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1989-11-16 第116回国会 参議院 税制問題等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月十六日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  十一月十五日     辞任         補欠選任      山口 哲夫君     竹村 泰子君      常松 克安君     及川 順郎君  十一月十六日     辞任         補欠選任      岩本 久人君     大渕 絹子君      野末 陳平君     横溝 克己君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中村 太郎君     理 事                 井上 吉夫君                 沓掛 哲男君                 宮澤  弘君                 村上 正邦君                 稲村 稔夫君                 及川 一夫君                 本岡 昭次君                 矢原 秀男君                 近藤 忠孝君                 古川太三郎君                 寺崎 昭久君     委 員                 伊江 朝雄君                 小野 清子君                 大木  浩君                 梶原  清君                 鎌田 要人君                 北  修二君                 久世 公堯君                 佐々木 満君                 谷川 寛三君                 前島英三郎君                 松浦  功君                 松浦 孝治君                 守住 有信君                 山岡 賢次君                 吉川 芳男君                 穐山  篤君                 上野 雄文君                 大渕 絹子君                 粕谷 照美君                 竹村 泰子君                 渕上 貞雄君                 細谷 昭雄君                 前畑 幸子君                 村田 誠醇君                 安恒 良一君                 及川 順郎君                 刈田 貞子君                 和田 教美君                 橋本  敦君                 高井 和伸君                 三治 重信君                 平野  清君                 横溝 克己君    委員以外の議員        発  議  者  久保  亘君        発  議  者  佐藤 三吾君        発  議  者  梶原 敬義君        発  議  者  小川 仁一君        発  議  者  峯山 昭範君        発  議  者  太田 淳夫君        発  議  者  笹野 貞子君        発  議  者  勝木 健司君    国務大臣        大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君        自 治 大 臣  渡部 恒三君    政府委員        外務政務次官   田中 直紀君        外務省アジア局        長        谷野作太郎君        外務省条約局長  福田  博君        大蔵省主計局次        長        寺村 信行君        大蔵省主税局長  尾崎  護君        自治省財政局長  持永 堯民君        自治省税務局長  湯浅 利夫君    事務局側        常任委員会専門        員        竹村  晟君        常任委員会専門        員        保家 茂彰君    法制局側        法 制 局 長  中島 一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○消費税法を廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○消費譲与税法を廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○地方交付税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○税制改革基本法案久保亘君外七名発議) ○法人税法等の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○通行税法案久保亘君外七名発議) ○物品税法案久保亘君外七名発議) ○入場税法案久保亘君外七名発議) ○地方税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議)     ─────────────
  2. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を開会いたします。  消費税法を廃止する法律案消費譲与税法を廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 宮澤弘

    宮澤弘君 昨日の続きの本論に入る前に、一昨日の我が党の伊江議員質問に対します久保議員の答弁に関しまして発言をいたしたいと思います。それは、久保議員伊江議員質問に対しましてこういうことを言っておいでになります。  ミッテラン氏が国会演説をいたしました一節をお取り上げになりましたが、私の記憶に間違いがなければ、ミッテラン氏は演説結びを、世界じゅうの武器庫を空にしよう、そしてこれを食糧の倉庫にしよう、こういうことを演説結びとしたはずであります。私はその点においてミッテラン氏を大変尊敬しているのであります、と。  要旨、こういう趣旨の発言久保議員はされたと思います。私の記憶に間違いがなければとお断りになっておいでになりますが、このくだりにつきまして私も調査をいたしました。ここにミッテラン氏の国会におきます演説仮訳も持っております。調査をいたしましたんですが、これは久保議員のどうも記憶の誤りではなかろうかと思います。ちょうど同じころにイタリーのペルチーニ大統領が来ておりまして演説をいたしておりますので、その文言と思われますので、この点明らかにしておきたいと思いますが、いかがでございますか。
  4. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 御指摘のとおりで ございまして、大変恐縮に存じます。ただ、伊江委員の御質問は突然の御質問でございまして、私も、昭和五十七年にほとんど間を置かずにペルチーニ大統領ミッテラン大統領が相次いで来日されておりまして、七年以上前のことでございまして、ここで突然の御質問でございましたので取り違えた点がございます。  ただ、私この演説だけで申し上げたのではありませんで、ミッテラン大統領が第二次世界大戦中、ナチスに抗して平和と民主主義のために戦い抜かれ、戦後、フランス社会党を再建されてこられましたミッテラン氏に対して、私は大変深い尊敬の念を持っていることを申し添えておきます。
  5. 宮澤弘

    宮澤弘君 昨日に引き続きまして、連合政権下外交問題について、まず残った問題から質問をいたしたいと思います。  昨日、日米安保体制について質問をいたしたんですが、連合構想の中で日米安保体制の問題をどう扱うか、新聞等によりますと社会党でも随分内部で御議論になったと、こういうふうに拝聴をいたしております。そして、この安保体制の位置づけについて、初めはこれを当面維持すると、こういうお考えがあったということを新聞等で承知いたしておりますんですが、現在は「当面」という字句が外れておりますけれども、なぜ当面という字句が外れたんでしょうか。
  6. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) これは、条約両国合意協議に基づいてその存続改廃考えられていく問題でございまして、連合政権下において外交政策継続として私どもはその継続性を重視するという面もございますので、存続しつつ、そして軍縮、平和を基調とする考え方の上に立って今後これらの問題に対処していかなければならない、こう考えておりまして、当面という言葉を置く必要はない、こういうふうに考えているのでございます。
  7. 宮澤弘

    宮澤弘君 社会党山口書記長が、これは新聞によりますと、当面というのは三年か四年ではないかと、これは「八日の記者会見で」というのは九月の八日だと思いますが、「日米安保条約と自衛隊を連合政権下で当面存続させるとした先の書記長見解について、「衆院議員の任期は四年で、衆院解散はほぼ三年ごとに行われている。政権担当から次の総選挙までの間に何をやるか、合意していけばいい」」、こういうことを言っておいでになります。こういうことからいいましても、当面というのは暫定的だというような感じがいたしますが、そうではないんですか。
  8. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私が党の書記長発言についてすべてその真意をここでお答えするのは大変困難な点もございます。  それで、もしそのことをどうしてもここで答えろとおっしゃるのでございましたら、私どもの方も調査をいたしましてお答えしたいと思いますけれども、党の政権可能性を今日現実のものとする中で、連合政権のもとにおける社会党外交政策というものをどういうふうに考えるかということで、私ども自由民主党政権からの継続念頭に置きながら、いろいろと今これらの問題について真剣な議論を重ねている段階でございまして、その段階においていろいろな論議の過程における発言もあろうかと思っておりますが、私どもとしては、安保条約等についてこれを継続しつつこの問題の今後の取り扱いについて検討をしていかなければならぬ、こう思っているのでございます。
  9. 宮澤弘

    宮澤弘君 安保体制についてもう一つだけ質問をいたしますが、社会党安保条約を維持される、これは連合政権下だけのことでありますか。社会党もいずれ単独政権をお考えになっているに違いない。単独政権になりましたならば、綱領である宣言に述べておられる固有の政策、これに戻る、こういうふうな理解でよろしいんでしょうか。
  10. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私どもは、政策長期的な目標としては日本国憲法に最も忠実な政策考えなければならぬと思っております。そういう意味長期政策としてのいろいろな考え方もございますが、当面政権を担当するという場合に、宮澤さんから社会党単独政権というお話もございましたけれども、私どもは非常に短期の日程の中でそのようなことを考え状況にはないと考えております。当面私どもが目指します連合政権というものは、政権現実のものとしました場合にはかなり長期にわたって続けられるものと考えておりまして、そういう意味で申し上げているのでございます。
  11. 宮澤弘

    宮澤弘君 かなり長期にわたって続く、その間は維持をされるということであると、反面どうなるかということは私も想像がつくのでありますけれども、この問題はこの程度にいたしておきたいと思います。  次に、外交問題の最後といたしまして、朝鮮半島の問題について若干承りたいと思います。  社会党韓国国家として認知しておいでになるんですか。
  12. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 朝鮮半島には二つ政府、すなわち二つ国家存在していることは厳然たる事実でございます。したがって、社会党としてはこの事実を否定したことはございません。当然に韓国国家として認めるものでございます。社会党はこのような立場に立っておりますけれども、この朝鮮半島における二つ分裂国家存在というのは、第二次大戦後の冷戦構造のもとに不幸にして生まれたものでありまして、その前をたどれば、日本長期にわたる植民地支配、そして第二次大戦を中心にして、この朝鮮方々に対して日本が与えた苦痛や被害は非常に大きなものがあったと考えております。そして、そういう意味でこれらの問題に対する大きな反省と贖罪のもとに、私ども朝鮮半島に対する政策考えていかなければならないものだと思います。  そういう立場に立って私たち朝鮮半島の自主的、平和的統一という重要な課題に対して、どのように我々がこれに対応すべきであるかということを絶えず念頭に置きながら、朝鮮半島の問題について私どもは今日まで努力をしてまいったところでございまして、ただいま韓国国家として認知しているかどうかということでございましたけれども、それに端的なお答えということになりますならば、国家として認めているものだとお答えいたしたいと思います。
  13. 宮澤弘

    宮澤弘君 事実として認知をしているというお答えがございましたけれども国際法韓国を独立の国として認知をしておいでになるんですか。
  14. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) そのとおりお考えいただいて結構だと思います。
  15. 宮澤弘

    宮澤弘君 そういたしますと、我が国と韓国との間には日韓基本条約がございますが、国際法認知をしているというふうに考えてよろしいということになりますと、日韓基本条約もお認めになる、こういうことでございますか。
  16. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 日韓基本条約につきましては、これに日本社会党反対をしてまいりました。その成立論議段階から反対をしてまいりました。これは先ほど申し上げましたように、朝鮮半島が不幸にして二つ分裂国家状態に立たされ、そして日本の長い間にわたる朝鮮方々に対する歴史的犯罪ともいうべき植民地支配などについて、贖罪やその賠償を全体に対して終えていないという中で、この朝鮮半島支配韓国政府だけで考えられるというような危惧を持つ日韓基本条約に対して私ども反対してまいりました。  しかし、今日まで二十年間にわたって、既にこの日韓基本条約日韓両国関係において機能し、そしてこの条約自民党政府のもとで両国関係に定着してまいっていることはまた事実でございます。この点については、私どもはそのような理解を持ちながら、今日日韓基本条約については考えているところでございます。
  17. 宮澤弘

    宮澤弘君 ちょっとお答えがはっきりしないんですが、日韓基本条約がこれまで定着をしてきたと、こういう理解認識はお示しになった。しかし、日韓基本条約はどうもその条約の中身を見るとおかしいので反対だと、こういうことになりますか。
  18. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 日韓基本条約は、 その成立段階において非常に多くの問題を持っておりましたから、私ども反対立場をとってまいりました。しかしその後、政権自民党の手にあり、そして自民党政府のもとで日韓基本条約日韓両国関係を実際に機能さしてきたわけでございまして、そのことを私どもは否定していないわけでございます。  ただ、今後それじゃ日韓関係、また朝鮮民主主義人民共和国との関係、これらのものを考えながら、朝鮮民族の自主的、平和的統一障害とならないように両国関係を進めていくために、日韓基本条約存在を我々としても認めつつ、しかしその問題点については、生き物として動く外交の今後の推移に対して私どもはこれに対応していかなければならぬということを申し上げているのでございます。
  19. 宮澤弘

    宮澤弘君 どうもわかりにくいお答えだと思いますが、社会党日韓基本条約反対をしておられる一つ理由は、先ほどもちょっとお触れになりましたが、日韓基本条約韓国朝鮮半島にある唯一政府である、こういうことを言っているから反対なんだと、どうも私は反対をされる一つ理由がそこにあるように理解をいたしておりますが、これは基本条約の解釈を少し誤解しておられるのじゃないかと思うんですね。基本条約自身国連決議を引いておりまして、国連決議韓国朝鮮半島全部の唯一政府だとは言っていない。その点はどうお考えですか。
  20. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 国連の何ですか。
  21. 宮澤弘

    宮澤弘君 決議
  22. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 決議など専門的なものをお取り上げになって御質問でございますが、それは日韓基本条約論議をされましたときのいろいろな状況、その論議の模様というものを通じて考えなければならないことではないでしょうか。
  23. 宮澤弘

    宮澤弘君 社会党韓国なり日韓基本条約に対するお考えというものを今承ったわけでありますが、これにつきまして他の三会派の見解を承りたいと思います。
  24. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 私どもといたしましては、朝鮮半島二つ政府があるということもはっきりいたしておりますし、また分断された国家としてのそれぞれの存立という事実を認めているわけでございますし、また日韓基本条約につきましてもそれを認めているわけでございます。
  25. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 私たち願い南北対話統一という点にあります。連合政権もそのような政策をとっていくわけでありますから、日韓基本条約のできました二十年以上前と今日とではいろいろな変化が起きていることは事実でありますけれども、私どもといたしましては、平和的にすべてがいくような願いを持っております。
  26. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私ども日韓基本条約承認に賛成し、日韓両国友好と親善に努めてまいったわけでございます。それは、南北朝鮮平和的統一がなかなか実現できない状況におきまして、まず日韓国交正常化友好を図ることが重要であると考えたからでありまして、私どもはその判断は間違っていなかったと考えております。
  27. 宮澤弘

    宮澤弘君 社会党外交継続性、これを尊重するということで日米安保条約を維持する、こういう立場を今回おとりになったわけですね。そういたしますと、連合政権下の対韓政策、この点においても継続性を尊重するということになりますか。
  28. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 基本的にはそういうことになろうかと思っておりますが、外交継続性を重視すると申しましても、外交というのは絶えず相手のあることでございます。それから、国際的な状況変化も今日の時代などにおいては非常に大きく揺れ動いております。そういう中で、日本の国益とともに国際的な役割ということも絶えず念頭に置きながら発展的に考えていく方がよいのではないかと思っているのでございます。  自由民主党におかれても、対中国政策においてはかつて敵視政策をおとりになりました。七二年二月のニクソン訪中に続く九月の田中訪中によって国交正常化の道をお選びになったわけでございまして、外交というのはそういう問題だと思っておりまして、私どもは絶えず国際情勢に配慮をしながら、外交日本世界の平和と友好のために役立つ政策となり、実際にそのことが政権によって運営をされるように努めてまいりたいと考えておるのでございます。
  29. 宮澤弘

    宮澤弘君 この「新しい政治への挑戦」、そこに「南北政府との均衡ある関係」を進める、こういうふうに書いてありますね。「均衡ある関係」というのはどういうことでございますか。
  30. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 委員長に申し上げますが、私質問が聞き取れないんでございましてね、私に近い方がうるさい。ですから、この点については委員長の方で十分御注意をいただきますようお願いを申し上げます。  南北の均衡ある外交といいますか、それは必ずしもすべてが外交政策上同じレベル、同じ内容となるということではなかろうと思っておりまして、しかし、今私ども南北の均衡ということを考えてまいります場合には、朝鮮民族の自主的、平和的な統一を我々は前進させるために役立つ考え、そしてこれに決して障害をつくり出すようなことをやってはならない、この立場を極めて重視していかなければならぬと思っております。  それで、例えば北の共和国との間の国交の問題にいたしましても、国交というのは相手との関係でございますからこちらから一方的にどうこうと言える問題ではなかろうと思っておりますけれども、しかし現在のように全く交流対話も途絶しているという状況は、アジアにとっても日本にとっても不幸なことだと私は思うのであります。そういう意味では、この均衡ある状態をつくり出していくために朝鮮民主主義人民共和国との間に速やかに対話交流を進める、そういう努力日本政府としてもやらなければならない問題だと考えておりまして、この点について日本政府が今日までやれなかったこと、やらなかったことについて私どもとしては野党外交という立場において従前も努力をしてまいったつもりでございまして、今後もこのような努力継続、発展させつつ両国間の対話交流が進展するよう心から願っております。
  31. 宮澤弘

    宮澤弘君 最近、ソ連科学アカデミー世界経済国際関係研究所代表団が、韓国のセミナーに参加をいたしまして、その団長のマルチノフという人、この人はゴルバチョフ氏の外交のブレーンだと言われておりますが、マルチノフ氏は、ソ連韓国との国交樹立をすることを外交政策の視野の中に入れているということを表明していると言われております。  また、韓国民主党とこの代表団とが発表した共同声明で、朝鮮半島二つ主権国家存在しているのが現実である、こういう認識表明いたしているようであります。  このように朝鮮半島をめぐります最近の動きは大変活発になっておりますが、この動きについてどう見るか。特に国連への韓国北鮮、この同時加盟ということについてどうお考えになるか、最後に承っておきたいと思います。
  32. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) この問題は、大変重大でかつデリケートな性格のものだと思っております。  今御指摘がございましたソ連の高官の発言につきましても、私も承知をいたしております。しかし、伝えられている限りでは、ソ連のその発言者立場真意は必ずしも明らかではありませんし、またその際、共和国国連加盟とワンセットで考えられているのか、さらにはソ連側と北の共和国側との間にどのような協議合意存在しているのか不明な点がございます。いずれにせよ、この種問題でのアプローチは、南北自主的平和統一を阻害しない、むしろ促進するという、そういう立場で判断されることが必要であろう、こう 思っております。  ただ、私としてこの問題についてはさらにいろいろな確認をしなければならない問題もございますので、ここで直ちにこの表明について論評を加えることは差し控えさせていただきたいと思いますが、一言申しますならば、この表明南北対立緩和統一促進に役立つものであれば好ましいものであろうかと考えております。
  33. 宮澤弘

    宮澤弘君 外務省、簡潔に、この問題についてどうお考えですか。
  34. 田中直紀

    政府委員田中直紀君) 中山外務大臣が今ウルグアイ・ラウンドの会議出席をいたしておりますので、私が答弁させていただきます。  最近の朝鮮半島情勢でございますが、朝鮮半島においては南北双方が依然として対峙しておることは事実でありますし、劇的な大きな変化がまだない状況でありますが、一方、本年九月より南北対話が再開されました。また、朝鮮半島を取り巻く情勢には新たな注目すべき動きがあるわけでございます。  まず、ソ連と東欧におきましては、御存じのとおり改革自由化の波によりまして、ハンガリーに続きましてポーランドが韓国国交を樹立いたしております。また、今御指摘ソ連マルチノフ氏の、二つ朝鮮の事実を認めるかのごとき発言も注目をされておるところであります。  それから国連への加盟問題につきましては、先般中山外務大臣国連で明確に表明をいたしておるところでございます。  以上でございます。
  35. 宮澤弘

    宮澤弘君 連合政権構想についていろいろ承ってまいりました。私は、野党の皆さんが今や連合政権近しということでいろいろ御相談になっておられますので、そういう意味で、連合政権になりましたならばどういう政策をおとりになるか、初めに申しましたように極めて重要な問題であり、国民の関心が深いということで質疑をいたしてきたわけであります。その間、日米安保体制でありますとかあるいは朝鮮半島をめぐる問題で各党の間でお考えに随分相違があるということが明らかになりました。おまとめになるにはこれは随分御苦労があるだろうなと人ごとながら御同情を申し上げたいと思うのであります。  そこで、昨日久保議員にこの連合政権構想協議をいつまでにおまとめになるかということを御質問し、自分は答える立場にないんだ、こういうお答えがありました。そこで、今九法案を出しておいでになりますが、この法律は無論野党としては早期成立を望んでおいでになる。そうすると、この法律の執行は一体だれの手によって行われるというふうにお考えでございますか。
  36. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) それは国民が、有権者がお決めになることだと思っております。
  37. 宮澤弘

    宮澤弘君 きょうの新聞によりますと、公明党の石田委員長はこの連合政権協議について次期衆議院選前の政策合意を目標にしている。私も今までの経緯からいいますとまさにそういうことではなかろうかと思いますけれども、この石田委員長発言を前提にして、それについてどうお考えでございましょうか。
  38. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 努力をいたしております者の立場から願望的に言えと言われれば、私は石田委員長がお述べになっておりますことに賛成でございます。
  39. 宮澤弘

    宮澤弘君 次に、税制改革基本法案につきまして若干質問をいたしたいと思います。  まず国民税制改革協議会について伺いたいと思います。野党各位はかねてから政府税制調査会につきまして、税制の重要な事項というものは国会論議をすべきだ、政府政府税調を隠れみのとして使っているという趣旨の非難と申しますか、続けておいでになるんですが、この国民税制改革協議会はどうもそういう意味では同じようではないかというふうに思われます。過日の本会議でも発議者がいろいろ御答弁になりましたが、具体的なこと、重要なことになりますとそれは協議会に譲っている問題だ、そういう御答弁が多かったように思われます。  そこで、まずこの協議会というのは現在の政府税制調査会と一体どこが違うのか、どなたでもよろしゅうございますからお答えをいただきたいと思います。
  40. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 今まで私も国会で各種の審議会の問題につきまして、特に国家行政組織法の八条の問題につきまして相当発言をしてまいりました。そのときに隠れみのという発言を私も随分やってまいりました。それはやはり、国家行政組織法第八条を外しまして、特に閣僚の皆さん方が私的諮問機関というのをつくりましてそれがあたかもひとり歩きをするというような問題がありましたので、そういう点を含めまして隠れみのというふうなことを随分いろんなところで言ったことがございます。  今回の私ども考えております国民税制改革協議会と申しますのは、法案の中にもございますように、国家行政組織法の第八条に基づく委員会でございます。それから政府税調は、もう既に御存じのとおり、総理府本府の組織令第十八条に基づくものでございまして、法令的にはそういうふうな立場が全く違うということでございます。
  41. 宮澤弘

