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1989-11-14 第116回国会 参議院 税制問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月十四日(火曜日)    午後一時二分開会     ─────────────    委員の異動  十一月十日     辞任         補欠選任      吉岡 吉典君     橋本  敦君  十一月十三日     辞任         補欠選任      及川 順郎君     常松 克安君  十一月十四日     辞任         補欠選任      野末 陳平君     秋山  肇君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中村 太郎君     理 事                 井上 吉夫君                 沓掛 哲男君                 宮澤  弘君                 村上 正邦君                 稲村 稔夫君                 及川 一夫君                 本岡 昭次君                 矢原 秀男君                 近藤 忠孝君                 古川太三郎君                 寺崎 昭久君     委 員                 伊江 朝雄君                 小野 清子君                 大木  浩君                 梶原  清君                 鎌田 要人君                 北  修二君                 久世 公堯君                 佐々木 満君                 谷川 寛三君                 前島英三郎君                 松浦  功君                 松浦 孝治君                 守住 有信君                 山岡 賢次君                 吉川 芳男君                 穐山  篤君                 上野 雄文君                 大渕 絹子君                 粕谷 照美君                 渕上 貞雄君                 細谷 昭雄君                 前畑 幸子君                 村田 誠醇君                 安恒 良一君                 山口 哲夫君                 刈田 貞子君                 常松 克安君                 和田 教美君                 橋本  敦君                 高井 和伸君                 三治 重信君                 平野  清君                 秋山  肇君    委員以外の議員        発  議  者  久保  亘君        発  議  者  佐藤 三吾君        発  議  者  梶原 敬義君        発  議  者  小川 仁一君        発  議  者  峯山 昭範君        発  議  者  太田 淳夫君        発  議  者  笹野 貞子君        発  議  者  勝木 健司君    国務大臣        大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君        厚 生 大 臣  戸井田三郎君        自 治 大 臣  渡部 恒三君    政府委員        大蔵省主計局次        長        寺村 信行君        大蔵省主税局長  尾崎  護君        厚生大臣官房総        務審議官     加藤 栄一君        厚生省年金局長  水田  努君        自治省財政局長  持永 堯民君        自治省税務局長  湯浅 利夫君    事務局側        常任委員会専門        員        竹村  晟君        常任委員会専門        員        保家 茂彰君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○消費税法廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○消費譲与税法廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○地方交付税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○税制改革基本法案久保亘君外七名発議) ○法人税法等の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○通行税法案久保亘君外七名発議) ○物品税法案久保亘君外七名発議) ○入場税法案久保亘君外七名発議) ○地方税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議)     ─────────────
  2. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を開会いたします。  消費税法廃止する法律案消費譲与税法廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題といたします。     ─────────────
  3. 中村太郎

    委員長中村太郎君) この際、発議者久保亘君から発言を求められておりますので、これを許します。久保亘君。
  4. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 提案中の法律案の一部に改めていただきたい箇所がありますので、発議者から委員長並びに委員皆様に釈明し、お願いを申し上げます。  これらは、いずれも発議者の側から書面をもって当委員会理事会に既に申し入れている点であり、その具体的な内容は以下の三点でございます。  まず、その一は、普通乗用自動車に対する消費税特例税率について、廃止後の仕入れ等に係る消費税額調整等に関する規定を改めることであります。  その二は、沖縄復帰に伴う特別措置に関する法律第八十五条一項の「関税等特例」に物品税を加えるよう改めることであります。  その三は、軽自動車の範囲について、物品税法案別表のうち課税物品のうち第二種の物品第七号中「三二〇センチメートル」、「五五〇立方センチメートル」とあるのを「三三〇センチメートル」、「六六〇立方センチメートル」とそれぞれ改める ことであります。  以後、これを含めまして御審議いただくようお願いを申し上げます。
  5. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまの久保君の御発言につきましては、委員長としてこれを預かりおき、九法案質疑終局後、その趣旨に沿った修正案を提出していただくことといたしたいと存じます。     ─────────────
  6. 中村太郎

    委員長中村太郎君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 私は、自由民主党を代表して、社会、公明、連合参議院、民社四会派共同提案に成るところの消費税法廃止する法律案代替財源にかかわる物品税等の諸法律案、それと税制改革基本法案等法案について質疑を行うものであります。  質疑に入る前に、ただいま既提出法律案ミスについて発議者から修正予告がなされたことに関連して問題点を提起したいと思います。  この問題は、扱いが与野党に一任されておりますから、その結果に私はもちろん従いますが、ただ、一言申し述べたいことがあります。  それは、御承知のとおり、今、沖縄への観光客が帰ります際に特別に認められている沖縄の戻税、これについての物品税の見落としがある。これは皆さん方もお認めのとおり、先ほどお話しのとおりでありますが、観光産業を柱として、これによって経済復興を図ろうとする沖縄にとってはこのミスは重大な政策の欠落であります。そういう心配があるわけであります。幸いにして修正になるということですからそれはそれとして結構だ。しかし、野党皆さんが、沖縄経済自立への努力に対して、今後このような手抜かりがあったら大変なことになる。したがって、特に私はこれについて要望しておきますから、これについての発議者の御意見があればお伺いしたい。
  8. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) ただいま伊江さんから法案の訂正にかかわって御意見がございました。恐縮に存じます。  私は、質問者であります伊江先生郷土沖縄観光を初め振興開発のために並み並みならぬ情熱を傾けておられますことをよく承知いたしておりますだけに、ただいまの御意見を重く受けとめさせていただきます。  私も、奄美群島という琉球弧を形成いたします地域を郷土といたしておりますだけに、沖縄の問題についてはだれよりも深く関心を持ちながら努力をしてきたつもりでございます。今回、意図せざるミスとはいえ、法案の改める点を申し上げましたことに関連して御意見を賜りましたことは大変申しわけなくも存じております。しかし、私も、先生御存じのように、沖縄日本復帰につきましては、第一線に立って懸命の努力を続けてきた一人でございます。  今後とも、沖縄振興開発の問題につきましては、平和で豊かな沖縄をつくるために先生初め皆様の御指導もいただきながら全力を尽くしてまいる決意でございますので、御了承を賜りたいと思います。
  9. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 どうか、そういうことでひとつこれからも沖縄自立のために頑張っていただきたい。よろしくお願いいたします。  そこで、今答弁席に座っていらっしゃる発議者先生方、私は皆様とは同僚であり、また長い友人であります。したがいまして、これからいろいろ御質問申し上げていくわけでありますけれども、その前に、趣旨説明を本会議でなさったときには議場の大臣席のひな壇に座っておられた。今こちらは予算委員会場所ですけれども、でもそれは閣僚席ですよ、閣僚席。どうですか、座り心地は。  そこで、私は遠慮なくお互いの間の論議をしてまいりたい。したがって、時にはあるいは失礼な発言になるかもしれぬ。これはお互いの多年の同僚としての立場からお許し願いたいと思います。したがって、きょうはもう先生という肩書はつけません。社会党土井さんが言うとおり、さんづけにいたしますからね、そのつもりで。  そこでこの機会に、与党であります我々は、残念ながらさきの国会において野党皆さん税制問題についても、また残念ながら今問題になっておる税制改革の問題についても、十分な議論がなされなかった。どういう事情かは申しませんけれども、おわかりでしょう。そういう議論をなされなかったから国民御存じない。だから、この際私は、政府側から財政現状問題点、それからその後引き続いて、税制改革についての一連の政府の現行施行されておる税制改革法律、それらに基づくところのいろんな趣旨、理念、そういったものについてここで国民皆様に明らかにして、その上で税制問題についての皆様方の御提案について質疑をしていきたい、かように存じます。  大蔵大臣、ひとつよろしくお願いいたします。
  10. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私からは財政現状について御説明を申し上げ、引き続きまして、税制改革におきます細かい問題点につきましては主税局長の方から補足をさせたいと思います。  政府としては、これまで徹底した歳出削減合理化に努めてまいりまして、おかげさまでどうやら明年度赤字国債依存体質から脱却できるのではないかというところまでこぎつけてまいりました。この間、本院における御協力についても心からお礼を申し上げます。  しかし、同時に、我が国財政現状を考えますと、巨額の公債残高を抱えており、これから生じます利払い費歳出総額の約二割を占め、そして政策経費を圧迫しているという厳しい状況にある事実は依然として変わっておりません。しかも、いわゆる隠れ借金として御指摘を受けますようなものが現実にありますこと、また国鉄清算事業団累積債務の返済、さらにはNTTの株式売却本年度中止をいたしましたこと等が新たな問題として私どもの上にのしかかっております。  一方将来を考えてまいりますと、今後急速に進展をいたします人口高齢化や、また国際社会におきます我が国責任増大等財政はこたえていかなければなりません。そのためには財政対応力の回復が不可欠でありまして、財政改革必要性というものは全く減じておらないと考えております。  したがって、今後とも、財政改革のいわば第一段階であります平成二年度における特例公債依存体質脱却というものに全力を尽くしますと同時に、赤字公債に頼らない財政構造への改革を目指して努力をしてまいりたいと考えております。そのためには、国民に御理解をいただきますためにも、行政改革財政の不断の見直し努力を欠くことはできない、そのように状況認識いたしております。
  11. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 今大臣が簡潔にお話しになった問題点は、私が繰り返すまでもなく、これから高齢化社会を迎え、それから財政改革をしなきゃならない。百六十兆に近い公債残高を抱えていて、これを我々の子孫に支払いをお願いしなきゃならぬ大きな借金なんでありますから、今のお話で、私は大変厳しい財政だと思う。  そこで、あなた方がおっしゃる連合政権をあなた方がおつくりになったときに、どうしてもこれを引き継いでいかなければならない、そういう認識を持って当たっていただかなきゃならない、そういう認識を持ってこれからの財政改革議論をしていただかなきゃならない。そのために、その認識についてまず伺いましょう、発議者久保さんから。
  12. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) お答えいたします。  最初に、ここの座り心地はどうかということを先ほどお尋ねがございました。余りよいものではありませんけれども、できるだけ近い機会閣僚としてここへ座らしていただきたいと思っております。  今、財政現状認識について大蔵大臣からのお 話がございました。大蔵大臣として申されましたことは、大臣責任においてお話しくださったものとして承りました。  私は、連合政権としてという、今先生の御質問をお聞きしながら、連合政権可能性現実のものとしてきた、その状況認識されての上での御質問であるということを思いながら、大変、無量の感慨と重大な責任を今改めて感ずるところでございます。特に、参議院選挙の結果、国民議会制民主主義の生命である政権交代に大きな期待を寄せ始めているということはお互い共通認識となりつつあるのではないかと考えております。そういう意味におきまして、今この国会の場で連合政権について政権与党質問者からあえて御質問があり、論議が行われるということは大変大きな意味を持つものだと考えております。  しかし、私どもは、今回ここの答弁の責めを負わされておりますのは、消費税法廃止する法律案を初め九つの法案についてでございます。参議院規則百条においても議題外にわたる発言を制約されております。そういう中でこの問題についての論議を十分に行えないことは残念でございますが、これらの問題は今日の日本政治にとって最も重要な課題であると思っておりますから、いずれ適切な場所において皆様方連合政権の問題について十分に論議を深めていきたいものと考えております。  なお、今、財政の問題について御質疑がございました。連合政権日本財政について今後考えてまいります場合に、今私どもとして最初に取り組まなければならない問題は、参議院選挙公約でありそして国民の意思が明確となりました消費税廃止することであろうと考えております。一日も早くそのことを実現して国民期待にこたえなければなりません。  なお、赤字国債依存する今日の財政状況をどうして健全化していくかという問題は極めて重要な問題でございます。私どもも、赤字国債依存する財政というものは考えるべきでないと思っておりまして、建設公債も含めて発行を減額していくよう努力していきたいと考えております。今日、国債残高は百六十兆円を超えておりまして、隠れ赤字というものも合わせますと百九十兆に近いのでございます。なおそのほかに地方における債券残高も六十数兆に達しておるという状況もございます。したがって、私どもは、この赤字債券を解消していくための努力は決して避けてはならないと思っているのでございます。  しかし、この問題を直ちに消費税に結びつけるということは間違いであろうと考えております。もし消費税をもってこれらの財政赤字累積を解消するということを考えてまいりますならば、一体、消費税はどのようなスピードでどこまで税率を上げなければならないとお考えになっているのか、私どもも大変疑問の残るところでございます。  なお、この問題につきまして何よりも重要なことは、赤字国債への依存を高めて国債残高を今日のような状況までふやしたのはひとえに政府自民党責任であるということであります。その責任には全く触れずに国民ツケを回してきた政府自民党の姿勢が問われなければならないのであって、今日、消費税論議するということの中で、この赤字ツケを後代に回すということを今起こった問題のように言われることについては、私どもは同意できないのでございます。  また、財政という問題を考えてまいります場合には、歳入歳出を通じて論じていかなければならない問題であろうと思っておりまして、財政国民のために運営されてまいりますためには、合意と信頼、公正、公平を貫く税制を確立するとともに、経済の発展が国民生活に反映をしていくよう財政を運営していかなければならぬと思っております。歳入に当たっては、国民共有の財産である国家の資産としての土地、株式活用等についても着目すべきものであると思っております。  なお、今日、経済は一流、政治は三流と言われたり、経済大国の中で国民が豊かさを実感することができない、そういう状況について大きな批判があり、またこのことについては歴代の政府もお認めになっているところでございまして、私ども財政を運用するに当たっては、何よりも今高い物価、長い労働時間、そして短い余暇、低い社会保障の中で苦しんでいる国民生活や福祉をどうやって向上させていくかということが、これからの連合政権における財政運営課題の最も重要なものであろうかと考えております。
  13. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 質問に直截にお答えいただくようにこれからもお願いしておきたいんです。それは、今の御答弁趣旨は、言わんとする趣旨は私どももよくわかりますけれども、実はそれは私どもから聞いていきたい問題があるので、ですから、私が端的に質問申し上げたら、端的にお答え願いたい、こういうふうに要望しておきます。  そこで、この税制の、消費税改正問題が議題になっているんだからそれに限定をするんだというふうなことに我々はとらわれない。幅広い立場からの質問をさせていただく。ですから、私はこれからちょっと演説が長くなるけれども聞いていただきたい。  まず、このたびの政府税制改革は、長年のシャウプ勧告のそのひずみを改めた、そして長期的展望に立っての、しかも国際的な展望に立ってやられた画期的な税制改革であるということを私はまず評価する、これを申し上げておきます。  そこで、これから皆様方議論してまいりますけれども、単に消費税廃止かあるいは見直しかという視野の狭い観点にのみ立って政府税制改革議論するには、この税制改革中身は、余りにも幅広くかつ中身が濃いんです。声を大にして野党が言われても、しょせんは財源問題の議論にしか終始しないような非常に端的な細かい問題の議論になるだろうと思う。それじゃだめなんだと私は思う。  世の中は今、大変に変わりつつある。御承知のとおり、二十世紀末から二十一世紀へ向けての世紀末の流動です、今は、国際的に。その全世界の動く中で、今日日本は、言うまでもないけれども国土面積はわずか〇・三%、人口が二・五%という小さい国なんです。しかも、世界一の長寿国。その長寿国というのを裏返して言えば、国連の統計でよく言われるように老齢化社会の国なんです。であるにかかわらず、どうですか、日本は。全世界国民が生産する総生産の一〇%を日本が受け持っている。ですから、老齢化社会ではあるけれども経済的には青壮年の活気のある社会になっている。アメリカに次ぐ第二の経済大国です。  今日、平和と豊かな国民生活が維持されてきているこの基盤は何であったかということをもう一遍お互いに考える必要がある。世界は、先ほども申したように、これからもまた変わっていくでしょう。共産諸国と言われるソ連にしても中国にしても、もう自由化の道を歩いている。特に、最近起こった東欧でのあの胎動ぶり皆さん方もう一遍よく見直してもらいたい。いかに自由がとうといかということは後ほどまた申しますけれども。ECの諸国は今ボーダーレス経済、すなわち国境を越えての経済自由交流というような動きが活発になっておる。日米の二国間の状況を見てごらんなさい。経済、貿易をめぐる、公正競争をめぐるいろんな問題がある。日本をめぐる諸情勢は、これに対応し得るような柔軟でしかも強力な経済政策が要求されているのであります。  税制またしかりなんです。世界四十七カ国で既に採用されている消費税は、これからの産業構造が新技術の開発によっていかに変わろうとも、またいかなる新製品が出ようとも、これに対応できるような幅の広い、柔軟性を持った消費税世界国民に受け入れられている証拠だと思う。受け入れてから消費税廃止法案を出された国というのはいまだにない。みんな定着しておる。もはや個別の物品税では対応できないんですよ、世の中動きは。産業構造改革というのが進展しているから。それを皆さんが、もう用済み物品税をもう一遍復活されると言う。しかも、矛盾があ る、アンバランスがあるその物品税を復活させるとおっしゃる。だから、これは時代おくれじゃないですか、私はそう思いますよ。  そういう世界情勢展望しながら、二十一世紀に向かっての我が国財政税制経済政策のあり方の長期展望と国際的広い視野に立っての政策論議こそ今まさに必要なんじゃないですか。国民参議院にそれを求めているんじゃないんですか。国民の大きな期待がそこにあるんです。しかしながら、残念ながら野党提案を見る限り、経済政策国際政策も将来展望も全く見えないじゃないですか、消費税廃止させると大上段に掲げて、公約違反だとか、あるいは手続に誤りがあるとか、また一歩譲って逆進性があるとか、そんな立場からの政府税制の攻撃だけでは、それはもう悲しいかな党利党略としか言いようがない。だから、将来の長期的展望に立った政策論議するには、皆さんとの場は共通の場じゃないと本当に私は思っている。  したがって、この議論をするに当たっては、皆さん方がよく言われた、これは国民の前に明らかにしておかないから私はここで申し上げるんだけれども減税だけはいただきますよと言って、減税の問題に一向に触れないで、消費税国民にリコールされたんだ、自民党参議院で過半数を割ったのはそのせいだ、こういうふうに宣伝されるけれども社会党政策やら野党政策に共鳴して自民党が過半数割れしたんじゃない。これだけははっきり申し上げておかなければならぬ。  六兆円という大きな税収が予定されている租税を一つ廃止するということは、大変な思いを持った重大な問題ですよ。国家財政の土台を揺るがすような大きな問題なんだ。単なる消費税代替財源を設けるというだけでは済まされない問題だ。そこをよく考えてもらわなければならない。やっつけ仕事でつじつまを合わせればいいんだというふうなそういった税制改革ではだめなんです。この点を私は国民認識してもらわなければならない。  だからこの際は、私は本当は社会党土井委員長、公明党の石田委員長、民社党の永末委員長連合山田代表、それに政府からは海部総理が出ていただいて、そしてこの税制論議の場においでいただきまして論議をしてもらうことを私は願う。これこそ参議院らしい、また参議院でこそしかできない審議のあり方じゃないでしょうか。どうですか。
