運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1989-11-27 第116回国会 参議院 税制問題等に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月二十七日(月曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  十一月二十一日     辞任         補欠選任      谷畑  孝君     前畑 幸子君      大渕 絹子君     森  暢子君      横溝 克己君     秋山  肇君  十一月二十二日     辞任         補欠選任      山口 哲夫君     谷本  巍君      森  暢子君     大渕 絹子君      秋山  肇君     野末 陳平君  十一月二十四日     辞任         補欠選任      谷本  巍君     山口 哲夫君  十一月二十七日     辞任         補欠選任      穐山  篤君     山田 健一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中村 太郎君     理 事                 井上 吉夫君                 沓掛 哲男君                 宮澤  弘君                 村上 正邦君                 稲村 稔夫君                 及川 一夫君                 本岡 昭次君                 矢原 秀男君                 近藤 忠孝君                 古川大三郎君                 寺崎 昭久君     委 員                 伊江 朝雄君                 小野 清子君                 大木  浩君                 梶原  清君                 鎌田 要人君                 北  修二君                 久世 公堯君                 佐々木 満君                 谷川 寛三君                 前島英三郎君                 松浦  功君                 松浦 孝治君                 守住 有信君                 山岡 賢次君                 吉川 芳男君                 上野 雄文君                 大渕 絹子君                 粕谷 照美君                 渕上 貞雄君                 細谷 昭雄君                 前畑 幸子君                 村田 誠醇君                 安恒 良一君                 山口 哲夫君                 山田 健一君                 刈田 貞子君                 常松 克安君                 和田 教美君                 橋本  敦君                 高井 和伸君                 三治 重信君                 下村  泰君                 野末 陳平君    委員以外の議員        発  議  者  久保  亘君        発  議  者  佐藤 三吾君        発  議  者  梶原 敬義君        発  議  者  小川 仁一君        発  議  者  峯山 昭範君        発  議  者  太田 淳夫君        発  議  者  笹野 貞子君        発  議  者  勝木 健司君    国務大臣        大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       高原須美子君    政府委員        経済企画庁物価        局審議官     田中 章介君        経済企画庁調査        局長       田中  努君        大蔵大臣官房審        議官       濱本 英輔君        大蔵大臣官房審        議官       石坂 匡身君        資源エネルギー        庁長官      山本 雅司君    事務局側        常任委員会専門        員        竹村  晟君        常任委員会専門        員        保家 茂彰君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○消費税法を廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○消費譲与税法を廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○地方交付税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○税制改革基本法案久保亘君外七名発議) ○法人税法等の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○通行税法案久保亘君外七名発議) ○物品税法案久保亘君外七名発議) ○入場税法案久保亘君外七名発議) ○地方税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議)     ─────────────
  2. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を開会いたします。  この際、一言申し上げます。  本日、議長のもとに九法案発議者並びに日本社会党護憲共同、公明党・国民会議連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合代表者より、税制改革基本法案の中で、第八条第一項は、「協議会は、設置後二年以内を目途として、その調査審議の結果を、内閣総理大臣に対し、報告するものとする。」とし、第二項は、「内閣総理大臣は、前項の報告を受けたときは、これを尊重しなければならない。」と改めさせていただきたい旨の申し出があり、議長から私のもとに、この申し出に沿って処置し、直ちに委員会を再開されたい旨の要請がございました。  よって、ただいまより審議を再開いたします。  また、法人税法等の一部を改正する法律案中、相続税法改正規定施行期日及び経過措置適用区分に係る期日につきましては、理事会におきまして協議いたしました結果、この件につきましては質疑終局修正案を提出していただくということになりましたので御承知おきを願います。     ─────────────
  3. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 消費税法を廃止する法律案消費譲与税法を廃止する法律案地方交付税 法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 谷川寛三

    谷川寛三君 今御報告がありましたが、これだけミスの多い法案は、私は珍しいと思います。今まで幾つございましたかね。お答えはまあいいことにしましょう。これ、いただきましたのを見ると正誤も含めましてたくさんございます。  そこで発議者皆さんに伺いますが、皆さん方はこの法案をお読みいただきましたんでしょうか、御自分で。
  5. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 提案者は、法案を読むというよりはつくったのでございます。
  6. 谷川寛三

    谷川寛三君 峯山先生、どうですか。
  7. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) どういう意図でおっしゃっているかわかりかねますが、いずれにしましても相当な枚数とそれから相当なものでございました。私どもは、この夏休みの間、また審議が始まる前に相当長時間をかけましてこの法案を読ましていただきました。
  8. 谷川寛三

    谷川寛三君 笹野先生、どうですか。
  9. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 私たち立法府にいる者は、自分たちでつくった法律というのは本当に大切に、そして皆さん方もどうぞ私たちがみずからつくった法律をかわいがっていただきたいと思います。
  10. 谷川寛三

    谷川寛三君 勝木先生
  11. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 一生懸命つくらしていただきまして、勉強もさしていただいております。
  12. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 皆さんと一緒に勉強さしていただきました。
  13. 谷川寛三

    谷川寛三君 諸先生、一生懸命検討していただいたことがよくわかりましたが、大小にかかわらず、これ以上もうございませんね。
  14. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 御審議をいただいておるのでございまして、私が法案がこれで完璧かどうかということを申し上げる立場にはございません。皆さんで十分御審議をいただきたいと思っております。
  15. 谷川寛三

    谷川寛三君 今の御発言に対しては後で私ちょっと言いたいことがございますが、どなたでも結構でございますから、消費税法を廃止する法律案の三十九条第三項をちょっと読んでいただけませんか。
  16. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 第三項ということでございますが、「前条の規定施行前に旧国連軍特例法第四条(関税法等特例)において準用する旧関税法等特例法第七条(内国消費税免除)の規定により消費税免除を受けて」、その次の文字が印刷ミスとなっておりますが、これは「輸入された物品は、」……
  17. 谷川寛三

    谷川寛三君 結構です。まあこれは正誤で僕はいいんじゃないかと思っておりますがね。さっきお尋ねしましたように、ほかにないということでございますから、なんでございますけれども、よく精査をしていただきたいと思います。今ちょっと読んだだけでもこういうのがありますからね。これは意地悪しているわけじゃございません。  それから、久保さん、この間野末委員の御質問に対しまして、さっきもおっしゃいましたが、現在も法案全体の検討を続けさせておる、この法案が完璧とは思っていない、意見を入れて完全に近いものに仕上げるという意味のことをおっしゃいましたね。先ほども同じ意味のことをおっしゃいました。まあこうたくさん正誤とかいろんな重要な誤りが出てくるし、それから野末委員相続税の関係で御指摘があったと。発議者で、これはいろいろ問題があるな、完璧じゃないなというお気持ちを持っておられることも私はもっともだと思いますけれども、僕は非常に残念なのは、そんな欠陥法案を大勢の先生方に大事な時間を使うて審議さしておるのかという点でございます。  私も、自分のことを申し上げまして恐縮でございますけれども、大蔵省におりましたときには税法立法をやったこともございますが、夜も眠れぬのですね。どこかにミスはなかろうかと胃が痛むような思いをしたことがございます。そういうことでございますから、ここで初めから検討しているものなら別でございますけれども法案として出したものをどこか間違ったところがあるかもしれぬから皆さんよう見て、御指摘があれば直そうというようなお気持ちでやられたんじゃこれはたまったもんじゃない。私は本当に何と申しますか、情けない気持ちと同時に何か怒りを覚えるような気持ちでございますよ。そういう意味で、大変こんなことを申し上げるのもなんでございますが、引き締めてやっていただきたいと思います。お聞きしますと、参議院法制局も、それから後ろにおられる事務方皆さんも大変な御努力をなさったようでございますが、スタッフがそろってないから政府のようにはいかぬというようなことでは僕は承知ができない、こう思っています。まあ申し上げるだけ申し上げておきます。  それからもう一つ申し上げたいことは、皆さん方立法者の意思によってとかよく言われますけれども税金は、これは私から申し上げるまでもございません、租税法定主義でございますから、皆さん方がいかように思っておっても成文になった以上これはそれによって動くのでございますから、そして納税者はそれによって縛られるのでございますから、大変大事な法律であるということをよくお含みおき願っておかなければならぬなと思っておる次第でございます。  それから、御質問申し上げる前に、十四日に我が党の伊江委員鎌田委員が質問した際に皆様からお答えになった内容につきまして、私聞いてよくあれしておりますけれども、この際後の議論の共通の土台にしなきゃなりませんのでもう一遍確認をしておきたいと思いますから、簡単に、イエスだけでございますからお答えを賜りたいと思います。  まず、所得税減税については評価すると峯山さんはおっしゃいましたが、そのとおりですね、所得税減税については評価する。簡単に。
  18. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 評価する部分もあるということですね。
  19. 谷川寛三

    谷川寛三君 もあると。  それから勝木さんがおっしゃいました、政府・自民党の税制改革について、我々がかねてから要求している直接税の改革について累進税率大幅緩和、諸控除引き上げ等による所得減税法人税減税相続税減税を盛り込んでいる点は評価できる、これは民社党のお考えでもありましょうね。
  20. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) もちろん民社党考えでもありますし、私どもも一定の評価をいたしております。
  21. 谷川寛三

    谷川寛三君 ほかの皆様もこれは同様でしょうか。今の点は同様ですね。――うなずいておられますから同様と承知をいたします。  それから、十六歳から二十二歳までの子供に関する所得税減税については評価できる、久保さん。
  22. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) この所得税のある改正につきましては、これは私どもがかねて国会においても要請を申し上げていた問題もたくさんあるわけでございまして、その点について共通の認識に立てる部分もあるということを評価として申し上げているのでございます。
  23. 谷川寛三

    谷川寛三君 それから同じく久保さんですが、特別優遇措置等を廃止、合理化する中で法人税率を今後とも引き下げることには賛成であるとおっしゃいました。
  24. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私どもは、この三七・五%に下げるという改正法のあの原則につきましてこれを変えていないのでありまして、特例優遇措置等との見合いの中で法人税率を国際的にもバランスのとれたものにしていくことについてはそのとおり考えております。
  25. 谷川寛三

    谷川寛三君 それから、相続税減税には反対である、これからの世の中は女性は夫の相続だけを 当てにするのではなく、これとは別に違った対策をとる必要がある、今回の改正は持てる者と持てない者の資産格差を広げる可能性があり余り評価できない、笹野さんでございます。これはほかの皆さんも同じ意見なんでしょうか。どうでしょう、笹野さん。
  26. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 相続税基礎控除とか控除をしていただいたことは評価はできるというふうにお答えしたはずです。
  27. 谷川寛三

    谷川寛三君 いや、今のように言われたんです。  それから、贈与税減税評価していると。後で聞こうと思ったんですが、これ笹野さん、そっちは評価するけれどもこっちはこうだとこの間はおっしゃったんですが、どうですか。
  28. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) お答えいたします。  前回のときには少々言葉足らずで真意が伝わらなかったと思いますけれども控除の面では評価できる、税率の面ではそれはもっと違った考え方があるのではないかというふうにお答えしたはずです。
  29. 谷川寛三

    谷川寛三君 ちょっとニュアンスが違いますが、そうですね、じゃ。  それから、相続税減税は不十分だと太田さん、おっしゃいました。
  30. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) 私申し上げましたのは、最高税率を七五%から七〇%に下げましたね、その点を一つ申し上げましたことと、小規模の例えば事業主が親から受け継いだ事業用の土地であるとか事務所、あるいはローンを一生懸命払ってみえた勤労者皆さん方のそういう面についてはもう少し配慮をすべきではなかろうかと、こういうことを申し上げました。
  31. 谷川寛三

    谷川寛三君 大体わかりました。もっとやれということですね。  それから、旧物品税課税、非課税のアンバランス、サービスについては課税されていないなどの矛盾があることは十分承知をしている、しかし物品税の復活は二年間の暫定措置ということで我我国民皆さんにお願いをしている、佐藤さん、そうおっしゃいましたね。
  32. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) そのとおりです。
  33. 谷川寛三

    谷川寛三君 勝木さんは、この点はどうだったですか。
  34. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 大体同じようなニュアンスだというふうに思っております。
  35. 谷川寛三

    谷川寛三君 それから、代替財源案による地方財政に係る増収は、平年度では地方税九千五百億円、交付税六千億円、はね返り九千億円、合計約二兆四千五百億円、初年度では地方税五千五百億円、交付税六千億円、はね返り九千億円、合計約二兆五百億円、佐藤さんはこうおっしゃいました。平年度初年度の差は四千億円、こうおっしゃいました。間違いありませんね。
  36. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 大体そうだと思います、まだ議事録確認しておりませんけれども
  37. 谷川寛三

    谷川寛三君 それから、これは重要です。代替財源法律はそれぞれ恒久財源法律になっていると、峯山さんはそうおっしゃいました。
  38. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) そのように申し上げました。
  39. 谷川寛三

    谷川寛三君 それから、同じく峯山さんですが、法人税率の据え置きを規定した租特法の期限は法律上「当分の間」となっている、そうですね。
  40. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) たしか租特の第一条だったですかね、そこにそういうふうにあると思います。
  41. 谷川寛三

    谷川寛三君 それでは、そういうふうに確認をいたしまして、これからまた私も同僚議員も質問申し上げることにいたします。  それではまず、この際申しておかぬといかぬことがございます。笹野先生はたしか憲法の御専門と伺いましたのでありますが、我が国は原則として直接民主制をとっておりましょうか、間接民主制でございましょうか。ちょっと簡単にそれを。
  42. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 何か口頭試問を受けているような感じですけれども間接民主主義をとっておると思います。
  43. 谷川寛三

    谷川寛三君 そうですね。日本国憲法前文の冒頭には「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて」と書いてございます。私が申し上げたいことは、久保先生も、せんだってある雑誌のインタビューの際に、いかにも消費税がこの間の選挙でリコールされたようなことを書いております。方々でそういう文章がほかの先生方でも出てくるんですが、私は、今のお答えにもありましたように、日本間接民主制をとっておりますので、絶対にそれは誤りであると思っております。憲法四十一条が国会をもって国権の最高機関としておるのはこの今の原則から出てくるんだと思いますね。直接国民国政に参与してもらうようにはなっていないんです。国会議員を選んで、そしてその国会議員皆さんによって国会を通じて国政に参与する、こういうことでございますから、この間の選挙で絶対に消費税はリコールをされたものじゃないということを私はここで申し上げて、先へ参りたいと思います。  それではこれから本論に入ってまいりますが、私が申し上げるまでもございませんが、税金には直接税と間接税がございます。直接税の代表所得税ですね。間接税代表消費税だと私は思っております。直接税と間接税にはそれぞれ、こういう本にも書いてございますが、長所があり短所がございます。もう発議者皆さんには申し上げるまでもないところでありますが、直接税の方は、垂直的公平の点ですぐれておりますが、水平的公平の点では問題があるように私は思います。間接税は、垂直的公平を図るのは難しいけれども、水平的公平の点ではすぐれている、こう思います。  この辺のことにつきまして、もっと詳しくひとつ、局長来ておりませんね、審議官お見えのようですが、説明をしてください。
  44. 石坂匡身

    政府委員石坂匡身君) お答え申し上げます。  直接税と間接税、これを比べてみますと、ただいま先生おっしゃいましたように、所得税等の直接税は、これは納税者所得水準に応じて累進的な負担を求めることができるわけでございまして、垂直的な公平に資するという特徴を有しているわけでございますが、ただ、把握の状況いかんによりましては、水平的な公平の確保の面で問題を生じ得るという点がございます。これに対しまして間接税は、累進的な負担を求めにくいという反面、給与所得者であれ事業所得者であれ、その者の稼得した所得のうちからなされる消費等の大きさに応じまして負担を求めることができまして、水平的な公平に資するという点が指摘できるものと考えております。  いずれにいたしましても、税制には負担の公平を初めといたしまして各種の理念を満たすことが要請されるわけでございますけれども社会経済の実態が複雑化、多様化しております現在におきましては、単一の税目によりましてこれらを十分に満たすことは困難であろうかと存じます。いかなる税目もそれぞれの長所を有する反面何らかの問題点を伴うことは避けがたいわけでございまして、税収が特定の税目に依存し過ぎます場合には、その税目の抱える問題点が増幅されまして税負担の公平な配分を妨げまして、国民経済に悪影響を及ぼしかねないという面がございます。したがいまして、直接税、間接税等の間でバランスのとれた税体系が望ましいと考えておる次第でございます。
  45. 谷川寛三

    谷川寛三君 今お話がありましたように、日本税制所得税に偏り過ぎておるので、事業所得者とそれからサラリーマンとの間に非常な不均衡が生じておる。クロヨンとかトーゴーサンとかいうような言葉が出ておることは御承知のとおりでございます。今説明がありましたように、これは垂直的公平だけ求めてもだめ、水平的公平だけを追求してもだめ、やっぱり両者がともに必要であると私は考えるのでありますが、発議者皆さん方はいかようにお考えでございましょうか、ひと つ皆さんそれぞれお答えください。
  46. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) お答えいたします。  今先生お話しの公平の問題でございますが、公平の問題をどのように考えるか、これはやはりなかなか難しい問題があろうかと思うのです。シャウプ博士も、この公平という問題についてどう思いますかと聞かれたことが記録にありましたけれども、そこでおっしゃっているのを見てみますと、公平とは何かという問題は大変難しい。水平的公平とは、同じ所得のある人には同額の税金を課すということで、これは当然です。一方、垂直的公平というのは、例えばAがBの三倍の所得がある場合に課税は何倍が妥当であるか。これにはいろいろな決定の要素があるけれども、少なくとも三倍以上にしなければならないのじゃないだろうか。累進課税のシステムを採用しなくては本当の公平というものにはならないのじゃないか、こうおっしゃっている記録がございました。  私どももそれと同じような考え方を持っているわけでございまして、やはり所得の多い人がより多くの税金負担するという、これが垂直的公平ですね、同じ所得の人は同じ負担をする、これが水平的公平になろうと思いますけれども消費税は水平的公平に配慮した税であるということを大蔵大臣新聞紙上で書いておみえになりました。しかし実際の状況を見ますと、そういう状況になっていないのじゃないかなということを私は思っているわけです。逆進性が強まっているのも一つのその兆候じゃないかと思います。また、今お話がありましたように、税全体の中の公平ということをどう考えていくか。それは応能負担あるいは応益負担という問題もありましょうし、あるいは水平的公平をどうするか、あるいは垂直的公平と水平的公平とのバランスをどうとっていくか、今石坂さんがおっしゃったとおりでございます。そういうバランスをどうとっていくかということも一つの課題ではないかと私ども考えております。  私どもも、これ二年間皆さん方にいろいろと春議していただく中で一つの結論的な方向が出れば幸いじゃないかな、こういうふうに思っているわけでございます。
  47. 谷川寛三

    谷川寛三君 私が聞いておりますのは、よくわかりましたけれども、片一方だけでいいですか、両方必要でしょうかと、僕は両方必要だと思うのだけれども、そこを聞いているのです。簡単に。
  48. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) 私たちもやはり両方とも必要であろうと考えております。そのために……
  49. 谷川寛三

    谷川寛三君 それだけで結構。  佐藤さんどうでしょう。垂直的公平、水平的公平ともに必要ですかどうか。太田先生は両方必要だと。
  50. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 今太田さんから御答弁なさったこととそう相違はないのですが、私も直接税が主で、間接税は補完、こういう意味で両方を相組み合わせるべきだ、こう思っています。
  51. 谷川寛三

    谷川寛三君 勝木さんどうですか。
  52. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私も同様でございまして……
  53. 谷川寛三

    谷川寛三君 結構です、もうそれだけで。  笹野さん、どうでしょう。
  54. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 私も同様に思います。
  55. 谷川寛三

    谷川寛三君 峯山さん。
  56. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) おっしゃるとおり、垂直的公平、すなわち政府もやはり現在の税制の中で所得税が中心であり間接税が従であるというふうな、そこら辺のバランスをどうとるかというのは非常に大事な問題でございますし、当然そこら辺のところはどのくらいが一番いいかということになりますと、これはいろいろ議論が分かれるところでございますが、現在の政府税体系、また我々が考えております税体系の上からいいましても、やはり垂直的公平を中心にして水平的公平でバランスをとる、これが一番いいんじゃないかなと私は考えております。
  57. 谷川寛三

    谷川寛三君 両方必要ですね。
  58. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 当然必要だと思います。
  59. 谷川寛三

    谷川寛三君 久保さん。
  60. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今皆さんお答えになったとおりでございます。
  61. 谷川寛三

    谷川寛三君 幸いにして皆さん私と同意見で、やっぱりどっちかに偏った税制ではだめだ、直間両方組み合わして、おのおのの長所を生かしまして均衡のとれた税制でなきゃいかぬということで一致したと思います。  そこで私、発議者皆さんにお伺いしたいのでありますが、直間比率は何対何が、幾ら幾らが望ましいか、これひとつお聞かせいただきたいと思います。  いただきました税制改革基本法案では、直接税を主、間接税を従と述べておられますが、私はこの考え方、今峯山先生もおっしゃいましたが、別に異論は唱えませんけれども、具体的に何対何がいいか、お考えを聞かせてください。
  62. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 考えてみますけれども、何対何が妥当かどうかということは私はなかなか出てこないと思います。  今度のこの一連の私どもが提案しているものについては、弱い者から、みんなから取る消費税、ここにやっぱり逆進性が強い、こういうことで、そこが中心になって提案している問題ですから、その点を加味していただいて御理解をお願い申し上げたいと思います。
  63. 谷川寛三

    谷川寛三君 ほかの皆さんどうでございますかね、この問題。
  64. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今、梶原議員からお答え申し上げましたとおりでございますが、直間の比率というのは、数値を目標に置くのではなくて、税の理念に基づいて公正公平な税制を確立する中から生まれてくる比率だと考えております。国民が納得しているかどうかが重要であって、比率がどうかということが重要ではないと考えております。
  65. 谷川寛三

    谷川寛三君 ほかの皆さんどうでしょう。同じですか。
  66. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) この問題につきましては、実は私もそこで竹下総理やいろんな方に何回も、どのくらいが望ましいのかと随分聞いたことがあるんですけれども、結局最終的にはおっしゃいませんでした。  それで、大蔵大臣にもお伺いしたことがあるんですけれども、例えば昭和四十年代には六対四だった、それから五十年代には七対三になって、六十三年には七・五対二・五になった、そういう比率は今までの実績として申しておられましたけれども、最終的にどの程度が望ましいかということを随分私もお尋ねしたことがあるんですけれども、それは要するに結果としてこうなるんであって、初めから想定しているものではない、こういうようなお答えがございました。  先ほどからいろんな方から御答弁がございましたが、私も、初めから、例えば直間の比率をこうあるべきだというふうに決めてやるものではなしに、結果的に結論が出てくるものである、そういうふうに認識をいたしております。
  67. 谷川寛三

    谷川寛三君 おっしゃることはわかりました。  政府が行いましたこの間の税制改革におきましては、平成元年度の直間比率は、税制改革後、七二・一対二七・九、七対三になっております。  今、結果としてとおっしゃいましたけれども、直接税をふやした方がよいのか、それとも間接税をふやした方がよいのか、方向性だけはやっぱりお持ちになっておらぬと仕組みができないんじゃないでしょうか。やってみたらこうなったというだけでは僕はいけないと思いますが、それはどうなんでしょうね、方向性。
  68. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 谷川委員はもう専門家ですから余り言うことはないと思うんですが、我が国の直間比率の推移を見ますと、昭和三十一年が法人税が二〇・五、三十五年が三一・八、四十年が二八・三、四十五年が三三・四、それからずっと省略しまして、六十二年が三三・ 一、六十三年が三五・八。要するに、直接税は所得税と法人税と相続税が中心になります。その比率は、法人税のその年その年の増減によっても随分変わってくるんですね。したがって、六十三年は非常に景気の好調もありまして、法人税が三四・五%に伸びております。もちろん、所得税も三四・一%ですから。だから、直接税の中の数字の動きによっても随分変わりますから、その点についてはすべて一概には言えない。ただ、できれば、やはり直間比率は少し締まれば縮まった方がいい、こういう考え方は基本的には持っております。  しかし問題は、今考えているのは、逆進性の強い消費税、これに対して一体どうなのか、こういう点が基本ですから、私どもはそこを離れての議論というのはあり得ないと思っています。
  69. 谷川寛三

    谷川寛三君 直間比率が近づいた方がいいというのは、余り所得税に中心を置き過ぎてもいかぬということですね。私の言うのと大体同じですな。
  70. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 基本は大体同じ。
  71. 谷川寛三

    谷川寛三君 そこで伺いますが、先日私、三日間のNHKの放送を聞きました。皆さんもお聞きであろうと思いますが、そのときに、社会党の伊藤政審会長は七対三が望ましいとおっしゃいました。お聞きになりましたですね。それから、民社党の中野政審会長は六対四とおっしゃった。勝木さん、お聞きになりましたですな、NHKのあれ。
  72. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) いや、聞いておりません。
  73. 谷川寛三

    谷川寛三君 聞かない。じゃ、申します。六対四とか、お聞きになりましたね。この点、これはとにかく社会党、民社党のそれぞれ政策の最高責任者でございますが、皆様方はどう評価されておりますか、ちょっと……。
  74. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 谷川先生先ほどから言っていますように、直接税の中には所得税と法人税と相続税。その中の大宗を所得税と法人税が占めている。法人税の六十三年のパーセントは三四・五%ですね。それから所得税が三四・一%です。したがって、直間比率の比較の場合は、法人税あるいは相続税の幅が非常に大きく動きますから、ここも非常に加味をしていなきゃいけない。したがって、今私に言えといったって、何%がいいのか悪いのか、これは法人税の関係等もありましてなかなか言えるものじゃない。これは、伊藤政審会長やあるいは民社党の政審会長のお考えはお考えだろうと思うんです。
  75. 谷川寛三

    谷川寛三君 これは個人のお考えですか。党はこういう方向でいっておられるんじゃございませんですね。
  76. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) NHKの討論会で議論をした内容だということを承っておりますが、今どれが一体正しいのかということを聞かれた場合には、私ども提案者としては、直接税の中には法人税とそれから所得税相続税が入って率がぐるぐる変わるものですから、したがって何が一体いいのかということに対しては今答えた以外にはないと思う。
  77. 谷川寛三