    宮澤弘君 ただいまもお話がありましたが、そういたしますと、この国民税制改革協議会は国家行政組織法八条にいう調査審議をする附属機関である。法律的にはそういう性格でございますね。
  42. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) おっしゃるとおりでございます。
  43. 宮澤弘

    宮澤弘君 この国民税制改革協議会でありますが、法案を拝見いたしますと、税制改革の基本原則といたしまして「民主的な手続により形成された国民の合意に基づくこと。」というようなことが述べられております。そしてまた、提案者を代表して久保議員も本会議で、この国民税制改革協議会の設置について国民の参加と合意に基づく税制改革を実現するための機関だ、こういう趣旨のことを述べておいでになります。  また、昨日でありましたか笹野議員は租税民主主義というようなことを言われたと思うんですが、この国民税制改革協議会はきのうおっしゃったような租税民主主義一つのあらわれである、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。笹野議員の御発言に関連をして申し上げました。
  44. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) それでは初めに私が答えさせていただきます。  今おっしゃったとおり、この税制改革協議会の委員の任命の仕方とか、あるいは中のいろんなところですべて正確に書き分けておりまして、例えば学識経験者と国民というふうな書き分けもいたしましたし、我々は、学識経験者はもちろん、国民を代表する立場というよりは専門的な立場の方、いろんな立場の方にこの国民税制改革協議会の中に入っていただきまして、もともと租税民主主義という点からいきますと、この国民税制改革協議会を設置すること自身もその中に入る。そして、国民税制改革協議会の中でいろんな例えば調査、あるいは専門委員を含めましてのいろんな何といいましょうか地方に参りまして公聴会のようなものとか、いろんなことをやるということになると思いますね。そういうようなものすべてを含めまして私どもはそういうふうに考えているわけでございます。
  45. 宮澤弘

    宮澤弘君 笹野議員に御質問をしたのでありますけれども峯山議員お答えになりましたが、この協議会は租税民主主義のお考えのあらわれである。いや、別に私はこれでひっかけようというつもりも何もないんですが、きのうそういうお話がありましたので。――そうでございますか、お答えをいただきたい。
  46. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) そのとおりです。
  47. 宮澤弘

    宮澤弘君 そのお答えで結構でございます。  そこで、この第八条によりますと、協議会が「調査審議の結果を、内閣総理大臣に対し、及び内閣総理大臣を経由して国会に対し、報告するものとする。」、こう書いてありまして、それから「内閣及び国会は、前項の報告を受けたときは、速やか に所要の措置を講ずるものとする。」、こう書いてありますが、この「所要の措置を講ずる」というのはどのような措置を講ずるのでありましょうか。
  48. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 「所要の措置」と申しますのは、この法律の中にも書いてございますように、内閣総理大臣を経由いたしまして当然国会にも報告が来るわけでございます。したがいまして、その報告を受けまして国会の方から立法措置をするということもできましょうし、また行政府の方から法案を提出していただくということもできるということでございます。  したがいまして、通常、審議会の答申を受けました場合には、その答申を尊重するということがありますけれども、この基本法の中では、答申がございました場合には当然その答申を尊重して立法措置にかかるということでございます。ただし、法的にそれで強制を受けるというものではない、こういうふうに考えております。
  49. 宮澤弘

    宮澤弘君 ただいまの御答弁で、報告を受けて立法措置をとるんだ、こういう御答弁でございました。しかし強制されることではないんだということでありましたけれども、この調査審議した具体的な中身に従って政府なり国会なりが立法をする、こういう趣旨なんでございましょうか。
  50. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 大体そういうふうなこととお考えになっていただいていいと思いますが、内閣及び国会が講ずるべき所要の措置でございますから、要するに立法に関するあらゆる措置、こういうふうに考えていただいていいのじゃないかと思っております。すなわちその法律案の提出に始まる一連の立法措置、こういうふうにお考えになっていただいていいのじゃないか、こういうふうに思っております。
  51. 宮澤弘

    宮澤弘君 ただいま御答弁がありましたように、報告を受けてそれに従って立法をする、こういうことである、こういうお答えでございました。  そこで、先ほど私はいろいろ承りまして、この法律が非常に民主的な手続というものを尊重しておいでになる。また租税民主主義というような御主張もわかります。わかりますけれども、ただいまの御答弁も承りまして、私は、国民税制改革協議会のこのくだりにつきましては、法律的に大変疑義があると思います。  内閣の場合についてまず承りたいのでありますが、内閣はこの法律によって報告を受けて速やかに所要の措置を講ずる、立法の措置を講ずるんだと今の御答弁にもございました。そこで、内閣が報告を受けまして、その報告は不満である、同意しがたい、こういう場合には一体内閣はどうするのでございますか。
  52. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) その場合は、当然、もともと今回の税制改革基本法に基づいて、いわゆる基本法の中にはそれぞれ税制改革に関する基本的な理念、考え方がうたい込まれているわけでございますから、この国民税制改革協議会で出される答申というものも少なくともその基本方針や理念に沿ったものであろうと私は思いますね。そういうような意味では、その基本方針や理念に沿った答申が出てくるであろうと我々も期待するわけでございまして、その方針に沿って政府としても立法措置なり、あるいは国会の中での議論があっても私はいいと、そういうふうに思っております。
  53. 宮澤弘

    宮澤弘君 私が伺いましたのは、内閣がこれを受けて、先ほどは、それに従って立法をするんだ、所要の措置を講ずるんだ、こういうお話がありました。それで、この法律について、いろいろ基本原則が書いてあるとおっしゃいましたけれども、これは基本原則でございますね。それでその基本原則に従って、この法律にも書いてありますが、「具体的な措置について調査審議する」のがこの協議会でございます。つまり、何税をどうするとか何税の税率をどうするとか、これがこの具体的な措置でございますね。その具体的な措置について内閣はこれを受け入れられない、不同意だという場合は一体どうするのかということを承っております。
  54. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) それは宮澤委員の仮定の問題でございますから、実際問題としてそういうような答申というものは、少なくとも国会の中で委員の選任から始まりましてすべて民主的な手続を経て出てくる答申でございます。したがいまして私は、その答申に沿って税制の措置をすべきである、こういうふうに思います。
  55. 宮澤弘

    宮澤弘君 それはこの法律にございますように、委員国会の同意を得ている、そういう立派な方がお出かけになる、それはわかります。わかりますけれども、審議会がした結果について内閣は法案提出を義務づけられるわけでございますね。さっきおっしゃいました。そこは私は大変疑義があると思うんです。  一体内閣というものは国政上どういうふうに位置づけられているか、どういう御認識でございましょうか。つまり行政部、そこまで私が申し上げる必要もないかもしれませんけれども、要するに内閣というのは、憲法の七十二条にありますけれども「行政各部を指揮監督する。」、行政府の最高の立場にあるわけでありますね。しかし先ほどのお話で、税制改革協議会がした報告、それに基づいて国会に法案を提出する義務を負うわけでございます。さっきおっしゃいました。当然提出するのだということをおっしゃいました。違いますか。
  56. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) それではもう一回正確に申し上げます。  要するに、税制改革協議会のいわゆる答申があります。あるいは報告という名前になるかもわかりませんが、いずれにしましても本質的には同じでございます。しかしながら、その報告や答申というものは少なくとも税制改革の基本的な方針や理念に沿って出されるものであろうと私は思っております。したがいまして、税制改革の趣旨にかんがみて考えてみましても、私はその協議会の報告というものは最大限に尊重されるものである、こういうふうに思っております。
  57. 宮澤弘

    宮澤弘君 最大限に尊重されるものであるという御答弁がございました。しかし、それならば尊重をするという表現でなければおかしいんですね。これは「速やかに所要の措置を講ずるものとする。」と書いてある。講ずることを義務づけられておるんですね。これはだれが見てもこの法律はそう書いてある。いかがでございますか。
  58. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) ただいまのところにつきましては、税制改革基本法の「報告等」というところで第八条にきちっと規定をいたしておりまして、八条の第二項で「内閣及び国会は、前項の報告を受けたときは、速やかに所要の措置を講ずるものとする。」、こうなっておるわけでございます。この点につきましては、先ほども申し上げましたように、協議会のいわゆる報告を受けたときは内閣及び国会はその協議会の報告は最大限に尊重をすべきものである、我々はこういうふうに解釈をし、こういうふうに作成をしたわけでございます。
  59. 宮澤弘

    宮澤弘君 尊重ならば尊重とお書きにならなきゃいけないんです。ここに「所要の措置を講ずるものとする。」というのは、講じなければならないんですね、これは。それでありますから私は、国民税制改革協議会が民主的な手続によって民主的な議論をされる、それはそれで結構でございましよう。  しかし協議会は、あくまでもそれは、さっきも伺いましたけれども国家行政組織法の一つの附属機関にすぎないのでございますよ。行政部の最終的な責任というのは、先ほど申しました憲法にもあります。内閣が持っている。そうすると、一附属機関の意向というものによって内閣がある行動をすることを義務づけられるということは、今の憲法なり国家行政組織法の建前に反する、私はそう思うんです。尊重するならば尊重するでよろしいんですが、これはそうじゃないんですね。もう一度その点を明らかにしていただきたい。
  60. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) この問題につきましては、私どもも法制局と十分相談をいたしま して、そういうことにならないように考えております。  したがいまして、この「所要の措置を講ずるものとする。」というのは、どうしてもしなければならないということではないと。したがって、法的拘束力はないと考えております。
  61. 宮澤弘

    宮澤弘君 私は法律についてそれほど専門家ではございませんけれども、しかし「講ずるものとする。」というのは、これは講ずるということなんですね。尊重という、尊重義務とか努力するとか、それとは違うんです。やらなければならないということなんですね。それは法制局と御相談になったと。それは、法制局は立案者の立法政策についてそれを法律的にまとめることについての、何といいますか、助言者であろうと思います。しかし、それは法制局はあくまでも助言者であって、皆様方がこういう政策というものをやるから、それを法体系に整備しろということで法制局がやるわけでございますね。そうじゃありませんか。
  62. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) したがいまして、私どもの意図といたしましては、先ほどから何回も申し上げておりますように、税制改革の趣旨にかんがみていわゆるこの協議会の報告というものは最大限に尊重されるべきものである、こういう考えで我々は初めから終始一貫をしているわけでございます。
  63. 宮澤弘

    宮澤弘君 そういう意図をお持ちになったのかもしれませんが、できました法律は違うんです。これは何かをしなけりゃならないということが書いてある。  それでは、もう少し議論を進めます。今内閣のことを申しましたけれども国会も同じ立場なんですね。国会も報告を受けて「措置を講ずるものとする。」、こういうことなんです。これは今私は内閣の議論をいたしましたけれども国会に関してはさらに重大な問題が私はあると思います。つまり、国会が報告を受けて、やはり「速やかに所要の措置を講ずるものとする。」ということは、国会が報告内容に従って立法することを義務づけられるわけですね。国会がこの法律の八条二項の措置をとらなければこれは八条二項違反になってしまう、こういうことなんですね。  これは行政部、しかも、なるほど民主的に構成された審議会かもしれませんけれども、行政部の一附属機関なんですね。だから、この行政部の一附属機関の報告に対して国会が必要な措置をとる義務を負うということは、これは国権の最高機関である国会の自由な意思決定を拘束することじゃありませんか。先ほど初めに協議会等について隠れみのであるとかないとかいう質問もいたしましたけれども、これは隠れみのどころじゃないんですね。この協議会自身が内閣よりも国会よりも優越した立場にある、こういうことにさえなりかねないんですね。国会の審議権、議決権を拘束して侵害するものじゃありませんか。笹野議員笹野議員は憲法学者だというふうに承っておりますけれども、いかがですか、その点。
  64. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 先ほどから何回も申し上げておりますが、これは私どもといたしましては国会とか内閣を強制的に法的に規制をしようなんということは考えておりません。  まず一つは、「所要の措置」というこの「所要の措置」の中身につきましては、非常に私は範囲が広いと解釈をいたしております。したがいまして、もちろん最終的には立法措置になるわけでございますが、立法措置に至るいろんな問題についてこれは一連の立法措置に関するいろんな措置が考えられると、こういうように解釈していただいて十分だと思います。  それから、「ものとする。」というふうになっておりますが、やはり私どもとしましては「ものとする」あるいは「しなければならない」という二つの書き分け方がある、こういうふうに考えていただいていいんじゃないかと、こういうふうに考えております。
  65. 宮澤弘

    宮澤弘君 「しなければならない」、「ものとする」、なるほどそれは法律用語としては二種類あります。ありますけれども二つともそれはやらなければならないということなんです。それはもうはっきりいたしております。ですから、これは当然所要の措置を講じなければならないんですね。  私先ほど申しましたように、発案者が国民の参加と合意、いいと思います、それは。それはもう人の耳に大変快く響きます。響きますけれども、我が国は直接民主主義の国じゃないですね。議会制民主主義です。国権の最高機関である国会が国民を代表して責任を負うわけです。だから、これは国会を除いては何人も国会の意思を拘束できない。それが憲法にいう三権分立である。国会が国権の最高機関であるゆえんじゃありませんか。いかがですか、それは。
  66. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) これは先ほどから申し上げているとおりでございますが、いずれにいたしましてもこれは立法技術上の問題といたしまして、一つは「所要の措置をする」というのもありますね。それから「所要の措置をするものとする」というのは、全くこれは違うわけです。  そういうふうな意味で私どもはいろいろと検討をいたしまして、少なくともこの税制改革協議会から報告された報告につきましてはその趣旨を十分尊重する、そういうような意図でなければいかぬというふうなことを含めまして、いわゆる立法技術上の問題としては「措置する」という書き方もあるわけであります。しかしながら、そうじゃなしに、「措置するものとする」という考え方、それはそれで私は私どもの意図が十分反映されていると、こういうふうに私どもは解釈をしたわけでございます。
  67. 宮澤弘

    宮澤弘君 皆様方の御意向は承りましたよ。承りましたけれども、出てきたものはそうでないんです。よろしゅうございますか。出てきた法案はそうじゃないんです。  私はそれじゃもう少し申し上げましょう。  三権分立の建前で、最高裁判所の違憲審査権というのが憲法にございますね。最高裁判所は法律が憲法に違反するかどうか、これを判断いたします。判断をいたしますけれども、立法府に立法を義務づける権限は最高裁判所にもないんですね。これはもう憲法で明白でございます。  それから、あるいは立法府と行政府との関係国会との関係について見ますと、行政部は国会に法案を提出する権限がある、これは御承知のとおりであります。  もう一つは、国会法の五十七条の三でありますか、これに内閣と国会との関係で、ちょっと読んでみますと、予算増額修正と内閣の意見陳述ということで、要するに、予算の増額を伴うものであるときは、内閣に対して国会は意見を述べる機会を与えなければならないと、こう書いてある。これもやはり国会が意見を述べる機会を与えるんですね。まさにそれは国会が国権の最高機関である、こういうことからこういう体系になっている。国会に主体性があるわけですね。参考までにそういうことを申しましたけれども、この八条の条文は、それは先ほど我々の意図はこうであったということをおっしゃったけれども、出てきている条文はそうでないんです。だれが見てもそうでない、法律的に。でありますから、その条文は我が国の政治の基本原理であります三権分立の原則に反する。私は憲法に違反するおそれさえ多分にあると思います。私ども国会議員であります。皆様方も国会議員です。議員たる者が国会の審議権をみずから侵害するような立法を審議し通過させるというわけに私はまいらぬと思います。  どうもこれ以上私は審議を進めるわけにまいらぬと思います。この法案を撤回なさるか、あるいは百歩譲ってこの協議会のこの部分というものを削除なさるのか、そうでなければこれ以上この法案の審議を進めるわけにまいらない。委員長、ひとつ善処をお願いいたしたいと思います。
  68. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) まず第一に、先ほどから憲法に違反するとおっしゃっておりますが、私は憲法に違反する法律を我が参議院の法制局が認めるはずはない、そういうように思っております。  それからもう一つは、内閣及び国会がこの協議会の報告に拘束されるのかどうかという問題、今そのことが大きな問題になっているわけでございますが、私ども考えといたしましては、協議会の報告が法的に拘束されることはないとこれは初めからそういうふうに考えておりますし、そういうふうに申し上げているわけであります。しかしながら、我々としましては、この税制改革の趣旨にかんがみて協議会の報告は最大限に尊重されるべきものであると、こういうふうに考えているわけでございます。
  69. 宮澤弘

    宮澤弘君 私は憲法に違反するとは申し上げていない。それほど私も自信があるわけではない。しかし、違反するおそれがあるということを申し上げたんです。私はそう思います。  それから第二番目に、法制局が認めるわけがないとおっしゃった。しかし、よろしゅうございますか、法制局はある政策を法律化する補助者なんですよ。どういう政策をとるかということはまさに提案者御自身の問題なんです。ですから、これは一体法制局の責任であるかどうか、その議論より前の議論をしなければいけない。  それからもう一つ申し上げます。しばしばおっしゃっているように、これは法的拘束力はないとおっしゃいますけれども、これはだれが見ても「速やかに所要の措置を講ずるものとする。」というのは、講じなければならない。
  70. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 私は、一つは憲法に反するおそれもない、そういうふうに思っております。  それから法制局の問題でございますが、少なくとも法制局がこの法案を審査する場合に、当然立法者の私どもの意見も十分尊重はすると思いますけれども、やはり日本の憲法に違反するかしないかという点が一番のチェックのポイントだろうと思います。そういうような意味で法制局の皆さんに見ていただいた点もいろいろありますから、そういう点では私どもは決して憲法に違反するおそれは全くないと、こういうふうに考えております。
  71. 宮澤弘

    宮澤弘君 私は今法制局の責任がどうこうということを議論しようとは思いません。まさにここにあるこの法律案自身が義務づけているんです。その点を問題にしている。
  72. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) これは第八条の第二項を読んでいただければ、私そんな難しい問題じゃないと思っているわけです。「内閣及び国会は、」要するに税制改革協議会の報告を受けたときは、「速やかに所要の措置を講ずる」と、ですから、この「所要の措置」の中にもいろいろなことがあるし、ですから私はこれは決して、当然その報告を尊重する義務があると、それは当然私はそうだろうと思いますね。  以上です。
  73. 宮澤弘

    宮澤弘君 尊重する義務があるならば、そうお書きにならなきゃいけないんです。これは「所要の措置を講ずる」んですから、講じなければならないんです。  委員長、どうもこのままで審議を続けるわけにはまいりません。善処をしてください。
  74. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) それはこう書かなくちゃいけないなんというのは、これは立法技術の問題でございまして、それはやはりそうだと私は思っております。
  75. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今宮澤委員から御指摘でございますが、立法者の意思が、提案者の意思がいずこにあるかということが重要でございます。  私どもは憲法に定める内閣や国会の固有の権限を拘束できるような法律を提案できるわけがありません。  今峯山議員から再三にわたって御説明を申し上げておりますが、報告を受けてそれに対して内閣及び立法府である国会がその報告に基づいてみずからの責任において措置を講ずるものであって、何ら問題はないものと考えております。
  76. 宮澤弘

    宮澤弘君 立法技術の問題だということをおっしゃいましたけれども、立法技術の問題じゃないんですね、これ。法律がちゃんとこういうふうに法案としてできている。法案の中身の問題です。  それから、久保議員は提案者の意思がいずこにあるかが重要だとおっしゃいました。それはそうでございましょう。しかし、それはこの法律案という形になって出てきている。そうすると、ここに「所要の措置を講ずる」と書いてある。これはもう客観的な事実なんですね。いかがでございますか。
  77. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 宮澤委員の再三の御質問でございますが、そこへまいりますと条文の読み方、解釈が違うのでありまして、私どもは今峯山委員から御答弁を申し上げたとおりの解釈に基づくそのことを正確にあらわしている条文であると確信をいたしております。
  78. 宮澤弘

    宮澤弘君 提案者がどうお考えになっているか、それはわかりません。しかし、できておりますのはこの法律案です。この法案は、「所要の措置を講ずるものとする。」というのはやらなければならぬということです。これはもう客観的に明らかでございますよ。
  79. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) できておる条文とおっしゃいますけれども、その条文をあなたがそうお読みになっているのであって、私どもはそのことに対してこういう意味を持つ条文であるということを御説明申し上げているのであります。これ以上は、その条文に対する読み方の相違じゃないでしょうか。(発言する者多し)
  80. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 速記をとめて。    〔午前十一時十分速記中止〕    〔午前十一時二十二分速記開始〕
  81. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 速記を起こして。  暫時休憩いたします。    午前十一時二十三分休憩      ─────・─────    午後一時三十一分開会
  82. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、消費税法を廃止する法律案消費譲与税法を廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題とし、質疑を行います。
  83. 宮澤弘

