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1989-11-14 第116回国会 衆議院 社会労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月十四日(火曜日)     午後一時二分開議  出席委員    委員長 丹羽 雄哉君    理事 伊吹 文明君 理事 高橋 辰夫君    理事 野呂 昭彦君 理事 畑 英次郎君    理事 粟山  明君 理事 池端 清一君    理事 貝沼 次郎君 理事 田中 慶秋君       粟屋 敏信君    今井  勇君       小沢 辰男君    尾形 智矩君       古賀  誠君    佐藤 静雄君       笹川  堯君    高橋 一郎君       竹内 黎一君    津島 雄二君       三原 朝彦君    持永 和見君       山下 徳夫君    大原  亨君       田邊  誠君    渡部 行雄君       新井 彬之君    吉井 光照君       塚田 延充君    児玉 健次君       田中美智子君  出席国務大臣         労 働 大 臣 福島 譲二君  出席政府委員         法務省入国管理         局長      股野 景親君         労働政務次官  石井 道子君         労働大臣官房長 若林 之矩君         労働省労政局長 岡部 晃三君         労働省労働基準         局長      野崎 和昭君         労働省婦人局長 佐藤ギン子君         労働省職業安定         局長      清水 傳雄君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部長    七瀬 時雄君         労働省職業能力         開発局長    甘粕 啓介君  委員外出席者         労働大臣官房審         議官      石岡慎太郎君         労働省職業安定         局民間需給調整         事業室長    戸苅 利和君         社会労働委員会         調査室長    滝口  敦君     ───────────── 十一月七日  看護職員大幅増員労働生活条件改善に関する請願川俣健二郎紹介)(第一七四号)  同(河野正紹介)(第一七五号)  同外一件(城地豊司紹介)(第一七六号)  同(田邊誠紹介)(第一七七号)  同(渡部行雄紹介)(第一七八号)  同(新井彬之君紹介)(第二一二号)  同外一件(永井孝信紹介)(第二五四号)  年金制度改悪反対に関する請願小野信一紹介)(第一七九号)  年金制度改革に関する請願児玉健次紹介)(第一八〇号)  脊髄空洞症特定疾患難病指定に関する請願遠藤和良紹介)(第一八一号)  同(貝沼次郎紹介)(第一八二号)  同(柴田弘紹介)(第一八三号)  同(伏木和雄紹介)(第一八四号)  同(古川雅司紹介)(第一八五号)  同(森田景一君紹介)(第一八六号)  同(春田重昭紹介)(第二一〇号)  同(宮地正介紹介)(第二一一号)  同(石田幸四郎紹介)(第二二五号)  同(日笠勝之紹介)(第二二六号)  同(山田英介紹介)(第二二七号)  同(近江巳記夫紹介)(第二七〇号)  同(鍛冶清紹介)(第二七一号)  同(有島重武君紹介)(第二九五号)  小規模障害者作業所助成等に関する請願宮地正介紹介)(第二〇八号)  年金改善に関する請願中路雅弘紹介)(第二〇九号)  療術の制度化促進に関する請願田村良平紹介)(第二五二号)  労働時間の短縮に関する請願天野光晴紹介)(第二五三号)  国民年金等公的年金改悪反対に関する請願池端清一紹介)(第二九〇号)  同(河野正紹介)(第二九一号)  同(川俣健二郎紹介)(第二九二号)  同(田邊誠紹介)(第二九三号)  同(渡部行雄紹介)(第二九四号)  看護職員大幅増員等に関する請願池端清一紹介)(第三〇四号)  同(石橋大吉紹介)(第三〇五号)  同(小澤克介紹介)(第三〇六号)  同(大原亨紹介)(第三〇七号)  同(奥野一雄紹介)(第三〇八号)  同(金子みつ紹介)(第三〇九号)  同(川俣健二郎紹介)(第三一〇号)  同(河野正紹介)(第三一一号)  同(木間章紹介)(第三一二号)  同(田口健二紹介)(第三一三号)  同(田邊誠紹介)(第三一四号)  同(中沢健次紹介)(第三一五号)  同(永井孝信紹介)(第三一六号)  同(前島秀行紹介)(第三一七号)  同(松前仰君紹介)(第三一八号)  同(村山富市紹介)(第三一九号)  保育予算増額等に関する請願外三件(井上一成紹介)(第三二〇号) は本委員会に付託された。 十一月九日  看護職員大幅増員労働生活条件改善に関する請願外一件(第一七六号)は、「城地豊司紹介」を「竹内猛紹介」に訂正された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  労働関係基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  この際、福島労働大臣及び石井労働政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。福島労働大臣
  3. 福島譲二

    福島国務大臣 先般労働大臣就任をいたしました福島譲二でございます。  今日の我が国経済社会発展は働く人たち一人一人の努力たまものであり、このような人たち雇用の安定と福祉増進を図ることは、今後の我が国の繁栄の基礎となるものであります。このような目的を持つ労働行政につきましては、現在名実ともに豊かでゆとりある勤労者生活を実現していくことが求められており、本格的な高齢化社会の到来に対応した高年齢者雇用対策労働時間の短縮と余暇、福祉対策、パートタイマーなど助成のための労働対策中小企業に働く人たち福祉増進のための対策を初め、取り組んでいくべき重要な課題が山積みいたしております。  私は、このような課題の解決に向け、国民の期待にこたえられるよう全力を尽くしてまいる所存でありますので、委員長初め委員各位の一層の御指導、御鞭撻を賜りますようお願いを申し上げまして、就任のごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手
  4. 丹羽雄哉

  5. 石井道子

    石井(道)政府委員 労働政務次官を拝命しております石井道子でございます。  就任以来三カ月余りがたったのでございまして、きょうはこうしてごあいさつをさせていただきまして本当にうれしく思っております。  ただいま労働大臣もおっしゃいましたように、我が国経済社会発展を支えてまいりましたのは勤労者一人一人の努力たまものでございます。高齢化国際化社会が進み、そして産業構造が変化し、技術革新が進んでいる中で、ますます労働行政の重要さが増しているわけでございまして、私は、労働大臣を補佐いたしまして大いにその責任を果たすために努力をさせていただきたいと思っております。  委員長並びに委員各位皆様方の一層の御指導、御鞭撻を賜りますように心からお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手
  6. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部行雄君。
  7. 渡部行雄

    渡部(行)委員 今ほどは労働大臣就任あいさつがありましたが、恐らく相当決意を新たにして今日の複雑な労働関係に取り組まれる覚悟だろうと思います。  そこで、大臣就任してこれから労働政策についてどういう点に重点を置いてやられるおつもりか、まずその所信についてお伺いいたします。
  8. 福島譲二

    福島国務大臣 ただいまごあいさつにも申し上げましたように、我が国社会は本格的な高齢化社会を迎えようといたしております。そして、現在の経済、景気の情勢は極めて順調でございまして、そのような環境下の中で人手不足ということも言われております。まず雇用の全体としての安定を図るということが私どもの最も大切な一つ仕事でございますが、その人手不足の中で、中でも高齢化社会を迎える中でのお元気なお年寄り皆様方、それぞれ働く意欲を持たれるそのお年寄りに立派に働いていただく場所を確保する、そして安心して元気に働いていただけるような環境をつくっていくということを中心としてまず考えていきたいと思っております。  同時に、最近御婦人職場に進出されるその傾向はまだまだ大変強いものがありますし、その余地もまだ十分に残されておると思います。そういった御婦人、中でもお子様を家庭にお持ちの御婦人がこれまた安心して職場へ進出して、そして立派に家庭生活職場生活を調和させていく、そういった方策につきましても労働省といたしまして全力を尽くしてまいりたいと存じますし、また、障害者雇用等も大変大切な課題だと思っております。経済環境が大変変化するその中での、しかも大変なスピードでの高齢化社会での、今申し上げましたような雇用全体についての安定的な確保を図るということは非常に難しい問題がたくさん残されておるわけでございますが、ひとつ改めて皆様方の御指導、御鞭撻をいただきながら立派に労働行政を展開させていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。
  9. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次に、労働者派遣事業の適正な運営派遣労働者就業条件等に関してお伺いいたしますが、その第一は、昭和六十年六月六日の参議院社会労働委員会でなされた附帯決議でございます。これは労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律案及び労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案に対する附帯決議、これが参議院で可決されておるわけですが、実際にほとんど実行されていないように思われるわけですが、これについて労働省は十分な監督と指導はなされてきたか、その取り組みについて明らかにしていただきたいと思います。  なお、具体的事項についてひとつ御説明をお願いしたいと思います。     〔委員長退席畑委員長代理着席
  10. 清水傳雄

    清水政府委員 附帯決議におかれましては、一つ請負形式により実質的に派遣事業が行われることを防止するため、そうした認定基準策定関係審議会の意見を聞いて、可能な限り客観的に明確なものになるように検討し、その厳正な運用に努めること。また、派遣先における作業内容作業環境等に関し問題が生じた場合には、派遣労働者派遣先事業主派遣元事業主との十分な協議を通じて、円滑に処理されるよう事業主に対する指導に努めること。派遣事業は、労働力需給調整制度一つとして位置づけられることから雇用の安定、福祉増進に資することを目的とするものであるので、単に企業内の余剰労働力調整策として行われることのないよう運用に努める、こうした事柄が中心的なことになっておるわけでございます。請負との関係につきましてはそうした基準を客観的に定めまして、それも限定的に定めておりまして、これによってその峻別をしっかりやりながら運用を行っているわけでございますし、具体的な派遣元あるいは派遣先事業所に対します指導につきましても、安定所といたしまして定期的な指導あるいは臨検的な指導あるいは個別に問題が生じた場合においての対応、そういう三段構えによりまして指導を行ってまいっておるところでございます。
  11. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、具体的な事項として、一つはこの附帯決議の九に「労働者派遣事業労働組合が行う労働者供給事業その他の民間労働力需給調整システムにより就業する労働者について、社会労働保険適用促進その他福祉向上が図られるよう、適切な指導に努めること。」こういうふうになっているわけですが、実際にはこれに該当する労働者の中で社会及び労働保険適用をどのくらい受けているのか、その受けておる労働者は何%くらいになるのか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。
  12. 清水傳雄

    清水政府委員 派遣労働者には二つのタイプがございまして、いわゆる派遣元事業者に最初から雇用されておりまして、それから派遣先派遣される、こういう常用型の派遣労働者がいるわけでございますが、これについての社会保険適用関係につきましては問題はない、こういう実態になっていると私ども承知をしておりますが、やはり問題になっておりますのは登録型の労働者でございまして、登録をしておき、派遣に当たって雇い入れて派遣をする、こうした形態の場合の労働社会保険加入ということにつきましては、やはりいろいろとその実態から来る制約がございまして、すべてが加入しておるというふうな事態にはなっておりません。私ども調査をしておる状況によりますと、雇用保険につきましては加入している、こうした明確な答えのもとで出てきております比率が二七・六%、健康保険につきましては二九%、厚生年金については二三%、こうした状況になっておるわけでございます。これはこうした雇用形態によるものでありますので、短期の雇用という場合がございますし、それからまたいわゆる内職的労働、こうした面を持つ場合もございます。そうしたところからこういう加入状況になっておるということでございます。
  13. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そうすると、本法施行後どの程度社会保険適用を受ける人がふえたのか。これは今のお話だとどうも仕方がないみたいに聞こえたわけですが、これで労働省は満足しているんですか。
  14. 清水傳雄