    谷川寛三君 勝木さん、どうでしょうか。
  78. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私どもの党でもオーソドックスとされておりません。私見だろうというふうに思っております。  いずれにいたしましても、やはり直接税を主として間接税を従とするということで、また応能主義とか応益主義、水平的思考、垂直的思考、公平も入れまして、そこら辺で皆さん方で決めていただく、結果的に出てくるものだろうと。やはり、直接税の中での不公平を是正していく、間接税の不公平を是正していけば、あるべき姿というものが結果として出てくるものであろうというふうに思っておるところでございます。
  79. 谷川寛三

    谷川寛三君 これはあの放送は私は党を代表しておいでになっているというふうに聞いておりました。国民皆さんも皆そうだったろうと思うんですね。我が党の三塚政調会長は我が党の考えを言っておられたのでございますが、そういうことだとこれからいろいろ――いろんな本にそういうのが出ておりますが、これは全部私見なんですね。そういうふうに承知していますが、いずれにしましてもさっき梶原さんは、やっぱり直接税、間接税バランスをとっていかなきゃならぬというふうにおっしゃいました。  さっき申しましたように、政府のこの間の税制改正後では大体七対三だったわけですね、伊藤政審会長の私見とおっしゃいましたが、放送のときのお話と同じぐらい。ところが、今度の皆様代替財源案によりますとおおむね八対二になります。そうしますと、さっき梶原さんがおっしゃった直間の比率がバランスをとるというよりは、重税感、不公平感が多い方へ向かって改正をされるというふうになることはこれは明らかですね。そうでございましょう。――うなずいておられますからそうだと思います。二年間の仮の税制とおっしゃっていますけれども、これはその間国民の経済社会生活を規律する制度であることは間違いございません。それなのにさっき梶原さんがおっしゃった――いや勝木さんもうなずいておられますから大体私と同じ意見だと思いますが、望ましい直間の比率とは方向が別の方向へいっているというのは私はこれは改悪じゃないかと思っております。  また、数字を申しまして恐縮でございますが、さっき伊藤政審会長、七対三と申されましたですね。それから、今度の我々の案も七対三なんですが、平成元年度の税収見込みは、御承知のように五十一兆円でございます。直間比率が七対三で消費税が六兆円でございますが、これを皆様方は廃止するとおっしゃっておりますから、直間比率七対三のままで六兆円を廃止するということになりますと、幾ら間接税を増税したらいいか、これは申し上げるまでもございませんね。消費税で減った分六兆円増税をせぬといかぬ格好になるわけですよ。伊藤政審会長、七対三とおっしゃって、そして消費税は廃止するんだと言っておられましたけれども、その当時は、選挙のときも含めて、廃止するという声だけが大きくなって、六兆円の間接税の増税がやがて出てくるぞということはおっしゃいませんでしたですね。  私は、これは大変重要なこと、重大なことであると思いまして、(「そのとおり」と呼ぶ者あり)そうでしょう。言ってみれば、きょうは別になにしませんけれども、公約違反だったなという気がしてならぬのでございます。これはいかがでしょうか、ちょっと御意見だけ聞いておきます。そうでしょう、理屈は。
  80. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 政審会長の発言をもとにしてのいろいろと御意見でございましたけれども、私は直間比率を数量的にいろいろと意見を持ちますことは一つの見識だと思っております。しかし、直間のバランスというものを数量的にだけ考えて、その数量を実現すればそれで税が非常に公平公正なものだということにはならない。特に、消費税を導入することによって直間のバランスをとるというやり方は国民が同意していない、こういうことを申し上げておるのでありまして、それぞれ直間の問題については、その見識に基づいてどのような方法をとれば公平公正で合意を得られるものになってくるのか、そこがやっぱり税制について私ども考え、工夫すべき問題なのではないだろうか、こう思っております。
  81. 谷川寛三

    谷川寛三君 それはよくわかりました。私が今申しましたのは、伊藤政審会長は七対三とおっしゃっていた、平成元年度が五十一兆円の税収を置いて、それの中で七対三というのを考えると、六兆円の消費税を廃止するなら六兆円の増税をしなきゃならなかった、間接税の。そのことをちっともおっしゃらなくて、消費税をやめるやめるということだけ言っていろいろな人が惑わされてしまった。これは大変な公約違反であるということを御指摘して、私は先へ行きたいと思います。これはそのとおりですよ。ちょっと待ってください、先へ行きますから。  私どもが今、直間比率についてお聞きしました が、これを見直ししなきゃならぬということは、先ほどちょっと申しましたけれども、高齢化社会に入っていく、それに対応しなきゃならぬということから始まっておるわけですね。すなわち、今までのような直接税に偏った税体系でございますと、将来現役のサラリーマンの、これはお年寄りを支えるわけでございますが、サラリーマンの税負担が耐えられなくなるほどに高くなる、これは目に見えております。また、法人税率が、これは私から申し上げるまでもございませんが、景気に左右されやすくて不安定であるといった問題がありまして、高齢化社会に入って福祉の方は減ることはございませんから、一方においてサラリーマンの負担を高くしなきゃならぬ。それから、法人税の方は景気に左右されて福祉の方がふえるのにこれは不安定だ、それではいかぬというところから、直間比率を見直して将来の高齢化社会に対応できる安定的な税体系をつくっていこうということであったわけですね。これは御理解いただけると思いますね。  ところが、野党の方は消費税を廃止するとおっしゃっておりますが、それでは高齢化社会に対応できる税体系というのはどういうものでしょうか。私が申しましたように、福祉はふえる一方でこれは減りはしない。今までの体系ですと、税制ですと、所得税が中心でございますから、サラリーマンの負担はどんどん高くなっていく。それから一方、税制を支えている法人税は景気に左右されやすい、不安定である、どうしたら福祉がかさむ高齢化社会に対応できるか、こういうことでああいう税制改正をしたんですが、皆様方はあの消費税はいかぬということでございますから、どういう体系がいいというふうにお考えになっておりますか。
  82. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 先ほどから非常にたくさんおっしゃいました。これは谷川さん、いろいろとやっぱり我々としては申し上げておかなきゃいけない問題がたくさんあります。高齢化社会の問題につきましても私どもは十分検討し、考えております。  まず、谷川議員が先般の参議院選挙の結果をどう受けとめておるかというのがまず第一の原点になる、私はそう思っています。  それは何でかといいますと、先ほど憲法論の中で間接民主主義ということをおっしゃいました。間接民主主義ではありますけれども選挙におけるいわゆる各政党の公約というのは大変重大であります。したがいまして、そういうふうな意味では、私は現在の衆議院の議席あるいは今回の参議院選挙の結果、これはやっぱり十分反省しなくちゃいけない点がたくさんある、そういうふうに思っております。したがいまして、例えば選挙において一般消費税は導入しないという約束をして選挙をした。谷川議員は、いや、それだけが公約ではなかったはずだと言うかもしれませんが、少なくとも今回の参議院選挙については消費税というのが大きなテーマになったことは事実であります。そういう点からいきますと、我々としては、この消費税を廃止するというふうな論点をまず第一に持ってきて国民皆さん方とのお約束を守るというのがまず第一になるのではないか、こういうふうに思っております。  それからもう一点は、選挙の期間中に、消費税を廃止した、これはそのかわりの間接税を導入するんであるから大増税になるんじゃないか、こういうふうにおっしゃいました。  私どもは、消費税を廃止するわけでございますから、税制改革の中で、いわゆる消費税導入に当たって廃止されたものは一応原則的にはそれを復活する、こういう原則はある程度持っているわけであります。選挙の期間中にそういうことはおっしゃいませんでしたとおっしゃいましたが、私ども選挙の最中に発表いたしました。これは四党も発表いたしておりますが、私どもも、発表いたしております税制改革の基本的な考え方の中に、個別間接税の復元ということは明確にうたい込んであります。したがいまして、選挙の期間中にちゃんと申し上げておったということだけはわかっていただきたいと思います。  それからさらに、高齢化社会の話をおっしゃいました。  高齢化社会の問題につきましては、私どもが申し上げておりますのは、この間から私も何回も申し上げましたが、要するに消費税そのものが本当に高齢化社会のために役に立つのか、こういう議論になるわけです。私どもは、やっぱり高齢化社会というのは確かに着実にやってくるという点については谷川議員と同じ認識かもしれません。中身については多少異論はあります。しかしながら、その高齢化社会のために本当に今度の消費税が役に立つのか。御存じのとおり、あの消費税を導入いたしましたときに、大蔵省の資料によりますと、大体三兆四千億という間接税を廃止いたしておりますね。そういうようなものすべてを我々は復活したわけじゃございません。したがいまして、直間比率が逆行、我々が多少考えております点からいきますと、直接税がふえて間接税が減ったという点も出てきたのも、これは事実であります。  そういう点は認めますが、もう一点私どもがはっきりさせておきたいのは、この消費税を導入したということが将来の、例えば大蔵省が述べております高齢化社会のピークと言われております二○二〇年、二〇二〇年に実際問題としてこの消費税がどういう役目を果たすのか。現在の姿のままの消費税が、例えば少なくとも十年後、二十年後のいわゆる高齢化社会に役に立つとは私ども考えていないわけです。なぜかといいますと、現在の三%のままの消費税、これが実際問題としてどの程度の実質的な税収増をもたらしているか。  それはもう御存じのとおり、竹下総理やいろんな方が述べております。その中身は、実質二兆円弱と言われておりますね。現在自民党さんが見直しをやっておられますが、その見直しの中身というのは、約一兆円近くになるとも言われております。そういうものを全部カットいたしますと、消費税によって導入された税収というのは実質一兆円を切るはずであります。そういう一兆円を切った税収というものが、実際問題としてこの高齢化社会にどれだけ貢献をするかということになりますと、実際貢献した姿を谷川議員がどういうふうな――役に立つとすれば、谷川議員はどういうふうな構想を頭の中で描いておられるか私わかりませんけれども、現在の三%の消費税では少なくとも役に立たないことは事実であります。  したがって、どの程度のいわゆる構想を描いておっしゃっているかわかりませんが、私どもの立場からいきますと、それよりも先生が、谷川議員専門でございますから私申し上げませんが、税というのはやっぱり国民の信頼と合意というのが基本になきゃいけない。そういうような意味では、国民の信頼と合意をかっちり取り戻すための今回の我々の廃止法をしょっぱなに持ってきた私ども考えの基本がそこにあるわけでございまして、この高齢化社会の問題につきましても我々としてはこれから皆さんとよく相談をして、そしてきちっとした税制をつくっていこうと、こう考えているわけであります。
  83. 谷川寛三

    谷川寛三君 各党に聞きたいですけれども、大体同じようなことを言われたのでは時間をとるだけですから。  ちっとも私が御質問申し上げたところに答えてくださってないんですね。私は、とにかく高齢化社会にいったら年金、福祉で随分お金がかかる、しかし今までの税制ですと、これはサラリーマンに大変な負担をかけることになりますよと。一方、法人税では、景気に左右されまして税収が思うように上がらない。これじゃいけない。だから、広く薄く御負担願う消費税でやった方がいいんじゃないか。そして、サラリーマンの不満を解消しますために減税をすると。こういうことであったわけですが、ちっとも今具体的なお答えがない。  そこで、今消費税をだめだとおっしゃったので、どうも消費税、僕は考えてみまして、実施の状況をまずこれからお聞きしたいと思いますが、 やってみてもだんだん定着している状況でございまして、消費税反対反対と言う理由が全くわからぬのですよ。そこでまず、本なんかを見ますと、消費税は逆進的だ、弱い者いじめだと書いてありましたが、私は税負担が逆進的であるとか累進的であるとかいうことは、先ほどお聞きしましたが、水平的公平と垂直的公平の議論にもありましたように、これはそれだけ取り出して議論しちゃいけないんで、やっぱり税体系の中で話をしてもらわぬといかぬと思うんですね。  そこで、これは大蔵大臣に理屈をお聞きしたい。私そう思っているんですが、我が国の税体系全体で見ますと、個人の税負担は逆進的でしょうか、それとも累進的でしょうか、諸外国に比べてどうでしょうかということをこの際伺って、消費税の問題をちょっとあれしてみたいと思うんですが。
  84. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 細かい点にわたりますので事務方からの説明をいたさせますけれども、相当程度の累進的な内容を持っておると思います。
  85. 石坂匡身

    政府委員石坂匡身君) 概括的に大臣からお答え申し上げましたけれども、若干詳細にお答えをさせていただきたいと思います。  消費税は、消費、すなわち生活の規模に応じまして比例的な負担を必ずしていただける、そういう公平な面がございます。一方、先ほど先生も御指摘なさいましたように、所得水準が高くなるほど所得に対する消費の割合というものは低下いたしますから、所得に対しまして見ると、税負担が逆進的という面があることも事実でございます。ただ、先ほどの答弁でも申し上げましたように、所得に対します税負担逆進性の問題、これは先生指摘のように脱体系全体で見る必要がある、これはそのとおりであろうと思います。  この点、まず消費税について考えてみますと、その税率が三%ということで極めて低い水準でございます。また、物品税等の廃止も一方で行われておりますので、家計の消費に対する負担増はかなり低くなっております。一方、所得税、住民税、これは税制改革法におきましても税体系の中の中心でございますが、課税最低限の大幅な引き上げということを行っておりますので、中低所得者層の税負担、これには随分と配慮をしておりますほか、一方におきまして税率構造はなお強い累進度を有しておるわけでございまして、税体系全体で見ますと、個人の税負担は相当程度累進性を有しているものと考えておるところでございます。  また、外国の例と比較をしてみましても、所得税につきましては、我が国の課税最低限はかなり高く、最低税率が低いということによりまして、欧米の主要諸国に比べますと、中低所得者層の税負担は軽くなっておりまして、逆に我が国は最高税率が高うございますから、高所得者層の税負担は重くなっております。また、消費課税につきましては、我が国の消費税税率というものは欧米諸国の付加価値税の税率に比べましては極めて低いものとなっているところでもございます。  そういうふうなことからかんがみますと、我が国の税体系のもとでは、税負担は欧米諸国に比較いたしましても累進的になっているというふうに考えておる次第でございます。
  86. 谷川寛三

    谷川寛三君 税の負担、理屈の点はよくわかりました。  そこで、僕は、実施後半歳余がたちましたが、物価の状況等どうなっておるか。物価騰貴になった、これからも消費税の実施によってそのおそれがあるのか。それから不況が来たか、おそれがあるのか。それから、中小企業者は消費税を他に転嫁できなくて、これが第二の法人税、第二の事業税みたいなものになったかというようなことにつきまして、企画庁長官から実施状況をちょっと御報告願いたい。
  87. 高原須美子

    ○国務大臣(高原須美子君) まず、物価への影響についてお答えいたします。  消費税は最終的には消費者に負担を求めることを予定している税であり、確かに導入時には若干の物価上昇を生じました。しかし、この物価上昇は、いわゆるインフレ的な物価上昇とは違いまして、一回限りのものです。経済企画庁といたしましては、消費税の導入に際しましては、物価モニターや地方公共団体を通じまして価格動向の調査、監視態勢を強化いたしました。また、物価ダイヤル等、相談窓口の拡充等も行ってまいりました。このような施策の効果もありまして、便乗値上げ的な動きは特定の業種に限定され、かつ一部の事業者に限られています。さらに、その品目の物価上昇率も落ちついてきておりまして、物価水準全体には大きな影響を与えているとは考えられません。  消費税の消費者物価への影響は、全体として見ますと、四月に大部分あらわれた後、五月に多少あらわれ、六月にはほぼ出尽くしたと見られます。経済企画庁としましては、消費税による消費者物価の上昇率は、平成元年度には一・二%と試算しておりましたが、ほぼその範囲内にとどまったものと見ております。  その後も、消費者物価の動向は、天候要因による生鮮食品の上昇分を除いてみますと、安定的な基調が基本的には続いております。したがって、消費税の導入によってインフレ的な物価上昇が生じたとは考えておりません。  さらに、消費についての影響もお答えした方が……
  88. 谷川寛三

    谷川寛三君 ええ。
  89. 高原須美子

    ○国務大臣(高原須美子君) それでは、この消費税の導入によって個人消費が落ち込むのではないかというような説がございましたけれども、その心配も少なかったと言えます。平成元年度に導入されました消費税は、物価の上昇を通じまして消費を抑える方向に作用するということは否定できません。しかし、一方では物品税の廃止による価格の下落がありまして、これは消費をふやす効果がありますし、また昭和六十二年度以降の直接税の減税効果も消費をふやす効果がございますので、今回の税制改革全体として考えますと、平成元年度の個人消費を押し上げる効果があるというふうに判断しております。  国民所得統計速報を見ますと、実質民間最終消費支出は、消費税導入前に駆け込み需要がありまして、季節調整済み前期比で見ますと、一―三月期には比較的大きな伸びを示しました後、その反動から四―六月期にはマイナスとなりました。総務庁の家計調査で見ましても、全世帯の実質消費は一―三月期、四―六月期と同じような動きを示しましたけれど、七―九月期には季節調整済み前期比で増加に転じ、上向いてきております。  なお、全国百貨店販売高は、最近毎月、前年比で一〇%前後の高い伸びを示しておりますし、乗用車につきましても新車の販売台数は四月以降大幅な増加が続いておりまして、最近は前年比二、三割の増加となっております。  以上のような動きを見ますと、消費税の導入前後で駆け込み需要とその反動減といった一時的に不規則な動きが見られましたものの、可処分所得の着実な増加、物価の安定を背景に、個人消費は堅調に推移していると思います。
  90. 石坂匡身

    政府委員石坂匡身君) 転嫁の状況につきまして御答弁申し上げます。  消費税の導入前におきましては、事業者間の転嫁につきまして大変心配がございました点は御指摘のとおりでございます。しかし、この四月一日の実施から約八カ月を経過いたしました現在までの状況を見ますと、国民皆様の御協力と関係省庁の御努力によりまして、下請取引を初めといたしまして、転嫁は全体として円滑かつ適正に進んでおる状況にございます。  具体的に申し上げますと、通産省が行っております転嫁状況に関します調査によりますと、おおむね転嫁している事業者の割合、これは七月末の時点で八二・五%ということになっております。また、これを業種別に見てまいりますと、七月末時点の調査によりますと、おおむね転嫁している事業者の割合、これは製造業者では一〇〇%、卸売業者では九八・七%、小売業者では七七・一 %、サービス業者では六〇・九%となっておるところでございます。また、下請取引につきましても、通産省、公正取引委員会が協力をされまして調査を行っておられますが、本年の五月から六月末に行われました特別調査等の結果では、ほとんどの取引が消費税三%の上乗せということになっております。ただ、ごく一部ではございますけれども消費税の適正な転嫁が行われていないなど、下請代金の問題が若干疑いもございますので、これらにつきましては関係当局で個別に事情聴取を行いまして所要の指導を行う、また今後とも十分に監視を続けてまいる方針ということでございます。
  91. 谷川寛三

    谷川寛三君 そこで笹野さん、きょうは女性の方に聞きたいんで、男性は御遠慮願いたいんですが、今お聞きになったところで、消費税を実施いたしましてインフレになったか、ないしはインフレのおそれがあるか。消費インフレが来たか、ないしはそのおそれありや。転嫁ができなくて消費税が第二の法人税、第二の事業税になったか。イエスかノーでお答えください。
  92. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) お答えさせていただきます。  インフレにはなっておらないというふうに思っております。
  93. 谷川寛三

    谷川寛三君 ほかは。ほかはどうですか。ほかもなっていないんですね、消費インフレ、不況。
  94. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 済みませんね、新米なものですから。なかなかなれなくて申しわけありません。  数字を見ますと、やっぱりちょっとずつ上がっていっていますし、転嫁も小売業ではし切れておりませんから、まあ上がっていっているというふうに私は見たいと思います。
  95. 谷川寛三

    谷川寛三君 あれは。消費不況になりましたか、さっきの長官のお話があった。
  96. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 他の要因も入っているというふうに考えております。
  97. 谷川寛三

    谷川寛三君 長官、いかがですかね、ああいうお答えがありましたが。まあきょうは、今女の方に聞きたいので、長官も女性ですから。
  98. 高原須美子

    ○国務大臣(高原須美子君) 確かに反動がございまして、四―六月期に消費は落ちましたけれど、数字を見ておりますと、その後順調に上向いてきております。
  99. 谷川寛三

    谷川寛三君 物価が、何とか言っていますがね。
  100. 高原須美子

    ○国務大臣(高原須美子君) 物価は、先ほど申し上げましたように消費税というのは消費者に転嫁し負担を求めるものでございますので、その時期には必ず一回物価は上昇いたします。しかし、それは企画庁の推計した範囲内にとどまっておりまして、その後も、円安など懸念するような物価の先行きの問題は出てきておりますけれども、基本的に非常に安定基調が続いております。
  101. 谷川寛三

    谷川寛三君 今お聞きのとおりでございまして、私遺憾に思っていますけれども、これは選挙前に出た本でございますが、「続・究極の大増税」、これを読みますと、消費税の実施によって三段跳びに物価が上がる、インフレが来る、それから消費不況になる、それから第二の法人税、事業税になると書いてありましてね。これに特に主婦の方方が惑わされてしまったと思うんですよ。大変遺憾であるということだけ申し上げておきます。  それから、ちょっとお伺いしますが、消費税、さっきだめだとおっしゃいましたから申し上げるんですが、今のようなことでございますが、国際的にどういう評価を受けておるか御案内でございましょうかどうか。御存じなきゃ僕が言いましょうか。――だれか。時間をとりますから。
  102. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) 消費税に対する評価は、海外では余り芳しくないように承っております。それはやはり消費税をお払いになる方は消費者ですから、日本消費税の仕組みが、これは消費者に対して目が向いていないということが一番の欠陥じゃないかと思うんです。  私たちもいろいろと先生からお話がありましたので調べさせていただきましたけれども、確かに西欧諸国を初めとしまして、付加価値税を導入しあるいは計画中の国は約五十カ国あります、これは御案内のとおりでございますが。その各国が導入しました経緯というのは確かにさまざまあります。欧州各国は、これはフランスが始めたものです、その当時取引高税の欠陥を補う必要があってこれを始めたんですね、あるいは福祉の高負担の問題がありました、先生指摘のとおり。あるいはその他の国々、やはりアフリカ等の国は、西欧諸国との経済要因もあって付加価値税を導入した国もありました。あるいはIMFの要請があって経済再建をしなきゃならないので導入した国もありました。  それで、今世界で共通している税制改革の方向性、これは先生承知だと思いますけれども、これはアメリカのレーガン政権がやりましたね、八六年に改革しました。ですから、そういう方向性があるんですね。その方向性というのは、各種の優遇措置をなくしながら課税ベースを拡大していく。そして所得税、法人税の税率を下げてフラット化をしていく、そして付加価値税を導入しない、これはやはり一つの大きなこれからの二十一世紀に向けての方向性になってくるんじゃないか、私はこういうふうに思っております。  そういう点を考えますと、やはり消費税の導入というのは、いろんな不公平税制を温存したままでこれが行われている。課税ベースをむしろ狭くしているんじゃないか、こういう心配もありますし、不公正は是正されておりませんし、先ほど申し上げました方向性からちょっと外れているんじゃないかなという感想がございます。
  103. 谷川寛三

    谷川寛三君 皆さんにお伺いしたいんですが時間をとりますので……。どうもこれは皆様方、国際的なあれがちょっと欠けておるんじゃないか、こう思います。  若干御紹介申し上げます。IMFがことしの四月に経済見通しを出しておりますが、その中でこう評価しているんですよ。日本における昨年の最も重要な成果は、直接税に偏り過ぎた税制を改善することを目指した消費税導入を含む広範な税制改革が成立したことである、この税制改革は、税制の効率と公平性を向上させることで日本経済に大きな利益をもたらすであろうと言っています。それから、同じくIMFの九月の経済見通しでは、日本における本年四、五月の消費者物価の一回限りの上昇は主として新しい消費税導入を反映したものと思われるが、さっき長官のおっしゃったとおり、六月以降物価が安定している、税制の大改革により税制の中立性、公正さが本質的に改善されることが期待されると評価しています。それから、構造政策の実行については、税及び金融の改革の分野で顕著な前進があったとも言っております。また、六月にOECDの経済見通しが出ましたが、これも、税制改革税制の効率を高めるとともに水平的公平に貢献していると、僕らが考えたことをはっきり言ってくださっております。  それから、これは先般海部総理がアメリカ、カナダを訪問された際のお話でございますが、まずハーバード大学の先生方が、教授たちがこう言って総理を励ましておられたそうでございます。海部総理、消費税は何があっても守りなさい、廃止してはいけません、こうおっしゃったそうです。また、カナダのマルルーニー首相は、空港までお出迎えくださった車中で、海部さん、あなたは消費税で困っているようですが、後退してはいけませんよ、絶対守りなさいと、こうおっしゃったそうでございます。  それから、ついでに申しますと、久保さんはこの間ミスター・モーリス・ローレが消費税をけなしたと言っておりましたけれども、確かに批判はしましたがね、冒頭、日本消費税を採用したことはまことに適切であったと高く評価してくださいましたことをこの際付言しておきます。お読みください。  それから、今各国のことをお聞きしようと思ったんですが、お話がありましたから申しませんが、社会主義国でもこの税制を採用しております が、御存じですね、どこか。どこでしょう。――時間がかかりますから申し上げましょう。ハンガリーです。今動乱、ハンガリー。あんなところ――あんなところと言ってはいけませんが、社会主義国でも採用しておるんですよ。OECDの国は全部そうです。日本が一番後だ。  それから、こういう税金を採用していない国で日本と同じ程度の経済発展の国はありますかね、どうでしょう。これもお答えしましょうか。――ありません。みんな経済は後進でございます。  それから、採用した国でその後やめた国がありますか。
  104. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 谷川先生おっしゃったとおり、諸外国の我が国の消費税導入に対する評価でありますけれども、いずれにいたしましても、我が国の国民としては参議院選挙の結果でそういう審判がおりておるわけでありますので、そういうふうに思っております。  諸外国の税制改革、特に英国とか米国、ニュージーランド、韓国等のことでございますが、概括的に見れば、英国はサッチャー改革により所得税のフラット化を行いましたし、米国はレーガン政権によって課税ベースの拡大とフラット化を行い、付加価値税の導入を見送ったというふうに承知いたしております。また、ニュージーランド、韓国においても付加価値税が導入されたことは知っております。  いずれにいたしましても、税制というものはその国々の歴史とか経済とか社会の現状等からそれぞれの国で構築されてきたものでありまして、その評価はそれぞれの国民が行うものであるというふうに私は考えます。しかし、そういった意味で、各国とも税制改革の手順と国民の合意づくりに十分時間をかけてきたことは明白じゃないかというふうに思うわけでございます。税制改革をどのように実現し得るかがまさしくその国の政治のあり方あるいは民主主義の内実をあらわに示すと言われますように、税制改革は極めて民主的に行われなければならない問題だと確信をいたしております。税制というのは我が国国民の問題でありまして、税制改革は民主的に行うことが税制改革の前提条件であるというふうに思います。
  105. 谷川寛三

