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1989-11-21 第116回国会 衆議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月二十一日(火曜日)     午前九時三十二分開議  出席委員    委員長 中西 啓介君    理事 衛藤征士郎君 理事 大島 理森君    理事 中村正三郎君 理事 平沼 赳夫君    理事 村井  仁君 理事 中村 正男君    理事 森田 景一君 理事 安倍 基雄君       愛知 和男君    愛野興一郎君       江口 一雄君    遠藤 武彦君       尾身 幸次君    太田 誠一君       岡島 正之君    金子 一義君       鳩山由紀夫君    沢田  広君       野口 幸一君    早川  勝君       堀  昌雄君    村山 喜一君       橋本 文彦君   平石磨作太郎君       伊藤 英成君    正森 成二君       矢島 恒夫君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      津野  修君         内閣法制局第四         部長      越智 正英君         経済企画庁調整         局審議官    安田  靖君         大蔵政務次官  高村 正彦君         大蔵大臣官房審         議官      濱本 英輔君         大蔵大臣官房審         議官      石坂 匡身君         大蔵省主計局次         長       小村  武君         大蔵省主税局長 尾崎  護君         大蔵省理財局長 大須 敏生君         大蔵省証券局長 角谷 正彦君         国税庁間税部長 竹内  透君  委員外出席者         総務庁恩給局審         議課長     大坪 正彦君         法務省刑事局刑         事課長     松尾 邦弘君         文部大臣官房福         利課長     込山  進君         厚生大臣官房政         策課長     横尾 和子君         厚生省保険局企         画課長     近藤純五郎君         厚生省年金局企         画課長     阿部 正俊君         厚生省年金局年         金課長     松本 省藏君         社会保険庁運営         部保険管理課長 田中 泰弘君         社会保険庁運営         部年金指導課長 平松 克喬君         農林水産省経済         局農業協同組合         課長      岩村  信君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部清算業務指導         課長      宮崎 達彦君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部再就職対策室         長       丸山  博君         郵政省電気通信         局電気通信事業         部事業政策課長 有村 正意君         自治省行政局公         務員部福利課長 石井 隆一君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団理         事)      杉田 昌久君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団理         事)      山口 良雄君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団理         事)      前田喜代治君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団共済         事務局長)   長野 倬士君         大蔵委員会調査         室長      兵藤 廣治君     ───────────── 委員の異動 十一月十六日  辞任         補欠選任   江口 一雄君     宮澤 喜一君   遠藤 武彦君     山崎  拓君   尾身 幸次君     有馬 元治君   太田 誠一君     河本 敏夫君   村山 喜一君     永井 孝信君   伊藤 英成君     永末 英一君   矢島 恒夫君     野間 友一君 同日  辞任         補欠選任   有馬 元治君     尾身 幸次君   河本 敏夫君     太田 誠一君   宮澤 喜一君     江口 一雄君   山崎  拓君     遠藤 武彦君   永井 孝信君     村山 喜一君   永末 英一君     伊藤 英成君   野間 友一君     矢島 恒夫君 同月二十一日  辞任         補欠選任   杉山 憲夫君     岡島 正之君 同日  辞任         補欠選任   岡島 正之君     杉山 憲夫君     ───────────── 十一月十七日  前払式証票規制等に関する法律案内閣提出第二号) 同月十六日  共済年金改善に関する請願外二件(赤城宗徳紹介)(第三六一号)  同(糸山英太郎君紹介)(第三六二号)  同(粕谷茂紹介)(第三六三号)  同(栗原祐幸紹介)(第三六四号)  同(小泉純一郎紹介)(第三六五号)  同(河野洋平紹介)(第三六六号)  同(河本敏夫紹介)(第三六七号)  同(中山利生紹介)(第三六八号)  同(浜田幸一紹介)(第三六九号)  同外二件(東力君紹介)(第三七〇号)  同(宮崎茂一紹介)(第三七一号)  同外一件(森田一紹介)(第三七二号)  同(山崎拓紹介)(第三七三号)  同(渡辺栄一紹介)(第三七四号)  同(大野功統紹介)(第三八五号)  同(小泉純一郎紹介)(第三八六号)  同(吹田愰君紹介)(第三八七号)  同(二田孝治紹介)(第三八八号)  同(倉成正紹介)(第四〇八号)  同(斉藤斗志二君紹介)(第四〇九号)  同(戸沢政方紹介)(第四一〇号)  同(虎島和夫紹介)(第四一一号)  同(西岡武夫紹介)(第四一二号)  同(松田九郎紹介)(第四一三号)  同(若林正俊紹介)(第四一四号)  同(愛野興一郎紹介)(第四二七号)  同(大野明紹介)(第四二八号)  同(梶山静六紹介)(第四二九号)  同外一件(塚原俊平紹介)(第四三〇号)  同(宮崎茂一紹介)(第四三一号)  同(岡島正之紹介)(第四五九号)  同(梶山静六紹介)(第四六〇号)  同(佐藤一郎紹介)(第四六一号)  同(田邉國男紹介)(第四六二号)  同(中尾栄一紹介)(第四六三号)  同(中村正三郎紹介)(第四六四号)  同(堀内光雄紹介)(第四六五号) 同月二十一日  共済年金改善に関する請願古賀誠紹介)(第四九九号)  同外二件(古賀正浩紹介)(第五〇〇号)  同外四件(麻生太郎紹介)(第五一五号)  同(天野公義紹介)(第五一六号)  同外五件(太田誠一紹介)(第五一七号)  同外九件(小宮山重四郎紹介)(第五一八号)  同(浜野剛紹介)(第五一九号)  同(山中貞則紹介)(第五二〇号)  同(小泉純一郎紹介)(第五五四号)  同(佐藤守良紹介)(第五五五号)  同外三件(三原朝彦紹介)(第五五六号)  同(山中貞則紹介)(第五五七号)  同外三件(有馬元治紹介)(第五七九号)  同(上村千一郎紹介)(第五八〇号)  同(小泉純一郎紹介)(第五八一号)  同(笹川堯君紹介)(第五八二号)  同(塩川正十郎紹介)(第五八三号)  同(友納武人紹介)(第五八四号)  同(谷津義男紹介)(第五八五号)  同(村田敬次郎紹介)(第五八六号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案内閣提出、第百十四回国会閣法第六七号)      ────◇─────
  2. 中西啓介

    中西委員長 これより会議を開きます。  第百十四回国会内閣提出国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本国有鉄道清算事業団理事杉田昌久君、同理事山口良雄君、同理事前田喜代治君及び同共済事務局長長野倬士君出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中西啓介

    中西委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     ─────────────
  4. 中西啓介

    中西委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  5. 堀昌雄

    堀委員 本日は、国鉄共済年金問題について一時間十分の時間で質問させていただきますが、橋本大蔵大臣は、かつて厚生大臣を歴任され、運輸大臣を歴任され、現在大蔵大臣でありますから、これらの三省にわたる本件については、恐らく現在の政府の中で最も詳しい政治家だというふうに私は認識をしております。  そこで、特に私がそのことについて触れますのは、かねてから御承知のように、先般も資料をお配りしまして、きょうは後でまた冊子になったものを委員長の御了解を得て配らせていただきますけれども、現在の行政機構は御承知のように縦割りになっておりますから、大蔵省厚生省運輸省、いずれもその省が所管をすることについて非常に熱心に詳しく勉強もし、同時にその立場に立ってこれを推進する、こういう傾向があるわけであります。しかし、今回の鉄道共済年金の問題というのは、まさに大蔵省の問題であると同時に、かつてこれを所管してきた運輸省に非常に大きな責任のある問題でありますし、同時に今、法案が提出されている中で、社労にかかるようでありますけれども、厚生年金から巨額の調整金を出すというのは、これは厚生省所管の問題なんであります。要するに三省にわたるような問題は、どうしても広い視野で、同時に非常に長期的な展望に立って、年金でありますから二十年、三十年先を展望した上で実は物事を考えなければならぬ、私はこう考えているわけであります。  まあしかし、厚生大臣運輸大臣、それも運輸大臣国鉄民営化のときに運輸大臣をしていらっしゃるし、現在大蔵大臣としてやっていただいておるという橋本大臣に、答弁はもう技術的な問題が多いですから事務方でいたしますけれども、最後に集約して、そういう意味で、視野が広く長期的な展望を、幹事長として大いに実力を発揮をされた橋本大蔵大臣の見解をひとつ最後に伺うということにして、まず、専らその前段の方の話を進めてまいりたい、こう考えるわけであります。  そこで、実はこの問題を私が最初に取り上げましたのは昭和六十年二月四日の予算委員会であります。そのときの経過をちょっと簡単に読み上げます。  ○堀委員 そこで私は、きょうはまず最初共済年金の問題を取り上げ、あわせて現在政府の進めておられる年金制度の問題を取り上げ、それとの関連で税制の問題を取り上げるという形で物を進めたいと思うのでありますけれども、要するに一つ一つの個別問題ではなくて、全体に関連のあるもの、包括的なシステムとして実はきょうは私はいろいろと問題提起をさせていただきたい、こういう考えでございますので、財政改革を含めて全体の一つシステムの流れとして問題を次々と提起をしてまいりますから、どうかそういう御認識でひとつお聞きをいただきたい、こう考えるわけであります。   そこで、最初国鉄共済年金の、国家公務員等共済年金の問題についてお伺いをいたします。実は今、国鉄問題は国鉄監理委員会でありますか何かで原案が作成中ということに聞いておりますが、私は、きょう国鉄問題を議論する気はないのでありますけれども、この国鉄共済の問題を解決するめどがつかない限り国鉄の再建問題はあり得ない、実はこういう基本的な認識でございます。そのことをこれから少し申し上げて、皆さんもおわかりをいただけると思うのでありますけれども、長期給付財政調整事業運営委員会というのが国家公務員等共済組合運営財政調整五カ年計画というのを実は提案をしておるわけでありまして、大蔵大臣は五十九年十月十六日にこの認可申請を受けておられるわけであります。御承知でしょうか、大蔵大臣。  ○竹下国務大臣 承知いたしております。  ○堀委員 その中でこういうことが言われているのであります。「従って今回策定した計画は、あくまでも昭和六十年度から六十四年度の五年間に限った当面の対応策にならざるを得なかった。仮に六十五年度以降も現行財政支援体制であるとすれば最早支援は不可能であって、支援体制の拡充、強化が是非とも必要である。」非常に重要なのは「六十五年度以降も現行財政支援体制であるとすれば最早支援は不可能」であるという断定が実は下されておるわけであります。「国鉄共済組合昭和六十五年度以降の給付の増加は目を見張るものがあるが、長期的にみた給付負担の不均衡の拡大は単に国鉄共済組合だけではなく、共済年金制度全体にも共通する問題である。各共済年金制度の健全なる財政運営を図って行くためには、現行給付水準抜本的見直しと大幅な保険料の引き上げとは避けて通ることができない状況であるが、自助努力にも限界があり、他方、これを放置しておけば各共済組合とも早晩財政破綻が生じる。従ってこれはただ単に財政上の問題だけではなく共済年金制度の存続にかかわる問題でもあり、ひいては公的年金制度全体に対する国民の信頼を失う恐れがある。」こういうふうに指摘をしているのであります。 これが実は長期給付財政調整事業運営委員会委員長答申をしている内容でございます。私は、まさに的確にこの問題の重要性指摘していると思うのであります。   そこで、これだけではちょっと皆さん国鉄年金の問題というのがおわかりにならないだろうと思いますが、この財政調整計画で今出されておりますのは、この前、国家公務員共済組合とそれから電電公社共済組合専売公社共済組合を統合して国鉄救済のための国家公務員等共済組合というのができました。そうしてこの六十年から六十四年にかけて、ここで述べられておるのは約四百五十億円をみんなが出してひとつ国鉄共済組合支援しましょう、こういうことになっているわけですね。それはできる話として認可が申請されておる。ところが、六十五年から先の問題は今私が述べたようなことになっているわけです。   事務当局答弁でひとつ六十五年以降、国鉄職員が今三十二万人、これは六十五年には大体何人になるのか、そうして七十年には何人になるのかという職員数を下敷きにしながら、六十五年からその他の三共済支援を必要とする金額というのはどういうふうになるのか、国鉄側から答弁を求めます。  ○仁杉説明員 お答えいたします。   六十五年度以降につきましては、大体二十五万五千ぐらいの数字を今考えております。こういうふうに組合員が減少してくるということ、それから追加費用未払い分を六十四年度までに早く支払いまして国鉄年金制度を維持したいということでございまして、六十五年以降はこの追加費用がなくなるという、共済組合の方に入る金がなくなるということがございまして、現在細かく試算するわけにもまいりませんが、平均といたしまして七十年度までを試算をいたしますと、一年当たり約三千億程度の不足額が生ずるというふうに計算しております。  ○堀委員 大蔵大臣、あなたが国家公務員等共済組合主務大臣でございますから、同時に大蔵大臣でございますから、昭和六十年度以降、なるほど四百五十億なら三つの共済組合協力できるでしょうけれども、三千億を超えるような膨大な支援を求められては、これはこの答申が言っておるように支援は不可能ですね。大蔵大臣、これはどうして対応されますか。 こういうふうに実は六十年二月に私はこの問題を提起いたしたわけであります。その答えが今提案をされている中身になってきているわけであります。  そこで、それでは今度の問題について責任の所在は一体どこにあるのかということをちょっと触れておきたいと思うのであります。  鉄道共済年金問題懇談会報告書というのが六十三年十月七日に実は出されているわけであります。その中にこういうふうに書かれています。   鉄道共済年金問題については、かねてからその財政運営について種々指摘がなされてきていたが、昭和五十年代に入って単年度収支赤字が発生する等財政事情の悪化が顕在化するに至った。これに対して、鉄道共済年金においては、昭和五十九年度に至って既裁定年金スライド停止等措置昭和六十年度からは国家公務員NTTたばこの三共済による財政援助措置等が講じられたほか、積立金の充当により、当面、昭和六十四年度までの年金の支払いについては、支払不能といった事態に陥ることのないよう手当てされたところである。 こうなっているのであります。  そこで、この「赤字の原因」というところで、   鉄道共済年金年金給付費のうち、昭和三十一年六月以前の恩給期間分の支給に充てられているいわゆる追加費用は、民営化以前は事業主たる旧国鉄負担とされており、民営化後は日本国有鉄道清算事業団負担とされている。戦後旧満鉄等からの大量採用に伴う年金費用も主としてこの中に含まれている。従って、鉄道共済年金昭和六十五年度以降年間三千億円にのぼると見込まれる赤字幅は、昭和三十一年七月の現行共済年金制度発足以降の期間分について生じていることとなる。 こういうふうになっていますけれども、この問題というのは、ここに書かれているように、赤字が始まったのは、単年度収支赤字昭和五十年代に入ってから始まっている、こういうことになっているわけですね。  昭和五十年度というのは、今からいうと大体十五年前の話ですね。そのときに単年度赤字が出ているのに、当時これは日本国有鉄道でありますから、責任運輸省、言うなれば内閣にあったと私は考えるわけであります。その内閣が、既に十五年前に単年度収支赤字が出ているにもかかわらず、抜本的な対策も講じずに、安易に国家公務員電電専売共済組合支援を受けて四百五十億でつないできた、これ自身が私は大変誤った選択であった、こう考えているわけであります。  現在、後で詳しく聞きますけれども、次に問題になるのはたばこ共済じゃないですか。これが一番最初に出てくる問題。その目の前に来ておるたばこ共済組合から金を出させて、専売共済が早くダウンすることを促進するようなことを政府提案をしてやってきておるというのが現在の実態であります。  ですからそういう意味で、私は国鉄共済年金問題というのの一番の責任内閣政府にある、こう考えるのでありますが、これはひとつ大蔵大臣、御答弁をいただきたいと思います。
  6. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今、堀委員から非常に過去を振り返りながら、しかも財政社会保障両面のベテランとしての御意見を拝聴しておりました。  そして、はしなくも今思い出しましたのは、たしか昭和四十年代の半ば過ぎ、社会保障制度審議会におきましてこの国鉄共済が必ず財政破綻を来すという議論、これは党派を超えて国会側委員も、また学識経験委員からも提出をされた意見に対して、当時、残念ながら十分な資料が提供をされないままに、他の共済答申はある特定の日取りにまとめていただきましたけれども、国鉄共済についてのみ答申が何日間かずらされた事件がございました。たしか委員も当時おられたと思います。  そして私は、これは政府といいますよりも当時の国鉄の体質に問題があり、しかも、当時の国鉄としては、労使とも国鉄共済の将来についてそれほどの認識を持たず、経営者側もそれを労務政策上活用しようとする、また労働側国鉄共済積立金の運用についての労働側発言権を確保することにのみ視野がいき、全体像を見失っておった、これがたしか社会保障制度審議会において非常に論議を呼んだところであったような記憶がございます。  そういう意味では、必ずしも私は政府だけが責任を負わなければならない問題だとは考えておりませんし、当時、政府そのものの中においても相当な危機感を持ち、また本院においても相当な危機感を持って、委員もその当時からの関係のお一人でありますが、議論をしておられ、他制度への影響を心配しておられた方々がおられたことを今思い返しております。
  7. 堀昌雄

    堀委員 そこで、今ちょっとたばこに触れましたから、日本公的年金制度というものの現状について、これは大蔵省答弁してもらえますね。  実は、国家公務員等共済組合というのは、これはちょっと資料が古いんで新しい資料がないから恐らくこれによると思うのでありますけれども、昭和六十年度のころのことでありますが、一体国家公務員等共済組合というのは被保険者数が幾らあって、成熟度はどうなっているのかということをちょっとひとつお答えをいただきたいと思います。
  8. 小村武

    小村政府委員 日本公的年金は、四つの共済厚生年金国民年金、この三種六制度になっておりますが、そのうち国家公務員共済組合成熟度でございますが、六十年現在で四四%ということでございます。
  9. 堀昌雄

    堀委員 あと日本たばこ共済組合成熟度は幾らですか。あわせて日本鉄道共済お答えいただきたいと思います。
  10. 小村武

    小村政府委員 いずれも昭和六十年度末現在でございますが、たばこ共済成熟度八〇・六%、日本鉄道共済組合が一五七・一%でございます。六十年度現在でございますので、これよりさらに進んでいると思います。
  11. 堀昌雄

    堀委員 今私が申し上げたように、日本たばこ共済組合成熟度八〇・六というのが昭和六十年度末ですから、もっと進んでいる。まさにこの次に手を上げるのはこのたばこ共済ですね。そこからともかくもこの四百五十億のうち幾ら出してきたんですかね。ちょっと事務当局、答えてください。
  12. 小村武

    小村政府委員 年平均四百五十億円を三共済で出しておりまして、そのうち国共済が三百五十億、NTT、当時の電電が九十億で、たばこが十億です。
  13. 堀昌雄

    堀委員 皆さんこの今の状態をお聞きになって、六十年のときに既に成熟度が八〇になっているところから金を取り上げて、そうして国鉄に協力したということが、私は常識的だと考えられないわけです。恐らく皆さんもそうお感じになるだろうと思うのであります。  そこで、国鉄清算事業団に伺いますけれども、欧州における国有鉄道決算状況というのはどういうふうになっているか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  14. 長野倬士

    長野参考人 私ども、諸外国の情勢は特に詳しく勉強しているわけじゃございませんが、EC諸国におきまして国鉄赤字を大体四千億程度発生しておりますが、各年度ごとに国庫によって補助をしておる、その中に年金に対する補助も含まれておるというふうに聞いております。
  15. 堀昌雄

    堀委員 私が調べたところでも、フランス、西独はいずれも単年度会計になっておりまして、赤字が出ればその赤字を常に国が補てんをして、赤字は次年度に繰り越さない、こういうことにフランスや西ドイツの国有鉄道はなっているわけであります。  ですから、片方でそういうモデルがあるにもかかわらず、それは確かに国鉄にも責任がありますけれども、監督官庁運輸省ですから、私は、国鉄責任があるけれども運輸省責任がある、言うなれば国も責任があるということだけはまずここで明らかにしておきたい、こう考えるわけであります。  そこでさらに清算事業団に伺いますけれども、国鉄共済の長期的な赤字の見通しをお答えをいただきたいのです。昭和八十五年というのは二〇一〇年ぐらいになりますか、そこらまでの清算事業団の収支赤字、これをちょっとお答えをいただきたいと思います。正確な数字は無理でしょうが、予測数字でありますから。
  16. 長野倬士

    長野参考人 私ども、その場しのぎで、五年計画をつくるのが精いっぱいで、先の見通しを十分立てているわけではございませんし、また特にJRの職員数がどう推移するかという難しい要素がございますのでなかなか難しいわけでございますが、約二十年後までは三千億の赤字から徐々に金額が膨れていって、二十年後ぐらいがピークではないか、そのときの赤字は四千億台ではないかというような大ざっぱな収支を持っております。
  17. 堀昌雄

    堀委員 ちょっと私がいただいておる資料を申し上げますと、要するに今から二十年後は赤字が四千三百億になるんですね。そうして、それから二十年たった二〇三〇年になりましてこれがマイナスが百億ぐらいになっている。その後十年ぐらいすると、また千三百、二千百億と、こうふえていく。長期的展望で見ますと、少なくとも今清算事業団が答えられた二〇一〇年というところは試算によると四千三百億円の収支差額が出る、こういうことになっているんですね。  そこで、この国鉄共済厚生年金を中心にその他の機関で財政的な協力をしようというのが現在提案されておる法案なのでありますが、当委員会としては、実はそっちの方よりも、国鉄共済側が負担する、今原案で千五百五十億円の話の方が当委員会所管で、あとはどうやら社会労働委員会所管のようでありますが、こんなもの分けて議論ができるわけではありませんで、ワンセットでありますからワンセットとして考えるのでありますけれども、この公的年金制度というものは一体今後どういうふうになっていくのかということが、国民の中に非常に大きな疑問が実は出ているわけです。  私は、昨年の四月二十二日に当委員会でこれらの問題を論議いたしまして、そこで、欧州各国においても公的年金制度は大変厳しい情勢になっておるので、できるだけ私的年金を活用して公的年金負担を軽くしたいというのが実は現在の欧州諸国の傾向のように調査結果がわかりましたので、私は当時、ここでひとつ私的年金の活用を考えたらどうかという提案をいたしました。本年六月の、日本銀行の発表しております個人貯蓄は六百六十兆円に達しているのであります。しかしこの個人貯蓄というのは個人事業主の貯金も入っていますから、純粋の個人の家計の貯蓄というわけにはいかないかもしれませんが、しかし六百六十兆円、年率一〇%で今ずっとふえつつあるわけであります。ですから、これだけの貯蓄のある国民により幅の広い私的年金の窓口を開くべきである。  その中の一番の大きな問題は、実は企業年金に対する特別法人税一%の問題なんですね。これはひとつ当委員会皆さんにも御協力いただいて、速やかに特別法人税の一%などということは取りやめたい。  これは歴史的な経過がありまして、私、企業適格退職年金の問題をやるときに当時大蔵委員会にいて、今、田川の市長をしておられる滝井さんが社会労働委員会におられまして、二人で実は適格退職企業年金の問題をやっておりました。当時の税制一課長が細見さんでした。どうしてもこの特別法人税一%に固執して頑張るわけです。アメリカにはそんなものないんだから、ひとつこんなものやらないでやろうと言っても、大変彼が頑張りました。このごろ大変国際派ですから、私、パーティーで会って、細見さん、あのときはあなた頑張ったなという話をしたら、先生、そんな古い話やめてくださいと言うんですけれども、それが今日まで尾を引いているということは、私はある意味で細見さんに責任がある、こう考えているのでありますけれども、ひとつ主税局も,――今中村さんも賛成していただいているようですが、自民党の皆さんも協力していただいて、この時代おくれの特別法人税のようなものをやめて、要するに、私的年金をもっと活用できるようにすることによって公的年金負担を軽くするというのが欧州全体の流れだと思うのです。  そういう問題の中で、実は千五百五十億の中身にちょっと触れておきますけれども、私、二つ問題があると思っているのです。  その二つの問題の一つが、財政調整資金として国家公務員共済組合からまだ百億円もらう話が残っているわけですね。今の国家公務員等共済組合の中には実はたばこも入っているのですよ。そのたばこも入れてまだ百億、調整金をこの中に入れるという話、これはやめてもらいたいと思う。私はさらに後で論議を進めますけれども、これまでの四百五十億の五年分も私は返してやってもらいたいと思うのです、国で。だから、百億は削ろうということがまず一つ。  二番目は、要するに今の国鉄の職員の負担の問題、掛金の問題であります。現在厚生年金組合員は六・二%ですけれども、国鉄共済年金は八・四九五%、ここの差が二・二九五%。だから実は二・三%もたくさん負担をしているわけです。そうして、これが今のままですと、厚生年金が七・三%になるのに対して国鉄共済組合員は九・五九五%、こういうふうになるのですね。  そこで、一体今の国鉄共済組合というものの保険のあり方というのはどういうあり方か。これは完全に賦課方式になっておる。千六百億円という基金はありますけれども、これは運転のために必要な最小限度であって、積立金はゼロであるということは、国鉄共済年金については要するに組合員が払ったものが即その給付に回る、こういう賦課方式に完全になっておる。賦課方式になっているということは、要するに今の若い世代と年金給付を受ける世代とは世代が違うわけでありますから、世代間給付という状態になれば、私はある意味でこの被保険者は今の赤字の問題について免責されてしかるべきだ、こう考えているわけです。  だから、その限りで、今回二・二%、組合員だけでいえば一・一%引き上げる問題は見送ったらどうだろうか。そうして、給付保険料をできるだけ速やかに厚生年金の方に一元化するということが実は懇談会の答申にも出されているわけでありますから、そういう考え方に立って、今の被保険者のアップはちょっと据え置いて、今約二・三%差があるわけでありますから、その差が今度上げればさらに広がるわけですから、それを上げないで、そうしてやがてどこかで少しこれが収れんできるようにするということを考えたらどうか。そうすると、百五十億円これで落とすことになる。そうすると、さっきのたばこを含めた共済の百億と今の被保険者の保険料負担分の百五十億、合わせて二百五十億が国鉄共済側の負担が減るということになりますと、千五百五十から二百五十引くと千三百になる、三千億の収支差額の残は千七百億です。これをまず頭に置いていただいて、経済企画庁、入っていますか。――ちょっとその前に主税局にひとつお願いします。  昭和六十二年、六十三年の大体の決算が出ているのだろうと思うのですが、税収の当初の見積もりと、それから、結果的に決算上出てきた税収額と、そうしてそのときの大体の経済成長、名目経済成長と租税弾性値、これを六十二年、六十三年についてまず主税局から御答弁をいただきたいと思います。
  18. 石坂匡身

    ○石坂(匡)政府委員 六十二年度と六十三年度の税収の当初予算額と決算額のお尋ねでございますが、一般会計税収について申し上げますと、昭和六十二年度は当初予算額が四十一兆一千九百四十億円でございます。決算額は四十六兆七千九百七十九億円でございます。昭和六十三年度は、当初予算額は四十五兆九百億円、決算額は五十兆八千二百六十五億円でございます。  それから、弾性値のお尋ねがございましたけれども、六十二年度の弾性値は三・二〇、六十三年度は二・三三となってございます。
  19. 堀昌雄

    堀委員 今のこの弾性値のベースになった名目経済成長もちょっと答えてください。
  20. 石坂匡身

    ○石坂(匡)政府委員 成長率は、六十二年度は五・〇%、六十三年度は五・七%でございます。
  21. 堀昌雄

    堀委員 経済企画庁は入っていただいておりますね。  六十二年、六十三年はあれですが、平成一年はもうそろそろ見通しは固まっているだろうと思うし、それから平成二年についてはざっとした見通しをひとつお答えをいただきたいと思います。
  22. 安田靖

    ○安田政府委員 お答え申し上げます。  先生の御質問は恐らく二点になろうかと思っております。一つは、現在の年度、つまり平成元年度の見通しいかん、そして二つ目は、二年度の見通しいかん、こういう二つに分けることができるのではないかと思っております。  平成元年度、現在の年度についてでございますが、私ども最終的な数字はまだあれしておりません。ただ、現在の数字を見ますと、消費だとか設備投資、そういったような格好がかなり堅調であるということが一つ、しかも、いわゆる内需主導型での成長であるということが一つ、こういったような格好で、およそのところ私ども経済見通しのとおりになるのではなかろうかなというような感じのことを考えております。これが第一の質問に対するお答えになろうかと思っております。  二つ目の質問、平成二年度の話でございますが、現在私どもは、景気懇談会だとかそういったような格好でさまざまな個別業界のヒアリングを精力的に行っております。そして同時に、私どもこれは主務であると申し上げてよろしいと思いますが、マクロ的な経済の数字、指標を使いながらいろいろ議論をしているところでございます。ただ、申しわけございませんけれども、現在の段階で平成二年度の見通しかくかくしかじかといったような格好の数字についてはまだそこまでいっておりません。  以上でございます。
  23. 堀昌雄

