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1989-11-22 第116回国会 参議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月二十二日(水曜日)    午前十時五十六分開会     ─────────────    委員異動  十一月十七日     辞任         補欠選任      森  暢子君     大渕 絹子君      下村  泰君     西川  潔君  十一月二十一日     辞任         補欠選任      高井 和伸君     池田  治君  十一月二十二日     辞任         補欠選任      常松 克安君     木庭健太郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         千葉 景子君     理 事                 大島 友治君                 鈴木 貞敏君                 守住 有信君                 一井 淳治君                 刈田 貞子君     委 員                 尾辻 秀久君                 岡野  裕君                 狩野 明男君                 鎌田 要人君                 木暮 山人君                 陣内 孝雄君                 鈴木 省吾君                 福田 宏一君                 会田 長栄君                 大渕 絹子君                 菅野  壽君                 喜岡  淳君                 種田  誠君                 木庭健太郎君                 諫山  博君                 沓脱タケ子君                 池田  治君                 山田  勇君                 西川  潔君    国務大臣        通商産業大臣   松永  光君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       高原須美子君    政府委員        経済企画庁調整        局長       勝村 坦郎君        経済企画庁国民        生活局長     末木凰太郎君        経済企画庁物価        局長       栗林  世君        経済企画庁総合        計画局長     冨金原俊二君        通商産業大臣官        房長       熊野 英昭君        通商産業大臣官        房商務流通審議        官        山本 貞一君        通商産業大臣官        房審議官     庄野 敏臣君        通商産業大臣官        房審議官     横田 捷宏君        通商産業省通商        政策局長     畠山  襄君        通商産業省産業        政策局長     棚橋 祐治君        通商産業省立地        公害局長     岡松壯三郎君        通商産業省機械        情報産業局長   山本 幸助君        工業技術院長   杉浦  賢君        資源エネルギー        庁長官      山本 雅司君        資源エネルギー        庁石油部長    黒田 直樹君        資源エネルギー        庁公益事業部長  牧野  力君        中小企業庁長官  見学 信敬君        中小企業庁計画        部長       高島  章君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 堯躬君    説明員        公正取引委員会        事務局官房渉外        室長       滝川 敏明君        公正取引委員会        事務局取引部取        引課長      大熊まさよ君        総務庁長官官房        審議官      田中 一昭君        環境庁水質保全        局土壌農薬課長  細田 敏昭君        国土庁長官官房        参事官      島田 豊彦君        法務省民事局参        事官       寺田 逸郎君        大蔵省銀行局特        別金融課長    永田 俊一君        大蔵省銀行局中        小金融課長    武藤 敏郎君        文部省高等教育        局学生課長    喜多 祥旁君        厚生省生活衛生        局水道環境部産        業廃棄物対策室        長        三本木 徹君        社会保険庁運営        部年金指導課長  平松 克喬君        農林水産省農蚕        園芸局農薬対策        室長       宇井 勝昭君        食糧庁管理部企        画課長      高木 勇樹君        会計検査院事務        総局第一局長   疋田 周朗君        会計検査院事務        総局第五局長   安部  彪君    参考人        中小企業金融公        庫副総裁     原田  稔君        中小企業信用保        険公庫総裁    片山 石郎君        動力炉核燃料        開発事業団理事  橋本 好一君     ─────────────   本日の会議に付した案件昭和六十一年度一般会計歳入歳出決算昭和六十一年度特別会計歳入歳出決算昭和六十一年度国税収納金整理資金受払計算書昭和六十一年度政府関係機関決算書(第百十二回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十一年度国有財産増減及び現在額総計算書(第百十二回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十一年度国有財産無償貸付状況計算書(第百十二回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 千葉景子

    委員長千葉景子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  この際、松永通商産業大臣及び高原経済企画庁長官から発言を求められておりますので、順次これを許します。松永通商産業大臣
  3. 松永光

    国務大臣松永光君) 通商産業大臣松永光でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  通商産業行政は、通商産業地域経済技術中小企業そしてエネルギーなど幅広い分野にわたっており、しかもいずれも我が国の将来にとってゆるがせにできないものばかりでございます。私といたしましては、全力を挙げて任務の遂行に当たる所存でございます。  委員長初め委員各位の一層の御理解と御協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。
  4. 千葉景子

  5. 高原須美子

    国務大臣高原須美子君) 去る八月の海部内閣の発足に伴いまして経済企画庁長官に就任いたしました高原須美子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  我が国経済は、内需を中心とした景気拡大が三十六ヵ月間続き、物価の基調も基本的には変化が見られないなど総じて順調な状況にありますが、今後ともこのような状態をできるだけ息長く持続させていくように、経済企画庁長官といたしまして経済運営に誤りなきを期していく決意でございます。  同時に、私は一主婦としての感覚と発想もいたしまして、幅広い層の人々との対話に努めながら、我が国経済発展国民生活質的向上に向けて最善の努力をしていきたいと考えております。  今後とも、委員長並びに委員の皆様の御支援、御鞭撻をいただきまして頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  簡単ではございますがごあいさつとさせていただきます。     ─────────────
  6. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 委員異動について御報告いたします。  去る十七日、森暢子君及び下村泰君が委員辞任され、その補欠として大渕絹子君及び西川潔君が選任されました。  また、昨日、高井和伸君が委員辞任され、その補欠として池田治君が選任されました。  また、本日、常松克安君が委員辞任され、その補欠として木庭健太郎君が選任されました。     ─────────────
  7. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 昭和六十一年度決算外二件を議題といたします。  本日は、通商産業省経済企画庁中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算について審査を行います。     ─────────────
  8. 千葉景子

    委員長千葉景子君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  10. 千葉景子

    委員長千葉景子君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 会田長栄

    会田長栄君 おはようございます。会田でございます。  今、通商産業大臣経済企画庁長官からごあいさつがあったとおり、日本経済というのはまことに順調に発展をしている。その中にあって、私は日本の今日の経済発展を大きく支えてきたものは、中小零細企業の活動、これを忘れることはできないものと思っています。しかし、一方、振り返りまして、その反面、今日大企業中小零細企業との間の格差というものはますます拡大傾向にあるということも見逃せない事実だと思います。  そういう意味におきまして、これは通産大臣並びに担当官にお尋ねいたしますが、今日の中小企業並びに零細企業経営現状をどのように一体分析して、どのような課題が今日横たわっているかを認識した上で、政府がどう対応しようとしているのかということをまず第一にお伺いいたします。
  12. 見学信敬

    政府委員見学信敬君) 御質問中小企業経営状況でございますが、御案内のとおり、円高不況その他の問題が昔はございましたものですから、そのあおりも受けまして、依然として輸出型産地等中小企業の一部には内需転換努力等を進めているもののまだその改善ができていない等、一部にははかばかしくない業態もございますが、我が国経済全体が内需主導によります景気拡大局面にあることも反映しまして、総じて見まして中小企業全体は好況、堅調な動きであるということが言えようかと思っております。さらに、景気拡大局面におきます消費者ニーズ高度化あるいは技術革新の目覚ましい進展等環境変化は著しいものがございますが、中小企業にとりましても、持ち前の機動力を生かしまして新たな事業展開を行えるチャンスでもあるというふうに基本的には思っているところでございます。  しかしながら、他方で、先生指摘のように、経営資源の面で制約のどうしても多い中小企業の中には、情報化の問題でございますとかあるいは技術革新等環境変化に必ずしも円滑に対応し得ない事業者も存在しておりまして、中小企業と大企業の間に、あるいは中小企業相互の間におきましても環境変化への適応能力の差があらわれてきている部分もあると思料しているところでございます。  通産省中小企業庁といたしましても、中小企業能力向上を図るべく積極的に施策を展開していく所存でございます。
  13. 会田長栄

    会田長栄君 実は、毎年一六%も法人所得というのが伸びているということは今日発表されているとおりでございまして、まことに大きな役割を果たしている大企業でありますが、大企業増収増益というのは順調に伸びていることは法人所得からいっても今日明らかでございます。このことについては、労働分配率はまことに国際的にも日本は低いという御指摘もあるとおり、今日問題になっていることは確かでございます。その意味で、労働時間なりあるいは労働条件一切を含めまして、今日中小企業経営者もあるいは零細企業経営者も、そこで働く人たちも、大変な状況の中で厳しい仕事をしているという現実がございます。  その意味からいうと、十一月二十日の日に連合の総合生活開発研究所がいわゆる「ゆとりある生活構図—経済先進国にふさわしい家庭の幸せのために」という白書を発表いたしました。その前段で、日本経済大国になったものの、生活は欧米の水準に達していない、二十一世紀の初頭に、すなわち二〇〇五年までに何としても働く者の収入は今の一・五倍にしなければいけない。あるいは年間労働時間は千七百時間にしなければならない。同時に、これとあわせて年金の問題というのも、現在平均十八万五千円でございますが、公的年金として二十六万を目標にしてやっていかなければいけないということを発表して、これはゆとりある生活最低限度だということを記述しています。  今お答えがありましたが、福島県に例をとってみましょう。一つは、県内雇用労働者数というのは、実は六十三年度の統計によりますと七十一万二千五百人おります。このほとんどが中小零細企業に働く労働者でございます、約九〇%はこれに属しております。しかし、県内労働者年間収入というのは一ヵ月にして二十六万二千円でございます。年間収入というのは三百十四万六千二百九十二円という数字が出ております。それでは労働時間はどのぐらい出ているかというと、これは一ヵ月平均で百七十九・七時間であります。残業は十四・六時間、こう出ております。年間にしますと二千三百三十二時間という数字が出ているわけでございます。有給休暇を例にとれば、男性で十四・七日、実際に消化しているのは七・七日。女性は十二・八日、実際に消化しているのは七・九日です。これが今福島県の例を平均的に言いますと、中小企業零細企業に働く人たち実態でございます。  いかにこの経済大国にふさわしくない状況であるかというのは、私から言わないまでも今日数字的に明らかになっているところでございます。ましてや、先進諸国であるヨーロッパやアメリカ、カナダと比べてみれば、これは話のしようがございません。  そこで私がお伺いしたのは、いわゆる中小企業零細企業経営者、働く者を含めまして、ど んな問題が今日存在しているかの現状というものを正しく把握してもらわなければならないというところで質問申し上げたわけでございます。正しく分析をして、客観的に分析をして、その上に立って、中小零細企業を取り巻く課題というものは何であるかという認識の上に立って今政府はこたえていかなければならないと思ったからでございます。  その意味で、端的に申し上げますと、中小企業零細企業を含めまして仕事はたんまりあります、先ほど示したように。年間休日日数十二日余。しかし実際は八日もとっていない。残業は多い。年間労働時間数というのは二千三百時間を超えておる。二千五百時間になっているところもある。こういう状況でございますから、仕事はある、生産性は上がっておる。しかし、中小企業経営者なり零細企業経営者がどんな問題で一体一番苦労しているか、悩んでいるかという問題は、とりわけ私は率直にお答えしてほしかったわけであります。もう一度本音で言っていただけませんか。
  14. 見学信敬

    政府委員見学信敬君) 例えば、中小公庫等調査によりまして、現在中小企業が抱えている経営上の最大悩みは何かという御質問アンケートがございます。それによりますと、ここ何期か連続をいたしましてトップが労働者需給難、これが経営上の問題点というふうに指摘するに至っております。現下の状況としましては労働不足というのが経営者側から見た問題点でございます。  その根因を片方で考えますと、先生指摘のように、労働環境と申しますか、労働条件がやや大企業に比べて悪い。これは週休二日制の問題もございます。あるいは時短の問題もございます、大きく言いまして。そのほかに物的な意味での作業環境等々、労働条件に絡む問題が現実には存在しているということは御指摘のとおりだと思っております。
  15. 会田長栄

    会田長栄君 わかりました。私もそうだと思います。人手不足というのは最大悩みでしょう。東京一極集中をやめて、国土庁は多極分散型の都市機能をつくると盛んに言っておりますが、大いに地方に企業が移転をするというのは私は歓迎でございます。  今地元の中小零細企業で一番経営者が悩んでいるのは、今お答え願ったとおり人手不足です。仕事があって人手不足倒産をするという現実が目の前に来ている状況にございます。その人手不足は何によって生じているかといえば、それは労働環境です。これも間違いありません。しかし、経営者人手不足を解消しよう、経営環境改善しようとしても、仕事がいっぱいあるにもかかわらず、稼げども稼げども一向に利益は上がらずという状況になっているのは御存じでしょうか。この世で不思議なものですよ。人一倍働いて、経営者もそこで働く人たちも一生懸命残業までして働いて、なおかつなかなかうまくいかない。何が一番問題だとお思いでしょうか。
  16. 見学信敬

    政府委員見学信敬君) 第一点は、先生指摘のように人が集まらない、仕事が来てもなかなかそれに対応できない。そして、一部には労務倒産と呼ばれるような事態も起きているというのが現実でございまして、それにはやはり時短を含めた労働時間問題等々が一つのポイントになろうかとは思っております。  中小企業庁といたしましては、在来からもその労務問題については努力をしてきているところでございますが、新たに予算を要求いたしまして、労働環境改善をするべくフィージビリティースタディー等調査予算、あるいは時短改善事例データベース化によって一般への普及を図ること、あるいは労働環境整備貸付制度等をつくっていきたい、あるいは中小企業の新技術体化投資促進税制という形で生産性をアップするような税制について期限が到来しますので、その延長も図っていきたい等々に力点を置いて要求中でございます。
  17. 会田長栄

    会田長栄君 もちろん経営者は、今日の産業構造変化なりあるいは情報化社会技術革新というところでそれ相応の設備投資をしなければいけないという状況になってきています。  そこでお尋ねいたします。どうしても経営者は金がかかる、金がかかるから当然働く者に分けるところまでいかない、ますます労働環境改善されないという状況になってきています。そこで率直に把握していればお伺いしたいわけでありますが、中小零細企業というのはおおよそ仕事は全部下請孫請でございます。仕事を引き受けた際、下請単価というものがこの十年間、オイルショック以降、円高不況と言われた以降、どのように一体変わってきているでしょうか、改善されてきているでしょうかということをつかんでいたら聞かせてほしい。
  18. 高島章

    政府委員高島章君) 中小企業庁が実施をしておりますアンケート調査がございます。これによりますと、御指摘下請受注単価昭和五十年代後半からほぼ横ばいで推移をしておりました。ただ、昭和六十年の秋以降の円相場の急騰などの影響によりまして、六十一年末それから六十二年の初めには前年同期比で見まして低下幅が増大をしております。ただ、その後景気の回復とともに下請受注単価水準も急速に改善をしておりまして、平成元年の春以降、前年同期比を上回る水準になっているところでございます。
  19. 会田長栄

    会田長栄君 ここでは一々どこのなどと言わないで、平均的に物を申し上げます。先ほど申し上げたとおり、福島県の例を申し述べればという前提がございましたから。この十年間下請単価というものが一向に改善されないまま推移をしている。一部の企業の中でこの三年間改善されているところもあるというのが大体客観的な説明だと私は思います。仕事が欲しけりゃ単価はこのまま、単価を上げてくれというなら仕事はょそに回す、こういう雰囲気ができ上がっています。これはお知りですか。
  20. 高島章

    政府委員高島章君) 先ほど申し上げましたように、五十七年以降、下請受注単価は前年同期比を下回る状況になっているわけでございまして、御指摘のとおりかと思いますが、ただこの背景には、個々下請企業大変努力をしておりまして、新規設備を導入したり、さらにはその習熟効果があらわれることによって生産性が上昇しているところもございます。さらに、円高原油安等によります原燃料単価低下といった状況もございまして、こういうことから、前年同期比が低下しているということだけをもちまして、御指摘のように大企業、親企業下請企業の収益を圧迫しているということは言い切れないのではないかと我々は考えているところでございます。  ただ、いずれにしましても、中小企業庁といたしましては、親企業下請企業にしわ寄せをすることのないように下請代金法の厳正な運用に努めてまいる所存でございます。
  21. 会田長栄

    会田長栄君 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いしたいと思います。  そこでもう一度念を押します。  通産省あるいは中小企業庁含めまして、今日の中小企業零細企業を取り巻く経営実態というものをよくとらえていただいて、何といっても今日の経済大国の非常な役割を果たしてきたのはこの人たちでございますから、これはだれも否定できない事実でございますから、そういう意味では、大企業中小企業零細企業に請け負わせる適正な下請単価ということについて指導助言というものを今後強化していかなければならないのではないかと私は思っているんです。  というのは、法人所得が年一六%ずつも伸びておるという状況にあり、増収増益があり、これはだれも否定できない事実になっているにもかかわらず、最も大事なこの中小零細企業下請単価というのは仕事の面で絶えず揺さぶられるという状況にあります。今政府が最も必要なことは、適正な下請単価というものについて指導助言する時期ではないか、こう思っているわけでございます。その点、適正なというのはなかなか難しいわけでありますが、中小企業零細企業が今日の産業構造変化あるいは高度情報化社会なり技術革新な り、そういう設備投資をしながらもなおかつ労働環境というものを一歩ずつでも前進できるような経営状態になれるように、ここに焦点を絞って私はお聞きしたわけでございますから、適正な下請単価というものはどうあればいいのかという検討をして私は指導助言すべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
  22. 高島章

    政府委員高島章君) 先ほど申し上げました下請代金法運用を厳正に行うということの内容になるわけでございます。現在、公正取引委員会協力をいたしまして年間十四万社に及ぶ親及び下請企業につきまして非常に詳しく調査の確認をし、もしそれに問題があれば立入検査もいたしましてその問題点の是正を図っているところでございます。  また、個々下請企業が実際には外に意見を言えないこと、不平を言えないことにつきましても、我々は積極的にその事情を調べまして、適切にその改善に関しまして親企業に対する指導を強化すべく、現在中小企業庁の職員が一生懸命やっているところでございますし、今後ともその方針でまいりたいと思っておる次第でございます。
  23. 会田長栄

    会田長栄君 実はこれは労働省にもお聞きしたいわけでございましたが、きょうは抜きます。  実際に中小零細企業に働く人たちというのは、労働基準法さえ、あることはわかっていても遵守しないで精いっぱい働いている現況にある。そういうふうにもかかわらずこのような状態でありますから、今御答弁がありましたとおり、調査をして適切な指導をするというわけでございますからそれは期待しておりますが、経営者担当官調査してもなかなか本音を言わないというのが今日実態ですよ。下手に言われたらそれは仕事が来ないということなんですよ。だから私は、通産省自身、中小企業庁自身が客観的なデータを集約して、適正な単価というものを年度ごとの変化に伴って絶えず指導助言を強化していかなければならないんじゃないか、こう思っているわけですからお聞きしました。その点では、今後とも最後まで私はこの問題について皆さんにお願いしていくつもりでありますから、よろしくお願いしておきます。  この問題はここまでにしておいて、次に国土庁にお伺いいたします。  平成元年三月二十二日閣議決定されております東北開発促進計画に関連をしてお尋ねいたします。  この計画は、「東北地方は、豊かな国土資源や人材など大きな開発可能性を有する中で、これまでの開発施策により次第に発展の兆しがみえはじめており、従来の食料、木材等の供給基地としての後進的イメージを脱却し、我が国発展をリードする新たな産業の創出の場として、全国の中でも最もその発展が期待される地域の一つである。」ということを閣議決定しております。今私は東北地方の中小零細企業に働く者や経営者悩みというものを前段に申し上げました。そして二十一世紀、すなわち二〇〇〇年を目標として、約十年で東北地方は「一大飛躍を遂げるべき極めて重要な時期であり、国際化、技術革新情報化の進展に対応して、独創的な研究・技術開発や国際交流を推進し、産業機能、都市機能、国際機能の高度化を図るための新しい国土の軸の形成により、東北地方は二十一世紀の世界とともに生きる日本の一翼を担っていく必要がある。」と意義づけているわけであります。こういう東北開発促進計画というものを策定して、今各省庁間の調整に入り努力されているんでしょう。  そこでお聞きいたします。この意義と基本方針の中で、新しい国土の軸の形成として、「東北地方において、全国との格差を是正し」とあるわけであります。この格差というものをどのような内容でとらえてこの東北地方地域開発を国際的にも一翼を担えるような地域にしたいとしているのか、お伺いしたいわけであります。
  24. 島田豊彦

    説明員(島田豊彦君) お答えいたします。  今先生の御説明ありました東北開発促進計画のもとになっております四全総では、日本の均衡ある発展を図るため、多極分散型国土の形成を促進するということで各種の施策を講じていくということが基本に掲げられているわけでございます。その中で特に格差という面につきましては、一つは人口の流出が特に続いている地域、あるいはその原因となっています所得水準の格差が昭和五十五年以降も拡大している傾向にあるということに対処して地方の産業の振興を図ることが必要であるということから、各種の政策を総合的に講じていくべきであるということを提言しておりまして、今回の東北開発促進計画につきましてもそういう哲学に沿って内容が定められたものでございます
  25. 会田長栄

    会田長栄君 ありがとうございました。  人口が流出する、その傾向がますます拡大をする、したがって産業の振興を図る、こういうお話を聞きました。しかし、今前半に申し上げたとおり、これでは産業の振興どころか、一向に中小零細企業人手不足というのは解消いたしません。その点につきまして、本当にこの格差をあらゆる角度から多面的に分析をして東北地方の開発を推し進めようというんであれば結構であります。しかし、交通だ、あるいは情報だ、あるいは観光地だ、いろいろありますけれども、私はやはり、産業を振興させるというんであれば、第一に、今一生懸命活動を続けている中小企業零細企業人たちの今後の活性化を図っていかない限り振興の夢は消えるであろうと、こう見ているんです。だから、中小企業零細企業経営者あるいはそこに働く人たちが希望を持って働けるような労働環境というものをつくり上げていくこともこれは無視できないものと私は思っているんです。最も重要なものだと思っているんです。  今東北地方は地域の活性化ということを重点にして、地方出身の者が都会に流出している、したがってその者を帰そうというUターン運動というのが相当強力に進められております。いかに強力に推し進めようと戻りません。それは戻らないのは当たり前なんです。労働環境なり生活環境というのは当然所得によって制約されるわけでありますから、なかなかうまくいかない。その意味では、勤労者の所得格差というものにメスを加えない限り私は産業の振興にも難しい問題が次々に出てくるであろう、こう思っているところでありますから、この勤労者の所得格差を解消するために一体どのような考え方を基盤にして東北開発促進計画というものをお立てになったか、そのお考えをお聞きしたい。
  26. 島田豊彦

    説明員(島田豊彦君) いわゆる所得格差の原因というのは、端的に申しまして、高い所得を得ることのできる産業があるか、したがってそういう成長性の高い産業あるいは高付加価値の産業をいかに地方に分散させるかということが一つ課題である。さらに、地域の地場の中小企業なり産業についても、技術力の向上を図ってその育成を図っていくというのが一つの重要な柱になるだろう。したがいまして、そういう産業、これは製造業にかかわらず観光あるいはサービス業も含めて各種の魅力ある職場を地方に展開していくことが重要であるということで、したがいまして、東北地方につきましても、例えばインテリジェント・コスモス構想等の各種の民間主導あるいは各地域の自治体の主導によるものも含めまして、広範囲にわたる関係者の協力のもとに産業振興を進めていくということが必要であるということを基本的な考えとしております。
  27. 会田長栄

    会田長栄君 それでは、中小企業零細企業に最も期待されている、頼られているところの問題に入りたいと思います。  信用保証協会、これは大きな役割を今果たしております。中小企業人たちは、産業構造変化に伴う国際化、高度技術化、こういうことを大変頼りにしているところでございます。その意味では、この信用保証協会というのは、中小零細企業にとって大変な期待感の大きいところでございます。  その点で率直にお尋ねいたします。政府は、平成二年度に向けて中小企業信用保険公庫融資基金 というものについて増額をする、今日の現状を見て増額をするという態度を固めているのか、それともこの程度でいいと思っているのか、率直にお聞きしたい。
  28. 高島章

    政府委員高島章君) 信用保証制度につきまして、先生から大変御支援のお言葉をいただきましてありがたく存じます。  御案内のように、信用保証制度は、中小企業の信用力、担保力を補完いたしまして、その資金調達を円滑にするという機能を営んでいるわけでございまして、現在六百五十万になります中小企業の多くの人たちがこの制度を活用しているわけでございます。五社に一社はこの信用保証制度を活用しているわけでございます。したがいまして、この信用保証協会の機能強化に関しまして、近年における内外経済環境の変化に対する中小企業の的確な対応を促進するために、六十三年度に法律改正をお願いいたしまして、保証限度額を引き上げ、新事業開拓保証、海外投資保証という新しい制度を創設したところでもございます。中小企業庁といたしまして、これら制度の活用を含めまして、信用保証協会の機能の一層の充実に努めてまいる所存でございます。  御質問ございました予算の件でございますが、非常に厳しい財政事情のもとではございますが、平成元年度におきましては、御指摘中小企業信用保険公庫融資基金百九十五億円、中小企業信用保険公庫保険準備基金百九十五億円、さらに信用保証協会基金補助金二十五億円という、この三つにつきまして予算措置を講じたところでございます。平成二年度におきましても十分な予算措置が実現できますように我々は今懸命の努力をしているところでございます。
  29. 会田長栄