    宮澤弘君 午前中、税制改革基本法案第八条をめぐって発議者に対していろいろ質疑をいたしました。お答えもいただきました。しかし、私としてはお答えではどうも納得することができないのであります。  そこで、この法律案の作成に当たって法律的な観点から関与をいたしました参議院の法制局にこの問題について見解を求めたいと思います。
  84. 中島一郎

    ○法制局長(中島一郎君) お答え申し上げます。  国民税制改革協議会も一つの審議会でございますから、その意見や答申が内閣や国会をその権限において拘束するものでないということは申すまでもございません。  ところで、基本法案第八条二項の「所要の措置を講ずるものとする。」との文言は、しなければならないとか、あるいは講じなければならないという文言とは異なりまして、取り扱いの原則や方針を明らかにする表現であるというふうに理解をいたしております。したがいまして、内閣や国会を法的に拘束するものとは考えておりません。  以上でございます。
  85. 宮澤弘

    宮澤弘君 ただいま、この表現は拘束をしないんだと、こういうお答えがあったと承りますが、これはもう大変私はおかしいと思うんですね。それは、しなければならないというのとは確かに表現は違いますよ。違いますけれども、「するものとする」というのはまさにそういうことをするんですね。しないことではないんです。これはもう明白だと思いますね。  そこで、今のお話で、取り扱いの原則や方針を明らかにする、こういう御答弁がありましたが、それはどういうことですか。いや、法制局に承っ ています。
  86. 中島一郎

    ○法制局長(中島一郎君) 現在におけるこの法案立案者の意思としてその方針なり原則なりを明らかにするということでございます。
  87. 宮澤弘

    宮澤弘君 そうすると、法制局になお伺いますが、この「速やかに所要の措置を講ずるものとする。」というのは、一般的な原則、方針で拘束力がないんだということを答弁になりましたけれども、措置をしなくていいんですか、それを伺いたい。法制局に伺います。
  88. 中島一郎

    ○法制局長(中島一郎君) 内閣なり国会なりがその判断によって所要の措置をとるということでございます。
  89. 宮澤弘

    宮澤弘君 発議者は午前中に、国民税制改革協議会が具体的な問題について協議をしてそれを報告する、それについては内閣や国会もこれを最大限に尊重をして努力してもらうんだ、そういう趣旨である、そういうことをおっしゃいました。そのとおりでございますね。
  90. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) まず、先ほどから問題になっておりますのは、今回の法律案第八条第二項の「内閣及び国会は、前項の報告を受けたときは、速やかに所要の措置を講ずるものとする。」。この「講ずるものとする。」というここの解釈で先ほどから宮澤さんの御意見と私どもの意見とがちょっと対立しているわけでございます。  そこで私は、宮澤さんはこのことについてはもう十分御承知の上でこのことをおっしゃっているのであろうと思っております。  自治省の行政局長さんや事務次官をやられた方でございますからあえて私は申し上げますが、例えば、宮澤さんも御存じのとおり、地方自治法の中にもこの問題が随分出てまいります。これはもう御存じでございましょうね。例えば第八条の二、「自治大臣は、」云々というところです。最後のところに、「自治大臣は、」、間は抜きます、長いですから、「直ちにその旨を通知するものとする。」というのがあるんですね。これに対し、このことについては通知しなければならないということで大臣を義務規定で縛るということは少しどぎつい、義務規定にしない方がいいというところで「ものとする」と、こういうふうな解釈があるわけであります。これはもう自治法の中でいっぱいあります。  それだけでは御納得いただけないでしょうから法制局長官の御答弁を二つ挙げます。  これは茂串法制局長官の答弁であります。これは原子力船「むつ」を「昭和五十一年三月三十一日までに廃止するものとする。」、こうなっておりますね。これと同じことでございますが、「この規定は、その定められた期限内にこの法律を廃止することについての立法者の意図、方針を明らかにしたものでございまして、この法律を廃止するためには、さらに別途の立法措置を講ずることが必要であるわけであります。」。これが茂串法制局長官の御答弁であります。  それからもう一つ。一人では御納得いかないと思いますのでもう一人。これは真田法制局長官の答弁でございます。やはり、この「ものとする」という問題についての、いわゆる「五年内に廃止するものとする」というこの考え方、これについて、「これは五年内に廃止する方針であるという立法の政策、方針を宣明したものでございまして、具体的に廃止するという法律が出るまでは、これは効力には影響はございません。そのようにわれわれは解釈しております。」というふうに法制局長官の御答弁もございますように、いずれにいたしましても、我々今回の法律の提案者といたしましては、とにかく内閣及び国会に対しましてこれを速やかに所要の措置をとっていただいて、ぜひとも早く国民の要望をかなえていただきたいという念願をここに記したものと私どもは存じております。
  91. 宮澤弘

    宮澤弘君 「しなければならない」と「するものとする」というのは、確かに表現は違います。先ほどいろいろな例をお挙げになったのでありますけれども、例えば地方自治法でございますか、「通知するものとする。」とある。これは「通知しなければならない」とは違うんだということを言われましたけれども、「しなければならない」と「するものとする」と表現は違いますけれども、しかしそれは結局通知をすることになるんですね。通知しないというわけにはいかぬのであります。それはもう明白であります。先ほど立法者の念願だと。それはお気持ちは私は十分わかるんです。  そこで、もう一度法制局に聞きますけれども、そういうこの協議会の報告を最大限に尊重してやってもらいたいんだという努力、大いに努力をしてもらいたいというならば、なぜ最大限に尊重してほしい、あるいは大いに努力してほしい、そういう表現をなさらなかったんですか。
  92. 中島一郎

    ○法制局長(中島一郎君) これは発議者の御意見によるものであろうかというふうに考えております。  私ども立場といたしましては、その表現がこの場合に憲法並びにその他の法律との整合性があるかどうかという点から判断をいたしまして問題はないという結論に達した次第でございます。
  93. 宮澤弘

    宮澤弘君 立法者の意思をというならば、私は立法者の意思に従う表現をお使いになる、これがやっぱり法制局の務めだと思います。  そういうことで、議論を重ねてまいりましたけれども、どうも私は納得するわけにはまいりません。しかし、今日のところは、この問題はこれで一応終わりにいたしたいと思います。いずれ、これにつきましては法律上の問題でありまして、この法律が施行されるとこれはその当時の施行者である政府の責任になるわけなんですね。そういう点からいって、内閣の法制局の意見を聞いたらどうかという考えもございます。この問題は本日はこれで終わりにいたしますけれども、いずれかの機会にこの議論を私はまたいたしたい、こういうふうに考えております。どうかひとつ私はそういう気持ちであるということを委員長も御理解をいただきたいと思います。内閣法制局について今私はそういう考えもあるのだということを申し上げました。どうかひとつそのことも御理解をいただきたいと思います。
  94. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまの宮澤君の発言につきましては、理事会で協議をいたします。
  95. 宮澤弘

    宮澤弘君 なお、少し時間がございますので、税制改革基本法の次の問題について伺いたいと思います。  これの第二章「税制改革のための環境整備」、それの第一号に「事務及び事業の見直し、」というところから始まりまして「行政及び財政の改革が一層推進されること。」、こういうくだりがございます。この行財政改革については一体どういう観点から、どういう方針でお臨みになるのでありますか。
  96. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 税制改革基本法の第三条におきまして、「税制改革のための環境整備」という項目を掲げておりまして、その第一項第一号に、今先生御指摘のとおり、「事務及び事業の見直し、行政情報公開の推進、行政監視制度の充実、行政機能の充実を確保した上での公務員総数の抑制、歳出の見直し等についての構想が明らかにされ、行政及び財政の改革が一層推進されること。」と述べておるわけでありますが、私どもはかねてより、民主、公正、公平が貫かれ、これを通じて国民の政治への信頼が回復され、そしてまた、参加と分権と公開というのが制度として、また実態として推進されるようにこうした行政改革を主張してきたわけでございます。  しかしながら、政府の進めてきた行政改革は、より一層の中央集権化と、また弱者切り捨ての面がなかったかといえば問題なしと言えない面があるんじゃなかろうかというふうに思います。しかしながら、今回、来るべき高齢化社会の到来を考えますならば、財政再改革を進める前提といたしまして、歳出の増大を抑える必要があろうかというふうに思います。そのための行財政改革をなお一層推進する必要があると考えたわけでございまして、税制改革法第三条に明記したわけでございます。  その進め方といたしましては、これまでの政府 の行ってきました財政改革の矛盾を正すやり方を実施していきたいと考えておりまして、歳出削減のあり方については、政府が行ってきました一律削減方式というものについては改めたいというふうに考えております。また、一律削減方式の導入は、国民の生活向上に不可欠な公共事業まで抑制し、また社会資本の整備が進まず、先進諸国の水準を大幅に下回る結果となったことについては否めない事実だというふうに思います。このため歳出削減に当たりましては、社会経済情勢変化に対応したものとする一方で、今後の日本にとって何が重要であるかという立場に立ちまして歳出削減の基準をつくり、それに沿った形で歳出の厳しい見直しを行おうというふうに考えております。  また、ODAのように、重要でありましても、財源使用の効率性を追求し、血税が浪費されないよう最大限の注意を払っていきたいというふうに考えております。  また、公共事業の配分につきましても、社会経済情勢変化に見合った配分をすべきであるというふうに考えております。  補助金につきましても、一律カットというやり方で金額を削減するのではなく、個別に徹底した洗い直しを行い、必要なものと不必要なものとを区別し、不要なものは切るとの方針で臨むやり方で進めたいと考えております。
  97. 宮澤弘

    宮澤弘君 時間が参りました。  終わります。(拍手)
  98. 及川順郎

    及川順郎君 今回、この委員会で審議を願い、私たち成立を期しております法案は、御承知のように消費税廃止法案、さらにまた税制改革基本法案と代替財源法案、この三つでございますが、この関連九法案につきましては、私は、やはりこの法案がどうして今消費税廃止なのかということと、この法案を出さなければならなかったその背景というものは極めて大事であると思うわけでございます。  そういう意味におきまして、消費税が実施されましてから今日まで国民がどのように消費税実施の状況を受けとめているかということは極めて重要な問題である。そういうことで私は前半、この消費税に対する国民の皆さんの気持ちというものを中心にしまして、この法案を提出する私たちの趣旨というものを御理解賜りたい、そしてこの法案に対するさまざまな御意見に対する私たち考え方、そしてまた発議者の意見を承りたい、このように思うわけでございます。  さて、発議者の皆さん、午前中から専門的な、大変恐縮でございますけれども細かな問題が出ました。活字一字が人を殺す場合もあるし、また国を動かす場合もある、そういう意味におきまして私はこの問題を軽く見る気持ちはございませんが、やはりこの議員立法の趣旨というものは、立法をされたその内容を真摯に受けとめていくことが大事ではないか。  この委員会が始まりましてから、さまざまな声が私のところにも寄せられました。発議者の皆さんのところにもそういう声がたくさん来ておられると思います。報道関係の御努力もありまして、報道機関に掲載されるこの法案にかかわる記事も大変多く出ております。私は、数日前の、当委員会が始まりましたその前後からの新聞をずっと読んでおりまして、その中で新聞社が企画されたもの、そして納税者の告発、こういうものを中心にしまして少し整理をいたしました。その中から、大変この消費税の本質をついた内容を二つほど紹介させていただきまして、発議者のそうした実情を踏まえた所見をまず承りたいと思います。  これは数日前のある報道機関に載せられた記事でございます。   埼玉県春日部市のスーパー。同じ容量の牛乳パックが並ぶ。出荷されたばかりのが百九十八円、やや日がたったのが百六十八円。A子さんはちゅうちょなく古い(安い)方に手を伸ばした。   「味は二の次。おなかをこわさなければいい。四月からずっとこうです。」   二年前に夫を輪禍で失った。高校一年を頭に育ち盛りの子供四人。二歳弱の二男を連れての化粧品セールス。月平均六万円の収入だ。もちろん所得税はゼロ。この収入と預金の取り崩しで生活を支える。食費に回せるのはぎりぎり六万円。野菜は市場価格が下がる旬に限り、おやつを減らし、と一カ月に約二千円を切り詰め、消費税分をひねり出してきた。「今や消費税は国民生活の中に定着してまいりました」――。国会で繰り返される政府答弁。A子さん一家には皮肉にしか聞こえない。   「この菓子、子供が喜ぶんだけど……」。買い物のたびに味わう、この切実な思いに「慣れ」はない。   日本生活協同組合連合会がまとめた九月の家計調査によると、月収四十万円以上五十万円未満の家庭の消費税負担割合は一・七%。これに対し三十万円未満では二・二%、十五万五千円の年金世帯では三・三%と、金持ちほど軽くなる消費税の逆進性がはっきり証明された。 このように述べられております。 もう一つは、これは納税者の告発です。   老人福祉や弱い立場の人達のための消費税導入と海部総理や時の政府は言っている。だが今、一番痛手を受けているのが、老人や福祉家庭という低所得者及び一般大衆である。   定価が定価としての役割を完全に消滅させたのも、消費税の弊害であろう。われわれは支払った三%の消費税がそのまま、ストレートに税務署に納入されればムキになって発言はしない。   ところが、支払った税金が商店の売り上げ事情によって、税務署に納入しなくてもよいというばかげた税である。われわれが支払った税金が中間で消えるという事実をどう説明するのか。   われわれが支払った消費税が税務署に届かない事実。届かない消費税が、老人福祉や弱い立場の人たちをどう救えるのか。子をしかるとき、親は必ず子の逃げる道を作っておくという先人の知恵も、今の政府には通じないのではないか。 という告発でございます。  私は、法律の細かな論議も大事でございますが、こうした思いを持って、消費税実施後、その実施された法律を国民の一人として守ってはいるけれどもそれを認めていないという、こういう最前線の人たちの気持ちを大切にしなければならないのではないか。私たち国民に選ばれてこの立法府で働かせていただいておる者といたしましては、やはり国民の気持ちを大事にして立法活動をしていくというのがその本旨であると思うわけでございます。特に、この二点目の、納税者の告発にありました支払った税が税務署に、国に届かない、これは本気になって改正すれば改正できる内容でございます。しかし、参議院選挙のときにいろいろ発言されていた状況がずっと後退をいたしまして、最近では、そのもとになっております簡易課税制度についての声は、改正するのかどうなのか、余り聞こえなくなってきた。私はその内容については後から議論したいと思います。  こうした実情、むしろ業界とのヒアリングの中でこれは先約があったんじゃないかな、こういう感じを抱かざるを得ない状況もあるわけでございまして、こうした状況を踏まえて、今なぜ消費税廃止なのか、このことを国民の気持ちを踏まえて発議者の方に御見解を賜りたいと思います。
  99. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 及川さんにお答えいたします。  今国民の声を代表して御紹介もいただきながらお話を伺いまして、私も同じようなお手紙をたくさんいただいておりますので、大変心に響くお話を伺いました。  消費税に対してなぜ国民は反対したのであろうか、参議院選挙でどうしてあのような審判を下したのであろうかということを考えてまいりますと、今お話がありましたように、消費税の持つ構造的な欠陥が国民生活の上に非常に強く影響して きているということ、それから、この構造的欠陥を持つ税制に対して国民の皆さんの間に非常に大きな不信がある、こういうことが実施後時間を経るに従ってますます国民の皆さんの間には強くなってきているのではないだろうか、こう感じております。  この逆進性の問題は、本当に所得の低い人ほど痛切にその影響をお受けになっているわけでございまして、この点については自民党の政調会長自身が、売上税も消費税も事業者の声は十分に聞いたけれども、消費者、台所の主婦の声を聞くことに欠けていた、こういうことをみずからおっしゃっているぐらい、もともとこの消費税はそういう税制の欠陥に目をつむってつくられたものではなかったろうか、それが実施後、国民の皆さんの間に非常に強い反発を受けているものだと私は感じております。  また、この消費税をつくってまいります過程、手続というものについて国民の間には政治不信が大変強いわけでございます。このことについては、ぜひこの消費税を撤廃してもう一遍税制改革を政治の責任で国民の立場に立って、特に税金を直接納める消費者や台所の主婦の皆さん方の立場に立ってしっかりやり直してください、こういう声が強いと思っておるのであります。  私はここに自民党の総裁候補でありました石原慎太郎君のインタビューの記事を持っております。これを見ますと、   消費税では、自民党が大蔵省の出前持ちをやらされた。消費税の実施に至る過程で、自民党議員一人ひとりの意見が十分反映されたか、どうか。民主主義政治では沈黙はいけない。寡黙は結構だが、沈黙はファッショに道を開く。役人に遠慮して政治家が沈黙するようなことがあれば、官僚ファッショになるよ。 こう言っております。   そもそもこんどの消費税を考える場合に、民意を汲みとるのは政治家の仕事です。こういうことは役人にはできないこと。ところが、党に戻って国民の声として党内で主張しても、党税調での発言を役人に勤務評定されたり、それ以上言いつのると、あいつは若いくせにナマイキだ、委員を降りろ、なんてことになりかねない。これではいけませんよ これは自民党の総裁候補の御発言であります。  こういう中で今度の消費税が決められていったということが、国民の皆さんが、選挙公約の重大な違反であり、そして国民の目の前で行われたあの強行採決、こういうものを通じて、一体日本民主主義はどうなるんだろうか、こういう心配の中で今この消費税廃止法の行方を見守っていただいていると思うのでございます。今委員からお話がございました点は今日国民の多くの方々が感じておられることであろうと思っておりまして、私は、御指摘のことをしっかり受けとめながら、皆さんと一緒にこの国民の期待にこたえる論議をやらなければいけない、こう考えておるところでございます。
  100. 及川順郎

    及川順郎君 ただいま出ました民意の尊重という点につきまして、私はやはり参議院選挙における公約ということをどうしても避けて通るわけにはいかない。消費税の廃止か存続、見直しかという、これをかけて戦った国政選挙、私がなぜこういうことを言うかというのは後ほど申し上げますけれども、初めてではなかったかと思うんですね。しかも、その公約を掲げて戦った国政選挙で廃止を訴える野党が勝って、少なくともその結果ではこの存続、見直しを訴えた与党・自民党は敗退した、これは明確な国民の意思であって、消費税に対して国民はノーの判断を下した。しからば、国民の代表として民意を尊重する立場の私たち国会議員、そして立法府としてのこの国会は、その民意の赴くところに従って法の改正に取り組むのが筋であると私は思う。  選挙が終わりましてから今日までの経緯を踏まえまして、政府自民党の姿勢とそして皆様方の取り組んできたその気持ちというものを対比して、国民の皆さんに御理解賜ることがあればはっきりと申し上げていただきたいと思います。
  101. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今御指摘がございましたように、この前の七月の参議院選挙はまさに消費税の廃止と存続を最大の争点として争われたものだと私は思っております。そしてこの争点、論争を受けて、国民の皆さんははっきりと主権者の一票を行使して判断をお示しになったものでございます。  古代、ソクラテスは、悪法といえども法なりと言って、友人の逃亡の勧めを断って毒杯を仰いで死についたのでありますけれども、現代民主主義のもとでの主権者は、悪法も法なり、確かに消費税法は法として成立させられておりますが、主権者の一票を行使することによってこの悪法を廃止することを主張したのであります。その結果は自由民主党の比例代表の得票二七%ということで明確にあらわれておりますし、今回廃止法を提案いたしております三党、当時連合参議院は比例代表の候補者が立てられておりませんでしたので、社公民の三党だけでも五〇%を超える支持をいただいたのでございます。このことは明確に国民が消費税の廃止を求められたものと考えております。  この点では、何回も言われておりますように、同じ自民党の金丸信さんが、消費税はリコールされた、こうおっしゃっていることは非常に私は正しい認識の御表明だと思っております。そのことを実行することが議会制民主主義に責任を負う政党の使命であると考えております。そのために私どもは今度の議会に、我々は国民のそういう審判をしっかり受けとめて、みずからの公約を誠実に履行するという立場消費税法廃止に関する法律そしてこれに関連いたします全部で九つの法案を提案いたしているのでありまして、どうか消費税の存廃をめぐる国民の審判が下っているという立場に立って本筋の論議を尽くしていただいて、消費税の廃止をまず決める。そして、国民の期待にこたえる中で、税制改革の道を党派を超えて皆さんで真剣に国民のためにお考えいただくということを心から願っているものであります。
  102. 及川順郎

