした協議会で、政府の附属機関で具体的な基本方針なり趣旨なりをその設置目的の中にうたっておる協議会がございますか。私はないと思うんです。政府税制調査会でもそのような書き方はしておりません。  これを読みますと、第三章に「税制再改革の基本となる原則及び方針」という章がございます。そして第四条に「税制再改革の基本原則」、それから第五条に「税制再改革の基本方針」というのがある。それを受けまして第六条に「協議会は、税制再改革の基本となる原則」、先ほど四条で読み上げましたもの、「及び方針」、五条で読み上げましたもの、「方針に従い、税制再改革として行うべき具体的な措置について調査審議する。」。このように調査審議する方針なり原則というものを明確にしておる協議会があるのかないのか、それをお答えください。
  140. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 趣旨はおっしゃっておるとおりでございます。  先ほどお読み上げいただきましたように第二条で趣旨をうたいまして、この趣旨は先ほどもお話しございましたように「我が国の現在及び将来の経済社会に対応する税制」、それを確立するための基本的な、第四条で基本原則、そして第五条で基本方針、そしてそれを受けまして第六条で、先ほど読み上げていただきましたように、「協議会は、税制再改革の基本となる原則及び方針に従い、税制再改革として行うべき具体的な措置について調査審議する。」、今おっしゃったとおりでございます。またその後でございました従来からの政府の諮問機関にそういうような具体的な内容がなかったということもよく承知をいたしております。
  141. 梶原清

    梶原清君 全く類例を見ない法律案になっておると思います。これが何に影響してくるかといいますと、委員の人選に影響してくると思いますね、このような原則なり基本方針に沿って調査審議せよというのですから。そのほかの考え方の人は、例えば消費税がいいんだ、是とする人は委員に選ばれませんね。それはどうですか。
  142. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) これはまさにその人が消費税に賛成するとかしないとかというよりも、税制再改革の基本方針の初めの方にも書いておりますように、過去のいわゆる税制のいろんな論議がございますね。そういうようないろんな議論がすべてだめだと言っているわけではございませんでして、過去のいろんな論議を踏まえましてこれからの新しい税制再改革の考え方を詰めていこうということでございまして、消費税にその人が賛成だから、反対だからという基準ではないと私は思っております。したがいまして、政府税調とは違いまして、人事につきましても国会の承認事項になっておりますので、そこら辺のところは今までと違った体制を組めるのではないか、そういうふうに思っております。
  143. 梶原清

    梶原清君 先日の十七日、平野先生の御質問に対しまして、この問題を笹野先生に御質問されたんですが、明確な答弁がございませんでした。このような原則なりあるいは基本方針を明定して、その線に沿って調査審議せよというときにおのずから人選に制約があるんじゃないか。そうすると国民各層を代表したというものにはならないのではないかという疑問を私は持っているんです。もしそうならば、こういうものをおつくりにならないで、四党の何といいましようか、諮問機関のようなものを別個におつくりになってやった方がよかったんじゃないだろうか、私は個人的にはそう思っております。これは問題の指摘だけでございますので、それ以上のことはいたしません。  そこで、実は冒頭に法案ミスということで委員長からお話がございましたので、恐らく私が気がついておりましたものがそっくりそのまま入ると思いますけれども、念のために申し上げておきたいと思います。  軽自動車の規格の問題は、これは先ほど申し上げましたとおり。もう二つありますが、ちょっと読み上げさせていただきます、早口ですけれども。  一つは、消費税法廃止法案によりますと消費税平成二年三月三十一日に廃止することとされており、所要の経過規定が廃止法案の附則に置かれています。  事業者が消費税廃止前に消費税込みで仕入れた商品を消費税廃止後に返品し、代金を返してもらう場合には、その事業者は消費税廃止前において、既に当該仕入れに含まれていた消費税額について仕入れ税額控除を受けているのですから、そのままでは仕入れ税額控除分の不当な利益を受けることになってしまいます。この点を手当てしていただきたい。もし法案の修正の中に入っていなければ、それを御検討いただきたい。  第二点、消費税廃止法案では、附則の第十条において、消費税込みで仕入れた商品を消費税廃止後に返品し代金を返してもらった場合には、当該仕入れに含まれていた消費税額の申告、納付をしなければならないことになっておる。ここまではいいんです。これからが問題なんです。  この附則の計算規定に問題があります。消費税廃止後において経過規定により税務署に申告、納付しなければならない税額は、附則第十条によれば返品して戻ってきた代金の百三分の三とされているけれども、普通乗用車、小型乗用車については、これらの百六分の六に相当する金額について既に仕入れ税額控除を受けているのですから、これらを返品したときも、戻ってきた代金の百六分の六を申告、納付することとしておかなければならないんです。この三%と六%の差、この部分について実はこの部分が事業者のいわば不当な利益になるんです。この点のことを修正案に盛っていただかなければならない、念のために申し上げたわけであります。その点は、もし御答弁をいただけるならばしていただきたいと思います。
  144. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) ただいま御指摘をいただいております点につきしては、既に私どもの方でそれらの点について申し出ているものもあるように思います。  なお、今梶原先生からいろいろ御指摘をいただいております点、少し、私も今お話を伺いましたので、詳細に精査をさしていただきたいと思います。
  145. 梶原清

    梶原清君 ちょっと大蔵大臣に御答弁をちょうだいしたいと思います。  と申しますのは、先日来の御質疑の中でいろいろと出てまいった問題がございます。一つは、大蔵大臣は新聞広告で国民に手紙による消費税意見募集を行ったようだが、その企画をどう受けとめておられるのか。また、その手紙のうち政府広報に対する意見にはどのようなものがあったか、これにつきまして御答弁がいただければ結構でございます。
  146. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 十一月二十七日現在、意見広告に対しましての結果、一万八千九十五通のお手紙を全国津々浦々からちょうだいいたしました。この中には、もちろん賛成の方、反対の方入りまじっておりますけれども、それぞれの経験から大変切々と消費税についての御意見を述べていただいておりまして、これだけ多くの方々から御意見をちょうだいできたというだけでも大変私は幸せでありました。  この中には、例えば政府広報に対する意見としては、やはり相当数のものが消費税及び税制改革についての政府の説明不足を指摘しておったと思います。私が読みましたものの中にもそうしたものは何通かございました。むしろ、もっと積極的になぜ広報活動をしないかというようなおしかりも随分受けております。こうした国民の中に消費税のPR不足という声が多くあります中で意見募集を行ったわけでありますけれども、結果的にこの企画を通して拝見をしてみますと、積極的なPRを支持していただいた方八割に対して反対の方は二割程度、そんな比率になっておりました。  今後とも、政府の広報というものが国民から率直な御意見を返していただけるような形のものであるべきだと、そのように痛感した次第であります。
  147. 梶原清

    梶原清君 今、大臣がもっとPRをすべきだというお手紙をちょうだいしておられるようでございますが、この委員会では、野党の先生と発議者とのやりとりの中で、国費を使いながら大蔵省が選挙が済んでから猛烈にPRをしておる、けしからぬではないかという御質疑がありました。私は、そうではないと思うんですけれども。  それに関連しまして、また引き続き大臣に御答弁をいただきたいと思いますが、十月二十三日付の新聞の政府広報につきまして、この広報には三通の手紙が紹介されておる。うち二通が逆進性の点から消費税を批判、残り一通が消費税を払うことの自負心を訴え、消費税に賛成しておる、こういうことでございます。これに対して、中村鋭一先生は、この手紙の取り上げ方が恣意的ではないかという御批判をなさっておるわけでございますが、大臣のところへ来ておるお手紙はどうだったか、先ほどちょっとお触れになったと思いますが、その点御答弁をいただきたいと思います。
  148. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 政府広報につきましては、さまざまな御意見が今でも私自身に対しても浴びせられております。  ただ、消費税広報というものが選挙というものに絡められて御論議がありましたとすればこれは大変私としては残念なことでありまして、選挙の時期というものとは全くかかわりなく消費税の広報というものは行ってまいりました。また、まさに国民が大変大きな関心をお持ちいただいております重要な問題について、政府がその趣旨及び内容を国民にお知らせをし御理解と御協力を求めるようにすること自体、私は政府一つの責任であると考えております。税制改革関連法案が成立をいたしました昨年十二月以降をとりましても、新聞あるいはテレビを通じて広報活動を継続してまいりました。これは事実関係として御承知おきをいただきたいことであります。  また、今委員から特定議員のお名前を挙げお話があったとのことでありますけれども、いただきましたお手紙、まだ全部に目を通し終わっておりません。しかし、今日までに分析を終えております一万二千二百三十二通について見ますと、無条件での支持をおっしゃってくださっております方が一二・七%、そして基本的には支持するが条件あり、いわゆる見直しについての御要望を求めておられます方が四七・九%、基本的には反対だが条件によっては支持、すなわち見直しの内容によっては支持すると言われるお手紙が二八・四%、無条件の廃止を主張されましたものが八%でありまして、消費税について言及がなく、むしろリクルート事件でありますとか政治不信についての意見を述べてこられましたものが二・九%ございます。  大体、投書をいただきました方のうち、男性が五九・八%、女性が三一・一%でありまして、性別不明が九・一%であります。この中には大変私どもとして参考になります御意見が多々ございました。そして、今申し上げましたような比率でありますから、あるいはこの投書そのものを正確に反映いたしますならば、意見広告に御本人の御了解を得て掲載をさせていただきましたものは賛成意見の方が多くなってもよかったのかもしれません。しかし、むしろ御批判をいただきました中から選ばせていただいたものが二通、賛成をしてくださった方から選びましたものが一通、私は、決して不公平な取り上げ方をいたしたとは存じておりません。国民の投書の中身をむしろ私どもとしては率直に自分たちの反省も込めながら御紹介をさせていただいたつもりであります。
  149. 梶原清

    梶原清君 主税局長にお尋ねをいたしますが、十五日の当委員会における本岡先生への御答弁の中で峯山先生がこうおっしゃっておるんですが、消費税の逆進性の議論をしているときに税全体で回答するのは問題のすりかえではないか、消費税の逆進性を議論しておるときに全体のいろいろの議論をするのはおかしいではないかということ。それから本岡先生への答弁の中で梶原先生が、高額所得者とか法人税減税、既存個別間接税の見直しなどに消費税が回されたために全体で財源不足になっており、消費税は高齢者対策に回っていないと、このように御答弁なさっておるわけです。これにつきまして大蔵省はどう考えるのか。時間も切迫しておりますので、簡潔に御答弁をいただいて終わりたいと思います。
  150. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) 税の所得に対する逆進性の議論をいたしますときには、やはりその税制全体を考えなくてはいけないと思います。簡単な例として一家の収入というものを考えてみましても、収入として父親の給料というものがある。その中から負担している税というのは、所得税であり、住民税であり、例えば酒税。私は、たばこをのみませんが、酒税は払っている。消費税である。あるいは自動車の関連の税である。そういうようなものを払っているわけでございますから、そういう税全体として所得水準と一体どういう関係にあるのかということが大切なことでございますし、同時に、人によりましては収入で給与以外に、例えば社会保険給付なども受ける方がいらっしゃいますから、そういうものもあわせて考えるというのが当然のことではないかというように存じます。  もう一つの問題でございますが、高齢化社会との関係財源不足という御指摘があったとのことでございますけれども、やはり今回の税制改正、個別間接税から一般的な消費税に改めたという問題は財源だけの問題でありません。財源という点からいいますと、確かにネット減税になっているわけでございます。そうではなくて、むしろ現在の社会、シャウプ以来四十年もたって世の中非常に変わってきているわけですが、その中にあって、特に高齢化社会の入り口に立って、そして負担のあり方をどのようにするのが正しいかというその税体系の問題が一つあろうかと思います。  それから高齢化社会との関係で言いますと、やはり景気の影響を激しく受けない安定的な歳入構造というものを考えていかなくてはいけないわけでございまして、そういう税の体系の問題でございますとか負担のあり方でありますとか、あるいは歳入構造の問題でありますとか、そういうことを考えているわけでございます。
  151. 梶原清

    梶原清君 時間が参りましたのでこれで終わりたいと存じます。(拍手)
  152. 久世公堯

    ○久世公堯君 私は、最初に税制改革基本法案について御質疑を申し上げたいと思います。  そこで、まず最初にちょっとお伺いしておきたいのでございますが、昨日私はこの法律について逐条お尋ねをしたいということを申し上げました。そこで、この基本法につきまして、昨日の朝委員長からおっしゃったことは別といたしまして、そのほかに何か誤りとか、あるいはこうした方がいいとかお気づきの点があればまずおっしゃっていただきたいと思います。
  153. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今日までのところ、私どもの方ではそのような点はないと考えております。
  154. 久世公堯

    ○久世公堯君 そこでもう一つお願いがございますが、私の質問は、今までの各委員の御質問と同じように、何人かの方が質問をされ、それに対して皆様方がそれぞれ御答弁をされました。そういう御答弁との関係もございます。また、それぞれの党のお考えをお伺いしたいものもございますので、私の方から御指名を申し上げましたときには、ぜひその方がお答えいただきたいと思います。それ以外のことにつきましてはどなたにお答えいただきましても結構でございます。よろしくお願いをいたしたいと思います。  以下、逐条でどんどんお聞きしたいと思いますので、それに対してできるだけ簡潔にお答えいただければありがたいと思います。  そこで、たくさん資料をいただいておりますので、その中でこの法案が配られておりますので、それをごらんいただきながらお答えいただきたいと思うのでございます。  まず最初に、この法律の実は附則で政府税制改革法を廃止しておられます。したがいまして、それとの関係で第一条から申し上げたいと思うわけでございますが、この政府税制改革法では、十七条から成っておりますが、税制改革の趣旨、基本理念、方針だけではなくて、所得税減税なり法人税減税あるいは消費税の創設、地方税、消費譲与税の創設、そういうふうに具体的な措置が政府税制改革法の方では書かれております。いわば政府税制改革法では、それを見れば一目瞭然、税制改革の全体像が具体的に示されているわけです。したがって、国民税制改革法を見ただけで税制改革の全貌がわかる。  それに対しまして、皆様方が御提案になっておられます税制改革基本法案は、具体的な税制改革の内容は全く触れないで、例えば「所得税体系の再構築」とか「法人税体系の合理化及び適正化」というような抽象的な言葉が羅列をされているわけでございます。言ってみますと、この基本法は名前は基本法でございますが、再改革についての手続を示しているだけであって、具体的な税制改革の内容はすべて国民税制改革協議会の審議にゆだねて二年先に先送りされている。そして、あるべき税制の積極的な方向づけがなされていない。今までも多くの委員が指摘をしたところでございます。  そこで、ここに一つ論文があるのでございますが、「税制再改革論への注文」、立教大学の和田八束教授でございます。この先生は、私も今まで革新的な先生だと承っておりますし、社会党等の雑誌や何かで何回かお名前を拝見したことがある先生でございます。その先生が、この再改革法案、これは皆様方法案の意義というところにこのように書かれております。ちょっと省略をしながら読みますが、この再改革法案については、  新しい税制の具体案は出されていないし、まして何を実施し推進するのかは明らかではない。具体案はすべて今後の審議にゆだねられる形となっている。   したがって、かりに消費税廃止され、さらに税制再改革の具体案が決定すれば、その時点で、いま一度「税制新改革法」とでもいうべき理念法が提案されることになるのであろう。その意味では、過渡的な性格をもつ法律であり、理念法としても、極めて特殊な位置づけということである。  このように指摘をされておられるわけでございます。和田先生ですら皆様方法律についてこのように評価をしておられる。過渡的な性格を持つ法律であり、理念法としても極めて特殊な位置づけ、こういうふうに私も感ずるわけでございます。  したがって、税制再改革基本法はこういうお名前じゃなくて、例えば税制再改革準備法あるいは税制再改革手続法あるいは国民税制改革協議会設置法とこのように改められたらいかがでございましょうか。
  155. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今一つの御見解としての久世委員のお考えを大変長い時間かけて同わしていただきました。  私どもは、この基本法を提案するに当たりまして、既に趣旨説明でも明らかにいたしておりますように、この基本法案消費税廃止を求めております国民の意思にこたえるということを前提にして不公平税制是正、公正、公平な税制の実現のために、国民の理解と合意のもとに税制再改革を確実かつ円滑に進めるために必要であると考えまして、税制再改革の趣旨、環境整備、基本原則及び基本方針を定めようとするものであることを既に申し上げているところでございまして、今先生からの御意見も伺いましたけれども、私どもはこれはやはり再改革の基本法として御審議を賜りたい、こう考えております。(「名は体をあらわす」と呼ぶ者あり)
  156. 久世公堯