  14. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 大変御見識の高い御演説でございました。  しかし、今お聞きしながら、私は大変重大なことをおっしゃっていると思うのであります。それは、この消費税がなぜ国民に受け入れられなかったか、このことに対してただいまのお話では根本的に認識が間違っておられるのではないだろうか、こういう気がしてなりません。この消費税参議院選挙において国民のノーという明確な判断を下されたことについて、私どもは、税の理念に逆行した消費税、それから議会制民主主義の手続を無視した消費税の成立、こういうことについて、もっとこれは党派を超えて真剣な反省がなければならぬと思っております。  また、それだけではなくて、リクルート疑惑等によって起こされた今の日本政治に対する国民の重大な不信、このことを解消することなしにこの政治不信を引き起こした不正義な手によってこの消費税提案され、そして手続を間違って国民に強制されたというところに民主主義の社会においては許されない欠陥があると私は思っております。  また、消費税の内容につきましても、消費税が本質的に克服することのできない逆進性が全く解消されていない。しかも、この消費税の持っております重大な欠陥に加えて、制度上また消費税に不合理や矛盾をつけ加えてこれが強行されたというところに、国民はこの消費税を受け入れることはできないという意思表示をしたのだと私どもは考えておるのでございます。  この日本消費税について、今世界各国のことをお話しになりましたけれども、フランスの付加価値税の産みの親とも言われておりますローレ氏は、先般テレビにおいて話をされたことがあります。日本消費税は事業者中心になっていて欠陥を持つ税制である、付加価値税を考えられた方が日本消費税をそのように言っておられるということも私どもは真剣に考えてみなければならない問題ではないでしょうか。  議会制民主主義ということについて、消費税を通じて今国民皆さんは真剣に考え始めているのであります。議会制民主主義が守られる基本は、選挙の公約を誠実に履行することであります。そのことにおいて消費税は根本的に間違いを起こしております。また、必ず国民の多数の意思を尊重しなければ議会制民主主義というのは成り立たないのではないでしょうか。その意味で私は、金丸さんが言われた、参議院選挙によって消費税はリコールされたという認識は正しいと思うのであります。  こういうことを考えながら、今質問者がおっしゃいましたことについて私は、国民消費税を拒否したその理由というものをお互いにしっかり認識を統一することから始めなければ、この消費税の問題に対する私ども国会責任を果たす結論を生み出すことができないであろう、こう考えております。
  15. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 そういう御意見は御意見として承っておきますが、そういうことの議論をするためにも、私が申し上げたように、党の最高責任者であるところの土井委員長石田委員長、それから永末委員長連合山田代表、そういった方々においでいただいたらどうでしょうか、そういう幅の広い、高い次元に立った展望のもとで今のような議論をしたらどうでしょうかということに対するお答えだけでいいですから、どうぞお二人。
  16. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) この税制改革特別委員会でそのような今の御提言をどういうふうになさるかというのは、これは理事会で御協議いただくことでありましょう、もし正式に御提案になるのであれば。私どもがそのことについて御意見を申し上げる立場にはないと思っております。  しかし、それらの問題について、連合政権可能性現実的となった今日、大いに論議を尽くすという場所お互いに合意のできる場所で設定するということについては、私個人としては賛成でございます。
  17. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 先ほどからいろいろと御議論がございました。伊江先生、私はまず、きょうこういうふうに議論をいたしておりますが、そこへ座った感想ということで一番初めにございました。これはその問題とあわせて少し関係がありますから申し上げますが、きょうは実はこの席は答弁者席となっております。先生のところは発言者席となっておりますね。実はこのこと自体が大きな問題なのでありまして、これは議員立法ですから、我々はお互い議員です。伊江さんが発言をして私が答弁をする、こういうこと自体が私はおかしいと思っておるわけです。本来はやっぱりお互い議論をする、そういう立場でなければいけない、こう思っております。  例えば、西ドイツの議会なんかにおきましては、いわゆる旧憲法の時代には政府側と立法府側とが壇が違っておりました。新憲法になりましてからは両方とも同じ高さのレベルで発言をする、こういうふうになっております。日本の本会議場なんというのは明治憲法の時代からの体制になっておりますね。ああいうこと自体が私はおかしいんじゃないかなと思っておるわけです。これは将来の国会改革の面としてちゃんとしていかなくちゃいけないと思っております。  また、そういうことから考えまして、ただいまのそれぞれの税制に関する討論につきましては、私ども発議者といたしまして皆さん方のいろんな質問に十分お答えしたいと思っておりますし、この席で十分議論をしたいと思っております。  また、それぞれの政党の責任者の出席の問題につきましては、これは理事会で御検討いただくということにしていただきたいと思っております し、趣旨に対しましては賛成であります。
  18. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 今のお二人の発言の最後のところは非常に注目すべき問題だと思うので、委員長において、この各党の責任者においでいただくことについて理事会でお諮りいただきたいと要望いたしておきます。
  19. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 誤解があるといけませんので、ちょっと一言。  私は、御提言があってお取り上げになれば理事会で御検討いただくことであらうと申し上げたのでありまして、この委員会でそのようなことをおやりになるのが委員会の審議になじむのかどうか、これは十分考えなければならぬ問題だと思っております。そのような場所を適当な場所として設定することには賛成だと申し上げたのでございます。
  20. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 やりとりするわけじゃございませんけれども、そういう問題も含めて委員長お願いします。お任せいたします。
  21. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまの問題は、理事会において協議をいたします。
  22. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 それでは先に進めてまいりますが、先ほども冒頭に申し上げたように、政府税制改革については必ずしも国民御存じない点が多い。したがって、これは事務当局で結構だ、税制改革についてのその趣旨、理念、内容等を簡潔にお話しいただきたい。
  23. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) お答え申し上げます。  まず、先般の税制改革の基本的な理念でございますが、公平、中立、簡素というその三つを基本的な理念としておりまして、まず税制に対する納税者の信頼の基礎となります負担の公平が一つの基本的な理念でございます。それから、税制が民間の自由な経済活動に極力介入をしないという意味、そうすることによりまして経済の活性化、効率化を図るということから、経済への中立性が次の理念となっております。それからもう一つは、やはり税制がわかりやすくて、明確で、納税者の事務負担も少ないということが大切でございますので、制度の簡素さ、それが第三の理念となっております。  それから、どのような税目を取り上げましてもそれぞれ長所がございますが、その税目に伴います問題点ということもあるわけでございます。先ほど委員からるる御指摘がございましたように、国際化が進み、いろいろ複雑になっている現在の社会でございますので、一つの税目によりまして税制に求められるいろいろな理念を十分に満たすということは困難なことでございます。そこで、所得、消費、資産という基本的な三つの課税ベースを考えまして、その三つの所得、消費、資産に対しまして課税を適切に組み合わせていく。そうすることによりまして全体としてバランスのとれた脱体系にする。それが大切なところでございまして、そのような観点に立ちまして税制改革に取り組んだ次第でございます。  それから、何しろ抜本的税制改革と言われるような基本的な税制改革でございます。税制の基本が変わるということは、国民生活に与える影響が大変大きいわけでございます。個々の人にとりましては税制がどうなっているかということは生活設計の上で重要なことでございますし、また各企業にとりましても、企業経営をどのように運ぶかという点で税制はやはり非常に基本的な問題でございます。いわば社会のインフラストラクチャーみたいなものでございますから、非常にしょっちゅう基本が変わるということは国民にとりまして大変迷惑なことでございます。したがいまして、税制の基本的な、抜本的な改革をするからには、少し長い期間を見通して、長い期間もつような税制にしなければいけない。シャウプ税制と言われたものも約四十年それを基本としてやってきたわけでございますから、そういう見地に立って将来を見通してみますと、やはり二十一世紀初頭に予想されております本格的な人口高齢化ということをひとつ考えなくてはいけません。それから、既に猛烈な勢いで進んでおります社会の国際化、経済の国際化ということがさらに進むということを考えなくてはいけないわけでございます。  そういう将来像も踏まえまして税制改革を行ったわけでございますけれども、ごく簡単にその内容を申し上げますと、まず所得税、個人住民税につきまして税率の累進度を緩和する。それから人的控除、扶養控除でありますとか配偶者控除でありますとかあるいはより基本的な基礎控除でございますとか、そういうものの引き上げを行うことによりまして負担の軽減合理化を図ったわけでございます。  第二に、国際的な視点に立ちまして法人税制見直していく。国際的視点ということを基礎にした新しい法人税制の確立ということを目指しまして、法人税の基本税率を引き下げるなど負担の軽減合理化を図りました。  それから三番目に、公平の確保という見地から、有価証券譲渡益の原則課税化、それから社会保険診療報酬課税の特例見直しなど各種の負担の公平確保のための措置を講じました。  それから四番目に、最近の地価の高騰等によりましていろいろ問題になっております相続税につきまして、課税最低限を引き上げるなど負担の軽減合理化を図りました。  それから五番目に、これまで我が国がとってまいりました個別間接税制度、それが社会がいろいろ複雑化してくるに従いましていろいろのゆがみ、ひずみを露呈しているわけでございますけれども、それに伴います諸問題を解決するということを一つの目的といたしまして、それからもう一つは先ほど申しました所得、消費、資産の課税バランスの問題を考えまして、そういう点から負担の公平を図るという見地に立ちまして既存の間接税制度を抜本的に見直しました。そして、消費に広く薄く負担を求める消費税を創設することといたしたわけでございます。  そのように大変税制全般にわたる改革でございましたが、このような新しい制度をとることによりまして我が国経済社会の活力を維持いたしまして、また国際化に対応し、豊かな長寿福祉社会をつくるのにふさわしい公平な税体系の構築が図られたというように考えております。
  24. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 非常に大事なことでありますので、今の政府側説明をもう少し砕いて、あるいは今の説明と重複する点があるかもしれませんけれども、実はここに自由民主党が二十一世紀展望した税制改革ということで「税制の抜本的改革大綱」というのがあるんです。これを皆さん方に御紹介しながら、なお細部について私はコメントしてまいりたいと思っております。大事なことだから国民に知っていただきたい。自分の家庭生活が一番大事なんですから、その家庭生活はどういうふうに今度の税でもって変わってきているのか、あるいは負担の軽減はされているのかというふうなことが必ずしも徹底していない。読んでもよくわからない。だから、それをうんと砕いて、簡単ではあるけれども説明したい。  その前に、この税制大綱というのはどういうことが書いてあるかということを言いますと、この大綱の前文にこう書いてある。「国民の税に対する不公平感を払拭するとともに、負担を幅広く薄く求め、世代間の相互の協力により社会を支えることのできる二一世紀展望した税制を確立する」。二十一世紀展望した税制を確立するとの基本方針のもとに、一、中堅所得層の所得減税、二、法人課税の軽減、三、相続税の軽減合理化、四、不公平税制の是正、五、消費税の創設ということで、今主税局長からお話があった点をブレークダウンして細かく言うとそういうことなんです。あと中身については後ほど御紹介をしたいと思う。  ところが、この際コメントをして、その後皆さんに私は質問していきますけれども、その前に私が非常に印象に残った興味を引いた記事があるので、これを御紹介しておきたいと思う。それは社会党政策委員会ですか、委員会の会長の伊藤茂さんの「国民連合政権への道 社会党は何をすべきか」という論文の中の一こまなんです。読んでみます。  これは、これから伊藤さんのお話です。「私はかつて地元県知事の長洲さんに意地悪質問をしたときのことを思いだす。長洲さんに「改革とは何ぞや」と質問したのは対して彼は「先見性」と答えた。正解だと思う。ほかのどの勢力よりも社会の将来を正しく見通し、どの勢力よりも豊かな政策能力を持ち、しかもそれらを自ら実現し担う新しい力と情熱を持つこと――それが現代の革新だと思うのである。」、こう言っておられる。非常に興味の深い言葉です。  私が若いときに読んだマックス・ウェーバーという人の本の中で、政治家にとって大事な欠かせない三つの要素がある、その一つは先見性である、二つ日は責任である、三つ目は情熱であると。これは政党にも通ずることなんです。伊藤さんはその限りにおいては非常に立派なことをおっしゃったと思う。  ところがどうでしょう、おたくの税制改革消費税の問題やら税制改革基本法案を見る限りにおいては。しかも、代替財源についてはわずか二年間。今消費税を導入したばかりなのがもう一遍くるっと変わる。変わったと思ったら、また二年後に変わる。じゃ二年後にはどういうことが用意されているかといって中身を見たら抽象的なことで中身がない。そういうことで長期を見通した先見性ということが言えるんだろうか。私は伊藤さんのその言葉を評価しますけれども、言葉として評価するのであって、内容が伴っていないということを今私は言っているわけなんです。(「そっくりそのままお返ししたい」と呼ぶ者あり)そっくりそのままお返ししたいわけであります、おっしゃるとおり。物品税や通行税等の復活などを含む税制改正というのは、先ほど言ったようにわずか二カ年間、先は見通しがつかない。だから、そのままそっくりお返しする。  我が党がこれからコメントしてまいります先ほどお話しした財政改革のこの抜本改革中身は、それこそ税制の先見性を持って策定し、ほかのどの勢力よりも社会の将来を正しく見通し、どの勢力よりも豊かな政策能力を持っておると我々は自信を持っておる。しかも、みずからそれを実現し、それを担う情熱を持っている、これを国民皆様にはっきりとお知らせしておきたいということを申し上げるために伊藤さんの意見を引用した次第であります。別に伊藤さんを非難しているわけじゃないけれども、結果がそうなっておる、初めはそうでなかったかもしらぬけれども、結果がそうなっておるということを指摘しておきたいと思うのであります。  そこで、私がこれからコメントをいたします税制の大綱の中身でありますけれども、多少先ほど主税局長の御答弁とあるいはダブるかもしれません。その点は御容赦願って、大事なことですからちょっとこれから申し上げておきたいと思うんです。  税というのは、私はなければないにこしたことはないと思います。しかし、社会の一員である限り、国家を構成する一員である限り、その便益の供与を受けている限り、それに伴う費用というものは構成員である各自が負担しなきゃならない。これは憲法第三十条でもはっきりとうたわれていることであるし、また、野党四党の提案である税制改革基本法案の中に応益主義の原則という言葉が出ておる。確かに税というのは応能主義であると同時に応益主義が原則でなきゃならない、この点は同じこと。だから、税はどうしてもやはりだれかが分担しなきゃならない。だれがどういうふうに分担するかというのが私は税制だと思う。  そういう立場に立って見る限りにおいて、今皆さんがおっしゃるとおり、消費税についてそれは評判の悪い点もありますよ、評判の悪い点はある。それはなぜかというと、毎日毎日が税を払うんだというふうな痛税感といいますか、そういったことを家庭の主婦は持っておられるかもしれない。持っておられるかもしらぬけれども、一歩静かに考えてみた場合に、じゃ自分たちの子供たちが、中学生があるいは小学生が、義務教育を受けておる子供たちが一体社会からどのぐらいの援助を受けているんだろう。教科書も買わないよ、学費も払わないよと、私立は別ですよ、公立に関する限り、今小学生一人年間で五十一万円国が持っておる、中学生に至っては五十六万円、それは全部国が持っておる。それは皆さんが毎日毎日お買い物をなさるときに払う三%が積み重なっていくからですよ。そうでしょう。  そして、生活に困っている方々、弱い立場の人たちのいわゆる生活保護もそうなんだ。それから大事なことは、自分たちが老後の生活をするに当たって一体だれが面倒を見てくれるんだろう。いろいろ調査がありまして、労働省、厚生省の調査がありまして、老後の生活で一番頼りになるのは何だという調査をしたら、年金だと言うんです。社会保障の費用は年金が含まれている、あるいは社会福祉の費用が含まれている。そういったのはどこから金が出てくるかといったら、やっぱり国民が負担するからですよ。だから、三%は具体的に言うとそういうお金になりますよと。皆さん方は毎日毎日の御負担はそれはなるほど痛税感はお持ちになるかもしらぬけれども、将来の日本を支えるために、自分の子供や孫たちのために積み立てていることですよということをやはりお考えいただかなきゃならぬじゃないだろうか。だから、間違っている、あるいはこれはぐあいが悪いなという見直す点は見直す。そういうふうに自民党も言っている。しかもそれを単に言っているだけじゃない。  それで、ある社会党皆さんがおっしゃった、自民党は一番いいものだとおつくりになった消費税をなぜ見直しする必要があるんだと。それを盛んに見直す見直すとおっしゃっている、どういうわけなんだとおっしゃる。それはよく御存じじゃない。税制改革法の中にはちゃんと、見直しますよということが規定してある。だから、そのときの動きによって、定着状況によって見直さなきゃならぬものは見直していきますよと、こういうことなんだ。まだ施行してから半年しかならない、そうでしょう。そういうことを私は国民皆さんは知らぬと思う。それが一番いい税だというんなら見直す必要はないじゃないかという議論で、ああそうなんだなというふうに思っちゃう。そういうことになるのであります。  そこで質問だ。まず、消費税の前に所得税減税。この所得税減税というのは、これは皆さん方、サラリーマンの減税というのが一番今問題なんです。というのは、社会において直接税の負担者というのはサラリーマンです。今五百万人以上いるサラリーマン、この人たちは痛税感といいますか、重税感を持っておる。それを直そうとしたのが今の消費税であり、所得、資産、消費に対して均衡ある税制をやろうとする、そのこと自体はサラリーマンの重税感を、直接税に頼り過ぎている我が国財政税制を改めようという一つの方法なんですよ。特に十六歳から二十二歳までというこれから大学に進学していくという子供たちを抱え、しかもそのおやじたちが四十歳代の後半から五十歳代の前半にかかるような年齢層、これが一番負担が重いんです、いろんな意味で。これをうんと軽減してやろうじゃないかというのが今度の税制改革の中に入っておる。それは御存じですね。その評価をまずしてもらわなきゃならぬ。  それから基礎控除がある。今のも基礎控除ですよ、新しくつくった基礎控除なんです。今どういう基礎控除があると思いますか。基礎控除であると同時に配偶者控除、扶養控除のいわゆる三控除というのがある。そのほかに今学生を抱えている家庭は扶養控除といいますか、教育控除といいますか、教育費控除というのがある。それ御存じですか、峯山さん、ちょっとお答えください。
  25. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 今の最後のところもう一回お願いします。
  26. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 今、所得税の控除に当たりまして基礎控除というのがあるんですね、その次には配偶者控除というのがありますね、三つ目には扶養控除というのがありますね。障害者控除もありますけれども、その三つが三大控除だ。そのほか に、今度の税制改革、つまり消費税を導入したときの税制改革の中では、十六歳から二十二歳までの子供を抱える家庭においては所得税が十万円、住民税が五万円、合計十五万円がプラスオンして控除される、それについてどう思いますか、評価しますかと聞いているんです。
  27. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 今回の自民党さんのいわゆる税制改革を読ませていただきました。  所得税控除につきましては、もう御存じのとおり、昭和四十年代につきましては毎年減税がありましたですね。ところが、実際問題として五十二年とそれから五十九年と、五十年代は二回しか、伊江さん、減税はございませんでした。したがって、サラリーマンの皆さん方が、これは累進的になっておりますから、相当な重税感にあえいでいたというのは事実であります。そういうふうな意味では、私どもはこのいわゆる所得減税という問題とそれから消費税の導入という問題は全く別問題である、こういうふうに考えているわけです。  今おっしゃいました細かい数字の問題につきましてはわからない点もありますが、今おっしゃいました年齢十六歳から二十二歳までの扶養親族につきましてのお話がございましたが、こういう問題につきましては、私どもは今回の改革全体の中で申し上げますと、少なくとも所得減税の問題につきましてはそれぞれ評価をする、そういうふうに思っております。したがって、何から何まで全部だめだというんじゃなしに、少なくとも消費税導入の問題と一緒にしないで、我々はもともと所得減税という問題は毎年要求をしてきたわけでもございますし、お願いもしてきたわけでございますから、サラリーマンの重税感というのは本当に大変な問題であります。したがって、私どもは今回の消費税廃止法案の問題につきまして検討いたしましたときにも、こういうふうな問題は別に切り離して考えるべきである、こういうふうに考えたわけであります。
