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1989-12-13 第116回国会 参議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十二月十三日(水曜日)    午前十時五分開会     ─────────────    委員異動  十一月三十日     辞任         補欠選任      野村 五男君     尾辻 秀久君      三上 隆雄君     福間 知之君      喜屋武眞榮君     下村  泰君  十二月五日     辞任         補欠選任      清水嘉与子君     山本 富雄君  十二月六日     辞任         補欠選任      山本 富雄君     清水嘉与子君  十二月十二日     辞任         補欠選任      喜岡  淳君     角田 義一君  十二月十三日     辞任         補欠選任      西田 吉宏君     野村 五男君      沓掛 哲男君     鹿熊 安正君      鎌田 要人君     石川  弘君      角田 義一君     喜岡  淳君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         千葉 景子君     理 事                 大島 友治君                 鈴木 貞敏君                 守住 有信君                 一井 淳治君                 及川 一夫君                 刈田 貞子君     委 員                 石川  弘君                 尾辻 秀久君                 岡野  裕君                 狩野 明男君                 鹿熊 安正君                 鎌田 要人君                 沓掛 哲男君                 木暮 山人君                 清水嘉与子君                 陣内 孝雄君                 鈴木 省吾君                 野村 五男君                 福田 宏一君                 会田 長栄君                 大渕 絹子君                 菅野  壽君                 喜岡  淳君                 種田  誠君                 角田 義一君                 福間 知之君                 木庭健太郎君                 諫山  博君                 沓脱タケ子君                 高井 和伸君                 山田  勇君                 下村  泰君    国務大臣        内閣総理大臣   海部 俊樹君        法 務 大 臣  後藤 正夫君        大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君        文 部 大 臣  石橋 一弥君        厚 生 大 臣  戸井田三郎君        労 働 大 臣  福島 譲二君        建 設 大 臣  原田昇左右君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 森山 眞弓君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  水野  清君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  志賀  節君         ─────        会計検査院長   中村  清君         ─────    政府委員        内閣官房内閣内        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房内政審議室        長        公文  宏君        内閣法制局第一        部長       大森 政輔君        人事院総裁    内海  倫君        人事院事務総局        管理局長     菅野  雄君        人事院事務総局        職員局長     大城 二郎君        内閣総理大臣官        房審議官     文田 久雄君        内閣総理大臣官        房管理室長    櫻井  溥君        警察庁長官    金澤 昭雄君        警察庁長官官房        長        浅野信二郎君        警察庁警務局長  仁平 圀雄君        警察庁刑事局保        安部長      森廣 英一君        皇室経済主管   永岡 祿朗君        総務庁人事局長  勝又 博明君        総務庁行政管理        局長       百崎  英君        総務庁行政監察        局長       鈴木 昭雄君        防衛庁経理局長  藤井 一夫君        防衛施設庁総務        部長       吉住 愼吾君        経済企画庁調整        局長       勝村 坦郎君        経済企画庁国民        生活局長     末木凰太郎君        科学技術庁長官        官房審議官    石田 寛人君        環境庁長官官房        長        渡辺  修君        環境庁自然保護        局長       山内 豊徳君        国土庁長官官房        水資源部長    苗村 滋克君        法務大臣官房長  井嶋 一友君        法務省人権擁護        局長       高橋 欣一君        外務省アジア局        長        谷野作太郎君        外務省北米局長  有馬 龍夫君        外務省欧亜局長  都甲 岳洋君        外務省経済協力        局長       松浦晃一郎君        外務省国際連合        局長       遠藤  實君        大蔵大臣官房審        議官       石坂 匡身君        大蔵大臣官房審        議官       松野 允彦君        大蔵省主計局次        長        小村  武君        大蔵省理財局次        長        松田 篤之君        大蔵省国際金融        局長       千野 忠男君        文部省初等中等        教育局長     菱村 幸彦君        文部省学術国際        局長       川村 恒明君        厚生大臣官房総        務審議官     加藤 栄一君        厚生省生活衛生        局長       目黒 克己君        厚生省社会局長  長尾 立子君        農林水産大臣官        房長       鶴岡 俊彦君        農林水産省経済        局長       塩飽 二郎君        通商産業大臣官        房審議官     庄野 敏臣君        通商産業大臣官        房審議官     横田 捷宏君        通商産業省通商        政策局次長    堤  富男君        通商産業省立地        公害局長     岡松壯三郎君        中小企業庁長官  見学 信敬君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        総括審議官    大塚 秀夫君        運輸省国際運        輸・観光局長   官本 春樹君        郵政省通信政策        局長       中村 泰三君        労働大臣官房長  若林 之矩君        労働省労政局長  岡部 晃三君        労働省労働基準        局長       野崎 和昭君        労働省職業安定        局高齢障害者        対策部長     七瀬 時雄君        建設大臣官房審        議官        兼内閣審議官   白兼 保彦君        建設省建設経済        局長       望月 薫雄君        建設省河川局長  近藤  徹君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 堯躬君    説明員        外務大臣官房審        議官       時野谷 敦君        会計検査院事務        総局次長     三原 英孝君        会計検査院事務        総局第一局長   疋田 周朗君        会計検査院事務        総局第二局長   澤井  泰君        会計検査院事務        総局第三局長   川崎 恒夫君        会計検査院事務        総局第五局長   安部  彪君     ─────────────   本日の会議に付した案件昭和六十一年度一般会計歳入歳出決算昭和六十一年度特別会計歳入歳出決算昭和六十一年度国税収納金整理資金受払計算書昭和六十一年度政府関係機関決算書(第百十二回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十一年度国有財産増減及び現在額総計算書(第百十二回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十一年度国有財産無償貸付状況計算書(第百十二回国会内閣提出)(継続案件) ○継続審査及び継続調査要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 千葉景子

    委員長千葉景子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月三十日、喜屋武眞榮君、三上隆雄君及び野村五男君が委員辞任され、その補欠として下村泰君、福間知之君及び尾辻秀久君が選任されました。  また、昨日、喜岡淳君が委員辞任され、その補欠として角田義一君が選任されました。     ─────────────
  3. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 昭和六十一年度決算外二件を議題といたします。  本日は、総括的質疑ですので、午前中は各省大臣に対し、午後は内閣総理大臣及び各省大臣に対して質疑を行います。  質疑に先立ちまして、昭和六十年度決算における警告決議に対し、その後内閣のとった措置につきまして、大蔵大臣から説明を聴取いたします。橋本大蔵大臣
  4. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 昭和六十年度決算に関する参議院審議議決について講じました措置概要を申し上げます。  政府は、従来から、決算に関する国会審議議決会計検査院指摘等にかんがみ、国費の効率的使用事務事業運営適正化不当経理発生防止等に特に留意してまいったところであります。  昭和六十年度決算に関する参議院審議議決について、各省各庁において講じております措置を取りまとめ、その概要を御説明申し上げます。  公務員等綱紀粛正につきましては、従来から閣議決定等により注意を喚起してきたところでありますが、今回の事態にかんがみ、関係省庁において厳正かつ適正な業務の見直し、関係法人に対する指導等を実施するとともに、昭和六十三年十二月十六日、官庁綱紀粛正について改めて閣議決定を行ったところであります。  今後とも、綱紀粛正を厳格に行い、不祥事再発防止に万全を期してまいる所存であります。  今回の東京都心部に端を発した地価高騰に対しましては、国土利用計画法による監視区域制度機動的運用不動産業金融機関等に対する指導継続土地税制改善等施策を講じてきたところであります。  今後とも引き続き、政府一体となりまして、昭和六十三年六月二十八日に閣議決定した総合土地対策要綱に基づき、監視区域制度機動的運用、諸機能の地方分散住宅宅地供給促進等各般施策推進してまいる所存であります。  また、土地対策を強力に推進するためには、土地公共性を明確化し、土地についての共通の国民意識を確立することが必要であり、このため、さきの通常国会土地基本法案を提出し、その早期成立をお願いいたしているところであります。本法案成立後は、本法に示されました基本理念施策展開方向に基づき、土地利用計画土地取引規制土地税制等総合的な土地対策推進に取り組んでまいる所存であります。  決算審査に対する政府対応につきましては、その重要性にかんがみ十分に留意してきたところでありますが、今後とも最大限の努力をしてまいる所存であります。
  5. 千葉景子

    委員長千葉景子君) それでは、これより総括的質疑のうち各省大臣に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 角田義一

    角田義一君 文部大臣文教行政についてお尋ね申し上げます。  平成元年の十月に発行されました文部省の「児童生徒問題行動等の実態と文部省施策について」という文書によりますと、登校拒否児童生徒状況は、昭和六十一年度で、小中、三万三千九百四十六人、昭和六十二年度三万七千九百三十三人、昭和六十三年度は四万二千二百六十三人ということで、過去三年間毎年四千名ないし五千名の児童がいわば登校拒否をやっておるということでございまして、大変深刻な事態だというふうに私ども認識いたしておるわけであります。  こういう登校拒否児童年間四千人から五千人ずつふえていくということについて、何か私はやはり学校運営に関する文部行政について根本的に見直す点があるのではないかというふうに考えるのでございますが、大臣所信を承りたいと存じます。
  7. 石橋一弥

    国務大臣石橋一弥君) お答えいたします。  文部省調査によりますと、ただいま委員指摘のように、残念ながら漸増いたしております。  そこで、登校拒否の問題、原因背景、そうしたものは学校、家庭、社会、それぞれの要因が複雑に絡み合っているものと思います。御指摘のとおり、学校問題そのものも重要なものと考えております。今後とも、学校における学習指導充実生徒指導充実等に努めてまいる所存であります。  なお、この登校拒否というのをどのような日数で区切るかといいますと、一応、学校嫌い理由として年間五十日以上休んだ子供らが登校拒否と いうことになっております。  いずれにいたしましても、今申し上げたような諸原因あるいは背景がございますので、学校における学習指導充実生徒指導充実等に一生懸命にやってまいりたいと思います。
  8. 角田義一

    角田義一君 大臣お話しのとおり、いろいろ原因はあるのでございますけれども、やはり学校生活に起因する型というのがふえておるというふうには言われております。それから、登校拒否を考える会に属する東京シューレというところにある、子供たちみずからが登校拒否理由調査した報告等を見ますると、学校の零囲気であるとか、あるいはいじめであるとか、あるいは先生などに問題がある、そして学校に対し、ロボット集団であるとか、あるいは軍隊のようだというような、こういう認識を持っておる登校拒否子供たちが多いように調査では出ております。  今問われておるのは、大臣学校運営そのものについていろいろお考えを持っておると思うのでございますが、やや管理的な、子供管理の対象とするというような管理主義的な傾向がやはり強いのではないかと私は思っておるわけであります。もっと子供人権を尊重するというか、子供権利主体として生きていける、そういう基本的な立場に立って、学校運営を根本的に転換しなきゃならぬ、発想を転換することが必要じゃないかというふうに思うのでございますが、大臣の御所信を承りたいと思います。
  9. 石橋一弥

    国務大臣石橋一弥君) 子供管理する、しないという問題、これも大変いろいろ議論が生まれるところであろうと思います。また、では人格尊重、とにかく小学校、中学校子供たちのことでありますから、自由という立場の中で奔放というところまでいきますと、果たしていかがか。いろんな問題がそこに生まれてくると思います。  要は、学校先生方が本当に子供たちを愛する、本当に子供たちをかわいがってやるんだという基本的な観念、それから出発して学校運営、そしてまた学習指導あるいは生徒指導、これをやるところに基本問題があるであろう、こう認識をいたしております。
  10. 角田義一

    角田義一君 文部省に過去三年間の小中学生の自殺者の数を調べていただきましたら、昭和六十一年に小中合わせて百二十四名、六十二年には五十九名、六十三年には七十二名という形で、大変な私は悲劇だなと胸の痛む思いをするわけであります。こういう状況を見ますると、まことに今の教育状況というのは深刻な状態があるわけでありまして、私は先ほどから何回も言っておるのでありますが、学校運営に対する発想の転換を根本的にこれは変えていかなきゃいかぬじゃないか。  特に、ことしの秋の十一月二十日に国連で、日本も賛成しておりますけれども子供権利条約というものが満場一致で採択をされております、御案内と思いますけれども。その中には、先ほど私が申し上げましたとおり、子供権利主体としていろいろな権利を認めていく中で学校運営なり教育をやっていくということが述べられておるわけであります。こういう考え方は今日の日本ではまだ余りなじみがないようにも思いますが、しかし世界の常識になっておるわけでありまして、私は今後の学校運営等についてこの権利条約の精神というものは生かされていかなきゃいかぬというふうに思っておるのでございます。  大臣のこの権利条約に対する所信なりを承り、そして外務省については、この批准の手続を一体どう今後お進めになるのかお尋ねをしたいと思います。
  11. 石橋一弥

    国務大臣石橋一弥君) 子供権利条約を承知いたしております。先般国連総会採択されておりますが、その対応につきましては、関係省庁とも十分連携をとりながら今後十分に検討してまいりたいと考えております。
  12. 遠藤實

    政府委員遠藤實君) 御指摘児童権利に関します条約につきましては、先般の国連総会採択に際しまして、我が国としてもこの条約の趣旨に賛成であるという見地からこのコンセンサス採択に加わったわけでございます。今後、我が国国内法との整合性等を勘案いたしまして、関係省庁と協議の上でこの検討を行っていくという所存でございます。
  13. 角田義一

    角田義一君 外務省にもう一度お尋ねしますけれども、これからの手順はどういうふうになって、いつごろ批准をしていきたいという希望を持っておられますか。
  14. 遠藤實

    政府委員遠藤實君) この条約の中に、署名に開放された上批准する方法あるいは加入方式をとると二つ明示してございますが、そのうちいずれをとるかということはもちろんまだ決まっておりません。いずれにいたしましても、署名のためのテキストができましたところで、我が国としてはいろいろ国内法制上の観点その他を考慮いたしまして、できるだけ検討を急ぎたいと考えてはおりますけれども、どの辺で時期的にどうなるかというお尋ねにつきましては、現在確たるお答えをちょっといたしかねる状況でございます。
  15. 角田義一

    角田義一君 なるべく速やかに国会の承認が得られるように御努力を願いたいというふうに思います。  時間の関係もございますので、次の問題に移りたいと思いますが、警察行政について若干お尋ねいたします。  今回、香川県警大阪府警におけるいわば犯歴データ漏えい事件がございまして、私どもまことに遺憾だと思っております。市民の警察に対する信頼感を著しくこれは傷つける重大な事案であるというふうに思っておるわけでありまして、以下二、三についてお尋ねをいたします。  警察庁のお調べによりますと、金融機関あるいは信販会社等へ再就職をした警察庁OBの方は現在十二名であるというお調べがあるようでございますが、都道府県段階でこういった関係機関会社に再就職をしておるOBについては今日調査がない、全く調査をしてないんだということでございますが、こういう状態だからこのような事案発生するのではないか。秘密保持についてもっと厳格な態度をとっておれば、当然こういうものに調査があってしかるべきだというふうに思いますけれども官房長お答えをいただきたいと思います。
  16. 仁平圀雄

    政府委員仁平圀雄君) このたびの不祥事案につきましては、私どもといたしましては、その原因というものは、主として情報管理体制とか関係警察職員秘密保持ということに問題があったのではないかと受けとめているところでございます。  また、警察OB都道府県関係就職状況の把握についてでございますが、各都道府県警察においては全く把握してないというわけではないわけでありまして、例えば警友会等OB組織が発行しております名簿等によりましておおよそのところは掌握しているところでございます。しかしながら、OBのすべてがこういった誓友会等組織に加盟しているわけではございませんし、また、就職に当たりまして組織があっせんする場合もございますが、本人が直接就職先を探してくるという場合もかなりあるわけであります。また、就職いたしましても途中で退職している場合もありまして、これを数的に掌握するということがなかなか難しい、また正確を期すことも困難であるというようなことで集計してないというだけのことでございます。  しかしながら、長寿社会を迎えまして、警察におきましてもOB就職問題というのは大変重要な問題だと心得ておるところでございまして、今後は、少なくとも警察組織といたしまして就職をあっせんしたようなものにつきましては可能な限りこれを把握していくように努めたいと思っておるところでございます。
  17. 角田義一

    角田義一君 私は誤解がないように申しておきますけれども警察官がどこに再就職をするかというのはこれはもう各人の自由でございますからどうのこうの言うつもりはないのであります。しかし、今回のような事案発生をいたしますると、今後の再発防止という観点からも秘密をどうしても厳格に保持しなきゃならぬということを考 えますと、これを契機にやはり警察庁といたしましてもそういう調査をきちっと押さえておく必要があるのではないか、こういうことでお尋ねをしておるのでございますが、いかがでございますか。
  18. 仁平圀雄

    政府委員仁平圀雄君) 御指摘のとおりでございまして、先ほどお答え申し上げましたように、今後は、少なくとも組織としてあっせんしたような関係につきましてはこれを掌握してまいりたい。そういった意味で、どういった報告を求めるか、様式等検討も行っておるところでございます。
  19. 角田義一

    角田義一君 今回の事案を見ておりますと、犯歴データに対する照会、それに対する回答、その場合のチェックシステムというものがほとんど存在をしていないのではないかというふうにすら私は感じざるを得ないわけであります。従前これらの問題についてどういうチェックシステムというものがあるのかないのか、それがあったとしても稼働してなかったのかどうなのか、この点についてひとつお答えいただきたいと思います。
  20. 浅野信二郎

    政府委員浅野信二郎君) お答えいたします。  ただいまお尋ねの件につきましては、私ども警察が保有しております情報照会回答につきましては、警察庁の通達また各都道府県警察が定める取扱要領等に基づきまして、照会受理状況の記録、出力資料の複写の禁止部外提供禁止、また端末機を操作する者の特定など、管理措置をとることによりまして厳格な運用を図るように努めてきたところでございます。  ただ、今回このような事案発生いたしまして、私どもとしてはまことに重大かつ深刻な事態であるというふうに考えております。そういうことから、一昨日改めまして、職員へのプライバシー保護の重要性の周知徹底と徹底的な情報管理業務の調査点検ということを指示する通達を各都道府県警察に対して出したところでございます。  なお、システム全般につきましても、現在鋭意これらの事案の事実関係の究明中でございます。その結果というものも前提にしながら、また調査点検の結果も参考にしながら、もう二度とこういうことがないようなシステム面からの改善ということにもぜひ努めてまいりたいというように考えております。
  21. 角田義一

    角田義一君 法務大臣に関連してお尋ね申し上げたいのでございますけれども、これは秘密を漏えいされた市民にとっては大変な人権侵害だと私は思います。法務省におかれましても、この事案というものを大変重大に受けとめていただきまして、職権でしかるべき調査をなされて、しかるべき警告をする必要があるならすべきでないかというふうに存じますけれども大臣所信を承りたいと思います。
  22. 後藤正夫

    国務大臣(後藤正夫君) お答えをいたします。  このたび、警察の保有しております犯歴等のデータが企業に漏えいいたしましたこの事件につきましては、プライバシーの保護、人権の擁護という見地から、それぞれの関係法務局におきまして情報の収集に目下努めているところでございます。今後遺憾なきように対処してまいりたいと考えております。
  23. 角田義一

    角田義一君 そうすると、大臣、いろいろ情報収集をして、それは結構でございますけれども、香川あるいは大阪府の問題が現に発生しておるわけでございますから、それらの問題についても法務省独自のお立場調査をするというお考えがあるのでございますか。
  24. 後藤正夫

    国務大臣(後藤正夫君) ただいまのお話のとおり、それぞれの法務局でそれぞれこの問題につきまして今調査をして対処することにしております。
  25. 角田義一

    角田義一君 警察庁にもう一遍お尋ねしますけれども、この事実関係については鋭意調べておられると思いますが、今どういう状況にございますか。あるいはいつごろまでに一応の結論というか、一つのけじめをつけたいというお考えでございますか。
  26. 浅野信二郎

    政府委員浅野信二郎君) できるだけ早く結論を出したいということでやっておりますが、時期そのものは、何しろこういう事案でございますので明確にはできませんが、いろいろな観点から捜査の面も含めまして鋭意事実関係を究明中というところで御了解いただきたいと思います。
  27. 角田義一

    角田義一君 じゃ次の問題に移らしていただきます。  国土庁と建設大臣お尋ねいたしますが、ダムの建設に関連をいたします関係法令の改正あるいは制度の改善について若干お尋ね申し上げたいと思います。  私ども群馬県では現在八ツ場ダム建設という大変な大事業を抱えておりまして、知事初め地元の住民も真剣に取り組んでおるわけでございますが、四十年にわたる大変な懸案の事業でございます。その間幾つか御要望を出しておるんですが、なかなからちが明かない面もございますのですが、数点にわたってお尋ねいたします。  第一は、いわゆる水特法の改正、特に生活再建について、第八条における起業者の自主責任というものを明確にすべきではないかというふうに私どもは思っておるわけであります。さらに、水特法において、政令で指定する整備事業についても国庫補助のかき上げ対象とすること、さらにかさ上げ率を引き上げるということ、こういうことをやってもらわなきゃ困るというふうに私どもは思っておるわけであります。そして、整備事業についてはさらに国庫補助を別枠扱いとして採択基準等も緩和していただきたいというような切実な要望もあるわけでございます。そして、一番大事なことは、いわば今までの補償基準というものがほとんど改正されてない。特に、迷惑料といいましょうか慰謝料といいましょうか、そういう問題についても、これはダムを建設するについては極めて潤滑油的なもので大事なことだというふうに思っておるのでございますが、それらについての法改正あるいは制度の改善等について国土庁並びに建設省としてどういうふうに考えておられるか。  最後に、大臣には、申しわけございませんけれども、私ども群馬県にとっては大事業であると同時に国にとっても大事業でありますこの八ツ場ダムについての基本的なお立場を承れればありがたいというふうに思う次第でございます。
  28. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) まず、事業者の関係について現在の考え方を御説明さしていただきます。  治水目的を含む多目的ダムの建設によって、ダム下流域では治水の安全が図られ、また各種用水の確保が可能となるわけでございまして、その結果下流域の社会経済の発展の基盤の形成が可能となるものでございますので、その間におきましては、水没する人々の協力によってそれが可能になりますので、ダム起業者としても、ダムの建設に課せられた責任の重大さとともに、水没者や水源地対策の重要性について十分に認識して対処してまいりたいと考えております。  水没者や水源地の対策につきましては、水没に伴う補償、水源地域対策特別措置法あるいは水源地域対策基金などの制度を一体として適用し、起業者、関係行政機関、地方公共団体が相協力して実施することとなっております。とりわけ起業者といたしましては、水没の補償を適切に行うとともに、生活再建の措置につきましても関係行政機関、地方公共団体と協力しまして、各種の生活再建措置推進に努めまして、水没者、地元関係者の理解と協力が得られるよう極力努力する所存でございます。
  29. 苗村滋克

    政府委員(苗村滋克君) 先生お尋ねの水源地域対策特別措置法の国庫補助のかさ上げ対象事業の拡大及びかさ上げ率の引き上げにつきましては、国の財政事情等から現時点では困難でございますが、関係住民の生活の安定と福祉の向上を図るために、近年高率補助負担率の引き下げ措置等に対しては、水特法につきましては特例で緩和措置が講ぜられますよう措置しているところでございます。今後とも水源地域対策の一層の推進に努めてまいりたいと思います。  なお、整備事業につきまして国庫補助を別扱い にする件につきましては、関係省庁及び関係地方公共団体の御協力によりまして所要事業費の確保に努めまして、ほぼ順調に実施されている現状でございます。  また、採択基準につきましては、必要に応じて緩和を図ってきているところでございまして、今後とも関係機関等の御理解と御協力のもとに水源地域整備事業の円滑な推進に努めてまいりたいと思っております。
  30. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) ダム建設につきましては、水没する方々や水源地域の厚い御協力によって初めて成り立つものでございます。これにより、下流地域における治水及び利水対策の推進が図られまして、社会的、経済的発展が可能になるわけでありますので、我々としては、ダム建設に当たりましては、水没者の方々の理解と協力を得るために関係機関、地方公共団体と密接な連携のもとに、水没者の生活再建及び水源地域の発展を図るよう各種施策を強力に推進してまいる所存でございます。水没者の痛みをよくわきまえて、施策を強力に推進していかなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  31. 角田義一

    角田義一君 特に八ツ場につきましては長年の懸案でもございますので、大臣に特段の御高配をいただきたいというふうに思う次第であります。  最後に、一点だけ環境庁長官お尋ねいたしますが、私ども群馬、新潟、福島にまたがります世界的な宝庫であります尾瀬の湿源の保全の問題でございます。御案内のとおり、いろいろ当委員会でも御議論があったように承っておりますが、二つのことを端的にお尋ね申し上げたいと思います。  一つは、保全の費用の負担について何か入山料というものを徴収する考えが今推進協議会で議論になっておるようでございますが、私どもは消極的でございますが、環境庁としては基本的にこの問題についてどういうふうに考えておられるかということが第一点。  それからもう一つは、平成元年の予算を見ましても、例えば群馬の場合、国が約千八百万、県が約二千三百万という形で保全費用を負担しておりますが、国立公園であれば原則としてやはり国の負担というものをふやしていただきたい。これが群馬そして新潟、福島の共通の要望だというふうに思っておりますが、いかがでございますか。  この二点についてお答えをいただきたいと思います。
  32. 志賀節

    国務大臣(志賀節君) 尾瀬は、御指摘のとおり我が国を代表する世界的にすぐれた風景地でございますし、また国立公園の特別保護地区として厳正な保護を図っておるところでございます。しかしながら、多くの利用者が集中的にこれを利用するところから、脆弱な自然環境を守るためにはきめ細かな管理と多額の経費が必要なのでございます。  そこで、こうした費用については原因者であり受益者でもございます公園利用者にその一部の負担を求めることが公平の原則にかなうものであり、何とか御理解をいただきたいと考えております。もとより地元のこの考え方に対する御批判、反対のあることは私どもも承知をいたしておりますが、同時に、ただいま私が申し上げましたような考え方を支持する向きも少なくなくございます。どうかそういう点からも御理解を深めていただけると大変ありがたいと存じます。  なお、第二点の御質問でございますが、国立公園の管理につきましては、従来とも施設整備や美化、清掃などの面で国においても予算化をしまして、あるいは地元の自治体など関係者の協力を得ながらこれを進めてきているところでございます。平成二年度におきましては、新たに尾瀬地区の保全対策として排水処理施設整備費の要求を現に行っております。それからまた、このような問題につきまして私どもは鋭意努力を重ねてまいることも十分話し合ってございますので、この点も御理解を賜りたいと存じます。
  33. 角田義一

    角田義一君 今の問題についてはまた別の機会にいろいろ議論を深めたいと思いますが、時間の関係もございますのでこれで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  34. 一井淳治

    ○一井淳治君 本日の決算の対象は六十一年度でございますけれども、この六十一年度という年は予算編成が緊縮型で行われまして、その前の年の五カ国蔵相会議で、急速な円高が進むという中で、六十一年度は非常な不況であった。そして、六十二年早々に緊急経済対策を必要としたというふうな状況もありまして、この六十一年は非常に財政と予算との関係の強い年であったというふうに思います。  そういったことでまず質問をさせていただきたいわけでございます。それからまた、私どもは現在の内需主導型の経済成長が今後とも維持、継続する必要があるという前提でお尋ねするわけでございますけれども、平成二年度の経済見通しと、それとの関係で平成二年度の予算をどのように編成されていくのかということをまずお伺いしたいと思います。
  35. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員からもお話がございましたように、日本の経済は極めて安定した状況で推移をいたしております。しかも、内需を中心とした経済成長が続くという状況でありまして、この点についてはお互いに慶賀すべき事態と考えております。  一方、我が国の財政は多額の公債残高を抱えておりまして、これから生じます利払い費が歳出総額の約二割を占め、政策的経費を圧迫しておる状況にございます。また、NTT株式の売却を中止いたしましたことによりまして、可能な限り国債整理基金への繰り入れを行わざるを得ない状況に至りましたこと、またNTT無利子貸付事業につきましても、財源問題を含めて検討する必要が生じましたことなどをあわせて考えますと、我が国の財政は一層厳しい状況にあると考えております。  一方、今後急速に進展をいたします人口の高齢化や国際社会における我が国の責任の増大といったことにこたえてまいりますためには、財政の対応力の回復が不可欠でありまして、財政改革の必要性というものはいささかも減じておらないと考えております。  また、我が国の経済は、先ほどお話がありましたように、現在内需を中心にして順調に拡大いたしておりますし、また労働需給が引き締まり基調にありますこと等を考えますと、積極的な財政運営を図る必要がある状況にはないと考えております。  こうした点を踏まえまして、平成二年度予算におきましては、財政事情が厳しい状況にございますけれども、財政改革の第一段階であります特例公債依存体質脱却の実現に全力を尽くしてまいりますとともに、経済情勢、財政事情等に即応した適切な予算編成を行ってまいりたいと考えておるところであります。
  36. 一井淳治

