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1989-12-13 第116回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十二月十三日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  十二月十二日     辞任         補欠選任      古川太三郎君     中村 鋭一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         田代由紀男君     理 事                 大城 眞順君                 北  修二君                 竹村 泰子君                 及川 順郎君                 市川 正一君     委 員                 伊江 朝雄君                 板垣  正君                 岩本 政光君                 大木  浩君                 大鷹 淑子君                 岡田  広君                 鈴木 和美君                 谷本  巍君                 肥田美代子君                 深田  肇君                 村田 誠醇君                 中村 鋭一君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       阿部 文男君    政府委員        北海道開発庁計        画監理官     竹中 勝好君        防衛庁参事官   小野寺龍二君        防衛施設庁施設        部長       大原 重信君        環境庁自然保護        局長       山内 豊徳君        沖縄開発庁総務        局長       藤田 康夫君        沖縄開発庁振興        局長       水谷 文彦君        外務省北米局長  有馬 龍夫君        外務省欧亜局長  都甲 岳洋君    事務局側        第一特別調査室        長        荻本 雄三君    説明員        防衛庁教育訓練        局訓練課長    小林 誠一君        防衛庁経理局工        務課長      鎌田 光治君        防衛施設庁施設        部連絡調整官   佐藤  晃君        外務省北米局地        位協定課長    森  敏光君        大蔵省関税局企        画課長      岡田 康彦君        文部省教育助成        局財務課長    遠山 耕平君        厚生省年金同年        金課長      松本 省藏君        厚生省援護局援        護課長      船橋 光俊君        運輸省航空局飛        行場部計画課長  小坂 英治君        運輸省航空局管        制保安部管制課        長        下里  晃君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査  (沖縄米軍基地整理縮小に関する件)  (新石垣空港に関する件)  (恩納村都市型戦闘訓練施設に関する件)  (沖縄近海における水爆搭載機水没事故に関する件)  (沖縄航空管制権に関する件)  (へき地級地見直しに関する件)  (那覇の対潜水艦戦作戦センターに関する件)  (不発弾処理に関する件)  (強制疎開マラリア遺族補償に関する件)  (沖縄厚生年金格差是正に関する件)  (日ソ平和条約交渉と北方領土問題に関する件) ○継続調査要求に関する件     ─────────────
  2. 田代由紀男

    委員長田代由紀男君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 深田肇

    深田肇君 初めての質問でございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  沖縄問題を中心にして、少し御意見を伺ってみたいと思います。  実は、私は青年時代、一九六〇年代のことでありますけれども沖縄復帰をかけて何度か沖縄痛みを全身の痛みとして考えようというようなことをスローガンといたしまして、いわれるところの渡航申請も当時やりました。ところが、私本人は理由がわからないんですけれども、数度にわたってビザが出なくて、復帰前には沖縄へ行くことができなかったのであります。その際、あの鹿児島の港に立って、行く仲間たちを見送ったりしながら、近い沖縄が大変遠い状況になっているなというふうに痛感したのを今思い出しております。戦争によって、そしてまた日米安保条約によって分断されたことに対して大変な怒りや悲しみを持ったことを今思い出しながら、一、二のことについてお話を伺ってみたいと思います。  実際のところ、復帰後何度か沖縄を訪ねて、この目で見てみたり交流する機会もありました。本土並みということを我々大変スローガンにしたのでありますけれども、実際は本土並みになっていないというように沖縄仲間たちは言いますし、私なんかも本土並みではなかったなというふうに思って今日までおりました。  そういうようなことを感じれば感じるほど、五月十五日という沖縄復帰の日を記念日として、私ども言葉で使います平和行進というので沖縄全体を歩こうということで何度か歩きながら、目で見たり足で確かめて行動したことを感じます。よく沖縄の方が使われる言葉でありますけれども、まさに基地の中にある沖縄だということを実感として味わっておりました。それだけに、あの平和行進をする街頭でお年寄りの方や、特におばあさんたちが私たちに対して強い激励と連帯をしてくれる、中には手を合わせてまで感謝の意をあらわしてくれることについて今再び思い出しながら、沖縄問題の本格的な解決沖縄のまさに振興復風のために頑張らなきゃいかぬということを感じているような状況であります。  以上、そういったことを思い出しながら、まず最初に質問させていただきたいと思います。  復帰後十七年たっておりますけれども、実際問題、いろんな問題でこの同じ日本の中で格差があるだろうと思いますし、まだまだこれから沖縄開発庁がやっておられるような振興開発についての施策が大変必要だろうというふうに思います。十七年かけていろんな意味においての努力をされたことを大変一面では評価しながらも、まだまだ足らぬだろうということも率直に申し上げた上で、まずは現況についてちょっとお知らせいただくとありがたいというふうに思います。  私が感じますことは、今の沖縄の一雇用状況というものはどうなんだろうか、大変厳しいのではないかと思います。失業率もやはり高いんだろうというふうに思います。所得水準も我々本土に比べて大変低いだろうというふうに思いますし、全国的に見ますと大変厳しい状況にあるんだろうというふうに思います。生活保護法に基づく援助をされている方々も大変多いんだろうというふうに思います。  それらのお話を伺いながら、関連しまして、沖縄へ行きますと米軍関係があって道路がいいなんてよく言っておりましたけれども、アスファルトの道路であることは間違いないんですが、それもどうもメーンだけであって、道路行政にしても、実際は交通渋滞など大変なものがある。これだけはまさに本土並みじゃないかと思ったりします。などなどについて、やはりまだまだ解決したり是正していく課題かたくさんあるだろうと思います。  特に、その後の生活の中で感じますことは、やっぱり島という状況がありますから、水の問題が大変大きな課題になってくると思いますので、現況についてまずはお話を伺って、その後ひとつ大臣の方から、どういうふうにこれから沖縄振興開発のためにやられるかについてのお話を伺えればありがたいと思います。
  4. 藤田康夫

    政府委員藤田康夫君) 先生から、沖縄復帰して十七年たったけれども現状がどうなっているのか、まだまだ格差があるのではないか、その現状についての御質問かと思います。  沖縄本土復帰しまして十七年もう既に経過をしたわけでございますが、この間二兆九千億の国費が投入されたところでございます。県民のたゆまざる努力もございまして、学校施設を初めといたしまして、道路とか空港港湾等交通通信施設、あるいは上下水道等生活環境施設整備が大きく前進をいたしまして本土との格差が次第に縮小されるなど、沖縄経済社会は総体として着実に発展してきておることは事実ではないかと考えておるところでございます。  しかしながら、沖縄本土から遠く離れておりまして、東京から千六百キロ、しかも広大な海域に散在する多くの離島から成ってございます。しかも、台風常襲地帯にあるという恵まれない地理的条件にあることも事実でございます。先生から御指摘ございましたように、水の確保の問題等もございます。産業基盤でもなお整備を要する面も多々ございまして、例えば先生から御指摘ございました失業率の問題は、全国平均に比べて約二倍の四・九%、こういう高い失業率にあることも事実でございます。  また、一人当たりの所得格差でございますが、これは復帰時は全四平均の六〇%でございましたが、それが順次上がってまいりまして、現在は七五%まで上がってございますが、依然全国最低であるという現実があることも事実でございます。  また、生活保護世帯保護率でございます。これは千分率で申し上げますと、全国平均が六十二年で一〇・四でございます。これは千分率でございますから、パーセントで申し上げますと一・〇四ということになろうかと思います。それが沖縄県では約二倍の一・九七%、そういう高い率になっていることも一つ事実でございます。  こういういろいろな、先ほど申し上げました産業振興の問題、雇用問題等解決を要する多くの課題を抱えてございます。依然、沖縄経済社会が厳しい状況にあるということは先生指摘のとおりでございます。  開発庁といたしましては今後とも、二次振計は残すところ二年余となりましたが、その二次振計の基本方向に沿いまして沖縄振興開発に積極的に取り組んでまいりたい、かように考えておるところでございます。
  5. 深田肇

    深田肇君 大臣お話をいただく前にちょっと。  そうしますと、現状は大体伺ったんですけれども、一番やっぱり関心を持つのは失業率の問題を感じますね。この雇用問題についての特別対策は何かやっておられますか。まず、具体的に伺った上で、大臣の全体的なお話を伺いたいと思います。
  6. 藤田康夫

    政府委員藤田康夫君) 一雇用対策の問題につきましては労働省所管かと思いますが、私どもが伺っておりますところでは、特に若年者失業率が高いということもございまして、本土に就職をされた方々の定着のためのいろいろな各種施策等、あるいは若年労働者を雇った場合に雇用保険から特別の支給金を出すとか、そういう対策はそれなりに細かく労働省の手でやられておると伺っております。
  7. 深田肇

    深田肇君 ひとつ大臣お話を伺った後で再度御質問をしたいのでありますが、今のお話にも出ましたように、これも一年生議員の特権で、大先輩の前で恐縮ですが申し上げたいんですけれども、何か言いますと、それはうちではなくて労働省だ、こうおっしゃるんですね。私、社労でやりとりしますと、厚生省はそう言うし、労働省に言うと厚生省だと、こうおっしゃるんです。一般市民でありますと、これは理解できないことですね。そういうふうに使い分けされちゃうのではないのかもしれないけれども、そうはなかなか理解できない。一緒になってどうやってしてもらうかというように、される側としては感じるんですね。  したがって、今のお話のように、所管としては労働省がやっているんだがというようにおっしゃいますが、さて沖縄開発庁となりますと、これはどこかに任すわけにいかぬわけですから、労働省ともよくお話しされておりましょう。若い労働者がこれから沖縄をどう発展させるかということになるわけですから、そこらも含めまして、沖縄開発庁としての全体的な視野での振興開発のためのお話を伺いたいと思います。
  8. 阿部文男

    国務大臣阿部文男君) お答え申し上げます。  先生承知のように、現在第二次振興開発計画も残すところ二年余となっておりまして、今後とも引き続き二次振計に沿って沖縄振興開発に全力を傾けてまいる所存であります。  また、ポスト二次振計に向けた取り組みとしては、本年度から新たに沖縄振興開発総合調査に着手するとともに、これまでの沖縄振興開発計画の総点検を開始したところであり、また沖縄振興開発審議会においても、現在二次振計後の振興開発のあり方について調査審議が進められているのであります。次期振興開発計画については、県の意見及びこれらの検討結果を踏まえてこれからも判断してまいる所存であります。
  9. 深田肇

    深田肇君 余り簡単に御説明いただいちゃうので、私は全くわかりませんよ。私の方は勉強不足もあるかもしれませんけれども、恐らく国民沖縄方々にとってもわからないことが多いんじゃないかというふうにまずは感想を申し上げておきたいと思います。  そこで、具体的にもう一歩進めてお話を伺いたいのでありますが、今お話の中にありましたように、現在やっている第二次の振興開発についての総点検をやられてこれから総合調査をされるようでありますが、その主目的は何ですか。項目は何があるんですか。
  10. 藤田康夫

    政府委員藤田康夫君) 平成元年度から、先生お話にございますように、一億九千万の予算で総合調査を実施いたしておるところでございます。  総合調査は、沖縄にこれまで十七年間いろいろ各種事業を実施してまいりましたそれの現状をまず把握すること、どういう問題を抱えているか、どういう課題があるのか、それが先決でございます。そういう趣旨から各種各方面に関する調査を実施させていただいているところでございます。
  11. 深田肇

    深田肇君 先ほどの大臣お話にも出なかったのでありますけれども衆議院段階における先輩たちのやりとりを議事録で読ませていただいたり、この場には喜屋武先生もいらっしゃいますが、私ども上原康議員などの話を伺ったりしますと、沖縄のいわゆる振興でも開発でも結構なんだけれども、発展ということについてはやはり米軍基地の問題と無関係ではあり得ないとおっしゃる。私もそう思うんですが、これが一言も大臣のお言葉の中に触れられないのはどういうことでしょうか。それはむしろあった方がいいとお考えなんですか。いかがですか。
  12. 阿部文男

    国務大臣阿部文男君) 米軍基地の問題でございますが、沖縄米軍施設区域は今もなお沖縄県土の面積の約一一%、沖縄本島に限って見ると約二〇%を占めております。基地密度が極めて高いわけでありまして、依然として地域開発県民日常生活でもさまざまな影響を受けていることは十分承知しております。  米軍施設区域整理縮小等について、沖縄開発庁の直接の所管ではございませんが、第二次振計において、土地利用上大きな制約となっている米軍施設区域をできるだけ早期に整理縮小し、跡地の有効利用を図るための施策を推進することといたしておるのであります。  いずれにしても、沖縄米軍基地問題については、可能な限り周辺地域住民生活地域振興に及ぼす影響を少なくしまして、住民に不安が生じることのないように努力することが非常に重要であると常々私は考えているところでありまして、これから適宜関係省庁とも連絡をとってまいりたいと思っております。
  13. 深田肇

    深田肇君 沖縄基地問題についてちょっとお話をさせていただきたいというふうに思います。  私の手元に沖縄地元新聞もあるのでありますけれども、この問題は大変古くから問題にされたことであって、同時にまた今日的課題としては新しい課題だというふうに考えます。地元知事さんが新聞に話をされているものをちょっと引用いたしますと、知事の十一年の語りの中で、基地がやはり県政の足かせになっているということをみずからきちんとインタビューに答えられているわけですね。言葉だけ御紹介申し上げますと、「基地問題に振り回された十一年だったと言っても過言ではない。基地問題はこれからもずっと県政の大きな課題だ」、こういうふうに知事自身がおっしゃっているということを新聞などで知りまして、まさに知事の御苦労もよくわかるし、それだけに国政の段階沖縄開発問題と基地問題をひとつしっかりと受けとめて、基地問題に対しての施策がこれから必要だろうというふうに思います。  今もそういう意味合いにおいては大臣も認めていらっしゃるわけですから、中身にちょっと入りたいのでありますが、いわゆる整理統合という言葉もあるんですけれども、私は、現地新聞が既に書いてあるように、整理縮小というふうに、言葉の使い方もお互いにより前進的に、前進する立場から使えれば一番いいだろうと思います。大変関心を持っていますから、自民党先輩たちの御意向につきましても参考にさせていただいておるのでありますが、自民党の国防の合同の三部会におかれましても、何としても沖縄米軍基地整理縮小を推進しようではないかというようなことを具体的にお決めになっているようであります。このことは基本的には大賛成でありますし、これは沖縄県民全体の心とともに、我々日本国全体のものとして受けとめてしっかり頭張らなきゃいかぬだろうというふうに実は思っておるわけでございますが、ぜひひとつ整理縮小方向に向かって、長官としては関係省庁とも話をされて具体的に進めていただきますようにお願いをいたしたいと思いますが、いかがですか。
  14. 阿部文男

    国務大臣阿部文男君) 先ほど答弁申し上げましたように、沖縄米軍基地問題については可能な限り周辺地域住民生活地域振興に及ぼす影響を少なくしなきゃなりませんから、住民の不安が生じることのないように、基地縮小問題も含めてこれから適宜、関係官庁とも十分連絡をとっていきたいと思っております。
  15. 深田肇

    深田肇君 よろしくお願いをいたしたいと思います。  そこで、外務省がいらっしゃらないんですが、ひとつ私は端的に割り切りまして、開発庁長官努力を大いに期待する立場からこのことを申し上げるんですけれども開発庁としては御存じないのかもしれませんが、日米間で基地縮小問題については話をされているわけで、これは外務省でなければわからないことのようなんですが、少しでも御存じでしたら聞かせてもらいたい。大変関心があるんです、この問題は。  これは、防衛庁関係でよければ防衛庁の方で結構です。どういう格好で基地整理縮小についての日米間においての話し合いが今行われ、今日の状況はこうだと。そういうことは言えないんだよというふうに先輩はおっしゃるんですね。これは両国問題であるからとか、相手方が言わないとおっしゃるんだから言うわけにいかないと。しかし、政府日本国民関係では、これは言ってもらわなきゃいかぬのですね。だから、百歩譲っても、防衛庁外務省日本政府はどのようにアメリカと話をされる構えなのか、こちらの方針はどうなのか、これは聞く権利があると思うんです。知る権利もあると思いますので、知らせてもらいたいと思います。
  16. 佐藤晃

    説明員佐藤晃君) お答え申し上げます。  現在、日米合同委員会の場で、沖縄県知事米国政府に対して行った施設区域の返還の要望の実現の可能性、それから日米安全保障協議委員会において了承された沖縄県における施設区域整理統合計画のうち、いまだ実施されていないものについての実施上の問題点について検討を行っております。  この検討作業具体的内容、それから今後の見通しについては、現在、鋭意検討を進めておるところでございまして、お答えできる段階ではございません。御了承願いたいと思います。
  17. 深田肇

    深田肇君 もう一遍聞きます。  日米で話し合っていることは答えるなり発表できないということもどうかなと思いますけれども、そういうこともあるんでしょうから、外交問題であったり国防問題であったりしましょうから、また防衛問題であったりしましょうから、そこはもう一遍言いますけれども、聞きたい気持ちはあるが、言うわけにいかないとおっしゃるなら、それはそれとして、我が方は、防衛庁日本外務省はどういう構えで、例えばこれから五年や十年の先まで見られて、どういう形でやっておられますか。  聞くところによると、縮小なのでありますけれども、新しく基地が移動できるところが決まらないと縮小できないとかいう話があるんです。私たちの感覚からすれば、復帰されて現在十七年たって、しかも基地問題が沖縄振興開発に大きな影響を持っているとするならば、後でちょっと沖縄県の県民経済界方々意見、皆さんも御存じだと思いますが、私どもが聞かされた話を少し御披露申し上げてもいいんですけれども基地問題が大変マイナス要因をたくさん持っている、それならばこれは縮小せにゃいかぬと。そのときに、縮小しようと思うが、どこか動くところが決まらないと縮小できないとするならば、これはなかなか縮小できないんじゃないかというふうに思いますから、日本政府としてはどうですか、すぐにぱっとなくすことはできないでしょうが、縮小に向かって無条件で、代替地がなくても無条件でこの縮小の問題をやっていくんだ、これは日本側態度なんだというお言葉はいただけないですか。
  18. 佐藤晃

    説明員佐藤晃君) お答えいたします。  沖縄県に所在する米軍施設区域は、安保条約目的達成のため重要であります。一方、その密度が高くて整理統合要望が非常に強いことも十分承知してございます。このため、米軍施設区域整理統合について一層の推進を図るため、現在日米合同委員会の場において鋭意努力を払っているところであります。
  19. 深田肇

    深田肇君 安保条約という話が出ましたが、それは両国政府が決めたことですから、それは尊重するのは我が党の態度でもあります。それはそれと踏まえて、同時にまた比重が重いという御指摘もあったわけでありますから、ひとつ一日も早く縮小に向かって努力のほどお願いをいたしておきたいと思います。  私はもう一度申し上げておきますけれども意見としてとどめていただけばありがたいのでありますが、基地が移動するところの新しい地域があるなしに関係なく、無条件基地はどんどんと縮小をしてもらうことが沖縄振興開発のために重要な課題だということだけを一つ申し上げておきますので、これはむしろ大臣の方でひとつ積極的な政策の一環として御検討いただければありがたいというふうに思います。  そこで、それに関連して、振興開発のためにまた開発庁の方に向けてお話を一、二してみたいのであります。  これまたいろんな意味において基地の問題について県民意向があるだろうとは思っておったんですが、今回ここで質問するに当たっていろんな沖縄方々と話をしてみたり、それから現地新聞の方とか、私ども県会議員市会議員たちの話を聞いてみたりいたした上でのことでありますけれども県民の最近の意識状況というのは、前段から申し上げているように、どうも基地問題については、基地はなくてはならないとか、あった方がいいとか、少なくともあった方がいいとかという問題ではなくて、大分方向が変わってきているというふうに思います。  例えば、もう御承知のことだと思いますが、経済団体方々訓練のことなどについて、その訓練の中止を求める決議を経済団体みずから自主的にされておることだとか、それから同時に、こういう言葉もあるんですね。団体の会長の言葉新聞に載っておりますが、「私たち基地容認ではない。」ということがぼんと冒頭出まして、「行き過ぎた訓練には、地域住民や他の団体と連帯していきます」、我々はこれに反対しております、批判をしておりますと。その次があるんですね。「世界の流れからすると、沖縄基地のウエートはあまりにも高すぎる。」、もちろん最近の世界情勢やアジアを中心とする情勢も含めて指摘をしているんだと思いますが、いわゆる経済界方々がこういう話をされているんです。全部申し上げた方がいいと思いますが、「安保があるので、全面撤去はできないでしょうが……。」ということもおっしゃっているんです。これもおっしゃっていることを正直に申し上げた上で、そういうふうに考えるけれども基地からの収入がないとだめだった時代はもう終わった。今はむしろ経済面から考えると、「観光とか一般の産業に切り替えた方が収入は多くなるという気がする」と、こういうふうに大変率直な意見が出ているという状況があります。  もちろん、基地があることによって起きてくる大変強い、訓練などによる県民側の精神的不安や、そしてまた騒音、防音などを含めたいわゆる障害関係などについての反対闘争というのもこれまたあることも事実ですから、それは前提とするんですけれども基地によっての収入問題よりも他の産業、経済に向かって目を向けた方がいいんだというふうに経済界方々現地で話をされている。  こういうふうに考えますと、やはり基地縮小というものをより急ぎながら、開発庁としてはそこに向けての積極的な政策をやっていただくことが大切だろうというふうに思いますが、開発庁の皆さんいかがでございましょうか。
  20. 藤田康夫

    政府委員藤田康夫君) 米軍施設区域整理縮小についての開発庁のスタンス、こういうお話でございます。経済的にも基地経済というものの割合、ウエートが低くなったのではないか、こういうことも絡めての御質問かと思います。  二次振計においては、先ほど大臣から御答弁をいたしましたように、土地利用上大きな制約になっている米軍施設区域をできるだけ早期に整理縮小し、産業振興生活環境の整備に資するような跡地の有効利用を図るための施策を推進する、こういうことがうたわれておるわけでございます。整理縮小自体は、先ほどから先生からも御指摘がございますように、外務省の問題であり防衛施設庁の問題かと思いますが、開発庁としても振計をつくりました立場からそういう基本方向に沿っていろいろな施策関係省庁にも要請するし、考えていく必要もあるのじゃないかと考えておるところでございます。経済の動きが十年たてばかなり変わってくることも事実でございます。そういったことももろもろ考えながら、振計の基本方向に沿って今後いろいろ検討を進めてまいる必要があるのではないか、かように考えておるところでございます。
  21. 深田肇

    深田肇君 これはちょっと的が違うとおしかりを受けるかもしれませんけれども防衛庁といいますか施設庁の方に伺いたいんですが、私も地主の方々と一緒になって現地施設局の方々とやりとりをしたこともあるんですけれども、今のやりとりを聞いておられて、沖縄格差是正の問題や沖縄振興開発のためには、皆さんの直接管理をしていることなり米軍と調整をされている施設庁の所管の問題でないですから、開発問題や振興問題については触れるわけにはいかないとおっしゃるかもわからぬけれども、やはりどうしてもネックになるのは沖縄にある基地の問題です。それが大変比重が重たいということも御指摘になっているわけですから、いかがなものですか、こういうやりとりを聞かれますと、一日も早くやっぱり基地縮小されるべきだし、そのために日本国民の声を代表してアメリカとよく話をされて、その成果が上がるようにすることが必要なんだというぐらいのことまでは、お互い意見が一致するというふうに考えてよろしゅうございますか。
  22. 佐藤晃

