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1989-12-05 第116回国会 参議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十二月五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月三十日     辞任         補欠選任      鹿熊 安正君     宮田  輝君  十二月二日     辞任         補欠選任      宮田  輝君     鹿熊 安正君  十二月四日     辞任         補欠選任      穐山  篤君     八百板 正君  十二月五日     辞任         補欠選任      八百板 正君     穐山  篤君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中野 鉄造君     理 事                 谷川 寛三君                 二木 秀夫君                 田渕 勲二君                 片上 公人君     委 員                 伊江 朝雄君                 石原健太郎君                 上杉 光弘君                 鹿熊 安正君                 片山虎之助君                 野沢 太三君                 山崎 竜男君                 穐山  篤君                 喜岡  淳君                 小山 一平君                 瀬谷 英行君                 安恒 良一君                 小笠原貞子君                 粟森  喬君                 寺崎 昭久君    国務大臣        運 輸 大 臣  江藤 隆美君    政府委員        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        総括審議官    大塚 秀夫君        運輸省地域交通        局陸上技術安全        部長       松波 正壽君        運輸省貨物流通        局長       寺嶋  潔君    事務局側        常任委員会専門        員        長谷川光司君    説明員        警察庁交通局交        通指導課長    板東 自朗君        運輸大臣官房審        議官       土坂 泰敏君        労働省労働基準        局賃金時間部賃        金課長      鹿毛  明君        労働省労働基準        局賃金時間部企        画室長      石川  透君        建設省都市局都        市再開発課長   安達常太郎君        建設省道路局企        画課長      藤川 寛之君        建設省道路局高        速国道課長    橋本鋼太郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○貨物運送取扱事業法案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付) ○貨物自動車運送事業法案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)     ─────────────
  2. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨四日、穐山篤君が委員辞任され、その補欠として八百板正君が選任されました。     ─────────────
  3. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 次に、貨物運送取扱事業法案及び貨物自動車運送事業法案の両案を便宜一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は前回既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 田渕勲二

    田渕勲二君 それでは、きょう私は貨物自動車運送事業法について質問を申し上げたいと思います。  まず質問を申し上げる冒頭に、この法案を提出された認識について大臣のお考えをお聞きしたいんですが、この新しい法案というのは免許から許可制、それから認可から届け出というように抜本的に変わってまいったわけでありますけれども、もともとトラック運輸産業というものは大臣も御存じのとおり大変な過当競争にある。しかも、その結果がそこに働く労働者労働時間が他の産業に比べて非常に長い、休日も休めない。こういう他の産業に見られない大変な状況に置かれている業界であるにもかかわらず、いわゆる規制緩和といって、こういう免許から許可あるいは認可から届け出というように、こういう法案が成立することによって私ども心配するのは、この過当競争がさらに激化するのではないか、またそこで働く労働者労働時間なり休日というものも大変な状況に置かれていくのじゃないかという懸念を実は私たちは持つわけであります。そうした状況の中でこういう法案を出された運輸大臣の御認識について、まず冒頭にお聞かせをいただきたいと思います。
  5. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 御案内のように、日本経済発展とともに物流の形態が随分と急速に変わってきまして、トン数で言えばトラックによる物流が九割になった、トンキロで言うと半分以上になってきた、それぐらいトラックというものが日本物流に占める役割は非常に大きくなったと言えると思います。しかし、三万八千を数える急速にふえたこの業界の中では九九・五%が実は中小企業である、前近代的な経営が非常に多いということでありますから、一方においては労働過重の問題が起こってくる。一方においては、今度は過重、いわゆる過積みの問題が起こってくる。したがって、きつい、危険、それから汚いというようなことで、この陸上運送部門で今約九万人の人が足らないと言っておりますが、その大部分がトラックにあるということになってきて、将来ともに日本経済を背負って立つべきこの業界の基礎が揺るぎつつある。  したがいまして、規制緩和ということはこれは時代の流れでありますから、一定規制をちゃんと置きつつも規制緩和を図り、いやしくも中小企業過当競争の波に押されるようなことに歯どめをかけながら、今までになかったこうしたいわゆる労働強化ですとか過積みの問題ですとか、そうした社会的な責任に対して業界に厳しく役割を分担してもらおう、こういうことによってこのトラック輸送業界というものを近代産業の旗手に育てていきたい、こういう念願のもとに、実はその間若干の改正はしておりますが、四十年ぶりに根本的な改正をして業界の育成を図ろう、こういう趣旨のものでございます。
  6. 田渕勲二

    田渕勲二君 大臣認識についても、今おっしゃったように、やっぱり一定規制が必要だというお言葉もあったわけでありますが、そうすればこの免許から許可制にする、いわゆる事業資格有効期間制、こういう事業資格をただ与えてしまってそれでおしまいというのじゃなくて、少なくとも今おっしゃったように一定規制を必要とするならば、許可更新制についてこの法案には実はないのでありますけれども、これをもう一度考え直すということはできないでしょうか。いかがでしょうか。
  7. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 免許制から許可制への移行に伴いまして、その許可期限を付してはどうかという御意見を承っておるわけでございますが、事業者事業活動が適法、適正に行われているかどうか、これは常に行政当局として監査等によりまして十分監視をすることになっておるわけでございます。もし許可を得た者が重大な法違反等を犯せば、極端な場合には許可の取り消しというようなことになるわけでございますが、これを何年かの期限を切ってそこで見直すというよりは、必要に応じ適時適切に処分を行うということの方が適切ではないかと私どもは思っておるわけでございます。有期制あるいは更新制で、ある時期に全事業者申請を出し直させるということになりますと、事業者側負担、さらに行政側のこれを審査する負担というのは非常に大きくなりまして、行政簡素化の方向にむしろ逆行するのではないかというおそれを持っております。  なお、英国等更新制あるいは有期制を採用している事実もございますが、これはそれぞれの国の歴史的な経緯、背景、あるいはその事業重要度国民の意識といったものから事業規制あり方が決められておるものでございまして、英国でこのような制度があるからといって、当然に我が国でこれを導入すべきものであるということには必ずしもならないと考えております。
  8. 田渕勲二

    田渕勲二君 いろいろおっしゃっていますけれども、結局、一たん許可をおろしたら、それをチェックする機会がない、こういうことはやはり私は非常に問題があると思うんですね。例えば、過積載の常習者あるいは労働基準法を常に守らない事業者あるいは事故を非常に多発する事業者というのは大体トータルするとわかるわけですけれども、そういう人たちに対する許可を与えた後のチェック体制、こういうものを今局長行政簡素化に逆行するとおっしゃいましたけれども、その行政簡素化と、こういうような基準法、法を破り事故を多発させるというような者とてんびんにかけると、これは行政簡素化よりはそういう事故多発者の取り締まりをきちっとした方が国民のためになることは、これはだれが考えても当たり前なんですね。  しかも、最近の道路運送法違反処分状況を見ますると、年間の監査対象事業者がわずかに四千六百九十五事業者、こういう状況になっている。そうすると、三万八千の事業者がおって、しかもその事業所というものはこの何倍かの数に上るわけですから、これは何万あるかわかりませんけれども、そういうような状況の中で許可すればそれをチェックする体制、機能、こういうものが全くなされない。こういうようなことで果たしてこの公共性社会的責任というものが十分に果たせるかどうか、このことを私どもとしては非常に心配するわけであります。確かに、行政簡素化というものとは多少逆行はしますけれども、それよりも、こうした法を破り事故を多発させて国民に大変な迷惑をかけている事業者に対するチェック体制というものの方がむしろ私は大切ではないか、こういう見解を持つのでありますけれども、これに対してどのようにお考えでしょうか。
  9. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 御指摘のような悪質な事業者、これは必ずしも業界の多数を占めるものではございませんが、確かに存在はいたします。このような悪質事業者につきましては、重点的な監査を行うということが可能でございます。その結果、何度も違反を犯すということになりますと、これに対する行政処分もだんだんと加重をされてまいります。再犯、再々犯ということでどんどんと処分が重くなるわけでございます。そのようなことで、御指摘のような悪質事業者の是正ということが図り得るかと思っております。  なお、行政の手の足らざるところを補うために、このたび貨物自動車適正化事業実施機関というものを中央及び各都道府県に指定いたしまして、各事業者に対する法令の遵守方についての指導を徹底し、問題のある事業者については当局に通報することによって当局監査を発動しやすくするということで、民間の自主的な活動当局監査処分を組み合わせまして一層有効な監督体制を充実してまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  10. 田渕勲二

    田渕勲二君 そうしますと、今おっしゃったように貨物自動車適正化事業実施機関、こういったものができて、そこにある程度そういった運輸省の仕事を補完させる業務が生まれるわけですけれども、しからば例えば自動車に関して言えば、指定自動車の教習所で民間車検をやるとか、ああいうことをやっているわけですから、行政事務の実質的な審査とか、そういう許可更新制とか、こういったものについて行政簡素化という意味から、そういう新しくつくる貨物自動車適正化事業実施機関にそういう業務を委託する、そういうことはできないんでしょうか。
  11. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 仮に更新制を導入した場合の更新の是非の判断、これは事業の継続に関します行政裁量が働くわけでございますので、これを民間機関判断にゆだねるということは法律的に問題があろうかと思います。しかしながら、先ほど申し上げましたように、民間適正化事業実施機関に日常的な指導を行わせ、問題のある事業者について当局に通報させるというようなことによりまして当局監査または処分の発動を容易にする、それによって重点的な指導当局による監査処分ができるということで実効性を高めてまいりたいと思っているわけでございます。
  12. 田渕勲二

    田渕勲二君 業種は異なるけれども旅行業の場合は登録更新制をとっていますね。そういう業種があるわけですから、この貨物自動車にしてもこういう旅行業と同等にみなしてやるというわけにもこれまたいかぬですか。
  13. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 御指摘のように旅行業につきましては更新制がございますが、これは今回のトラック事業法と異なりまして登録制でございます。したがって、規制そのものが極めて緩やかになっておるわけでございます。したがって、更新の場合の判断というのもごく簡単な内容だということになります。これに対しましてトラック事業についての事業参入は、今回の法改正によりまして許可制になりますが、第六条に掲げておりますもろもろの基準に照らしまして、申請書事業計画とか事業遂行能力一定裁量性をもって総合的に審査する、こういう仕組みになっておりまして、機械的な判断ではないわけでございます。それから参入の後に設備等変更がございますときは、登録制の場合と異なりまして事業計画変更について認可を要するということになっておりまして、事業者参入した後の事業活動変更についても当局がきめ細かく見るという仕組みになっておる点で旅行業法とは規制の態様が異なっておるわけでございます。したがいまして、旅行業法有期制をとっておるということは、必ずしもトラック業法について同様の規制を導入すべきだということにはならないというふうに考えております。  それからなお、ちなみに、旅行業者の数でございますが、一般旅行業を営む者がただいま六百七十二事業者、これは国際関係のできる人でございますが、それから国内旅行業者、これは六千五十四事業者ということで、トラック事業者の三万八千という数に比べてはるかに少ないという点が行政上の負担考える場合にも大きな差になってまいります。
  14. 田渕勲二

    田渕勲二君 数が違うという理由もあるでしょう。それはともかく、今度国外に目を転じて見ますると、私が調べた欧州の例を見ましても、営業 用トラック自家用トラックを含めて非常に極めて厳しい規制があるわけですね。例えばイギリスでは五年間の有効期間フランスが七年、西ドイツが八年、こういう期間をもって再免許、再認可をしているわけですが、こういう各国の情勢を見ましても、これは日本の実情と必ずしも一致はしていませんけれども、こういう点に関して運輸省としては他の外国の例を見てどういう御見解をお持ちですか。
  15. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) ただいま御指摘のように、イギリスでは五年、フランスでは七年ごと西ドイツでは八年ごと期限がついておることは事実でございますが、他方、アメリカではこのような期限はつけておりません。したがって、国際的に見て有期制をとっている国が多数であるとか主流であるというような実態ではないと思っております。いずれにしましても、有期制を導入するかどうかということにつきましては、その国の事業規制あり方についての考え方、哲学あるいは事業実態法体系、このようなものを総合的に勘案しまして決まってまいるものだと思いますので、ヨーロッパのただいまお話しのような国で更新制がとられておるということから直ちに我が国がこれを導入すべきであるという結論にはならないのではないかと思っております。
  16. 田渕勲二

    田渕勲二君 それでは、観点を変えてお伺いしますが、これからこの法律が施行されますと事業参入が自由になってまいりますけれども、第七条の緊急調整措置という項目がありますけれども輸送需要量に対して著しく過剰になった場合と書いてありますが、著しく過剰になっているという把握方法判断基準、こういうものは何か一定基準があるんでしょうか。
  17. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 著しく過剰になるという場合の認定基準でございますが、この判断は著しい需給アンバランスによる過当競争があるかどうか、そういう場合に限って緊急調整措置は発動されるわけでありまして、その効果としましてはトラック事業への参入という国民の権利を著しく制限する厳しい法的効果を伴うものでございます。そういう意味で、可能な限り法律上明確に要件を規定したところでございますが、具体的な判断基準、著しい輸送力の過剰があるかどうかについての判断基準としましては、輸送実績報告書、これは事業者からとっておりますが、それから自動車輸送統計報告書等から出てまいりますいろいろなデータ、例えば実車率でございますとか、実働率あるいは実働日車当たり輸送トン数、実際に動いた車が一日何トン運んだかという数値でございますが、そのような数値を算出いたしまして、これらを基本的な指標として明確な運用を図りたいと思っております。
  18. 田渕勲二

    田渕勲二君 そうすると、もう少し具体的に聞きますと、現在の道路運送法六条の免許の与え方のとき基準になるのは、輸送需要量、それから供給輸送力、こういったバランスをとって、しかもその地域に反対の業者がいないというようなことの一定基準があって免許をおろしたりおろさなかったりしているわけですが、それとどう今度の法案と違いますか。
  19. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 現在の道路運送法需給調整判断でございますが、これは路線事業区域事業では幾らか異なっております。  路線事業におきます需給調整判断につきましては、申請に係る区間におきます輸送量実績及び今後の見通し、車両数とか運行回数などによって出てきます供給輸送力についての計画及びその申請を認めることによって出てくる影響度合い等を総合的に判断しております。  他方区域トラック事業需給調整規定運用につきましては、昭和四十五年六月に当時の自動車局長通達が出ておりまして、この当時は非常に経済成長が著しい時期でございまして、免許処理の促進をする必要がございました関係需給関係への著しい影響は通常ないものとして扱うようにして指導しておりました。ただ、不況のとき等特別な場合にはこういう扱いはしないということにいたしておりまして、全体としては需給調整制度の骨格を保っている、こういうことになっております。  しかしながら、その後、我が国産業構造が変化いたします中で、冒頭大臣から申し上げましたように、新しい物流ニーズが出てまいりまして、これに対応するために、必要となる路線事業のネットワークの拡大とか、あるいは区域トラック小口貨物積み合わせ運送などを弾力的に行えるような事業規制とする必要が高まったわけでございます。このために、免許制許可制とし、事業計画が適切であり、適確事業遂行能力を有するか否かという申請者の質的な審査を行うにとどめまして、サービスの多様な展開の迅速化の要請の高まりに対しまして合理的な事業運営ができるようにしたものでございます。
  20. 田渕勲二

    田渕勲二君 局長、今大臣がちょっとこうしておったけれども、もう少し大きな声で……
  21. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 徹夜しているものですからね。
  22. 田渕勲二

    田渕勲二君 そうですか。一晩ぐらい徹夜したってどうということないでしょうけれども、もう少しはっきり言ってほしい。  過去のことをどうだこうだということを聞いててもしようがないんですよ、路線区域道路運送法上の。そうでなくて、今度新しい法案ができた、供給輸送力が過剰になった場合の把握方法判断基準、こういうものが今の道路運送法判断基準とどう違うのかということなんです。どこが違うのかということ、これを簡単に言ってください。くどくど言わなくていいですから。
  23. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 免許制から許可制への移行に伴いまして、需給関係判断はしないということになります。従来の道路運送法需給調整規定運用は先ほど申し上げたとおりでございますが、新法移行後は需給関係調整規定原則としてしない。後ほどまたお話があるかと思いますが、極端に需給バランスが崩れたときには緊急調整措置というものが発動されますので、その場合は新規事業参入あるいは既存事業者増車が停止されますが、そのような極端な需給アンバランスの場合を除きましては原則として需給調整は見ない、こういうことになります。
  24. 田渕勲二

    田渕勲二君 やっとわかりました。  それでは、次の第八条事業計画基準について。ちょっとこれについて確認をしておきたいんですが、港湾運送事業法の第十六条の例に沿って貨物運送事業直営率、いわゆる下請傭車関係です。この直営率を定めるなどして下請傭車制限措置を講ずるべきではないかと私は考えるんですが、その点、見解いかがでしょうか。
  25. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) トラック運送事業におきましては、輸送需要季節的変動が著しいという特性がございますので、どうしても自社の輸送力だけでは対応できない場合に機動的に他社の輸送力で補完することが必要となってまいります。固定的な直営率というものを定めまして規制を加えるということは、このような変化の著しい輸送需要へのトラック業界の弾力的な対応を損なうという懸念がございますので、私どもとしては慎重に対応すべき問題であると考えております。もとより、元請事業者下請事業者に対して過積載等のこの法案規定違反する行為を強要するような場合には、その利用側の元請事業者に対して荷主勧告規定等の厳正な運用を通じてその適正化を図る必要があると考えております。
  26. 田渕勲二

    田渕勲二君 いずれにしても、下請傭車関係はこの業界にとって非常に多々問題を生ずる原因を持っているんですが、やはり私はそういう制限措置を講ずるべきだ、ある程度の制限措置を講ずる必要があると思うんです。今直ちにできなくとも、将来的にこの問題についてはひとつ真剣に検討してもらう必要がある、私はこのように思います。  第九条の関係に参りますが、事業計画変更ですね。事業計画変更について、認可事項届け出事項と区分することになっておりますが、何を認可し、何を届け出とするのか。その中で車両総数変更については認可事項にしてはどうか、私 はこのように思うんですが、その辺いかがでしょうか。
  27. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 事業計画トラック事業者事業の重要かつ基本的な事項に関する計画でございまして、参入の際の許可はこの事業計画に沿って事業が実施されることを前提としてその内容適切性について許可基準に照らした審査を行うものでございます。したがいまして、その事業計画変更に際しては、その変更内容について再度許可基準に照らした審査を行い、その適切性を確保するために原則として認可にかからしめる必要がございます。  しかしながら、トラック事業につきまして、先ほど来申し上げておりますような高度化、多様化するニーズに弾力的に対応して迅速かつ的確な事業活動を行い得るようにするという本法制定趣旨に即しまして、事業者経営的判断のもとで迅速に変更し得る政策的な必要も生じております。そこで、現行の事業計画変更では営業所の名称の変更など極めて軽微な変更以外はすべて認可にかからしめていたわけでございますが、このたびの法案におきましては、従来、認可が必要でありました事項、例えば先ほどお話し事業用自動車増車については事前に届け出ればよいという、認可よりも簡便な手続で行い得ることを考えております。
  28. 田渕勲二

    田渕勲二君 非常に時間が、一つの項目質問するのに三十分かかっちゃったわけですが、できるだけひとつ答弁は簡潔にお願いしたいと思います。  それでは次に、運賃問題について御質問申し上げます。  運賃、料金の認可制を廃止して事前の届け出制に改めることになったわけですが、認可運賃すら完全に収受されていないというのがこの業界実態なんですね。運賃ダンピングというものも、それに加えてますます拡大する、こういうように私は非常にこの法案の成立後の状況を危惧するわけでありますけれども運輸省がお調べになって、現在の認可運賃というのはこれは六十年に認可運賃にされて四年間経過しておるんですが、そういう認可運賃が今ほぼ収受されている実態にあるのか、それとも六十年の認可運賃すら収受されていない実態にあるのかという傾向について、どういう御認識でしょうか。
  29. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) ただいまお尋ねのトラック事業認可を受けた運賃が完全に収受されているかどうかにつきましては、最近の経済の好況を反映いたしましてかなり収受率は改善されていると考えております。しかしながら、なお完全に認可どおりに収受されているということが言えないということは、残念ながら御指摘のとおりでございます。
  30. 田渕勲二

    田渕勲二君 そういう状況にあると思うんです。最近、景気が多少上向いていますから六十年の認可運賃がある程度収受できる状況になったとはいえ、まだまだ必ずしもそういう運賃で全業者が収受しているとは私は思えないんです。  ところで、今回、この法案が施行されますと、事業者が個々に届け出をするわけです。三万八千の業者が一斉に届け出をする、今の現在ある運賃の状態では一斉にはならぬと思いますけれども。そうしますと、今後、将来は届け出された運賃というのが数万種類に上るのじゃないかと思いますね、数万の業者が数万の運賃を届け出るわけですから。こういう状況の中で、運輸大臣変更命令、これが非常に不当なものだという運賃であれば、それを審査する状況が果たしてできるのかどうか。適正な料金かどうか、また他の事業者と不当な競争を引き起こすおそれがあるのかないのかという審査、数万種類の届け出運賃をどのように審査をされるのかという点が、一つ疑問があるわけです。  それから、そうでなくて、そういうようにそれぞれ個々の業者が運賃を届け出るんですが、それに対しては行政側としてある程度の標準運賃というものを示して、それに基づいて個々の業者届け出をする、こういうことができないものかどうか、この点についてお尋ねいたします。
  31. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 届け出運賃に移行することによりまして各事業者から運賃が届け出られるわけでございますが、この点につきましては、現行の認可運賃制につきましてもやはり申請を待って認可するということでございますから、可能性の問題としましてはばらばらな申請が出てくるということもあり得るわけでございます。これが各事業者から届け出がありました場合に、運輸大臣としては、その審査基準に照らしまして、著しく過剰な利益を含むものとか、不当に差別的なもの、あるいは不当な競争を引き起こすようなものにつきましては変更命令を発動して、秩序ある運賃設定を確保するわけでございます。御指摘のように、非常に多数の異なった運賃が出てくるのではないかという点でございますが、これにつきましては変更命令発動の要件がございますけれども、それぞれについてできるだけ明確な基準を設定いたしまして事前にこれを公表するということによりまして、事業者届け出変更命令の対象にならないような措置をとりたいと思います。  しかしながら、標準運賃を常時設定してはどうか、こういう御意見でございますが、標準運賃の規定は別途第六十三条にございますが、この条の発動の要件は同条に書いてございますように、経済事情の変動により運賃が著しく高騰し、あるいは下落するおそれがある場合でございまして、これを常時設定しておくということは今回の法改正趣旨に照らして適切ではないのではないかという考え方をとっております。
  32. 田渕勲二

    田渕勲二君 公正な競争を維持するためのあるべき運賃という点から考えますと、それぞれの個々の事業者が運賃を届け出る場合、その背景になる原価計算をするわけですが、例えば非常な年間二千時間に絞った時間短縮を励行したり、あるいは週休二日制を実施するような企業というのは確かに原価が高くなると思いますね、人件費が。それに比べて、先般の運輸委員会でも非常に問題になりましたある事業者のように、労働時間とか休日とかということは一切考えないで、オール歩合、オール出来高というような状況でむちゃくちゃに働かせるというところについては、原価というのは安くなると思うんです。そういうように労働者を犠牲にしてつくり上げた原価と、労働者をかなり優遇してつくり上げた原価というものの運賃は変わってくると思うんですね。そういうものが両方から出されると、こんな開きが出てくる。こういうことは公正な競争なんということとほど遠いものだと思うんですが、そういうものに対するチェック、それはどういう仕組みでお考えなんでしょうか。
  33. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 先ほど申し上げましたように、運賃の審査の具体的な指標につきましては、その時点、その地域におきます適正原価等を基礎としまして設定して、事業者が了知し得るように基本通達等により公表して明確化を図りたいと思っているわけでございます。そのような指標に照らしまして届け出られた運賃の内容が適正を欠く、したがって先ほど御指摘のような不当な労働条件で労働コストを引き下げているような場合が業界の不当な競争を招くというような判断がされますときには、これに対する変更命令を発動するということに相なります。
  34. 田渕勲二

    田渕勲二君 そうしますと、それはそれで事業者側の運賃の届け出になりますが、この産業というのは受注産業でありまして、価格の形成力が非常に弱い産業なんですね。だから、荷主側というものが優位に立っておりますから、どうしても低運賃あるいは過労、過積みの引き金になるようなこと、荷主側の暗黙の強制といいますか、そういうものにどうも従わざるを得ない、こういうことになります。そうなりますと、明らかに適正な運賃でない荷主に対しては、ここにもありますように、運輸省が勧告できることになりましたね、今度荷主勧告が。これは非常に新しい、法案の中では運用次第では非常にいいものだと私は思うのでありますけれども、この荷主勧告をやって、一つは荷主が従わない場合、それに対する強制力という んですか、そういうものが荷主勧告というもの自体に与えられているのかどうか。それから運輸省だけの判断では、これは何かありますると各所管の省庁と相談をしてやられるというようなことも書いてありますね、法案上。そういうことがなぜ必要なのか、その点についてもお聞かせください。
  35. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) まず、荷主勧告が法的にどのような効果を持つかということでございますが、これは法的な強制力あるいは制裁というものはついてございません。トラック事業法は、本来、基本的にはトラック事業者規制しておる法律でございまして、本法案事業規制の遵守の実効性を高めることを重要な一つの目的としているということを勘案しまして、関係省庁とも協議した結果、いわゆる悪質な荷主に対しては利用者であっても運輸大臣が勧告するということができる新しい制度関係省庁の理解の上で創設したものでございます。  この勧告規定の発動要件につきましては、このようないきさつに加えまして、この勧告の社会的な影響をも考慮いたしまして規定したわけでございますが、せっかく設けられた制度でありますからこれが全く使われないというようなことがあってはならないわけでございまして、それは十分機動的に運用していきたいと思います。  所管省庁に意見を聞くことになっておりますが、これは制度の創設の経緯、趣旨から申しましてやはり必要な手続である、こういうふうに考えております。荷主が行う事業を所管する行政庁の行政目的の達成に影響があるわけでございますから、これは所管省庁から意見を聞くということが必要であるというふうに理解して取りまとめたものでございます。
  36. 田渕勲二

