運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1989-11-22 第116回国会 衆議院 地方行政委員会交通安全対策特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月二十二日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員   地方行政委員会    委員長 小澤  潔君    理事 大野 功統君 理事 金子 一義君    理事 渡海紀三朗君 理事 松田 岩夫君    理事 山下八洲夫君 理事 岡田 正勝君       佐藤 一郎君    中山 利生君       中山 正暉君    野中 英二君       山村新治郎君    加藤 万吉君       佐藤 敬治君    中沢 健次君       細谷 治嘉君    安田 修三君       吉井 光照君    経塚 幸夫君       寺前  巖君   交通安全対策特別委員会    委員長 正木 良明君    理事 江口 一雄君 理事 岡島 正之君    理事 片岡 武司君 理事 関谷 勝嗣君    理事 柳沢 伯夫君 理事 関山 信之君    理事 山田 英介君       左藤  恵君    東   力君       二田 孝治君    早川  勝君       大矢 卓史君    辻  第一君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     渡部 恒三君  出席政府委員         警察庁長官   金澤 昭雄君         警察庁長官官房         長       浅野信二郎君         警察庁交通局長 関根 謙一君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       加美山利弘君         運輸省運輸政策         局長      中村  徹君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      松波 正壽君         建設省道路局長 三谷  浩君         自治省財政局長 持永 堯民君  委員外出席者         警察庁交通局運         転免許課長   滝藤 浩二君         文部省体育局学         校健康教育課長 石川  晋君         特別委員会第一         調査室長    寺田 晃夫君         地方行政委員会         調査室長    渡辺  功君     ───────────── 本日の会議に付した案件  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出、第百十四回国会閣法第七八号)      ────◇─────
  2. 小澤潔

    小澤委員長 これより地方行政委員会交通安全対策特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行います。  第百十四回国会内閣提出道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付してあります資料により御了承願うことといたします。  これより質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関山信之君。
  3. 関山信之

    関山委員 おはようございます。きょうは私、交通安全対策特別委員立場から、道交法改正並びにこれにかかわる問題について御質問をさせていただきます。  既に御承知のとおり、昨年交通事故死一万人突破という事態を迎えて、まさに第二次交通戦争と呼ばれる事態が続いておるわけでございますけれども、私ども交通安全対策特別委員会といたしましては、昨年来この事態をつとに予測をいたしまして、さまざまな議論や施策を求めて委員会での議論を尽くしてきたところでありますし、早くに委員会特別決議までいたしまして、今日あるを予測しながらさまざまな対応を求めてきたところでありますが、残念ながら依然としてこの趨勢が改まらないということでございまして、それぞれ関係各省とも必死の御努力を現場で進めていらっしゃることは十分承知をいたしておりますが、なおひとつ、この時期、この道交法改正を契機にいたしまして、何としても一日も早くこういう事態を収束させるために全体の御努力を積み重ねていただきたい、こういうふうに念じておるところでございます。  この交通事故緊急事態、第二次交通戦争と呼ばれている状況認識について、私は最近いささか不安の思いを強めています。申し上げましたように、各省の御努力は御努力なんですけれども、一体、国全体としてこういう事態認識がまずもって統一をされているのであろうかという思いを深くいたしております。特に、過日行われました交通安全対策特別委員会の冒頭、我が党の永井委員から、今回の海部内閣成立に当たって施政方針演説交通安全の問題に一言も触れられていない、リクルートのリの字もなかったようでありますが、交通安全のコの字もなかった、こういうことでありまして、これはいささか問題だという指摘があったわけでございます。  そういう状況も踏まえて、実はこの間、その交特委員会のときに「人と車」という雑誌が二冊配付されまして、たまたまそれを見ておりましたら、二つの「交通安全ニュース」というのがそれぞれの号に載っておりまして、一つの号では「秋の全国交通安全運動結果」について、「運動期間中の死者は三百二十人 昭和四十九年以降で最悪の死者数」という見出しの記事一つございます。もう一つの方の雑誌は「交通事故死者三十年間の推移 三十年間免許人口十万人当たり死者は七分の一に減少」、これは客観的な事実としては別に間違っているわけでも何でもないのですよね。ないのですが、これを見ていてふとそう思ったのですよ。大変だ大変だと言いながら、余り大変でもないのじゃないかという意識がどこかにあるのじゃないのだろうか。まず、これはいかがですか。
  4. 関根謙一

    関根政府委員 お答えを申し上げます。  現下の交通情勢につきましては、いわゆる第二次交通戦争と言われても過言でないような極めて憂慮すべき事態であるということは、私ども十分に認識しているところでございます。  それとあわせて、「人と車」という雑誌で、過去三十年間にわたる車両保有台数死亡者数との関係運転免許人口数事故死者数との関係を客観的な資料として分析をしたわけでございますが、これは私どもといたしましては、過去三十年間にわたる、私ども警察努力も含めまして、いろいろな方々努力というものはそれ相応の努力のしがいがあることだということを示す資料といたしますとともに、昭和六十二年を最低の数値といたしまして、六十三年、それから平成元年に至りましては、例えば車両一万台当たり事故死者数も、昭和六十二年が一・八であるのに六十三年はそれが一・九になり平成元年はさらにそれを上回るおそれがあるということで、第二次交通戦争というものは、第一次交通戦争のように絶対数だけ が多いというのみならず、相対的な数値も増勢に転じてきているという大変難しい事態であるということもあわせて想起してもらいたいということで、あのような分析をしたものでございます。
  5. 関山信之

    関山委員 私、そのこと自体をどうこう申し上げようとは思わないのですけれども、申し上げましたように、白書なんかを見ますと、例えば国際的な比較なんかは、やはり免許人口十万人当たりとか自動車台数一万台当たりとかという数字比較をなさるようですね。私は、そのことがむだだとか意味がないとかということを申し上げるつもりはありませんけれども、しかし今日の事態というのは、車の台数が非常に急速に伸びている、免許者の数もふえている、そこで一台当たりとか免許人口当たりというのは、そういう認識をどこかに置くこと自体がやはり気持ちの上でどこかに逃げ場所をつくることになるんじゃないか。そういう意味で、ここではしばらくそれはどこかに置いておく、お蔵の中へ入れておくぐらいのことがなければならぬ、そういう態度が必要じゃないかと思ったものですから申し上げておるわけです。  それからもう一つは、緊急事態認識について、事故件数そのものはそう急速に伸びているわけじゃない、死亡事故がふえているところに特徴があるというふうに思うのでありますが、そこら辺はいかがでありますか。この記事そのものがどうこうという弁明を伺おうと思っているわけではありませんけれども事態認識について改めてしっかりさせておいていただきたい、こう思います。
  6. 関根謙一

    関根政府委員 御指摘のように、私ども死亡事故そのものがふえているということを極めて重視し、私ども対策としてもその点に最重点を置いて死亡事故の抑止に努力をしているところでございます。  最近の、第二次交通戦争と言われても過言でないような事態というものについての私ども死亡事故を中心とした認識でございますが、昭和六十三年は死亡事故件数が全体で九千八百六十五件、死者数は一万三百四十四人であります。この死亡事故件数のうち九〇%を占める八千八百十七件が自動車原因とする死亡事故でございます。その自動車事故の四割が若者原因とするものでございます。また、ことし、平成元年十月までの件数でございますが、死者数は八千九百九十八人でございますが、事故件数といたしますと八千五百八十八件でございます。そのうち自動車原因でありますものが七千六百九十二件、これも九割ほどでございます。そのうちの四割がやはり若者加害者といいますか第一当事者とする事故でございます。この若者加害者になりお年寄りが被害者になるといったようなパターンが極めて不安な事態ということで、第二次交通戦争として極めて厳しく受けとめているところでございます。
  7. 関山信之

    関山委員 人の命は地球よりも重いという言葉がございますが、交通事故による損失はお金で勘定できるようなものではないでしょうけれども経済的な損失というものは大変なものがあるわけです。シートベルト議論のときなんかも、自分の身を守るのは強制されなくてもいいじゃないかという議論の中で、何も自分だけ損をするというものじゃないよという話もあったぐらいでございますけれども、この経済的な損失計量化ということについては、総務庁試算をしたことがあるのでしょうか。また、どこかでそういう計算をしている例があるのか、あるとすればどの程度のものか、参考のためにこの際お聞かせをいただきたい。
  8. 加美山利弘

    加美山政府委員 お答えいたします。  交通事故による経済的損失についてでございますけれども、どの範囲のものを交通事故による損失としてとらえるべきか、一概に推計することは困難な問題であろうかと存じますが、交通事故による経済的損失の推計を試みたものといたしましては、昭和六十一年に明らかにされたものがございます。民間の研究団体である日本交通政策研究会による試算がございます。これは交通事故による損失計量化できるものに限りまして、死亡、傷害、後遺症等に伴う人的損害車両構造物等物的損害救急搬送費、訴訟、裁判等の費用に整理し推計したものでございます。  これによりますと、昭和五十七年の交通事故状況のもとでは、交通事故による経済的損失は約三兆三千億に達するものと見込まれているということでございます。それを活用いたしまして、昭和六十一年の交通安全白書に「昭和五十七年の時点で年間約三・三兆円に上るものと見込まれており、その後の所得の向上、物価の上昇等を考慮すれば、現在では年間約四兆円に達し、我が国の一般会計予算国債費を除く。)のほぼ一割に相当するものとみられる。」というふうに取り上げてございます。  以上でございます。
  9. 関山信之

    関山委員 ところで、交通安全の五カ年計画が来年度で終わろうとしているわけですけれども、この達成状況見込み事業量事業費別に、できましたら補助事業分地方単独事業分に区分けして、パーセントで丸めた数字で結構ですから、お聞かせをいただきたい。
  10. 関根謙一

    関根政府委員 第四次五カ年計画といたしましては、特定事業一千百五十億円、地方単独事業三千六百八十億円、合計四千八百三十億円で現在実施中でございます。  事業量といたしましては、信号機で、特定事業の方は、これは沖縄信号機のみでございますが百二十一基、地方単独事業で一万一千二百八十一基、合計一万一千四百二基、これが五カ年で達成することを目的としております全体の数でございます。  平成元年度までの進捗状況でございますが、特定事業の方は八百九十七億円、七八%の進捗率、これは対計画比では一〇〇%を超えております。他方、地方単独の方は平成元年九月補正までで二千六百三十七億円、進捗率七一・七%、対計画比九二・六%というところでございます。信号機の方では、沖縄関係では九十四基、進捗率七八%。それから地方単独の方では一万五百四十五基、進捗率で九三%というところでございます。
  11. 三谷浩

    三谷政府委員 お答えいたします。  建設省の方では、道路交通の安全と円滑の確保のための道路交通環境整備という観点で仕事をしております。御案内のとおり、道路の新設あるいは改築に当たりましては、歩車分離をした道路であるとか自動車専用高速道路など安全性を充足した道路整備を行っておりますが、既存道路につきましては、今先生からお話がございましたように、特定交通安全施設等整備事業五カ年計画を実施しております。  現在実施しております第四次の五カ年計画、これは総額が一兆三千五百億円でございますが、ちょうど同計画の三年度目に当たります昭和六十三年度末、調整費二千億円を除きます計画額一兆一千五百億円に対しましては進捗率が五九・二%でございます。それから、平成元年度は事業費を二千三百三十六億円、前年度に対しまして五%伸ばしておりますが、この金額をもって事業を実施しております。したがいまして、平成元年度末の進捗率は七九・五%でございます。  なお、平成年度概算要求につきましては、前年度対比で四%増の二千四百二十九億円を要求しております。この場合、同計画最終年度達成率は一〇〇・六%となる、こういう見込みでございます。  それから、事業量の方の達成率はいかがかという御質問でございました。  私どもがやっております五カ年計画の中身としましては二種類ございまして、一つ一種事業と言っております。これはどちらかといいますと道路本体歩道であるとか交差点、こういうものでございます。もう一つの方は二種事業ということで、防護さくであるとかあるいは道路標識区画線、こういうような附属物整備しております。  この種類はたくさんございますので、その一つとして、交通弱者であります歩行者あるいは自転車利用者方々の安全を確保するために私どもが最重点整備をいたしております歩道等について 申し上げれば、平成元年度で第四次五カ年計画では八千三百七十二キロ整備しようということでございますが、平成元年度の達成率が六八・八%でございます。それから平成年度、これは現在概算要求中でございますから、このとおり仮に執行されたといたしますと達成率といたしましては八四%程度でございます。  以上であります。
  12. 関山信之

    関山委員 道路局長、お時間があるようですから重ねてお伺いをいたします。  五カ年達成時で事業量としては八四%という数字ですね。これは、調整費関係は残してということになりますか。
  13. 三谷浩

