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1989-11-22 第116回国会 衆議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月二十二日(水曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 中西 啓介君    理事 衛藤征士郎君 理事 大島 理森君    理事 中村正三郎君 理事 平沼 赳夫君    理事 村井  仁君 理事 中村 正男君    理事 森田 景一君 理事 安倍 基雄君       愛知 和男君    愛野興一郎君       新井 将敬君    井出 正一君       江口 一雄君    遠藤 武彦君       尾身 幸次君    太田 誠一君       金子 一義君    小泉純一郎君       佐藤 静雄君    杉山 憲夫君       葉梨 信行君    二田 孝治君       山本 幸雄君    沢田  広君       野口 幸一君    早川  勝君       堀  昌雄君    武藤 山治君       村山 喜一君    橋本 文彦君      平石磨作太郎君    正森 成二君       矢島 恒夫君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  高村 正彦君         大蔵省主計局次         長       小村  武君         大蔵省理財局長 大須 敏生君         大蔵省銀行局長 土田 正顕君         国税庁直税部長 福井 博夫君  委員外出席者         法務省刑事局刑         事課長     松尾 邦弘君         通商産業省機械         情報産業局情報         処理システム開         発課長     瀬戸屋英雄君         工業技術院標準         部機械規格課長 吉田 藤夫君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部清算業務指導         課長      宮崎 達彦君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部業務課長   大辻 嘉郎君         郵政省電気通信         局電気通信事業         部事業政策課長 有村 正意君         郵政省電気通信         局電気通信事業         部業務課長   濱田 弘二君         自治省税務局市         町村税課長   林  桂一君         参  考  人        (日本銀行理事) 福井 俊彦君         大蔵委員会調査         室長      兵藤 廣治君     ───────────── 委員の異動 十一月二十二日  辞任         補欠選任   金子 一義君     二田 孝治君   鳩山由紀夫君     佐藤 静雄君   村上誠一郎君     井出 正一君 同日  辞任         補欠選任   井出 正一君     村上誠一郎君   佐藤 静雄君     鳩山由紀夫君   二田 孝治君     金子 一義君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  前払式証票規制等に関する法律案内閣提出第二号)      ────◇─────
  2. 中西啓介

    中西委員長 これより会議を開きます。  内閣提出前払式証票規制等に関する法律案議題といたします。  趣旨説明を求めます。橋本大蔵大臣。     ─────────────  前払式証票規制等に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ただいま議題となりました前払式証票規制等に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  前払式証票、なかんずくプリペイドカードは、利便性に富む決済手段として、近年、種々の分野で急速に普及し始めており、今後の一層の普及が見込まれております。  このような状況対応して、前払式証票購入者等利益を一層保護するとともに、前払式証票に係る信用の維持を図るためには、その法制度整備改善を図ることが緊要となっております。  したがいまして、昭和七年に制定された商品券取締法の全部を改正することとし、ここに本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、前払式証票発行者につきまして、登録制及び届け出制を設けるとともに、帳簿書類の作成、保存等義務を定めるなどの規定を設けることといたしております。  第二に、発行者に対しまして、発行する前払式証票一定事項を表示するよう義務づけることといたしております。  第三に、発行者が倒産した場合等における購入者等利益保護を適切に図るため、前払式証票に係る前受け金の保全措置である発行保証金供託につきまして、所要の規定整備を行うことといたしております。  第四に、前払式証票発行協会についての規定を設けることといたしております。  以上が、前払式証票規制等に関する法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 中西啓介

    中西委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  5. 中西啓介

    中西委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本銀行理事福井俊彦君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中西啓介

    中西委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     ─────────────
  7. 中西啓介

    中西委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村正男君。
  8. 中村正男

    中村正男委員 おはようございます。  このプリペイドカードにつきましては、近年発行枚数発行額が大変急速に増大をいたしておりまして、既に累計の発行枚数は五億枚を超えております。これからの情報化社会進展等と相まちましてさらに発展をしていくと思うのですが、新たなニュービジネスとしての期待があります。ただ、反面、これの発展をある程度制約するような既存のいろいろな制度もあることも事実であります。さらにまた、カード社会化への疑問というものも正直言ってあるのじゃないかというふうに私 は思うわけでございまして、以下、具体的に幾つかお聞きをしていきたいと思います。  ただ、大蔵大臣参議院の本会議に出られますので、最後にお聞きをしようと思っておったのですが、最初にお聞きをしておきます。  こういった形の紙幣にかわるものがどんどん社会の中で大きなウエートを占めていく、いわゆる紙幣発行は国だけが持っている権力であるわけですし、とりわけマネーサプライへの影響というものが今後どうなっていくのか、これが一つ基本的な問題ではないかと思います。それについての大臣のお考えをお聞きしたい。  それからいま一つは、先般パチンコ疑惑の問題で集中審議がございました。私は、きょうはその疑惑の問題に触れる気は毛頭ございませんが、ただ、あのやりとりの中で大変大きな懸念を持ったことがございました。それは警察庁の長官の答弁で、このカードがそういった業界に普及していくことについては、業界の健全な育成さらには業界発展にとって好ましいことではないか、私はそのように受け取ったわけでございますが、はて、自由経済のもとですから、すべての業界発展することは日本にとって全体として必要だと思うのです。  ただ、社会的に見て、これ以上社会風俗的な面あるいは賭博行為的なこと等々が大手を振って社会でどんどん発展をしていくということは、私は、やはり好ましいことではないんじゃないだろうか、社会的に制約を受ける業界、そういうものにはこの種のカード発行について何らかの制約をしてもいいんじゃないかというふうに思うわけですが、この法律案を見る限り、横断的にそういった規制は出ておりません。結果的には、この法案が通りますと、関係官庁所管をしておる、例えばパチンコ業界であれば警察庁なり、あるいは競馬であれば農林水産省、また競輪であれば通産省、競艇は運輸省、それぞれがこのカードをもとに業界と話し合い、そういったものが導入されてくる懸念が十二分にあると思うんです。したがって、大蔵大臣にすべての所管官庁に対する見解を聞くことについては妥当ではないと思いますけれども、この発行元である大蔵大臣として、そういう社会的に制約を受けなければならない業界についてこのカードとの関係をどのようにお考えになっているのか。この二つをお伺いしたいと思います。
  9. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今大きく分けて二つの点についてお尋ねがございました。  一つ目問題点、すなわちプリペイドカード発行というものが金融市場に与える影響という点につきましては、非常に微妙な問題も含みますので、事務当局のまとめましたペーパーをそのままに読み上げてお答えにかえさせていただきたいと思います。  仮に、将来においてほとんど通貨と同様と言えるほどに汎用性の高いプリペイドカードが出現し、人々がこのカード通貨と同様に認識するという現象が生ずれば、このような通貨類似カードが市中の実質的な流動性の一部を構成することになるというのも理論的に考えられないことではない。  ただし、現状においては、既存プリペイドカードは大部分が単一目的型であり、最近発行され始めているいわゆる汎用型カードも、使用し得る加盟店や地域が限定されているので、これらのカード通貨類似流動性を有するに至る可能性はほとんどない。また、残高の面から見ても、発行残高が最も多いテレホンカードでも四千億円強、累積発行額であります四千億円強、他のカードを加えても恐らく数千億円の規模にすぎず、四百兆円を超えるマネーサプライ規模と比較すれば、仮に金融市場に何らかの影響があったとしてもほとんど無視し得る程度考えられる。  第一点に対するお答えは、以上であります。  また、第二点につきまして、プリペイドカードというものが非常に普及してきております理由というのは幾つかあろうかと思います。  一つは、利用者にとりましては、少額の現金を携帯することが不要である、またプレミアムがつく、贈答用として使用しやすいなどというメリットもあると言われております。また発行者にとりましては、代金回収業務合理化代金回収のリスクのないこと、さらに顧客を固定できるなどのメリットがあると言われているわけであります。双方にとっていわば非常に便利な決済手段ということでありましょう。それだけに私は、プリペイドカードというものはこれから先も次第次第に世の中に普及していくという趨勢にあることは間違いがないと思います。ただ、これはそれぞれの業界あるいは業態、それによって私は相当程度制約も受けるであろうと思いますし、同時にまた、利用される方々は御自身の意思においてどういう場合にプリペイドカード利用するか、それによってお求めになるものも違ってくるでありましょう。これはそれぞれの行政当局がそれぞれの業界からの御相談に応じながら指導していくべきことであろうと思います。  その場合に、今委員がたまたま今国会にありました論議を踏まえて特定業界を例にとられながら、一部の業界についてプリペイドカード利用について制約的な行動をとる必要があるのではないかという御指摘でありましたが、私は率直に申し上げてそのようには思いません。と申しますのは、今委員が例示に挙げられました業界の場合、比較的少額の資金からその行為を楽しむことのできる業界であります。他方、そのほかにお挙げになりましたそれぞれの業界というものは、それぞれの投資金額そのもの一定額以上の規模に必ず上る性格を持っております。最低の単位が相当程度に違いがある。その場合に、果たしてプリペイドカードというようなものがそれほど大きく普及するものであるかどうか、そうした点についても多少疑念なしといたしません。しかし、私は特定業界についての発行を助長するつもりもありませんし、また、禁止をするつもりも制約を加えるつもりもない。大蔵省立場としては、むしろ業全体についてそのルールを確定することをもってとどめるべきが至当であると考えております。
  10. 中村正男

    中村正男委員 それじゃ大臣、どうぞ参議院の方へ結構ですから行ってください。  それじゃ、具体的な点について質問を続けていきます。時間が極めて限られておりますので、私も簡潔に質問いたしますから、答弁の方もよろしくお願いしたいと思います。  まず一つは、自家発行型のいわゆる発行届け出、その場合に基準日使用残高一定額を超えることとなったとき、こうありますが、その一定額とは具体的にどういうことを指すのか、これが一つ。それから、表示事項の問題でありますが、このカードに記載をしなければならない範囲というのはどの程度内容なのか。この二つ、まずお聞きをいたします。
  11. 土田正顕

    土田政府委員 二つの御質問でございますが、前者の御質問は、いわゆる自家型発行者届け出を要するライン、それはどの程度にするつもりかというお尋ねだったと存じます。  これにつきましては、具体的には政令で定めることとしておりまして、なお今後関係業界状況を見ながらいろいろと工夫してまいりたいと思いますが、その趣旨は、いわば届け出金額は前受け金保全措置が将来必要となる可能性のあるものを把握して購入者保護を実効あらしめようとする趣旨でございますので、今後いろいろ発行の実態、発行者負担などを勘案いたしますが、一千万円の供託ラインよりも多少下の七百万円程度ではどうかと考えております。ただし、この点につきましてはなお政令の制定のときまでにいろいろと研究をしてまいりたいと存じます。  それから次のお尋ねは、いわゆる前払式証票プリペイドカード等に記載する必要事項は何かというお話でございますが、これは今回御提案申し上げております法案の第十二条に「前払式証票表示事項」として書いてございます。そこでは「氏名、商号又は名称」とか「住所又は当該前払式証票発行に係る営業所若しくは事務所の所在地」とか「当該前払式証票証票金額等」それからさら に、これは一定の場合でございますが、「使用することのできる期間又は期限が設けられている場合は、当該期間又は期限」、そのようなものを考えております次第でございます。
  12. 中村正男

    中村正男委員 次は、消費者保護の問題でございますが、幾つか新聞でも報道されておりますように、カード偽造だとかその行使、そういったことが新しい犯罪といいますか、として浮かび上がってきておるわけですが、こうした人為的な犯罪行為、これについて何らかの管理体制というものを確立しなければならぬと思うのです。一つは、セキュリティー内容機能についてその発行主体守秘義務を負うということ、それから機器については完全管理義務づけること、そういったことが必要ではないかと思います。通産省にお聞きをしたいと思うのですが、それが第一点。  それからもう一つは、物理的な現象、いわゆるカード経年変化あるいは端末機器の事故や故障、そういった面ではいわゆる耐久性信頼性について何らかの規格を設ける必要があるのではないか等々考えるわけでございますが、こうしたことにつきましていわゆる管理基準、そういうものの設定をどのように考えておられるのか、これをひとつお聞きをしたい。  それからもう一つは、そういったものも含めた形でのすべてのカード事業を営む人たちの指針ともすべき安全対策基準といいますか、そういうものがぜひ必要ではないかと思うのですが、通産省の方にお聞きをしたいと思います。
  13. 瀬戸屋英雄

    瀬戸屋説明員 お答えいたします。  第一点は、カード偽造防止等セキュリティー対策を徹底させるというために、カード発行者カード端末機取扱者等々に対する対策をどうさせるかという点でもあろうと存じます。  まず、プリペイドカードまたはこういったカード関連機器偽造変造等による不正使用というものにつきましては、第一義的には刑法犯として対処すべき問題であろうというふうに考えております。御指摘カード及びカード端末機取扱者、そういった方のいろいろ技術情報に関する守秘義務というようなものにつきましては、基本的にはカード及びカード端末機器製造事業者、それからその使用者との間の契約関係によって手当てされるべき問題であろうというふうに考えるわけでございます。通産省商務流通審議官私的懇談会カード社会への対応考え研究会というところでいろいろと検討してまいったわけでございますけれども、基本的にはプリペイドカードセキュリティー対策といたしましては、カード及びカード関連機器の技術的なセキュリティーレベルを向上させるということ、それからカード及びカード関連機器管理運営適正化が必要であるということが指摘されております。  先ほど申しましたように、一義的には発注側受注側との間で技術情報の流出が行われないようにカード及びカード関連機器管理運営適正化が図られますように契約上の担保がとらるべき問題であろうというふうに考えます。ただ、一部メーカーにおきましては既に個別にその販売先におきますカード関連機器管理を行っているというふうな例も見受けられます。そのような実例も十分に踏まえつつ、今後専門的な見地からの検討を進めてまいりたいと思います。  次に、プリペイドカードはもともと磁気というメディアを使用することから、その経年変化等による劣化などがあるのではないか、そのために管理基準のようなものを設定する必要がないかという御指摘でございますが、御指摘のようにプリペイドカードは、磁気の本質によりまして、経年的変化によって磁気情報が劣化したり、その処理がある程度不正確になるということは、長期的には避けられない面もございます。ただ、こういった耐久性ですとか信頼性の欠如によります被害というのは、カード及びカード端末機提供事業者信用を失墜するということで、提供事業者自身相当の損害をこうむるという性質のものでございますので、まずは事業者におきまして自主的にその対策が講じられるべき性格のものであろう。現に、そのような工夫が各事業者においてとられておるというふうに聞いております。しかしながら、プリペイドカードに係る取引安全性を確保して、事業者また消費者双方保護観点からは、カードの通常の利用におきましてユーザー企業また消費者に不都合が生じませんように、機器の性能を一定期間一定水準以上に維持させることが必要だということは認識しております。  こういったような観点から、磁性物によるカード内の情報破壊をいかにして防ぐか、カード関連機器故障をいかにして自己診断するか、また故障が起こらないようなフェールセーフ機能というのをどういうふうに確保するかというふうなカード及びカード関連機器耐久性信頼性というものにつきまして、信頼に足る技術レベルというのが一定水準に維持されますように、引き続きその標準化による対応ということも含めまして対応策を検討してまいりたいと考えております。
  14. 中村正男