    谷川寛三君 聞いたことに答えてないんですが、確かに手順につきましては私ども反省しているところがありますよ。しかし、世界各国が採用されて、採用していないところは皆後進国である。それから、採用した後で廃止した国はないということは、やっぱりこれは世界の大勢としてだんだんこういったふうな高齢化社会に入っていくについては、所得税を高くしておってはサラリーマンの不満も高くなるしなかなかやっていけない、やっぱり広く薄く負担していただく税金がいいということが世界の共通した意見、常識になっておるんじゃないでしょうか。  ニュージーランドの、今お話しになりましたから申しますが、一九八五年の税制改正でこの制度が入ったんですが、これ社会党政権だったんですね、この政権は。当時のダグラス大蔵大臣がこういうことを言っているんですよ。税制が社会の変化に対応し切れなくなってきている。不公平ないしは不公平感が存在する。日本と同じ、平均的な中所得給与者の税負担が重過ぎる。高い限界税率が技術革新、効率性、勤労意欲、貯蓄意欲を抑圧し、脱税を誘発し、ひいては経済成長を阻害するに至っていると。日本と同じことを言っているんです。また、重過ぎる個人課税を軽課するためには新たな財源が必要である。そして、国民の勤労、貯蓄、投資に対する意欲を阻害するものであってはならない。それは負担すべき税を払っていない者にも相応の負担を求めるものでなければならない。広く薄く課税しようということを社会党政権の大蔵大臣さんがはっきり言ってくださっております。これはもう世界の常識なんですね。  実は私、この九月にIPUの会議、ロンドンでございましたが、へ行きました。昼休みなんかに各国の皆さんが寄ってきまして、谷川さん、随分自民党は消費税にいじめられたそうですね、随分高い税率だったでしょうと言うから、いや三%ですと申しますと、たったの三%、イギリスの代議士はいやうちは一五%、フランスの人は一八・何%ですか、フィンランド、スウェーデンとかデンマークも二〇%を超していますよ、へえ、とか言って冷やかされました。まあそういうことでございまして、これは消費税をいかぬと言われましたから私はくどくど申し上げましたが、やっぱりこの税金をやらなきゃなかなか高齢化社会になってやっていけないということでやったことを私はこの際強調しておきたいと思います。  いろいろ御意見を聞きたいわけですけれども、どうも同じようなことなんでやめます。  それから、ここでまた時間がなくなるといけませんから言いたいことだけ言っておきますがね、ちょっとそれは失言ですかな、皆さん方はこの法律では消費税は廃止するとけちをつけておられますが、所得税減税評価するとおっしゃった方がありますね。そして、それはそのまま残して実施するということにされておりますが、これはどうもつまみ食い、けしからぬなと僕は思っておるんです。どういう考えかなと思って新聞なんかを見てみますと、九月四日付の公明新聞では、立教大学の和田八束先生がインタビューに答えられまして、こう答えている。「消費税は大勢として世論の支持が得られなかったのですから、廃止して、税制改革の出直しをするのが当然です。」と、こうおっしゃっております。  これは各党どうでしょうかね。つまみ食いはいかぬ、消費税もいかぬというのは、これは一体として考えていただかなきゃならぬ税制改正でございますからね、さっきも申しました。だから、一つだけつぶして一つは取り入れるというのはおかしいと、こう公明新聞には書いておられます。どうですか。
  106. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 非常にたくさんおっしゃいました。  まず、サラリーマンの減税の問題、所得税減税の問題であります。  これは私はここで何回も答弁をさせていただきましたが、先生御存じのとおり、三十年代、四十年代というのはほとんど毎年所得減税ございましたですね。ところが、五十年代に入りましてからは、御存じのとおり、たしか五十二年と五十九年だったと思います。したがいまして、累進課税になっておりますから、御存じのとおり、増税感というのはだんだんだんだんふえるわけです。もともとは直間比率が六、四とか、それに近かったものが、だんだんだんだん直接税がふえてまいりましたのは、やっぱり物価上昇にかかわる物価減税等をやらなかったから結局直接税がだんだんふえてきた。だから、ただ単に先生おっしゃるように、今度の所得減税法案を廃止しないで、要するにそこだけつまみ食いするのはおかしいとおっしゃるのは、それはある面の間違った考えだと私は思います。  といいますのは、この所得減税というのは消費税の導入とは別にやるべきだと私どもは前々から何回も申し上げてまいりましたし、そうでないと私はいかぬと思うんです。  先ほどからの先生の、大臣の海部総理におっしゃったお話等、それからローレさんのお話、これみんな関連があるわけです。どういうふうに関連があるかということはもう既に御存じのとおりでありますが、なぜ消費税を廃止してはいかぬのか、たった三%の消費税を廃止するということについてそんなにこだわる先生のお気持ちが私はわからぬわけでありますが、先生は先ほど手続とおっしゃいましたね、手続。手続という問題はこれは大変大事な問題です。  私どもは、要するに先生がおっしゃる後半の高齢化社会がやってくるとか、そういうことについては決して否定はしていないわけです。そういう時代がやってくるであろう、税も必要だろう、そういうことはそれなりに認めているわけです。しかしながら、大事なことは、その手続を間違えたから少なくとも国民皆さん方が怒っていらっしゃるわけです。そこのところをきちっとしないからいけないわけです。しかも、海部総理に外国の 総理が、たった三%か、廃止しちゃいかぬというふうにおっしゃっているのは、私は将来の高齢化社会のためにどれだけこの消費税が役に立つのか、しかも、諸外国と日本のこの消費税の制度というのは抜本的に違います。あなたは同じだとさっきから一生懸命おっしゃっておりますが、諸外国のいわゆる付加価値税の体系の中で、いわゆる帳簿方式を採用している国というのはほとんどありません。ほとんどの国がインボイスのはずです。  そういうような点を考えてみますと、それは、そういうことを私が言うと、日本日本独自の税体系があってもいいのではないかとこうおっしゃるかもしれませんが、確かにそういう日本独自の税体系というのはやっぱりみんなと一緒に相談しないといけない。そうでしょう。だから、そういうふうな意味で、この三%の税というのは三%の姿を予定しているわけじゃない。先ほどローレさんの話をおっしゃいました。あなたは一番最初の話をおっしゃいましたが、私は一番最後の話を言いますと、ローレさんの一番最後には何が一番心配かと、付加価値税の一番欠点は何か、これをおっしゃっていますね。それは要するに税率を簡単に上げられることだ、こうおっしゃってますね。  そういう点からいきましても、例えば、先ほどからお話がありましたイギリスにいたしましても、フランスにいたしましても、西ドイツにいたしましても、最近の税率のアップはすべて所得減税と抱き合わせでやった部分が多いですね。最近の税率のアップ、ヨーロッパの。これは文献の中にも明らかであります。そうすると、その点を我我は心配しておるわけです。三%だからいい悪いというよりも、あなたが今予想してフランスの、国々のことをおっしゃっているのはすべて一五%とか一八・何%を想定しておっしゃるとするならば大変なことでございまして、だから、そこの点を心配するから私どもはこの点をはっきりと申し上げているわけでございます。  いずれにいたしましても、だから、消費税につきましては白紙にして出直しした方が、これからのいろんな参議院の現在の状況、衆議院のいろんな状況から見ても、私はこの際消費税を廃止して一からやり直した方が一番早道だと、こう考えているわけであります。
  107. 谷川寛三

    谷川寛三君 今のお話を聞いていますと、どうも峯山先生は広く導くの間接税は賛成のような気がするんですね。いろいろ今おっしゃったことは仕組みでございまして、仕組みはこれは帳簿方式とかなんとかおっしゃいました仕組みでございまして、どうもこれは御賛成かな、仕組みの問題ならこれはまた検討をこれからせないかぬと今感じた次第でございます。  私が聞いているのはちょっと違うので、聞いているのはつまみ食いはいかぬじゃないかということですが、どうもお話を聞きますと物価調整減税をやっていないということのようですが、物価調整減税なら僕は控除とかそういうものをいじればいいんじゃないか、それで十分じゃないかと思うのでありますが、今回のは税率をほこんといじっていますからね。この物価調整減税を行っていないと言うんですが、今までずっと我々が行ったあれでそこは随分カバーしているということを政府から言ってくれませんか。僕が申し上げてもいいんですが。審議官で結構です。
  108. 石坂匡身

    政府委員石坂匡身君) ただいま所得税減税についてのお尋ねがございました。これは、これまでの間、非常に財政再建の中で財源事情は苦しかったわけでございますけれども、そのときそのときできる限りの所得減税ということに努力してきてまいっているということでございます。
  109. 谷川寛三

    谷川寛三君 物価調整減税はやっているという答弁です。詳しく申し上げればなにですけれども、これは峯山先生お話、どうも物価調整減税をやっていないからつまみ食いだけはいいということのようですが、今でもやっていて、むしろ物価調整よりもオーバーにやってきていると。さっき申しましたように、物価調整減税だったら控除を上げるだけでいいんですけれども税率をぼこんといじりまして抜本的にやっておりますから、物価調整以上に今度はやったんだということだけ申し上げて、先へ進みたいと思います。  また、去年の夏に四野党書記長の合宿というのがございましたが、そこへ大阪大学の八田先生が参りまして、消費税を廃止するなら所得減税ももとにすべしと。これは、僕らは中身は意見が違いますが、この点だけはやっぱりこの方は堂々としているなと。何もかも御破算にして、消費税が御破算になるなら向こうも御破算だと。一昨日の日経でも八田先生は同じようなことを言っておられます、やっぱり全部チャラにして議論せいということをですね。僕はそれが理屈だと思いますよ。それだけ申し上げておきます。  とにかく、この間の税制改正消費税だけをやったんじゃないんですから。もう税制全般につきまして、これは大蔵大臣からお話がたしか前回ありましたから申し上げませんですが、シャウプ以来の本当に抜本的な歴史的な大改正をやったんです。だから、その全体をごらんになっていただいて批判をしていただかなきゃならぬので、片一方はつぶして、いいとこだけつまみ食いというのは、これはやっぱり責任ある政党としておやりになることではなかろう、こう思う次第でございます。これはもう申しません。時間がありません。まだたくさんあるんですよ。先へ参ります。  間接税につきまして詳しくお伺いしたいと思います。  国民皆さんの価値観なり消費の仕方が極めて多様化した、さまざまになった今日では、何がぜいたく品かということがなかなか難しくなりました。人によってさまざまでありますし、このように無数にある商品、サービスのうちから個別にぜいたく品を選び出して課税する今までの個別間接税制度はもう時代に合わなくなってきた。皆さんとは考えが違いますが、僕はそう思うんですよ。ぜいたく品といいますと、後で聞きます、ぜいたく品とは何でしょうかと。わからぬのです、僕も。昔は、昭和三十年代ですか、テレビ、洗濯機、冷蔵庫ですか、これが三種の神器。それから四十年代ですと、カラーテレビ、カー、クーラー、いわゆる三C。だれでも簡単にこれはぜいたく品だと言えたんですけれども、それが今はもうテレビにしても洗濯機にしても冷蔵庫にしても、ほぼ全世帯に行き渡っておりますね。御案内のとおりでございます。  そうなりますと、これはもうぜいたく品どころか必需品になってしまったでしょう。それから乗用車、これは約七割の世帯に普及しております。特に、私のところを言っちゃ恐縮でございますが、高知県、交通網が整備されておりませんので、足になっています。げたになっています。一戸に二、三台、車がありますね。こうなりますと、これは民社の方々は特に御関心が深かろうと思うのでありますが、これはぜいたく品だと言って課税することはちょっと御無理がございませんか、この間うちの皆さんの御議論を聞いていても。これがなかったら生活ができないんですよ、自動車が。というふうに、世の中が豊かになってきますと、乏しい時代はいいんですけれども、ぜいたくというあれがなかなか難しくなってきたんです。  それから宝石類、皆さん方は高い税率をかけることになっていますが、今も音もぜいたく品だと言うんですけれども、これも最近の若い人は結婚指輪に二十万円ぐらいのダイヤモンドを贈るのが普通と聞いております。安月給をためてそうしてあれする、これをぜいたくと言えるか。それから一方、お金持ちの庭園に何十万も、五十万もそれ以上もする庭石が置いてある。これは税金がかかっていないというのはおかしいじゃないかと、こう言うんです。(発言する者あり)だからやめたの。おかしいからやめたのよ。おかしいでしょう。それから消費全体に占めますサービスの割合、これも経済のサービス化が進んで消費の半分以上がサービスだと言われておりますね。これには課税されていない。  それで、この間も田舎で話をしていますと言う んですよ、僕の田舎でもこういうのがあるんですから。口紅、笹野先生がおつけになるのは高いのかもしれませんが、三千円の口紅も五%の物品税がかかっている。ところが、全身美容、僕の田舎高知でもあるんです、何十万もするエステティックサロンというんですか。東京でカタログをもらって見ていましたら六十万もするんですね、これ。久保先生、御存じですか、これ、エステティック。これには課税されてない。おかしいじゃありませんかと御婦人から文句が出ました。そうなっているんです、サービスには課税されていませんから。  それからスコッチウイスキー、これは物品税じゃありませんけれども、イギリスでは別に高級品でも何でもありません。我が国だけの基準でスコッチウイスキーは金持ちのもの、しょうちゅうは庶民ということで税率を決めたりしていたら、国際的には通用しなくなる。エゴだ、国際的に差別をしていると言って、今構造改善のいろんな議論が日米間で行われておりますが、世界から批判を受けることになりますね。  こういうふうに個別の商品、サービスを選んで課税するやり方は、もう世界各国で時代おくれになってしまった。こういう問題を解決いたしますために、先般私ども物品に個別に課しますところの物品税をやめまして、広く薄くという消費税をとったわけでございます。皆様方、二年後にまた何か考えるということを言っておられますが、とりあえずその間は消費税を廃止して、私どもが今申しましたようなことでおかしいからというのでやめた物品税を復活しようとしておるわけですね。  そこでお伺いしたいのは、皆様方は二年後に税制改革を行う、それまでの二年間は暫定税制だと。これまた個人的な意見だと言われたらどうしようもないのでありますけれども、これは日も申しましょう、九月二十九日、NHKのあのテレビで、社会党の伊藤政審会長はおっしゃったのであります。当委員会でも去る十四日、伊江先生の質問に対してでございますか、佐藤発議者がそのように答えておりますが、間違いありませんね。
  110. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 大変長くおっしゃったわけですがと言いたいんですけれども、それは言いません。  率直に言って、今谷川さんがおっしゃるようにぜいたく品というか、その年々の嗜好も変わってきておることについては私は否定しません。しかし、物品税課税物品の消費に示される担税力に照応した課税を行うものでありますから、消費資金の大きい物品負担が偏ることはこれはなかなか避けがたい点だと思います。しかし、それゆえに消費すべてに課税される消費税よりも逆進性を緩和する、こういう点がございます。その点が、私は国民皆さんから消費税よりも物品税がよろしいという世論になっておるんじゃないかというふうに思うのでありまして、各種の世論調査の結果を見ましても旧間接税を望む声が物品税を含めて多いということの一つの証左じゃないかと、かように考えます。
  111. 谷川寛三

    谷川寛三君 いや、私聞いたのは、伊藤政審会長も二年間の暫定税制だとテレビで公約をされた。これはさっき私、だから冒頭に確認をしたんです。佐藤先生も、物品税の復活は二年間の暫定措置ということで国民皆さんにお願いしているとおっしゃいましたねと言ったら、言ったと。勝木さんもそのようなことを言われました。言ったでしょう、これ、二年間の暫定だと。
  112. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 確かにそういうふうに申し上げました。また、そういう前提で努力してまいりたい、かように思っているところです。
  113. 谷川寛三

    谷川寛三君 ほかの皆さんはいかがでしょうか。
  114. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 先ほどから、いろいろお答えしたいこともたくさんございましたんですが、一方的な御意見の開陳で終わっております。きょうはやむを得ないと思っておりますが。今の問題でございますが、物品税は確かにいろいろな問題をはらんでおることは、私どももそのとおり申し上げておるのでございます。これは今までなぜ物品税がこういう状況で続けられておったんだろうかという疑問を大きく持っております。そして、この物品税の中に是正できない不合理でこれが消費税に取ってかわらなければならないものであるかどうかということについては、私どもは見解を全く異にしているわけでありまして、今後二年間の税制改革の対象として物品税は十分検討せらるべきものと考えておりまして、その際間接税がどういう形で結論づけられるかはその協議にまちたいと思っております。
  115. 谷川寛三

    谷川寛三君 といいますことは、二年間の暫定税制とは言えぬということですね。そうですね。  それから、峯山先生が十四日の当委員会質疑応答の中で同じことをおっしゃっています。代替財源恒久財源というふうなお答えでございました。今まで私どもは、さっきのテレビの話もありますし、二年間の暫定税制だと、だからバラックでも少々問題があっても我慢してくれというふうにとっておったんですよ。国民皆さんもそうとっているんです。というのは、党の政審会長がおっしゃったんですからね。  ところが、今のお話のように、物品税がいろいろ問題があるが先へ続くかもしれぬというお話、それから峯山先生、はっきり代替財源恒久財源だとおっしゃったのでありまして、そうすると今のお話をあれしますとうそを言ったのかということになるが、そうですか。
  116. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) その前後を読んでいただけばわかると思いますが、いわゆる物品税につきましては法体系としては恒久法の体系をとっておるということを申し上げましたのでございまして、先ほど久保さんがお答えになったとおりであります。
  117. 谷川寛三

    谷川寛三君 二年間ですか。
  118. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 再改革基本法の中で私どもは、これからこの法案が衆参で成立いたしますと、直ちに税制改革協議会をつくっていただきまして、そこでこれからのあるべき姿を検討していただくわけでございます。その検討の中におきましては、要するに場合によっては一年でできるものもあると思いますし、場合によっては二年を多少超過する場合もあるかもわかりません。しかしながら、我々の意図としては、大体二年間以内に結論を出していただきたいという意図をあの改革基本法の中でうたい込んでおりますので、したがいまして、その改革基本法が成立をしそして二年間の協議が成立いたしましたならば、そこでその代替財源案として盛り込まれました法案につきましてもしかるべき処置がとられるであろう、こういうふうに考えているわけであります。
  119. 谷川寛三

    谷川寛三君 じゃ、はっきり言ってくれませんか。二年間ですね。法案を拝見しますと、二年を目途としてとはなっていないんですね。「二年以内を目途として、」と。大分ニュアンスが違うんですよ、二年を目途としてというのと二年以内は。そこをはっきりしてください。二年であれするんですね。
  120. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 私どもの意図といたしまして、二年以内をめどといたしております。
  121. 谷川寛三

    谷川寛三君 めど――めどと言うんですがね、二年以内にやるんですね。
  122. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 谷川さんにも御協力いただきまして、ぜひ達成したいと考えております。
  123. 谷川寛三

    谷川寛三君 今の御答弁ですと、二年でやるということのようですね、二年。それなら、僕はこれは不思議に思うんですよ、なぜ時限立法にしないんですか。
  124. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) これは、いろいろとありますが、いずれにいたしましても基本法の中できちっとうたい込んでおりますし、私どものめどがはっきりしておりますから、その中できちっとしていただきたいということでございまして、法体系の中では恒久法の体系をとらせていた だいたということであります。
  125. 谷川寛三

    谷川寛三君 これは理屈が合いませんね。二年以内にやると言うんですから、これは僕は絶対時限立法でやってもらいたいと思います。はっきりお答えをいただかぬとこれは先へ進めませんね。統一見解を出していただかぬと。
  126. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) この問題につきましては、先般の伊江委員の質問等の中にも出てまいりまして、暫定財源といたしまして大体二年をめどにやるということで私どもは出しております。しかし、基本法の中でもきちっといたしておりますし、法の体系そのものは永久法の体系をとっているということでございまして、この法案が成立した暁には当然私はその趣旨に沿ってそれぞれの法が改定をされる、そういうふうに考えております。
  127. 谷川寛三

    谷川寛三君 納得できませんですね。随分いろいろなあれが違ってまいりますよ。代替財源に自然増収を入れておりますが、まあことし、平成元年度で幾ら自然増収が出るかというようなことは大体似たり寄ったりの見当だと思うんですがね。二年も三年もになりますと、これは自然増収を代替財源にするといったってとてもそんなことはできぬし、とにかくこのままでいきますとこれは恒久財源法律的には恒久法になっておりますからね、今お話しのあったとおり。とにかくこれはだまされたということになりますわな。  一般の人は、おかしげな物品税だけれども二年だから我慢してくれ、二年以内には直しますよというのを信じておったら、法律はいつまででも続くようになっていますから、三年も四年も続くかもしれぬ。そうすると、財源も今言ったように自然増収なんか当てにできないから、赤字公債を発行するようになるかもしれぬ。最初この社会党の文書では、初めのころは赤字公債も辞せぬと書いてあったんですからね。よろいの下に衣とかいうんですか、いつ出てくるかわからぬ。大変これは重大なことであると私は思いますがね。  統一的な見解を出してもらいたいんですよ、どうして時限立法にしないのか。
  128. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 時限立法にするかあるいは恒久法の体系にするかというのは、これは私ども立法者の意思でございまして、恒久法の体制で十分やっていけると、こう考えております。
  129. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議することといたします。  午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時三分開会
  130. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、消費税法を廃止する法律案消費譲与税法を廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  131. 谷川寛三

    谷川寛三君 午前中私は、社会党の伊藤政春会長がテレビで二年限りとおっしゃったこと、それからこの委員会佐藤発議者が同様のことをおっしゃったこと、だから私はこれは二年間のことだなと思っておりました。ところが、峯山さんが先へ行くかもしれないというお話で、かつ法律は恒久法になっている。これは大変なことだ、国民皆さんも二年限りのバラックだと思っていたのが、これは物品税なんかが先へ行くかもしれない、だまされた、大変な公約違反だ、こういうことを私は申し上げまして、今でも変わりません。だから、早く統一見解を出していただくように強く要求をしまして先へ行くことにいたします。  しかし、この際申しておかなければならぬことは、六十二年四月二十三日、売上税の関係のときに衆議院の議長裁定というのがございましたですね。この中で衆議院の議長さんは、「税制改革問題は、今後の高齢化社会に対応する等、」非常に重要な課題であるということをおっしゃって・「従って直間比率の見直し等今後できるだけ早期にこれを実現できるよう各党協調し、最大限の努力をはらうこと。」というあっせんを下されました。これに対しまして各党の代表の方は、共産党は除きまして、ようございますとお答えになっておるんです。そういうことを考えますと、これまで皆さんは何をしておったんだろうか。しかも、二年間かけて協議会で検討してもらう、その報告を待ってと。しかもその二年というのはどうも先へ延びるかもしれない。私は、大変残念に思っておるところでございます。もしおっしゃることがあったらお聞きしておこうかと思いますが、怠慢である、こう私は申し上げたいと思います。  それから、続けて申し上げたいんですが、二年後二年後とおっしゃっておりますが、間接税の抜本的改正とかこんな大きな問題をやるにつきましては、それ相応に環境が整ってなきゃ絶対できないと思います。もしさっきのお答えをいただくのだったら、今申しました問題につきましても、大改革にはどういう環境が必要であるか、これも皆様方の御認識を伺っておきたいと思います。
  132. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 二年間の時限立法にすべきではないかという御意見でございますけれども、この問題につきましては、私ども提案者の側として一致してお答えを申し上げているところでございまして、私どもの方の見解と谷川さんの御見解との違いであろうかと思っております。  なお、議長裁定の問題につきましては、前々から何回もお答え申し上げておりますとおり、売上税を廃案にする、つまり大型間接税の導入を目指した売上税を廃案にするという前提のもとに、各党協議の上に議長あっせんの合意に至ったものだと思っておりまして、この議長あっせんにございます直間比率の見直しというのは、大型間接税を指すものではない、こう理解をいたしております。そして、このあっせんに基づいてつくられました税制改革協議会であったと思いますが、この協議会は、その後大型間接税に関する論議を行っていないのでありまして、中間報告の形が一方的にとられて、そしてその上で消費税という形で提案をされてきたものでありまして、この消費税は、議長あっせんに基づいて出てきたものではない。むしろ私どもの理解いたしております議長あっせんとは違う形で出されたものだと考えております。
  133. 谷川寛三

    谷川寛三君 いろいろ伺いましたが、合意はされたんですね、ようございますというお答えをされておるようでございますから。それは各党ともそうですね、共産党以外、議長あっせんに対しまして。
  134. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 議長あっせんの問題ですか。
  135. 谷川寛三

    谷川寛三君 合意されたんですね。
  136. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 売上税廃止ということでですね。
  137. 谷川寛三

    谷川寛三君 直間比率の見直し等、できるだけ速やかに検討すると。これは皆さんはようございますとお受けになったんですね。
  138. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) それはそのとおりです。
  139. 谷川寛三

    谷川寛三君 民社党もそうですね。
  140. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 売上税を廃止するということで、正常化に戻すために私ども議長あっせん案を受け入れたというふうに思っております。
  141. 谷川寛三

    谷川寛三君 そんなことは関係ない。直間比率見直し等、お受けになったんですね。そうすると、今申しましたように二年間何をしておったかと申し上げたくなる。それで、さっきお聞きしましたようにどういう環境が整ったらいいかと。
  142. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 税制の大きな改革を行います場合に望ましい環境というのは、経済が安定した状態にあるときというのは大変望まし い状況であろうと考えております。
  143. 谷川寛三

