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1989-11-16 第116回国会 衆議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月十六日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 近藤 元次君    理事 笹山 登生君 理事 杉浦 正健君    理事 保利 耕輔君 理事 松田 九郎君    理事 柳沢 伯夫君 理事 串原 義直君    理事 水谷  弘君 理事 滝沢 幸助君       池田 行彦君    石破  茂君       衛藤征士郎君    川崎 二郎君       菊池福治郎君    小坂善太郎君       佐藤 静雄君    田邉 國男君       武部  勤君    谷垣 禎一君       玉沢徳一郎君    鳩山由紀夫君      二田 孝治君    三ツ林弥太郎君       宮里 松正君    村岡 兼造君       谷津 義男君    保岡 興治君       山口 敏夫君    五十嵐広三君       石橋 大吉君    田中 恒利君       辻  一彦君    前島 秀行君       三野 優美君    武田 一夫君       玉城 栄一君    藤原 房雄君       吉浦 忠治君    吉田 之久君       藤田 スミ君    山原健二郎君  出席国務大臣         農林水産大臣  鹿野 道彦君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      鶴岡 俊彦君         農林水産省経済         局長      塩飽 二郎君         林野庁長官   甕   滋君         林野庁次長   小澤 普照君  委員外出席者         環境庁自然保護         局企画調整課長 大木 知明君         文部省初等中等         教育局中学校課         長       辻村 哲夫君         厚生省保健医療         局健康増進栄養         課長      有川  勲君         建設省道路局道         路環境対策室長 井上 靖武君         消防庁防災課長 安宅 敬裕君         農林水産委員会         調査室長    青木 敏也君     ───────────── 委員の異動 十一月十六日  辞任         補欠選任   衛藤征士郎君     谷垣 禎一君   宮澤 喜一君     池田 行彦君   山崎  拓君     佐藤 静雄君   沢藤礼次郎君     三野 優美君   竹内  猛君     辻  一彦君   永末 英一君     吉田 之久君 同日  辞任         補欠選任   池田 行彦君     宮澤 喜一君   佐藤 静雄君     山崎  拓君   谷垣 禎一君     衛藤征士郎君   辻  一彦君     竹内  猛君   三野 優美君     沢藤礼次郎君   吉田 之久君     永末 英一君     ───────────── 本日の会議に付した案件  森林保健機能増進に関する特別措置法案内閣提出、第百十四回国会閣法第六五号)  農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案内閣提出、第百十四回国会閣法第六九号)      ────◇─────
  2. 近藤元次

    近藤委員長 これより会議を開きます。  第百十四回国会内閣提出森林保健機能増進に関する特別措置法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを順次許します。滝沢幸助君。
  3. 滝沢幸助

    滝沢委員 委員長御苦労さまです。大臣初め政府委員皆さん御苦労さま。  そこで、今回の保健機能増進に関する法律でありますが、いろいろと議論されてきましたが、私は何番バッターというのですか、皆さんがすっかりいろいろと取り上げられた後でありますから、少し脱線いたしたり、ないしは解釈を拡大したり——大体日本という国は法律を改正しない国なんですよね。憲法のごときも、ドイツは、占領中は占領軍憲法なんだから憲法は要らぬ、独立を回復してから自分たちでつくりますということでつくりました憲法を、四十年足らずして三十三回改正したと言われております。日本は、進駐軍がおりまするうちに唯々諾々としてこの憲法を制定して、しかも今日まで四十数年間改正をいたさぬ。しかし、その中には第九条の解釈を初め、相当に解釈を弾力的にすることによってそのときそのときに合わせてきているというようなことを考えますると、もちろん明治憲法も全然改正せずしていわば新憲法に変わったわけでありますからというふうに考えますると、日本という国はどうも法律や制度を簡単に変えることなしに、運用の妙をもってこの足らざる点を補完してきたということが我が国の法に対する、何といいましょうね、解釈態度というようなことではないのかなというふうに思っておるわけであります。そのような意味からしまして思うならば、今回の私は法のその一々の文言に必ずしも詳細にこだわるというよりも、いかなる精神をもってこれを定め、いかに今後運用されるかということにより多くの意義があろう、こういうふうに理解をするわけであります。     〔委員長退席保利委員長代理着席〕  そういうふうに思ってきまするときに、私はせんだって参考人さんにも申し上げましたけれども、広い意味におきまして、山、自然、山川草木ことごとく、そこに生をうけ、そこに生きる者の所有に帰するべきである、所有という言葉は、むしろこれは傲慢のそしりを免れない近代人類が犯しております過ちであり、錯覚でありまして、本来は神の所有に帰している、その管理を万物の霊長たる人間が委託されているという思想に立つものでありますから、そのような思想に立つならば、山というものに対して全国民が、特に私は国家が、官庁が、あるいは行政の衝に当たるものが謙虚な気持ちでこれに当たらなければ、もちろん森林の場合は森林業者もそのとおりであります、その精神を失うならば、私は、取り返しのつかない過ちを犯すであろう、こういうふうに実は思っているわけであります。御存じ富士山は、あれは富士山山自体が御神体だそうであります。また、出羽三山のごときも山そのものが御神体と言われているわけであります。また、木が、木霊というような言葉がありまして、木材木材といえば全くこれは商品となってしまいまするけれども、木が魂だ、神様だというので御神木というようなものもありまして、木そのもの神様としてこれにしめ縄を張って、参拝これ勤めるというような例も多々ございます。しかしこれは何も神道の方だけではありませんで、山岳仏教というようなことで、仏教もやはり山に精神の原点を求める ということがございます。  それらこれらを考えまするときに、もちろんキリスト教でも修道院というようなものになりますると、これは山の深いところに別世界を営むというようなものもございまして、すべての宗教は山、木、自然というものに対して敬けんなる態度というものが共通の出発点ではないでしょうか。そういう意味で私は近代文明に対する大きな警告、そういう意味で今回の法律というものがその二つの接点をいかに求められるのかなということに一つの危惧も持ち、かつ希望も持っているということであります。どうかひとつ大臣初め長官、そしてそれに連なる立場の方々が、いわゆる六根清浄気持ちで山を見ていただきませんとこれはいけないというふうに思うのでありますが、これは大臣いかがでしょうね。どうも私は最近の国有林を見ても、民有林をめぐる幾多の問題を見ても、人間の自然を恐れぬ、神に敬けんなる気持ちを失ったところに発生した過ちというものが少なくはないのではないか、こういうふうに思うのでありますが、いかがですか。
  4. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 ただいま先生が申されました山、森林、まさしく神からの預りものである、大事にしなければならない、こういうふうな先生のお心に対しまして心から敬意を表するところであります。まさしく申されるとおりに、我が国森林、その地域だけでなしにその周辺にも大変重要な役割、多面的な役割を果たしておるわけでありますから、また、今日御承知のとおりに地球における環境問題が大きな問題となっておる、このことを考え、見ます場合におきましても、私どもは森林の維持そして培養、保全、こういうふうな問題に本当に新たなる重要性を認識して取り組んでいかなければならない、そして、そういう中で地域活性化を図っていかなければならない、このように考えておるところであります。
  5. 滝沢幸助

    滝沢委員 ありがとうございました。どうぞそういうことで遺憾なきを期していただきたいと思います。  今大臣がくしくもおっしゃいましたとおり、森林周辺というふうにおっしゃいまして、きょうちょっと多過ぎるほど省庁よりおいでをいただいておりますのは実はそのようなことでありまして、仮に水、大変な資源だと思っておりますと、水利権などということで、ある程度の川になった水だけを対象に、しかもその水利権を持っている者の水であるがごとき錯覚役所水利権所有者も持つに至っている。しかし、これは山の中の一滴一滴の草の葉の滴でしょう。そこには水利権などという言葉は出ておりません。そういうことでありますから、私は今回の法案をやや幅広く見ましていろいろとおいでをいただいたわけでありますが、文部省さん、おいでいただいていると思います。  私は、大体一極集中排除なんてうまいことを政府自民党さんか知りませんけれども考えていただきまして、まことに全面的に賛成であります。議員の数なんかも一極集中でなく、ひとつ分散していただければもっといいかもしれませんけれども、それはそれといたしまして、実は私は東京をより小さくする、小さき東京ということの方がよろしいと思うのであります。そこの中で、いつも私はとにかく各省庁が一局ずつ出すなどというのは、一極集中でないというから一局ずつ出すのか知りませんが、あれはいけない、あんなことはばかなことであります。行政は便利であった方がいいわけでありますから、仮に文部省さんの一局だけがどこか千葉県の方にあったなどというのは、これは不便であります。そうではなしに、私は東京大学が出なさい。東京大学が、例えば北海道でもいいし、それは那須山ろくでも富士山ろくでもいいわけであります。東京大学がまず出なさい。そうしたならば公私立各学園が出るであろう。そうしたならば青春の日を、スモッグと誘惑と騒音の中で、勉強なんかしませんけれども、過ごさせるということの愚かなることから、新鮮にして緑豊かな環境の中で青春の日を、しかもできれば全寮制で、今は兵隊さんというのはありませんから、小学校卒業以来午前中というものを知ったことがないなどというのがいるわけでありますから、そういうことでは困りますから、というふうに思っているわけであります。というふうに考えれば、私はきょうのこの法律に直接どの程度のかかわりがあるかは知りませんけれども、とにかく文部省さんがもっと自然の中に出ていただかなくてはならぬ。しかも昔、今もあるかもしれませんが、林間学校というものもあったり、あるいはまた青少年自然の家というものも営んでいらっしゃったり、いろいろするわけであります。そういうところで、後で申し上げる総量規制なんかにどう関係あるか知りませんけれども、しかしとにかく文部省さんが一つには、幼稚園から小中学校教育に至るまで、いわんや高校、大学の教育において、森林というもの、山というもの、自然というものに対していかが教育をなさろうとしているか、しかもこれがきちんとしているならば、非常にマナーの悪い登山学生地域のひんしゅくを買うというようなこともないわけでありますし、そこら辺のことについて、ひとつ文部省が対処されてきた、また、されようとしている姿勢等についてお伺いをいたしたいと思います。
  6. 辻村哲夫