    中村正男委員 的確な対応をぜひこれは消費者保護という立場で強くお願いをしておきます。  それから、法務省お見えいただいておると思いますが、今申し上げたように既にそうした犯罪が起こっております。時間がございませんので、その犯罪件数、それから一つには、東京地裁千葉地裁での異なる裁判所判断が出ておりまして、いささか混乱をしておると思います。今後のいわゆるこういったことに対してどういうふうな対応法務省としてしていこうとしておられるのか、ひとつその点をお願いいたします。
  15. 松尾邦弘

    松尾説明員 お答えいたします。  お尋ねの件につきましては、変造有価証券交付罪等で起訴した件数が大分ございます。それで、第一審段階でその法的評価をめぐりまして議員御指摘のように見解が分かれております。東京地裁におきましては有罪判決が十一件でございます。このうち七件が確定しておりまして、二件が弁護人控訴中でございます。なお、東京地裁におきましては無罪判決が一件出ております。これは検察官控訴中ということでございます。そのほかに、千葉地裁におきまして有罪判決が四件、このうち一件が確定、一件が弁護人控訴中でございます。無罪判決がここでも一件ございます。検察官控訴中ということでございます。このように法的評価が第一審の段階で分かれているわけでございますが、検察といたしましては、この二件の無罪判決につきましては現に承服できないということで控訴しているところでございます。当面、法務省といたしましても、今後の裁判所判断の帰趨を見守るのが先決であろうかというふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  16. 中村正男

    中村正男委員 これも新たな問題として社会に提起をされております。我々はぜひひとつきちっとした法解釈のもとでの徹底した取り締まりをお願いをしておきたいと思います。  次に、発行主体者の問題について幾つかお聞きをします。  第一点は、供託金義務、これは二分の一ということに規定をされておりますが、その理由をお聞きをしたい。と同時に、むしろこれが以降ずっと発行残高がふえていくということ等を考えますと、当初の二分の一というのはそれで果たしていいのかどうかという疑問があります。それを含めてお聞きをしたい。  それから二つ目は、こういう発行主体者に対する社会的な信頼という面でその会社の、これは特に第三者発行主体が対象になろうと思いますが、経営内容だとか資産内容等々について情報開示義務づけるべきではないだろうかというふうに思います。これが二つ目。  三点目は、これから業界は将来を見越して過当競争がかなり激化をしていくと思うのです。その場合、当然このカードそれ自体にプレミアムをつけて、より顧客に対する接近を図っていくということが考えられるわけでございますが、こうしたことが過熱をしていくと、逆にその経営母体が経済的に問題が出てくるというふうな懸念もありますので、こうしたプレミアムに対する規制基準を 設ける必要があるのではないか、これが三つ目。  それから四点目は、退蔵益といいますか埋蔵益といいますか、これが相当期待をされる。発行主体者の側からは、これがねらいのそうした悪徳発行主体者も出てくる懸念がございます。一方では、この保有者利益保護という面から、出資法との関係もございますが、換金の仕組みも必要ではないのかというふうに思うわけですが、それらについてのお答えをいただきたいと思います。
  17. 土田正顕

    土田政府委員 順次お答えを申し上げます。  まず第一のお尋ね供託義務、これにつきましては未使用残高の二分の一としておるわけでございますが、それの根拠についてのお尋ねでございます。この供託義務比率についての考え方は、発行者にとって過度な負担にならないように配慮をしながら、かつ、あわせて消費者保護の充実を図るという観点から定められるべきものと考えております。そこで、実は今度の法律案は、現在行われております商品券取締法全面改正という形でお願いをしておるわけでございますが、現在の商品券取締法におきましては、このような観点から二分の一と定められておりまして、今回この法案お願いするに当たりまして、特別この比率を加重すべき特段の事情も現在まだ生じていないであろうと考えまして、この二分の一の供託義務規定を継承するということが適切と考えたものでございます。  なお、あわせて申し上げますが、類似の他の消費者保護立法であります割賦販売法における前払式割賦販売前払式特定取引におきましても、同様に前受け金の二分の一の供託義務を課しておるわけでございます。これが第一の問題でございます。  次に第二に、いわゆるカード発行会社内容を開示すべきではないかという論点であると拝承したわけでございますが、この法案の対象となります前払式証票発行者は、大企業のみならず中小商店のような小規模企業、さらに、ごく限られたものでございますが個人の企業も含みますので、それらに対して一律にディスクロージャー義務を課すということはなかなか困難ではないかと考えるものでございます。むしろこの法案でとっております考え方は、一般の消費者保護する目的からは、現在の商品券取締法にも規定されておるそれを引き継ぐわけでございますが、供託義務といった前受け金保全措置の方がより具体的に実効性がある適当な措置ではないかと考えておるわけでございます。この前受け金保全措置につきましては、これまでの供託義務にかえて、新たに銀行保証などの他の措置でもいいように手当てをしたいと考えておるわけでございますが、このような一連の規定によりまして、発行者の健全性を維持するための措置は一応十分に講じられるものと考えております。  なお、今後の問題につきましては、もちろん私ども十分慎重にいろいろな面を考えてまいりますが、これまでのところ、極めて多額の商品券なりカード発行した者は、例えばNTTとかJRとか百貨店とか、そういうような割合経営内容が開示されているものが多いという状況も頭の中に入れておるわけでございます。  第三の問題は、カード発行、販売について競争が激化するであろう、それについて、特にプレミアムの問題についてこれが過熱化しないような基準を設けるか何か、その辺を考えてはどうかというお話であったと承知しております。プレミアムは、実態的にはカードで購入できる商品のいわば割引と申しますか、ディスカウントにすぎない販売方法の一形態でもございますので、プレミアムをつけること自体は必ずしも不健全であるとは考えておりません。ただ、プレミアムが余りにも高額でありまして、発行者の財産的能力から見ていかがかと思われるような場合ないしは消費者を惑わすような行き過ぎたような場合、これについては、もちろんそれぞれの業界所管しておられます関係省庁においても適切に注視していただくものと考えておりますが、私どもも、消費者保護観点から、必要に応じて関係省庁とも御相談の上、適切に対処してまいりたいと考えておるわけでございます。  それから第四のお尋ねでございますが、これはカードのいわゆる換金性の問題であろうと思います。それで、これにつきましては答弁を少し簡潔にさせていただきますので出資法に立ち入りませんけれども、理由のいかんを問わずに発行者が換金に応ずる、そのような一般的な換金性を有するカード発行されたり流通したりするような場合には、出資法などに抵触するおそれが出てまいるわけでございますが、換金性が一般的なものでない限りは、そういう意味での法律上の問題は生じないものと考えております。  しからば、換金の問題について応ずべきかとか応じてはならないとか一律に定めることができるかという問題でございますが、これはプリペイドカードについて用途、機能、使用実態、極めて多様でございまして、現在の例えば商品券ないしは類似のそういう紙でできた券につきましても換金性については、お断りしておるとかないしはつり銭はお払いしませんとかいうような断り書きをいろいろつけておりまして、必ずしも一律一様ではございません。そこで、各種のカードに共通の一律の基準を行政として定めることは、必ずしも適当ではないのではないかと考えております。結局、これは基本的には、現在の紙の商品券なり図書券なりいろいろのものがとっておりますような、決して共通してはおらないわけでございますが、それぞれのカードの特質を踏まえて約款などにおいて合理的で明確な基準を示すことが望ましいであろうと思いますので、これは今度御審議お願いしております法案の中で、前払式証票発行協会というような事業者の自主的な団体の活動を期待しておるわけでございますが、そのような団体で検討を行うことが適当ではないかと現在のところ考えておる次第でございます。
  18. 中村正男

    中村正男委員 最後の換金の問題でございますが、確かに商品券だとかあるいはそういった紙としての一回一枚単位で使用するというのを原則にしたものが流通しております。そのことといわゆるカードとはやはり仕組みにおいて違いがある。紙の場合は一枚単位一回というのが原則ですが、カードの場合は複数使用、度数使用というような形になるわけですから、何らかの形で換金もしくはそれに近い形での保有者利益というものを保護できるように、残っているけれどもわずかの金額しか残ってないからそのまま引き出しの中へ残ってしまうというふうなものができるだけ少なくなるような対応をぜひひとつ今後検討していただきたいと思います。  特に、通産省残っておられると思いますが、消費者残高を一目でわかる、そういう仕組みは今のテレホンカードその他にはきちっとあるわけですが、一般的にこれから汎用カードとして広がっていく場合、そういうことをどのように考えておられるのか、お聞きをしておきたいと思います。
  19. 吉田藤夫

    ○吉田説明員 お答えさせていただきます。  現在、残高等の表示方式につきましては、カードにパンチ穴をあげまして残高の目安を表示する方法と、カード読み取り機に設けられましたディジタル表示機に使用可能金額、いわゆる残高を表示させる方法、こういった二つの方法を併用する例が非常に多く用いられております。このプリペイドカード残高等の使用状況を確認する方法につきましては、導入されます業種とか業態といったものに応じましてそれぞれ望ましい方式が多様に考えられますが、現在検討の準備を進めております標準化の重要な課題の一つ考えております。そして、その場合にはまた、残高の表示につきましては偽造や改ざんが行われやすくならないように、そのための方策についてもあわせて検討することが必要と考えております。
  20. 中村正男

    中村正男委員 最後に、現行税法、また現行法との関係について三点お聞きをして終わりたいと思います。  第一点は、現在商品券の場合、五年たちますと未使用残高利益に計上しなければならないというふうになっております。カードの場合はどうな るのか、これが一つ。  二つ目は、紙幣類似証券取締法との関係。結局、この汎用カードの場合は、いつでも、どこでも、だれでも、何にでも、こういう可能性が極めて強い。今出回っている汎用カードの範囲では、例えば霞ケ関ビルの中だとか限定されておりますけれども、もっとこれが広域に、また異業種を含めてこれが拡大していく可能性は十二分にあると思うのですね。その場合、この紙幣類似証券取締法との関係はどうなるのか。業界といいますか、ニュービジネスとしてこれから大きく発展していくためには、明治三十九年にできたようなこの法律でありますが、むしろ発動しない、ある程度それは大枠において、そういうもとで業界指導をやっていった方がより広域にそれが利用されるのじゃないかというふうに私は思います。これが二つ目。  それから三点目、自治省においでいただいておると思いますが、商品切手発行税というのがございます。これは都市によって、たしか今十八都市でこれが実施されておりまして、二%から四%、二、三、四、こういう区分になっております。都市を横断して、例えば京都と大阪の場合税率が違うわけでありますし、四十キロぐらいしか離れておりませんから、当然一つのチェーンとしてのそういう業者も出てくると思います。そのときの商品切手発行税の扱いはどうなのか。三点お聞きしたいと思います。
  21. 福井博夫

    福井政府委員 税法との関係につきましてお答え申し上げます。  御質問いただきましたのは、いわゆる未使用残の税法上の取り扱いということでございますが、これにつきましては、プリペイドカードにつきましても現在の商品券と全く同じでございます。すなわち、中三年置きまして五年目におきまして未使用残があるということになりました場合におきましては、その五年目におきまして収益に計上する、こういう取り扱いになっております。
  22. 土田正顕

    土田政府委員 二番目に、紙幣類似証券取締法というものとの関係につきましてお尋ねがあったかと存じます。  御関心がございますように、紙幣類似証券取締法という法律がございますので、このカード汎用性が高くなればなるほど、カード発行者の意図は何がしかといたしまして、それと無関係にいわば一般的な支払い手段として使用される、それで私人間に転々流通するに至るというような可能性懸念される向きもあろうかと思うわけでございます。  ここで、いわばプリペイドカード、殊に汎用性の高いプリペイドカードとこの紙幣類似証券取締法との関係につきましてどう考えるかという問題は、これはこの法案の背景となりました学者の方々からなる研究会でも議論をされたところでございます。その際に、一つの運用方針といたしまして、使用場所が明確に限定されているようなカード、それから第二に暗証番号などにより使用可能な人間が特定されているようなカード、それから第三に一枚のカードで家計の消費活動のうち相当部分をカバーし得るまでの汎用性程度には至らないようなカード、これは紙幣類似証券とはならないという目安を示したところでございます。  なお、現在の通貨秩序は極めて安定していると言ってよろしいかと思うのでございますが、この研究会で示されました目安も一つ判断であり、また仮にその目安に照らして問題がないとは言い切れないカードがあった場合にも、それが一般的な支払い手段として流通する可能性がないようなものにつきましては、直ちに紙幣類似証券取締法を根拠とする行政指導を行うというのではなく、むしろ当面、この法案お願いしておりますような届け出とか登録などのような実態把握を容易にする手段も整備されるわけでございますから、そのような状況それから実際の流通状況を見守ることにしたいというのが、この紙幣類似証券取締法の運用の立場でございます。
  23. 林桂一

    ○林説明員 御指摘の商品切手発行税について御説明申し上げます。  商品切手発行税は、地方税法上認められました法定外普通税の一つということでございますが、この法定外普通税と申しますのは、地方公共団体の固有の課税自主権と申しますか、それに基づきまして要件なり税率あるいは徴収方法等を定める、これは条例で定めることにされております。したがいまして、当該地方公共団体の議会の議決が必要でございますが、さらにあらかじめ自治大臣の許可を受けて設定するということになっております。自治大臣は、その申請がありましたときには、当該市町村にその税収入を確保する税源があることとか、その税収を必要とする財政需要があることといったような一定の要件を充足する場合には、これを許可しなければいけないというような仕組みになっておるわけでございます。  それで、先生御指摘のように商品切手発行税は現在十八団体で課税されておるわけでございますが、二%の税率を採用しております団体が二団体、三%の税率が三団体、あと十三団体が四%の税率ということになっておりまして、その差があるわけでございます。しかしながら、この税率が異なっている点につきましては、先ほど申し述べましたような法定外普通税といった性格考えれば、そういう性格から生ずるものであると我々は考えておりまして、税の仕組みとしては特に問題はないと考えているところでございます。  あと、具体的にプリペイドカードにつきまして、これを課税するかしないかも含めましてその取り扱いにつきましては、プリペイドカードの個々の内容あるいはその利用状況等を考えながら、商品切手発行税の対象となるかならないかも含めて、さらに課税団体であります個々の公共団体で判断をしていくというふうな制度になっておりますので、自治省といたしましては、そういった課税団体の意向を尊重しながら、的確に対処する必要があるのだろうと考えているところでございます。
  24. 中村正男