    谷川寛三君 ほかの皆さんどうでしょうか。――同じでございますね。  私も、今久保さんがおっしゃったように、景気がいいというのは一つの条件であろうと思います。所得税減税なんかをやりますから、やっぱり財政余力が整っているときでないといかぬと思うんですよ。それからもう一つは、インフレ状態にないということですね。私どもは、政府・与党はそういう三つの条件がそろっている今こそ消費税をやる絶好のチャンスだと思って実行したわけですね。皆様方は二年、これは統一見解を出しておるんでまだはっきりわかりませんが、二年以内とおっしゃったり先へ行くかもしれぬとおっしゃっておりますが、これから二年先がどうなるかわかりませんね。殊に九一年、九二年ごろになったとき果たして今の三つの条件が整っているかどうか。日米の関係もいろいろごたごたしておりますね。その他の条件も悪くなるかもしれぬ。先のことはわかりませんよね。そう考えますと、皆様方おっしゃる理想的な税制改正ができるチャンスは来ないかもしれぬと私申し上げて、先へ参りたいと思います。  そこで、もうこれは統一見解に譲っておきますけれども物品税が仮に二年間のものであったとしましても、二年後にどういう間接税を持ってこられようとしているのか、具体的にそれを、今わかりませんから、皆さんが何をお考えになっておるかお聞きしたいと思います。どんなものがあるかということを申し上げますと、間接税は二つに分けまして、一つは個別の間接税ですね。もう一つは消費に広く負担を求める間接税がございます。その消費に広く負担を求める間接税は単段階と多段階に分かれます。単段階の方は製造業者売上税、卸売業者売上税、小売売上税と分かれます。それから多段階の方は取引高税と付加価値税に分かれますが、皆様方が将来やろうとされているのはこのうちのどれでしょうかね。さっき冒頭に伺ったところによりますといろいろ考えられますが、どうか。
  144. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) ただいまの御質問について佐藤議員お答えいたしますが、先ほど税制改革の環境の問題についてお話がございましたが、私は環境が大変良好な状態にありましても、そのときに国民の合意の得られないようなものを何でもやっていいということではないと思っております。また、私どもがこれから二年間という期間を設定して再改革考えようといたしておりますのは、この二年間の経済の状況、財政の状況等について再改革を進めるに当たっては環境は決して悪い状況にはならない、こういう見通しの上に立ってこれを提案しているのでございます。
  145. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 将来の問題についてどうかと、こういうお尋ねだったと思うんですが、大平内閣のときの一般消費税、そして中曽根内閣の売上税、さらに今問題になっております消費税と、大型間接税のいずれにも国民皆さんは反対だという意思表示をなさっておるわけでございまして、そういうことを前提としまして、私どもは基本法の中で、第二条「税制改革の趣旨」において「税制改革は、消費税の創設を中心とする先の税制改革が広く国民の理解と信頼を得た上で行われたものとはいい難い状況にかんがみ、かつ、消費税が廃止されることを踏まえ、国民の合意に基づき、改めて我が国の現在及び将来の経済社会に対応する税制を確立するために行うものとする。」、こういうふうに明確に規定申し上げましたように、大型間接税につきましては、こうした趣旨に基づいて設置される国民税制改革協議会の検討に際して国民の意思と基本法の趣旨が踏まえられるべきである、こういう観点から大型間接税の検討をしてまいりたいと、かように考えております。
  146. 谷川寛三

    谷川寛三君 ようわかりませんが、僕が聞いているのは、さっき六つの類型を申し上げましたが、どれをやろうとお考えになっているかを聞きたいんです。代表で結構ですから。
  147. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) どれをやるというよりも、今申し上げましたように、国民皆さんの御意向というものを基本に置きまして、そしてよりよいものは一体何なのかということを含めて税革協の中で議論いただくということでございますから、そこでひとつ十分議論をいただいて国民意見を反映した方向で対処していきたい。その場合に、国民の合意が前提でございますから、六つの案の中のどれになるのか、それとも六つ以外にもっと考えられる面があるのか、こういったものを含めて議論いただくという趣旨でございますから、そういうようにお答えしたところです。
  148. 谷川寛三

    谷川寛三君 税制改革基本法案第五条第二号ニを見ますと、「国及び地方の個別間接税の整理及び合理化を図るとともに、サービス、流通等に対する適正な課税の在り方について検討」すると、こうありますが、今の御答弁を聞いていても、六つの類型の中のどれでしょうと聞いても、どうもこれははっきりせぬ。ところが、佐藤さんの十四日の当委員会における御答弁なんかを聞いておりますと、二年後も物品税のような個別間接税を行うと、こうおっしゃっておりましたが、そういうお考えもあるんですね。
  149. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 確かに私、十四日ですか、申し上げましたように、その税制改革協議会の中で議論をして現行の物品税の中でいかがかというような結論になるかもしれません。そういった問題も私は含めて議論をいただくということを申し上げたわけです。
  150. 谷川寛三

    谷川寛三君 そうしますと、今のような個別間接税物品税のようなものになるかもしれぬ。大型間接税はやらないというようなことも聞こえましたが、結局個別間接税を何かいらって整理をして、ほかのいろいろな類型のやつはやらぬと思っていていいんでしょうか。どうでしょう、久保さん。
  151. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 先ほど申し上げましたように、売上税にしましても一般消費税にしましても、今日の消費税にしましても、国民皆さんとしてはこれを受け入れていないわけでございますから、したがって私どもとしてはその類の大型間接税については考えていないということをはっきり申し上げていいんじゃないかと思います。
  152. 谷川寛三

    谷川寛三君 そうすると個別間接税ですね。皆さんからそれぞれお聞きしたいんですが、どういう御意見でしょう。個別間接税ですね、この製造業者売上税、卸小売売上税、取引高税、付加価値税、これは一切やらぬとはっきりおっしゃっていただけますか。
  153. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 個別間接税になるのかどうかというのは、また個別間接税の中でどういうものをどういうふうに起こすのか、こういった点については税革協の中で議論をいただきますけれども、大型間接税というものについては国民皆さんがこれほどはっきり明確に意思表示なさっているわけでございますから、私どもとしてはこれを考えるわけにはいかないという意味で先ほど申し上げたわけでございます。
  154. 谷川寛三

    谷川寛三君 じゃ個別間接税と理解してようございますね、二年後の。
  155. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 先ほどから申し上げているんですけれども、個別間接税という議論になるのか、そこら辺については税革協の中で十分ひとつ議論をいただこう。もっといい知恵があるかもしれませんよ、今あなたが申された以外に。そういった問題も含めて議論いただこうということでございますから、はっきりしたことだけはさっき申し上げたとおりです。
  156. 谷川寛三

    谷川寛三君 もっといいものがあるかもしれませんよって、これだけしかないんですよ。今私は六つしかないんだから、それでこっちの余り大きなものはいかぬと。何か個別間接税国民の合意を得られるというように聞こえますが、そう理解していいんでしょうか。何をやるかもわからぬということじゃとても代替財源だってどうしようもないじゃございませんか。これは国民皆さんがお聞きになっても、本当にいいかげんなものだというふうにしかお考えにならぬじゃないでしょう か。
  157. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 先ほど申し上げましたように、第二条、五条の中でもうたっておりますように、「我が国の現在及び将来の経済社会に対応する」という意味合いで御審議いただくわけでございますから、目的はないわけではございません。問題は、そういう方向の中で、今あなたが申された六つの範囲内でどれをどういうふうにそんたくしていくかという議論もあるでしょう。また、違った意味で個別間接税相互間にある矛盾等を解消して、バランスのとれた課税体系というものを考えてみる必要もあるんじゃないかという御意見もあるかもしれません。こういった問題等を含めて、二年間の中でまとまれるものを整理して、そして国民の合意を前提にしてひとつ実施していきたいと、こういう考え方でございますから、目的がないわけじゃないと思います。
  158. 谷川寛三

    谷川寛三君 そういうことでしたら、とにかく消費税を実施しまして、業者の方はコンピューターの組みかえ等で三千六百億とか経費もお使いになったとか、いろんな負担もかけておりますから、物品税になってまた別のものがくるとか大変な迷惑をかけることを考えましたら、消費税をとりあえずやって、二年後に理想的な税制ができてから廃止するとかということにすることが一番常識的な責任ある態度ではないかと私は思うんですが、何をやるかもわからぬ、どうも聞いていると個別間接税のように思うのでございますがね。これは僕はここで統一見解を出してくださいと言って詰める必要もあると思うんですけれどもね。出していただけますか、これ。
  159. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 間接税のあり方について税制改革協議会の重要な論議のテーマとしていただきたい、こういうことを申し上げているのでありまして、佐藤議員が先ほどからお答えいたしておりますように、私どもの方はそういう立場で合意をいたしているわけでありますから、統一見解というお尋ねにはちょっと当たらないんじゃないかと思います。
  160. 谷川寛三

    谷川寛三君 追及したいところでございますけれども、追及してもしようがありませんね、これは。もうとにかく何にもないと、何もかも税制何とか協議会。さっきのような政春会長のお話もあったり、これじゃ本当に国民を混乱に陥れるだけでございますね。もう責任あるあれとは思えない。まことに残念です。  そこで、今皆さん方考えに入れられようとしている物品税でございますが、これをこうおっしゃった方がおいでになるんですよ。物品税は「不公平不公正の佃煮」、つくだ煮です、もう凝り固まってどうしようもない状態、こうおっしゃった方がおりますが、勝木さん、これどなたか御存じでしょうか。
  161. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 物品税は不公平不公正のつくだ煮とおっしゃったということでございますが、どなたがおっしゃったか存じ上げておりません。
  162. 谷川寛三

    谷川寛三君 笹野さん、どうでしょう。
  163. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 私も存じ上げておりません。
  164. 谷川寛三

    谷川寛三君 まあ、御存じないでしょうから私申し上げます。私の尊敬しておりました元民社党委員長春日一幸先生でございます。本当に私は御尊敬申し上げておったんですよ。これは先生らしいですね、つくだ煮、「不公平不公正の佃煮」、もう凝り固まって何ともならぬ。  先生の「我ら民社は斯く闘えり」、これは去年の十一月二十八日にいただきました。白表紙の小冊子でございますが、これを拾い読みしてみます。   税制改革六法の成立で消費税が創設されるのと引き換えに、まず物品税を中心に在来の消費税制が廃止される。   六十三年度所得税、法人税等直接税総額は三十三兆五千億円で、これに物品税、酒税、たばこ消費税、有価証券取引税、揮発油税等間接税総額は十二兆九千億円で、今回の税制改革間接税全般に跨って斧鉞を加えたものだが、わけても不公平と不公正の佃煮とも目される物品税が全的に廃止されることの意義は甚だ大きい。こうおっしゃっております。そのとおりでございますね。   消費税の創設に反対するからには実体上、物品税の存続を固持するしかないが、それでは「新しい負担は避け得ても現に不公平不公正な政治のせいで呻吟している無辜草な犠牲国民を救済することはできない」ことになり、そのような無責任なエゴに常識は決して味方しまい。 しまいとおっしゃっておりますね。本当にこれはよく言われたことでございます、言い得て妙。凝り固まってどうしようもなくなった。自民党は、だからこれを廃止して消費税をあれしたのでございますが、心から感銘を受けておりますが、勝木さんに伺いますが、今読み上げた春日先生の文章について、どういう御感想をお持ちでしょうか。「不公平不公正の佃煮」と物品税は言えるんじゃないでしょうか。
  165. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) その前後を、どういうところで発言されておるか精査してみないとわかりませんけれども物品税は確かに不合理な部分もあるわけでありますけれども、私どもは、今の消費税と比べますとどうなのかということで、担税力があるという意味で、広く浅くということで弱者までということよりも、むしろそういう形で物品税そのものについて、今のその時点での物品税についてはいろいろな政治的なしがらみとかでいろんなところを曲げられてきておるというふうに思いまして、確かに時代に合っておるのかということについては不合理な部分もありますし、そういうところについては改めたいところでありますが、私たちは二年間に限ってということで、代替財源ということで、消費税は廃止をして物品税の復活を国民皆さん方にお願いして、そして二年間をかけて、直間比率のあり方も含めて、物品税の存廃も含めまして御論議をいただきたいというふうに思っておるところでございまして、何も春日先生と私ども考え方が全然一致しないということではないというふうに思っております。
  166. 谷川寛三

    谷川寛三君 お言葉ではありますけれども、春日先生は、消費税の創設に反対するからには、物品税を許しちゃいかぬけれども、不公正不公平のつくだ煮である物品税を置いておいたら国民のためにならぬ、無責任だ、エゴだというんで、どうしてもこれを廃止しなきゃならぬとおっしゃっておるんですね。まさか民社党の元委員長さんがこういうことをおっしゃっているんだから、物品税民社党が残すというようなことはお考えにならないで選挙で投票された方があると思うのでございますが、あなたはこれに対しましてどう釈明をされますか。
  167. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 春日先生御存命であれば真意をお聞きしたいところでありますが、残念ながらお聞きすることができません。しかし、私どもは、物品税につきましては、内部でもいろいろ論議はありましたけれども消費税をとにかく廃止しよう、そういう国民の審判を参議院選挙で受けたんだということでまとめ上げてきたわけでございますので、民社党を支持される国民の方々も御理解をいただけるものというふうに確信をいたしております。
  168. 谷川寛三

    谷川寛三君 それでは、春日先生が「不公平不公正の佃煮」とおっしゃったのは十一月二十八日でございますが、勝木さんはこの当時先生の御意見に賛成でございましたか。  それからまた、あなたはいつから物品税の復活論者におなりになったかをこの際はっきりお伺いしたいと思います。
  169. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私はその十一月の二十八日の時点では、直接税、間接税の不公平の是正がとにかく先だというふうに思っておりましたので、そこまで突き詰めた、物品税がだめなんだ、つくだ煮なんだというところまでは余り思っておりませんでした。物品税については確かに問題があるということだけは私も思っておりました。
  170. 谷川寛三

    谷川寛三君 余りしつこくは申し上げません が、勝木さんにお伺いしますが、ある有力な労働組合が付加価値税、すなわち消費に広く薄く課税する間接税の方が望ましい、消費税の廃止には反対だとおっしゃっておるのでございますが、御存じでしょうか、どういう組合か。
  171. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) いろんな論議の過程の中ではいろんな御意見がございましたことは存じ上げておりますが、まとめ上げた以上はこれに従っていただこうということで私どもは説得を続けまして、(「納得してないんじゃないの」と呼ぶ者あり)いや、説得をいたしております。そういうことで、二年間かけて、直間比率も含めてあり方について論議をしていただこうということで御納得をいただいておるところでございます。
  172. 谷川寛三

    谷川寛三君 これ、十月八日の朝日ですが、金属労協の大会で中村議長さんが、今言ったように、消費税は欠陥を是正してもらうんだ、EC型の付加価値税に変えるべきだというふうなお考えを表明しておられますね。これもそういうふうに御説得なさったわけですね。御感想を。
  173. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 金属労協が所属しておられます連合の皆さん方にも最終的には御納得をいただいたというふうに承っております。
  174. 谷川寛三

    谷川寛三君 それはそれだけにとどめておきます。  次に、公明党に伺いますが、峯山先生、五十九年三月二十三日の参議院会議での議事録を見ますと、当時の鈴木一弘先生がこういうことを言っておられます。「国民の生活様式の変化に沿って、新しい商品が次から次へと出ている現在では、これまでのように物品税課税対象品目の追加とか税率の変更では追いつけないということになり、個別物品税制度は限界に来ていることを示しているわけであります。」、こういう明確な御所見。また、同じく公明党の矢追秀彦代議士さんが五十九年三月九日の衆議院大蔵委員会で、ゴルフのボールには三〇%の税率なのにダイヤモンドの指輪には一五%の税率というのはおかしいとか、時計つきのライターは課税で時計つきのボールペンは非課税というのは納得がいかぬといって物品税問題点指摘しておられますが、これについてどういう御感想でございましょうか。
  175. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 当時はそういうふうな別表が、そういうような間接税の欠陥が随分あったわけでございまして、そういう点を相当いろんな角度から指摘をさしていただいたのも事実であります。現実の問題として、そういうふうな不均衡になった物品税をこの三月三十一日まで自民党さんは実施してきたわけでございまして、それは物品税の持つそういうふうな不合理な面も十分あるということは十分承知をいたしております。
  176. 谷川寛三

    谷川寛三君 何度も申しますように、自民党はおかしいからどうしてもこの際やめようと、春日先生がおっしゃっているように「不公平不公正の佃煮」だから。私どもは自覚しておりましたから廃止していい税金にしようとしたのでございますが、昔はとおっしゃったのでございますが、鈴木先生とか矢追先生が御質問なさったときはそういうことで、今はそうじゃないというふうにも聞けるんですが、今度はとりあえず復活したわけですね、二年間は。  私、理事会で要求されました政令にどんなことが書いてあるかと思って、きょういただいたのでございますけれども、これを見ると、今までの政令をそのままお使いになっておるようでございますね。そうすると、全く二年間は今までのつくだ煮がそのまま残るということになって、私はこれは大変だなとこう思っておるんですが、問題があるということをお気づきでございますから、どう改善するかというぐらいは御検討になっておられると思うんですが、それをちょっと聞かせていただけませんでしょうか。
  177. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) つくだ煮論が出て、私もそういうことをしゃべった人がおるんだなと思って感心して聞いておりましたが、率直に言って、先ほど私が申し上げましたように、今度の場合はある意味というか暫定的というか、こういった意味の復元措置でございますから、したがってそっくりそのままということを基本にして復元したわけでございますけれども、しかし、それにしても余りにも矛盾が多い点については是正すべきじゃないかということで、御案内のとおり製造段階にかける税率は八%を上限にしてかなり是正をしたつもりでございます。そういう意味で、国民皆さんがこれをどう評価していただくかということになるんじゃないかと私は思っております。  ただ、谷川さん、率直に言って物品税について、つくだ煮かどうか知りませんが、いろいろ御批判があることはもう私ども百も承知です。しかし、それはどうしてそういう矛盾だらけのものになったのかという点については、これはもう私が言うまでもなく、この三十七年間にわたる自民党政治の中でつくられてきたわけでございますから、そこら辺はあげつらうんじゃなくて、むしろやっぱり物品税の今後のあり方を含めて二年間の議論の中でぜひひとつそこでも貴重な御意見をいただいて、そういう御批判が出ないような、そういった意味での今後の税制のあり方にぜひお力添えを願いたい、こういうふうに思います。
  178. 谷川寛三

    谷川寛三君 私どもは、政府・自民党は、春日先生のおっしゃるようにつくだ煮だからこの際決心をしてやめたのでございます。つくだ煮ということをわかっておられながら皆様方はどうしてこれをまた復活するんですか。そのまま復活するとおっしゃった以上、これはこれから皆さん方の責任ですよ。そう私は思います。そうでしょう。  そこで私は、もういろいろ言っていても時間がありませんので、一緒におかしいかおかしくないか検討していきましょうよ。皆さん方は復活する、政令も同じだとおっしゃいますから、全く同じ。一々申し上げますからお答えください、おかしいかどうか。  二十万円の〇・二カラットのダイヤモンドが課税なのに、同じ二十万円の外国製クリスタルガラスの花瓶は非課税。どうですか、おかしいかおかしくないか、簡単に。
  179. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 確かに、そう挙げられて言えばそういうふうに聞こえます。ですから、おかしいかもしれません。  しかし、御案内のとおり、なぜこうなったのかということも考えてほしいと私は言っておるわけです。やはり売上税も一般消費税消費税国民皆さんが拒否なさっておる。そういう中で私どもとしては国民の期待にこたえて廃止法案を出したわけでございますから、その出したかわりの税制の措置については二年間という暫定で出すことによって私は国民皆さんは理解していただけるんじゃないか、こう確信をしておりますので、そこら辺はひとつやはりもっと建設的な意味でとらえていただきたい、かように思います。
  180. 谷川寛三

    谷川寛三君 検討していきましょう。  三十万円の毛皮のハーフコートが課税なのに、同じ三十万円のカシミヤのコートは非課税。これはどうですか。
  181. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) そういうふうに自民党政治のときからなっておるわけでございまして、問題があると思います。
  182. 谷川寛三

    谷川寛三君 だから、おかしいからやめたんです。とにかく新しいぜいたく品が後から後から出てくるんですよ、担税力のあるものが後から後から。追いつけないんです。  実は、私も事務官のころは、局長が谷川、ついて来いと。デパートとか方々へ行きまして、ああ、これは課税されていないな、課税しようかと言っておりましたが、今はもう後から後からですから、尾崎主税局長が幾ら回ったってどうしようもないんですよ。そうなんです。これはどうするんですか。  たくさんありますけれども、もう時間がありませんから聞く暇がないですけれども、例えばケヤキ製の家具が課税なのに桐製とか漆塗りの家具は非課税。これはどうですか。
  183. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 多分一番知っておるのは谷川さんの方だと思うんですけれども、 恐らく政策的な意味でそういう措置をなされておるんじゃないかと思うんです。ですから、そこら辺についておかしいと言ったってそれは自民党政治のときにつくったわけでございますから、したがって私どもとしては、そこら辺も含めて税革協の中で議論をしていきたい、こういうことです。
  184. 谷川寛三

    谷川寛三君 やっぱりおかしいということなので、不公正不公平のつくだ煮だからやめようとしているんですよ。  それからまだあるんですよ。きのうの新聞で、何十億円もするゴッホの「ひまわり」、絵がありますね。それから骨とう品、それから何百万円もする西陣織の着物があります。これは課税されてないんですが、おかしくないかおかしいか。もうおかしいかおかしくないかだけでいいんですよ。検討するんですか。
  185. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 確かに問題がある内容ですね。
  186. 谷川寛三

    谷川寛三君 そんなふうに、いろいろ見ているともうおかしいところがいっぱいございます。僕はこれを一々やりたいんですよ。もう一つやりましょうか。  そこで、さっき申しましたが、ぜいたくというものをとらえてみますと、さっきの税率を高くすると言っていますが、おたく、ぜいたく品というのが、私はけさほどの質問でも申し上げましたが、なかなか決めにくいと思いますが、どういうふうに決めたらいいんでしょうか、ちょっとここで聞いておきます。
  187. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 今度の場合は私どもはぜいたくとかいうところに一つの参考というか基準を設けるんじゃなくて、担税力のあるものに物品税をひとつ議論してまいりたい、かように考えているわけでございますから、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  188. 谷川寛三

    谷川寛三君 それでは、担税力とは何でしょうか。
  189. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 文字どおりでございます。
  190. 谷川寛三

    谷川寛三君 文字どおりって、わかりませんよ。さっきから聞いているのは復活した物品税ですが、今お聞きしているのは、二年後に皆さん方がつくろうとしているものは何で基準をつくるんだろうと思って聞いているんですが、ぜいたく品が今のような担税力とおっしゃったから、それは何でしょうと。わからぬ、それじゃ困るんですがね。
  191. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 先ほどから私はわからぬとは言っていないんですよ。字のままですと、こう言ったわけですが、いわゆる税の負担能力のある物品に私どもとしては担税力というものの基準をつくって、そしてやっていきたい、かように考えておるわけです。
  192. 谷川寛三

    谷川寛三君 だんだん時間がなくなりましたので、これはおもしろいからいろいろ細かくやりたいんですけれども、時間がないので聞きますが、皆様方の法案によりますと、「サービス、流通等に対する適正な課税の在り方」も検討するになっていますが、サービスも課税に入るんですね、これは書いてあるように。
  193. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) そうです。
  194. 谷川寛三

    谷川寛三君 それでは、サービスというのは無数に形態がございますが、このサービス課税の基準は何に求めるのでございますか。
  195. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 基本法の五条二項のニですか、ここで「サービス、流通等に対する適正な課税の在り方について検討を加え、その結論を得ること。」としておる。これは消費税の廃止によってサービス、流通課税等がほとんどなくなることから、それにかわる課税の問題を提起したわけでございますが、どのような課税にするか、これこそもうまさに二年間の議論を経て国民の合意のもとに決定すべきものと、こういうふうに考えておるわけでございますが、私見として申し上げれば、現行あるいは復元される個別の国、地方の間接税の整理、改善について議論さるべきである。  例えば国税においては通行税、入場税、印紙税、有価証券取引税などの流通税があり、地方においては料理飲食等消費税や娯楽施設利用税、電気・ガス税など、こういったサービス分野の産業においても課税される、こういうことです。
  196. 谷川寛三

    谷川寛三君 全く答えになっていませんね。もうすべて検討、すべて協議会審議。どうあれするか。これじゃ消費税は廃止になった、何にもない、サービスに課税するといったって何を基準にするかわからぬでは国民は困っちゃいますよ。これは次の選挙でめったに投票できないぞということになりますね。  そこで、僕は例を挙げて、課税するかどうか聞いてみましょう。サービスもたくさんありますが、散髪とかパーマはどうですか。タクシー、ハイヤー、それから電話、ファックス、弁護士、税理士、公認会計士、それからレンタル。どうでしょうか、課税するものを言ってください。
  197. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) すべて検討課題にしております。
  198. 谷川寛三

    谷川寛三君 これは委員長、話になりませんね。話にならぬ。ここで審議できないと言いたいところですが、また怒られますから先へ行くけれども。  サービス、流通に対する課税も書いていますが、流通とは何でしょうか。勝木先生は大手スーパーにおられたようでございますから流通は専門家だと思います。このサービス、流通、サービスも今わけがわからぬですが、これからのことだそうですけれども、流通になるとなおわからぬのですよ。流通とは何ですか、定義を教えてください。
  199. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私は流通におりましたけれども、流通とは、物と物との流れも流通だろうし、あるいは今、物よりもソフト・ソフト間のいろいろな情報の流通もあるでしょうし、そういうハードの面とソフトの面があろうかというふうに思っております。
  200. 谷川寛三

