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1989-11-30 第116回国会 参議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月三十日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  十一月九日     辞任         補欠選任      喜岡  淳君     竹村 泰子君  十一月十日     辞任         補欠選任      竹村 泰子君     喜岡  淳君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中野 鉄造君     理 事                 谷川 寛三君                 二木 秀夫君                 田渕 勲二君                 片上 公人君     委 員                 伊江 朝雄君                 上杉 光弘君                 鹿熊 安正君                 片山虎之助君                 野沢 太三君                 山崎 竜男君                 喜岡  淳君                 小山 一平君                 瀬谷 英行君                 安恒 良一君                 小笠原貞子君                 粟森  喬君    衆議院議員        運輸委員長    島村 宜伸君    国務大臣        運 輸 大 臣  江藤 隆美君    政府委員        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        総括審議官    大塚 秀夫君        運輸省国際運        輸・観光局長   宮本 春樹君        運輸省地域交通        局長       早川  章君        運輸省地域交通        局陸上技術安全        部長       松波 正壽君        運輸省貨物流通        局長       寺嶋  潔君        運輸省航空局長  丹羽  晟君        運輸省航空局技        術部長      中村 資朗君        労働省労政局長  岡部 晃三君        労働省労働基準        局長       野崎 和昭君    事務局側        常任委員会専門        員        長谷川光司君    説明員        警察庁交通局交        通規制課長    島田 尚武君        航空事故調査委        員会事務局長   高橋 克彦君        建設省都市局都        市再開発課長   安達常太郎君        建設省道路局有        料道路課長    小野和日児君        建設省道路局高        速国道課長    橋本鋼太郎君    参考人        日本道路公団理        事        廣瀬 好宏君        日本道路公団理        事        中道 文基君        首都高速道路公        団理事      星  忠行君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (国内航空運賃に関する件)  (JR各社安全対策経営状況に関する件)  (日航機墜落事故に関する件)  (佐川急便の経営問題に関する件)  (高速道路料金に関する件)  (交通事故増加現状対策に関する件)  (地方空港活性化に関する件)  (日米航空協定に関する件)  (国鉄清算事業団職員の再就職問題に関する件) ○貨物運送取扱事業法案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付) ○貨物自動車運送事業法案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)     ─────────────
  2. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸事情等に関する調査のため、本日の委員会日本道路公団理事廣瀬好宏君、同じく中道文基君及び首都高速道路公団理事星忠行君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 次に、運輸事情等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 喜岡淳

    喜岡淳君 おはようございます。  まず最初に、運輸大臣運輸省皆さんにお礼を申し上げたいというふうに思います。  私は、選挙区は香川県なんですけれども四国香川県だけがプロペラ機という状況が続いておりましたけれども、ようやく十二月十六日に皆さんの御尽力の結果新空港開港をいたします。そしてジェット機が就航するようになっておりますから、香川県の航空事情といいますか、後進性というものが一つ解決されるという事態を迎えております。  そこで、その新空港関係をいたしまして、今地元の方では二千五百メートルの滑走路整備をされたことによってジェット路線の拡大ということが期待をされております。今、札幌—高松間のジェット便要望あるいは名古屋、沖縄などの新しい航路を開設していただいて、しかもそれをジェット便でやっていただきたいという声が高まっております。そういう意味で、この新高松空港関係して新しいジェット航路要望が出ておりますけれども、その見通しについて、十二月十六日開港でありますので、ぜひ現状のところを教えていただきたいというふうに思います。
  6. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) ただいま先生お話のとおり、来月の十六日に新高松空港開港いたします。それで、現在はジェットではございませんで、YS11で東京、それから大阪、福岡、熊本、それぞれ結んでいるわけでございます。  それで、基本的にできるだけ早くそのYSジェット機の方に代替することを考えていくわけでございますけれども、これにつきましても、そのYSジェット化する問題につきまして、新高松空港の方はよろしいわけでございますけれども、その相手の特に東京大阪空港の容量に、今大変狭いというんでしょうか、便数の一応の枠内で処理していかなきゃならないという問題がございますものですから、直ちに右から左というわけにはいかないという問題が残っております。  それで、今現在結んでいるところの路線につきましては、順次ジェット化を進めていくということを考えておりますが、そのほかに新しい新規路線のことといたしましては、全日空が高松—千歳間の開設を計画しているということを聞いております。  この運航見通しにつきましては、これは十二月十六日には間に合いませんで、機材の納入の計画とか運航乗務員充当計画、そういったことから来年の秋以降となり、それまでの間、会社においては運航とか販売体制整備とか、そういった諸準備を進めていくというふうに聞いております。  私ども運輸省といたしましても、会社免許申請がございますれば、これについては適切にできるだけ早く対応していきたい、こう考えております。
  7. 喜岡淳

    喜岡淳君 私は、四国北海道を結ぶ飛行機については非常に有効な意味があるのではないかと思うんです。四国は南国ですから暖かい地域でありますし、北海道は寒いところでありますから、例えば農作物交換ということが、暖かいところと寒いところの間で農作物交換ということが可能になってまいりますし、一方が暖かいところに涼しいところがあって観光客の移動ということも非常に可能になってくると思いますので、そういう意味では、高松—北海道ジェットで結ぶということは将来的に非常に大きな役割を果たすというふうに思っておりますから、運輸省皆さんにおかれましては、この高松—北海道便ジェット機化ということについて、ぜひ温かい御指導、御支援をお願い申し上げたいと思います。  それから、ジェット機あるいはプロペラ機でもたくさん就航いたしておりますが、ついせんだって十一月二十八日の夕刊でありますけれども運輸省の方針として長い間議論をしてきた航空運賃改定問題というのが報道されております。  運輸大臣におかれましては、ついせんだってはJR内部障害者割引問題で非常に大きな御決断をされ、心から敬意を表したいと思います。  このたびは航空運賃についての見直しということが報道されておりまして、新聞でいろいろ報道されておりますけれども、来年の春にも値下げをするのではないかという報道でありますので、航空運賃問題懇談会の方でどのような御議論になっておるのか、お聞かせをいただければと思います。
  8. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) かねがね航空運賃の問題につきましては、いわゆる方向別格差是正ということが国会でもしばしば議論をされまして鋭意努力をしてきたところでありますが、御案内のように、パリ—東京間は一〇〇対一〇二、シドニー—東京間は一〇〇対一〇三、ロサンゼルス—東京間は一〇〇対一〇四というところまでまいりました。  そこで、もう一つ問題なのは、いわゆる東南アジア、ASEAN諸国後進地域との問題でありまして、年末までに一〇〇対七〇から九〇までにおさめようということで努力してまいりましたが、先日発表をいたしましたように、目標よりか実は早く達成することができまして、まだ完全ではありませんけれども、かなり当初の予定よりか是正ができた。  残る問題は、御案内のように、南北格差と言われる運賃格差でございまして、なかんずく北海道、それから九州の一部にそういうことがあるということで、これは日米航空交渉、それから方向別格差是正、引き続いてで航空局には大変無理をさせたわけでありますが、徹夜の努力をしてまいりまして、大体来月には原案が全部まとまるというところまでまいりました。したがいまして、年が明けましたら審議会にこれを諮って、そして御答申をいただき次第これを実施しようと。せっかくのことでありまして、春先になるとゴールデンウイークもやってきます。今までは何かというと少し期間が長かったようですが、事情を御説明申し上げて、なるべく早くひとつ御答申をいただいてこれを実施に移したい、こういうふうに考えて今準備を進めておるところでございます。
  9. 喜岡淳

    喜岡淳君 報道では、例えばこれは国内航空運賃の問題ですが、新しい方式として従来の路線別原価方式を廃止して標準原価方式というのを導入するという報道がされておりますが、この標準原価方式というのはどのような考え方でしょうか。
  10. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 新聞報道は割と今決まったような形での報道が多かったのではないかと思っておりますが、ただいま大臣が申し上げましたように、私ども学識経験者皆様方に、きょうがその第一回でございますが、集まっていただきまして、これから国内運賃で言えば南北格差是正を初めとする問題につきまして御議論をいただくことを今予定しておるわけでございます。したがいまして、どういう形にそれがおさまるかということにつきまして、まだこの段階においては決まったわけでございませんが、その内容につきまして私どもも検討なり部内での議論みたいなことはいろいろな問題をやってございます。  それで、その中の一つに、今先生おっしゃいましたいわゆる路線別運賃であるのかそうでないことにするのかとかいうようなことも議論の中にございます。今のいわゆる標準原価方式という形は、各エアラインコストがあるわけでございますから、その平均的な原則的なコストみたいなものを計量いたしまして、それとの関係で現行の運賃がどうなるかということの比較みたいなことは一応議論としてはございます。そういうことになるとかならないとか、あるいはどういうふうに適用していくかとか、そういったような問題はまさにこれからのことでございまして、基本的に私ども今考えていますのは、不公平感是正という、そこが一つのポイントではないかと考えているわけでございます。  南北格差是正という問題も、同じ距離を飛びながら北へ行くのと南へ行くのと単位当たり運賃が違うとか、そういったようなことから発してくる話ではないかと思いますが、そういう意味では不公平感というのはいろいろございまして、例えば普通運賃割引運賃割引運賃の中の団体割引とそれから個人の割引とか、そういったような問題がいろいろございます。その辺につきましていろいろこれから詰めてまいりたいと思っておりますが、今とりあえず考えておりますのは、一遍に理想型まで達するというのは大変難しい話だと思っておりますので、若干の手直しというんでしょうか、不公平感をできるだけ理想に、理想といいますか、原則に近づける方向での手直し、そういったようなことをどの程度できるか、こういうことを御議論いただこうと思っております。
  11. 喜岡淳

    喜岡淳君 公平な納得できる運賃といいますか、そういうことが非常に重要だろうというふうに思いますので、ぜひ不公平感を解消するということで利用客におこたえしていただきたいと思います。  それで、利用者の中でどうもなかなかわかりづらいなと、不公平感が強かった理由一つとして、航空業界はもうかっておるという意見をよく聞くわけですけれども航空運賃に関する資料というものがなかなか公開されていないのではないかというような指摘も聞いております。確かに航空会社私的企業でありますからいろいろあるでしょうけれども航空会社もここまでなってまいりますと、非常に社会的な公共交通の側面が強くなっております。そういう意味では、ぜひ航空運賃に関する情報公開というものをもっと進めていったらどうだろうか、そういうことについての御見解はどうでしょうか。
  12. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) ただいま先生お話の中にもございましたが、航空会社は純民間会社でございますので、それぞれの会社の、何といいますか、会社自身部内の話ということがいろいろあるんだろうと思います。そういうこととの関係で、私たち一般的に航空会社の行っております運賃関係のいろいろな原価の算定とか、そういったようなことにつきまして直ちにオープンにするということ自身は大変難しい問題ではないかと思っておりますが、でき上がりました運賃体系みたいな問題につきまして、不公平感是正方向で物事を考えていくということの一環といたしまして、できるだけお乗りいただく方にわかりやすい運賃体系というんでしょうか、割引運賃を含めまして、そういったようなことができないかということは私ども問題意識一つとしてございます。
  13. 喜岡淳

    喜岡淳君 国鉄民間になって民鉄企業になりましたが、JRの方もやはり営業係数といいますか、できる限りの資料公表をされておるというふうに思いますし、航空会社についてもできる限り航空運賃に関する資料を公開していくということも利用者にとって不公平感を解決していく一つ役割を果たすのではないかと思いますから、納得すれば、不公平感も少しは緩和されるという気がいたしますので、できれば路線別原価といいますか、そういうことの公表を検討していただきたいというふうに思います。  この新聞報道については、まだ決まったことではない、これから議論をされていくということでありますが、この報道の中では適正利潤という言葉が使われておりますが、電力業界で言いますと、法定で適正利潤というのが七・二%でしょうか、決まっておると思いますが、航空業界で言いますと、適正利潤というのはどの程度にお考えでしょうか。
  14. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 適正利潤がどのくらいかということにつきまして、私ども今これだということをお示しするそのものを持っておりませんが、航空業界決算の状態でいろいろ資料が出るわけでございます。先ほど先生がおっしゃいましたJR関係で出されている程度資料航空会社の場合にも当然出ているわけでございますが、その中で一つどもの方として気になる部分というのは、売上高利益率というんでしょうか、売上高に占める利益の割合、これは今航空会社全体はほかの民間会社と比較しても相当低い、そういう位置にあるのではないかと思っております。したがいまして、これからの特に国際関係競争激化とか、そういったような時代を控えましてもう少し体力をつけていただくとか、そういったような必要性がまだまだある段階ではないかと思っております。
  15. 喜岡淳

    喜岡淳君 適正な利潤というのはなかなか難しいかと思いますけれども、やはりこれも航空業界がここまで来たわけですから、ぜひ適正な利潤率についてということで教えていただければと思って質問をしたところであります。私は、できるだけそういうものを公表した方が航空運賃が明朗である、利用者にとって納得しやすいんだということだろうと思いますから、やはり適正利潤というのは公表すべきではないかというふうに思います。  それから、今度の運賃改定につきまして、格差是正につきましては、この新聞報道でも書かれておりますが、航空運賃政策の大幅な変更は戦後初めてのことであるという非常に歴史的な意義を述べておりますけれども、そういう意味では、ぜひ利用者意見をこの際、いろんな意見があるだろうと思いますから、公聴会というものを考えてみたらどうかと思いますが、どうでしょうか。
  16. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、今学識経験者に集まっていただきましていろいろ御意見を拝聴し、私どもとかあるいはエアライン航空会社の方々とすり合わせをこれからいたしまして、具体的な方針なり案がそういった形で出てまいりました段階で、それを航空会社が各路線ごと運賃の形に具体化して、それを来年に入りましてから申請という形で私どもに提出してくることになると思います。その際に、先ほど大臣審議会にかけてと申し上げましたとおり、運輸省運輸審議会ということもございますし、運輸審議会は一種の公聴機関でございますから、そちらで運輸審議会なりのいろいろな意見の吸い上げをしていただける機会があるかと思っております。
  17. 喜岡淳

    喜岡淳君 審議会審議会としての重要な役割があるわけですけれども航空運賃改定についての公聴会というのは、やはり国民の中からは求められておると思います。といいますのは、公聴会が行われたのは、たしか昭和五十八年。公聴会が開かれたのはこれまでに日本貨物航空免許申請の際に一度開かれたというのが唯一の公聴会ではなかったかというふうに思いますけれども、非常に航空機をめぐる状況が変化をいたしておりますから、そういう意味ではたくさんの意見があるだろうと思いますし、この際、ぜひさまざまな意見を聞いて今後の航空行政に役立てるということも大切ではないかと思うんですが、どうでしょうか。
  18. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 私ども運輸省の内局の航空局でございますので、運輸審議会はまた別の機関でございますものですから、私ども運輸審議会運営事項にとやかく申し上げる立場にはございませんけれども、今先生の御指摘公聴会というのは、多分運輸審議会公聴会のことかと思いますが、運輸審議会公聴会だけではなくて、部内でまた外部の方からのいろんな御意見を聞くとか、そういったようなことも制度上いろいろございます。それで、運輸審議会の御判断で、事案の内容によりまして一番適切な方法をおとりいただけるのではないかと考えております。
  19. 喜岡淳

    喜岡淳君 それでは、次にJR関係でちょっとお尋ねをしたいと思います。  先般、参議院決算委員会運輸省あるいはJR東日本に対して質問をさせていただきました。それは去年の十二月五日、東京の東中野列車正面衝突が起きて大きな事故が発生いたしました。そして、十二月八日には参議院運輸委員会において、大臣を初め関係当局皆さん安全運転に対する決意の表明と具体的な手だてを述べられたところであります。しかし、その後、JR関係事故は大きな事故が頻繁に発生をいたしておりまして、四月の事故、八月の天王寺の問題、そして十月の常磐線とか、さまざまな問題ですね。けさの新聞でも、JRの飯田線の事故については信号の見誤りということが報道されておりましたけれどもJR常磐線に起きた事故ですが、列車列車線路間隔が狭くなっていたために接触をした。その狭くなっておる箇所についての発表は、当初、百七十三カ所のつまり狭い場所があるんだ、安全基準に満たない場所は百七十三カ所だという発表でございましたけれども、よく調べてみると、今度は九百六十三カ所に上ることがわかったという報道が行われておりますけれども、これは事実でしょうか。
  20. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 運輸省としましては、軌道中心間隔の実態についてJRに総点検を指示したところでございまして、JR東日本の総点検の結果では、車両の運用、線路使用状況等の制限を行うことによりまして、規定で定めます三・六メートルよりも狭くても安全は確保されますことから、特認と言っておりますが、特別構造許可を受けたとみなされている箇所は九百六十三カ所でございました。  なお、御指摘のとおり、一部の報道機関が要注意箇所五百カ所と報道したところでございますが、今般の総点検は、できるだけ正確を期しますために、同一区間でございましても、線路が直線であるか曲線であるか等を区別しまして詳細な点検を実施して、今申し上げました特別許可を受けたところをカウントしましたので箇所数が増加したということでございます。
  21. 喜岡淳

    喜岡淳君 それから、今度はトンネルの件ですけれどもJR北上線列車トンネルの屋根というんですか、列車が頭をトンネルの中ですった、いわゆる接触事故ということが言われておりますが、この事故を通じて明らかになったことは、運輸省令安全基準より天井が低い問題トンネルだった。去年の夏にトンネルの高さをはかったけれども、そのときは安全基準内と判断して、運輸省にもその旨報告をしていたということが書かれておりますけれども、これはどういう事故だったんでしょうか。
  22. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) ただいまのトンネル事故につきましては、このトンネル基準に違反しているということではございませんで、このトンネルを通過するに当たっての車両限界というものがございますが、今回の事故というのは、本来、クーラーカバーをつけます際に、このトンネルを通過する場合には一・六ミリという非常に薄い鉄板でカバーすべきところを、誤りまして十センチあるふたのような形のカバーをつけたために、そのカバーの高さの違いで接触したという結果でございまして、これは本来規定どおりカバーをつけておれば起こらなかった事故でございますので、そういう意味での点検をしているところでございます。
  23. 喜岡淳

    喜岡淳君 この岩瀬トンネルですが、去年の春トンネル調査をしたところ——こういう報道がありますね。運輸省は、去年の春、JRに対してトンネル構造調査を指示した。JRでは約半年かけて調査した結果、基準を下回る場所は九十九ヵ所あったという報告をしたようであります。ところが、今度接触事故を起こした岩瀬トンネルはその報告の中に含まれていなかったという報道がございますが、これは事実でしょうか。
  24. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) ただいまの新聞については、私ども確認しておりませんので、後刻確認させていただきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、このトンネルの高さが基準より低かったということではなしに、クーラーカバーの取りつけ違いということが原因だと理解しております。
  25. 喜岡淳

    喜岡淳君 いろいろな理由原因があってこういうことが起きておるんだろうと思いますけれども、私はいつも疑問に思いますのは、事故が起きるたびに、責任を持って対応する、あるいは二度と発生しないように再点検をする、いつもこういう御答弁がありますけれども、どうしてこういうミスとか事故が後を絶たないんでしょうか。
  26. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 私もその点大変遺憾に思います。そこで、私どもとしまして、単に責任者である経営者を呼んで厳重注意するあるいは警告書を出すだけではなしに、現場に至るまでどのようにすれば事故を防げるかということを検討することが非常に重要ではないかと考えておりまして、去る二十二日にも鉄道保安連絡会議、これは私どもの保安課長とJR七社の各安全担当責任者でございますが、この連絡会議において最近の事故の分析をしまして、特に現場におけるマニュアルといいますか、どういう形で作業の手続をすれば、先ほどから言っておりますような作業の手違いあるいは設置のミスが防げるか、このようなことをJR各社が持ち帰り、また二月にも連絡会議でその結果を持ち寄りまして、各社できるだけ共通の安全を確保するためのマニュアルを整備する、こういうことが事故を防止する極めて重要なことではないかと考えております。もちろん年末年始の総点検等で現場の現在の施設が安全基準上適切であるかどうかということは厳しくチェックいたしますが、他方では手続類についても整備していきたいと考えております。
  27. 喜岡淳

    喜岡淳君 今の御答弁の中にもありましたが、いよいよ年末年始の民族大移動と呼ばれるほどの時期を迎えつつあります。  そこでJRとしては、年末年始の大量に移動するお客さんに対してどのような安全についての説明といいますか、宣伝といいますか、利用客の信頼にこたえる方法としてどのような手だてを具体的に考えていらっしゃるんでしょうか。
  28. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 年末年始の特に旅客が大量に鉄道を利用する時期におきましては、毎年、年末年始の総点検ということで私ども運輸省の指示に基づいて各鉄道会社が安全を点検するわけでございますが、特にことしの場合には、最近の事故にかんがみ、先ほど御指摘のございました軌道間隔の問題あるいはトンネル車両限界の問題等、このような具体的な項目について全国一斉に点検をして旅客の安全に遺憾のないよう措置をするということで、JR各社に指示しているところでございます。
  29. 喜岡淳

