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1989-12-12 第116回国会 衆議院 本会議 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十二月十二日(火曜日)     ─────────────  議事日程 第十一号   平成元年十二月十二日     午後一時開議  第一 昭和六十一年度一般会計歳入歳出決算     昭和六十一年度特別会計歳入歳出決算     昭和六十一年度国税収納金整理資金受払計算書     昭和六一年度政府関係機関決算書  第二 昭和六十一年度国有財産増減及び現在額総計算書  第三 昭和六十一年度国有財産無償貸付状況計算書     ───────────── ○本日の会議に付した案件  日程第一 昭和六十一年度一般会計歳入歳出決算       昭和六十一年度特別会計歳入歳出決算       昭和六十一年度国税収納金整理資金受払計算書       昭和六十一年度政府関係機関決算書  日程第二 昭和六十一年度国有財産増減及び現在額総計算書  日程第三 昭和六十一年度国有財産無償貸付状況計算書  消費税法廃止する法律案参議院提出)、消費譲与税法廃止する法律案参議院提出)、地方交付税法の一部を改正する法律案参議院提出)、税制改革基本法案参議院提出)、法人税法等の一部を改正する法律案参議院提出)、通行税法案参議院提出)、物品税法案参議院提出)、入場税法案参議院提出)及び地方税法の一部を改正する法律案参議院提出)の趣旨説明及び質疑     午後一時三分開議
  2. 田村元

    議長田村元君) これより会議を開きます。      ────◇─────  日程第一 昭和六十一年度一般会計歳入歳出決算       昭和六十一年度特別会計歳入歳出決算       昭和六十一年度国税収納金整理資金受払計算書       昭和六十一年度政府関係機関決算書  日程第二 昭和六十一年度国有財産増減及び現在額総計算書  日程第三 昭和六十一年度国有財産無償貸付状況計算書
  3. 田村元

    議長田村元君) 日程第一、昭和六十一年度一般会計歳入歳出決算昭和六十一年度特別会計歳入歳出決算昭和六十一年度国税収納金整理資金受払計算書昭和六十一年度政府関係機関決算書日程第二、昭和六十一年度国有財産増減及び現在額総計算書日程第三、昭和六十一年度国有財産無償貸付状況計算書、右各件を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。決算委員長中村靖君。     ─────────────     〔報告書本号末尾に掲載〕     ─────────────     〔中村靖登壇
  4. 中村靖

    中村靖君 ただいま議題となりました昭和六十一年度決算外二件につきまして、決算委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  初めに、各件の概要を申し上げます。  まず、昭和六十一年度決算についてでありますが、一般会計決算額は、歳入五十六兆四千八百九十一億円余、歳出五十一二兆六千四百四億円余、差し引き二兆八千四百八十七億円余の剰余を生じております。  特別会計の数は三十八で、その決算総額は、歳入百四十八兆二千百二十一億円余、歳出百二十九兆七千八百八十五億円余となっております。  国税収納金整理資金収納済額は四十二兆五千八百九億円余、一般会計等歳入への組入額等は四十二兆五千六百六十二億円余となっております。  政府関係機関の数は十二で、その決算総額は、収入十三兆八千二十億円余、支出十三兆五千六百七十八億円余となっております。  次に、昭和六十一年度国有財産増減及び現在額総計算書でありますが、総増加額は二兆九千二百十七億円余、総減少額は九千六百六億円余で、年度末現在額は四十七兆九千六百十八億円余となっております。  次に、昭和六十一年度国有財産無償貸付状況計算書でありますが、総増加額は千四百億円余、総減少額は千四百一億円余で、年度末現在額は八千二百三十億円余となっております。  なお、昭和六十一年度決算検査報告において指摘されました事項は、不当事項百二十九件、意見を表示しまたは処置を要求したもの九件、会計検査院指摘に基づき改善処置を講じたもの十八件となっております。  決算及び国有財産関係の二件は、第百十二回国会に提出され、委員会には、昭和六十三年五月二十三日、同年一月二十九日それぞれ付託されました。  委員会におきましては、第百十三回国会昭和六十三年十月十八日各件について宮澤大蔵大臣から決算概要説明を、辻会計検査院長から決算検査報告概要説明を聴取いたしました。その後、各省庁別に十四回にわたり慎重に審査を行い、質疑は、予算執行状況行政運営に関する重要な問題等を中心に行われました。その詳細につきましては会議録により御承知を願いたいと存じます。  かくして、昨十一日海部内閣総理大臣の出席のもとに締めくくり総括質疑を終了し、決算について、委員会審査内容をまとめて、委員長より議決案を提出いたしました。  以下、その内容を申し上げます。   昭和六十一年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につき、左のごとく議決すべきものと議決する。   本院は、毎年度決算審議に際し、予算効率的執行並びに不当事項の根絶について、繰り返し政府に注意を喚起してきたところであり、政府もこれに対し特に留意して対策を講じてきた結果その効果が見受けられるものの、なお改善を要するものが認められるのは遺憾である。  一 昭和六十一年度決算審査の結果、予算効率的使用が行われず、所期の成果が十分達成されていないと思われる事項が見受けられる。    左の事項がその主なものであるが、政府はこれらについて、特に留意して適切な措置をとり、次の常会に本院にその結果を報告すべきである。   1 上海就学生問題にみられるような日中の両国民に多大な相互不信を招来した一部の日本語学校利益本意の反社会的、反人道的行為について、関係省庁は厳しい措置を行うと同時に再発防止行政指導を強化すること。   2 地価高騰国民に及ぼす影響の重大性にかんがみ、地価抑制のため一層適切な措置を講ずべきである。   3 海外における不動産投資に対しては、その投資実情把握に努めるとともに、相手国地域社会において調和貢献するよう引き続き指導すること。   4 産業廃棄物やゴミの排出抑制減量化及び再利用の推進に努めるべきである。  二 昭和六十一年度決算検査報告において、会計検査院指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。    政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正措置を講ずるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。  三 決算のうち、前記以外の事項については異議がない。   政府は、今後予算の作成並びに執行に当たっては、本院の決算審議経過と結果を十分考慮して、財政運営健全化を図り、もって国民の信託にこたえるべきである。  以上が議決案内容であります。  次いで、決算外二件を一括して討論に付したところ、自由民主党は、決算議決案のとおり議決することに賛成日本社会党護憲共同公明党国民会議民社党民主連合日本共産党革新共同は、決算議決案のとおり議決することに反対の意見を表明されました。  次いで、採決の結果、決算は、多数をもって議決案のとおり議決すべきものと決しました。  次に、国有財産関係の二件については、いずれも多数をもって是認すべきものと議決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  5. 田村元

    議長田村元君) これより採決に入ります。  まず、日程第一の各件を一括して採決いたします。  各件を委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  6. 田村元

    議長田村元君) 起立多数。よって、各件とも委員長報告のとおり決しました。  次に、日程第二及び第三の両件を一括して採決いたします。  両件の委員長報告はいずれも是認すべきものと決したものであります。両件を委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  7. 田村元

    議長田村元君) 起立多数。よって、両件とも員長報告のとおり決しました。      ────◇─────  消費税法廃止する法律案参議院提出)、消費譲与税法廃止する法律案参議院提出)、地方交付税法の一部を改正する法律案参議院提出)、税制改革基本法案参議院提出)、法人税法等の一部を改正する法律案参議院提出)、通行税法案参議院提出)、物品税法案参議院提出)、入場税法案参議院提出)及び地方税法の一部を改正する法律案参議院提出)の趣旨説明
  8. 田村元

  9. 久保亘

    参議院議員久保亘君) ただいま議題となりました参議院提出消費税法廃止する法律案外八法律案は、公明党国民会議峯山昭範君、太田淳夫君、連合参議院笹野貞子君、民社党・スポーツ・国民連合勝木健司君並びに日本社会党護憲共同の佐藤三吾君、梶原敬義君、小川仁一君及び久保亘の八名によって発議し、発議者の属する四会派並びに参院クラブと一部無所属議員の賛同のもとに参議院に提出され、可決されたものであります。(拍手)  私は、提出者を代表して、これら九法律案について、提案理由法律案概要について御説明いたします。  まず、消費税廃止を求める理由について申し上げます。  言うまでもなく、議会制民主主義基本は、民意の尊重と公約の履行にあります。しかるに、消費税は、公約違反大型間接税であり、一度たりとも民意に問うことなく、国会において十分な審議も行われないまま、強行採決によって成立し、国民合意なき大増税として実施されたものであります。  本年七月二十三日に行われた参議院通常選挙は、現実のものとなった消費税の存廃を最大の争点として戦われました。すなわち、自由民主党見直しによる存続を、野党廃止して税制改革をそれぞれ公約としたのであります。その結果、見直し存続を主張した、自民党は、比例代表選挙において二七%の支持しか得られず、国民意思は明確となったのであります。  昨年十一月十日、消費税強行採決の最初の舞台となった衆議院税制改革特別委員長であった自由民主党金丸信氏は、参議院選挙の結果に対し、消費税はリコールされたとの認識を表明し、金丸氏の代理として委員長席にあって強行採決を陣頭指揮した海部俊樹首相は、強行採決に至ったことを今国会参議院予算委員会において謝罪したのであります。この認識や謝罪を具体的にどうあらわすか、今政府与党国民に厳しく問われているのであります。  政府与党の中には、参議院選挙の結果を国民理解不足に転嫁しようとする意見がありますが、この認識誤りこそ議会制民主主義を危うくしているものと言わなければなりません。国民は、実施段階に入った消費税内容を知れば知るだけ、強く廃止を求めているのであります。(拍手)  消費税は、その導入における手続においても、逆進性価絡転嫁困難性、さらにはその税収の全部が国庫に入らないなど構造的欠陥を持つ内容においても、国民理解信頼を得るに至らなかったことは明らかであり、竹下首相が表明した九つの懸念は何一つ解消せず、その矛盾現実化しているのであります。  国民は、消費税成立手続において議会制民主主義に反し、その内容において租税民主主義に反するものとして、廃止を求めているのであります。あまつさえ、社会的公正の観点が重視される税制が、リクルート疑惑の汚濁にまみれた政権の手によって提起され、強行されたことを国民は決して許さなかったのではないでしょうか。  今、与党である自由民主党は、みずから参議院選挙公約としただけではなく、選挙の結果を受けて、思い切った見直し海部内閣公約としながら、その内容をつい先日まで明らかにせず、野党廃止法案の批判に終始してきたことはまことに遺憾であり、まさに政権党の資格を失うものと言わなければなりません。  また、消費税見直し選挙公約とすること自体、消費税欠陥をみずから認めたものでありますが、抜本的、思い切った見直しをと言いつつ、自民党見直し案は、国民の期待を裏切る小手先の見直しにすぎず、消費税導入による混乱と矛盾を一層拡大する以外の何物でもないことは、既に報道機関等指摘するとおりであります。消費税は、自民党見直し案によってその欠陥をますます露呈させたと言ってよいのであります。  今日、政府自民党に残された道は、直らに消費税廃止した上で衆議院を解散し、自民党政権可否そのものについて総選挙国民の審判を仰ぐことであります。(拍手)  次に、政府税制改革において実現されず、国民が求めてやまない不公平税制是正を初めとする税制の再改革についてであります。  今日国民の間に高まっている税の不公平感重税感は、シャウプ税制理念を忘れて我が国税制を不公平なものに変貌させた歴代自民党政府責任に帰せられる面が小さくありません。国民は、民主的で公正、公平な税制確立税制における所得と富の社会的再配分機能向上を求めているのであります。不公平感重税感を生み出している根源に迫ることなく、ひたすら消費税に結びつける政府自民党税制改革の手法は、羊頭狗肉のたぐいとして国民を欺くものであります。  直間比率はあくまで公平、公正な税制を築き上げていく中での結果としての数値であり、また、能力に応じた負担によって所得と富の再配分を社会的に行うという税の理念に従えば、ゆがんだ水平的公平を掲げて悪平等を強制する消費税と比べて旧物品税課税方式の方がすぐれた面を持っているとも言えます。しかも、物品税の持つ矛盾は、今日までの歴史の中でさまざまな圧力、思惑の中で政策的に生み出された矛盾であり、社会経済変化に適応できていない点は政策の貧困に帰せられるのであって、直ちに消費税物品税よりすぐれた税制と見るのは誤りであります。  高齢化社会への対応のためには消費税が必要という政府自民党の宣伝も、その高齢化対策のビジョンも具体的な計画も示されない現実の前に国民の目には色あせたものとしか映りません。国民に将来のための負担を求める前は、国民に約束する将来の生活像を明らかにすべきであります。  我が国税制改革は、今日まで長期に続く自民党政権のもとで、政権維持のための歳出確保する財源調達の手段とされてきました。しかも、改革は、強者の論理に立って進められ、取る側の都合で検討されてきました。今、国民は、大平内閣以来の大型間接税をめぐる長い論議の中で、納税者である主権者の立場から、税を納める側の論理、弱者の論理を優先すべきことを明確に意思表示をいたしております。そして、国民不在大型間接税導入の試みを主権の行使によって阻止してきたのであります。中曽根政権売上税もまた例外ではありませんでした。しかし、国民の信を問うたことのない竹下政権によって消費税は強行導入され、現実のものとなったのであります。  この暴挙に対する国民の一票一揆が、今日、参議院与野党逆転をもたらしているのであります。国民は、税制改革のやり直しを求めました。ここに、私たちは、民意の赴くところに従い、参議院選挙公約を誠実に履行すべく、消費税法廃止する法律案を初め九法律案を提出し、その成立のために全力を尽くす決意を明らかにするものであります。(拍手)  次に、法律案概要について御説明いたします。  九法律案は、その性格上、三つに大別されます。一つは、消費税廃止に関する三法案であり、二つ目は、消費税廃止を踏まえて税制改革を行うことについての基本法案であり、三つ目は、再改革に至るまでの間消費税にかわる財源確保に資するための五つ法案であります。  まず、消費税法廃止する法律案外二法律案について御説明いたします。  消費税法廃止する法律案は、消費税がその成立手続においても内容においても国民理解合意を全く得られていない状況にかんがみ、これを平成二年三月三十一日限りで廃止しようとするものであります。  消費譲与税法廃止する法律案は、消費税法廃止に伴い、消費譲与税法がその基礎を失うことになるため、同法を廃止しようとするものであります。  地方交付税法の一部を改正する法律案は、消費税法廃止に伴い、地方交付税対象税目から消費税を削除しようとするものであります。  以上三法案については、いずれも必要な経過措置を定めております。  なお、以上の措置に伴う減収額は、平年度約五兆九千四百億円と見込まれます。  次に、税制改革基本法案についてであります。  本法律案は、消費税廃止を求める国民意思にこたえるとともに、不公平税制是正を初め、公正、公平な税制の実現のため、国民理解合意のもとに税制改革を確実かつ円滑に進めることに資するために、税制改革趣旨環境整備基本原則及び基本方針を定めようとするものであります。同時に、再改革の具体的な手続として、国民税制改革協議会を設置することといたしております。  第一に、税制改革趣旨でありますが、消費税廃止されることを踏まえ、国民合意信頼の上に、改めて我が国の現在及び将来の経済社会に対応する税制確立しようとするものであります。  第二に、税制改革のための環境整備であります。  再改革国民理解され、確立される税制国民信頼を得るためには、行財政改革が一層推進されること、社会保障に関する総合計画が策定され、高齢化社会における社会保障国民負担のあり方について国民合意形成が図られること等の環境整備がなされなければならないとするものであります。  第三に、税制改革基本原則であります。  それは、一つには、民主的手続による国民合意に基づくこと、二つには、税負担の公正、公平を確保すること、三つには、総合課税主義基本とする応能負担原則を重視しつつ応益負担にも配慮し、直接税を主、間接税を従として、所得資産消費等の均衡ある税体系構築を図ること、四つとして、安定した地方財政確立を図り、分権、自治の発展に資すること、五つとして、税制の社会的再配分機能向上に配慮して、活力ある福祉社会を支える税制を目指すこと、以上を五原則といたしております。  第四に、税制改革基本方針であります。  まず、各種特例措置抜本的整理合理化納税環境整備等により、税負担の不公平を払拭しようとするものであります。  所得税については、国民プライバシー保護に十分留意し、国民合意前提にした納税者番号制度を検討することなどにより、総合課税を一層推進することを基本に軽減、簡素化を目指し、法人税体系国際化経済構造変化に対応する合理化適正化を進めることといたしております。  また、土地を初めとする資産性所得課税資産課税適正化個別間接税整理合理化及びサービス、流通に対する適正課税の検討によって、所得資産消費等に対する均衡のとれた税体系構築を目指しております。  第五に、国民税制改革協議会の設置であります。  国民の参加と合意に基づく税制改革を実現するため、学識経験者及び国民各層代表者の中から国会の承認を受けた五十名以内の委員国民税制改革協議会を設置し、二年をめどに税制改革原則方針に従い具体的措置を調査審議すること等の所要の規定をいたしております。  なお、本法律案の附則において、現行税制改革法廃止することといたしており、この法律の施行に必要な費用は平年度約八千万円を見込んでおります。  続いて、消費税廃止に伴う代替財源確保に資する五法案について御説明いたします。  本来、選挙で明らかになった国民多数の意思に基づいて、消費税政府与党の手によって廃止され、代替財源もまた財政全体の中で調整すべき責務を政府は有しているのであります。国会での廃止立法の制定に基づき予算を編成し国会に提出することは、内閣固有責任として憲法七十三条に明定されております。もし、政府与党において、消費税廃止されれば国家財政責任を持てないというのであれば、政権を放棄すべきであります。(拍手)  私たちは、自民党に対して代替財源を提示しているのではなく、国民に対して政策責任を明らかにするため提示いたしているのであり、また、来るべき衆議院選挙の結果において、自由民主党政権の座を退き、国民連合政権が誕生することとなれば、その国民連合政権において消費税廃止のための代替財源に充てられるべき内容を示しているのであります。  自由民主党においては、我々の代替財源案について一方的に非難を繰り返しておりますが、みずから見直し案を示すに当たって、その平年度一兆数千億円とされる減収額に対する代替財源案は全く示されていないのであります。  また、政府税制改革は本建築であり、野党の再改革構想仮設建築であって無責任とする論議がありますが、不法に建てられ、国民に入居を強制し、一方的に家賃を決める押しつけの税制改革国民は自分の住む建築物として認めていないのであって、一たん撤去の上、再構築の間、国民の求める改革の方向に沿いつつ、再改革を行うまでの暫定的財源措置を講ずることは、国民に対する私たちの当然の責任と考えるのであります。(拍手)  消費税廃止に係る代替財源法案五つ法律案から成っており、代替財源としては、法律案によらず政令改正に基づくもの、財政全体の調整の中で歳入の見積もりを適正に行うことによって財政に寄与するものを含めて措置することにより、消費税廃止に伴う税収減は、何ら平成年度以降の財政運営に支障を与えることはありません。  まず第一に、法人税法等の一部を改正する法律案は、所得税について、有価証券譲渡益課税における源泉分離課税のみなし譲渡利益率五%を七%に引き上げ、これによって譲渡額現行一%の税負担を一・四%とするとともに、有価証券取引税について、株券等譲渡価額に対する税率を〇・三%から〇・四%に改めるなど税率の引き上げを行っております。  また、土地譲渡所得課税のうち、長短区分保有期間を五年から十年の本則に戻し、また、超短期譲渡所得に係る特例を延長することといたしております。  法人税におきましては、平成年度に三七・五%に引き下げられる予定の法人税率の引き下げを凍結し、現行の四〇%を維持することとするほか、貸倒引当金繰り入れ率を三年で三分の一程度圧縮すること、賞与引当金については、廃止前提としつつ二年間で二〇%圧縮する等の引当金制度改正を行うものであります。  また、受取配当益金不算入の割合現行の八〇%から二年間で六〇%にすることといたしております。  さらに、外国税額控除制度につきましては、その計算上、国外所得限度割合を九〇%から八〇%に改めることといたしております。  なお、貸倒引当金圧縮措置外国税額控除制度におきます国外所得限度割合につきましては、政令により定められており、私どもの提案趣旨を踏まえて適切に対処されるよう、行政府に対して要請いたします。  相続税贈与税におきましては、それぞれ最高税率七五%を復活いたしております。  そのほか、酒税では、清酒アルコール分十五度以上十六度未満、一キロリットル当たり税率を十三万三千七百円から十六万六百円に改める等の措置を講ずるとともに、たばこ税では、製造たばこ千本当たり税率を三千百二十六円から三千二百八十六円に改める等の措置を講じ、消費税廃止後も、酒、たばこにおいてその税負担額が変わらないよう調整をいたしております。  第二に、通行税法案についてでありますが、航空機の旅客運賃等を課税標準とする税率一〇%の旧通行税を五%の税率で復元し、別途、租税特別措置法により、離島などの特例税率旧五%は三%といたしております。納税義務者は乗客とし、徴税義務者は旅客運送事業者であり、料金とともに税金分を徴収し、国に納付することとしております。  第三に、物品税法案は、旧物品税と同品目を課税対象とする物品税の復元であります。  宝石や毛皮といった旧物品税の小売段階で課税されます第一種品目、一五%、一〇%のものについては、それぞれ、小売価格を課税標準とし、宝石等は一〇%、じゅうたん等は八%の税率としております。納税義務者は小売販売業者であり、国に申告納付することといたしております。  製造段階で課税されます自動車、家電製品などの第二種品目については、三〇%から五%までの旧物品税税率を、製造出荷価格を課税標準とし、八%、六%、四%の三段課税に調整した上で復元いたしております。納税義務者は製造者であり、国に申告納付することといたしております。  第四に、入場税法案は、劇場等の入場に対し課税し、その入場料金に税率一〇%の旧入場税を五%の税率で復元いたしております。また、免税点として、映画二千円、演劇等五千円等を設けております。納税義務者は興行場の経営者等であり、国に申告納付することとしております。  最後に、地方税法の一部を改正する法律案は、地方税におきまして電気税、ガス税等を復元しております。電気税は、課税標準の電気料金に、旧電気税率五%を調整して、免税点を旧三千六百円のままとし、三%の税率により課税し、納税義務者は電気の使用者とし、その納税の方法は、電力会社が料金とあわせて徴収し、市町村に申告納入する等としております。ガス税は、課税標準のガス料金に対し、旧免税点月額一万二千円を復活の上、二%の税率で課税するものであります。納税義務者はガスの使用者とし、その納税の方法は、ガス会社が料金とあわせて徴収し、市町村に申告納入する等としております。  また、特別地方消費税を改め、飲食及び宿泊等の利用行為の料金を課税標準とし、宿泊一万円、飲食五千円の免税点はそのまま据え置く等の措置を講じ、料理飲食等消費税を一〇%の税率で復元いたしております。納税義務者はその利用行為者であり、納税の方法は、飲食店の経営者等が料金とあわせて徴収し、都道府県に申告納入する等といたしております。  なお、ゴルフ場利用税を改め、娯楽施設利用税として旧に復することといたしております。ゴルフ場等に係る税率の例では、一人一日千百円であります。納税義務者はその施設の利用者であり、納税方法は、施設の経営者等が料金とあわせて徴収し、都道府県に申告納入する等といたしております。  そのほか、道府県たばこ税税率を千本につき千百八十六円に、市町村たばこ税税率を千本につき二千百円とし、たばこ税消費税廃止に伴う調整を行っております。  附則改正におきましては、国税における改正に伴う道府県民税、市町村民税及び事業税の所要の改正等を行っております。  これら五法律案等によって得られます平年度税収の増は、おおむね、キャピタルゲイン課税等の適正化で約六千二百五十億円、法人税課税の改革で約一兆三千八百億円、相続税等の税率改正で約七十億円、物品税間接税等関係で約一兆二千六百億円、地方間接税関係で約六千億円及び国税改正による地方税のはね返り約三千五百億円と見込んでおりますが、そのほか、税収見積もりの是正適正化等による自然増収の一部を制度改正で代替されない消費税廃止に伴う減収分約一兆七千億円を充当し、消費税廃止に伴う減収を補てんする考えであります。  なお、消費税法廃止する法律案外五法律案につきましては、若干の修正が行われ、十二月十一日委員会で修正可決の上、同日本会議においても委員長報告のとおり修正議決されまして、参議院提出法律案としてここに衆議院に御審議をお願い申し上げるものであります。  以上、九法律案提案理由及びその概要を申し上げました。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。(拍手)      ────◇─────  消費税法廃止する法律案参議院提出)、消費譲与税法廃止する法律案参議院提出)、地方交付税法の一部を改正する法律案参議院提出)、税制改革基本法案参議院提出)、法人税法等の一部を改正する法律案参議院提出)、通行税法案参議院提出)、物品税法案参議院提出)、入場税法案参議院提出)及び地方税法の一部を改正する法律案参議院提出)の趣旨説明に対する質疑
  10. 田村元