    ○久世公堯君 今どなたかが名は体をあらわすということを言われましたけれども、この法律ほど体をあらわしていない法律はないかと思うわけでございまして、加えて、私が申し上げましたように、手続の法律であるならば、手続法で実体法である政府税制改革法を廃止するというのは非常に問題でございます。この和田先生もおっしゃっておられる、あと二年後に、協議会の報告を受けて出されるであろう新税制再改革法でひとつ税制改革法を廃止するならそうするのが筋ではなかろうかと思うわけでございます。  そこで、以下逐条的に、今の問題はまた後ほどもう一回取り上げることにいたしまして、逐条的に申し上げたいんですが、この第一条に「この法律は、消費税の創設を中心とする先の税制改革に代えて行う」云々とこう書いてございますが、「先の税制改革」というのは何を指すのでございましょうか。
  157. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 昨年の十二月の二十四日でありましたか、成立いたしました政府提案税制改革のことでございます。
  158. 久世公堯

    ○久世公堯君 それでは、「先の税制改革に代えて行う」、この「代えて行う」ということになりますと、今御指摘の税制改革で実施をいたしました所得税の減税をもとに戻すべきだと思います、法律的には。それはいかがでございましょうか。
  159. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 「代えて行う」ということにつきましては、今回の税制再改革は、今申し上げましたさきの税制改革を白紙に戻した上で改めて着手される改革であるところから、「代えて行う」と表現をいたしました。もっとも「代えて行う」とは申し上げましても、さきの税制改革と方向を同じくする部分についてはあえて白紙に戻して改めて行うというような迂遠なことをしなくてもよいのではないか。そういう立場をとっていないのでございます。その点があるといたしましても、理念としては「先の税制改革に代えて行う」税制改革ということに変わりはないのではないか、このように考えております。
  160. 久世公堯

    ○久世公堯君 迂遠なという奇妙な法解釈を展開されたわけでございますが、これは法律的に言うならば、さきの税制改革の一部にかえて行うと言うのが法律的には正確だと思うわけでございます。  ところで、「税制再改革」と書いてございますが、税制再改革には消費税廃止を含むのでございましょうか。
  161. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 再改革には消費税廃止を含まないと思います。これは再改革は消費税廃止の上に行われるものでございます。
  162. 久世公堯

    ○久世公堯君 そこで、少し法律的なことを、細かくて申しわけないんですが、およそ法令というものを制定する場合においては、あらゆる事態というものを考えておかなければいけないと思います。例えばこの税制改革基本法案消費税廃止法案との関係でございますが、今その含まないというのは当然だろうと思うわけでございますけれども、例えばこの税制再改革法案はなかなか通らない、それに対して消費税廃止法案が先に通つてしまった、こういう事態もあるかもしれません。あるいはその逆に、再改革基本法の方が先に成立して消費税廃止法案が成立しないで消費税法が存続している場合、その場合においてはこの再改革基本法の効力はどうなるのでございましょうか。
  163. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) ただいまお述べになりました前者の場合は、これはあり得ると思います。
  164. 久世公堯

    ○久世公堯君 後者の場合だけで結構でございます。
  165. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 後者の場合は、これは実際上あり得ないことだと考えております。
  166. 久世公堯

    ○久世公堯君 なぜでございますか。
  167. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 再改革基本法は、消費税廃止を前提としているからでございます。
  168. 久世公堯

    ○久世公堯君 それは立案者の方がそう思っておられるだけでございまして、法律的には、もし再改革基本法が消費税法廃止を前提としているのであれば、二つの法律の施行日は一致をさせなければいけない。それが皆様方法律によりますと、消費税廃止法は「平成二年四月一日」と、こうなっておるのに対して、再改革基本法は「公布の日」になっているわけでございます。これは、法律的に当然一致をさせるか、あるいは再改革基本法案の附則において消費税法廃止する旨の規定を置くか、いずれかどちらかの法制上の措置をとらなければいけないと思うわけでございます。お答えは結構でございます。法制というものはそういうものであるということを御理解いただきたいと思います。  そこで、この一条でございますが、ここにこのように書かれております。「税制再改革の具体的な措置について調査審議を行う国民税制改革協議会」、それから同じこの法律の第六条の二項に「税制再改革として行うべき具体的な措置について調査審議する。」、同じ法律の中で片方は「具体的な措置について」云々と、片方は「行うべき具体的な措置について」云々と、どうしてこのように表現が違っておるのでございましょうか。
  169. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) ちょっと条文を正確に確認させていただきましたので時間をいただきました。  前段の方は、これは国民税制改革協議会の目的に関する記述でございまして、後段の方はその組織、運営等に関する点にまで及んでいるのでやや詳しい表現になっている、そういうことだと思います。
  170. 久世公堯

    ○久世公堯君 今の御説明は全くわけがわからない。無理に何か言葉をこじつけられたと思いますが、これは全く同じことを言っておられる。別に、第一条は法全体の目的であって、国民税制改革協議会の目的を書いておられるわけではない。私はどうもこの法律は、もう非常にお急ぎになったから一条と六条を別々の人が書いてそれをホチキスでとじて印刷に回した、そんな感じがしてならないわけでございますが、これは法制的には全く区別をする意味がないと思いますので、いずれほかに修正すべきことがいろいろあるときには一緒にこれは修正をしていただきたいなと、このように考えておる次第でございます。  それで、次に二条に入ってまいりたいと思います。第二条におきましては、「先の税制改革が広く国民の理解と信頼を得た上で行われたものとはいい難い」、こう言っているわけでございます。私は非常にこれは問題だと思うわけでございますが、そこで、国民の理解と信頼を得られなかったのかどうか。今回の政府の行いました税制改革、よく五本柱と言われておりまして、所得税云々から始まる五本柱をひとつ大蔵大臣、簡潔に御説明をいただきたいと思います。
  171. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 先般の税制改革におきます五本柱と申しますのは、所得税、個人住民税の負担軽減が第一の柱であり、負担の公平の確保が第二の柱であります。第三は相続税の軽減合理化であり、第四は望ましい間接税制度の確立であります。第五は国際的視点に立った法人税制の確立でありまして、所得税、個人住民税につきまして税率の累進度を緩和いたしますと同時に、人的控除の引き上げを行うことなどによりまして負担の軽減合理化を図る、これが第一でありました。  また、有価証券譲渡益の原則課税化、社会保険診療報酬の特例の見直しなど、負担の公平確保のための措置を講じ、相続税につきまして課税最低限を引き上げるなど、負担の軽減合理化を図りました。  また、従来の個別間接税制度が直面しておりました諸問題を解決すると同時に、税体系全体を通ずる負担の公平を図ります見地から、既存間接税の抜本的な見直しを行いますと同時に、消費に広く薄く負担を求める消費税を創設いたしました。  また、国際的視点に立った法人税制の確立を目指しまして、法人税の基本税率を引き下げるなど、負担の軽減合理化を図ったわけでありまして、これらがいわゆる五本柱と言われる税制改革全般に行われた改革の概要であります。
  172. 久世公堯

    ○久世公堯君 ありがとうございました。ただいま大蔵大臣が御説明をいただきましたのが五本柱でございますが、国民の理解と信頼を得られなかったのはこの五本柱のうちのどれでしょうか。これはきのうたまたま谷川先生がそれぞれ御答弁についてお尋ねされたので私は繰り返し皆様方にお尋ねしようとは思いません。  伊江先生の質問に対しまして、峯山先生は、所得税減税については今回の税制改革全体の中で評価するということを言っておられますし、また伊江先生に対しまして勝木先生は、法人税についても我々は政府・自民党の税制改革について評価をしている、また党の公式発表につきましては、それだけではなくて所得税、法人税相続税についての減税を評価している、このようにお述べになっておられます。また久保先生は、教育減税について、長く努力をされたという経緯を主張されまして、その点について評価をしておられる。このように既に皆様方はさきの税制改革の評価をしておられるということは、国民の理解と信頼を得られなかったというのはすべてではない、かなりの部分を評価しておられるんだろうと思いますが、いかがでございましょうか。
  173. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) かなりの部分と見るかどうか、そこが今度の問題の分かれ道だと思っております。  昨日の御質問の中でも、IMFの評価とかいろいろお話しございました。    〔理事井上吉夫君退席、委員長着席〕 その中でも、皆さんの方から評価されております中心は、消費税の導入、こういう立場において評価が高いのだというお話がございました。私どもはこの点において評価ができないという立場をとって、税制改革法の廃止と再改革基本法の新たな成立を求めているわけでございます。税制改革法は消費税の導入を根幹としておるのでありまして、これは国民の審判を受けて私どもは否定されたという確信に立つものであります。したがって、税制再改革基本案においてこれを廃止することといたしております。ただ、個々の問題についてそれぞれ評価をすべき点があるからといって、税制改革法を評価するという立場には立つことができません。  問題点といいますと、所得平準化と言いながら、勤労者の可処分所得は向上せず資産格差は拡大をいたしております。消費税が無理やりに導入されたことが正当化されることになります。国民の租税に対する不公平の払拭を言いながら、不公平税制は放置されたままであります。所得、消費、資産の均衡と言いながら、消費税のみ導入し、資産課税については放置されているのではないでしょうか。国民生活の安定向上と言いながら逆進性の高い消費税が導入されているというようなことを考えてまいりますと、これは部分的に評価すべきものがあっても全体として評価のできないものだと考えております。
  174. 久世公堯

    ○久世公堯君 いろいろと考え方があろうかと思いますが、少なくとも所得税減税なり法人税減税については評価をしておられる。そうしますと、先ほどと同じように法律的に言うならば、さきの税制改革の一部が広く国民の理解と信頼を得た上で行われないものとは言いがたい、本来ならばそうしていただきたいと思うわけでございます。  ずっと久保先生だけ御答弁いただきまして、よく歴代の総理がそこに座って、総理というのは、各大臣が答弁した後でちょっと言うというようなのが多いわけでございますから、少しほかの先生方にもお答えいただきたいと思います。  次は、少し憲法に絡む問題でもございますので、笹野先生は憲法学者でいらっしゃるそうでございますから、ひとつ笹野さんにお答えいただきたいと思います。  ここに「国民の合意に基づき、」と、こう書いてございますが、どのようにして国民の合意を得るのでございましょうか。
  175. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 私どもは、「国民の合意」ということに対しては、税制改革基本法案の中で国民税制改革協議会という機関を設けまして、そこでいろいろな御意見を伺いながらその意見を集約してまいりたいというふうに思います。もちろん、国民税制改革協議会だけで国民の合意の形成に十分だと考えているわけではなく、いろんな機会をとらえて国民の合意の形成に努めることが必要であるということは十分認識しております。
  176. 久世公堯

    ○久世公堯君 今笹野さんからそういう御答弁をいただいたんですが、今たまたま私も持っておりますこの「Q&A」という御本、これを今ごらんになりながら答弁されたと思いますが、私もこれはよく読ませていただきました。  その前に、この法案提案理由説明のときに、最後のところに「国民税制改革協議会の設置であります。」、「国民の参加と合意に基づく税制再改革を実現するため、」云々と、このように書かれておりますし、またこの「Q&A」に四党の共同声明も書かれておりますが、そこに「国民の合意」と協議会との結びつきが書かれております。  また、この書物の「序にかえて」というところでは、四党の政審会長さん方が名前を並べて、「国民の合意に基づく税制再改革を実現するため、国民税制改革協議会を置くこととした。」と、このように書かれておりますから、今の笹野先生の御答弁とこの本あるいは提案理由というのは全く一致するわけでございます。  ところで、議会制民主主義のもとにおきましては国会の議決が国民の合意だと思います。選挙で選ばれたわけでもない国民税制改革協議会によって国民の合意が形成されるというのは極めて問題だと私は思うわけでございます。国民の合意は、国会の存在にかかる大変重要な問題でございます。国民の合意を得る手続といたしましては国会の議決、多数決がそもそも議会制民主主義でございますし、憲法解釈上も国民の合意というものは国会においてのみ決定されるものとされているのが通説であろうかと思います。  そこで、笹野先生に重ねて憲法学者としてお聞きしたいのでございますが、我が国の憲法なり法律国民の合意という言葉はどのような法律で使われておりますでしょうか。
  177. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) お答えいたします。  もちろん、議会制民主主義というのは、国民によって選挙された私たちの意見も十分、この民主主義というのは当然のことだと思います。しかし、この消費税の……
  178. 久世公堯

    ○久世公堯君 私は法律を聞いているんです。どういう憲法なり法律にどこに使われているか。
  179. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 第一条に使われております。この民主主義というものは第一条から始まっていろいろなところに使われておりますが、今消費税の問題として私はお答えをしておりますけれども、あらゆる機会をとって国民意見を聞くということは我々であってもやぶさかではないはずだと思います。
  180. 久世公堯

    ○久世公堯君 その第一条を読んでください。国民の合意ということがどこに書いてあるか読んでください。
  181. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 失礼をいたしました、今勘違いをいたしまして。  この基本法で言うならば、二条に書かれております。
  182. 久世公堯

    ○久世公堯君 私は、日本の法律でと、日本の憲法、法律でというお尋ねをしているわけです。皆様方のこれは法案であって、法律でも何でもないわけでございます。間違えないようにしていただきたいと思います。どうぞお答えください。日本の憲法なり法律なりのどこに国民の合意という言葉が使われているかということでございます。
  183. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 憲法の前文の中に書かれております。
  184. 久世公堯

    ○久世公堯君 どこに書いてございますか。憲法学者にあえてお尋ねをいたします。  憲法の前文には書いてございません。ただ憲法学者でいらっしゃいますから、今前文とお答えになったわけでございますが、この日本国憲法の前文には書いてございません。もし書いてあるとすれば、日本国以外の憲法かと思います。(発言する者多し)
  185. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 静粛に願います。御静粛に願います。
  186. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 大変お騒がせをして申しわけありません。  この今の私は、言葉のことよりもその内容として非常に大きくとらえました。ですから、憲法の前文の勅語の中に、総意としてという言葉で出ておりますので、訂正をいたします。
  187. 久世公堯

    ○久世公堯君 国民の総意と国民の合意とでは全く違っております。確かに、憲法第一条には天皇の規定のところに「国民の総意」という言葉がございますが、国民の合意という言葉は、私の知る限り憲法あるいは日本の法律にはこれはないと思いますが、私もそこは確信を得ているわけではございませんが、まず確信を持って私はそう信じております。  そこで、続けさせていただきたいと思いますが、憲法の解釈上も、私は従来から国民の合意という用語は、国会による国民代表に係ることであり、国会の存立について極めて重要な問題であるから、法律がこれを軽々に使うべきではないと、こういうふうに私は今まで教えられたつもりもありますし、私自身そのような考えで憲法解釈もやってきているわけでございます。この法律案の中に、皆様方法律案の中に四カ所も「国民の合意」という言葉があります。二条、三条、四条、六条、この四カ所に「国民の合意」という言葉が使われております。八条の問題につきましては、私は云々いたしません。  しかし私は、今の笹野さんの答弁を聞いておりましても、皆様方立法者は、この法律全体が国民税制改革協議会という正体不明なものをつくり上げて、これに国会にかわる機能を与えようとしている。初めから立法者にはそのような意図があるんじゃなかろうか、このようにさえ思うわけでございます。  先ほど申し上げましたように、議会制民主主義におきましては、国会の議決が国民の唯一の合意でございます。選挙で選ばれたわけでもない国民税制改革協議会によって国民の合意が形成されるというのは、極めて問題でございます。これはもうぜひとも解明をしていただきたい。お答えいただきたいと思います。
  188. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) お答えをいたします。  私たち国民に選ばれた議会制民主主義というのは、今度の参議院選挙は消費税という問題によって国民の意を問い、そして私たちは国民の多数によって選ばれてきたわけです。ですから、今御質問のその問題というのは、私たちは、国民の意思を受けた合意という意味ももちろん私は入っているというふうに思います。  具体的な政策について直接国民の意思を確かめるというような手続を持っていない我が国では、事後的に国民の合意を確認することは、事後的にですよ、困難であります。今私たちは参議院で与野党逆転という国民の意思を受けているわけです。したがって、事前に国民の合意を形成する過程において、広く国民意見を聞く等の手続を踏むことによって初めて国民の合意というのは得られるというふうに思っております。
  189. 久世公堯