    及川順郎君 ただいまの答弁にありました消費税の廃止にかかわる問題として、やはり廃止をするというその背景には、一つは大型間接税に対する公約問題があり、もう一つは消費税導入にかかわる審議のあり方、そして消費税そのものの内容、こういう歴史的な経緯を私は避けて通ることはできない。先ほどの質問の中で、正式に税の問題を真っ向から国民に提示して戦った国政選挙は初めてである、このことを申し上げた理由はそれなりにございます。根っこのまず第一に挙げました公約問題でございますけれども、この問題につきましては少しさかのぼって私は整理をして申し上げたいと思います。  六十一年七月の衆参同日選挙におきまして、時の中曽根元総理が大型間接税は導入しないという国民にうその公約をしたというところに私は大きな根がある、このように思うわけでございます。しかも、国民に違背する公約をもって選挙で三百を上回る議席を獲得するや否や、その公約を無視して売上税という大型間接税導入をもくろんだ。この売上税につきましては、国民世論と野党の結束した戦いによって廃案になりました。これは御承知のとおりでございます。  今回の消費税、その存廃をかけての国民の審判という、こういう流れになるわけでございますが、消費税は、明らかに昭和五十四年十二月二十一日国会決議で否決されました一般消費税と同じ性格の大型間接税であることはこれは間違いないと思うんですね。  それからもう一つは、昭和六十年二月六日の政府統一見解、つまり多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようなやり方でやることはしない。消費税はこの政府統一見解に明らかに反するものである、同質のものである、このように私は思うわけでございますが、この点発議者の見解を承りたいと思います。
  103. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 委員指摘のとおりだと思っております。特に選挙における公約は議会制民主主義の基本となるべきものだと思って おりまして、選挙における公約を受けて国民の皆さんは主権を行使していただくわけでございます。したがって、選挙公約を掲げて審判を受けたものが重大な政策の変更を行うことを必要とした場合には、当然に民意に問うことが議会制民主主義だと思っております。  今御指摘のように、中曽根内閣が六十一年の同日選挙におきまして、当時の中曽根総裁・総理が先頭に立って大型間接税は導入しないということを約束されたのであります。  なお、国民の間で有名になっておりますことは、これを街頭で訴えられた中曽根さんの顔を本当だろうかと思って見上げた国民に対して、この顔がうそをつく顔に見えますかとまでおっしゃったと言われております。しかし、この選挙で三百議席とるや否や、この公約を全くほごにして売上税を押しつけようとされるということは、これは議会制民主主義に根本的にもとるものだと私は思っておりまして、ここに今度の消費税に対する不信の出発点があると思っております。  その前の大平内閣時代における一般消費税にかかわっての国会決議、そして中曽根内閣の六十一年選挙公約、また国会における再三の答弁、こういうものを通じて国民は少なくとも大型間接税、消費税のようなものを含めて大型間接税はつくられない、強制されることはないという、そういう判断に立って六十一年の主権の一票を行使されたのでありまして、このことを国会としては重く責任として受けとめていかなければならないのでございます。その意味では、この選挙公約がいつの間にか消えてしまって、そして消費税のあのような強行採決に次ぐ強行採決で成立させられ、そしてどこの国にも例のない拙速なやり方でもって成立後わずかに三カ月で実施段階に入れられるというようなこういうやり方に対して、国民は絶対に納得ができないのであります。  そういう意味では、私どもは今委員から御発言がありましたことを共通の考え方として消費税の廃止のために努力をしてまいらなければならないと考えております。
  104. 及川順郎

    及川順郎君 この公約問題につきまして、最近自民党首脳の中に、売上税の際、最終段階で原議長あっせんというのがあり、この与野党合意をもってこの公約問題は決着したというようなことがよく言われておるわけでございます。当委員会におきましても既にこの問題は取り上げられました。少し前の話ですので、私は当時の資料を引っ張り出しまして、この議長あっせんなるもの、これをずっと調べてみました。最終的に追い詰められました売上税の処理をめぐりまして出されたあっせんの内容でございますけれども、このように書かれております。  売上税法案についての原衆議院議長あっせんは次のとおりとして、売上税法案の取り扱いについては議長預かりとする。直間比率の見直しについて、各党が早急に結論を得るよう努力する。それから、売上税法案の取り扱いについて、本院のもとに税制改革のための協議機関を設置する。それから四つ目に、売上税の取り扱いは協議機関の結論を待って措置する。結論が得られない場合は各党の合意に基づき措置する。  ちょうどNHKで、国会の用語がわかりにくい、こういう報道がなされておりまして、非常によく心を澄まして読まないとわからないなということで、これはやっている現場でもそういう状況があったようでございまして、幾つかの問答がなされております。その問答の問いが、協議不調の場合はどうするのか、答えとして審議未了とする、こういう答えがありました。もう一つの問いは、審議未了とは一般的に廃案か、そのとおりだ、今国会は廃案ということだ、こういうことでございます。  このどこを見ましても、大型間接税導入でというような字句は見当たらないわけですね。しかも、その後税制改革協議会なるものは十二回にわたって審議を行っているわけです。しかも、六十二年の七月二十四日には、野党三党が引き続き協議を行うべしという申し入れを政府に行っているわけでございますが、一方的にこの主張が無視されまして、報告書を議長に提出して協議会を打ち切ったのは自民党でございます。これはもう現実の過去の経緯でございます。しかも、このことがありましてからしばらく何にもなくて、十一月から十二月にかけてこの間接税導入の話が出てきて、十二月のときに明確な消費税問題が突如として出てきたわけですね。したがいまして、そこに継続性は何にもない。  ですから、現在、政府自民党首脳によって言われておりますこの議長あっせんなるものをもって間接税導入公約問題は決着したということは論理としては非常に難しいのではないか、成り立たないのではないかと思いますけれども、この点についての発議者の所見を求めたいと思います。
  105. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) お答えいたします。  まず最初に申し上げたいことは、選挙公約というのは議長のあっせんとか裁定などによって取り消されるべきものではない、こう思っております。選挙公約によってなされた国民の皆さんに対する約束は、その議員の任期を終えるまでは国民の皆さんに対する公約として重大な任務をみずから背負っているものであります。それが単なる議長の裁定によって消えるということになれば、私は議会制民主主義の根底を揺るがすことになるだろうと思っております。そのような意味では、先般の売上税法を廃案として収拾いたします際に出されました、また野党四党の合意になりました原議長のあっせんは、これは選挙公約の上に立つものでは絶対にあり得ない、こう考えております。  なお、この議長裁定の中身につきましては、今及川さんの方から詳しくお述べになりまして、私も同じような理解をいたしております。この裁定が出ますときに各党代表者からございました質問の中にも今お話しくださいましたようなことがありましたことを私も承知いたしております。その後、税制改革協議会は大型間接税等については何の議論も行わないまま中間報告という形でこの協議会は一方的に終わったものだ、こう思っておりまして、この議長あっせんが大型間接税、消費税に道を開くなどというのは、これはまさに一方的な考え方にすぎないものであって、私ども議長あっせんに賛成いたしました党の立場の者でありまして、そのことに対しては一切そういうことを私どもは読み取ることも考えることもできないのでございます。  出発点はあくまでも六十一年同日選挙における選挙公約でなければならない、こう考えております。
  106. 及川順郎

    及川順郎君 主権在民におきまして主人公は国民である。その意思を受けて動くということが国会の責任であるという観点から考えますと、消費税をめぐる参議院での公約問題、そしてこれに関連する問題を少し整理しなければならぬ、このように思うわけでございます。  私は時節柄、現在のこの論議について国民の皆様に心にとどめていただきたい問題が一つございます。それは選挙のときの公約、そしてまたその時期を選んで国民世論に対して少なくとも責任ある立場の者がそれを操作するというようなやり方はやるべきではないし、国の方向を誤ってしまう、このような認識を持っておるわけでございます。そういう問題意識から、七月二十三日に行われました参議院選挙の国政選挙で初めて消費税の存廃をかけて戦った。これに至るまで、税の問題に対して公約とか国民に対する訴え、あるいは国会、時の政府自民党がどういうぐあいに処置をしてきたかということを少し整理して追って述べてみたいと思うんです。  一般消費税のときは、五十四年の総選挙の直前にこれを撤回しているわけです。売上税のときには、中曽根総理がただいまお話が出ましたように、選挙の直前に、国民や党員が反対する大型間接税と称するものはやらない、こういうぐあいに国民にうそをついている。ところが、このときはちょっと手の込んだやり方をやっておられるんですね。それは政府税制調査会との上手なやりとり です。政府税制調査会というのは、見てまいりますと、総理の意向を受けまして選挙前の動きとして第二特別部会と第三特別部会がそれぞれこのときは中間報告をいたしまして、所得税減税と法人税減税を大きく国民にアピールしているんですね。その上で、選挙の直後、税制調査会専門小委員会から大型間接税についての報告書を出させているわけです。  私は、この公約問題もさることながら、国民の関心を巧みに、表現はどうかと思いますが、あめとむちとで上手に操作をしていくという、こういう典型的なやり方、そのことが国民の判断をあるときには誤らしてしまう、こう危惧するわけでございます。  そういう点から考えますと、消費税のときはどうだったのかということになるわけでございますが、売上税のときにはマル優切り離しで、自民党さんの中でも猛烈におれは反対だ、こういう状況が出ていましたけれども、その後消費税のときにはマル優を切り離して、基本的な枠組みは全く同じ消費税関連法案を出してきたときには、これはもう自民党の皆さんの中でも反対の声は全部すっと沈みまして、一枚岩で消費税をごり押しするというような、こういう事態があったわけです。私は今総選挙がこの数カ月の間にあるだろうと予測されるこの時期におきまして、抜本的な見直しとか、きょうの新聞によりますと、国民が納得する枝ぶりのいい見直し案とか、こういうことがいろいろ言われておりますけれども、その中身が出てこない。私は、そういう状況の中で、国民はその中身をきちっと見きわめていくということが大事ではないか。  これも、この審議が始まりましてから、こういう話が出ております。これは今月十日に寄せられました納税者の告発です。ちょっと御紹介します。   自民党は参院選で大きく議席を失った原因を考え直してほしい。公約違反をしたうえ、強行採決してしまった消費税が、最大の敗因であった。ごう慢で、おごり高ぶった今度のやり方には、われわれ自民党支持者でさえ背を向けたくなる仕打だった。最近、気になる言葉として、海部総理が「思い切った見直しが公約である」と恥の上塗りのようなことを平気で言っておられる。   追いつめられた総理の心境が、こうした発言になったと思われますが、もう、この辺で思い切って消費税を廃止してみてはどうでしょうか。混乱を防ぐ意味でもぜひそうしていただきたい。謝罪するとは、廃止することだと思っています これは納税者の告発です。  私は、こういう気持ちを通しまして、この参議院選挙においての消費税の公約問題についてどのように受けとめておられるか、重ねて発議者の意見を伺いたいと思います。
  107. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 及川委員指摘のとおりだというふうに私も思います。私どもは参議院選挙で消費税の廃止を公約いたしまして、国民が消費税についてノーという審判を下されたことを厳粛に受けとめまして、この公約実現のために消費税廃止法案を提出いたしましたことは、委員御案内のとおりでございます。  法案提出までの経緯につきましては、及川委員御案内のとおり、参議院選挙後直ちに廃止を公約した四党で四党税制改革協議会を発足させまして、消費税廃止に向け精力的に検討を開始いたしました。その結果、九月二十八日、今国会の冒頭に、消費税廃止法案等廃止関連三法案及び税制改革基本法案を提出いたしまして、また去る十月の二十六日には、消費税を廃止し、再改革ができるまでの二年間の代替財源案としての法人税法等の一部改正案を含めまして五法案を提出いたし、今国会で審議をお願いし、ただいま現在、御審議を願っているところでございます。  また、私どもは、この参議院の選挙の結果を見まして、消費税の廃止を選挙公約しましたし、また、自民党は消費税を存続し見直しを行うことを公約されたわけであります。選挙結果は消費税廃止という国民の審判が下った以上、国政に籍を置く者として、また議会制民主主義を貫くためにも、私は選挙公約を実現することは当然のことだというふうに思います。自民党の存続、見直しが選挙公約であるならば、少なくとも参議院選挙後のこの初めての今国会に、本格的な論議が行われる、そしてまた、この自民党の消費税の見直しの法案を提出すべきであるということは、委員指摘のとおりでございます。これが選挙後三カ月を過ぎましても、今現在なお提出されていないということにつきましては、私どもにとりましても、また国民にとりましても、まことに遺憾と言わざるを得ません。  私どもは選挙の審判を厳粛に受けとめまして、国民の要望にこたえるために真剣に取り組んでおるところでございます。九法案の成立に向けまして、皆さん方の御協力を切にお願いする次第でございます。
  108. 及川順郎

    及川順郎君 今、法案の審議をお願いしているというお話がございましたけれども、私は本来、この国会におきまして、また当委員会におきまして、やはり本当の意味では廃止か見直しかという両方が出て、それをどう選択するかということを国民に求めるのが筋ではないかなと、このように思うわけです。  今大相撲をやっておりますけれども、片一方が出ていて、片一方が出てこなければ相撲になりません。私はこの見直しにつきまして、参議院選挙の直前、当時の村山大蔵大臣は、見直し五項目として免税点、それから簡易課税制度、限界控除制度、帳簿方式、税額表示方式とこういうことを言っておりましたが、それがどうなっているのかなという感じが最近するわけでございます。  また、最近の自民党の実力者の発言の中で、見直しの中身は食料品、教育費、出産など非課税品目の拡大で消費者が持つ逆進性、つまり高所得者に軽く、低所得者に重い、こういう痛税感を緩和するというようなこういう発言が出ておるわけでございます。果たしてどうなのかなという気持ちを国民、納税者の皆さんも持っておられると思いますね。やはりこの問題を議論して、見直し案が出ておりませんから、どういう形になってまとまってくるかわかりませんので、具体的な内容をここでとやかく言うことはできませんけれども、現在取りざたされている内容を見てみますと、この免税点三千万はなくするのか引き下げるのかという問題がある。帳簿方式は伝票方式に改めるのかどうかという問題もある。それから、簡易課税制度は廃止するのかどうか、これは問題ですね。これは納税者の中でも大変な怒りを持っている、もう一般主婦の方の声は大変なものです。それから、税額表示方式はどうするのか。非課税品目は拡大するのかどうか。こういうことが浮かんでくるわけでございますが、今回のこの実際に始まりました状況の中で、廃止か見直しかは、本来審議の中で同じ土俵に上げて行うべきではないかというこの納税者の気持ち、そして選択をすべき、どちらがいいかということを判断する国民の意識、これに対してどういうぐあいにお考えになっておられるか、どういうぐあいに見ておられるか、これは発議者の意見を承りたいと思います。
  109. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 委員指摘のとおりでございまして、先ほども述べさせていただきましたように、やはり同じ土俵で、とにかく見直しの声はいろんな声が出ておるわけでありますけれども、見直し法案が出ない以上、やはり論議の俎上に、同じ土俵で戦わなければどうしようもないわけでありますから、私どもはやはりそういう見直し案が出ない以上は、私どものこの廃止法案を通じて国民の皆さん方に理解をいただきながら、この委員会を通じて徹底審議の中で、審議を続ける中で国民の皆さん方の御協力をいただきたいというふうに思っておるところでございます。
  110. 及川順郎

    及川順郎君 今ちょっと政府税調、党税調の問題にかかわる発言が先ほど出まして、後ほど私はお話をしたいと、こう申し上げましたが、総理府本府組織令十八条には、税制調査会は、「内閣総 理大臣の諮問に応じて、租税制度に関する基本的事項を調査審議し、及び当該諮問に関連する事項について、内閣総理大臣に意見を述べる」旨が規定されておりますね。その委員の選任に当たりましては、税制調査会令に、学識経験のある者等のうちから内閣総理大臣が任命すると、このように規定されております。  最近、この種の税制改革の経緯、それからこの審議の状況を見ておりますと、どうも自民党税調という与党組織の中で税制改革の方針が決定されて、後追いのような形で政府税調はそれに理論的な裏づけをする、いわば隠れみの的役割を果たしているというような指摘が大変多いわけでございます。  それで、国会審議が始まっているのにこの調査会でいまだ検討中というのは、どうも私は本末転倒しているんじゃないかという感じがいたしますが、この点についての発議者の御見解はいかがでしょうか。
  111. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 及川委員指摘のとおりでございまして、政府はあらかじめ結論を決めておきながら、いかにも国民の声を聞いたかのごとく装うためにそういう審議会の存在を利用してきたことは事実じゃないかというふうに思います。この点を私どもは批判してきたところでございます。政府税調もまたこの例外ではないというふうに思います。  私どもは、国民各界の声を聞くとの本来の審議会の原点に戻りまして国民税制改革協議会を設置していこう、そしてここで国民の御意見を集約し改革の具体案をまとめることにしたのでございまして、現在の審議会とは全く性質、性格の異なることを御承知いただきたいというふうに思うのでございます。また、国民税制改革協議会には再改革基本法をもってこれを諮問することになるわけでございまして、国民税制改革協議会の協議の結果は総理大臣及び総理大臣を経由して国会に報告されることになります。
  112. 及川順郎

    及川順郎君 私は今、期待感もあるでしょうけれども、国民の気持ちの中に見直しでもいいではないか、こういう気持ちを持つ方のあることも承知しております。そういう状況の中で、野党側は消費税廃止に何でそんなにこだわるんだろうか、こういうやはり国民納税者の素朴な疑問というものが出てくるわけです。これに対しての考え方というものはやはり大事な要素である、このように思うわけでございますが、この点についての発議者の見解はいかがでしょうか。
  113. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 私どもが消費税廃止にこだわるのはなぜかということでございます。それは端的に申し上げまして二つあります。  一つは、何といいましても国民の政治に対する不信を解消するというのがまず第一であります。  これはもう先ほどからいろいろとお話がございましたように、国民の皆さん方の不信を解消するためには何をやったらいいか。それは、国民の皆様方と選挙のときにきちっと約束をした公約を守るというのが私はまず第一ではないのか。そのために私どもは全力を挙げる。これが私どもに課せられた当然の義務であり責任である、そういうふうに思っているわけでございます。したがいまして、ことしの参議院選挙におきましても、私どもは選挙が終わりましてから直ちにこの消費税を廃止するためのいろんな作業を続けてまいりまして、本日ここで皆様方に熱心に審議をやっていただいているようなわけでございます。皆様方御存じのとおり、税というのはもともと国民の信頼と合意というものがあって初めて成り立っているものでございまして、そういう点からも私どもはそのために全力を挙げなければいけないのではないか、そういうふうに考えているわけでございます。  それからもう一点、この消費税廃止にこだわる理由の二番目といたしましては、特に私どもは大型間接税を導入するという、この大型間接税の根をどうしても絶っておきたいということであります。  既に及川委員御存じのとおり、消費税導入によりまして税がどのくらい実質ふえたのか。これは昨年の竹下総理の発言によりましても明らかでございますけれども、消費税を導入することによりまして廃止をされた税目というのがあります。したがいまして、消費税によるその実質増税というのはいわゆる二兆円弱であります。これは、自民党の皆さん方はこの二兆円弱が二十一世紀のいわゆる高齢化社会のために役に立つ、あるいは直間比率の見直しに役に立つ、こういうふうにおっしゃっているわけでございますけれども、実際はこれは先ほどから消費税見直しのためのいろんな項目が出てまいりました。例えば食料品一つを見直ししてしまいますと、金丸前副総理がおっしゃっておりますように約一兆円近くなるわけです。そうするとあと一兆円しか残らないわけです。実際問題として、現在の姿の消費税が二十一世紀に役に立つわけがないのです。二十一世紀になって役に立つ消費税の姿というのは何かというと、相当の税率のアップがある消費税の姿なのであります。  したがって、昨年のこの消費税の国会でも竹下総理が何回か口を滑らして発言をしたところがあります。それは、ヨーロッパのいわゆる付加価値税がどうして税率がアップしたかということを説明するときに、竹下総理は、いわゆるヨーロッパの付加価値税の税率が上がっていったのは、要するに所得税の減税とリンクしてそして上がっていったんだと。所得税の税率を下げますよ、そのかわり付加価値税の税率を上げてくださいよ、こういうふうにリンクしてそして税率が上がっていったと。もっと簡単に、逆に言いますと、税率を上げるのが非常に簡単だ、そういうことであります。  したがって、そういうことをされましたならばこれはもう大変なことになる。だから、確かに実質税額は少なくても徹底的にこれは廃止して、そして将来の禍根を絶つ必要があるというのが私ども考えであります。
  114. 及川順郎