    田渕勲二君 何かもう一つ、この勧告にはそれほどの強制力というものはないというふうに理解していいんですね。  しからば、この法案にもあります「荷主の行為に起因するものであると認められ、」、こういうのがありますね。その認定はなかなか難しいのじゃないかと思うんですね。荷主の行為に起因するものであれば、いろいろありますけれども、勧告されますが、その認定がなかなか難しいから一応書いてはあるけれどもこれが何か空文化する、こういうおそれがあるように私は思うんですけれども、その点は心配ございませんか。
  37. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 六十四条の発動要件、非常に難しい文章で書いてございますが、荷主の指示に基づいて行われたトラック事業者の行為の結果、トラック事業者処分を受けるという場合は、極めてはっきりしておりますので、当然にかかります。  それから当該トラック事業者違反行為が主として荷主の行為に起因するものであると認められ、かつ、トラック事業者に対する命令または処分のみによっては再発を防止することが困難であるとき、このようなときには当該荷主に対して再発の防止を図るための適当な措置をとるべきことを勧告することができるわけでございますが、なかなか御指摘のように荷主の行為に起因するものであるという点が認定しにくいということでございますけれども、当該荷主と取引関係にあるトラック事業者がことごと処分の対象となる、つまりその荷主が出入りのトラック事業者に非常に無理なことをやらせておって。ですから、そこの出入りの事業者がみんな処分を受けてしまうというような場合には、明らかにこれはその荷主の指示に基づくものだということが認定されるわけでございまして、このような場合には個々の指示の行為が立証されなくともこれはその荷主の指示によるものだということを認めるという運用をしたいと思っております。
  38. 田渕勲二

    田渕勲二君 もう少し具体的にわかりやすい例を挙げてお聞きをします。  最近、コンビニエンスストアというのは二十四時間商売をしておりますね。もともと、こういうスーパーマーケットなんかでは、自分のところで倉庫を持ってある程度蓄え、倉庫に入れておきながら売っておったわけですね。ところが、今では倉庫とかそういう売り物を置いておくということはしないで、トラック屋に一日に四回とか五回とか時間を指定して持ってこい、これは夜中といわず早朝といわず、そういう状況が生まれておるわけです。  それから工場なんかの原材料の搬入あるいは製品の搬出につきましても、一定時間でなくて、早朝に入れろ、あるいは深夜に持って帰れ、こういうような荷主の要請で、トラック事業者はその要請に応じて車を走らせておるわけですけれども、このために結局は過積みをしたり過労になったりして大変な引き金になっているわけです。  こういうものについては、今局長のおっしゃったそういったこととどう符合するのか、これに対してこの法案はどういう効力を持つのか、この辺いかがでしょうか。
  39. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 事実の問題といたしまして、先ほど御指摘のように、コンビニエンスストアというように二十四時間あいておる商店、あるいは二十四時間操業の工場等で深夜にも貨物の出し入れを要求するというようなケースがあるわけでございます。これらからの要請にこたえることはトラック事業側の責務でございますけれども、その結果として不当な長時間労働、過労運転等が生ずることは許されないわけでございまして、そのような利用者側が非常に無理な運転をしなければできないような運送を要求するというようなことになりますと、まずトラック事業者側が処分を受け、さらに六十四条の要件に該当する場合には、このような利用者に対して荷主への勧告が運輸大臣から発せられるということになります。したがって、六十四条の要件にかかるかどうかということがかぎでございます。
  40. 田渕勲二

    田渕勲二君 わかりました。  それでは、さらに、ちょっと観点を変えて運賃問題を引き続きやりますが、冒頭でも申し上げたように、現行の認可運賃がなかなか守られていないという状況がやっぱりあるわけです。認可料金は、六十年に運賃改定がされて四年たっているわけです。それで、この新法は平成三年一月一日からですね。平成三年一月一日から施行されると思うんです。違いますか。
  41. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 新法の施行の時期は、公布の日から一年以内に政令をもって定める時期ということになっておりますので、必ずしも平成三年一月ということではございません。これは本法案がいつ成立し、いつ公布されるかということにかかっておりますが、それから一年以内の期間の中で施行されることになります。
  42. 田渕勲二

    田渕勲二君 そうすると、一年はこのまま続くということですね。  そうしますと、今までの認可料金の改定の年度を見ますると、大体二年から三年置きぐらいに認可料金が改定されているわけです。最近の例を挙げると、五十三年、五十五年、五十七年、そして六十年、こういうように二年ないし三年で運賃改定が行われておりますが、ことしは六十四年といいますか元年ですから、四年間運賃改定がなされていないわけです。さらに一年間たつわけですから、五年に及ぶわけです。そういう状況の中で、この新法が施行される前に、例えば業界から料金改定申請、こういうものがあれば運輸省はどういう扱いをされますか。
  43. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 最近におきます労働時間の短縮等の要因によりますコストアップを理由としまして、業界の一部に運賃改定の要望が現にあることは承知しております。ただ、この四年の間、幸いに経済の好況に恵まれまして荷動きは活発でございましたし、燃料の価格は比較的安定しておりましたことによりまして四年間据え置かれておるわけでございまして、今後、現時点で運賃改定が必要があるかどうか、このような必要性の判断を示す資料がまだ現在整えられておるわけではございません。一方において、時間短縮等による人件費の上昇がこれから考えられるわけでありまして、これが運送コストの増加として実績的に反映されるということも今後あり得るわけでございまして、値上げの必要性及びその時期につきま しては、今後、慎重に検討をしていきたいと思っております。
  44. 田渕勲二

    田渕勲二君 それでは、次の項目に参ります。  輸送の安全の問題についてお尋ねしていきます。これは労働省とも関係してまいりますが、労働省、お見えになっていますね。  まず、トラック労働者実態ということでお尋ねをしていきますが、他産業との比較でトラック労働者労働時間の実態はどうなっているか。それから時間短縮に向けて、労働省なり運輸省はどういう指導をされておるのか。また、今後、どのように取り組もうとされておるのか。それからあわせて賃金実態、この業界は歩合給が非常に多いわけですが、こういう時間短縮の時代に歩合給というものが時短というものを非常に阻んでいると私は思うんですが、この歩合給賃金というものに対する御見解、これについてお答えをいただきます。
  45. 石川透

    説明員(石川透君) お答えいたします。  まず、労働時間の実態についてでございますが、労働省の毎月勤労統計調査によりますと、道路貨物運送業の年間総実労働時間は六十三年におきまして二千六百八十七時間というふうになっております。これは産業計が二千百十一時間でございますから、相当に長いということが言えるかと思います。それからここ数年増加の傾向にございましたが、本年に至りまして若干ではございますが減少の傾向が見えているところでございます。  労働時間短縮の指導についてでございますけれども、従来から労働省といたしましては、この業界につきましては労働時間が長いということで一一・九通達、二七通達等に基づきまして監督指導に努めてまいったところでございます。労働基準法改正によりまして労働時間の短縮を進めようというときに、こういう労働時間の長い業界がそのままであるということは非常に問題であるというふうに考えまして、中央労働基準審議会に自動車運転者労働時間問題小委員会というものを設置いたしまして、この業界の特性に見合いました労働時間の短縮方策につきまして、関係労使を含めて検討してまいったところでございます。昨年の十月七日に小委員会から御報告をいただきまして、本年二月、労働大臣告示といたしまして自動車運転者の労働時間の改善基準というものを出したところでございます。これによりまして、労働時間短縮につきまして周知徹底に努めるとともに、また監督指導に努めてまいりたいというふうに考えております。
  46. 鹿毛明

    説明員(鹿毛明君) 賃金関係についてお答えいたします。  労働省の賃金構造基本統計調査で賃金関係の数字を見てみますと、トラック運転手の月間の所定内給与は二十四万八千五百円、このような金額になっておりまして、全産業の男子労働者の給与が二十六万四千四百円でございましたので、ややトラック運転手の賃金の方が低い、こういうようなことでございます。  なお、時間外手当も含めました定期給与で賃金を見てみますと、トラック運転手が三十一万二千八百円、全産業男子は二十九万六千百円ということで、定期給与というベースで見るとややトラック運転手の方が高い、このような賃金の実態でございます。  なお、賃金の形態の関係でございますけれども、固定給を採用する事業所が約六割でございます。固定給と歩合給を併用する事業所が約四割、賃金形態としてはそのような形になっております。  なお、歩合給の関係の問題で、このあたりをどのようにするのか、こういうようなお尋ねでございますけれども、固定給と歩合給の比率をどのようにするかを含めましてどのような賃金制度をとるのかというのは、基本的には労使の自主的な話し合いによって決定されるべきものであると考えておりますけれども、極端に走行を刺激するような歩合給制度は交通事故の発生の要因になるとも考えられますので、歩合給制度のうちの累進歩合制度につきましては廃止をする、その方向で指導する、こういうような形になっているところでございます。
  47. 田渕勲二

    田渕勲二君 時短の運輸省見解
  48. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) ただいまの労働省からの御説明に補足して申し上げますと、運輸省といたしましてもトラック運転者の長時間労働の是正は極めて重要な問題であると認識しております。したがいまして、ただいま御審議をいただいております貨物自動車運送事業法案におきまして、過労運転の防止について法律上明確に義務づけを行うこととするとともに、適正化事業実施機関の活用等を図りまして過労運転防止の遵守の徹底を図ってまいりたいと思っております。
  49. 田渕勲二

    田渕勲二君 この二七通達、今大臣告示七号ということになりましたが、この二七通達の違背状況を最近五年間で調べてみましても、トラック関係は五十八年以来ずっと六十二年まで五〇%を超えているわけです、違背している率が。そういう状況が今日のこのトラック運輸産業トラック労働者実態なんです。だから、私どもとしては随分昔から、こういう通達というものではなくて、少なくとも労働基準法の中に、大臣告示七号、かつての二七通達、こういったものを立法化する必要がある、こういうことを盛んに主張してきておるのでありますけれども労働省、これに対する御見解いかがでしょうか。
  50. 石川透

    説明員(石川透君) 二七通達につきましては、先ほども申し上げましたとおり、労働基準法改正に当たりまして、あわせてそのあり方を検討すべきであるというふうな労働基準法研究会報告、これは六十年十二月十九日付のものでございますが、をいただいております。  その中では、特に「法制化することの是非を含め、その特性に応じた労働時間の規制あり方を検討すべきである。」というふうな御意見をいただきました。これを受けまして、中央労働基準審議会におきまして労働時間規制あり方を検討したわけでございますが、基準法研究会の報告にありますように、「法制化することの是非を含め」ということでございますので、常に法制化の問題は念頭に置きまして検討を進めたところでございます。  この中基審におきます小委員会におきましては、関係労使も含めましてこの問題を念頭に置いて御検討いただいたわけでございますが、当面、現在の通達の形から告示にすることが適当であるということで、労使一致した御意見をいただいているところでございます。それに基づきまして、労働省といたしましては、本年二月告示を制定したところであり、当面、告示によりまして監督指導に努めてまいりたいというふうに考えております。
  51. 田渕勲二

    田渕勲二君 いずれにしても、私の労働基準に対する考え方は、単なる通達、告示でなくて、少なくともやはり法の中に入れて適確に守らせるようにしなければ、単に業者の姿勢を正したりあるいは自覚にまつというようなことでは百年河清を待つような状況でありまして、自助努力だけではなかなかこうした状況が打破できないと思うのであります。したがいまして、罰則を背景とした法的な強制力がなければ、なかなかこの産業の長時間労働問題、過労問題というものは解決できない、こういうように思うわけであります。したがって、そうした状況で特に業者の監督に当たっておられる運輸大臣としての御所見を、ここでひとつお伺いしておきたいと思います。
  52. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 当初申し上げましたように、この運輸業界というのは急速に成長してきた業界でありますから、経営自体極めて前近代的なものがあるということを私はよく承知いたしております。したがいまして、これからの運輸行政の基本は、許可認可ということではなくて、やっぱり業界指導育成していくというところに大きな役割を担うべきである。こう考えております。したがいまして、一番問題点は、やはり労働力が足りなくなってきた。それから輸送に対するニーズというのが非常に広範囲にわたってきた。それに対応するだけの体制が整っていない。低賃金であ り、過労であり、いろんな問題が起こっておる。  こういうことですから、役所だけの力では十分でございませんので、労働省にいわゆる労働基準法に基づくいろんな御指導はお願いするとしても、私どももこうした社会的ないわゆる労働条件の緩和等についての義務を課して、そして一つ今回の特徴といたしまして、適正化事業というのを設けることにして、それに数多くの業者の皆さんも、あるいは専門家の皆さん方も参加していただいて、そして過積みの問題やら、あるいは過当競争の問題やら、ダンピングの問題やら、いろんなことを、例えば荷主とそれから運送業者の力関係が違いますので、個別のそういう交渉が弱い立場にございますから、全体でもって業界の秩序を維持していくための一つの機関をつくっていこう。そういうものの中で、労働条件やら、あるいは運賃の問題やら、中小企業の存続の問題やら、もろもろのことをひとつ積極的に図っていこうではないか。そういうものと運輸省と一体になってこれからの運輸行政を強力に進めていこう、こういう考え方をもってこの法案をお願い申し上げておる次第でございます。
  53. 田渕勲二

    田渕勲二君 いずれにしても、この法案の中でやっぱり私が非常に大きな目玉にしなきゃならぬのは輸送の安全という問題、そしてそれに従事する運転者の適切ないわゆる勤務時間あるいは乗務時間の設定、こういった過労となる運転の防止措置、こういうものを法案の中でももっときちっとしておかないといい法案にならない、こういうように思いますので、この点、私の方から若干一部修正を含めて各党とも御相談申し上げて、ぜひ御協力いただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、道路運送秩序の問題についてお伺いしてまいります。  まず最初にお伺いしますが、この道路運送法というのができたのは昭和二十六年です。その当時の自動車、鉄道のいわゆる貨物輸送のトン数、トンキロ、それから現在の貨物輸送のトン数、トンキロ、自動車、鉄道別にお聞かせをいただきたい、このように思います。
  54. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 現行の道路運送法制定時、すなわち昭和二十六年度におきましては、自動車による貨物輸送量のシェアは単純なトンのベースで五七%、これに輸送距離を掛けましたトンキロベースでわずか八%でございました。これに対しまして当時の鉄道による貨物輸送量は、トンのベースで三二%、距離を掛けましたトンキロベースでは五一%もございました。その後の時代の変遷を経まして、これらのシェアは、昭和六十二年度におきましては自動車による貨物輸送量のシェアがトンベースで九〇・二%にも及び、トンキロベースでも五〇・二%となっておるのに対しまして、鉄道による貨物輸送量はトンベースでわずかに一・五%、トンキロベースでも四・六%というぐあいに、そのシェアは極めて低くなっております。  このような結果、トラックによる貨物輸送は国内貨物輸送において極めて大きなウエートを占めまして、その基幹的な役割を担うに至っていると認識しております。
  55. 田渕勲二

    田渕勲二君 そういう二十六、七年当時と最近の自動車、鉄道の役割分担というものは、全く逆転してしまっておるわけです。そういうところに問題がトラック運送事業というのは出てきておるわけでありますけれども、運輸白書というのがありますね。この運輸白書に、運賃ダンピング、過積載、過労運転、違法白トラ等のいわゆる輸送秩序の乱れが生じて問題になっておるという、五十九年度までは確かにそういう実態が書いてあったんですが、六十年度以降はこういう字句は一切運輸白書からは脱落しているんですが、何か意味があるんでしょうか。
  56. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 私ども認識としましては、運賃ダンピング、その他輸送秩序の乱れは、必ずしも六十年度以降もなくなったというわけではございません。やはり現実の問題として存在しておると認識しております。白書への記述の仕方につきましては、そのときどきの白書の編集方針等もございまして厚くなったり薄くなったりもしておりますので、必ずしも五十九年以前と同様でないかもわかりませんが、私ども行政サイドの認識としましては、そのような秩序の乱れがなくなったというふうに認識した結果、白書に記述しておらぬというわけではございません。
  57. 田渕勲二

    田渕勲二君 編集方針で変わったというようなことではないと私は思うんだな。やっぱり、それだけ局長が私が今申し上げたような御認識をお持ちになるならば、少なくとも運輸白書ですから、こういう実態がある、他の産業に見られない非常な実態があるわけなんだから、こういうものが運輸白書から六十年度から脱落してなくなっちゃっているということは問題なんですね。これからひとつ十分気をつけていただいて、よくチェックしてもらわなければいかぬ。  それから、これらに関して、昭和五十八年四月二十一日に、私どもとしては非常に画期的とも言える参議院における貨物自動車に係る道路運送秩序確立に関する決議というのが行われています。これは運賃ダンピング、過労、過積み防止、あるいはそういったことを根拠にした秩序確立、こういったものを求めた決議なんですが、運輸省としてはこういう決議に対してどのように対処されてきたか。これは詳しくは要りませんから、ひとつ原則、基本をお答えいただきたいと思います。
  58. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) ただいまお話のございました五十八年の当委員会におきます道路運送秩序の確立に関する決議を踏まえまして、運輸省としましては各般の施策を実施してきておるわけでございますが、多少長くなることをお許しいただいて御説明申し上げたいと思います。  トラック事業者に対する厳正な監査、これを引き続き実施しております。また、自家用貨物自動車の使用の届け出制度につきまして運用の改善を図るとともに、違法行為に対しまして厳正な処分を実施しております。また、都道府県レベルにおきます過積載防止のための連絡会議を設置してその活用を図るとともに、過積載防止を昭和六十二年度より監査の重点項目としております。また、過労運転の防止につきましては、特に六十二年度より同様に監査の最重点項目とするとともに、運輸事業振興助成交付金を使用しまして各地にトラックステーションの整備、これは休憩施設でございますが、これを推進しております。  それから認可運賃遵守の徹底を図るために事業者監査により指導するとともに、全日本トラック協会等に対して荷主との懇談会の開催を強力に指導しております。また、荷主を所管します官庁に対しまして荷主団体に対する指導を要請いたしております。また、輸送秩序改善指導員を逐次増強しておりまして、平成元年度には百九十九名を確保するに至っております。また、地区物流政策懇談会を設置することを推進しておりまして、その活用を図っております。また、輸送秩序改善指導員を増強しておることは先ほど申し上げましたが、各運輸局におきましても地方運輸局及び主要な陸運支局に貨物輸送監理官を逐次増強しておりまして、現在四十名となっており、今後ともその増強を図ってまいりたいと考えております。
  59. 田渕勲二

    田渕勲二君 そういうことを運輸省としてもおやりになったと思うんですけれども、そこで道路運送法による行政処分の状態についてお伺いしますが、六十二年度の監査対象事業者と、これに対して行政処分を受けた事業者の数についてお聞かせいただきたい。
  60. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 六十二年に行いました事業所監査でございますが、四千六百六十五事業者監査いたしまして、二七通達に違背しております事業所の数はその中の二千四百四十七事業所ございました。違背率は五二・五%でございます。ただいまのは労働時間に関します二七通達違背でございますが、その他道路運送法上のもろもろの違反行為を合計いたしますと、六十二年度では四千三百四十五事業者のうち三千五百七十七事業者処分を行っております。  六十三年度におきましては、監査いたしました 四千六百九十五事業者のうち四千百九十六事業者に対して処分を行っております。
  61. 田渕勲二

    田渕勲二君 警察庁、来ておられますね。  過積み違反というのは非常にこれは問題なんですけれども、最近の過積みの統計についてお聞かせいただきたいんですが、使用者の背後責任を追及した件数、それから総違反件数、大型の営業用、自家用に分けた違反件数についてお聞かせいただきたいと思います。
  62. 板東自朗

    説明員(板東自朗君) お答えいたします。  本年一月から十月末までの過積載の取り締まり件数は、七万八百三十七件ということになっております。  それから背後責任を追及した状況でございますが、これは六十三年中の数字しか持ち合わせておりませんけれども、三千六百五十五件というものを背後責任追及としております。  なお、車種別の統計は、現在持ち合わせておりません。
  63. 田渕勲二

    田渕勲二君 背後責任追及の件数というのは、違反件数に比べて非常に少ないわけですね。だから、この過積載の違反には両罰規定もあるわけですから、これらの規定を活用して、過積載を強要しておる使用者、荷主の責任を追及していかなければもとは絶てない、こういうように思うのでありますけれども、こういった情勢についてこれからどのように対策をされようとしておられるのか、この点についてお伺いします。
  64. 板東自朗

    説明員(板東自朗君) 過積載運転は制動距離が非常に長くなりますし、あるいはまた操縦性が悪くなるといったようなことから、非常に重大な交通事犯につながりやすい危険な違反行為でございます。そういう意味で、警察庁といたしましては重点的に取り締まりを進めているところでございますが、なかんずく特に重大、悪質な十割以上の過積載につきまして重点的に取り締まりを行っているというところでございまして、本年十月末までの数字でございますけれども、一万七千九百六十二件ということを検挙しておりまして、これは前年同期に比べまして二百六十四件の増加となっております。今後とも、悪質、危険性の高い違反に重点を置いた取り締まりというものを進めていきたいと思っております。
  65. 田渕勲二

    田渕勲二君 では、現在、過積載違反の摘発に重要な武器である重量計、これは設置状況どのようになっておりますか。
  66. 板東自朗

    説明員(板東自朗君) 過積載違反の取り締まりに使用いたします重量測定器は、昭和六十三年十二月末現在で全国に千九基でございます。このうち持ち運びが可能な可搬式のものが七百三十二基ございますので、この持ち運びが可能な可搬式の重量測定器を有効に活用して取り締まりを現在積極的に進めているところでございます。
  67. 田渕勲二

    田渕勲二君 これはそういう取り締まりだけではなくて、過積みがすぐわかる自重計というものを本来ならば取りつけておれば、この過積みというのは防げると思うんですね。今ダンプカーに取りついていますわね。トラックにはこういう自重計が廉価で取りつけられるような状況にないのかあるのか、またその開発状況、こういうことについてもいかがでしょうか。
  68. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 御指摘のように、ダンプカーにつきましては、既にダンプ規制法によりまして自重計の装着が義務づけられておりますが、ダンプカーの場合には荷台が持ち上がる仕組みになっておりますので一点に荷重が集中いたします。そのために高い精度が得られるわけでございますが、そうでない普通のトラックにつきましては、現在ではまだ十分信頼性のある自重計というものは開発されていないと聞いております。しかしながら、このようなものが開発されることは極めて望ましいことでございますので、私どもとしてはその開発を促進してまいりたいというふうに考えております。
  69. 田渕勲二

    田渕勲二君 わかりました。  続いて、労働力不足の問題についてお聞きしたいと思います。  最近、非常に景気の好転もありまして、労働力の不足が言われているわけであります。先ほど大臣からのお話にも、約十万人ですか、九万人ですか、この業界でも不足をしておる。こういう状況にあるのでありますけれどもトラック運転者の人手不足、こういうものの現状を運輸省はどのように把握されておられますか。
  70. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) トラック事業におきます労働力の不足は、極めて深刻な事態であると認識をしております。  労働省の平成元年六月の調査によりますと、これは旅客事業と合わせた数字になっておりますが、自動車運転者の不足数がトータルで九万九千という数字がございます。また、私どもが調べましたところでは、路線トラックの車両一台当たりの雇用運転手の数は六十三年度で一・〇七、つまり車百台に対して運転者百七でございますが、これが六大都市におきましては人手不足が深刻なために〇・八六、つまり車が百台ありましても運転者は八十六人しかいないという状態になっております。区域はこれより多少異なりますが、同じ六十三年度で全国ベースでは一・〇二、すなわち車百台に対して百二人、うち六大都市では〇・九八という数字が出ております。
  71. 田渕勲二

    田渕勲二君 トラック運転者の人手不足というのは本当に深刻でありまして、約十万人が不足しておるという状況、それからそれに加えて非常に高齢化が進んでいますね。そういうことで現状があるわけですが、さらに業界の調べによりますと、六〇%近く転職を希望しておるという状況が言われております。  しかも、ある調査によりますと、十八歳の人口、大体トラックの運転手さんというのは高卒の方が対象になるわけですね。十八歳の人口というのは毎年六十万人弱だそうです。その六十万人弱の十八歳の人口が、大体高卒の人がこの六十万人のうちで五五%、約三十三万人が十八歳の特にトラックなんかの対象になる状況だそうです。それが平成四年には、十八歳の人口が四十万人強になる。しかも、高卒は約二十万人弱というように、大変深刻に高卒の人口、十八歳人口というのは減ってくるわけですね。  こういたしますと、経済成長に比例して若年労働力がどんどん減少しているわけですよ。しかも、今申し上げたように、高齢化がこの業界では進んでおる。こういうことになりますと、すぐ目につくのは外国人労働ということになるんですね。こういう産業における外国人労働者問題というものを運輸省としてはこういう実態の中でどのようにとらえられておるのか、これをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  72. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 外国人労働者の導入問題というのは、国全体として非常に大きな問題でございまして、私どもとしては一般的に極めて慎重に対処しなければならないと思っております。特に、現在問題になっておりますトラック運転者につきましては、交通事故につながる職種でございますから、その点を十分に勘案しなければならないと思っております。この導入を安易に認めますと、労働条件の引き下げのおそれもございます。いずれにいたしましても、この問題は政府全体で検討される必要のある問題でございますので、運輸省として先走って何かするというような考え方は持っておりません。
  73. 田渕勲二

    田渕勲二君 とにかく、こういう産業に若い労働者が集まらないというのは、先ほど大臣も言われましたように、汚い、危険だというようなことがあって魅力のない産業になりつつあるんですが、それに加えてやっぱり問題なのは、この産業に人が集まらぬというのは長時間労働だからですね。休日も休めない。今の若い人というのは、完全週休二日、少々賃金が安くても労働時間が短い方がいい、こういう希望を持っているわけですから、その希望にこたえるような産業でなければこの産業には人が集まってこないんですね。しからば、この物流の基幹を担っているトラック運輸産業というものをやはりこれから伸ばしていくためには、何らかの時間短縮を具体的に推進しなきゃならぬ。そういうように考えますと、例えば政労 使三者による時短推進会議、こういうものを持って具体的にひとつ検討して、そしてそれを一つのプログラムにつくり上げていく、こういう方法も一案だと思います。  それからもう一つは、先ほど私が取り上げましたコンビニエンスストア、いわゆる二十四時間営業。とにかく便利になればなるほどトラック労働者労働時間が長くなる。こういう状況をやはり何とか打破するためには、単にそういう――今の宅配を見ましても、とにかく日中は奥さんがパートでいない。どうしても夜に物を運ばなきゃならぬとなると、これは時間外になっちゃうわけですね。需要にこたえて、そういうことで唯々諾々と非常に弱い立場のトラック事業者がそれに応じていくという、こういう体制が続く限りはどんなにいろいろ検討してみても、その面だけの検討をしても私は解決にならないと思うんです。そういう意味で、ひとつ大臣、例えば運輸省労働省、通産省、こういうところは三省がそういうところの知恵を働かせて、連絡をとり合って、果たしてそういう今の二十四時間の仕組みというやつがいいのか悪いのか、もう少しこれを規制して、便利になるのはいいけれども、一面こういう取り残された産業というのがあるというようなことを、やっぱり三省なり四省なりが連絡会議を持って打開するとか、解決するとか、何らかの改善の道筋をつけるとか、こういうことがあっていいのじゃないか、私はこういう気がしてならぬのですが、その辺の御見解をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  74. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) せっかくの御提案でございますから、法案成立の暁におきましては、政府部内におきましても関係省庁相寄りまして、御指摘のような当面する問題、将来的問題の検討を進めることにいたしたいと思います。  なお、荷主懇談会あるいはまた物流懇談会等を通じて、業界それ自体も荷主、それから物流業者、それぞれ関係があるわけでありますから、また場合によっては労働組合の皆さんの御意見等もよく承って、今置かれておるような問題がいつまでも放置されないよう、せっかく法律改正が行われることでありますから、十分心してまいりたいと思います。
  75. 田渕勲二