    ○久世公堯君 私の質問に対して全くお答えになっておられない。私はひとつそこで、三点を申し上げたいと思います。  第一点は、私は、およそ日本の憲法なり法律なりに「国民の合意」という言葉は使われていない。その使われていないのは、先ほど申し上げましたように、これは憲法の解釈において大体そのようなことが常識となっていると申しますか、憲法上それは使わないというようなことになっているんじゃなかろうか、こう思いますが、私も絶対の確信を持っているわけではございませんので、日本の法律で使っている例が全くないかどうか、これをひとつ確認していただきたいと思います。  二番目には、今申し上げました憲法解釈上「国民の合意」というものをこのように使っていいものかどうか。大変憲法解釈上問題でございます。私は、著しく憲法違反の疑いすら持たれるんじゃなかろうか、こういう気がしてなりません。ひとつそういう疑いが濃厚なものは削除をしていただきたい、このように思います。このお答えがない限りは私はちょっとこれは進むわけにはいきません。
  190. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 「合意」という言葉が法律の用語としてどこにあるかというような問題は、これは急な御質問でございますから、私どもも調査をしてみなければ他の法律との関係においては今直ちにこういうところにありますということはお答えできないだろうと思っております。しかし、「国民の合意」という表現が憲法違反の疑いがあるという御見解に対しては、私としては同意いたしかねます。
  191. 久世公堯

    ○久世公堯君 今の点の、私は疑いがあると申し上げているのでございまして、現に日本の法律には一切そういうものは使われていない。また、従来ともそういう国民の合意というものは、この議会制民主主義におきましては国会の議決のみが国民の合意である、そう確信をいたしております。  それでは、我が国の憲法及び法律において国民の合意という用語が使われているかどうか、ひとつ御調査を願って御連絡を賜りたいと思います。またあわせて、国民の合意ということが議会制民主主義において、こういう今私が述べましたようなことであるから、これはそういうことを使うということが適切であるかどうか、それもお調べをいただければありがたいと思います。  それでは、次に移りたいと思います。  この二条でございますが、二条には「現在及び将来の経済社会に対応する税制」と、こう書かれております。政府税制改革法の方では、これは少し長くなるわけでございますが、「今次の税制改革は、現行の税制が、産業構造」云々、「著しく変化してきた現在の経済社会との間に不整合を生じている事態に対処して、将来の展望を踏まえつつ、」ということになっております。将来の展望を踏まえて云々と、こういうことになっておりますが、どうも皆様方のこの法案によりますと、何か将来、経済社会が変化をした場合に、それに合わせて税制を改正していくというようなことを想定しておられる。皆さん方の、野党の再改革法では何か税制が自動的に将来の経済社会に対応して変化をする。例えばコンピューターにでも経済成長率とか租税弾性値とか、そういうものを入れておけば自動的に何か変化をする、そんなふうにも受け取れるわけでございますが、そのあたりを御説明いただきたいと思います。
  192. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 久世さんのただいまの御質問に御答弁を申し上げる前に、先ほどのお話しございました国民の合意ということについて日本の法律にどのように使われている例があるかということについては、私どももみずからの参考としては調査をしてみたいと考えておりますけれども、そのことをもってこの委員会において合意という言葉が法律用語としてなじむかなじまないかとか、憲法に触れるのではないかというようなことについては、私どもはここで論議をするまでもないことだと考えておりますので、さよう御了承いただきたいと思います。  なお、「将来の経済社会」とはいかなる社会を想定しているのかというお言葉でございましたが、近年の我が国経済社会は国際化、ソフト化、サービス化などという言葉で表現される特徴を強めておりますけれども、将来においてもこの方向は変わらず、一層進展してまいるものと予想されております。もう一つの傾向として見逃せないものといたしましては、我が国社会の急速な高齢化が想定されていると思います。
  193. 久世公堯

    ○久世公堯君 これも法律的に申しますと非常に不可解なる表現だと私は思います。  それでは次に、第三条に移ってまいりたいと思います。  第三条でございますが、私はこの再改革基本法というのは大変不思議な法律だと思うんですが、第三条もそうなんです。一々読みませんが、「次のような環境が整備されなければならない。」と。「される」、これは、この法律はどういうわけかみんな受け身で書いてあるわけです。それで「次のような環境が整備されなければならない。」。どうしてストレートにお書きにならないのか、他人事のように何か責任を負わないような表現になっているのか。法律上、何々されるという表現はもちろんございます。主として二十年代につくられた法律、これは当時は駐留軍との間で法律を全部折衝いたしておりました。英文を翻訳して法律になったものもかなりございます。そういう名残でこの「される」「られる」ということが残っている法律はいまだに幾つかございます。  もう一つは、その主体というものが率直にそれを「する」というふうに書きにくい場合、あるいは書かない方が適当な場合、そういう場合に立法技術上「される」ということを使う場合がございます。皆様の場合におきましては、これはみんな後の方でも同じなんでございますが、なぜ受け身になっているのか。どうして、国及び地方公共団体は環境を整備しなければならないとか、環境の整備に努めなければならないというふうに、責任を負ってストレートにお書きにならなかったんでしょうか、御説明いただきたいと思います。
  194. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) これは第三条で、「次のような環境が整備されなければならない。」ということで、一項目、二項目と、読みませんけれども、書いてございます。これは特別私どもがこれでなければ絶対いかぬという意味じゃなしに、やっぱり法律のスタイルだと私は思うんですよね。そういうようなこともありましてこういうふうな書き方にしているわけでございます。
  195. 久世公堯

    ○久世公堯君 法律のスタイルとおっしゃいましたけれども、私は先ほど、二十年代の翻訳の法律にはそういうものがかなりあったと。皆さんは英文か何かに書かしてそれを翻訳されたんでしょうか。どうも他人事のように書かれている。第三者にやってもらうというふうに解せられもするわけでございます。その第三者というのは自民党政府のことでございましょうか。
  196. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 大変厳しいお尋ねでございますが、決してそういうことを想定はいたしておりません。これは国民の審判を受けて政権を担当する者がその責めを負うべきものと考えております。
  197. 久世公堯

    ○久世公堯君 それでは、これに関連してあと二点お尋ねしたいと思います。  一つは、「構想が明らかにされ、」と書いてございますけれども、構想だけで実現をしなくてもいいのでございましょうか。  また、二年後までに環境整備ができなかったならば税制の再改革はどうされるんでしょうか。この再改革を先送りするのでございましょうか。
  198. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) この法律で、今おっしゃっていただきました「環境が整備され」というところですね、整備されたと言い得るのは、一つは「行政及び財政の改革が一層推進されること。」である。もう一つは「社会保障と国民の負担との在り方についての国民の合意の形成が図られること。」であると、こういうふうに考えております。いずれにしましても、推進される状態あるいは図られる状態であればいいと、こういうふうに考えております。
  199. 久世公堯

    ○久世公堯君 私は今、二年後までに環境整備ができなかったなら税制再改革は先送りされるのかと。この条文によりますと、「税制国民の信頼を得るものとなるため、」と書いてございますので、環境整備がなされないのに再改革を実施するならば国民の理解と信頼を得られないので失敗することになるんじゃないでしょうか。
  200. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) したがいまして、そのことは、先ほど答弁しましたように、いずれにいたしましても、環境が整備されたと言い得るという問題につきましては、先ほども一つは「行政及び財政の改革が一層推進されること。」であると。そしてもう一つは「社会保障と国民の負担との在り方についての国民の合意の形成が図られること。」であると。そしてもう一つ今の質問につきましては、いわゆるいずれも二年後にそういうふうなことがきちっと推進される状態あるいは図られる状態であればいいと、こういうふうに考えているわけであります。
  201. 久世公堯

    ○久世公堯君 この環境整備の内容につきましては、特に行政改革につきましては後ほど、大きな問題でございますので、別途取り上げさせていただきたいと思います。  そこで次に、第四条でございますが、これは税制再改革の基本原則でございまして、五つの条項が書かれております。先ほど政府税制改革につきましては大蔵大臣から五本柱を御説明いただいたわけでございますが、皆様方の五本は私なりに要約をさせていただきますと、民主的な手続、税負担の公正及び公平、均衡ある税体系の構築、この中には総合課税とか、応能負担原則を重視するとか、応益負担原則に配慮をするとか、直接税が主であって間接税が従であるとか、そういうようなものが含まれていると思います。それに、四つ目が地方自治の尊重、五つ目が福祉社会を支える税制、こういう五つの基本原則だと思うわけでございますが、どうも漠然としておりまして、あるべき税制の積極的な方向づけになっていないように思われます。  そこで、今回の政府税制改革では、今野党が麗々しくお立てになったこのような柱がどのくらい充足されているのでございましょうか。大蔵省から御答弁を賜りたいと思います。簡単で結構でございます。
  202. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) 第一の民主的な手続によりという点でございますが、私ども政府税制改革も民主的な手続で行われたと思っております。  それから第二に、税負担の公正及び公平の確保、これは先ほど大蔵大臣からも申しましたように、税制改革一つの柱として考えていた点でございます。  それから第三に、均衡ある税体系の構築、この点は所得、消費、資産に対する課税のバランスのとれた税体系ということはかねがね申し上げてきたところでございまして、そういう考えに基づきまして税制改革を行ったところでございます。  それから地方財政の確立、地方分権及び地方自治の発展、これは税制改革法にも書かれておりますように、このようなことを考慮して地方財政について十分配慮した税制改革となっているわけでございます。  それからその次に、活力ある福祉社会、これも一つの基本的な条件と考えておりまして、そのようなことを近時それから将来も見据えながら、こういう活力ある福祉社会が維持されるように消費税の導入その他の税制改革を行ったところでございます。
  203. 久世公堯

    ○久世公堯君 ありがとうございました。  どうもこの皆様方がお立てになった柱立て、これは非常に重要なものを含んでおりますが、政府の今回の税制改革におきましてもこれはほぼ完全に達成されております。そういう意味におきまして、別に新鮮な、積極的な方向づけとは考えられない。  それから「国民に広く意見を述べる機会が与えられる」、恐らく公聴会のようなことをお考えになっておると思いますが、御承知のとおり、消費税を創設するための政府税制調査会におきましても非常に広く、中央ではもちろんのこと、地方におきまして公聴会が開かれたはずでございます。どのくらい開かれたか、大蔵省の方から御説明を賜りたいと思います。
  204. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) 地方公聴会は二十五回行っております。
  205. 久世公堯

    ○久世公堯君 そこで、この原則の中で、盛んに当委員会におきましても議論されました公平と公正の問題とか、また皆様方は余り取り上げておられない簡素の原則でございますとか、あるいはまた中立性の原則とか、そのあたりも少し議論したいわけでございますが、時間の関係から先に急がしていただきたいと思っております。  そこで、「所得、資産、消費等に対する課税についての均衡ある税体系」、このように書かれております。実は、政府の今回の税制改革におきましても、「所得、消費、資産等に」云々とこう書いてあるわけでございますが、よく見ますとこの順番が逆になっております。ところが、皆様方のこの間からの答弁を聞いておりますと、政府と同じように答弁しておられる方も何人かおられたわけでございますが、これはどうして逆にされたのでございましょうか。
  206. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 所得、資産、消費という順番で申し上げておりますのは、応能負担の原則というような立場を考慮に置いたものだと思います。
  207. 久世公堯

    ○久世公堯君 それでは、「所得、資産、消費等」の「等」は何でございますか。
  208. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) これは「等」といたしておりますのは、この場合には流通が考えられます。
  209. 久世公堯

    ○久世公堯君 今おっしゃいました流通とは何でございますか。具体的な税目を言ってください。――よろしゅうございます。流通税と申しますのは取引所税あるいは印紙税、登録免許税、そういうようなものでございますけれども、これは非常に、ちょっと御注意いただきたいのは、「所得、資産、消費等」というのと政府の方のように「所得、消費、資産等」というのと、私はちょっと違うと思うんです。  なぜなれば、この「等」は、税の分類をやりますときには所得それから消費、資産等ということで、流通税の中にはいろいろございますけれども、どっちかといいますと資産に近いわけでございます。だから、「所得、消費、資産等」といえば、これは「等」が、資産に近いわけでございますので「等」がついているのが一般的な考え方です。  それを野党の場合は、どうも子供がカンニングをしようと思って隣をのぞいたら所得と資産と消費が書いてあったからどうもそのまま書き写すと問題だからひとつひっくり返したんだと、それだから「等」はどっちにつけても同じだろうと思ったらとんでもないことになる。これに近いわけでございまして、「所得、資産、消費等」、おわかりになりますか、これと「所得、消費、資産等」というのではニュアンスが随分違う。その流通税というものの存在も資産に非常に近いから「資産等」になっておるわけでございまして、皆様方のように「消費等」になりますと、もちろん全部にかかるという解釈も無理にすればできないわけではございませんけれども、御注意をいただいて、もし字句の整理等を最終的におやりになるときには、こういう点も頭に置かれたらいいんじゃなかろうかと思います。
  210. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 大変学識のある御意見を承りましたけれども、流通税と申しますのは、確かに今御指摘のように、学説の上でも財産流通税的なものもございます。しかし、価格流通税に当たるもの、例えば印紙税とか登録税とかいったようなものは学説的にはそういう分類もございまして、久世さんがおっしゃるように、一つに割り切ってしまうということではないのではないかと私は思っております。
  211. 久世公堯

    ○久世公堯君 私も先ほど申しましたように、全部に係る「等」もあるし、それから消費と資産の流通税を考えた場合においては、流通税の多くは、今御指摘のありました印紙税とかそういうものにつきましても、資産に近い印紙税もあれば両方あるわけでございます。しかし、消費の部分は非常に少ない。それですから、今までのいろんなこういう税の分類のときには「所得、消費、資産等」という分類です。したがいまして、皆様方はそれをひっくり返したけれども、これはやはり政府の方にいずれ修正されることを望んでやまない次第でございます。  それでは次に、第五条に移ってまいりたいと思います。  ここでも一つ気にかかるのは、この「される」という受け身で書かれてございまして、どうもみずから再改革をしていくという気迫が感じられないわけでございますが、それはともかくといたしまして、少しこの内容に入ってまいりたいと思います。  この「租税特別措置等の抜本的な整理及び合理化」ということについて何を考えているのかを承りたいわけでございますけれども、私は長く地方自治をやっておりましたので、国税につきましてはまた別途御質問される方があろうかと思いますので、ひとつ地方税につきましてお伺いいたしたいと思います。
  212. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) 地方税における非課税等特別措置の整理についてお尋ねでございますが、私どもも地方税におきます非課税等特別措置、貯蓄の奨励等として老人等の少額預金の利子の非課税、これが大きな額になっております。すべて私たちは不公平税制とは考えておりません。したがいまして、老人マル優等について必要な措置だと私たちも考えておりますし、整理合理化をする考えはございませんし、あるいは生命保険料控除あるいは新築住宅に対する軽減等につきましても、これは国民の生活に影響の深いものでございますのでそのまま存続をしていきたい、こういう考え方でございます。  私たちは税の不公平を一掃していきたいという考え方を持っておりますけれども、これは国民の税に対する不公平感を除去していこう、そういうところに重点を置いておりますので、このような非課税等の特別措置につきましては、整理合理化を図ることによって多額の税収を見込むということは考えてはおりません。  以上です。
  213. 久世公堯

    ○久世公堯君 大蔵大臣、お忙しいところ大変恐縮でございました。どうぞお引き取りいただいて結構でございます。  それでは、続けて質問させていただきたいと思います。  今増収を図ろうとはしていないとおっしゃったわけでございまして、私は、これは増収を図ることをねらっておられるんだと。一体、老人マル優でございますとか、生命保険料控除とか新築住宅控除とか、そういうのはどうされるんだろうかと思ってお伺いしたわけでございますが、今の御答弁によりますと増収を図ろうとはしていないと。そういたしますと、こういうものを除いて多少でも増収になるということはあるのでございましょうか。
  214. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) 今ちょっと資料が見当たりませんものであれでございますが、例えば国税と地方税との関係におきますところのいろんな特別措置の問題がございます。そういうものの地方税に対する影響の遮断等も考えておるわけでございます。
  215. 久世公堯