    清水政府委員 派遣労働者方々加入意思という面につきましてもかなり多様な面がございまして、加入意思を強固に持っておる方々もおられますれば、自己負担関係加入をしたくないという方々もおいでになる。これは、それが違法か違法でないかというよりも雇用形態そのものが非常に難しい場合があるわけでございまして、そういう意味でなかなか難しい面がございます。  ただ、こうした場合におきましても、雇用形態から来る制約は非常にございますが、やはり事業主あるいは事業主団体、こうした段階におきまして社会保険加入についてどういう積極的なスタンスをとって労働者に対しても指導をしていくか、こういうことによって大きく異なってくる面もあろうかと思うわけでございます。私ども関係業界に対して、むしろ加入方向へ向けての積極的な態度をとるべく、また、いろいろな問題点をどんなふうな形で克服しつつ加入を勧めていくか、こうしたことの研究指導いたしておりまして、比較登録型が多いのは事務処理関係業種でございますが、そういう面で問題となるそうした業界団体内に研究会を設けてそういう方向へ向けて積極的なスタンスで取り組んでおる、こういう状況でございます。
  15. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、労働省はそういう複雑な労使関係雇用関係について一応整理をして指導する必要があると思うのですよ。複雑だからどうしてよいかわからないというような態度では困ると思うのです。したがって、この法律に照らしてその複雑な関係をどういうふうに整理をしていったらいいのか、そこに具体的な指導必要性があると思うのですが、そういう点でこれから本当にこの問題をどういうふうに措置されようとしておられるのか、その辺のお考えを聞かしてください。
  16. 清水傳雄

    清水政府委員 私ども指導手法といたしましては、一つは足でもちまして具体的に安定所職員派遣先事業所等に対して定期的な指導を行っていく、そういう形、それから業界ぐるみ指導という形、それからまた、現在協力員を全国的に約千名近く委嘱をいたしておりますが、こうした方々活動を通じて適正な派遣事業運営が行われるように協力をお願いしていく、こういう手法でやってまいってきておるところでございます。  先ほどの、特に社会保険加入という問題につきましては、やはり最近のこういった状況の中でスタッフの確保ということが事業主にとりましても極めて重要な課題になっておりますので、そうした雇用の面での魅力づけという意味におきましても相当意欲的に、事業主団体としても具体的な加入手法につきまして研究なり実践を行う、こういうふうな形で進んでまいってきているところでございます。
  17. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それから、本法施行後、派遣労働者賃金は、だんだん時間がたつに従ってどんどんと低下しておるように見受けられますが、これは一体どういうわけですか、その理由をお聞かせください。
  18. 戸苅利和

    戸苅説明員 私ども派遣労働者賃金調査したものというのが、サンプル的に調査したものしかございませんが、私どもの把握している限りでは、平均で見た場合に賃金が下がっているというふうなものはございません。ただ考えられますのは、先ほど局長が申し上げましたように、派遣労働者が非常にふえておりますので、そういった中で新たに派遣労働者になってくる方々技術水準の低い方々も割合ふえているということで下がっているというふうなことを言われる面もあるのだろうと思いますけれども平均的な数字で見る限り、下がっているという事実は我々としてはつかんでおりません。
  19. 渡部行雄

    渡部(行)委員 下がっているということはつかんでいないと言いますけれども登録型派遣労働者平均賃金は時間給で昭和六十一年四月、千二百五十五円であった。ところが、昭和六十二年九月に実施した東京都の調査では千二百十六円と下がっているわけですね。それから、施行後の賃金低下はさらに、経理事務については千百七十四円から八百五十九円というふうに下がっている事実があるんですよ。こういう事実をつかまないでいてどうして指導できますか。その辺についてはどういうふうに考えておりますか。
  20. 戸苅利和

    戸苅説明員 先生お話しのいろいろな調査につきまして、恐らくその調査対象がかなり違いますし、調査やり方等も違うということでそういった数字になっているものと思われますけれども派遣労働者賃金を継続的に把握するということはなかなか難しい面がございまして、そういう先生のおっしゃるようないろいろな調査比較の仕方というのもあるのだろうと思いますけれども、私どもの方の調査では下がっているということはないのじゃないかというふうに考えております。  ただ、今おっしゃった経理事務等そういった業務については、先ほど申し上げましたように、新たに派遣労働者になられる方の中にどちらかというと今までの職業経験が不足しているというか、ほかの既存の派遣労働者に比べますと十分でない方々もおって、そういった方々調査対象にかなり含まれますと下がった数字が出てくるというふうなことではなかろうかと思います。
  21. 渡部行雄

    渡部(行)委員 私の方の調査が間違っているのか、あなたの方が調査不十分なのか、それは後の問題にしまして、そこで問題なのは、最近、派遣料金そして支払われる労働賃金との比較で、非常に中間搾取というかそういうものが大きくなっている、こういうふうに聞いているわけです。大体賃金派遣料金の六〇%から七〇%、ひどい場合は五〇%を下回るケースもあると聞いております。こうなるとひどいのは半分以上マージンを取っている派遣会社があるということになるわけですが、そういう点はどういうふうにお考えですか。     〔畑委員長代理退席委員長着席
  22. 清水傳雄

    清水政府委員 派遣労働者賃金というのは、事業主労働者労働市場によります労働需給需給関係等を背景とした話し合いの上で決められていくものでございますが、私ども調査をしてみたところによりますと、派遣料金の中に派遣労働者賃金がどれくらいの比重を占めているか、これはいろいろな、全部で十六業種でございますか、それぞれによって一様ではございません。大体八割弱から七割、こういうところが一般的でございます。ただ、そのときどきの派遣の具体的な状況によりまして派遣料金派遣労働者賃金比率が変わることは、これは個々契約等内容によりまして起こることはあるだろうと思っております。
  23. 渡部行雄

    渡部(行)委員 個々ケースによって違うからというような答えではさっぱり納得できないわけです。何のためにこの法律ができて、何のために労働省がそれを指導するのかということを問うた場合、一体労働省は、そこには関知しないんだというような態度でいいのでしょうか。ケース・バイ・ケースでほったらかしておいていいのですか。
  24. 清水傳雄

    清水政府委員 派遣法を制定いたしましたことは派遣事業の適正な運営労働者保護、これに主眼があるわけでございますが、具体的な賃金決定そのものについて行政として関与をするという姿勢はとっておらないところでございます。
  25. 渡部行雄

    渡部(行)委員 しかし、これは中間搾取は厳に禁止されているでしょう。その中間搾取になる性質であるのかないのか、そのくらいの判定はしてよさそうだと思うのですがね。  時間が余りありませんから先へ進みますけれども、ひとつこの問題について、労働者保護という立場に立って考えるならば、当然こういう問題についてのガイドラインなりをつくって指導すべきではないかと思うわけでございます。例えば派遣労働者賃金派遣料金の八〇%くらいにせよとか、あるいは派遣料金の八〇%以下になってはならないとか、いろいろな措置の方法があると思うのですが、こういう一つの基本的な問題について大臣はどのようにお考えですか。
  26. 清水傳雄

    清水政府委員 派遣事業派遣料金というのはどういう要素から成り立ち得るかというものを考えますと、一つ派遣労働者賃金であることは間違いないわけでございますが、そのほか派遣労働者についての教育訓練経費福利厚生経費、それから派遣労働者募集経費、それから派遣先確保のための経費、こうしたもろもろのものがその内容のものに含まれるものであるというふうに考えておりまして、さらに、そうしたものがその業務の受注、派遣をする場合の緊急性でございますとか、あるいは業務困難性でございますとか、あるいは信用の度合いとか、そうした営業活動に伴う市場原理に基づきまして、派遣元派遣先双方契約決定をされてくる、こういうことであるわけでございます。  また、賃金につきましては、これは労働力需給等に基づきまして、労働者と、それから派遣事業者との関係の中で、話し合いの中で納得ずくで決まってくるものでございまして、双方が直接関係をするというものではないというふうに思っておりまして、何らかの形でのガイドラインということを策定をするということはいかがなものか、またなかなか難しい問題であるというふうに思っておりますが、ただ派遣先料金がどういうふうな水準になっているのか、こうしたことを派遣元事業主から事業報告に基づきまして各都道府県ごとに、先ほど申し上げましたような業務別派遣料金を集計をいたしまして、そうした情報を提供をするということによって実質的に派遣労働者労働条件改善向上が図られるように努めてまいっているところでございます。
  27. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この派遣労働者について、それじゃ労働省としてこういう形にしたいという、そういうものは全くないのでしょうか。大体、仕事をするに当たってどんな人でも自分がこれをやろうとした場合には、どういうふうな順序でどういうふうにこれを仕上げているかということを考えるものですが、そういう点ではこれはガイドラインもつくる必要がない。それじゃみんなが疑いなく現在の運営の仕方が正しいというふうには受け取っていない、こういう、いわゆる労働者の受け取る感覚と、それから会社考えていることと、それから労働省考えていることとがばらばらでも、それでもよいのでしょうか。
  28. 清水傳雄

    清水政府委員 一般的に労働者賃金決定水準そのものにつきまして、労働省がそれに関与をするということは、これは派遣労働者に限らず他の労働者全般につきましてそういう姿勢はとっていないわけでございまして、もちろん最低賃金法による条件をきちっと守るとかという最低条件確保していくということは最大の努力を払ってやっていかなければならないわけでございますし、また、派遣契約に基づきました諸条件が守られていない、そうした賃金等につきましても取り決めが守られていない、こういう問題について、これはこの法律をベースにいたしまして保護を図っていく、こういうことで当然やっていかなければならないわけでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、派遣料金そのものの水準がどんな水準になっているのか、こうした情報につきましてはそれぞれの地域ごとに私どもで集計をいたしまして、そうしたものを提供をするということによって実質的に労働条件改善向上が図られるように努めているところでございます。
  29. 渡部行雄

    渡部(行)委員 賃金問題に立ち入ると言うけれども、私は賃金労働省が決めてくれと言っているのじゃないですよ。そんなことは一言も言っていません。ただ、中間マージンが五〇%以上も取られているというふうに考えておる派遣労働者がいるときに、それは一体どういうふうにその中間マージンが使われているのか、適正なものなのか、それとも労働者に支払われておる賃金が、それも他の業種と比べて適正であるのかどうなのか、そういうことは調べる必要があるんじゃないでしょうか。私は当然そういうものを調べた上で一つ指導監督という任を果たすことができるのだと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  30. 清水傳雄

    清水政府委員 派遣料金等の内容そのものにつきましては、これは営業活動の中身自体に入ってくる問題でございまして、いわゆるピンハネなり中間搾取というものが、取り決められた賃金の上前をはねるとかいう形であれば、これはそういうふうなことになるわけでございますけれども賃金そのものは先ほど申しましたように労働力の需給関係等を背景として労使の間で話し合いの上で決められてくるわけでございまして、それが守られていない、あるいはそれがピンハネされている、こういう事態はゆゆしき事態でございますので、十分に監督、是正を図っていかなければならないわけでございます。先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、派遣料金そのもののレベルがどういう条件になっているか、こういうことを一般的に情報としてお示しできるような体制も講ずることによって実質的な改善向上が図られるようなそういう努力はいたしてまいりたい、こういうことでございます。
  31. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次に移りますが、本法の適用対象業務は政令で定めておられるわけでございますが、それでも専門性とそれから直用の一般的業務との区別が余り明確でないというふうに聞いておりますが、派遣労働者が常用並みに働かされている例も数多いのでございます。具体的に申し上げますならば、例えばガルーダ・インドネシア航空の場合、労働者派遣会社は該航空会社に通訳として女子労働者派遣しておるわけですが、実際にはスチュワーデスと同じような仕事をさせられていると聞いております。しかもこれは女性の派遣労働者でございますから、この場合、日本語のアナウンスはもちろんですが、新聞、雑誌、毛布の配付、日本茶のサービス、あるいは入国カードの記入の仕方を乗客に教えたり、時には食事のサービスをするというこの行為は、乗客から見ればまさにスチュワーデスと何ら変わるところがない、こういうふうに言われておるわけですが、この問題について一体どのようにお考えなのか。  しかも、このガルーダ・インドネシア航空の飛行機に乗れば、これは確実に深夜作業に従事せざるを得ない、こういう一つの勤務体制になっておるわけです。そうなると、この深夜作業というのは労働基準法の第六十四条の三で禁止されているわけで、これに結局違反しておると指摘せざるを得ないわけです。このような勤務の実態を見るときに、これを適法にするためには、本法による派遣事業としてではなく直接雇用に切りかえる以外にこの違法行為を逃れる道はないと思うのです。しかもそれは、例えばユナイテッド航空あるいはコンチネンタル航空等は既にその切りかえをやってこういう問題を処理しておる、整理しておる、こういうふうに聞いておりますが、そういう御指導はできないものかどうかお伺いいたします。
  32. 清水傳雄