    議長田村元君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。宮下創平君。     〔宮下創平君登壇
  11. 宮下創平

    ○宮下創平君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました四野党提出の消費税法廃止する法律案外八件について質問を行うものであります。  自由民主党は、長年の懸案事項でありました税制の抜本改革を実現いたしました。これは、重税感の強い働き盛りの中堅新得者層に対する思い切った所得減税を実施するとともに、特定の物品だけに偏っていた物品税個別間接税のひずみの是正など、従来の税制が抱えていた諸問題を解決するためのものであります。  人口の高齢化が今後急速に進展していく中で、経済社会の活力を損なうことなく豊かな長寿社会を築いていくためには、国民全体が広く薄く負担を分かち合うことが必要であり、消費税はこうした抜本的税制改革の一環として位置づけられておるのであります。  このように、現在実施中の税制改革は、国民の長期的、全体的利益にかなうものであり、必ずやその本来の意義が高く評価されるものと確信をいたしております。したがって、この税制改革の中から消費税のみを取り出し、悪税と決めつけて廃止を求める野党の主張には全く同意できません。(拍手)私たちは、堂々と我が党の税制改革について国民理解を求めつつ、その定着に努めてまいる決意であります。  今回の野党案では、まず消費税廃止し、二年後に税制の再改革を行うこととしておりますが、二年後の税制改革の姿については、抽象的な言葉を並べ立てているだけで、具体的にどのような改革になるのか、青写真が全く示されていないのであります。  野党提案税制改革基本法案において今後検討されなければならない課題として述べられておりますサービス、流通等に対する適正な課税、また納税者番号制度導入土地税制等の資産課税適正化などは、国民生活に多大の影響を与えるにもかかわらず、その具体的内容については、参議院審議を通じて何ら明らかにされることなく、すべて国民税制改革協議会で検討するというあいまいな態度に終始してきているのであります。また、いわゆる不公平税制として野党がかねてから主張しているみなし法人課税、公益法人課税の特例等の内容について、何ら具体的な改革を示していないのであります。あらゆる問題を二年後の国民税制改革協議会に先送りし、何らのビジョンを持ち合わせていないというのは、まことに不見識であり、無責任な態度であります。  そこで、二年後の再改革の具体的内容、特に消費税の対象として最もなじむ分野と考えられるサービス、流通等に対する適正な課税や納税者番号制度導入土地税制等の資産課税適正化の具体的内容等について、二年後の国民税制協議会で検討するというような無責任な答弁ではなく、現在における提案者の基本的考え方を責任を持って明確にお答えを願いたいのであります。(拍手)  さて、野党案では、消費税廃止した後の二年間の暫定の増税策としての代替財源案提案されております。しかし、これは、まず消費税廃止ありきからくる整合性のないつじつま合わせそのものであり、提案者みずから認めているように問題が多く、かつ、国民を欺く理念なき措置であると言わざるを得ません。  まず、この代替財源案の最大の欠陥は、消費税廃止による六兆円の減収に対して十分な代替財源措置を講ずることができず、大幅な歳入欠陥が生ずることであります。しかも、野党は、その額を当初平年度ベースで一兆四千億といたしておりましたが、その後計算間違いが判明して一兆七千億と訂正し、さらに、肝心の平成年度では三兆円もの巨額の赤字になることが判明いたしました。このような不十分な代替財源措置によって我が国財政を再び赤字財政に陥れることに対して、どのように責任を感じておられるのか、お伺いをいたします。  また、この代替財源案によれば、直接税と間接税の比率は、現行の約七対三からほぼ八対二になるなど、ますます直接税へ偏り、納税者重税感不公平感がますます拡大することになります。参議院審議においても、提案者は、将来は七対三の比率まで縮小したいと述べられておられましたが、なぜこの際直接税に偏った税体系にするのか、しかとお伺いしたいのであります。  また、物品税、入場税、通行税等の創設が提案されておりますが、これにより、旧税の矛盾もそのまま復活するほか、さらに恣意的な修正を加えていることにより、新たな不公平感が生ずることになります。また、世界の主要国のほとんどすべてが消費税と同じタイプの間接税、付加価値税を実施しているのに、我が国のみが消費税廃止して問題の多い個別間接税に戻れば、サービス、流通への課税ができなくなって不公平がますます拡大するほか、再び国際摩擦が生ずる等、幾多の問題が発生することは、火を見るよりも明らかであります。これらの点についていかようにお考えか、お尋ねいたします。  さらに、野党各党は、確かに代替財源には問題があるが、二年間の暫定措置にすぎないので我慢してほしいと弁解してきました。しかしながら、代替財源関係の各法案には二年間の期限が付されておりません。したがって、問題の多い暫定措置は、二年で終わることなく恒久税制となるおそれがあります。二年間だから我慢してほしいという提案者の弁解は誤りであったと理解いたしますが、いかがでありましょうか、お伺いいたします。  さらに、参議院審議の過程を通じて、本九法案に関して、国民税制改革協議会の憲法違反問題を含め、相続税の実施時期を間違えるなど、税制基本的知識を欠く数々の重大な誤りがあったことについて、まことに遺憾である旨表明しておきたいと思います。  私は決して揚げ足取りをするものではありませんが、誤り指摘されでも、単純な誤りだから正誤表で済まそうとしたり、なれていないとか、時間がなかったと言いわけをして、特段問題視していない提案者の態度こそ、立法府に籍を置く責任政治家としてあるまじきものであります。このことば、税制改革を二年後の協議会にすべて先送りしていることと相まって、野党各党が政権担当能力がないことを雄弁に物語るものであると思います。提案者はいかように受けとめておられるのか、所見をお伺いします。(拍手)  さて、消費税はほとんどの主要国で実施され、世界では当たり前になっている税であるものの、我が国にとって全く新しい税であるため、国民の間にまだ批判や不満があることは否定できません。国民の声に謙虚に耳を傾けるとともに、消費税基本的な仕組みを損なわないで策定したのが今回の自由民主党消費税見直し案であります。  私は、今回の消費税見直し作業に参画した一人でありますが、今回の見直しに当たっては、国民の声を幅広く吸収し、消費税をめぐるさまざまな指摘、問題点をすべて検討の対象とし、さきの参議院選挙における国民の厳しい批判を謙虚に受けとめ、消費者の立場を十分考慮することを基本的考え方といたしました。  こうして取りまとめました見直し案は、以下申し上げる大きな四つの柱から成り立っております。また、その減税額は、平年度実に一兆円を上回る大幅なものであり、まさに思い切った見直しであります。  まず第一の柱は、逆進性の緩和及び社会政策的配慮のために、非課税取引を思い切って広げたことであります。  その内容は、第一に、生命に対する国民感情に配慮し、出産費用及び火葬・埋葬料を非課税とすることといたしました。  第二に、学校教育に係る父兄の負担を軽減する見地から、入学金、施設設備費等を非課税といたしました。  第三に、社会的弱者への温かい配慮から、身体障害者物品や、老人福祉センター、身障者福祉センター等の第二種社会福祉事業、さらには寝たきり老人に対するホームヘルパー等の在宅サービスなどを非課税といたしました。  第四に、個人が借りている住宅家賃を思い切って非課税といたしました。  第五に、特に食料品に対する脱負担の軽減を求める国民の声が強いことにかんがみ、すべての食料品について、事業者間の取引には一・五%の特別低税率を設定し、かつ、小売段階の販売を非課税といたしました。この見直しにより、消費者が買う日々の食料品は確実に一・五%以上値下がりすることになります。  以上のほか、年金受給者への配慮から、所得税及び個人住民税において、公的年金等控除額を引き上げ、年金受給者の税負担の一層の軽減を図ることといたしました。  二つ目の柱は、現行消費税の仕組みはややもすれば消費者サイドよりも事業者サイドに配慮したものになっているのではないかとの批判に対しても、思い切って手をつけたことであります。  具体的には、第一に、大企業が消費税を納めるまでの間に財テクなどで金利を稼いでいるという批判に対しては、納付の回数をふやすことなどによって早く国庫に納めてもらうことにいたしました。  第二に、企業が交際費を支出したり乗用車を購入したときは、消費者と同様に税金を負担していただくことにいたしました。  第三に、免税制度、簡易課税制度などについては、事業者の納税が一巡した時点で早急に結論を得ることといたしましたが、そのうち、売り上げ五億円以下の事業者が選択し得る簡易課税の仕入れ率は、政令事項として、取引の実態に応じ速やかに対応し得るようにいたしました。  そのほか、価格表示カルテル、転嫁カルテルについても、独占禁止法の原則を踏まえ、その取り扱いについて廃止を含んだ検討をすることといたしました。  三つ目の柱は、消費者が日々買い物をするに当たって煩わしいと感じておられることへの対応であります。すなわち、商品の価格表示の問題については、消費者が最終的に幾ら払えばよいかわかるようにという消費者保護の観点から、総額表示を指導していくことにいたしました。ただし、事業者間の取引については、今までどおりいわゆる外税を堅持するように配慮しております。  四つ目の柱は、消費税の使途の明確化と福祉の充実であります。消費税は本当に福祉のために使われるのかどうかという不安にこたえるために、これを福祉に優先して使う旨の趣旨規定を法律で明確に定めるとともに、予算歳出の面でも、高齢化に対応した公共福祉サービスを充実し、高齢者保健福祉推進十カ年戦略を立てまして、その十カ年間で思い切って五兆円を上回る事業費を確保することといたしました。  なお、この見直しは、原則として平成二年十月一日から施行を予定しております。その財源措置は、平成年度予算において、歳出の効率化等財政全般の中で対処していく予定でございます。  以上が自由民主党がまとめた消費税見直し案概要であります。  野党各党は、さきに述べたとおり、具体的な税制改革の姿も示さないまま消費税廃止を唱えています。二年間はバラックづくりの欠陥税制で我慢しろ、その先は協議会で検討すればよいといった無責任な態度をとっております。これに対し、我が自由民主党は、責任政党としてさきに抜本的税制改革を実現したのでありますが、この税がより一層国民に定着し確かなものとなるよう今回の見直しをしたところであります。この見直しを含め、今回行った税制改革全体が二十一世紀の豊かな長寿・福祉社会に向けての安定した財政的基盤を確立するものであることを確信するものであります。  終わりに、大蔵大臣に自由民主党消費税見直し案についての所見をお伺いし、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)     〔国務大臣橋本龍太郎君登壇
  12. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 宮下議員に御答弁を申し上げます。  自由民主党におかれましては、本年八月以来、消費税見直しに向け、国民各層からの声を幅広く吸収されるとともに、消費税の実施状況の実態などを把握し、鋭意検討を重ねてこられましたが、先般、その結果として、消費税見直しに関する基本方針を決定せられました。  基本方針におかれましては、消費税見直しについての基本的な考え方と具体的な内容が示されておりますが、その内容は、税制面のみならず広く歳出面や他の制度面にも及び、かつ、消費者と事業者の双方の立場を十分に考慮されたものとなっておりまして、国民心理と税の理念の両面の調和に腐心されたものとして、その御努力に心から敬意を表するものであります。  具体的には、国民から最も強く御要望のありました食料品に対する特段の配慮措置に加え、住宅家賃や出産費、入学金、福祉関係などの非課税化などにより、逆進性の緩和及び社会政策的配慮が加えられるとともに、消費者の立場から指摘をされておりました運用益などの問題の是正など、現時点でできる限りの措置を講じようとしておられます。  また、歳出面におきましては、消費税の使途の明確化とともに、高齢化に対応した公共福祉サービスの充実が図られることとされておられます。  このように、今回の見直し案につきましては、幅広い視野からさまざまな措置が盛り込まれておるところでありまして、その内容は高く評価すべきものであると考えております。  政府といたしましては、この基本方針内容を十分勉強させていただきますとともに、政府税制調査会の今後の御審議などをも踏まえまして、平成年度税制改正において政府としての見直しの成案を得るよう最大限の努力を傾注していく所存であります。(拍手)     〔参議院議員久保亘登壇
  13. 久保亘