    堀委員 一九八九年の見通しは大体そのとおりだということ、それをちょっと言ってください、私はその資料を持ってきていないから。
  24. 安田靖

    ○安田政府委員 元年度の数字でございますが、それにつきまして私どもの経済見通しは、六十三年度に比較いたしまして見通しといたしましては実質国民総支出のベースでいきまして四・〇%程度の成長になろうといったようなことを考えております。
  25. 堀昌雄

    堀委員 名目は。――どうぞ聞いてきてください。私もわからぬのだから、専門家でも聞かぬとわからぬのだから、同じことだ。調べてきてないかな。
  26. 安田靖

    ○安田政府委員 済みません、初めての答弁だものですから。  名目の方は五・二%という数字を私ども持っております。  以上でございます。
  27. 堀昌雄

    堀委員 皆さんお聞きになりましたように、当初見積もりと決算は、六十二年度で見ますと約五兆六千億くらいですか、が実はプラスになっていますね。それから六十三年度は五兆七千億円ですか、同じくらい実は当初見積もりよりもふえておりますね。  そこで、私の方で調べた一九八九年度、本年度の成長の見通しでありますけれども、今政府は実質が四・〇で名目が五・二だ、こういうふうな話でありますけれども、私の調査では、本年度は実質成長は大体四・七%程度になるだろう、そして名目成長は、それにあわせて本年度はちょっとCPIの上昇その他卸売物価の上昇等がありますので、名目成長は七%になるだろう、これは私の方の推計です。そして一九九〇年度につきましては実質成長四・一%、CPIが一・七くらい、卸売物価が一・八くらいで、その結果、名目成長は六・二%に少し下がるだろう、こういうことなんですね。ですから、今のこの状態で見ると、今の租税弾性値その他から見て、また五兆近いようなあれが起きてくるのではないか、こんなふうに私は実は考えているわけです。  これが五兆になるか四兆になるかの話は別ですが、私が長年見ておりまして、税収額が当初見積もりより下がったというのは、昭和五十年でしたかね、赤字国債を一兆円出すということになった、あのときぐらいでして、何しろ大蔵省という役所はかたい役所ですから、見積もりを下回るなどということは絶対に起きないようにしっかり下げて見積もっているから、めったにこれが足らなくなるというようなことはない。  昭和五十年のとき、私は政審会長をしておりまして、あれは九月ごろでしたか、松野自民党政調会長が私に、堀さん、大変なことが起きた、実はどうやら財政欠陥が一兆円ぐらい起きて赤字国債を出さなければいかぬようになる、堀さん、何とか考えてくれと言いますから、何とか考えてくれと言われてもこれは困るけれども、率直に言って私もこんな財政欠陥が起こるとは思っていなかったから、決して皆さん責任を追及する気はない、それは私自身もあなた方と同じ立場だ、しかし、一つ言っておくけれども、国債が今十年債一つというのは私はどうにも納得ができないから、五年債の国債を出すということを条件に私は黙っておるという話にしたいと思うが、松野さんどうか、承知した、五年債を出す、こう言うので、当時の社会党の政審会長である私と松野政調会長で話がつきまして、これが今日、竹内さんが次官のときだったかに五年の割引債として日の目を見ることになった経緯が実はあるのですけれども、見積もりを下回ったのはその一回だけですよ。そういう歴史的な経過があります。  そこで、こういう背景であるということを前提に、さっき私がお話しした、三千億のうち千三百億は国鉄清算事業団でやってもらう。  ちょっとここで一つだめを押しておきたいのですけれども、この中にJR各社の負担が二百億円というのが入っていますね。私は、今JR各社というのは民間になって一生懸命やっていると思うのですが、この間から見ていると、どこか線路の幅が近づいていてあれした、この間からテレビで問題になっているのです。私は、JR各社から二百億円も本当は取ってほしくないけれども、この程度はしようがないと思うのですが、余りここから取るという話は、国民の輸送の責任を果たさなければいけないJR各社が十分な保守点検ができないようなことをやらしてはならぬと思うのです。だから、率直に言えばこの二百億も削ってほしいのですけれども、あれも削れ、これも削れではちょっと国鉄にサービスし過ぎるようになるかもしれませんから、二百億は我慢をするとして、これ以上この二百億をふやすようなことのないように、それはJR各社のためじゃなくて、我々国民の輸送の安全確保のために必要な処置をするために、余りに予算が削られることは問題があると思うので、皆さんにちょっとそこを念を押しておきたいと思うのです。  今のような情勢で、要するに、恐らく少なくとも政府が見積もったものの兆円単位の税収増が本年度も見込まれるであろうし、来年度も見込まれるであろうと私は考えておるわけです。  そうすると、私がここまで論旨を進めてきました中で、一体厚生年金が千百四十億負担するのは妥当かどうか、この問題の原点に返ってちょっと論議をしておきたいと思うのであります。  法制局第三部長にお尋ねをいたします。  厚生年金保険法第一条「この法律は、労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とし、あわせて厚生年金基金がその加入員に対して行う給付に関して必要な事項を定めるものとする。」こうありますね。この中に「労働者及びその遺族の生活」と書いてあるのですが、この「労働者」というのはどこの労働者でしょうか。ちょっと法制局、お答えいただきたいのです。     〔委員長退席、村井委員長代理着席〕
  28. 津野修

    ○津野政府委員 突然のお尋ねでございますが、その「労働者」と申しますのは、まさに厚生年金保険法の対象となる労働者という意味と存じます。
  29. 堀昌雄

    堀委員 今のお答えで、厚生年金保険というのは、厚生年金の被保険者たる労働者の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的として設けられておる、これが原点ですね。  その次に、第八十一条「政府は、厚生年金保険事業に要する費用(基礎年金拠出金を含む。)に充てるため、保険料を徴収する。」こうなっていますね。法制局お答えいただきたいのですけれども、要するに「保険料」というのは、「厚生年金保険事業に要する費用(基礎年金拠出金を含む。)」とありますが、それに充てるために保険料を徴収するということであって、他の会計のために保険料を取っているということにはなっていないと思いますが、どうですか。
  30. 津野修

    ○津野政府委員 ただいま御指摘になりました点は、まず今回の措置が、おっしゃるように将来の年金制度の一元化というものを踏まえて、かつ、年金制度における掛金と申しますのは、従来は積立方式という考え方で、積立金という積み立てで自分の年金を賄っていくという考え方だったわけでございますけれども、最近におきましては、御承知のように賦課方式的な要素が非常に強くなっているわけでございます。したがいまして、その掛金と申しますのは、年金を受けますための一つの要素でございますけれども、直ちにそれがそのまま自分のものに結びつくというような性質のものではなくなっているわけでございますから……
  31. 堀昌雄

    堀委員 ちょっと待ってください。私は法制局にそういう政策の中身にわたって答弁は求めていないのです。今のこの法律はどういうことを意味しているかというのを聞いているのに、次々と政策について議論するなんていうことは――私、これまで法制局の関係者を呼んで政策のことを聞いたら、それは勘弁してくれというのがこの前の大蔵委員会における法制局長官の答弁じゃないですか。あなた、私の質問にきちっと答えてください。
  32. 津野修

    ○津野政府委員 それから、既に御承知のように基礎年金制度がございます。この制度におきましても制度間調整というのは似たようなことが行われているわけでございまして、従来から、そういうシステムというのは、今後の公的年金制度一元化をにらめば十分許容される合理的なシステムであるというふうに我々は考えているところでございます。
  33. 堀昌雄

    堀委員 第八十二条「被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額を負担する。」「2 事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。」、それは確かにここに「(基礎年金拠出金を含む。)」とありますけれども、基礎年金の拠出金の話と今の原則としての保険料の徴収というのは、第一条に厚生年金加入の労働者のためにあるんだというのがはっきりあるわけだから、後はプラスアルファとして基礎年金の問題については例外規定をここに置いているけれども、要するに厚生年金保険特別会計というのは厚生年金の加入者のためにあるのであって、それ以外のことをするというのは、本来、厚生年金の現在の法律体系から見れば例外処置だ、こう考えるのが相当だと思うのですが、これはちょっと答弁はおいておきましょう、また似たようなことが出てくると困るから。  そこで、私が言いたいことは、要するに今の厚生年金から千百四十だけではなしに、NTT共済が三十、地共済が二百七十、私学共済が三十、農林共済が二十拠出するということで、鉄道共済が千四百五十もらうということのようでありますが、ここではたばこ共済というのは、今度はもらう側になるのかな。ちょっと答弁しておいてください。
  34. 小村武

    小村政府委員 拠出側の合計が千四百九十億円でございます。その金額はただいま先生おっしゃったとおりであります。そのうち千四百五十億円を鉄道共済が受ける、たばこ共済が四十億円、合わせて千四百九十億円受ける、こういう関係になっております。
  35. 堀昌雄

    堀委員 皆さん、いかに政策の整合性がないか。要するに、今年度までは十億円ずつたばこ共済から金を取っているわけですよ。来年から四十億渡すという話になる。年金のような長期の展望に立っているものについてこういうまことに無責任なことが行われているということは、私は政府は大いに反省してもらわなければならぬと思うのですよ。年金制度というものは長期の問題なんですから。もうわかっているのだから。私は、この問題が出てきたときに専売皆さんに言ったのは、次はあなたたちの番ですよ、だからこれであなた方が中に入るのは大変だと思う、しかし法案が出ているから仕方がないけれどもと、こういう話を当時の専売皆さんにしたわけです、今はたばこでありますけれども。まことに年金制度について首尾一貫しない政策が今日までとられておるというのが、実は私の率直な感じでございます。  そこで、さっきの話に戻りますと、実はゼロになるところが昭和百十年というのだから、昭和百十年というのは西暦何年になりますかね、二十五年足せばいいのか、そうしたら西暦二〇三五年に国鉄共済年金は一回ゼロになる。だけれどもまた出てくる。そうすると厚生年金は、今、金を入れ出して、要するに一九九〇年から二〇三五年まで四十五年間こうやって延々と金を入れなければならぬという事態がここに来ている。  私は、これは厚生年金の加入者にとって、一体何のために自分たちは厚生年金法に基づいて保険料を払っているのか。さっきも法制局の答弁に、第一条の「労働者」というのは、これは厚生年金の加入者たる労働者のためにこの制度がある。そうして、その制度厚生年金事業に要する費用に充てるために保険料を徴収するし、それを支払う義務を課しておるというものが、今から四十五年にわたって他の共済組合支援をやらなければいかぬなんていうことが起こってくる情勢は、私は非常に重要な問題だと思うのです。  そこで私は、少なくとも千七百億円というのは何としても国の費用で、これだけ経済の調子がよくて、要するに税収があるときに、千七百億すらも他共済に面倒を見させるということはこの際やめてもらいたい。それはどういうことかというと、さっき法制局が、私は聞きもしないのに、保険が積立方式から賦課方式に変わってきた、こんなことを法制局は答弁する立場にないと私は思う。しかし事実はそうで、要するに今厚生年金全体を見ても、七十兆円の積立金はあるけれども現実的にはやや賦課方式の状態になってきている。こうなると、一体賦課方式という方式と税で取るという問題とをどういう関連で考えるべきなのか、こういうことになりますね。  そこで私は、もう一遍昭和六十年の二月二十日の会議録に返りまして、   ちょっと厚生大臣にひとつお願いをいたしたいのでありますけれども、私どもは今、さっき申し上げたように六十五歳でひとつ国民のすべてに基礎年金五万円というのを差し上げたい。これはしかし、今はまだ老齢者の数がそんなに多くないのでありますが、これからまだ急速にふえてまいります。ひとつこの老齢年金について、もし仮に今の六十五歳の人口が今後こういうふうに推移するという前提に立って五万円の年金を支払う場合、その費用は、六十一年それから六十五年、七十年、七十五年と、西暦二〇〇〇年になります八十五年までの間の試算結果についてひとつお答えをいただきたい、こういうふうに思います。  ○増岡国務大臣 もし仮にそういうことになりました場合の数字は、各年度ごと政府委員から御説明させます。  ○吉原政府委員 仮に六十一年度以降、六十五歳以上の方全員に月額五万円の基礎年金を支給するとした場合の所要額でございますけれども、五十九年度価格で申し上げまして、初年度の六十一年度は七兆五千億円、六十五年度は八兆六千億円、七十年度は十兆二千億円、七十五年度は十二兆、昭和八十年度は十三兆三千億円、八十五年度までのお尋ねでございますが八十五年度は十四兆七千億円、いずれも五十九年度現在価格の金額でございます。  ○堀委員 それではちょっと政府委員にもう一つ伺いますけれども、皆さんの改正案の基礎年金給付で、もしこれがこういう形の処理がされると仮にいたしましたら、これもちょっとあわせてひとつお答えをいただいておきたいのです。  ○吉原政府委員 私どもの現在国会で御審議をいただいております改正案によります基礎年金給付でございますが、これも五十九年度価格で申し上げますと、六十一年度は五兆九千億円、六十五年度は七兆四千億円、七十年度は九兆三千億円、七十五年度は十兆九千億円、八十年度は十二兆一千億円、八十五年度は十三兆二千億円ということでございます。  ○堀委員 私どもが社会保障の特に年金に着目をして、社会保障特別会計といいますか特別基金といいますか、そういうものを設定して新しい間接税をここへセットしたいというのは、間接税というのは御承知のように、非常に低率でたくさんの資金が集まるわけでありますから、これが安易に税率が動けば国民にとっては大変負担になるわけであります。御承知のように現在、日本財政法は、財政法第四条で国債の発行について制限を加えております。それは、それに見合う何かのものが公共投資あるいは出資その他のものであるならばこれが歯どめになるというのが、財政法が出てきた経緯だと私は思うのでありますけれども、このような非常に課税ベースの広い、そして税率をどんどん上げれば幾らでも税収がふえるようなものも、やはりそこにおのずからシステムとしての歯どめのかかるような仕組みが必要ではないか。   そういたしますと、今お聞きいただいたように、当初はやや差があるのでありますけれども、(中略)二十一世紀初頭では幾らも差がないわけであります。(中略)すべての国民が、所得が低い高いにかかわらず負担をしてもいいのではないだろうか、こういう考えで社会保障目的税というものの提案をしておるのであります。 これは実は我が党の方針として既に提案がされているわけでございます。  私どもの党は、実はこの間の大会で中期経済政策というものを決定いたしました。そうしてその中期経済政策では、上昇する最大の要因としての所得保障を中心とする福祉費用政府負担分は、目的を限定して使われる目的税方式への移行を検討するということも、私どもの党は大会で決定をいたしておるわけであります。どういう税にするかは別としても、目的税としての社会保障に対する税をつくった方が、これからだんだんふえていく所得保障、年金問題に対しては、非常に重要な問題だということで、私どもの党はそういう提案をしているのであります。こういうふうに私どもの党は大会でこの問題を決定しているわけでございます。  今の保険料で取るか税で取るかの話は、積み立てで、自分で積み立てたものを自分でもらうというのなら保険方式ですけれども、完全賦課方式というのは、まさに税で取ったって同じことなんです。  さっきの年金対象者のところをちょっともう一回、もう時間がありませんから私の方で対象者の数を言いますと、国家公務員等共済組合が百七十八万二千人、地方公務員共済組合が三百二十八万一千人、私立学校共済組合が三十四万七千人、農林漁業団体職員共済組合が四十八万八千人、厚生年金二千七百六万八千人、船員保険十六万六千人、国民年金二千五百九万一千人、こういうことであります。これは六十一年の資料でありますから多少は違うかもしれません。  全国民に対して年金は関係があるのでありますから、その年金の、少なくとも賦課方式になっている部分の問題については、これは私どもの党が大会で決定をした、使途を明確にした社会保障目的税で処理をするということが、私は全体の非常に重要な問題だと思っております。  そこで、もう時間がありませんから、私はこの際、民主主義の政治というのは一体どういうことなんだろうか。政党は国民に迎合して、その費用の使途、税収その他税制のあり方とか、いろいろな問題について、国民の一部がこう言ったらそれに迎合してそれに対応するというのが民主主義の政治の原則でしょうか。私はそうは思わないのであります。  民主主義の原則というのは、要するに、広い視野に立って、長期の展望に立って、国民生活にとってどういう財源でどういう処理をすることがいいかということを討議で決めて、そうして国民に理解と納得を求めるのが私は民主主義政治の原則ではないか、そう思っているのであります。     〔村井委員長代理退席、委員長着席〕  今、自由民主党の中のことは申しませんけれども、伝えられておるように、新聞で見ただけですからわかりませんけれども、食料品を非課税にする。一体三%の税を非課税にしなければならぬなんて発想は、欧州ではだれも考えていないと思いますね。税をやっている専門家は、恐らくそうは考えていないでしょう。それよりも、すべての国民を網羅しておる年金制度に対して、皆さんからいただいたお金は皆さんの生活を保障するためにすべて使います、こういう政策を明らかにして国民皆さんを説得するというのが政党の任務ではないでしょうか。そういう意味で、今新聞に出ておる自民党の消費税に対する対応というのは、私は非常に問題があると思っているのであります。  そこで、ああいう状態になっているのですから、私は当委員会に二十五年も在籍して税をやってきた者の立場で、一回できた税制というのは、いろいろと自民党の皆さんの中で論議を重ねて、その結果できているのですから、両方の意見の接点ができ上がっているわけですね。その接点を今のままで見直すというのは、私は税制上困難だと思うのです。だから、一遍勇気を出して白紙にして、もう一遍書いてほしいのですよ。  国民が、なるほどこれならいい――要するに、今私が問題提起をしておるように、国民のすべてが、自分たちも必ず年をとる、老齢化するんだ、そのときに不安なく、自分たちが保険料として納めておる、義務を課せられているものを、無理やりに横っちょに取られるのではなくて、それは国の責任でやりますという格好を明らかにして、国民を説得するのが私は政党の任務だと考えているわけです。民主主義の政治というのはそういうものではないでしょうか。要するに、一部の者がこうしてほしい、ああしてほしいと言ったら、それならそうしましょう、こっちがそう言ったらそうしましょう、そんなことで私は民主主義の政治の基本はないと思うのです。  どうかひとつ、そういう問題を含めて、最後橋本大蔵大臣の、私が一時間半にわたって問題提起をしてきたことに対する御見解を承って、質問を終わりたいと思います。
  36. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先刻来、過去の経緯を踏まえながら、また長年の財政、社会保障の、大変失礼な言い方をすればプロとして見識を持った御意見を伺いました。そして、委員のお話の中には、基本的な部分において私自身が同感ができる部分が多くあります。殊に、指摘をされましたような日本の長い将来にわたっての社会保障というものを考えた場合に、財源配分がどうなるか、またその財源の調達の手法がどうあるべきか、これについては私は委員の御意見も決して理なしと申し上げるつもりはございません。  ただ、私の立場からいたしますと、現在動いております税制の上に立って、何とかして国民の合意をいただき、その定着を図ろうとする、それが私の任務であることも御理解をいただきたいと思うのであります。  その上で申し上げることを許していただけますならば、私は、日本の場合に一番不幸なのは、実は日本の高齢化社会における家族構成がどのような姿になるかという点について国民の合意ができていない点にあると考えております。  実は私は多世代同居を唱えまして、一部から大変しかられております。しかし、仮に多世代同居を将来存続させていくということで我が国の社会保障を考えますならば、委員は今その使途を年金に限定して御論議になりましたが、むしろ我が国の将来のあり方としては、年金より医療にウエートがかかっていくでありましょう。同時に、家庭内における高齢者の扶養というものを考えるときには、ほっておけば家族に非常に負担がかかるわけですから、ヘルパーでありますとか、寝たきりの方をつくらないために在宅におけるリハビリをどうするかとか、そうしたマンパワーの養成といった部分に相当な国費が投ぜられるべきであると思います。  仮に西欧型の同居の非常は少ない核家族化した世帯構成を前提に考えるなら、私はまさに委員が御指摘になりましたような年金に志向した社会保障の組み立てが必要であると思います。いわば、今我が国の高齢化社会の到来というものに、既にその入り口に我々が差しかかりながら将来の図式ができておらない中で、委員の御指摘になりますような考え方を国家として今直ちに採用できる状況にはない、私はそのように考えております。
  37. 堀昌雄

    堀委員 実は、きょうは国民年金の、昨年の四月二十二日にやりました、今の基礎年金五万五千円、これは国が三分の一負担で、あと三分の二が年金の被保険者負担になっているのですけれども、雇用者保険は、半額は、さっき法律で読みましたように事業主、雇用主負担になっている。だから私は昨年の四月二十二日の当大蔵委員会で、今の三分の一の国庫負担を二分の一に上げて、そうすると三分の一と二分の一の差額だけが五万五千円の上に出て二階建てになるから、憲法十四条に言う平等の問題というものが一つそこで満たされる。そのための費用というのを、小村さん、そこだけちょっと答弁してください。
  38. 小村武

    小村政府委員 基礎年金の第一号被保険者の国庫負担でございますが、これを二分の一に引き上げるときの所要額は、平成元年度ベースで二千六百億円、平成二年度ベースで約三千億円でございます。
  39. 堀昌雄

    堀委員 これも私はもう既に去年やっていますから、きょうは時間がないのでやらなかったのですが、もう一つ、実は老健法の問題を去年やっているわけです。  この老健法は、大蔵委員皆さんは御存じでありますけれども、現在地方が一割、国が二割負担しているのでありますが、今、老健法は一般の患者に比べて一対五の割合で費用がかかっておるのです。今大蔵大臣が御指摘のとおり、実はこっちの方が大きいのですけれども、きょうは年金の審議ですから、この後の老健法を割愛しているのですが、日を改めて、この医療問題、これを社労ではなくて当委員会で一般質問の中で皆さんと一回論議をさせていただきたい。  まさにそういう意味で、私は少なくとも年金と医療、それから老人福祉の措置費、今大臣が御指摘になったこの三つを高齢化社会における最も重要なファクターとして実は位置づけて今日に至っているわけでありますが、きょうは時間の制約がありますのでここまでにとどめまして、また機会を見て日本の社会保障と財政のあり方について論議をさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  40. 中西啓介

    中西委員長 御苦労さまでした。  沢田広君。
  41. 沢田広

    ○沢田委員 大臣、どうも御苦労さまです。続いてですが、少し後で休憩時間は差し上げますが、今、堀先生の長期展望に立った質問、二〇一〇年ごろには二・八人について一人の老齢者を抱えるし年金受給者も抱える、そういう状況展望したプログラムの中での議論というのは、どこかつくらなければならぬとは思いますね。これをどういう時期にどういう議論をするか。自民党さんだけで議論するのではなくて、やはり国会全体としてどう取り組んでいくか。これは医療ばかりではありません。年金も含まれるでしょうし、今言われた家族構成も問題になるでしょうし、あるいは経済構造、社会構造、そういうものがすべて関連してくるわけです。ですから、それはそれなりに一回そういう場面をつくる必要性があるというふうに私も思いますが、大臣、その点はいかがですか。
  42. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 もしその論議に、閣僚でなしに私も委員の一人として加えていただければと、本当にそう思います。そして、そういう論議が余りにないために、ややもすると個別の問題の論議がぎくしゃくするのではないか、そのような印象も持っております。そうした機会、ぜひ与えていただきたいと思います。
  43. 沢田広

    ○沢田委員 これは私の方が与えるというよりも、政府の方でつくるということが当面の任務で、次の選挙の結果になってくるだろうと思いますが、そういうことはお互いに議論していかなければならぬだろう。当面出されている法案は、おおむね五年程度を見通したものだ、こう解釈しており、大体七十年を展望したものだというふうに思っておりますが、そのように理解してよろしいですか。
  44. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 再計算という意味合いから申しますならば委員指摘のとおりでありますが、少なくとも将来における高齢者の人口の増加というものを踏まえながら、将来を展望しつつ練り上げたもの、そう私は理解をいたしております。
  45. 沢田広

    ○沢田委員 今議論されている一つの一番大きなポイントは、国鉄赤字ができた、その赤字ができた理由は後でまたちょっと伺いますが、それに対して他の共済年金制度からお金を都合していくことが、何かそれぞれに働いている人々の間の分配闘争みたいな形に論議が進んでいく傾向もなしといたしません。そういう傾向は大臣としてはどういうふうに理解されておりますか。
  46. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 まず第一に御理解をいただきたいと思いますのは、今回の制度間調整といいますものは、平成七年に目標を定めております公的年金制度の一元化に向けまして地ならしをしていくための措置ということであります。公的年金制度全体の一元化が完了するまでの間、当面の措置として被用者年金制度間の負担調整を行う、これがその柱であります。  今後、公的年金の一元化の最終的な姿との整合性に配意しながら、これから先、公的年金制度全体の一元化の完了に向けた検討が行われていくものと考えておりますが、そうした中において、たまたま今回制度のスタートする時期において、確かに鉄道共済財政的な援助を受けるいわば第一号のような位置づけにあることも委員指摘のとおりでありますが、この制度間調整を鉄道共済の救援措置としてお考えをいただくことは余りにも情けない話でありまして、まさに公的年金制度の一元化に向けての第一ステップを踏み出すその中において、たまたま今日財政的に逼迫状態になっております鉄道共済がいわば制度間調整の恩恵を受ける第一号になった、そのように御理解をいただきたいと思います。
  47. 沢田広

    ○沢田委員 清算事業団も来ておられますから、ちょっとお伺いいたします。  戦前戦後の若干の問題は私の方から提起しますが、厚生年金には二〇%の国からの補助をもらって年金制度が基礎年金ができる前は成立しておりました。国鉄の方は国鉄から一五%支給されていたと記憶をいたしておりますが、その年金制度の成立、余り長く言われても困るのですが、いつからで、厚生年金がいつから、その間のずれはどれだけか、その点ちょっとお答えいただきたいと思います。
  48. 杉田昌久

    杉田参考人 お答えいたします。  昭和三十一年から一五%を繰り入れております。
  49. 沢田広

    ○沢田委員 いや、そういうことを聞いているのじゃなくて、これは大蔵大臣の方が詳しいだろうと思う、運輸大臣をやられたから。要すれば、国鉄の発足というものは、戦前にあって、日本の産業復興の一応基盤になった。その当時に、一般の労働者に対する年金制度昭和十七年にできた。ですから、その戦前からできてきた経過の中においての年金制度としては、国の補助はなくて国鉄自身が一五%支給してこれを成長させてきた、厚生年金は十七年にできたけれども、国から二〇%の補助をもって成立してきた。その事実関係はどうか、こういうことを聞いているのです。
  50. 小村武

    小村政府委員 年金制度の公経済主体というのは、国鉄民営化されるまでは国鉄、三公社につきましてはそれぞれ三公社が公経済の主体ということでございますので、その分については御指摘のとおり国鉄負担をしておりまして、民営化後の六十二年以降が公経済主体が国になりましたので、それ以来国になっておるということでございます。
  51. 沢田広

    ○沢田委員 それも違うんだ。それ以来はそれぞれがゼロになった、こういうことですね。それ以来は基礎年金という方に移転したのであって、その制度、その制度に対する補助制度はなくなった、こういうことでしょう。
  52. 小村武

    小村政府委員 基礎年金に対する国庫負担のあり方としては、従来どおり各保険者に対して基礎年金拠出分の三分の一を国庫で負担するということでございますので、各保険者にまず国庫補助をいたしまして、それから基礎年金勘定に拠出をしていただく、こういう仕組みになっております。
  53. 沢田広

    ○沢田委員 そういう言葉じりの問題は別として、制度のずれというものがあった。  では、これは清算事業団の関係者にお伺いしますが、当時の一般の事故率と国鉄などの事故率というものは、どの程度の違いがあったか知っていますか。これも不意討ちかもしれませんから、わからなければ後で、次の問題に行きます。いいです。検討しておいてください。  それで、次回の見直しの時期における問題点をお伺いします。  五年後、国民年金の掛金は幾らになりますか。それから、共済年金の掛金は幾らになりますか。それから、厚生年金の掛金は五年後幾らになりますか。ついでにもう一つ保険料もありますから、健康保険料は五年後どの程度の掛金になりますか。
  54. 松本省藏

    ○松本説明員 お答えを申し上げます。  私の方からは、国民年金厚生年金保険の保険料について御説明申し上げます。  国民年金につきましては、五年ごとの財政再計算で将来を見通しているわけでございますが、今回の財政再計算の見通しによりますと、五年後は一万四百円、これが平成七年度の価格になるわけでございます。それから厚生年金の方につきましては、現在の見通しでまいりますと標準報酬の八・四%が本人負担分ということになろうかと思います。
  55. 小村武