    谷川寛三君 皆さんおわかりになりましたか。わからぬでしょう。僕もわからぬ。  流通に課税するというんですが、外国に例がありますでしょうか。僕は聞いたことがないですけれどもね。広く薄いあれにはありますよ。
  201. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 先ほどから聞いておりますと、やっぱり谷川先生はちょっと勘違いされている点があるのじゃないかなと私は思うんです。それはもちろん、サービスは何か流通は何かといえば、私はきょうそういう担当ではございませんけれども、広辞苑から何から全部調べてまいっております。まいってはおりますが、私ども税制改革の基本的な問題として、先生も質問に当たりましてこの基本法の第二条を読んでいただいたと思いますが、要するに先般の政府税制改革というものが国民の信頼を得ていない、そこがやっぱり基本です。谷川さんもおっしゃいましたね、手続や手順に間違いがあったと質問の初めに認められました。そこのところをちゃんと正すために私どもは今やっておるわけです。  ですから、例えば散髪や全身美容の話をされました。散髪一つにいたしましても、これはサービスや流通の考え方としてはいろいろあるわけです。例えば生活必需品に……
  202. 谷川寛三

    谷川寛三君 聞いていることに答えてください。
  203. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) ですからそういうふうなきちっとした考え方をしないと、私どもはそういうような意味では流通やそういうような……(「聞いているんだから答えなきゃ」と呼ぶ者あり)だからその問題については初めからちゃんと言っておりますように、二年後の姿、こう言っています。我々が言っているのは、この法案が通ったら直ちに国民税制改革協議会をつくって今おっしゃっているような問題をこれから協議するわけです。検討するわけです。
  204. 谷川寛三

    谷川寛三君 そんなことを聞いていませんよ。
  205. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) いや、だから検討するわけです。そうでないといかぬわけですよ。私ども野党だけでそういうことを検討しようと言うておるのと違うんです。自民党さんも含め て、国民の各界各層の皆さん方に来ていただいてそしてこういう問題について検討しようと言うておるわけです。ですから、そこら辺のところを十分踏まえて御質問いただければと私は思います。
  206. 谷川寛三

    谷川寛三君 僕はそんなことを聞いていないんですよ。今までの手順につきましては反省すべき点もあった。もあったと言っていただけなんです。冒頭、朝申しましたように、決して選挙消費税が否定されたわけじゃないんですから。  今聞いておりますことは、皆さん方がサービス、流通に課税すると言っておりますでしょう、それは何を基準にしてやりますかと。サービスの方はいろいろありますけれども、流通に対して課税しているという、それは印紙税なんかはありますけれども皆さん考えているような間接税で流通に課税している国はどこにもないんですよ。僕は流通とは何かわからぬし、流通に果たして個別間接税みたいなものを課税できるのかどうか、僕はできないと思うんですよ。できもしないことを挙げて、そして検討、二年間かけて協議会審議してもらう、これでは何にも審議できないじゃございませんか、皆さん審議できませんよ。できますか、何かわからぬというんだから。法律に書いてあるわけなんですよ。委員長、僕はそう思います。
  207. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私どもは、二年間かけてサービスと流通についても検討していこう。もう物品税だけでは、要するに物にかけていくというその間接税だけよりも、御案内のように第二次産業から第三次産業が私たちの経済を支えてきておるわけでありますので、そういった意味で流通あるいはサービスについてもどういう検討が必要かということも含めて検討していこうということで、偏らないように、物品税だけではやっぱり偏っている嫌いがなきにしもありませんので、そういった意味で流通とサービスの分野についても間接税の中で論議をしていただこうというふうに考えておるところでございます。
  208. 谷川寛三

    谷川寛三君 皆さんの言うことは、今のお話を聞いていると、物品税だけじゃだめだ、広く薄くという気持ちが入っておりますね。そしてそれは考えていないとか。流通というものに個別に間接税課税した例はないし、僕は考えられないと思うんです、論理的に。それをどうして課税するんですか。流通の概念から始めて、流通というものにどうして個別に間接税課税することができるか。僕はできないと思うんです。だから外国にも例がないんです。できないものを二年間かけて検討する。聞いておると、物品税では足りない。そうすると、広く薄く課税する消費税のことかと思ったらそうじゃないと言う。これでは委員長、僕だけじゃありませんですよ、この問題を審議できますか。僕は憤りを感ずるね。委員長、これはだめですよ、こんなもの。
  209. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 谷川さんは税の専門家ですから私は申し上げませんでしたけれども、今現在でも流通税というのは、取引所税とか有価証券取引税とか、自動車重量税とか登録免許税とか印紙税とか、皆あるじゃありませんか。そういうようなこともあるわけでございますし、これは国民税制改革協議会で、この法案が成立をいたしましたら直ちにそれを設置して、そして、谷川さんのような御意見もあるでしょう、そういうような御意見も入れて二年間きちっと検討して結論を出せばいいわけですから、そこは最終結論の出口の話じゃなしに、入り口の方で十分検討して、それで二年間十分検討すればいいわけですから、私は何ら問題ないと思っております。どこか問題のところがありますでしょうか。
  210. 谷川寛三