    ○久世公堯君 少し細かい議論になりますので次に移りたいと思っております。  皆様方の案によりますと、盛んに総合課税というものを強調しておられるところが多いわけでございますが、総合課税というものは大体どういうものを考えておられるのか。例えば土地譲渡所得とか山林所得とか退職所得というのも総合課税をするつもりでございましょうか。
  216. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 私どもの総合課税に対する考え方についてでございますが、有価証券のキャピタルゲインあるいは利子配当所得の分離課税など、税制改正のつど、そのつどそのつどの改正を繰り返してきました結果、現行税制に見られるように分離課税制度とかそれゆえの負担の不公平というものが指摘されるに至っておるわけでございます。また、所得税におきましても、応能負担を貫くことがやはり垂直的公平を維持する上で不可欠の原則じゃないかというふうに思っております。そのためにはやはり総合課税主義をとることが前提となるんじゃないかというふうに思っております。  したがいまして、私ども税制再改革の姿といたしましては、すべての所得につきまして総合課税主義を貫徹させることが究極的には望ましいということでございますが、制度改革によります国民経済あるいは国民生活への激変というものを考慮いたしまして、その緩和策をも図らなければならないというふうに考えておるわけでございます。御案内のように、竹下税制改革でも分離課税となっているものもそのままにしたまま一挙に税率の段階を五段階とした、そして最高税率を七〇%から五〇%にした経緯がございます。私どもも、税率のフラット化や最高税率を引き下げることは、総合課税化とあわせて実施すべきであるというふうに主張をしてきたところでございます。したがいまして、基本的には、この件につきましては最高税率は五〇%のままとすることにしたわけでございます。  今後につきましても、公平な税制という観点から総合課税というものを打ち出しておるわけでございまして、それに当たりましては、さらに資産課税の強化等を実現していかなければいけないんじゃないか。しかも、低中所得者層の人たちにも配慮しつつ、累進度のフラット化も検討の対象というふうに考えておるわけでございまして、総合的に勘案して、二年間をかけまして総合課税化を中心とした所得税の再構築というものも検討していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  217. 久世公堯

    ○久世公堯君 今具体の項目を問うたことをお答えください。土地譲渡所得、山林所得、退職所得はどうするのか。
  218. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 土地税制については、現在分離課税となっておるわけでございますので、私どもも分離課税すべてを否定しておるわけではございません。政策的な見地から採用されることもあり得るわけでございます。土地税制につきましても、この課税のあり方によりまして、保有期間の長短に応じた課税というものが地価の安定に有効な役割を果たすという面にも着目をしなければならないというふうに思っております。といいますことは、短期保有の土地譲渡には……
  219. 久世公堯

    ○久世公堯君 もう結構です、それはわかっておりますから。山林を聞いているんです。山林、退職と。
  220. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 山林。
  221. 久世公堯

    ○久世公堯君 山林所得はどうするのか、現在五分五乗でやっておりますが。
  222. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) どちらにいたしましても、今申し上げました……
  223. 久世公堯

    ○久世公堯君 どちらにいたしましてもじゃなくて、山林所得はどうするのか。総合課税されるのか。
  224. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 総合課税か分離課税か等も含めまして検討を重ねていきたいというふうに思っておるわけでございます。
  225. 久世公堯

    ○久世公堯君 恐らく皆様方のお考えでも、土地譲渡所得なり山林所得なりあるいは退職所得、そういうようなものは現在の分離課税のままだろうと思うのでございますが、このあたりで次の問題に移らせていただきたいと思います。  これは総合課税をやる場合に納税者番号制というのは非常に重要な問題だと私は思いますけれども、きのう沓掛先生がかなり詳しく御質疑をされましたので、私も全く同じような趣旨からお尋ねをしようと思った次第でございます。  さて、この総合課税のところに、この条文を読みますと、「納税者番号」云々、「総合課税を一層推進する」と書かれておりまして、「この場合において、低所得者及び中堅所得者の勤労意欲及び貯蓄意欲を損なわないための措置を併せて講ずること。」、これはどういうことでございましょうか。普通、総合課税の場合は累進度が高まりますから、どちらかといいますと高額所得者とかそれに近い中所得者というものが勤労意欲や貯蓄意欲というものを損なうというのが一般的だろうと思うんです。  ところが、皆さん方は逆のことを書いておられるが、それは何かほかの意図が私は必ずあるんだろうと思いますので、お答えいただきたいと思います。
  226. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 「低所得者及び中堅所得者の勤労意欲及び貯蓄意欲を損なわないための措置」といいますのは、仮に総合課税によりまして税負担が累進するようなことになりますと、勤労意欲や貯蓄意欲を減退させかねないということでございますので、そのようなことにならないように措置することをいうわけでございまして、具体的にはこれらのものの貯蓄について分離課税するようなことも考えられるわけでございまして、その意味では、こういう低所得者及び中堅所得者の層の累進度を緩和していく、あるいはフラット化するような措置も考えられるわけでございまして、いずれにいたしましても国民税協で議論をしていただきたいというふうに思っておるところでございます。
  227. 久世公堯

    ○久世公堯君 今のは答えになっておりません。私の聞いたことにお答えいただきたいと思います。私が申し上げましたのは、一般に総合課税になった場合においては累進度が高まるから、そうなりますと、勤労意欲とか貯蓄意欲というものを損なうのは、どちらかといえば高額所得者あるいはこれに近い中所得者がそうなるんだろうと思います。  それに対して、皆さん方法律は低所得者と、逆のことを書いておられるので、これはほかに何か意図があるんじゃなかろうかと思いますのでお聞きします。
  228. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 失礼いたしました。  私どもは、そういう所得層の方々の累進度を緩和する、あるいはフラット化するような措置を考えるべきであるというふうに考えております。
  229. 久世公堯

    ○久世公堯君 どうも一般に常識的に言われているのは私が先ほど言いましたことですから、あるいは私はこれ、低所得はミスプリで、高額所得の間違いじゃなかろうかと、こう思ったくらいでございます。普通の場合は、総合課税をやると累進率によってはそこが一番影響するわけでございますので、高額所得者がどうも、勤労意欲とは言わないかもしれませんが、貯蓄意欲を損なうというのが常識でございます。  あるいは、私も気を回したのでございますけれども、これは皆さん方は、例えば課税最低限を引き上げるということをお考えなのか。もしそうだとすれば、今でも国際的に見て課税最低限というのは日本の場合は一番高くなっておりますから、これはまた国際的に通用しないなと。それなら何だろうか、何かお考えがございましょうか。
  230. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 課税最低限は国際的に絶対額の上では確かに高い水準にございます。しかし、内外の物価格差の問題とか社会保障や教育制度の上など、全体的に見てまいりますと、大変国際的に見まして負担が軽くないということも実際にあるのではないでしょうか。  私はそういうものを考えながら、今御指摘のございました点で言いますと、総合課税というのと累進制というものは必ずしも一体ではない。総合課税主義をとりながら、総合課税はもちろん累進制を基本といたしておりますけれども、その累進のカーブについては、今御指摘のような意欲の喪失ということにつながらないよう配慮されていくべきものではなかろうか、こう思っております。
  231. 久世公堯

    ○久世公堯君 今のおっしゃることもよくわからないわけでございまして、具体的にそういうカーブがあり得るならかいていただきたいと思います。私は察するに、次にお尋ねすることも同じなんでございますが、どうも何か受けのいい言葉を羅列して、低所得者や中堅所得者の勤労意欲や貯蓄意欲を云々するというきれいごとを言っているんじゃなかろうか。  これ以上は言いませんけれども、同じようなことが、「小規模宅地等についての税負担を軽減する措置を併せて講ずるとともに、」、こう書いてございますが、これは何を考えておられますでしょうか。
  232. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 小規模住宅の軽減措置の問題でございますが、これはいろいろ問題があるということについてはよく私ども知っております。  しかしながら、現在の国民税制改革協議会の場でこの問題についても議論をしていただきたい、こう考えているわけです。それはなぜかといいますと、現在の住宅用地あるいは小規模住宅用地等の課税標準につきましては、御存じのとおり二分の一、四分の一というそれぞれの特例を設けておりますが、現在の地価の高騰とかそういういろんな大勢からいいますと、特に年金生活者やそういう方々は大変厳しい状態になっておりますので、そういう点を含めましてこういう方々の分については土地政策の中でもやはり軽減措置をする必要がどうしてもあるんじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  233. 久世公堯

    ○久世公堯君 峯山さんに重ねてお伺いいたしますけれども、今の住宅用地の特例、地方税法で固定資産税の特例を書いておりますが、二分の一、四分の一をやって今どのくらいそれによって固定資産税の減税が行われているか御存じでございましょうか。
  234. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 実は調べておりませんので、調べる必要があるならすぐ調べます。済みません。
  235. 久世公堯

    ○久世公堯君 自治省が来ておられましたら御答弁をいただきたいと思います。
  236. 湯浅利夫

    政府委員(湯浅利夫君) 住宅用地につきましては、ただいま御指摘のように二百平米までは課税標準の四分の一、それから二百平米を超えますと価額の二分の一という特例がございます。この措置によりまして、昭和六十三年度におきまして約一兆四千億円の減収ということになっております。
  237. 久世公堯

    ○久世公堯君 その一兆四千億を減税していると言われましたが、税務局長、土地の固定資産税全体の収入は今幾らでございますか、土地のでございますが。
  238. 湯浅利夫

    政府委員(湯浅利夫君) 平成元年度の地方財政計画に計上いたしました土地の固定資産税の収入見込み額は、二兆二千八百六十六億でございます。
  239. 久世公堯

    ○久世公堯君 全体で、日本じゅうのあらゆる土地の固定資産税の収入平成元年度で二兆二千億、それに対して小規模住宅用地のために減税をしている額が、一年前でございますが一兆四千億。二兆二千億しかない収入、それに一兆四千億もの小規模住宅用地については減税をしているわけでございます。これ以上さらに軽減措置というものをお考えでございましょうか。今の数字を聞いて、なおお考えを聞かせていただきたいと思います。
  240. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) これは全国一律というわけにいきませんけれども、最近の地価の急激な上昇ということがございまして、そういうふうな意味で確かに今土地全体の固定資産税が元年度ベースで二兆二千億ということでございまして、小規模住宅のいわゆる減税分が一兆四千億ということですから、相当部分が減税されているのも事実だと私は思います。しかしながら、特に都会に住んでいらっしゃる二百平米以下の零細な方々につきましてはやはり問題があるのじゃないか、そういうふうに考えておりまして、そこら辺のところはこれからのいろんな議論の中で、どの程度にした方がいいかということは詰めていただきたいと思っているわけであります。
  241. 久世公堯

    ○久世公堯君 今お答えいただきましたように、二百平米以下は固定資産税の四分の三を減税しているわけでございますね。そういうような、これほどまで手厚い減税を既にこういう土地の所有者に対して、小規模な住宅用地についてはしているわけでございます。そうなりますと、私いよいよこの条文を見ますと、先ほどは余りお答えいただけなかった低所得者及び中堅所得者の勤労意欲及び貯蓄意欲、それから今の小規模宅地等についての税負担の軽減、これはどうでございましょうか、いかにもこの法律というものは低所得やそういう小さい住宅用地にこんなに考えておりますよという何かきらびやかなことばかり書いて、実体は全体というものを考えておられない。今の二兆二千億、それに対して一兆四千億、ここまで減税をやっているのに、なおこれに対してこういう文言を入れておられる。どうもこの法律の正体と言っては申しわけありませんけれども一つの面というものが私はうかがえるような気がしてならない次第でございます。  それから、さらに質問を続けさせていただきたいと思います。土地税制につきましても少しお尋ねをしたいのでございますが、時間の関係から、後ほどまた時間があればここへ戻って御質問をいたしたいと思っております。  さて、これは直接この再改革法の問題ではございませんけれども、この条文の中で四条にも五条にも「地方自治の本旨に基づき安定した地方財政の確立を図り、地方分権及び地方自治の発展に資すること。」とか、また次の条文にも「地方分権及び」云々、こう書いてございまして、私のように地方自治を長くやってきた人間にとりましては大変地方自治を尊重していただいておる、結構なんでございますが、さて皆様方のこの代替財源案、消費税廃止に伴う地方財源減収額というものが完全に補てんされていない。しかも国と地方との割合につきましても、どうも皆様方代替財源案は、初日に久保さんが修正までされましたので、補てん割合というのが非常に低くなっているような気がするのでございますが、いかがでございましょうか。
  242. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 確かに代替財源につきましては、譲与税並びに交付税の減収に伴う実質的な税源という面では随分薄らいでおるというか、そういう点についてはわからないではないのでございますが、平年度ベースで申しますと、税全体としては、政府の現年度のいわゆる地方税源、財源から見ますと十分に賄われる、こういう観点に立っておりまして、これはこれまで何回も回答した次第でございます。
  243. 久世公堯

    ○久世公堯君 佐藤さんに重ねてお聞きをしたいと思いますが、皆様方の案でございますと措置率はどのくらいのパーセントになるのか、国の場合と地方の場合に分けてお答えいただきたいと思います。
  244. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 総枠確保に重点を置いておりますから、政府が考えるような措置率ということについては、そういう考えをとっておりません。
  245. 久世公堯

    ○久世公堯君 自治省は、消費税を実施する上におきまして、地方財源の充実という見地から完全補てんということを旨としておやりになったと思うわけでございますが、この野党案というものに対してもし計算をしておられるとすればお答えをいただきたいと思います。
  246. 湯浅利夫

    政府委員(湯浅利夫君) 野党案の内容につきましては私ども積算の内容が必ずしも明確でございませんので、野党案をそのままいただくということを前提にいたしまして、これは推測もかなり入る問題でございますが、消費税廃止に伴う減収額というのは、消費税の総額全体五兆九千四百億ということを前提にいたしますと、その三九・二%が地方分でございますので二兆三千三百億でございます。それに対しまして代替財源として地方に入るものは、これは平年度ベースでございますが、一兆五千五百億ぐらいになろうかと思います。そうしますと、結局補てんされない額が七千八百億ということでございまして、措置率としては六七%程度ではないかと、地方の関係ではそういうふうに思っております。
  247. 久世公堯

    ○久世公堯君 国の場合はどうですか。
  248. 湯浅利夫

    政府委員(湯浅利夫君) 国の場合につきましては、同様の計算をやってまいりますと、消費税廃止に伴う減収額が三兆六千百億円、これに対して代替財源が二兆六千八百十億円ということになりますと、未補てん額が九千二百九十億円、七四%が措置率だと、こういうような格好になるのじゃないかと思っております。
  249. 久世公堯

    ○久世公堯君 いろいろ仮定の計算があろうかと思いますが、今自治省の方で御答弁をいただきましたように、国の場合におきましては措置率が七四%なのに対して、地方の場合におきましては六七%しか措置をしていない。これは大変問題じゃないでしょうか。皆様方には、さっきの低所得とか小規模云々と同じように、これは地方自治の人が見たら喜ぶと思うんです、こんなに麗々しく、地方自治を尊重するとか地方分権を云々するとか、それから地方財政をあれするとか、地方税源の拡充とか、結局のところきらびやかな言葉ばかりをお使いになりまして、現実に皆様方代替財源として地方自治に措置をされたのはたったの六七%でございます。これでは、こういう法文を片方で掲げながら他方におきまして地方自治に対して非常に冷ややかな目で見ている、こう断言してもいいのじゃなかろうかと思う次第でございます。  それでは、また後ほど時間があれば戻ることにいたしまして、第六条の国民税制改革協議会というところに移ってまいりたいと思います。  これにつきましてはもう諸先生からいろいろと質疑が出ているわけでございますが、どうも私はこの正体がよくわからない。本会議の大鷹議員質問に対しまして笹野さんが御答弁なされまして、何かどんどん、何でも国民税制改革協議会という言葉を繰り返されたことを覚えております。私は笹野さんの答弁を聞いていて、何かおとぎの国に行ったような気がする、玉手箱か打ち出の小づちか、あるいはまた逆に魔法遣いではなかろうかと、こうも思ったこともございます。そんなに何でもこの国民税制改革協議会で措置をする、これにつきまして少し法律的な側面からお尋ねをいたしたいと思います。  笹野さんはまた、これはどなたか、平野さんの質問に対する答弁でございましたか、この協議会というものは政府税調とは全く異なるものだという御答弁をされておりますけれども、笹野さんは憲法学者でもいらっしゃいますから、少し法律論としてお尋ねをしたいと思います。  確かにこの国民税制改革協議会というのは、皆様方法律で設置をしまして、そしてその委員は「両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」、こう書かれておりますけれども、片や税制調査会は政令で、政令と申しますか総理府令で設置をされているわけでございますが、法律で設置をされている審議会と政令で定められている審議会というのはどう違うのでございますか。
  250. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 専門家の先生にお答えするのは何か恥ずかしいんですけれども、まず、おっしゃいましたように、国民税制改革協議会は私ども税制再改革基本法第六条ということで、法律に基づきましてきちっと設置をするわけでございます。それから政令につきましては、政府税調につきましては総理府本府組織令第十八条で設置をされております。  したがいまして、どちらが優先するか、こういうことになりますと、一般的には政令より法律の方が優先するのではないかなと私は思うのでありますが、これは私どもの今回の趣旨からいたしますと、国民税制改革協議会が機能しているときには政府税調はお休みをいただくということになるのではないかな、こう考えているわけであります。
  251. 久世公堯