    喜岡淳君 点検とか調査ということでありましょうが、私はその内容に問題があるのではないかと思います。この間「なだしお」の事故が起きたときに、当時の防衛庁長官は、これほど重大な事故を起こしたからおれはもうやめるんだ、責任をとってやめるという言葉をおっしゃいました。責任ということは、もちろん運輸省とかJR東日本とか、そういう組織、機関の責任になるでしょうけれども、その責任は具体的にだれかとる人がいない限り、結局だれも責任をとらないという結果に終わっておるのが今までのすべての例であります。そういう意味で、私は、これだけ安全問題で議論が続いておるわけですから、運輸省としては一体そのあたりをどういうふうに——運輸省だけではありませんけれども、もちろん安全運転についての最大の責任は運輸省にありますから、そういった問題についてどういうふうにお考えなのか、最後にお聞きしたいと思います。  そして、何よりもその再発を防止するためには、運輸省JR、この両者の間に本当に緊張関係があるのかどうか。調査のずさんさあるいは報告ミス、点検ミス、こういうことが次から次に起きてくるのは、やはり検査、調査する側と報告する側との間に緊張関係かないのではないか、そういうふうに感じられてならないわけでありますが、この点を最後に御質問させていただきます。
  30. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 先生が御指摘されましたとおり、安全は輸送の最大の使命であるとともに、我々鉄道行政を担当する者の重要な任務であると考えておりまして、JRに対しましても改めて心の緊張を持って指導していきたいという覚悟でございます。
  31. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私は、四年前に、八月でしたけれども国会ではどこも何もやっていないときに運輸委員会の理事会が緊急に招集されまして、そこで日航ジャンボ機の墜落事故報告を受けたことを今でも覚えております。その結果は、もう既に皆さん御承知のように、五百二十名もの大勢の人が犠牲になっているわけですね。  ところが、その事故責任というのは一体どこにあるのか、だれが責任者なのかということがあいまいなまま、この日航機の事故について起訴されなかった、こういうニュースがこの間流れました。これは、この事故で亡くなった方の遺族はもちろんのこと、我々国民としても全く納得のできないことなんですね。これに対して、大臣は一体どのようにお考えになっているか、そのことをまず最初にお伺いしたいと思います。
  32. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 日航機の事故によって五百二十名のとうとい命が失われたということはまことに痛恨のきわみでありまして、御遺族の皆さんの心中を思いますときに、私ども述べる言葉もないような次第でございます。  私は就任以来、航空機はもちろん、鉄道、陸運、海運、あらゆる運輸行政の、輸送行政の基本は安全にある、こう確信してまいりましたので、毎日事故のなからんことを祈らずにはおられない気持ちでおるわけでございまして、たとえ起訴になろうが不起訴になろうが、私ども運輸行政に携わる者の道義的な責任は決して免れるものではないと考えております。  したがいまして、心を新たにして皆様の御冥福を祈りながら、事故の再発防止についてはあらゆる努力を傾けてこれにこたえなければならない、こう考えまして、省を挙げて今安全対策に取り組んでおるところでございます。
  33. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 どんなに冥福を祈ってもらっても、死んだ人が生き返るわけじゃないわけです。だから、こういう事故責任というものについては厳しくしなきゃいけないと思うんです。  今、喜岡委員の方からいろいろJR等についての事故とその責任の問題について質問がございました。例えば列車、電車でもって事故を起こして人命が損なわれるといったようなことがあった場合に、必ずと言っていいくらい間違いなく、その責任者というものはだれか、どこに原因があったかということを今までだって調べていると思うんです。その結果が、だれが悪いのかわからなかったということであいまいに過ごされたという例は恐らくないと思うんですが、その点どうですか。
  34. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 今回のことは、日米間のこれを取り扱う法律の相違によってこのような全員不起訴処分、こういうことになったと私承っております。しかしながら、不起訴処分になろうがなるまいが、申し上げましたように、私どもの道義的な責任は決して免れるものではない。  ただ、承りますと、いよいよアメリカを調査すれば、不利なことは答えなくてもいいと。もしさらに突っ込んでいけば、ロッキード事件みたいに免責にして、そして一番の責任を負うべき者が責任をとらずに、末端の者が責任を負わざるを得ないという法的な判断もあったと聞いております。  しかし、これほどの重大事故でありますから、それは国民の皆さんが何となく割り切れない気持ち、私自身もそうでありますが、そういう気持ちを持たれることは至極当然のことではないか、こう私は思っておるところであります。
  35. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 早い話がこのジャンボ機の事故については、以後気をつけますで済んじゃったんですよ。こんなばかなことはないと思うんです。例えば国会のすし屋だって、集団中毒を起こしたなんということになると、しばらく休業しましたよ。すし屋の中毒の場合は下痢で済んでいるんです、みんな。死んだ人はいなかったんです。それでも商売はしばらく休んだですよね。片っ方は、下痢どころじゃない、五百人亡くなっちゃったんですからね。それが、以後気をつけますで済まされていいのかというんです。  これはやはり我々としても徹底的に究明する必要があると思うんです。法律上の問題点がどうあろうとも、これは五百人も亡くなった、こんな例は余りないですよ。余りないこの大事故に対して、ボーイング社に対してこのままでいいのかどうか。日米間の問題はもちろんあるでしょう。問題があろうとなかろうと、大勢の人が亡くなったことは事実なんですよ。  立場をかえて、日本の飛行機がアメリカでもって事故を起こして五百人もの人が死んだと、そしてその原因が設計上あるいは修理上のミスであったということになれば、果たしてアメリカが黙って済ますかどうかですよ。日本の企業に対してあるいは飛行機に対して、以後気をつけてくださいというだけで済ますかどうか、私は疑問だと思うんです。その点どういうふうにお考えになりますか。
  36. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) ただいまの先生の御指摘は、先ほど大臣が申し上げましたように、私どもの立場なりに問題の認識を痛感いたしております。  それで、具体的にいろいろな事故処理につきましての日本のやり方とか、アメリカのやり方とか、今回の検察庁の処分とか、そういったことにつきまして、これは私どもの立場とは別の所掌をしているところのものでございますものですから、私どもとして申し上げるべき立場にございませんけれども、私どもの方の立場といたしましては、このような事故を二度と起こさない、これが一番最大の使命ではないかと考えております。先ほど大臣が申し上げましたように、そういう意味で、私どもの責任を痛感しているところでございます。
  37. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 何で起訴できなかったのかといったような問題は、これは運輸大臣なり運輸省の方とすれば、うちの方の仕事じゃないからというふうに言われるかもしれません。しかし、それならそれでやはり運輸行政の立場から考えなきゃならぬことがあるでしょう。  従来、普通一般の出来事だったら、ミスがあった、失態があった、手抜かりがあったということになると、そこの品物を買わないという自由が購入者の方にあるわけです。だから、そこのところはやはりこちらの方でも考えなきゃいかぬと思うんですね。例えばボーイング社から飛行機を買っている。しかし、ボーイング社の飛行機についてこういう問題があった、危険である、しばらくは747を見合わせょうということを考えたっていい。ボーイング社から飛行機を購入するのは当分やめようということを考えたっていいと思うんです。それは運輸行政の中でできることじゃないかと思うんですね。  先ほど私例を引きましたけれども、すし屋の集団中毒の件がありましたが、あれだってああいう自発的に休むといったような措置が行われている。こっちは法律を盾にとって、以後気をつけますだけで済ませようとしている。これはやはりボーイング社自身のおごりがあるんじゃないか、私はそういう気がするんです。そのおごりに対して、やはりこちらの方もどういうふうに対応したらいいのか。これはほうっておくと癖になると思うんですね、こういうことは。だから、やはりこういう機会に我々としてもそれ相応の対応というものを考えていいんじゃないかと思うんですが、その点どうですか。
  38. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) ただいま申し上げましたように、私どもは今回の事故の教訓を生かしまして最大限の努力をするということで考えておりますけれども、今ボーイング社との関係につきましても、アメリカの航空安全問題を取り扱っているセクションが連邦航空局と言っておりますが、FAAというところがございますので、そのFAAに対しましても、ボーイング社の飛行機の製造とか修理とか、そういった問題につきましての品質管理というところでしょうか、そういうものに対します監視を強めていただくようにお願いいたしましたし、現にその結果、FAAもいろいろな措置をとっていると伺っております。  それからボーイング社自身も、今回の問題との関係での修理のやり方とか、そういったことにつきまして社内で上級者の委員会をつくりまして、それによりまして今後の修理のあり方とか、そういったやり方につきましてのいろいろな改善措置をとっているということをお聞きいたしております。  私たち自身事故後に、ボーイングを使用している航空会社に対しまして一部改造の、特に尾翼部の関係のところにつきましての改造の指示もいたしておりますし、それから事故調査委員会の勧告、建議を受けましたそういう修理とか、そういった大規模なことを行ったときの航空会社の管理体制とか、そういう個所の長期的な監視のやり方とか、そういった具体的な措置をとっているところでございます。
  39. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 運輸大臣とか航空局長がどんなに我々も一生懸命に気をつけますとかなんとか言ってみたところで、日本でもってつくっている飛行機じゃないんですからね、これは。本家はアメリカのボーイングでしょう。そのアメリカのボーイングに対して気をつけろと言うんじゃなくて、お願いしますですからね、今の答弁は。いろいろお願いしますでしょう。お願いされる方は、そんなことはおれの方で考えると言われれば、それっきりなんですよ。だから、多少は手痛いことをやらないと、これは後々よくないと思うんですね。その点を私は言っているんです。  これだけの大きな事故を起こされて、しかもその主たる責任はボーイングの方の整備の手抜かりにあったということははっきりしている。日本側でどんなに注意をしようとしても限界があるということになると、飛行機をこしらえた方でいろいろ考えてもらう以外にないんですよ。だからその点、お願いしますということでは私は手ぬるいと思うんですね。だから、いっそのこと、ボーイング社からの飛行機はしばらく購入を凍結するというぐらいのことがあってもいいと思うんですよ。  しかし、そうは言っても、今たくさん持っておるボーイングの飛行機を一遍に廃棄処分にするわけにはいかないし、しばらくは使わなきゃならないだろう、こういうふうに言われるんならば、もう一つ問題があると思うんですね。ボーイングの747—400ですか、これを導入しようとしているわけですけれども、これは三名乗っているのを二人で済ますといったようなことなんですが、こういう飛行機を導入するということは、まだ入れてないんだから、入れてないようなものについてはしばらくこれは待ったと、待ったをかけるというくらいのことは私は報復措置としてやってもおかしくはないと思いますが、その点はどうですか。
  40. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) ただいま先生お話のように、ボーイングのダッシュ400と言っておりますけれども、いわゆるハイテク機を今世界各国の航空会社が一部は使っておりますし、日本の航空会社もこれからまさに使おうとしている態勢にございます。基本的に私どもの立場といたしましては、この当該747—400というのが、耐空性という表現でございますが、その安全上大丈夫であるかどうか、そういうところの確認をいたしまして、大丈夫であるかないかという基準で物事を判断していくべきではないかと、こういうふうに考えております。
  41. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 西ドイツ、イギリス、フランス、オランダの航空当局がことしの春にボーイング社に対して設計変更を含む四項目の改修策を要求しておる。この改修策が受け入れられない場合には、型式証明の発行を拒否するというふうにボーイング社に迫ったと、こういうニュースがございます。このイギリス、西ドイツ、フランス、オランダがやっているようなことを日本ではやったのかやらないのか、その点はどうなんですか。
  42. 中村資朗

    政府委員(中村資朗君) お答えいたします。  ヨーロッパ当局は、ダッシュ400を購入するときに四項目以外にもたくさんの実は要求項目を突きつけてございまして、それについていろいろ議論をしてきたという経緯がございます。やっと最近になりまして全項目が片づきましたということで対応策ができましたので、その対応策をもって納得をして型式証明は出したと、こういう経緯がございます。  私どもの方も同じ要求をしようというふうに考えておりまして、これにつきましては、例えばアッパーデッキにあります部屋の窓が例えば二十スクエアフィート壊れた場合にどういう問題が起こるかというような問題でございますけれども、これは直ちに改修が実施できるわけではございませんけれども、約束の期限までに改修を実施するような方向で、日本航空その他ダッシュ400を購入する航空会社に対しましては我が方としても要求をしてまいりたいというふうに考えております。
  43. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 ボーイング社のやったことに対して、全面的にこれを信用するというだけではいけないと思うんです。新しくでき上がったばかりの飛行機に対して改修の要求が出るということは、ほかのことと違って事が安全に関することなんですからね、これはやはり問題があると思うんですよ、この飛行機自身に。もっとも税制だって実施した途端に見直しをしなきゃならぬと、こういう問題もありますからね。やはりぐあいが悪いと思ったら改めるというのがこれは常識だと思うんです。  一体この飛行機をどうしても採用しきなゃならないのかどうか。今まで採用していなかった飛行機なんだから、こういう機会にボーイング社に、おたくの飛行機についてはしばらくこれは採用はいたしかねますということで断ったって私はいいと思うんですよ。特にこういう事故の後なんですからね、ボーイング社がこれだけ大きな事故を起こした後で、その新しい飛行機、いろいろと採用する前から問題があるという飛行機に対して何も遠慮することはないと思うんです。特に日本航空の関係者から話を聞くところによると、設計上もいろいろ問題があるというんですね。設計上にもいろいろ問題がある。離着陸の際のいろいろな危険度とか、余り技術的な細かいことは私にはよくわかりませんが、そういう不安とか問題があるということを日本航空の関係者からも私聞いたんです。だから、それらの問題が解明されないときに何も急いでこれを採用する必要はないと私は思うんですね。この機会にやはり監督官庁として、ボーイング社の新しい飛行機の採用はしばらく待ったというぐらいのことを考えてもいいんじゃないかと思うんですが、どうですか。
  44. 中村資朗

    政府委員(中村資朗君) ダッシュ400は世界でほかに同じような機種をつくっておるメーカーが実はございません。それとダッシュ400につきましては、既にことしの一月でございましたか、アメリカの連邦航空局の方からの型式証明も発行されまして、既に世界の各国十二社でございますけれども、ダッシュ400そのものを購入して使ってきておるわけでございます。そういう意味でも、安全性については運航に入った後からの実績その他を通しまして、私どもも十分ウオッチをしている現状でございます。かわりとなる飛行機が実はございません。そういうこともありまして、できるだけ早く恐らく日本の航空会社もこのダッシュ400を導入したいというふうに考えておるわけでございまして、私どもといたしましては、型式証明の機会を通じて今お話ございました二人乗務の問題、これは確かに乗員の方々の一部に反対があるというふうに聞いております。この点につきましても、できるだけ詳しい資料を審査をして納得のできる決断を下したいというふうに考えておるところでございます。
  45. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 ほかのことと違って、飛行機の安全というのはおかの上を走る道具の場合とちょっと違うんですよ。JRの問題についても先ほど質問がございましたけれども、新幹線だってそれは運転だけは一人だってやろうと思えばできるじゃないかと言えばそれまでなんですけれども、しかし接触事故やらなんやら多少の事故があっても、おかの上を走る場合にはとまれば済むんだし、線路から下へ転がり落ちるというような事故はめったにないことだししますけれども、飛行機の場合は、地上の若干の接触事故と類似したような事故の場合でも致命傷になるということがあるし、下に落っこちりゃそれきりなんですからね。そういう点をやっぱり考える必要があると思うんですよ。特に今購入をしたいという一番のねらいは、三名の乗務員を二人にするということにあるんじゃないかと思うんですけれども、じゃ人間を一人減らしてコンピューターでもって用が足りるのかどうかということだって問題だろうと思うんです。必ずしも機械だけでもってすべてが済むという問題じゃなかろうという気がいたします。  私は、この機会に飛行機のサービスについてもちょっと触れてみたいと思うんですけれども、例えば我々が飛行機に乗ると、すぐにお絞りを持ってきてくれたり、あるいはジュースを持ってきてくれたりということがあります。たかだか一時間か一時間半の間お絞りをもらわなくたって、ジュースをもらわなくたって、お茶をもらわなくたって何ということはないんですよ。新幹線に乗っている人なんかにはお絞りもお茶も別に配ってはくれないんですからね。それだってだれも文句は言いやしませんよ。ところが、飛行機に関する限りは何かああいうことをしなきゃ申しわけないような気がしてスチュワーデスが乗っているんですけれども、スチュワーデスが一人減るのと操縦席が一人減るのとじゃえらい違いですよ。お絞りの方は我慢できるけれども、墜落の方は我慢できませんから、これは。その点をやっぱり考えにゃいかぬと思うんです。  だから、何が何でも三人の乗務員を二人に減らすということを前提に置いてこの飛行機を導入しなきゃならぬということには多分に問題がある。それは当然乗務員の意見というものも尊重しなきゃいけないと思うんですよ。経営上の問題だけ考えて、よその国でも使っている、あるいは使おうとしているんだから日本でも使おうじゃないかということではいけないと思うんですね。やはりこの機会に、この問題のある飛行機については日本では使わない、しばらく様子を見る、せめてそのくらいのことがあってしかるべきではないか。今はそういうことを考えるチャンスではないか。特に日本航空で五百人という大量の犠牲が出た直後でありますから、直後というか、事件からは四年たっていますけれども、不起訴になったという、問題をあいまいにしてしまった、以後気をつけますで済ませてしまうというような責任の所在を不明にした、こういう時期でありますから、ボーイング社に対する毅然とした態度というものが私はあってしかるべきだと思うんですよ。その点もあわせてお答えいただきたいと思うんです。
  46. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 先ほど来、技術部長の方から技術的な問題につきましてお答え申し上げたとおりでございますが、日本の航空会社がダッシュ400を導入しますのは来年に入ってからでございますけれども、その際に、私ども当然航空法に基づきます耐空性の審査をいたすわけでございます。それで、それまでの段階での外国エアライン、現在十二社が運航しておりますけれども、そういう運航の実績とか、それから、これは製造国政府でありますアメリカの型式証明を受けている飛行機になるわけでございますが、その際のアメリカのFAAの審査内容とか、そういったようなことを全部審査の際に私どもの方としても徹底的な審査をしてその安全性を確認していきたい、そう考えております。
  47. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それじゃ、飛行機の安全性について、いろんな飛行機会社があるんですけれども事故についてどこの航空会社が一番事故が多いのか、ミスが多かったのかということも調べてみる必要があると思いますし、それは当然航空当局でもってやらなきゃいかぬと思うんですけれども、乗務員の意見というものも、私乗務員組合のボーイング社に対する公開質問状というものを見せてもらいましたけれども、専門用語が多くて我々にはわかりにくい点がある。そこで、こういう毎日仕事として乗務している人たちの意見というものを最大限に尊重しなきゃいけないと思うんです。多少危ないけれども、まあいいやということでもってやられてしまったんではいけないと思うんですよ。もちろんこれは政治問題になりますよ、ボーイング社からの飛行機を買わないなんということは。日米関係、外交関係、いろいろ関係してくることだけれども、最大の政治問題になるということも考えるから、私はこういう問題について大臣としての毅然とした態度というものをお伺いをして私の質問を終わりたいと思います。
  48. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 最近、運輸省に各国の首相、外務大臣運輸大臣が二人、三人必ず見えます。皆日本に航空機の乗り入れをさせろ、こういうことでありまして、まさに世界的に航空機の時代が来たという感じがします。それから国内においても、例えば滑走路の延長、ジェット化ジェット化が済むと、今度は大型機の導入ということが実は各空港で地元から叫ばれるわけであります。  ですから、内外ともに航空機の需要というのが非常に高くなってきて、そしてボーイングを買わなきゃいいというならそれでもいいんでしょうが、本来、買う買わぬはこれは航空会社の実は判断でございまして、運輸省が買うわけではありません。しかしそのときに、買わなくて一体どうするんだ、こう言うと、ほかにかわるものがヨーロッパかほかにあるのかと言ったら、ほかにないところに私は問題があるのだろうと思います。  したがいまして、先ほど来の御質問のようないわゆる五百二十人というとうとい犠牲を払ったこの痛ましい経験をもとにして、そして連邦航空局のきちっとした評価をもとに、あるいは外国十二社が使っておるといいますから、それらの安全性、三人だから安全で二人だから安全じゃないということは私は言えないと思います。それらをいよいよ導入の段階になりましたならば、私どもは日本における航空法の規定に従って国民に責任を持てるような審査をして結論を出すようにいたしたい、こう考えておるところでございます。
  49. 安恒良一

    ○安恒良一君 私の質問時間は三十分しかありません。ただ、大臣がかわったり局長がかわられていますから、ちょっと経過を正確に御理解願っておかなきゃならぬと思いますが、御承知のように、私は昭和六十一年のこの運輸委員会で橋本運輸大臣のときに初めて佐川急便の問題を取り上げまして、橋本運輸大臣も、我が国においてそんなことがまかり通っているとは知らなかったということで、大々的な全国的な監査を運輸省、労働省、それから警察当局まで含めてやられました。その結果が昭和六十二年の六月十一日に当時の中島流通局長から清和商事、佐川の代表取締役佐川正明に文書が渡されると同時に、大臣からも厳重な注意がされた。  そこで、その後問題にしたことが直っておったかと思ったら、全然直らないものですから、今度は山村運輸大臣のときに再度私が問題を提起をしまして、このときは運輸省、労働省だけじゃなくて、大蔵省、それから法務省等々、関係省全部出ていただいて議論をしたことは、すなわち清和商事というのは、佐川の主幹店会社が九つありまして、そこには社長以下重役が全部おる、その上にある会社にすぎない。そして佐川清という男はどういう男かというと、株主であると同時にオーナーであるが、各会社の重役でも何でもない。にもかかわらず、一万八千人の佐川の従業員の賃金も、それから人事権も全部一人で持っている。そんなばかなことはないじゃないかということで、山村運輸大臣のときに私は問題にいたしました。  それで、問題にいたしましたのは、すなわちいわゆる道路運送法違反、運輸規則違反、労働基準法違反、そして過労運転、これが企業ぐるみの違法性をつくっているんです。なぜそうなるかというのは、オール歩合制の賃金体系でありまして、しかもその賃金を年に二回査定する。運転手の水揚げによって給料が決まり、事務員や課長や部長やずっと重役までの給料、年に二回物すごい。ですから、そういうことがやられますから、どうしても売り上げを上げなきゃならぬということで、いろんな違反を承知をしてでもやってしまう。こういうことなんです。  それから、不当解雇、違法な人事の締めつけがこれまた行われておる。それは半年に一回査定をしまして、一定の水準以下の売り上げになりますと、そこの店長が直ちに首になるんですね。何月何日付をもって退職を認める、こういう形で、これも佐川が一方的にやってしまう。でありますから、それを免れるために、どうしてもそこの従業員のしりをどんどんたたいてむちゃくちゃなことをさして売り上げを伸ばそうとする。こういう問題が出てくる。  そこで、私は法務省その他にも聞いたんですが、こんなことが商法上まかり通るのかと言ったら、商法上では、人事権や経営権というのは社長以下が持つべきであって、その上の佐川が持つのは間違っていると。それから、それと同時に、いわゆる佐川に対する上納金が当初三%ぐらいであったのが、私が問題にしたときには一〇%取るようになっていた。年間四百億。これが税務上正当に処理をされているかということを指摘しましたから、大蔵省がその後税務調査に入って、一応表面的にはこれを昔のパーセントに戻す、こういうことになっていますが、本当にそうなっているのかどうか等々ございまして、私はそのときに、議事録を読んでいただくと、私の手元に来ているのは、ここは労働組合がありませんから、労働者からだけではなくして、率直に言って各主幹店のいわゆる職制と言われる方からもたくさんの投書、資料が来ております。それから、既に東北佐川なんかでは社長が首になって、今社長が裁判を起こしていますから、そういうところからも資料がたくさん来ている。そういうものを持っているから、労働省、運輸省は、それを私が掲げながら質問したんですが、それを印刷して皆さんにお配りをすると資料の出どころがわかったら大変だから、必要なら私のところに見に来てもらいたい。それはいつでも見せます。それに基づいて徹底的な調査をしてもらいたいということをお願いしておったんですが、その後音さたもありません。  そこで、私がいよいよ貨物二法を議論するに、貨物二法の中では料金とか、それからいま一つ運賃、これがかなり自由化の方向にいく、しかし公的規制は強めるという精神だと、こう聞いていましたから、その後この問題はどうなっているかということを実は聞いたわけです。聞いたところ、私のところに慌てて労働省も数日前、運輸省も一カ月にもなりませんが、今のところこんなところですと、こういうものが来ています。  まず、資料はもらっていますから、運輸省、労働省から、時間がありませんから、今の段階ではこんなふうに調査をし、このようにしたいと思っているということを簡単に答えてください。
  50. 寺嶋潔

    政府委員(寺嶋潔君) お答えいたします。  本年六月の当委員会で安恒委員から御指摘がございまして、私どもといたしましては、労働省等関係機関とも連携をとりながら、本年九月以降、主幹店のうち六社について、精算金、賃金制度あるいは人事制度等、事業運営上の諸制度について調査を行うとともに、これらの主幹店を含めた十二社について過労運転の有無を中心に監査を実施したところでございます。その監査の結果の概要を評価いたしますと、依然として過労運転の防止等を図るための運行管理体制についてかなりの違反事実が認められる、なお改善の徹底が行われていないということは極めて遺憾であるというふうに考えております。  このような状況の背景には、グループ全体として売り上げ確保を重視する余りに遵法精神がなお十分でないということ、さらにグループ各社のほとんどが、グループ全体の統括業務を行っております清和商事の意向との関係において余りにも主体性に欠け、かつ精算金制度、賃金、人事制度等の事業運営上の基本的な制度自身に適正な運行管理を行うという見地から問題があるということが要因になっているのではないかと考えております。  監査の結果の内容としましては、過労運転防止を初めとする運行管理関係の違反がほとんどの事業者に見られるということのほか、さらに無認可の事業計画変更等多岐にわたっております。さらに、当方の監査以外にも労働省の各県労働基準局等により立入監査が行われておりまして、それらにつきましては、当省に通報があり次第、さらに当省として監査を行い厳正に対処することとしております。  以上を受けまして、佐川急便グループに対する所要の処分はおおむね年内を目途に実施したいと思っております。
  51. 野崎和昭

    政府委員(野崎和昭君) 労働省におきましては、御指摘のございましたような経営上の体制が労働条件に悪い影響を及ぼしているのではないか、それが原因になって労働基準法違反が起こっているのではないかという見地に立ちまして、本年九月に全国十八の事業場に対して監督指導を実施したところでございます。その結果、十五の事業場において法違反あるいは改善基準の違反が認められました。違反のうち最も多いのは労働時間に関する違反で、十事業場において法違反、十一事業場において改善基準の違反が認められたところでございます。  そういったことで、この佐川急便関係の事業場におきましては、現時点におきましても労働時間管理を中心になお問題が残っているというふうに認識しておりまして、引き続き厳正な監督指導に努めてまいりたいというふうに思っております。  なお、経営上の問題につきましても、各個別の事業場からは事情を聞いておりますが、上部団体である清和商事を含めまして全貌を十分調査いたしまして、労働省として必要があれば指導したいと思っております。
  52. 安恒良一