    田渕勲二君 大臣の非常に心強い決意を伺いました。私もそれを期待いたしますし、私どもとしてもできる限りの協力をしてまいりたいと思っております。  そこで、先ほど歩合賃金のことをちょっと申し上げましたけれども産業別最賃、やっぱり歩合給というのは確かに問題なのでありまして、これはどうしても時間管理をできにくくしているわけですが、そのための前段としてやはり私は産業別最賃の制度化というのをぜひ取り上げてみなきゃならぬと思うんですが、この辺についてはいかがでしょうか。
  76. 鹿毛明

    説明員(鹿毛明君) 産業別最賃の関係についてお尋ねでございますけれども、御承知のように我が国の最低賃金制度は、地域別の最低賃金と産業別の最低賃金、こういう二本立てになっております。  地域別最低賃金がすべての都道府県に設定されましたので、現在設置されている産業別最低賃金は新しい形での産業別最低賃金に移行すべきである、こういう中央最低賃金審議会での六十一年の答申が出まして、現在はその答申に基づいて産業別最低賃金を設定しておる、こういう考え方になっているわけでございます。  現行最賃とその六十一年答申に基づく最低賃金のどこが違うか、こう申しますと、従来の産業別最低賃金は行政のイニシアチブで審議会方式でつくっていく、こういうような形でございました。これから新しくつくります新産業別最低賃金は労使のイニシアチブのもとにつくる、労使からの申し出を受けて一定の要件を満たした申し出について産業別最低賃金をつくっていく、このような考え方になっているわけでございます。ケースとしては幾つかございますけれども、いずれにしろ、労使からの設定の必要性についての申し出がございますれば、審議会で円滑な審議が進められるように行政の方としても努力していきたい、このように考えております。
  77. 田渕勲二

    田渕勲二君 よろしくお願いします。  それで、労働関係の最後の質問ですが、労働力が今後ますます、私が先ほど申し上げたように、十八歳の高卒年齢労働者というのは非常に少なくなってくる。それに加えて、省エネという立場からも輸送の効率化を図るためにも、特に長距離輸送なんかはトラックで走らせるのじゃなくて、できるだけ鉄道利用、コンテナ利用、こういうことをやらないとこの日本経済の動脈を動かすわけにいかぬと思うんですね。やっぱり長距離は、どうしても荷主の皆さんも鉄道で輸送するということについては私は決してこれを嫌っているわけじゃないと思うんです。ただ、問題は、ダイヤなんですね。今の鉄道ダイヤというのは客車優先ダイヤですから、どうしても貨物のダイヤというのは後回しにされる。そういうことでは、これだけのやはり物流状況を打開していくことは、私は非常に困難だと思います。  そういう意味で、貨物列車の枠、貨物線区の拡大、こういうものをできるだけ図っていって、このトラック労働者労働力不足というもの、あるいはまた省エネという立場からもぜひ打開をしてもらいたいと私は思うんです。ひとつ、そういう意味で、このJRの客車優先の今の思想というものを変えられないものかどうか。貨車に対する適切なダイヤというものを今後組んでもらえないものかどうか、このことについて御質問申し上げます。
  78. 大塚秀夫

    政府委員(大塚秀夫君) 六十三年度には国内物流量が四千八百三十四億トンキロと非常に伸びましたが、その中でJR貨物は二百三十億トンキロ、十年ぶりの絶対量の増加とともに、国内物流量に占めるシェアも実に三十七年ぶりに増加しております。これは国内景気が活況であったことももちろんその背景にございますが、JR貨物が先生御指摘のようにトラック輸送との有機的な連携を行うために適切なダイヤを組む努力をした。そういう営業努力の結果でありますとともに、他方トラック輸送において労働力不足が深刻になり、トラック事業者が長距離輸送においては鉄道を利用する傾向が強くなった結果だと考えております。  このように、我々、効率的な陸上貨物輸送体系を形成するためにはトラックと鉄道を有機的に組み合わせていくことが今後も一層必要と考えておりますので、旅客列車と貨物列車のダイヤの調整については、一層、今後我々としてもJR各社を指導いたしまして、円滑な貨物輸送の発展を期するように努力していきたいと思います。また、そのための設備の整備におきましても、今後とも努力し、貨物輸送会社の発展に資するように努めてまいる所存でございます。
  79. 田渕勲二

    田渕勲二君 大臣、お答え要りませんが、ひとつぜひとも客車優先ダイヤだけに偏らないで、やっぱりこういった貨物のダイヤということも十分意を用いていただくということをお願いしておきたいと思います。  それでは次に、適正化事業の指定公益法人の問題についてお伺いをしていきます。  まず、今回、事業適正化の指定公益法人というものができるわけでありますが、従来、運輸省も指定法人はできるだけ財団法人というような構想であったと私は思うんですね。それがどうも当初の構想が後退してきて、具体的に言えば別の法人をつくらないで今の全日本トラック協会を使うというようになっておるようでありますけれども、全日本トラック協会というのは、どうも私の見る限りでは、今までの運営から見ても輸送秩序の確立ということについては余り実効が上がっていないんですよ、あの業界は。だから、そういう業界に、こういった新しい財団法人の設立構想が後退して、そして今までどおり過積みであるとか白トラであるとか違法行運の調査をやったり、あるいは運輸大臣に対する調査、指導、結果の通報であるとか、荷主に対する協力改善要請、利用者から の苦情処理等々のそういった課題を現在のこのトラック協会にゆだねてやるということについて、どうも私はちょっと不信感を持っているわけです。やっぱり業者団体でない中立的な機関にこれをゆだねて、そうした法の目的に沿った行為を行わせることがいいのじゃないか、このように私は思うんですけれども、その辺の当初運輸省考えておった構想と、そして今こういうようになった現実について、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  80. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) この法案におきます貨物自動車適正化事業の実施機関、これは基本的に民間の自主性に基づいて実施すべきものであるという考え方に立っております。したがいまして、これを行う意欲のある団体を指定するということでなければその実効を期し得ないと思っております。国は、このような意欲のある民間法人を指定しまして、その後押しを図るという性格のものでございまして、現在このような適正化事業に相応する事業を行っております全日本トラック協会あるいは都道府県のトラック協会の実績、その意欲を尊重していくべきではないかというふうに考えた次第でございます。  運輸省としましては、財団法人が社団法人に比べて適正化機関事業を実施する上でより適切であるというふうには必ずしも考えなかったわけでございます。トラック協会が今まで実績積み上げておりまして、十分でないという御指摘もございましたが、法成立の暁にはトラック協会の中に適正化事業実施のための部門を新しく設け、この業務に専心させたいと思っておりますし、この法案に基づきましていろいろ国の監督規定がございますので、この事業の実施について実施機関が適格性を欠くようなことのないように十分監督をしてまいりたいと思っております。したがいまして、この法案におきましては、実施機関を特に財団法人に限るということなく、財団、社団いずれでもよい公益法人であるということを指定の要件としたものでございます。
  81. 田渕勲二

    田渕勲二君 民間の自主性とか、あるいは意欲のある団体にゆだねるということだそうですが、事業適正化について考えれば、やっぱり利害団体であるトラック協会よりは、もっと中立的な公的な仕事が果たせるようなそういう団体を指定してやられた方がいいのじゃないか、私はこういうように思うのでございます。今そういうふうにお決めになっているわけですから、それはそれとして、ひとつ十分この法の趣旨が生かされるかどうかは、これから運輸省としても御監督を願って、また再検討される時期があればしていただきたい、このように思います。  同時に、この法律趣旨、目的を達成させるために必要な事項を審議する機関として私どもとして考えておるのは、関係行政機関事業者団体、そして労働団体、学識経験者、こういったもので構成されて、ぜひそういう審議会を設置してこれらの法の施行の補完に当たる、こういうことをやっていいのじゃないかと思うんですが、その辺のお考えいかがでしょうか。
  82. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) この適正化事業実施機関によります事業が果たす役割の重要性にかんがみまして、その事業が公正かつ着実に推進される必要があると考えております。このために、この適正化事業の推進につきまして、労働組合の代表その他の関係者から幅広く意見を伺い、業務の運営に逐次反映させていくということは、適正化事業の成果を一層高めるものであって重要なものであると考えております。このために、関係行政機関事業団体、関係労働組合等によって構成される意見交換の場を設けるということについては検討してまいりたいと思っております。
  83. 田渕勲二

    田渕勲二君 次に、過労運転の関係についてお聞きをいたします。  告示七号、いわゆる二七通達、こういったものを守るということは非常に大事なことでありまして、そのためには何としてもトラック運転者の休憩、休養施設、こういったものの整備が非常に大事であると思うのでありますけれども、高速道、一般道含めてトラック運転者の休憩施設、こういったものの整備がどうなっておるのか、その概要について建設省お願いしたいと思います。
  84. 藤川寛之

    説明員(藤川寛之君) トラックドライバーの休憩施設の整備でございますけれども、確かに最近、利用交通量が非常に増大しておりますし、それから長距離トラック等の増加もございまして、休憩施設の利用度が非常に高まっておりまして、特に高速道路の都市近郊では非常な混雑を呈している状況になっております。  私どもといたしましては、特に高速道路につきましてはこれまでも駐車スペースをできるだけ拡充しようというようなことで努力してまいったところでございますし、また例えば東名高速道路の足柄サービスエリアあるいは名神高速道路の多賀サービスエリアにおきまして仮眠、休憩施設を設置したところでございます。また、今年度は、東名高速道路の中井パーキングエリアにおきましてシャワールームを設置するというようなことで現在事業を予定しているところでございます。そんな状況でございます。  ただ、一般道路につきましては、今のところ、ちょっと具体的な状況を持ち合わせておりません。
  85. 田渕勲二

    田渕勲二君 その場合、どうもトラック専用ということになかなかならぬようですね。だから、どうしても一般の車にも使われちゃって、トラックが路肩にとまったり、そこへ入れないという状況が高速道路なんか特にあるんですが、トラック専用のそういう休憩、休養施設というものができないものでしょうか。
  86. 藤川寛之

    説明員(藤川寛之君) 今お話がございましたトラック専用の休憩施設の設置でございますけれども、私どもとしても、トラック協会等からぜひ設置してくれという要望が非常に強いこともございまして、従来から運輸省、建設省、日本道路公団、それから全日本トラック協会の四者で具体的な検討を進めてきたところでございます。その四者の検討結果を踏まえまして、今年度、日本道路公団におきまして設置の具体化に向けての調査を開始したところでございまして、私どもとしては、この調査をできるだけ早く取りまとめまして、具体的に関係機関等と次の協議に入っていきたいというふうに考えております。
  87. 田渕勲二

    田渕勲二君 特に、大都市圏における物流にとりまして最大の欠陥というのはどんなものがあるかと言えば、結局、都心部をバイパスする環状道路が不足しているということ、それからやっぱり自家用自動車の違法駐車が非常に最近ふえているということ、あるいはまた都心周辺部の公共トラックのターミナルが不足をしている、いわゆる流通施設が不足をしているというように非常に問題はふくそうしているわけですね。そういうような状況の中で、大都市圏における物流というものについて、建設省並びに警察庁は今私が申し上げた問題についてどうお考えなのか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  88. 藤川寛之

    説明員(藤川寛之君) 大都市圏の物流に関連いたしまして、道路面での現状というんですか、そういうものをお答えさせていただきたいと思いますけれども、御指摘ございましたように、確かに大都市圏は非常に最近都市活動が活発でございまして、特に貨物輸送の輸送量がふえているというようなことで道路交通も非常にふえている状況になっております。そういうことで、特に大都市圏について見ますと、放射方向の道路につきましてはかなり整備が進んでいるわけでございますけれども、環状方向の道路の整備が非常におくれているというようなことで、都心の混雑に一層の拍車をかけているというような状況になっております。  具体的に申し上げますと、例えば東京で申し上げますと、東京二十三区内には七百万台ぐらいの車が動いているわけでございますが、そこに通過交通が二十万台ぐらい入り込んでいる。それから首都高速道路につきましては、都心環状線しか環状方向の道路がないわけですけれども、都心環状線に用事のない車が半分以上都心環状線を利用し ているというようなこともございまして、非常に渋滞が激しくなっているという状況でございます。  私どもといたしましては、このような交通混雑を改善するために、やはり御指摘ございましたような大量の自動車交通を分散導入し、それから通過交通を迂回させるという環状道路の整備を積極的に推進する必要があるというふうに考えておりまして、例えば具体的に首都圏におきましては、首都圏中央連絡道路あるいは東京外郭環状道路あるいは首都高速の中央環状線というような道路の整備を最重点にその促進を図っているところでございます。  それから、それはちょっと時間がかかるものですから、当面緊急にやはり少しでも道路交通の混雑の緩和を図りたいということで、昨年の十二月に渋滞対策緊急実行計画というのをつくりまして、具体的にボトルネックになっております交差点の改良であるとか、あるいは道路の部分拡幅であるとか、そういう事業を積極的に進めまして、少しでも交通混雑の緩和、円滑化に資するよう努力していきたいというふうに考えております。
  89. 板東自朗

    説明員(板東自朗君) お答えいたします。  我が国の道路交通は、自動車保有台数が毎年着実に伸びているのに対しまして、道路延長はほとんど延びていないという現状でございます。さらに、我が国の道路交通の特色といたしまして、欧米に比べまして道路空間の割合が非常に少ない、あるいは交差点が多いというような困難な条件下にございまして、こういうことも加わりまして、先生御指摘のとおり、大都市圏におきます違法駐車あるいは交通渋滞というものは非常に深刻度を増しておりまして、国民生活あるいは経済活動に多大な影響を与えているところでございます。  このような解消のためには、基本的には道路建設とか、あるいは鉄道の利用とか、あるいは路外駐車場の建設、あるいは都市機能の分散等々、抜本的な対策というものが求められるところでございますが、警察といたしましては、当面の施策といたしまして、一つは交通管制システムの高度化を図り、あるいはドライバーのニーズに応じた情報の提供を積極的に行う。あるいは駐車対策といたしましては、効果的な駐車違反の取り締まりとか、あるいはパーキングメーターの整備促進、あるいは駐車誘導システムの整備等、総合的な駐車対策を促進していきたい、このように考えております。
  90. 田渕勲二

    田渕勲二君 建設省の人にもう一回お聞きしますけれどもトラックターミナルの民間の設置というのは、大体地価がこんなに高騰してしまっては不可能に近いわけですね、民間でやるということになりますと。だから、民間にゆだねたとしてもこれは乱開発につながるということにもなりかねませんので、できれば国公有地、そういうものを国自身が利用するとか、あるいは民間に国有地を貸し付けるとか、そういうようにして流通拠点というようなものを設けるということでしないと、ますますこれは大変な事態になると思うんですけれども、そういう積極的な対応ということを建設省はお考えになっていないのかどうか、ちょっとこの辺のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  91. 安達常太郎

    説明員安達常太郎君) お答えいたします。  トラックターミナルの整備の問題でございますけれども、建設省といたしましては、流通業務市街地の整備に関する法律という法律に基づきまして、都市近郊の適地において流通業務市街地を整備し、トラックターミナル等の流通業務施設の立地を誘導してまいったところでございます。現在のところ、全国十五都市において業務施設の整備に関する基本方針が定められておりまして、二十一カ所の流通業務地区と二十カ所の流通業務団地が都市計画決定されているところでございます。今後とも、基本方針の策定、業務地区、業務団地の都市計画決定、流通業務団地造成事業の推進等によりまして、流通業務市街地の整備を促進してまいりたいというふうに考えております。  さて、委員御提案の国公有地等の活用の問題でございますけれども、確かに地方の方では用地の取得難というのが各所に見られるところでございまして、御提案につきましては、流通業務市街地として整備することが適当と認められる場合には、関係する省庁、公共団体等と調整の上、流通業務市街地の整備に関する法律に基づきまして、トラックターミナル等の流通業務施設の立地を誘導してまいりたいというふうに考えております。
  92. 田渕勲二

    田渕勲二君 次に、自家用トラックのいわゆる白トラ問題についてお聞きをいたします。  自家用トラックの問題ですが、特に年間約十一万件あると言われている過積みの道路交通法取り締まり件数ですけれども営業用に比べて自家用はどのぐらいあるのか、警察庁、この点についてお聞かせをいただきたい。同時に、運輸省としては、これは五十八年決議で白トラ対策というのはきちっと決議されているわけですけれども、その後この白トラ問題にどのように対応してこられたのか、これについてお尋ねをいたします。
  93. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) いわゆる白トラと言われております自家用自動車営業行為、これは従来とも厳正に取り締まるべく努力をしてきておるところでございまして、五十七年度以降の数字を申し上げますと、処分しました無免許営業の数は、五十七年度で五百十九件、五十八年度で四百八十七件、五十九年度で四百五十件、六十年度で三百四十六件、六十一年度で四百五十三件、六十二年度で四百件、六十三年度で四百五十件となっております。今後とも、新法施行の暁には適正化事業実施機関を通じましての指導、そして当局の取り締まり、両々相まちまして一層取り締まりの充実を図ってまいりたいと思っております。
  94. 板東自朗

    説明員(板東自朗君) お答えいたします。  過積み違反の取り締まり件数でございますが、六十二年度の数字しか持ち合わせておりませんけれども営業用が四万五千九百二、それから自家用が五万二千三百七十六件ということで、自家用が多くなっているというところでございます。
  95. 田渕勲二

    田渕勲二君 現在、自家用の届け出制度が、道路運送法によりますと五トン以上になっていますね。この際、普通自動車の範囲を拡大すべきじゃないかと思うんです。いわゆる四トン車、二トン・ロングボディー、こういったところにまでやっぱり拡大していく必要があると私は思うんですけれども、その辺いかがですか。仮に事務量が増大するというふうにおっしゃるなら、運送適正化事業実施機関にその事務を代行させる、こういう方法もあるのじゃないかと私は思うんですが、その辺いかがでしょうか。
  96. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) ただいまの御提案につきましては、私どもとしても十分勉強させていただきたいと思います。
  97. 田渕勲二

    田渕勲二君 その勉強というのは、そういう方向に向かって勉強するということなのか、従来どおり勉強はし続けておるのか、そこはいかがですか。
  98. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 直ちに御提案の方向で改正を行うということまでは申し上げられませんが、その可能性も含めまして検討をさせていただきたいと思います。
  99. 田渕勲二

    田渕勲二君 ひとつ前向きにお取り扱い願います。  そこで、白トラ問題というのは、従来からこれは大変な問題になっておるんですが、そのためにも、貨物輸送監理官、それから輸送秩序改善指導員、こういうのが現在ございますけれども、その増員をもっと積極的に図ってもらうべきじゃないだろうか、私はこのように思うんです。自賠責特別会計というものがありますから、その運用益からの支出、こういうようなものも含めて交通安全対策としての効果というのは非常に高まる、こういうように思うんですが、この貨物輸送監理官と輸送秩序改善指導員のかなり思い切った増員、こういうものをお考えでないのか、お聞かせいただきたい。
  100. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 運輸省の職員でございます貨物輸送監理官の増員につきましては、毎年度要求をいたしておりまして徐々に増員が実現され てきております。現在では全国で四十人おりまして、今後とも着実にその増員を図ってまいりたいと思っております。  それから輸送秩序改善指導員、今後は適正化事業実施機関に引き継がれるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、現在では全国で百九十九名おりますが、これにつきましては適正化事業実施の充実を図るためにかなり思い切った増員を図りたいと思っております。財源といたしましては、運輸事業振興助成交付金を従来これに充てておりますが、引き続きこれを財源といたしましてかなり思い切ったこれの増員を図りたいと思っております。
  101. 田渕勲二

    田渕勲二君 貨物輸送監理官というのは四十人ですか。これを四十四人にするんですか。
  102. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 現在四十人でございます。
  103. 田渕勲二

    田渕勲二君 四十人ということは一県に一人もおらぬということですね。一つの県に一人もおらぬ。これではとても貨物輸送監理官としての職域を、全国的に十分仕事をしてもらうような状況にいかぬと思います。したがって、これは今かなり思い切ったとおっしゃいましたから、どの程度のものになるのかわかりませんけれども、従来にない増員をぜひ図っていただきたい、このように思います。  そこで次は、貨物輸送監理官の活動効果的にするために、労働省との間にいわゆる相互通報制度というのがありますね。過積み違反についての警察からの情報提供、こういうものは警察庁との間で制度化されているのかどうか。ないとすれば、なぜないのか。その辺についてお聞かせいただきたいと思います。
  104. 板東自朗

    説明員(板東自朗君) 道路交通法の違反をした場合において、使用者等に責任があると思われるときには、道路交通法の規定がございまして、関係行政機関に通報するということにしております。
  105. 田渕勲二

    田渕勲二君 輸送秩序改善指導員、今百九十九名だと思うんですね。これも数からいくと非常に私は少ないと思いますね。だから、この経費を賄っている運輸事業振興助成交付金の最近の額と、それから指導員の経費としてどれぐらいこの中から支出されているのか、最近の例でひとつお聞かせいただきたいと思います。
  106. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 運輸事業振興助成交付金がトラック関係に割り当てられております額は、六十三年度で約百六十五億円でございますが、このうち輸送秩序改善指導員に充てております金額は約二十億円でございます。
  107. 田渕勲二

    田渕勲二君 百二十億円ですか。
  108. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 約二十億円でございます。
  109. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 百でなくて約です。アバウト。
  110. 田渕勲二

    田渕勲二君 ちょっと発音が……。非常に膨大なものだと思いましたので。  いずれにしても、指導員を大幅にふやして、やはり従来から目立っておった輸送秩序、こういったものを完全に維持されるような監理官なり指導員というものでなければ実効が上がらないと思いますから、そういう点のひとつ今後の積極的な増員計画、これをぜひお願いしたいと思います。  次に、新規参入の問題について若干お尋ねをいたしますけれども、この法案規制緩和によって新規参入というものが非常に容易になってくるわけです。異業種からの参入もあります。したがって、こういった従来からのトラック業界過当競争、こういうものが私も冒頭に申し上げたように非常に加速されてくるのじゃないかという心配があるんですけれども運輸省としてはこの新しい競争状態が生まれることによって、業者の合併、連合、再編成、こういったものがかなり起きてくるのじゃないかというように私は思うんですが、運輸省はどのようにとらえておられますか。
  111. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 今回の法改正によりまして、当然いろいろな影響トラック業界に出てくると思いますが、一つには、従来の路線区域という業種区分を廃止いたしまして、従来の区域事業者にも積み合わせを認めるということに相なります。これによりまして、原則として積み合わせのできなかった区域事業者、これは中小事業者が多いわけでございますが、これが効率的な輸送ができるということは、これら事業者にとって非常に大きなメリットをもたらすと思います。  それから路線事業者につきましては、道路の変更認可とか道路管理者との協議等が緩和されますので、一層効率的な運営が可能になります。その他、行政手続の大幅な簡素化が図られるわけでございます。  参入が自由になるから多数の新規参入が生ずる結果、事業者の合併、統合等が進むのではないかという御意見でございますが、これは必ずしも野放しの参入の自由化ではございませんで、事業者の適切な事業計画あるいは事業遂行能力というのは従来どおり厳正にチェックをいたしますので、いいかげんな事業者が入ってくるということはございません。従来の免許制運用におきましても必ずしも新規参入を制限的に扱ってきたわけではございませんので、新法移行後も飛躍的な新規参入の増加ということは私どもとしては想定をいたしておりません。  なお、中小事業者の競争力の強化のためには、従来とも構造改善事業を進めておりまして、事業の共同化等の措置により中小事業者の競争力を強めていきたいと思っておりますので、これらの施策と相まって公正な競争が実現されるようにしてまいりたいと思っております。
  112. 田渕勲二

    田渕勲二君 十二時も過ぎましたから、そろそろ締めくくりに入りますが、米国の規制緩和関係してちょっとお聞かせをいただきたいんです。  アメリカでは活性化とコストの削減がねらいでいわゆる規制緩和が行われたわけですけれども、私の知る限りでは新規参入は従来あった業者一万六千社から三万三千社、約二倍にふえた。しかも、上位四社と一人一車の零細企業に二極分化された、こういうように私は聞いておるんですけれども、こういう状況日本ではこの法案の成立によって将来生まれてこないかどうか、こういうことを私は危惧しているわけです。  それから、そういうことで、米国では特徴的にどのようなことがあってそうなったのか。この規制緩和におけるメリット・デメリット、こういう面で運輸省としてはどのように把握をされているのかということ。それから米国と日本の基本的な違いというのは、アメリカでは時間外労働というものはやらないのが原則なんです。賃金も固定化しているわけです。しかし、日本は基本給よりも出来高給の方が多い企業体系になっているわけです。それから時間外労働というのは当たり前、こういうような状況になっておる。この国の違いがあるわけですが、こういう同じように米国と日本規制緩和をやるわけでありますが、この違いと、さらにそうした日本の現状から見てますますアメリカ以上にこの規制緩和によって輸送秩序が混乱するのじゃないか、過当競争が大変なことになるのじゃないか、こういう心配を私は持つのでありますけれども、これに対する御見解はいかがでしょうか。
  113. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 米国におきますトラック事業規制緩和影響でございますが、一九八〇年の自動車運送事業法によりましてトラック事業規制緩和が行われております。その際、事業遂行及び規制の遵守に関する申請者の適格性、意思及び能力を有すること、公共の需要と必要性にこたえるものであるということにつきまして、免許申請者の挙証責任を軽減いたしまして、逆に反対者の挙証責任を加重するというようなことをやったわけでございます。  その結果は、御指摘のように、事業者が非常にふえたわけでございますが、特に一人一車というようなことがございますと事業者の数は極端にふえるわけでございます。米国内におきましても、確かにその結果として事業者の倒産件数がふえたとか交通事故の増加等の安全問題が出ておるというような指摘はあるようでございます。ただ、米 国政府の連邦運輸省におきましては、サービスの質の向上があったというような点を評価しておりますし、事業者の倒産は必ずしも規制緩和の結果ではなくて一般的な不況の結果であるというような見方をしておるようでございます。  いずれにしましても、私どもが御提案申し上げております今回の法改正は、米国のモデルに倣ったものではございませんで、経済規制をある程度緩和いたしますけれども、これは決して先ほど申し上げましたような野放しの自由化ではございません。需給調整規定原則として見ませんが、事業者の適切な事業計画事業遂行能力は従来どおりきっちり見ていくことにしておりまして、その際、例えば最低保有車両数規定基準、これは今後も維持していきたい。したがいまして、一人一車というような零細事業者が続発するというような事態は決して招くことはございません。  それから一方におきまして、社会的規制の強化を図っておりますので、安全問題がこれ以上悪化するようなことがないように、むしろ大幅な改善が見られるように努力をしていきたい、こう思っておる次第でございます。
  114. 田渕勲二