    ○久世公堯君 ただいま峯山議員の御答弁でございましたが、峯山議員はたしか宮澤委員質問に対しまして、国民税制改革協議会は国家行政組織法第八条に基づく委員会であって、政府税調は総理府本府組織令の十八条に基づくものであって、このように法律的には全く違う、こういう御答弁をされておりますが、これは誤解のないようにお考えいただきたいと思いますが、もともと審議会というのは原則法律でございました。それを昭和五十九年の国家行政組織法の改正によって法律設置と政令設置というものを仕分けたわけでございますが、これは決して法律が上で政令が下だからではないのでございまして、ここには四つの基準がございまして、そしてその基準に照らして振り分けたわけでございます。したがって、これは両方とも法律的には対等の審議会でございます。  ところで、もちろん政治的にというお考えでございましたらまたそれなりの立法者の意思もあろうかと思いますけれども、そこでちょっとお尋ねをしたいのでございますが、これは私は笹野さんにお尋ねをしたいので先ほどからお聞きしているのでございますが、笹野さんは随分政府税制調査会というものを御批判されたわけでございますけれども政府の税調というのは一体どういう委員構成になっているか御存じでございますか。
  252. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 総理大臣が任命して、三十人から成っているというふうに承知しております。
  253. 久世公堯

    ○久世公堯君 どういう構成でございますか。
  254. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 学識経験者だというふうに存じております。
  255. 久世公堯

    ○久世公堯君 政府税調は、これは分類の仕方はいろいろあろうと思いますけれども、マスコミが七名、学識経験者が六名、産業界が五名、金融といいますか、これには環衛公庫とか中小企業の金融機関とかそれも含めてでございますが五名、地方自治体が三名、労働組合が二名、その他婦人団体とかの関係者が二名、こういう非常に私は公正なメンバーによって、かつ税制専門家もそこには何人かおられる、こういうメンバーだと思うわけでございます。  そこで、さらにこれはお聞きしたいのでございますけれども国民税制改革協議会というのが二年に限られている。二年間で皆様方の御答弁によりますと大変いろんなことをおやりになる構想のようでございますが、きのうもたまたまこの財源問題で初年度平年度お話がございました。初年度平年度だといいましても、皆様方のお考えは二年間にやるのは初年度平年度どころじゃなくて、初年度平年度しかないわけでございます、代替財源につきましては。それと同じように、国民税制改革協議会というのは二年間という限られた期間に報告を出さなければいけないわけでございます。そういたしますと、これは設置を急がなければいけないと思うわけでございますが、法律が通れば。もしそのときに国会が休会中であったり解散中であったり、そういうときは一体どうされるのでございましょうか。
  256. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 休会中や解散中というふうなことでありますと、そのときには国会の承認という問題についてはこれは事後承認をとるなりそれなりの手続が私はあるとは思いますが、この問題はそれは非常に重要な問題でございます。といいますのは、これは久世委員、私も国家行政組織法の第八条の問題につきましては、私は国会へ参りまして二十年間この問題に取り組んでまいりました。五十九年の国家行政組織法の改正の問題からずっと取り組んでまいりまして……
  257. 久世公堯

    ○久世公堯君 今の問いに答えてください。
  258. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) いや、先ほどあなたがおっしゃいましたから私言うわけですけれども。  いずれにしましても、私ども法律と政令とどちらが優先するかという問題は、私はやはり法律の方が優先するのではないかなと思うわけです。その点ははっきりしておきたいと思います。  それから、委員の任期の問題もおっしゃいましたが、私どもは二年ということを一応めどにいたしておりますが、これは政府税調も一応三年という任期があるわけです。そういうふうなあれもありますし、しかも委員の選任の仕方が、これは先ほどマスコミが何人、それからそれぞれ学者が何人というふうにおっしゃいましたが、要するに政府税調の一番欠点はそれぞれの任命する人たちが、総理がいわゆる意図的に選べる、恣意的に選べると言った方がいいでしょうかね。そういうような意味では国会の承認とかいう問題がないわけでございまして、私ども国民税制改革協議会というのは、これはよくお考えいただきたいんですが、現在の衆参の構成をよく見ていただきたいと私は思うんです。これはその構成の中身から見ましても、少なくとも委員の任命については本当に全会一致ぐらいで選ばないと選びにくいという点がありますね。そういう点では案外公平に選べるのじゃないか。政府税調というのは、そういうような意味では私ども非常に心配な点があるわけです。これは日ごろから言われてきたことでございますが、もうこれ以上言いませんが、やはり心配な点がたくさんあるわけです。  そういうような意味では、私は国民税調というのは非常に役目の重たい大変大事な協議会である、こういうふうに考えております。
  259. 久世公堯

    ○久世公堯君 私の質問したことに答えていただきたいと思います。  私は、一応二年間と限られておるから急がなきゃいけないでしょうと、そのときに国会が休会中であったりあるいは解散されておるときにはどうするんですかと。今もごもごと、事後承認もありましょうとおっしゃいましたが、もう一回答弁してください。臨時会を開いてやるのでございましょうか。
  260. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) この問題は、私ども法律の中に「両議院の同意を得て、」と、こういうふうにきちっとなっておりますから、少なくとも国会閉会中の場合とか衆議院解散中の場合、同意を得ることができないということになります。したがってこれは、事後承認ということになりますと後で否決されたりする可能性もあるわけですから、原則的にはやはり国会開会中に御承認をいただくということしか考えておりません。
  261. 久世公堯

    ○久世公堯君 私は、どうもこの法律は大変拙速のもとにつくられたという気がしてしようがないわけでございます。しかも、皆様方にとっては基本法であるにもかかわらず拙速だった、そうなりますとほかの法律は一体どうなるのだろうと大変心配するわけでございますが、例えば臨時行政調査会の設置法、その後の行革審あるいは新行革審、そのほか挙げれば切りなくございますけれども、両議院の同意を得て委員を選任する法律には、必ずこういう規定がついております。  第五条のところに、「両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」、その二項で、「前項の場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、同項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員を任命することができる。」、さらに第三項で、「前項の場合においては、任命後最初の国会で両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認を得られないときは、内閣総理大臣は、直ちにその委員を罷免しなければならない。」。  臨調も行革審も新行革審も、さらに私が調べた限りにおきましては、原子力委員会、宇宙開発委員会、それから電波監理審議会、土地鑑定委員会、地方財政審議会、みんなこういう規定があります。およそ両議院の委員の任命に係るものはこういう措置をつけて、そして法律というものは完璧になるんだろう、完璧といいますか私はそれは当然だろうと思うわけです。したがいまして、どうでしょうか、皆さんのところの法律だけはこういうものがついていないというのは、これはいかにも片手落ち、これは修正されるお考えはございましょうか。
  262. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今のような附則のついております……
  263. 久世公堯

    ○久世公堯君 附則じゃありません、本文です。
  264. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) いや、法律のそういう、何といいますか、後段の部分がついておりますこともよく承知をいたしております。ただ、今度の国民税制改革協議会の場合には、この協議会をつくりますに至ります経緯を十分に考えながら、私どもとしては国会の正式の手続を終えた後、この協議会が任務を遂行していただくよう考えておりますので、修正する気持ちはございません。
  265. 久世公堯

    ○久世公堯君 今の答弁は全く答弁になっておりません。皆さんお聞きになってわかりますでしょうか。ほかの法律には両議院の同意を得るものについてはこういう条文がついている。それなのに何か今久保さんはむにゃむにゃ言ってそのことではない、全くわかりません。
  266. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) お答えします。  先ほどから申し上げておりますように、国民税制改革協議会の位置づけあるいはその重要性から考えまして、私どもはこの法律に「両議院の同意を得て、」と、こう明確にうたい込んだわけでございます。したがいまして、私どもはこの協議会のいろんな重要性から見て、従来ありましたような事後承諾というようないわゆる便法を認める必要はないのではないかということになりましてこういうふうにしたわけでございまして、いずれにしましても閉会中あるいは衆議院解散中ということは考えていないということであります。
  267. 久世公堯

    ○久世公堯君 どうもこれまた理解が全くできないわけでございます。皆さんの方は二年間でやらなければいけない、何でもかんでも玉手箱か打ち出の小づちの中に突っ込んで、あたかもすばらしいものが出るように国民に錯覚を与えるような構成になっております。それなのに、たった二年しかないのに、どう考えましてもそれが解散されていたりあるいは今度は休会中というのは幾らでも考えられるわけでございまして、しかもほかの法律にみんなそれがついている。しかも臨調のようなものについている。行革審、新行革審、あるいは今私がこれは拾い上げればもっとあると思うのでございます。
  268. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) これは全くそういうことは考えておりませんでして、まずこれはもう二年以内ですから、少なくとも今月か来月の初めには参議院でこの法律を可決していただきまして、そしてその後衆議院で可決をしていただきますと、少なくとも近いうちに常会の召集があるということになるわけでございますし、それはもう閉会中、まあ選挙の問題が出てくるかもしれませんが、その一番近い機会に設置をするということで私はいいんじゃないかと思っております。
  269. 久世公堯

    ○久世公堯君 これは法律的にはそういうことは全くあれでございますほかに、事実上だってたった二年しかなくて急がなきゃいけないときに、ほかの審議会が全部こういう規定がついているんだったら当然これはつけるべきだと。これはどうでございましょうか、皆さん同じ考えでございますか。
  270. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私どもは国会の同意を要する審議会や協議会の人事については、原則的には国会の同意を事前に得ることをやるべきだ、こう考えております。それで、そういう意味で今回私どもとしてはそのような附帯条文をつけることなく、国会のきちんとした同意を求めた後協議会を発足させるべきである、これは基本的にそこのところの考え方が違うんじゃないでしょうか。これは法律上の問題ではなくて、この審議会や協議会というものの人選にかかわる国会のかかわり方に対する見解の違いではないだろうか、こう思います。
  271. 久世公堯

    ○久世公堯君 例えば臨時行政調査会の設置法なんかにはこれがかちっとついているわけでございまして、臨調の当時の重要性、社会党ですら最終的には臨調の設置に賛成をされたわけでございます。いろいろ初めは条件つきでございましたが、条件つきで賛成された。後でまたいろいろお尋ねをしたいのでございますけれども、公明党、民社党は初めから賛成をされた。そういうような重要なものですらちゃんとこういう規定が整備されているわけでございます。私はどう考えましてもこれは拙速でつくられたとしか思えません。久保先生は今は自分たちはそのくらいのことは考えていたとおっしゃいましたけれども、一々それは聞きませんけれども、これは皆さん方の方で大変お急ぎになってつくった、つくったらここにもまたこういう欠陥が出てきたということを私は指摘申し上げておきたいと思います。  さて、まだまだお尋ねしたいことはあるのでございますが、随分時間も過ぎてしまいましたので、次にまだ行政改革その他の問題に入らなければいけないわけでございますが、今私が第一条から第八条までたった八条の、しかし皆様方にとっては重要な基本法につきましてここまでお尋ねいたしますと、余りにも問題点が多過ぎるという気がするわけでございます。  私は第一には、何としても、冒頭に申し上げましたように、税制再改革基本法というものは基本法という名前には全く値をしないと思います。単なる再改革の手続法あるいは準備法、あるいはまた私が正体不明と言っては申しわけないんですが、正体自身が問題でございます国民税制改革協議会の設置法にすぎません。具体的な税制再改革については何も示されていない。みんな二年後に先送りをされている。これで一体いいものかどうか。第一点として御指摘をいたしたいと思います。  第二には、先ほどいずれお答えがあるということでございますが、この税制再改革基本法には「国民の合意」という文言がやたらに乱発をされております。あれ以降は私指摘をしませんでしたけれども、全体で四カ所使われております。そして、それを除いて私は条文をつくってみました。立派に条文はつくれます。そういう憲法の従来の解釈上紛らわしい言葉を使い、また日本の法律に恐らく一カ所もない文言というものを使って「国民の合意」、しかもそれは国民の合意というものは議会制民主主義のもとにおきましては国会のみがそれを決することができる、そういうものに対する大変冒涜にもなるようなこの条文というものを入れておられる。私は何となく、国民税制改革協議会に国会にかわる権能というものを与えようとしているんじゃなかろうか、どうも衣の陰によろいが見えている、こういう気がしてならないわけでございます。そして、先ほど梶原先生も御指摘になりましたような、抽象的表現による税制再改革の基本原則とか基本方針というものを与件として与えて、そして税制再改革の内容を拘束しているということも私も、梶原先生が御指摘になりましたから繰り返しませんでしたけれども、基本的な問題だと思うわけでございます。  それから第三番目には、非常にこの法律、拙速につくられていると思います。したがいまして、先ほどから皆さん方の御答弁にもいろいろと資料を探したり皆さん方の間で不統一であったり、拙速につくられておりますので各条章を通じてどうも立法者の意図というものがよくわかりません。法解釈もまちまちでございます。加えて、立法技術的にも初歩的なミスというものが余りにも多い。満身創痍という言葉はこのためにつくられた言葉ではなかろうか、こういう気がしてならないわけでございます。これから質疑が進むにつれてまだまだいろんな問題点が出てくる可能性があろうかと思います。  そこで私は、この税制改革基本法案、これはどうもかなりの重症じゃなかろうかという気がします。外科的には今言いましたように満身創痍でございますが、どうも内科的に見てもいろんな万病が中に入っているんじゃなかろうか、ひとつドック入りをされたらどうだろうかと、こういう気がしてならないわけでございます。私などは学校で多少法律をやり、役人として法律をやり、宮澤先生も同じだと思いますが、宮澤先生や私はそういう意味においては法律にとっては町医者のようなものでございます。町医者が診てもこれだけ問題が多い法律でございますから、ぜひこの際ドック入りをして専門のお医者さんに診てもらった方がいいんじゃなかろうか。いかがでございますか。お答えいただきたいと思います。
  272. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 久世さんの方は非常な名医としての御診断をなさったのでありましょうけれども、やはりいかなる名医も誤診もございます。私どもとしては、この際は、いろいろ法文の中に私どものふなれに基づく訂正を申し上げた場所もございますけれども、今回これらの法律提案いたしております本質的な課題に照らして、私どもは、これは皆さんの方でどうかこれらの点については御容赦をいただいた上、私どもがこれらの法律提案いたしました本来の趣旨にとって十分な御論議をいただきますよう、心からお願いを申し上げる次第でございます。
  273. 久世公堯