    中村正男委員 終わります。
  25. 中西啓介

    中西委員長 早川勝君。
  26. 早川勝

    ○早川委員 最初にプリペイドカードの問題について、既に中村委員質問された、また答弁された部分もあるわけですけれども、重ねて伺いたいと思います。簡単で結構ですので、お答えいただきたいと思います。  一つは、今回の法案提出のいわば理由、それはこれからのカードの普及の見通しとの絡みで伺いたいと思います。ということは、先ほど大蔵大臣が、あえてカードの普及に対して中立的な立場で立法している、また大蔵省対応している、こう答弁されたわけですけれども、確認の意味を含めまして伺いたいと思います。
  27. 土田正顕

    土田政府委員 ただいま先生御指摘のように、私どもといたしましては、プリペイドカードについて、昭和五十七年でございましたかテレホンカードが発売されまして以来、さまざまな分野で実用化が進められておるというような状況、それからこのカードが便利な決済手段として今後さらに急速な普及が見込まれておるというような状況にかんがみまして、このカード化の進展に即した消費者保護信用秩序維持のための仕組みを設ける必要があるという御説明を申し上げてまいっておるわけでございます。  そこで、しからばそのプリペイドカードはどの程度普及すると見られるかという問題でございます。これは予測の問題で非常に難しいのでございますが、まず主なカード発行状況をとりあえず御披露申し上げますと、テレホンカードがやはりこれまで一番大きいわけでございますが、私どもが把握しております数字では、累計の発行枚数は約七億五百万枚、累計発行額が約四千四百億円、そのうち未使用残高と思われるものが約二千五百億円というような段階に至っております。それからオレンジカードにつきましては、概数しか把握できておりませんけれども、累計の発行枚数は五千五百万枚、累計の発行額は千億円程度であろうと見ております。  このように急速に普及した理由につきましては、これは先ほど答弁もございましたわけですが、 利用者発行者にそれぞれのメリットがある、そして双方にとって便利な決済手段であることによるものと考えられるわけであります。  今後の普及の見通しにつきまして数量的に申し上げるのは難しいのでございますが、何分にも最近さまざまな業界ないしは地域の商店街などにおいて活発にカード化の企画、研究が行われております事実に顧みますと、やはり社会的な一つのキャッシュレス化の流れの中で、プリペイドカードはいわば便利な決済手段として日常の消費生活の中に定着していくものではないかと思われます。  このような状況を踏まえてカード化の進展に即した消費者保護信用秩序の維持のための仕組みを整備するというのが、今回のねらいでございます。そこで、そのような意味で、いわば金融システムとしての整備を図るというのが本法案のねらいでございます。それにつきまして、これは私からと申しますか、先ほど大蔵大臣が御答弁申し上げたことに尽きるわけでございますが、例えば個別の業種において行政としてカードの普及にどのように取り組むか、いろいろプラスの面、マイナスの面、御判断はあろうと思いますが、そういうような行政としての何らかの対応が必要である場合には、それぞれの業界所管省庁において検討されるべき事項である。  例え話で恐縮でございますが、会社が社債を発行するようなときには商法や証券取引法の規定に従っていただきます。しかし、その会社の設備投資のあり方なり、それから社債を含む資金繰りのあり方について、何らかの観点から監督できる立場にある所管省庁がそれぞれのお立場から監督され、指導されること、それは私どもの方でやっておりますことと直接の関係はない、それと全く同じようなことでございまして、大蔵省として、特にカードの普及を例えば奨励するという立場にもございません。それから、カードの普及を妨げるという立場ももちろんありませんので、その点は一言で申せば、中立な立場であると申せると思うわけでございます。
  28. 早川勝

    ○早川委員 それで、先ほども出ましたけれども、実は供託金の問題に関して通産省研究会がございまして、ことしの一月に報告が出ているわけですけれども、そこでは二つのことがこれからの検討課題として指摘されているわけです。これは業界の繁栄なりカードの促進という観点で出しているわけですけれども、その一つ供託金比率の問題でして、二分の一は高いということですね。スタートしたばかりだから、三分の一ぐらいからスタートしてほしいなということが一点指摘されております。もう一点は、供託だけでなくて保証も考えてほしい、こういうことが書いてあるわけです。  これらの点も、今回の法案では中立的な立場で対処したと言われておるわけですが、保証がたしか今回では認められているわけですね。そういうことを考えますと、完全に中立とは言えないんじゃないかなという感じも持つわけですけれども、この点について伺いたいと思います。
  29. 土田正顕

    土田政府委員 大蔵省の方からとりあえず御説明を申し上げますが、この二分の一の供託義務、これをどう考えるか。これは一面では前受け金の保全措置でございますので、消費者保護的な観点からいえば、二分の一ではなくてもっと引き上げるべきではないかという御議論もあるやに聞いておるところでございます。他方、ただいま御披露ございましたように、発行者にとって二分の一は重過ぎる負担ではないかという御議論もあり得るかと思います。  その辺につきまして、最前ちょっと申し上げましたかどうか、現在の商品券取締法におきましても二分の一の供託義務づけておりますので、これを基本的に承継したものであり、また類似他法令でございますが割賦販売法におきましても、同様に前受け金については二分の一の供託義務を課しておるという点を参酌したわけでございます。それで、結局二分の一という数字につきましては、消費者保護観点発行者負担観点の両面からさまざまな御意見はありましょうけれども、とにかく現在、もう多年の法制に基づいて二分の一の供託を行っておられる事業者が多数存在しておりますことからすれば、その発行者負担として現状が重過ぎるということはないのではないかと思うわけでございます。  なお、関連して保証につきましてお尋ねがございましたが、現在設けられております制度は、供託一つでございます。供託は、国債その他一定の有価証券による供託が通常であろうと思うのでございますが、その場合、国債の利子などの運用収入は当然供託者に帰属することになるわけでございますけれども、片一方で国債その他のお持ち合わせがないような場合、それから利回りその他の計算もいろいろあろうかと思います。そのような場合の便宜を図るという観点から、供託にかえて金融機関などの保証によるということも認めるようにしたいと考えておりますので、その限りでは、確かに発行者にとっての自由度は改正前に比べ高まる。これをいわば促進的にお考えいただくかどうかでございますが、これは私ども一つの金融システムとして考えておりまして、供託の目的とする前受け金保全措置の効果と同様の効果をねらう方法があれば、それはその方法をあわせて取り込んでもいいのではないかという程度考えたわけで、特別に促進というような意図でこの保証の規定を入れたいというふうに考えているわけではございません。
  30. 早川勝

    ○早川委員 そういった意味で、先ほど冒頭に中村委員も触れましたように、必ずしもカード社会がいいとするわけでは私もありません。とりわけプリペイドカードは日本特有のシステムだということを伺いますと、何か特異な現象なのかなというふうにも考えております。  それから、先ほどの大蔵大臣答弁、日銀の福井さんはお聞きになりましたか。こういうプリペイドカードの普及と金融市場に及ぼす影響についてという質問に対する答弁ですが、普及しているのは四千億円ぐらいである、マネーサプライ四百兆円の中では微々たるものだということで、今はそれほど検討あるいは考慮する必要はないということを言われました。もう一つは、その汎用性がまだまだ狭い範囲で、小さいということです。これらの二点を指摘されて、それほどの影響はないだろう、こう言われましたが、日銀としてはいかがですか。
  31. 福井俊彦

    福井参考人 お答えを申し上げます。  基本的に大蔵大臣お答えのとおりであると思います。私どももプリペイドカード研究会の報告書などをよく読ませていただいておりますけれども、高度な汎用性を有するプリペイドカードということになりますと、通貨性格が非常に似通ってくる。つまり、プリペイドカードというのは限りなく通貨に接近し得るノンマネーである、こういうふうな潜在的な性格を持っているものだろうと思います。したがいまして、非常に高度な汎用性を有するプリペイドカードが普及いたしますならば、若干頭の中の体操みたいで恐縮でございますけれども、やはり金融政策と関連を持ってくるというふうに考えます。  一つは、非常に単純な話でございますけれども、消費者が手元のお金をカード発行会社に渡して仮に発行されたカードを受け取るということになりますと、もともとありましたお金が個人からカード発行会社に移って、このお金はまだ消えていないわけでございますが、一方新しく発行されて受け取ったカードは、物との交換がきくという意味で流動性のあるカード。したがいまして、世の中にそれだけ流動性がふえるという単純な事実が生まれます。それだけではありませんで、もうちょっ広い目で見ますと、そうした便利なカードというのが普及すればするほど、今度は個人はポケットの中に現金を持たなくなる、かわりにカードを持つようになる、こういうふうに考えますと、金融の仕組みみたいな話で大変恐縮なんでございますが、金融機関が企業とか個人にお金を貸します場合には、お金を貸すと預金通貨というものが創出されるわけですけれども、この預金と いうのはいつ現金で引き出されるかわからないという可能性を秘めているわけでございます。  したがって、現金で引き出された場合に、金融機関としては現金準備が十分あるかあるいは現金手当てができるか、その可能性をいつも頭に置きながら信用供与をしている。ところが、世の中全体で現金の使用比率が下がってまいりますと、そういう現金手当てができるかという懸念を少し薄くして金融機関は信用供与ができる。これは金融論の世界では、それだけ信用乗数が上がるという難しい言葉遣いで説明いたしますが、そういうふうに汎用性の高いプリペイドカードが普及いたしますれば、いわゆる信用乗数が上がる金融の世界というのが実現してくる可能性があるわけでございます。したがいまして、そういうふうなことを考えますと、将来的にもし汎用性の高いプリペイドカードが普及すれば、金融政策との関連では新たなアプローチが要るということは確かでございます。  ただ、現状に立脚して物を考えますと、先ほどから繰り返し御説明がございますとおり、現在普及しておりますプリペイドカードというのは、いわゆるテレホンカードとJRのオレンジカードというのが中心でありまして、あと若干出ておりますけれども、総量並びに汎用性両面からとらえてみますと、金融の世界に強いインパクトを与えるものになっていない。かつまた、当面の見通しとしても、すぐ目の前に汎用性の高いプリペイドカードが大きく普及してくる展望というのは必ずしもすぐには持てない、こういう状況にあるようでございます。安心し切っているわけではございませんが、今後のカードが実際にどの程度普及していくか、金融の世界に実体的にどういう影響を及ぼしてくるか、私どもも強い関心を持って見守りながら、金融面からの対応に過ちないように期してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  32. 早川勝

    ○早川委員 この研究会の報告にも、これからの体制を、準備の意味でモニタリング体制などを整備しておくべきだというような指摘がございます。それと、プリペイドカードとクレジットカードというのはいわば百八十度違うようなカードでありますけれども、クレジットカードが普及すれば恐らく消費が拡大するというふうに考えますと、このプリペイドカードだと消費拡大なり消費経済の面でその逆になるのかな、そんな感じを持つのですけれども、この点についてはいかがお考えですか。
  33. 福井俊彦

    福井参考人 クレジットカードの場合には、即新しい信用供与が行われるということがございますので、直結して考えますと、おっしゃるとおりクレジットカードの方が消費促進的な性格を持っている可能性はあると思いますけれども、先ほども申し上げましたとおり、プリペイドカードの場合にも汎用性の高いものが非常に普及してまいりますと、世の中全体の流動性がともすれば高まりがちな傾向にある。したがいまして、金融政策面での対応がその場合しっかりしていなければ結果的には同じことが起こりかねないという懸念はやはりあるわけでございますので、そうしたややマクロ的なアプローチでの慎重な対応ということは欠かせないというふうに考えております。
  34. 早川勝

    ○早川委員 プリペイドカードの問題については以上で終わらせていただきまして、この機会に、今お答えいただいたように、プリペイドカードの普及いかんによっては、また金融政策いかんによっては、そういった過剰流動性なりインフレの懸念も当然一つの問題として検討課題に上がってくるわけですが、そういった意味で、今我が国においてとりわけ土地の問題が非常に重要な経済的な課題でもあるし、政治的な社会的な問題にもなっていると思います。  そこで、土地融資規制について関連して伺いたいと思います。  先月の二十七日に銀行局長名で、いわば土地関連融資の自粛について通達が出されております。ここ四年にわたって四回ほど出されているわけですけれども、これまでの対応とその効果、そしてまた今回の銀行局がやろうとしている融資規制の特徴について、あわせて伺いたいと思います。
  35. 土田正顕

    土田政府委員 金融機関の土地関連融資につきまして、私どもはかねてから通達の発出とか特別ヒアリングの実施などを通じまして、いわば投機的な土地取引等に係る不適正な融資が厳に排除されるよう強力に指導してまいったところでございます。  これまでの経過というお話でございますが、銀行局長通達の初めのものは昭和六十一年の四月十六日付であったかと思います。ここで「いやしくも投機的な土地取引の助長等の社会的批判を招かないよう十分配慮する」というふうに要請を始めたのでございます。また、その基本線はその後逐次引き継がれておりまして、昭和六十一年十二月十九日付の通達もありますし、さらに昭和六十二年十月十九日付の通達も出しておるわけでございます。  このような指導の結果でございますが、全国銀行の、これは何を見るかということがなかなか難しいのでございますけれども、例えば不動産業向け貸出残高などをとりましても、その伸び率は昭和六十一年度ごろは対前年で二割合、三割合というような高率もあったのでございますが、昭和六十二年度上期以降と申しますか、基調としてかなり大幅に減少してきているというふうに考えられるわけでございます。しかしながら、最近また地方都市を中心として地価の上昇が伝えられておるというような地価動向などにかんがみまして、これは政府全体として強力に土地対策に取り組む一環であるというふうに承知しておりますが、国土庁におきましても、例えば国土利用計画法上の監視区域制度に係る指導を強化するということで、これもたしか十月二十七日であったと思いますが、そういうような方針を定められましたものと平仄を合わせまして、大蔵省におきましても指導の趣旨をさらに徹底させるという観点から、通達の発出を含む一連の措置を講じたところでございます。  この中身でございますが、まず第一に、銀行局長通達を発出いたしまして、投機的な土地取引等に係る融資を厳に排除するという従来の通達の趣旨をさらに徹底させるとともに、いわゆるノンバンクたる貸金業者一般に対する金融機関の融資につきましても、その資金が投機的な土地取引等に利用されることがないように、資金使途について十分な審査を行うよう指導をするという旨を通達いたしました。     〔委員長退席、衛藤委員長代理着席〕 それから第二点は、地価の高騰地域などを主たる対象とした特別ヒアリングを実施するという方針を打ち出しました。それから第三点は、金融機関によるノンバンク融資の実態把握を目的としました、これは事務連絡でございますが、そういう通知も出しております。それから第四点は、これは適宜、金融機関のノンバンク融資の実態についてヒアリングの実施をしてまいりたいという方針を打ち出しております。それから第五点は、これは従来にも増して金融検査の活用を図りたいと考えております。それから第六点としまして、ノンバンクの不動産融資の適正化に関しまして、それぞれの関係業界団体に自主的措置を講ぜられるよう、当局から通産省の御協力もありまして要請をいたしております。  以上のように、私どもといたしましては、現在考えられるあらゆる手段を尽くしまして、強力な指導を精力的に実施する方針をとっておるところでございまして、今後ともこの投機的な土地取引等に係る融資が厳に排除されるように適切に指導してまいりたいと考えております。
  36. 早川勝