    清水政府委員 御指摘のように、一般的に申し上げまして、事務処理関係業務において派遣事業を行うことができるのは、専門的な知識、技能、経験を必要とする業務として政令で具体的に列挙されている業務に限定されるわけでございまして、それ以外のいわゆる一般事務において労働者派遣事業を行うことができない形になっております。したがいまして、そういう専門の業務という形で派遣をされ、その他の業務に使用されている、こういう状況があれば、これはその適正化を図るために強力に指導を行っていかなければならない問題でございまして、今御指摘のガルーダ・インドネシア航空の問題につきましても、全く同様であるというふうに考えております。  この御指摘の事案につきましては、本年の夏ごろ、派遣労働者あるいは関係労働組合から労働者派遣法違反ではないか、こういうお話がございまして、所轄の安定所におきまして業務実態調査をいたしております。その状況によりますと、やはりただいま御指摘のございましたように、適用対象業務となっていないスチュワーデスの行う業務を行わせていた、こういうふうに所轄の安定所の方でも把握をいたしまして、派遣元派遣先双方に対しまして違法行為を是正するよう指導してまいったところでございます。さらに今後、その是正の状況を突っ込んで見させていただきまして、再び違法な状況にある、こうした問題がございました場合には、御指摘のような方法を含めまして適正な業務処理が行われるよう指導いたしてまいりたい、このように存じます。
  33. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、この派遣事業適正運営協力員制度というものができておるそうです。ところがこれは年に一回しか協力員会議が開かれておらない。このような制度があることすら知らない派遣労働者が相当いるとも聞いております。したがって、派遣労働者向けのパンフレット等をつくってこの実態を知るとともに、この法の精神をはっきりと把握するような宣伝、普及の方法を考えるべきだと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
  34. 清水傳雄

    清水政府委員 派遣事業適正運営協力員につきましては、民間労使関係者の方々派遣事業の適正な運営のために御協力をいただいておりまして、派遣労働者あるいは派遣先に対する相談なり援助をそうした方々の御協力を得て行う、こういう幅広くこの問題について当たれる体制を、こういうことも通じまして行っておるわけでございます。確かに各都道府県のこうした協力員方々を具体的にどんなふうな形で業務面に活用させていただいているか、そういう実態につきましてはまちまちであろうかと思うわけでございまして、御指摘のように協力員会議も一回程度行われているとかそうした実態もあろうかと思います。私どもといたしまして、御指摘のようなパンフレットの活用あるいは安定所の窓口におきましてそういう仕組みがあるということが周知できるような措置、各種会合におきまして協力員制度を紹介する、こうした形での本制度の周知を図り、また協力員会議におきましてもさらに積極的に各県において開催をいたしまして、そういった意味でフルにこうした方々の御協力がいただけるような体制づくりに努力をいたしてまいりたいと存じます。
  35. 渡部行雄

    渡部(行)委員 ぜひそのように積極的にお願いいたします。  さて、最後に、三年が経過して本法の見直し作業に入っておられると思いますが、労働者保護名実ともに担保されるように最大限の努力をしていただきたいと思います。恐らく通常国会にはその改正案が提出されると思いますが、ひとつ本当に、大臣の先ほどの決意がその法案の中にあらわれていると感じられるように御努力をお願いしたいと思います。  そこで、それに対する大臣の御決意をお聞かせ願いたいと思います。
  36. 福島譲二

    福島国務大臣 法案の改正そのものはまだその時期でないと考えておりますが、その運用改善につきましては、鋭意労働省といたしましても検討のさなかでございまして、その段階におきまして、本日委員がいろいろの角度で御指摘になりましたその精神、趣旨について制度改善に生かしていくように考えてまいりたいと存じます。
  37. 渡部行雄

    渡部(行)委員 ぜひそのようにお願いいたします。  続いて、高齢労働者に関するILOの勧告と我が国の対応についてお伺いいたします。  この勧告は、一九八〇年第六十六回年次総会で採択されたものでありまして、今後労働人口の高齢化に伴って高齢労働者保護に関するものであるわけです。そこで、この勧告に言う高齢者とは一体何歳を言っておるのかお聞かせ願いたいと思います。そしてまたこの勧告の権限はどの程度のものか、その辺もあわせて御説明願います。
  38. 七瀬時雄

    ○七瀬政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のILO高齢労働者勧告における高齢者の定義でございますが、勧告上は国内法令で定めるということになっておりまして、我が国の場合には五十五歳以上の労働者を高齢労働者といたしておりますので、国際的な水準に合致しているのではないかと思っております。
  39. 渡部行雄

    渡部(行)委員 私の聞いているのは、我が国の高齢者でなくて世界に共通する高齢者という、この勧告の指す高齢者とは何歳なのかと聞いているのです。
  40. 七瀬時雄

    ○七瀬政府委員 国際的に高齢化が進展しておりますけれども、高齢者のとらえ方はその国々によって事情が異なりますので、この勧告上は高齢者の範囲は国内法令で定めるということにしておるわけでございます。
  41. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そうすると高齢者は日本で五十五歳、こういうことでいいわけですね。  そこで、この勧告の権限といいますか、各国をどの程度に拘束できるのかできないのか、指導程度なのか、その辺についてお伺いいたします。
  42. 七瀬時雄

    ○七瀬政府委員 お答え申し上げます。  御承知のとおりILOの採択する文書には国際労働条約と勧告がございまして、条約につきましては批准した当該国を拘束することになっておりますが、勧告はILOのいわば精神を国際的に明らかにし、加盟国の自発的なその趣旨の遵守に期待する、そういう性格のものでございます。
  43. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこでこの勧告なんですが、これはどういうふうに表現したらいいのかちょっと私も困っているのですけれども、まず「機会及び待遇の均等」と大きく書いてあるその次のページに算用数字の3が書いてあって「各加盟国は、年齢のいかんを問わず労働者の機会及び待遇の均等を促進するための国家の方針並びにこの問題に関する法令及び慣行の枠内で、高齢労働者に関し雇用及び職業における差別待遇を防止するための措置をとるべきである。」こういうふうに書いてあるわけですが、これに対して具体的にはどのような対策をとっておるのか。また今度は4の(c)、「3の方針の承認及び遵守を確保するのに適当とされる法令を制定し又はそのような計画を促進すること。」こういうふうに勧告されておるわけですが、これに対して日本ではどのような法令を整備されたか、これについてお伺いいたします。
  44. 七瀬時雄

    ○七瀬政府委員 お答え申し上げます。  ILO百六十二号勧告は、加盟国が雇用の機会及び待遇における差別の防止措置をとりつつ高年齢者雇用確保を図ること、それから高齢化に伴う雇用上の諸問題の解決のための保護措置をとること、引退への円滑な移行のために社会保障制度、雇用制度の改善を図ることなどを求めているわけでございますが、労働省といたしましては、この勧告の趣旨を踏まえ、高年齢者がその意思と能力に応じて生き生きと働くことができるように同一企業ないし同一企業グループにおける継続雇用の推進あるいは高年齢者の早期再就職の促進等により雇用就業の場の確保に努めているところでございます。  また、先生御指摘の国内法令でございますが、主なものといたしましては、昭和六十一年に大改正をいたしました高年齢者等の雇用の安定等に関する法律がいわばここで言う国内法令に当たるものかと考えております。
  45. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、この勧告は年齢の進行に基づく差別を受けずに均等な機会、待遇を受けるべきであると言っておりますが、これを厳密に解釈すれば、定年制そのものが年齢による差別として無効だと主張する学者もいるわけですが、これはどのように解釈されておりますか。
  46. 七瀬時雄

    ○七瀬政府委員 この勧告におきまして、特定の年齢での雇用の終了を国家の制度として強制する法令等につきましては検討を求めているわけでございますけれども我が国の定年制の場合には労使の労働協約その他で決まるわけでございますし、また勧告自体が国内法令、国内慣行に従って適当な方法で高年齢者雇用を推進することを求めておりますので、我が国の定年制自体はいわば高年齢者雇用促進する措置としてこの勧告の精神に反しないものと考えております。
  47. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この問題は、いろいろ議論すれば尽きることのないほど深い哲学的な問題にまで進むと思いますから、この点についてはきょうは議論することをやめまして、次に移ります。  さらに、その勧告の中で、職業紹介や再訓練で差別しない、老化を早める労働条件、作業環境条件をでき得る限り改善し超過勤務などを制限する、労働時間を漸進的に短縮、有給休暇をふやす、それから可能な場合には引退が任意であるようにし年金受給年齢をより弾力的なものにするとなっているわけです。  そこで、今高年齢者雇用安定法が改正されようとしておるわけです。恐らく第百十七回通常国会には提出されるものと思っておりますが、ここで大臣にお願いしたいことは、この改正案というものが、世界的高齢化社会を経験しておる我々ですから、国際的に見られても高い評価を受けるような立派なものをつくっていただきたいということです。大臣の御決意をお聞かせ願いたいと思います。  なお、福島労働大臣は、去る十月二十四日、六十五歳までの高齢者雇用対策について、雇用審議会に対して大変勇気ある諮問をされたと言われております。私もその点は非常に感服しておる者の一人でございますが、労働大臣の誠意あふるる御答弁をお願いいたします。
  48. 福島譲二

    福島国務大臣 高年齢者雇用の安定的な確保につきましては、まず六十歳定年を定着をさせるということを基礎といたしまして、さらに、これをでき得る限り六十五歳の水準までに高めていくための具体的な方策を来年度予算要求の中におきましても種々考えておるところでございます。継続雇用とかその年齢層をたくさん抱えられる企業に対する一つ助成策とか、そういうものを通じて六十歳定年からさらにこれを引き上げる努力を今続けておるところでございますが、法制化についての議論が有力にあることも承知をいたしております。  そこで、今お話がありましたような形におきまして、雇用審議会にお諮りをいたしまして、六十歳以上の高年齢者方々雇用確保を図るためにいかにあるべきかということにつきまして今熱心に議論をいただいておるさなかでございまして、年内にはおおむねその御結論をいただける段取りになるのかなと思っておりますが、そのお答えを待ちまして、場合によっては今御指摘になりました法律の改正も必要になるのかと考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、年金法の改正については、これもこの国会で原案の改正をお考えのようでございますが、六十五歳まで支給年齢を引き上げるということとの兼ね合いもございますが、私ども労働省といたしましては、むしろそういった問題とは離れて、それに先行するような心組みを持って六十歳から六十五歳までの年代層の雇用の問題につきましては、最重点事項一つとしてあらゆる努力を払ってまいりたいと考えております。
  49. 渡部行雄

