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1989-11-30 第116回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月三十日(木曜日)     午前十時二十分開議  出席委員    委員長 小澤  潔君    理事 大野 功統君 理事 金子 一義君    理事 渡海紀三朗君 理事 西田  司君    理事 松田 岩夫君 理事 山下八洲夫君    理事 小谷 輝二君 理事 岡田 正勝君       石渡 照久君    上草 義輝君       内海 英男君    高橋 一郎君       武村 正義君    友納 武人君       中島  衛君    中村正三郎君       中山 利生君    中山 正暉君       二階 俊博君    野中 英二君       三原 朝彦君    山村治郎君       緒方 克陽君    奥野 一雄君       加藤 万吉君    佐藤 敬治君       中沢 健次君    細谷 治嘉君       安田 修三君    鍛冶  清君       草野  威君    吉井 光照君       経塚 幸夫君    寺前  巖君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     渡部 恒三君  出席政府委員         警察庁長官   金澤 昭雄君         警察庁長官官房         長       浅野信二郎君         警察庁交通局長 関根 謙一君         自治大臣官房長 小林  実君         自治大臣官房総         務審議官    芦尾 長司君         自治省行政局長 森  繁一君         自治省行政局公         務員部長    滝   実君         自治省財政局長 持永 堯民君         自治省税務局長 湯浅 利夫君  委員外出席者         人事院事務総局         給与局給与第一         課長      栗田 久喜君         公正取引委員会         事務局取引部取         引課長     大熊まさよ君         大蔵省主計局主         計官      太田 省三君         厚生省児童家庭         局母子福祉課長 小島此登志君         地方行政委員会         調査室長    渡辺  功君     ───────────── 委員の異動 十一月三十日  辞任         補欠選任   上草 義輝君     石渡 照久君   佐藤 一郎君     武村 正義君   塩谷 一夫君     中村正三郎君   染谷  誠君     二階 俊博君   中島  衛君     三原 朝彦君   山村治郎君     高橋 一郎君   中沢 健次君     緒方 克陽君   安田 修三君     奥野 一雄君   草野  威君     鍛冶  清君 同日  辞任         補欠選任   石渡 照久君     上草 義輝君   高橋 一郎君     山村治郎君   武村 正義君     佐藤 一郎君   中村正三郎君     塩谷 一夫君   二階 俊博君     染谷  誠君   三原 朝彦君     中島  衛君   緒方 克陽君     中沢 健次君   奥野 一雄君     安田 修三君   鍛冶  清君     草野  威君     ───────────── 十一月二十九日  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出第八号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出、第百十四回国会閣法第七八号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出第八号)  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案内閣提出、第百十四回国会閣法第七〇号)      ────◇─────
  2. 小澤潔

    小澤委員長 これより会議を開きます。  第百十四回国会内閣提出道路交通法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する質疑は終了いたしました。  これより討論に入るのでありますが、討論申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  道路交通法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  3. 小澤潔

    小澤委員長 起立総員。よって、本案原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  4. 小澤潔

    小澤委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、金子一義君外四名から、五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。金子一義君。
  5. 金子一義

    金子(一)委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党革新共同の五党を代表し、道路交通法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。     道路交通法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について所要の措置を講ずべきである。  一、最近における厳しい交通事故現状にかんがみ、信号機等交通安全施設の一層の整備事故多発地点における道路改善等道路交通環境整備充実を図るほか、交通安全教育充実、救急・救助体制整備等関係機関が一体となった総合的な交通安全対策を積極的に推進し、交通死亡事故の抑止に努めること。  二、初心運転者講習実施に当たっては、現行法における初心運転者講習より充実した内容のものとするとともに、取消処分者講習においても、免許再取得後の事故防止を図るため講習内容については十分検討すること。  三、初心運転者期間制度の導入によって、初心運転者マークを表示している車に対し、取締りのための取締りが行われるということにならないよう、取締り現場への徹底を図ること。  四、指定自動車教習所における指導員の資質の向上を図るとともに、労働時間が長時間にわたる等の勤務条件により教習体制に支障をきたすことのないよう配慮するほか、高速道路広域化等交通情勢の変化に対応した教習内容充実強化を図ること。  五、高齢者運転免許保有者数の増加と交通事故現状にかんがみ、高齢運転者身体的特性を踏まえた安全教育充実等交通安全について万全を期すること。  六、本法の運用に当たっては、施行前に国民への十分な周知徹底を図ること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。
  6. 小澤潔

    小澤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  7. 小澤潔

    小澤委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、渡部国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。渡部国務大臣
  8. 渡部恒三

    渡部国務大臣 道路交通法の一部を改正する法律案につきましては、熱心なる御討議をいただき、厚く御礼を申し上げます。政府といたしましては、審議過程における御意見並びにただいまの附帯決議趣旨を十分尊重いたしまして、交通安全対策の推進に万全の措置を講じてまいる所存でありますので、今後とも御指導、御鞭撻のほどよろしくお願いをいたします。ありがとうございました。     ─────────────
  9. 小澤潔

    小澤委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 小澤潔

    小澤委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  11. 小澤潔

    小澤委員長 次に、内閣提出地方交付税法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。渡部自治大臣。     ─────────────  地方交付税法の一部を改正する法律案     〔本号末尾掲載〕     ─────────────
  12. 渡部恒三

    渡部国務大臣 ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  先般、政府におきましては、人事院勧告に基づき、本年四月一日から国家公務員給与改定実施することといたしましたが、これに伴い、地方団体が国に準じて地方公務員給与改定実施する場合に必要となる経費を基準財政需要額に算入するため、平成元年度分の普通交付税の額の算定に用いる単位費用の一部を改定することといたしたいのであります。  以上が、地方交付税法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  13. 小澤潔

    小澤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  14. 小澤潔

    小澤委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。加藤万吉君。
  15. 加藤万吉

    加藤(万)委員 これは一つ委員長お願いがございます。  きのう以来社会労働委員会厚生年金法を初め法案の与野党間の折衝が行われまして、一定の結論が出たかのように聞いております。なお、この内容につきましては、きょうの社会労働委員会でもいろいろ議論があることのようでありますが、私ども先般審議さしていただきました共済年金法関係法案、これに率直に言って連動する部分が大変あるわけであります。例えば鉄道共済年金に対する拠出額の問題、これも一部に修正があったというように聞いておりますし、きょうの社会労働委員会の扱いのいかんに結果的にはよるわけでありますが、こうなってまいりますと、地方公務員共済年金からの拠出額も相対的に減額される、そういうように聞いておりますし、また厚生年金保険料率の変更などもあるというように新聞その他では報道されておるわけであります。こうなってまいりますと、共済年金財源率及び掛金率の問題がこのままでよろしいのかどうか、これも一つ問題になるところであります。  いずれにしましても、一番基本になるべき厚生年金及び財政調整関係が一部修正の話を聞いておるわけでありますから、いずれかの審議の場を通しまして、この厚生年金及び財政調整関係法案が、原案修正されるという場面をとらえて、連動する地方公務員共済年金関係質疑いつの場でかできるように、そういう場を設けていただきたい。これは冒頭でありますが、委員長の方にお願いだけ申し上げておきます。理事の方からも問題提起があったと思いますので、いずれ理事会で御相談をいただきたい、かように思うわけであります。
  16. 小澤潔

    小澤委員長 わかりました。
  17. 加藤万吉

    加藤(万)委員 さて、それでは今御提案がありました地方交付税法の改正について御質問に入らせていただきます。  最初に、人事院の方、きょうお願いをして御出席をしていただきましたが、今回の人事院給与勧告、三・一一%のアップであります。民間賃金準拠をしてあるいはそれを基準にして三・一一%の給与アップ勧告をされた、かように聞いておるわけでありますが、この際、その根拠概要で結構ですから、御説明をいただきたいと思うのであります。  なぜ私はこのことを申し上げるかと申し上げますと、実は、民間給与国家公務員給与との差が最近特に拡大をしたという報道がしばしばなされるのであります。せんだっても、十一月二十一日の日本経済新聞でありますが、ここでは公務員離れ好況下における就職戦線に異常がありという極めてショッキングな記事が出ているのであります。中身を少しく検証してみますと、例えば第Ⅰ種試験に対する今年度応募数昭和五十三年に比べまして約二分の一、半分しか応募者がない。一体それは何だろうか。一つは、給与の面について極めて較差があるという、そういう報道でございました。例えば平成元年度の比較モデルをいたしますと、これは大学卒だろうと思いますが、四十・四歳で行政職公務員の場合には二十八万一千八百九十九円、民間の場合には二十八万九千三十三円、これは日本経済新聞報道でありますから、これが即正しいかどうか整合性を確かめる時間的余裕がございませんでしたが、いずれにしましても、国家公務員に対する就職戦線にこのような異常があるということは、有能な人材国家行政機構の中に登用する道がふさがれているのではないか、そういう条件下において、今年度給与アップが三・一一%というのは、単なる民間への比較というだけで問題が過ごされていくのだろうか、こういう実は疑問を持ったわけであります。  したがいまして、概要で結構ですから、三・一一%というアップはどういう根拠か御説明をいただきたい、こう思うわけであります。
  18. 栗田久喜