    三谷政府委員 先ほど申し上げましたように、四次五カ年計画は一兆三千五百億円のうち調整費が二千億ございます。四年度までの事業の執行につきましてはその調整費除きでやっておりましたけれども最終年度についてはこの調整費を何とか取り崩していただきたいということで、現在財政当局と折衝中でございます。
  14. 関山信之

    関山委員 こういう時期ですからぜひひとつ頑張っていただきたいと思いますし、私ども立場からも財政当局への要望を申し上げたいと思います。  警察の方、これはあれですか、対計画比進捗率との間に乖離があるのは、事業費事業量関係なんでしょうか。先ほど御説明がありました対計画比では一〇〇%を超えているけれども
  15. 関根謙一

    関根政府委員 対計画比と申しますのは、五カ年の各年度ごとにそれぞれ数値を決めておりまして、それの達成率を申し上げたものでございます。
  16. 関山信之

    関山委員 五カ年終了時における見込みはいかがですか。
  17. 関根謙一

    関根政府委員 特定事業につきましては一〇〇%を上回る達成率と予定をしております。地方単独の方は一〇〇%を目指すということでございます。
  18. 関山信之

    関山委員 これは総務庁、今調整費お話を申し上げたのですけれども、三年後の計画見直しという問題と調整費の扱いは全体として既に行われているのか、これからどう始末しようとしているのか、今の御説明につけ加えて。
  19. 加美山利弘

    加美山政府委員 お答えいたします。  調整費の問題につきましては、先ほど建設省局長の方からもお話しございましたが、平成年度予算編成過程におきまして明らかになるものと存じております。(関山委員見直し」と呼ぶ)調整費の充当の件、見直しというようなことでございますが、それにつきましては平成年度予算編成過程で明らかになっていくものと存じております。  以上でございます。
  20. 関山信之

    関山委員 三年後というのはもう過ぎているのですが、その見直し作業というのはどういうことを当初言っていたかというのはあれですけれども作業はなかったわけですね。それともこの事態の中で何らかの見直しというのをやるのです
  21. 加美山利弘

    加美山政府委員 お答えいたします。  三年後ということでは、見直しはなかったということでございます。  以上でございます。
  22. 関山信之

    関山委員 こんな問題ばかりにかかわっているわけにはいかないのですが……。  ところで、今第四次のことなど伺ったりしているのも、第二次交通戦争とこれは金澤長官も既に公の席で言葉にされているようですけれども、この二年間死亡事故急増特徴原因というのは一体どういうことなのか。いろいろ言われているのですが、私ども白書を読みますと、それなり経済活動活発化だとか、台数免許人口急増だとか、人口高齢化だとか、若者初心者乱暴運転だとか、シートベルト着用率、ともかく六つばかり出てきている。それはそれで承知はしているんですけれども、やはり第一次交通戦争というものと性格はかなり異なってきているのじゃないだろうか。そこが詰まらないものですから、要するに原因特徴というものがしっかりとまだ整理がつきかねているという状況、しかしほぼつきかけているのかなという感じもしないでもないのですが、そこが定まらないものですから、集中的な、効果的な対策も出てこないということになるのじゃないかと思うのです。そこのところはどうごらんになっていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  23. 関根謙一

    関根政府委員 原因は、先生指摘のようにいろいろあろうかと思います。ただ、第一次交通戦争時代昭和四十五年をピークといたしますそのころと現在とでどういう点が違うかということを申し上げますと、もちろん量的な問題がございますが、そのほかに、社会経済活動活性化に伴いまして生活形態の夜型化でありますとか、高齢者人口増大、それに若者免許を取得する比率が高くなってきていること等、それにあわせまして道路構造の面、道路の総延長キロ数等がこれに必ずしも見合うものとなっていないこと等もろもろ要因が加わって、今回第二次交通戦争と言われますような事故死者数急増をもたらす要因をつくっていると考えております。
  24. 関山信之

    関山委員 そうとしかおっしやれないだろうけれどももろもろ要因ではもろもろ対策をやっていくほかないということにしかならないんですね。私が今そういうふうにお尋ねをしておりますのは、ある面でいえば第一次交通戦争というのは、経済高度成長にいわば交通安全施設等整備がついていかないという状況の中で交通事故が急速に増大をした。その後集中的な五カ年計画によって八千人台まで抑え込んだ。これは原因因果関係が今顧みても比較的はっきりするわけですね。しかし、今回の第二次交通戦争と呼ばれている状況は果たしてそれだけなのか。今第四次も伺っておりますが、もう一つ見直し作業の問題だとか調整費の問題だとか、もうちょっとちゃんとやってくれよという感じもしないではない部分もありますけれども、それはそれなりに行われていて、去年から一年間かけて議論しても、皆さんがいろいろなことをやってもなかなか騰勢がとまらないというのはもうちょっと別な、ソフトの面でのといいましょうか、ある種の社会病理現象的な交通事故のとらえ方というものがないと対応がずれてくるのではないかという意識があるものですから伺っているわけでして、私は今御見解を詰めて聞こうとは思いませんが、いずれにいたしましても、かつて委員会でも申し上げたことですが、分析、解析についてこれまた各省庁それなりにやっていらっしゃるのですけれども、この事態を受けての総合的な調査体制というのでしょうか、研究体制というものをやはりきちっとしていただいて、これは当然総務庁ということになるのでしょうけれども、言われておりますような縦割りの枠を越えてここはきちっとやってもらわなければならないのではないか。特に、新五カ年に向けて有効な対策を来年あたりは準備に入らなければならないわけでしょうが、ここらあたり総務庁の方はどんなふうにお考えになっているのか。主としてこの問題を扱う警察庁サイドもお考えがあればあわせお聞かせをいただきたい。
  25. 金澤昭雄

    金澤政府委員 総務庁からお答えをする前に、私の感じを申し上げたいと思います。  今交通局長お答えをしましたようにもろもろの理由はあるわけでございますが、特に私が感じますのは、第一次交通戦争のときに比べまして今現在の第二次交通戦争、こういう時代特徴というのは、これはドライバー、歩行者、人の安全意識の問題に非常に大きな原因があるような気がいたします。安全施設の問題ももちろん引き続いて整備していかなければならぬ重要な問題でありますけれども、人の心の問題、この辺のところに大きな影響があると思います。したがいまして、安全教育につきましては特に総合的な、生涯教育的な、教育といいますか安全意識の高揚を図りまして、国民一般の常識というようなことで徹底をしていけば相当効果が上がってくるのではないか。今回御提案をしております運転者対策というのもその一環ということでございますので、ひとつよ ろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  26. 加美山利弘

    加美山政府委員 お答えいたします。  第二次交通戦争と言われておりまして、いろいろ総務庁としても関係省庁と緊密な連絡をとりながら実態分析対策とをやっているわけでございます。先ほど先生いろいろ御指摘されましたようなことでございまして、最近の大幅な増加状況を見ますと、高齢者の方、若者の方による死亡事故増加している。若者につきましては、二輪車乗車中の死亡事故がここ十年間で倍増しているというような状況でございます。また、夜間死亡事故急増しているということ等々いろいろ挙げられるわけでございますが、こういった増加背景ということもございまして、背景にも着目すべき必要があるということで見ますと、経済活動活発化に伴う交通量的拡大が引き続き進展している、それに加えまして歩行者から原付バイク、四輪車、大型車等交通混合化と申しますか、そういうものが進展していること等によりまして、全般的に道路交通環境が悪化しているのじゃないかということ。それから、高齢者人口の伸びに対応しまして高齢者層事故もふえている。それから、国民生活様式が夜型に移行していることに伴いまして、致死率の高い夜間事故急増していること等が考えられるわけでございます。  総務庁といたしましては、このような交通事故実態にかんがみまして、関係省庁との連携のもとに、高齢者交通安全教育に関する調査研究、それから二輪車の総合的事故防止に関する研究交通事故原因分析、効果的な交通安全対策策定等に資する調査研究を実施してきたところでございます。  政府としましては、こうした調査研究の成果を踏まえまして、先生案内のとおりでございますが、交通対策本部におきまして、昨年の九月に高齢者交通安全総合対策、そして本年の七月に二輪車の交通事故防止に関する総合対策をそれぞれ決定し、高齢者交通安全対策の推進、若者を中心とした二輪車事故防止対策の推進等の諸対策を強力に推進しているところでございます。さらに、最近の夜間事故増加していること等にかんがみまして、その原因対策等につきまして総合的に調査研究を進めるべく現在検討を進めているところでございます。  なお、第四次の交通安全基本計画が終わりますと、次の第五次の準備をしなければならないわけでございますが、これにつきましては、現在交通事故の発生状況に関する調査研究等を進めているところでございまして、この調査研究の成果を踏まえて、最近の交通環境等の変化に即した適切な基本計画の策定に向けまして関係省庁関係団体等との緊密な連絡をとり合って策定作業を進めてまいりたいと存じます。  以上でございます。
  27. 関山信之

    関山委員 ぜひ従来の発想や手法を変えて、まずもって状況の把握をしっかりやっていただきたいと思うのです。  実は、今いろいろおっしゃられましたが、私のところの地元の新潟日報という新聞が最近交通事故の問題で社説を掲げているのです。その中で民間のボランティアグループの活動を紹介しながら、そこの講演会で丸山欣哉さんという東北大学の教授の発言として、事故に結びつきやすい傾向は、「軽率」動作が先で確認が後、「軽信」見込みの甘さ、「かっとなる」「自分本位」、この四つが最近の交通事故に非常に、というのは若者乱暴運転というようなことなんでしょうが、そういうことを指摘しながら、申し上げたようにハード面の対応からそういう新しい社会情勢の変化に対応した対策を打ち出せという主張がありまして、私ももっともだ、金澤長官の御発言を聞いて私もそういう御認識でいていただくことがまさに我が意を得たりという感じで承っておったわけです。  ただそれはそれとして、そう言うものの、経済活動活発化だとか若者の初心者の乱暴運転というようなものを現象的に把握してみても、やはりもう少し突っ込んだ交通心理学的な、あるいは後ほど触れますが適性検査、心理学的な性格的な適性検査なども制度としては取り上げられているわけですが、これがどの程度の普及率を持っているのかというのも私つまびらかにしておりませんが、あらゆるそういう社会環境の変化、生活様式の変化という時代の変化に伴った側面でいろいろな材料を集めながら、総合的、系統的な分析をおやりになったらいかがかということを申し上げているわけですので、十分御理解いただいておると思いますけれども、ぜひそういう体制をつくるということを、この際総務庁として責任を持ってお答えをいただきたいと思うのです。そうではございませんと、私ども交通安全対策委員会も一年間かけて議論しておりますが、そこの認識が統一されませんと、絶えず堂々めぐりの議論しかできないということになってしまいます。そこはぜひひとつお願いをしたいということであります。  それからもう一つは、緊急事態について、まさに国民的なキャンペーンを繰り広げるという意味緊急事態宣言を発すべきだということを今までも求めてきているのですが、近くそういう対応考えようというようなお話も漏れ承っておりますけれども、これについてはいかがでございます
  28. 加美山利弘

    加美山政府委員 お答えいたします。  先ほどの先生のいろいろ御示唆に富む御意見を次の第五次交通安全基本計画への準備にもいろいろ反映させていただきたいと存じます。  なお、非常事態宣言の問題でございますが、この問題につきましては、現下の厳しい交通事故状況にかんがみまして、近く交通対策本部会議を開催いたしまして、交通事故非常事態宣言を含めた緊急対策について決めるため、現在関係省庁と緊密な連絡をとって検討、準備を進めているところでございます。  以上でございます。
  29. 関山信之

    関山委員 ありがとうございました。  それでは、道交法改正の問題にかかわってお尋ねをしてまいりたいと存じます。  まず、初心運転者期間制度というものを新設なさったわけでございます。今まで初心者マーク等の扱いをめぐって初心者という概念はそれなりにあったんだろうと思いますけれども、まず、この初心者期間というのはどういう御認識で把握をされておるのか、そしてまた、なぜ一年なのかということを、非常に単純な話のようでございますけれども、お聞かせいただきたい。
  30. 関根謙一

    関根政府委員 ただいま御提案を申し上げております道交法改正の案文の基本をなすものが初心運転者期間という考え方でございます。初心運転者期間は、私どもは運転免許を取得してから一年ほどの期間を考えておりますが、この期間は運転の技術及び知識がまだ完全には定着していないおそれがあるし、また運転者自身も自分がどういう欠点を持った運転者であるかについて必ずしもよく承知していない、そういう期間であると考えまして、この期間中は慎重に運転をしてもらうことと、できればいろいろな講習を受けて技術及び知識に習熟していただく期間、このように考えております。そして、そのような講習を受ける機会をつくるということで、このようなシステムを考えた次第であります。  それでは、なぜ一年としたかという点でございますが、これは従前の初心運転者の制度もございまして、これは一年でございましたが、事故率等を考えまして、この一年未満の運転者が全体で六%ほどの数であるのに事故発生率では一二・五%、死亡事故に至っては一四・九%もの事故を起こされるということで注意すべき時期の運転者であること、それからこの間に事故を起こさない人というのは、その後二年目以降においても極めて安定した運転をする傾向があるということに着目いたしまして、この一年間というのは教育をするのに大事な期間だという考えから、初心運転者期間を一年間としたものでございます。
  31. 関山信之