    渡部(行)委員 六十五歳年金支給という支給開始年齢繰り延べといいますか引き上げ、これは私はちょっと順序が逆じゃないかと思うのです。今六十歳定年も完全に定着していない中で、今度は六十五歳年金支給開始ということになると、今でも五十五歳あたりで定年退職する人は年金をもらうまでに大変苦労をされている実態を私はよく見ておるわけでございます。そういう際に、それも完全な手当てをしないうちに今度は六十五歳支給というふうになると、一体そういう人たちはどうして生きていったらいいのだろうか、大変不安に思うと思うのです。したがって、私は人間の働く意欲というものを政治的に制限したりそいだりしてはならないと思うのです。むしろそういう意欲こそ国を栄えさせ社会を豊かにする上で最も重要な問題だろうと思うのです。したがって、そういう働く意欲のある人はその年齢と体力に応じ、あるいはその人の経験や熟練された持っておる技能、そういうものを社会のために十分提供し得る働く場を国の指導でつくってあげるべきではないか。そうして、例えば手っ取り早い話が定年制を六十五歳まで延長する。アメリカは七十歳になっておるそうです。何も他国のまねをしろと言うわけじゃありませんが、そういうふうにして年金支給と退職が同時につながるようにしていかないとそこに一つの大きな穴があくのではないか、私はこういうふうに考えるわけでございます。したがって、年齢繰り延べよりも早く、その間のいわゆる退職後の仕事と所得についてどうお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  50. 福島譲二

    福島国務大臣 私の御答弁があるいは中途半端、不十分であったのかもしれませんが、私も今渡部委員がるる御指摘のお気持ちと全く同じでございます。ただ、先ほど私が申し上げましたのは、現在提案をされておる年金法は六十五歳までの引き上げがまだ二十年ほど余裕があるわけでございます。しかし、その二十年先というようなことはまず忘れて、今お話しのように六十歳から六十五歳までの高年齢者雇用をきちっとするということはできるだけ早くに、そういった方々が安心して働けるような環境をつくっていくということが大切だ、そういう気持ちを持って先ほど先行する心組みを持ってと申し上げたわけでございまして、むしろ私も積極的に、勤労生活と年金生活がきっちりと結びついていくような形で今の年代層の雇用確保を図ることが大変大切なものとして今お答えしたつもりでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  51. 渡部行雄

    渡部(行)委員 最近新聞を見ますと、自民党でも平成二十二年から六十五歳の年金支給開始のいわゆる繰り延べ策は一時凍結する、こういうふうに出ておりますが、これは額面どおりに受け取ってよいでしょうか。
  52. 福島譲二

    福島国務大臣 私も今の点につきましては、直接的には厚生大臣の所管でございますので有権的なお答えをする立場にはございませんが、率直に申し上げまして、新聞等で伺っておる限りにおきましては、与野党の間でそういう趣旨の話し合いが進行しておるのだというように承知をいたしております。
  53. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次には、現在日本の産業は大変人手不足になっていると言われております。この人手不足を解消するいい策はないでしょうか。これについてお伺いいたします。
  54. 清水傳雄

    清水政府委員 御指摘のように、現在有効求人倍率が一・三倍という状況でございまして、これは四十年代末期のレベルに相当するものでございます。そういう意味合いで十数年ぶりの人手不足時代に入ってきておるという状況でございます。  基本的に、内需主導型の経済の拡大によりまして非常にすそ野が広く雇用増が進んできた。雇用就業者の増加数が大体年間にいたしまして百二、三十万人、こういう形で進んでまいってきておりまして、一方、労働者労働力の供給の方もここ数年の伸び率よりもかなり高い伸び率で進んできておりまして、百万人を超えるそういう労働力人口の伸びになってきておりますが、そこに二、三十万人のラグが生じております。こうした面で人手不足が進行し、特に中小企業においてはそうした広がりが非常に強く、また広く、深く進んできているという状況でございます。  基本的には、今後の経済成長がどういうふうな形で進んでいくのか、あるいはまた、我が国労働力率がどういうふうな形で今後進んでいくのか、あるいはまた生産性の上昇の度合いがどういうふうな形になっていくのか、マクロ的にはそうした総体的な関係状況が決まってまいるわけでございますけれども、しかし、そうした中におきまして、ただいま御指摘の高齢者の問題、あるいは地域の問題、そうした面においてなお依然として改善の進んでいない分野がかなりあるわけでございますし、また、いわゆる勤労者の職業意識の変化の中で、不人気職種と申しますか、そういう分野が拡大をし、それが中小企業におきまして人手不足感を呼んでいる、そういう実態にあるわけでございます。  そうした観点から、一つはやはり高齢者対策、あるいは婦人労働力の総合的な活用、そういった面に今後最大の力を注いでいかなければならない。こういったことによって労働力のマクロ的な面における供給力というものを増大させていく。それからまた、特に中小企業については、やはり魅力ある中小企業づくりということへ向けて努力をしていかなければならない。さらに、我々の直接的な活動領域といたしましては、公共職業安定所を中心とする需給調整機能を格段に強化をして、いわゆる職種、年齢等によるミスマッチ現象を解消するそういう手段を講じていかなければならない。こうしたことを念頭に置いて、先般通達も出しましたし、さらに来年度へ向けて施策の強化を図ってまいりたい、このように考えております。
  55. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで非常に問題なのは、言葉ではなく実態なんですよ。  絶対的に不足している労働者の中で、特にサービス業、それから建設業、小売業、それから鉄鋼、一般機械、その他ずっと順序がありますが、大体この辺が一番労働者不足を来しているわけです。そうして、結局どうすることもできないからそこに外国人の不法労働者といいますか、それが入り込んで、そこにいろいろな問題が噴出しておる。こういう状態についてはどういうふうに考えておられるのか。
  56. 清水傳雄

    清水政府委員 御指摘のように、産業別に見ますと、人手不足状況というのは、非製造業ではサービス業部門、それから建設業、小売業、製造業では機械関連業種あるいは金属製品、こういった分野で人手不足感が広がっておるところでございますし、また、そうしたことを背景として、いわゆる外国人労働者不法就労問題というのも発生をし、増加をしている、こういうふうに認識をいたしております。やはり不法就労問題ということにつきましては不法就労問題として、我が国の秩序を維持するために厳正なる態度で臨んでいかなければならない性格のものだと思います。労働力不足の問題につきましては、先ほど申しましたような観点から、雇用対策の分野で今後最大の努力を払っていかなければならない、このように考えております。
  57. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次に法務省にお聞きします。  法務省では、それぞれ受け入れる外国人労働者については一つの枠を設けて、例えば技能にすぐれておるとか、いろいろ特色を持っている、まあ一々読みませんから、そういう者を正当に受け入れる、しかし、単純労働者については受け入れることができない、こういうふうになっておるようですが、この点は法務省としては今後もずっとそういう考えを続けるおつもりなのかどうか。
  58. 股野景親

    股野政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの先生の御指摘の外国人の受け入れについての法的な枠組み、これは在留資格の点を御指摘になったと思います。法務省としては、現在政府の政策として、専門的な技術、技能、知識などを有する外国人で我が国で適切な職場を得て活動している、その活動我が国社会発展に寄与する、こう認められる者についてはこれを幅広く受け入れていく、こういう方針をとっているわけでございます。他方、ただいま先生御指摘の特定の技術、技能あるいは知識というものを有しないいわゆる単純労働者については、これまた現在の政府の政策として受け入れないという立場に立っているわけでございます。  今後につきましては、現在この問題が国内でいろいろ議論が多岐に分かれております。また、もし受け入れるということにいたしますと、我が国社会の各般に及ぼす影響も非常に大きいと考えられますので、こういう問題について多様な角度から今後その受け入れの是非について慎重に検討していくべきもの、こういう立場でございます。
  59. 渡部行雄

    渡部(行)委員 まだ方向性ははっきりしていないようです。  そこで、不正入国と難民あるいは亡命、こういう問題はどういうふうに違うのでしょうか。
  60. 股野景親

    股野政府委員 まず難民という点でございますが、通常これは国際条約である難民条約に規定されているところの要件を満たす者、これを難民と考えております。具体的には「人種、宗教、国籍」、「特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に」として「迫害を受けるおそれがある」者、こういう条約上の規定に従った取り扱いをいたしております。  他方、先生がもう一つ御指摘になりました不法入国者でございますが、これは有効な旅券を所持することなく入国をするなど、入管法に規定してあるところに違反をいたしまして入国をした者、これを不法入国者、このように扱っております。
  61. 渡部行雄

    渡部(行)委員 迫害を受けてそこから逃れる、逃れようとして他国に移動をするというものが難民であると言われましたけれども、今ベトナムから大分日本にやってくる人たちは、果たしてベトナムの政権から迫害を受けてやってきているのでしょうか。私はそうは思えないのです。ベトナムで生活するのに非常に苦しい、いわゆる生活の困窮が原因して、日本に行ったらさぞ働けるだろう、そして、そこでもっといい生活ができるだろう、そういうことで難民という形で入国しているのではないでしょうか。
  62. 股野景親

    股野政府委員 先ほどの先生の御質問にございました難民、それから不法入国者の扱いの区別については先ほど申し上げたとおりでございますが、私ども、日本で難民問題を扱っておる場合に、インドシナ難民というもう一つの扱いをしているグループがございます。これは基本的にはインドシナ三国の政変、それからこれに続いた混乱というものを逃れてインドシナ三国から脱出してきた者を総称してインドシナ難民と称しておりますが、その中には先ほど申し上げました難民条約上の難民に該当するものと、そうではありませんが、国際社会においてひとしく保護を必要とする、こういうふうに考えられるものの両方をインドシナ難民、こういう扱いでこれまで行ってきております。  そこでまた、先生のただいまの御指摘の、それではその迫害ということがどの程度の要因になっているのかという点でございますが、これはインドシナ難民につきまして、ボートピープルとして日本にインドシナ難民として到着する者、これは従前の国際連合総会の決議とかあるいは閣議了解というものに基づきまして、従前は一時庇護のための上陸の許可というものを弾力的に与えてまいった経緯がございますが、ことしの六月、その扱いについてインドシナ難民国際会議で新たな合意ができましたので、それを踏まえまして我が国としても九月十二日の閣議了解というものを遂げ、その中で一時庇護のための上陸許可というものについては慎重に審査を行う、こういうふうにいたしたわけでございまして、慎重に審査を行う基準というのは、基本的には難民条約に基づく難民性としての蓋然性を有するかどうかというのが基本になって考えていく。したがって、純然たる経済的な目的を理由に日本へ来るということになると、これはそういう意味での難民性は認めがたい、こういうことになると考えられます。     〔委員長退席、粟山委員長代理着席〕
  63. 渡部行雄

    渡部(行)委員 時間が参りましたので最後の質問でございますが、今までずっと私が質問した中で特に重点的に最後にお願いしたいのは、この高齢者対策について実際は職業安定所あたりは非常にやることをやっていない。それは総務庁の職業安定に関する行政監察によってはっきりしているのです。これに書いてあるのです。だから、そういう点を早く克服して、そしていわゆる法の期待するところ、国民の要求するところにこたえてほしいというのが第一点。  それから第二点は、現実に今日本の産業が人手不足で悩んでおる。そしてそこに不法労働が流れ込んでくる、こういう実態について、実態はそのままにして法律の改正だけではどうにもならないと思うのです。問題は、その実態をどういうふうに処理して本当に法治国家として実態が備わっているかどうか、そういう点をやはり見きわめていかなければならないと思うのです。ただ、何といいますか四角四面に物事を解釈し過ぎて弾力性を失うと、私は逆に国際関係を損ねたりいろいろするおそれさえ出ないとは限らないと思います。そういう点で、ひとつ大臣、最後にそういう問題をどういうふうに処理しようと思っておりますか、お伺いをして私の質問を終わります。
  64. 福島譲二