    小村政府委員 共済につきまして五年後の再計算時に、その間平均寿命がどういうふうに推移するか基礎率等を出さなければいかぬものですから、明確に定めたものはございません。  ただ、私ども今回の再計算の結果、将来を見通してみますと、やはり五年後千分の二十四程度を上げていかなければならないというふうに考えております。
  56. 沢田広

    ○沢田委員 これは労使ですか。
  57. 小村武

    小村政府委員 労使です。
  58. 沢田広

    ○沢田委員 保険料
  59. 田中泰弘

    ○田中説明員 健康保険の中で、政管健保の保険料の見通しについてお答え申し上げます。  政管健保の今後の財政状況については、標準報酬の伸び、それから老人医療費を含みます医療費の伸び、こういった不確定要素がありますほか、老人保健制度の見直しの影響がどうなるかといった問題もございまして、現在の段階で政管健保の保険料の見直しがどうなるかということについて、確たる見通しを立てることは困難ということで御理解いただきたいと思います。
  60. 沢田広

    ○沢田委員 確たる見通しは五年後はできない、こういうふうに正式な答弁として聞いてよろしいですか。大体計算としてはこう予想されるぐらいということはないのですか。
  61. 田中泰弘

    ○田中説明員 政管健保の現在の保険料率は千分の八十三でございますが、今申し上げました理由によりまして、五年後にどういうふうな状況になるかということについて確たるお答えはできないということでございます。
  62. 沢田広

    ○沢田委員 こだわるわけではないけれども、いろいろな本にも出ているんですよね。医療費なら医療費は大体この程度になりますというふうに、一九八五年のときには国民医療費十六兆円、老人医療費が四兆円、二〇〇〇年には四十三兆円、それから二〇一〇年には八十八兆円というふうに、統計資料としてはそれぞれ出ている。これは諸外国の場合でも、医療費の国際比較は七〇年のときには四・一だけれども八四年には六・四、またこれは西ドイツとかその他は一〇とか一一とか、そういう資料も出ておる。医療費の国際比較においても出ている。  そういうことで、いろいろな統計書類には出ているのだが、ここへ来て全然見通しがつかないというのはどういう意味なんですか。それで、六十五歳まで年金支給を延ばすとかなんとかという、そういうことを計算するときにそういうものは全然参考にしてないのですか。そんなことでは話にならないですよ。出直してきた方がいい。答弁はいい。
  63. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは別に説明員をかばうわけではありませんけれども、年金の場合と医療保険の保険料率の推計とには非常に大きな差異があることだけは御理解をいただかなければなりません。  例えば、今いかにして健やかに老いるかというのが厚生省の施策の柱の一つになっておると私は理解をいたしております。その結果、老人の有病率が減れば、当然それだけ負担は少なくて済むわけであります。また、これはもう委員がよく御承知のとおりに、年々の健康保険の財政状況をごらんいただきましても、例えば非常に風邪の多かった年とそうでない年というのには有意の差が出てまいります。これは疾病の状況いかんで非常に数字が変わるわけであり、要は国民一人一人の健康の自己責任の中で変動する数字でありますから、医療についての保険料率を確たる見通しを持たないという政府の説明員の説明は、むしろまじめなお答えとして、機械的に現在の数字を延ばしたものではないという意味において受け取っていただきたいと思います。
  64. 沢田広

    ○沢田委員 それは将来を、さっき堀先生も言いましたが、いろいろと考える場合には一定の現在の、少なくとも統計論的に言えば大体出ないこともないわけですから、アバウトなものとしては考えられると思うのです。  ではもう一つ先に行きますが、その五年後の年金統一を考える場合に、その保険料をこれは強制に引かれるわけですから、そのときの五年後における可処分所得はどの程度に見ているわけです
  65. 松本省藏

    ○松本説明員 お答えをいたします。  厚生年金給付水準につきましては、現在の制度の見通しで申しますと、現役の男子の平均賃金のおおむね六九%、七割弱というものを厚生年金給付水準として設定しているところでございます。将来に向かってもこういう給付水準というものを基本的に維持していくという方向で考えているわけでございまして、現役の方々の可処分所得との関係で具体的にどういうふうになるかということは考えていないわけでございます。
  66. 沢田広

    ○沢田委員 だけれども、現役で働いている人の可処分所得というものを議論しなければ、果たして負担する能力があるのかどうかという物差しは出てこないでしょう。だから、今言われたように共済掛金では十二と、四十万とすれば四万八千円だ。それから厚生年金もこれで四十万とすれば三万四千円ぐらいの金額の負担が出てくるわけですね。そのときの給与水準というものが例えば四十三万ぐらいになると仮定をしてみても、四十万と仮定をしてみても、今言ったような議論は、保険料でどのぐらい取られたらどの程度の手取りになっていくのか、そのぐらいの水準の見通しというものはつかないですか。そういうものは見当をつけないで七十年後の統一というものを議論しているわけですか。あるいはまだそこまでいってないということですか。
  67. 阿部正俊

    ○阿部説明員 明確なお答えになるかどうか用意がなかったのであれでございますが、私どもの現在の考え方は、ボーナスなり全体の所得をベースにして保険料負担という形になっておりませんで、標準的な定期の給与、生の賃金をランクづけしたものでございますが、これをベースにして保険料率を算定し、給付額もそれによって算定するというふうな方式になっております。  先生御指摘のような物の考え方として、そういったふうな生の賃金ではなくて、可処分所得との対比において給付水準がどうあるべきなのかというふうなことを考えるというのも一つの考え方ではあろうかと思いますけれども、ただその場合には、社会保険料以外に税負担がどうなるのかというふうな点とか、あるいは給付の設計のあり方として、可処分所得ということをベースにして給付設計を具体的に設計していく事務的な手法というものがなかなか難しいというふうなこともございまして、現段階では毎月の定期の給与の何%あるいは給付もそれの比例した額ということで設計しておるというのが年金制度の現状でございまして、一つの考え方の問題としては先生のような考え方もあろうかと思いますけれども、現在はそういうことでございます。  あと、年金の一元化ということにつきましては、現段階におきましては、大筋の大きな一つの構想をどうするかというふうな段階でございまして、具体的な年金制度の一元化に当たっての個別的な制度の検討ということは、これからの問題ではないかというふうに考えております。
  68. 沢田広

    ○沢田委員 私は、今のこの法案の議論をする場合に、これから五年後に一応統一をするかしないか、これは難しい問題はあると思いますよ。しかし、できるかできないかは別としても、統一への方向へ列車が動いていることは間違いない。その場合に、それぞれが受ける国民の利益、受益、それから負担給付、このバランスをどうとっていくかということだけはきちんと見定めておかなければ、今この法案を審議していても後は五年後どうなるのだろうか、大臣、そういう不安というものを国民に与えてはいけないと思って、こういう御質問をしているわけですよ。今いろいろと厚生年金の方の出し前もある、あるいは片方もらえば今度次の場合にほどこかがまたそういう事態になるかもしれないというようなことを考えたときに、五年後における統一水準というものはこういう形になります、そして国民生活はこういうふうになっていくのですという、せめて展望は――白書が出ているゆえんもそこにあるのだと思うのです。きょうはこれ以上は言いませんが、その程度のものはひとついつの日か、五年後における国民生活というか、働いている人と掛金、年金というものはどういう関連性を持つのかということをある程度アバウトなものとして出せるようにしていただきたいということをお願いしておきます。  それからもう一つ給付水準七〇%、これは大臣にお願いしておきます、今すぐ回答はもらえないと思うが。七〇%支給ということは、四十万とすると二十八万になりますね。すると、古い人の年金というのはそうふえていかないですね、物価スライドでは。片っ方は賃金スライドですから四十万ぐらいまでいきますが、物価スライドでいったら、恩給だけはいきますが、年金の方はちっともそこに追いついていかないですね、二十八万に。古い人ほど低い年金で我慢しなければならぬ。そういう矛盾が起きてくるということは、大臣、おぼろげながらわかって――おぼろげながらと言っては甚だ失礼でありますが、五年後における昔の年金の受給者がそれだけ低額になってしまう、こういう差が出てくるということは、論理としておわかりいただけましょうか。
  69. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 従来から、共済あるいは年金、さらに今お触れになりました恩給とか公務扶助料の場合におきましても、既裁定者の扱いというものはその都度論議になっておりました。今後ともにその問題が継続するであろうという点につきましては、委員認識を一にしておると思います。
  70. 沢田広

    ○沢田委員 ですから、これも将来に向けて、老齢化社会を迎えれば迎えるほど改善をしていかなければならない一つの課題になっておる、こういうことをまずお願いしておきたいと思います。  それから、清算事業団の今日までの土地の売り払いの現状はどうですか。
  71. 杉田昌久

    杉田参考人 情算事業団の土地の売却収入でございますが、初年度昭和六十二年度、約千三百億円でございます。それから二年目の昭和六十三年度が二千億円強でございます。昭和六十四年度、すなわち平成元年度の予算の見込みとしましては三千五百億円を予定しております。
  72. 沢田広

    ○沢田委員 国民から見ますと、ともかくこういう年金状況になったときに、二十七兆というものの中身についてはいろいろ議論がありますが、少なくとも清算事業団があらゆる努力をして、土地を売り払うものを売り払いながら、要すれば血の出るような努力をして、そしてほかの年金受給者に迷惑をかけないような、そういう姿勢という観点は持っていたのですか、持っていなかったのですか。その点、どうですか。
  73. 杉田昌久

    杉田参考人 清算事業団は、現在、約二十七兆円に上ります長期債務を負担しております。私どもの使命といたしましては、土地あるいはJR株式等の売却によりまして最大限その長期債務の返済に努力するということでございまして、なお残る債務がございましたら、それは国の方において処理していただくということでお願いしております。
  74. 沢田広

    ○沢田委員 私はそういうことを聞いているのじゃない。今こういう法案を議論することはあらかじめ予測できたことでしょう。国鉄共済年金がこういうことでいろいろほかの年金に御迷惑をかけたり、あるいは制度間の調整をしなければならぬ、そのときに一番努力しなければならないのはだれですか。
  75. 杉田昌久

    杉田参考人 第一義的には、清算事業団がまず最大限の努力をする、それから年金の受給者あるいは現役の人たちに対してもできるだけ努力をしていただきながら、全体としての努力をする中でなお足らざる部分を調整によってお願いしている、そういうことでございます。
  76. 沢田広

    ○沢田委員 国民から見て一番遺憾なことは、清算事業団が、東京都が反対したから土地が売れなかった、どこそこが反対したから土地が売れなかった、そんな言いわけが通ると思うかと言いたいのですよ。今はなりふり構わず何とか金を出して、二十七兆返済するというのには足りるか足りないかわからぬけれども、とにかく最善の努力をして国民への迷惑を最小限度に食いとめる、それが清算事業団の仕事ではなかったのですか。どうですか、その点は。
  77. 杉田昌久

    杉田参考人 現在、地価対策等の関係もございまして土地の売却は大変困難をきわめておりますが、私どもといたしましては、土地の早期売却等を含めまして、できるだけ全力を尽くして国民負担が少なくなるように努力していく所存でございます。
  78. 沢田広

    ○沢田委員 結果が物を言うのですよ。これから努力しますとかしませんとか、ちっともしているわけじゃないのです、こういう状態は、一千五百億とか二千億程度で。国民から見たら、絶対にしているとは思っていない。腹切ってもらわなければ困る。でなければ、とにかくここで国民皆さんに、清算事業団は怠慢であった、そういうことでこういう法案が出ることになったが、その点は大変申しわけないとここで謝ってください。
  79. 杉田昌久

    杉田参考人 私どもとしては、できるだけ努力してまいったつもりでございまして、さらに今後とも努力を重ねていきますが、こういうことになりまして国民の皆様に大変お願いをしなければいかぬという立場にございますことは、まことに申しわけなく思っております。
  80. 沢田広

    ○沢田委員 それを今度実行に移して、将来それが何とか還元できるように最善の努力をしてもらいたいと思います。  その次に、大臣、これは大臣の方では悪いのですが、大臣のときに国鉄の民営・分割ができた。結果的には二十万人の退職者が出た。これがアバウトで計算して、二百万円として年金としては大体四千億は不足してくる。これは異常事態なのか、政策的な犠牲者なのかというふうに宮澤大蔵大臣のときに聞きましたが、これは天災があったと思うような突然の、天災とまでは言えないにしても、やはり異常事態であることだけは認めたのですよね。ですから、この異常事態というものについては、果たして国が責任がないと言えるのかということになりますと、これは若干問題があるのではなかろうか。今までも政策で、炭鉱で離職をした人が四十万人ですね、これは共済組合の中で一応吸収できました。繊維の方でも大体二十万人以上、三十万の人間が合理化でやはり厚生年金で救われました。あるいは農林も、三十年からすると実に一千万の人間が減少している。それから非鉄金属関係でも、大体十万の人間が合理化をされておる。その都度その都度、そういう産業の変革によってどこかで救済をされてきている実態です。これはもうお認めいただけるだろうと思うのです。  前の質問の方で、ちょうど大臣のときに、年金問題はとにかく触れないでいこう、こういうことで進めた民営・分割であったことはそのとおりだと思うのですが、今になってみれば、その四千億が出てきた根拠というものは、急激な労働者の離職あるいは転換ということによって生じてきたというのが最大の原因ではないだろうか、最大と言うと語弊があるが、一つの大きな要素であったのではないかと思いますが、当事者であった大臣ですから、お願いします。
  81. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 多少私は委員意見あるいは認識を異にいたすかもしれませんが、しかしあの時点に戻ってお考えをいただきたいのは、当時の国有鉄道関係者の意識も、どうすればレールを残せるだろうか、これ以上レールを外さずに鉄道というものを存続できるだろうかという一点に心は打ち込まれていたと私は理解をいたしております。労使双方というよりも、使はもちろんでありますし、労の大半もそうでありました。そしてその中で、非常に心の痛む、百十四年の国有鉄道の歴史を閉じる役回りが私に回ってきたわけでありますけれども、そのときお互いが考えましたことは、去っていかれた先輩の方々の生活に不安を与えないための共済問題の処理についての協力の合意、そして同時に、新たに発生をいたします離職者の方々、この方々の雇用をどうするかということだったと私は理解をいたしております。  そして、先ほど大変厳しい御批判が清算事業団に与えられましたけれども、私は、清算事業団は本当に、例えばその離職された方々、そして新たに職を求めなければならなくなった方々のお世話にしても、非常によく努力をしておると思っております。現在、なお三千名余りの方が清算事業団に次の職場を求めて待機をしておられる状況でありますけれども、少なくともそのお一人お一人に対して三回、四回と新たな就職口を見つけてきてはごあっせんをし、残念ながら御同意がいただけないという状況も御承知のとおりであります。  また、清算事業団の意思というものとは全く別途に、地価高騰という中で清算事業団用地の売却がこれ以上地価引き上げの原因になってはいかぬという、これは院の御議論の中でもそうした御議論がありました。そして政府としても、そのような判断の中で地方自治体の協力を求めつつ、何とかして適正な地価での売却をと願いながら、しかしなかなか関係自治体の御同意がいただけないために、清算事業団としては手足を縛られておったわけであります。私は、清算事業団がすべて一〇〇%いいことばかりだったと申し上げるつもりもありませんけれども、その置かれた立場はやはり御理解を願いたいと思うのであります。  そうした中で、過去の歴史の中から出てきた国有鉄道最後の残務整理を清算事業団はしていかなければなりません。そして現在、鉄道共済の置かれております立場というものは、国鉄労使に責任のあった部分も、またそれを指導監督する立場にありました政府責任も、さまざまなものが本当に絡み合い、もつれ合って破局を迎えたと私は理解をしておりますだけに、だれがいい悪いという議論よりは、いかにすれば鉄道共済を安定させていくことができるか、そしてその鉄道共済年金によって生活を支えておられる、生活の大きな柱としておられる方々にこれ以上不安を与えずに済むかという視点から考えてまいりたい、そのように思っております。
  82. 沢田広

    ○沢田委員 気持ちとしては部分的に、というよりも理解できないわけではありません。今もいみじくもおっしゃられましたが、言うならば日本の経済運営、土地の暴騰の抑制、あるいはまた二十万人の離職者という異常事態、そういう政策的な問題から必然的に当時の国鉄再建のための犠牲者として生まれた数、これはだれという個人ではありませんが、それによって生じた言うならば赤字の招来である。もともと前から来たものももちろんあると思いますよ。しかし、大部分がそういう状況であるということをこれは相互に理解した上で国民の協力を仰ぐということが必要なのではないかというふうに思います。  ですから、それは今直ちに国では金は出せません。それから、清算事業団も今直ちに土地を売って金は出せません。じゃ将来それは何らかで還元できるのか、あるいは将来それは何らかによって補てんできるのか、その辺の見通しは今後御検討いただきたいと思うのです。ただ、このままでやりっ放しでいいやというのじゃなくて、やはりそれに対して報いてもらう道を講じていただきたいというふうに思いますが、これは大臣に、できますともなかなか言いにくいでしょうけれども、気持ちとしてはそういう対応をする必要性がある、それがサービスであるか何であるかわかりませんけれども、いずれにしてもその分の犠牲を国民皆さんにお返しをしていく、そういう立場はとっていただかなきゃならぬのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  83. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今御意見を述べられたわけでありますけれども、この鉄道共済の問題について有識者の方々に御論議をいただきましたときにも、その御論議の中で、鉄道共済あるいは旧国鉄に責めを負わせるべき部分、また旧国鉄に負わせるべきでない部分という御論議がございました。そしてそうした中で、しかしやはり鉄道共済みずからの、そしてそれに関連する立場としての国の協力というものもこの対策の中に必要であったことは事実であり、そして清算事業団が応分の負担をいたしたことも御承知のとおりであります。そして、仮にこの鉄道共済のためにだけ国費を投入するといたしましたなら、これは他制度との間に著しい不公平を生ずることになります。基礎年金部分に統一して現在国は負担をいたしておるわけでありまして、そのルールを変更し、鉄道共済のみに多額の国費を投入することは許されることではありません。また、清算事業団がそれを引き受けると申しましても、清算事業団が例えば用地あるいは将来起こり得るJR株式の放出といった作業をすべて終えました時点においてなお残る累積債務につきましては、これは国民に御負担をいただかなければならないことになるわけでありまして、安易に清算事業団への出資を求める、出費を求めるということもいかがかと思います。  そうした配慮の中から今回の法律案はまとまったというわけでありまして、どうぞ御理解をいただき、御審議の上の成立への御協力を心から願う次第であります。
  84. 沢田広

    ○沢田委員 私は、だからそれはそれなりに後で国民に対していろいろ協力をいただく、関係機関に対して今後の補償というか、そういうものに報いていく道を政府なり我々も含めて検討していく課題ではないのかなということを申し述べたつもりであります。  最後に、ここの部分で大臣に少し休憩を与えないとずっと続いていますから……(橋本国務大臣「いいですよ」と呼ぶ)いいならいいですが、国鉄のいわゆる退職者の方々の年金は、非常に不安におびえていると言ってもいいと思うのです。そういう状況にありますが、例えばどんな事態になろうとなるまいと年金支給に支障を与えない、こういうことだけはお互い政治家の一人として、政治を扱う者の責任の範疇に属する。だから、路頭に迷わすというような事態、あるいは不払いというような事態、そういうものはどんな場合があろうとそれは起こさないで実行できる、実行しなければならぬ。だから廃案になってもいいという意味ではありませんよ、そういうことで努力はするとしても、最悪の場合は政府責任を持って対応する、そういう気構えでいるということで理解してよろしいですか。
  85. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 気構えはまさにそのとおりであります。しかし、政府は法律、制度によってその仕事を行うわけでありますから、その武器をお与えいただかなければどうにもならない場合も出てまいります。どうぞそうした場合に対応できる武器をこの国会において必ずお与えをいただきますようお願いを申し上げます。
  86. 沢田広

    ○沢田委員 厚生年金関係で言いますから、ちょっと聞いていていただければ結構ですが、今、国民年金は今度の法律で、これは私の方の所管ではないのですが、もとにありますから、根っこにありますからどうしてもひっかかってくるのですが、五万五千五百円、こういうことに値上げをしてもらいます、それで一人の人が食べられる年金厚生省言えますか。
  87. 松本省藏

    ○松本説明員 お答えを申し上げます。  基礎年金でございますが、今回の財政再計算に基づきまして現行の価格を月額五万五千五百円に引き上げるということを御提案させていただいているところでございますが、この月額五万五千五百円と申しますのは、老後生活の基礎的な部分を保障していくという考えに立ちまして、実は基礎年金制度を導入いたしました前回の財政再計算のときにそういう考え方をとったわけでございますが、その考え方を基本的に踏襲をいたしまして今回もそれに見合った引き上げを行っていくということでございます。したがいまして、基礎年金の月額そのもので老後生活を十分賄えるということでは必ずしもないわけでございますが、老後生活の基礎的な部分を保障していくという考え方に立ったものでございます。  また一方、この水準というのは、負担保険料とのかかわりも出てくるわけでございますので、現在の状況では私どもとしては適当な水準ではなかろうかと考えているところでございます。
  88. 沢田広

    ○沢田委員 ほかの収入というのは、何を大体当てにして生活するというあなたの方の勘定なんですか、幾つでも挙げてみてください。
  89. 松本省藏

    ○松本説明員 非常にお答えのしにくい御質問かと思いますけれども、老後生活、国民の方々一人一人によっていろいろな収入なり生活の糧があろうかと思いますが、重ねてのお答えになりますけれども、年金制度、特に全国民共通の基盤となる年金部分でございます基礎年金については、まず責任を持って老後生活の基礎的な部分を保障するという考え方に立っているということでございます。
  90. 沢田広

    ○沢田委員 なかなか難しい答えでちっともわからないのですが、結果的にはあと税務の方にお伺いしますが、この国民年金を、例えばお父さんが死ぬときに一括納入してやる、大体四百円刻みに上がっていくわけですから、五%の金利で回ればさっき言った一万四百円にしてみても五千円ぐらいになってきますから、大体四百円の刻みには一括納入も税制上可能になるのではなかろうかという気もしますが、お父さんの贈与も、農家の方なりあるいは自営業の人たちが金がちょっとことしはもうかったといったときには、贈与で年金分を子供に与えるという道もあっていいのではなかろうかという気がいたします。  まとめて言ってしまいますと、相続にもこの年金分をあてがってやったらどうだろうか。四百万の基礎控除はありますけれども、ちょうど四百万くらいなんですが、この年金分として、今不加入者も非常にふえておるということで、その四百万円を納めると大体四十年分くらいに相当しますが、一括で納入しておく。さっきの堀先生の質問と同じように金余り現象が今日あるわけですから、子供の年金はそれで一生の分はちゃんと納めた、こういうことになるわけですね。そうなると、その後の年金負担というものは大体なくなる、相続の分はその分は非課税にしてやる、あるいは贈与も認めてやる、それによって年金の充実を図るということは、何も毎月納めなければならぬという方法だけではなくて一括納入の道というものはあるのではなかろうか、こう思いますが、いかがですか。これは厚生ですか、免税措置の問題もありますから税金の方も同じなんですが、両方で答えてください。
  91. 松本省藏

    ○松本説明員 お答えを申し上げます。  先生の、国民年金保険料を将来にわたって一括して納入したらどうか、そういう道を開くべきではないかという御提言でございますけれども、昭和三十六年の国民年金制度がスタートした当初でございますが、実はその道を開いたわけでございます。それで実はスタートしたわけでございますが、その当時、例えば六十歳までの年金保険料を一括して納入をするというようなことをスタートのときにはやったわけでございますが、どういうことが起こったかと申しますと、これからもそうなんでございますが、保険料といいますのは段階的にどうしても引き上がっていかざるを得ません。そうしますと、一括納入をしていただいたときに、先行きこれだけということで何十万という保険料をいただいた後、また保険料が引き上がっていくわけでございまして、そうしますと、一たん一括納入をしていただいても、やはり六十歳までの保険料分としては足らない分がどうしても出てきてしまうわけでございます。加入者の方からいたしますと、既にもう全部払ったではないかというお気持ちになるのは当然でございます。ところが、年金制度の方からしますと足らず前が出てきているということで、それを一体払ってもらえるのか払ってもらえないのか、現実にはなかなか払えないというような事態が生じまして、制度当初そういう制度があったのでございますが、その後、三十六年の後第一回目の財政再計算、四十一年の時点で、そういう長期の一括納入方式というのは仕組みとして非常に難しいという判断で取りやめた経緯が実はございます。現在のところは、段階的に給付改善が行われていくのに見合って保険料が引き上がっていくわけでございまして、次の保険料が客観的に定まります、具体的に言いますと二年分の保険料については前納をしていただいても結構でございます、こういう仕掛けになっているというところでございます。
  92. 沢田広

    ○沢田委員 税務の方でお答えください。
  93. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 ただいま厚生省からお答えがございましたように、年金制度としても問題があるようでございますけれども、税の面で考えてみましても、やはり贈与税、相続税、その特定の目的に充てるということによって特別の措置を講ずるということはなかなか難しい問題を含んでおりますし、他方、その掛金のようなものを、やはり自分の年金の掛金は自分で掛けていくというのが原則のような気もいたしますので、ただいまお伺いをいたしました限りでは、これに税制上の特別の措置を講ずるということは難しいような気がいたします。
  94. 沢田広

    ○沢田委員 今の国民年金の五万五千五百円で足らないからといって私的な年金制度に入っている状況は、どう把握しておりますか。これは厚生省で答えてください。大蔵省も入りますね。
  95. 松本省藏

    ○松本説明員 お答えを申し上げます。  先ほどの御質問にも関連することになろうかと思いますが、基礎年金五万五千五百円という金額では老後生活を十分に過ごしていけるというようなものではないことは確かでございまして、そういうような観点で一方では個人年金制度も現実にあるわけでございますが、公的年金制度の体系で見ましても、サラリーマンの方々は基礎年金の上に二階部分として厚生年金制度あるいは各種の共済年金制度があるわけでございまして、やはり自営業者の方々の年金の水準というのは基礎年金だけになってしまうわけで、どうしてもそこのところはサラリーマンの方々とのアンバランスは確かにあるということは考えざるを得ないわけでございます。  そこで、今回国会に御提案を申し上げております年金制度の改革の中で、自営業者の方々の基礎年金の上乗せ年金といたしまして新たに国民年金基金制度というのを、その二階部分としてサラリーマンの方々の年金制度とのバランスを考慮しながら設定をしていくということが必要ではなかろうかと考えておりまして、今回の改正案にそういう国民年金基金制度の創設ということを盛り込ませていただいているというところでございます。
  96. 小村武

    小村政府委員 公的年金は、ただいま厚生省からお答えがありましたように、老後生活の主たる柱として設計された強制保険でございます。したがいまして、各個人がどういう老後を設計するかによって個人年金をどういうふうに組み立てるかということは各人の選択の問題でございますが、ただいま関係局が参っておりませんので後ほどまた調査いたしますが、個人の選択に基づくさらにプラスアルファ分ということで理解をしております。
  97. 沢田広

    ○沢田委員 年金額が少ないから、それを補てんするために何らかの年金制度に依存しなければならないというのが、結果的な現象として出ている状況ですね。  これは私が調べたので六十一年三月現在で、郵便貯金の年金で四千億、個人年金保険、これは生保の方ですが一兆二千四十四億、個人年金信託で千二百六十一億、農協年金共済で三百七十七億、生協年金共済で七十四億、財形年金で六千八百六十三億。年金にいわゆる頼りがたい人たちは、これだけ一般の年金の方に金が動いているのです。これも大臣、聞いておいてもらいたいのであります。  そこで、国民年金をもう少し充実するためには、税制上の優遇措置を講じてやるということが一つ必要になる。そのためには一括納入しても――やめたというけれども、子供にやっちゃいけないというのじゃないので、大体今のままでいったら国民年金制度はどんどん老体化しちゃうのですよ。どんどん縮小して、不納者がどんどんふえてしまう。五万五千五百円のためにそんな骨を折って納めるか、これが今の現状でしょう。みんな国民の声ですよ。国民年金というものの基礎が弱体化すればやはり全体の年金制度の基礎が揺らぐのでありますから、これも大きく影響を及ぼすわけです。ですから、私が言いたいと思うのは、贈与も認めてやったらどうだ、それから年金財政というものを強めていくためには一括納入も認めてやったらどうだ。こういうことで、大体足らないことがあると言うけれども、今の金額で五%の金利で回すということで、財投に行くことを認めるわけじゃありませんが、五%で回ることは標準ですからね、五%で回っていれば四百円の値上がり分は大体補てんしていっているわけですから、それ以外に運用資金が今度は自分でつくれるわけですから、そういうことを考えれば、一括納入の道はまた開くべきである。  さらにもう一つ。これは大臣、二口加入、三口加入、二口まででいいのですが、基礎年金の自営業者は二口加入する道も与えたらどうだ。そうすると、十一万円ぐらいもらえることになる。だから、それで何とか食いしのいでいくという道は最小限度つくられるのじゃないか。二口の場合に一番問題になるのは、三分の一が、基礎年金が二重にその人に追加される、これが法制上あるいは解釈上問題になってくるでしょう。それはわかっています。しかし、二口加入という道を開くことは考えられないかどうか。それによって、今一兆三千億程度の国民年金の賦課金額が恐らく倍にはいくのじゃなかろうか。二兆六千億ぐらいの掛金が入ってくるということになって、五万円じゃ足らない、せめて十万円欲しいと思う人にそういう道を開くということは必要なことじゃなかろうかと思うのですが、いかがですか。
  98. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 非常に困難であることを承知での御提言でありますから、厚生大臣に私からもその御意見を正確にお伝えをいたします。
  99. 沢田広