    ○一井淳治君 財政の厳しい状況につきましてはもちろん理解できるわけでございますけれども、この六十一年という年は、財政のことを余りにも重視し過ぎまして、非常に経済が厳しい状況になって倒産が発生したり、あるいは国民生活が脅かされるという年であったわけでございます。そうしたことで、内需主導型の経済成長が持続する、豊かな国民生活を実現するということを念頭に置きながら予算編成をお進めいただきたいということを要望させていただきたいと思います。  次に、この決算委員会でも何度か問題になったわけでございますけれども、税収見積もりの狂いが最近余りにもひど過ぎるのではないかという問題がございます。  八七年度が七兆四千億円、減税分の込みでございますが、八八年度は七兆七千億。八十九年度は五兆円規模の補正予算が組まれるのではないかというふうなことも言われておりますけれども、これは税収見積もりの狂いに関係があるというふうに思います。これは朝日新聞の十二月二日付の記事から引用した数字でございますけれども、こういうふうな税収見積もりの狂いが現実に起きてお る。しかもこれが余りにも金額の幅が大き過ぎるということはもう絶対に無視するわけにはいかない。この点については御異論もないというふうに思います。この原因の一つに経済成長見通しの見込み違いがあったのではないかということを感じるわけでございます。この経済成長率の数字をつくるについてはいろいろ政治的な思惑も加わっていると思うんですけれども、どうも低過ぎるんじゃないかという感じがいたしますが、そのあたりはいかがでございましょうか。
  37. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 結果として生じました過去の税収の見積もり誤りにつきまして、その責任を私ども回避いたそうとは思いません。  ただ、六十一年度という年を振り返ってみますと、これは私ども政府といたしましてもいろいろ考えなければならない問題点を持っておりますが、院におきましてもさまざまな御論議がありましたことを委員も御承知のとおりであります。当時、円高不況による景気の落ち込みという大方の予測がございました。そして、補正予算におきまして減額補正を行いました際にも、両院におきましてその見積もりがもっと厳しくあるべきであるという大変厳しい御指摘を受け、政府側としてはこれに対して御答弁を申し上げたところであります。ところが、日本経済が六十一年の秋から大方の予想とは逆に回復に向かいました。これは私はやはり国民の努力のたまものと考えておりますけれども、同時に、株とか土地取引の活発化といったような現象の中から増収が生じました結果、減額補正を行いましたにかかわらず当初見積もりに比べて一兆三千億円の増収というものが生じたわけであります。この点から、私は率直に申し上げ、見積もりと実績の間における乖離が生じてきたと考えております。  その当時、私は衆議院の院の立場でこれを議論した一人でありますから、当時の財政当局の責任のみを責め得ると必ずしも私は考えておりません。ただしかし、結果として大幅な税収の見積もりの誤差を生じたということにつきましては、我々はその責任を甘受しなければなりませんし、今後における税収見積もり等に対しより以上正確の度を増すべき努力をする責任があると心得ております。
  38. 一井淳治

    ○一井淳治君 経済見通しというのは非常に困難な作業でございますけれども、的確に把握されまして正確な税収見積もりをつくっていただきたいと要望申し上げます。  そして、最近の政治情勢の中で消費税のことがあって増収を一時的に抑えたのではないかというような議論も多々あるわけでございます。大蔵省の方で税収見積もりの算定式なり資料なりを国会にお出しいただいて、こういうふうにして税収見積もりをやっているんだということをお示しいただければその点もすっきりいたしますし、国民全体でこの税収見積もりについて考えていくことができるんじゃないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  39. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員から消費税云々というお話がございましたけれども、今私からも申し上げましたように、六十一年度補正予算の御審議の際に行われました両院の御論議というものを振り返っていただければ、そのような意図のあったものでないことは御理解がいただけるはずであります。六十一年度以降、株、土地、円高、また原油、金利安という一時的な性格を有する要因が寄与していた結果として非常に税収が好調でありました。こうした数値をお考えいただきましても、消費税のために増収を一時的なものと思い込もうとしたというような御指摘は全く当たらないということについてだけははっきりさせておきたいと思います。  また、税収見積もりにつきまして、予算の国会提出ごとに「租税及び印紙収入予算の説明」及び「租税及び印紙収入補正予算の説明」を国会に提出させていただき、その中で各税の見積もり方法をお示しいたしまして予算審議の御参考に供させていただいております。また、御審議の過程におきまして、内容についてお尋ねがありますならばその御説明も加えさせていただいておるところでございます。
  40. 一井淳治

    ○一井淳治君 税収見積もりにつきましても、できるだけ正確なことが可能なような方向でお考えいただきたいと思います。決算委員会は過去のことについて非常にこだわるわけでございますけれども、これはあくまで将来の国政の前進ということを願ってのことでございます。喜岡議員がこの決算委員会におきまして、三月決算の企業の法人税を次年度の税収に充てるようになっている、これが非常に税収見積もりを狂わせる原因ではないかという指摘がありましたけれども、そういったことを含めましていろいろ御検討いただきまして、一層この税収見積もりを正確にしていただきますよう要望いたします。  次に、予備費のことについて質問いたします。  これまで、いわゆるその2の予備費と申しましょうか、一月から三月分の予備費がその2の予備費として、その1の予備費と区分して事後承諾を求めて国会に提出されるわけでございますけれども平成元年度のその2、言いかえますと、平成二年一月から三月までに使用した予備費についてはその時点で進行中の国会へ提出するようにお取り計らいをいただけたら非常に幸いだと思うわけでございますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  41. 小村武

    政府委員(小村武君) 予備費の使用調書の提出時期につきましては、財政法で「次の常会において国会に提出して、その承諾を求めなければならない。」と規定をしているところであります。  私ども、予備費の審査をできるだけ早くしていただくということで、その1、その2に分けまして、四月―十二月分についてはその1として同じ常会の、しかも同年度である翌年の二月に提出して御審議をお願いしているということでございますが、その2につきましては、委員指摘のとおり、一―三月分につきましては次の常会ということにさせていただいております。これは財政法の趣旨あるいは時間的な制約、あるいは御審議いただく時間的余裕等々を考えまして次の常会に提出せざるを得ないということで、現在そういうふうに取り計らわせていただいておるわけでございます。何とぞ御理解を願いたいと思います。
  42. 一井淳治

    ○一井淳治君 これは、前の大蔵省を対象とする決算委員会の日に、進行中の常会に提出することを検討するという御回答をいただいているわけですね。現実に、この間予備費の問題につきまして、参議院が承諾しないということで議決が行われたわけでございます。そういう中で、参議院議決を尊重しながら来年の一月から三月までの予備費使用分について現実にそれを生かしていただきたいという趣旨で質問したわけでございますけれども、この間の検討するということは……。
  43. 小村武

    政府委員(小村武君) 予備費のその2の一月から三月の分、これはその期間中国会が開かれているということでございますが、常会に提出しろという財政法の規定は、ある程度長い審議期間を持った国会において御審議を願う、臨時会ではない常会というのはそういう趣旨だと存じております。そういたしますと、一―三月分につきまして同一会期の、例えば余り審議期間がない会期末に御提出をするということについては、なかなか審議関係上そういうこともいかがかというようなこともございます。  いずれにしましても、次の常会というそのルールは私どもは守っておりまして、さらに事務的に準備の作業が間に合いましたらできるだけ速やかに御審議を願うという考え方は従来からもお答え申し上げておりまして、そういう考え方でまた検討いたしたいというふうに考えております。
  44. 一井淳治

    ○一井淳治君 具体的に来年の問題でございますけれども、これは来年の政治情勢によって国会がいつからいつまで開かれるかということもまだわからないわけでございまして、現実の場にならないとそれはもうはっきりしたことは確定できないと思います。しかし可能性とすれば選挙も行われる。そうすると常会が、特別会というんでしょうか、これが相当長くなっていくということが予想 されるわけですが、そういった場合はどうなんですか。前回検討するというふうにはっきり言われたんですよ。それが後退するのはどうしてでしょうか。
  45. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これはちょっと仮定でお答えをさせていただかなければなりませんけれども、これまででも常会にかわりますような長い会期を持つ特別会の場合には提出してきた例があります。常会にかわりますような長い会期の設定の行われました特別会には予備費を提出してきたこともございます。こうした状況を考えますと、同様の場合には提出できると考えますが、これはあくまでもその特別会の性格、日数等によって制約される点があるということは御理解をいただきたいと思います。
  46. 一井淳治

    ○一井淳治君 次に、貿易黒字の関係について質問をさせていただきます。  我が国の経済の発展のために貿易黒字を減らしていくということが非常に大事なことは多分だれも認められることではないかというふうに思いますけれども、来年度についてはどういうお見通しをお持ちでございましょうか。
  47. 庄野敏臣

    政府委員(庄野敏臣君) 貿易黒字のお尋ねがございました。  現在の我が国の貿易収支の黒字幅を見てみますと、事実としてかなりの程度縮小しているということがございます。これは、円安によりますJカーブ価格効果によります輸出金額の減少、あるいは好調な内需、輸入拡大努力などを背景といたしました輸入の増加によりましてドルベースで見てかなり縮小しております。例えば当方で通関ベースをIMFベースに試算してみますと、平成元年度の四月から十一月ベースで約四百九十五億ドルの黒字でございまして、これは前年同期に比べますと二〇%以上改善しております。  来年度の我が国の貿易収支見通しについてお尋ねがございましたが、これにつきましては、世界経済の見通しとか原油価格の動向等によるところが大きいわけでございますが、現在政府経済見通しの一環として作業中でございます。したがって、現段階では確たることは申し上げられませんけれども、いずれにいたしましても、今後とも為替の動向その他を十分見きわめながら、引き続き貿易収支の動向を十分注視してまいる所存でございます。
  48. 一井淳治

    ○一井淳治君 円高の中で企業の合理化や、それから最近は設備投資が非常に拡大していっているわけでございますけれども、こういったものが来年になったら輸出に対するドライブがかかってくるんじゃないかという心配がありますし、また海外投資が増加しております。この海外投資の増加が輸出を引き出す傾向を強めるんじゃないかという心配も非常に強いわけですけれども、その点はどうでしょうか。
  49. 横田捷宏

    政府委員(横田捷宏君) まず、設備投資と輸出拡大の関係でございます。  御指摘のとおり、最近の設備投資、平成元年度も民間では一五%程度さらに引き続き高い伸びが見込まれるわけでございますが、その内容を分析いたしてまいりますと、いわゆる能力増強につながります投資、これは四十年代までの高度成長期には全体の六、七割あったわけでございますが、これが三割合にとどまっておるわけでございます。またその中身を見ましても、量的拡大といいますよりは、新製品あるいは新しい付加価値を持った製品、多品種少量生産等への対応といったような質的な面への重点が見られるところでございまして、直ちに設備能力の増大というものにつながりまして生産の過剰、ひいては輸出の拡大といった可能性は小さいと考えております。特に、最近の消費、設備投資を中心といたしました内需主導型の経済成長、これが定着し維持できますれば、さらに輸出の大幅な拡大を招くおそれというものは少ないものと考えてございます。  次に、海外投資と輸出との関係でございますが、海外投資の貿易収支への効果といいますものは幾つかの点から考えなきゃいかぬ。まず一つは、これまでの輸出が置きかわりますことによります輸出代替効果というものもございますし、それから現地生産が本格化いたしまして逆輸入が行われるということによります輸入拡大効果もあるわけでございます。先生指摘の輸出誘発効果というものもないわけではもちろんございませんけれども、長期的に考えてまいりまして、現地での部品調達も進んでまいる、当初の間、日本から持っていった部品の輸出がこれで置きかわってまいるというようなこともあるわけでございまして、全体として海外投資を評価いたしますと、むしろ貿易黒字を縮小させていく効果の方が大きい、こう考えてございます。この点は本年五月の産業構造審議会の報告の中でも示されているところでございます。
  50. 一井淳治

    ○一井淳治君 時間がありませんので非常にはしょった質問になって恐縮なわけでございますけれども、ただいまのお話を聞きましても、確信を持って貿易黒字が減っていくというふうなことがどうもうかがわれないと思います。それから、通産省としていろいろと輸入促進策等の貿易黒字を減らす政策をおとりであることも私よく理解はしておるつもりでございます。しかし、人間というものは、身近にもうかる種があればどうしても利益を目標に輸出などをする。ほかの人たちが輸出してもうけておるのに自分だけ規制するというわけにはなかなかいかないのが現実であるというふうに思います。  このままで行きますと、やはり来年もこの貿易黒字の問題が引き続いて大きな障害になっていくというふうに思います。私は決算委員会以外に農水委員会にもおりまして、そういったことで農業保護ということも非常に強く考えるわけでございますけれども、もう少し今の状態が続くようであれば、来年あたりからは輸出品についてある程度の自主規制を行うとか、あるいは、非常に思いつき的ではありますけれども、一社で多額に輸出するような企業については輸出税をかけるとか、そういった思い切った措置も場合によっては必要ではないか。そうでもしないとこの問題は解決できないんではないか。  貿易黒字の問題は、経済的な問題だけではなくて、本当に世界の人間が仲よくしていく。また、日本もかつては終戦後大変厳しい時代を経験しておりまして、そういう中で外国の方々の温かい援助によって立ち直れたということもあるわけですから、そういったことを考えながら、日本全体がもっと考える必要があるんじゃないかということで質問するわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
  51. 庄野敏臣

    政府委員(庄野敏臣君) 輸出の規制問題についてお尋ねございました。  我が国としては、今後とも自由貿易を維持強化するという立場のもとに、内需主導型の経済運営を行いながら、輸入拡大を通じます貿易の拡大均衡によりまして貿易黒字の是正を図ることが基本と理解いたしております。  ただ、輸出関係について手をこまねいているということではございませんで、現在自動車、鉄鋼、工作機械等々の品目に関しまして輸出の自主規制措置を行っております。今後とも、個別品目につきまして節度ある輸出を確保することなどによりまして適切に対処していく所存でございます。  なおまた、これら輸出企業に対しましては、我が国主要企業を対象といたします輸入拡大要請会議という、これは三百十三社ほど、私ども通産大臣みずから要請をいたしておりますけれども、こういう場を通じまして特段の輸入拡大を要請しているところでございます。これらの企業の中には輸入拡大あるいは輸出の適正化戦略、こういったものを打ち出しているところもございまして、このような動きは現下の状況からいたしまして好ましいものでございます。通産省といたしましても、これを歓迎しているところでございます。引き続きこのような考え方のもとに努力してまいる所存でございます。  以上でございます。
  52. 一井淳治

    ○一井淳治君 次に、外務省に対して質問をさし ていただきたいと思います。  ベルリンの壁が壊されまして、マルタでは米ソ首脳会談が開かれたということで、東西融和の時代に進んでいるわけでございます。そういった中で、この十二月八日に記者会見が行われておりますけれども、新聞記事を見ますと、マルタ後の日本の外交の対応については、安保堅持を強調していくということで記者会見がなされておるわけでございます。その後十二月十日にブッシュ大統領の特使が鄧小平氏と会談をするということがあったわけですけれども、その同じ日には、これまた新聞記事を引用して非常に恐縮でございますけれども、このブッシュ大統領特使の会談を受けて、「対中制裁措置の全面見直しに着手」というふうな記事が載っておるわけでございます。  こういったところを見ますと、全く日本の外交はアメリカの外交に寄りかかっているというふうに見ざるを得ないと思うわけですけれども、いかがでございましょうか。
  53. 時野谷敦

    説明員(時野谷敦君) お答え申し上げます。  ただいま先生の御質問には二つの部分があるようにお聞きいたしましたので、後でアジア局長からも御答弁申し上げますが、私からまず安保条約のことにつきまして、現在私どもがどういうふうに認識しておるかという点を申し上げたいと存じます。  御指摘のとおり、東西の対立の構造が変わりつつある、東ヨーロッパにおける大きな流れを背景としまして、対立の構造が変貌しつつあるということで明るい展望が開けつつあるということだと思いますが、同時に、物事が動いておる、こういうことで不確実性をも内包しているというのが現状であろうかと思っております。  私どもは、ソ連の政策の肯定的な変化というものが今後アジアの地域にもあらわれてくることを期待いたしておりますけれども、アジアにおきまして、日米間の安全保障条約あるいはこれを大きな柱といたしますところの日米協力、こういうものがアジアの平和と安定を確保していく上で非常に重要な不可欠な枠組みを提供してきたというのが私ども認識でございまして、これは今後とも維持されていかねばならないというふうに思っております。もちろん、安保条約を維持していくということだけではなくて、我が国としてももろもろの外交努力によりまして、より安定的な国際環境を構築することに貢献していくということはもとより重要なことというふうに心得ておる次第でございます。
  54. 谷野作太郎

    政府委員谷野作太郎君) お答え申し上げます。  新聞を御引用になりまして、日本の対中政策が米国に追従ではないかというお話がございました。日本政府の今後の対中政策につきましては、委員指摘の今回のアメリカ側からの訪中についての説明、これも参考にいたしまして政府として判断していくということはこれはこれで当然――当然といいますか、自然なことであろうかと思いますが、あくまでも今後どういうふうに対中政策を進めますかということにつきましては政府が自主的に判断するべきものであることは申すまでもございません。  御引用になりました新聞に、対中政策をこの際日本政府としては全面的に見直すという記事があったという御指摘でございましたけれども政府としてこの段階でそういうような方針を決めたということはございません。一昨日も官房長官が記者会見でお述べになっておりましたけれども政府としては今後とも引き続き、中国の情勢の推移、そして中国情勢に対する国際的な動向、国際的な世論、こういったものを慎重に見きわめながらこの対応に遺漏なきを期していきたい、このように考えておる次第でございます。
  55. 一井淳治

    ○一井淳治君 十二月八日の段階では十二月十日の会談のことを知らされておったんでしょうか。
  56. 谷野作太郎

    政府委員谷野作太郎君) お答え申し上げます。  これまでもアメリカとの間では、これは対中政策に限りませんが、両国の外交政策全般につきまして密接に協議をしながら進めてきておるわけでございますけれども、この具体的な、スコウクロフト大統領補佐官の訪中につきまして日本政府にいつどのような形で連絡が入ったかということにつきましては、アメリカとの関係もございまして詳細を御説明することは差し控えさせていただきたいと思います。御理解を得たいと思います。
  57. 一井淳治

    ○一井淳治君 日本の周辺、アジア・太平洋地域には中国問題を含めまして解決しなくちゃならない問題が非常に多くあると思います。アメリカも太平洋の周りの一つの国であるわけですから、東の――ヨーロッパからいえば東ですがアメリカからいえば西になりますけれども、大国でありますから、やはりみずからの意思を持って、自分の立場を持って積極的に外交を展開していただきたいというふうに思うわけでございます。  特に、最近ヨーロッパの方で非常に東西融和が進んでいるという時期ですから、この時期をうまく活用しながら、アジア・太平洋地域の平和友好関係が深まるようにより積極的な外交を展開していただきたいというふうに思うわけでございますけれども、いかがでしょうか。
  58. 谷野作太郎

    政府委員谷野作太郎君) お答え申し上げます。  まさに委員指摘のとおりでございまして、私どもも、昨今の東欧情勢、これがアジア、なかんずく東アジア等にどういう影響をいずれ持ってくるのか、あるいは持ってこないのかということを慎重に注意深く観察いたしまして、まさに仰せのとおり、日本の外交に誤りなきを期さなければならないと思っております。  ただ、委員も御存じのとおりでございますけれども日本日本で独自の立場からアジアの平和と安定のためにいろいろなそれはそれで努力をしてきておるわけでございます。例えばことしの夏にパリで行われましたカンボジア国際会議というのがございましたけれども、こういった国際会議にも積極的に外務大臣が参加して日本立場を明確に述べて、それなりの貢献をされたということもございますし、一々そのような例を申し上げる時間はございませんけれども、そのように日本のきちんとした独自の考え方に基づいてこの地域の平和と安定のために今後とも貢献していくべきものだ、このように考えております。
  59. 一井淳治

    ○一井淳治君 労働省にお尋ねいたしますけれども、円高不況を克服いたしまして企業が適応努力をしてきたわけです。そういった中で、企業も努力しましたけれども、勤労者の方も労働密度は非常に高くなる、また広域配転とか遠距離通勤とか、非常に苦しい状態がありまして、見ようによっては働けば働くほど苦しくなる、そして労働分配率も上がらないという状況が現にあるわけです。内需振興ということもありますし、また勤労者への還元ということが非常に大切ではないかというふうに思います。  そういった中で、労働時間の短縮ということが一番大切ではないかと思いますが、平成三年四月から週四十四時間に持っていくということがかねてから決められておるわけです。私どもはもっと早くこれを進めていただきたいという気がするんですけれども、少なくとも遅くとも平成三年四月から週四十四時間体制に持っていくというその点は間違いないんでしょうか。
  60. 福島譲二

    国務大臣(福島譲二君) 前回労働基準法を改正いたしましたときに、今御指摘がございましたように、当面の法定労働時間は週四十六時間制でございますが、施行後三年を目途に週四十四時間制にするということが決められたところでございます。  私どもといたしましては、この改正法施行後三年を経過する平成三年四月に予定どおり法定労働時間を週四十四時間制度にするということを念頭に置きまして、来年度には関係審議会に政令改正をお諮りする予定でございまして、目下その準備を進めておるところでございます。
  61. 一井淳治

    ○一井淳治君 これまでの経過から見ますと、例えば経済運営五カ年計画の表現などを見ますと、平成四年度中に四十時間の方向に進むということ でございますが、その点をぜひとも実現していただきたいというふうに思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
  62. 福島譲二

    国務大臣(福島譲二君) 労働時間の短縮は、世界の先進国に比べましても日本はまだかなり長いという意味で種々批判のあるところでもございますし、当然のことながら、勤労者、働く人々が豊かでできるだけゆとりのある生活を享受できるということは何よりも望ましいことでございます。既に閣議決定をいたしております千八百時間、これは週四十時間ということになるわけでございますが、平成四年度末までにできる限り千八百時間に近づけるという努力を、労働省といたしましても今後全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  63. 一井淳治

    ○一井淳治君 一層の御努力を要望申し上げたいと思います。  次に、人事院の方にお尋ねしたいわけですけれども、国家公務員につきましてはこの一月から土曜閉庁が始まりまして、これは順調に進み、また好評であったというふうに思います。前川レポートが、貿易黒字を減らして内需振興をということで提言しておりますけれども、その中で公務員については、リードする立場で早く進めることを勧奨しているというふうに私どもは読んでいるわけでございます。平成四年度までに完全週休二日制を実現するということになりますと、来年八月の人事院勧告の中に完全週休二日制に向けての一つの道筋というものをぜひとも示していただかなくちゃならないというふうに思うわけでございます。  また、ことしの夏の八月四日付の人事院勧告を見ますと、「四週六休制を弾力的形態により実施している交替制等の職員については、週四十時間勤務制へ移行するに当たって、勤務体制等の大幅な見直しが必要であり、その具体的方策の検討を進める必要があると認められる。」ということで、いわゆる実施困難職場について前進をさせなくちゃいけないということが書かれておるわけでございます。  この二点につきまして、人事院としてのお考えをお聞きしたいというふうに思います。
  64. 内海倫

    政府委員(内海倫君) ただいま御意見がございましたが、私どもとしましても、ことしの夏の国会及び内閣に対します報告の中で完全週休二日制につきまして触れておるのです。これは、国の労働時間短縮の計画期間内には実現することがぜひとも望ましいところである、さりながら、公務の場合、行政サービスという問題をいささかも低下させるということがないような配慮もいたさなければなりませんし、また今御指摘のありましたような交代制勤務というものにつきましては、これについてのいろいろな対策を考えなきゃならない。そういうふうなことを考えますと、特に交代制動務の者については、一応試行することによっていろいろな問題点の把握もしなきゃならない。そういうふうなものを考え合わせまして今後の完全週休二日制というものの実現に努めていきたい。  そうは考えておりますけれども、されば来年の勧告において直ちにこの問題を取り上げて勧告するかどうかということにつきましては、今申し述べましたようないろいろな問題をさらに検討いたす必要がありますので、来年の勧告に載せ得るというふうなことを今ここで申し上げることはやはり差し控えておくべきではなかろうか、こういうふうに思っております。
  65. 一井淳治

    ○一井淳治君 極力そういう方向で作業を進めていただくように重ねて要望をさせていただきます。  時間が参りましたので、あと厚生省の方にお尋ねする予定であったのですけれども、時間の関係で失礼したことをおわびいたしまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  66. 守住有信

    守住有信君 現在は六十一年度決算総括的質疑でございますが、ちょうど一年前に私、たしか六十三年の十二月十六日であったかと思いますが、その総括的質疑の中で、ちょうどあのときは竹下総理が大蔵大臣を兼ねておられるというふうな状況でございましたし、いろんな各大臣お尋ねも申し上げたわけでございます。  いろいろ変化の激しさというのを痛感するわけでございます。同時にまた経済界の変化を、たまたまこれは経済白書でございますけれども、六十一年度の年次経済報告で、「円高下の日本経済」「国内生産と雇用の動向」あるいはまた「新たな国際収支不均衡の発生とその対応」「転換期を迎える我が国の貿易・産業構造」「人的能力の蓄積」等々について触れてございますが、これは六十一年の八月に経済企画庁がおまとめになったものでございますから、どちらかというと六十年度を基礎データに置かれて展望されたものだと思います。  また、六十二年度の経済報告を見ますと、「進む構造転換と今後の課題」といういわゆる産業構造転換。「昭和六十一年度の日本経済―構造転換期の我が国経済―」「製造業を中心とする調整過程」とか「厳しさ増した雇用情勢」「高い水準続く失業率」。しかし一方、「一層安定化した物価動向」や「着実な増加続く家計支出」あるいは「構造転換への適応―効率的で公正な社会をめざして―」というふうなもろもろの対応策等々が記述してあるわけでございます。特に最後の方にまいりますと、「雇用問題への対応」「労働需給のミスマッチ」等々、失業、雇用問題。それからさらに「東京集中と地域経済」「東京集中の実態」「地域経済の問題点」「バランスのとれた地域振興のために」、その中で「公的部門の役割」、最後には「新しい夢を求めて」、こういう記述が項目的になされておるわけでございます。  先ほどの御質問にもちょつと出ておりましたけれども我が国の財政再建の問題と税収の見通しにつきましていろいろ食い違いが出ておるということもございました。大蔵大臣お答えになりましたように、この六十一年の秋から確かに内需重視型に転換をして、そして四年に及ぶような高原景気と言われておりますけれども、バランスのとれた経済の発展が持続しておるのではないか、それが六十一年であったのではないか、このように認識をいたしております。  そして、その後さらに情報や金融、証券の東京一点集中、地価の高騰もますますひどくなっております。そういう中で、地方分散、地方の経済振興、いわゆる四全総の思想でございますが、そういうものの中で、通産省を中心に郵政省や建設省や運輸省等々、農水省も入っておりますけれども、民活施設、特に地方民活、地方産業振興のためにこういう民活施設を中核として進めていこうと。それに対するいろんな条件が東京や大阪等と違って厳し過ぎる。この条件の緩和とかあるいは財政、税制両面からするところの支援方策というものが、長い法律でございますが、民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法、さらにはまた基本的な法といたしまして多極分散型国土形成促進法、その中において中核的民間施設に対する政策なりあるいは誘導減税政策なり、こういうものが転換してきたと思うわけでございます。  そこで、通産省を中心にお尋ねをしたいと思うわけでございますが、かつて国土庁を中心に、東京中心のいわば工場制限法、こういうものがあって、工場と教育機関が入っておりますけれども、これから新しいそういう施設はますます一点集中に対して制限をしていく、これが出たわけでございます。その後、通産省の立地公害局でございますか、いわゆる制限だけでなくて地方への立地促進ということが出てまいりました。またもう一つは特定不況地域、いわゆる産炭地域等を中心とします特定不況地域における中小企業対策の臨時措置法もできてまいりました。こういうもろもろの法律、制度あるいは減税政策、こういうものが動いておるわけでございます。    〔委員長退席、理事一井淳治君着席〕  さらに私がお尋ねをしたいのは政策減税。税制改革の中で大企業、大資本からもっと税を余計取るべしといういろいろ御意見もございましたが、 この四年間続いた高度な繁栄状態はさらに持続するであろう。今もお話が出ておりますように、民間設備投資も二けたに及ぶ伸びが続いておる。こういうときにこそ地方へまず二次産業である工場を持っていく、こういう政策。我が国は自由経済でございますから、市場原理でございますから、いわゆる計画経済ではない。経済計画というのは我が国にございますけれども、計画経済ではございませんから、通産省はやはり誘導政策をとっていかにゃいかぬ。そのためにはやはり誘致のための減税政策。  そこでお尋ねしたいんですが、工場等移転のための、東京都区内、市街化区域内から地方へ分散するための誘導減税政策、これについていろいろお取り組みだと聞いております。それ以外にも、もろもろの法律、制度の活用あるいは財政面の支援措置、あるいは特に申し上げました減税政策なり、これについてどのように、また過去のものを踏まえて新しい発想で最近お取り組みなのか、お尋ねしたいと思います。
  67. 岡松壯三郎

    政府委員岡松壯三郎君) お答え申し上げます。  先生指摘の地域の活性化の問題でございますが、通産省といたしましても、我が国の国土の均衡ある発展というのは大変重要な課題であるということで取り組んでおるわけでございまして、四十年代後半から工場分散化ということをまず掲げて進めてまいりました。また、五十年代後半になりましてから、産業構造の変化に見合いまして、技術を中心とした高度技術工業の地方分散という観点から、テクノポリス法ということで、各地に技術拠点をつくってそこに集積を図っていくという政策も進めてまいりました。また、昨年からは、その技術の中でもソフト産業の重要性認識いたしまして、産業の頭脳部分といわれますものを中心としてこれを集積させていこうというところから、頭脳立地構想というものをまとめまして、既に四カ所、この構想に沿った地点の指定が行われている状況にございます。  このほか、地域の中小企業問題でございますとか、地域の情報化政策あるいは地域技術の振興等につきましてもこの地域活性化の観点から取り組んでおるところでございます。地域の活性化を進めていくためには、先生のお話の中にもございましたように、大都市に集中している産業を地方に分散化させていくという側面と、また地域にある個性ある技術あるいは地域の産品、文化等を生かして、そこでまた企業を興していくという両面が必要であるという方向から取り組んでおるところでございます。  そこで、後段の御質問にございました点でございますが、確かに経済成長、ここのところ三年連続成長という状況にございますけれども、その中を割ってみますと、大都市への人口の集中が進みつつありまして、人口減少県の数というものが、近年見てまいりますと、六十一年には九道県でございましたが、それが六十二年には十五道県にふえ、昨年は十七道県が人口減が起こっているということでございますし、これを社会移動でとらえますと、これは三大都市圏を除く三十九道県のうち二十九道県が人口減が起こっているという状況にございます。このような状況、この流れを変えるためには、やはり地方の振興を図っていくことが必要であるということを考えまして、従来講じております施策に加えて、税制面、予算面、金融面での措置を講じていく必要があるというふうに考え、取り組んでおるところでございます。  具体的に現在私ども検討しておりますのは、地域の活性化を図るために大都市部の機能を少しでも地方に分散化させていこうということでございまして、先ほど触れました産業の頭脳部分の地方への分散の問題、また東京における土地の買いかえ特例というものを、大都市における工場を手放した場合、それの譲渡益の買いかえ特例というものを認めていくことが地方への工場の分散を進めることになるのではないかということで、税制の創設について検討をしておるところでございます。  以上、今後とも税制措置も含めまして地域の活性化対策につきまして積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  68. 守住有信

