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1989-11-17 第116回国会 参議院 税制問題等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月十七日(金曜日)    午後一時二十五分開会     ─────────────    委員の異動  十一月十六日     辞任         補欠選任      伊江 朝雄君     斎藤 文夫君      前島英三郎君     藤田 雄山君      竹村 泰子君     山口 哲夫君  十一月十七日     辞任         補欠選任      渕上 貞雄君     渡辺 四郎君      細谷 昭雄君     山田 健一君      横溝 克己君     野末 陳平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中村 太郎君     理 事                 井上 吉夫君                 沓掛 哲男君                 宮澤  弘君                 村上 正邦君                 稲村 稔夫君                 及川 一夫君                 本岡 昭次君                 矢原 秀男君                 近藤 忠孝君                 古川太三郎君                 寺崎 昭久君     委 員                 小野 清子君                 大木  浩君                 梶原  清君                 鎌田 要人君                 北  修二君                 久世 公堯君                 佐々木 満君                 斎藤 文夫君                 谷川 寛三君                 松浦  功君                 松浦 孝治君                 守住 有信君                 山岡 賢次君                 吉川 芳男君                 穐山  篤君                 上野 雄文君                 大渕 絹子君                 粕谷 照美君                 前畑 幸子君                 村田 誠醇君                 安恒 良一君                 山口 哲夫君                 山田 健一君                 渡辺 四郎君                 及川 順郎君                 刈田 貞子君                 和田 教美君                 橋本  敦君                 高井 和伸君                 三治 重信君                 平野  清君                 野末 陳平君    委員以外の議員        発  議  者  久保  亘君        発  議  者  佐藤 三吾君        発  議  者  梶原 敬義君        発  議  者  小川 仁一君        発  議  者  峯山 昭範君        発  議  者  太田 淳夫君        発  議  者  笹野 貞子君        発  議  者  勝木 健司君    国務大臣        大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君    政府委員        大蔵大臣官房審        議官       石坂 匡身君        大蔵省主計局次        長        寺村 信行君        大蔵省主税局長  尾崎  護君    事務局側        常任委員会専門        員        竹村  晟君        常任委員会専門        員        保家 茂彰君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○消費税法廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○消費譲与税法廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○地方交付税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○税制改革基本法案久保亘君外七名発議) ○法人税法等の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○通行税法案久保亘君外七名発議) ○物品税法案久保亘君外七名発議) ○入場税法案久保亘君外七名発議) ○地方税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議)     ─────────────
  2. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を開会いたします。  速記をとめてください。    〔速記中止
  3. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 速記を起こしてください。  消費税法廃止する法律案消費譲与税法廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 高井和伸

    高井和伸君 私は、連合参議院代表いたしまして、消費税廃止関連法案法案につきまして質問さしていただきます。  新米議員でございますので、皆様方の御指導よろしきを得て任を終えたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  私は、今度の選挙におきまして消費税廃止、これを大きな選挙公約として戦って当選してまいりました。また、二大政党時代を迎えよう、連合政権を目指そうということも強く訴えまして出てきました。そういった立場から、この消費税廃止法案に私は賛成者といたしまして名を連ねさしていただいております。  その前に、私の所属しております連合参議院、ここにおきまして当選しました十一名のうち十名は全県一人区で当選してまいりました。少なくとも連合参議院立場から申しますと、十の県では消費税廃止、これが世論である、そのように考えております。このため私の質問は、そうした私、新人の高井がこの選挙で感じました国民皆様立場、目、そういったものから御質問さしていただきたい、そして、新米議員として、この審議、こういったものにつきましても意見を述べさしていただきたい、質問した上でまた発議者方々議論もしたい、このように考えております。  まず、これまでのこの国会における審議を通じて感じました、公約という問題につきましていろ いろの場面で叫ばれております、公約違反ではない、いや公約違反だ、このようなことでございますけれども、私は間違いのないように、議員といたしまして直接見聞きしました国会における自民党方々の御発言を検討さしていただきました。まず海部総理代表質問に対する回答がございました。それから大鷹議員趣旨説明に対する御質問、そして本委員会におきます伊江議員質問の中で、公約違反につきまして触れられているところがございました。  私は、自民党方々公約違反でないと言われるようにも感じておりましたんですが、私が感じています公約というものは、実はこれは、選挙の際に候補者選挙民に対して、私はこういう政策をやるんだ、そう約束することが公約だと考えておりました。ところが、直接的な動機でございますけれども大鷹議員が本会議で申された内容が、「今回の消費税は、昭和六十二年四月二十三日、原衆議院議長あっせん、すなわち「直間比率見直し等今後できるだけ早期にこれを実現できるよう各党協調し、最大限の努力をはらうこと。」との裁定を、共産党を除く与野党幹事長書記長が了承し、これを受けて我が党が消費税導入を決定し、政府提案し、制定されたものであって」、次がポイントでございます。「野党の言う公約違反のそしりを招くものでは決してありません」とこのように言っておられます。  それで、このせりふはどうも聞いたことがあるということで議事録を調べましたら、海部総理の本会議におきます代表質問答弁の中にございました。それを読みますと、「私は、売上税法案廃案となったとき、衆議院議長あっせんが行われ、改めて直間比率見直し必要性与野党の間で話し合われました。そしてその後、二十五回を数える地方公聴会等を含んで半年以上にわたる精力的な審議を経て、昨年、税制改革についての答申が取りまとめられたところでありますから、先般の税制改革はこのような長期的、精力的な検討を踏まえたものだと御理解をいただきたいのであります。」このように書いてありました。  そしてまた、伊江議員が本委員会で御発言なさった部分、これは私のメモによるのでございますが、余り公約違反のところだけ読み上げますと不公平になりますので、そのところの前後を読みますとこのようになっておりました。  伊江議員がおっしゃっておられたことは、国際的展望のもと導入された消費税を高く評価する。消費税廃止するかしないかの幅の狭い議論をすべきではない。一方老齢化社会が来る。他方世界は大きく変わっている。税制もそうだ。消費税は四十七カ国で採用されているし、廃止をされていない。日本でも定着している。高齢化社会にはもはや個別の税金では対応できないほどの時代に来ているんだ。それなのに野党用済み物品税を復活し、時代おくれのことをやっている。参議院で幅広い政策論議を求めているのに、次がポイントでございます。野党公約違反を唱え、そんな立場から政府税制を非難していること、これは野党党利党略としか言いようがない、このようにおっしゃっておられます。  そうしますと、まず議論する前に、公約というものはどういう概念なのか。先ほど私申しましたけれども発議者の方はどのように考えておられるのか、一応念のためにお尋ねします。
  5. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 高井委員にお答えいたします。  高井さんも、今お話がございましたように、今度の参議院通常選挙において、消費税廃止を初め、公約をなさって有権者審判をお受けになって御当選になられたわけでございます。  議会制民主主義におきましては国民がみずからの代表を選ぶ重要な厳粛な手続が選挙であろうかと思っておりまして、その審判基準となります選挙における公約というのは大変重いものだと考えております。公約というのは、選挙の際、政治家国民の間に交わされる公の約束と考えたらよいのではないだろうかと思っておりまして、政治家に求められる第一の要件は、国民に対して誠実に公約を守るということであろうと考えております。  私も、高井さんと同じく今回の選挙におきまして公約を申し上げて再選されました。私が今日皆さんと一緒にこうして消費税廃止関連法案を提案し、提案者として今発議者の席で御答弁を申し上げておりますのも、とりもなおさず選挙有権者にお約束を申し上げました公約を誠実に履行するという議会制民主主義基本に立つものだと考えております。
  6. 高井和伸

    高井和伸君 私は、自民党のおっしゃられます公約違反のそしりを受ける覚えはないということにつきまして、やはり公約違反であるけれども、それは議長裁定に沿った大型間接税である消費税導入だから問題ないんだ、このようにこの委員会の問答で理解してきたわけでございます。自民党がまさか公約という言葉につきまして誤解されるわけはないと思うんですが、私の頭の中の公約概念と今発議者のおっしゃられました公約概念は一致しておりました。  念のために、私も間違えてはいけませんので「政治」という本を調べました。これは辻清明編の岩波小辞典、「公約」という項にはこのように書いてございました。「選挙にさいして、候補者が、自己の政策について公共の場でおこなう約束選挙人はこれを投票の選択基準にすることができる。現在のような政党政治のもとでは、立候補者個人公約というよりは、その所属する政党公約といった性格が強い。しかし実際には、公約選挙後に破棄される場合が多い。」、このようなことが書いてありました。まさに的確な表現があったと。  私は、自民党方々のおっしゃる公約違反のそしりを招かないという言葉の裏に、実は公約違反であるけれども議長裁定によってそれはある意味ではプラス・マイナス・ゼロになったんだ、このような理解をせざるを得ないというふうに考えるわけでございます。  なぜ私がこのように公約というものにこだわるかといいますと、やはり議会民主制というものはこの公約一つ基準になって政治が動いていくんだろう。公約をめぐって国民議会が直結している。その公約が守られないということは、実はそのたがが外れてしまう、おけならばばらばらになってしまう、そのような危惧を抱くからでございます。それで念のために、こういった公約違反議論に決着をつけるために、今まで自民党方々は、実は公約違反だけれども議長裁定を受け入れてそれに乗ってやったことだからそれは公約違反ではない、公約違反だけれども公約違反と言われなくても済むんだ、こういう言われ方だと思うんです。そうしますと、自民党方々のおっしゃるのは、原議長議長裁定に従ってやったことだということでございます。  何度も繰り返すようで申しわけないんですが、発議者の御認識は、この議長裁定に従ってそのまま消費税導入されたという御認識なのかどうか、その点本会議において久保議員答弁されておられますけれども、その点について一度伺っておきたいと思います。
  7. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 先日来、議長裁定のことについて何回かお答えを申し上げました。私は、先ほど申し上げましたように、選挙公約というのは議会制民主主義にとってこれは大変重いものだと考えておりまして、議長裁定によって選挙公約が消えるなどとは全く考えられないことだと思っております。  とりわけ、売上税廃案を前提にいたしました当時の原衆議院議長あっせんは、これは直間比率見直しに触れておりますが、このことは大型間接税意味しているものではないと思うのでございます。なぜならば、大型間接税である売上税廃案にするための議長裁定であったのでございまして、その議長裁定大型間接税をそこに意図するはずはないと思うからでありますし、私どもはそのような理解に立っておりますからこそ消費税に反対し、その廃止を強く求めているわけでございます。どうぞ、そういう意味でこの議長裁定選挙公約の上に置かれることはないということと同時に、議長裁定そのもの大型間接税を含むあっせんではない、こういうことを御理解いただきたいと思います。  なお、公約の重大な変更、つまり重大な政策変更公約変更を行う場合には、当然に選挙によって民意を問い直すということが最も重要なことであろうと思っております。  なお、この際御参考までにつけ加えておきたいと思いますが、議長裁定をお出しになりました原健三郎当時の議長さんは、選挙区において、「「国民がノーと言っているのだから、自民党の方から廃止法案を出したらどうか」とブチ上げている。」、これはけさの新聞に書かれてございます。このことも、議長裁定を考えてまいります場合に、その内容理解する上で御参考になるのではないかと思いまして申し上げました。
  8. 高井和伸

    高井和伸君 次に私は、消費税というものが国民生活にとって非常に重い負担にもなる、さらに政治という場面におきまして大型なこういう税制を改正するということは非常に大きなテーマである、このように考えているわけです。政治は、簡単に言えば、税金の問題が非常に大きな部分を占めるんだろう、このように理解するわけです。  私の選挙区であります岐阜県には江戸時代百姓一揆が二つございました。天領であります飛騨の方では大原騒動、それから郡上藩、これは美濃の方でございますが、郡上藩でも郡上騒動というのがございました。いずれもこれは実は年貢米の値上げというんですか、増税政策でございました。郡上騒動の方は今までの定額制出来高制にする、さらに飛騨の方の大原騒動は今までの田んぼの検地をもう一度やり直して新田を課税対象にしよう、こういう増収対策だったわけです。それに対しまして、農民は非常に命がけで決起しまして傘のような連判状を書きまして、だれが首謀者かわからないような連判状を書いた上で抵抗し、結末は死罪、獄門ということで農民側の勝利にもなったというようなことでございます。  要するに、政治場面における税金、これは非常に大きいテーマで、これこそ公約の最大のテーマだろう、これが私の考えているところなのでございます。この点につきまして、伊江議員がこの委員会におかれまして、自由民主党の過半数割れはこれは消費税のせいではないんだ、このようなことをこの場でおっしゃっておられました。私は、この税制改正というものの地位、これは政治場面では非常に大きい部分、最も中心的なテーマだろう、このように考えるわけでございますが、発議者の御認識を伺いたいと思います。
  9. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) お答えいたします。  今、高井さんの方からお話がございましたように、税の基本といいますのは、国民信頼と合意、これが必要であることはもう当然であります。くしくも今、税と政治かかわりについていろいろとお話しになりましたが、御存じのとおり、税と政治の関係については、これはもう日本だけではなしに、世界じゅうでこういう問題についてたくさんの文献があります。御存じのとおり、例えばフランス革命、これは一七八九年でございますが、ちょうど二百年になります。このフランス革命も、その発端は税の騒動であると私も聞いておりますし、またアメリカの独立戦争も、御存じのとおり、ボストン茶会事件というような事件をきっかけにいたしまして、税といわゆる政治かかわり独立戦争が始まったと言われておりますように、私は大変税政治というのはその基幹をなすものではないか、議会制始まりもそこにある、こういうふうに聞いております。  したがいまして、先ほどからいろいろとお話しございましたように、今私ども国民信頼を失った税制あるいは国民信頼を失った政治、それをどうして取り戻すかということが大変大事な問題でございまして、そういうような意味では、今私ども国民信頼を回復するために、国民皆さん方公約をいたしましたその公約をまず守る、実行する、実践する、そういうふうな意味で私どもは今回の九つの法案を出しているわけでございまして、そういうような意味で、私ども政治と税のかかわりというものは本当に大変に大事なものである、こういうふうに認識をいたしております。
  10. 高井和伸

    高井和伸君 ただいまの御認識、私と一致しておりまして、私も政治を目指した者といたしまして、こういった国民の利害にかかわり、しかも非常に政治的なテーマの大きいものが公約というものを通さずに導入されたことを極めて遺憾に感じておるわけです。  今の発議者の御答弁によりまして思い出す言葉がございます。代表なければ課税なし、これはたしかボストン事件でもあったと思いますけれども、これこそ議会制民主主義原理というべきか、公理というような地位にあるだろうと思うんです。ここにおける代表者、これはもちろんこういった政治テーマとして大きい税制について、我々は消費税導入するよと、こう言って選挙洗礼を受けた代表者が初めて消費税導入する資格がある、それを宣言しているのがこの代表なければ課税なし、そのように感ずるわけでございます。  国民皆さんはこの消費税を払わされている立場でございまして、自分たちが払う上では、自分たち代表者が決めたことだからこれは払わなきゃいけない。しかも、選挙のときにちゃんと私は消費税導入することはいいことだということで賛成したんだから払いましょうと。たとえ反対派であっても、多数がそう思ったんならそれはしようがないだろう、このように考えてこういう消費税を受け入れるだろうと考えるわけです。  今回の消費税導入、これはこの代表なければ課税なし、これの原理違反であると。これは公約違反という言葉の上に、こういう民主政治基本原理にも反した重大な事実である、日本政治において大きな汚点であると、このように考えておるわけでございます。この点につきまして、この代表なければ課税なし、こういった議会民主政治公理が今回の消費税導入に当たって正しく機能していたかどうか、念のために発議者にお伺いします。
  11. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) おっしゃるとおりでございますが、ここで一つだけ、実は大蔵省の先輩でございまして、大蔵省皆さん方がしょっちゅう引用される本、泉美之松さんという方の本をいつも引用される方がいらっしゃいますが、その本の中にこういうことを書いております。租税の立法に関して国民代表者賛同を求めることが今日の議会政治始まりである、こういうふうに書いておりまして、要するに国民代表者賛同を求めること、いわゆる租税というのは国民賛同なくしてはと、そういうふうに解釈しても私はいいんじゃないかと思います。  おっしゃるとおり、公約を守るということ、そして選挙の結果をまじめにそれを実行するということ、それが私は租税国民信頼を得るためのまず第一歩である、こういうふうに考えております。
  12. 高井和伸