    福島国務大臣 前段の行政監察におきまして若干の御指摘をいただいたことにつきましては目下鋭意改善努力を続けておりますし、本日委員の御指摘の高齢者雇用の問題につきましては私も全く同感で、今後の雇用問題の最重点の一つとして考えておりますので、公共職業安定所の関連する分野につきましても立派に改善をしていくように、私も今後とも尽力をしてまいりたいと存じます。  なお、人手不足の問題に関連をして、いわゆる外国人労働者、中でも単純労働者あるいは不法に在留しておる外国人労働者等についての幾つかの御指摘がございました。この問題は、私は単に当面の人手不足にどう対処するかというような観点からでなく、この単純労働者を引き受けることにつきましては非常に大きな問題が考えられると思います。単に雇用労働問題という角度の問題だけでなく、経済社会全般に対する影響、しかも、それが当面の問題だけでなく、今後十年二十年先にどのような形に発展をしていくかという、そのあたりまで見きわめをつけた上できちんと対処すべき問題であろうと思っておりますし、政府全体といたしましても、そのような意味合いにおきまして関係の閣僚会議まで近々設置をすることも考えながら、この問題については十分に慎重に考えていきたいと存じております。  人手不足の問題は人手不足の問題として、先ほど担当局長からもるるお話がございましたように、あるいは地域間あるいは年齢の間においていわゆるミスマッチを解消する努力によってできる限りの改善を図っていきたいと考えておるところでございます。
  65. 渡部行雄

    渡部(行)委員 ありがとうございました。
  66. 粟山明

    ○粟山委員長代理 貝沼次郎君。
  67. 貝沼次郎

    貝沼委員 きょう初めて大臣のごあいさつを拝聴いたしました。それで端的に私はお尋ねしたいと思いますが、国会の解散も取りざたされておるときでありますから、大臣は、今大臣に御就任されて、そしてこれだけは必ずやり遂げたい、こういうふうに御決意をされておる点があるならば、お教え願いたいと思います。
  68. 福島譲二

    福島国務大臣 まだ私も就任をいたしましてからわずか三カ月でございます。しかしながら、内外ともに大変難しい時期に労働大臣として就任をさしていただきました。そして、その課題としては、先ほども申し上げました幾つかの雇用の問題に関する事項、そして先ほど一言つけ加えるのを落としましたが、全体としての国民生活、人生にゆとりを持たせるという意味での労働時間の短縮といったような大変重要な問題が山積をいたしております。残念ながら、そのいずれをとりましても、ここ何カ月の間に完全に片がつくというような性格のものであれば、私も勇気を鼓してこの問題だけはぜひとも任期中にやらしていただきたいということを胸を張って言い得るわけでございますが、余りにも大きな、大切な問題であるだけに、どこまでその軌道に乗せることができるかどうか、とにかく毎日毎日を最善を尽くしていくことだけを今考えておるこの最近でございます。
  69. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで、これはお願いですけれども、高齢者の就業について今もるる議論がございましたが、これを最重要課題一つだとさっきおっしゃっておりましたが、そのうちの一つということは、幾つかあるうちの一つということでしょうから、その中でもさらにこれに力を入れていただきたい、これは私の要望でございます。  高齢者の就業問題を考えていきますと、高齢化社会において高齢者の位置づけというものが非常に重要になってまいります。そういうところから、高齢者の方が働ける、体の丈夫な人はよろしいですけれども、やはり高齢になってきますと足も弱ってくる、目も薄くなってくる、いろいろな面で体の面に障害が出たりしてまいります。そうすると、社会全体のつくりといいますか、道路の問題とか職場環境とか、あるいは働く時間の問題とかというようなことが総合的に議論されなければなりません。こういうのは労働省の方から各省に対して働きかけをして、そして高齢化社会が来たときでもその高齢者の労働力というものが存分に発揮されるような体制、こういうものがつくられなければならぬと考えておるわけでありますけれども、この辺については何か進めておることでもあるのでしょうか。
  70. 七瀬時雄

    ○七瀬政府委員 先生ただいま御指摘になりましたように、高齢化社会において高齢者の活力を生かす、あるいは高齢者の希望、ニーズに応じた雇用確保を図っていくということは大変重要な問題でございますが、これに関連いたしましていろいろ必要な施策が出てまいりました場合には、関係省庁とも密接な連絡をとってやってまいりたいと思っておりますが、私どもとしては雇用を進めていくということを施策の中心に置きながらやっていく所存でございます。
  71. 貝沼次郎

    貝沼委員 ですから、雇用を進めるためには環境が整わないと雇用は進まないのですね。したがって、雇用を進める労働省としては環境整備に拍車をかけなければ、これだけの雇用を進めたい進めたい、あるいは雇用したいところもある、あるいは働きたい人もおる、しかし環境が整わないとそれは実らないのですね。したがって、そういうことは労働省からも積極的に各省に働きかけをして、環境整備が必要ではありませんかということを言っておるわけですが、これについてはいかがですか。
  72. 福島譲二

    福島国務大臣 つい数日前に発表されました経済企画庁の国民生活白書を私も、まだ十分な時間がございませんが、中をざっと拝見をいたしました。その中の大変多くの部分が、むしろ労働白書とも言うべきような内容に割かれておるのを拝見いたしまして、私は大変うれしく、また意を強くしたことでもございます。  恐らく今関係各省、このような高齢者の雇用問題ということが日本の現在並びに将来にとって極めて大切なことである、そしてその高齢者の雇用の問題、あるいはこれから人生ゆとりを持つというその余暇の問題、そういった問題に大変目を向けていただいておるところに意を強くしたところでございますが、なお、この問題は大変大切な問題でございますので、御指摘のように機会あるたびに関係各省にも注意を喚起し、御協力をいただきたいと思っております。
  73. 貝沼次郎

    貝沼委員 それからもう一点だけこれに関連いたしまして、大変大ざっぱな議論で恐縮ですけれども、例えば技能を持った方々がたくさんいらっしゃいます。いろんなノーハウを持っております。そういう人たちが年をとってまいりますと定年になる。せっかくのノーハウが眠る場合が多くなるというようなところから、こういう能力を生かせる職場、こういうことが要求されてきております。例えばその人たちの話を聞きますと、外国でも、日本のそういう技術を持った方々に来てもらって、そしていろいろと指導を受けたいというところもあるようですね。そういうようなところも生かす必要があるのではないかということが一つ。  それからもう一つは、日本の場合、定年になりますとやめるわけですけれども、場合によっては、ある職場においては何も若い人でなければならないという職場だけではありません。一定の社会的な知識を持ち、そして、それだけの人間ができ上がった、それだけのいろんなことを知り尽くした人であれば、年をとっておってもかえって好都合であるというような職場もあるわけでございます。  したがって、場合によってはその職場は定年制みたいに何歳になったらやめるというのではなしに、何歳以上でなければ採用しない、こういういわゆる逆定年制みたいな考え方はあるのかないのか、こういう考え方はおかしいのかどうか、その点をちょっとお尋ねしたい。
  74. 七瀬時雄

    ○七瀬政府委員 高年齢者雇用就業の場を確保するに当たりまして、高齢者が長年培われた知識、経験、能力、あるいは高齢者ならではのそういった能力を生かしていくということは大変重要なことであろうかと思っております。したがいまして、そういう観点から、私どもとしては、例えば本年度におきまして定年退職者の方々を有効に再就職していただくための機関として、高年齢者のキャリアセンターを主要都市三カ所に設置いたしたところでございます。  なお、先生の御指摘の逆定年制につきましては、現状においてそれがそのままの形で制度化するということについては検討しなければならない問題がいろいろございまして、なかなか難しい問題ではなかろうかというふうに率直に感じておる次第でございます。
  75. 貝沼次郎

    貝沼委員 話題を変えます。  これは昭和六十二年度の会計検査院の報告でございます。受給無資格者に一億四千万円、ずさんな労災遺族年金支給、こういう記事が出ております。これを細かくやっていると、もう時間がありませんのでできませんが、ざっとどういうことですか、これは。
  76. 石岡慎太郎

    ○石岡説明員 昭和六十二年度の会計検査院の指摘事項といたしまして、先生ただいまおっしゃいましたように、件数といたしましては二百八十二件、金額としましては一億四千四百三十八万円の規模で、生計維持の関係がない者に労災の補償年金等が支給されている、したがって、労災のこのような制度の見直しをしてはどうかという処置要求を昨年いただいたわけでございます。  このような事態になりました原因は幾つかあるのでございますが、一つ申し上げますと、労災補償年金制度は、実は昭和四十年にでき上がったわけでございますが、その四十年の前の段階におきましては、生計を維持している者はもとより、生計を同一にしている者に対しましても遺族補償を支払っていたわけでございます。こういう経緯もございますし、あるいはまた労働基準法の規定では、遺族補償につきましては同一生計の者も現在でも認めているということになっております事情がございまして、生計維持の判断を幅広く行ってきたのであります。したがいまして、今回のような指摘を受けたわけでございますが、労働省といたしましては、ちょうど現在労災保険制度の見直しをやっているところでございますので、会計検査院の処置要求を受けまして、しかるべき改善を制度改正の中で図りたい、そういうふうに考えている次第でございます。     〔粟山委員長代理退席、委員長着席
  77. 貝沼次郎

    貝沼委員 一億四千四百三十八万円、これが受給資格のない孫とか祖父母に支払われておった、こういうことなんですね。なぜそういうことが起こったかということについては、生計を維持するという言葉と生計を一にするという言葉の解釈の問題であった、従来の解釈に乗った、決して悪い気持ちではなかったということですけれども、それはそれで私は責めようとは思っておりません。これから改めればいいことですから。ただ、監督署において「住民票等による死亡労働者との同居の事実の確認を行うだけで受給資格者であると認定している状況であった。」、こういうふうに会計検査院は書いてあるわけですけれども、これが今度は変わるわけですか。
  78. 石岡慎太郎

    ○石岡説明員 先ほど言いましたように、会計検査院の処置要求も出ておりますので、今度この認定制度を改めてまいりたいと思います。すなわち、事実といたしまして生計維持関係のある方に遺族補償年金等が支払われるようにいたしたいと思います。そのためにはまず制度改正を行いますが、あわせまして、運用の面でも、同居の事実だけを調べることなく、生計維持関係が事実として判明できるような調査も当然ながら行ってまいりたい、そういうふうに考えております。
  79. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで、なぜこの問題を私が取り上げたかと申しますと、受給資格のない人に金が支払われておるということは、第三者が見た場合、この制度自体の信頼を損ないます。この払った金、まさか返せというわけじゃないのでしょうね。どういう扱いになるのですか。
  80. 石岡慎太郎

    ○石岡説明員 本件につきましては、生計維持関係にあるかどうかの認定に際しましての言ってみれば運用の問題でございまして、違法であるとか不当であるとかという問題ではないと実は考えている次第でございます。生計維持関係の解釈を、いろいろな経緯がございまして、また、かわいそうな遺族のケースでもございますので、弾力的に運用してきたということでございます。したがいまして、会計検査院の方からも、現行の制度を直していただきたいという御意見をいただいているところでございます。したがいまして、制度をこれから直してまいりたいと考えている次第でございます。
  81. 貝沼次郎

    貝沼委員 制度を直すこと、大変よくわかりました。しかし、その制度を直すスケジュールがあると思います。そのスケジュールについてひとつ発表していただきたいと思います。
  82. 石岡慎太郎

    ○石岡説明員 労災保険制度につきましては、現在、労災保険審議会のメンバーから成ります基本問題懇談会でこの問題も含めまして各般の検討を行っているところでございます。年末までに関係労使の合意がこの基本懇及び審議会においてなされるといたしましたら、労災保険法の改正法案を次期通常国会に提出したい、そういうふうに考えている次第でございます。
  83. 貝沼次郎

    貝沼委員 では、この問題はこれで終わります。  次に、パートタイム労働者について二、三お尋ねしたいと思います。  その前に、パートタイムの労働者の皆さんのためにパートバンクというのがございますが、このパートバンク、あれから八年たっておりますけれども、現在どういう状況になっておりますか。
  84. 清水傳雄