    ○安恒良一君 大臣、聞いてほしいんですが、きょうは実は労働大臣も呼びたかったんですが、運輸委員会ですから、いずれこれはまた予算委員会で一遍やらなきゃいかぬと思っておりますが、私が資料をたくさん持っている、だから見に来なさいと言っても来ないんですよ。そして監査の結果を僕のところに持ってきて、僕から、何だ、こんな監査はと言われて、労働省は資料を取りに来たのはきのうなんです、きのう。運輸省も、私が資料を貸してやったのは数日前ですね。十日もたっていません。せっかく僕が資料を持っているから見に来なさいと言っても来ない。そしてこんな監査の結果が、ずさんなのが出ています。  具体的に例を挙げましょう。大阪佐川急便について、近畿運輸局は、監査の結果、指摘事項なし、処分も考えてない、こう言っている。労働省の方を調べてみましたら、企業ぐるみの改ざん、その他違法性、法違反など悪質違反摘発、こうなっている。運輸省が調べて、指摘事項なし、処分も考えてないと言っている。片方、労働省が調べたら、企業ぐるみの改ざん、その他法的いろいろあると、これはわかりやすい例で言うとね。  役所は本気で私が指摘をしたことをやっているのかどうか。役所で資料がなければやむを得ない。それじゃ私が貸してやると言うのに、それを借りに来たのは、この運輸委員会が開かれるというのがわかって、また私から怒られたらいかぬから慌てて借りに来る。だから、私は、我が法治国家でこんなばかなことがあってはいけない。佐川という男は非常勤重役で月給約八千万。株主配当をもらっている。そのほかに各主幹店から、今言ったように、売り上げの何%か水揚げを取っている。こんなばかなことがこの世の中に通るのかということを何回も僕は指摘している。そして資料が必要なら貸してあげますというのに取りに来ない。しかも、きのう貨物流通局長から私の方に、佐川正明にこういう警告文を出したいと思いますというものを持ってきた。もらいました。大変なまぬるいんですよ。そこで、それがなぜなまぬるいかというのは、実は私のところにまた新しい資料を送ってきたら、運輸省からそんなふうに警告されているにもかかわらず、ことしの九月までの実績で次のように全社員の給料を改めますというのをまた出しているんです。運輸省が何を言おうが、労働省が何を言おうが全然改めない。一人の人間が一万八千人の従業員の給料を全部通達一本で決めてしまうという制度を何も改めない。  さらに、運輸省にはうそばっかり言っているんです。私が去年指摘をしたものですから、国税も動いたものですから、これはいけないということで、精算金の昨年の十一月段階に戻して全部各社に戻しましたと。調べてみたら、とんでもない。昨年の十二月から三月までのなるほど税務署に対する修正申告はしています。しかし、四月から八月までの七十八億については、京都の銀行を指定してその金を納めている。この金の使い方は佐川会長の指示を待って使えと、こう言っている。ですから、運輸省をだまかしているわけです。  しかも、九月以降さらに一%をめどに、例えば四月から八月までの金約七十八億を京都の銀行に預けさせて、これを使うのはおれの指示を待てと、こう言っているが、九月以降、一%ずつ同じように京都の銀行に積み上げをせいと、こういう指示なんです。これが年間三十億。この金はどこに使われるのだろうか。そして運輸省には、昨年の十一月に戻しましたと言っているんですが、既に新しいこういう業務契約書をつくって、いわゆるブロックの場合には、ブロック外には三%でいいと。しかし、今までは発送だけで三%の手数料を取っておったのを、到着と発送と両方から取るというから六%です。それから、ブロック内は二・五%を両方で取りますから五%。そうすると、佐川の全体の荷動きを加重平均いろいろしてみると、五・五%のピンはねをやっぱりする。そして運輸省には、いや、もう昔に戻していますという報告ですね。  じゃ、こういう契約書を結ばなきゃいいじゃないかと僕は言ったんです。ところが、東京佐川を除いて株を一〇〇%佐川が持っていますから、社長以下全然抵抗し切れないんです。そして、これを結んだ結果、今度はこれだけの上納金を出さなきゃいけませんから、また従業員のしりをたたいて売り上げをふやさせる。それがためには、労働組合法も、基準法も全部違反すると、こんなことが積み重ねられています。  そこで、私からお願いがあります。一つは、新しい事実についてまた私は資料がありますから、労働省も運輸省も、この資料を貸しますから、十分な徹底的な調査をもう一遍してもらいたい。これが一つ。  二つ目には、近く寺嶋さんが佐川正明代表取締役を呼んでいろんな文書を渡すと言いますが、これでは効き目ありません。佐川正明というのは息子でおやじのロボットなんです。実際やっているのは代表取締役会長である佐川清。これに警告文を出すんなら出す。さらに、貨物流通局長がもう二回にわたって出したって何も守られぬわけですから、これは大臣みずからがやはり代表取締役会長である佐川清を呼び出して、このような違法な行為は間違いだから、直ちに改めろということについて大臣がひとつやっていただきたいということが一つであります。  それからいま一つの問題は、私は参考人として佐川清をここに呼び出しをしたい。それはなぜかというと、本人はうそぶいているんですよ。おれは出るところへ出て何でもしゃべる、何も悪いことはしていないと、こう言っておるそうですから。これだけ国会で何回も歴代大臣に申し上げて政府の手が入ったにもかかわらず、依然として改められない。一万八千人の人間の賃金は自分で勝手に決めるわ、人事異動もいわゆる何月何日付であなたの退職を認めるとか、本来、人事権というのはそれぞれの佐川の各社の社長が持っているはずなのに全然社長が用をなさない。そんなことがまかり通るべきではないと思うんです。  こういう点について、今申し上げたところの佐川清をひとつ参考人としてここに呼ぶことについては、委員長、理事会の方で御協議をぜひいただきたい。私は、これは呼び出して話をしなければ解決しないと思うんです。何回ここで時間をとってやっても、依然として何一つ直らぬ。  今私がいろいろ申し上げたことについて、とりあえず運輸大臣、考え方を聞かせてください。どうするんですか。これだけ何年も何回も証拠書類を突きつけてやっても、全然直さないんですね。  そして、これから逃れるために今何をやろうとしているかというと、清和商事というのは運輸省における事業認可をもらっている会社じゃないんですが、そこで近く京都佐川と合併をする、そのことによってそこを逃げようという考えを、来年に合併をするという考えを持っておるようでありますが、以上の点について大臣の考えを聞かせてもらいたい。  それから、続いて答弁をしてもらいたいんですが、大体こういうような運送事業における係長以上のいわゆる職制の者がいないと労務管理はきちっと運行管理できませんが、運輸省は何人に一人が妥当というふうに考えられているか、その点を答えてもらいたい。  以上です。
  53. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 先般、別件で、大潟村のやみ米を某大手運送会社が実は一手で運んでおるということを私は就任当時聞きまして、直ちにやめさせろ、政府の法律で食管制度のもとに管理すべき米を、しかも天下に名高き大手の運送会社が一手で運ぶなどということはまかりならぬと。これはこの会社だけは直ちに受け入れました。そのかわり運輸大臣に対してはあちこちから抗議もありました。それはやっぱり私は一つの筋道だと思っておったからであります。  まさに今回物流二法の御審議を煩わすことになりまして、規制の緩和ということが第一に掲げられる。そうすると、規制の緩和ということで、今度はむちゃくちゃな料金、増車あるいはその他何でもかんでもやるというようなことがあったら、それは絶対許せない。特に物流二法の本来の目的は、ある程度の規制緩和によって自由な競争をさせるという一面で、運転手その他が九万人も足らないというような職場になってしまいましたから、社会的な規制をしっかりかけて、近代産業として人事管理を含めてきちんとした輸送体制をつくろうというところがねらいでありますので、私は、そういうときにもしただいま御説明のありましたような事実があるとすれば、それは許すべからざることであると思います。したがいまして、なるべく早い機会に運輸省自体で再調査をいたします。  それから、会長を呼ぶ呼ばないということについては、もう少しく私勉強いたしましてしかるべく処置をいたします。決して問題を粗略に扱うようなことはいたしません。  以上であります。
  54. 野崎和昭

    政府委員(野崎和昭君) 労働省におきましても、個別の事業場を監督指導するのは当然でございますが、今御指摘のございましたような清和商事との関係が労働条件にどういう影響を及ぼしているかという点について十分調査したいと思います。
  55. 寺嶋潔

    政府委員(寺嶋潔君) 大臣の御答弁を補足いたしましてお答え申し上げます。  大阪佐川につきまして労働省の監査と私どもの監査で所見が食い違っておりましたようでございますので、これは労働省の方からも内容を教えていただいて、さらに必要な監査をいたしたいと思っております。  それから、精算金がさらに九月にまた新しい制度が設けられたという話は私どもは初耳でございまして、私どもが説明を受けておりましたのは、おおむね三%の線で現在新しい契約をつくろうとしておると、こういう説明でございましたから、数字がかなり食い違っております。そこで、もう一度この点につきましては呼び出しをして調査をしたいと思っております。  それから、私の名において清和商事に出します指導の文書のあて名でございますが、佐川清会長も代表取締役で代表権を持っておられますので、しかも事実上の実力者であるということは間違いないことでありますので、これは会長あてにしたいと思っております。  それから、労務担当の係長の……
  56. 安恒良一

    ○安恒良一君 労務じゃなくて、いわゆる従業員何人に一人の係長以上が必要なのかと、こういう仕事の場合。
  57. 寺嶋潔

    政府委員(寺嶋潔君) 運行管理者につきましては、五台以上を持った場合には必ず置けという規定がございますが、係長という職種について特に私どもとして定めを持っておるわけではございません。
  58. 安恒良一

    ○安恒良一君 そうじゃないんだよ。こういう運送事業をやる場合に、今申し上げたように、いわゆる管理職というのがいるわけですよね、運行管理をきちっとするためには。普通、管理職というのは係長以上というから、だから私は言ったんですが、係長以上というものを何人と。というのは、僕が調べたのでは、大体運輸省なんかで考えているのは三十人に一人ぐらいはおった方がいいんじゃないかということじゃないかというふうに僕は聞いているんですが、この佐川の場合は五十人で二人だった。そしてそれが今度は五十人に一人になった。そして今度は百人に一人にせいと、こう言っている。百人に一人。それでは全然できません。だから、いわゆる十月末で係長以上の労務管理職を百人に一人にする。そうすると、係長以上の管理職はうんと余るわけですから、これはやめさせられはしないかといって今もう戦々恐々としている。現実に百人に一人でこのような仕事の管理ができますか。私はできないと思う。百人に一人ではとてもできない。そういうことをしようとしているから、私はあなたに聞いたんです。あなたは、専門職としてこういう仕事をするときに、管理職というものは大体従業員何人に一人ぐらいあればうまく管理ができると思うか、そういうことを聞いているんです。それを答えてください。  それから労政局長に来てもらっていますが、私が労政局長に来てもらったのは、どうも基準局長というのは労働基準法違反を中心に調べる、これはもうやむを得ませんね。しかし、一万八千人の従業員が九つの会社の従業員になっている。その上に清和商事というのがあって、これは運送事業法の許可も何ももらわない。ところが、この人が飛び越えて一万八千人の賃金も決める。飛び越えてこの人が解雇も人事権も全部持つ。そういうのが労働行政の立場から見てうまく会社というのが機能するんだろうか。これは法務省は、商法疑いでありますと。商法から見ると、そこの人を飛び越えて上の人がやるというのはあり得ません。商法では取締役社長以下が人事権も経営権も持っているはずですと、この前ここに法務省を呼んだときに法務省は答えている。しかし、これは労働行政としても、だから私は基準局長に言ったのは、あなたたちはそこだけを直してはだめなんだぞと、今言ったような労働行政のあり方としても注意をしないと、これは直らないよと、こういう意味で労政局長に来てもらったんです。考え方を聞かせてください。
  59. 岡部晃三

    政府委員(岡部晃三君) 普通正常な労使関係というのは、労使自治の原則がございますので、労使の十分な話し合いのもとに労働条件というものが決定されるという状態であろうと理解をいたしているわけでございます。この佐川急便の場合には労働組合がないわけでございますので、一般の団体交渉あるいは労働協約の締結というふうな集団的労使関係がまだ成立していない、それ以前の段階でございます。  しかしながら、先生指摘のような労働条件の決定に当たりまして他の企業の役員が強い影響力を及ぼしておられる。こういう事態がある場合に、それでは集団的労使関係の目から見て真の使用者はだれかというふうな観点のことにつきましては、例えば最高裁における法人、国の法理等々の考え方もございまして、これにつきましてはケース・バイ・ケースでこれは労使関係上も判断をしていかなければならない。労働基準法的側面が現下の中心の問題ではございますが、しかし集団的な労使関係の面からも注目をしているというふうに考えております。
  60. 寺嶋潔

    政府委員(寺嶋潔君) 先ほどお尋ねのドライバー何人に対して管理職一人持つべきかという基準でございますが、現在のところ明確な数字として持っておりません。しかしながら、問題の起きる場合には適切な指導をしておりまして、万全を期しておるつもりでございます。  なお、具体的な基準を設けるべきかどうかということにつきまして、今後検討させていただきたいと思います。
  61. 安恒良一

    ○安恒良一君 もう時間が来ましたからやむを得ません。今のようなあなたたちの答弁ではとても貨物二法の公的規制なんか考えられませんから、いずれ法案審議のときにもう一遍徹底的にこれは議論したいと思います。というのは、少なくとも何人に一人ぐらいのいわゆる管理者がいなければこの種の事業がうまくいくかいかぬかわからぬとか、基準がないというような、そんな答弁は納得できません。  それから、労政局長の方のあれも、私は何を言っておるかわけわからぬ、何答えておるか。私が聞いていることは、一つ一つの商法による株式会社があって社長以下重役がおる、そこで働いておる従業員がおる、これは労使関係はそこでやる。労働組合があるなし関係ない。その上に佐川といういわゆる会社があって、これが社長や取締役を飛び越えて賃金を決めたり、人事を決めたり、一人で約三万人に近い人のことをやっておるということが正常な労使関係と見られるのか、正常な会社の運営と見られるのかと聞いたんですが、わけのわからぬ答弁ばっかりしておるから、これも時間がない、改めてまたこの次、法律のときにやります。  そこで、私はぜひ委員長にお願いしておきたいんですが、この問題はどうしても一遍これは、今さっき申し上げましたように、佐川清会長を呼び出さないとらち明かぬと思うんです。ですから、理事会にお預けをしますから、その点はぜひ理事会で協議をしてもらいたい。本人は、おれは出るとこ出てもいいと、こう言っておるそうですから、ぜひここに呼び出して一つ一つの事実を本人に突きつけて明らかにしないと、運輸省が何を言おうと、労働省が何を言おうと全く馬耳東風。佐川はおれが一代でつくったんだから、煮て食おうと焼いて食おうとおれの勝手だと、これが佐川清の考えなんであります。そんなことを法治国家においてまかり通すわけいきません。もうこれを私が取り上げて三年かかっているんですが、依然として改善の兆しがない。私企業だからといっても社会的責任はあります。私企業であっても、資本主義社会においては社会的責任がある。そして法律というものは道義的にも守ってもらわなければなりません。それを平気で踏みにじってやるということを許すわけにいきません。ですから、その点はぜひともできるだけ早い機会に本人に参考人として出てきていただいて、その中で私はさらに問題の白黒をつけたいと思います。  それと同時に、運輸省、労働省も性根を入れて徹底的な査察をするということを約束してもらいたい。いつも、はい、わかりましたと言っているが、結果は全然直らないし、査察をしたという口の下から、また今まで以上のひどいことをされる。労働省も運輸省もまるっきりなめられているじゃないですか。その点どうですか。
  62. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 事実関係をよく精査をいたしまして、いやしくも行政が侮りを受けるようなことは絶対にさせません。
  63. 野崎和昭

    政府委員(野崎和昭君) 御指摘の点を踏まえまして、重大な関心を持って監督指導を進めてまいりたいと思います。
  64. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) ただいまの安恒君の佐川清氏の参考人としての喚問は後刻理事会でお諮りいたします。
  65. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 きょうは十分時間もありませんし、食事の時間もございますので、緊急に聞いておきたいことだけを御質問申し上げ、また改めて次の機会にお話を聞きたいと思います。  まず、遠くから来ていただいた方がいらっしゃいますから、首都高、道路公団関係からお伺いをしてまいりますが、首都高の方おいでですか。  昭和六十二年に首都高の料金が値上げになりましたね。普通車料金五百円から六百円、大型が千円から千二百円。これは後から聞きますと、首都高の収支はこういった値上げをしなくても収支が黒字であった、こういうように聞いておるんですが、その事実についてお聞かせいただきたいと思います。
  66. 星忠行

    参考人(星忠行君) お答えいたします。  おっしゃるように、六十二年九月に料金を改定いたしまして、普通車を五百円から六百円にいたしました。それで、その折に償還計画というものを一応立てたわけでございますが、非常に好景気でございまして、利用交通量が予想していましたよりも大変ふえました。それから、特に夜間交通量も大変な伸びを示しております。それまでの交通量の伸び率は、最近の五十七年度から六十二年度まで平均一・四%ぐらいだったんですが、六十二—三年度については一年間に、これは東京圏の交通量でございますが、四・六%という非常に高い伸びを示しました。  それから一方、経費の方でございますが、当初予定をしておりましたいろいろな建設事業が繰り延べによりまして、これは実際に工事をしようとする地域の住民の方々との話し合いがなかなか予定しておるとおりに進まないといったようなことで工事を繰り延べましたり、あるいは最近金利が非常に低金利の状況のもとにありますので、金利負担が考えておったよりしないで済んだ、そういうことがございまして、考えておりました計画と実績と乖離をしてございます。これは一面で言いますと大変ありがたいことでございまして、それだけ償還が早まるという結果になるわけでございます。  それで、黒字とおっしゃいましたけれども、首都高速道路は民間企業ではございませんので利潤を目的としてございませんので、そのような収支差というのは、計画と実績との収支差がございますけれども、これはすべて道路の建設とかあるいは償還に充てられる、少しでも成績がよければ償還の方にどんどん回っていくものでございまして、いわゆる民間企業で申します黒字でありますとかあるいは収益でありますとか、そういったような観念のものとは違うものでございます。
  67. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 いずれにしても、計画されておったよりも増収がかなりあったということで、特別に料金を上げなくても十分賄える状況にあったということは事実です。だから、特に首都高は最近大変な渋滞で、首都高速なんてものじゃなくて、首都低速道路と言われて非常に評判の悪い道路なんですけれども、日本の経済がここ数年で急に落ち込むなんてことはなくて、今かなり上昇傾向をたどっているわけですから、そういう時期で計画よりも増収であるとするなら、これはまた悪いときに上げりゃいいんですから、料金をもとに戻すとか下げるとか、こういうことが私はぜひ必要じゃないかと思うんですが、そういうお考えはございませんか。
  68. 星忠行

    参考人(星忠行君) おっしゃるとおり、大変な渋滞でもって非常な御迷惑をかけておるわけでございます。これは利用交通量が予想以上に伸びたということは、逆にそれだけますます渋滞対策必要性が出ておる。それで、今後もちろん基本的にはネットワークをますます建設していかなくてはいけないわけでございますが、当面できるところだけでも少しでも渋滞緩和に役立つような事業をどんどんしていきたい。  一例を申しますと、込むところは箱崎でありますとか羽田でありますとか、大体いつも渋滞しておるところは決まっておるわけですが、例えば羽田トンネル付近の羽田空港の方から入ってまいりますその出入口を改良いたしまして、上り方向の車線をふやして合流点の渋滞を少なくしようとか、あるいはオフランプを各地に建設いたしまして、渋滞でありましたら一般街路の方におりられるようにオフランプを何カ所か拡幅しようと。岩本町とか西神田、赤坂、錦糸町などというランプ増設の計画もございますが、そういったような緊急渋滞対策に資金を回す必要があると考えます。  それから、パーキングエリア等、道路施設のそういうサービス施設の改善、あるいは街路上に図形情報板というものを設けまして、その図形情報板の設置をどんどん行って交通情報施設を拡充していく。そういう緊急に実施すべきものがございますので、そういうものが一応千億円近くまた新たに追加の必要が出てくるわけでございます。仮に数百億といったようなものが計画と乖離しておりましても、そういう緊急対策の方にそれを振り向けていくという必要があると考えております。  それから、交通の実績の伸びとか低金利とかいった状況は、それは比較的短期間の一、二年のことで乖離が生じているわけでございますが、今後どうなるかわからない。有料道路の償還計画というのは非常に長期でもって考えておりますので、単に短期間の利用交通量の推移や金利の傾向だけで、直ちにそういう条件だけで料金を改定する、見直しを行うということは現在考えておりません。
  69. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 いずれにしても、設備投資なりサービス投資なりいろいろあるでしょうけれども、やはり首都高の皆さんにぜひお願いしたいのは、ただ値上げのことばかりを先行させて考えるのでなくて、やはりドライバーに対してもそういう強い要望がある場合には、収支の好転したときには、たとえ五十円でも百円でも下げる、そういうサービスも常にひとつ考えて経営をしていただきたいということを御要望申し上げておきます。  次にまいります。  道路公団の方に御質問いたしますが、先般大型、中型のトラックの車種間比率が上昇いたしました。しかし、物流の主力というのはもう御承知のとおりの貨物自動車でありますし、六十二年度の輸送分担率もトラックが九〇%以上を占めておる。こういう実態にあるわけですけれども、こうした物流の主役を担っているトラックというのは非常に公共性の強い性格であるわけですが、そういった面を料金面で反映させられなかったというのはどういうことなんでしょうか。また、将来そういった公共性を担う物流におけるトラックの役割というものを認識した上で料金を考えていかれるということを私は希望しておるんですが、その点はいかがですか。
  70. 廣瀬好宏

    参考人廣瀬好宏君) 現行の車種区分とか車種間の料金比率につきましては、昭和六十三年の道路審議会答申に基づきまして設定したものでございます。  今回の車種間比率の見直しに際しましては、中型車、大型車、すなわち大部分のトラックなどにつきましては、答申で提案されました車種間比率の改定につきましては三分の一程度に切り下げるという激変緩和措置を講じているところでございます。  一方、高速道路の料金につきましては、大量利用を促進し、大口の利用者の定着を図るために、別納料金の割引制度というものがございます。また、今回の料金改定では、広域的な高速道路ネットワークにおける長距離利用の促進、ひいては交流の拡大を目指すという観点から、長距離利用者への割引を拡大をしたところでございます。  以上、御説明を申し上げましたとおり、現行の料金制度におきましては、長距離、大量、大口利用につきましては十分な配慮がされていると私ども考えております。  なお、お話のように、公共性の問題につきましては判断が非常に難しいという問題もございます。また、高速道路の利用につきましては、一般国民も日常生活として御利用になっていらっしゃいますものですから、その点につきまして利用の負担の公平化ということを考えていく必要があると思いますので、ある事業主体の車について特別の配慮をするということは、利用の負担の公平という点から見て問題があるかというふうに感じている次第でございます。
  71. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 ここで意見を闘わしてもしようがないんですが、しかしそういう公共の用に供しているトラック輸送、こういうものに対する配慮がこれからもぜひ必要じゃないかと思うんですが、そういう点、いずれ改めてまたやることにいたします。  そこで、この高速道路料金の問題を引き続き行うんですが、この料金の算定の基礎に用地の取得費というのが入っております。しかし、他の鉄道運賃とかバスであるとか、タクシーであるとか、こういう運賃の設定には用地費が除外されておりますし、また電力やガス料金についても、用地の取得費というのは原則的に不算入になっておる。この高速道路料金だけはこうした用地の取得費が料金を算定する場合の基礎に入っているんですが、これは他の公共料金と同じように除外をするという考えはございませんか。
  72. 廣瀬好宏

    参考人廣瀬好宏君) 高速道路につきましては、全国的なネットワークといたしまして体系的に整備をする必要があるわけでございますが、これを計画的かつ着実に図っていくためには、莫大な費用がかかりますことから有料制を採用して、借入金で資金を調達し、通行料金で借入金とその利息の返済に充てているところでございます。したがいまして、用地費につきましても、道路整備のための財源に限りがある現状では、償還対象費用といたしまして道路整備特別措置法施行令第一条の五の規定に基づきまして、料金算定の基礎に含めて計算をしているところでございます。  用地費を償還対象から除くという問題につきましては、道路審議会答申におきましても検討課題とされているところでございます。道路公団といたしましても、今後の検討課題であると考えているところでございます。
  73. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 今おっしゃったように、確かに道路審議会でそういう検討をやりなさいという答申が行われていますが、同時に、この償還期間ですね、現在三十年とされておりますけれども、これらの問題についても検討するようにと言われておると思うんですが、その辺のところはいかがでしょうか。
  74. 廣瀬好宏

    参考人廣瀬好宏君) 高速道路の償還期限につきましては、昭和四十七年の道路審議会答申に基づきまして三十年とされております。この期間につきましては、長期の経済社会情勢の予測というものがおよそ三十年程度が限度であるということとか、償還期限を延長いたしますと、交通量等の変動がございまして償還計画に与える影響が非常に大きくなるとか、膨大な借入金で行っておりますので事業リスクが増大するとか、また、諸外国の実例などなどを勘案して三十年と定められているわけでございます。  したがいまして、現在まだネットワークの形成途上にあります高速道路事業の採算性の確保を図るためには、やはり現行の三十年の償還期限は妥当なものだと私どもは考えておる次第でございます。
  75. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 あなた方は妥当だと考えておるかもわかりませんけれども、道路審議会でも、そうした用地費の算定の問題とか償還期間の延長問題についてもいろいろ検討するべきだという答申があるわけですから、そういう点は国会運輸委員会でも取り上げられたということで、真剣にひとつ今後検討をお願いしたいと思います。  建設省、お見えですか。  そこで、現在の高速道路の建設費というのはほとんどユーザーの料金負担で賄っているわけですけれども、これに対する国費の負担が私は非常に少ないんじゃないかと思うんですけれども、負担率は現在どうなっているのかということ、それから、こうした国費の投入というものをもっと前向きに考えていかないと、ただユーザーの料金負担だけでこういった高速道路の建設費を賄うということはもう限界に来ているんじゃないかという感じがするんですが、その点はいかがですか。
  76. 橋本鋼太郎