    高井和伸君 今度の消費税廃止関連法案が仮に参議院で通過するとしましょう。そうしますと衆議院に送られます。世上、衆議院に来れば、衆議院自民党が多数だからそれは否決するだけだよ、いらっしゃい、このような声が聞こえてもまいります。しかしながら、国民の目から見ますと、この七月の参議院議員選挙で示されたように、消費税廃止であるというのが私は多数意見であり、その多数意見を反映した参議院議員であると思うのでございますけれども衆議院、これは消費税について洗礼を受けてない方々、これは三百議席通常言われますが、衆参同日選挙で獲得されました三百議席がでんと座っている。しかし、この三百議席を含む衆議院の構成というものは、今までの中で皆さん方議論してきました公約という問題、代表なければ課税なしという原理、こういった問題からすれば、到底審議する資格のない衆議院議員で構成されていると私は考えるわけでございます。  ここで私は、この半年、参議院選挙前から今日まで、ある意味では衆議院中心で動いてきましたけれども、しかも消費税中心で動いてきましたけれども日本政治はある意味ではストップしているのじゃなかろうか。なぜかといいますと、衆議院優先の議案、これはよく通りました。例えば、海部総理が、首班指名におかれまして衆参が不一致であったけれども憲法規定によりまして選ばれました。しかし通常どもの考えているのは、やはり総理というものは総選挙衆議院選挙でございますが、衆議院選挙が行われた後に内閣が総辞職するという憲法上の規定がございます。だからこそ衆議院に優先的にそういった首班指名における規定があるわけでございます。  今回の参議院選挙の結果、衆議院選挙でございませんけれども、少なくとも参議院議員におかれましては土井たか子氏を首班指名した。ある意味では海部首班指名は不信任であった。この段階で私は解散しなきゃいかぬのじゃないか。先ほど言った消費税法案が大きな政治的テーマになっている、それは当たり前のことで、これはだれでもがわかっていることでございます。そういった場面において衆議院が依然三百議席のまま継続すること、これは私は日本議会制民主主義にとって非常に不幸なことである。憲法規定に違反しなければいいというものではない。政治的ルールが貫徹されないことには民主政治の基礎を失う、国民信頼を失うというふうに考えるわけでございます。  そこで、発議者に端的に伺いますけれども発議者立場から言えば、衆議院の解散は現今の政治状況のもとにおいていつ解散されるべきであるということが政治のルールであるか、どのような認識なのか。これは消費税法案審議の我々としては看過できない事実でございます。お伺いいたします。
  13. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 一国の総理選挙における公約というのは、私はもう大変重大な重みがある、こういうふうに思っております。そういうふうな意味では、あの六十一年の衆参同時選挙で中曽根さんが国民皆さん方大型間接税導入しないとたびたびお約束をされて得た三百議席、その三百議席をもとに先般お約束を破って消費税導入したわけであります。そういうふうな面では今おっしゃるとおりであります。したがいまして、先般の参議院選挙におきまして、御存じのとおり公約違反消費税をどうするかということで、私どもは、消費税廃止してもらいたい、撤廃してもらいたいと国民皆さん方にお約束をし、その誓いをしたわけであります。自民党皆さん方は、この点につきましては見直しという御意見が大部分の御意見でございました。  したがいまして、選挙が終わりましてから、私どもは今一生懸命努力をいたしまして九つの法案をつくり、現在この委員会におきまして御審議をいただいているわけでございます。したがいまして私は、当委員会におきましてこの九つの法案審議をされる、そして可決されるということが次のいろいろな闘いにおいて大きなインパクトを与えることはもう間違いない、こういうふうに思っております。そういうような意味におきまして、この次の衆議院選挙はいつ行われるかこれは私もわかりません。わかりませんが、いずれにしましても、この消費税廃止するか、あるいは消費税を存続させるかという大きなテーマのもとに次の衆議院選挙が行われることはほぼ間違いないのではないか、こういうふうに思っております。
  14. 高井和伸

    高井和伸君 今の御答弁によりますと、次の選挙では私の期待する議会制民主主義原理が貫徹されそうだということを非常にうれしく思っております。  続きまして、私先ほどから申しているとおり、今度の選挙を通じまして、国民方々の目というものを非常に意識するようになりました。そういったことから、せんだっての本会議におきます消費税廃止関連法案趣旨説明に対する自由民主党の大鷹議員質問の中で非常に気になる言葉がございました。これは、最後に率直な感想を述べたいとおっしゃいます大鷹議員が述べられたことでございますけれども野党消費税廃止のスローガンによって国民のだれしもが潜在的に持つ、次が重要でございます。反税意識に訴えて選挙を戦ってきた、このような言葉が聞こえてきます。これは私は非常にショックでございました。これは反税意識が強いということ、ゆえに国民野党に票を入れた、このようなことになるような感じのせりふでございます。  しかし、私ども国民の納税感情からこういった言葉を聞くときに、怒り心頭に発するだろう、このように感ずるわけでございます。私は、だれもが税金を一生懸命積極的に納めようという気があるかないかといえば、どちらかといえば消極的に感ずるわけでございます。まあ分相応に徴税されるならいいだろう、そして、同じお金をもうける人が同額の税金を払うならいいだろう、公正公平に行われるならまあ払おうじゃないか、こういう意識だろうと思うのです。  現に、この税制特別委員会委員であられます自由民主党の谷川議員さんは実は大蔵省の御出身でございまして、税の徴税につきまして非常にあちらこちらで御苦労なさっておられる。そういったことがその著書の中の「清如蘭」という本でございますが、谷川議員、当時の関東信越国税局長さんのころの本でございますけれども、それを見ますと、やはり非常に納税意識というものを意識されまして、例えばこういう部分がございます。関東信越国税局旬報というところに、昭和四十年に載せておられますけれども、自主申告納税というものはいい制度である、そういう中で、ある家へ行ったら、そこの家の家訓のようなものにこういうことが書いてあった。「国恩に報い、家業を勉強し、国税、雑税等滞納すべからず」、こういう言葉で述べられていることに非常に感動しておられました。いろんな面で個人が社会的な自分の地位に目覚めて納税意欲をかき立てる、これは我々としては喜ぶべきことじゃないか、このようなことをおっしゃっておられるわけです。  私は、この文章を引用するまでもなく、国民にとって納税意識を高めるというためには、公約違反消費税はやっぱりまずいだろう、そして代表なければ課税なしという、消費税では困るだろう、このように考えるわけです。  そこでお尋ねしますけれども発議者におかれまして、この大鷹議員の、国民だれしもが潜在的に、と言っておられますけれども、潜在的に持つ反税意識に訴えて選挙で勝ってきたんだという、こういう発言についてどのようにお考えなんでしょうか、御認識を伺いたいと思います。
  15. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 私ども参議院選挙与野党が逆転した結果を自民党は謙虚にまた厳粛に受けとめるべきであるというふうに考えておるものでございまして、十分な手順と手続を踏むことなく消費税導入を含む税制改革を強行した自民党に対し、国民はノーの判断を下したわけでありますから、そこで私ども消費税の欠陥を指摘して、そしてまたその導入による矛盾と混乱を指摘して、消費税を撤回しろ、そして国民合意の税制改革をやり直しましょうというふうに選挙のとき訴えてきた結果でございまして、大鷹議員野党は反税意識に訴えて選挙を戦ったという御認識でありますが、これとは全く無縁のものでございまして、認識不足ではないかというふうに思っております。
  16. 高井和伸

    高井和伸君 今発議者の御答弁にもありましたように、手続も納税意識ということからすれば非常に重要であるという御認識、私もまた谷川議員も一致なさるのじゃないか、このように考えております。  今度の消費税、これ自身を見ますと、納税意識ということからしますと、国民は初体験したのじゃないかという事項がございます。自分の納めた消費税が国庫に入らないんじゃないかというおそれのある制度、この制度で簡易課税の問題だとか免税点の問題だとか限界控除の問題だとか、納期までの間の税金相当額の運用だとか、いろんな面で、税金がある意味ではストレートに国庫に入 らないということがあるということは初体験だろう。そういった問題が、納税意欲というんですか、納税意識に与える影響は非常に大きいんじゃないかな、そのように考えるわけです。納税する意識、これがなくなった国家はもう滅亡だろう、このように感ずるわけでございます。税の仕組みも公正公平でなけりゃいけない、このように考えるわけでございますが、今度の現に動いている消費税のこういった簡易課税制度、免税点などの制度、こういったものが納税意欲にどのように影響を与えるのか、そこらのことにつきまして発議者の御見解を伺いたいと思います。
  17. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 簡易課税制度など事業者に配慮されました措置の見直しは見送られるというふうに聞いておりますが、消費税導入のために事業者の反発に配慮した措置を納税義務が一巡しないうちに見直すといたしましたら、それはもう無責任そのものでありまして、納税意識にも重大な影響があるものというふうに私どもは考えております。  また、売上税廃案から消費税導入までの経過、内容の変化を踏まえてみますと、結局のところ消費税見直しは小手先の対処策以外の何物でもなく、見直し内容が具体化すればするほど、消費税の欠陥をなくするには消費税廃止するしかないという結論に行き着くはずだ、行き着かざるを得ないんじゃないかというふうに思っております。
  18. 高井和伸

    高井和伸君 関連質問を同僚議員古川太三郎議員がいたしますので、よろしくお願いいたします。
  19. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 関連質疑を許します。古川太三郎君。
  20. 古川太三郎

    古川太三郎君 関連質問をします。  私、不思議に思うのですが、昔から政府というのは税収について、その目のつけどころは同じだな、こう思うんです。  二千年前の話で恐縮でございますけれども、ローマ帝国初代の皇帝も消費税をつくっていた。税率は一%でございますけれども、非常に軽いんですが、今の日本消費税と同じく、食料品は無論のこと、やはり生活必需品まですべてに課税されていたということであります。当然、市民の不満は募る一方でございます。そこで、ローマ政府は国家財政の窮迫を訴えて市民をなだめる。今、日本の大蔵大臣が深刻な顔をして財政の窮迫を訴えておられますけれども、二千年前のローマ皇帝とどこか似ているような気がしてならないのでございます。ところが、そのうち消費税だけでは間に合わなくなってくる。そこで相続税に目をつける。またそれが足りなくなる。税率をアップする。このようなことをローマ帝国は繰り返したのでございます。あれほど強大な勢力を誇ったローマ帝国も、「ローマ帝国衰亡史」を書いたギボン氏によれば、税金による仮借なき収奪によって滅んでいったということが言われております。まさに歴史を学ぶということではないでしょうか。  そこで政府は、納税者をただ単に租税を徴収する客体、あるいは納税義務を負う受動的な租税負担者としてしかいわば見ていないようでございます。また、そう扱おうとしかしておりません。そのため、財政支出の膨張に応じ、取りやすいところから取る、それも重税感を感じない方法で取る、そういう方針でございます。  間接税はまさに直接税と異なり、一般に税の痛さを伴わないため、安易に歳入をふやすことができる一種の麻薬のような税金であると言われております。このような点から政府は今、消費税見直し一つとして、外税をつり銭である小銭の面倒さ、そういうのを理由に、また痛税感を緩和する意味で、内税に統一しようとしております。  租税というのは、もともとこれを納める納税者にとって決して楽なものではなく、痛いものであります。痛いからこそ、国民は税の取り方や使い方に関心を払い、政府の行動に対する民主的なチェックを行う機能が高まってくるのであります。デモクラシーを基調として運営される国や地方自治体という共同社会の共通経費を、その構成員である国民や住民が、みずからその政治に参加するという意味において、それぞれの負担能力に応じて自主的に正しく負担するという本来の姿が税の姿であり、痛みが直接わかる税金である直接税こそ公正であり実質的な平等を確保することができるのだと思います。安易ないわゆる直間比率の是正を主張することは、直接税中心主義から間接税に重点を移行することになり、間接税を合理化しようとする発想にほかならず、税の理念、税の哲学としては著しく後退すると言わなければなりません。  そればかりか、実際問題として、重圧感を除去する税制、そういったものを求め、安易に間接税に重点的移行を図ることは危険ですらあります。税の根本はあくまで公平公正であり、形式的平等というものではないということを重ねて申し上げたいと思います。  今導入されている消費税は一律三%です。広く薄い負担とか重圧感を除去する税制とか安定的な税体系の構築とか言っておりますけれども言葉を返せば、状況に応じて税率をアップしながら対応するという、まさに増収装置の導入であったことは明らかであります。  今、政府は盛んに高齢化社会に備えてと言いますけれども、それは二十一世紀の問題であります。二十年後のことであります。御承知のように、国の予算は単年度予算であります。今私たちが毎日払っている消費税は、政府が貯金しておくのなら話は別でございますけれども、これはすぐ使ってしまうわけですから、来るべき高齢化社会のものではないのでございます。高齢化社会に備えての税の増収装置としてのその制度の設定であったと言わざるを得ません。したがって、今消費税導入の緊急性は全くなかったというべきであります。  消費税がそのまま定着したら、実際二十一世紀になったらどうなりますか。とても三%で済むものではございません。政府・自民党は、その目的をいずれ来る老齢化社会で社会福祉費の増大に備えるためと強調しております。しかし、八〇年度からの自民党の予算編成の重点的政策を見るならば、社会保障の充実強化が五位以内であったのは八〇年度だけで、八八年度は五位以内にすら入っておりません。私が恐れるのは、こんな安易な形での税収は必ず放漫財政を許すことになるということであります。ローマ帝国と同じように、税率の操作だけで時代に対応していこうとするならば、日本は遠からずローマ帝国と同じ運命に陥ると言わざるを得ません。  そこで、消費税導入に当たって政府・自民党は、二十一世紀の高齢化社会を展望し、それに耐え得る福祉財源の安定的確保ということを言っておりますけれども、肝心の福祉ビジョンなるものが明らかにされておりません。あわせて、消費税は現在三%であっても、将来的に国民の意思に反し簡単に上げられるのではないかという不安もあります。そのことがまた税制そのものに対する国民の大きな不信ではないでしょうか。提案者の御意見を伺うものであります。
  21. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) お答えいたします。  古川委員の二千年に及ぶ税制の歴史からお話を賜りました。まさしく委員お話をお聞きしていまして、その高邁な哲学に感心させていただいたわけでございます。  仰せのとおり、昨年の三月十日、そして十月二十五日と、政府は野党の要求によりまして、「二十一世紀初頭における高齢化状況等及び社会保障の給付と負担の展望」とか、あるいは「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」、こういうものをこの国会に提出いたしました。私たちもいろいろとこの委員会税制の論議のために参考とさせていただきまして、これを研究いたしました。しかし、いずれも高齢化社会の構想については何ら政策展望を示しておりません。現状からのただ機械的な積み上げの試算の姿しか出されておりませんでした。年金あるいは保険についても我々の要望にこたえたもので はないということがはっきりいたしました。  先ほど先生からお話がありましたように、確かに高齢化社会がやってまいります。しかし、そのピークは三十年先でございます。私たち二年間と申し上げましたが、五年、十年ぐらいかけて今ここで真剣に三十年先のピークを迎えることをお互いに論議し合わなければならないじゃないか、こう思います。急いで消費税導入する必要はなかったんじゃないか、こう思うわけでございます。  それから消費税の税率の問題等もございました。今フランスでも、付加価値税の税率はこれ以上上げてもらっては困ります、何とか付加価値税の税率を下げてむしろ所得税を上げてもらいたいという、そういう市民の方がふえているのが現状でございます。政府の、現在のままの三%の消費税の姿ではとても高齢化社会の対応はできません。あのデンマークをごらんになってもおわかりのように、二%で導入された消費税があっという間に二二%になっております。これは先ほど先生が御心配されましたように、どうしても付加価値税は税率のアップが、今自民党の政府の方は我々の内閣の時代には税率はアップしませんよと言っておりますが、内閣がかわれば税率がアップされないという保証は何もありません。必ずこれは五%、大蔵省売上税のときに五%を主張していたわけでございますから、必ず四%、五%ということになってくると思います。  そこで、私たちは、税制再改革におきまして、やはり先生がおっしゃっておりますように、それにかわり得るものは何か、そういうことでいろいろと勉強させていただきまして、税の公平の確保を最大の理念として掲げております。その実現のために総合課税を大原則といたしまして、その総合課税が可能なのは直接税だけであります。間接税はそのような応能負担を実現することはできないわけでございますから、私たちは公平な税制を目指すために、直接税があくまで中心となって間接税がこれを補完するような制度を何としても国民皆さん方と一緒につくっていきたい、こう考えているわけでございます。
  22. 古川太三郎