    説明員佐藤晃君) 私どもといたしましても、沖縄県に所在する施設区域整理統合については、沖縄県に所在する施設区域密度が非常に高いことを踏まえて、安保条約目的達成沖縄振興開発の計画の推進との調和を図りながら、可能なものから一つ一つその返還の実現に努力をしているところであります。
  23. 深田肇

    深田肇君 同じことばかりやってもいけませんから、これで最後にしたいんですが、もう一遍聞きますけれども、あなたは整理統合という言葉を使われたけれども、私は縮小という言葉を何回も申し上げた。もう一遍そこで統合と切り返されましたけれども縮小はだめなんですか。いかがですか。
  24. 佐藤晃

    説明員佐藤晃君) 私どもといたしましては、繰り返しになりますが、安保条約目的達成振興開発計画の推進との調和を図りながら、一つ一つ返還の実現に努めているところであります。御指摘ではございますが、いずれにしても当庁としては今後ともその推進に努める所存でありますので、御理解いただきたいと思います。
  25. 深田肇

    深田肇君 こういうことを言っちゃいけないかどうかわかりませんけれども長官との間では縮小という話が言葉として認識が統一できて、それであえて統合とおっしゃったから、縮小はだめなんですかと聞いたら、縮小ということについては含まれているような御解釈の話を聞くけれども縮小という言葉は使ってもらえない。そうすると、御意見が違うという感じになりますね。これは沖縄県民にとってみても、日本国民全体にとってもわからないことだし、余りいいことじゃないと思いますが、何とかそこは縮小ということで認識は統一をできないんですか。どうしても防衛庁縮小という言葉を使っちゃいけないですか。  例えば沖縄新聞なんかで、知事もおっしゃっているし、自民党さんも皆そういうふうに縮小縮小とおっしゃっていますよ。このことは御存じだろうけれども御存じの上で統合で頑張られるなら、縮小反対だと、こうなっちゃうよ。いかがですか。私は、どうもこだわりたいんですがね。
  26. 佐藤晃

    説明員佐藤晃君) 密度の高い施設区域を整理しながら返還に向けて努力しているわけでございまして、基地の強化とかという意味で我々は毛頭考えているところではございません。
  27. 深田肇

    深田肇君 ひとつ縮小ということで頑張っていただいて、また何回か機会あるでしょうから、ぜひひとつ公的なところで整理縮小というような言葉沖縄仲間たちを激励してもらったり、展望を与えてもらうようにお願いをしておきたいと思います。  そこで、時間がなくなっちゃったものですから、一、二具体的に聞きたいんです。  ハリアーの訓練のことなんですけれども、伊江島という島は訓練から見ると最適なところであってというようなことになるんでしょうか。私などは、伊江島というところは余りそういうことに使ってもらいたくない。これはいろんなことがありますけれども、東京の三宅島に待ってくださいとお願いした立場も含めまして、大変そういう意味では大事な島だと関心も持ちますが、これは適地なんですか。いかがですか。
  28. 佐藤晃

    説明員佐藤晃君) 米軍といたしましては、今でも北部訓練場の安波地区が適地と考えていると承知しておりますが、諸般の事情からハリアーの訓練場の暫定使用について伊江島の方で受け入れていただいたわけであります。
  29. 深田肇

    深田肇君 そうすると、米軍はまだ断念していないということを今公的に言われたと確認していいですか。
  30. 佐藤晃

    説明員佐藤晃君) 米軍の希望としては、当初予定しておりました北部の安波地区が適地というふうな判断は変わっていないと承知しております。
  31. 深田肇

    深田肇君 それは、どこか日米の会合の中で公的にそういうことを確認されているわけですね。将来、歴史的な文献としてどこかできちんとそのことはそうだったというふうに確認していいんですね。それとも、米軍の文書か何かあるんですか。
  32. 佐藤晃

    説明員佐藤晃君) 運用しておりますといいますか、現地米軍意向としてそのように私どもの方に伝わってきておるところであります。
  33. 深田肇

    深田肇君 新聞の一部報道にも断念していないというのがあることはあるんですけれども、それをちょっと確認をさせてもらいました。  そこで、その断念していないという安波地区が伊江島に変わったことに対しては諸般の事情と今おっしゃいましたが、諸般の事情の主なものは何ですか。
  34. 佐藤晃

    説明員佐藤晃君) 残念ながら地元に受け入れられなかったということであります。
  35. 深田肇

    深田肇君 それが残念なことですか。それはだれが残念だと言っているんですか。
  36. 佐藤晃

    説明員佐藤晃君) 地元の理解が得られずに米側は当面、安波地区を断念いたしまして、伊江島の方に暫定的にハリアーパッドを整備してそこを使用したいということでございます。
  37. 深田肇

    深田肇君 私が今聞いたのは、残念だとおっしゃったから、残念だというのは米軍が言っているのか、防衛庁、あなたが言っているのかと聞いているんです。簡単に答えてもらえばいいんですよ。
  38. 佐藤晃

    説明員佐藤晃君) 米軍としても残念だと思ったと私が考えたのであります。
  39. 深田肇

    深田肇君 じゃ、日本防衛庁が残念と思っているんじゃない、県民意向なり村の人の意向を十分今後とも尊重してくれると、こういう解釈に立っていいですね。
  40. 佐藤晃

    説明員佐藤晃君) 防衛施設庁といたしましては、地域住民の理解を得ながら施設の安定使用を図っていくということを第一に考えてございます。
  41. 深田肇

    深田肇君 そこで、もう一回伊江島に戻りますが、伊江島の現在の状況はどういうふうに判断しておられますか、今のことに関連して。島の人や住民意向は伊江島のハリアー基地賛成で十分安定しておると、こうお考えなんですか。その点、どういうデータをお持ちですか。
  42. 佐藤晃

    説明員佐藤晃君) 伊江村長ほか村当局の方と防衛施設局の方とがよく話し合いまして、理解を得られながら今回のような運びになったと考えております。
  43. 深田肇

    深田肇君 時間がありませんから次に進まざるを得ないんですけれども、物の考え方としては、米軍がどこどこにつくりたいと自分たちで考えた、そんなことを勝手に米軍が決めることもどうかと思うけれども、そこは皆さんの方は安保条約があるからそうなんだとおっしゃるんだから、それは一応こっちへ置いておいて、それで選ぼうと思った。しかし、そこに島民の反対があって、合意が得られなければ、残念だとアメリカは思ったがほかの地区を選んだ。そこでは、今度は防衛庁やアメリカがよく話し合いをして、それが村長や島民の方々の了解が得られたので現在伊江島に基地ができている、こういう論理の説明をされているんだけれども、それは私は必ずしもそうなっていないと思うんです。  私たちが聞くところによると、現在村長も、できる過程でも反対しておったが、できてみて、しかも岩国から飛んでくるのを見て、その騒音の大きさを感じて今大変な不安とこれに対する反対の意向が高まってきているとも思うけれども、もう一遍聞きますが、話はつくるときの過程とつくった今日の状況で、今日の状況でも村民やそこにいらっしゃる住民たちはこの基地ができることについて満足だし、あなたはそのことは大した問題ではないという認識をお持ちですか。私はそういう認識は間違っていると思いますけれども、いかがですか。
  44. 佐藤晃

    説明員佐藤晃君) 村長さんあるいは地域住民の方の理解をおおむねいただきながら事を進めてまいったと、私どもはそう考えております。
  45. 深田肇

    深田肇君 皆さんがそう考えていると言うのならそれまでのことです。事実はそうでないだろうということを、御存じだと思いますけれども現地新聞現地のいろんなデータなり意向を本当の意味調査されたらすぐにわかることですから。少なくとも、でき上がった今日の状況で、ハリアー基地ができ上がって飛行機が二機飛んできて、それを目の当たりに感じた島民たちが何を言っているか。そして、それを代表する伊江村の村長たちはどういう格好で米側に対して、安全飛行の問題についても騒音対策についても、積極的にそれは困るという態度を決めて意思表示をしていることは間違いないんです。したがって、できたものも本当は早く外したらいいと思いますけれども、そのことは時間のかかることとしても、当面、島民たちが持っているこの不安な気持ちに対してどうこたえるかというのは、防衛庁としても日本政府としても我々議会筋としても大事なことです。  そう考えますと、時間がないので終わらざるを得ないんですけれども、つくるときにまず慎重にしてもらわなきゃいかぬ。そして、つくるときに、どういうものができ上がってどういうことが起きるかについてもっと島民の側に知らせるべきだし、島民の側は島民の側としていろいろなことを聞いたことを率直に言うわけだから、それを力で押し切ったわけではないだろうけれども押し切ってしまって、それ見たことかの結果が今出て、島民が困ると言っている、こういう状況があることは間違いないわけです。  したがって、日米の話し合いも必要だろうけれども日本の国の代表としてはそこのところをより慎重にやってもらうことが重要だ。起きた結果を含めて何とかしなきゃいかぬ問題が今あるじゃないか。これがもし事故にでもつながったときは大変なことになるわけです。だから、その点では将来の事故防止、安全の問題も含めて、防衛庁を初めとして政府側の積極的な施策をぜひひとつお願いしておきたいと思います。  もう時間がなくなっちゃったので、これで終わります。
  46. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 私は北海道でございますし、北方領土の問題から伺わせていただきたいと思います。  最近、世界でいろいろな動きがあるわけですけれども、北方領土返還交渉の中で公式ルートでソ連側から何か新しい提案があったのでしょうか。
  47. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) お答え申し上げます。  北方領土返還を中心とする日ソ関係の進展ぶりでございますけれども、昨年の十二月にシェワルナゼ外務大臣が訪日いたしまして以来、いわば新しい段階に日ソ関係が入っているということを申し上げられると思います。すなわち、昨年の十二月にシェワルナゼ外務大臣が訪日いたしましたときに、初めて日ソ間で領土問題を真剣に話し合ったという事実がございます。そして、それを基礎といたしまして平和条約作業グループというものができまして、日ソ関係を正常化するためには平和条約を締結しなければならないという基本的な認識を共有いたしまして、そのグループの中で過去三回にわたりまして領土問題の歴史的、法的な側面についてかなり詳しい議論をしてきております。  他方、五日以来、日ソ関係を今後進めるに当たって、平和条約は基本的に重要な問題であるけれども五つの分野で拡大均衡を図っていこう、その中で平和条約も含めて日ソ関係の正常化を図っていこうという動きが出てきております。これが先生指摘のソ連側からの新しい提案ということにあるいはなるかもしれませんけれども、日ソ双方からの努力によりそういう展開が見られ、その中で、一九九一年にはゴルバチョフ書記長の訪日という日程が固まりつつあるというのが現状でございます。
  48. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 日ソ平和条約というのは北方領土返還後にというふうにこれまでは言われておりましたけれども、その点はいかがですか。やはり返還後ですか。
  49. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) 本件につきましては、御承知のように一九五六年に日ソ国交回復の交渉が行われたわけでございますけれども、その当時、平和条約に通常盛り込まれるものについてはすべて解決を見ております。日ソ共同宣言という形で解決を見ております。その際の了解といたしましては、領土問題が今回は解決を見れないので、平和条約締結を先に延ばしてとりあえず国交を回復しようということに日ソ間で合意をした経緯がございます。  そういう経緯からいたしましても、やはり領土問題を解決して平和条約を締結するというのが筋道であり、またこれが日ソ間での従来の話し合いの中で定着をしている考え方であるというふうに私どもは考えております。
  50. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 従来どおりということなんですね。  近ごろ、よくいろいろなもので目にいたしますけれども、例えば二島返還論というふうなことがあります。その点について外務省はどう考えていらっしゃいますか。
  51. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) 本件につきましては、また歴史的経緯にさかのぼりますけれども、一九五六年に日ソ共同宣言の中で、ソ連側は平和条約締結後に二島を引き渡すということを約束した経緯がございます。私どもとしては、当時、平和条約が締結できなかったのは、やはり二島返還だけでは我々としては解決にならないということを強く主張いたしまして、四島一括返還という立場を守るために、当面、日ソ共同宣言という形で国交回復をし、その問題も含めて領土問題を継続交渉として平和条約締結交渉を継続するという了解のもとに進めてきたわけでございます。  当時の経緯にかんがみ、それからその後の国内における世論及び国会の累次の御決議にも書き込まれ、御支持をいただいておりますように、四島一括というのはやはり国民の総意であるというふうに私どもは考えております。そういう意味で、四島一括を実現した上での平和条約の締結というのが政府の一貫した立場であり、それが国民、世論の支持を得ているというふうに考えております。
  52. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 そうですか。  日ソ間の経済交流と北方領土問題との関係をどういうふうに考えておられるでしょうか。日ソ経済交流を進めることによって日本にどんな利益がもたらされるとお思いか。もし北方領土が返還されたときに、経済面に限らず、いろいろなところでどんな利益があるというふうにお思いでしょうか。
  53. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) 日ソ経済交流につきましては、従来からも実務的なもの、互恵的なものにつきましてはかなり進んできております。御承知のように、ソ連の西側の貿易相手国の中で日本は西独、フィンランドに次いで第三番目でございますし、現在その貿易量は五十九億ドルということでかなりの水準に達しております。私どもは、やはりこのような互恵的な経済交流の基盤が広がることが日ソ関係の安定化につながるという意味では非常に好ましいものであると思っております。  他方、やはり政治関係が安定していない、平和条約が締結されていないということからくる制約も当然あるわけでございます。ですから、私どもは、北方領土問題が解決し、平和条約が締結されることによって、より安定的な政治的な基盤ができる、それによって日ソ間で今後長期にわたってより深い経済協力を行っていく基盤ができるというふうに考えております。  ですから、現状は決して満足すべきものではなく、日ソ間にいろんな潜在力がございますけれども、しかしそれを十分に活用するためには、やはりそれなりの政治的な基盤を明確に確立する必要があるというふうに考えております。
  54. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 北方領土返還交渉の基礎条件となります東西関係、それについてお尋ねしたいんです。  最近の米ソ間の東西関係、これは緊張緩和の方向にあるとお思いになりますか。もしそうだとすれば、冷戦は終わったとお思いでしょうか。
  55. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) 最近の東西関係が対立の構造から対話の方向へ向かっているということは確かだと思います。これは、ブッシュ大統領も従来のような封じ込めを越えて双方に共通の利益を見出すべきであるということを主張しておられます。それから今回のマルタのサミットにおきましても、ゴルバチョフ書記長の方も冷戦から新しい時代への一歩が始まったということを言っておりますし、ブッシュ大統領の方もソ連のいろいろな新思考の進展とともに米ソ関係が新しい一歩を踏み始めたということを言っております。そういう形で戦後の、従来の対決の構造がお互いの協力の方向へ向かっているということは事実でございます。  他方、欧州を中心といたしまして戦後存在しております、いわばワルソー条約機構とNATOを中心といたします東西の軍事的な対立の基本的な要因は、まだそのまま残っているというのが現状でございます。ですから、今後の交渉によってその対決の具体的な事実を下げていくということが課題になっているわけでございますけれども、しかし従来、例えば熱い戦争こそしませんでしたけれども、軍事的にかなり対決の状況にあった東西間が今後、軍備管理・軍縮交渉も含めまして大きく動き始めて、そういう意味ではいわゆる冷戦が終わりつつある状況が生じてきているということもまた事実だろうと思います。
  56. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 大変喜ばしいことですけれども、北方領土は地政学的にいろいろな国際関係の中でも非常に重要な位置を占めているわけですが、ソ連側が北方領土返還を拒む最大の理由、北方領土の占める軍事戦略的な価値、位置と申しますか、外務省あるいは防衛庁はどうお考えになっていらっしゃいますか。
  57. 小野寺龍二

    政府委員小野寺龍二君) ソ連は、水中発射弾道ミサイルを搭載いたしました原子力潜水艦をオホーツク海を中心とした海域に配備していると推定されます。このオホーツク海というのは、自国の航空戦力、それから海上戦力で比較的守りやすい位置にございまして、かつ最近の非常に発達したミサイルではオホーツク海からアメリカ本土を全部カバーできる、そういう状況になっております。  そういうことで、北方領土というのはたまたまそのオホーツク海へのアプローチという観点から非常に重要な位置を占めております。そういったところから、オホーツク海を潜水艦のための聖域として確保する上で恐らくソ連は北方領土を前進基地としてかなり重要視しているということが推定されるということかと存じます。
  58. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 外務省、いかがですか。
  59. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) ソ連側が北方領土返還の障害としてどのようなものを考えているかということは、ソ連側のジャーナリストの方々がいろんなことを言われます。私ども政府としてこれに対して正式なコメントを申し上げる立場にはございませんけれども、軍事的な側面につきましては、例えば先般もあるソ連側のジャーナリストが、軍事的な要因というものが最終的な障害になるとは考えていないというコメントをしていたことを聞いたこともございます。いろいろな考え方がソ連側にはあり得るだろうというふうに思っております。
  60. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 ゴルバチョフ議長のウラジオストクの演説以来、ソ連側から極東地域の軍縮提案が幾つも幾つもなされているわけですね。最近は五十万人の兵力削減というふうな喜ばしいニュースも国連の演説の中で出てきておりますけれども、それらがどの程度実行されたのか、あるいは今後どういう動きで実行されるだろうと外務省は見ておられますか。
  61. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) ゴルバチョフ書記長は、ウラジオストク演説あるいはクラスノヤルスク演説等で累次極東、アジア方面におきましての軍縮提案をしてきております。私どもは、その軍縮提案は大きく言って二つに分かれる。一つは、やはりアジア・太平洋地域における海軍軍縮を目的としたもの、それからもう一つは、アジア全体における軍縮のいわば話し合いの場を設ける、この二つの目的を持っていたものだと思っております。  この件につきまして私どもの考えは、やはりアジアにおきましては戦略的な地位、地政学的な地位がヨーロッパとは大変異なっているという状況があるというふうに思います。例えば、ヨーロッパにおきましてはワルソー条約機構とNATOという非常に対称的な機構がございまして、戦後長い間いろいろな話し合いを行ってきて政治的雰囲気もかなり安定化してきている。その中で軍縮が進もうとしている。他方、ヨーロッパにおきましても、海軍という問題につきましては、これはアメリカの抑止力を保持するための非常に重要な柱であるということで、海軍軍縮が進まないという状況になっております。  他方、アジアにこれを移してみますと、アジアにおきましてはアメリカの海軍の存在というものが抑止力の主たる柱になっており、その他の問題につきましては、地上戦力についての軍縮というものは対称的でないわけですから余り話題にならないという状況がございます。そういう意味で、アジアにおいて海軍軍縮を進めるという状況が現実的には今存在していないという状況が一つございます。  それから政治的に見ましても、やはり日ソ間には北方領土問題で平和条約も存在していないという状況、カンボジア問題あるいは朝鮮半島の緊張状態というような、政治的にもまだまだヨーロッパとは違う状況がございます。こういう問題が解決されなければ、やはりこのゴルバチョフ書記長の提案している軍縮の提案というものは具体的な基盤を有しないのではないかというふうに私どもは感じております。  そういう意味で、ソ連軍の極東における増強の状況というものが今後具体的に減ることを希望しておりますし、海軍力を十六隻減らすとか、航空機を四百機減らすとかという提案をなさっておりまして、それはそれなりに意味があると思いますけれども、しかし具体的に極東のソ連海軍の増強の趨勢を変えるほどには至っていないというふうに我々は見ております。そういう問題もございます。それからいろいろな政治問題を片づける必要もあるということで、より安定的な雰囲気づくりというものについてソ連側が今後とも努力してくれることを我々は強く期待したいというのが現在の状況でございます。
  62. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 国際的にも世界じゅうの人が見ていると思うんです。ゴルバチョフさんが次から次へと手を差し伸べている、それに呼応してアメリカが負けじと軍縮案を出しているわけですけれども、それに対して日本国民は、我が政府は一体どのようにそれにこたえようとしているんだろうか、一体こたえる気があるんだろうか、非常にもどかしがっていると思うんですね。全然見えてこない。今御説明がありましたように、アジアの状況は厳しいものがあるのでまだまだというお話でありましたけれども、ことしの夏に出されました防衛白書では近年にない強い調子で対ソ脅威論というのを防衛庁さんは出しておられますね。  ソ連の脅威についての見方は現時点でも変わっていないのでしょうか。これは外務省にもお尋ねしたいと思います。
  63. 小野寺龍二

    政府委員小野寺龍二君) ことしの防衛白書は、大体六月の末ぐらいまでの一年間の動きについて分析して叙述したものでございます。したがって、最近の東欧における劇的な動きというものは必ずしも反映していない。政治的な状況というのは防衛白書を書いた時点からさらに進展しているということは事実かと存じます。ただし、軍事情勢につきましては、この間に変化があったということは私どもは考えておりません。確かに、ゴルバチョフの一方的な兵力削減、先ほど外務省から説明ございましたとおり、これは一部実施されているところあるかと存じます。例えばモンゴルからの兵力の撤退というものが、一個師団撤退したことが確認されているということはございます。ただし、こういったような削減というものが特に海空を中心とした近代化によって相殺されて、むしろソ連の極東における軍事力は強くなっているというふうに我々は見ております。そういった観点から、軍事力については、防衛白書に書いてあることはそのまま現在でも現実かと存じます。  ただ、ただいま委員が脅威を強調しているという御指摘でございますけれども、我々は現在のようにいろいろ話が行われている、世界的に注目されているときには、やはりどういう能力というものが日本にとって影響があり得るかということをはっきり示すことが非常に重要ではないかという観点から、従来よりもより詳細に日本の付近についての記述をしたわけでございます。INFの交渉におきましても、これは西側がSS20の脅威というものをはっきり指摘したこと、日本がやはりアジアにおけるSS20の問題を指摘したこと、これがグローバル解決に導いたわけでございますし、現在ヨーロッパで進んでいる通常兵力削減交渉につきましても、これは共通レベルに引き下げる、つまりソ連が非常に大きく引き下げるということでございますけれども、これも西ヨーロッパが不均衡、それからソ連の攻撃的な戦車等のそういう兵力について長いこと主張し続けた結果、やっと交渉の段階に乗ってきたわけでございます。  そういった観点からも、現実に存在するソ連軍の能力、兵力というものに目をつぶるよりも、やはり指摘していった方がこれは将来のための布石になるのではないかというふうに我々は考えております。
  64. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) 先生がおっしゃられましたこと、特に最近東西の対立の構造が対話から協調への構造へと変わりつつあるということは事実でございます。そういう中におきまして、また他方、ソ連の国内においてペレストロイカという形で改革が進みつつある。その改革を実行するために、合理的な思考を基礎とする新しい思考による外交というものが進められていることも事実でございます。その結果、地域紛争等においてかなりの解決の方針が見られ、東西関係においては好ましい影響を及ぼしているということも事実でございます。  私どもとしましては、やはりこういう状況がアジア・太平洋地域にも及んできて、日ソ関係の基本的な問題もこれが解決を見るきっかけになることを強く期待しているわけでございまして、そういうこともございまして、ソ連側から出されるシグナルというものはそれなりに慎重に受けとめて、日ソ関係の安定化のために基本的な問題を解決しつつ、これを拡大均衡に持っていきたいというのが現在の対ソ関係における日本政府の姿勢でございます。そういう意味で、やはり日ソ関係が安定するということが東西関係全体の安定の中で非常に重要な要素であるというふうに考えております。
  65. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 いつも日本は及び腰で、そして世界の情勢をそっとすき間からのぞいている、どうして日本は太平洋戦争の反省に立ってもっと平和のために能動的に積極的に動けないのかと、私たちはいつもそう思いますけれども、国際情勢の中でもこれは手厳しい批判をこれから受けていくのではないかと非常に案ずるところでございます。  先般、米太平洋軍と同盟諸国の間で行われましたPACEX、パックエックスと申しますかパセックス、どちらも呼ばれているようですけれども、この演習の概要とか目的とかいろいろお伺いしたいんですが、ちょっと時間の都合で、それは調べれば出てきますので……。  規模の点で、従来の合同演習と比べてずば抜けて大きなものであった。私の住んでおります北海道でも数々の被害が発生しております。この合同演習、海上自衛隊の護衛艦による米側の輸送部隊の護衛なども行われましたけれども、これは集団自衛権の行使には当たらないのでしょうか。
  66. 小林誠一