    辻村説明員 ただいま御指摘の点は非常に重要なことでございまして、小中高等学校段階から、子供たち発達段階に応じまして指導に力を入れてきているところでございます。  具体的に言いますと、小中高通じまして社会科あるいは理科というような教科が中心になるわけでございますけれども、社会科でございますと、我が国の国土の様子あるいは資源重要性というようなものを小中高を通じて学ぶわけでございますし、また理科におきましては、植物を育てながら植物を愛護する態度を育成する、あるいは、その際には野外に出かけていって地域の自然に触れさせる、そして自然の保護関心を持たせるというようなことを、国の教育課程の基準であります学習指導要領に明記をして、それで各学校でこうした点の教育に力を入れるような努力を払っているところでございます。それ以外にも、各学校ではこうした教科以外に道徳の時間あるいは特別活動の時間、あるいは各学校創意工夫を生かした活動があるわけでございますけれども、ただいま申されました林間学校臨海学校というようなものもあるわけでございますけれども、そうした活動を通しましてこの面での教育には十分努力をしている。今後もさらにその点について努力を払ってまいりたいというふうに考えております。
  7. 滝沢幸助

    滝沢委員 青少年自然の家とかなんかが一県に一つとか言われましたが、今後ふえていく可能性がありますか。
  8. 辻村哲夫

    辻村説明員 国立少年の家、青年の家と各地方公共団体が設置するものもあるわけでございますけれども、国立につきましてはあと一カ所今建設中のものがあるわけでございますが、それで少年の家、青年の家それぞれ十数カ所、ほぼ全国整備をされるというような状況になっております。
  9. 滝沢幸助

    滝沢委員 厚生省さんにお願いしているはずであります。大体厚生省文部省というのは同じ小さい子供を、こっちは保育所、だから教育ではなくて保育だ、こっちは幼稚園だよ、これは全くの教育だ、日本はそういうことが好きなんですよ。ホテルと旅館と民宿みたいな話で、私はこれを一本化しろといつも言っているものだから、あるいは保育所先生方に誤解されたりしておりますけれども、もう役所の縄張りなどということはやめた方がいい。そういう意味厚生省文部省は非常に相似たことをやっていらっしゃるわけだから、今文部省に申し上げたようなこと、つまり厚生省森林関係ないとお思いになりやすいのだけれども、私はそうではないと思う。例えば、いろいろの療養施設保健施設等をそういう山に求められる場合があるでありましょう。大体、私は心配しているのだけれども、総量規制なんていろいろうまいことを言っていらっしゃいますけれども、役所がやることになったらそういうことは吹っ飛んでしまうのじゃありませんか。吹っ飛ば さなければいろいろできない場合があるのではないでしょうか。そういうことも考えているわけでありますが、同じようなことをひとつ厚生省からも意思表示を願いたいと思います。
  10. 有川勲

    有川説明員 厚生省におきましては、二十一世紀の長寿社会を明るく健やかにするという視点から、運動、栄養休養といったすべての面で健康的な生活様式を確立すべく国民健康づくりを進めているところでございます。  森林は、薬理作用といったような心身に直接生理的あるいは精神的な保健効果を与えるというものではございませんけれども、国民健康づくりを進める上におきまして、適切な休養あるいは保養を行う場として、国民保健上重要なものと考えております。
  11. 滝沢幸助

    滝沢委員 これはあなた管轄が違ってちょっと迷惑かもしれませんけれども、最近漢方薬時代でありまして、ところが漢方薬から健康食品みたいなもので、薬品食品との、これは消費税の見直しということを政府自民党はおっしゃっているけれども、その中で仮に食品をといったときに、あるいはまた薬品をといったときに、そのあいのこみたいなものが多々出てくる。これはまた商売としては大変いい分野だと言われているわけでありますけれども、そういう意味漢方薬こそまさに林野庁ないしは環境庁のお世話にならなければいかぬ部分なんだけれども、これは何か厚生省でこうした面について最近関心を有しておりますか。
  12. 有川勲

    有川説明員 漢方薬とか自然の食品あるいは健康食品と言われておりますような種々のいろいろなものが出回っておるわけでございますが、こういったものにつきましては、一方では薬事法という法律を私ども所管しておるわけでございますが、そういった観点での対応とあわせて食品という観点での対応もいたしておるところでございます。
  13. 滝沢幸助

    滝沢委員 消防庁さん、本当は自治省と言ったのだけれども、どうもその方は林野庁でよろしいとおっしゃるものだからやりますが、私は、今回の法律の中で都道府県知事市町村長との間の意見を求めるというあたりに非常に興味を持っているのであります。しかし、それはそれとして、その方は後で林野庁にお伺いさせていただきます。  最近、アメリカ山火事というのは一週間も二週間も燃えておるのですね。さすがにアメリカであります。日本はいろいろなお客さんが山に入ってくることによりまして自然が破壊されている。その面には消防庁の所管される火事という面もございます。もう一つは、これは直接消防庁かどうか知りませんけれども、遭難というのも多々ございまして、これも先ほど私が申し上げました、いずれも自然を恐れぬところから発生するものでありますけれども、これらについての最近の情報や特徴がございましたらおっしゃってください。
  14. 安宅敬裕

    安宅説明員 まず、林野火災状況でございますが、昭和六十三年中の出火件数全国で三千五百八十九件でございまして、これは前年、六十二年に比べまして一二・九%減少しておる状況でございます。また、焼損面積は全体で三千百七十六ヘクタールで、これも前年より三五%減少しております。  消防庁といたしましてはかねてから、乾燥しておる、あるいは強風によりまして林野火災の発生の危険が大きいときには、時期を逸することなく火災警報を発令すること、監視パトロールを強化することといったようなことを指導してきております。また、入山者林野周辺住民に対する火災予防意識の啓発を図るなど林野火災出火防止指導徹底を図っているところでございます。また、これは昭和四十五年からそういう事業ができたのですが、林野火災特別地域対策事業というのがありまして、これは市町村整備する林野火災用消防施設に対して助成を行っております。これも引き続き助成を行います。また、大規模林野火災につきましては、一つ市町村消防力では対応できないという事態も想定されます。そういうことを想定いたしまして、市町村消防機関相互広域応援体制整備をマニュアルをつくって具体的に指導しております。また特に、この大規模林野火災におきましては、ヘリコプターによる空中消火というのが非常に有効であるということが証明されておりますが、そういうことで今後ともヘリコプターによる空中消火の一層の活用を積極的に指導推進してまいりたいと考えております。  今後とも、貴重な森林資源確保するということから、消防機関営林署等関係機関が一体となって林野火災出火防止指導徹底を図ってまいりたい、こう考えております。
  15. 滝沢幸助

    滝沢委員 各課からお願いするわけにはいかぬものですから、あなたの管轄じゃないでしょうけれども、ひとつ聞いておいてください。  今おっしゃったようなことは大変よろしいことだと思います。ただ問題は、きょうの法律にかかわるようないわゆる山の周辺ほとんどが過疎地となっておりまして、非常に苦悩を持っている。殊に若い者がいないという中では、消防庁のなさるお仕事について常に協力をする別働隊であり支援部隊であるべき市町村消防団というものが、定員確保すらなかなか容易でない。村に若人はおりません。消防団員定員に満ちません。そういう中で、都会からそれこそ年に一度、十年に一度お遊びにおいでになる登山客観光客のために、いろいろと事件が起きたり遭難されたりします。そうしたたびに動員される。それこそ農林省さんには相済まぬけれども、農林省施策のゆえもなしとしないということによりまして農村の経営が容易でない、山村の生活が容易でない、その容易でないところになお孤塁を守って頑張っている青年たちが、具体的に言うならば数少ない農家人たちが田んぼに働いております。そうした農家人たちは、この雲のぐあいならば午後から雨、今夜はあらしになるなとわかっているんです。わかっているんだけれども、そうしたときに若い男女が、都会方々が手をつないでヤッホーヤッホーと行かれるわけです。しかし、大丈夫かなと思いながら、都会の人っていいものだな、こう思っている。そうしますと、夜の十二時あるいはあすの朝の明け方になりますと、必ず決まったように消防団員出ろということになるわけです。ですから、私はかつて、登山等の者はひとつ計画をその山の市町村教育委員会か何かに示して、そして供託金を積ませなさい、こう言っているわけです。そうした結果、遭難になりますと幾日も動員される。そして遺体が出なければいらいらされて、もう捜索をやめるのですかということですよ。そしてよほどの心ある方でなければ、その後を御丁寧にというわけにはいきません。全くやりきれぬというのが村の数少ない若者の、ないしは、若者というわけにいきませんから四十代、五十代のそれらの捜索等に協力する人々考えですよ。こういうことも、さっき申し上げました自然を恐れぬ、神を恐れぬ心から発していることなんでありまするけれども、そのような意味で、消防団員定員確保にどのような努力をされているか。私は実は、自治省さんもこれは管轄が違うんでありましょうけれども、地方自治体の職員のごときはすべからく義務として消防団員であるべきだ、こう思うのですよ。というのは、公務員は毎日の勤めがあるがゆえに消防団に入りません。ということになりますと、どうして一番政治の恵みの少ない農家の、ないしは中小企業商店街人々だけがいわゆる奉仕であると言われる消防に従事をしなくてはならないのです。ここら辺のところは、私は、消防庁考えを整理して新しい時代に即応した消防団組織体制ないしは待遇を考えなくてはならぬと思いますが、いかがですか。     〔保利委員長代理退席笹山委員長代理着席
  16. 安宅敬裕