    ○早川委員 不動産向けの融資、全国銀行で見ますと、確かに今局長が言われたように、六十一年、六十二年の当時から比べますと若干下がった、こう言われておりますけれども、建設業を含めまして考えてみますと、やはり高まっているわけですね。依然として六十一年、六十二年、そして六十三年、そして平成元年三月末ですと、不動産向けと建設業向けで全国銀行の貸出残高は二六・七%。 これは言うなれば、六十一年、六十二年当時よりは高いわけですね。そういった意味で今回の指導なりヒアリングなりを広げるのは当然だと思いますし、まだ決してそういった土地関連融資が下がったとは私などは考えられないわけであります。  今局長が言われたような、今回の通達の中で新しい方向を打ち出しているわけですが、簡単で結構なんですが、伝えられているような方向をとるかどうかという意味で伺いたいのです。例えば、行き過ぎた土地関連融資があった場合には事実関係の公表を検討するという記事を読んだことがあるわけですけれども、そういった事実関係の公表を大胆にやる意思がおありかどうか、伺いたいと思います。
  37. 土田正顕

    土田政府委員 まず、前段のこの融資の伸び率そのものについてどの程度に評価するかという問題でございます。  これは、もちろん私どももなかなかこの実態を計数的に把握することが困難でございますし、通常不動産業向け、建設業向けというか、むしろ不動産業向けの融資の数字などを参考にしているわけでございます。ただ、ここでこれは多少その議論を蒸し返すようでございますけれども、この土地関連融資のすべてが問題であるということではございませんので、住宅とか民活関連とかそういう内需拡大に必要な資金、それの円滑な供給は、これは確保してまいる必要があるわけでございます。しかし他方、この投機的な土地取引等に係る不適切な融資は、これは厳しく排除するという必要があるわけでございます。  そこで、このようなところから見ますと、特定の統計の数量のみをもっていわば成績と申しますか、対策の成果を評価することはなかなか難しいように思われるわけでありまして、結局そこはきめの細かい特別ヒアリングとか金融検査というような個別のチェックが必要となるというふうに考えておるわけでございます。  それから、そのような意味で私どもは従来も特別ヒアリングをしてまいりましたし、その効果に期待しておるわけでございますが、これは何分にも個別の融資案件にまで踏み込んだものでございますので、個々のケースの具体的な内容については、なかなかこれは信用の秩序の問題もありますので、従来から公表は差し控えさしていただいておるわけでございます。ただ、このヒアリング結果の概要につきましては、これまでも必要に応じ、ある程度まとまった段階で明らかにしていたところでございますので、今度またさらにいろいろな工夫をもって特別ヒアリングを続行いたすわけでございますが、必要があれば、やがて適宜の段階でその概要を明らかにすることも検討したいと考えております。
  38. 早川勝

    ○早川委員 日本銀行の澄田総裁が十月二十六日の記者会見で、地価上昇の問題について金融の当局としての見解を述べているわけですけれども、金融緩和が今日のような地価上昇を招いた主因なのか、副次的な原因なのかという問題があると思いますけれども、最近のマネーサプライ状況についてどのように認識されているのかということを伺いたいと思います。  マーシャルのkという話が従来からあるわけですけれども、六十年度から最近のM2とCDの伸びと名目GNPの伸びを比べてみますと、非常にマネーサプライの方が高いのですね。それは二倍とか何かいろいろな資料がございますけれども、そういった状況を見まして今どういう認識をされているのか、伺いたいと思います。
  39. 福井俊彦

    福井参考人 お答えを申し上げます。  金融政策の運営に関しましては、ここ数年来、日本の経済を内需主導型の望ましい姿に転換させ、かつまたそれを定着させていくという大きな政策の流れの一環といたしまして、いわゆる金融緩和政策を推進してまいりましたけれども、同時にこれは物価の安定を伴わなければ元も子もない、つまり物価の安定と両立し得る内需主導型の健全な経済発展、こういう意識のもとに政策運営をしてまいったわけでございます。したがいまして、金利の引き下げを中心とする金融緩和政策推進の過程にありましても、私どもといたしましては、マネーサプライの水準が過大にならないようにということは、常に最大のウエートを置いて考慮に入れてきたというところでございます。  実際のマネーサプライ伸び率の推移は、やはり金融緩和が相当程度進行いたしましたために、実際の経済の成長速度との比較におきまして、かなり高過ぎるではないかというふうに疑問を持たれてもいたし方がないぐらいの水準までひところ上がりました。しかし、私ども、マネーサプライの伸び率につきましては、今申し上げましたとおり、かなり細心の注意を持ってこれをウォッチし、かつコントロールしてまいりました結果、昨年の冒頭ぐらい、前年比伸び率で見ましてピークといたしまして、少しずつではございますが、しかし着実にマネーサプライの伸び率は下がってまいりました。ことしになりましてから御承知のとおり既に二回金利の引き上げ措置をとっておりますけれども、そうした措置の効果とも相まちまして、この春からはマネーサプライの伸び率は九%台に、ようやく一けた台に下がってきております。  これをもちまして、私どもはマネーサプライに対するコントロールが十分きいているというふうにはまだ申し上げられないと思います。経済活動全般の水準から見て、まだやや高過ぎる水準に位置しているかなというふうに見ておりますが、今後とも、先般実行いたしました第二回目の金利引き上げ措置の効果浸透などを見守りながら、引き続きマネーサプライ・コントロールにつきましては厳しい姿勢で臨んでまいりたい、こういうところでございます。
  40. 早川勝

    ○早川委員 もっと聞きたいことがあるわけですけれども、時間がございませんので指摘だけさせていただきます。  今月の十四日の夕刊、某紙の「経済気象台」というコラムがあります。そこで「逆説インフレ待望論」というタイトルがついているわけですが、いわば先ほど来触れましたように、不動産なり土地関連の融資を金融機関がやるのは、結局そのバックに日銀がいるのだから、もっと日銀自身がきちんと貸し出し等を含めてその増加額等の引き締め等をやらないと、どうも一般の金融機関に向かって自粛しろ自粛しろと言っても、肝心な日銀が抑えないことにはどうしようもないではないかという皮肉な内容になっておりますことを、反論もあると思いますけれども、それも反面当たっているのではないかなという感想を私は持ちます。今もってマネーサプライが高いという認識を今指摘させていただきましたので、ぜひ一層の御努力をお願いしたいと思います。  最後になりますけれども、まだ共済の法案が採決されていないわけですので、五点ばかり伺いまして、答弁をいただいて終わらせていただきたいと思います。  第一点は、提案理由については鉄道共済とたばこ共済のことが指摘されておりましたが、たばこ共済の今回の自助努力の内容とはどういうことだったのかということと、それに対する政府としての認識、評価ですね、どういったとらえ方をされているのかということです。  それから、五十九年二月の閣議決定におきまして、公的年金制度の改革、とりわけその第四項に一元化に向かって取り組んでいくというのがあるわけですけれども、今回のこういうたばこ共済の措置は一元化の中でどういった位置づけをされているのかということを伺いたいと思います。  それから第四番目になりますけれども、平成七年、一九九五年にいわゆる公的年金の一元化を図るということになっているわけですが、一元化のときにはどういった姿になっているのか、またそれに向けてこれから取り組んでいくプログラムというのがありましたら、明らかにしていただきたいと思います。  それから、そういった意味で年金審議会等におきまして、小集団、たばこ共済もその小集団の一つになるわけですけれども、そういった取り扱いについて十分注意しろという答申等も出ているわ けでございまして、たばこ共済等の問題を含めまして検討の場を設置するような努力をしていただきたいと思いますけれども、そういったお考えがあるかどうか。  以上の点について一括して答弁をいただきまして、終わります。
  41. 小村武

    ○小村政府委員 お答え申し上げます。  まず、たばこ共済の自助努力の内容でございますが、委員御承知のとおり、現行制度を放置いたしますと、平成二年から六年まで五年間平均で二百十億円の赤字になります。これに対しまして、今回百七十億円の自助努力をお願いしております。内容は、年金給付の見直しで三十億円でございます。例えば新規裁定で職域年金部分を廃止するとか、あるいは既裁定年金の職域部分のスライドを停止する、あるいは六十歳末満の退職年金支給の新規発生の廃止等々を織り込んでおります。さらに、保険料率の引き上げによって五十億予定しておりますが、たばこ会社にも特別の負担お願いいたしまして七十億円、その他運用収入で二十億円、合計百七十億円の自助努力をお願いいたしております。さらに、不足分の四十億円につきましては、今回各年金制度間で負担の調整をお願いしております。給付面におきまして、六十一年改正において各制度間の給付の統一が図られたわけでございまして、さらに一元化に向けて地ならしをしていこうということで、今回負担面で調整を行っております。その関係上、たばこ共済は四十億円の受け手に回ります。したがいまして、二百十億円の財政措置がとられたということでございます。  こうした措置は、委員指摘のように、五十九年に年金制度の一元化に向けて各制度の調整を図っていくという過程の一つでありまして、今回の制度間調整法もその一つとして、地ならしとして位置づけされているものでございます。今後平成七年に向けましてさらにこの制度間調整法において負担の調整等の措置が順調に進みますと、各制度間におきまして、それぞれ歴史を持っておりますが、旧公企体共済全体のバランスも考えながら、全体の一元化、七年に向けての検討がなされていくものというふうに理解しております。
  42. 早川勝

    ○早川委員 では、終わります。
  43. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員長代理 森田景一君。
  44. 森田景一

    ○森田(景)委員 今回提案されておりますプリペイドカード法案、先般のパチンコ疑惑で一躍有名になりました。きょう審議に入っているわけでございますが、この法案の目的は消費者保護、こういう立場で貫かれておるわけでございます。プリペイドカードは、今さら申し上げるまでもありませんけれども、前払いということが前提条件になっておりますから、したがいまして、この消費者保護というのが一番の大きな観点であろうと私も思います。この法案消費者保護対策が十分であると考えていらっしゃるのかどうか、また、自家型発行者あるいは第三者型発行者あるいは前払式証票発行協会、こういうものがいろいろあるようでございますが、こういう問題もすべて消費者保護という観点から運営されるのであろう、このように思っておりますけれども、それも含めましてまず最初にお答えをいただきたいと思います。
  45. 土田正顕

    土田政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま御指摘ございましたように、このプリペイドカードというのは、あらかじめ消費者が代金を前払いしてカードを購入し、そして物品・サービスの提供を受ける際に代金決済に使用できるカードでございまして、この前払い性というものがやはりその特徴の最大のものでございます。この前払いというところで実は消費者はこの発行者に対して事実上信用を供与しておりますので、そこで既に信用を供与した消費者に対してどのような保護を図るかというのが、この中心的なシステムの仕組みになるわけでございます。  そこで、この法案では、その眼目は、前受け金の二分の一の供託義務を課するというところにあるわけでございまして、この二分の一の供託という手法は、現在の商品券取締法、それから例えば通産省割賦販売法と同じ仕組みでございます。そのほかに、いわばそれにつけ加えたいろいろな手段といたしまして、従来、商品券取締法には明定されておりませんでしたような登録制届け出制を今度プリペイドカード法では新たに導入いたしましたほか、登録業者につきましては立入検査や業務改善命令など、経営の健全化のための監督規定整備したいと考えておりますので、これらの道具がそろいますならば行政としてまず事前の対応が可能であると考えております。この供託及び業界状況を把握するための一連の措置によりまして、消費者保護対策は十分に図られると考えておるものでございます。  なお、その点で協会につきましても若干のお尋ねがございましたが、このような供託届け出、登録それから報告というような行政上の措置のほかに、行政が直接的に関与するよりも、むしろ発行者の自主的な団体による方がきめの細かい対応が可能であるような問題がございます。例えば、これは消費者からの苦情の解決などはそういうものだろうと思うのでございます。それからさらに、役所ではなく民間の自主的な団体の場において対応を検討することがふさわしいような問題、例えば、約款の整備とかセキュリティーの問題とか利用者に対する広報とか、そういう問題もございますので、そのような問題につきましては、一種の自主規制団体を組織してこれにゆだねることが適当と考えられるわけでございます。  そこで、この法案におきましては、そのような自主規制等の果たす役割の重要性にかんがみまして、自主規制団体の法律上の位置づけを明確にするということで、前払式証票発行協会に関する規定を設けたいと考えておるところでございます。これらも通じまして、間接的な購入者等利益保護にも万全を期することとしたいと考えております。
  46. 森田景一

    ○森田(景)委員 消費者立場に立ちますと、一番困るのは、せっかくカードを買ったけれどもカード発行した会社が倒産した、このときが大変困るわけでございます。  私も今までは、まあ浅学といいますか、大体プリペイドカードはNTTとかオレンジカードとかこういうものしか知りませんでしたけれども、調べてみましたら、大変たくさん今でも出ているわけですね。一番早いのがNTTのようでございまして、これが八二年の十二月、通話料金の支払いということで発行されました。鉄道関係もたくさん乗車券購入に発行されています。あるいは、バスも使っています。あるいは、日本道路公団も今使っておりますね。あるいは、タクシー料金の支払いにも使っている。あるいは、クリーニング屋さんも使っているところがある。あるいは、娯楽とかその他大学でも使っているところがあるわけです。スーパー、デパート等はもちろんのこと、飲食店、ガソリンスタンドあるいは清涼飲料、ファーストフードの購入、こういういろいろな形のプリペイドカード発行されているわけでございます。  現在発行している会社はほとんど優秀な会社なんだろうと思うのですけれども、これから発行される会社、これはどういう状況かわかりません。そのために信用ということが大変重要になるわけですが、その前に、せっかく信用してカードを購入しながら倒産してしまう、これが一番困るわけでございますが、こうしたリスク対策といいますか、こういう点についてはどのように考えていらっしゃるでしょうか。
  47. 土田正顕