    説明員(小林誠一君) お答えいたします。  本年度の海上自衛隊演習につきまして、その際、海上自衛隊の一部の艦艇と米軍の輸送艦とが安全に兵力や物資の輸送を達成することを目的といたしまして、その際に潜水艦等の脅威を撃退しあるいは回避する訓練を実施したことは事実でございます。  この米軍の輸送艦等との共同訓練は、我が国が侵略を受けた事態を想定いたしまして、その際におきます我が国を防衛するための共同対処行動について訓練を行ったものでございますので、先生指摘の集団的自衛権の行使を前提としたものではないと我々は考えております。
  67. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 そういうお答えであろうと思いましたけれども、いろんな筋から今回の演習のシナリオが漏れ伝わっております。防衛庁は十分よく御存じだろうと思います。  それによりますと、例えば、まず宗谷、津軽、対馬の三海峡を封鎖して、ソ連太平洋艦隊がオホーツク海や太平洋に出られないようにする。次に、ソ連太平洋艦隊の基地ウラジオストクとカムチャッカ半島のソ連戦略潜水艦の基地ペトロパブロフスクの間の海上交通路を遮断する。次に、米第七艦隊の空母機動部隊がベトナムのカムラン湾にあるソ連基地を破壊する。こういったふうなシナリオが幾つか語られておりますけれども、これについて防衛庁はこれを否定されますか、どうですか。
  68. 小林誠一

    説明員(小林誠一君) 報道の一々についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますし、シナリオというものにつきましては、これは従来から公表することを差し控えさせていただいておりますので、そういうことで御答弁させていただきます。
  69. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 私の持っております情報によりますと、米軍の戦略プランの中にこれらのシナリオがばちっと決められて入っておりますね。何段階も何段階も述べられている。こういうことがあるわけでありますが、防衛庁はそれを肯定も否定も今のところはされないわけですね。
  70. 小林誠一

    説明員(小林誠一君) この秋実施いたしました日米共同訓練というものにつきましては、我が国の有事の事態を想定して実施しているものでございまして、その際に米軍との共同対処行動を円滑に行う、ないしは自衛隊と米軍との間での戦術技量の向上を図るという目的で実施しておるものでございまして、先生指摘のようなことではございません。
  71. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 日本の自衛隊が演習の一部分のみに参加する場合でも、演習が全体として一体的に行われて、しかもその内容が我が国の専守防衛の範囲を著しく逸脱している今回のような場合は専守防衛違反、憲法違反になるのではないかと私は強く思い、また国民の多くもそう思っていると思います。  東西間が緊張緩和、デタントに向かって大きく動いているときに、この歴史の流れにまるで逆行するかのような、非常にピント外れのと言ったら言葉が悪いかもしれませんが、そのような印象を与えるわけですけれども、この時期にこのような内容の演習を行う意義、メリット、何かあるんでしょうか。特に、我が国の長年の国民の悲願である北方領土返還のための交渉にとっては、このような微妙な時期にこうしたこれまでにない規模の大きくエスカレートした合同演習を持つということについて、はかり知れない悪影響があるのではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
  72. 小林誠一

    説明員(小林誠一君) 我が国の防衛政策の基本といいますか、そういう点につきましては、我が国は日米安全保障体制を堅持いたしますとともに、みずから適切な防衛力を保有することをもちまして我が国に対する侵略を未然に防止するということが防衛政策の基本としてございます。かかる観点から、日米共同訓練につきましては、我が国の有事の際に共同対処行動をとります自衛隊と米軍との間の戦術技量の向上を図り、かつ共同対処行動を円滑に行うために行っておりまして、それは日米安全保障体制の信頼性の維持向上に十分に役に立つものと思っております。このような観点から、日米共同訓練につきましては今後とも実施してまいりたいと考えております。
  73. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 私も仲間の道民そして住民運動をやっている人たちと御一緒にいろいろと反対の運動にも参加しておりますけれども、ここ何年来非常に大きな被害が北海道で出ていることは防衛庁よく御存じだと思います。放牧したばかりの牛が低空飛行によりまして狂ったように走り回って足を折って、その被害補償をしておられたり、本当に数限りない被害が道民の生活影響を及ぼしております。きょうここで詳しく申し上げる時間がないのがとても残念ですけれども、このような住民の騒音に対する被害とか、あるいは生活影響の出るようなこういった大きな演習が全国で行われているわけです。先ほどの質問にもございましたとおり、国際情勢を見て本当に縮小方向に向かっていっていただきたいと強く要望しておきたいと思います。  次に、石垣島にまいりますけれども、石垣島白保地区に建設が予定されていました新石垣島空港は、一部住民の反対、白保周辺地区に広がるサンゴ礁の保護を求める自然保護団体の強い反対によりまして建設着工ができない状況にありました。沖縄県は、新空港の建設予定地を白保地区からカラ岳東海岸へと変更するとの決定をなさいました。この決定の背景には、環境庁が独自に調査を行われた結果、アオサンゴ、ハマサンゴなど白保周辺海域のサンゴ礁が極めて高い価値を有している、それと同時に従来の海域の生態系に重大な影響を与えるものと判断したということが既に報じられておりますけれども、環境庁としてこの決定を現時点でどのように今評価しておられますでしょうか。
  74. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 新石垣空港の建設問題につきましては、御案内のようにかなり以前からの経緯がございますが、ある時点では二千五百メートルの計画案を二千メートルに縮小することによって今お話のございましたアオサンゴを中心とするサンゴ礁の保全ができないかということを県の方で模索された時期もございました。しかしながら、私どもはやはりサンゴの評価について、異例ではございましたけれども、直接環境庁が石垣島のサンゴの比較という観点からもかつて問題になりましたアオサンゴあるいは塊状ハマサンゴの実態を調べたわけでございますが、その結果、これについては将来は国立公園の海中公園とするような性格の地帯ではないかという判断を得たわけでございます。  その感触を県当局にも伝えました結果もありまして、もちろんそういうことだけではないと私は思っておりますが、知事が、サンゴ礁の保全を初めとする自然環境の保全と住民要望するこの飛行場建設に対する最大限の調和を図りながらという言葉があったと思いますが、決断されたということで、新しい計画案についてはサンゴの保全の上からは問題はないという判断をそのときもいたしておりますし、現時点でもその判断は変わるものではございません。
  75. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 公有水面埋立法などによりますと、埋立面積が五十ヘクタールを超えない場合には建設大臣の認可が必要でなく、知事の認可で埋め立てができるということになっている、着工できるわけですね。今回の建設計画によれば、埋立面積は約四十ヘクタール余となっているわけですが、知事の認可によってこれで着工が可能となってしまったわけであります。これまでの経緯を考えますと、県側の対応は早期着工に向けて拙速に過ぎた、地元を無視して一方的な決定だと住民たちは強く怒っていることはお耳に入っていると思いますけれども、五年連続で五十九年度からの造成費三億六千万円ですか、これが未執行となっているなどを考えますと、予算確保のためにも早期着工に弾みがかかるのかなと大変懸念しております。  しかし、新奄美空港のことがございますね。ここではサンゴに大きな被害があり、死滅してしまった。このことについて、政府としてはこの新奄美空港の問題を深く反省すると前環境庁長官もおっしゃっておられますけれども、このわだちを踏まないためにはどうしたらいいとお思いになっていらっしゃるんでしょうか。
  76. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 新奄美空港の例は、数字で申し上げますと百十ヘクタールの全体計画の中でたしか九十数ヘクタールがサンゴ礁に埋め立てられた空港でございます。それから今問題になっておりました新石垣島空港の計画の中でも古い方の計画は八十数ヘクタールということでございますから、その意味では比較するに、参考にするにふさわしい事例であったと思いますが、私どもはやはり新しい知事の計画案、四十数ヘクタールという埋め立てを前提にしました新しい計画案では、新奄美空港との比較はかなり意味が違ってくるのじゃないかと思っております。  今お尋ねの、それはそれとしても、現時点で環境庁としては工事による自然環境あるいはサンゴに対する影響をどう思っているかという点につきましては、端的に申し上げまして工事に十分な配慮が払われれば、サンゴの保全あるいは自然環境の保全には問題がなく処理できるものと考えております。  ただ、それにつけ加えて申し上げたいのは、決して知事限りで何もかもできるというわけじゃございませんで、私の理解では公有水面埋立法という枠の中では、やはりこれは環境影響調査をし、それに附帯したデータを持って事業者が仕事を進めるということになっておりますから、五十ヘクタールを超えないことによって建設大臣、あるいは建設大臣からの環境庁長官に対する協議はなくなっておりますが、その限りでは今でも県がかなり慎重な影響予測調査をやっておられます。  それから、お尋ねの件がもしそれに対して環境庁はどういうかかわりを持つかという点であれば、私どもは法律上の意見を述べるという立場ではないにしましても、従来の経緯もございますので、県当局から御要請があれば助言あるいは技術的な指導という点では十分今後とも対応しなきゃならないものと、そういうふうに考えております。
  77. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 この新計画では、いわゆる環境庁長官の手を離れることとなってしまうわけですよね。我が国の環境行政に対して非常に私は大きな影響を今後及ぼしていくと思うんですけれども大臣、環境庁長官ではいらっしゃいませんけれども、この白保あるいは新空港の建設に対して、責任担当大臣としてどのようにお思いになっておられますでしょうか。
  78. 水谷文彦

    政府委員(水谷文彦君) ただいま新石垣空港の問題につきまして、特に環境保全の面からの御指摘でございます。  この点につきましては、知事地域住民の新空港建設にかける熱意と、それから環境保全という両方に配慮をいたしまして建設場所を変更したわけでございます。この点につきましては、環境庁の方もあるいは運輸省の方もそれぞれ環境保全なりあるいは空港計画上特に問題はないというような判断を示しているわけでございます。実際に、これが地域住民方々の御理解を得ながら、仮に着工する運びとなるような場合には、もとより環境の保全には十分配慮をしていかなければいけない、またそれに先立って十分な調査等を行わなければいけない、それは当然のことでございます。  私どもといたしましては、これまでどおり地域住民方々の熱望、これを受けながら、かつ環境には十分留意しながら県と一緒にこの問題について考えていきたいと考えております。
  79. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 大臣、ぜひこのことで御所見を伺わせていただきたいと思いますんですけれども、どういうふうにお考えになっておられますでしょうか。
  80. 阿部文男

    国務大臣阿部文男君) ただいま局長からも答弁ございましたが、新たな建設予定地は、運輸省は空港計画上特に大きな問題はないとしておりますし、また環境庁はサンゴ礁等の自然保護上の問題もないと判断していると聞いておるのであります。沖縄県は、現在新たな建設予定地で測量、環境調査等を行っておりまして、あわせて地元関係者との調整を進めておるわけであります。これに引き続きまして、事業着手に必要な空港設置許可申請及び埋立免許出願の手続を今年じゅうに終えて、できるだけ早く着工したい意向ということを承っております。  なお、先ほど県が行った周辺地域住民の説明会では、協力的な雰囲気の中で行われておるということも聞いておりますし、また地元三地区住民代表が県及び市の企画した累次の空港での騒音調査等にも参加しておると聞いております。
  81. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 このカラ岳東海岸の新建設予定地につきましては、国際自然保護連合や自然保護基金日本委員会などの自然保護団体が独自に調査を行いまして、建設予定の変更によっても白保及びカラ岳東海域のサンゴ礁の保護が不十分であると警告を出しております。環境庁としては、今回の建設予定地の変更によってサンゴ礁への影響は少ないとの判断を示しておられますようですけれども、総合的な再調査を行う必要はないのでしょうか。  新奄美空港の例で示されますように、実際にサンゴが死滅してしまった場合でも、サンゴの死滅との因果関係を証明するのは非常に難しいと聞いております。したがって、事前の環境アセスメントは十分に行う必要があるし、新奄美空港に関する調査を踏まえて、環境庁のお考えをぜひはっきり聞かせていただきたい。八重山・白保の海を守る会など住民たちも、非常にこのことについては大きな危惧を抱いております。ひとり石垣島の問題ではございません、私たち日本国民として、貴重なサンゴを死滅させてしまって後でしまったと言ってももう遅いのでございます。そういう新奄美空港の実例があるんですけれども、環境庁はどうお思いになりますか。
  82. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 今おっしゃいました、ことし五月でございましたか、日本の自然保護協会その他が現実の調査に基づきましてコメントされたものを私も承知しておりますが、特に新しい知見が示されたものとは考えておりません。  その問題の内容は、御案内かと思いますが、一連の生態系という意味では旧予定地と新予定地はつながったものとして保全すべきじゃないかという考え、もう一つは新しい予定地の方にもかなりのサンゴの生息があるという御指摘でございますが、実は古い予定地は轟川河口をまたがって計画されておりまして、これ自身は非常に不幸なことでございますが、轟川の河口から排出します土砂の影響によってかなりそこでサンゴの生息が絶たれている部分があります。しかし、そういう状況を潮流その他の様子から判断しますと、新予定地の工事が、古い予定地で問題になりましたアオサンゴ、塊状ハマサンゴに対する影響はこれはないと私どもは判断しておりますし、この判断は今も変えておりません。  それから新予定地のサンゴの生息状況は、確かに私どもも遊泳調査その他で確認いたしましたが、先ほど申しましたように、埋立面積が四十数ヘクタールと非常に狭まったこともありまして、その位置に対する関係は旧計画とは全く違っております。そのような意味で、先ほど御答弁申し上げましたように、新奄美空港とは少し比較ができない状況にあるという判断があるわけでございます。  以上のようなことから、先ほど言いましたように、県が行っておられます環境影響予測調査の動向を我々としても見守ることは大切だと考えておりますが、直接環境庁が調査をしなきゃならないものとは考えておりません。  そんなことで、繰り返すようでございますが、県が出される予測調査の結果、それからまたどのような工事工法をおとりになるかについては、要請に基づいて私どもも助言、指導をしていくというのがこれからの私ども立場ではないかと考えておるところでございます。
  83. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 時間がないのであれなんですけれども、旧建設予定地の住民に対する漁業補償の取り扱いについて運輸省にちょっとお尋ねをしたいと思います。  旧建設予定地であった白保地区の漁業権、これはどのようになっていますんでしょうか。既に支払われた漁業補償及び買収された土地についての現状と今後などについて、簡単にお答えいただきたいと思います。
  84. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) お答えいたします。  白保地区の旧計画の漁業椎につきましては、五十九年三月に当該海域に漁業権を持ちます八重山漁協と沖縄県の間で漁業補償契約を締結しまして、漁業補償金が支払われております。したがいまして、空港建設を予定した海域については、現在漁業権は設定されていないと思います。今後の扱いにつきましては、新たな計画が確定した段階で適切な処置をすることになると考えております。  また、土地につきましては、これはそれぞれ補助金の問題は同じような問題がございますが、所有権は沖縄県が持っておりますので、それは沖縄県の考えで処置が進むものと考えております。
  85. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 新たに起きたときには、また新たに対応するということですね。  これまで支払われた漁業補償については、どうお考えになっていますか。
  86. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 補助金として支払われました漁業補償につきましては、新たな計画が確定した段階でそれなりに適切に処置することになります。もちろん、今後行われます場所につきましては、現在漁業権がございますので、それなりに沖縄県は新たな漁業補償交渉を行いまして、必要な補償を行うことになると考えております。
  87. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 いろいろとお伺いしたいことがたくさんありますけれども、時間が来てしまいました。  私は、日本の環境行政というのは本当にお粗末である。世界的に環境破壊がこんなに大きく取りざたされるようになりましたけれども、環境というのは壊してしまったらこれは取り返しがつかないです。緑も失ってしまったら、後でわいわい言っても後の祭りです。  最後に、大臣に一つお聞きをして終わらせていただきたいと思いますが、大臣は私と同じ北海道の方でいらっしゃいます。北海道も緑豊かな私たちの心のふるさとというふうに言われておりますけれども、ここでも自衛隊の基地あるいは合同演習、そしてそのほかさまざま、酸性雨、酸性霧、いろいろなことで環境破壊が急速に進んでいっているわけです。  環境庁長官ではいらっしゃいませんが、もう既にこのことで環境庁がサンゴは死滅はしないというふうにもしもお思いになっているとすれば、お立場としては開発をしていかなければならないとお考えになるのは当然でありますけれども、しかし心優しい大臣としてはこの住民たちの賛否についてどのように受け取っておられるか、あるいは自然を守るためにはただ開発開発と突き進んでいっていいのか、そのためにはすべてを破壊しちゃっていいのかということについて最後にお伺いして終わりたいと思います。
  88. 阿部文男

    国務大臣阿部文男君) 沖縄県に私参りまして、西銘知事とこの問題についても十分話をいたしました。それで、県としては十分地元関係者との調整を図って進めてまいるということを承っておるわけでございます。沖縄開発庁としても県の意向を十分踏まえて、今後も関係省庁と連携をしながらこれに対処していきたいと思っております。
  89. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 終わります。  ありがとうございました。
  90. 板垣正

    ○板垣正君 私は、北方領土の問題に絞りまして外務省に承ってまいりたいと思います。  昨年の十二月にいわゆる作業グループがスタートし、自来約一年でございますが、この間、日ソの外相会談が五回行われ、この作業グループの協議も三回行われた、こういう経緯で大変な努力をしていただいていると思いますが、現在までの経過、簡単にお願いいたします。
  91. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) この平和条約作業グループをつくるに至りました経緯といたしましては、昨年の十二月にシェワルナゼ外務大臣の訪日が決まりました段階で、ソ連側からむしろ作業グループを幾つかつくって政治問題、二国間関係、経済問題等話し合いたいという提案がございまして、私どもは作業グループ自体は賛成であるけれども、しかし日ソ間の基本的な問題である平和条約について作業グループをつくらないのは誤っているということでこちらから逆提案をいたしまして、それにソ連側が応じてきたという経緯がございます。  そういうことで、シェワルナゼ外務大臣が十二月に来られましたときに平和条約作業グループが並行して行われまして、初めて日ソ間で領土問題についてかなり詳しい議論が行われたという経緯がまず最初にございます。その中でシェワルナゼ外務大臣の方から、日ソ間には難しい問題がある、これは一回では片づかないし、首脳会談までいかなければ片づかないということを言われまして、首脳会談ということになれば平和条約も問題になる、そういうことで、今後次官レベルの常設の作業グループをつくって議論を続けていこうではないかという逆提案がございました。そういう経緯があって今まで三回行われてきたわけでございます。  その中におきまして、領土問題につきましてはいろいろな局面があるわけでございますけれども、歴史的な局面あるいは法律的な議論等かなり詳細な議論を双方において尽くしてきております。今回また、十八、十九日と東京におきまして平和条約作業グループを開催することにしておりますけれども、その中におきましてもソ連側から、日本側が四月に行った論点につきまして逐一ソ連側の考えが述べられるものと思います。現在のところ、こういう形で領土問題のいろいろな問題につきまして具体的に議論をし合っているところでございますが、残念ながら、立場はもちろん平行線をたどっているというのが現状でございます。  しかし、ではこの作業がむだかといいますと、ソ連側もこれは有益な作業であるということを言っております。この作業グループの中でいろいろ議論を尽くすことによって、今後平和条約を締結するという方向にいきます場合には、やはり必要な過程であるというふうに考えております。ソ連側も、今平和条約作業グループの中で行われている作業は建設的なものであり、これを今後さらに深めていかなければならないということを言っておりますし、それからやはり平和条約がなければ日ソ関係は正常化されないという認識も出てきております。  こういうことを踏まえながら、私どもとしても今後ますますこの平和条約作業グループの中での対話を密にし、そして少しでもお互いの立場が近寄る方向に今後いくことを期待したいというふうに思っております。
  92. 板垣正

    ○板垣正君 この十八、十九と第四回の作業グループも開かれる。報道によりますと、いわゆる平和条約のソ連側の案といいますか、具体的な構想等についても出てくるのではないか、そういうような予測も流されておりますが、その辺の見方はどうですか。
  93. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) 平和条約作業グループの中におきましては、従来一つの柱は、領土問題につきましてお互いに詳細にわたりまして議論をしているというところでございます。もう一つの柱は、やはり平和条約の性格づけといいますか、それについていろいろと意見交換もいたしてきております。シェワルナゼ外務大臣の方は十二月の段階で、平和条約といえば政治的、経済的な問題、それから地理的な側面もあるということをいろいろ言っておられましたし、日本側としては平和条約について唯一残されている問題は領土問題であるので、これを解決していくことは重要であるという議論をいたしたことはございます。  その後、三月の平和条約作業グループにおきまして、ソ連側からソ連側の考えている平和条約の内容というものを提示してきたことがございます。その中におきましては、やはり平和条約ということになれば戦後の日ソ関係の発展を反映した両国関係の原則的なものを書き込む必要がある、それから経済問題、科学技術協力問題等今後の協力に向けての原則を書き込む必要があるだろうということを言っております。さらに、平和条約ということになれば戦後の国境線画定という問題も出てくるのではないか、避けては通れないだろう、この問題についてはお互いに立場が異なっているという議論をしたことがございます。  それに対しまして私どもの方からは、冒頭出し上げましたように、やはり領土問題が解決していないということは唯一平和条約の障害になっているので、この問題をきちっと処理する必要があるということを述べております。そういう中で、もしそれがきちっと処理できるのであれば、ソ連側が言っておりますような両国関係についてのいろいろな原則、これはいわば友好条約的な側面でございますけれども、そういう問題についても日本側としても十分にそれを考えていく用意はあるということで今まで話し合いを進めてきております。  そういうことでございますので、そういう平和条約の基本的な枠組みについてソ連側から提案があるというソ連筋の話があったということを私どもも報道で読みましたけれども、私どもとしてはそういう全体的な平和条約の枠組みについての話し合いを今後も進める用意がございますので、そういう観点からソ連側がどのような考えを示すか注目していきたいというふうに考えております。
  94. 板垣正

    ○板垣正君 今お話しのとおり、我が方は領土問題を解決して平和条約を結ぶというわけであります。日ソ共同宣言で請求権なり戦後処理問題は解決を見ている。ですから、領土問題一点ということでございますけれども、こういうお話し合いの中でソ連側からもっと幅の広い原則的な問題なりを織り込むというような形で両者の話し合いが、やはりお互い努力しているということをここでも酌み取るわけでございます。  この間見えましたヤコブレフ政治局員が中山大臣に会ったときに、我々の関係を堅固で安定した法的基礎のもとに確立することに賛成する、すべての分野における日ソ関係の拡大を基礎とした日ソ平和条約の締結に賛成であると外務大臣に言っておられますね。やはり今までの積み重ねの中で、とにかくソ連側として平和条約の締結が必要である、これで両国の安定関係をつくらなきゃならない。これは、従来の全く話し合いが行われなかった時代から見ますと一つの努力の成果というふうに私は思っておりますが、そのように受けとめてよろしゅうございますか。
  95. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) 先生承知のように、過去におきましては日ソ間で話し合いがかなりかみ合わなかった時代がございます。例えば一九七八年に当時の園田外務大臣が訪ソいたしましたときに、我が方から平和条約の案をソ連側に提出したことがございます。そのときに先方は、日ソ間において平和条約については立場が異なるのでこれが締結できないということであれば、当面善隣友好協力条約ということで法的な基礎をつくったらどうかということを言って、私どもとしてはそれには応じられないという議論をしたことがございます。従来は、ですから日本側は平和条約、ソ連側は善隣友好条約という形ですれ違いだった時期がございます。  そういうときからいたしますと、最近になりまして平和条約というものが双方において、これが両国間の関係を確固たる法的基礎に置く、それから完全に両国関係を正常化させるというためには不可欠であるという認識が昨年の五月以来示されてきているということは、やはり対話の積み重ね、あるいは五つの分野での拡大均衡という働きかけを、提案をこちらからいたしまして、ソ連側もそれを高く評価した。そういう形で日ソ関係を全般的に拡大均衡して改善する中でこの基本的な問題も解決していこうという姿勢そのものについては、ソ連側からも十分に理解を得られてきておるというのが最近の情勢だと思いますし、それはやはり積み重ねがそういう形での具体的な効果を持ち始めているというふうに感じております。
  96. 板垣正