    安宅説明員 先生指摘のように、最近の過疎地帯におきまして消防団の団員をいかに確保するかということは極めて重要な課題になっております。消防団が、先生おっしゃいましたように、林野火災のみならずいろいろな遭難事故にも駆り出される。その消防団員が、今過疎地帯若者が少 ないということでなかなか確保できないというのは、先生指摘のとおりでございます。  そこで消防庁といたしましては、かねてから消防団活性化総合整備事業というあれで、いろいろ消防団に入るための魅力的な消防団活性化づくりというのをいたしまして、何とか一人でも多くの消防団員確保するというためのいろいろな施策をやっております。また一方で、消防団に対する処遇改善、これは消防団員の報酬とか退職の報償金とか出動手当とかそういったものにつきましては、交付税措置とかいろいろな財政措置を通じまして、消防団員処遇改善にも毎年必死になって取り組んでおるところでございます。
  17. 滝沢幸助

    滝沢委員 外回りの方から先にお伺いしまして、建設省さん、道路経済の、ないし生活の基本でありますから、大変よく整備をされてきておりまして結構であります。しかし、同じ道路建設省あり農林省ありいろいろしております。林道という名前もあります。しかし、本当は一緒でありまして、道路省をつくれというような声もありましたが、一緒なんです。これがある道路に対してそこを、いつか何か私の方で道路計画があるときに、それは軍用道路だという反対をするグループもありましたが、道路があるのです。それをつくるのです。その道路学生が通ればそれは通学路になりますし、ここを芸者さんが通れば観光道路か何か知りません、それはちょっと言葉は悪いかな、あるいはまた、本当に侵略されるということがありましたら、これは軍用道路になるでしょう。そういうことですよ。ところが、この道路を見ますると、一つ心配いたしますのは、ややもすれば自然環境を相当に破壊いたしかねない道路計画もなしとしない。特に最近は、どんどん山にトンネルを掘る時代でありますが、トンネルがいけないと言っているんじゃありませんよ、大いにやっていただかなくてはなりません。しかし、この森林保健機能増進ということに意を用いていただかなければならぬ面が多々あるのではないか。  一つはまた思うことは、並木を植えられますね。この並木というものはもとは柳、銀座の柳なんて、柳に決まったようなものだった。これは一番活着がよくて、そして安いんですよ。ところが、最近はぜいたくになりまして、そして恐れるのはそれが案外、木の、造園業者か何か知りませんけれども、いわゆる苗木を売らなくちゃならない立場との関係なんかもなしとしない面も恐れるのでありまするけれども——いや、冗談じゃありませんよ。実際あるんですから。一々ここで私がいいと言われて言うわけにもいきませんけれども。会津はキリの産地であります。キリを街路樹に植えるなんてことをした。そして、全部枯れちゃったというような愚かなることもいたします。エンジュなんかもあります。旭川はあれはナナカマドですか、いろいろ工夫をされるのはいいんだけれども、非常に高くて活着が悪くて、そしていわゆる並木効果の少ないものも選ばれるという点もございまして、これは木へんということになれば林野庁も、ましてや環境庁関心を持っていただかなくてはならぬことでありますが、ここら辺の消息はいかがでありましょう。
  18. 井上靖武

    ○井上説明員 道路整備に当たりましては、従来より地域状況に応じまして、自然環境の保全にできる限りの努力をしてきたところでございます。特に山地部におきましては、自然環境に対して著しい影響の少ないルートの選定に努めるとともに、工事の実施に当たりましても、周辺の自然環境に調和した道路構造の採用あるいは周辺植生に合わせた緑化復元等を行ってきております。今後とも道路整備に当たりましては、自然環境の保全に十分に配慮してまいりたい、このように考えております。
  19. 滝沢幸助

    滝沢委員 環境庁さん、今までの質問は全部これは環境庁さんの原稿を読んだようなものでありまして、もちろん直接読んだのではありませんから、議員の職権なんとかということはありませんが、いずれにしましても、環境庁、わけても自然保護局との関係と今回の法律に定められたるところによりまする林野庁さんのお仕事との接点というのは非常に深いものがあろうと思いますが、いかがなる連絡と権限の相互の調整がありますか。
  20. 大木知明

    ○大木説明員 現在提案されております森林保健機能増進に関する特別措置法案でございますが、その中で環境庁との関係について申し上げますと、この法案によりまして良好な自然環境が破壊されないように環境庁としては重大な関心を持っております。具体的には、この法案に基づく基本方針の策定、変更、そういうものにつきましての協議を受ける際には、十分な調整に努めるというようなことによりまして、自然環境等の保全、そういうものについて十分努力をしてまいりたい、そういうふうに考えております。
  21. 滝沢幸助

    滝沢委員 さて、今回の法案によりますと、知事が地域森林計画を定める、そして所有者が施業計画をつくる、そうしてそれらの作業の中で都道府県知事市町村長の意見を聞く、こうなっているようであります。  ところが、私は県会に長くおりました関係でいろいろと見聞しておりますが、大体この聞くというのは魔物でありまして、本当は聞くというのは大変なことであります。毘沙門、多聞天王なんというのも、あれは聞くというのは、聞のことが問題でありまして、仏教には「聞法因縁五百生、同席対面五百生」といいまして、和尚さんの説教を聞くということは五百回この世に生まれ変わっても得がたい因縁だと言っているわけであります。それは本当に聞くのですよね。命を込めて聞くのです。ところが、これは落語じゃありませんけれども、ある人が死んでいったら、地獄と極楽の境が、分かれ道があるんだってね。ここに道路標識があるかどうかはわかりません。そこに物すごくキノコみたいなものがあるというのですね。そこで案内してくれるのは阿弥陀様か何か知りませんけれども、その人にこれは何ですかと言ったら、これは、生きているうちにありがたい法話を全部聞いた、おまえも聞いた、ところが、耳は聞いたゆえに責任を果たしたからここに置いておいて、耳は地獄に行かなかったが残りの体は地獄に行ったんだ、おまえもこれから耳切るぞと言われて、みみっちいこと言わないで勘弁してくださいなんて言ったというのでありますが、とにかくそれは聞くですね。  ですから、聞くという字は新聞の聞もあれば聴聞の聴もあれば、いろいろあるのです。ところが、聞くというのはそんな簡単なものではありません。私はここのところに非常に興味を持ち、また心配をいたしているわけであります。随分と多くの市町村長さんが、このことだけじゃありませんよ、この農林省のいわゆる基盤整備事業等につきましても、もう足を棒にして同意書をとるんでしょう。それは、国から県からおっしゃることに対して、私たちの町はまとまりませんでしたじゃ、もう学校も建たぬ、水道も許可できないということになるからですよ。ところが一方、この山を守れというような住民運動が起きますると、市町村長の苦労というのは大変なものであります。この聞くというのはどうなのか。そのとおり、言われたとおりにそれを実施する、実行するという意味の聞くなのであるか、いやもうわかりました、聞いておきましたということであるのか。そうしてもう一つ屋を加えれば、その実行しましたという聞き方にしても、県庁の御意見に合わせたような意見書を書かせられるという実態があるのです。これは何か党の公認申請みたいなもので、党本部が喜ぶように公認申請しなくてはならぬ地方組織みたいなものでありますが、私は、ここら辺において、本省と知事、市町村長との間の意見の調整、関係の調整というものにおいて、いわゆる意見を聞くというものに非常に力点を置いて物を考えるのでありますが、この点はいかがですか。
  22. 甕滋

    ○甕政府委員 先生が先ほど来御指摘のように、法律の制度ができました後その運用によろしきを得なければならないということは、全くそのとおりでございまして、大事な点であろうと思います。この法案の制度の実施に当たりましては、御 指摘のように県知事の意見あるいは市町村長の意見を聞く、こういう制度にしておるわけでございますが、これを実際に行っていく上で調整を図らなければいけないといった面で、場合によりますとおっしゃるようにいろいろ難しい場面があり得るのではないかと考えております。いずれにしましても、私どもはこの法案成立の暁には、運用につきまして十分な指導を図りたい、通達も出したい、会議等を持って徹底させたいと考えておりますけれども、そういった場等を通じまして、本当に趣旨が生かされるような運用を指導してまいりたいと考えております。
  23. 滝沢幸助

    滝沢委員 今の趣旨が生かされるような運用ということについて、知事なり市町村長に対してこの法律が通過するに当たっての具体的な措置がとられますか。
  24. 甕滋

    ○甕政府委員 これはただいま申し上げましたように運用面で十分な意見の聴取、調整を行って、いずれにしても円滑な実施が図られなければなりませんから、そういった措置を講ずるということをお約束申し上げたいと思います。
  25. 滝沢幸助

    滝沢委員 話は違いますが、何か聞けば、猫は管轄する官庁がないんだってね。それで、しようがないから何か総務庁がというようなことになったとかならぬとか聞いておりますが、猫の目農政といいますと農林省だし、猫ばばすれば警察だし、猫なで声ならば教育委員会かななんて思うのであります。ところがゴルフ場は、つくるときは許認可は林野庁であったりなんかしますね。そして後で農薬を散布するということが非常に批判されているわけでありますから、そうしましたらこれはどこでしょう、厚生省でしょうか、それともこれも農林省でしょうか。そして、機具を買ってくる、機材を買ってくることになると通産省だとか、いろいろと言っておるようであります。このゴルフ場というのは大切なものであり、いいものであり、普及さるべきものでありますが、しかし、これを総括して指導ないしは、監督という言葉はどうか知りませんけれども、される官庁は一体どこですか。随分各省庁来ていただいているのでありますが、私の方だとおっしゃる省庁はありますか。——つまり、ないのだそうです。これではいいところにボールは行きませんよ。ちゃんとしていれば、ボールはみんないいところへ行って……。ところが、このゴルフ場が今回は大変議論になっておりますけれども、私はこれはいいことだと思う。これこそ森林を通じて保健機能増進することではないかなと思うのです。ただ、総量規制なんというところで、どれだけの面積を切るとか切らぬとかいう、そして芝生がどうこうと言っておるところに問題があるか、もしくはさっき申し上げました農薬散布等で問題になるのかわかりませんけれども、私はゴルフ場を今回の措置に対する敵対視した排除の論理だけでは必ずしも相済まぬものがあるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  26. 甕滋