    会田長栄君 中小企業信用保険公庫融資基金というのは六十三年度百九十五億、本年度百九十五億、来年は増額の努力をするというお答えをいただきましたが、今日の中小零細企業を取り巻く環境からいって、これを大きな頼りにしているわけであります。よく政府の方々は、私どもが地域のそういうせつない希望を申し上げると、財政的と、すぐこう言うんです。しかし、私は政府が言う財政的な問題というのは余り本気にしないんですよ。  それはなぜかというと、これは既に大臣初め担当官おわかりでしょうけれども、ふるさと創生論だって同じなんです。地域の活性化ということでやりましたけれども、これは最も不思議な例でございますが、この金をどのように使ったらいいかということでやったら、日本一の水車をつくれば見物に来るのではないかといって水車をつくったというんですから。まだまだある。言えば切りがない。なかなか容易でないから、村民全部ヘリコプターに乗せて、村民は自分の村というものがどういうものか空から眺めてみようといってやったというんです。自分の村がどのぐらいかというのは富士山の上からよく見えるところだそうですよ。あえてヘリコプターに乗る必要はない。しかしやるというんです。  しかし、今最も中小企業零細企業経営者が期待をしている信用保証協会の役割というものを重視するなら、もう少し政府自体が積極的に対応したらいいんじゃないか、こう思っている一人なものですから申し上げました。中小企業信用保険準備基金百九十五億で変わらずでは困ります。信用保証協会基金補助金、増額するように努力していると聞きます。どうぞ積極的に新しい時代に対応できるように、そして労働環境改善できるように、これに頼っているわけでありますから、御努力を最後にお願いしておきます。よろしくお願いいたします。  次に、物価に関する日米共同調査が行われたと聞きます。その結果について概略知らせてほしい。そして、その結果に対する御所見を経済企画庁長官並びに担当官にお尋ねします。二つ目は、日本物価は高い。消費者は王様ですということが経済活動になかなか生かされない。その意味ではどうも消費者軽視ではないのかという声を聞きます。したがって、こういうことについての御所見をお伺いします。三番目には、日本物価が高いのはどうも公共料金にあるのではないかという御指摘も聞かれます。公共料金といえば、これは政府みずからが考えることでございますから、そういう御批判、御指摘についてどのような考え方をお持ちなのか、お聞きしたい。まずそれをお願いいたします。
  30. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) まず、日米共同の内外価格調査結果についての先生の御質問でございます。  これについてお答えいたしますが、今回の調査は、日米構造問題協議において我が国の価格メカニズムを議論するに際しまして、日米が共通の問題、事実認識を持つことを目指して前回の構造協議においてやることに合意をしたわけでございます。  アメリカの問題意識は、日本品について、アメリカに輸出されるときに、日本で高く売って、消費者がかわいそうで、その利潤がたくさんあって、ディープポケット論というんだそうでございますが、アメリカでは安売りをしておる、こういうことはおかしい。それから、アメリカの製品なりヨーロッパの製品が今度は日本に入ってくるときに、アメリカの国内と比べると非常に日本の輸入品は割高である、この問題意識でございます。  電気製品、自動車、日用品、資本財等の輸出品、輸入品及び若干のサービスから成る約四十品目について東京と大阪、ニューヨーク、シカゴ、アメリカは商務省それから日本通産省、一部農水省、運輸省、大蔵省の担当官も入りまして共同で店頭において購入をする形で調査を実施したわけでございます。調査結果からは、当省所管の工業製品、日本がつくってアメリカに輸出をしたものでございますが、これにつきましては、我が国から輸出された製品については米国での価格の方が我が国での価格よりも高い例が多かったわけでございます。ただし、一部に米国の方が安いという例も見られました。それから我が国に輸入されるアメリカ、ヨーロッパの製品につきましては、我が国での価格の方が米国での価格より高い例が多かったわけであります。  先ほど申し上げました日本の工業製品等につきましては、米国はこれまでの協議において、我が国の製品価格は先ほど申し上げましたように国内で高くて外国で安い。これについてさらに、ここ二、三年の円高による輸出価格の引き上げという価格調整メカニズムが必ずしも日本の輸出商品には働いていないという指摘をいたしたところでございますが、今回の調査でアメリカ側の指摘は大筋において事実に合致しないと我々は受けとめております。ただし、先ほどもちょっと申し上げましたように、輸出品につきましても一部、それから輸入品の相当部分については確かに内外価格差が見られる事例があることも事実であります。  価格差が生じておる要因については、とりあえず我々のコメントによれば、輸出品については、内外の規格、仕様の違い、すなわち品質、性能の違いや消費習慣の違い等があると考えられます。輸入品については、消費者のブランド志向あるいはソールエージェント制など海外メーカーの販売戦略、あるいは流通段階でのいろいろの原因が考えられると思います。  今後は、これらの事例につきまして十分分析を行いまして、必要に応じて適切な対応策を検討していく考えであります。
  31. 高原須美子

    国務大臣高原須美子君) 消費者利益をというお話でございましたけれども、私は長官就任以来、豊かさの実感できる国民生活をということで、生活重視、消費者利益重視ということを常に主張してまいっております。企画庁が先ごろ発表いたしました内外価格差の状況もその一環でございまして、内外価格差の是正ということも消費者利益のためにこれから行ってまいりたいと思っております。  ただいま通産省から御説明のございました日米共同価格調査は一部の商品の調査でございまして、この結果から生計費全体の物価水準を評価するということはちょっと難しいのではないかと思 っております。しかし、先ごろ企画庁が発表いたしました本年の物価レポートで示しましたように、現在の我が国物価水準は、概して言いますと、ここ数年の円高の進展、一人当たり所得の上昇等から国際的に見て割高であることは否定できないと思います。そこで、消費者利益のためということで、内外価格差の是正策といたしまして今後とも次の施策を実施していくことが重要と考えております。  まず、市場アクセスへの改善等により製品輸入を促進する。第二に、昨年十二月に閣議決定された規制緩和推進要綱を踏まえて規制緩和を確実に実施し、競争を促進していく。第三に、規制緩和や独禁法の厳正な運用などにより合理的な流通構造の実現を図る。第四に、農業などにおけるより一層の生産性の向上に努力してもらう。さらに第五として、消費者への情報提供に努める。こうした施策を実施して内外価格差の縮小に努め、消費者の利益を図ってまいりたいと考えております。
  32. 栗林世

    政府委員(栗林世君) ただいま先生の方から公共料金のお尋ねがございましたので、若干お答えさせていただきたいと思います。  公共料金の内外価格差につきましては、物価レポート等でも若干触れておりますが、物によって割高のものもございますし、国との比較で高かったり低かったりしている、いろいろなものがございます。我々といたしましては、公共料金につきましては、経営の徹底した合理化を前提としまして、物価及び国民生活に及ぼす影響を十分考慮して厳正に取り扱っていきたいというふうに思っております。  なお、これまでも公共料金につきましては、円高差益還元等で電気・ガス料金の引き下げ等、可能な限り内外価格差の縮小を目指して行っておりますし、今後も一層の生産性向上に努めることによって料金の適正化を図っていくというふうに考えておるところでございます。
  33. 会田長栄

    会田長栄君 物価に関する関係で最後に通産省にお尋ねいたしますが、通産省は今大型店舗の規制緩和問題について大分積極的に取り組まれていると聞きます。しかし、物価の動向というのは、大型店舗は安いというのは今日神話になっております。大型化すれば物価は安いなどというのは、実際の数字としてはなかなか厳しくなっている今日でございます。そういう意味からいえば、大型店舗の規制緩和の検討をする以前に、今日まで地域で大きな役割を果たしてきた小売商、商店街の人たちの振興策というものを先行してあるいは同時並行して進めるべきではないかという意見を私は持っているわけでありますが、その点についての御所見を伺いたい。
  34. 松永光

    国務大臣松永光君) 先生指摘のとおり、大店法の枠組みは存続しながらその運用について適正化を図るべく今鋭意検討を進めているところでございます。  なぜそれをするのかというと、やはり消費者の利益を考えますと、いたずらに大店舗の進出を規制、抑制するのはいかがなものか。地域の実情に応じて大店舗が進出することも合理的な範囲では認められなきゃならぬわけでありますけれども、現在大店舗が進出する場合に、時によっては七年も十年もかかるなどという不合理な運用例などもあるものですから、そういった点を合理化し適正に行っていきたい、こういう考え方で大店法の運用改善を今検討しているところであります。  しかし、同時に、先生指摘のとおり、大きな店舗が進出したことによってその地域の中小小売商が壊滅的な打撃を受けるなどということがあってはなりません。したがいまして、今申したような大店法の運用の見直しをいたしますけれども、同時並行的に活性化を図っていこうとする商店街等につきましては、いろんな方面から応援をして、そして中小小売商から成り立っておる商店街の活性化対策、これはきめ細かく推進してまいりたい、こう考えておるわけであります。
  35. 会田長栄

    会田長栄君 最後の質問でございますが、実は日米構造協議について七点ばかりお尋ねしたかったわけでありますが、時間が足りませんから次の点のみお伺いいたします。  この構造協議を続けている政府にとって、アメリカによる内政干渉と思われるものがあると聞きますが、その具体的なものは何であるかということをお聞きしたいわけであります。
  36. 松永光

    国務大臣松永光君) まず申し上げたいことは、アメリカから日本経済構造について六点にわたって指摘がなされました。実は我が方も同時にアメリカに対して七項目について問題ありはせぬかという指摘をしたところでありまして、日米双方がお互いに問題点指摘し合いながら協議を続けていくわけでありますから、内政干渉などということはない。私どもは内政干渉を受けたような気持ちは全く持っておりません。  アメリカからの指摘については、友好国でありますから、友好国の意見の一つとして受けとめて、そして直した方が日本の国民、日本の消費者にとってプラスになるという点があるならば、我々みずからの判断で、日本国民のために、特に日本の消費者のために直してまいりたい、こういう考え方でこれからも取り組んでいく所存でございます。
  37. 会田長栄

    会田長栄君 米国の対日貿易赤字の縮小が一向に進まない。何が問題だと思いますか。
  38. 畠山襄

    政府委員(畠山襄君) 御指摘のように、アメリカの対日貿易赤字は五百億ドル台をずっと続けておりまして、縮小しないわけでございます。  その原因として、まずマクロ政策の問題があるわけでございます。これはよく言われますように、今御指摘の構造協議の中でも指摘日本側がいたしておりますが、アメリカの貯蓄・投資パターンといいますか、アメリカの財政赤字が非常に大きい、それが回り回って貿易収支の赤字になってくるという問題が第一にあるわけでございます。  それから第二には、たまたま現在の状況からいたしますると、アメリカの産業の競争力が日本産業の競争力に比べて劣っているものが多いという問題もあるわけでございます。これはアメリカの国内にたまたま立地しているものが劣っているということでございまして、アメリカの企業自身は、海外に立地をいたしまして、新式の設備等がややもすると海外にあって、そこから輸入をしてきちゃうという、アウトソーシングと言っておりますが、そういったところもあるわけでございます。  それから第三点といたしましては、アメリカの現状の設備の状況が、稼働率が非常に高うございまして、輸出までなかなか手が回っていないんじゃないかという懸念を私どもは持っております。八四%ぐらいの稼働率になっておりまして、それが高過ぎて輸出まで手が回らない、国内で手いっぱいというところもあるのではないかと考えられております。  また第四点といたしましては、アメリカの企業の側に、国内の商売で手いっぱいであるせいもあると思いますが、輸出意欲と申しますか、そういうところにまだ欠けるところがあるのではないかというようなことが挙げられると思います。
  39. 会田長栄

    会田長栄君 先ほど通産大臣からお答えがありましたとおり、米国が六項目を提起している。日本政府は七項目を提起している。しかし、米国の代表というのは、六つだと言いながら、会合を重ねるたびに次々ふえるというのは大体普通になっているんですね。そういう傾向というのはおありなんですか、ないんですか。最後まで六つなら六つで終わるんですか、六項目で。お伺いします。
  40. 畠山襄

    政府委員(畠山襄君) 日米構造協議は今まで二回やっておりますが、この二回に関する限りは最初から六項目でございまして、変化はございませんでした。ただ、この協議の性格といたしまして、日本側もそうでございますが、やがてその議論を深めていきます間に何か項目を起こした方がいいというものが生ずれば、これは別にお互いにふやしちゃいけないというような約束にはなっておりませんので、日本も気がつけばふやすこともあり得ましょうし、それから米側ももし何か気がつけばふやすことはあろうかと思いますが、今までのところそういうような新たな項目が提起され ているというようなことはございません。
  41. 会田長栄

    会田長栄君 これで終わりますが、実は日本産業にとりましても、農業にとりましても、日米構造協議というのは大変な国民の関心を集めているところでございます。したがって、我々の生活にこの協議がどのように影響するかということで注目されているところでございます。その意味では、日米外交交渉と相まってのことでございますが、できる限り国民にわかりやすく広報しながらこの問題を積極的に進める、そして日本産業、農業あるいは第二次産業を含めまして全体的に納得のできるように努力してほしいということを申し上げて、私の質問を終わります。
  42. 松永光

    国務大臣松永光君) 御指摘のとおり、この日米構造問題協議、非常に重要でありまして、同時に国民生活にとっても少なからざる影響のある問題でありますから、適宜適切に国民に対する説明も申し上げて、そしてその理解を得ながら進めていかにゃならぬ、こういうふうに思います。  重ねて申し上げますけれども、国民生活を質の高いより豊かなものにしていくためにはどういう改革をすべきか、そのプラスになる方向で私どもはこの問題と取り組んでまいる所存でございます。
  43. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時五分まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      ─────・─────    午後一時七分開会
  44. 千葉景子

    委員長千葉景子君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和六十一年度決算外二件を議題とし、通商産業省経済企画庁中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  45. 種田誠

    ○種田誠君 私は、中小企業金融公庫決算のあり方について伺いたいと思います。  金融公庫の皆様におきましては、活力ある中小企業発展のために創意、努力をいただきまして、中小企業が日ごろ御支援をいただいておりますことをまず感謝申し上げる次第であります。  私は、中小企業金融公庫初め国民金融公庫等々の特殊法人における決算につきまして決算書などを拝見いたしますと、この間利益金が計上されていないことに深い疑問を持っているものであります。六十一年度の業務概要が本日提出されておりますが、これを見ましても例年どおり利益金はない、このようにされているわけであります。  ところで、中小企業金融公庫法第二十四条によりますと、「毎事業年度の損益計算上利益金を生じたときは、これを翌事業年度の五月三十一日までに国庫に納付しなければならない。」とされております。そしてさらには、この利益金の計算方法や納付手続が政令で定められてきておるわけであります。このような法令の存在にかんがみましても全く不可思議と言わざるを得ないわけであります。  そういう意味で、私はまず、とりわけ中小企業金融公庫におきまして、なぜこれまでの間、利益金が計上されないような運営がなされ、また、なぜ利益金が計上されていないのか、そのことについて最初に伺いたいと思います。
  46. 高島章

    政府委員高島章君) 中小企業金融公庫は、大企業に比べまして担保力、さらには信用力に非常に劣っております中小企業に対して低利かつ長期の資金の貸し付けを実施している機関でございまして、このような中小企業の資金ニーズにこたえてきた結果としまして実質的に損失を生じているところでございます。このような状況のもとで、予算編成時において予想される損失に対しまして、業務の円滑な運営を図るために一般会計からの補給金を投入しているわけでございます。このような中小企業金融公庫は、最近の決算におきまして実質的には赤字の機関でございまして、このような機関において利益を計上することは適当でないと考えている次第でございます。
  47. 種田誠

    ○種田誠君 ただいまの御答弁の趣旨も理解できるわけでありますが、私はむしろ毎年度の決算書における損益計算などを拝見いたしますと、その仕組みや貸倒引当金、六十一年当時は滞貸償却引当金、このように呼ばれておりましたが、この貸倒引当金への組み入れ額の算定に問題があるのではないだろうか、このように思うわけであります。その点いかがなものでしょうか。
  48. 高島章

    政府委員高島章君) 中小企業金融公庫決算につきましては、中小企業金融公庫法、それから公庫の予算及び決算に関する法律等の所定の法令等に従いまして適正に行われておりまして、決算上の仕組みには問題はないと考えているわけでございます。ただ、利益が出ていないという点につきましては、公庫が補給金を受け入れることによりまして損失を埋めるとともに、将来の貸し倒れに対応しますために所定の範囲内でただいま御指摘の滞貸償却引当金を繰り入れているという状況のもとでは、何ら問題はないと考えている次第でございます。
  49. 種田誠

    ○種田誠君 そうしますと、より具体的に伺いますが、六十一年度の決算を拝見いたしますと、実際の貸倒償却、いわゆる滞貸償却費でありますが、七億九千百五十八万円余とされておりますが、これに対して、今述べられました滞貸償却引当金、いわゆる貸倒引当金でありますが、この繰入金額が百四億二千五百八十万円とされているわけであります。現実の貸倒償却費をはるかにオーバーしていることは一目瞭然であります。ということは、現実の貸倒引当金、償却費をはるかに超えてこの繰り入れによって公庫内に引当金が留保される、そういうところに利益が計上されない、このような原因があるのではないだろうかと思うわけであります。  特に六十二年度の決算に至っては、二回ほど補正予算によって、先ほど来述べられました補給金が何と二百一億九千万円余受け入れられているわけであります。ではこのときの実際の貸倒償却費は幾らだったかといいますと、六十一年度とほぼ同様の七億九千六百二十九万円余であったわけであります。その補給金の大半がむしろ六十二年度の貸倒償却引当金、この金額が百七十四億二千八百六十万円余となっているところから、こちらの方にストレートに流れているのではないだろうか、このような疑問を持つわけでありますが、この六十一年、六十二年度の決算を前提としてもう一度御意見をいただきたいと思うわけであります。
  50. 高島章

    政府委員高島章君) ただいま御指摘の六十年、六十一年度の滞貸償却引当金でございますが、これは中小企業金融公庫が繰り入れることのできます滞貸償却引当金の上限、すなわち貸付金の純残高の千分の六以内ということでございますが、この引当金の上限を大幅に下回るものになっておりまして、中小企業庁といたしましては過大とは考えておらないわけでございます。先ほども少し触れさせていただきましたように、中小企業金融公庫は実質的には最近の決算におきまして赤字の機関ということになっておりまして、決算に係る仕組みから利益が出ていないということではないと考えている次第でございます。
  51. 種田誠

    ○種田誠君 それでは大蔵省に伺いたいと思います。  ただいま御答弁の中に、中小企業金融公庫においては千分の六の上限の範囲の中で運用がなされているんだというようなお答えもありましたことを前提に伺います。中小企業の金融公庫を初め特殊法人に対して一般会計より先ほど述べられました補給金が支払われているわけでありますが、この補給金の性質、機能はいかがなものでしょうか。
  52. 永田俊一

    説明員(永田俊一君) お答えいたします。  ただいまの御質問、補給金の機能はどういうことかということでございますが、公庫に対しましては、個別の利子補給といったものはちょっと別にいたしまして、今御議論になっておりますような補給金につきましては、その収支の差額を補てんするものとしてこれを補給金として計上すると いうことでございます。それは先ほど来お話がございましたように、政策金融をつかさどる公庫が、そのときどきの金融情勢にもよりますけれども、やはり低利の資金を融通していくという過程でどうしても欠損が出る、収支差額が出るわけでございますので、そういうものは当然のことながら補給をしていかなければいけない、そういう観点で補給金をとらえております。
  53. 種田誠

    ○種田誠君 そうしますと、収支における赤字を補てんする、簡単な言葉で言えば、赤字を補てんするためにこの補給金というのが支払われるんだということだと思うわけでありますが、先ほど来の中小企業公庫関係者の答弁を伺っておりますと、実際赤字だ赤字だと言いながら、では、損益計算書上その赤字というのは確認された上で補給金の支払い、中小企業から言わせれば受け入れというのがなされておるんでしょうか。
  54. 永田俊一

    説明員(永田俊一君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、収支の差額を補てんするものが補給金でございますので、当然ながら、予算作成の段階におきましては当該年度の来年度の収支の予想を計算いたしまして、その補てんを必要とするということでございますれば、補給金として幾ら幾ら必要であるということを予算の編成過程で十分に御議論をさせていただいております。また、決算につきましても、決算をする段階におきまして実際の収支を、もちろん決算処理の基準に基づきまして計算いたした上補給金の処理をするということになっております。
  55. 種田誠

    ○種田誠君 では引き続いて伺いますが、先ほど来答弁の中にありましたいわゆる貸倒引当金について、金融公庫に関しては繰入限度額などが定められておる。そして千分の六というのが上限となっておるということでありますが、この千分の六というのが定められている根拠、そしてまたいつごろ定められて、今日的な妥当性があるのかどうか、その辺について伺いたいと思います。
  56. 永田俊一

    説明員(永田俊一君) お答えいたします。  いわゆる貸倒引当金につきましては、金融機関でございますので当然ながら貸し倒れのリスクを負っておるわけでございます。したがいまして、民間金融機関の動向等も勘案しながらこれを決定しておるところでございまして、その際、先ほどちょっとお話がありましたが、公庫が行う融資につきましては、民間から金融を受けることがむしろ困難な借入者に対して融資を行っているということも勘案しまして、若干民間に比べますと高目に積ませていただいております。  経緯的なお話をさっきおっしゃっておられましたのでお答えいたしますが、昭和五十六年度以降、銀行等の貸倒引当金の繰り入れ率が千分の三になりました。したがいまして、公庫等につきましてもこれを千分の六にしたところでございます。ただ中小公庫等につきましては、昭和五十五年十二月の政府関係金融機関の貸倒引当金繰り入れ率の、このときは引き下げを行ったわけですが、引き下げの閣議決定等を勘案いたしまして今申し上げましたような千分の六ということに現在しておるところでございます。
  57. 種田誠

    ○種田誠君 五十八年から六十三年までの中小企業金融公庫の実際の貸倒償却費、いわゆる滞貨償却費でありますが、率で言いますと千分の六をはるかに下回りまして千分の一から二のところにずっとあると思うんですね。そういうことから見まして、この千分の六というのは今日的妥当性としてはいかがなものでしょうか。
  58. 永田俊一

    説明員(永田俊一君) 先ほど申し上げましたように、千分の六につきましては、民間金融機関が繰り入れ率として採用しております千分の三といったものを勘案いたしまして、融資の特殊性を考えますと、一つの限度として千分の六は今日的妥当性があるものと考えております。  ただ、先生がおっしゃいましたように、実際の繰り入れ率につましては、今お話しの六十、六十一、そのあたりでは千分の一とか千分の二とかという形になっておりますが、それはその千分の六の中で、先ほど来お話が出ておりますように、まさにこの時期に公庫が赤字を大幅に出した時期でございますので、金融機関、貸し手としての健全性、それは自己資本比率の拡充、あるいはこういう貸倒引当金もそれに入るわけですけれども、そういうものの確保及びもう一方の健全性といいますか、経営的な配慮でございます補給金、この補給金をできるだけ最小限にとどめるというまた財政上の要請、そういったものを総合勘案して実際の繰り入れ率は先ほど先生がおっしゃったような形になっているものと理解しております。
  59. 種田誠

    ○種田誠君 同じように住宅金融公庫や沖縄振興開発金融公庫などの決算を拝見いたしますと、利益金は利益金として計上した上で各種法令に従って積立金として積み立てられて、場合によっては利益金が先ほどの法令に従って国庫に納入されている、こういうようなケースがあるわけであります。むしろ私は、この中小企業金融公庫を含めたその他の特殊法人におきましても、住宅金融公庫や沖縄振興開発金融公庫のように、やはり赤字は赤字、黒字は黒字としてはっきりとだれの目からもわかるように、そしてまた利益金のうち各法人に留保しなきゃならないものは法令に従って積み立てをする、そしてその余の利益金は法令どおり国庫に納入させる、こういうふうな仕組みをそろそろはっきりとつくり直す時期ではないだろうかと思うわけでありますが、その点についていかがなものでしょうか。
  60. 永田俊一

    説明員(永田俊一君) お答え申し上げます。  今御指摘のありました住宅金融公庫及び沖縄金融公庫につきましては、先ほど来議論の出ております中小公庫のように、原則といたしましては収支の差額についてこれを補てんするその補給金という形で、現在のところほとんどの公庫が赤字公庫でございますので補給金を充てているということですが、住宅公庫と沖縄公庫に利益金が計上されているという問題につきましては、これはこの二公庫の特殊性がございまして、そこを御説明を申し上げる必要があろうかと思います。  住宅公庫につきましては、御案内のとおり、国の財政事情によりまして五十七年度からその利子補給金を繰り延べさせていただいておりまして、それを特別損失として経理をしておりまして、これに対していわば国が借金を負っているわけですが、毎年度交付金の形で公庫にこれを返済しております。この処理を明瞭に経理するために、公庫法に規定をいたしまして、経理上は交付金を利益金として受け入れまして、それをもって先ほど申し上げました特別損失金をBS、貸借対照表上減額しているということで処理をしておりますので、形は利益金が出た形になっておりますけれども、実質は先ほど申し上げましたような補給金を必要とするということでございます。  それから沖縄公庫につきましても、沖縄公庫の経理は実は一般勘定と、これは本土に沖縄が復帰いたしました際に継承しました、ちょっと細かくて恐縮でございますが、本土産米穀資金特別勘定というものがございまして、これを区分けして整理しております。このうち本土産米穀資金特別勘定におきましては、その資金源が実は無利子のお金でありますので、当然これを貸し付けて利子が入ってくるわけでございますので運用益が出ます。これについては利益金を計上するという形になっておりまして、まさに特別勘定で出てくる利益金ということでございます。これも先ほど申し上げましたように最終的には当期利益の形にはこの分はなっておりますけれども、総体はまさに実質損失が出ておりまして、それを補給金で埋めているという形でございまして、損益計算書の備考の欄といいますか注の欄に、今私が申し上げましたような住宅公庫の特別損失あるいは沖縄公庫のいわゆるこの特別な勘定につきましては注記をさせていただきまして、皆様の御理解に資するように努力はしているつもりでございます。
  61. 種田誠

    ○種田誠君 そうしますと、私が聞いているのは決算の仕方の仕組みの問題として聞いているわけなんですが、昭和五十九年十一月に総務庁の行政監察局より特殊法人に関する調査結果報告がなされているわけであります。とりわけ引当金の計上方法について各法人に勧告がなされておって、中 小企業金融公庫もまさに貸倒引当金については改善を求められている、こういうふうな事情にあるわけでありますが、今の大蔵省の答弁によりますと、決して仕組みに間違いはないということのようであります。  この監査の指摘によりますと、融資関係特殊法人が計上している貸倒引当金の計上額を見ると、貸倒償却実績との間に経常的に著しい開差が生じておって、損益額が適正に計算、表示されていないとされている。ついては、「貸倒引当金は、貸倒償却の実績を勘案しつつ、期末現在における金銭債権について取立てが不能と見込まれる額を計上すること。」の改善を求める、このようにされておるわけでありますが、この五十九年十一月の勧告に対して、ただいま中小企業金融公庫さん、そしてまた大蔵省さんの話があったわけなんですが、総務庁としてはいかがな御所見をお持ちでしょうか。
  62. 田中一昭

    説明員(田中一昭君) 御説明申し上げます。  今お話しの監察は、臨調の答申等におきまして、各法人の事業の性格に対応した会計処理基準の標準化を図るべきであるということ、並びに財務諸表を含め経営内容を公開すべきであること等々の提言を踏まえまして、特殊法人における会計処理基準の標準化に資するということを目的に実施したものでございます。たくさんの事項について勧告しておりますが、先生お話しのとおり、貸倒引当金につきましては今お話ございましたけれども、「貸倒償却の実績を勘案しつつ、期末現在における金銭債権について取立てが不能と見込まれる額を計上すること。」と指摘しております。  総務庁におきましては、勧告後おおむね半年たった時点とそれから一年ぐらいたった時点でありますが、どの勧告でもそうでございますけれども、二度にわたりまして特殊法人の所管省庁にその後の改善措置の状況について報告を求めております。各特殊法人において、私どもの判断ではおおむね勧告の方向で改善が図られつつあるのではないかと理解しております。  ただいまの中小企業金融公庫につきまして、勧告の趣旨からしますと、今お話を伺っておりまして必ずしも合致していないように見受けられますけれども、中小企業金融公庫政府金融機関としての特殊性、るる御説明ございましたが、特殊性あるいは延滞残高の推移等を勘案しまして、所管省庁がそのように判断されたというふうに考えております。
  63. 種田誠

    ○種田誠君 ただいまの総務庁のお話、わかるところはわかるんですが、ただ、勧告をしても実際のところ中小企業金融公庫さんを含めてその他の特殊法人においてもこの御指摘がそのとおり改善されていないというところに問題があるわけであります。そういう意味で、むしろ決算については国民にとってわかりやすい決算を形の上でもつくっていただけるように、これから各法人においてもまた大蔵省においても御指導、御努力をお願い申し上げまして、時間が参りましたので私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  64. 一井淳治