    参議院議員久保亘君) 宮下さんにお答えいたします。  最初に、法案ミスの責任についてただいまお尋ねがございました。  今のお話の中で事実と違いますことは、私どもは、時間やスタッフの不足を理由にこの法案ミスの責任を回避しようとしたことは一度もございません。審議経過をお読みいただければ明らかでございます。  私どもは、今回のこの国民の御意思に沿う消費税廃止という法案提案をするに当たりまして、野党として今まで未経験な分野ではございましたけれども、懸命な努力を重ねて提案をしてきたところでございます。しかし、法案の整理ミス等がございまして、審議の過程で国民の皆さんに御心配をおかけしたことは大変申しわけないことだと思っております。  しかし、発議者として法案作成に当たって整理ミス等は本来あってはならないことであり、我々も謙虚に反省するところがありますが、十一月十三日以来、委員会審議の中でこれらのミスのほとんどは私ども発議者の側から正誤のお願いをしているものであります。また、そのほとんどが、通常政府の提出法案自民党提出の法案でも過去にあった整理ミスのたぐいのものであり、消費税廃止を求める法案の根幹にかかわるものではないと確信をいたしております。(拍手)  また、この法案が、そのような経過を経ました中でも、先ごろの新聞の世論調査でも六割にも及ぶ国民の皆様の御評価をいただいておりまして、私どもはますますその責任の重さを痛感をいたしているのでございます。  願わくは、五カ月を経ました今日、政府自民党選挙公約である消費税見直し案法案として国会に提出いただければ、なお国民の皆さんにわかりやすい論議ができたものだと考えておるのでございます。  なお、今回のこのミスの修正につきまして、何点かは政策判断に係る問題がございました。これは法案のミスではありません。これらについては、自民党と私ども発議者との間に見解の相違がございましたり政策判断の違いもありまして、修正を求められたのに対して、審議促進の立場から理事会や委員会で御判断をいただいたものであります。  また、国民税制改革協議会の規定の問題について、今憲法に触れて御質問がございましたが、宮下さんは審議及び修正の経過を詳細に御存じないのではないでしょうか。自民党から確かに憲法上の疑義に基づいて御指摘がございましたが、これは、発議者の明確な答弁と参議院法制局長の憲法上何ら疑義はないという明確な見解の提示によりまして、決着がついた問題でございます。ただ、自民党において重ねて修正を求められたので、消費税廃止という国民的期待を受けた九法案成立を期するためあえて修正に応じたものであります。もしこの上の疑問がございますならば、委員会の議事録等を御一読いただければ幸いでございます。  なお、内閣法制局長官においても、憲法違反あるいはそのおそれがあると断ずる発言はされていないことを申し添えておきます。提案者は憲法上の疑義に基づいて修正に応じたものでないことをここに明らかにいたしておきます。  我々は、この法案のミスに関して、私どもの責任に関します部分を、その責任を回避する気持ちは全くございません。しかし、この九法案の根幹に関する問題について修正が行われたものでは絶対にないと確信をいたしております。(拍手)  続いて、宮下議員の御質問にお答えいたします。  税制改革基本法案は、消費税法廃止されることを踏まえて行われる税制改革手続を規定したものでございます。御指摘の点については、税制改革基本法案の中で税制改革基本方針を規定している第五条の点でございます。この税制改革基本方針を規定している五条の趣旨といたしましては、税制改革がどのような税体系構築を目指して行われるのかを明らかにしているのであります。税体系の具体的な内容については、税制改革基本法案第四章に規定しております国民税制改革協議会の調査審議の結果を待たなければなりませんが、ここでは、あるべき税体系基本的な柱を示すことにより、税制改革の進むべき方向を明らかにしようとするものであります。  御指摘の具体的な内容について御説明を申し上げます。  まず最初に、税制改革基本法に盛り込まれているサービス、流通等に対する適正な課税の意味についてでございます。  消費税廃止されることによりサービスへの課税が一切なくなることなどにより、それにかわって必要となるサービス、流通等に対する適正な課税のあり方を検討するということを言っているのでありまして、課税対象をどのようにするのか、また課税方法をどのようにするのかということを含めて検討課題としているところであります。  次に、納税者番号の導入についてであります。  税制改革基本的な柱の一つとして、所得資産、消費などに対して均衡のとれた税制であることを目指し、そのためには総合課税主義原則構築しなければならないと考えているのであります。そして、総合課税主義をとる場合の有効な手段として納税者番号制度があることは御承知のことと思います。しかし、納税者番号の導入につきましては、さまざまな議論がございます。特に個人のプライバシー保護の問題をどのように取り扱うかということを解決しなければ、決して国民合意を得ることはできないと考えております。したがいまして、国民のプライバシーの保護に十分留意して行うということをここに示しているということであります。  次に、土地税制等の資産課税適正化についてお尋ねがございました。  最近の地価や株価の高騰により持てる者と持たざる者の階層分化の傾向が見られるところから、不労性所得である資産所得資産そのものに対する適正な課税を行おうとするものであります。  具体的には、社会、公明、民社三党共同提案に係る土地基本法に規定してある「国及び地方公共団体は、適正な地価の形成に資するとともに社会的公平を確保するため、土地の処分等により生じた利益に対し適正な課税を行うものとする。」ということになると考えるのであります。  次に、不公平税制是正についてお尋ねがございました。  いわゆる不公平税制と言われている社会保険診療報酬課税の特例、みなし法人課税、公益法人課税の特例、企業に対する課税における各種の特例等の租税特別措置を列挙し、これら不公平税制が一掃されている税制でなければならないということを規定しております。これら不公平税制と言われるものについて適正な措置を講じ、国民合意を得ることが不公平税制是正への最初の課題であろうと考えております。(拍手)     〔参議院議員峯山昭範登壇
  14. 峯山昭範

    参議院議員峯山昭範君) 私からは、代替財源案に関する四点についてお答えいたします。  まず第一に、自然増収の見積もりにたび重なる修正があったのではないかという点であります。  確かに、十月二十四日に発表いたしました四党税制改革協議会の「消費税廃止に係る法案等の共同提案について」の中では、自然増収に依存する額につきましては一兆四千億としていたことは事実でございます。しかし、計数については、精査中であり、変更、移動する場合があることを明記いたしております。十一月八日の参議院提案理由説明の中で一兆七千億円と申し上げたのは、精査の結果であります。  この一兆七千億円は、自然増収に依存しておりますが、決して無理な数字ではないと思っております。政府も、六十三年度当初予算で四兆四千四百九十億円、平成元年度当初予算で六兆二千九十億円の年度間の自然増収を見込み、しかも、六十二年度、六十三年度、それぞれ五兆六千億円、五兆七千億円の年度内自然増収が発生しているのであります。  一兆七千億円は平年度の数字でありますが、税制改正の場合は政府も同じく平年度で示すのが通例であります。今回の政府見直し案でも減収額一兆二千八百億円とされておりますが、これは平年度の数字であります。初年度の場合はこれに約一兆三千億円の税収不足が生ずることは参議院税制特別委員会で示したとおりであります。この分につきましては、六十三年度決算剰余金の二分の一、約八千六百億円、平成元年度の補正予算の編成などを踏まえまして、平成年度予算編成において措置することといたしております。  次に、直間比率についてどう考えるかという御意見でございます。  私は、直間比率についての考え方につきましては、直間比率をどのくらいにするかということから税制改革を行うのではなくて、あくまでも公平、公正な税制改革を行った結果において示されるものであると考えております。このことにつきましては、竹下元総理も昨年の本院における税制問題等調査特別委員会において、「いわゆる直間比率とはあらかじめアプリオリに固定的に決めるべきものではなく、その結果として出てくるのが直間比率である」と発言をされております。  私たちは、税制改革基本法において、税の公平の確保を最大の理念一つに掲げ、その実現のため総合課税を大原則といたしております。その総合課税が可能なのは直接税だけであり、間接税では能力に応じた応能負担は実現することができません。したがって、公平な税制を目指すためには、直接税があくまで中心となり、間接税がこれを補完する税体系を堅持する必要があります。  最近の直間比率の推移を見てみますと、昭和四十年度には六対四であったものが五十年にはほぼ七対三となり、六十三年度決算では、直接税が税収の七五%、間接税が二五%となっているのであります。このような直間比率の数字は、適切な減税や不公平税制是正の実施を怠ってきたことによるものであり、直接税の比率の高まりが直ちに国民不公平感を生んだものではありません。直間比率の数字のみによって税制度の公平性を判断するのは誤りと考えるものであります。  私たちは、税制改革基本法第四条において、「直接税を主とし、間接税を従とすることを堅持し、所得資産消費等に対する課税についての均衡ある税体系構築を図ること。」と規定し、税体系全体の中でバランスのとれたものにするよう考えております。昨年の税制改正においては、初めに消費税導入ありきともいうべきものでありました。この改正によって直間比率税制全体に影響を及ぼすような変化をしたわけではありません。もし消費税導入による現在の税体系間接税にウエートを置くならば、消費税税率を相当引き上げなければならないことになると懸念するものであります。  次に、個別間接税についてはさまざまな御指摘がありました。  特に物品税については、物品間の課税、非課税のアンバランスや個別物品間の不公平ということについても発議者も問題点を率直に認めているところであり、税制改革においてそうした問題を含め検討することといたしております。  国際摩擦問題におきましては、従来酒税、物品税が問題となっていましたが、酒税は従価税や級別制度を廃止したままとしており、物品税についても、税率調整を行った結果、適用税率の格差が幾分解消されて批判にこたえられるものであると考えております。  消費税廃止でサービスに対する適切な課税ができなくなるという点については、私どもも税制改革基本法案第五条に基本方針を掲げ、その検討をしていただくよう要請しているところであります。  入場税、通行税について、税率調整や免税点設置など、国民生活に配慮いたしております。  いずれにしましても、逆進性や国への税金が納付されないという消費税の解消できない構造的欠陥、さらに、制度を複雑にするばかりの消費税見直し案内容を見るにつけ、消費税はやはり廃止すべきであるとますます確信を深めるものであります。(拍手)  最後に、代替財源法案は時限法ではない、恒久法化するのではないかという御質問がありました。  代替財源法案については、時限法ではなく形式的には恒久法の形をとっております。私どもは、税制改革基本法案に規定している国民税制改革協議会において調査審議し、二年以内をめどとして報告をまとめていただき、それから成案を得て税制改革を行いたいと考えております。したがって、代替財源法案につきましては必然的に時限的性格を持つものであります。国民税制改革協議会の検討の結果、代替財源法案の中にも残るものもあろうかと思いますが、少なくとも現在問題が指摘されているものがそのままの姿で恒久化するというのはあり得ない、当然改善されるであろうと考えております。しかし、これはあくまでも結果的にという意味であることを申し上げておきます。(拍手)     ─────────────
  15. 田村元

    議長田村元君) 野中広務君。     〔野中広務君登壇
  16. 野中広務

    ○野中広務君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました四野党の提出に係る消費税廃止する法律案外八件について、主として地方自治体の税財政の立場から、発議者及び自治大臣に質問を行います。  野党は、日ごろから機会あるごとに地方自治の確立地方財政の充実強化を主張しておられます。このことは、今回の四野党提案に係る税制改革基本法案でも、その第四条第四号で、「地方自治の本旨に基づき安定した地方財政確立を図り、地方分権及び地方自治の発展に資すること。」と規定をするとともに、その第五条第三号では、「地方分権及び地方自治の基盤としての地方財政確立のため、国及び地方の税源配分見直しによる地方税源の拡充及び財政調整制度としての地方交付税制度の充実に配慮されていること。」とまで規定しているのであります。  地方自治の確立を図るというためには、その前提としての地方財政の充実強化を図ることは、かつて地方自治に携わってまいりました私にとりましても、まことに結構なことであります。ところが、残念なことに、参議院税制問題等に関する特別委員会での審議を通じ、この四野党提案に係る基本法案の地方自治等に関する理念は、全くきれいごとにすぎず、実体もなく、それどころか、代替財源案に至っては逆に地方にしわ寄せをする内容となっていることが明らかとなったのであります。(拍手)  そこで、このたびの四野党の提出に係るこれらの法律案が、いかにその建前と異なって地方いじめの地方自治の破壊とも言えるものであるか、その内容について明らかにしていきたいと考えます。 まず、基本法の地方に関する基本理念消費税廃止に伴う代替財源案との関係について伺います。  基本法案の第五条第三号では、先ほど申し上げましたように、「国及び地方の税源配分見直しによる地方税源の拡充」と規定しているところであります。ところが、参議院税制問題等特別委員会審議を通じ、そのため具体的にどの税目をどのように国、地方で再配分をするのか等々についての考え方は全く示されておらないのであります。いずれも国民税制改革協議会での審議にまつこととされたのであります。輪郭も位置づけもわからない国民税制改革協議会審議にまつことは、まことに残念であります。  申すまでもなく、税制改革論議はきのうやきょう始まったものではありません。四野党にとっても十分検討する時間があったのではないでしょうか。にもかかわらず、みずから提案をしている税制改革基本理念について具体的内容を明確にできないということは、すなわち、地方自治の尊重などということが全くきれいごとにすぎないということの大きなあらわれではないでしょうか。  すなわち、二十一世紀の高齢化社会を展望して、国や地方自治体が行う行政サービスの費用を安定的に確保するという政治理念に欠けたものであり、それどころか、消費税廃止に伴う代替財源案を子細に検討してみますと、地方財政の充実強化どころか、逆に地方いじめの内容となっていることは先ほども申し上げたところであります。  現行消費税収入の約四割は、消費譲与税及び地方交付税として地方の財源となっております。その消費税廃止するからには、十分な財源補てんがなされなければなりません。ところが、四野党代替財源案では、地方財源不足に対し、多額の自然増収を当てにするのみならず、消費税廃止に対する補てんの割合も、国七三・九%、地方六六・六%と、地方が国を下回っております。代替財源とはいえ、なぜそのような措置をとったのか、また、このことは野党の地方軽視の姿勢のあらわれではないかと思いますが、お答えを願いたいと存じます。  また、代替財源案であるからには、平年度化されたときのみならず、毎年毎年において十分な財源措置がなされなければならないものであります。ところが、四野党案では、初年度である平成年度において、国税改正による地方税だけのはね返りが一年おくれることになるなどから、さらに六千億円程度の巨額の財源不足が生ずることになるのでありますが、これに対しても明確な財源措置が講じられておりません。これは極めて責任に欠ける態度と思われますが、お答えを願います。(拍手)  また、四野党代替財源案は、暫定措置としながらも時限立法となっていないのであります。先ほども答弁がありましたけれども、そうしますと、二年後の再改革がまとまらなければ、地方財政に大きな穴があいたままの制度がそのまま引き続き実施されていくこととなります。この点についてどう考えられるのか。  また、代替財源案としての地方間接税の復元についても、娯楽施設利用税は完全復元、料理飲食等消費税については免税点はそのままとし税率のみ復元、廃止された税について見ると、ガス税は完全復元、電気税は税率を引き下げて復元、木材引取税は廃止されたままとするなど、その取り扱いが異なっており、またそのようにした基準も明確ではなく、特に木材引取税のみなぜ廃止されたのか、その理由をお伺いいたしたいと存じます。  木材引取税は、山間地の弱小町村にとっては税収入総額の二割を占めるところもあるのであります。財政力の弱い弱小町村に対し、まことに冷たい扱いと言わなくてはなりません。このようないびつな地方間接税についてもそのまま恒久化していくおそれすらあるわけであります。このことについてどのように考えられるのか、また、二年後には必ず再改革を行うということなのか、その場合、その是正をどう保証されるのか、明確な御答弁をお願いいたします。  また、このような野党代替財源案に対し自治大臣ほどのような御所見をお持ちであるか、御答弁をお願いいたします。  最後に、四野党地方財政に関し、内閣と国会との関係についてお伺いをいたします。  四野党提案消費譲与税法廃止する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案によれば、地方財政に二兆円を超える減収を来すこととなり、両法案地方財政に関する国の政策に大きな影響を与えるものであります。  この二法案参議院に提出された際に、参議院規則第二十四条の「法律施行に要する経費を明らかにした文書」を添付していないところから判断をいたしますと、二兆円余りの国の予算に影響を与える法案でありながら、これを予算を伴う法律案とは考えないということなのでありましょうか。そうすると、このように地方財政運営に関する国の政策に大きな影響を与え、内閣の予算編成権にもかかわってくる重大な事項について、内閣の意見を述べる機会を与えないということなのか。これは憲法の三権分立の大原則にもかかわってくる非常に重大な問題であると考えるのであります。先ほども憲法についてお話がございましたけれども、憲法についてもっと謙虚なお考えがあってしかるべきと存じます。(拍手)  以上、提案者、さらに自治大臣に対し、本件をめぐる問題についてその考え方をただしましたが、四野党は、当初、消費税廃止に伴う地方財政の制度的な補てん措置として一兆八千五百億円の代替財源を示しました。それが突然、参議院での趣旨説明において、明確な理由も示さないまま、三千億の減少とされましたのであります。その上、初年度である平成年度においてはさらに六千億円もの財源不足が生じることが明らかとなったのであります。全く無責任きわまりないと言わざるを得ません。  このように一年ごとに変わり、また二年後に変わるというような法の改正に伴う膨大な地方自治体の事務量について、地方自治体が果たして対応することが可能かどうか、四野党の皆さんは一度でもいたわりの気持ちで地方団体のことを考えたことがあるのでありましょうか。私は、全国四十七都道府県及び三千二百四十五の市町村の限りなく地方自治の振興発展を願う多くの同志の声を代表して、地方軽視の野党四党の政治姿勢に怒りを込めて抗議をするものであります。 (拍手)  さきの税制国会は、リクルート事件等の国民の不満に迎合して審議拒否を行い、国会議員は法案を初め国政全般について審議するという議会政治の根本の認識誤り、かつ、みずから放棄し、採決までの経過、すなわち、六十二年四月の原衆議院議長のあっせん、税制国会の終盤において、野党二党とは消費税成立前提歳出面での手当てなど諸般の措置合意を見たのであります。それは既に実施されていることなど、公党としての信義にかかわる問題等に全くほおかむりをし、その方法が強行であったということのみを特徴的に問題にし、税制という制度の議論をしなかったことはまことに遺憾なことであり、議会制民主主義の上に不幸な汚点を残したものと言えるのであります。  消費税廃止するというのは耳当たりのいいことでありますが、実際は、企業課税の強化、問題の多い物品税の復活という型のかつては野党が不公平であると指摘をしてきた整合性のない物品税の新設であり、個人事業主と公益法人への課税の強化等々の増税案であり、税の改革という理念に反するものであり、本気で税制のことなど考えず、ましてや将来に向かって我が国の安定した発展と国民の幸せを無視し、総選挙対策のみを考えた、政党としてまことに無責任法案であることを指摘をいたします。  去る十二月八日、野党四党は、我が党の消費税見直し案に対して、国民不在の小手先の愚策と共同見解を発表されましたが、私は、この表現をそっくりそのままのしをつけて野党四党の皆さんにお返しをし、今後、さらに特別委員会における論議を通じて、国会にその矛盾点、非合理性を徹底的に明らかにする所存であることを申し述べ、私の質問を終わります。(拍手)     〔国務大臣渡部恒三君登壇
  17. 渡部恒三