    ○甕政府委員 私どもの法案につきましては、これまでもるる申し上げておりますように、森林自体を維持しながらこれを有効に活用していくというのが基本的な考え方でございますので、その森林自体を維持するという保全の観点も十分考慮に入れたいろいろな基準をつくっていこうということでございます。したがいまして、ゴルフ場につきましては、私どももいいとか悪いとか申し上げておるわけではございませんけれども、その基準に照らしまして、現在見られるような姿のものは想定されないのではないかというように考えておるところでございます。
  27. 滝沢幸助

    滝沢委員 私は頭が悪いものだから今の答弁はさっぱりわかりませんが、多くの先輩議員が聞いていらっしゃいますから、おわかりならばそれで結構でありますが、私が申し上げたいことは、総量規制とか技術的基準とかとおっしゃっておりますけれども、そういうしゃくし定規なことに実際はいかぬのではないかと思うのです。全体のうちの何%かは更地にしていいよ、そして、その中で芝生等を植えたような、草が生えておるような状態は何%でいいよ、そこに家を建てるならばその大きさは幾ら、これは高さもあるのでしょうか、いろいろそういうことがきちんと機械的にできない、結局はあちらこちらで、いやこれは少しオーバーなんだけれども仕方がないでしょう、いやきっとだめだと言うのだけれども先生ひとつそこのところをお願いいたしますなんて言われるとお話に参加したりして、結局はこれはだんだん摩滅していくことだと私は思う。どうして林野庁はこういうみずからを縛るようなことをされるのでしょう。これは長くお話しすると時間がなくなりますから、自縄自縛ということを言うのですが、いかがなものでしょう。どうせ弾力的になりますよ。ならば、弾力的に今おっしゃっておいた方がいいのではないかと私は思うのですが、いかがですか。
  28. 甕滋

    ○甕政府委員 御意見としてはわかる面があるわけでございますが、森林の保全を図っていく上で関係行政機関、これは私どもだけではございませんで、県でございますとか町村でございますとか、そういったものが一つの物差しを持って当たる必要があろう。さらに、実際に担保しようとする森林の機能について実際にこれを利用される関係者の皆さんも、これがどういう運用になるものかはっきりしたものが必要であるということもございまして、客観的な物差しがどうしても要求されてくるのではないかと思います。これを実際に当てはめていきます場合に、専門的な知見から出てきたものでございますから、これで私どもとしては的確な誤りのないものであるというふうには思っておりますけれども、おっしゃいますように、個々具体的に当てはめてみて、ここはどうする、あれはどうするといったような問題が将来生じてくるということにつきましては、これはまた確かに個別個別にいろいろ考えていかなければならないという点はございますが、仮にこういう物差しがございませんと非常に野方図なものになりかねない、これを決めない場合の弊害と申しますか心配される事態が余りにも大きいのではないか、このように考えられるところでございます。
  29. 滝沢幸助

    滝沢委員 ですから私は非常に苦労されていると思うのです。苦労することを苦肉の策というのじゃないのです。羊頭を掲げて狗肉を売るというのですからうそをつくことですよね。うそつく気でつくるのじゃないのだけれども、結果としてうそになればそういうことなんだと思いますよ。ですから私は、この法が施行されて五年後、今みずから定められようとしている各種の規制が、一〇〇%そのとおり日本じゅう行われているということは絶対にない。これは必ず摩滅し、そして後で基準の改正をお願いしますということになると私は見通しているのでありますが、なりませんか。
  30. 甕滋

    ○甕政府委員 私どもとしては、現時点ではそのようには考えておりません。ベストのものとして法案並びにその基準を御提案しているつもりでございます。
  31. 滝沢幸助

    滝沢委員 それは提案するのですからそう思うほかないし、そう言うほかないでしょう。ただ、そういう心配をいささかもしてらっしゃいませんかと言うのです。
  32. 甕滋

    ○甕政府委員 御注意の点は十分頭に置いて、今後の運用上考えてまいりたいと思います。
  33. 滝沢幸助

    滝沢委員 総量規制という考え方と技術基準という考え方が細かく入れ合っておるものですから、繰り返しますが、この法によって森林を利用していろいろなことをなそうというものにとっては、これはいわば非常に邪魔になることだろうと思う。特に、私は先ほども申しましたが、役所みずからがこの基準を破らざるを得ない羽目になりませんか。そう考えたことはありませんか。役所みずからがというのは、あなたじゃありませんよ、さっきお呼びしておりました各省庁等が森林を使われる状況になるときに、そういうことになりませんか。もちろん、これはいわゆる施業計画の中に入ってないから別だとおっしゃればそのとおりであります。しかし結果として、力の強い者が山を大規模に切ることもできる、開発することもできる、弱い者が今御提案されている細かい規制によって排除される。その結果は、これは旅館 であってホテルではありませんみたいな話になるならば、私はいけないことだなと思うものでありますから申し上げているわけであります。いかがですか。
  34. 甕滋

    ○甕政府委員 私どもとしては、そのようなことにならないように最大限努力をさせていただくということだと思います。ただ、せっかくの御注意は十分念頭に置いてやってまいりたいと思います。
  35. 滝沢幸助

    滝沢委員 今大きな神社仏閣か何かに行きますと、こんなに太い柱がある。どこの山から切り出したのかなと思ってさわってみるとどうも冷たい。これはセメントだったというようなことがありますよね。ところが、この計画の細かいところをお伺いしましたら、何か建物を建てるときは木造なんだってね。しかし、木造と、限りなく木造に近い、いわゆる木造にあらざるもの——私のところは会津漆器でありますが、会津の漆器なんかも木とプラスチックの境というものが非常に複雑微妙なんですよ。どこまでが木でどこまでがプラスチックなのか、何%がどうか、いろいろと難しい議論をしているのでありまして、通産省がやかましくこれを言っているのですが、実はそんなふうにいかぬ場面が多々あるわけでございます。ところが、限りなく木に近い、木にあらざるものがあらわれてきた場合はどう対処されますか。
  36. 甕滋

    ○甕政府委員 ただいまのお話は、森林保健施設として整備する建物その他の構造物について、私どもは、でき得べくんば木造が望ましい、やはり自然の中で自然と調和したものであることが望ましいわけでございますので、そういう方針で指導してまいりたいと考えております。  ただ、この点につきましては、この法案におきますいわゆる基準としてきちきちっと決めていくということにはなじまない。森林の保全でございますとか、その機能を低下させないといった観点からはどうしても基準というようなことを考えなければならないということでございますけれども、今の点につきましては望ましいラインとして指導していくということでございますから、御指摘のような木造とそうでないものとの違いとか、これは現実にあると思います。また、木造でないものとの組み合わせというものも一概に悪いものだということでもないと思いますので、そこはやはり現実の計画の中で、あるいは現地の感覚の中でいろいろ関係者に御判断していただく分野ではないかと考えられます。
  37. 滝沢幸助

    滝沢委員 建造物等の色彩の方はどういうふうにお考えですか。そして、今議論しておりますことは、規則ではない、指導基準、指導原理、何か知りませんが、これは何でそういうふうなことを表示されるのですか。
  38. 甕滋

    ○甕政府委員 色彩につきましても、これをどういうものにすべきか難しい面もあるわけでございますが、ただいま申し上げましたように、自然との調和でございますとか現地においての感覚上どうかといったことも含めまして適切な色彩が使われることが望ましい、そういった指導、場合によればそういった趣旨を通達に書き込む、こういうような事柄ではないかと思います。
  39. 滝沢幸助

    滝沢委員 その指導と監督ないしは許可みたいなことはだれがやるのですか。これはまことにいいものだ、これはどうもだめだというのはだれが言うのですか。
  40. 甕滋

    ○甕政府委員 私どもが方針を示すということをさせていただきまして、具体的な運用は、地域森林計画の変更なり森林施業計画の認定なり、こういったことは都道府県の知事さんにお願いするということでございますので、指導の主体といたしましては知事さんのところで、具体的には関係者の皆様方の意見も伺いながら適切な指導を加えていただくということになろうかと思います。
  41. 滝沢幸助

    滝沢委員 役所が許認可していろいろと施設をつくり、かつ営業等をせしめる場合に、これは何もこのことだけではありませんよ、一般論としてありますることは、そういうことで許可してやったのだけれども、三年後、五年後、十年後になってみたらすっかり内容が変わっていたということもありますよね。そういう意味では、私は、今回のことに対する監督といいますか指導ということは極めて力弱きものであるというふうに思うものでありますからお伺いしますが、計画をしたときと同じような営業といいますかそういう内容が変わってきた、あるいはいつの間にかペンキが塗りかえられた、あるいはまたいつの間にかというようなことがありゃせんかと思うのでありますが、いわゆるアフターサービスかアフター監督か知りませんけれども、そこら辺はどうなりますか。     〔笹山委員長代理退席、委員長着席〕
  42. 甕滋

