○則定
政府委員 お答えいたします。
今
お尋ねのように、現在の日本の司法試験の現状を見てみますと、合格までに平均六回を上回る受験を経なければ通らない。しかも階層別に受験歴を見てみますと、十回、つまり一年に一回しか試験がございませんから合格までに十年を超える合格者の割合というのが二割近くになっているわけでございます。平均が六回半くらいでございまして、六回を超える者が全体の五四%にも上っている。これは人材を登用する試験としては極めて異常であると思われます。これが非常に難しい試験であるという点では
一つの評価が加わるのかもしれませんが、その中身を見てみますと、非常に問題をはらんでいるわけでございます。
そこで、試験合格者がそのような回数を重ねて、司法修習を終えますと一般的には三十を超えるということになりますと、御
指摘のように定年制もありますし、給与体系がキャリアシステムを前提とするというような判検事に必要な人材を十分迎えるという点におきましても、これは問題をはらんでいると思います。
そういうようなことから、
法務省といたしましては、現在六回以上あるいは場合によりましては十年もかけてようやく合格しているような人
たちが、何もそこまで年限をかけて受験に専念していただかなくても、もっと早く受かるようにしたい。また、現在三回程度で受かっている人の割合が二割を切っておりますけれ
ども、こういった三回程度で通る人
たちの層も厚くしたい。そういうことによりまして全体的に司法試験の合格者の年齢構成が若返る。若返りますと、先ほど申しましたような
弁護士、判検事にそれぞれバランスよく人材を供給するこの司法試験の目的といいましょうか、機能といいましょうか、そういったものも一段と向上するであろう、こういう
考えなのでございます。
そういうような発想のもとに、昨年の十二月から
最高裁、日弁連及び
法務省の法曹三者
協議会におきまして、この司法試験
制度の改革を
協議議題として取り上げて検討をしてまいりました。既に十一回
会議を重ねまして、その間に、なぜそのような合格難が生じておるのか、またどうして判、検、弁にバランスよく人材が流れていかないのか、こういった面についてそれぞれの問題を検討いたしまして、それを踏まえまして昨日の十一月期の法曹三者
協議会におきまして、私
ども法務省として司法試験の現状を改革するための基本的な構想を明らかにさせていただいたわけでございます。
その目的は、先ほど申しましたように、できるだけ多数の人がより早く合格し得るような試験を実施したいということでございますが、そのためには
一つ、先ほ
ども御
指摘のございますように、合格者の数をふやす、これは法曹界にそれだけたくさんの人材を供給するという
意味でも重要でございますが、いろいろと分析いたしますと、実現可能な合格者増だけでは、今申しましたような司法試験がはらんでおります問題を解消するに至りませんという分析結果でございますので、人数もそれなりにふやすのに加えまして、一定の受験回数の制限をし、ある期間にそれを合格できなかった者につきましては、いわば一種の転身の機会と申しましょうか、になるような冷却期間あるいは休止期間を置く、その後また
最初と同じような受験をやっていただくというような
考え方、これが
一つございます。
それから、もう
一つは、現状の司法試験を余り変えないで、新たに三回程度で受かる人の枠、合格枠というのを別途
考えてみる方法もどうであろうかというのも、これまた
一つの
考え方でございます。
それから、三つ目、これが最後でございますが、むしろ
原則五回までに通っていただくことにいたしまして、それを超える人につきましては別途それなりの合格枠を残すという方法ではいかがであろうか、こういった点を
考えております。
そのほかに、現在受験科目が七科目ございますが、そのうちの教養選択科目というものを落としまして、できるだけ受験者の負担を軽くするということも
考えてみてはいかがかといったことも示しております。
このような三点に集約できます司法試験
制度改正についての基本構想を土台といたしまして、今後先ほど申しました法曹三者の
協議会でさらに検討を続けてまいりたい。できます限り、
法務省といたしましては、
早期に先ほど申しましたような目的に資する司法試験
制度の
改正を実現してまいりたい、こういうふうに思っているわけでございます。