    ○一井淳治君 経済企画庁の方に質問いたしますけれども、ことしの物価レポートにおきましては内外価格差を取り上げておられますけれども、これはどういう趣旨でそういった方向をおとりになられたのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  65. 高原須美子

    国務大臣高原須美子君) 先生指摘のように、ことしの物価レポート89におきましては、内外価格差問題を取り上げまして、日本の生計費はアメリカや西ドイツなどに比べて高く、内外価格差があることを指摘いたしました。  その内外価格差問題を取り上げました理由といたしましては、まず第一に、我が国物価動向はここ数年来の円高の進行などによって落ちついた動きを示してはおりますが、一方で、生活関連の物価水準を他の先進国と比較した場合、急速な円高に伴って割高になっているとの認識が出てきたことでございます。第二に、昨年五月に策定された経済計画でも指摘されていますように、所得水準に見合った豊かさを実感できるようにするためには、内外価格差の縮小が重要な課題になってきたことです。それから第三に、内外価格差の実態についての意見は錯綜しておりまして、現状の把握、原因の分析、政策の方向について体系的な分析が必要になってきたことです。こういった理由から内外価格差を取り上げました。  物価レポート89におきましては、内外価格差が縮小するための政策としては、市場メカニズムが有効に働くようにするという観点から、規制の緩和、流通分野での競争促進、合理的な消費者行動について検討を行っております。
  66. 一井淳治

    ○一井淳治君 購買力平価で国民所得を比べるということが基本的に大事だと思いますけれども、日本とアメリカと比較した場合にどういう結論であったのかということをひとつお尋ねしたいと思います。  あわせて、今長官も言われましたように、我が国の国民が欧米並みの豊かな生活を楽しめるというふうな状況をつくるためにどのような政策が必要かという結論が出ているのかについてお尋ねをいたしたいと思います。
  67. 高原須美子

    国務大臣高原須美子君) では、まず第一番目の質問で、購買力平価で評価した一人当たりの国民所得でございますが、これは購買力平価で換算いたしますと、一九八七年におきましてアメリカのおよそ七〇%強ということになっております。  それからその次に、欧米並みの豊かさということでございますけれども、我が国経済は、戦後の発展の結果非常に成長いたしまして、一人当たりの所得は、近年の円高の影響も加わりまして、世界の最高水準に達しております。また失業率が比較的低いこと、平均寿命が長いこと、犯罪件数等から見た暮らしの安全度が高いことなど、生活の多くの面で欧米に比べてすぐれている面があることも事実でございます。しかしながら、所得水準が高い割には豊かさが実感できないということも否定できません。それはなぜなのかといいますと、まず地価が高いために住宅・社会資本の整備が立ちおくれている。第二に、労働時間が長く、余暇が充実していない。また第三に、食料品価格や余暇関連費用が高くて内外価格差があるということで、こういった欧米諸国に比べて劣っている面がありますために国民生活が豊かさを実感できないということになっているわけでございます。  そこで、物質的にも精神的にもゆとりを持って欧米並みの豊かさが実感できる国民生活を実現しなければなりませんが、これにつきましては経済計画で政策が挙げられております。それは何かといいますと、相対的に立ちおくれている居住水準生活環境面での充実を図ること、労働時間を千八百時間程度へ向けて短縮すること、それから先ほどの内外価格差の是正をすること、こういったことを政策として掲げておりますので、こういった政策を進めまして豊かさが実感できる生活を実現していきたいと考えております。
  68. 一井淳治

    ○一井淳治君 今回の物価レポートは、非常に着眼点もすぐれているということで敬意を表したいわけでございますけれども、ただ内容が、何といいますか、ちょっと常識的な線といいますか、当たりさわりなくまとめられているというふうな感じが非常に強いわけでございまして、やはり国民のための物価行政を進められるというお立場にあるわけで、多少は言いにくいことも思い切って言う、迫力を持って物価が下がらない原因に対して当たっていかれるという、もう少し強い態度で物価行政を進めていただきたい。来年の物価レポートにはそういった成果が上がることを期待するわけでございますけれども、そのあたりはいかがでございましょうか。
  69. 高原須美子

    国務大臣高原須美子君) 御指摘は厳しさが少ないということでございますけれども、内外価格差の存在ということをはっきり指摘したことも一歩前進ではないかというふうに思っております。  おっしゃいますように、今後はその価格差の是正に向けていろいろな施策をとっていかなければならないということで、企画庁といたしましては、関係の省庁と連携をとりながら価格差の是正を進めていきたいと思います。例えば、製品輸入を拡 大する、あるいは規制の緩和をする、農業の生産性の向上をお願いする、あるいは流通構造の改善を図るといったようなことを関係省庁と協力して行いながら、企画庁自身としては、消費者へ十分な情報を提供しながら、価格差の是正を厳しく進めていきたいと思っております。
  70. 一井淳治

    ○一井淳治君 それぞれの省庁がそれぞれの立場で監督しておるわけでございますけれども、直接の監督官庁はやはり余りにも身近であるために目が曇りましたり、あるいは言いにくいことがあっても言えないということがあると思います。経済企画庁が少し離れた横合いから強い意見を出すということが非常に大事ではないかというふうに思いますので、物価を下げるということで一層の御努力をお願いしたいというふうに思います。  それから、経済企画庁は公共料金の問題につきましても非常に強いかかわり合いをお持ちでございますけれども、ただいまも言われましたように、流通構造の問題、これは非常に我が国物価を下げるために重要ではなかろうかというふうに思うわけでございます。六月一日に高速自動車道料金の値上げが行われましたけれども、公共料金といいますのは、料金を上げてもお客さんの方はどうしてもこれを購入せざるを得ない。高速道路については、これを使わざるを得ないということがありまして、料金を上げてもお客さんが減らないという一つの特徴があるというふうに思います。そういったことで、それに甘んじて料金問題を、例えば経営努力をしないで料金を安易に上げるとか、あるいは公団が土地をお買いになる場合について言えば非常に土地を高く買う。公団が土地を買うとそれが一つの基準になるものですから、公団が土地を買う前に例えば圃場整備等はやっておかなきゃいけないというふうなことがありまして、どうも企業努力経営努力というものがいま一歩ではなかろうかというふうな感じがするわけでございます。  こういった問題について、六月一日の高速自動車道料金の値上げの際に経営の合理化努力企業努力というものを十分審査していただいたのかどうか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  71. 栗林世

    政府委員(栗林世君) お答えいたします。  高速自動車道等の重要な公共料金につきましては、料金の改定に際しまして当然関係省庁から経済企画庁の方に協議を受けることになっておるわけでございます。今先生の御指摘がございましたように、協議に当たりましては、従来から、経営の徹底した合理化を前提として、かつ物価国民生活に及ぼす影響を十分に考慮いたしまして、厳正に取り扱うこととしております。その引き上げに当たりましては、真にやむを得ないものに限るとともに、その実施時期とか改定の幅につきましても極力調整することにいたしております。  ただいま御指摘の本年六月の高速自動車道料金の改定につきましても、このような方針に基づきまして厳正かつ適切に取り扱ったところでございまして、料金改定の内容も利用者の負担をできるだけ軽くするということ、それから管理費等の節減等、経営の合理化努力を見込んだものになっているというふうに考えております。
  72. 一井淳治

    ○一井淳治君 高速自動車道の料金に関連するわけでございますけれども、岡山では瀬戸大橋、本四公団の管理する道路あるいは橋がございます。本四公団の理事が、通行料金というものは引き上げた割には交通量が減らない、逆に引き下げた場合にも交通量がふえるとは言えないというふうなお考えで対応しておられるわけでございますけれども、本四公団の場合には価格の安いフェリーとの競争関係がありまして、フェリーにお客さんを奪われているというふうな一つの客観的な状況がある。そして近隣の人も、瀬戸大橋の通行料金は高過ぎて利用がしにくいという非常に強い世論があるわけでございますけれども、本四公団の理事さんがそんなふうなことを言っておられる。こういうふうな姿勢についてはどのようにお考えでございましょうか。
  73. 栗林世

    政府委員(栗林世君) お答えいたします。  今先生お尋ねの本四架橋の問題でございますが、本四架橋の通行料金につきましては、建設に多額の費用を要したことや従来のフェリー利用に比べて大幅に時間が短縮されている等、メリットも大きいというふうに考えますが、そういったことを勘案しまして設定されたものと一応承知しております。  しかし、御指摘のように、高速道路等との比較から見まして地元に割高感があるということ、またその料金の割高感から利用交通量が計画を下回っているということ等の意見があることから、本州四国連絡橋公団におきましては本年四月に、需要を喚起するために割引制度等の拡充を行っているところでございます。現在、本四公団において割引制度拡充の効果等各種の調査を行っていると聞いておりますし、その調査結果を踏まえて今後検討が進められていくことになると考えられますが、当庁といたしましても、関係省庁と緊密な連絡をとりながら、物価やその地域経済に及ぼす影響を十分に考慮して、厳正かつ適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  74. 一井淳治

    ○一井淳治君 長官も言われましたように、流通の合理化ということが我が国物価を引き下げる非常に大事な要因ではないかというふうに思います。この公共料金の管理に当たっておられます経済企画庁におかれましては、一層国民のために物価を下げていくという立場で、この瀬戸大橋料金を含め公共料金等に対処していただきたいというふうにお願いを申し上げまして、私は経済企画庁の関係の質問はこれで終わりますので、御退席いただいても結構だというふうに思います。ありがとうございました。  次に、電気料金の関係について質問をさせていただきますけれども、電気料金が国際的に割高であるということが物価レポートでもやはり指摘されておるわけでございます。この内外価格差が出てくる一つの原因として、資本費が相対的に割高であるということが指摘されております。この内外価格差の問題に触れていくと切りのない長い論争になってしまうわけでございますけれども、いずれにせよこの電気料金というものは我が国の消費生活あるいは産業に非常に強い影響を持っておりまして、電気料金を下げていくということが非常に必要ではなかろうかという立場に立ちまして、資本費が割高過ぎるという点についての改善について通産省の御意見をお聞きしたいと思います。
  75. 牧野力

    政府委員(牧野力君) 今先生指摘のとおり、物価レポートにおきまして電気料金について内外価格差のあることが指摘されておりまして、諸外国に比べて高いのではないかという指摘がなされていることは承知いたしております。  今御質問になりました資本費の問題に入る前に、ちょっとこの価格差について申し上げたいと思いますけれども、この内外価格差、特に電気料金の問題につきましては比較の方法がいろいろございます。為替レートを用いまして内外の比較をいたしてみますと、日本が諸外国に比べまして割高になっていることは事実でございます。ただ、購買力平価、例えば日常に使います品目を何十品目か集めまして購買力の平価がどれだけ差があるかということで見ますと、これは電気ということではございませんけれども、電気ももちろんその日常品の中の重要な項目でございますから、それで比較しますと必ずしも日本が高いということにはなっておりません。また、ある一定の賃金でどのくらい電気が買えるかということを比較いたしてみましても、必ずしも日本が高いという結果にはなっておりません。  いずれにいたしましても、内外価格差があるのではないかという指摘につきましては、私ども電力業界を監督する立場からいたしましても、十分にこれは厳粛に受けとめて検討していく必要があるということは当然でございます。  そこで、今御指摘のございました、日本の電気料金は内外価格差があって高い、その一因として資本費が相対的に割高であるのではないか、それが原因ではないかということで、料金の引き下げを図るためにはこの点の改善を図ることが必要で はないかという御指摘かと思いますが、我が国の場合、御指摘のとおり、電気料金に占めるいわゆる固定費の割合が相対的に高くなっていることは事実でございます。ただ、我が国が石油危機以降、石油に依存をしていると石油代の高騰によって非常に電気料金が高くなるおそれがある。公共料金、特に電気料金といいますのは国民あるいは産業の基本的な財でありますから、この価格が安定的に推移するということが非常に大事でございます。  そういう観点から、油の高騰によって電気料金がフラクチュエートすると非常に好ましくないということで、石油代替電源、石炭でありますとか原子力でございますとか石油代替電源の開発導入を強力に推し進めてまいったわけであります。その結果いわゆる固定費の比率が高まったことは事実でございまして、例えば昭和五十五年にこれは四割強でございましたのが、六十三年度では七割強にまで上がってきております。ただ、一方、これを考えてみますと、今申し上げましたとおり、固定比率が非常に高いコスト構造のもとでは、急激な円高あるいは国際的な情勢によります急激な原料の高騰によって、料金に与える効果が逆に相対的に小さくなるというメリットがあるわけでございます。こういう観点からも固定費の増大ということは御理解をいただきたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、今後中長期的に予想されます石油価格の上昇等に対しまして料金がいかに安定的に推移するかということを最大の眼目として政策を進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  76. 一井淳治

    ○一井淳治君 私は、決してエネルギー問題の基本について触れようというわけではなくて、触れる前の段階で何らかの解決策をさらに考えていただきたいということでございます。  現在原子力発電の問題が出てきて、一つには、今までコストに入っていなかった廃炉費用、これが今度コストに入ってくる。それから高レベル廃棄物の処理費用、これもコストに入ってくる。また、今まで国の方から各種助成がなされておったんですけれども、これもいつまでも国におんぶさしておくわけにもいかないということで、そういったような資本費がどんどんふえてくる。そういたしますと、現在の事業報酬は、掛ける八%ということで計算されるようになっておりまして、事業報酬はどんどんふえるというバランスの問題もあると思いますけれども、やはり資本費を減らす必要があるということは、新聞論調を見ましても、三〇%を超えそうだということについてかなり問題ではないかという指摘もあると思うわけでございます。そういったことで、資本費がこれ以上ふえないようにやはり何らかの方策が必要ではないかというふうに思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
  77. 牧野力

    政府委員(牧野力君) 今御指摘のとおり、コストをあくまでも低減させていく、それによって安定的かつ低廉な料金を守るということは確かにおっしゃるとおり必要でございます。ただ、一方、今申し上げましたように、やはり安定的に信頼性のおける商品、電力を供給するということは、豊かな国民生活あるいは産業発展のためにもこれは欠かすことができないわけであります。  資本費の問題について言いますと、今おっしゃいましたように、事業報酬を計算する場合に当然必要な設備、投下した設備について審査するわけでありますが、必要不可欠のものに限定して十分にこれを審査する。例えば使わないものでありますとか余計なもの、これは計算の項目から除外するというふうなことで厳正に資本費の内容を審査してまいりたいというふうに思っております。
  78. 一井淳治

    ○一井淳治君 最近電力需要が非常に伸びまして、いわゆる原子力発電ではとても間に合わない急速な電力需要の伸びがあるわけでございまして、これに対応するということが必要ですね。そういう中で、当面できるだけ資本費をふやさないような方向で電力需要に応じていただきたいということなんですけれども、どうでしょうか。これは急速に伸びているわけでございますからね。
  79. 牧野力

    政府委員(牧野力君) お話も理解はできるところでありますが、今まさにおっしゃいましたように電力需要が非常に伸びておる。需要を管理するとかこれを抑えるというようなことは、これは国民生活安定のためにすべきではないと私ども思っておりますが、そういった電力需要の高い伸び、あるいはエネルギーの需要が電力シフトをどんどん起こしておりますが、そういう状況の中で供給責任を果たすためには、やっぱりどうしても必要最小限度の資本を投下して電源を開発する必要がある、あるいは大きな送電線を引く必要があるというふうに思っております。  ただ、繰り返しになって恐縮ではございますが、これも必要最小限度といいますか、必要なものに限定をしまして、余りそういった生産増強、電力の増強に役に立たないようなものについてまで事業報酬のベースにするというようなことは、厳に審査をしてまいりたいというふうに申し上げております。
  80. 一井淳治

    ○一井淳治君 報酬率の八%ですけれども、現在の環境下ではこれは高過ぎるんじゃないかというふうに思いますが、是正されるお考えはないでしょうか。
  81. 牧野力

    政府委員(牧野力君) 今委員がおっしゃいました事業報酬率でございますが、これは現在八%ということで御指摘のとおりでございます。昭和五十四年の電気事業審議会の料金制度部会の報告にもございますように、電気料金の長期安定を図る必要があること、あるいは電気事業は長期借入金のウエートが非常に高い、二十五年とか非常に長い借入金の負担があるということ等から、そのときどきの金利水準だけを考えてやるべきではない、あくまでも長期的視点に立って設定される必要がある。  ちなみに、報酬率八%ということでずっときたわけでございますが、昭和五十年あるいは五十一年、非常に金利が高くなった時代がございます。そのときは非常に電力会社はこの八%の報酬率では苦慮したわけでございますけれども、企業努力によりまして料金の値上げをすることなくやってきたわけでございます。そういうことに見られますように、あくまでも料金の長期安定という観点から合理的な水準、報酬率というものが考えられているというふうに承知をいたしております。ただ、当時の金融情勢を反映いたしまして、六十三年一月にはこの八%を特例的に七・二%に引き下げております。
  82. 一井淳治

    ○一井淳治君 今説明されました五十四年の電気事業審議会の結論を見ますと、現行報酬率を現在直ちに変更すべきではないけれども、しかし経済社会情勢の推移を見きわめて改めて検討すべきであるという答申であります。あれから十年たっておるわけでございます。この報酬率がいろんな問題を含んでいるということは私も十分わかっておるわけでございますけれども、やはり公共料金でして、どうもほっておいたら市場原理が導入されない、何らかの刺激をしないと高い方へ高い方へ行ってしまうという傾向が非常に強いように思います。  いわゆる高金利時代がある程度継続いたしましたけれども、その高金利時代に発行した社債等ももうほとんど大部分が消化されておるという時期ではなかろうかというふうに思うわけで、あとしばらくしたら高利の社債も全部消えてしまうという時期ではなかろうかと思いますので、そろそろ八%の是非についてお考えいただかなくちゃいけないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  83. 牧野力

    政府委員(牧野力君) 御指摘のとおり、この審議会の中間答申にも御指摘のような文言があることは事実でございます。  私どもも、この八%について全く再検討の余地がないというようなことを申し上げているわけではございませんが、ただ、何度も申し上げますように、あくまでも電気料金というものはいろんな対外的な周囲の情勢が変動する中にありましても安定的に維持しなきゃいけないという至上の命題がございます。そういった命題を達成するという ことが最大の眼目でございますけれども、それが可能になる限度におきまして、おっしゃいましたように、八%につきましていろんな諸情勢を考慮して、これを勉強といいますか検討といいますか、することについてはやぶさかではございません。ただ、これをいつまでとか、いつどういう条件のもとでどうするというようなことは、残念ながらただいま申し上げる状況にはございません。
  84. 一井淳治

    ○一井淳治君 電気料金は国民生活あるいは産業に非常に強い影響がありますので、十分調査や研究をお願いしたいと思います。  それから、決して外国との比較を根拠とするわけではないんですが、しかし現実に経費も他国に比べると相当高額になっておるということが言えると思います。経費の使い方を見ますと、新聞によく載っておりますのが原発絡みの寄附とかそういったことがありますけれども、経費の削減といいますか、民間企業と同じように少しでも料金を引き下げていくという企業論理が、競争原理が必要ではなろうかと思うんですけれども、その点はいかがでございましょうか。
  85. 牧野力

    政府委員(牧野力君) 趣旨は全くお説のとおりかと思います。経費につきましても、料金の改定の際には厳重にこれを審査いたしておりますし、今後とも一層そういう姿勢でまいりたいと思います。  今ちょっと御指摘になりましたが、競争原理という問題でございます。もちろん電力は御承知のように供給独占でございますから、ほかの産業と同じような意味での競争が働いているわけではございませんけれども、やはり各電力会社の料金の格差がございます。この料金の格差が、高いところは企業努力によって安くしようという努力はいたしておりますし、技術開発その他におきましても各電力会社はそれぞれ競い合っておりますので、競争の原理が、原理といいますか、競争がよりよく働いて経費節減に向かうように私どもといたしましても一層の努力をいたしたい、かように考えております。
  86. 一井淳治

    ○一井淳治君 電気料金ができるだけ安くなるように一層の御努力を要望いたします。  次に、ガソリンの代金について質問いたします。私が質問するようになったのは内外価格差の観点から問題意識を持ったわけでございますけれども、これはもうちょっと今は言わないことにいたします、これを言えばまた長くなってしまいますので。  どっちにせよ、ガソリンは消費者大多数の人にとって必需品でございますし、特に過疎地の人にとっては車を二台ぐらい持っていないと生活が成り立たないということで、貧困な階層に相当強い影響を持っているような状況がだんだん強まっているというふうに思うわけでございます。そういう意味で、ガソリン代につきまして、製品価格体系の国際化とともにこれはいろんな影響があります。しかし、影響があってもやっぱり実現しなくちゃいけませんので、緩慢に値下げをする誘導を進めていただきたいというふうに思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
  87. 黒田直樹

    政府委員(黒田直樹君) ガソリンの価格について緩慢に値下げを誘導すべきではないかという御質問であったかと思います。  我が国のガソリンが高いというふうに言われるわけでございますけれども、その大きな原因といたしましては、一つは税金が非常に高いということがあろうかと思います。御案内のように、ガソリン税というのは今リットル当たり五十三円八十銭の税金がかけられているわけでございます。これが一つの原因でございます。それからもう一つ大きな理由として指摘されますのは、我が国の場合には二度にわたりますオイルショックを経まして今の価格体系というのが形成されているわけでございますけれども、現状では石油製品全体の約二割程度にしかすぎないガソリンだけをいわゆる採算性のある油種としている。ほかの製品についてはおおむねコスト割れ的な状況になっているという価格体系の問題があろうかと思うわけでございます。  第一の税金の問題については、ガソリン税の場合には御承知のように道路整備の財源として使われているわけでございまして、現在の水準に定められるに際しましては、いろんな場での種々の議論を経てこういう形になっているものと理解をいたしているところでございます。  それから第二番目に申し上げました価格体系の問題でございますが、ただいま先生からも製品体系の国際化というお話がございましたけれども、欧米諸国の場合には、実質の税を抜いた価格で申しますと、いろんな油種間でおおむね同じようなレベルの価格になっている。それに対して、先ほど申しましたように、日本の場合には、例えばオイルショック時に灯油の価格を凍結したといったようなこともございまして、いろいろいびつな体系になっているということでございます。この点につきましては、先生今御指摘ございましたように、製品体系の国際化を進めるべきではないかということで、二年ほど前に石油審議会におきましても、ユーザーの理解を得ながら価格体系の国際化というものに近づけていくべきである、それが望ましいんだというような御指摘をいただいているところでございます。私どもとしても、基本的な方向としてはそれが望ましいものと考えているところでございます。  ただ、御承知のように石油製品の場合には公共料金ではございませんので、基本的には市場でのプライスメカニズムを通じましてそうした方向への移行というものが実現されていくべきものでございまして、現に石油販売業界におきましては、いわゆるガソリン以外の中間産品と申しております灯油であるとか軽油であるとか、そういったような油種についてコストに見合った価格水準に近づけていくように、是正していくようにといういろいろな努力がなされているものと承知いたしているところでございます。  現状では、石油業界の場合、なかなかそういった価格面での交渉努力というのが、実現の方向で努力はいたしているわけでございますが、経理的に見ますと、ガソリンスタンドの場合には、最近の調査によりましても約四割が赤字という状況でございますし、また石油の元売業界におきましても、最近出ました中間決算によりますと、大幅な減益、利益率も一%台という水準にあえいでいるのが現状でございます。  いずれにいたしましても、通産省といたしましても現在、二年ほど前から石油産業の規制緩和等を通じましていろいろな施策を推進しているところでございます。また、関係者に対する情報の提供を通じまして石油産業の体質強化が進み、そういった国際価格体系への接近というのがなされていくことを期待している次第でございます。
  88. 一井淳治

    ○一井淳治君 ただいまいろいろと御説明があったんですけれども、例えば税金の問題がございますが、今御説明があった税金以外にほかにも税金がかかっておって、全体で一リットル当たりの税額は五十九円七十銭ですか、というふうになっているわけです。これも言えば切りがないわけで、外国でも半分くらい税金がかかっているという例は多々あるんじゃないかと思います、結論的に言えば。  例えば業転の価格などを見ますと、相当安く現に取引ができておるということもありますし、ガソリンの消費者というのは大体ばらばらといいましょうか、小口の一般の消費者になってしまう。ほかの油の場合は業者とかいろんな団体があって強力な折衝ができる。結局弱い立場のガソリンの需要家だけが高いガソリンを買わされておる。そして個々のガソリンの消費者が結束をしようにもできないわけで、これはもう通産省におすがりする以外にないわけです。そういったことで、私もこれは影響が大きいですから直ちにというふうには言うておりませんので、緩慢にやらないとこれは影響が大き過ぎると思いますけれども、やはり通産省の方に前に出ていただいて御指導いただく以外に方法がないと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  89. 黒田直樹

    政府委員(黒田直樹君) 今申し上げましたように、基本的には石油製品の価格というのは市場プ ライスメカニズムを通じて決定されていくわけでございます。そういう中で私ども、ただいま申し上げましたように、石油産業についてはいろいろな規制がございましたけれども、これが段階的に今緩和の方向にあるわけでございまして、そうしたことを通じまして先生がおっしゃるような方向に動いていくことを期待いたしたいと思います。
  90. 一井淳治

    ○一井淳治君 次に、米の消費者物価に関連してお尋ねいたしますが、これは農水省の方に質問をしたいと思います。  農水省の方では日米の米の消費者物価を比較しておられるわけですけれども、どうも農水省の方が引用しておられる数字というものはアメリカの労働省の労働統計局がつくった統計ではなかろうかというふうに思われるんですが、その点はどうなんでしょうか。
  91. 高木勇樹

    説明員(高木勇樹君) お答え申し上げます。  今御指摘のとおり、日米の米の消費者価格を比較いたします場合には、極力客観的に行うということから、アメリカの消費者価格につきましては、アメリカの労働省の労働統計局の調べた長粒種の都市部の平均価格をとっているところでございます。
  92. 一井淳治

    ○一井淳治君 外国の物価日本物価を比べて考え直すということは非常にいい発想であるとは思いますけれども、しかし向こうの消費しているものと日本の消費しているものとが同じものであるということがやはり前提でなければいけない。そうしないと国内にいろんな誤解を生むというふうに思うわけです。アメリカの統計数字というものは労働省の労働統計局のものですから、一般の余りレベルの高くない労働者人たちが普通に食べているお米ではなかろうかと思います。そういたしますといわゆるロングライスであって、日本人はこれを食べようったって食べれないわけですね。  日本の旅行者があちらの方で実際に日本人が食べれるようなお米を買いますと、例えば一キログラムが七・五ドル。日本円に換算しますと、百四十円で計算しましても一キロが千五十円ぐらいになるということでありまして、外国の米価を引用する場合には、日本のお米と対応できるようなお米を選んで外国の米価を御紹介いただかないと誤解の種になって、かえって農水省が日本の米が高いんだということをあおるような結果になりはしないか、そういう心配があるんですが、いかがでしょうか。
  93. 高木勇樹