  28. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 それはおっしゃることはわかるんですよ。税制というのは一体感を持った有機的なつながりがあるわけですよ。したがって、それを切り離していいやつはとってしまって、そうでないものは反対というのはやはり税の体系からいって私はおかしいんだという意味において、つまり所得税の減税については評価しますかということを抜き出して言っているわけだから、今のお答えで評価しますならそれでいいんですよ、それでいいんです。要するに、いいものはいいと評価をしていただかなきゃならぬ、これからもその点を尋ねていきます。  それから法人税ですが、これは特に民社党さんに、勝木さん、あなたに伺いたい。この法人税の一つのねらいは、やはり国際企業力、国際競争力、これに対する配慮ですよ。これについてはあなたの党におきましてはどういうふうにこれを評価なさいますか。――もしもし、ちょっと勝木さん、後ろとの打ち合わせょりもこっちの質問を聞いておいてよ。それをどういうふうに評価されるか、なぜ据え置かれるのか、じゃ税制改革基本法が発動するときには下げられるのか、その辺のところをはっきりしてください。
  29. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 突然質問が参りましたので……  法人税につきましても、私ども政府税制改革あるいは自民党税制改革大綱については評価をさせていただいております。不規則な発言があってはいけませんので、私どもこの政府税制改革あるいは自民党税制改革大綱については党の公式に発表した文書に基づいてお答えをしたいというふうに思うわけでありますが、昨年の十二月二十四日の税制法案が成立したその時点での声明では、政府自民党がこの衆参両院の委員会におきまして単独強行を行うなど、議会制民主主義を踏みにじる異常な事態の中で……
  30. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 そんなことは聞いていない。
  31. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) ちょっとお聞きください。
  32. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 評価するかどうかということ……
  33. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) これは前段でございますので。  そういう事態の中で、まだ国民合意を得ていない消費税の導入を柱とした税制法案を成立させたことは極めて遺憾であるというふうに党の態度を示しております。特に、手順を踏むことなく政府自民党が欠陥だらけの消費税を拙速に導入したことはまことに残念であるというふうに批判を盛り込んでおります。  また、ことしの消費税に際しましても書記長談話で、我々が強く反対し、まだ国民合意を得ていない消費税が本日実施されるに至ったことはまことに遺憾にたえないと。そしてまた、消費税はまさに拙速に導入されたため、国民各層の対応が不十分であり、かつ欠陥だらけの税制であるというふうに消費税導入を批判いたしております。しかし、評価できる点もあったということで、昨年七月二十九日の税制法案の閣議決定に対する書記長談話、当時の書記長談話では、我々がかねてから要求しておりました直接税の改革について、累進税率の大幅緩和、また諸控除引き上げ等による所得減税、そして法人税減税、相続税減税を盛り込んでいる点では評価できるということで評価をさせていただいておるところであります。
  34. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 委員長
  35. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 久保君。
  36. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 もういいから、後でまた質問するから。
  37. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 委員長の許可を得たんだ。
  38. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 先に発言を求めておりますので、久保君の発言を許します。
  39. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) ただいま重要な点につきましては他の発議者からお答えをいたしました。  私、若干の補足だけさせていただきたいと思いますが、この委員会でせっかく御論議をいただくのでありますから、質問者の方の一方的な議論だけではなく私どもにも意見をぜひ言わせていただきたいと思うのであります。(「答弁だよ」と呼ぶ者あり)答弁で結構でございますから、こちらの方の主張も言わせていただけなければ公平でないと考えております。  先ほど、我が党の政審会長伊藤茂君の発言をとらえて質問者から御批判がございました。しかし、私は、この消費税が強行されて四月一日実施に移された直後から、見直し与党皆さんによって主張されるというところにこの消費税の先見性が根本的に欠けていたのだと思うのであります。これらの点についても私どもは、今、先見性という言葉をとらえての御主張でございましたからぜひ述べさせていただきたかったのであります。  それから今、所得税に関する評価の中で、十六歳から二十二歳の子供の問題についてお話がございました。この問題は、私ども長く教育費減税ということで要求をしていた問題でございます。そして今の総理の海部さんが文部大臣の時代にも幾たびか予算委員会等でも議論をしてまいった問題でございまして、これが今度のような形でその考え方が取り入れられてきていることについては我我は評価ができるものと考えております。  それから法人税の扱いにつきまして、今勝木さんの方から御答弁を申し上げましたけれども、法人税について私どもが四〇%に凍結いたしますその理由は、ただ単に財源の問題ではございません。今の日本の法人税は、表面税率においては確かに国際的に比べますならば高いという見方もあろうかと思います。しかし、実質負担税率においては、日本の法人税はいろいろな特例優遇措置のために非常に低いものとなっております。そういう中で四〇%の税率をこの税制改革を行います間凍結することは決して国際的にも無理なやり方ではないと思っておりまして、特例優遇措置等を廃止、合理化をしながら課税ベースを広げてまいります中で、私どもは法人税率を今後とも引き下げることには賛成でございます。
  40. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 特例措置とは全然次元が違うんで ね。これは意見の相違として、おっしゃったことはおっしゃったこととして結槽だと思うけれども、再度申し上げたいのは、演説の時間じゃないんで、議論をやるんで、私ども質問したことに限定してなるべくお答えを願います。委員長、そういうふうに御運営願います。  次に参りますが、相続税の問題で私はちょっと伺いたい。  これは、どうでしょう。相続税の問題は、非常に特徴的な今回の相続税の改正なんです。それを申し上げておきたいと思う。  これは笹野さんにちょっと伺いたい。今回の相続税の低減は、低減というか下げたわけですよね、軽減といいますか減税といいますか、それは、一家の財産は夫と妻の二人で築いたものだよということの配慮をもとにして相続税の軽減がなされた。それをどう思われますか。御存じですか、中身を。中身御存じでなければ私が言うから、これから。  配偶者への配慮が一段と強化されて、遺産額の二分の一相当分または四千万円までは非課税となっていた現行法を現在、法定相続分または八千万円までは非課税だと。これは、妻が夫の財産を相続するときにもう相続税を払わないで済むケースばかりになってくるだろうという予想なんです。どう思いますか。
  41. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 今の御質問にお答えしたいと思いますが、先ほど座り心地はどうかということで、せっかくですから、私も初めてここでしますのでちょっとお話をしますけれども、ここのいすに座るということは随分座り心地が悪くて、水も飲むな、トイレにも行くな、あれもするなと言われまして、大分私もそんなのはおかしいということでやっと解放していただきましたけれども、随分妙な習慣が国会の中には残っているんだなというふうに思います。  それに、今のお話ですけれども、相続税の問題はこれは妻を非常に優遇しているかのように思いますけれども、私にしては非常に反対があります。これからの先見を重大視する世の中というのは、女性は働かないで夫の相続だけを当てにするというそういう考え方ではなく、これはこれで別として、もっと違う意味で対策を整えなければいけず、この相続税の問題はかえって持てる者と持たない者の資産格差というのを広げていくという可能性がありますから、そういう点では私はこの点は余り評価できる税制改革ではなかったというふうに思います。
  42. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 これはしかし重大問題だと思うんですよ、そういう評価の仕方は。これは別に資産格差をつけるというふうな性質のものじゃ僕はないと思う。したがって、今の御認識は私はいただけない。しかし、御意見だから御意見としては聞いておきますけれども、それはおたくの会派の一貫した御主張であるならば自今そういうふうに承っておきますけれども。  じゃ、この問題について大変に御関心があるし、また今日までもそういうことで御要望があった公明党の太田さんにちょっとその辺のコメントを一遍、これ大事なことだから、簡単にコメントを今の相続税の問題について承っておきます。
  43. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) ただいま相続税につきましての御質問をいただきました。  私どもも、やはりこの相続税につきましてはまだ不十分じゃないか、このように評価さしていただいております。と申しますのは、今笹野さんもおっしゃっておりましたが、やはり資産をたくさん持っている方に対して若干有利になっているんじゃないでしょうか。したがって、生活するための必要な資産を持っている方々に対する相続税の軽減をもう少し考えていただければよかったのじゃないか、このように私は評価したいと思います。
  44. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 相続税に関連しまして、贈与税もそうなんですよ。贈与税も必要はないとおっしゃるんでしょうか、この軽減は。贈与税も配偶者へ対しては非常に大きな控除がなされている。笹野さん、これも同じように否定されるのかしら、要らないのか。
  45. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 今回の改正では五%だけの異動がありますけれども、私どもはそれに対しては評価しております。
  46. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 いや、それは認識の相違だ。五%じゃない。現行の二倍の二千万円に引き上げられたんですよ、配偶者控除は。これをやはり評価しなきゃならないですよ。単なる資産の格差をつくるんだというふうなことで、そういう原則論で片づけられたんじゃ、それは一緒に一生をともにした女の人、奥さんに対して非常に私は配慮が足りない、こういう御意見だと思う。まあそれはそれでもういい。  そこで、今まで話してまいりましたように、我が党の税制改革というのは、本当に日本的な福祉社会というのを考えると同じような次元において非常に家庭生活のあり方に対する配慮がにじみ出ている法律改正なんです。先ほど言いましたように、学生のいる出費の多い年齢層の家庭に対する減税分、つまり控除が多いということ。今の相続税に対してもそうだ、それから働き盛りの人たちの所得税についてもそうだ、それから贈与税にしてもそうです。すべて家庭を中心として税体系を構築したところにも新しい税制としての非常に大きな配慮があるということをまず私は申し上げておきますから、そういう意味でもう一遍お考え願いたいと思う。答弁は要りませんから。  話を変えてまいります。  現行の消費税は、私はこれは増税であると思うんです。我々がやった、政府がやった消費税というのはこれは増税ですょね。これによって御承知のとおり減税も賄ってきた、いろんな配慮の財政もこれでもって賄われている。だから、消費税というのは増税ですよ。そうすると、この増税にかわる野党の財源というのはこれは増税案だと見ていいわけですね、久保さん。
  47. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 消費税は増税でありますから、消費税廃止というのは、税を負担する側から言えば減税ということになります。廃止減税になるわけであります。  そして、この減税に見合って、例えば法人税の税率を凍結したりしますそういう代替財源と一般に言われてまいりましたものは、これはおっしゃるように増税、今、現行法で運用される税に比べれば増税、こういうことになろうかと思っております。
  48. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 冠は要らないんですよ。要するに増税なんですねということ、そうですね。  そこで、代替財源案についての物品税の復活ということですね、今野党が共同で御提案なさっているのは。そうしますと、この代替財源案というものは、今もいみじくも認められたように増税であるならば、私は新しい税がそこで生まれたと思うんです。物品税というのはもう死んで、ないんだから、現行では廃止されているんだから。そうすると、新しく物品税というのが起こってきた、それがいわゆるあなた方の言う復活物品税ですよね。  これが発表されたときに、プレスも含めて世の中の人たちがどう見たかということを私これから紹介をいたしますから、よく聞いていてください。  日本の場合、全体の消費の中に占めるサービスの比重というか割合は五〇%を超えております。そうした点を考え、特定の税目に負担がかからぬように間接税を広くしていくならば極めて消費税に近いものになるんだと、これはもうそのとおりなんですよ。いみじくもやはり的を射た私は指摘だと思う。これはどう思いますか、簡単でいいですからどうぞ。
  49. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 物品税消費税というのは税の基本的な理念というものが全く違っておりますから、その両方の税を同じ次元で論ずることはできない、こう思っております。
  50. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 そんなことはないんですよ。そんなことはないけれども、しからば、所得と資産と消費に対する課税に均衡を持たせる税制をつくりたいとおっしゃるんでしょう、将来。しかも、所得に対しては累進課税をつくっていかれるとす る。どうしてそのバランスがとれるんですか、この三つの体系が。
  51. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) あなたの方では定量的にそのバランスをお考えになるからそういう御質問になると考えておりますが、私どもは数量的なバランスを必ずしも重視するわけではございません。これらの所得、資産、消費がそれぞれその役割に応じて税を分担し、そしてその相互が国民の側から見てバランスのとれたものである、こういうことであればよいのでございまして、数値的にこれが同じ数字に並ぶからバランスがとれる、こういうふうには考えておりません。
  52. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 いや、実はそんなことを聞いているんじゃないんですよ。そんなことを聞いているんじゃないんですけれども、後でバトンタッチします、私の同僚議員に。その点をもっと詰めてもらいますから、私は先にちょっと進みます。  結局、物品税を復活して法人基本税率を据え置くというのであれば、結果的には現在の直間比率をそのまま維持しようということになるだろうと、そういう指摘があるわけですよ。  そもそも消費税論議というのは、給与所得者と事業を営む人々との間の課税の負担に不公平があるんじゃないかというところから、サラリーマンに重税感を与えているということで直そうじゃないかというところからきているわけですね。野党は、この所得の不明、つまり営業者と個人との、直接税を払う人の所得の透明、不透明さというものの不公平感というもの、これは今度の皆さん方物品税では排除されると思うんですか。そこのところを聞かせてください。
  53. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 不公平感というものに対するとらえ方というものが、あなた方がおっしゃることと私どもとは随分考えが違うんじゃないかなという気がいたしております。  今度の自民党政府税制改革の基本に据えられましたものは、これはサラリーマンを中心とする不公平感、重税感をなくしていくための税制改革だと言われてまいりました。この不公平感というのは何かといえば、同じ所得がある人が果たして同じような税金を払っているのかということに対する不公平感、それから経済の伸展に伴って名目的には賃金が上がりていくけれども、税金の方がそれに追っかけてくるために、実際には同じような実質所得であるにもかかわらず税金がふえていくということに対する重税感、こういうものを除去してもらいたいということを国民は求めたのであります。それをすりかえて、消費税にすればその不公平感、重税感がなくなるかのような議論がされたことについては私どもは納得ができないのでございます。
  54. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 私の質問しているのは、要するに直間比率の問題が不公平感を与えるのじゃないかという観点からあなたに質問しているんですよ。だから、水平に比べるという話じゃないんです。直接税の負担をしているサラリーマン層に直接税が頼る頻度が高いものだから、直間比率のあの差で。高いものだから、それを平たくしようじゃないか、直していこうじゃないかと、直間比率を。そういう立場から質問しているわけなんですよ。
  55. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 直間比率というのをどういうふうに見るかというのは、これはいろいろな考え方があろうと思っておりまして、政府税制改革をこの場所議論いたします場合にも、この提案責任者でありました竹下さんは、直間比率の数量的なものは結果であると、こういうことを絶えずおっしゃってまいりました。初めから数値の目標を持ってやるものではない。それから政府税制調査会の過去の答申を見ましても、同じような考え方が述べられております。  私どもは必ずしも数値を一つの目標として直間比率というものを考える必要はない。税が本当に公平に、私どもが公平にと申し上げますのは、シャウプ税制の理念でございました直接税を中心に置きながら総合累進課税によって応能主義を原則としつつやっていく、そういう立場、つまり、所得の大きい人、資産所得を含めて大きい人に大きな負担をしてもらう、小さい人はそれに応じて小さい負担をしてもらう。それを全部一緒にして社会的再配分を行う。これが税制の持つ役割だと思っているのであります。  そういう意味では、不公平感、重税感、あるいは直感の比率というものに数値的にとらわれて、そしてそのことによって税が公平に負担されるであろうというような考え方に立つべきものではない、こう思っておりますから、今の問題については、あなたとの間には大きな考え方の違いがあるのではなかろうかと思います。
  56. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 あなたの議論を整理しますと、応能負担主義、それはその言葉としては、いい言葉でありますから、それはわかりますよ。しかし、それは要するに累進課税ということでしょう、結局は。私が聞いているのは、水平的なもの、垂直的なもの両方あわせての話であって、あなたは直間比率は結果だとおっしゃるけれども、その結果というのは非常に大事なことなんで、直間比率というのは。つまり、累進課税に余り頼っちゃ困りますよというのが今の世の中なんですよ、サラリーマンが求めているのは。だから私は申し上げているわけ。したがって、あなた方が物品税を導入された。結果として見るんなら、じゃ直間比率はどうなるんですか、あなた方のお見込みは。
  57. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) いや、水平的公平という考え方が違うと私は先ほどから申し上げているんです。水平的公平というのは、同じレベルの所得の人が税金を負担する割合が違うじゃないか、こういうことに対する不公平感がクロョンとかトーゴーサンとかいう表現になってあらわれているのでありまして、それを消費税のように、どんな高い所得の人でも低い所得の人でも、同じ物を買ったら同じ税を負担するんだというやり方でまいりますと、税の本来の意味の公平公正、社会的再配分機能を果たすという意味から考えれば悪平等的な性格を持つものだと、こう申し上げているのであります。  それで、私どもがやります今度の暫定的な税制改革に伴う直間の比率がどれぐらいになるかということでございますけれども、これはもう数字ではっきりする問題でございますから、現在よりも若干直間の比率は直接税の方が高くなるであろうと考えております。
  58. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 まあお答えがないから、それは自信を余りお持ちでないかもしれない。直間比率の割合についてどうなるかという結果をまだお聞かせいただいていない。それは後で出てまいりますから、またそのときに聞きますが、要するに、世間の皆様、マスコミの皆様がおっしゃるのは、あなた方の物品税の導入に対してはこういうふうに言っておるんですよ。消費税廃止という耳に入りやすい言葉につられて先日参議院選挙野党に投票した多くの有権者は、時代おくれの物品税の復活など粗製乱造の代替案を見て、ようやく無責任さに気がつくだろうと、こんなことまで言っているんですよ。それは僕は実感だと思うね。それはあなた方にコメントをいただくことはしない。それはもう結構だ。そういう見方を世間がしておるというだけを御紹介しておく。  そこで私は、今まで皆さん方が毎国会あるいは物品税の改正のたびごとにおっしゃっていたことを思い出す。それは、物品税というのは矛盾だらけの均衡のとれない税制だからこれは矛盾があるんじゃないかとおっしゃっていた。そういうふうにおっしゃっていたものを今度物品税として復活させる、つまり新しい税をおつくりになって代替財源をおつくりになる、こう言っておる。だから私は、そういうふうなことを今まで言われたことにかんがみて、もう本当にやっつけ仕事のつじつま合わせの財源を集めてきたということにしか考えられない。これはあなた方の耳にはひどく気にさわるような発言かもしれませんけれども、私は質問する立場だから、それは私は申し上げます。  そうすると、今までの物品税は、あなた方はそれはぜいたく品である、そのぜいたく品は最近は生活必需品まで広がってきている、だから昔発足のときにつくった物品税のいわゆる沿革的な目的から外れているという立場で、これに対するまた 税間のアンバランスでもって攻めてこられたと思うんですよ。今後あなた方が復活される物品税の復活案というのは、法律的にも税制的にも問題はございませんか。特に、税の大家である佐藤三吾さん、その点についてどうですか。