    ○甕政府委員 確かに、その計画を始めるときは基準あるいは望ましいラインに合致していたけれども年月を経るに従っていろいろ改造が加えられるとか、こういうことは大いにあり得ることだと思います。その中でも、今回の認定の必須的な基準とされておりますような事項にかかわるものにつきましては、当初の姿と違ったものになるということは許されない。もしそうでなければ認定されなかった、こういうような事柄になりますので、こういったことについては、引き続いて保安林の巡回でございますとか県の日ごろの一般的な指導なりを通じて、その辺はチェックと申しますか、そうでないような指導を加えていく必要があると思っております。  ただ、そういう強行的と申しますか、必須的なものでない分野でいろいろ変わっていくというようなことも考えられるわけでございますけれども、そういった面につきましては、この施設自体が地元の方々の総意の中から意見が取りまとめられて生まれ、運用されていくというところに本旨があるわけでございますので、地元の住民の方々、公共団体なり森林組合なり当然お入りになっていただくのがよろしいかと思いますけれども、全体の総意の中でやはりいい姿を守っていこう、こういうような動きに御期待を申し上げるという点も大事ではないかと思います。
  43. 滝沢幸助

    滝沢委員 時間が来ましたのでありますが、これは厳しい監督のもとに行われるものですらなかなか守れないことであります。これはだれがそんな、パトロールか警らか監督か知りませんけれども、通常見回って、君のところはいつの間にこんなにしたんだ、許可とは違うよというようなことをする職員等がいるのですか。それらのものがないならば、今おっしゃるようなことは、市町村が、森林組合がなったって、これは全く空気に防波堤になってくれみたいな話になるんじゃないかと思うのですけれども、いかがですか。
  44. 甕滋

    ○甕政府委員 これは必ずしも十分とは言えないかもしれませんけれども、森林パトロール、特に保安林を中心としたそういった一種の監視体制と申しますか指導体制、これは私ども予算措置をして現在行っております。
  45. 滝沢幸助

    滝沢委員 今議論しておりまするあたりは非常に細かいことであり、かっこの法の生きるか死ぬるかという分岐点でもあると存じまして、一つの問題を提起させておいていただきます。いろいろと長時間にわたりましてありがとうございました。  委員長、ありがとうございました。大臣初め各省庁政府委員皆さん、御苦労さまでした。
  46. 近藤元次

    近藤委員長 次に、山原健二郎君。
  47. 山原健二郎

    ○山原委員 私はこの法案審議に当たりまして、県会議員をしておりました当時、自民党の長老議員が山を培わない国は滅びるぞということをしばしば言いまして、その培うという言葉が非常に私の印象として残っているわけです。それはもう二十五年も前のことでありますけれども、以来日本森林、林業の荒廃というものを見ましたときに、この人も故人になっておりますけれども、感無量の感じがするわけです。それからもう一つ、今滝沢委員がおっしゃった懸念、観点は私と違いますけれども、この懸念はまさに私の質問の基礎になっておるものでございまして、その点で御答弁をいただきたいと思います。  最初に法案に即して伺いたいのですが、まずこの法案の目的、基本的な考え方ですね。リゾート法の場合は、国民の福祉向上並びに国土及び国民 経済の均衡ある発展に寄与することを目的として法律をつくったわけです。今回の森林保健機能増進特別措置法案も、林業地域の振興と国民の福祉の向上が目的に規定をされております。両者が想定する開発規模には違いがありますけれども、レクリエーション等に資するための施設整備を進めることにより地域活性化を図るという点では、基本的な考え方、基調となる考え方は同じではないかと思いますが、この点お答えいただきたいのです。
  48. 甕滋

    ○甕政府委員 いわゆるリゾート法と本法案とがどのような考えになっているかという御質問でございますが、私どもの理解では、いわゆるリゾート法は、国民の余暇活動に対する需要が高まっていることにこたえまして、一般的にスポーツ、レクリエーション施設といった種類の施設整備を民間活力を利用して促進するというところにポイントがあるのではないかと思います。その際、森林という観点からは、これを維持していくということがリゾート整備の要件になっているわけではございません。施設整備に当たって森林保全のためにいろいろ措置を講ずるということが今回御提案申し上げている法案にございますけれども、リゾート法とはその点が大きな違いになるのではないかと思います。
  49. 山原健二郎

    ○山原委員 第一条の目的の「公衆の保健の用に供することが相当と認められる森林」、これはどういう森林でございますか。また、その面積はどの程度を想定されておりますか。
  50. 甕滋

    ○甕政府委員 保健機能森林というふうにこの法律の中では位置づけておるものでございますが、具体的には保健機能増進を図る上で適当な森林ということでございまして、景観あるいは森林の林種、位置、川や湖の状況等が当然ございましょうけれども、保健機能の程度が総体的に高いとされた森林でございまして、世の中の要請にこたえまして保健機能を高度に発揮させる必要がある森林ということになろうかと思います。  具体的な区域の設定につきましては、農林水産大臣が示す基本方針を受けまして全国森林計画の変更が行われ、その後、各都道府県におきまして地域森林計画の変更が行われるといったところでその具体的な区域等が決められてくることになるわけでございます。それで、地域森林計画は現在十年間を単位として五年ごとに立てられておるということでございますので、これをその計画期間にどうするかということで、変更が行われるわけでございます。それを受けまして森林所有者森林施業計画を策定して認定を受けるということで、具体的な面積が決まってくることになるわけでございます。  その面積がどのくらいになるかというお尋ねでございますけれども、これは、最近の森林レクリエーションの動向等を考慮いたしますと相当面積になるのではないかというふうに思われますれども、今申し上げましたように、地域森林計画の変更あるいは森林施業計画の認定の過程でその面積が決まってくるということでございますので、この場で一概にどのぐらいというふうに申し上げるには困難な事情があるわけでございます。ただ、一つのめどと申しますか、どんなイメージで考えておるかといった意味合いで申し上げますと、これまで実際に整備が行われております箇所の状況でございますとか、私どもが行っております意向調査等をもとに考えてみますと、おおむね二十万ヘクタール程度になるのかな、こんな感じを持っておるということでございます。
  51. 山原健二郎

    ○山原委員 この森林保健機能の内容、概念については本法案では特に規定をしておりません。これは森林法の中にあると考えてよろしいですか。
  52. 甕滋

    ○甕政府委員 森林保健機能につきましては、これまで保安林の目的のところで「公衆の保健」という言葉でございますとか、森林組合の事業として「公衆の保健の用に供するものの保健機能増進」といった用語例がございます。この内容は、先ほど申し上げたようなすぐれた景観を構成するとかいうような条件を備えておりまして、森林浴等々といった場になる、それを通じて訪れる人たちに快適な環境を提供し得るというような機能として一般的に理解されておるところでございます。
  53. 山原健二郎

    ○山原委員 法案の第二条二項二号に言う政令で定める施設とはどういうものを想定しているのでしょうか。時間の関係で例示してみますと、森林浴施設、休憩舎、遊歩道、展望台等、また、スポーツ施設、野営場、テニスコート、林間スキー場、フィールドアスレチック等、文化教育施設、林間学校、研修施設、野外劇場などですね、宿泊施設、バンガロー、ログハウス等、食堂、売店、駐車場など、管理施設、保全施設などだろうと思います。  ゴルフ場とかホテルはどういうふうにお考えになっていますか。含まれておりますか。
  54. 甕滋

    ○甕政府委員 森林保健施設を具体的に例示いたしますと、ただいまお挙げになったようなもろもろの施設が入ってくるのではないかと思います。ほかにも、その地域地域創意工夫によりましてさまざまな施設が出てくることは考えられるかと思います。そこで、森林保健施設につきましては、森林の維持、森林の機能を損なわないといった観点から御承知の総量規制なり技術的な基準なり定められておるところでございますので、こういったものを満たす、満足するものである必要があるわけでございます。  そういった意味で、今お尋ねのゴルフ場とかあるいは大規模なホテルといった感じのお話であったかと思いますが、そういったものについてこの基準を満たすということは、現に見られておりますゴルフ場なりリゾートホテルと言われているようなものの実態からいたしますと、満たすことは考えられない施設になるのじゃないかと思っております。
  55. 山原健二郎

    ○山原委員 今あるようなゴルフ場などは考えられないということだろうと思いますが、林野庁長官は三年前の一九八七年二月九日に「森林空間総合利用整備事業(ヒューマン・グリーン・プラン)の実施について」という通達を出しまして、その中で国有林内での第三セクターによるゴルフ場の造成を認めております。国有林ではゴルフ場は禁制ではないということですね。こういう林野庁の立場からいたしますと、本法案に言う保健機能森林でもゴルフ場を禁止する必要はないという考えが出てきてもおかしくはないのではないかと察せられますが、この点、短くお答えいただきたいと思います。
  56. 甕滋

    ○甕政府委員 この法案の目的あるいはそれに沿った具体的な内容については、これまでもるる申し上げておりますように、森林の保全を図るということが一つの前提でございまして、森林状態における保健機能増進ということでございます。したがいまして、基準等々に照らして適切な施設、許される施設、これが整備されるということを想定をしております。したがいまして、森林性を失わせて、と申しますのは、森林を転換して森林でなくいたしましてそこにつくっていこうというような施設、例えば先ほど出た例で申しますと、今見られるような姿のゴルフ場でございますとか高層のリゾートホテルのようなものでございますとか、そういうものはこの法案にはまずのってこない。それではそれはどうかと申しますと、これまでどおり保安林であればその許可は当然必要でございますし、開発許可に該当するものは当然その手続が必要であるということで、これまでどおりそういった制度は厳然として残っておりまして、その適用がなされるということでございます。  国有林につきましてヒューマン・グリーン・プランにお触れになりましたけれども、国有林のヒューマン・グリーン・プランにおきましても、もちろんその森林性を維持しながら森林の中に施設を整備していくという、この法案におきます保健機能森林に該当するものは当然ございます。それについては今後この基準に準拠して運用していくことになろうかと思いますけれども、森林性をなくして国民保健休養のために必要な施設として整備をする、こういう施設につきましては、保 安林の場合は保安林の解除、国有林でございますから開発許可ということはございませんけれども、そういったこれまでの手続はこれまでどおりとられるということでございまして、その点、国有林民有林だからどうこうという問題ではございません。
  57. 山原健二郎