    守住有信君 いろいろソフト産業、衛星通信を使いましたり地上系のディジタル回線を使いましたりということは、つい三週間前お尋ねもしたり私の考えも申し上げたわけでございますが、その前に、やはり工場、第二次産業、これが東京の市街化区域内にまだ多数ある。新しいものは国土庁から工場等制限法で規制しましたけれども、既存のものがある。  御案内のとおり、東京は土地基本法等の論議を通じましても示されておるように、公共用地がない、勤労者の住宅用地がない、都市公園に乏しい、こういうのがあります。ところが一方、そういう工場の会社は設備投資をいたしましたし、その後も技術革新に伴って改修投資をやっておりますので、減価償却も終わっていない。まず基本となる二次産業が地方分散にいかないと、雇用力も、三次産業は高性能の方でございまして少数高度の能力、少数雇用でございます。やはり二次産業が地方へ分散する。そして片側では、この過密の大東京、家も持てないという東京から工場が地方へ行って、そして雇用もついていき、地方雇用も拡大しという、そして他方では大東京の生活環境という問題にも資せられる。  私はこういう観点からも、その両面から、単に地方分散、地方活性化だけでなくて、この大都会の中における都民生活といいますか、勤労者の生活、その他公園等々申し上げましたけれども、こういう角度で、公共用地のために売却した場合にのみこのような移転促進税制の創設が必要だと、ノンというところにも、公共用地のためにだけ移転促進税制を適用していこう、こういうお考え、自民党としても非常に重視してお取り上げになっておられるというふうに聞いております。重ねてでございますが、通産大臣はお見えになりませんけれども、自民党の部会その他いろいろ御努力をいただくことをまずお願い申し上げます。  それからまた、細かい点になりますけれども、今おっしゃいましたソフト産業以外にも、例えば特にこれは中小企業対策関連でございますけれども、例の加速的技術開発支援事業が三年間で切れるというふうに聞いておりますけれども、やっと芽が出たところだ、こういうふうに思うわけでございます。ソフト産業、雇用、労働省と一緒になってのお取り組みで、我が熊本も荒尾とか大牟田とか長洲という地域、好景気でございますけれども、まだまだ取り残されたそういう石炭産業、その他周辺産業がいろいろ苦しい目に遭っております。それにもできるということでちょっと一言申し上げましたが、この加速的技術開発支援事業が期間が切れるということを承知しておるわけでございますので、その点はどのようにお取り組みか、お聞かせをいただきたいと思います。
  69. 岡松壯三郎

    政府委員岡松壯三郎君) お答え申し上げます。  先ほど先生の御質問の中にございましたように、地域の活性化のためには第二次産業の移転が必要であるということは御指摘のとおりでございまして、工場再配置法の中で目標を定めまして、地方への分散化を図っておるわけでございます。幸いにも、五十二年に策定された目標によりますと、誘導地域ということで今後工場を創設していきたいと考えている地域での新規の立地が、五十二年以降見てまいりますとこれが約七割を占めているということで、ほぼ目標は達せられているわけでございますけれども、これはいわばフローの面でございまして、ストックの面で見ますとやはり既成の工場地帯、三大工業地帯に集積しているというところがまだ多いということも事実でございます。これらの分散化をさらに進めていく、二次産業の分散化を進めていくというのが重要な課題であるというふうに考えております。  そしてまた、進めるに当たりまして、工場を分散化した場合に、先ほど御指摘ございましたように、公共用の用地に売却した場合に限るという形で私どもは現在検討を進めておるということもま た事実でございます。  また、先ほど最後に御質問のございました加速的技術開発支援事業等の問題につきましても、期限が切れるわけでございますが、来年度におきましてもこれらの事業の継続ということで現在要求を行っておるところでございます。
  70. 守住有信

    守住有信君 時間もございませんので、もっと脚下照顧といいますか、地方の生活環境、特に生活雑排水の問題について触れさせていただきたいと思います。  最近、地球環境問題というふうなことで、日本の公害防除あるいは宇宙観測とか、いろいろ科学技術を活用して国際協力ということに重点を置いてお進みになられる。非常に結構なことだと思っております。一方、経済大国から生活大国へ、こういう大きなテーマがあるわけで、我々の身近な足元の家庭生活の周辺、それの生活排水問題。長い間建設省が公共下水道あるいは流域下水道という形でお取り組みになりましたし、またいわゆる畜産団地、農水省が畜産団地の牛馬のし尿処理、地下水汚染にならぬように、河川の汚泥にならないようにということでお取り組みですが、これが団地だけでなくて近くの農家、ぽつぽつ離れた農家までこの公共投資というか、システムを広げる。他方では、ごく最近のことでございますが、厚生省がいわゆる合併浄化槽という、バクテリア逆利用の、一軒一軒の家庭の中で雑排水を処理してしまう、こういう方式も最近生まれ出しました、やっとここ二年ぐらいのことでございますが。その三つの方式が地域ではあるわけでございます。  それぞれお尋ねしたいわけでございますが、やっとことしの八月に行政監察局が、こういう生活環境、水処理の問題につきまして御調査なさいまして、下水道、あるいは類似施設と言われておりますが、類似施設という言葉はどうかと思いますけれども、下水道に関する行政監察、これがつい八月総合的な行政監察局の勧告として発表なされております。  ちょっとその前に、下水道の普及率のとらえ方がいろいろ外国、ヨーロッパ諸国その他と比べてどうだと言っておりますが、一言私申し上げたいのは、堺屋太一さんが三年ほど前「豊国論」というのをお出しになりまして、その中をよく見ておりましたら、ヨーロッパや中国等と都市構造が違う、日本の場合。日本は城下町である、ヨーロッパその他は城内町だ。異民族との戦いでございますので、中世紀以来高い城壁をつくってその中に市民が一緒に生活をする。そこでペストやコレラがはやって、あの大規模な公共下水道が城壁の中に発展をして、それが周辺の都市部へ及ぶ。これはもう三百年以上の長い歴史があって公共投資をつけ加えられていって、発表されておるようなパーセントが日本の場合と非常に違う。だからそれを単純に見てはいけませんよ。日本は城下町構造ですよ。あるいは田園地域や農山村地域あるいは漁村地域、こういうものがある。こういうふうなことに触れておられるわけでございます。  私は、公共下水道は財政難の中ではございますが大いに力を入れていかなきゃいかぬけれども、一方では、農業の場合はもう畜産団地に限る。そして私は、その一軒一軒の非常にシンプルで、補助も余り要らないような方式の合併浄化槽、これに関心を持って運動をやっておるわけでございます。  そのさなかでのこの行政監察局の勧告でございますが、これを契機として、いろいろ関係する省庁は建設省、農水省、厚生省、その上には環境庁があると思っておるわけでございますが、まずは総務庁の方からこれにつきましての、恐らくこれは初めての勧告であると思うんですが、これのポイントはいただいておりますけれども総務庁行政監察局としての今後に向かってのお取り組み、これは勧告だけで終わるのか。今後四省庁、生活環境は非常に重要な問題でございますけれども、今までどちらかというと見合わせられておった。公共事業オンリー方式でございましたけれども、三省庁がいろいろな知恵を出してやっておる。こういうものについて今後どのように勧告後もお取り組みいただけるのであろうかということをまずお尋ねしたいと思うわけでございます。
  71. 水野清

    国務大臣(水野清君) 守住委員の御質問にお答え申し上げます。  総務庁におきましては下水道に関する行政監察をことしの八月に行いました。今お話にもございましたように、下水道というのは四つばかりの省庁に関係してまたがっております。もちろんその対象であるとか手法はかなりいろいろございますが、下水道と下水道類似施設。類似施設というのは、今御質問にありましたように合併処理浄化槽と地域し尿処理施設、この両方は厚生省であります。それから農業集落排水施設、これは農水省でございます。この調整を図りながら効率的な整備を進めていかなくちゃならないことはよくおわかりのとおりだと思います。そこで、多省庁にまたがっておりますので、担当部局間の協議システムを確立する必要があるということについて今仰せのとおり勧告をいたしたばかりであります。  そこで、その勧告のしっ放しであるか、こういう御質問のようでございますが、この勧告に基づく措置につきましては近く回答を受け取ることになっております。さらに、回答をいただいた後、おおむね六カ月ぐらいを目標といたしまして改善状況照会方することにもなっております。勧告に基づく措置が具体的に実施をされますようにしっかりと今お話しのようにフォローアップをしてまいらなきゃいけない、かように思っております。
  72. 守住有信

    守住有信君 しっ放しでない、システムをつくって今後もフォローアップしていくということで、どうもありがとうございました。  それから、ちょっと私見になるかもしれませんが、合併浄化槽の方に私は非常に関心を持ったわけでございます。なぜとならば、補助金を使う金額が非常に少なくて済む。大都会とかビルとか商店街、いろいろ密集しておるところは当然に公共下水道ですし、付近の町ともお隣の町とも流域下水道でいかなきゃいけませんが、この財源難、税制改革論議も間々ならぬという状況の中で、あの家庭雑排水というのは本来は一軒一軒の自己責任の中でそれを、一軒分十万ぐらい、六、七人世帯で十万円ぐらいの補助誘導をやればこれがだっと――要望は山のように出ておるわけです。家庭の御婦人方も非常にこれは御関心がございまして、もちろん地域は違いますけれども、その中での進め方が、私は合併浄化槽という新しく開発されたシンプルなものが財源の使い方としても非常に効率的、効果的ではないかという視点を持っております。  これは大蔵省にも私は実は直接お願いもしておるわけでございまして、そういう中で、ひとつ総務庁と大蔵省の財政担当ともまたパイプをつけていただきましてお取り組みいただくことを心からお願いを申し上げまして、私の質問は終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  73. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私は国の財政事情についてお伺いをいたします。  まず大蔵大臣お尋ねいたしますが、先ほど同僚委員の御質問に対しても、現在国の財政事情は決して楽なものではないという御認識をお話しされておられましたので、あえて重ねて質問することはないように思いますけれども、先ほどのお話の中でも、百六十一兆にも及ぶ公債残高を持っておること。あるいはまた、これはおっしゃらなかったのでございますけれども、これは私の方の認識でございますが、国債整理基金への定率繰り入れの停止、あるいは地方交付税特別会計借入金負担、あるいは厚生年金の繰り延べや国民年金の平準化など、いわゆる私ども称しておりますところの隠れ借金二十六兆円というような問題。さらには、先ほど来からもお話が出ておりますように、税の自然増収の話がございますが、これも先般来からの税制特別委員会におきましては、この税の自然増収というのも、たまたま好転している環境にあるんだ、先ほどもおっしゃられましたように、株とか土地とかの取引による経常利益の増 収なんだ、こういうお話がございました。  こういう環境を考えてみるにつけても、決して私は大臣認識のとおり国の財政事情はよくなっていない、こういうふうに思います。大蔵省がお出しになっておりますところの例の仮定計算A、Bともに目を通してずっと勉強しておりますけれども、このA、Bいずれも、平成十四年には、元年で百六十一兆あった公債残高が二百二兆にもなる、こういう状況にあるわけでございます。  まず、現在の大臣の財政事情への御認識を改めてお伺いいたします。
  74. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先刻申し上げました見解を補足されながらただいま御質問をいただいたわけでありますが、私ども、今委員が御指摘になりましたように、平成二年度の予算編成におきまして、何としても特例公債依存体質からの脱却という目標だけは全力を挙げて果たしたいと考えております。しかし、これを脱却いたしましたとして、なおかつ公債残高の累増に伴います国債費の重圧は持続していくわけでありますし、また、今委員がお述べになりましたいわゆる隠れ借金といわれる一連の繰り延べ措置等に対する対応も考えなければなりません。  また、委員が御指摘になりませんでしたものをつけ加えますならば、さらに考えなければならない大きな問題として、国鉄清算事業団の累積債務をどう処理していくかも私どもとしては考えなければならないところであります。  私どもといたしまして、こういう状況を考えますと、いわば財政改革の第一目標には到達を来年度できるであろうけれども、なおかつ財政が健康体に復したという状況には全くないわけでありまして、今後とも赤字国債に依存しないで済む財政構造への改革というものを目指して全力を挙げて取り組んでいかなければならない、そのように認識をいたしております。
  75. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そこで、平成二年度予算から国債整理基金への定率繰り入れを再開するということを、これ私は正式に聞いておりませんけれども、私ども国会議員というのはいつも新聞を資料にいたしまして物を言うようなこういう国会で、私は大変遺憾に思っておりますけれども、正式にそういう御報告をいただいているわけではございませんが、新聞の情報によりますと、今度国債整理基金への定率繰り入れを再開する、こういうことでございますね。その理由、なぜこの時期に基金への繰り入れを開始するのか、こういう問題が一つあろうかと思います。  五十七年以降八年ですか間があいていたわけですね。問題は、なぜこの時期に繰り入れを再開するのか、あるいは一体どういう形で繰り入れをなさろうとするのか。形態、手法でございますね。それから過去の定率繰り入れ停止部分の繰り戻しをするのかどうか。それから、新聞によりますと、六十三年度剰余金からまず一千億入れて、そして平成二年から一兆円入れるというようなことを読んでおりますけれども、そうだとすると、この平成二年で繰り入れるところの一兆円という根拠は何なのか。私どもは一千分の十六という定率を知っておりますけれども、これをどういうふうに考えればいいのかという問題があろうかと思います。  なお、時間を私は二十分しか持っておりませんので、演説だけ先にさせていただいてしまいますと、この時期になぜ定率繰り入れを再開することになったかの理由について私どもが考えますには、恐らく政府は毎年出しておりますところの財源確保法をお出しになっても、今回参議院が逆転いたしておりますのでこれがもう通らないのではないか、こういうことをおもんぱかられたのかなというふうに思ったりいたしますのが一つでございます。それから、先ほど申し上げました仮定計算Bのケースでいきますと、これは平成三年まで定率繰り入れを停止するケースですね、これによりますと平成四年には年度半ばで財源不足が七千億出てくるんですね。そういう計算になるのでケースAでいくより仕方がない、こういうことなのか。それからさらには、NTT株の売却を断念なさった。このような三つの理由が私どもとしても考えられるんですけれども、これはいかがでございましょうか。
  76. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今平成ニ年度の予算につきまして私どもは鋭意編成作業を行っているところでありまして、その具体的な内容について申し上げられる段階にはございません。  しかし、今委員のお話につきましてあえて一般論としてお答えをさせていただきますと、仮に特例公債からの脱却が達成されました後の財政運営としては、特例公債発行の時代におきましては臨時特例的に講じてきた措置についてはできるだけ速やかに原則に復帰することが適当であると考えられます。また、NTT株の売却を中止いたしましたことによりまして、今後の国債整理基金の資金繰りが厳しい状況になっていることなどを踏まえますと、国債整理基金への繰り入れは可能な限り行う必要があるであろうと考えられます。いずれにいたしましても、定率繰り入れにつきましては、今後の財政運営を考えます上で重要な問題点でありまして、こうした点を踏まえて十分検討してまいりたいと考えております。  しかし、今委員がお触れになりました中で、あえて異論を申し述べるわけではありませんけれども、過去の定率繰り入れ停止分の繰り戻しというお話に触れられました。五十七年度以降の定率繰り入れなどの停止額の累計は十五兆五千七百三十四億円に上ります。しかし、これらの措置は、NTT株式売却益などによりまして、定率繰り入れを行わなくても現行の償還ルールによる償還に支障を生じないと見込まれる国債整理基金の状況を踏まえて行ったものでありまして、将来一般会計から繰り入れ停止相当分をそのまま国債整理基金に繰り入れなければならないという性格のものではないと私どもは理解をいたしております。  いずれにしても、問題は今後とも国債の円滑な償還に支障が生じないように努力をしていかなければならないということに尽きるでありましょう。  そこで、今新聞報道を引用されました。実はその新聞報道の根拠についてちょっと私も承知をいたしません。しかし、少なくとも先刻来申し上げてまいりましたような事情の中におきまして、私どもとして今後とも努力をしてまいりたいと考えております。  事務的に補足する点につきましては、担当の方から補足をいたさせます。
  77. 小村武

    政府委員(小村武君) ただいま大臣お答えしたとおりでありますが、補足をいたしますと、国債整理基金への繰り入れにつきましては、国債の元本を償還していかなきゃいかぬ、いわゆる六十年償還ルールというもので行っております。したがいまして、委員指摘のとおり、定率繰り入れはその主たる柱でございまして、百分の一・六、これが原則でございますが、やむなくこれを停止せざるを得なかった、繰り入れに際してはまた特例公債を発行せざるを得ない、そういう状況でございました。これを今後の予算編成でどう対処するかは、大臣お答えしたとおりであります。あと、剰余金の繰り入れ、予算繰り入れ等々の減債基金への繰り入れ方法がございます。
  78. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 これは本当に時間をかけてゆっくりと教えてもいただきたいし、一緒に考えさせてもいただきたいという課題でございまして、本当は二十分でこんな大きな問題をやらせていただくのは大変過酷なのでございます。  私は、あえて先ほどの大臣お答えに反論をいたしますとすれば、それじゃ資金繰りさえつけば減債制度は不要なのか、こんな感じにもとれなくないんです。だから、繰り戻しは必要ないというようなことになれば今後やっぱりこの減債制度なるものもしっかり考えていかなきゃいけない、こんなふうに私は思っております。時間がございませんので先に進みますけれども、いずれにしても、これはこれから日本の財政運営を健全化していくために大事な問題じゃないかというふうに思います。  私、次の問題に残念ながら移らせていただくんですが、決算調整資金の方の問題でございます。  実は五十九年に私もこの決算調整資金の問題について質問をさせていただいておりますが、そのときは竹下大蔵大臣でございましたけれども決算調整資金は現在ゼロでございます。そのことについて当時の当決算委員会におきまして問題が出まして論議があったんです。  そのことについてここで申し上げますと、当時の主計局次長は、国庫に余裕がありますれば繰り入れるのが望ましいのは当然だと思います、こういうふうに答弁しているんです。そこで、財政上ゆとりがなく、本来第一線準備として決算調整資金に資金があるのが望ましいわけだけれども、第二線準備である国債整理基金からの繰り入れということを充てることによって対処してきた、こういうふうなことが言われているんですね。それで、今いろいろな背景はあるものの、税収は予想を上回る形であるというような事情の中で、この決算調整資金に組み入れるということは今必要ではないのかどうなのかという問題でございますが、これはいかがでしょうか。
  79. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員が御指摘になりました決算調整資金への繰り入れというものは、特別の場合、必要があります場合などに繰り入れることができるとされているものでありまして、本来一般会計が繰り入れなければならないものを繰り延べているという性格のものではございません。この点はまず御理解をいただきたいと思います。  しかし、過去の答弁を今引用されましたように、決算調整資金の運用におきましては、でき得れば第一線準備であります決算調整資金自体に財源を十分積み立てて、その財源で決算上の不足に対処し得るのが最も望ましい姿であることは御指摘のとおりであります。しかしながら、財政が特例公債に依存せざるを得ない状況のもとにおきまして、可能な限り特例公債発行額の縮減を図ることが財政運営の重要課題であり、決算調整資金に財源を積み立てること自体が困難でありましたために、これまで財源を積み立ててまいりませんでした。平成二年度予算におきましては、何よりも第一に、先刻来申し上げておりますように、特例公債依存体質からの脱却に全力を尽くすこととして、現在鋭意作業を進めておるところであります。  この決算調整資金への繰り入れにつきましては、財政改革の第一段階であります特例公債依存体質脱却というものが達成されました後の財政運営を考える上での一つの課題でありまして、今後経済情勢や税収の動向、財政事情などを総合的に勘案しながら検討していく課題であると、そのように考えております。
  80. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 今すぐ国の歳入欠陥が生じるというような環境には確かにないと思います。けれども、これは五十三年に設けられたものですよね。五十三年当時二千億ですか、二千億組み入れましたね。それは当時の税収の一%程度だという記録があるんです。そうすると、今五十一兆の平成元年度の予算からいえば本当はどのぐらい組み入れればいいのか。私もちょっとわかりませんけれども、これはこれからの財政の健全化を願うにつけても私はやっぱりこの決算調整資金への組み入れというのはぜひ必要であろうというふうに思うんですが、これはいかがなものでしょうか。
  81. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 委員が今御指摘になりましたように、五十六年度の決算対策に決算調整資金が使用されました後、一般会計から決算調整資金への繰り入れが行われておりませんために現在残高がゼロとなっている。そうした中で、確かに私ども今後の財政運営を考える場合の一つの課題であるという認識は持っております。ただ、これはやはり経済情勢あるいは税収動向、財政事情等を総合的に判断して検討していくべき課題という認識で現在おりますということにとどめさせていただきたいと思います。
  82. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 なお、私の要望でございますけれども、目標年度よりは早く平成二年度で赤字公債依存体質からの脱却ができる、この目標を達成なさったということについては、その御努力といいますか、認めたいというふうにも思いますけれども、先ほど申し上げましたようにかなり周辺の追い風に乗ってそういう状況が出てきたということもあり得るかというふうに思いますので、財政の健全化に向けてさらにその御努力をなさっていかなければならないであろうというふうに思います。  それからもう一つは、今回NTT株の売却を断念なさったという事柄については、実はこのことだけについてまた長時間をかけて御論議申し上げたいというふうに思うくらいいろいろ私どもも言い分を持っております。  これからJRあるいはまた日本たばこ産業株式会社等々、株を売却するという問題が出てくるわけですね。そういうときに、一体当局といたしましてはどういう基準で何を判断しながらそういう株の売却というものを行っていくのかというような問題についても、私どもは大変いろいろな意見を持っているわけでございます。これはまた場所を得ましていろいろと御意見あるいは論議をさせていただきたいと思いますけれども、このことに関して、もし大臣の御所見があれば一言お伺いして、質問を終わらせていただきます。
  83. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 委員からそうした御指摘が行われるということを聞きまして、私も後日場を改めてこうした点についての御論議がいただければ非常に幸いだと考えております。  今回私どもは、六十二年六月十二日の国有財産中央審議会の答申を踏まえまして、市場関係者などの意見も参考にしながら、証券・金融市場の動向、NTT株式に対する投資家の評価などを総合勘案いたしまして、また同時に、現在、今後のNTTの経営形態等について論議が交わされているというような状況も判断の材料に含めまして、そうしたことを総合判断いたしますと、NTT株式の市場価格、また株式市場全般に対して悪影響を与えることがなく市場において円滑な消化が可能と言える状況とは認めがたいという判断をいたしましたので、見送りという決断をしたわけであります。  この判断自体につきましても、私は恐らくさまざまな論議が構成し得ると考えております。現に、株を保有しておられる方々の心境もありましょう。また新たに株の取得を考えられる方の立場からの議論、さらには国の財産というものが国民の利益になる処分を求めることの是非、さまざまな角度の論議があろうかと考えておりますので、今回売却中止を決断いたしました理由のみを今申し上げてお答えにかえさせていただきます。
  84. 諫山博

    ○諫山博君 労働大臣にお伺いします。  きのう閣議終了後の記者会見で、自民党の見直し案に対して労働大臣が批判的な見解を述べられたということが広く報道されています。毎日新聞を引用しますと、「見直しは困難であり、どちらかで言うと原案のままで突っ切った方が良かったと思う。」「妥協の産物であり実務的に悲鳴があがる」、こういう報道がされております。どの点に見直し案には問題があると思われているのか、お聞きします。
  85. 福島譲二

    国務大臣(福島譲二君) まず、昨日の記者会見の記事についてでありますが、昨日参議院におきまして廃止法が可決成立したことについての感想を問われたわけでございまして、まず結論的に申し上げますと、廃止法案そのものについての批判をしたということではないことを冒頭にまずはっきり申し上げておきたいと思います。    〔理事一井淳治君退席、理事及川一夫君着席〕  私は、本来見直しは、消費税法がスタートした以上は、納税が一巡いたします、そしてまた納税者も消費者も約一年程度は経過した段階で、その反省の上に立って見直した方がよいと考えておったわけでありますが、御承知のように、参議院選挙における野党の廃止論、全面廃止論にあおられた形で見直しを多くの候補者が公約せざるを得ない、そういう状況になってまいったことも事の勢いでやむを得なかったことかと思っております。  そして、一応それなりに整合性を持った本来の 消費税法案であったわけでありますので、その手直しというのがどうしてもこれは妥協の産物にならざるを得ない。あちら立てればこちら立たずというところがあるわけでございますので、そういう意味で、今となってこれを評価いたしますと私はそれなりに苦心の作であったと思っております。なお、見直しの中でも、出産費あるいは身障者に対する配慮、あるいは福祉関連事業、老人の在宅サービス等、こういったものにつきまして改めて非課税化したということは、私はそういう意味では積極的に評価できることではないかなと考えておるところでございます。
  86. 諫山博

    ○諫山博君 原案のままの方がよかったと各紙が報道していますけれども、これは大臣の真意ではないんですか。
  87. 福島譲二

    国務大臣(福島譲二君) 原案のままでよかったというのは、参議院選挙が始まる以前の段階におきましていろいろ議論がありましたときには、消費税のもともとの案というのはそれなりにまとまった案として、そしてその見直しについては、約一年経過してその経験の上でやった方がいいのではないか。そしてまた、見直しをするにつきましても、私ども地元におきまして国民の皆様方にお話をするときには、見直しは見直しでやると公約した以上はこれはやらざるを得ません、しかしこの問題につきましては、あちらを立てればこちらが立たずというような問題があって、これはもう本当に大変困難な問題がありますというような説明をいたしてまいりました。  そういう中で、参議院選挙でも自民党としての公約をいたしたことでもございますし、また総理が積極的に見直しについての御発言があった、その結果の見直しにつきましては、私はそれはそれとして、妥協の産物ではあったとはいえ、一つのまとまった見直し案として評価すべきところがあるのではないかと思っておるところでございます。
  88. 諫山博

    ○諫山博君 次は、JRの労使問題について質問します。  国鉄の分割・民営化のときに大変懸念されたことの一つは、新しく発足する民間会社が国労の組合員、全動労の組合員を採用しないのではないか、あるいは職種、職場などで組合の差別によって不当な取り扱いがされるのではないかということでした。このことは最後の最後まで問題になって、参議院における附帯決議の中にも盛り込まれました。この問題について、当時運輸大臣をしておられた橋本大蔵大臣は次のような答弁をしておられます。所属する労働組合によって差別が行われるようなことはあってはならない。「所属する労働組合による選別というようなものが行われるとは私は考えておりません。また、あってはならないことだと思います。」。全く同じ趣旨の附帯決議も行われております。  この答弁の趣旨ですけれども、これは国鉄の職員が新会社に採用されるときに、どの組合員だから採用しないとか、どの組合に入っているから採用から外すというようなことがあってはならないという趣旨だと受け取れますけれども、そうでしょうか。
  89. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 同様の答弁を何回かいたしておりますので、時系列的に申し上げます。  まず十月二十一日の衆議院における東中委員に対しましての答弁は、  現在私どもが御審議を願っております法律案、まさに今回の国鉄改革の中で、新たな会社の職員は、国鉄職員の中から新会社の設立委員が提示する採用の基準に従い新規に採用される仕組みとなっておるところでありまして、その際、所属組合等による差別があってはならないと思います。残る職員は、清算事業団において各種の措置を講じて、三年以内に計画的に全員の再就職を図る仕組みとなっておるところでありまして、この場合においても所属組合等による差別があってはもちろんならないでありましょう。 そのようにお答えを申し上げております。  また、神谷委員の御質問に対しましては、これは六十二年の五月十九日にお答えを申し上げておるわけでありますが、  国鉄におきましては、個々の職員の希望を調査し、その調査の結果の希望を最大限に考慮すると同時に、新会社の円滑な業務運営についても配慮しつつ、設立委員会の示した採用基準に従って新会社の職員となるべき者を客観的かつ公正的に選定した旨の報告が設立委員会に行われております。新会社の職員となるべき者の選定は適正に行われたと考えております。 また、同じように、同じ日の再度の御質問に対し、  四月一日に発足をいたしましたJR各社の職員採用に当たりましては、設立委員会から示されました採用基準に従って個々の職員に着目して適正な選定が行われたものであり、職員の所属組合による差別は行っていないという報告を受けております。 以上、御答弁を申し上げております。
  90. 諫山博

    ○諫山博君 その趣旨は、今JRが発足していますけれども、JRが国鉄職員を採用する場合に組合によって差別をしてはならないという趣旨に理解してよろしいでしょうか。
  91. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今申し上げましたように、所属組合等による差別があってはならない、これは繰り返し申し上げております。    〔理事及川一夫君退席、委員長着席〕 新会社の採用について、設立委員会の示された採用基準に従って客観的かつ公正に行われる、そういうふうに申しておるところであります。
  92. 諫山博