    古川太三郎君 よくわかります。  次に、私はさきの本会議での代表質問におきまして、消費税廃止は無論のこと、まず不公平税制の是正が肝心であると申し述べました。消費税導入によって現在ある不公平税制の是正が置き去りにされてしまう、そういうことに多くの国民の怒りを感じるということを申し上げました。  法人税においては、例えば外国税額控除制度とか、法人間の配当益金不算入制度あるいは税務会計制度の自由化の乱用と引当金の過大な設定、そういったものを許していること、先日も新聞に大きく出ましたけれども、海外ではタックスヘイブンの乱用による税逃れが寛大な取り扱いを受けている、また公益法人課税がルーズなことなど是正すべき重大な欠陥が今税制には多く残っております。  これら不公平税制を何ら是正することなく、法人税の税率を下げたりするものだからこそ消費税というものが出てきたのではないでしょうか。むしろ、アメリカ・レーガン政権では、法人税の税率も下げましたけれども、五年間にわたって法人税を上げることによって国民の個人所得税の課税所得を下げた、税率を下げたということになっております。日本はまさにその反対であります。そういう不公平な税制を是正すること、それが根本だと、その課税ベースが抜け穴だらけになっていながら税収が十分に賄えない、それを消費税で穴埋めするということだから、これは国民を愚弄するものだと言わざるを得ないのであります。  私は、これら不公平税制を是正するだけでかなりの増収を得ることができ、消費税導入は全く必要なかったと思うのであります。それどころか法人税も個人の所得税もその税率さえ下げることが可能だと思うのであります。  マル優制度にしてもそうであります。すべて一律二〇%で押し通している。汗水垂らして貯金しても、その利息からは二〇%取られる。逆に巨額な利子所得があっても二〇%で逃げられる。これを平等と言っていますけれども、到底公平ではございません。こういう不公平を是正することこそ今一番求められていることなんです。これを国民は望んでいるんです。  その不公平の一つとして、法人間の受取配当金についてお尋ねしたいと思います。  今、保有株式総数の七五%は銀行、保険、証券等の金融法人その他の事業法人であります。その受取配当金は実に巨額なものであります。ところが、それが法人税の課税対象外になっているのです。これは配当を払う企業が税金を払っているのだから二度も課税する必要がないというのが理屈でございますけれども、その配当益金不算入を決めているのは終戦直後であります。そのころの日本を思えば、企業にしてもまだ体力はございません。しかし、現在はどうですか。今日、一大企業が風邪を引けば肺炎になるという地方自治体がかなりたくさんある、こういう現実でございます。今日の大企業は大きな力を持っております。企業は、それぞれ独立の存在でありますから、法人所得の中から配当金を支払った企業で法人税を払っているからといって、受け取った企業が税金を払わないでよいということは言えないでしょう。もしそれが言えるとするならば、個人所得の中から贈与をした人が既に所得税を払っているからといって、贈与を受けた人が贈与税としての税金を払わなくてもよいという理屈になります。また、相続税についても、親が一生懸命稼いだ、その稼いだ金には所得税が入っている、相続するときに相続税をまた取られる、これは二重課税にならないのかと、こう聞きたいのであります。  そのように、受け取った企業まで税金を払わなくてもいいという理屈はもはや成り立たない。私は、少なくとも不特定多数の人から市場を通じて自己資金の調達可能な法人には、この時代おくれの二重課税の理屈は撤廃すべきであると思います。今それだけで二千億円もの増収があるのです。こうした制度面や執行面での不公平を是正すれば、消費税導入しなくても税収は十分に確保できるのであります。  私は、この二年間で穴だらけの課税ベースの正常化をやってほしい、こう思うのであります。そうして、不公平税制をこの二年間徹底的に是正していただきたい。それが本当の意味で、来るべき高齢化社会に備えるということではないかと思います。そのため、国民税制改革議会ではそのことをおやりになって、ぜひともその実現をなさっていただきたい、こういう気持ちを込めて提案者の御意見を伺いたいと思います。
  23. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 古川委員、具体的に細かくいろんな不公平税制の御指摘をいただいております。古川委員の御案内のように、私どもを含めまして国民の税に対する不公平感の大部分が不公平税制にありますことは、昨日も答弁さしていただきましたが、総理府の税金に関する世論調査あるいは各種報道機関の世論調査などでも明らかなところでありまして、国民税制に対する不公平感というものが根強いのは、ただ単に不公平税制による減収規模とかあるいは対象人員ということよりも、不公平そのものが税制の中に制度化されているということが最も大きな原因じゃないかというふうに思っております。この制度化された不公平税制を除去することこそ、国民税制に対する信頼を回復するための至上命題でありまして、また緊急かつ不可欠な問題だというふうに思っております。  そこで、先ほどもるるお述べいただきましたけれども、多数ある不公平税制のうち、昨年の四野党共同提案におきましてその改革の基本的方向を示したところでありますが、今回の税制改革基本法案の中にも「社会保険診療報酬課税の特例、みなし法人課税、公益法人課税の特例、企業に対する課税における各種の特例等の租税特別措置等の抜本的な整理及び合理化が図られるとともに、納税環境の整備が推進されることにより、税負担の不公平が払しょくされていること。」という、少々長くなっておりますが、税制再改革の基本的 な柱の一つとしてはっきりと明記されておるところであります。税制改革基本法案におきましては、以上のような国民から不公平とみなされている項目を包括的に盛り込んでありまして、これらの項目については洗いざらいにメスを入れていただこうと、国民各層の参加によります討議をしていただかなければいけないというふうに考えるものであります。  したがいまして、税制再改革はまず不公平感の是正という認識こそが私どもの強く求めておる点でございまして、制度面はもちろんのこと、執行面におきましても不公平についても徹底的に論議を深めていただきまして、新たな改革への第一歩を踏み出していきたいというふうに思っております。
  24. 高井和伸