    ○板垣正君 と同時に、例えば作業グループで今度来るんですか、ロガチョフ外務次官、戦後の平和条約は戦争の結果を確定するものであって戦後の現実を変えるものではない、こういうことを言っていますね、何かのインタビューかなんかで。こういう相変わらずの非常にかたい姿勢というものがあることは当然我々は忘れてはならないと思います。しかし、平和条約について、安定的な条約に基づく関係をつくり上げるという方向について一層努力をいただきたい。  それで、最大の問題は申し上げるまでもなく頭土の問題でございますが、これはゴルバチョフ議長も棚上げ論を一時出したり、いろいろな形でいろいろな論議が最近は出てまいりますけれども、もちろんこうした棚上げ諭等々は論外であることは申し上げるまでもない。そこで、両者がぶつかる点は、我が方は当然固有の領土である北方四島の一括返還、これは動かすことのできない基本線であります。また北方四島、これがまさに戦後といいますか戦争末期にソ連軍の軍事力によって一方的に行われた彼らの領土拡張の結果であれば、到底これをそのまま認めるわけにはいかない。  しかし、ソ連側は、今巷間伝えられております、私どもの耳に入ってきますのがいわゆる国境線の画定ということですね。国境線の画定ということは、では一体何を意味しているのか。もちろん、四島返還が話がついてそれを国境にしましょうと、ちょうどまた一八五五年の時代に返るということになるわけでございますけれども、そうではなくして、今の国境画定論というのは現在のままのものを現実これを認める、あるいはそこからうかがえる二島返還論とか、そこに最大の問題があり警戒しなければならない、こういう点があると思いますが、その点いかがですか。
  97. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) ソ連側が平和条約作業グループの中あるいは平和条約について議論しますときに、やはり戦後の日ソ間の国境を画定する作業は残っているということは申します。その内容がどういうものであるかということについて、私どもとしてまだソ連側の見解を十分に徴したことはございません。  しかし、私どもとしては、やはり領土問題というのはその領土の主権がどちらに属しているかという基本的な問題を直視してこれを解決することが重要なんであって、四島の主権の帰属を明確に決めればあと線引きはそれに従って当然に自然に行い得るものであるので、まずその基本的な問題を回避して画定という問題だけにこれを置きかえるのはいかがなものかという議論はしております。そういう観点から、四島の帰属というものが、私どもは正当な法的、歴史的な経緯をもって日本側に属しているというふうに確信しております。そういう立場からソ連側と粘り強く話し合いをしているわけでございます。  この問題は、先生指摘のように、戦後の日ソ間のいろいろな経緯の中で生じてきた問題でございますし、私どもとしてはやはり戦後の終戦処理がまだ未解決、未完成であるという問題であると認識しております。それは一九五六年の国交回復交渉以来の経緯を見れば明らかでございますので、ソ連側は戦争の結果としてこれを認めるべきだという議論はしておりますけれども、しかしその経緯を見れば、これが戦後処理の問題として残されている問題であるということは客観的に明らかであろうというふうに考えておりますので、こういう立場も踏まえながら粘り強く、先ほどのような見地に立ってソ連側に理解を求めているというのが現状でございます。
  98. 板垣正

    ○板垣正君 両方いろいろ出し尽くしつつ真剣な論議が行われる点は評価できますし、また我が方としてもやはり対話を広げていく、関係を拡大していくんだ、こういう方向努力をしているようにうかがえます。  そこで、二つ伺いますけれども、いわゆる六協定、これは経済協力とか環境保護の問題、観光、宇宙平和利用、投資保護、銀行代表部の設置問題、この六協定が何か一時シェワルナゼの方から出されて、これがゴルバチョフの訪日の一つの前提といいますか、そういうような話し合いがあり、このうちの三つぐらいですか、現にこの問題、政経不可分のかかわりの中でいろいろ配慮されているように聞いております。その点、今どういう具体的な進みになっているのか。それと、いわゆる日ソ関係改善の五つの側面、これは宇野外務大臣がソ連に行かれたときに五つの側面を述べられた。これは現在、日ソの合意として拡大をしていく関係の五つの合意というところまで受けとめられているわけですか。その点、伺いたいと思います。
  99. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) 昨年の十二月にシェワルナゼ外務大臣が来られましたときに、日ソ関係改善の全般的なコンテクストの中でゴルバチョフ書記長の訪日もあり得るだろうということを言いまして、その訪日の準備のために外務大臣同士がより頻繁に会って準備をする必要があるということを言いますと同時に、訪日ということになれば具体的な成果が必要になるので、そのときには先生が今御指摘のあった六つの分野における協定を締結しようではないかという話をされたことがございます。そういう経緯は確かにございました。それに対しまして、私どもとしては、やはり基本的な問題が解決するという方向に向かっての関係の発展の中でこういう問題は考えていきたいということを申し上げたことはございます。  その後、五月になりまして宇野外務大臣の訪ソの際に、シェワルナゼ外務大臣に対しまして、日本としては領土問題を解決して平和条約を締結するということが日ソ間の最も重要な問題であるのでこれは避けて通れないけれども、しかしこの問題だけが日ソ間の問題ではない。やはりこの問題を解決する方向努力をしながら、あわせて五つの分野で拡大均衡をしていこうということで、第二番目として信頼関係の強化。そのためには、例えば墓参の問題であるとか、漁業問題であるとか、日本の側におきましては漁民の直接の生活あるいは過去の経緯に結びつく問題でございます。そういう人道上の問題を含めて信頼関係の強化の措置をとっていくということ。それから、可能なそして適当な範囲での実務関係の強化ということ。これは例えば互恵的な経済の関係であるとか、あるいは科学技術協力の推進であるとか、そういうような問題を含んでおります。それからさらに、より高いレベルでの人事交流の強化ということで、これは議会交流あるいは党の間の交流等も含めて私どもは提案したわけでございますけれども、それに従って今回ヤコブレフ政治局員が訪日されたという経緯がございます。  それから最後に、こういう四つの分野を包括するものとして首脳レベルの交流、そういう意味では私どもは順番としてゴルバチョフ書記長の訪日というものを期待したいということで、この五つの分野を先方に示しまして、この分野を一つも横に置くことなく全体として進めることによって日ソ関係を拡大均衡させていく、こういう中で基本的な問題を解決しようという提案をいたしまして、それはソ連側も非常にこの提案を評価いたしまして、これについての双方の意見の一致が見られたというのが五月の状況でございます。  こういう中におきまして、私どもとしても、ゴルバチョフ書記長の訪日ということが今後具体的になっていく中で、協力分野として適当なものということで環境協定をソ連側と締結する用意があるということを五月に示しまして、十二月の初めにその交渉の第一回がモスクワで行われたというのが現状でございます。
  100. 板垣正

    ○板垣正君 外務省等も対話の努力をいろいろな角度で積み重ねておられることがよくわかったわけですが、どうもソ連側の態度がペレストロイカ、新しい思考と言いながら、どうもこちらの方にはまだ及んでいないんじゃないか。北方四島について、彼らも歴史的なことをいろいろ言っているようですけれども、全くこれは荒唐無稽と申しますか、非常につじつま合わせの無理をした論議が多いような気がします。また、特に根拠としてヤルタ協定を取り上げて、ヤルタ協定に日本は拘束されるんだと、これを頭ごなしに決めつけてくる。ヤルタ体制は今や崩壊しつつあるわけですね。ヨーロッパにおいて社会主義体制、共産主義体制の崩壊の始まりと言われる中で、ヤルタ体制という戦後の支配体制が今見直されつつある。そういう中で、このヤルタ協定に日本は拘束されると、これを金科玉条として臨んでくる。  あるいは、最近はどうもポツダム宣言、カイロ宣言を非常に自分に都合よく解釈をし、彼らの千島支配を合理化しようとする言い方なり、さらに許せないのは、いわゆる国連憲章の百七条の敵国条項を取り上げて、つまりは負けた国が何を言うか、負けた国は勝った国の言うことを聞く以外ないんだ、この現実を認めろ、こういう姿勢、態度は、これはまさに我々日ソ関係を真剣に心から期待している者にとって、あるいは新しい思考外交という中でソ連もだんだん変わってきたな、変わらざるを得ない、そういういわゆるマルタ会談体制という雪解けの流れの中で、どうもまだそういう逆行するような発想というものがあります。  あるいは最近も、北方四島の軍事力の問題についても、一方的にこれを削減したり撤兵する意思は全くないというのを現地司令官がぶち上げたですね。その辺のジグザグさというふうなものについて思いますし、そういう日本国民の心情を逆なでするような発想というものについてより一層きちっとした対処をしてもらいたいと思いますが、どうですか。
  101. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) 確かに、ソ連側におきまして、ペレストロイカを進めるために有利な国際環境をつくるということで新思考外交が展開されており、それがさまざまな波紋といいますか影響を及ぼし、東西関係が対決から対話の構造へ変わってきている、全般的に見ればそうでございます。しかし、先生がおっしゃいましたように、アジア・極東方面におけるソ連側の新思考外交のいわば適用といいますか効果というのは、まだいま一つという感じを私どもはいたしております。やはりソ連が対米関係の改善といいますか再構築及びヨーロッパ正面での関係の推進というものに今まで全力を挙げてきたという観点からしますと、これも無理からぬ推移であったかと思っております。  しかし、ウラジオストク演説以来、ソ連もアジア・太平洋正面への関心を強めてきております。やはり経済を中心としてソ連がアジア・太平洋地域のダイナミックな発展に参加していくというためにはいろいろな協力関係が必要でしょうし、その中で対日関係というものもそれなりに重みを持ってきているということは事実だと思います。そういうことでございますので、ソ連側の主張に対しましてはきちっと対応するということを平和条約作業グループの中で行っておりますけれども、それはそれとして、やはりソ連側において日ソ関係というものがアジア・太平洋の全般的な政治情勢の中で不可欠なものであるという認識を強めてもらうということが必要だと思います。  そういう意味で、私どもとしては、一九九一年に予定されておりますゴルバチョフ訪日に向けて、ソ連が日本の問題を真剣に考えるようになるという過程の中において、戦後のさまざまな日ソ関係に起こったことについての再評価が行われ、ソ連側がそれに再度、今いろいろなところで歴史の見直しが行われておりますけれども、その延長線上で日ソ関係について再びソ連側が真剣な考慮を払ってくれるというようなことになれば、日ソ間の基本的な問題についてもより理解が進むのではないか、こういう期待をしているのが現状でございます。
  102. 板垣正

    ○板垣正君 ソ連側が非常に領土問題でかたくなな姿勢をとる、またある面ではとらざるを得ない彼らの国内情勢もあると思うんです。東欧の急速な民主化の流れもございます。国内の経済的問題もございます。あるいは噴出する民族問題、こうした形で東の方で譲ると西の方でまた騒ぎが出てくるんじゃないかという彼らの懸念も背後にあることは認めざるを得ないと思いますけれども、今お話しのように、いずれにしましても日ソ関係改善のために北方領土の問題が最大の障害であるということについての認識が近年ソ連のトップを初め指導層に、とにかく日ソ関係は何とかうまくいかなければならないが最大の障害は領土問題だ、こういう認識が非常に高まったという点も特徴的なことであろうと思います。  そういう流れの中で、いよいよゴルバチョフ議長が一九九一年に日本に来るということが言われております。これも今局長が言われたとおりに、対日関係の打開に思い切って踏み出すという決断を恐らく内々秘めておるのではないのか、あるいは北方領土問題をこれから約一年有余、九一年にゴルバチョフが来るこの期間中にこの問題についてはやはり決着をつける、解決をしたい、こういう意思を秘めて訪日ということを決断した、その決断があるのではないか、こう憶測しますが、いかがですか。
  103. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) ソ連側が今回初めて前提条件をつけることなく、ゴルバチョフ書記長の訪日が一九九一年に実現するということを言ってまいりました背景がどのようなものであるかということを具体的に憶測することはなかなか難しいわけでございますけれども、しかし基本的にやはり全般的なアジア・太平洋情勢の中で日本との関係が重要であるという認識に立って、日ソ関係の打開を真剣に考え始めているということは事実だと思います。これは、ヤコブレフ政治局員が先日参りましたときも、ヤコブレフという方は非常にゴルバチョフ書記長と近い方で、新思考外交のいわば担い手であると言ってもいいというふうに思いますが、そのヤコブレフ政治局員が来られたときにも、日ソ関係を二十一世紀に向けて基本的に改善していきたいという熱意は伝わりましたし、私どもとしてもそのために真剣に努力する用意があるということを伝えた次第でございます。そういう形で、ソ連側がやはり真剣に日ソ関係に取り組もうという姿勢は疑いのないところでございます。  しかし、先生がちょっと御指摘になりましたような領土問題について、これを解決しようという意図があって書記長の訪日を決めたという点につきましては、私どもは今後なお一層日ソ間の対話と交渉の中において、ソ連側の態度はどのように変化し得るものであるか、対話を深めていきたいと思っております。現状におきましては、学者グループ等の中においていろいろな議論が出てきていることはまた事実でございますけれども政府そのものの対日姿勢といいますか、北方領土問題についての立場は依然厳しいものがあって変化の兆しが見られないというのが残念ながら現状でございます。
  104. 板垣正

    ○板垣正君 おっしゃるとおり、ソ連の基本的な考え方は全く変わっておりませんから楽観できる要素は何ものもありませんが、先ほど来いろいろ交わしてきたように、やはり流れておる。ゴルバチョフが、それだけの決意で臨んでくる。そうなりますと、現在から来年いっぱいが特に北方領土問題についてのまさに正念場、大事なときを迎えると思います。そういうことで、外務省当局も基本原則はきちっと堅持しつつ広い視野に立ってこの問題に一層取り組んで、国益を守って、かつ日ソ間のあるべき姿を見出していただきたいと思います。  同時に、気をつけなければならないのは、いわゆるソ連側から、いろいろな形で日本の世論を揺さぶり、世諭を分断する工作が恐らくもっともっといろいろ出てくると思う。現にいろいろ出てきているんじゃないか。そういう中で、ややもすると我が国にも、こういう雪解けムード、平和ムードの中で日本だけえらくおくれているじゃないか、バスに乗りおくれるなとか、日本はどうも対応がまずいんじゃないか、外務省はかた過ぎるんじゃないかとか、国外からも国内からも論議が焦点に行けば行くほどいろいろなそういうものは出てくると思いますけれども、やはりそうした一時的なムードあるいは感情等で支配されるべき問題ではない。腰を据えて、基本線である我が国固有の領土の解決をして、四島返還を決着つけて平和条約を結び、それによって二十一世紀の日ソ関係のみならずアジア・太平洋のまさに新しい世紀につながっていくという立場で、どうぞこの上とも信念を持って取り組んでいただきたい、このことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  105. 田代由紀男

    委員長田代由紀男君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後二時五分開会
  106. 田代由紀男

    委員長田代由紀男君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  107. 大城眞順

    ○大城眞順君 私は、異常なほどまでに米軍基地が密集している沖縄の実態をとらえながら、基地の諸問題につきまして、昨今の国際情勢の行方をベースに考えながら基地問題を中心にいたしまして質問を展開してまいりたいと思います。  まず、マルタにおける米ソ・サミットでございますけれども、これは専門家あるいはまた人々によりましては、冷戦時代の終結とも言われております。それに至るまでの、東欧諸国を中心とする民主化運動により電撃的に押し寄せております政治の激変、またソ連のペレストロイカの政治経済の中における実現化に向けての不断の努力等々、世界は今平和を求め、そして自由を求めて目まぐるしく回転いたしております。  そういった中で、最近とりわけ注目されておりますのは、米ソの軍縮構造の推移をとらえてみましても、これからもよい方向に急進展することが予想されますけれども、ブッシュ大統領は最近議会に対しまして一九九四年、すなわち来る五カ年におきまして二十五万の兵力削減を初めといたしまして、空そして海の軍事力も含めて大胆な縮減計画を提案いたしております。そういった中で一体アジアはどうなるのか、午前中も質問がございましたけれども、そして我が日本はと考えた場合に、七五%の米軍基地を擁しておる沖縄、一体これが変わるのか変わらぬのか、最近非常に首をひねっておるところでございますが、こういったところの最近の動きを分析しなくてはこれからの安保も語れない、このように私は考えております。  したがいまして、私は最近の党における国防部会でも、ブッシュ提案あるいはチェイニー国防長官のこのような大胆な提案に対しまして、分析をした上でこれからの日本の防衛というものも考えていかなくちゃならぬけれども、分析をいたしておりますかということの問いに対しまして、今分析中ですということでございましたが、どのようにとらえて、どのような方向でこれが実現されていくか、そしてまた日本米軍基地に対してかかわりがあるのかないのか、その辺について、まず防衛施設庁から御意見、御見解をちょうだいいたしたいと思います。
  108. 大原重信

    政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。  先生指摘のグローバルな問題につきましては、私どもの担当しておる問題とは少しスケールが大きゅうございますので、答弁は差し控えさせていただきます。
  109. 大城眞順

    ○大城眞順君 私は事前通告をいたしておりますよ。何も質問の順番は言っておりません、私は。
  110. 大原重信

    政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。  沖縄におきます米軍基地は、日本全土の米軍基地の七五%を占めております。それから第十四回、十五回、十六回安全保障協議委員会におきまして返還が合意された施設のうちの返還状況は、ただいま四七%にまでしか至っておりません。先生指摘のとおり、まだまだ米軍基地整理統合につきましては進捗状況が悪うございますが、鋭意努力してまいりたいと思っております。
  111. 大城眞順

    ○大城眞順君 私は、そんな質問はしたことございませんよ。アメリカにおける軍事力の縮減計画は対してどのように分析されておるのか、それは日本における軍事力あるいは国防に対してどのようなかかわりになってくるのか、こういうことなんですよ。もう少しまじめにやってもらわぬと困ります。  私がなぜ大きくその次の質問に対する前提を長長と申し上げたかと申しますと、今沖縄で盛んに問題になっております都市型戦闘訓練施設、こんなものは要らない時代に入っているんじゃないかということなんですよ。都市型戦闘訓練施設、いわゆる都市型のゲリラ戦、これは実際に戦争状態でしょっちゅう繰り返してやっておるところはレバノンのベイルートぐらいなものじゃないですか。この前フィリピンで、あれは暴動で都市でバンバンやりましたけれども、こういった都市型戦闘訓練が必要であるというその次元、何をどこでこういった都市型戦闘が行われるという想定で米軍はこれを盛んにつくっておるのか、その必要性についてお聞きしたいと思います。
  112. 大原重信

    政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。  米軍は、安保条約目的達成のために我が国に駐留いたしまして、必要な訓練を実施いたしております。このような都市型戦闘訓練の必要性につきましてはつまびらかにいたしておるところではございませんが、米軍は日常の訓練を通じまして練度の維持、向上を図り、即応態勢を整えておくこともまた安保条約目的達成のため不可欠であろうかと存じます。しかしながら、本訓練施設につきましては、地元方々が御々御心配されていることも十分承知しておりまして、当庁といたしては従来から住民の安全の確保に配慮するよう努力してまいっているところでございます。
  113. 大城眞順

    ○大城眞順君 今ちょっとひっかかる言葉がございました。その必要性については明らかにされていない、あるいはまた明らかではないがと。こういった明らかではないものを皆さんは米軍と一緒になってつくるんですか、お答え願いたい。
  114. 大原重信

    政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。  この都市型戦闘訓練施設は、私ども伺っておりますところによりますと、市街戦を想定いたしまして、敵に占領された建物を小火器を使用いたしまして奪回する訓練ということで米軍はこの施設を建設いたしておりますが、そういった訓練は軍隊としての属性に属することでございますので、それは私どもは必要であろうかというふうな認識を持っております。
  115. 大城眞順

    ○大城眞順君 まず、皆さんは地位協定によってアメリカさんに提供する義務があるわけでございます。しかし、安保の目的を達成するためには沖縄県民の心はどうでもいいんだ、沖縄県民の生命財産にどうかかわろうと安保の目的が達成すればそれでいいんだ、このような感じ方しか私とらえられませんけれども、安保の目的というものはやっぱり平和であろうはずですから、そんな平和なものは私はどこにもないと思いますよ。  そういうことになりますと、こういった施設を一つ一つつくっていくたびに県民の大変な抵抗を受けてまいりましたけれども、皆さん、アメリカ側の方からこういった施設をつくりたいといった時点で、何に使うか、どういった形になるのか、これは絶対必要なのか、そんな話もしないで、さあどうぞということで提供するんですか、地位協定の中身というのは。お答えください。
  116. 大原重信

    政府委員(大原重信君) 米軍は、提供された施設区域内で所要の訓練を行い、あるいは所要の施設整備することは地位協定上許されておるところでございます。さはさりながら、防衛施設庁といたしましては、沖縄県民方々に対する生活の上でのいろいろな影響もこれありということを考える立場から、いろいろ各種のレベルで調整をさせていただき、沖縄県民の皆様方の御理解をいただけるように努力をいたしている所存でございます。
  117. 大城眞順

    ○大城眞順君 その辺に間違いのもとが私はあると思います。今までの米側のやり方をじっくり見てみますと、いつも日本が、いわゆる皆さんが慌てふためいて対応しておる。あと二、三ヵ月、数ヵ月でアメリカの予算が切れるから今やらなければいかぬよということで、考える余裕をまず米軍が与えない。そこでにっちもさっちもいかなくなって、それが県民の生命財産に危害を及ぼすおそれがあるのかないのか、その辺も物理的に十分検討しないで、あるいは周辺環境というものを十分分析しないで結局決めてしまう、そこに私は大きな問題があろうかと思います。安保の目的達成といえども県民の生命財産に危害を及ぼしてもなおかついいんだという論理は私は成り立たぬと思う。それは地位協定の精神じゃないと思いますが、いかがですか。
  118. 大原重信

    政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。  先生指摘いただきましたとおり、私も全くそのように考えております。
  119. 大城眞順

    ○大城眞順君 ひとつ、ここで私の考え方を述べさしていただくならば、対米軍との関係、これはやはり将来根本から直すべきだと思う。何か提供してくれ、何か施設をその提供された土地につくりたいという場合には、何をつくるという時点において、どことその場所が決まらぬ時点において相談に乗るべきだと思う。それは米軍に強く申し入れて、最初のいわゆる構想の時点から企画実現の時点まで一緒に考え、一緒にやって、その間において県民の納得を得なくちゃいかぬのは一生懸命汗をかく。そういった形をとらないと、今までの轍を踏むだけでは県民の不安というものは解消できないし、いつまでも協力のない一方通行の安保になってしまうけれども、これからのあり方について、まずお聞きしたいと思います。
  120. 大原重信