    土田政府委員 カード発行主体が倒産した場合というのが一番考えられる最悪の事態でございます。そのような事態を未然に防止するというようなことのためにも、やはりそれぞれの関係の省庁の方でその業界の動向を観察していただくということもあると思うのでございますが、この法案におきましては、現在はどのようなカード発行され、どのようなカードが出回っておるかも的確には把握できない状況になっておることにかんがみまして、登録制それから届け出制、それを新たに導入したいと考えておりますほか、登録業者に対しましては立入検査や業務改善命令など、いわば 経営健全化のための監督規定整備したいと考えておるわけでございます。  それから、やはり中心は、これは商品券取締法の措置を引き継ぐわけでございますが、消費者からの前受け金の二分の一以上の供託義務づけるということにいたしまして、仮に発行者が倒産した場合には、プリペイドカードの所有者はその供託金から優先弁済を受けることができる仕組みを維持しておるわけでございます。  この規制の態様がこれで十分であるかどうかという問題は、これはいわば消費者側の方の立場からの御見解もありますし、それから、発行者側のいわば企業の創造的活動という方の立場からの御見解もありましょうし、いろいろ難しいところでございますが、この際は、従来長らく行われておりました未使用残高の二分の一の供託というものを基本的な骨組みとして消費者のこうむるリスクを軽減するという対策をとりたいと考えておるわけでございまして、当面これによりましてその消費者保護、それからあわせて信用秩序維持の目的は十分に達成されると考えております。
  48. 森田景一

    ○森田(景)委員 消費者のリスクを最小限に抑える、こういう立場から考えますと、プリペイドカード発行の額面、これは余り高額なものは発行しない方がいいだろう、こういうふうに言われているわけでございます。なぜかといいますと、高額のカード発行されますと過当競争も起こり得るという心配もあるわけです。  例えば、現在日本道路公団が発行しております自動車道用のハイウェイカードというのがありますけれども、これは一万円券で一万五百円分、それから三万円券では三万二千五百円分が使用できるようになっているそうでございます。こういうのが競争が多くなってきてそれぞれプレミアムがつくということになりますと、使うそのときは消費者はいいわけですけれども、トータルとして欠損が出て倒産だ、こういうことにもなりかねないわけですから、余り額面の高いカード発行しない方がいいのではないか、このように消費者立場からいいますと考えられるわけですが、この点についてはどのように考えていらっしゃるでしょうか。
  49. 土田正顕

    土田政府委員 このプリペイドカードのいわば額面について何らかの最高限度を制限するかどうかという問題も一つの重要な問題でございますが、ただ、この法案が対象としております前払式証票により給付を受けることができる物品なり役務の種類は実に多様でございまして、これにつきまして一律の最高券面額を法定するということは、なかなか困難でもあり適当でもないのではないかと思うわけでございます。  現在の発行の実態は、ただいま御披露もあったわけでございますが、例えば少額のものということでございますとビール券、これは六百七十円前後かと思います。それから図書券、これは大体五百円でございます。このような小さなものもあります他方で、例えばハイウェイカードは三万円、それから現実に九州のある方面で商店街カードを出しておりますが、これは十万円というようなものがあるようでございます。それから、デパートの商品券も十万円というものがございます。そのように、物品・役務の種類に応じて証票の額面は実に多様でございますので、これを一律に限度を法定化するということは適当ではないのではないかと考えております。  しかしながら、従来に対する一つの前進といたしまして、この法案によりますと証票金額等の種類についての報告を徴求することができますので、どのような額面、どのような高額のカード発行する業者があるかということは私どもの方でその事実を把握し得る状況になります。それで、仮の問題でございますが、今後特に問題のあるような発行者が出現した場合には、これは関係各省庁と協議の上、適切な措置を行ってまいりたいと考えております。
  50. 森田景一

    ○森田(景)委員 今、デパートで十万円という券が出ているというお話もありましたけれども、日本で今まで一番信頼されている商品券というのはデパートの券だろうと思うのです。それは、商品券を発行しているデパートの信用が非常に大きいわけです。会社としても決算内容は毎年新聞にも報道しておりますし、十万円券という商品券を買っても心配ない、こういう大きな信用が根底にあるわけです。  そういうことを考えますと、これから新しくプリペイドカード発行する会社も、そのカード発行状況、あるいは会社の、会社になるだろうと思いますけれども、経理内容まで立ち入って発表できるかどうかわかりませんが、少なくともこのカードに関する部分について、こういうカード会社はこういう状況だという内容消費者に開示できる方法を考えなければいけないのではないかと思うのですけれども、その点についてはどうでしょう。
  51. 土田正顕

    土田政府委員 いわゆるディスクロージャーの問題でございますが、この法案の対象となります前払式証票発行者は、ただいま御指摘のございましたような世間になじみのあるような大企業ばかりではございませんで、中小商店のような小規模企業、さらには、自家型発行の場合には個人企業も出てまいるわけでございます。そのようなものまで含めたところで一律にディスクロージャー義務を課すことはなかなか困難ではないかと思っておるわけでございます。むしろ、より実効性のある措置といたしまして、一般の消費者保護するという目的から、これは商品券取締法にも規定されておりますような供託義務というような前受け金保全措置の方が実効があるのではないかと考えておるわけでございまして、加えて、この法案の一連の規定によりまして、発行者の健全性を維持するための措置は一応十分に講じられるものと考えておるわけでございます。  なお、このディスクロージャーに関連して申しますならば、現在主として出回っており、なじみの深いような商品券、カードにつきましては、例えばNTTとかJRとか百貨店とか、そのように経理が公表されているようなものがほとんどであったと思うのでございますが、今後どのようになりますか、その点はそのような状況もあわせて注目してまいりたいと思います。
  52. 森田景一

    ○森田(景)委員 このプリペイドカードは先にお金を前払いしてありますから、カードで品物を買った、その買った品物が不良品であった、こういうときには代金を請求できるわけですね。
  53. 土田正顕

    土田政府委員 ただいまのお話はこのプリペイドカードとはどういうものかということにも関連するわけでございますが、物品・サービスの提供を受ける際に代金決済に使用できるということで、その限りでは、現金を払って物品・サービスの提供を受けた、物を買ったと同じことでございます。  その物品に瑕疵があった云々というようなときには、これはプリペイドカード固有の問題とも考えられませんので、一般的な商取引の方のトラブル解決の方法によっていただくということしかないのではないかと考えております。
  54. 森田景一

    ○森田(景)委員 その辺のところが非常に心配なところです。我々の商取引というのは瑕疵のない状況取引ということが常識ですから、瑕疵があったというのは常識外なんです。常識外の商行為があったというときにどうするかという、この辺のところもきちんとしておかないと、これからカードがますます普及されるに従ってトラブルも多くなるのじゃないだろうかと思うのです。  だから、簡単に瑕疵のあった品物を瑕疵のない品物に交換するとか、交換できないものについては、それではこれは現金で返してもらわなければだめだ、こういう問題も当然予想されると思うのです。そういうことはどうなんですか、考えていませんか。
  55. 土田正顕

    土田政府委員 その問題は確かに重要な問題とは思うわけでございますが、カードで買った品物が不良品であったというのは、現金で買った品物が不良品であったというのと同じような話でございまして、これは発行者との関係ではなく、役務提供者との一般的な関係で返品とか返金とかでト ラブルを解決していただくということであろうかと思います。このカードが導入されることによって特別に状況が変わるということではないように思うのでございますが、ただ、私はその方面の専門家でございませんので、答弁不十分で、その点は申しわけなく思っております。
  56. 森田景一

    ○森田(景)委員 要するに、現金で買ったときには話は簡単なんです。現金ですから、これはもうだめだということなら現金を返してもらえばいいわけです。カードというのはお金を先に払ってあるわけです。だから、それは金券と同じ性質のものですから、そこで現金と同じように当事者で話をすればいいのだという答弁なんですけれども、当事者は、カードですから現金で返せませんとなったら、本当に将来こういうトラブルが多くなると思います。  専門家でないからわからないと言うのだけれども、それじゃだれが専門家なのか、専門家にひとつ答えてもらいたいと思います。
  57. 土田正顕

    土田政府委員 恐れ入ります。私が専門家でないと申し上げたのは、一般的な商取引のトラブル云々というところまでは十分存じませんのでそういうお答えを申し上げたわけでございますが、今のお話は、カードでは先にお金を払ってあるということでございますけれども、その金を払ってある先は発行者カード会社でございます。それは現象的には自家型発行の場合には物品やサービスの提供者と一致する場合がほとんどでございますが、第三者型発行になりますとカード発行者と役務の提供者とは別人格に相なりますので、このプリペイドカード法で主として規制、監督を加える対象は、カード発行会社発行者でございます。  それで、この役務提供者と買い主との関係につきましては、これは一般的な関係で返品ないしは返金というようなやりとりをしていただくということであろうかと思っております。  ただ、この問題につきまして、もしそのような実際のトラブルが多発するということになれば、これは決して望ましくないのでございますが、もしそのようなことになりますならば、今度の法案お願いしております前払式証票発行協会あたりでその苦情の解決というものの一環として取り上げてもらうことはあり得るものと思っております。
  58. 森田景一

    ○森田(景)委員 協会の方にその処理を任せるということなんですが、これと似たような問題が現実には起こっておるのです。  というのは、クレジットという仕組みですね。あれは第三者が商品を買ったお店の方にお金を渡します。そして、買った人、消費者の方はクレジット会社にお金を払っていくわけです。ところが、売買した当事者、お店と消費者の間でこういう品物の瑕疵をめぐっていろいろなトラブルが起こりまして、そのときお店と交渉しても、うちはもう関係ありません、クレジットの発行会社が責任を持つのだ、だからそっちと交渉してください、こういう話になりまして、品物を一つ買ったために、クレジット会社と何回も何回も行ったり来たり、電話のやりとりをしたり、大変な苦労をしておるのが現実にあるわけです。それと同じようなことがここにも起こるのじゃないだろうかという心配なのですね。  だから、今、よくわかっていないということですから、検討していただきまして、また、こういうカードがたくさんできて、そういうトラブルがたくさん起こったら協会の方で処理してもらうんだ、こういうことだったら大変なことになりますし、消費者保護にならなくなる心配があるので、その辺のところをよく検討していただきたいと思います。     〔衛藤委員長代理退席、委員長着席〕  それから、心配なのは、社会には悪人はいない、こういうことで我々は生活しているのだと思うのですけれども、そういう我々の良心を裏切る業者が時々出るわけですね。いわゆる悪徳業者というわけです。この悪徳業者の参入をどう防ぐか。非常に難しい問題かもしれませんけれども、そういうことについてはこの法案では想定していませんですか。
  59. 土田正顕

    土田政府委員 この法案で特に具体的にこの関係規定を設けておりますものは、これは殊に今後汎用性が大きく広がることが想定されますところの第三者型発行者についての仕組みでございます。  これにつきましては、登録という、届け出よりも重い手続をとっておるわけでございますが、その登録に関係いたしますところでは、登録を拒否できる理由というようなものとしまして一定規定を設けておるわけでございます。これは法律案の第九条に出てまいるわけでございますけれども、例えば登録対象の法人に係るものの役員のうちに次のいずれかに該当する者のある法人、つまりその役員に欠格要件を定めるとか、それから、「証票の発行の業務を適確に遂行するに足りる財産的基礎を有しない法人」、これも登録の拒否要件の中に掲げておるとかいうようなことでございまして、このようなことで登録業者をスクリーンするということは可能でございます。  また、その後実際に営業に当たりまして好ましくないような行動が出てまいりましたときには、業務改善命令のようなものも出し得るという規定を設けておるところでございます。
  60. 森田景一

    ○森田(景)委員 悪徳業者を締め出すというのはなかなか法律でつくるのは難しいのですね。今、局長が言われた内容は、ほかのいろいろな法律にも出てくるわけですけれども、現実に悪徳業者というのは後を絶たないわけです。そういう難しさがあるわけですけれども、悪徳業者が参入するということは、やはりこれから拡大されるであろうプリペイドカード利用ということに大きな支障を来すことになるわけでございますので、十分な対応を、これはお願いするしかないと思いますね、お願いしておきたいと思います。  それで、このプリペイドカード利用に関する問題でありますけれども、幾つ考えられるわけですね。  一つは、プリペイドカード利用が強制される危険の回避、これはちょっとややこしいかもしれませんけれども、お店でならば、そこで店員さんがいましていろいろとやりとりがありますからそう紛争は起こらないと思いますけれども、自動販売機等で買う場合には、現金とプリペイドカードが両方使えるような機械をつくってもらわないと、利用するためにはプリペイドカードを買わなくちゃならない、要するに強制される形になるわけでありますね。意味わかりますね。そういうのはやはり、さっきも銀行局長が言っておられましたけれども、日本の通貨というものが商品の売買で使えなければ通貨の意味がなくなるわけですから、その辺の対応というのもきちんとする必要があるのじゃないだろうかなと思うわけです。  こんなことをなぜ言うかといいますと、NTTの方では公衆電話機が置いてありますが、最近はカードだけしか使えない電話機が置いてあるわけです。その近所に現金も使える機械が幾つもあるというならば問題ありませんけれども、プリペイドカードだけしか使えない。これは、言ってみればカードの購入を消費者が強要されるということになってくると思うのですね。  そういうことで、ちょっと答弁の前に、NTTさんがお見えになっておると思いますので、カードだけしか使えない公衆電話、そういうのは今どのくらい設置されていて、トータルした公衆電話のうちの何%ぐらいあるのか、その辺のところがわかりましたらお知らせいただきたい。
  61. 濱田弘二

    ○濱田説明員 先生御指摘の点でございますけれども、やはりカードと硬貨が同時に使えるというのが一番便利でございますので、NTTでも、現在カード公衆電話が四十万ほどございますけれども、このうちの八割強の大宗は両方が使えるというものでございます。あと一〇%程度が、カードをお持ちの方はどうしてもカード専用のものをやはり置いてほしいという要望もございますので、できるだけカードと硬貨が同時に使えるという公衆電話機があるそばを原則としてカード専用機も 少し置かせていただく、そういう方針で臨んでおるところでございます。
  62. 森田景一

    ○森田(景)委員 こういう現状です。これは電話だけですけれども、さっき申し上げましたようにとにかくいろいろな商品に使われるということになると思いますから、その辺のところはどういうふうに指導されるつもりですか。
  63. 中西啓介

    中西委員長 どなたがお答えになりますかな。森田先生、どなたに……。
  64. 森田景一

    ○森田(景)委員 今のは、NTTはこういう例があるということですから、これからいろいろな商品にカードが使われていく、自動販売機も、現在もたくさん使われておりますけれども、今はほとんどキャッシュですが、さっきの例の中ではカードを使うのもあるわけです。そういう場合にはやはり両方使えるように指導しなければいけないのじゃないですか、そういうことです。
  65. 土田正顕

    土田政府委員 私どものこの法律に関係する立場から申します限りでは、これはやや原則論でございますけれども、プリペイドカード利用はあくまでも消費者の自由な選択に任されるべきものでありまして、その利用を強制するような事態にならないように、関係所管官庁の御参加も得て適切に対応することが必要であると考えております。  ただ、現状につきまして私は必ずしもつまびらかではございませんけれども、まだカード専門機の数は比較的少ないようでございますし、現金機と共用ないしは現金機と近い場所にあるものが多いように思いますが、御指摘のような問題が広がってまいりますならば、私どもの方からも関係省に相談をいたしたいと存じます。
  66. 森田景一