    ○国務大臣(渡部恒三君) ただいま野中議員お尋ねの件についてお答えいたします。  お尋ねの野党代替財源案は、消費税廃止に伴う地方税財源の減収に対して十分な財源の手当てを行っていない上、地方税財源減収額に対して財源手当てされた措置率も国の措置率を下回っており、全国四十七都道府県三千三百市町村の地方財政を預かる立場から、到底納得のできるものではございません。(拍手)     〔参議院議員峯山昭範登壇
  18. 峯山昭範

    参議院議員峯山昭範君) 野中議員にお答えします。  まず、国税・地方税を通じて個別間接税が持っていた諸問題を解消するために昨年の税制改革が行われたことにかんがみると、消費税廃止して旧税を復元したことは適切ではないと考えるとの御指摘でございます。  今回、我々が、消費税廃止し、税制改革をするために九法案を提出していることは御存じのとおりであります。  消費税廃止理由は、再三申し上げてまいりましたが、消費税昭和六十一年の衆参同日選挙において大型間接税導入しないとの公約に違反し、さきの参議院選挙において消費税廃止の審判が下されたことによるものであります。さらには、消費税は、所得の低い人ほど負担が重いという逆進性や社会的に弱い立場の人たちの生活を直撃するなど基本的な難点を持つ上に、簡易課税、免税点、帳簿方式等を採用したことにより消費者が支払った税金の一部が国庫に入らないという構造的欠陥を持っているなど、制度自体に問題があるからであります。  税制の再改革を進めるに当たりましては、国民を無視した前回の税制改革によって失われた税に対する国民信頼を回復し、国民合意税制改革を実現することが第一であるとの考えから、二年程度の期間をかけて二十一世紀を展望した確固たる税制改革確立しようとするものであります。(拍手)  この観点から、消費税廃止した場合、その代替財源として原則的に消費税があった以前の税制に戻ることとしており、国税の場合は物品税などを、地方税におきましては料理飲食等消費税、娯楽施設利用税、電気ガス税などを復元しているのであります。したがいまして、消費税廃止するという国民の要望にこたえるために今回の措置をとった次第でありますので、御理解をいただきたいと考えるものであります。  次に、代替財源は、完全復元したもの、一部復元したものなど、その取り扱いの基準も明らかでなく、恣意的であるとの御意見であります。  今回の代替財源は、本格的税制確立するまでの二年間の暫定的な制度であります。この点につきましては、提案理由説明でも申し上げてまいりました。  今回復元しました間接税につきましては、恣意的に復元したのではなく、現行の制度との関係から急激な負担とならないよう、国民生活への影響も考慮し、税率、免税点に十分配慮したものであります。  具体的に申し上げますと、地方税の料理飲食等消費税につきましては、混乱を来さぬよう、免税点を、宿泊等を一万円に、飲食等を五千円に引き上げた特別消費税の仕組みをそのまま生かし、税率を一〇%といたしております。  また、電気税につきましては、免税点を旧税に戻し、税率は三%に引き下げております。これにより、電気税がかからない世帯は全世帯の四三%になるなど負担の軽減が図られることになります。  また、ガス税につきましては、免税点が一万二千円と旧制度のままとしており、これにより大半の家庭が課税されないことになっております。  娯楽施設利用税につきましては、完全復元といたしております。  一方、復元を見送りました木材引取税につきましては、輸入木材は課税されず国産材だけが課税されるという矛盾がありましたが、今回輸入材と国産材との均衡を図るためにこのような措置をとったのであります。  いずれにしましても、二年間の代替財源とはいっても、今回の地方間接税の復元に当たりましては、国民生活との関係を重視したところであります。  次に、公明党の今回の態度は昨年の税制国会当時の態度と大きく異なるという御指摘がございました。  私ども公明党は、昨年の税制国会におきまして、消費税法案に対して最後まで堂々と反対の態度を貫いたことをまず最初に申し上げたいと思います。(拍手)  確かに、公明党は、衆議院会議での税制改革法案について、これまでの与野党政策担当者協議会や税制問題等調査特別委員会公明党が主張してきた同法案の問題点に関する確認が得られれば今後の話し合いに応じるとして六項目を提示したことは事実であります。自民党からの回答によって、在宅介護の三本柱であるホームヘルパー、ショートステイ、デイサービスの整備が従来の政府案での十二年計画が三年計画に前倒しされ、寝たきり老人等に係る扶養控除額の八十万円から百二十万円への引き上げ、三十年勤務の場合の退職金の非課税額が一千万円から一千五百万円に引き上げられることになったのであります。  また、参議院におきましては、臨時福祉金、臨時介護福祉金、在宅介護振興基金の創設などが受け入れられたのであります。  しかし、これらは、消費税導入を認めたものではなく、自民党の絶対多数下において消費税成立するという最悪の事態の中で、国民生活を守るためのぎりぎりの選択の結果であります。  私たちは、衆参両院とも本会議へ出席し、消費税導入に反対の意思表示を明確にいたしましたが、この私たちの態度は、日本の議会政治を守る上からも、国民生活を守る上でも、極めて有意義なものであったと確信をいたしているものであります。  消費税導入に一貫して反対を貫いてきた私どもが、参院選の結果を受けて消費税廃止法案を提出していることは、何ら矛盾するものではないと確信をいたしております。(拍手)     〔参議院議員勝木健司登壇
  19. 勝木健司

    参議院議員勝木健司君) 野中先生にお答えいたします。  税制国民信頼合意に基づくものでございまして、その改革に当たっては、税理論の整合性のみでなく、広く国民の参加を保障していく、そして国民合意を得て行う、国民信頼の得られる公平な税制でなくてはならないというふうに私どもは考えております。私どもは、国民信頼を失った税制は砂上の楼閣のようなものであると断ぜざるを得ません。  さきの参議院選挙でもわかりますように、国民は、自民党の断行いたしました消費税に対し、ノーの意思表示をいたしました。自民党は、大型間接税導入は行わないという選挙公約を無視し、加えて、強行採決という議会制民主主義を無視した手段によって、消費税という名の大型間接税導入したのであります。  確かに、野中先生御指摘のように、消費税導入の際生じたコンピューターのソフトの組みかえや店頭での価格表示の変更及びレジスターの入れかえ等の事業者のコスト増加が予想されますが、これらにつきましては、ソフトウエアの変更については一括損金算入を認める、百万円以下のレジスターや百六十万円以下の計算機につきましてはさきの消費税導入に際して講じたものと同様の措置を講じ、事業者へのコスト負担の増加を極力抑制したいというふうに私どもも考えております。  次に、消費税廃止及び二年後に再び税制改革を行うことによる日本経済に及ぼす影響についてでございますが、消費税自民党公約違反により強行導入されたこと、及び、今回の自民党の税理論ばかりでなく国民意思をも無視した見直し案を見たとき、国民の支払いました税金がきちんと国庫に納付されないという矛盾に満ちた消費税にさらに矛盾を重ねた見直し案を強引に実行するなら、日本経済にさまざまな悪影響を与えるばかりでなく、公平、公正な税制を望む国民の期待を裏切る結果となることは火を見るより明らかでございます。  そのような見地から、私どもは、公平な税制確立をし、真に国民から信頼される税制構築するためには、消費税廃止し、税制改革をやり直すことを強く主張いたします。そうすることが、二十一世紀を展望したとき国民から信頼される税制構築できる唯一の道であると考えるからでございます。  次に、地方の代替財源については、法文上は時限立法の形を確かにとっておりませんが、税制改革基本法におきましては二年を目途に税制改革の結論を得るものとするとの趣旨から、これと同様、二年を目途とした暫定的性格を持つものであります。  国の税制改正地方財政と密接なつながりを持っておりまして、当然影響を受けることになりますが、代替財源提案に当たっても慎重な検討を行い、地方財政の安定を目指してそのための財源確保をいたしております。  消費税廃止されることにより、地方の財源であります地方交付税、消費譲与税は減収となりますが、その額は、消費税廃止による影響額五兆九千四百億円をベースにいたしますと、消費譲与税一兆一千八百八十億円、地方交付税消費税分一兆一千四百五億円、計二兆三千二百八十五億円と見込んでおります。  代替財源案では、消費譲与税分につきましては、昨年、六十三年十二月の政府税制改革消費税に吸収された地方間接税を次のように復元することといたしております。  地方たばこ税は、消費税廃止された分をたばこの値段が現在と変わらないようたばこ税調整し、電気税は税率を三%、ガス税は旧税率と同じく二%とし、いずれも免税点を旧法と同じように設けて復元いたします。料理飲食等消費税は、免税点を現行の特別消費税のままとし、税率を一〇%とし、娯楽施設利用税は、旧税制のまま復元するというものであります。  加えて、地方交付税分につきましては、国税の制度改正によります地方税の増収分で対処いたしております。  具体的には、国税の法人税改正で普通法人の基本税率を四〇%のままに据え置くこと、貸倒引当金賞与引当金、受取配当金の益金不算入制度の強化等の措置を講ずることによりまして、この増加分が地方税収入に影響するため、地方の法人住民税、法人事業税の税収入が増額することになります。  これらによっても不足する分につきましては、税収の適正な見積もりによる地方交付税の増額によっておりますが、減収した総額を十分確保することにいたしており、地方財政に支障を来すようなことは全くないと考えております。(拍手)  いずれにいたしましても、税制改革基本法案の第五条の第三号で、「地方分権及び地方自治の基盤としての地方財政確立のため、国及び地方の税源配分見直しによる地方税源の拡充及び財政調整制度としての地方交付税制度の充実に配慮されていること。」と述べておりますように、地方の自主財源確立並びに地方の自主自律のため十全なる地方税制構築したいと考えております。  次に、野中先生の質問の趣旨は、民社党は昨年の税制国会において消費税見直し規定を入れる修正をさせたにもかかわらず、今見直しに反対するのはなぜかという御趣旨の質問であろうかと思います。  昨年の十二月二十四日、税制法案参議院の本会議を通過し、成立したわけでございますが、そのとき発表した私ども民社党の声明によれば、次のとおりでございます。  政府自民党が、衆参両院の委員会において単独強行採決を行うなど、議会制民主主義を踏みにじる異常な事態の中で、いまだ国民合意を得ていない消費税導入を柱とした税制法案成立させたことは極めて遺憾であります。  我が党は、シャウプ税制以来の税制の不公平やひずみ、ゆがみなどを抜本的に改革することは、政治の重要な課題と認識いたしております。税制改革は、国民共通の課題であるだけに、改革理念や手順など、国民合意の形成を得て進めることを強く主張してきたわけでございます。しかし、その手順を踏むことなく、政府自民党欠陥だらけの消費税を拙速に導入したことはまことに残念であります。  我が党は、税制法案の本会議採決という土壇場の段階で、議会政治と国民の利益を守るため、自民党との修正交渉に確かに踏み切りました。その結果、自民党の単独強行採決による政府原案どおりの成立という最悪の事態を回避することに成功し、粘り強い修正交渉で重要な修正をかち得るとともに、政府原案に対しても本会議で堂々と反対の意思表示をしたわけでございます。  私どもの修正交渉の結果、消費税の半年間の弾力的運営、消費税の転嫁、税率の歯どめ、納税コストの軽減措置見直し規定、退職金減税、寝たきり老人減税、通勤費の非課税枠の拡大、石油関係諸税の減税、臨時福祉給付金の支給などの修正をかち得たというものであります。  いずれにいたしましても、我が民社党は、結党以来、審議拒否をしないのが党是であります。法案には反対でありましたが、審議には応じてきました。そういう意味で、委員会段階での自民党が単独で強行採決を行ったことは、議会制民主主義の観点から極めて遺憾であることを断言いたします。  ありがとうございました。(拍手)     〔参議院議員久保亘登壇
  20. 久保亘

    参議院議員久保亘君) 野中さんの残余の御質問について御答弁を申し上げます。  昨年の税制改正で地方間接税を国税である消費税に吸収し自主税源を奪ったことを自民党や自治省は措置率という陳腐な表現で正当化しようとしておられますが、昨年の税制改正地方財政に対する措置率七一%、今回の私どもの提案によりますものでは六七%というのは、その比較は極めて短絡した議論であり、まさに木を見て森を見ざる議論と言わなければなりません。  第一に、消費税廃止という国民の声、言いかえれば、全国三千三百自治体の住民の声をどう受けとめておられるのでありましょうか。住民の声なきところ、単に財源のみを補てんしても、それは住民福祉とは言えず、地方自治の本旨たる住民自治の精神をも軽んじるものと言わなければなりません。  第二に、昨年の政府改正は、地方間接税のみならず、国税三税の大幅減収をもたらしたものであります。我々は、当初から消費税廃止を最大の制度改正と位置づけ、地方財源についても国の財政についても、平成年度以降の予算編成、地方財政計画の策定に支障を来さないことを目標に置いてまいりました。単に措置率云々のみを問題にし、国民が反対する消費税をもってその財源対策を誇る自民党の地方自治は、極めてゆがんだ観点としか言いようがありません。  第三に、政府自民党は、昨年の税制改正において約八千八百億円も地方財政負担超過をもたらしながら、補正予算においていわゆる交付税の自然増収約一兆一千八百三十七億円を交付税特別会計の借入金返済に回し、今年度の補正予算及び来年度予算においても、自然増収約一兆五千億円余を借入金返済に回そうとしております。すなわち、今返さなくてもよいお金を返すことによって粉飾しているとすら言えるのであります。むしろ、この事実を見るなら、政府がいかに自然増収を手前勝手にしようとしているか、そして消費税廃止しても財源は十分にあるということを物語るものではないでしょうか。  次に、初年度の問題でありますが、これは今申し上げたとおりであります。さらにつけ加えるならば、昭和六十年以来、国庫補助負担率の一律削減、すなわち補助金カットによって政府自民党は地方に毎年一兆円以上の財政転嫁を行っているのであります。  また、消費税導入によって公共料金の引き上げ等が住民の生活に打撃を与えていること、また、自治体においては住民福祉を勘案して負担転嫁を行わず結局財政の持ち出しとなっていること、さらに、地方公営企業においては経営努力にかかわらず消費税負担によって軒並み赤字に転化していることなど、消費税が自治体行財政に与えている悪影響については枚挙にいとまがありません。  そして、野中さんは、交付税特別会計の借入金を無理に返済しないとして、来年度地方財政計画において地方財源消費税廃止によって本当に不足を生ずるとお考えでしょうか。私は、我々の制度改正案による増収に加えて、国税三税等の自然増収及び地方税独自の自然増収、そして六十三年度決算の交付税の精算額を勘案すれば、消費税廃止をもって地方財政は何ら支障を来さないと断ずることができるのであります。したがって、我々は、消費譲与税の減収額と復元する地方間接税の増収額との差額について、再改革が実施されるまでの間、交付税に特例加算するという考え方を示しながらも、来年度財源不足を来さないという判断から、後年度精算を含めて来年度予算編成、地方財政計画の策定状況を見守ることとしているのであります。  最後に、消費譲与税廃止及び交付税法改正予算関連法案に当たるか否かの問題についてお尋ねがございました。  参議院審議に関して本院の野中さんに御心配をいただいて恐縮でございますが、これは参議院では何ら問題がないということで決着したのであり、御安心をいただきたいと存じます。  まず、両案は、いずれも消費税法廃止する法律案の施行に伴う整理を行うものであるので、予算を伴う法律案とはならないと解せられております。  第二に、各法律案は独自に見ることによってその判断をすべきだとする御意見かとも存じますが、これも、譲与税も交付税も特別会計であり、国から見れば歳出減であります。そして特別会計から見れば歳入減でありますが、この歳入減は、いずれも、消費譲与税法廃止あるいは地方交付税法改正によって生ずるものではなく、消費税法廃止することによって生ずるものであります。  したがって、我々は、消費税法廃止する法律案について、平年度五兆九千四百億円の歳入減となるとの参議院規則第二十四条による法律施行に要する経費を明らかにした文書を添付したものであり、消費譲与税法廃止法案及び交付税法改正案には添付しなかったものであります。  これは参議院においても自民党の問題提起で議論されましたが、現行法すなわち国会法第五十七条の三及び参議院議事規則第二十四条の解釈はこのようになっており、野中さんの御心配は全くの杞憂であります。  なお、渡部自治大臣に対しては、消費譲与税法廃止法案及び交付税法改正案に対する修正案につきまして、国の歳出増になるという観点から、意見を述べる機会が保障されましたことを申し添えて、答弁を終わります。(拍手)     ─────────────
  21. 田村元