    説明員(高木勇樹君) お答え申し上げます。  今先生からお話ありましたが、アメリカの労働省の労働統計局の調べたものと私どもその消費者価格を比べる場合には、日本の場合には総務庁の小売物価統計調査を使っております。  それから、御指摘のとおり、確かにアメリカの米と日本の米は本来的に言いますと長粒種と短粒種の違いがございます。アメリカは大体長粒種で、若干中粒種がございますが、ほとんどが長粒種がつくられている。日本の場合には短粒種であるということで、そういう点では、先生がおっしゃるとおり、アメリカで消費されている米の品種と日本で消費されている米の品種、いわゆるジャポニカタイプと言われている日本の品種とは基本的に違う点がございます。  ただ、今おっしゃられましたように、私ども、国と国の比較をする場合にはそれぞれの客観性というものを見なければいけませんので、今申し上げましたようなそれぞれの国の、アメリカの場合にはアメリカの労働省の労働統計局の調べたもの、それから私どもの場合は総務庁の小売物価統計調査、これを比較して、あと為替とかそういうものを見ておるわけでございます。  ただ、それを補完するといいますか、そういう観点から私どももジェトロの協力を得まして、例えばニューヨークとロサンゼルスでそれぞれ日系の方が経営しているスーパーなどの消費者の価格を調査しております。これによりますと、やはり今先生がおっしゃられましたように、例えば一九八九年の四月でございますと、アメリカに行きまして購入されることが多いと言われております例えば国宝ローズというのがございますが、これはロサンゼルスでは、産地が近いということもございまして、そのときの為替レート百三十三円九十銭を用いて円に換算しますと、十キログラム千百九円。ニューヨークの場合ですと、産地から離れている、運賃もかかるということだと思いますが、十キロ千三百四十七円ということでございます。これを日本のいわゆる標準価格米十キロ三千七百三十四円と比べますと約三倍程度というものが出てくるわけでございます。それから先ほど申し上げましたようなアメリカの労働省の調べたもの、それから日本の総務庁が調べたもので比較をいたしましても、消費者の価格につきましてはやはり三倍程度の格差があるということでございまして、そういう意味では、お互い政府の資料を使っての消費者価格の比較と、それからそれを補完するような形で行っておりますジェトロの協力を得ての消費者価格の調査も大体似たような倍率になっているということでございます。
  94. 一井淳治

    ○一井淳治君 次に、動燃の人形峠事業所周辺のウラン鉱石の捨て石堆積場の問題について質問をさせていただきます。  周辺の住民から放射能被害の不安の声が高まっておるわけでございますけれども、全体の捨て石堆積場の数はたしか二十四ヵ所というふうに私どもは考えておるわけですけれども、その点はどうなのか。そして、借地をしているのがそのうち何ヵ所ありまして、借地権が消滅しているのが何ヵ所あるか。岡山県と鳥取県とあると思いますけれども、これを県別に御説明をいただきたいと思います。
  95. 橋本好一

    参考人(橋本好一君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、人形峠周辺に二十四の堆積場がございまして、岡山県内に九つの堆積場がございます。また鳥取県側に十五の堆積場がございます。そして、借地されているものが岡山県内に八ヵ所、鳥取県内に六ヵ所の十四ヵ所でございます。かつて借地しておりましたが、現在借地権が消滅しておりますものが岡山県内に一ヵ所、そして鳥取県内に十ヵ所ございます。  一つだけつけ加えさせていただきたいんですが、今地元住民の方々の御不安という御指摘がございましたが、動燃事業団といたしましては、従来から鉱山保安法にのっとりまして、捨て石堆積場及び周辺環境につきましても空間線量率の測定、それから土壌や河川水の採取、分析、そして定期的な巡視を行いまして堆積場等の管理をしてまいりました。そしてその結果につきましては、法の定める基準以下にあることを確認いたしますとともに、中国四国鉱山保安監督部及び岡山、鳥取両県に対しましても定期的に報告をしてまいりました。これまでの動燃事業団によります堆積場総点検の結果につきましては、通産省中国四国鉱山保安監督部から鉱山保安法上問題となる堆積場はないとの評価をいただいているところでございます。
  96. 一井淳治

    ○一井淳治君 通産省にお尋ねしたいんですけれども、認可堆積場と認可対象外堆積場と二種類あるようですけれども、これはどういう区別なんでしょうか。
  97. 岡松壯三郎

    政府委員岡松壯三郎君) 認可を受けますのは、堆積の厚さが十メーター以上のものというふうに区別されております。
  98. 一井淳治

    ○一井淳治君 それから、借地権が消滅している箇所がただいま動燃の方からお聞きしますと相当箇所あるようですけれども、これは地上の捨て石を撤去して土地を返すべきではないかというふうに思いますが、その点はどうなんでしょうか。
  99. 岡松壯三郎

    政府委員岡松壯三郎君) 鉱山保安法上の鉱業権者の堆積場の管理責任というものは鉱業権がある限り存続しておるわけでございまして、ただいま御質問のどういう対策をとるかということでございますが、鉱業権者といたしましては、その捨て石を撤去するということが法律上求められているわけではなくて、そのほか覆土をいたしますとかあるいは部分的に除去するといったような方法、あるいはさくを設けるといったような方法も含めまして、法令上の基準を満たすように具体的な方 法の選択が行われるということが許されておるわけでございます。
  100. 一井淳治

    ○一井淳治君 今通産省から御回答いただきましたけれども、これは鉱山保安法上の措置の問題ですね。私が聞いているのは、借地権が消滅して、借地契約が切れてしまって他人の土地に無断で、無権限で鉱石を置いているというふうな状況になった場合のことを聞いているんです。そういった場合、これは民法の規定によって解決すべきであって、鉱山保安法上撤去しなくてもいいというふうなそういった規定はないと思うんですけれども、どうでしょうか。
  101. 岡松壯三郎

    政府委員岡松壯三郎君) 鉱山保安法によりますと、鉱業権者は鉱業権が存続する限り、ちょっと繰り返しになりますけれども、これを適切に管理しなければならないわけでございまして、これを放棄した後もこれに必要な措置を講じなければならないということでございますので、私どもが管理しております鉱山保安法の立場から、鉱業権がある以上、鉱業権者は捨て石の処理に伴う危害あるいは鉱害の防止に努めなければならないという義務は継続しておるということでございます。
  102. 一井淳治

    ○一井淳治君 それはそれで結構です。最後まで安全を保障するように管理責任があるということはそのとおりだというふうに私も思いますけれども、借地権が切れて借地契約がないようなものに勝手にこういう放射能が出るようなものを置いておっていいかどうかという点です。これは鉱山保安法の問題ではなくて民法、借り主と貸し主との一般の、民法で解決すべきことじゃないんですか。
  103. 岡松壯三郎

    政府委員岡松壯三郎君) 鉱山保安法の立場はただいま申し上げたとおりでございますが、借地権の問題につきましては、先ほど動燃の理事からお答え申し上げましたように、一部消滅しておるわけでございますが、伺いますところ、消滅したところについて借地の交渉中であるものもあるというふうに聞いておるわけでございます。これはあくまでも地権者と借地権者との間の関係でございまして、鉱山保安法上の義務はこれとは関係なしに依然として継続しているということを再度申し上げさせていただきます。
  104. 一井淳治

    ○一井淳治君 ですから、鉱山保安法上の問題とそれから一般民法上の問題とは別の問題でしょう。
  105. 岡松壯三郎

    政府委員岡松壯三郎君) 法律の建前といたしまして、御指摘のように借地権に基づくものは借地法の問題でございますし、鉱山保安法の問題は先ほど答弁させていただいたとおりでございます。
  106. 橋本好一

    参考人(橋本好一君) 補足的に説明をさせていただきたいと思います。  今御指摘の借地権が消滅しております堆積場につきましては、再借地の必要な堆積場等について現在鋭意再借地をすべく交渉をしているところでございます。その趣旨は、法にのっとりまして安全に管理を実施するということでございまして、監督官庁等の御指導も受け、岡山、鳥取両県とも相談をしながら地元の皆さん方には十分御説明を申し上げてきております。そして、御理解と御協力を得るべく努力してまいっているところでございますが、大半の堆積場等につきましては御理解もいただき、工事を進めさせていただいているところでございます。一部につきましては終了したところもございます。なおお話し合いを続けさせていただいている堆積場につきましても、さらに御理解をいただき、早急に実施すべく鋭意努力をしてまいっているところでございます。
  107. 一井淳治

    ○一井淳治君 私が聞いているのは、借地権が切れた場合には撤去義務がある、この基本原則はどうなんですか。借地権が切れても他人の土地の上に厚かましくずっと引き続き捨て石を積んでおいてもいいという、動燃はそういうお考えなんですか。それはないんじゃないんですか。
  108. 橋本好一

    参考人(橋本好一君) 厚かましくというお言葉でございましたが、その辺は私どもといたしましては、捨て石堆積場は鉱業法に基づいて管理されるものというふうに理解しておりまして、その法に基づきまして安全に管理をしてまいりたいということで、地元の皆さん方及び地権者の御理解を賜りたいということでお願いをしているところでございます。
  109. 一井淳治

    ○一井淳治君 民法上撤去義務があるのかどうか。撤去義務があるから、もう一遍貸してほしい、済まぬけれども貸してくれぬかというふうに頼みにいっているわけでしょう。撤去義務がないのだったら、もう一遍貸してくれといって頼みにいかぬでもいいでしょう。これは違法行為なんですよ。動燃が他人の土地の上に居座っているという状態なんですよ。そこのところをよく考えて、悪いことは悪い、いいことはいいという是々否々主義の立場で、良心を持って答えてくれませんか。
  110. 橋本好一

    参考人(橋本好一君) 実は、これをお借りいたしまして捨て石堆積場として管理をしてまいっておったわけでございますが、その際の契約等によりますれば、原状で返すこととなっておりました。しかしながら、法の改正、御承知のとおり四月一日から法が改正されておりますが、その法を守るためには新たな措置をしなくてはいけないということを考えておりまして、その工事をしっかりとやり、そして安全に管理をしていくということが一番ベターだというふうに思っておりまして、そのようにさせていただきたいということでお願いをしているところでございます。
  111. 一井淳治

    ○一井淳治君 安全性に関連してお尋ねするんですけれども、これは通産省質問いたしますけれども、基準が管理区域の基準と居住区域の基準と、そしてもう一つの基準、三つあるように思いますけれども、居住区域の基準、週十ミリレムというこの基準に該当する地域はないんでしょうか。
  112. 岡松壯三郎

    政府委員岡松壯三郎君) 現在、四月から法律が省令レベルで一部改正されましたわけでございますが、その基準によりますと、周辺監視区域という地域があるわけでございますが、これは一年間に一ミリシーベルトという新しい単位が使われておりますが、これを超えないようにということで規定されておりまして、これを超えないように措置が行われるというふうに了解いたしております。
  113. 一井淳治

    ○一井淳治君 この四月一日から実施されました一ミリシーベルトというこの基準ですけれども、この基準に該当するといいますか、この基準以上に放射能を出す箇所が何ヵ所あるんですか。
  114. 岡松壯三郎

    政府委員岡松壯三郎君) 四月一日に適用されましたときに必要な対策を講ずる必要があるという地域につきましては、この省令の附則によりまして、一定の期間適用除外を求めることができるようになっておりますが、動燃事業団からその申請がありました箇所が十二ヵ所ございます。そのうち既に二ヵ所についてはもう手当て済みでございまして、あと十ヵ所がそのような措置が目下行われている途中ということでございます。
  115. 一井淳治

    ○一井淳治君 それからもう一つ、週十ミリレムという居住区域についての基準がありますけれども、この居住区域についての基準に該当するのが七ヵ所あるんじゃないでしょうか。
  116. 橋本好一

    参考人(橋本好一君) 私の方からお答えさせていただきますが、先生指摘のとおり七ヵ所ございます。
  117. 一井淳治

    ○一井淳治君 それは居住区域にははまりませんか。どうですか。
  118. 橋本好一

    参考人(橋本好一君) この場所は従来から捨て石堆積場として使用していた場所でございまして、居住区域には該当しないと思っております。また、これまでの間人が居住した事実もございません。
  119. 一井淳治

    ○一井淳治君 現在十二ヵ所は対応しなくちゃならないという結論のようでございますけれども、これについては所要の措置を講ずるということが通産省からも指示されておるわけでしょう。動燃にお聞きします。
  120. 橋本好一

    参考人(橋本好一君) そのとおりでございまして、先ほどからるる申し上げましたように、地元の皆様方の御理解をいただいた場所につきまして は既に工事に着工し、一部は既に終了したところもございます。
  121. 一井淳治

    ○一井淳治君 対応してもらうほかないんです。ただ、借地権者が借地権が切れてしまってどうにもお貸しする気はありませんというところ、これは最終的には撤去してもらわないと日本の法秩序が守られないと思うんですよ。動燃に貸したら天下御免でもうお返しせぬのだということでは非常に困ります。今地元の同意を得るように御努力いただいているということなんですけれども、地元の方が気持ちよくそれならお貸ししましょうというふうになればそれはいいかもしれませんが、地元の人が、幾ら頼んでも返してくれぬからしようがない、長いものに巻かれろというんで仕方なしに泣く泣く動燃の新契約を受け入れるというのでは、これはもう法秩序が崩されてしまいますので、そこのところをよく見きわめながら対処してもらいたいと思うんですけれども、いかがでございましょうか。そこのところをはっきりお聞きしたいと思います。
  122. 橋本好一

    参考人(橋本好一君) 先生の御指摘の面は重々留意しながら、地元の皆さんの御理解を得るべく努力してまいりたいと思います。
  123. 一井淳治

    ○一井淳治君 同意を得るように努力するということはいいんですが、それはあなたのお立場はそうでしょうけれども、同意を得られぬ場合はこれはもう返す以外にないんですからね。所有権というものは日本の資本主義秩序の基本なわけでしょう。他人の所有権の上に乗っかって構いませんよでは現在の法秩序は保たれないわけですから、その点を十分考えていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  124. 橋本好一

    参考人(橋本好一君) よくわかりました。しかしながら、私どもも、先ほどからるる申し上げておりますように、法のもとで安全な管理をしてまいり、皆様方に御心配、御不安を招かないようにしていきたいと思っておりますので、どうぞ御理解をいただきたいというふうに思います。
  125. 一井淳治

    ○一井淳治君 次に、ゴルフ場の農薬使用の問題について質問をさせていただきます。  この問題につきましては、報道機関等々でよく抽象的に、時には特定のゴルフ場の名前を出しながら問題になってきておるわけですけれども、具体的に大変な被害というものは余り指摘されずに来たように思います。最近の新聞を見ますと、北海道の石狩管内の広島町の養魚場におきまして大量の養魚が死亡したということが記事となっております。この養魚場が水を取っておった川の上流にちょうどゴルフ場がある。そのゴルフ場で事故が発生する前に農薬を散布しておったという客観的な事実がありまして、非常に地元では大きな問題になっておるようでございますけれども、これにつきまして環境庁の方では御調査をなさったでしょうか。どうでしょうか。
  126. 細田敏昭

    説明員(細田敏昭君) お答えをいたします。  十一月の十九日に北海道におきまして、ゴルフ場の下流に位置する養魚場、ニジマス、ヤマメの養魚場におきまして魚の大量死があったということについては承知いたしております。ただ、原因につきましては、現在北海道を中心に調査中とのことでございまして、その結果の収集に当たりたいと思っております。
  127. 一井淳治

    ○一井淳治君 農水省の方は、これは農薬使用の関係で権限がございますけれども、何か御調査をいただいておるでしょうか。
  128. 宇井勝昭

    説明員(宇井勝昭君) ただいま環境庁の方から御説明がございましたとおりでございますが、北海道石狩管内広島町の養魚場におきまして養殖魚の大量死があったということにつきまして道庁に問い合わせましたところ、当該養魚場の上流に位置しますゴルフ場におきまして、魚の大量死のありました前日の十一月十八日にゴルフ場の芝の雪腐れ病の防除のために農薬散布を行ったということを聞いております。  原因につきましては今環境庁からも御説明がありましたとおりでございますので、その因果関係を注視しながら農薬取締法に基づく厳正な対処をしてまいりたいというふうに考えております。
  129. 一井淳治

    ○一井淳治君 急なことで調査もきょうには間に合わないというふうに思いますけれども、今後とも環境庁そして農水省におかれましては、このゴルフ場は昭和五十九年にもウナギが死亡したという事故が発生しておるようでございますので、どうか厳重な調査をいただきまして、その結果を公表していただくように要望をいたしておきます。  環境庁にお尋ねしたいわけでございますけれども、この事故もそうですけれども、ゴルフ場に使用される農薬による環境汚染の問題はマスコミ等で大変問題になっておるわけでございます。ゴルフ場の周辺の水や空気や地下水等の汚染の実態について現在どのような状態になっておるんでしょうか。マスコミではかなり大きく取り上げられておるんですけれども、どうも実態というものがはっきりしていないというふうに思いますので質問する次第でございます。
  130. 細田敏昭

    説明員(細田敏昭君) お答えをいたします。  ゴルフ場周辺の水質等が汚染されているのではないかという御指摘もありましたことから、各都道府県に対しまして実態調査を依頼しているところでございます。これまでに私どもに報告のありました実態数は二十都府県でございます。調査対象のゴルフ場は約二百ヵ所となっております。  これまでの報告によりますと、一部において微量の農薬が検出されておるという報告はいただいておりますが、ほとんどの場合農薬は検出されていないという結果になっております。一部ではございますが、検出された農薬について見ましてもいずれもごく微量でございまして、公害対策基本法の基準あるいは国内あるいは海外国際機関等の関係知見を通じて見ますと、今のところ直ちに環境への影響を懸念する程度の農薬の濃度ではないのではないかというふうに考えておるところでございます。
  131. 一井淳治

    ○一井淳治君 ただいま環境庁の言われたとおりであれば私どもも安心できるんですけれども、しかしちょこちょこ新聞や週刊誌の記事が出るものですから心配になるわけで、やはり何か心配の種があるんじゃないかということでいつも危惧の念を持っているわけです。これは私だけではなくて国民の多くがそうではないかというふうに思います。厳重に実態というものを十分に把握していただきたいというふうに思いますので、もう一遍御答弁をお願いしたいと思います。
  132. 細田敏昭

    説明員(細田敏昭君) 農薬の使用につきましては、環境への安全性の評価が十分なされたいわゆる登録農薬を適正に使用するということが基本でございます。このことはゴルフ場におきましても農薬の使用に当たりましての基本原則でございます。  今先生指摘ございましたように、農薬によります環境汚染を未然に防止することは、私ども環境庁といたしましても重要な課題と考えております。関係の科学的な知見の集積を図りながら、農薬の登録に当たりましての登録保留基準、この適切な設定あるいは農薬の適正使用について所管される農林水産省の指導が守られますように、引き続き周辺水質等の把握に努めてまいりたいと考えております。
  133. 一井淳治

    ○一井淳治君 実態の十分な調査をさらにお願いしたいと思います。  それから農水省にお尋ねいたしますけれども、ゴルフ場の農薬使用について無許可の農薬あるいは許可を取り消された農薬が使用されておるということがよく言われております。あるいは使用方法にない使用がなされておるという指摘もありますけれども、実態はどうなんでしょうか。
  134. 宇井勝昭

    説明員(宇井勝昭君) 御説明いたします。  ゴルフ場におきます農薬の使用につきましては、ただいま御指摘もございましたが、重要な問題と受けとめておりまして、農林水産省といたしましても、都道府県とも連携いたしましてその適正使用の指導の徹底に努めているところでございます。  そういった指導の中で各地域のゴルフ場における農薬の使用実態が把握されてきているわけでございますけれども、御指摘にございましたような、例えば商品名でございますけれども、ベスタック、スーパーラージ、リゾックというような農 薬製剤として登録を受けていない薬剤、いわゆる無登録農薬の使用の例、あるいは農薬として登録はあるものの芝、樹木等に適用のない農薬の使用、いわゆる適用外の使用の例、さらには、今先生指摘ございましたが、使用する濃度が適切でない例、あるいは、これは重要な点かと思いますが、流域河川に対する配慮が十分とられていない使用上の注意事項というのがあるのでございますが、それを遵守していない事例等が見られております。これらにつきましては個別に是正について指導を行っているところでございます。
  135. 一井淳治

    ○一井淳治君 今後この指導や規制、被害が出た場合は取り締まりといいましょうか、そういった立場を一層強力に進めていただきたいというふうに要望いたします。  次に、小規模企業の関連でお尋ねしたいわけでございますけれども、いわゆる無年金者といいますか、将来年金をもらうころになっても年金がもらえないいわゆる無年金者層が最近ふえつつあるんじゃないかという心配を持っております。といいますのは、厚生年金は法人の場合は強制適用でございますけれども、しかし最近個人営業と変わらない極めて小規模の零細な法人がふえておりまして、そういったところへ一人か二人の方が勤務しているというふうな状況がございます。また、五人以下の個人企業が任意加入でありまして、これは国民年金に加入しなくちゃいけないんだけれども、ルーズなために、あるいは経済力がないために国民年金に加入していないというふうなことで、将来の無年金層というものができつつあるように思うわけでございます。  私は、こういったことが起こらないように厚生省の方で一層対策を強力に進めてほしいという一つの要望を申し上げ、その要望の中に強制適用についても、強制適用というのは事業者についてはもう例外を設けずに全面的に強制適用にもっていっていただきたい、そういったふうな要望をさしていただきます。そして、現状がどうなっておるのか、今後どういうふうにお進めになるのかという点について質問させていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  136. 平松克喬

    説明員(平松克喬君) お答えいたします。  御指摘のような事業所につきましては、先生からお話がありましたように、厚生年金制度に加入できず国民年金制度に加入しているという実態でございます。私どもといたしましては、一般的な加入広報というものを徹底してやっているわけでございますが、特に国民年金の加入につきましては、市町村の住民基本台帳等の公簿を活用しまして加入対象者を把握しまして加入勧奨を行っておるという実態でございます。今後とも都道府県、市町村に対し指導を徹底していきたいというふうに考えております。  また、強制加入の関係でございますが、御指摘の個人事業所につきまして申し上げますと、法人事業所に比較してみますと、従業員の賃金の支払い形態等雇用の実態が明らかでない。このために厚生年金の加入という手続がなかなか困難である。また、現在小規模の個人事業所数を推定しますと約八十万事業所を見込んでおるわけでございます。現在適用済みの法人事業所と大体同数の事業所数になっているわけでございまして、これらの適用に当たりましては、やはり膨大な業務処理体制の整備というものが当然必要になってくるというふうなことで、いろいろ困難な問題がございますけれども、今後とも慎重に検討していきたというふうに考えております。  また、特に厚生年金制度に加入したいという事業所におきましては、任意加入という仕組みがございますので、そういった任意加入制度を今後とも積極的に活用してまいりたいというふうに考えております。
  137. 守住有信

    守住有信君 松永通産大臣以下それぞれ通産省関係の責任者の方、最近ずっと、例えば箱根の四極通商会議やガット・ウルグアイ・ラウンドの非公式会合とか、今話題にも出ておりました二極間の日米間の協議の問題、いろいろございましたけれども、私はきょうは内政問題一本に絞りまして、しかも前からこの決議委員会で御質問も申し上げております地方分散、地方振興、そこへ絞りましてお尋ねしたいわけでございます。  いろいろ四全総、国の全体の計画、その中でまた通産省もそれぞれの自分の御分野で産業の地方分散ということを、法律、制度、予算あるいは金融措置、政策減税、いろんな方法でやっておられると思いますが、私は、一番最初に認識いたしましたのが工業等の再配置、地方分散、あれはたしか昭和五十二年ごろからだったと思います。その後、産業のサービス化、高度化技術化、国際化、特にまた最近では産業構造転換、こういう大きな政策課題があって内需拡大、こういう中で通産省がいろんな法律、制度をおつくりになりまして、いろいろ地方の産業界あるいは県庁、地元産業界等々と一緒になられましてやっておられます。そういうものの中で、法律、制度、それなりの目的を持っておりますけれども、どういう仕組みがあるんだろうかというのを一度展望的に御説明をいただきたい。  それから、特に具体例といたしまして午前中は東北のお話も出ましたが、九州では、福岡を除いて結構でございます、中九州、南九州、最近九州では福岡一点集中ということが実は言われておるわけです。また工業再配置におきましても、新幹線、高速道路、関東地域に近い、東京に近いということで工場の立地等も東北が非常に進みまして、昔は九州ICアイランドと言われておりましたけれども、あれは行政管理庁の調査によりましても、九州の方が以前と比べて停滞的であるという数字も出ておったわけでございます。九州地方では、具体例的なものを入れながら通産省がいろいろな角度で知恵を出してお取り組みでございますから、そこをまず入り口のところで網羅的に御説明をしていただきたいと思う次第でございます。
  138. 岡松壯三郎

    政府委員岡松壯三郎君) 先生の御質問、二点に分かれるかと存じますが、全体的な立地政策についてまず御説明させていただきます。  通産省といたしましては、工場の地方分散政策といいますのを四十年代の後半から進めてきたわけでございますが、特に工場再配置政策ということで法律を定め、これに基づく分散化を進めてまいりまして一定の成果を上げてきたところでございます。また、五十年代の後半には、高度技術工業の地方集積を進めるということから、技術を核とした地域振興を図る必要があるということで、テクノポリス政策というものを進めまして、現在全国で二十六地域においてテクノポリスの建設が進められておるところでございます。さらに、昨年からソフト産業などの、産業の頭脳部分と私ども申しておりますが、こういうものを地方に集積していこうということで頭脳立地構想をまとめまして、俗称頭脳立地法と申しておりますが、この制定をしていただきましたのに基づきまして現在既に四地域の促進計画の承認を済ましておるところでございます。  このほか、これらの産業立地政策に加えまして、地域の中小企業政策でございますとか、地域の情報化政策あるいは地域技術の振興といったような各般の地域の活性化政策を進めておるところでございまして、これらの政策を活用することによりまして、東京の一極集中の是正、地域の活性化、国土の均衡ある発展に努めてきておるところでございます。  次に、第二点の九州地区に具体的にどういう施策が展開されているかという御質問にお答え申し上げますと、九州地域につきましては、豊富な国土資源、海洋資源、あるいは温暖な気候に恵まれているということで、相当な産業集積あるいは都市集積が進んでおるわけでございますが、今後の発展の可能性も極めて高い地域というふうに考えております。  具体的に申し上げますと、先ほど触れました工業再配置施策に当たりましては、特定の四都市、すなわち北九州、福岡、長崎、大分の四都市を除きまして九州の全域を誘導地域というふうに指定いたしまして工場の再配置を進めておるわけでご ざいますが、そのほかテクノポリスの建設を各県にそれぞれ置いております。また、リゾート構想も四つの県に置くというぐあいに各種のプロジェクトの推進を積極的に進めておるところでございます。また、本年七月に九州通産局を中心といたしまして今後の地域の産業のあり方を示す地域産業ビジョンの取りまとめを行ったところでございまして、ここで示されました方向を踏まえつつ今後の九州地区の経済産業の振興に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  139. 守住有信