    関山委員 一年未満の初心運転者の事故率が非常に高い、これはわかりました。私どもいただいております資料では、運転経験一年以上というふ うに上の方をまとめてしまっているものですから、二年目との差がどの程度かというのはわからないのですが、その辺はどうなんでしょうか。
  32. 滝藤浩二

    滝藤説明員 お答えを申し上げます。  私、今手元にございます資料で申し上げますと、これはサンプルでピックアップでとっておりますから御承知おきいただきたいのですが、千人当たりで見ますと、二輪車が、一年未満でございますと二十二・一、一年以上二年未満で見ますと八・〇、二年以上三年未満でとると四・三というような数字が出ております。普通車について申し上げてみますと、一年未満が十九・四、二年未満が十三・一、二年以上三年未満が十一・〇ということでございまして、六十三年中の事故から計算したものでございます。
  33. 関山信之

    関山委員 わかりました。それなりの御判断で一年ということかなというところですね。  初心運転者講習、これは中身はどういうものなんでしょうか。これも資料は一応いただいておりますけれども、特に習熟指導という言葉でいいのかどうかあれですけれども、お聞かせをいただきたいと思いますし、適性検査の指導については従来も行われておるようですが、これはそのまま引き継がれることになるのかどうか。
  34. 関根謙一

    関根政府委員 初心運転者講習は、この制度の趣旨が運転に習熟してもらうということにありますので、その知識、技能の定着化ということを目的といたしまして、まず技術面では路上における運転演習、これは指導者それから同僚といいますか同じような講習生を乗せまして、それで路上で実際に運転をいたします。そして、その後その指導者を中心にしてグループディスカッションを行ったり、シミュレーション技法を用いた危険予知訓練等を行うというようなものでございます。その際、指導員の方でいろいろ助言をしたり注意を与えたりするわけでございますが、それには適性検査によりましてその講習生の性格的特徴でありますとか欠点ともいうべき点等を十分意識しつつ、それを矯正するような指導を行うということでございます。全体の時間としては七時間程度考えております。
  35. 関山信之

    関山委員 この適性検査の方は警察庁でいろいろ開発なさったノーハウがあるようですけれども、従来からお使いになっていらっしゃるのでしょうか、科警研編八六・三というタイプのものでおやりになるということですか。
  36. 滝藤浩二

    滝藤説明員 お答えいたします。  取り消し処分者講習のときに使用を考えておるものと初心運転者講習のときに考えておりますものは、ちょっと違ったものを今考えております。初心運転者講習の際の適性検査につきましては、先ほど局長の方から説明がございましたとおり、その人の行動態様のようなものを中心としたものを考えております。取り消し処分者講習のときの適性検査につきましては、それに合わせてもう少し工夫があるものを使用できるかどうか、現在検討をさせていただいているところでございます。
  37. 関山信之

    関山委員 私も中身がちょっとわからないものですから後ほどまたいろいろ勉強させていただきたいと思っておりますけれども、初心運転者の方の適性検査は八六・三でやるということですね。
  38. 滝藤浩二

    滝藤説明員 その適性検査用のものも現在科学警察研究所の方で検討を加えているところでございまして、間もなく成案を見るものと思っております。
  39. 関山信之

    関山委員 そこで、再試験の性格というのは一体どういうものなのかということで、必要な能力を現に有しているかどうかを確認するための試験という書き方に法律上はなっているのですが、先ほどのお話では技術、知識の未定着期間だという御発言もあり、また一方では、私ども意識としては、先ほど来の議論ではございませんが、技術、知識プラスアルファが問題だということに即していえば、不適性であるかどうかということのチェックがさらにつけ加えられるものだと認識すべきなのかどうか。そこらあたりの再試験の位置づけというのは実際よくわからないのです。仮に再試験を受けて失格になったというケースが出てくると、そもそもの当初の合格というものの権威が問われることになりますね。ですから、今の指定教習所を中心にして免許がばっと拡大しているわけですけれども、そのこと自体の根本を問われるという議論も出てくるでしょうし、あるいはもう一つは、恐らくこの法律をつくる過程で御議論があったのだろうと思いますけれども、いわゆる暫定免許という制度とのかかわりでどういう御議論があったのか。なぜそうしなかったのか。ここで言う再試験というのは暫定免許で本試験という位置づけでもないわけでしょう。そこらあたり関係を少し明らかにしておいていただきたいと思います。
  40. 関根謙一

    関根政府委員 この再試験の性格でございますが、これはあくまでも初心運転者に運転についての知識、技能を習熟していただくことを前提といたしまして、その知識、技能の習熟を怠った場合のいわば担保措置みたいな性格として位置づけております。初心運転者が一定の基準点数に達するような違反行為を行いました場合に、まず初心運転者講習を義務づけることとしておりますが、この講習を受けなかった場合に再試験を受けなさいという形をとっております。それから、この講習も受けず再試験も受けないというためには非常に慎重に運転をしていく必要があり、慎重運転が習慣づけられるということも期待できるものですから、そういう意味でまずこの制度を担保するための心理的な威嚇力といいますか、それを期待する面が一つございます。  ただ、その法的性格はいかがかということでございますが、法的な性格は、これは暫定免許ではございませんので、最初に取得した免許の効力、これは三年間でございますが、その三年間有効の免許の有効性を確認する試験という性格もあわせ持つものでございます。  暫定免許というシステムは幾つかの外国でとられているところでございますが、これは免許種類でございまして、二年間なら二年間限り有効の運転免許証で、その間は例えば一定のスピードを出した運転をしてはならないとか、暫定免許者が運転する車であることを表示すべきであるとか、そのようないろいろな法律的な効果が結びつく制度でございまして、その暫定期間が過ぎた後改めて本免許の試験を受けるというものでございます。  そこで、先生お尋ねの、この再試験で落ちた場合には最初の運転免許の権威が問われることにならないかとの点でございますが、私ども考えておりますのは、現在三百万人を超える数の初心運転者中、この再試験で資格を奪われることとなる人の数はその一%に満たない数、三万人程度考えております。その程度方々について、それまでの運転態度あるいは車社会への対応についての心構えといった点で安全運転者として欠ける点があるということがその時点で発見されるということでございまして、ある程度やむを得ないことと考えております。
  41. 関山信之

    関山委員 せっかく長官もお見えでございますから、私、ここのところは余り決まりをつけないで——僕はやはり弱いと思うのです。その再試験だって最初の試験と同じ内容でやるわけでしょう。それからペーパードライバーの問題もございますし、やはり暫定免許ということでカバーした方がむしろすっきりするんじゃないかという感じが私はしているのです。今こうやって法律をお出しになっているから、あす見直すというお答えにはなれないでしょうけれども、ここはいろいろ議論が残るところじゃないかと思うのです。  御感想でも結構ですから、できたらペーパードライバーのチェックなども含めて、長官、御無理でしたら結構ですけれどもお答えいただけませんか。
  42. 関根謙一

    関根政府委員 長官にお尋ねでございますが、私どもの最初考え考え方を私から申し上げたいと思います。  ペーパードライバーはこのシステムに乗ってこない人たちでございますので、一つこの制度の問題点であろうと私ども考えます。しかしなが ら、このペーパードライバーは、私どもの調査によりますと四%弱程度方々であって、大部分の運転免許取得者というものは自動車に乗りたくて免許を取るわけですから、その一年間丸々運転をしないということは九十数%まではあり得ないということで、このようなシステムに踏み切ったものでございます。
  43. 関山信之

    関山委員 ここは私は、初心者で基準点数に達する者が三万人程度だとか、ペーパードライバーは一割弱程度だろうという御判断だけでそうするということには、これはきょう議論している時間がだんだんなくなっていますのでそこでやりとりはしませんけれども、今の事態は、基準点数に達しようと達しまいと、いろいろとそういう心配や不安のある人たちというのはもっとたくさんいるわけです。ですから、これは後ほど伺う問題ともかかわるのですけれども、いわゆる心理的、性格的適合性の問題とのかかわりで、そこのところのチェックやカウンセリングで対応する以外にはないわけですけれども、そういう問題との絡みで、いずれの機会かまた議論をしなければならない問題だろうというふうに考えていることだけこの際申し上げておきたいと存じます。  それから、免許取り消しの関係ですけれども、これも先ほどの御答弁で検討中ということなんですが、今までやっていらっしゃるテストの開発のノーハウというのは大きく分けて運転適性検査と安全態度検査と二つあるわけですね。これは両方ともやるということになりますか。
  44. 滝藤浩二

    滝藤説明員 お答えをいたします。  基本的には運転適性検査が中心になろうというように思っております。
  45. 関山信之

    関山委員 ちょっと、それは安全態度検査も、僕は中身がわからないものですから中身がわからぬで申し上げているわけですけれども、そういうものも包含しているというふうに理解しておいていいのでしょうか。
  46. 滝藤浩二

    滝藤説明員 お答えいたします。  そのとおりの認識を私ども持ち合わせております。
  47. 関山信之

    関山委員 そこで、これは初心者運転講習の面でも言えるのですけれども、これは中身は五段階評価になっているわけですね。新しく取り入れられる講習もそういうものになるのかどうかということが一つありますけれども、この場合の不適合の結果が出たときどういう対処をなさるのか。一定のカウンセリングをやって終わりですよということになるのか、特に免許取り消し処分者などについてはそこでもう一つ次の段階での手当てがあるのかないのか、ここらあたりのところをお伺いしておきたいのと、もう時間がなくなりましたのでもう一つ一緒に、停止処分者への義務づけ、担保はここでは触れられていないように見える、あるのかもしれませんけれども。ちょっとそこのところを……。
  48. 滝藤浩二

    滝藤説明員 御指摘の不適合ということにつきましては、現在の心理学の分野におきまして全く確率が一〇〇%というものがございません。今先生指摘のとおり、K型の検査で約七〇%前後ではないかということが日本心理学会の方の評価もいただいているわけでございますが、そういうことでございまして、私どもこれを一つの目安としまして、その方の運転行動適性というもので自覚、自省を促しながら安全な運転者へと導いていきたい、そういうことで使わしていただきたいということでございまして、これをもって不適当だから免許を与えないとか受験させないというようなことは現在のところ考えておらないということでございます。
  49. 関山信之

    関山委員 規制だけを厳しくするのはいかがかというのが私は基本的にあるのですけれども、これは今まで任意でやられている適性検査ですね。これは数字がなければ感じでも結構なんですが、全体の運転免許者のうちどの程度の人たちをカバーしているのか。  それから私の拝見した資料では、この八六・三での結果の報告では男性の十代の要注意者六一・九%、総合判定が。つまり五段階評価の一、二というレベルでしょうか、これは大変なことなんだなという思いで見ているのですが、不適合になった場合の対応というのはやはりそれなりにこの施策のいわばフォローアップとして方針をおつくりになるべきじゃないかと思うのですけれども、いかがでございましょうか。
  50. 滝藤浩二

    滝藤説明員 先生指摘の点、私どもも大きな問題意識として持っておりまして、その点で検討を進めるということでいたしておりますが、現時点におきましては、先ほど申し上げましたような理由から大きな指導材料としまして使わせていただきたいと考えております。  なお、先ほど御質問の中にございました適性検査をどれだけ使用しているかということでございますが、これについては指定自動車学校に入校する教習生全員にしているところでございます。
  51. 関山信之

    関山委員 あと指定講習機関のことについて、新しい指定講習機関の設置の基準と、指定する講習機関というのはどんな——ちょっと見えないものですから、指定教習所は全部そういうふうにするのか、あるいは各県幾つか割合でいくのか、数でいくのか、どういうあたりをイメージしてお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  52. 関根謙一

    関根政府委員 指定講習機関といたしましては、初心運転者講習のための指定講習機関と、それから取り消し処分者講習のための指定講習機関と二種類考えております。そしてそれぞれにつきまして、法律案が通りました後法律となります法律の規定によりまして、運転習熟指導員が置かれていることでありますとか適性指導員が置かれていることでありますとかいう要件のほかに、施設についての要件その他法律の定める基準に適合する指定自動車教習所またはその他の法人を予定をしているところでございます。  現在考えておりますのは、さしあたり指定自動車教習所の方からの申請を待ちまして、初心運転者講習機関としてその指定自動車教習所を考えておりますが、取り消し処分者講習を行う指定講習機関というものは、さしあたりは運転適性指導員の養成が間に合わないということで、現在の公安委員会の管理下にあります試験場がその事務を行うというものを考えております。
  53. 関山信之