    ○沢田委員 恩給は基礎年金とダブって支給されるのですね。その人の基礎年金は別にあって、恩給は恩給で丸ごと一〇〇%もらうのです。これも国の金は二重に支出されることになる。これは制度が違うからだという論理なんだ。基礎年金について、二口加入の場合に三分の一が変わることも、さっき堀先生は二分の一にしてやれという論理がありましたが、二分の一にするという論理と、二口加入にすれば十一万円もらって三分の一に置いておく、それはまた将来財政が豊かになればなくしてもいいと思うのですよ。とりあえず今の国民年金制度財政を強化しなくちゃならぬ。難しいと言われましたけれども、五万五千五百円の金額では非常に頼りがいがないのですね、これだけじゃ。どうやってみたってどうにもならぬ、どっらでもいいや、じゃやめてしまおうか、これが結論なのです。だから、もう少し何か加入のめどをつけてやる、これは検討でしょうが、お願いします。
  100. 松本省藏

    ○松本説明員 お答え申し上げます。  先生も既にすべて御承知の上での御質問と思いますけれども、前回の年金制度の改正で、むしろ全国民に平等で公平な制度を導入するという観点から、自営業者の方々もサラリーマンの方々も公務員も民間も含めまして、全国民給付負担面で公平な制度である基礎年金制度に入ってもらうという形で制度体系を整理いたしたわけでございますし、今お話のありました国庫負担につきましても、かつて制度ごとに国庫負担割合のアンバランスが正直言ってございましたけれども、それも国庫負担面での公平化を図っていくという観点から、基礎年金の三分の一という形で統一をしたわけでございます。そういうようなことでございますので、自営業者の方だけについて基礎年金を二口、三口というような形の仕掛けをつくるということは、現実的にはなかなか難しい問題ではなかろうかと率直に感じているところでございます。  したがいまして、先ほどのお答えと重複になるわけでございますが、自営業者の方々の二階建て年金といたしましては、今回の制度改正におきまして、新たに国民年金基金制度というものをつくっていくということを御提案させていただいているわけでございまして、その国民年金基金に加入していただく場合には、サラリーマンの方々とのバランスを考えまして、上限として月額六万八千円までの社会保険料控除を認めていく、税制上も手厚い措置をとっていくということを予定しているわけでございます。御理解を賜りたいと思います。
  101. 沢田広

    ○沢田委員 政治はあしたのことときょうのことなのですよ。今あなたのおっしゃったことは、例えばこの国会で通れば、直ちに一括納入すれば、これは幾ら支給されるのかわからぬけれども、幾ら支給されて、いつ実行されるのですか。十年後ぐらいにならなければ実行できないのじゃないですか、そんな話を今聞いているのじゃないのです。だから、その制度がもしできたら、一括納入も認めまして、直ちに十何万かの支給になりますという時期を言ってください。  それから、今、国民年金に未納者は何人いますか。
  102. 松本省藏

    ○松本説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げました国民年金基金制度については、先生御指摘のとおりでございまして、これからの制度でございますので、やはり一定期間掛金を払っていただいてから給付に結びつくということでございますので、若干の時間がかかることは御指摘のとおりでございます。  それから、滞納の分につきましては今数字を確認いたしておりますので、しばらくお時間をいただきたいと思います。
  103. 沢田広

    ○沢田委員 しばらくとか一定期間とか、そんな不明確な答弁じゃ答弁になっていない。その制度ができたら、いつからこうなりますということを言ってください。私の提案はあしたから実行できる提案をしているのであって、あなたの提案はわからない。墓場に入ってからの話じゃしようがない。
  104. 松本省藏

    ○松本説明員 お答え申し上げます。  国民年金制度の具体的な給付設計そのものにかかわる問題でございまして、今の時点で、例えば十年先とか五年先とか十五年先とか、そういう具体的なお答えができないのでございます。ただ、先生お話しのように、直ちに給付に結びつくということにはならないということだけお答えをさせていただくということでございます。  それからもう一つでございますが、先ほどお話のございました滞納でございますが、六十二年の場合で一六・三%でございます。
  105. 沢田広

    ○沢田委員 何でもパーセンテージを言っておけばごまかしがきくと思っていたら、大間違いなんだ。何の一六・三%か、対象と人数をきちんと言ってもらわなければ。  だから今言ったように、いつになるかわからぬ、五年後だとか十年後だとかわからぬものを今提案しておいて、社労で賛成するかどうかわからぬけれども、そういう不確定な要素のもの、それで六十五歳の年金支給だけは平成二十三年です、そういうところだけはっきりしてしまってあとのところは不明確だ、これでは何で給料をもらっているのかなと思いたくなるような答弁なんだね。提案する以上は、こういう見通しだぐらいのことは言えなくては。省が違うからなのか。だったらそう言ってくださいよ、私は省が違いますので答えができませんて。動かないのではしようがないな。
  106. 中西啓介

    中西委員長 松本年金課長、的確に答弁するように心がけてください。
  107. 松本省藏

    ○松本説明員 重ねてのお答えになるわけでございますが、国民年金基金の具体的な給付設計そのものでございまして、何年後とはっきり特定することは今の時点ではできないのでございます。御容赦いただきたいと思います。  それから、先ほどの滞納の件でございますが、具体的な人数を申し上げませんでしたのは、実は毎月毎月保険料を納付する義務があるわけでございまして、人によっては五カ月分納付し七カ月分納付しなかったとか、そういうケースがございますので、例えば算式を申しますと、対象月数ごとに割合を計算するものでございますので、何人という具体的な数字では出ないわけでございまして、そういう意味でのパーセンテージ、納付すべき月数と納付してなかった月数との割合ということでいたしますと一六・三%になる、こういうことでございます。
  108. 沢田広

    ○沢田委員 あなたをいじめているわけじゃないんだけれども、今、第一次産業にどの程度いて、第二次産業にどの程度いて、第三次産業にどの程度の人口を占めているか、記憶がありますか、ちょっと言ってください。何の一六・三%かの主語を聞いているんだから。  じゃ、いいよ。私どもの方でいえば、第一次産業、林業、農業、漁業は五百三十八万ですね。第二次産業が千三百万人です。それから第三次産業が三千三百万人ですよ。そういう産業構造の中にあって、大体四千万人が厚生年金やその他の年金に入っている。その残りの二千万近い人がいわゆる国民年金ということになるわけですね。ですから、それの一六%といったら三百二十万か三十万くらいが不納者、こういうことになってくるわけなんです。だから、それはもう答えなくていいです。ただ、そういう人がだんだん出てくるという傾向の方を私は今指摘しているわけだ。それを魅力あるものにしてくれなければ共済年金厚生年金も土台が崩れてしまうということを私は指摘をしているわけで、その点で個人年金が非常にふえていっているという傾向が、整合性がない、もう少しバランスをとるべきだということで、税法上の考慮なりあるいは二口加入の考慮なりというものを当面向こう三年なり五年の間でも講じておいて、そしてあなたの言う制度成熟度が高くなったら、それはやめたらいいんじゃないですか。  そういう便法も考えられると思うので述べているわけで、あなたには答えられないから聞かないが、大臣、ひとつ頭に入れておいてもらって、やはり五万円の魅力なさというものがそういうものをつくっているということで、どうやって魅力を持たせていくか。今言ったように、いつになるかわからぬというものに掛ける人なんていやしませんよ。何年後になったらこれだけもらえるというから、やるのです。そういう意味で不確定な今のような答弁じゃとても法案を通すわけにいかないという気分になっちゃう。まあ何とかしなければならぬとは思いますが、だからといってそういう甘えの構造でも困るので、その点はひとつ反省してもらいながら、厚生省もきちんと答えられるように勉強しておいてください。  時間の関係もありますから、次にいきます。  もう一つは、これも来ておられると思いますが、常に問題になるのが恩給のスライドと年金のスライドの問題なのであります。さっきも言ったように四十万円になったときには二十八万円もらえるのですが、現実は二十一万円くらいしかもらえない。それは幾らやってもそれ以上上がっていかない。古い年金受給者というものは、インフレの社会に入ってきて物価が上がればいいのですが、賃金が上がっていく段階においては非常に立ちおくれていく。ですから、古い退職者ほど年金が少なくなっておる。そういう現状を大臣御存じですか。
  109. 松本省藏

    ○松本説明員 お答えを申し上げます。  厚生年金あるいは国民年金などの公的年金制度におきます給付改善の仕掛けをちょっと御説明させていただきたいと思うのでございます。  五年ごとに財政再計算というのを行うのは先生御承知のとおりでございまして、その五年ごとに財政再計算を行う際には新規裁定、既裁定を問わず、その時点時点での国民の生活水準の向上あるいは賃金上昇というのに見合いまして給付水準の引き上げを図っていくという形をとっているわけでございます。その財政再計算と財政再計算の間の時期におきましては、年金額の実質的な価値を維持するという意味で物価スライドをやっているというのが公的年金制度の仕掛けなのでございまして、五年ごとには先生のおっしゃられるような趣旨で生活水準あるいは賃金上昇というようなものに見合って、既裁定の、昔もらった年金についても同様な引き上げが図られるという仕掛けになっているということでございます。
  110. 沢田広

    ○沢田委員 あなたは内容がわかっていないんだ。十年、二十年たつと、賃金スライドで上がっていく者と、そうでない物価スライドで上がっていく者との差というものがたんだん拡大している事実関係を、あなたは知っているかどうかということを聞いているのです。今の制度の中で、五年ごとの見直しは物価スライドでやっていくんだ、それはわかっている。六%また変わりますよ、こう言うのですが、低い者には六%というパーセンテージはやはり低いんだよ。十万円の六%と三十万円の六%は違うんだよね、六%だから同じように見えるけれども。それと同じように、賃金スライドで上がっていく者と物価スライドで上がっていく者にはだんだんと格差が出てくる、この現象はわかるでしょう。それをあなたはどういうふうに見ているかということを今聞いておるのですよ。あなたの方の制度を言っているのじゃないのです。今、長寿社会ですから、昭和二十四年とか五年とかにやめた人もいるわけです、あるいは三十年の人もいるのですが、今やめる人と比べるともらう分がうんと低いのですよ。そういう現象が起きているのをあなたは知っているかということを言っているのです。知らないのじゃしようがないけれども。
  111. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ですから、先ほどもお答えを申し上げましたように、既裁定の問題が常につきまとう問題だという認識は同じとお答えを申し上げております。     〔委員長退席、衛藤委員長代理着席〕
  112. 沢田広

    ○沢田委員 せめて大臣くらい、大臣と同じに答えられれば大臣になっているだろう、答えられないから違いがあるのだろうと思うけれども、しかし、そういう不満がだんだんと積み重なっていく仕組みがある。それの一番いい目印が恩給になっている、こういうことなんですよ。恩給は賃金スライドでちゃんとした数字が出てくる。これは法律が出てくる。ところが片っ方は、物価スライドだから格差というものがはっきりしてしまう。大臣、これはなかなか難しい背景がありますね。確かに今の組織でも大変難しいと思う。これは論理では賃金スライドに変えるということはわかり切っている話なんだ。しかし、物価スライドに変えたら、同じにしたらいいということもわかっているはずなんだ。背後関係がなかなか難しいということもわかりますが、しかしこういうものを顕在化していけば、それは一つの大きな不満というものがだんだんと凝縮していくということになることも間違いないですね。一方でもこういうふうに忍ぶところは忍んでいるのですから、そういう立場にあるものも忍ぶときは忍んで、とにかく同じバランスの中に育っていく、そういう周りの環境というものを整備する必要性があるというふうに思います。これは今すぐそれにしろと言ってみても、来てはいるわけですけれども担当庁、答えてください。
  113. 大坪正彦

    ○大坪説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生が恩給は賃金スライドだというふうにおっしゃいましたが、先生御承知のとおり、恩給に関してのベアにつきましては、昭和六十二年から恩給スライドということではなくて、公務員給与の状況、それから公的年金でとらえておりますような物価の要素、そういうものをもろもろ取り入れまして、実質価値の維持を図ってきているという状況にございます。  ちなみに、先生格差があるというお話が出ますので、ちょっと数字を申し上げてみたいと思うのでございますが、昭和六十二年から総合勘案方式を恩給としてとりましたが、それ以降六十二、六十三、平成元年度までの累積のベースアップ率は五・三六%になってございまして、公的年金の見直しを考えれば、そう差はないというふうに理解をしております。
  114. 沢田広

    ○沢田委員 では、もう一つ。そこにいてください。  戦後帰ってきまして、軍人恩給でもらえばもらえるのです。それを共済年金に入れられた人が、今何としてでも軍人恩給でもらいたいというのです。あなたの見解としては、どうですか。その当時は職員の支配で、おまえ共済年金に通算だ、こう言ってきているが、軍人恩給の資格要件を持っておる。いいですか。だから、今度は軍人恩給の支給を受けたいという希望が非常に多い。そのかわり共済年金からその分は外して、返納しろといえば返納して、その分をまたもらってもどっちでも構いませんが、ただそういう資格を持っておる者を分離することについて、あなたはどうですか。軍人恩給も一般の恩給も同じですが、恩給はそういう制度になっているからそっちのエリアに行きたい、こういう考えです。  それからもう一つは、厚生年金昭和十七年に始まった。ちょうど戦争の間なんです。だから、これも通算してくれというのは長年の要求です。これについては、あなたの方としてはどういうふうに考えておりますか。
  115. 大坪正彦

    ○大坪説明員 ただいまの問題点、私ども二つともそれぞれの関係者の方々から強い要望は聞いてございます。ただ、公務員がやめた場合のそういう退職年金制度と申しますのは、やはりそのやめた時点におきます制度というものを適用していくというのが原則だろうというふうに思いまして、今の段階でその秩序を覆すような新たな措置というのはなかなか難しいのではないかというふうに考える次第でございます。  それから、厚生年金への通算の問題につきましては、私、所管外でございますので答弁はちょっとできませんので、お許しいただきたいと思います。
  116. 沢田広

    ○沢田委員 では、それは厚生省、答えてください。
  117. 松本省藏

    ○松本説明員 お答えを申し上げます。  先生先刻御承知のことかと思いますけれども、厚生年金あるいは国民年金も同様でございますが、保険料拠出をお願いいたしまして、その保険料の拠出に見合いました給付をしていくという社会保険の仕掛けを制度のスタート当初以来ずっととってきているわけでございまして、そもそも厚生年金制度あるいは国民年金制度に入る以前のいわゆる拠出のない恩給期間について、社会保障の一般制度でございます厚生年金あるいは国民年金の方で通算をするというのは非常に難しい問題であるというふうに考えております。
  118. 沢田広

    ○沢田委員 今の答弁は、では仮定本俸をつくっているゆえんというのは、現在の俸給に見直しているわけですね。ですから、その当時の期間を今仮定本俸に見直した金額で納入すれば復元できるという道もあるということですね。そういうふうに解釈しても差し支えないということになると思うのですが、いかがですか。軍人に行っている間は掛金を納めてないからだめだ、それは引っ張られていったわけですが、その間あなた掛金を納めなかったからだめだと言うならば、今仮定本俸があるから、今の仮定本俸に基づいてその掛金を納入すれば、その期間の通算は可能だ、こういうことになるのじゃないですか。
  119. 松本省藏

    ○松本説明員 お答えを申し上げます。  先生の御質問でございますが、今度は逆に一般制度でございます厚生年金について見ますと、先ほど先生お話のございましたように、もともとのスタートは昭和十七年、それから厚生年金制度に入れる業種などは徐々に拡大していったわけでございます。したがって、十七年以前あるいはそれ以降でも現実に民間でサラリーマンをしておられた方でも厚生年金制度に入れなかった方々はいっぱいおられるわけでございます。厚生年金の場合には、厚生年金制度に加入されて以降保険料拠出をしていただいて、それに見合って給付をするという形になっているわけでございます。  したがいまして、先生のお話のような形で軍歴期間を持っておられる方について、厚生年金の中で過去にさかのぼって拠出をするから通算をするというような仕掛けを仮にとるといたしますと、今度はそれ以外の、むしろ民間の方々の厚生年金制度スタート以前の部分についても同様に通算をしていく、掛金を掛けた上で通算をするということになるのだろうと思いますが、そういう形にせざるを得ない。それは実際問題として、ほとんど困難な形になってしまうわけでございます。したがいまして、軍歴のある方だけを特別にという形になりますと、民間の一般サラリーマンの方々の制度であります厚生年金の中ではなかなか取り扱いが難しいということになるわけでございます。
  120. 沢田広

    ○沢田委員 もっとも説得力がない。今の制度は労使折半でしょう。使用者側も了解をし、あるいは勤めている者も了解をすれば現在の標準報酬の金額で、例えば二十九万八千円なら二十九万八千円の標準報酬の金額でもし労使折半でその分を納めれば、四年分なら四年分を納めれば、それは加算してもいいということになるのじゃないですか。軍歴のない者でも同じじゃないですか。論理としてはちっとも変わりないのじゃないですか。そうすれば、あなたの方の年金制度も充実していくことになるのじゃないですか。今あなたはすぐ答えはできないだろうと思うけれども、あなたのことを揚げ足を取っているわけじゃないけれども、答弁がみな余韻を残しているからつい次々と言わざるを得なくなるので、あなたの言っている、掛金を納めなかったからと言うのなら掛金を納めたらどうだ、今度は掛金を納めると言ってみたら、ほかの者があるからどうだ。でも労使折半だったら、それも含めて同じじゃないですか、それぞれの企業に勤めていてやっているわけですから。こういう問答で時間をとるのは全く惜しい。時間がもったいない。もう少しきちんとした答弁をしてもらいたいし、そういう期待にこたえて、労使折半で納めるのだから、あなたの方はちっとも損するわけでも何でもないでしょう。その期間は標準報酬の金額で納めるとなれば、だれも損をする人はいないでしょう。かえって年金財政そのものとしては充実していくわけじゃないですか。  それから、それはあなたにもちょっとできないらしいから、次の機会まで譲って、恩給の方で、なぜ秩序が乱れるのですか。共済年金に入ってもらっているが、今度恩給の方に切りかえさせてほしい、こういうことでなぜ秩序が乱れるのですか。急にこれから軍隊に行くわけじゃないのですよ。あるいは途中から行った人がいるわけじゃないのですよ。これは固定の人物しかいないのですよ。何が秩序が乱れるのですか。そんないいかげんな答弁じゃだめですよ。軍歴を改ざんしたり何かするわけじゃない。改ざんするのは「なだしお」ぐらいのものだ。そういうものをなぜ秩序が乱れると言うのですか。ちゃんと答弁してください。
  121. 大坪正彦

    ○大坪説明員 私、年金の方はそう詳しくないわけでございますが、そういう制度というものは、それぞれの制度における対象者が決まってずっと運用がされてきているだろうというふうに思います。今のようなお話は、例えば通算通則法、昔ありましたようなものをどうするかというような年金全体の話になろうかと思いますが、事そこの一部だけを取り上げてやるということは、やはり問題が大きいのではないかというふうに思っております。
  122. 沢田広

    ○沢田委員 そうじゃないのです。年金の資格を持っている人だけが年金の方の支給を受けたいということを言っているのであって、もっとも問題にならないでしょう。その分は通算から減らされて、年金を減らされるのですから。いわゆる軍人恩給がもらえる資格を持っている者は軍人恩給の分野でもらいたい、こう言っているわけですから。当時の選択が間違ったとか指導が間違ったとかということは別として、そのことがなぜ不可能なのですか。答えてください。どこに支障があるのですか。     〔衛藤委員長代理退席、委員長着席〕
  123. 大坪正彦

    ○大坪説明員 繰り返しのお話になりますけれども、年金のそれぞれの制度についてはそれぞれの対象者というものははっきりしてあるはずのものでございまして、今の段階でその辺の入り繰りをするということは大変難しい問題ではないかというふうに思っている次第でございます。
  124. 沢田広

    ○沢田委員 答弁になっていないですよ。大臣、もっとも相手にわからせようという気持ちがないですね。これは私でもわからない。実際に資格を持っておる者がそれにかわりたい、だめなら何でだめなのか、それをはっきりさせてやらなかったら、ちっとも答弁にならないじゃないですか。片っ方は通算期間を削るのですから、年金は減額するのですから。そういうことについてただ難しいですから、そういうのは本当に答弁になってないし、説得力もない。これは時間がなくなってくるからこれ以上は言いませんが、もうちょっとそういう人たちに納得できるものを出すように心がけてください。今からではちょっと遅いのですが、今からでも遅くないという言葉もありますから、とにかく至急に、どうやったら説得できるか、あるいはそういう道はどうやったら開けるか、きちんと態度を鮮明にしていただきたいと思います。  堀委員の方からもいろいろと述べられました。今回の年金制度の改正について、今後の五年間の方向も考えつつ、それぞれの対応を考えていかなければならぬと思いますが、国における分野で二重投資ということを言うけれども、恩給と基礎年金が二重になっている面もある。では、恩給はなぜ国が一〇〇%出して、基礎年金では三分の一出しているのと、これも二重になっている。だから、今回の二十万人の離職者から出てきても、その不足額に国が何らかの補てんをしても支障がないのではなかろうか、あるいは清算事業団の方ももっと努力するべきではなかったろうか、そういう疑問を国民が持っていることも事実なんです。だから、厚生年金のグループの皆さんやその他から見ると、おれたちだけが何か損をするという被害意識の方が先に出てくる。それは清算事業団の怠慢も、努力はしていたかもしれぬけれども、国民が納得するまでには至ってない。国の補助金に至ってもそういう傾向がある。それが割り切れない感情をつくっているということをぜひ御理解いただきながら、大臣においてもそういう立場で大所高所に立って対応をしていただきたいことを切望して、大臣からひとつお答えをいただいて、ほかの答弁になってない答弁者は大いに各省庁でしかりつけてきちんとしてください。  以上述べて、大臣の答弁を聞いて終わらせたいと思います。
  125. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私が第二次世界大戦の敗戦を迎えましたのが、小学校の二年生でありました。それ以前の我が国において、国家公務員といいますか、天皇の官吏の時代における恩給制度というもの、そしてそれが新しい憲法のもとにおいて制度が大きく変革をしてまいりました中には、さまざまな移行時期の問題点があったことは想像にかたくありません。それらの問題が徐々に解決をされながら今日まで、例えば今委員が御指摘になりましたようなケースのように、残ってきたケースというものはそれなりに法理論そのものの中で相克するものを持っているであろうと私も想像をいたします。これから先、同種の問題がなおどの程度残っておるものか私にも想像がつきませんけれども、それなりに今委員が言われましたように国民に御理解が得られるような答えをきちんと用意する、その責任は我々にもあろうかと存じながら、今御意見を拝聴しておりました。
  126. 沢田広

    ○沢田委員 最後に、年金の受給者は今非常に不安の中に見詰めているわけでありますが、支給に支障のないように最善の努力をされることを期待して、質問を終わりたいと思います。
  127. 中西啓介

    中西委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時七分休憩      ────◇─────     午後一時一分開議
  128. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。森田景一君。
  129. 森田景一

    森田(景)委員 二十一世紀は高齢化の社会、このように言われて久しいわけでございますが、現在八十歳時代というふうに言われているわけでございます。これは大変おめでたい話でございまして、我々人類の長年の願望が現実化している、こう言っても差し支えないのじゃないかと思います。大臣も御存じのとおり、人類は不老不死の薬を求めて走り回った、こういう話もあるくらいでございますから、この長寿時代というのは我々にとっては大変おめでたい話でございます。  しかし、この長寿時代が我々のために本当に楽しい時代であるためには、最低幾つかの要件を満たしていなければならないと私は考えているわけでございます。その一つは健康であろうと思いますし、もう一つは生活基盤といいますか、我々の生活基盤は衣食住でございますから、衣食住の保障ということがなければ楽しい長寿にならないと思うのです。こういう認識に立っております。  したがいまして、この高齢化社会の基礎的要件として健康と生活保障ということが挙げられると私は思っておりますが、この点について大臣はどのようなお考えをお持ちでございましょうか。
  130. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今、委員が御指摘になりました衣食住、またその前提としての健康、これらは長寿社会というものをお互いが幸せに過ごしていくために必ず必要なものと私は思います。  ただ、私の気持ちからしますと、それにもう一つつけ加えたいのは家族であります。西欧型の単一世帯、独立の形態、そして、独立生計の中で親子の関係が希薄にならない保証が必ずしもない姿、また、アジア型とでも申しましょうか、多世代同居が大きな柱となり、その中における情の通い合いと申しましょうか、そうしたものの残る社会と、果たしていずれが幸せかというなら、私は多世代同居の姿をとりたいと思いますが、いずれにしても家族というものがもう一つそのあり方の中に入るのではないか、そのように感じております。
  131. 森田景一

    森田(景)委員 多世代型家族というのは我々としても大変好ましいことだと思っております。しかし、時代の進展に伴いましてそれが非常に難しい状況になりました。昔は御存じのとおり親は子が面倒を見る、こういうことがずっと続いておりましたから、年金という制度がなくても親の面倒が見られたわけですが、今日、いろいろな社会構造の変化に伴いましてそれが難しくなってきている。したがいまして、そういうところから社会保障制度年金制度というのが進んできたのだと思います。その点では日本はヨーロッパに比べて年金制度、社会保障の制度がおくれてきたという経過があったと思います。基本的には大臣のおっしゃる気持ちは私も同感でございます。なるべくはそういう社会であってほしいと願うわけでございます。  ところで、高齢化社会の生活保障ということになりますと、ほとんどの方々が年金ということを言っておられることはよく御存じだと思いますが、最近その年金の危機が叫ばれております。今、各年金制度に加入していらっしゃる方々が、今もらっている人はいいわけだけれども、我々が受給者になるときに果たしてもらえるのかどうかという不安をたくさん持っているわけです。  そういうことについて、今回、鉄道共済年金が平成二年度から年間三千億の赤字になって破産する、こういう状況になってきた、大変重要な問題だと私は思うわけです。いろいろ後からもお話し申し上げますけれども、政府の方でも苦労しまして、ほかの年金から応援をいただきながら鉄道共済年金制度を維持していこう、こういう努力をなさっていることは大変結構なことだと思うのです。ここで鉄道共済年金制度が破綻するということになったら、ほかの年金加入者の方々も、我々ももらえなくなるという恐慌状態に陥ることは間違いないと思うのです。そういう点で、この鉄道共済年金を救済するということは政府にとっても我々にとっても重大な問題である、このように考えているわけでございます。  そういう立場から、それではそれぞれの年金制度では現在どのような財政運営をしているのか、この辺のところを大蔵委員会では今まで余り聞けない状況でございましたが、この際に聞かせていただきたいと思うわけでございます。  最初に、厚生省の関係で、国民年金厚生年金について現在の内容について御報告をいただきたいと思います。
  132. 阿部正俊