    ○山原委員 その点、もうちょっと。ヒューマン・グリーン・プランの実施実績を見てみますと、四十四カ所で面積百二十五ヘクタール、そのうちゴルフ場が一カ所で面積六十二ヘクタールですね。  そこで、今おっしゃったこれらの森林保健施設の設置によって森林保健機能以外の諸機能に著しい支障を及ぼさないようにするというわけですが、それはどこで担保されるか、どこで保障されるのかということで法案を見ますと、これは一つ総量規制ですね。それからもう一つは、今論議されておりました技術的基準というふうになるわけですが、総量規制を設けると言われますけれども、対象森林面積が広くなればなるほど整備できる施設面積が大きくなることになると思います。したがって、これは果たして歯どめになるのかどうか、この点が一つです。省令で予定されている裸地状態利用については一割以内というようなことがあるわけでございますが、これはそういう意味ではきちっとした歯どめになるのでしょうか。
  58. 甕滋

    ○甕政府委員 もともとこの総量規制と言われるものの趣旨でございますけれども、施設の整備がかなり大面積になってまいりますと、森林と一体であり、またその機能を損なわないといった観点から見まして支障が生じてくるということは容易に考えられるわけでございまして、そういったことがないように、森林森林性を保っていく上でそれを確実に担保する基準として適切な基準をつくる必要があるわけでございます。そこで、森林保健施設を設置するがために何がしでも森林としての機能は低下するわけでございますが、それは最小限に抑える、また、その低下分は森林の適切な施業によって十分回復可能である、こういうものとして設定する考えでございます。  ただ、御指摘ございましたように、それが非常に大きな面積にわたりますと、分母が大きくなるから分子の面積も大きくなるというようなことでよく御指摘を受ける点でもございますけれども、それは一カ所に大規模なものが集中してしまって不都合になるのではないかといった御心配でございます。当然それは避けなければならないということでございますので、私ども考えておりますのは、そういった対象森林面積が大規模にわたって施設が特定の流域に集中しないように、下流域の集落等の分布状況にも十分配慮をいたしまして、小流域ごとにこれを適用していく必要があろうと思っております。総量規制においてはそういったことを決めて、御心配のないようにしてまいりたいと考えております。
  59. 山原健二郎

    ○山原委員 総量規制の問題と、同時に技術的指導基準の問題ですね。これは省令にゆだねられるわけでございますが、その基準に基づく施設整備ならば対象森林の自然環境を損なわないとする、いわゆる経験上のデータとか科学的な根拠が必要だろうと思いますが、そのようなことは検討されているのでしょうか。
  60. 甕滋

    ○甕政府委員 そもそも森林保健施設というものが、法律上明記されておりますように森林の現に有している諸機能に著しい支障を及ぼすものではない、こういうものとされておるわけでございます。それを担保するために必要な総量規制なりただいま御質問の技術的基準を定める、こういう体系になっております。したがいまして、この基準が客観的に森林の公益的な機能が確保される上で必要十分なものである必要があるわけでございます。そういった観点で、今私ども、その道の専門家でございます大学の先生とか研究者の方々、いわゆる学識経験者で技術基準の研究会を開いていただきまして慎重な検討を行っていただいてきております。一々その具体的な内容等を申し上げてもよろしゅうございますけれども、いずれにしても現在におきます学問的と申しますか技術的な知見の上に立ちまして、必要十分なものとして客観的な科学的な根拠のあるものとしてこれは決めてまいりたいと考えております。
  61. 山原健二郎

    ○山原委員 学識経験者による中間報告、その点が本当に妥当なものであるかという点で専門的な検討が必要だと私は思います。同時に、省令委任事項でございまして、国会の審議とか承認なしに変更が可能になるわけですね。農地転用基準などが法改正なしに通達でどんどん緩和されていくという経験をしているわけでございまして、その点では懸念が残ると思います。  次に、本法の七条、八条の特別措置について、特に八条の保安林における制限の特例について伺いたいのですが、現行森林法の第三十四条では保安林における制限を大変厳しく定めております。原則的には、知事の許可なく、一、立木の伐採、二、土地の形質変更行為を禁じ、また伐採後の植栽義務を定めているわけですね。これが本法案の特例によって保健機能増進区域に認定されれば、この制限を受けず森林保健施設をつくるための保安林伐採、開発ができるということになるわけです。林野庁側では、森林保健施設設置について知事が認定するので重複を避けたと説明をされるわけです。けれども、現行の森林法では、こうした規模の保安林開発は本来知事の許可ではなくて、保安林の解除手続をとらなければできないのではないか。テニスコートや宿泊施設など造成、建設するとなれば、そこは実態として保安林ではなくなる。それを知事の認定で開発可能にし、植栽義務を免除するというのは規制の緩和ではないかと思いますが、これは規制緩和ではありませんか。
  62. 甕滋

    ○甕政府委員 この森林保健施設の設置に当たりましては、先ほど申し上げましたように厳格な基準に基づいてこれが初めて認定されるということでございまして、森林の保全と両立する限度で許されるものでございます。これが手続から申しましても知事がこれを認定するということで担保されておるわけでございます。その場合に、三十四条の保安林の許可の点お触れになりましたけれども、同様にこれは知事が判断をして許可をするということでございますので、今申し上げた森林保健施設として適格であるという認定を行いました場合には、同じ判断が既になされておるということでございまして、二重許可防止の観点からそういった保安林内における許可は不要ということにしておるものでございまして、決して規制の緩和ということではございません。  なお、ただいまお触れになりました中で保安林の解除ということがございましたけれども、これは三十四条の許可とはまた全く別物でございまして、保安林を保安林でなくす、森林でなくす、いわゆる開発のための転用、こういうようなケースでございます。こういった場合は、確かに同じレクリエーション施設、スポーツ施設といっても極めて大規模なものについてはそのような形で設置をされるということでございますから、これはこれまでどおりその解除の手続で行う必要があるということでございます。したがいまして、念のため申し上げますと、この森林施業計画の認定というものが保安林の指定の解除に代替するものではなくて、保安林の指定の解除は今までどおりあるわけでありまして、三十四条の立木伐採の許可とかそういうものは二重手続防止の上で不要とする、これに代替する、こういう関係になるわけでございます。     〔委員長退席、柳沢委員長代理着席〕
  63. 山原健二郎

    ○山原委員 この法案における森林とは、森林法に規定する森林と同じであると定義をされております。森林法に言う森林とは、一つは「木竹が集団して生育している土地及びその土地の上にある立木竹」、二つ目は「前号の土地の外、木竹の集団的な生育に供される土地」と規定をされております。テニスコートや宿泊施設や食堂など、明らかにこの定義からははみ出すと思われるのですが、それを保安林イコール森林とするならば、森林の定義の改正の必要が出てくるのではないかと思いますが、この点はどういうふうな解釈をされておりますか。
  64. 甕滋

    ○甕政府委員 森林の定義はただいまお述べになったとおりでございます。どういうことかと申しますと、集団的な概念で木竹の生育に供されておる一まとまりの森林について、それが森林である、こういうことでございます。したがいまして、その森林性を失わない範囲でその中における一定の限られた規模の施設整備を行うということは、その一団の一まとまりの森林の中において一体となって森林として定義をされるというふうに考えております。ただ、もちろんその施設そのものをとらえまして、テニスコートでありますとかほかのどんな施設にいたしましても、その施設の用に専ら供されるということになりますと、それは当然その用途に応じた地目ということになるわけでございますけれども、それはこの定義の上でも、例えば農地とか宅地とかいうものとは別である、こういうことも触れられておるところでございまして、結論的に申しますと、森林性を失わない範囲で設置された施設もいわばのみ込んだ形で一団の森林というものが定義されておるというふうにお考えいただきたいと思います。
  65. 山原健二郎

    ○山原委員 ちょっと納得しませんけれども、時間の関係で先へ進みたいと思います。  リゾート法あるいは国有林にかかわるヒューマン・グリーン・プランにおいても、民間事業者の能力の活用ということが重視されております。本特別措置法案に基づく事業について、森林組合員などのほかに、森林保健施設の整備、運営について経験あるいはノーハウの蓄積のある民間事業者が積極的に参加し得ると思いますが、その点はどうか。また、行政側といたしまして、それを積極的に推進するつもりなのかどうか。この点を簡明に答えてください。
  66. 甕滋

    ○甕政府委員 保健森林の運営等に、民間資本とおっしゃいましたが、大いに関与してくるのではないか、こういう御指摘かと思います。  これは現状を見ますとそういった例はないわけではございませんけれども、そんなに多くはないように思います。と申しますのは、やはり地元におきまして森林組合とか森林所有者等が中心となってこれをやっていこうということが、何といってもベースになっております。これからもそういうことであろうと思います。でございますから、もちろん地元の総意によって民間資本なりを導入するということを否定するものではありませんけれども、主流といたしまして地元の方々の主体性のもとにこれが行われていくというふうになると思っておりますし、また、そういった方向で地方公共団体なり、森林組合なりの積極的な参加を促してまいりたいと考えております。
  67. 山原健二郎