    ○森田(景)委員 それから、カードには有効期限というものを入れる考えはあるのかないのか。これは入れるべきではないという考えに私は立っております。  時間を節約する意味でもう少しお聞きします。  さっきもちょっと商品の瑕疵の問題で話が出ましたけれども、カードの換金性、これも考える必要があるんじゃないだろうか、こう思っているのです。というのは、今、一般家庭の通話料を払うときにテレホンカードで払うことができるような仕組みになっているのですね。これは非常に便利だと思うのです。その辺のところはどういうふうに考えていらっしゃるのか。まとめてひとつお願いします。
  67. 土田正顕

    土田政府委員 有効期限の問題についてまず御説明申し上げます。  現在、まだ予備的な段階にあるものも含めまして、発行されておりますプリペイドカードに有効期限をつけておる例はございます。それで、有効期限を明示してないものもございますが、いずれにいたしましてもこの両様を並行しながら認めていくしかないのではないかと思っておりますし、それから、有効期限を券面で表示しておりませんでも、例えば一定期間内に開催されます催し物に使えるようなカードというものであれば、その催し物そのものが期限つきでございますので、それが終わるとそのカードを使用できないという問題を生ずることはあり得るわけでございます。結局、そのような有効期限のあるもの、ないもの、両方の事態を想定して、基本的には購入される方々で、カードにちゃんと表示してあるわけでございますから予見可能性のあることでございますので、期限内にお使いになることを前提としてカードを買っていただいているものというふうに考えられます。  ただ、この法律におきましては、カードに使用期間を定める場合には、その周知徹底を図る観点からカードに有効期限を明示することを義務づけておりまして、利用者がそれを十分認識して購入するかどうかの判断を行えるようにしておるところでございます。  なお、後段のお尋ねはむしろ換金性の問題でございますが、これにつきましては、出資法その他の問題がございますものの、一般的な換金性は認めることは難しいと思いますが、やむを得ない理由がある場合に、カードの目的の範囲を逸脱しない限りにおいて換金性を認めるということは否定するものではございませんので、発行者の方の約款におきまして、使用期間経過後に換金することができる旨の条項を入れることは可能であると考えております。
  68. 濱田弘二

    ○濱田説明員 テレホンカード関係につきまして、先生御指摘のようにまだ始まって間もないわけでございますが、先月、十月三十日から、ダイヤル通話料の支払いに充当できる制度をNTTの方でつくっておるところでございます。
  69. 森田景一

    ○森田(景)委員 次は、技術面のことについてお尋ねしたいと思います。  現在、銀行の自動支払い機が故障で動かなくなるという新聞報道がたびたびあるわけでございます。この機械を、どういう機械なのか私わかりませんけれども、関係のお店はみんな置くんだろうと思うのですね。これはカード発行会社ごとに機械が要るのか、あるいは一台の機械を置けばいろいろな団体の発行したのがみんな使えるのか、その辺のところがどうなるのか。難しい話かもしれませんけれども、まず最初にその辺のところ、これはどこが担当か、通産省が技術面を担当していると聞いておりますけれども、通産省の方でわかりますか。
  70. 瀬戸屋英雄

    瀬戸屋説明員 御質問は、プリペイドカードの読み取り機器信頼性という問題であろうかと存じます。  プリペイドカードそのものが磁気による記録ということを使用しておりますので、読み取り機が故障いたしますと、プリペイドカード自体が破損してしまうということもあるわけでございます。  ただ、こういった問題が生じますと、これは消費者が不便をこうむるのはもちろんでございますけれども、機械の提供者自身信用の失墜をするということで、プリペイドカード発行者、また、使用者自身信用を損なうことになるわけでございますから、基本的には事業者において自主的にその対策が講じられるという性格のものであろうと存じます。  しかしながら、もちろん、プリペイドカードこ係る取引安全性を確保し消費者保護を図るという観点からは、通常の利用におきましてユーザー企業消費者に不都合が生じないように、機器の性能が一定期間一定水準以上に維持されることが必要であるということは認識しておるところでございまして、現在、標準化による対応を含めまして、いろいろな技術的な問題点等も整備しながら対応策を検討してまいっているところでございます。
  71. 森田景一

    ○森田(景)委員 時間の関係質問を重ねてお聞きしますから、お願いします。  カードの残価値といいますか、要するに幾ら残っているかを消費者がいつでも確認できるような仕組みはできるのかどうか。それから、利用内容が確認できる方法というのはできるのか。  これはどういうことかといいますと、例えばNTTさんは度数で、オレンジカードですと区間で金額が残る、こんなふうになっているわけですね。あれは、電話をかければわかるし、JRの方は乗った区間で明確になるわけです。ややこしい話ですけれども、そういう利用内容が確認できる方法、あるいはカードが破損した場合の安全措置、そういった対策通産省の方ではどのように考えていらっしゃるのですか。
  72. 吉田藤夫

    ○吉田説明員 ただいま三点御質問ございましたけれども、最初の二点について私の方から御説明し、最後の一点については別途瀬戸屋課長の方から御報告いたします。  まず一番目の御質問消費者がいつでも確認できる方策はないかということでございますが、現在、プリペイドカード残高などの表示方式につきましては、カードにパンチ穴をあけまして残高の目安を表示する方法、それから、カードリーダー、カード読み取り機に設けられましたディジタル表示機に使用可能金額残高のことですが、これを表示させる方法、この二つを併用する例が非常に多く用いられております。  プリペイドカード残高、使用状況を確認する 方法につきましては、導入されます業種とか業態に応じてそれぞれ望ましい方式が多様に考えられますので、現在検討の準備を進めております標準化の重要な課題の一つというふうに考えております。なお、その場合、残高表示について偽造とか改ざんが行われやすくならないように、そのための方策などにつきましてもあわせて確認することが必要と考えております。  二番目の御質問利用内容が確認できる方法はということでございますが、利用内容の明細を確認するためには、カード自体の記録容量を大きくいたしまして明細情報を書き込めるようにするとか、または、カードの表面に物を買った都度に必要事項が印刷できるようにしていく、そういう方法が本来いいわけでございますけれども、いずれにしましても、これは記録容量の大きなカードが生産されるような技術開発が今後どのように推進されるか、そういった度合いによるかと思います。また、プリペイドカードにおける利用内容の確認についての消費者のニーズと、それから事業者にとってのコストの負担増との関係において決定される問題であるというふうに考えております。
  73. 瀬戸屋英雄

    瀬戸屋説明員 カードの破損という場合には、もちろん物理的に切断されるということがございますけれども、磁気的情報が破損されることによって使用できなくなることについての御質問ということでお答えさせていただきたいと思います。  磁気的情報が破損されるというケースといたしましては、一つは、強い磁石のようなものに触れた場合に内容が変化してしまう、また、時間がたつことによりまして磁気情報が劣化する、また、最後には読み取り機が故障しているために誤った数値情報を吹き込まれるというケースがございます。  ただ、いずれにしましても、こういったことを防止する基本的な責任というのはカード及びカード端末機器提供事業者にあるわけでございまして、現に各事業者におきましては、例えば磁石に当たってもその内容が壊れないように強い磁気を持ったカードを製造するとか、または誤った使い方がされないようにカード端末機器にいわゆるフェールセーフ機能を設けるというふうな対応をしているというように聞いております。  しかしながら、通産省としましても、こういったカード及び関連機器耐久性信頼性ということにつきまして、このような技術レベルというものが一定水準に維持されますように、引き続き標準化による対応も含めまして対応策を検討してまいりたいというふうに存じております。
  74. 森田景一

    ○森田(景)委員 変造という問題は、今テレホンカードとオレンジカードが新聞に出ておりますが、テレホンカードでは何か五十回使用できるカードを変造して千回ぐらい使えるようにするとか、そういうふうに、簡単にかどうか知りませんが、変造できるなんという報道がありましたけれども、この変造防止対策はできたのですか。ちょっと予定外で……。NTTさんですか。
  75. 濱田弘二

    ○濱田説明員 テレホンカードの場合でございますが、これは公衆電話機のセキュリティーの関係でございますので詳細な答弁は差し控えさせていただきたいと思いますけれども、NTTの方で所要の措置を漸次講じておるところでございます。
  76. 森田景一

    ○森田(景)委員 ここで、NTTさんのカード発行状況と、それから、使われないで死蔵とかあるいはコレクションで集めている、そういうことでかなりの未使用金額があるというふうに言われていますが、そういう現状をお知らせいただきたいと思います。
  77. 有村正意

    ○有村説明員 お答えいたします。  NTTのテレホンカードは昭和五十七年から発行されておりまして、最近の、昭和六十三年度の発行枚数は約二億五千六百万枚というふうになっております。過去の累積で申し上げますと、約七億五百万枚ということになっているところでございます。  テレホンカードにつきましては、発行いたしまして実際に使われているものと使われていないものがあるわけでございますけれども、その経理につきましては、その年度の売上額のうち実際その年度に使用された分につきまして、収益として計上しております。  そこで、そこに売上額と収益額、つまり使用額の差額が生ずるわけでございます。未使用額でございますけれども、これは一たん前受け金として経理をいたしまして、四年目に収益として計上をすることになっております。その前受け金のこれまでの累計というのは約二千五百億円ぐらいになっておるところでございます。  ただ、未使用と申しましてもいろいろな形の未使用があるわけでございまして、一部コレクションの対象というふうになっているものもあるかもわかりませんけれども、具体的に、どの程度、どのような状態で未使用になっているかということについては、NTTとしても把握しておらないわけでございます。先ほど申し上げましたように、テレホンカードでの支払いが認められたとか、あるいはカード公衆電話が大体半分ぐらいにふえておりますとか、そういったこともございまして、未使用というものは減っていくのではないかとNTTの方でも見ておるところでございます。
  78. 森田景一

    ○森田(景)委員 オレンジカードの方はいかがでしょうか、運輸省。
  79. 大辻嘉郎

    ○大辻説明員 JR六社の昭和六十三年度におきますオレンジカードの発売総額が約四百億円でございます。同期末、つまり六十三年度末現在の未利用残高が百九十六億円という状況でございます。
  80. 森田景一

    ○森田(景)委員 今のところNTTとかあるいはオレンジカードとか、こういう状況でございますが、これがプリペイドカード法案が成立しまして多数の会社が参入する、そして、今までのような状況になるかならないか予想ができませんけれども、仮にこういう状況が出てきた場合、その運用益とか退蔵益といったものは消費者に還元しなければいけないのじゃないか、こう思うわけでございますが、最後にこの消費者還元という問題について答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  81. 土田正顕

    土田政府委員 退蔵益それから運用益、そういうようなものの取り扱いについてのお尋ねでございますが、私どもの方では、一般論的な御説明になりますけれども、カード退蔵益につきましては、これは利用者が収集目的のためにカードを保有するとか、それからカード利用機会に比して贈答のために多く使用される場合とか、そういうような場合に生ずるわけでございます。そういう贈答などの目的による購入のウエートが高いという意味ではテレホンカードなどは割合そういうケースに該当するかと思いますが、最近いろいろ発行されております多様なカードは、どちらかといえば利用者が御自分で利用されるために購入するものが多いであろうと思われます。したがいまして、利用率は高くなり、退蔵益や運用益は比較的低いのが実情になるのではないかと予想をしております。  しかし、いずれにいたしましても、退蔵益や運用益が多額に見込まれます場合には、カード購入者が利用できる機会をふやすとか、ないしは適正なプレミアムその他による還元策を講ずるとかいうようなことで、それらの利益消費者に還元していくことも必要となろうと思われますので、この辺は、このプリペイドカード発行とそれから普及を考える各企業がまず第一次的には知恵を出していただくところではないかと思っております。
  82. 森田景一

    ○森田(景)委員 終わります。
  83. 中西啓介

    中西委員長 安倍基雄君。
  84. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 技術的な問題ですから、前の方々がいろいろな話を聞かれたもので残っている分は少ないわけですけれども、一つ、ほかの国でこういう法制があるのかどうか、どうも聞いてみると余りないようでございますけれども、その辺をまず御説明願いたいと思います。
  85. 土田正顕

    土田政府委員 外国におけるプリペイドカード状況につきまして、実は私どもも十分に調査ができたと申し上げられる段階ではございません。  これまでのところの印象を申し上げますと、海外におけるプリペイドカード導入の事例は、公衆電話用の前払いカード、つまりテレホンカードの事例がほとんどであるようでございますし、導入の動機も、公衆電話における盗難の防止の見地から導入されたものが主であるというように私ども聞いております。その点、我が国のように、つり銭対策とか利便性の高いものとして民間でかなり多種多様な会社発行し、ないしは発行専門会社もつくられる動きがあるというような事例は余り承知しておりません。  それから、これは今後どのように展開するかにもよることでございますが、我が国におけるテレホンカードはかなり贈答用として用いられているという感じもあるかと思います。そのような贈答という習慣が余り外国にはないだろうというようなことから、例えば商品券のようなものも余り外国には存在いたしません。  それからまた、近時外国で導入されておりますプリペイドカードも、その使用は今申しましたようなテレホンカードを中心に一部の公共的な分野に限られている状況でありますために、これらについてまとまった規制が外国で設けられているということは聞き及んでおりません。
  86. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 日本という国はどっちかというと、ちょっと問題があると政府がたたかれるものだからすぐ規制をするのですね。ほかの国の場合には、むしろ消費者が、そもそもここのところが発行するのは安心だから受け取ってもいいということで、そうすぐ飛びつかないのですね。  ある意味からいうと、どんどん使われるからこういう規制を設けるというのもいいのですが、逆に、届け出をし、あるいは登録をした結果信用力を与えるというか、悪い男がいてばっばっと出してしまって、大蔵省届け出済みとか登録済みという話で大いにそれが使われる、そして結果的に半分だけ供託してあとどろんするという可能性もある。そのときに、これは役所が認可した、あるいは登録したということがかえって行政責任にかかってくる。例えば薬などもそのために認可を非常に厳しくする。ちょっと問題が起こると、けしからぬではないか、認可不十分ではないか、こういう議論になってくる。  だから、こういったことがどんどんと進められたときに、万が一悪質な者がいて、供託してはどろんするというようなことになったときの国の行政責任がどうなるのだ。これは、そんなことはさせませんよ、そういうことでちゃんと監督しますよと言っても、届け出というのは簡単にできるわけですから、国が最終的に責任をかぶらなくてはいけませんよという形になる可能性も十分ある、その辺についての見解はいかがでございますか。
  87. 土田正顕