    守住有信君 大蔵省おいででございましょうか——しばらくお聞きおきをいただきたいと思いますが、よろしく。  そういういろんな法律、制度、予算、金融措置、近ごろは投資の方も開銀その他できるようになりましたので、非常に私は効果があると期待しております。いろんなノーハウを駆使されて地域と一体になってやっておられますけれども、そういうのを、例えば、何でも結構ですが、具体的にお進めになるときにいろんな制約とか隘路とか、実行されていく場合いろんな問題が出てきておると思います。それをみずから実践しておられるわけですから、情報も上がってきておるということですから、そういう隘路とか問題点といいますか、ここがこうならばもっとこれは進むんじゃないかとか、こういうことをお感じになっておると思うんですよ。  私も、かつて民活法の施設の問題のときも、いろいろ民活の条件が厳しいために、例えば床面積が半分以上なきゃならぬとか、通産だけでなくて郵政とか運輸とか、建設も民活といろいろ関連がございますけれども、NTTのせっかくの無利子融資を活用しようということで地元が取り組んでおります。しかし、やっぱり地域はどちらかというと官活でないと、なかなか民活オンリーでは本当の地域の地場産業を中心とした振興ができにくいという資本的な制約、技術的な制約、今おっしゃいましたような情報的ないろんな面がある。  それをみずからやられていくときにどういう問題点なり隘路なりあるだろうか。それで、個々の法律なりあるいは予算なり税制なりをどうやっていけばさらに地域の振興、地方分散が図れるだろうか。これは恐らく実感でお感じになっておられると思いますのでそこのところをよく御説明いただいて、かつ大蔵省の方もよくここのところをお聞きいただいて、十二月を目指して予算や法律や税制等の問題も今から始まっておるわけでございますので、そういう意味も含めましてひとつ隘路等について御説明いただきたいと思うわけでございます。
  140. 岡松壯三郎

    政府委員岡松壯三郎君) 東京一極集中あるいは大都市への産業企業の集中が進んでおるわけでございますが、これらの企業アンケート調査等をいたしてみますと、やはり大都市に住むということは、企業が存在するということはさまざまな負担がかかるようになってきているということでございまして、できれば地方に分散をしたいということを考えている企業の数が年々ふえてきているのも事実でございます。  しからば、御質問の隘路、制約は何かということでございますが、これらのアンケートを通じて感じますのは、やはり移転に伴って資金負担が生ずる、あるいは従業員が住まいを移すことに対する不安を感ずるというような答えが多く出てきておるわけでございます。また、それじゃどういう部門を移せるだろうかということも問うてみますと、情報関連でございますとか研究部門といったようなところについては比較的移しやすいように思うので、何らかの優遇措置が講ぜられれば自分たちとしては移る用意があるといったような答えが寄せられているという状況でございます。
  141. 守住有信

    守住有信君 ちょっと今お話しの中に具体的に出ませんでしたけれども、私が関心を持っております一つに、地域ソフトウェア供給力開発事業推進臨時措置法でございますか、これがございまして、今東京集中が各分野、各機能で行われておりますけれども、そういう各種の施策を主体的に地元で進めていける人材の問題、単に技術力の問題もございますが、それだけでない人材ということにつきましても、権限その他が産業界においても東京集中であるという面があるわけでございまして、この通産省の施策に私は非常に関心を持っておるわけでございます。  それで、これはいわば実学的な教育といいますか、いわゆる文部省レベルの教育ではなくて、実践的、実学的な人材の養成、このこと自体が地方の活性化あるいはもちろん情報化にもつながる。お話も出ておりましたように、東京での人材の養成は非常にコストも高くかかるという現象がどんどん産業界でも認識され出しておるわけでございます。これにつきまして、特に私どもも産炭地を抱えておるわけでございまして、そういう特定不況地域というものを念頭に置いて、労働省と一緒に雇用の拡大と同時に雇用者のレベルアップを図っていく、技術力も含めましてレベルアップを図っていこう、こういうことで非常に期待をいたしております。いろんな県からこれにつきましても申請されておる。何か年間六ヵ所ぐらいというふうに伝え聞いておるわけでございますけれども、これの申請状況なりはどうなっておるだろうか。  熊本県は既にもう準備会社をつくりました。やっぱり地元の熱意が一番大事でございます。天から雨は降ってまいりますけれども、地元の熱意と努力と知恵をどうやって結合させて、県も一生懸命でございますが、行政が中央から誘導していくか。我が国は御承知のとおり自由主義経済でございますし、市場原理だ。それに向かってどのような誘導策、その方策の一つとしてこういうソフトウエア供給力開発事業というのに対して非常に魅力を感じたわけでございますので、ここら辺のところを御説明いただきたいと思うわけでございます。
  142. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) ただいま先生指摘のとおりでございまして、今後情報化を進めるに当たりまして一番の問題は、何といってもソフトウエア関係の人材が不足するということでございます。俗にこれをソフトウエアクライシスと呼んでおりますけれども、そういうのが最大課題となっております。そのための対応策ということで、通産省労働省と共同いたしましてこの前の国会に地域ソフトウェア供給力開発事業推進臨時措置法という法律を出しまして、これを成立をさせていただいたわけでございます。  この法律の内容は、言うまでもなく、ソフトウエアの人材を地方で育成しようということでございます。そのために各地域でソフトウエアセンターというものを設立しようという場合に、国が承認をし、その際に資金の出資とかあるいは事業費の補助というようなことをやるというのがその内容でございます。この法律に対しましては大変各地の関心高うございまして、現在三十ないし四十ヵ所の地域から問い合わせがございます。また具体的な事業計画の申請も参っております。先生指摘のように、初年度六ヵ所承認をしようというふうに考えておるのでございますが、現在、関係省庁とも協議をいたしまして、速やかにこの事業計画を承認して具体的な支援措置を講じるという段取りでございます。
  143. 守住有信

    守住有信君 これは余談でございますが、私も地元の中小企業企業内の社員の皆さんの技術力レベルアップ、新入社員等も含めまして、これをどうやっていけばいいだろうかと思いまして、実はこれは厚生省でございますけれども、南阿蘇にグリーンピア南阿蘇という百四十ヘクタールの大規模保養基地がございます。その中に、七億円かけてもらいまして、技能向上のための宿泊、中小企業の社員でございますからなかなか高いホテル代は払えない、五十人の社員研修生が入りまして、パソコンを初めいろんな技能アップのための研修施設が来年の秋までにでき上がることになっております。各省庁の施策、今は労働省と御一緒でございますが、各省庁がいろいろやっておる中にそういう場をつくってあげる。あとは地元あるいは県と一緒になって、そういう意欲といいますか、連帯と意欲で挑戦していく。異業種交流等の 問題もそうだろうと思います。  そういうことを思いながら、特にあと中小企業関係についてもお尋ねしたいわけでございます。  今の問題は、零細企業までは入りませんけれども、県内中小企業みんなこれは含む問題でございますので、あとまた別の角度から——中小企業につきましても異業種交流ということから始まったと思います。交流から融合へ、結合へというふうな政策哲学ではなかったかと思うわけでございますけれども、新規事業に展開を図り、力をつけていくというのが、ここ当分続くであろう好景気のときの絶好のチャンスだ。午前中どなたかの委員もそれをおっしゃっておられました。ところが、いざ事業化を行おうとするときにリスク性の問題が出てまいりまして、また販路開拓という問題もある。なかなか本格事業化に至らない。いろんなアイデアは渦巻いておりますけれども、本当に投資をして、リスクを構えて、将来の販路開拓もどうなるだろうか、こういう実態を聞くわけでございます。  したがいまして、こういう関係につきまして、新事業の展開が円滑に、十分な努力と自己責任は必要でございますが、支援体制がどういうふうにとられていくだろうかと思っておりますので、この辺につきましてもちょっと御説明をしていただければありがたいと思うわけでございます。
  144. 高島章

    政府委員高島章君) 先ほど来お話がございます地域の活性化、これが国土の均衡ある発展にとりまして最も大切なことの一つであろうかと我々は日ごろ痛感をしております。その地域活性化のかぎというのがまさに地域産業の振興でございまして、その地域産業はだれが担っているかといえば、バイタルマジョリティーとも言われます活力のある多数である中小企業でございます。そういった中小企業が新しい産業を創造していく、そこに我々としてできる限りの支援策を講じていくということが中小企業庁にとっても非常に大切なことであろうかと思います。  少し具体的に内容を申し上げてみたいと思いますが、従来から特定地域対策、地場産業振興対策というものを積極的に推進してきたところでございますが、昭和六十三年度におきましては、御指摘のリスクをカバーするために、中小企業の円滑な新事業展開を支援しますために新事業開拓保険制度というものを創設させていただきました。また、本年度におきましては、地域経済を引っ張っていきます中小企業というものを育成するために、地域の中小企業の研究開発等のための施設の整備を行う第三セクターに対しまして中小企業事業団が出融資をすることができるという新しい制度も創設いたしました。各地域におきまして、地方公共団体、関連の中小企業、さらには大企業等が集まりまして、その地域での新しい事業、産業の芽を興すべく支援する組織をつくろうという動きがいっぱい今出てきております。そういった動きを我々としては大きなものにするために、こういった新しい中小企業事業団の制度を創設したわけでございます。  さらには、新しい事業を行う者に対しまして低利の融資制度の施策なども設けたところでございます。さらに、各地域におきましては、小そうございますけれども、引き続きいろいろな産業おこしの芽が今出かけておりますので、これを本格的な事業化にぜひ結びつけてまいりたいと思います。そのためには、御指摘ございましたように、いろんな技術開発あるいは市場開拓ができるような、さらにはデザインの開発についてもいろいろお手伝いができるような、そういった施策の充実を検討してまいりたいと思っているところでございます。
  145. 守住有信

    守住有信君 中小企業と関連しまして、コミュニティーマート等もお進めでございます。我が熊本市では流通団地ができまして、これは百社ぐらい卸売・運輸業が入りまして、例のPOSシステム、情報通信センターができまして、卸と小売というものを地場資本、地場のルートで、東京からの大資本のルート、情報通信だけでなくて、そういうものが逐次蓄積、形成されつつありますから、そこは非常に自信を持っております。ところが、コミュニティーマートは、駐車場の問題、建設省の都市再開発といいますか、ある意味では土地収用的な問題も必要になるかもしれませんが、駐車場が既存の商店街に確保されないと、今お話も出ておりました大店舗の規制緩和と同時並行的に、やはり既存の市街地の中で駐車場問題、これを特に意識するわけでございます。そういう点も、いろんな自民党の先生方、商工関係の方が御指摘でございますけれども、そこらあたりも念頭に置いて、ひとつ商店街の近代化、コミュニティーマートについても御努力いただきたいということをお願い申し上げておきます。  時間も余りございませんので、私が申し上げました特定地域中小企業対策臨時措置法、いわゆる産炭地域、不況地域に対応する政策の一つでございますけれども、その中で加速的技術開発支援事業、こういうものがあるわけでございますが、これが昭和六十二年度から平成元年度までの三年間ということになっておるようでございます。これは大蔵省の方もよくお聞き取りをいただきたいんですけれども、こういう不況地域あるいは中小企業の世界で三年間だけでこれが成熟して完成していくというのはなかなかできない。  現在、熊本におきましても、六十二年度から県の工業技術センター、電子応用機械技術研究所、地元熊本大学等々の技術指導によりまして、県も補助を出しておるわけでございますが、二十一企業で十三のテーマに取り組んだわけでございます。今のところ、転換技術開発につきましては、九件中企業化されたものは二件、マイカセラミックの加工とICの汎用トレーの方と二つだけでございまして、あと七件は大学、研究所等も一緒になってやっておる。ところが、この支援措置が三年でだめだということでは、私なんかはこれは論外だというふうに思ったわけでございますので、いろいろ広範囲に予算編成その他制度論、減税論を含むと思いますけれども、通産省としてもこの延長について、せっかく芽が出だしたところでございますから、この点も積極的にお取り組みをいただきたいということをお願い申し上げておきます。  時間がもうちょっとでございますので、最後に。  一次産業から二次産業、二次産業から三次産業、ソフト産業あるいはサービス産業、近ごろは三・五次産業と言われておりますけれども、その中で、東京の本社、その本社の中の総務とか経理とかいろいろ管理部門がございます。意思決定の役員は、テレビ電話というものがだんだん発展してまいりますけれども、これはともかくとしても、そういう管理部門の本社機能の部分部分を地方分散ということで、オフィス分散、こういう発想が今どんどん強くなりつつあります。郵政省の方でもどんどんディジタル化あるいはテレビ電話、ISDNの専用線とか、近ごろは衛星通信活用とか、こういう時代を迎えましてそれに取り組んでおりますし、通産省の方もオフィスにつきましての分散、これをいろいろ実験的にお取り組みだと聞いておるわけでございます。  私の熊本も、阿蘇で今グリーンピア南阿蘇、一番遠距離でございますね、筑波とか埼玉県の志木とかでいろいろ企業が社会的実験をやっておるようでございますが、一番遠方が熊本の阿蘇で、ある企業が実験をやっておられます。私はその研究所の名前を知りましたが、住信基礎研究所、まるで私の名前の半分を取ったというふうなことなんですけれども、住まい分散、オフィス分散にこういう基礎研究所が挑戦的にお取り組みだと、そういうことも聞いておるわけでございます。  このオフィス分散について、余り時間がございませんが、通産省として、今後の問題でございますが、これは私は非常に地方振興、地方分散地方は自然に恵まれ、人間的な関係も人当たりも非常にいい地域ばかりでございます。東京みたいにぎすぎすしたあれはございません。そこでいろんな企業の、本社は東京かもしれませんけれども、そのオフィスの機能を大いに、何も熊本と限 らぬわけで、北海道であろうと自然に恵まれた東北であろうと、いろんなところに、これを今後のお取り組みのテーマにしていただきたい、こう思うのでございますが、今のお取り組みの状況をちょっとだけ御説明をお願いします。
  146. 岡松壯三郎

    政府委員岡松壯三郎君) 先生指摘のとおり、熊本県の阿蘇市におきまして本社業務の一部をリゾート地域に移す実験、これはリゾートオフィスと名づけておりますが、この実験が民間で行われているところでございます。東京への本社機能の一極集中ということを見てまいりますと、やはり工場と並んで本社の管理機能というものをもう少し地方に移せるのではないかという必要性を感じておるわけでございまして、このために、企業の情報処理部門でございますとか、あるいは研究開発部門といったような産業の頭脳部分と言われるものを地方に移転していく、これを積極的に支援することについて現在検討しておるところでございます。  先ほどの民間の動きにつきまして、通産省といたしましても、現在研究会を設けましてこれらのリゾートオフィス等の分散型のオフィスのあり方、また将来展望について鋭意研究を進めておるところでございます。
  147. 守住有信

    守住有信君 終わります。
  148. 鈴木貞敏

    鈴木貞敏君 私は、経済関係には非常に素人といいますか、幼い知識しか持っておらないわけでございますが、国際化の中で日夜御努力されておる大臣、長官の御労苦に対しまして、まず心から敬意と感謝を申し上げます。そういった中で私なりにいろいろ疑問に思っておること、本当に素人的なことですが、そういう点について数点お伺いしたいと思います。  まず一つは、企業倫理というふうな言葉が果たして適当かどうか私もわかりませんけれども、そういう点でございますけれども、こう日本経済大国になりますると、日本の一商社、一企業の一挙手一投足というのが大変国際的に注目を浴びるような状況になっておるわけでございます。国内においては当然の行為でも、国際的にはそれが指弾される、こういうふうなこともあろうと思います。あのココム事件につきまして社長がやめるというふうなことで、日本とすれば、社長がやめれば、これは遺憾の意を表して、それで一応勘弁してやるというか、そういう感覚が先立つわけでしょうが、それが外国では逆にとられて、むしろバッシングの材料になるというふうなこともあったようでございます。  最近いろいろ紙上で私も見るわけでございますが、日本企業がアメリカの映画会社、コロンビアでございますか、これを買収した、あるいはまたロックフェラーグループ社を買収した、あるいはまたロスの名門ホテルを買収した、そういった一連のことがいろいろ報道されまして、本当に事情を知っている人から見れば、これは当然の経済行為である、何ら非難されるべきことじゃない、こういうふうにもアメリカの人も言っているようでございます。しかし中には、大げさとも思いますが、アメリカの魂というふうな言葉で、これは買われてしまったというふうなことも報じられておるというふうなことでございまして、こういった日本企業の米国での買収行為というか、こういったものに絡んで、日本経済大国になった金が、ジャパンマネーの横暴といいますか、あるいは日本企業の尊大さというか、そういうのが何かいろいろのことで話題になっているというふうなことであるわけでございます。  そういう中で、私なりに、当然のこれは経済行為ではあるんでしょうけれども、こんな状況でいいのかなというふうなことを感ずるわけでございまして、経済の世界なり金の世界というのは非常に非情なものであるということを聞くわけでございますけれども、そういう中にあっても、富める者といいますか、富める国として、何かまた反面において一つの自己規制とか、あるいは思いやりであるとか、そういった一つの心構えというのもまた必要じゃないか。  また、異なった国とのいろいろの交際の中では、その異なった国の文化なり伝統なりあるいは人間関係、あるいは社会秩序あるいは経済秩序といいますか、そういったものを尊重しながらやっていくという一つのリーガルマインドといいますか、あるいは一部経済人も使っているようでございますが、グット・コーポレーション・マインドといいますか、シチズンというか、そういう言葉もあるようでございますが、そういった一つの心構えといったものがないと、市場原理なりあるいは市場メカニズム、経済原則一辺倒で自由だということでやるということではどうなんだろうというふうな疑問を実はいろいろの記事を見ながら感ずるわけでございます。  なかんずく、デタント的な空気がどんどん今進んでおりまして、そういう中で一部米国等では、ソ連の脅威よりも日本経済的な脅威の方がむしろ大きいというふうなことも報じられたりしておりまして、日本封じ込め論というか、そういうような議論も一部にあるということも記事等でも読むわけでございますが、そういったもろもろのことを前提にいたしまして、ひとつ大臣の率直な御意見をお伺いしたい、こう思うわけでございます。  一つは、そういう意味企業倫理という、我々も政治倫理ということを厳しく問われている一員であるわけでございますけれども、この企業倫理のあり方、こういった国際時代において企業倫理というかモラルというか、そういったものはどうあるべきであろうか、何か今のままでいいのか変えるべき点があるのかどうかという点につきまして、ひとつ大臣の御所見を伺いたいと思います。
  149. 松永光

    国務大臣松永光君) 企業倫理というのは、私は海外での日本企業が活動する場合の倫理も、国内において日本企業が活動する場合の企業倫理もともに極めて大事なことだというふうに思っております。日本企業が国内で行動する場合に、地域社会と溶け込んで、そして地域社会の中でよりよい企業人だ、あるいはよりよい企業だという評価を受けながらでなければ、国内での望ましい活躍はできませんし、発展はできない、こういうように思うのでありまして、その意味企業というものは、国内において一般社会人から見てなるほどと思われるような活動をしてもらいたいものだ、こういうように思っております。  最近問題になっておるのは、先生指摘のとおり、海外における日本企業活動、これが時にはいろんな批判を受けたりしておるということでございます。  ただ、今御指摘のありました中で、ソニーのコロンビアの買収問題、これは別段問題はないようでありまして、ただ、各方面に対する説明が十分でなかった。コロンビアそのものも、ソニーがコカコーラの株を譲り受けてそして実権を握ったということは、むしろ今後のコロンビアの発展にはプラスになるというふうに評価がなされておるところでありまして、余り問題はないというふうに思っております。また、例のもう一つの三菱地所のことにつきましても、これまた先方の企業にしても、その企業発展にプラスになるということでの契約の成立のようでありますので、これも特段の問題はないと思います。  一般論として申し上げまして、これから国際化時代がますます進展するわけでありまして、その中で日本企業が諸外国でいろんな事業活動をいたします。特に、アメリカで旺盛な資金需要があるという関係もありまして、日本のアメリカにおける投資活動がふえてきつつある、こういう状況であります。そういう状況下で諸外国との間に良好な関係を保ちながら日本企業が活躍をしていくためには、先生先ほど御指摘のように、よき企業市民という評価を受けるようにみずから積極的に地域社会に溶け込み、そして地域社会に貢献する、そういう活動をぜひしてもらいたいというふうに私どもは考えております。  そういう観点から申し上げますと、既に民間の経済団体で海外投資行動指針というものを策定されて、その指針にのっとって行動しようということが自主的になされており、そういう努力がなされておるところであります。一方、本年五月の産 業構造審議会においても、我が国の海外現地法人がよき企業市民として現地社会で受け入れられるように努めることが重要であるということで具体的な提言もなされましたので、その提言を通産省としては関係企業に通達をいたしまして、それに基づいて立派な企業市民としての、現地社会に溶け込んで現地社会から評価を受ける、そういう活動をしていただくよう実はいろいろ指導をしておるということでございますが、これからもそういう点には特に意を用いて努力をしてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
  150. 鈴木貞敏

    鈴木貞敏君 今大臣の御見解を聞きまして、私も非常に認識不足で恐縮でございました。  そうすると、既にそういった海外行動指針というようなものを含めて業界はもう指導をされておるというふうなことで、私も記事の読み方がずさんでそういう点の認識が足りのうございました。実はそういう点の行動基準的なもの、また買収あるいは海外投資というふうな面に絡んで一つのそういう基準、スタンダードというものを、これはもとより財界、民間で自主的に決めてみずからやるべきことで、通産省がどうこう言うべきことじゃないにしろ、やはり助言、指導といいますか、そういう点が必要じゃないかなというようなことを御質問しようと思ったんですが、既にそれはもうちゃんとやって終わっているということで理解してよろしいんでしょうか。  そしてまた、その具体的な内容をちょっと一、二でもいいですが、どういう行動指針か、その心構えというか、そういうものを御披露願えればありがたいのでございますが、よろしく。
  151. 横田捷宏

    政府委員(横田捷宏君) 民間のレベルで自主的に海外投資行動指針といいますものを昭和六十二年四月に策定しておられます。実はこの前から国際的な場面で、OECD等の場で多国籍企業の行動の問題点等の議論があったわけでございまして、その段階から日本経済団体が自主的な指針をつくってやっておりましたけれども、六十二年の四月に改めて経団連、日商等を中心にいたしました七団体でつくっておられるわけでございます。基本的には、先生指摘しておられました投資先国の社会に溶け込む、こういった基本姿勢をうたいながら、雇用、教育あるいは派遣者の自主性の尊重、あるいは投資先国の産業との調和、技術移転等々、おおむね十三項目にわたります事項につきましての指針が定められて普及、啓発が図られておるわけでございます。  それから、通産大臣の諮問機関でございます産業構造審議会の方の答申、これに基づきます建議でございますけれども、この五月三十日に答申がなされまして、十項目につきまして百九の団体に対しまして六月に通達をいたしまして、その普及、実施等をお願いいたしてございます。この中では、おおむね民間の指針と内容的には一にいたしておりますけれども、経済的な取り組み、例えば投資先国への技術、ノーハウ等の移転でございますとか、研究開発あるいは部品の現地調達等々の問題のほかに、社会的、文化的な側面につきましても、幾つかの指針を挙げておるわけでございます。例えば、投資先国で、例えばアメリカでございますとマイノリティー社会の問題などがありますが、こういった投資先国固有の問題の解決に積極的に参加する、あるいはボランティア活動とか寄附活動等々でまさによき企業市民としての活動をやっていく、さらには、これは十番目で、いわゆる贈賄等の不正行為は行わないといったようなことまで踏まえまして提言がなされておりまして、指導に努めておる次第でございます。
  152. 鈴木貞敏

    鈴木貞敏君 ありがとうございました。  非常に認識不足の点がございましたが、海外投資、金を持っている日本として、投資先につきましても、新前川リポートでも、北じゃなくて南の方に大いにこういったものを向けるべきだという文言があったと思うんです。そういった投資の保証ということを含めて、やはり民間資金も南の方に大いに向けて経済発展に資するような行政的なてこ入れといいますか、そういったものもやっていただきたいなということも感じておるわけでございますが、ひとつよろしくお願いいたします。  それに関連いたしますけれども、一円問題というのが実はありまして、ソフトとハードウエアの一貫的な契約とか、新聞投書等にもいろいろの考えが錯綜して、私も専門的に実はわからぬわけでございます。しかし、社長も謝っているということを見ますと、やはりこれは国内においても必ずしも万人の納得する商行為とは認められないということでもあろうと思うわけでございます。日本の慣習としては、エビでタイを釣るとか、損をして得をするとか、昔からそういうことを言われておるわけでございますし、またそういうことがむしろ商行為としては、信用を得ていくためには、まあ美談とは言えないにしろ、昔からそういうことでだんだん足場を固めてきたというふうな、立派な会社でもそういう歴史をそれぞれ持ってるんだろう、こう思うわけでございます。それにしろ、やはりいろいろ話題を提供しているということ自体、そしてまたこれが外国から見ると、市場閉鎖、日本のやはり特殊な性格であるというふうなことと結びつけられて恐らくいろいろ議題にされるということでもあろうかなと思うわけでございます。  そういう意味で、一円問題を契機にしまして、公取になりますけれども、経済の国際化の中で、独禁法の運用についてでございますが、日本の独禁法は世界各国と比べて違いがないのかどうか、また国際的な調整が必要でないのかどうか、またそういう調整は今やっているのかどうか、そういうことが第一点。それから、このコンピューターの一円入札問題につきまして独禁法上何か問題がないのかどうか。この点をひとつお伺いしたいと思います。
  153. 松永光

    国務大臣松永光君) 独禁法上の問題は公取の方でお答え願うことにして、まず倫理の問題から申し上げますと、私はこれは企業倫理の問題からいって好ましからざることであるというふうに結論づけておるわけであります。  それはどういうことかというと、あの一円入札問題は要するに、ソフトの設計をやらしてもらえれば次はより大量の金額によるハードの契約がとれる、こういうことから一円で入札なさったんだと思うのであります。しかし、ソフトの業界は随分小さい業者もあるわけでありまして、ソフトだけやっておる業者の場合にはその競争から排除されるという結果になりかねません。のみならず、公共団体から受ける場合もそうでありますが、民間から受ける場合も同じと思うのでありますけれども、少なくともある事業を請け負う場合には可能な限度内での価格でなきゃならぬと思うのでありまして、それを甚だしく違った価格で本来受けられるはずがないわけでありまして、ほかに何か下心があるから受けたとしか、応札されたとしか思われません。  こういった点を考えますと、甚だ不適当な行為であるのみならず、企業の倫理にも反するというふうに考えるわけでありまして、通産省としては、その業者に対して厳しい注意をして、そして今後このような行動がないように実は忠告をした、こういうことでございます。
  154. 滝川敏明

    説明員(滝川敏明君) 今御質問の独占禁止法の運用についての国際的な調整という御質問がありましたので、それについてお答えいたします。  まず、主要国の経済の総合的な依存関係が強まってきていますので、独占禁止法の運用の面においても、主要国で連絡調整を行うことが重要となってきております。このため、公取は主要外国との間で独占禁止法の運用についての意見交換を密にしております。  より具体的に申し上げますと、まず米国、EC、ドイッ等の主要国との間で毎年定期的に会合を持つことにより、独占禁止法の運用方法について意見を交換しております。第二に、OECDに競争政策を話し合う部会がありまして、その場でOECD諸国の独占禁止法施行機関、ここには公正取引委員会が含まれておるわけですが、そこで競争政策上の諸トピックについて意見を交換しております。最後に、個別の独占禁止法事件につい て、外国に関係する事件については当該関係国に通報しております。  以上です。
  155. 大熊まさよ