  59. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 税の大家でございませんけれども伊江さんとは同期でございますので、そういう意味でひとつ気楽に御答弁させていただきたいと思います。  確かに、御指摘のように、物品税につきましてはいろいろな問題点がございます。ただ、私どもといたしましては、課税品目の個別限定列挙方式であるため、法律的には時代の変化に合わせて絶えず新たに追加したり削除したりすることができる、そういう面では今まで課税、非課税のアンバランスが極めて政治的な問題として法律問題であった、こういうふうに考えていないわけです。旧物品税は、課税、非課税のアンバランス、サービスには課税されていないなどの矛盾があることは十分承知をしておるわけでございますけれども物品税税率調整の上、完全復元している、こういう内容になっておると思います。しかも、それは二年間の暫定措置という、こういうことで国民皆さんに御了解を求めたい、こういう考え方でございます。  将来の問題としては、私ども消費税のような原則すべてに課税というような大型間接税は考えておりません。具体的には国民税制改革協議会で検討していただくことになると思いますけれども、時代に合った間接税を結論としていただけるものだ、かように確信しておるのであります。そして、世論調査の結果を見ましても、消費税見直しの措置として物品税のような旧間接税を望む声が多いということも事実であることをつけ加えさせていただきたいと思います。
  60. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 そうすると、肝心な点をお答えにならなかったけれども、今回の物品税の新設は法律上、税制上、問題ないという結論ですね、あなたのおっしゃっているのは。答えとしてははっきりおっしゃらなかったけれども。そういうことだね。
  61. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 問題がないと言い切っておるわけではございません。問題は幾つかございますけれども消費税廃止する、こういう見返りとして二年間の暫定措置として我々は物品税の復活を国民皆さんにお許しいただこう、こういうことです。
  62. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 私はここに、ちょっと古いけれども議事録を持ってきたんです。これは昭和五十九年三月二十一日、社会党の伊藤茂さん、おたくの政審会長が衆議院の大蔵委員会発言された物品税改正法案の審議のときの議事録なんです。これを私簡単にちょっと読み上げてみますからね。  「物品税の歴史を言いますと、昭和十二年北支事件特別税、昭和十三年支那事変特別税、昭和十五年に単独立法として制定、その後何回かの改正が加わりまして、ずっと税率を下げる、低減の時代があったわけでありますが、最近高くするという話に変わりまして、その品目を広げるということになってきているというわけであります。」。当初スタートのときには、比較的ぜいたく品、奢侈品と認められる物品が、だんだんだんだん広がってきて「戦後になりまして、またこの十年ぐらいの間の法改正のときには、いつも審議のたびに、これは奢侈品課税である、しかし、だんだん広げていくわけですから説明がなかなかつかないので、苦しい説明をしているというふうな時代がずっと続いてきたわけであります。」。  そこで、ここのところからです。「現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」。とにかくこの数年前まで、物品税の本質はぜいたく品課税ですという説明を繰り返してきながら、憲法にもし忠実ならば、今までどおりの性格、つまり物品税はぜいたく品でありますよという性格がかくかく変わりました、必需品まで及びましたというふうな説明がないままこれを改正してきた。それはきちんとそういうふうなことを改めて、憲法に忠実な政治をするのがあなた方の役目じゃないですかと。  これは多少コメントも入れながら僕は言っていますが、結論は、これは憲法違反だ、この物品税は、そう言っておるんです。これはとにかく憲法違反の問題である、これにこういうふうに言っておられるんですよ。その後、議事録を調べてもこれに対して改められた御意見がない、それはどう思いますか。
  63. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 突然の御指摘でございますから、十分その議事録を読ませていただき、また発言者の御意思も伺わないと、ちょっと私ここでお答えしにくいのでありますけれども物品税そのものが憲法違反などというようなことを党の政審会長を務めるような方がおっしゃるはずはない、私はそう思っております。
  64. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 私もそう思いたいんですけれども、議事録はそうなっていますから一応確認してもらいたい。私はその点についてのはっきりした御見解を賜らないと、物品税の本質そのものについて、おたくが復活された、しかし復活されたけれども、これは新税ですから、それは憲法違反だというふうに言わざるを得ない。だから、撤回してもらわなきゃならぬし、またそれに対する改めのお言葉を賜らなきゃこれは私はおかしいと思う。委員長どうでしょうか。
  65. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) せっかくの重ねての御質問でございますが、ハウスを異にいたしておりますし、衆議院の方とも十分に打ち合わせた上でないと――これは質問者もおわかりになると思います。今突然お出しになった問題で、しかも異なるハウスの問題を今おっしゃったわけで、それを私にここで直ちにどうだと言われても、それを私がお答えするわけにはまいらぬのであります。
  66. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 ハウスを異にするかしないかの問題ではなくて、この問題は物品税に対する認識の問題であるし、法律上の扱いの問題でありますから、なるほど久保さんが言われたように、突然言われてもそれはわからない、よく調べる時間を与えてくれとおっしゃるならば、それはそれで結構です。しかし、それについては、いずれ後刻きちんとしたお答えをいただかないと、これからやっぱり後の人たちが質問するに当たって、それは憲法違反だと決めつけられたままで我々は質問を続けるわけにいかないと私は思うんです。その点についての配慮をお願いいたしたいと思います
  67. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 一議員発言をとらえての御質問でございました。私は私の見解として、物品税が憲法違反であるなどとは考えておりません。
  68. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 ちょっとしつこいようですけれども久保議員の御意見はわかりました。それじゃ、伊藤さんの言われた御意見はどうなっているのかということは、これは物品税そのものに対する認識の相違ですから、衆議院であろうが参議院であろうがそんなことは関係ないということを申し上げておきます。
  69. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) よもや質問なさるお立場で、憲法違反の疑いがあるので確認しようなどという御質問になっているのではないと私は思うのであります。それで、本院の当委員会において物品税が憲法違反だとお考えになっている方がないとするならば、その前提に立って御論議を進めていただければよいのではないかと思います。
  70. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  71. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 速記を起こしてください。  伊江君に申し上げます。  ただいまの久保君に対する質疑に対しましては、久保君の方から、近日中に調査の上回答する旨申し出がありましたので御了承願います。
  72. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 それで結構です。  ここで、同僚議員の鎌田君に関連で質問してもらいます。
  73. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 関連質疑を許します。鎌田要人君。
  74. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 関連いたしまして二、三点お伺い をいたしたいと存じます。  お尋ねする事項につきましては既に詳細御通告を申し上げておりますので、せっかくでございますので発案者の皆様方にそれぞれ御答弁お願いいたしたいと存じます。できるだけ簡潔かつ明快に、また本会議では私が数えておりましたら二十回ほど国民税制改革協議会でございますか、ここでという話が出ましたが、この委員会ではひとつそういうことでなくて、皆様方の簡明率直な御意見をお伺いいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。  そこでまず、国家財政につきましては先ほど大蔵大臣から詳細御説明がございました。地方財政につきまして、その現状並びに見通し問題、こういった点につきまして自治大臣の方から簡潔に御説明お願いいたします。
  75. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 今鎌田委員から地方財政現状についてお尋ねがございましたけれども地方財政は六十七兆円という累積した多額の借入金残高を抱え、個々の地方団体においても公債費負担比率が二〇%、これは赤信号と言われておりますが、二〇%以上の団体が全体の約三割を占めるなど依然として大変厳しい状態にございます。また、最近における一般財源の伸びには、株式、土地等の資産取引の活発化等の一時的要因によるものも多分に含まれておると考えられております。  一方、財政支出の面では、今後、多極分散型国土形成の推進、高齢化社会の進展への対応等極めて重要政策課題の実施のため、地方団体がますます地域住民に対するサービスのために大きな役割を担い、多額の財政需要が見込まれる状況にございます。このため、交付税特別会計借入金の返済等、地方財政の中期的健全化の推進に努めるとともに、これからますます増大してまいる地域住民の皆さん方生活を幸せにする住民サービスのための新規財政需要に対応していく必要がある、こう考えております。
  76. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 ただいまの御答弁、私も最近まで地方自治の現場で苦労をいたしておりましただけに、全く同感でございます。  そこで、先ほど国家財政について、ただいまは地方財政について、それぞれ所管大臣から御説明をいただきました。それを踏まえまして、久保議員、あなたにお尋ねを申し上げます。  あなたは去る八日の本会議、十日の本委員会における趣旨説明の中で、消費税廃止、これに伴いまする減収額、平年度五兆九千四百億円、これに対する代替財源関連法案等による平年度の税収額は、これはおっしゃった数字を私が足し算をいたしましたので、国税及び地方税合わせて合計約四兆二千二百二十億円になるはずであります。その差額一兆七千億円につきましては、これは自然増収をもって充てる、こういうお答えになっております。この代替財源の性格あるいは自然増収の見方等については大きな問題がございますのでこれからおいおいお尋ねをしてまいりますが、先に、その前に皆様方のこの代替財源案による明平成二年度の税収はどうなりますか。お答えをいただきたいと思います。
  77. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 代替財源の性格について申し上げます。
  78. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 ちょっとお待ちください。今数字です。代替財源の性格は次に申し上げます。今はとりあえず平成二年度の税収がどうなるかということをお尋ねをしておりますので、性格はその次に申し上げますので、御答弁はしばらく――数字をおっしゃるんですか。平成二年度の税収額のお答えをおたくからいただけるわけですか。――はい、どうぞ。
  79. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) わかりました。  ただいま平成二年度の数字を言えということでございますが、私どもはいろんな計算をいたしております。  これは、まず税制改革の影響やあるいは現在の財政状態、経済状態から考えまして、いろんな民間の予想等も随分出ております。また、新聞等の報道もありますが、実は過去五年間の、いわゆる六十三年度の決算をもとにいたしまして、私どもは計算をさせていただきました。  六十三年度の決算額が五十兆八千二百六十五億円であります。これに対しまして、五年間の伸び率の平均が九・五%でございまして、それをもとにいたしまして私どもは計算をさせていただきました。しかしながら、実は九・五%というのはちょっと高いような気もいたしますので、低目の見積もりをいたしまして、八%というふうに算定をいたしました。  八%として計算をいたしますと、平成元年度が大体五十四兆八千九百二十六億円、それから増収額が三兆八千八百二十六億円であります。それから、平成二年度は五十九兆二千八百四十億円、それから増収額でありますが、四兆三千九百十四億円と見込んでおります。  以上であります。
  80. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 私がお尋ねをしましたのは、その中で、今読み上げられましたのは、恐らく私のものと同じではないかと思うんですが、「消費税廃止関連全法案の合意に当たって」という共同声明の三ページの、これでありませんか。数字がちょっと違うんです。五十九兆とおっしゃいましたが、五十七兆なんですよね。「五十七兆五千七百七十億円程度と推計され」と。それで、ここに「経済成長及び四党の税制改正による増減収を見込んで五十七兆五千七百七十億円」。その後の方におたくの「増減収試算(未定稿)」というのがありまして、これは地方税のところで訂正がありまして、最終的には四兆二千三百十億円と出しておられるわけです。いいですね。  これは平年度なんです。初年度計算というのが税制改正では常についてくるわけです。これは皆さん方のお出しになった法律案でも、法人税は税率を据え置きますよと。それは平成二年の四月一日以後に開始する事業年度からやります。そうしますと、これは皆さんの計算から半分になっちゃうわけです。半分になるんです。あるいはまた物品税、これは十一カ月計算になるわけです。地方税で申しますと、電気税、ガス税、これは十カ月になるわけです。それから料飲は十一カ月になるわけです。それによって平成二年というものの数字はがくんとまた減ってくるわけです。そこを御計算になっておられるはずなんです。今おっしゃった数字がありますので、それを教えてくださいと申し上げているわけです。どうぞ。
  81. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) どうも済みません。  確かに、今鎌田さんおっしゃるとおり、初年度の税収は減ります、平年度で見ますとですね。考え方としては、おっしゃったように地方間接税の復元について、平年度に比べて約一カ月以上確実に減るんじゃないかというふうに私ども予測しております。また、法人課税等については、法人の決算期によって異なりますので、私どもの調査によると、二、三月に八割近い法人が決算というようになっておるようでございますから、そういう点から見ますと法人住民税、事業税も初年度でかなり減るんじゃないか、かように見込んでおるところであります。  なお、国税の場合は五月末納付まで当該年度の税収となるために、ほとんど差はないのですが、交付税の方はそう大きな影響は受けないのじゃないか、こういうふうに考えております。しかし、四会派の代替財源については平年度ベースであり、制度改正に当たってはその平年度における影響額で考えておるのはこれは一つ当然のことではないかというふうに思っておるわけでございます。  初年度について言えば、税収見積もりの是正によって増額するのは国税だけではなく、法人住民税、法人事業税も同様であり、これらの税収増も入ってくる。さらに、消費税導入による歳出額と国庫支出金等の増収額の差額も不用額となる。今回の代替財源の考え方については、暫定という意味もあって総額確保に重点を置いておりまして、初年度といえども総額においては不足をしないんじゃないかという考え方をとっておるわけでござ います。  さらに、四会派において以上のような意味を含めまして十月二十四日の提出法案合意の中で、括弧して、「なお、地方間接税の復元による増収額と消費譲与税の平年度配分額の差額については、他の地方税収の増額状況を勘案しながら基本的に別途、交付税への特例加算措置を講ずるべきと考えるが、具体的な方法等については平成二年度の交付税の状況を見定めつつ検討することとするとともに、税制改革においては地方税源及び交付税制度の充実を図るものとする。」という確認をしております。すなわち、税制改革においては、地方税源の拡充が図られるまで国の責任に基づく地方の減収であるとの基本的な立場から国が特例交付金を支出する考えを確認する、こういう意味でございます。しかし、平成二年度におきましては財源不足が生じないよう、後年度精算とする特会の借入金という方法もあるかもしれませんが、そういう場合も含めて平成二年度における地方財政計画の策定の進行状況を見つつ判断をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  数字について、これは率直に言って、私どもの方の数字を詰めてみますといろいろまた御意見もあるんじゃないかと思いますから差し控えておったわけでございますが、大体平年度の場合に二兆四千五百億、こういうことで本会議の際にお答えしたのでございますが、初年度につきましては地方税で約五千五百億、交付税で六千億、はね返りで九千億、約二兆五百億という、こういうとらえ方をしております。  そのほかについて、またお答えしたいと思います。
  82. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 今のおっしゃった数字はちょっといただけないんですよ。皆さん方は、平年度計算だけで初年度計算をしておらないんじゃないですか。そういうことがあるから、私は、あれは九日でしたか、詳しく私はこういうことをお伺いしますよということをあらかじめお知らせしてあるわけです。その中で特にこれには力を入れて、この税収がどうなるか、特に私が心配なのは地方財政なんです、今おっしゃったように。  だからそこらのところは、これはやはり税というのは理屈であり、制度であり、体系でありますと同時に、現実に銭こですからね。財政が回らなきゃどうにもならないのです。それをいじろうとされるわけですから、そこの計算というのははっきりしないと、平成二年度というのが、万々そういうことはないと思いますが、もし仮にこれが行われるということになったらバンザイですね。でありますから、これは委員長、初年度の計算というのをここにお持ちであったらそれを出していただかないと、これからの私の質問がつながらないわけです。出せますか。お出しになれるかどうか、まずそれをひとつお答えいただけますか。それだけお答えください、出せるかどうか。
  83. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今鎌田さんからの御指摘になりました点は、既に理事会を経由して自民党側から資料請求が最近出されてございます。私どもの方としては、その資料要求に基づいてこの委員会中にお示しすることにいたしております。
  84. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 まだ出ていないわけですね。いつお出しになりますか。
  85. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) きょうは関連の御質問でございますから、いずれまた御質問いただけるんじゃないかと思いますので、できるだけ早い機会に提出するようにいたしたいと思います。
  86. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  87. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 速記を起こして。
  88. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 私の答弁が何かお聞き取りいただけなかったのではないかと思うので、それでもう一度申し上げさしていただきます。  平年度の場合に地方税九千五百億、交付税六千億、同はね返り九千億、合計二兆四千五百億と申し上げました。それに対して初年度はどうなのかということでございますが、これについては、地方税が約五千五百億円、交付税が約六千億、同はね返りが約九千億、合計二兆五百億、かように申し上げたわけです。
  89. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 いずれにしても、ここで余りこれで時間をとりますと、私も一時間しかいただいておりませんので、佐藤さん、私の計算した結果をお聞き取りください。  まず電気・ガス税、料欲税、娯楽施設利用税、たばこ税、これの初年度計算はおっしゃるとおり私の計算でも五千二百億余りです。それから国税のはね返り、これがゼロです。わかりますね。法人税の税率据え置きの影響は、先ほどおっしゃいましたように、地方の場合には平成三年度の収入になります。でありますから、これはゼロです。それから交付税。交付税も国税の法人税が初年度計算で約半分になりますから、それとたばこの増分入りくりを入れまして、交付税六千億が三千九百三十億になるはずです。そういうことでこの減収額が大体二兆三千八百億ぐらいになるはずです。  それで、これで余り時間をとっちゃいけませんので、私が実は今のお尋ねにつなげたかったのは、久保議員、一兆七千億足りませんと、こうおっしゃったわけです。それにあと一兆三千億乗るんです、初年度は。三兆円足りなくなるんです。そこで、あなた並びに峯山さんが本会議で五兆八千億ぐらい年自然増収が出ますと、こうおっしゃったわけですよね。これは大蔵大臣にもお聞き取りいただきたいんですが、その中から三兆円持っていかれますね。あと二兆八千億、その中で保健医療、こういった社会福祉系統の一般経費が概算要求基準でも一兆円になるわけですね。あるいは赤字国債から脱却しようとされれば一兆三千億はこれで持っていかれる。地方財政もこれ必要です。地方交付税も先ほどお話があったように地方財政にこれは回らない。あるいは国債費、そういうものを入れるとパンクしちゃうんじゃないか、自然増収では賄い切れないじゃないか、そういう代替財源法案でいいんでしょうかということをお尋ねしたかったわけです。そこをひとつお答えいただきたいんです。