    ○諫山博君 ずばり結論を聞きたいんですけれども、国鉄職員がJRに採用されるまでには一定の手続があります。どういう手続の段階であろうとも、国労の組合員だから、全動労の組合員だからJRは採用しないということがあってはならないという趣旨の答弁だったのではないですかという質問です。ずばり答えてください。
  93. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 趣旨と申し上げますよりも、正確にその当時の答弁を引用、そのまま申し上げております。  今申し上げましたとおり、国鉄、その時点における国鉄でありますけれども、  国鉄におきましては、個々の職員の希望を調査し、その調査の結果の希望を最大限に考慮すると同時に、新会社の円滑な業務運営についても配慮しつつ、設立委員会の示した採用基準に従って新会社の職員となるべき者を客観的かつ公正的に選定した旨の報告が設立委員会に行われております。 そう申し上げておるところであります。
  94. 諫山博

    ○諫山博君 私はそのことは十分承知の上、ずばり聞いているんです。  じゃ、逆の面から聞きたいと思います。国鉄労働組合に所属していることを理由にJRの会社に採用されないというようなことはあってはいけないんでしょう。そういう趣旨で答弁されたのではないかと重ねて聞いているんです。
  95. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) そういう事実があったとはその当時私は設立委員会から報告を受けておりません。
  96. 諫山博

    ○諫山博君 ずばり答えることはできませんか。中学生でもわかる質問だと思います。全動労の組合員だからJRには採用しないというようなことが許されるのかということです。
  97. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 現時点におきまして私は運輸大臣ではございません。ですから、当時にさかのぼりまして、当時御答弁を申し上げましたとおりを正確にお答えを申し上げております。
  98. 諫山博

    ○諫山博君 確かに今大蔵大臣になっておられますけれども、分割・民営化のときの担当者ですよね。そして、あなたの答弁がどういう裁決をするかという一つの基準になっているはずなんです。今国鉄でどういう状態が起こっているか私が紹介します。  全国の地方労働委員会が採用差別だと認定した人が二千八百十人です。これは十一月十四日付。差別配転、差別出向、脱退強要で不当労働行為だ、こういう認定を受けた人が約三千人です。  きのう東京都労委が、上野保線区で働いていた三十二名の国労組合員に対して、配転が不当労働行為だという命令を出しました。これは前から問題になっていたように、保線区で働いている人を駅の売店で働かせる、これは不当労働行為意思に基づいて行ったんだ、こういう地労委の命令が次々に出て、これは前代未聞の大規模な不当労働行為になっているんです。橋本さん、当時こういうことを予想していましたか。
  99. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 委員がそこまでお話しになりますならば、当時を思い起こして委員にも御議論を願いたいと存じますが、当時私は運輸大臣として、本院におきましてもまた衆議院におきましても、それぞれのJR各社が鉄道事業のみに必要な人員だけを採用するとするならば相当離職しなければならない方の数がふえます。ですから、それぞれの会社の経営に破綻を来さない程度においてそれぞれの企業に二割ぐらいの要員を余分に持ってスタートしてもらいます。もちろんそれは、それぞれのJR各社が新たな業務を開発していく中でその人々の職場ができていくでしょう。そういう趣旨、今私は当時の正確な答弁を持っておりませんけれども、そういうやりとりを何遍もいたしてまいりました。  JR各社がその後関連事業を次々に拡大し、営業努力をしておる事実は私も承知いたしております。その中におきまして、JR各社の人事計画においてどのような人選がなされ、どういう方がどの職場に異動が行われておりますかどうかまで私は個別に存ずるわけではありません。ただ、JR各社は当時から鉄道業務そのものの要員よりもはるかに多い要員を持ってスタートすることを余儀なくされた。それは国鉄改革によって職を失う方々を少しでも減らそうということであると同時に、JR各社が民間企業として生きていくために新たな業務分野に進出するための要員をも持って発足したということを申し上げたいと思います。
  100. 諫山博

    ○諫山博君 労働大臣に質問します。  全国のたくさんの地方労働委員会が採用における差別だという認定をしている。JRに採用しなさいという命令を出しています。これは今中労委に申し立てて、行政命令としては最終的な確定を見ておりません。しかし、とにかく地労委の命令は中労委に再審査を申し立てても効力は停止しない。命令を受けた相手方はこれを履行する義務がある。これが労働委員会制度だと思いますけれども、この点についての一般論としての労働大臣の見解を聞かせてください。
  101. 福島譲二

    国務大臣(福島譲二君) 地労委の救済命令につきましては、それに不服がある使用者は行政訴訟を提起することも、また中労委に再審査の申し立てをすることもこれは認められておるところでございます。そしてその場合におきましては、裁判所による緊急命令が出される場合を除きまして、使用者に命令の履行を強制する仕組みにはなっておらないということでございます。  このような労働組合法の基本的な体系を総合的に勘案をいたしますと、地労委の救済命令につきましては、いまだ確定していない間は使用者の任意の履行にまつべきものと考えております。
  102. 諫山博

    ○諫山博君 使用者はこれに従うべき公法上の義務はありませんか。私は私法上の義務とは言いません。公法上の義務があるのではないですか。これは労働省のコンメンタールの中にも書かれている言葉です。
  103. 岡部晃三

    政府委員(岡部晃三君) 労組法二十七条五項におきまして、その効力が停止しないと規定をされているわけでございます。これは、使用者にはこの命令に従うべき公法上の義務がある、いわゆる一般的に言う公定力はあるわけでございますが、しかしながらこれにつきましては罰則その他の強制はございません。したがいまして、大臣お答えのとおり、これは任意の履行にまつべき、そのような制度になっている、そのような義務であるというふうに考えます。
  104. 諫山博

    ○諫山博君 任意の履行にまつべきものだというのは、守ろうと守らなくてもどちらもいいんだという誤解があるわけですよ。しかし、今言われたように公定力がある、公法上の義務がある、このことは明らかで、これほど大がかりな不当労働行為の命令が出て、これが履行されていないというのは、私は法無視も甚だしいと思うんです。この問題について、労働大臣が労働問題の全般的な責任者として何か自主的に解決する努力はされないのか。例えば、中央労働委員会は不当労働行為の裁定が一つの任務でありますけれども、同時に調停とかあっせんとか仲裁というような任務も負っております。何らかの努力をしなければ、三月三十一日は近づいているわけで、一人も路頭に迷わせないという中曽根前総理の答弁は空中に浮いてしまうということになりますけれども、これはもうJRの労使関係だけに任せておいていいのだろうかというのが私の今の率直な感想です。  労働大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  105. 福島譲二

    国務大臣(福島譲二君) 今御指摘もありましたように、JR各社の不当労働行為事件につきましては、その救済命令につきましては、関係当局側がこれを不服といたしまして中労委あるいは裁判所等でまさに今争っておるさなかでございまして、かつ事態は極めて複雑、微妙な問題をはらんでおりますので、労働省といたしましては、行政といたしましては、このような係争中の事案について何らかの、今御指摘のような形の見解の表明、あるいは行動に入ることは今の段階では差し控えるべきではないか。  ただ、御指摘もありましたように、関係者の雇用の問題につきましては極めて重要な問題でございますので、つい先般も関係の閣僚会議を開催いたしまして、来年三月末を目途として、働く意欲のある方々全員について雇用の場を確保するための努力を今鋭意払っておるさなかでございます。
  106. 高井和伸

    ○高井和伸君 私は、いわゆるODAにつきまして六十一年度決算を中心にお尋ねしたいわけですが、時間の関係から、特に私が関心を持っていることは、ODAに関して統一的な法律がない。ある意味では予算の形で国会の関与が行われている。  他面、参議院では本年の六月二十二日の本会議におきまして、国際開発協力に関する決議という中で、私の関心のある部分を引きますと、国会と行政府との関係を強めることというようなことで決議がなされております。そのベースには外交・総合安全保障に関する調査報告書というものがございます。その中で、特に参議院においても国際開発協力に関して審議する場が必要であるというようなことにもなっておりますし、ODAの実施状況について国会報告し、いろんな資料を速やかに提出するというようなことも、これは調査報告ということでございますけれども、出ております。  そんなことから、私は特に行政権の発露としてのODA関係の歳出というふうにとらえるわけでございますが、その根拠となるべき法律につきまして、各省庁順番に、特にその根拠条文に関してどれだけの件数とどれだけの歳出があったかということをお願いしたいと思います。さらに、その根拠条文の簡潔な文言を明らかにしていただきたいということです。
  107. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 最初に私から外務省について御説明させていただきます。  外務省所管の六十一年度の一般会計の歳出予算におきますODA予算の総額は二千九百四十九億八千四百万円でございます。これは、外務省の設置法第四条第二十六号「経済協力に関する協定に関すること。」、それから同じく外務省設置法四条の三十一号「外交政策上の経済協力に関すること。」などに基づきまして、外務省の所掌事務を実施するのに必要な予算でございます。  なお、追加して申し上げますと、具体的な根拠になります法律も幾つかございまして、一つは国際協力事業団法の第四条二項の「追加して出資することができる。」という規定でございます。それから国際農業開発基金への加盟に伴う措置に関する法律の第二条でございまして、「本邦通貨により拠出することができる。」、それからあと国際間等の協定に基づきます分担金拠出金がございま す。  以上が法律関係でございますが、先生指摘の歳出についてでございますけれども、今申し上げましたそれぞれの法律に基づきますそれぞれの項目の歳出につきましては、非常に申しわけございませんが、次の二つの理由で現在集計は行っておりませんし、集計することが非常に困難な状況でございます。  第一の理由は、従来からOECDの援助関係委員会でございますDACというのがございますが、そこに各国がODAの実績を通報いたしますけれども、国際比較のデータのために暦年の集計でございますので、日本でも暦年で行っている、したがって会計年度ベースでは行っていないということがございます。  それから第二の理由といたしまして、このODAに対応する予算はいろんな項目にまたがっておりまして、したがいまして私ども決算は予算書にある項目に対応する形で行っておりまして、このODAのそれぞれの経費ごとに決算額の集計は行っていない状況でございます。  したがいまして、次善の策でございますけれども、今申し上げました外務省の六十一年度の予算額に関しまして、予算上のODA予算を、今申し上げました外務省の法律それぞれの関係のところに基づきまして予算がどう配分されるかということに関しましては先生に非公式なメモで差し上げてございますが、ちょっと長くなりますので、もし読み上げるということであれば読み上げますけれども、この予算額で御了承いただければ大変ありがたいと思います。  以上でございます。
  108. 千野忠男

    政府委員(千野忠男君) 大蔵省所管の昭和六十一年度一般会計歳出予算におきますODAの予算でございますが……
  109. 高井和伸

    ○高井和伸君 決算を聞いています。
  110. 千野忠男

    政府委員(千野忠男君) 決算でございますか。これは……
  111. 高井和伸

    ○高井和伸君 時間がなければどちらでも早くできる方で結構です。
  112. 千野忠男

    政府委員(千野忠男君) これはそれでは後ほど申し上げますが、予算額でまず申し上げますと、二千五百一億円でございます。これは、大蔵省設置法第四条第百十五号、国際復興開発銀行、国際金融公社に関すること、それから第百十八号、「本邦からの海外投融資に関する事務を管理すること。」、こういう条文に基づきます大蔵省の所掌事務を実施するに要する予算でございます。  なお、そのうちで、具体的な支出の根拠について法律の定めがあるものとしましては、海外経済協力基金法の第四条第二項第二号で、「追加して出資することができる。」という規定。それからアジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の第二条第四項で、これに「出資し、又は」「特別基金に充てるため拠出することができる。」という規定に基づくもの。それから国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律第一条第三項で、「出資することができる。」という規定に基づくもの。それから米州投資公社への加盟に伴う措置に関する法律の第一項の中で、「出資することができる。」という規定に基づくもの。それから一次産品のための共通基金への加盟に伴う措置に関する法律第二条第一項の中の「出資することができる。」という規定に基づくもの。以上でございます。
  113. 堤富男

    政府委員(堤富男君) それではお答えさせていただきます。  決算額の方は、先ほど外務省の方からお答えがありましたとおり、算出しておりませんが、予算額では、六十一年度二百億八千七百万円余となっております。根拠条文といたしましては、通商産業省設置法第四条九号に「通商経済上の国際協力」、これは経済協力を含んでおりますが、に関することということでやっております。  通産省といたしましては、この援助と民間の行います投資あるいは輸入というようなものが三位一体となって経済協力の効率的な実施ということを念願にしておるわけでございます。  以上です。
  114. 勝村坦郎

    政府委員(勝村坦郎君) 経済企画庁でございますが、六十一年度の決算といたしましては二項目ございます。海外経済協力基金交付金三百十八億八百万円及び経済協力の推進に必要な経費、決算で申し上げますと九千二百万円でございます。  海外経済協力基金に対します交付金につきましては、これは経済企画庁設置法におきまして海外経済協力基金に関することという規定がございます。また、海外経済協力基金法におきまして、交付金の条項、第二十九条の五におきまして、「政府は、予算の範囲内において、基金に対し、その業務に要する費用の一部に相当する金額を交付することができる。」となっておりまして、これは実際上は前々年の基金の経費に関します不足分を埋める額でございます。  それからもう一点、経済協力の推進に必要な経費でございますが、これは経済企画庁設置法におきまして、「国際経済協力に関する基本的な政策及び計画の企画立案及び総合調整に関すること。」という規定に基づいて要求いたしております。
  115. 高井和伸

    ○高井和伸君 時間が来ましたので、未答弁の方は文書でいただきたい。既答弁の方も文書であとフォローしていただきたい。
  116. 下村泰

    下村泰君 まず、障害者人権をお伺いします。  障害者への差別、いじめ、人権侵害に対する抵抗、反発といったことがいわゆる障害者運動の原点でありエネルギー源でもあります。そうした運動の成果、それにこたえようと努力した行政によって相当に改善されてきたことは事実であり、特に障害者年以降は国民意識の少なからぬ高揚と相まちまして喜ぶべき方向に進みつつあると大変喜んでおります。  ところが、いろいろつぶさに調べてみますと、なおかつ多くの人権侵害と思われることやそれに近いことが現在も行われております。  私がここに参りまして二年後に、埼玉県で鎖につながれた知恵おくれの人が焼死したことがありました。このときの社会の反応はほとんどありませんでした。五十一年でございます。さすがにこうしたことは少なくとも表面上は起こり得ない社会状況はできつつあると思っています。しかし、昨年、ことしにかけて私が知り得た問題は枚挙にいとまがないほどなんですね。  例えば、報道されたものとしては、卒業アルバムからの排除、これは一校や二校の話ではありません。それからプール入場者のちょうど五十万人目に当たった知恵おくれの児童に対して、こういうことは何もわからないからと記念品をパスされた例、これは富山の法務局が動きました。それから、雇い主は給料七万円と言ったのに、本人によると三万円だったり、両親が亡くなり施設入所中に後見人に財産を処分されたり、あるいは本人の腕を三角巾でつるして、この人がお金が借りたいのですが、けがをしているので私がかわりに書きますといって代筆し、本人の保険証でお金を借り、そのほとんどの金をその悪友が使い込み、結局だまされた障害者が返済している事実。それから車いすの障害生徒に石を投げたり、車いすを押して倒したという例。それから施設建設の反対。  もう時間がございませんからこれ以上言っておられませんけれども障害者、特に知恵おくれの人たちに対しては本人がすぐに気がつかないケースも多いんです。そして人権を侵されているという認識が極めて乏しい場合が多いわけです。これは、その人たちが人をだますことを知らないから起きることだと思います。法務省の人権擁護局は申請を待って動くそうですが、こうしたケースではほとんど泣き寝入りが多いんです。  厚生省の方あるいは法務大臣、この問題についての御所見をひとつ伺いたいと思います。厚生大臣もよろしくお願いします。
  117. 戸井田三郎

    国務大臣戸井田三郎君) 先生具体的な例を挙げての御指摘でございましたが、非常に極端というか、極端というよりもむしろそういったような情勢が次々に激しいですね。そういうようなことがあることは私どもも時々目にいたします。  御指摘のように、障害者の方々の人権への配慮というものは極めて重要な課題であると思っております。そして、厚生省としてもこれを基本に置いて各種の障害者対策を進めているところであります。また、人権を守っていくためには、障害者の方々について国民の理解を深めることが大切であり、各種の啓蒙、広報活動も努めているところであります。特に、障害を持たれておられる方々に対する健常者の人の心配りといいますか、思いやりといいますか、そういったものがやはり体にしみ込んでこなければいけないのではないかと思うくらいに健常者の方は気をつけていく。教育その他いろんな面で、私たちから考えると、教育なんかでも重要な一つの課題になるだろうと思います。  今後とも、御指摘の点を十分に注意して厚生省といたしましては取り組んでいきたいと思います。例えば知恵おくれという言葉も今私どもの中で、お母さん方からこの間も聞きまして、知恵おくれと言われると非常に自分たちの胸が痛むというような話も聞きました。どういうふうな名前がいいかというようなことも今考えたりいたしているところであります。
  118. 後藤正夫

    国務大臣(後藤正夫君) ただいま下村委員の具体的な事例をいろいろ伺いながら本当に私も胸の痛む思いがいたしております。  法務省といたしましては、障害者の完全参加と平等を実現しようということをテーマにいたしましてこれまでも啓発活動を行ってまいりましたが、ただいま御指摘のような事件が発生しているということは本当に残念なことであると存じますので、今後とも障害者人権擁護のために積極的な啓発に努めてまいりたいと思っております。
  119. 下村泰

    下村泰君 健常者の場合は人権を侵されたということを自分自身でいろいろ表明したりあるいは訴えたりすることができるんですけれども、こういう方たちはそれができないわけですね。ですから、私は障害者人権というのはこれから大きなテーマになってくるのではないかと思いますので、よろしくひとつお願いをしたいと思います。  今度は労働省の障害者雇用の件で伺います。きょうは労働者の雇用率の問題ではなくて、いわゆる一般就労雇用の困難と言われる重度の障害者についてお伺いしたいと思います。  雇用率という問題は、比較的軽い方の方たちで満たしていて、本来重度の方々のためにできているにもかかわらず、その法律の適用というのはまるで薄いわけなんです。私は基本的な考え方として、小規模作業所も授産施設も現在厚生行政で行われていることに疑問を持っています。むしろ労働行政の中で厚生行政がバックアップするような体制を組むべきだと考えているんです。  決算委員会ですから、昭和六十一年度の当時の身体障害者雇用促進協会の雇用納付金事業特別会計によりますと、積立金が百六十一億五千五百万円ございます。こうしたお金をもっと有効に使わないと何のための雇用促進かわかりません。この問題も何度も申し上げてまいりました。そこで、そろそろ厚生省から文部省などとよく話し合って、あるいは法を改正しなければならないのなら労働省の方で法の改正もしていただいて積極的にやってはどうか、これが私の意見です。これまで厚生、文部とどんな場でどんな程度の内容についてお話しをしてきたのか。  実はこんなことを申し上げますのは、かつて厚生大臣にお願いして、労働大臣とお話をしてくださいと申し上げましたら、早速いたしましょうと。これはいいことだなと思っていたら、そのうちにその大臣がかわってしまったんです。その大変頼もしい発言をしてくれたのが実はそこに座っていらっしゃる現在の橋本大蔵大臣なんです。その方が厚生大臣のときにそういう発言をしてくれて私は喜んだ。喜んだのもつかの間、すぐ首がかわっちゃったんです。結局その報告を私は何も受けていないうちに現在に至っているわけなんです。  こんなことをしていたんでは、縦割り行政がはっきりして、私はいつも口が悪いから申し上げますけれども、やくざの社会と同じで縦割り行政だけはしっかりしておる。ところが横の連絡が何もない。しかも、同じことを厚生省と文部省と労働省がやっているような状態もあるわけですね。ですから、そうでなくて、ちょっとお話し合いをしてくだされば、恐らく大臣就任する前の先生方というのも、個人個人ではいろいろな御意見を交わし、いろんなお話をしていらっしゃる。それが大臣の肩書がつくと途端にそっぽを向く。花札じゃないけれども鹿の十で横を向くんですよ。それじゃ何にもならないんですよ。  ですから、今私が申し上げたことについて労働大臣はどういうふうにお考えか。お話し合いをなさってくださるのか、くだらないのか。それから文部省あたりとどういうふうにお話をなさっていらっしゃるのか。それでないと障害者の雇用問題なんというのはいつまでたっても解決つかない。御返事ください。
  120. 福島譲二

    国務大臣(福島譲二君) 障害が高度化し、またお年寄りがふえてくるという中で、私どもといたしましても厚生省あるいは文部行政、そういったものとの関連で連絡を密にしていかなければならない、そういう趣旨での御質問でございますが、まさに同感でございます。またそしてそれなりに、まだ力足らずという御批判があるかもしれませんが、従来もそのような努力をいたしてきたつもりでございます。  一番基本は、内閣総理大臣を本部長とする障害者対策推進本部というものが置かれ、そしてそこで策定されました障害者対策に関する長期計画というものを基本として、政府全体として取り組んでおるということかと思います。格別厚生、文部両省との連携が重要であると考えておりまして、労働省、厚生省、文部省等がメンバーとなっております中央心身障害者対策協議会、これにおきまして種々の協議をいたしまして、基本的な施策についての連絡調整を進めておるところでございます。  さらに、第一線におきましても、各公共職業安定所単位で福祉施設や養護学校の職員などをメンバーとして設置いたしております障害者社会復帰連絡会議というものが置かれておりまして、障害者の方々の社会復帰に関する協力についての御相談をいたしております。また、国立職業リハビリテーションセンターと国立身体障害者リハビリテーションセンター、これは労働省と厚生省のそれぞれの所管でございますが、これも御承知のように所沢に同じ地域に立地をいたしまして、極めて密接なる連絡をとりながら、医療から職業訓練に至る一貫したリハビリを実行いたしておるところでございます。さらに、各都道府県に設置をいたしております地域障害者職業センターというものがございますが、ここにおきましても養護学校の在学者に対する職業相談の実施などを緊密に図っておるところでございます。  今後とも、御指摘のような趣旨におきまして、縦割り行政の弊を改めながら、密接な関係各省との連絡のもとに幅広い視点に立って障害者対策を進めてまいりたいと考えております。
  121. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 午前の審査はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      ─────・─────    午後二時五分開会
  122. 千葉景子

    委員長千葉景子君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和六十一年度決算外二件を議題とし、総括的質疑のうち、内閣総理大臣及び各省大臣に対する質疑を行います。  質疑時間等につきましては、理事会において協議し、各質疑者に御通知申し上げましたとおりでございます。     ─────────────
  123. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 委員異動について御報告いたします。  本日、角田義一君が委員辞任され、その補欠として喜岡淳君が選任されました。     ─────────────
  124. 千葉景子

    委員長千葉景子君) それでは、これより質疑に入りますが、まず私が、各会派のお許しをいただきまして、決算委員長として若干の質疑をさせていただきます。  まず第一に、参議院における決算審査の位置づけとその審査の充実についてお伺いいたします。  御承知のとおり、国の財政は、国会議決に基づいて行使しなければならないと同時に、また国の収入、支出の決算はすべて国会に提出して事後の評価を受けることとされております。  参議院におきましては、議長の諮問機関である参議院改革協議会において、決算審査は、国会の財政監督権の中心をなすものであり、予算執行の実績である決算審査は、予算審査とともに国会の財政に関する権限のいわば車の両輪とも言うべきものであると位置づけ、総括的質疑充実政府決算審査への積極的協力など具体的な改善事項を提示するとともに、決算審査を通じて実質的な幾多の改善を行ってきているところでもございます。  海部総理も、先日の参議院本会議におきまして、決算審査に関して理解ある発言をなさっておりますが、改めて決算委員会の位置づけについて、またその審査の充実のための政府の御協力について総理の御所見をまず承りたいと存じます。
  125. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 国会決算審査は極めて重要でございますし、また特に委員長指摘参議院における決算審査も衆議院とともに国会決算審査として極めて重要なものでございます。  従来、政府といたしましては、決算審査重要性にかんがみまして、でき得る限り御協力をしながら対応していく、そういった基本姿勢でまいりましたけれども、今後とも決算国会審査の重要性を十分認識しまして御協力をさせていただきたい、こう考えております。
  126. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 次に、決算関係の審査結果に対する政府対応について伺わせていただきます。  まず第一に、御承知のごとく、昭和六十二年度、六十三年度の予備費六件につきましては、委員会ではすべて承諾されたのでございますが、本会議におきましてはそのうち三件が不承諾となっております。これについて総理もまことに遺憾である旨の談話を発表されておりますが、本院の意思を謙虚に受けとめていただき、今後の予備費の計上、またその運営に反映させていくことが最大の責任をとるということになると思いますが、総理いかがでしょうか。
  127. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 政府は、予備費について、その節度ある使用に留意し、今日までもみだりに流されることのないよう適正な処理に努めてきたところでありますが、今般、御指摘のように、予備費の使用について参議院の御承諾がなかったことにつきましてはまことに遺憾なことであると受けとめ、今後、政府といたしましては、予備費の使用に当たってはその適正な使用に向けて一層努力をしていく決意でございます。
  128. 千葉景子

    委員長千葉景子君) また、昭和六十一年度決算検査報告を見ますと、多くの不当事項や改善事項が挙げられており、まことに遺憾であると考えます。  不当事項とは、法律、政令、予算に違反する事項でありますが、会計検査院指摘によりますと、六十年度の百十七件、三十六億六千万円に比し、六十一年度は百二十九件、三十九億一千万円と増加をしております。また、検査全体の結果では、不当性のある指摘の額は二百十四億三千五百万円に及んでいるのでございます。さらに、その内容を見ますと、現在の経済的、財政的状況を反映した事項が多くなっております。  こうしたことの慢性化した財政運営は、国民の信頼を裏切るものであり、襟を正していかなければなりません。  このような不正、不当事例を根絶するよう指導すべきであると思いますけれども、総理の御所見を承りたいと存じます。
  129. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 御指摘をいただきましたように、予算の不適正使用の事例が生じていましたことは事実でございまして、まことに遺憾なことでございます。二度と繰り返してはならぬことは当然でございますから、指摘された不当事項等につきましては、その周知の徹底を図りますとともに、再発防止に努めるため、予算の執行に当たる者のモラルの一層の確立に努力をしなければならないと考えております。
  130. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 次に、六十一年度決算委員会審査は、第十五回通常選挙を挟みまして、国会開会中に十回に及んで精力的に行ってまいりました。  その審査におきましては、一つに政治、行政の中枢で発生したリクルート事件、二つ目に税収見積もりの見込み違い、三つ目に証券検査機能の充実、四点目に公庫決算のあり方、五点目としてクレジットカード対策、六点目に産業廃棄物問題、七点目に身体障害者の雇用問題など、政治問題を含む行財政全般にわたる数十項目の諸問題の質疑が活発に行われてまいりました。  決算審査の内容を次の予算策定及び予算執行にぜひとも反映させていただきたいと存じますが、海部総理の御所見なり、また御決意のほどを重ねてお伺いをしたいと存じます。
  131. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 御指摘いただきましたいろいろの項目に関しまして、私は、決算というものは予算の執行の実績であり、国会におけるその審査は予算の執行が所期の目的を果たしているかどうか等について審査、検討するものでありまして、極めて重要であり、御指摘の点もきちっと留意をいたしまして、政府としましては今後決算の成果を予算編成に当たりましても反映させていきたいと考えます。
  132. 千葉景子

    委員長千葉景子君) それでは、最後にODAに関しましてお伺いをしたいと思います。  一九八九年度の我が国政府開発援助は約一兆四千億円となる見通しでございますが、さらに、本年七月の先進国首脳会議で、今後三年間で三千億円の環境保全ODAを約束されております。  このように経済大国日本としての世界への貢献がなされているのでございますが、総務庁の行政監察結果では、これらのODA資金のうち十分に生かされていない事例が指摘されるとともに、外務省など関係四省庁に対しその改善のための具体的な勧告が行われております。  現在国民の関心の強い経済協力につきまして、各関係方面の指摘をどう生かしていくのか、御所見を伺いたいと思います。また、ODAに対する実効ある検査体制をどのように整備されていくのかもあわせてお伺いをしたいと存じます。  なお、当委員会では、アルシュ・サミットでの合意に基づくポーランド、ハンガリーに対する援助の内容についても質疑がなされております。総理は来年一月に東欧を訪問されると伺っておりますが、これらの国々との外交関係及びODAのあり方についてどのようにお考えでしょうか。お伺いをさせていただきたいと思います。
  133. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 御指摘をいただきましたODAに関する行政監察は、総務庁が、我が国政府開発援助の適正かつ効果的、効率的実施を図るために援助関係省庁及び実施機関の業務について調査を実施し、その結果をもとに昨年及び本年の二回にわたり我が国ODAの協力形態別に種々の改善措置を勧告いたしております。右勧告は、全体として適切かつ有意義なものであり、これを受けて政府部内におきまして改善可能なところから着実に改善に着手をしてきておるところでございます。また、その他の具体的改善策につきましても、関係省庁間で鋭意取りまとめているところであります。政府といたしましては、右の行政監察勧告を踏まえ、ODAの一層の効果的、効率的な実施を確保していきたいと考えております。  また、ODAに関しましては、総務庁による行政監察に加え、援助関係機関による援助評価を実施して、右の結果を公表もいたしております。その他、会計検査院による我が国の援助関係省庁及び援助実施機関に対する実地検査を実施して、効果的、効率的な実施も図っておる次第であります。  今後とも、国民の皆さんの御理解と御支持を得つつ、相手国よりも一層評価を受けるように、ODAの実施に当たっては格別の努力と注意を払って続けてまいる所存でございます。  なお、最後にお触れになりました私の東欧訪問の問題でございますが、目下関係国と日程の調整中でございますけれども、調整がつけば、ポーランド、ハンガリーを中心とする東欧諸国における自由と民主主義及び市場経済体制を目指した改革の動きは、欧州情勢の安定化のみならずアジア・太平洋の安定化にも影響を及ぼし得るものでありますし、両国の改革の成否は、市場経済体制への移行が円滑に行われること、このために両国の経済の再建と経済開発が進むことがかぎになってくると思います。  このような認識の上で、我が国といたしましては、さきのアルシュ・サミットにおける議論を踏まえ、また民主主義国の一員として応分の協力を行うという考え方から、先般、我が国経済協力の一環として、ポーランドの通貨安定化基金への貢献として一・五億ドル相当の供与を初めとする支援策を発表した次第でございます。
  134. 千葉景子