    栗田説明員 お答え申し上げます。  本年度人事院勧告は、先生指摘のとおり三・一一%ということになっておるわけでございますが、これはいわゆる民間準拠の原則というものに基づきまして、例年どおり民間企業企業規模百人以上、事業所規模五十人以上ということで、実はこれは先生御存じかと思いますが、従業員数にしますと、会社組織従業員の過半数をカバーしているというものでございまして、今まで大方の理解を得た、定着した制度としておるわけでございますが、その結果に基づきまして、私どもがこの四月一日時点におきますところの官民の給与較差というものを出しましたところ、額にして八千七百七十七円、率にして三・一一%という結果になったわけでございまして、私どもは、その給与較差を埋めるという方針に基づきまして、ことしも勧告をさせていただいておるわけでございます。  それが本年の概要でございます。
  19. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大臣、私はこれは大事なことだと思うのですね。大臣御存じでしょうけれども、ことしの大卒関係就職状況については大変異常な事態が起きておると言われておるのですね。特に、私も民間の出身でございますから、第二次産業から第三次産業理工系学生が移動しているということは、日本基幹産業、しかもこれからは日本はエレクトロニクスを初めとして技術立国、それを商品として国際的な市場の面に進出する、にもかかわらず、この有能な人材が第三次産業、決して第三次産業が悪いという意味ではございません。問題は、基礎的な日本経済構造を支える産業分野にかかる人材が登用できない。加えて、それにもまして国家公務員の採用に対する就職応募者が、今申し上げましたように、昭和五十三年度に比べて二分の一ということは、何としても将来の二十一世紀に向かって国の屋台骨を背負うという、この面から見てもゆゆしき事態だと私は思うのですね。したがって、今人事院から御説明いただきましたように、従来の民間比較だけで公務員離れというものを防ぐことができるのだろうかと私は率直に憂えておるのです。  私はある大手電機メーカーのこういう関係の人にいろいろ接触してみました。大変な努力なんですね。第三次産業に移動するであろう大卒の、特に理工系就職者を確保するために、何千億とまで言いませんけれども、何百億という投資をして、例えば従来二人の寄宿舎でありましたのを一人部屋にするとか、これは今度自衛隊の方でもそういうような措置を講ずるという話も聞いておりますけれども、いずれにしましても、そういう環境整備をしなければもはや理工系学生を確保できない、こういう状況なんですね。にもかかわらず、私は、人事院が単に民間との比較の間で三・一一%のアップで、これはきょうは時間がありませんから細かく聞きませんけれども、そういう対応でよろしいのだろうかどうだろうか。これは自治大臣所管事項ではありませんから、ひとつ閣議で一遍問題にしていただきたいと思っておるのです。でなければ、我々の世代はまだ優秀な人材がそれぞれ諸官庁にいらっしゃいますから、それなり行政屋台骨を支えることはできますが、このままいきますと、二十一世紀はおかしくなりますよ。  私は、かつて中国文革の問題がありましたときに、文化大革命のときに、中国のある人がこんな話をしました。万里長城がある。ところが万里長城というのはれんがを積み上げてつくっていったのだ。文革の十年間でそのれんがは穴があいてしまった。それは万里長城全体を崩すことになる。こう言ったんですね。けだし名言だと私は思いましたよ。どうでしょうね。今のような状態、すなわち就職戦線に異常ありと言われる公務員離れのところは、ちょうどいわばそういう万里の長域のれんがの一角が穴があいてしまって、二十一世紀につないでいってしまうというような状況を生み出すのじゃないでしょうか。だとすれば、万里長城、これは言葉としては比較になりませんけれども日本という国を支えるところに空洞ができてしまうという、恐ろしくとは言いませんけれども、そんな心配をせざるを得ないのですね。これはひとつ後で大臣に御所見を聞きたいと思います。     〔委員長退席大野(功)委員長代理着席〕  それから、人事院の方にいま一つお聞きをしますが、今言いました民間との比較の問題は、数量的には私はそうだと思うのです。百人規模以上をとればそうなるとか、前はサービス産業の人は五十人ですか、それを三十人に下げるとか、いろいろ比較の対象の方法論はあると思うのですが、環境整備について一遍調べられたことがあるのでしょうか。例えば民間の場合に、大学を卒業しまして就職をさせまして、そうして向こう三年の間には外遊させますとか、あるいは先ほど言いましたように、それぞれ宿舎であるとかあるいは環境整備に極めて力を注いでいるのですね。したがいまして、こういうことを考えてまいりますと、単に賃金給与の面での比較だけじゃなくて、周辺における条件整備というものを労働条件全般としてとらえる時期にもう来ているのではなかろうか。来年度国家予算概要のところを私見させていただきましたが、あそこでは、防衛庁が例の自衛官の四人部屋を二人部屋にするとか、一人部屋にするため宿舎の増設をするために予算を組む、そういう予算を見まして、防衛問題はちょっとタブーになっていますから余り言いませんけれども、それだけをとらえてみれば私は極めていいことだなと思ったのですね。  大臣、せんだって池子の森の集会がございまして私参りました。そうしましたら、防衛大学の来年の卒業生が実は来ているのです。なぜ我々の集会防衛大学学生が来ているのかなと実は半信半疑でその学生に会いました。氏名を言うとまた成績に関係あるといけませんから。勉強しているのですよ。革新の側はなぜこの池子の森の反対の運動をやっているのだろうか、そしてこれは防衛問題とどういう関係があるのだろうか、こんな勉強に私は来ているのですと。したがって、加藤代議士のいろいろな、池子の問題、米軍宿舎日米安保条約に対する見解をお聞きしたい、こう言っているのですね。すばらしいですね、学生としては。  それほどまでに意欲的な学生がいるにもかかわらず、そういう宿舎整備だとかいろいろなものを考えていかなければ、その学生自身大学を卒業した途端に防衛庁へ行かずに民間の方へ行ってしまうという状況が起きるのじゃないでしょうか。どうでしょう、人事院の方。労働条件全般についてはどういう判断を今お持ちなのでしょうか。
  20. 栗田久喜

    栗田説明員 私どもももちろん、先生指摘ございましたように、給与のみでなくて総合的な勤務条件というものの改善は、今後ますます重要になるという認識は強く持っておるわけでございまして、現に私ども職員局におきましては、給与以外の勤務条件につきまして毎年民間調査をやっておりまして、その辺の実態を把握して少しでもこの改善に努めたいという姿勢でもって取り組んでおるわけでございます。  宿舎の問題につきましても、私ども直接の権限はございませんけれども、そういう実態につきまして把握はいたしておりまして、関係省庁とも協議して、その面での改善を図るという点も努力していきたいと考えているわけでございます。  今後、給与以外の福利厚生といいますか、そういう面での充実強化というのがこの人材確保の面でも非常に重要になるという認識は、民間の動向ともあわせまして私ども十分に持っておりますので、きょうの先生の御発言趣旨を踏まえまして、今後も努力させていただきたいというふうに考えております。
  21. 加藤万吉

    加藤(万)委員 ぜひ検討していただきたいと思うのですね。  最近、民間の第三次産業などでは、もう自宅で仕事ができるという方式までいっているのでしょう、コンピューターを使いまして。私は、官公庁、これはもちろん役所へ行ってタイムカードを押して定時間までいてという、これは一つの流れとしては当然ですが、同時にそういう部面も考えていいのではないでしょうか。いわゆる民間における効率化という問題を行政機構の中でどう取り入れることができるかということをもう考える時期であると思うのですね。民間比較をしてこうだとか、いろいろ調査しています、これも結構ですよ。民間のそういう新しい労働あるいは勤務体系あるいは労働力の効率的な運用、こういう面をいま少しく技術論的にも検討される必要がもう出てきていると私は思うのですね。  そこで大臣、私はいつも思うのですが、人事院の方は極めて精密に、それから数量的にも計算をされて民間との比較を出される。これはそれなりにもちろん効果がありますし、結果としては私は尊重するのですが、いま少し労使関係から生まれるものを重視するという態勢をとられたらどうでしょうか。私は、労働組合の方にもよく言っているのですが、最近労働組合運動人事院勧告完全実施ということが要求のスローガンになっているのですね。そうじゃなくして、それぞれの地方団体あるいはそれぞれの個別の団体間におけるいろいろな話し合いだとか、団体交渉という言葉はこの際交渉権がありませんから使いませんけれども、いわば団体交渉に似通った条件の中から生まれる労働条件というものを重視するという方向に変えてみたらどうか。やはり人事院勧告というものをしゃくし定規に考えて、それの完全実施という闘いも当面あったでしょう、いろいろ行政改革労働条件が圧迫されてまいりましたから。しかし、今やそういう状況を超えて新たな労使関係をどうお互いにつくり上げていくか、そういう話し合いの場を強める時期に来ているのではなかろうか。  この方法がいいかどうかは別にしまして、一つは、例えば労働委員会というのがありますね。民間の場合には中央労働委員会とか地方労働委員会、そこであっせんだとか調停だとか仲裁までいくのですが、そういう仕組みというものを人事院制度の中でどう考えているのか。もうぼつぼつそういう時期に来たのじゃなかろうか。いわば労働者側も、こうやればここが効率的になるよ、使用者側も、こうやってやる方法があるのじゃないか、そういう双方で問題提起をして、そこでまとまったことが即一つ勤務体系といいますか条件になってくるというものを考えてみてはどうだろうか。  それから、賃金問題も三・一一%で決めます。それは全国で一律ですね。大臣御存じのように、きのう実は自治省給与課長から、昭和六十三年度地方公務員実態調査、これは五年に一度やられるそうですが、この調査を見まして、私一つだけ感心したことがあるのです。それは大卒の比率が国家公務員より高くなりましたね。四〇%以上地方団体大卒就労者がいる、こういう調査が出たのですよ。これを見まして、なるほど地方によっては地方大学から市役所とか県庁とかへの就職率が高くなった。一方、国家公務員の方は低くなった。この現象は一体何だろうか。画一的だからなのですよ。都市における大卒就業者をどう採るかという問題と地方都市における問題とは条件が違う。違うにもかかわらず画一的に一つの数量によって三・一一というような数字をはじかれてつくる、そういうものがずっと流れているのじゃないでしょうか。  労使間の慣行についてもそう、賃金人事院勧告についてもそう、あるいは今言いました今日的な条件に合った新たな行政システムというものを考える、その上に立っても、何か今のこれだけの時代の流れの激しいものに追いつけない行政機能というものが存在するのじゃなかろうか。これは本来なら人事院総裁に、いや、そう考えています、こう御答弁をいただきたいところですが、きょうは別の委員会に出ているそうですから言いませんが、先ほど申し上げたこと等含めてここで大臣に、これは閣議の問題として取り上げていただけるかどうか、ひとつお答えいただきたい、こう思うのです。     〔大野(功)委員長代理退席、委員長着席〕
  22. 滝実

    ○滝政府委員 大臣への御質問でございますけれども大臣の御答弁される前に、私の方から事務的なことを若干御報告させていただきたいと存じます。  先生おっしゃられました点は大変重要な問題であろうかと思います。その中で、労使の話し合いの場を中心とした方法勧告の中に取り入れるべきだ、こういうようなお話の趣旨もあったわけでございますけれども、私どもの承知しているところから申しますと、現在人事院給与勧告をされるに当たりましては、その中に労働団体からの意見を聞く、こういうような制度を既に人事院がお取り入れになって、人事院勧告を出される前に意見交換の場と申しますか、意見を聞かれる場をおつくりになっている、こういうふうに承知をいたしているわけでございます。  一方、地方の場合も同様でございまして、具体的に書いた、ペーパーにしたものはないのでございますけれども人事院がおとりになった際に、それと同様な趣旨で、地方団体も当然前からやっているわけでございますけれども、人事委員会勧告を出される場合には当然職員団体の意見を聞く、こういうようなことは事実上十分にやっているものと私どもは考えておりますし、また地方団体が人事委員会勧告を受けまして、給与条例案を作成するという際には、当然また人事当局と職員団体話し合いの場を持つ、こういうことでございますので、今後もそういうような観点から先生のおっしゃるような趣旨がますます徹底されることが必要だろうというふうに考えておるようなわけでございます。  それから、もう一点報告させていただきますと、現在地方公務員の応募状況でございますが、国家公務員の場合には五十三年をピークにして現在相当倍率が下がっている、こういうような御指摘でございますし、事実そのとおりだろうと思うのでございますけれども地方公務員の場合には、実はかなりなばらつきがございます、当然のことではございますけれども。これは先生の御指摘の中にもございましたけれども、その中で一番大きなばらつきは、一般行政職、いわば事務職と技術系の分野、これのばらつきがかなりあるのじゃなかろうかという感じが実は一ついたします。  一般行政職で申しますと、これはおかげさまで、いずれ先生のおっしゃるような現象があちこち出てくるのでございましょうけれども、一般的には地方公務員の場合には、まだ一般行政職への人気が非常に高いという水準はかなり維持しているのじゃなかろうかという感じが実はいたします。これも地域によってはかなりばらつきがありますから、一般論としていささか問題があろうかと思うのでございますけれども、かなりまだ高い人気を維持している、こういうことが言えるのではなかろうか。  それに対しまして、理工系はやはり苦しい。これは民間でさえも今おっしゃるように相当あの手この手で大事にしながら採用している状況でございますから、地方団体の場合にはそれにかわるべき臨機応変の措置がなかなかとりにくい、こういう点もございまして、理工系の場合にはかなり難しさが残っているのでございますけれども、一般行政職としては少なくともかなりの人気を維持している、こういうことでございますから、この点につきましても、いずれ時代の推移に応じた対策を講じていく必要があるだろうという感じはいたしております。
  23. 加藤万吉