    議長田村元君) 武藤山治君。     〔武藤山治君登壇
  22. 武藤山治

    ○武藤山治君 私は、日本社会党護憲共同を代表して、ただいま趣旨説明がありました消費税法廃止する法律案外八法律案につきまして、発議者に対しまして質問をいたし、見解を伺いたいと存じます。  ただいま議題となっております消費税廃止に係る九法律案は、日本社会党護憲共同公明党国民会議連合参議院民社党・スポーツ・国民連合の各会派の代表者が参議院提案し、多数の賛成を得て可決され、本院に送付されているものであります。  野党が共同して消費税廃止関連法案提案し、参議院において可決されたことは、我が国憲政史に特記すべき重要な意義を有することであります。与野党が逆転したことにより、良識の府としての参議院の独自性が一層発揮されるようになっただけでなく、今回、議員立法で国の重要施策である租税という基本的な問題について活発な論議が展開されましたことは、我が国議会制民主主義の本来の姿を改めて明らかにした壮挙と言わなければなりません。(拍手)  法案審議をテレビで見た主権者国民は、従来の国会とは様子が違うのに驚いたようであります。国会議員同士の質疑応答であり、率直で内容のあるやりとりでおもしろかった、ためになった、本当の意味の民主主義だ、ふなれな野党もよく勉強し、自民党や官僚の意地悪にもまじめに誠意を示して対応した点は立派であり、議会制民主主義を進する上でよい経験になったと称賛する投書もく見られました。提案者はどんな感想をお持ちでありますか。  ただいま自民党の宮下議員と野中議員は、野党には税に対する基本的知識がない、時間がなかった、ふなれだったでは弁明にならない、特に私は腹に据えかねたのは、野党政権担当能力がないと決めつけたことであります。これは、四十二年間続いた自民党一党支配の独善の政治の思い上がりであります。我々は、来るべき総選挙において野党衆議院において多数の議席を占めるならば、我々が法案を提出し、我々が予算を編成して、見事な政治をやってみせたいと考えるのであります。私は、本院も参議院のように真剣な議論を継続し、法案成立を目指さなければならないと決意を新たにしている次第であります。  本年七月に行われました参議院選挙における最大の争点が、消費税廃止するか、見直し、それを存続させるかであったことは今さら申すまでもありません。その結果、消費税廃止税制改革のやり直しを訴えた野党が圧勝し、消費税存続に固執した自民党が惨敗したことに示されるように、国民消費税ノーの明確な審判を下したのであります。これを受けて、野党が共同で消費税廃止関連法案参議院提案したのは当然のことであり、十分に審議を尽くした末、それを参議院が可決したことは、民意を尊重し、国民の審判にこたえるものとしてたたえられなければなりません。(拍手)  衆議院は、大型間接税である消費税導入をめぐって国民の審判をいまだ受けておりません。三年五カ月前の衆参ダブル選挙において、当時の中曽根首相国民の反対する大型間接税と称するものは導入しませんとの約束で獲得した三百余議席の圧倒的多数の状態が続いており、これが大きな障害になろうとしているのであります。  議会制民主主義においては、選挙公約、とりわけ選挙の争点となった公約を最大限尊重しなければならないことは当然のことであります。特に租税の賦課は、国民の懐に直接響く財産権への侵害なのでありますから、慎重には慎重を重ねなければなりません。行政府や官僚の都合のよい法律をつくることが立法府の任務ではありません。国会は政治家同士で法律をつくる国権の最高機関なのであります。したがって、野党提案をした法律にもし欠陥ありとすれば、政治家は進んでその欠陥を補正する法律を出すべきであります。皆さん一人一人が法律提案する資格者なのであります。  昔から「民意を尊重すれば国は建ち、民意に逆らえば国は滅ぶ」と言われております。この議会制民主主義原則に従えば、政府自民党は、消費税という大型間接税導入する際には、衆議院を解散し、国民の審判を仰ぐ必要があったと言わなければなりません。その当然の手続を無視し、しかも、昨年の国会審議においては、リクルート事件一色で、税制改革論議消費税導入是非の問題に関する議論を十分に尽くさないうちに審議を打ち切り、混乱のうちに強行採決を行ったのであります。野党審議を拒否し税制論議を妨害したなどというのは、責任逃れの全くの方便であると言わざるを得ません。これだけの重大な法律をつくるには、二、三年の歳月をかけて論議をしても、国家国民に損害や不利益を与えるものでは断じてありません。  私は、消費税の生まれ出てきた過程の問題、すなわち、議会制民主主義の根幹を揺るがしかねない公約違反強行採決によって成立したこと、さらに、先般の参議院選挙の結果、そして、今回の参議院消費税廃止関連法案が可決成立したことを考え合わせれば、もはや消費税廃止し、税制改革をやり直す以外に方法はないと考えますが、改めて発議者の御見解をお聞かせ願いたいと存じます。(拍手)  消費税は、今述べましたように成立過程に問題があるだけではありません。消費税そのものが、不公平税制の象徴であるとよく言われますように、構造的な欠陥を有しており、その点からも廃止させなければならない税なのであります。  消費税構造的欠陥については、実施以前からわかり切っていたことで、竹下首相も九つの懸念として表明せざるを得なかったのであります。その中でも、低所得者ほど負担割合がふえるという所得に対する逆進性の問題、所得税などの課税最低限以下の世帯にも課税されるといった問題、年金生活者、障害者など社会的弱者に対しても高額所得者と同じように課税されるといった深刻な問題が起こることがわかっていながら、福祉一時金の支給など不十分な対策が実施されただけで、何一つ根本的な解決策が見出せず、したがって強行採決以外に方法がなかったと言えるのかもしれません。実施されるや否や消費税導入責任ある自民党幹部から見直しが必要などという発言がなされるような税制を拙速に行ったこと自体が間違いであり、政府自民党は猛反省しなければならないのであります。  ところが、これとは逆に、政府自民党は、選挙目当てに、消費税改善されるかのような印象を与えるため、思い切った見直しという幻想を振りまいてきたのであります。  十二月一日、自民党がようやく国民に約束していた消費税見直し案を決定し、発表しました。しかし、自民党見直し案程度で消費税欠陥が解消するものではなく、かえって矛盾が深まることが指摘されているのであります。自民党見直し案を見て、国民は失望し、学識経験者や事業者の方などからは、見直さない方がましなどといった声が聞かれているのであります。世界に例のない複雑な食料品課税、国庫に納入されない欠陥消費税、どうしても欠陥だらけなのであります。  既に参議院選挙で明らかにされたとはいえ、消費税見直し案が出された今日の段階でも、あるマスコミのアンケート調査によれば、過半数の五八%が見直し案を評価せず、野党が共同提案している廃止関連法案を過半数の世論が支持しているとの結論も出ておるのであります。私は当然の結果であると思います。(拍手)  消費税構造的欠陥自民党見直しで解決できることではないと考えますが、発議者の御見解をお伺いいたします。  自民党消費税見直し案は、消費税欠陥を解消できないだけではなく、かえって重大な問題を新たに加えたのであります。  まず指摘しなければならないのは、海部首相は、消費税の思い切った見直し、十一月中の見直し案の提示を国民に対して約束してきましたが、それを守れなかったことであります。国民の要望にこたえるためにというのではなく、いまだに旧態依然の派閥闘争を展開し、十一月中に見直し案を決定することができなかったのであります。  しかも、その内容を見ても、公約であった思い切った見直しなどと言えるものではありません。食料品関係で九千九百億、入学金、出産費用など非課税で千五百億円減税というが、これが思い切った見直しなんでしょうか。これも明年十月以降でなければ真偽のほどはわからないのであります。選挙後の国会が通るか通らないかもわからないのであります。どうしたらいいかは、今四会派で提案をしている法律を通すことであります。  また、消費者への配慮、国民感情への配慮からの見直しであると強調されておりましたが、食料品の小売段階での非課税、生産と流通での一五%の軽減税率の適用を中心とした見直し案は、全段階非課税案と軽減税率適用案とを足して二で割った折衷案であり、消費税をいたずらに複雑にするだけで、関係する事業者からはもちろん、消費者からも歓迎されていないのであります。食料品に対する複雑な課税や非課税取引の拡大は、税収を確実に減少させるため、税率の引き上げを早めるのではないか、帳簿方式からインボイス方式への転換をねらっているのではないかといった危惧を呼び起こしているのであります。  また、国民感情への配慮と称し、痛税感からくる消費税への反発を和らげるため、消費者との取引には総額表示方式の普及に努めるというのでありますが、消費税の実態には何の変更も伴わない小手先の措置であることは言うまでもありません。むしろ価格転嫁が不明確になり、便乗値上げや、その逆に、転嫁の困難などを助長しかねないのであります。  自民党見直し案は、またしても国民に対する約束に反するものであり、二重の公約違反消費税欠陥を拡大させるものと思いますが、発議者の御見解を伺います。  そもそも政府自民党は、見直し案を示すだけでなく、見直し法案国会に提出し、廃止関連法案と一緒に審議に付す責務があったのであります。ところが、自民党は、消費税見直し案の提示さえも引き延ばす一方、いわゆる代替財源法案を含めた消費税廃止関連法案の提出を要求し、審議に入るや、廃止関連法案の揚げ足取りに終始したと言わざるを得ません。政権党にあるまじき態度であります。(拍手
  23. 田村元

    議長田村元君) 武藤君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
  24. 武藤山治

    ○武藤山治君(続) 財源対策に自然増収を見込むのはおかしいなどと批判したが、自民党政府歳入見積もりの狂いはどうでしょう。当初予算決算との差は、一九八七年度七兆四千億、一九八八年度七兆七千億円に達し、消費税収入を超える自然増収でありました。本年度も恐らく四兆円以上の増収になるだろうと思います。野党に対するけちをつけるために、自然増収を財源にしたことをなじっておりますが、自民党の過去の財政編成は、そのツケが百六十二兆円の借金をつくるに至ったのであります。  我々は、速やかに所得税の大改正を行って、最高税率七〇%を五〇%にしたのですから、直ちに総合課税に移行すべきであります。さらに、不公平税制の租税特別措置法は百七十数項目に及んでいるのであります。これらをまず徹底的に整理することが先決であります。  我々は、そういう意味で、自民党の拙速な消費税導入にはどうしても納得いかないのであります。本法案が通るように野党は結束をして頑張らなければならぬという決意を表明して、質問を終わります。(拍手)     〔議長退席、副議長着席〕     〔参議院議員久保亘登壇
  25. 久保亘

    参議院議員久保亘君) ただいま先輩の武藤さんの御意見を、決意を大変共感を持って承りました。  私、今度の参議院審議を通じてどのような感想を持つかというお尋ねでございましたけれども、私は、今度の審議を通じて、国民の皆さんはなぜ消費税にノーという意思表示をされたのか、このことが審議を通じてさらに明確になったと考えております。それは、議会制民主主義の危機を今度の消費税の強行導入によって国民の皆さんは感じたからであります。公約に違反したことを、公約に違反する政策、重大な政策の変更を選挙を経ることなく強行するということは、議会制民主主義にもとるものであります。民主主義の危機を感じたということが第一。  もう一つは、拙速に導入された消費税を自分たちの生活の中で直接体験をされた国民の皆さんが、逆進性の強い、弱い者いじめのこの税制、そしてまた、確かに納めた税金が税金とならないこの不思議な税制というものに対して強い反発をお持ちになったのだと思うのであります。  私は、そのようなことを今度の審議を通じてさらに明らかにする中で、国民の皆さんが参議院通常選挙でお示しになった与野党逆転のこの結果は、日本の民主主義を守る上に大変重大な役割を果たしているのだということを痛感をしてまいりました。そして、もしこの参議院選挙の結果が来るべき総選挙においても国民の御意思としてあらわれることがあるならば、まさに日本の政治も政権交代の可能性を現実のものとするのだということを痛感をいたしております。そのことに対する与野党の持つ責任は、それぞれに国民の皆さんに対して極めて重いものがあることを、厳粛な気持ちで、この論議を通じて痛感をしてきたことを申し上げたいのであります。  また、選挙公約は、選挙によらざる限り、いかなるものをもってもこれを取り消すことはできない。とりわけ、議長裁定をもって選挙公約の免罪符とする考え方がありますが、このことば絶対に間違いであるということを、私どもは参議院審議を通じて明らかにしてまいりました。  今や、議長裁定をお出しになりました当時の議長さんが、参議院選挙の結果は消費税に対してノーの国民の判定である、むしろ自民党みずから廃止提案をしたらどうかとおっしゃっていることも、そのことを物語るものだと思っているのであります。  三十四日間、八十数時間にわたって、私どもは、この消費税廃止に関する九法案を与野党を含めて熱心に、徹底的に御論議をいただく中で、今、国会は、国民の皆さんの御期待に本当にこたえなければならぬという気持ちを強くしております。  衆議院におかれても、何とぞ、この九法案に対し、御論議をいただき、可決成立さしていただくことを多数の国民の皆さんとともに心から願うものであります。(拍手)     〔参議院議員峯山昭範登壇
  26. 峯山昭範

    参議院議員峯山昭範君) 武藤さんにお答えします。  消費税構造的欠陥自民党見直しで解決できないと思うが、発議者ほどう考えているかということでございます。  私は、消費税構造的欠陥は、自民党見直し案では全く解決できないと考えております。自民党見直し案に対しまして、各方面から失望と疑問、抗議の声が上がっており、この状況を見るにつけ、国民が望んでいた見直し内容ではないと言わざるを得ないものであります。  特に、見直しの中心は、食料品の小売段階非課税と、生産、卸段階での軽減税率を設けていることであります。しかし、見直し案政策的整合性は認められず、このため、生産者には資材費等の経費が転嫁できず、その分、負担増を強いられることになります。このため、いろいろとありますが、消費税の最大の欠陥である逆進性を緩和することは極めて難しいと言わざるを得ないのであります。  いろいろとありますけれども、今回の見直し案は、国民経済に新たな混乱と負担を強いるものであり、この見直しは、食料品非課税といった言葉だけが先行して、国民に幻想を抱かせたものと言わざるを得ないと考えております。(拍手)     〔参議院議員笹野貞子登壇
  27. 笹野貞子

    参議院議員笹野貞子君) 武藤議員にお答えいたします。  政府自民党は、消費税の抜本的かつ思い切った見直しを主張してきました。しかし、他方で、消費税導入は正しかったとの主張をしております。正しいことをしたのなら、どうしてすぐに見直しを、しかも思い切った見直しをしなければならないのか、疑問を持たざるを得ないのです。これは、結局、政府与党も心の奥底では消費税は悪税であると考えているからにほかなりません。(拍手)  しかも、我々四会派が税制法案国会に提出して、長時間にわたる審議を行っているというのに、自民党はやっと十二月一日にあの見直し案をまとめただけなのです。  さきの参議院議員選挙で、野党与党消費税廃止見直しで戦いました。だからこそ、今国会ではお互いに案を出して堂々と議論をすべきであったのです。にもかかわらず、自民党はいつになっても法案を出しませんでした。抜本的な見直しと言うからには、それなりのものが出てくると考えていましたが、自民党の案は極めてずさんなものでした。消費税はもともと矛盾に満ちた税金であるため、どんなに見直しても見直しようがないのです。したがって、見直せば見直すほどいいかげんなものになる、このような悪循環が続くだけの話です。  それでは、消費税の思い切った見直しとは何でしょうか。それは廃止であります。それ以外に抜本的に見直すことは不可能なのです。さきの自民党見直し案は、消費税廃止する以外にないということを国民にわかりやすく示してくれたものと言えるのであります。したがって、自民党見直し案をまとめた十二月一日という日は、消費税廃止を決定づけた日であると言ってもよいと思います。(拍手)     〔参議院議員勝木健司登壇
  28. 勝木健司