    ○久世公堯君 先ほどから二時間近くいろいろと御指摘を申し上げました。御指摘を申し上げた中には、憲法にもかかわる非常に基本的な問題から、私は余りつまらない問題は御指摘をやめたわけでございまして、そういう問題を加えればまだまだあるわけでございまして、久保さんが今お答えいただきましたように、もし今後これを全面的にいろいろと問題点は修正した上で整理をするということがあれば、もう一回いろんな面でひとつ考え直していただきたいと思う次第でございます。  そこで次に、総務庁長官もおいででございますので、行政改革あるいは地方行革についてお尋ねを申し上げたいと思います。あわせて、どのくらい時間があるかわかりませんけれども、それとの関連におきまして、原子力エネルギー問題と外交問題につきましてもお尋ねをいたしたいと思う次第でございます。  私自身別に行政改革についても専門家ではございませんけれども、第一次臨時行政調査会、これは昭和三十七年から三十九年まででございましたが、そこに三年近く出向いたしまして、それ以来第二次臨調あるいはその間に置かれました国、地方の行政改革に多少携わってまいった者でございます。特に第一次臨調のときには、私はあと半分は当時委員でございました太田薫先生のもとにお仕えをいたしまして、そのときには総評を中心といたしますところの官公労の委員長さんや書記長さんとも行政改革についての論議を闘わしたわけでございまして、そういう立場から皆様方の立場もいろいろ了承をしているつもりでいるわけでございます。そんな自分の経験にも照らしながら、以下御質問申し上げたいと思います。  まず、行政改革に取り組む基本的な姿勢についてお尋ねをいたしたいと思います。  公明党と民社党にお尋ねをいたしたいと思いますが、それぞれでございますが、行政改革に対してどのような基本的な考え方をお持ちでございましょうか。
  274. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) ただいま御質問の行政改革に取り組む基本姿勢でございますが、一つは時代の変化が進む中で今日高度成長時に肥大化した行政機構、制度、事務事業のすべてを見直し、簡素で効率的な行政が求められておる、そういう認識に立ちまして実質的な機構減らし、仕事減らし、金減らしの伴った行政改革を徹底して行わなければならない、こういう認識を持っておるわけでございます。  以上です。
  275. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 私ども民社党は、行革与党と言われるほどに行政改革には熱心に取り組んできた政党だろうというふうに思います。民主主義の発展、また福祉、公共部門の拡大といった背景のもとに、行政は拡大化と巨大化と高いものにつくという高価化の一途をたどってきたというふうに思います。  そういった中で民社党は、真に効率的で国民の期待にこたえるような行政府をつくるために、党内に行政改革特別委員会を設けまして、数多くの行政改革に対する提言を行ってまいりました。その一部といたしまして、臨調答申や行革審答申にも盛り込まれておりますように、実現を見たものもございます。しかしながらまた、まだまだ行政改革は不十分であると言わざるを得ません。  民社党は、今後とも、行政改革を積極的に推進していかなければならないというふうに考えているところでございます。
  276. 久世公堯

    ○久世公堯君 公明党、民社党それぞれ行政改革にはかなり熱心に取り組んできたし、今また積極的な姿勢をお持ちであると、こういうふうに承ったわけでございますが、社会党は従来行政改革というものに対してどういうお考えを持っておられますでしょうか。
  277. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) お答え申し上げます。  社会党は従来から国民のためになる行政改革、むだをなくしていくという意味合いで賛成でございます。ただ、政府提案してきましたこれまでの行政改革の中には、必ずしもそうではない、そういった部分もございますので、それらについてはその都度その点を指摘してまいったというふうに考えております。
  278. 久世公堯

    ○久世公堯君 重ねて社会党にお尋ねをしたいと思います。  国民的行政改革ということを私は社会党のおまとめになったもので何度か拝見をしたわけでございますが、国民的行政改革というのは言葉は何か麗々しく聞こえますけれども、実態は何でございましょうか。
  279. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) いろいろございますけれども、主として申し上げますと、行政サービスの充実とむだをなくしていく、こういうふうに理解しております。
  280. 久世公堯

    ○久世公堯君 私はここ数年間、国会で申しますと九十五国会から百四国会までに成立をいたしました百本の行革関係法律について、皆様方がそれぞれどのように賛成をされ反対をされたかということを調べてみました。  それによりますと、公明、民社の両党はその大半に賛成をしておられます。数から申しますと、全野党の反対というものも百のうち七件ばかりございますが、社公共反対というのも多少八つぐらいございます。そのほかは、あとは公明、民社につきましては行革に賛成をしていただいている。それに対して社会党は、共産党とともに反対をしておられる。あるいは、共産党だけが反対をしているものもございます。大体社会党はその三分の二に反対をしておられるわけでございます。私が数えた限りにおきましては、百三の法律のうちに六十八が反対と欠席でございます。賛成をされたのは三十五しかないわけでございますが、それでよろしゅうございますでしょうか、社会党。
  281. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 突然の質問でございますから本数については確かなお答えはできませんけれども、社会党はオール賛成ではなかったことは事実です。
  282. 久世公堯

    ○久世公堯君 私の数え方が間違いでなければ、今申し上げましたように、百三の中で六十八件が欠席もしくは反対でございます。賛成は三十五だけでございます。それに対して公明、民社の場合は大半は賛成をしていただいております。  そこで、公明党、民社党にお尋ねをしたいと思いますけれども、社会党は従来行革には反対をしてこられました。そこで、四党の税制改革協議会での合意では、行政改革の推進ということをことしの八月二十三日の大綱でうたわれております。また、再改革法案によりますと、税制再改革の環境整備として、いろいろなものがございますけれども、行政改革というものが一層推進されることを掲げておられるわけでございます。そこで社会党が今までこのように反対をしてきた同じ路線を歩むということについて、公明党、民社党、どのようにお考えでございますか。じゃ民社党から先にお答え願います。
  283. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 行政機構というものは、やっぱり時代の変化に応じて常に見直しを行っていかなければいけないというふうに思っておるわけでございまして、民間の場合にも時代の変化に対応いたしまして、対応できなくなりますと利益が上がらないとかコストがかかり過ぎるという結果になって、機構の見直しとか経営の合理化が自然に行われることとなるわけでございまして、行政機構の場合もその維持運営に要する経費は税金によって賄われるわけでございますので、国民税金が合理的に適正に使用されているかという観点から行政機構の改革は不断に行っていかなければいけないというふうに思います。  また、行政改革の目的は安上がりの政府をつくるということではないというふうに思います。財政再建の手段であってもなりません。福祉国家を建設していく上でどのような行政体制が一番望ましいかということにその目的があるわけでございまして、そういった意味では、政府・自民党の行革は財政再建に重きを置く余りに、行革の名のもとに福祉、文教予算が削減されたり、あるいは地方公共団体に過度の負担を転嫁するということを行ってきたようにも思われますので、私どもはこういう、今述べましたように、行革の目的は福祉社会の建設のためによりよい行政体制づくりにあるというふうに考えておりますので、四会派もまとまってその方向で行きたいというふうに考えております。
  284. 久世公堯

    ○久世公堯君 太田さん、お願いいたします。今私が聞きましたのは、社会党は従来行革に反対をし続けてこられた。今回四野党のこの協議会で税制は一緒にやることになったけれども、このように行革に反対をされた社会党と一緒に一体行革を進むことができるのかということでございます。
  285. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) その点につきましては、先ほど佐藤発議者の方からもお答えがありましたように、やはり新しい時代の要請として新しいこれからの政治というものをつくり上げていかなきゃならない、そういう点でお互いに共通の基盤に今立っているのが消費税法案一つあるわけでございますし、国民が参議院選挙でノーと言いました消費税廃止について一緒に今まで頑張ってきたわけでございますし、今後この消費税が、私たちは廃止、しかし皆さん方は存続されるわけでございますが、これがどういうような結果になるかわかりませんが、この消費税が施行されることによってさらに増税が一方で進んでいくと思います。あるいは大きな政府に倣っていくような傾向になってくると思うんです、必ずこれは。財政の緩み等を生じてくると思います。  そういった点で、私たちは四党で、やはり先ほど民社党の勝木議員が話されましたように、四党力を合わせて行政改革推進に前進できるものと思っております。
  286. 久世公堯

    ○久世公堯君 今お二人の答弁とも、四党で協議をして四党が足並みをそろえるのだからと。公明党、民社党はそれぞれ従来から行革には賛成をし、原則として賛成をして路線を歩んでこられた。それが今四党だから、お二方はこの行革をいよいよ推進するということだそうでございますが、私、この四党の共同にはこういう行革の前向きの姿勢というものがあらわれているのでございますが、社会党について最近の文書で一体どこを探したらこの行革が出ているんだろうかと思いましていろいろ探したわけでございますが、例えば社会党が独自に出されました土井提言、連合政権構想の土井提言には、再改革法とは違って行政改革につきましてはほとんど触れていないわけでございます。  現在でも皆様方社会党の議員の先生方の半数以上は労働組合の御出身だと承っておりますが、どうも労働組合への依存体質というものがいまだに存続しているんじゃなかろうか。そういうために、なかなか公務員の総数の抑制とか行政改革につきましてはおのずから消極的な姿勢をなお持ち続けながらこの四党というものに入っておられるんじゃなかろうか、こういう気がしてならないわけでございますが、ひとつ社会党が本当にお変わりになったのか。私どもが知っている限りにおきましてはそういう文言も見当たりませんし、行革に前向きであるのか。今公明党や民社党がおっしゃったように、またここ数年公明党や民社党が賛成をし続けられたような法案につきましては、類似のものでありますればこれからは足並みをそろえて賛成されるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  287. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) なかなか久世さん辛らつな御質問をなさるわけですが、何か社会党と公民両党との間に違いがあるのではないかということを盛んに強調なさっておりますが、もっと素直に見てもらいたいと私は思うんです。  私どもは、先ほどから申し上げておるように、行政改革そのものに反対と言ったことはないんです。申し上げましたように、むだをなくしていくというそしてまたサービスを強化するという面では、基本的にきちんとそれを推進する立場を堅持してきたというふうに自負しております。  ただ、政府が出した行政改革なり、例えば補助金カットであるとか、年金の国庫負担の繰り延べであるとか、国鉄の分割・民営であるとか、国有地の払い下げであるとか、そういったものに一々賛成しなければ賛成にならぬじゃないかと、そういう説になると、それは私はやっぱり社会党は反対していくところは反対していく、そういう点は先ほど申し上げたとおりでございますから、事新しく今度何か社会党は変わりましたかとこう言われても、私どもは行政改革については、四党の間で熟慮して議論しました結果先ほどの基本法のもとにやろうじゃないかということで意思統一をしたわけでございますから、そこは素直に受け取ってそして御議論いただければ幸いだ、こう思います。
  288. 久世公堯

    ○久世公堯君 私は佐藤さんよりははるかに素直なつもりでいるわけでございますけれども、私が今お尋ねをしましたのは、政府の行革には反対だとおっしゃいますが、公明党や民社党は政府の行革にもすべてではございませんが大半御賛成になってきた。その公明党や民社党と今一緒に連合構想というものを持ってやっていこうと。そういう意味において公明党や民社党のお考え、しかも今まで政府の行政改革に賛成をされた公明党や民社党といかがですかということをお聞きしているわけです。
  289. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) ひとつぜひ政府の方も、社会党が賛成するような行政改革を出してほしいと思うんです。私どもは決して額面で言っておるわけでございません。中身を見て、そして賛成できる部分については賛成するし、反対しなきゃならぬ部分は反対する、これが我が党がとってきた一貫した態度でございますから、そこら辺はひとつ誤解がないようにお願いしておきたいと思います。
  290. 久世公堯

    ○久世公堯君 総務庁長官、先ほどからずっと来ていただいておりまして恐縮でございますが、第二次臨調、行革審、新行革審というふうに行革というものをやってこられたわけでございますが、その行革の成果と申しますか、行革をどういうふうにこれから、こういう答申を尊重し恐らくアクションプログラムを定めてやってこられたんだろうと思いますが、そのあたりのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  291. 水野清

    ○国務大臣(水野清君) 行革の成果というのは、この数年間、鈴木内閣、中曽根内閣、そして竹下内閣と続いて積み上げてきたいろんな成果がございます。  御承知のとおり、大平内閣のときに間接税をうたって総選挙をやられました。この際に衆議院で大敗をされまして、それ以降、新しい税制を取り入れる前にひとつ行政改革をやろうと。そして今委員と、ここにいらっしゃる提案の先生方の答弁の中にもございましたように、むだのないそして合理的な政府をつくっていこう、こういう思想で始まった行革でございます。特に、この中で最も特徴とすべきものは、御承知のとおり国鉄の民営化でございます。また、電電公社の民営化でございます。また、専売公社のたばこ会社に対する民営化もあったことは御承知のとおりであります。  特に国鉄について申し上げますと、御承知のとおり、当時国鉄というものは毎年のように春闘前後に大きなストをやってこられて、国民のひんしゅくを買っておりました。しかし、民営になりましていわゆるJRになりましてからは、目に見えるようなすばらしいサービスをやっておられます。また、その個々の経営体ごとにそれぞれ、それまでは赤字を出しておったわけでありますが、黒字になってまいりました。これはまさに経営の合理化であり、活性化であるというふうに思っております。それで、片方で同時に旧国鉄の職員十二万五千人の方々の削減をし、これらの方々の大半の就職のごあっせんをし、そして経営の合理化、効率化も同時にやってきたということは御承知のとおりでございます。  また電電公社につきましては、御承知のとおり料金の値下げなどのサービスを次々と行っております。同時に、四万七千人の職員の削減など経営の合理化、効率化もやっておりますし、この四万七千人の方々も、単に首切りというようなことではなくて、それぞれの就職先をごあっせんし、それぞれの職場で御活躍をしておられます。  また、最後でございますが、NTTの株の売却によりまして約十兆以上の歳入を上げております。この歳入の中から国債の償還に多く充てたわけでございますが、同時にこの三年間御承知のとおり日本経済は大変な好況をしておりますが、その好況になった一つの起爆剤といいますか発端になったのは、私はNTT資金というものが社会資本の整備に充足されまして、それまでは公共事業費というものは年々抑えあるいは減額をしてきたわけでございますけれども、今日はこの公共事業費がNTTの資金の投入前に比べまして約二〇%近いかさ上げが行われて社会資本の整備にも使われ、同時に経済政策としても私は成功してきたと。この三年間のNTT資金によります経済政策に対する活性化というものが、この委員会でもたびたび自然増収というお話が与野党から出ておりますけれども、その議論の基本になったのは、私はこの効果が、功績が大変大なるものがあった、かように思っている次第でございます。
  292. 久世公堯

    ○久世公堯君 大臣ありがとうございました。  今大臣から国鉄改革、それからNTTの民営化の問題があったわけでございますが、この国鉄改革についてそれでは少し皆さん方のお立場を承りたいと思います。国鉄改革につきまして公明党と民社党はどのように取り組んでこられたか、またその成果をどのように評価されているか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  293. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) 前回も御答弁申し上げましたけれども、今大臣の方からお話がありましたように、赤字の状態の中で国鉄を救済しなければならない、そして新しい鉄道経営を更生する道はないかということで、私たちもいろいろと論議に参加いたしました。その結果、国鉄を分割・民営化していくよりないじゃないかという党としては結論を出しまして、法案を一部修正しまして改革案に賛成をいたしました。  その後、私たちの主張によりまして国会への改革状況報告書、これが実現したわけでございますが、それを見ましても八八年度JR各社は経常利益二千百十八億円、税引き後の当期利益も八百八十九億円と極めて順調に推移しておりますし、また国民利用者からは民営化してサービスが随分よくなった、こういう声も聞いておるわけでございます。  今後も、清算事業団の長期債務の返済の問題もありますし、あるいは事業団職員の再雇用の問題もございます。あるいはせんだってこの委員会でも問題になりました国鉄共済年金の問題等もございますし、私たちも国鉄改革を推進いたしました立場から、今後もこういった国鉄改革の残された問題について全力を挙げて取り組んでまいりたい、こう思っております。
  294. 久世公堯

    ○久世公堯君 ありがとうございました。  民社党、簡単にで結構でございますから国鉄改革について評価……
  295. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 私ども民社党も国鉄改革に当たりましては、やはり国鉄業務の特性から見て分割・民営のような経営形態の変更をもたらすマイナス効果も大きいということで、最初は第一義的には国鉄みずからの改革によっての原体制のままの経営の立て直しを期待したわけでございますが、しかし、公社制度のもたらす経営責任の不明確、また労使関係の不安定等の体質的欠陥に加えまして、国鉄の抱える構造的な赤字要因が余りにも大きいということで、そのままの体制ではいかなる合理的な合理化努力によっても赤字体質からの脱却はできないんじゃないかというふうに判断をいたしまして、分割・民営を基本とした新しい経営体をつくることを主張したわけでございます。分割・民営化されました今日のJR各社の経営の実情を見る限り、問題は全然なしとはいたしませんが、私どもの判断はおおむね間違っていなかったというふうに考えております。
  296. 久世公堯