    加藤(万)委員 秘書官さん、大臣に後で一括して答弁してもらいますから、ついている方はよくメモしておいてください。というのは、きょうは持ち時間がえらい短いものですから、むしろ聞いてもらうことを中心にして、そして後は大臣に一括して述べてもらいたいと思うのです。  前半は給与の問題に関連してあり方について御質問させていただきました。むしろ私は、閣議の問題としてぜひ俎上に上げて、今後のあるべき姿というものを明確にしてほしい。後で大臣から御答弁いただきます。  さてそこで、これはきのういただいたばかりの資料ですから、まだ解禁になってないのだそうでありまして、十二月の一日にこれを発表するのですか、地方公務員給与問題、ですから細かなことは結構ですが、これを見てみますと、幾つか、ラスパイレスが一〇三・四ですか、ラスパイレスが一〇三・四に下がったというのは、昭和三十八年に戻った、こう書いてあるのですね。よくここまで抑え込んだですね。逆に言えば、労働者側からいえばよくいじめたものだ、こう思いますよ。これはここへ置きましょう。  さて、こうなってまいりますと、どうでしょうか。ラスパイレスの面だけで、これは総体でとらえてみたのですが、ラスパイレスが一〇〇以下のところは既に二千五十五団体、全体の団体の六〇%ですね。それから町村でいきますと、もう七〇%がラスパイレスが一〇〇以下です。  これは今まで当委員会でも議論してまいりましたが、財政再建途上であるから国家公務員に比べて地方公務員のラスパイレスがどうも高いということは大変厳しい、しかも大蔵省サイドから自治省も大分痛めつけられたものですから、勢いそこのところを下げながら交付税の減額を食いとめるという政治的配慮が大分あったのです。これは大臣御存じでないかもしれませんが、財政局長、その辺のことはよく言ってあるのでしょうね。大蔵省とのけんかと言ってはおかしいですが、予算の編成の仕組みの過程で相当言われた問題なんです。国の予算の方も、赤字国債の発行が今年度で大体終わる、財政再建という問題は自然増収の問題も含めまして一定のめどがつきつつある、こういう状況になってまいりましたね。ラスパイレスがまだ高い地域がブロック的にあるというのも私は承知しております、この資料を読みまして。特に関西関係が多いということがよくわかりました。  しかし、先ほど言いましたように、都市における問題、過疎地域における労働条件、さまざま地域的に条件の差というものが出てまいりますと、一つの定規、物差しによってラスパイレスが云々だから云々という抑え方はもう解除してよろしい時期ではないでしょうか。これは公務員部長どうお考えでしょうかね。そろそろそれぞれの自主的な交渉、先ほど話し合いはしている、人事委員会もあります、あるいは人事院ともいろいろ話し合いをしています、あることは私承知しています。しかし、あって、ではその紛争の解決の状況はどうかというと、民間のように、別にあっせんがあるわけじゃない、調停があるわけじゃない、仲裁があるわけじゃない、団体交渉権がないわけですから。そういうことを考えてまいりますと、行政機能としてもう今日的な労使関係、他の労働条件から見て、さらに国の財政再建途上と言われたことなども兼ね合わせてみますと、退職金の抑制から始まりました給与の抑制措置も、自主交渉の段階で話がまとまるべき方向に、その指導の視点、スタンスを変えていくという時期に来たのではなかろうか。  今、各地方団体で交渉をやっています。例えば〇・二ポイント上がりまして勤勉・年度末手当が五・一カ月分になりました。私はそのときにみんなに言ったのですよ。〇・二ポイント上がったのは何で上がったのか。それは民間賃金が上がったからでしょう。民間との比較をすれば〇・二以上上げなければ実際問題として民間の方がボーナスがいいよ。給与も、先ほど言いましたように、四十・四歳ではもう既に七千百三十四円ぐらいの賃金の差が出ているのですから、それ掛ける〇・二あるいは民間の場合には五・幾つかという、極めて景気のいい会社はなっているわけですから、いわば雇用を確保するために必要な条件として〇・二上げたのであって、別にみんなが団体交渉をやって力があって〇・二上がったんじゃないぞ、こういうふうに僕は言っているのですが、これは私は自分の経験から申し上げていることで、それが正しいかどうかは後で皆さんの判断に任せますけれども。  いずれにしましても、そういう条件から見ると、今までの賃金抑制策、労働条件抑制策というものを、そろそろ自主交渉権にスタンスを置いて、そこの意見を尊重するという方向に変えていくべき時期に来たのではなかろうか。先ほどラスパイレスの話をしましたけれども、全市町村では一〇〇以下が二千五十五団体、六〇%を占めているわけですからね。もちろん地域によっては格差がありますよ。あることを承知の上で、あるいはまた町村といえば百人ぐらいしかいない小さな町村もあります。ですから、一様には言えませんけれども、総合的な施策としてもうそろそろそういう方向に変えていくべきではないか、こう思っているのですが、いかがでしょうか。これはどららでも結構ですから。
  24. 滝実

    ○滝政府委員 先生のおっしゃるように、昭和六十三年の四月一日現在でのラスを現在算定中というか、まだ未公表でございますけれども、全体として一〇三・四ぐらいになるだろう、こういう見通しを持っております。そういう意味では非常に安定的に推移してきている、こういうことが言えるかと存じます。  その中で、実際の地方団体における給与改定給与の取り扱いについての組合との交渉の問題につきまして御指摘をいただいたわけでございます。私どもとしては、現在極端に高い団体については、一部個別指導団体ということでいろいろ御相談させていただいているわけでございますけれども、今先生もおっしゃいましたように、ほとんどの団体というのはかなり給与につきましては適正水準に来ているだろう、こういう感じが実はいたしておりまして、もとよりこういう団体を中心としては、当然先ほど申しましたように、人事委員会勧告を出されるときには、労働団体ももちろんそれに対して意見も言う機会がございますし、人事当局が給与決定するときには、当然労働団体の意見を聞いて決定する、こういうことでございますから、そういう意味では、先生のおっしゃるような当事者間の意見が相当程度反映された格好で毎年毎年の給与改定ができてきている、こういうことが言えるだろうと思うのです。  それから、もう一つつけ加えさせていただきますと、先ほど給与の個別指導団体ということを申し上げましたけれども、こういう団体におきましても、当然それは労働団体と当局とが十分話し合いの上でいろいろ給与改定について下げるものは下げ、是正すべきものは是正する、こういう格好で来ていることも片やあるわけでございまして、そういう意味では、先生のおっしゃるように、すべて個別指導団体であろうとあるいはそれ以外の団体であろうと、やはり十分職員団体の意見を聞きながら決定していくというようなことは当然必要でございますし、これからもそういう点についてはお互いに努力をしていく、こういう問題だろうと思っております。
  25. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大臣、今団体交渉をやっておりまして、やはり市町村にとりますと、給与をこれ以上上げると特別交付税の方で罰を食うのじゃないかとか、これはいろいろあるのですよ。しかし、それはおきますが、いずれにしても、全体のスタンスとして、だんだん労使間のところに重点を置くということになりませんと、三・一一%が国家公務員だから、それよりもラスパイレスではうちは上なのだから、そこまで上げられないよとか、そういう話だけで押し込んでいくという姿勢は、総体のスタンスとして間違ってくると私は思うのです。そうでないと、理事者側とそれからそこに働いている職員との間の対立が深まりますよ。それは、一つの限界というのはありますから、限界を超えていきますよ。一〇三・四というのは、昭和三十八年以来に戻った、こういうことですから、三十八年時に。物事はそうでしょうが、抑圧し過ぎますと、結果的に爆発することもありますし、それが国民の側から見ていけば市民サービスの低下につながってくる、あるいは勤労意欲が失われてくる、公務員離れが起きてくるなどなど、原因を考えてみますと、もうそろそろそのスタンスを変える時期ではないか。今の公務員部長の答弁はそれなりにわかりますけれども言葉をそのまま実行に移すような方向性というものを強くひとつ指導方針として出していただきたい。各地方団体でも、今そういう意味で対立があり、時には紛争があるという形で困っているところも率直に言ってあるわけですから、これはひとつ三つ目ぐらいの、最後に大臣の答弁をいただきたい、こう思います。  今度は、交付税法案です。社会党も今度賛成をするという態度をとりましたら、各新聞社が取り上げまして、珍しいな、なぜだろうか、参議院が与野党逆転したからではないかなんという記事が出ていました。これは誤解のないように申し上げておきますが、交付税法の一部改正について社会党が賛成したのは前にもあったことなので、別にそれ自身は珍しいことではない、このことだけは申し上げておきたいと思うのです。昭和六十年だと思いますが、財源、例えば交付税の落ち込みがありまして、その落ち込みをそのままカットしないということの交付税の一部改正案が出たときに、我が党も賛成をして通しましたから。何か今度は、特に給与の問題で背景に労働団体があるからとか、あるいは与野党逆転で、反対で持っていったら参議院で否決をされるから社会党がというふうに書かれていたような記事が一部ありました。誤解なので、この辺は解いておきたいと思うのであります。  さてそこで、今度交付税で単位費用を改定するというのが本法であります。単位費用を改定すれば、当然これは交付税をどうふやすかということになってくるわけでありますが、まず自治省側にお聞きをしますが、当初予算計上額十二兆四千六百九十億円、これに加算をされるのでしょうね。これは自治省にお聞きをしておきたいと思うのです。補正予算で加算をされるのでしょうね。
  26. 持永堯民

    ○持永政府委員 今回の法案によりましていわゆる再算定をいたすわけでございますけれども、それによりまして当然基準財政需要額がふえてまいります。したがいまして、交付税総額もふやす必要があるわけでございます。この補正予算との関連の問題でございますが、補正予算の編成そのものは今からでございますので、今の段階で公式にこれを計上するということを確定的に申し上げることはいかがかと思いますけれども自治省といたしましては、この交付税の増加需要額については、必ず補正予算に計上させていただきたいということで対応する考えでございます。
  27. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大蔵省に今度はお聞きをしますが、今度財源不足額六百六十九億円、不足額というか追加額といった方がいいでしょう。不交付団体にはこれは入りませんから、不交付団体には交付財源は必要ございませんから、実額でいくと五百億円ぐらいになるのでしょうか、これはまだ試算をしてありませんが、定かではありません。そこで、今自治省側としては、補正予算で追加需要額として交付税に加算をする措置を講じたい、こう言っているのですが、受けて大蔵省の方はどういう態度でしょうか。  と申しますのは、従来こういう財政需要の追加額、これは給与ではございませんけれども、しばしばあったのですが、その交付税トータルでときどき大蔵省の方は計算をされるのです。例えば他の財政調整が必要なもの、来年度でいきますと、例の補助金カットの問題で翌年度繰越分があります。これは平成年度まで繰越分の分でいけば、例の恩給の追加額ですね、これは平成年度でございますが、そのほか何かありましょうか、国保の国庫負担、例の所得の低い人に対する国の負担の軽減保険料に対する負担です、公的負担。これは二分の一国が負担、地方団体が二分の一負担するという、これも平成年度まで持ち越されている課題なんです。そういうところは、いや国の負担の二分の一は、地方団体が財政的に豊かなんだから地方団体が今度は負担をしなさいとか、あるいは国庫負担の低額所得者に対する保険料のそれぞれ公費負担分は今度はやめます、そのかわりに交付税の方の六百六十九億はちゃんとカウントします、こういうことを時折やられるのですね。精算金額なんかもそうでした。かつて特別会計から借り入れた利子も繰り上げて償還をするなどということもありまして、総体的に見ますと、交付税の実額は結果的にはそんなに変わらなかったという結論を出されたことも、今までの段階ではあったわけであります。  さて、今度の場合は六百六十九億、実額で五百億円ぐらいになるかもしれませんが、これはまともに給与追加額として、自治省の方は追加需要額としてぜひ補正予算で組みたい、こう言っているのですが、大蔵省の見解はどうでしょうか。
  28. 太田省三