    参議院議員勝木健司君) 武藤先生にお答えいたします。  さきの参議院議員選挙で、私ども野党消費税廃止税制改革のやり直しを、そして自民党消費税の抜本的見直し公約として選挙を戦ったわけでございます。野党四会派は、その後、みずからの公約を守るため、責任政党としての立場を国民にお示しをするため、税制法案を今国会に提出をいたしました。  一方、自民党は、ようやく十二月一日に消費税見直し案をまとめてきたわけでございますが、これは海部総理が本会議で約束いたしました思い切った見直しなどと言える代物ではございません。食料品を小売段階で非課税、生産、流通段階で一・五%の軽減税率を適用するという案は、消費税矛盾をますます拡大し、新たなる不公平をもたらすものだと私どもは受けとめております。本当に食料品の価格は下がるのか、消費者に対する消費税隠しではないのか、事業者の事務負担がますますふえるのではないかといった批判が起こっております。公平、公正という視点から見ても、もともと矛盾と不公平に満ちていた消費税がますますゆがんだものになることは明らかであります。  この見直しにより一兆円以上もの減収となるのに責任ある代替財源がいまだ示されていないこと、また、消費税の減収は地方交付税、地方譲与税の減収を招くことになるのに地方財源対策が講じられていないことなどは、自民党政策立案能力の欠如を如実に物語っているものと私どもは主張したいのでございます。(拍手)  新聞報道によれば、自民党見直し案に係る計算は大蔵省にやらせているとの話でありますが、まだ政府案になったわけではなく、あくまでも一つの政党の案であります。したがって、試算は自民党の内部で行うべきだと考えるものであります。  いずれにいたしましても、自民党見直し案は、その場しのぎの、哲学も理念もない甚だこそくなものであり、国民の怒りを買うことは必至だと考えます。  既に申し上げましたように、自民党はあくまでも消費税の抜本的見直し公約した。にもかかわらず、このように中途半端な案しかまとめられなかったことは、またも国民に対する公約違反を犯したものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)     ─────────────
  29. 安井吉典

    ○副議長(安井吉典君) 坂口力君。     〔坂口力君登壇
  30. 坂口力

    ○坂口力君 私は、公明党国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました歴史的な議員立法であります消費税法廃止法案など九法案に対しまして、提出者に質問をするものであります。  まず初めに、さきの参議院選挙の結果を真摯に受けとめられ、国民の負託にこたえるべく消費税法廃止法案などを国会に提出され、多くの質問者に対して常に冷静に、しかも明快に、そして謙虚な姿勢で答弁に終始されました提出者の皆さんに深甚の敬意を表する次第であります。(拍手)  税制は常に国の基本であり、当然のことながら、国民信頼合意に基づくものでなければなりません。現在における政府自民党と我々野党四党の税制に対する相違は、消費税導入の賛否に至る以前の問題として、国民信頼合意をいかに重視するかという政治の出発点における相違ではないかと思うのであります。  自民党は、六十一年衆参同日選における大型間接税導入しないとした選挙公約を破棄して以来、五十四年の国会決議、六十年の政府統一見解、そして今回の思い切った見直し発言などを次々とほごにし、導入した消費税を死守しようとする姿は、国民信頼合意とは無縁のものと思わざるを得ないのであります。国民信頼を取り戻すという視点から議論を行うべきであると考えますが、提出者の皆さん方の見解を伺いたいと思うのであります。  さて、政府自民党が議論をされる過程をマスコミの報道から拝見をいたしますと、売上税のときにも、消費税のときにも、そして今般の見直し案のときにも、多くの陳述される各界代表の意見や議員の皆さんの主張がありながら、全く違った結論が出てくるように思えるのは私一人ではないと思うのであります。その議論の経過から、今日の政治に対する国民の不信がなぜ発生しているかについてのモデルを見る思いがいたします。  政府自民党は、消費税導入する理由として高齢化社会の到来を挙げております。  我が国高齢化社会を迎えますことは紛れもない事実であり、その時代になれば現在を超える財源が必要なこともまた論をまちません。しかし、現在の政府自民党の福祉を初め医療、年金、介護などに対する対応を見ておりますと、極力自己負担をふやし、国の歳出を削減することに主力が注がれているのであります。この延長線上で考えるならば、福祉は自立自助、介護はそれぞれの家庭で責任を持つもの、高齢化社会のモデルを北欧三国などには求めないという考え方から出発しているように思えるのであります。  一方で高齢化社会のためと銘打ってその財源として消費税導入をし、他方では高齢化社会は自分の責任でというのでは、国民が納得するはずはありません。今国会に提出されました年金改正法の原案を見ましたときに、特にその感を強く持った次第であります。幸いにも、各党の良識ある修正によって方向を転ずることができたのであります。  高齢化社会の問題を論じますときに、二つの重要な視点があると思います。  一つは、高齢化社会においても経済活力を現在のように維持できるかどうかの問題であります。高齢化社会税制を考えます場合に、いかにして財源をつくるかではなく、いかにして財源を生み出す土壌を育成するかにその主眼が置かれなければなりません。経済成長を支えるところの個人消費、輸出、設備投資の中で、最も心配なのは個人消費であり、これが堅調である限り高齢化社会財源を生み出すことができるのであります。消費税で消費を高めることができないことは、今さら私が申し上げるまでもありません。高齢化社会財源を生み出すには、高齢化社会においても消費に陰りを起こさない政策こそが必要であります。それがもう一つの課題でもあります。  高齢化社会の問題は、社会保障制度は言うに及ばず、健康管理制度や雇用制度などのあり方と並行して論議されるべきものであり、財源問題のみに矮小化されてはなりません。  政府自民党は、高齢化社会に対応するためには消費税導入が必要であると主張するのみで、消費税がなぜ高齢化社会の活力を維持するのか、どのような高齢化社会を創造しようとしているのか、何一つ示されていません。財源をどのようにつくるのかという議論をする前に、高齢化社会のあり方を総合的に論ずることの方が先であるはずであります。提出者の皆さんの御意見を伺いたいと存じます。  次に、自民党消費税見直し案について御意見を伺いたいと思います。  十二月一日にようやく消費税見直し案が示されました。結論を見て特に思いますことは、この小さな見直しになぜこんなにも長い時間がかかったのかということであります。察するところ、野党四党派の提出いたしました改革案と比較をして余りにも見劣りがするために見送られてきたものなのか、それとも、野党案のみを議論をし、それをたたく作戦のためであったのかと思わざるを得ないのであります。(拍手)  海部総理は、消費者の立場に立って思い切った見直しを行うと明言していたのであります。にもかかわらず、実際に示されました内容は、思い余った見直しであり、思い切れない見直しであり、この見直し案を見て、国民はまた裏切られたという感想を持ったに違いありません。思い切った見直しがこのような小幅の改革に終わったことは、大型間接税導入しないに匹敵する第二の公約違反と言わなければなりません。生産者、卸、小売、消費者、どの立場から見ましても、複雑で不鮮明になっただけの見直し案でありました。  政府もこれに追従することになれば、政府自民党の政治的責任はまことに大きいと言わなければなりません。提出者の所見を伺いたいと存じます。  特に、逆進性は解消をされず、消費者が納めた税金の国庫に入らないという不鮮明さもそのままであります。簡易課税制度や限界控除制度、免税点など、消費税に不満を持っております国民が納得のできるものは一つもなく、すべてが先送りされているわけであります。しかも、野党案に対してあれほど廃止に伴う減収の補てん財源について厳しく指摘しておきながら、見直し案においては補てん財源に一言も触れていないのはまことに遺憾と言わなければなりません。(拍手)  食料品について、流通段階で一・五%の軽減税率、小売段階で非課税となりましたが、流通業者や小売業者は複雑きわまりない帳簿を余儀なくされて、その納税事務の複雑さは必ず商品の値段にはね返ると思わざるを得ません。食料品の価格は値下がりどころか値上がりに転ずる危険性も大きいのであります。  今回見直しされましたそれぞれに対して提出者ほどのように評価されているのか、簡単で結構ですからお伺いをしたいと思います。  公明党は、税制改革について次のごとく考えてまいりました。  直間比率見直しよりもまず直接税内の不公平是正が先決であり、垂直的、水平的公平を構築することであります。汗の結晶である勤労所得に対する税が厳しく、不労所得に対して寛大であり過ぎるのは問題であることも指摘してきたとおりであります。そして総合課税の実現を追ってきたのであります。  また、法人税に対しましても、税率を下げることに反対はしないが、その課税ベースの拡大を求めるのは当然であります。現在、アメリカの景気は国民の消費拡大によって引っ張られ、日本の景気は企業からの輸出と設備投資によって維持されています。すなわち、日本におきましては、お金は国と国民に薄く、企業に偏在しているのであります。この偏在を改革する税制でなければならず、法人の課税ベース拡大は当然過ぎるのであります。  直接税を主とし、間接税を従とする税制確立することに公明党賛成であります。しかし、間接税について旧来の形で放置しておいてよいと考えているわけではありません。消費税を否定した場合、将来の間接税はどうなるのか、国民の関心はその点に集まっております。多段階のものが否定されれば、間接税のあり方はおのずから限定されてくると思うのでありますが、庫出税か、それとも小売課税か、あるいはその組み合わせかであり、いずれにしても日常品は非課税として、しかも事業者の納税事務が複雑にならない方法でなければならないと思いますが、提出者御自身のお考えを伺いたいと存じます。  最後になりますが、衆議院においても、参議院同様に消費税法廃止法案など九法案が速やかに議論をされまして、参議院での可決を厳粛に受けとめ、本院におきましても可決されることを期待をいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)     〔参議院議員峯山昭範登壇
  31. 峯山昭範

    参議院議員峯山昭範君) 坂口議員にお答えします。  税制論議の中心テーマは、税制国民信頼合意に基づくものであるという点ではないかという御指摘がございましたが、まさに私ども発議者の意図するところはその点であります。  私どもは、参議院税制問題等特別委員会におきまして、高齢化社会に備えるために今こそ国民が納得できる税制確立されなければならないと強く訴えてまいりました。このような基本的なことを私どもが主張せざるを得なかったのは、自民党公約を破棄し消費税導入し、なおかつ、さきの参議院選挙で示された国民意思を無視し、消費税を見直すことによって国民の目を欺こうとしているからであります。  政府税制改革国民信頼合意の上に成り立っていないことは明らかであります。このまま国民理解合意を得ていない消費税存続されることは、政治不信へもつながりかねないのであります。これでは、本当の意味で高齢化社会へ備えることはできないのであります。  したがって、私どもは、今こそ消費税廃止し、国民合意税制改革を行うことが我が国の将来にとってぜひとも必要であることを強く主張するものであります。(拍手)     〔参議院議員久保亘登壇
  32. 久保亘

    参議院議員久保亘君) 坂口議員にお答えいたします。  今お話がございましたように、海部首相がこの壇上で十一月中の見直し案の提示をお約束なさったのでありますから、その内容とともに、私は、この見直し案は二重の公約違反と言わなければならないと考えております。  また、果たして思い切った見直しなどと言えるのかどうか、多くの問題がございます。減税額が一兆円を超えれば思い切った見直しと言えるのでしょうか。また、しかもその減税額の根拠も不明確でありますし、今御意見がございましたように、財源対策も明らかではございません。  自民党は、私ども参議院審議過程で、この財源の根拠などについて大変厳しい御意見がございましたが、今この見直し案を見ながら、私どもは、そのまま自民党の皆さんにその言葉を返したいのであります。国民は、自民党消費税見直し案を目の当たりにして、大きな失望を感じておられるのではないでしょうか。その一つの原因は、国民に対する約束をまたしても守らなかったからであります。自民党の政治責任はかなり重いのではないかという印象を持っております。  見直し案内容国民の期待にこたえていないというただいまの御主張は、そのとおりでございます。私は、国民の皆さんが自民党が訴えてきた思い切った見直しに幻想を抱いておられたとは思いませんし、そもそも見直し消費税欠陥が解消されると本気で考えていた人はいなかったと思うのであります。見直しに期待していた方でも、今回の自民党消費税見直し案を見て、やはり消費税廃止以外にないと考えている人が多いのではないでしょうか。  今回特に問題なのは、全段階非課税と軽減税率適用を足して二で割ったような折衷案となっているため、消費者に対する減税はよりあいまいであり、事業者に対してはより複雑な事務負担を強要することになりかねません。また、批判が集中している免税点、限界控除制度や簡易課税制度などの特例措置がどうなるのかも大変不明確でございます。  提出者が再三申し上げますように、消費税構造的欠陥見直しで解消することは考えられませんが、自民党見直し案はささやかな国民の期待にさえこたえるものではなく、消費税廃止の私どもの選択の正しさが一層明らかになったものと考えております。(拍手)     〔参議院議員勝木健司登壇
  33. 勝木健司

    参議院議員勝木健司君) 坂口先生にお答え申し上げます。  まず、自民党見直し案に対する私どもの見解でございますが、御承知のとおり、自民党見直し案に対して、各方面から失望と疑問、そして抗議の声が上がっております。この状況を見るにつけ、国民が望んでいた見直し内容ではないというふうに言わざるを得ません。  自民党見直し案の中心は、食料品の小売段階非課税と、生産、卸段階での軽減税率でございますが、党内で紛糾した議論を足して二で割ったような折衷案でありまして、税理論上も、また政策的にも、整合性は全くないと言わざるを得ません。この結果、消費者にはごまかしを、そして業者には煩雑さを、そして生産者にはコスト転嫁の難しさを押しつけているにすぎないというふうに思います。  具体的に申し上げますと、消費者の立場を尊重してと述べているものの、消費者にとっては食料品がせいぜい一%程度安くなるだけで、他の商品やサービスに対する三%課税は何ら変わっておりません。また、食料品の小売段階での非課税は必然的に内税となり、本当に値下がりするかどうかの保証は全くありません。  また、小売、流通業界から大きな反発が出ておるわけでございますが、レジやソフトの切りかえ等事務負担が増大することは必至であり、加えて流通段階での消費税が価格に転嫁できるかどうかの不安等、業者にとってもより厳しい深刻な環境となります。  さらに、農家、漁業者など食料品生産者にとりましても、農機具、肥料などの生産コストには三%の消費税がかかる一方、出荷段階では一・五%の軽減税率の適用となり、包装、輸送での税負担を含め、食料品生産者にとりましては新たな不安を抱えるものとなります。  また、自民党見直し案には、御指摘のように、消費税の問題点として指摘されておりました簡易課税制度、限界控除制度、免税点については全く触れられていないこと、また、将来の税率引き上げについて国民の不安を何ら解消していないことなど、重要な問題点を将来にも残すものとなっております。  以上のように、自民党見直し案国民経済に新たな混乱と負担を強いるものでございまして、この見直しによって国民のだれも潤わない、食料品非課税といった言葉だけを踊らせる、言ってみれば選挙向けのスローガンと言わざるを得ません。  次に、社会保障政策についてでございますが、政府自民党は、高齢化社会のために消費税が必要と言いながら、消費税導入当たりまして、それがどのように高齢化社会へ対応するか、何ら示されておりません。政府のような考えでは、消費税率のアップは必至と言わざるを得ません。国民が安心して暮らせる高齢化社会を築いていくためには、国が供給する福祉施策を具体的に国民に示すとともに、その費用負担のあり方について国民に明らかにすることが何よりも重要であります。  私どもは、今後来るべき高齢化社会に向けて、国が国民に約束する福祉の総合的な長期ビジョンの確立につきまして、民主的な手続に基づき広く議論を行い、医療、年金、福祉等に関する二十一世紀に向けた社会保障総合計画を策定し、国民合意の形成に努めていく考えであります。そして、国民税制改革協議会の場で、高齢化社会の到来に向けての国民負担のあり方についても議論、検討を行っていく所存でございます。(拍手)     〔参議院議員笹野貞子登壇
  34. 笹野貞子

    参議院議員笹野貞子君) 坂口議員にお答えいたします。  まず、消費税税率アップは国民の消費へ影響を及ぼさないかという点についてであります。  所得税法人税などに比べ、消費税税収の弾性値が低い分、国民の消費支出が伸びないと、税制面で大きな期待が持てなくなってまいります。そのため、税収確保するために税率の引き上げが避けられなくなる可能性をはらんでおります。消費税はその仕組み自体に逆進性があり、国民生活を圧迫しているのが現状であります。将来税率をアップすれば、ますます国民生活を圧迫することは必至と言わなければならないのです。私どもは、この際、消費税廃止して税制改革をやり直すことが何よりも重要であると考えております。  次に、将来の間接税についてのお尋ねであります。  私どもは、税制改革基本法において、間接税については、直接税を補完する地位にあるべきことを踏まえ、国及び地方の個別間接税の整理及び合理化を図ることといたしており、個別間接税相互にある矛盾等を解消し、バランスのとれた課税体系にすることを目指しております。その場合に、一般的な間接税体系構築するのか、あるいは個別間接税体系のままで相互の調整を行うのかについては、国民税制改革協議会の調査審議にゆだねることといたしております。ただし、過去、自民党政府導入を企画し、国民に否定された一般消費税売上税、また今回参議院選で否定された消費税のような大型間接税は想定していないということを申し上げたいと思います。(拍手)     ─────────────
  35. 安井吉典