    及川順郎君 さて、そういう状況の中で、今自民党がおっしゃっておりますこの消費税見直しは可能かという、可能なものとできないものがある。しかし、消費税の制度の根幹にかかわる問題についてまでメスが入れられるのかどうなのかということになるとこれは大変な問題になる。  現実に、大蔵省幹部の中でも、本気でそんなことができると思っているんだろうかというような発言をしているのも報道されておりますね。業界でも、混乱に輪をかけるだけだと首を振っている。こういう状況が私どもはどうしてもやはり現実味を帯びて実感として響いてくるわけでございますが、消費税の見直しは可能かという問題に対してどのような認識を持っておられるか御答弁いただきたい。
  115. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 自民党の選挙で公約をされましたいわゆる見直し案というものが新聞ではいろいろと報道されておりますし、またいろんなところでの発言はたくさんあるわけでございますが、その中身はいまだにはっきりした姿が見えてこないわけでございます。したがいまして、その問題は実際問題として見直しができるかどうかということを私今これは憶測する以外ないわけでございますが、今の例えば新聞で報道をされております食料品の非課税だとかあるいは入学金の非課税だとか分娩費の非課税とか、あるいは免税点が高過ぎるとか、先ほどもいろんな御指摘がございました。  例えば大蔵省の幹部の発言によりますと、もし食料品を非課税にするとしたならば今の帳簿方式ではとてもやれない、こういうふうな御発言がありました。ということは、逆に言えばいわゆる現在の消費税の姿を変えてしまう、そういうことになるわけでございまして、結局そうしますと、前の中曽根内閣のときに出ました売上税に限りなく近くなる、そういうふうなことになるわけでございまして、この見直しは、この税の構造的欠陥でございますから、いろんな面から検討いたしまして、見直しは無理ではないかと私は思っております。
  116. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 関連質疑を許します。刈田貞子君。
  117. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 質問させていただきます。  ただいま発議者の方から御答弁がございました見直しの問題についてあえて質問させていただくわけでございますが、この食料品非課税の問題については全国の主婦が一番関心を持っているところでございます。今発議者の方から御答弁がございましたように、実は私ども売上税のときに既に大変な論議をしてきた視点なんですね。今お話がございましたように、事業者の側に立って見ても、この食料品を非課税にするということが量販店等で大変取り扱いが大変になる。特に今回は帳簿方式でございますから、課税品、非課税品が混在して店頭に並ぶということが大変な事業者への負担になろうかということは私どもも察しがつきます。  また、よしんば食料品を非課税にするということにしたとしても、三%の税率が丸々非課税になるわけではないのではないか、こういうふうに思うわけでございます。それは、かの売上税のときにも言われましたように、缶詰の缶はどうするのか、瓶詰の瓶はどうなるんですか、スーパーの店頭まで運んできた流通費にはかかるのですか、かからないのですか。こういう論議を含めて、三%丸々店頭では非課税には事実上ならないのではないか。こんなふうなことが言われました。いわゆる食品原材料以外のコスト、こういう問題について、私どもはやはりこれを考えていくならば、丸々三%の非課税はあり得ない。  そこで、自民党さんの中から出てきたゼロ税率という問題がございます。しかし、きのうの自民党税調会長の総理に対する御報告によりますと、ゼロ税率方式は今回の帳簿方式をとる我が国にとってはなじまないという報告をしておられる。そういたしますと、このゼロ税率方式は採用できない。そういたしますと、事実上食料品非課税は三%丸々無税になる、こういうことではないというふうに認識をいたします。こうした問題も含めまして、本当に食料品の非課税というものが成り立つのか、成り立たないのか、(「自民党を呼んでください」と呼ぶ者あり)そうです、本来は自民党さんに伺わなきゃいけないことだと思います。しかし、あえて発議者の皆様に、このことが成り立つか成り立たないか、これは主婦の大変に重要な関心事でございますので、お伺いをいたすところでございます。お願いいたします。
  118. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 刈田議員の本当に女性らしい細かいところの御質問に敬意を表しております。  この問題でお答えをいたしますと、非課税とすべき食料品とは何をいうのか、どこまでをいうのか、その線引きが大変難しいでしょうね。例えば生鮮食品に限るとする場合、冷凍食品をどう扱うのか、加工食品との区別をどうするのか。また、食料品全体を非課税とする場合、生活に欠かせない食品もぜいたくな食品も同様に扱うのでしょうか。こういうあいまいな問題をあいまいに残したままになってしまうという危険が数多くあると思います。しかも、非課税にしたところでそれほどの値上がりは期待できないということです。(「値下がりだよ」と呼ぶ者あり)はい、もう一度言い直します。値下がりはできないというふうに思います。  そこで私は、この間の朝日新聞にちょうどこのことが出てまいりましたので、短い文章ですからちょっと読ませていただきます。自民党税制調査会の西岡武夫会長は「大蔵省の尾崎主税局長ら税務当局から意見を聞いた。同局長らはとくに見直し論議の焦点となっている食料品の非課税化について「どこまでを食料品と限定するのか、区分が難しい。非課税化によって、それほどの値下がりは期待しにくい」などの難点を指摘した。税務当局として、食料品の非課税化には技術的な難点が多いことを指摘したものだ。」と、こう書いてあります。  この新聞のちょうど後ろ側なんですけれども、この後ろ側に、同じ新聞の一枚の前後ろに今度は「一兆円上回る非課税を」と、こう書いたのが載っています。これを見ますと、金丸氏は一兆円をつまり非課税にしないと選挙には勝てない、選挙の方が大事と、こういうふうに書いているわけです。  私は、政治家というのは国民のために税金を一生懸命考えているものだと信じておりました。しかし、この新聞を見ますと、選挙の前になると勝手に税金をいじくり回すというのは、どうも自民党の政治家さんというのは票のために税制をいじるということなんだなというふうに思います。こういうことを考えてみますと、思い切った見直しは到底困難であるというふうに考えております。
  119. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 海部総理は参議院の選挙中から再三大幅な見直しあるいは抜本的な見直しという言葉を使っておられます。しかし、私どもはともするとこういう言葉に惑わされがちでございますが、今ただ食料品の問題一つをとっても、抜本的あるいは大幅というような見直しは不可能だろうということは察しがつくわけですね。  私はさらに、なぜ自民党税調が食料品を中心とする非課税を中心に見直しの焦点にしておるかということについて考えるならば、(「主婦票」と呼ぶ者あり)そうです、今後ろから声があったように主婦票を何とかねらいたい、こういうことが確かに一つあろうかと思いますが、あわせて、すべての国民が何はきておいても食べるということは避けて通れないことだということであれば、食料品というのは我々の生活の中で一番必要部分のところということになろうかと思います。そこの部分を非課税にしていくことはこれはやはり一番重大な事柄であろうということで食料品を中心に考えているのだろうと思う。そして、それを通して、本消費税が持っている決定的な弱点であるところの、あるいは欠陥であるところの逆進性をも幾分か解消できるのでなかろうかと、こういうことで食料品を中心に非課税を考えておるのではなかろうかというふうに思います。  そこで私は、この食料品を万が一非課税にした場合に、この税が国民所得に及ぼす逆進性というものがどんな形で変化してくるかという表を、実はこれは静岡大学の先生方の御研究、シミュレーションによって読ませていただいたわけでございます。そういたしますと、例えば食料品非課税を行ったとしても、現行消費税において、年収二百九万の第一分位の人たちにとって、これは私は幾分か読みが軽いと見ておりますが、一・四九の消費税の負担、所得にですよ、消費でなくて。所得に対する負担が一・四九。これが第一分位であるとすれば、これは大変細かく計算ができておりまして、第五分位を通り越して第十分位、千三百四十万の年収のところで〇・六三というウエートが出ている。消費税の割合、所得に対してですね。この差が二倍以上ございます、現行の消費税。  ところが、食料品を非課税にしたという段階のシミュレーションにおいても一・一九、第一分位と第十分位の差は、一・一九と〇・五三で、その差はちっとも狭まっていない。つまり、同じ形の平行線で出てきております。これは何を言うかといいますと、食料品を非課税にしたとしても、この消費税が持っておるところの逆進性は解消できない、決定的に解消できない、こういう問題だろうというふうに思うんです。  かつて元竹下総理がこの消費税導入に当たって九つの懸念というのを挙げられました。その冒頭に挙げたのがこの逆進性の問題でございます。そして、国民もこの逆進性を感じればこその消費税に対する大きなる不安と異議を持っているわけでございますから、この逆進性の問題について、この消費税は廃止をする以外に解消の道はないと私は思っておる者の一人でございますけれども、今食料の話をいたしましたから、食料品非課税を通して逆進性が解消できるかできないかという私の意見を申し上げたわけでございますが、発議者の方々はこの逆進性の問題についてどのような御見解をお持ちでございましょうか、お伺いをいたします。
  120. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) お答えを申し上 げます。  消費税は低所得者の負担が重く逆進性という基本的な難点を持っているということは、刈田議員の、そのとおりであります。  消費者の支払った税金約四千八百億円が国庫へ納付されない、税率の歯どめがないなど、竹下首相が九つの懸念として認めた税制上の構造的な欠陥があるという御指摘も全くそのとおりだというふうに思います。  消費税導入を争点とする今次参議院選挙の結果、国民は野党の主張する消費税廃止の方を支持いたしました。したがって、政治的にも経済的にも問題があり、かつ税法上も構造的欠陥を持つ消費税は廃止すべき以外に方法はないと私も思っております。
  121. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 もう一つお示ししてみたいのが、ここにございます日本生活協同組合連合会の家計簿調査でございます。  この家計簿調査によりますと、四月から九月までの間の調査で、この組合員の方々は一世帯平均当たり半年で大体四万八千円の消費税を負担しておると、こういう調査が出ておるようでございます。そして、しかもここでも逆進性が、皆さんの家計簿を突き合わせた結果、まことに家計簿の中に明らかに出てきておるということですね。組合員千八百六十五世帯の調査、世帯主平均四十六・八歳、平均家族三・七という、こういう平均的な家族の中での調査でございますけれども、ここでいきますと、消費税の世帯に対する割合は一・五%の負担で先ほどよりは少し高い、一・四九ですから。一・五の平均で負担を負っておりますけれども、これが年金世帯、年金生活者になりますと一・九の〇・四ポイント上回るという逆進性が出てきております。    〔委員長退席、理事井上吉夫君着席〕  したがいまして、私どもは、どんな手だてをしようと、この消費税を導入する限りにおいては、この逆進性の解消は私たちの暮らしの調査からも絶対に解消でき得ないという証明になろうかというふうに思うのでございます。予算委員会等でも政府は、このことに対しては別途歳出をもって手だてをする、さらにきめ細かく手だてをする、こういうふうに答弁を何回もされております。しかし、これはやはり抜本的解決とは全く違うのでありまして、私は国民生活に及ぼすこの逆進性の大きい消費税の欠陥を解消するには廃止以外の何物もないと思いますが、もう一度答弁を求めます。
  122. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 刈田議員の非常に正確な数字でもって御説明いただいたことは、大変な研究のすばらしさを物語っているというふうに思いますけれども、今の問題についてはまさに私もそのとおりだというふうに思います。
  123. 及川順郎

    及川順郎君 続きまして、若干法案の関連で伺ってまいりたいと思います。  私たちは消費税を廃止するに当たりまして、二年間の暫定措置として代替財源法案を出しておりますが、これに対するさまざまなかまびすしい批判が繰り返されております。これはやはり代替財源を出すに至った発議者の趣旨というものをもう一回ここできちっとしなければならぬという、そういう必要性を感ずるわけでございますが、この点についての御見解をまず承りたいと思います。
  124. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 及川委員質問に対してでございますが、先ほどから御指摘のように、私どもとしては消費税廃止法案を国民の民意に基づいて提出する。したがって、過去の例にもございますように、それに伴う代替財源につきましては当然政府がやるべきものだと思っております。  しかし、久保発議者から御説明申し上げましたように、そのことはそのこととして、しかし同時に私どもとしても、国民の皆さんから見て、廃止をするだけでなく、ちゃんとそれに対する財源保障もきちっとする、そういう姿勢を見せるべきだ、こういう観点から私どもとしては今回消費税廃止に伴う代替予算を提出したと、こういうことでございますので、そのことをひとつ酌んで御議論いただきたいというふうに思います。
  125. 及川順郎

    及川順郎君 代替財源、その中身は私の承知する限りでは、消費税を廃止した場合、平年度で約六兆円の減収が見込まれますね。それに対して、法人税基本税率の据え置き等で一兆四千億円、キャピタルゲイン課税等の見直しで六千億円、個別間接税の復元で一兆三千億円、地方税関係一兆円、五項目として税の自然増収で一兆七千億円、これが大体骨格であるというぐあいに理解しておるわけでございますが、この中で特に物品税の復元について強い批判が寄せられておるわけでございます。つまり、物品税を復活させる論理的根拠がないといった、あるいはまた物品間の課税、非課税のアンバランスが生ずる、こういう指摘でございます。  しかし、物品税につきましては、確かに指摘されるような問題がございますけれども、この税制の中でやはり認めるべき、あるいは評価できる部分もある、このように私どもは受けとめております。それは、物品個々に対してその担税力によって差がつけられる、そういうところで税体系に一つの公平さを期待できるという部分が出てくる、こういう状況もあるわけでございますし、特に今回の代替財源法案作成に当たって、物品税の復元に対して税率四%を下限に四段階、製造段階にかける税率は八%を上限とするなど、逆進性の緩和、負担の軽減などにできる限りの工夫を凝らしている点は私は評価されていいんじゃないか、このように思うんですね。ぜいたく品も生活必需品も一律に、あらゆる商品、サービスに三%をかける消費税より国民の納得が得られやすいのではないかと私は思いますけれども発議者の所見を承りたいと思います。
  126. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) おっしゃるとおりでございまして、物品税につきましていろいろ御意見をいただいております。自民党さんの場合には今日までこれをやってきたわけでございますから御批判はないと思うのでございますが、しかし消費税、売上税、この二つの大衆課税については、御案内のとおりに、国民の合意が得られずに、しかも公約違反、強行採決、こういう手続上の問題も含んで国民の御批判をいただきましたし、その結果が参議院選挙で、御案内のとおりに、政権党である自民党の惨敗ということで国民の意思が明確になったわけでございます。  そこで、再度二年間かけて税制のやり直しを行おうとしておるわけでございますが、その間に消費税導入以前の物品税など個別間接税を復元することとしたわけでございます。この物品税などの個別間接税は、消費税に比べまして逆進性が緩和しております。今お説のとおりに、担税力に応じて負担ができるという特質を持っております。その点が、子供から幼児まで担税力もないところに襲いかかっていく消費税とは全然異質のものでございます。国民世論の動向を見ましても、御案内のように、比較的物品税については支持を受けておるようでございます。  完全復元は国民生活への大きな影響がございますので、先ほど御指摘のように、税率を国民生活に見合って配慮を行ったところでございます。そのために税率調整を行い、あわせて大衆負担を軽減し、文化の振興の側面から免税点を復元したり、物品税、通行税の場合には税率調整、入場税は税率調整とあわせて免税点も復元しました。さらに地方税では、電気税の税率調整、娯楽施設利用税等については免税点の据え置きを行ったのでございます。  さらに、課税、非課税のアンバランスの問題について御意見をいただきました。この点につきましては、確かに課税、非課税のアンバランスがございます。これは、単に国民消費の多様化とか、ぜいたく品の判断基準だけではなくて、御案内のとおりに、地域の伝統工芸を守るためとか、こういった課税除外もございます。まさに政策的な結果としてアンバランスになったものも多いわけでございます。このアンバランスをつくったのは長年の政権党として担当してきた政府自民党でございまして、これはまた新規物品に課税をしようとすると政治的な圧力がかかり、そのために人為 的にゆがめたものも少なくないものがあるようでございます。そのしわ寄せを消費税という大衆課税で国民に押しつけようとしても、私は許されないし、決して国民は納得しないだろうと思います。  物品税の課税、非課税のアンバランスが即座に消費税導入に結びつくということは国民の皆さんが認めない、私はこういう観点から、まず消費税を廃止して、そして国民の納得のいく間接税の仕組みを国民税制改革協議会で検討することが最も望ましいことではないか、かように思って御提起したところでございます。よろしくお願いします。
  127. 及川順郎

    及川順郎君 確かに、物品税のこれまでの経緯を見ますと、担税力の出てきた新規物品に課税しようとすると政治的圧力がかかる、人為的にゆがめられてしまったという、こういうことがうかがわれる事例も過去にはございます。  しかし、これはやはり自民党税制の運用の中にかかわりがあるんじゃないか、こういう感じがするわけでございまして、特に昭和五十九年度以降、物品税の品目が見直された形跡は見られないわけです。恐らくは物品税をめぐる業界の主張、政府・与党の圧力も加わりまして品目の見直しができなかったのではないかというぐあいに考えられるわけでございますが、この物品税の復元に関する課税、非課税のアンバランス批判に発議者はどのようにお答えになりますか、御発言をお願いします。
  128. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 先ほど申し上げた中で、料理飲食等消費税を娯楽施設利用税と、こう申したようでございますので、これはひとつ訂正させていただきたいと思います。  率直に言って、アンバランスの原因がいろいろ取りざたされておりますが、私も今申し上げましたように、伝統工芸のものであるという意味でその保護ということで課税免除したり、逆に政策的な意味で政治的な圧力をかけて除外したり、こういった事例があることは否めない事実だと思います。したがいまして、そこら辺については私も今度の国民税革協の中でも十分吟味、御審議いただきまして、そして公正、公平な意味での調整をぜひ行って、国民の皆さんの納得のいく方向をぜひひとつ出していきたいなと、こういう気持ちで臨んでまいりたいというふうに思っております。
  129. 及川順郎

    及川順郎君 もう一つの批判点として、間接税体系の国際化に逆行して経済摩擦を再燃させるのではないかといった懸念ですね。お酒や自動車の問題を例にしましても、やはりこの問題に対しては、例えばお酒につきましては従価制度等のために輸入に不利である、こういう状況がございます。それから自動車なんかも大型自動車の多い輸入品が不利な取り扱いをされているということもこれまた事実です。これらの問題は、この点を直して輸入しやすくすれば解決できる問題ではないか。  今回のこの法案では、酒税につきましては従量税方式等を採用したり、物品税では税率四%を下限に四段階に簡素化する、こういう措置を講じている点から考えますと、外国から輸入障壁として批判されるものではないと私は思いますが、この点いかがでしょうか。
  130. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 及川さんなかなか勉強なさっておりまして、お説のとおりでございます。私も、経済の国際化に伴って税制面からも対応すべきである、こういうことについては必ずしも否定しません。  例えばECのように、国境をなくして自由な取引を推し進めている一つの共同体を維持するために共通な税制が必要である、基本的にはどのような税制を構築していくか、こういう問題については私は各国それぞれの問題であろうと思います。その中でできるだけ国際間の取引を阻害しないような税の仕組みを考えるのが重要ではないかというふうに思います。いわゆる、人、物、金の自由な取引が行われるためには、相互の国の産業の違いを尊重しながらも不合理な各種の規制緩和、できるだけ垣根を低くしていく、こういったことが必要でないかと思うのでありまして、消費税を廃止して物品税を復元したからといって、国際間の経済取引が阻害される、こういうことは毛頭ございません。
  131. 及川順郎

    及川順郎君 次の問題は、税の自然増収の活用という点でございますね。これは私は、初歩的な誤りというか、率直に言って自然増収の批判論というのは全く当たらないと思っておりますね。というのは、毎年度の予算編成をするときには必ず税の自然増収を見積もりまして、その税収の増額分を歳出増加や減税、さらには公債減額など財政政策を決定してきたというのがこれまでの行き方でございます。  今回のこの法案の中では、六兆円の消費税の廃止によるこの対応に対しまして、四兆三千億円の物品税の復元等による増減収の差額約一兆七千億円、いわばこれは税制改革に伴う減税超過額であり、予算編成において自然増収のうち一兆七千億円を間接税の減税に向けたと同じ原理じゃないか、私はこのように思うわけでございますが、この点についての発議者の御意見を承りたいと思います。
  132. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 代替財源に自然増収を充てるということは私は何ら問題はないと思っております。何が問題かといいますと、これからの景気がどうなるかというのがやはり一番大きな問題でございます。そこら辺のところをしっかり見きわめる必要があると私は思っております。  そういうふうな意味で私どもは、この代替財源をつくるに当たりまして、最近の民間のいわゆる景気見通しとか、いろんなものの御意見もお伺いをしましたし、また新聞報道の中にも、その方面の専門家でございます経済企画庁のOBの皆さん方が集まりまして、これからの景気見通し等をそれぞれ発表いたしております。そういうような資料をいろいろと調べてみますと、イザナギ景気というのがあったわけでございますが、イザナギ景気というのが昭和四十年から四十五年まで続いたわけでございます。その後、現在、昭和六十一年の十一月からずっと景気が伸び続けているわけでございますが、この景気が大体どこら辺まで続くかというのが大きなテーマになるわけでございますが、経済企画庁のOBの方々も大部分の方はこのイザナギ景気を抜くであろうというふうな見通しを立てておりまして、いろんな景気見通し、私の手元にたくさんありますが、こういうようなものからいたしましても、これからの景気は少なくともこの二、三年はほぼ間違いなく成長するであろう、こういうふうに見ているわけでございます。  したがいまして、私どもは、政府自身が現在のこの当初予算で平成元年度は六兆二千億円、昭和六十三年度は四兆四千億円を自然増収と見込んでおりまして、ここ最近の五年間の平均でも約三兆三千億円を見込んでいるわけでございます。こういうふうないろんな要素がありますので、私どもは、この代替財源をきちっと策定するに当たりまして、昭和六十三年度の決算額五十兆八千億円をベースにいたしまして、実はこの五年間の税収の伸びというのを、一番低いところが七・九ないし八ぐらいですね、それから一番高いのが一一・何ぼというのがあります、そういうふうなのを平均いたしますと大体九・五というのが平均でございます。こういうようなことがございますので、私どもは、予算でございますから、最低の八%で計算をいたしますと、大体三兆八千億円から四兆七千億円の増収が見込まれる。そして、九・五%で推計をいたしますと、大体四兆六千億円から五兆八千億円の増収が見込まれる、こういうふうに考えておりまして、元年度並みの歳出増三%を前提といたしまして計算をいたしますと、いわゆるこの自然増収を消費税の代替財源に充てることは十分可能である、こういうふうに考えております。  それから、最後の方でお話しございました、昨年の自民党税制改革の中で、自民党さんもやはり二兆六千億円という財源が不足したわけでございます。その分につきましては、大蔵省のパンフ レット等によりまして、この二兆六千億円の財源不足はいわゆる税制改革の減税だという宣伝をいたしておりまして、そういうふうなやり方で私どもの今回の代替財源を考えますと、委員指摘のとおり、一兆七千億円は減税と見ることもできるわけでございます。
  133. 及川順郎