    説明員橋本鋼太郎君) 高速道路の整備は、御指摘のように、借入金によりまして賄われており、利用者の料金収入によって償還するものでございますが、この際、国費の助成によりまして借入金の利息を一定限度まで軽減していくということで国費を投入しております。平成元年度予算で見ますと、道路公団の高速国道の建設費は一兆六百三十億円でございまして、これに対して国費は六百九十七億円でございます。この割合は、この率でまいりますと六・六%、こういうふうになります。  それで、今後とも高速自動車国道を早急に整備していく必要がございます。このためには、やはり有料道路制度を活用してプール制のもとに整備していく必要があると思います。しかし、利用者負担の問題もございますので、今後は高遠道路の整備の経費の節減、あるいは国費による助成の措置、こういう諸施策を充実していくとともに、利用者の負担増をできるだけ軽減するように努力はしてまいりたいと考えております。
  77. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 そういう国費の投入の私が指摘した問題について特にひとつお願いをしておきたいと思います。  時間がありませんから、次に参ります。道路公団、首都高速、建設省、結構でございます。  次に、航空貨物の関係について質問してみたいと思います。  最近の新聞などを拝見いたしますと、航空貨物というものを非常に成田で受け入れているわけですが、その取り扱いも世界一だというような情報があるわけでありますけれども、現在の成田の航空貨物の取り扱いの集中度というんですか、その需要の見通しと、さらに成田空港がその航空貨物を受け入れる施設、こういったものの現状、限界、こういったものを簡単でいいですからお教えいただきたいと思います。
  78. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 成田空港の国際線の航空貨物の取扱量ということでございますが、これは昭和六十一年度以降、我が国経済の円高の影響が相当出たと思っておりますが、そういうことに伴いまして年率一五%以上の伸びを示しております。  現在、ICAO、国際民間航空機関でございますが、そのICAOの世界各国の空港の統計というのがございますけれども、それで比較していきますと、今の成田の貨物の取扱量というのは六十一年以降三年連続世界一という状況になっております。それで、絶対量で申し上げますと、現在は、六十三年度の実績で申し上げますが、全国で百四十万トンということに対しまして、成田の空港では百二十一万トン、約八六%という相当高いシェアになっております。  それで、これの取り扱いにつきましての施設の方の関係でございますが、確かにただいま利用者の方々から、つまりエアラインあるいは物流業者、そういう方々から非常に混雑をしているというところの御指摘を受けている状態でございまして、それにつきまして、私どもの方としましては、まずは緊急に対策を今とっているところでございますけれども、今現在、成田の貨物地区につきましては十九ヘクタールぐらいを使っているわけでございますけれども、全部で今予定されておりますのは二十四ヘクタールぐらいの広さが予定されますが、そのうちの十九ヘクタールぐらい今現在使用しているわけでございます。それで、緊急にあと残された五ヘクタールのうちの一ヘクタールの部分につきましていろいろな設備をつくりまして、そこは第二次の仕分け場と言っておりますけれども、そういうものが来年早々にもでき上がるように今はその整備を進めておりまして、それに続きまして中期的というんでしょうか、残された四ヘクタールのところにつきましても全部の利用ができるように、しかも立体的な使い方ができるように、そういったような施設整備に今緊急に取り組んでいるところでございます。
  79. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 いずれにしても、成田空港だけで、国内、国際航空貨物——だけといいますか、非常に一極集中してパンク状態、限界に来ている、こういうのが実態だろうと思うんです。しかも、今後ますますやはり航空貨物の需要は伸びてくると思うんですね。したがって、関西空港が三年後にできれば若干緩和されると思うんですけれども、いずれにしても、成田空港というところにやはり恐らく集中されてくるんでしょうが、そうじゃなくて、国際貨物というのは地方空港を活用して地域振興、こういった面でやはりもっと積極的に航空行政、運輸行政として分散化していかないと、関西空港ができたとしても、国内貨物、国際貨物の航空のこうした貨物は大変な限界を超えてしまうんじゃないか、こういうように思うんですけれども、こういった地域空港の振興策も含めて、こういう事態を今後どう打開され、施策として反映されていくのか、できれば運輸大臣からひとつお聞かせいただきたいと思います。
  80. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 先ほど局長からお答えしましたように、予想に反して一五%以上も年々ふえている。それから、その貨物の八〇%が成田に集中しておる、こういうことで、今成田の建設を急いでおるわけでありますが、御承知のように、三十六の団結小屋、千三百人の一坪地主が頑張っておりまして、なかなか前へ進まずに実は難儀をしておるところであります。  そういう中で、先般来実は日米航空交渉が行われまして、私は十一月三日以降の連休はやるな、そんな休みの日にやることはないということで頑張って、表向きにはアメリカに譲歩したような格好にしてありますけれども、我が国の言い分というのは完全に通しまして、そして、例えばアメリカからの乗り入れについても地方空港を利用するということを実は今回ははっきりさせたわけであります。  したがいまして、各国の代表が見えまして東京、羽田の乗り入れ、関空の乗り入れを要望しますけれども、私は東京大阪以外のところであれば、例えば札幌、仙台、名古屋、福岡、こういうふうなところであるならば、それは交渉に応ずる用意はありますよ、だめなものはだめです、こういうことを申し上げておるんですが、なかなか……。私は、例えば札幌空港をもっと利用したらいいなと思うんですけれども、実際は見てみますというと、実は二万トンの航空貨物を予想しておりましたら、実質はたった四百トンしかないんです。しかしながら、将来は機能分散をして二十万トン、札幌空港は平成十二年に完成しますから、その暁には少なくとも年間二十万トンぐらいの航空貨物を扱えるようにしたいものだなということで、今夢を持ちながら実はやっておるわけであります。  それともう一つは、やはりこういう時代ですから、二十四時間営業のできる空港というものを成田、そして関空以外に考えてみる必要がある、各国の時差があるわけですから。そういうこともございますので、今後平成三年から第六次の空港整備五カ年計画がスタートすることになっておりますので、御意向の点は十分念頭に置きまして今後の私どもの重要な検討課題にさせていただきたい、こう思っております。
  81. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 じゃ、あと一点お聞きしますけれども、今、日米構造協議が行われておりますけれども、これで日米構造協議の米国側から日本側に求める流通分野での改善項目というのがあるんですけれども、これはトラック運送業への過剰な規制が搬送費用を高め、特に市場に参入しようとする新しい企業に負担を強いている、こういう項目があるんですが、これに対する運輸省の見解についてお聞かせをいただきたいと思います。
  82. 寺嶋潔

    政府委員(寺嶋潔君) 御指摘の日米構造協議は、第一回が九月上旬東京で、第二回が十一月上旬にワシントンでございましたが、その中で日本の流通機構という問題が取り上げられておりまして、その一環として物流、なかんずくトラック事業の規制について米側から指摘があったことは先ほどお話しのとおりでございます。  米側は、日本のトラック事業の規制が過剰であって、良好なサービスを提供する事業者の新規参入が困難である、こう言っておるわけでございますが、日本側としましては、現状においても、すなわち免許制の道路運送法のもとにおきましても、トラックの事業者というのは全体では既に三万八千あり、毎年数百件の新規参入が行われて非常に活発な事業活動が行われており、良好なサービスが提供されている。また、外国企業の参入につきましても、内外無差別の原則で運用しておりまして、格別にトラブルは生じておりません。また、現在トラック事業の規制のあり方を改めるための法案を国会に提出中である、こういうふうに答えております。  ただ、最後の点を誤解を避ける意味で申し上げますが、ただいま国会に提出させていただいておりますいわゆる貨物二法案は、我が国の社会経済情勢の変化を受けて独自に必要であると判断してことしの三月に国会に提出したものでございまして、米側の指摘を受けたから出した、こういうものではございません。
  83. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 いずれにしても、その問題は物流二法案が来週から審議に入りますから、そこで十分これとの関連でまたお聞きをすることにして終わりたいと思います。  それでは、時間も十分ありませんので、警察庁に交通事故問題についてちょっとお伺いいたします。  最近非常に交通事故が増大して毎日の新聞をにぎわしておりますが、警察庁としてもいろいろ対策発表されておるようですが、ひとつかいつまんで交通事故に対する対策をお聞かせいただきたいと思います。
  84. 島田尚武

    説明員(島田尚武君) 先生質問のとおり、交通事故状況は非常に深刻な事態を迎えております。  けさ、私ども全国の警察本部から報告を受けたところによりますと、昨日現在での死者が九千九百九十九人という状況であります。昨年に比べまして六百五十八人、七%の増という状況であります。これを換算してみますと、全国では毎日四十八分に一人が亡くなっているということになりますので、きょう既にもう十二時ですから、多分一万人を超える死者が出ているという状況と認識しております。これは昨年に比べて二十日ほど早い状況であります。  今、対策というお話ですので少し中身を御説明させていただきますが、この十年間、昭和五十四年と昭和六十三年とを比較してみますと、交通事故の死者数というのはおよそ二二%増加をしております。この間に四輪車がおよそ四三%、二輪車が七〇%、車の方は合計して四九%の増加ということであります。ちなみに、本年は四輪車が猛烈な売れ行きだそうでありまして、これはまだ年度集計ができておりませんので新聞報道等で見る限り、上半期でも一〇%以上の売り上げの増ということでありますから、交通環境は一層厳しさを増す、そういう状況であります。  そのような中で、交通事故を起こしておられる方々、これは若者が多いわけであります。十六歳の免許年齢から二十歳代最後まで見ますと、事故を起こしておられる方々のおよそ五割、四六%というのが六十三年の統計であります。一方、被害者になっておられる方々も若者が多いんですけれども、特徴的でありますのは、六十歳以上の方々が二八%ということでパターン化、ある程度正確さを少し無視して言うならば、主として若者を中心とする事故を起こす方々の急増と、それから高齢者の方々の被害に遭う機会の増大、こういったことがこの十年間なりを見たときに、あるいは最近の状況として特に問題があろうかと思います。  それからまた、夜間の事故が全国では五〇%から六〇%近い、東京等では六〇%を超えております。これは先ほどの車の量の増加と同時に、土曜、日曜等の夜間を含めてレジャー等の車利用の活発化というようなことが背景としてうかがわれるところであります。  そこで、対策まで御質問がありましたので簡単に触れておきますと、政府は、二十八日、非常事態宣言ということで発しております。当面警察におきましても、この年末に向けまして、短期的にはやはり今のようなポイントを押さえたところで街頭にできるだけ多くの警察官を立てて、また民間の安全協会の方々や、あるいはいわゆる緑のおばさんであるとか、多くの方々の協力を得て街頭での直接的な事故抑止に努めておるところでありますが、少し長期的にはやはり先ほど申し上げました若者の学校教育での問題であるとか、そういった意味では文部行政との協力、あるいは被害に遭われる高齢者の方々、これについては老人行政、高齢者の福祉の行政等も含めて総合的に本当に実の上がる対策を持って中長期的に取り組んでいく必要がある、かように考えております。
  85. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 そういう面で、今実態をお聞きをしたわけですけれども、本当に深刻な事故状況でありますので、非常事態宣言も出されたようですから、ひとつ一層の取り締まりなり施策をお願いしたいと思います。  続いて、道路渋滞についてちょっとお伺いをしますけれども、これもまた非常に大変な渋滞が起きておるようでありまして、この間も私がちょっとテレビをひねりましたら、ピーク時の違法駐車というんですか、大阪で何か十八万七千台だったか、東京が十八万五千台。東京大阪に比べて人口が非常に多いわけですから、そういう意味では大阪のピーク時の方が大変な違法駐車があるということだったと思うんですが、そういう状況を見てみて、私は、警察官が大変な取り締まりをやっておるんですけれども、なかなか取り締まりがはかどらないという状況だと思うんですね。  そこで、警察官の数をふやすというわけにもいきませんので、警官にかわって摘発をする特例の資格を持たした嘱託職員制度というようなものをつくって、その嘱託職員はできれば高齢者を活用するなどして、そこでひとつ摘発をしていく。そして、どんどん摘発の数が多ければ罰金もふえるわけですから、その罰金の増収でそういう人たちの収入も補てんできるというような考え方があるんですが、そういうことについてどうでしょうか、できるものですか。また、考えてみれば、もっと別の考えがあって、摘発は十分だとおっしゃるのか、その辺のところはいかがでしょうか。
  86. 島田尚武

    説明員(島田尚武君) 駐車あるいは渋滞の問題、これは東京大阪等の日本の大都市のみならず、パリ、ロンドン等世界共通の大都市における悩みとなっておるところでありまして、その名解決策というのはなかなか見つからないところでありますが、やはり地道に一つ一つ工夫をしていく必要があろうかと思います。  例えば東京では、先ほどお話がありましたように、毎日一千万台近い、さっき首都高の御質問がありましたが、首都高で言って百万、都内全域で一千万という車が動いておる。これはそもそも道路容量の二倍近い量だと私どもは認識しております。その中でいわゆる瞬間違法駐車というのを都内で見ますと、二十万台近くある。路外でもって時間決めでとまれる駐車のスペースというのはおよそ八万台ということで、それも七割近くが入っている。残りは三割、満杯にしても二万台前後。二十万台も瞬間違法駐車があるところに二万台ぐらいしか容量がない。警視庁では路上にパーキングメーター、パーキングチケットということで、できるだけこれはもう緊急の措置としてふやしておりますが、たかだが今一万三千から一万四千台分のスペースしかありません。これも三万台ぐらいまでふやしたいと思っておりますが、いずれにしてもまだまだ不足をしておる。  そこで、やはり基本的には車をまず買った段階から所有者の保管、車庫をきちっと整備をすることが必要であるし、行った先の建物はいわゆる駐車場法に基づく附置義務というものを、スーパーなどをつくったらきちっと駐車スペースをつくるというふうなこととか、あるいはトラックのお話もありましたが、荷物の積みおろしのような施設をきちんとつくるとか、こういったことを今からでも着実に進めていくということがまず第一に重要であろうと思います。その方向で建設省初め関係行政機関、団体等の特に東京大阪を初め今熱心に立ち上がり始めておりますので、今後の前進に大いに期待をしているところであります。  ちなみに、今取り締まりのお話がありましたが、現在、警察では全国で道交法違反をいろいろ検挙しておるわけでございますが、そのうちのおよそ二六・七%がこの駐車関係の取り締まりであります。ところが、大阪では全検挙の五六・四%、警視庁では四九・七%、このような駐車違反の取り締まりということで、現在の警察の交通関係の取り締まりの相当大きな部分が駐車違反の取り締まりということになっております。  そこで、先生からこれを民間委託をしてはいかがというお話がありました。そこで、今警視庁で例えば銀座、新宿で取り締まりをしている中には婦人警官が多いわけでありますが、これは夜も特にやらなきゃいけません。場合によっては下で取り締まりをされているビルの上からコカコーラの瓶を落として駐車違反の車のガラスを割ったり、いろいろ嫌な思いをしながら取り締まりをしているわけであります。一件レッカーで引っ張るということは、レッカー移動中に自分の車を傷つけたとか、いろいろないわば難癖をつけられながらやるものですから、一つ一つどこに傷がついているというようなことまで確認をして、返すときに、これはもともとついていたんですよ、こういうふうなことまでやって、そういうようなことのトータルをすると、一台引っ張るのに一時間くらいかかるというようなことになっております。相当な目に見えない手当てをしながらやっておるわけであります。  そういったことで、これを本当に商売としていけるものかどうか、そしてまた、仮に罰金なり反則金なりという形で入ったものをそういう方々の商売として回すような経理の仕組みというものが国としてできるのかどうか等々含めていろいろ検討する必要があろうかと思います。イギリスのトラフィックウオーデンの例等も勉強しておりますが、先生の御指摘を参考にしながらいろいろ検討してまいりたい、そう考えます。
  87. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 いろいろ知恵を絞って考えていかないと、この違法駐車というのはもう当たり前みたいになってしまって、二車線あるところが一車線になって大変な状態になっておるわけですから、お互いにひとつ知恵を絞りながらこれらの問題の解決を図っていかなきゃいかぬと思います。  そこで、一番手っ取り早いのは罰金を多くすればいいということになるんですね。私も聞いて苦笑したんですけれども、最近では、月決めの駐車場代を払って契約するよりは、路上駐車でたまに違反切符を切られた方がコストが安くつくと。だから、もう承知で駐車場を契約しないで見つかるまで置いとけというようなもので、なかなか見つからないようですから、そういうことで違法駐車している人が随分いるというんですね。こういう人たちに対してそれをさせないためには、一遍見つかると大変な罰金を取られるというようなことがやはりあっていいんじゃないかと思いますが、その辺いかがでしょうか。
  88. 島田尚武

    説明員(島田尚武君) 駐車違反に関する罰金あるいは反則金に関しましては、昭和六十一年の国会におきまして御審議をいただき、六十二年の四月から引き上げをいたしました。  普通車の例で申しますと、いわゆる駐車禁止違反の反則金で五千円から一万円ということで倍増いたしました。特に交差点の直近等停車も許されないいわゆる駐停禁違反につきましては、普通車について五千円から一万二千円というふうなことで、倍以上の引き上げを昭和六十一年の国会でお認めいただいて今実施しておるところでございます。それでもなお、もっと引き上げるべきではないかという御意見、十分参考にして、一方、自分のうちの前はとめるのはいやだけど、隣のうちの前にはとめるというふうなことで、駐車の問題についてはそれぞれの立場でそれぞれ、また一人の人間でも時間が違うと別の意見もあり得るというようなことで、大変現場でも苦慮しておりますが、十分御意見等を参考にしながら総合的に検討してまいりたい、そう思います。
  89. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 じゃ、最後に、建設省の方お見えですね。  違法駐車に関してですけれども、現在の駐車場法というのをちょっと拝見したんですけれども、現在の駐車場法によると、一般的な地域では延べ面積が三千平方メートル未満の建物には駐車場を設置する義務がないことに法律ではなっているんですが、私は三千平方メートル以下の建物であっても、一定の要件のもとに駐車場の義務づけを行うことが最近では特に必要ではないかと、こういうふうに思うんですけれども、この駐車場法というものを改正するお気持ちがあるかどうか、それを最後にお聞かせいただきたいと思います。
  90. 安達常太郎

    説明員安達常太郎君) お答えいたします。  特定の建築物のための駐車需要に対します駐車施設は、原則としてその建築物に附帯して設けるべきであるという考え方から、駐車場法におきましても、建築物の新増築の際の駐車場の整備に対して、地方公共団体が条例によりその建築物の規模に応じて駐車場の附置を義務づけることができることとされているところでございます。この基準の設定に当たりましては、駐車場法の規定により一般の建物用途に対しましては、委員指摘のとおり、三千平方メートル以上の建物に対して附置義務が課せられておりますが、百貨店あるいは劇場といった駐車需要の程度の大きい用途、これを特定用途と申しておりますけれども、これに対しましては三千平方メートル以下の建築物についても附置義務を課してよいこととされております。  建設省といたしましては、標準駐車場条例という条例のひな形を公共団体の方々に通達いたしておりまして、駐車需要の程度の大きい用途に関しましては基準を二千平米にするように指導しており、そのような条例が幾つかの都市で出てきておるわけでございます。また、さらに二千平米の基準に関しましては、地方の都市におきましては、建築活動の大半がそれ以下の規模のものである。比較的小さい建物といいますか、発生する駐車需要に適切に対応できない、対処できない例が多いということでございまして、都市によってその規模を引き下げるよう指導してきているところでございます。具体的に一千平米以上あるいは一千五百平米以上というような条例をつくって対処している市がございます。  なお、建設省といたしましては、近年のモータリゼーションと都市化の進展に伴う駐車場需要の増大に対応して、現在この基準の新たな見直しのための検討調査を進めておるところでございまして、この結果をもとに必要な見直しを行ってまいりたいというふうに考えております。
  91. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 最後に要望しておきますが、いずれにしても、そういう条例の基準の見直しなどをお考えのようですが、駐車場法そのものもひとつ検討の対象にして実態に合った法律にしていただくようにお願いをしておきます。  以上です。
  92. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      ─────・─────    午後一時三十七分開会
  93. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) ただいまから運輸委員会を再会いたします。  休憩前に引き続き、運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  94. 片山虎之助

    片山虎之助君 それでは、少しおくれましたけれども始めさせていただきます。  運輸行政は、御承知のように、陸海空と大変広範多岐にわたる対象の行政でございますけれども、本日は三十分しか時間をいただいておりませんので、当面する幾つかの問題に限ってお尋ねをいたしたい、こういうふうに思うわけであります。  まず、航空問題でございますけれども、午前中もいろんなお話がございました。近年、所得が大分上がってくる、あるいは産業構造が高度化する、こういうことを背景にいたしましてハイモビリティーへの国民の要求が大変高まっておりまして、それが即航空、航空輸送に対する需要と、こういうことになるようであります。このような国民の需要、社会経済の変化に的確、適切に対応することがこれから必要になる、航空行政はますます重要になる、こういうふうにまず思うわけであります。  航空行政における現下の最大のテーマは、やはり三大プロジェクト、成田の第二期というんでしょうか、完全空港化というんでしょうか、その問題、あるいは羽田の沖合展開工事の問題、あるいは関西の二十四時間空港の問題、こういうことであろうと承知いたしておりますけれども、まずこの三大プロジェクトの推進の状況、それから、今進めておられるわけでありますけれども、直面している問題点、それに対してどういう取り組みをされるか、こういうことから入らせていただきたいと思います。
  95. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 私どもが抱えております三大プロジェクトというのは、仰せのとおり新東京国際空港、それから関西国際空港、羽田沖合展開、この三つでありますが、御案内のように、昭和四十二年に工事実施計画の認可を運輸大臣がいたしまして二十年有余が実はたちました。その間、三百二十五戸の実はあの中に農家があったわけです。それが今八戸残っておりまして、面積が二十一・三ヘクタールであります。そのほかに千三百人ぐらいの実は一坪地主と称するものがおります。それから三十六の団結小屋が建っておると、こういう状況で実は建設を阻んでおるわけでありまして、私ども空港整備五ヵ年計画の中にあります明年度、平成二年度をもって概成する。B、Cの滑走路、エプロンあるいは空港ターミナル、そういうものは終わらせようということで、今最後の努力を実は進めておるところでございます。  しかし、これはなかなか容易ではないんです。この前機関紙を見ましたら、収用委員会に火炎瓶攻撃をかけろというのが過激派の新聞に出してございました。そういうことで、テロをやりますものですから、五人の警察官が死亡して、三千人の人々が重軽傷を負ってきた。そういう中で、この前も焼き討ち事件があり、あるいは収用委員長が左手だけ残して、両足、右手がばらばらに打ち砕かれた。こういうことが実はありまして、非常な危険の中にもかかわらず、何とかして平成二年度の概成を達成しようということで、これはもう重大な覚悟をもって実は取り組んでおるところでございます。  それから関空につきましては、平成四年度完成ということでありまして、先般私もちょうど休日に行ってきましたが、五百ヘクタール以上あるんですけれども、もう四十四、五ヘクタールは海面の埋め立てができてきまして、建物も実は建ってきました。したがいまして、二十四時間営業の空港というものをこれは早くつくらぬといかぬわけですから、これを非常に急いでおる。何としても平成四年度には完成をさせたい。あと第二期工事の問題があります。これはもう少し検討しようということにしておるところであります。  それから、羽田の沖合展開につきましては、平成七年度の完成に向かって私どもはただいま努力をいたしておるところでありますが、あそこはごみ捨て場の、ごみの埋立地の上ということもありまして、実は東京都の港湾埋立計画、それらと関連がございまして、私は早うやれと言うんですが、余りやりよるとごみが出てくるんだそうです。そういう地盤の関係等もありまして、平成七年というのを一、二年早くできないのかと、各地方空港要望からするとそう思っておるんですが、今のところ平成七年度を目標に完成を図るように努力をするというのが精いっぱいのところであります。
  96. 片山虎之助

    片山虎之助君 この三大プロジェクトは精力的にお取り組みいただきまして、完成をぜひ早めていただきたい。このことが我が国の国内、国際双方の航空輸送の発展のために不可欠な要件ではなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。特に国際空港の能力不足は、アジアの中核あるいは玄関口としての我が国の国際航空ネットワークにおける地位の低下をもたらすというようなこともございますので、我が国は国際社会でその地位がどんどん上がっておりますけれども、そういう重要な役割を持つ我が国の現状からしまして、そういうことになりますと大きな問題になる。当面成田や大阪両国際空港の能力アップ対応を含めまして早急に対応していただきたいと思います。  そこで、成田、大阪両国際空港が一種のパンク状態にある、こういう状況に対応する一つのあり方として、空港の能力に余力のある地方空港を国際線に改良する、こういうことがお考えいただけるかどうか。それは全国的な航空のあり方からしての議論でありますけれども、もっと同時に、現在地方あるいは地方都市の国際化が大変進捗しておりまして、運輸省さん自身もテン・ミリオン計画というふうなことをお持ちのようでありますけれども、ぜひその地方の国際化にも適切に対応する、そのために地方空港の国際定期便だとか国際チャーター便等の道を開いてやる、こういうことが必要になるんではなかろうかと思っているわけであります。テン・ミリオンといいましても、既に海外渡航は八百五十万になっておるわけでありますから、一千万も目睫の間ではなかろうかと思うわけでありますけれども、この地方空港と国際化、国際空港化への対応ということについて、まずお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  97. 宮本春樹

    政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。  地方空港の国際化につきましては、先生のおっしゃるとおり、地方圏における利用者の利便の向上あるいは観光の振興あるいは臨空産業の展開というような地方の都市の国際化、そういうことを進める見地から、また、お話のとおり、我が国の基幹的な国際空港であります成田、大阪、そういう空港空港能力の制約にもかんがみまして、運輸省といたしましても逐次これを推進していきたい、そのように考えているわけであります。  ただ、国際定期便の就航のためには、御承知のとおり、かなりの規模の需要の存在することが必要でございます。運輸省といたしましては、例のプログラムチャーター、そのようなことの施策を通じまして地元等が行います需要の喚起のための努力に支援をしていきたい、そのように考えているわけであります。  また、具体的な定期便の就航につきましては、ただいま申し上げた需要のほかに、内外の航空企業の運航計画でございますとかあるいは諸外国との関係、そういうことも考慮いたす必要がございますけれども、そういうことの検討を進めながら地方空港の国際化を進めていきたい、このように考えております。  なお、先般の日米航空交渉におきましても、日本の地方空港と米国とを結ぶ路線の開設についても合意されたところでございまして、これによっても地方空港の国際化がさらに促進されるものと、そのように考えております。
  98. 片山虎之助