    ○太田説明員 地方公務員給与改定につきましては、十一月二日の「公務員給与改定に関する取扱いについて」という閣議決定がございまして、そこの中で「地方公務員給与改定が行われる場合の必要な財源については、地方財政の現状等を考慮して、適切な措置を講ずるものとする。」というふうに書いてございます。したがいまして、この閣議決定を踏まえまして、補正予算編成の中で自治省さんともよく相談をしながら適切な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。  今予算編成につきましては検討中でございますので、今申し上げましたようなことで御理解をいただきたいと思います。
  29. 加藤万吉

    加藤(万)委員 自治省は、追加額等を補正予算に要請をします、こう言っているわけですから、確かに編成中ではありますけれども、答えとしては、それを受けて、実額保障が交付税措置としてできるように取り組みます、このくらいの答弁が欲しいですね。まあ、閣議決定の問題は、文書ですから、文書を読まれただけでは率直に言って回答としては極めて不満です。  大臣に答弁をしてもらうことを幾つか残しましたので、最後の質問に入らしていただきますが、大臣、なぜこれは交付税措置をしなければならなくなったのか。四千四百億円の追加財政需要額のいわば予備費的なものがあるんですね。幸いにことしは災害が少のうございました。したがって、地方公務員給与引き上げに伴って必要な財源をいろいろなもので補てんしてまいりまして、結果的に六百六十九億足りなくなりましたので、交付税法の改正をやります、こうなったわけですね。四千四百億円という額は昭和六十一年からでしょうか、同じなんですよ。まず第一に、少し変えられたらどうですか。  それからいま一つ、来年度賃金の確定がどのくらいになるか。これは見通しですから、お互いに見解の相違があるところかもしれませんが、民間給与は五%じゃききませんよ、来年は。六ないしは七%上がるんじゃないでしょうか。これは人事院お帰りになりましたけれども人事院の方は民間給与比較して三・一一%です。ことしは民間は大体五%台ですね。同じように、来年が六ないしは七%ぐらい賃金が上がると世上言われているんです。これから組合の要求はもっと高いでしょうけれどもね、労使間の折衝で。しかし、常識的にそのくらいじゃないかと客観的には言われております。そうすると、公務員賃金はいやが応でも五ないしは六%になりますよ。四千四百億じゃまず追加需要額の総枠が足りません。そこで、来年度も再び交付税改正をせざるを得ないのです、もし同じ予算を組むならば。どうでしょう、昭和六十年度まではたしか一%、わずかですが、給与改定分は当初財政計画に組んであったのです。それが財政圧迫、いわゆる財政再建ということでその部分を除きまして、もしもあった場合には四千四百億円という枠内で処理をしましょう。今までアップ額が少なかったからそれで済んだのです。来年はそうはいきませんよ。来年、いま一遍また交付税の一部改正を出して、この措置をやられるのでしょうかね。  第一に、全体の四千四百億という追加需要額の枠組みをどうされるのか。二つ目には、同時に、民間の方が好況ですから、賃金の引き上げが相当多いという見込みに立って、財政計画として賃金アップ分を当初財政計画に盛り込まれる用意があるのかどうか。これは財政局長からお聞きしましょうか。
  30. 持永堯民

    ○持永政府委員 まず、追加財政需要の問題でございます。  御指摘のように、六十一年度に四千四百億にいたしまして、自来同じ額で来ております。これはたまたま六十三年度まではこの額で対応することができたということもございまして、そういう状態で推移をしてまいっております。しかし、ことしの場合は給与改定の幅が割合大きかったものですから、これでは不足を生ずるというようなことで、今法案を御審議いただいているわけでございます。この追財の規模につきましては、明年度どうするかということでございますけれども、ことしこういうこともございましたので、一つの検討課題として、地財対策を講ずる際に十分先生の御意見も踏まえながら対応してまいりたいと思っております。  それから、来年度のベアがどのぐらいになるかということをあらかじめ見込むことは非常に難しいわけでございますけれども、いずれにいたしましても、仮に追財で不足するようなことがあるとすれば、ことしと同じようなことで、地方団体の財政運営に支障のないように財源措置をすることが必要であろうと思っております。  それから、給与改善費を計上するかどうかということでございますけれども、これも財政が厳しいということもございまして、あるいは国の予算との整合性ということもございまして、六十一年度からいわゆる追財に包括的に入れるというやり方になったわけでございます。この問題につきましても、やはり追財の規模をどうするかということとも関連いたしますし、同時に、国の予算におきましてどういう措置がとられるかということとも関連がございますので、そこらも十分見きわめながら考えてまいりたいと思っております。
  31. 加藤万吉

    加藤(万)委員 国の方は余り見ないで、自治省自身でやってくださいよ、上がることは間違いないのですから、上がることは。一%か二%ぐらいきちっと組んで、そして国の方も組んでほしい、こういう姿勢をとってほしいと思いますね。これは大臣お願いしておきますよ。  そこで、今ずっと一連の話を私はしました。この際、私は来年度給与改善費の追加需要のために、交付税の一部改正がない、そういう法案を提出されないような措置をこれからもとる必要がある。私は、道路交通法のときにちょうど質問ができなかったものですから非常に残念に思っているのですが、道交法の改正は先ほど可決されましたけれども、私は何年か前から言っているのです。あの法案はもうここで部分的な法改正が五回です。例えばシートベルト、暴走族対策、それからヘルメットの着用、高速道路における問題、三角のこんなのを立てる法案とか有料駐車場、今度、初心者教育、もう道路交通法を抜本的に改正しなさいと言ったのですよ。嫌です、継ぎはぎだらけの傘を差しておるのは。でも今度こういう経過ですから、それはそれなりに私ども認めて賛成をいたしましたけれども。  同じように来年度の貸金の引き上げがもうおおむねわかっているにもかかわらず、再び地方交付税法を改正していただきます、この点はもう受け付けませんよ、来年は。このことを含めて、もう時間が参りましたから、大臣に幾つか注文を出しましたので、最終的な御答弁をいただきたいと思います。
  32. 渡部恒三

    渡部国務大臣 まず、交付税法案に野党の皆さん御賛同をいただける、こういう御良識に対して心から敬意を表したいと思います。  地方公務員給与改定についてでありますけれども、これはお言葉ではありますけれども公務員給与のバランスということも極めて大事なことでありますので、国家公務員給与改定に準じて基本的には行われるべきものであると考えますので、御了承を賜りたいと思います。  また、公務員人材確保の問題、これは大変大事なことであると思います。私も今加藤先生の質問をお聞きしながら、過去のことを振り返ってしみじみと思いをいろいろしておったところでありますが、昭和三十年、私が大学を卒業したころは、民間あるいは公務員を問わず就職難で、民間企業にも就職できない、公務員にもなれないということで、勉強してなかった私など田舎に帰らざるを得なくて、こんなことになってしまったわけでありますけれども、しかし、その後振り返ってみますと、民間企業でも基礎素材産業人材が殺到した時代もございます。  今は、まさに加藤先生おっしゃるとおり、サービス産業に求職が集中して、産業のいわゆる米とも言うべき基礎素材産業に余り人が集まらないとか、また公務員についても、公務員に対する就職希望が非常に多かった時代、加藤先生も御経験と思いますけれども、今は残念ながら就職希望が少なくなっておるという現実、これはお気にさわるかもしれませんが、やはり戦後四十五年振り返って、日本の国全体が非常に経済がよくなった、こういうことであると思いますけれども、今御指摘の国を支える、あるいは地方自治体を支える、これは人間でありますから、その優秀な人材を確保するという御提言はまことに重要なことであって、今後いろいろ検討をしてまいりたいと思います。  また、最後の点については、ただいま財政局長から御答弁を申し上げたとおりでございます。
  33. 加藤万吉

    加藤(万)委員 終わります。
  34. 小澤潔

    小澤委員長 小谷輝二君。
  35. 小谷輝二

    ○小谷委員 地方交付税法の一部を改正する法律案に対する質問を行いたいと思います。  我が党は、これまでも国家公務員または地方公務員給与の改定につきましては、人事院勧告を尊重し、速やかに適正な財源措置を講ずるように、このように常々主張してきたところでございます。今回、政府は、八月四日に人事院勧告が行われ、これに基づいて十一月二日に人事院勧告どおりに完全実施することを閣議決定されておられます。このことにつきましては評価するものでございます。国家公務員給与改定に準じて今回の地方公務員給与改定に伴う地方交付税法の一部改正ということでございますので、まことに意を得た措置である、このように思っております。  そこで、今回の交付税法の一部改正につきまして、二、三質問を行いたいと思います。先ほど加藤委員の質問もございまして、重複する点がかなりあろうかと思いますけれども、改めてお尋ねしたい点が二、三ございますので、よろしくお願いしたいと思います。  地方公務員給与改定が今までもずっと行われてきておるわけでございますし、人事院勧告完全実施もここ数年行われてきたわけでございますが、ここ数年、今回のような地方交付税の改正の措置はなかったわけです。今回なぜこのような地方交付税の改正、単位費用の改正を行わなければならないような状況になったのか。我々の知っている範囲内では、近年はなかったわけでありますので、このような改正案を現時点で出さなければならなかったその背景は何なのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  36. 持永堯民

    ○持永政府委員 いわゆる給与改定財源を措置するための交付税法の改正をお願い申し上げますのは、昭和四十年代はずっとほとんど毎年のようにあったわけでございまして、たしか昭和五十年度が最後だと思います。五十一年以降は、昨年まではお話しのようにこういったための法案の改正はお願いしなかったわけでございますけれども、これは、毎年地方財政計画の中で追加財政需要というものを計上させていただいておるわけでございますが、最近数年間はその追加財政需要の金額の範囲内で給与改定に対応できたということがございましたので、そういった単位費用の改定を行わなかったわけでございます。ただ、ことしの場合は、給与改定のための一般財源所要額が五千五百五十億円と見込まれておりまして、これに追加財政需要額を充て、あるいは経費の節約をいたしましても、なおかつ財源が不足をいたしますので、今回この単位費用の改定をして財政需要額を増加させるための法案お願いしているような次第でございます。
  37. 小谷輝二

    ○小谷委員 ということは、本年度予算で今回の人事院勧告に伴ったところの地方公務員給与改定の見込み額というのを自治省としてはどのくらい見ておったのか、何でこのように大きな差があったのか、ここらはどうなんですか。
  38. 持永堯民

    ○持永政府委員 当初の地方財政計画の策定あるいは地方交付税の算定に当たりましては、給与改定は何%ぐらいになるかということは見込んではおりませんで、最近、毎年のことでございますけれども、そういった給与改定財源を含めた形で、いろいろなほかの財政需要を含めた形で追加財政需要額というものを、ことしの場合で申し上げますと五千億計上いたしているわけでございまして、年度の最初の段階でベア率がどのくらいになるかということを見込むのは現実問題として非常に困難なことでございますので、その点は御理解賜りたいと思います。
  39. 小谷輝二

    ○小谷委員 先ほど質問がございましたけれども、主な財源になっております追加財政需要額、これは五千億ですね。これは、私たちの認識では、必ずしもこういうふうな給与改定に伴ったところの財源ということではなくして、予備費的な存在であって、現年発生災害等の年度中途の財政需要が発生した場合に充当すべきものであるというふうな認識を持っておるわけでございますが、今回は災害分六百億を引いてその残り四千四百億を全額地方交付税の基準財政需要額に算入する、こんなことがいいのかなという危惧を抱くわけですけれども、これはどうなんですか。
  40. 持永堯民