    田渕勲二君 時間が参りましたので、最後に、大臣にお伺いします。  今二時間有余にわたりまして、いろいろ質問を通じてこのトラック運輸産業実態というものが、大臣もしばしば発言をされておりますように、大変大きな問題をはらんでいるわけですね。私は、この新法案というのは、一面、道路運送法から独立をした貨物自動車運送にかかわる法体系というものが初めてできるわけで、そういう面で一定の評価を私はしております。しかし、こういうふうに規制緩和に源を発したこの新法の比重というものがどうしても経済規制を外すということに重点を置かれておりますために、我々から見て、今までの労働時間を中心にしたこの社会的規制というものがこの法案の中にしっかり取り込まれていないという私たちは見方をしているわけです。  したがって、しばしば私が質問の中で申し上げたように、過当競争がふえるのじゃないか。また、過積みも過労も、こういう状況はこの新法ができてもなかなか解消されないのじゃないか。私たちは、この法案ができてもこれが改善されるとはなかなか思えないわけですね。しかし、それではいけないのであって、この法案をてこにして、従来よりもさらにこうした過労、過積みの問題、また過当競争という問題が改善されてくる、こういうようになってこなければ、この法案の生まれた私は価値がないと思うのであります。そういう意味で、公正な競争の確保であるとか、あるいは輸送秩序の確立、輸送の安全、こういったものについて、この法案の施行に当たって運輸大臣としてはどういう見解でこの法案実効性を上げられるか、この決意を最後にお聞かせを願って、私の質問を終わりたいと思います。
  115. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) さまざまな御見解を承って衆議院で可決を願ったわけでありますが、さらにまた専門家の諸先生からこうして参議院でいろいろと御質疑、御意見を賜っております。意見の存するところは大体やはり御心配のような点でございまして、私どもこれらのことについては申し上げてきましたように、例えばこれからは運行管理者をちゃんとつくりますよ、それも試験制度にします、だれでもいいというわけにはいきません、それに運行管理の責任を負わせます、あるいは荷主に対しても勧告制度をちゃんととるようにします、あるいはその適正化事業をやって、そしてお互いが協力して業界のルールを守るように、また私どもの運輸行政、監督行政に御協力の願えるような体制をひとつつくっていきたい。  もろもろの改正あるいは努力をしませんと、先ほど来お話しのように、だんだん労働者が少なくなっていく。しかも、その結果が労働過重やら、もろもろの問題を引き起こすわけでありますから、今後政省令をつくっていきます段階、実施していきます段階に、それらの御意見を十分念頭に置きまして慎重に取り扱ってまいりたい、このように考えております。
  116. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時十九分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  117. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、八百板正君が委員辞任され、その補欠として穐山篤君が選任されました。     ─────────────
  118. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 休憩前に引き続き、貨物運送取扱事業法案及び貨物自動車運送事業法案の両案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  119. 穐山篤

    穐山篤君 本題に入る前に、緊急な問題としてひとつ運輸大臣に問題意識を持ってもらいたいということがあります。  それは、御案内のように、冷戦の終結という話は米ソの間でありましたけれども、アメリカと中南米諸国との間におきましては地域紛争がないわけではございません。中でもパナマとアメリカとの外交関係というのは、御案内のとおり、非常に険悪であります。麻薬の取り締まりを含んだ問題だろうと思いますが、それはそれにいたしましても、我が日本の船舶がこの紛争に関連して重大な影響を受けているわけです。  例えばパナマだとか、リベリアだとか、便宜置籍船を我が国の船主はたくさん持っております。具体的に細かい数字はわかりませんけれども、全体で置籍船が千隻、二千三百万総トンあると聞いているわけですが、そのうち国別に大きなものを言えば、パナマ船籍が約八百隻、千六百万総トン、次いでリベリアというふうになっています。新聞報道によりますと、アメリカはパナマとの関係において、パナマ船籍の船についてはアメリカの港への寄港あるいは周航というものについては規制をする、あるいは制限をする、こういうことになっているわけです。  別の運輸委員会でも議論したことがありましたが、西大西洋におきます我が船舶の活躍というものを考えてみた場合に、この問題を放置しておくわけにいかないと思うんです。やはり十分調査をして政治的な取り扱いをしなければならぬのではないかなというふうに考えるわけですが、通告は先ほど申し上げたところですが、よく調査をしていただきまして適切な措置をとってもらいたいということをまず冒頭にお願いしておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  120. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 突然のお尋ねでありますから詳細を欠くおそれがありますけれども、国内の国籍を有する船が多分六百四十隻ぐらいであった、外国に籍を置くものが千四百隻ぐらい、そのうちパナマが八百隻ぐらいであろうかと、おっしゃるとおりだろうと思います。  アメリカとパナマとの関係でああいうふうな問題が持ち上がりまして、私も実は心配をいたしております。一部から実はアメリカに抗議してくれないかという、そういう意思を伝える方もありましたが、事の成り行き上外国船籍になっておるということもありまして、直ちに政府対政府でそういうことを抗議するのもいかがなものかなというふうに考えておるうち土曜、日曜と過ぎたわけでありまして、本日になりましたが、せっかくの御指摘でありますし、私自身も関心を持っておりましたことでありますし、同時に、国際海運というのはこれは運輸省の一つの大事な所管事項でありますから、十分調査をいたしまして、どういうことがやれるか、どういう方法がいいのかということを、混乱をしませんようにいろいろ方法を研究してみたいと思いますので、しばらく時間をおかしいただきたいと思います。
  121. 穐山篤

    穐山篤君 それでは、本題の方に入りたいと思いますが、私は二つの法律のうち取扱事業法の方を担当することにいたします。  午前中も同僚委員指摘をしましたように、現在のトラック産業トラック業界を広範に調査し てみますといろいろな問題があります。これは私ども社会党のみならず各党とも持っている事柄でありましょうが、トラック事業の場合、例えば他の産業に比べて労働時間が非常に長い、長時間労働である、これは他に例を見ないわけであります。  例の労働基準法改正に伴います千八百時間以下に近づけるかということについても、至難のわざではないかなというふうに思います。それから当然過当競争も現状行われているわけでありまして、なおその上に青ナンバーのみならず白ナンバーが参入をして、そこでは相当の競争になります。もちろん、運賃のこともありますけれども、それがどうしても過積み影響をもたらしておりますし、それからノルマが課せられるわけですから過労運転に発展をしている。それが全体の交通秩序を壊していると同時に、安全輸送の分野におきましても相当の問題を残しているわけでありまして、そういう中に今回この規制緩和というものが立法化されているわけですから、相当慎重に取り扱いを議論し、また決めなければならぬということは当然だろうというふうに思います。  一部、衆議院で修正なり、それから附帯決議が行われたことも十分にのみ込みはいたしますけれども、それにいたしましても、この規制緩和というのはよほど気配り、目配りというものをしておかなければ、秩序の維持はもちろんのこと、労働条件に重大な影響を及ぼします。  私どもが最近調べた範囲でも、私の住んでおります近所にも幾つかのトラック宅送会社がありますが、それぞれ聞いてみましても、ドライバーがいなくて困る。来ても長い就職ではなくて短期に転勤をしてしまう。それも同種の業種に、手っ取り早い話、収入の高いところに行ってしまう。あるいはこのドライバーを嫌って最近タクシーの運転手にかわられた人の話も聞きました。あるいはバスに転換をした話も聞いたわけですが、そのように貨物運送全体が安定化されない要素がたくさんある。そういうことをどうしても前提条件として念頭に置かなければなりませんし、またそのことが一番基本になると思います。  午前中も答弁されたと思いますが、改めてその基本の部分についてお話を承りたいと思います。
  122. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) ただいま御指摘がありましたように、トラック業界におきましては、現行の法制のもとでも競争が厳しく行われております。このような中で、一方において規制緩和を行うためには、同時に、これが安全を損うような、御指摘のような過積載とか過労運転に走ることのないように、いわゆる社会的規制というものを強化する面が伴いませんと大変な弊害が起こるということは、私どもよく認識しておるところでございます。  したがいまして、今回の貨物自動車運送事業法案におきましては、一方における経済規制緩和と同時に、社会的規制の強化、なかんずく安全の確保という面にいろいろと意を用いたつもりでございまして、この二つの柱のバランスのもとに、公正な競争が確保されることを私どもとしては意図しておるわけでございます。
  123. 穐山篤

    穐山篤君 公正な輸送というものを十分担保するということだろうと思いますが、現在は各輸送機関ごとの個別の法律が体系化されておりまして、貨物運送取扱事業規制がされているわけですが、それを今度は見直す。言いかえてみれば、それぞれの輸送モードごとに取扱事業規制というものが行われていたわけですが、この提案理由からいいますと、事業実態も、あるいは特性の違いもありながらも、なおかつそれを横断的かつ総合的にやりましょう、こういう提案理由になっているわけですが、今までの特性あるいはそれぞれの機能というものを十分に私どもは尊重するものと確信はしますけれども、あえてこの場合、横断的、総合的にした主な理由といいますか、主要な背景というものは何だったのでしょうか。
  124. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) ただいま御指摘がありましたように、従来は個々の輸送機関ごと運送事業法規がございまして、そこで実際の運送、今度の取扱事業法では実運送と申しておりますが、実運送とそれから取扱事業をそれぞれ個別の法規で規定しておったわけでございます。その規制の仕方は極めてまちまちになっておりまして、免許制あり、許可制あり、登録制あり、あるいは場合によっては全くの規制がないケースもございます。そういうようなまちまちなケースがございまして、制度として極めてふぞろいであったわけでございます。  なぜ今回このような横断的あるいは総合的と言われる制度にしなければならないかということでございますが、我が国経済構造の転換あるいは国民生活の向上に伴いまして、物流に対するニーズも極めて高度化、多様化しております。貨物運送取扱事業というものはもともと存在しておりまして、荷主と実運送事業者の提供する輸送サービスを適確に結びつけるという機能を果たしてきたわけでございまして、鉄道の場合でございますと通運業、航空の場合でございますと航空運送事業、海運、自動車にもそれぞれ取扱事業というのがございました。実際の荷主と実際の運送人を結びつける仕事をしてきたわけでございます。  ただ、最近のニーズの変化に伴いまして、一つだけの輸送機関、通運なら通運だけで済む輸送よりは、むしろいろんな輸送機関を組み合わせて物を運ぶといういわゆる一貫輸送の要請というのがますます強まる傾向にございます。したがって、荷主が運送取扱事業者に期待いたすことは、一つだけの輸送機関の取り扱いというよりは、いろんな輸送機関を組み合わせてその荷主のニーズに最も合った一番適当なルート、最も安全で確実に届く輸送機関をうまく組み合わせるという機能を必要とすることがますます強まってきたわけでございます。  そういたしますと、ばらばらの事業法規で規制しておりますよりは、むしろ実運送事業者と荷主の間を取り持つという共通の機能に着目しまして、横断的な制度を設けるということにした方がこのような新しいニーズにより適確に対応できるのじゃないかというふうに考えたわけでございます。したがって、今回の貨物運送取扱事業法案におきましては、実運送事業の相違にもかかわらず、基本的制度としては横断的な統一した規制をかける、こういうことにしたわけでございます。
  125. 穐山篤

    穐山篤君 ということになりますと、古い話で恐縮ですが、十年前あるいは十数年前から複合一貫輸送という言葉が運政審からも出ました。この法律を準備するに当たりまして、去年の十二月十三日、閣議で本問題について規制緩和の要綱が定められたわけですが、その中には次のようになっておりますね。「複合一貫輸送の促進を図るため、その制度的位置付けを明確にするとともに、総合的な運送取扱業の制度を創設する」、こういうふうに要綱の中ではうたっているわけです。  そこで、この複合一貫輸送ということになれば、陸もあります、空もあります、海の輸送もある。言ってみれば陸海空全体にわたりまして、それぞれのモードもありますが、全モードを一貫して輸送する、そういうことを考えざるを得ないというふうに発展をするわけですけれども、今回の法律案の中では、制度的にどういうふうに条文の中では位置づけをしているんでしょうか。まず、そこをお伺いいたします。
  126. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 昨年十二月閣議決定の規制緩和推進要綱に穐山委員から御指摘のありましたような記述があることはそのとおりでございまして、今回の取扱事業法は複合一貫輸送の促進を図ることを大きな一つの目的としていることは間違いございません。ただ、今回の法案内容といたしましては、直接的には複合一貫輸送を制度化するというところまでは行っておりませんで、冒頭に申し上げましたように、各輸送機関ごとに従来規制されておりました取扱事業を横断的に規制する、一本の法律規制するというところにとどまっておるわけでございます。  しかしながら、このような規制によりまして運送取扱事業の法的な性格がはっきりいたしまして、これにより複合一貫輸送を行おうとする事業 者の事業活動がやりやすくなるということで複合一貫輸送の促進を図ろうというものでございまして、直接的な制度としては、複合一貫輸送というものは法律の中にはうたわれてございません。
  127. 穐山篤

    穐山篤君 気持ちの上では複合一貫輸送、いろんなニーズに合わせたものをできるだけ秩序あるものにしていこう、そういう気持ちは明確に出ていますが、制度的に法律上の位置づけというのは十分ではない、こう見るわけです。そうなりますと、総合的な運送取扱業というものと今回の本法とのかかわり、運送取扱事業との関係というのはどういうふうに理解したらよろしゅうございましょうか。その点、明確にしてください。
  128. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 総合的な運送取扱業というのはいろんな意味で使われておるわけでございますが、閣議決定との関係で申し上げれば、一本の法律でいろいろな輸送機関に関する運送取扱事業を総合的にカバーする、そういう意味で使われておるというふうに理解をいたして今回の法律を提出申し上げたわけでございます。  ただ、総合的な運送事業という言葉で、場合によりますと、一つの許可をとればあらゆる輸送機関について取り扱いが可能になる、そういうような意味での総合的取扱業というような意味合いで使われることもございますが、今回の法律はそのような制度を意図するものではございませんで、確かに横断的に制度は統一いたしますが、取扱事業者計画とか能力によって取り扱うことができる実運送モード、実運送機関は限定されるものでございまして、トラックしか扱えない人は従来どおりトラックの取扱業、これは事業計画で定めさせることになっておりますが、能力以上の、以外の分野を営むということはできない。そういう意味では、何でもできる総合的な取扱事業というものの制度を創設したものではないということを申し上げられると思います。
  129. 穐山篤

    穐山篤君 そうしますと、私も少し整理してみなきゃいかぬと思うので、大上段に振りかぶった割合に余り大きな変更はない。具体的に申し上げましょう。  本法律によって、運送取扱事業許可であるとか、登録申請、運賃、料金の届け出、これは既存の鉄道あるいは飛行機、自動車、船舶、それぞれの輸送モードにおいてみんなそれぞれが行ってきたわけです。したがって、今までそれぞれの事業法で規制をした、あるいは取り扱ってきたものを取りまとめをしたというふうに今の説明では理解をするわけです。  そうしますと、それぞれの事業計画など、この事業計画の中には運賃も入るだろうし、料金も入るだろうし、いろいろなことも入るわけですけれども、これらの内容については何ら、何らと言えば語弊があると思いますが、大きく変化はないと私は理解をするわけですが、その点はいかがでしょう。
  130. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 基本的に先生の御理解のとおりでございます。  すなわち、運送取扱事業許可は一つとればそれで終わりですが、申請に際しまして、その取扱事業者がどの運送機関を使うかということは申請させますし、それに基づいた事業計画というのも定めさせます。また、運賃につきましても、どの輸送機関についてどのような運賃を設定するか、取扱運賃でございますが、そういう申請をさせますので、それから外れておる部分というのは、運送取扱事業許可ないし登録が得られたとしても、当然に事業計画にないものができるということではない。事業計画の中身等はそれぞれの輸送機関の特性によっていろいろ定めてもらいますので、その意味では基本的にはこれはこれまでと変わりはない。ただ、横並び、共通の部分もありますので、それらの点につきましては共通の基準を設けることができますが、基本的には輸送機関ごと事業計画あるいは運賃、こういうことに相なります。
  131. 穐山篤

    穐山篤君 私は、冒頭に貨物輸送の状況、配慮しなければならぬ点を総括的に申し上げたわけですが、この法律の目的のところを見ますと、「貨物の運送サービスの円滑な提供」というサービス面を一つ強調されております。それからもう一つは、「利用者の利益の保護及びその利便の増進」、これもサービスの一環に入るわけですけれども、非常にこれが重視をされております。しかし、私は冒頭にも申し上げましたけれどもトラック業界、貨物業界というのはとかく体質的に過当競争の構造的な要因を持っておる。そういう意味では貨物運送事業の適正な運営あるいは公正な競争というものが、少し消極的な位置づけをされているやに私は見るわけであります。  それから、従来とも私どもが非常に重視をしてまいりましたのは、貨物輸送の安全の確保あるいは労働者の雇用、労働条件の安定というものが常に担保されませんと、いかにサービスがよくなったといえども、裏側では犠牲を負い、あるいは問題をたくさん起こすことになりかねない。そういう意味で、今私が申し上げました公正な競争あるいは安全輸送の確保というものを担保するためには、どういう具体的な政策なりあるいは施策をお持ちになっているのか、まずその点をお伺いしておきたいと思います。
  132. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 本法第一条はこの法律の目的を定めておるわけでございますが、その冒頭には、「貨物運送取扱事業の運営を適正かつ合理的なものとすることにより、貨物運送取扱事業の健全な発達を図る」、これが一つの目的として掲げられておるわけでございます。その次に、「貨物の流通の分野における利用者の需要の高度化及び多様化に対応した貨物の運送サービスの円滑な提供を確保」する、これが二つ目の目的になっております。そして結びに、「もって利用者の利益の保護及びその利便の増進に寄与することを目的とする。」となっておるわけでございます。これは伝統的な表現によれば、公共の福祉に資するというようなことになるわけでございます。したがいまして、この法律の目的は、一つには貨物運送取扱事業の健全な発達、それと同時に、利用者のための円滑なサービスの確保ということが同列に並んでおるわけでございます。これはあくまで運送取扱事業法でございますから、その対象は貨物運送取扱事業者とその顧客との関係、こういうことに相なるわけでございます。  ただいま先生御指摘の点は、トラックという例示をなさいましたので、実際の貨物運送、実運送事業者の適正な運営と公正な競争の確保とか、実運送事業者の行う貨物輸送の安全の確保、そういう面はこの法律からどういうことになっておるかということであると理解申し上げますが、この関係はまさしく実運送事業を規律するそれぞれの法律トラックの場合でございますと、このたび同時に提出申し上げております貨物自動車運送事業法、これによりまして確保しようということで、これは実運送事業者とその利用者である顧客との関係を規律する。  この取扱事業者、例えば利用運送事業者とか取次事業者というのは、とりわけ利用運送事業者でございますが、これは実運送事業者に対しては顧客として取引関係に立つわけでございまして、実運送事業者から見ました場合には、このような利用運送事業者も顧客であれば、もともとからある荷主、これも顧客でございます。そういうもともとの荷主あるいは利用運送事業者と実運送事業者との関係というのは、それぞれトラックとか、船舶とか、鉄道とか、航空とかについてございます事業法規によって規律しよう。したがって、実運送事業者間の公正な競争の確保とか安全の確保というのは、まさしく実運送法規によって規律されるべきものであると思っておるわけでございます。  トラックにつきましては、先ほども申し上げましたが、今回、同時に提出申し上げております法案によりまして、安全の確保に極めて重点を置いたものになっておるわけでございます。
  133. 穐山篤

    穐山篤君 それは具体的に公正な競争を担保させるという意味で、一番目につくのは運賃と料金の問題になると思うんですね。お互いに競争します。一円でも安い方に輸送をお願いする。された 方も、また大変な合理化、効率化のための企業努力というものもあるのだろうと思いますが、今お話のあったような取扱事業者と実際の輸送を行う実運送事業者との間の運賃、料金の公平を保つためには、言葉の上では言うことができましても、この法律の中ではどういうふうに保証をしようとしているんですか。その点、もう一度伺いたいと思います。
  134. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 運賃につきましては、第九条で、事業者があらかじめ運輸大臣届け出るという届け出制度になっておるわけでございます。その第二項では、運輸大臣は、三つのケースについてその変更を命ずることができるということになっておりまして、一つには、適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えるものであるとき、つまり超過利潤を取るようなものであるとき。二つ目には、特定の荷主を不当に差別的な扱いをする場合。それから三つ目には、他の利用運送事業者との間に不当な競争を引き起こすというような場合はこれをチェックするということでございます。これは利用運送事業者としての運賃設定についての規定でございます。  これと実運送事業者との関係というのは、利用運送事業者というのは実運送事業者の顧客になるわけでございますから、今度は実運送事業者が適用いたします運賃の問題になりますので、再びこれは実運送事業に関する法規によって律せられるわけでございます。  トラックの場合でございますと、このたびはやはり届け出運賃になっておりますが、それには変更命令の制度もございますということでチェックをすることになっております。  その他の事業法規につきましては、多くのものが認可制になっておりますが、届け出制のものもございます。  そういうことで、それぞれ実運送事業で実運送事業者が適用いたします運賃を規律しておるわけでございまして、これによって実運送事業者の公正な競争が確保される、こういうことに相なります。
  135. 穐山篤

    穐山篤君 聞く方も専門家でないとなかなか難しい話で、答弁する方も、今も言われておりますように、なかなか複雑ですね。  そこで、第九条にはそれは書いてありますが、「届け出なければならない。」、こうなっているわけですから、私は届け出のありようについてちょっとお伺いをしておきたいと思います。  この法律により運送取扱事業者届け出る運賃、料金というのは、荷主から収受するものであり、その中には実運送にかかわるものも含まれているわけであります。それと同時に、運送取扱事業者の収入部分である取り扱いの料金もその中に入っておるわけですね。これは届け出る場合に、全部一本で届け出をして了承を得るのか。その点、もう一遍よく説明をしてもらいたい。
  136. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 利用運送事業者届け出ます運賃、これは利用運送事業者の顧客に適用される運賃でございますから、運賃そのものとしては一本で届け出が出ます。ただし、その積算資料といたしまして、実運送事業者に払うべき運賃と、それから利用運送事業者が収受する取扱手数料に相当する部分、これの内訳は提出をさせることにいたしております。
  137. 穐山篤

    穐山篤君 大体わかりました。一本で届け出をする。ただ、その届け出た運賃だとか、料金だとか、実運送の運賃だとか、取扱事業者の取扱料だとか、当然マージンも含んでの話になりますわね。適正かどうかという認定はどうやってやるんでしょうか。これはある場合には、九州から届け出もあるでしょう。ある事業者は、関東のものもあるでしょう。いろいろ立地条件もあると思うんですが、適正かどうか、これはダンピングではない、あるいは過当競争を誘発するような運賃でもない、公平な運賃、料金である、こういう認定はどういう基準でやるんでしょうか。
  138. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 当然のことでございますが、法第九条第二項に定めます運賃変更命令発動の要件に当たるかどうかということでチェックをするわけでございまして、利用運送事業者が収受する部分が過大である、つまり過大な利潤を収受するというようなものは変更命令の対象になりますし、逆に実運送運賃の原価を賄うに足りないようなもの、これは他の利用運送事業者との間に不当な競争を引き起こすというものに相当するものとして変更を命ずるようなことになります。
  139. 穐山篤

    穐山篤君 どうもその点、得心のいく答弁ではないんですが、議論しておりますと時間がかかります。  そこで私は、その手続なり運賃、料金、届け出をしたものが適正であるかどうかということを恣意的に判断することはうまくない、許されないと思いますので、認定基準というふうなものができるならば作成をしてしかるべきだと思うんですが、その点どうでしょうか。
  140. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 先生仰せのとおり、客観的な認定基準を設けるというのは、我々としても大事なことであり、ぜひ必要であると思っております。したがいまして、今まで申し上げましたように、利用運送事業者の運賃といいますのは、実運送に払う運賃と自分の取り分を足したものでございます。したがって、実運送に払う運賃の方は、これは実運送法で決まった運賃をきちっと取ってもらわなければいけません。それから自分の方で取る取り分というのは、実運送に払う運賃以外の取扱業者のコストと利潤、これをきちっと取る。こういうことになるわけでございますが、それが適切であるかどうかということについての客観的な基準というのを設ける必要があると思っております。これについては、取扱業の実態であるとか原価とかいうものをベースにいたしまして、こういうものは適切である、こういうものは適切でないという一応の基準をつくりまして、これを事業者が了知し得るように通達などで決めて公表するというふうにしたいと思っております。
  141. 穐山篤

    穐山篤君 この第九条には、あらかじめ運輸大臣届け出るという手続が書いてあります。それから変更をするときも運輸大臣届け出なきゃならぬという二通りのことが法律上は書いてあります。しかし、具体的に認定審査を行った場合に、当然のことですが、その計画変更させなければならないという問題に行き着くと思うんですね。君のところで持ってきたものについては、審査をした結果、これは変更してきなさい、こういうふうに変更しなさいというふうに具体的におっしゃるかどうかは別にいたしましても、私は基本理念をある程度この中に入れておく必要があると思うんです。私は、先ほどもちょっと触れましたけれども、実運送事業者の適正な原価と利潤の保証が一方では必要になると思うんですね。適正な利潤、これが無視されますと、また新しい問題を起こすわけです。  それからもう一つは、実運送事業者間の不当な競争をこの届け出ではどうも起こす予見がする。そういう場合には、事業者が持ってきました計画事業者に対して変更してきなさい、そういう理念といいますか、考え方というものをこの条文に入れて公正な競争を図るという気持ちをもっと具体的にあらわした方がいいのではないかというふうに考えますけれども、その点はいかがでしょうか。
  142. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 先ほども申し上げましたとおり、実運送事業者が収受する運賃は、これは実運送事業に関する事業法規で定められているものでございまして、この相手が従来のような荷主であろうと、あるいは利用運送事業者であろうと、これは同じような扱いがなされることになるわけでございます。  他方、利用運送事業者あるいは運送取扱人の運賃自体の妥当性というのは、九条第二項に照らしてチェックするわけでございますが、先ほど申し上げましたように、実運送事業に払う原価を割っておるようなもの、これは明らかに不当な競争を引き起こすということで、第二項第三号に該当するものとして変更命令の対象になる、こういうふうに考えております。
  143. 穐山篤