    片山虎之助君 今地方空港と申しますか、それぞれの地方で国際定期便なりチャーター便について具体の御希望がございますか。具体に定期便やチャーター便について、ぜひ自分のところの空港でこことやりたいんだという、そういう希望と申しますか、申し出はございますか。
  99. 宮本春樹

    政府委員(宮本春樹君) 地方空港の国際化の要望につきましては、各県の知事さん初め選出の議員の先生方、いろいろ御熱心でございまして、実は私どものところにいろんな関係で陳情に来られる際にも、国際線の、特に定期国際路線の開設についてはしばしば陳情がございます。それからチャーター便等の運航につきましても御要望が多い、そういう状況でございます。
  100. 片山虎之助

    片山虎之助君 国際化するためには例のCIQですか、そういうCIQ施設の設置なんということになるわけでありますけれども、これについて運輸省として積極的に応援してやる。例えば二国間協定の問題なんかもあるんでしょうけれども、そういうことについて運輸省としていろんな支援や協力をしてやる、こういうお考えをお持ちでしょうか。
  101. 宮本春樹

    政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、地方空港の国際化のためには、税関でございますとか出入国管理あるいは検疫、いわゆるCIQの体制を整備する必要があるわけでございます。このCIQにつきましては、御承知のとおり、大蔵省、法務省、厚生省及び農水省が所管しているわけでございますけれども運輸省といたしましても、新規に国際定期路線が開設される場合等には必要に応じましてこれらの関係省庁の連絡調整の場をつくりまして、それを主宰することによりまして円滑にCIQ体制が整備されるように支援してきているところであります。地方空港の国際化を進めるために、今後このような努力を引き続き行っていきたい、そのように考えております。
  102. 片山虎之助

    片山虎之助君 国内航空の問題についてお尋ねいたしたいわけでありますが、今、四全総でも東京圏の一極集中は是正する、多極分散型国土をつくっていくんだと。私もその分散、分圏論者でありますから大変いいことでありますけれども、しかし、現実に東京は国際的な金融や情報のセンターとして日本の顔になっている、また、その機能はもっともっと強くしていかなきゃいかぬ、こういうように思うわけでありまして、東京と地方との間に需要がふえてくるというのは、一方ではやむを得ないことではなかろうか。そうなると、その輸送力をどうやってきちっと提供してやるか、こういうことが課題になる。また、これにこたえるのが行政なり関係者の責務ではなかろうか、こう思うわけであります。  現在、全国の地方空港からの東京便への新設なり増便の要望が極めて強い、こういうふうに聞いておりますけれども、先ほど大臣が言われた羽田の沖合展開工事、平成七年と、こういうお話でございましたが、こういうものとの関係から見て、いつごろどの程度地方空港要望にこたえていただけるか、この点について御答弁をいただきたいと思います。
  103. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 先生指摘のとおり、地方空港から東京あるいは大阪、そういう大都市への乗り入れ希望、あるいは現在飛んでおります便の増便希望、こういったものは最近いろいろの地方から大変そういうお話を伺っております。  それで、東京で申し上げますと、先ほど大臣が御説明申し上げましたように、羽田の沖合展開ということがその増便要望なり乗り入れ要望なりにこたえられる抜本的な対策になるわけでございます。それで、これは先ほどの大臣の御説明の中にございましたように、平成七年というのがその最終の段階でございますが、それを三つの計画に分けて実行しているところでございます。  第一番目は、昨年完成いたしまして、これは滑走路でいいますと私どもAランと言っておりますが、A、B、CのAの滑走路が昨年できましたので、それまでの羽田の処理能力が年間十六万回だったのが十八万回になりました。それで、昨年の夏と、それからことしの夏と両方でそれぞれ十便ずつ、合わせて一日二十便の増強を図ったところでございます。それで、あとどのくらい今の十八万回の中で残された余力があるかということでございますが、これにつきましては、あと五便程度の余力が残されたというところでございます。  それで、羽田の方は今第二期にかかっているわけでございますけれども、これから第二期が完成いたしますとしても、これはターミナルビルその他の施設の問題でございまして、ランウエーそのものではございませんものですから、輸送力増強の面では現況と変わりない。したがいまして、平成七年になりまして今の年間十八万回が二十三万回になる予定でございますけれども、そこまでは残された余力の五便で何とかつないでいかなきゃならない、こういう事情でございます。  それで、地方の御要望に対しては、そういう意味では私どももなかなか右から左の対応というのが難しいのでございますけれども、これからの需要その他の実情を把握いたしながら、便数はふやさなくても、機材を大きくするようなことで輸送力が増強できるところとか、いろいろきめ細かく対応してまいりたいと思っております。
  104. 片山虎之助

    片山虎之助君 それは五便でこれからつないでいく。要望は一方では非常に多い。今局長がいろんなことを言われましたけれども、その場合、その五便の割り当てはどういう考え方であれされるわけですか。
  105. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 空港整備五カ年計画を今実施しているところでございますけれども空港整備五カ年計画に基づきます地方空港整備でこれから供用開始をしていくような空港というのが出てまいります。そういうときの地方空港の乗り入れ先として最も適切なのはどこかとか、そういったようなことも判断し、基本的には需要と給供のバランスの問題とか、それから先ほど申し上げた輸送力をつけるやり方にしても、便数の増ということでなくて、機材の大型化というようなことで対応できないかとか、そういったようなことを総合的に判断していくつもりでおります。
  106. 片山虎之助

    片山虎之助君 需要見合いだというお話なんですが、私は岡山県選挙区なものですから、岡山がジェット空港になりまして、あるいは供給が需要を生むんですね、ある意味では。だから、総合的地域の発展、いろんな観点を考えていただいて慎重にやっていただきたいと思います。  そこで運賃問題でございますが、午前中いろいろお話ございました。私も、南北に格差があるとすれば、これを直していただく、できるだけ同一距離なら同一料金に近くしていただくことが正しいあり方だと思いますけれども、あとこの格差是正のスケジュールですね、審議会をおやりになる、航空会社申請を出す、いつごろから格差是正した、料金を下げていただいた恩恵が国民の皆さんに提供できるわけですか。スケジュールを教えてください。
  107. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 大臣からは、できるだけ早く実現するようにということを御就任以来強く指示を受けております。私ども事務方はその大臣からの御指示にこたえるべく今懸命に努力しているところでございますが、現状は基本的には不公平感是正するというやり方の中身につきまして、学識経験者の方々に集まっていただいて、どのような方針でどのようにやっていくのがいいかということを、きょう第一回を開いて、これからその内容を詰めていただくつもりでおります。その目標といたしましては、できる限り年内ぐらいに今の学識経験者の方々に集まっていただきます懇談会の結論を得たいと考えておりまして、それを今度は具体的な運賃の中身にいたします作業をエアラインにしていただいて、それは来年にその申請が出てくるということになると思います。以降の手続がいろいろ審議会その他ございますものですから、そこから先はそれほど明確に決まっておりません。そういう意味では不透明でございますけれども、できるだけ私どもの方としても作業は急ぎたいと思っております。
  108. 片山虎之助

    片山虎之助君 来年の春か夏か、おおよそのめどでももし言えれば言っていただきたいと思いますけれども航空会社とは話ができているわけですか、その辺は。
  109. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) これから御審議いただく問題でございますので、余り直截なことは申しにくいのでございますが、今航空会社ともいろいろとすり合わせ作業をやっている最中でございます。基本的に航空会社の方は、値下げの問題が含まれる話でございますから、わかりましたという感じにはそうならない、まだまだ時間がかかるんではないかと思っております。
  110. 片山虎之助

    片山虎之助君 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたが、航空輸送に対します国民の期待は大きいわけであります。また、利用者からいろんな御意見や批判も場合によってはあろうと思いますけれども、そういう利用者皆さん意見、声に謙虚に耳を傾けていただいて、ぜひ利用者と一体になった行政を進めていただきたい、そういうふうにお願いいたしておきます。  次に、超電導リニアについて二、三お聞きいたしたいと思います。  リニアモーターカーというのは、まさに二十一世紀の我が国の発展につながる国民の夢でございます。夢の超特急でございます。このリニアがいよいよ山梨新実験線によって実用化技術開発がこれから始まろうとしております。予算要求もされている。宮崎実験線の方は併存で基礎技術の開発をおやりになる、こういうことでございまして、国民のこれまた期待は大きく膨らんでおります。ただ、週刊誌なんか見ますと、山梨の方では土地が暴騰したというようなことが報ぜられておりまして、これが本当なら困ったことでございますので、これはこれでまたしかるべき対応が必要ではなかろうかと思うわけでありますけれども、この山梨新実験線の整備計画のおおよそなりあるいは、来年度予算を要求されているわけでありますけれども、その概要をお聞かせいただきたいと思います。
  111. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) リニアモーターカーにつきましては、山梨に来年度から新実験線を建設して技術開発を進めますとともに、宮崎においても引き続き基礎実験を行うこととしておりまして、このために必要な予算を来年度要求しているところでございます。  山梨新実験線につきましては、延長が四十三キロ、その半分ぐらいを複線化区間としまして、高速ですれ違い実験ができる等諸設備を予定しております。山梨新実験線の建設費の総額は約二千六百億円でございまして、これに宮崎における基礎試験費また運営費等を加えまして、これら開発費の総額は約三千五百億円でございます。平成二年度の事業費はこのうち約百九十億円を見込んでおりまして、国の助成措置として、一般会計から二十億二千万円、開銀融資として五十二億円を要求しているところでございます。
  112. 片山虎之助

    片山虎之助君 聞きますと、地元との協力関係もうまくいっているようでございますし、ぜひ成功してもらいたいものだ、こういうふうに思うわけでありますが、リニア自身の実用化の見通しはいつごろどうなる、これはなかなか今の段階でははっきりしたことは言えないかと思いますけれども、ぜひそれをお聞かせいただきたいと思います。
  113. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) リニアモーターカーにつきましては、昭和五十二年以来、宮崎に約七キロの実験線をつくり、基礎的な試験走行、実験を行ってきたところでございますので、このような過去の実績の上に立って山梨の新実験線を今後五カ年で建設することとなっておりますが、三年度過ぎから実験を開始しまして、約八年間、つまり平成九年度までに実用化のめどを立てるべく努力したい、そういう目標で来年度の予算を要求しているところでございます。
  114. 片山虎之助

    片山虎之助君 私は、我が国の世界でも一番の技術力や経済力をもってすれば、リニアモーターカーの実現の見通しは明るい、こういうふうに思っておりますが、当面それじゃリニアの新しい線ができるのは、これは中央新幹線がそれになるんではなかろうか。これだと東京都が起点、大阪府が終点で、主要経過地が甲府市付近、名古屋市付近、奈良市付近、こういうふうになるわけでありますけれども、それはそれといたしまして、私は先ほども言いましたが、多極分散型の国土を形成していくためには、大阪にとどまらず、これを西日本地域へ延伸していただくことが不可欠ではなかろうか。今の段階でそんなことが言えるかと、こういうことにあるいはなろうと思いますけれども、これは兵庫県、岡山県、広島県、山口県あるいは九州を含めまして経済団体を中心に現在大変強い要望が出ているわけであります。事務方の方に聞くのはちょっと大変でございますので、ひとつ運輸大臣の高い次元からの二十一世紀を見通した御意見を承りたいと思います。
  115. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 昭和四十八年にリニアの実験線をつくろうと言いましたときは、実は私の日向市につくりまして、そしてあそこで五百キロの実験を成功して、東九州新幹線をつくって、大分県の佐賀関から豊後水道を通って四国に上がって、それから本州にという、宮崎—東京間を三時間半で結ぼうというのがそもそもの実は計画でありました。その間、国鉄が無残にもああいう経営困難になったものですから、いつの間にやらその夢がついえ去っておったわけですが、今回、山梨に本当の実験線をつくって、そしてこれをいよいよ実用化の足がかりにしようということになると、そういう構想というのは、当然将来的問題としてもう一度考えることだろうと思います。  しかしながら、まだまだこれから用地買収をしまして、あと八年かかるということでありますから、その間には社会的な事情も変わってきましょうし、私どもはそういう当初からの一つの壮大な計画というものをやはり念頭に置いていくべきであろうと考えております。
  116. 片山虎之助

    片山虎之助君 大臣、どうもありがとうございました。  次に進みます。  清算事業団の職員の再就職の問題でございますけれども平成元年十一月一日現在でなお二千二百十八人残っておると、こういうお話を聞いております。再就職促進法自体は、来年の四月一日限りで失効するわけでありますので、そういう意味では、再就職あっせんも最終段階を迎えている。せんだって話を聞きますと、求人倍率は全体で一二・二と大変高いわけであります。北海道と九州に多いわけでありますけれども北海道をとりましても求人倍率は五・六、九州では六・二と聞いております。人手不足で人が欲しい人が欲しいというときに、これだけの求人倍率がありながら、なぜ就職が進まないんでしょうか。
  117. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 御案内のように、七千六百人残っておったのが五千四百人ほどそれぞれの分野に転出をいたしまして、仰せのとおり二千二百十八人が残っておる、こういうことであります。その間、三千億以上の予算を費やしまして就職のあっせんと職業訓練を実はしてきたところであります。一人頭大体平均二十六回ぐらい就職のあっせんをしたことになっておったんではないかと思います。  求人倍率も仰せのとおりでありまして、今は金がなくて倒産するのではなくて、人手が足らずに倒産をする。午前中も申し上げましたように、例えば運転手だけでも九万人足らないという時代ですから、どこにでもと言えば、それは行くんでしょうが、それぞれの皆さん方の考え方がありまして、この前もテレビを見ておりましたら、管理職が就職の説明をいたしますから来てくださいと、こう言って一生懸命頼みに行っておる。そんなもの聞く必要ないという勇ましい人もおりますし、それから、おれはJRに帰りたいんだと、だめならNTTを持ってこいと、こういう人もおりますし、なかなか意見さまざまでありますが、もういよいよ四月一日以降はないわけですから、来月中ごろには最後のいわゆる方針を示しまして、そして正月に御家族やら御親族の皆さんとよく相談をしてもらって、一月じゅうにはその回答をもらう、そういうことで最終の詰めをしていこう。しかし、いかなることがありましても、私どもは全員の就職がかなうようにこれからも最大の努力を傾けようと、こう考えておるところであります。
  118. 片山虎之助

    片山虎之助君 時間があと二分になりましたので——建設省の人、来られていますね。  私のところの岡山県と香川県を結んでおります瀬戸大橋の通行料金が大変高いわけでありまして、これが乗用車で片道六千四百九十円であります。約十キロちょっとであります。ところが、東京から東名を通り、名神を通り、中国縦貫道を通りまして美作町湯郷温泉というのがありますけれども、約七百キロ。これの片道の料金が約一万二千円であります。七百キロが一万二千円、十キロちょっとが六千五百円と、こういうことになっておりまして、それは事業費にスライドしているんだと。いろんな理由はございます。しかし、地元にとれば大変高いということになるわけであります。だから、これを引き下げることについて、今の段階で軽々には言えないかと思いますけれども、検討される用意があるのかどうか。それから、今いろんな割引制度を入れられておりますけれども、私はもっといろんな割引制度を活用していったらいいと思います。それについても御検討の用意があるかどうか、お伺いします。
  119. 小野和日児

    説明員小野和日児君) ただいま先生おっしゃいましたように、地元から料金が高いと。これは料金水準につきましては、他の有料道路と比べまして建設費が高いとかあるいはメリットがあるということで、水準は妥当なものと考えておりますけれども、やはり一度に払う料金が非常に高いということで、高速道路と比べますと割高感があるということで、少し安くしてくれという要望のあることは承知しております。  そこで、今、本四公団で本年四月に実施いたしました割引拡充の効果とか、あるいは利用実態調査をやっておりますので、それらを踏まえて考えたいと思いますが、ただ、本四道路につきましては、やはり今採算性の確保が一番問題でございますので、それを基本に今後対応していきたいと思っております。
  120. 片山虎之助

    片山虎之助君 ひとつよろしくお願いします。  以上で終わります。
  121. 片上公人

    ○片上公人君 先ほど岡山の片山委員の方からリニアについてのお話がございましたけれども、私は兵庫の片上でございますが、ぜひとも二十一世紀に向かっての大臣のすばらしい構想、ぜひとも実現のほどよろしくお願い申し上げたいと思います。  質問でございますが、先般、空港整備特別会計におきまして、昭和六十二年度、六十三年度におきまして約八百億円の剰余金が出た、その一部は運用に回せるにもかかわらず回していなかったというような報道が出ておりましたけれども、この事実関係につきまして御説明願いたいと思います。
  122. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) ただいま先生の御指摘の件につきましては、空港整備特別会計は昭和六十二年度末の決算の時点におきまして資金の剰余が七百八十二億ございました。それからまた、六十三年度決算におきましても、同様に八百二十七億円の資金の剰余がございました。これらの資金はそれぞれ後の年度の予算におきまして歳入に計上されまして、その年度の事業に充てられる性格のものでございます。それで、これらの資金は事業の進捗に応じまして順次支払いに充てられますけれども、資金上余裕があるときは、その一部を一定期間資金運用部に預託するということが可能でございます。  それで、この点につきまして私どももかねがねどのようにするかということを検討してまいったのでございますが、そこは若干時間がかかり過ぎてしまいまして、その結果、八月七日に二百五十億円の預託を今実施しているところでございます。
  123. 片上公人

    ○片上公人君 空整特会の収入の約四割は空港使用料によりまして利用者負担で賄われておるわけでございますが、このような負担を利用者に課しながら、運用に回すことができる資金を運用しておらなかったというのは、これは無責任と言わざるを得ないと思います。効率的な特別会計の運営が図られるよう強く要望しておきたいと思います。  そしてまた、報道によりますと、この資金の運用をしなかった理由は、大蔵省の資金運用部からは羽田空港の沖合展開事業費を借りているために、剰余金を預託したりすると、予算要求する際に不利になるからあえてしなかった、こういうようなことだと運輸省は説明したというようなことも新聞記事に書かれておりましたけれども、この辺の事実はどうなのか、お伺いしたいと思います。
  124. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 新聞は確かに先生のおっしゃったような報道がされているわけでございます。  私どもは、予算の要求に当たりましては剰余金を財源に計上して要求を行っておりますほか、先ほど御説明した剰余金のことでございますが、それから財政当局の方も、私どものカウンターパートである予算関係者は、当然空港整備特別会計の決算状況を把握しております。そういう意味で、空港整備特別会計の剰余金というのは、特に隠せるというような性格のものではございません。空港整備特別会計は、ただいまは羽田の沖合展開事業につきまして資金運用部資金から財投の借り入れを行っていることは事実でございますが、予算要求する際に不利になるために預託をしなかったというようなことは特にないわけでございます。
  125. 片上公人

    ○片上公人君 他の社会資本の整備と同じように、将来の利用者による負担、いわゆる世代間の負担の公平を図るためにも、借入金による整備もこれは必要と思いますが、そういう観点からいえば、借入金と剰余金の問題は全く次元の違う問題でございますし、空整特会への財投資金の導入はどういう理念で行っているのかということですね。いずれにしましても、空整特会に限らず、予算執行に当たりましてはむだのないよう効率的な執行がなされるようにすべきと思いますが、御見解を伺いたいと思います。
  126. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) ただいま先生の御指摘のとおり、借入金の問題と剰余金の問題というのは次元の違う問題でございます。それで、剰余金の問題につきましては先ほど御説明したとおりでございますけれども、借入金の問題につきましては、空港整備につきまして、現在、東京国際空港、羽田でございますが、その沖合展開事業を初めとします三大プロジェクトの推進ということが私ども空港整備上の緊急の課題として取り組んでいるところでございます。このために多額の資金が要るということでございますし、空港整備特別会計は、三大プロジェクトだけではなく、地方の空港を初めとしていろいろな資金が必要なわけでございますので、財源が不足しているということでございます。  それで、このように緊急性を持っておりますし、多額の資金が要ります三大プロジェクトの推進に伴います財源不足、こういう問題につきましては、確かに先生おっしゃるように、その便益は後世の世代も享受することになるわけでございますから、財政資金を投入しまして、整備のための費用を後世の世代にも借入金の償還という形を通じまして負担をしていただくということは、公平の見地からも理解は得られるところではないかと考えております。  それで、ただいまの借入金の問題は、先ほど申し上げましたように、六十一年度から東京国際空港の沖合展開事業、それを対象といたしまして資金運用部からの長期借入金を導入しているところでございます。それで、来年度の予算要求におきましても、五百四十億円の長期借入金を要求してございます。
  127. 片上公人

    ○片上公人君 次に、日航機事故について伺いますが、今回の地検の不起訴処分の決定によりまして、真相究明のための最後の機会が失われたわけでございますが、本来、なぜボーイング社の修理担当者が修理ミスをしたかというそのミスの原因と、どのような過程でそのミスが起こったのかということは、これは今回の事故原因の核心であります。事故調査委員会が再発防止のために徹底的にこれを究明して有効な方策を打ち出すべきでなかったか、こう思うわけですが、それをせずに、ミスを発見する方法とか、ミスがあっても墜落しないような機体構造の改善ばかり指摘しても、原因の核心部分が未解明のまま終わってしまうことに大きな危惧を抱いております。事故調査委員会はなぜ核心部分まで踏み込まなかったのか、あるいは踏み込めなかったのか、この点をお伺いしたいと思います。
  128. 高橋克彦

    説明員(高橋克彦君) 本事故は、昭和五十三年に行われました後部圧力隔壁の不適切な修理に起因しているということがはっきりいたしましたので、航空事故調査委員会は、昭和五十三年の六月から七月にかけて行われました損傷修理について詳細な調査を行ったところであります。その結果は、昭和六十二年六月十九日に公表いたしました本事故に関する航空事故調査報告書に記載してあるとおりであります。これによりまして、航空事故調査委員会といたしましては、航空事故原因を究明して航空事故の防止に寄与するという目的は達成しているものというふうに考えております。
  129. 片上公人

    ○片上公人君 米国と刑事免責の違いがありまして、事故調査委員会はボーイング社の修理担当者に直接事情聴取をできなかった、またボーイング社が応じなかったと言われておりますが、航空機事故調査の目的は再発防止のための原因究明にあるわけでございますから、事の重要性にかんがみましても、現在の事故調査と刑事捜査の関係につきまして一度根本的なところから考え直す必要があるのではないか、こう思いますが、運輸省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  130. 高橋克彦

    説明員(高橋克彦君) 航空事故調査委員会の行います航空事故調査は、先生おっしゃいましたように、航空事故の発生原因を究明することによりまして、同種航空事故の防止に寄与することを目的とした調査でございます。そういうことで、これまで航空事故調査をたくさんやってきておりますけれども、その立場から科学的かつ公正な調査を行って原因を究明し、航空事故防止に寄与することがこれまでできているものと私どもは考えております。
  131. 片上公人

    ○片上公人君 今回の事故におきまして、運輸省の検査のあり方についてもその責任が問われてきたところでございますが、不起訴処分の決定によりまして処分はなくなったわけでございますけれども、今後運輸省は行政としてどのように信頼回復を図っていくのか、これは運輸大臣にお伺いしたいと思います。
  132. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 不起訴になりましたからといって道義的責任を免れるものではない。それだけになお一層の責任を私は感ずるべきだと思っております。したがいまして、運輸省としては指導監督する立場にありますわけですから、それらの体制に不備な点はなかったのか、もっと注意するべき点はなかったか、それから、日航に対して指導する場合にもいろいろとまだ考える面があったのではないか、また、日航がそういう航空機を購入する際にもいろいろと検討すべき点がさらにあるのではないか、それらのことを一々詳細に検討、調査をいたしまして、以後このようなことがないようにくれぐれも注意してまいりたい、こう念願しておるところでございます。
  133. 片上公人

    ○片上公人君 航空機事故調査が行われるたびに米国のNTSB、国家運輸安全委員会と我が国の事故調査委員会とがよく比較されまして、その不十分さが指摘されておりますが、先ほど事故調査と刑事捜査の関係について検討する必要性指摘いたしたわけでございますが、同時に、我が国の事故調査委員会運輸省から独立させまして、真相究明のためにより強い権限を与えることや、スタッフ、予算の拡充といったことまで抜本的に再検討すべき時期ではないのかと思いますが、現在の調査体制で十分と考えておられるのかどうか、伺いたいと思います。
  134. 高橋克彦

    説明員(高橋克彦君) 航空事故調査委員会は運輸省に置かれておりますけれども、航空事故調査につきましては、航空事故調査委員会設置法によりまして、裁判官と同じような独立性を保証されております。そういうことで、現在の制度で十分であろうかと私どもは考えておるところであります。  それから当委員会は、発足以来、要員及び調査機器の増強を行っており、調査体制の拡充強化を図ってきているところでございますけれども、今後とも航空機の革新に対応した調査能力の向上及び調査機器の充実について努力してまいりたいと考えております。
  135. 片上公人

    ○片上公人君 次に、総務庁より鉄道事業に関する行政監察の結果報告発表されまして、鉄道の混雑緩和対策等につきまして勧告がありましたけれども、その内容と、運輸省はこれをどのように受けとめていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
  136. 早川章