    政府委員(大原重信君) 私ども沖縄基地の運用あるいは施設の設置等につきまして「沖縄県及び米軍、それから私どもの方の那覇防衛施設局の三者でもちまして三者協議会というのを持たせていただいております。ここではお互いにとらわれない立場で自由に発言をし、自由に沖縄基地問題について話し合うというようなことで十時活用されておりますが、そこでも、先生指摘のとおり、安保あるいは地位協定の実際上の問題につきましても、それはそれとしてではなく、沖縄県民立場に立っていろいろな問題を生活に密着した問題についてここで話し合う、こういう場を持っておりますので、これは安保条約、地位協定の精神に反するものではなくそれを支えるものだ、私はそういうふうに認識いたしております。
  121. 大城眞順

    ○大城眞順君 よくわからないんですけれどもね。今までの対応を変えていかないと大変になる。私は、この点については外務省とも話したことがある。現場沖縄でも話したことがある。なるほどそのとおりだと。アメリカさんはいつもすぐその場になってから早く早くという調子で日本側の了承を得ようとする。これでは日米間の提携にならないんですよ。協力にならないんです。安保の精神もゆがめられてくるんですよ、いつかは。  外務省、これからの基地の対応は、新しいものをつくる場合のプロセスについて、私の考え方についてどう考えるか。外務省、よろしくお願いいたします。
  122. 森敏光

    説明員(森敏光君) 外務省といたしましても、かねてより施設区域の安定したかつ円滑な運用を図っていくためには、施設区域の存在と米軍の活動に伴って生じます周辺の住民の皆さん方への影響が最小限にとどめられ、可能な限り地域住民の理解と協力が得られることが重要と考えております。この点につきましては、これまでも機会あるごとに米側に対して申し入れを行ってきているところでございます。委員指摘の、今後とも米側と十分連携をとりながら米軍の駐留に伴う諸問題を運営していくという基本的な考え方につきましては、貴重な御意見として常に念頭に置いて対処してまいりたいと思います。
  123. 大城眞順

    ○大城眞順君 この問題だけにとられても時間の都合上前に進めないわけでございますけれども政府全体としても考えていただきたいのは、私の目からいたしますと、政府の政策の整合性というものが全然考えられてないと思うんです。おかげをもちまして、国土庁、例えば四全総は沖縄を一ブロックとしてとらえる。それまでは九州全域にわたってのブロックだった。それはそれなりの、国際化時代に向けての沖縄の特殊性、それを発揮すれば、いわゆる国土の有効利用になるという見地からそういうことになった。それがいわゆる国際リゾートの形成です。ほかにもたくさんありますけれども、そういったことが立法等を通じましてどんどん沖縄のよさというものをとらえてこれから二十一世紀に向かおうとしている。  この恩納村というのは、沖縄の観光のメッカであります。リゾートの位置づけの中心地であります。一方では育てようとする。一方ではこういった都市型ゲリラ訓練場を、後ろを向けばリゾートホテルの窓が見えるところにつくる。万一のことがあって、かつて何回もあったように流弾がホテルの窓から突っ込むかもしらぬ。すぐ下の沖縄のメーン道路である五十八号線の車に飛んでいくかもしらぬ。こういった場所で沖縄のリゾート形成、沖縄の二十一世紀のそういったものを国土庁なり建設省なりその他関係省庁一生懸命につくろうとしておるのに、一方では外務省防衛庁が一生懸命壊している。こんな政策は私はどこにもないと思うんですよ。  こういったものをぜひひとつ含めて今後の施策というものを練っていただきたいわけですけれども、いかがでしょうか。両方から簡単に御意見をちょうだいいたします。矛盾すると思うか、しないと思うか。
  124. 森敏光

    説明員(森敏光君) 委員指摘の恩納付における都市型訓練施設の関連につきまして、この問題につきまして私どもといたしましても日米合同委員会等種々の機会に、米側に対してこの訓練施設にかかわります安全確保に対する十分な配慮を要請してきたところでございます。これに対しまして米軍も、その安全につきましては十分配慮を払うとともに、具体的には射撃の方向はすべて山側とするとか、あるいは射だとなる建物の民間地域側の窓は閉鎖するとか、あるいはもともとの計画では最も民家に近いところに建設予定の建物、これは当初発射用の建物ということでございましたが、これは倉庫として使用するとか、あるいは射撃の際は安全担当の将校を立ち会わせるとか等等、地元住民の皆さんの生活に及ぼす影響を配慮しつつ必要な訓練を実施したい、かように米側も措置を講じておると考えております。  今後とも、沖縄におきますその地域の皆様方の理解と協力が得られるようにできる限りの努力を米側とともに行っていきたい、かように考えております。
  125. 大原重信

    政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。  当庁といたしましては、従来から住民の安全の確保に十分配慮するよう、また住民生活に及ぼす影響をできるだけ少なくするよう、機会あるごとに米側に注意を喚起してまいりました。今後とも、必要に応じまして安全の確保等住民生活は十分配慮をするよう求めていく考えでございますので、御理解をお願いいたしたいと思います。
  126. 大城眞順

    ○大城眞順君 沖縄のこの種の問題というのは、皆さん役人として私の質問に対する大変苦しい答弁もよくわかりますけれども、私は怒らざるを得ないんです。再びこのようなことがあってはならないという事故が、再びというのは、僕は日本語わかるのかわからぬのかわかりませんけれども、二回が再びだと思うんですよ。三たび以上は、何百回も再びという言葉があるはずはないんです。これが沖縄の実態なんですよ。  この問題ばかりにかかるわけにいきませんが、沖縄は七五%の米軍基地が占有しているわけです。そうしながら、戦後復帰までの二十七カ年間の沖縄のこのブランクに対しての手当てというものは、復帰特別措置あるいは振興開発特別措置で開発庁を中心にして大変な努力をいただいて今日に至っております。しかしながら、この特殊な、あんなちっちゃい沖縄に安保を全部担がされて、それに対する手当ては何もないんです。何かあるとするならば、これは絶対うそです。というのは、基地周辺整備法があるじゃないか、何かの建物をつくる場合防衛庁の予算が行っているじゃないかと。これは他県も同じなんです。この七五%の重さ、犠牲に対する手当ては何もないんですよ。  こういったことを考えながら、政府の政策の整合性というものを皆さんだけじゃなく全体として考えていかないと、沖縄はいつまでたっても大変な差別のままに未来永劫というものを歩んでいかなくちゃならぬ。大変寂しくもあり、また怒りも本当に心頭に発するような気持ちでふんまんやる方ないわけでございますが、次に進みます。  前に、米軍が大変な贈り物を沖縄にしましたね、水爆というやつを。あれは何か安全宣言をされた形になっておりますけれども、その中身についてごく簡単に、こうこうこういうことだから安全だというその内容について、ひとつお聞かせ願いたいと思います。外務省
  127. 森敏光

    説明員(森敏光君) 本件の事故につきましては、この問題が本年五月の報道で明らかになりまして以来、外務省といたしまして、米側にその安全性の問題等につきまして照会を行いました。これにつきまして米国政府からは、爆発の可能性を含め環境への影響はないという回答を得ております。他方「外務省といたしましても、関係省庁の御協力を得まして海洋環境放射能調査等を実施しております。その結果につきましても、異常は見出されなかったということでございます。したがいまして、私どもとしては所要の措置はとったというふうに考えております。
  128. 大城眞順

    ○大城眞順君 これからの私の質問に対して簡潔に答えてください。  いろいろと調査した結果、環境汚染がない。環境汚染がないということは、海の底でございますので、その周辺の海水あるいはまた魚に影響がないということなんでしょうけれども、聞くところによりますと、いわゆる放射能が沈殿化して海底の泥土の中に入ってしまっておるから、海底における圧力で絶対大丈夫なんだということのようでございます。  御案内のとおり、沖縄は周辺を海に囲まれております。世界は、今までの地上の資源開発から海底の資源開発へと目を向けてきつつあります。二十一世紀には完全に海底の時代になるのではないか、こういうことで各国争って条約等を中心にいたしましてもいろんな動きがあるわけでございます。こういった時代の流れの中で、特に沖縄の場合には、よく報道されましたように、しんかい六五〇〇ですか、あるいはそれ以前のしんかい二〇〇〇か、やってましたね。それで、沖縄の海には熱水鉱床を初めとしてマンガンその他の大変な資源があるんだ、こういうことであります。  将来、この資源を活用するために海底をいじるとか、あるいは地震があった場合に、泥土の中におさまっている放射能が生き返ってくる可能性はあるのかないのか。絶対に断定を下せないとするならば、安全だから事は終わったではなくして、やはりこれからの時代は申し上げたとおりでございますので、六千五百というところまで達するような技術的な進歩も得ているわけですから、何年かに一回定期的にこれを調査して、沖縄県民の不安を事あるごとに解消していくということでないと、一片の安全宣言で終わりましたでは、これは大変なものです。その辺をひとつもう一遍、そういったことを将来定期的にやる覚悟はあるのか、あるいはこの放射能というものは絶対どんなことがあっても、地球がぐらついても放射能は漏れてこないのか。外務省
  129. 森敏光

    説明員(森敏光君) 先ほども申し上げましたとおり、本件の安全性に関します問題につきまして、米側からは、当該関連の物質は巨大な量の海水と接触しつつ海底に溶解沈殿しまして、深海底の高水圧のもとでほかの沈殿物により包まれるに至っているということなどから、環境への影響はないと確信しているとの回答を寄せてきております。私、現時点におきまして科学的な専門的な知識は持ち合わせておりませんですが、委員指摘の点につきましては、仮定の問題でございますので、この場でお答えするのは差し控えたいと思います。
  130. 大城眞順

    ○大城眞順君 これは仮定の問題というとらえ方ではおさまらないんじゃないかと思うんです。何かそれが安全だから安全だからということで、じゃ、おまえらは高まくらして寝れると言うわけにいかぬ。人間の不安というものは今日までの体験の上にも積み重なってくるし、そして毎日ああいうふうにして流れ弾が飛び交う沖縄において、不発弾がいっぱいの沖縄において、いや水爆は大丈夫だからまくらを高くして寝なさいと言ったって、それは精神的にも心情的にも無理なんですよ。だから、これは仮定の問題じゃなくして、将来、科学的にやり得る可能性があるんだったらやるべきだと私は思うんだけれども、これをひとつ宿題にしますので、ぜひこれは検討していただかないと困るんですよ。  それでは次に、また大事な問題に移りますが、日米合同委員会、これは四十七年五月の日米合同委員会ですけれども、その中に、地位協定の六条ですか、それに基づいた航空管制に関する合意というものがあるわけでございます。その中に書かれておるのは、嘉手納飛行場及び那覇飛行場の周辺における航空交通の安全運航上の必要にかんがみ、これら飛行場に対する進入管制業務は単一の施設が実施すべきであるということについて相互に同意する、したがって合衆国政府日本政府がこれら飛行場に対するレーダー進入管制業務を行うことができるまでの暫定期間、これら飛行場に対する進入管制業務を実施するものとするという合意事項があるんです。現状はどこがしているんですか、この進入航空管制業務は。
  131. 森敏光

    説明員(森敏光君) 沖縄本島におきます進入管制業務につきましては、委員指摘のとおり、昭和四十七年五月十五日の日米合同委員会におきまして、那覇空港に近接して嘉手納飛行場が位置しているということから、これら区域におきます航空交通の安全を確保するために、単一の施設によって進入管制を行う必要がありますので、日本政府がこれらの飛行場のレーダー進入管制業務を行うまで暫定的に米国政府が那覇空港の進入管制業務を実施するということが合意されております。  日米合同委員会の昭和五十年の合意におきまして、米国政府は、日米地位協定に基づき使用を認められている飛行場及びその周辺の管制業務を行うことが認められております。このこと及び昭和六十三年五月に開催されました日米合同委員会の下部機関であります民間航空分科委員会におきまして、運輸省より米軍に対しまして本件の移管を要望したのに対し、米側は、嘉手納飛行場は米軍にとって極めて重要な飛行場であり、種々の米軍の運用上の所要にかんがみまして、本件移管は極めて困難であるとの見解を示しております。  以上のことにかんがみますと、当面、本件移管を図るということは困難である、かように考えております。
  132. 大城眞順

    ○大城眞順君 質問もしていないものをどんどんおしゃべりなさっていますけれども、それは困るんです。私は、今こっち側がやっているのか米軍側がやっておるのか、だれがやっておるのかということだけ質問したわけです。今の長たらしい、私がしゃべったことと同じようにしゃべった後の答弁ですけれども、これは、おっしゃるとおりこういった業務がいまだに米軍によって続けられておるとするならば、四十七年の五月以降ですから十七年も経過しておるんですよ。この合意事項の中に暫定期間とあるが、この暫定期間、あと何十年続くんでしょうね、本当に。  運輸省、今の橋本大蔵大臣がかって運輸大臣のときに、運輸省として十分実施できるということを国会で答弁されておるんですよ。それだけの技術水準はとっくに達した、いつでもオーケーなんだ、こういうことですけれども、運輸省これはそうですか。
  133. 下里晃

    説明員(下里晃君) お答え申し上げます。  現在、米軍の実施しておりますレーダー進入管制業務に関しましては、運輸省としては既にこれを十分実施し得る能力を備えているものと考えております。
  134. 大城眞順

    ○大城眞順君 六十三年の五月に日米合同委員会の民間航空分科委員会で、運輸省として当業務の返還を要請されたということですけれども、どういった形で米軍の方にこの権限を渡せと迫ったのか、ひとつ簡単に、その時点の交渉の内容についてお聞かせ願いたいと思います。
  135. 下里晃

    説明員(下里晃君) ただいまの返還の要求につきましては、航空分科委員会、こちらの方で申し入れてございます。これは終戦後、米軍による管制がいろいろな飛行場でもって行われたんですが、その各空港、例えば千歳、板付、福岡とか、こういうような空港における管制業務はすべて米軍によって当時行われておったわけでございますが、我が日本政府がこの管制を実施するということでもって要員態勢、それから施設、技量、これの伴ったものに準備できた段階でもってそういう業務返還を相手側に申し入れておるということの経緯に従いまして、同じく那覇におきましても進入管制業務の返還につきまして申し入れをした次第でございます。  以上です。
  136. 大城眞順

    ○大城眞順君 先ほど、外務省からの御答弁によりますと、アメリカ側は嘉手納基地が重要だからと。それが重要でないと言う人は一人もおりませんよ。特に、与党として我々は、安保によって、地位協定によって提供された、大変な装備をされた飛行場ですからね。しかし、ただ重要だから——その技術、そして沖縄の空の状態、県民の感情、いわゆる独立国家としての権威、そういったすべての物差しを当てて米軍に迫るべきじゃないのか。その米軍が、いやこれは重要だからおまえらに任すわけにいかぬ。それはまさに、運輸省は自信ありと言いながら、運輸省の技術を認めていない。信頼関係にあるべき日米関係の中で、一方的に日本側を信用しないということは、これは協力体制成り立ちません。  ということは、外務省、今の実態からして十七カ年も暫定期間が続いていますけれども、これは沖縄の航空業務に関する限り、特にレーダー進入業務に関する限り、これは軍事優先ですな。
  137. 森敏光

    説明員(森敏光君) この日米合同委員会の合意、これは軍用と非軍用の航空交通管理の体系の協調を図るとの観点から行っているものでございまして、私どもといたしましては、今の現状はこういう形で軍用と非軍用の協調がなされておると。いずれにいたしましても、私どもとしては、今後とも安保条約目的達成の必要性を踏まえつつ、このような諸般の状況や要素を十分勘案して、米側との接触を含めて適切に対処してまいりたいと考えております。
  138. 大城眞順

    ○大城眞順君 私は、運輸省も数年前から自信ありとおっしゃっておるし、あるいは独立国の権威からいたしましても、できるだけ早い機会にアメリカに具体的に折衝していく準備を進めるべきだと思う。その場合に、いつごろまでにというある程度ターゲットを置いてやっていかないと、あと十七カ年また暫定期間、これは合意のこの文言からしてもいただけないですよ。いつまで暫定期間ですか。暫定期間というのはそんなに、僕は十七カ年も暫定期間がある物事というものは聞いたためしがないんですよね。このように、おっしゃるとおりに米軍側にそう言わしめた原因はどこにあるか。これはアメリカそれ自体にある。  沖縄は、米軍専用基地の、いわゆる沖縄本島に二〇%、そういった基地の実態になっておりますけれども、みんな土地の上だけ見て海を見ていない、空を見ていない。空を見た場合には、東西南北みんな訓練空域です。四つか五つあります、大きなのが。小さいのはまだあるでしょうけれども、対地訓練のところでは。大まかに言って、空中戦をやったり何かやっている空域が沖縄を取り巻いている。その中に、私は反対しましたけれども、数年前にACMIが入ってきた。そのACMIも、つくったものの、何か最近の資料では一回も使ったことはないということです。  そういった大通りは全部米軍の飛行機がまかり通って、その大通りと大通りの間の路地、車の通らないような路地に民間航空を押し入れてあるわけです。危険きわまりないですよ。東京から沖縄へ行くときも、逆も、それから東の方の北大東、南大東、それから西の方の久米島、本当にごめんなさいというような形で、何で我々独立国家が小さくなってごめんなさいと言って通らなくちゃならぬの。ここに原因があるわけなんですよ。  海。海も四方八方訓練海域です。しょっちゅう米軍の演習の弾か何か知らぬけれども落として、漁民をびっくりさせておるでしょう。それで、ほとんどの事件はうやむや。沖縄県民が爆弾でも持っておるとおっしゃるんですか。いつもうやむやだ。米軍以外には爆弾その他を持っておるのはないんです、沖縄には。まさかソ連がやらぬでしょう。  そういったものを一つずつ考えた場合に、一体、沖縄はどのぐらいアメリカに占領されておるのか。それが安保の実態として、沖縄にのみと言ったら失礼かもしれませんけれども、余りにも過酷に犠牲を強いる必要があるのかということを考えるわけでございます。  もう一遍、運輸省、外務省、この件はいつまで続くのかあるいは続かせないのか、自分の飛行機は自分で管制できるような状態にやっていく決意があるのかないのか、その辺をお聞かせいただいてから次の質問に移りたいと思います。
  139. 下里晃

    説明員(下里晃君) 私ども管制を担当する者といたしましては、すべて日本の空域は日本人の手でという理念に燃えております。運輸省といたしましては、今後とも外務省と協議しつつ、アメリカ側との接触を含めて、適切にこの問題に対して対処していきたい、このように思います。
  140. 森敏光

    説明員(森敏光君) 本件の問題につきましては、先ほども申し上げましたとおり、現実問題として当面その移管を図ることは困難であると考えておりますが、いずれにいたしましても、私どもとしても今後とも非軍用と軍用の航空交通管理の体系の協調、整合を図っていくという考え方にのっとりまして、諸般の情勢等を考慮しつつ適切に対処してまいりたい、かように考えております。
  141. 大城眞順

    ○大城眞順君 どうして外務省はいつもそんなに引っ張っていこうとするんですか。当面というのはいつまでですか。
  142. 森敏光

    説明員(森敏光君) 昭和四十七年の日米合同委員会の合意におきましても、特定の期限を定めたものではございません。私どもといたしましては、先ほど申し上げましたような諸般の情勢、要素等を十分考慮しつつ、米側との接触を含めて適切に対処してまいりたいと考えております。
  143. 大城眞順

    ○大城眞順君 四十七年の日米合同委員会での取り決めが期限を設定していない、そんなとらえ方をしたら困るんじゃないですか。暫定という言葉がありますよ。期限が定められてなければ百年も暫定ですか。  結局、場合によっては、今の国際情勢からして米ソを頂点にして雪解けになっている。戦争というものがいかなる形から分析してもないんだという時点になったら引き揚げるでしょう、どこの基地も。そうすると、その時点まで沖縄の航空管制をアメリカにゆだねると言うんですか。そういったお言葉は使わないでくださいよ。これは余りいいことじゃないでしょう。その辺にやはり県民の怒る理由があるということを、ひとつかみしめてくださいね。お願いします。  次に移ります。  最近、十二月に入りましてから沖縄のマスコミ等が、政府筋からの発表あるいは情報だということで、大変喜ばしい方向沖縄基地整理縮小が進んでいるという発表でございます。恩納施設が来年二月、すぐ目の前で返還される、泡瀬ゴルフ場が来年の十一月までに返還される、奥間ビーチが代替地を条件にいたしまして返還をいつでも検討する、こういうことです。那覇軍港は一九九〇年めどにとか、その後いろいろあるでしょうけれども、こういった喜ばしいニュースが飛び込んできております。私、今項目を挙げましたけれども、この期日までにめどがつき、この期日までに返還されるのか、お答え願いたいと思います。
  144. 森敏光

    説明員(森敏光君) 現在、日米合同委員会の場におきまして、日米安全保障協議委員会において了承されました沖縄県における施設区域整理統合計画のうち、いまだ実施されていないもの及び沖縄県知事米国政府に対して行いました施設区域の返還要望の実現可能性につきまして検討が行われているところでございます。この検討作業の具体的な内容あるいは今後の見通しにつきましては、日米間で今鋭意検討を行っているところでございまして、その内容につきまして申し上げる段階にはいまだ至っていないというのが実情でございます。  本件に関連いたしまして委員指摘のような種種の報道がなされておるということは承知しておりますが、今申し上げましたとおり日米間で検討中の段階であります。それぞれの施設について具体的な結論が出たとか具体的な方向づけがなされたとか、そういうことはございません。
  145. 大城眞順

    ○大城眞順君 森さん、対話をしましょう。余り書いたものにこだわらないでください。私も余りこだわっていませんよ、普通の言葉でやっておるんですから。  そうすると、今も三つ四つ挙げて私は具体的にこれはそのとおりにいきますかと言っただけの話であって、あなたはあっちからこっちから持ってきて雑炊みたいにして、今検討中であって、あとはいつめどがつくのかわかりませんという形でしゃべられたら、なかなか次の質問ができないじゃないですか。  この新聞報道に対して、防衛施設庁はどうお考えですか。
  146. 大原重信

    政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。  本件に関連いたしまして先生指摘のような報道がございましたことは十分承知しているところでございますが、この報道されたような事実はございません。個々具体的にどこまで進んでいるかというのは、私どもは今鋭意検討中でございますので、まことに失礼ではございますが、方向づけあるいは具体的な基地等については御答弁は差し控えさせていただきます。
  147. 大城眞順

    ○大城眞順君 今のお二人のお話からしますと、新聞報道のとおりの事実はないけれども、今鋭意検討中ということに受け取ってよろしいかどうか。それを含めまして、鋭意検討中だったらどの辺まで、それは話せないところもあるでしょうけれども、いつごろまでをめどに、例えば今年中とかあるいは来年半ばごろまでにとか、ある程度の線は出てくるとか、そういった形でも結構ですから、鋭意検討中の内容をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  148. 大原重信

    政府委員(大原重信君) 先ほど先生指摘になられました個々の施設について検討しているというふうに申し上げているわけではございませんで、どのような施設について検討しているかということにつきましても、大ざっぱに私どもは十四、十五、十六、そのうち残っております十五、十六の安保協の事案及び県知事が訪米されました折に米国でいろいろお話になられました事案、こういったものも含めまして検討中というふうに申し上げておるわけでございます。  先生指摘でございますが、いつまでにどういっためどがつくか、あるいは今の段階でどの辺まで進んでいるかという問題につきましては、今アメリカと交渉している段階でもございますので、まことに失礼でございますが、答弁は差し控えさせていただきます。
  149. 大城眞順

    ○大城眞順君 結局、今私がリストアップした、これは報道のとおり申し上げたんですけれども、そういった箇所を含めて全体的に今検討中だ、報道されたような何々何月までにめどがつくとかいうことじゃなくして鋭意検討中だ、この話はずっと前から聞いているんですけれども、この鋭意検討はいつまで続くか、その辺のめどもつけられないんですか。
  150. 大原重信