    穐山篤君 まだ自信を持つまでの答弁にはなっ ていないなと思いますが、さらにまた別に指摘をしたいと思います。  さてそこで、ハイヤー、タクシーの業界ではそういうことがないんですが、トラック業界貨物自動車業界では下請というのが往々にしてあるわけですね。それから傭車をする。車を雇う傭車ですね。こういうスタイル、形式のものは今回の二つの法律案の中ではどういう位置づけをされているんでしょうか。
  144. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 下請といいますのは、この法律で言いますところの利用運送に該当するわけでございます。荷主から一つの事業者が引き受けをいたしまして、それを自分で運ばずに別の人に運んでもらうということでございまして、運送の実行行為を別の人にやってもらう、自分自身は結果的に運送契約は負うけれども、実運送自体はやらないということでございますので、これは利用運送になるわけでございます。  また、傭車といいますのは、これはあくまでもその事業者責任において運行管理なりなんなりの責任事業者が持った上でやることになりますので、傭車については、この法律の適用ではなくて、貨物運送事業法の適用の対象になるということであろうと思います。
  145. 穐山篤

    穐山篤君 私の時間が来てしまったわけですが、そこで第七条のところにちょっと戻ってもらいたいんです。  運送取扱事業者が実運送事業者を利用する際に、その実運送において輸送の安全を確保することと、実運送事業者の正常な運営を阻害しないように、法第七条のところに当然運送取扱事業者が遵守すべき事項というのが幾つかあるわけですが、それを明確にすることが必要ではないだろうか。それからもう一つは、改善命令を出す場合も当然起きてくるわけですが、事業の改善命令のところにもそれを付加してもらいたいというのが私どもの気持ちでありますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  146. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 繰り返し申し上げておりますように、実運送の輸送の安全を確保し、あるいは実運送事業の正常な運営が阻害されないようにすることは、基本的に実運送事業法で対象とされる問題でございます。したがいまして、実運送の安全確保等につきましては、トラック事業法等の関係法規の適確運用によって対処していくべきものと考えております。したがいまして、取扱事業法におきまして実運送の側の安全確保等を直接の目的とする規定を挿入する、あるいはそれについての事業改善命令の発動要件を書くということは、法律的に困難であるというふうに考えております。
  147. 穐山篤

    穐山篤君 私、質問の通告はまだ数項目申し上げてあったんですが、時間がありません。やむを得ませんからまた次回に譲りますけれども田渕委員指摘をしたと思いますが、多様なニーズに対応する、そのための規制緩和を図るという趣旨について頭から否定をするつもりはありませんけれども、この規制緩和ということを口実にして過当競争が行われることを非常に憂えます。公正競争が十分担保されない心配もあります。最終的にはそのすべてが、すべてがといいますか、大部分がドライバーのところに返ってしまう。なかんずく、賃金体系が固定給ならばともかくとして、歩合給を中心にするような会社におきましては、そういう賃金体系を主としているところではどうしても過重なノルマを押しつけられるし、また御本人もいや応なしにそれをやらざるを得なくなる。そういううちに健康を害したり、あるいは身の危険を感じたり、いろんなことの場面が想定をされて、最終的に相当膨大な要員不足を来すわけでございます。  現在でも推定数万人という人手不足があるわけですが、これ以上の人手不足になりますと、企業の倒産という問題にも発展をしかねません。したがって、今回の二法全体が整合性を持って公正な競争、それから輸送の安全確保というものが十分に担保されますようにいろいろな点で十分な配慮をしていただきたいということを申し添えて、きょうの質問は以上をもって終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  148. 片上公人

    ○片上公人君 先ほどもお話がございましたが、昭和五十五年、一九八〇年から米国でも規制緩和が行われたわけですが、その結果、米国の運送業界に大変激しい変化を与えたことは御存じのとおりでございます。この米国におけるトラック事業規制緩和影響をどのようにとらえていらっしゃるのか、まずお伺いしたいと思います。
  149. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 米国の一九八〇年自動車運送事業者法によりまして一定規制緩和が行われたわけでございますが、この結果といたしまして新規参入が極めて多数に上った。米国の場合には、一人一車というような零細事業参入が許されましたので、非常に数がふえたということと同時に、一方では事業者の倒産件数がふえる、あるいは交通事故がふえたというような安全問題が指摘されておることは承知しておるところでございます。ただ、連邦運輸省は、それと同時にサービスの質の向上が図られているという点を高く評価しておりますとともに、倒産の増加は必ずしも規制緩和の結果とは言えず、むしろ当時続いておりました不況の結果であるというような見方をしておると聞いておるところでございます。
  150. 片上公人

    ○片上公人君 州際運送会社は一九七八年から八七年まで約二倍に急増した結果、競争が大変激化して運賃が暴落、それは二五%も低下したと言われております。その結果、倒産会社が続発し、サービスも低下し、州際トラックの交通事故は八三年から八六年までの三年間で二三・五%も増加しております。このような米国の影響が、先ほどの話じゃないですが、直ちに我が国に当てはまるとは言い切れませんけれども、十分念頭に置いて対応しないと、これは極めて重大な影響我が国に及ぼしかねない、このように思われますけれども、御見解を伺いたい。
  151. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 御指摘のとおり、米国において起きましたような悪影響日本において今回の法改正によって生じてはならないと考えておりまして、一つには、新規参入規制緩和と申しましても、どんな事業者でも自由に参入できるというものではなくて、従来どおり適切な事業計画を持つもの、あるいは適確事業遂行能力を持つものでなければ参入を認めないという制度は存続をするところでございます。  特に、最低保有車両数基準は維持してまいりたいと思っておりますので、米国のように一人一車のような零細事業者がいわば雨後のタケノコのように参入してくるというようなことにはならないようにしております。  また、過剰な輸送力が提供されてトラック事業者が全体として非常な苦況に陥るようなことのないように、そのような緊急事態におきましては、緊急調整措置を発動いたしまして新規参入をストップする、あるいは既存事業者増車をストップするというような措置を講じておるところでございます。  また、運賃について過当競争が起きませんように、届け出運賃につきまして、一定基準に従って不当なものについては変更命令を発するということで、著しい不当な運賃競争が起きないようにする措置を講じておるところでございます。
  152. 片上公人

    ○片上公人君 今回の法案によりまして、今お話がありましたように、参入規制緩和されますと新規参入が大変容易になるわけでございまして、したがいまして現状の過当競争的な状態が一層加速されることは間違いない。こういう競争が一段と強まりますと、中小企業への影響がさらに心配されるわけですが、本法案では経営上の悪影響を防止するために具体的にどのような手当てをしているのか、おっしゃっていただきたいと思います。
  153. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 私どもとしては、この法改正によって、おびただしい数の新規参入が見られるというような事態を招くとは考えておりません。従来の免許制のもとにおきましても、区域トラックにつきましては、全体的に需要が伸びてお ることにかんがみまして、需給調整を特に厳格に見るというようなことはいたしておりませんでしたから、年間数百のオーダーで新規参入があったわけでございまして、免許制から許可制に切りかわったからといって急激な数の事業者が増加するという事態は想定をしておらないところでございます。それとともに、トラック事業の大多数、九九・五%が中小企業者であるということを十分認識しておりまして、過当競争によってこれらの中小企業者の経営が困難になるという事態は避けなければならないと思っております。  したがいまして、先ほども申し上げましたが、野放しの自由化では決してなくて、著しい過当競争状態に陥ったときの緊急調整措置、これによって新規参入増車をストップする、あるいは運賃に対する変更命令を加えるということがございますし、他方区域事業者というのは大体大多数が中小事業者でございますが、これが従来の区域路線事業区分を廃止することによりまして、従来の区域事業者でも積み合わせをすることができることになります。これは中小企業者にとりましては大変大きなメリットでございまして、原則一人の荷主の荷物しか運べなくて、荷台にむだなスペースがあいておってもそれで走らなきゃいけなかったわけでございますが、これからは積み合わせができるということで効率的な輸送をすることができる、この点は非常に大きなメリットであると考えております。  さらに、今回の法改正におきましては、荷主に対する勧告制度という非常に新しい制度を導入いたしまして、この点からも悪質な荷主の強要による違法行為が起きないような手だてを講じておるところでございます。
  154. 片上公人

    ○片上公人君 事業規制上の配慮だけではまだまだこれは不十分でありますし、中小トラック事業者経営基盤の強化のための政策が必要である、このように思いますが、御見解を伺いたいと思います。
  155. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 委員指摘のとおり、確かに事業規制だけで中小企業者の事業基盤の確立を図るということは十分にはできないと思います。そこで、運輸省といたしましては、今回の規制の見直しを踏まえまして、従来からやっております中小企業構造改善事業の着実な推進などによりまして一層中小企業者の経営基盤の強化を図ってまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  156. 片上公人

    ○片上公人君 トラック運送業界でも構造改善事業には取り組んでおられるわけでございますが、今日までの経緯を伺いたいと思います。
  157. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) トラックの構造改善につきましては、昭和四十八年の中小企業近代化促進法による業種の指定を受けたときがスタートでございまして、それ以来ずっとやってきておるわけでございますが、その間にやはりいろいろ変遷がございました。  四十八年のスタートの当初は、生産性の向上と企業の集約化、これをベースにして規模の適正化を図っていくといういわゆるハードな構造改善事業、これが中心になってやっておったものでございます。しかし、その後、昭和五十三年になりまして、ハードだけではやはり不十分であるということで、ソフト面を中心に事業高度化を図るということで知識集約型の構造改善事業、これへ移行することを決定いたしました。具体的には、今までのものに加えまして新しい商品の開発であるとか、技術システムの開発であるとか、情報の提供であるとか、こういったようなことを新しい目標として追加してやってきたわけでございます。  さらに、昭和五十六年になりまして、この二つを併合いたしまして新しく総合型の構造改善事業というのをスタートさせ、それを実施してまいったわけでございますが、六十二年度に至りまして経営戦略化構造改善事業ということで、これをさらにソフト面での経営資源の充実なり戦略的活用の必要性を重視したものに変えて、今までそれに従ってやってきておるところでございます。具体的な推進体制といたしましては、トラック協会が構造改善計画をつくる。それを実際に推進する実行部隊は協同組合なり連合会が共同事業としてこれを実行するという格好で、今までこういう変遷を経ながら逐次構造改善の実を上げて取り組んできている、そういう経緯がございます。
  158. 片上公人

    ○片上公人君 現在行われておる経営戦略化構造改善事業のねらい、そしてその具体的事業内容はどんなものか、伺いたいと思います。
  159. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 現在の経営戦略化構造改善事業は、六十二年度からスタートした構造改善事業でございますが、従来の設備の近代化あるいは新商品の開発、こういったものを引き継いで、さらにこれにソフト面での経営方式の適正化に関する事業、あるいは共同マーケティングの事業、コンピュータリゼーションの事業、そして人材開発事業、この四つの柱を従来のものに加えて主たる柱として推進してきておるわけでございます。  これを具体的に説明させていただきますと、ソフト面での経営方式の適正化に関する事業と申しますのは、事業経営のために経営計画なり経営組織などの改善を進めようというものでございまして、具体的には経営方式の改善マニュアルをつくる、あるいは経営診断を実施する、あるいは相談員制度を設置する、こういったことを内容にしてやっております。  また、共同マーケティング事業と申しますのは、いわゆるマーケットの需要分析をやる、そしてその変化に機敏に対応しようということでございまして、具体的には市場情報の収集と提供、あるいは営業開発部門の設置、あるいは新規荷主への企業共同PR、こういったようなことを内容にして中小事業者の市場対応能力を高めようということでやっております。  それからコンピュータリゼーションでございますが、情報システム化の時代でございますので、これに必要不可欠なコンピューターを導入いたしまして経営管理の合理化、マーケティング活動の効率化、こういったものを進めようとするものでございまして、パソコンの導入あるいは共通ソフトの開発、共同輸送の情報システムの構築、こういったことを内容にしております。  また、最後に、人材開発事業でございますが、これは何をやるにいたしましても、それを担う人が基本であるということは間違いないことでございますので、新しい知識と資質を備えた人材を養成する、それによって中小企業経営能力の向上を図ろう、こういう考え方でやっておるものでございます。体系的な教育システムの開発、あるいはいろんな教材の作成、あるいは教育研修、こういったようなことを内容にしておりまして、現在はそういう格好で新しい構造改善事業に取り組んでやっておるところでございます。
  160. 片上公人

    ○片上公人君 その近代化への構造改善に対するところの助成制度の中身につきまして、具体的に伺いたいと思います。
  161. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 構造改善事業に対する助成措置でございますが、基本的に軽減税制によります支援と低利融資による支援とがございます。  まず、税制による支援といたしましては、一つには車庫とか荷扱い所などの建物を建てる場合、あるいはコンベヤーなどの機械装置を導入する場合に割り増し償却制度の適用がございます。また、組合として共同施設を取得した場合の特別償却制度など、国税上の軽減措置がございます。それから先ほど御説明申し上げました構造改善事業の用に供する土地につきましては特別土地保有税、それから当該施設についての事業所税を非課税とする地方税制上の軽減措置も講じられております。  以上が税制関係でございますが、次に融資の関係としましては、中小企業金融公庫、国民金融公庫及び中小企業事業団からそれぞれ構造改善事業内容に応じまして低利かつ長期の融資を得られるように措置しておるところでございます。
  162. 片上公人

    ○片上公人君 経営戦略化構造改善事業のそれぞれの進捗状況について伺いたいと思います。具体的な成果が見受けられればおっしゃっていただきたいと思います。
  163. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 経営戦略化構造改善事業は、先ほど御説明申し上げましたように、六十二年度にスタートいたしまして、本年度は計画年度の中間に当たります三年目に入っております。  ただいままでの具体的成果について見ますと、組合と組合員を結ぶオンラインシステムを稼働させる、あるいは共同受注をする、あるいは共同発注をするというような協同組合の活動があらわれております。これらは非常に今後の成長を期待させる明るい事例でございます。ただ、事業の種類によりましていろいろばらつきがございます。比較的順調に実施されているものとしましては人材開発事業、これは先ほど来御議論がありますように、人の確保ということが非常に大きな問題になっておりますので、中小事業者の関心が非常に強く、計画の達成度も順調に進んでおります。  他方、コンピュータリゼーション事業の方は、情報システムのメリット等についてまだ中小事業者の方で理解が十分でなくて、計画が余り進んでおらないという状況にございます。共同マーケティングとか経営方式の改善についてもまだ十分な進捗が見られてはおりません。一方、従来から実施されております軽油などを中小企業者が共同で買う共同購入事業というような個々の事業者の利害に直結するようなものは順調に実施されているところでございます。  以上、概括して申し上げれば、事業業種によってばらつきがあるということでございますが、私どもとしてはおくれておる部門も今後強力に指導して、その進捗を図ってまいりたいと思っております。
  164. 片上公人

    ○片上公人君 昨年の十月に当時の石原運輸大臣は国会の答弁におきまして、規制緩和を行った結果として大手が残り中小が淘汰されていくようなことは絶対にしてはならない、このように答弁いたしておりますが、江藤運輸大臣も同じような認識だと思いますけれども、中小トラック事業者対策につきまして大臣の決意を伺いたいと思います。
  165. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 一つの時代の流れでありますから、中小企業なるがゆえに私は安閑としておくわけにもいくまい、こう思います。ただ、全体的に眺めてみますと、今回は区域トラックでも積み合わせができるようになるとか、いろんな新しい分野もありますが、しかし人手が足りないということも片方ではあります。それから今度の法律でいわゆる労務管理の面に非常な義務を負わせるということになりますから、その面の負担が大きくなることはこれは否めないと私は思うんです。したがいまして、ずっと見ておりますと、例えば私の県あたりでも、近ごろは従業員を確保するために厚生年金をトラック業界でようやく始めるようになりました。これは大変いいことだと私は思うんです。こういうものをやっぱり育てていってやらぬといかぬ。  それから中小企業と申しましても、ただいつも荷主を求めてうろちょろうろちょろするというのではなくて、例えば一つの野菜市場、あるいは魚市場、あるいはまた一つの企業、あるいは農協、森林組合、そういう大きな荷主としっかり結びついて、その中でお互いが持ちつ持たれつのそういう体制をつくり上げていくという努力も私はひとつ大事だろうと思っております。そういうことがマーケティングであり、あるいはまた経営基盤の合理化だ、こういうふうに考えますので、法案成立の暁におきましては、大部分が中小企業であるという認識の上に立って、遺憾のないようにもろもろの御指摘の点について私ども取り組んでまいりたい、こう思っておるところでございます。
  166. 片上公人

    ○片上公人君 この貨物自動車運送事業法案におきましては、過積載、過労運転の防止に関する規定が新たに盛り込まれたわけでございます。  法案では、この事業を適正かつ確実に実施するため、貨物自動車運送適正化事業を実施することができる公益法人を全国及び地方にそれぞれ指定することとしております。しかし、この民間団体による貨物自動車運送適正化に関する事業がどれだけ有効に機能するかにつきましては、これは全く疑問がないわけではございません。それは、運輸省が頭に描いていらっしゃる指定法人というのは現在の全日本トラック協会と言われておりますけれども、この事業者によって構成されている団体が法律に基づく指定法人になったからといいまして、みずからの母体である事業者にとって不利になるような過積載、過労運転の撲滅にどれだけ真剣に取り組んでくれるかどうか、こういう問題が残ると思いますが、この点について伺いたいと思います。
  167. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 本法案によります適正化事業は、基本的に民間の自主性に基づいて実施されることを想定しておるわけでございます。つまり、民間事業として意欲を持った人たちがこの適正化事業をやる、国はこれを指定してその後押しをするという関係に立つということを本旨としております。  御指摘のとおり、私ども現在、中央ベースでは全日本トラック協会、地方ベースでは都道府県のトラック協会を指定することを考えておりますが、トラック協会は、従来、輸送秩序改善指導員等を設けまして白トラの防止であるとか安全の確保というような仕事をしてきたわけでございます。  確かに、トラック協会は事業者の集まりである社団法人でございますが、この適正化事業がねらいとしておりますのは、事業者間の公正な競争が確保されるということでございます。多数おりますトラック事業者の中に不心得な者があって、運賃ダンピングあるいは過労運転、過積載というようなことで安全あるいは輸送秩序を乱す者があるわけでございますが、それは決して多数の事業者ではなくて一部の事業者であり、トラック事業者の大多数は公正な競争秩序が保たれることを願っておるわけでございます。  したがって、このような事業者の集まりとしては、公正競争確保のために一部の不心得な事業者指導、是正するということはその団体の利益にかなうものでございますので、決して矛盾はしないというふうに考えております。ただ、その適正化事業の運営が公正に行われるためには、民法によります公益法人というのは民法上もちろん所管大臣の監督がございますし、さらに本法にも特別の監督規定を設けまして誤りのないように措置をしていきたいと思っておるわけでございます。
  168. 片上公人

    ○片上公人君 本来、事故につながる過積載や過労運転をしなくてもよい職場にしてほしいという貨物自動車運送業務に携わる労働者の切実な要望にもこたえるために、運行管理者制度効果的な活用を図ることが必要ではないかと考えておるわけでございます。  そこで、私は、この制度運用に関しまして具体的な提案を行いたいと思っております。  それは、運行管理者制度と今回の運送適正化実施機関という別個のものを結びつけるわけでございます。まず第一に、各事業所に置かれたところの運行管理者から事業用自動車の運行の安全の確保に関する実情を地方の実施機関が調査し、第二に、地方実施機関はそれを集大成して全国実施機関に報告する、第三に、全国実施機関はその報告に基づきまして年次報告を運輸省に提出する、こういう仕組みをつくることが大事なのじゃないか。  確かに、本法案の雑則六十条におきましては、運輸大臣貨物自動車運送事業者や地方及び全国実施機関に対して報告をさせることができる旨の規定を置いておりますが、それは運輸省が必要と考えた場合に一定の制限のもとで発動されるものでしかありません。私は、今申し上げた仕組みによりまして、各会社の運行管理実態把握しておき、いつでも必要な措置を講ずることができるようにしておかないと、なかなか過積載あるいは過労運転はなくならない、このように思うわけでありますが、御見解を伺いたいと思います。
  169. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) ただいま大変具体的かつ建設的な御提案をいただいたわけでございますが、御指摘のとおり、運行管理者からの意見あるいは情報を適正化事業実施機関が収集するという ことは、輸送の安全を阻害する行為の防止について実施機関トラック事業者指導する上で大変重要な業務であると思っております。実施機関がその指導した内容につきまして適時適切に運輸大臣に報告をさせることになっておりますが、ただいま御提案にありましたように、それを中央実施機関が集大成してこれを運輸省に定期的に報告させるという仕組みにつきましては、非常に有意義なことであろうというふうに考えております。具体的な仕組みにつきましては、これから十分検討させていただきたいと思いますが、御趣旨の点は十分踏まえて対処していきたいと思っております。
  170. 片上公人

    ○片上公人君 この法案では、第二十三条の運輸大臣の輸送の安全確保命令という規定はあります。しかしながら、この最大の欠点は、実態把握する体制が極めて弱体でありまして、大きな事故や過積載などに関する警察の取り締まりで違反が摘発されることでもなければ、なかなか輸送の安全が確保されているのかどうかわからない。先ほど私が提案したような方法でこのような欠点を補うとともに、この法の運輸大臣の安全確保命令が空文化されることのないよう適確かつ効果的に活用すべきと思いますけれども、御見解を伺いたいと思います。
  171. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 安全の確保が何よりも重要な課題であるということは、再三申し上げておりますとおり、十分認識をしておるわけでございますが、トラック事業者が過積載あるいは過労運転等、本法案によりまして課せられました義務を履行しない場合に、この義務違反によって輸送の安全が確保されていないと認めるときには、御指摘のように、第二十三条の規定によりまして、事業者に対して例えば必要な員数の運転者の確保を命ずるとか、あるいは事業用自動車の運行計画の改善を命ずるとか、運行管理者に必要な権限を与えるように命ずるとか、その他必要な是正措置を幅広く講ずるように命ずることができるようになっております。  輸送の安全の確保に果たすこの命令の重要性にかんがみまして、御指摘のように、機動的かつ厳正にこれを運用するとともに、この命令に従わないような不心得な事業者がおりました場合には、許可の取り消しを含め厳正な行政処分を行っていきたいと思っております。
  172. 片上公人

    ○片上公人君 過労、また過積みにつきましては、適正な運賃収受ができればこれは改善される問題であると思いますが、運賃、料金のダンピングが一般化している状況のもとでは、無理をしてでもコストの引き下げを行わざるを得ないというのが現実であると思います。届け出制になれば、過積載、過労運転は一層深刻化する可能性が出てくると思います。現行の認可運賃は、適正に収受されていないのではないか。その実情と、これらに対してどのような取り組みをしているのか、伺いたいと思います。
  173. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) トラック事業認可運賃が完全に収受されているかどうかという点につきましては、最近におきましては経済情勢が好調に推移しておりますので、かなり収受率は改善されているとは考えております。しかしながら、まだ完全に認可運賃どおりに収受されているとは限らないということは、遺憾ながら認めざるを得ない事実でございます。また、昨今の労働時間の短縮という国家的な課題の中で、トラック事業におきます長時間労働の是正を図ることも一方で急務になっておりまして、これを可能にするためには何といっても原資が必要でございますから、そのためにも認可運賃の収受を図るということが不可欠の要請になっておるわけでございます。  このような状況を踏まえまして、私どもとしては、従来より事業者監査などを通じましてその是正を指導してまいったところでございますが、昨年の四月には全日本トラック協会を通じまして事業者自身の自覚を促しますとともに、この問題について荷主の理解が何といっても不可欠でございますので、荷主との懇談会を計画的に開催する等によりまして、荷主の理解と協力を得るように重ねて指導しているところでございます。
  174. 片上公人

    ○片上公人君 認可運賃でもなかなか取れなかったのに、届け出制になりますと、もっと適正な収受が難しくなりまして、不適当な運賃が横行するおそれがあると思います。こうした不適当な運賃には変更命令を加えるとのことでございますが、その変更命令の具体的な基準というのはどのように考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  175. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 変更命令につきましては、十一条の二項で具体的な基準が書いてございまして、これは三つございます。  まず第一号は、適正な原価と適正な利潤を著しく超えるということでございまして、これはいわゆるアッピングといいますか、超過利潤を得るような運賃を定めたときのことを想定したものでございます。  また第二号は、特定の荷主に対し不当な差別的取り扱いをするということでございまして、これは具体的に言いますと、特定の大口の荷主であるとか、あるいは長距離の利用をなさる顧客に対して非常に割安にする、逆に一見でお見えになった方や近距離の方には不当に割高にするというようなことで、人によって運賃の合理性のない差別をするという場合を想定したものでございます。  それから三番目に、他の一般貨物自動車運送事業者との間に不当な競争を引き起こすというのがございますが、これは今まで御議論のありましたいわゆるダンピングのことを想定したものでございまして、同種のサービスを提供する他社との関係においてコストを割ったような不当な安いものを設定することを防止しようというものでございます。  これが基本的な考え方でございまして、これを具体的に運用していく必要があるわけでございますから、その時点、その地域において原価というのはいろいろ変わってまいりますので、適正な原価というものを把握いたしまして、それに従って、この基準がどういう場合に具体的に発動になるのかということを各事業者が具体的にわかるような形で示す必要があると思っております。それを基準という格好で通達として皆さんにおわかりいただけるように示していこうというふうに考えておるところでございます。
  176. 片上公人

    ○片上公人君 この変更命令に従わない事業者や、届け出をした運賃より安いいわゆるダンピング運賃を使う事業者にはどういう法的制裁が可能なのかということを伺いたいと思います。
  177. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 運輸大臣が発しました運賃変更命令に従わない場合、これにはまず法の第七十六条第一号の規定によります罰則がかかります。それから届け出た運賃と異なる運賃で事業活動を行います場合には、第七十六条第三号の規定によります罰則が適用になります。また、その両方の場合につきまして、運輸大臣が、第三十三条の規定によりまして、許可の取り消しでありますとか、事業の停止あるいは車両使用停止処分というような行政処分を行うことができます。これは事業者にとって大変な痛手でございますので、極めて強い制裁効果が期待できると思っております。
  178. 片上公人