    政府委員(早川章君) 鉄道事業に関する行政監察、本年の九月二十六日に勧告が行われました。  その内容でございますが、現在大都市における地下鉄あるいは民営鉄道路線、地下鉄はこのところ余り大きな混雑緩和がなされていない。二〇〇%を超えて身動きができないほどの混雑路線もある。また、民営鉄道路線でも、徐々に混雑率は一般論としては低下しておりますが、なお一部路線においては二〇〇%を超えているものがある。  こういったような事実につきまして、総務庁の方は、次のような措置を講じるべきであると。一つは、地下鉄事業者につきましては、信号保安設備の改良や列車の長編成化を計画的に行わせることによって混雑緩和の推進を一層行うように、また、大手の民営鉄道事業者につきましては、輸送力増強等投資計画を確実に実施させて混雑緩和を進めるように、さらに混雑緩和対策の一環として、当面の措置でございますが、引き続き時差通勤通学を積極的に推進するように指導しなさい、こういったような勧告がなされたところでございます。  運輸省といたしましては、従来ともさまざまな施策を講じて混雑緩和に対しては取り組んできたところでございますが、今回の勧告を契機にいたしまして、これらの取り組みをさらに進めることといたしまして、勧告を受けましたとき、直ちに事業者に対しまして地方運輸局からしかるべき措置をするよう通達を発したところでございます。
  137. 片上公人

    ○片上公人君 通勤通学者の混雑は大変なものでありますけれども、全国の地下鉄、主要大手私鉄の混雑率の状況報告をお願いしたいと思います。
  138. 早川章

    政府委員(早川章君) 昭和六十三年度でございますが、大手民鉄十四社、例えば東武等は伊勢崎線と東上線というふうに幾つも線がございますが、そういう十四社の二十七の最混雑区間につきまして一時間でとったところでございますが、大手民鉄につきましては平均一八〇%、営団及び公営地下鉄、これは十社二十八区間でとったものでございますが、平均一九〇%の混雑率、こういうような数字になってございます。
  139. 片上公人

    ○片上公人君 大都市圏における通勤通学時の混雑というのは依然として厳しいわけでございますが、特に首都圏では人口集中によってますますこれはひどくなっていくように思われるわけですが、混雑緩和のため、運輸省として今どのような対策をとっているのか、お伺いしたいと思います。
  140. 早川章

    政府委員(早川章君) 先生指摘のとおり、大都市圏における通勤通学、これは首都圏は特に顕著でございますが、大都市圏一般に大変人口集中が起こっておりまして、いろんな形で諸機能も集中してきている。こういうことで混雑が増加し、そのためにこの対応が非常に急がれているということは御指摘のとおりでございます。  運輸省といたしましては、まず地下鉄整備でございますが、地下高速鉄道建設費補助金という仕組みで、大変厳しい財政事情ではございますが、その充実に努めておりまして、元年度で予算は四百二十六億円、明年度につきましては現在四百二十九億円の予算要求を行う、こういうような形でもって整備を進めたい。  一方、大手の民鉄についてでございますが、各社におきまして輸送力増強等投資五カ年計画というのを策定させておりますが、六十二年度から平成三年度までに一兆六千億円ということでございますが、このような計画に基づく新線建設、複線化、ホームの延伸等の輸送力増強計画を進めさせている。  これに対しまして政府といたしましては、鉄道建設公団が工事を請け負って行いまして、譲渡後利子補給を行うというような鉄建公団方式による助成、あるいは開銀融資のあっせん等の助成措置を講じてきているところでございます。  さらに、特に輸送力増強効果の大きい民鉄による複々線化工事につきましては、特定都市鉄道整備積立金制度というのがございまして、この制度を活用いたして工事の推進を図ってきているところでございます。  さらに、時差通勤通学の推進につきましては、政府の交通対策本部の計画に基づきまして、事業者から利用者への呼びかけを行っているところでございます。
  141. 片上公人

    ○片上公人君 勧告の中で、混雑緩和のため時差通勤を推進すること、その方法の一つとして、時差通勤を行う人に対しまして運賃割引を行うメリット制について検討することとされておりますけれども運輸省としてはどのように具体化する考えか、お聞かせ願いたいと思います。
  142. 早川章

    政府委員(早川章君) 混雑緩和のために時差通勤通学を行う、このことにつきましては、既に先ほど申し上げましたような形で政府全体として取り組んでいただいているところでございますし、私どもとしても、事業者を通じまして関係の事業所とか学校とかに御協力をお願いしているということなんですが、今先生お話のございましたメリット制、そのメリット制の仕組みとしてオフピークとピークで運賃格差を設けたらどうか、こういうお話でございます。私どもとしても一つのお考えだと思うんですが、我が国でこういうことを考える場合に、勤務時間を変更することはいろんな難しい事情が伴うようでございまして、なかなかそのことについての対応がいただけない。それからまた、いわゆる通勤時間も大変長うございまして、ある時間ピーク時というのとオフピークにかかるというような仕組みがなかなかその方その方一人一人についてつかまえにくい、非常に広域的かつ複雑なネットワーク全体に絡んで通勤をされているというような形の方につきまして、どのような形なら利用者間の公平の観点からうまい形のメリット制が設定できるのかどうか。  それからまた、大変大勢のお客さんが集中してお乗りになる、あるいは出改札をいたしますので、これにつきましては自動改札機とか集改札機の導入というような形をしなければいけないんですけれども、この辺について、例えば東京圏ではどんな形ができるだろうか。しかも民鉄、JRを通じまして一つの仕組みができなきゃいけない、いろいろ問題があるという認識でございますが、御指摘でもございますので、引き続き検討してまいりたいと考えております。
  143. 片上公人

    ○片上公人君 具体的な例では皆さんもよく通勤のときに経験しておると思うんですが、僕なんかも大分前から、神戸みたいな小さな町でも、朝バスに乗るときに学生と通勤者と一緒で三台、四台とおくらさなきゃいかぬと、もうたまりかねてタクシーに乗ろうと思ってもなかなか来ないというようなことがありますから、これはいろいろな省庁との連絡もあると思いますけれども、よく検討していただきたいと思います。  次に、特定都市鉄道整備積立金制度がスタートしたわけでございますが、その対象会社というのはどれくらいあるのか、また、その事業の進捗状況についてお伺いしたいと思います。
  144. 早川章

    政府委員(早川章君) 特定都市鉄道整備積立金制度といいますのは、特定都市鉄道整備促進特別措置法という法律に基づいたものでございまして、複々線化等の工事を促進するために、工事費の一部をあらかじめ運賃に上乗せさしていただく、それで、その増収分を工事費に充当するという形でございまして、六十二年十二月二十八日に、東武、西武、京王帝都、小田急、東急電鉄、首都圏の私鉄五社につきまして事業計画の認定を行ったところでございまして、それに基づきまして、現在時点では京王帝都電鉄の八王子駅十両化工事というのはもう既に完成いたしております。現在のところ残りの四社につきまして、東武鉄道の伊勢崎線、草加—綾瀬川間の高架複々線化工事、それから西武鉄道池袋線の富士見台—石神井公園間の高架複々線化工事、小田急小田原線の喜多見—和泉多摩川間の高架複々線化工事、東急電鉄の目蒲線、田園調布—多摩川園間の改良工事及び東横線の日吉駅改良工事というようなことを実施いたしております。現在、首都圏等におきまして具体的に行われている工事の中で、この工事が一番進捗をしているという形のものでございます。
  145. 片上公人

    ○片上公人君 次に、日米航空交渉についてお伺いいたしたいんですが、去る十一月六日に暫定合意がなされましたけれども、その交渉の経緯と合意の概要について御説明願いたいと思います。
  146. 宮本春樹

    政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。  日米航空関係につきましては、一九五二年に日米航空協定が締結されて以来、成長する航空需要等を踏まえつつ、航空権益の拡大的均衡を図るべく累次の航空交渉が行われているところでございます。  最近数年間におきましては、日米間において、先生御承知のとおり、旅客、貨物ともに顕著な航空需要の増加が続いており、これに対処するために緊急に日米双方の企業が新しい路線の設定等を図る必要が生じてきております。日米両国政府は、このような緊急の課題に対処するため、昨年の十二月、本年五月、七月と、双方企業の新しい路線の開設等についての交渉、いわゆる路線権の交換交渉を継続実施してきたところでございます。  今回の交渉は、これらに引き続きまして本年十月三十日から十一月六日まで東京で開催されたものでありまして、合意の主な内容といたしましては、旅客便につきましては日米双方それぞれ六本の主要路線の開設、なお、このうち三路線東京大阪以外の地点発着に限定されております。また、このほかグアム、サイパンと日本の地方空港とを結ぶ新規二路線の開設、さらに貨物専用便につきましては、日本航空及び日本貨物航空のシカゴ乗り入れ、米国企業の日本への新規乗り入れ一路線の開設などを取り決めております。なお、この合意は外交文書の交換をもって正式なものとなりますので、現在、日米両国間でその準備をいたしているところでございます。
  147. 片上公人

    ○片上公人君 日米航空協定につきましては、従来より路線設定、以遠権、輸送力等の面で日本側が極めて不利になっておりまして、一日も早くその抜本的改正を行うことが必要であると思うわけですが、今回の交渉の結果の暫定合意におきましては、この不平等を拡大するようなことはなかったのでしょうか、伺いたいと思います。
  148. 宮本春樹

    政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。  日米航空協定については、先生指摘のとおり、協定付表上の以遠権などの路線の構造あるいは双方の実行便数等につきまして不平等ないしは不均衡な面があると認識されておりまして、かねてからこのような点を是正するための交渉、いわゆる包括的協定改定交渉を米国政府との間で鋭意推進してきておるところでございます。  今回の交渉におきましては、この包括的協定改定交渉と並行して、最近の日米間の顕著な航空需要の増加に対処するため、日米双方の企業の均衡のとれた新しい路線の設定等を合意したものでございまして、これにより旅客、貨物の緊急の需要に対応した日米間の航空権益の拡大的な均衡が図られることになりまして、日米間の不平等が拡大される、そのようなことはないと考えております。
  149. 片上公人

    ○片上公人君 運輸大臣にお伺いしますけれども、貿易摩擦問題や日米構造協議におきましては、米国側は常に競争条件の平等を主張しておるわけでございますが、にもかかわらず、航空協定におきましては不平等を既得権として固持しようとするような米国側の主張は全く理不尽であります。日本側も毅然として是正を主張すべきであるし、航空権益は国益であり、国民感情からいいましても一日も早く対等の協定にすべきではないかと、このように思いますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  150. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 私は、年来、占領後に締結された日米航空協定というのは相互主義を逸脱しておる、これは不平等であると主張してきました一人でありまして、その間、運輸省の対米交渉の推移等も逐一私は存じております。  先般、USTRのヒルズ代表が運輸省を訪れましたときも、あなたの所管ではないけれども日米航空協定というのは極めて不平等なものであると私は考えておる、したがって、今回は当面する緊急の合意に達するものだけ処理するけれども、将来的課題としてはこの航空協定は改めるべきものである、こういうことを申し上げたわけでありますが、そういう方向に従って今後も努力をしてまいりたい、こう思っております。
  151. 片上公人

    ○片上公人君 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。  次に、今回の合意内容について伺いますが、今回の合意によりまして新たに十四路線の開設が認められたということで、既に新聞等によりますと、全日空のホノルル線の開設は確実というような観測もされておるわけでございますが、路線配分はこれからの問題ではございますけれども運輸省はどのような方針を持って各企業に割り当てになるのか、この辺をお伺いしたいと思います。
  152. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 先生の御指摘のように、日米航空協定の今回の交渉後の実際の実施の問題につきましては、ただいまのところは、私どもも交渉後に改めてエアラインの各社から話を聞いておるところでございますけれども、まだ各社ともはっきり詰まったわけでもございませんので、今後私どもの方といたしましては、もちろんそのエアラインの希望も踏まえますが、路線ごとの需要動向とか競争促進施策の考え方とか、そういったようなことを踏まえまして、これは来年十月に基本的には発効する問題でございますから、来年十月の路線開設に間に合うように処理を進めていきたい、かように考えております。
  153. 片上公人

    ○片上公人君 今回の合意によりまして、先ほど話がありましたように、地方空港とグアム、サイパンとの路線開設が可能になったわけでございますが、これは米国側の主張によるものと言われておりますけれども、具体的にはどこの空港を念頭に置いているのか伺いたいと思います。  また、我が国の航空会社路線開設の可能性につきましてどのような見通しをお持ちなのか、伺いたいと思います。
  154. 宮本春樹

    政府委員(宮本春樹君) 今回の日米航空交渉におきまして、先ほど御説明いたしましたとおり、グアム、サイパンと日本の地方空港新規二地点とを結ぶ路線の開設が合意されたわけであります。  この新規路線につきましては、特に米国の航空企業が関心を有している、そのように聞いておりますが、この米国側の航空企業が具体的に日本国内のどの地方空港に乗り入れるかということにつきましては、いろいろ説はございますけれども、今後米国内において所定の手続を経て決定されることでございますので、現在のところはつまびらかにいたさないわけでございます。
  155. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) ただいまの話はアメリカの航空会社の話でございますが、我が国の航空会社の方の関係は、先生御存じのとおり、今、グアム、サイパン路線は、日本航空が東京大阪、名古屋、それから全日空が東京からそれぞれ運航しているところでございます。  今後の新たな路線の開設の問題につきましては、先ほど私が一般的に申し上げましたように、各航空会社でいろんな検討をしているところでございますので、現時点ではまだ何とも申し上げられないという段階でございます。
  156. 片上公人

    ○片上公人君 地方空港の積極的利用につきましては、四全総でも示されました地方空港活性化、国際化に資するのみならず、現在、国際旅客の九〇%以上が集中しておる成田、大阪空港の混雑緩和にも極めて有効であると思うわけですが、地方空港の国際化の進め方につきまして、運輸省の方針をお伺いしたいと思います。これは大臣の御答弁もいただきたいと思います。
  157. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 一極集中を排除していくということは今後の大きな政治的課題でございますから、今回の日米航空交渉においても、成田、大阪以外の乗り入れ地点を国内に設けるということに対して私ども努力をしてきたところでありまして、その成果は先ほど御報告を申し上げたとおりであります。  それから、今各国から連日のように日本に航空路線の乗り入れの希望がございます。私はそのときに答えるのですが、今はいろいろ事情がありまして成田と大阪はだめですよ、その他の、例えば北海道ですとか仙台ですとか、あるいは名古屋ですとか新潟ですとか、あるいは福岡等についてその御相談をしたいとおっしゃるのであれば、それは私ども皆さん方の御要望に応じて御相談を申し上げる用意がありますと。地方空港も三千メータークラスの空港が随分でき上がりましたから、そういうことを念頭に置きながら、できるだけやはり分散を図っていくことが大事であろう、こう考えておるところであります。
  158. 片上公人

    ○片上公人君 次に、国内航空運賃割引制度について二、三お伺いしたいと思いますが、国内航空運賃につきましては、先ほどからお話がございましたように、南北格差問題を初め多くの矛盾が表面化したわけでございます。  先般の報道によりますと、先ほど時期はわからぬというようなことを言われておりましたけれども、来春にも基本運賃について値下げを基調とする抜本的な見直しを行う方針が固められたというような報道がございました。この問題につきましては、今までいろいろ指摘されながらなかなか改善されなかったわけです。今回運輸大臣がかわられまして、直ちに改善を図られるというようなことで、江藤大臣の素早い御決断、そして御努力をまず高く評価したいと思います。  質問でございますが、割引運賃に関しましては、先般公正取引委員会より競争政策の観点からの政府規制の見直しということで、国内航空運賃割引運賃の弾力化の必要が指摘されております。また、経済企画庁から出されましたことしの物価レポートにおきましても、諸外国に比べて割引運賃の種類が少ない、割引率が小さい、利用率が低いというようなことが指摘されております。運輸省としては、国内航空の割引運賃現状についてどのように認識していらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  159. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 割引運賃の問題につきまして私どもの基本的な考え方は、利用者同士相互間の不当な差別取り扱い、そういったような問題が生じない限り、各航空会社エアラインの創意工夫を生かしながら弾力的に設定されることが適当であると考えておりまして、それに対します私どもの行政対応もできるだけ弾力的かつ素早い対応をしたいと、そういうふうに考えております。  このような考え方に沿いまして、これまでも団体包括旅行割引とか、女性グループ割引とか単身赴任割引、そういった各種の割引運賃が導入されてきております。その結果、現在割引運賃の種類といたしましては二十数種類ございまして、割引率は最大が三五%、一般には一〇%から二五%、こういうあたりになっているところでございますが、今後私どもが考えていますのは、特に個人向けの割引運賃の拡充を図る、そういうことが適当ではないかと考えておりまして、需要の季節波動、御存じのとおり、シーズンとオフシーズンとございますけれども、そういう季節波動に合わせた割引運賃の導入、そういったようなものが検討課題として考えられております。  私どもは今後とも良質なサービスの確保ということに配慮しながら、輸送力の活用とか、せっかくの輸送力がシーズンオフにあいている、そういったことももったいない話でございますから、そういうようなことの活用とか、利用者のニーズに対応できるような割引制度ということを考えていきたいと思っております。それから、先ほど来申し上げておりますように、本日開いております学識経験者の懇談会の場面におきましても、割引率、割引運賃の問題、そういったようなこともあわせて御検討いただくつもりでおります。
  160. 片上公人

    ○片上公人君 割引運賃につきましては、現在は運輸大臣の認可事項でございますけれども、六十年二月の航空局長通達で、各航空会社の、先ほどお話がありましたように、創意工夫が生かされ、また認可事務も迅速化するというような改善がなされてまいりましたわけでございますが、なお不十分な点もあるというふうに言われております。航空局長の通達によりまして多少の規制緩和がなされたわけでございますが、通達以来、各社が導入した国内航空運賃割引制度にはどのようなものがあるのか、各社ごとにちょっと御説明をお願いしたいと思います。
  161. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 先生の御指摘のように、六十年二月に時の航空局長が通達いたしまして、割引運賃の問題につきましての考え方なり私どもの行政対応なり、それにつきましての考え方を述べたことがございます。ただいまの先生お話のように、私どもの行政対応もできるだけ迅速に弾力的にということを考えたその内容でございます。  現在、先ほどから申し上げておりますように、その線に沿いまして私どもも行政を続けているわけでございますが、具体的に六十年二月以来導入された割引運賃といたしましては、航空回遊割引運賃、これは往路と復路が異なる区間で、言ってみれば三角に往復していただく、途中は鉄道なり何なりでつなぐということがあるわけでございますが、そういう場合の航空回遊割引運賃、それから年末年始、これは基本的には都会から地方へとどっと動くわけでございますけれども、その逆の動き方をしていただく場合の年齢八十八歳以上の夫婦とか、これは合計でございますが、それから家族とかお子さんを同伴する場合の運賃とか、そういったことの年末年始夫婦割引、それから年末年始家族割引、それから年末年始小児同伴割引運賃、こういったようなものがございます。それからさらには女性三人以上のグループが平日に旅行する場合に適用される女性グループ割引運賃、それから単身赴任の方が週末にもともとのお住まいのところへ帰っていらっしゃる、そういう場合に適用される単身赴任割引運賃、こういったようなものがございます。
  162. 片上公人

    ○片上公人君 各社ごとに聞きたかったわけでございますけれども、恐らくみんな各社同じような一律のことだと思うんですね。六十年以来新たに導入されました割引制度、これは全く一律といいますか、ある会社がやるならしようがないから追従しているというような程度ではないかと思うわけです。各社とも極めて消極的と言わざるを得ないんじゃないか。まあ、路線別原価制度の見直しを考えているようでございますけれども路線ごとに見れば、確かに季節によって需要が大きくばらつく路線がありますでしょうし、そういうところは大幅な季節割引を導入するなど、先ほどもお話ありましたように、割引運賃による需要を喚起するような努力をもっとなぜやらないのか。航空会社の企業努力がちょっと足らないんではないかというように思いますけれども運輸省の考えはいかがでしょうか。
  163. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 営業割引の問題につきましては、確かに一社が導入いたしますと、他社が、まああれがよかったと考えるかどうかは別としましても、ともかく追従するという関係にございまして、結果的には同じ割引制度が今適用されているわけでございます。  それで、これからの問題といたしましては、その需要の動向に合わせた割引で需要喚起を図るという、その基本的なところにもっと力を入れて、旅行需要の少ない、先ほど来申し上げておりますように、オフの季節のときの需要の喚起を図るとか、そういったようなことが今後の各社の検討課題としては必要なものではないかと思っておりまして、私どもの方といたしましても、各社に対して従来からそういうことを申し上げてきているわけでございます。  それで、先ほども申し上げましたように、今回、公平感という観点から見ました不公平感是正というんでしょうか、そういった運賃の問題に今取り組み出したところでございますので、せっかく学識経験者の方々にお集まりいただく場でございますので、この割引運賃の問題につきましても一緒に御検討いただくように考えております。
  164. 片上公人

    ○片上公人君 各航空会社の企業努力が足りないという点に関しましては、監督官庁としての運輸省のこれは強力な指導が必要であると思います。制度面から見ましても、各会社の創意工夫を生かし、利用者利便の増進を図るという観点からいたしますと、一定範囲内の割引運賃につきましては、現在の認可制を事前または事後の届け出制に緩和してもよいのではないかと、このようにも思います。  例えば、鉄道運賃につきましては、六十一年の鉄道事業法の整備によりまして、総収入を減少させない範囲内で、適用する期間及び区間を定めて割引運賃を設定できる、こういうこととして事前の届け出制にしました。また、貨物運送取扱事業に係る運賃、料金につきましては、すべて届け出制にするための法案が既に国会に出されておるわけでございますし、航空運賃割引制度につきましても、一定範囲内の割引運賃の設定というのは各企業の判断に任せて届け出制にしまして、運輸省が企業努力を後押しするような制度に改正していくべき時期に来ておる、このように思いますが、運輸省の考え方をお伺いしたいと思います。
  165. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 確かに先生指摘のとおり、ただいまの航空法では、営業割引の問題につきましても運輸大臣の認可という制度になっております。ただ、私どもの方の行政運営は、先ほど来御説明申し上げておりますように、旅客相互間の差別取り扱いのような問題が生じない限りは、できるだけ各社の創意工夫を認めていきたいというのが基本姿勢でございます。それで、先ほど先生が御指摘になられました航空局長通達、六十年の通達でございますが、その中におきましても、この考え方とともに、行政の処理の期間も原則として二週間以内にやる、こういうことをはっきり述べておりまして、現にそのようにやっております。
  166. 片上公人

    ○片上公人君 次に、車検制度についてお伺いしたいと思います。  最近の自動車メーカーの新車保証期間の延長にも見られますとおり、年々自動車の性能は相当向上しておりますし、車検のあり方、検査の周期を延長してもよいのではないかとの世論が多くなっております。昭和五十七年の車両法の改正以来、車検制度の見直しが行われていないわけでございますが、運輸省は車検の有効期間について見直すべきと考えますが、御見解を伺いたいと思います。
  167. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) お答えをいたします。  自動車の今先生指摘ございました有効期間にかかわります検査制度のあり方につきましては、自動車技術の進歩あるいは耐久性の向上、使用実態等に配慮する必要があることは言うまでもありませんけれども、このような観点から、先ほども指摘ございました運輸技術審議会答申、さらに行政改革に関しますところの臨調の第二次答申を受けまして昭和五十七年に、お話のございました道路運送車両法の一部改正によりまして、乗用車の有効期間を延長し、所要の改正を行ったところでございます。  その後、自動車にかかわりますところの使用の状況等を見てまいりますと、エレクトロニクスといったような新技術の導入等、自動車の技術進歩は御指摘のとおりあるとは思いますものの、次に申し上げます例えば第一に、自動車の構造装置につきまして、使用過程において一般的には時間的な経過あるいは運転の仕方等によりまして劣化することは御承知のとおりでございます。したがいまして、車検時に整備を要する瑕疵の発生状況、例えばブレーキはどうか、こういうことを見てまいりますと、従来と同様の傾向にございます。第二番目に、定期点検整備状況を見てまいりますと、その改善が必ずしも見られず、ユーザーの保守管理は必ずしも十分でない、こういう実態にございます。第三番目に、整備不良車両の運転によりますところの事故発生件数とか、あるいはその割合もやはり同様の傾向に今日ございます。また第四番目には、昨今は、先生も御案内かと思いますが、つい最近、交通事故非常事態宣言を発するというような、交通事故状況につきましては大変厳しい状況にございますし、また一方、公害面におきましても、大都市を中心としまして窒素酸化物の大気汚染が大変悪い状況にございます。第五番目には、我が国の検査制度に比しまして、諸外国におきましてもほぼ同様の有効期間にあるわけでございます。  以上申し上げましたことから、現時点では現行の車検期間は、我々といたしましては妥当なものと考えております。  さらに、先ほど先生指摘ございました保証という問題についてちょっと触れてみたいと思うんですけれども、これはユーザーが定期点検を確実に実施するということを前提といたしまして、万が一自動車の構造装置に故障が生じた場合に無料で修理をするという制度でございまして、自動車の構造装置の故障が全く起こらないという、これを保証するものではありません。したがって、今回の保証期間の延長というものは、ユーザーの負担につきましてはその軽減に寄与することはあると思いますけれども、これが直ちに検査制度に影響するものではないと考えております。  最後に、今後とも、自動車の技術の進歩の状況とか自動車の使用実態、あるいは保守管理の状況等につきましては、所要の資料の収集に努めながら適切に対応してまいりたいと考えております。
  168. 片上公人