    ○持永政府委員 確かに、今御指摘ございましたように、五千億の中身でございますけれども、六百億については災害という予定をいたしているわけでございまして、その他が四千四百億というふうに見込んでいるわけでございます。これを全部給与改定に充てることがいいかどうかということでございますけれども、全般的に現在のといいますかことしの地方財政、地方団体における財政需要をいろいろ考えた場合に、給与改定以外につきましては特段の財政需要は標準的な団体におきましては考えられないということもございまして、この追加財政需要を給与改定財源に充てるということにいたしたわけでございます。  なお、今後、例えば国の補正予算等に伴いまして地方団体に新しい財政需要が出てくるということがございます場合には、また別途補正予算の編成の段階でそういった財政需要を措置する方向で検討する必要が出てまいるということは考えられますけれども、現段階では今申し上げましたように、個別の団体一つ一つ考えればいろいろあろうかと思いますが、全体として標準的な財政需要を見込むという地方財政計画あるいは地方交付税ベースで考えてみた場合においては特段の財政需要がございませんので、これを全部充てることにしたというような次第でございます。
  41. 小谷輝二

    ○小谷委員 この追加財政需要額の五千億というのは、年々財政規模が全体的に大きくなっておるにもかかわらず、六十一年度以降ずっと、六十一年、六十二年、六十三年、本年と四年間ですか、連続してそのまま据え置きになっていますね。これは何か特別な理由があるのですか。
  42. 持永堯民

    ○持永政府委員 六十一年度以降五千億で推移をしてまいっております。これはたまたまこの数年間、最初の御質問にも関係があるわけでございますが、例えば給与改定財源を含めていろいろな財政需要についてはこの五千億の範囲内で処理できたということもございまして推移してきたわけでございますけれども、今回はこういうことも起こりましたので、来年度以降の地財計画の策定に当たりましてこれをどうするかというのは一つの検討課題だと思っております。そういった意味で、地財対策を講ずる際に十分検討してまいりたいと考えている次第でございます。
  43. 小谷輝二

    ○小谷委員 なおかつ、給与改定というのは例年行われているものであって、私たちの考えております予算というものは、当然起こるべき財政需要というものを的確に見て、そして当初に計画すべきものである、これは常識論として思っているわけですけれども、これも先ほどお話がありましたけれども、どういうことなんですか。要するに六十一年度以降は給与改定に伴って必要な財政需要というものを全然見ていないのですね。それまでは見ていたようです。年度別に多いときには五%とか三%とか一%とか見ていたようですけれども、六十年度までは見て、六十一年度からは給与改定分としては予算で見ていないのですか。この点はどうなんですか。
  44. 持永堯民

    ○持永政府委員 今お話ございましたように、実は昭和四十四年度から昭和六十年度までの間でございますけれども、この間におきましては、いわゆる給与改善費という形で給与改定に充てる財源ということを明示した形で一%とかあるいは数%というものを計上してきたわけでございますが、六十一年度以降、国・地方を通じまして財政事情が非常に厳しいということもございまして、国におきましても給与改善費という形では当初予算には計上しないということになったわけでございます。そういったこととの兼ね合いもございまして、地方財政計画の上でも給与改善費という形では計上いたしておりませんけれども、先ほど来申し上げておりますように、追加財政需要という形で、いわば包括的に計上をさせていただいている次第でございます。
  45. 小谷輝二

    ○小谷委員 大臣、これは自治大臣とされて、全国地方自治体の元締めであり、かなめであり、特に交付団体にとっては自治省の交付税の対応が地方財政を非常に大きく左右するものでありまして、しかも自治体そのものは、特に財政力の非常に弱い、小さいところはそれだけに人件費の割合がかなり大きいわけです。したがって、今回のような大幅なアップということになればかなりその影響を受けることが多いわけですので、そこは国の方の対応がこうであったからということではなくして、交付税で当初かなりのものは別途に見積もっておくべきではなかろうか、こう思うのですが、大臣いかがですか。
  46. 持永堯民

    ○持永政府委員 先ほどもお答え申し上げたわけでございますけれども、あらかじめ給与改定率を見込んでそれを計上するということは現実問題なかなか難しいわけでございまして、やはり人事院勧告が出るまでは率がはっきりしないという点はあるわけでございます。そういった意味で、現在のところは追加財政需要という形で計上をさせていただいているわけでございますが、いずれにしてもその額では足りないような場合、つまりことしのような場合におきましては、こういった交付税の単位費用の改定をお願い申し上げまして、先ほど御指摘ございました、小さな団体で人件費のウエートが高いところも困ることがないように対処をしてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  47. 小谷輝二

    ○小谷委員 今度の給与改定所要額が六千六百七十億で、特定財源、これは学校の先生、国費半分ということで一千一百二十億それから減って、なおかつ今の地財計画によるところの計上済み額として四千四百億、さらに、これは経費の節減額として四百八十一億が出ているわけですけれども、これはわからぬでもございません。しかし、この経費節減額四百八十一億円、これはどういうものを目指して節減額として見込んでおられるのか、こういうものに焦点を当てて節減をしなさいという具体的なものがあるのかどうか、これはいかがですか。
  48. 持永堯民

    ○持永政府委員 私どもの方で四百八十一億という節減額を出したわけでございますが、この基礎といたしましては、対象の経費といたしましては、物件費と維持補修費でございます。ただ、物件費、維持補修費の中でもいわゆる現場的な行政と申しましょうか、あるいは住民生活に直接影響が出るような経費、例えば民生費あるいは衛生費、あるいは義務教育関係の小中学校の経費でございますとか警察、消防の経費、あるいは公営住宅の維持管理費、こういったものは節約の対象外として外しておりまして、いわゆる内部管理的な物件費あるいは維持費というものを節約の対象にいたしておるわけでございます。  また、節約の率でございますけれども、これは国におきましても七%ということでございますので、都道府県につきましては七%、市町村につきましては県に比べますと懐が小さいということもございますので四・三%の節約という計算をいたしまして、その結果全体として四百八十一億という節約の額になっているわけでございます。
  49. 小谷輝二

    ○小谷委員 経費の節減というのは、地方自治体におきましても国におきましてもあらゆる公の機関においては徹底して行うべきことでありまして、当然なことでありますけれども、特に地方自治体で財政規模の非常に小さい、人件費のウエートの高いところで、また、当初地財計画の中でも歳出面においては徹底した節減合理化を図るという基本的な考え方で予算も組んでいるわけですし、自治省もそういう形でかなり自治体には求めてきておられるわけでございますが、そこでさらに節減合理化といいますか、節減額を決めつけて、そうして人件費はアップしなさい、経費はこれだけ少なくしなさい、こういうことになればどこかに無理がくるのではなかろうか。今そういう点では配慮しているというお話でございますけれども、教育費とか社会福祉の面で住民サービスに影響が出るのではなかろうか、こういう心配が起こるわけですけれども、この点はいかがですか。
  50. 持永堯民

    ○持永政府委員 確かに当初の地財計画に当たりましても経費の節減ということを言っているわけでございます。そういうことでございますけれども、今回の給与改定に当たりましては、閣議におきましても経費の節約は国・地方を通じて図るべきであるということも言われておりまして、合理化なり能率化できることはなるたけのことをして、そして国民の御理解を得ながら給与改定もしていく、そういう基本的な考え方があるわけでございます。そういうことから、当初の段階でももちろん経費の節減をいたしておりますが、さらに今回の給与改定を行うに当たりまして一層そういった点を徹底をしていただきたいということを考えているわけでございます。  ただ、今御指摘ございましたように、あるいは先ほど御答弁申し上げましたように、民生とか衛生とかあるいは教育とか、そういった現場部門あるいは住民生活に直接かかわるようなところの経費については対象外にしておるということでございまして、この節約によりまして地方行政あるいは住民生活に何か支障が出てくるというようなことはないのではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
  51. 小谷輝二

    ○小谷委員 いずれにしましても、今回の給与改定に伴ったところの交付税の改定、この交付税の財源措置というのは補正予算になるんではなかろうかと思いますが、これはどうですか。
  52. 持永堯民

    ○持永政府委員 現在お願いしております法案が成立いたしました場合には、当然基準財政需要額がふえてまいりますから、その分に見合う交付税総額が必要になってまいりますので、これは補正予算に計上をさせていただくようにしたい、このように考えておるところでございます。
  53. 小谷輝二

    ○小谷委員 これは自治大臣にお伺いした方がいいのではないかと思いますけれども、今問題になっております衆議院解散・総選挙は来年の一月末とか二月とかいうことでございますが、補正予算の取り扱いが一番大きな問題になるのではなかろうかと思うわけでございます。補正予算の成立等が総選挙のためにおくれるようなことにならないのかどうか、大臣の見通しですね。自治体にとってはかなり大きな影響がありますので、もしお考えがあるようならお示しをいただきたい。
  54. 渡部恒三

    渡部国務大臣 今新聞等でいろいろ書かれておりますけれども、衆議院の任期は来年七月までございます。  御指摘のように、補正予算国民生活に極めて重要な関係のあることでありますから、この補正予算政府として大事に大事に考えていかなければならないことと思っております。
  55. 小谷輝二

    ○小谷委員 それ以上お尋ねしても無理だとは思いますけれども自治省の方、地方自治体におきましては、補正予算が総選挙等でずれ込んでずっとおくれるということになればかなり影響が出てくるんじゃないですか。もちろん、給与改定も含めて全体的な地方自治体の最終的な補正問題についても起こるんじゃないかと思います。いつごろにどうしなければ実際は困るんだというような見通しは持っておられますか。
  56. 持永堯民

    ○持永政府委員 給与改定との関連で申し上げますと、地方団体におきましては、やはり年内支給ということもございますので、十二月中には給与条例の改正あるいはそれに関連する補正予算を組んでいくだろうと思います。  その補正予算を組むあるいは給与改定の条例を出すに当たりまして財源の見通しが必要でございますから、そこで現在交付税法の審議お願いしているわけでございまして、この交付税法によりまして、各団体においては大体どのくらいの金額の交付税の追加があるということは計算できるわけでございますから、そういう意味で予算の計上あるいは条例の提出には支障がないものと思っております。  問題は、補正予算が通るまでの間というのは、交付税の追加の分のいわゆるキャッシュが行かないという事態になるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、これはおくれても三月中には当然行くことになると思いますので、おくれがどのくらいになりますか正確にはわかりませんが、若干のキャッシュがおくれることによる金利というものは、ないとは申しませんけれども、各団体の財政にそれほど大きな支障が出るようなことにはならないであろうというふうに考えているわけでございます。
  57. 小谷輝二

    ○小谷委員 では、ちょっと質問を変えます。  本年九月末での平成元年度上半期の都道府県税の調定額が自治省の発表では十兆二十四億円、このように発表されておりますが、これは前年度に比べまして四・五%の増加というように報道されております。法人事業税は非常に好調であるとも発表されておりますが、今年度後半の都道府県税の見通し、また特に法人事業税の見通しについてはどのように思っておられますか。
  58. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 今年度の都道府県税の収入状況でございますが、ただいま御指摘のような状況でございます。特に法人事業税につきましては、平成元年の九月末までの徴収実績を見ますと、調定額の伸びとして前年同月比一三・七%の伸びとなっております。全体といたしましてはかなり好調ではあるわけでございますが、地域的に見ますとかなりのばらつきがあるということも事実でございます。現在の状況がこのまま推移するということになりますと、当初計上いたしました地方財政計画額には達成し得るのではないかというふうに考えているところでございます。
  59. 小谷輝二