    ○片上公人君 次に、輸送の安全の観点から、大型車へのABS装着の問題につきましてお伺いしたいと思います。  現在は、第二次交通戦争と言われるほど交通事故状況は最悪となっておりますが、昭和六十年ごろから交通事故の大型化、特に高速道路での事故にそういう状況が見られるようになっております。事故の大型化によりまして他車まで巻き込む例も目立っておりますし、大惨事も起きております。こうした交通事故への対応策の一つとして、大型車への高性能ブレーキ、いわゆるABS、アンチロックブレーキシステムの装着が検討されているようでございますけれども運輸省としてはどのように対応する考えなのか、御見解を伺いたいと思います。
  179. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) お答え申し上げます。  先生今御指摘がございましたアンチロックブ レーキシステム、我々略していわゆるABSと称しておりますけれども、この装置につきましては、まず最初に次のような制動性能上の特徴を有しております。一つは、滑りやすい路面で制動距離が短縮されること。もう一つは、急ブレーキをかけて安定した姿勢で停止ができること。もう一つは、急ブレーキをかけてもハンドルの操作が可能である。このような今申し上げましたような点におきまして制動性能上の有利性がございますが、現在は乗用車については実用化が進められております。しかしながら、大型のトラック、バスに今申し上げましたABSを装着した場合に、その性能が設計上予定したとおり十分確保できるかどうか、またトレーラーといったような連結車等につきまして、いわゆるジャックナイフ現象ということが言われておりますが、それに対して効果があるかどうかなどの点に関しまして、これまでに実車試験、いわゆる実車の制動試験などを行いまして、技術的な側面から制動効果に関する調査検討を行ってきたところでございます。  このような技術的な調査結果を見ますと、トラックなどの大型車につきましても、今申し上げましたABSは所要の制動効果を発揮することが確認されました。また、近年におきますところの技術進歩によりまして、大型車用ABS技術も実用域に達するという判断も得られたのであります。このような結論が得られましたため、大型車の安全性向上に寄与するため、車両構造上の対策といたしまして、本年九月に対処方針を定めまして大型車へのABSの導入、普及等を促進することといたしております。
  180. 片上公人

    ○片上公人君 ABSにつきましては、ヨーロッパでは大型車のABS装着に関して一九九一年から義務づけが決定されていると聞いておりますが、事実関係を確認したいと思います。
  181. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) お答えいたします。  私たちが得ておる情報によりますと、今御指摘のありました欧州共同体、ECと称しておりますが、昨年三月にECの基準であります、横文字で恐縮ですが、EECディレクティブという、訳しますとEEC指令と言われておりますが、その規則を改正いたしまして、平成三年、一九九一年十月から新車として登録をされますところの大型トラクターあるいは大型トレーラー等に対しましてABSの装着の義務づけを予定している、こういうふうに承知いたしております。ただいま説明申し上げました改正されましたEEC指令を受けまして、現在、欧州共同体に加盟しております欧州各国でABS規制の実施に向けまして基準整備が進められているというふうに承知いたしております。
  182. 片上公人

    ○片上公人君 車両の安全性向上の観点から、先ほど話がございましたように、大型車用のABS装着につきましては大変望ましい方向と思われるわけですが、我が国でも導入計画はこれはすべきではないかと思いますが、もう一度。
  183. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) お答えいたします。  今御指摘がございました導入計画内容としましては、大別しますと規制とPRという二つの点があろうかと思います。  まず最初に、規制の面についてお答え申し上げたいと思いますが、大型車用ABSの導入につきましては、我が国といたしましては、事故時の被害の大きいと思われますところの車両、例えば危険物を移送しますところの連結車等を重点にいたしましてABSの装着の義務づけ規制を実施すべく現在、鋭意、検討を行っているところでございます。  また、PRの面でございますけれども、この規制に先立ちまして、大型車でございますところのトラックのユーザー等の理解をより一層深めまして、ABSの普及促進を図るため、パンフレット、VTR等を用いまして自動車運送事業者を対象としまして運行管理者に対する研修の機会のほか、全日本トラック協会の活動等の場を通じまして積極的に広報活動を行っているところでございます。
  184. 片上公人

    ○片上公人君 大型専用のABS装着に関しまして一番ネックになっておるのは、一つは価格の問題だと思います。今後の技術的改良でもう少し安くできる可能性はないのかどうか。また、装着については行政的援助が必要となると思うけれども、この点についても伺いたいと思います。
  185. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) お答え申し上げます。  大型車のABSにつきましては、現在の供給状態等を考えてまいりますと、ユーザー負担としての経費的な問題があることは承知いたしておりますけれども運輸省といたしましても、今後このABSの実用化あるいは量産化にかかわる技術開発等が関係事業者等の御努力によりまして進められ、装置の普及の進展に伴い少しでも価格低減が行われることを期待いたしているものであります。  今先生御指摘のような行政的な援助の面につきましては、今後のABSの普及状況によりまして、先生の御意見も踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
  186. 片上公人

    ○片上公人君 大型車用のABSを装着すると、例えば車両保険が安くなるとか、そのような優遇措置等も含めた普及促進を図るべきと思いますが、今お話がありましたように、この辺をさらに強力に進めてもらいたいと思いますが、御見解を伺います。
  187. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) これまでいろいろ先生に御説明を申し上げましたけれども、このABSにつきましては、大型車でありますところのトラック等のユーザーに対して、何はともあれ、やはり装着にかかわるところの理解をよく深めながらその普及促進を図ることが非常に重要ではないかと考えております。現在、これまで私たちが申し上げましたとおり、PR等を中心に積極的に活動を進めているところでございますけれども、今後のABSの普及の進展状況を勘案しまして、さらに普及促進の見地から必要あると考える場合には、先生御指摘の点にも着目しながら、関係者と十分に協議しながら効果的な措置につきまして検討してまいりたいと考えております。
  188. 片上公人

    ○片上公人君 物流業の労働力確保難が大変深刻化していると言われておりますが、運輸省としては現状をどのように認識していらっしゃるのか、まず伺いたいと思います。
  189. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 物流業は、その性格上、労働集約的な産業でございます。多様化、高度化します物流ニーズ適確に対応して高度なサービスを提供していくためには、十分な労働力を確保していくことが不可欠でございますけれども、残念ながら物流業におきましては、従来、再三御指摘がございますように、長時間労働あるいは不規則な勤務等々厳しい労働条件に置かれておりますので、最近の若年労働力を中心にしまして労働者物流業離れが進行していると認識しております。  特に、最近は好景気に支えられまして荷動きが非常に活発でございますので、その面からもますます労働力の不足が深刻になっている。このままこの問題を放置いたしますと、日本物流を支えておりますトラックでありますとか、内航海運でありますとかの円滑な活動ができなくなってくる。そういたしますと、産業活動あるいは国民生活のいわば血液の役を果たしておるわけでございますから、これが円滑にいかなくなるということで、日本経済に対する深刻な影響が出てくるのではないかというふうに憂慮をしているわけでございます。
  190. 片上公人

    ○片上公人君 この労働力確保問題につきまして、対策としてはどのようなものを講じておるのか、伺いたいと思います。
  191. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 労働力の確保、これは基本的には各物流事業者、さらには物流業界として対処すべき問題であると思っております。  労働条件の改善というのは各企業がやらなければならないことでありまして、企業の存立を図るためには必要な労働力を確保しなければなりませんので、人がどうしても来ないというときには、当然いろいろ賃金あるいは労働時間その他の労働条件を改善していかなければ必要な人が確保でき ないという事態になっておるわけでございます。  しかしながら、事業者あるいは業界の問題であるというふうに放置できるかと申しますと、先ほど申し上げましたように、この人手不足が要因となって物流活動が阻害されることになりますと経済全体に非常に深刻な影響が及ぶわけでございますので、運輸省といたしましても労働力確保問題というのを極めて重視しておりまして、先月末に運輸政策審議会に諮問いたしました。一九九〇年代の交通政策の基本的な課題の一つとして位置づけておりまして、運輸政策審議会の物流部会で検討していただくことになっております。  このように、中長期的な観点から、物流業界と協力して労働力確保のための総合的な対策を推進しようとしておるわけでございますが、現実はなかなかそれを待っているわけにもまいらないほど深刻な事態になっておりますので、とりあえず早急に実施することができることにつきましては私ども限りで対策をまとめまして、つい先般公表したところでございますが、これは「プロジェクトF緊急対策」と仮に名をつけてございます。  内容的には、業界の共同求人活動の実施などによりまして人材の確保を図る。大企業は自分の努力でかなり人を集めるということが可能でございますけれども中小企業になりますといよいよそれが難しいということでございますので、業界ぐるみで求人活動をやらなければならない。共同の求人パンフレットをつくったり、ビデオをつくったり、共同の説明会をやったりというようなことをさせる。そういうことを各業界ごとにやっていただくように私どもとしては指導をしておるところでございます。  それから労働時間の短縮でございますが、先ほど申し上げましたように、最近の若い人は自由な時間を持つということに非常に重要な価値を認めておりまして、長時間の勤務ということはどうしても嫌うということでございますので、人に来てもらうためには労働時間の短縮を積極的に推進しなければならない。これは企業存立の課題になっておるわけでございます。  そういうことで、業界としていろいろこの問題に取り組んでおりまして、例えばトラック業界におきましては、時間短縮マニュアルというようなものをつくって各事業者の利用に供しております。また、魅力ある職場づくり、人に来てもらいやすい職場環境をつくるということも重要でございますので、きつい労働というイメージをなるべくぬぐい去るために、新しい荷役機械を入れて作業を楽にするとか、あるいは過労運転の防止を図りますように今回のトラック業法でもそのためのいろいろな措置を講じようとしておりますが、そのようなことで、若い人に来てもらいやすい職場をつくるということにつきましても、役所として積極的に支援あるいは指導をしていくという所存でございます。  それから世の中にどうも物流業というのは十分よく知られていない面がございまして、この点についてはできるだけPR活動を活発にやるということで、広報映画とかパンフレット、ビデオ等をつくりまして広く訴える。従来、トラックドライバーコンテストといいまして、全国から腕のいい運転者が集まりまして年に一回コンテストをやっておりますが、これを引き続き行いますとともに、できればトラックの日というようなものも設けて、国民認識を広く求めるというようなことも考えてみたいと思っております。  それから非常に重要な課題といたしまして、再三申し上げておりますが、荷主の理解を得るということが極めて重要でございます。このままでは入手不足から非常に物流業の円滑な運営が図られなくなるという心配があるということを広く荷主に認識してもらうことが必要であろうと思いますので、各業界ごとに荷主業界との懇談会などを開きまして、適正な運賃の収受とか、長時間労働や、むだな待ち時間でせっかく貴重な労働力をむだ遣いしないようにというような点について理解、協力を求めるというようなことも指導してまいりたいと思っておる次第でございます。
  192. 片上公人

    ○片上公人君 トラック運転手等の労働力の確保につきましては、本来、各企業が自主的に取り組むべき問題だと考えるんですが、今お話がありましたような、政府として今回プロジェクトFの対策を発表するこの意義について説明をお願いします。
  193. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 冒頭にも申し上げましたが、これは基本的には各企業が自主的に取り組む問題である。労働力の確保なくしては企業の存立ができないという事態になってまいりますので、これは基本的に各企業の責任、使命として取り組むべき問題であると思っております。しかしながら、事態の深刻さにかんがみまして、国としてこれを放置するということは将来的に国民経済国民生活に非常に深刻な影響が及ぶということから、政府としても関係業界に呼びかけあるいは指導をして積極的にこの問題に取り組ませるということとともに、世論の注意を喚起し、このような深刻な事態になっているということについて理解を求めるということが非常に重要な時期であるというふうに考えて、このたびの緊急対策を打ち出したものでございます。
  194. 片上公人

    ○片上公人君 過労運転の防止が大変大きな問題になっておるわけでございますが、このためには、制度面の整備もさることながら、トラック運転者のための休憩施設、仮眠施設を備えたいわゆるトラックステーションの整備が極めて重要であると思うんですが、現在の設置状況及び今後の計画につきまして説明願いたいと思います。
  195. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) トラックステーションと申しますのは運転者の仮眠とか休憩のための総合的な施設でございまして、運輸事業振興助成交付金の制度を活用して従来その建設、整備を進めてきたところでございます。現在までに全国で二十八カ所で供用が開始されております。最も最近には、ことし山梨県で二十八番目のステーションが開所をいたしました。今後も、予算措置を講じまして整備を進めていきたいと思っておりますが、予算措置を講じておりますところは現在八カ所ございます。将来的には、この八カ所にとどまらず、さらに整備を進めていきたいというふうに考えております。
  196. 片上公人

    ○片上公人君 高速道路上のパーキングエリアは、現在マイカーであふれておりまして、大型トラックを駐車しておけるような状態ではないと思うのでございます。本線上への駐車も見られるなど、大きな事故の原因ともなっておるわけでございます。  なお、過労運転の防止の見地からのみならず、魅力ある職場づくりのためにも高速道路上におけるトラックドライバー休憩施設の整備が必要と考えますが、日本道路公団の所管する高速道路のパーキングエリア整備の状況と今後の計画について伺いたいと思います。
  197. 橋本鋼太郎

    説明員橋本鋼太郎君) 近年、高速自動車国道におきましては、利用交通量の増大、長距離トラックの増加等に伴いまして、休憩施設の利用度が高まり、都市近郊では相当な混雑状況を呈してございます。  こうした状況に対応するため、東名・名神高速道路等の混雑の著しい休憩施設におきましては逐次駐車スペースの拡充整備を進めており、その結果、例えば東名、名神の高速道路では大型車の駐車升の総数は、供用当初は千二百七十四台分でございましたが、昭和六十三年度末では二千七百五十二台、二・一六倍というふうに拡充したところでございます。引き続き、現在、東名高速道路におきましては海老名サービスエリア等十三カ所、名神高速道路につきましては多賀サービスエリア等五カ所、その他の道路につきましても四カ所、計二十二カ所の改良事業を行っているところであります。これによりまして、大型車の駐車升がさらに千三百六十四台増設される予定でございます。
  198. 片上公人

    ○片上公人君 トラック事業労働力確保難に対処するためにも、長距離貨物の輸送につきましては、鉄道、内航海運等の活用、政策誘導を考えるべきではないか、このように思いますが、御見解を伺います。
  199. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 貨物輸送につきましてどのような輸送機関を選択するかというのは、これは基本的に荷主の判断にゆだねられるところでございますけれども、当然のこととして輸送機関がその特性を発揮しやすい部門でその強みを発揮しておるわけでございます。  トラックによります輸送は全体でトンキロベースで五〇%を超えるような分野を占めておるわけでございますが、御指摘のような長距離輸送につきましては、船舶とか鉄道も競争力を持っておるわけでございます。本来、船舶でございますと大量あるいは重量物を運搬する点について強みがございますし、列車につきましては定時、そして比較的高速の輸送に適しておるわけでございますが、最近のようにトラック業界におきまして労働力不足が深刻化しますと、できるものはこのような船舶や鉄道に載せてしまうという選択が出てまいるわけでございます。  鉄道に関しましては、従来、国鉄時代からコンテナ輸送というのが行われておりまして、車扱い貨物は全体として減っておりますけれども、コンテナ輸送は順調にふえておるところでございます。最近におきましては、さらに新しい輸送方式としまして、いわゆるピギーバックと申しまして、トラックそのものがフラットな床を持っております貨車に乗り込んでいく、それでそのまま目的地の駅に着いて、現地で運転手が乗り込んでその貨車から車をおろしてそのまま走り去るということで、極めてスムーズなトラック輸送が、しかもその間の長距離の区間人手なしで運ばれるという、極めて合理的なシステムになっております。JR貨物が導入しまして以来、非常にヒットいたしまして、この運行回数が伸びておるというふうに承知しております。  また、船舶の分野におきましても、従来からコンテナ船とかロールオン・ロールオフの船によりまして、あるいはフェリーによりまして雑貨物も運ばれておるわけでございますが、フェリーによる無人構想によりますと、船に載せるところまでは運転手がおりますが、船が走っております間は運転手が要らないということで、非常に大きな労働力の節約になります。コンテナ船、ロールオン・ロールオフにつきましても同様なメリットがございます。  そういうことで、今後、人手不足の状況が長期的に続くと考えられます中にありまして、このような鉄道とか内航輸送による雑貨輸送というのは今後非常に伸び得る分野だと思っておりますし、私どもとしてもこれをいろんな、税制、融資、その他の手段によりまして積極的に支援をしていきたい、こういうふうに思っております。
  200. 片上公人