    ○久世公堯君 ただいま公明党、民社党から国鉄改革についての評価と、それから今もってそれを評価し期待しておられるわけでございますが、国鉄改革は経営状態の抜本的な改善、経営の活性化、とりわけサービスの向上によりまして、国民から目に見える形での行政改革の代表的な成果の一つとして非常に私は評価されていると思うわけでございます。  ところで、社会党はこの国鉄改革には強く反対をされました。それも初めのうちは民営・分割に反対しておられたわけでございますが、国鉄の改革がもう必至と見られたときには、むしろ社会党の方から日本鉄道株式会社法案というのをお出しになりまして、民営には賛成をされたけれども分割には最後まで反対をされたわけでございます。これは私はいろんな事情がおありになったんだろうと思いますし、ローカル線の切り捨て問題もあったでしょうし、あるいは地域によって運賃が異なるということについてもいろいろお考えになったのかもしれません。しかし、基本的には社会党はやはりそれは組合の事情だったろうと私は思うわけでございますが、最近社会党はJRの分割・完全民営化への移行について再検討するということを「伯仲新時代へ」というものでことしの「選挙にのぞむ政策集」で述べておられるわけでございますが、社会党はこの国鉄改革をどう評価され、また、JRの分割・完全民営化への移行について再検討するというのはまたもとへ戻してしまうということでございましょうか、お答えをいただきたいと思います。
  297. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 久世さんの質問の仕方にひっかかるものを感ずるんですけれども、何か社会党は常に反対反対という印象を与えようということかもしれませんが、断っておきますが、国鉄改革の場合も私どもは旧国鉄には企業性と公共性の両面があるので、したがってそのため民営的な手法による経営の施策は必要である、こういうことで今あなたがおっしゃったように全国一社の株式会社法案というものを対置させて、そして闘った、国会に臨んでいったということは御承知のとおりでございます。  問題は、この分割した会社のうち三社は黒字基調になっておりますが、また残る会社の将来はなかなか展望が出てこない。不安な要素が出ております。重大事故も続発しておる、国鉄清算事業団に託された長期債務も巨額になっておるし、新会社に不採用になっておる旧国鉄職員の政治不信、不毛の労使対立、こういう大きな問題が今残されておりますから、こういった問題について新たな角度から我々としては検討をしていかなきゃならぬのじゃないか。こういうことで、今あなたがおっしゃったようなものがお目にかかったんじゃないかと思います。ただ、特に国鉄共済などの再建はなかなかこれは容易でない。そういう重大な問題がございますので、私どもとしては誠心誠意国民の観点からこの問題にひとつ対応してまいりたい、こういうふうに思っています。
  298. 久世公堯

    ○久世公堯君 非常に長々と御答弁されましたが、そうしますと、国鉄の改革については結果としては現在は賛成であり、このJRの分割・民営化というものの路線をより進めようというお考えでございますね。
  299. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 先ほど申し上げましたように、我々はやっぱり全国一本のネットワークのある交通体系というものを考えておりましたから、決して分割を評価しておるわけではございません。
  300. 久世公堯

    ○久世公堯君 私は、今三党のお考えを聞きまして、公明党と民社党は割合に考えが同じでございますが、やはり社会党とはかなりのそこに違いがあるのじゃなかろうか、こういう気がしてならないわけでございます。今大臣からNTTの民営化の問題もお話が出たわけでございますが、私もこのNTTの改革というものは、料金の値下げなど、国鉄改革と同じような代表例でありますとともに、株式の売却収入によりまして一方におきまして国債償還費に充てられることによって国の財政に非常に寄与しているだけではなくて、またいわゆるあの中のABCと分かったタイプによりまして社会資本が整備される、国民に非常にそれが還元されているというふうに評価をしているわけでございますが、NTTの民営化につきましてそれぞれの党はどのようにお考えでございましょうか。  社会党からお伺いしたいと思います。
  301. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) お答え申し上げます。  NTTは、四年前の改革以来、公共企業体よりも自主的な企業運営や労働者、職員の努力によって、数回にわたる料金値下げやサービス改善など評価できる成果を上げていると思います。これは私ども社会党が徹底審議を通じて数カ所の修正を行ってきたことが大きく寄与しておる、こういうふうに考えます。  しかし、課題はたくさんあります。例えば、料金の遠近格差の縮小や通信主権の確立、NCC各社との健全な競争、競争と規制のあり方、さらに高度情報化社会の中枢を担うにふさわしい新しい公共性を果たしていくことなどであります。したがって、今後のNTTのあり方については、私ども社会党は、NTTの分割がないことを明確にして、その上で国民、利用者の利益を最大限に増進する観点に立ち返って改善の対策を進めてまいりたい、かように考えております。
  302. 久世公堯

    ○久世公堯君 公明党、民社党、簡単にNTT改革に対する評価を。
  303. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) 五十七年七月の臨調答申によりまして、そのときにはこういうことが指摘されておりました。電電公社の経営合理化、民営化の問題、それから二番目は競争導入による独占の弊害除去、三番目は巨大経営形態規模の適正化、電電公社の組織再編成の必要性等が指摘されてまいりましたが、それに基づいて六十年に民営化されたわけでございます。  民営化後の努力につきまして私たちも評価をしているわけです。ただいま話がありましたように、電話料金の再三の値下げ等もありますし、あるいはデータ通信本部の独立して民間会社になった部分もございまして、それぞれ経営者そして社員の皆様方が経営のために努力してみえる、このように評価いたしております。
  304. 久世公堯

    ○久世公堯君 民社党、お願いします。
  305. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 私ども民社党は、電電公社の民営化によりまして経営の効率化が行われましたこと、そしてまた電気通信事業の民間開放の結果として競争によるサービスの多様化と向上が行われるという、この二つの観点からこれを評価いたしております。
  306. 久世公堯

    ○久世公堯君 NTTの民営化につきましても、今お聞きいただきましたように、社会党のお考えと公明党、民社党のお考え方につきましては私はかなりの差があるという感じがしてならないわけでございます。  この税制改革基本法案の中の環境整備のところに、事務事業の見直しという項目がございます。これは規制緩和もその一つの大きな局面だと思うわけでございますが、御承知のごとく、政府の新行革審におきましては、昨年の十二月に「公的規制の緩和等に関する答申」というものを提出いたしましたし、さらについ先日、十一月二日にはその中の公的規制小委員会が報告書を出しているわけでございます。これにつきましても、公明党、民社党はそれぞれこれに対する考え方を出しておられまして、公明党は規制緩和の積極的な推進が必要である、ただその場合弱者や中小企業あるいは小売層というものに配慮しなければいけない、民社党はこれは極めて重要な課題である、中小企業や関連産業の労働者に配慮するとともに、過当競争や安全性に配慮しなければいけないということで、両党とも賛成の意見を出しておられます。  また、今申し上げました今月の二日の報告書におきましては、ここでは重点目標の一つとして民間活力の活用というものを掲げまして、官民を通じた資源、資金でありますとかノーハウでございますとか技術革新等の成果というものの有効利用を図ることを指摘しておりまして、民社党などは、この報告の「今後の重点目標」の指摘というものはおおむね妥当であるという評価もしておられるわけでございます。  公明党、民社党がこのように新行革審の答申に対して積極的な評価を出しておられるわけでございますが、これに対して社会党だけはどうもそういうものが見当たらないわけでございますので、ひとつ新行革審、行革審の規制緩和についてのお考えを承りたいと思います。
  307. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 私もつい先般までは地方制度調査会で規制緩和問題についての議論をやってまいったわけでございますが、社会党としては、規制緩和について一般的に論じるだけでは全く私は意味がない、こう思っております。一万件以上に上る公的規制の多くは政府各省庁の縦割り行政、縄張り主義で温存されてきておる。これはもうあなたもよく御承知のとおりでございますが、その整理統合をすべきであるという意味で、私どもはやっぱり重視をしていかなきゃならない。消費者である国民が行政や供給活動を通じて直接参加してチェックする体制と機能を充実させていかなきゃならない、こういう観点で私どもは今まで取り組んでまいったつもりです。  しかし、中曽根内閣以来の規制緩和は、御承知のとおりに、例えば地方制度調査会が十六項目にわたる規制緩和を出してもナシのつぶてでございましたし、新行革審答申が消費者の権利擁護や労働者の安全確保という観点からの行政の基本任務を放棄しまして、ただ供給側や財界要求に応じた規制緩和が中心となる、こういう結果に私はなっておるんじゃないかというふうに思うんです。御案内のとおり、川崎、浦和における再開発事業やNTTの回線リセールにまつわる疑惑を生んでリクルート疑惑となったのもそこにあると私どもは思います。新行革審が規制緩和を追求しながら、他方では行政の中央集権、地方自治への介入を強化している面も私どもは見逃してはいけないんじゃないかというふうに思うんです。  そういう意味で、地方行革の押しつけ、国の裁判抜き代執行権の強化とか、国庫補助負担率のカットによる地方財政への負担転嫁の問題とか……
  308. 久世公堯

    ○久世公堯君 御発言中でございますが、地方自治のことはよくわかっておりますので結構でございます。
  309. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) こういった問題について私どもとしては強く反対をしており、その中止を申し入れていることは御承知のとおりです。
  310. 久世公堯

    ○久世公堯君 同じような意味におきまして、民間活力の活用というものにつきましても公明党、民社党は、民社党が十一月二日に出されました御見解、公明党が十一月二日に出されました御見解によりますと、非常に評価をしておられるわけでございますが、社会党は民間の活力の活用というものにつきましてもどうも御意見がはっきりしていない。たまたま私は社会党のお出しになったものから、住宅政策に関して、社会党では住宅保障法を制定して西ドイツに見習って住宅は国の責任で建設、供給すべきことを主張しておられます。宅地開発とか住宅建設につきましては、これこそ民間活力を大幅に導入すべきではないかと思いますが、社会党の民活についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  311. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) お答えします。  民間活力の活用は必ずしも否定しているわけじゃございません。しかし、中曽根内閣の行革路線の結果として財界主導の規制、民間活力の活用が結びつく場合は、これは私どもは厳しく指摘しておることは事実です。例えば東京の西戸山再開発に見られるような問題が生じたり、国民的に理解を得られることにならないリクルート疑惑の一環である川崎、浦和の再開発事業、岩手の安比高原開発など、そういう典型的なものもございます。しかし、地方鉄道等の事例に見られる第三セクター方式による民間活力の活用は、ある面では地域会社のニーズにこたえた、そういう意味で私ども一つのいい態様じゃないかというふうに思っております。  今後、都市開発を初め、社会資本整備を含め広範な分野において国や地方自治体が計画しておる第三セクターの活用、こういった問題については私どもは積極的に取り上げてまいりたい、かように考えております。しかし、直営でやるべきものは直営でやる、またたとえ民営でも国民の安全や健康にかかわるものについては公共でチェックしていく、こういう体制もあわせて必要であろうかと思います。
  312. 久世公堯

    ○久世公堯君 この税制再改革法案におきましては、「行政機能の充実を確保した上での公務員総数の抑制、」、こういうことを言っておられるわけでございますが、これまた私は公明党、民社党の御見解につきましては今直接お話を承ってもいいのでございますが、公明党などは前にも、ことしの七月十一日にもそのあたりをおっしゃっておられますし、また石田見解におきましてもおっしゃっておられるわけでございまして、民社党におきましても永末ビジョンにおきまして積極的な御意見を出しておられるわけでございますが、社会党については、またこれどういう文書があるのかよくわかりません。  強いて申しますならば、社会党が一九八三年に臨時行政改革推進審議会、行革審でございますね、それに対して出された見解の中に、「国、地方を通ずる総人件費の抑制について公務員の大幅削減を指摘しているが、これは行政サービスの低下につながり、公務員労働者の生活権の侵害になるので行うべきではない。」と、こういう公式見解を示しておられます。公明党や民社党につきましては、かなり具体的な数字を挙げてかなりの大幅削減を提唱しておられるわけでございますが、今回のこの「行政機能の充実を確保した上での公務員総数の抑制」ということにつきまして、社会党はその対象部門、人数、抑制方法等についてどのように実施をするのか、具体的に示していただきたいと思います。
  313. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 「行政機能の充実を確保した上での公務員総数の抑制」という問題でございますが、単純な公務員総数の抑制では行政機能の不備や行政の遅滞を招きかねないと思います。今まで必要な行政機能を確保するためにはどの程度の人員を要するかということを見きわめて、その上で公務員総数を抑制していくということが必要でなかろうかと思います。
  314. 久世公堯

    ○久世公堯君 具体的にどういう部門、どういう人数で。
  315. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 具体的に申しますと、例えば私は率直に言って、きょうはここに大蔵省が来ておるからサービスするわけじゃございませんけれども、やっぱり国税庁の職員が十年とか二十年に一遍しか査察に回れないというようなそういう体制ではなくて、もっとやっぱり充実することによって資産の把握をきちんとして、そのことがまた不公平を是正する、こういったものは私は決して行政改革に沿わないということじゃないと思いますから、そういう点を例えばとして申し上げておきます。
  316. 久世公堯

    ○久世公堯君 抑制の方をお聞きしたいと思います。公務員総数の抑制の方でございます。
  317. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 抑制というのはどういう意味ですか。
  318. 久世公堯

    ○久世公堯君 減らす方でございます。
  319. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 具体的にどこをどう減らすということについては、私どもの方で具体的な検討というか、そういったものについてはここでどうだと、そういう発表する段階にも来ていないんじゃないかと思いますし、私も総枠としては今申し上げましたように抑制方向をとりながらも慎重に対応していかなきゃならぬと思っております。
  320. 久世公堯

    ○久世公堯君 そうしますと、今抑制する方向には賛成だとおっしゃったわけでございますね、社会党も抑制する方には賛成であると。よろしゅうございますでしょうか、公務員総数の抑制には賛成だとおっしゃるわけでございますね。
  321. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) むだな部分があれば抑制に賛成します。
  322. 久世公堯

    ○久世公堯君 連合参議院、従来行政改革についてどういうお考えを持っておられたのかよくわかりませんが、先ほどから笹野さんも寂しそうな顔をしておられますので、せっかくさっき憲法論をお尋ねしたのでございますがお答えいただけなかったもので、このあたりのところは、今私が一連の申し上げました国鉄やNTTは古いことでございますので、最近の、今の公務員総数の抑制なりあるいは規制緩和なり民活なり、そういうことについての連合参議院のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  323. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 私ども連合参議院は行革審のときにはありませんでしたのでその点はお答えできませんけれども、今の問題につきましては、「行政機能の充実を確保した上での公務員総数の抑制」ということは、これは行政のサービスを侵さない限りにおいては私はよろしいのではないかというふうに思います。  また、先ほどの憲法論議でしたけれども、私は何せ新米でなれませんので本当に思うようなお答えができなかったのですけれども、あのような質問を憲法論でされたのがありませんので戸惑いましたけれども、日本の憲法にはいろいろな言葉がありまして、例えば民主主義という言葉がない憲法として有名です。こういう憲法にない言葉を使ったことによって憲法違反と言われた記憶は私は今までになかったものですからきょとんといたしましたけれども、先ほどの質問はちょっと私にしたら飛躍な解釈じゃないかというふうに思っております。
  324. 久世公堯

    ○久世公堯君 ただいま行政改革についていろいろお尋ねをしたわけでございまして、私はちょっと地方行革についても引き続きお尋ねをしたいわけでございまして、自治省からも来ていただいているわけでございます。また、総務庁からも行政管理局長にお出ましいただいて、少し政府の実態についてお尋ねをしたかったわけでございますが、時間も制約をされておりますので、この行政改革については大体以上にしたいと思っているわけでございますが、先ほどから行政改革についての基本的な考え方、それから具体的な行政改革の実績としての国鉄なりNTTなり、あるいはまた臨調からずっと始まる一連の、特に最近における新行革審におけるところの規制緩和問題あるいは民活、これを通じてずっとお答えを聞いておりますと、いろいろ言葉のあやはありますが、社会党と公明党と民社党、公明党と民社党は非常に行政改革については積極的なお考えを従来も持っていたし今もお持ちでございます。社会党は最近言葉のあやでいろいろ言っておられますけれども、どうも基本的にはそこの間にかなり大きな差があるように思われてならないわけでございます。  したがいまして、連合構想というのがございますけれども、どうも私は連合参議院も含めて本当に共同で歩調がとれるんだろうか。同床異夢という言葉があります。同床おのおの夢むという言い方もあります。どうでございましょうか。公明党と民社党は同床でございますので、笹野さんにお聞きするのは失礼かと思いますので、ひとつ公明、民社に、社会党と一緒にどうも皆様方は違う夢を見ておられるのではなかろうかという気がしてなりませんが、いかがでございましょうか、太田さん。
  325. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 先生、大変御心配していただきましてあれでございますが、私どもは今ちょうど参議院の選挙を踏まえまして、少なくともこの消費税の問題につきまして、四党が協力をしてこの法案を提出し御審議をいただいているわけでございます。  また連合政権の問題についてもえらい御心配をいただいておりますが、私どもといたしましても連合政権を組むに当たっての考え方というのはもう既に先生御承知のように発表いたしておりますし、また四党がそれぞれの問題について十分協議をして、必ず近い将来にばっちりした体制ができるんじゃないかと私は思っておりますので、先生の御心配していただいている点につきましては心にとめておきたいと思います。
  326. 久世公堯