    説明員大熊まさよ君) 一円入札に関する独禁法上の問題のことでございますが、これにつきましては、なぜその一円といういわば価格と言えないような価格で入札が行われたのか、それがどうしてなのかというようなことの事実関係を把握するために、関係者から事情聴取を行いまして、現在独占禁止法上の問題について検討しているところでございます。  独禁法上の問題点を申し上げるとすれば、不当廉売あるいは不当な利益による顧客誘引というような問題が考えられるわけでございまして、安いからすぐに問題があるというわけではございませんで、競争者とか市場にどういう影響を与えるかというようなことについて検討することが必要であるというふうに考えております。近日中に調査結果を取りまとめ、公表したいと考えているところでございます。
  156. 鈴木貞敏

    鈴木貞敏君 ありがとうございました。  時間もあれでございますので、いろいろお伺いしたいことがありますが、もう一点、今の倫理というものとの関連はないのでございますが、前川レポート等も拝見したわけでございますが、やはり経済構造が変われば精神構造というものもそれにつれて変化するということは当然であろうと思います。最近発表されました生活白書でも、日本の勤労観という言葉が使われたと思いますが、労働観か勤労観か、何か勤労観という言葉でなじんでいるようでございますが、そういうものに変化が見られるということも白書で述べられておりました。そういう中で、この日本人の勤労観、これは一体これからどうなるんだろうか。  私も大正末期の生まれでございまして、内村鑑三、昭和五年に亡くなりましたが、「代表的日本人」という中で、五人の日本人、その中に西郷南州、二宮尊徳、中江藤樹、私の山形県の上杉鷹山、そして宗教家の日蓮と、この五人を挙げまして、英文で世界に頒布されて相当な反響を呼んだ本であるわけでございますが、貫かれているのは勤勉、努力、貯蓄、そういう誠実といいますか、そういう一つの生き方で貫かれているような、私なりに若いとき読んだあれでございますが、印象でございます。  そういうことで、レポートの中では、将来日本経済構造というのはどんどん変わりますよ、守住委員も言っておりましたように、一次、二次産業を引っくるめて物財生産部門というふうなことで、これはもう相当ウエートが下がってくる、そして三次産業的なサービス部門、これがどんどんふえていきますよという一つの示唆をはっきりそこでうたい上げておるわけでございます。  そうしますと、今単純外国人労働者の問題、チープレーバーで人が足りないというふうな一つ現実の要請もあるわけでございますが、そういう中で、俗に言われるダーティーワークというかダーティージョブというか、あるいは額に汗してそれぞれ働く、そういう仕事に対する日本人の感覚、勤労観、労働観というものがどういうふうに変化していくのか。また、日本全体が高学歴化ということで、どんどん学歴が高度になっていくというふうな社会構造、そういう中で、いよいよもっていわゆる建設業等を含めたそういった仕事に対するものがだんだん少なくなっていく、求人が少なくなっていくんじゃないかということを実は陰ながら心配している者の一人であるわけでございます。  最近の新聞を見ますと、飯場をアウトドア・レジデンスとかにかえるとか、土木工事者をアウトドア・ワーカーと言うとか、もう日本語ではださいので皆英語で言わぬといかぬと。デザイナーとかプランナーとか、ほとんどこれ皆もう外国語で職業名を言わぬとどうもはやらない、こんなふうな風潮にもなっているようでございます。  いずれにしましても、そういった日本人の勤労観といったものは、どんどん変わる社会経済構造の中でどういうふうに変わっていくのか。内村鑑三ら五人のような人物像をはっきり提示はだれもできないと思いますけれども、望ましい勤労観というものは一体どんなものであるのかということを、決してアイドルマンをつくるとか、もっと怠けた方がいいぞということではないと思います。しかし、いずれにしろ書いていることは、貯金の非課税はやめなさい、労働時間は二〇〇〇年までに千八百時間でございますか、短縮しないといかぬ、そしてまた消費をどんどんいたしなさい、いわゆる内需主導型の経済にとにかく日本は至上命令としてやっていかなくてはならぬ、こういう方向でございますから、そういう中で我々日本人の勤労観というものはどういうふうになっていくのか、そういった中でどうあるべきかということについてひとつお考えをいただければありがたいと思います。
  157. 松永光

    国務大臣松永光君) 私も先生とそう変わらない年代でありますので、考え方についてはそう変わった点はないように思うのでありますが、私は日本発展を支えてきたのは日本国民の勤勉さにあったと思うんです。これからの日本を考える場合にも、日本国民はこの勤勉さを絶対に失っちゃならぬ、そういう私は考え方を持っております。ただ、その勤勉さを考える場合に、従来はややともすれば時間の長さ、あるいは時間の量ではかる傾向にあったと思うのでありますが、これからは勤勉さを質による評価、どれだけの結果を出せたか、こういったことで勤勉さをはかる物差しといいましょうか、考え方というものを量から質へという転換をしながら、勤勉さを失うことなく、個々労働者がゆとりを持ちながら、仕事に対する喜びを感じながら前進していく、こういう方向に持っていくのが望ましいのではなかろうか、こういうふうに考えております。  なお、ダーティーワークの話がありましたけれども、残念ながら汗をかく仕事は好きじゃない、泥や油にまみれる仕事は好きじゃない、できればそれは人にやらせたいなどという考え方が少しずつ出てきておるような感じがするわけでありまして、それは大変私は好ましいことではないというふうに思います。もっとも、省力化あるいはまた技術の開発をして、そして機械に代替させるというふうな努力は大いにしていかなきゃならぬわけでありますけれども、みずからは汗を流さない、みずからは泥や油にまみれないで人にやらせるという考え方がもしあるとすれば、これも余り好ましいことではないというふうに思うわけであります。  しかし一方、人間のゆとりと豊かさを実現していくためには、その労働の苦痛というものはできる限り軽減すべきなのでありまして、あるいはまた労働の環境もできるだけ改善すべきなのであります。ややともすれば、汗をかかなければならぬ、油にまみれるということでいとわれておる製造業の部門等につきましては、先ほど言ったような省力化投資あるいは合理化投資を進めて、そして労働環境をより一層改善する、そしてまた製造業のイメージを大いにアップする、こういったことをして日本経済というものが全体として均衡ある発展ができるようにそれぞれの産業努力していくことが我々の務めではないか、こういうふうに思っているところでございます。
  158. 高原須美子

    国務大臣高原須美子君) 私も先生とはそう違わない世代でございまして、やはり勤勉が美徳であるという形で仕事をしてきた者の一人でございます。でも最近では、先進国に追いつけ追い越せとやってきました結果大分先進国にも近づいてまいりましたために、日本人の勤労観にもおっしゃるように大分変化の兆しが出てきているのではないかなというふうには思っております。でも、調査を見ますと、人一倍努力してもいい仕事をしたいとする者の割合がすべての年齢階層でまだ八割ございまして、勤労への積極的な意欲というのは一方では維持されているということで、全く怠け者になってしまったということは言えないと思うわけでございます。  しかし他方で、それじゃ働いているだけでいいのかといいますと、一方では趣味とか勉強、社会 活動、仕事以外の自由時間の充実を目指すということも、ここまで所得が高くなってまいりまして欧米に追いついた時代には必要になってきておりまして、若い人々を中心にそういう仕事以外の自由時間の充実というものを求める割合も高くなってきていると思います。そういったことで、ことしの企画庁の生活白書も、人生七十万時間の自由時間の生き方ということを取り上げているわけでございます。したがいまして、私としては、ここまで日本経済発展してきた現在、やはりゆとりと活力といいますか、自由時間と勤労というその二つをどうバランスをとって政策を考えていくのか、あるいは国民生活を考えていくのかということがこれからの政策運営の上で必要になっていくのではないかなというふうに思っております。  それから、おっしゃいましたダーティーワークの問題でございますけれども、やはり産業構造調整が進みますと就業構造も変わってまいりまして、サービス産業とかあるいは製造業のうちでもコンピューター等の先端技術分野で雇用が増加しておりまして、一方では農業とかいわゆる重厚長大型の産業では雇用が縮小しているというこういう産業構造の大きな転換が見られております。その中で、やはり力仕事のようなものは嫌うという風潮が出て、特にことしの新卒の場合にはそういう傾向がはっきり見られているわけです。  それに対しましては、今松永大臣も言われましたように、そういう仕事を拒否するという傾向は率直に認めるわけにはいきませんけれども、一方では、そういう危険であるとか汚いというような仕事についてはできるだけ労働条件を変えまして、労働条件改善を進めると同時に、やはり職業能力を開発してそういう人材を養成していくというような形、さらにはロボットなどの機械化を導入してそういうダーティーワークに置きかえていく、そういう形の生産性向上を図っていくというようないろいろな施策が、勤労観の変化を批判するだけではなくて、あわせて必要になっていくのではないかと思います。
  159. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私は、カード化社会における今後の課題についていろいろお話をして、お伺いしてみたいと思います。  今カード化社会と言われるようになりつつあるわけですけれども、私は、コンセンサスが得られたカード化社会というよりは、カードが非常に多数発行され過ぎている社会というふうにこのカード化社会を見ております。したがいまして、以下こうしたカード化社会に関する問題をいろいろとお伺いしたいわけですが、時間が三十七分しかありませんので、その中の特に最近目立ってきた若年層のカード化現象というものについて絞ってお伺いをしたい、このように思いますので、ひとつよろしくお願いをいたします。  そこで、お訴えをしたいことはたくさんあるのでございますが、ここに一つの例がございますので、まずお話をいたします。  音響関係の大企業に勤めるAさん二十三歳、高校を卒業して五十八年からクレジットカードを利用するようになった。親元から通勤、手取り十二万円。信販会社三社、銀行系カード二社、流通一社、消費者金融会社二社、計八社から四百五万円を借りている。毎月の返済額二十万円以上となり、十二万円の給与ではとても払えない。返済のために消費者金融会社から借りたり同じところから借り増しをしたりしながらだんだん件数をふやし、金額がふえてしまったケースであります。現在破産申し立てを行っている。Aさんは入社当時、カードを使ってクレジットで洋服を買うというささやかな購買行動をしていましたけれども、最初は計画的に返済していたが、次第に額が多くなっていってどうにもならなくなってきた。夜間にウエートレスのバイトを始め、その収入を返済に充てた。しかし無理がたたり体を壊し、返済が追いつかなくなった。そのために返済のための借金を重ね、債務が雪だるま式になってきた、こういう例でございます。  もう一つの例は、二十八歳のEさん、やはり女性でございます。派遣社員で、手取り月十九万円、ボーナスなし。九社から四百六十万円を借りており、中には信販一社だけで六種類もの提携カードの重複発行を受けている。昭和六十年ごろ身の回りのものをカードで購入するようになった。そして、その返済のためにキャッシングをして返済をし、その後もキャッシングを各社利用しながら自転車操業で債務額が膨らんできた。その債務の内容について、信販一社の六枚のカードの内訳を見ますと、四枚で洋服、化粧品その他の買い物をし、そのおのおのに一枚が七十八万円、一枚が六十万円、次が五十二万円、そして十八万円、総額二百八万円の債務を背負い、六枚のうちの残りの二枚はキャッシングに充てていて、それで十七万円と二十万円を借り入れていて、この信販一社から借りている総額二百四十五万円、こういうケースです。  この二つのケースをベースに私は少しお話を進めてみたいのでございますが、要するに中高年層の多重、多額債務者というものは、企業倒産、失業あるいは病気、こういったケースによって不本意ながら背負った債務というようなケースが多うございますが、若者の場合にはこうした非常に消費意欲を満喫させたという結果得た債務というケースが多いように思われます。  いろいろ申し上げたいのでございますが、通産省ではカード社会への対応を考える研究会を既に発足させていらっしゃいまして、こうした問題についても御研究をされておるし対策を考えておられるというふうに聞いております。それから経企庁におきましても消費者対策のためのこうした実態調査及びそれに対する各種の手だてを講じているというふうに思われますが、各省庁でこうした実態について、実は数字は全部持っていますので要りませんのです、そういう状態をどう分析なさるかということで御答弁をいただきたい。両省お願いいたします。
  160. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 数字はいいとおっしゃるのでございますけれども、私どもも、定性的に申し上げますと、クレジットあるいはカードに関する若い人たちの問題というのは注目しておるところでございます。  具体的な数字はいいとおっしゃるのですけれども、定性的な説明の一環として申し上げますと、クレジットに関しまして国民生活センターとか消費生活センターとかに寄せられました苦情の中で、若者、二十代をとりますと、二十代の人の占めるウエートがじりじりと上がっておりまして、六十年度に三三%でございましたのがその後三六・五、三七・〇、三八・四、ことしはまだ途中でございますけれども三九・九というふうに上がってきております。先生指摘のような背景があるのではないかと思いまして、この傾向についてはここ一、二年特に注目をしているところでございます。  どういうふうに分析、認識しているかという点について具体的なお尋ねがあれば補足させていただきますけれども、若年層に問題がある、今後もほうっておくと拡大するのではないか、一言で申しますとそういう意識で今見ているところでございます。
  161. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) 先生指摘の件につきましては、私どもも基本的には今企画庁から言われたのと同じような認識でおります。  通産省といたしましては、多重債務の問題につきまして、割賦販売法の施行あるいは六十三年の三月に設立いたしました財団法人クレジットカウンセリング協会でのカウンセリングというような施策を通じまして努力をしておるところでございます。  若年層の問題につきましても、年々問題が大きくなっておるように私どもも伺っておりますが、ただ、クレジットカウンセリング協会に実際に相談に来た案件の中では、二十歳未満というのは非常に少ない案件ではございます。実際表へ出てくるものはそのうちのごく一部なのかもしれませんけれども、たまたま私どものこのクレジットカウンセリング協会に相談に来た者が、設立以来二年七ヵ月になりますが、実際に相談したものは千百 十一件ございますが、そのうち二件が二十歳未満。残念ながら、二十歳以上のものについての内訳は今手元には持ち合わせておりません。
  162. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 これは東京地裁の方の破産申し立て件数が非常にふえておるというデータから見ても、先ほど申し上げましたAさんの方の例は、今おっしゃられましたカウンセリング協会に行ったんだけれども、法的手続をとりなさいということで弁護士会の方に回ってきた例の話なんですね。だから私たちにしてみれば、そういう数は今多くない、特に未成年は多くないというふうにおっしゃいましたけれども、私は深刻さの度合いをやはり考えてほしい、こういうふうに思うんです。  今お話ししました例で言いますと、手取りが十二万円で二十万円返していかなきゃならない、こういうケース。これは一体どう考えればいいのかというような問題点。それから二番目のEさんの例でいきますと、信販一社から六種のカードが出ていて、その一社が貸し付けている貸付金は二百四十五万円だと。六枚のカードで二百四十五万円を借りている計算になるわけですね。この人は、そのほかにあと流通二社、消費者金融二社、その他の信販一社から借りていて、そして全部で合計四百六十万円、こういうことになっている例なんです。信販一社から二百四十五万円借りているという、私はいわゆる利用限度額の問題を問題にしたいんですけれども、こういう問題も含めまして、やはりどこかに歯どめがかかっていかない限りは、こうした若者が何ら自分たちのしている行為がどういう形へと発展していくのか気がつかない、あるいは知らない、自覚がないままにこうした状況に追い込まれていくという環境があろうかというふうに思います。  通産省の方からもう一度答弁を求めます。
  163. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) 私どももその点は非常に重視しております。  割賦販売法の四十二条の三というのがございますが、この条文には、割賦販売業者は信用情報機関を利用すること等により得た正確な信用情報に基づき消費者の支払い能力を超えると認められるような割賦販売を行わないように努めなければならないという趣旨のことが書かれております。私どもとしては、その趣旨を踏まえまして、五十九年十一月に通達を出しておりまして、支払い能力を超える購入の防止というのを指導するように各社に強く指導しておるところでございます。過剰融資にならないように指導しておるところでございます。そういう努力を私どもとしては各社がしておられると思いますが、今後さらにそのあたりにつきまして十分なチェック体制に努力をしてまいりたいと思っております。
  164. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 大蔵省にお伺いいたしますけれども、これはいただいた資料でございまして、例のサラ金二法ができた直後に御指導なさった通達だというふうに思うんですが、無担保無保証で貸し付ける場合の貸金業者への一つ指導として、「当面、当該資金需要者に対する一業者当たりの貸付けの金額について五十万円」、これはまあ常識になっていますね、サラ金問題以降。そして、「又は、当該資金需要者の年収額の一〇%に相当する金額とする。」ということになっているわけでしょう。それなのに、今私が御紹介したAさんの例は、一社の信販から六枚のカードが出て、二百四十五万円が一社の信販から出ているわけですね。これはどういうことでこういうふうになるんですか。
  165. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) 私どものこの通達の対象となります業者といいますのはいわゆる貸金業者でございます。消費者信用を無担保でやっております者が多いわけでございますけれども、いわゆる信販系統、貸金業系統、別々でございまして、大蔵省が今先生から御指摘のありました通達によって、一業者当たりの貸付金額五十万円または資金需要者の年収額の一〇%の範囲内で過剰貸し付けにならないようにしなさいという通達は、貸金業者を対象として出しておるところでございます。
  166. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そうしますと、貸金業者というのは消費者信用の中の販売信用と消費者金融とありますね、その中の消費者金融の業に入るものですか。
  167. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) そのとおりでございます。
  168. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 通産省にお伺いしますが、今大蔵省が持っているいわゆるキーワードでは過剰、多重債務、これは押さえられないと言っているんですけれども、そうするとそれは割販法もだめね、これ。何でこれは歯どめをかけようとお思いになりますか。
  169. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) 法律でそういう規定がございますが、それを実行に移すための手法といたしまして、信用情報機関を共同でつくらせておりまして、その信用情報機関で消費者の、あるいはカードをつくりたいという方々のデータを持っております。そのデータに基づきまして過剰債務にならないように努力というか、そういうデータのもとで発行をしておる建前になっております。ただ、情報に多少というか全部をカバーできない面もございます。新たな方が来られたときにわからない問題もございます。そういう点で、場合によっては先生指摘のような問題が生ずる場合が生じておるものと存じます。  私どもとしては、こういう信用情報の組織なりデータをより十分にすることによりまして問題を少なくする。それから、カードを発行する会社、割賦販売を行う方々に対して、さらに今後そういう問題、特に先生指摘の若年層の問題につきまして厳しいきちっとした運用をするように指導してまいるということを考えております。
  170. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そういう御答弁しかできないのはわかるんですけれども、要するに与信を厳正にしますということでしょう。そのために、今伺うところによれば、銀行系、流通系、信販系、その持っている消費者信用情報をネットワークをつくって、そしてお互いにそれを提示し合いながらチェックをきつくしていく、こういうことしか方法がないというふうにおっしゃるわけですよね。さらには、駆け込み寺でカウンセリングにやってきたら、そこでできるだけ和解に話を持っていくようにお世話をします、これが今の通産省さんの姿勢なんです。  私はそれじゃだめだと思いますよ。なぜかというと、通産省は一方でこれはニュービジネスとして育成方を一生懸命なさろうとしているわけでしょう。そして、今金余り時代、低金利時代、各金貸し業は競争してこうしたビジネスにあらゆる知恵を絞っているというところを育成している立場も持っておられるわけでしょう。それを今度は、そのマーケットになる消費者をどうやって保護していくかということもあわせもって考えていかなければならない機能も通産省は持っているんです。私はここのところをどういうふうになさっていくのか非常に問題に思っております。  そして、特に私ども今いろいろ得ている情報では、若者をターゲットにねらっているキャンパスカード、ヤングカード、Jワン・カード等、Jワン・カードなんというのは、これは全然親権者の同意必要なしで発行できるカードで、六十三年四月一日からJCBで出された。本来的には民法四条の、十八歳から二十歳までの間の未成年者については、「法律行為ヲ為スニハ其法定代理人ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス」というこのところを考えるならば、大学生だって成人に達するまではきちっとした親権者の同意を必要としたこの種のカードが発行されてしかるべきです。それが全然親権者の同意を必要としないカードがどんどん出されている。こういう実態について、若者をねらえ、こういう業界あるいは市場のあり方についてどんな御指導をなさっていこうとされておりますか。再度伺います。
  171. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) 御指摘のように、ニュービジネスにつきまして、このような事業もニュービジネスの一つとして確かに振興ということも私ども打ち出しております。ただ、ニュービジネスでこのようなことがあってそういうトラブルに遭った場合は、やはり企業としても問題でございますし、私どもとしては、それともう一つ、先 生言われました消費者あるいは買う方の保護、特に若年層の方の保護という点も責務のうちでございますので特に若年層の方の保護を中心にして施策を講じてまいりたいと思います。  具体的には、先ほども申し上げましたが、企業がカードを発行する場合、二十歳未満の場合は親権者の同意があるかどうか、そういうチェックを十分するということ、あるいは全体的には、先生指摘のように若い方々を中心にして、二十歳以上の方でも特に信用情報機関の情報、あるいは最大努力をして多重債務にならないような発行の仕方を指導するというのが現時点でお答え申し上げられる点だと存ずる次第でございます。
  172. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 大蔵省にお尋ねいたしますけれども、さっき言った多重、過剰債務の債務者は実は複合型という形で言われているわけよ。さっきのAさんの例もそうです。クレジットカードで物を買うわけです。そしてその返済がだんだん苦しくなってくると今度はキャッシングに入るわけです。そして現金を借りて、その借りた現金で商品を買ったお金の返済に充てていく。そうすると、今度キャッシングで借りたお金の返済に困って新たなカードを起こして、そこからキャッシングしたものを最初のキャッシングに戻していく、こういう自転車操業をやっているわけですよ。私どもはそういうのを複合型負債というふうに言っているわけです。消費者問題で言っているわけです。  それで、大蔵省もキャッシングの方の問題についてはやっぱり責任がある。そこで、さっき言いました消費者信用の中の消費者金融の推移を見ますと、昭和五十八年には販売信用も十四兆七千億だった。消費者金融も十四兆七千億だった。ところが六十二年になると、販売信用、もっと言えば通産省さんが所管している方の消費者信用、そっちの方は十八兆八千億なんだけれども、大蔵省が所管している方の消費者金融の方は二十五兆三千億になってきているわけです。それを合わせて四十四兆産業ですよ、消費者信用産業というのは。ここのところを、これからさらにニュービジネスとして開発していく場合に、しかも若者がターゲットになっていくという。若者には返済能力がないという若者もある。こういう問題を大蔵省も黙っていてはいけないというふうに私は思うんですけれども、何かここに歯どめをかける手はありませんか。もう一度伺います。
  173. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) まず第一に、クレジットカードの利用という観点から見ますと、五十万円というのが一般的でありますが、その中でキャッシングの利用枠二十万から三十万というのが、カード会社によって若干異なりますけれども、キャッシングの利用枠、内枠といたしまして二十万から三十万という内枠を設けております。残りが物の購入に充てられる余裕枠ということであります。  カード一枚についてはそういうことなのでございますけれども、御指摘のような多重債務を防ぐためということになりますと、いろいろな観点からの考慮が必要だろうと思われますけれども、まず第一は何といいましても、先ほど通産省さんの方からも御指摘のありましたとおり、信用情報機関相互間の活用、情報のチェックをお互いにし合うということであろうと思います。これには、カードを発行する段階で、その発行を申請する者の収入とかそういうものを調べてチェックした上で発行するというのが第一点。それからもう一回は、発行されたカードを使用する段階で、利用時にやはり信用情報を使いましてチェックをしていくというようなこと、これを着実に繰り返していくということだろうと思います。もちろん基本的には利用者の側においても節度ある利用ということがあるだろうとは思いますけれども、業界側から考えた場合には今申し上げたようなことが考えられるのではないかというふうに思っております。
  174. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 なまぬるいと思いますよ、そういう答弁では。  文部省来ておられますか。——私は六十一年十一月に塩川文部大臣に、カード化時代の学校教育における消費者信用をどう教育していくかという問題を取り上げました。そして、大臣は大変前向きにこのことを取り入れてくださって、六十二年には実態調査をしてくださった。その数字が来ておりますが、それによると小学生でクレジットカードを持っているのが〇・一%、中学生で持っているのが〇・三%、高校生になるとクレジットカードを持っている生徒二・八%、こういう数字が出てきておりますね。大変敏速に調査をしていただいたと思って感謝いたしておりますが、しかし感謝だけしてはおられない。こういう実態が出てきた限りにおいては、やはり学校でもこうした教育を真剣にやっていかなければならない。  こういうことで、先般出されましたところの新指導要領にも既に平成四年からの分がずっと組み込んであることを私も知っております。そのことは時間がないので聞きませんが、一つだけ気になるのが、大学生の持っている大学生の学生証書の裏側がクレジットカードになっているというような、こういう併用しているカードをつくっている学校が何カ所かあるように思うんです。既にテレビや新聞でも話題になっております。こういう問題については文部省当局ではどういう御指導をなさいますか。
  175. 喜多祥旁

    説明員(喜多祥旁君) 御指摘の件につきましては、詳細を把握いたしておりませんが、幾つかの大学におきまして実施されていると承知いたしております。カード化によりまして、買い物のクレジットによる決済のほか、授業の出欠や図書館の貸し出しの管理なども行っているようでございます。なお、学生であることを考慮いたしましてクレジットの利用限度額を低く抑える、例えば五万円程度に抑えるというような配慮がなされているというふうに聞いております。いずれにいたしましても、各大学におきます教育的判断、それに基づいて行われていることであるというふうに考えております。
  176. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 大学が何か親権者の役を果たすようなことにもなりかねないわけですよね。私は大学の名前も知っておりますし、その大学が提携している信販も知っております。しかしこういう場で言うべきではないと思うが、現存しております、そういう大学が。ですから、その実態が今後どんなになっていくか私は見守っていきたいというふうに思うんですけれども、明らかに若者をねらったカード化社会だというふうに私は思います。そして最終的には、恐らく子供たちに現金感覚がなくなったから子供たちがどうしようもないんだ、こういうところに落ちがいきかねない。今の両省の答弁を聞いていますとそうなりかねない。そうしたら、やっぱり教育現場でも、一体消費者信用とは何か、そのカードの裏にどんな社会的契約が結ばれているかということをはっきり認識させる教育が今後実に必要なテーマになってくるだろうというふうに私はお訴えをしたいと思いますので、よろしくカリキュラムの実践方をお願いしたいと思います。  時間があればもうちょっと文部省さんともやりとりしたいのでございますが、最後に、両大臣お並びいただいていて大変恐縮でございました。大きな声でいろいろ申し上げたのでございますけれども、私は消費者問題を長年やってまいりまして、先般十八、十九でございましたか、本年度の全国消団連大会が開かれました。そのときにも実は、こうしたカード問題がことしは大きな一つの社会的現象、そして消費者問題への新たな課題として大きく取り扱われました。そしてそこに、こうした問題の解決に当たっていてなおかつ解決ができないことを訴えられた弁護士会の先生方がたくさん御参加なさった非常に特色あることしの消団連大会でございました。  そこでお伺いをいたします。今いろいろ実情を申し上げましたけれども、カード化社会の中の本当のクレジットカードの若者の一つの側面だけを今知っていただいたわけでございまして、カード化社会がこれから進展すればするほど、そして先ほど申し上げましたように四十四兆円産業でございますから、この広がりというものは実に大きな 意味を持っているわけです。そこで出てくるさまざまな社会的トラブル、課題というものが今後予想されます。したがいまして、私はそうした問題が顕在化する前にぜひ打っていただかなければならないたくさんの事柄があるだろうというふうに思うんです。今申し上げました多重債務、こういう問題についても、起きてからカウンセリングするのではなくて、その前に何とか手を打つ方法はないのか、こういうふうに思います。  さらには、取り立ての問題が既に起きておりますので法務省にも来ていただこうと思いましたし、犯罪化しつつありますので警察にも来ていただこうと思いました。しかし、余りにも私は時間を持っておりませんものですからきょうはそれもやめたわけですけれども、カード問題一つとっても、消費者問題というのはこうした各省庁に大きくまたがっていっている課題になりつつあります。したがいまして、消費者保護というものをこれから考えていただく場合に、各省庁がよっぽど密接な連絡をとっていただかない限り、消費者というものはやはり依然として私は企業の前には弱いものであろうというふうに思っておりますので、消費者救済について両大臣からお伺いをいたしまして私の質問を終わります。
  177. 松永光