    高井和伸君 私、新米議員としましてこの税制問題等特別委員会、これの審議に参加してまいりました。いろいろこの審議する場面において感じたことは、私がこの質問に立つのは実は四回延びまして、いろいろ私もそのたびに心構えをやり直す、土俵で言えば仕切り直しのたびに気合いを入れてきましたけれども、何とか早く審議が進まないものだろうか、このように考えておるわけでございます。  そこで考えますのは、議員立法というものの困難さ、これを感ずるわけでございます。実は個人的なことにもわたりますけれども、私は郵政省という行政機関に勤務していたことがございます。そして、政府側答弁の原稿の下書き、質問取り、そういったことも経験しております。また、裁判官それから弁護士ということで法律にも関与してまいりました。法律を使う方の立場でございました。それが今回立法府へ参りましていろいろ感じましたことは、実はこういう本格的な議員立法が大変エネルギーの要ることである。政府提出の法案に比べて、ここにおられる皆さん方にプラス二十名ぐらいでおやりになっているというのが私の認識でございます。ところが、政府提出法案、実はこれは霞が関じゅうの官庁のビルの中の全員が、私どもから見れば、公費でもって立法事務をなさっておられる。そういう圧倒的な落差のあることを私は認識しているわけでございます。  実は連合参議院は、我々は実はこの延びたことにつきまして、ミスがあったということは認識しております。そのミスにつきまして、出るべくして出たんだろうとも認識しております。しかしここで、議員立法、これは立法府の命だろうと思うんです。議員相互が議論し合って、討論し合って、そして動議を出して修正し合って、一つの結論を出して国民の前に立法府の責任を示していく、これが理想だろうと。そして、連合参議院は新しいスタンスで行こうというわけで、実は同僚議員の新坂議員がアメリカにせんだって政治改革の問題で行ってこられました。それで、御当地の議員立法はどうなっているんだ、こういうミスもあるんじゃなかろうか、こういう話を聞きましたところ、それはお互い恥をかき合ってやってるんだと、これは国家を思う心があれば、そういったお互い恥をかくところもあって謝るところは謝るけれども、それはレットアスで、お互いでパートナーシップでやろうじゃないか、こういうふうなことだそうでございます。私としましては、こういった側面で皆様方の御苦労に対して非常に深く敬意を表しているわけでございますが、一つ政府側というか、行政府で合点のいかない点がございます。  それは何かといいますと、大蔵大臣が、「育んでいきましょう。消費税。」、それから、育てよう消費税、といった政府広報的なものを一般商業紙に出しておられます。これは、私にすれば、今消費税というものがこの国会の立法のレベルで政治的な大テーマになっているわけです。このテーマになっているときに、行政府が片方の片棒を担ぐようPRを国費、これは実はせんだっての我々の代表質問の中で、三億円国費を使っておられるというふうな話を聞きましたけれども、こういう政治的テーマになっているときに、行政府は一歩下がって中立の立場にいなきゃいかぬのじゃないか、このように考えるわけでございます。実はこの消費税というもの、納税期間が例えば三月何日ですよだとか、納めるのはここですよ、手続はこうするんですよ、こういう手続ならそれは構いません。だけれども、この消費税については、政治的なテーマのときに行政府が一歩立法府に足を踏み込むことはよくない、このように考えるわけです。  さらにもう一つ大蔵省の方が、実はこれは十一月十三日の朝日新聞の夕刊に載っているわけでございますけれども大蔵省の幹部が語ったと。これは事実確認はできませんけれども、新聞報道が正しいとすれば、他にも疑問がある、知っていたんだけれどもこれは相談を受けたこともないんだと、「議員立法であり、要求がなければ行政府から口をはさむことはできない」、このようなことを言っておられます。  こういった問題を考えるときに、実は憲法で公務員は全体の奉仕者である、このように定められている、この立場からすれば、大蔵省方々、少しぐらい親切心を起こしてそれを立法者に通知なさるなり耳打ちするなり、そういったことをすることは何ら立法権を侵害するものじゃないというふうに考えるわけです。すなわち、私の考えるところ、公益性というものが絶えず公務員の上にもあると。それは公平無私な公務員、それから非党派性な公務員、その制度も必要でございますけれども、さらにもう一つ、全体的な公益、国家の福祉、それを目指すためにもぜひそういった公務員が少し協力する、簡単に言えば、立法府と行政府がパートナーシップを持ってやるべきじゃないか、このように考えるわけです。この最後の一点だけについて皆さん方の御答弁をいただきたい。  そして最後に、この委員会におきまして各政党政策の違いなどるる明らかになりましたけれども、これは連合政権樹立のための前提条件が整備されたものとして私は非常にうれしく思って、間もなく連合政権協議も始まるんじゃなかろうか、このように考えておるわけでございます。  時間が来ました。これにて終わります。(拍手)
  25. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 時間が過ぎておりますので簡潔に願います。
  26. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 大変貴重な御意見を伺いました。  私ども提案者といたしまして、これから立法府の立場議員立法を進めていきます場合の院の機能を強化することが大変重要になってきているということを痛感いたしております。今行政府との関係その他いろいろ御意見がございました。これは提案者立場から御答弁を申し上げる問題ではないとも考えておりますから、ぜひしかるべき場において十分御議論をいただきますよう私ども心から願っております。
  27. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 民社党の寺崎でございます。  早速、消費税廃止法案を初めとする九法案について質問をさせていただきます。  なお私は、本委員会の任務は、もとより充実した審議を通じて最善の法案を得ることにございますが、もう一つの任務として、諸般の問題によって失われた政治に対する国民信頼を取り戻すことにあると思っております。とりわけ、こういう中で税制というのは、一般的に言って取り扱う範囲が広く、また高度な知識や技術を必要とする分野の制度でございますから、国民にとってはそれほどわかりやすい分野ではございません。それだけに、本委員会の任務及び税制の性格を考えるとき、税に対する国民信頼を得るには、すぐれた税制案を示すというだけではなく、それに何かをプラスしなければならないと思うわけであります。すなわち信頼感でございます。信頼を高めるには、信頼されるだけの事実を積み上げなければならないと思います。その意味で、本審議におきましてはぜひ心血を注ぎ、情熱と誠意を持って論議を進めさせていただきたいと思います。発議者皆様におかれましては引き続きの審議であり、大変お疲れのこととは存じますけれども、ここは一番格別の御尽力をもちまして、誠意のある御答弁を示されるよう、冒頭に心からお願い申し上げる次第でございます。  前置きはこれぐらいにいたしまして、早速質問に入ります。  先日の予算委員会におきまして、海部総理は、去る七月の参議院選挙に触れ、消費税自民党議席を減らした原因の一つという見解を示されました。そして最近、幾度か消費税について思い切った見直しをやるという趣旨の発言をなされております。また、このところの報道機関によれば、今月中にも自民党見直し案が示されるように伺っております。その中では折に触れ検討の内容も伝わってくるわけでありますが、こういう過程を見るにつけ、私は本当に国民の不満を御承知、御存じなんだろうかという気持ちを禁じ得ません。  仮定や憶測に基づく所見を述べることはこの際控えたいと思いますが、自民党皆様にぜひお願いしたいことが二つございます。一つは、多くの国民がなぜ消費税に反対したのか、その真意を深く深く理解してもらいたいということでございます。そしてもう一つは、一日も早く見直し案なるものをお出しいただいて、与野党間の論議のテーブルに上げてもらいたいということでございます。  消費税に反対する理由について一般には逆進性があるとか、あるいは小銭を使うので面倒だとか、あるいは痛税感があるんだというようなことを言われておりますけれども、私は、この点を一言でいえば政治に対する不信頼、それが根底にあるからだと思っております。これから自民党見直し案を出されるに際しても、また、野党がこれから再改革法案をつくっていくにしても、具体的なものをつくっていくにしても、ぜひ大事なことだと思いますので、国民の不満について要点だけ申し上げさせていただきたいと思います。  その第一は、額に汗して働いても一生住む家が持てない、他方では、土地や株式の値上がりによって寝ていても、と言っては言い過ぎかもしれませんが、大金をつかんだり資産価値の上がったものを手に入れる者がいる、そういうことへの不満だと思います。  第二は、政府・自民党の顔はこれまでどちらかといえば事業者の方、企業の方に向いていたということが言えるのではないかと思います。それに対するサラリーマンや消費者の不満がうっせきしているということを挙げなければなりません。  そして第三は、年金生活者や低所得者に対する配慮がまだまだ欠けていたということだと思います。  そして第四は、内外格差の問題、民社党はこれを経済大国生活小国という表現を使っておりますが、この実態にも国民は怒りを感じております。  そして第五は、クロヨン、トーゴーサンピンと言われる不公平税制の存在でございます。  こうした問題を放置していては、政府・自民党がいかに消費税の定着を図ろうとしても、それはむだな努力、ざるで水をすくうような努力ではないかと思うわけでございます。税制に大事なことは、私は、国民の常識が通るということ、そして合意と理解が得られるということが何よりも大事ではないかと思います。  そこで、まず第一点に伺いたいのは、税制改革基本理念について、どういうものか、発議者の見解を求めたいと思います。
  28. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 政府のスローガンでありました所得、消費、資産の間での均衡のとれた税体系の構築というのは、ただ単にやはり中曽根税制改革案の中での直間比率見直しという、そういうものにかわるものであったんじゃないかということで、消費税導入のためのただ単なるまくら言葉にすぎなかったんじゃないかというふうに判断をいたしておりまして、委員御指摘のとおり、そこで私どもは、税制国民信頼と合意によって初めて成り立つものであるというふうな理念を大前提といたしております。  今回の私どもの提案いたしております税制再改革は、政府が行いました税制改革によって引き起こされました税制の混乱というものを収拾していこう、そして国民の税に対する不信感を払拭しよう、そして国民合意の税制を確立しようとするものであります。したがいまして、この税制再改革に当たりましては、これまでの税制の欠陥として指摘されてきております不公平の一掃を図っていこう、そして応能原則、すなわち担税力に応じた税負担のあり方というものを追求していこう、そして経済構造及び国民生活の変化に適切に対応した本当の意味での所得と消費と資産等に対しての均衡ある税体系を確立することに努めていこうということであります。したがいまして、税制再改革の前提条件として具体的には税制の混乱と国民の不信感を増幅させるに至った消費税をまず廃止していこう、そしてこれに伴い暫定的に緊急を要する税制改革を行おう、次いで、二年間をかけまして広く国民皆様方の各階層の御意見を求めていこう、そして具体案作成のための学識経験者あるいは国民各階層の御参加による国民税制改革議会を設置してその答申を求めていこうと。そして、この租税民主主義の貫徹を図る所存でございます。
  29. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 信頼については積み重ねが大事であるということを申し上げましたけれども、現状を見るに、信頼を裏切るようなことが多々見受けられると思います。  そこで次に、資産格差の問題について伺いたいと思います。  普通のサラリーマンにとって、一生のうちに家を持つ、マイホームを持つというのは大きなそして切なる夢でございます。しかし、現実にはなかなかそういうわけにはいかず、一生かかっても家を持てそうもないという現実の前に困り果てている、悩んでいるというのが一般のサラリーマンの姿であろうかと思います。人間というのは、個人の努力の差で資産や所得に差が出ることについては余り不満を感じないものだと思いますが、自分の手の届かないところでそういう差が出るということはどうも納得がいかない、そういう気持ちを抱くものだと思います。  最近はニューリッチ、ニュープアという言葉がはやっているそうでございますが、これは言うまでもなく資産性所得をたくさんつかんだ人のことをニューリッチと言うわけでございます。クロヨン、トーゴーサンという言葉もありますが、私はこういうニューリッチとかニュープアというのをぜひとも定着しないようにしなければならないと思っているわけでございますが、この九月、大手私鉄とその関連の不動産が中心になってつくっております都市開発協会の調査によりますと、東京通勤圏二十キロの範囲で標準的なマンションの値段というのはおよそ平均的サラリーマンの年収の十・六倍だそうでございます。これは東京のこと・でありますが、近県までもう少し広げても東京圏で八・六二倍ということになっております。  例えば労働組合連合などは、せめて年収の五倍で家を持てないかというような方針を掲げて運動を進めていると伺っておりますけれども、土地の方はどんどん遠ざかっていくというのが実態であろうかと思います。そして、この土地の高騰という問題は、単に東京とか大阪とか名古屋といった大都市だけではなくて、いずれの都市にも波及しているのが現実でございます。  また、土地と並んで株式の値上がりによる所得の増大も、その機会に恵まれない者からすれば大問題でございます。そして、このことは、まじめに働く、こつこつ働くということの意味を色あせさせているんではないでしょうか。労働の価値を軽視する、あるいは疑問視する風潮すらないとは言えないと思います。そういう意味において、この資産格差の問題というのは今や社会的問題としてとらえるべきではないかと思っております。  そして、物、金万能、金で片をつける、あるいは金に物を言わせるといった拝金主義的な傾向を助長しているということも言えると思います。労せずして大金をつかむ、あるいは、そういうことになりますとまた、みずからを頼まず他人に何とかしてもらいたい、他人を当てにする、つまりばらまきのたぐいを期待する。そういう人間がふえれば、社会は活力を失い、人間というのは生きが いも失うであろうと思いますし、そうなれば大事な民主主義の基盤や福祉の基盤が根底から失われることになるのではないかと懸念しているわけであります。どうしてもこの点は防がなければいけないとかたく信じているわけでございます。  こういう認識のもとにお伺いするわけでありますが、今回の税制再改革の中で税制面からの資産格差の是正の問題について触れられておりますけれども、具体的にどのような考え方、やり方のもとに実施されようとしているのか、お伺いしたいと思います。
  30. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 私どもは、税制の再改革、この基本方針の中で「資産性所得課税及び資産課税の適正化を図ること。」というふうに述べております。  資産性所得課税及び資産課税の適正化を図るとは、最近の地価や株価の高騰によりまして階級分化の傾向が見られるわけでございますが、そういう不労性所得である資産性所得や資産そのものに対する適正な課税を行おうとするものでありまして、ちなみに土地基本法案第十二条でも「国及び地方公共団体は、適正な地価の形成に資するとともに社会的公平を確保するため、土地の処分等により生じた利益に対し適正な課税を行うものとする。」というふうに規定をしております。  また、私ども四党は土地基本法案を既に六十三年五月の二十日に国会へ提出いたしておりまして、その制定を強く働きかけてきたところでございます。そして今後、国民税制改革議会におきまして、譲渡益課税及び保有課税のあり方につきまして御検討していただき、抜本改革を行っていきたいというふうに考えております。  また同時に、税制改革基本法案の第四条第五号におきまして「税制の社会的再分配機能が十分に発揮されるよう配慮し、税制が活力のある福祉社会を支える基盤となるように図ること。」というふうに述べておりまして、税制の重要な機能の一つであります再分配機能が十分に働くよう配慮いたしますとともに、活力ある福祉社会を支える基盤となるような税制であることを私どもは目指しておるわけでございます。  なお、税制の社会的再分配機能とは、税制を通じて行う富の再分配システムでありまして、富裕な者から多くの租税を徴収いたしまして、それを各種の社会保障給付に充てるシステムであります。
  31. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 先ほど私は労働の価値を軽視させてはならないという意味の発言をいたしましたが、次に、税制と勤労意欲の関係について若干質問をさせていただきます。  六十三年度税制改革において三兆三千億円の所得税減税が行われました。この意味についてはるる言われているわけでありますが、それはさておきまして、このとき高額所得者に比べて低所得者に対する配慮が不足しているのではないかということが指摘されました。また、消費税導入の際に大蔵省は、三百五十万円以上は減税になる、なぜこれ以下は増税になるという表現をされないのかちょっと私もわかりかねるんですが、こういう表現になっております。民社党はきちんと三百万円以下は増税になりますよということを発表しておりますけれども、いずれにしても、このところ低所得者に対する配慮というのが足りないというのが実態ではなかろうかと思うんです。  今申しましたように、所得、資産格差が拡大している今日、とりわけ低所得者に対する思いやりとか配慮ということが必要であり、それは税制の中でもあらわれていなければいけないのではないか。これは緊急の課題であるというように思っております。  今回提案されている法案の中では、再改革法第五条第二号の中で「低所得者及び中堅所得者の勤労意欲及び貯蓄意欲を損なわない」措置を講ずるとありますけれども、第一点は、勤労意欲と税制の関係についてどうお考えになっているのか。あるいは今の法案の中で具体的にどうされようとしているのか。その点を含めて回答いただければ幸いです。
  32. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 私どもの提案いたしております「低所得者及び中堅所得者の勤労意欲及び貯蓄意欲を損なわないための措置」という項目でございますが、この「措置」とは、仮に総合課税によりまして税負担が累進するようなことになりますと勤労意欲とか貯蓄意欲を減退させかねないということにもなりますので、そのようなことにならないようにする措置というふうに考えておりまして、具体的には、これらの者の貯蓄については分離課税するようなことも考えられるわけでございますが、それではそもそも総合課税主義をとる意味を減殺することにもなりかねませんので、その意味では、これらの者が属する所得層の累進度というものを緩和ないしはフラット化していこうというような措置を考えていくべきであるというふうに私どもは考えております。
  33. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 時間の関係でどんどん進めさせていただきますが、次に税負担における公正、公平についてお伺いしたいと思います。  この問題については、初日以降いろんな格好で答弁されているわけでありますけれども、最も基本になる大事な問題だと思いますので重ねて質問させていただきます。  税制の目的について、究極的には厚生、ウエルフェアだという説がございます。これを私流に解釈いたしますと、一つは、国民だれもが人間らしくといいましょうか、最低の、一定以上の水準の中で生活が営めるように社会全体で保障するということ、救済するということ、これが第一の目的だろうと思います。それからもう一つは、勤労意欲を高めるということ、よってもって社会の活力を維持するということだと思いますし、したがって、税制改革というのは、あるいは税制というのは、この二点を踏まえてやらなければいけないと考えております。そのためには、応能負担の原則あるいは応益負担の考え方、そういったものがバランスよくとられていることが大事だし、また、努力すれば報われるといった観点から、機会均等の公平さということも要求されると思います。  しかし、現実を見れば、クロヨン、トーゴーサン、捕捉の問題を初め、税制上の特例、もうこれは既に廃止してもいいのではないかと思われる特例も少なくありませんし、本来課税ベースに加えてもよさそうなものが除外されている。あるいは税率にも個々には問題があるわけでございます。その意味でも、この問題はこれからも引き続いて徹底的に洗い出す必要がありますし、その上で抜本的な改革を並行して進めるということには大賛成でございます。ぜひその際には、これまで以上に消費者であるとかあるいはサラリーマンの方にウエートを置いて、従来よりもウエートを置いた税制改革をやってもらいたいものだ、やらなければいけない、そう考えているわけでございます。  そういう意味において、税制改革基本法案の公正、公平についての発議者の見解を求めたいと思います。
  34. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 寺崎さんにお答えいたします。  第四条の第二号に、特に「公正及び公平」ということについて規定をしてございます。  公正、公平という概念は、これは一般的にはよく似た概念だと思いますけれども税制で申し上げます場合には、税の理念としての公正に貫かれた公平、こういうことであろうと思っております。特に、今回私ども廃止を求めております消費税の場合には、だれが買っても消費に必要なものを買った場合には同じ税金がかかるという、そういう公平というのは税制における公平には当たらない。それは公正を欠くからであります。今委員お話しになりましたような立場からのこの税の基本的な理念という上に立って公正で公平な税制というものを打ち立ててまいらなければならないと思っておりまして、その意味では、消費税というのは税の制度としての公正を欠き公平にならず、水平的公平というような言い方をされる向きもありますが、これは悪平等を生み出すものであろう、こう考えております。
  35. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今の回答を聞きながら、また私は 先ほど社会による救済ということを十分考えなければいけないというようなことを申し上げましたが、これはつまり応能負担ということになるんだと思いますし、この考え方というのはこれからも堅持されなければいけないと考えているわけであります。  しかしながら、この応能負担の原則というものが大事であるにしても、また強調し過ぎることはないにしても、これを口実に応益負担の問題についてやや触れたがらない風潮もあるのではないだろうか、そういうことを懸念しております。私は、税は一種の社会的な費用、会費であると考えておりますので、その意味ではだれもが税を支払わなければいけない、そういう義務を持っているんだということをきっちりと腹におさめることがまず大事だと思います。その上に立って、低所得者であるとかあるいは老人であるとか社会的に弱い立場にある人に格別、格段の配慮をするというのが税制のあり方であろうと思うわけであります。  また、このことは個人にかかわる応益負担というだけではなくて、企業における応益負担の問題としても考えなければいけない問題であると思います。  日本には六十一年の統計によりますと約百七十万社の普通法人があるそうでございますが、資本金別に分けてみますと、資本金五百万円以下の企業が全体の六〇%を占めている、そしてその六一%は赤字企業という報告がございます。資本金一億円以上の企業というのは一・二%だそうですが、この場合の赤字法人は約三一%ということが言われております。赤字法人がこれだけ出てどうして倒産しないのか、毎月報告されるような統計資料によりますと、それほど倒産しているという数は、少ないとは言えませんけれども、この数字に比べれば大変少ない数字だと思うわけであります。大体、赤字法人の比率というのはどうもそのときどきの経済情勢とは必ずしもリンクしてない、一緒に連動して動いていないというようなことでございます。そういう裏には法人成りというような問題が指摘される昨今であるわけでありますが、赤字企業といえども一定の公共サービスを受けているわけでありますから、私は、これまでの赤字企業に対する税制をもう一回見直して、応益負担の原則に基づく税負担をしてもらうということにしなければいけないんではないかと思っているわけでございます。  そういう観点を含めて、ぜひ応益負担及び応能負担の原則の考え方について答弁を求めたいと思います。
  36. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) お答えいたします。  税制再改革基本法の第四条三号にございます応益負担の原則及び応能負担の原則についての御質問でございます。  私どもは、総合課税主義を基本といたしまして応能負担原則を最も重視する立場から、直接税を主とし間接税を従とする税体系の骨格は維持する一方で、応益負担原則にも適宜配慮をしてまいりたいと思っておりますし、所得、資産、消費等に対する均衡のとれた課税を行おうとするものであります。委員の御質問の中にもございましたが、経済社会の変化に対応することができる総合課税主義を基本といたしまして、御存じのとおり、この応能負担原則というのは、総合課税であれば仮に社会経済の状態が変化をいたしまして所得構造が変わってきたといたしましても、少なくとも応能負担原則が維持されるということはもう御存じのとおりであります。例えば株や土地の高騰、これはこういう問題が最近もう非常に多いわけでございますが、この資産性所得が土地や株の高騰によりまして増大するわけでございますが、これらが分離課税になっておりますと、いわゆるこの応能負担の原則というものにゆがみが出てくるのは、これはもう御存じのとおり明らかでございます。そういうような意味で、総合課税主義というのは経済社会の変化が生じても応能負担原則を維持し得る最も有効な手段である、こういうふうに考えているわけでございます。  また、この応能負担原則というのは、御存じのとおり、担税力に応じまして税負担を課していく、こういう制度でございます。また、担税力といいますのはもう御存じのとおり各人の経済的負担能力のことでありますから、何を尺度としてそれをはかるか。この点につきましては所得、資産、消費の三つを挙げることができる、こういうふうに考えております。このうち特に所得、資産につきましては尺度として非常にすぐれている、しかもこれらには累進税率の適用というのが可能でございまして、公平な税負担の配分、富の再配分の要請によりよく適合する、こういうふうに言われているわけでございます。  先ほどお話にもございましたように、応益負担の原則といいますのは、個人が、事業も同じでございますが、国家活動など公共からサービスを受ける利益に応じて租税負担が課されるべきである、こういう原則でございます。この応益負担の原則の例といたしましては、先ほど先生が挙げられましたいわゆる赤字法人の問題等が挙げられるわけでございます。この応益負担の原則を形式的に運用いたしたならば赤字法人に対する課税は妥当でないことになりますが、実質的な公平の観点から申し上げますと、国家や地方自治体から多大の利益を享受しながら事業活動を行っているというそこに着目をいたしますといわゆる応益負担ということになりまして、その原則からいたしますと、それなりの負担をしなければならないということになるわけでございます。  したがいまして、そういうふうなことを考えますときに、応能負担の原則というのを中心にしつつも応益負担の原則を加味していくというのがこれからの税制の中で非常に大事な問題ではないか、こういうふうに考えております。
  37. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 それでは、次に直間比率の問題について質問をいたします。  税制論議の中ではいずれの場合でもこの直間比率の問題が常に出てまいります。妥当な直間比率というのは、国の経済力であるとか、あるいは産業構造であるとか就業構造であるとか、あるいは所得水準、人口構成、そういったもろもろの要素が加わって決まるものであるということは理解されますけれども、サラリーマンの間ではどうしても直間比率の是正という言葉が消えません。六十三年度に減税が行われましたけれども、それでもやはり直間比率の是正、すなわち直接税の割合を下げてくれという声が残っているわけでございます。  こうした中で、先日、本委員会における発議者答弁によりますと、今提出されております財源法案を実施した暁には現在よりも若干直接税の負担がふえるであろうという答弁がございましたし、その内容というのは、どうも私の理解では四千二百万人もいるというサラリーマンの期待に逆行しているんじゃないかというように思えるわけでございます。  再改革に当たっては、サラリーマンが長年にわたって直間比率を下げてくれ、直接税のウエートを下げてくれと言っていることをぜひ念頭に置いていただきたいと思っているわけでありますが、再改革法案第四条にある「直接税を主とし、間接税を従とする」という考え方、それが今後直間比率の是正につながるのかどうか、そういったことも含めて御見解をいただきたいと思います。
  38. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 直間比率に関する御質問にお答えさせていただきます。  今回の税制再改革は、これまでの税制の欠陥、不公平の一掃を図り、税制の持つ所得、資産の健全な社会的再分配機能の向上による公正、公平の確保と、経済機構、国民生活の変化に対応した均衡ある税体系の確立を目指すものであります。こうした税制を確立するためには、応能負担原則を重視した総合累進課税主義を基本としなければなりません。この総合累進課税主義が可能なのは直接税だけであり、間接税ではかえって逆進性を生むだけで、能力に応じた応能負担を実現することはできません。したがって、直接税を主、間接税を従とする税制を堅持していく必要があると考え ております。  私たちは、直接税を主、間接税を従とした位置づけの中で所得、資産、消費等に対して均衡ある税体系の確立を目指しております。税収のウエートが単にバランスがとれているというだけで均衡ある税体系が確立できたと言えるものではありません。つまり、所得、資産、消費等の間で担税能力に応じた適切な税負担を求めることが、均衡ある税体系を確立する基本であると考えております。  また、個別間接税は個々の物品の担税力に応じた課税ができ、消費税の最大の欠点である逆進性についてもかなり緩和できるというメリットを持っていると考えております。
  39. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 ただいま答弁の中で個別間接税の問題に言及されておりますので、これとの関係でサービス、流通等に対する課税の問題について質問をさせていただきます。  この委員会における発議者答弁の中で、今示している財源法案についてこういう答弁が行われております。すなわち、この財源法案というのは暫定的なものであるという意味合いのことと、もう一つは、しかしながら税の継続性を重視するということが言われていたと思います。暫定的といい、また継続性といい、それは税制の体系上のものなのか、あるいは課税対象を指しているのか、はたまた税率のことをおっしゃられているのか、そこまでは言及されなかったわけでありますけれども、私は暫定的という意味の中にはもう一つ意味があるのではないかと思います。つまり、財源法案の中に示したものの税目の中には、再改革の中で積極的に取り入れていきたいと考えている意味での暫定的財源、それからこれは今回限りやむを得ず財源にしたというところに近い財源もあるのではないか、そういうものが混在しているのではないかと理解しているわけでありますけれども、例えば物品税の復活というのは後者の場合ではなかろうかというように私は理解しております。  物品税の復活については、いろんな方面から疑問視する声も上がっているのは発議者皆さん御承知のとおりでございます。民社党におきましても、この財源法案ができる前の事情で申しますと、不公平、不合理だから物品税というのはやめたんだと、したがって昔に戻すことが前進とは言えないというような見解も示しているわけであります。私も基本的には物品税には反対でございます。今回財源として加えたのは、時間的制約の中でほかに適当な財源を見つけるのが難しい、そういう事情があって暫定的財源にするのを可としたわけでございます。そういう立場に立っております。  物品税に反対する理由を述べてみたいと思いますが、第一は、六十二年を例にとってみると、国内の最終消費支出に占めるサービスの割合が今日五四%になっていることでありまして、そういうことから考えますと、特定の物品に課税するということは果たして税の公平負担という原則から見て妥当なのか、また税の中立性という観点から見て問題はないのかという強い疑問を持っているからであります。  第二は、課税根拠だとされております担税力、あるいはぜいたく品の基準、定義というものは、言うべくしてなかなか決めるのが難しいわけであります。そういう税制を昨年までやってきたんですから、自民党に対しても大変問題を感じておりますが、結果として恣意的に流れやすい。結果として取りやすいところから取る、また課税単位が大きいところから取る。昨日の説明の中でも、大蔵省は要するに税金を納めてくれる人が少ないから物品税はすぐれている、徴税コストがかからないというような説明を以前したというようなことが報告されましたけれども、結局のところそういうことになっているんではないかと思います。それでは、課税単位が多い、例えばたくさん売れているものが担税力があるという証明がどこにあるんでしょうか。(発言する者あり)私は自動車出身でありますけれども、そういうことは申しません。電気製品も同様でございます。今まで物品税課税されてきたものの中には、これなくしては生活ができない、生活必需品もあるわけでございます。したがって、一概に物品税はいいという結論を出すわけにはいかないと思っております。  第三の理由は、御承知のように経済の国際化が今日進んでおり、これからもますます進展するであろうと思われます。そうしたときにあって、国内の事情で決めた税率が貿易摩擦、関税障壁というようなことにもなりかねないわけであります。これも避けることはできるじゃないか。理論的にはそうかもしれませんが、これも言うべくしてなかなか難しいのが現実だと思います。  以上は私の私見でございまして、再改革に当たりましてはぜひこういう趣旨も生かしてもらいたいものだと強く希望しているわけであります。  次は質問でございます。  この際、再改革法案にはサービス、流通等に対する適正な課税のあり方に検討を加え結論を得るとあるわけでございまして、私は趣旨は大変結構だと思いますが、間接税のあり方全般についても将来方向を示していただいていれば余計よかったなという気持ちを込めながら、「サービス、流通等に対する適正な課税の在り方」というのはどういうことなのか、この部分で結構でございますので御答弁願いたいと思います。
  40. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 寺崎さんの持論を含めて大変貴重な御意見をいただきました。私どもも昨日御答弁申し上げましたように、物品税というのはいろいろな御批判があることは当然のことでございまして、その意味で、今回の再改革に当たりましてあえてサービス、流通等に対する適正な課税のあり方、こういうことを強調しておるのもそこにあるわけでございます。消費税廃止によりましてサービス課税が一切なくなる、それにかわって必要となる課税は何か、こういうことにつきまして私どもとしてはどういう課税にするかということを含めて現時点では白紙の状態と言わざるを得ません。  そこで、税はどのような課税客体にどのような税を課すのか、租税法定主義のもとでは国民合意が前提となります。従来の個別間接税制度のもとでは、国税、地方税全体に占めるサービスに対する課税割合が一・一%、また間接税全体に占める割合が四・九%、これはいずれも六十一年度でございますが、サービスに対する課税が少ないことは事実であろうと認識をしております。我々としては国民合意を前提にサービスや流通の課税というものを国民税革協の中で検討していく、そういう必要があるという考えに立ちまして、具体的にはそこで検討をしていきたい、かように考えておるのでありまして、今寺崎さんから御指摘のございましたような問題等を含めて十分ひとつ議論をさせていただきたいな、こう思っております。
  41. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 次に、総合課税のための環境整備という点について御質問させていただきます。  総合課税主義というのはこれから大事に堅持していかなければいけないということには私も全く異論がございませんけれども、これを適正に運用するというか、実現するためには環境整備が何よりも大事ではなかろうかと思います。  例えば資産性所得の捕捉の問題でございます。今回の税制改革で株式譲渡益に対しては原則非課税から原則課税になりました。自民党の方は原則課税にしたということを盛んにPRしているわけでありますけれども、それでは公平になったのかというと、私はむしろこれによって問題も生じたと考えているわけでございます。例えば株でもうけたときは源泉分離を選ぶ、損したときには申告分離をする、そういうことになりましたから、このことによって、きちんと所得を捕捉して所得に応じて課税をするという所得税の原則が崩れたと言ってもいいのではないかと思います。つまりこの税制というのは、キャピタルゲイン課税というのは所得税というよりも一種の流通税というような性格を帯び、総合課税主義には逆行した税制になっていると思うわけであります。  それから環境整備の問題でもう一つ大事なの は、再三触れましたが、クロヨンとかトーゴーサンと言われる問題でございます。制度は整ったけれども、それを逆手にとってうまく節税している、あるいは脱税とは言わないけれども、税を使ってうまいことをやっているという人がいることもほとんどの国民は身の回りで感じているのが昨今だと思います。そういうことだけではなくて、税制そのもの自体に、例えばみなし法人といった問題もあるわけでありますけれども、こういうような問題を放置しておいては、幾ら総合課税主義を推進しようとしても、言うべくして実現は難しいと言わざるを得ないと思いますし、総合課税主義にとって所得の正確な捕捉というのは大事なポイントだと思います。その意味で、資産性所得の捕捉や申告所得を捕捉するためにどのようなことをやればいいと考えられているのか、発議者の見解を求めたいと思います。
  42. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 私どもは、資産性所得の捕捉につきましては納税者番号制度の導入を考えております。例えば、必要な個人、法人に対しまして番号を付与し、そしてまた金融、不動産などの取引の際に番号カードの提示を義務づけるとか、(発言する者あり)例えばの話でございます、これによりましてキャピタルゲインの把握が可能となりまして総合化が図られるといたしますと、課税の公平が確保できるものというふうに考えております。  そこで、導入に当たりましてはプライバシーの保護を最重点にやはり置かなければならないというふうに考えておりますので、国民理解を得られるようにしなければならない。このためには、例えば使途、使い道を課税事務に限定していくとか、あるいは官庁間においても守秘義務を課し、本人への告知、公開、訂正の権利を保障した制度を構築するべきでありまして、そういった意味ではいわゆる国民総背番号制とは全く異なるものであろうかというふうに思います。  また、申告所得の捕捉、いわゆるクロヨン問題につきましては、例えば徴税事務の強化等で対処したいというふうに考えます。税務職員数をふやし、申告所得の捕捉を十分に行い、勤労者の持つ税に対する不公平感というものを減らして所得税への信頼を回復させたいというふうに考えております。
  43. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 次に、土地税制について質問をいたします。  昔から、恒産なくして恒心なしということを言われておりますけれども、昨今の異常な土地の値上がりというのはまさに恒心を失わしめていると言ってもいいんではないかと思います。なぜこういう高騰をしたのかということについてはいろんな原因が指摘されております。需給のアンバランスであるとか、金がだぶついているんだ、もちろん特定のところにでございますが、そういうことが土地の値上がりの引き金になっているという御指摘があり、その結果今や国の富の六四%は土地だ、土地の価値であるということが言われており、先日も千六百三十七兆円と日本の国土は評価され、アメリカの四倍だということが話題を呼んでおります。  そして、この最近におけるキャピタルゲインのふえ方というのは大変なものでありまして、例えば六十一年以降は既にGNPをはるかに上回っているわけであります。これでいいのかということを言わなければなりませんし、とりわけこの中でも土地の対策というのは、毎日毎日の問題であるだけに、また自分の将来とか働きがいとか希望につながる問題であるだけに、一刻も早く対策を打ち、解決に着手しなければいけないと思うわけであります。もちろん、土地対策というのは単に税制の面だけ何かをやれば有効に動くというものではないことはわかりますけれども、この際、土地税制についても今回の中で触れられておりますので、どのような改正を行ったのか具体的に御説明いただきたいと思います。
  44. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) 委員お尋ねの土地税制につきましては、やはり保有期間の長短に応じた課税のあり方によって地価の安定に有効な役割を果たす面に着目しなければならない。すなわち、短期保有の土地譲渡には重課することによって転売等を目的といたしました需要を抑制する機能を導き出し、長期保有のそれには供給の側面からこれを促進するような機能を備えていかなきゃならないということで土地税制について考えさしていただきました。したがって、土地につきましては、総合課税による税負担の水準を考慮に入れまして、当面、長期譲渡所得には軽く課し、短期譲渡所得には重く課する現行制度を基本としながら、長期短期の区分の特例を延長しないで本則の十年に戻すとともに、超短期いわゆる二年以内の土地保有に対する重課の適用期間を延長する措置をこのたびは講じておるわけでございます。  私たちが主張いたします土地譲渡所得課税の長短区分の変更というのは、あくまでも先生お話しのように土地政策の一環でありまして、かねてから我々もこの考えを持っておりましたが、平成二年度からこれを実施すべきだと主張しているわけでございます。短期、長期の譲渡所得区分は本則十年であります。先ほどお話しのとおり、昭和六十二年に土地の投機の抑制のために設けられた超短期区分、二年間の保有でございますが、とともに譲渡所得の税負担を軽減し、土地供給を促進しようとして改正されたものであります。しかし、二年以内としておりますところの超短期区分の創設はそれなりに機能を果たしていると考えておりますけれども、長短区分の変更、十年を五年にした分は土地供給の促進に役立っているとは認めがたい現状にあろうかと思います。  もちろん、土地の税制というのは長期にわたってこれは安定した制度であることが望ましい、このように考えておるわけでございますが、またそうしなければ税制の緩和期待による土地の売り惜しみあるいは仮需要を誘発してかえって土地の安定供給が妨げられる、こういうことになろうかと思うんです。以上のような理由から、政策的な効果にも疑問もありまして、五年の特例を十年に戻すことにいたしております。
  45. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 時間も迫ってまいりましたのでこれが最後の質問になろうかと思いますが、不公平税制の問題について改めてお伺いしたいと思います。  冒頭で私は、国民がなぜ消費税に反対したのかという理由の一つに、不公平税制の存在を挙げました。私がここで不公平税制と言っているのは、先ほど触れましたみなし法人ばかりを指しているわけでありませんで、公益法人課税であるとか、各種のもうやめてもいいんではないかと思われる特例措置であるとか、あるいは執行上の不公平であるとか、そういったもの全体を指しているわけでございます。  不公平税制の例としてよく挙げられているのは、御承知のようにみなし法人課税制度でございます。みなし法人課税制度については、これを選択した事業主というのはみずからに支払った給料をまず経費として落とせる、事業所得から控除できる。その上、給料は給料でサラリーマンが受けているような給与所得控除も適用される。つまり、給与一つとっても二重の恩恵を受けているわけであります。さらに、二人に所得分散したとしますと税率はもっともっと下がるわけでございまして、サラリーマンとの間では著しい税負担の格差を生んでいるのが実態だと思います。余り例を挙げる時間がないわけでありますが、例えば所得を分割すれば、合計一千万の所得があったにしても夫に六百万、妻に四百万というような支払い方をすれば、一千万であっても一千万丸々にかけるよりは百万円ぐらいは節税できるという実態があるわけでありますし、よく事業用として経費で落とされたある物が私用に使われているんじゃないかというような疑いが持たれているケースがあるわけでありますが、そういったものもサラリーマンから見ると本来払うべき税金でうまくやっているというようなことになるわけでございまして、こうした問題を温存しておく限り、いかなる税制改革をやろうとしてもこれは通用しない。先ほども言いましたように、税にとって大事なのは国民 の常識だと思います。  そういう意味で、サラリーマンから特に不満の強い不公平税制について、発議者にはどのような認識を持たれているのか、どのように対処されようとしているのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  46. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 大事なところでございますから重複は避けたいと、時間もありませんので、思いますが、何といいましても、国民の不公平感というのは、もう何度もここで立たしていただいておりますが、不公平感の大部分が不公平税制にあるということは委員御指摘のとおりだというふうに思います。そういった意味で、今回の、私どもはこの不公平をまずなくそうということで取り組んでいこうということで、取り組み方の一つとして、再改革基本法案において、社会保険診療報酬課税の特例、中を省略いたしますが、いろんなことが払拭されるように基本的な柱の一つとしてるる明記をいたしておるわけでありますので、具体的には国民税制改革議会を通じまして十分な検討を重ねていただきたいというふうに思います。  基本的には私どもは総合課税主義を基本とする応能負担原則に基づく立場を持っておりますので、直接税を主とし間接税を従とする税体系の骨格を維持していきたい、そして本当の意味での所得と資産と消費のバランスを保てるようにやっていただかなければいけないというふうに考えております。
  47. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 どうもありがとうございました。(拍手)
  48. 平野清