  90. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) お答えをいたします。  それぞれ自然増収の見方あるいは考え方につきましてもいろんな問題があることも事実であります。私どもも民間機関の経済見通しを初め、いろんな角度から検討はさしていただきました。  例えば国民経済研究協会のデータによりますと、九〇年から九二年までの三年間の経済見通しをいたしておりまして、いわゆる年度間の自然増収が九〇年が五兆三千七百億、それから九一年が四兆三千六百億、九二年が五兆八千六百億というような見積もりをいたしておりますし、また歳入超過分は九〇年が二兆七千億、九一年が四兆四千億、それから九二年が七兆五千二百億というような見積もりもあるわけでございますし、その他これは現在の景気動向がどういうふうになるかといういろんな経済見通しも随分山ております。  こういうような観点からすべて検討さしていただきました。そしてその結果、先ほど私が答弁いたしました部分につきましては二兆円の開きがございましたが、あれは実は、先ほど申し上げませんでしたが、単純に計算をいたしますと五十九兆円というふうになるのでありまして、今回の暫定財源のいわゆる増税部分あるいは減税部分等を調整いたしまして減った分がありますので約二兆円の開きが出るというわけでございます。  以上です。
  91. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 せっかくお答えいただいたんですけれども、私へのお答えにはなっていないわけです。でありますから、これはもう私も時間が惜しいですから、いずれにしましても理事会で御要求になっていると私も初めて伺いましたので、その資料を早く出していただいて、また再度私には質問機会も与えていただくようでありますので、ひとつよろしくお願いをいたします。  そこで、私としてお願いをしたいことは、今の質問をしておりますといろいろ後ろの方で、何だ か細かいことをいろいろ言って審議の引き延ばしをやっているのじゃないかというような、私にとってまことに不本意なお話がございますが、税は、何遍も言いますように、これは財政の基本で、これがちょっと違うことで赤字財政になった例をいっぱい我々は知っておるわけです。でありますから言っておることでありますので、誤解のないようにお願いいたします。  次には、この代替財源の性格についてでございます。  この代替財源の性格につきまして、久保議員提案趣旨の御説明、こういったもの等を拝見しておりますと、これは消費税を何が何んでもやめるんだ、それで国民税制改革協議会なるものをつくって、そこで二年間やっていただくんだ、それまでの間のつなぎですと、非常に軽い扱いになっているわけですね。  それともう一つ、これはちょっとお耳ざわりなことを申し上げますが、久保先生にもちょっと関係があるんですが、十月二十六日朝日新聞、「「いい加減な妥協をされては困る。答弁責任が持てない」と、参院社会党久保亘氏は声を荒らげた。」、これは要するに物品税税率をめぐってのことのようでありますが、また九月二十一日の日経新聞、「共闘維持へ政治的妥協」、ここにこの代替財源案につきまして、「「内容的に相当無理をした。六兆円という財源をねん出するために取れるところから取ったという印象は否めない」(野党筋)と率直に認めている。」、こういうのがある。それからもっと大事なことは、「どうせ実現はしないんだから」、これは九月二十九日の産経新聞、「社会党の政番会長は自動車労連や電機労連を説得して回ったという。「だからひとまずこの代替財源案にウンといってほしい」。本当ならひどい話だ」。これは新聞です。それから、日経の同じ九月二十一日では、「一方、社会党は「伊藤政審会長が個別物品税復活に反対する労組首脳を”まず成立する見通しはないから細かい点には目をつぶってくれ”と説得して回った」(民社党筋)」と括弧書きまでついております。  こういう事実があったのか、まず。重大なことであります。通る見込みのない法律をこんなにたくさんの時間と手間をかけてやらなきゃならぬのか、本質的な問題でありますので、これははっきりお答えをいただきたい。
  92. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) お答えをいたします。  私どもは、今回の代替財源案の問題につきまして、決して軽い扱いなんということは考えておりません。一つ一つの問題について真剣に取り組んでまいりました。いろんな問題が、新聞報道の問題については後ほど御答弁をしていただくといたしましても、まず私ども代替財源案を考えるに当たりまして、実はその本筋は何かということから申し上げますと、これは先般の参議院選挙におきまして、国民皆様方がやっぱり消費税廃止という決断を下されたということでございまして、実はもうそれ以来私どもは、この消費税廃止するためにはどうしたらいいかということをずっとこれは取り組んできたわけでございます。自民党さんは見直しということで頑張られたわけでございます。そういうような意味では、私どもはその両方をこの議場で一緒に議論をしたいと思っているわけであります。  そこで、実はこの廃止法案につきまして、先ほどから伊江先生からもお話がございましたが、いわゆる昨年の抜本税制改革、トータルで九兆二千億といういわゆる減税をやられたわけであります。そして、実は増税の部分二兆六千億を引いた部分が減税になったわけであります。そしてその中のいわゆる消費税の部分だけを申し上げますと、この増税の部分の大体五兆四千億ぐらいがこの消費税の部分になっているわけであります。そのあと少しの部分がいわゆるその他の不公平是正というふうに大蔵省の資料に書いてございます。  そういたしますと、今回私どもはその逆でございまして、今回消費税、いわゆる平年度で五兆九千四百億、これを廃止する。廃止するということは、先ほどお話しございましたようにそれだけ減税をするということであります。したがいまして、それにかわる財源をどうするか、これからが鎌田先生先ほどからの御質問でございますが、私どもは、まずこの消費税廃止するわけでありますから、その消費税廃止と引きかえにいわゆるこの廃止をされた部分、物品税とかその他いろいろあります、そういうような部分についてはやっぱり原則的に復活をする必要がある。そういうように考えまして、実は今いろんなことをいたしましたが、先ほどから伊江先生からは所得税も同じように扱わないといけないんじゃないかという御指摘を受けたわけでありますが、その点につきましては先ほどからいろいろと御答弁をさしていただきました。そういうふうにいたしまして、位置づけといたしまして、先ほどからお話しございましたように、私どもといたしましては、この代替財源がいわゆる税制改革の一環をなすものではない、そういうように考えております。  この二年間の税制改革、いわゆる国民協議会でいろんな協議をいたします。それは何も野党だけでやるというわけじゃないんです。これは自民党さんも含めて、国民全体でこの二年間、これからのあるべき姿をきちっとしようというわけであります。その間の二年間の暫定財源をどこに求めるかということになりますと、やっぱり消費税の部分の反対側の部分を検討せざるを得なかった、こういうわけであります。  しかしながら、それを全部そのまま復活するというのではこれはいろいろ問題がある。物品税の問題もそうであります。大蔵省の資料によりますと、物品税のいわゆる減税になった部分というのは三兆四千億と計算をしておられました。三兆四千億も全部復活をいたしますと、国民生活に大きな影響を与えます。そういうふうな意味で、そこの部分をカットさしていただいた、税率で調整をさしていただいた、こういうわけであります。  したがいまして、位置づけの問題につきましてはそういうふうに位置づけをいたしておりますので、いずれにいたしましても、そのほか細かい問題につきましては、実は私先生の自治省におけるいろんな論文等も随分読ませていただきましたが、本当に今の地方税のいろんな問題についての論文等を読みますと、今地方税の中にある税の大部分の問題を先生がつくられたということでございますから、私どもは、逆に言えば細かいことは先生に教えてもらわないかぬわけでございまして、そういうような点を考え合わせますと、これからのいわゆる税制改革、私どもが考えております税制改革協議会におけるいろんな議論先生のいろいろな御議論は十分に聞かせていただきたい、こういうように思っております。  以上です。
  93. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 大変過分なお褒めの言葉をいただきましたが、ちょっと私は意見が違うんです。  今の峯山議員のお話を私なりに翻訳をさせていただきますと、とにかく消費税を何か何でもやめるんだと、それから、本建築は二年これから議論してやるんだ、その間はバラックでもいいからとにかくやるんだと、こういう感じがしてならないんですが、今伺いますというと、税制改革につながるものではない、こういうことなんですね。この暫定のただいまの代替財源というのは、これによる税制改正というのは税制の本格的な再改革にはつながらないということですね。そこを御確認。
  94. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) そこのところちょっと誤解があってはいけませんので、要するに、消費税廃止に対する代替財源案でございまして、再改革の問題とは別だと申し上げているわけでございます。したがって、再改革のときには、今私どもが考えておりますこの代替財源の中に出てまいります一つ一つの税目の問題それぞれ全部、いわゆるこの税制改革のいろんな議論の中でそれぞれ取り上げられると。そして、私どもといたしましては、できたらそれから以降も続けていった方がいいんじゃないかという点が多いと私は考えております。
  95. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 大変大事なところでございますので、ひとつここはとっくりと私も得心がいくまで教えていただきたいと思います。  ただいまのお話を伺っておりますと、この代替財源法案中身というのは税制改革に引き継がれるものもかなりあると、こういうふうに理解していいんですか。――いや、よければ、うんとおっしゃっていただければいいです。
  96. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 先ほど申し上げましたように、まあ一体のものではないけれども、我々といたしましては、税の継続性とかそういう点から考えましても、ただ単に一つ一つ全部分断されておってはいかぬという考え方がございますから、そういうふうな意味では継続性ということを十分頭に入れて検討さしていただきました。
  97. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 そうなりますと、私は本質的なことをお伺いしなければならないと思うんです。  税制改革基本法案では、税制改革というのは、また先ほど久保議員もおっしゃいました、国民の合意が大事だ、国民に十分説明をしてこれを国民が理解してもらうことが必要だと。なかなか大変だと思いますが、そういうことを税制改革基本法案の中で高らかにうたっておられるわけです。今度のこの暫定的な代替措置の税制改正、これも皆様方が構築されるであろう新しい再改革税制に引き継がれるものもあるということであれば、これは皆さん方の論理からすれば、国民税制改革協議会で消費税をやめる問題、それから本格的な税制をどうするかという問題、そのつなぎの問題、三位一体でこれにかけられなけりゃおかしいんではありませんか。
  98. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) ただいまの問題は、私が舌足らずかもしれませんが、先ほどもちょっと申し上げましたように、まず大前提といたしまして、私どもはまず消費税廃止する、これがまず大前提であります。それがなければ、私ども国民の審判や、それだけではないんです、これは税制改革に対するもう長い過去十年間のいろんな歴史、こういうようなものを十分配慮に入れております。御存じのとおり、昭和五十四年のあの一般消費税国会決議の問題、あるいは中曽根内閣における売上税の問題、あるいは今回の参議院選挙の問題、すべてこれは大型間接税の導入にかかわる問題であります。そういうことを十分頭に入れまして、今回の代替財源の問題、そしてこれからの考え方、すべてそういうふうなことを配慮に入れて今回皆さん方に提出をしているということであります。
  99. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 どうも議論が食い違いになりますので、前に私がお尋ねしました、社会党の政審会長さんがどうせこんな法律は通りはせぬのだから云々という点についてはいかがでしょうか。これの御答弁がないんです。
  100. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 大変重要なお尋ねだと考えております。  最初に、私に関することをお読みになりました。私どもはできるだけ公開される中で私どもの真剣な協議を重ねてまいりまして結論に至ったわけでございまして、その間、私が声を荒らげて議論したというようなことがどういうことで報道されたのか知りませんけれども、それぐらい真剣にやらしていただいたつもりでございます。  なお、一党の政策責任者がマスコミの記事にありますようなことを話したなどということは、私は絶対に信ずることができません。もしそのようなことが事実であるとすれば、これは公党として責任をとるべき問題であると考えております。そのようなことは絶対にありません。
  101. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 私もあり得ないことと思ったからお尋ねしたんです。だけど、新聞には厳と一紙のみならず二紙に出ているわけですね。それならば今、これは久保さんがおっしゃったわけではないんですが、伊藤さんの名前で正式にやはり抗議をされて訂正されなければ、そのままじゃありませんか。
  102. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) いわゆる会見によって明らかにされた責任ある発言とか、そういうものでありますれば出どころもよくわかるのでありますけれども、そういういわゆる巷間伝わるうわさ話等が新聞等に書かれましたものを、一つずつこれは本当かどうかということを確認することは大変困難なことでもございます。しかし、このような席でその点を御指摘になりましたことは、私十分心にとめて対処したいと考えております。
  103. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 いずれまたこの点については、今のお話のようでありますから、訂正等の手続もとられることを期待いたします。  なお、新聞でありますので、これは確かめようとすればすぐにでもできることであることを付言いたします。  そこで、余り時間がありませんので、次に今度は国民税制改革協議会ですが、これは当面二年間の代替財源法案ですね。これは、暫定二年ということですね。
  104. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) ただいま出しております代替財源法案、五法案ございますが、この五法案につきましては二年間をめどにいたしております。
  105. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 そうでございますと、二年という期限をつけられなかった理由はどういうことでしょうか。法律としては恒久法になっているわけですね。
  106. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 実は、代替財源法案につきましては、体制といたしましては今先生御指摘のとおり永久法の体制をとっております。しかしながら、私どもの目的といたしましては、先ほどから述べておりますように、再改革基本法の中で、これからあるべき税制の姿につきまして御議論をいただきまして、二年をめどに御結論をいただく、こういうふうに考えておりまして、その結論の出た時点で適切な措置がとられるであろう、こういうふうに考えているわけでございます。
  107. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 今お尋ねしようとしたところでございますが、二年をめどというのはどういうことですか。皆さん方は二年で、暫定二年で本格税制に移るとおっしゃったんじゃないんですか。二年をめどというのは、字引を引いてみました、めどというのは目安ということです。だから、二年でやらなきゃならぬことはない、三年になるか四年になるかわからぬ、こういうことでありますが、そういうことがあって、この関連法案ですね、代替財源法案にこの終期を付されなかったんです
  108. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 再改革基本法案の中にございますいわゆる国民税制改革協議会でございますが、この協議会は設置後二年以内に結論を出すというよりも、めどにする。  といいますのは、税制改革中身が、これは例えば一年で結論が出るものもあると思いますね。場合によっては二年あるいは二年をはみ出す部分もあるかもわかりません。しかしながら、我々といたしましては、実は今まで過去ずっと税制改革につきましてこの十数年検討してきたいきさつがあります。そういうものを十分踏まえまして、ただ野党だけでやると言っているわけじゃないんです、国民全体がこの問題にかかわる。そしてこの法案がこの議会で成立をいたしましたら、直ちにこの税制改革協議会をスタートしていただきまして、要するに二年後というのを一つの大きなめどにいたしまして、法律で、三年かかるんじゃないか、四年かかるんじゃないか、あるいは政府法案の中には五年をめどにといいながら十年も二十年も置いている部分もありまして、そういう法律もありますから、二年をめどというのはこれはけしからぬじゃないかというお話もあるかもしれませんが、私どもといたしましては、やっぱりこれからの税制改革というのは将来の高齢化社会とかいろんな問題がたくさん控えております。  そういうような意味では、今までの税制改革のいろんな議論をすべて無にしてというんじゃなしに、そういうふうな問題を十分踏まえましてこれからの税制改革に取り組む。その期間といたしましてはおおむね二年間ぐらいが適当ではないかな、こういうふうに考えているわけでございま す。
  109. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 恐らく私は、皆さん方が二年をめどとされたのは、国民税制改革協議会、五十人、大勢の世帯であります。しかも、各界の利害が錯綜をして、あるいは議論が百出してまとめ切れない、そういうことを頭に置かれて二年をめどとされたんじゃないかと思うんです。そうなりますと、代替税法、これが恒久化するおそれがある。それだけに私は、皆さん方がおっしゃるようなやり方では余りにもこれは無責任、当座仕事じゃないか。  さっきいみじくもおっしゃいました、我々も税制改正を勉強してきたと。私も政府の税調の一員にも加えていただきまして、私が体験しただけでも十年間、税制を縦横十文字から検討して、そうしてでき上がったのが昨年の税制改革。それに対して皆様方がこれから、まずぶっ壊すものだけはぶっ壊すよ、それでとりあえず代替財源だけはまあお粗末でも何でもいいからやっておくよ、それから国民税制改革協議会なるものでやりましょうよ、二年をめどにと。これでは、これだけ変転してやまない、どんどん激動していく経済社会の実態に間に合うことができますか。余りにも悠長じゃないですか。
  110. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) まず、悠長じゃないかとかいろいろおっしゃっておりますが、やはり私どもの考えといたしましては、どんなに立派な税制ができたといたしましても、国民の理解と合意、これがないとやっぱり今回の消費税のようなことになってしまう。国民の信頼と合意というものがなければ、例えば税制の基本理念にいたしましても何でもそうであります、我々のこの今回の税制改革の基本は国民の信頼と合意、そこにポイントを置いている。例えば自民党皆さん方が、一国の総理として中曽根総理が導入しないと言った一般消費税があの税制改革の中に盛り込まれている、あれが柱である。そこがやっぱり大きな問題でございまして、これは我々は深刻に考えなきゃいけない問題だと思っております。  現実の問題として、さきの参議院の選挙で参議院野党がふえました。これからいろんな問題、大蔵大臣は座っておりますが、衆議院の三百議席、現在の参議院の姿、これから国会をどうするか。高齢化社会といいましても、御存じのとおり二〇二〇年とおっしゃっております。三十年ありますよね。三十年のこの中で、私はこれからの五年や十年というのが非常に大事になってくる。この五年や十年の間に皆さん方といわゆる税制の問題についてきもっと合意をする必要があると、こう思っているわけです。  だから、そういうふうな意味では確かに二年で間に合わない、あるいはどうなるかわからないというふうなあれじゃなしに、皆さんの御協力をいただいて何とかこの二年間の間にやっぱりばっちりした税制改革を、しかも国民の納得するものを得なければならない、こういうふうに考えているわけであります。
  111. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 大体予想しているようなお答えなんですが、私が言いたかったことは、この税制改正というものについてもっとやはりピッチを上げなきゃいかぬということを申し上げたいわけであります。  そこで、次の問題に移ります。  皆さん方御退屈でありましょうから逐次お尋ねをいたしてまいりますが、まず勝木議員にお尋ねを申し上げます。  地方個別消費税の復元の問題に関連して、電気税あるいは料飲税、こういったものの復元がございます。  そこで、電気税につきましてはこれほかつて民社党は反対、社会党も反対という税でございました。その反対は、一つは大衆課税である、一つは産業用の非課税がたくさんあるものですから、皆さん方のお言葉からすれば独占資本優遇であるということで反対しておられた。これをそっくりそのまま復元をしようとしております。免税点もそのまま、非課税規定もそのまま、それで税率だけは五%でありましたのを三%と下げておられるわけです。  今度は料飲税になりますと、この料飲税の復元につきましては、税率はもとの一〇%に返します。電気税は三%、もとの税率には返しません。それで今度は、料欲税の免税は点前の料欲税には返さないんです。前は二千五百円と五千円でした。それを今度は特別消費税でそれぞれ倍にしたんですね、五千円、一万円に、それで返します。非常に、何というか一貫性がないんですね。おわかりでしょうか。  そういう変幻自在なことをおやりになられたのは何かお考えがあってかどうか、ちょっとこれをお教え願いたい。
  112. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 峯山君。