    ○副議長(安井吉典君) 神田厚君。     〔神田厚君登壇
  36. 神田厚

    ○神田厚君 私は、民社党民主連合を代表して、ただいま議題となっております消費税法廃止する法律案を初めとする九法案について質問をいたすものであります。  昨日、参議院消費税廃止法案が可決をされました。まさに歴史的な瞬間であります。本院においても、同一議決を強く要望するものであります。  消費税の存廃が最大の焦点となっておりましたさきの参議院選挙におきまして、消費税存続を主張し、その見直し公約した自由民主党は大敗を喫したのであります。我が民社党は、綱領でも明らかにしているように、議会制民主主義に立脚し、経済社会改革を着実に進めることを党是としておるのであります。さきの参議院選挙における与野党逆転は、国民消費税にノーの審判を下した結果にほかならないのであります。この国民の厳粛な審判にこたえることこそが、民主政治を守るすべての政治家の責務であると強調したいのであります。  しかるに、自民党は、大型間接税導入しないというみずからの公約を破り、強行採決を図り、欠陥矛盾に満ちた消費税導入を強行した事実を隠ぺいし、国民消費税に反対するのは彼らの理解不足によると強弁する始末であります。今や国民の税に対する関心、知識は飛躍的に高まっており、消費税理解できない国民を悪だとする論理は本末転倒であり、このようなことを容認することは絶対にできないのであります。消費税廃止に対する提出者の決意と、自民党論理すりかえに関する明快なる御所見を求めるものであります。(拍手)  さらに、自民党は、消費税廃止されるとかえって経済が混乱する、とりわけ事業者の事務負担が重くなると宣伝しておるのであります。しかし、私は、消費税廃止は六兆円規模の国民減税であり、消費税によって生活が圧迫されている年金生活者、身体障害者、低所得者など社会的に弱い立場にある人たちが救われることはもちろん、経済にとってもプラスになると確信をしておるものであります。また、事業者にとって事務負担増となることについても提出者は万全の対策を講じているものと考えておりますが、これらの諸点について、提出者の明快なる答弁を求めるものであります。  さて、私は、消費税廃止によって当然ながら物価は下がり、その分国民は豊かになると考えておるものであります。これについて自民党から、本当に物価が下がるのかとの疑問の声があるのであります。しかし、廃止して物価が下がらないと主張することは、消費税間接税としても不完全なものであり、欠陥税制であることをみずからも認めることになるのであります。これらの諸点について、提出者の見解を求めるものであります。  これまで自民党は、各種の世論調査では消費税止より見直しを求める声の方が強いと宣伝してまいりました。これは自民党見直し案が提示をされる前の話であります。十二月一日に自民党見直しの骨子を発表した後、国民は、まただまされたと怒りをぶちまけているのであります。  ある新聞社の調査によれば、九月の調査で見直し派が五〇%、廃止派が四三%となっておりましたが、見直し案が出てからは、見直し派が四四%に減少し、廃止派の四三%とほぼ並んだと報じられております。また、別の新聞社の調査では、自民党消費税見直し案を評価する人が三七%、評価しない人が過半数を超える五八%という結果が出ておるのであります。国民自民党案の中身を知れば知るほど今後廃止見直しを上回るであろうと考えますが、提出者の御見解を求めるものであります。  自民党はようやく見直し案をまとめたわけでありますが、その内容は、抜本的な見直しとはほど遠い小手先のものであり、国民を欺く矛盾に満ちた提言と断ぜざるを得ないのであります。足を削って靴にはめ、ひしゃくを用いて定規となすように、かくのごとく自民党見直し案は無理が多く、不合理なのであります。  また、食料品には生産、流通段階で一・五%課税、小売段階で非課税とするという、およそ税の理論を欠いた無節操なやり方は、世の中に大混乱をもたらすものだと警告をしたいのであります。  見直し案について各方面から続々と疑問の声が上がっております。本当に食料品は小売段階で下がるのでありましょうか。下がるとしたらどれだけ下がるのでありましょうか。国民は不信の目で見ているのであります。大蔵省の試算では一・八%程度は下がると報じられておりますが、一方では、実際に計算どおりの値下がりになるかどうかはやってみなければわからないと自民党税調の幹部が漏らしたとも伝えられておるのであります。  食料品の定義もまだ明確ではありません。持ち帰り弁当はどうなるのか、食品と食品以外をセットにした贈答品の価格設定はどうするのか、全く不明であります。これでは、事業者はもちろんのこと、消費者も反発するのは当然だと考えるものであります。  今回の見直し案は、生産段階では軽減税率を採用しております。このことで自民党は農家や農民に配慮したかのごとき宣伝をしておりますが、さきの参議院選挙で農家や農民が自民党批判を強めたのは、猫の目のように変わる農政や、米の輸入自由化を容認するような言動が繰り返されたり、要するに農業の将来展望を持てない現状にいら立ったからであります。  ところで、十一月二十八日付のある新聞は一面トップで米市場開放問題に触れ、「米国「総選挙前は要求せず」自民に不利と判断」「やはり”密約”あった」と、自民党幹事長とヒルズ米通商代表との間の密約問題を報じているのであります。  記事によりますと、ワシントン電として、国務省筋による情報といたしまして、ヒルズ代表が訪日した十月十二日に幹事長と会談した際に、幹事長からの「「総選挙の前に米国から日本のコメ市場開放を再び要求されると、自民党選挙できわめて不利になるので、コメについては選挙後までは一言も触れないでほしい」という趣旨の要望に」ヒルズ代表は「「了解した」と明言し」、「「次回の総選挙が終わるまでは米国政府としては、日本との二国間の貿易関連の協議などでコメ市場自由化の問題を改めて持ち出すことはしないようにする」との非公式の約束を伝達した」というものであり事す。もしもこれが事実とすれば、農家農民を欺く行為でありまして、極めて遺憾であります。  また、今回の見直し案は、逆進性緩和を求める消費者や事務負担の増加を強いられる事業者にとって納得できない内容となっているのであります。特に、小売店の事務は複雑になると言わざるを得ません。食料品以外の品物も扱うスーパーなどの小売業者は、新たにレジのプログラムを組みかえたり、食品と他の品物を処理するため二枚のレシートを出したりする必要に迫られるということも指摘をされております。巨額のコストがかかり過ぎるという関係業界の悲鳴も聞こえてまいります。さらに、小売段階で食料品が非課税となるために、消費者には消費税額が適正なものであるかどうかを判断するすべがないのであります。その意味で、自民党見直し案はまさに消費税隠しであると言わざるを得ないのであります。  また、住宅の家賃についても非課税とする案になっておりますが、本当に値下がりになるのかどうか、疑問視せざるを得ないのであります。  さらに、今回の見直しによって約一兆円は減税になると主張しておりますが、肝心の財源をどうして賄うのか、具体的方策を明らかにしておらないのであります。これはまさに無責任きわまるものであると断ぜざるを得ないのであります。消費税が減収となれば、地方交付税、地方譲与税も減収となるわけでありますが、地方財政への手当てについても全く論じられておりません。  以上の諸点から見ましても、私は、今回の自民党による消費税見直し案は絶対に容認できないと主張するものであります。この立場から、提出者の率直な見解を求めるものであります。  最後に、激変する世界情勢の中で我が国及び本院がなさなければならないことを主張して、私の質問の締めくくりといたしたいと思うのであります。  マルタ島での米ソの首脳会議など、世界は急速に緊張緩和の道をたどりつつあります。今や平和の達成が最大の課題となっておるのであります。また、東ヨーロッパの改革のあらしは、これほど鮮明に共産主義の破産を明確にしたものはありません。一党独裁から複数政党制、計画経済から市場経済へ、人々は自由と民主主義と豊かな経済を求めて、共産主義から民主社会主義への移行と変革を求めているのであります。(拍手)  本院は、今、国民に何をなすべきか、世界に何をなすべきかを問われているのであります。もちろん国民には消費税廃止であり、世界に向かっては平和の達成と東欧改革、東ヨーロッパ改革の支援であります。  過日、訪日したサハロフ博士夫妻は広島を訪れ、心を痛めて、子供たちは戦争のために生まれてくるのではない、平和の中に生きるために生まれてくるのであると記帳したと伝えられています。  今、我々がなすべきことは、世界の平和と発展のために我が国としていかに貢献すべきかということであります。国内政治の混乱を一刻も早く収束して政治改革を断行し、政治倫理を確立し、失われた政治の信頼を回復するということであります。子供たちやお年寄りに確かな二十一世紀を渡そうではありませんか。  以上のことを強く主張いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)     〔参議院議員勝木健司登壇
  37. 勝木健司

    参議院議員勝木健司君) 神田先生にお答えいたします。  消費税廃止への決意、及び国民消費税に反対しているのは消費税をよく知らないからだという自民党論理についての質問でございますが、まず、消費税廃止への決意でございます。  昨日の参議院会議で私どもの提案する九法案が可決をされました。約一カ月にわたる審議を経まして、念願の可決となったわけでございます。そして、本日、こうして衆議院でも九法案審議入りとなったわけでありますが、私どもの消費税廃止税制改革にかける決意は、以前にも増してますます強固なものとなっていると申し上げたいのでございます。  さきの参議院議員選挙におきまして、国民消費税ノーの審判を下したわけでございます。議会制民主主義を守ろうとするすべての政治家は、この国民の声にこたえることこそ今政治に求められている最大の課題であるというふうに考えております。責任ある代替財源を明らかにして、消費税廃止し、税制改革への道を切り開くこと、この私どもの提案が実現するか否かが今後の我が国の命運のかぎを握っているものと確信をいたしております。私は、消費税廃止関連九法案国民の声と一体となり成立するため、今後とも全力を傾注していく決意であります。  次に、国民消費税を知らないのは理解不足によるものだとの自民党の主張についてでございますが、私はこのような論理誤りであると強調いたしたいのでございます。もし自民党のように考えるのなら、国民の税に対する意識が低いと強弁したものととらえても文句は言えないのであります。  私は、今や、国民の税に対する関心、そして知識は、飛躍的に高まっているものと承知いたしております。そのような国民消費税廃止を求めるのですから、政治家はこの声に従うべきであるとの考え方を持っております。さきの参議院選挙国民は正常な判断力を失っていたなどと考えている自民党は、再び次の衆議院選挙で世論の厳しい審判を受けることになるでありましょう。今政治に求められている回答はただ一つしかありません。消費税廃止し、税制改革をやり直すこと、それ以外にないと強調しておきます。  次に、消費税廃止した際の経済への影響と事業者の事務負担増についてでございますが、消費税廃止いたしますと、およそ六兆円の減税となり、これにより大規模なインフレが生じるとの指摘もございます。しかし、私どもは、すべてを自然増収に頼るのではなく、平年度ベースでおよそ四兆二千億円は増収で賄うことといたしております。さきの政府による税制改革も二兆六千億円の減税超過となっておりますが、政府はこれによって大規模なインフレが生じるという見方はしていないと私どもも承っております。私どもの案でも確かに平年度はおよそ一兆七千億円の減税超過となっておりますが、インフレが生じることはないと確信をいたしております。また、年金生活者、低所得者、身体障害者などの社会的弱者の生活を圧迫いたしております消費税廃止することは、国民経済にとってもむしろプラスであるというふうに考えております。  さて、消費税廃止により再び事業者の事務負担がふえるという指摘がありますが、私どもとしては万全の対策を講じているつもりであります。府は、消費税導入当たり、レジスターの取得など消費税に対応した投資費用につきまして一括損金算入を認める特別措置を講じておりますが、私どもも、消費税廃止する場合も同様の措置を講じることといたしております。したがいまして、コンピューターソフトの組みかえなどの費用を支出した場合も、一括損金算入を認めることといたしております。  確かに消費税廃止によりまして事業者の仕事が若干ふえるということは、率直に認めたいと思います。やはり消費税は、公約に違反し、国民合意を得ることなく強引に導入されたわけでありますし、数多くの欠陥を有する税金でもあります。したがいまして、消費税廃止する以外に道はありません。一度導入されました税金をすぐ廃止すると、それに伴って事業者の負担が若干ふえることは予測されます。しかし、消費税廃止は世論の声でもありまして、国民もこのためには積極的に協力をしてくれるものと確信をいたしております。(拍手)     〔参議院議員笹野貞子登壇
  38. 笹野貞子

    参議院議員笹野貞子君) 神田議員にお答えいたします。  消費税廃止によって物価はきちんと下げられるかという御質問ですが、政府税制調査会の実施状況フォローアップ小委員会の中間報告によれば、売り上げ三千万円以下の事業者のうち、価格転嫁を行っていない事業者がサービス業では約七割、小売業では約四割いるという回答があるとの報告もあるので、個々の事業者がどういう対応をされるかは定かでありませんが、全体としては価格を下げる方向でもちろん進むと思いますし、そのための努力が必要であると考えております。  消費税導入に際しては、物価モニター制度の活用によって便乗値上げを監視していましたが、廃止後も、税額相当分の引き下げがスムーズに行われているかなどの調査を行うと同時に、モニター制度の活用を図っていきたいと考えております。政府においても、消費税分の価格を引き下げるため、価格の調査、監視や指導を行うなど万全の対応をしていただけるものと確信しております。これらの措置により、物価は当然下がるものと確信しております。  ただ、一方では物品税を復活するので、その税率については、税負担を考慮して一〇、八、六、四%としましたので、一部が上昇する品目もあります。  いずれにせよ、物価は国民生活にかかわる重要な課題であるだけに、消費税廃止に伴う物価引き下げについては最大の配慮をしていきたいと考えております。(拍手)     〔参議院議員久保亘登壇
  39. 久保亘

    参議院議員久保亘君) 神田議員にお答えいたします。  私は、御意見のとおり、国民消費税見直し案を知れば知るほど見直し案に対する期待は薄れて、消費税廃止の正しさが明らかとなり、一層廃止論が強まるものと考えております。見直し案廃止よりもすぐれているというのであれば、自民党は、見直し案だけではなく、見直し法案をこの国会に提出し、廃止関連法案と一緒に審議に付されなければならなかったと思うのであります。今国会において見直し法案提案を避けた自由民主党の態度は、政権政党として無責任のそしりを免れません。消費税見直しによる定着存続廃止かを対比させることによって、国会審議で正面から問うべきだったのであります。  自民党は、見直し案において、さきの参議院選挙における国民の厳しい批判を謙虚に受けとめた上で国民各層の声を幅広く吸収したとしておりますが、それを言うのであれば、消費税廃止するのが当然であり、みずから廃止に踏み切るか、私どもが御審議をお願い申し上げております消費税廃止関連法案賛成するのが適切な御選択であろうと考えております。(拍手)     〔参議院議員峯山昭範登壇
  40. 峯山昭範

    参議院議員峯山昭範君) 神田さんにお答えします。  自民党見直し案に対する提出者の見解についてという御質問であります。  自民党見直し案に対しましては、各方面から失望と疑問、抗議の声が上がっております。この状況を見ますと、国民が望んでいた見直し内容ではないと言わざるを得ません。  見直しの中心は、食料品の小売段階非課税と、生産、卸段階での軽減税率でありますが、自民党内で紛糾した議論を足して二で割ったような折衷案であり、政策的整合性は全くないと考えるものであります。この結果、消費者には見せかけだけ、業者には煩雑さを、生産者にはコスト転嫁の難しさを押しつけているのであります。  見直し基本方針の中に、消費者の立場を尊重してとは述べられておりますが、消費者にとっては食料品がせいぜい一%程度安くなるだけで、他の商品やサービスに対する三%課税は何ら変わっていないのであります。食料品の小売段階での非課税は必然的に内税となり、本当に値下がりするかどうかの保証は全くありません。何よりも、消費税の最大の欠陥である逆進性を緩和するものでは決してないのであります。  また、今回の見直しに対しては小売、流通業界から大きな反発の声が上がっていることが証明するように、レジやソフトの切りかえ等事務負担が増大することは必至であります。加えて、流通段階での消費税が価格に転嫁できるかどうかの不安等があり、業者にとっても厳しい環境になります。  また、農家、漁業者など食料品生産者にとっても、農機具、肥料などの生産コストには三%の消費税がかかりますが、出荷段階では一・五%の軽減税率の適用となり、包装、輸送での税負担を含め、新たな不安を抱えるものとなります。  以上のように、今回の見直し案は、国民経済に新たな混乱と負担を強いるものであり、食料品非課税といった言葉だけが先行し、国民に幻想だけを抱かせるものであると考えております。(拍手)     ─────────────
  41. 安井吉典