    ○阿部説明員 先生の御指示のございましたフォーマットに従いまして、運営状況の概要について、私からは国民年金厚生年金について申し上げさせていただきたいと思います。  国民年金制度につきましては、加入者数は六千四百十一万人。念のため申し上げますと、国民年金制度というのは、制度的には自営業者だけでなくてサラリーマンも全員加入するというふうになっておりますので、六千四百十一万人といいますのは全体の数字でございます。  それから、老齢年金受給権者数は一千六十万人という数字でございます。これにつきましても被用者年金の部分も含んだ数字であることを御理解願いたいと思います。  それから、老齢年金受給権者率、いわゆる成熟度というものでございますが、これは一六・五%ということでございます。  それから、保険料は、ここからは国民年金、自営業者だけの分野でございますが、現在のところ月額八千円という定額でございます。  それから、六十三年度の収支でございますが、収入が五・五兆円、支出が五兆円。  それから、資産残高でございますが、平成元年三月末で二兆九千億という数字になっております。  それから、給付の計算の基礎でございますが、国民年金の場合は定額の給付でございまして、モデルで計算しますと、標準的に言いますと月額五万五千五百円でございます。これは今度の財政再計算をした結果の平成元年度の価格でございます。  それから、資産運用は全額資金運用部に預託ということになっております。  それから、今回の制度改正によって提案しておる給付改善でございますけれども、先ほど御説明申し上げましたように、従来価格は五万円だったのを五万五千五百円ということで改善を図る予定にしてございます。  それから、先生の御指示で赤字転落の可能性というふうな項目もあるわけでございますが、国民年金は御存じのとおり基礎年金を中心にした制度でございますので、定額給付・定額保険料ということでやっておりまして、定額部分の保険料につきまして段階的に引き上げていくという前提に立っての制度でございますので、その保険料の段階的な引き上げということが可能な限りにおいては赤字に転落というふうなことはないということは言えょうかと思います。  それから、厚生年金でございますけれども、厚生年金は御存じのとおり日本年金制度の中で一番大きな制度でございまして、民間サラリーマンの大多数の方がこの制度に加入されているわけでございますが、加入者数は二千七百六十八万人、老齢年金受給権者数が三百九十四万人、老齢年金受給権者率、成熟度は一四・二%。保険料率は一二・四%、今度の法改正でこれを二・二%上げて一四・六%ということで改定を予定してございます。  それから、六十三年度の収支でございますが、収入が十八・二兆円、支出が十二・六兆円、資産残高が平成元年三月末で六十五兆六千億円という数字でございます。  それから、給付計算の基礎でございますけれども、サラリーマンの場合、年金の算定は過去の賃金の平均額とそれから被保険者期間、これに比例する仕掛けでございまして、それに千分の七・五という乗率を乗じて年金額を計算するというふうな方式になってございます。したがいまして、個個人の過去の賃金及び加入期間によりましてまちまちでございます。  それから、資産運用の状況は全額資金運用部に預託ということでございますが、さらにその中から一定割合部分につきまして、いわゆる自主運用ということで、できるだけ有利な運用を図っておるという措置も講じておるところでございます。  それから、給付改善でございますが、今国会提案しております改正法を前提にいたしますと、従来のモデル年金での計算でございますが、従来の十七万六千二百円という額が十九万七千四百円というふうに改善される見込みでございます。  それから、赤字転落の可能性という項目でございますが、これも国民年金と同じでございますけれども、やはりこれからの年金制度といいますのは、実際問題としてはいわば世代間の扶養というふうな構造になっておりますので、給付改善なり受給者数の増に伴いまして段階的に保険料を引き上げていくという前提のもとに成り立っておりますので、その保険料の引き上げが予定どおり行われる限りにおいては、赤字というふうな問題には立ち至らないのではないかというふうに考えております。  それから、鉄道共済支援は可能かということでございますが、母体が非常に大きいということ、それから、先ほど言いましたように、少なくとも現在のところ健全な財政運営というふうに言えようかと思いますので、厚生年金からの、全体のマクロとしての財政状況という意味では、支援といいましょうか、負担調整の結果による持ち出しという結果になるわけでございますけれども、十分耐えられるのではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  133. 森田景一

    森田(景)委員 それでは大蔵省の方から、国家公務員等共済組合連合会、日本鉄道共済組合日本電信電話共済組合日本たばこ産業共済組合、この四つについてお願いします。
  134. 小村武

    小村政府委員 それでは、大蔵省の方から四つの共済の六十三年度末の現状について御説明申し上げます。  まず、国家公務員連合会でございますが、加入者数は百十五万人でございます。老齢年金受給者は四十六万人、老齢年金受給者率、いわゆる成熟度は四〇・〇でございます。保険料率は一二二・六パーミルでございました。先般、平成元年十月にはこれを上げさせていただきまして、現在では一五二パーミルに上がっております。  それから、六十三年度の収入でございますが、一兆六千八百六億円、支出は一兆三千百十八億円でございまして、平成元年三月末の資産残高は五兆七百四十九億円でございます。  給付計算の基礎でございますが、全期間の平均月収に〇・七五%、それに職域分というのが共済の場合にはございますので、その〇・一五%を加えまして、それに年数を掛けたものということでございます。定額部分は、定額単価に加入者月数を掛けまして、報酬比例部分と定額部分を足したものが年金給付額ということになっております。  資産運用状況は、運用利回りは六十三年末で六・四二%でございます。  給付改善は、このたび再評価五%、スライド〇・七、各制度共通のものをやらせていただいております。  赤字転落の可能性は、ただいま厚生省の方からもお話がありましたが、国家公務員共済組合におきましても将来段階的に保険料率を上げていくという設計になっておりますので、そうした改革が順調に進めば、この制度そのものが成り立っていくのではないかということでございます。  鉄道共済支援は可能かどうかということは、可能ということで、今回のスキームでも百億円拠出をするということになっております。  それから、鉄道共済の方でございますが、加入者は、いずれも六十三年度末ですが、二十一万人。老齢年金受給者三十五万人、老齢年金受給者率一六六・一%、成熟度一六六・一でございます。保険料率は一六九・九パーミルでございます。  六十三年度の収入は八千五百八十億円、支出の方が八千八百十七億円ということになっております。平成元年三月末の資産残高は二千四百億円。  それから、給付の計算基礎は、共済でございますが、ただ鉄道共済については職域加算分はございません。その部分がただいま申し上げました国家公務員共済組合との相違でございます。  資産運用状況は、運用利回り五・八九%ということでございます。  給付改善その他は各制度共通でございます。  赤字の転落可能性は、もう既に赤字でございます。それから、鉄道共済そのものは支援を受ける立場であるということでございます。  それから、日本電信電話、NTTの方でございますが、加入者数は二十九万人、老齢年金受給者数は十万人、老齢年金受給者率三三・七%。保険料率は一一六・四パーミル、本年十月から一四〇・二パーミルにこれを引き上げさせていただいております。  それから、六十三年度の収入でございますが、三千四百六十五億、支出は二千九百九億ということでございます。資産残高は、平成元年三月末で一兆四千五百六十七億円ということを予定されております。  それから、給付計算の基礎、これは国家公務員共済組合と全く同じでございます。  それから、資産運用の状況でございますが、運用利回り六・五三%。  給付改善も各制度共通でございますし、赤字転落の可能性等につきましても、国家公務員共済組合と同様でございます。  鉄道共済支援は可能でございます。  それから、日本たばこでございますが、加入者が三万人、老齢年金受給者は二万人でございます。老齢年金受給者率八七・三%。保険料率は一四一・三パーミルでございましたが、本年十月、一七〇・七パーミルに上げさせていただいております。  六十三年度の収入は五百七十三億円、支出は五百八十八億円でございます。平成元年三月末の資産残高が八百七十八億円ということでございます。  給付の計算は、これも赤字に転落いたしましたものですから職域加算分はございません。  資産運用状況は、運用利回り七・〇四%ということでございます。  給付改善は各制度共通、赤字転落の可能性は、日本たばこ赤字になっております。  鉄道共済支援は可能かということですが、日本たばこの場合には救済を受ける立揚になっておるということでございます。  以上でございます。
  135. 森田景一

    森田(景)委員 自治省の方から地方公務員等共済組合について御説明をお願いします。
  136. 石井隆一

    ○石井説明員 地方公務員共済年金制度について御説明申し上げます。  加入者数は六十三年度末で三百二十七万人となっております。老齢年金受給権者数は九十五万九千人でございます。それから、老齢年金受給権者率、いわゆる成熟度でございますが、二九・三%ということになっております。  それから保険料率、これは私ども地共済制度は本俸ベースで表示いたしておりますが、現在一三・九五%でございまして、これをこの十二月一日から一七・七〇%にすることにいたしております。  それから、六十三年度の収入額でございますが、四兆三千二百三十三億円となっておりまして、支出額は二兆九千九百四十四億円でございます。元年三月末資産残高でございますが、十七兆二千三百六十四億円でございます。  それから、給付計算の基礎でございますけれども、これは国共済など他の共済制度と同様に、全組合員期間の平均給料月額を用いております。  それから、資産運用状況ですけれども、六十三年度の場合は六%程度になってございます。  それから、給付改善につきましては、これは他の制度と同様でございますが、再評価率が五%、ことしのスライドは〇・七ということになっております。  それから、赤字転落の可能性でございますけれども、今後段階的に保険料率を引き上げていくことができますれば、厳しい状況ではございますけれども、長期的に安定的な運営が可能であると考えております。  それから、鉄道共済支援は可能かということでございますが、厳しい状況にはございますけれども、当面可能であるというふうに思っております。
  137. 森田景一

    森田(景)委員 それでは、文部省の方から私立学校教職員共済組合について説明してください。
  138. 込山進

    ○込山説明員 私立学校教職員共済組合昭和六十三年度財政状況について御説明いたします。  加入者数が三十六万人、老齢年金受給権者数が二万人、老齢年金受給権者率、いわゆる成熟度が五・六%。保険料率は一〇・二%でございます。  六十三年度の収支でございますが、収入は二千六百五十三億円、支出が千二百億円、これの収支残が千四百五十三億円でございまして、平成元年三月末の資産残高は合計で一兆四千百四十八億円でございます。  給付計算の基礎でございますが、これは他の共済制度と同様、全期間の標準給与の平均をもとに算出することとしております。  資産運用状況でございますが、六十三年度によりますと六%強ということに推定しています。  給付改善でございますが、これも他の共済制度と同様、直近の改善は物価スライドによる改善をさせていただいています。  赤字転落の可能性でございますが、これも給付改善に見合った適切な再計算を行って段階的に掛金を引き上げることとしておりますので、それを適切に行っていけば安定した年金財政が維持できるものというふうに見込んでおります。  鉄道共済年金への支援は可能かということでございますが、当面可能なものと考えております。     〔衛藤委員長代理退席、委員長着席〕
  139. 森田景一

    森田(景)委員 最後に、農水省の方から農林漁業団体職員共済組合について説明してください。
  140. 岩村信

    ○岩村説明員 農林年金の関係についてお答えをいたします。  農林年金制度におきます昭和六十三年度末の組合員数は五十万人、退職給付の受給者数は十万人となっており、その割合、いわゆる成熟率は一九・八%となっております。掛金率につきましては、平成元年度現在千分の百三十四ということになっております。  六十三年度末におきます収支状況ですけれども、収入は三千五百八十一億円、支出は二千六百八十五億円で、年度末の資産残高は一兆三千四百八十億円となっており、その場合の運用利回りは六・八九%となっております。  給付関係でございますけれども、仕組みは他の共済制度と同様でありまして、今回の法律改正が仮になされますと、平均的な退職共済年金のモデル計算といたしましては、年金額として約四%の改善がされることが見込まれております。現在の掛金率千分の百三十四を仮に将来とも据え置くといたした場合には、平成六年に支出が収入を上回るものと予想されており、このような状況を踏まえて、現在財政再計算を行っているところであります。  最後になりましたけれども、鉄道共済への支援については、このような状況ではございますけれども、当面可能であると考えております。
  141. 森田景一

    森田(景)委員 細かいところ、どうも大変御苦労さまでございました。  法案にもありますように、今回の鉄道共済年金支援については、厚生年金から千百四十億円、NTT共済から三十億円、地共済から二百七十億円、私学共済から三十億円、そして農林共済から二十億円、このように応援をしてもらって、応援される方は、鉄道共済が千四百五十億円、たばこ共済が四十億円、こういうことになっているわけです。  応援が可能かという大変初歩的な質問をしたわけでございますけれども、なぜこんなことを質問したかといいますと、それぞれ今説明していただきましたように、各年金とも財政的にはそう余裕がないわけですね。一番余裕を持っているのが厚生年金、こういうことだと思います。ですから政府の方では、平成七年度年金一元化を図ろう、こういう方針でいるわけでございますけれども、それに向けて、こうした非常に心配な各年金制度を全部厚生年金に押しつけてしまおう、こういう考え方なのではないかなと心配しているわけです。  ですから、政府の方ではこういう形で調整しよう、応援しようということで決めたわけですけれども、厚生年金加入者の方々にとっては大変不満であるという声が起こっているわけです。そうしたところをどのように調整していくのか。仮にこれで国会の方で審議がされても、現在加入していらっしゃる方が大きな不満を持つということになりますと、年金制度そのものも危うくなるということにもなりかねないわけです。最初にお話ししましたように、二十一世紀長寿社会については、ほとんどの方が生活の基本に年金を予定していらっしゃる、こういう状況ですから、年金制度を確立するという立場から、今、大蔵委員会ですから、大蔵省の方では応援する方の立場の方々にはどういう説明といいますか、理解を求める方法をとっていらっしゃるのか、話がややこしくてわかりにくいかもしれませんけれども、どのように説明していらっしゃったのでしょうか。
  142. 小村武

    小村政府委員 六十三年十月七日に鉄道共済年金問題懇談会報告書が出されまして、この中にございますように、鉄道共済赤字の要因というのは二つ掲げられております。一つは「旧国鉄共済時代の制度運営等に起因する側面」、もう一つは「産業構造の変化、人口高齢化等に起因する側面」がございます。いずれにいたしましても、この報告書にもございますように、「この問題は、本来、鉄道共済自身の問題であることから、まず最大限の自助努力を行うことが最も肝要である」というふうに指摘されておりまして、私どもも基本的にはこの立場にのっとりまして、まず千五百五十億円の自助努力を行ったわけでございます。  それからもう一つは、平成七年、昭和七十年度を目途として年金の一元化を目指して、給付の方は前回の改正で各制度統一されましたものですから、負担の面で制度間の調整をしていこうという、いわば公的年金一元化の地ならしとして今回制度間調整法をお願いしておる、その関係で千四百五十億円の財政調整が可能であるということで、この二つを相まって今回鉄道共済の三千億円の赤字の補てん措置をお願いしているということでございます。
  143. 森田景一

    森田(景)委員 お願いしているというのはわかっているわけです。こちらはお願いする方ですが、される方の立場はどういう立場なのか、その辺のところはつかんでいらっしゃるのですか。
  144. 小村武

    小村政府委員 ただいまはお願いする立場から申し上げました。あるいは厚生省の方から御答弁するのが最も適切かもしれませんが、公的年金制度全体として平成七年に一元化に向けてこれから地ならしをしていこう、給付の方は既に各制度間共通のものができ上がりました、負担の方において統一をしていこうということで、今回制度間調整法によって負担面の調整をしたということで、厚生年金その他NTT等々の、年金制度においていわば援助側に回る制度の方々にもそういった面で御理解が願えるのではないかと考えております。
  145. 森田景一

    森田(景)委員 年金制度一元化を担当する所管の省はどこなのですか、大臣はどこですか。
  146. 阿部正俊

    ○阿部説明員 閣僚としては年金問題担当大臣としての厚生大臣ということになろうかと思います。
  147. 森田景一

    森田(景)委員 そういうことになると、今回の鉄道共済支援厚生省が主体となってやっている、こういうことなのですか。
  148. 阿部正俊

    ○阿部説明員 実際の作業としては私どもが担当した部分が大部分でございますけれども、制度全体をまとめるに当たりましては、閣僚会議というものがあり、その下に各年金制度所管する省庁から成る局長レベルの会議があり、その下にさらに作業委員会としての制度委員会ということで、政府全体の各省協力した形で取りまとめに当たってきたということになります。ただ、法律の提案の形式といたしましては、厚生省提案ということで現在国会に出させていただいているという形になっておるわけでございます。
  149. 森田景一

    森田(景)委員 先ほど鉄道共済年金が今日のような破綻の状況を迎えた原因は二つある、こういうお話がありましたね。その中の一つに、社会構造の変化といいますか、こういう説明があったと思うのです。この社会構造の変化というのは旧国鉄に勤めていた人たちの責任ではないですね。大臣、どうですか。
  150. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 国鉄国会と言われました国会におきまして、何ゆえ国鉄が分割・民営化の道をたどらなければならなかったかという論議がしばしば行われました。  そして、そのとき一つ挙げられましたのは、まさに国鉄の労使の問題であり、また、百十四年の国有鉄道の歴史の中で次第次第に肥大化していった組織の問題であり、鉄道自身の問題が挙げられた、先ほど政府委員から御答弁を申し上げたとおりであります。  と同時に、もう一つ挙げられました問題は、まさに社会経済情勢の変化の中において我々の日常に使用する人の輸送、物の輸送の形態の変化、そしてその中における鉄道の役割の変化、こうしたものが国鉄を分割・民営への道へたどらせていったその大きな柱の一つであった、そのように御答弁を申し上げた記憶がございます。
  151. 森田景一

    森田(景)委員 ですから、いわゆる産業構造の変化、こういうのはとにかく国鉄に勤めていた人の責任ではなくて、それこそ社会全体が変化したわけですから、その変化に対応して適切な手を打つのが政府責任だろうと思うのですね。今はJRということで民営になりましたけれども、もともとは国鉄であり国が所管しておりました。そしていろいろな問題がたくさんこの国鉄に集中して、結局政府の手には負えないからということで民営化したといういきさつだと私は承知しているわけです。ですから、少なくとも国鉄に働いていた人たちが今日年金がもらえなくなるという状況ができたからには、やはり政府として相当大きな救済策、これは政府自身がやらなければいけないことだと私は思っているのです。  今の行き方ですと、これは鉄道共済年金の問題だから年金の間だけでお互いに解決していこう、こういう姿勢ではないかと思うのですが、やはり国鉄民営化した責任政府にあるのだし、また、国鉄が今日のような状況になるのをそのままにしてきたのは政府責任なのだから、こうした年金問題の解消というのは政府責任でやらなければいけないというのが本当の行き方ではないかなと思うのですけれども、この辺のところは大臣はどう思いますか。
  152. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 まず第一に申し上げたいのは、仮に旧国鉄を今日の形態に変化させなかった場合にどのような事態が起きていたかであります。恐らく地方路線の相当部分を廃線とし、旧国鉄自体が村当の人員の整理を行い、しかもなおかつ残る路線のみで経営が安定したかどうか、これは疑念なしといたしません。  そしてその中で、国鉄の労使もまた社会も、レールをこれ以上減らすことは避けよう、そのためにはどういう対策がとり得るかという中から、お互いが非常に大きな犠牲を払うことを知りつつも分割・民営という道を選び、レールを残す決断に踏み切ったと私は理解をいたしております。その限りにおいて政府責任が全くなかったということを申すつもりはありません。同様に院にも責任はあり、また経営の成立のおぼつかない路線を、無理やりにと申しては言葉が過ぎるかもしれませんけれども、地域のいわば飾りのような形で求め、自分のところに鉄道があるということを誇りたいがために、不採算を承知でレールを敷かせてきた地域にもそうした意味では責任なしとはしないかもしれません。  しかし、そういった議論をすべて乗り越えて、今JRという形態で鉄道は再生しつつあるわけであります。そして、その中において共済の問題が今御論議を受けておるわけでありますが、旧国鉄が使用者として果たすべき責任は、清算事業団発足のとき既に清算事業団の累積債務の中に組み込んで承継されております。  そして、仮に例えば今後それ以上に清算事業団負担を求めるとした場合、今例えば不動産の処分一つをとりましても、清算事業団発足のときには考えられなかった地価の高騰の中で売却を停止するような状況に追い込まれ、清算事業団の債務は累増いたしております。将来、清算事業団がその持っておる用地の売却を完了し、また保有するJR株式のすべてを放出し、JR各社が完全に民営化いたした時点においても、現在の累積債務が完全に解消することについては非常に困難な見通しがあるわけであり、仮にそうなりました場合には、最終的に国民に御負担をいただかなければならないわけでありまして、もしその上にこの鉄道共済の問題について清算事業団により大きな責任を負わせるということでありますならば、それは国民負担にすべてをゆだねるということになるわけであります。また仮に、他の年金制度とは別個に鉄道共済にのみ特別の国庫負担を導入するといたしました場合には、他の制度に加入しておられる方々との間に不公平を生ずるという問題点もございます。  そうした組み合わせられた幾つかの問題の中から、ぎりぎり努力をして今御審議をいただきますような案を私どもはまとめ、政府責任において国会に御提出申し上げた次第でありまして、私どもとしてはこの考え方を何とか御理解をいただき、御協力をいただき、成立に向けて努力をさせていただきたいもの、そのように願っております。
  153. 森田景一

    森田(景)委員 大臣今言われましたように、確かにJRは昨年度も大変成績が優秀で、かなり多額の収益をおさめた、こういう発表がありました。民営になって利益が上がって国鉄のときは上がらなかったというのは、今の大臣のお話のようないきさつはいろいろあったにせよ、随分おかしい話だなと実は思うわけです。これからもう自分たちは自分で生きなければならないというところで、いろいろな知恵も働かし収益を上げてきたのだと思いますが、それはそれで結構なことだと思います。  せっかくの民営化された旧国鉄が立派に日本の幹線鉄道として繁栄していくということは望ましい姿でありますから、それはそれで結構でございますけれども、そういう旧国鉄から民営化したというこの辺のところで、大勢の鉄道マンといいますか、そういう方々がやめなければならなかった、あるいは定年を迎えた、そして年金をもらっている段階でもう破産寸前になった、こういうのは今受給していらっしゃる方々の責任でもないし、それから今保険料を払っている方々の責任でもなかったわけですね。国鉄だけを国が特別応援するというのはほかの年金に対して大変申しわけない、こういうお話ですけれども、その辺のところはやはりいろいろな事情があっていろいろな制度があったわけですから、将来一元化という方向に向かって皆さんの合意を得る、こういうことは非常に大事なことですけれども、当面、こうした破産寸前の状況を、国の力で、全部とは言いません、かなり大きな部分で国の方で応援するのが至当なのではないかなと私は思っているわけです。  それで、先ほどもお話がありましたけれども、ただ応援をしてもらうだけでは申しわけないということで、自助努力ということが言われているわけでございます。その自助努力年金給付の見直しで二百億程度、保険料率の引き上げで百五十億程度、JR各社の特別負担が二百億、国鉄清算事業団負担が八百億、国家公務員共済財政支援が百億、その他運用収入等で百億、合計しまして一千五百五十億円程度、これが自助努力ということなんですが、今の大臣のお話ですと、清算事業団からも八百億出るわけですね。それでなくても清算事業団は土地も売れないで困っている。清算もできない。ここから八百億出すのはどういうことなんですか。  きょうは清算事業団はお見えになっていらっしゃいますか。八百億の負担ということについて清算事業団の考え方、これは国の方で決められてしまったのだからしようがない。しようがない、しようがないで受けていくと、さっき大臣が言ったようなにっちもさっちもいかない状況に、かつての国鉄みたいになるのじゃないかと思うのです。その辺のところを清算事業団の方でちょっと説明してくれませんか。
  154. 杉田昌久

    杉田参考人 私ども事業団といたしましては、鉄道共済年金について各般の御支持、応援をいただくという立場の事業団といたしましてもこの程度の負担ということで、政府の御方針に従いましてお受けしているところでございます。
  155. 小村武

    小村政府委員 鉄道共済清算事業団負担は二つございます。  一つは、いわゆる追加費用というものでございまして、これは四兆七千億円ございます。これは先般の民営化の際の債務の承継、現在二十七兆円の中にカウントされている債務の一つとなっております。  今回講じました清算事業団からの鉄道共済への支援八百億円は、こうした国鉄債務二十七兆円のほかに改めてさらに追加しようというものでございますが、その考え方は、鉄道共済年金において過去保険料率が十分でなかった、十分でなかった部分のいわば事業主として負担不足の部分を今回新たに鉄道共済への支援財源として使おうということで、三千億円のうちの八百億円は清算事業団からの支援ということになるわけでございます。
  156. 森田景一

    森田(景)委員 先ほど清算事業団の方からもお話がありましたけれども、政府でこういうことで決まったのでやむを得ない、こういうことでございました。これが本音だと思うのです。清算事業団は二十七兆の国鉄の債務を払わなければならない、そういう借金返済会社ですから、そこがまた余分な負担をするというのは大変なことになるわけです。いつになったら清算事業団が使命を果たして解散できるか見当もつかなくなるような状況だって、これから起きかねないと思うのです。少なくともこの辺のところはそういう特殊事情があるわけです。  国鉄民営化されたのは国民のだれもが知っているわけですから、こういう状況になった、国鉄年金がもう破産寸前だ、それは長年の積弊によってこうなって、責任国鉄にもありました、政府にもありました、大臣の言葉をかりれば院にも責任があった、そういうことですから、この分についてはこれ以上清算事業団負担をかけることはしないで、政府で持っていきます、このぐらいの決断があってしかるべきじゃなかったか、私はこう思うのですね。どうですか、大臣。
  157. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先ほどから一生懸命に思い出そうと思っておりますが、あるいはお名前を間違うかもしれません。しかし、昭和四十年代の後半に既に政府の審議会の一つであります社会保障制度審議会においては、国鉄共済についての警告が非常に強く叫ばれておりました。平石委員がもしかすると社会保障制度審議会に公明党から代表で出ておられたのではなかったのでしょうか。そして、党派を超えまして社会保障制度審議会に籍を持ちました国会からの委員国鉄共済の将来を案じて資料提出を求めて、しかも資料提出が満足なものが得られず、やむを得ず他の、例えば国家公務員共済等の答申を出しましてから一週間か十日おくれて国鉄共済についての答申を出した記憶がございます。その当時から、関係する者の中には国鉄共済の将来というものに対する懸念は既に呼び起こされておったわけでありますが、むしろその当時、残念ながら肝心の国鉄の労使の中にそれほどの切迫感がございませんでした。そして社会保障制度審議会の、たしかそうした警告的な処置も一度か二度でそのまま途切れてしまったか、あるいはすぐその後五十年代に入りまして、単年度赤字が発生をいたしましてから状況は変わったような記憶がございます。  そうした過去の経緯を考えてみますときに、私は必ずしも甘い話ばかりを申し上げるのはいかがかという気持ちもいたしますし、それ以上に今回、既に委員が御承知のように、制度間の財政調整の受け取り側に回ります中には、たばこ共済も出てまいっております。  そうした中で、確かに大きな交通政策の変更の中で、しかしレールを残したいという国民的な願望からJRに姿を変えました鉄道共済ではございますけれども、その鉄道共済負担についてのみ国が特別な負担をいたすというのには私は限界があろうかと思います。そして、一部には清算事業団にもっと大きな負担を求めればいいではないかという意見もないわけではありません。委員も御承知のとおりであります。しかし、清算事業団にいたしましても理屈のつかない負担を無責任に受け入れることはできないわけでありまして、先ほど清算事業団の方から御答弁がありましたけれども、それなりに理屈の立つ、過去の保険料のいわば積み増しに当たるような部分を今回負担として新たにお願いをしておるということでありますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
  158. 森田景一

    森田(景)委員 法案として出てきたんですから、今さら清算事業団の八百億を減らして政府の方で持ちますというわけには恐らくいかないだろうと思いますから、大臣の答弁としてはそういうことだろうと思います。ただ、私も大変心配しておりますのは、この鉄道共済年金の救済ということが年金の将来を非常に暗いものにしているんじゃないかという心配があるわけです。  その一つは、やはり保険料率をどんどんアップしていく。こちらには出ておりませんけれども、あれは何年に一遍ですか、五年に一回二・二%ずつ保険料を引き上げる、それから支給年齢をだんだん延べていく、六十歳から六十一歳、六十五歳と、六十五歳まで下げていく、こういう非常に暗い面があって、この鉄道共済年金制度というものは将来を暗示するのではないか、こういうふうに非常に心配しているわけなんです。  それで、政府の今までの説明は、将来、二〇一〇年でしたか、この時期には社会保障費が国民所得の三〇%を占める、こういう発表がありまして、だから年金は大変なんだ、負担が多くなるんだ、こういう宣伝が盛んにされるわけですが、それは御存じですね。
  159. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 盛んに宣伝をしておるつもりはございません。事実を国民に知っていただこうと努力はいたしております。
  160. 森田景一

    森田(景)委員 それで、実は政府の方も、それはうそではないと思うのですね、数字をちゃんと発表しておるのですから。しかし、もう少し政府の方は国民にわかりやすい説明をしてもらいたいと思うのです。  といいますのは、政府の発表ですと、国民所得、社会保障給付費等について、二〇〇〇年には国民所得が、国民所得伸び率を四%としますと四百六十兆円、五・五%で計算しますと五百五十兆円、社会保障給付費は、四%の場合には百五兆円、五・五%の場合には百二十兆円。したがいまして、この社会保障給付費の比率が二一・五から二三%になる。また、二〇一〇年には国民所得が六百八十兆円から九百四十兆円、社会保障給付費が百九十五兆円から二百四十兆円。したがいまして、この保障給付費の比率が二六%から二九%になる。だから大変だ、大変だ、こう言っているのですね。これは数字は間違いありませんか。
  161. 小村武