    清水政府委員 パートバンクにつきましては、パートタイム雇用の需給が集中している大都市のパートタイム就労希望者に利用が便利なターミナルなどの場所にパートタイム労働者の職業相談、職業紹介を専門的に扱う施設として設置をいたしておりまして、現在までのところ、そうした雇用のニーズの高い都市圏のうち、その中心地の人口がおおむね二十万人台以上のところに設置をしていく、こういう考え方でその拡大に努めてまいっておるところでございまして、本年の十月末現在で大都市圏及び地方中核都市を中心に五十二カ所設置をしているという状況でございます。
  85. 貝沼次郎

    貝沼委員 このパートバンク、大変好評を博しておるようでございますが、岡山県の場合も、五十八年七月に岡山市に岡山パートバンクが設置されました。それで大変好評を得ておるところであります。県下の第二の人口集積を有する倉敷地区、ここにおいてもパートタイム雇用の需要は極めて旺盛であります。これに的確に対応するため、倉敷市にパートバンクを設置されるよう要望するというので岡山県の方から要望が出ておると思うのでありますけれども、これについてはどういうことになっておるか、お聞かせ願えればありがたいと思います。
  86. 清水傳雄

    清水政府委員 倉敷市の方からそうした御要望をいただいておるところでございまして、先ほど申しましたような設置の考え方からいたしますればおおむねパートバンクの設置基準を満たしておられる、そういうふうに考えられるわけでございますが、全体といたしまして本年の十月末現在で五十二カ所という形で設置を進めてきておりまして、さらにその設置箇所数を拡大すべく来年度予算におきましても努力をしていかなければならないわけでございます。御指摘のように、パートバンクそのものについてかなり好評をいただいておるところでございまして、かなり多数の設置要望が各都道府県段階から出されているところでございまして、まだ来年度のその設置箇所につきまして申し上げる段階ではないわけでございますが、そうした地域のニーズの状況、諸般の状況をよく勘案をいたしまして、予算の獲得にも努力をしつつ検討をいたしてまいりたい、このように考えております。
  87. 貝沼次郎

    貝沼委員 予算の獲得、よくわかりますが、ある程度期待してよろしいというふうに受けとってよろしいですか。
  88. 清水傳雄

    清水政府委員 先ほど申しましたように、非常に設置の御要望も多い状況でございまして、来年度の予算の確保に向けまして最大の努力をいたしまして、そうした中で諸般の状況を勘案しつつ検討させていただきたい、努力をしつつ検討させていただく、こういうことで御了解を賜りたいと思います。
  89. 貝沼次郎

    貝沼委員 強く要望しておきたいと思います。  それからパートの問題に入ります。  近年の技術革新産業構造の変化及び女性の職場進出に伴い、パート労働者は著しく増加して今後もふえる傾向にございます。現在パートタイム労働者は約八百万人と推定されております。それでこのパートタイム労働者をめぐる諸問題、たくさんございます。二十一世紀は産業構造、技術構造の変化が一層激しくなるとともに、人生八十年の長寿時代の到来により職業生涯の長期化が予想されております。そうなると将来、生涯一職業時代から生涯多職業時代に対応できる就労形態として最も有力なのはパートである、こう考えられるわけでございます。今後パートタイマーは二十一世紀の基幹労働力としてますます重要な位置を占めてくる。そこで、労働省としてはこのパートタイマーという雇用形態をどのようにとらえ、今後どのような対策考えておるのか、まずこの点をお尋ねしたいと思います。
  90. 佐藤ギン子

    佐藤(ギ)政府委員 今先生から御説明ございましたようにパートタイム労働者、今後ますますその重要性は高まっていくと思いますし、その質も向上していくと期待しているところでございます。  そこで、私どもといたしましても、このパートタイム労働者が良好な労働条件で働けること、また雇用の安定が確保されること、こういうことを第一の目的にいたしまして施策を進めてまいりたいというふうに考えております。
  91. 貝沼次郎

    貝沼委員 公明党は、昭和五十九年三月から他党に先駆けて党独自のパート労働法案を国会に提出してまいりました。そして労働者の働く権利を守りかつ福祉増進する取り組みを推進してきたわけでございます。その間アンケート調査ども行いまして、その結果は天下に公表しておるわけでございます。この本がそうでございます。そして、その結果からわかったことはたくさんございますが、一つはパートタイム労働者の置かれている労働条件は極めて劣悪であったということでございます。それからもう一点は、賃金も一般労働者と比べて著しく低いという点が目立ちました。それから労働基準法ですら遵守されていないところが多かった。身分も極めて不安定であった。さらにパートタイム労働者、現在約八百万人というパートタイム労働者でありますが、労働者の六人に一人がパートタイム労働者になっておるわけですが、将来は基幹労働力としてますます重要になってくる。このことも調査の結果わかりました。  そこで、政府はこのパート労働のあり方について立法化の動きが一時あったように見受けましたが、立法化する考えはあるのかないのか、そういう意思はあるのかないのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  92. 福島譲二

    福島国務大臣 パートタイマーについての労働条件改善あるいは雇用の安定、これはパートタイマーの占める比重というものが今後ますます高くなるであろうという見込みのもとに大変大切なことだと私どもも思っております。そして、そのために労働省といたしましては、この六月にパートタイム労働指針を策定したばかりのところでございまして、今の段階ではこのパートタイム労働指針で盛り込まれましたいろいろな事項につきまして、これを周知徹底を図る段階ではなかろうかな、まだまだ労使の合意形成のためにこの指針を周知徹底を図るべき段階かな、このように感じておるところでございます。
  93. 貝沼次郎

    貝沼委員 それではちょっと弱いのです。やはり法律で定めなければならない部分がかなりあると私は思います。  細かくやったらいいのですけれども時間が余りありませんので、私どもがまとめたところで、そのうちの幾つかをお尋ねしたいと思いますが、例えば労働条件の明示という問題でも、これは公明党の調査では賃金ですら文書で明示されていない人が八〇・二%もいた。この書面による明示をやはり必要とするわけでございますので、労働基準法の労働条件明示方法の改正を実現しなければならぬと思っております。例えば交付するよう努めるとかそういう努力的なものではなしに、きちっと法律にこれを書かなければならないと思います。例えば書面による労働条件明示を義務づけるとか、それからもう一つは雇入通知書の交付、これも義務づけるとか、こういうふうにはっきりしなければならないと考えるわけでありますけれども、この辺はいかがでありますか。
  94. 野崎和昭

    ○野崎(和)政府委員 御指摘のとおりパートタイマーは就業規則の作成を義務づけられていない十人未満の小零細企業に就労される場合も多うございまして、そういった場合にはとかく労働条件が不明確になるという問題が指摘されているところでございます。したがいまして、労働省におきましても、ただいま先生御指摘のございました雇入通知書という制度を普及させたいということでそのモデル様式をつくりましてその普及に努めているところでございます。こういった形で当面労働条件の明確化を図る、そういったことで努力をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  95. 貝沼次郎

    貝沼委員 だから、その交付するよう努めるなんというのでは弱い、交付する義務づけをしなければならぬ、こういう私の主張でございます。それはどうですか。
  96. 野崎和昭

    ○野崎(和)政府委員 義務づけるということになりますと、現在でも賃金だけは書面でその内容を交付しなければならないとなっておりますけれども、それ以外のものは労働基準法上義務づけられていないわけでございます。したがいまして、やはり雇入通知書という慣行の普及を待ってその上で検討すべき問題ではないかというふうに思うわけでございます。
  97. 貝沼次郎

    貝沼委員 これは義務づけることを私は強く主張しておきたいと思います。  次に、賃金の問題です。  パートタイマーの賃金は一般常用労働者と比べて非常に安いのが現状でございます。これが一番の問題点であり、女子正社員の初任給の七割に満たないところが非常に多かった。賃金の決め方は時間給制が圧倒的に多くて、時給額の平均は、産業労働調査所によると六百四十七円となっており、公明党調査では六百一円という状況であったということでございます。  それからまた、最低賃金法のもとでの現行最低時間額四百二十八円、これよりも低く三百四十円という劣悪なケースもあった。それから、いわゆる配偶者控除の問題もあった。それから賞与の制度については、四二%があるという回答もあった。それから、退職金制度があるところは我々の調査では一二・九%、産業労働調査所の調査によれば六・九%となっている。いずれにしてもまだ普及していないというのが現状であったということであります。正社員は一定期間働けば退職金が支給されるのにパートタイマーには支給されないというのは、正社員との賃金格差をますます増大させることになる。パートタイマーの平均勤続年数は、現在約四年と言われ、年々延びている傾向にある。今後パートタイマーにも勤続年数によって退職金を支給する制度を早急に検討する必要がある、こういうふうに考えるわけでございます。この点について、退職金のことについてちょっと意見を伺っておきたい。
  98. 野崎和昭

    ○野崎(和)政府委員 賃金労働条件の中の基本的なものでございますので、それについては基本的にはやはり労使で話し合って決めていただくべきものというふうに考えております。  退職金一般につきましても、一般的にもこれを法律で支給を義務づけるということにはなっていないわけでございます。しかしながら、今先生御指摘のように、パートタイム労働者賃金とか賞与とか退職金等が一般の通常の労働者の状態に比べまして非常に不均衡になるということがあってはならないということで、ことしの六月に策定いたしましたパートタイム労働指針におきましても、「パートタイム労働者賃金、賞与及び退職金については、労使において、その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して定めるように努めるものとする。」という規定が入っておりまして、この規定の趣旨に従いまして指導してまいりたいというふうに考えております。
  99. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから、同一労働同一賃金の問題であります。これは確立をしなければならない、こういうふうに考えておりますが、この点はいかがでしょうか。
  100. 野崎和昭

    ○野崎(和)政府委員 パートタイム労働者の場合には、労働時間とかあるいは従事している仕事内容が通常の労働者と一見同様に見える場合でも企業内での役割とか責任の度合いなどが違っている場合もございまして、一概に従事している職務の内容だけから同一労働同一賃金ということはなかなか難しい場合が多いかと思いますけれども、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように通常の労働者との実質的な均衡を考慮して賃金も定めることが必要であるというふうに思っております。
  101. 貝沼次郎

    貝沼委員 ぜひ実質的に進むようにお願いをしたいと思います。  それからさらに、非課税限度額、これは先般百万円になりましたので評価しておりますが、しかし、これではやはりまだ不十分ですね。先般、大臣の百二十万という発言も新聞に出ております。それから自民党のパートタイム労働問題検討小委員会では百五十万円への引き上げを提言しておる。大変頼もしいことだと私も思っております。私もこれは百五十万ぐらいまで頑張るべきではないかと思っておりますが、労働省としては頑張る気持ちはありますか。
  102. 佐藤ギン子

    佐藤(ギ)政府委員 パートタイム労働者の非課税限度額の引き上げにつきましては、労働省といたしましてもこれは必要であるというふうに考えております。したがいまして、平成二年度の税制改正の要望におきましては関係省庁にその方向で働きかけをいたしているところでございますし、これからもいたしていきたいと考えております。
  103. 貝沼次郎

    貝沼委員 こういうふうに一つ一つやっていきますと、パートタイムというのは実際働いているのはほとんど同じことをやっておるにもかかわらず差がある、これが私どもがパート労働法を提案しておる基本になるわけでありますが、労働時間の問題でも実はあるわけでございます。  パートタイム労働者は一般の常用労働者よりも所定労働時間が短いことが通常でありますが、しかし、公明党調査でも明らかになったことは、事実上一般の常用労働者労働時間がほぼ変わらないパートタイマーがふえているのが現状であるということであります。また、労働時間が変わらないどころか残業までさせられているパートタイマーも出てきている。例えば「パートタイマーの生の声」の中に、「勤務時間は決められているが、実際には仕事が終わらないと帰れないので、何時間も残業をさせられ、家庭生活に影響がでる」あるいは「パートといっても名ばかりで残業が多く、残業をしないとイヤな顔をされる」といった声が非常に多かったわけでございます。契約時間以外の労働が事実上強制されていることにより、特に女性パートタイマーの場合、家庭仕事の両立が著しく困難になることは必至であります。さらにひどいことには、残業分の賃金が払われていないケースもあるということであります。そのことについて不満を言うと首になるのでじっと我慢をしている、こういう場面もございました。こういう深刻な事態が日本の労働市場の中では平然と行われておるわけでございます。  そこで、この残業のことで申し上げますと、パートタイマー等については、所定外労働、休日労働を原則として禁止します、例外としては、災害、緊急事態、その他避けることのできない理由が生じた場合にのみ認めることができる、ただし、その場合であっても本人の同意を必要とすること、こうなっておるわけでありますが、本人の同意以外の残業、これは禁止すべきだと思いますが、この点はどうなっておりますでしょうか。
  104. 佐藤ギン子