    ○片上公人君 次に、現行制度の運用に関しての問題でございますけれども、多くの自動車保有者が現在の車検に要する経費に対して不満を持っているわけでございます。車検整備に要する経費につきましては、車の年式や程度によって異なることは当然でございますけれども、標準的な経費を算出することは難しいと思いますけれども、先日、週刊読売の十月十九日号に掲載してある西友の割安車検の例を見ますと、千八百一ccから二千ccの乗用車の整備料金は、一回目として三万キロまでが五万五百円、二回目が五万キロまでで六万一千五百円、三回目が七万キロまでで六万九千五百円、こういうふうに書いておりました。  車検を受ける際には、このほかに自賠責保険料、重量税、印紙代、車検代行手数料等が必要でございますけれども、一回の車検を受けるたびに大体十四、五万円の支出を余儀なくされておるわけでございます。これが家計にとりまして大変大きな負担になっていることは申すまでもございませんけれども、本当に必要なのかどうか疑問を感ずるような部品交換が便乗的に行われたり、割高な料金を支払わされたり、そういうケースが後を絶たないと言われています。このことも車検制度に対する別のところからの不信感が持たれている原因になっている一つじゃないかと思いますが、運輸省は、このような過剰整備に関する問題について業界をどのように指導していらっしゃるのか、御説明願いたいと思います。
  169. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) お答えを申し上げます。  今先生指摘ございましたように、車検に絡む整備で少し報道等がされておることは御案内のとおりでございます。この車検の際に必要となる諸費用につきましては、今先生例を挙げて御説明されましたが、整備料金のほか、自賠責の保険とか重量税、あるいは我々の方でいただきますところの検査手数料を納めていただくわけでございますけれども、その平均的な合計額、これは地域とかあるいは受ける回数とか、いろいろ事情によって違いますが、自家用の大衆乗用車のケースで申し上げますと、全体で約十二万八千円ぐらいというのが統計で出ております。このうちもう少し詳細に見てまいりますと、検査の手数料は千二百円でございまして、例えば指定整備なんかでございますと、さらにこれが九百円、それから整備料金といたしましては、これも車の状況あるいは車齢、その他地域等いろいろございますが、約六万円でございます。さらに車検の際には、あわせて車の保有者の義務といたしまして自賠責の保険料とか重量税、いわゆる保険、税金を一括して払っていただくことになっておりますため、どうしても、今お話がございましたように、いわゆる車検費用に割高感があることについては否めないと思いますけれども、この点につきましてはひとつ御理解を賜りたい、こう考える次第でございます。  さらに、指摘にございました整備料金の問題についてでございますけれども運輸省といたしましては、昭和五十六年に運輸技術審議会から中間答申をいただきまして、それを踏まえて整備内容等につきましては、やはり自動車の構造装置の点検とか調整とか、こういった内容につきましては結果が必ずしも目に見えないものがございますので、なかなかユーザーの理解を得にくいところがございます。したがいまして、我々としましては、例えば受注に際しましては、整備内容を十分説明して、それから整備作業を進める、こういうことをやると同時に、あわせて、最後に引き渡しする際におきましても料金の明確な説明をする、そして適正な料金の収受に努めるようこれまでも指導をしてきているところでございます。  今後とも、ユーザーから今先生指摘のございましたような過剰整備、こういうように言われることがないように適切な整備を行うということと同時に、さらに受注とか引き渡し、こういう際には必ず十分な説明を行って、ユーザーの目に見える形で理解が得られるような努力を今後も重ねてまいるよう関係業者を指導してまいりたいと考えております。
  170. 片上公人

    ○片上公人君 ありがとうございました。これで終わります。
  171. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) では、三時四十分に再開することとして、暫時休憩いたします。    午後二時五十九分休憩      ─────・─────    午後三時四十二分開会
  172. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  173. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まず最初に、JRの安全問題について伺います。  このごろ相次いで重大な事故が起きております。いずれも、これは一歩誤れば旅客を巻き込んだ大きな災害になるというものです。  まず、常磐線の勿来駅での列車衝突事故原因は、線路中心間隔安全基準を満たしていないことによります。線路中心間隔は原則三・六メートルとなっております。これを下回る場合には、先ほどもおっしゃっていたように、運輸省特別許可をしていらっしゃいます。その三・六メートル以下の箇所はどれくらいありますか、全体で何カ所になるのかお伺いいたします。
  174. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 十一月十日に発生しました常磐線勿来駅での事故の後、運輸省としましては、軌道中心間隔の総点検を指示したところでございまして、近く全国の鉄道事業者からの報告を取りまとめることとしております。したがいまして、現在の段階で全体の箇所数はまだ明確でございませんけれども、約二千カ所ぐらいが特別の許可ということで本来の三・六メートル以下であろうかと思っております。
  175. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それでは、JR各社ごと及び民鉄のデータもお調べいただいた結果をお示しいただきたいと思います。  我が方で調査をいたしましたところ、北海道では百三十カ所という数字が出てまいりました。総点検の結果、北海道でどれくらいというふうにごらんになっていらっしゃいますか。
  176. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 現在調査をしておりまして、これにつきましては同一区間において線形その他によって十分精査しなければならないところもございまして、最終的にもう一度チェックをして箇所数を明確にした上で私ども発表したいと思っておりますが、JR北海道についてはほぼその程度箇所数ではないかと考えております。
  177. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今度の場合、三・四メートルの許可を受けていたところ、実際は三・三二メートルしかなかった。これでは衝突事故が起こるのも無理はない。旅客運営にとって生命線である線路が変化するということなわけです。  この線路中心間隔規定はあるが、そのための検査義務は、運輸省としてもJRとしても規定していないわけですね。そうすると、直ちに検査義務を課するべきではなかったんでしょうか。そしてまた、安全確保のために直ちに改良すべきだと思いますが、その点どうですか。
  178. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 先生指摘の先般の事故の後、私ども点検を指示しておりまして、先ほども申し上げましたように、現在箇所数を集計中でございます。このように、本来の基準から異なっているところが直ちに危険というわけではございませんけれども、そのようなものについて危険の有無を調査して、より安全を期するために改善が必要なものについては改善を指示するということを前提に現在調査を行っている、検討を行っているところでございます。
  179. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私が言ったのは、調査すると、それは事故が起こったから調査するということになるんだけれども、やっぱりその検査をするという一つの項目として義務づけられていないというところが今日の事故を起こしたんではないか。そうすると、運輸省JRもそういう規定をしていないから規定すべきではないかと言っているんですけれども、どうでしょうか。
  180. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) まず私ども規定を守る義務が当然JR各社にございますし、各社において常時点検を行い、基準を満たしていかなければならない。そのためにはどうするか。従来、この種の問題というのは、工事を行ったときに、工事の後で十分チェックをしなければならないところを怠ったという場合もございますので、今後はJR各社のマニュアルを整備して、先生指摘のように、常にチェックができる体制を指導したいと考えております。
  181. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 よろしくお願いします。  じゃ次は、JRの不当労働行為の問題に入ります。  清算事業団の雇用対策、残る月はあと四カ月ということです。政府、国会の約束は、一人も路頭に迷わせないということでございました。その約束を果たせるでしょうか。いつもこういう質問をいたしますと、最大限努力する、こういうお答えでございます。努力するのは結構だし、努力するのが当然のことです。しかし、本当にそれができるのかどうかということが問題でございます。  最大の問題は、採用差別をめぐる不当労働行為問題、この解決を抜きにして雇用対策は考えられないということなんです。現にJR北海道・九州への原状回復という労働委員会の救済命令が出されているわけです。そのことを無視して雇用対策は成功しない、これはもう明確に皆さんおわかりになっていらっしゃると思います。なぜなら、命令どおりJRへ行かないということが当然起こってくるからです。それに対し、命令に過大な期待をされると困るということは、労働委員会制度を否定することになる。すなわち、そんな命令はあてにならないよということにつながってくるわけです。これはもう前々もこの委員会で私取り上げましたけれども、これは労働委員会制度そのものを否定することになる。すなわち命令はあてにならない。労組法上全く許されないことになるということでございます。  だから、努力するといっても、この問題が解決されない限り多数の職員が残ってしまうということは明らかだと思います。それについてどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  182. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 現在、清算事業団にいまだ二千二百十八名の再就職未定者がおり、再就織対策は来年の四月一日をもって終了するということで、現在再就職対策の最終段階を迎えておりますので、私ども去る二十一日に政府の雇用対策本部を開き、再就職先の確保について最終段階における対策の取り組みについて決定をした次第でございます。  この内容としましては、JRにおける広域的採用、また公的部門、関連事業等においてもできる限り求人を行うということで、現在各方面に私どもお願いしておりまして、十二月の下旬までに清算事業団が残っている職員に提示できるようにしたいと考えております。  このような再就職先について、私どもとしては残っておられる再就職未定者においても、できるだけ再就職先の確保について努力していただくように希望している次第でございます。
  183. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 どこかほかに就職しなさいと、一生懸命やっていらっしゃるのはわかるんだけれども、問題は命令がどう言っているかということですよね。その命令は、差別があった、そしてこれらの人々は原状回復すべきであると。つまり、この人たちは当然JR北海道JR九州にいる人たちなんだということを言っているわけですよね。そうでしょう。そういうことだとすると、それに対してどうするかということを抜きにして、こんなものみんな棚上げしちゃって、あっち行きなさい、こっち行きなさいというやり方というのは、これは全く問題をそらしちゃって本質を間違っていると言わざるを得ない。そのことについて、大臣どう思いますか、そういうやり方。命令が出ているんです。この命令にどう従うか。
  184. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) この問題は労使の問題でありまして、中央委員会の勧告が出た、それに対して経営者側が不服を申し立てておるわけでありますから、まさに係争中の問題でありまして、そのことについてとやかく言うことは、法治国家でありますから、私は適当でないと思っております。  二千二百十八人の諸君の問題はこれからの問題でありまして、必ずしも私は同一の問題ではない、こう考えておるところです。
  185. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 労使の紛争だからノーコメントと、そうおっしゃっていますよね。ノーコメントじゃないわけですよね。ノーコメントじゃなくて、どういうふうに言っていらっしゃるかというと、みんなは命令が出ている、私たちはJR北海道JR九州にいられる立場なんだ、こういう権利を持っているわけでしょう。その権利を持っていながら、ほかに就職を探しなさいということをおっしゃるわけですわね。これは雇う方にしたって腰かけ的な立場でしょう。もしも、命令が出た場合には、それを確実にやらなければならないんだから。そういうあいまいなことで避けて、そしてほかに就職しなさいと。全く労組法や、それから労働委員会制度を否定するという問題なわけですよね。そして、具体的に大臣がおっしゃったように、一方ではノーコメントと言いながら、結局期待されては困るよ、就職できないよということを押してこられて、本当にこれは大変な問題だと、そう思うわけですよ。JRは、中労委、そして行政訴訟と、次々と長期戦を構えているわけですね。そうすると、三月まで一人も路頭に迷わせないという約束は完全に破綻してしまうわけですよ。そうじゃないですか。だから、私は大臣にはっきり申し上げたいんだけれども、この不当労働行為に対して、JRに毅然とした指導をしていかなければ、政府の責任においてその約束は果たせないということになると思うんですけれども、再度、大臣、どう思われますか。
  186. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 権利権利と言われても大変困るわけでありまして、やっぱりあの人を雇いたいと言われるような態度が私は一番大事だと思っておるんです、社会福祉事業じゃないわけですから。しかしながら、私どもはそれなりの責任を果たそうということで、この三年間にわたって千人以上の人間を配置して、三千億以上の経費を使って、そして職業訓練をやり、一人当たり二十六回以上の実は職業のあっせんをしようとしたわけですから、何もしなかった、あるいは不当であると言われる筋合いは私はないと思っております。法治国家ですから、雇う雇わぬというのは、それは本人、経営者の一つの考え方でありまして、それを頭から押さえるわけにはいかぬ、私はそう思っております。
  187. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大臣、今の発言、重大な発言なんですよね。例えば、法治国家だと言われた。そうしたら、中央労働委員会の制度で、そして命令が出されたということはどういうふうに評価されているんですか。こんなものはいいと言うんですか。
  188. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) いや、それも一つの私は考え方だと思いますが、公訴するという手段が残されておるというのも法治国家だと私は思っておるんです。
  189. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 だから、公訴するということを私は今問題にしていない。出された命令に対して、それに対して大臣がきちっとした態度をとらなければ、問題は解決しないということなんですよね。全く今大変なことをおっしゃいましたね。何、社会福祉ではないからとかなんとか——冗談じゃない、そんな社会福祉を願っているんじゃないんですよ。労働委員会で出された命令ですわ。これはきちっとした労働者を守るための命令でしょう。その命令を守るという立場ではなくて、雇うも雇わないのも相手次第だということをおっしゃった。それはそのとおりだと思うんです。  そしてまた、もう一つ言いたいことは、ここのところで何を言っていらっしゃるのかなと私は本当に腹が立ってくるんだけれども、この労働委員会制度を否定して、そしてノーコメントと言われながら、ノーコメントじゃないんですね。一方的な立場で物をおっしゃっているわけですよ。だから、具体的にお伺いいたしますけれども、全くノーコメントどころではなくて、介入しているんです。  事実で申し上げますけれども、衆議院の運輸委員会で十一月十五日、大塚審議官の議事録を見ました。JR北海道JR九州の経営状況は三島基金をもとにようやく利益を上げている状況だ、苦しい状況に立ち至っていくので、再就職未定者を地元採用する余力はない、採用することは適当でないと、こう言われているんです。採用するのは適当でないと言われているでしょう。この採用するかしないかというのは、今まさに係争中、争われている問題なんだ。この不当労働行為問題、救済命令についてコメントはできないと言いながら、採用できないというまさにJRの立場に立って物を言っていらっしゃるんじゃないですか。JRがなぜ採用できないのかと言ったら、もう経済的に大変だから採用できないと言っているわけでしょう。だから、つまりノーコメントだとか介入しないと言いながら、JRの立場に立って、採用は適当でないと、こういう一方的な、まさに一方的な発言をしていらっしゃるんですよ。矛盾じゃないですか、こういうことは。
  190. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) ノーコメントだから何もしてないととられると大変困るわけでありますが、私も就任以来、この問題については、各JRの幹部にも運輸省に来てもらいまして随分と話を聞きました。あるいは現場の駅長その他の皆さんからも意見を随分と聴取をしました。なぜ中労委の裁定というものが受け入れ不可能なのかということについて、私は判断を自分自身で求めようと思ったからであります。その中で、いろいろと申し立てる人にはそれなりの理由があるということは考えますが、今度は雇用者側においてもそれなりの言い分があるということがわかってきましたので、とやかく言うことはこれは適当でないな、係争中のことについてくちばしを入れることはこれはやめておこう、しばらく様子を見て、そして解決を待とうと、こういう気持ちになっておるということを御理解願いたいと思います。  それから、審議官が申し上げましたことは、私どもが考えておりますのは、三島、いわゆる北海道四国、九州というのはもともと経営基盤か弱いところでありましたから、一兆三千億の経営安定資金をお願いして、それから年間一千億余の実は助成金を与えてようやくつじつまだけ合わしておるというのが三島のJRの姿でありますことは御承知のとおりです。しかも、いわゆる分割・民営のときに各JRとも実は二割有余の余剰人員をそのときに抱えさしたわけであります。ぎりぎりではなくて、そのとき既に二割余りの余剰人員を抱えさせてスタートさせたわけでありますから、それ以上運輸省の立場としてこれを押しつけて採用させるということは適当でない、こういう考え方を率直に申し上げたものであろうと思います。
  191. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いろいろ努力しているとおっしゃいますけれども努力すべきところに努力しないで、それを避けて、この命令を全く無視しちゃって、そしてほかに就職はないかないかと、こういう探し方だから……。私が言っているのは、やっぱり一番なさるべきことは、この労働委員会制度を否定するとおっしゃるなら別だけれども、法治国家であってこの労働委員会制度があるという立場に立つならば、これについてやっぱり分割・民営化によってこういう問題が起きたという運輸省の立場から考えれば、このところに努力をすべきではないかということを私は繰り返し言いたいというわけなんですよれ。それで、雇うのも雇わないのも雇い主の都合だというのも、衆議院でもおっしゃいましたし、今もおっしゃいましたね。確かにそうなの。雇うか雇わないかは雇い主が判断すべきなのに、先ほど私が言ったように、大塚審議官の発言は、採用することは適当でないということを言っている。これは行き過ぎですよ。矛盾であり行き過ぎ、まさに介入になっているということを言わざるを得ないということなの。だから、そういう発言は撤回すべきであると私はここで繰り返して申し上げたいと思う。大臣が言うように、雇うも雇わないも雇い主の勝手だというのは、それは一つの筋通っていますよ。それなのにあなたは、雇うのは無理なんだというふうに一方的にJRの立場に立って言っているでしょう。だから、どんなに弁解されても、まさにノーコメントと言いながら、具体的なJRに対する介入と言わざるを得ないわけですわ、これは。だから撤回すべきです。
  192. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 撤回させる気持ちは全くありません。それはそれぞれのイデオロギーの違いもあります、立場の違いもあることですから、あなたのそういう見解があることは、それは記憶にとどめておきます。しかし、撤回するという気持ちは全くありません。  私は、審議官が申し上げたのは、そういう過去の分割・民営化をする段階で二割以上の人間までそれぞれ無理やりに押しつけてきた、経営が不安定であるから経営安定基金で補っておる、どっちみちこれは経営の合理化を図らなきゃいかぬ。そういう中で、きょうも議論がたくさんされたように、航空機産業というのはどんどんどんどん地方にまで発展をしている、あるいは高速道路が一方一千五百二十キロ将来できていく。必ずしもJRの将来というものが洋々たるものであるとは私は考えない。したがって、余剰人員を抱えるおそれのあるところについては、指導官庁としてそれなりの見解を述べるのは私は至極当たり前のことであると思っています。
  193. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 イデオロギーだのヘチマだのじゃないのよ、問題はね。  じゃ端的に大臣に伺いますけれども、労働委員会制度というもの、そして出された命令というものは、こんなものはどうでもいいというお考えですか。これは制度として大事な一つの制度であると、この立場に立って守るべきものであるという、そういうお考えですか。この労働委員会制度を否定されるんですか、どうでもいいとおっしゃるんですか、一言ではっきり言ってください。
  194. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 先ほど来、委員会の裁定を否定するということは一言も言っておりません。よく聞いておいてください。
  195. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いや、言葉で言ってなくたって中身で否定しているじゃないの。
  196. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 言いがかりをつけられては迷惑千万であります。
  197. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ちょっと大臣、考えてもらいたいんだけれども、言いがかりじゃないですよ。うまいこと言っているけれども、労働委員会制度を否定しているという中身じゃないですか。ノーコメントと言いながら、それだけではなくて介入しているじゃないですか。  三島基金を入れてどうとかこうとか言うけれども、そのときも、この三島の経営は大丈夫なのかと大きな論議になったわけですよね。そして、いや基金も入れますから大丈夫なんだということで、そして分割・民営されたと。そしてその分割・民営化で一人も労働者を路頭に迷わせることはありませんと言ってこられたわけですよね。今まで運輸省が、各大臣が言ってきたことを反省していただきたい。言いがかりをつけるどころの騒ぎじゃない。こっちが本当に言いたいですよね。  そういう国会を全く軽視して、そのときそのときの答弁をされて運輸行政をやられたらたまったものじゃないですよね。だから、その辺のところはもう繰り返しになるから言わないけれども、否定するとは言わないけれども、事実否定する、その事実で押してきているということを言わざるを得ません。  じゃ角度を変えて申し上げますけれども、採用する余力かない、だから無理だとおっしゃいましたよね。そうしたら、余力があれば採用できるということになりますよね、理由として。
  198. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 一つの物の考え方として、これから高校、大学を卒業してJRに行きたいという人もたくさん出てくるわけです。人事のいわゆる一体的な流れからして、もし将来的にそういうことがあるとするならば、新卒のことも念頭に置いて採用するのが私は当たり前だと思っています。  それから、繰り返しおっしゃいましたが、私はそれなりにJRの各社長も呼んで、何とか採用はできないのか、ああいう委員会の裁定もあることであるし、できることならばひとつ思い切って採用をしてくれないかということを申し上げておりますし、先日のいわゆる雇用対策本部においてもそれらの方針を確認して、またJR各社についても協力方を改めて要請しておるということだけは御承知おきを願いたいと思います。
  199. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私が言ったのは、今、JR北海道も九州も余力がないとおっしゃった。だから、もしも余力があったら採用できるということですよね。原因は余力がない、財政的な力がないということが理由なわけでしょう。そのほかに理由があるんですか。
  200. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 将来の仮定はできませんが、現時点で考えますと、JR北海道JR九州につきましては、まだ相当の余剰人員を抱え、かつこの一、二年、北海道におきましても九州におきましても、高速道路が次々に開通するという状況の中で鉄道事業は大変苦しい状態に立ち至っております。また、JR東日本等本州三社に比べましても、関連事業を行う、開拓していく余地が大変少のうございますので、今の段階で余力が生ずるということは大変見通しが難しい、できないような状態でございます。
  201. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ伺いますけれどもJR北海道JR九州、今倒産しそうなんですか。一人も雇えないんですか。一人でも雇ったら倒産するの。
  202. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 先ほど大臣からも申し上げましたように、経営安定基金の運用等により何とか民営化に向かって今努力をしているところでございますので、JR北海道JR九州の置かれている状況というのは大変厳しいものがあるということを申し上げた次第でございます。
  203. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 厳しいというのはわかっているんだけれども、厳しいからといってもう今まで言ってきた一人も路頭に迷わせないという言葉を無にしちゃって、労働委員会の命令も無視しちゃって、そしてほかのところに一生懸命お願いしますと努力していらっしゃるようだけれども、やっぱり私はここのところで、一人も雇えない——一人雇ったら年間幾らですか。ほかのところに一人でも頼んでください。頼んだ先ももう倒産しそうなところがいっぱいあるわけですよね。現に倒産してだめになっちゃったといって戻ってきた人もいるわけですよね。そういう中で、全くもうJRの立場に立って採用できないということをおっしゃるというのは、本当に私は許せないことだと思うんですよね。私たちも北海道、九州に何度も行きました。自治体の採用もお願いしてきました。そしてそれぞれが一定の努力をしている。民間だってもう本当に努力して今まで入れてくだすった。そして頼んでいるのは、経営がよかろうが悪かろうが、もうとにかく採ってくれというので一生懸命にお願いしていらっしゃるわけですよね。そういう赤字の会社でも大変なところでもお願いしておいて、JRだけは今その余力がありませんからといって命令に従うという努力をしないということは、これは立場上もう明らかに介入だし、労働者に対して口でうまいことをおっしゃりながら全くこれやっていらっしゃらない、具体的にその措置をしていらっしゃらないということなわけですよね。だから、その辺のところは、もう何度言われても私は納得ができないということだけは申し上げなければならないと思います。  大臣、大変挑戦的にいろいろとおっしゃいましたけれども、もう一度大臣のおっしゃった意味をよく考えてください。分割・民営は労働者がやろうといってやったんじゃなくて、政府の、運輸省の運輸政策の中からやったわけでしょう。民間会社だというけれども、鉄道の事業を受け継いで、人員も受け継いで、そしてずっとやってきたんでしょう。そして今、命令が客観的な立場で原状に復帰させなさい、従いなさいというのに、それは全く無視しちゃって押しつけているという、このことについて全く反省がないということ、私は残念、残念というよりも恐ろしいと思うわけなんです。だから、もうここで時間もないから繰り返して言えませんけれども、私は考えてもらいたい。  その償いと言ったら、また大臣怒るかもしれないけれども、その償いとして朝方から問題になっていました航空運賃割引制度の問題、ここで一生懸命頑張ってもらいたいと思うんです。私は今から五年半前の五十九年四月、細田大臣にお願いして、もっともな意見是正したいと答弁なさいました。その後、三塚、橋本、石原、山村、いずれの大臣も、格差は問題である、バランスを失っている、是正したいとおっしゃった。時期については前の大臣ができるだけ早い時期にやるというふうにお答えいただきました。もう考えたら五年半も前からのことですよね。やっと今これが大きな問題になって、まあ江藤大臣のところで最終的な締めということになるわけです。その点について、先ほどから言われているけれども、いろいろ御審議する手順やなんかあるとおっしゃっておりましたけれども、もう五年以上六年近くになるんだから、できるだけ早くということと、そしてちょっぴり下げたなんというんじゃだめですね、この南北格差の問題を考えれば。大幅なきちっとした値下げという立場に立って御努力をいただきたい、そのことについて大臣の御決意を伺って終わりにしたいと思います。
  204. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 北海道の経営者やら駅長さんたちに聞きました、どうだと。人間は足らぬのじゃないのかと言ったら、人間が余って困っておりますと。壁に書いてありました、一人二十万円売り上げをと。駅員一人一人が経営が苦しいからセールスマンになって二十万円の売り上げをやろうと思って我々は頑張っておるんです。なかなかうまいこといきませんと。いきませんが、北海道の置かれておる立場を考えながら、全職員一生懸命になって努力をしておりますと、こういうお答えであります。あるところでは人間のやり場がなくて困っておるところもあります。
  205. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 仕事をさせてないじゃないの。労働強化させているじゃないの。どこ聞いてきたの、話を。
  206. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 小笠原さんは国鉄分割・民営化に賛成なさったんですか。
  207. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 反対ですよ。
  208. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 反対でしょう。
  209. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうよ。そんなことをするから今みたいな事件になってきているんです。そして事故も起きているんじゃないの。そして……
  210. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 人の答えておるときは黙って聞きなさいよ、あなた。
  211. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ちゃんと聞かないからよ、大臣は。
  212. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) そんな不規則発言をしてぎゃあぎゃあ言うものじゃありませんよ。わしらは命をかけて預かった運輸行政をやろうと思っておるんですから。それは運賃の値下げ一つとったって、航空局長以下そんなことは言いませんけれども、どの企業が向こうから言うところがありますか。下げろと言って、はいそうですかといって言うことを聞くところがありますか。それを一つ一つ説得して、せっかく国会でも議論をされ、利用者の間でも不満の長いことですから、何とか片づけようと思って私どもは一生懸命やっているんです。雇用対策問題についても、約束事ですから、我々でやれることは懸命にやろうと思って努力しているんです。ですから、そういう温かい目で見てください。
  213. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 航空運賃のことについて。
  214. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 航空運賃については、余り言いたくないけれども、もう午前中答えたわけですから、しかし、ちゃんとします。やり方を見ておいてください。いいかげんなことはしません。  ただ、近距離航空やら離島航空の問題が実はあるわけです。それらの問題も考え、あるいは先ほど航空局長が言いましたように、もろもろの割引制度等もありますから、全般的な根っこから引っくり返してやり直すということはなかなか時日が間に合いませんので、しかしさしあたってやれるものだけやっていこう、そして本来根本的にやるべきことはまた並行してこれに取り組んでいこうと、こういう考え方でおるわけですから、運輸行政についてもたまにはひとつ御賛成をいただいて、また物流二法も来ますから、頭から反対なんて言わずに、ゆっくりとひとつ議論をしていただくようにお願いをします。
  215. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いいものはいい、悪いところは反対と。大臣も頭を冷やして聞いててよ。
  216. 粟森喬