    委員長千葉景子君) どうもありがとうございました。  以上で私の質疑は終わらさせていただきます。  それでは、質疑を続けてまいります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  135. 及川一夫

    ○及川一夫君 総理、大変御苦労さまでございます。  一言総理に申し上げておきたいと存じますが、決算にかかわる審査は必ずしも順調にいっているとは思えません。実は今やっているのが六十一年度ということになるわけでありますから、既に六十四年度も終わりにかかっている中でこの決算審査をやっているわけでありまして、そういう責任は運営をつかさどっている我々にもあるわけでありますが、そういう責任を感じながら、本来はこの締めくくりの総括も通常ですと二日間、具体的に言えば総理に対する御質問は一日ちょうだいをするという形のものでございましたけれども、今回は先ほど申し上げました事情等も十分考慮して、閣僚の皆さんとは午前中、午後からは総理ということで進めているわけであります。したがって、極めて質問時間が短いわけでありまして、そういったことを十分酌み取っていただきまして、端的にお答えをいただくことをまずもってお願いを申し上げておきたいと思います。  第一に私が総理にお尋ねしたいのは、今日の政局絡みで一体解散総選挙はいつなのかということ。海部総理自身は確かにお話しにはならないのでありますけれども、あたりほとりというか、我々にとってはかなり影響力のある方々がそれぞれ発言をされて、二月の十八日という日にちが浮かび出してきている。総理自身も年が明ければ海外に出かけられる、一月の二十二日あるいは二十五日には自然休会明けの国会も再開される、そしてその時点で解散があるのかないのかということ、あるいはまた補正予算というものがどういう扱いに一体なっていくんだろう。我々にとっても大変関心のあるところですし、同時にまた政治活動そのものに重大な影響を来すわけでございますので、ざっくばらんにといってもざっくばらんにはならないかもしれませんが、この際、金のかからない選挙、しかも国民の意思をいずれにしてもお尋ねするという時期は、ここまで来れば私は明確にされるべきではないかという気持ちがするんですが、いかがですか。
  136. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) せっかくお尋ねをいただきましたけれども、今与えられた政策課題がいろいろございまして、それに全力を挙げて取り組んでおりますし、今のところ、ざっくばらんに言えと仰されましても、ざっくばらんに言って解散のことは考えておりません。
  137. 及川一夫

    ○及川一夫君 それでは補正予算のことはどうなさるんですか。
  138. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 補正予算に関しましては、人件費の問題とか災害の問題とか、予見できなかったいろいろな問題、新たな財政需要その他ございまして、今どうするかという枠組みの検討中であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  139. 及川一夫

    ○及川一夫君 ということは、いずれにしても休会明けの時期には補正予算というものが提案される、こう受けとめてよろしいんですか。
  140. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 政府といたしましては、提案をして皆様方にまた御審議、御議論をお願いをすることになります。よろしくお願いいたします。
  141. 及川一夫

    ○及川一夫君 なかなかこの問題は簡単には答えられないのかもしれませんけれども、しかし元総理とか自民党の皆様方の代表的な人たちが御発言になるものですから、余り総理がおしゃべりにならないと、今の内閣総理大臣はどなたなのかなということを非常に勘違いというか、間違って受けとめるような感じがしてならないんです。したがって、私から言えば、それこそ総理の指導力というものを発揮していただきまして、今国民が何を欲しているかということを考えれば、どちらにしても解散総選挙というものが大きな課題になっているというふうに思うので、解散権などということを言わずに、それこそそういった解散のめどを明確にして、それぞれが競い合うというようなことになってほしいということを私はとりあえず要望しておきたいと思います。  次の問題としては、政治姿勢の問題についてお伺いをしたいのであります。  政治姿勢というのはやはり相手にもよるだろうと思います。それから、今日のいろんな情勢というものを踏まえて、海部内閣としてどんな政治姿勢をとるかということが決められるんだと思う。  そういう面で言いますと、一つには、消費税廃止法案なるものが参議院で可決をされたという事実、あるいはまた、きょうも二時から既に衆議院で税特委が始まっているという状況、そしてまた、六十一年度の決算というものについて各会派の動向というものを見ますと、必ずしも海部総理が歓迎するような状況になるようには思えないという問題。衆議院でさまざまな法案が決められておりますけれども、それ自体がかなりの修正をしながら参議院の方に送られてきているという問題等々を考えますと、これは今時点だけの問題ではなしに来年、再来年というふうに続くような状況だということを考えますと、今海部内閣として最も大事にしなければならない政治姿勢というのは何だろうかということが私は問われると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  142. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 非常に広い視野に立って、高い次元の御質問だと思いますが、私は、一言でお答えさしていただくと、それは対話と改革という姿勢でいかなければならないと思っております。  と申しますのも、土地基本法にしましても、先生指摘のように、衆議院の修正、そして本日も参議院でも修正を願って明日また衆議院で成立する、そのお話し合いの中でいろいろ改めるべきは改め、野党の皆さんの御意見も聞きながらきちっと政策は前進させていかなければならない、こういうことが基本ではなかろうか、こう判断しております。
  143. 及川一夫

    ○及川一夫君 同感であります。私はそのことがなければ単なる対決に終わってしまう、その結果は必ずしも国民のためになるものではないと思います。そういう意味では、政権を担っておられる海部総理自身がしっかりと対話の姿勢を明確にして、そして野党の意見も取り入れる、そういう姿勢があってこそ初めて議会運営というものができるし、また国民のための政治というものが展開されていくんじゃないか、そのことなしにはという気持ちで私もいっぱいでございます。どうかそういう立場からこれからの国会運営、政治の運営をぜひ考えていただくことを希望いたしまして、次の質問に入らしていただきたいと存じます。  その第一は、決算重視という問題について海部総理が公明党の質問に対して答えられました。非常に結構なことだと思うし、決算委員長もそのことを重視して御質問もなされております。ただ、 回答の方はどちらにしても具体的でないことだけは確かなんですが、一体重視するというその中身は、どういうことを意図されて総理はあのような回答をされたんでしょうか。それをお伺いしたいと思います。
  144. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 文字どおり、大切に考えるということでありまして、決算を重視するというのは極めて基本的に大事なことだと、こう受けとめさしていただきます。
  145. 及川一夫

    ○及川一夫君 ならば具体的にお聞きしますが、政府の方が法案を各常任委員会で論議される場合の行政当局の姿勢と、決算委員会決算を論議するときの行政当局の姿勢について、どうでしょうか、両方とも熱意があると思いますか。その熱意に差はないというふうにお考えですか。
  146. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 行政当局はそれぞれ熱意に差はなく対応をしておる、私はそのように理解をいたしております。
  147. 及川一夫

    ○及川一夫君 そういうことを前提にしての重視だということになりますと、言葉だけが空回りをしているというふうに申し上げざるを得ないのです。  私の体験からいいますと、法案がかかりますと行政当局の皆さんの熱意は大変なものであります。来ぬでもいいのに来て何とか早くと、こういうお話が再三行われるのであります。余りやり過ぎると、パチンコ疑惑の問題じゃありませんが、何か圧力をかけたということになっちゃかなわぬなというふうに思うくらいとにかくおいでになるわけであります。しかし、決算が議題になりますと、行政当局が議員会館に来て、早く済ましてもらいたいなどというようなことは私は一度も受けたことがないんですね。だから決算が今にして六十一年度になっているとは申し上げるつもりはありません。しかし、そういう姿勢が一つの要因ではないか。我々自体もそれを容認しておったか、容認したかしないかという問題を含めて考えていかなきゃならぬのですけれども、極めて決算に対する行政当局の熱意というのは私は差があるというふうに言わざるを得ないのであります。  ですから、総理大臣みずからが決算を重視されると言われたんですから、当然それにふさわしい態度をとってもらわなければいけないと思うし、私自身も早く六十二年度の問題を取り上げなきゃいかぬ。少なくとも来年の夏ごろには六十三年度の問題をとらえて議論しなければいけない。できれば六十四年度が来年の秋あたりにこの場で議論になって、その議論の反映がそれこそ六十五年度予算に反映されるような決算の審査でありたい、こういうふうに思うわけであります。  総理は熱意に差がないと言われるが、私は熱意に差がありますよと、こういうことを感じておりますので、その点をひとつ重視というお約束の中で、少なくとも早目に決めてもらいたい、促進してもらいたい。そういう気持ちに行政当局がなるように私は強く要求したいと思うんですが、いかがですか。
  148. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 御指摘の御趣旨を私は重々大切に受けとめさせていただきますし、また法案提出のときと、決算を早くしていただきたいというときに、行政当局の態度をいろいろ御指摘になりました。聞いておった行政当局の諸君も今の御質問の趣旨を十分に体して、熱意がないとか態度が違うとかいうような御批判をかりそめにもいただかないように今後対応していただきたいと、こう心から私も含めて申し上げておきます。
  149. 及川一夫

    ○及川一夫君 もう一つ申し上げますと、これは実は大蔵大臣がおいでになるといいんですけれども、税特委の関係で御出席がなかなか難しさがあるようです。私も税特委を担当しましたので、やむを得ない事態だと思いますが、大蔵の行政当局の方もおいでになっているようですから、続けさせていただきたいと思います。  というのは、六十四年度にしろ六十三年度の決算にしろ、閣議でこれが受けとめられて国会に上程されるというのはどうしても十二月の半ばにならないと出てこないわけです。なぜなんだろうと。よく聞いてみますと、各省で三月三十一日で締め切ると三カ月かかる。決算書ができ上がる、大蔵省に持っていく、大蔵省が総合的な決算書をつくる、それに三カ月を要する。そして会計検査院に持ち込むとそこでも三カ月かかる。そして十二月の中旬、これは法律行為の問題を含めて出てくるわけですね。どうしてそんなにかかるんだろうか。何とかひとつ二カ月、二カ月、二カ月ぐらいでいかないのか。そういう形になれば少なくとも十月の中旬とか十月の下旬あたりから決算審査ができるんだがなと、こういうふうに実は思うのであります。  これはひとつ大蔵省の行政当局にお聞きしたいんだけれども、かないませんか。三カ月を一カ月削って二、二、二とすることはできないでしょうか。お伺いしたいのであります。
  150. 小村武

    政府委員(小村武君) 決算国会への早期提出の件につきましては、私ども七月三十一日に主計簿を締め切らせていただいております。その後決算書の作成をいたすわけでございますが、決算書は財政法で内閣から十一月三十日に検査院の方に送付をするということになっておりますが、私どもこの作業を毎年急ぎまして、大体十月の中旬、約一カ月半繰り上げまして会計検査院に送付をいたしまして、会計検査院の審査を経て国会に提出しているという現状でございます。  今後とも決算作成事務の促進を図るべく政府として努力してまいりたいと考えております。
  151. 及川一夫

    ○及川一夫君 衆議院の逓信委員会で形の上ではNHKの会長が怒られたそうでありますが、NHKの決算について今ごろ六十一年度の決算審議をやっているなんというのはナンセンスじゃないか、こういう意味の御発言があって問題になったという経過が実はありますね。そういう方の頭の中というのは、大体二カ月でいずれにしても決算をして株主総会に出しているんだと、こういうことが民間全体にはあるからだと私は思っています。  民間と同じようにはできないまでも、しかしもう少し期間を縮めて、審査の時期を最も適した時期に何とか変えていくことができないだろうか。法律で決められているからではなしに、法律で決められていることが時宜に適さないというんなら、それ自体を改めるというぐらいの気持ちでもって少し決算の作業というものを行政当局として縮めてもらいたい。そういうことをやりませんと、総理が言われる決算重視ということは、決算をしてみて問題点が出てくる、それ自体を次々年度であるけれども反映させるということの作業が私はできないのではないか、こう思えてならないのであります。  しかも、それにするには、月次決算というものが企業会計じゃありませんからできるできないという議論もあるんでしょうけれども、一カ月、二カ月、三カ月というそういう中で少なくともこの決算的な発想があって整理をしていくならば、現金の支出の関係などを含めてもう少し縮めることは私は可能だというふうに思っているわけです。きょうずばり回答はできないかもしれませんけれども、総理、ひとつ大蔵大臣をしてこの問題について決算委員会の要望にこたえるという意味でも、一度そういう作業をしてみないかということをお約束いただけませんか。
  152. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 御質問の御趣旨はよく理解をいたします。  そして、今も御説明しましたように、法律の規定よりは一カ月半ほど早めるような努力をして御提出しておると言いますが、これまた大蔵大臣ともよく相談しますけれども、余り期間を早めてしまって、私は疑うわけじゃありませんが、その検査そのものの本来の趣旨から逸脱するようなことになってもまいりませんし、どこでそのぎりぎりの接点を求めて、早く出せるという努力の限界があるんだろうか、研究をさせていただきます。
  153. 及川一夫

    ○及川一夫君 前段の方はいいんですが、後段の方はそう言われるだろうと思ったんで、そこで検査院はどうなんだろうかということに実はなるわけですね。  検査院と一口に言いましても、量的な問題があ るでしょうし、それから検査体制の問題もあるでしょうし、あるいは責任体制の問題もある。大体私は三つ問題があると思っているんです。検査院の検査体制の問題について前回ちょっとお尋ねをしたんですが、いずれにしても、どう大目に見ても全体の四〇%ぐらいしかなかなか一年に検査ができない、こういうことを言われているわけです。私は高望みかもしれませんけれども、少なくとも六〇%あるいは六五%ぐらいまではできないものかどうかというようなことを考えたりするわけであります。  したがって、検査院にお聞きしたいんですが、今の検査体制というものについて十分とお考えですか、お聞きいたします。
  154. 中村清

    会計検査院長中村清君) 決算重視という観点から、会計検査院の検査体制の充実強化ということにつきまして御理解をいただきましたことにつきましてはまことにありがたく存じます。  実地検査の施行率を高める努力ということは当然私どもとしてはしなければならないことでございますが、まず、現体制におきましても、例えば研修を充実して検査の質を高めるように努める、あるいはコンピューターを導入しまして、検査箇所の個別的な選定、検査の途中における処理あるいは検査のまとめにおける処理、こういったものを効率化する、この点につきましても努力していかなければなりません。また、会計検査院の活動の正しい姿を国民の皆さんに十分理解していただくように努めまして、そして職員の士気を高める、こういうことにも努力しなければならない、こう考えております。  いずれにしましても、検査の実施体制の充実ということにつきましては、今後とも私どもとしては十分留意し、強くしていきたい、こう考えております。
  155. 及川一夫

    ○及川一夫君 予算編成の時期でもありますし、いろいろ折衝に対する配慮もあるでしょうから、検査体制が十分なのか不十分なのか今の答えではわからないんですけれども、それ自身は余り問わないでおきたいと思いますが、少なくとも検査体制が不十分だからこういう検査しかできないんだという答えだけは出してはならない、そういう前提での体制をひとつ仕組んでいただくということを希望しておきたいと思います。  その上に立ちまして、これはちょっと物が言いにくいんですけれども、総理にお伺いしたいんです。  実は検査ということになりますと、法律が規定しておるように、会計検査院自体が独立した人格を持っておられるわけですね。独立した人格から、政府の支出という問題に対して大所高所から検査をされて一定の結論を出す、こういうことになっておるわけです。したがって、そこには癒着があってならないし、また癒着だと思われるような体制もつくってはならないし、そしてまたそういう行動もあってはならない。これはもうどなたもお互いお認めになることだと思いますね。  それじゃ人事の面でどうなんだ、こういうふうにたまたま眺めてみましたら、どうもここ二十年ぐらい、検査官の任命、個々人のことではなしに、一つには会計検査院からプロパーとして検査官になる方と、国会の事務局といいますか、事務局の総帥たる事務総長ですか、こういった方が多いし、また大蔵省がほとんどこの検査官のもう一つのポストを占められておる。しかも大蔵の場合には、別にポストが低いからあの人はいいとか悪いとかというふうには言いたくありませんけれども、大蔵省の次官が最高のポストだとすれば、そういう方が行った形跡はないし、その次が主計局長だとすれば、あるいは各局長だとすれば、そういう局長もおいでになった形跡もない。次長になった方がどっかの次官をやられて検査官になられていっているという歴然たる事実が存在しているわけですね。  そうしますと、検査官三名おるけれども、検査院のプロパーを除いて、いわば行政といいますか、あるいは立法といいますか、いずれにしても何となくお役人と言われる方々がそういう検査官のポストを占めているというのは、見る人から見ると何となくすとんと落ちない感じがするのであります。そういう形がいいとか悪いとかいう議論もあるんですけれども、もしどうしてもそれを守りたいというならば、もう少し民間なら民間の関係から、その筋の専門家というのはいるわけでして、そういう人たちを二人ぐらい登用するなどということは考えられないだろうかと私は思うんです。  これは内閣総理大臣が任命されるわけですから、任命権者たる総理にお聞きする以外にないんですが、所見を伺いたいというふうに思います。
  156. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 御承知のように、三名の検査官が合議制をもって職務を遂行しておりますのが会計検査院でありまして、その地位、その職務の独立性はきちっと確保されたものでございます。したがいまして、そこの三人の検査官にはそれぞれ行財政、いろいろ法律その他についても深い知識が要るものでございますし、実務経験もその中のだれかは持っていた方がいいのではなかろうか。あるいは国会におけるそういったお取り扱いその他についても事務局の経験者が選ばれておるという御指摘もそのとおりだと思います。  合議制で三人寄っていろいろやるわけでありますから、しかもその御同意は両院議員の同意人事になっておるわけでございまして、国会で各党の皆さんの御同意もいただいて任命するわけでございますので、私はどうぞこのことについては余り問題視なさらないように、出てくる結果については我々厳しく受けとめて対応していきたい、こう思っております。
  157. 及川一夫

    ○及川一夫君 問題視されないように――確かに私も同意した一人でしょうから、具体的に個別の問題で文句を言うつもりはない。ただ、そういう組み合わせがどうか、それが他から見たらどうなんだろうと。じゃ、自治体はどうなんだということを調べてまいりますと、自治省の報告では余り定かでなかったんですが、実際に歩いてみると、三人監査官がいるが、そのほかに非専従で民間の代表を含めて監査体制をつくっているという自治体も実はあるわけですね。  ですから、そういう意味合いを含めて、私から言えば、少なくとも国民の目から見て疑義を受けないような、疑いを受けないような、そういう体制での組み合わせというものはどうしても必要だなという点では私は検討に値するというふうに思っているものですから、一応きょうのところはそういう意味で問題だけ提起しておきます。ぜひこれから先の問題として、どちらにしても行政を大きくするわけじゃないんですけれども、やはり小さくなればなるほど今度は逆の面でいろんな問題点が出てくるはずなんで、それをどう克服するかということを含めて総理にもお考え願っておきたい、こう思います。  それから次の問題として、決算重視の最後の問題なんですが、予備費が是認されないという結論になった、重く受けとめている、こうお答えをいただいているわけです。ただ、このままで参りますと決算そのものが同じような結果になりかねない。そうすると、是認をしないという一つの結論が出た場合に、一体政府としてはどうされるんだろうということが直ちに問題になってくるわけですけれども、総理この点、少し具体的で酷かもしれませんけれども、しかし現実にそういう事態に立たされるのではないかと考えれば考えるほど、やはりこの問題に対する処し方についてこの際お伺いをしておきたいと思います。
  158. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 私どもは、会計検査院のいろいろな指摘にかんがみまして、従来から国費の効率的な使用、事務事業運営適正化不当経理発生の防止などについて特に留意して行ってきたところでありますので、今回提出しております昭和六十一年度に係る決算につきましても、院の御理解をぜひいただきたい、また御理解がいただけるものと期待をしておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
  159. 及川一夫

    ○及川一夫君 いや、そのお願いされるに当たりましても、現実に一つあるわけでしょう、予備 費。それで、先ほど予備費の使い方についてはというお話があったんですけれども、だからといって、お願いされたから、はいよというわけにこれはなかなかいかないわけでして、我々も身を処すからには、みずから態度を鮮明にするからには、一体そうなったら政府はどんな態度をとられようとするんだろうかと、そのこともわかっていませんと、ある意味じゃとりようがない、こういう立場にも私はなるのではないかと思うんですよ。  この問題では、過去、我々の先輩の議員の皆さんが、皆さんの先輩である佐藤元総理に対して御質問もされて、佐藤総理の方からは、総辞職だけではなしに、それこそ解散という問題を含むほどの大きな問題だ、重く受けとめますよと、こういう議論の中で回答されたものも会議録の中にあることは我々も知っているわけです。ただ、これまで一度も是認をしないということが歴史上存在してないものですから、佐藤元総理がおっしゃられたような事態にはならなかったという厳粛な事実なわけです。  ですから、そういった点で、目の前に今総理がおられるわけだが、しかもきょういずれにしても結論を出さなければいけない、こういう状態にあるだけに、お願いしますという総理の一言はわかったけれども、しかしそうならなかった場合どうなるんだろうと。我々もやればいいというものじゃないですからね。ある意味のやっぱり責任を持って対応しなければいけない、こういう気持ちもあるものですから、しつこいようですがお伺いしたいんです。
  160. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 現在まさに御審議をいただいているところでありますので、ざっくばらんに申し上げますが、万一、仮に不承認ということになった場合を想定して対応につき答えろとおっしゃいますが、その対応について申し上げることは現段階では差し控えさしていただきたいと思います。
  161. 及川一夫

    ○及川一夫君 わかりましたというわけにはいきませんけれども、そういった態度をとられることについてはやむを得ません。  ただ、私は一言だけ申し上げておきたいんですけれども、是認しないということになった場合に政府のとるべき態度はということになるんですけれども、何も内閣をほうり出すことだけが責任のとり方では私はないだろうと思うんです。  むしろ、そういう事態になったときに政治姿勢として今何が一番大事だと思いますかということに対して、話し合いですよということを総理がおっしゃられましたね。それが答えだとするならば、具体的には、それこそ野党との間で話し合って、取り入れるものはどんどん取り入れてもらう、あるいは理解してもらうものはどんどん理解してもらう、こういうことが本当の意味で展開されるかどうか。それもその決算だけではなしに予算の成立から始まって私は存在するんではないだろうかというふうに思うし、どうしてもままならないということになれば、それは内閣を譲ってしまうということもあっていいことだというふうに思うんです。あるいはまた、是認をされなかったという理由がどこにあるのか、その原因というものを確かめて、それを次年度の内閣としての方針の中に取り入れて消化していくという、そういうやり方だって私はあると思うんですね。  ですから、これはこれからの私は身近な問題だと思っていますので、我が党の中では十分ひとつ、この問題をどう処理しなければならないのか話し合っていこうという気持ちを持っていることを総理にも申し上げて、とりあえずこの問題は打ち切っておきたいというふうに思います。  そこで次に入らしていただきますが、今、警察という言葉が出ますと、警察に本当の意味で中立性があるのだろうか、信頼性というものがあるのだろうかということが自然に言葉として実は返ってくる状態ではないのか。政府立場から見ても大変憂えなければならない情勢にあるんじゃないかというふうに私は思っております。  それは、何と言っても余りにも不祥事が多過ぎるということが言えるし、あるいはまたパチンコ業界の話じゃありませんけれども、オープンになったことはいいけれども、余りにも警察関係OBの方々の天下りというものが広い範囲にわたって、そんなにあったのかというふうに思わせるような実態、そしてごく最近では香川あるいは大阪府ということになりますから、いずれにしても守秘義務だけではない、総務庁長官が責任者として管理されている個人情報の保護法、こういうものに対しても違反をするような実態になっているではないか。私は大変な事態だというふうに思うんであります。  問題解決のために努力はされているんでしょうが、総務庁長官いかがでしょうか。このプライバシーの問題に関連をして、警察の方々が私から言えば法律違反を犯しているということになるんですが、総務庁長官の前に警察庁長官に、全体の問題としてとらえて、一体どんな御感想を持っておられるのか、お聞きをしたいと思います。
  162. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 最近警察官の不祥事が相次いで発生をしておりますことはまことに遺憾、深刻に受けとめておるところでございます。特に、香川県と大阪府で最近発生をいたしております個人情報の漏出問題につきましては、個人のプライバシーの保護という重要な問題についての影響が多分に考えられるということから深刻に受けとめておりまして、一昨日、警察庁からこの問題について全国の都道府県警察に対しまして通達を発したところでございます。  現在捜査中でございますので、その状況が明らかになり次第、その結果を踏まえて今後の対策を早急に立ててまいりたい、こういうふうに考えております。
  163. 及川一夫

    ○及川一夫君 深刻に受けとめておると、そういう一言で尽きるのかもしれませんが、ただ私どもの印象としては、何か事件が起こると通達を出す、あるいは何やら会議を持っているんな注意をするということだけで一体問題が解決するのかなということを本当に実は考えさせられるわけですよね。ですから、なぜそういう事件になったのかという原因というものを徹底して究明して、それ自体を除去しなければ問題の解決にならない。  同時にまた、どうも最近の事件を見ますと、警察庁の場合に上層部に対する信頼感というのが物すごく欠けているような気がするんです。これは僕は現場の警官の責任じゃないと思う。上層部そのものがそういう信頼を得られないところに一つの私は問題があるというふうに思っているんですが、その深刻という言葉の中にそういった意味合いは含まれていますか。
  164. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) こういった不祥事案発生した場合の私ども対応でございますが、深刻に重大に考えておるという具体的な内容といたしましては、一つは、起きました事案について徹底的に分析検討する、その結果に基づいて人事管理の問題がなかったか、また教育の面で問題がなかったかということにつきまして詳細に検討し、その結果をその後の教育管理に十分に生かしていくということが一つございます。また、個々の職員、また警察組織に欠陥がなかったかという点につきましても十分に検討して、個々の職員の士気の高揚ということについても十分配慮をしてまいりたい。また現在もそういうふうに図っておるわけでございます。  しかし、その後いろいろと事案が相次いでおることは事実でございますから、これも引き続いていろいろな面で検討し、適切な対応策を講じてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  また、公正さの面につきましては、特に幹部から職員全体に至るまでこの警察職務の公正さにつきましてはもう当然のことでございますので、この点については十分に徹底をさせているところでございますが、今後ともこの点についてはさらに徹底をさせていきたい、かように考えております。
  165. 及川一夫

    ○及川一夫君 私も二、三の警察官の友人がおりますので、実はいろいろ自由に話し合ってみたわけですよ。  最近の出来事の中で、一体これはどうなのかなというふうに言われたのがプリペイドカードの問題なんです。どういうふうに言われたかというと、確かにパチンコ業界というものに対しては警察庁が監督官庁であることは間違いないのだけれども、プリペイドカードというのはこれは何も関係ないじゃないか、どこの官庁が監督するのかといえばむしろ通産省のはずだ、それなのに何で警察がこのプリペイドカードを適用しろ、適用しろというふうに躍起にならなければいけないのか、我々の立場から見てもぴんとこないと、こういう答えが実は返ってきているわけですよね。言われてみればまさしくそうなんですよ。どうしてプリペイドカードで警察庁があそこに入れ、ここに入れというようなこと。  しかも、「パチンコファン」という機関誌ですね、恐らく業界の機関誌なんだろうと思いますが、そこで警察庁の現役の課長さんがインタビューに応じて、このプリペイドカードの問題について組合との対応の問題についてお話をされているわけですよ。ここにありますけれども。そのほかに「噂の真相」あるいは「月刊タイムス」とか、そういう中にもその「パチンコファン」の中で載った現役課長さんの言葉が引用されて、一体いいのか悪いのかという議論もされているわけですよ。  しかも、中身的に見ますと、プリペイドカードを採用するということに対して賛成した人にはいろんな便宜を与えても、反対するやつは勝手に反対しろ、そんなやつは面倒見ないぞと、まあ私の言い方ですけれども、そういうふうにとられるような発言まで実はされているわけです。そうすると、警察の公正、中立という立場は一体どこへいったんだと、こんな話にまで現場の警察官の人たちは結構とらえているわけですよ。悩んでいるわけですよ。一体、それほどプリペイドカードの問題について――僕は賛成か反対かといったら反対じゃないですよ、これは。しかし、警察が先んじてそれやれこれやれというふうに躍起にならなきゃならぬ問題なんですか。
  166. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) まず、プリペイドカードが警察の問題かという点についてお答えをいたしますが、プリペイドカードそのものにつきましては警察が所管だと言うつもりはございません。パチンコ業界の健全な発展、これは風営適正化法によりまして警察の所管事項でございますし、私どもは行政指導を行っておるという、そういうものでございます。この業界の健全な発展のために現在社会の中でいろいろ取り上げられておりますプリペイドカードが非常に有効なものである、こういう観点からこのプリペイドカードの導入についてこれを行政指導の一環として警察庁が進めておる、これが真相でございます。したがって、プリペイドカードそのものを所管しておると言うつもりは毛頭ございません。  また、今お話にありました雑誌の中で私どもの方の課長がインタビューをしておりますが、このインタビューの中身を見ますと今のようなお話に受けとられる面もあるかと思いますが、この課長から詳細事情について報告を受けましたところは、これはインタビューによりますと、そのインタビューの内容を編集して載せたものでありますが、課長の真意が必ずしも十分に伝わっていない。それでは真意はどういうことかと申しますと、プリペイドカードに賛成することも反対することもこれは全く自由である、ただ、反対する人たちの中で、これは単なる反対ではなくて、賛成派の方に対していろいろな嫌がらせであるとか脅迫じみたことであるとか、そういった反対の行動――行動といいますか、行為があるので、こういう反対は決して許されることではないんだと、こういう意味のことをインタビューで話をした。それがあの雑誌にああいうふうに載ったということでありますので、真相はそういうことでございます。  ひとつその辺は御了承いただきたいと思います。
  167. 及川一夫