    ○小谷委員 法人事業税は府県税の中ではかなりのウエートがあるわけですけれども、今一番問題なのは、景気の動向によって地方自治体の間におきまして極端に差ができてまいります。したがって、これは固定した考え方ではなくして、その状況に応じてでなければならないのではないかとも思われます。要するに、大都市圏と地方との税源の格差が本年後半の状況から見て大きくなるのではないかなと思うのです。特に本年四月一日から分割基準の見直しがあったわけで、その見直しによりまして大都市圏と地方との格差の是正がある程度行われておるのではないかなと思うわけですけれども、その状況はいかがですか。
  60. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 二つ以上の都道府県に事務所が所在しております法人につきましては、ただいま先生指摘のように、事業税について関係都道府県で分割するわけでございます。その分割基準につきましては、従来から、社会経済情勢の変化に対応いたしましてその事業の活動と地方行政サービスとの受益関係を的確に反映させるということを心がけまして、それぞれの税源の帰属を適正に行うということを行っているわけでございます。  したがいまして、税制のサイドからこの分割基準を見直す場合に、税源の格差を是正するという観点からこれをやるということではないわけでございまして、税源帰属の適正化を図ることによって結果的に税源の格差の是正が行われるということもあるわけでございますが、基本的には税源帰属の適正化をいかに行うかという立場でこの分割基準の見直しを行っているところでございます。御指摘のとおり平成元年度の税制改正におきましてこの分割基準を改正いたしました。これによりまして結果的には大都市圏におきまして、特に東京都あるいは大阪府におきまして税収が減になって、その分他の地方に増枠の効果が出るというようなことはございました。  こういう点については今後とも税源の帰属の適正化という観点から常に見直しを行いまして、その適正化を図ってまいらなければならないと考えております。
  61. 小谷輝二

    ○小谷委員 特別地方消費税、料飲税と言っていたものですけれども、これは今度の法律改正で料飲関係で五千円以上三%、宿泊で一万円以上三%、このように本年四月から課税されることになっておるわけでございますが、今政府・自民党等の見直しとか、また財界の意見とか、地方自治体の要望とか云々がありまして、今検討が各分野で行われておると思っておりますが、財界あたりからこれは廃止すべきではないかという意見があるやに承っておりますが、これはいかがなんですか。
  62. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 特別地方消費税につきましては、御指摘のとおり昨年の税制改革におきまして、料理飲食等消費税という制度を大幅に見直しまして、消費税との負担調整を行ったところでございます。この特別地方消費税の問題につきましては、最近におきまして消費税と併課されているというようなこともございまして、旅行や外食等の消費行為の抑制につながるのではないか、時代の流れに逆行するんじゃないかというような趣旨から、これを廃止すべきではないかという御意見があることは事実でございます。
  63. 小谷輝二

    ○小谷委員 一方、地方自治体は知事会等で、これは地方の固有財源でもあり何とか存続をしていくように、こういう要望が出ていると思いますが、その状況はどうですか。
  64. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 都道府県の立場から申しますと、昨年の税制改革におきまして、消費税の導入に伴う地方の間接税の調整というものが一応昨年の段階で終わったということを理解いたしております。その結果として、特別地方消費税というものが存続されたわけでございまして、地方の独立税源として、この税は地方団体行政サービスとの関連も非常に深い税でございますので、この税制というものは地方の自主財源として今後とも残していくべきものだというふうに私どもも考えておりますし、また全国知事会なりあるいは全国都道府県議会議長会におかれましてもこの存続を強く訴えているところでございます。  また、各都道府県におきましても、今後リゾート開発でございますとかあるいは観光開発を行う、その結果としてこういう税源が涵養されるということで、かなりの地域開発のインセンティブにもなるというふうに考えましたときに、この税制というものは地方税として非常に大事な税だというふうに考えているところでございます。
  65. 小谷輝二

    ○小谷委員 大臣、いろいろな見方もあり考え方もあるわけですけれども地方自治体からの強い要望もこれあり、また一方、これを廃止すべきであるという意見もこれあり、自治省としていろいろ検討される段階であろうと思いますけれども大臣の御意見を伺いたいことと、大臣御就任になりましてから非常に自治省自治大臣に対する地方自治体の期待も大きいわけでございますし、今回の一連の税制改革によりまして地方財源ほかなり中央に集約され、ますます中央集権的な行財政面が大きくなってきた。地方分権とか地方の自治の拡充とか、また地方財源の確保とかいうふうなものからむしろちょっと退いてきている状況にあるやに我々考えておるわけですけれども、これらを含めて、大臣の今後の地方自治体に対する決意等お聞かせをいただいて、質問を終わりたいと思います。
  66. 渡部恒三

    渡部国務大臣 特別消費税、ただいま税務局長から詳細答弁がありましたけれども先生指摘のとおりこれは地方にとって極めて貴重な財源であります。また、先般の税制改革で、免税点の大幅引き上げとかあるいは事務の簡素化とか既に行われておりますので、地方自治の自主性を尊重し、また地方の振興ということからもこれは存続すべきものである、そういうふうに考えております。
  67. 小谷輝二

    ○小谷委員 終わります。
  68. 小澤潔

    小澤委員長 岡田正勝君。
  69. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大臣、これを見てください。二十五問用意したんです。二十五問質問通告しておるのでありますが、三番バッターになってきますと勘定してみたら残りは二つしかないのです。大変な苦労をしているのですよ。大臣、どうですか。本当に私のようなものは大変だなと思いますか、わかりますか。  それでは、残りの二つだけについて時間の許す限りお尋ねしたいと思いますが、質問をし尽くされておりますので、交付税については賛成でありますからこれを省略いたしまして、今問題になっております一円玉の問題、一円入札、この落札問題でお尋ねをしたいと思うのでありますが、これも時間がありませんから絞ってお尋ねをいたします。公取はお越しになっていますね。  今回の一円落札の問題は、独禁法で禁止しているところの不当廉売あるいは不当な利益による顧客の誘引あるいは抱き合わせ販売などの不公正な取引に当たるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。これが一つです。時間がありませんからまとめてお尋ねいたします。それから再発防止に万全を期すべきではないかと思いますが、この点についてはいかが思われますか。また、将来的に地方公共団体の利益を損なうことになりはしないだろうかということについて。以上三点、まとめてお尋ねをさせていただきます。
  70. 大熊まさよ

    ○大熊説明員 公正取引委員会がコンピューターシステムに関する最近の地方自治体の入札の実態について調査しましたところ、幾つかの事例で著しく低い対価で入札している事例がございました。コンピューターシステムの取引におきまして、有力な地位にある事業者がコンピューターシステムの基本計画または設計業務の入札におきまして繰り返し著しく低い対価で入札する場合には、不公正な取引方法の第六項で規定します「不当廉売」または第九項で規定します「不当な利益による顧客誘引」に該当し、独占禁止法十九条の規定に違反するおそれがあるというふうに考えたわけでございます。  このため公正取引委員会は、十一月二十四日、富士通及び日本電気に対しまして、今後このような行為を行わないよう厳重に注意いたしました。また、事業者の団体でもあります社団法人日本電子工業振興協会に対しても、傘下会員に対し、このような行為を行わないよう周知方を要望したところでございます。  今後の問題でございますが、公正取引委員会としては、コンピューターシステムの分野において公正かつ自由な競争が行われるよう、今後ともその実態について注意してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  71. 芦尾長司

    芦尾政府委員 この問題はなかなか難しい問題であるわけでございますが、御承知のとおり、これは地方団体は、入札価格に最低制限価格を設けるということは、工事または製造の請負契約以外はそういう制度になっていないということでございますから、今回この一円落札ということにつきまして、地方自治法上はこれは最低価格で落札をしなければいけない、こういうことになっておるわけでございます。  今、公正取引委員会の方からお話がございましたが、再度行えばということになるわけでございますが、それでは少なくとも今回の入札契約はどうだ、こういうことになるわけでございます。これにつきましては、自治法上の立場からいえば、自治体の立場からいえば適正である、適法であるというふうに申し上げざるを得ないということになるわけでございます。  現実問題といたしまして、今広島市と富士通との間でいろいろお話し合いがなされておるとは思いますけれども、当面私どもとしましてはその状況を見守らざるを得ないというような状況になっておるわけでございます。
  72. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今お答えいただきましたが、現在の法律では最低価格制度というものをこういう関係には置いておりませんから、やはり一番低い入札者に落札を決定する、契約をするということで、これは適法であるということでやむを得ない、こういうふうにおっしゃっておるのでありますが、これは法的にはそのとおりだと思います。そのとおりだと思いますが、安物買いの銭失いということを昔からよく言いますね。一円も、これはお金ですから確かに価格のある入札でございますけれども、ありありと、一円でサービスをしておきさえすれば後から来るハードの部門も何も全部自分のところへ取り込むことができる、こういうことを当て込んでの一円に間違いない、これはだれが見てもそう思うのですね。それをやると今度はよそとの競争がなしに随意契約で後ぞろぞろハード部門が入ってくるというようなことになりかねませんから、それでは結局地方公共団体が損をするというようなことがありはしないかということを私は心配しておるのでありますが、そんな心配は全然ありませんか。
  73. 芦尾長司

    芦尾政府委員 他県の事例でもそういったようなことで落札していないというところもあるわけでございますから、そういう意味では地方公共団体はそのハード部分につきましてはきちっと入札をさせておるということになっておりますから、今おっしゃった御心配、今までは出ていないと思うわけでございます。ただ、こういうものが続きますと、これはやはり余り適正であるということは言えませんので、今公正取引委員会の方からもお話がございましたように、私どもとしてもこれは適当でないというふうに思っております。  要は、これはやはり企業行動の問題に帰着するのではないかなということでございますので、企業側の方にもそれは良識ある姿勢で対処してほしいと思っております。
  74. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、時間がありませんから次に行かせていただきます。  私の地元の広島市水道局、ここも一つの事例に挙がっておりますので具体的にお尋ねをしたいと思うのであります。  今広島の水道局は一円で落札をしたその問題について、あくまでも契約自体は有効であります、したがって契約を履行してください、こう言って迫っておるわけであります。富士通側の方におきましては、公取からもおしかりを受けたというようなこともありまして、引き続き、落札は辞退をさせていただきます、ぜひ辞退させてくださいとお願いし続けておる、その態度は変えてないわけです。広島市の水道局は、いや、やってくれ、こう言う。片方は、辞退いたします、こう言う。このままで突っ張り合っておるわけでありますが、この状態でいきますと、恐らく富士通側も設計業務に着手しないでありましょう。そうなると一体どうなるかといえば、納期は二月末ですから、そうするともう日にちがなくなってくる、場合によっては契約不履行という事態が起きないとは言い切れませんね。契約不履行ということが出てきますと、これは当然損害賠償要求というような問題が予測をされるのでありまして、今後この問題についてどのような指導をなさっていかれるのか、両方から聞きたいと思うのです。
  75. 芦尾長司

    芦尾政府委員 ただいまも申し上げましたように、これは広島の水道局でございますが、水道の配管等の施設の状況を地図の上で情報として表示して円滑な施設管理をしよう、こういうシステムのようでございますが、これは個別のシステムの設計にかかわる入札というか契約の問題になるわけでございまして、そういう意味では私どもといたしましてはそれに直接介入するといいますか、ああしろこうしろと言う立場には今のところないわけでございます。そういう意味で、私どもとしてもちょっと心を痛めておるわけでございますが、何とか両者で円滑な、円満な解決が図られないかなということで、私の方でも静観をせざるを得ないという状況にあるわけでございます。
  76. 大熊まさよ