  113. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 いやいや、あんまり峯山先生、権威ですからあれですが、ほかの方も答弁さしてくださいよ。
  114. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) とりあえず、委員長からも御指名がございましたんで、簡単に私の方から。  まず、電気税につきましては先生御指摘のとおりでございますが、御存じのとおり、五%の税率を――先生よろしいですか。御指摘のとおり、電気税につきましては、消費税三%でございましたのを、本来ならば五%のを三%に調整して、しかもそのほか産業用の非課税の部分ももとに返したというのはおかしいと、こうおっしゃっているわけですね。  それから、料欲税の問題につきましては、実は率は確かに先生おっしゃるとおりに従来の一〇%に返しました。したがって、電気税の方とはちょっと違う点がございますが、料欲税の方は実は先生御存じのとおり、免税点を前の方へ返さなかったわけです、従来は免税点が二千五百円と五千円という免税点だったわけです。その免税点を、いわゆる庶民の生活等いろんな面から考えまして、五千円と一万円というふうに消費税で免税点を上げました部分をそのまま残しまして、それで一〇%という分だけを回復さしていただいたと、それなりに私どもは整合性はあると考えているわけであります。
  115. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 余り整合性があるとは思わないんですが、まあいいでしょう。  それからもう一つ、木材引取税をどうして復元されなかったのかということです。  これは、ここに長野県の方がおいででございましたら、長野県王滝村というのがあるんです。これはもう昔から木材引取税でやってきた有名な村であります。  この木材引取税は、山林のある山村の市町村の有力な自主財源、恐らく税額は十四億だから税額の少ないのに目がくらんでまま子扱いされたんだろうと思うんですけれども、これはやはり山村の市町村の財源として大事なものでありますので復元すべきであったと思うんですが、何かお考えがおありだったんでしょうか。(「だれに質問したの」と呼ぶ者あり)いや、もう峯山さんがお一人でお答えになるようですから。
  116. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 実は、本当に非常に小さい税目につきましても御指摘をいただいておりまして、随分私も勉強さしていただきました。  また、先生が木材引取税について特別の御感情をお持ちであるということも、先生の文書の中でよくわかりました。私もちょっとそこのところを挙げさしていただきますと、先生が自治省の税務局長就任直後のお話が先生の論文の中にございます。自民党税制調査会に呼び出されて行ったところ、木材引取税の廃止について、前年来の懸案であってことしこそはその決着をつける、具体案をつくってこい、廃止案を要約して持ってこいというお話があって、それで先生は、それに反対をして、持っていったけれども最終的には木材引取税を廃止に追い込まなかったというふうな意味のお話がございます。実は先生が、我々に対して自民党皆さんがおっしゃった、というところがあります。ところが、実はこの問題について私どももそこまで深い議論はいたしませんでした。本当 に、先生のお考えを聞きまして、なるほどなと、そういうふうに私も感じました。脱財源といたしましては小さくても、確かに地方の市町村にいたしましては今御指摘のとおり、私も先生と同じ鹿児島県ですからよくわかっておりますが、いわゆる市町村の小さな税財源ではありてもそういうものを廃止するということは大変なことであるということがわかっております。  しかしながら、先生が日ごろおっしゃっておりますように、消費税のとき、消費税廃止したときには先生はどういう態度をとられたかということを私問いてないんですけれども、これは消費税廃止されるときには先生は反対されたんだろうと思いますが、先生の御意見が通らなくて廃止になったわけですね。そうしますと、私どもといたしましては先生とは違う立場ではありますが、実はこの問題につきましては、先生の論文等を勉強さしていただきましても、これからの地方自治のあり方、あるいは地方のこういう小さい財源でも非常に大事であるということ、そういう問題につきましては私ども十分勉強さしていただきました。  したがいまして、こういう問題も踏まえまして、これから十分税制改革基本法の中にあります国民税制改革協議会でこういう問題も十分検討して、そういう農山村の、木材を生産しているところの市町村の皆さん方が本当にお困りにならないように我々も対応していかなければいけないなということを強く感じたところであります。
  117. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 私はまだ質問したいこともございますが、この地方消費税の復元問題とあわせまして、総じて消費税、今日、日を追って定着しつつあると思うんです。この際、消費税をやめてしかも物品税を初め個別消費税を復元する、むしろこの方が混乱は大きいと思います。  といいますのは、復元復元とおっしゃいますが、棚の上に載っている物をおろしてきてすぐ使うようなものじゃないわけです。税制としては全く新税の創設になるし、あるいは既存の税目の増税になるわけです。そうしますというと、例えば電気税等につきましても特別徴収義務者である電力会社の手間がどれだけかかるか、あるいは徴税吏員がどれだけ非課税品目のチェックなんかもしていかなきゃならないか、あるいは納税者の理解も得なきゃならない、そういうこと等をも考えますと、これはやはり旧個別消費税の復元といえども新税の創設にほかならず、あるいは増税にほかならないということを肝に銘じていただきたいと思うんです。  でありますから、そういう意味での税制改正というものについては、しかもひょっとすると恒久化するかもしれないということをおっしゃいました。そういう意味での国民に対するPR、こういったことがまだほとんどなされておらないように思いますし、関係方面への根回し等もおやりになっておられないようでありますが、その点についてはどうお考えになっておられるのか、お伺いいたしたいのであります。どうぞ、どなたからでも結構です。
  118. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 豊富な税制の御経験の上に立っての御意見と伺いました。ただ、今消費税廃止することによって起こる混乱ということを言われておりますけれども、拙速に国民の合意を得ることなしに、非常に大きな欠陥をそのままにして実施されました消費税は、今日、つくられた自民党の方においても見直しが言われているのでございます。おたくの政調会長のお言葉によりますと十一月の三十日には必ず発表すると、こういうことでございましたけれども、この見直しというのはそれでは混乱なくやれるのであろうか。私どもはそれらの点もあわせてぜひ議論をさしていただきたいと考えております。  なお、税制というのは、これは一遍つくってこれで永久にすべて変わらないという税制はあり得ないと思っております。したがいまして、基本的な問題点について整理をして、そして新たな税制の方向を各論にわたって確立することができれば、それは絶えず見直しを加えながら、国民立場に立ちつつ、合理的で国民の合意の上に立った租税民主主義に徹するものとして、これから運用されていかなければならないと思っておるのでございます。また、今お話がございました、今度の二年間の暫定財源についての御意見がございましたけれども、これは確かに、税制改革が一つの方向を決めてまいりますと、その中には任務を終えるものもあろうかと思います。また、改革されて継続されるものもあろうかと思います。しかし、私どももできるだけの努力をいたしまして、今度の代替財源に資する五法案提案するに当たりましては、私どもの考えます税制改革の方向に沿うものということで考えてまいりました。しかし、これらはすべて今後国民税制改革協議会はもちろん、国会においても御論議をいただきます中で、よりよきものへ向かってこれらのものの検討が加えられるものだと考えておりまして、先生のような税制の御専門の方の御意見はぜひ大事に取り扱わせていただきたいと思っております。
  119. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 いただいた時間があと五分だそうでありますので、最後に地方財政の関係におきまして、この税制改革基本法案の中で、税源の拡充あるいは地方交付税の充実と、こういった、私ども地方自治に長年携わってまいりました者につきましては悲願でありますところの、地方分権の確立、地方自治の拡充、こういう観点から非常においしい言葉がございます。具体的にこれはどういうもので結実していくのか。この片りんでも、一端だけでもお聞かせいただければありがたいと思います。
  120. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 今回の代替財源の中では新税の創設を行っておりませんものですから、国税同様に原則として旧税に戻る、こういう立場をとっております。しかし、今御指摘のように、税制改革基本法案において規定しておりますように、やはりこの改革に当たりましては、私ども地方自治の尊重という立場、そして地方のそのために必要な自主財源の確保、税制度、こういった確立を基調に議論をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。御案内のとおりに、知事さんを経験なさって感じておられますように、まさに今の地方自治の現状なり国と地方との税財源の配分については、三割自治ということで象徴されておりますように、そういった点についてもぜひこの機会に私どもとしては、不権衡、不公平税制の是正とあわせて確立してまいりたい、かように考えております。そのための国民税制改革協議会、十分ひとつぜひ先生方の御協力もお願いしておきたいというふうに思います。  それから地方交付税の充実の問題で御指摘がございましたが、これは率直に言って、これまでも地方制度調査会や政府税調の中でも議論をいただきましたように、交付税目の充実、交付税率の改善、さらに単位費用の改善、こういった点を議論していただきたいなと、こういうふうに考えておるところでございまして、具体的にどういう方向でどういう内容になるということについてはここで、国民税革協の中でのことでございますから申し上げられませんけれども、今申し上げましたようなものを基本に置きましてそして国と地方の脱源の再配分をぜひひとつ実現さしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  121. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 これまで若干の点について伺ってまいりましたが、率直に申しまして満足すべきお答えを得ることができなかったことを遺憾に存じます。なお、質問をし残した点がございますのでこれは後日に譲りまして、もう少しこの論議が実のあるものになるように今後の審議に期待をいたしまして、私の関連質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)
  122. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 今の鎌田さんの代替財源案についての専門的な立ち入ったお答えを聞いていても、本当に今のお話のとおり余りぴんとこないので、最後に私はこの問題をまとめて整理して御質問をしたいと思っております。  峯山さん、さっき専門的なお答えになったからあなたにまずお答え願いたいんですけれども、結局代替財源法案というのは、今五つとおっしゃっ たけれども、何と何ですか。今、久保さんが五つとおっしゃった。何と何と何と何と何ですか。
  123. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 今突然言われまして、代替財源案につきましては――ちょっと待ってくださいね。法案の名前でございますが、所得税、法人税、それから物品税、通行税、それから入場税法案と、この五つの法案でございます。  ちょっと間違えました。所得税のところを法人税というふうに訂正さしてもらいます。
  124. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 所得税も入っているんですか。
  125. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) もう一回正確に申し上げます。法人税、それから通行税、それから物品税、それから入場税、それから地方税法の一部を改正する法律案であります。
  126. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 そうしますと、この中で皆さん方が復活とおっしゃる物品税、これはもうなくなった法律をおつくりになるのだから、これは新税ですね。入場税、これは公明さん前から反対しておられたのだけれども、この復活も、これも新税ですね。いいですか、後で御質問しますよ。通行税、これも新税ですね。それで、あと現行法というのが今お話しになった法人税であり所得税であり酒税であり地方税と、こういうことになるわけですね。どうぞ、答えてください。
  127. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 伊江さんのおっしゃるとおりでございます。
  128. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 先ほどから伺っていますと、これは臨時的な措置として基本的な税制基本法のつなぎの二年間をめどにする、こういうお話ですね。そうすると、なぜその法律に二年間ということは明示されないんですか。それはどういうことなんですか。先ほど鎌田さんが、ひょっとしたら恒久法になるかもしらぬからという、その心配も含めてのことかというふうに突っ込んでおられたけれども、もう一遍明確に。
  129. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) これは恒久法として今回起こすものでございますから、恒久法として考えていただければよいと思うのでございます。ただ、今度の二年間をめどとする税制改革の協議の中でこれらの問題についても十分論議を尽くして、改革すべきものは改革廃止すべきものは廃止する、こういうふうに考えております。
  130. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 私はちょっと不思議に思うんですけれども、こういったものは国民に対する公約でしょう。国民に対する公約というのは、税でもってだれがどのぐらい、期限を切っていつまで負担するかということをはっきりさせなきゃ私はいけない性質のものだと思うんですよ。峯山さん、どうですか。
  131. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) したがいまして、これは当然そういうふうな考え方に立つべきだと私は思います。恒久財源ですから、当然今の法律の基本的な考え方といたしましては、代替財源法律はそれぞれ恒久財源の法律となっているわけであります。それは先ほど説明したとおりであります。しかしながら、私どもといたしましては再改革基本法の中でこれからの新しい抜本的な税制改革を行う、その中で、きちっとできた段階でしかるべき措置がとられる、そういうふうに私は考えております。
  132. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 それはすれ違いで議論になりませんけれども、それじゃもう一遍、一つだけ絞って言いましょう。  租税特別措置法というのは現行法の改正になるわけですね、法人税の税率を据え置くんだから。それはそういうことでいいんですね。確認をまず前提にしましょう。もう一遍言いますよ。法人税の据え置きは現在の租税特別措置法の改正だと、現行法の。それでいいんですかという確認をとりたい。
  133. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 法人税法の一部改正で行いますものでよろしいと思います。
  134. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 租税特別措置法というのは臨時的なものを扱うんですね。本則はあるんですから、租税法という。その本則にある一定の期限をつけて、そして税を徴収するという筋書きが租税特別措置法の規定なんですよ。それならなぜ二年間と書かないんですか、法人税のことで、据え置きならば。それはどうですか。峯山さんにお答え願いたい。
  135. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) おっしゃるとおりなんですけれども、要するに租税特別措置法の中でそういうふうに書いているわけでございまして、しかしそれは我々財源として考えたこともございまして、これはこれからの審議の中で、審議というよりも、再改革基本法の中でうたっておりますようにいろいろ検討していただきまして、二年間になるかあるいはそれから先のところで改正をするか、そこのところはその時点で判断をしていただくということです。
  136. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 しかし、それは重大問題ですよ。企業にとって二年間であるのかあるいは先いつまでつなぐのかわからない、そんな特別措置法というのがあるんですか。これは税制上大変な、国民に対する、あるいは企業の個々の行き方に対して、彼らは計算できない。来年、再来年のことについての企業の行き方、企業の計画を立てるのに、三年先はわからないというのだったらそれはどういうことになるんですか。それが租税特別の措置なんですか。
  137. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 租特の中には確かに期限を切っているものもあるかもしれませんが、基本的な考え方といたしましては、租特の中の期限というのは当分の間というのが基本になっております。したがいまして、そういうふうな考え方で私どもは今回の法案を処理いたしているわけであります。
  138. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 大事なことだからちょっとしつこいようですけれども、当分の間なら当分の間でいいんですよ、それは立法者の意思がはっきりしているから。ところが、立法者の意思がはっきりしないじゃないかと。担税を一体二年間させるのか当分の間させるのかというのは大変ですよ、企業にとってみれば。そこのところを明確にしてもらいたい。どうですか。
  139. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) この問題につきましては、租特の中で「当分の間」というふうになっておりますので、企業の皆さん方も当分の間ということで御了解いただいて私はいいと思います。
  140. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 それじゃ、これは当分の間というふうに我々は思っていいんですか。
  141. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 租特の法律の第一条で「当分の間」というふうになっておりますので、そういうふうに理解をいたしております。
  142. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 久保さん、今の件。
  143. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今峯山議員がお答えしたとおりでございますが、当分の間ということで、税制改革基本法の考え方としてはおおむね二年間をめどに検討をしていくことになっておりますから、その辺を考え方の一つの基本に置いて進めていくことになろうかと思っておりまして、将来的には税率を本則に戻す、こういうことでございます。
  144. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 これは地方税の問題にも関係するわけですから、専門家の佐藤さん、今の意見に対してどう思われますか。
  145. 佐藤三吾

    委員以外の議員(佐藤三吾君) 一緒でございます。
  146. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 それはみんな一緒と言うでしょうね。しかし、これは重大問題だから、きょうはみんな一緒一緒とおっしゃるかもしらぬけれども、これは基本ですよ、スタンス。これは委員長野党皆さん方の見解をまとめてもらいたい、統一見解をはっきり。当分の間なら当分の間でございますとおっしゃるのか、二年間のめどでございますとおっしゃるのか、その辺はどうですか。
  147. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) 先ほども申し上げましたように、租税特別措置法の第一条、この法律趣旨のところで「当分の間」ということで明確にうたわれておりますので、この点につきましては、期間といたしましては当分の間と考えているわけであります。
  148. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 とにかく、どうあろうと私は各野党の統一見解をはっきりまとめてお知らせいただきたい。  次へ移ります。  そうならば、今まで新税を三つおつくりにな,った。復活というふうな名前でおっしゃるけれども、それは全部新税だ。そして、しかもこれは増税案だ。なぜかならば、消費税にかわる財源を獲得するための法律だから。そうですね。これは、土井委員長は、あるいは野党皆さん方は選挙中消費税廃止いたしますと声高らかにおっしゃった。しかし、増税もいたしますよというのをおっしゃったかな。国民は聞いていませんよ。どうですか、その点は。
  149. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 土井委員長という御指名での御質問でございますから、私からお答えさせていただきます。  増税とおっしゃいますけれども、必ずしもそうではないのでございます。例えば入場税の場合五%で復元をいたしておりますけれども、免税点を映画二千円、演劇等五千円で設定いたしておりますから、一般の大衆がこれらのものに入場いたします場合には消費税の三%分がなくなるのでございます。そういう意味では、非常にたくさんの映画や演劇を鑑賞する方々にとっては逆に減税となろうかと思っております。通行税につきましては、確かに増税になる部分がございます。しかし、これも消費税のかかった部分で通行税の対象とならない部分については減税の部分も含むのでございます。また物品税につきましては、これは製造段階の課税とすることにより、また税率を調整することによって、一概に増税とのみは言えないと思うのでございます。私どもの算定によりますと、いわゆる物品税によって平年度約一兆円の収入を見込んでおりますけれども消費税六兆を減税とする物品税一兆でございますから、見方によっては大減税とも言えるかと思います。