    関山委員 今ちょっと御答弁の中にありましたが、習熟指導員、適性指導員、これはまだテストの中身も目下検討中というようなお話なのですけれども、資格等もいろいろと段階があるようですけれども、肝心のテストの方が未確定ということだとこれは先に議論してみようもないのです。やはりかなりハイレベルなものということになると、指導員の講習その他についてはかなり時間も要するのだろうと思うのですけれども、その辺の受け入れの態勢はどうなのか、この際改めてお聞かせください。
  54. 関根謙一

    関根政府委員 取り消し処分者講習の方を担当いたします運転適性指導員につきましては、現在の各運転免許試験場におきます専門の職員が六百人程度おりますので、この方々対応できると考えております。他方、運転習熟指導員の方でございますが、これは各教習所で現在実技教習を担当している指導員のうち、経験が豊かでこの初心運転者講習の制度の趣旨を満たすに足りる能力を持っている人を公安委員会が審査をいたしまして、その方々に担当していただくということを当面考えております。
  55. 関山信之

    関山委員 ともかく法律をおつくりになるのですから、万全な態勢で臨んでください。時間がなくなりましたからそれ以上ようございますが、なおこの際、通告をしておきました既存の講習所の対応の改善強化など、大型免許の問題やら高齢者の問題やら、これは割愛をさせていただきます。  最後に、道交法の問題とは離れますが、かねてから取り上げてまいりました信号機の問題と特交金の安全教育の問題が、先般の交通安全対策特別委員会でも取り上げられております。私も昨年の春に一度この問題を取り上げておりまして、せっかく大臣もお見えになりましたし、一遍ちょっと決まりをつけておきたいというふうに思います。  信号機の新設については、私当時申し上げまして、六十一年の制度改正地方単独事業信号機は回された。地方単独事業に回されても、交付税はお札に信号機用と書いてあるわけじゃないから、実際に交付税で措置しているといってもそこのところはわからないのですが、どうなのですかね。自治省の方はちゃんと措置していますというお話があって、そこはそこで終わっておったわけなのですが、改めてお尋ねをいたしましたところ、確かに六十年から六十一年にかけて単位費用については約一割程度の増額があったということもはっきりいたしました。  ただ、私当時不勉強だったのですけれども信号機の設置数は第一次から第三次まで大体三万五千、三万七千、二万七百と減ってきていますけれども、そういう数字で来て、第四次で地方単独事業へ振りかえられたときに一万一千二百八十一基とさっき説明がありました。がたっと半分に落ちているのですね。考えてみれば計画そのものが半分に落ちているわけです。これではやはり地方のさまざまな積滞が苦情となってはね返ってくるのは当然ではなかろうか。自治省としてはそれなりの財政措置をしていただいたということは私もわかったわけですけれども、大臣おいでになる前に、この緊急事態の基本的な認識についてお尋ねをしながら、ハードの面ではそれなりにやっているけれども、むしろソフトの面に重点を置いて考えるべきだといったような性格づけについての御議論を申し上げたところですが、それにしても、ハードの面でいうと、信号機の問題というのはやはり大きな問題として残っていると思うのです。  そこで、これは御提案かたがた、ぜひそういう対処ができないものかということなんですけれども、この時期、制度として確定をしないまでも、この緊急事態の中で特交による財政措置というようなもので、地方の実情、状況も十分に把握をしながらということになるでしょうけれども、各県警にきちっとした調査をしていただきながら、場合によれば特交で措置をするぐらいのことを単年度もしくは二年間ぐらいきちっと対応なさってはいかがかというふうに思います。もちろん第五次の安全施設計画見直しも行われますから、そのこととのかかわりでの検討もあるでしょうけれども、ここはひとつ御検討をいただけないものか、具体的にお答えをいただければありがたいと思っております。  それからもう一つは、特交金の安全教育への使途の拡大の問題です。これはこの間、十分検討をという大臣の御発言があったようですが、当時、昨年の四月段階では、これも自治省サイドとしては、都道府県でいえば交通安全運動推進費あるいは市町村でいいますと交通安全対策費といったようなものを単位費用の中に積算をいたしておりまして、そこで十分なんです、こうなってしまうのですけれども、これも先ほどの第二次交通戦争というものの性格が、やはりハード面からソフト面に十分目配りをしなければいけない、そういう状況であるとすれば、特交金もだんだん、警察の指導の方針も変わってそれはそれなりにいいことだと思っておりますが、財源的には少し低下をしているようですけれども、ここはやはり安全教育への使途の拡大をきちっとおやりになるべきじゃないか。  これは、金額の問題というよりもやはり姿勢の問題だと思うのですね。性格の問題だと思います。交付税法のどこに入っているのが、私も一生懸命読みましたけれども、これは交付税法上第十二条関係の別表の十一項目を一生懸命眺めてみたけれども、さっき申し上げたような項目が出てこないのだが、どこかに入っているのでしょうが、これはまた後の機会に勉強もさせていただきますけれども、ぜひその二つの問題について、大臣、きょうはたったお一人の大臣ですから、所管でもありますし、ひとつお答えいただきたい。
  56. 持永堯民

    ○持永政府委員 二点のお尋ねでございます。  まず初めの信号機の問題でございます。これは確かに第四次の計画では前より減っているということでございますけれども信号機の数がどのくらい必要かという問題は、これはむしろ所管庁でございます警察庁の方で御検討いただいて、それを受けて我々は財源措置をしていく、こういうことでございます。  そこで、信号機について特交をというお話があったわけでございますが、標準的な必要な事業量、財源につきましては、これは五カ年計画に基づいて地方交付税で算定して普通交付税で措置をしているという状態になっているわけでございますけれども、特別な事情と申しましょうか、いろいろな事情によりまして、特定の団体で例えば普通交付税で見られたものより非常に金がたくさんかかるというようなところがあるとすれば、これはまたそれなりの事情というものを勘案いたしまして、特別交付税なりあるいは地方債なりということで個別の対応をしていくということは検討していかなければならないか、このように思っております。  二番目の特交金の使途の問題でございますが、これは前のときも説明がなされているようでございますが、現状といたしましては交通安全施設整備事業費の中に占める特交金の割合というのは三割程度でございまして、今の施設整備だけでも特交金ではまだ足りないという状況があるわけでございます。そういうことでございますけれども、確かにいろいろな情勢の変化等もございますし、また個別の団体ではいろいろな財政事情も変わってきていると思いますので、御指摘ございましたソフトの問題につきましては、所管省でございます建設省なり警察庁とも十分相談をしながら検討してまいりたいと思っております。
  57. 関山信之

    関山委員 時間が来ましたけれども最後に、せっかくきょうは大臣一人だし、一遍も大臣答弁がないのだ。その二つの問題は大臣の判断すべき問題で、さっきの状況認識についてああいうお答えをいただいてもしようがないので、第二次交通戦争という事態を踏まえて、信号機の問題も今議論している時間がございませんが、そういう中では重要な問題という位置づけがございますし、とりわけ安全教育というものへの認識を深めるという意味では——大体特交というのは鉛筆の先の話なんですから、いろいろ建前はありますけれども、それは一番御存じなんですから、やはり一年、二年鉛筆の先をなめてもらって、交通安全は災害や不測の事態に該当するという大臣の御判断で御指導をいただきたい。最後にいかがですか。
  58. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 関山委員交通安全に対する大変熱心な御議論を拝聴させていただきました。一万人を交通事故によって、とうとい人命を失う、これはまさに警察庁長官が言っているように第二次交通戦争と言ってもいいわけでありますから、各省それぞれの分野で交通安全のために全力を尽くさなければなりません。自治省としても、今財政局長から細々お話がありましたが、委員の趣旨を十二分に体し、地方自治体で交通安全対策ができるだけできるようにひとつ検討をさせてまいりたいと存じます。
  59. 関山信之

    関山委員 ありがとうございました。
  60. 小澤潔

    小澤委員長 山田英介君。     〔小澤委員長退席、正木委員長着席〕
  61. 山田英介

    ○山田委員 今の交通事故あるいは交通事故による死者数の激増というのは大変深刻な事態に立ち至っているわけでございます。昨年に引き続き本年も一万一千人前後の最終的な交通事故死者数に達するのではないかと言われておるわけでございます。  そこで、この道路交通法の一部を改正する法律案、その中身は暫定免許制度の新設、導入ということでございます。二年連続の一万人突破という交通事故死者数、第二次交通戦争と言われるそういう深刻な事態というものがこの新しい制度導入の背景に当然あるわけでございます。  私は、ちょっと気になっておりますので冒頭一、二お伺いをしたいと思いますが、今月十六日の交通特の委員会警察庁の方からは御答弁をいただいたわけでございます。本年広島県下で起こりましたサンルーフ車の事故です。サンルーフから頭を出していた幼女二人が、道路が交差するポ イントのガードの鉄枠に激突をいたしまして亡くなられるという痛ましい事故がございました。これにつきまして、埼玉県警、それから御答弁によりますと広島県警では、県下の鉄道・道路道路道路が交差するガード、危険箇所について既に調査点検をなされたとわかりました。そこで全国に、高さのほとんどないといいますか危険な高さしか持たないガードというものが相当数あると推量されますが、道路管理者、建設省としてはこの点どのような点検あるいは対応をなさっておられるのか、お伺いをいたします。
  62. 三谷浩

    三谷政府委員 お答えいたします。  御指摘事故は広島県下の大野町道で起きました大変痛ましい事故でございます。道路管理者といたしましては、トンネル等につきまして、道路の構造を保全しまたは交通の危険を防止するために必要があるときには、車両の高さが安全と認められる限度を超えるものを通行禁止または制限することができるというふうなことが道路法の四十七条で決められております。その場合、そういうところについては規制の標識、高さ制限という標識をつくることになっております。今回の事故の箇所につきましても一・九メーターの車両の通行を禁止しておりましたし、それを標示する標識も設置されておったわけでございます。  このようなトンネル等で高さを制限している箇所というのは全国で三千七百カ所ほどございます。したがいまして、その規制標識も六千九百カ所設置されておるわけでございまして、この事故が発生しましたときにすぐ、私ども建設省は都道府県道路管理者の会議をいたしまして、一つにはガード下の高さ不足等の危険箇所の点検を指示いたしました。それから、標識が仮に不備なところがあったとすればすぐ整備をするように指示もいたしました。さらに九月中旬にも、今度は道路主管課長会議におきまして再度指示を行っております。
  63. 山田英介

    ○山田委員 いま一つでございますが、本年七月十一日に、総務庁長官が本部長を務めておられます交通対策本部が、激増する二輪車の事故死亡事故を総合的対策を講ずることによって減少させよう、こういうことで「二輪車の事故防止に関する総合対策について」という対策本部の決定を出したわけでございます。  そこで、まずお伺いしたいのですが、この決定の中に、いわゆる二輪車につきまして、車両性能の面から二輪車の安全をさらに確保するため原動機の出力のあり方について検討を進める、こういう記され方で決定がなされております。この考え方をもう少し具体的に、まず総務庁から、それから通産、運輸の順で御説明をいただきたいと思います。
  64. 加美山利弘

    加美山政府委員 お答えいたします。  原動機の出力のあり方についてでございますが、自動二輪車が引き起こした死亡事故について見ますと、最高速度違反によるものが半数以上と非常に多くなっております。二輪車の原動機の過大な出力が、運転者の交通安全意識の低さなどとも相まって最高速度違反走行等の無謀運転を誘発し、さらには交通事故を引き起こす要因となっているのではないかとの懸念がございます。このような観点から、二輪車の事故防止に関する総合対策におきまして、車両性能の面から二輪車の安全をさらに確保するため、原動機の出力のあり方について検討を進めることといたしたものでございます。  以上でございます。
  65. 松波正壽

    ○松波政府委員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、二輪車の事故増加している現状にかんがみまして、本年の七月に決定されました二輪車の事故防止に関する総合対策の中で、車両性能面から二輪車の原動機の出力のあり方につきまして検討する、こういうことになったことは御承知のとおりでございますが、そこで、二輪車の事故について見てまいりますと、二輪車の主要な事故原因一つといたしましては、最高速度違反が挙げられますけれども、しかしながら、故意に違反を行う者による場合のことは別にいたしまして、運転技量の未熟な者の過失による場合も想定されますことから、原動機の最高出力を抑制することによりまして、安全性の向上に寄与するものと考えております。このため、運輸省といたしましては、最高出力のレベルに着目しまして、その具体的な方策について自動車工業会に対しまして既に所要の検討作業を進めさせておりますので、その検討結果を踏まえまして、所要の対策を講じてまいりたいと考えております。
  66. 山田英介