    土田政府委員 今のお話は十分考えなければならない問題を含んでおるわけでございますが、結局、しかるべき制度をつくらないということで自己責任の原則に任せるか、それともある程度の金融システムに関する法令を設けて、その限りでその法令の運用の責任を行政当局に負わしめるかという両方の選択があると思います。  その点でございますが、もちろん私どもが気がついていない部分もあろうとは思いますけれども、既にこれだけカード化の進展によりましてさまざまな主体がプリペイドカード発行しているようになってきておるということから考えますと、例えば悪質な発行者の参入を排除するというようなことはやはり必要ではあるまいか、それからまた、消費者保護についてのシステムを整えておくということは、現に商品券につきましてそういう法律が昭和七年以来あるわけでございますが、それの延長線上のものとして考えることが必要ではあるまいかというような判断をしておるわけでございます。  そのような参入規制は、本来悪質な業者を排除する、ないしは予防するということを目的とするものでございますが、その反射的な作用としまして、ただいま先生が御指摘になりましたような、そういう行政責任をしょい込むことにならないかという御懸念もございますことは承知をしております。もちろんその場合の責任というのは、法律のシステムを維持する、運営するという責任でありまして、具体的な金銭上のトラブルの解決にまで、つまり私法上の権利関係にまで立ち入るような責任ではございませんが、それにしても、全体のシステムが法律の予定するような方法でスムーズに運用されておるかどうかというものをウオッチする責任はあるわけでございます。  それを懸念するというか避けまして行政が何ら参入規制をしないで放置するということでありますと、仮に悪質な事件が不幸にして起こりましてから後追い的に対策を講じるのと比べてどちらがいいかという問題も生じますので、この法案の措置が十分かどうかは議論の余地はあるかもしれませんけれども、これまで商品券取締法以来積み上がっております法規制、及びカード化が進展しつつあるという現実を踏まえまして、この法案では可能な限りの規制のシステムを考えたわけでございます。
  88. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 これは二つの見方がそれぞれ対立するのですけれども、商品券などの場合に、例えば伊勢丹の商品券だからあるいは三越の商品券だからということで一応受け取る、そういったことで、ある程度相手の信用をもって受け取っているわけですね。大体日本の場合には今まで金融機関というのはつぶれたことはありませんから、アメリカあたりではばんばんつぶれるのですが、そういう金融商品的なものに対する信頼度があって、カードの形で来ると何か安心感を持ってしまっているわけですね。だからここの辺の社会的風土の差もあるのですけれども、本来欧米の社会だったら妙なカード発行されたって信用しないというか、よほど大きな企業とかなんとかでなければ信用しない、だからそれだけ発行もされていないという要素があると思うので、この規制法はもろ刃の剣の要素が若干あるな。  でございますから、それは悪質な者がいて、届け出て、いわばオーソライズされたような格好でぼんぼん発行して最後どろんするということもあり得ないではない。であるから、もしそうやって規制をするなら相当きちっとした規制でないとまずいのではないか、届け出ぐらいでいいのだろうかという要素が——そうするとまた逆に強くなり過ぎてしまうので、非常にデリケートな範囲ですけれども、この辺についての考えがあるわけですから、せっかく既にできている法律にけちをつけるつもりもありませんけれども、その辺のいわば考え方というものをやはり持っていなければいけないのではないかと思いますが、いかがでございますか。
  89. 土田正顕

    土田政府委員 この法案考えております規制の態様は、消費者保護信用秩序維持を標榜しておるわけでございますが、その目的に照らして適当な水準であるかということについての御議論もそれはあろうかと思っております。  ただ、これにつきましては、従来からの商品券取締法に言うところの二分の一以上の供託という基本線、これを今改めなければならないほどの現実の変化もないと考えましたのと、それから、むしろ従来の商品券取締法の不備を補う趣旨で登録、届け出というニューエントリーを把握できるような法律上のシステムを設け、その際に、殊に第三者発行型のものにつきましては比較的規制の重い登録制を導入するということによりまして、必要な場合に立入検査や業務改善命令を行い得るように所要の規定整備しようとしているということ、その他、利用条件の券面表示とか帳簿作成、報告徴求などの規定整備するということで、一応これまでの基本線を引き継ぎながら、いろいろな手続規定、権限規定整備を試みたつもりでございます。  なお、届け出で中途半端ではないかというお考えもあろうかと思われますが、この法案では、自家発行型につきましては届け出お願いするというシステムをとっておりますが、本来、自家型というのは自分たちの本業に付随してカード発行するにすぎないような面もございますので、その監督につきましては、主としてやはりそれぞれ の業界所管しておられる役所の方で気をつけて見ていただくということがある程度期待できると思うのでございます。  それに対しまして、この法律で割合厳重な手続を設けておりますものは第三者型でございますが、これは資金決済機能を担うものでございますので、所管省庁の監督もあろうと思いますが、資金決済に関するシステムという部分で、大蔵省所管の法律としてこの法律により必要な規定整備しようと思っておるわけでございまして、特別この自家発行型について規制が緩過ぎるというふうにも私どもは考えておらない次第でございます。
  90. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 大臣の御見解を聞いても似たような結論になると思いますから、余りつついてもあれですけれども、この話はやはり一つのフィロソフィーの問題で、これからそういう問題が起こってきたときに、よく薬なんかで、国が認可したじゃないか、こういうことで責められる、この場合に、国がオーソライズしたじゃないかという面の追及があり得ることを十分考えてもらわないと、逆に、奨励するという言い方は悪いけれども、それがどんどんやられると、本当に参入が一般化してしまうことがかえって弊害を持つときもある、運用はよほど注意していただきたいと思うのでございます。  二番目に、私はNTTの関係で使い残りはどのくらいあるだろうかという退蔵益の話を考えたのですけれども、それは既に前の委員質問があったから今さらあれですけれども、結局さっきの御答弁だと、期限後の換金性というか、期限が終わってから本人が返してくれということを認めるかのごとき話で、また、未使用分についてはしばらくたったら益金に入れる、それはいいのですけれども、消費者保護の見地からいったら、例えば電話なんかだったら使い残しはまたいつか使えますけれども、物によっては、本人もいいかげん嫌だ、期限内でも返してくれという場合もあり得ると思うのです。そういった、特に使い残しということを考えますと、換金がいつでもできるというような形になっているのか、それはいけないのかどうか、いかがですか。
  91. 土田正顕

    土田政府委員 今のは一般的なお話でございますか、それともNTT……
  92. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 さっき換金性の話が出まして、こちらの森田委員に、換金性は認めてもいい、その場合に期限後の換金性という話をされましたが、期限前の換金性でもいいのでしょうかね。いつでも換金できるのですね。
  93. 有村正意

    ○有村説明員 テレホンカードについてお答え申し上げます……
  94. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 テレホンじゃなくて、これからのプリペイドカードの話です。
  95. 土田正顕

    土田政府委員 失礼しました。  先ほどもちょっと御議論があったわけでございますが、先ほどの御議論は、カードに有効期限をつけるということは適当ではないのではないかという御趣旨のお話でございましたが、それにつきまして、現に有効期限があるものが存在するし、有効期限をつけざるを得ないような状況のもとでカード発行されることもございますので、それはやはり有効期限があるもの、ないもの両様を考えていかなければならないであろうという趣旨のことを御説明を申し上げたわけでございますが、その際に、使用期間経過後に使い残りがあった場合にどうするか……
  96. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 さっきは使用期間経過後の話を問題にしたのだけれども、使用期間前でも、お金を戻してください、商品券の場合にはとめている場合がありますけれども、今度のカードは、いわばさっきの退蔵問題いろいろ考えたときに、いつでも換金できるというようなことでもいいのでしょうな。そこまでは縛ったりしてなくて、自由に任せているわけでしょうね。
  97. 土田正顕

    土田政府委員 失礼しました。  多少問題を広げまして、一般的な換金性についての御議論であるということで、それについて御説明を申し上げますと、プリペイドカードのそもそもの発行の目的は、消費者が代金を前払いして、それによりましてカードによって物品・サービスの提供を受ける際に使用するのが目的でございますので、換金を主目的とするということではあり得ないと思うのでございます。  したがいまして、理由のいかんを問わずに発行者が換金に応ずるというような一般的な換金性を有するようなプリペイドカードがもし発行されるような場合には、それは出資法などの法律に抵触するおそれがございます。しかしながら、一般的な換金性のものではない、本来の目的を逸脱しないという関係では、出資法等との関係の法律上の問題は生じないと考えております。  ところで、それならば具体的にどのような限度にまで換金性を認めてしかるべきかということでございますが、これは現に行われております実例に照らしましても、現金とのお引きかえはいたしませんとか、つり銭はお払いいたしませんとか、ないしはつり銭を払うことを認めるものとか、前払式証票について雑多な態様がございます。プリペイドカードにつきましても、同じように、恐らく用途、機能、使用実態などは多様であろうと思われますので、どのような場合に換金に応ずることが適当かということについて一律の基準をあらかじめ定めることは必ずしも適当ではないと考えております。これは基本的にはそれぞれの発行者の方々が、それぞれのカードの特質を踏まえて、それぞれの立場から合理的で明確な基準を示すことが望ましいものであり、その際の約款等について整備をする必要があれば、例えば前払式証票発行協会のような団体で検討されるのも適当ではないかと存じます。
  98. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 いずれにいたしましても、退蔵問題も含めて、消費者保護の見地から、あれは前取りですから、前取りで運用できる、使われないのがあればほとんど得をしてしまう、そこはプレミアムで相殺するのでしょうけれども。この間パチンコ問題が起こったのだけれども、NTTと同じようにべらぼうに退蔵されたら、その分だけ金利をもうけてしまうじゃないかという議論がありましたから、業者にとってはいわば前受けですけれども、それの利益は結構大きいものですから、この辺についての消費者利益考えていただきたいと思います。  この話は、今までずっと聞いておりましたら、大体議論が尽きていたような感じもしますので、実はきのう私は質問時間が非常に短くて、共済の問題で大臣がべらべらと答弁した後そのまま引っ込んでしまったもので、それについていささか補足的に聞きたい話がございます。  きのう私が提示した問題は、JRが随分もうけているじゃないかということを言いました。それに対して、通常の企業の負担率の一・七倍くらいだから、これ以上は負担させられないよという話がございました。ただこの問題は、半ば破産同然になった会社なわけです。だから、いろいろなしっぽを引っ張っているわけです。それだけに私は、JRが十分収益を上げればそれなりに考えるべきじゃないかという考えを持っています。ただ、いろいろ聞いてみますと、減価償却が十分されてないままに利益計上されているという要素もあるようです。  そこで一番問題は、きのうの答えで上場を急いでいると言わんばかりの話がありました。ところが、上場するというても、これからどのくらい拠出するかという問題もあるし、減価償却もされてない、そういった形で過去のしっぽをしょったまま急いで上場する、それで若干みんなからお金を取るかもしれない。それは一種の粉飾決算みたいなものでありまして、NTTの場合、一遍売った分がどんどん落ちちゃった、その後で分割論が出てなかなか上がらない。それと同じように、今のJRの決算というのは、聞いてみると減価償却も十分計上されていない、保有機構か何かが全部レントで取っちゃって、それはほとんど過去の債務に返しちゃう。そういうような状況で上場しても、何かこういった年金問題もしっぽをしょっている、粉飾決算による上場みたいな話になるので、上場をそう急ぐ必要はないじゃないか、むしろそ れよりは不動産をもっときちんきちんと売りなさいという問題が一つ大きくあるのではないか。  それからもう一つは、整備新幹線で何千億使うわけですから、本来の会社であれば別ですが、そんな倒産会社に近いものであったのが急いで何でやるんだ、これはやはり政治的な問題じゃないか。要するにそういった過去のしっぽを引きずったまま新しいものをどんどん始める、あるいはちょっと表面利益が上がったら上場する、そういう考え方はおかしいんじゃないか。  大臣が何か、今まで土地の利用について、時価で売れ、あるいは収益性をどんどんと高めろ、そういったことについての議論を余りしていなかったという、事実そうかもしれません。しかし、これはまじめに考えて、清算事業団の持っている土地などは、地方公共団体ががあがあ言うんじゃなくて、本当にもっともっと収益性を持たせなくちゃいけない、適正処分をしなくちゃいかぬ。その点ができないものだから、逆に株を売って、株でもって債務を消そう。その株を売るためのいろいろないわば利益とかなんとかいうのが全部粉飾決算みたいなものだ。というのは、簡単に言えば、減価償却も十分計上していない、そういうことでして、つまりこれからの年金についてのいわばJR負担ということについて、どうもぴしっとしていないところがあるのじゃないか。現に厚生年金はこれだけ、千数百億も持っていかれて大反対もある。  そういうことを考えますと、私は、きのうも話しましたように、年金受給者の努力あるいは組合員の自助努力というものに対して、どうも国の努力が——片っ方じゃ整備新幹線をやる、片っ方じゃ早く上場して債務を消そうとするけれども、その数字そのものは、よく聞いてみると減価償却もろくに計上していない、しかも後ろのしっぽをしょったままだということで、私はその辺に疑問点があるんじゃなかろうか。  私はきのう、大臣から言われたまま、次の伊藤君の質問がありましたから時間を守ってやろうと思って座ったわけですけれども、釈然としない点があるので、この辺、ちょっと細かい話でございますけれども、御答弁願いたいと思います。
  99. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 予測しておりません昨日の御質問に継続しての——ただ、これはむしろ私は運輸大臣として国鉄改革関連各法の答弁に当たりました責任者でありますから、改めて申し上げたいと思います。  JR各社が過去の国鉄のいわば重荷の一部を背負いながら発足をしたことは事実であります。委員はお述べになりませんでしたが、院の御意思もありまして、適正規模である要員数よりも二割余り余分の人員を各社に持たせてスタートをしたことも重荷の一つでありましょう。そしてJR各社は、その意味におきまして過去の国鉄の重荷を部分的にせよ背負っておることは事実であります。  しかし同時に、国鉄国会における各党の御論議を思い起こしていただきたいのであります。賛成のお立場の御議論、反対のお立場の御議論、それぞれにありましたが、JR各社が一日も早く本当の意味での民間会社としてみずからの足で歩き始めることを期待するという御意思においては、それぞれの委員の、また各党の御意見に変わりはなかったと私は理解をいたしております。  そうした中で、発足以来今日までJR各社は、むしろ私どもが当初予測をいたした以上の成績を上げながら努力をしてまいりました。そして、それぞれの各社がそれぞれの意思において関連事業を開発し、新たな営業努力を繰り返し、それぞれの企業がいわば一人前の民間企業として世間からお認めをいただける日を待っております。委員も御承知のとおりであります。そしてまた、清算事業団は、その職分として、旧国鉄から継承いたしました用地並びにJRの株式を一日も早く売却をすることによりまして累積債務の返済に充てる責任をも負うております。  そうした中で、今回の共済の御審議の中で御説明をいたしましたように、あえてJR各社に旧国鉄時代における保険料不足部分についての負担を今回特別負担としてお願いをしたわけでありますが、通常の民間企業の負担する保険料の一・七倍程度にまでそれがかさんでおるということも事実でありまして、委員はそれ以上の負担を負わせて上場をおくらせてもいいというお考えのようでありますが、遺憾ながら私は、国鉄国会において御審議を受け、法律案を通過、成立せしめてきた責任者としては、当時の御論議を思い起こしましても賛成をすることはできません。
  100. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 時間が来たようでございますけれども、一言。  私が言っていますのは、上場をおくらすというのは——本当の数字を計上して上場するならばよろしいですよ。しかし現在の利益というものは、減価償却費もろくに計上しない、一方においては整備新幹線で負担を負わせる、一方では年金のいろいろいわばしっぽをしょっている、そういう形で上場してみたところで、NTTの値崩れと同じように、かえって投資家をだますことになる、粉飾決算になるじゃないか。でありますから、上場を今急いでやるということは、そういうことが全部きれいになってからじゃないとできないはずだ。  上場を早くしましょうということは、これは本当に一遍倒れて再出発した会社であればそれなりのあれがありましょうけれども、現在のJRの場合にはいろいろなそういったしがらみをしよっておって、形式的に利益が上がっているだけだ。その利益も、よく聞いてみると減価償却費もろくにやってない、一方においては整備新幹線の負担もかかってくる、年金の問題も解決していない、しかも千数百億の厚生年金からの援助をもらっている、そういう形で上場してみても、それを急ぐのはもっとそれがきれいになってから上場すべきだ。ですから、単に形式的な形でもって上場を急ぐというのは、いわば粉飾決算の上場じゃないかというのが私の意見です。
  101. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 委員の御質問の持ち時間を切れておるようでありますけれども、あえてこの時間だけはお許しをいただきたいと思います。  今、委員は粉飾決算という言葉をお使いになりました。しかし、JR各社は、国会において審議され、通過、成立をした法律によって設立され、ルールに基づいた決算を行っております。そして、それぞれの各社承継いたしました資産によりまして、償却資産を多く受けております社、あるいは償却資産を少ししか引き継いでおらない社、それぞれの内容に差異があることは事実であります。また一方で、国民の世論にこたえながら整備新幹線についての論議もございますけれども、それにつきましてもJR各社は、みずからの経営を侵さない、経営が不安定にならない範囲でこれについての意見を述べておるわけでありまして、あえて粉飾決算と言われるお言葉には私は承服はできません。そして私は、これから先JR各社がみずからの足で正々堂々と民間企業として国民の前に立てる日の一日も早いことを心から願っております。
  102. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 時間はないんですけれども、粉飾決算という言葉がちょっと言い過ぎかもしれないけれども……
  103. 中西啓介