    ○片上公人君 ありがとうございました。  終わります。
  201. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まず最初に、貨物自動車運送事業法参入規制の問題について質問をしたいと思います。  貨物輸送の重要な役割を担っているトラック事業者、何度も言われているように八兆円産業とも言われる。そして、物流輸送機関としては日本経済をしっかりと下支えしているのが現状です。しかし、その大きな役割に比べて九九・五%、ほとんどが中小零細企業だ、こう言われております。そしてまた、長時間労働は平均よりも五百時間多い。これらのことについては、皆さん一致した認識だと思います。私も、いろいろと資料を見ておりまして、びっくりいたしました。  実は、運輸一般トラック部会調査結果の発表がこの十月三日にございまして、そしてプロドライバーは告発するという中身なんです。これをずっと読んでいきまして、どれくらいの長時間労働があるかということで調査の結果、四割以上が三千時間以上だという人が出てきているんですね。そうすると、一月のうちに家に帰れない日が二十日ないし二十五日という人が二八%だったという。逆に言えば、うちへ帰れるのは月にたった五日しかないというので、私はこれを見てここまで来ているのかと実にびっくりしたわけでございます。それだけではなくて、過積載、交通事故の多発、そして運賃ダンピング等々、真剣な問題としてどうするか考えなければならない。そういう中で、今度の法律で出てきたのが事業者の自由な参入、すなわち免許制から許可制になる、運賃も許可から届け出になるというように、ますます競争をあおる、そして運賃買いたたきなど、大きな不安が持たれているというわけです。  私、地元北海道の函館、北見、小樽、道内いろいろな方とお話し合いをいたしましたけれども、やっぱり非常に心配をしていらっしゃるということです。そしてまた、見ていたら衆議院段階でも、そしてきょうもたくさんの人たちが傍聴に来ていらっしゃる。忙しい中ここまで来て、この法案はどうなるんだということは、働く皆さんにとっては死活の問題だと言っても私は差し支えないのではないか。そういうことから、私も真剣にこの問題を質問していきたいと思います。    〔委員長退席、理事谷川寛三君着席〕  まず最初に、簡単にお答えいただきたい。  免許制から許可制に当たっては、需給調整を行わないということだけの違いで、今までと同じようなチェックということはなさっていくというわけでございますね。
  202. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 免許制から許可制移行いたしますが、この二つの制度の基本的な違いは、御指摘のように、需給調整原則的にはしないという点が基本的な違いでございます。繰り返し申し上げておりますように、事業者が適切な事業計画を有しておるか、あるいは適切な事業遂行能力を有しておるか、この点は従来どおり厳正にチェックをしていくことになっております。
  203. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうしますと、需給調整、それは関係ないということになりますと、大手は今までもやっていたけれども、もっと今度ここで事業を拡大したいという意欲を持ってやる場合があるだろうし、また力のある大きな企業は新たにトラック業界に進出するのも自由になる。私が心配するのは、そういう大手によって中小がつぶされる、つぶされないまでも系列化、下請化されていくという、その辺が一番心配なんですが、それについてどのように考えていらっしゃいますか。
  204. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 従来も三万八千という多数の事業者が存在しておる業界でございます。今後、免許制から許可制移行いたしますが、先ほど申し上げましたように、事業者計画あるいは能力は厳正に審査いたしますので、だれでもが入れるということには相ならないことは繰り返し申し上げるとおりでございます。  強力な事業者事業を拡大して中小事業者の淘汰が進むのではないか、こういう御心配でございますが、大手の事業者というのは主として路線を全国的に張っておる。他方、中小事業者はおおむね区域事業をやっておるわけでございまして、それぞれ独自の営業分野というのを持っております。大手業者が全国隅々まで区域トラックをやろうというようなことは意図しないと考えられますし、大手の新規トラック事業参入してくるかどうか、私どものこれまでの行政経験からいたしますと、既にトラック業界には多数の大手企業が存在しておりますが、大手の新規参入というのは最近ではほとんど見られないところでございまして、本法の施行によってこのような実態が大きく変わるというふうには私どもとしては考えておりません。
  205. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 では、具体的に伺っていきたいと思います。  例えば、ある路線、東京から大阪まで運ぶ、これを見た場合に緊急調整をするまでもない状況だ、しかし過当競争がどんどん進んで、そして相当需給関係が逼迫している、だけれども緊急調整するまでもないということであれば、入ってくるのはこれは自由だということになりますね。
  206. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 緊急調整の要件は法律に明定をしてございますので、これに該当しない場合には需給調整をしないということになります。したがって、緊急調整が発動されるかどうかという要件にかかってくるわけでございまして、その要件が満たされるまでは需給の調整はしないとい うことは御指摘のとおりであります。
  207. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういう非常に危機的な状態にある、緊急調整の一歩手前だということがあっても、そこでストップ、ノーというようなことはないんですね。あくまでも緊急調整するまでは自由に入れる、こういうことなんですね。
  208. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 第七条に規定されております要件を満たすような事態になっておらないというときには、需給調整はいたしません。
  209. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 先ほどいろいろおっしゃいましたけれども、大手の場合だったらいろいろ条件も備えているわけです。だから、事業計画全体ではこの企業は参入しても全く問題はない。そして、初めは確かに過当競争になって、もうからないかもしれない。しかし、そこは大手だからもうからなくても割り込んでいく。そして、その中で中小を淘汰するというねらいでもって入っていくということもあり得る。そこのところが私は大変心配なんですけれども、そういう心配もない、こうおっしゃいますか。
  210. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 需給調整をやりますのは緊急調整の要件が満たされた場合でございますが、新規参入に当たって適切な事業計画あるいは事業遂行能力を持っているかどうかのチェックをすることは何度も申し上げておるとおりであります。その中で事業収支の見通しが十分であるということも要件でございますから、著しく供給力が過剰になっておるときに、さらに参入してその事業の収支が本当に成り立つかどうか、この点はむしろ事業計画の問題としてチェックの対象になるわけであります。しかし、全体としての需給バランスということでありますと、これは第七条の要件に合致するときに初めて緊急調整措置が発動するということに相なります。
  211. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 では、その緊急調整の問題なんですけれども、ここで書かれていることは、特定の地域において「供給輸送力輸送需要量に対し著しく過剰となっている場合」、こういうふうに言われているわけなんです。私は、ずっと議事録を見ていて、そしてきょうもお伺いしていて、非常に言葉は出てくるんだけれども具体的にわからない。著しく過剰とか、それから過剰とか、そしてまたこれが正常というような、こういう判断をする場合に、そこには何か恣意的なものではなくて、科学的な客観的な判断の材料がなければ、正常なのか、過剰なのか、著しく過剰なのかという、それがはかれないと思うんです。そうすると、どうしても判断基準というものがなければならないと思うんです。その判断基準というものは具体的に何を指してなさいますのでしょうか、伺いたいと思います。
  212. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 緊急調整の発動要件は第七条に規定しておるところでございますが、それの具体的な発動に際して参考にすべきデータといたしましては、輸送実績報告書、あるいは自動車輸送統計報告書等から上がってまいります実車率実働率実働日車当たり輸送トン数、これらの数値を参考にして基本的な指標として運用を図っていくことを考えております。  なお、緊急調整発動につきましては、運輸大臣の諮問機関でございます運輸審議会に諮問することになっておりまして、この面からのチェックがありまして、客観的な判断により行われることになっております。
  213. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そこのところで問題なんだけれども輸送実績報告書だとか、それから実働率だとか実車率、そういうものは報告を受けてごらんになるわけですね。その具体的なデータがどの辺の数値になったら過剰で、どの辺になったら著しく過剰でと、もらったデータそのものをどういうふうに判断するかというところの基準、それが私はわからない。どういうものなんですか。
  214. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 先ほど申し上げた実車率とか実働率実働日車当たり輸送トン数等は、これはずっと過去にさかのぼって統計がございます。このような数値を見まして、どの辺がおおむね平常な値のゾーンであるかということを判断いたしまして、それから上下に突出するような場合というのは異常な事態というふうに一応判断をするわけでございます。  緊急調整措置の発動につきましてはいろいろな要件がございますので、これらを総合的に判断して、その発動を図るということに相なるわけでありますが、その際の基礎的なデータは今申し上げたようなものを過去の実績に照らして判断するということにいたします。
  215. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 なかなかまた、そこで過去の実績に照らして過去の何年くらいが平均だったと見るのか、その辺がまた問題ですよね。だから、ここでいろいろ寺嶋さん御苦労さまで一生懸命お答えいただいているけれども、客観的な具体的な物差しというのはこれだというのは私は出せていないと言わざるを得ないわけなんですね。それで、何ぼ言ってもいじめるだけのことになるから言いませんけれども、非常にあいまいもことしているという結論だけは出ていると思うんです。    〔理事谷川寛三君退席、委員長着席〕  そこで、参入に当たっていろいろとデータをとる、こうおっしゃっていますね。それは運輸省としては常時データをおとりになっていらっしゃるわけなんですか。常時おとりになるというのではこれは大変なことですね、全国にまたがる問題。そうすると、それを集約して、そしてこれを検討してという、その人的な体制というものはあるんでしょうか。お持ちでいらっしゃいますか。大丈夫とおっしゃいますか。
  216. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) ただいま申し上げましたような報告は、全国的にまとめて年一回まとまってまいります。これは従来とも定期的にこれをまとめておりまして、その点について御心配をいただく必要はございません。
  217. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 心配なくデータも体制もあってやるとおっしゃったことだけ確認したいと思います。  そこで、私が問題だと思いますのは、常時データをとっていらっしゃるわけですね。そして、動きがわかるわけですわ。そうしたら、過剰になって大変になってというところまで待つ必要はないのではないでしょうか。緊急時まで待たないで、ずっと常時とっている調査表を見て、これは危ないなというときに、緊急措置をする前に、当然業者を守り労働者を守るということが必要なのではないか。過剰になるまで見ておればいいわというようなことで、ある日ぱっとやるという、その辺のところが私は心配なんです。その辺どうお考えになりますか、常時とっていらっしゃるんだから。
  218. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 緊急調整措置輸送力の増加を公権力によって抑制をするという法律効果を伴いますので、その発動というのは厳密にやらなければならないと思っております。ただ、この要件は、著しく過剰になったということと、それを前提としてそれよりもさらに輸送力がふえた場合にはその地域事業の継続が困難になるであろう、そういう場合にやるということでございますから、今先生がおっしゃっているように、ある程度先を見て今よりももっとふえたらさらに問題になるだろうという時点でやるという要素もあるわけでございます。
  219. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 先ほどからのお答えで、現在の場合は需給バランスはまあまあとれている、だから自由に参入させてもいいというふうに受けとれました。確かに、バランスとれているとおっしゃるかもしれない。しかし、供給側のトラック業界の現状というのは、冒頭申し上げましたとおり、長時間労働であり、過労であり、過積みであり、交通事故が起きるという過重な負担がそこにかけられているということを抜きにしてバランスがとれているということは言えない、私はそう思うわけなんですね。大臣もしばしばおっしゃいました九九・五%を占める中小業者、これらの者を切り捨てるのではなくて、これらをしっかり育成させていく。中小業者トラック運転手が法律や通達をせめて守って、ほかの産業労働者並みの生活が送れるような、そんな状態をつくり出す。そのための運賃保証、需給調整を図り業界指導してい くということが行政の立場に立って一番大事なことだと思うのでございますが、いかがお考えでしょうか。
  220. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 先ほどから局長が極めて学問的な説明をしますから大変わかりにくい面もあったと思いますけれども、私はそういう異常な問題が起こるというときは、路線トラック業者がやっぱり一番多いのじゃないかと思うんです。五台、十台持って、しっかり荷主を持っておる中小のところは余り影響はないが、大きな路線トラックが資力に物を言わせて競争をする、そのあおりを食って中小企業影響を受けるということはあり得ると思いますが、そういうときにはそれは届け出運賃が第一守れない状態になります。あるいはまた運転者は遊んでおる、車も遊んでおる、それから荷物もないというようなことがだんだんわかってくるんですから、そういうときにはこれは言うまでもなく新規参入はやめる、あるいはまた増車もやめさせるというのは当たり前のことでありまして、ただ規制緩和しますから何でもかんでも自由化をさせますということではないので、その点はひとつ御心配ないようにお願いをしたい。これは運用の面で十分考慮してまいります。  それから中小企業の問題は、他の皆さんからもしばしば御指摘のあることでありますから、これからもそうした御指摘を十分私どもは体して、いやしくも大部分を占める中小企業者がこの運送業界からはじき出されることがないように、四十年ぶりに法律改正をやったといった途端に中小企業が不利を見たというようなことがないよう今後政省令の施行に当たって十分注意してまいる所存であります。
  221. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 さらに、緊急調整を発動する場合、地域事業者の「全部又は大部分が含まれるものの相当部分について事業の継続が困難」と認めるとき、こうなっております。衆議院の答弁では、おおむね三分の一ないし二分の一の事業者が困難になったとき、こうお答えになっていらっしゃいますけれども、その「事業の継続が困難」というのはどういう状態を想定していらっしゃるのでしょうか。具体的に言いますと、倒産とか、不渡りを出したとか、欠損だとか、そういうものを考えていらっしゃるのでしょうか。
  222. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 事業の継続が困難な状態という場合でございますが、事業の休廃止というのはもとよりでございますが、トラック事業につきましての欠損金の発生あるいは銀行取引の停止など倒産あるいはそれに準ずるような経営状況に陥ることも含むと考えております。そのような事業者が近い将来において当該地域の全体の事業者のうちの三分の一から二分の一程度になった場合には、これは相当部分について事業の継続が困難となるというふうに認定をすると考えております。
  223. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 倒産とか、不渡りを出したとか、欠損だとか簡単に言われるけれども、その業者にとっては死活の問題ですよね。そういうのが三分の一ないし二分の一になるまで緊急調整というのはやらない。みすみす倒れるのが二分の一になるまで出さない。何と冷酷な法律の中身だなということが私のずっと言っていた心配の種なんです。そういうことにならないように何とかしていただきたいというのが私のお願いの趣旨でございます。  時間が大変なくなりましたので、運賃問題に入らせていただきたいと思います。  この運賃問題は、労働者にとってまさに生命線というような重要な問題、これが届け出制、こうなるわけです。そして、各企業ごとに適正な原価、適正な利潤などに基づいて届け出る、こういうことになりますね、今度の法改正で。そうすると、たくさん出てきますね。どれだけ出てくるか。ひどい場合を考えたら三万八千出てくるのじゃないか、こういうふうになってくるわけです。その中で、運賃、料金というものは、届け出によってばらばらになってきますね。認可運賃というものがない。ばらばらになってくるということになるわけなんです。そういうばらばらになってきた運賃がどれくらいのものは適正な原価だ、そしてこれは不当な競争になるとかという、そこのところの区別でございますね。だから、大手の適正な原価、適正な利潤というのと、中小零細企業の適正な原価と適正な利潤というのは、これは結果的に差が出てくると言わざるを得ないですね。そうすると、この差がどれくらいついたら不当な競争だというふうにごらんになるのか。
  224. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 届け出られた運賃が法律の第十一条第二項の基準に照らして適正なものであるかどうか、もし適正でないとすれば運賃変更命令をかけるわけでございますが、そのときの判断基準としましては、具体的な指標として、地域におきます適正な原価などを基礎にしまして、事業者がわかるように通達で公表するなどの措置を講ずることを考えております。理論的にはおっしゃるとおり三万八千違う運賃の届け出が出ることもあり得るわけでございますが、実際に事業者がどんな運賃を届け出たら変更命令なんかをかけられなくて済むかということを事前に知りたいであろうというふうに思われます。  そこで、運賃というのは基本的に適正な原価に適正な利潤を加えたものになるわけでございますから、行政当局届け出運賃制のもとでは、あらかじめこれなら届け出が受理されますよというような形で運賃そのものを公表することはいたしませんけれども、その基礎となります適正原価等のデータにつきましては、例えば最近においては燃料費はこの程度上がっておるとか、労働コストはこれぐらい上がっておるとかというような基礎的なデータについて統計を整理いたしまして事業者判断できるような仕組みにしたい、そのような公表の制度を設けたいというふうに思っております。
  225. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 三万八千は出てこないだろうと思うけれども、それぞれがばらばらっと出てきた、これが適正であるかどうかというのは今おっしゃったようないろいろなものから判断する、こうおっしゃるわけですよね。そうすると、これは大変な作業ですよ。それだけの体制があるのか。そして、規制緩和簡素化すると言いながら、今までしなくてもいいようなことをもっともっと仕事たくさんにしちゃうのじゃないかという一つの矛盾点があるのではないか。そういうことができるという体制があるのですかということ。  それから、届け出というのはいつでもできるんですか。年に一回とか何回というのじゃなくて、いつでもできる。いつでもできれば、きょう届けを出しました、そしてきょうからこの届け出の運賃でやりますといって出しますね。だけど、よく調べてみたらそれは適正ではなかったという、調べた後の結果が出てくるということも考えられますよね。そうすると、何ぼでも自由に届け出て、そしてすぐにその運賃でやってもいいということになるのかというのが二つ目です。  それから、罰則というのがあるけれども届け出運賃が例えば五千円だ、だけど、その五千円から五百円高いとき、また五百円低かったときに罰則になるのか。その辺は具体的に、届け出運賃をどうしたときに罰則になるのかというのを伺いたいと思います。時間がなくなったから、簡潔に要点をお答えください。
  226. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 行政体制の問題でございますが、先ほど申し上げたような、あらかじめ事業者に対するガイダンスになるようなデータを公表するということによりまして、不必要に一々変更命令をかけるような手間を省けるというふうに思っております。もちろん、基準に照らしておかしな運賃が届け出られた場合には変更命令をかけることにやぶさかでないわけでございます。  それから、届け出はいつしてもいいかということでございますが、これはいつでもいいわけでありまして、年に一回というような制約はございません。ただし、これは適用する前に、あらかじめ事前に届け出る必要がございます。具体的には、一カ月ないし三カ月ぐらいのリードタイム、事前の届け出を要求するということを考えておりま す。
  227. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうすると、やっぱり何カ月か前に届け出する。そして、おたくの方で、これでいいだろうと言ったらそのまま、だめだったらだめ。そうなると、認可とどういうふうに違うのか。同じことになるのじゃないかなという疑問が残りました。  それで、あと二分しかないんですよね。だから、その辺のところはまたこの次の時間で詰めたいと思いますけれども、具体的にもう一つ伺いたいと思うんです。  神奈川大学の中田教授がお書きになっていらっしゃるんですけれども、「物流プランナー」の八九年一月号にお書きになっていらっしゃる具体的な事実なんです。つまり、届け出料金制になって、名前は出しません、ある非常に大きな運輸が宅急便の料金を最小、小型のサイズにして一個二百円、こういうふうにした。ところが、こうなると他の宅急便をやっている会社は、こんな安くされたらたまりません、とてもそんな料金ではできませんと、やっていけないから。しかし、その大手の会社の場合は年に三億個以上も扱うようになっているので、販売費だって、マスコミ費だって、輸送費だって一個当たりの配分は小さくできます。だから二百円でいいんです。もしコスト・プラスが正しい料金の決め方だと言うなら、この料金を不当だと言えないのではないでしょうか。こういうふうに書かれているわけですよね。  だから、それぞれ適正な原価と適正な利潤といっても、大きな企業は何ぼでも安くコストを抑えることができるということができてきます。そこで、中小のところはそんな安い原価じゃないよというので差が出てくるわけですよね。これは否めないと思うんですよ。こういうものが出たときに、ここが問題なんだけれども、あなたの大きい会社はそんなに安くしたら困ります、もうちょっと高くしなさい、こういう指導をするとしたらこれは市場の競争原理に反するし、また中小のことを考えたら、もうちょっと高くしなさいというようなことを言っても、その大手が、そうおっしゃいましてもうちの方はこれでちゃんと適正な原価で適正な利潤が入っているんです、そんな高くしてもうけさせていただかなくても結構です、こういう具体的な問題になったときに一体どういうことになるんだと。だから、非常に大きな差が出てくるわけです。  そして、さっきの届け出の場合、認可料金の場合には上限、下限二〇%の幅がありましたよね。今度はその届け出の運賃に幅というものを見られるのかどうか。見るとすると、この二〇%で大きいところと中小との差がうんと開くだろう。そして、今具体的に例を挙げたように、うちはこれでできるんです、そんなにもうけさせていただかなくてもいいですと言ったときに、これはどういうふうな処置をとられて、そして自由な競争に持っていこうとされるのか。具体的になると非常に難しい問題だと思う。その辺わかりやすくお答えいただきたいと思います。
  228. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 最初に挙げられました宅配便の非常に安い運賃の例でございますが、これは競争相手をつぶすために意図的に低く下げて競争を挑む、相手が撤退したらもとに戻すというような、いわば独禁法上では略奪的な運賃あるいは料金と言われておりますが、このようなケースは、当然、法第十一条第二項第三号、つまり「他の一般貨物自動車運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき。」に当たると思います。先ほど挙げられたような例では、事業者は到底このサービスについてコストが賄えておるという説明はつかないと思いますので、これは運賃変更命令の対象になろうかと思います。  それから届け出制のもとで幅運賃がどうなるかということでございますが、従来、上下それぞれ一〇%の幅を許容しておりまして、一定の弾力性を与えておったわけでございますが、新法施行後も基本的にはこの考え方を引き継いでいこうと思っております。届け出運賃に上下一〇%の幅がついておるということは、特に否定されるべきやり方ではないと思っております。
  229. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それから最後の、具体的に大手がこれでいいです、そんなに上げていただかなくても結構です、安い適正な原価で適正な利潤になったときに、上げて中小と競争するように上げなさいと言うのか、その辺のところをどういうふうに指導なさいますか。
  230. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 第十一条第二項第三号に該当するような「不当な競争を引き起こすおそれがあるもの」でありますと運賃変更命令を発しますので、これは引き上げの方向で変更を命ずることになります。
  231. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 不当になるわけね、そういう安くしちゃうと。
  232. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 不当の判断として、適正な原価及び利潤を償うものであるかどうかという判断をするわけでございますが、そこでそのようなコストあるいは適正利潤を償っておらないと判断すればこれは運賃変更命令の対象になるわけであります。
  233. 粟森喬

    粟森喬君 まず、少しお聞きをしたいと思うんですが、貨物運送取扱事業法の資料をいただきまして、この法律を読んでますますわからなくなったわけでありますが、「目的」のところに、利用者の利益保護のためにこの法律をつくったという趣旨が書いてございます。しかし、実態として私どもが常識的に承知をしているのは、貨物運送取扱事業法も、もう一つの法律も、いわゆる現行の法体系では取り締まれないといいますか、法の適用をすることが不可能だ、規制緩和をすることによって例えば白タクと言われるものも実態として認めていこうという、そういう常識論が支配的に私どもにはあります。  そうでないとすればどうなのかという意味も含めてお聞きをしたいんですが、一つは、現行の貨物の取り扱いで利用者が、ここに書いてあるように、需要の高度化及び利益の保護とか利便の増進を真の意味で追求するような現状に今あるのかというと、むしろ今の状況というのは業者の過当な競争が結果として利用者にとってはいい結果を生んでいる。これは別の意味で、そのことがそこに働く従事者、運転手、労働者に逆の作用を与えていることはこれは事実としてあるわけですが、この法律の「目的」に書いてあるような客観的な必然性というのは本来的にあると承知なのかどうか、そこをもう一度確かめておきたいと存じます。
  234. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 貨物運送取扱事業法の目的でございますが、第一条にございますように、「取扱事業の運営を適正かつ合理的なもの」にする、それによりまして「取扱事業の健全な発達を図る」というのが明確に一本の柱として立っております。これに並んで、「貨物の流通の分野における利用者の需要の高度化及び多様化に対応した貨物の運送サービスの円滑な提供を確保し、もって利用者の利益の保護及びその利便の増進に寄与する」という二本柱になっておりますから、一方的に利用者利便のために奉仕する法律であるということではなくて、事業の健全な発達と利用者の利便ということが両々相まってこの法律の目的を達成するということに相なります。
  235. 粟森喬

    粟森喬君 二面性があるということを今言われましたから、そこははっきりさせてほしいと思うんですが、利用者の利便性というよりも、むしろ今の前段の「貨物運送取扱事業の運営を適正かつ合理」化をすることというか、この前段に優先的な意義があるというふうにこの法律を理解してよろしいかどうか、このことをお尋ねしたいと思うんです。
  236. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 先ほどもお答え申し上げましたように、この二つの柱というのは対等な立場にありまして、どちらかが優先するというものではなく、事業の健全な発達なくしては利用者の利便もないわけでございますから、事業の健全な発達を図るとともに運送サービスの円滑な提供を確保する、これが平等な地位を与えられた二つの目的であるというふうに考えております。
  237. 粟森喬

    粟森喬君 そうすると、もう一遍ここは確認しておきたいと思いますが、貨物運送業者の立場を擁護することは結果的に利用者の立場を擁護することと同意義だ、全く同じである。お互いの関係が、どちらかが前に出ればどちらかが損するという関係ではなく、両方とも前進のためにやった、こういうふうに言い切るということは、それでよろしいわけですね。
  238. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) そのとおりに御理解いただいて結構でございます。
  239. 粟森喬

    粟森喬君 その上で、若干幾つかのことについてお尋ねします。  現行の幾つかの法律がある中でも、この業界の問題で一番大きな問題なのは、労働者におけるさまざまな、そこに働く従業員、労働者、運転手に対して、再三にわたって何人かの委員質問をしているんですが、現行でさえちゃんと取り締まれないものが規制緩和をする条件の中でなぜそのことが取り締まれるようになるのかということが、この法律二本とも読んでおるんですが、どう考えてもそういうところがきっちり出てこない。特に、一つの問題で申し上げますと、例えば適正化事業実施機関をつくるということが書いてあります。今でさえ取り締まりが十分でないものが、そういう機関をつくって、例えば一つの例で申し上げます。さっきから運賃の問題も出ていますから、その問題とも具体的に考えてみたらいいと思いますが、Aの会社に対抗しようと思ってBの会社はその会社の料金より必ず何割引く、五%なら五%必ず引く、こういう条件で商取引を始めたとします。これは明らかに違法行為ですね。
  240. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) ただいまの五%引いたら直ちに違法になるかどうか、これはそのように機械的な判断があるわけではなくて、今のがトラックでありますか取扱事業でありますかわかりませんが、いずれにしても届け出運賃になるわけでありますが、それが適正なものであるかどうかはそれぞれの法律基準に従って判断するわけでありまして、他の事業者から五%引けば直ちに不当な運賃であるという断定を下すわけではございません。
  241. 粟森喬

    粟森喬君 わかりました。  そうだとすれば、なおさらかなりはっきりするわけですが、届け出の料金は届け出の料金であるけれども、ある意味では自由な料金制度みたいになってしまう一面性があるわけですね。おまえのところよりこっちの方が安いから、これで安いところへ出すぞと言えば、一定の勧告権があっても安くなっていくという、競争が激化すればするほど安くなるという法則が一方で働きますから、そのときに例えば安く仕事をもらった事業者も、出した荷受け人も、そのことは自分たちにとっては得だと思ったら絶対第三者に言わないですね。それを適正な機関が、例えばこの両法の場合でも、事業が実施されているかどうかを管理監督するというのは果たして現実的にでき得るというふうにお考えなのかどうか、その辺のところについてお尋ねをしたいと思います。
  242. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 現在の運賃制度認可運賃制度でありまして、これの適正な収受を、行政側監査あるいは現在のトラック協会におきます輸送秩序改善指導員の活動によりまして、確保するように努力をしておるところでございますが、新しい法律の、これはトラック法の場合でございますが、御指摘のような適正化事業実施機関を設けまして、従来にも増して法的な地位を明確に与えられた機関が日常的に公正な競争の確保のためにダンピング運賃の防止の活動をするということになりますので、従来よりもこの面においてはさらに充実した制度になるというふうに考えております。
  243. 粟森喬

    粟森喬君 規制緩和がされて、より適正なといいますか、今いわゆるダンピングされることによって何が起きるかというと、労働条件なんというのは全然守られていないという、こういうような実態も生まれています。それに対して、今の法律規制緩和を前提にしたときに、果たしてそれでいわゆる労働条件など基本的なことがこれまで以上によくなるということは私がこの法律を読む限りでは到底考えられません。特に、私の方からも実態を申し上げますが、今いろんな産業別、業種別形態があるわけですが、最もその業種の中で労働時間の長い一つにこのトラック業界があるという現状については承知をしていますか、どうですか。
  244. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) トラック業界におきます労働時間が他の産業に比べて極めて長いということは、労働省からの御説明にもあったとおりでございまして、運輸省としても同様の認識を持っております。
  245. 粟森喬

    粟森喬君 そういう現状にあって、先ほどの答弁の中にこの法律によって時間短縮ができる、そして魅力ある職場ができるというふうに強調されたわけですが、それは法律の根拠で言えばどの部分を指してそういう根拠とされているのか、もう一度お尋ねしたいと思います。
  246. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 今回の法律では経済的な面での規制緩和というのをやっておるわけですが、それとあわせて、るる御説明申し上げておりますように、安全関係あるいは過労運転、過積の防止、こういったところの規定をより一層強化しておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、二十一条で運行管理者に試験制度を導入いたしております。それから、前後いたして申しわけございませんが、十七条で輸送の安全について法律上はっきりと、一項は過労運転、二項は過積の防止、三項はその他省令で定める事項でございますが、法律できちんと規定をしておるわけでございます。  それから、それに違反した場合の措置といたしまして、これも法律の二十三条で輸送の安全確保の命令というのをかける。これに従わない場合には、三十三条で車両の使用の停止、事業の停止、あるいは場合によっては許可の取り消しというような行為をするということでございます。  それからもう一つは、三十八条にございますけれども、従来トラック協会が自主的にやっておりましたいわゆる秩序確立行為、これを国がオーソライズし、バックアップをする。それによって、本来、事業者が自分たちでやるべき秩序の維持というのがより一層軌道に乗るようにするというような措置も講じておるわけでございまして、そういう全体を見て私どもはこれによって今回そういう今御心配の点についての改善が進むものというふうに考えておるわけでございます。
  247. 粟森喬

    粟森喬君 今の説明に関連してお聞きをしたいんですが、特にこの種のことがちゃんと守られるかどうかというのは、罰則規定などがどの程度現実に執行されるかということがあると思います。現行の法律の中にもさまざまな罰則規定がありますが、ほとんどそれが実行というか執行されていない。その実行の比率について運輸省当局と例えば私の間に見解の差があるのかもしれませんが、少なくとも今の法律の範囲でも取り締まりが非常に緩い。  一つの例で、それが違法なのか適法なのかということの意見があるのかと思いますが、先日のこの委員会でも佐川急便の例が一つは取りざたされました。今日、規制緩和をするということと、その罰則規定をつくっても、それが現実に執行されなかったら何となく、こんな法律もこんな法律もあって、それは必ずやります、だから大丈夫ですということですね。現実に執行する側が本当にそのことについてどういう決意と裏づけを持っておられるのか、解明をしていただきたい、こういうふうに思います。
  248. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 罰則は、法定の要件を満たしておる場合には当然きちんと告発をし、処罰するものは処罰しなければならないと思っておりますし、そういうつもりでやるわけでございますが、先生御指摘の抑止効果ということになりますと、罰則以外に車両の使用停止であるとか、事業の停止であるとか、許可の停止であるとか、こういう行政処分はその仕事そのものができなくなるということでございますので、これは大変抑止効果が高いものでございます。これにつきまして は、運輸省独自の判断で機動的に対応できますので、これをフルに使って対応してまいりたいと思っております。
  249. 粟森喬

    粟森喬君 再確認いたしますが、ということは、二つの法律規制緩和するけれども行政処分は従来にも増してどしどしやっていく、そういう決意だということで理解してよろしいですか。今までのやり方は、私の感じで言うと少し経営者といいますか、業界に対して緩過ぎるというのが私の印象でございます。
  250. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 今まで緩過ぎるという御指摘は非常に残念なことでございまして、今までも監査なり処分は厳正にやってまいったつもりでございます。
  251. 粟森喬

    粟森喬君 今までと一緒ではだめだよ。
  252. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 今後とも、さらに一生懸命、従来以上に頑張ってやってまいりたいと思います。
  253. 粟森喬

    粟森喬君 今の答弁、大変申しわけないんですが、従来も厳正にやっていた、今後とも厳正にやるといったら、現状と変わらないということでしょう。私の言っているのは、現状では少し業界に対して甘過ぎるのではないか、こういう立場で指摘しているわけです。そういうことを受けて従来以上に厳しくやっていくという見解なのかどうか、もう一度お尋ねします。
  254. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 四十年ぶりの改正というのは、時代の要請にこたえるように業界もひとつ近代的な輸送機関として育ってもらい、同時にまた世の信頼も最終的には受けてもらうための改正をお願いしておるわけでありますから、本法が施行される段階において御指摘のような事実があるとするならば、それは捨てておくことのできないことでございますので、厳正に対処をしてまいります。
  255. 粟森喬

    粟森喬君 今のお言葉は、従来以上に厳しくやるというふうに私なりに理解をさせていただきます。  次に、若干、港湾事業との関係について私の方から御質問申し上げたい、こういうふうに思います。  今回の貨物運送取扱事業法の中に、私の理解としても、港湾運送事業は除外されているというふうに理解していますが、そのとおりですか、どうですか。
  256. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 今回の貨物運送取扱事業法の対象として港湾運送事業は除外をされております。  法文上第二条に定義がございますが、その第二条第一項では、「この法律において「実運送」とは、船舶運航事業者、航空運送事業者、鉄道運送事業者又は貨物自動車運送事業者(以下「実運送事業者」という。)の行う貨物の運送をいい、「利用運送」とは、運送事業者の行う運送(実運送に係るものに限る。)を利用してする貨物の運送をいう。」。  大変わかりにくい表現で申しわけございませんが、平たく申しますと、ここの定義としては、実運送というのは船舶、航空、鉄道、自動車を使って実際に運送をする事業者、これが実運送事業者であります。その実運送事業者の提供する運送を使って利用して貨物を運送する者、つまり人の実運送を使ってみずからが顧客から引き受けた貨物を運ばせる、こういう事業をするのを利用運送事業というわけですが、その場合に「運送事業者の行う運送(実運送に係るものに限る。)」と、こう明定してございますから、実運送というのは先ほど申し上げた四つの輸送機関、船舶、航空、鉄道、貨物自動車に限られておりますので、港湾運送事業というのは、運送という名前は確かについておりますけれども、この実運送には含まれない。したがいまして、実運送に含まれないものを利用する行為はこの法律の適用の対象にはならないということが第二条第一項に明確にあらわれているわけでございます。  なお、取り次ぎの方にも明確な規定がございまして、第二条の十項でございますが、この場合には港湾運送事業とのオーバーラップ、重複が一見あり得るような書き方が本則でなされておりますので、括弧書きで、港湾運送事業法に言う「港湾運送事業に相当する事業経営する事業を除く。」という明確な除外規定がございます。したがって、利用運送からも取次事業からも港湾運送は外されておるということが極めて明確でございます。
  257. 粟森喬

    粟森喬君 それで結構でございますが、港湾事業を除いたというのは、今いろんな法律体系を整備しようとしているときにこれだけ除いたときの理由があると思います。  それは、私が一般的に承知しているのも、港湾事業には零細が多いというか、そのさまざまな事情も相当勘案をして、いわゆるさまざまな保護的な部分を含めてこの部分については全体の緩和とは別の扱いをしたという認識におるわけですが、それはそんなに違わないですか。
  258. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 先ほど申し上げたように、この取扱事業法の適用対象としては港湾運送を除外しております。なぜそうしたかということでございますが、一つには、港湾運送といいますのは、運送といいますけれども港湾という極めて限られた場所において行われるものでございまして、ある距離を輸送するという、他の先ほど実運送に定義されておりますような四つの輸送機関とはその態様が著しく異なっております。  また、これを規制します事業法規、港湾運送事業法がございますが、この法律は他の運送事業法規とは相当に違った異質の性格を持っておりまして、非常に詳細な定義を設けて事業の種類を細かく区分けし、それぞれの事業分野が侵されないようにしており、また下請の制限規定がありまして、全部下請事業者に作業を落とすというようなことができない、自分で何らかの基盤を持っていなければならないというような、他の事業法規に見ない特殊な規制を持っておるわけでございます。  また、事業参入については免許制、料金につきましては認可制という、事業法規の中では最も厳しいタイプの規制を加えておるわけでございまして、これと今回の取扱事業法との関係におきましては、これを適用しますと、その間の関係がいろいろふぐあいな点が出てくるのではないかという心配から、むしろ港湾運送事業についてはこの対象にしないということで外しておるわけでございます。  したがいまして、港湾運送事業については港湾運送事業法のみが適用事業法規でございまして、港湾における運送事業はすべてこの港湾運送事業法によって律せられるということになります。
  259. 粟森喬

    粟森喬君 今の答弁で大体わかったわけでございますが、特に港湾事業というのはその置かれた地域条件、例えば背景となるところが工業地で大きいとか小さいとか、産業構造の変化でかなり変わってきておるわけです。やっぱりそういう保護的な法律というのは必要だと思いますが、今の法律規制緩和を一方でやるとどうも実態として合わなくなるということなどが出てきて、結果的にそれを、何年というふうに言えませんが、将来ともこの現行の、片方は規制緩和しても、ここの部分は残していくという考え方は続けられるつもりですか。改正に踏み込むつもりなのか。その辺をお尋ねしたいと思います。
  260. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 御質問は、港湾運送事業法に基づく現在の規制を将来的にも変えるつもりがないかどうか、こういう御質問かと思いますが、先ほど申し上げた事業免許制あるいは料金の認可制、このような事業規制の根幹にかかわります部分についてこれを変更するつもりはございません。行政簡素化というような面からの改正があるかないかはこれは将来の問題でございますが、事業規制の根幹を変える意図は持っておりません。
  261. 粟森喬