    及川順郎君 消費税廃止に関しまして国民の皆さんが抱いている懸念の中から二つ続けてお願いしたいと思いますが、その一つは、消費税を廃止した場合に、既に消費税分が引き上げられている商品、サービス、この価格をもとに戻すことができるかという、こういう問題ですね。外税方式をとったスーパー、百貨店などは比較的これは問題が少ないと思われますけれども、内税方式をとった業者も多くいることを思い合わせればやや難点が残るということをこれは認めざるを得ないと思います。しかし私は、この消費税を廃止する以上は、三%転嫁についていろいろ独禁法の適用外を認めてこの転嫁を促した、こういうことをやってきた状況考えますと、三%相当の税額の引き下げ、ひいては物価全体の引き下げ指導を行うのはこれは当然でありますし、国民に、消費税が廃止された結果、実際の生活実感としてこのような恩恵を受けたあるいはこのような変わりが感じられる、こういう肌で感じ取れるような、こういう指導を行っていくというのは当然であると思いますけれども、この点について発議者はどのようにお考えになりますか。
  134. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 御心配の点は私は全くそのとおりだと思っております。したがいまして、導入時にもいろんな指導が行われたわけでございますが、今回の法律が成立をいたしましたならば、それと同じような、モニター制度を初めそれぞれいろんな値下げの指導をやっていただかなくてはならない、そういうことになるのではないかと思います。
  135. 及川順郎

    及川順郎君 今のは消費者の立場からの懸念でございますので、続きまして、今度は業者の立場からの懸念をひとつ伺いたいと思います。  消費税導入に際しまして、業者はレジスターを初めとして新たなコンピューターソフトの開発、仕組みなどを変えてまいりました。そのために多額の投資、負担を行ってきているということはこれは事実でございまして、経済全体で約三千五百億円とも推計されておるわけでございますね。これが消費税廃止になりますと、その投資がむだになって、改めてまた新規投資が必要になってくるわけでございます。私も現場で、消費税を廃止するのはいいけれども、私たちがせっかくそろえた機材がそのためにまた新たにやらなければならないということに対する負担をちゃんと考えてやっていただけるのかと、こういうことを何カ所でも伺いました。これはやはり基本的には、消費税廃止に伴う一連の償却投資についてはできる限り国の責任で救済すべきではないかというぐあいに私は考えます。具体的には税法上の損金算入等特別措置を講ずるのが最適ではないかなという感じがするわけでございますが、この点についての発議者の御意見を承りたいと思います。
  136. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 今回の政府税調の消費税導入に当たりまして、政府は消費税実施に際しましてコンピューターソフトウエアの開発費用につきましては一括損金算入を認めるとともに、買い取り価格百万円以下のレジスターや百六十万円以下の計算機についても一括損金算入を認める特例措置を講じておりますし、また、消費税を廃止する場合でも、ソフトの組みかえなど開発費用を支出した場合には導入時と同じようなやはり損金算入を認める措置をしていただきたい、そういうふうに考えております。
  137. 及川順郎

    及川順郎君 次は、税制改革の問題につきまして何点か承りたいと思います。  ポイントを申し上げますので簡潔にその考え方を述べていただきたいと思いますが、税制改革一つの方向性でございますけれども政府税制改革の必要性の大きな理由として、現在の税の不公平感、国際化への対応、高齢化社会への準備、こういった三点に集約されているのではないかと思いまして、この税制改革の問題提起については私たちも異論はございません。  しかし、採用される税体系が、所得に無関係に一律に課税を行う消費税の導入によりまして、所得の分離による利子配当課税あるいはまたキャピタルゲイン課税という極めて高所得者に有利な、逆進性が濃厚な税制がその結果として今生まれているという現状が指摘されるわけですね。  私たち考えておりますのは、このような一律に網をかけるというようなやり方ではなくて、税の鉄則である公平というもの、つまり所得が多い人ほど税負担を多くお願いして、所得が少なくなればなるほどこれに応じて少なくとどめる、この公平の原則をやはり税の鉄則として私たち考えておるわけでございますが、この提案されている税制改革の法案の方向性、税制改革の方向性について御意見を承りたいと思います。
  138. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 政府のスローガンにありました所得とか消費、資産の間での均衡のとれた税体系の構築ということは、ただ単に中曽根税制改革案での直間比率の見直しにかわるものであったんじゃないかというふうに、結果として消費税導入のためのまくら言葉にすぎないものであったというふうに私どもは解釈をいたしております。したがいまして、私どもは、租税民主主義にのっとりまして、税制は国民の信頼と合意によって初めて成り立つものであるというふうに、この理念を大前提といたしております。  今回の税制改革は、政府が行いました税制改革によって引き起こされました税制の混乱を収拾していく、そして国民の税に対する不信感を払拭していこう、そして国民合意税制を確立しようとするものであります。税制改革に当たりまして、これまでの税制の欠陥として指摘されております不公平の一掃を図ろう、そして応能原則、すなわち担税力に応じた税負担のあり方、これを追求していこう、そして経済構造及び国民生活の変化に適切に対応いたしました本当の意味での所得と消費と資産に対しての均衡ある税体系を確立していきたい、そういうふうに努めることといたしております。  したがいまして、税制改革の前提条件といたしまして、具体的には、税制のこの混乱と国民の不信感を増幅させるに至りました消費税をまず廃止していこう、そしてこれに伴い暫定的に緊急を要する税制改革を行いまして、続いて二年間をかけまして広く国民各階層の意見を求めまして、具体案作成のため学識経験者なり国民各階層の参加によりまして組織する国民税制改革協議会、これを設置いたしましてその答申を求めて、あくまでも租税民主主義の貫徹を図りたいというふうに考えております。
  139. 及川順郎

    及川順郎君 総合課税主義、これが望ましい方向であるという、各個人のすべての所得を合算してそれに適切な税をかけるという方向は、これは正しいと私は思います。  ただ、そうなりますと、どうしても納税者番号制度とのかかわりが出てくる。国民納税者の感触からいいますと、やはりこの納税者番号というのは一人一人のプライバシーとの関係でまだ抵抗感が強いということがいろんな世論調査でも出ておりますけれども、この関連と納税者番号制度導入に至るまでの、これは慎重を期さなければならないというこういう必要性を私は非常に強く思うわけでございますが、この点についてどのような配慮を今お考えになっているか、発議者の御意見を承りたいと思います。
  140. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 及川委員のおっしゃるとおりでございまして、私どもの基本的立場は、消費税を撤回し税制改革をやり直すことにあるわけでございます。  税制改革におきまして、公平でそして公正な税体系を構築することを重要視いたしておりますので、税制は社会経済における重要な骨組みでありますので、社会を映し出す言ってみれば鏡だというふうに思われます。税体系が不公平ならば、社会そのものも不公平なものになっていくということでございまして、私どもの目指す税制改革 が実現するといたしますれば、二十一世紀の日本の将来は明るいというふうに強調いたしたいのであります。  したがいまして、私どもは、租税の不公平を一掃していこう、そして徹底した総合課税中心の所得税を再構築していこうというこの大きな目標を掲げておるわけでございまして、そのためには納税者番号制度は不可欠であるというふうに考えるものでございます。  納税者番号につきましては、ただいま及川委員指摘のように、国民のプライバシーを侵す懸念があるとの声が強いわけでありますが、私どもはこのような論点を無視するつもりは決してございません。むしろ、納税者番号に関する問題点につきまして積極的に耳を傾けていこう、そして研究を続けていきたいというふうに思っておるわけでございます。  納税者番号の導入に際しましては、個人のプライバシー保護が最大の課題となることは当然でございまして、個人の収入、支出、財産といったものもプライバシーの一部でありますので、その場合、保護されるべきプライバシーの範囲は自動的、一義的に決まるものではないということで、その目的との関連性、そして社会通念によって決まってくるものと考えられますので、慎重に検討していきたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、個人の私生活を息苦しくさせますようなそういうことがあってはならないものと考えます。国民の公平な税を求める要求は大変強いものがございますので、私どもといたしましては、国民の信頼に基づく税制の確立こそが必要である、税制改革の原点であるということからいたしまして、国民の合意を得られますように十分な時間をかけつつ納税者番号制度の導入を行う所存でございます。  いずれにいたしましても、この納税者番号制度の導入に関しましては、国民のプライバシー保護と合意形成が大前提であると私ども考えております。
  141. 及川順郎

    及川順郎君 国民納税者の意識といたしまして税制改革の必要性をやはり同じように感じている、その大きな柱はやはり不公平税制の是正であると思うんですね。それと同じ発想で見ますと、果たして、今回提出されております税制改革では、国民が期待するような不公平税制が是正されるんだろうかという、こういう問題が出てまいりますので、この点に対して、この税制改革の基本的な方向の中で不公平税制は是正されると、その裏づけとなる御発言がございましたら承りたいと思います。
  142. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 国民の皆様の税に対する不公平感の大部分がこの不公平税制にあるということは及川委員指摘のとおりでございます。このことは総理府の税金に関する世論調査なり、あるいは各種報道機関の世論調査などからいたしましても明らかなところでございます。この国民の皆様方の税制に対する不公平感が根強いのは、不公平税制による減収規模なりあるいは対象人員もあるわけでございますが、それよりも、不公平そのものが税制の中に制度化されているということが最も大きな原因であろうかと思います。この制度化された不公平を除去することこそ、国民の税制に対する信頼を回復するための至上命題でありまして、緊急かつ不可欠なことであろうというふうに思います。  そこで、この数ある不公平税制のうちに、私どもは、主なものにつきましては昨年の四野党共同提案におきましてその改革の基本的方向を示したところでございますが、今回の税制改革基本法案におきましても、社会保険診療報酬課税の特例、みなし法人課税、公益法人課税の特例、企業に対する課税における各種の特例等の租税特別措置等の抜本的な整理及び合理化が図られるとともに、納税環境の整備が推進されることにより税負担の不公平感が払拭されていることということを税制改革の基本的な柱の一つとして明記をしているところでございます。その具体的な問題につきましては、国民税制改革協議会におきまして検討を重ねていただきたいと思っております。
  143. 及川順郎

    及川順郎君 もう一点は、キャピタルゲイン課税の強化に対する懸念でございますね。  これは、キャピタルゲイン課税の強化によりまして、一つは小口で楽しんでやっておられる方々のところまでその影響が出てくるのではないか、こういう国民納税者の、大衆の気持ちですね。こういう要素もございますし、また大手の企業にとりましては、それによってだんだんだんだん法人は海外にも逃げていく、こんな話も出てくるわけでございまして、この代替財源法案とのかかわりの中にも、それから将来の税制改革の基本的な方向ともかかわり合いがあるわけでございますが、このキャピタルゲイン課税の長期的展望、これは個人株主育成に関しての問題を含めまして、発議者の御意見を承りたいと思います。
  144. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 及川委員指摘のとおり、一概に個人株主と言いますが、この中では二種類に大きく分けられるのではないかというふうに思われます。つまり、家庭財テク程度の庶民株主と大口の個人株主でございます。問題点はあるわけでございますが、昨年の税制改正におきましても政府もようやくキャピタルゲインの原則課税に踏み切ったわけでございまして、その際、所得税法においても利子課税とあわせて三年後に総合課税への移行を検討することが明記をされてございます。したがいまして、売却額の一%の源泉分離課税もこの間の暫定措置と私どもは受けとめております。  このような立場から、私どもはキャピタルゲインに対しましても、最終的に総合課税へ移行することが望ましいというふうに考えております。しかし当面は、納税者番号制度等の諸条件の整備が行われるまでは、みなし利益率を現行の五%から七%に引き上げさしていただきまして、これに二○%の税率を課す分離課税を行うことといたしております。
  145. 及川順郎

    及川順郎君 キャピタルゲイン課税と並びましてもう一つは、現在の資産格差を生じさせている、国民の不満をあわせて高めている要素に土地の高騰問題があります。土地価格の高騰ですね。適切な土地価格のあり方はどうあるべきか。この問題につきまして、今回の立法の作業を進めていく中におきまして、土地課税の抜本的な考え方、これについてどのような意見が取り交わされ、そして将来あるべき方向に対してはどのような考えを煮詰められたか、この点をまず承りたいと思います。
  146. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) 委員ただいま御指摘のとおり、土地の課税につきまして保有税と譲渡税がございますが、今回私どもは保有税につきましては提案いたしておりません。私ども土地につきまして考えます原則は、土地は長期にわたって保有し有効利用されるべきである、投機的に取引されるべきではない、こういう観点からいろいろ論議をさしていただきました。その意味から、個人または法人が土地の譲渡をした場合、その所有期間が十年以下のときは所得税または法人税が重く課せられる仕組みがとられてきたわけでございます。これがいわゆる本則でございます。  昭和六十二年、御承知のとおり東京都心部を中心として異常な地価高騰が巻き起こりました。サラリーマンの方々が一生懸命働いても、この東京の周辺部では生涯働いても土地つき住宅を持つことは不可能となりました。その原因の中で、いろいろと調査をしましたが、特に業者による土地転がしということは見逃すことができない、こういう立場に立ったのでございまして、そこで昭和六十二年十月から平成二年三月までに限りまして、土地を投機の対象にすることを抑えるために超短期、すなわち所有二年以内の土地譲渡につきましては重い税金を課すことになっておりました。  都心部の地価は、私どもいろいろと調査したわけでございますが、幾分鎮静化してきたようですが、高値でとまっております。まだ完全に火種は消えていない、そう認識いたしております。まだ地価高騰は再発するおそれがある。また、都市周辺部やあるいは近畿圏、中部圏まで土地高騰の状 況が今波及をしているわけでございます。そういう状況を踏まえまして、土地の課税の適正化をどのように図っていくか。当面二年以内には、超短期重課という問題は、これは三月三十一日に期限が参りますが、延期をしていきたい、こう考えました。  その一方で、土地の価格を下げ、安定させるためには土地の供給を促進させる必要があるわけでございますが、そのために、現在、所有期間五年を超える土地を譲渡した場合には重課をする対象にはしないという特例を設けたわけでございますが、これも期限が参ります。この三月三十一日以降は、私たちは、土地の供給促進について、五年にしましたけれども、それほど実効が上がっておりませんので、これをもとの十年に戻したい、このように考えておるわけでございます。それによりまして土地の需給のバランスが保たれていくんではないか、このように思っておるわけでございますが、よろしく御審議賜りたいと思います。
  147. 及川順郎

    及川順郎君 この点に関連いたしましてぜひ検討していただきたいのは、大都市における法人所有の土地に関する含み税の問題です。  大法人が所有する土地の含み益は膨大なものでございまして、この土地を担保に融資が行われて、さらにそれが地価の高騰を引き起こしている節がある、こういう指摘はたくさんございます。この含み益に対して税金をかけることに対して、含み益は未実現利益であるので課税になじまないという主張が繰り返し政府筋でもこれまで行われてまいりました。これがもし未実現であるからということで課税できないとすれば、現在行われております固定資産税もおかしくなるわけでございまして、これは筋が通らない話ではないか、こういうことで、私も予算委員会等で何回かこの問題を取り上げておるわけでございますが、この法人所有の土地に関する含み税について、発議者の意見があればこの際承っておきたいと思います。
  148. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) ただいま委員指摘のとおり、大都市におきますところの大法人の所有する土地の含み益につきましては、いろんな試算がございます。そしてそれが、含み益を担保にして融資を受けて土地あるいは株を購入される、そういう利益を得るというような点から、さまざまな不公平や弊害をもたらしていることも事実でございます。したがいまして、大法人の所有する土地につきましては、保有課税を強化して含み益を背景とした投機的な行為を抑制していきたい。そして、土地の流動化を進める中で地価の安定化を目指していきたい。当然私たちも検討さしていただいたわけでございますが、今回その点については提案はさしていただいておりません。  また、固定資産税につきましてもお話がございましたが、私たちは土地はやはり一般商品と違いまして公共性、社会性を持った財である、こういう認識に立っているわけでございます。現行の保有課税でありますところの固定資産税も未実現の利益に対する課税として行われているわけでございます。そういった意味から、大法人の所有する土地につきましても、含み益について未実現であるけれども、何らかの対策を考えなけりゃならないんじゃないか、こう考えておるわけでございますが、これも引き続いての税制改革の中でいろいろと御検討賜りたいと思うわけでございます。  以上です。
  149. 及川順郎

    及川順郎君 法人に関しまして、今回の野党提案の税制改革案、これが出されて、法人の人たちのさまざまな意見を私も伺いました。その中で非常に多かったのは、この考え方は法人に重い負担を課すのではないかといった、こういう誤解ともとれる反応が強かったということでございます。また、法人に対して重い課税をするということは、最終的には産業の空洞化を招くことにもなりかねない、そういった指摘もあわせてございました。  こういう点につきまして、税制改革のこの基本的な方向の中では、我が国内における法人に対する課税の考え方、これをどのような基準に基づいて行われたか、この点について発議者の御意見を承りたいと思います。
  150. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) この問題につきましても、私たちもいろいろと検討させていただきました。また、いろんな資料も集めさせていただきました。その中で、財界の方々の御意見もございました。  大蔵省の方式によりまして表面税率から機械的にはじき出されました法人の実効税率の比較、これでは確かに日本の実効税率はアメリカ、イギリス、フランスよりも高く、西ドイツよりも低くなってはおります。しかし、これはあくまでも表面的な数字ではないかと思うんです。レーガン税制におきましても、法人税は確かに減税されました。しかし、そのかわりに周辺の部分のいろんな企業に対する優遇税制というものは、これは課税ベースを広げるためになくなされているわけです。減税とそういった課税ベースの拡大ということが並行して行われております。日本の場合にはそれが行われていないということが事実でございます。ですから、いろんなそういう国際比較をしまして、実際どの程度であるかということは、財界の皆さん方の御意見等もまたいろいろ承っておるわけでございますが、実際的な比較は非常に難しい面があろうかと思います。  また、企業の対外直接投資あるいは産業の空洞化の原因になっていくんじゃないか、日本の資本が海外に逃げてしまうんじゃないか、こういうお話がありました。これも私ども、法人の税負担の重さがそういう原因になるのであろうか、こう考えておりましたが、大蔵省が公表しましたいろんな論文、そういうものをいろいろと私たちも読ましていただきますと、一つには資源の安定的確保のため、二番目は賃金などコスト面での有利性、三番目が諸外国の外資誘致の積極化、四番目は貿易摩擦を背景とするECやアメリカでの現地生産拡充の必要性、そういう要因が挙げられているわけでございまして、法人税負担の前にやはり企業がどれだけの収益を上げられるかということが問題になっているんじゃないかと思うわけでございます。  以上です。
  151. 及川順郎

    及川順郎君 時間が五分になりましたので、私は最後のまとめをさせていただきたいと思います。  今回のこの審議を始めるに当たりまして、私も現場でいろいろ意見をお受けいたしました。その中で、整理いたしますと、消費税は一般消費者や弱い者いじめの逆進性の強い税制だという声がやはり非常に多かった。二番目には、便乗値上げに対する反発がございました。それから、お店における支払い時の煩雑さや納税に関するお客の不信感の増幅、これがございました。それから事務所等の納税事務の負担の増大、これもございました。それから地方自治体における消費税の転嫁問題や納税事務処理の混乱、これが非常に強い自治体での意見でございました。それから将来の税率アップに対する懸念などが挙げられておりまして、こういう問題をさまざま考えますと、やはり消費税というのはこれは廃止をする以外にないな、こういう気持ちが私の最終結論でございます。  私は、ここで最後に一点ぜひ申し上げておきたいということがございます。それは、消費税導入の一つ理由といたしまして、高齢化社会に備えて消費税は必要だという主張がございます。確かに高齢化社会は避けて通ることはできません。しかし、高齢化社会を題材にしまして将来に対する国民の不安感をいたずらにあおり立て、消費税の必要性を強引に押しつけていくというようなやり方はとるべきではない、このように思っております。高齢化社会に向けての抜本的な税体系、これは私はどうしても必要だと思いますし、この点について最後にまとめとして、税制改革考えているこの税の体系は高齢化社会に向けてどのようなかかわりの中で生かされていくのか、これを最後に私は御答弁いただきたいと思っております。  そして、その前に、私はわずか二時間少々の時間を通しまして、消費税は導入の過程から国民に 対する公約違反があり、そして強行採決という審議ルール違反があった、これは明白であります。私は強行採決したときにこの場におりました。そういうところから非常に憤りを捨て切れずにおります。したがって、この税を廃止する、これがこの参議院のここの同じ場所で私は成立することを信じております。しかし、自民党は衆議院に行きますとまだ三百議席あります。これを自民党がどうしても廃止をしないと言うならば、衆議院を早期に解散して、参議院に続きまして国民の良識ある審判を仰ぐ以外にないと私は思っております。この点を含めまして発議者のしかとした御見解を承りまして、私の質問を終わらせたいと思います。
  152. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 二点お尋ねがございましたが、時間が一分しかございませんので簡単に申し上げます。  まず、高齢化社会に向けてのいわゆる税制の問題でございますが、高齢化社会、実は二〇二〇年をピークにいたしまして高齢化社会がやってくるのは確かでございますが、政府がパンフレット等で発表いたしておりますデータというのはこれはひとりよがりの部分がありますので、この点につきましては後ほどの議論の中できちっと申し上げたいと思っております。いずれにしましても、私どもは高齢化社会にぱっちりした税制をつくるために今この問題に取り組んでいるということであります。  さらには、先ほどから消費税の問題点につきましてもいろいろと議論がございました。逆進性の問題とかいろいろ出てまいりましたが、私は、この法案が参議院で可決されるということ自体が政治に対する国民の皆さん方の御期待にこたえるということでございますし、また大きなインパクトを与えるのは間違いない、このように信じております。
  153. 及川順郎