    ○山田委員 通産省はちょっと私呼んでおりませんでしたので、失礼いたしました。わかりました。  それで、この暫定免許制度について基本的なところを一、二お伺いをいたします。改めまして、この制度新設、導入の目的、ねらいといいますか、簡潔にひとつ改めてお願いしたいと思います。
  67. 関根謙一

    関根政府委員 初心運転者期間制度と名づけておりますが、この制度の目的は、初心運転者に対する安全教育の一環といたしまして、安全運転について習熟をしていただくための講習なり心構えなりを持っていただくことをねらいとする制度と考えております。
  68. 山田英介

    ○山田委員 今の制度導入の目的を踏まえまして、この暫定免許制度が実際に導入をされて、そして所定の一定の期間が過ぎましたと仮定をいたしまして、大体警察庁では、このいわゆる交通事故死者数の減少につきまして、どの程度効果を期待されておられますのか、可能な限り具体的に御答弁いただければ非常にわかりやすいと思うのですが。
  69. 関根謙一

    関根政府委員 今から予測をするのはなかなか困難でございますが、同様の制度を既にとっております西ドイツのバイエルンにおきましては、制度導入前と導入後との間で交通事故が一三%減少したと聞いております。これと同じような効果を持つということを仮定いたしますと、年間数百人程度事故死者数が減少すると考えております。
  70. 山田英介

    ○山田委員 初心運転者の教育、安全対策、ここに大きなポイントがこの暫定免許制度の目的としてあるわけでございますが、免許取得後一年以内の初心運転者、それから一度免許を取り消されまして再取得をいたしました者の大体一年以内に起こす事故あるいは発生する死亡というものが非常に多いというふうに指摘されているわけでございますが、私は、この暫定免許制度導入は別として、教習所等における指導には何か改善すべき点がないのかどうか、その辺について御所見を伺っておきたいのですが。
  71. 関根謙一

    関根政府委員 指定自動車教習所の制度は、自動車社会に対しまして優秀なドライバーを教育して送り出すということを目的としたものでございます。現在、免許取得者の九十数%がこの教習所の卒業生で占められております。  そして、その教習内容でございますが、これは、高速道路の総延長キロ数の増加でありますとか自動車の性能の向上等、いろいろな客観的な条件の変化に応じまして、それに適切に対応できるように教習の内容も常に見直していく必要があると考えておりまして、現在もそのような方向で指導をしているところでございます。
  72. 山田英介

    ○山田委員 この暫定免許制度は、四輪それから二輪、原付それぞれに適用される、こういうことでございます。今月の十六日に持たれました交通特別委員会での交通局長並びに国家公安委員長との質疑応答を私さしていただいたわけでございますが、特に二輪車の事故が際立って増加をしてきているという、こういう事実があるわけです。十六歳から十九歳までの二輪車に搭乗中の死者数の激増というのは物すごいものがございまして、この十年間で二倍になっております。それから二十歳から二十四歳で見ますと、何とこの十年間で七倍の死者数ということになっているわけでございます。したがいまして、初めて二輪車の交通安全総合対策、二輪車に限定して対策本部が決定を出したということもうなずけるわけでございますが、事態はそこまで深刻であるということです。  それで、先般の交通局長あるいは公安委員長とのやりとりにおきましては、私は、いわゆる五十CC以下の原付自転車、原付につきましては、講習 が、いわゆる実技検定が義務づけられていないという点を取り上げまして、十六歳からこの二輪車の運転資格を取得することができることになっておりますから、ペーパーテストだけでは問題がありはしないか。やはり実技の面における講習もしっかりとこれをいたしませんと、初めての二輪車との出会いが非常にイージーな接し万を若者たちに、子供たちに許してしまうことになりはしないか。そこで、この実技講習あるいは実技検定を強制する、義務づけるということになりますと、道路交通法改正が必要である。この二輪車の事故の激増という、あるいはまた、初めて内閣として交通事故非常事態宣言をまさに今出されようとしておるような、こういう事態を迎えておるわけでございますから、それらを踏まえて考えましたときに、将来は道交法改正をもって、この二輪車との初めての出会いのところをしっかりと技術的な面でも教育、講習をしていく必要があるのではないか、こう私は申し上げたわけでございます。交通局長、国家公安委員長からは、そのことも含めて今後対応を検討していきたいという趣旨の御答弁があったかに存じますが、ちょっと確認をさせていただきます。
  73. 関根謙一

    関根政府委員 前回お答え申し上げましたように、原付の性能が高度化されていることでありますとか、いろいろな条件がこの現行法を制定した時点と変わってきております。そのような認識のもとで法改正も含めて積極的方向で検討したいと考えております。  今回御提案を申し上げております初心運転者講習のシステムでは、その原付の講習につきましても、技能を中心に講習を行うということまで現在検討しているところでございます。
  74. 山田英介

    ○山田委員 お話はよくわかるのでございますが、この暫定免許制度の中にあります初心者講習制度、その前の段階でございますね、私が申し上げているのは。出会いのところにおける実技講習ということを申し上げているわけでございます。今回、道交法改正法案という形で出てきているわけでございまして、これはどうなんでしょうか。今の局長の御答弁では、将来的には道交法改正を含めて、この原付につきましても、実技検定あるいは講習義務づけというようなことを検討していきます、考えていきますという御答弁ですが、時期的にはどんな感じになりますか。私は早ければ早いほどよろしいのだろうと思うのです。
  75. 関根謙一

    関根政府委員 法改正ということになりますと、いろいろな関係機関、団体の方々の意見でありますとか学識経験者の方々の御意見、関係行政機関の御意見等を総合的に調整いたしました上で、しかも実現可能な客観的な施設でありますとか人員でありますとか、そういう条件が整った上でありませんと法改正はできないものですから、その時期がいつであるかということにつきまして明確にお答え申し上げるのは甚だ困難でございますが、先ほど申し上げましたような方向で努力してまいりたいと考えております。
  76. 山田英介

    ○山田委員 重ねてで恐縮ですが、そういう関係団体あるいは関係の学識経験者、専門家等々の意見を伺ったり、あるいはまた調整をしなければなりません。そのとおりだと思います。では、その調整をするための作業というのは早急に始めていただきたい、私はこう思うわけでございますけれども、この点はいかがでございますか。もう始めておられるのでございますか。
  77. 関根謙一

    関根政府委員 できるだけ早くその方向で努力をしたいと考えます。
  78. 山田英介

    ○山田委員 非常に前向きな御答弁をいただいたわけでございますが、国家公安委員長、そういうことでよろしゅうございますか。
  79. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 ただいま交通局長から答弁申し上げましたとおり、先生の御意見は大変貴重な御意見でございますので、できるだけ早く検討を進めてまいりたいと存じます。
  80. 山田英介

    ○山田委員 道交法改正をもちまして、原付五十CC以下の免許を与える場合にただいまのような取り組みをしていただけるということでございますが、現実に、御答弁にありますように、道交法改正が実現するといたしましても少し先かな。その間における、道交法改正を伴わなくても措置できる必要な対策があろうかと思うわけでございます。  現在の原付の免許取得の実情をちょっと見てみますと、例えば試験場におきまして午前中ペーパーテストをやります。合格いたしましたら免許をもう与えてしまうわけです。その後任意に実技講習を試験場で受けてください、こういう感じになっているわけですね。多くの子供たち、若者たちがその講習を自発的、自主的に受けているやにも見受けられるわけでございますが、そういうことも含めて、道交法改正に至るまでの間、実技講習を強制して実施するに至るまでの間の改善すべき余地というのが私はあるのだろうと思います。その辺につきましてはいかがでございましょう。
  81. 関根謙一

    関根政府委員 御指摘のように、現在は強制ではございません。任意でございますが、関係団体の協力を得まして、原付免許を取得した方々免許証を受けるまでの間、待っている時間等を利用いたしまして、二時間三十分程度のカリキュラムを組みまして、実技も含めて講習を行っているところでございます。しかしながら、これで足りるかどうかという点につきましても、検討をいたしました上で、現在の交通情勢に適合するような仕組みというものを検討することとしたいと考えております。
  82. 山田英介

    ○山田委員 例えば六十三年一年間で、非常にラフな数字でございますので、こんな感じだということでつかまえていただければと思うのですが、昨年一年間で日本国じゅうで亡くなった人の数が大体七十万人ぐらいだろうと言われております。その中で交通事故による死亡者数というのが約一万二、三千人、全体で見るとこういうことでございます。しかし、これが十六、十七、十八、十九歳、このあたりの若年層で見ると、これが何と交通事故による死者が大体五割ぐらいにいくんですね。その年代の全死者数のうち、交通事故による死亡が大体半分、あとの半分が大体自殺、こういう状況のようでございます。  それから、別の角度になりますけれども、出生率が非常に落ちてきている。昨年一年間で生まれた子供の数が、非常にラフな数字でございますが、百二、三十万人。ことし中学校を卒業した生徒数を見てみますと、大体二百万人前後かな。それだけ出生率がぐっと落ちてきております。しかも、それがほとんど二輪車による死亡だと思うのですけれども、十六から二十歳に至るまでのあたりの年代の若い人たちが二輪車で比率として五割も死んでしまっているというふうな背景がございますので、今質疑応答いたしましたこの点につきましては、ぜひひとつ特段のお取り組みをお願い申し上げたいと思います。  次に、交通特の一般質問をやりましたのが今月十六日、翌日の閣議で交通安全対策につきまして国家公安委員長を含めそれぞれの大臣の皆さんから大変活発な意見が出されたと伺っております。  その中で、注目すべき発言が一つございます。これは特に大蔵大臣の御発言なのですけれども、プレスに発表されております資料ですから、このままちょっと読ませていただきますが、交通事故問題の質問に答えて、   問題は、道路の構造上の問題から生ずる交通事故がどのくらいの割合を占めているのか、そこを直せば事故が減るということであれば、やはり積極的な対応を必要とすると思う。   また、交通管制システムの変更によってある程度交通事故を防止できる部分は確かにあると思う。政府交通安全対策本部を早急に開いて問題点を整理していただき、例えば財政当局として対応しなければならないものにはどんなものがあるのか、来年度概算要求の中で、各省庁はどの程度のウエートを置いてそれらの施策について対応しようとしているのかといったことを一度整理していただくと非常に意味のあることだと思っている。 こういう御発言を閣議でなされたそうでございます。  ここでは大蔵大臣は非常に積極的な姿勢を示されていると私は受け取っているわけでございますが、そこで今日の第二次交通戦争と言われるような深刻な事態を踏まえまして、問題は、二十八日にも政府が初めての交通事故非常事態宣言を出されようとしている。私は、それは非常に大事なことだと存じます。ただ、その決意として、政府の並み並みならぬ決意を宣言に込めるのだということは、そのとおりだと思いますが、同時に、宣言だけではなく、目に見える形で、めり張りのきいたといいますか、そういう形で予算上の措置というものが非常事態宣言と対の形で示されていって初めて交通安全対策あるいは交通事故死亡者の減少という成果を上げることができるのではないか。  このようなことを踏まえまして、まず各省庁、建設、運輸、総務、警察、文部と恐縮ですが、今年度の予算額と比べまして、平成年度概算要求は、今詰めの段階だと伺っておりますけれども平成年度交通安全対策の面でどのくらいあるいはどのようにそれを予算要求されておるのか、どのくらい多く予算要求をされておるのか、この辺につきまして順次御説明をいただければと思います。  時間が限られておりますので、簡潔にお願いしたいと思いますが、まず建設、運輸、総務、警察、文部、こんな順でひとつお願いいたします。
  83. 三谷浩

    三谷政府委員 お答えいたします。  建設省関係では、道路交通環境整備という観点で事業を行って安全対策を行っておるわけでございますけれども、大きく分けまして、道路を新しくつくる場合と既存の道路についての安全対策と二つに分かれると思います。  道路を新しくつくる、こういうものについては、もちろん安全施設等の完備をいたしました安全な道路をつくるということが非常に重要でございます。  それから、既存道路の安全、これにつきましては、まず公安委員会と一緒にやっております交通安全施設等整備事業五カ年計画がございます。現在第四次でございますが、平成年度最終年度でございます。現在要求しておりますのは、事業費で二千四百二十九億円、前年対比で一・〇四でございます。  それから、昭和六十三年度から地域の要望に即した交通安全対策事業ということで、緊急地方交通安全施設等整備事業を行っております。これが五百七十九億円、前年対比で一一%増で要求しております。  そのほかに、交通安全に寄与する改築事業による交通安全対策事業というのを要求しておりますが、これは前年とほぼ同額の九千三百八億円。  以上を要求しております。
  84. 中村徹

    ○中村(徹)政府委員 運輸省といたしましては、陸上交通関係の安全対策として、踏切保安施設の整備でございますとか安全運転の確保対策被害者の救済対策、あるいは陸上交通の安全に関する調査研究等の施策を実施しているわけでございますが、平成元年度、総額で四百五十五億一千百万円の予算を計上いたしました。これに対して、平成年度の要求といたしましては四百七十八億六百万円ということで、前年に比べて約二十三億円、五%増の要求をいたしてございます。
  85. 加美山利弘