    国務大臣松永光君) 先生の本当に深い、広い御研究に対してまず敬服いたしました。  私は、結論から申し上げますと、先ほど商務流通審議官がお答えいたしましたけれども、通産省の側では、割賦販売法第四十二条の三に基づく指導その他の措置を厳正に行い、かつそういう指導を充実徹底させるということが一つ大事なことだと思いますが、同時に、きょうは時間がなくて文部省のお答えをよく聞けなかったのでありますけれども、まず最近の若者は権利意識は相当あるようでありますけれども義務意識はどれだけあるのだろうか。借りたものについては約束の利息をつけてきちっと払うという義務があるわけでありますから、そういう義務意識が欠けている人あるいは薄い人がたくさん育ちつつあるんじゃないかな、こういうふうな感じも持ちましたし、また自分自身の生活設計といいましょうか、そういったものについての思慮分別の不十分な人間が多くなりつつあるんじゃなかろうか、そういう感じを非常に強く受けました。これは文部省にも非常に深い関係があると思うのでありますが、とにかく関係省庁力を合わせてそれぞれの対応策をきちっと打っていく必要があるというふうに思ったわけでございます。
  178. 高原須美子

    国務大臣高原須美子君) 私も一消費者といたしましてクレジットカードを使ったりしておりますけれども、やはりこれはある意味では消費者の利便の向上が図られるということで今先生指摘のように大変普及してきていると思うんです。そうしますと、一方ではどうしても消費者トラブルというマイナス面が出てきて、御指摘のようにいろいろな問題が発生してきていると思います。  そこで、私はやはり、このクレジットカードに関する消費者被害が起こってからではなくて、まず防止するということが基本的に大事だと思いまして、それにはまず、通産省の方の御答弁にもありましたけれども、事業者の方が適正な信用供与を行うという必要性が強調されなければならないのではないかと思います。それとあわせまして、防止をするには事前に手を打つということで、消費者に対する情報提供を十分に行い、さらに消費者教育を積極的に行っていくということが大事だと思います。そこで、各省庁手を取り合ってとおっしゃいましたけれども、国民生活審議会の方からも御要望申し上げまして、文部省の方で学校教育にも消費者教育を取り入れていただくということになっております。今先生のお話を伺っておりますと、若者に被害が広がっているということでありますとますます学校教育での消費者教育の必要性というのが痛感させられたわけでございます。  経済企画庁といたしましては、今後とも、国民生活センター、全国各地の消費生活センターなどを通じまして、クレジット被害の未然防止を図るための情報提供を積極的に行っていきたいと思いますし、それから、おっしゃるように消費者問題というのは時代とともに変わってまいりまして、クレジット問題が大変大きくなってきておりますので、時代の変化に合わせた消費者教育ということも展開していきたいと思っております。
  179. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 終わります。
  180. 諫山博

    ○諫山博君 北九州で建設中の白島国家石油備蓄基地、これが昭和六十二年の二月三日に一部崩壊しました。被害は約三十億円です。日本共産党は、この海域の海象、気象条件からいっても、あそこに備蓄基地をつくるのは不適当だ、さらにこのプロジェクトが初めから黒い霧に包まれて出発しましたから、この点からも反対、この計画はやめるべきだということを主張してきました。この間の崩壊事故というのは、我が党の指摘が正しかったということを裏づけました。  参議院の商工委員会で我が党の市川正一議員が、この機会に政府は備蓄計画をやめるべきだということを要求しましたけれども、石油公団はことしの九月、白島石油備蓄基地再開という方針を決めました。その理由として、補強対策を講ずれば十分な安全性を確保することができる、こう言っているようですけれども、これは結局のところ、以前言われていたような、現在の工学水準で推定され得る限り百年間は安全だという計算が確認されるということだろうと思いますけれども、再開方針を決定した根拠ほどこにありましょうか。
  181. 黒田直樹

    政府委員(黒田直樹君) ただいま先生指摘のように、白島の石油備蓄基地でございますが、六十二年の二月に被災に遭いまして、その直後に石油公団に白島国家石油備蓄基地計画対策委員会を設置いたしまして、石油備蓄基地に関連いたします各界の最高の英知を結集して原因の把握あるいは今後の対応策につきまして検討をしてまいったわけでございます。  御指摘のように、九月の初めに白島国家石油備蓄計画対策委員会の報告が出されております。防波堤に裏込め等を行うことによって補強対策を講ずることによりまして十分な安全性を確保することが可能であるという報告が取りまとめられているわけでございます。  ただいま先生百年云々というお話があったわけでございますが、百年の再現期間というのは、現在港湾の施設の技術上の基準にのっとりまして、そういうベースで検討が行われているわけでございますが、いろいろな新しい設計条件についての技術の進歩等を踏まえまして、また安全性についても十分な余裕度を持たせました補強対策が検討されたわけでございます。その結果を尊重いたしまして石油公団としても再開の方向を決定したものと承知いたしているところでございます。
  182. 諫山博

    ○諫山博君 崩壊する前にも同じようなことが言われております。現在の工学水準で最高のものだ、百年間は安全だということが強調されましたけれども、実際は工事が始まるとすぐに波にさらわれて崩壊した。これが現実です。今枝術は日進月歩です。気象条件は急激に世界的に変化しつつあります。そういう中で、百年は大丈夫だと言われてみても、とてもそうでございますかと安心するわけにはいきません。  この白島基地計画の中で一番危険だと言われているのは、白島東方の、泊地造成中の海域からさらに北に向けて沖合八百メートル、水深三十二メートル、ここに建設されようとしているシーバースです。これは完全に外洋の真っただ中に孤立をしています。しかも、これはまだ建設には入っておりません。この間の大波の被害は受けなかったわけです。  この問題で、白島と同じようにシーバースが外洋に面して立地されているところが日本にはありますか。
  183. 黒田直樹

    政府委員(黒田直樹君) 出光の苫小牧の例がございます。
  184. 諫山博

    ○諫山博君 苫小牧臨海工業地帯というパンフレットをいただきました。この中に、苫小牧でどういうふうにどういう場所にシーバースがつくられ ようとしているかということが表示されていますけれども、あの玄界灘の荒波とは全然違います。しかもこれには太平洋側が防波堤で遮られています。つまり、ああいう地域であっても防波堤をつくらなければ安全性が保障されないというわけでしょうけれども、白島の場合にはああいう海域ですから防波堤をつくることも不可能です。ここに十万トン級のタンカーが離着桟するという計画がつくられております。苫小牧が防波堤までつくらないと安全性が保障されないというのに、どうして白島の場合には防波堤もつくることができないようなところにこんなものをつくるんでしょうか。
  185. 黒田直樹

    政府委員(黒田直樹君) 補強対策の中身、今詳しく御説明いたしませんでしたけれども、シーバースにつきましても、今回、自然条件あるいは海面の利用、海上交通等を利用いたしましていろいろな条件を考えながら設計条件の見直しを行っている、所要の補強対策を講ずることにいたしているわけでございます。具体的には、デッキの位置のかさ上げでありますとか、あるいはジャケットの部材の関係とか肉厚、あるいは基礎くいの関係、根入れ長等を変更することといたしているように承知いたしております。  一方、今離着桟等の問題がございましたけれども、国家石油備蓄基地というのは、当然のことでございますけれども、緊急時に備えて石油を備蓄することを目的としているわけでございまして、恒常的に石油の受け払いをするものではないわけでございます。シーバースの利用につきましては、気象、海象の良好な条件のときを選んで使用することにいたしておりまして、海上保安庁の御指導によりまして、離着桟の限界を平均風速毎秒十メートル以下、あるいは三分の一有義波高で言いまして波高が一・二メートル以下ということで定めまして、それを超える荒天時にはタンカーの着桟はしないという予定でございます。また、今後これが実現いたしました場合に、荷役中もオイルフェンスで囲むと同時に、所要の安全対策を講ずることと考えております。また、荷役後は配管中の油を抜き取りまして、漏油事故が起きないように対処することといたしております。
  186. 諫山博

    ○諫山博君 通産大臣質問します。  この計画は、全体で五百六十万キロリットルの膨大な量の石油を備蓄するという内容です。かつてアラスカで大問題が起こりましたけれども、あのとき流出した油は五万キロリットルです。ここは関門海峡のすぐ近くで、もしここで油が流出をすれば間違いなく瀬戸内海は死の海になります。日本海も大変な状況になります。今最高の工学技術水準ということが強調されましたけれども、事故が起こる前にも同じことが言われたんです。同じことが言われながら、簡単に波でさらわれたということですけれども、もしこれが完成しているときにこうなったらどうなるだろうかということで、本当にみんなぞっとする思いだったんです。こういう危険性の伴うもの、とりわけ最近は異常気象ということが世界的な議論を呼んでおりますけれども、こういうことを考えると、この計画は今壊れている機会にもういっそのこと中止してしまうべきではないか、私はそう思いますけれども、どうでしょう。大臣に意見を聞きます。
  187. 松永光

    国務大臣松永光君) 工事中はもちろんでありますが、完成した後もとにかく絶対安全ということが前提になるわけでありますが、今回は、被災を教訓として我が国最高の水準の英知を結集して、二年半にわたり慎重かつ徹底的に検討した結果、補強対策を講ずることで十分安全性が確保できる、こういう専門家の意見でありますので、その意見に基づいて工事を再開することが適当だというふうに判断をしてそうすることにしたわけでございます。
  188. 諫山博

    ○諫山博君 百年間は安全だそうですけれども、残念ながら百年後には我々はだれもいないと思います。その点では確認できないことが残念です。  もう一つここで問題なのは、日立造船とか間組とか新日鉄というような大企業と結びついたブローカーが非常に暗躍して幾つかの刑事事件が起こりました。そして、今刑事事件で被告人とされている人が砂利の納入を行っている。そして、利権絡みの疑惑に満ちていた人たちがこの事業を推進する中心になっているというのがこの問題のもう一つの特色です。  その中で、白島石油備蓄株式会社が発足したその日に白島洋上石油備蓄基地管理会社が発足しました。この中心人物になったのが、地主家主協会という政治団体をつくって、現在理事長におさまっております。地主家主協会というのを調べてみますと、自民党の議員さんに随分政治献金をしていますね。例えば昭和六十二年に天野光晴氏に百万円の寄附。同じ年、中川秀直氏のパーティー券百万円購入。昭和六十三年、熊川次男氏のパーティー券を百万円購入。つまり地主家主協会というのはこういうことをしているれっきとした政治団体です。そこで掲げている目的というのは、借地借家法の改正です。天下の悪法だからこれを改正する、これが設立の最大の目標です。  ところが、経済企画庁の原田対策官という人がここの講習会に出ていって講演をしています。この講演の内容が地主家主協会の機関紙に載っていますけれども、驚くべき内容です。驚くというよりか、私はあきれました。例えば、借家法というのはばかな法律だ、あんなものは廃止せよ、こういうことを地主さん、家主さんの組合で放言しています。法務省、これは政府の方針どおりですか。
  189. 寺田逸郎

    説明員(寺田逸郎君) 御指摘になりました借地法、借家法、これは別個の法律でございますが、それぞれ借地関係の安定、借家関係の安定を目的としてつくられている法律でございまして、大正十年に制定されたものでございますが、今日もなお有効性を有していると基本的には考えております。ただ、それから半世紀以上もたっておりまして、さまざまな社会経済情勢の変化から見直すべきところがあろうというところで、現在、昭和六十年以降、法制審議会におきまして見直し作業を続けさせていただいているところでございます。
  190. 諫山博

    ○諫山博君 これはばかな法律で、廃止すべきだという方針が政府にありますか。
  191. 寺田逸郎

    説明員(寺田逸郎君) 結論から申し上げますと、現在それを全部廃止するというようなことは、見直し作業を行うに当たりまして念頭に置いているわけではございません。先ほど社会経済情勢の変化と申し上げましたが、現在情勢の変化によりまして多様な借地借家関係が求められている。少し現在の規制では硬直化し過ぎるのではないかというような御指摘が多くございますので、そういう見地からも見直しを進めていこうと考えてはおりますが、全廃までは考えていないところでございます。
  192. 諫山博

    ○諫山博君 この講演の中に、「新たに契約するときに、借地・借家法をなくせばいいと思う。すなわち、新契約時に、借地・借家法を適用しないことをやればよいわけだ。」、こう言っています。こういうことが今の法律上可能ですか。結論だけ言ってください。
  193. 寺田逸郎

    説明員(寺田逸郎君) 現在の法律のもとでは、法律の適用関係を契約でもって定めることはできないのでございます。ただし、その法律が任意法規でございまして、当事者の合意によってその法律の規定と別の内容の法律関係に入るということは民事法上可能ではございまして、契約によって法律の規定を変えるという趣旨の仮に契約ができたといたしますと、その内容を今申し上げました任意法規を逃れる合意だということで理解できなくもございません。ただし、借地借家法の場合には多くの強行法規がございまして、これは当事者の合意によってはその法律の規定の適用を免れるということのできない趣旨のものでございますので、結論から申しますと、完全にそのような合意の効力が認められることはないということになります。
  194. 諫山博

    ○諫山博君 経済企画庁長官にお聞きします。  これは、あなたの部下が政治団体にのこのこ出かけていって地主さん、家主さんに対して講演した内容です。発言の内容は明らかに政府の方針と 違います。法律にも反します。借地法、借家法というのは、例えば正当な理由がなければ明け渡しを要求できないというような規定を契約によって逃れることはできないわけです。ところが、地主さん、家主さんに対して、新しい契約をするときにはこんなばかな法律は適用しないようにしたらどうかとけしかけているわけですね。公務員としてあるべからざる姿だと思うし、この点は極めて重大なことを放言していると私は思いますけれども、長官はどうお考えですか。
  195. 勝村坦郎

    政府委員(勝村坦郎君) 事実関係につきましてまず私から御説明させていただきたいと存じます。  ただいま御指摘の原田市場開放問題苦情処理対策官の発言というのは、確かに御指摘のような形で地主家主協会新聞というものに載っております。ただ、この発言は、十月二十四日であったと思いますが、本人が休暇をとりまして、それであくまで一人の経済分析家としての個人的な見解を述べたということでございまして、政府の方針をここで公人として説明したという性格のものでは全くございません。
  196. 高原須美子

    国務大臣高原須美子君) 事実関係は今担当の局長が申し上げたとおりでございます。  私といたしましてというか、経済企画庁といたしましては、借地及び借家法につきましては、昨年六月に閣議決定されました総合土地対策要綱においても早期に結論を得るべく見直しを推進しているところでございますし、また、現在、先ほどの御答弁にもありましたように、法務省の法制審議会でも検討中であると聞いております。この借地借家法等の変更というのは、経済性だけで考えるべきではなくて、国民生活に重大なる影響を与える法律でございますので、そういった実態を踏まえまして国民の住生活の充実につながるように多面的な観点から検討がなされるということが企画庁としては望まれると思っておりますし、私個人借家人でございますので、国民生活に与える影響の重要性については十分承知しておりますので、そういうことを考えながら今後の検討が進められていくべきだと思っております。
  197. 諫山博

    ○諫山博君 今借地法、借家法の改正が論議されていることは私もよく知っています。問題は、現役の公務員が、しかも経済企画庁の重要な役職の肩書をつけて政治団体に出席して、そこで法律に反する発言をするし、政府の方針にも違うことを言う。これはけしかけているわけですよ。家主さん、地主さんに対して、契約をするときにはこういう法律は適用しないようにしなさい、こういう指導、助言かどうか知りませんけれども放言ですよね。これは許されないんじゃないですか。経過は私もよく知っています。あなたは大臣じゃないんですから、長官に答弁してもらいます。
  198. 高原須美子

    国務大臣高原須美子君) この件は、先ほど事実関係の説明で申し上げましたように、本人が正規の手続で休暇をとりまして個人、私人として講演を行ったものでございますので、その内容の是非を私としては云々するのは差し控えたいと思います。
  199. 諫山博

    ○諫山博君 私、人事院規則を持ってきましたけれども、もう読むまでもないでしょう。休暇をとればどんなことを言ってもいいというものじゃないでしょう。これは皆さん方からいろいろ今の長官の発言に批判の声が出たことを見ても明らかです。よくこの点は反省していただきたい。経済企画庁ぐるみで反省していただきたいということを要望して、次の問題に入ります。あなたの答弁いいです。  今産業廃棄物の不法投棄が全国的に大問題になっています。福岡県でも若宮町というところで膨大な産業廃棄物が放置されていることが発見されて、福岡県議会で大問題になりました。先日、福岡県議会で全員一致で政府に対する意見書を出しております。福岡県知事からも同じような意見書が出ました。  問題というのは、十八リットル缶約一万本、二百リットル缶約五千本、そのほか古タイヤとかあるいはプラスチックの廃品とか、山のような産業廃棄物が放棄されている。そのために下の方にある農業用のため池にさまざまな危険な廃液が流れ込んだ。その中にはトリクロロエチレンも検出された。こういう問題です。福岡県は処理業者にこれを処分させようとしましたけれども、処理業者は小さな業界でもう事実上倒産状態、そのために処理業者だけではこれが始末できないという状況になっています。そのために膨大な産業廃棄物が放置されたまま。  そこで、排出事業者がいるわけですけれども、排出事業者は既に二十数社特定できたようです。この中にはJRも含まれているたくさんの大きな企業があります。ただ問題は、排出事業者にこの膨大な産業廃棄物を取りのける責任があるのかどうか。どうも現行法ではそれがないようです。そこで県ではいろいろ排出事業者にお願いをして、何とか処理してくれないかということを頼んでいる。中には引き受けてくれたところもあるようですし、うちには法律上責任がないんだという事業者もあるようです。法律によりますと、排出事業者が処理業者に委託をしてしまえばもうそれで責任は終わるというような仕組みのようですけれども、この仕組みにメスを入れない限り産業廃棄物というのはいつまでも解決できないということが自治体でも言われているし、私たちもそう思います。  この問題で、衆議院の寺前巖議員が詳細な質問主意書を出しました。その一つは、排出事業者に対してもっと責任を厳しくすべきだ、そのためには法改正も検討すべきだということがありますけれども、この点については厚生省どうお考えですか。    〔委員長退席、理事一井淳治君着席〕
  200. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) ただいま先生指摘の排出事業者の責任の件でございますが、現在の廃棄物処理法、御案内のとおり、法律の第十九条の二というところで適正な委託基準が法律で定まっているわけでございますが、その適正な委託基準に従って行われない結果不法な処理が行われたというとさには、その支障の除去あるいは発生の未然防止のために必要な措置を講ずべきことを知事が命ずることができることになってあるわけでありますが、この委託基準の違反の立証というのは大変難しいというのが実情でございます。  したがいまして、私どもその御指摘のようなケースの場合には今後の検討課題というようなことで考えているわけでありますが、ただ、現在の措置命令が履行されないケースのような場合におきましては、以前にもございましたが、行政代執行に従いまして都道府県知事等がみずから措置を実施することもできるというような道もございます。また、そういうような道で対応したケースもございます。それからまた、民事的な解決方法で当事者同士の解決にゆだねていくという方法もまたもう一つございます。さらにはまた、現在都道府県には産業廃棄物の協会というものがたくさんできておりますが、そういう中でこういうような問題の処理のために特別の基金をつくってそれに当たる、こういうようなことも現に行われているわけでございます。  このように多様な対応が講じられてきておるわけでありますが、なお原状回復等のための制度の創設等の問題につきましては、各方面からいろいろと指摘されているわけでございます。したがいまして、これらの制度の必要性あるいは合理性を慎重に検討する必要があると考えておりますが、今後の私どもこういった問題への対応の大きな検討課題一つとして対応してまいりたい、このように考えております。
  201. 諫山博

    ○諫山博君 一番典型的に進むのは、自治体が処理業者に撤去を命ずる、ところが処理業者がなかなかそれをしない、そのために自治体が行政代執行で自治体自身の手で取りのける、その費用を処理業者に代償請求する、こういうことだろうと思う。ところが、肝心の処理業者が倒産するということになりますと、自治体は代執行はするけれどもその費用を処理業者から回収できない、こうなりますね。その場合に、自治体がその金を負担す るのではなくて、排出事業者にもっと責任をとらしたらどうかというのが問題提起です。  排出事業者というのはみずから産業廃棄物をつくった責任者です。そして、今の法律では排出事業者がみずからの責任で産業廃棄物を処理するというのが大原則になっています。ところが、どうも資格のある委託業者に委託をしてしまえばそれで責任が逃れるというような状況ですから、私が要望したいのは、排出事業者の責任をもっと広範に規定してもらいたい。寺前議員の質問主意書によりますと、とにかく最終的に産業廃棄物が処理されてしまうまで排出事業者の責任を規定すべきではないかという指摘です。これはどうしても立法措置が必要だと思います。  なお、次の点をつけ加えます。  若宮町で産業廃棄物等対策特別委員会というのがつくられました。そこで藤島という議員が委員長になっていますけれども、彼が何とかして条例で業者の責任を厳しくしたいという努力をしたようですけれども、そこに大きな壁があって実現できなかった。その壁というのは法律だ。法律で排出事業者の責任をそこまで規定していないから、条例でそれ以上厳しい規制はできないだろうということだそうです。  ですから、この際、これほど大きな問題になっているんですから、法改正を検討したらどうですかという提案です。
  202. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) 現在の法制度、一般論でございますが、基本的には原因者がすべて責任をとるというのが基本の考えでございます。廃棄物処理法では、原因者として考えられますのは排出事業者、あるいはまたその処理業者がそれに当たるわけでありますが、法律的には排出事業者あるいは処理業者、これは許可というものを受けた業者でございます。それぞれについて法的に明らかに責任範囲を実は定めているという実情がございまして、この点については、自己の管理の範囲外のいわば独立した第三者の行為について法的に責任を負わすということが現在の一般的な法制度の中で可能かどうか、大変これ大きな問題であろうというふうに考えております。  したがいまして、私ども、各方面から産業廃棄物の不法投棄されたもののいわば撤去をどのような形で実施していくかということについて、先ほどお話をさせていただいたようないろいろな手だてを現在考えながら、その中で先生指摘のようなことも当然考えながら今後の課題として対応していく必要があるだろうというふうに考えておるわけであります。
  203. 諫山博

    ○諫山博君 国民感情からいうと、膨大な産業廃棄物が山積みされている、しかもこの産業廃棄物をつくったのは排出事業者だ、JRまで含まれている大きな企業がある。これだけ膨大な産業廃棄物が放置されているのに、産業廃棄物をつくった御本人が知らぬ顔というのはおかしいじゃないかという声です。  もう一つは処理業者の問題です。今起こっている問題というのは、処理能力以上の廃棄物を受託している。これはお金もうけのためにはそうせざるを得ないのかもしれませんけれども、これが不法投棄とか不適正な処理の原因をなしている。だから、処理能力以上の廃棄物を受託するようなことをもっと規制する、あるいは、処理業者は許可を得ることになっているようですけれども、この許可要件をもっと厳しくするという必要があるのではないか。これも立法に対する要求として問題が提起されています。  例えば、福岡県で聞きますと、処理業者が金がないからどうにもならないという問題が出ておりますけれども、そういう場合、処理業者に保証人をつけさせるとかあるいは保証金を積ませるとか、何かそういう方法でもとらない限り処理業者には頼めないなということですけれども、この点はいかがでしょうか。これもついでに申し上げますと、寺前衆議院議員の質問主意書の中に詳しく出ております。
  204. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) 産業廃棄物処理業の許可でございますが、現在の法律の基準では、設備的なあるいは人的な面で能力がなければ許可を出してはならないということになっているわけであります。当然都道府県知事はその点に注意をしながら、許可の申請があった際に厳正に時間をかけてチェックをしているというのが実情であります。  しかしながら、先生指摘のようにいろいろな問題が処理業者をめぐってございます。私どもも、そういったことに関しまして、実は許可要件を強化する方向で、昭和六十三年の一月に、許可に際して人的能力としての一定の講習会等を受講してくれというような指導をしたり、あるいはまた、さかのぼりますが六十一年の五月には許可に期限をつける、あるいは必要な条件をつけるというようなことで厳しく対応してほしいということで指導してきておるところでございます。  もちろん、先生指摘の処理能力の問題でございます設備能力を超えて処理をするということについては、実は処理施設の維持管理基準というのがございまして、この中で、設備能力を超えて処理をしてはならないという規定がございます。そういったところを各都道府県は立ち入り等のいろいろな検査あるいは報告等を徴収することを通じまして、かなり厳正にここのところチェックなりなんなりをしてきているというところでございます。  先生最後に御指摘の財務的な問題につきまして、要件等の問題につきましては、これも実は各方面から私どものところに寄せられている御意見でございます。そういったことも踏まえまして、今後こういった処理業の許可をどう強化していくべきかということは勉強していかなければならない大きな課題一つというふうにも考えております。
  205. 諫山博

    ○諫山博君 最後に通産大臣に一点。  今厚生省に主として答弁していただきましたけれども、産業廃棄物が社会的な大問題だということは議論する余地はないと思います。処理業者の問題もありますけれども、やはり真っ先に取り組まなければならないのは排出事業者にもっと責任をとらせる。つまり、産業廃棄物をつくり出しているのは割合大きな工場ですよね。こういうところが、自分たちが産業廃棄物を出していながら、小さな処理業者に委託すればもうそれで責任は逃れるというような状況ではいつまでたってもこれは解決しませんから、やはりそういう排出事業者にはそれなりの社会的な責任をとっていただくという立場から、何らかの責任を新たに追加する必要があるのではないか。これは通産大臣にお伺いしたいと思います。
  206. 松永光