    小村政府委員 六十三年三月十日の厚生省大蔵省からの「二十一世紀初頭における高齢化状況等及び社会保障の給付負担展望」というところで、委員指摘の数字が出てまいります。
  162. 森田景一

    森田(景)委員 ここだけを発表しているから、国民もほかに知る方法がありませんので、大変だ、こう思ってしまうわけですけれども、もう少し細かく計算してみますと、じゃその三〇%を負担して国民の懐はうんと減るのか、この辺のとこ ろが説明されていないわけです。  二〇〇〇年で計算してみますと、国民所得から給付費を差し引きますと三百五十五兆円から四百三十兆円、二〇一〇年では、国民所得から給付費を同じく引きますと四百八十五兆円から七百兆円、こうなるわけですね。この差し引いた部分の伸び率というのは二〇〇〇年で三・二%から四・八%ですね。二〇一〇年では三・二%から四・九%、こうなるわけです。ですから、使える懐の方もこれだけふえていくわけです。この差額を見てみますと、国民所得の伸び率との差は二〇〇〇年で〇・八から〇・七、二〇一〇年では〇・八から〇・六、こういうことで、国民所得の伸び率の一%程度が社会保障費に振り向けられるのであって、残りはほとんど国民所得として使える部分で残るんだ、こういう計算になるわけです。だから、この政府の試算した三〇%というのは、大変な社会だ大変な社会だと言う前に、やはり皆さんの懐にもこのようにたくさんのお金が残るのですよ、こういう説明をして安心させていただかないと、どうも政府のやり方というのは恐怖感を先に植えつけるような感じが否めないわけです。  その辺のところをやはり、それこそ大蔵大臣としてはきちんと計算をして、確かにこういうふうに国民所得に応じて負担はこうなるけれども、皆さんの使える部分はこのように多くなります、その差はわずか一%ですから心配ありません、どうぞ二十一世紀もお任せください、こういう話をしてもらった方が皆さん安心できると思うのですよ。その辺の考えはいかがでしょうか。
  163. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 バラ色の夢を語ることは決して私も嫌いではありません。しかし、人口構造の変化に伴って問題が生じるという事実もまた否定はできません。そして、従属人口でたしか本院予算委員会で御議論があったような記憶がございますけれども、余り変わらないではないかという御議論がございましたが、その従属人口の中に占める年少者と高齢者の比率が変化すれば、当然またそこでさまざまな分野に変化を生じます。そうなりますと、やはり社会保障に対する原資というものは、今から将来に備えて国民の脳裏に深く刻んでいただくべき性質のものであると私は思います。
  164. 森田景一

    森田(景)委員 ですから、やはり政府責任としては、いろいろな情報の収集ができる立場にあるわけですから、確かにそういう構造の変化はあります、しかしこういう点もあります、そういうものを、ガラス張りといいますか透明に国民に理解してもらう、その方が正確な判断になるわけですね。ある非常に厳しい部分だけは強調されたけれども、それ以外の部分は知らされていなかった、これでは大変不公平といいますか、誠意を持った政治のあり方ではない、このように私は思うのです。  そういう点でひとつ、今後いろいろな情報を発表なさるときにそういうことも考えて、やはり危険な部分といいますか心配な部分、しかしそれに対応する安心できる部分という両面を、安心できる部分が全然ないならないでしようがないけれども、そういうものがあるならば、きちんとガラス張りで国民に情報を提供していただくような努力を今後ともお願いしたいと思うわけです。  それから、こちらの法案には出ておりませんけれども、私たちは厚生年金の六十五歳支給、これについては断固たる反対の姿勢を持っております。しかし、今回のこの法案では、鉄道共済たばこ共済では、自助努力として、「六十歳未満の退職年金支給の新規発生原則廃止」というのがあるわけでございますけれども、六十五歳支給というのはどこにも書いてないわけですね。こういうことになるとこれは、六十五歳支給、我々反対ですけれども、法案の整合性としては、そういうことが書いてないということについては年金の一元化という方向からいってもどうも整合性がないと思うのですが、この辺についてはどのように考えていらっしゃるでしょうか。
  165. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 平成元年三月二十八日の閣議決定におきまして、「被用者年金の支給開始年齢の引上げについて」という項目がございます。  その中に定めました一つが、今、委員反対とお述べになりましたけれども、しかし我々が避けて通れない厚生年金の支給開始年齢の引き上げの問題でございます。そして、厚生年金――この中に書かれております内容をそのまま読み上げさせていただきますと、   厚生年金における支給開始年齢の引上げのスケジュールは、男子については平成十年度から六十一歳とし、その後三年ごとに一歳ずつ引き上げて平成二十二年度に六十五歳とする。また、女子についても同様に平成十五年度に六十一歳とし、その後順次引き上げて平成二十七年度に六十五歳とする。 この次の項目に、   共済年金については、その職域における就業に関する制度運営等にも留意しつつ検討を進め、厚生年金との整合性を図る観点から、上記と同様の趣旨の措席を講ずるよう対処していくこととする。 という決定がなされておりまして、整合性を持った対応を我々はしてまいります。  ただ、法律案という形態について御論議になります場合、厚生年金の場合には対象が民間企業でございますから、民間企業はやはり雇用環境の整備などの条件整備を図ることができるように相当の準備期間を確保してさしあげることが必要であると私どもは思います。そこで、厚生年金につきましては、実際の支給開始年齢の引き上げ開始は確かに平成十年度以降でございますけれども、政府として支給開始年齢の引き上げのスケジュールを前もってお示しするために、今回の厚生年金について法案を提出したものと理解をいたしております。  共済年金の場合は、公務員などを対象といたしまして、政府自身が雇用主あるいは地方公共団体自身が雇用主でありますから、支給開始年齢の引き上げに関連いたします就業上の問題につきましては、みずから種々の検討を行うことのできる、またなすべき立場にありますことから、閣議の決定で方針を明らかにするにとどめております。整合性は持っております。
  166. 森田景一

    森田(景)委員 そうすると、閣議決定があるから国家公務員等については支障はない、あるいは鉄道共済についても整合性がある、こういうことだと思うのですけれども、今、国が雇用主で公務員の方々あるいはJRの職員の方々が労働者、こういうことで、一方的に国の方が厚生年金がこうだからこうだ、こういうやり方というのは大変これは不都合なんじゃないかと思うのですね。やはり雇用主としては、こういう非常に大事な問題ですから従業員といろいろな話し合いを進めてそういう問題を決めていかなければいけないのに、いきなり法律で厚生年金が六十五になったからこちらも六十五なんだというやり方は、幾ら雇用主といえども僣越な行き方じゃないかと思うのですが、その辺はどういうふうに理解していらっしゃるのですか。
  167. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 そこまで御指摘をいただきましたので続けて申し上げさせていただきますと、今申し上げましたように、国家公務員年金につきましては、国は雇用主であるという立場もありまして、まず公務員制度との関係を十分に検討することが必要であると考えております。  そこで、四月二十日の関係省庁の申し合わせの中で、総務庁の人事局長、大蔵省主計局長、自治省行政局長、人事院の任用局長及び給与局長、内閣官房内閣内政審議室長を構成員といたします公務員共済年金制度改定問題に係る雇用問題検討委員会というものを発足させまして、今そこでさまざまな問題点の整理に当たっております。
  168. 森田景一

    森田(景)委員 これからいろいろそういう手続も行われるということですから、もしそういうことになると、将来的にはこちらの方は法案として出てくるということなんですか、出てこないんですか。
  169. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 きちんと内容を詰めました段階において、当然国会において御審議をいただく場面になると思います。
  170. 森田景一

    森田(景)委員 それで、年金問題は雇用問題とよく言われているわけですけれども、国家公務員の定年制というのは、私ちょっと記憶を失っておるのですが、今あるのですか。
  171. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ございます。
  172. 森田景一

    森田(景)委員 定年制、ただあるだけじゃなくて、では六十歳定年になっているのですか。
  173. 小村武

    小村政府委員 若干の職種を除きまして、原則六十歳でございます。大学の学長、あるいはお医者さんとか医学関係の方は定年のさらに延長を図られておりまして、六十五歳とか、そういった職種もございます。
  174. 森田景一

    森田(景)委員 それで、これは仮定の話ですから、また法案が出るなら出るというときに論議になろうかと思いますけれども、この年金の六十五歳支給という段階には国家公務員の定年は六十五歳になる、そういうふうに理解しておいてよろしいのですか。
  175. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 そういった問題点がありますため、検討委員会を今設置したわけであります。
  176. 森田景一

    森田(景)委員 出てこないものを論議してもしようがありませんから、もう最後になりますが、時間は少し早目に終わりますが、高齢化社会と年金のあり方ということについて若干申し上げておきたいと思います。  一つは、高齢化社会においては、年金制度のみの改革という狭い視野ではなく、雇用、福祉、医療、年金というものを有機的に結びつけた総合的視野に立った上での改革が要求されるわけであります。  第二点として、年金問題と雇用問題は本質的には切り離せません。あくまで雇用環境の整備が前提であります。したがいまして、厚生省のみがひとり歩きするのではなくして、雇用計画や企業への指導など、労働省や通産省など政府が一体となって取り組んでいく問題である、このように理解しております。  三点目に、企業が定年制を延長したら六十歳以降の保険料補助する等の、高齢者の就労を促進させるような年金制度を設計すべきである、このように考えております。  この三点について、まず厚生省の方から答えていただきまして、その後、大蔵大臣の方から考えをお聞かせいただきたいと思います。
  177. 阿部正俊

    ○阿部説明員 お答え申し上げます。  確かに先生御指摘のように、高齢化社会といいますのは、単に年金だけにとどまらず、雇用の問題なり住宅の問題、あるいは介護その他の福祉サービスなど、さまざまな面で対応が必要だということであり、かつ、それについてお互いに連携をとった形というものが求められるというのは御指摘のとおりだろうと思われます。そんなふうな考え方で、私どもも年金の支給開始年齢の対応なり雇用の対応を考えているわけでございます。  具体的に例示して申し上げますと、例えば、私どもが政府全体の方針として持っております長寿社会対策大綱というものがございますが、その中におきましても、健康、福祉あるいは住宅、生活環境のシステムの整備、あるいは所得保障のシステムの整価というふうな一連の施策を網羅した形で総合的に施策を展開するという方針になっておるということが一つございます。  あと、具体的には、昨年十月二十五日でございますけれども、特に雇用と年金の関係につきまして、厚生省、労働省で協議の上、「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」、通称福祉ビジョンと言われておるものを国会に対してお出ししてございます。その中におきましては、そのものを読ませていただきますと、六十五歳までの継続雇用確保を目標とした継続雇用の推進ということを片やうたい、他面、「雇用その他の条件整備を図りつつ、年金支給開始年齢について、将来できる限り早い時期から段階的に六十五歳にすることを目標とする。」ということで、それぞればらばらということではなくて、お互い共通の基盤の上に立って施策を進めていきましょうというふうな方針に立っておるということを御理解願いたいと思うわけでございます。  特に雇用問題との連携ということは、年金制度の将来の支給開始年齢のあり方を論ずる場合に到底避けて通れない問題でございますので、私どもとしては、先ほど大蔵大臣からも支給開始年齢の問題についてかなり詳しく御説明がございましたけれども、あすから六十五歳にするというわけでは決してありませんし、雇用環境の整備にはそれなりの時間もかかりましょうから、着手するのは十年先から、完成は二十年先というふうな、かなり超長期の目標を今決めようではないかという提案をしておるわけでございまして、これを実際に発動させるには、もう一回法律を出しまして国会の承認を得た上で、他面、雇用の進捗状況等を見つつ実施に移していくというような極めて慎重な提案をしておるわけでございまして、私どもとしては厚生年金財政だけを考えて飛び出しておるということではないということをぜひ御理解賜りたいと思うわけでございます。  それから、最後に御提案がございました高齢者の雇用の場合の厚生年金なりの保険料の割引制度といいましょうか、あるいはメリット制度といいましょうか、この問題でございますけれども、一つのアイデアではないかと思いますが、ただ、現実問題として、六十五歳の定年制になっておるのかあるいは何歳の定年制なのかということで、事業所ごとに保険料の算定をばらばらにしなければならないという極めて実務的な問題もさることながら、社会保険としては同一保険料・同一給付ということが一つの原則になっておりますので、保険料に差がありながら同じ給付をもらうというふうなあり方もかなり根本的な問題にも触れる問題でございますので、いわば将来の一つの研究課題というふうな観点から少し考えてみたいというふうな御返事にさせていただきたいと思っております。  以上でございます。
  178. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 決してふざけているとおとりいただいては困るのでございますが、実は今答弁いたしました厚生省年金局企画課長は、私の厚生大臣のときの秘書官でありまして、すごい成長をしたなと思って感心して聞いておりました。そして、彼の語りました中で私の申し上げることはほぼ尽きております。  強いてつけ加えさせていただきますならば、最後に阿部君が一つの御見解と評価しながらも将来の検討課題として残しました部分につき私なりに感じを申し上げますならば、今いわゆる労働保険の方の立場、雇用保険制度の中でこうした部分について制度が既に動き始めております。そして、私は将来を考えますときに、年金保険料の形で対応するよりも、効果としては雇用保険の形態の中で高齢者の雇用の安定に資する施策を考えることの方が実効が上がるのではなかろうか、そのような個人的な見解を持っております。
  179. 森田景一

    森田(景)委員 最後と思いましたけれども、もう少し……。  一つは、同一保険料・同一給付という話が今ありまして思い出したのですけれども、この鉄道共済といいますか、JR労連の方々は年金のことで大変頭を痛めていらっしゃるわけです。OBの方方は給付がどうなるのかと御心配でいろいろ相談もありますけれども、現役の方々も、できれば同一保険料・同一給付ということで厚生年金に入れてもらえる方向ができないだろうか、こういう相談があったのです。これは民営ですから、今までのいきさつはあるかもしれませんけれども、こうして皆さんから応援してもらっているし、また、将来年金制度の一元化ということで、これはやはり厚生年金に加入していただいた方がいいのじゃないだろうかなと私も思っているわけなんですけれども、こういうことについて大臣はどう考えられますか。これが一つ。  もう一つは、最近いろいろ産業のロボット化というのが進みまして、要するに人が働かないでロボットがみんな働いているわけですね。そうすると、人が働けば給料があって税金がかかるわけですけれども、ロボットが働いている、人間が要らなくなってロボットだけが働いていると、所得に対する課税というのはできないのですね。だから、ロボット税というのをこれから考えたらいいのじゃないかなと思ったわけです。  この二点についての見解をお聞かせいただきたい。
  180. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 第一点の鉄道共済厚生年金移行というお話は、実は三公社それぞれが民営化いたしますときにすべて問題になりました。そして、その時点におきましてもさまざまな御論議がございました。そして私も、将来年金制度が一元化され、公的年金制度一元化という方向の中でそういう方向に行くことは望ましいことだと考えております。  しかし、そのためにもやはりそれぞれの共済年金がみずからの足で歩ける状態にきちんと整理をし立て直しておかなければ、受け入れ側になります厚生年金グループとしてもなかなか胸を広げて迎え入れるという雰囲気にはなりません。そうした観点から考えましても、ぜひ今回御審議をいただきます内容を足場にして、鉄道共済を含め、他の共済年金制度におきましてもそれぞれの内容の確立を図る中で将来に向けての夢を追わせていただきたい、そのように思います。  また、二点目の御質問は、これは全く想像をしておりませんでしたので、とっさの感じでお答えを申し上げて恐縮でありますが、工場の機械化、ロボット化が進めば進むほど、確かに雇用という上で我々は大きな場を一つ失うことになります。そして、給与という形で支払われる部分がなくなり、人間に対する税というものがなくなるという点は御指摘のとおりでありますが、しかし、仮にそのロボット化、機械化によりましてその企業が生産性を高め、収益を上げれば、それは私どもとしては法人税の方で十分ちょうだいいたしたい、そう思います。
  181. 森田景一

    森田(景)委員 終わります。
  182. 中西啓介

    中西委員長 安倍基雄君。
  183. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私は、国鉄民営化のときに大蔵委員会でタッチしたことがございますので、この共済年金の話はどうなるのかと非常に関心を持っておったわけでございます。  時間も短いですから、私は主として、今度の法案は自助努力年金受給者あるいは国がやる、そのかわりに厚生年金の方から援助するというふうな構成でございますが、援助する側の議論は主として伊藤委員にしていただいて、自助努力の一部について私からお話しいたしたいと思います。  年金受給者の自助努力というので二百億程度を見込んでおりますけれども、これは、今まで話がございましたように、こういった状況になったのは、いずれにせよ国鉄成熟度というか高齢化を先取りしたような話でございまして、受給者はどんどんふえてくる、逆に支える者は少なくなるというような形からでございますが、一つ、今国鉄年金受給者が高いように思われているわけですけれども、これはよく聞いてみますと、平均勤続年数が三十七年くらいだ、通常の厚生年金でも三十二年で二百二十万くらいもらえる、それに対して、平均勤続が三十七年で二百六万くらいだ。ということは、今までも頭打ちとかいろいろなことで下げられてきているという要素もある。  それに加えて、特昇分を今度見直すというのでございますけれども、この経緯を調べてみますと、特昇分というのも、肩たたきといいますか早目にやめさせるときに特昇するというような要素もあったようでございまして、それを過去の経緯が何となくあいまいにされたまま、特昇分はけしからぬというような話にもなってきている。また、これからスライドの停止も延長するということになりますと、本当に通常の厚生年金よりもむしろ不利になってくる。  でございますから、本人が自助努力しないと援助できないよという議論もわからぬではないけれども、自助努力もそういった受給者の側では限界ではないかな、むしろ相当の切り込みというかそういうところまでいっているのじゃないかなという気がいたしますけれども、この点について、大臣どうお考えでしょうか。
  184. 小村武

    小村政府委員 鉄道共済年金問題懇談会の報告が六十三年十月七日に出ておりまして、国鉄共済赤字の要因等の分析がございます。  今回の措置に当たっても、この報告書においても鉄道共済が最大限の自助努力をすべきであるという御指摘がありまして、委員指摘のように既裁定年金の退職時の特昇分等々の削減を行っておりますが、これは厚生年金等と比べて有利になっている部分を今回是正しようという考えのもとに行ったものでありまして、これに基づきまして他制度との負担調整の問題をお願いするということになると考えております。
  185. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 今、例えば特昇分なんかも、過去の経緯からいいますと肩たたきという要素もあったという話もございましたね。私は、もちろん自助努力はしなければいかぬけれども、今やそういったものを全部抜いた上で再評価の繰り延べということで、これ以上自助努力といってもちょっと無理なのじゃないかなという感想を持っていますけれども、いかがでございますか、大臣。
  186. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私どもとして、今、局長が御答弁を申し上げましたように、今回の鉄道共済受給者などの自助努力は、必要やむを得ない、妥当なものと考えております。今回、やむを得ないものと考えております。
  187. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 いずれにせよ、今までいろいろな点で抑えてきましたから、それに加えるにこれだけの切り込みでございますから、この点は私は国鉄年金受給者の方にも随分言い分があるのじゃないかと思っております。  二番目に、今度は当局側の努力でございますけれども、JRは御承知のようにこの一、二年非常な収益を上げております。皆さん承知でございましょうけれども、六十二年度約五百億、六十三年度約八百九十億ですね、貨物も含めまして。これだけ上げているというのは、それは過去の債務を棚上げしたとかいろいろな要素があると思いますけれども、経営上随分一生懸命やったという要素もあるかもしれませんが、これだけ上げているわけですから、受給者にかぶせるのもさることながら、こちらの方ももう少し考えてもいいんじゃないかなという点が第一点です。  第二点は、清算事業団、これは今までいろいろ議論がございましたけれども、土地を売ろうとするとすぐ公共団体がおれたちにもっとよく使わせるという話になる、あるいは東京あたりの地価を上げてしまうから売るなというようなブレーキがかかる、こういった点、時間が足りなければ補足は伊藤さんにやっていただきますけれども、当局側の努力というのが果たして十分なのかどうか。  第一の、JRがこれだけ収益を上げている、年間五百億、九百億という益を上げているときに、その負担がいささか少ないのではないかなという気がいたしますけれども、この点いかがでございますか。
  188. 丸山博

    ○丸山説明員 お答えいたします。  先生お話しのように、JRの当期利益、六十二年度につきましては七社で五百億、六十三年度につきましては七社で八百八十九億になってございます。  ただ、今回のJR各社の負担につきましては、年金負担の一般ルールによる負担に加えまして、年金受給者等の自助努力、鉄道の再生を図るという国鉄改革の趣旨等を総合的に勘案しつつ二百億という額を決めたわけでございます。……(安倍(基)委員「僕は短いですから簡単でいいです」と呼ぶ)この負担率を厚生年金適用のほかの民間会社の負担率に比べますと一・七倍になりまして、極めて重い負担であるというふうに考えております。
  189. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私の時間はもう少ししかありませんから、大臣に単刀直入にお聞きしましょう。  一つは、JRが年々これだけ収益を上げている、この辺もう少し負担してもいいのではないかということと、もう一つ清算事業団が土地を売っていこうとするとすぐブレーキがかかる。例えばそういった公共団体と一緒に第三セクターをつくって事業をするにしても、それが十分な収益を上げていくのかどうか、どっちかというと地域エゴの方が優先して、本当に収益性のある処分もしくは運営ということが必ずしもされてない。むしろ、年金受給者にはいろいろ負担をかぶせる、あるいはほかのところの、厚生年金あたりからの援助を要求する。それに対して当局側の自助努力というのが不十分じゃないか。特に今のJRの話、それから清算事業団の話、特に土地の処分なんか、本当に目抜きのところだったら高い値段がつくのは当たり前のことなんで、あるいはそれを運用するにしてもそれなりの収益を上げて、それでもってペイしていくということをしなくてはいけないと思います。いかがでございますか。
  190. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今、二つの問題をお述べになりました。運輸省の方からお答えをしかかり、制止を受けまして正確に申し上げられなかったようでありますが、先ほど運輸省の方からお答えを申し上げかけておりましたように、今回のこの特別措置によりまして、JR各社は、事業主の負担という視点から見ましたときには、厚生年金適用の民間企業の一・七倍を超える年金費用負担を負うことになるわけであります。これは私は相当過重な負担だと思っております。  そして、ここから先、仮にもっと負担をしろということになりました場合に、JR各社のうちで収益状況の必ずしもよくない西日本、三島会社にとりましては、今回の特別負担だけでも相当の負担になると考えられますし、それ以上の負担にたえられる状況にはない、私はそう思います。  また逆に、東日本や東海は、一日も早く株式を上場することによりまして清算事業団債務の膨大な国民負担を少しでも軽減する、いわば担い手の役割を持っておるわけであります。この共済負担を過大に負わせることにより株式上場の時期が後にずれるということは、国策としても決して得策ではなかろうと私は考えます。  また、委員が御議論になりましたような視点から、しばしば私も清算事業団の用地売却について意見を党におります時点で述べてきました。また、運輸大臣としての国会答弁でも申し上げてきた次第であります。しかし現実に、本院における御論議においても、清算事業団用地の売却については極めて慎重な御意見が多かったことも事実でありまして、清算事業団のみを責めることは酷である、そのように感じております。
  191. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 まだ議論したいことは山ほどあるので残念でございますけれども、私の時間を十分ちょっととしておりますので、次の伊藤委員にバトンタッチして、補足すべきことは補足してもらおうと思います。  どうもありがとうございました。
  192. 中西啓介

  193. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 鉄道共済年金関係について質問をいたします。  まず、鉄道共済年金赤字についてであります。  鉄道共済年金が平成二年度から平成六年度の五年間に、一年度当たり平均三千億の赤字を見込まれているわけでありますけれども、この赤字を出すに至った原因について政府はどのように考えているのかまず質問をいたします。
  194. 小村武

    小村政府委員 お答えいたします。  鉄道共済年金問題懇談会報告書というのが六十三年十月七日に出ております。その中に、鉄道共済年金赤字の要因といたしましては、「旧国鉄共済時代の制度運営等に起因する側面」、もう一つは「産業構造の変化、人口高齢化等に起因する側面」、この二つがあるという指摘がございます。
  195. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 もうちょっと具体的にそれぞれについてお願いします。
  196. 小村武

    小村政府委員 敷衍して申し上げますと、「旧国鉄共済時代の制度運営等に起因する側面」といたしましては、旧国鉄共済組合制度面において厚生年金国家公務員共済年金よりも給付内容が有利であった、それに加えて、運営面においても、給付が最終俸給を基準とされておりましたところから、退職時の特別昇給を年金額に直接反映させていた等の指摘があります。  それから「産業構造の変化」等でございます。産業構造の変化は、先ほど来大臣からもお答えいたしておりますように、モータリゼーションの進行を背景として旧国鉄が鉄道産業としてその雇用を縮小せざるを得なかった、こういった事情があろうかと考えられます。
  197. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今、説明もいただきましたけれども、例えば旧公企体制度下において給付面で有利になっていた面、さっき退職時の特昇の話が出ましたけれども、そのほかにも幾つかの問題、過大給付に見合う保険料負担の問題もあったり、それぞれの要因があったわけであります。  大蔵大臣に所見をお伺いしたいのですが、この赤字の原因について、今も話がありましたとおりに、産業構造の変化によるものやらあるいは高齢化によるもの等もあるわけでありますが、もう一方では、先ほど説明がありましたとおりに、旧国鉄共済年金の時代の制度運営に起因する問題がこれまた多々あったわけであります。企業でいいますと、放漫経営のツケが回ってきたという側面もこれまた多々あるということであります。そういう意味で国及び管理者の責任というものがまず明確にされなければならぬ、このように思うのですね。  これは、ことしの三月の社会保障制度審議会の中でも、その答申書の中にこういうふうに書いてあります。   日本鉄道共済組合の危機的状況については、かなり以前から予測されていたところであり、本審議会もその解決策を講ずべきことを繰り返し指摘してきた。それにもかかわらず、今まで有効な具体案も提出されず今日の事態に至つたことは誠に遺憾であり、国及び管理者の責任を明確にすべきである。   日本鉄道共済組合の現今の厳しい財政の不均は、今後もその度合いを深めていくと予測される。国、国鉄清算事業団及びJR各社は、上記のような観点に立つて、今後とも費用負担の見直しを絶えず行つていく等一層の努力が不可欠である。 このように言っているわけでありますけれども、大蔵大臣の国及び管理者の責任ということについての所見を伺います。
  198. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、今お読み上げになりましたような御意見がありましたことも承知をいたしております。と同時に、国鉄国会と呼ばれました六十一年の臨時国会におきまして、いわば政府側の責任者として与野党の委員各位からの御質問を受けておりましたときの記憶も残しております。そしてさらに、先刻も申し上げましたが、昭和四十年代の後半、政府社会保障制度審議会委員を拝命しておりました当時からの記憶も残しております。その四十年代の後半に既に社会保障制度審議会において、国鉄共済については何回か警鐘が打ち鳴らされておりました。しかし当時、他の共済制度につきましては資料提供等もスムーズに行われましたけれども、いろいろな理由がありましたでしょう、国鉄共済については十分な資料提供の行われないままに答申がおくれたような事態すらあったわけであります。その後、五十一年でありましたか二年でありましたか忘れましたが、五十年代に入りまして単年度赤字が発生する状態になりました。そして、国鉄自身が分割・民営への道をたどる状況になっていったわけであります。私は、決してその中に政府責任がないと申し上げるつもりもございません。国鉄労使に責任がなかったとも申し上げません。しかし同時に、我々もまた同じように責任を負わなければならない部分があったのではなかろうか、そうした気持ちも持っております。  そうした中で、過去をあげつらうのではなく、将来の年金制度への国民の信頼をつなぎとめ、しかも制度の安定を図り、公的年金制度の一元化を進めていく、その視点の中で制度間調整を今回発足をしたいということで、御審議を願う場面になりました。今回、その制度間調整の支えを最初に受けることになりました一つが鉄道共済であり、他の一つたばこ共済でありますけれども、その中で私は、鉄道共済自体も本当に厳しい自助努力を続けられ、また既往の責任以外に新たな特別負担清算事業団も負われることになり、JR各社もまた経営の許す範囲内においての特別負担をしていくという状況になりましたことは、やはり関係者がこの制度に対し、それぞれが責任を感じ、そしてそれぞれの力の及ぶ範囲内においてこれを支えていこうとしている努力のあらわれと御理解をいただけることを切に願っております。
  199. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 鉄道共済年金自助努力について、今までいろいろなことがなされてきたわけでありますが、まずは今回の法案の前までになされてきたことについての評価を伺います。
  200. 小村武