    ○平野清君 参院クラブの平野清でございます。会派を代表して、発議者並びに大蔵大臣に御質問させていただきます。特に大蔵大臣はお忙しいところおいでいただきまして本当に恐縮に思います。  所属政党はサラリーマン新党でございます。私たちサラリーマン新党は、前身の全国サラリーマン同盟、昭和四十四年に創設以来終始一貫してサラリーマンの不公平税制の打破、改善に闘ってまいりました。この市民運動の歴史の最初の十年間、私たちは大蔵省の課長さんに会うのさえ大変難しい時代が続きました。まして、国会の先生たちにこの不公平税制を訴えても、めったに口をきいてくださる方はおりませんでした。しかし、今回のこの税制特別委員会が象徴しますように、今の国会では毎日のように不公平税制が口にされるようになりました。本当に感無量でございます。隔世の感がございます。本日は、質問時間が大変短いので代替財源など細かい点につきましては後日の質疑に譲らせていただきます。  ところで、サラリーマン新党は今回の参院クラブ全員一致して消費税廃止法案等九件に対しまして賛同者となっております。まずもってこの態度をはっきりさせておきます。ただし、お断りしておきますけれども、サラリーマン新党は左でも右でもございません。  そこで、まず消費税は私たちの財産を侵害する憲法違反として、ただいま東京、大阪両地裁で時の総理大臣竹下登氏を相手取って違憲訴訟を起こしております。その一点は、税は明確に徴収され、それが明確な手続で国庫に納入されなければならないという租税明確主義に基づいております。しかるに、消費税は免税業者、限界控除、簡易課税等の制度が置かれて、私たちの血税が国庫に入らないという大きな欠陥を持っております。これは憲法八十四条租税主義に反すると思います。第二は、納税義務者が極めて不明確だという点であります。多くの消費者、特に四千三百万と言われるサラリーマン、特にその奥さん方は毎日のように消費税を払っておりますが、納税義務者ではありません。単なる税金の伝達者であります。税金の納税者は、消費税の納税者は業者というふうになっております。これは私たちサラリーマンの財産を侵害する憲法二十九条違反だと私たちは思います。先般この委員会物品税の違憲性、国民税制改革議会の違憲性が問題になりましたけれども、私はその二つよりもより多く私たちの財産を侵害するこの消費税の方が違憲性が十分にあるというふうに考えております。特に自民党の方は、付加価値税をやっている国で廃止になった国はどこもないというふうにおっしゃっていますけれども、ほかの国の付加価値税は憲法違反になるような欠陥を持っていないからだと思います。  その点について大蔵大臣並びに発議者の方の御所見をいただければありがたいと思います。
  49. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) サラリーマン新党から消費税につきまして大阪及び東京において訴訟が提起をされておりますことは私も存じております。通常なら、これは係争中の案件でありますからコメントを避けると申し上げるべきでありましょう。しかし、国会の場におきましてこうして御質問がありましたので、正確を期すために逐条政府委員から御答弁を申し上げることをお許しいただきたいと思います。
  50. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) ただいま大臣から申し上げましたように、違憲の訴訟になっているわけでございますが、その違憲と言われる憲法の条文ごとにお答えをさせていただきたいと存じます。  まず第一に、委員ただいま御指摘がございました租税法律主義、憲法八十四条でございますが、消費税法はその消費税の根拠のみならず納税義務者、課税物件、課税標準、課税免除、税率といったその課税要件並びに基本的な徴税手続につきまして明確に定めておりまして、憲法八十四条に定める租税法律主義に反するものではないと考えます。  次に、憲法十四条、法のもとの平等についての規定でございますが、税制は応能負担の原則に適合する所得に対する課税と、それから消費、資産等に対する課税を適切に組み合わせることによりまして、公平で均衡のとれた税体系が確定されるものでございます。消費税は消費の大きさに応じて比例的な負担を求め得るものでございますから、国民の消費の高度化、多様化が行われております今日、国民に消費の大きさに応じた公平な負担を求める税制として、憲法十四条一項の平等原則にむしろ即応したものと言うべきではないかと考えております。  次に、憲法二十五条、生存権との関係でございますが、消費税は間接税に伴う性格といたしまして、所得に対しまして逆進的な面を持つことは否定できません。消費に対しましては比例的でございますが、所得に対して逆進的な面を持つことは否定できない点でございます。しかしながら、消費税の税率は三%でございまして、付加価値税を採用している諸外国に比べましても著しく低いわけでございます。また、一定の医療、教育、社会福祉を非課税としているということもあわせ考えますと、著しく逆進的であるとは言えないと考えております。  そもそも、消費税のみを取り上げまして所得を基準にした税負担の逆進性ということを論ずるべきではないと考えておりまして、税制の所得分配機能は一つの税目のみを取り上げて論ずるというものでないと存じます。それはやはり税体系全体でございますとか、さらには歳出面も含めまして、財政全体として判断すべきものと考えております。  なお、低所得者層に与える消費税の影響を考慮いたしまして、生活扶助基準の改正でございますとか、臨時福祉特別給付金の支給でございますとか、歳出面におきまして所要の政策的措置を実施したところでございます。このような点を考慮いたしますと、消費税法憲法二十五条一項に反するものでないことは明らかだと存じます。  それから憲法二十九条、財産権についてでございますが、憲法二十九条一項は私有財産制度の保障を定めまして、またそれとともに、各人の有する財産権に対する公権力による制限は原則として許されないことを意味していると理解されているところでございます。免税事業者、簡易課税制度等は消費者の支払った消費税が国庫に入らない不合理な制度であるというふうに御指摘をされました。それが消費者の財産権を侵害し憲法に違反するという御主張でございますが、これらの制度は 小規模ないし零細な事業者に対する事務負担の軽減等を図る必要から設けられているものでございまして、決して不合理なものではございません。  また、消費税の実質的な税負担は消費者に適正に転嫁することが理念として期待されているといたしましても、民間の取引におきますその価格は原則として当事者間の自由に任されている事柄でございまして、直接公権力による制限がなされるわけではございません。したがいまして、憲法第二十九条一項に違反するものでないことも明らかであると存じております。
  51. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) まず、サラリーマン新党が立党以来税の公平公正を求めて御奮闘されていることに対して心から敬意を表したいと思います。消費税が成立過程上も内容上も重大な欠陥を持っていることにつきましては言うまでもございません。    〔委員長退席、理事井上吉夫君着席〕 したがって、国民廃止せよとの判断を下しましたし、私どもはその期待にこたえるためにこうして消費税廃止関連法案を提案いたしているところでございます。いかんともしがたい消費税の重大な欠陥を認識し、裁判闘争でその問題点を明らかにしようとしたことは私どもは大変評価をしております。心より敬意を表明いたしますと同時に、ぜひひとつこの裁判闘争の勝利の展望を築いていただきますことを心から期待して、お答えにかえさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  52. 平野清