    粟森喬君 その上で少し、法律事項ではないと思いますが、細かいことですが、ちょっとお聞きをしておきたいと思います。  最近、コンテナ輸送というのが一つのはやりでございます。船を使ってやる方法には、一つは自 動車を丸ごと載っける場合とコンテナと両方がございますが、コンテナの積み出し作業というのはこれはいわゆる港湾労働者の職域といいますか、区分に該当するというふうに思いますが、いかがなものでしょうか。
  262. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) コンテナに貨物を詰めたり出したりする行為、これが港頭地区で行われる場合はこれは港湾運送事業の荷役に該当いたしますので、港湾運送事業の職域であり業域になるということになると思います。
  263. 粟森喬

    粟森喬君 今港頭地区と言われましたが、港頭地区以外というふうに想定できるケースはどんな場合を指しているのか、そこをお尋ねしたいと思います。
  264. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 港頭地区以外でも内陸でメーカーが自分の工場なり倉庫で直接バン詰めあるいはバン出しをする場合というのがございますし、それ以外にもあるいは内陸のデポその他でバン詰め、バン出しが行われる場合というのはあり得ることであります。
  265. 粟森喬

    粟森喬君 それが船と港湾につながった場合に、そういう今後半に言われた部分は先ほど一番最初に申し上げた港湾労働者の職域とは違う、こういう見解でこれから通達をされるわけですか。
  266. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 今申し上げました内陸のバン詰め、バン出し行為というのは、そもそも法律によって港湾運送事業の対象になるというものではございません。したがいまして、法律上それがいわゆる港湾運送事業の業域、職域に属するということは言えないと思います。しかし、それを港湾運送事業が直接手がける、あるいは港湾労働者の方が手がけること自体を禁止する規定もございません。現に、内陸のそういうバン詰め、バン出し行為について、港湾運送事業者が内陸まで進出をしてやっておるというケースもあるわけでございまして、それは港湾運送事業者がどういう気持ちで仕事に取り組むか、荷主がそれをどう選択するかということにかかってくると思います。
  267. 粟森喬

    粟森喬君 今の部分が微妙で、これからの特に非常に重要な意味を持つと思うのは、港湾事業者側がその領域で一定の料金を取ろうとする。それ以外の業者がそれよりちょっと安目の料金でやろうとする。そうすると、当然こっちの方の仕事の比重がふえて、結局港湾事業者の側の利益がそのことによってマイナスになる。そうしますと、港湾事業法を今回残した意味そのものもなくなるのではないかという懸念がございます。そのことについて、政府の見解を明らかにしてほしいと思います。
  268. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 港頭地区外でバン詰め、バン出しをやるときに、それをだれにお願いをするか、港湾運送事業者にお願いをするのか、それともそれ以外の方にお願いをするのかというのは、基本的にはやはり荷主である工場なりメーカーなり、そういう方の選択にかかるものだと思います。したがいまして、それにこたえられるようないいサービスを提供するということが大事でありまして、港湾運送事業も、港頭地区に限らず、そういうところまで出ていいサービスを提供して、そういう荷物をとっていくということがこれから大事だと思います。  そのことと港湾運送事業法の問題とは別でございまして、港湾運送事業法がある限り、港頭地区でやるバン詰め、バン出しは港湾運送事業の領域でございまして、これはほかの人が免許を取らずにやれるものではございません。
  269. 粟森喬

    粟森喬君 いいサービスというふうに一般的に言われますと、何となくよくわからなくなることがあるんですが、私はやっぱり料金問題というのは重要にかかわってくると思います。荷主の側から見ると値段が安いことをいいサービスというふうに一般的に言う場合がございますから、料金の適正化指導の中では港湾労働者の不利益にならないようにひとつお願いをしたい、こういう意味でこの部分は私の発言をきょうの段階はとどめさせていただきたいと思います。  最後に、時間もございませんので、一つだけ大臣にお聞きをしたいんです。  先ほどの答弁にも若干あったんですが、先日の運輸委員会でも申し上げたんですが、今度規制緩和をして全体にトラックの適度な競争が始まる、こういう表現をすればいいのかどうかということはあるかと思いますが、私は今、日本の国の輸送手段を見ていたら、鉄道における輸送というのは、いわゆる日本国有鉄道の最終的な段階におけるできるだけ赤字にならないというやり方が結果的に貨物輸送を絶対量として減らしてしまったと思います。それを回復するためのさまざまな新たなサービスも今やっているようでございますが、将来この部分の増加のために運輸省としての積極策、鉄道輸送網を通じて貨物をふやすということについてこの法律の制定以降、新たな努力をされるつもりがあるかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  270. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 私は、JR各社の経営が安定するということは、非常に大事なことだと思っております。特に、私どもの九州あたりを一つ考えてみますと、JR各社は前途洋々かといいますと、これからは空路がどんどん開けていく、それから高速道路がどんどんできていく、そういう中に、限られた人口の中で限られた貨物を運ぶということになると、やはりJRというのは旅客だけではやっていけない時代が必ずやってくる。そういうときに、幸いにして東京、大阪というところに市場を求めてもろもろの物資交流があるわけですから、そういう長距離の輸送というものに対してこれからJRが創意工夫して荷主の需要に応じるような、そういう大きな役割を果たしていくことが非常に大事だと、今その努力をしておると私は思うんです。  統計のとり方によっても違うでしょうが、ひどいときには営業経費が八千億かかるというときに二千億の収入にまで落ち込んでおったのがJRでありますから、それが今必死の努力をしてようやく持ち直してきたということを眺めてみると、私どももこういう業法改正の機会に、長距離輸送については高速道路だけではいけませんから、やはりJRの役割というのをこれからはきっちり決めて、そのための援助をしていく必要があるであろう、こう考えております。
  271. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 与えられた時間が短いので、私は貨物自動車運送事業法を中心に質問させていただきたいと思います。  まず最初に、トラック輸送事業の現状について簡単に整理をさせていただきたいと思うんですが、今回の物流二法を提出された背景につきましてはこれまでもるる説明されておるところであります。しかし、事業を行う者が実際にいろんな改革をやるというときは、平時というよりはむしろせっぱ詰まったときとか、あるいは先の見通しが明るい、そういうときに行うのが常だと思いますが、これから先のトラック輸送事業にかかわる需給見通しについてどのようにごらんになっておるのか、伺いたいと思います。
  272. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 今後のトラック輸送の見通しでございますが、最近のデータとしましては、六十二年度トンキロベースで国内貨物輸送シェアの五〇・二%、トンベースで九〇・二%を占める基幹的な輸送手段であることは御説明しておるとおりでございますが、今後の見通しといたしまして、物流ニーズが小口化、多頻度化あるいはジャスト・イン・タイム化というような傾向がありますから、トラック輸送がその輸送特性を発揮しやすい分野がますます拡大していくと考えられます。  最も最近に立てられました公式の見通しといたしましては、昭和六十二年六月に策定されましたいわゆる四全総、第四次全国総合開発計画におきまして、平成十二年度、これは換算してでございますが、平成十二年度におけるトラック輸送量の予測として、昭和六十年度に比較しましてトンキロベースで五五%の伸び、トンベースで二九%の伸びを見通しておるところでございます。
  273. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 需要がこの先も伸びるというのは働く者にとっても大変希望の持てる職場ということが言えるのが一般だと思うんですが、残念なが ら昨今は人手不足ということが伝えられているわけであります。人手不足というからにはそれなりの背景があると思いますので、まずその要因と思われる労働条件についてお伺いしたいと思います。  総労働時間が長いにもかかわらず賃金が比較的安い、低い、そして休日も休めないというようなことを言われているんですが、実態はどうなっているのか、数字並びに見解をお聞きしたいと思います。できれば外国の同種事業に比べてどうなのか、そういったこともあわせてお答えいただきたい。
  274. 石川透

    説明員(石川透君) まず、労働時間の実態について御説明させていただきます。  労働省の毎月勤労統計調査によりますと、道路貨物運送業の年間総実労働時間は昭和六十三年におきまして二千六百八十七時間というふうになっております。産業全体で、産業計で二千百十一時間でございますので、労働時間の点では相当に長いというふうな現状にございます。  それから欧米諸国との比較につきましては、統計の制約等により厳密な比較は困難でございますけれども、総じて運輸業におきます労働時間は全産業に比べまして長目になっております。  それから次に、賃金についてでございますけれども労働省の賃金構造基本統計調査によりますと、昭和六十三年におきますトラック運転者、営業用大型貨物自動車運転者、男子でございますが、その月間所定内給与は二十四万八千五百円というふうになっておりまして、全産業男子労働者の給与二十六万四千四百円よりやや低くなっているところでございます。  なお、残業手当を含めました、決まって支給する現金給与総額につきましては、所定外労働時間が長いという事情もございまして、三十一万二千八百円で全産業男子の二十九万六千百円に比べまして若干高くなっているところでございます。  それから欧米諸国のトラック関係労働者の賃金についてでございますが、これも調査の対象がいろいろ異なりまして厳密な比較はできないところでございますけれども、時間当たりの賃金で見ますと、アメリカの貨物自動車運送業の賃金は十一・四五ドル、一時間当たりでございます。全産業の場合は九・六三ドルというふうになっております。アメリカの場合には若干高目になっていると思います。  それからイギリスの場合でございますが、イギリスの重量物運転手、三トン以上の車両の運転手でございますけれども、その賃金は四・一六五ポンドとなっております。全職業の賃金は五・七三六ポンドでございますので、イギリスの場合には若干低目になっているところでございます。
  275. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 休日の問題はどうでしょうか。
  276. 石川透

    説明員(石川透君) 休日につきましてでございますが、労働省の賃金労働時間制度等総合調査によりますと、昭和六十三年の運輸通信業の労働者一人平均年間休日日数、これは八十八・八日でございまして、産業計の九十五・五日よりかなり短くなっております。
  277. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今の問題については、後ほどまた触れたいと思います。  次に、交通事故、安全の問題についても若干触れておきたいと思います。  御承知のように、この十一月二十八日には政府も交通事故非常事態宣言を出されましたし、最近交通事故が増加しているというのは事実のようでございます。そうした中にあって、運送事業に携わる者の事故というのも大変ふえているというのが実態で、憂慮すべき事態だと思います。なお、この問題につきましては、十一月十七日でしたか、衆議院の運輸委員会におきましても細かく御答弁をいただいているようでありますので、私はこの事故の背景にはゆとりのない運行計画あるいは過積載だとか過労運転があるんだということを主張して、次の問題に進みたいと思います。  今ちょっと触れました過積載の問題ですが、長年言われているんですけれども、これはどのように実態把握され、認識されているのか、その辺について伺いたいと思います。
  278. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 過積載の問題でございますが、運輸省におきましては、その実態把握、安全確保につきまして重点を置いた事業監査を実施するよう地方の運輸局を強力に指導しておるところでございます。その結果としまして、過積載防止義務違反行政処分件数は、昭和六十年に千七百四十六件、六十一年度に千九百三件、六十二年度に三千百一件、非常にふえておりますが、それから六十三年度三千百四十九件ということで、一生懸命努力をしておる次第でございます。特に、六十二年度、六十三年度におきましては過積載運行を最重点に置いた監査を行っておるところでございまして、これに違反した事業者に対する処分はこれを強化し、特に再犯、再々犯につきまして加重した処分を行っておるところでございます。
  279. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今のお話は、事業監査を通じて把握されたというふうに理解いたしましたが、これは実際に道路を走っている件数ではない、そういうことですね。
  280. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) そのとおりでございます。
  281. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 以上の実態を踏まえまして、次に進みたいと思います。  この法律というのは、先般来発表されております新行革審であるとか、あるいは日米構造協議とか、そういうところでいろんな指摘をされたものも念頭に置きながら準備されてきたものであろうと推測するわけでありますけれども、こういう新行革審等で指摘されました公的規制あり方に関する答申に照らして今回見送られたものがあるのかどうか、あるいはもしあるとすればどういう部分なのか、御説明いただきたいと思います。
  282. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 新行革審の答申、「公的規制の在り方」と題する答申のトラック事業に関します部分は、本法によって完全に措置をしていると考えております。したがって、本法成立の暁には、この行革審の答申には完全にこたえたということになると考えております。  なお、日米構造協議のお話がございましたが、これは本年九月及び十一月に開かれたものでございますけれども、その際、日本の流通制度の問題が議題になりまして、その中の一環として物流の中のトラックあり方トラック規制あり方が米側から議論があったところであります。米側の見解は、日本の現在のトラック事業規制は過剰規制ではないかというような見解でございましたが、私どもとしては現行の法制下でも活発な事業者間の競争が行われておるところであって、決して過剰規制の結果、非効率なことになっているわけではないという説明をし、さらに現在、国会に物流関係の二つの法案を提出しておるということも説明したわけでございます。時間の関係からおわかりのとおり、今回の法案は米側に言われてお出ししたというものではございませんで、既に本年の三月に国会に提出申し上げたところでありまして、米側の日米構造協議における議論はそのずっと後から出てきたということでございます。
  283. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 日米協議の話は、ちょっと私も時間を取り違えました。  なお、答申の中に安全労働条件の確保に関して、例えば関係行政機関との連携強化を図るとか、違法の取り締まり、処分の厳正化、荷主への指導、運行管理面における実効性の向上、関連行政を含めた適切な指導トラック運送事業者の自助努力の促進、こういうことを目指せと書いてありまして、今後、関係行政機関との連携強化が必要だという趣旨だと思いますけれども、この法案が成立した暁には従来とは違う関係行政機関の間の協力体制とか、そういったものができるんでしょうか。期待してよろしいのかどうか。
  284. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 規制の実効を確保していくということが必要でございまして、そのための取り締まりということが大事になってくるわけでございますが、それは運輸省だけでできることではございません。関係行政機関、具体的には警察なり労働基準局なりの御協力を得て、みんなで力を合わせてやっていかないとできないことであ るというふうに思っております。これは当然、法律の施行段階において考えていかなきゃいかぬことでございますが、現在、この関係仕組みといたしましては、労働省との間で相互通報制度というのがございます。また、過積の問題につきましては、警察その他関係官庁にお入りいただいて過積載防止対策連絡会議というのがございます。それから過労運転につきましても、労働省にお入りいただいて過労運転防止連絡会議というものをつくっております。こういったものが既にございますので、これの措置の充実を図るということが基本でございますけれども、今先生仰せのように、必要に応じて新しい体制についても施行の段階でまた考えていこうと思っております。
  285. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 先ほど過積載の実態をお伺いしたときも感じたわけでありますが、きょうは交通取り締まりの御担当の方にお願いしておりませんのであるいはお答えがなかったのかもしれませんけれども、どうも私たちの印象からしますと、行政というのはややもするとばらばらに行われがちであるというような印象をぬぐえませんので、ぜひ一元的な運営、そういったものをお願いしたいと思います。  次に、法案内容について質問させていただきます。  これは貨物自動車運送事業法でございますが、その第一条に、トラック運送事業の健全な発達と公共の福祉増進ということを目的に挙げられているわけですが、これを読んでみますと、全体を貫いているのは、言葉には書いてありませんけれども、市場原理を強める、競争原理を通じて業界の健全な発達と公共の福祉を増進するというように読めるわけですが、そういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
  286. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 現行の道路運送法と比べて、今回の貨物自動車運送事業法案が市場原理あるいは競争原理に依存するのかという御質問かと思いますが、参入規制に関しまして免許制から許可制移行する、すなわち原則的には需給調整をしない、異常な事態が生じました場合には緊急調整措置を発動するというやり方でございますから、現在の免許制の建前から比べますと、市場原理により多く依存するということは間違いございません。  すなわち、市場への参入に当たって、その新規参入者の経営的な判断でこのような状況下で参入してなおかつ適正な利潤が上げられるかどうか、その判断は第一次的には申請者が行うという意味におきましてより多く市場原理に依存する。しかしながら、それを野放しに認めるのではない。したがいまして、非常に過酷な競争条件になっておる場合に、これ以上新規参入をさせるべきでないと当局が認定しました場合には参入をストップするということに相なりますから、完全に市場原理にゆだねたというものではない、いわゆるセーフガードをつけた規制緩和ということに相なります。
  287. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 例えば参入規制を緩めたということによりまして過当競争が起こるのではないか、この指摘は先ほどもあったわけでありますけれども、その結果、寡占化が進む、あるいは二極分化が進むというような懸念が各所で示されているわけでございます。この法案が実施された何年か後にトラック業界というのはどういう姿になっているのか、そういう姿を想定されたものがありましたらお示しいただきたいと思います。
  288. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) トラック産業は、現行の法制のもとにおきましても極めて活力にあふれた業界でございます。産業経済の変化に対応していろいろ新しいシステムを開発し、そのサービスの質を向上させてきたわけでございまして、極めて身近なところでは宅配便のサービス、あるいは産業関係ではジャスト・イン・タイム方式に対応できるようなシステムというものを開発してきたわけでございます。そういう新しいシステムの開発につきましては、トラック事業者の創意工夫を生かした活動が必要なわけでございますが、新しい法制度のもとにおきましてはこのような事業者の活力が一層生かされるということを念頭に置き、目的として本法を御提案申し上げておるわけでございます。  それと同時に、それが行き過ぎて過当競争を招き秩序ある競争が脅かされるというようなことがないようなもろもろのセーフガード措置、これは新規参入あるいは増車あるいは運賃等につきましてもろもろのセーフガードを備えておりますので、このような制度のもとで健全な事業の発達が今後も期待できるというふうに考えております。
  289. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 法律趣旨需給調整をしないということでありますから、いろんな影響、変化が出てくるだろうと予想されるわけでありますが、今お答えいただいたことに関連してですけれども、今中小企業が九九%以上占めているというような構成になっているようでありますけれども、そのことについては変化が予想されるのかどうか、いかがでしょう。
  290. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 基本的に、現在のような産業の構造、トラック産業におきます事業規模の構成というものは変わらないと思っております。現在でも年間数百の新規事業者が参入しておりまして、これは必ずしも大きな事業者ではございません。今後、新しい制度のもとにおいてもそのような新規参入が見られると思いますが、これは毎度申し上げておりますように、適切な事業計画あるいは事業遂行能力を持った者でなければならないといういわば資格審査がございますから、だれでも入れるというものではございません。したがって、適切に事業を行うことができる者だけが参入するわけでありまして、現在の産業構造トラック産業におきます構造が基本的に大きく変わるというようなことは予想しておりません。
  291. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今許可に関する基準のお話がちょっと出ましたけれども、今回、免許制から許可制に改められるということに関連して、附則の第二条に経過措置が書かれております。それによりますと、既に免許を受けている者は新しい法律の第三条に言う「許可を受けたものとみなす」という趣旨のことが書いてあるわけでありますが、この場合の許可基準の一つである事業遂行能力、この中身、水準、程度といいましょうか、そういったものには変更ないと見てよろしいでしょうか。
  292. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) この二条で言っております「みなす」というのは経過措置そのものでございまして、現に適法に事業をやっておられる方がこの新法の適用関係に照らしたときに従来どおりその地位をそのまま保有していいということを言っておるものでございまして、当然新しく新法の適用を受けて事業を始める人はその事業遂行能力についてのチェックを受けるわけでございますが、既に事業遂行能力のチェックを受けて現実に仕事をやっておるという方については、そこはクリアになったものとしてこの経過措置でみなしをしているということでございます。
  293. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 という意味は、この基準としては新旧ともそれほど変わった内容ではない。許可する場合、どういう能力を持ってなくちゃいけないという個々の項目についての水準というんでしょうか。
  294. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 事業の遂行能力というものにつきましては、これは厳密に見るわけでございますが、基準そのものが旧法と新法で遂行能力の点に関して大きく違うということではございません。基本的には同じものでございます。
  295. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 その点わかりました。  許認可というのは、もとより厳正、厳格に適用されなければいけないのは当然だと思いますけれども他方では、厳格な適用ということになりますと、すぐイコール行政審査であるとか行政指導が障害になるとか、そういうような話も出てくるわけでございまして、懸念も少なくないというのは、法律規制緩和に向かっているけれども行政審査の点で縛られるのじゃないかというような話も一部にあるわけでございます。その辺の緩急自在にというか、厳正な適用と、それから法の趣旨に沿った運用というのがやられなければいけない と思いますけれども、今回の法律によって、例えばかつてクロネコヤマトの会長でしたか、五年も申請書類を棚上げにされたというような、これは私、原因が何だったのかはっきりわからないんですけれども、そういう事態はないと見てよろしいのか。あるいは具体的に、現行法では通常、申請すれば何カ月、何年後には免許がおりる、新しい法律ではどれぐらいの期間許可がおりるというようなことは言えるんでしょうか。
  296. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 新しい法律需給調整規定需給規定というのがなくなっておりますので、適切な計画とその遂行能力を持っておるということが立証できれば、これは参入が可能になるわけでございます。ただ、やはり具体的な事案によっていろんな審査をすべき点、確認をすべき点が個々のケースごとに違ってくると思いますので、今仰せの問いにそのままお答えして、従来はこれこれの期間でございました、これからはこれこれの期間になるということは画一的に申し上げることはできないと思いますけれども、従来以上に適切に、迅速に処理をしていきたいと思っております。
  297. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 たまたまオーバーにというんでしょうか、伝えられたことなのかもしれませんけれども、私も知っている人から、書類を持っていってもこれが足りない、また持っていくと次これが足りないと、一度に教えてくれればいいのを何回にも分けて指導されるというような話も聞いております。オーバーなのか、例外なのか、私もその辺までは確かめようがありませんけれども、ぜひ厳正、適切な運用をお願いしたいと思うわけであります。  それから今回の法案の中で、第七条に参入に関する緊急調整措置規定がございます。先ほども小笠原委員から過剰の判断というのはどこだという御質問をされておりましたけれども、私はその前段にあります「事業の継続が困難」という判断についてお伺いしたいと思うんです。と申しますのは、「事業の継続が困難」というのは需給アンバランスも原因になりましょうし、それだけではなくて、競争に敗れるというか、あるいは寡占化が進むとか、二極化が進むとか、そういうことが事業の継続を困難にすることもありましょうし、それから何らかの事情から業績不振ということも原因になるし、最近では人手不足が事業をうまくやっていかれないという原因にもなるように思うわけであります。したがいまして、「事業の継続が困難」というのはどういう状態を想定しているのか、伺いたいと思います。
  298. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 「事業の継続が困難」といいますのは、先ほども申し上げましたように、事業の休廃止あるいは欠損金の発生、銀行取引の停止、倒産、こういったようなことを意味しておるわけでございますが、今先生のお尋ねは、その原因がどういうものであるかということをおっしゃっておるのだと思います。これは第七条に書いてございますように、まず需給バランスが崩れて、需要に対し供給が著しく過剰になっているということが一つございまして、それを踏まえた上で、そこからさらに供給力がふえることによって事業の継続が困難になる、こういう場合に緊急調整措置が発動になるということでございます。  したがいまして、端的に申し上げますと、需給バランスが著しく崩れることが原因になって、先ほど申し上げたような事業の停止なり、そういう状態が生ずることを想定したものでございます。
  299. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 「相当部分について」とか、数字ではなくて言葉で書いてあるものですから、なかなか理解しづらいところがあるわけでありますけれども、相当部分が事業の継続が困難だというのは、例えば半分以上とか三分の二とか、そういうめどみたいなものはあるんでしょうか、目安というのは。
  300. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 「相当部分」というのは、これだけでは抽象的な感じがいたしますが、当然、運用に際しては明確な基準というのを持つ必要があるわけでございます。今のところ、今先生が仰せのように、三分の一から二分の一にそういう事業者の数が達したときは、これは「相当部分」であるというふうに判断をしようと今は思っておるところでございます。
  301. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 この条項については、ぜひ客観性のある運用をお願いしたいと思っております。  次に、過労運転の防止についてお伺いしたいと思います。  それでは、過労運転の一つの例で申し上げたいと思うんですが、先日、本委員会に備えまして、神奈川県にある、さる運輸会社に行きまして、東名高速道路、名神高速道路のパーキング不足について言っていたものですから、実態はどうなのかという話を聞いてまいりました。そうしますと、例外なく厚木インターから乗って西へ向かうと、まず愛知の新城、あのあたりを過ぎるまでは夜の十時から朝の四時まではとめられません。とりわけ、トレーラーなどはまず無理です。どうしてもということになれば、違反を承知で路肩にとめる。運よくパーキングエリアに入れられても、前に車をとめられちゃったりしてすぐ出られない。無理に寝ている人を起こすとけんかになる。そういうのも経験しておりますというような話をしておりました。過労運転というのは総労働時間にかかわる問題ではありますけれども、こういう設備の面からも改善していかないと、解消できない問題であろうと思うわけであります。  先ほど御説明を伺っておりましたら、東名高速道路においては千三百余台のパーキングエリアを増強する計画であるというお話もございましたが、今東名、名神でよろしいんですが、パーキングエリアというのは足りないと私は思っておるんですが、どれぐらい不足しているのか、それについて御見解を伺いたいと思います。
  302. 橋本鋼太郎

    説明員橋本鋼太郎君) 高速国道全般でございますが、これにつきましては、交通安全の観点からも運転者の休息と自動車に対する給油、給水のための休憩施設を設置しております。この休憩施設の設置位置につきましては、都市の規模、あるいは路線を利用する交通の量、あるいは性格を総合的に考慮して決定しております。例えば食堂とか休憩所、トイレ、給油所、駐車場、こういうものがありますのをサービスエリアと申しておりますが、こういうものは、おおむね五十キロないし百キロごとに設置をしております。さらに、売店とかトイレ、駐車場だけございますパーキングエリア、こういうものを含めますと全体で十五ないし二十五キロ、こういうような間隔になるように設置しております。  さらに、お尋ねのように、施設とか駐車場の規模については、これは本線の交通量とか休憩施設への立ち寄り率、こういうものを調査いたしまして規模を定めているところであります。  しかしながら、確かに東名、名神につきましては、最近の利用交通量の増大あるいは長距離トラックの増加に伴いまして施設が混雑を呈しておりますので、順次、現在、駐車スペースを拡充しているところでございます。  それで現在、特に東名、名神を中心に駐車升の整備を進めておりまして、例えば東名でございますと、横浜の付近でございますが、霧が丘のパーキングエリアとか、あるいは名神でございますと一宮のパーキングエリア、こういうものを新たに建設をしている。そのほかにも、例えば海老名のサービスエリア等については拡充をしておりますので、これによりまして、今後、大型車の駐車升全体が千三百六十四台分増設するということで鋭意進めております。
  303. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時十一分散会