    政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。  私どももめどがつかない段階でございます。
  151. 大城眞順

    ○大城眞順君 それでは、めどがつかないというものに対してめどを今つけなさいと言ってもしようがございませんので、私の意見を申し上げますのでぜひとらえていただきまして、これからの交渉にひとつ皆さんの知恵の中に取り人れていただきたいことがあります。  それは、基地を解放してくれ、返還してくれと言った場合に、そのかわりはとすぐ手を出す、これじゃいけないんですよ。沖縄のあんな小さなところで、先ほど来僕がわめいているように、空も海も陸も全部占領した形の中で、また新しいところを探したら返還します、何かこれは非常に愚弄されている感じを受けるんですよ。例えば三十年あるいは戦争直後のまだ彼らが勝手ほうだいやっておる時代だったら、こっちはおもしろくない、こっちはだめだから向こうに引っ越そうということもできるわけですけれども、いろいろと政府のおかげもあって今日まで発展してきた。そういった中で、幾ら四十九年でしたかとはいえ、例えば那覇軍港、これをほかに代替地があれば返しましょう。代替地があるはずがないんだ。あってはいけない。代替地があるということは、新規折衝にもなりかねない。整理縮小と言っているのが縮小にならないんです、これ。整理縮小は、野党の応援もいただいておるようですけれども自民党の方も整理縮小ですよ。そういうものは規模の大きいところにああいったものにかわるところの場所をどこか探して、地域を救うんだったら、みんなで安保を負担しようということで他県にどうぞ持っていってください。それが県民の心ですよ。  あるいはまた奥間ビーチ。レクリエーションの場所でしょう。これだけ日本の経済が発展して、沖縄も、基地の占有率と率が一致しますけれども所得も七五%、まだまだですけれども、いずれにいたしましてもここまで発展をしてきた。そういった中で、ビーチはたくさんありますから未返還のものを使ったらいいじゃないですか。強いて代替地を探してあげる、そんな無理難題なことをやらぬ方がいいですよ。ますますなめられますよ、はっきり言って。  だから、そういったことをひとつ今後は力強く、強い姿勢でやっていただきたい。私は、今のようなことをはっきりと米軍あるいは軍人でなくても米国のあれにそのものずばりと言っていますよ。ぜひひとつ、これからのそういった整理縮小を進める上で、代替地ということは考えないでくださいよ。空も少し削ってくださいよ、民間航空が安心して通れるように。海も少し削ってくださいよ、削られるだけ。それが整理縮小というものですよ。  まだたくさんいろいろ基地にまつわる問題がありますけれども、残念ながらあと二、三分しか残っておりません。今私が申し上げた点について、もし異論があるんだったら、異議があるんだったらどうぞおっしゃってください。異議がなければそのまま座っていてください。
  152. 森敏光

    説明員(森敏光君) 私どもといたしましては、委員指摘の点、異議があると申し上げていることではございませんが、沖縄におきます米軍施設区域密度が高く、またそのために整理統合を図っていかなければならないということにつきましては、まさにそういう角度からこの整理統合の問題に取り組んでおるわけでございます。  他方でまた、日米安保条約に基づきまして我が国に米軍が駐留しております。その米軍の運用というものも同時に十分考慮に入れつつこの整理統合の問題を進めなければならないと考えておりますので、米軍の運用の所要と地元要望、この両者を十分勘案しながら整理統合の問題に取り組んでいきたいと考えております。
  153. 大城眞順

    ○大城眞順君 これから折り返し地点で、開発庁、それから自治省に御質問申し上げようと思ったんですけれども、折り返しかと思ったら決勝点に着いておるようでございまして、大変申しわけないんですけれども、二点。  まず一点は、防衛施設庁に質問だけしますので、後でお答えいただきたい。  ACMIは使っておるのか使っていないのか。使っておるんだったら、使った結果ぐあいはどうなっているのか。  それから長官、いろいろと長官沖縄問題について知り尽くされておりますから、これからの沖縄の将来を夢見ながら対話をしようと思ったんですけれども、時間ございませんので一言だけ。  今日に至るまで広島、長崎のあの戦争における惨事、そして沖縄日本唯一の地上戦が戦われた場所、私は聖地だと思います。平和のメッカだと思います。それで、広島、長崎には一年交互に総理大臣がいらっしゃっている。沖縄にはなぜいらっしゃらぬかということで声を大にし、この委員会を通してもあるいはまた直接総理大臣にも、官房長官にも、竹下総理の時代に申し上げました。お約束いただいたんですが、あと一歩のところでちょうどサミットとかち合って行けなかったんですけれども、これだけはぜひ実現してもらわぬといかぬじゃないか。非常に大事なことです。特に、きょうは慰霊の日についての質問をしたかったんですけれども、時間がございません。これを休みにするかしないかで沖縄は今もめています。大変なことになっています。  きょうはそのことで質問ができなくて残念ですけれども、そういったことと関連してぜひひとつ長官も、総則大臣は交互だから三年に一回でも結構ですが、ぜひ沖縄に行って、沖縄の英霊にひとつ哀悼の意を、誠をささげてもらいたい、こういうことをお願いいたしまして私の質問を終わりますけれども、どうぞひとつ、ACMIの問題を先にして、それから長官ということでお願いいたしたいのです。
  154. 大原重信

    政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。  ACMIは、諸般の事情がございまして今米側では使っておらないというふうに承知しております。
  155. 阿部文男

    国務大臣阿部文男君) 先生指摘のように、沖縄全戦没者の追悼式が全国民的に極めて重い意味を持つものであることは十分踏まえております。私としても、承らせていただきましたから、機会を得て、先生の御要請を総理にお伝えする等、その実現に向けて最大の努力をしてまいりたいと思います。
  156. 及川順郎

    ○及川順郎君 今、沖縄現地出身の委員質問を聞いておりまして、党派を超えて、県民の声をそのまま伝えている心情に触れまして、私も感激ひとしおのところがあるわけでございますが、先月の二十七日から我が党の石田委員長沖縄へ参りまして、現地方々、それから在沖縄米海兵隊基地司令官とも会いまして、いろいろ意見交換をしてきた部分があるわけなんです。別の会議がございまして私ちょっとおくれて参りましたので、その前に出たかもしれませんけれども、私が聞くのは初めてでございますので、そのつもりでお答えいただきたいと思います。  今、最後の段階で出ておりました沖縄に代替の地なしという状況を踏まえて、この代替地なしの返還を関係省庁として積極的にやってまいります、この意思表示ができるのかできないのか、まず承りたいと思います。
  157. 大原重信

    政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。  十五回、十六回安全保障協議委員会で返還が合意されましたものの中には、条件をつけずに返還するというものと、移設を条件に返還するというものがございます。したがいまして、その線に沿いましてただいま検討いたしております。
  158. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは、代替地なしで推進できるもの、これは何カ所、どのぐらい残っておりますか。
  159. 大原重信

    政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。  移設条件なしで返還というふうに合意されておりますものは、十六回安保協のうちで、これは部分返還でございますが、北部訓練場内の部分、キャンプ・シュワブ及びキャンプ・ハンセン内の部分でございます。いずれも部分返還でございます。それから十五回安保協では、奥間レストセンターの部分返還の部分、恩納通信所、キャンプ桑江、普天間飛行場、牧港補給所、いずれも移設条件なしで返還ということで合意されております。
  160. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは、移設条件ありと見た中で、その後時代の推移の中でこれは見直してもいいのではないか、こういう状況について検討したことがございますか。
  161. 大原重信

    政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。  安全保障協議委員会で決定、合意されましたことでございますので、両政府間の非常に重い合意でございます。また、それにつきまして、それも含めまして私どもではこの移設条件つき返還につきまして検討したことはございません。
  162. 及川順郎

    ○及川順郎君 できるできないは別として、やはり検討する熱意というものが私は必要じゃないか。そして、その実態を踏まえて時代の推移の中で検討をされるチャンスがないとは言えない。そういう状況に対する備えについて、これから充実していこうという考え方をお持ちですか。
  163. 大原重信

    政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。  私どもは、安保協で合意をされました返還予定のものにつきまして、進捗率が思わしゅうございません、四六%程度でございますが、これらのものにつきましては常々鋭意その返還について努力する、こういう姿勢で来ているところでございます。
  164. 及川順郎

    ○及川順郎君 そうではなくて、四六%、あと残り五四%の未返還であるこの現状。その中で、代替地なしの返還あるいは代替地移設を前提としての返還の中で、まず代替地の必要性あり、こう認めたものの中でも現在時代の推移とともに再考する余地の部分があるのではないか。こういうことをやはり行政の部分として、議題にかけるかけないは別として、これを調査する責務があるのではないか。これに対するお考えはいかがですかということを私は伺ったわけです。
  165. 大原重信

    政府委員(大原重信君) 一般的な問題として、米軍基地につきまして沖縄では非常に密度が高いわけでございますから、これの返還については常に関心を持っているところでございます。しかしながら、安全保障協議委員会で移設条件つきで合意されましたものにつきまして、時代の推移もございましょうが、私どもでこれについて検討するということを考えたことはございません。
  166. 及川順郎

    ○及川順郎君 決まったものをそのまま待っているのでは交渉にならないわけでありまして、やはり担当する者としては常に前向きに沖縄現状を踏まえて言うべきことは言っていく、こういう姿勢をぜひ持っていただきたいと私は思うんです。そうでなければ、先ほど来から同僚委員指摘しております沖縄県民の感情に沿った行政の対応ということは大変言いがたくなるのではないか。この辺にやはり沖縄県民の反発の根があるということを繰り返し主張されているわけでございまして、ぜひこの点につきましては心にとどめて対応をお願いしたい、このように思っておるわけでございますが、長官、この点についてはどのように受けとめておられますでしょうか。
  167. 藤田康夫

    政府委員藤田康夫君) 沖縄県に所在いたします米軍施設区域でございますが、存在の意義等につきましては、先ほどから外務省、防衛施設庁からお話がございますように、日米安保条約でうたわれているとおり我が国の安全に寄与し、極東における国際平和及び安全の維持に寄与するものと認識はしておりますが、沖縄米軍施設、先ほど先生からるるお話ございましたように、県土の一一%を占めておりまして、本島に限ってみますと二〇%と極めて高密度でございます。依然として地域開発県民日常生活上さまざまな影響を与えていることも事実でございます。この点については、私ども常々承知をいたしておるところでございます。  いずれにいたしましても、沖縄米軍基地の問題は、可能な限り周辺地域住民生活地域振興に及ぼす影響を少なくし、住民に不安が生ずることのないように努力することが非常に肝要と考えているところでございまして、こういう観点から、適宜関係省庁連絡をとってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  168. 及川順郎

    ○及川順郎君 長官
  169. 阿部文男

    国務大臣阿部文男君) ただいま局長から答弁がありましたように、沖縄米軍基地の問題については、可能な限り周辺地域住民生活地域振興に及ぼす影響を少なくして、住民に不安が生じることのないように極力努力することが非常に重要だと私は常々考えております。関係省庁と十分な連絡をとって対処してまいりたいと思っております。
  170. 及川順郎

    ○及川順郎君 これは努力を積み上げていくそのプロセスが大事でありまして、ぜひこの点は心にとどめて鋭意努力をしていただきたいと思うのです。  こうした問題については、これは日本国民として党派を超えて私ども努力をしているところでございまして、我が党委員長が参りましたときにも、ロバート・B・ジョンストン准将との話し合いの中で、代替地がなくとも返還できるように、沖縄状況から移設地域の対案を出せるということが非常に難しい、そういう状況も考慮してこの代替地条件の再考をぜひお願いしたいということを直接話題に出したそうでございます。そのときの状況を伺いますと、代替地がなくとも返還を検討している部分がある、こういう極めて前向きの答弁を得たというお話を帰ってきてから報告として受けております。  したがって、決められた状況の中でそれを待つのではなくて、やはり党派を超えて現在の沖縄状況県民の心情というものを代弁する積極的な姿勢というものが今大事であり、その姿勢が問われているのではないかと思うのです。そういう意味で、この状況地元県に任せたりあるいは地元の担当省庁だけに任せるのではなくて、中央と沖縄地域のそれぞれの代表による、調整するような委員会を東京に設置した方がいいのじゃないか、そしてこれを推進した方がいいのじゃないか、こういう提案をしてきた。これに対しても非常に耳を傾けておられた。こういう状況がございますけれども、こうした問題提起に対しましてどのような見解をお持ちか、この点についてもお伺いをしておきたいと思います。
  171. 大原重信

    政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。  私ども沖縄の方の現地で三者協議会というものを持っております。これは、沖縄県知事及び米軍、それから那覇防衛施設局長で構成いたしておりますが、安保条約に基づきまして米軍沖縄に駐留することに関連いたします沖縄県の問題、これについて拘束されない自由な立場から緊密かつ継続した話し合いを実施しているところでございます。これの活用を図ってまいりたい、かように思っております。
  172. 及川順郎

    ○及川順郎君 そういう答弁では非常に失望を大きくするだけです。  長官国務大臣としてぜひそれは、米軍基地の返還というのは沖縄の局部地域だけを見ればそれは難しい要素があるかもしれない。しかし、全体ネットで考えた場合に、沖縄のその条件を緩和する対応条件というものを出せる要素はあるわけですね。したがって、三者会談、三者協議なんて言わずに、やはり内閣としてこの問題を、沖縄の窮状、現状というものを重視して全体としてこれを推進する意味でそのような機構をつくってもいい、このような前向きの姿勢を内閣として持っていただきたいと私は思う。国務大臣としての御見解を承りたいと思います。
  173. 阿部文男

    国務大臣阿部文男君) 開発庁としての直接の所管でございませんので、余りはっきりしたコメントを避けたいと思っておりますが、先ほどから私何回も答弁しておりますように、沖縄米軍基地の問題というのは極めて重要な問題であるということは常々私は承知しております。十分関係省庁連絡をとりながら、先ほど申し上げましたように前向きでこれに対処してまいりたいと思います。
  174. 及川順郎

    ○及川順郎君 いや、そうではなくて、きょうのこの問題提起を総理に伝えて、内閣としてその姿勢を持つ、そういう努力をしていただけるのかどうかということを私は伺っているんです。
  175. 阿部文男

    国務大臣阿部文男君) 沖縄県民のことを考えまして、さっき言いましたとおり前向きで、総理にも伝えるようにいたします。
  176. 及川順郎

    ○及川順郎君 ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。  次に、文部省に現地状況の中で一点伺いたいんですけれども、僻地学校の級別指定、僻地級地の見直しがあるわけでございますが、地元新聞等を見ますと、一億五千万の損害、補助金カットで非常に深刻な事態、教職員の待遇での厳しさとあわせてお子さんの給食状況に対しても影響が出てくると。特に、宮古とか久米島とか、そういうもっと小さな島の窮状の声を聞きますと大変な事態であるということが述べられておるわけでございますけれども、この地域現状、この点に対する対応はどのようにお考えになっておられるか承りたいと思います。
  177. 遠山耕平

    説明員(遠山耕平君) お答え出し上げます。  僻地学校の級地指定の問題でございますが、これは昭和六十一年の十二月に、会計検査院から文部省に対しまして各部道府県の僻地学校の級地指定を社会の状況の変化に対応して適時適切に見直すように、こういう処置要求を受けまして、昭和六十三年度に旧基準に基づきまして暫定的な級地の見直しを行ったわけでございます。それから、僻地学校の実態調査を行いまして、国の特地官署の指定基準に準拠しつつ離島、多雪地帯等についてできるだけの配慮を行い、本年一月に改正案を内定しまして、本年の三月にへき地教育振興法施行規則を改正したわけでございます。  そこで、沖縄県の状況でございますが、今回の基準改正によりまして無級地になる、すなわち僻地学校から僻地学校でなくなる学校は全国的に三百校あるというぐあいに予測をしているわけでございますが、沖縄県においては今回の基準改正によりまして新たに無級地になる学校、すなわち僻地学校でなくなる学校はないわけでございます。それから新たに無級地から僻地学校になる学校が七校ございます。それから級地ダウンする学校が十九校ございます。級地が上がる学校が三十一校あるというぐあいに聞いているわけでございます。  ちなみに、前の基準、すなわち四十七年の基準では五十三校がダウンをするというぐあいに予定をしていたわけでございますが、それが今度の基準改正によりまして級地ダウンする学校は十九校にとどまるわけでございます。したがいまして、今回の基準改正が沖縄県により厳しいものになっているというぐあいには私どもは考えていないわけでございます。  先生指摘のように、級地がダウンすることによりまして高度僻地の修学旅行費の補助が受けられなくなるという学校が若干あるわけでございますが、そういう学校につきましては沖縄県とよく相談をしまして、学校教育に支障が生じないように適切な対応策を考えていきたい、このように考えております。
  178. 及川順郎

    ○及川順郎君 現在受けているところで状況がまずくなるところは余りないという認識ですね。しかし、現実に現場の声を聞くと、やはり厳しいという状況の声があるわけです。ですから、やはりこの点については経過措置としてしばらくの間は現状維持をしていく、こういう特例の措置はできないんですか。いかがですか。
  179. 遠山耕平

    説明員(遠山耕平君) 先ほど申し上げましたように、六十三年度に一応旧基準に基づきまして暫定的な級地の見直しを行いまして、六十三、平成元年度と二カ年間にわたりまして暫定的な措置をとったつもりでございます。したがいまして、またさらに暫定的な措置を継続するということは非常に難しいと思いますけれども、さらに検討させていただきたいと思います。
  180. 及川順郎

    ○及川順郎君 これは押し問答していてもしようがないので、ぜひ前向きに御検討を賜れればと思います。  それで、北海道開発関係質問を用意してきたんですが、あと三、四分しか残っておりませんので、一つだけそれじゃ伺っておきます。  五十八年から六十二年度の第一期振興計画が実施されまして、その後六十三年に第二期振興計画が策定されました。これは総理大臣の承認を得まして、現在計画の二年度日に入っているわけですね。平成年度の最終年度には、道路状況あるいはまた社会環境整備関係生活環境すべて含めてこの計画の中で示されておりますそれぞれの目標を達成できるかどうかという現状の進捗状況とその見通しを承り、長官にぜひこれは達成するという決意のほどを承って、私の質問を終わらせたいと思います。
  181. 竹中勝好

    政府委員(竹中勝好君) 第二期北方領土隣接地域振興計画というのは、安定した地域社会をつくるために必要な施策の大綱を示したものでございまして、達成数値というのは先生御案内のとおりないわけであります。大綱を示しておるわけでありまして、振興計画に盛られた主要な多くの施策はそれぞれ着実に推進が図られているところであります。例えば中標津空港につきましては、ジェット化に向けて千二百メートルを千八百メートルに整術中でありまして、今年一部供用を開始しておりますが、平成年度の完成を予定しているとか、あるいは道路についても、国道につきましては改良率、舗装率とも一〇〇%に達しているほか、道道についても整備水準は九〇%余と大幅に向上して、全道水準を上回っているような状態でございます。  いずれにいたしましても、非常に各般、非常に多くの施策が各所にまたがるものがございますが、隣接地域を安定した地域社会とするよう、推進に努力してまいりたい、このように思っております。
  182. 及川順郎

    ○及川順郎君 済みません、大臣、ちょっとその前に。  北方領土隣接地域振興に対するこの大綱は承知しているんですよ。ですから、私が伺いたいのは、地元でぜひ具体的な目標を明確にして、それに向かって進めていく姿勢が欲しい、地元としてそういう計画があるならばということを秘めて質問しているわけですから、ぜひその具体性があればそれを示していただきたいということが質問の趣旨でございます。
  183. 竹中勝好

    政府委員(竹中勝好君) この振興計画ということは、隣接地域の各市、町がそれぞれ要望を毎年道庁の方にいたしまして、それを各省がヒアリングを受けているというようなことでやっておりますので、何年にどれだけの目標を達成するというような数字はございませんが、そういうものは十分酌み取られているものというふうに考えております。
  184. 阿部文男

    国務大臣阿部文男君) 国政の基本方針であります北方領土の返還を実現するためには、領土返還要求の拠点である北方領土隣接地域の活力の維持発展を図って、この地域を安定した地域社会として建設することは極めて重要でございます。第一期の北方領土隣接地域振興計画に引き続いて、第二期の振側計画に基づいて、ただいま監理官から話がございました地元の目標達成のため、各般の施策を積極的に推進していく決意であります。
  185. 及川順郎

    ○及川順郎君 終わります。
  186. 市川正一

    ○市川正一君 先ほど与党の大城理事の沖縄の現実、県民の悲願を踏まえての心情のこもった質疑を伺って、私は深い感銘を受けました。大城理事の言をおかりするならば、リクも海も空もすべてアメリカが自由に支配している沖縄県民の苦しみはまた日本国民の全体の苦しみでもあると思います。そして、今東ヨーロッパを初め世界は大きく激動をいたしております。その大きな激動の中で、日本が正しく積極的に今こそ私どもの平和、その立場に立って対処する必要を求められていると思うのであります。特に、本委員会に直接かかわる問題としては、北は全千島の返還、南は沖縄から米軍基地の撤去、そして真に平和中立の日本を目指すことが課題になっていると思います。  私ども日本共産党は、その根源にある東と西の軍事ブロック、すなわちNATO、これには日米軍事同盟、日米安保条約も含みますが、そして対するにワルシャワ条約機構、この軍事同盟体制の即時解体を断固として主張しております。  私は、本院きってのアメリカ通であり、またアメリカとも太く強いパイプをお持ちの大城理事のきょうの質疑を伺って、まさに今世界は激動している、真剣に沖縄日本現状を直視しその将来を考えたときに、大城理事が提起なさり示唆なさっておられるその方向は不可避であるということを私は確信いたすものであります。本来ならば、そういう点で大臣長官とも意見の交換をしたいのでありますが、きょうは私の持ち時間が限定されておりますので、本論に入りたいと思います。  大城理事がお取り上げになった都市地域戦闘訓練施設の問題というのは、実は私も昨年の九月五日に沖縄で記者会見を行いました。一九八九年の米会計年度の軍事施設計画、原文はこれでございますけれども、この中に都市地域戦闘訓練施設沖縄に建設される、そして基地機能がこれによって強化され、演習も激化すると指摘いたしました。地元の各紙、沖縄タイムスあるいは琉球新報などもこの問題を大きく取り上げました。そして、事実そのとおりこれが強行されている。私は、ことしの春、宜野座村の現地に参りました。そして、実態を調査し、また村民の方々からもじかに状況を伺ったところであります。  まさに世界は激動している、そういう上に立って、この施設に対して具体的にお聞きしますが、ことしの九月、米軍がこの工事を再開いたしましたときに、恩納村の国定公園海岸に大量の赤土が流れ込み、特にシャコガイの養殖場などに重大な被害を与えました。恩納区の区長さんも、米軍が山を切り開く前は多少の雨が降っても赤土が流れることはなかった、こう語っております。そうしますと、被害の原因が米軍の都市戦闘訓練施設の工事によるものであるということは明白であります。被害直後、那覇防衛施設局は現地に入って調査をしているはずでありますが、その原因についてこの機会に報告を求めたいと思います。また、この汚染の補償について日米でどういう話し合いが行われているのか、あわせて報告をいただきたいと思います。
  187. 大原重信