    中西委員長 安倍君、時間が過ぎておりますから。
  104. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 簡単にちょっと一言。  要するにそういったことがきれいにならない形で上場するのは危険ですよということを言っております。  もう大分延びてしまってあれでございますけれども、今の質問は、運輸省には出るように言っておりましたから、きのうの継続でございますので。ちょっと延ばしちゃってどうも済みません。
  105. 中西啓介

    中西委員長 正森成二君。
  106. 正森成二

    ○正森委員 中村委員初め同僚委員が、重要な問題について、あらかじめ私が質問通告した点について大分お聞きになりましたので、時間も過ぎておりますし、できるだけ簡潔に申し上げたいと思います。  郵政省から答弁がありましたが、私は後ろで ちょっと聞こえにくかったのですが、テレホンカードですね、何か七億幾らと言われて、それから、今未使用の分が二億幾らと言われましたが、金額も含めてちょっと正確に言ってください。
  107. 有村正意

    ○有村説明員 NTTのテレホンカードでございますけれども、これは昭和五十七年から発行しておりまして、最近非常にふえておるわけでございますが、最近の、六十三年度の発行枚数は約二億五千六百万枚、トータルいたしますと七億五百万枚というふうになっております。  それで、この売上額とその年度使用額に差額が各年度生ずるわけでございますけれども、それが未使用の額でございますが、これは、民営化の六十年度以降発生しておりますけれども、それを六十年度以降累計をいたしますと約二千五百億ということになっております。
  108. 正森成二

    ○正森委員 未使用額の累計が二千五百億になっているということですが、「ニューファイナンス」の八九年七月号に、大蔵省の銀行局調査課長中井さんが、ここにも来ておられるかな、論文を書いておられます。  それを見ますと、大体実際に使われてしまっているのは半分くらいじゃないかという説が書いてありまして、それで、NTTと発行者側の利益というのは資金繰りへの寄与、運用益とも言ってもいいのですが、それと退蔵益であるということで、別の調査を見ますと、仮に二千億というのを特定金銭運用を信託でやりますと百四十億円くらい年間利益が出るというように言われております。その上に、それは全部使われるとしても運用益があるのに、退蔵益がある。中井さんはこの退蔵益というのは一種の創業者利得みたいなものだと言っておられるのですけれども、そういう御見解ですか。
  109. 土田正顕

    土田政府委員 私はただいまのお示しのものを読んでおりませんので大変恐縮でございますが、この退蔵益というのは、これまでNTTや何かの場合につきましては、いわば贈答用とか、それから中にはカードを収集するという目的を持ってテレホンカードを入手される方もあろうと思います。そのような方々が割合多かったというようなことであれば、例えばその結果として退蔵益がふえてくるということはあろうかと思うのでございます。そのようないわばコレクションになじむようなものをおつくりになっておるという意味では、確かに若干創業アイデア賞というか、創業益みたいなところはないではありませんが、ただし、最近実用向きに発行されておりますカードを見ますと、それはやはり利用者が御自分で利用するために購入するものが多いようでございますので、利用率は高く、したがって退蔵益は比較的低いのが実情であろうかと思います。  その点、NTTの場合とその他の企業の場合でどのように事情が違うかというのは、まだデータの積み上げも不十分でございますので的確な御説明ができる段階ではございません。その点はお許しいただきたいと存じます。
  110. 正森成二

    ○正森委員 私は、創業者利得などというふうにこだわるつもりはございませんけれども、ともかくもうかっていることは事実だ、それに対する消費者あるいは利用者に対する還元、例えば千円のテレホンカードなら百五度ですか、五%利益還元がございますけれども、五百円のものについては全然ないというような点とか、あるいは今度、度数のものにも消費者保護等のために供託が行われますけれども、千円以下については供託しないでいい、それ以上についても三年間逐次五〇%に至ればいいということになっているのはいささかNTTに対する優遇であって、一説によると郵政省に銀行局が押し切られたというような説もありますが、いかがですか。
  111. 土田正顕

    土田政府委員 今度の法改正は、基本的には、商品券取締法規定によりますと供託の対象が金額表示のものに限られている点を改めまして、物品表示なり点数表示なりのものにつきましても供託の対象とする、その限りでは供託義務を広めるということが一つの中心でございました。  そこで、その結果、従来、例えばテレホンカードのように、これはどちらかといえば点数表示でございまして、商品券取締法に言う供託義務の対象外であったものを、新しく供託お願いするというようなものが幾つかございます。ただしそれは、テレホンカードが一番大きいかもしれませんが、そのほかにビール券とか米券とかいろいろなものが実は世の中にございまして、そのようなものを一般的に横並びをとりつつ対策考えたのでございます。  そこで、そのときにこれらのものにつきましてどう考えたかということでございますが、比較的少額のものについては長年にわたってこれまで供託義務の対象外とされてきたところでもありますし、その間、特別これまで大きな問題も生じていなかったということも考えまして、現実の経済的負担を伴う供託義務の適用を当面緩和することが適当と考えたのでございます。ただし、もちろん一定の比較的高額のものについては、今後、前払式証票は次第に高額化するでありましょうし、万一の場合の被害が大きくなる可能性もございますので供託義務を課する、この点はテレホンカードその他全くの例外なく一律にお願いをしておるわけでございます。  それから、激変緩和という趣旨で三年間の経過措置を設けておりますが、これにつきましても当初からいろいろ考えておったところでございまして、現実の供託義務、これまでなかったものが新たに供託義務を負うというものに対する措置としては妥当なものと考えております。
  112. 正森成二

    ○正森委員 千円以下の供託不要の「当分の間」という当分の間は、「当分の間」ということで何十年も続くという法律もございましたので、おおよそのめどがおわかりでしたらお答えください。
  113. 土田正顕

    土田政府委員 具体的な期間を数字的な表現で申し上げることは差し控えたいと存じますが、やはりこのプリペイドカードを含む前払式証票がどの程度の展開を見せるか、どの程度の流通の実態があるか、それからさらに、これは技術面の改良、それから汎用性の拡大のいかんによっては非常に額面の高い低いにも影響してまいります。そのようなシステム面及び技術面での今後の発展の動向が大体見通せる段階になりましたら、またこの法律のシステム全体について見直す機会もあろうと思うわけでございます。そのときに今の御指摘の問題についても恐らく見直す機会を持つこととなると思っております。
  114. 正森成二

    ○正森委員 次に、前受け金の保全措置について申し上げたいと思いますが、カード発行者等が倒産等になりましたときに、カードを買って利用する消費者とそれからサービス等の給付者とが競合することになるのですね。そのときに、むしろサービス・商品等の給付者というのは消費者に対してカード発行者と共同して責任を負うべきであって、消費者と競合して債権の保全をするという立場に立つべきではない、したがって、消費者の弁済権を保護するということを優先すべきだと私は考えておりますが、大蔵省当局としてはどのようにお考えですか。
  115. 土田正顕

    土田政府委員 このカード発行会社、これが一つの主体であり、それから消費者、これが第二の主体であり、それからこの物品・サービスの提供者、これが第三の主体であります。この三角関係からいわば第三者型の発行が行われるわけでございますが、このカード発行者と物品・サービスの提供者が異なるいわば第三者発行型の場合には、今度の法案登録制を導入することによって参入規制を加重し、信用力のある者が発行を行うように、第一次的にはこの発行者について規制をかけております。  それについてさらに商品・サービスの提供者にも共同責任を負わせるということは、いわば法律的な議論として一律に強制することは困難であろうかと思いますし、それはまた通常の商取引の実態から見てやや行き過ぎであるという議論もあろうかと思います。ただし、具体的なプロジェクトを幾つか聞きますと、そういう共同責任のような方法によって信用力を増すということにより、消費者のニーズにこたえ、またカード発行の普及 促進を図るということを検討している発行会社があるということも聞いておりますので、その辺は発行会社を中心とする関係者の今後の研究にまつというところではないかと思っております。
  116. 正森成二

    ○正森委員 次に、前受け金の運用ですけれども、日弁連などが研究しておるようです。その関係弁護士などの御意見によりますと、この運用については投機性の高い運用というのは規制すべきではないかという意見がありますが、実際上としては金に色はついておりませんのでなかなか難しいことであろうと思いますが、こういうような関係法曹の御意見について御検討しておられますか。もしそうだったらお答え下さい。
  117. 土田正顕

    土田政府委員 ただいまの法曹界の御指摘でございますが、カード発行に伴う預かり金の保全につきまして、支払い準備という観点考えておかなければいかぬぞという点はまことにおっしゃるとおりでございます。ただ、投機性が高いかどうかというところまでは余り考えてはおらないのでございますが、いずれにせよ、消費者保護観点から支払い準備は重要であり、この法律ではシステムとして二分の一の供託義務を課しているところでございます。  それによって二分の一の方は確保されたという感じでございますが、残りの二分の一、残余の預かり金についても、それは安全かつ流動的な手段によって運用されることが望ましいものでございます。ただし、これを例えば区分経理を義務づけたり法律で一律の運用規制を設けるということは、これは現在の商品券取締法に言う前受け金保全措置でもとられておりませんし、それをこの際加重する特段の理由もないのではないか、また、他の類似消費者保護立法においてもそのような制限は余りとられておらないようでありますので、現段階ではそこまでの必要はないと考えております。
  118. 正森成二

    ○正森委員 券面額の上限制限については何か考えておられますか。関係者の間では、現在の紙幣の最高額程度にとどめるべきだとか、商品券との関係があるのでそれはどうするかとか、いろいろ意見が出ているようですが、大蔵省でお考えがありましたらお答えください。余りにも多額にするということは問題があると思います。
  119. 土田正顕

    土田政府委員 この券面額の最高限度の問題でございますが、これは多少一般論的になりますけれども、高額な証票になりますと、それだけ偽造、変造の誘惑を招くという感じはあるかと思うわけでございます。また、紛失や盗難に遭った場合に利用者の被害が大きくなるということもございます。そこで、そのような問題は、これは発行者側が自分たちの技術水準の向上によって、側えばIC、集積回路を組み込んだようなカードを導入するとか、本人確認機能を組み込むとか、いろいろな仕掛けを考えているようでございまして、それによって安全性を確保しようとなさるわけでございますが、これはまたコストアップを招くという問題が生じます。そのようなことでございますので、最高券面額を幾らにするかということは、今申しましたような諸情勢をまず発行者の方々が十分慎重に考えて決断されるべき問題であると思っております。  何分にも、商品券それからプリペイドカード全般を通じますと対象となります物品や役務の種類は極めて雑多でありまして、これについて法律で一律の最高券面額を法定化することは適当ではないと考えております。  ただ、これはこの法案一つのねらいといたしまして、届け出ないしは登録の制度を設けることにより、さらに報告によりましてプリペイドカード等発行者状況、それからどのような額面のカード発行しておるかをフォローできるようなシステムを整備したいと考えておりますので、そのような手段を通じまして証票金額などの種類を我々としても把握し得るわけでございますから、今後仮に特に問題のある発行者が出現した場合には、関係各省の方々と御相談の上、その内容に応じた適切な措置を考えてまいりたいと思っております。
  120. 正森成二

    ○正森委員 これで終わりますけれども、ここにプリペイドカード幾つか持ってまいりました。私の財布の中に入っておったのですが、それを見ておりますと、日本共産党中央委員発行のランチカードもあるのです。これは私が使ったものです。こういうものも出ておるのです。  そこで、こういうものにもこの法律の規制があってはぐあいが悪いので念のために伺っておきますが、本法三条の三号によりますと、「専ら発行者の従業員に対して発行される自家発行前払式証票その他これに類するものとして政令で定める前払式証票」は本法の適用除外になっておりますけれども、さしずめこれは除外になるわけですね。
  121. 土田正顕

    土田政府委員 ただいま遠くからカードを拝見しただけでありまして、発行状況、それから使用する資格のある者がどういう方々であるかをもう少し伺った上で、具体的に意見を申し述べさせていただきたいと存じます。
  122. 正森成二

    ○正森委員 半分冗談ですけれども、これは私どもが本部の食堂で食べる場合だけ使用するものですから、まさに三条の三号に該当するものだと思います。独断ですが、該当するだろうという確信を表明して、質問を終わります。
  123. 中西啓介

    中西委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  124. 中西啓介

    中西委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  前払式証票規制等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  125. 中西啓介

    中西委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 中西啓介

    中西委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     ───────────── 〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  127. 中西啓介

    中西委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十九分散会