    ○山原委員 この法案についてちょっと私の感想を申したいのですが、一九七〇年代、列島改造政策が進められた当時は、国や地方自治体によって乱開発を規制するための措置がともかく曲がりなりにも整備されておったと思うのです。例えば投機的土地保有を抑えるための特別土地保有税、あるいは林地開発を規制するために森林法を改正して林地開発許可制度などが創設をされました。県レベルでは、ゴルフ場設置申請を一時凍結するなどの規制もとられたわけですね。ところが、いわゆるリゾート法の制定以降、大規模リゾート開発が次々と計画、推進されております。これらのリゾート構想につきもののゴルフ場は第三次ブームに入ったと言われておりますが、日経新聞の本年の六月の報道によりますと、既存のゴルフ場は千六百十九、建設、計画中を含む八八年末の総数は、前年よりもさらに二百四十一カ所ふえまして二千四百八十五カ所になると報道されております。農水省が昨年の六月にゴルフ場建設を目的とした農地転用の許可規制を計画地のおおむね二割から五割未満にするなど、さまざまな規制緩和措置がとられているわけです。  こうした事態に対して、いわゆる乱開発による自然環境破壊あるいは開発に伴う土地投機、地価高騰などを懸念する声が強まっております。農山村では考えられないような地価高騰で、農業や林業をやっていくことがばからしくなるような状態さえ生じていることもマスコミで報道されているわけです。私はここへ、NHKのテレビの「おはようジャーナル シリーズ・リゾート地はいま……」の取材の、これは日本評論社からNHKテレビを基礎にしたものが出ておりますけれども、かなり深刻なものがあるわけです。よかれと思って法律がつくられても、それが幾らか年月がたっていくと全く違った様相が出てくるということを考えますと、これらの法案についてはやはり慎重な態度をとるべきであろうというふうに思います。そして、その基礎に日本の林業が今日のような荒廃をさせられてきた問題があるわけでして、ここのところに大きく目を向けないと、これはどうにもならないという事態がさらに深化していくのではないかと心配しております。西ドイツの場合はアルプスの山岳農業と都市の結合というふうな、いわゆる企業がリゾートをどんどん進めていくのではなくて、山岳農業というものを振興させていくという観点から、都市と農業との結合といいますかそういう一定の教訓もある時代でございますから、そういう意味で私は、本当に日本の農林業をどう発展さすかということが、この機会に本格的に論議される必要があるのではないかというふうに思います。  いま少し時間が残っておりますので、きょう、私も森林議連という超党派の議員連盟の一員でございますし、恐らく皆さんもそうだと思いますけれども、これは丹羽兵助議員が会長をしておりますが、「日本森林の復元を求める決議」を今度、山林振興連盟へ提出をすることになりまして、その決議案が今回ってきたところです、その中に、「しかし、いまの日本森林は荒廃しつつあります。外国から輸入される安い木材におされ、林業や木材関連産業も経営が成り立たなくなっています。」これはその中の一部でございますけれども、本当に今日の事態の根源に対して指摘をしておると思いまして、私もこの決議に賛意を表明しているわけでございますが、今度アメリカ政府の包括通商法スーパー三〇一条、これによりまして適用品目に日本木材製品を指定いたしました。米通商代表部が日本木材製品市場に貿易障害があると認定したわけですね。その認定した理由は、林野庁長官、あるいは農水大臣でも結構ですが、どういうふうに把握されておりますか。     〔柳沢委員長代理退席、委員長着席〕
  68. 甕滋

    ○甕政府委員 アメリカがスーパー三〇一条に基づく優先慣行、これはアメリカが貿易自由化を求めていく上で優先的に取り上げる他国の貿易慣行ということでございますが、優先慣行を認定した。その際、その慣行の除去によってアメリカの輸出が増大する可能性のあるものを選定したということが先方の発表しておるところでございます。  なぜかというお尋ねでございますが、私どもとしては、これまでの経緯あるいは輸入の実態等からいたしまして合点がいかないわけでございますが、先方としては、認定に先立ちまして関係者の意見聴取等が行われた際に、木材関係業界あるいはアメリカの北西部を中心とする関係議員等から、木材製品の輸出拡大を図るために林産物を取り上げろ、こういうような強い要求があったということは承知しております。
  69. 山原健二郎

    ○山原委員 今回の米側の態度というのは本当に理不尽だと私は思います。我が国木材市場開放問題では、一九八六年の日米協議に基づきまして二度にわたって関税の引き下げを実施したわけですね。一五%ないし二〇%だったものを、現在一〇ないし一五%の水準に引き下げをしまして、また一昨年には建築基準法まで変えて、いわゆる準防火地域での木造三階建て住宅建築を認める措置をとるなど、米国側の要求はのんできたはずですね。その結果、米国の対日木材製品輸出額は二倍以上にふえているわけです。八六年の場合に三億六千六百万ドルであったものが、八八年には七億九千百万ドル、二倍以上に増加しております。さらに、木材製品の関税水準が我が国よりアメリカの方が高くなっているわけですね。例えば米国の針葉樹合板の関税率は最高二〇%程度の水準になっておると思います。また、この間の米国からの木材製品輸入急増のもとで日本の製材、合板会 社が相当数倒産に追い込まれているという実情が出ておりまして、これは御承知のように、今回の問題について業界四団体が意見書を出しておりますが、その中には、この二年間の我が国の製材、合板工場の倒産は実に六百七十九工場、こういうふうになっているわけでございます。こういう状況であるにかかわらず、さらにもう一つ譲歩せよ、もう一つ譲歩せよ、まさに根元まで譲歩せよと言わんばかりのアメリカの要求はまことに理不尽なものと言わざるを得ません。  そういう意味で、木材資源の大規模な海外依存姿勢の転換を図るべきだと私は思いますが、この深刻な事態について林野庁としてはどういうお考えを持っておりますか。
  70. 甕滋

    ○甕政府委員 今、国内の林業が資源の造成過程にあるということもございまして外材の輸入が七割を占める、こういう需給事情にあることも事実でございます。しかしまた一方、山村の過疎化、老齢化といったものの中で大変厳しい状況に置かれておるという実態もございます。そういったことを踏まえまして、私どもとしましては、国内におきます一千万ヘクタールに及ぶ森林資源が二十一世紀に本当に国産材時代が迎えられるような体制整備を今から鋭意充実強化していくということを念頭に、諸般の林業政策に力を注いでおるところでございます。
  71. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に大臣に御見解を伺って私の質問を終わりたいと思いますが、木材市場の開放が進む中で我が国の林業は本当に窮地に追い込まれて、山村は過疎化など疲弊に苦しんできました。最初に私は、山を培うことを忘れた国は滅びるという言葉を使ったわけでありますけれども、二十五、六年前、当時はまだよかったのですよ、それからもう次第に悪くなってしまって、宝の山が目の前にあるのに貧乏しなければならぬ、間伐をする人もいないという状態に追い込まれてきまして、その中で、せめて外材の入る率を減らしてもらいたいというのが当時の林業に携わる人たちの切実な要求であったことは、皆さんもう御承知のとおりです。ところがやはりそれが深化している。ここのところの政策上の切りかえなしに山村活性化と言っても、そんなに説得力はないのではないかというふうに私は思いますね。  だから、よかれと思ってやったことが、結果、年月がたってみると全く違った状況に陥る、深刻な事態が生ずるわけです。しかも今、御承知のように地球的環境問題がクローズアップされまして、世界の事態がどうなるかわからない。しかも日本は海外へ行ってどんどん木を切りまくっている。二十年前にアマゾンに行ったときに、あそこで日本の商社がアマゾンのジャングルをどんどん切っている姿を見て、あの国の人たちが、日本の商社は一体何を考えているんだろうか、このアマゾンのジャングルで地球の六分の一の酸素を生み出しているんですよということを言われましたが、今やこれはアマゾンだけでなくて、ニューギニア、ボルネオを初め、一帯でそういうことが行われている、そして国内の林業はどんどん落ち込んでいるというこの事態を、農林大臣も本当に深刻に受けとめておられると私は思います。その意味で、この事態についての農水大臣としての御見解をお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  72. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 やはり国民全体で国内産の重要性というものもこれまた認識をしていかなければならない。同時に、今林野庁長官から申し上げましたとおりに、二十一世紀には国内産の一千万ヘクタールの人工林も主伐期を迎えるわけでございますから、そういう中で国内に対しまして供給できるようなしっかりとした体制を組んでいくことが大事なことだ、このように考えているところであります。
  73. 山原健二郎

    ○山原委員 時間がありますけれども、これで終わります。
  74. 近藤元次

    近藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  75. 近藤元次

    近藤委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。鳩山由紀夫君。
  76. 鳩山由紀夫

    ○鳩山(由)委員 私は、自由民主党を代表して、森林保健機能増進に関する特別措置法案について賛成の討論を行うものであります。  近年、物の豊かさに加え、心の豊かさ、ゆとりある生活が求められております。また、みどりの日の制定にも見られますように、国民の緑あふれる森林への関心は高くなっております。都市住民は、森林浴に代表されるように、森林に触れ、森林に親しみたいという強い期待を持っているのであります。一方、過疎化、高齢化が進む林業、山村の側からは、保健休養の場としての森林整備し、都市と山村の積極的交流、都市住民の林業への理解と協力等を通じて林業、山村の活性化を図ることについて強い要望があります。関係団体からも、地域創意工夫のもとに保健休養の場としての森林の利用が促進されるよう、法制度における位置づけの明確化、保健休養の場を整備していく上での円滑な合意形成の手法の確立、手続の円滑化等について要望が出されているところであります。また、森林の保全と両立する施設整備のためのルールづくりも重要となっております。  本法案は、以上のような国民の林業、森林に対する新しいニーズに応じつつ、山村地域活性化を図るため、保健休養の場に適した森林について、その保全と両立する利用の促進を目的とするものであります。  すなわち、本法案においては、林業関係者の間に定着している森林施業計画を中心とした森林計画制度を活用することにより、地域森林所有者の主体性のもとに、森林施業と施設整備計画的かつ一体的推進の確保森林所有者の合意形成の手法の確立等が図られるようになっております。  また、本法案においては、森林保全のための措置として、森林の諸機能に著しい支障を及ぼさない施設整備の基準が明確になっているとともに、認定された計画に反する施設整備等の場合には原形復旧命令等森林法の監督権限が行使できるようになっており、森林保全にも十分な配慮がなされております。  以上申し述べましたように、本法案が早急に成立し所要の措置が講じられますことが、山村地域活性化し、均衡ある地域経済社会の発展を図る上で不可欠のものと考えられますので、本法案に賛意を表しまして私の討論といたします。(拍手)
  77. 近藤元次