  150. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 いや、せっかくだけど私はそう思わないんでね。とにかくやめてしまったものを復活するんですから、復活したものと前のとの税の比べが安いとか高いとかの問題を言っているんじゃないんで、やはり新税は消費税にかわるものですから増税ですよ。まあそれはそういうことにしましょう。  そこで、私は非常に不思議に思う、おたくの発表の仕方が。これはおたくが財源案をおつくりになったときに新聞に発表された、新税としての物品税税率です。これを見ますと、旧物品税と、おたくの代替の新税として今度提出される物品税との率の比較が書いてある。率の比較が書いてある。これを見ますと、国民ミスリードされますよ。いいですか。  一つ例を挙げますと、第二種、これは蔵出しのやつね、第二種、普通乗用車二三%が左側に書いてある。右側には野党提案物品税の復活案として八%の税率が書いてある。これを見てごらんなさいよ。国民はそれは物品税は復活されたけれども、この物品税消費税よりいいやとなる、これを見ると。ところが、消費税というのは、御承知のように三年間この普通自動車については六%、あと三年たったら三%に戻りますね。以下それと同じように、例えば大型二輪車、これは旧物品税では一〇%だった。おたくの表を見るというと四%だ。ところが、現行消費税は三%ですよ。いいですか。大型テレビについては二〇%だ、旧の物品税は。ところが、おたくのこの復活物品税は八%だ。この表を見る限り、それは野党復活案の方が非常によろしいということにみんな国民ミスリードされる。これはおたくがそのままの数字で発表されたのですか。まずそこを伺いたい。
  151. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) それは旧物品税と今度新たに復元いたします物品税税率を対比しているものであって、何もそんなに力み返っておっしゃるような問題ではないんじゃないですか。
  152. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 それが間違っていると私は言ってないの。これはこれとして比べるものです。三%がどこに入っていますかということを聞いている。
  153. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) それは製造段階の税率でございますから、いわゆる庫出税の税率でございますから、消費税は小売段階の税率でございますからそこへ入れようがないわけです。そして、それはこちらから正式に出した資料なのかどうか存じませんが、私どもがいろいろと検討してまいります段階で旧来の物品税と我々が復元しようとしている物品税率との関係がどうなるかということを検討した資料をお持ちになっているんじゃないかと思います。
  154. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 そうおっしゃるだろうと思った。  ところが、これに第一種の小売段階の並べが出ている。これも旧物品税とおたくの新しい復活物品税との比較しか出ていない。なぜ現行法の三%が出ないんですか。それがミスリードになるよということを言っているんです。これはおたくが発表された数字ですよ。
  155. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 消費税は小売段階に三%というのは、もうあなた方の宣伝も行き届いておりまして、はっきり国民皆さんは御承知のことなんじゃないでしょうか。十分理解した上で反対をなさっておるんです。それで、その三%というものが蔵出しの税率とどう関係するかということならば、利益率を計算して、そしてこの蔵出しにおける例えば八%は小売段階における何%に該当するかという数字と三%と並べなければ対比にならないのでございます。
  156. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 それはわかっていますよ。自動車についてもそうですよ。ところが、小売段階での旧物品税とあなた方のいわゆる小売段階でのものを比べた上での話がここに出ているから、私はそう言っている。そういうことで、これを見る限りにおいては国民ミスリードされますよ。そのことだけ私は指摘しておきます。要するに、誤解を得るような資料はやはり避けなきゃだめですよ。まあいいです。これは私は指摘しておきます。これは重大問題ですよ。時間がないから、私は指摘だけにとどめておきます。  そこで、先に進みますけれども、我が党は政権与党であって、そして自由民主主義を標榜し、自由経済社会、市場原理を標榜して今日まで日本の国の発展を築いてまいった。先ほど主税局長から御説明していただきました、今度の税制の中で特徴的なものは、税制経済に対する中立性の問題がある。これは自由社会で自由に行動してもらうために、税というものが経済に対して中立の立場をとるということなんですね。自由主義経済の基本原則だ。  そこで、そういう自由社会を標榜する我々は、我々の自民党の綱領の中にもやはりこの税制改革の理念がそのままにじみ出ているわけです。したがって、お互い皆さん方は今野党でいらっしゃる。社会党であれ民社党であれ、あるいは会派であれ、とにかく政党の構成員であられるから政党のよってもって立つ基本の基盤と、それに基づいてこれからやっていかれる政策目標というのがあるはずでありますから、これは私が一々皆さん方質問してお答えいただくよりも、私がこれを読んで皆さん方の綱領はどうなっているのかということをちょっと申し上げておきますので、それに対して各党が簡単にコメントを下さい、そうだそうだというならそうだと。いいですか。  まず社会党から申しますよ。社会党は、これは新宣言でいきますよ。これで見ますとやはり究極の目標は社会主義だと、社会主義への道を歩いてまいりますよと、端的に言えばそういうことだと思う。これでよろしいですか。
  157. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) そういうふうにお考えになってもいいと思いますが、新宣言の中には社会主義とは何かということも書いてございますので、その社会主義が人間解放、人間の自由と人間の尊重ということを社会主義の目標として書いていることを十分御理解の上そのようにおっしゃるのでございましたら、結構でございます。
  158. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 じゃ、今度は公明党。人間性を尊重する中道政治の確立、左右の不毛の対立を克服し、国民的合意の第三の解決点を創造する、いいですか。自衛隊合憲と条件つき運用、積極的安保容認、こういうことでいいですか、公明党。
  159. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) ただいま読み上げていただきましたのは、それは党の綱領ではご ざいませんですね。  党の綱領の方は全体で四項目になっておりまして、第一項目が国民政党ということ、それから第二項目が経済問題、第三項目が地球民族主義という問題、第四項目が実は憲法の問題をうたっておりまして、日本国憲法を堅持するというのが、憲法の精神を守りということで生命の尊厳等をうたった部分が私どもの綱領でございます。  それで、今先生おっしゃった部分は政策の点だろうと思いますので、政策はそのとおりでございます。
  160. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 民社党。民主社会主義による福祉国家の建設、福祉国家への主張を中心に据えてソ連東欧型の社会主義とは一線を画すと。そして、経済面においては生産力の向上と成果の配分、利潤優先の仕組みから公共優先の経済計画を進める、こういうことですね。
  161. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) おっしゃるとおりでございます。
  162. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 そうしますと、私は別に各党を非難するつもりはありませんけれども、よってもって立つ地盤というのはお互いみんな違うわけですよ。したがいまして、その違う地盤のところにお立ちになって、政策面において連合政権構想をおつくりになるという、それはそれでいいでしょう。しかし、根本的に違う点が出てくるんだということをこれから私は申し上げたいと思っているんです。  続けて発言を許していただきたいんですが、まず社会党土井委員長が九月の十九日に発表された土井ビジョン、今土井提言とおっしゃっているんだそうですが、これを私はここに御披露しながら幾つかの問題点を提起し、質問をしてまいりたいと思っております。    〔委員長退席、理事井上吉夫君着席〕  これは、私は土井提言の中でここのスタンスが非常におかしいと思うのをちょっとまず第一に指摘したいんですよ。それは、問題の提起であり結論ではないがという断りがついている、そういう提言なんですよ。いやしくも公党の委員長たる人が党の基本精神を天下に発表されるときに、結論ではないがという断りをなさるような、そんな無責任な言い方じゃ私はおかしいだろうと思う。早速におたくの山口書記長は翌々日、これは党の基本政策に据えますということを中央執行委員会でお決めになった。それはそうであるべきですよね。我が自民党の場合なんかは逆ですよ。やはり討議にかけて皆さんの討議を入れた上で総裁の基本方針に決まる、これが我が党の基本姿勢。おたくの場合は、それは最初に自分が発言して、これは結論ではない、問題の提起だとおっしゃって、そして後から追認される、委員長の基本政策を決めるやり方を追認の形でお決めになるということが私は非常に印象に残ったし、これでいいのかいなという印象を持った。これはまあこれでいいでしょう。  ところが、問題はこれなんです。中身なんです。土井さんの提言ですよ。「憲法は主権在民を明記し、それを具現する議会制民主主義を定めています。しかし、それが十分に機能していないという現実は、異常としか言いようがありません。」。どういう意味ですか、これは。重大な発言です。  ちょっと待ってください。続けます。もう時間がないから、続けます。これは重大な発言ですよ。そして、言っていることは何を言っているのかよくわからない。少なくとも我が国野党第一党の委員長発言ですよ、公式な。全世界政治家はみんな注目していますよ。我が国の憲法下の現実というのは、異常としか言いようのないほど議会制民主主義が十分に機能していないんですか。私はこれは本当に土井さんに来ていただいて直接確かめたい。しかし、あなたは今社会党の代表でお座りになっておるから、コメント、意見をもらいたい。
  163. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私は新宣言の起草者の一人でもございます。そして、土井ビジョンの問題につきましてもいささかかかわってもまいりました。一番最初にお尋ねがございました土井ビジョンは、これから討議に付するものだというようなことにつきましては、先生から御指摘をいただくいわれはないと思っておるのでありまして、党のこれからのビジョンを、プロジェクトチームが土井ビジョンとして答申をいたしましたものを、十分に国民皆さんに御論議をいただいて、御討議をいただいた上で立派なビジョンとして今後連合政権をつくり上げていく上での一つの考え方としてまとめていけたらと、こういうことでやっているのでありまして、国民的討議にかけることが無責任だということになれば、これはもうファッショにしかなりようがないのでございます。  それから今半分民主主義ということをおっしゃいましたけれども、これは大変失礼でございますけれども、「新しい政治への挑戦」ということで土井委員長がお話を申し上げました最後の一節だけをお取り上げになっておりまして、これは全体をお読みにならないといけないのであります。そうして、ここに半分民主主義と、憲法の半分民主主義と言っておりますのは、議会制民主主義政権交代を可能としていない状況では憲法の目指す民主主義の理想が半分しか実現できていないということを言っているのでありまして、私は極めて正しい指摘だと考えております。
  164. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 重大な見解の相違がありますよ、これは。政権交代が行われていないから半分の民主主義。政権交代が行われないというのは、有権者の国民政権交代を求めていないという結果なんですよ。これは違うんです。  そこで、日米安保条約などについては、連合政権のもとでも外交の継続性を尊重して対応する、こうなっていますね。そしてまた、いろいろと自衛隊も存続を認めなきゃならぬ、認めるのだ、容認する、こういうふうになってます。将来の自衛隊、安保条約も、土井さんの言う、緩やかにしてしかし確実な改革の中の一つに入るんですか、今は認めるけれども。将来性、先行きこれの否定の方向に回るのか肯定の方向に回るのかということが明らかでない。この点はどうですか。
  165. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 将来の目指す目標については、新宣言の中にも明らかにいたしておりますし、また、土井委員長の「新しい政治への挑戦」の中にもそのことに触れてございます。  将来的に人類の理想としていえば、私は日本国憲法が掲げておる理念というものが実現されることが望ましいと考えております。しかし、今日連合政権という立場政策を遂行してまいります場合に、私どもはより現実的にそして国際的な諸状況に対応しながら考えてまいるのが国民に対する政治政策責任であると思います。
  166. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 これは非常に大切なことですから、民社党、ちょっと御意見を聞きたい、今の問題について。
  167. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 社会党さんの新宣言につきましては、それまでの綱領や「社会主義への道」を歴史的文書としておられる、そしてマルクス・レーニン主義との決別を目指したものであるというふうに承知いたしております。  また、土井提言につきましてでありますが、この土井提言は、社会党連合政権づくりに向けてその基本政策現実路線への転換を目指しての努力過程のものであるというふうに考えております。
  168. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 いやちょっと勝木さん、そこでそのままにしていて。  自衛隊の問題、自衛隊。自衛隊についての容認をしておられる、安保の容認をしておられる、その点について。
  169. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 私どもは、自衛隊の問題、また安保の問題についても、これを将来とも堅持していくべきであるというふうに考えております。
  170. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 土井さんが参議院選挙が終わった七月の二十三日――土井さん聞いておいてください、土井さん聞いておいて。七月二十三日、それは残念ながら自民党は過半数を割ってしまった。 それで社会党は伸びましたよ、確かに。そのときに、土井さんがこういうことを言っているのをあなたは覚えておられるでしょうか。山が動いた、日本政治に新しい現実が生まれたと、こうおっしゃっている。言葉としてはなかなかニュアンスのいいユニークな発言ですよ。  しかし、これに対して痛烈な批判がある。これは評論家だ。私が言ってるんじゃない。名前は今出さない。この評論家が、土井さんの提言は――提言というのは今の話ですよ、山が動いたの話。党の綱領に反するばかりか、土井ビジョンは党史と社会主義者の良心ほ対する裏切りである。軍隊を保有することに反対し、外国の軍隊に自国を守ることを拒否し続けてきた社会党こそ足下、足元が揺らぎ動いたということが言えるのではなかろうか、こういうことを言っているんです。いかがですか。――いや、ちょっと待ってください、そういうふうなことを、昨年の党大会では自衛隊は明らかに憲法に違反すると言いながら、一年たって連合政権を目指すという立場からこういうことをおっしゃるというのは、私は社会党の体質を疑うし、これは変質だと私は思う、変節だと思う。そんなような私は印象を持っているんですけれども、ですから税制においてもころころ変わった今までの経緯を見ると、何か非常に頼りなくてしようがないんだな。  それについては総括的にどう思いますか、そちらの方の公明党のお立場からちょっと聞いてみましょうか。
  171. 太田淳夫

    委員以外の議員(太田淳夫君) ただいまいろいろとお話がございました土井提言、ビジョンにつきましては、土井委員長がおっしゃっておりますように、「私の考えを具体化した問題の提起であり、結論ではございません。」「より多くの国民のみなさんの討議を経て、より豊かな、そして具体的な政策として完成させていきたい」、こうおっしゃっております。私どもとしましては、今後さらにこの問題が具体化されることを期待いたしております。  また、連合政権の協議につきましても、去る十一月六日に連合政権協議が行われました。連合政権の基本的な政策の合意を目指して従来の協議の上にさらに真剣に努力をしていく、重ねていく、こういうことでございます。そのことが改めて確認されております。  また、今回の我々のこの消費税廃止提案でございますが、これは、さきの参議院選挙の結果を受けまして、国民が強く求めておりますところの消費税廃止について、また税制改革を実現しようとして私たちは共同して今やっているわけでございます。こうした国民期待にこたえますところの政策課題野党間の結束というのは、政権協議とはこれは直結するものではないと、このように認識をいたしております。  以上です。
  172. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 私は連合政権構想と税制改革基本法案との関連において取り上げていきたいと思っているんですが、その前に土井さんが、フランスのミッテラン政権を見よ、社会党が政権をとっているが、社会民主主義を標榜し自由主義社会をかち取って立派に果たしているじゃないか、社会党はこれを手本にすれば、ミッテランを手本にすれば政権を担当することは十分可能であると、こうおっしゃっている。それは、ミッテランは社会主義者であるけれども、確かに西欧社会の、西社会の一員としてサミットも主宰されたこともあるし、あるいはG7、G5にも加盟しておられることはそれはよくわかりますが、ミッテランが大統領になってから日本に来たことを記憶しておられますか。それは昭和五十七年、つまり一九八二年、彼が大統領になった翌年ですよ。彼が衆議院で演説している。おもしろいことを引用して――とにかく土井さんにこれ聞いてもらいますからね、このテレビを通じて。  「我々が共同でエネルギー創出のための計画を立てる必要があります。なぜならば我々両国とも」、両国というのはフランスと日本ね、「両国ともエネルギーが非常に不足しており、そのために新エネルギーの征服に向けて勇躍前進することが望ましいからであります。」と。これは明らかに原子力発電のことを言っておるわけで、なるほど彼が就任してから原子力発電がぐんとふえたことは御存じのとおり。それから「平和は世界における力の均衡に依存するというのが我々の見方であります。」、そうして、「私は、先の世界大戦の間、敵の占領を受けた国に生きています。私には、フランスを無防備にしておく権利は有りません。」と、こういうことで防衛力の増強をなさっていらっしやる。  土井さんは、これまでお手本になさるんでしょうね。
  173. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) まず最初に、ミッテラン氏が国会で演説をいたしました一節をお取り上げになりましたが、私の記憶に間違いがなければ、ミッテラン氏は演説の結びを、世界じゅうの武器庫を空にしよう、そしてこれを食糧の倉庫にしようと、こういうことを演説の結びとしたはずであります。私はその点においてミッテラン氏を大変尊敬をしているのであります。しかし、それぞれの国々において歴史的ないろいろな積み重ねがございますから、政策の一つ一つについては違いもあろうかと思います。  また、先ほど土井委員長発言を取り上げて御批判になりました。私は、尊敬する伊江先生がこのような場所において公党の党首の発言をとらえていろいろと御批判なさいますことは御自由だとしても、余り望ましいことではない、こう思っております。特に、山が動いたという表現を使いましたのは与謝野晶子さんの詩の一節でございまして、参議院選挙の結果を受けて日本政治が大きく変わろうとしている、このときに社会党が大変重い責任を感じながら謙虚に今頑張らなければいけないという意味のことを表現したのでありまして、私はそのことが批判されることではない、こう思っております。  また、今外交、防衛等の政策についても御議論がございましたが、社会党は民主的な討議を重ねつつ、綱領である新宣言に基づいて、今私どもが政権を担当する場合も十分念頭に入れながら政策についても真剣に努力をいたしておりまして、これらの努力が去る参議院選挙においても土井委員長を先頭にする日本社会党に対する大きな御支持をいただいたものだと考えております。私どもはそれに思い上がることなく、多くの国民皆さんと協力をしながら、今後の日本政治に対して責任を負うという立場土井委員長はこれまで再三にわたって発言をいたしておるのでありまして、十分な御理解をいただきたいと思います。
  174. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 やはり結局ミッテランさんのまね、手本にされるとおっしゃるけれども、今までの経過、事実をよく御存じの上での御発言ならば、それはやはり我々としてもこれからの連合政権をとられたときの土井さんがやっていかれるであろう税制についても非常に関心があるし、どういう政策でどういう基本的理念でやっていかれるかということに非常に関心があるがゆえに、そういったことを明らかにしたいというのが私の質問趣旨なんです。決して土井委員長を私は誹謗しているわけではないし、そういう立場は理解していただきたいと思う。  そこで、時間もなくなってきたので最後を詰めてまいりますけれども、結局、土井さんがやられようとしている政策は、ミッテランそのものの社会主義政策をまねていかれるという個々の問題ではなくて、社会主義社会へ移行していこうという立場からの政策をお持ちになっているんじゃなかろうかということであるならば、民社党、公明党それから連合皆さんの個々の御意見を、そういう道を一緒に歩いていくんだということになるんでしょうかということをお聞きしたい。まず峯山さんから。
  175. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) いろいろと先ほどから御指摘もございました。これから連合政権協議をするわけでございますからいろんな問題が出てくるのは当然のことでございまして、先ほどから答弁があったとおりであります。  特に私どもは、先ほども申し上げましたように、綱領の中で日本国憲法を守るということをうたい込んだ唯一の政党でございますから、その憲法の原則というのは大事にしながらこれから取り組んでまいりたい、それで連合政権をがっちり進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  176. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 私の会派は連合参議院というふうに正確につけていただければ、連合とは違いますので、よろしくお願いします。  社会党土井提言につきましては、これは日本社会党がこれから目指す目標を示し、連合政権を目指した政策提案しているものというふうに私は承知しておりますし、またこの連合政権国民全体が期待しているものですから、私もそういう意味ではこの社会党の提言に非常に期待をしております。