    ○平野清君 激励をいただきまして、本当にありがとうございます。  先ほどいろいろ大蔵当局から御説明がございましたけれども、私たちが納めた五千億に近い金が国庫にそのまま入らないという大きな欠点は絶対に許すことができないと思います。私たち小会派は与えられている時間が大変短いので、山のように質問を持っておりますが、どこまで御質問できるかわかりませんので端的にお答えをいただきたいと思います。  先ほど、本会議における自民党代表質問で担税意識の点がございました。私もこれは重大な問題だと思って追及しようと思いましたが、先ほどやられましたのでもう一つの点で私の見解を述べさせていただきます。  一般に法律に求められるものは社会正義とともに秩序と安定性であります。消費税が、拙速な導入により、無用の混乱を起こさせたことは厳に反省しなければなりません。また、導入直後から見直しが云々される欠陥消費税が存在することは無責任だと思います。これについて、大蔵省並びに発議者の方の御感想をお願いいたします。
  53. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 院の中における御論議を政府が云々すること自体が果たしていかなるものなのか、私は多少疑問を持ちます。しかし同時に、私どもから申し上げたいことは、消費税の創設を含みます先般の税制改革というものに当たりまして、具体的な内容の検討の過程におきまして、税制調査会から従来の税制に対する問題意識あるいは改革についての考え方、さらには検討の課題に応じまして基本課題や素案を提示するなど、そのときそのときにさまざまな角度からの御論議をいただけるような作業が進められてまいりました。また、委員御自身がよく御承知のように、昭和五十年代の後半においてサラリーマン層を中心とする所得課税負担の階層の方々の重税感というものが極めて大きかったことも御承知のとおりであります。そして、国民の政府に対するまた政治に対する要望が税制改革に対して非常に強かったことも御記憶のとおりであります。そうした中におきまして議論が進められ、法律案国会に提出いたしました後にも、政府としては説明会あるいは講習会、こうしたものに対しての出席要請にもこたえ、できる限り法案内容を御理解いただくような努力もしてまいりました。  しかし、よく御理解をいただきたいことは、消費税だけが税制改革ではなかったということであります。所得税、住民税、法人税、こうした国民から従来軽減を求められておりましたそれぞれの税率は軽減をされ、またより国民が御理解のいただきやすいような刻みの変更等もなされました。そして、個別物品税についてさまざまな御議論があり、国際的にも批判があったことは委員も御承知のとおりであります。これを廃止し、消費税を設けました全体図として税制改革というものをとらえていただきたい、私どもは心からそう願っております。
  54. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 平野委員にお答えいたします。  私は、先般の税制改革国民の反対する消費税を中心にする税制改革であったと思っております。それだけに、今委員お話しになりましたような御所見に私はそのとおり賛成でございます。そして、前にお触れになりました反税感情ということで国民の税に対する理解認識を表現するということはいかがなものかと思っております。国民は納得のいく税制、公平公正な税制を願っているのでありまして、反税意識を持っているものではない、私はこう思っております。  今度の税制改革国民消費税に対して大変強い反発を感じておりますけれども、先般の竹下内閣による税制改革がもし残した功績があるとすれば、国民の税に対する認識を関心を非常に高めた、こういう点においては竹下内閣の歴史に残る功績があるのかな、こう思っております。
  55. 平野清

    ○平野清君 私も同感です。  先日、新聞を見ましたら、こういう川柳が載っておりました。「一票の重さ教えた消費税」、この作者は大したものだと思います。中曽根さんと竹下さんは、国民皆さん税金というものがいかに大切かを教えてくれた恩人だろうと私は皮肉を申し上げておきます。  次に、不公平税制についてお尋ねをいたします。  政府は、消費税創設の目的の一つに、所得税などの直接税の負担の過大の是正によるサラリーマンの重税感、不公平感の緩和にあると言われてまいりました。サラリーマン新党としましても、何が何でも新しい税金導入に反対するものではありません。サラリーマンの不公平税制が全面的に刷新され、国民がひとしく将来のために痛みを分け合うものならば、これを是認することにやぶさかでないというふうに考えます。しかし、現在の税制では私たちサラリーマンの不公平税制がほとんど置き去りにされてしまったというふうにサラリーマンは思っているはずでございます。それが今度の参議院選挙の結果につながっているわけでございます。  その上で大蔵大臣にお尋ねいたしますが、サラリーマンの不公平税制でこれだけはやったと胸を張って威張れるもの、これだけはお約束しますというもの、これだけはちょっと難しいなというもの、分けてお話しいただければありがたいと思います。
  56. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、不公平税制の是正という視点並びに税負担の公平性の確保という視点、二面を持つ御質問をいただいたように思います。  そこで、これは間違えるといけませんので正確に私は読み上げてまいりたいと思いますけれども、今回の税制改革の中におきまして負担の公平というものを確保することを基本理念の一つに掲げ、税制全般にわたり税負担の公平を高めるための措置を講じてまいりました。  一つ、税体系全体として、個人所得、特に給与所得並びに法人所得に偏っておりました税負担の構造を改め、消費に対する負担に従来以上のウエートを持たせるような構造にしたこと。また、個人所得課税において人的控除の引き上げ等、これは委員もよく御承知のとおりであります、引き上げなどを行いましたほかに、税率構造を抜本的に見直し、全体的に累進構造の緩和を図ったこと。法人所得課税について、諸外国における税率引き下げの動向に留意しながら、我が国においても税率の引き下げを図ったこと。また、消費支出の半分のウエートを占めておりますサービス支出にほとんど負担を求めることがなく、物品に関す る支出についても限られた特定の物品についてのみ重い負担を求めておりました個別間接税制度を抜本的に改め、消費一般に広く薄く負担を求める消費税を創設したこと。また、租税特別措置に代表されるいわゆる不公平税制と言われるものにつきましては、これらは各種の政策を推進するなどの観点から、課税の公平はある程度犠牲にしながら組み立てられている、いわば承知の上でつくられている性格を持っておるものでありますから、そのすべてが不公平と言われるのにはいろいろな問題はありますけれども、よくそういう言葉が使われますそのいわゆる不公平と言われるものにつきましては常に見直しを必要とするわけでありまして、先般の税制改革におきましても、例えば従来非課税とされておりました有価証券譲渡益に関して原則課税という方針を打ち出しております。また、社会保険診療報酬課税の特例の見直しを行い、離島とかあるいは僻地でありますとか、患者数の少ない地域の医師の方々しか現実にお使いになれないような、しかしその方々が使っていただけば地域医療の上に役立つような仕組みを取り入れたこと、こうしたことが挙げられると思います。  さらに、そのほかよく言われます幾つかのテーマ、これらのものにつきましては、昨年国会の中におきまして、各党間のお話し合いの中で今後引き続き検討をする旨示されておるものがあることも御承知のとおりであります。そして、税制というものは不断に見直しを必要とするものであり、今後とも公平な税負担の実現のためにより努力をしてまいりたい、そのように考えております。
  57. 平野清