    ○大熊説明員 先ほども言いましたように、公正取引委員会は富士通に今後このような行為を行わないように厳重に注意したわけでございまして、広島市の入札において富士通の行った行為というのは公正な競争秩序の確保の観点から好ましいものとは言えないというふうには存じておりますが、地方自治体や富士通が今後入札についてどのように対応するかということにつきましては当事者間の問題であって、当委員会として何らかの指導を行うというようなことは適当ではないと考えております。
  77. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 再度お尋ねをいたしますが、自治省の方は、個々の事業になってまいりますので直接自治省が介入するということは考えてはいない、しかし心は痛めておる、それで静観して見守る以外にはない、こういうことですね。そうするとこの問題には手をつけない、こういうことになる。それから公取の関係からいいますと、先ほども御答弁がありましたように、好ましいことではないので今後かようなことがないように厳重注意をした、後は当事者間の問題であるということでこれも静観、こういうことになるわけですね。  ところが、そういう契約不履行に陥るであろう、損害賠償要求が当然起きてくるであろう、業務の停滞が著しくなるであろうということはもう目の前にぶら下がって見えているわけですね。見えておっても、それはあなたたちの問題よ、あなたたちでうまくやりなさいよ、企業倫理もあるでしょう、それはあなた方で解決しなさい、我々は口出しをすべき問題ではないのだといって手を組んだままでおっていいんだろうか。問題が起きそうだということは目の前に見えておるのにほっておいていいのかなという、どうも不思議な感じがするのでありますが、いかがでありましょうか。
  78. 芦尾長司

    芦尾政府委員 広島市としては、先ほども申し上げましたように正当な契約を結んだ、自分たちの方に何の非もないということをおっしゃっておる。その点はもうそのとおりと思うわけです。片一方、富士通の方はそういうことで辞退をしたいとおっしゃられておるわけでございますが、いずれにいたしましても、今言われましたようにそういう期間が過ぎてくるということもあるわけでございます。広島市の方でもそれはいろいろお考えはあるだろうとは思うわけでございますが、私どもの方で今の時点において何とかいい解決方法が、何か知恵が働けばいいのでございますけれども、なかなかそういう知恵も出てこない。そういうことの中でああしろこうしろと言うのはなかなか難しいということでございますので、私どもとしては広島市なり富士通の方の御当局の良識ある判断なりなんなりを期待せざるを得ないという状況にあるのを御理解いただきたいと思います。
  79. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そういうお答えにしかならぬのでしょうが、よく圧力をかけられたということを言いますね。だから、指導ができぬのならそれとなく、これは悪い圧力じゃないのだから、圧力をかけたからといって銭こが入ってくるわけじゃありませんからね。いいことの圧力なんですから、それとなくこの問題には注意を払っていただきまして、両者とも注意深く見守るというだけではなくて、適当な圧力をかけていただきたい。  それから、ちょっと余談になるかもわかりませんが、大熊課長さんは、私が調べたところによりますと、大臣昭和四十年に東大の経済学部を男女入れてトップで卒業した人なんです。すごい人がおられますね。これは私はふと思い出したのですが、アメリカのヒルズさん、すごくやっていますね。あの人の向こうを張れるほどの人物になっていただいて、後輩のかがみになっていただくように、この際希望しておきます。どうですか、拍手してください。  さて、一番最後に大臣にお尋ねします。  これは大臣の最も得意とするところですが、竹下内閣時代にできましたふるさと創生論、このふるさと創生は一億円事業というのがようやく緒についたばかり、これはほっておいたらどうにもなりません。だから、大臣には相当の御決意があって、これは何とかしなければいかぬ、継続しなければいかぬ、てこ入れせねばいかぬというようなお考えを持っていらっしゃるんじゃないかと思うのでありますが、ふるさと創生事業の今後の発展について大臣はどういうふうに決意を固めていらっしゃいますか。それを伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
  80. 渡部恒三

    渡部国務大臣 ふるさと創生事業、私は閣議でも幾たびか申し上げて、これは海部内閣の内政の最大の柱でなければならないということを申し続けております。  今岡田先生お話しのように、竹下内閣でやった各町村一億円のふるさと事業、これは、言うならばそれぞれの町村の皆さん方、御婦人の皆さん、議会の皆さんあるいは商工会や農協の皆さん方みんなで自分の町をこれからどうしていこうということを考えて、二十一世紀の未来に向かって若者たちが自分の村に、町に夢と可能性と希望を持って暮らしていける町づくり、村づくりのプロジェクトをつくってもらいたい、こういうことであります。幸いに、今町村でみんないろいろ大変工夫をされまして、七〇%を超す計画実施が決まって、もう八〇%を超そうとしております。  これは岡田先生おっしゃるとおり、いわば竹下内閣で種をまいて、それを今全国の町村の皆さんが芽を出そうとしておるわけですから、これだけで済んでしまったらこの芽は枯れてしまいます。せっかく全国の皆さん方が工夫され、期待し、希望を持ってこられたこのふるさと事業、やはり肥やしをかけ、水をかけ、花を咲かせ、実らせなければなりません。そのために、平成年度には新規事業として、ソフト事業で三千億、ハード事業で二千億、また既存のいろいろのシステムを活用しながら五千億を超す、少なくとも一兆円を超す規模で、これから三年間程度このふるさと事業の後追い事業を続けて、北は北海道から南は九州、沖縄まで三千三百の市町村、過疎もあります、あるいは漁村も山村もあります。それぞれの地域に生まれた人たちが、みずからのふるさとを誇りに思って、またみずからのふるさとで生きていくことに夢と可能性を持って頑張っていただくような町づくり、村づくりを何とかやりたい、こう思っておりますので、どうぞ御協力のほどをお願いいたします。
  81. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大臣の決意を承りまして、大変頼もしく思いました。  このふるさと創生事業で非常によかった点は、やはり三千三百のそれぞれの団体が、おらが町、おらが村をどうやっていいものにしていこうかということをみんなが真剣に考えるようになった、私はこれだけでも大変な成果があったと思います。ただ、一つだけ嫌みを言わせていただくならば、財源の点で、交付税の中からかじり取っていくのではなくて、一般財源にがばっと食らいついて大蔵省から取ってくるというところをぜひお願いしたいと思っておるのであります。  いずれにいたしましても、この事業が、海部さんがふるさとという言葉はどうも竹下さんの影を引きずっておるような気がするというのでこの名称を変えようかというようなうわさ話もちょろちょろと流れてくるような次第でありますので、つまらぬことでこの問題がけつまずかぬように、お目付役として大臣のより一層の奮起を心からお願いをいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  82. 小澤潔

    小澤委員長 御苦労さまでした。  寺前巖君。
  83. 寺前巖

    ○寺前委員 わずかな時間でございますが地方交付税法案について、今回給与を上げる、給与改定に伴うところのお金を交付税から出しましょう、そういう話でしょう。だからこれ自身に反対することはありませんので、別にとやかく言うことはないと思うのですが、ちょっと気になりましたのは、その地方交付税法の一部を改正する法律案の中で既定経費の節減四百八十一億円というのがある。出すんだったら出すらしく全部出したらよさそうなものなのに、おまえのところの地方の経費について節減せいやという問題まであわせて出すことはなかろう。何で節減問題を一律にこういう提起をしなければならぬのだろうかということを聞きたいと思います。
  84. 持永堯民

    ○持永政府委員 節減の問題でございますけれども、以前から給与改定を行うに当たりましては、国・地方を通じましていわゆる物件費等の経費の節減を一部いたしまして、そしてそれを給与改定財源の一部に充てるということをしてまいっておるわけでございます。給与改定を行うに当たりまして、能率化、合理化すべきところはなるたけそういう努力をして、そして給与改定を行っていくということがやはり国民の御理解をいただく上においても必要であろうということで、そういう措置をとってきておるわけでございます。  今回もそういう考え方で、従来と同じような方法で節減の計算をいたしておるわけでございますが、その場合におきましても、消防でございますとか民生でございますとか、あるいは教育というようないわゆる現場的な仕事、あるいは国民生活、住民生活に影響があるような仕事の部分については節減の対象外にいたしておりまして、いわゆる内部管理事務的なものの物件費について一定の節減をお願いをするということでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  85. 寺前巖

    ○寺前委員 むだな経費の節約は当然やるべきことですし、やってもらったらいいと思うのですが、問題は、一律に経費の削減をちゃんと予算として、交付税の配賦として決めるというやり方を何も上からやらなくてもいいじゃないか。節約していないところがあるわけじゃないんだから。今おっしゃったようにみんな節約をやっておるというのだから、それだったらそういうやり方はしなくてもいいんじゃないだろうか。  それで、おたくの方で十一月二日に事務次官通達というのを出しておられます。「地方公務員給与改定に関する取扱について」、これを見ますとこう書いてありますね。「現に国家公務員又は民間給与水準を上回っている地方公共団体にあっては、漫然と国の給与改定に準ずることなく、給与改定の見送り、」云々、こう書いてあるのです。「漫然と国の給与改定に準ずることなく、」というのは当然のことでしょう。自治体が自主的に給与の改定を行うことは当然のことであって、国家公務員の水準を上回っているから給与改定を見送れということになる、この文章から読むとそういうふうに読めるわけですね。それでは間家公務員の水準より低いところはもっと上げよという指導をすることになるのですか。これはどういうことなのですか、ひとつはっきりしてください。
  86. 滝実

    ○滝政府委員 国家公務員よりも給与の水準が低い団体について給与改定についてはどう扱うのか、こういうお尋ねでございます。地方公務員法にもございますように、地方公共団体給与水準というのは国家公務員給与水準を基準にすることはもとよりでございますけれども、地域の民間賃金水準あるいは物価、生計費等の水準、こういうようなことを反映すべきものだということを地方公務員法でも定めているわけでございます。このために、市町村におきましてはその市町村の地域の実情に応じてできるだけ簡素化された給与表をつくり用いる、こういうこともいたしているような状況でございます。したがって、こういうような格好で運用されており、また当該市町村の置かれました当該地域の民間賃金の水準、こういうこととのバランスがとれているならば、ラスパイレスの指数におきまして一〇〇を割るということもあり得るわけでございまして、この辺につきまして、私どもとしてはこれを特に引き上げる、こういうような指導はいたすつもりはございません。
  87. 寺前巖