    ○及川一夫君 私も何回もインタビューに応じて端っこだけとられて中身が載ってないなんということもありましたから、それはそれなりにわからないわけじゃないですよ。だけれども、問題の所在は、この問題を通じて一つだった組合が二つになっちゃったわけで、だから二つに割られるほど、割れなきゃならぬほどの問題をなぜ警察がそれほどまで力を入れなきゃならぬのかということが僕はポイントだと思うんですよ。嫌がらせされたとかされないとか、両方にあるわけでね、あれは。だからどっちに手を挙げるかなんて、挙げられるものじゃないと私は思います。  それはそれとしておきますが、いずれにしても、警察の公正、中立という立場からいえば、あのインタビューの内容がそう受け取られるような内容になっているということをお認めになったが、本当に警察というものは一体何なんだということが今問われているという実態、しかも現職の警官の中にそういうことがあるということをぜひ頭の中に入れていてほしいんですよ。それを申し上げておきたい。  それからもう一つは、総務庁長官、いかがでしょうか。今度の事件で香川、大阪府で、事件はもうお認めになって、今問題解決のために懸命にやっていますということなんですが、これは個人情報の保護法という立場からいうとどういうことになるんでしょうか。
  168. 水野清

    国務大臣(水野清君) 先生御承知のことと思いますが、個人情報保護法は、行政機関が電算機で処理をしております個人情報の取り扱いについての基本的な事項を定めたものでございます。そこで、個人の権利、利益の保護を第一とするものであることはもちろん申すまでもないわけでございますけれども、このような法律の趣旨から見て今回の香川、大阪の事件というようなことは大変、他省庁のことでありますが、残念なことだというふうに私どもは受けとめております。  そこで、私どもの総務庁としましてはどうかということに相なりますが、現在警察庁において事実関係調査、さらに再発防止策の検討が進められておるわけでございますので、その推移をしばらく注意深く見ていきたいと、かように思っております。
  169. 及川一夫

    ○及川一夫君 一言でいいんですけれども警察庁は保護法との関係はどうお考えなんですか。この事件の保護法との関係です。
  170. 浅野信二郎

    政府委員浅野信二郎君) 今回の事件のデータ警察庁が保有しているものでございますので個人情報保護法の適用があるのでございます。したがいまして、警察庁といたしましては同法五条によりまして安全確保に最大限努める義務があるというふうに考えております。
  171. 及川一夫

    ○及川一夫君 きのうの地行委員会で同じようなお答えをされていますか。
  172. 浅野信二郎

    政府委員浅野信二郎君) 昨日、地行委員会で個人情報保護法に関する御質問がございまして御答弁いたしましたが、その際は、この法律ができてその趣旨の徹底をどうしているかというような内容の御質問であったと思います。私といたしましては、この法律はもとより、この法律の制定、施行ということによりまして個人情報の保護というものが一層重要になっているということを前提といたしまして、各種会議や通達等でその旨の徹底を図っている、こういうふうな内容の御答弁をいたしまして、直接五条等の問題に触れるようなことは念頭になくて答弁をしております。
  173. 及川一夫

    ○及川一夫君 これは私から言うと、総務長官、第五条にずばり関係するわけですよ。この保護法は警察は全部関係ないということになっていませんからね。行政官庁の一つですから当然のこととして、この第五条で言う、「個人情報の漏えい、滅失、き損の防止その他の個人情報の適切な管理のために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」と。漏えいさせてはならないというのが漏えいしちゃったわけですからね。ずばりなんですよ。ただ、警察関係がないというのは、開示請求の問題というようなこととか、あるいはインプットする場合の条件ですね、事前通知ですか、こういうものは、警察捜査に関するものは別 だというふうになっていますけれども、トータル的には、この法律が適用されることが大原則ですから、したがって第五条は、今官房長さんもお答えになったように、地行では答えてなかったけれども、今回これに関係するということをお答えになったことをまずはっきりお互いかみしめなきゃいかぬと思うんです。  そこで、実は昨年の十一月二十二日の内閣委員会でこの論議をやっているわけですね、この保護法成立に当たって。私も参加させていただきました。その際に、今香川や大阪で出ている問題を指摘しておいたわけです。しかも、金で売り買いされていますよと、OBと現役との間で。信販会社に行ったOBが、いろんな仕事で必要な情報という意味でちょっと現役の人に頼めば、簡単にと私は言いませんけれども、現実にそういうことが行われているということも聞いている。  同時に、これはどこまで責任があるか知らないけれども、「交番のウラは闇」という本がある。これは十年間警官を体験した大学卒の方です。やくざ抗争から人命を守るための行動に時間外手当がつかないことに不審をもっていろいろ警察内で論じたら、本人に言わせるとそれが理由でおれは首になったという立場の人なんです。だから、どこまでうそか本当かということを疑えば切りがない。しかし、この中に今現実に起きている問題がたくさん書いてある。ですから、ここで証言をしていることは本当だったということに実はこの本はなっちゃうんですね。私もこの本を信じて、要するにあり得るということで論議に参加させてもらいました。  そのほかに、この中には警察調査票というのが載っかっておりまして、少年カードの問題あるいは麻薬にかかわる調査の問題が書いてあるわけですよ、全部。こういったものを全部データバンクに入れると絶対に漏れないという保証があるだろうか。いじくるのはいずれにしたって人間ですから、人間の意思で入れたり出したりするんですから、その人間がその気になれば漏えいという問題は必ず出てきますよ。それを地方公務員の守秘義務だけで受けとめてよろしいんですか。そうじゃないんじゃないですか。これは人権にかかわる問題ですよ。それこそ本人の了解をもらわなければ、こういうデータというもの、情報というものをデータバンクに入れることは大きな問題だと思うし、国際的にもそういう観点からの論議が多い。だから、どうせ政府が保護法をやられるなら思い切ってそこまでいったらどうですかというのが私の主張でした。全部採用はされませんでしたけれども。それでも、幾分かもしこの問題を利用するということについて本人が了解すれば出してもいいというくだりもあります。  どちらにしても、この問題というものは私は現実の問題でありますから、事件を解決してもらうことも当然ですけれども、やはり個人情報にかかわるもの、とりわけ開示とか事前通知とかというものから除外されている部分について、大体除外されているものがまた必要なんですな。皮肉なんですよ。データバンクにばかばか入れて、これはオープンにしてもいいよというようなものは余り必要でないんですね。必要でないものがどうしても必要になる。それが人間社会の皮肉なんです。  だから、そういう問題をこの保護法の中でどう扱うかということについては私は本当に真剣に、ある意味では深刻に考えてこの保護法というものについてもっと充実強化をしなければいけないというふうに考えるんですが、長官いかがですか。
  174. 百崎英

    政府委員(百崎英君) 今先生が御指摘になられましたように、昨年のこの法案の審議の際に特に安全の確保等の問題等をめぐりましていろいろな御議論がございました。私ども早速、この法律が実はことしの十月から施行されておりますので、安全確保のためのガイドラインというものを各省にお示しいたしまして、この法律の適正な運用をお願いしております。そのほか、昨年の国会でいろいろな御議論を取りまとめて附帯決議が付されました。そういう意味では、私ども附帯決議を最大限に尊重いたしまして法の適正な運用に全力を挙げたいというふうに考えております。
  175. 及川一夫

    ○及川一夫君 今行政当局の方がお答えになりましたけれども、恐らく長官もあれでよろしいんでしょう。ちょっと確認しておかないと。
  176. 水野清

    国務大臣(水野清君) ただいまお話がございましたように、個人情報の保護ということ、犯罪捜査のために電算機から引き出した個人に対する不利な情報をその犯罪捜査以外に使うということは、先ほど警察庁からも答弁がございましたように、これは五条に違反するわけであります。そういうことがしかし非常に起こりやすい。  これはやはり公務員の一つは良識の問題でありますから、ただいま行政管理局長が申し上げましたように、私どもでガイドラインを各省に出してこういうふうな運用をしてほしい、こういうふうに申し上げているわけでございますから、それを守っていただくということ以外に方法はないのでありまして、今回の事件は守られておらなかった、そこで大変残念なことだと私どもは申し上げているわけでございます。
  177. 及川一夫

    ○及川一夫君 先ほど長官も、あってはならないことということが前提にあってそういうお答えですから、受けとめますが、これは弁護士会などを含めてどうも大きな問題になりそうです、事件は事件として。しかし、事件から出てくる本質論として保護法という問題が必ず問題になってきますので、ぜひ総務庁の方も――これを誕生させるにはえらい御苦労があったことは私もよく知っているわけですよ。各省庁の引っ張り合い、縄張り争いか、あるいは総務庁に名をなさしめてはだめだというのかどうか知りませんけれども、いろんなことがあったことは私も知っているつもりですよ。ですから、ぜひこの問題の解決は、これから私らも問題提起していきたいと思いますが、十分ひとつ見直しという意味を含めて日常考えていてもらいたいということを要請しておきたいと思います。  なお、総理、これは総理のプライバシーを侵しちゃならないということもあるわけです、個人であっても。納税者番号じゃないけれども、あそこでは大分食いつかれたわけですから、決して別次元の問題では私はないと思いますよ。ですから、そういう意味合いで、この問題について総理大臣いかがですか。今のやりとりをお聞きになって御感想をちょっとお聞きしたいと思います。
  178. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 個人のプライバシーと申しますか、そういったような問題については厳しく適正な運用がされなければならぬことである、私はそう考えながら御議論を承っておりました。
  179. 及川一夫

    ○及川一夫君 同僚の時間が来ましたので、多少残りましたけれども質問を終わりますが、いずれにしても、警察の中立という問題についてはいろんな角度から今論じられておりますから、また改めて問題を提起したいというふうに思っております。何とかひとつ警察そのものが信頼を取り戻せるように全力を挙げてやっていただきたいということを結びにして、終わりたいと思います。
  180. 一井淳治

    ○一井淳治君 リクルート疑惑のけじめをつけること、これは政治への国民の信頼を取り戻すために非常に重要なことであるということで、政治に当たる者、行政にかかわる者の最大の課題である。これは今も継続しているというふうに思いますけれども、そういう中で政治改革が最も重要であるというふうに思います。ところが最近の状況を見ますと、どうも小選挙区制の方に、言葉が悪いかもしれませんけれども、迷い込んでしまって、本来の政治改革はどこかに行ってしまいそうだという非常な危機感を持つわけでございます。  自民党の総裁として、そしてまた総理大臣として、現在の最大の政治課題に対して政治の中心にある方として最大限の努力をお願いしたいというふうに思うわけでございますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  181. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 御指摘をいただきますように、政治改革というものが当面の急務であるということは私がかねて申し上げ続けてきたことでございます。また、政治改革はどうするか、や はり政治家一人一人が政治倫理の問題について考えていくことが第一歩であります。  しかし、今国民の不信を買っておる問題の中に政治と政治資金の問題がございます。ですから、政治改革の当面の急務は、政治とお金の関係についての筋道や透明度を明らかにすることが一つの焦点であって、小選挙区制の問題ということが当面の改革だとは考えておりません。そして、国会に提案しました二本の法律の中にもそのことが入り口として、政治改革の第一歩として記されておるわけでございますけれども、それでもってすべてとは思いません。これはすべて国会の両院の各党各会派の御議論を通じて適切な結論が得られていきますことを強く期待させていただいております。
  182. 一井淳治

    ○一井淳治君 これは決して自民党だけの問題ではないということは御指摘のとおりだと思いますけれども、やはり首相に率先していただかなくちゃなかなかやり切れない問題であるというふうに思います。  最近の状況を見ますと、企業献金の問題あるいはパーティー規制の問題、あるいは派閥の弊害除去の問題等々を口にするのはやや言いにくいような状況も出てきつつあるんじゃないかということを非常に感ずるわけですけれども、首相にぜひとも言いにくいことも言って指導力を発揮していただきたい、このように思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
  183. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 私は、総裁に就任します前まで党の政治改革推進本部の行動隊長ということを務めておりまして、党がつくりました政治改革大綱というものの考え方を十分理解し、また私もそれの作成に参加をさせていただいてきました。時間の関係ですべて御紹介することはできませんけれども、当面の改革、長い目で見た改革、いろいろ決めてございます。それらに従って忠実にそれが実行されていくように一歩、二歩前進を続けていきたい、このように決意をいたしております。
  184. 一井淳治

    ○一井淳治君 不動の決意で臨んでいただくように要望いたします。  次に、リクルート疑惑のけじめをつけていくということのために大切なことに綱紀粛正の問題がございます。このことにつきましては、昨年の十二月十六日に閣議決定をされまして、これを各省庁におろしていくということがなされております。また、本年に入りまして、四月二十日、事務次官会議申し合わせというものができております。これは本当に画期的なことであるということを私も考えます。しかし、最近の様子を見ておりまして、この申し合わせの趣旨が必ずしも徹底されていないような感じを持たざるを得ないような場面に出くわすこともあるわけでございます。  二度と不祥事を起こさないためには、やはり高級公務員の方々の自覚をさらに強めること、そしてまた、次官会議の申し合わせに違反するような事態が起こった場合には懲戒処分もするというぐらいの強い方針で臨んでいただかなければ、なかなかこの綱紀粛正も実現できないというふうに思うわけでございますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  185. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 公務員の綱紀粛正が大切であり、また二度とあのようなことを繰り返してはならないという基本的な考え方でおりますし、今私がお答え申し上げようと思った政府措置等について既にそこで御指摘をいただきましたが、そのとおりにいたしまして徹底を図っておるところでございます。二度と繰り返さないように十分指導監督を続けていくように各省の次官にも申し渡してあります。
  186. 一井淳治

    ○一井淳治君 ただいま首相が言われたように、それが本当に徹底されまして、高級公務員の方々を初めとして現実に守られるようにぜひともお願いしたいと思います。今まで事件があるたびにいろいろと指摘されたんですが、なかなか守られなかった経過がありますので、今回はそういったことがないように強くお願いをいたしておきます。  次に、六十三年度の決算検査報告が十二月八日に会計検査院から海部首相のところへ提出されております。内容につきましては首相も大体おつかみだと思いますけれども、これは毎年出されておるんですが、もう毎年毎年むだ遣いといいますか、違法の支出というふうに言ってもいいような支出が減らないわけでございます。会計検査院の方も、こんなに何遍指摘しても減らないようではちょっと元気がなくなるんじゃないかという気もしますけれども、もう少し会計検査院指摘が守られて、ずさんな経理がなくなるように本気で取り組んでいただかなくちゃならない。ちょっと公務員の方々がまだたるんでおるんじゃないかというふうな気がするわけでございますけれども、その辺はいかがでしょうか。
  187. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 不適正な予算使用あるいは問題のある予算使用ということで厳しく御指摘をいただきました。  これは、おっしゃるように繰り返してはならぬことでありますから、どういうことが不適正であり、どういうことがいけなかったかということをきちっと周知徹底いたしまして、それぞれの執行担当者は今後これが繰り返されることのないように肝に銘じて職務に当たってほしい、こう考え、そのような態度で臨んでいきたいと思います。
  188. 一井淳治

    ○一井淳治君 今回の決算報告を見ますと、もうちょっと担当の公務員の方が機転をきかせてくれたらよかったなということもありますし、ほんのちょっとした工夫があれば税金のむだ遣いがなくて済んだということを痛感するところも非常にあるわけでございます。  詳しくは申し上げませんけれども、国家公務員の方々が目先だけを考えなくて、もう少し周りを考えながらやっていただくこと。例えば定数を超過して入院させている保険医療機関の場合は、室料や看護料については八〇%に切り詰めるという規定になっているんですけれども、この室料、看護料を八〇%にするということを忘れてしまっている、それをコンピューターの作動するのを忘れてしまっているというふうなことがありまして、ほんのちょっとしたことがむだ遣いの原因になっているとも感じますし、また予算が急膨張している箇所にやはりいろんな問題が起こっていると思います。そういった場合には執行に注意していただくとかあるいは人員をふやしていただくとかいうふうにしないと、いろんな問題が起こりそうな感じがいたします。  そういったことを含めまして、だんだんと会計検査院の御指摘が減っていくように、会計検査院の方々も恐らく自分の仕事がなくなることが夢であろうと思いますから、その夢が実現できるように首相としても強い態度で推し進めていただきたいというふうに思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
  189. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) そのように努力をしていかなければならない、こう考えます。
  190. 大島友治

    ○大島友治君 昭和六十一年度決算は、昭和六十二年の十二月に国会の方に提出されて、六十三年の五月に本会議質問が行われたということになっております。しかしながら、その後順調に進んだかどうかについては、いわゆる消費税のこともありましたし、またいわゆるリクルートの問題、そういった影響もございまして、どちらかというと例年になく大変審議がおくれてきたことは事実でございます。  ちょっと振り返ってみると、きょうここで総理大臣を迎えてはおりますけれども、そもそもこの昭和六十一年度の予算を執行したのが、これは当時の政府としては中曽根内閣でありまして、その決算を提出したのは竹下内閣だ、そしてその内容について質問するとこれに対する御答弁が海部総理大臣。全く目まぐるしいような、時の流れの速いような短いような、私ども感慨無量なところもございます。しかし、決算の審査によって新たな予算の編成に対する期待が生まれてくるということはもう御承知のとおりでございますし、過去の政策の上の反省がされるわけでありますから、重要な意義を持っておるというわけであります。  そこで、私は二、三これからお尋ねをいたしま すが、余り細かいことは申し上げませんので、ひとつ総理の率直な御意見を聞かせていただきたい。ただしかし、率直といっても私が感想をと言ったら、ああそのとおりですなんというんじゃこれはだめですから。特に、私の立場と総理の立場では当時からしても大変な差でございますから、私の感じ以上のものがある。それをかみ砕いて率直に御説明いただけば国民もよく理解するであろうし、総理の姿勢に報いることができるんじゃないか、こういう意味で、ちょっと前提が長いようですけれども、御承知おきください。  そこでまず第一にお伺いいたしたいことは、昭和六十一年度の経済運営についての評価でございますが、この年の前でしたか、六十年、いわゆるプラザ合意によりまして円高の現象が出てきたということでございまして、輸出の減退とか国内需要の後退等の懸念がございまして、政府の内需拡大に対する対策あるいは対外経済対策等に機動的かつ極めてきめ細かい経済運営が求められてはいたと思うのでございます。私もちょうど選挙の時期でございましたので、そこらを踏まえながら当時感じておったのでございます。いわゆるこの年に衆参同時選挙が行われまして、野党などから経済運営に対する多くの批判も聞かれておりましたが、それを踏まえながら一生懸命で選挙運動も当時やったわけでございます。  ところが、この六十一年度の経済を振り返ってみますと、物価も非常に結果的には安定していましたし、衆参同時選挙中に円高利益の還元の声も強くありましたが、行政指導の影響もございまして、卸売物価も、高くなるどころか逆に一〇%ぐらい当時下がったのではないかという期待の効果も割合に出ておったというふうに思います。また、個人の消費や住宅の投資が緩やかに増加もいたしましたし、全体としての経済は、当初非常に心配されたいわゆるそういう懸念も吹き飛んでいったのではないかと私は思っておるのでございます。  こうした経過というものは、好結果を結果においてはたどったのでございますが、そのためには、やはり企業としてもあの当時は非常に懸念を感じて、どうなるんだろうということでみずからの大変な努力もあった。また労働者の立場においても真剣に取り組んだ。そこへもってきて、私も百姓の本物として、大変農民としてもいろいろと苦労もして努力した。こういう結果でもございますし、同時にまた、政府としてもいろんな総合的な経済政策もとったということがこの結果であり、今日の大変好景気を維持できるような基礎づくりになったんじゃなかろうか、こんなふうに私は感じておりますが、総理といたしましてはどんなふうにこの六十一年度の状況をお感じになっているか。ひとつ最初にまず御所見を伺いたいと思います。
  191. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 今お述べいただきましたように、昭和六十一年度の我が国経済というのは、政府の経済見通しが大体実質経済成長率で四%程度と見ておりましたものが結果として実績二・七%。理由としては、おっしゃるように円高の問題とかいろいろございました。そこで、緊急総合経済対策を立てなければならぬというので、累次の経済対策を決定し機動的な経済運営も行ってきて、それが好景気に移行をする一つの反転機であったということも御指摘のとおりだと思います。  以来きょうまで、物価の問題やあるいは失業率の問題には非常に安定的ないい傾向が続いておりますが、景気の上昇は三十六カ月間維持し続けてきて今日に至っておる、このように理解をいたしておりますので、先生の御指摘と私の考えと一致いたしております。
  192. 大島友治

    ○大島友治君 大分一致しちゃったようだけれども、そのつもりじゃなかったんですが、まあしかしそうしていただいたこともありがたいような、何か妙な感じもいたすわけでございますが。いずれにいたしましても、結果的には今日の、いろいろ報道されているように、日本の経済の好況なんというものはちょうど高原地帯だなんていうわけですね。しかし高原があればやがて谷も深いということも考えなければいかぬだろう、こんなことも感じます。  そこで、財政再建の問題について一、二伺いたいと思うのでございますが、平成二年度の予算編成に当たりましては、赤字公債から脱却可能であるというふうなことが報道されている。これはかねての懸案事項でございますが、まことに結構なことだと思っております。赤字財政は国民の将来に大きな負担を残すことになるわけでありますから、一刻も早くこれは脱却をしていかなければならないと私も考えておる問題でございます。一国の財政は健全財政であることが大切ですが、景気刺激の必要な経済事情等によりやむを得ず赤字公債を出さざるを得ないことがあるわけでございます。しかし、そのときは、そういう点では財政拡大については人々の支持は極めて集中してくるというのは私も経験しております。しかし、今度は赤字脱却のために財政を抑制しようということになりますと、これは甚だ評判が悪いというようなことも経験しておることでございまして、これが現実だと思う。そこに政策担当者の御苦労というものがあるんだと思うのでございます。  六十一年度の場合は、当初過大見積もりとまで言われました税収が大きく伸びて、財政再建の大きな一歩が踏み出されたということは、今日の赤字公債脱却の一歩前進であったんではなかろうか、こう思うのでございます。そこで、税収見積もりがそごすることは、たとえそれが増収ということであっても必ずしもよいことではないと思うんですが、六十一年度の場合、株式市場の活況あるいは有価証券の取引税の増加、低金利を反映した個人申告所得税の思わぬ増加があったためであり、この際率直に喜ぶべきであろうとは思います。なぜならば、一時不可能と言われていた財政再建が特に財政縮小という大きな犠牲を強いることなく実現することは、将来国民がその恩恵を必ずこうむることになるということが言われるんだろうと思うわけでございます。  赤字公債を初めて発行したときは、野党はどちらかというと、自然増収が出た場合は全額赤字公債償却に充てるため国債整理基金に繰り入れるべきではないかというようなことを主張されたことがありました。そこで、増収の全額というわけではありませんが、赤字公債の発行額を減らして、そして剰余金の繰り入れを行っているのは、赤字公債発行の趣旨からすれば当然しなければならないことではないか、こう思うのでございます。  そこで総理に、この赤字公債なしで予算が編成できるようになったというこの喜びは、前の人の、先人というか、大変苦労があったと私は思うんです。私もその間において仕事もさせていただきましたが、そういう今のような経過をたどって今日赤字の方が脱却できたということについてはどういう御苦労があったかというようなことについて、先人に対する総理大臣のお感じはどんなものだろうということをちょっとお伺いいたしたいと思います。  と同時に、この財政再建に向かって、大体赤字国債を発行しないで赤字公債から脱却できたというのは第一段階ですが、しかしさらにまだ残っている問題は、百六十兆円というような巨額の公債の累積は依然として残っているわけでございますから、次の段階としてはこれをいかにして解消していくかということになる。  率直に申しまして、今百六十兆であるが、これに対しまして、さらにまた隠れ債務と言っていいか、歳出上の問題もあるから、百六十兆をさらにオーバーするんじゃないかということにしましても、将来の目標としては、私は国債費の負担を、予算の二〇%程度が今発行されているということは御承知だと思うんですが、しかしこれをいつまでも二〇%ということになるとなかなか解消に向かわないので、せめてその半分ぐらいの目標を立てて、そしてこの百六十兆のものに対しては政府はこういうふうに目標を立ててやるんだということを国民にもはっきり訴えていくことが必要じゃないか。私の考えたのは理論的にはいろいろ難し いと思いますが、私は、一〇%ぐらいの目標を立ててこれを実施されたらいかがなものか、こういうふうに考えます。  この二点について、とりあえず財政再建上の御意見を承ります。
  193. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) ただいま平成二年度特例公債依存体質脱却という目標を達成すべく全力を挙げて予算編成を行っているところでございます。そして、今日そのようなことができるに至った先輩皆さん方の御努力というものには、率直に私はこれを評価させていただきたいと思います。  なお、赤字公債に依存しない場合も多額の公債が残っておることは御承知のとおりでございます。それは鋭意努力をして縮めていかなければならない問題でもございましょうけれども、今ここで具体的に、二〇%前後を一〇%にする目標を立てろという御指摘でございますが、ちょうど大蔵大臣がおりますので、その点は大蔵大臣からお答えをいたさせます。
  194. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今総理がお述べになりましたような状況の中で、仮に来年度赤字国債脱却を果たしました場合に、次に我々として何を目標にすべきかという問題がございます。  一つは、委員が御指摘になりましたような巨額な国債残高の償還をいかに速やかに行うかということであります。もう一点は、いわゆる隠れ借金と言われます各種の財政措置を講じてまいりましたもののいわば繰り戻しをしていかなければなりません。また、先刻も本院におきまして触れましたけれども、国鉄清算事業団の累積債務も、旧国鉄の用地、またJR株式の民間への放出の終わりました時点で残りました債務につきましては、同様の措置をしてまいらなければなりません。これらにつきましては今財政審議会においていろいろ御検討をいただいておりますけれども、その御検討を待って私どもとしては対処をしてまいりたいと考えております。  ただ、いずれにいたしましても、これ以上我々は借金をふやすことなしに、いかにして減らすかを考えなければならない財政運営でありまして、その厳しさは今後も持続する、そのように心得ております。
  195. 大島友治

    ○大島友治君 総理と大蔵大臣そろっておりましたので、具体的な数字はともかくも、やや納得できる御答弁が早速いただけて、ひとつ御努力をお願いいたしたいと思うのでございます。  ところで次に、日本経済と国際経済の問題ということでございますが、日本が経済大国というようなことからいろいろ、昔のアメリカの景気のいいとき、いわゆるちょっと風邪を引いたら日本が肺炎になるなんというぐらい日本が非常に寂しい感じをした時代と、それが今になってみますと逆に日本が経済大国ということで、反対の感じでもって諸外国から見られているのが現状じゃなかろうか。  そういうときに、この前同僚も質問したんですが、企業の海外進出について、いわゆる倫理観を失ってやたらに独占的な方向に生産活動をするということも一つは問題があるんじゃなかろうか。同時に、金融の面におきましても、ただ金があるからといって、先般行われたような、大銀行が合併をいたしまして世界金融のランクの上位に堂々とやることも果たしていいことかどうか。国際場裏においても問題がある。同時にまた、国際国家、経済大国であるといって日本がいたずらに進出することばかりが能じゃないということで、総理としても、日本の国際国家としての立場で、企業の面からも、また金融の面からも、日本の国という立場からかじをとっていただく立場上、これに対する所見をちょっと私はお伺いいたしたいと思うのでございます。
  196. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) ただいまお触れになりました企業の海外活動の問題でございますが、近年日本の企業の海外における進出ぶりは、御指摘のように年々大きくなってきております。海外投資そのものは、いろいろな国の首脳とお話をしましても、もっと投資をしろという要求が先方から来ることもございます。また、ごく一部でございましょうけれども、現地でいろいろと批判を受けたようなことも確かにございました。  私は、これらの問題を含めて、海外投資は基本的には企業の自主的判断と責任において行われるものでありますが、投資を行う企業が投資先の地域においてよき企業、市民として活動し、海外現地社会に融和、貢献していくことが大切なことだと考えております。民間経済団体におきましては、これまで自主的に海外投資に当たっての行動指針を策定して、お互いに戒め合っているところでありますが、政府といたしましても、日本企業が海外現地社会に融和し、貢献した形での活動が行われていきますように、引き続き御質問の御趣旨も体しながら努力を続けていく考えでございます。
  197. 大島友治