    小村政府委員 国鉄、鉄道共済自助努力としましては、五十九年に国家公務員共済組合との統合法がございましたが、この際、国鉄共済国家公務員共済組合年金額の算定方式を一本化したということでございまして、その有利な部分がここで削除された、公務員並みになったということです。さらに、保険料率をその際一四・五八%から一六・九九%に引き上げを行っております。さらに、年金額の改定のスライドを累積一〇%に達するまで停止するという措置を講じたところでございます。さらに六十一年の共済年金改正時におきましては、国鉄共済年金について、いわば三階部分、職域年金部分についてこれを支給しないという措置をとった次第でございます。
  201. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今回いろいろな方策がとられているわけでありますけれども、既裁定年金額の減額措置、こういうのは従来はなかったわけでありますが、これはどのくらいの人が対象になるのか、そしてまたその効果としては、財政的にはどのくらいの額になるわけですか。
  202. 小村武

    小村政府委員 今回既裁定年金の減額措置を講ずる対象者は、年金受給者四十七万人ございますが、約六万人がこの対象になると考えられます。財政効果は五十億円ということでございます。なお、年金額二百三十万円以下の一般職員はこの削減の対象にはならないという見込みでございます。
  203. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今回は、今の既裁定年金額の減額措置を初めとして報酬比例部分の再評価の繰り延べ等々織り込まれているわけでありますが、それによって年金がどういうふうになるのか。特に厚生年金共済年金との関係で、今回の措置によってその結果どういうふうに位置づけられると考えられますか。
  204. 小村武

    小村政府委員 先ほど申し上げました五十九年の一〇%のスライド措置で、国家公務員共済組合に比べまして一〇%低い、おおむね現在の厚生年金の水準になったわけでございますが、今回御提案申し上げております自助努力の一環として、報酬比例部分の再評価を五年間繰り延べを行おうということでございます。この部分については厚生年金よりも水準が低くなるということでございまして、個々人によって加入年限等々が異なりますので、具体的な金額は相当な開きがございます。大体三・六%程度の報酬比例部分についてスライドを停止しよう、こういう考えでございます。
  205. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 御承知のように、今、制度間調整云々という話で厚生年金関係者からは大変強い反対もあるわけですね。そういう観点からして、今回の措置等によって制度上どういうふうに評価をしておられるのか。
  206. 小村武

    小村政府委員 今回御提案申し上げております自助努力一つとして、報酬比例部分の再評価を五年間ストップしようということでございます。今回は、厚生年金等の財政再計算期に当たりまして、報酬比例部分の見直しを行っておりますが、国鉄、鉄道共済についてはそれを行わない、その部分につきまして相対的に低い年金額、こういうことでございます。
  207. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今のは全く同じになった、あるいはそれよりもさらに不利になっているぐらいの状況にあるという意味ですか。――うなずいておられますからそういうことで。  自助努力のJR各社の特別負担の問題についてでありますが、JR各社が特別拠出金として二百億円というふうになっておりますけれども、JR各社というのは具体的にどこが、どれだけ、どういうふうに負担をするということになっているのでしょうか。
  208. 丸山博

    ○丸山説明員 JR各社の特別負担につきましては、手続的に申し上げますと鉄道共済組合の定款で定めることになっておりまして、まずJR各社の範囲を鉄道共済の一方の当事者であります各事業者間で協議、検討の上合意することになるものと思われます。  それで、二百億円の各社別の配分の考え方でございますが、これもあわせて定款で定めることになっておりまして、基本的には鉄道共済の一方の当事者でございますJR各社間で合意されるべきものであると考えております。現在、JR各社間において鋭意検討が進められております。基本的な考え方といたしましては、年金費用負担の原則でございます従業員数に関する指標を基本としつつも、会社の経営規模なども総合的に勘案しながら検討されることになるのではないかと考えております。
  209. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今のような形で、あるいは具体的に幾らになるかはそれの結果によるわけでありますが、これは先ほどもちょっと議論になりましたけれども、JR各社の経営状況は当初の予想と比較いたしますと大変よくなっているわけですね。そうでありますけれども、そのやり方いかんによっては、せっかく民営化したけれどもなかなか大変になってくるかもしれないということでもあるわけですが、今回のこの各社の負担金が各社に経営上どんな影響を与えると見ておられますか。
  210. 丸山博

    ○丸山説明員 先ほど来お話が出ておりますけれども、鉄道共済年金につきましては今後さまざまな形で各方面の理解と協力をいただかざるを得ないという状況でございます。したがいまして、鉄道共済の一方の当事者でございますJR各社に最大限の自助努力を求めるというふうにいたしまして、金額といたしましては、年金受給者の自助努力とのバランス、鉄道の再生を図るという国鉄改革の趣旨等を総合的に勘案いたしまして、二百億円としたところでございます。  しかしながら、国鉄改革は緒についたばかりでございまして、JR各社にとりましても、JRが引き受けました国鉄の長期債務の早期償還などを早期にやりまして、健全経営の基盤の確立に向けてなお一層努力が必要であります。それから、特にJR株式を早期かつ効果的に売却いたしまして、事業団の長期債務をなるべく償還いたしまして国民負担を少なくするという観点からも、JR株式の早期かつ効果的な上場を図るための条件整備も必要でございます。また三島会社につきましても、先ほど申し上げましたように、構造的には極めて厳しい状況でございます。したがいまして、JR各社とも経営的には非常に厳しい状況ではございますけれども、各方面の理解と協力をいただかざるを得ないという状況でございますので、今申し上げましたこの特別負担の二百億円につきましては負担してもらわざるを得ないと考えております。     〔委員長退席、平沼委員長代理着席〕
  211. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今話の出ました清算事業団についてお伺いしますけれども、清算事業団が今度特別負担として八百億負担をすることになっておりますけれども、もう一方で制度間調整ということで厚生年金等に千四百五十億円負担をしてもらうというような状況になっているわけでありますが、本来厚生年金等の関係者に持ってもらういわれはないということだと思うのです。そういう意味でも、この清算事業団負担を増額することによって厚生年金等の千四百五十億円の負担を減らすということを考えるべきであろう、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  212. 小村武

    小村政府委員 清算事業団につきましては、国鉄追加費用につきまして既に清算事業団の債務二十七兆円のうち四兆七千億円がかっての国鉄事業主としての負担分が承継されておりまして、今回新たに特別の負担をさせよう、こういう考え方でございます。ただ、この特別の負担といいますのは、旧国鉄時代に事業主として負担が十分でなかった掛金の不足部分について今回八百億円の負担をしていただこう、こういう考え方のもとでスキームを設定したわけでございます。
  213. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 清算事業団の方に負担を増額するという話は、それこそ今日に至る赤字を生み出してきた要因の一つが、最初に大臣にも申し上げたとおりに、あるいは大臣もお答えになられたとおりに、国や管理者の責任というのは極めて大なわけですね。では、それをだれがどうやって負担をするかという話の問題だと思うのですね。そのときに、今厚生年金の被保険者等が本当に納得をして負担することができるのだろうかと考えたときに、私はそれはなかなか難しいのだろうと思うのです。そういうふうに考えたときに、清算事業団の形でそれを負担するという話は、もちろん間接的にはこれは税金でという話もこの中に含まれてくるだろうと思うのですね。しかし、不公平感をより減らす意味ではその方がよりベターだ、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  214. 小村武

    小村政府委員 清算事業団負担は、何でも負担はできるということではございませんで、やはり理屈の通った範囲内において負担をしていただこうという考え方でございまして、先ほど申し上げました旧国鉄時代の事業主としての負担が十分でなかった部分について事業主の地位を継承した清算事業団がそれを負担する、こういった考え方で行っております。委員指摘のように、清算事業団負担は最終的には国が処理することとなっておりますので、何でも国の負担がふえればという考え方によってまいりますと、年金制度に対する公的負担のアンバランスが生じてくるということで新たな問題が発生するということでございまして、理屈のつく範囲内で今回そのスキームを設定させていただいた、こういうことでございます。
  215. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 先ほどの私の意見はまた十分に検討していただきたいと思いますが、さらに先ほどちょっとJRの株式売却のことについて触れられましたけれども、このJRの株式売却について、いつ、どのようにこれからその売却をしていこうと考えておられるか、考え方をお答えいただきたいと思います。
  216. 宮崎達彦

    宮崎説明員 JR株式につきましては、事業団が一〇〇%保有しております。先生御承知のとおりかと存じますが、清算事業団は二十七兆円の莫大な債務を抱えておりますために、土地とともにJR株式につきましてもできるだけ早期に、しかしながらかつ効果的に売却しなければならないと考えております。  そのJR株式の効果的売却という意味では、その前提になりますのがやはりJR各社の上場ということが必要になろうかと思いますけれども、六十三年度までの決算を見た状況におきましては、各社とも純資産の額なり利益額を一定の期間達成するというような上場の基準に未達成な状況でございます。ただ、各社の経営が思いのほか改革当初見込みましたよりは順調でございますので、比較的早期に上場も可能になるのではないかというふうに期待しております。  ただ、どのような方法でということにつきましては、また関係の財政当局その他証券当局等JR各社ともいろいろ関係者と御相談しながら、今後検討していきたいと考えております。
  217. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 大蔵大臣、いかがですか。
  218. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今基本的にお答えのありましたとおりでありますが、私自身としては、できる限り早く、完全な民営化の実を上げるためにも株式の上場売却ができる日の近づくことを願っております。そのためにも、今回の鉄道共済による特別負担といったようなものがこれ以上経営を圧迫する要因にならないことを願っておる次第であります。
  219. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 できるだけ早くということでありますが、大体いつごろというようなめどはいかがですか。
  220. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 大変申しわけありませんが、あれは何か上場までの期間が定められておるルールがあるようでありますが、私はあの辺の手続をよく存じませんので、ちょっとめどを申し上げる自信がありません。
  221. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今のJRの株売却に関連して思い出されるのはNTTの株でありますけれども、NTTは過去三回放出をしてきたわけですね。そのときに最初の価格は百十九万七千円だったでしふうかね。二回目が二百五十五万円、三回目が百九十万円、現在は百四十数万円のところにあると思いますけれども、この間雑誌を見ておりましたら、雑誌の中にこういうのがありました。  今NTTが子会社等たくさんつくっております。郵政省の方から聞いてみますと、民営化後に百十数社子会社等をつくったそうであります。その中で、NTTの本社が現物出資で土地を出したその土地の面積が三十三万六千九百三十五平米あるそうであります。これは簿価で現物出資いたしますね。そして、この土地の簿価が二百二十六億だそうでございます。郵政省の説明ですと、こういうふうになっております。これを現在の時価に換算いたしますと、大変な額になると思われるわけですね。そして、ここのNTTの決算は連結しているのが一社だそうであります。一社のみを連結決算でやっているそうであります。こういう状況は、NTTの性格あるいは株価のトレンドというか大きな流れから見たときに、どういうふうに影響するかしないか。ある雑誌ではこの問題について、株価を構成する上では、株価に対してはかなりマイナスファクターで戻すというような書き方をしてありました。これはどのように見られますか。
  222. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 NTTの株価の点につきましては、いろいろな要素がございますので、証券当局としましてこれについて何か申し上げるのは適当ではないと思いますので差し控えさせていただきたいと思いますけれども、ただいまの連結の問題についてちょっと御説明させていただきたいと思います。  確かにNTTの場合には、最近におきますところの有価証券報告書の連結情報、これは平成元年の三月末を前提としまして本年六月末に提出されたものでございますが、いわゆる子会社、五〇%以上をNTTが出資しています子会社が七十六社ございます。それから関連会社、二〇%以上五〇%未満の出資会社が六十一社ございまして、そういう意味で百三十七社ございます。そのうち連結の対象になっておりますのは、今御指摘のようにNTTデータ通信一社だけでございます。  そこで、連結の取り扱いでございますけれども、一般に企業会計上連結財務諸表を提出する会社は、すべての子会社を連結の範囲に含めることが原則でございますけれども、そのうち資産とか売り上げとか収益の状況から見まして、それを除きましても企業集団の財政状況の把握に対してさして重要性を持たないものにつきましてはこれを除外してもいいということになっておりまして、そういった観点から現在連結対象になっておりますのはNTTデータ通信のみでございます。  ただ、連結情報というNTTから提出された書類を見ますと、連結されてない非連結子会社、七十五社ございますけれども、その総資産、売上高あるいは当期純利益の連結子会社の純損益に占めるいろいろな割合を見てみますと、NTT総体を一〇〇といたしまして、こういった七十五社の合計が総資産におきましては一・二%、売上高におきましては一・五%、当期純損益では△〇・四%ということでございまして、そういった意味では七十五社を連結の対象に含めるといたしましても、さほど大きな重要性を持たないということからこれを除いているわけでございます。そういった意味では、今申しましたように、これらを連結しましてもNTT全体につきましてそれの財務諸表に与える影響はさほど大きな重要性を持っているものとは考えられないのではないかというふうに考えております。
  223. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私が今申し上げたことについて、郵政省の意見はありますか。
  224. 有村正意

    ○有村説明員 株価の問題につきましては、今大蔵省御当局からお話しなさったとおりでございまして、私どもといたしましてもコメントを差し控えさせていただきたいと存じます。  NTTの子会社等への投資につきましては、昭和六十年の民営化に際しまして、臨調答申等もございまして、合理化推進の観点から公益上支障のない限り弾力的投資活動を行わせることは適当であるというふうに判断いたしまして、特に投資規制を設けておらないところでございますけれども、ただいま先生が御指摘なさいました子会社等への出資に用いられる土地等のNTT資産は、公社時代に加入者による電電債引き受けなどにより形成されたいわば国民共有の財産でございますので、そういった観点から特に土地等を出資いたしますものについてはNTTが一〇〇%株式を保有するといったようなこともやっておりまして、そういった点では、子会社への土地等の資産による出資につきましては十分な配慮をしていきたいというふうに考えておるところでございます。  また、連結の関係につきましては、ただいま大蔵省から御答弁ございましたように、子会社の比率が非常に小さいわけでございますので、そのようなことではないかというふうに考えておるところでございます。
  225. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 残り時間が余りありませんので、ちょっと消費税の問題についてお伺いをいたします。  今、参議院では消費税の廃止法案等の審議が行われているわけでありますけれども、自民党の方で見直し案等いろいろ検討もされ、また報道もされたりしているわけであります。食料品の非課税の問題について検討をされ、そして海部総理も前向きに検討する旨を表明したりしております。政府の税調の中では、この食料品の非課税という問題が税制を複雑にするなりあるいは混乱を招くので避けるべきじゃないかというような意見も多いように報道もされたりするわけでありますが、政府の税調の検討状況と、それから政府税調と自民党の意見が異なった場合には政府としてはどのような対応をすることになるのか、説明をお願いします。
  226. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 まず、政府税調の審議状況でございますが、ただいま実施状況をフォローアップ小委員会ということで検討を続けておりまして、消費者、事業者各方面からのヒアリングを終わりまして、最終的な検討を続けているところでございます。小委員会から総会に対しまして、十一月中にも御報告があるというように承っているところでございます。  それから、政府税調と党税調の間で食い違いが起きたらどうかという問題でございますが、そういうことが起きないように私どもこいねがっているわけでございますけれども、もしもそういうような状況になりましたときには、政府税調の答申等を踏まえまして、いろいろ検討を加え、与党側ともよく調整をしていきたいと考えております。
  227. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今、食料品の非課税等いろいろ言われているわけでありますが、これはどういうやり方をするかによって変わるでしょうけれども、大体どの程度それによって減収になると思われるのか、もしもそのときには、その減収分に対して何で対応をしようと考えられるのか、御説明をお願いします。
  228. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 まだ具体的に内容が固まっているわけではございませんので、減収額につきまして確たる計算を行っているということをしてございません。そういう状況にございますことを御理解いただきたいと存じます。  一般的な話といたしまして、かなりの減収になるということが起きました場合には、各種歳出の見直しでございますとか、不公平税制の是正でございますとか、いろいろな点から検討いたしまして、平成二年度の予算編成の中で国民の納得が得られるように適切に対応していきたいと考えております。
  229. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 つい先日の新聞にこういう記事が出ておりました。「企業の交際費などの消費税分が「仕入れ税額控除」の適用を受けていることについて、控除を認めるのは不適当だとの認識で一致、控除を認めない方向で検討することになった。」というのが自民党の税調の話として出ておりました。これは二重課税を防ぐという意味で考えれば、税額控除をすることが税理論上は正しいんではないか、こういうふうに思いますけれども、大蔵省としてはどのように考えますか。
  230. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 確かにそのような議論がございます。諸外国の例も調べてみましたが、幾つかの国におきまして、特定の交際費でございますとか、あるいは乗用自動車の取得などにつきまして仕入れ控除を認めないというやり方をとっている国がございます。  その際、それらの国の考え方といたしましては、企業の消費、原則として経費になるわけでございますけれども、その実態におきまして個人消費とほとんど同じものであるというようなものについては、他の経費のように仕入れ控除を認めないで、ほかの個人の消費と同様に負担を求めてはどうか、そういう考え方のもとにそういうやり方をしているようでございます。具体的な例といたしましては、フランス、イギリスにおきましてそういう考え方がとられております。なお、西ドイツはそういう考え方をとりませんで、我が国の消費税と同じように全部仕入れ控除するというやり方でございます。
  231. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 時間がほとんどなくなりましたけれども、大臣に最後にきょうの年金との関係でちょっとお伺いしたいのですが、この消費税の導入と年金の問題、それについての所見をお伺いしたいわけであります。  消費税の導入、これはそれぞれ見方があるわけでありますが、消費税を導入しようとしたときに、それはいわゆる不公平税制の是正のためであり、高齢化社会への対応のためにこういういわゆる大型間接税を導入したということだと私は思うのです。そういう背景があって、ちょうどそのタイミングに年金改革の問題を出そうとしておる。いわゆる高齢化社会への対応ということを考えたときには、年金制度の問題は最も重要な柱だと私は思うのですね。そのときに、消費税から上がってくる税収について、この年金制度上ほとんどそれは私は反映をしていないと思うのですね。こういうやり方をしていることがますます国民に対してわからなくしている、理解しにくいものにしている、こう思うのですね。私は、実は年金の問題について、これは税と保険との関係をどうするかということを考えたときに、税の負担する部分をもう少しちゃんと位置づけた方がいいと思ったりします。そのために、例えば今一階部分の基礎年金の部分を国庫負担分が三分の一ありますけれども、これを二分の一あるいは三分の二あるいは全部消費税のような税で負担をするというような考え方というのは非常に好ましい体系だと私は思います。  いずれにしても、こういう年金改革をやるときに、その年金の中に消費税というようなものがちゃんと組み込まれていないようなやり方をすることについて、大臣としてどのように考えられます     〔平沼委員長代理退席、委員長着席〕
  232. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは私は、委員のお考えを決して真っ向から否定するつもりはありません。むしろ一つの考え方として十分成立し得る考え方だと思います。しかし、現に既にスタートをしている制度を引き継いで、それを国民に御理解を願い、定着を図るのが私の責務であります場合において、全く白紙で物を書く状態とおのずから議論の性格が変わることも御理解をいただきたいと思うのであります。  一方では、この何年間か年金の改革あるいは医療保険制度の改革、それぞれが進められてまいりました。そして、保険の仕組みの中でそれぞれがシステムとして機能をいたしております。その場合に、その保険のシステムとして確立しております中の国庫負担に新たに生まれました消費税を導入することが、制度全体の視点をぼやかしてしまう可能性を持つこともまた否定できないと思います。それと同時に、将来の高齢化社会の我が国においてあるべき姿のうち、やはり中心として我々が補強していくべきは公共福祉サービスの部分ではなかろうか。そうした点にむしろ使わせていただけるものならば、思い切って使わせていただきたい。そして、保険システムにのっとった医療保険制度及び年金制度と相まって、消費税によって支えられる公共福祉サービスが日本の高齢化社会を支えてくれれば、そのような願いを持っております。
  233. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私の意見は、また改めていろいろな機会にと思っておりますが、しかし今後の日本年金制度等を考えたときには、税と保険とをどういうふうに組み合わせるかという問題は極めて重大な問題だ、こう思っておりますし、また、大臣もよろしくお願いをしたいと思います。  以上で終わります。
  234. 中西啓介

    中西委員長 正森成二君。
  235. 正森成二

    ○正森委員 私は、まず鉄道共済問題について同わしていただきたいと思います。  元来、鉄道共済年金というのは、昭和三十一年、旧南満州鉄道職員などの恩給制度を引き継いで成立した年金で、スタート当初から年金受給者が多かったことは御承知のとおりであります。その上、相次ぐ国鉄の合理化で年金を支える現役職員が減少し、年金財政が急速に悪化したわけであります。それで、先ほどからの同僚委員との質疑を聞いておりますと、大蔵大臣年金財政悪化の原因について国の責任について言われましたときに、それもさることながら国鉄の労使のあり方というのに問題があったのではないかという答弁をなさったというように思います。(橋本国務大臣「もです」と呼ぶ)もと言われるとちょっと後の質問がしにくいのですが、どうも国鉄の労使に比較的重点を置いたかのように私は承っております。違うなら結構です。  そこで、きょうは清算事業団もたしかお見えになっていると思いますので伺うのですが、私が六、七年前に当時国鉄共済事務局の管理課長だった長野さん、今事務局長に昇格しておられるようですが、「季刊人事行政」に論文をお書きになりましたね、それを引用したことを覚えておられると思いますが、現在でも私は妥当性を持っているので一部申し上げたいと思うのですが、こう言っているのですね。  現在国鉄は、戦前から戦中にかけて大量に採用した職員の退職時期をむかえている。 これは昭和五十八年に書かれた論文ですが、   当時、国鉄は応召・外地派遣の補充と戦時輸送力の増強のため大量の新規採用を行ない、戦後しばらくの間も、復員者・外地引揚者の吸収を行なった。このため職員構成上大きな歪みが発生したが、これらの職員が五十三年から十年間の間に年平均二万人のペースで退職している。このことが成熟度を急速に高めつつある大きな要因となっている。   他方、組合員は年々減少を続けておる。新法が施行された昭和三十一年の時点で四十九万人が現在四十万人を割り、六十年には三十二万人に落とすよう計画を推進中である。 これが今回の民営化でさらに二十二万人になったということは御承知のとおりであります。  大臣はよく御承知と思いますが、追加費用というものがあるのですね。追加費用について当時の長野管理課長はどう言っているかといいますと、   追加費用昭和三十一年以前の恩給及び旧法時代の給付に対する負担金である。鉄道院や鉄道省の時代に、他の官庁と同様に国家が職員に対して約束した恩給等の給付の義務を国鉄が継承したものと云える。よく云われる満鉄引揚げや、戦時中の応召による外地鉄道期間や軍人期間等もこの中に含まれている。これらの給付国鉄共済負担にはなっていないが、国鉄財政にとって大きな負担となっている訳である。 というように言いまして、   かりに国鉄を民営にすると云うのであればそれを引き受ける経営者は当然これらの負担除外してくれと主張するに違いない。 まさにそうなったのですね。  臨調でもこの問題が大きくとり上げられた訳であるが、これらの追加費用負担の金額もしくは一部妥当な負担金額を超えるものは当然国庫が負担して然るべきものであろう。 こう言っているのです。これは何も民営化されてからそうであるのではなしに、民営される前からも国鉄が当然国家に対して要求し得るものであったと私は思います。であるからこそ、今井一男さんという国家公務員共済組合審議会の会長がおられ、その方のお書きになりました「共済年金基本問題研究会を終えて」という論文でもこう言っておられるのです。  戦前には、特別会計や公企体を 公共企業体のことですね、  公企体を公経済としてこれに負担させても、それなりに根拠があった。だがいまはちがう。労働管理ではなく、社会保障だからである。社会保障となると再分配が重点となるから、どうしても税から賄わなければ、理屈は通らない。新日鉄や日立、日銀から各種公団までが、その年金の二割をわれわれの納める税金で支弁しておきながら、 現在では基礎年金の三分の一に変わっております。  鉄道、煙草、電話の利用者だけに、この特別な負担がかかるとは、どうあっても不公平であって承服しかねる。財政再建の時代であっても、この筋は改むべきである。これは今井さん、審議会の会長が言っておられるのですね。  私は、これは当時も正論であったし、現在でも顧みて正論であったというように思うのですが、大臣のお答えの前に、国鉄はどう考えておりますか答弁してください。清算事業団
  236. 長野倬士

    長野参考人 私の課長時代の論文でございますが、そのときに指摘しておりましたことは、鉄道共済をめぐる問題が二つございまして、一つは当時年金負担国鉄の経営を圧迫しておったという問題と、共済組合自体の運営が将来問題になるというようなことをその論文で書いたと記憶しております。  先生御指摘の面は、特にその前者のことでございますが、この前者につきましては、橋本運輸大臣時代の国鉄改革によりまして、追加費用事業負担ということでJRの負担から除外されまして、現在JRが黒字で経営できるというのはそれが除外されたからではないか。そういう形で国という形にはなりませんでしたけれども、事業団がそれを引き受けるという形でその問題が解決して、経営上の問題は解決されたというふうに考えておりますが、あとの共済組合プロパーの問題が、それはまた別途に三十一年以降の問題として大変でございました。これが今回の救済問題ということにつながってきたというふうに理解しておる次第でございます。
  237. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 それぞれ読み上げられました論文を決して私は頭から否定をいたすつもりはありません。ただし、それらの論文に一つ完全に抜けておりますのは、旧国鉄時代何回指摘を受けましても退職時給与をベースとした年金体系をお変えにならなかったということであります。厚生年金はもちろん御承知のとおりでありますし、また国家公務員共済にいたしましても、何年まででしたかちょっと私忘れましたけれども、随分長い間直近三年を標準として年金を算定いたしておりました。その後改定をされましたけれども、直近一年の期間をもって運営をされておるわけでありまして、退職時給与をベースとして制度を続けてきたものは国鉄共済が代表的なものと私は理解をしております。  また、それが先ほど私が労使もと申し上げましたと言いましたけれども、どうゆがめられたかというのは、例えばマル生運動のときに管理者側からその共済の受給権を一つの組合から組合への移しかえの口実として使われたケースが多数露呈をした事実等を考えてみても、共済制度自体が退職時をベースにしていたためにいかにゆがめて使われたかということは証明できるのではないでしょうか。
  238. 正森成二

    ○正森委員 大臣の言われたことも私は承知しております。また、肩たたきに使われたということも承知しておりますが、しかし、それはそれで国鉄の労働者の皆さんから見ると言い分があるのですね。  ここに私は要請書を持ってきておりますが、こう言っているのですね。  私たちの年金で退職時の特別昇給が問題にされています、 特別昇給して退職をさせたのですね。すると、それが年金にはね返る。  これは退職年齢の紛争の解決策として、公共企業体等労働委員長の職権斡旋によって、五十五歳退職の条件として特別に昇給させて退職させるとしたもので、これを今になって否認するとしたならば、労働権の侵害という面でも大きな問題となるのではないでしょうか、 つまりこの言い分は、公共企業体等労働委員長の職権あっせんで、五十五歳退職等が争われておったときに、退職にするけれども年金は特別昇給で優遇するということで、プラスアルファとして早く退職するのに認められたものだ、それが十年もたってからカットされるのはひどいではないか、こういうことを言うておられるのです。  私は、もちろん大臣が御指摘になったような点もそれはあったかもしれないと思っておりますが、しかし大きな筋としては、国鉄のOB、現役の労働者にも直接の責任がない太平洋戦争のときの満鉄の職員が帰ってきた、あるいは当時の戦時輸送あるいはモータリゼーションというようなもの、そして国鉄の合理化、民営の負担を、もちろん国も清算事業団も、大岡越前守の三方一両損を五方一両損にしたぐらい今度の法案はいろいろ苦心して考えているのです。それはわかりますが、国鉄のOBやら現役、特に既裁定の分まで下げるという非常な荒療治を今度やっておりますので、それは酷ではなかろうかということの理由の一つとして申し上げたわけであります。しかし、この法案が御苦心の作であるということもある程度はわかっております。ですから、この問題についてはこの程度で、次に移らせていただきます。  次に、国公共済について若干伺いたいと思います。  前回、六十二年のときだったと思いますが、短期給付は、今度は標準報酬の上限を健保並みに七十一万円にするということになっておりますが、当時は長期と同じでございました。そこで私が質問いたしましたら、当時の篠沢主計局次長が、長期と短期をあわせた総合保険だ、基準を統一しておくのが適当であり、事務上も簡便であるとか、制度改正で標準報酬制度は導入されたばかりで、定着には相当の時日を要するので短期と長期が違うのはやむを得ないというような答弁をされたことが、ここの議事録に載っておるのです。今度、短期については健保並みにお変えになったということは、これはこれで給与の高い方からも保険料を適正に取るという意味でいいことだと思うのですが、そうすると、二年足らずで見解を変えられたわけですね。
  239. 小村武