    谷川寛三君 書いてないんですよ、通行税とか印紙税とかをどうこうするとは。サービス、流通等に対する課税を検討する、広く書いてあるんですよ。だから流通とは何ですか、僕はわからぬので知らせてください、どういう基準でやりますか、外国には例がないんですから。印紙税とか通行税はありますよ。しかしあなた方はそのほかに広く個別に課税しようとするのだから、それがわからぬから教えてくださいと言っているんです。それが何にもなくて二年間の検討に任せるというのでは、これはどうしようもありません。これは先へ行けませんよ、だれがやっても。  時間が来ましたからこれでやめますが、私は次へ引き継ぎまして、引き続いてこの問題を議論してもらうことにします。要領が悪かったものだからまだこんなに残っておりますが、これは全部引き継いで、徹底的に追及いたします。
  211. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 消費税廃止関連九法案について質問いたします。  現在の日本の繁栄は国民の英知と努力によるものでありますが、その背景に政治的、政策的安定があったればこそであり、それゆえに国民は安心して生き生きと活動できたのだと思います。このたび、我が党が十年余にわたり研さんに研さんを重ねて導入した消費税に対し、野党四党より、これを廃止し税制の再改革を目指すとともに、消費税廃止に伴う代替財源を確保するための消費税廃止関連九法案が提案され、審議されております。既に同僚議員により多くの矛盾点が指摘されておりますが、私もまた、これらの法案及び発議者の属する党の政策の矛盾点を明確にしていきたいと思います。時間が限られておりますので、質問についてだけ簡潔にお答えください。  まず、税負担のあり方について質問してまいりたいが、最初に大蔵大臣に、消費税導入にも関連した税の基本理念を伺いたいと思います。
  212. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員から、税の基本理念というお尋ねでございます。  税の基本理念と申します場合に、古くからさまざまな点が挙げられております。しかし、先般の税制改革に当たりまして私どもが最も基本的な理念として考えましたものは、税制への納税者の信頼の基礎となります負担の公平、税制が民間の自由な経済活動に極力介入を避けて経済の活性化を図るという経済への中立性、また、わかりやすく明確で納税者の事務負担も少ない制度の簡素化というものを挙げたことでございます。この公平、中立、簡素という要請は、どの時代においても税制の基本理念となるものと考えております。  いかなる税目にも、長所を持つ反面問題点もあるわけでありまして、経済社会の諸情勢が複雑化しております、また多様化の一途をたどっております今日におきましては、単一の税目によっては税制に求められます各種の理念を十分に満たすということは困難であります。したがいまして、所得、消費、資産などに対する課税を適切に組み合わせ、全体としてバランスのとれた税体系とすることが必要であると考えております。そのような観点に立ちまして税制改革に取り組んでまいりました。  と同時に、二十一世紀の初頭の我が国の社会経済情勢を考えますときに、本格的な人口の高齢化と経済社会の一層の国際化が進むということは確実な事態であります。先般の税制改革におきましてはこうした将来展望も踏まえて実施したものでありまして、今後の税制におきましても、公平、中立、簡素という基本理念を念頭に置きながら、その折々の経済社会情勢の変化に対応してまいりたいと考えております。
  213. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 今大蔵大臣から言われました税の基本理念、まさにそのとおりだと思いますが、私なりに申し上げてみたいのですが、税は公正、公平、そして簡素で、国民にわかりやすくなければならないというふうに思います。また、中立であることはもちろんですが、そのほか徴税漏れの少ない、言いかえれば脱税されにくい、そういうものでもなければならないというふうに思います。  税制改革基本法案第四条三号では「応能負担原則を重視し、」とありますが、この場合の応能の能は何をもってはかるのか。この間も答えておられましたから、一言お答えいただきたいと思います。
  214. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 応能の能は、所得を中心にしてその租税負担能力の大小を言うものだと考えております。
  215. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 その所得の把握について聞きたいのですが、まず、不公平税制と言われるもののう ち一番関係する人の多いものにクロヨン問題があると思いますが、クロヨンとは何を意味していると考えておられますか。
  216. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) いわゆるクロヨンあるいはトーゴーサンピンというふうに言われておりますが、これはやはり所得捕捉につきまして業種間格差があることは言うまでもないところじゃないかというふうに思っております。またこの所得捕捉につきましては、源泉徴収によりほぼ完全に所得捕捉をされておりますいわゆるサラリーマンと農業所得者やその他の事業者では業種間において格差があることは、学者の皆さん方の研究でも示されておるところでございます。
  217. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 このクロヨンという問題は、サラリーマン、個人事業者、農業従事者の間における所得把握に大きな差があるということから出てくる問題だというふうに思います。  クロヨンのクは同じ所得があってもサラリーマンは九〇%把握され、個人事業者では六〇%、農民では四〇%しか所得が把握されないという大体の意味をあらわしているのだと思いますが、なかなかそういうデータはありませんので私なりに調べてみました。そういたしますと、いわゆる給与所得者所得税を払っている人は八五%でございます。それから個人事業者で所得税を払っている人は四三%でございます。農業従事者で所得税を払っている人は一九%で、二〇%にも満たない数字でございます。  そこで、もしそういうものが所得把握が確実になされていたのだとすれば、サラリーマンと個人事業者と農民の間で大変な所得差があって、生活面でもいろいろな差があらわれているはずだと思いますが、実際を見る限り、サラリーマンと個人事業者、営業所得者ですね、それから農業従事者の間に生活のレベルにおいて私は差があるとは思われません。とすれば、サラリーマンの八五%が所得税を払うけれども、個人事業者は四三%、農業従事者は二〇%しか所得税を払っていないということは、かなり所得把握に差があることは間違いない。このクロヨンという、必ずしも九〇、六○、四〇ということではないんですが、そういうことを確実に意味しているというふうに思います。  もし、そういう場合に応能負担原則を適用した場合、税金に大きな差が出てまいりますね。同じ所得があっても、サラリーマンは九〇%所得が把握され、個人事業者は六〇%、仮に農民が四〇%といたしましょう。そうすれば、実質同じ所得があっても所得税には大変格差が出てくるんですが、そういう問題についてはどうお考えになりますか。
  218. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 給与所得者事業所得者との不公平として、事業所得者は必要経費を認められているのに対しまして、給与所得者は給与所得控除による概算控除で対応していることが挙げられておりますが、政府はなお昭和六十二年の九月の税制改正におきまして、給与所得者に選択により特定支出控除特例制度というものを認めたところであります。しかし、特定支出の対象範囲は極めて限られたものでありまして、実質的にはこの制度を利用できる者はほんの少数というふうに見られております。したがいまして、現在の特定支出控除を拡大すべきであるというふうに私ども考えております。
  219. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 そういう面もあるでしょうが、私が今質問しているのはそういうことではなくて、いわゆるサラリーマンは所得者として給料をもらってそれを所得とする。個人事業者もまたちゃんと所得として自分所得をもらうわけですね。農業従事者もそういう形で所得がある。その所得の把握に大きな差があるから、それぞれ所得税の差が出てくるんではないかということを聞いているんです。もう一度答えてください。
  220. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) おっしゃるとおりでございまして、だから私どもは、その所得の把握ということで、いわゆるクロヨンと言われておりますように、その所得の把握をもっと経費の控除であれば経費の控除が拡大ができるように、できるだけその所得税の格差というものを埋めていくために、そういうことを今後拡大をしていかなければいけないものだというふうに思っておるところでございます。
  221. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 それだけでは格差はなくならないと思いますよ。なぜかといえば、サラリーマンは源泉徴収ですからもう完全に会社でつかまえられてしまうわけですね。個人事業者は申告制度なんですね。だれも税金を納めたい人はこの世の中で、まあそれは奇特な方もおられると思いますけれども、まあまあ私らも含めて税金はない方がありがたいですよ。そういう申告制ですから、その申告の間にいろいろなことが起こってくる、そういうものに対する差を今どうかと言っているんですから、もう一度答えてください。
  222. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私どもはそのおっしゃることはわかるわけでありますが、総合課税にやっぱり移行することによって資産所得も含めて厳格な捕捉ができるんじゃないかということで、そういう移行することで所得捕捉が前提であるかどうかということを検討していただこうと、その一つの手法として納税者番号制度の導入というものを検討していただこうというふうに考えておるところでございます。
  223. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 今言われたように、すべての人の所得を全部合算して、そしてそれに累進課税していく、そういうことは一つ考え方だというふうに思います。しかし、それが今この世の中で行われていない。それはなぜかといえば、今のように一人一人の所得で初めから源泉徴収される方と申告される方との差であると思います。それななくするための一つの手法として総合課税制度、納税者番号制度をつくるというのは、私は学問としては価値のあるものだというふうに思います。  しかし、この間から、勝木議員が盛んに言っておられますが、納税者番号制度の導入の前提としては、プライバシーの保護と国民の合意が必要であるということを言っておられますが、それは当然であります。この総合課税主義というのは、国民に総背番号をつけてその経済活動を見張るもので、自由経済に管理的枠組みを入れるものではないかというふうに思います。  そこで、諸外国で納税者番号制度を導入している国がありますが、あなた方のイメージに一番近い国はどこでしょうか。あなたの考えで結構ですから、どなたか言ってください。
  224. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) それぞれの国で大変特徴があるようでございます。例えば納税に限っている場合、総背番号制のような形でやっている場合、北欧、イタリア、それぞれやり方は違っているようでございますが、私どもとしてはどこの国をイメージしてやるということではなくて、日本に一番合う形のものを研究してやっていかなければいけないんじゃないか、こう思っております。
  225. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 じゃ、私なりの考え方をさっと申し上げますから、それについてまた意見を言ってください。  西側諸国で納税者番号制度を導入している国を大別すると三つに分けられます。よく聞いてください。  一つは、アメリカ、カナダのように、もともと社会保険とか失業保険といったそういうもので国民への受益を伴う行政分野で利用されていたそういう番号を税務に利用したタイプでございます。例えばアメリカは、一九三六年に社会保険、失業保険などの適用のために背番号をつけました。しかし、それから二十数年たって一九六二年にこれを納税者番号として使ったものでございます。それから第二のタイプは、デンマークやスウェーデンのように、生まれながらにして番号を付して、そして税務を含む各行政分野でこれを利用しているものでございます。それから三番目は、イタリアのように、主として税務に利用する番号を付与する形式の三つのタイプがございます。  一番目のアメリカ・カナダタイプは、これは大変うまくいっております。ところが、北欧の生まれながらにして背番号をつけて、そしていわゆる すべての行政、その他の分野にも全部利用しているところでは強い抵抗があります。三番目のイタリアのように、税務にだけ利用する、そういうところでは抵抗ももちろんありますけれども、番号制度の定着性が非常に悪い。また、費用対効果等の面でも大変問題が多いんです。  この間から聞いておりますと、皆さん方考えておられるのは、各行政分野に全部用いるというのではなくて、主として税務に使うということをおっしゃっているのですから、イタリア方式に近いというふうに思いますが、それについてどう考えられますか、どなたか答えてください。
  226. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 沓掛先生はいろんな御研究をされておりますが、私どもも参考にさしていただきたいと思いますし、私どもも、先生の御見識からいけばイタリア方式ということでありますが、その費用と効果という問題点もあるというふうに思います。しかし、国民の合意が前提でありまして、プライバシーの保護、プライバシーをいかに大切に守っていくかということを踏まえながら、この費用と効果も踏まえてこの検討を二年間かけて重ねてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  227. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 我が国では、プライバシー保護の面でも、また国民性から見ても、このイタリア方式の国民総背番号制を導入することは非常に私は困難だというふうに思っております。  例えば五年に一度行います国勢調査のあの用紙を集める人ですら、もう近所の人はだめ、遠くの顔を見知らない人でなければ集められないとか、そういう背景に、アメリカ人というのはいろんな人が集まり、契約主義の国でございますから、非常にノー・オア・イエスもはっきりし、合理的に物を判断する。しかし、日本人というのは大変義理人情をたっとぶ国民でありまして、また非常に今日本の場合は中流階級が多くなってきております。そういうものが国民背番号で、どこかでそういうものがわかるようになる。仮に役場だといたしましょう、そうすれば非常にみんな血のつながった人が多いわけですから、そういうものがどうしても漏れがちになってくる。で、中流意識である、また義理人情をたっとぶなどという、そういう国民性から、物を割り切って考え国民ではありません。  そういう点から考えて、私は総背番号制がこの二年以内に国民の合意を得て実施される、国民の合意が得られるとはとても思わないんですが、どうですか。
  228. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 租税の不公平を一掃して徹底した総合課税中心の所得税を再構築するために、私どもはこの納税者番号制度は不可欠であるというふうに考えておるわけでございます。そして、その税の公平を確保するために所得の捕捉体制を整備する必要がある、そのためにこの問題は避けて通れないなというふうに思っておるわけでございまして、政府の方も政府税制調査会におきまして小委員会を設けられて検討した経緯もございますし、また去年の政府税制改正の際にも、自民党の修正によりまして所得税法の附則の中で、「株式等の譲渡益に対する所得税課税の在り方については、納税者番号制度の導入問題等所得把握の環境整備の状況」云々等々に配慮しつつ「見直しを行うものとする。」というふうに文章がつけ加えられた経緯がございます。所得税法に納税者番号制度という文言を入れさせたのも自民党さんであります以上、自民党さんもやはり納税者番号制度に強く反対することはないだろうというふうに私どもも伺っておるわけでございます。  したがいまして、この納税者番号制度に当たりましては、やはり国民のプライバシーを保護することが最大の課題と言えるわけでございます。確かに米国などの西側先進国の多くで採用されているものでありまして、我が国でもできないことではないわけでございますが、例えばそういうプライバシーということにつきましては、まず第一段階でそういう有価証券の譲渡益課税の捕捉とかあるいは名寄せを徹底するための体制をつくって、言ってみれば証券取引カードを導入するなどいたしまして、利子配当なども含めた総合課税体制を前提としたそういう納税者番号制度というものを導入していこうという、そういう手順を踏むことも一つの案だというふうに私ども考えておるわけでございます。
  229. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 行政でいろいろ検討していると言われますが、私も三十年行政分野におりまして、もうありとあらゆることを研究するんですよ。この世の中で考えられるすべてのことを研究して、私もいろいろアイデアを出したりやりましたけれども、十やったうち実るのは一つぐらいのものでございまして、またこの消費税自体も十何年かけてやってきた。今のその置かれた状況の難しさ等から見て、国民に総背番号をつける、そういうことがこの二年で簡単に行われる、そういうことは私はもうまず不可能だというふうに思いますし、この国民税制改革協議会で行う中でもこの問題は最重要課題であるというふうに思います。  ですから、皆さん方がそれをどうしても頑張る、やられるというのであれば、これは当然国民に信を問うべきであって、この次の選挙の公約として、今度は、連合政権ができればいわゆる国民総背番号制をつくって、そして総合課税主義を徹底してやっていく、そして経済の面の中に管理的枠組みも入れていくんだということをはっきり選挙で公約として戦うべきだと思いますが、いかがですか。
  230. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私どもが申し上げておりますのは、総背番号制を言っているのではございませんで、昨年、六十三年の十一月十日に衆議院の税制問題特別委員会で自民党が税制法案を単独強行採決されておりますが、この際修正案も提案をされて可決されております。その所得税法の附則八十一条に「株式等の譲渡益に対する所得税課税の在り方については、納税者番号制度の導入問題等所得把握の環境整備の状況、」云々ということをお決めになっているのでございまして、今御質問の御趣旨もこのような立場からなされておるものと考えておりまして、私どもは総背番号制を申し上げているのではございません。
  231. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 それは、納税者番号制ですから、国民に全部ちゃんと番号を打たなければその税漏れは出てくるんじゃないですか。あなた方の考えている納税者番号制度というのはどういうことですか。
  232. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 例えばということで、取引カードをつくって、そういうやり方で導入のあり方を探っていこうということであります。  いずれにしても、プライバシーの保護ということでありますから、私どもも、この保護されるべきプライバシーの範囲ということで、個人の収入とかあるいは支出とか財産といったものもやはりプライバシーの一部というふうに考えておりますので、その場合の保護されるべきプライバシーの範囲はやはり自動的にあるいは一義的に決まるものじゃないということで、その目的との関連性あるいは社会通念によって決まってくるだろうというふうに思っておりまして、内容については慎重に検討したいというふうに思います。  諸外国におきましても情報公開法とかあるいはプライバシー保護法とかが同時にその導入の際には慎重に検討されておりますので、私見ではありますけれども、我が国で導入の場合でもそういう問題も、情報公開とかあるいはプライバシー保護法とか、例えばですが、そういうことも含めて、国民の要らぬ不信を買わないように検討を重ねていかなければいけないものだというふうに思っております。
  233. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 自民党や行政のいろいろ納税者番号に対するものは、研究でございますね、いろいろ研究していくんだけれども、あなた方の今言っておられるのは、二年以内に国民税制改革協議会でそういうものをまとめて、そしてそれを内閣に出していく、実施していくというものですから、もう二年しかないんですよ。もっと具体的な話をしてもらわなきゃ困るし、今度の選挙で当然公約 としてこういうものをやるということをきちっと出してもらわなきゃいけませんが、いかがですか。
  234. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 公平な税制を確保することは憲法の理念にもよくうたわれておるところでございまして、そういう理念の実現がやはり急務じゃなかろうかというふうに思います。したがいまして、この納税者番号制度を導入し速やかに総合課税化を図って公平を実現すべきであろうというふうに私どもは思っておるわけでございます。そして、納税者番号制度導入は二年程度で導入を図りたいというふうに考えておるわけでございまして、この公平な税制を確保するために、税制改革基本法案の第五条第二号におきまして、第二号のイの項で「国民のプライバシーの保護に十分留意した納税者番号制度の導入等を検討することにより」というふうに述べておるわけでございまして、基本法の中では納税者番号制度の必要性を述べているのでありまして、年限は規定していないわけでございます。  いずれにいたしましても、この納税者番号制度の導入に際しましては、国民のプライバシー保護と国民皆さん方の合意形成が大前提であるというふうに私ども考えております。
  235. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 今納税者番号制度、総背番号制の導入は時期を切っていないと言われるんですが、それだと国民税制改革協議会で二年で意見をまとめてそして出すというその中にもその総背番号制の話は入らない、そういうこともあるんですか。そういうことも考えているんですか。答えてください。
  236. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) それは仮定の話でございまして、憲法の精神、理念に基づいてそういう総合課税のあり方に基づく公平な総合課税のあり方ということで、この納税者番号の導入につきましては、広く各界の御意見を踏まえた上で、いろんなところに、制限にとらわれずに、私どもは検討していただこうということで思っておるわけでございます。
  237. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 公約は。選挙公約は。
  238. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 沓掛君、着席でもう一回質問してください。
  239. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 もう一度申し上げます。  国民総背番号制、納税者番号の導入ということは、もう我が国にとっては有史以来の大問題だというふうに思います。そういうものを二年以内にやろうと、そういうことであれば、今度の総選挙で当然我々が政権をとれば納税者番号制度を導入して、そしてサラリーマンからもきちっと税金、それから個人事業者等からもそういう趣旨で全部やるということをきちっと言うべきだ、公約すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  240. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 先ほどから答弁しているとおりなんでございますが、基本法の立場から申し上げますと、私ども納税者番号の問題につきましては、これは御存じのとおり、政府税調におきましても小委員会を設けまして相当長期間にわたりまして検討を重ねてきていただいておりますし、またさきの、何のために今それをやっているかということは私は申し上げませんが、いずれにしましても、総合課税の制度を推進していくためには納税者番号というのが何らかの形でどうしても必要だという議論になりまして、衆議院の方の予算委員会でも私の方の坂口がこの問題を質問いたしまして、将来は総合課税の方向に持っていこうというようなことで、政府の方もそういうような了解をしていると私も思っております。  そういうような意味で、総合課税に持っていくためにはどういうふうな方法がいいかということで、いわゆる納税者番号がいいと。従来、国民総背番号という制度が何回か問題になりましたので、そういう問題につきましては私どもも反対をしてまいりました。そういう経緯もありますが、総合課税に持っていくためには何らかのいわゆる納税者番号というのが必要じゃないかと。これは何も我々四党だけではなしに政府の中でもそうですし、また税調の中でもそういう、小委員会の答申等も私も読ましていただきましたが、そういういろんな問題がありまして、したがいまして、そういうような趣旨を踏まえて、税制改革の趣旨というのは、今までずっと十数年間かかって政府税調がいろんなところでやってきた議論、それを踏まえて、それを全部没にしてというふうには私ども改革法の中には書いておりません、そういうようないろんな議論も十分踏まえましてこの問題について十分検討していきたい。  そういうような意味でいきますと、大体あと二年ぐらいあれば十分結論を出し得るんじゃないか、こういうふうに考えているわけであります。
  241. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 納税者番号制度というのは、シャウプ税制を入れる昭和二十五年から言われていたことなんですよ。そして、確かに自民党にしろ政府にしろ何十年とやってきました。私らも何回もこの委員会には参画しました。しかし、どうしても日本人には向かない、幾らやっても難しい、しかし永遠の課題として勉強や研究は続けていこう、そういう状態なんですよ。  だから、私もそういう状態ならここで厳しく言わないんだけれども、あなた方はもう二年という日を切ってやっておられるんでしょう。そして、今度の国民税制改革協議会から出てくる結論の中でこの総合課税主義制度を取ってしまえば、確かに何かいわゆるホップの切れたビールのようなものになってしまうんで、だからしたがって、総合課税主義は二年で決着しなきゃいかぬ、そういう問題ではないし、そういうことでできるものではないということを今私は言っているんですよ。  日本人にあなた方聞いてごらんなさいよ、そんな難しいことを言わないで。周囲の人に聞いてごらんなさい、そういうことをそれは結構だと言う人は一人もいませんよ。それでもなおまだあなた方が政権をとれば強行したいと言うならば、やっぱりちゃんと公約として、我々は政権をとれば総合課税主義、そして納税者番号制度をやるべきだということを言うべきじゃないですか。いまだ戦後、あるいはその前も含めてかもしれませんけれども、こんな重大な問題はないと思いますが、いかがでしょうか。
  242. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 何か誤解をなさっているんじゃないかと思うんですが、私どもは、この基本法を四党で合意いたしまして国会に提出をしたのでございまして、この納税者番号制度は、総合課税主義を進めていくために環境整備の手段として検討しなければならないであろう、こういうことで、国民税制改革協議会の検討課題として取り上げるということを基本法にうたっているわけでございます。そして今、政権をとれば強行するのなら公約に書けと言われましたけれども、強行するなどということは一度も申し上げたことはございません。私どもは、国民の合意が得られてプライバシー保護について十分な確認ができることが前提であるということを申し上げているのでございまして、強行するなどということは一言も申し上げておりません。  これを選挙公約とするかどうかということでございましたが、そのようなことは、提案者としてここにおります私どもが各党の公約について御返事を申し上げる立場にはございません。
  243. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 どうも国民総背番号制はどうなるかわからない、検討だというお話ですが、これが抜けていたら、国民税制改革協議会で今議論とするようなことが成り立ちますか、成り立ちませんか、ノー・オア・イエスだけで言ってください。
  244. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 納税者番号制度は総合課税主義を進める上で環境整備にとって非常に重要な課題だと思いますが、この問題に決着がつかなければ税制改革が不可能であるとは考えておりません。
  245. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 それでは、次に移っていきたいと思います。不可能ではないとすれば次ほどうなるのかという疑問を呈しておきたいというふうに思います。総背番号制は簡単にできないという点では皆さん合意に達したというふうに思いますので、そういうものを踏まえて、次の質問に移ります。  自民党は、その名のとおり自由民主を基本とす る党で、国民が生活面でも経済面でも生き生きと活動できることを基軸としており、見えない鎖で国民を拘束するようなことはもう決して考えておりません。サラリーマン、個人事業者、農業従事者の業種間における所得の把握面での格差は、これはできるだけ少なくするように努めていかなければなりませんが、そうかといって、税務職員をたくさんふやしていくという、そういうこともおのずから限界はあると思います。  そこで今、実質所得が同じサラリーマンとそして個人事業者と農業従事者がいたといたしましょう。この三者間において、所得把握の違いから所得税は違うでしょう。しかし消費は所得が同じですから同じように行われるでありましょうから、その消費に着目して課税すれば、各者が払った所得税、そしてこの消費に課税した税というものを合わせてみれば、その格差というものは縮まることになっていくと思いますが、どうですか。
  246. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 先ほども給与所得者事業所得者の不公平として、事業所得者が必要経費を認められているのに対して給与所得者は給与所得控除による概算控除で対応していることが挙げられておるということで回答を申し上げたわけでありますが、そしてまた、六十二年度の九月の税制改正によって政府がそういう給与所得者に選択によって特定支出控除特例制度を認めた。しかし、実際的には、それはほとんどこの制度を利用できる者はほんの少数というふうに見られておるので、私どもはこの特定の支出控除を拡大すべきであるというふうに考えております。  いわゆるクロヨンと言われるように、この所得捕捉についての業種間格差があることは言うまでもないことでありまして、源泉徴収によりほぼ完全に所得捕捉をされておりますサラリーマンと申告制度による事業者間で捕捉に格差があるということは、学者の皆さん方も、またここにお集まりの皆さん方もよく研究で明らかにされておるところであります。  私どもはそこで、公平な税制を確立するために総合課税を打ち出しておるのでございまして、この総合課税を実現するに当たって、さらに資産課税の強化等を実現しながら低中所得層の人たちにも配慮しながら、累進度のフラット化も検討の対象としていこうというふうに考えております。そして、これらを総合的に勘案して、二年間をかけまして総合課税を柱とした所得税のあり方、再構築を行うように国民税制改革協議会で議論を重ねていきたいというふうに思っております。  したがいまして、消費税を導入してサラリーマンと事業者間の不公平感を緩和しようとするということは、現行の矛盾点を放置したままで矛盾だらけの消費税を導入することにまた相つながるんじゃないかということですね。矛盾の上にさらに矛盾を重ねることになりはしないかなというふうに思っておるところでございまして、私どもはそういった意味で総合課税を柱とした所得税の再構築を提唱しておるわけでございます。
  247. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 総合課税主義には、私は学問としては反対いたしません。賛成です。しかし、そんなことが簡単にあなた方できますか。国民に全部番号をつけて、あなた、帰って奥様にも聞いてごらんなさい、奥様に、おまえのは何番だと。銀行から何から全部これでやるんだと。それを二年間たったら、今におれが政権をとったらやってやると言ったら、奥さんは恐らくびっくりされると思いますよ。だから、政治というのは現実の問題なんですよ。学校で幾ら優秀であっても、実社会に適応した政策をやらなきゃ、これは政治家ではありませんよ。そういう点で私は申し上げているんです。百点というものはありません、現実の政治で。何十点かであっても、少しでも高い点をとるように、国民のためになるように努力をすべきで、不公平を是正していくべきだということを申し上げているんです。  そこで、消費に着目した税、すなわち間接税の導入というのは、あなた方は消費税に反対されるけれども、手続的にはいろいろあったかもしれません。しかし、税そのものはそんなに悪いものであるというふうには思いませんし、またそのことは後ほどいろいろ議論しましょう。すなわち、間接税の導入はそれによる所得税減税と相まってクロヨン問題の解消に効果があると思いますが、これからの議論を明確にするために、まず間接税と直接税のひとつ定義、皆さんどう考えておられるか、法文にも出てこられるし、久保議員の趣旨説明にも盛んに出てきましたから、簡単に一言で間接税とそれから直接税の定義を言ってください。
  248. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) なかなか定義もいろいろ説がありまして、非常に難しいようであります。ただ、今国で言われている直接税の中には所得税所得税の中には源泉所得税とそれから申告所得、そして法人税、相続税、これを合わせて直接税と、こう言っておるようです。それから間接税は、もうごらんのとおり、直接税金を払う人が払うんではなくて、間接的に払う制度だと、いわば物品税あたりも間接税として位置づけられておると考えております。
  249. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 私から簡単に定義だけしておきますから、これからの議論はそういうふうにしていただきたいし、それに異議があったら申してください。  直接税というのは、負担する人と納税する人が同じ、この税が直接税ですね。所得税は、負担は私がします、そして私が確定申告して最後に納めるわけですから、負担と納める人が同じ。間接税は、いわゆる負担する人と納める人が別ですね。お酒を飲むと、あのお酒に入っている酒税は製造業者が納めるんですが、その税は転嫁されて消費者である私が納めるわけで、負担するのは私だけれども納めるのは製造業者と違うことですから、これからの議論でそういうふうに議論していきたいんですが、異議があったら教えてください。
  250. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 異議なし。
  251. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 では、そういうものを踏まえてこれからずっと議論していきたいと思います。  まず、家計の最終消費支出に占めるサービス消費の割合は年々増加しております。昭和四十二年では家計の最終消費支出に占めるサービス消費の割合は四二%でございました。しかし、今や昭和六十二年ではそれが五四%となっております。男性はあれですけれども、恐らく笹野さんならだんだん家計で支出費の中にサービスの占める率が高くなっていると思います。もう既に最終消費支出の五四%がサービスとなっております。物だけに課税する時代ではありません。それもごくごく一部のものに課税する物品税を復活するのは、御用済みのポンコツ車、自民党としては長年愛用してきたけれどももう時代に合わなくなったということで廃棄処分にした、そういう御用済みの車なんですね。それをまた出してきて使おうというのは、ちょっと常識では考えられませんね。  物品税はそれらのものが奢侈的と見られたときの税であり、あなたがさっきのとき担税力があるとかないとか言っていたけれども、担税力のある人が買ったら物品税がかかり、低所得の人が買ったらそれがかからないというものではないんですよ。だから、担税力のある人ない人という議論ではないんですよ。物品税はそれらのものが奢侈的と見られたときの税であり、今やどれが奢侈品かそうでないかの区別がつかないではありませんか。  例えば、毛皮の帽子が課税されて毛皮の襟巻きが課税されない。たんすに課税されて鏡台に課税されない。寝台に課税されてなぜあの高い羽布団、絹布団が課税されないのか。机に課税されて本箱に課税されない。おしろいに課税されて口紅には課税されない。鉢植えの高いランは課税されない。それから、非常に問題なのは着物、帯、服、ブランド商品などだと思いますね。よく本会議に小笠原貞子さんが着てこられるあの着物はまあ目をみはるようなすばらしいものですし、笹野議員も毎日毎日立派な服を着てこられますね、本当に。楽しみにして来るんですけれども、そういうものにはかかっていないですよ。ワープロとかパソコンとかいう最近のものに何もかかっていな いんです。  この前の峯山議員でしたか、そういうものがあれば、これからどんどん追加してそういうものをふやしていくということでしたけれども、そういうものが無限にあるんですね。そういうものを一つ一つ挙げて、そしてそれに税率を定めて課税していくんですか。そういうことが現実にできると考えていますか。また、そういうものが簡素で国民にわかりやすい税でしょうか。ことしはかかっていないけれども峯山さんがこれだと思ったら来年はどんとかかるというような、そういうものでは困るんですね、いかがでしょうか。
  252. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 質問の要旨がわかりませんから、もう一度ポイントだけ。
  253. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 要するに、物品税は、これからそういう区別のつかないものが出てきたら一つ一つちゃんと挙げて、そしてまた物品税を課していくんだとこの間峯山議員が言っておられたけれども、そういうことをなさるんですか。そういうことが簡素で国民にわかりやすい税でしょうかとお聞きしたんです。
  254. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 私が担当ですから。足らないところはまた答えていただきます。  私は、沓掛委員、こう考えております。要するに、物品税は、それはかけなくて済めばもうそれで一番こしたことはない。しかし、減税をするなり、あるいは公平な税制をつくる上においてこの消費税を廃止する。消費税を廃止する場合にはやはり財源が要る、そういう点でこの二年間の暫定的な物品税というものを相談しているわけです。したがって、物品税のところに行くまでにやはり順序があると思うんですね。先ほどから議論されておりますように、不公平税制をまず直していく。その次には、その延長線上に総合累進課税制度を取り入れて不公平税制、矛盾は直していく。そして、その後に物品税というものも当分は、消費税を廃止するという前提に立ったら、やっぱり何とか続けてもらわなきゃいけない。しかし、財源としては一〇%、八%、六%、第二種については製造段階にかけておりますから、小売段階では実際、実質税率というのはずっと安くなるわけですね。そういう考え方に基本的に立っております。  それであと、ではどういう物品にどうするかという問題については、これから国民税制改革協議会やあるいは国会皆さんと知恵を出して、よし消費税を廃止するとした場合に知恵を出すべきではないか。それしかない。また「本委員会野末委員は、私にやらせれば物品物品の間のどこを入れてどこを落とすかというのは簡単ですよ、なぜ相談してくれなかったと、こういう質問もありましたように、私は本気になってやっぱりやらなきゃいけない。本気になってやれば私はこれはできるものだと、このように考えております。
  255. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 消費税が何かあたかも不公平なことを言われましたけれども消費税の手続についていろいろな皆さん方の疑問、疑念というのはある程度わかりますが、消費税そのものに私は不公平性が内在しているというふうには思いません。確かに低所得者の人に対してと高い所得者も同じだということですから、そういう低所得者とかあるいは年金あるいは身体障害あるいは母子家庭、そういう方には財政面できちっとやっていくわけですから、ある一つの例外、わずかな例外、そういう人たち国民全体の数%ですけれども、そういう人たちがあるからすべてがだめだという論理は成り立たないと思います。その数%の人たちには財政支出の面で面倒を見て、大部分である人たちについてはこのルールに沿ったものをやっていく、そういうことが必要だというふうに思います。ある一つのものだけですべてが完璧になるはずもありませんから、そういう面でやっていけば、この消費税は立派な税だというふうに私は思います。
  256. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 沓掛委員消費税の論議は永久にどっもがいいか悪いかというのは尽きないと思うんです。私は私なりに、やはり選挙区に帰りまして毎日たくさんの人と会いながら、お話を聞いた上でこういう意見を言っているわけです。  ただ、数字的に考えていただきたいのは、今度の三%の導入と減税抱き合わせの税制改革の結果どうなったかということをこの前も一度言ったんですが、所得税減税相続税減税、法人税の減税で五兆八千億円、そして既存間接税の廃止で三兆四千億円。合計いたしますと九兆二千億円。逆に増収等、これは大蔵省の計算では課税の適正化、これは恐らくマル優等じゃないかと思うんですが一兆二千億、消費税の創設によって五兆四千億、差し引き純減税は二兆六千億、合計九兆二千億、右左合うんですが、要するにこの三%が本当にそういうように弱者の方にいっているんじゃない。要するに、比較的賃金の高い高額所得者の累進税をぐっと下げた。同時に、法人減税も一兆八千億円やっている。ここのところがやはり、私どもは数字で言うなら、弱いところへしわ寄せがきているんじゃないか、こういうことしか言えないと思うんです。
  257. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 このことを梶原さんと議論するのは本日の本題でもありませんので、この問題から次に移っていきたいと思います。  ただ、今、この間自民党のやったことがいわゆる低所得者にどうであったかという議論については、それは納得いきません。やはりこの間の所得税減税であっても、働く五十歳前後の人たちが一番負担が多い、そしてそういう人たちは家庭でも一番負担が多い、そういう人たち負担を軽くしよう。そして、今外国に行ってみてください。若い女性がいっぱい行っているじゃありませんか。そういう方々がいろんな物をたくさん買っています。そういう人たちにも少し御負担を願おうではないかということだというふうに思います。それから、所得税だけに限って言えば、日本の場合、子供二人と夫婦二人で四人家族ですと三百万円の所得があっても所得税がかからないんですよ。アメリカは二百万円でかかりますよ。サッチャーさんは百万円取る人からもがっちり取っていますよ。そういうことをよく頭に置いていただかなければならないというふうに思います。  次に行きますが、西側先進諸国で謀税べースの広い間接税を用いないで、あなた方の言う、一度自民党で廃棄処分されたこの物品税を使っている国がありますか。西側諸国であるかないかを答えてください。私は東側のことはわかりませんが、もし東側であると言うならそれも教えてください、また勉強してみますから。
  258. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) ないように伺っております。
  259. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 西側諸国だけですが、私も調べたところそういうものはございませんでした。私も子供のころから、何か変わったことをすると先生やいろんな人からよく言われました。だれもやらないことをやるのは天才か〇〇だと言うんですよ。だからその辺もよく、やっぱり実際の政治は常識の範囲でやらなきゃいけないということ。世界と日本は別だというそういう時代では私はないと思いますよ。  それから次に移ります。  付加価値税は世界で四十四カ国導入されております。OECD加盟国二十四カ国では、OECDの説明はよろしいですね、では日本も含めて十九カ国用いられております。じゃ残りの五カ国は何かということですが、先ほどの話でアメリカは全然付加価値税を用いていなかったじゃないかと言うんですが、これは付加価値税というのは一つの手段であって、いわゆるサービスであれ物であれ、そういうものについて一様に課税するそういうシステムとしては小売売上税があるわけです。    〔委員長退席、理事井上吉夫君着席〕 政府の方でも自民党でも、小売売上税にするかいわゆる付加価値税にするか、いろいろ議論されましたが、小売売上税というのは小売業者が最終消費者に売るその一点で何%という課税をするわけですね。  アメリカで皆さんホテルにお泊まりになると、 一万円かかっていたらそこにバーンと出てきて千円とか追加される。あれが小売売上税でございますが、そういう全く同じ性格のものをアメリカ、カナダ、アイスランドでは用いております。残りはオーストラリアとスイスだけですが、この二つの国では卸売売上税を用いております。これは卸売業者から小売業者に売る一点で何%とかいう課税をしている。もう一つ、製造業者の段階に戻れば庫出税。それに似たようなものですね。そしてそれはすべてのものにかけている。物はすべてかかっております。もちろん、さっき言ったように食料品とか何とかで軽減税率とか割り増し税率とか、そういういろんなものはあるにしても、基本原則としてはすべてのものに卸売売上税はかかっております。いずれにしろ、課税ベースの広い間接税はOECD加盟国二十四カ国全部に用いられております。  国際化時代に日本だけが非常識な物品税を新たにつくるというのは、一体これからの国際社会をどう考えておられるのか。また、そういうものは、そこが私も非常に不思議なんですが、物品税というと、二年と言ってみたり何かもっと長くなったりいろいろするんですが、さしあたって二年にしろ、そういうものが用いられると考えておられますか。どなたか答えてください。
  260. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 物品税は私はなきゃないでいいと思うんです。だから消費税の廃止をして、あるいは大蔵省、与党一緒になって、要らぬ財源が切れ、そして少ない税収でやっていけるならいい。今度我々八名の発議者が提案しているのは、そういう現在運営している財政資金をどこかで少しでも削るなんということは一つも言っていない。だから、そういうところの余地も与党の方でひとつ努力をしていていただきたいと思うんです。ただ、二年間についてはしかし、提案している以上はこうしてほしい、あとは一緒に考えましょうということ。  それから、先ほど答弁は要らないと言われましたけれども、私は田舎で生活しておりますが、近所の御婦人、奥さん方もほとんど働いておるんです。平均給与というのを調べてみましたら、勤続八・五年で民間の女性の年収というのは二百十九万円なんです。これは民間給与の実態、国税庁の調査。十二・四年働いた勤続の男子は四百五十二万円なんです。私も民間の給与でずっと長く働いてきました。だから、今度の消費税がいかにそういう人たちに重いものであるか、そこを基本に考えて、あとは財源の問題で物品税の問題も若干提起した、しかも率は下げた。だから、そうお怒りにならぬで、一緒に御理解をしていただきたいと思います。
  261. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 梶原さん、あなたはこの二年間は代替的で云々なんだと、だからそれほど目くじらを立てるなとおっしゃるんですが、まさにそのとおりで、これは臨時暫定的なものですから、それだったら消費税と対比すべきじゃなくて、こういう税は導入しないで、皆様方が国民税制改革協議会でそういう新しい税体系をつくったら、それと今現在ある消費税等々と対比して議論すべきではないでしょうか。
  262. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) もう議論の余地はないと思うんです。今度の参議院選挙で、結果として地方区で私の尊敬している自民党の古手の人たちも何人も落ちました。地方区の一対一の選挙で三人しか通らなかった。それはどういうことかというと、やっぱり基本は消費税に対する国民の審判が下った。それを背景にして出した今度の税制改革法案消費税の廃止を中心とした法案ですから、ひとつそこは対比じゃなくて消費税廃止という前提の発議者の意を酌んでいただきたい。それは納得できないでしょうが、その立場だけはよくわかっていただきたいと思います。
  263. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 先ほど谷川さんも議論されましたけれども、我が国は間接民主主義でございますから、一つ一つの争点を国民投票で決めるようなところではございません。ただ、選挙のいろいろな中で消費税問題は出てまいりました。しかし、消費税そのものがそんなに悪者ではなくて、やはり私は手続問題、そしてそれを取り巻く自民党のいろいろな問題が大変マイナスであったというふうに思います。したがって、国民消費税国民投票で決めたのではなくて、国民が決めたのはそれぞれこれから国会で大いにいろんなことを議論していただく人を決めたんですから、消費税選挙で決まった、だからだめ、そういう問題ではこれはないんです。ここで一生懸命議論しなければならない問題なんです。  そこで、次に移ります。  先日、峯山議員は、フランスの付加価値税の考案者であるモーリス・ローレの言葉を用いまして、消費税はだめだとモーリス・ローレも言っている、その批判している五つの項目を挙げました。実は、モーリス・ローレはその前に主文、本文を言っているんです。あなたの言われたのはアドバイスとして挙げた言葉なんです。その本文、主文を言ってください。
  264. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 今手元に資料がございませんので申し上げますが、初めの点につきましては先ほどの谷川さんの質問で出てまいりましたし、後から、全体で五項目ございました。全部記憶はいたしておりませんが、最後の五項目目が、いわゆるEC型の付加価値税の一番の問題点は先ほども説明しましたように、税率が簡単に上げられることだというふうな点が一番最後の問題点であったと私は思います。
  265. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 人の言葉を引用するには、まず本文を言って、それにつけ加えられた言葉を言うべきではありませんか。  本文を申し上げます。  モーリス・ローレさんはこう言われました。日本消費税の導入は日本間接税制の近代化である、とまず言われたんです。よく聞いてください。日本消費税の導入は日本間接税制の近代化であると言われているんです。それは、日本もようやく付加価値税を用いられましたね、この税の考案者としてウエルカムです、と言って、その背後には物品税は時代おくれだと言っているんです。そして、その後に考案者らしく、いわゆる日本消費税について五つのアドバイスを挙げてくれたんです。これは、物事は当然だと思います。考案者たるものが、自分の税を用いてくれて、けなしてだめだと言う人はいません。やはり何といっても、そうかと言ってそれを受け入れ、それからやっぱり考案者らしくアドバイスを与えてくれたんです。それはおわかりですか、峯山さん。
  266. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) その点につきましては、モーリス・ローレ氏は、構造的な矛盾がある。一つは、消費税は消費者が負担するのに所得税と同じ課税、徴税の仕方を行っている。企業の側に立った制度と言わざるを得ない。二点目、免税点が高い。零細企業の保護のためと思われるが、優遇すべきはむしろ低所得者を対象とすべきである。三点目、食料品は健康を維持するための生活必需品であり、非課税にすべきである。文化、教養に必要な新聞は低い税率とした。そのために余り反対はなかったとローレ氏は言っておりました。キャビアは高い税率にしてある。食品に限らず税率には種々の問題が生ずる。自動車も付加価値税率は二五%としたが、最近では生活必需品となっている。四番目、帳簿方式について、これはインボイスにすべきである。税金の計算が複雑になると思うのは錯覚である。コンピューターの導入で簡単にできます。フランスでは中小企業でも問題はない。税を支払うのが消費者であることを明確にするのがインボイス方式であります。五番目、税率アップの懸念については、今峯山さんがおっしゃったとおりです。  以上です。
  267. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 今のは、最後に与えてくださったアドバイスだけ言っているんですよ。そのまず前文に言っていることをあなたは省略して、アドバイスを挙げて、あたかも消費税が悪いというように言われては困ります。私も、これは精密に、きょう質問する以上調べたんです。  そのまず前段、日本消費税の導入は日本間接税制の近代化であると言っているんです、間接 税制の近代化であると。そこで、それからやっぱり考案者として、日本消費税全体を見るとこういうことにこれからも注意していきなさいよといって五つのアドバイスを挙げてくださったことを、今太田議員が言ってくださったんです。  ですから、やはり人のものを引用するためにはまず主文を言って、そしてそれにつけ加えられたことを言うべきなのに、つけ加えられたことをあたかも主文のようにして言われては困ります。これは本当にモーリス・ローレさんに失礼な話だというふうに私は思います。  次に移ります。  サービスに課税しないで、限られたものから高い税、それも合理的理由もなく、今となればめくらめっぽうの感じ、めくらめっぽうに取られたらたまりません。まして、一様に三%がかかっているならばいいんですが、ほかは全部ゼロになって、新税として高い税をめくらめっぽうにかけられたらもう国民はたまりません。  物品税のだめなもう一つの理由、余り皆さんは挙げていないけれども物品税のだめなもう一つの理由は、昔と違って今は同じ物でも安い物から高い物までいっぱいあるんですよ。たくさんの種類があるんですよ。だから、この物をぜいたく品だとして課税する、そういうことはもうできないんです。  物の種類で、もはやぜいたく品かどうかは決められなくなっているんですよ。私は、服だって、それは庶民が着る、うちの女房なんかが着ているような安い三千円とか五千円の服ならこれは課税してもらいたくないけれども笹野先生のような立派な服を着ているとこれは課税したいし、着物だってやっぱり女性、田舎の人がみんな着ます、私らの母親も着物ばっかり着ていましたけれども、そういう安い着物には課税してもらいたくないけれども、百万円もするようなものには絶対してもらいたい。そうすると、着物はどうするんですか、着物は課税するしない、あるいは帯はどうするとか、服はどうするとかという、そういう物の種類で奢侈的であるとか、あるいは課税するとか、そういうことはできないんですよ。  昔はそうじゃなくて、大抵それぞれの範囲で決められていたんですね。同じ物でもそんなに種類はなかったんですよ。だからそれを奢侈的と決められたけれども、今はどの物を見たって、その種類の高さから安さは大変な範囲があるんですね。ですから、そういう物だけでこれを奢侈的だとかどうとかいうことがもう決められない時代なんですよ。それから、家計消費支出の五四%も占めるサービスに課税しないのは不公平きわまりないと思います。二年後決めるとかなんとか言われますけれども、当面課税されないというのならば、それは大変な不公正だというふうに思います。  その点、消費税は、サービスも含め薄く広く課税し、必要に応じて非課税品等を定めることにより公平、公正、そして簡素で国民にわかりやすい、そして税収漏れの少ない税であると思いますが、どうですか。
  268. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 物品税につきましては、ついこの前まで、沓掛委員皆さんも一緒につき合ってこられた仲ですから、それを今もうみそもくそも言われるというのは、私ども聞いてちょっと逆に違和感を少し感じます、本当正直言いまして。物と物との今言われましたような関係については、野末先生も言われましたように、本気でやっぱり中立公平にやれば私はできたことだと考えているんですよ。だから、その点については、言いわけになりますけれども、やはりお互いに反省をしなければいけないと思います。  ただ、ぜいたく品であるかどうか、これは財政学等の本を私も何冊か読んでみました。学者の見解が分かれていまして、むしろぜいたく品としてかけたという当初あるいは昭和十二年の戦費調達ごろの、そういうときからだんだんこの解釈が変わってきておりますよ。大蔵省の解釈も変わってきておりまして、やっぱり担税力という観点に立って大蔵省も物の考え方をしているようだし、学者もそのような考え方をしている人がむしろ多い。ぜいたく品として物品税イコールではなくて、担税力に目をつけてやってきたのであると、解釈はずっと変わってきているようですね。だから、一概に言えないと思いますが、ぜひその点については、順番がありますから、御理解をお願いしたいと思います。
  269. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 担税力と言うけれども、その買う人に担税力があるということですか、その品物がいわゆる担税力のある人でなければ買えないという品物に着目してですか、買う人に着目してですか、どちらでしょうか。
  270. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) もっと勉強しておけばよかったんですが、それはやっぱり物があり、それを買う人がある。それを買ったときに、その物を買える力、能力、だから買う人に担税力があるということであります。
  271. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 買う人に担税力がある。今度はじゃ、お金持ちの人が買えば物品税はかかるけれども、低所得者の人であったらば、その税はかからないんですか。
  272. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 要するに、税金は物にかけていきますから、それはその物に着目をして税金を取るという仕組みですね。しかし、払う人はその物を買った人が税金を払うということになりますからね。
  273. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 それでは、ダイヤの話が先ほど出ましたけれども、ダイヤは恐らく今の税では課税される方になるでしょう。しかし、これはお金持ちの人が買うこともあるけれども、営々として三十年、私も結婚三十年だけれども、三十年かかってやっと指輪一つ買えましたよ。ダイヤは買えませんでした。(「一千万円のね」と呼ぶ者あり)いやいや、本当に安い物を。だけれども、やっぱりダイヤだって一生懸命に勤労して結婚するときは買うんですよ。だから、そういうものを一律に決めてもらっても困るんですよ。  それで、次に行きましょう、余りやっていると次に行けなくなるから。まだちょっと予定の三分の一しか行ってないから。  次に、これは社会党にお聞きしますので、久保議員、できたら答えてください。  「日本社会党の新宣言」、一九八六年四月、何かパンフレットが出ていましたから、その新宣言の「社会主義の展開」の末尾で、「日本社会党は、今日の価値観の多様化は当然の発展と受けとめ「あれか、これか」の価値観のおしつけはしない。」と言っておりますが、これは、この物は奢侈的であれはそうでないなどという、そういう価値観のおしつけはしないということではないんでしょうか。答えてください。(「本文を読みなさい」と呼ぶ者あり)本文全部読んでおったら大変だよ。ここだけ、末尾で。
  274. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今お読みになりましたように、社会党は価値観を押しつけるということはいたしません。
  275. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 とすれば、今担税力があるとかないとか、それは担税力のある人が買うという物は高い物なんですね。一般的に世の言葉で言えばぜいたく品なんですよ。奢侈的と言われる物、そういうものに対してこれは奢侈的だとか、そういうことを押しつけないということじゃないんでしょうか。
  276. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 政治の上で社会党が党の綱領の中でうたいます「価値観」というものと、直ちに今あなたがおっしゃったようなものと同じレベルで考えるべきものではないだろうと思います。しかし、その人にとってこれはどのような価値を有するかというようなことを社会党が一方的に決めるものではなかろうと思っておりますが、物品税についてのお話でございましたら、価値観と担税力というようなものを一緒に考えるということはすべきでないのではないだろうか、こう思っております。
  277. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 では、何に対する価値観なんですか、教えてください。
  278. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 人間に対する価値観でございます。
  279. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 この物品を買うとか買わないとか いうのは人間の経済活動の一部でしょう。だから、人間というのは、ただ存在するんじゃなくてやはり行動する。その経済活動の一部じゃないですか。そう思いませんか。
  280. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) それはそういうふうに考えられないこともないでしょう。ただ、新宣言に言います「価値観」というのは、そのようなものを指して申し上げているのではない、こう思っております。
  281. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 では、政治活動、政治行為についての話でしょうか。
  282. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 政治に関して、また社会的なものを含めてそう言っているのだと思います。
  283. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 では、次に移ります。時間があれですから、私にもう少しいただければあれですが、限界がありますので次に進みます。  直接税、間接税の定義は先ほどのとおりでありますが、それぞれを代表する税を挙げていただきたいと思いますが、先ほど梶原議員からもう直接税については、所得税、法人税、相続税云々と言われました。また、間接税の方についても大体消費税物品税、酒税、揮発油税、有価証券云々とか、電気・ガス税とかいうようなものがあります。これをお聞きしようと思ったけれども、よろしゅうございますね、異議があれば申してください。よろしいですね。  それでは、次に移ります。  応能負担は先ほど来いろいろ議論しましたのでお聞きしましたが、応益負担という言葉がいろいろ出てまいりますけれども応益負担とは何を意味しているのか教えてください。
  284. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 応益負担というのは、個人が国家活動から受ける利益に応じて租税負担が課せられるべきであるというそういうものを示したものでありますが、応能負担原則が国家給付と租税との間に報酬関係を認めずに納税者の経済上の能力を基準とする原則であるのに対し、応益負担原則は国家給付による利益に応じて課税すべきだとする原則を指すものだと考えております。
  285. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 昔の財政学の本を読むと、財政学者が言っておられるのが今の言葉ですね。要するに、財政によって得られた受益に応じて税を負担する、そういう話ですが、実際は、財政による受益が特定して、そして特定な人に課税していくということは現実的には非常に難しい話なんですね。実際経済関係が多岐にわたっております現在、財政の受益も間接的なものも含め社会全体から受ける益とする、そういう考え方が適当だと私は思いますが、いかがでしょうか。
  286. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 大変難しい問題でございますが、担税力に応じて租税負担を課す応能負担原則が公平性の観点から最も重視されるべきことは言うまでもありません。ただ、形式的に応能負担原則だけで考えていくとかえって公平性を欠く結果となる場合もございますので、それを補っていくのが応益負担原則であると考えております。  応益負担原則の例として考えられるのは赤字法人に対する課税などがございますが、応能負担原則を形式的に適用するならば、赤字法人に対する課税は妥当でないことになるのでありますけれども、実質的な公平の観点からは、国家からの多大の利益、公共サービスを享受しながら事業活動を行っているという点に着目して税負担を負わせるべきだということにもなってまいります。このような例を考えてまいりますならば、応能負担原則を中心にしながら応益負担原則を加味していくという意味は十分に考えられるところだろうと思っております。
  287. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 時間の制約もありますので、私なりに申していきたいと思います。  応益負担は、もし私が最初に言ったような、古い学者連中が言っているようなことであるとすると、なかなか適用されるものはほとんどないので、もう少し幅広にやっていくべきだ、いわゆる間接的な受益、社会全体から得られるような受益も含めるべきだというふうに思います。  さてそれでは、応能負担の対象となる税は、また応益負担の対象となる税はですが、応能負担の対象となる税は先ほど来言っております所得税とか法人税とか相続税とかいう直接税的なものですね。それから応益負担の対象となるのは消費税とか物品税とか酒税とか揮発油税とか、そういう間接税的なものですね。それに異議があったら異議を言ってください。そうでなければ次に移ります。よろしいですね。いいですか。
  288. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 地方税の中の法人住民税とか個人住民税とかには均等割等がございまして、これらは応益負担の中で考えられるのかな、こう思います。
  289. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 達観的に言えば、先ほど来申し上げたことだと思います。達観的に見て、直間比率は応能負担による税と応益負担による税の比率と見てそう間違いはないというふうに思います。  そこで、次に、直間比率はどれほどがよいかは、これはわかりません。先ほども議論がありましたが、国民性、経済状態、税への認識などなどによって異なりまして一概に決められませんが、こういう場合に適度な解を与えてくれるものは統計と実験であるというふうに私は自分の体験から思っております。我が国の直間比率を見ると、昭和二十五年国税ベースで直接税は五五%、間接税は四五%。それが昭和六十三年では直接税が七三%、間接税が二七%と直接税が非常にふえてきております。余りにも応能負担が大きくなっているように思います。国民所得格差は世界で最も少なくなっております。勤労者世帯で見ますと五分位表、勤労者所得の低い人から高い人、全部並べて五つに分けます。そして一番低い人と一番高い人の比率を出してみますと、昭和二十六年では五・八倍の約六倍、それが昭和六十三年では二・九倍の三倍、昭和二十六年五・八が、昭和六十三年二・九と著しくその差が縮まっております。直間比率はこれ以上広げるべきではないと思いますが、どうですか。
  290. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 今沓掛さんのおっしゃったように、我が国の直間比率の推移を見ますと、確かにおっしゃるように昭和四十年度六対四、そして五十年度七対三、六十三年度決算で七三%対間接二七%、こういう比率になっております。適正な減税なり不公平税制の是正等の実施がやられてなかったと先ほど峯山委員からも申し上げましたように、そういったことが結果的にはそういう比率変化という形になっておると私ども思っておるわけでございまして、そこら辺は今後どういう姿がいいか、こういった点については、望ましい直間比率とはどうだ、こういう考え方でなくて、直接税を主、間接税を従、こういった中でいかに公平な税制度の実現を結果として引き出してくるか、そういう中で私どもとしては是正を求めていかなければならぬのじゃないか、かように考えておるところでございます。
  291. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 答弁される方、簡潔にお願いします。  次は、平成元年度、今現在平成元年度ですから、それで直間比率をやってみますと、直接税が七二%、間接税が二八%ですが、野党案で平成元年度を試算すると、直接税が七七、間接税が二三になる、これは読売新聞の十一月七日に出ておりますが、さらに直接税偏重となると、この野党案のようにして直接税を偏重することによって得をするのはだれでしょうか。今クロヨンの問題を議論している中で、直接税のウエートを増すことによって得をするのはどなたでしょうか。
  292. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 得をするのはどなたですかということの意味ですが……。
  293. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 損でもいい、損をするのはどなたですか。
  294. 佐藤三吾