    加美山政府委員 お答えいたします。  交通安全対策室の予算としましては、平成年度は五億九千七百十二万一千円でございまして、三千六百七十七万一千円、六・五%増で要求しております。中身的には、調査研究費、交通安全思想の普及推進経費、交通事故被害者の援護対策関係の費用、その他となっております。来年度要求については、ぜひその要求どおり頑張りたいと存じております。  以上でございます。
  86. 石川晋

    ○石川説明員 文部省では平成元年度、一千百万の予算で指導者講習会といった講習会事業を行っておるところでございますが、来年度概算要求ではさらに五百万、約四〇%増の予算を組みまして、高校生の運転者教育のあり方について新たに調査研究をしたいということで、概算要求を出しているところでございます。
  87. 関根謙一

    関根政府委員 警察庁では、交通管制センターの高度化、信号機の高性能化を目的といたしまして、昨年に比べて六・六%増しの、事業費ベースで二百六十七億円、補助金百三十四億円で、現在財政当局と折衝中でございます。
  88. 山田英介

    ○山田委員 わかりました。ぜひしっかり頑張っていただきたいと思います。  先ほど御紹介しましたように、大蔵大臣も、そこを直せば事故が減るということであれば、やはり積極的な対応財政当局としてもする必要があるというふうにおっしゃっているわけですし、また各省庁が来年度概算要求の中でどの程度のウエートを置いてそれらの施策について対応しようとしているのか、これをまとめることは非常に意味がある、こう言っております。  また、その閣議の席上では、国家公安委員長も大蔵省に対して、交通安全施設面については量的に広げることをぜひ協力してもらいたいという強い御発言もあったように伺っておりますが、事は人命に関する問題でございますので、各省庁、ぜひしっかりやっていただきたいと思います。  それで、今とられております交通安全対策とその財源について見てまいりますと、例えば交通環境、道路本体整備する、道路本体を建設するというところには揮発油税とか石油ガス税という形で特定財源がきちっと用意されておるわけでございます。ところが交通安全施設というところで見てまいりますと、道路管理者分については揮発油税、石油ガス税という特定財源がつけられておりますが、もう一つの柱でございます安全施設の部分で公安委員会分というのがあるわけですが、これには一つを除いて特定財源がないわけです。一般財源で交通安全施設等整備をしなければならないという非常に——いわば道路本体をハードとすれば、交通安全施設というものはソフトというふうに言えるかと思います。ハード面には特定財源がきっちりとつけられている、しかし安全施設というソフト面については安定した財源がない。  実は一つあるのです。これは交通反則金でございますが、しかし、だから取り締まりを強化して、財源になるのだから反則金をふやせというわけにはいきません。これは今むしろ取り締まり強化だけでは交通事故死者数は減少しないということが大方の理解でございまして、むしろ私の拝見するところでも、交通警察対応としては、それは取り締まりも否定するとかそういうことじゃありませんが、教育とかあるいは指導というところに非常に力点、重点を移してこられていると私は理解しているわけです。ですから、この反則金のところはいわゆる特定財源があるじゃないか、そういうことにはならないわけです。したがいまして、国家公安委員長のお立場で、やはりハード面だけではなく、このソフト面における安定した財源というものをきちっとつくっていく、あるいは創設をしていくというような方向で何かお考えがないものかどうか。  これは、ここに金をかけて、ここを改善すれば事故が減る、死者数が少なくなるという大事な部分でございますので、これが重大事件等が社会的に起きた場合に、一般財源で対応するということになれば、そちらにほとんどのといいますか、多くの財源がとられてしまう。本来公安委員会として人命を守るために、事故を減少させるために手を打たなければならない予算というものが非常に削られてくるというようなことも言えるのだろうと私は心配するわけです。ですから、これは国家公安委員会だからとかそういうことじゃなくて、いわゆるソフト面における交通安全施設を整備するという分野におけるしっかりとした財源というものは、やはりこれは確立をする必要があるんじゃないかなと私は思うのですが、御所見を伺いたいと思います。
  89. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 ただいまの御意見、大変貴重な御意見でもあると同時に大変難しい御意見でもございます。  警察の予算、こういうことになりますと、これ は国家形成の基本的な柱が治安の維持であり国防であるということを考えれば、原則論としては、まずこの国防と治安の維持の予算は最優先的に一般財源から充てられるべき性格のものであって、若干道路財源等とは性格を異にするものがございます。  今交通渋滞、交通事故防止、こういうものは若干アダム・スミス時代の論理とは時代の変化によって認識が異なってまいりますから、きょうまで先生方の御意見を聞いておりましたところでも、これは警察の分野あり、建設省の分野あり、運輸省の分野あり、文部省の分野あり、基本的にはこの狭い日本に七千万台もの自動車が保有され、六千万人に近いドライバーがおる。ですから最前提としては、道路財源をどんどん強化していただいて、立派な道路をつくっていただく。駐車場一つにしても、東京とか大阪の地価の高騰しておるところで駐車場を広げていくということは大変な膨大な金がかかるわけでありますから、道路財源を強化していただくということが前提になると思います。  しかし、同時にまた、私どもが今担当しておる分野も、ただドライバーの資質を向上させるとかあるいは交通安全に対するモラルを向上させるとか、そういう精神的な面だけではもう解決できない今日の我が国の置かれている特殊の事情、条件の中での交通問題、今まで議論がありましたように、交通管制等をコンピューター化していく、交通信号の高度化。では、質の向上を今まで警察が一生懸命頑張って関係省とやっておれば、量的な問題が今度は狭まる。質量ともにこういう交通安全のための事業を拡大していかなければならない。  こういった問題を考えますと、交通安全、何度も繰り返されてまいりましたけれども、人の命は地球よりも重い、そのとうとい人命が一万人以上も失われていく、そのことを考えますと、まさに今日我々に与えられた内政上の大きな課題が大都会における交通渋滞のいらいらを解消していく。また地方においても交通事故が起こっておるわけでありますから、ふるさと創生事業一つに各地方自治体が交通事故ゼロを目指す運動などもあってもよいのではないかというようなことを私言っておるわけでありますけれども、今先生指摘の、今日我々が毎日毎日の生活の中で一番いらいらが募っておる交通渋滞を解消する、そしてとうとい人命が失われていく交通事故を解消していく。そのために、その起こっておる最大の理由は、何といっても自動車が七千万台にもこの狭い日本でなってしまっておるわけでありますから、そういうものを対象とした財源の確保というようなことも、今後勉強していかなければならない課題ではないかなどと今考えておったところでございます。
  90. 山田英介

    ○山田委員 最後の質問になりますけれども、先ほど関山委員とのやりとりの中でも審議のテーマになっておりましたが、信号機の設置の件でございますが、六十三年中に発生をいたしました死亡事故、繰り返すようでございますが、交差点と一般単路に分けまして、交差点における死亡事故というのが昨年一年間で三千百九十件ありました。その中で、事故類型でずっと見てまいりますと、信号機のない交差点、無信号交差点での出会い頭事故、車対車、これが八百十九件と飛び抜けて高いわけでございます。それで、まさにこの無信号の交差点のところに信号機を設置するということは、ダイレクトに死亡事故数の減少につながるものだと思われるわけでございます。この信号機のコンピューター化とか高度化というのは、国、警察庁がなさっておるわけですが、信号機の設置というところは、沖縄を除いて県の単独事業という形になっているわけです。私ども、地元の身の回りを見ましても、あそこにもここにもぜひ信号機をという声が非常に多く聞かれるものですから、全国的に見たら恐らく数千規模の設置の要望というものが出されているのだろう、三千ぐらいかなという感じもするわけでございます。  これは自治大臣というお立場で、信号機の設置というのは確実に死亡事故減少につながる安全対策メニューなんです。それは県の単独事業、自主財源あるいは地方交付税交付金等で県が独自の一つの施策として対応されている分野でございますけれども、自治大臣として、この信号機設置ということについては、どのように地方自治体を、指導するという言い方は語弊があるかもしれませんが、どのように対応なされるのか、御所見を伺いまして質問を終わりたいと思います。
  91. 持永堯民

    ○持永政府委員 信号機の設置の問題につきましては、信号機に限らず交通安全施設全体でございますけれども、五カ年計画に従いまして財源措置を年々してまいっておるわけでございまして、本年度の場合におきましても、例えば単独事業で申しますと、前年より八・九%増加した額を地方財政計画に計上して財源措置をしているわけでございます。これからも、基本はやはり五カ年計画でございますから、信号機ももちろんでございますが、その他もろもろ含めてこの五カ年計画が円滑に推進されますように財源措置をしてまいりたいと考えております。
  92. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 ただいま財政局長から答弁がありましたとおりでございますが、先ほど先生に私が申し上げたように、それぞれの地域社会が、皆さん方が安心して幸せに暮らしていけるその前提は安全でありますから、その自治体で交通事故ゼロを目指して交通安全の確保に努力する、その一つに今御指摘の問題等もあったわけで、地方団体に対する自治省としての財政援助にできるだけ努力してまいりたいと思います。
  93. 山田英介

    ○山田委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  94. 正木良明

    ○正木委員長 次に、大矢卓史君。
  95. 大矢卓史

    ○大矢委員 交通安全という観点からこの道交法の一部の改正ということがただいま提案をされておるわけであります。当然交通事故をなくし、安全を守っていくということは国民のひとしい願いであろうと思います。私も大いに賛意を表する中で質問をさせていただきたいと思います。  そこで、こういう国民に大変影響がある法律の改正につきまして、どのような手順で国民の声をくみ上げて提案されておるのか、その点をまずお伺いをいたしたいと思います。     〔正木委員長退席、小澤委員長着席〕
  96. 関根謙一

    関根政府委員 交通事故の問題は大変大きな問題でございますので、私どもといたしましても、いろいろな方々から御意見を伺いながら、その対応考えているところでございます。法の改正におきましても、私どもの方のいろいろな学識経験者の方々の意見を聴取いたします場でありますとか言論機関の御意見を聴取する場、それから今回の制度の眼目であります、いろいろな機関、団体に今回の制度はお世話にならなければいけないシステムでございますので、そのシステムの関係者の方々の意見等を十分お聞きいたしまして、その上で意見の調整を図った上、案文としてまとめたものでございます。
  97. 大矢卓史

    ○大矢委員 法案を提出をいたします場合に、議会と行政という形の中で、憲法上、議会はそれに責任を持つべきであるという規定がなされておるということで、行政の方で提案をしてくるよりも、本来の姿で議会が法案を出してくるということが当然ではないかという意見がございます。これは議論をしておりますと、また場所が違いますが、ただ今回の場合大変な人々の御意見を聞いていただいたということでありますけれども、具体的に何か免許制度研究会とかいうような準公的なようなものがあって、御意見を聞かれて出していらっしゃったと思いますけれども、その点はいかがでございますか。
  98. 滝藤浩二

    滝藤説明員 お答えいたします。  まず、私ども、初心運転者の事故率が高いことの問題意識は数年前から持っておったわけでございますが、先生指摘のとおり、今後の問題点の整理とそれから課題ということで、実は六十二年から二年間にわたりまして、国際交通安全学会というところがございますが、ここにいわゆる安全教育の体系化はいかなるものだろうかということ で、その課題を提起して検討をいただきました。その中で初心運転者の課題等も出てきたわけですが、具体に今先生の御指摘ございました、本年の初めに運転免許制度研究会というものを開きまして、これにつきましては、御承知のとおり交通評論家の方々だとかあるいは大学の心理学等も含めた先生方、あるいは事業者の方々、トラック、バスの関連の方々も含めまして、多くの方々に集まりをいただきまして、それぞれの課題、意見をいただいたわけでございます。そのほか交通警察懇談会というのがございまして、私ども長官以下出席いたしまして、貴重な御意見をいただいたり、さらには新聞社の論説委員の方々の集まりもございまして、論説懇ということで御意見をいただきました。そういう中から、こういう制度を検討いたしまして成案を見るということで、今回出さしていただいた経緯でございます。
  99. 大矢卓史