  177. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 本会議でもお答え申し上げましたけれども、私ども連合政権は基本政策の一致が不可欠だというふうに考えております。  特に安保、自衛隊、対韓政策、原発の四つを重視していきたいというふうに思います。日米安保は西側の一員としての日本のあかしであり、これを堅持していかなければならないというふうに思います。また、自衛隊は合憲であり、独立国として不可欠の存在であります。韓国とは日韓基本条約を尊重し、友好親善を深めていかなければなりません。原子力発電は既に我が国の電力供給源の第一位を占め、石油にかわるエネルギー源として重要であります。同時にまた、安全性に十分配慮しながら推進していく必要があるというふうに考えます。  私どもとしては、いずれにいたしましてもこうした立場を踏まえつつ、今後とも基本政策の一致を目指して連合政権協議を進めていくものであります。また、それぞれ各党の独自性を尊重しつつ、他方連合政権下の政策ではその完全な一致を目指して今協議中でありますので、私ども国民が安心できて国際的にも通用する政権交代のため全力を傾注したいというふうに思います。
  178. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 わかりました。  結局、社会主義政権を目指していかれる社会党ではあるけれども連合を組んでいくと。しかし、お互いの立脚点の基本政策というのはこれは自分で保持していくんだと、私はこういう御意見だというふうに承っておきます。  ところで、先ほど申し上げましたように、この連合政権が目指す税制改革、それは二年後の協議会でおつくりになるというのはそれはそれとして承りましたけれども、その税制改革基本法案なるものを拝見しますと、抽象的で全然中身がないんですよ。だから、税というのを一体どういうふうに考えているんだろうというふうに私は疑う。  そもそも税というのは具体的に一体どういう税金なのか、どういうように直して幾ら課税するのか、減税なのか増税なのか、その負担をだれがするのか、これを税負担者の国民に知らせるというのが税制の法定主義なんです。もっとも見えないじゃないですか。これは私は指摘することにとどめておきますけれども。なお、この後はいろいろと我が党の同僚議員が具体的に税制問題で詰めてまいりますから、同僚議員にお任せしたいと思う。  一応その辺のところで、私は最後に、きょうは厚生大臣おいでいただきましたので高齢化社会の問題について若干の御質問をしたいし、それからまた大蔵大臣にもその点関連してお聞き申し上げたいと思う。  国民所得に対する租税負担率と社会保障負担率、この二つを合計したのが御承知のとおりいわゆる国民負担率でありますが、平成元年度で租税負担率が二七・三%、社会保障負担率が一一・五%の合計三八・八%になっております。この数字はあいまいではありませんね。
  179. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 委員が述べられたとおりであります。
  180. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 臨調答申、これはちょっと古いんですが、五十八年の三月ですが、その臨調答申によりますと、国民負担率は現在のヨーロッパ諸国の水準、これは今五〇%程度だそうでありますけれども、これをかなり低いところにとどめることが我が国としては必要であると、こういうふうに言っているんです。しかしながら、今高齢化社会に向かってどんどん歩んでまいるこの年に当たって、年々この率が上がってまいっております。五〇%に到達するのも間もないことだろうと言われております。そう遠いことではないと言われておる。どういう見通しに立っておられるんでしょうか。まず租税負担率それから社会保障負担率の長期的な見通しを、厚生大臣それから大蔵大臣の順序でお答え願いたい。
  181. 戸井田三郎

    国務大臣戸井田三郎君) 社会保障の負担の将来推計につきましては、昨年三月に国会に提出した「二十一世紀初頭における高齢化状況等及び社会保障の給付と負担の展望」についてお示しをしたところであります。  社会保障給付については、社会保障負担と国庫負担によって賄われておりますけれども社会保険料である社会保障負担につきましては、昭和六十三年度約三十二兆円、平成十二年度六十五から七十五兆円程度に見込んでおります。平成二十二年度では百二十五兆から百五十五兆程度に見込んでおります。  そして、さらにこれを年金と医療に分けて申し上げますれば、年金についての負担は昭和六十三年度で約十八兆円、そして平成十二年度三十五兆から四十五兆程度と、約八%程度に見ております。平成二十二年度では七十から九十五兆程度で一〇・五%程度の見込みをいたしております。  また、医療についての負担は、昭和六十三年度で約十四兆円、四・八%であります。平成十二年度では三十兆程度を見込んでおります。平成二十二年度では五十五兆から六十兆程度を見込んでおるところであります。
  182. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今厚生大臣から社会保障関係の数字についてお述べになりましたわけでありますが、その間の国民所得の伸び、例えば、昭和で申し上げてはいけませんね、二〇一〇年を考えてみますと、国民所得の伸びは大体六百八十兆円程度から九百四十兆円程度と推計をされております。そして国庫負担ベースで申し上げますならば、六十三年度が約十二兆円でありまして、国民所得比四・一%ぐらいでありましたけれども、二〇一〇年を考えてみますと大体四十五兆円程度から五十五兆円程度、六%から七%程度の数字になります。  ただ、ここで委員に申し上げたいことは、これは現在の仕組みをそのまま単純に延長していくわけでありますから、我々としては、臨調の答申でもかつてうたわれましたように、現在のヨーロッパの水準、その水準よりはできるだけ低いところで抑えるべく極力努力をしてまいりたいと思います。
  183. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 これは私が申し上げるまでもなく、今日本は長寿社会長寿国でありまして、厚生大臣、縦長大家族というのを御存じですか。
  184. 戸井田三郎

    国務大臣戸井田三郎君) 初めて聞きましたけれども、多世代の人が同居しているということだと、そういうことでございます。
  185. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 これは通告いたさない突然の御質問ですけれども、答えは正解でございました。それはどういうことかと申しますと、おじいさん、おばあさん、おやじ、おふくろ、自分ら夫婦、子供夫婦、孫、これを縦長社会、縦長の大家族主義と言うんだそうです。今日本はそれに近づいている。つまり、同居が必要だ、同居家族が多くなってくる、こういう状態でこれからいろいろと住居問題やら生活問題が出てくるわけです。  その前に、二十一世紀に向かって一体何人で何人の老人を支えるんだという、いわゆる労働生産人口に対する高齢者人口の割合の問題がいつも問題になるんですが、これはどういうふうに把握していらっしゃいますか。これは厚生省に伺いたいと思います。
  186. 加藤栄一

    政府委員(加藤栄一君) お答えいたします。  今後、高齢化我が国では非常に進むわけでございますが、六十五歳以上人口とそれから二十歳から六十四歳までの人口を比較してみますと、老人一人当たりの生産年齢人口の割合は昭和六十年で申しますと五・九人でございます。それから平成二年でございますと五・一人となります。さらに二〇〇〇年でございますが、平成十二年に当たりますが、三・七人、平成二十二年で二・八人、平成三十二年で二・三人ということになりまして、いわば生産年齢人口、すなわち働く世代二・三人で老人一人に対応していくということでございます。
  187. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 私は、今政府委員から答弁がありましたように、だんだん支えていくべき若い人たちの数が少なくなって老人がふえていくという状況だと思うのであります。そうしますと、結局これからの高齢化社会の問題というのは、ごくごく簡単に縮めて言うならば、高齢者を何人で支えていくかという今の問題と、高齢者自身の経済生活を一体どうやって確保していくか、この二つの問題に私は問題が絞られてくるだろうと思うんです。  そこで、この間労働省で調べられた退職後天婦二人で豊かに暮らすための金額という試算があるんです。これによりますと、中身は厚生大臣も御承知だから披露いたしませんけれども、厚生大臣、要するに結論は年金に比重を置いた生活が主体になる、こういうことだと思うんですよ。ところが、今伺ってみますと、支える人が少なくなって支えられる人が多くなってくると年金負担も、先ほどの御説明のとおり社会保障負担も多くなってくる。一体これをどうするのかという問題が出てくる。そうなりますと、いよいよここで高齢化社会に対する対処の仕方として、私は、保障をどうやってみんなが分け合って持っていくのか、あるいはアメリカのように自助努力という方法を重視するのか、あるいは公費の負担を多くするのか、あるいは両方なのか、あるいはいずれかに肩がわりするのかという問題が出てくると思うんです。それについて、厚生大臣はどう思われますか。
  188. 戸井田三郎

    国務大臣戸井田三郎君) 我が国にふさわしい社会保障というのは、やはり社会保障のあり方として、基礎的なニーズには公の立場で施設等その他賄っていかなければいけませんけれども、ますます多様化してくるニーズに従ってそれぞれ民間でそういうような対応をしていかなければならない部分もあると思います。しかし、二十一世紀の本格的な高齢化を迎えまして、やはり高福祉高負担の欧州型と自助努力を中心にしたアメリカ型、それぞれの長所を念頭に置いて計画を立てていきたい、かように思っているわけであります。  したがって、さきにいわゆる福祉ビジョンというものを政府でも示しましたけれども、自助努力の精神と社会連帯の考え方に立って、基礎的なニーズには公的な施設、そして多様化したニーズには民間という、そういう両立をした方針でいきたい、かように思っております。
  189. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 将来の社会保障の負担のあり方の問題について、まず野党の御意見を承っておきましょうか。どうですか、公明党から。
  190. 峯山昭範

    委員以外の議員(峯山昭範君) これはいろんな問題がありますけれども、いろんなことをおっしゃいましたが、まず一は、伊江先生今いろいろおっしゃっている問題は、高齢化社会がやってくる、だから消費税を正当化しよう、質問の御趣旨はそこに結論を持っていこうとしていらっしゃるのであろう、そうだろうと私は思うんですね。そういうような点から考えますと、高齢化社会がやってくるという問題は確かにそのとおりかもしれませんが、実際は、橋本大蔵大臣がお見えになっておりますが、この間から新聞等にたくさん報道しております、宣伝を出しております。何人で何人を支えるという新聞ですね。これはやっぱり抜本的に間違いがある。生産人口、いわゆる二十歳から六十四歳までの人数とそれから六十五歳以上の老齢人数を単純に算術的に足しているだけでございまして、実際問題の労働人口とか若年者の問題とか、いろんな問題を考えますと、単純にそう割り切れる問題ではないという問題が一つです。  それからもう一つは、消費税を導入して本当に高齢化社会のために役に立つのか、これは実際問題として私どもも随分いろんな角度から検討いたしました。平年度で五兆九千四百億というこの財源が、実際問題として、消費税は個別物品税とかそういうようなものを廃止して導入したわけですから、竹下総理もおっしゃっておりますように、純粋の消費税導入によるプラス分というのは約二兆円ぐらいしかないわけですね。しかも、それに関連をいたしまして、今度の自民党さんの見直しを引きますと、もう一兆円もない。そうしますと、その一兆円で本当に老齢化社会の対応ができるかというととても無理である、そういうふうに私は思うんです。  そういうふうにいたしますと、実際問題として、老齢化社会の問題についてはとてもそんなもので役に立つ問題ではない。これからの税制改革というのは、これはもう伊江さんお考えのように、やはり拙速であった、だから私は、もう一回この問題については皆さんと一緒に国民税制改革協議会でゆっくり相談をして、それでばっちりした税制改革をやりたい。先ほど厚生省の方からもお話がございましたが、政府が出しております給付費の問題、国民負担の問題等につきましては、後で大蔵大臣からもお話しございましたように、あくまでもこれは数字を四・四%や五・五%で伸びるとして算術的に計算したものであって、実際にどうなるかという問題ではなくて、やはり我々は実際に国民の負担がどうなるかということをいろんな角度から検討して、ばっちりした福祉トータルプラン、福祉計画を立てないといけない、こういうふうに考えているわけであります。
  191. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 笹野さん、今の問題。
  192. 笹野貞子

    委員以外の議員(笹野貞子君) 高齢化社会に対するこれからのことのお尋ねですけれども政府は六十三年三月の十日に「二十一世紀初頭における高齢化状況等及び社会保障の給付と負担の展望」という文書を発表しております。しかし、これは高齢化社会の構想についての政策展望をしたもので、現行制度を前提としたものですから機械的な試算にすぎないものだというふうに私は思っております。しかも、消費税を導入せんがための数字だけのひとり歩きということで、今の何人に一人とかそういうことに対しては、消費税という問題、私は認識を間違った考え方に持っていくのではないかという、その計算の仕方に対しては私は非常に不安に思っております。  そして、その後政府は六十三年の十月二十五日、今度は「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」というものを発表いたしました。しかし、これは従来の政策の枠を出たものではなく、年金や医療保険については私たちの要望にこたえたものとはなっていないというふうに思います。また、国民が実感として了解できる具体性のあるビジョンとは言えないのじゃないかというふうに私は思っております。  国家というのは、国民に約束する福祉総合ビジョンというものを確立することが当然の任務ですし、またこれに向けて民主的な手続に基づく議論を広く行うことが大切です。二十一世紀に向けた社会保障の総合計画を策定し、国民の合意の形成に努める必要があってこそ政府の最もな責任であるというふうに思います。そういう点では、今度の見直しということについて政府はどのような総合ビジョンを持って福祉社会に対応するのか、その政府の考え方を早く知りたいというふうに私は思っています。
  193. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 民社党。
  194. 勝木健司

    委員以外の議員(勝木健司君) 高齢化社会が進行していく中では、年金、医療、福祉などを保障していくための国民の負担は避けられないというふうに思います。    〔理事井上吉夫君退席、委員長着席〕 そういうことで、国民に負担増を求めるためには何よりもそのための手順が必要じゃないかというふうに考えておりまして、国民からお預かりしております税金、これをむだなく効率的に使ってい くためにはやはり行政改革を徹底して実行すること、そのための行革ビジョンというものを国民に示すことが必要じゃないかというふうに思っております。  そういった意味では、私ども四会派はそのビジョンを策定することは国の責務であるということで、税制改革基本法案第三条に規定しているところであります。  また、高齢化社会を支える負担というものを自助努力でいくのか、すなわち個人負担に求めるのか、あるいは補助金すなわち国民の税金に求めるのかというお尋ねでありますけれども、これを明らかにするために必要なのがやはり私たちは福祉ビジョンの策定じゃないかというふうに思っております。国が公費によってどれだけの福祉サービスを提供するのか、あるいは家庭や個人の自助努力というものはどの程度必要なのか、地域社会やボランティアに支えていただく分野はどんな分野なのか、こうしたビジョンを策定することが必要だというふうに考えておりまして、国民税制改革協議会などでの税制の協議に当たり、私ども四会派は福祉ビジョンを策定するように税制改革基本法案第三条に規定しておるところでございます。
  195. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 今ずっと伺っていますと、特に笹野さんの御意見などはこれはもう政府がビジョンをつくるべきだ、政府がそういったものをやるべきだとおっしゃるけれども、あなた方連合政権をおつくりになるというんでしょう。あなた方がつくらなきゃだめじゃないですか、まず案をつくらなきゃだめじゃないですか。  いいです、答えは要りません。  そこで、私はこれからの社会保障問題は、公的年金を初めとして各種の年金がございますけれども、こうやって負担が多くなってくると、いずれは各種の年金制度、社会保障制度というものが、長期の見通しから見ても、制度間の費用の相互援助というものがどうしても必要になってくる、助け合いというものがどうしても必要になってくる。昭和七十年の公的年金の統合というのを目標にしているぐらいに漸々そういうふうになってくると思う。みんなが負担し合うということになってくると思う。こういう認識についてはどうでしょうか、厚生大臣
  196. 戸井田三郎

    国務大臣戸井田三郎君) 高齢化社会を迎えるに当たって、将来の所得保障を安定的に供給しようとすれば、どうしてもそれぞれの小さなグループで、将来の特に非常に高い水準の所得を上げるようになった日本国民一人一人の生活水準の高い中でそれに見合った保障をしていこうとすれば、やはり底辺の、幅広い底辺のグループが寄って国民全体でそれを支えていこうという仕組みに移行していくべきが当然だろうと思います。
  197. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 時間が来ましたので、最後にちょっと私は要望も含めて、また野党発議者皆さんにも伺いたいことがあるんです。  それは、平成二年度から鉄道共済年金の財政がパンクしてしまうんです。年に三千億という財源をお手当ていただかなければ、助け合いをいただかなければとてもじゃないけれどももう過ごしていけない、こういう問題があることは御承知のとおりだと思います。  今衆議院で御審議を願っております厚生年金制度の改正を含む年金問題、鉄道共済年金の改正法律案もこれに含まれてはおりますけれども、これを通してくださいと私言っている。そういう次元の小さい問題じゃなくて、将来助け合いをしなきゃならぬ一つのパターンとしてこの問題を処理していただかなきゃならぬと思うのであります。したがいまして、これらの年金関係法案を、野党皆さんにもお願いするんだけれども、ぜひ早く成立させて将来の社会保障のあり方の一つのパターン、テストケース、これを早く実現していただくようにお願いしたいと思うんですが、これは大蔵大臣が御所管でいらっしゃいますから、まず鉄道共済年金問題に限っての御所管である大蔵大臣に御答弁願い、それから全体の問題としての政府の年金担当大臣としての厚生大臣にお伺いしたい。
  198. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 鉄道共済の問題につきましては、今委員が御指摘になっておりますように、鉄道共済そのものの自助努力などで千五百五十億円、また公的年金一元化の地ならしとして被用者年金制度間の負担調整により千四百五十億円、この両者を合算した三千億円で明年以降発生する赤字に対応しようとしているわけでありまして、既に国会にも法案の審議をお願い申し上げております。  私どもは、鉄道共済年金の対策としては、まず鉄道共済自体の最大限の自助努力が必要であると考えておりますが、同時に、制度間調整措置というものは平成七年の公的年金一元化に向けてのいわば地ならしとして行われるものでありまして、いずれにいたしましても、年金関係の各法律案が一日も早く御審議を終了し成立することを祈っております。
  199. 戸井田三郎

    国務大臣戸井田三郎君) 先ほど委員が、基本的な考え方として年金というものは産業構造やあるいは就業構造、そういったものの変化に耐え得るものにしていくべきではないかという意味の御質問があったんだろうと思います。そのために昭和五十九年には閣議決定で、今大蔵大臣が申しましたように、平成七年を目途に公的年金全体の一元化を図ることを決定いたしたわけであります。この決定を受けて、昭和六十年の制度改正において公的年金の一階部分について全国民共通の基礎年金制度が導入されて、給付と負担の両面について一元化が完成したところであります。また、二階部分に当たる被用者年金につきましては、同じ六十年の制度改正によって将来に向けての給付面での整合化が図られて、一元化に向けてのあと残された課題が被用者年金制度間の負担面での公平を図る、こういうことになっております。  その国鉄の問題につきましては、今大蔵大臣が言われましたように、そういう一元化の構想の一環として、地ならしとして実施をしていきたい、そういう意味で非常に大事な問題でありますので、この国会には提案しておりますので、ぜひ皆様方の御審議と御協力をいただいて成立させていただきたい、かように思っておる次第であります。
  200. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 発議者を代表して、社会党久保さんからひとつ。
  201. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 鉄道共済年金の問題は、年金制度全体の問題でもございますが、国は三千億の赤字のうち八百億しか負担をいたしておりませんので、さらにこの負担をふやすべきであると思っております。特にこの国鉄年金の受給者自身の責任に属せず、今日年金問題で非常に困難を生じさせていることは問題でございまして、給付に支障を来さないよう努力をすべきものと考えております。
  202. 伊江朝雄

    伊江朝雄君 最後に要望ですが、とにかく公的年金制度というこの社会保険、これが支払いができないというふうなもし仮にそういう状況になった場合には、将来の日本の年金制度に対する国民の不信感が非常に出てくる。これから国民皆保険の時代になってきたら、ますますそのウエートは大きくなってくる。したがって、再度申しますけれども、やはり各年金制度あるいは社会保障制度のお互いの助け合い、援助、これが絶対に必要であるということを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  203. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 九案に対する本日の質疑はこの程度といたします。  次回の委員会は明十五日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十三分散会