    及川順郎君 ありがとうございました。(拍手)
  154. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表いたしまして、消費税は無条件廃止、無条件で廃止をする、こういう立場から発議者の久保議員質問をしたいと思います。  消費税実施七カ月でありますが、特にお年寄り、生活保護世帯、障害者、母子世帯、こういうところに本当に深刻な胸の痛むような影響が出ております。  これは新潟の年金と子供の仕送り九万円で暮らしている方、辻川逸美さんという方でありますが、この人のつけた家計簿によりますと、一カ月の消費税が二千百四十一円。だから彼女は言っています。これは三日から四日分の食費なんだ、だから年に四十日食べずにいなきゃいかぬ、そういうものなんだと。  ですから私は、生活破壊税、福祉破壊税の消費税は単なる廃止じゃなくてそれこそ無条件で廃止しなければならない、こう思うわけであります。しかも、これは三年前の衆参同時選挙における自民党の公約に真っ向から反するものでございます。この選挙で、自民党議員のうち二百七十五人が大型間接税はやらないと公約しました。海部内閣の閣僚は十八名、そして自民党のこの税制特別委員会のメンバー二十名のうち六名、これが大型間接税はやらないと公約しておると思いますが、これは簡潔に発議者の御認識をいただきたいと思います。
  155. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 近藤議員の御質問お答えいたします。  選挙公約といった場合、選挙公報、政見放送、政談演説、街頭演説、アンケートへの回答などがそれに当たると考えますが、すべての選挙公約を正確に把握することは不可能でありますので、選挙公報における公約に限らせていただきます。  私ども調査によれば、昭和六十一年衆参同日選挙の際の選挙公報において大型間接税導入に反対の意を表した自民党議員は、衆議院議員で五十九名、参議院議員で五名であると承知しております。
  156. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これは私の方の調査で間違いないわけでありますが、公約違反は許せない。だからこそ、七月の参議院選挙で国民は消費税の廃止以外にないと審判を下したわけであります。ところが、自民党海部内閣はこの審判に従わないだけではなくて、このままでは将来の高齢化社会が支えられないと国民を脅迫しておるんです。大体、お年寄りに医療の差別を押しつけて年金を大幅に切り下げておいて何が高齢化社会か。  そこで、これも確認的にお聞きしますが、政府自民党が言っております、現在五・九人でお年寄り一人を支えておるが、将来二・三人で一人を支えなければならないから大変だというわけでございますが、これは実際仕事もしていない生産年齢人口を分母にするという大きなごまかしがあります。分母は実際に仕事をしている就業者人口でありまして、養われるのはこれは全員でありますから全人口を分子にすべきであります。この点は日本共産党の不破委員長が衆議院で追及し明らかにいたしましたように、これで計算をいたしますと、政府資料でも一人で二人を養うというのは現在も将来も変わらない。久保議員、同じ認識かどうか。  久保議員にお尋ねします。これは理事会確認なんです。指名した人がお答えいただくべきものだ。
  157. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 共同で提案をいたしておりますので、ただいまの御質問について峯山議員からお答えいたします。
  158. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それは、確認が違いますよ。
  159. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 今お尋ねの問題につきましては、政府の資料によりますと、確かにお申し出のとおり昭和六十年が五・九人で一人、それから平成十二年が三・七人で一人、平成二十二年が二・八人で一人、そして二〇二〇年が一一・三人で一人というデータを、政府はあたかも高齢化社会がすぐやってくるようなパンフレットをたくさんつくりまして、新聞なんかでも発表をいたしております。  しかしながら、今おっしゃいましたように、私もこの問題についてデータを計算した資料がございますが、二十から六十四歳というのを政府はデータの基本にいたしておりますから、この点からまいりますと、例えば昭和二十五年が〇・九八、四十五年が一・五一、六十年が一・五五、平成十二年が一・五一、平成二十二年が一・二五、そして平成三十二年すなわち二〇二〇年が一・一五という数字もあるわけでございまして、委員おっしゃるとおりでございます。
  160. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 委員長、これは理事会の確認どおり、私が指名した発議者に御答弁いただくよう、そういう指名をしていただきたいと思うんです。  今の答弁でも、消費税の本当の目的は高齢化社会のためではない、これは明らかです。  竹下元総理は、これは昨年の一月、ナショナル・プレスクラブにおいて演説いたしまして、国際社会に貢献する日本にふさわしい安定的な財源を確保するための抜本的税制改革に着手しましたと述べ、質の高い防衛力の整備を図る、在日米軍のために今後さらに一層の日本側負担の増大を図っていくと表明いたしました。この国際社会に貢献するというのは、アメリカの要求にこたえて軍事費をふやすことであります。さらに、当時の渡辺政調会長は国際経済懇話会での講演で、消費税を導入する理由一つとして、昭和六十五年までは年々五・四%ずつ実質的に防衛費を伸ばすという約束がアメリカとの間にある、こういったことを挙げておるわけでございますが、これらの発言から見ましても、消費税の目的が軍事費を賄うためであることは明らかだと思いますが、久保議員の答弁を求めます。
  161. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 先ほど申し上げましたとおり、私ども四会派の共同提案でございます。ただいまの御質問について峯山議員が御答弁申し上げます。
  162. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 恐縮でございますが、お答えをいたします。  ただいま御質問がございましたナショナルクラブにおきます演説の資料等も読ませていただきました。また、日ごろ共産党さんがこの消費税は軍 事費を賄うためのものであるという御主張をされていることも承知をいたしております。私どもといたしましては、先般の参議院選挙の結果を受けまして、何としても国民の信託にこたえるためにもこの消費税を廃止しなければならないということで、ことしの夏から一生懸命頑張りまして九法案を提出いたしまして、ただいま御審議をいただいているような最中でございますし、しかもその九法案の中の、特に財源法案の中には歳入を中心にいたして、歳入に限定をいたしまして改革案を出しているわけでございますので、防衛費の問題につきましては、実は私ども防衛費そのものにつきましては私ども考えがございまして、かねがねから私どもは軍事大国になってはいかぬということで、それぞれGNP一%の問題とかいろんなことで歯どめをかけるようにしようという努力をしていることは、委員御存じのとおりでございます。
  163. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 理事会の確認に反して、指名者が答えない。しかも、今のは全然問題に対してはぐらかしている答弁をしている。これは私はまじめな態度と思えないということを言っておきます。  問題は、大型間接税の根を断ち切ることであります。まず第一に、日本国民はこれまで終戦直後の取引高税、大平内閣の一般消費税、中曽根内閣の売上税と戦後三回にわたって時の政府がたくらんだ大型間接税をつぶしてまいりました。そして今回、消費税に対して断固ノーの回答を突きつけたわけであります。ですから、現在も過去もそして未来も将来も大型間接税は要らない、これが国民の審判であります。  もともと大型間接税は、ヨーロッパではこれは戦争の財源づくりとして導入されたものであります。自民党政府も軍事費の財源を確保するため消費税を強行したわけでありますが、憲法で軍備を禁止し恒久平和を目指す日本では、現在もまた将来にわたってもこのような消費税を持ち込む必要は全くないと思います。大平内閣当時の総選挙で一般消費税ノーの審判が下った。その直後の国会決議でも、一般消費税によらないとこれは明記されて、将来これを導入しないことを明らかにしたわけであります。それなのになぜ、大型間接税は将来にわたって導入しない、このことをはっきり打ち出さなかったのか。この肝心なことがあいまいだというのでは、これは国民が望んだ方向とも違うんじゃないかと思うんですが、久保議員、どうですか。
  164. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 近藤さんの御指名をいただかなくて申しわけないんですが、今久保発議者から御案内のように、四党の中で私がこの問題でお答えするように、こういうことを言われておりますので、ひとつ御了承いただきたいと思います。  今おっしゃるとおり、国民の皆さんの強い拒否の姿勢の中で、大平内閣の一般消費税、そして中曽根内閣の売上税、さらに今回の消費税、いずれも大型間接税については国民は明確に反対の意思表示をしております。そういう意味で、今回の基本法の中におきまして、その第二条、「税制改革の趣旨」において、こういう文言を明記しております。「税制改革は、消費税の創設を中心とする先の税制改革が広く国民の理解と信頼を得た上で行われたものとはいい難い状況にかんがみ、かつ、消費税が廃止されることを踏まえ、国民の合意に基づき、改めて我が国の現在及び将来の経済社会に対応する税制を確立するために行うものとする。」、こう明確に規定しておるのであります。  大型間接税につきましては、こうした趣旨に基づきまして、国民税制改革協議会で検討していただくことになります。その意味で、国民の意思と基本法の趣旨が踏まえられるべきであることは当然であろうと思います。発議者としては大型間接税の検討を想定しておりません。
  165. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 答弁ではそういう答弁があります。しかし、将来にわたって導入しないということは一つもはっきりしていないんです。それどころか、税制改革基本法案では、所得、資産、消費の均衡ある税体系の構築と述べておるのであります。これは元総理あるいは現海部総理が繰り返し言ってきた論理と全く同じことなんです。法律上の一義的に解釈すべき同じ言葉が別に使われるのか。この点ではまさしく政府自民党が消費税導入の根拠として使ってきたそのものじゃないですか。御答弁をいただきたい、久保さん。
  166. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) ただいまの御質問に対しては、小川議員から御答弁申し上げます。
  167. 小川仁一