    ○副議長(安井吉典君) 松本善明君。     〔松本善明君登壇
  42. 松本善明

    ○松本善明君 私は、日本共産党革新共同を代表して、ただいま議題となりました参議院送付の消費税廃止等九法案について、提出者に質問いたします。  昨日、消費税廃止法案自民党の反対にもかかわらず参議院会議で可決されたことは、日本の近代政治史上画期的なことであり、国民世論が政治を動かすという方向への大きな転機となるものであります。これは参議院選挙で示された国民の厳粛な審判の結果であり、国民はこれが本院でどうなるか注目しているのであります。本院が国民の審判に沿って第一義的になすべきことは、引き続き消費税廃止法案を速やかに可決し、法律として成立させることであります。(拍手)  まず、消費税そのものについて質問いたします。  第一に、八六年の同時選挙で当選した三百名の自民党衆議院議員のうち、その大部分の二百数十名が大型間接税反対の公約を掲げて当選したものであります。消費税は、その公約に違反し、かつ国会決議にも違反して、相次ぐ強行採決によって成立させたものであります。このような選挙で多数を占めるための手段を選ばない公約違反は、全くの有権者無視であり、明確な政治的退廃であります。このことを今こそ強調し、確認することが大事だと思います。自民党は、参議院選挙で示された民意にも反して、これをどうしても定着させようとしています。これは、二重三重の重大な議会制民主主義のじゅうりんだと考えますが、提出者はいかがお考えになりますか。  第二に、消費税は、導入以来八カ月間、国民生活に深刻な影響を与えている最悪の大衆課税、不公平税制であって、我が国が戦後打ち立ててきた直接税中心、総合累進課税、生計費非課税などの税制の民主的原則を真っ向から破壊するものであると考えますが、提出者の見解を伺います。  第三に、政府自民党はこれを高齢化社会のためと大宣伝してきましたが、これがいかにごまかしであるかは、生産人口と非生産人口の比率は現在とほとんど変わらないことを初め、我が党などの追及によって全面的に明らかにされました。  最近、アメリカ議会は、日本の軍事費とODAを一九九二年までにNATO水準まで、すなわち現在の三倍まで増額せよという恐るべき法案を可決し、大統領がこれに署名して発効しました。海部内閣は、この重大な内政干渉に抗議一つしておりません。昭和六十五年までに年々五・四%ずつ実質的に防衛費を伸ばすという約束があると渡辺元自民党政調会長は述べました。消費税は紛れもなく軍備拡大と大企業向け減税の財源づくりであると考えます。このため、消費税は一度定着してしまえば、自民党幹部も「小さく生んで大きく育てる」と言っているように、将来の税率引き上げは必至であります。提出者はどう考えますか、答弁を求めます。  自民党は、そのための布石として、四割の得票でも八割の議席を占められる小選挙区制の導入をもねらっていると考えますが、提出者の見解を伺いたいと思います。(拍手)  海部内閣自民党は、今、国民消費税廃止要求に挑戦し、選挙目当ての小細工の見直し国民をどまかそうとしています。しかし、これは発表と同時に国民の非難がごうごうと巻き起こり、世論調査でも、海部内閣の支持率は急落し、消費税廃止法案成立賛成は五八%に達しました。  海部内閣自民党の進めている見直し案は、第一に、海部首相の言っていた思い切った見直しどころではなく、消費税の仕組みはそっくり残して、将来にわたって大増税のレールを固定化しようというものであります。これは廃止を求める国民の審判に背くばかりか、その中身も国民をごまかす二重ごまかしであります。最大の目玉としている食料品でも、小売段階だけ非課税とし、それまでの段階は一・五%の軽減税率としてあくまで課税を続けようとしております。食料品の値段は多目に見積もっても一%余りしか下がらない上、そもそも食料品は家計支出の約四分の一程度であって、家計への影響は微々たるものであります。出産費用、火葬料、入学金などの非課税も大勢には影響ありません。こうした見直しでは、金持ちほど負担が軽く低所得者ほど負担が重い逆進性はほとんど解消されません。  第二に、この見直しは、事業者、特に小売業者の強い反対に直面していますが、これは中小企業、商店や生産農家に複雑怪奇な税制を持ち込み、膨大な事務負担と転嫁の一層の困難を引き起こすことになります。  第三に、これは消費者から税を目隠しするものであります。見直し案決定の十二月一日夜、自民党の渡辺元政調会長は、遊説先の高松市内の講演で、取られたか取られなかったかわからなくするのが今度の見直し案だと、その本音をあけすけに述べました。食料品の小売段階非課税で消費税は完全な内税表示となり、他の商品の内税化方針とともに、消費者から税を見えなくすることになります。  第四に、結局、今回の見直し国民だましの手直しで、消費税の仕組みはそっくり残し、将来にわたって大増税のレールを固定化しようというものであります。とりわけ、今回食料品に複数税率を採用したことは、現行の帳簿方式から売上税と同じ伝票方式への早期移行を不可避にし、税率を引き上げることを容易にすることになり、大幅の税率引き上げは必至であります。  以上、見直し案について我が党の見解を述べましたが、提出者見直し案についてどうお考えになるか、お聞きしたいと思います。  次に、税制改革基本法案代替財源法案について質問いたします。  我が党は、参議院選挙で明らかに示された主権者国民意思にこたえ、消費税は無条件に廃止するとの見地から、参議院において消費税廃止法案賛成いたしました。同時に、税制改革基本法案代替財源法案については、その重大な問題点を指摘するとともに、四党派が消費税廃止ということを掲げている以上、その立場が生かせるように、かつ、参議院社会党国対からの正式の協力要請、両党の参議院国対委員長合意経過に立って、参議院での表決の態度を決めました。しかし、このことは、これらの法案に問題がないことを意味するものでは決してありません。  財源と再改革の六法案は、参議院で我が党が質問したように、数々の問題点があります。  まず指摘しておきたいのは、参議院選挙で示された国民意思消費税廃止のみであり、税制改革基本法案代替財源法案については、そのような国民意思は一切表明されていないのであります。提出者は、政策責任政策能力を示す必要があるといってこれらの法案を発議しましたが、これが自民党に格好の攻撃材料を与え、世論を分断させ、国民の間に消費税廃止への一定の不安、不信を与えたことは明らかであります。  国民合意のあるのは、消費税廃止の一点でありますから、まず消費税廃止し、それを前提予算を組み政治を進めることこそ、政府国会の責務であります。廃止後の問題は、来年度予算の中で、歳入だけではなく歳出にも抜本的なメスを入れることによって措置すべきであり、これらの法案は本来全く提出の必要がないものであります。  質問の第一は、提出者自民党の、財源を示さないと無責任だという主張に応ずる形でこれらの法案参議院で発議しましたが、これでは、結局のところ、自民党歳出を容認し、膨大な軍事費や大企業への巨額の減税と補助金に一切手を触れないことを前提にする態度になるのではありませんか、答弁をしていただきたいと思います。  第二は、再改革基本法にあるサービス、流通課税の検討などの規定の問題であります。消費支出の半分近くを占めるサービスへの課税や流通の各段階への課税となりますと、この規定は大型間接税の根拠をはらむことになり、この法案自体が新しい型の大型間接税内容としたものになりませんか。参議院税制特別委員会でも、直間比率は縮めた方がよいとの答弁がありましたが、これとあわせて考えますと、ますますその懸念が深まるものであります。なぜこのような規定を入れたのか、明確な答弁を求めます。  第三に、今国民が最も切実に求めている不公平税制について、法案ではいわゆるクロヨン対策が中心となっています。最大の不公平である各種引当金、準備金、株式発行プレミアム、外国税額控除制度など、世界に例を見ない我が国の大企業優遇税制を抜本的に見直すことを中心的な課題としないのはなぜでありますか、答弁をいただきたいと思います。  第四に、行財政改革もうたっていますが、例として挙げられているのは公務員総数の削減などであります。現在、税の使途で最大の問題は、世界第三位となった我が国の軍事費削減の問題であります。今、軍事同盟の解消、軍事費削減に世界の目が注がれておりますが、今もこのことについて何も触れなくてよいと考えているのか、答弁をいただきたいと思います。  第五に、プライバシーを侵害することになるとして多くの国民が反対している納税者番号制の導入がどうしても必要と考えているのですか、お聞きしたいと思います。  これらの問題点は、まさに多くの国民が不安に思っていることであり、あなた方が強調する国民合意にも全く反するものであります。疑問に明確に答弁されるよう求めるものであります。(拍手)  自民党消費税廃止法案を廃案にしようとしていますが、それは、現在の民意を反映した参議院で可決した法案を、三年半前の国民を欺瞞して得た自民党の多数で否定することでありますから、直ちに民意を問うため衆議院を解散し総選挙を行うべきだとは考えませんか、答弁をいただきたいと思います。  最後に、日本共産党は、消費税廃止法案の速やかな成立のために全力を挙げるとともに、それが阻まれれば、来るべき総選挙で、自民党を本院でも過半数割れに追い込み、消費税廃止を実現させるため、すべての力を尽くす決意を表明いたしまして、私の質問を終わるものであります。(拍手)     〔参議院議員勝木健司登壇
  43. 勝木健司

    参議院議員勝木健司君) 松本先生にお答えいたします。  消費税は、中曽根内閣が衆参同時選挙におきまして導入しないと公約した大型間接税そのものでありまして、公約違反消費税を強行導入したことは、議会制民主主義を踏みにじるものであり、断じて容認できないものであることを私どもも主張したいのでございます。  次に、今回の自民党見直し案の中心は、食料品の小売段階非課税と生産、卸段階での軽減税率でありますが、このようなことは世界に例のないものでありまして、複雑でわかりにくい税制となっております。  この見直し案に対しましては、各方面から失望と疑問、そして抗議の声が上がっており、この状況を見るにつけまして、国民が望んでいた見直し内容ではないと言わざるを得ません。  今回の見直し案では、消費者にとっては食料品がせいぜい一%程度安くなるのみでありまして、他の商品やサービスに対する三%課税は何ら変わらず、しかも、食料品小売段階の非課税化は必然的に内税となり、本当に物価が値下がりするかどうかの保証もなく、場合によっては見直しの効果は全くないこともあり得るわけであります。  もし食料品につきまして一%程度の値下げ効果があったといたしましても、ある調査によりますと、年収六百万円の世帯の消費税負担額は月四千円から五千円、また、消費に占めます食料品比率は約三〇%という構造からいたしますと、月約五百円程度の支出減となるにすぎず、消費税の最大の欠陥であります逆進性を緩和するにはほど遠いものだというふうに考えております。  次に、この見直しに対して小売、流通業界から大きな反発の声が上がっていることが証明をいたしておりますように、業者にとりましては、レジやソフトの切りかえを初めとする事務負担はますます大きくなることは必至であります。加えて、食料品につきものの包装、配達などの経費は三%課税のままでありまして、これらは価格に転嫁できるかどうか定かではありません。また、商品の混在する店舗では、仕分けなど煩雑さが倍加されることになることは必定であります。  さらに、小売の定義問題で、登録認定制度の導入が問題化し、仕入れ率を法律規定から政令事項にする結果がどうなるかなど、多くの問題を残していると言わざるを得ません。  また、農業団体などの強い反対で、自民党内で当初有力でありました食料品全段階非課税が否定されたとされておりますが、見直し基本方針でも、生産者、農漁民はさまざまの困難が生ずるのではないかと思われます。農産物の平均経費率は約六割、漁民はそれより高いと言われておりますが、農業のための農機具、肥料などは三%の課税であるのに対し、農産物には軽減税率による一・五%課税であります。さらに、包装や輸送などの経費における税負担などを考えますと、今回の自民党見直しによって生産者や農漁民の転嫁に対する不安は消えるものではないと断ぜざるを得ません。  そういう意味で、今回の自民党見直し案は、複雑なるがゆえに、事業者にとっては事務負担の増加と転嫁の困難さという新たな問題を抱えることになり、憂慮にたえないと言わざるを得ません。  次に、自民党見直し案は、消費税矛盾欠陥を一層助長するものとなっており、特に、御指摘のように、税を消費者に見えなくしようとしている点は極めて問題であります。これでは、税は公正、公平であるべきだという国民の要望に反するばかりでなく、これまで一貫して政府税制改革理念であると言ってきたものをみずから否定するものでありまして、言語道断であると言わざるを得ないのであります。(拍手)     〔参議院議員笹野貞子登壇
  44. 笹野貞子

    参議院議員笹野貞子君) 松本議員にお答えいたします。  自民党見直し案は大増税のレールを固定化するものではないかとの御質問であります。  もともと政府自民党は、消費税導入当たり高齢化社会に対応した税制確立が不可欠であることを強調してきました。しかし、現実には、政府自民党は、国民合意の得られる福祉ビジョンをいまだ明示することなく、高齢化社会の到来を消費税導入の大義名分としながら、高齢化社会の進展に伴う福祉支出の増額と消費税による税収の関係を今もって明らかにしておりません。消費税高齢化社会との関連を考えますと、まさにそのこと自体が将来の大幅な税率の引き上げを政府自民党が意図していると言わざるを得ません。自民党見直し案でも消費税の仕組みそのものは残るわけでありますから、大増税路線を走り、国民生活を圧迫するとの認識は、全く私と同じ認識であります。  したがって、そういう意味からも、まず消費税廃止し、税制改革をやり直すことが必要不可欠であることを強調いたします。  次に、今回の自民党見直し案は、まさに消費税そのものの延命策であると断ぜざるを得ないというその御質問に対して、私どもが提案しているように、消費税は一たん廃止し、国民合意に基づく税制改革を断行する以外道はないと強調いたします。(拍手)     〔参議院議員久保亘登壇
  45. 久保亘

    参議院議員久保亘君) 松本議員にお答えいたします。  今回提案しておりますところの消費税廃止関連九法案において、私たちは、消費税廃止に伴う税収の不足についても公党の責任を果たすという立場から、代替財源案を示しているところでございます。  その中で、現行国民負担を勘案して、物品税につきましては、税率調整した上、復元を図っております。  しかしながら、物品税は、その名のとおり、特定物品に限定した課税のため、サービス、流通に関しての課税ができません。消費税廃止により、一部のサービス、流通を除いた大部分に関しては課税がなくなることから、将来の検討課題として、家計支出のサービス、流通に対する支出が五〇%を超えている現在、国民税制改革協議会において、国民の納得を得られる間接税を含めた税制のあり方を協議していただくことは合理的な根拠があると考えております。  したがって、松本議員の言われるような、サービス、流通に対する課税が将来的に大型間接税への道を開くものではないかという御指摘は、今回の税制改革基本法案が一般消費税売上税消費税を否定した延長線上において提案されている趣旨を御考慮いただければ、決してそのようなものになることはないと考えております。  不公平税制是正についてお尋ねがございました。  今回私たち提案しています法案では、法人税率の軽減の凍結、賞与引当金廃止前提として二年間で二〇%を圧縮することといたしております。同様に、受取配当益金不算入の割合を八〇%から六〇%にすることも提案いたしておるのであります。  また、法律事項ではありませんが、貸倒引当金の圧縮や外国税額控除における国外所得限度割合の引き下げなどを行政府に要請していくことも提案趣旨説明において申し上げたところであります。  さらに、税制改革基本法の第五条において、「税制改革基本方針」として、国民税制改革協議会論議していただく課題として、「企業に対する課税における各種の特例等の租税特別措置等の抜本的な整理及び合理化」を挙げております。ここで言う企業に対する課税における各種特例が、松本議員御指摘の各種引当金、準備金、特別償却金等の租税特別措置、外国控除制度などであることは言うまでもありません。  次に、行政改革の例として公務員総数の削減を挙げていると松本議員よりの御指摘でありますが、我々はただ数量的な公務員の削減を提案しているわけでは決してございません。この点については御理解を願いたいと思うのであります。  税制改革の第三条において、「税制改革のための環境整備」の中に「行政機能の充実を確保した上での公務員総数の抑制」を掲げておるのは事実でありますが、その意味するところは、単純な公務員総数の抑制では行政機能の不備や行政の停滞を招きかねないので、まず必要な行政を確保するためにはどの程度の人員を要するかということを見きわめ、その上で公務員総数を抑制していくことが必要だということなのであります。  また、現在の世界状況が東欧を中心に大きく変わりつつあり、その意味においては、我が国も西側世界の一員として平和的貢献がより一層求められていることは提案者も認識をいたしております。  さて、軍事費削減の問題でありますが、私が趣旨説明においても強調いたしましたように、私ども八名が共同責任提案いたしました消費税廃止に関する九法案は、あくまでも歳入の中の租税に限定した改革案であり、軍事費支出を初め歳出に関係する御論議は、予算審議等の場におきまして徹底して御論議いただきますようお願い申し上げたいと存じます。もとより、日本国憲法の理念を貫き、国是である非核三原則を厳守し、軍縮、平和に向けて努力しなければならないことは言うまでもありません。(拍手)     〔参議院議員峯山昭範登壇
  46. 峯山昭範

    参議院議員峯山昭範君) 松本議員にお答えします。  納税者番号制度導入についての御質問であります。  私たち税制改革基本法の中で納税者番号制度導入の検討を主張しているのは、総合課税を徹底し、公平な所得税制を再構築しなければならないと考えているからであります。総合課税を徹底しようとするのであれば、所得の正確な捕捉が不可欠であります。そのためには納税者番号制度が必要になってくると考えております。  しかしながら、納税者番号制度導入に当たってはプライバシーの保護が大前提となることは言うまでもございません。政府税制調査会の納税者番号等検討小委員会からも、「納税者番号制度は、その効果には一定の限界はあるものの、納税者所得等を把握し適正・公平な課税を実現するためには有効な制度である」と報告した経緯がございます。公平な課税を求める国民の要求は大変根強いものがあります。ですから、私たちは、国民合意を得るよう十分な時間をかけつつ納税者番号制度導入を図りたいと考えております。  いずれにいたしましても、納税者番号制度導入に際しましては、国民プライバシー保護合意形成が大前提であると考えております。  次に、消費税廃止の一点に絞るべきであり、代替財源を示すことは自民党のわなにはまったものであるとの共産党のかねてからの御主張についてであります。  消費税廃止すべきであるという御意見は、そのとおりであります。しかし、我々は責任政党として、参議院選挙の結果に示された国民の期待にこたえるためには、財源も同時に示すことが重要であり、これはまた、税制改革に一貫性を持たせるものであると考えるものであります。我々としては、あくまでも、消費税廃止税制改革、そして再改革が実現する二年間の代替財源は一体であると考えております。  また、我々が代替財源を示したことは、自民党財源を示さないと無責任だとか六兆円耳をそろえて持ってこいというようなわなにはまったものであるとの御指摘でありますが、私どもは全くそのようには考えておりません。私どもは、国会は論戦の場であり、我々の主張を正々堂々と述べ、また、これについての御意見があればそれを伺うという謙虚な気持ちで提案をしているところであります。  我々は参議院選挙の際の公約を果たすためにこうした行動をとったのでありまして、消費税廃止法案外八法案を提示したことは、責任政党として当然のことであると考えるものであります。(拍手)  最後に、私ども発議者といたしましては、法案の取り扱いにつきましては意見を申し上げる立場にないことを申し上げます。ただ法案の速やかなる可決を念願するものであります。  また、提出者として解散・総選挙に言及することはいかがかと思いますので発言を控えさせていただきたいと思いますが、しかしながら、仮に法案衆議院審議未了を余儀なくされるような場合には、さきの参議院選挙で示された国民の審判や、これを受けて参議院において消費税廃止法案が可決されたという厳粛な事実、さらには、自民党公約であった消費税見直しが小手先の改革に終わり、消費税構造的欠陥が解消されないどころかますます矛盾を拡大させていることなどを考え合わせると、消費税については総選挙によって決着をつけるべきものであろうと考えるものであります。(拍手
  47. 安井吉典

    ○副議長(安井吉典君) これにて質疑は終了いたしました。      ────◇─────
  48. 安井吉典

    ○副議長(安井吉典君) 本日は、これにて散会いたします。     午後五時散会