    委員以外の議員佐藤三吾君) 僕はやっぱりその前に、サラリーマンの場合には御案内のとおりに、昭和十五年、戦時立法の中で源泉徴収という制度にあって、そこを基準にして考えてまいりますと、執行面を含めてクロヨンという問題も起こってきましょうし、いろいろな問題が起こってき ます。ですから、そこら辺についても私はやっぱりこの際検討すべきときに来ておるのではないかと思うんですが、今度の税制改革特別委員会の中ではそこまでは踏み込んでおりません。  ただ、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、直間比率だけを見て得をするとか損をするとかそういう考え方は持っておりませんものですから、沓掛さんの御質問の趣旨というか意味ですね、そこら辺が郭辺にあるのかちょっとつかみかねておりますので、適切な回答にならぬかと思いますが、よろしくひとつ。
  295. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 直間比率は直ちに何を意味するかはわかりませんが、税全体の姿を見る上において非常に重要なものだというふうに私らは思っております。  そこで、今私が質問したのは、直接税をうんと上げるといわゆるクロヨンの、サラリーマンがうんと税金を取られて、そして間接税であればみんな一緒に取られたんだけれども、個人事業者等は間接税が低くなって税金は取られない、そして所得税の面でもうんと把握が悪いので取られない、だから一番ひどい仕打ちを受けるのはサラリーマンであって、そして個人事業者等は非常に税が少なくなる、そういうことを今聞きたかったんです。  次に移ります。  次に、本会議及び委員会の趣旨説明久保議員は、「直接税を中心とする総合課税税制の根幹に置くことによって、所得と富の社会的再配分機能を向上させるシャウプ税制の理念を正しく生かす」云々と、シャウプ税制の理念を重視されているが、客観的に見てシャウプ税制導入時の直間比率が望ましいということか、お尋ねします。
  296. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 午前中からお答え申し上げておりますように、私どもは直間比率を数量的に定めて、これが正しいとかこれはおかしいとか、そういうことを申し上げているわけではございません。シャウプ税制評価いたしておりますのは、シャウプ税制の持っております税制の理念というものを私どもは正しく評価していくべきだという立場で申し上げているのでございます。
  297. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 ですから、今申しましたように、直間比率が幾らがいいかというのではないけれども、直間比率というのは税全体の姿、例えばいわゆる応能負担応益負担の人たちがどんな関係にあるか、そういうようなことをわからせる一つの指標である。そして、これは幾らかというのはわからなくても、昭和二十五年から十年ぐらいはシャウプ税制の理念が一番生かされた時期である。その時期において見ますと、直接税は大体五五から五四%なんですね。ですから、そのぐらいのところがやっぱりシャウプ税制の理念が一番あらわれていたときであろう。とすれば、そのぐらいの直間比率の方が望ましいと考えているのかどうかという質問なんです。
  298. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 繰り返しになりますけれども、税の姿というものを見てまいります場合に、直間比率に着目する立場だけから見てこれのよしあしを評価するというのもいかがなものかと考えております。直間比率で直の比率が上がったから直接税を負担するサラリーマンの負担が重くなっているという決めつけ方も、これはおかしいと私は思っているのでございます。
  299. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 それは直接税はサラリーマンが一番余計払うわけですから、直接税のウエートがふえるということはサラリーマンに課税が強化されるということなんですよ。それを議論していると次に行けませんので、次に行きます。  次はサービスについてですけれども税制改革基本法案で、間接税は「国及び地方の個別間接税の整理及び合理化を図るとともに、サービス、流通等に対する適正な課税の在り方」とあるが、ここでの「個別間接税の整理及び合理化」とは何か。特に、もう時間がありませんから、このところでは課税ベースの広い間接税を検討対象とするのですか、しないのですか。ノー・オア・イエスだけで簡単に答えてください。
  300. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 二点についてお答えします。  個別間接税相互にある矛盾等を解消し、バランスのとれた課税体系にすることであると理解をしております。  その二といたしまして、その場合に一般的な間接税体系を構築するのかあるいは個別間接税体系のままで相互の調整を行うのかについては、国民税制改革協議会調査審議にゆだねることとしております。現段階では白紙だと言わざるを得ないと思います。
  301. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 ここでサービスについても聞きたいんですが、幾つかまとめて聞きます。  サービスも課税対象とする方向か。恐らく課税対象とする方向だと思います。それから次に、課税対象としようと思っているサービスの種類を一つずつ言ってほしいんですが、じゃこれは笹野さん、一つだけでもいいから言ってください。サービスで課税対象にしようと思っているもの、一つでいいから言ってください。
  302. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 先ほどから随分何度もこの問題をお答えしておりますけれども、これは消費税の廃止によってサービス、流通課税がほとんどなくなることから、それにかわる課税の問題として私たちはこれから大いに検討しようというものです。どのような課税とするかはまさに二年間の論議を経て国民の合意のもとに決定されるべきものと考えておりますが、一つだけ言えということですけれども、例えて言うならば通行税とか入場税、印紙税、有価証券取引税などがあります。あ、一つ、済みません。
  303. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 サービスも物品税のように、たくさんあるサービスの中からごく一部を選んでそれに高い課税をするんですか。その判断基準は何でしょうか。
  304. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 質問は簡単ですが、答弁は難しいですね、今言われることは。  ただ、二年後のことですから、税制協議会税率や何かというのは検討することです。したがって、私どもの精神としては、物品税でもわかりますように、かつて三〇%の物品税を一〇%。一〇、八、六、四と、そういうようにしております。製造段階で八%が最高なんですが、それが消費者に渡るときには消費税よりは少しは高いような率になるだろう。したがって、そういうような考え方に立つべきものではないかと、そのように率については考えております。
  305. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 次に、いろいろなサービスの種類がありますが、先ほど谷川さんがやったので省略しますが、物品税はどのものが奢侈的なのか区別がつかないし、豊かになったので、同一物でも安いものから高いものまでありますね。三万円の子供の勉強机に八%、すなわち二千四百円もの新物品税が課せられ、百万円もする着物や帯は課税されないのでは納得できませんね。勤労者所得間格差も、昭和二十六年では五・八倍あったものが今は二・九倍と締まっており、ほとんどが中流階級となっている我が国において、特定のものを選んで高い課税をする物品税は過去の遺物で適さなくなっていると思うがどうか。  次に、一緒に聞かせてもらいます、時間がないから。物にもサービスにも一様に広く浅く課税することが、公正、公平、簡素で、国民にわかりやすく、徴税漏れが少なく適していると思うが、これゆえに西側諸国で多く使われふえているんだというふうに思いますが、どうですか。簡単に答えてください。
  306. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 後の問題、ちょっとわかりにくかったから、先の問題だけ答えさせていただきます。  机ですが、机及びテーブルについては一個について八万七千円課税最低限が認められておるんですね。それが一つ。それから机については、私どもが提案している内容は、製造段階で八%です。そして卸、小売とこういきますから、そんなに消費税の額を大きく上回るようなことにはならないと思います。
  307. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 次に移ります。  ところで、皆さんこの消費税法案をお持ちだと思いますが、これの消費税廃止法案の附則十条を開いてください。ここは要点だけ括弧を外して読みますと、「事業者は、施行日前に国内において行った課税仕入れにつき、施行日から平成三年三月三十一日までの間において返品をし、又は値引き」「を受けたことにより、当該課税仕入れに係る支払対価の額の全部若しくは一部の返還」「を受けた場合には、同年五月三十一日までに、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を記載した申告書を税務署長に提出しなければならない。」となっております。  同様の趣旨のものが、これは仕入れでございますから、もう一つの方は売り上げについて、また倒産について、それぞれあります。売り上げについては十四条に、それから貸し倒れについては十五条に、いずれも、いわゆる還付申告書を税務署長に提出することとなっておりますが、この税務署長というのはどこの税務署へ行けばいいんですか。
  308. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) ただいま御指摘になりました点は、当然に納税地を所轄する税務署長となります。
  309. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 そういうことはこの法文のどこにも書いてありません。ですから、この法文のままであれば鹿児島へ行ってもいいし、沖縄、どこへ行ってもいいことになっているんです。そういう指定地がございません。この文章のどこを探してみてもこの税務署長に対する指定地がありませんが、それはどういうことですか。
  310. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 廃止法附則で、納付、還付する消費税についても経過措置として消費税廃止前の納税地の規定が働くことになりますから、廃止法附則による納付申告書、還付申告書等の提出先は、国税通則法第二十一条第一項により当然納税地を所轄する税務署長であるから、単にここに税務署長として記述いたしておりましても何ら差し支えないものと考えております。あえて必要が生ずる場合は、廃止法附則第十九条において政令に委任してございますので、施行令で手当てをすればよいものでございます。  確かに読みづらいというようなことがあるかもしれませんけれども、これらの点はこのような記述でもって何ら問題を生ずるものではないと考えております。
  311. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 それであれば、ここにちゃんと、政令で定める何々というふうにあって政令に委任しなければなりません。そういうふうに委任も何もなくて突然そういうところへいくものでありません。答えてください。
  312. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 御指摘でございますが、廃止法附則第十九条において政令に委任をいたしております。
  313. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 もう少しわかりやすいように、このところにちゃんと政令で委任するとかそういうことを書いてもらわにゃいけませんね。国民がこれを読んだら本当にわかりにくいですよ。私もこれで三十年飯を食べてきた人間ですけれどもね。まあひとつよく検討してみましょう。  そこで、代替財源の次は実施期間について聞いていきたいと思います。  代替財源は二年間のみのものだから問題があるけれども国民に我慢してほしいということだというのが先ほど来、その辺筋がすっきりしないんだけれども、言われております。代替財源案は二年間のみの暫定措置とは、法律上時限立法にはなっておりません。法律上それが担保されているか。二年間のみだということはもちろん法律上担保されていないわけですが、そこで次に質問していきたいと思います。  国民税制改革協議会意見がまとまらなければ、代替財源関係法はそのまま恒久税制になるようになっているのではないか。自民党でも現行消費税をまとめるのに、大平、鈴木、中曽根、竹下と四内閣、十年余かかったわけでございますが、二年間でそういう大問題が先ほど来の背番号制も含めてできるのか、その辺のまずどうかだけを答えてください。
  314. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 確かにおっしゃるようなこともあるかもしれませんが、いずれにしましても、この基本法の中で考え方といたしまして二年間の暫定措置というふうにいたしております。しかし、財源法の残りの五本につきましては、確かにおっしゃるとおりこれは法律の中では永久法の形をとっておりますので、税制改革協議会において、先ほどから何回か申し上げましたが、国民税制改革協議会の中でいろんな議論が行われるわけでございますから、例えば一年で結論が出るものもあると思います。また、それはもう結論が出たものから順次法律化していくなりそれなりの措置をすれば私はいいと思うんですが、それ以外にも、二年で結論の出ないものもあるかもしれません。そういうような場合にはそれなりの、例えば中には結論は出たけれども実際の措置をするのにもう少しかかるとかいうこともあるかもわかりません。  ここらのところはあくまでも予想でございまして、私ども考え方といたしましては、ぜひこの基本法の中でうたわれております考え方に沿いまして、今までの税制改革のいろんな議論もあるわけですから、そういうようなものを十分踏まえまして、できるだけ二年以内に結論を出していただきたい。そしてこの二年間というのは、今までのいろんな議論を見てみますと大体適当な期間ではないのかなと、こういうように考えているわけであります。
  315. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 とても二年間でできるものとは思いませんけれども、しかし税というのは国民から強制的に財及びサービスを調達するものでありますから、そのときそのときにおいてこの代替財源案、仮に二年間としても、合理的かつ合目的な税制でなければなりません。  そこで、先日の鎌田議員の質問に答えて久保議員は、代替財源税制改革と一体ではないが税の継続性を十分頭に入れて検討した、さらに代替財源の中には二年後に恒久財源として取り入れられるものもあるということだが、それは一体どれを頭に置いているんですか。今の時点であなたの考えているものを言ってください。特に物品税はどうなるんですか。そのことを答えてください。
  316. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 例えば暫定的な代替財源でございましても、税制改革原則や方針と明らかに食い違う、逆行するものをやるべきではない、こういうことを考えながら私ども代替財源に資する法案を準備してまいりましたという考え方を申し上げたのでございます。そして、これらは二年間の税制改革の論議の中にいずれも付せられていく問題であろうと考えております。したがって、その中でそのまま新しい再改革の内容として生かされていくものもあるだろうということを申し上げたのでございます。
  317. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 自分考えとしてこういうものは移してもいいなというものがあればこそこういう発言をするんで、そういうことが一つもないのにこういう発言をすべきではないと思います。  物品税はどうなのですか。それに限ってだけでも言ってください。
  318. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 物品税の問題につきましては、先ほどから私どもの方から、この国民税制改革協議会での物品税間接税としてどのようにそのあり方を考えていくかということについてのお答えは再三申し上げております。
  319. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 その辺が非常に不明確なんですが、次に行きたいと思います。  いつになるか保証はないが国民税制改革協議会税制案ができたとすれば、それが今の自民党のつくりました、我々のやった消費税と比較考量すべきものだというふうに思っております。  そこで、もし野党の言うとおりにすれば、平成元年、ことし現行の消費税が導入されました。そして来年、平成二年、同消費税を廃止し、代替財源にかかわる税制を導入する。そして、それから二年でまた国民税制改革協議会決定税制が決められそれを導入するといたしますと、三年のうちに三回も税制改革を受けることになるんですよ。そのための費用と国民の消費するエネルギーは膨大 なものとなり、迷惑どころか我慢の限界を超えると思うが、どうですか。そういう国民の迷惑は少しも考えませんか。
  320. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) お言葉でございますが、消費税皆さんも手続に反省すべき点があるとおっしゃる、議会制民主主義上極めて大きな問題を残しながら強行されたというその出発点を問題にしなければいけないと思うのであります。スポーツで言いますならば、明らかにフライングを犯している者をもう一遍スタートにつけ直すというところから消費税の問題を考え直すべきだということを私どもは主張しているのでございまして、ただいまの御意見は私どもとしてはなかなか理解をすることができません。
  321. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 それは皆さん方審議拒否されたからでしょう。何回も会議を開こうとして大変な努力をしたのだけれども皆さん審議拒否審議拒否、そして最終の採決でも長時間にわたったああいう行為があったんでしょう。だから一方だけが悪いということじゃ決してないんで、皆様方も責任のその半分はとるべきなんですよ。それを相手の責めだけを追及するようではいけませんよ、そういうことでは。  そこで、国民が大変負担を受けるわけですが、この間の答弁の中で、それは損金で落とさせるからそれほど負担ではないんだということを言われていましたが、今もそういう考えでしょうか、答えてください。
  322. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 今最後におっしゃった点はそのとおりであります。  いずれにしましても、これは反省すべき点ということを先ほど初めおっしゃいましたので、そこら辺のところはやっぱりきちっとやっていただかないと、皆さん方のことも考えて、私ども国民の信頼を今どう取り戻すかということが大事でございまして、そこら辺のところをやっぱりじっくり皆さんと話し合いをして、そして参議院のあり方あるいは税制改革のあり方、そういうことをやっぱりきちっとやっていかないとこれはうまくいかない。  そういうふうな意味で、今審議拒否とおっしゃっていますが、私ども審議拒否はいたしておりません。参議院でも順調に審議をいたしましたし、衆議院とは多少違った審議をやったと思っております。  そういうような意味では、本当にこれからの参議院として、いわゆる税制改革の進め方、あり方、これは国民皆さん方に十分おわかりいただけるように、例えば発議者の反省すべき点という点先ほどおっしゃっていますから、そこら辺のところを具体的にどうするかということがやっぱり第一の問題でございまして、質問の最後の点の損金の問題につきましては、私どもは今でも消費税導入のときに使ったその制度をできるだけ今回の場合も使わしていただきたいと、そういうふうに考えております。
  323. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 国民消費税を導入するために一説によれば三千数百億円ぐらいのコストがかかったと言われております。またこれを今直す、そしてまた二年後に直す、これはもう大変なことになります。損金で落とすから云々と言われますけれども、とんでもないことです。  まず、大体日本の企業の半分は赤字でございますから、損金で落としても何の効果もありません。また、税額控除であれば言われるとおりかもしれませんが、単なる経費として見るだけですから。私が十億円の投資をしたとします。そうすれば、投資をしなかった場合は総利益として残っていて、五億円は税金で取られますが五億は残るわけですね。そしてその使った五億はみんなに対してコストとして値段を上げていく、そういうことになるわけだし、またもう一つ国民経済的に見れば、私のところは十億使い、使わなければ五億残り五億を国庫へ納めるわけですから、国民経済的に見れば税と残ったもの十億、それが丸々使えるわけなんですね。そういう無用な資源配分に使われてはたまらないということなんですね。わかりますか。そういうことですから。導入は一度だけですよ。導入は一度だけ。それは直さにゃいかぬ。  次に移りますが、これからひとつ聞きたいんですが、野党の言われておる税収見積もりの是正とは何を言っておられるんですか。それを教えてください。
  324. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) この問題につきましては何回か答弁をいたしておりますが、自然増収と見ていただいていいのではないかと思っております。
  325. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 それについては後に議論しますが、その前にもう一つどうしても聞いておきたいところがあるんで、まず平成二年度代替財源案の収入見込み額は幾らと見積もっておられますか。何度も要求したのですが、私のところへ出てきたのは、けさも出てきたのはいわゆる平年度ベースで一兆七千億円未収入になる、足りない、消費税に比べて一兆七千億円足りないということを言われているんですが、平成二年度代替財源案の収入見込み額は幾らになるんでしょうか。
  326. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) この問題につきましては何回かお答えをいたしております。  まず、私どもは昭和六十三年決算、これを基準に算定をいたしております。これはもう委員御存じのとおり、六十三年決算が五十兆八千二百六十五億であります。それから大体五年間のいわゆる伸び率等も勘案をいたしまして、平均の伸び率は九・五%、最低七・九%となっております。
  327. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 今聞いていることと違うでしょう。
  328. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) わかりました。それで答えます。  それで、現在元年度の予算が五十一兆百億ですから、現在既に六十三年度決算を基本にいたしまして、八%の伸びで我々は計算いたしまして、少なくとも平成元年度には五十四兆八千九百二十五億の税収を見込んでおります。そこで、これからの平成二年度、三年度となるわけでありますが、もし制度改正なしでこのままいきますと平成二年度には五十九兆二千八百四十億、平成三年度には六十四兆二百六十八億と、こういうふうに見込んでおります。  そこで、平成元年度に私どもはこの税制改正を提案しているわけでございますので、そこら辺の調整をいたしております。調整をいたしまして、平成二年度のいわゆる税収を正確に申し上げますが
  329. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 トータルだけで結構です。
  330. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) トータルで申し上げます。五十七兆五千七百七十億と見込んでおります。  以上です。
  331. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 そういうことを聞いているんじゃなくて、平成二年度代替財源案の収入は幾らになるかと言っているんです。この本会議が始まったときに久保議員が言われたのは、一兆四千億不足する、五兆九千四百億に比べて一兆四千億不足すると言っていたのが、それを一兆七千億になるという訂正をなさいましたね。それと同じベースで一体どれだけ不足するのか、五兆九千四百億に比べて平成二年度は幾ら不足するのかを聞いているんですよ。あなたはさっきから何度も答えたと言うけれども、このことは一度も答えていませんよ。ほかのところの質問が頭にあって、そしてそれを何度も答えたと言われては迷惑千万ですよ。きちっと答えてください。
  332. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) この問題は多少食い違いがあるのは残念でありますけれども、私どもは四会派といたしまして代替財源案法案の提案に当たりまして、この制度改正によりまして平年度概算で幾らになるか、まずこういう計算をしたわけであります。それが平年度でどのくらいの増収になるか、これを示したわけであります。こういう方法といいますのは、もともと政府が制度改正をやりますときに大体やる方法と同じ手法であります。  しかしながら、政府においても同機でありますけれども初年度云々という話につきましてはこ れは当然であります。この問題につきましては、初年度においては平年度より税収が減るのはこれはもう御存じのとおり、それぞれ、法人税にいたしましても、これは大体法人税法の今回の改正によりまして、御存じのとおりあの法律で決められているわけでございますから、四月にスタートして三月に決算をしたと。その分がいわゆる初年度の収入になるわけでございまして、したがいましてそれ以後のいわゆる五月に始まる決算の分とかそれぞれはこれは初年度の決算に入りません。したがいましてそういうふうな意味では、これは消費税の元年度の税収という問題におきましても、やはり一兆円以上のいわゆる次年度繰越分というのは出ているわけでございます。例えばですね……
  333. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 いや、そこを聞いているんじゃない、あなた方のだけ教えてください。
  334. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) だから、政府も例えば消費税の導入の場合には、去年の暮れには五兆四千億という金額がございまして、ことしになりまして五兆九千四百億になりました。それで、ことしになりまして今度は一兆三千億、この五兆九千四百億から一兆三千億カットした分が、一兆三千億が平成二年度の予算に、予算というより収入に繰り越されています。
  335. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 だから、消費税の話はいいですよ。
  336. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) いや、予算区分で政府でもそういうふうになっているわけでございます。したがいまして、私どもの分につきましては少なくとも、例えば地方税で申し上げますと、電気税とかガス税、こういうようなものも十二分の十になるとか、あるいは娯楽施設利用税とか料理飲食税とかたばこ税、こういうようなものが十二分の十一になるとか、こういうようなのはそれぞれあるわけです。
  337. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 あるのはいいですから、トータルだけ教えてください。
  338. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) こういうふうなものにつきまして、ですから私どもは、初年度のいわゆる税収が政府としてどのくらい見込めるかということを算定いたしまして、その五十七兆五千七百七十億の中で、いわゆるこれは、これから先は私どもはいわゆる政府が持っておりますところの政府固有の責任であります財政運営、予算編成権、そういうようなものを侵そうなんて全く考えていないわけです。だから私どもは、したがいまして平年度分だけを出して、そしていわゆるこの平成二年度のトータルの税収は、我々としては五十七兆五千七百七十億ぐらいであろうと。だから予算編成の問題としてこの問題を処理していただきたい、そういうふうに私ども考えているわけであります。
  339. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 税収全体のことを聞いているんじゃないですよ。あなた方も、平年度で幾らと言うんなら、初年度が幾らになるか計算すべきでしょう。まずそれだったら、あなたが言うけれども、この法人税法等の一部を改正する法律で、この附則の第二条ではっきり書いてある。「第一条の規定による改正後の法人税法規定は、法人のこの法律施行の日以後に開始する事業年度所得に対する法人税」ですから、来年の四月一日以降に開始する事業年度のものしか適用にならない。だから、今開始する事業年度は全部ならないわけです。今開始して来年の十一月に決算するようなのはならない。したがって再来年の三月に決算するものだけでしょう。  だから、法人税だけ見ても、皆さん方は一兆三千八百億か、約一兆四千億ほど平年度と見ているんだけれども、少なくも半分は入ってきませんよ。七千億は入ってきませんよ。そうすれば、今度はいわゆる地方税はね返り分があるでしょう。そういうものは全然入ってきませんね。例えば法人住民税とかそういうものは全然入ってきませんでしょう。その二つ考えただけでも一兆超えますよ。だからあなた方、暫定期間は二年なんですよ。ずっとあるんならいざ知らず、二年。その平年度というと何を言うんですか。最後の二年度目だけを平年度と言うんですか。初年度考えないんですか。たった二年しかないものを二年だけ言っている、そういうことがありますか。二年先よりも来年の方がずっと大切でしょう。それが幾らかちゃんとはっきりしてください。
  340. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 委員のおっしゃる法人税法改正の問題とか、そういうことはもう十分承知なんです。そこら辺のところは当然先ほども申し上げましたが、四月から始まっていわゆる三月の決算の分しか入らないと。そうですね。だからそこの……
  341. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 そうですよ、三月だけですよ。
  342. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) そうそう。しかしながら、そこら辺の中身につきましては私どもも十分検討をいたしておりますし、例えばもうことしの第一・四半期とか第二・四半期、終わりに近づいているわけです。法人税の中身とかそういうようなものを精査しないといけませんね。そういうふうになってまいりますと、どういうふうに精査するかということについては、資料等につきましても私は大蔵省と随分やり合いました、初年度ですから、来年度は。そういうふうな意味では、そういうふうな法人税の伸びとかあるいは物価とか、いろんな問題が法人の決算にはかかってまいります。そういうふうな計算の根拠となる資料もいただきたいし、我々としては現実の問題としてどうなるかということは計算をいたしております。  しかしながら、それよりも私ども初年度の単純な計算については、これは大蔵省もそういうふうにしておるということです。したがって私どもはいわゆる初年度の予算の上でトータルで税収がどのくらい見込めるかと、それは私どももいろんな角度から計算をさしていただきました。したがって私どもが例えば所得税でどのくらい減るか、法人税でどうなるか、その一つ一つについてはまだこれは、精査はいたしておりますが、そういうふうなものと勘案をいたしまして、普通ならば五十九兆となるところを税収全体で考えまして大体五十七兆円台でいけるんじゃないか、この程度が見込めるという計算をいろんな角度からさしていただいたわけであります。  したがいまして、この五十七兆でいわゆる平成二年度の予算全体を編成していただくと。したがいまして、我々には予算編成権とかそういうようなもの全体がないわけですから、五十兆という予算の中のいわゆる五兆何千億という金額についての対案を考えているわけでございますから、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  343. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 代替財源のわずかなものが算定できなくて、国全体の収入が幾ら幾らとどうして議論できるんですか。このわずかなものがどうして計算できないんですか。あなたは盛んに勉強してきたと言われましたね。勉強したのならもう目の子だってできるじゃないですか。前のちゃんと一兆七千億の不足のやつからこれをずっと見てみれば目の子だってできますよ。ちゃんともうできて算定して知っておられるんでしょう。そういう数字を言えないから言わないんでしょう。答弁してください。ちゃんと答えてください。きちっとした数字を言ってください。
  344. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 大変お怒りのようでございますけれども、これはこのような制度改正を御提案申し上げます場合には、政府も平年度の計算をお示しになるのでございます。昨年も十二月までは消費税五兆四千億という試算をお示しになっておりましたが、その後五兆九千四百億に変わり、そして初年度は四兆円台になってまいりました。そういう計算というのは、制度改正が決まりますとそれに基づいて財政当局が精査の上計算をし、それに基づいて予算編成が行われる、そして歳入歳出全体の調整を図りながら財政計画が立てられるものでございまして、制度改正を提案する側として、平年度の試算を明確にお出しすればよいのではないかと思っております。ただ、初年度においては経過措置等がございますから、当然減収を生ずることはあります。
  345. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 それは政府がつくるときは、平年 度を出して、皆さん方が、じゃ初年度は幾らになるかと要求をなされば、政府はちゃんと出しますよ。私は何回も要求している。きのうの質問要旨をとりに来られた方にも文書に書いてちゃんと渡してある。我が党も、最初から井上筆頭理事がちゃんと渡している。だけれども、一向に出てこないんですよ。そんな難しい計算じゃないでしょう。それをあなた、国全体の財政の収入、税収の中でどうだどうだなんて、あなたそんな議論をする資格がありますか。  あなた方、この中だけでもちゃんともうわかっているでしょう、こんな計算ぐらい。こんな計算をするぐらいあなた極めて簡単でしょう。法人税だって、来年の四月から十一月、再来年の二月までの決算はないんで、再来年の三月に決算する分だけが法人税としてここに入ってくるんですよ。平年度に直せばそれは四月から全部入ってきますけれども。だから、その再来年の三月の決算分だけしか来年は入ってこないでしょう。そうしたら幾らになるか、そんなことはあなた、ここに出ておれば目の子だってできるじゃないですか。ましていわんや、それがはっきりすればいわゆる地方税の国税のはね返り分はないでしょう。それだけ計算をするだけでも一兆円超えるじゃないですか、それぐらいはちゃんとして答えてください。
  346. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) これは算術的に計算してそれで出せばいいという問題ではないと私は思っているわけです。初年度の予算でございますから、非常に大事な問題であります。したがいまして、これはただ単に先生がおっしゃるように法律に書いてあるとおりに計算してすっと出せばいいという問題ではない。  なぜかといいますと、やはりこれからの税財政の重要な問題でございますし、例えば法人税一つにいたしましても、初年度の来年度の法人税収がどうなるかということについては詳細精査をする必要がある、そういうような意味でやはりただ単にこれを計算すればいいという問題ではないと僕は思っております。  先ほども久保議員の方からもお話しございましたが、私どもは初め五兆四千億といういわゆる消費税の平年度の税収というものを聞いておったわけです。それがその後、大蔵省の方から五兆九千四百億ということになりまして、これは平年度である。それじゃ、それをもとに私ども代替財源案考えようと、こういうことになったわけです。そして、この五兆九千四百億でございますが、政府の方といたしましても、初年度は四兆六千四百億になる。そして、一兆三千億はいわゆる次年度分の収入になる。そういうような意味で計算をいたしますと、私どももこれと同じような考え方でいるわけでございまして、したがって、この問題については初年度云々という話が出てくるのは当然ではありますけれども、私どもは現在の立場といたしまして、憲法問題を持ち出すまでもなく、いわゆる財政運営に対する責任というのはもともと政府にあるわけですから、そういうふうな意味では消費税廃止に伴う制度改正というのは国民の声でもありますから、そういうような意味代替財源の確保というのは政府の責任でもあるわけです。そういうふうな意味で私どもは……
  347. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 いいから、ちゃんと数字を言われるのか言われないのかだけ答えてください。
  348. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) ですから、私ども考え方を申し上げているわけであります。  したがって、この問題は最終的にはこれから六十三年度の決算剰余金の使途だとか、あるいは平成元年度の税収増に伴うこれからの補正予算のあり方だとか、あるいはこれからの平成二年度の税収等も含めた予算編成のあり方、そういうものを含めて十分議論すべきである、こういうふうに考えているわけであります。
  349. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 初年度どれぐらい欠損になるのか、これは非常にこれから私が自然増収に関係して重要な質問をやる最重要なテーゼですから、それがきちっとできるまで私は質問を続けることはできません。
  350. 井上吉夫