    粟森喬君 それでは、私の方から幾つかの点について質問を申し上げます。  まず一つは、JR各社の収支状況についてお尋ねをします。  私の手元には国鉄最後の決算と六十二年度、六十三年度のJR各社決算概要があります。これらを見たときに、いわゆる一般的にはおおむね順調と言われていますが、かなり問題点があるのではないかというふうに思っています。一つは、国鉄の時代から比較をしますと、長期債務のいわゆる棚上げした分あるいは第三セクターに切り離した分などを見ると、内需拡大要素、これは一般的にいうと、経済活動が活発になれば、会社の出張もふえるし、懐も少し豊かになるから何となく旅客もふえるという感じでございまして、必ずしも今の状況が決して楽観的に見れない状況であるというふうに私は思いますが、いかがですか。
  217. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) JR各社の六十三年度の決算では、営業収益は前年度に比べまして七%増の約三兆九千億円、税引き前の当期利益は前年度に比べまして四二%増の約二千二百億円となっておりまして、各社とも経営はおおむね計画どおりに推移しているものと考えております。  ただ、先生も御指摘されましたように、いろいろ環境を取り巻く難しい問題がございます。一つは国内景気の好調が続いているということもございますし、また、先ほど申し上げましたように、今各地で高速道路が整備されておりまして、このような高速道路の整備等に基づいて今後とも鉄道の輸送需要を確保していくためには、JR各社が一層努力しなければならない。そういう点で、我々も今後のJRの民営化へ向けてのさらなる経営努力を指導してまいりたいと考えております。
  218. 粟森喬

    粟森喬君 JR各社決算を見ますると、特に三島のいわゆる損益というのは必ず三角が出る。今でも既にJR運賃は実質的に格差運賃が入っておるわけですが、この状態が続いて、大臣は一方で、どこかで株を売り出していわゆる清算事業団の赤字を埋めるというふうに言っていますが、例えばそういう事態になりますと、東日本なら東日本の収益を削らずに株なら株を安定的に売るという政策がとられると、一方で、四国なり九州なり北海道運賃は結果的に今まで以上に格差をつけて上げるという結果が生じないかという懸念がございますが、その辺のところはどうですか。
  219. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) JR北海道JR四国JR九州等の置かれた環境は、今先生が言われましたように、大変厳しいものがございますが、今後とも運賃等で格差が生じないようにできるだけの経営基盤の整備、経営努力を行っていかなければならないと考えております。特に運賃を上げれば営業収益が増大するというわけでなくて、北海道にしても九州にしましても、高速道路が開通いたしますと高速バスとの競争になるというような状況もございますので、運賃改定に依存しないで、今後とも経営を現在のように順調に推移させていくという必要性はさらに大きくなっていくんではないかと予想しております。
  220. 粟森喬

    粟森喬君 今のことと関係をするわけでございますが、高速バスというんですか、都市間バス、航空運賃も下げると言っています。今でも鉄道運賃といいますか、JR運賃の割高感というのがあるわけでございますから、いわゆる鉄道離れと申しますか、大量輸送機関としての鉄道の重要性というのは非常にあるわけでございますが、単に据え置くというだけでは問題の解決にならないような気がいたします。大臣として総合的に将来の公共交通計画というものを考えたときに、その辺のバランスをどういうふうに考えていくのか、御返答願いたいと思います。
  221. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 大体、東日本あるいは東海、西日本というのはわりかし今後ともに順調な動きを続けていくであろうと私は考えております。しかしながら、先ほど来御意見のありました北海道四国、九州というのはなかなか容易ではない。  ただ、私はその中でこれはいいなと思うことが一つあるんです。それは、御案内のように、物流の九割が実はトラック輸送ということになってきましたが、だんだんだんだん高速道路が込むに従って非常に時間がかかるようになってきた。危険も増大した。そういう中にあってJR各社が実は努力努力を重ねまして、今まで民営化前は貨物が一番の大荷物だと言われておりました。昭和六十年ごろだったでしょうか、経費が八千億かかるのに貨物収入は二千億しかなかったという時代が実はあって、貨物の急速なJR離れというのがあったわけですが、努力努力をした結果、最近では貨物が黒字になってきたということがあります。  それは本来多額の長期資金を棚上げしておるということはありますが、しかしながら、努力をして貨物というものが予想に全く反して黒字になってきたということも実はありますわけで、ひとりただ人を運べばいいということではなくて、あるいはとにかく列車を走らせればいい、中に人間が乗っておろうが空気が乗っておろうが何でもいい、走っておればいいんだという考え方ではなくて、やっぱり採算性、利便性ということを考えながら、中小企業等を圧迫しない範囲内で、もっと営業の多角的な経営等も考えながら随分と努力をしていけば、まだ民営化間もないことでありますから、これからまだ努力をする余地は、貨物に例を見られるように、たくさんあるのではないか、それらについて私どもも一生懸命勉強していきたい、こう思っておるところでございます。
  222. 粟森喬

    粟森喬君 先ほど小笠原委員と相当強い論争をしておりましたので、私から言うのも少しぐあいの悪いところがございますが、ちょっと申し上げます。  国労から不当労働行為案件について私ども要望を受けている立場でございますので若干申し上げますが、私の見解も若干申し上げますと、労働組合の対応として考えると、例えばJR総連であるとか鉄産総連の場合は、内部でも相当論議を持ちながらも、広域配転に応ずるとか職転に応ずるとかあるいは出向に応ずる、そういうことがあって全体に雇用確保ということをしてきたと思います。国労の場合は、原則論一本といいますか、それで結果的に不当労働行為が出たから、これをすべてそのとおりやれというだけでは、実は労働組合内部の中でも若干そのことについての意見の違いもございまして、必ずしもそういう立場がすべてではないということについて十分配慮した上で、私なりに若干申し上げたいと思います。  いずれにしても、不当労働行為に救済命令が出て、これは中労委でやっておるわけでございますが、来年の三月三十一日をもって清算事業団における雇用が終わるという現実を考えたときに、やはり労働組合の側にもそこは考えてもらう、国労として考えていただくことも多々あるという前提に立ちながらも、労使関係の改善というのは、やはりJRの持つ社会的客観的な事実関係というのも非常に重要でございますので、命令は命令として、本問題について解決をするための努力運輸省としてできる範囲はあるのかないのか、そのことについてお尋ねをしたいと思います。
  223. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 現在、労働委員会で取り上げられております不当労働行為に関係する問題につきましては、私ども先ほどから申し上げておりますように、労使関係に介入しないという立場から、その係争中の事案についての今後の推移を見守っていきたいと思っております。  ただ、労使問題と関連しまして、私ども清算事業団の再就職未定者については、再就職先の確保について全力を尽くしているところでございまして、JR北海道JR九州につきましては、先ほどから申し上げておりますように、その経営状況等から採用することは適当でないと考えている一方で、JR本州三社等につきましても、決して現在喜んで追加採用ができるというような経営環境ではございませんけれども、我々はそのような経営上まだ追加採用ができる余地があると判断されるJR本島各社については、追加採用を、広域採用をお願いしているところでございまして、そういう努力は今後も続けてまいりたいと考えております。
  224. 粟森喬

    粟森喬君 旧国鉄路線のうち、第三セクターに移行した路線経営状況について質問を申し上げたいと思います。  第三セクターへ移行したのが相当数あるわけでありますが、特徴的な幾つかの会社決算状況経営状況について私の手元に資料としていただいています。このうち、既にもう五年もたった路線も相当あるわけでございますが、いわゆる欠損の出る路線というのは、毎年ほぼ同額というか、少しずつふえているというか、こういう傾向がございます。これは当然第三セクターの問題だからということで放置していくのではなく、どういう指導を運輸省の中でやられているのか、そのことについてお尋ねをしたい、こういうふうに思います。
  225. 早川章

    政府委員(早川章君) 特定地方交通線から第三セクターに転換した鉄道事業者は現在までに三十社ございますけれども、六十三年度の決算が出ているところ、つまり逆に言いますと、平成元年時点で転換しているところはまだ決算が出ておりませんが、その残りの二十六社について見ますと、二十六社合計で七億二千二百万円の赤字という、経常ベースでそういう形になっております。また、黒字、赤字で見ますと、黒字が八社、一億六千百万円、赤字会社が十八社、八億八千三百万円ということでございますが、これにつきましては五年間は転換にかかわります補助金でもってきているわけでございます。  そこで、先生の御指摘のように、五年間たちましたところで、言ってみますと、従来転換という形に伴います補助は打ち切られる、こういうことでございまして、その五年の間にまあ言ってみますと体力をつけていただいて、あとは自力で行っていただく、こういうのが現在の状況でございます。
  226. 粟森喬

    粟森喬君 五年間で体力をつけて、あとは適当にやれということでございましたが、ほとんどのところの傾向を見ますと、赤字が出ているところはそのまま赤字の傾向がやっぱりなかなか解消できない。五年たったら、法律でもうそれは打ち切りますよということが、いわゆるこの種の地方公共線の持つ役割から見て果たして適当なのかどうかというと、私どもの立場から見ると、過疎であればあるほど、その地域の中のそういう交通弱者と言われる人たちの路線を守るというのが、これが政策であり、政府のいわゆる立場でなければならないと思います。  したがって、五年後のことについて、例えば神岡鉄道などは五年という期限から見ますと、ことしの十月で切れるわけでございます。その種のことについて、これからの補助などのあり方について、来年度予算へ向けて具体的に何か検討することがないのかどうか、これは大臣からお答え願いたいと思います。
  227. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 五年間という約束事でスタートしたわけでありますから、現在のところ、その予算措置を特別に考えるということは考えておりません。  ただ、幹部職員に私はよく話すのですが、こういう鉄道というのは大体過疎地である。そうすると、災害にかかりやすい。一たび災害にかかるというとなかなか復旧ができない。当初そういうことが議論されていなかったわけではありませんけれども、それらの問題点等についても、やはりお互いが知恵を絞ってみる必要があるのではないかという話を今しておるところでございます。
  228. 粟森喬

    粟森喬君 小松空港のことで若干お尋ねをしたいと思います。  十一月二十日の日に、小松空港を共用しています自衛隊のファントム機がオーバーラン事故をやりました。このときに滑走路を閉鎖した時間と、その間にそれぞれ民間航空があったわけでございますが、それに与えた影響といいますか、キャンセルになった飛行機、乗客人員などについて報告をお願いしたいと思います。
  229. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) ただいま手元に乗客の人員の数を持っておりませんが、まずは時間を御説明いたしますと、自衛隊機の事故発生後、当日の十三時十四分に空港は閉鎖されました。それで、十五時四十八分に全面オープンされました。この間の時間は差し引きいたしますと二時間三十四分になるかと思います。  それから、そのクローズの間に影響を受けました民間航空機の定期便は七便ございまして、それで、単純に欠航いたしましたのがそのうち四便、それから、東京から小松へ行く全日空の飛行機でございますが、それが一便東京へ引き返しております。それから、福岡から小松へ行く、これはエアーニッポンの飛行機でございますが、これは富山へダイバートいたしました。それからもう一機、日本航空のソウル—小松—新潟という便がございますが、それはソウル—新潟—小松という形で運航いたしました。  以上でございます。
  230. 粟森喬

    粟森喬君 この事故の概略について申し上げますと、ファントム戦闘機が滑走路からちょっと外れた程度で、新聞報道ども報告いただいておるようですが、火災があったわけでもないし、けが人があったわけでもない。それにもかかわらず、地方空港で、特に共用空港ということでこの管理権は防衛庁にあるわけで、一方的に閉鎖されるわけでございます。これは後で私が伝え聞いた話でございますが、あの程度事故で二時間半も閉鎖されて、しかも大分キャンセルもして、例えば一日一便しかない北海道便だとか福岡便がとめられてしまう。そしてダイバートした部分もあるわけですが、このような地方空港における、特に防衛庁との共用空港というのは、千歳であるとか徳島であるとか幾つかあるわけでございますが、それ以外にもどんなことがあるかといいますと、実はスクランブルと称しまして、緊急発進だといっ て、これまた民間航空が二十分も三十分も飛行機を乗客を乗せたままとめられると。緊急というのは戦争でもやっているのかといったら、決して何かそうでもないというか、これはもちろん防衛庁にたださなければならない中身もあるし、また聞いても、これは守秘義務があるといって言わないわけです。これはやっぱり地方空港としても、このようなやり方については、民間航空として使うにしてもかなり問題を残すんではないか、こういうふうに思いますので、運輸省としてこのような運営のあり方について改善をする余地があると思っているかどうか、そのことについてお尋ねをしたいと思います。
  231. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 十一月二十日の小松飛行場の事故に関連しまして、二時間三十分というのが長いか短いかという判断につきましては、私どもはそのときの事実関係につきまして若干御説明したいと思っておりますけれども、自衛隊の飛行機のファントムが事故を起こしたわけですけれども、まずはそれを片づけなければならないわけですけれども、それを釣り上げるクレーンというのがその当日小松飛行場そのものにはなかったわけです。民間の事業者から借り上げを行った。それから危険防止のため、満載状態であった燃料の抜き取り作業を行った。それからもう一つは、最後に自衛隊機がとまった場所がいわゆる不整地、いろいろな路盤やなんかの整備をしっかりしていないという意味でございますが、そういう不整地であったために足場の補強が必要なので、鉄板の施設等の作業を行った、このようなことを自衛隊の方から伺っております。  それで、私ども空港空港長が当然その小松の飛行場にはおるわけでございますので、空港長の方も、民間航空機の影響を最小限にとどめるようにいろいろ常日ごろからお願いしているわけでございまして、その一端を申し上げますと、例えば月に一回小松飛行場連絡協議会というのがございまして、それは私どもの出先の長と、それから小松市とか、それからエアラインの方々、そういう方々が定期的に会合をいたしておりまして、それで、その中でそういったいろいろな事故処理の問題も含めまして常日ごろから連絡調整を図っているところでございます。  この空港につきまして、そのような形で、今現在やっているやり方でその調整なり、今の事故処理の迅速化の話なり、相当関係者の間は連絡調整がしっかり行われているんではないかと思っておりますが、なお空港長の現場の方も、また今のような場を通じまして、今後とも一層その調整体制がよくとれるようにしていきたいと思っております。
  232. 粟森喬

    粟森喬君 調整の範囲というのをもう一度お尋ねしたいんですが、確かに管理権は自衛隊にある、これは事実関係としては認めています。しかし、どうも管理権が自衛隊にある、防衛庁にあるというゆえをもって、民間航空機の発着については相当の不便を現実に与えている。したがって、単なる調整でなく、いわゆる民間航空をある程度従来以上に改善するという立場で調整というのか、申し入れをする気があるのかないのか、その辺をお尋ねしたいと思います。
  233. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) ただいま私るる御説明申し上げましたように、恒常的に自衛隊のこれは設置管理する飛行場でございますので、そこに民間航空機が入っている。それで私どもの出先の空港長もおりますので、その関係者はそこで発生しますいろんな問題につきまして、恒常的にお互いにうまくいくようにすり合わせをやっているところでございます。  それで、今の事故の処理の問題につきましても、今私が申し上げたようなことでございますので、空港長としても自衛隊との関係は当日もよく連絡をとって、できるだけ早く撤去してもらうようにとかいうようなことをやってきたわけでございますので、そういうやり方を今後ともよく続けていけば、こういう話につきましても、事故処理をできるだけ早く行うということについては十分うまくいくんではないかと思っております。
  234. 粟森喬

    粟森喬君 それでは最後になりますが、旧国鉄所有地といいますか、清算事業団が売却する土地について若干お尋ね申し上げます。  売却方針についてそれぞれ意見があるようでございます。特に土地が騰貴をしていて、土地基本法制定などの動きから見て、できるだけ高く売っていわゆる長期債務の返済に充てたいとする清算事業団と、それを対象にした人たちの間でさまざまな問題の摩擦解消のためにやっておるわけですが、特に勤労者の側から見ると、最近の土地高騰というのが非常に問題になっておるわけですから、すべてにその原則を適用するというのは難しいと思いますが、例えば住宅供給のための用地として、市町村あるいは県など土地公社、あるいはいろいろな財団法人、公的法人が幾つかございますが、そういうところに優先的に販売をするということについて、今後の計画の中で修正をしてといいますか、織り込んでいく考え方があるのかないのかお尋ねをしたいと思います。
  235. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 清算事業団の所有します旧国鉄用地は、清算事業団が抱えます二十七兆円に上る長期債務の償還財源として大変貴重なものであり、一般競争入札を原則としておりますけれども、他方、現に公用、公共の用に供することが明らかな場合には、地方公共団体等へ随意契約で処分することもできるわけでございます。したがいまして、今日までも清算事業団が土地の処分を行います場合には十分地元の意見を聞いておりまして、もし、先生指摘のように、住宅供給用地として適当なものがあるということで地元等が要望しましたときには、適正な価格を前提に随意契約で売却するということは十分検討しておりますし、今後とも、そのような場合には清算事業団としてもそのような目的で処分していくことになろうかと考えております。
  236. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 本日の調査はこの程度といたします。     ─────────────
  237. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 次に、貨物運送取扱事業法案及び貨物自動車運送事業法案の両案を便宜一括して議題といたします。  まず、貨物運送取扱事業法案について政府から趣旨説明を聴取いたします。江藤運輸大臣
  238. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) ただいま議題となりました貨物運送取扱事業法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  経済構造の転換、国民生活の向上を背景として、貨物の運送に対する需要は多様化、高度化の傾向を強めており、貨物運送取扱事業は、利用者の需要を各種の運送サービスに的確に結びつける機能を果たすものとして、一層重要な役割を担うものと考えられます。  本法律案は、このような貨物運送取扱事業の円滑な機能の発揮と事業の適正かつ合理的な運営を確保するため、現在、通運事業法等各運送機関ごとの個別の法律において規定されている貨物運送取扱事業の規制制度について、その内容を見直し、それぞれの機能に応じた横断的、総合的な制度を整備しようとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、貨物運送取扱事業が果たす機能及び利用者に対する契約上の責任の内容に応じて、貨物運送取扱事業を、運送事業者の行う運送を利用して貨物の運送を行う利用運送事業と、自己の名をもってする貨物の運送の取り次ぎ等を行う運送取次事業とに区分することとしております。  なお、利用運送事業のうち、航空または鉄道運送に係る利用運送と自動車による集配の運送を一貫して行う事業を第二種利用運送事業とし、その他の利用運送事業を第一種利用運送事業とすることとしております。  第二に、利用運送事業について、その開始を許可制とするとともに、事業計画の変更、利用運送約款、事業の休止及び廃止等について、それぞれ所要の規定を設けることとしております。  第三に、運送取次事業について、その開始を登録制とするとともに、利用運送事業に準じて変更登録、運送取次約款等について、所要の規定を設けることとしております。  第四に、貨物運送取扱事業に係る運賃及び料金については、あらかじめ運輸大臣に届け出ることとし、運輸大臣は、一定の事由に該当するときは、これを変更すべきことを命ずることができることとしております。  第五に、外国人等の行う国際貨物運送に係る利用運送事業及び運送取次事業について、所要の規定を設けることとしております。  第六に、附則において、通運事業法を廃止するほか、現在貨物運送取扱事業に関して規定している関係法律について、所要の改正を行うこととしております。  以上がこの法律案を提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いを申し上げます。
  239. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) この際、本案の衆議院における修正部分について、衆議院運輸委員長島村宜伸君から説明を聴取いたします。島村君。
  240. 島村宜伸

    衆議院議員(島村宜伸君) 貨物運送取扱事業法案に対する衆議院の修正部分について、その趣旨の説明を申し上げます。  貨物運送取扱事業法案は、従来個々の事業法でそれぞれ設けられていた規制制度を、その内容を見直し、それぞれの機能に応じた横断的、総合的制度として整備するものでありますが、本修正において、法施行後の適当な時期に法律の施行状況に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講じようとするものであります。  その内容は、附則第五十一条の次に第五十二条として、「政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」との一条を加えるものであります。  以上をもって趣旨の説明を終わります。
  241. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 次に、貨物自動車運送事業法案について政府から趣旨説明を聴取いたします。江藤運輸大臣
  242. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) ただいま議題となりました貨物自動車運送事業法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  貨物自動車運送事業は、産業基盤資材から生活必需物資まで経済活動や国民生活に必要不可欠な物資輸送を担っており、国内貨物輸送において基幹的役割を担っているところでありますが、一方において、経済構造の転換や国民生活の向上を背景とした輸送ニーズの多様化、高度化への対応、過労運転等輸送の安全を阻害する行為の防止という課題への取り組みの必要性が高まっているところであります。  本法律案は、こうした社会経済情勢の変化に対応して、貨物自動車運送事業者の創意工夫を生かした事業活動が迅速かつ的確に行えるよう、事業規制を抜本的に見直すとともに、貨物自動車運送に関する秩序の確立に資する民間団体等の自主的な活動を促進する措置を講じ、もって貨物自動車運送事業の健全な発達を図ろうとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、貨物自動車運送事業の事業区分を、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業及び貨物軽自動車運送事業の三種類に整理し、その簡素化を図ることとしております。  第二に、一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の開始については許可制とし、貨物軽自動車運送事業の開始については届け出制とするとともに、事業計画の変更、事業の休止及び廃止等の事業規制についても、現行道路運送法と比較して大幅な規制の緩和、手続の簡素化を図った上で所要の規定を設けることとしております。  第三に、一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業については、特定の地域で供給輸送力が輸送需要量に対し著しく過剰となり、当該地域における事業者の相当部分について事業の継続が困難になると認められる場合等には、期間を定めて新規参入の停止の措置等の緊急調整措置を講ずることができることとしております。  第四に、一般貨物自動車運送事業に係る運賃及び料金については、あらかじめ運輸大臣に届け出ることとし、運輸大臣は、一定の事由に該当するときは、これを変更すべきことを命ずることができることとしております。  また、経済事情の変動により一般貨物自動車運送事業に係る運賃及び料金が著しく高騰し、または下落するおそれがある場合であって、特に必要があると認められるときは、標準運賃及び標準料金を設定することができることとしております。  第五に、輸送の安全に係る事業者の遵守義務として過労運転及び過積載の防止に関する規定を新たに設けるとともに、運輸大臣が行う試験に合格する等一定の要件を備える連行管理者の選任を義務づけることとしております。  第六に、輸送の安全を阻害する行為の防止その他貨物自動車運送に関する秩序の確立に資する事業を推進するため、この事業を適正かつ確実に行うことができると認められる公益法人を地方貨物自動車運送適正化事業実施機関及び全国貨物自動車運送適正化事業実施機関として指定することができることとするとともに、これら実施機関について所要の規定を設けることとしております。  第七に、運輸大臣が行う運行管理者試験の実施に関する事務を指定試験機関に行わせることができることとするとともに、この指定試験機関について所要の規定を設けることとしております。  第八に、運輸大臣は、一般貨物自動車運送事業者または特定貨物自動車運送事業者に対し一定の命令または処分をする場合において、当該事業者に違反行為を指示した荷主に対しても、当該違反行為の再発の防止を図るため適当な措置をとるべきことを勧告することができることとしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いを申し上げます。
  243. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 以上で趣旨説明並びに衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。  なお、両案に対する質疑は後日行うことといたします。     ─────────────
  244. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  貨物運送取扱事業法案及び貨物自動車運送事業法案の審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  245. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  246. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十六分散会