    ○大矢委員 いろいろな方々の御意見を聞いていらっしゃるということでございまして、当然であろうと思います。  ただ、私も幸か不幸か免許証を持っておりまして、あるときにはおしかりを受ける場合もありますけれども免許を持っておる者がその当事者としてそういう審議に参加する場合と、また歩行者その他免許がない方々を守っていくために、それに必要な助言者の方々、それらはいらっしゃると思いますけれども、くまなくそういう声を反映をしながら警察行政、先ほどから国防を含めてのお話ございましたけれども、すべて国民の支持を得ながらこれが行われていかなければ実効が伴わない。その結果、免許者なりそれを守らなければならぬ人たちに少しでも不満があってそれが実行されると、ついついたまたまの交通事故だというように、交通違反の取り締まりに遭った人たちがばかを見ているんだというような形で受け取られるわけです。そういうことのないように、やはり全部が全部というわけにいきませんでしょうけれども、そういうことが、法律が起きてくるその前に、そういう背景があるんだということの説明から、それを直すためにどうしていくべきが妥当であるか、それらのPRも含めて、国民の納得の上で、協力の得られるという上で私はやっていただきたいということをまず希望をいたしておきたいと思います。  そこで、今度の法改正の以前に、やはり前回も御指摘申しましたように、免許を取得されるという段階、これはやはり九五%が教習所でなされるという実態であります。そしてまた、今回の法改正にもなっております、初心者、特にバイク等の問題で、文部省側が三ない運動の方向転換というもの、これはやはりもっともっと興味のある者にはその方向で指導したらどうだといういろいろな意見がございます。それも一つ考え方でございます。まず、文部省側の御見解を承りたいと思います。
  100. 石川晋

    ○石川説明員 お答えいたします。  いわゆる三ない運動につきましては、現実に八〇%を超す学校で何らかの運転に関する規制措置を行っている現状でございますが、この三ない運動のようなものといいますか、こういった規制措置は、いわば高等学校、あるいは教育委員会、PTA、地域におきまして現実に交通事故を防ぐという観点で行っている措置であるというふうに私ども理解しているわけでございますが、交通事故を防ぐという意味ではそれなりに効果も上がっている。あるいは逆に、内容的に申しますと、大変厳しい三ないの規制措置を行っている学校から一定条件で免許の取得を認めるまでさまざまある中で、それらについて問題があるというような意見があることも承知をしているわけでございます。  しかしながら、このような規制措置で交通事故を防ぐということには、それ自身おのずから限界があるというふうに理解しておりますので、従来からそれとともにと申しますか、高等学校における安全教育の充実ということにつき各学校において十分やっていただくようお願いしているところでございますが、そのような中で、特に高校生の多くが卒業後運転免許を取得し、運転者になる、このような交通社会の現状を考えまして、来年度概算要求では、これからの高等学校における安全教育ということの中に、実際的な運転者教育のあり方ということも考えていかなければいけない、運転者教育を効果的に進めるためにはどうしたらよろしいか、こういう観点から調査研究費を概算要求で要求いたしまして、今後その効果的なあり方を検討していきたい、かように考えているところでございます。
  101. 大矢卓史

    ○大矢委員 調査研究ということでありますから、当然方向があると思いますけれども、いかがでございますか。
  102. 石川晋

    ○石川説明員 具体的な問題ということになりますと、調査研究の中でおいおい明らかにしていかなければいけないわけでございますが、現在高等学校において効果的に行うということになりますと、当然いわゆる学科的なものとともにいわば実技というようなことも考えなければいけない。こういった観点から、調査研究の中では、一つには自動車教習所、そういったところとの協力連携のあり方も考えなければいけないだろう、また現実に高校生がどういうものを望んでいるのか、こういったことも明らかにしていかなければ効果的な方法というのは出てこないだろうということで、調査研究の中としては、具体的には自動車関連学科等もあります工業系の高等学校等の調査、それから一方において自動車教習所等についてもアンケート調査を行い、それらをもちまして、いわば学識経験のある方、関係行政機関の方々、さらに自動車教習所の方々、さまざまな関係者の御意見を聞きながら、その辺の方向を出していきたいと考えているところでございます。
  103. 大矢卓史

    ○大矢委員 考え方は大体わかったのですけれども、今私申し上げましたように、国民全体が協力していく、納得していくということで、これはただ免許を持っている者だけでなくして、一般社会人も含めて、保育所、幼稚園から小学校、中学、高校、すべての機関で交通安全教育というもの、これは文部省は当然おやりになるべきだと思います。文部省としてのそういう大きな安全教育という面は常にやっていただかなければならぬと思いますけれども、この実技の面で、今お聞きをいたしておりますと、教習所と一緒になって実技の面までやるのだということになってまいりますと、今までこういう交通安全ということで一貫して法体系なり教育から指導からすべての面でその絶滅に尽くしてこられた警察庁として、今のお話のようなことが事前に御相談の上で一つになって、一緒になってやっていこうという構えに果たしてなっておるのかどうか、その点につきましてもお答えを願いたいと思います。
  104. 関根謙一

    関根政府委員 交通安全教育交通事故防止方策の最も大事な一つということで、私ども努力をしているところでございまして、また三ない運動からの方向転換といいますか、車社会に適合するように早いうちから高校生等に車社会のルール、心構えを身につけていただくこととするという方針については伺っておりまして、そのとおりだと思っております。  ただ、その具体的な方法につきましては、まだ関係省庁間で具体的な話が出ておりませんので、伺っていないところでございますが、具体的な提案があれば、警察庁としてもいろいろと検討をする必要があると考えております。
  105. 大矢卓史

    ○大矢委員 これは私ども単純に考えまして、九五%が教習所、これが現在指定制度になっております。ですから、非常に根拠の薄いと申しますか、実技試験免除という大変大きなお仕事をしてもらっておる割にはその位置づけが小さいのではないか。本来でいいますと、学科でございますとか構造、それらの問題については勉強いたしまして百点をとるというようなことは可能でありましょうけれども、この実技につきましては、その日から外に出まして運転をしていく、そういうことになりますと、当然初心者の事故ということでこういう法律の改正というものが提案をされてくる。そういうことから見ますと、この教習所というのは免許を与える警察と一緒になってこれが確固た るものでなければならぬと思います。  ちなみに、人口の増減等によってこの運営基盤というものがどうなるのか。そういうことによって、今のままでいきますと、格付がなければあしたにも返上しておしまいというようになってくると思います。そういうことも含めて、今現在の経営も含め、また将来この経営という形が、交通安全立場から、もうなくなったらなくなったでいいんだ、警察が全部引き受けますよということになるのか、その位置づけをもっと確固たるものにして、将来も学校における安全教育と同時に、技能、実技、すべての面について教習所を中心にやっていかれているという今の姿、それを確固たるものにしていくということで、一体となって交通安全を図っていくという考え方でいくべきだと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  106. 関根謙一

    関根政府委員 現在、車社会に優秀なドライバーを送り出しております基盤と申しますのは、御指摘のとおり指定自動車教習所でございます。道交法の体系の中でも、交通の安全と円滑を守るという見地から運転者教育ということに力点を置きまして、一連の指定自動車教習所に関する法の規定を設け、体系的に整備を図っているところでございます。  このような体系が一たん崩されますと、安全で円滑な車社会の実現に支障を生ずることが大きいと考えますので、基本的にこの体系を崩すということのないように、優秀なドライバーの養成をさらに充実したものとするようにということを心がけてシステムを検討してまいりたいと考えます。
  107. 大矢卓史

    ○大矢委員 今の御意見に文部省、いかがでございますか。
  108. 石川晋

    ○石川説明員 高等学校における運転者教育のあり方ということにつきましては、今後、ただいま出ました関係省庁警察庁を初め関係行政機関、関係者と協議しながら、その調査研究を進めていくことになろうかと思っておりますが、私ども、そういう中でやはり高校生の効果的な運転者教育のあり方ということで考えてまいりたい。そういう中で現行の枠組みといったものとどう調和的に進めていくことができるか、そういったことが調査研究の課題であろうというふうに考えているところでございます。
  109. 大矢卓史

    ○大矢委員 高等学校の問題は問題として、ただいま申しましたように、幼児教育からすべてそういう交通安全教育をしていくべきだということについてはいかがでございますか。
  110. 石川晋

    ○石川説明員 もちろん小学校から始めまして、いわゆる安全教育、人命の尊重ということを中心に置きました安全行動、安全意識の高揚、こういった教育は従来から進めているところでございますけれども、これは充実していかなければいけない、さらに指導をしていくということで考えているところでございます。
  111. 大矢卓史

    ○大矢委員 そこで、せっかく建設省から来ていただいておりますので、お伺いいたしたいのです。  国内産の車もございますけれども、貿易摩擦等いろいろなことがございまして、やはり海外の車が大変ふえてきてまいっております。そういう点で、高速道路がそういう左ハンドルに対しての配慮というものをしていかなければならぬと思いますけれども、ただ、私どもが申し上げましても、いろいろなことで不可能、難しいということを言われることはもう当然だろうと思います。しかし、貿易摩擦等外国から指摘されますと、すぐにそれに対応するという、そういう姿勢が私どもは気に入らないわけであります。そういう点も含めて、今後高速道路におけるそういう左ハンドルの車に対するサービス面での改善等お聞かせを願いたいと思うのです。
  112. 三谷浩

    三谷政府委員 今の日本の高速道路は、利用車両の大部分が右ハンドルでございますから、右側から料金を取っております。ただ、今先生指摘がございましたように、特に輸入車がふえてきておりまして、左ハンドルの車もふえてきておりますので、一つには、道路公団で、こういう車に対して料金がスムーズに収受できるように収受員を指導しております。それから、左側から直接取れるようにするためには、料金所ブースを改良しなければいけませんし、さらに収受員の増員が必要ということになりますので、すぐ全部ということにはとてもいかないと思いますけれども、ただ道路公団は料金収受業務の自動化を進めております。このような箇所では、左ハンドル車用の施設を設けるなど、これはまだ試験的にいろいろやっておりますけれども、したがいまして、こういうことを通じまして左ハンドル車の不便の解消に努めております。  今後とも利用者サービスの向上という観点、もちろん経費の節減ということも考えなければいけませんが、そういう観点から利用者の御理解と御協力をお願いしている次第でございます。
  113. 大矢卓史

    ○大矢委員 自動化をいたしますと、当然右ハンドルの人は利用できても左ハンドルが利用できないということでは困る。そうなりますと、当然サービスをするということでございますけれども、やはりきめの細かいサービス等これからも貿易摩擦を起こさないような観点からもお願いをいたしたいと思います。  そこで、冒頭申しましたように、私どもはこの法案につきましては賛成の立場でいろいろとお聞かせを願ったのですけれども、そういう法律が出てまいります過程、また、これから実施されます過程、それらは国民の納得の上でやっていただきたい。でないと、ただ法律ができたから、それをこういうふうにやるんだという一方的なことでは国民がすべて反発をしてくる。それと同じように、今までございますいろいろな規制の問題につきましても、一度この際国民の声をくみ上げて、実際に毎日毎日走っておられます各ドライバーの方たち、それらの人たちに協力をしていただいて、今の規制がすべてが正しいとおっしゃりたいでしょうけれども、やはり人のすることでございますから不合理な点もあろうと思います。そういう点を点検をする意味でも、声をくみ上げていただいて、そして改正するところは改正していくということによって、我々がつくったそういう規則というものを我々は守らなきゃならぬということで、みんなに協力をしていただくという姿勢をとるべきだと思いますけれども、その点について御意見を伺いたいと思います。
  114. 関根謙一

    関根政府委員 御指摘のとおりかと思います。私どもも、規制の点を例えば例に挙げて申し上げますと、昨年は三千三百キロの道路につきまして、最高速度の規制の見直しを行っておりますし、また、ことしも標識の見直し等を行い、それを行うべきシステムも考案したところでございます。  いずれにいたしましても、交通警察行政と申しますのは、国民免許時代におきましては、まさに国民の皆様方に支えられた行政でございます。道路を利用しない方というのはおられませんので、道路利用者すべてが納得のいくように、私どももその方々の御意見を十分に拝聴し、また私ども考え方もお伝えをするように心がけながら警察行政を進めたいと考えております。
  115. 大矢卓史

    ○大矢委員 時間が参りましたので、先ほどから申しておりますように、交通事故を絶滅し、交通安全を図っていくというのは国民全体の願いでございますので、その点これからもしっかりやっていただきたい。その前提として、先ほど申しましたように、やはり免許を取りますまでのそういう教習所等について法的な格づけというもの、単独立法をしていくことによって、将来までも、ただ学校法人でやられておるところもございますけれども、それを格づけをしていくということでこの問題を根本的に前進をさしていただきたいし、また今申し上げましたように、国民の声をくみ上げていく、常に国民の声を聞いていただいて、そして国民と一緒になってこの法規を守っていき、そして絶滅をしていく。そのことで皆さん方のこれからのますますの行政に対する発展を祈りたいと思います。終わります。
  116. 小澤潔