    ○大島友治君 では次に外交問題でございますが、今日も情報が流れているわけでございますが、ヤルタ体制の崩壊と今後の世界情勢という問題でございます。  マルタにおいて米ソの首脳会談が行われまして、東西の冷戦体制に大きな転換が迫っていることが感じられるのでございます。また、十一月九日のベルリンの壁の撤去が象徴するように、戦後四十四年続いたヤルタ体制が東欧の内部から崩れようとしております。ある国は共産党の指導的役割を否定したり、自由選挙の導入を決めています。あるいはある国は国の名前までも変更し、旧来の指導者を追放したりしておるのでございます。また、ソ連自体におきましても、民族独立、分離の動きも伝えられておりますし、大会議が行われておるというのは御承知のとおりでございます。これは東欧諸国の経済的危機と人間の自由への執念がもたらしたものと考えられます。  人間の自由な活動こそ人類の創造と発展をもたらすと考えている自民党にとって、東欧の人々がみずからの選択により従来の手かせ足かせというか桎梏を取り除いていくことは、私どもとしても歓迎すべきことであると思うのであります。  海部総理大臣は、ヤルタ体制の崩壊という歴史的な時点に日本の宰相として各国首脳と折衝して時代をつくっていかれるわけでございます。その責任はまことに重大であり、後世の非難を浴びないよう誤りのないような判断をされることを特に私は期待するものでございます。  そこで、このヤルタ体制の崩壊という問題に関連して総理にお伺いしたいまず第一点は、こうした変動が国際政治にどのような影響をもたらすかということが一つでございます。  また、東西両陣営という言葉がありますが、自由主義体制といわゆる一党独裁体制の間に決定的な経済発展の差が生じたということによって対立関係が消滅に向かう、そういうふうに理解すべきか、それとも一時的な冷戦の緩和であって、対立関係の根本は変わらないというふうにお考えになられるかどうかということが二点目。  それからついでにもう一つお伺いしますが、先ほど委員長の方からも御質問がございましたが、総理は新春早々こういう世界情勢の変化の中でヨーロッパの方にも参りましていろいろと外交折衝を行う。そこで、東欧諸国が従来の計画経済にかえて市場経済を導入しても経済の危機を直ちに解消することができるわけではない、こう私は思います。ところが、今回共産党の指導的役割を変更したり、自由への道を選んだ国々はいずれも自由主義圏から援助を期待していることは事実じゃなかろうかと思うのでございます。  そこで、日本はこれらの国々とは従来は必ずしも経済その他の関係が深かったとは言えないんじゃないかと思うのでございます。先ほどもございましたように、来年あちらに参りましてもいろいろ東欧諸国からも期待されるでございましょう。そして経済援助も請われるだろうし、またすべきであろうと思います。ODAの関係もございました。私どもも、確かに経済協力もさることながら、ODAの経済効果が果たして十二分にあったかどうかということについては、先ほど来の決算を通じましてもいろいろ問題はあった。しかし、そのことについてはより効果的な今後の措置 をとっていくということでございます。  同時にまた、今回の東欧諸国からの経済援助の御要望に対しまして、まずポーランドに対しまして応分の経済援助をするんだというふうな海部総理の先ほどのお話もございましたが、従来のODAの、特に発展途上国に対する場合とは異なって、東欧諸国といえども、経済体制もさることながら、生産体制については、国民所得も相当高い、二千ドルでございましょうか、大体その前後にいっている国が多いということを考えますと、この経済援助もやりようによっては大変な効果がある。  また、ただ出せばいいということだけでなくて、少なくともこれからの経済援助等に対しては、国民に向かって、なるほど日本が東欧に対してこういう経済援助をすることはもっともな話だという理解のできるような経済援助の倫理というか、理念というか、方針というか、そういうものをはっきりとお示しいただければ私どもは非常に心強いと感ずるので、ひとつ以上の点を御説明いただきたいと思うのでございます。よろしくお願いします。
  198. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) まず御指摘の第一点の、米ソのマルタにおける首脳会談が今後の世界にどう影響を及ぼすと認識しておるか、こういう角度の御質問にお答えをいたします。  私は、この間のマルタ会談というのは、一言で申し上げますと、冷戦時代の発想を超えて、短絡的に言うと、東西の対立、対決という図式から対話、協力という図式に大きく移り変わる転機になると受けとめております。  それで、私は、ゴルバチョフ書記長がブッシュ大統領とあれだけ長時間いろいろな話をし合ったということは、単に米ソ間の対立、対決の発想が変わったというだけではなく、東欧諸国に今起こっております問題、それはソ連のペレストロイカ、そしてポーランドあるいはハンガリーの自由化、民主化というような一連の動き、東独のベルリンの壁の自由化の問題、いろいろありますけれども、国ごとによって、経済改革だけで今のところとどまろうとするところと、政治改革も全部含めて変わっていこうとする国と、差は幾らかありますけれども、あれは欧州全体から見ても平和と安定に役立つ肯定的な方向だと私は思っております。それが今度はアジア・太平洋地域の平和と安定にも必ずいい影響を及ぼすことになるだろう、またならなければならない、こういう期待を持って私は注目しておるわけでございます。  そのためには、話がそこまでいくためには、この間のマルタ会談の結果を見ましても、第二回目の会談は現に行われておりませんし、またブッシュ大統領からのいろいろその後のメッセージをもらって見てみましても、地域問題に関してはまだ十分の話し合いもなされておらない。この話は続いていくんではなかろうかと私は期待して見ておりますから、全体の世界の平和と安定に一つの肯定的な変化を与えるきっかけになっておると、このように期待を込めて眺めております。  二つ目は東欧の国の問題についての援助のお話でございますけれども、せっかく自由と民主化を求め、市場経済のよさを求めて経済改革、政治改革までしたポーランドやチェコの現状を見ますと、国によって差はありますけれども、ポーランドのように直ちに経済の問題で他国の援助が要る。当面この冬には食糧の援助も要る。ちょっと中長期で見れば経済が離陸していくためのいろいろな協力も要る。それをまたしませんと、せっかくの改革もまた停滞したり後戻りするといけないからぜひ頼むという要請等も来ております。  私どもは、先ほど委員長の御質問に、当面は一・五億ドルの借款を出すことを表明いたしましたけれども、お金だけではなくて、できれば技術移転とか技術協力とかいろいろな面によって、それらの国々が活力を持って自力で前進していくことができるようなことまで応分の協力をして安定に役立っていかなければならない、こういう考え方でおるわけでありまして、将来は人的交流から文化交流までいくようにならないと世界の本当の平和と安定には直結していかないのですから、そういう努力をしていきたい。そうすることが、今問題を地球的規模で解決しよう、お互いに世界にどういう貢献をするかということを、日本もサミット参加国の一つとして、サミットでポーランド、東欧情勢に対する援助を宣言としてお約束しておる一員として責務を果たし、お役に立っていきたい、こういう基本的な立場でいくわけでございますから、どうぞ御理解を賜りたいと思います。
  199. 大島友治

    ○大島友治君 私一応理解させていただきますが、同時に、大きな使命を持って、相手国に対してそういった正しい総理の考え方が本当に理解されて、世界平和の礎になるスタートだということをひとつお示しいただければ大変幸せじゃないか、こう思います。  そこで、残念ながら貴重な時間が過ぎてしまいまして、一言希望と申しますか、農業問題についてはまさに日本の農民が、私も半ば百姓として、本当に現在の日本の農業は一体どうなるんだろう、それは自由化の問題であり、最後に残されたとりで、米がどうなるんだろうということが一つの大きな問題である。同時に、国内においては、生産性を高めるための構造政策なりあるいはまた規模拡大に対するそうした政策上の予算を積極的にひとつお願いいたしたいということを要望するのでございます。米の自由化を私どもはあくまでも阻止してまいりたいということ、そしてまた予算措置を生産性向上のために積極的にやっていただきたい。この二点について簡単で明瞭にひとつよろしくお願いいたします。それで私終わりたいと思います。
  200. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) お米の問題に関しましては、国会の御決議の趣旨を体しまして、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいる考えでおります。  また、平成二年度予算の編成に当たりましても、農業が魅力あるものとして、また農業が今抱えておりますいろいろな問題を乗り越えて、希望を持ってやっていくことができますようにいろいろな配慮をしていきたい、こう考えております。
  201. 大島友治

    ○大島友治君 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いします。
  202. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 十六分しか時間がないので、大変恐縮ですけれども、まとめて質問させていただきます。  私は、先ほど来から問題になっておりますところの個人情報の問題について、これを受け手のセントラルファイナンスの方の側から見てみたいというふうに思うのでございます。  実はセントラルファイナンスは東海銀行系の信販の業界の五番目ぐらいになる大手の会社でございます。私はこの新聞情報で事件を読みましたときに大変ショックを受けました。それは、その数日前に私もこの手の質問を実は当委員会においてしていたからでございます。カード化社会における若年層の対策についてはどうするのかという問題を取り上げておりましたやさきのことだったものですから、大変にショックでございました。  端的に申しまして、このセントラルファイナンスなるものの信販会社犯歴照会などという個人情報は絶対に必要がないと私は思っております。しかし、先般私が当委員会におきまして経済企画庁及び通産省それから大蔵省においでいただいてこの問題を取り扱いましたときに、私の質問の流れと申しますのは、大変今カード化社会の中で無節操なあるいは多重債務を抱えた若年層がふえている、そしてその取り立て方が既にもう法的問題にかかわる事件が起きている、あるいはまたこのカードそのものが犯罪化しつつある、こういうことを御指摘いたしまして、ぜひ若年層のこうした問題に対策を講じていただきたい、このような質問をしたわけでございます。大蔵省に対しましては、少なくとも限度枠の抑制ということを何とか考えられないものだろうかということで私は質問をさせていただいておりますけれども、いわゆる貸金業者の出資二法を使ってもこれは抑えられない、こんなふうにおっしゃるんですね。  したがって、最終的に出てくる答弁は、やっぱ り信用情報を駆使して個人の返済能力をチェックする以外に多重債務を防止する方法はない、これは先般の会議録がきちっととってありますのでこれを後で読んでいただきたいんですが、そういう答弁が返ってきているわけです。  それから通産省の方では、いわゆるクレジットあるいはキャッシングという問題について私が同じ趣旨の質問をいたしましたのについて、通産もやっぱり、割販法の四十ニ条の三を利用しても、どうしてもその信用情報をより強化することによって多重債務のチェックをするより仕方がない、こういうのが先般の答弁なんです。  そこで、私はもっと何かの方法がないのですかということを先般伺いたかったわけでございますが、時間がなくてそのままにしてあるわけですけれども、さっき保護法の話が出ましたが、この個人信用情報をこれからさらに銀行系あるいは流通系あるいは信販系等がより連絡を密にして強化していくんですよね。そういう中でこういうものがエスカレートしていった事件が今回表に出たこの事件ではなかろうかというふうに私は思っております。企業は情報が限りなくある方がいいわけですけれども、こうした過剰な情報がこの業界に本当に必要なのかどうなのかということを私は非常に疑問に思っております。  こういった意味のことについて、もしかしたら総理の方に通告が行ってないかもしれませんけれども、こうした若者を特にターゲットにした、会議録をお読みいただければおわかりになると思うのでございますけれども、この貸し付けが非常に今横行しているんです。電話ボックスの中に入りますと、こんなものがたくさん置いてある。いつでもお金を貸しますよ、無担保でいいですよ。ポストに黙って入ります。あなたは選ばれてこのカードの会員になれるんです。そういうようなことが非常に横行しているんです。  金余り時代だなと思っておりますが、私は、この若者をターゲットにした貸し金のあり方について、若者の健全育成ということでこれまで本当に強力にそうした問題に取り組んできてくださった総理にまずこのことをお伺いしてみたいと思います。
  203. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 若者がそのような問題で被害を受けないように未然に防止するために、まずこれは事業者に対する適正な融資が行われるように徹底して指導をしなければならぬというのは当然政府の責任でございます。  同時にまた、消費者にいろいろな情報を与え、若者がそのようなものに、誘惑に負けると言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、過剰な債務を受けてしまったり、それによって取り返しのつかない心の傷を受けるようなことがないように未然に防止するための努力をしなければならぬわけであります。それは社会教育の面においてもあるいは学校教育の面においても消費者問題というのはテーマになっておるわけでありますから、そういったこと等も徹底して、節度をきちっと守るようにしていかなければならないと、こう今お話を聞きながら感じた次第でございます。
  204. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 大蔵大臣、私御通告申し上げていないのでございますけれども、何かありましたら。
  205. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員のお話を伺いながらも私が感じておりましたのは、その多重債務者の発生あるいは過剰貸し付けというものを考えます場合には、まず消費者そのものにひとつ考えていただかなければならない問題はあると思います。そして、消費者自身が消費者信用というものの節度ある利用をお考えになる、これが私は大原則だと思うんです。そして、それがある程度普遍化しておりましたならば過剰な信用調査といったようなものも必要がなくなるのではなかろうか、率直に私はそういう感じは持ちました。  しかし、セントラルファイナンスを例に引かれますと、私もこれはとんでもない話だと思います。そして、そういう中で今まで大蔵省がやってまいりました細かい問題は、既に恐らく政府委員が御答弁を申し上げておると思いますけれども、若年層を対象とした無担保の金融ローンとして、消費者金融専門会社が扱いますヤングローン等あるいは学生カード等のキャッシング機能による貸し付けがございます。前者のヤングローン等につきましては与信限度額が三十万円程度に抑えられておりますし、また後者の学生カード等のキャッシングにつきましても限度額が二万円から五万円というように相当程度低い水準に抑えられております。  そして、学生カードの発行体は銀行系のカード会社でありまして、大蔵省が貸金業者としての監督を行っているわけであります。そしてこれに対しまして、必要以上の信用調査をするものではない、あるいは余り簡易な審査のみで貸し過ぎをしないようにとか、こういう通達を発出し、また指導もいたしておるところでありますが、信販会社及び流通系のクレジット会社の発行いたしますクレジットカードは割賦販売法によります規制の対象となるわけでありまして、この法律を所管しておられる通産省では与信限度について規制を設けるといった指導は行っておられないと聞いております。しかし、むしろ各社自体が原則五十万円という利用限度額を自主的に設けておるようでありまして、そのうちキャッシングの利用限度額は二十万円から三十万円となっておると聞いております。  いずれにいたしましても、御指摘を受けましたような問題をこれから解決してまいりますためには、私ども指導もきちんと行わなければなりません。同時に、その中におきまして過剰な信用調査といったものを必要とするような状態はつくらないように努力をいたさなければなりません。しかし、やはりこれには消費者自身が消費者信用の節度ある利用を行うという基本的な身構えはお守りをいただく必要があろう、そのように考えております。
  206. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 消費者自身がカード一枚の裏にある社会的契約というのは何であるのかというようなことをしっかり自覚していかなければならない、それは当然のことですが、そういうものを理解し得ない若者がターゲットになっているというところを私はずっと問題にしてきたんです。そして、学校教育の中でもこれをお願いして取り入れていただくようになってきたわけでございまして、平成四年から今度は新課程の中でこれが入っていくわけでございます。私はぜひそういうことは必要だと思うけれども、今この問題はそんな平成四年まで待っていられないのです。例のサラ金問題が当国会で大変問題になった一時期がございましたが、あんなふうな形で、今まだカードがクッションになっておりますので顕在化しておりませんけれども、私は予告をいたしておきますが、来年あたりはこれが顕在してくるであろうというふうに自信を持って申し上げておきます。  そのくらいこれは実は社会の底辺で問題になっておりますので、総理ぜひこの問題を真剣に受けとめていただかないと、私、アメリカの社会の中の双子の赤字というのと同時に三つ子の赤字というのを聞いたことがございますが、この三つ子の赤字の三個目は個人破産なんです、アメリカは。このアメリカ社会の到来を迎えてはならないということで、私はどうしてもこういう問題に総理に真剣になっていただきたい、このことをお願いしておきたいというふうに思います。  これは本当に十分や五分でできる問題ではない大変大きな課題でございまして、先般も申し上げましたように、この消費者信用というのは四十四兆円産業と言われております。大変大きな産業界でございますので、この中に入ってくるたくさんのものがあるわけです。甘いものも辛いものも入っているわけでございますので、しっかりとこの業界についての御指導をいただきたい。それからまた、若者がそういうターゲットになって苦しまないようにしていただきたい、こういうことをお願いいたします。  それから二つ目の総理への質問は、婦人問題についてでございます。  先ほど本会議で大変婦人問題について御理解あ るところをお示しくださいまして感激いたしました。もちろん歴代の内閣の中で閣僚に二人の女性をお入れになったということでは画期的なことであろう。私も大変御尊敬申し上げるところでございます。  ところで、先般婦人問題企画推進部長として十一月三十日でございましたか、全国の婦人代表をお集めになって、そして官邸にて総理のお出ましをお待ちいたしておりました。全国の婦人代表が総理のこれからの婦人問題への取り組みについてお伺いをしようということで待ち受けておりましたところ、総理に空振りを食わされ、大変がっかりいたしました。そこで、あのときに総理は全国の婦人代表に何をお話しなさろうとしたのか。私もその場におりましたので本当に楽しみにいたしておりましたところでございますが、あのときのお話をどうぞここで御披露なさいまして、あわせて平成二年度の婦人問題の政策について、もし総理自身が平成二年にはこういう予算を盛り込むつもりだというような目玉商品がありましたら、ぜひお教えください。
  207. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 最初の質問の方は私先に少し答えておきましたけれども学校教育の場でも社会教育の場でも、それらの青少年が被害に遭わないように十分政府としても予防の努力をし、事業者に対する適切な態度をとるようにその指導も徹底させなければならない、こう考えております。  二つ目の婦人問題のことにつきましては、過日確かに私が官邸に皆様をお招きしておきながら、たまたまその時間私の出席を求められる委員会が同時刻に再開ということに相なりましたので、それをどちらを優先するかというのは、やはり国会優先でございましたので、大変婦人の皆様方には失礼をいたしましたことをこの場でおわびしますとともに、その間の事情は御出席のはがきをいただいた方に全部御説明をしてお許しをいただいたと思っておりますので、どうぞお認めをいただきたいと思います。  なお、そのときどんな話をするかと言われましても、率直に申し上げて、しておらぬわけでありますからわかりませんけれども、西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画というのができております。私は、西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画に基づいた五つの目標というものは、それぞれ私が御婦人の皆さんに対する対策として考えていくべき大事なテーマだな、こう思って受けとめさせていただいております。同時にまた、真の男女平等というものを目指していくためには、御婦人の皆さんのきょうまでの能力、経験、そして肌で感じられるいろいろな御発言、そういったものを取り入れてバランスのある社会を形成していかなければならぬ、そう考えておるわけでございますので、どうかそのことにつきましても、これは立場を超えてでも、婦人問題についてはいろいろまた御示唆をいただいたり御理解と御協力を賜りたい、こう思っております。よろしくお願いします。
  208. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 政策、平成二年の目玉商品。
  209. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 先ほど申しましたように、この行動計画に出ております五つの問題は極めて大切なことだと考えておりますから、これから平成二年の予算編成にかかるわけでありますので、そのことを絶えず念頭に置きながら、大蔵大臣ともしかと話し合ってやっていくつもりでございます。
  210. 諫山博

    ○諫山博君 今国会の重要な課題に、野党提案による被爆者援護法の制定があります。今参議院審議中ですけれども、明後日はこれが多数で可決される見通しです。一院ではあっても、消費税廃止法に続いて被爆者援護法の制定が可決されるというのは画期的なことです。  この問題について、被爆者団体はすべての国会議員に対して四項目示して、即時制定に関する賛同署名を求めております。四項目は短いものですから読み上げてみます。  一、ふたたび被爆者をつくらないとの決意をこめ、原爆被害にたいする国家補償をおこなうことを趣旨とする。  二、原爆死没者の遺族に弔慰金と遺族年金を支給する。  三、被爆者の健康管理と治療・療養を全て国の責任でおこなう。  四、被爆者全員に被爆者年金を支給する。障害をもつ者には加算する。 以上です。  たくさんの国会議員がこれに賛同署名をしておりますけれども、海部内閣の閣僚の中には七名の方が署名をしておられます。海部総理自身も署名をしておられますけれども、御存じでしょう。首を振っておられますけれども、御存じないとすれば、ひど過ぎるのではなかろうかと思いますけれども。それは、私は海部さんが署名してあるからこの問題を質問したんです。署名者の一人として、また自民党の総裁として、さらに海部内閣の閣僚が七名署名している。こういう状況の中で今参議院で可決されようとしているわけです。署名者としての責任をどうとるつもりですか。
  211. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 今御指摘のことにつきましては、私は署名をしたという記憶はございませんし、また原爆被爆者等援護法を制定しろということにつきましても、私の基本的な考え方は、政府としては今後とも現行の原爆二法を中心とする施策充実によって対応をしていきたい、こう考えております。
  212. 諫山博

    ○諫山博君 今のは驚くべき答弁です。被爆者に対して賛同署名を渡しておきながら、知らないという答弁で済むだろうかということです。念のために名前を申し上げます、閣僚で署名をしておられる方を。敬称を略します。大石千八、海部俊樹、中山太郎、石井一、福島譲二、水野清、松永光。そしてこの名簿はたくさんの人の目に触れております。もちろん被爆者はみんな知っております。被爆者の人に対しては被爆者援護法を制定しますと約束しながら、この制定を国会の場では貫こうとされない。無責任過ぎるのではありませんか。  私がなぜこの四項目を読み上げたかといいますと、この四項目は今参議院審議されている法案とほとんど変わらない内容だからです。被爆者に対する公約、国民に対する公約を守るとすれば、当然国会でこれが成立されなければならない、こういう立場から質問したわけです。答えてください。
  213. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 原爆被爆者の皆さんの被爆者としての健康障害という他の戦争犠牲者には見られない特別の犠牲に着目して、実態に即した対策をきょうまでも講じておるところであります。私は、被爆者の皆さんに対するいろいろな心の通い路を持って、何とかできる限りのことはしていかなければならないということは気持ちとして持っておりますけれども、そのために現行の原爆二法を中心とする施策充実によりそれは対応していこう、こういう考えでありますから、被爆者の皆さんに対する私の考え方、対応はこれは変わっておるものではございません。
  214. 諫山博

    ○諫山博君 従来政府が今のような説明をしていたことはみんな知っているんです。もちろん被爆者は知っております。ところが、それでは不十分だから国家補償の立場に立った被爆者援護法を制定してもらいたい、こういう立場で賛同署名を求めたわけです。  それであればなぜ署名したんですか。あなたが署名したのでなければ、どうしてその署名があるんでしょうか。私はその問題を質問するからということをあらかじめ通告しておきました。調べておられると思いますけれども、どうなっているんですか。
  215. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) それは聞きましたけれども、私は署名をいたしておりませんので、そのように申し上げる以外ない。しかし、私の気持ちは、被爆者の皆さんに対しても、大変それは特別な障害でお気の毒であったという被爆の事実を見ておりますから、従来同様の、既にある原爆二法をさらにきちっと適用して努力していこう、そういうことです。
  216. 諫山博

    ○諫山博君 自民党の衆議院議員で現在まで署名している人が百十五名ですよ。この人たちが賛成すれば当然衆議院でもこれは成立するわけです。自民党の国会議員は国民に対する約束をどう見ているんでしょうか。  消費税のときにも、大型間接税には反対だということをしばしば口に出し、あるいは文書で回答しておきながら、平気でこれを踏みにじる、そういう人がいました。総理大臣で、あれは秘書がやったんだから私は知りません、こういう答えをした人もおります。あなたたちは国民に対する約束、誓約をどう考えているんですか。幾ら政治改革といっていろいろ制度をいじってみても、制度を改めることは大事ですけれども、国民に対する約束を守らない。このイロハが実行されない限り政治改革なんかできないじゃないですか。答えてください。
  217. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 原爆被爆者の方に対する考え方、対応お答えしたとおりでございますし、私は総理大臣として一生懸命それらのことに取り組んでおるわけでございます。  ただ、その法律なんかの署名のことをおっしゃいますけれども、そのことに関しましては、私は署名はいたしておりませんので御理解をいただきたいと思います。
  218. 諫山博

    ○諫山博君 あなたの署名はあるんですよ。そして、海部さんが署名しているということは私は前から聞いておりました。いよいよ被爆者援護法はもうこれで制定できるのかなという感想を持ったわけです。あとわずかですべての衆議院議員の三分の二に届くのですよ。  だから被爆者は、海部さんまでも署名された、現閣僚の七名が賛同している、当然これは成立すべきではないかと思うのは常識じゃないですか。それに対してあなたは署名した覚えはないと言われますけれども、どう申し開きをされますか。そして、あなたの署名があるわけですから、どういう形であなたの署名が残ったのか、これは調査いただけますか。それでなければ無責任過ぎると思います。被爆者を踏みつけにした、こう言われても仕方ないじゃありませんか。
  219. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 被爆者の方々に対する気持ちは、決してそんな踏みつけにしたような気持ちは毛頭持っておりませんし、原爆二法を中心として既にいろいろ行っておることを続けてきちっと対応していこうという気持ちでございますが、何度おっしゃられても、私がその署名をしたろうと言われても、署名はしておりませんので、その点は私の方としてはどうすることもできません。
  220. 諫山博

    ○諫山博君 あなたの署名がどうして被爆者団体に渡ったのか調査して、何らかの形で明らかにしていただけますか、あるのは間違いないんですから。被爆者がうそを言っているわけじゃないんです。  署名している人のすべての名簿を私は持っております。この中から七名の閣僚を拾い出して、あなたの名前がこれにあるというわけです。あなたが署名した覚えがないとすれば、あなたの署名がどういう経過で被爆者団体のところに届いたのか、これは明らかにしてもらえますか。
  221. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) それは私もさっぱりわかりませんので、私自身のできる限り問い合わせてみます。どこでどういうことになったのか、被爆者団体の方にもどういうところで私に署名をとられたのか一遍問い合わせてみます。
  222. 諫山博

    ○諫山博君 あなた以外の六名の閣僚についても今名前を挙げました。これは総理の責任において同じように調べさせてくれませんか。そうでなければ被爆者を欺いたということになりますよ。これでは政治家として余りにも無責任過ぎる。私は、海部さんが経過を調べて明らかにすると同時に、すべての閣僚について同じような問題を明らかにしていただきたい。そして、これが何らかの間違いだというのであれば、当然被爆者団体に対して陳謝をし、取り消すべきです。そこまでしなければこれは政治家としてきちんとしたことにならないと思います。
  223. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 私が自分の責任において私が署名したことを取り消すというときは、それはそうなるでしょうけれども、私は署名をしておりませんので。それで先生がそう何度もおっしゃるから、それじゃよく調べてみますと言っておるわけですから、結論をそこで断定されるのは私にとってもいささか不本意なことでございます。
  224. 諫山博

    ○諫山博君 予想されるのは、あなたの秘書がやったということがあり得るかもわからないと思います。しかし、秘書の責任は議員の責任、これまた常識ですから、ぜひ調査だけはきちんとして、どういう経過であなたの署名が渡ったのか、七名の閣僚の署名が被爆者団体のところに届いたのか、これは調査してください。要望いたします。――答えられませんか。
  225. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 申し上げたとおり、よく聞いてみます。
  226. 諫山博

    ○諫山博君 終わります。
  227. 高井和伸

    ○高井和伸君 午前中にODAにつきまして各省庁に対しまして質問いたしました。どんな根拠法があるのかということで聞きましたのですが、その根拠法いろいろ細かいのございますけれども、基本的に各省庁の設置法に準拠しているというか、そういった回答ばかりでございました。  外務省所管のものもございますけれども、私の感ずるところ、一兆四千億円という大きな数字の金額が出ている。これが国民の納税されたお金で使われているということからいいますと、こういったものに関して国会がどうやって関与しているかということを考えますときに、予算の審議でのみしか関与してない、基本的にはそういうふうになると思うんですね。こういった基本法、今国際開発協力基本法なるものを検討中でございますけれども、一兆四千億にもなるようなこういった巨額の金額を単に予算という枠の中だけで国会が関与しているということ、ほかにもいろいろございますけれども、それは私にとっては国民の代表としての国会の地位からいうと非常に不本意じゃなかろうか。参議院でも、国会と行政府との関係を強めるというようなことで、六月二十二日に参議院の本会議においても決議されております。  そういったときに考えるのでございますけれども、私ども今度参議院に初めて参りまして、予算審議にはまだタッチしませんが、決算の場面でタッチしますと、非常に複雑、予算の中身が非常にわかりにくいし、知るためには大変なエネルギーが要る。そういった中で、予算だけの議決でもって一兆四千億が出ていくということは、国会の関与としては、それはそれで結構なんですけれども、もう少し基本的な面で、それを国会の意思としてつくればいいと言われればそれまででございますけれども、そういった法律と予算の関係で特に大蔵大臣に最後に私がしゃべり終わってから御答弁願いたいんですが、どう考えておられるか。  簡単に言えば、国民の権利、義務を縛ることはもちろん法律事項でございます。それから社会福祉制度、ある種の給付をするときもやはり法律で縛るわけでございますけれども、ある意味では予算という枠組みですべて流れていってしまうというんですか、やや軽やかに出てしまうことについては非常に問題があるんじゃないかというふうな考えを持っていることから、大蔵大臣に対しまして、法律と予算の関係において、法律の準拠法がある場合は問題ありませんけれども、ない場合においてどのような予算編成をなさっているのかというようなことを聞きたいということでございます。  それから今度海部総理大臣お尋ねしたいんですが、実は今度参議院が保革逆転、与野党逆転ということで、法律案につきましてはなかなか政府提出法律案が通りにくい場面も間々ありそうだという状況になってきました。防衛二法などもそのような例じゃなかろうかと思っておるわけでございます。そうしますと、法律案と予算案というものの両院における関係を見ますときに、もちろん衆議院の方が優位ということになっております。 法律案の成立、それから予算の成立においては、法律よりは予算案の方がより優位に衆議院の意思が貫徹されるようになっております。  そういったときを見ますときに、法律で定めることと予算で定めること、両面でやり得ることもあります。そういった場面に、予算の中へ突っ込んでいけばこれは法律の審議を免れるというような関係で、予算の中に本来法律で決めなきゃいかぬような事項が盛り込まれてしまうんじゃないかという危惧を私感じるわけです。今後国会の意思というものが行政に反映するためには法律が非常に大きな要素になるわけでございますので、そういった観点から、衆議院の優位である面をとらえて予算が余り、乱用という言葉はおかしいんですが、本来法律事項にすべきところを予算の中に入れてしまう。そうすると、衆議院がより優位だからそのまま通るんじゃなかろうかというようなことで、行政が国会の監視下に置かれないような場面があるんじゃないかという懸念を持つわけです。そんな観点から予算の衆議院の優位についてのお考えをひとつ総理に聞きたい。  私の時間は四十三分まででございますので、よろしくお願いします。
  228. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員の御意見を伺いながら、ちょうど昭和五十六年に臨時行政調査会が発足をし、いわゆる土光臨調の論議の中で行われました各種の処置を思い起こしておりました。  当時大変問題になりましたのは、法律が多過ぎる、もっと法律を減らせ、法律に基づいて弾力的に運用のなされない補助が多過ぎる、法律をできるだけ減らし、法律に基づく補助金から予算補助にもっと変えて弾力を持たせろ、これが当時御指摘を受けた項目でありました。そして、当時私は党の行政改革の責任者として、各省の抵抗を抑えながら随分それらの法律を外し、あるいはその法律補助を予算補助に切りかえる、さらに定率の補助を定額に切りかえるといったような措置をしてまいりました。  そうした記憶からいきますと、実は委員の御指摘は、まさに私がやってきたことと逆さの視点のお話になるわけであります。しかし、国費の支出というものにつきましては、憲法八十五条の規定によりまして国会議決に基づくことを要することとされております。このために内閣は毎年度の予算に計上し、国会議決を得ているところであります。すなわち、憲法におきまして、予算の議決ということで国に支出権限が与えられるのでありまして、支出に当たって予算とは別に法律の根拠を持つという規定を必要とはされておりません。これは議論のあるところかもしれませんけれども、予算のほかに法律で支出する旨の規定が置かれておりますのは、恒久的なあるいは複数年次にわたって政府に支出権限を与える、ある場合は支出義務を課す、こうした意味を有しているのではなかろうか、私はそのように理解をいたしております。  また、今申し上げましたような中で、憲法が予算につきまして、法律とは異なりまして、衆議院の先議権及び自然成立の規定、憲法第六十条を設けておりますのは、予算というものが毎年作成されるものであり、その成立がおくれることは国民生活に重大な影響を及ぼすということから、できるだけ速やかにこれを成立せしめる必要があることに基づくものではなかろうか、そのように考えられるところであります。
  229. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 今御指摘のありました衆議院と参議院の議席数の変化、それに伴って法律案の採決の結果が異なるのではないかということは、予想としては考えられる問題でございますが、私は、やはりそこはよくお話し合いをさせていただいて、議会というものが二院制になっておりますのはそういったところで、改めるところは修正をするとか、こういった考え方で合意をするとか、いろいろ方法はあろうかと思います。粘り強くお話し合いをさせていただきながら、合意の上で法律を通していっていただきますように、衆議院で上がってきて参議院で通らなかったものが、それがあるべき姿だと決めておかかりになりませんようにお話し合いを続けさせていただきたい、こういう基本的な考え方で臨みたいと思います。  なお、憲法上の問題で予算と法律との立場、考え方が違うではないかということについては、ただいま大蔵大臣が詳しく申し述べましたので、重複することを避けさせていただきますが、いずれにいたしましても、国民生活というものをきちっと確保していくために必要であるという角度から、法律とは違った扱いを憲法が示しておるのが予算である、このように考えておりますので、その旨申し上げさせていただきます。
  230. 高井和伸