    ○寺前委員 十一月二日の次官通達を読むと「漫然と国の給与改定に準ずることなく、給与改定の見送り、」その他をやれと、片一方では高いものの場合には干渉的な発言をしている。そして、今おっしゃったように低いところの水準については引き上げる気はない。そういう指導をやる気はない。矛盾しているのと違いますか。いずれにしたって、それは国が介入をするからそういうことになるのであって、ちゃんと法律上地方公務員法二十四条に基づいて給与というのは自主的に考えたらよろしいということを貫かなかったらそういう矛盾が生まれてくるのではないだろうか、私はそういうふうに思うのですよ。  こういう問題について、やはり指導に一貫性のない問題というのがいろいろな分野に出ていると私は思うのです。例えば、おたくの方で去年の十月にお出しになったところの「地方公共団体における四週六休制試行工夫事例集」というのがあるのです。これを見ると、やはり筋の通らぬものを感じるわけなのです。どういうことかというと、例の閉庁方式ですね。四週六休制が始まる。そうすると、この実施に当たっておたくの方で指導の文書をお出しになるわけですね。その指導の文書を見ると、そこには行政サービスを極力低下させない、行政改革の一層の推進だ、現行の予算、定員の範囲内に留意して土曜閉庁をやれ、こういう文書が片一方で出てくるわけです。片一方では四週六休体制に入れ。これは矛盾してこないだろうか。おたくの方が具体的にやっておられる工夫事例集というのを読むと、明らかに矛盾を感ずるわけですね。  この事例集二十三ページのところに保育所の保母さんの問題が出ているのです。これを見ると、こういうことになっているのですよ。この保育所は、措置児童数は九十名で所長、主任のほか六人のクラス担当保母が保育に当たっている。クラス編成は、五歳児が二十九名で保母が一名だ、四歳児が二十五名で保母が一名だ、三歳児が二十一名で保母が一名だ、三歳未満児が十五名で保母が三名だ、こういうことになっている。  土曜日になるとどういうふうになるかというと、三歳未満児クラスが一クラス、保母が二名、三、四、五歳児クラスは異年齢クラス編成として二クラス編成をする、保母各一名だ、計四名の保母が保育に当たるというやり方になっているというのです。これが工夫した例やというのですね。この場合、土曜日というのは平日のクラス担当の保母の半数、三名しか出勤しないため、所長または主任がクラス編成に加わることによって四名を確保している。  四週六休制の導入によってどういう問題が生まれてくるかというと、三歳未満児の措置児童数は十五名であるから、クラスはともかく、保母二名では、乳児または満三歳に満たない幼児おおむね六人につき一人以上とした児童福祉施設最低基準に反することになるのじゃないか。あるいは同様に、三歳児以上の措置児童数七十五名を二名の保母で担当する、こうなってくると、これもまたこの児童福祉施設最低基準に反することになるじゃないか。だから、片一方では四週六休で皆さんお休みなさいという指導を提起しておきながら、一方では現行の予算、定員の範囲内でと言うておると、現実的には矛盾が起こって、実際上児童福祉施設の最低基準に反するという問題が生まれてくる。  これは自治省が出している資料からこうなってくるのです。厚生省、こんなことが起こっているということを知っていますか。
  88. 小島此登志

    ○小島説明員 保育所の職員配置の最低基準のお尋ねでございますが、最低基準につきましては、児童数に見合った職員が保育所全体の体制として確保されているかどうかという基準で考えておるわけでございまして、どういった日にあるいはどういった時間帯にどのような人数の職員を配置するかということにつきましては、入所児童の状況を勘案しながらそれぞれの園で工夫をしていただいているというところでございます。  御指摘の、土曜日は半分しか保母さんがいないじゃないかという御指摘でございますが、近年の公務員の四週六休制の導入とか民間の週休二日制の定着に伴いまして、土曜日はそれぞれの家庭で養育される児童も非常にふえてきているということで、こうした土曜日における通所児童数の減少に対応しまして、その実態を踏まえて職員配置の対応がなされている場合もあるのじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  89. 寺前巖

    ○寺前委員 あなた、そんな一般論じゃなくして、自治省が工夫例としてまで出したのですよ。これは知っていますか。工夫例としてまで出して、だからこれはこういう工夫をやりなさいというのですよ。その工夫例を見ると、土曜の日には措置基準に明らかに合致しない事態が生まれているわけです。そうなってくると、自治省が一方では行政サービスは極力低下させないと言うけれども、子供たちに対する保母さんの数が少なかったらサービスは低下することはもう明らかだし、労働条件の側からいうたら、措置児にふさわしい人数配置でないから労働強化になってくることは明らかだ。だから、三重県でも千葉県でも四週六休制度になってからこういうふうに保母さんが、私も文章を読んだが書いておった。「土曜日は五才児のクラスの子供を他のクラスにわけて応援体制をくんでいます。こんなことでいいのでしょうか。」「土曜日の職員数が半分になるので、いろいろ仕事に、子供にしわよせがきているようです。」こうやって実態上は子供に犠牲が転嫁されている。「保育の質の低下がまぬがれません。土曜日はギリギリの職員でやっている。」のですから考えていただきたい。「保育園において、現在の人員のままで四週六休を行うことは、園児へのサービス低下となり、大きな問題である。」どこでもそういう問題を保育所の保母さんは言い始めているのです。  公的機関の自治省自身が工夫例まで掲げたのだ。そうすると、厚生省は、指導基準を出してやっておられるとするならば、ちょっとこれは自治省、考え直してもらわなかったら困るのと違いますか、そう言ってしかるべきだと思うのです。あなたのところ自身がもっと積極的な問題提起をやらなかったら、児童福祉施設の最低基準だと言っておったってそんなもの空念仏になる。そこの一番の問題は、何といっても現行の予算、定員の範囲内で片一方を縛っておいて片一方で四週六休制だなんということを言っておったって、それは犠牲は子供にいくし、働く皆さんの改善にはなっていない。だからその指導のそもそものあり方自身に矛盾が生まれる。四週六休制をせっかくやるのだったらやるにふさわしい予算なり定員の検討をやってくださいということを厚生省から言ってしかるべきじゃないだろうか。知らないのだったら調べてください、厚生省。いかがですか。
  90. 小島此登志

    ○小島説明員 最低基準ということにつきましては、先ほど御説明しましたように保育所全体の体制が、児童数に見合った職員数が確保されているかどうかということでございます。特定の日あるいは特定の時間に保母さんがちょっと少数になったということをもって即最低基準違反ということにはならないわけでございますが、児童の処遇を低下させないという観点からは、四週六休の対応で各保育所は大変御苦労されているわけでございます。私どもとしましては、保育所の勤務条件の上昇のために休みのときの代替職員の確保等につきまして非常に努力をしているところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  91. 寺前巖

    ○寺前委員 理解せいと言っても理解できません。土曜日になったら子供が極端に減るということを前提にするならば、今度は子供が来るものをおまえのところのおやじは公務員できょうは休みのはずだから来るなとか、こんな選別をやったりしてむちゃくちゃなことを言わなければならないことになりますよ。やはり四週六休の体制に入るとなったら入るにふさわしい体制を準備するということを考えなかったら、しわ寄せがいって当たり前だ。これは自治省自身もお考えになる必要があるのじゃないですか。これを工夫例だと言ったら私は大変だと思うのですが、自治省どうですか。
  92. 滝実

    ○滝政府委員 保育所の保母の勤務体制につきましては、ただいま厚生省の所管課長からも御答弁がございましたように、おおむね設置基準を満たすことが必要でございます。私どもとしては、そういう設置基準まで無視して極度に少ない体制で四週六休制を実施するようにということは申していないわけでございます。  ただいま先生から御指摘ございましたけれども、週休二日制あるいは土曜閉庁が進展してまいりますと、実際問題として特定の日だけ保育に欠ける児童ではない状態ができてくるわけでございます。この日は保育者がいるという前提でございますので、大体どこの保育所でも、まず御父兄の協力をいただいて、土曜日にお母さんがおうちにおいでになるという状況をつかんだ上で、その際には御協力をいただくという格好で四週六休制を施行している。こういう実情も私どもとしてはお考えいただく必要があるのではなかろうかと思っております。
  93. 寺前巖

    ○寺前委員 時間が来ましたのでもうやめますけれども一つのことをやろうと思ったら、従来どおりの予算なり従来どおりのやり方をやっておったら、必ず矛盾が生まれて実は上がらなくどこかに犠牲がいく。新しい体制をつくろうという場合には、それにふさわしい予算なりその他のことに手を打つ、やったことに対してはこれでよかったのかという反省の立場に立たなかったら行政として正しいあり方ではないと思いますので、意見を申し上げて終わります。
  94. 小澤潔

    小澤委員長 御苦労さまでした。  これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  95. 小澤潔

    小澤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  地方交付税法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  96. 小澤潔

    小澤委員長 起立総員。よって、本案原案のとおり可決すべきものと決しました。      ────◇─────
  97. 小澤潔

    小澤委員長 次に、第百十四回国会内閣提出地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する質疑は終了いたしました。  この際、本案に対し、松田岩夫君外四名より、自由民主党、日本社会党護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合共同提案に係る修正案並びに経塚幸夫君より、日本共産党革新共同提案に係る修正案がそれぞれ提出されております。  提出者から順次趣旨説明を求めます。松田岩夫君。     ─────────────  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾掲載〕     ─────────────
  98. 松田岩夫

    ○松田(岩)委員 私は、自由民主党、日本社会党護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提案趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  まず、政府原案におきましては、地方公務員等共済組合法に基づく年金給付について、平均給料月額等の再評価等による年金額の改善措置平成元年十月一日から実施することとしておりますが、年金受給者の生活実態等を勘案して、本修正案では、平成元年四月一日に繰り上げて実施することとしております。  次に、政府原案におきましては、在職中に支給される退職共済年金等の支給割合を三段階から五段階とすることとしておりますが、本修正案では、この支給割合を七段階に改めることとしております。  さらに、政府原案におきましては、平成元年十月一日と定められている施行期日が既に経過しているため、施行期日を公布の日に改めるとともに所要の規定の整備を行うこととしております。  以上が本修正案の概要であります。何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  99. 小澤潔

    小澤委員長 次に、経塚幸夫君。     ─────────────  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾掲載〕     ─────────────
  100. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私は、日本共産党革新共同を代表して、政府提出の地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案に対する修正案の概要を御説明申し上げます。  今回提出されました政府案には、給付金額の引き上げ、物価スライドの完全自動化や障害年金の減退三級にかかわる事後重症の取り扱いの改正等等の制度改善を含んでおり、もとよりこれには賛成であります。  しかしながら、公立学校共済組合、警察共済組合の地方公務員共済組合連合会への加入は、政府が進める九五年公的年金一元化の一環であり、そのことは政府答弁でも明らかであります。公的年金一元化とは、給付と負担の公平を口実に、年金財政に対する国庫負担の削減、公的年金制度間の財政調整で年金制度の低水準化をねらうものであり、既得権の剥奪と負担の増大を強いるものであることは、基礎年金導入の例からも明らかであります。修正案は、こうした公的年金一元化の一環である両組合の連合会への加入に関する規定を削除するものであります。  何とぞ、慎重審議の上、御賛同あらんことをお願い申し上げて、説明といたします。
  101. 小澤潔

    小澤委員長 以上で両修正案についての趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  102. 小澤潔

    小澤委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。  まず、経塚幸夫君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  103. 小澤潔

    小澤委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、松田岩夫君外四名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  104. 小澤潔

    小澤委員長 起立総員。よって、松田岩夫君外四名提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  105. 小澤潔

    小澤委員長 起立総員。よって、本案修正議決すべきものと決しました。     ─────────────
  106. 小澤潔

    小澤委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、大野功統君外三名から、四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。山下八洲夫君
  107. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四党を代表し、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。     地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について所要の措置を講ずべきである。  一、年金制度は、今日高齢化社会を迎えて重大な課題であり、総合的な視点に立ち、将来への長期展望をもって適切に対処すること。  二、公約年金制度の一元化については、各種年金制度の沿革・歴史的過程及び成熟度の差異等を考慮しつつ今後の課題として、被保険者に不安を与えないよう合理的な制度の確立に努めること。  三、年金の支給開始年齢の繰り延べについては、わが国の社会経済情勢を勘案しつつ、世代間の公平性及び地方公務員共済年金制度の安定が確保されるよう慎重に対処すること。  四、基礎年金の給付水準については、社会経済情勢の変化に応じ、適切に措置すること。  五、今後、年金制度の互助精神を堅持しながらも、各種年金制度それぞれの存立意義を確保するため、自助努力を更に高め、相互負担の軽減に努力すること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。
  108. 小澤潔

    小澤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  109. 小澤潔

    小澤委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。渡部自治大臣
  110. 渡部恒三

    渡部国務大臣 地方公務員共済組合法の一部改正案については、慎重に御審議をいただき、まことにありがとうございました。ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして善処してまいりたいと考えております。大変ありがとうございました。     ─────────────
  111. 小澤潔

    小澤委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 小澤潔

    小澤委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  113. 小澤潔

    小澤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十六分散会