    近藤委員長 次に、藤田スミ君。
  78. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、森林保健機能増進に関する特別措置法案に対し反対の討論を行います。  我が党は、従来から、国公有林中心にスポーツ、レクリエーション施設などを適切な規模で設置し、活用することを提唱しており、森林教育的、文化的活用そのものに反対するものではありません。そして、それは現行法で可能であります。また他方、森林が地球の生物資源環境、気候、災害に及ぼす役割、影響は大きく、森林の喪失、破壊をどう最小限に食いとめるかということこそ、今日最も問われている課題であります。  このようなとき、本法案の最大の問題点は、保健機能増進を図ることを名目に保安林の解除手続なしに保安林区域内の開発行為を認める点であります。指定解除の手続もなしに開発が認められ、また伐採後の植栽の義務も免除することは、森林の荒廃を招くばかりか、保安林行政を形骸化するものと言わざるを得ません。  第二の問題点は、列島改造のとき、その乱開発を食いとめるために創設された林地開発許可制度を骨抜きにする点であります。  法案の質疑で明らかになったように、従来地域森林計画の対象となっている一ヘクタール以上の民有林の開発には都道府県知事の許可を必要としていたものを、保健施設を整備する場合は適用除外としています。保健機能森林の規模は三十ヘクタール以上、保健施設開発面積はその最大三〇%でありますから、これだけの開発が都道府県知事 の許可なく行われることになり、この規制措置を骨抜きにするものであります。また、省令により将来この開発面積が拡大する可能性もあり、まさに森林の乱開発を促進するものであります。  第三に、現在の保安林制度においては、保安林の解除に際しては、利害関係人がそれに異議のあるときは意見書の提出、公開の聴聞を行うことができるだけでなく、解除に際して開かれる森林審議会の内容についても情報公開によってその内容がわかるなど、関係者に対する配慮があります。しかし今回の法案では、総面積の三〇%もの開発が認められても、保安林の範囲内ということで意見書も出せない、聴聞も開けないなど、住民の側から乱開発抑制の手段を奪うものとなっています。  今、緑を守る世論、住民運動が高まっているときに、この法案は明らかにそれに逆行していると言わざるを得ません。  最後に、この法案は、日経連が八八年三月に行革審に出した要望書でも明らかなように、一、保安林内の林地開発にかかわる手続の簡素化、二、森林施業計画制度の弾力的運用といった財界の要望にこたえリゾート開発を推し進める法案であることを指摘して、私の反対討論を終わります。
  79. 近藤元次

    近藤委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  80. 近藤元次

    近藤委員長 これより採決に入ります。  第百十四回国会内閣提出森林保健機能増進に関する特別措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  81. 近藤元次

    近藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  82. 近藤元次

    近藤委員長 この際、本案に対し、柳沢伯夫君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。串原義直君。
  83. 串原義直

    ○串原委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表して、森林保健機能増進に関する特別措置法案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     森林保健機能増進に関する特別措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、森林・林業の置かれている厳しい状況を踏まえ、林業活性化のため林政各般にわたる積極的な施策の推進を図るとともに、本法が、森林保健機能増進に対する国民の要請に積極的に対応し、これを通じ林業・山村の活性化に資することを目的としていることにかんがみ、その施行に当たっては、左記事項について遺憾なきを期すべきである。       記  一 森林保健機能増進するに当たっては、森林の乱開発につながることのないよう、自然環境の保全に十分配慮し、森林の諸機能との調和を旨とした実施に万全を期すること。  二 保健機能森林の設定に当たっては、地域の意向が反映されたものとなるよう指導すること。    また、比較的規模の大きい森林保健施設の整備を内容とする森林施業計画について都道府県知事が認定を求められた時は、必要に応じ、都道府県森林審議会の意見を聴く等、関係者の意向を充分反映させて認定するよう指導すること。    さらに、保健機能の場として整備を進めるに当たっては、都市と山村の交流、就業機会の増大等地域活性化に資するものとなるよう指導すること。  三 森林保健機能増進計画の認定に係る総量規制及び技術基準については、小流域毎に適用することをはじめ、国土の保全、水源のかん養、生活環境の保全等の森林の諸機能に支障を及ぼさないものとなるよう適切な策定を行うとともに、同計画の認定に当たっては、厳正な審査が行われるよう指導徹底に遺漏なきを期すること。  四 森林組合、地方公共団体等による森林保健機能増進の円滑な推進を図るため、関連予算の確保等に努めること。  五 森林保健機能増進のための担い手として期待される森林組合系統が積極的な参画を行うよう指導に努めること。  六 森林保健施設の管理に当たっては、施設排水、土砂流出、農薬過剰使用などによる環境汚染などの防止にも十全を期すること。  七 国有林野は公益的機能の十全の発揮に努め、保健機能増進のための活用に当たっては、国有林事業の管理運営との適切な調整を図るものとすること。  八 森林の有する公益的機能の維持・増進、秩序ある森林開発の確保等のため、保安林制度及び林地開発許可制度の運用についても遺憾なきを期すること。   右決議する。 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  84. 近藤元次

    近藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  柳沢伯夫君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  85. 近藤元次

    近藤委員長 起立総員。よって、本案に対し、附帯決議を付すことに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。鹿野農林水産大臣
  86. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。     ─────────────
  87. 近藤元次

    近藤委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 近藤元次

    近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  89. 近藤元次

    近藤委員長 次に、第百十四回国会内閣提出農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。  まず、趣旨の説明を聴取いたします。鹿野農林水産大臣。     ─────────────  農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  90. 鹿野道彦

    鹿野国務大臣 農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  この法律案は、公的年金制度の一元化へ向けての条件整備の一環として、他の共済年金各制度と 同様に、農林漁業団体職員共済組合制度について、農林漁業団体の役職員の老後保障等の充実に資するよう給付の改善を図る等所要の措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、農林漁業団体職員共済組合制度に基づき給付する年金につきましては、平成元年十月から、標準給与の再評価、定額単価の引き上げ等を行うことにより、その給付水準を引き上げることといたしております。  第二に、本制度による年金額の物価スライドにつきましては、最近における消費者物価の安定的推移等にかんがみ、これを平成二年度から完全自動物価スライド制に改めることといたしております。  第三に、組合員である間に支給する年金につきましては、従来、標準給与の高低に応じて三段階であった支給割合を、五段階に改めることといたしております。  第四に、年金の支給期月につきましては、従来の年四期を、年六期に改めることといたしております。  第五に、平成元年度における年金額につきましては、物価スライドの特例措置として、昭和六十三年の消費者物価の対前年上昇率を基準として、四月分以後の年金額を改定することといたしております。  最後に、今回の制度改正の施行期日につきましては、平成元年度における物価スライドの特例措置は公布の日と、その他の措置は平成元年十月一日といたしております。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  91. 近藤元次

    近藤委員長 次に、補足説明を聴取いたします。塩飽経済局長。
  92. 塩飽二郎

    ○塩飽政府委員 農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。  この法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容につき、若干補足させていただきます。  第一は、年金の給付水準の引き上げについてであります。  年金額のうち給与比例部分につきましては、その算定の基礎となる標準給与の月額を再評価することといたしております。この場合、再評価率といたしましては、すべての被用者年金制度における組合員及び被保険者の給与の上昇率を勘案した率を用いることといたしております。  また、年金額のうち定額部分につきましては、基礎的消費支出の増大等に即して、基礎年金の額の引き上げに準じた額の引き上げ等を行うことといたしております。  なお、これらの措置による給付水準の引き上げは、平成元年十月から実施することといたしております。  第二は、年金額の完全自動物価スライド制の導入についてであります。  年金額の改定につきましては、消費者物価の変動率が五%を超えた場合に限り政令により自動的に行うこととなっておりますが、最近における消費者物価の安定的推移等にかんがみ、平成二年四月分以後、消費者物価の変動率を基準として、政令により自動的に年金額の改定を行うことといたしております。  第三は、組合員である間の年金の支給の改善についてであります。  組合員である間の年金の支給割合につきましては、その組合員の標準給与の等級の高低に応じて二割、五割及び八割の三段階となっておりますが、よりきめ細かな給付対応を行うため、二割、三・五割、五割、六・五割及び八割の五段階に改めることといたしております。  第四は、年金の支給期月の変更についてであります。  年金の支給期月につきましては、二月、五月、八月及び十一月の年四期となっておりますが、受給者の便宜を考慮して、二月、四月、六月、八月、十月及び十二月の年六期に改めることといたしております。  第五は、平成元年度における物価スライドの特例措置についてであります。  平成元年度におきましても、一昨年度及び昨年度に引き続き、年金額の実質的価値を維持するため、特例として昭和六十三年の消費者物価の対前年上昇率を基準として年金額の改定を行うことといたしております。  なお、本改定措置は、平成元年四月分から九月分までについて行われるものであり、同年十月分からは、さきに申し述べました給付水準の引き上げを行うことになっております。また、平成二年四月分からは、さきに申しました完全自動物価スライド制により、年金額の自動改定を行うこととしております。  以上のほか、標準給与の等級の上限を従来の四十七万円までの二十八等級から五十三万円までの三十等級に改めること、農林漁業団体職員共済組合の余裕金運用の具体的方法を政令に委任すること等所要の規定の整備を行うこととしております。  以上をもちまして、この法律案の提案理由の補足説明を終わります。
  93. 近藤元次

    近藤委員長 以上で本案の趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時九分散会