    ○平野清君 それでは発議者の方にお尋ねをいたしますが、国民税制改革議会について御質問をいたします。  先般来この協議会の違憲性その他いろいろ御論議がありましたけれども、その人選方法それから諮問の方法、例えば白紙諮問なのか、それから政府税調との関係、それから二年間かけて協議会が開かれていくといいますけれども、その間の議会審議との並行の問題、いろいろあると思います。例えば、初めから消費税を撤廃するということで協議会を開くんですから消費税賛成者は入れないのか入れるのか、いろんな問題があると思います。そういう点で、国民が知りたいと思っている疑念についてお答えいただければと思います。
  58. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 平野委員にお答えいたします。  広く国民の意思を反映させる趣旨からできるだけ多くの委員を置くこととし、委員五十人以内で組織することといたしております。委員は学識経験を有する方から幾人かを選び、また国民各層を代表する方から幾人かを選ぶことに予定しております。協議会の調査審議することは、この法案で示された基本原則と基本方針に従って、税制再改革の具体的な内容について調査審議していただくことにしております。  政府税調との違いですけれども、あらかじめ結論を決めておきながらいかにも国民の声を聞いているかのような、そういう政府税調ではありません。私たちは、国民各界の声を聞くとの本来の原点に立ち戻り、国民税制改革議会を設置し、ここで国民の意思を集約し改革の具体案をまとめることにしております。現在の政府税調とは全く異なることをどうぞ御承知おきください。
  59. 平野清

    ○平野清君 実際の段階になりますと、たった五十人以内ですから、だれを入れてだれが入らない、こんなのが入っているといっていろんな論議が起こると思います。国民皆さんが納得する人選というのは非常に難しいので、今から慎重な御審議をいただければと思います。  余り時間がありませんので、次に行きます。  背番号制について盛んに御論議がございました。私たちサラリーマンの立場としては、この税制に限る背番号制には全面的に賛成であります。なぜならば、所得が一〇〇%、九〇%捕捉されているサラリーマンは、これ以上根掘り葉掘り聞かれても暴かれても、収入の面で何一つ恐れるところはありません。(「極論です」と呼ぶ者あり)極論という声が後ろからありますけれども、四千三百万サラリーマンとその家族を合わせれば人口の八割以上はサラリーマンのはずでございます。そのあとの方々がといっては何ですけれども、その方々たちが納税背番号制に大変な警戒と危惧を抱かれているのではないかと思うんですが、発議者の方はいかがお考えでしょうか。
  60. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 平野先生のおっしゃるとおりでございますが、いずれにいたしましても納税者番号制度の導入に際しましては、国民のやはりプライバシーの保護と国民の合意形成が大前提であるというふうに考えております。
  61. 平野清

    ○平野清君 プライバシーの問題、いろいろあると思いますが、サラリーマンはこの問題に対してちっとも恐れるところはないということだけ重ねて申し上げておきます。  どうもサンピンとかクロヨンとかいうお話がございましたけれども、サンピンのピンは政治家だということだけお忘れなく。  それから次に移りますが、税金というものは入る方だけじゃなくて支出の方が大変問題だろうと思います。私たちは、この支出の方は毎年腹が立つことがあります。例えば六十三年度の申告漏れでさえ新聞によりますと四千九百億円、消費税によって国庫に入らない金額とほぼ同額であります。これが毎年のように出てまいるわけですね。  そこで私たちは、税の使い道としてオンブズマン制度の強化をぜひやるべきだというふうに考えております。私たちは先般来、諸官庁の統廃合、いわゆる土光さんの悲願である行革を叫んでまいりました。特に人事院と会計検査院を統合するように訴えてきました。その両者を内閣から完全に独立させて、その中に国民から直接選ばれたオンブズマン、いわゆる監視事務局を設けるべきだと提案しております。この監視委員会は、今の人事院のような単なる勧告権ではなしに、改革の命令権を与える制度にすべきだというふうに考えております。このオンブズマン制度は、既に一八〇九年、スウェーデンで憲法に盛り込まれて以来、各国で採用されてきております。  発議者の方は税の使われ方に関する私たちの考えにどうお考えか、ぜひお聞きしたいと思います。
  62. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) お答えさせていただきます。  今日の肥大化した行政府をチェックする上で、現在総務庁の行っている行政監察や会計検査では不十分であると考えております。そういう意味では平野委員の考えに全く賛同を表するものであります。
  63. 平野清

    ○平野清君 あと三分になりましたので、一つに絞ります。  これはぜひ大蔵省発議者の方にお聞きしたいんですけれども、今四千三百万人サラリーマンが一番不安に思っているのは、消費税を遂行していったら本当に我々の二十一世紀の生活が保障されるのか、それでは消費税廃止してどういう形の税金導入されようがどのぐらいの年金を負担していったら自分たちの老後が保障されるのか、一つもサラリーマンとしての夢がはっきり出てこないわけです。そのことが一番サラリーマンにとっての不公平税制感とかそういうものと関連しているような気がいたします。そういう意味で、本当に高負担高福祉の道を歩まれようとしているのか、自助努力のアメリカ方式をとろうとしているのか。先般、政府で二十一世紀のビジョン、計画というようなものが発表をされましたけれども、あれでは何ら私たちの考えていることに答えてないと思いますので、将来この消費税を通じて政府の方はどういうふうな福祉国家を想定されているのか。発議者の方は、消費税をおやめになったら今後どういう形で国民にそういう未来像を描かせようとされているのかを、残り一分で大変申しわけありませんが、端的にお答えいただければと思います。
  64. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 今平野委員からお話がございましたように、いろいろと話をしたいと思いますが、時間がございませんので簡単に 申し上げます。  いずれにしましても、政府がおっしゃっておりますように、二〇二〇年が高齢化社会のピークということになります。そういう点では、御存じのとおり、消費税導入したのは拙速である、実はそういうふうに考えております。それは要するに、これからの五年、十年の間にきちっとした方針を立てる必要がある。そのためには、やっぱり税でございますから、国民信頼と合意というものをぴしっとする必要がある。そのためには現在のこの消費税廃止する必要がある、そういうことになるわけでございます。  すなわち、現在の姿の消費税では将来のための役に立たないということだけ申し上げたいし、またこれからのいろんな議論の中で、お話しございましたアメリカ方式にするかヨーロッパ方式にするか、そういう点も含めて十分御検討していただきたいと思っております。
  65. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 既に時間が過ぎておりますので、私からも簡潔にお答えを申し上げたいと存じます。  私どもは、今回の税制改革全体が、高齢化社会の到来というものに目を据えながら、お互いがお互いを支え合う仕組みを用意しつつあるその姿を示すものだと考えております。また、将来についてのさまざまな資料を政府としては院にも提出をさせていただいてまいりました。そして、今発議者からは西欧型かアメリカ型かというお話がありましたけれども、私はそのほかに日本型というものがあってもいいではないか。我々は福祉というものに日本国民に一番合った仕組みを考えていく必要がある、そのように考えております。
  66. 平野清

    ○平野清君 ちょっと発言を許してください。  先ほど自民党代表質問のことで触れましたけれども、私、印刷物を克明に読んだものですからそう思っておりましたら、質問者はその点を飛ばしておって、本会議では発言していないというふうに今理事の方からありましたので、ちょっと今私自身では何とも言えませんが、もしかして本当に発言されていないとすれば削除を申し述べさせていただきます。
  67. 井上吉夫

    ○理事(井上吉夫君) 平野君の発言中に事実と異なる言辞があれば、後刻速記録を調査の上、適当な措置をとることといたします。
  68. 平野清

    ○平野清君 ありがとうございました。(拍手)
  69. 野末陳平

    野末陳平君 こういう形の質問は初めてですので非常に緊張しますね。ひとつよろしくお願いします。  私は、消費税のようなものが必要であるという立場から一貫してこの場で政府に質問してきましたし、それから選挙もその線でやってまいりました。しかし、今の消費税がいいとは全く思っておりませんから、その点多くの問題点を批判してきたこともまた皆さん御存じのとおりですね。強いて発議者皆さんとの違いを言えば、皆さん廃止である、初めに消費税廃止ありきで、その後に税制改革をやるとおっしゃる。私は、その手法はなかなか難しい、そういうふうに思う。ここが違うんだろうと思うんですね。初めに消費税廃止ありきの立場からその立場を決めて代案を突き詰めていきますとどうしても無理が出てくると私は感じているわけですから、しかもまた多くの疑問も出てこざるを得ない。見直し案についても実はそうなんですね。ですから、非常に難しいというか頭が痛いんです。  そこで、いろんな知恵を出さなきゃならないんですが、このあたりからまず質問をしていきたいと思うんです。  まず、提案では相続税の最高税率を七五%に引き上げておりますが、その理由について御説明ください。
  70. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) お答えいたします。  大変税金にお詳しい税金党の総裁ともいうべき立場で御活躍になっております野末委員の御質問で、大変こちらも緊張いたしております。  最初の御質問でございますが、相続税、贈与税の最高税率を七五%に戻しましたのは、最近の地価及び株価等の急激な上昇が経済白書でも指摘しておりますように資産格差を急速に拡大させております。これがまた国民の不満ともなっているわけでありまして、平等社会という立場からも問題を生ずるほどであります。また、税制の持っております富の再配分機能ということを重視してまいりますならばこのことは見逃すことのできないものではなかろうかと思っておりまして、特に土地の適切な評価の実現等の前提条件が整わないままに最高税率の引き下げを行ったことはいささか拙速であったのではないだろうか。また、実質的には名目税率の半分程度とも言われる現行税制からするならば、超大口の資産家等の担税力はもっと大きいと考えられるのではないかと思いまして、相続税等の最高税率の引き上げを行っても問題を生ずることはないだろう、こういうことで七五%を最高税率とした次第でございます。
  71. 野末陳平

    野末陳平君 いいと思いますね、資産所得への課税強化というのはこれはもう世論ともいうべきもので、その一環であろうと思いますから。  同時に譲渡所得の長短の区分にも手を入れている、これも悪いと思いませんが、ほかにどんな資産税強化の案があるのでしょうか。もちろん今後のことですけれども、今皆さんの頭に浮かんでいるのでどんなものがありましょうか。
  72. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今回は有価証券譲渡益に関する税率の引き上げ、原則課税となりましたものを税率を引き上げるということを、譲渡益のみなし率を引き上げるという形で課税の強化を図っております。  今後、資産課税の強化ということについては、今委員が御指摘になりましたようなことを念頭に置きながら十分検討してまいりたいと考えております。
  73. 野末陳平

    野末陳平君 これは非常に大事な問題だと思いますね。今後の税制改革で。  同時に所得税においても、何といいますか、課税強化をしてほしいと思いまして、御提案の法案に抜けているんですけれども、今所得税の最高税率は五〇%になっている。なぜこれを認めていらっしゃるのか。これは当然相続税率を七五に引き上げているならこちらも六〇%に引き上げてほしいんですね。いかがでしょう。
  74. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) ただいまの点につきましては、いろいろと私どもの中でも議論のあった点でございます。例えて申し上げますと、課税申告所得五千万を超える方々に対して六〇%の税率を課してもよいのではないかという意見等もございました。しかし、今回は簡素化、軽減という従来私どもが所得税に求めてまいりました方向を勘案しながら、一〇%から五〇%までの税率をそのままとする、こういうことにいたしまして、今後、所得税の税率をどうしていくかという問題については、総合課税という立場を進めつつ、ぜひ再改革の課題として検討をしていただきたい、こう考えております。
  75. 野末陳平

    野末陳平君 私、思いますに、かねて社会党の考え方では最高税率の六〇%は引き下げないんだということを主張しておられますし、それから野党皆さんもこの委員会で六〇%を五〇にすることに反対でありましたので、当然これが今回入っていないと不満なんですね。ですからこういうところが、相続税率を上げるなら一緒にやればいいのに何でこれが抜け落ちちゃうんだと、ひょっとして方針でも変えたんじゃないかと思ってしまいますから、お答えでわかりましたのでまあひとつこれは今後とも検討していきたいと思いますね。  それから先ほど、相続税、贈与税の最高税率を七五%に引き上げた、あの理由はまさに正当だと思いますけれども、問題は、御提案の内容によりますと平成二年の扱いについて私と考え方がちょっと違うように思うんですが、まず相続税、贈与税ともに平成二年度の扱いはどういうふうになっておりますか。
  76. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) ただいまの御指摘の点につきまして、私ども法案の全体を総合的に絶えず検討を今も続けさせておりまして、その中でこの扱いについて検討すべき問題があるのでは ないかということでございました。そしてまた、野末委員の方からも本日の御質問の要旨の御通告をいただきました際に、相続税、贈与税の問題について御質問をいただく中に御専門のお立場からのいろいろな御意見もおありになると私ども伺いましたものですから、それらの御意見等も十分参考にさしていただきながら、私どももこの扱いについて実は今当委員会の理事会に御検討をいただいているところでございます。
  77. 野末陳平

    野末陳平君 そうなりますと、その検討の案の中身ですけれども、御提案の経過措置、これはすべて相続税、贈与税ともに平成二年の四月一日となっておりますが、その辺の検討をするということでしょうか。もうちょっと具体的にお願いします。
  78. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) これは今委員長のところへ私どもの方からお願いを申し上げている問題でもございますが、私の方から申し上げてよいのかどうか、ちょっとここで休憩をいただいてお時間をいただけませんでしょうか。
  79. 井上吉夫