    佐藤(ギ)政府委員 先ほど労働大臣からも申し上げましたパートタイム労働指針にも、労働条件労働時間につきましては使用者に所定の労働時間外などの労働をできるだけ行わせないように努めるということを決めておりまして、この周知の徹底を図っているところでございます。また、仮に所定外労働をさせようとする場合には、その旨及びその程度につきまして雇い入れの際にあらかじめ明示するように努めるようにということを定めているわけでございます。したがいまして、今後ともこの指針に基づきまして指導は十分に徹底をさせていきたいと考えております。
  105. 貝沼次郎

    貝沼委員 こういう実態というのはやはり、そう望むとか、そう努めなさいとか、そういう弱いことではこれはなかなかできませんね。パートタイムで働く人は雇い主から見れば大変弱い立場にあるわけですから、これはやはり法的にカバーしてあげないと大変難しいと思っておりますので、その点を主張しておきたいと思います。  さらに、残業には割り増し賃金の徹底ということでありますが、割り増し賃金を払わなければならないという旨の法改正を行う必要があると思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  106. 野崎和昭

    ○野崎(和)政府委員 御承知のとおり労働基準法では一日八時間、それから現在では一週四十六時間を超えた場合に割り増し賃金を払うことを義務づけているわけでございます。問題のパートタイム労働者の場合には一日の労働時間が短い、例えば六時間なら六時間という契約をしている場合に、何らかの事情があって残業をお願いする、そういう場合の賃金の割り増しを行うべきかどうかということでございますけれども、これにつきましては、労働基準法の定める八時間を超えない限りはやはり労使で話し合って決めていただくことが適当ではないかというふうに思います。
  107. 貝沼次郎

    貝沼委員 やはりちょっと不十分ですね。  それから、社会保険の問題も出ておりました。これは、労働者災害補償保険法は、労働者を使用するすべての事業に適用され、その労働者雇用形態がパートであろうと派遣労働者であろうと、そのいかんを問わず適用の対象となる。したがって、法制度そのものはパートタイム労働者を除外するものではなく問題はないわけであります。しかし、我々の調査では労災保険を適用されていないパートタイマーは八割以上もいた。これは事業主側の問題であり、一つは、パートタイマーには労災の適用義務はないという事業主側の無知もあります。また、悪質な事業主は知っていながらも負担を免れるために適用していないという問題もあったわけでございます。したがって、労災保険の適用事業主に徹底することが必要でありますが、これについての当局のお考えはいかがでしょうか。
  108. 野崎和昭

    ○野崎(和)政府委員 労災保険につきましてはパートタイム労働者に対しましても全面的に強制適用になっておりますので、今先生御指摘のございましたのはそういう強制適用の中で事業主が未手続の状態にある場合だと思います。そういう場合でも、現実に労働災害が生じました場合には労働者には災害補償が当然給付されるわけでございます。  なお、そういう事業主につきまして故意または重大な過失がございました場合には、その給付に要した費用を徴収する制度になっておりまして、そういった制度の活用あるいは一般的にそういった未手続事業所の解消には努力してまいりたいと思います。
  109. 貝沼次郎

    貝沼委員 以上、簡単にパート問題につきまして触れましたが、こういうようなたくさんの問題があります。そういったことを踏まえまして私どもはパート労働法を国会に提案しておるわけであります。これは野党が提案をする、あるいは議員が提案をする、それも当然よろしいわけでありますが、当局としても、政府としても積極的に立法化をする必要があると私は考えております。そういう積極的姿勢を強く要望したいと思いますが、いかがでしょうか。
  110. 佐藤ギン子

    佐藤(ギ)政府委員 この問題につきましては事実上は労、使、公益の三者構成から成りますパートタイム労働問題専門家会議におきまして御検討いただいておりまして、中間的な整理はいただきましたが、その後引き続きまして、この法制化につきましては課題として検討していただくことになっておりますので、私ども、そういうところを通じまして労使の御意見の合意に近づくように努力をしてまいりたいと存じます。
  111. 貝沼次郎

    貝沼委員 あと五分しかありませんので、別の問題を簡単に聞きたいと思います。  それは育児休業法を制定せよという主張でございます。男女雇用機会均等法が施行されて三年半、女性の職場への進出はますます盛んになっております。働く女性は今や千六百七十万人、うち六〇%が既婚女性でございます。この中で、将来とも社員として仕事を続けたいという傾向の人も多くなっております。しかし、総理府の「婦人の就業に関する世論調査」によると、働きたい女性たちが長く働き続ける場合の困難や障害のトップが育児で六五%、次いで老人や病人の世話三五%、家事三二%。また、労働省がまとめた調査でも、既婚女子労働者が就労継続に必要な条件、制度としてトップに挙げたのが育児休業制度四四%でありました。また、民間調査研究機関の調査によっても、実際に働いている労働人口、これは生産年齢人口に対する比率でありますが、いわゆる年齢別労働力率では女性が二十五歳から四十四歳の年齢層で大きく落ち込んでいます。特に二十五歳から三十四歳の労働力率は五〇%、米国は七〇%だと言われております。したがって、大幅に下回っているわけでございます。これは出産や育児の影響が強くあらわれていると見られております。育児が女性の就労継続を妨げるとしたら、それは実質的な意味での男女差別つまり均等ではない、さらに、育児休業制度の法制化の必要性を訴えているものと思っております。  今はしょって申し上げましたけれども、こういう点を踏まえて労働省は、これに対してどのように受けとめ、どう対応されようと考えておりますか。
  112. 福島譲二

    福島国務大臣 小さな子供さんを持つ女子の勤労者の皆さん方が育児のために一定期間休業をして再び職場に戻る育児休業の制度が職業生活と家庭生活の調和のために大変大きな役割を担っておると思います。労働省もそういう意味で育児休業奨励金の制度をつくり、その普及の徹底を今図っておるところでございますが、まだ残念ながら普及率は二〇%にも及ばないような現状でございます。そういう中で、この制度はできるだけ今後ともその普及徹底を図るように努力をいたしておりますが、ちょうどそのさなかに、つい先般四党の共同提案による議員立法が参議院で御提出をされたばかりと伺っておりますし、なお、本日参議院関係委員会におきまして本問題についての小委員会、育児休業問題に関する小委員会の設置が決定されたと伺っております。そういうことでございますので、私どもといたしましてはこの小委員会における御審議の状態などを十分に見守ってまいりたいと思います。  いずれにしても、この制度を法律で制度化するかどうかは別といたしましても、この制度の普及徹底には今後とも一層の努力を払ってまいりたいと思っております。
  113. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで、今普及がおくれておるということなんですけれども、これはどこに原因があるのかということですね。普及がおくれておるから立法化が大事だと私は思っておるわけですけれども、例えば育児休業奨励金自体に問題があるのか、例えば安いとかそういうようないろいろな問題があろうかと思います。  時間がなくなりましたので詳しいことは申し上げられませんが、そういったことも考えて早くこういう制度が法律として日の目を見るように、当局としてもひとつ十分御努力をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
  114. 佐藤ギン子

    佐藤(ギ)政府委員 育児休業制度につきましてはまだ確かに普及率が高くはございませんけれども、均等法ができましてからその普及は加速されておりますので、今後さまざまな工夫を凝らしながら普及に努めてまいりたいと存じます。
  115. 貝沼次郎

    貝沼委員 終わります。
  116. 丹羽雄哉

  117. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私は、労働大臣の所信表明に対する一般質問をさしていただきたいと思います。  まず、冒頭に、今日の労働環境というものは大変大きな変化を来しているであろう、こんなふうに思っております。  その一つには、勤労者がいかにゆとりを目指すかということが大きな課題ではないかと思います。先般、国民生活白書でも明らかなように、世界一長労働時間、二千二百時間を超しているというのはそう自慢をできるものではありません。特に、一昨年、一九九三年までに千八百時間に向けて努力をしていこうという、そしてそのことが対外的に表明をされていても労働時間が短縮されないというところに大きな問題があるだろう、こういうふうに思っておりますし、求人倍率その他を見ても明らかなように、若年労働者の方は大変求人倍率高いわけでありますけれども、中高年層の人たちについては、特に雇用の問題については非常に厳しい環境にある。そういう中で、やはりトータルとしての総労働時間、こういう問題も含めて、これからの労働時間短縮に向けての努力が必要ではないか、こんなふうに思っておりますけれども、これらに対する現時点における指導やあるいは方針があればお聞かせをいただきたいと思います。
  118. 野崎和昭

    ○野崎(和)政府委員 労働時間につきましては、昭和五十年代は御指摘のとおり二千百時間前後で一進一退を続けてまいりましたけれども労働基準法が改正され、それが施行されました昭和六十三年四月以降は着実に減少をしているところでございまして、昭和六十三年度年間の総労働時間は二十時間、所定内労働時間だけに限れば二十六時間の減少を見ているところでございます。この所定内労働時間の二十六時間の減少というのは、高度成長期の末期の、一番労働時間の短縮が進んだときと同じ状態でございます。  しかしながら、先生御指摘のとおり、経済計画では、昭和六十三年度から平成四年度までの五年間に、千八百時間に向けてできる限り短縮するという目標になっているわけでございますが、この目標に照らしますと、六十三年度の労働時間の減少というのは大幅ではございましたけれども、計画の目標に照らせばまだ半分程度という状態でございます。したがいまして、今後ともさらに労働時間短縮を進めるために、基本的にはやはり週休二日制の完全実施でございます。次に、年次有給休暇の消化率が非常に低いということが大きな問題でございまして、年次有給休暇の完全取得と連続休暇の定着、さらに、特に現在は景気が非常にいいということで残業時間が非常に長くなっておりますけれども、これをできる限り短縮する、そういう三つの対策によりまして、できるだけ計画の目標の実現を図ってまいりたいというふうに思っているところでございます。
  119. 田中慶秋

    田中(慶)委員 労働時間でありますから、労働時間も、いずれにしても一九九三年の大きな目標に向かってこれからも努力をしていただきたいし、そのことがやがて、貿易摩擦その他の不安も現時点であるわけでありますから、国際化という今日の社会情勢の中で、労働時間は国際化じゃないんだ、こういう理屈にはなりませんので、そういうことを含めて、あらゆる機会を通じて徹底していただきたいということを要望しておきたいと思います。  そこで、実は長年懸案であった労働界の再編というものがこの十一月の二十一日、官民統一が図られ、新連合が発足することによって完成することになりました。新連合は八百万人の労働組合員が結集した一大ナショナルセンターとなり、西側諸国の労働組合の一員として、自由にして民主的な労働運動を推し進め、国際化、情報化、高齢化社会に対応した真に豊かな二十一世紀の社会づくりを目指しているが、労働大臣に、これらについての所感と評価をいただきたいと思います。
  120. 福島譲二