    ○高井和伸君 終わります。
  231. 山田勇

    ○山田勇君 まず、ODAの関係で質問いたします。先ほど委員長からも質問がございました。若干重複することをお許しいただきたいと思いますし、総理におかれましては簡潔な御答弁をいただければ幸いでございます。  総理は来年早々ハンガリー、ポーランドなどを歴訪の予定のようですが、経済大国として、また西側主要国の一員として、民主化の進む東欧諸国に対し、経済基盤の強化、資金協力、各種無償援助の供与などについてどう考えておられますか。また、この際、これまでともすれば不評を買ってきた、お金さえ出せばよいといった考えではなく、内外から共感を呼ぶようなものとしなければならないと考えます。このことは東西の緊張緩和にも大きく貢献すると思いますが、その点いかがでしょうか。第一点。  次もODAに関連しますが、国民の中にはなぜ日本が世界一の援助国にならなければならないのかといった率直な疑問を持つ人々もいます。事実、八八年は九十一億ドルで米国に次ぐ第二位。八九年は予算ベースでは百億ドルとなり、世界一の規模と言われておりますが、我が国の居住環境の悪さ、物価高、不安定な老後問題などを考えますと、豊かさにはほど遠いものがあります。経済面と国民生活の豊かさのギャップは国民生活白書でも指摘されるまでもなく大変大きく、今後政府開発援助を進める上でもこのようなことを踏まえてどのような方針で臨まれるのか、お伺いをしたいと思います。
  232. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) まず第一のお尋ねでありますけれども、ポーランド、ハンガリーを中心として最近東欧諸国が非常に大きな枠組みの変化を来そうとしております。先ほど申し上げましたように、すべての国がやはり民主化を求めている。ところが、民主化を求めての動きには経済的に安定するという背景が伴いませんと、そういったせっかくの民衆の側からの改革も挫折をすることが想定されますし、またそうならないように援助の手を差し伸べるということも言われております。アルシュ・サミットで決まりましたポーランド、ハンガリーへまさに西側の手を差し伸べるということなどもその一環でございました。  私は、そういった枠組みの変化は、簡単に言いますけれども、東西の対決、対立という図式が、冷戦の発想を越えて対話と協力の方へ歩み寄っておるという姿でありますから、これは肯定的な方向としてきちっと定着して成功していってもらいたい。それはただ東欧の、あるいは欧州の、あるいは米ソの緊張緩和だけじゃなくて、アジア・太平洋も含む世界の平和と安定に役立つものである、こう期待をし、眺めておりますので、そのために応分の努力は進んでしなければならない、こう思うのです。  そこで、二点目に先生指摘の、それでは一体国民にそれをどう説明するかと、こうおっしゃいますけれども、私は、戦後今日までのあの四十数年前の出来事を顧みて、今日日本がこの立場に立ったということは、国民の皆さんの勤勉性もございましょう、教育の普及しておったということもございましょう、それはそれとして率直に認めます。しかし、大きな地球的な背景として、日本は戦争に巻き込まれないで平和であったということと、もう一つは、自由貿易体制の中で日本にとっては非常に幸運な立場で貿易をすることができ た。原材料輸入国で、製品輸出国でありながら、自由経済の中において、自由貿易の中において、要するに世界との相互依存関係の中で日本がここまできた、そして世界で最も豊かだと言われるまでに成長することができたということは、世界の人は皆知っておると思います。  そうであるなれば、世界の中で日本が今度は援助のためのODAの支出金額が世界の一番のところへくるということもある意味においては私は当然のことである。これをしなかったならば、また国際的に孤立もしましょうし、日本は世界に責任を感じない調子のいい国ではないか、これだけ世界で大きな変動があるときになぜ手を差し伸べないのかという逆な面の批判も出てくるのではないかと思います。  私は、今後の日本は、あくまで平和の中で、自由貿易体制の中で培ってきました明るい社会、豊かな暮らしというものをこの国においてもきちっと確保し続けていくためには、世界の平和にできる限りの貢献をすることが大きな国際化時代の使命ではなかろうかと、こう思っておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  233. 山田勇

    ○山田勇君 経済援助、そういう意味では大変結構でございますが、東欧自体もなれないこれからの経済システムをしいていくわけでございます。例えば市場経済なんというのはなれない国家がたくさんございます。そういう意味でも、一つの援助金にしても、何か技術的なもの、ノーハウも一緒に出すとかいろんな工夫があろうかと思います。  続きまして、もう時間ございませんので、最後の質問をさせていただきます。これも同じく総理にお願いいたします。  総理は十二月の八日、日本記者クラブで講演をされましたが、その中で、日ソ関係については、領土問題が解決し平和条約を締結するまでは一切だめというのではなくて、人物の交流とか実務関係を積み重ねていくことによって信頼関係をふやし、それが安定的な関係につながると申されているようでございますが、政経分離のソ連側の一方的な要求を受け入れることなく、やはり北方領土問題は一体不可分であるという認識でなければならないと考えますが、その点をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
  234. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 私は記者クラブで講演をいたしましたけれども、そのときにも、正確に再現させていただきますと、きょうまで私どもの最重要の基本的問題は、北方領土問題を解決して平和条約を締結して安定的な関係を築くことである、この大原則は変わりないということをきちっと冒頭に言わせていただきました。  また、この間ヤコブレフ政治局員が来られたときも一時間ほど会談をいたしましたが、そのことを言いますと、そのことだけにこだわってほかのことを全部何もしないでは信頼関係は前進しないということでありますから、その大原則は大原則として踏まえながら、今年、日ソ関係を拡大均衡させていくために五つの要素というものを既にソ連側にも伝えてございます。  それは、領土問題を解決して平和条約を結ぶことが第一であり、それから信頼関係を強化していくためには人物の交流や漁業問題等お話ししなきゃならぬことも多いでしょう。また可能な実務関係はこれは適切に続けていったらどうでしょうか。人物交流もやったらどうでしょうか。首脳の相互交流もやったらどうでしょうか。これらのことを踏まえて、今行われております、平和条約の作業グループというものの作業も現にもう始まっておるわけでありますから、話し合いを通じて、そして我々が最重要課題としておる領土問題を解決して平和条約を結び、安定的な関係を打ち立てていく、これに到達するわけでありますから、幅を広げながら拡大均衡で信頼関係を醸成する努力を続けていくと申し上げましたわけでして、従来の原則を変えてこれはどうでもいい、こちらだけやろうというわけでは決してございません。最重要課題としてはっきりと申し上げさせていただいております。
  235. 下村泰

    下村泰君 第四十三回国連総会の「障害者に関する世界行動計画の履行及び国連障害者の十年」という総会決議の前書き、手元に資料がございますが、この中に、「「国連障害者の十年」の中間年にあたって、「国連障害者の十年」のための任意拠出基金が、前半の五年間に比べて著しく減少していること、また、この傾向を逆転させ、基金の供給力を強化しない限り、優先順位の高い多数の要求を満たすことができず、「世界行動計画」の実施が著しい悪影響を受ける」、こういうふうに書かれているわけですけれども日本の拠出金の額、それからこの基金の現況、そして今後の増額の計画があるのかどうかお伺いいたします。日本がよくやっているということはよく承知の上で重ねてのお願いでございますので、よろしくどうぞ。
  236. 遠藤實

    政府委員遠藤實君) 国連障害者の十年基金に対しまして、我が国は一九八〇年、八一年、八八年及び八九年にそれぞれ十万米ドルを拠出いたしております。一九九〇年にも同額を拠出すべく現在予算要求中でございまして、基金の趣旨を踏まえて積極的に貢献いたしたいと存じております。  なお、基金全体につきましては、ただいま御指摘がございましたように、前半に比べまして後半拠出額が減少しているというのは事実でございます。ただ、八〇年、八一年のこの二年間にかなりの額の拠出があったわけでございますが、これは実は八一年が国際障害者年に当たっているということもございまして、この時期に集中した。その後若干減少していることは否めないわけでございますが、そういうこともございまして、日本としては八八年にこの拠出を再開した、こういうことでございます。
  237. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 今お答えをしましたことと、それから隣の大蔵大臣からもいろいろ聞いておりましたが、八八年、八九年、それぞれ各十万ドルの拠出を実施しておりまして、ぎりぎりの努力を精いっぱい続けておる、こういうことでございます。
  238. 下村泰

    下村泰君 総理は障害者対策推進部長でもいらっしゃいますので、これに期待をかけております。残り三年となりました国際障害者年の重要ポイントをどこに置かれていらっしゃいましょうか。
  239. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 国際障害者年のテーマであります完全参加と平等の実現を図りますために、福祉、教育、雇用など幅広い分野にわたる施策推進していく必要があります。  このため、政府としましては、昭和五十七年に障害者対策に関する長期計画を作成しますとともに、昭和六十二年には、国連障害者の十年の後期において重点的に取り組むべき施策を策定し、現在推進に努めておるところでございます。その最終年である一九九二年に向けまして、障害者の自立と社会参加の一層の推進が図られますように総合的かつ積極的に推進をしていかなければならない、こう考えております。
  240. 下村泰

    下村泰君 海部総理が就任なさったときに、私に対しまして、福祉のことは一生懸命やりましょうねとおっしゃってくださった。その一言に私は期待をかけております。おろそかになさらないようによろしくお願いします。いずれ大蔵大臣にもお願いいたします。  それから官房長官にお願いしますけれども、大規模障害者施設の建設、そのための懇談会設置などが進んでいますが、いわゆる障害者の十年が終わりました後の推進本部などの体制がどうなるのか。十年たったらもう知りませんよじゃ困るので、その後どうなるのかお答え願いたいと思います。
  241. 森山眞弓

    国務大臣(森山眞弓君) 障害者対策の推進本部は、関係行政機関連携の上で、障害者対策に関する長期計画と障害者に関する施策について総合的かつ効果的に推進を図るために、昭和五十七年の三月二十六日閣議決定により設置したものでございます。昭和六十二年には、推進本部として国連障害者の十年の後期において重点的に取り組むべき施策を策定いたしまして、その推進に取り組ん できたところでございます。  最終年の後の問題は、重要な問題と考えますが、現在後期重点施策を実施、推進中の段階でございますので、この問題については、今後の後期重点施策推進状況等を見きわめました上で検討いたしたいと思います。  いずれにせよ、障害者対策は現在及び将来にわたる内政上の重要な課題と考えております。
  242. 下村泰

    下村泰君 ついでという言葉は余りよくないんですけれども、やはりついでという言葉を使った方が今一番ふさわしいので、官房長官にいま一つお願いします。  障害者の施設ですが、作業所あるいは授産施設、こういうところでいろいろ障害者自身が製品をつくっておるわけです。いろんな形のものができております。これを優先購入するということだそうでございますけれども、その実態と政府の方針を伺いたいんです。これがもし完全に実施されまして地方自治体へ拡大すると、作業所だとかそういうところで働いている障害者の人たちの実際の雇用になるわけなんです。そういうことにつながりますので、どういうふうなお考えをお持ちなのかちょっとお話をしていただきたいと思います。
  243. 森山眞弓

    国務大臣(森山眞弓君) 身体障害者福祉法の第二十五条に基づきまして、今先生指摘のような場所で「身体障害者の製作した政令で定める物品について、国又は地方公共団体の行政機関に対し、購買を求めることができる。」というふうに決められておりまして、そして「自らの指定する期限内に購買することができるときは、自らの用に供する範囲において、その求に応じなければならない。」というふうになっております。これに見合います政令といたしまして決められております身体障害者福祉法施行令の第七条に、その購買する物品の中身といいますか、項目が指定されてございまして、その物品は現在、「ほうき、はたき、ぞうきん、モップ、清掃用ブラシ及び封筒とする。」というふうに書かれてございます。  これらの品目については、この法律及び施行令で申しますように、積極的に購入するように努力いたしていると承知しております。
  244. 下村泰

    下村泰君 時間ですから終わります。
  245. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 他に御発言もなければ、昭和六十一年度決算外二件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  246. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 御異議ないと認めます。  海部内閣総理大臣には御苦労さまでございました。ここで御退席なさって結構でございます。     ─────────────
  247. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 委員異動について御報告いたします。  本日、西田吉宏君、沓掛哲男君及び鎌田要人君が委員辞任され、その補欠として野村五男君、鹿熊安正君及び石川弘君が選任されました。     ─────────────
  248. 千葉景子

    委員長千葉景子君) この際御報告いたします。  昭和六十一年度決算議了に当たり、内閣に対する警告案の取り扱いにつきましては、理事会において協議を重ねてまいりましたが、意見の一致を見るに至りませんでした。したがって、従来どおりの議決案を御提案することができなくなりました。  決算議決方式等につきましては、今後引き続き理事会で協議することとし、昭和六十一年度決算については、是認するか否かの議決のみを行うことに決定いたしました。  なお、国有財産関係二件につきましては、従来異議の有無について議決してまいりましたが、今回から是認するか否かの議決に改めることといたしました。  以上のとおり取り運ぶことといたしますので、御了承願いたいと存じます。     ─────────────
  249. 千葉景子

    委員長千葉景子君) これより昭和六十一年度決算外二件について討論に入ります。  それでは、御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  250. 及川一夫

    ○及川一夫君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、昭和六十一年度決算外二件につき、是認に反対することを表明し、以下、反対する理由を述べさせていただきます。  そもそも六十一年度予算は、中曽根内閣のいわゆる戦後総決算路線の仕上げ段階の予算であり、我が党など野党の反対を押し切って成立したものでありますが、当時から次に明らかにするような欠陥を内包していたのであります。  第一は、円高デフレの進行の中で、経済政策は外需主導から内需拡大へと思い切った転換をすべきであったにもかかわらず、政府はそのタイミングを誤り、予算編成方針も縮小均衡型に固執し、日本経済の浮揚のチャンスを著しくおくれさせたのであります。  第二に、内需拡大策のためにも大幅な所得減税を実施すべきでしたが、政府は大型間接税を導入する意図をひた隠しに隠しながら、しかし導入しやすい雰囲気をつくるために、あえて直接税の減税を見送り、いわゆる直間比率の数字を直接税に傾くように操作したのであります。  第三に、税収の見積もりを年度途中に一兆千二百億円も下方に修正する減額補正を実施しましたが、これは過小見積もりのきわめつけと言ってもよく、年度末の決算では逆に二兆四千三百億円もの自然増収を計上せざるを得なくなったのであります。これは経済動向を見誤っただけでなく、国民から税金を取り過ぎるという二重の失態と言わなくてはなりません。  あまつさえ、中曽根内閣は、あくまでも国民が反対する大型間接税は、これを導入しません、この顔がうそをつく顔に見えますかとまで言い募って、公約違反の衆参ダブル選挙を強行したのですから、政治不信もここにきわまったと言うべきであります。  自民党政府は、大型間接税導入の方針をひた隠しにしながら、選挙公約としては導入しないと言い、国民をいわばだまして大勝したわけですが、このときの国民の多数の怒りと不信感は、三年後の本年七月の参議院選挙で自民党を過半数割れに追い込んで、それなりのバランスがとれたのであります。そして、これが今後の国政運営に重要な影響を与えようとしており、国民は政治そのものを国民の手に取り戻すことができるのではとの大きな期待となってあらわれておるのであります。  反対の第四の理由は、防衛費の問題であります。  この年の防衛予算は、対前年比で五・五八%の伸び率であり、他の分野に比べ突出した数字となったのですが、年度中にわずか一・六%のベースアップをすればいわゆるGNP比一%枠を突破することが確実なところまで防衛予算をふやし、三木内閣以来十年続いてきた貴重な歯どめ策を事実上無視する軍拡路線に邁進したのであります。当時も既に米ソ間の軍縮交渉は進展し始めており、日本政府としてはむしろ世界的軍縮へのイニシアチブをとるべきであったのに、全く逆の選択をしたと言わざるを得ません。このような財政運営の基本姿勢が今も改められていないのは全く遺憾であります。  第五に、歳出の面においても、既に会計検査院報告等にも指摘されているように、不当な支出が後を絶たない状況であります。  特に、ODA予算はその執行の細部に不明の点が多く、相手国政府への外交的配慮という理由のもとに、税金を納めている日本国民が当然知らされるべきことすら明らかにされていません。  さらに、この年九月以降、リクルート疑獄が深く静かに政権中枢部をむしばんでいたことを想起すれば、到底六十一年度決算を是認できないことを改めて強調し、加えて、是認されない場合警告書は出すべきではないとする意見については納得できないことを明らかにし、反対討論を終わります。
  251. 鈴木貞敏

    鈴木貞敏君 私は、自由民主党を代表し、昭和六十一年度決算外二件に対して、これを是認する ことに賛成の意思を表明するものであります。  六十一年度の経済運営においては、前年九月以降の急激な円高という状況の中で、内需を中心とした景気の持続的な拡大及び雇用の安定を図ること、また、我が国が国際社会に占める地位にふさわしい役割と責任を担い、自由貿易体制の維持強化に向け率先して努力するとともに、調和ある対外経済関係の形成と世界経済活性化への積極的貢献とを行うこと、さらに、引き続き物価の安定を維持するとともに、行財政改革を強力に推進すること等によって、活力のある経済社会と安全で快適な国民生活の実現を目指し、我が国経済社会の中長期的な発展基盤の整備を図ることが求められておりました。  六十一年度の経済の実績を見ると、実質経済成長率は二・六%で、当初見通しの四・〇%を下回ったものの、外需がマイナス一・五%であったのに対して内需は四・一%と伸びており、我が国の経済の対外不均衡是正の過程として後年に向かっての一つのよい姿ができたのであります。  一方、経常収支は原油価格の低下、円高による黒字の一時拡大等により十五兆円以上の大幅黒字となったのでありますが、その後は為替の調整効果や我が国の内需拡大効果によって、黒字縮小の方向に向かっております。  また、消費者物価、卸売物価とも引き続き安定した状態で推移し、懸念された雇用情勢については、雇用者総数は当初見通しどおりの伸びを確保し、失業率も低い水準で推移しています。  これらは、政府が調和ある対外経済関係の形成に努めるとともに、内需を中心とした景気の着実な拡大を図り、雇用の安定を確保するための機動的かつきめ細かな経済運営に努めた結果と言えます。  六十一年度の政府の財政運営においては、税収見積りが適正でなかったとの批判もありますが、六十一年度予算の審議においては、円高不況によって政府見通しのように税収が上がらず、特例公債脱却についても達成時期を延期せざるを得ないのではないかとの議論はありましたが、税収が多く見込めるとの指摘はありませんでした。  しかも、税収が政府の当初見通しを上回ったことによって、将来に向けて国民の負担となる特例公債の発行額を当初予定より減らすことができ、平成二年度特例公債脱却という財政再建目標の達成に向けまして大きな一歩を踏み出すことができたのであります。  現在、岩戸景気に迫るといわれる景気拡大が続いていますが、これは六十一年九月に決定された総合経済対策及びそれを受けた補正予算に端を発したものであり、その後の政府の経済・財政運営が当を得たものであったことの証左であります。  なお、財政執行上の個々の問題につきましては、本委員会の審査の過程で明らかになった点、あるいは会計検査院指摘を受けた事項のように、反省すべき点、留意すべき点がありましたが、政府は、今後一層財政の効率化と行政の適正化に努め、国民の信託にこたえるよう要望いたします。  最後に、決算審査のあり方について一言申し上げたいと思います。  国会における決算の審査は、当該年度の予算の執行について、不当または違法の事実の有無、あるいは予算の目的に沿った所期の効果を発揮できたか否かを調査し、その適否を判じ、誤りを正すとともに、将来の財政計画及び運営のための重要な材料として役立てることが目的であります。  したがいまして、決算自体につきましては既にあるものとしてこれを是とした上で、個々具体的な問題について政府のとった処置に対し、違法なり不当であるとの指摘を行い、政府の反省を促し、今後の善処を求めることを行うべきであって、専ら政治的思惑によって決算を否認することは、決算審査の意義を否定することであると言わざるを得ません。  以上をもちまして、私の賛成討論を終わります。
  252. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私は、公明党・国民会議を代表して、昭和六十一年度決算外二件に対し、是認することができないことを表明するものであります。  以下、その理由を申し上げます。  我が党が本決算を是認することができない理由の第一は、端的に言えば、昭和六十一年度予算が国民生活の向上を実現させるという観点からの十分な財政の役割を担う内容とはなっていなかったことであります。  すなわち、政府は当時、民間活力の活用の美名のもとに、地価高騰を傍観し、金融機関の無節操な融資を放任していたのであります。そのため今日に至る地価高騰が生じたのであり、それは大都市圏を中心とした国民生活を圧迫させたのみならず、国民の間に新たな資産格差、不公平感を増幅し、社会のひずみを一層拡大させたのであります。しかるに、六十一年度予算においては有効な地価抑制策はとられませんでした。さらに、所得減税の二年連続の見送り、一般公共事業費の三年連続の削減、社会福祉予算の抑制等、国民に負担を強いる一方、国の負担の地方財政への転嫁等に見られるように、国民生活を向上させる内容とはなっていないのであります。  これが本決算を是認することができない第一の理由であります。  次に、我が党が是認できない第二の理由は、昭和六十一年度決算検査報告によりますと、会計検査院による検査の結果、法律、政令もしくは予算に違反し、または不当と認められた事項が百二十九件、不当金額にして三十九億一千九十三万円に上っております。このうち補助事業の実施及び経理が不当なものが五十五件、約六億円となっており、相も変わらず効果的な補助金行政が行われていない実態が明らかになっております。  内閣は、財源不足を理由社会保障給付費の切り下げ、国の負担の地方への転嫁等を行っておきながら、一方では今申し上げた四十億円にも近い国費のむだ遣いの指摘を受けたことは極めて遺憾であります。政府は、会計検査院のこうした指摘を謙虚に受けとめ、行財政改革の推進に一層努められるようこの際強く要望しておくものであります。  我が党が本決算を是認できない第三の理由は、決算審査の意義は、申し上げるまでもなく、既に行われた予算執行が最適のものであったかどうかを審査、判定し、誤りがあればこれを以後正すことにより、さらに将来の財政の計画の内容をより一層確実にし、また財政執行をより一層適切なものにしていくことにあるのであります。その意味におきまして、少なくとも決算審査の結果は翌々年度予算の編成に反映されるべきでありましょう。しかし、六十一年度決算からは、我が党委員が六十年度決算審査以前から既に指摘してきた諸問題が生かされた財政執行状況にはなっておらず、到底これを認めることはできないのであります。  討論を終わるに当たりまして、決算審査のあり方及び内閣の責任について一言申し上げたいと思います。  これまで本院は、決算審査の結果として、内閣に対し全会一致で警告を行ってまいりましたが、このたびは、理事会におきまして成案を得られなかったため、結果として警告するに至らなかったこととなり、極めて遺憾に思っております。  しかしながら、質疑の過程におきまして、クレジットカードによる多重債務に対する若年層保護対策の必要性あるいは難民問題に対する抜本策の検討問題を初め、我が党議員が政府にただした諸問題は、形こそ違え、内閣は本院の警告そのものに匹敵するものと受けとめ、今後その改善に真摯に取り組むべきであることを強く要求するものであります。  いずれにいたしましても、昭和六十一年度決算に対する本院の意思を内閣は厳粛に受けとめ、国民の納得いく責任を速やかに果たされるべきであることを申し添え、私の討論といたします。
  253. 諫山博

    ○諫山博君 私は、日本共産党を代表して、昭和六十一年度決算を承認することに反対の意見を表明します。  本決算は、中曽根内閣が推し進めた戦後政治の総決算路線が、いかに国民生活を破壊し、その一方で軍事費がいかに拡大されたか、民活の名によって財界、大企業がいかに潤ったかを如実に物語っています。  特に問題なのは、歯どめなき軍事費の増大であります。中曽根自民党内閣は、レーガンの核戦略を補完し、西側の一員としての立場を一層鮮明にした対米公約、中期防衛力整備計画を閣議決定しました。六十一年度はその初年度として、その後の大軍拡の第一歩となったのであります。日米安保条約に固執し、西側の一員として軍拡を推し進めるという路線の誤りは、マルタにおける米ソ首脳会談でも冷戦の終わりが話し合われ、東ヨーロッパでもワルシャワ条約軍のチェコ侵入が自己批判されるなど、最近の世界情勢の激変によってまさに劇的に証明されたと言えるでしょう。これが本決算に反対する第一の理由であります。  反対理由の第二は、軍拡とは裏腹に社会保障費が大幅に削減されたことです。老人医療の再改悪による本人負担の増大はお年寄りの健康に重大な影響を与えました。一年限りの約束をほごにしてなされた国庫補助金カットの拡大と延長は、今日では法改正され、恒久化されるに至ったのであります。さらに、退職者医療制度の創設による見込み違いによって生じた赤字についても、国がその補てんを値切ったため国保料は大幅に引き上げられました。今日大きな問題となっている保険証未交付問題も高過ぎる国保料がもたらしたものであり、政府の責任は重大であります。  民活の名による新日本列島改造計画とも言うべき超大型プロジェクトの解禁は、我が党が初めから指摘していたように、国民には莫大な財政負担と環境破壊を強い、大企業には大もうけを保障する以外の何物でもありませんでした。それを象徴的に示したのが首都圏から全国に広がった異常な地価高騰であります。政府の経済政策、土地政策の誤りを物語るのが本決算であり、到底賛成できません。これが反対の第三の理由であります。  昭和六十一年度国有財産増減及び現在額総計算書は、国有財産の純増加要因として、軍拡路線を反映した防衛庁の艦船、戦闘機などの新造を含むものであり、このような国有財産のあり方を示す本計算書を是認することは断じてできません。  また、同年度の国有財産無償貸付状況計算書については、制度自体の意義は否定するものではありませんが、管理運用の一部に重大な疑義が残されたままとなっており、これも是認できません。  最後に、自民党委員の強い反対によって警告がなされなかったことを私は極めて遺憾に思っております。こういうことがこれから絶対に繰り返されてはならないということを強調します。  政府は、来年度予算編成に当たっては、今私が指摘した点を踏まえて対処されるよう強く要望して、私の反対討論を終わります。
  254. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  255. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、昭和六十一年度一般会計歳入歳出決算昭和六十一年度特別会計歳入歳出決算昭和六十一年度国税収納金整理資金受払計算書昭和六十一年度政府関係機関決算書の採決を行います。  本件決算は、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  256. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 少数と認めます。よって、本件は賛成少数により是認しないことと決定いたしました。(拍手)  次に、昭和六十一年度国有財産増減及び現在額総計算書の採決を行います。  本件につきましては、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  257. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 少数と認めます。よって、本件は賛成少数をもって是認しないことと決定いたしました。(拍手)  次に、昭和六十一年度国有財産無償貸付状況計算書の採決をいたします。  本件につきましては、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  258. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 少数と認めます。よって、本件は賛成少数をもって是認しないことと決定いたしました。(拍手)  なお、これらの案件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  259. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  260. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 次に、継続審査及び継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和六十二年度決算外二件の審査並びに国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査につきましては、閉会中もなお審査及び調査継続することとし、継続審査要求書並びに継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  261. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、これらの要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  262. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  263. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和六十二年度決算外二件の審査並びに国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査のため、閉会中、必要に応じ、政府関係機関等の役職員を参考人として出席を求めることとし、日時及び人選等につきましては、これをあらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  264. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十六分散会