    委員以外の議員(小川仁一君) 政府のスローガンであった所得、消費、資産の間での均衡のとれた税体系の構築とは、単に中曽根税制改革案での直間比率の見直しにかわるものであり、消費税導入のまくら言葉にすぎないものでありました。我々の考えは、税制は国民の信頼と合意によって初めて成り立つものとの理念を大前提にいたしております。今次の税制改革は、政府が行った税制改革によって引き起こされた税制の混乱を収拾し、国民の税に対する不信感を払拭して、国民合意税制を確立しようとするものであります。したがって、言葉は同じでございますが、前提、理念の考え方は全く異なるものでございます。そのため、基本法の中で、第一条の目的に「先の税制改革に代えて」と申し上げ、第二条の趣旨のところでは「国民の合意に基づき、」と明記してありますので、自民党政府のとは基本的に異なるものでございます。
  168. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 じゃ、中身に入りましょう。  この基本法のところに、さらに「サービス、流通等に対する適正な課税の在り方について検討を加え、その結論を得る」とまで言っておるのであります。今、家計消費のうち、ここに政府統計資料もありますが、各種サービスの購入は総務庁家計調査によれば三七%を占めております。経済企画庁の国民経済計算によりますと、これは実に五〇%を超えるんです。ここに税金をかけるというのでは、消費税をやめたといたしましても大きな間接税が新たにつくられる、これはそういうことになるんじゃありませんか。
  169. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 近藤委員御承知のように、まず弱い者いじめの消費税を廃止してそしてよりベターな公平、公正、中立、簡素で国民の皆さんに信頼され理解をされる税制をつくる、これが前提であるわけでございます。  そこで、税制改革基本法における基本方針は、国民税制改革協議会において審議していただく上でその審議方法を定義してあるものでありますが、御指摘の間接税の問題につきましては、「間接税が直接税を補完する地位にあるべきことを踏まえ、国及び地方の個別間接税の整理及び合理化を図るとともに、サービス、流通等に対する適正な課税の在り方について検討を加え、その結論を得ること。」としているのでございます。  まず、「国及び地方の個別間接税の整理及び合理化を図るとともに、」ということについては、今回改正を提案している酒税、たばこ税を初め、国及び地方の間接税をも含んでいることは当然であります。また、「サービス、流通等に対する適正な課税」というのは、消費税の廃止によってサービス課税が一切なくなること等から、それにかわる課税のあり方を検討していただくという趣旨であります。
  170. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 この法律のどこにも個別間接税に限ってやると書いてないんです。さらに、今サービスを申しましたが、流通に関してもこれは課税するというのであります。流通というのは、これはメーカーから卸、卸から小売、小売から消費者と要するに商品が流れていくことでありまして、ここに税金をかけることとなりますとこれは一体消費税とどこが違うのか、こういう疑問が出てくるのであります。いかがですか。
  171. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) たびたび申し上げておりますように、大型間接税であります消費税、それに類するものはやらないと、こういう基本的な立場に立っておるわけであります。
  172. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 やらないということはいかに口で言いましても、これは午前中の宮澤議員質疑の際の立法者の意思の問題と同じでありまして、こ れは法律ができたら一本立ちするんですから、ひとり立ちするんですから、これは法律に書かない以上大型間接税につながらないという保証は何もないんです。で、ここに書いてありますのはサービス・流通課税、所得、資産、消費の均衡ある税体系とあります。しかも、これは税制改革の基本原則、基本方針として書かれておりまして、大型間接税を想定しないと幾ら言いましても、これが明記されていないんです。だから、むしろこれはサービス・流通課税をやることが中心に据えられているということです。    〔理事井上吉夫君退席、委員長着席〕  これはきのうの答弁にもありましたけれども、個別間接税とあわせて、そして流通、サービスというものを含めて間接税のあり方を検討してまいるとなれば、消費税はなくすが新型間接税をつくるというわけです。ですから、きのうの答弁に対して、敏感なマスコミは、NHKは七時でこれはトップで報道しましたよ、新間接税。産経新聞では、野党、新間接税を示唆。私と同じ理解があってもこれはもう当然じゃありませんか。一体どこに大型間接税へ行かないという歯どめがあるのか。そうでなきゃ、こういう今申し上げた危険な条項はこれは削除をしてください。
  173. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 重ねての御質問ですから、お答えいたします。  大平内閣の一般消費税、中曽根内閣の売上税が国民の反対を受けて挫折したこと、また今回強引に導入されました消費税が参議院選挙において国民から拒否されたということ、こういうような十年間の経緯を振り返れば、政府自民党考えてまいりましたような大型間接税が今回の税制改革の具体案として出てくることはもはやあり得ないのであって、あえてそのことを規定するまでもないことだと思うのであります。  しかし、正面からそのようなことを規定してなくても、この税制改革基本法では、例えば第二条において、「消費税が廃止されることを踏まえ」るということを理念として明確に規定しております。また第四条において、直接税を主とし間接税を従とすることを基本原則にしておるのでございまして、これらのことからこの大型間接税が導入されるものではないということをお酌み取りいただけると思います。
  174. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そういう規定があることは十分承知しておりますが、しかしながら同時に、サービス・流通課税というのがありますと、これは要するに大変広い範囲の、しかも新たな分野への課税、要するにこれは新しい間接税の体系をつくるということになるんです。残念ながら全然これは疑念が晴れません。現に、法案取りまとめの中心になりました社会党の伊藤茂政審会長は、これは九月九日の日経新聞であります、ここで、新しい間接税の規模は大型か中型か小型かと言われれば中型だと。一つじゃありません。これは週刊東洋経済のインタビューでも全く同じことを言っておるのであります。要するに、大型間接税に限りなく近寄っていくことにこれはなるのではないのか。こんなものを出しますから、だから自民党からも見直しと余り変わらぬじゃないかと皮肉られたり、この審議でもまさに攻撃の的になっておるわけでありまして、久保さん、やはり大型間接税はいかなる名称、名目、仕組みであれ将来にわたって導入しないことを、単に答弁だけじゃなくて、このことをしっかりと明記すべきじゃないのか。どうですか。
  175. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私どもは大型間接税である消費税を廃止する法律を出しているのでございます。そして、本会議等でも御答弁を申し上げておりますように、大型間接税を導入することは大型間接税を廃止した者がやるはずはないのでございます。
  176. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これは国民税制協議会で議論をされて、議論した結果、この規定に基づいて私が申し上げたような新間接税、あるいは伊藤さんが言う中型間接税、そして限りなく大型間接税へ近づいていく可能性は否定されていないんです。ただ、残念ながら時間の関係で、このことを指摘して、次の質問に入ります。  四野党法案は、国民の多くが不安に思っております物品税、入場税、地方間接税の復活など、いわゆる代替財源法案を廃止法案と一体のものとして提出いたしております。これは政府自民党の言う財源セット論とはどういうものかと考えてみますと、消費税廃止という国民の明確な審判が下ったのにそれに従わない、消費税は最善の間接税だ、絶対に廃止しないと開き直りまして、野党に対しては廃止すれば六兆円足りなくなる、この六兆円を持ってこいと言うんです。これは私は不当な言いがかりだと思うんですね。主権者である国民の審判が消費税はだめだという答えを出したんだから、だからまず無条件で廃止を実行するのが先決なんです。無条件でですよ。六兆円の財源問題というのは、これは来年度予算の問題なんですよ。来年度予算をどう組むのかは廃止した後、廃止した後です、その後の話でありまして、消費税抜きで全体の歳入歳出を検討すればいいことなんではありませんか。久保さん、いかがですか。
  177. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) ただいま近藤委員の方から御質問いただきましたことは、趣旨をとらしていただきますと、国民の審判は消費税廃止であるからこれをまず廃止するのが先決ではないか、こういう御指摘であったと思います。  このことにつきましては、私たち四党、十月二十四日の四党税制改革協議会におきまして、消費税廃止にかかわる法案等の共同提案について、こういうものを出さしていただきまして、その中でこう言っているわけでございます。本来は消費税廃止、大型間接税に依存しない財源確保は政府の責任であるが、四党は政策責任、政策能力を示す立場から提案いたします、こういうことを述べておりますが、九月二十八日に既に廃止法案というものを出さしていただきました。また、国民の皆様方は確かに消費税廃止ということを選択されたわけでございますから、これにこたえなければなりません。私たち一生懸命、先ほど申し上げましたような見地から代替財源についてもおのおの協議いたしまして、十月二十六日に提出をさしていただきました。今こうして審議をしていただいているわけでございます。何とぞ五法案を審議いただきまして御可決の御協力をいただきたい、このように思うわけでございます。
  178. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 要するに、予算として提出するのは政府の責任だと、この点では意見は一致しましたね。であるならば、なぜ切り離して出さないのか。政策責任を示すと言ったわけでありますが、示すどころか逆に今自民党から格好の攻撃材料になっておるじゃありませんか。元大蔵官僚の庭山さんはこう言っています。財政は国と地方で百兆円、税金は国と地方で八十五兆円国民は納めている、この中で財源は幾らでも見つけられる、政府の働きは入るをはかって出ろを制す、国民の納めた範囲で皆さんは政治をすればよい。私はこれが正論だと思います。国民が納得して納めた税金の範囲で歳入を決め、歳出にも大胆なメスを入れて予算を組めばいいことだと私は思うわけであります。  もとより予算編成は、これは政府自民党任せじゃないと思うんです。国民を代表して我々も意見があります。政府自民党は、アメリカ、ソ連に次ぐ世界第三位で四兆円に上る軍事費、それから大企業のためにばらまいた国債が積もり積もって百六十三兆円、その利子だけでも毎年十一兆円、その上大企業に対して一兆八千億円もの減税と補助金の大盤振る舞いをしておるわけであります。我々は、こうした歳出歳入構造にメスを入れなければならないと思っております。ところが、政府自民党は今申し上げたこういったものはそのままにしておいて、六兆足りないから持ってこいと言うんです。久保さん、発議者の方も今申し上げたこういうものをそのままにしておいて六兆円の財源が必要だと言ってこの代替財源法案を出したんでしょうか。
  179. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 共産党さんが日ごろ大体そういうふうな御意見をお持ちであるということはよく私も知っております。先ほども申 し上げましたが、今回の代替財源案を用意するに当たりまして、近藤さんのような御意見、これはもう憲法七十三条の内閣のいわゆる権能に値することだから要するに云々というお話がいろんな方からありました。けれども理由といたしましては先ほどお話をしたとおりであります。  そこで、私どもはどうしてもやっぱり、近藤さんとここは意見が一致するわけでございますが、昨年の選挙そのものが消費税を廃止するか見直しするかということで戦ったものですから、そういうような意味では何としても廃止をしたい、そして代替財源案といたしましては、御存じのとおり野党がこの参議院の議席のように絶対多数をとったということもございますね。そういうような意味では何としてもいわゆる政策責任あるいは政策能力、そういうような面からも代替財源はつくるべきであるということで、私どもはこの案を示したわけであります。したがいまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、歳入に限定をいたしまして今回の改革案を出しているわけでございます。  私どもといたしましては、歳出の面では、消費税を廃止するわけでございますから、例えば消費税を廃止した分のいわゆる地方にかかわる分とかあるいは国にかかわる分とか、そういうものもあるわけですね、実際問題としては。しかしながら、そういうようなものには一切手をつけないで、歳入に限定をいたしまして今回の財源案をつくらせていただいたということでございます。
  180. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 今の答弁に私は根本的な問題があると思うんです。  発議者の皆さんは、税金をどう使うか、これを問題にしないで、今私が指摘した軍事費四兆円、大企業減税など、これはまさしく自民党政府の予算の仕組みと総額なんです、そいつを認めてしまって、予算の仕組みと性格も含めて、総額もこれを認めてしまって、ただ六兆円出すことだけを考えている。要するに、税金の使い道を問題にしないで、いいですか、ここが大事なんですね、取ることだけを問題にしているんです。これは私はとても国民の立場じゃなくて、まさしく自民党の思うつぼです。そうじゃありませんか。  久保さんにお聞きしたいのは、この今申し上げた自民党政府の予算と仕組みとを、そして総額とを、これを認める立場なのかどうか、これをちょっと明確にお答えいただきたいんです。
  181. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 自民党の思うつぼというお話がございましたけれども、もし思うつぼでございましたら自民党は御賛成なさるんじゃないかと思っておるのでございます。  私ども税制改革の中で、所得税の減税でありますとか多年私どもが要求してまいりましたものにつきましては、税制改革を継承いたしております。これらの点について、政権担当を前提にしながら私ども考えてまいります場合は、国民の皆さんに対してその財源となるべき、今我々が考えなければならない問題についてもお示しする責任があろうかと思っておりまして、これらの問題は決して自民党の皆様方と全く同じ考えに立ってやっているものだとは思っておりません。むしろ私ども歳出の問題につきましては、四党の共同の要求でありますとかそれぞれ各党の固有の要求でありますとか、政府にも毎年要求を提出いたしまして、予算委員会等においてもこれらの問題を厳しく議論をいたしているところでございまして、自民党の歳入歳出の枠組みを認めているなどということではございません。
  182. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 この六兆円というのは今の枠組み、総額が前提で――そうでしょう、六兆円出てくるんですよ。我が党の言うように軍事費を大幅に削っちゃえば二兆円から三兆円、これ二兆円ぐらいなくなりますよ。そうすれば、財源は二兆円少なくて済むんですね。そういう意味で、まさしく自民党とこれは同じ路線じゃないのか。そのための財源じゃないのか。思うつぼと申しましたのは、まさしくそこに乗ってしまったということと、自民党にとってはああ攻撃材料が出てきた、あわよくばこれを攻撃して消費税廃止を阻止できるかもしれぬという、まさにそういう意味では思うつぼなんでありまして、そのことは本当に大事なんですよ。そういう意味で私は、この代替財源法案を出したことは、これはどうも本当に大変なことだと思うんです。  そこで、消費税廃止というのは国民の合意でありますから、私はこの合意を得られないようなものを持ち出してくるべきじゃないと思うんです、また一面から申しますと。今申し上げた自民党の総額という面と性格という面と同時にもう一つ大事なことは、合意を得られないようなものを持ち出してくるべきじゃない。率直に申しますと、代替財源法案を出したために世論がどうなっているのか、これはもうしばしば新聞で御承知のところでございます。これは読売新聞の世論調査でありますが、廃止法案への賛成は多数を占めておりますが、財源として出されております物品税復活には、評価しない、これが四六・四%、評価するの四四・八%を上回っているという事実があります。電気税、ガス税などの地方間接税の復活は、評価しない、これが五六・一%と過半数になっておるんですね。評価するは三四・八%にすぎないんです。  しかも、再改革基本法案を出しました。これじゃ行き着く先は新間接税だ。中型間接税だ。そういうために、せっかく国民の意思は消費税廃止、この合意があるにもかかわらず、逆に世論がこの法案を出したために二分されているのではないのか。私は廃止世論を分裂させてはならぬと思うんです。今消費税廃止を選挙で公約した野党がなすべきことは、無条件の廃止を政府自民党に迫ることだと思います。  そのために、提案します。消費税廃止法案を他の法案と切り離して、優先的に本委員会で可決することが先決だと思いますが、久保議員、いかがです。
  183. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 近藤さんの御意見として承らしていただきます。  なお、法案は参法一号から四号までと六号から十号まで九本の法案となっておりまして、一本の法案ではございません。この法案をどのように御審議いただきますかは、それぞれ御意見やお立場がおありだと思いますので、法案の扱いについては委員会で御協議いただければよろしいかと思っております。
  184. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これ、私がせっかく提案したんですから、意見として承っておくという問題ではないと思うんです。  それじゃお聞きします。国民の合意、国民の意思どおりまず廃止法案を他の財源法案と切り離して先に可決しまして何かぐあいが悪いことがあるのか、どこが不都合なのか、これこそまさしく主権者たる国民の意思に一番忠実な態度じゃないんでしょうか。お聞きしたい。
  185. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私ども提案者といたしましては、消費税廃止のために廃止法案を初めとして九つの法案を九本の法案として提出しているのでございますから、これを切り離すか切り離さないかは委員会でお決めいただくことであろうと思っております。
  186. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 次に進みます。  ところで、これは先ほども議論になりましたが、売上税廃止の際に社公民各党が自民党との間で、直間比率の見直しに各党協調し最大限の努力を払うとした議長あっせんに同意したことをもって、自民党は公約違反が消えたと言っております。しかし、特定政党間の合意を公約の上に置く、こんなことは私は主権在民、議会制民主主義に反することだと思いますが、こんなことで自民党の公約違反の事実は消えないと思いますが、簡潔にお答えいただきたい。
  187. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 何回もお答え申し上げておりますとおり、議長あっせんでもって選挙公約が消えるなどということは、議会制民主主義の上に立てば絶対にあり得ないことだと思っております。
  188. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 しかし、問題は自民党現実にこれを公約違反でないという口実に使っておる。そ の居直るについて、私はこの議長あっせんの内容自体に大きな問題があるからだと思うのであります。直間比率の見直し、これは大型間接税導入を意味することは常識なんです。先ほど、どこを見ても大型間接税というものはないとか、久保さんは読み取ることも考えることもできないと言いましたけれども。しかし、直間比率の見直しというのは、要するに間接税部分をふやしていくんですから、これが大型間接税につながるというのは税法を議論している者としたら常識です。  現在七対三の直接税、間接税の比率を見直して自民党の言うようにこれを六対四に変えるならば、間接税は六兆円から十兆円という大増税になります。実際自民党の三塚政調会長は、九月のNHKの討論会で六対四にするとはっきり述べているじゃありませんか。だからこそ日本共産党は、この議長あっせんを大型間接税の火種を残すものとして拒否したのであります。  そして私が指摘したいのは、何もこれは共産党の考えだけじゃなかった。国民の受けとめ方も同じだったのであります。ここに当時の新聞があります。「直間比率の見直しの「早期実現」を目標に据えたことで、大型間接税導入への道を開いたといえよう。」、これは日経新聞であります。  それから、「新間接税再浮上に余地」、大きな見出しで、これは朝日新聞であります。清水信次日本チェーンストア協会会長は「火ダネは残した」と。同じ考え方々がたくさんおります。これは東京新聞ですが、見出しは「火ダネ残った 再浮上の恐れ」であります。  ところで、提案者の一人であります峯山議員は、本会議の私の質問に対する答弁の中で、大型間接税の導入を意味していないことを議長裁定の際に社会党山口書記長が確認したという答弁がございました。そこで、社会党久保議員にお聞きします。そんな事実があったのか、いつどこでだれに対してそういう確認をしたのが、お答えをいただきたいと思います。
  189. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) ただいまのことにつきましては私当事者でございませんので、いつどこでと突然のお尋ねでございますから、今ここでお答えすることは大変困難でございます。  しかし、私どもはこの議長あっせんの確認に当たって、売上税の廃止を前提として各党が協議をしたことでございまして、この廃止を要求してまいりました野党の側は、この中に大型間接税を再度導入することを前提としたようなあっせんに応ずるはずがないのでありまして、私は書記長のそのような報告を聞いておりまして、間違いのないものだと思っております。
  190. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それは一方的な思い込みか、あるいは今明確にできないとおっしゃったのは、そういうような事実がなかったからです。  この議長あっせんにつきましては、これは当時の読売新聞でありますが、こう言っています。「中曽根首相の税制改革の基本方向を暗に認めるもので、」「間接税導入の方向をめざした税制改革の実現に野党も責任の一端を負わされた」と述べている議員、これは読売の報道であります。  それから、社会党の上田哲衆議院予算委員会理事の著書、「ドキュメント衆議院予算委員会」という著書がありますが、これ、お読みになりましたですか。この中に明確に入っているんですね。これは、当時議長あっせんを受け入れるかどうかをめぐってぎりぎりまで社会党内で討議が行われ、その会議の模様がはっきり書いてあります。「間接税比率を高めよというのは大型間接税導入の論理そのものです」。「間接税比率を高めよというのは大型間接税導入の論理そのものです」という発言が現にあったんですね。要するに、大型間接税につながる可能性を知りながら受け入れたということは、もうこれは明らかじゃないでしょうか。こういう客観的な報道、著書から。
  191. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 上田哲君の著書は私まだ目を通しておりませんので、どのようなことが書いてあるのかわかりませんけれども、少なくとも大型間接税である売上税を撤回させるために社公民三党協力して、国民の支持をいただきながら戦った。そして、売上税が廃案となることが前提となった議長あっせんであります。その議長あっせんが「直間比率の見直し」という言葉を含んでおりましても、これが大型間接税を意味しなかったことは、その後の与野党税制改革協議会におきましては不公平税制の是正だけが議論されたのであります。そして、自民党はこの不公平税制の是正の論議を途中で一方的に打ち切ることによって中間報告を行い、そこから消費税の問題が起こってきたのでありまして、私どもがもし議長あっせんの中で大型間接税に同意をしていたとするならば、今日我々は大型間接税である消費税とこのように戦うことはできなかったと思うのであります。
  192. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は、自民党が議長あっせんを皆さんがのんだことを理由に公約違反が消えたと言うことには断固として批判を持っておりますが、それは今申し上げたようなつながっていくような余地がこの中にあったんじゃないかと、火種が残ったんじゃないかということを指摘しておるわけであります。  ここに社会党の田邊元書記長の八七年五月八日の読売新聞のインタビューがありますが、ここでこう言っています。議長あっせんは田邊氏と自民党の金丸副総理との間でつくったものだという、こういう内幕を暴露した上でこう言っているんですね。「中曽根さんも(税制改革の)糸口というか、入り口をつけたということになれば、花道になるのではないですか。」と言っているわけです。中曽根さんといえば、大型間接税に執念を燃やした人ですね。せっかく売上税は廃案にした、それは結構です。しかし、この執念を燃やす中曽根総理に花道をということは、日本共産党が断固受け入れを拒否したように、まさしく火種を残して次の大型間接税につながる糸口をつけたということではないのか。  ですから私がここで申し上げたいことは、直間比率の見直しを明記したこの議長あっせんを受け入れたことを今厳しい反省、教訓として、将来にわたって大型間接税を導入しないということを明確にすることが必要じゃないのか。あの議長あっせんをこういったことの公約違反でないという口実に使うそういう相手なんですから、そうである以上はっきりと火種が残らないように、あるいは中型とか新ということで大型間接税的な方へ行かないように、これはもう明確にしておくことが私は大事なことだと思うんです。国民の意思を本当に貫くという点でそういう立場にお立ちいただきたい、この反省から。いかがですか。
  193. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 議長あっせんに同意をいたしましたことは、大型間接税である売上税を廃案とするためにその前提に基づく合意でありまして、私どもこれは成果であると思っておりますから、反省ということでおっしゃられましても理解できないのでございます。そして、私たちはその当時の衆議院における政治の力関係というのも考えてみなければならぬのでございまして、自民党三百議席の圧倒的な多数と我々が議会の中で論戦を行いながら売上税を廃案に追い込んでいったこのことを評価すべきであって、反省という言葉は当たらないのではないかと思っております。  火種は残ったと言われましたけれども、炭火の火種というのは消しました後しばらくは熱が残ったりしているものでございますが、これはその闘いの成果によって次第に消えていくものだと考えております。
  194. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私も売上税を廃案にしたことは成果だと思いますし、これはまさしく国民の力です。あのときには、地方選挙ではありましたけれども自民党の公約違反に対する怒りが全国に沸き上がったわけです、あそこにもおりますが。その成果でありまして大いに評価をいたしますが、その国民の意思にしっかり立てば、もう無条件で完璧に廃止をする。中曽根内閣も倒れた、売上税もなくなったという、そこまでできる力があったのです。力関係を申しますけれども自民党の三百を超える議席というのはこれは公約違反の上に 立った虚構の議席ですよ。だから今度大敗北をしたという、私はそういう国民の意思の上にしっかり立つことでありまして、今からでも遅くないんです。  私、過去のことを今どうこう言うよりは、こういった経過を見れば、本当に消費税を廃止しかつその後の大型間接税もきっぱりと手を切る、ずっとそういう答弁があるんですから、そういう意思がおありであるならば、そのことを制度的にも明確にされることが大変大事であるし、私はぜひそうしてほしい。これは国民の多くの願いです。ここでせっかく消費税を廃止しましても、国民税制改革協議会で議論した結果また出てきたなんということになったら、これは私は皆さんの責任は大きいと思うんです。端的にお答えいただきたいと思います。
  195. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 先ほどから久保議員の方からお答えしたとおりでございますが、いずれにいたしましても、私はもう火種はない、実はそういうふうに思っているわけでございます。  既に本会議等でも御答弁させていただきましたが、先ほどからいろいろと大平内閣の一般消費税の問題、そして中曽根内閣の売上税、議長あっせんというのはこの売上税を廃止するために受け入れたものというふうに私ども受けとめておりまして、今回の参議院選挙の結果を踏まえましてこの三つの大型間接税をきちっと火種をなくする、そういうふうな意味も含めまして、税制改革基本法の第二条の中でもきちっと、先ほどから何回か御答弁いたしておりますが、今までありましたいろんな議論がいわゆる国民の理解と信頼の上にやられたものではない、その反省に立ってこの税制改革を進めるのであるとその趣旨を明快にうたい込んでおりますので、そこら辺のところを御賢察いただきたいと思います。
  196. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 この点は先ほど具体的に流通、サービスへの課税の問題で触れたとおり大変な疑念がありますので、今後しっかりと御検討いただきたいと思います。  時間もあれですから、個別の重要問題に入ります。  消費税に関する重大な問題の一つといたしまして、大蔵省がこう言っています。消費税は政党機関紙に対しても課税される、この問題について発議者に質問いたします。  政党や国民の政治参加、政治活動は議会制民主主義の基礎であります。これに国家権力が介入したり抑圧することは絶対にあってはならないことであります。だからこそ政治資金規正法第一条は、政治資金の収支の公開により政治活動を国民の不断の監視と批判のもとに置く、これが民主政治発展の不可欠の基礎であるとうたっておるところであります。さらに第二条は、いやしくも政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制することがあってはならないと明記をしておるわけでありまして、言うまでもなく政党の政治活動の基本は党の政策を広く国民に知らせる政策宣伝活動であります。その中心が機関紙活動であります。これに対して税金をかけ国家が介入する、私はこういったことは民主政治の原則に照らして許されないことだと考えますが、発議者の見解をお聞きしたいと思います。
  197. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私どもは消費税を今廃止しようといたしておりますから、それを前提にしてお答えを申し上げます。  現行の消費税については売上税とは異なって非課税団体の規定はないと思っております。本院及び衆議院の税制特別委員会、大蔵委員会において、政党及び政党機関紙に対する消費税の問題についての論議が行われているのは承知をいたしております。私といたしましては、基本的な考え方としては収益事業でないものに対する消費税の課税には反対という考え方を持っております。共産党のお考えにつきましてはそのお考えとして拝聴いたしますが、現行法の解釈などについては、税務当局においてどう解釈し運用するか照会をしながら今後議論をしなければならない問題であろうかと思っております。
  198. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 あと残された時間、個別問題について指摘をいたしますが、国民合意を得られない相当矛盾を持っている納税者番号制度等々、いろんな矛盾をたくさん持った、また政府自民党の攻撃の口実になっているものが代替財源法案、再改革法案であります。重ねてお伺いしますが、これは今どうしても必要だと考えているのか、最初にお聞きしたいと思うんです。
  199. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 先ほども及川委員にもお答えさせていただいたところでございますが、私どもも国民の反対を押し切ってまでプライバシー侵害のおそれのある納税者番号にはこだわらないつもりでございます。私どもは、税の公平を確保するためには所得の捕捉体制を整備する必要があるというふうに思っております。政府税制調査会に小委員会を設けて検討した経緯がありますので、税の公平を確保するためには納税者番号制度の導入は避けては通れない課題であるというふうに認識をいたしております。したがいまして、納税者番号制度の導入を考えるに当たりまして、廃止されましたグリーンカード制度の教訓に学ぶ必要があるというふうに私は思います。  グリーンカード制度は、昭和五十五年度の税制改革では五十九年度から導入する旨決定されたわけでございますが、一部の高資産家あるいは高所得者層の意向を反映する形で自民党主導により廃止を求める動きが活発化し、昭和五十八年に凍結する旨決定されまして、最終的には昭和六十一年に廃止されたことは委員御案内のことと存じます。しかし、グリーンカード制度が検討されそして廃止されるまでの社会経済状況、あるいは納税者としての国民の意識と現在のそれとを比較いたしました場合、そこにはかなりの大きな変化が見られるんじゃないか。最近における資産格差の拡大の状況、ここ数年間の税制改革論議を通しまして、国民の税制についての考え方は大きく変化していると思います。  プライバシーの保護は民主主義社会にとりましては基本的事項の一つであると考えますが、租税の不公平を一掃していく、徹底した総合課税主義中心の所得税を再構築するためには、何といっても納税者番号制度は不可欠であるというふうに私ども考えております。また、保護されるべきプライバシーの範囲につきましても、個人の収入、支出、財産といったものもプライバシーの一部と考えますが、その場合保護されるべきプライバシーの範囲につきましては、自動的あるいは一義的に決まるものではありませんで、その目的との関連性や社会通念によって決まってくるものと考えられ、その内容につきましても慎重に検討いたしたいというふうに考えております。  また、さきのNHKの討論会のアンケートにおきましては反対論の方が多かったことは承知をいたしておりますが、一方では国民の公平な税を求める要求も大変強いわけでございまして、私どもといたしましては、国民の信頼に基づく税制の確立こそが税制改革の原点であることから、国民の合意を得られますように十分な時間をかけつつ、納税者番号制度の導入につきましては国民税制改革協議会におきまして検討していただくことといたしております。  いずれにいたしましても、納税者番号制度の導入に際しましては、国民のプライバシー保護と国民の合意形成、これが大前提であると私ども考えております。
  200. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 今の答弁を聞きましても、導入は避けて通れない。いわば導入する方向なんですね。しかも、今の答弁にもあるとおり相当反対が強い、時には反対の方が多いという、こういう国民合意の得られないものをなぜ出すのか。そういうものでなくて、まず廃止と切り離せないのかというのが私の質問でしたが、お答えいただけなかったわけであります。  しかも、このキャピタルゲインの総合課税というのは、やる気さえあれば納税者番号なしでできるんです。これは例えば証券会社に本人確認と名寄せを義務づける、できますしね。それから、コ ンピューターが発達しているんですから。前に一時中止になったのはそんな時代じゃない。確かに困難な時代だったですね。しかし、今コンピューターがこれほど発達しどこにでも存在するんですから、私はなしにできる。なのに、なぜこんな反対もあり、プライバシー侵害がこれほど問題になるか。アメリカにはその被害の実態を書いた本も出たんですね。ですから、私はこういう国民の反対を押し切ってまでなぜこだわるのか、ここをお聞きして、質問を終わります。
  201. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 私どもは法案の中でも納税者番号そのものを直ちに導入するというふうには考えておりませんでして、国民の理解合意がなければこれはできないことは当然であります。また、プライバシーの保護という問題も重大な問題でございます。したがいまして、特にキャピタルゲイン等の問題につきましては、そういうふうな番号制度を利用するというのも一つの方法であろうと思いますし、そういうふうな国民の番号制度というのはいろんな問題がたくさんあるわけでございますから、そういう問題につきましても十分国民税制改革協議会で御検討いただいて採用していただく、そういうように考えているわけでございます。
  202. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 九案に対する本日の質疑はこの程度といたします。  次回の委員会は明十七日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時六分散会