    政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。  本年九月十九日、恩納村の海岸に赤土が流出いたしまして、米軍訓練施設の工事が原因か、こういった報道がございまして、私の方の現地局でございます那覇防衛施設局職員五名が現地に直ちに赴きまして調査いたしました結果、米軍の工事も原因の一つであるというふうに認められたところでございます。  原因の一つであると申し上げますのは、私の方の職員が調査しました段階で、この川でございますが、右側付近の土取り場からも赤土が出ておる。それから農地の開墾地現場からも出ている。何も米軍の工事からということを薄めようという気は全然ございませんが、調査した結果はそういうふうに受け取っております。  それで、私ども直ちに那覇局の方は米軍に対しましてこの旨を説明いたしまして、防止策をとるように要請いたしました。さらに、恩納村の方々からも立ち入りの御要請がございました。県の方からも御要請がございましたので、そのための立ち入りの便宜を図ったものでございます。  それから、先生指摘になりました被害の補償の件でございますが、この下に、赤土が流出した河口の方の万座毛というところでございますけれども、ここで恩納村の漁業組合がシャコガイの養殖をなさっていらっしゃいます。これに対する影響につきましても心配いたしたのでございますが、組合長さんに対しまして直ちに問い合わせいたしましたけれども、組合長さんの方からは特段のお申し越しもなく現在に至っている次第でございます。
  188. 市川正一

    ○市川正一君 その原因の一つか二つか三つか知らぬけれども、とにかく原因になっているということは事実なんです。  そこで伺うんですが、箭内防衛施設局長が今月の一日の定例記者会見で、今後の防止策は米軍の要請に基づき同施設における赤土流出防止対策日本政府の予算で講ずるということを明らかにいたしましたが、これはそういうことになったんですか。
  189. 大原重信

    政府委員(大原重信君) この赤土の防止策でございますが、米軍は直ちに小銃射場の取りつけ道路造成箇所の最下部及び道路の側面部に赤土流出防護壁を設置いたしました。これは九月二十五日から十日間で完了いたしております。しかしながら、この防止策は必ずしも十分ではございませんで、今後の対応といたしまして、場内道路の舗装及び裸地化部分の張り芝等を行いまして、赤土の流出防止策を計画しているところでございます。
  190. 市川正一

    ○市川正一君 日本政府が何でそんなことをしなきゃいけないんですか。アメリカが工事をやって、それで事故を起こしたんでしょう。  ちょっと聞きますが、去年の五月、やっぱりキャンプ瑞慶覧の地すべり事故が起こりました。あなた、知っているでしょう。その補償問題が国会で議論になりました。防衛施設庁は、米軍の瑕疵に起因するということになれば、これは民特法、日米地位協定十八条の五項に基づいて補償を行うという答弁をやっているじゃないですか。そうすると、こういう立場からしますと、米軍の工事が原因であるから汚染の被害の補償、今後の防止策というのは米軍の責任で行うのが当然じゃないですか。どうですか。
  191. 大原重信

    政府委員(大原重信君) 十分な対策が急がれるわけでございますので、緊急的に場内道路の舗装及び裸地化部分の張り芝等の防止工事を当庁で実施することにいたしております。これは、米軍施設内での活動によりまして場外の住民方々に被害を及ぼす、いわゆる障害防止工事でございまして、当庁の所掌の範囲内でございます。
  192. 市川正一

    ○市川正一君 米軍の要請があったんでしょう。なかったんですか。はっきりしてください。
  193. 大原重信

    政府委員(大原重信君) 米軍の方は、米軍が独自でこういった赤土防止策をやるということもまた結構なことでございまして、当然米軍が工事で流した赤土でございますから、先生指摘のように、そういった考えもあるわけでございますが、一時的にまず米軍が緊急の措置をいたしましたけれども、それでは赤土がとまっておりません。それで、私の方はこれでは日本側がもっと完全なものをやった方が国民のためにもなるということで、当庁で実施することに決めたものでございます。
  194. 市川正一

    ○市川正一君 米軍が要請したということは、箭内局長が言うておるんです。その米軍の要請に基づいて、あなたらが緊急や言うて肩がわりしてやってやる。その費用はどないなります。米軍に請求するんですか。
  195. 大原重信

    政府委員(大原重信君) 請求いたしません。
  196. 市川正一

    ○市川正一君 そんなばかなことありますか。県民は、この訓練施設にみんな反対しているんですよ。恩納村の議会はもちろんのこと、県内の各議会みんな反対している。県議会でも、ここに私控えを持ってきましたけれども、三回にわたって中止の意見書を全会一致で採択している。国にちゃんとそれを要請している。そして、さっき与党の大城先生も、ああいうまさに血涙のこもったような問題提起をなさっているじゃないですか。それを、アメリカに頼まれて、工事がうまいこといっておらぬからかわりに買うて出て、金は請求しません。その金、あなたの金じゃないんですよ。国民の金ですよ。まさに言語道断です。  防衛施設庁に求められているのは、そういう米軍のしりぬぐいじゃなしに、国民の税金をむだ遣いするのじゃなしに、県民の命や財産の安全のために都市戦闘訓練施設の撤去を直ちに要求することじゃないですか。はっきりしてほしい。
  197. 大原重信

    政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。  米軍は、日米安全保障条約の目的達成のため、必要な訓練を実施しているものでございます。また、米軍は、訓練の実施に当たりましては、地元住民生活に及ぼす影響に十分配慮しているものと承知いたしております。  当庁といたしましては、従来から住民方々の安全の確保に十分配慮するよう、また住民方々生活に及ぼす影響をできるだけ少なくするよう機会あるごとに米側に注意を喚起してまいりました。今後とも、必要に応じまして安全の確保等、住民生活に十分な配慮をするよう求めていく考えでございます。
  198. 市川正一

    ○市川正一君 何を言うておるのや。生活に及ぼす影響って、今こういう重大なことが起こっておるじゃないか。それに目をつぶって、と信じますとか、そんな寝言言うな。  それで、何で恩納村を初めとして地元住民が反対しているのか、あなた理由を知っていますか。僕の方から言いましょう。  現地に行ってきました。第一は、実弾を使用する施設住民地域から六百メートルしか離れていない。第二に、演習場内には二千人の恩納区民が利用する水源地があるんです。その管理ができなくなる、汚染の危険があるということが二番目です。三番目は、実弾演習による山林火災で緑が破壊されれば、さっき大城先生からもお話がありましたように、ここはリゾート観光を目指しているところです。それが、村の将来なくなってしまうんです。また、近くには国道五十八号のバイパスが計画されておる。そういうところでこういう施設がつくられれば、みんなパアになってしまうという三点を挙げております。恨めしそうな顔して見ないでも、そういうことなんです。  長官、こういう地元住民の三つの要求、そこから反対する気持ちというのは御理解いただけましょうか。正当なものや、そうお思いでしょうか。
  199. 藤田康夫

    政府委員藤田康夫君) 先生からるるお話ございました都市型戦闘訓練施設の建設に対する地元の要請につきましては、私どもも伺っておるところでございます。  米軍基地施設の設置、運用は、甚だ恐縮ではございますが、当庁の直接の所管ではございませんが、先ほどから長官からも御答弁させていただいておりますとおり、可能な限り周辺地域住民生活地域振興に及ぼす影響を少なくするよう努力することが非常に重要であると考えておるところでございます。適宜その趣旨を関係省庁にも連絡をとってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  200. 市川正一

    ○市川正一君 長官、時々聞きますからよく聞いておってください。  私は、今の三つの理由に即して幾つかお聞きしたいんですが、まず水源地管理の問題です。キャンプ・ハンセンの中には恩納区民の二百八十世帯、二千人の水源地があるんです。施設庁、知っているでしょう。それで、事情を聞きましたら、水源地のかぎは米軍が管理していて区の方にはかぎが渡されていない、今までのような管理ができなくなったと。さっき述べました住民の不安、懸念がまさしくそのとおりになってきたんです。  そこで聞きますが、この水源地のかぎはだれが持っているんですか。
  201. 大原重信

    政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。  提供施設内でございますので、米軍が持っております。
  202. 市川正一

    ○市川正一君 米軍が文字どおり命の水のかぎを握っているんです。だから、住民、区民はそこへ行けないんです。汚染されているかどうか見に行くためには、米軍に一々お伺いを立てて行かぬと水源地に入れないんですよ。そういうことをのうのうとやらせておるんです。  もう一つ、訓練施設が住宅地に近接して極めて危険であるという点についても伺うんですが、ことしの五月二十四日の衆議院沖特委で、この問題に関する質問がありました。ここに会議録を持ってまいりましたが、政府の答弁は、訓練内容として、着弾地に設置してある標的用の建物が占領されたことを想定して、そこに向かって射撃をし奪い返す訓練だ、こう説明している。  そこで、確認したいんですが、このキャンプ・ハンセン演習場には従来から着弾区域、インパクトエリアというふうに言っておりますが、これが決められておる。この標的となる都市戦闘訓練建物は従来からあった着弾区域の中にあるのか外にあるのか、それをはっきりしてほしい。
  203. 大原重信

    政府委員(大原重信君) まず、お答え申し上げさせていただきますが、先ほどの水源の件でございますが、地元が水源地の管理のために立ち入る場合には、立ち入りの前日までの申し入れによりまして米軍が御案内する、前日まで申し越しいただければ御案内するというふうにいたしております。  それから今先生指摘のインパクトエリア云々の件は、中にございます。
  204. 市川正一

    ○市川正一君 ほんまに間違いないか。
  205. 大原重信

    政府委員(大原重信君) 現地米軍の運用の件でございますので定かに承知しておりませんが、現地米軍の説明ではそのように伺っております。
  206. 市川正一

    ○市川正一君 定かではないがそうらしい、きょうはそうしておきましょう。本当にそうなのかということについてはちゃんとないんですが。  ここにキャンプ・ハンセンの略図がある。もうちょっと詳しいものをよこせと言ったんだけれども、出しよらぬ。略図です。米軍日本政府の合意文書に五・一五メモというのがあります。これは御承知であると思いますが、これによると、キャンプ・ハンセンの使用条件では「本施設及び区域内において、実弾射撃及び爆発物処理が認められる。」、こうなっております。すなわち、この略図で言う施設内全域において射撃訓練が可能になっているんですね。まさに私をもって言わせれば傍若無人なんですが、しかしそうなっているわけですか。
  207. 大原重信

    政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。  使用条件ではさようになってございます。
  208. 市川正一

    ○市川正一君 そうすると、ここはフリーハンドや、何でも好き勝手にできると言うんですね。  一方、政府は、今度の戦闘訓練施設でやる実弾射撃訓練についての衆議院沖特委での答弁、ことしの五月二十四日、ここに会議録があります。どう言うているかというと、要旨ですが、訓練場を使用するに当たって米軍は、広さや地形、周辺地域状況を考慮して、訓練の種類、規模、訓練に使用される火器、射撃の方法あるいは着弾区域の範囲を決定し、かつ安全将校の監督のもとに訓練を実施すると承知している、こう言うて、それだから安全や、こうあなた方は言うている。さらに、米軍訓練規則において、ここに金武町があって金武の山があるが、この山の方に向かって射撃するから安全やということも言うているわけですね。ということは、キャンプ・ハンセンの全域で実弾射撃が可能であるという、そういう使用条件の五・一五メモがあって、その実質的な変更あるいは制限を今度の場合つけたというふうに理解して差し支えないわけですね。
  209. 大原重信

    政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。  私の方の御答弁させていただいております趣旨は、先ほど先生お述べになりましたものの繰り返しになりますが、射撃方法は山側に向けて撃つ、あるいは安全将校を立ち会わせる、使用火器はライフルとピストルで火災の心配はない、こういった観点から安全であるというふうに申し上げているわけでございます。
  210. 市川正一

    ○市川正一君 それが安全やないんです、今までずっと。知ってのとおりやないですか。米軍の自主的な規制や措置というものが、復帰米軍沖縄基地で数々やってきた事件や事故の実態を見たら、それがいかに無責任でいかにでたらめなものか、あなたが一番よく知っているはずですよ。  例えば去年の金武町、ここで被弾事件が起こりました。これはその最たる実例です。最近でもこの金武町で新聞配達の御婦人が米兵に殴打された事件が起こりました。基地からゴルフボールが飛んできてタクシーを直撃するというふうなこともあったんです。米兵が中学生に銃口を向けておどしたり、十一月の中旬にはキャンプ・ハンセンで実弾演習によって焼失面積十七万平米ですよ、そういう山火事が発生しておるじゃありませんか。米軍の自主的な規制措置、約束、これがあるから安全やというふうなことは、何の保証にもならぬのです。それを知っているのは沖縄県民です。だからこそ、沖縄県民こぞってこの都市戦闘訓練施設の建設に反対の声を上げているんです。そしてまた、先ほど与党の大城理事のあの血の叫びもあるんです。  私は政府に伺いたいと思うんですが、そういう県民の叫びに対してあくまでも絶対に安全であるということを責任を持って言い切れるんですか。ひとつ責任ある御答弁を伺いたい。
  211. 大原重信

    政府委員(大原重信君) 私どもは、米軍に対しまして、安全の上にも安全に留意してこの施設を運用すべきであるというふうに御注意を申し上げております。片やアメリカの方は、十分に安全に対して留意して訓練をしたい、かように申しております。
  212. 市川正一

    ○市川正一君 さっき大城理事もおっしゃったとおりです。そういうことを繰り返し繰り返して、結局、県民は本当に命を失っているんです。  そこで、私、時間が参りましたので、最後に、長官に決意をお伺いいたします。  今申し上げました恩納村というのは、その東側には恩納岳という山があります。あそこにぜひ一度お越しをいただきたいんですが、かつては緑豊かな山々でした。地元の人たちは、この山々を生浩の資源として活用し、大切に守ってきました。そして、そのために生活の燃料に使う薪さえも枯れ木を使って山の緑を残す、そういう努力を重ねてきたんです。局長、あなたも沖縄は長いから知っていまっしゃろ。ところが、この大切にしてきた山を米軍が実弾演習で焼き尽くしている。十七万平米ですよ。防衛施設庁の部長はけろっとして言うているけれども、大変なことです。その残されているわずかな山に、米軍が新たに山に向かって実弾射撃をやる、そういう射撃場をつくりよったんです。山に向かって撃つから安全やと言うておるんです、この人は。それでも日本人かと私は言いたいぐらいです。住民の命を守れ、恩納の自然と山の緑を守れという願いは、県民の共通の願いです。  長官政府として、こういう事態を引き起こしている戦闘訓練施設の撤去を要求するという決意を、ここで県民に聞かせていただきたいんです。
  213. 阿部文男

    国務大臣阿部文男君) 先刻もお答えいたしましたとおり、米軍基地における施設の設置、運用については、可能な限り地域住民生活地域振興に及ぼす影響を少なくするように努力することは極めて重要と考えております。国務大臣として、また沖縄開発庁長官として、適宜その趣旨を関係官庁に伝え、前向きに対処していきたいと思っています。
  214. 市川正一

    ○市川正一君 本日はこれで。
  215. 中村鋭一

    中村鋭一君 朝から各委員方、繰り返しお尋ねでございます。ただいまも市川さんからるる、まさに熱意のある御質問がございました。重複は避けたいですけれども、私もまずこの訓練施設場の問題からお尋ねをさせていただきます。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕  現在、この工事のいわゆる進捗状況でございますが、これは完成に対して今何%ぐらいが完了しておりますか。
  216. 佐藤晃

    説明員佐藤晃君) お答えいたします。  工事は十月二十六日に完成しております。
  217. 中村鋭一

    中村鋭一君 ここに新聞のスクラップがあるんですけれども、十月二十九日付のこれは琉球新報だと思うんですが、計画内容と違う現場の状況である、このように報道されておりまして、本来、建設を予定しておりましたものが完成を見ないままに米軍当局はこれでおおむね完成したと言っている。しかし、立ち入りをした恩納村民の方からすれば、初めに聞いていた話よりも棟数が少ないような報道がされておりますが、この辺の事実関係はどうなんでしょう。
  218. 佐藤晃

    説明員佐藤晃君) お答えいたします。  多分、それは施設のうち木造建物三棟ほど建てる予定でございましたが、そのうちの一棟、これは当初は射撃用の建物で予定していたんですが、これを倉庫に変更いたしました。その倉庫については、基礎のみで、現在上物は当分建てないということになったと承知しています。
  219. 中村鋭一

    中村鋭一君 ということは、今あなたは完成したとおっしゃいましたが、そういうことであれば、言葉意味において完成はしていないんじゃないですか。
  220. 佐藤晃

    説明員佐藤晃君) 米軍は一応完成したと発表しておりますので、私どももそのように考えておる次第でございます。
  221. 中村鋭一

    中村鋭一君 ということは、施設庁としては、米軍が完成したとおっしゃれば、それが当初予定と背馳するものであっても、米軍が言えばそれをもって一〇〇%の工事完了、こう理解をされておられるわけですか。現実に見に行ったら、今あなたも上屋が建っていないとおっしゃいましたね。ですから、米軍が言えばそれで完成した、そのようにあなたの方は理解をされておられるわけですか。
  222. 佐藤晃

    説明員佐藤晃君) これは都市型の訓練施設でございますから、その訓練遂行が可能になったという意味米軍は完成した、こう言ったんだろうと思います。
  223. 中村鋭一

    中村鋭一君 米軍がそう言ったんだろうと思いますというような言い方は、少なくともその衝にある行政当局としては非常にあいまいもこたる言い方で、私としてはその点に重大なる疑義を提出しておきます。  というのは、現実に立ち入りをされて、当初に予定されていたものが建っていないという事実は、これは客観的には完成をしていない、こう私は思うんですよ。新聞報道によれば、最初に言っていたものが立入調査をしたら完成をしていない。ということは、やはり沖縄県民の皆さん、恩納村民の皆さんが一致して、こういうものは国のためにもならぬ、県民のためにもならぬ、だからやめてもらいたいという総意があるわけで、その総意に米軍がいわば屈した形で、当初予定していたものを縮小した形で工事を終了いたしまして、これで完成したと言ったということは、世論に対して米軍が屈したという見方はできませんか。
  224. 佐藤晃

    説明員佐藤晃君) 米軍が工事を始めまして、地元方々から射撃用建物のある場所が民家から近いという御批判もございました。したがいまして、一番近い建物は射撃用建物としては使わない、いわゆる変更したわけであります。設計変更というのは間々あろうかと思いますが、設計変更といいますか、そういう変更後においての所要の目的は達した、こういう理解です。
  225. 中村鋭一

    中村鋭一君 あなたの方は、そういう通知があったから完成したんだ、このようにおっしゃっているわけでございますが、私の理解は、やはりこういったことについての村民の気持ちというものを多少なりとも米軍はしんしゃくをして、彼らの最初に理想としたものが完成をせずとも、これをもって工事終了と言った。そこに、いわば住民運動あるいは国民の意思というものが米軍をしてそのような決定をなさせたというふうに私は理解していることを申し上げておきたいと思います。  それから赤土が流れ出したということですが、これを観光という側面から見るとどうなんでしょうか。住民の皆さんはこれをどのようにとらえていらっしゃいますか。
  226. 水谷文彦

    政府委員(水谷文彦君) 赤土の問題でございますけれども、これは沖縄におきましてはかなりの範囲にわたって生じているわけでございます。それに対しましては、漁業資源に与える影響あるいは環境保全に与える影響、さらにはお示しがございましたような観光問題といったことで、非常にその影響するところは大きいんだろうと思います。  したがいまして、ただいまの御質問は防衛施設関係であったかと思いますけれども、それは同時に私ども国も公共事業の主体等でございますので、公共事業等の執行に当たりましては大変配意をしていかなければいけないと考えております。
  227. 中村鋭一

    中村鋭一君 その点の配慮を国にもぜひお願い申し上げておきたいと思います。  対潜作戦センターの現在の状況について、簡略に教えてください。
  228. 鎌田光治

    説明員(鎌田光治君) ただいま作戦センターの工事は順調に進んでおりまして、状況としましては九〇%近く進んでおるというふうな状況でございます。
  229. 中村鋭一

    中村鋭一君 これについて、沖縄県民の皆さんはどう言っておられるんですか。
  230. 鎌田光治

    説明員(鎌田光治君) お答えします。  私ども承知している限りでは、そういう作戦センターそのものについて云々ということは特別承知しておりません。
  231. 中村鋭一

    中村鋭一君 私が聞いておりますところでは、情報が甚だ不足をしておる、だからこういうことについては沖縄県民のみならず国民に情報をもっと明らかにしてもらいたい、このような声があると聞いております。そういう声は聞いておられませんか。
  232. 鎌田光治

    説明員(鎌田光治君) 私どもが建設する時点におきまして計画通知、これは建築基準法上の問題でございますけれども、計画通知を提出した時点におきましては一応了解いただいたというふうに承知しているわけでございますけれども、その後におきまして一応市民の方々から、ASWOCについてどういうものをつくるかということで情報公開をしていただきたいということが那覇市の方にあったということでございます。
  233. 中村鋭一

    中村鋭一君 その情報公開の内容は、あらゆる具体的な計画そのものについて市民に知らせてもらいたい、こういう要求でございますか。
  234. 鎌田光治

    説明員(鎌田光治君) 私ども承知しておりますのは、那覇市に提出した建築計画通知を情報公開していただきたいということで承知しております。
  235. 中村鋭一

    中村鋭一君 その情報は公開されたんでしょうか。
  236. 鎌田光治

    説明員(鎌田光治君) 情報公開におきまして、私どもは一部やはり防衛上重大な支障が生じるものがあるということで公開されることは困るということでございましたけれども、一応那覇市におきましては公開するということになりまして、私どもは公開決定と同時に取り消し措置及び執行停止の申し立てを提起しまして、その結果、那覇地方裁判所は、十月十一日でございますけれども、その資料の一部を公開するということを行いまして、私どもの方はその取り消しについて本訴ということで、十二月五日に第一回の口頭弁論が行われた状況でございます。
  237. 中村鋭一

    中村鋭一君 そうすると、国の方はいわば那覇市の意向に逆らってでも情報を公開することは好ましくない、こういう方針を貫いておられるわけですね。
  238. 鎌田光治

    説明員(鎌田光治君) そのとおりでございます。
  239. 中村鋭一

    中村鋭一君 どういう点が情報公開すれば困るんですか。なぜ、そんなにそのことに固執をなさるんですか。
  240. 鎌田光治

    説明員(鎌田光治君) これは特殊な施設ということでございまして、いろんなすべてが公開されるということに対しましては防衛上重大な支障が生じるということでございまして、一応困るということでお願いしているわけでございます。
  241. 中村鋭一

    中村鋭一君 防衛上重要な施設だから困るということについて、あなたは今一応とおっしゃいましたが、どの点が一応困るんですか。もう少し具体的に言ってください。
  242. 鎌田光治

    説明員(鎌田光治君) ASWOCの能力等が次のような状況により明らかになり、海上自衛隊の任務の遂行に支障を来すということでございます。    〔理事北修二君退席、委員長着席〕  まず、抗堪性の能力が明らかになるということが一つでございます。それから次に、施設内の区画割りが明らかになることにより警備上の支障が生じるということでございます。三番目でございますが、コンピューターによるシステム化された固定翼対潜哨戒機、これP3Cに対してでございますけれども、戦術支援、指揮管制を発揮させるためコンピューターなどの電子機器が極めて重要な役割を果たしているわけでございます。これらの機械室等につながっている電気の負荷容量等を公開することは、電子機器の能力の推定を可能とさせ、ひいてはASWOCの規模、能力等の推定を可能とさせ、我が国のシーレーン防衛上重大な支障が生じるということでございます。
  243. 中村鋭一