    ○久世公堯君 峯山さん、本当に行政改革について社会党と御一緒にこれから歩むことができると確信をしておられるわけでございましょうか。
  327. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) それは政党それぞれの考え方があるわけですから、生い立ちも育ちもみんな違うわけですから、それぞれの考え方というのは十分尊重していくというのがいわゆる連合政権の基本的な考え方であろうと私は思うんです。一〇〇%こちらの言うことを聞かなきゃいかぬなんというのはこれはやっぱりおかしゅうございますから、そこら辺のところは十分尊重し合いながら、いわゆる行政改革につきましても私どもの考えはこうであるよということはもう十分申し上げているわけでございますから、そこら辺のところは十分話し合ってやっていけるのではないかなと、こう考えております。
  328. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 率直に言って、久世さんの聞く範囲というのは例えば政府臨調とか、それから久世さん自身が太田薫さんと一緒で労働組合の幹部の皆さんをよく知っていますという冒頭のお話がございましたが、そういう一つの固定したところから物を見るものですから御心配いただくような結果になるんじゃないかと思うんですが、決してそうでございませんで、今峯山さんがおっしゃったように、四党は基本法にしましてもきちっと意思統一をして御提示しておりますし、そこにはいささかもすき間はございません。そういう意味でひとつお受け取りいただきたいと思いますし、私どもも何か政府提出の今までの臨調にオール賛成しないからけしからぬという意味で御指摘になれば、それはいろいろあるかもしれません。  しかし、あなたも御存じのとおり、第一臨調、あの答申を最もサボッたのはだれですか。政府じゃありませんか。そうでしょう。そういうふうにいろいろありますよ。そういう点はひとつもっとおおらかに見詰めていただいて、そして御賛同いただければ幸いだと思います。
  329. 久世公堯

    ○久世公堯君 今、たまたま第一臨調のお話がありましたが、第一臨調も原則的には政府はあれを尊重してその後の行政改革をやってきた次第でございます。  次に、時間もございませんけれども、エネルギー政策、原子力問題。これもどうも私が見る限りにおきましては四党かなりお考えが違う。そう言っては大変失礼でございますが、社会党と公明、民社の間にはかなり違いがあるんじゃなかろうかという気がいたしますので、お尋ねをしたいと思います。  私は、エネルギー関係につきましては専門家でも何でもございません。しかしながら、エネルギー政策につきまして、特に最近原子力発電をめぐりましてさまざまな論議が行われております。私は昨年ヨーロッパの原子力事情というものを視察いたしました。各国とも原子力開発には極めて熱心でございます。国民生活に不可欠でございますエネルギーを安全かつ低廉に供給する確固たる信念に基づいて、当事者は努力をいたしております。また、原子力発電に対する国民の理解を増すためにいろんな努力を払っております。  フランスに参りましたときに、フランスは御承知のとおりミッテランの社会主義政権でございますけれども、彼らはアラブの石油よりもフランス人の技術者を信ずる、こういうことを口々に言っておりました。そういう考え方のもとで、積極的な原子力開発利用政策を実施いたしております。御承知のごとく、既に総発電電力量の七割を原子力発電に依存いたしております。また、安い電力を近隣の諸国に輸出までしております。女性の技術者にもかなりたくさん私は接したわけでございます。  西ドイツにおきましても、あそこはもともと豊富な石炭資源を有しながら、原子力発電を積極的に推進いたしまして、総発電量の約四割を原子力に依存いたしております。  イギリスにおきましても、北海油田が成功したにかかわらず、そして石油輸出国になっておりますけれども経済性の一層すぐれた軽水炉の導入を決定して積極的に推進しているわけでございます。  私は、国内の原子力事情と申しますか、原子力発電も何カ所か見たわけでございますが、日本こそ原子力発電の安全という面におきましては私は世界に冠たる国だろうと思います。万全の策を講じておって、世界に誇るべきものと確信をいたしております。こんな経験をいたしました前後、原子力の問題につきまして多少勉強さしていただきましたので、これにつきまして御質問をいたしたいと思う次第でございます。  これまた、民社党と公明党におきましても原子力政策につきましては多少の違いはもちろんございます。しかし、原子力政策についての社会党のお考えをここでお聞きしたいわけでございますが、社会党につきましてはかなり今までに変遷があったかと思います。きのう沓掛先生がそのあたりを指摘しておられましたが、例えば原子力の開発利用が開始をされました昭和三十年代の前半から四十年代の後半までは、原子力の平和利用を推進することとしておられました。ところが、その後反原子力政策に転換をされました。これは皆様方がお出しになりました「当面する原子力発電に関する見解と政策」という一九七一年の書面に見ることができるわけでございますが、建設中、計画中のものはもちろんのこと稼動中の原発までも認めないという方針を示されたわけでございます。一九八九年度、今年度の運動方針におきましても原子力に反対を唱えているわけでございます。しかしながら、最近責任政党への脱皮というものを求められますと、どういうわけか、「原子力発電は現在のエネルギー源として一定の比率を占めていることを認識し」と、現実への歩み寄りをするなど、政策を転換してこられたようにうかがえてならないわけでございます。  今までの長い社会党の原子力政策を拝見いたしておりますと、そこに全く一貫性がない。これに比べまして公明党は、原発に対しまして慎重な対応をするとはしておりますけれども、原発の役割を認めておられます。民社党におきましては、原発の推進というものを積極的に示しておられます。このように社会党、公明党、民社党それぞれに原子力政策というものが大きく分かれております。  この社会党の政策を見ておりますと、何か最近のはちらりと今の云々ということを書いて、そこの後の何といいますか、政策がどうも一貫性がないような気がいたします。特に核燃料サイクルについて言いますと、社会党の方は、放射性廃棄物の処分を含めてすべて認めないとしておられますが、公明党や民社党は一定の条件をつけながらも推進する方針をとっておられます。  このように野党各党の政策の統一性が見られないわけでございますが、特にこの際社会党の原子力政策につきまして、総論ではなくて具体的に明らかにしていただきたいと思います。
  330. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) 昨日同じような意味の御質問がございまして、一九七〇年以降の分は申し上げましたが、現在考えている社会党の考え方を申し上げてみたいと思います。  科学技術の振興については、生き生きとした新しい経済の成長を進めるためには、絶えざるイノベーションなど科学技術の重視を基本として我が国の潜在的成長力を生かしていくことであると土井提言で明確にいたしております。  エネルギー源の確保については、実質経済成長率五%程度を確保するためには毎年二%余りのエネルギー需要の増加を考えなければならないと思っております。特に、高度技術社会の到来とともにエネルギーの電化率が高まり、電力の伸びは毎年三%程度が望まれます。我が国の年間エネルギー消費は四・三九億キロリットル、これは八五年でございます、の九〇%を石油の輸入に頼っており、その大部分が石油であるための不安定要素が存在しているわけでございますので、今後石油の安定輸入という問題について友好各国との間に懸命の努力を続けてまいらなければならないと思います。  また、社会党は原子力発電のすべてを廃止することを主張しているわけではございません。土井提言でも明らかなように、稼働中の原発については、現在のエネルギー源として一定の比率を占めていることを認識し、将来は原発に依存しない電源の構成を目指しながら、当面は電源構成の多様化を追求いたします。同時に、具体的には新しい原発や放射性廃棄物処理施設の建設を認めない、安全性の厳しいチェック、原子力基本法の厳格な適用などを行うことといたしております。  原発反対の主な理由は、新しい原発や放射性廃棄物施設の建設を認めないのは、原子力基本法の自主、民主、公開の三原則が守られていない、安全性が十分でない、経済性の優位性がなくなったからであります。特に経済性の優位性がなくなったことを申し上げますと、建設単価で言えば原発は一キロワット当たり三十二万円になりますし、石油火力は一キロワット当たり十五万円、石炭火力は一キロワット当たり二十五万円となっており、発電原価で言えば原発は一キロワットアワー当たり十一円三十七銭、石油火力は一キロワットアワー当たり十円三十七銭、そして耐用年発電原価で言えば、原発は……
  331. 久世公堯

    ○久世公堯君 簡単にお願いします。
  332. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) もう少しで終わりますから、お聞き願いたいと思います。  耐用年発電原価で言えば原発は一キロワットアワー九円、石油火力は一キロワットアワー当たり十一円、石炭火力は一キロワットアワー当たり十円。ただしこの中には原発の廃炉費用は含まれておりません。これを含む原発コストを考えると石炭火力を上回ります。  したがって、二〇三〇年までに原発を発電電力量の六割にもっていくと考えるような原発百二十二基を新たにつくるという計画は、エネルギー政策としてとるべきではありませんと申し上げます。
  333. 久世公堯

    ○久世公堯君 きのう承ったのと同じペーパーをお読みいただいたわけでございますが、小川先生のお言葉でお聞きしたかったと思う次第でございます。もっと具体的に、例えば核燃料サイクルをどうするのか、具体的なお話を承らなければ、総論的なお話ではどうも真意が理解できないと思う次第でございます。  私は、社会党の原発問題につきましては、先ほど申し上げましたように、いろいろ読ませていただきますとどうも今度のこの御提言というものが脈絡が一貫していない。一体、現在発電中のものは認めるけれども今建設中のものも認めないとか、あるいはまた廃棄物の処理というものは認めないとか、そういうことでどうして一貫性があるんだろうか、大変疑問に思うわけでございます。  もう一つ私は社会党の政策について公明、民社とかなり違っているなと感じておりますのが、最近の外交についてのお考えでございます。  特に、この前突如として西側の一員ということを山口書記長がつけ加えられたわけでございますが、これは御承知のとおり、十月二十日の六十七回中央委員会における書記長の報告におきまして、連合政権構想の基本的な枠組みとして政治的、経済的には西側の一員であるということを明言されたわけでございます。社会党は、古くからは、例えば平和協調をもとにした国際体制と非同盟中立、非武装の実現、あるいはまた西側同盟外交から非同盟、平和外交への転換というようなものを挙げて、西側諸国との協力を批判されておりました。それもついこの間の、ことしの「国政選挙にのぞむ政策集」でそうおっしゃっておられたわけでございます。また、ことしの一月には、速やかに安保条約を廃棄ということまで言っておられるわけでございます。それがこの十月に急遽このようにお考えを変えられたのはどういうことでございましょうか。
  334. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 前にも御質問がございましたけれども、私どもは、連合政権に臨みます場合には行政の、政治の継続性を重視しなければならぬと思っております。もう一つは、相違を強調するのでなく、連合政権は絶えず合意を求めて努力をしなければならないものだと考えております。  今、外交の問題でお話がございましたけれども、私どもは確かに全方位外交をこれまで志向してまいりました。この考え方は今日においても変わりはございません。しかし、連合政権をつくってまいります場合に、日本が今政治、経済両面において西側の一員である、この現実を確かに私どもは認識し、その上に立って政治を進めなければならないものだと考えております。幸い、今東西の対立は地中海に沈もうとしております。そして、新しい東西の協調の日が地中海から上ろうとしているのでありまして、そのときに東ヨーロッパにおいても大きく民主化の波が東西の壁を崩し、その垣根を低くしつつあります。私どもはそういう中で必ず私どもが求めてまいりました全方位外交が実を結ぶときが来ると考えております。
  335. 久世公堯

    ○久世公堯君 そういたしますと、対米貿易なりあるいは従来から対米偏重の貿易構造を改善するというようなことを言っておられますが、それについてのお考えは従来どおりでございますか。
  336. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私、今のような問題になってまいりますと、私がここでお話し申し上げることが党との関係でいろいろ少し慎重にならざるを得ぬ点もあるのでございますけれども、私といたしましてはアメリカと日本の関係というのは大変重要なものだと考えております。それで、その中でアメリカと日本との関係というものが、お互いに尊重し合う平等な関係において経済問題においても政治問題においても友好的に話し合われて、相互の信頼と協力の関係が強まることを望んでおります。そういう意味では、対米偏重かどうかということは、どうも私はどういう意味でとらえたらいいのかわかりませんけれども、対米偏重というのはいずれにしてもよくないのではないかと思っておりまして、日本とアメリカとの関係を重視するということはこれからも大事にしていかなければならぬ問題だろうと思っております。
  337. 久世公堯

    ○久世公堯君 日米関係について、我が国の外交の面におきまして日米関係は大事だということは今久保さんもおっしゃいましたし、これは山口書記長も認めておられるところでございますけれども、御承知のとおり、日米合わせますと世界のGNPの四割を占めている現在の状況にかんがみますと、日米両国とも、世界の平和と繁栄にとってもこういう日米関係というのはもっともっと強化していかなきゃいけないと思いますし、今の貿易構造ももう少し詳しく承った方が――実際にそんな対米偏重とかということが言える筋合いのものじゃないわけでございますが、それは時間もございませんので省略をいたすことにいたしまして、対米偏重外交というようなことは到底これからは考えられない。この対米外交こそやはり世界にとっての極めて重要な問題であるということについて社会党が、久保先生がさらに一歩お進みになるということであれば大変幸せなことでございます。  そこで、時間もなくなったわけでございますが、私は少し後の方をはしょり過ぎたわけでございますが、エネルギー政策につきましてもまた外交につきましても、今久保さんはいろいろおっしゃいましたけれども、今までお出しになったもの、書かれたもの、外交政策というものがそう急転するということはどうも考えられないわけでございます。  この連合構想、さっき峯山さんもおっしゃいましたような、なかなか譲り合うところがなければ連合構想は成立しないというようなお話でございますが、余りにも譲り合う部門が多過ぎるのではなかろうか、こういう感じがいたしてなりません。どうでしょうか。私は、特に行革あるいはエネルギー問題、あるいは今ちょっとしか触れませんでしたけれども外交問題、さらに安保、自衛隊問題等になりますと、なおこの問題が深刻化するのではなかろうかと思います。  先ほど私は同床異夢ということについて正確なお答えをいただけなかったわけでございますが、呉越同舟という言葉もあります。呉越同舟という言葉は孫子の兵法の一つで、呉人と越人がもう大波のあらしのところを川を一つの舟で渡るのに、いたし方なく両手をさばくようにして渡ったという故事に倣うそうでございますけれども、どうも皆さん方のこの税制再改革基本法を見ておりますと、船頭多くして船山に登るというような感じがしてならないわけでございます。  また、今の政策を詳しく見てみますと、どっちかと言えば公明党や民社党さんは私どもの自民党に近い政策をお持ちではなかろうか、こういう気さえするわけでございます。皆さん方が連合構想ということを夢見ておられるそうでございますが、連合構想というもののもとであるならば、そのあたりの政策も十分協調されていただきたいと思う次第でございます。  ひとつ連合構想についての皆様方の決意のほどを承りたいと思います。
  338. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私どもは、先ほど申し上げましたように、社会党が自分の主張を通すことを連合政権のあり方だとは決して考えておりません。相互の立場を尊重しながら合意を求めて、その中で私ども国民の期待にこたえたいと思っておるのでありまして、もし御心配をいただきますならば、自由民主党が御経験になっております派閥の間におきますいろいろな意見の対立を乗り越えて政権をおつくりになっていることをお考えいただければ、連合政権に対して御批判をいただかなくても、御心配をいただかなくてもよろしいのではないかと思います。ありがとうございました。
  339. 久世公堯

    ○久世公堯君 以上をもちまして質問を終わりたいと思います。(拍手)
  340. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 九案に対する本日の質疑はこの程度といたします。  次回の委員会は明二十九日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十七分散会