    ○理事(井上吉夫君) 速記をとめて。    〔午後四時十五分速記中止〕    〔午後四時二十八分速記開始〕
  351. 井上吉夫

    ○理事(井上吉夫君) 速記を起こして。
  352. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 今の問題は関連が何問もありますが、それは保留して次の質問に移らしていただきます。  まず、一九八八年二月の社会党で改正されました規約について、先ほど同僚宮澤議員の質問で久保議員は凍結中と答えられましたが、いつ凍結されたんですか。規約の改正は全国大会出席代議員の三分の二以上の賛成を得なければならないとなっておりますが、その後見直しとか何かが少しは書いてあるようですが、今もこの規約は脈々として生きていると思いますが、いかがですか。
  353. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 日本社会党の規約を御心配いただきまして、ありがとうございます。    〔理事井上吉夫君退席、委員長着席〕 これは新宣言を決定いたしました大会において、規約との整合性を詰めなければなりませんので、規約検討委員会を設置してございます。そして、この検討委員会において検討すべき箇所を明確にいたしておりまして、その意味でこれは規約改正を検討する課題として明示していることにおいて凍結と申し上げたのでございます。これは私、当時中央執行委員でございまして、直接かかわっておりましたので間違いございません。
  354. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 私も初めてでしたが社会党の規約並びに新宣言を熟読玩味させていただいたんですが、そこで非常に気にかかるところがあったので、それについてお答えいただきたい。  日本社会党の新宣言、「社会主義の展開」の項でありますが、ここで「日本社会党は、国有化だけがただちに社会主義とは考えない。」と言っておりますが、これはその規約で言っている社会主義革命の達成には国有化はもとより必要だが、そのほかにもいろいろ必要なものがあるよということですか。社会党が政権をとれば国有化を推進するということですね。西側諸国で国有化を推進している国はないと思いますが、東側諸国ではそれが常識なのか教えていただきたい。
  355. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 消費税とどういう関係でお答えしたらいいか、大変迷っておりますけれども。  社会党は、社会党が政権を担当することになりましても、直ちに国有化を具体的に図っていくという考えはございません。そのことを今お読みになりました新宣言の中に書いているわけでございます。今日、社会党の社会新報の社説もお読みいただいたかと思いますが、今の東欧の民主化の動きに対しても党としての評価を明確にお示しいたしておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  356. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 ただ、素直に日本語としてこれを読めば、そういうふうにはとれないと思いますよ。社会主義革命の達成には「日本社会党は、国有化だけがただちに社会主義とは考えない。」ということですから、国有化を是認しているわけでしょう。国有化だけでは十分じゃないよと、これは日本語である限りそういうふうに読むのは当然じゃありませんか。とすれば、いわゆる国有化も進めていく。そうすれば今のNTTなりJRをまた逆に戻そうということですか。その辺をはっきり言ってください。
  357. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 国や地方公共団体が責任を持ってやるべき分野は今でもたくさんあると思います。しかし、社会党が政雄を担当することになりましても、現在の民営で行われている部分を国有化する考えはない、そういうことを申し上げているのでございます。
  358. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 そういうことならば、この新宣言もここは日本人にわかりやすいように是正してもらわなきゃならないと思いますよ。このままでは、国語の解釈としてはそういうふうには読めませんよ。
  359. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私どもはそれで十分御理解をいただけると思って書いておりまして、社会党は大会において全会一致をもってその ことを理解しているのでございます。沓掛さんにも、熟読玩味いただいたそうでございますから、ぜひ御理解をいただきたいものだと思っております。
  360. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 次のエネルギー関係に少し入らしていただきます。三十分は、あした十分このやつをやりたいと思います。  まず、電気、ガスに新たに課税した理由は何ですか。電気、ガスにはなぜ新しく課税したんですか。一言でいいですから答えてください。
  361. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) 電気・ガス税の復活の理由のお尋ねでございますが、電気税はこのたび税率を三%としまして、しかも一カ月の電気料金が三千円以下の家庭には免税点を設けてあります。そのため、約半数、四三%の家庭は電気税がゼロとなり、中低所得者世帯には負担がかからないようにしております。すなわち、消費税の三%と同率にしながら、しかも前の免税点を復活しているということでございます。  また、ガス税については税率を二%といたしました。一カ月のガスの使用量が一万二千円以下の家庭には免税点を設けております。免税点を設けているために、約九五%の世帯はガス税がかからないようになっております。  いずれにしましても、電気税及びガス税は生活にかかわる税でございますし、本来は廃止の方向で検討すべきものと考えております。しかし、電気またはガスの使用者を納税者とするものであって、税源の所在状況は普遍的であり、かつその税収は安定的であります。電気またはガスの消費量と消費者の所得との間には相関関係が見られるので、担税力に応じたものであると考えております。  そのように、電気税においては四三%の家庭が、あるいはガス税においては九五%の世帯が税がかからないようにいたしております。
  362. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 十一月の八日、十日の趣旨説明久保議員は、食料品等の消費者の選択の余地の少ない生活必需品への課税について、極めて遺憾であるとの趣旨の発言を行っておりますが、その食料品等の等の中に電気、ガスは入っているんですか、入っていないんですか。
  363. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) 私ども考えを申し上げますと、電気、ガスは日常生活に欠かせないエネルギーであり、広い意味では生活必需品の範囲に入ると考えております。したがって、等の中に電気、ガスは入ると考えております。先ほど申し上げましたように、生活にかかわる税でございますのでそれぞれ免税点を設けておりまして、中低所得世帯に負担がかからないように配慮をいたしております。
  364. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 生活必需品であるということですが、そういうことであれば、食料品等と同じようなやっぱり扱いをこれからやっていかにゃいかぬのだなというふうに思います。  そこで、皆さん方はどうも電気、ガスに対する、エネルギーに対する認識が少し希薄というか、軽易じゃないかというふう佐思いますので、それについて質問をいたします。  そこでまず、社会党は一九七二年以来原発に反対をしておりますが、それまでは賛成しておりましたが一九七二年に原発反対に変わりました。それはどうしてなんですか。なぜそういう反対に変わったのですか。それを言ってください。
  365. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) どうも先生とこんな関係で質疑をするとは思いませんでしたが、まず社会党が一九七二年以降原発に反対している理由を申し上げますと、原子力技術を平和利用、主として原子力発電に使おうという機運が生じたのは一九五〇年代の初めでございます。そのため、原子力基本法を社会党を含めた超党派で議員立法として制定いたしました。このときの趣旨は自主開発を基本としていました。しかし、その後原子力発電を急ぐ余り政府は軽水炉の導入を次々と決定、そのため一九七〇年前後から運転経験が乏しいため金属の腐食による事故、故障が相次ぎ、国民に大きな不安を与えました。したがって社会党は、一九七一年の十二月に「当面する原子力発電に関する見解と政策」を取りまとめました。  内容は、一、安全性研究の充実。一、汚染防止基準の大幅な強化。一、放射能汚染監視体制の確立。一、廃棄物処理対策の確立。一、原子力委員会の強化。一、公開資料センターの設置など、まさに現在実施に移されている諸施策を先取りしたものであります。そして一九七二年、党大会で原子力発電の反対姿勢を明らかにしたわけであります。  その後、原子力船「むつ」の放射能漏えいが起きるなど、我が党が指摘した原子力行政体制の不備、責任の所在の不明確さなどを露呈しました。我が党はこうした姿勢により、何回にも及ぶ軽水炉の安全審査指針の見直し、行政責任体制の明確化、建設計画の審査制度の改善、そして通産省は環境審査顧問会、科学技術庁は公開資料室の設置などにより、原発の安全のため政府の原子力政策にも大きな貢献をしてきましたが、こうしたことにより、政府も電力会社の原発の安全性に対する対応や放射能の管理も慎重さが増し、これが事故、故障を減少させる結果となっております。しかし、原発に伴う放射能廃棄物の処理、廃炉問題等さまざまな課題が残されているところは御承知のとおりと思います。
  366. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 そこで、エネ庁長官に来ていただいておりますが、一言でいいですから、今後の電力関係の需給の見通しについて、特に原子力による発電量のシェアなどについて一言で済みませんが答えていただきたいんですが。
  367. 山本雅司

    政府委員(山本雅司君) 事実に関しましてお答え申し上げます。  最近のエネルギー需要、特に電力需要は非常に伸びておりまして、一九八七年が六%、八八年度、昨年度が五・四%で、今年度の上期は六・三%と大変大きな伸びになっております。特に、今後、エネルギーの中でも電力というのは大変使いやすいエネルギーでございまして、将来とも一般のエネルギー需要以上に伸びることが予測されております。その中で、原子力発電の割合は八八年度では全発電量の中で二六・六%でございましたが、これが現在の電気事業審議会の需給部会の報告では、二〇〇〇年に全発電量の四〇%にすべきであるという数字が出ております。
  368. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 今のように、昨年我が国の発電電力量の二七%が原子力によるものであり、二〇〇○年には原子力の発電量のシェアが四〇%になるということでありますが、さてそういうふうに我が国で大変重要性を帯びている原子力発電を社会党さんの言うように廃止した、そうしたらあとのエネルギーはどういうふうにして確保するんでしょうか、それをお答え願います。
  369. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) 社会党は、原子力発電のすべてを廃止することを主張しているわけではございません。土井提言でも明らかにいたしましたように、稼働中の原発については、現在のエネルギー源として一定の比率を占めていることを認識し、将来は原発に依存しない電源の構成を目指しつつ、当面は電源構成の多様化を追求いたしておるところでございます。  具体的には、新しい原発や放射能廃棄物処理施設の建設を認めません。そしてまた、安全性の厳しいチェック、原子力基本法の厳格な適用などを行うことといたしております。国民の不安感というものをどう取り除くか、どう危険性の中からこれを守るかということが大きな課題かと存じます。
  370. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 ではお尋ねしたいんですが、今あるものはそのまま存続してもいいと。今議員は安全性が非常に問題だということで社会党がこれに反対しているんだというお話ですが、大体原子力発電の寿命というのは三十年余あるわけですけれども、今あるものはまだ三十年近く使うわけですが、そういうものがよくてそれから後のものが悪いという、そのけじめのつけ方というのはどういうところにあるんでしょうか。
  371. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) 現在稼働中のものを直ちに電源の構成の多様化に切りかえるとい うことの一つの困難性もございますし、電力の必要性もあるわけでございます。  しかし、委員も御承知のとおり、例えば国内における原子力発電所の事故について、先ほど原子力発電所運転管理というので社団法人の火力原子力発電技術協会に事故発生回数を照会いたしましたところ、約四百七十八の事故並びに故障が報告をされているような実情でございますから、今後とも安全性が確実にこれが保障され、そして廃棄物処理というものの安全な処置ができるまでは新しいものはつくらない方がいい、こういう考え方で臨んでおります。  ただし、これは四党で党によってそれぞれ幾らか考えが違いますから、今は社会党の考え方を申し上げました。
  372. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 時間がないのでひとつ私なりに締めくくらせてもらいたいと思うんですが、原発に対してはこれから我が国、特に先進国においては将来における開発途上国のエネルギーの非常な需要、そういうものを見込んだ場合に、やはり英国やフランス、そういうところは積極的に原子力発電をやっておるわけでございまして、科学技術水準の高い我が国においても安全性に十分配意しながらそういうものをやっていかなければならないと思いますし、安全性がどうであるかは私なりに随分勉強いたしました。  そこで、一言だけ聞きたいんだけれども皆さん方ちょっと勘違いしていることが一つあるんじゃないかと思うんだけれども、いわゆる原子爆弾に使う燃料と原子力発電所に使うウランの燃料と同じ内容だと思っておられるんじゃないですか。それが違うということがわかっておられる人、一言答えてください。――そうですか、それじゃいいや。  ともかく、原発で使っているウランというのは、いわゆる自然のウランの中には燃えるウランが〇・七%、ウラン235が〇・七%しかないんですよ。それで、それを三%に濃縮して原子力発電所で使っているんです。したがって、燃えるウランが三%しか入っていない原料は、どんなことをやったってそれは破裂するとかするようなものではありません。原爆というのは九九・何%に濃縮されたものです。大体爆発するには七〇%以上の濃度がなければだめなんです。ですから、たった三%の原発のウラン235はたたいたって燃やしたって何したってびくともしないんですよ。  それから、もう一つ言っておきます。いわゆる日本で使っている、さっき軽水型と言われましたけれども、いわゆる軽水減速冷却型の原子炉です。これは自己制御が働いているんですよ。もし熱くなってくると、そうすると今度は反応が減っていくようになるんです。それは軽水で中性子を減速いたしますから。そして核分裂に入るんですけれども、そこへは水が温かくなると中性子の速度が減速されないものですから、かえってこの核分裂が減って下がっていくんです。チェルノブイリの場合はその逆だったんですね。そういういろんなことをやってみました。  そういうところで、私は自信を持ってこの原子力発電所の安全性をきょうは議論したいと思ったんだけれども、時間がないので、ここでそのことを申し上げで終わりたいと思います。
  373. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 九案に対する本日の質疑はこの程度といたします。  次回の委員会は明二十八日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十九分散会