    中村鋭一君 今あなたが具体的に項目を挙げておっしゃいましたね。その既に挙げられた項目そのものが十分にその内容を推測せしめるに足るものだ、私はこう思います。ということは、こういうことが知られては困るということをるるおっしゃいましたけれども、こういうことが知られては困るとるるおっしゃったことを我々国民は一向に困ることだとは思わない。それよりも、防衛上の配慮のためにそのような秘密を固守して国民の知る権利を奪うということの方が民主主義の原則に背馳するものである、私はこのように思います。  我々は、今参議院で情報公開法の制定をするべく一生懸命勉強を重ねております。できれば次の常会に情報公開法を議員立法として提出するつもりをしておりますけれども、あなた方の方が今おっしゃったようなことで、秘密にするに値しないことを秘密だといって国民の知る権利を奪うような姿勢をおとりになっている限り、ついに血の通った行政というものはあり得ないということを承知しておいていただきたいと思います。  それから基地の問題にいたしましても、対潜作戦センターの問題にいたしましても、私が指摘をしたいのは、沖縄県民の皆さんがはっきり言いまして本土の皆さんとは違う認識を持っていらっしゃる、このことを少なくとも防衛施設庁の方々開発庁長官初め行政の皆さんはしっかりと認識をしておいていただきたい。  といいますのは、私は大城先生の御質疑を、申しわけございません、席を外しておりまして伺っておりませんが、恐らくその点についても言及をなさったんじゃないかと思いますけれども、私、戦後初めてひめゆりの塔に参りましたときに、何とも言えない後ろめたさを感じました。まさに、涙滂沱として流れてとどまるところを知らず。戦後いろんなニュースで、沖縄県民の皆さんがあの断崖絶壁から飛びおりて自決をなさった、そういう状況の後で長い長い年月を、我々が使う通貨が使えなくて、車は左ハンドルで本土とは違う通行区分帯を走らなければいけない、こんな苦労をしてこられたんですね。だから、沖縄県民の皆さんは本当に戦争は嫌だ、戦闘機なんか見るのも嫌だ、まして米軍の軍事基地なんかは一刻も早くすっかりなくなってもらいたい、こういう認識だ。  ところが、現実は、日本全土に今ある軍事基地の七五%が沖縄に集中している。こういう状況が、例えば作戦センターにいたしましても、潜水艦の基地の問題にいたしましても、やはり県民感情というものに非常に嫌な思いをさせている。そのことを行政当局はしりかりと認識をしておかなければいけないと私は思います。  先ほどからの御答弁を伺っておりますと、まことに判で押したように、対処してまいります、善処してまいります、協議を重ねます、これはお役人独特のレトリックにしかすぎません。私は、皆さん方に心からお願いを申し上げます。沖縄県民の気持ちに立てば、そういう法律の条文や修辞を超えて、まず皆さん方の認識をきっちりと改めていただきたい。改めていただいたら、沖縄を、例えば米軍基地をどうすればいいかという答えは必ず出てくるはずでございますから、そのことを長官、心から要望をしておきたいと思います。  この私の意見につきまして、長官の御見解を一言お願いいたします。
  244. 阿部文男

    国務大臣阿部文男君) 私が沖縄開発庁長官に就任してから沖縄に三回ほど、本島並びに離島に行ってまいりました。今さら私から言うまでもなく、沖縄県民は戦前戦後、我々筆舌に尽くせない大変な苦難の道を歩んでまいったわけでございます。その間、県民の皆さん方の大変なたゆまない努力によって、あるいは県当局、開発庁の積極的な開発推進によって最近は少しはよくなってまいりましたが、先ほどから皆さん方のお話にございましたように、まだまだ大変な問題が残っておるわけでございます。その中に大きな基地の問題があるということは十分認識しております。このことは県民の悲願でありますし、あるいは基地に対するいろいろな考え方を持っておりますから、これを踏まえて、県民が平和で豊かでたくましく、これから沖縄が活性化していくように最大の努力をしていく考えでおります。
  245. 中村鋭一

    中村鋭一君 そういうわけで、沖縄は戦場になったんですから、不発弾が大分あるように聞いております。私の手元にも資料はありますけれども、現在、政府の方で認識しておられる沖縄全土の未処理の不発弾は大体何トンぐらいあるとお思いですか。
  246. 藤田康夫

    政府委員藤田康夫君) 沖縄における不発弾の埋没量でございますが、何分戦時のことでございますので信頼に足りる資料が現在のところ存在しないために推定は困難ではございますが、毎年四、五十トンの不発弾が発見されておりますことから考えて、先生お話しのごとくなお相当量の不発弾が埋没しているものと、かように考えております。
  247. 中村鋭一

    中村鋭一君 この不発弾は、危険性というのはどうなんでしょうか。四十数年たってもやっぱり信管なんかに触れれば瞬時に爆発する危険性は依然として持続されているわけですか。
  248. 藤田康夫

    政府委員藤田康夫君) 沖縄における不発弾等でございますが、先生お話ございましたように、地中等に埋没してから既に四十数年経過してございますが、その殺傷力、破壊力は全く変わりなく、極めて危険であることは変わりございません。沖縄県民の生命と財産を守るために、これをできる限り処理しなければならないものと、かように考えておるところでございます。
  249. 中村鋭一

    中村鋭一君 二種類あると思うんですね。一つは、例えば工事現場で発見をする場合がありますが、そうでない、全く埋没をしていて地中に埋まっているもの、これをやはり発見をしなければいけないわけでございます。工事のときに発見するのはこれはいいですけれども、地中に埋没しているものを見つけ出して除去するということについてはどのような手段、方法をおとりですか。
  250. 藤田康夫

    政府委員藤田康夫君) 従来、昭和六十三年度までは情報のあったところについて探査発掘事業をいたしておりましたが、平成元年度からは情報を有する可能性の高い六十五歳以上の住民方々に、これもお亡くなりになっていかれる方も多々おられるものですから、早い時期にそういう情報をまず確保しようということで、直接面談の方式によりまして情報収集の積極化を図っておるというのが第一点でございます。  それから不発弾等の埋没地点、スポットを特定はできないけれども、一定の範囲にわたって点在している可能性の高い地域について新たに広域探査発掘事業を行おうということ、これも平成元年度から取りかかってございます。  こういうことによりまして、不発弾等の対策を抜本的に平成元年度から充実強化をいたしたところでございます。予算額をとりましても、従来千六百四十二万円でございましたのが、平成元年度から八倍以上ふやしまして一億三千八百四十七万円に増額をいたしまして、これら事業を効果的、計画的に推進を図っているところでございます。
  251. 中村鋭一

    中村鋭一君 現実に、この不発弾が事故を起こしまして県民を殺傷するというような被害を与えた、こういった事故は過去に何件ぐらいありましたでしょうか。
  252. 藤田康夫

    政府委員藤田康夫君) 住民に対して殺傷事故等の事故を起こした件数等詳しい資料は持ち合わせておりませんけれども、かつて聖マタイ幼稚園という箇所で下水道の工事をいたしておりました際、パイルを打ちましたのが埋没しておりました地雷に接触をいたしまして多数の死傷者を出した、こういう痛ましい事故があったことは事実でございます。
  253. 中村鋭一

    中村鋭一君 六十五歳以上の方に情報を求められるということですが、六十五歳というところに線を引かれたのはどういう理由ですか。
  254. 藤田康夫

    政府委員藤田康夫君) 六十五歳以上ということにいたしましたのは、終戦時ある程度の記憶があるということで、戦後、二十年から六十年でございますので四十年程度たっておるものでございますから、ある程度記憶のしっかりした、当時不発弾というか埋没したということが記憶にしっかり残っておられる方、こういう意味で六十五歳に絞らしていただいておるわけでございます。
  255. 中村鋭一

    中村鋭一君 私は今五十九歳でございますが、終戦のときには旧制中学校の四年生でございました。それでも戦争の記憶は大変鮮明でございます。ですから、六十五歳以上のお年の方にそういう情報収集というよりも、もし本気でそれをお考えだったら、それは別に六十歳以上の方でもいいと思うんですが、ちょっと私は、何かそれだと六十五歳以下の人は全く記憶があいまいで、言っていることが信用できないというふうなところでそういう線をお引きになったかとも思うんですが、もう少し年齢を下げたらどうですか。
  256. 藤田康夫

    政府委員藤田康夫君) この年齢を何歳にするかということはいろいろ考えたわけでございますが、先生の御記憶は決して、という意味で申し上げているわけではございませんけれども、一応終戦当時二十ぐらいの方がということで一定の絞りをかけてやらないと調査等も進まないものですから、そういう一定の線を引かせていただいたというだけでございます。積極的にそういう情報を持っておられる方、これは積極的に伺うということでございまして、そういうことも考えながらやっていきたい、こういうふうに考えております。
  257. 中村鋭一

    中村鋭一君 時間でございますね。じゃ、最後に一つだけお伺いいたします。  観光戻し税、これは一定の実効をこれまで上げてきているというふうに評価をなさいますか。それだけお伺いして私の質問を終わりたいと思います。もう少し詳しく聞きたかったんですが。
  258. 岡田康彦

    説明員岡田康彦君) お答えします。  これまでの実績等を見まして、それなりの有効な機能を果たしてきていると思っております。
  259. 中村鋭一

    中村鋭一君 終わります。
  260. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 先ほどから北方問題、沖縄問題を誠意で取り上げておられる。私は、非常に敬意を表して今ここに立っております。私も声を張り上げたいんですが、これ以上声を張り上げますと空気汚染につながるといけませんので静かに質問いたしたいと思うのであります。  まず、申し上げたい一つは、私、去る十一月十日の参議院の決算委員会で、第二次大戦終了間近のころ、沖縄八重山で日本軍の命令によってマラリアの有病地域に強制疎開をさせられて、そのために三千名余の命が消えた。これは何が何でも国家補償の必要がある、正常に物を考えるならば当然国家補償に値する悲劇であると私は思っております。そこで、私はその決算委員会で厚生省の援護課長に、大臣は見えませんでしたので、そのことを率直に申し上げよと、こう要望いたしたいきさつがございます。  そこで、その要望は十分に大臣に伝わったと思いますが、その結果がどうなっておるのか。厚生省、まずそれを答えてください。
  261. 船橋光俊

    説明員(船橋光俊君) お答えいたします。  去る十一月十日の決算委員会での委員の御質疑の趣旨につきましてはさらに内部で検討いたしたところでございますが、結論といたしましては、厚生省所管している戦傷病者戦没者遺族等援護法は、軍人軍属等国と雇用関係のあった者または雇用類似関係にあった者が戦争公務に従事している間に死傷した場合に障害年金、遺族年金などを支給するものでありますので、御指摘のような事例は援護法の対象ではございません。
  262. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これは当然国の責任において補償すべきことは、だれに聞いても間違いのない事実であると私は思うんです。  ところで、いつまで待つわけにもいかぬので、沖縄県当局としましても、十二月の補正予算にまず実態調査費として計上しよう、こういうことで七百二十九万円か計上されたと聞いております。このように、待つに待てないからしりを焼く思いで計上した、こういう気持ちだと私は思うんです。国の責任において措置されるべきものが、このように待てないということで沖縄現地でも調査費を予算化しつつある。それで、厚生省、総理府、沖縄開発庁、三者が話し合ってという要望も私は前にいたしたいきさつがありますが、開発庁長官、当然これは調査に協力すべきであると思いますが、いかがでしょうか。
  263. 阿部文男

    国務大臣阿部文男君) 沖縄強制疎開マラリア犠牲者援護会から要請のありました戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用について、これは厚生省の判断によることになると思いますが、いずれにしてもこの問題は戦後四十数年経過しておりまして、当時の状況、生存遺族の実態、不明の点も多いということも承っております。  そこで、沖縄県が、ただいま先生から御指摘がありましたように、予算を組んでその実態調査を進めておることも聞き及んでおります。沖縄開発庁としても、その結果を踏まえてこれに対処していきたいと思っております。
  264. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 長官は、去る九月に沖縄現地視察をなさいましたね。その際の記者会見の折にこの問題に触れられて、何らかの配慮をする必要があると前向きの姿勢を示してくださったことに県民は非常に好感を持っております。それで、この席でぜひその問題について所信を賜りたい。
  265. 阿部文男

    国務大臣阿部文男君) 先生指摘のように、私が沖縄訪問をした際に関係者から初めてこの問題を承りました。率直な気持ち、私は大変気の毒に感じました。  それで、帰ってまいりましてからいろいろ役所の話を承りながら、先ほど申し上げましたとおり、県がその実態調査を進めているということで大変よかったと思っておるわけです。県がすぐ対応して予算をつけて実態を調査しておりますので、その結果が出るでしょう。私は、記者会見したときと同じように、気持ちは今でも変わっておりません。
  266. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ところで、私は十一月十日の参議院の決算委員会において、厚生大臣が見えませんでしたので厚生省当局に聞きましたら、そのお言葉を否定するような答弁があったのであります。そのことに私はそれこそ我慢ならない。これはなぜそういう答弁したか、意図もわかります。いわゆる援護法の適用はできないという前提に立っておるのであり、もちろんできぬでしょう。だから、これは補償すべきであるという前提に立つなら法を改正すべきである。法を金科玉条として、国民の幸せを守る法であるべきものが、法にとらわれて殻にこもるという事態が問題なんであって、私はそこを強く指摘いたしたい。ですから、この事実を前向きで考えた場合に、これは解決すべきであるという前提に立つならば、法を改正してもらいたい。  ところが、改正せぬでもその前例があるんですよ、あの対馬丸遭難事件、学童疎開の。これも長い間引っ張ったんですが、とうとう追い詰められて、窓口がどこであるかわからぬ。二転三転しましてやったいきさつがありますね。そして、準軍人軍属に準じて遺族を補償したいきさつがあるんです。やろうと思えば当然できるんです。それを、ヤドカリと申しますか、殻に閉じこもってふたを閉めておる、この姿勢が問題なんです。  長官、いかがですか。ぜひ法を改正してでも、また現在において、ただしというところで解釈する。原則とただしというところがいかなる法にもあります。いかがですか。
  267. 阿部文男

    国務大臣阿部文男君) 戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用については、先生承知のとおり、厚生省の判断によるわけでございますから、きょうはここでコメントを避けさせていただきます。
  268. 船橋光俊

    説明員(船橋光俊君) 援護法の改正でどうかという御質問かと思われますが、援護法につきましては、先ほど申し上げましたような援護法の趣旨から見まして、本件につきまして援護法を改正して対応することもできないと考えております。
  269. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 できないと言う。じゃ、これはそのまま見殺すという意味か。もう一遍。
  270. 船橋光俊

    説明員(船橋光俊君) 援護法を所管する厚生省といたしまして、援護法の改正での対応はできないということでございます。
  271. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それは当然わかっておるんだよ。だが、これは解決しなきゃいかぬ問題でしょう。それをどうするかということだ。  どうか開発庁長官、ひとつ厚生省と総理府、いわゆる三者、この前も私はそれを指摘したんですよ。ところが、集まったがその結果は何かまとまらなかったということも聞いておりますが、どういうところでまとまらなかったのか、それを報告してください。
  272. 船橋光俊

    説明員(船橋光俊君) 本件につきましては、総理府及び沖縄開発庁連絡はいたしております。その際、本件につきましては厚生省所管する援護法の対象外であるということも申し上げております。  他の省庁との意見の食い違いという御質問でございますが、これにつきましては、政府部内の話でもございますので、厚生省から御披露すべき立場ではないと考えます。
  273. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 開発庁長官どうか。
  274. 藤田康夫

    政府委員藤田康夫君) 喜屋武先生お話、窓口の問題の御質問かと思います。  戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用云々、改正の問題、これも一つの議論になってございまして、この点は厚生省に御判断をいただくほかはないわけでございます。平成元年六月二十日の参議院社労において当時の小泉厚生大臣、窓口を協議する旨答弁されており、私らも連絡はとっておるところでございます。  当庁といたしましては、沖縄の戦後処理の問題については、従来から厚生省連絡を密にしてきたところでございまして、先ほど大臣から答弁をいたしましたように、この問題、沖縄県が実態調査を進めるということを聞き及んでおります。その結果を踏まえて慎重に対処する問題と考えておりますが、厚生省沖縄県等関係機関とよく連絡をとりながら対処をさせていただきたい、かように考えております。
  275. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 重ねて要望しておきます。これはどう言おうが解決しなければ、国の責任においての問題であることは否定できません。ならば、その方向にぜひ実現できるように努力してほしい、これが前向きというものだと私は言うんです。そのことを期待いたしまして、時間の関係がありますので次に行きます。  次は、厚生年金の格差是正について、私これも十一月二十九日の決算委員会で取り上げました。そして、橋本大蔵大臣が、沖縄県における厚生年金制度は発足がおくれたのは事実であり加入がおくれたのも事実である、本土との格差承知しておる。こういうコメントをされたいきさつがあります。一々一問一答していると時間がありませんのではしょって申し上げますと、国会ではこの問題が提出されて、年金法案がきょうの社会労働委員会で可決されて十五日の本会議に提案される予定になっておると聞いておりますが、その中で政令事項として特例措置を図っておるが、この程度の特例措置では沖縄県と本土との年金格差は、わずかと言いたいですけれども七一%しか改善されないということなんですね。このままで行きますと、いつまでもこの格差は続くということになります。  そこで、これもまた国の責任であるわけですので、それは復帰の時点のいろいろの落ちこぼれもないわけではありませんが、何としてもこの格差はゼロにして初めて完全解決であると私は言うんです。その方向にひとつ前向きでこれまた検討していただきたいと思いますが、いかがですか。
  276. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) お答え申し上げます。  先生承知のとおり、沖縄の厚生年金につきましてはかねてより格差がある、その格差の是正を図るべきだという先生方を初めといたしまして沖縄関係者の方々から強い御要請がございまして、厚生省といたしましても政府部内で鋭意検討を進めまして、このたび特例措置をさらに講じるという方針を決めたところでございます。  具体的な中身につきましては時間の関係もございますので省略をさせていただきますけれども、要は沖縄復帰の際に講じられました厚生年金の特例措置をさらに手厚くするという方向で、本土の場合に認められております中高齢十五年加入の特例、それに合わせまして加入期間が十五年に至るまで改めて追納を認める、それによって年金額を加算するという方式をとることにさせていただいたわけでございます。追納する保険料の額につきましては、四十五年当時の賃金といいますか標準報酬、これに保険料率につきましては通常四種の被保険者ですと事業主負担分まで負担しなければいけないのでございますが、本人負担分だけに限って当時の本土の保険料率六・二%の半分、三・一%という非常に低い保険料率、これを現在価格に換算する方式。一方では、年金給付については四十五年当時の賃金、標準報酬というものを現在時点に再評価をし直すということで、非常に手厚い換算の仕組みをとっているわけでございまして、私どもといたしましては、今回予定しております厚生年金の特例措置と申しますのは厚生年金制度の体系の中でとり得るぎりぎりの工夫をした措置というふうに考えておりまして、どうそ御理解を賜りたいと思っているわけでございます。
  277. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 この年金法の問題は、非常にうるさいと言えばうるさいんです。しかも、スタートがおくれておる。混乱と混迷の中からはい出た沖縄を同じ軌道に乗せるということは、これはよっぽどの困難な問題であることは間違いありません。それを納得のいく、そこをひとつ焦点として前向きで検討してもらうことを、しかも速やかに軌道に乗せてもらうことを強く要望いたしておきます。  次に、僻地級の見直しについて、多くを申し上げませんが、一つだけお尋ねいたします。  まず、すべて本土の物差しをそのまま沖縄に当てたんじゃちぐはぐが生まれる、このことはどの面をとらえても言えます。そこで、いろいろと現地も、久米島、八重山あるいは沖縄本島でも、この問題をめぐって大騒ぎをしたいきさつがあります。これは学校関係だけじゃなく、父兄、県民住民も含めてあるんです。  ところで、ごく最近の情報によりますと、一応地ならしをされて、十九のダウンから十七浮かんで、二つ残っておる。それは県教育委員会の配慮によって、この二つは何とか配慮する。そうしますと、結論的には従来どおり引き上げる、異常ない、こう理解してよろしいですか。いかがですか。
  278. 遠山耕平

    説明員(遠山耕平君) お答え申し上げます。  私ども沖縄県の方から聞いておりますところでは、級地がダウンする学校が現在十九校あるということでございます。そのうち二校だけが、先生おっしゃるようにいわゆる高度僻地、三級以上の学校から二級以下の学校にダウンをする、級地が上がる学校が三十一校、こういうぐあいに聞いております。二校について、先生に御心配いただいておりますように、高度僻地の修学旅行費あるいはパン、ミルクなどの給食費の補助が受けられなくなるおそれがあるということで、今沖縄県と私どもでいろいろ検討しているわけでございますが、さらに県の教育委員会とも連絡をとりまして、学校教育に支障の生ずることのないように対応策を検討していきたいというぐあいに考えております。
  279. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間も迫ってまいりましたので、私は次のことを申し上げます。  先ほど来、各委員から厳しい追及がございました。要望がございました。私もじっと当局の御答弁を聞いておりました。それで結論は、いろいろと表現はあるでしょうが、私をして言わしむれば、日本政府の対米従属姿勢が特に日米安保のかなめ地である沖縄にいろいろのケースでしわ寄せされておるということなんです。このことを許してはならないということなんです。  一つ。真のパートナーシップということは、対等の立場に立って向かい合って言うべきは言う、聞くべきは聞くという、この対米交渉をしてもらわなければいけないということなんです。これに欠けておる。言葉だけではありません。皆さんの御答弁の中に、次第によくなりつつあるという御答弁がありました、あえて名指しはしませんが。当たり前じゃないか。だのに、県民所得は最下位ではありませんか。  二つ。失業率は常に本土の二倍以上ではないですか。それは、次第によくなるのは当たり前と言い切ったのは、他県はなおよくなりつつあるということなんです。だから、沖縄がよくなるのは当たり前のことだ。問題は、このように追いかけっこをして取り残されておる現状政府はどう認識し、解決するかというところに問題があるということなんです。  次に、三点。基地返還について、可能な限りという言葉がぼんぼん出た。その場合に、行政の姿勢をどこの側に置くかということが問題なんでしょう。申し上げるまでもなく、憲法を柱にして主権在民、国民を幸せにするというのが憲法の心であり行政の姿勢でなければいけないはずです、可能な限りということは。だのに沖縄現状は、沖縄は戦場ではない。沖縄県民米軍演習の標的ではない。生命財産、人権の侵害に毎日おののいております。そして、基地は諸悪の根源であるという確認がされておりますよ。このような状態にいつまで置くつもりなのか。黙っておるわけにはいきません。  ハリアーの問題にしましても、こういう言葉を言いましたよ、残念ながら地域住民の了解が得られなかったと。先ほども指摘されましたね。残念ながらというその言葉の発想の心は何ですか、何が残念ですかと私も追及する。こういうところに官僚、権力にあぐらをかいた、不用意の中に語る言葉に真実があるんですよ、よきにつけあしきにつけて。諸般の事情からということも漏らされた。その諸般の事情とは一体何なのか。  そして、困難であるという言葉が出ました。私はそれに怒りを感じます。沖縄問題に困難でない問題があるでしょうか。容易な問題はほっておいても解決できます。自助努力によってやってきておるんですよ。困難と不可能を置き違えるなということです。不可能はどんなに努力しても不可能です。困難は理解と誠意と愛情さえあれば必ず道は開けてくるんです。これが政治だ。これが行政だ。どうか困難と不可能を混同しないように、うっかり言わぬでほしい。  以上、もっと申し上げたい点もありますが、余韻を残して、時間が来たようでありますから終わります。よろしくお願いします。
  280. 田代由紀男

    委員長田代由紀男君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  281. 田代由紀男

    委員長田代由紀男君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  282. 田代由紀男

    委員長田代由紀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  283. 田代由紀男

    委員長田代由紀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会