    小村政府委員 二年前に委員から御指摘を受けたことは、私どもも承知しております。  六十一年の大改正で本俸から標準報酬制度に切りかわったということで、当時もお答えしておりますように、まだ制度の定着化というところに自信がなかった、複雑化を避けるために長期も短期も同じ標準報酬をとらせていただいた、今回は七十一万円に短期の方を上げさせていただいておりますが、最近の短期給付事業財政事情等も考えまして今回健保並みに改めさせていただいた、こういうことでございます。     〔委員長退席、村井委員長代理着席〕
  240. 正森成二

    ○正森委員 いい方に変えられたわけですから、過去のことをとやかく申さないことにいたしたいと思います。  次に、大蔵大臣に伺いたいと思います。きょうは厚生大臣あるいは局長がおられませんので、ここは共済年金でございますから厚生年金の基本的なこと等について詳しく聞くつもりはございませんけれども、しかし大臣のPR作戦ですか、「もう一度、お話させてください。消費税について。」という中でも高齢化社会の問題が出ておりますので、一言だけ伺わせていただきたいと思います。  といいますのは、高齢化社会になることは事実なんです。しかし、それについての過去十年余りのPR、特に一九七〇年代の終わりのPRというのが少し事実に反し、あるいは事実に反しないまでも、著しく誇張する重点が人を誤らせるものがあったというのは事実ではなかろうかというように私どもとしては思われる点があるわけであります。例えば年金基本構想懇談会報告というのが一九七九年四月に出ております。あるいは生命保険協会が一九八二年にいろいろな見解を出しておりますが、それなんかを拝見しますと、物事が非常に大げさに書かれているという点を指摘せざるを得ないというように考えるわけであります。どういうぐあいになっているかといいますと、こういうように言うているのです。例えば年金基本構想懇談会報告を見ますと、  「第一は、人口高齢化の程度が激しいことである」として、日本の老年人口比率は二〇二〇年に一八・八%に、老年人口指数(一五歳以上六五歳未満人口、すなわち「生産年齢人口」を一〇〇とした六五歳以上人口の指数)は三〇・三に達するとされているのにたいして、スウェーデンでは一九九〇年の老年人口比率一六・一三%、老年人口指数二五・七をピークとして「その後下降するものと予測され」、イギリスでも「一九八〇年に老年人口比率一四・一四%、老年人口指数二二・六をピークとして下降に転ずるものと予測されている」 と言うているのです。あるいは生命保険協会に至っては、  欧米諸国の老年人口比率は現在一四%程度であり、日本も二〇年たらずでこの水準に達するが、「欧米諸国の老齢人口比率がこの水準からほぼ横ばいないし低下の方向をたどっていくのに対し、わが国の老齢人口比率はこれから急ピッチで拡大し、二一世紀半ばには、総人口の四人に一人は老人という、いまだ世界のどの国も経験したことのない世界の老人国となっていく」 というように書いているわけであります。これで大きなPRが行われたわけです。  ここに私はOECDの一九八八年の「エイジングポピュレーションズ」という統計資料等を持ってまいりましたが、これに載っておりますけれども、これを見ますと、OECD加盟二十四カ国の中で十八カ国までが、二十一世紀半ばになりますと二〇%以上になるのです。そして、日本は決してトップではなしに第八番目です。日本よりも上のものを挙げてみますと、スイス二六・三%、西ドイツ二四・五%、デンマーク二三・二%、スペイン二二・九%、フィンランド二二・七%、イタリア二二・六%、オランダ二二・六%で、その次が日本の二二・三%、フランスと同率であります。  だから、こういう点を見てみますと、著しく高齢化社会だ、しかも世界に例がないというようなことを言うていたのは、厚生省、事実と違うのじゃないですか。あなた方もここ二、三年の書類で言い方を少し変えて、その仲間の一人になるというような言い方に変えたようでありますけれども、制度を変えてしまってから本当のことを言ったってだめなんで、変えるまでの十年くらい前にこういうPRをどんどんやって世を惑わすということは、これは政府としてよろしくなかったのじゃないですか。
  241. 横尾和子

    ○横尾説明員 まず最初に、御指摘のOECDの人口推計でございますが、この人口推計は推計の仕方に一定の制約がございます。これは共通した国際比較を目的としておりますので、それぞれの国の出生であるとか平均寿命の伸びについて、個別のそれぞれの国に適した前提を置くのではなくして、いずれの国も足元の数字の出生数が一定期間継続した後に出生数が回復して、いずれの国も二・一〇まで回復する、それから死亡につきましては今後いずれの国も寿命が二歳程度延びる、こういう共通の前提を置いております。そういたしますと、これを日本の事情に当てはめますと、出生率については若干高目の前堤を置いたことになりますし、死亡率についてはかなり甘い見通し、つまり日本では二歳程度以上に平均余命が延びるという前提を置いておりますので、そういう意味で全体として日本の高齢化比率が下がるような前提を置いているものと私どもは判断をしております。  したがいまして、このOECDの他の推計はそのままにいたしまして、日本の人口推計は、人口問題研究所の我が国の実情に即した前提を置いて推計いたしますと、やはり二〇五〇年の時点では日本は世界で有数の、トップの高齢化になるのではないかと思われますし、その速度と申しますのも一番速い速度、細かな数字は一三・二ポイントと一二・九ポイントというような差になりますが、その速度の速さは、従来厚生省が御説明申し上げたような深刻な問題であることには変わりがないのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  242. 正森成二

    ○正森委員 今、OECDの前提は一定の前提を置いているというようなお話があり、日本はその一定の前提ではなしに日本に適した条件で考えるとこういうぐあいになるというお話がありました。こういうように今から五十年、六十年のことは、それは前提の置き方でいろいろ変わるわけですから、厚生省の言い分もそれはそれなりで通用すると思うのですけれども、少なくとも十年ほど前に言われました、世界に例のないようなそういう高齢化社会が出現するというようなことは、OECDで一定の条件を置いてほぼ二十四カ国中十八カ国が二〇%のラインを超える、日本では八位くらいであるということで、日本独特の条件を加味しなければこれは特に日本が一番だとか二番だとか言えないというようなところから見ても、強調し過ぎであったというように思われます。  また、高齢化の速度ですけれども、これもやはりOECDの特定の出生率等の前提を置いたものだと言うかもしれませんけれども、大体同じように八%くらいから一五%くらいに達するのに、イタリアやオランダやカナダも大体五十年から六十年くらいの間だということがOECDの資料で言われております。そういうぐあいになりますと、高齢化が物すごい上にその速度がまた猛烈に速いというのも、これは著しく国民を惑わすものを言ってきたというように私は言えるというように思わざるを得ないわけであります。  いずれにしましても、きょうは時間の関係で多くは言えませんけれども、私が予算委員会で言いましたように、経済や財政で問題とすべきは、高齢者が人口の中でどれくらい占めているかということではなしに、まさに経済を支えているのは就労人口ですから、就労者が国民全体の中で何%を占めるかということが非常に大事だ。私どもの不破委員予算委員会で十月十二日に言いましたように、それを調べてみますと、大蔵大臣も御記憶だと思いますが、大体就労人口は全人口の四八%というのが、現在も三、四十年先も変わらないという数字も出ており、それを指摘しているということを申し上げたいと思います。ただそのときに、後で私が質問いたしましたら、政府なり国が教育などに投資する、そういうことが数えられていないのじゃないかとかいろいろおっしゃいましたが、しかし私は申しませんが、私が分析しました「高齢化社会は本当に危機か」という本にはそれが書いてございましてね、大臣。教育に対する投資、それに匹敵するものは老人ホームに対する国の投資及び措置費ということなんですが、それらを考慮しましても高齢化社会は十分に支えられるという研究ができておりますので、そのことも指摘しておきたいと思います。  何かございましたらおっしゃってください。次の質問に移ります。
  243. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、たしかあのとき、従属人口と就労人口の関係で委員から御指摘がありましたときに、同じ従属人口でありましても、児童の占める部分と高齢者の占める部分、その比率によって大きく負担は変わるということを確かに申し上げました。また、今委員が御指摘になりました「高齢化社会は本当に危機か」ですか、そこの中の数字もいろいろ拝見をいたしましたけれども、その中でも、例えばOECD報告でも指摘をしておりますように、今世紀末までの二十年間の高齢化スピードというものは、際立って日本と西ドイツが高い。そうすると、それ以前の段階の高齢化率を考えれば、日本の高齢化率は非常に高いと申し上げていることは決して不正確ではございません。そして数字の上で、厚生省からお答えがありましたけれども、老人人口率が七%から一四%になるまでの所要年数で比較した数字でも日本が二十五年、今委員がおっしゃいましたように、なるほどイギリス、西ドイツは日本に近い数字と言えるのかもしれませんが、しかし四十五年。日本は二十五年であります。アメリカが七十年、スウェーデンが八十五年、フランスが百三十年というものを考えてみますと、確かに日本の高齢化のピッチは速いのです。ですから、私は、決して国民に対して恐怖を与えたり、そんなつもりで物を申しておるのではございません。しかし、ただいたずらにバラ色の夢を描くことが国民に対して真実を述べることではありませんし、数字というものは見方によってそれはいろいろなとり方はできましょう。しかし、やはり基本的に非常にピッチが速く進んでおるという事実は否定のできないことだと思っております。     〔村井委員長代理退席、委員長着席〕
  244. 正森成二

    ○正森委員 多くは申しませんが、大臣が言われましたけれども、OECDの資料では日本と同じように高齢化になっていく、それは日本、イタリア、カナダですね。そういうのは余り変わらないのですね。それから、スウェーデンの例を挙げられましたでしょう。スウェーデンの例を挙げられましたが、スウェーデンが本当に高齢化社会に対応して施策を始めるのは一九五〇年以後なんですね。一九五〇年以後の約二十年くらいで立派に対応できる制度をつくったので、そんな百何十年前から言い出したら、封建制度の時代から高齢化社会についてその制度をしていなければ間に合わないということになる。先進の福祉国家と言われているところでも、いろいろ制度をつくり始めたのはここ二、三十年、まあ二十年くらいなんですから、八十年前から高齢化社会が始まったとか、ひどいところは百何十年前から始まったと言われましても、近代の政治学的には余り意味を持たないのではないかということだけを申し上げまして……(橋本国務大臣「そんな言い方はしていませんよ」と呼ぶ)大臣の申されていることを全面的に否定しているのじゃないのですけれども、それはある程度わかっておりますが、申し上げます。  この資料を配ってください。済みません、委員長にはこれはもうお示ししてありますが、純粋の数字だけの資料ですから。大臣にお渡ししてください。それから厚生省の彼に。――委員皆さん、手に入りましたですか。委員長、申しわけございません。  これは、私が事務局と相談をしまして仮につくりました資料であります。題が「基礎年金収奪試算」となっておりますのが、お気に召さない点があるかと存じます。本当は基礎年金試算とするのがより公正であったと思いますが、少し勇み足になりまして「基礎年金収奪試算」と書いてありますが、内容を御説明すると、なるほど正森がこういう題をつけたのも無理はないとすべての委員に御納得していただけるかと思います。  この前提として、厚生省年金の再計算のときの前提ですね、それは私の承知しておりますところでは、物価上昇率がたしか二%、それから年金の改定率が四%でしたか、それから運用の金利が五・五%というようにしてなさっていると思いますが、それで合っておりますか。
  245. 阿部正俊

    ○阿部説明員 今回の財政再計算によります長期的な財政見通しの前提になっております物価あるいは年金改定率、運用利回りについては、先ほど先生御指摘ありましたように、物価につきましては年率二%、年金改定率は原則として四%、運用利回りは五・五%というような見通しに立って将来の財政の見通しを立てておるというのは、事実でございます。
  246. 正森成二

    ○正森委員 大蔵大臣、これは基礎年金の試算でございますからもちろん基礎年金についてでございますが、この前の改正で、基礎年金共済年金受給者も厚生年金受給者も国民年金受給者も共通であるということで、いわゆる二階建てあるいは三階建てになっているわけですから、これは全部に共通するところであります。  そこで、これを見ていただきますと、今お話がありましたように、物価上昇率を二%と見ているのですね。そして物価だけでなしに賃金も上がりますから、その改定を含めて四%、それから運用金利は五・五%と見ているわけですね。ですから、五・五%から物価上昇率二%を引きますと、これは実質金利と呼んでいるのですが、ほぼ三・五%である。複利計算ですから、本当は三・四%くらいになるのかもしれませんが、三・五%くらいになる。そこで、この計算では国民が納めました保険料が年に三%の割合で運用されるというように見ております。  ですから、加入年数が一で年齢二十の人は、来年四月一日から八千四百円保険料を払う。つまり一年間に十万八百円払う。そうしますと、利子は千五百十二円つきます。なぜ千五百十二円になっているかというと、三%掛けると三千二十四円になりそうなものなのですけれども、年度の初めに納めたものと終わりに納めたものでは違ってくるのは当たり前ですから、それを二分の一にすると初めのものも終わりのものもちょうど平均するということになりますので、初年度の分については一・五%を掛ける。そうしますと、一年たちましたら十万二千三百十二円になる。二年目は、厚生省の計算では保険料が四百円上がりまして八千八百円になる。そうすると保険料は十万五千六百円で、前の年と足すと二十万六千四百円になる。それに対して利息が今度は前の年の分は丸々一年分入ります。次の分は二分の一加わるということで計算すると、残高が二十一万二千五百六十五円になります。そういうふうに四十年納めまして、加入年数四十年のところを見ていただきますと、えらいもので、保険料は六百七十九万円に積み立ててなるのですが、利息がつきますから残高は千二百二十四万円余りになります。これを五年間据え置きますから、六十四歳の終わりのところを見ていただきますと、千四百二十万円になるのですね。これを六十五歳から五万五千五百円ずつもらっていきますから、六十六万六千円ずつ引いていくことになります。残ったものにもやはり利息が三%加わるということで、自分の納めたものをもらい切るまでに一体どのくらいの年数がかかるかを計算したのが、これなんです。  そうしますと、ここにおられる委員諸君も、男性は情けないことに平均寿命が七十六歳なんです。女性は少し長生きで八十一歳ですが、仮に八十歳で亡くなるといたしますと、八十歳のところを見てください。九百十六万円余りまだ国に残したまま死ぬことになります。まけて九十歳まで生きたことになりますと、四百五十六万円国に残したまま死ぬことになります。そこで、元を取るには幾らまで生きなければならないかといいますと、九十八歳まで生きると大体元が取れる。いかにお元気な橋本大蔵大臣でも、九十八歳まではやや無理であろうというように思われます。  二枚目をめくっていただきますと、実際はそれよりもまだひどくなるのですね。というのは、基礎年金の場合は国庫負担が三分の一あります。そういたしますと、六十五歳のところを見ていただきますと、ほかも全部同じなんですが、三分の一は国ですから、自分の掛けた金でもらうのは一年間で四十四万四千円。ということでずっと引いていきますと、我が事務局が計算しましたら残念ながら一枚じゃ足りないで、三枚目をめくってください。順番に減っていきまして、マイナスになるのは百六十三歳。秦の始皇帝が不老長寿の薬を探り当てても百六十三歳まで生きることは無理であろうと思われるのですが、そういう計算になるのです。これはちょっとひどいのじゃないですか。  もちろん、後で厚生省答弁しようと待ち構えておるようで、それは世代間負担とか、社会保険だからいろいろあるんだとか言われると思います。しかし、まともに財政再計算に従って八千四百円から始まって一万六千百円まで、これは物価上昇があればその分もらうものはふえるかわりに払うものもふえるわけですから物価上昇がないという前提ですけれども、こういうぐあいになるということになれば、国民にとってはかくも高い保険料を何で払わなければならないのかという気になって、これは我々のための国民年金じゃなしに基礎年金収奪であるという感覚を持つ者がふえてもやむを得ない点があるのではないかという一つ指摘であります。もちろん、私の見解が全部完全に正しいとは思っておりません。厚生省からも当然御反論があるでしょう。承って議論を深めたいと思います。どうぞ遠慮なくおっしゃってください。
  247. 阿部正俊

    ○阿部説明員 今、直前にその場で受け取りましたので、きょうは社会労働委員会厚生年金保険法の審議をやっておりまして、数理の専門家はそちらの方に出ずっぱりでおりますので、申しわけありませんけれども、私、一瞬にしてこれを解読し、よく御理解いただいております正森先生に反論できるほど能力はございません。  ただ、一般論としてちょっと申し上げさせていただいて、きょうのところはそれにとどめたいと思うのでありますが、まず第一に、基礎年金といいますのは、老齢年金だけではございませんで、障害基礎年金あるいは遺族基礎年金という、単純に年金数理の有利不利ということで考えられない、社会保障の原点である機能を持たされております。したがって、そういった経費をどう考えるかということ。大ざっぱに言いますと、全体の保険料の中で二〇%程度は遺族給付あるいは障害給付ということで、国民全体で連帯して賄っていかなければならぬ面があるということが第一点。第二点は、年金給付改定が四%ということでございますし、物価上昇が二%ということでございますので、今、私、年金数理のセミプロにお聞きしましたところでは、実質金利の計算が先生の計算ではちょっとオーバーなのではないか、この計算の前提に立った上でも一・五%程度で計算されるべきなのではなかろうかという指摘がありました。  そういった点で正確な反論ということにつきましては、もう少し時間をかしていただきたい。先生もこういったことをお考えになるに際しまして相当の時日の上に立って御指摘になったんだと思いますので、イコールフィッティングではございませんけれども、私どもにも所要の時間をちょうだいしたい、こう申し上げます。
  248. 正森成二

    ○正森委員 専門家が社労に行っているので、瞬時に解読、解析するのはいささか無理である、こう言うておられるのに、何か専門家のいないところを突如夜襲をかけるような感じではいけませんので申しませんが、今言われたことは当然言われると思って反論の材料を用意しているわけです。それを、専門家がおられないそうですから全部は申しませんけれども、私どもは財政再計算でインフレ率を二%とされているのをインフレはないというように考え、ですから金利が五・五というのから少なくも二は引かなければいけない。そうすると三・五になるのですけれども、それをさらに引いて三にしておるということなのですね。それから、出る方は政策改定がないということで六十六万六千円のままやっているということで、あなた方に厳しい点もあるだろうと思いますけれども、我々としては余りにも自家撞着にならないようにはしているわけです。ただしかし、あなたの言うことも参考にしたいと思います。  しかし、二つだけ申しますと、一つは障害年金で、もう一つが遺族年金ですね。これは大体二〇%ぐらいに当たるだろうというお話がございました。それは私どもも議論のときに計算がややこしくなるので入れておりませんけれども、ほぼそういうことになるであろうというように思ったのです。なぜ私がこれを出したかといいますと、仮に百六十三歳でなしに百歳くらいで国の三分の一負担がある場合には元を取れるというのなら、遺族年金や障害年金が二〇%あるから百ぐらいで亡くなるということは、遺族年金を入れて大体八十ぐらいまで生きれば元が取れるかもしれない、六十五から始まるわけですからね。というように思いますけれども、百六十三歳まで生きなければ元が取れないのでは、何ぼ遺族年金や障害年金を入れたって元が取れないのは明らかであるというように思ったから、申し上げているのです。  それから、実際上の問題についていいますと、過去四年間の実績を考えると、政策改定というのはそんなに行われないのですよ。この前の四年前はいかがでしたか。実質金利七%、それから物価上昇が三%、物価上昇を入れた政策改定は五%と見ていたでしょう。そこで、私が計算してみますと、給付改定は毎年五%で、うち物価が三%。そうしますと、複利計算ですから政策改定は一・九四%になるのです、大体二%ですけれども。五年間の政策改定予定率はどうなるかというと、大体一〇・一%ぐらいになるのですね。そうしますと、実際はどうであったかといいますと、五万円のものが物価スライドで五万二千六百二十五円になり、それが今度来年の四月に五万五千五百円になるのでしょう。そうすると五万二千六百二十五円と五万五千五百円を比べますと、政策改定率は五・四六%なんですよ。計画の半分なのです。  ところが、払う方の保険料は八六年に六千八百円から出発して毎年実質三百円引き上げるということになりましたけれども、理論値が八千百円になりますから、八九年四月から八千円ということは、政策改定は二分の一に下げておるが、取る方はちゃっかりと初めの予定どおり取る、こういうことになっておるのです。それを今後四十年間も続けるというから、結局今言うたような百六十三歳でなければ元が取れないということになるのですよ。政策改定は初めの予定の二分の一だ、取る方は前の予定のとおり、これを橋本大蔵大臣、大阪ではやらずぶったくりというのです。そういう嫌いがあって、国民の信頼を十分得られないのではないか。きょうは専門家がおられないそうですから御答弁は要りませんが、もし専門家がおられたらほかにいろいろ言われるであろう項目を挙げて私どもとしての見解を申し上げるつもりでしたが、これはこれで終わらしていただきます。  それでは最後に、残された時間、もう一問だけ聞かせていただきます。  年金の問題が国民にとってもあるいは勤労者にとっても重大な関心があるということは、御承知のとおりであります。ところが、それに対して経営者の中には、経営者の社会福祉の自己負担分を非常に低くして不当な利益を得ようというところがあるのですね。  私がこれから申しますのは、梅田交通、梅田経営のタクシー会社ということで、前の社長は古知一郎、現在の社長は古知愛一郎という人だそうでありますが、ここに持ってまいりましたが、この方はタクシー会社ですね。それを見ていただきますと、真ん中辺に支給総計とあります。それは十一万三千七百五十円とか、大体十一万、十二万、あるいは時には九万というような額ですね。夫婦で子供が二人ぐらいある通常の勤労者がこんな額で生活できるわけがないのです。一番左の方に六十八万とか水揚げが書いてあります。タクシー関係では、水揚げの四五パーとかそういうぐあいになっておりますので、これらの労働者はいずれもこの支給金額のほぼ三倍の三十万円を毎月もらっているのです。ところが、その差額の約二十万、これは借金していないのに貸付金としてもらうのです。それで六カ月たったら、ボーナスのときにそれを返したということで清算することになるのです。  なぜそういうことをやるかといえば、そうしますと、自分のもらうものの二倍ぐらい毎月ボーナスをもらっていることになるでしょう。六カ月間には十二カ月分のボーナス、一年間には二十四カ月分のボーナスをもらうことになる。なぜそうするかといえば、ボーナスは標準報酬じゃないから保険料を払わなくてもいい。そうすると、使用者はその分保険料を節約できるからこういうことをやっているのです。そのことでどういうぐあいになっているかといいますと、この梅田関係のグループは従業員がほぼ千五百人と言われているのですが、少なく見積もっても年間で二億七千万円余り保険料をごまかしている。健康保険で平均一万円、厚生年金で一万五千円普通のタクシー関係の労働者は払っているのですが、その三分の一しか払わないでいいということになっているのですね。  そこで、社会保険庁、来ておられますか。――社会保険庁に伺いますが、ここで働く労働者がたまりかねて、たしか五十七年ごろ、二回目は五十八年ごろですが、標準報酬が低過ぎるということで届け出があったと思いますが、その経緯はどうなっておりますか、簡単に御説明ください。
  249. 平松克喬

    ○平松説明員 お答え申し上げます。  五十七年につきましては、標準報酬が低いという被保険者からの申し出がありまして、調査した結果、標準報酬は事業主の届け出を変更しまして再決定するという事態がありました。これに伴いまして五十七年の十一月に、御指摘の貸付金は労務の対象となる報酬ではないということで事業主から大阪府の社会保険審査会に審査請求がございまして、棄却されました。その結果、五十九年三月に事業主側から厚生省にございます社会保険審査会に再請求の審査要求が出ております。  第二回の事案としましては、同様な案件で五十八年に被保険者から異議の申し立てがございまして、報酬についての不服ということで審査会に請求がございまして、大阪府社会保険審査会におきましては容認という形をとりました。その結果、事業主から再度、六十年一月に厚生省にございます社会保険審査会に不服請求が出ております。  以上が大体不服請求の関係でございますが、六十年には一度被保険者側から大阪府の社会保険審査官に対し審査請求が出ておりましたけれども、六十年六月に一応不服請求につきましては取り下げをしております。  以上が概況でございます。
  250. 正森成二

    ○正森委員 今、法律用語で言われたのですけれども、報酬を三分の一くらいに見積もっておるので余りにも不当だというので労働者の方から社会保険庁に審査を申し出た。それに対して社会保険庁は、労働者の言い分をもっともだと認めて報酬を改定するのが相当だという決定意見を言ったのだけれども、再審査請求で使用者側、つまり古知という資本家が異議を申し立てておる、それが再審査にかかっておるというのが実情ですね。記録に残りませんので……。
  251. 平松克喬

    ○平松説明員 御指摘のように社会保険庁ではなく、最初は大阪府の社会保険審査官に不服の申請があり、標準報酬について一部容認している。それにつきまして事業主は不服であるということで、厚生省にございます社会保険審査会に現在再審査の請求が出ているというのが実態でございます。
  252. 正森成二

    ○正森委員 四年も五年もたっているのにまだ解決しないのですか。再審査はどうしているのですか。
  253. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 私、社会保険審査会を所管しております事務局として答弁させていただきますが、私といたしましては、具体的な再審査請求の内容につきましてお答えすることは差し控えさせていただきたいわけでございます。  ただ、一般的に申し上げますと、社会保険審査におきましては、法に照らしまして適切な、円満な解決ができるように、最終的にそういうことが望ましいわけでございますが、この事件につきましては関係者間で調整が進められているという事情もございまして、そういう現場の動向というものを配慮いたしまして今日に至っているというふうにお聞きしているわけでございます。
  254. 正森成二

    ○正森委員 そんなもの、昭和六十年ごろから四年もたって解決していないのですよ。今でもそういうことが行われているのですよ。それで、不服であるという労働者は闘ったら、その労働組合の事務所は木造なのですけれども、この経営者はついことしの八月にクレーン車を持ってきて、木造舎を全部つぶして持っていってしまったのですよ。それで猛烈な紛争が起こっているのです。改める気持ちなど全然ないのです。この経営者は、法人税も一億五千万円か何か脱税して逮捕されて、今裁判係属中なのですよ。そういう社会的な道義心に欠けている男がやっておって、それで再審査して三年も四年もほったらかして、当事者で解決するのが適当だなんて、任務を全く忘れておるではないか。そんな態度だから、大きな顔をして何年もこういうことをやっているのですよ。  いいですか。それは十万や十一万に抑えたら保険料は少ないかもしらぬけれども、将来もらう年金は少ないから、あるいは国はチャラで損害ないというかもしれませんよ。しかし、労働者の方はたまったものじゃないですよ。一生懸命働いて、実際上は三十万の給料をもらっているのに十万を基準にした年金しかもらえないではないですか。災害でも起こしたら、労災補償だってそれでいくではないですか。健康保険の場合だったら、健康保険の関係者は丸々損するのですよ。ちょっとしか納めないけれども、診療はちゃんとやらなければいけないのですから。大体こんなものがどこの事業所でも広まったら、保険制度に対する信頼など全然なくなるではないですか。それを三年も四年もほっておいて、現場は苦労しているのに審査会はほっておいて、当事者間で解決するとは一体何事ですか。  法務省、いますか。法務省に伺いますけれども、こういうように報酬について事実上虚偽の申告をしておるという場合には、これは三条に報酬の定義があります。しかし、報側の定義については、社会保険の審査官が事業者側の報酬の考え方は間違っておると言ったわけですから、それについてなおかつそれを何年間も維持しているということになれば、厚生年金保険法でもそういうのは六カ月以下の懲役もしくは二十万円以下の罰金というようになっておるので、もし告訴、告発があれば、これは法務省としても法に基づいて厳正に捜査するという態度が必要なのではないですか。一般論として聞いておるのです。
  255. 中西啓介

    中西委員長 法務省松尾刑事課長、要領よく答弁してください。
  256. 松尾邦弘

    ○松尾説明員 具体的な犯罪の成否については、証拠で決すべきことでございますので申し上げる立場にないわけでございますが、一般論として申し上げれば、委員指摘のように事業主が被保険者等の報酬月額等について虚偽の届け出を行えば、厚生年金保険法百二条第一項一号あるいは同法の百八十二条第一項一号によりまして、六月以下の懲役または二十万円以下の罰金に処せられることになりますが、虚偽の届け出であるか否かは具体的事例ごとに判断されるべきものと考えております。
  257. 正森成二

    ○正森委員 今言ったような事情で、社会保険庁でさえ是正させると言っているのに四年間も従わないのでしょう。だから、関係者から告訴、告発があれば、適正に捜査の上、もし違法事実があれば厳正な処分をする、それは検察庁として当たり前ですね。
  258. 松尾邦弘

    ○松尾説明員 告訴、告発がございましたら、適正に対処することになると思います。
  259. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  260. 中西啓介

    中西委員長 次回は、明二十二日水曜日午前九時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十七分散会