    小澤委員長 辻第一君。
  117. 辻第一

    ○辻(第)委員 ことしももうあと一カ月余りに なったわけですけれども、去年は十三年ぶりに一万人を超える一万三百四十四人ですか、そういう交通事故死者が出たわけです。ことしは昨年を上回る、このままでは一万一千人を超えるのではないか、こういう状況であります。昭和六十三年の交通安全白書は「第二次交通戦争」と表現しています。また、総務庁長官は近く非常事態宣言を出されるというふうに聞いているわけであります。極めて深刻な事態でございます。  その原因についてでありますが、交通安全白書は、一、車、免許所持者の増加経済活動活発化、二、二輪車高齢者、初心者事故の多発、三、シートベルト着用率の低下、四、夜間、週末事故増加を挙げております。経済活動活発化生活様式の変化、社会構造の変化、こうした要因による事故増加が目立っているわけであります。これらについて十分な対応をしていただきたいと思うのですが、私はこのような交通事故がふえた原因、それ以外にふえた要因といいましょうか、原因というと何ですが、要因として車がふえる、免許者がふえる、どんどん交通量がふえていく、そういう状態。そしてそこで交通事故がふえていく。これに対して交通安全対策あるいは施策、施設、こういうものがその増加に対して十分な伸びがなかったのではないか。  いわゆる経済財政危機でありますとか財政再建でありますとか、そういうことの中で予算が抑えられてきた、そのためにそういう施設や施策がおくれた、こういうことがあったのではないかと思うのですね。ここのところに例えば信号をつければ必ず事故は減るというようなところがある、しかし予算の都合でなかなかそこへは順番が回ってこないとか、そういうことがたくさんあったと思うのですね。そういう予算を含めた安全対策、安全施策のおくれ、こういうところに大きな要因があったと思うのですが、いかがですか。
  118. 関根謙一

    関根政府委員 交通安全の施策につきましては、そのときどきの交通事故原因、それからそれに対応すべき手段等を総合的に勘案いたしまして、最もふさわしいという措置を講じてきているところでございます。第一次交通戦争と言われました昭和四十五年の時点で考えてみますと、このときには一万六千七百六十五人の方が亡くなった時点でございますが、交通安全施設の整備と取り締まり強化という手法で努力をいたしまして、昭和五十四年に八千人台にまで事故死者数を減らすことができたわけでございます。その後また増勢に転じてきてはおりますが、交通安全施設の整備、これにはもちろん信号機の増設等もございますが、そのほかの標識、標示の方法、それから交通安全教育の充実強化等も含めまして総合的に努力を続けてきたところでございます。  第二次交通戦争と言われております現時点では、従前の安全対策のみではありませんで、円滑化対策という要素も入ってきているように考えます。交通の安全と円滑という両方の目的を達成すべくいろいろな交通安全施設整備、さらに交通情報提供装置の整備、その他いろいろな可能な限りの実質的な手当て等を考慮して総合的に対策を講ずべきものと考えております。
  119. 辻第一

    ○辻(第)委員 国家公安委員長にお尋ねをいたします。  今局長からそういうお話があったわけでありますが、やはり知恵も要るけれどもお金も要る。そうでない限り、私は、この交通事故死者を減らしていくということは、本当にやり切れないというふうに思うのですが、いかがですか。
  120. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 かつては交通事故死亡者、これは一万五千人を超すというような厳しい時期もありまして、政府国民全力を挙げて交通事故の撲滅を図ってかなりの成果が上がってまいったことも過去の事実であります。また、近年残念ながら一たん減少しておった交通事故死亡者がふえてきて一万人を超そうということで、先般の閣議でもこの交通事故防止の問題が大きく議論され、また国会でも先生方の御心配をちょうだいすることになっておるわけでありますけれども、やはり何といっても自動車台数がとにかく七千万台だ、こういうのですから、これは十年前我々が常識として想像もできない車がふえ、また六千万人に近いドライバー、これもちょっと十年前の我々に考えられないことでありましたが、経済が急速に伸びて自動車がふえてドライバーがふえる、仰せのとおりで、それに今政府の施策が追いつこうと頑張っておるところです。  それから、五百年も千年も昔の話で京都や何かをつくるときみたいに、最初に道路ができ上がったところに住宅が建ち、そこにだんだん車が走るようになれば一番問題ないわけでしょうけれども、今日世の中が急速に進んでおる、経済国民生活も。そこに行政ができるだけマッチするように今努力をしよう、こういうことで頑張っておるところでございます。
  121. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ十分な予算を確保していただいて、そして十分な施策、対応をしていただきたい、重ねて強調して次に移ります。  交通事故が起こるのは、やはり交差点が非常に多いのですね。交通安全白書によりましても、死亡事故件数の三二・三%が交差点内、交差点付近が一〇・六%、四割を超えるのが交差点とその付近で発生しておるわけです。  私ども日本共産党は、かねてより交差点の安全対策の強化の必要性について国会でも繰り返し取り上げてきたわけでありますが、依然として重要な問題であります。交差点に着目した対策があるのかどうか。なければ特別な対策をとるべきではないか、このように考えるのですが、いかがですか。
  122. 関根謙一

    関根政府委員 交差点事故が多いことは御指摘のとおりでございます。交差点における事故の発生をいろいろ分析してみますと、信号機がないために、未整備であるところで事故が多いということももちろんございますが、そのほか、道路の構造等が立体化されていないことでありますとか、例えば夜間道路の照明の問題でありますとか、取りつけ方がふさわしくないというようなこととか、いろいろな事情がございます。そこで、交差点事故対策といたしましては、それぞれの関係機関、特に道路管理者と協議をいたしながら事故の絶滅を期しているところでございます。
  123. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、以前に交通安全対策特別委員会でも右直事故の問題を取り上げました。この問題は交差点事故にも関する問題ですが、先日、町田市鶴間の国道二百四十六号バイパスの信号機のない交差点でオートバイと乗用車の衝突事故があって、オートバイの高校生二人が死亡するという痛ましい事故がありました。この交差点は、三月に開通して以来二十一件の事故が発生、うち十五件が右直事故ということで、この事故の発生状況は異常としか言いようがないわけであります。これまでも関係住民から信号機設置の要望があった、あるいは中央分離帯を設置することについては、地域を分断するということで住民からはいろいろ意見があったという報道であります。  住民の納得のいく方法で解決されるべきだと思うのですが、このように、この交差点以外にも全国各地に魔の交差点と呼ばれたり、事故の多い交差点があります。交差点の態様に応じて関係自治体、住民の意見もよく聞き、この際、交差点の再点検を行うぐらいの意気込みで交差点の対応をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  124. 関根謙一

    関根政府委員 鶴間の事故は、私ども十分承知をしております。これはことし開通いたしました国道二百四十六号線の厚木バイパスの道路とその取りつけ道路との間で起こったものでございますが、開通以来現在まで二十二件の交通事故が発生しております。右直事故がそのうち九件、自転車、歩行者歩道橋下を横断したものが五件、右折しようとしてとまっている自動車に追突したものが三件ということで、確かにこれは異常なほどでございます。  現在、当面の措置として、これは非常に細い道路、四メートル未満の道路にすばらしいバイパスから入っていくものですから、その細い道路を利用する方々には少し遠回りをしていただくということで、右折できないようにカラーコーンを並べ て措置しているところでございます。ここはまさに一番いい例でございますが、これは信号機をつけても意味がない交差点なのでございます。と申しますのは、段差がある道路でございまして、上からも取りつけ道路を見ることができませんし、下からも見ることができないのです。おまけに大変立派な歩道橋がついておりまして、その下あたり信号機をつけても無意味でございます。  こういうことで、交差点事故といいますのはいろいろな要素が原因となって起こるものでございますので、先ほども申し上げましたように、関係の機関、団体、住民の方々、いろいろな方々の御協力をいただきながら、一番安全な方法というものを考えていく必要があると考えております。
  125. 辻第一

    ○辻(第)委員 先ほども申しましたように、こういう大変な交差点をもう一度再点検をして、十分な対応をしていただきたい、重ねてお願いをいたします。  それから、シートベルト着用率が低下しているということですが、その実態はどのような状態でしょうか。
  126. 関根謙一

    関根政府委員 シートベルト着用率は、現在でもそう低くはないのでございますが、当初、これは昭和六十一年の十一月に一般道路におきましても着用していない方々に点数をつけるという政令を設けていただきましたが、その時点で着用率が一番高くなりまして、高速道路のみならず一般道路でも九五%以上のドライバーの方々シートベルトをつけていただいていたのでございます。しかしながら、最近の調査によりますと、このシートベルトを着用する方々、特に助手席に乗っておられる方々着用率が低くなっているという傾向がございます。それでも大体九〇%前後の方々はつけていただいているわけでございますので、このシートベルト着用の義務化の時点以前に比較いたしますと、現在でも格段に多くの方々シートベルトをつけておられるわけでございます。  しかしながら、最近の交通事故分析してみますと、シートベルトをつけていなかったために車外にほうり出されて亡くなったというケースが多いものですから、今後といいますか、法本来の趣旨に適合するようにシートベルトをつけていただきますよう、いろいろな広報、啓発活動を初めとして街頭活動も強化して、とにかく安全で快適な運転をしていただきますよう警察としても努力をしているところでございます。
  127. 辻第一

    ○辻(第)委員 道路標識の問題でお伺いをしたいと思います。  交通事故防止にとって道路環境の整備、殊に道路標識というのはやはりかなり重要な位置を占めているのではないか、このように思います。いろいろと御努力をいただいてだんだんと道路標識がふえてきているということは、私ども喜んでいるわけであります。しかし、見えにくいところにあったり、たくさんあって走りながらとてもそんなものは間に合わないというようなところがあったり、あるいはこれは右というか真ん中につけていただいたらいいのではないかな、そんなこともふと思ったり、いろいろなことを私も感じるわけであります。  以前にも取り上げたことがあるのですけれども、このごろ標識ボックスというのが設けられているようでございます。結構なことだと思っておるのですが、貴重な意見が寄せられて、そしてそれに応じたいい対応がされて効果が上がっているというお話も聞いておるのですけれども、正直申しまして、私も知らなかったので、今度質問することでちょっとこういうものを知ったわけですが、知らない人も多いのではないかと思うのです。ですから、せっかく設置されたのですから、もっとPRもしていただきたいなというふうに思います。それから手紙でなくても、手紙というか書いて入れるわけですね、そういう形式ではなくても、電話あるいはファックスというものでも受け付けていただける、こういうふうにしていただければもっといいのではないかなと思うのですが、いかがでございましょうか。
  128. 関根謙一

    関根政府委員 標識ボックスは、ことしの四月にそれぞれの都道府県の警察道路管理者が一体となりまして、それぞれの道路管理者の事務所でございます地方建設局でありますとか都道府県でありますとか関係道路公団等と各警察本部とに設けたものでございます。これは実はボックスという名前でありますが、そういう箱というのではございませんで、いわばそういう係といいますか担当を設けまして、交通一一〇番といいますか道路標識一一〇番みたいなもので御意見を寄せていただくためのシステムとして、そのシステムに標識ボックスという名前をつけたものでございます。現在標識は指示標識、規制標識、案内標識、警戒標識等を含めまして一千万枚以上全国にございます。東京だけでも百万枚ぐらいあるわけでございまして、それぞれドライバーの方々やら道路利用者の方々から、見にくいとかわかりにくいというような御指摘もいただいておりますし、またこうした方がさらによくなるのではないかという御意見も寄せられているところでございます。それを標識ボックスに集めているのでございますが、十月末現在で四百八十二件ほど受けております。  内容は破損、汚損をしているという御注意でありますとか、視認性が悪いという御注意でありますとか、いろいろな御注意のものが過半数でございます。また標識と標示、道路に書かれた線とか文字、それについての御意見もいただいておりますが、いずれにしましても、寄せられた御意見は大部分いかにもごもっともというものでございますので、その大半が改善措置を必要とするものと考えております。そして十月末現在までで改善済みというものが約三百件ほどございます。五分の三ぐらいのものをほとんど直ちに手当てをしたということで、これはドライバーと道路管理者、警察にとりましてのコミュニケーションといいますか意思疎通、意見交換のシステムとして極めて重要であると考えておりますので、広く一般の方々にも御認識をいただきますように、広報、啓発活動をこれから十分に行ってまいりたいと考えております。
  129. 辻第一

    ○辻(第)委員 いよいよ時間が参りました。いわゆる社会構造の変化、そういうもので十分な対応をしていただきたいと思いますし、高齢者事故対策どもあるわけでありますが、いずれにいたしましても、深刻な事態でございます。この第二次交通戦争を一刻も早く終了させるために、国家公安委員長の御決意のほどを伺って終わりたいと思います。
  130. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 今成立をお願いしておる法案も、先生の御要望を果たすためのものの一つでございますが、各般にわたってやらなければならない問題が多いので、各省庁、十分に連絡をとりながら交通事故絶滅を目指して努力をしてまいりたいと思います。
  131. 辻第一

    ○辻(第)委員 終わります。ありがとうございました。
  132. 小澤潔

    小澤委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。     午後一時五分散会