    ○理事(井上吉夫君) 速記をとめて。    〔速記中止
  80. 井上吉夫

    ○理事(井上吉夫君) 速記を起こして。
  81. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) どうもお時間をとらせまして済みませんでした。  今御了解もいただいておりますので、平成二年四月一日となっておりますものを一月一日ということで、いろいろの御意見も伺い私どももそうすべきであると考えて、今委員長並びに理事会の皆さんの方にその扱いをお願いしてございます。
  82. 野末陳平

    野末陳平君 そういうふうにこの日にちを直すということも一つの案だと思いますし、これは十分に御検討になった方がいいと思いますが、もしそういう事態が起きますと、平成二年の相続税、贈与税、どちらにせよ一月一日にさかのぼる。さかのぼるということは、最高税率の適用をもちろんうまく機能させるためにはそれなりの考え方でわかりますが、租税の大原則からいきまして、罰則、重課、その他過去に遡及していくということは今までしておりませんので、もしお答えのように平成二年の四月一日を平成二年一月一日ということになりますと、その辺が遡及をしていくという、ここをどう考えるかという問題も起きてきますね。ですから、これから御検討なさるんでしょうから結論をいただくというつもりはございませんけれども、その辺は重課なんだから、これは当然不利になってもやっていくんだというような背景で今のお答えになったのかどうか、ここは私と違いますのでちょっと改めて確認したいんですが。
  83. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 消費税法廃止するという、私どもが今回提案しております九法案の最も根幹の問題と諸法とのいろいろなかかわりの中で大変難しい問題もたくさんございまして、先日私がこの場で申し上げましたように、この法案がすべて完璧などとは思っておりません。ぜひそれらの法の運用等に至るまで含めて御議論をいただきまして、これらの点でもし直すべき点があればぜひ当委員会において御議論をいただいて、私どもがそのことをお受けして、直すべきものであれば積極的に私どもの方から委員会にお願いを申し上げたいと思っておるのでございます。  今野末委員が申されました問題についても、私は慎重にいろいろと検討をして、そして税制の運用上もまた法体系としても最も完全に近いものにぜひ仕上げるように、最後まで私どもとしても努力を続けたいと思っております。御意見は大変私どもとしても考えるべき御意見として承っておきたいと思います。
  84. 野末陳平

    野末陳平君 率直なお答えでとても僕も気持ちがいいんですけれども、政府はこういう場合に非常にごまかしたりしますからね、僕そういうの嫌いですから。  ですから、久保先生のお答え、今後とも、これは国民の財産に関することですし、私、相続税その他に関心がありましたのであえてお聞きしたわけですが、もし直すべきは速やかに申し出て直される、検討される、非常に好感の持てる態度だと思うんです。ですから、私から意見だけ言いますと、平成二年の一月一日というふうにお直しになるのは税の専門家から言わせるとこれはむちゃなんで、はっきり言えば平成三年一月一日とするのがいいのではないか。これは私案というふうにしていただければいいんです、贈与税、相続税。もっとも、相続税については四月一日でも問題はないかもしれない。いろいろここら辺は複雑ですから、ひとつ検討課題として今の修正という問題を含めてお考えいただきたいと思います。  さて、時間がいろいろと超過してしまうのでもう一ついきますね。  物品税の復活に当たりまして、自動車の税率を一律八%に決められましたね。これは軽自動車もそれから普通乗用車も一律八%なんですけれども、一律八%に決めた根拠と、それからその八%を小売価格に換算しまして、そうなると消費者が負担するところの税金は小売価格のおよそ何%に当たるか、この辺のところをちょっと説明いただけますか。
  85. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 野末先生、税の専門家であられますから、大変難しいところを御質問いただいておるわけでありまして、的を射た回答になるかどうかはわかりませんけれども。  先生御案内のように、物品税というのはやはり高価な便益品、娯楽品等に示される担税力に着目したそういう税だというふうに思いまして、物品税を復元したといたしましてもその考え方、私どもの考え方は変わりません。その場合に、課税対象物品をどうするかの問題というものがございますけれども、これから税制の再改革を二年かけて行っていこうということでありますので、今回の課税対象品目の見直しによる混乱を避けるためにも、いろいろ問題は残りますが、とりあえずは従来の物品税課税対象品目はそのまま復元させることといたしました。物品間の税率格差設定に当たりましての尺度を定量的に示すことはなかなか難しいことでございますが、例えば物品税の第一種物品とされております貴金属製品……
  86. 野末陳平

    野末陳平君 車のだけにしてくれますか。
  87. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) そういうことで、例えば第一種品目あるいは第二種品目ということでありますので、具体的には旧物品品目で第一種の品目は一五%のものは一〇%、一〇%のものは八%、第二種のものは一五%を超えるものは八%、一〇%を超えて一五%以下のものは六%ということで、また一〇%以下のものは四%といたしたわけであります。機械的に一〇、八、六、四ということにいたしました。  今回の税制再改革の中で、確かにこの……
  88. 野末陳平

    野末陳平君 車のことだけでいいんですけれども、簡単に言ってください。
  89. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) そうですね。  私どもはこういうことにつきましていろいろ一定の基準を設けて物品税の税率を定めたわけでありますけれども、車の問題につきましても、消費税と比較して負担がどの程度違うのかを把握しているわけではございません。例えばマージン率とかいろいろありまして、実態の把握の面などで困難な面がございましたので、基本的な原則としては消費税の負担を大きく上回ることのないような形で機械的に一〇、八、六、四という形で定めたわけでございまして、答えになっているかどうかわかりませんが、そういうことで御勘弁いただきたいというふうに思います。
  90. 野末陳平

    野末陳平君 それは、じゃこちらでちょっと補足しましょうね。  製造段階で八%という課税は百万円以下の軽自動車、それもあるいはそれ以上ずっと高い五百万、六百万、一千万、そういう乗用車も含めてみんな八%になっておりますが、これはちょっとまずいんですね。なぜかというと、今の消費税では軽は三%、それから普通は六%、これは暫定的ですけれどもとりあえず両者に差がつけてあるんですね。この差がつけてあるということが、今度の案では一律八%になりますと、軽自動車を買う人の負担は小売段階で倍になっちゃうんです。ところが、普通車あるいは高級車を買う人の負担は今ま でと変わらない。なぜ軽だけを今より重い負担としたのかというその理由を、車に興味のある人は恐らく知りたいと思うんですよ。それはどうなんでしょう、そこだけ答えてください。
  91. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) そうですね、大変不合理な面もございます。旧物品税率を見てみますと、製造段階では確かに小型乗用車は先生御指摘のように一八・五%、軽四輪車は一五・五%じゃなかったか、また軽乗用貨物については五・五%であったわけでございます。消費税導入によりましてこれが小売段階で小型乗用車は六%、そしてまた軽四輪車、軽乗用貨物車が三%となったわけでございますが、それが今回の改正案で確かに製造段階では小型と軽四輪が八%となりまして、軽貨物が四%となったわけでございます。その結果、先生御指摘のように、軽四輪については消費税と比べて相対的に負担が大きくなっておるというふうに御指摘をされておりますが、そのとおりでございます。  いずれにいたしましても、私たちは代替財源の一つとして物品税の復活を盛り込んでおりまして、全体としては確かに税率の引き下げ調整を行っているわけでありますが、この物品税について不合理なことがあることは私どもも百も承知をいたしております。旧税制の昔のフレームで復活させるのだから、ある程度の不合理が継承されることは暫定処置でありますからやむを得ないというふうに私どもは考えておりますので、改めるところは改めていきたいというふうに思いますが、いずれにしても、この二年間の代替財源ということでこういう形で提案をさしていただいておるわけでございますので、二年間をかけまして十二分に御論議をいただいて妥当なものにしていきたいというふうに思います。    〔理事井上吉夫君退席、委員長着席〕 また、修正すべきは修正するということで、私どもはかたくなにこれがベストだというふうには思っておりませんので、専門家の先生の御指摘をいただきましたので、十二分に検討をさしていただきたいというふうに思います。
  92. 野末陳平

    野末陳平君 私の考え方は、物品税もいいというのは一理ありますし、これを今後とも時代の流れで検討するのはいいんですけれども、今回既に死んでしまった物品税をそのまま持ってきているという、品物、物品の入れかえというものに対して工夫の跡が余り見えないことをちょっと言いたいわけですね。  時間もありませんから、もう一方的にいろいろと意見を聞いていただくことにしてもいいんですけれども、要するに応能負担の原則を貫くならば、やはり百万以下の軽自動車と一千万のベンツは当然これは差をつけなきゃおかしいわけだ。ここで新たなる不公平を招くものに、何で一律八%にしたかという疑問でしたね、今のは。  今度は、似たようなもので一例を挙げますと、今は三%の消費税となっておりますけれども、そういう物品が今回の野党提案で税率アップで値上がりするとか出てくるでしょうね。化粧品、これは四%に上がる。女性の方は嫌でしょうね。ストーブとかレンジは六%に上がる。ルームクーラー、大型冷蔵庫、テレビなども今の三%から八%に上がるわけですね。これらの物品は普及率も高くていわば大衆品なんですから、物品税を復活してこれが増税になって値上がりの可能性があるというのは、代替財源のためにやむを得ないとしても納得できないという人は多いと思います。  それで一方的に私が指摘しますと、じゃ久保先生、最近のあの百万円以上する着物、帯、ああいう呉服類、それからデパートにあふれている何十万、何百万という高級ブランド品、ああいうものが、今でこそ消費税三%、消費税廃止なさるとこれが三%落ちる。物品税の対象になっているかというとなっていない。となると、これはどうなるんでしょう。つまり高い物を買う人は、消費税はなくなる、物品税はない、これは得しますね。そういう人を優遇して、レンジとかストーブとか軽自動車とか、そういうものが今の消費税よりも税率アップの結果値上がりするということが果たして公平かというと、新たなる不公平を招く。これもやはり一種の金持ち優遇で、もしこの中身がわかってくると国民の間にも、なぜ物品の入れかえをして提案してくれなかったんだろう、こういう疑問が当然出てきますね。  物品税というものはもう死んでいるわけですね。そして掲名課税、一々の物品を掲げて課税していくあの方式を、前のフレームなどをなぜ皆さんがそのまま踏襲したか。捨てて、品物の入れかえをすべきが本来の提案者の義務なんですね。それを全くしなかったところが残念で、なぜ相談をしてくれなかったのかと。私に相談してくれればこの程度の初歩的なことはもう十分に世の中の流れに合わせて簡単におわかりいただけたと思うので、もちろんいろんな事情があったと思いますが、品物の入れかえは今からでも遅くはないので、これもひとつおやりになった方がこの消費税廃止法案信頼性というものが出てくるのじゃないかと思うんだが、いかがでしょうか。
  93. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今野末委員の御意見をお聞きしながら、私どももできるだけ広く皆さんの御意見を伺おうと努力したのでありますけれども、先生の御意見もお聞きする機会をもっと持てばよかったのかなと今いろいろ考えることがございます。  ただ、今度の場合の基本的な考え方というのは、消費税の創設によって物品税がなくなった。つまり間接税の主柱となるものが物品税から消費税に置きかえられたわけですね。それで、この消費税廃止する場合にそれじゃ間接税の主柱となるものをどこへ持っていくか。そうすると、消費税の中に消されて吸収された物品税を一遍起こす、そしてこれを軸にして再改革の中で論議をしよう、物品税消費税とは全然税の理念が違う、こういうことで、私ども物品税を軸にしながら新しい間接税が検討されていかなければならぬと思っておりまして、これから大きな課題を持っておりますので、どうぞよろしく御指導をお願い申し上げます。
  94. 野末陳平

    野末陳平君 ですから、物品税の復活そのものについて特別僕が異論を挟んでいるわけじゃありませんで、割と簡単にできるこの品物の入れかえこそがまさに必要で、二年間の暫定というようなことでなくこれをもうしばらく続けようとなさるならば、やはりここで、まず基本的な物品に関する姿勢、そして最近何が売れ筋商品になっているのか、そういうようなことも考えながらこれからの検討をお願いしたいと思っております。ですから今のは僕としては、品物の入れかえを今回なさるべきだ、そうしなければ国民の納得は得られないということをちょっと補足したいと思いますね。  これは言い出すともう切りがありませんから、最後に一つだけ。つまり、今のは物品税の復活で新たなる不公平、新たなる疑問ができるという点を品物の入れかえで解決できるのにと、こう思ったわけですが、もう一つ、時間が短いのであわせてやってしまいますと、税制改革議会もいいんですけれども、これが設置されまして、そうすると仮にこの結論が消費税見直しとかまたはやむなしと出たら皆さんはその結論に従われるのかどうか、そこが疑問なんですけれども、いかがなんでしょうか。
  95. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) そういう結論は、この基本法の中の四条、五条に一応原則的なフレームをきちっと決めておりますので出ないのではないか。特に二条の中にも、今回の消費税廃止し再改革基本法を出したいわゆるいわく因縁をきちっと書いてあるわけです。それはもちろん御存じのとおり、消費税廃止する、一般消費税大型間接税廃止するというのが基本のフレームでございますから、それを受けて検討し、また、基本の原則とかいろんな問題、理念が書いてございますから、それに反するような結論は出てこないのではないかなと、こういうように思っているわけでございます。
  96. 野末陳平

    野末陳平君 まさに原則と方針に従ってやればそうなってしまうんですが、そうなると、せっか くつくったこの協議会が初めに方向を決めてしまうという、拘束するという面もまた出てきますので、その辺の人選が非常に難しい。ましてやその人選をだれが粗よりしていってやるかというそのプロセスというもの、これ次第でもう結論が初めに出てしまうというそのおそれもあるんですね。ですからなかなかこれは大変だなとそう思いまして、二年ぐらいでいい結論が出るのかわからない、ひょっとしたら今の皆さんの暫定税制二年がもっと続くのじゃないかという危惧すら抱くんですが、久保先生、これについてはどんなものでしょうか。
  97. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 二年をめどといたしましてできるだけ早く結論が出ますように国民税制改革議会皆さんにも御努力いただきたいと思っておりますし、またあわせて、国会国会、それぞれの場において必要な論議が積み上げられていくことを期待いたしておりますが、今、もっと延びるのじゃないかという野末先生の御指摘に私がお答えすることは大変難しいと思います。
  98. 野末陳平

    野末陳平君 もう最後になりましたので、また次の質問の機会があると思うんですが、私ちょっときょうの感想を話しておきたいと思うんですね。  非常に率直に言いますと、今までずっと聞いていて、政府あるいは大臣の答弁より野党皆さんの方が堂々としているのは事実です。勢いもありますね。ですから僕ははっきり言って見直したので、もう少しちょっと困るところが出てくるかと思ったりしていたんです。でも、非常に誠実で率直な答弁をいただいたので気持ちよく議論ができたんですが、一つだけ。さっき法案に改めるべき部分があるようなお話だったんですが、それはそれでいいんですが、やはりこの法案全体の信頼感というものもありますので、何かなれない仕事をしたからというような言い方をされる向きもあるようですが私はそれはやめて、今後ともミスがあれば、ミスがあっていいんですね、またそれがあってもそれで検討するということがとても大事だと思うんです。ですからそのミスを率直に、自主的に直すというようなことも僕は好感が持てますから、ひとつ今後とも一緒に研究をしていきたい、そう思っていますので、どうもありがとうございました。(拍手)
  99. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 九案に対する本日の質疑はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十九分散会