    国務大臣松永光君) 所管法律じゃないんだがな。
  207. 諫山博

    ○諫山博君 いや、それはわかりますけれども、要するに企業の社会的な責任の問題です、私が言っているのは。
  208. 松永光

    国務大臣松永光君) 他省庁の所管する法律について私からいろいろ言うのは必ずしも適当ではないと思いますが、御指摘の問題について、仮に処理業者が法律に従った処分を行っていない、こういうことであれば関係当局により速やかに法律に定められた対応がとられるんだというふうに思いますが、将来の立法問題については、これは主として所管省庁である厚生省で検討さるべきことであると思いますけれども、私も勉強してみたい、こういうふうに思います。
  209. 池田治

    池田治君 時間も大分遅くなりましたが、大臣もお疲れのようですけれども、通産大臣、ひとつもういっときお願いします。  大店法の規制緩和につきまして、午前中通産大臣の大まかなお考えはお聞きしたんですが、地元商工会からの陳情もありますので、もう少し詳しくお尋ねしますのでよろしくお願いします。  第一番目に、日米構造協議におきましてアメリカ側は、大店法による大型店舗の規制が、輸入品の取り扱いに前向きな大型店舗の進出を阻害し、ひいては輸入品の参入障壁になっているという指摘があったのではないかと言われておりますが、これが本当にあったのかどうか。もしあったとすればアメリカ側はどのような具体的な資料や根拠 によって主張したのか。また、これに対して日本側はどういう態度で対処されたか。この点についてお尋ねします。
  210. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) 先生質問のアメリカの指摘でございますが、アメリカはまさに先生がおっしゃったような言い方をしております。その根拠というか、アメリカといたしましては、やはり一番大きな不満はアメリカの製品が日本になかなか売れない、大変対日貿易赤字が大きいというのを踏まえまして、いろんな措置をやってもなかなか解決しない、どこか流通なり土地問題なり、いろんなそういう構造問題に問題があるんではないかという一般的な認識がございましょうし、かつ、大規模店の設置につきましては一部確かに大変時間がかかるケースもございます。そういう意味で、そういう報道等がアメリカにもなされていますし、アメリカ側としてはその問題を取り上げるのは適当だと思ったんだろうと推測しておるわけでございます。  私どもといたしましては、今先生言われましたアメリカ側の根拠、特に大規模店ができなければ輸入ができないという点についてはいろいろデータも調べております。中小の商店も非常に熱心に輸入をしておられる、あるいは計画をしておられる方もおられます。そういう意味で、必ずしも大規模店だけがそういう輸入をするわけじゃございません。その点の反論ももちろんいたしております。ただ、確かに大規模店がそういうノーハウなり資力なりあるいは人材を抱えているという点から輸入品の扱いが若干多いということはどうも事実でございます。ただ、それによって非常に大きく輸入がふえるかという点については、私どもはそれほど目覚ましいことはないんだろうと思っておるわけでございます。そのような反論はいたしております。  それから大規模店についても、確かに一部大変設置が難しいものもございますが、大規模店の比率もかなり高いところまでも来ておりますし、コンビニエンスストアなり通信販売なり、いろんな業態の販売店もできております。競争も十分できておりますし、参入もできておりますので、必ずしもアメリカの指摘は当たってないというようなことは申しております。
  211. 池田治

    池田治君 ことしの六月に通産省が発表された「九〇年代流通ビジョン」の中では、大店法の運用基準緩和等の措置を省令や通達レベルで行う方針を明らかにされました。これを出されたので、各地でいろいろ商店会の問題が起きまして、静岡県商店会連合会では、「中小商店は大型店進出のあおりで続々と倒産・閉店に追い込まれている。このうえ、大店法の規制が緩和されれば、我々は危機に瀕する。」という決議をしたのもあれば、また愛媛県商工会議所議員大会では、「出店・増床に関する地元への事前説明や事前商業活動調整協議会の審議打切りが、通産省主導の四者協議会(県・市町村・商工会議所・商工会)に委ねられると地方の実情が無視される恐れがあるから慎重な配慮を。」というような要望事項を決議しております。  通産省は当初、九月にはこの省令等の改正をしていこうということを言われていたようでございますが、いまだ実施されていないのはどのような理由によるものかどうか。またいつごろ省令改正をなさるか。その際の大型店と中小小売店との調和、妥協の点はどこに見出すか。難しい問題ですが、お答えをお願いします。
  212. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) 先生今申されましたように、私ども答申をこの六月九日に受けまして、その後関係の省令、通達の準備をいたしておるところでございます。    〔理事一井淳治君退席、委員長着席〕 ただ、実は文書では、文書ではというか、答申では方針を示していただいたんですが、それを具体的に実施するに当たりまして地元の配慮、今言われましたこと、あるいは具体的な手続等、マニュアル的に必要な部分が非常に多くございます。そういう意味で、一つの方針をきちっとした通達にするためにはいろんな方々の御意見も聞かなきゃいけない。私ども今精力的にそういう方々の御意見も伺っておるところです。  かつ、この法律は、御存じと思いますが、憲法で定める営業の自由をある意味で、緩い形ではございますけれども制限している法律でございますが、これに対してさらに地方自治体べースでもまた上乗せなり、はみ出しの規制もしておられます。そのようなことについても、法律的な論点もやはり詰めて、どこまでができるのかというようなことも含めて今勉強をしておるところでございます。大変不手際だとおしかりを受ければ、そういう点は若干ございますが、難しい問題でございます。私どもとしては、長い間使えるというか、数年間は使えるようなきちっとした通達を出すために努力をしておるところでございます。いつごろかという点につきましては、今の時点ではいつということ、大変申しわけございませんが申し上げられませんが、それほど時間かからないで私どもとしてはやりたいと思っておる次第でございます。  調和点という点につきましては、通達の中でも今知恵を絞っておるところでございますが、大規模店と中小店の利害の問題あるいは消費者と商店街、どういうふうにもっていくかという問題、あるいは物価との関係をどう考えるか、いろんなことを考えて調和点を見つけるために、かつその中で大規模店と中小店が協調していけるような仕掛けができるかどうかとか、そういうふうなことも含めて勉強しております。かつまた、中小企業庁の施策でございますが、商店街なり中小商店の意欲のある方々に対する助成措置というようなこともあわせて今後考えていく必要があると存ずる次第でございます。
  213. 池田治

    池田治君 その点、非常に小売商、商店街は気にしておりますので、よく検討して改正をしていただきたい、こうお願いいたします。  次に、中小小売商業対策予算についてお尋ねしますが、六十年度の中小企業庁小売商業課が行っている商店街の実態調査によると、小売商は停滞しているとか衰退していると回答された商店が四十五年度に六〇%、五十年度六八%、五十六年度八七%、六十年度八九%、そして十五年間の間に二九%もふえております。今や小売業の大半は商業活動の継続をもうあきらめるんじゃないか、こう言われるような状態になっていますが、通産省はかなりの中小小売商業対策予算を持ちながらなぜこういうような結果になるのか、予算のむだ遣いではなかろうかと私は思いますが、この点通産大臣はどうお考えですか。
  214. 見学信敬

    政府委員見学信敬君) 中小小売業者の方々というのは、地域経済発展とか消費生活の充実を図る上で非常に重要な役割を果たしているわけでございまして、御指摘のような、商店街がやや衰退感を感じている、あるいは横ばいであるというようなことで、伸びがないというようなお考えのところが多うございます。また、実際の商店数におきましても、五十七年から六十三年にかけまして実は十万店舗も減っているという実態でございます。  現在の経済情勢その他において、その商店街の中で統一的な同じ方向へ持っていこうという意気込み、そういったものに乱れが出てきたり、いろんな問題が生じてきているのが背景にあろうかと思いますが、基本的には、申しましたように重要な役割を果たす商店街でございますので、今後とも安定的な発展を図るべく予算その他の充実を図っていきたいと思っている次第でございます。
  215. 池田治

    池田治君 抽象的な表現ですが、一生懸命やってむだ遣いせぬようにお願いします。時間があればもっと詰めるんですけれども、時間がありませんので、次に移ります。  中小商店の事業承継につきまして、中小企業、中小商店は労働力不足ということも加えて今事業の後継者難にも直面しております。その大きな要因は、たくさんあるでしょうが、私は贈与税、相続税負担の問題も一つの要因だと考えております。昨今の地価高騰、上場株式の高騰等は贈与税、相続税にも大きな影響を及ぼして、普通のうちですと三代相続すれば一家の財産はなくなると 言われておりますが、商店街においては一代相続すればなくなる、こう言っても過言でないような状態でございます。そこで以下の点についてお尋ねします。  まず、事業用資産の生前贈与における優遇措置、この点につきまして、事業用資産を後継者に円滑に相続させることは小売商にとって最も重要な課題であります。農業においては、農地所有と農業経営の不可分性という点もあって、生前贈与税納税猶予制度が講ぜられております。中小企業におきましても、事業承継の円滑な促進という点からは、一定の条件、一定の範囲においては、かかる猶予制度も考えられるんですが、この点大蔵省にもお尋ねせにゃいけないんですが、通産省はそういう考えはございませんか。
  216. 松永光

    国務大臣松永光君) 中小零細企業対策として相続税負担の軽減を図るということは非常に大事な施策だというふうに考えまして、前々からいろんな努力をしてきたところでありまして、昭和五十八年に中小零細企業者の承継について一定の優遇といいますか、改善措置がなされ、昨年の税制改正につきましてもさらにそれに上乗せした改善措置が出されました。  そこで、ことしの暮れに向けて平成二年度の税制についての要求を我々は大蔵省に出しておるわけでありますが、同族会社の場合の株の相続をした場合の特別措置、これをさらに強化してもらいたい、これが一つ。もう一つは、今先生指摘の個人事業者の事業用土地の相続の関係で、生前一括贈与の場合の贈与税納税猶予制度の創設、これも大蔵省に実は要求しておるわけです。しかし、非常に厳しいようであります。  今先生指摘のように、農業の場合にそれがなされておるのになぜ商工業の場合にそれができないのかということなのでありますけれども、農業の場合には、農業基本法に法律がございまして、直接の法律じゃありませんけれども、農地の細分化を防ぐ措置をすべしという規定があるものですから、それとの絡みで、それにまた農地の場合には譲渡等について許可という別の手続がありますから、そこでチェックができるということ等もありまして農業の場合には実施されているわけであります。  商工業の場合にはそういう農業基本法のような法律もまだありませんし、そしてまたチェックができないという面があるわけであります。もし、商工業用の宅地について贈与税を猶予する、そのかわり猶予された税について何らかの担保措置をその土地についてつけるならば、かえって商工業者のためにはならぬという問題等もありまして、いかにしてチェックできるかという問題等もあるものですから非常に難航しているというのが現状でございます。我々の希望としては、この制度などもぜひ創設できればと、こう考えて要求しているところでございます。
  217. 池田治

    池田治君 通産大臣も御苦労されているようですが、小売商にとりますとこれは生活権の問題でございますので、ぜひその点について強力な施策をお願いしたいと思います。  例えば株式の評価方法も、一見個人商店のようでも今は株式会社組織をとっている商店が多うございますので、このような株式会社におきましては、個別承認方式というアメリカでとっているようなああいう制度をとれば株式評価が安く評価されて相続税が助かるのではなかろうか、こう考えております。それから、事業用資産か事業用資産でないかということの特定が難しいということですけれども、これは商店へ行ってみれば大体わかるわけですから、これは大蔵省がけちをつけているだけで、実際はそれほど難しくないんじゃないですか。もうちょっと通産省頑張ってやってくださいよ。最後にお願いしておきます。
  218. 松永光

    国務大臣松永光君) 同族会社の株式の場合には、先生御存じと思いますけれども、現行は類似業種比準価額の価格を出して、それの三〇%に減額してその株式の評価をする、そして全部についてできるわけじゃないんでその半分だけをする、こういう仕組みでありますが、我々が要求しているのは、類似業種比準割合の適用割合を現行の五〇%から一〇〇%に上げてくれ、それから類似業種比準価額の減額割合を現在三〇%のところを五〇%に上げてくれ、こういう実は要求をしておるところでありまして、これも大いに頑張っているところなんです。  今の事業用の土地の場合には、農地の場合には、先生指摘のとおり譲渡等は許可にかかっているわけでありますからそこでチェックができるわけでありますが、そうでない宅地等の場合、事業用の宅地については売ろうと思えばいつでも売れてしまうわけですね。そういった点で、どこでチェックができるかという問題が一番大きな問題だと思われます。ならば、相続税を猶予されているわけですから、その猶予された税額について担保権でも設定すればどうかという問題があるわけでありますが、それではむしろ事業者が困るわけでありまして、そこらあたりが非常に難航している点でございます。
  219. 池田治

    池田治君 農業用資産でも売れば同じことですよ。どこへでも売れますよ。ただ農地法上の制限がついているというだけでございまして、仮登記をしていれば売れるわけですから。だから、農用地については事業用資産の特定が簡単だけれども商業はできない、こういう論理は当てはまらないと思うんです。これは商売に使っているところだけを対象にすればいいわけですから、もしくは倉庫として使用しているところだけを対象にして相続税の除外例にすればいいと思うんです。大臣おっしゃるのは、売買すれば困るというような観点ですので、どうも理解できないんですが、お願いします。
  220. 松永光

    国務大臣松永光君) 向こうさんがそう言っているということなのでありまして、私どもとしてはやりたいところなのでありますけれども、向こうさんの言い分を一、二言ったわけです。その他いろいろ言っておるわけなんです、向こうは、農業の場合には農業基本法があるよと。こちらの場合にはそういう法律がないということ等もありまして、向こうさんがそう言ってなかなか難航している、こう申し上げたわけです。
  221. 池田治

    池田治君 どうもありがとうございました。
  222. 西川潔

    西川潔君 いよいよ最後でございます。どうぞよろしくお願いいたします。長時間にわたって本当に皆さん御苦労さんでございますが、五時間半座らせていただいて、あと十八分でおしまいでございます。一生懸命頑張ります。素人でございますので、決算委員会は初めてでございますので、ひとつわかりやすくお願いいたします。  まず、経済企画庁長官にお伺いしたいんですが、ことし七月に経企庁の民間活力活用に関する研究会の中間報告が出されました。その中で福祉の分野における民間企業の活用について触れられておりましたが、今後福祉における民間活力の活用についてどのようにされるのか、どのようなお考えなのかというのをひとつわかりやすくお願いします。
  223. 高原須美子

    国務大臣高原須美子君) 今御指摘の中間報告では、今後の福祉サービスの供給につきましては、政府が必ず行うべき分野を除いて、「民間による供給を出来るだけ取り入れていく方向に進むことが望ましい」としております。これは、近年国民の福祉に対する需要が大変増大し、同時に多様化してきておりまして、これに的確に対応していくには民間サービスの方がきめ細かな対応ができる場合もあるということを理由にしております。  昨年五月に閣議決定されました「世界とともに生きる日本」におきましても、高齢化が急速に進展し福祉需要が多様化していく中で、民間活力の積極的活用などの手段によって、公と民の組み合わせによる「独自の「日本型福祉社会」の実現を図る。」ということを課題としております。その具体的な例として、「シルバーサービス等の民間サービスを健全育成する」というふうに指摘しております。民間研究会中間報告の見解もこうした経済計画の考えと同じ方向を目指しているものでございまして、今後は公的な部門と民間の部門が それぞれの特性を生かし補完しながら、多様できめ細かい福祉サービスを供給していくことが望ましいのではないかと思います。
  224. 西川潔

    西川潔君 厚生省とか労働省とか建設省、そして文部省、いろいろお年寄りに関して僕は勉強させていただいておりますが、経済企画庁として、もう少しお年寄りへのきめ細やかな、こんなことを推進していくんだというようなことの御説明はいただけないでしょうか。
  225. 勝村坦郎

    政府委員(勝村坦郎君) この中間報告の検討の過程では非常に広範な問題、民活の問題を取り扱っておりましたので、福祉分野につきましてさらに細かくどういうような対応をすべきかというところまでは踏み込んで実は検討いたしておりませんが、例えばこういう民活によります福祉サービスの費用調達等につきまして、これはよく言われていることでございますけれども、介護保険とか不動産担保による貸し付けの利用とか、そういう費用調達面でもいろいろ工夫を凝らしていくべきではないかというようなことを提言いたしてございます。
  226. 西川潔

    西川潔君 それでは、最後にお伺いしようと思っておったんですけれども、先に回させていただきます。  例えば入院している患者が在宅介護に移った場合、これからは厚生省も、なるべく病院とか老人ホームには余り行かせたくない、老人保健施設、つまり中間施設でもって、おうちへ帰ってみんなで在宅で楽しく生活してもらうんだということを推進しておられますが、老人介護の面では公的にある程度負担していかないと老人を抱えた主婦の負担はかなりやっぱり重くなる。  実は我が家も八十一、七十六、七十一という両方の親ともう二十三年一緒に生活をしておるんですが、僕らはこうして外へ出てくるんですからそんな負担は余り感じないわけです。でも女房を見ておりますと本当にもう大変なことなんです。ですから、長官のこういうインタビューなどを読ませていただいて本当に感動しておるんです。民間から来ておられる方ですから、特に長官の時代にはこんないいことをしてくださった、こんなことを残して帰ったというようなことのお願いをしたいんですけれども、在宅介護がしやすくできるような経済的なバックアップを経済企画庁としてやるのが必要だという書き物が残っておりますが、これはどういう点をどういうふうにしていただけるんでしょうか。
  227. 高原須美子

    国務大臣高原須美子君) 私も十五年間寝たきりの母を介護いたしまして、一昨年亡くなったばかりでございますので、今御質問ありましたように、そういう要介護者がいる主婦の生活というのは大変厳しいものであるということはよく知っております。でも一方では、今お話がありましたように、やはり老人は在宅で介護されるというのが幸せであるという御老人が多いのではないかというふうに思います。その要介護者をだれが見ているのかといいますと、寝たきりの場合九割までが女性が介護者となっておりますので、主婦の負担というものは大変大きいと思います。したがいまして、そういう在宅で介護に当たる主婦に対しましては社会的な支援のシステムをつくっていくということが非常に大事になってくると思います。  そこで、今経済的な援助というふうにおっしゃいましたけれども、私はそういう経済的な援助というよりも、むしろ在宅でケアしている場合にホームヘルパーの派遣であるとかそういう手助けの派遣、それからいざ困ったときには施設に一時的にお願いできるというような施設ケアの充実といったようなものを、これは厚生省のもちろん分担ではありますけれども、企画庁としても今後積極的に働きかけていきたいというふうに思っております。  それとあわせて、先生は外に出ていらして何もしていらっしゃらないとおっしゃいましたけれども、これからはやっぱり家庭内で夫との分担のし合いということも大事になってくると思いますので、今後労働時間を短縮して夫が老親を介護するというようなこと、あるいは介護休業制度などということの普及を図ることも必要なのではないかというふうに思います。
  228. 西川潔

    西川潔君 ありがとうございました。  なるべく家でも家内のことを手伝うようにはしているんですけれども、余り家で介護の手伝いをしておりますと国会を休まなければいけなくなるものですから、そうすると、おまえ何しているんだということで、本当に痛しかゆし。僕は二十四年間ずっと老人ホームを回らしていただきまして、そういうことはよく現場で見せていただくのですけれども、本当に介護というのは大変でございます。今長官がおっしゃったように、夫の方にも力をかしていただいてというのもよくわかるんですけれども、今おっしゃったように、施設にお願いするにしても訪問看護にいたしましても、嫁、娘、妻という人たちに負担をかける意味においてはどうしても経済的な部分がマイナスになってしまうのですね。  ですから、長官にお願いしたいのは、僕物すごくうれしかったのが、この一行が、経済的に経企庁としてもバックアップをした方がそれはいいんではないかというように読ましていただきましたので、今後ともよろしくお願いいたします。
  229. 高原須美子

    国務大臣高原須美子君) かしこまりました。
  230. 西川潔

    西川潔君 次に、通産省にお願いしたいのですけれども、先日、触れただけでスイッチがオンをして火事になったという、電気コンロのこういう記事が載っておりました。電気コンロのスイッチに体が触れただけで通電状態になる、スイッチオンの状態になるということで、一人暮らし、そしてまたお年寄りの御夫婦だけで暮らしていらっしゃる御家庭、今独居老人だけでも百四十万五千人ですか、いらっしゃると思うんですけれども、そういう方々が火事に遭われたりけがをなさったりしておられるんです。  こういうことでお願いしたいんですけれども、お年寄りの使う、若い人たちもそうですけれども、これからの高齢化社会に向かって、メーカー側にも指導していただいて、一つの基準みたいなものをお考えいただくようなことができないものでしょうか。
  231. 山本貞一

    政府委員山本貞一君) 私ども通産省におきましては、日常生活で用いられる商品等につきまして、消費生活用製品安全法あるいは電気用品取締法といったような法律がございまして、その法律に基づきまして商品の事故を防止する、あるいは消費者の安全が守られるような安全基準を定めて、基準に合致しないものの販売を規制するという措置をやっております。  先生今御指摘の点でございますが、老人用のものにつきましてというか、あるいは特に高齢者用の基準をつくったらどうかという御指摘かと存じますが、私どもとしては、今申し上げました製品安全法に基づきまして製品安全協会というのがSGマークというのを指定しておりますが、そのSGマークの七十数品目の中に、例えば棒状のつえでございますとか歩行補助車とか、あるいは手押し型車いすとか簡易便座といったようなものにつきましては、特に高齢者の方々が使われるということでそういう基準を定めておるところでございます。  ただ、いろんなスポーツ用品なり生活用品、その他一般のものにつきまして、これは高齢者用の基準、これは一般用というのはなかなか今のところ私どもとしては難しいかなというふうに考えておりますので、高齢者が使われる可能性のあるものにつきましては、高齢者あるいは幼児あるいは身体の不自由な方が使われる、そういうことを想定した上で十分そういう場合にも対応できるような基準を定める、そういう考えを持って今運用しておるところでございます。今後さらにそういう点は考えてまいりたいと思います。
  232. 西川潔

    西川潔君 今お話をお伺いしておりますと、現場をずっと回らしていただきましても、自分自身もそうですが、難しいお願いをしているということは重々承知はしておるんです。我が家でも空だきをしたり、おふろもそうですが、台所のお湯も、みそ汁もそうですが、沸騰してガスの炎が消 えてしまってそのままガスが出て、私ども夫婦は年寄りにもう三回ぐらい殺されかけにもなっております。そういうことを身近に本当に感じまして、できたらそういう安全なものが一つでもふえればというお願いでございますので、よろしくお願いいたします。  先日、法務省の方にお願いをいたしまして登記の現場を見せていただきました。最近は本当にハイテク時代と言われておりまして、若い人たちは十二分に使いこなせるんですが、僕はよくお年寄りの大会、そういうところにお招きにあずかりまして、ちょっと潔さん講演してくれないかということでいろんなお話をさしていただくんですけれども、その中で、四十歳、五十歳代の人でもこういう機械を使うのがなかなか難しいということを登記の現場でもお伺いしました。皆さん方がいらっしゃる中で一番後ろを歩きながら、どうですか、本当にやれそうですかと言ったら、若い人ばかりがお仕事をされて、年寄りはだんだん窓際どころか、もう窓の外へ出ているような気持ちで仕事をしているというふうにおっしゃっておられましたですが、まだまだ若い人たちでも、定年制いろいろ問題もありますが、退職されてもすばらしい頭脳、技術を持っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるんですが、なかなかこういう機器を十二分に使いこなせるという方が少ないんです。  ですから、お年寄り向きに、高齢者向きに何か開発していただけるような案がございましたら今お伺いしておきたいと思います。
  233. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 今先生指摘のように、最近の新しい電気機器とかあるいは特にハイテクになりますとなかなか難しいわけです。特に民生用機器につきましては、どうやって使ったらいいかとか、あるいは説明書、そういうのをできるだけわかりやすくということで、私ども、絵を使ったり図を使ったり、あるいは最近ではビデオが入っているのもありますというようなことで、できるだけわかりやすくするようにということでいろいろ指導いたしております。また特にパソコン、ワープロになるともっと難しいわけです。これにつきましては、障害者対応情報機器開発普及推進委員会というのを今つくっておりまして、ここで高齢者とか身体障害者のためにも使いやすいようなパソコンとかワープロ、例えば片手でもできるとか、あるいは手が震えてもちゃんといくとか、そういうようなことも今一生懸命勉強いたしております。  さらに言いますと、二十一世紀に向かってでございますけれども、なるべくお年寄りにも使いやすい機器をどんどん開発して、そういういわゆる情報化というのを使って例えば在宅勤務ができるとか、あるいは在宅で交遊といいますか、みんなでパソコンとかそういう情報を使っていろんな交遊ができる。お年寄りになるとどうしてもリタイアとかあるいは限られた娯楽となりますけれども、そういうのじゃなくてもっと広くいろんな交遊もできるし仕事もできる、そういう社会ができないものかというので、私どもメロウ・ソサエティー構想と呼んでいますけれども、これを現在検討していまして、来年度以降これを具体化していこうというような段階でございます。
  234. 西川潔

    西川潔君 大変楽しみなお答えをいただきましてありがとうございます。  四十九分までということでございますので、もう終わりでございますが、一つだけ。  僕は、人といさかいをするというんですか、バッジをつけてこちらへ参りましたから、揚げ足をとって質問をするというようなことは余り好きではございません。お願いするわけですから、もちろんこちらから頭を下げてお願いすることが常識だと思っておりますが、きのう経済企画庁の方から質問をとりに来られた方が、いろいろと僕は質問書を出しまして、どうすればいいか教えていただきたいんですが、この委員会は初めてでございますのでといろいろお願いしたんです。悪いところがあればそちらの方から御指導もいただければということなんです。これはひとつ悪口じゃなしにお願いをしているんですけれども、来ていただいた方が、うちは縦割り行政だからこの部分はできないというふうにお断りをされたんです。ですから、その縦割り行政というものに僕たちは一つの不満もあり疑問も持ち、そして少しでも縦から横に広がって、そういう情報をいただいて、また一人でも二人でも幸せに暮らしていただける、そういうふうなお力添えをしたくてこちらへ参りました。  ですから、一年生ですから間違いも多々あるかと存じますが、どうぞひとつそういう部分も若い人たちにもお話をしていただいて、よろしくお願いいたします。
  235. 高原須美子

    国務大臣高原須美子君) もしそういうことを申し上げているといたしましたら大変失礼なことを申し上げたというふうに思います。  と申しますのは、経済企画庁は総合調整官庁でございまして、縦割り行政を一番否定しなければいけないお役所でございます。今私など地方へ懇談会ということで消費者の御意見を聞きに回っておりますけれども、日本の行政は縦割りなので企画庁が総合調整をしてほしいというような声もよく聞かされておりますので、そういうことを最も考えなければいけない役所だと思っておりますので、以後そのように努めてまいります。どうもありがとうございました。
  236. 西川潔

    西川潔君 僕ら少数派というんですか、一人でぼつぼつやっておるものですから、一生懸命やりますので、どうぞひとつレクチャーは、勉強は幾らでもさせていただきますので、そういう点はひとつこれからもよろしく御指導いただきたいと思います。  これで終わります。ありがとうございました。
  237. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 他に御発言もないようですから、通商産業省経済企画庁中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算の審査はこの程度といたします。  次回の委員会は十一月二十四日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十九分散会