    福島国務大臣 御指摘のように、この二十一日の午後、新連合が発足する運びになったことは私どもとしても御同慶の至りでございます。長年の関係労働界の悲願であったわけでございまして、官民の主要組合が結集した一大勢力を持つナショナルセンターの誕生ということでございまして、我が国労働運動史上におきましてもこれは画期的な出来事であると思っております。今後、これだけ大きな、八百万と言われるような大組織になった新連合でございますので、その社会的な責任を十分に御自覚いただきまして、労使関係の安定に寄与すると同時に、多くの課題が山積をいたしております中で政策、制度要求に当たって今後とも現実的、建設的な対応をしていただくことを心から期待をしておるものでございます。
  121. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大臣は評価をされ、期待をされている。しかし私は、反面、八百万という大きな世帯になっております新連合は必ず制度、政策要求が出てくると思います。これらに対し大臣は少なくても耳を傾け、あるいはまた日本の現状をよく分析をして、これらに対する理解を深められたいと思いますけれども、これらに対して基本的にどのような具体的な策を講じられようとしておるのか、お伺いをしたいと思います。
  122. 福島譲二

    福島国務大臣 新連合が十月の十八日でございましたか、統一準備会で、ゆとりと豊かさを求める総合生活の改善というものを新連合の基本的な運動方針とされたと伺っております。今私ども労働省といたしましても、またつい先般経済企画庁が発表いたしました国民生活白書におきましても、まさにゆとりと豊かさを求める総合生活の改善、本当に豊かさが実感できる生活社会を築いていこうという意味におきましては、私ども政府も全く同じような心組みでございまして、そのような意味合いからいたしましても、今後私どもも新連合の皆様方とは胸襟を開き、対話を続けて、お互いにお互いの立場を理解しながら、同じく共通する、今申し上げましたような目的に向かってお互いに全力を尽くしてまいりたいと思います。
  123. 田中慶秋

    田中(慶)委員 新連合が二十一日発足をし、その大きな制度、政策要求の中に、例えば一つには年金問題もあります、一つにはパートタイマー法の問題もあります、一つには育児休業法の問題もあります、そしてまた時間短縮、こういう形で大きな目玉が当面あるわけでありますから、先ほど来パートタイマーの問題やら育児休業の問題についてそれぞれ答弁が述べられておりますけれども、しかし、こういう問題も含めて、胸襟を開くというのは、同じ立場に立って物の解決を図っていただきたい、私はこんなふうに思っておりますので、この辺もきょうは限られた時間の中で質問あるいは質疑をさせていただく問題ですから、これはまた後ほどの機会にして質問をしたいと思っておりますが、こういう大きな問題が当面制度、政策要求の中にあるということを御認識をいただいて事前に対応していただきたいと要望しておきます。  そこで、実は現在の長寿社会の中で、退職した高齢者が円満に年金生活に移行できるように、雇用年金との連携強化を図る必要があるわけであります。そのためには、高齢者の雇用の安定が最も重要であり、六十歳までの定年延長をするために定年延長法を速やかに制定すべきである、私はそんなふうに考えておるわけであります。今回の年金の問題も、やはり年金雇用年金と定年、まさしく表裏一体だと思っております。そういう点では、今厚生省から出されているこの年金問題というものが、やはり定年というものなくして論じられないわけでありますから、労働者がイニシアチブをとり、あるいは政府が対外的にこの六十五歳というものを社会的な認知をできるようにする意味でも、私はこの定年延長法という法律の検討や、あるいは法律を制定すべきではないかと考えておりますけれども労働省の見解を求めたいと思っております。
  124. 七瀬時雄

    ○七瀬政府委員 お答え申し上げます。  本格的な高齢化社会を迎えまして、高齢者が安心して生活を送れるようにするためには、高齢者の雇用の場を確保するとともに、雇用年金の連携を図ることが重要であるということは御指摘のとおりであろうかと思います。  労働省といたしましては、六十歳定年の定着化を目指しましてこれまで最大限の努力をしてきたところでございますが、今後とも六十歳定年の定着化に向けてさらに努力を重ねたいと思っております。そこで、六十五歳までの雇用の問題でございますが、労働省といたしましては従来からも六十五歳までの雇用機会を確保する対策に努めてきたところでございますが、現在法的整備のあり方をも含めまして、各界の有識者から成る雇用審議会において御議論を先般来始めていただいているところでございますので、この結果を踏まえまして適切に対処したいと考えております。
  125. 田中慶秋

    田中(慶)委員 六十五歳の定年というものが——上やはり一方においては年金の議論をし、一方においては定年というものが、私はその対象者にしてみれば表裏一体でありますから、そんなことを含めてぜひこの問題はこれからの大きな社会問題になってまいりますから、こういう問題を含めて努力をしていただきたいと思います。特に、高齢者は従来まで培われてまいりました能力あるいはまた体力も大きな個人差があろうと思います。就労の意欲もまちまちでありますけれども、高齢者の適性や体力に応じた就労の機会を確保可能ならしめるための長期ビジョンというものが、私は策定する必要があるだろう、それがやがては労働時間の短縮や総労働時間というものとのリンクもあるわけでありますから、こういう問題を含めて労働省の見解をお伺いしたいと思います。
  126. 七瀬時雄

    ○七瀬政府委員 高齢者、特に六十歳代に入りましてその前半層の方々につきましては、健康状態や生活状況の個人差が非常に大きくなってまいりますし、また就労ニーズ、御希望につきましてもパート勤務や生きがい就労を希望する者がふえるなど、非常に多様化しておりますので、今後とも多様な就業機会の確保が重要なこととなるということは御指摘のとおりだろうと思います。労働省といたしましては、人生八十年時代にふさわしい雇用のあり方を示す長寿社会雇用ビジョンを策定するために、現在検討を進めてきておりまして、今後このビジョンの作成をいたすとともに、そのビジョンに基づいて具体的な施策の展開を図ってまいりたいと思っております。
  127. 田中慶秋

    田中(慶)委員 最近の例でも、景気がよくなり一時退職をされた人たちが再雇用されている例が非常に多いわけであります。やはり景気と雇用というものが、現状においては景気のいいときは高齢者の皆さんでも雇用する、景気が悪くなると一番最初ここにしわ寄せが来るわけでありますから、やはりこういう問題も含めて社会的に何らかの形の義務づけや位置づけ、そうしてまいりますとパートタイマー労働法というものは大変重要な役割を持ってくるであろう、こんなふうに思っておりますので、高齢者の皆さんでパートタイマー労働法をそのために制定しようというわけじゃありませんけれども、現在の雇用の需要に応じてこういう問題に取り組んでいかなければいけないだろうと思っております。そのことを含めて、やはり労働省がその先陣を切って多くのそれぞれの省庁間の調整が必要であろう、こんなふうに思っておりますので、このことを具体的に今どのような実施をされているのか、お伺いをしたいと思います。
  128. 七瀬時雄

    ○七瀬政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、高齢者、六十歳代前半層の方は特にさようでございますけれども、就業ニーズが多様化しておりますので、その中で例えば労働時間について配慮をした短時間勤務というような形で雇用を伸ばしていくというのも一つの有力な選択肢ではなかろうかと思っております。そういった意味で、私どもといたしましては、高齢者の雇用をどうしたら拡大できるのか、また年齢間のミスマッチを中長期的に解消するためにどういう雇用の枠組みが必要なのかということについて鋭意検討を進めているところでございます。
  129. 田中慶秋

    田中(慶)委員 高齢化が本当に急速に進んでいる中で労働者が充実した職業生活を送れるようにするために、あるいはまた職業生活も安定したものとするためには、やはり長期的な計画による教育訓練を受けてもらう必要があるでしょうし、最近はまた技術革新も大変変化が激しいわけでありますから、こういう問題も含めて生き生きとした環境の中で働けるようにすることが必要であろうと思います。特に、今日までの高齢者については、知識や経験を十二分に生かしつつ技術革新時代の変化に対応するような技術を身につけられようとすることにより在職者の継続雇用を進めているということが現実でありますが、離職をした人たちを見てみますと、これらに対する対応ができなかった問題、あるいはみずから再就職を求めても、今の社会が過去の経験やそういうものを生かせない状態があるわけでありまして、こういう問題を含めて、教育訓練や、あるいはまた技術革新に対応できるような、それぞれの講習会等々が能力開発を通じて講じられていかなければいけないと思いますが、このことについて労働省はどのような対応をされているのか、お伺いをしたいと思います。
  130. 甘粕啓介

    ○甘粕政府委員 今先生から御指摘がありましたように、高齢者の人たち労働市場改善し、あるいは雇用の安定を図る、あるいは高齢者自身の人が本当に自分の生き生きとした職業生活を続ける、このためには技術革新その他時代の変化に対応して高齢者の人たちが能力を維持し、あるいは向上していく、これが非常に重要なテーマではないかというふうに思っているところでございます。そういう意味で私ども技術革新という面につきましては、特に企業内におきましてそういう技術革新に対応した訓練を行うということにつきまして、訓練費なり、あるいはその期間労働者は働かないわけでありますから、一定の賃金助成をするというふうな仕組みを含めまして技術革新への対応ということを在職労働者に対しまして働きかけをしているところでございます。  それからもう一つは、こういう定年延長とかいろいろございますが、どうしても途中で離職せざるを得ない高齢者の方々が数多くございます。こういう人たちにつきましても、一つは、公共訓練におきまして毎年四科目ずつ高齢者向けの訓練科目を増設いたしまして、そういう人たちの再訓練あるいは企業に対する委託訓練とかいろいろな手法を講じまして訓練を行っておるところでございますが、現在の職業面から見てまいりますると、どうしても技術革新に対応した能力が非常に必要になってきているということがございますので、訓練技法あるいは訓練の仕方、そういうものを含めまして、そういう高齢者の人々でも今の技術革新に対応できるような能力を身につけるような、あるいは過去の技能、経験の幅を広げるような訓練の仕組みというものにつきまして、今後拡充について検討してまいりたいと思っております。
  131. 田中慶秋

    田中(慶)委員 続きまして、外国人労働者関係について質問をしてみたいと思います。  外国人労働者問題については、もうマスコミや今日の社会問題になっていることも事実でありますが、経済大国日本が一番悩まなければいけない問題の一つであろうと思います。一方においては、労働省あるいはまた法務省、外務省等々の問題があり、労働省だけではこの問題の解決にはならないわけでありますが、そういう中で、国はきょうまで慎重に対応してきたものと思います。  今回、入管法の改正の問題も現在審議中でありますけれども、今、日本でこの問題をどのような形で処理をしていかなければいけないかというのは政治的に大きな課題であろうと思います。例えば、確かに一方においては日本人の労働者職場が奪われるという問題もあるでしょうし、一方においては日本が経済大国として、開発途上国を初めとするそれぞれの国に対する一つの役割として、EC型のような形の問題も検討されなければいけないでしょう。  そういう点で私は、労働省はこれらの問題に対する調整を一番しなければいけない省庁ではないかな、こんなふうに思うわけであります。特に、不法就労されている外国人の皆さんが労働災害に遭った場合にどのようなことをするのかとか、不法就労の人たちを含めて安全衛生対策はどうなっているか、あるいはまた労災が発生した場合においての労災保険の適用の問題もあるわけであります。こういう問題とあわせて、一つには、日本で働きたいという意欲のもとに観光ビザで来て就労されている。一方においては、企業もまたそれを容認するような形の中で、現実問題として人手不足でありますから、そういう形の雇用をしていく、こういう形で何かイタチごっこのような問題があるように思われてならないわけであります。  いずれにしても、この外国人労働者問題についての取り組みというものが、各省庁間の連絡を含めて徹底した取り組みをしていかないと、外国から日本に対する批判や外国から日本に対する貿易摩擦の問題としての取り上げ方もされてきやせぬかという心配があるわけでありますから、こういう一連の問題を含めて現在どのように対応されているのか、これからどういう形で対応していくのか、この辺についてお伺いをしたいと思います。
  132. 福島譲二

    福島国務大臣 御指摘の外国人労働者の問題は我が国にとって大変大きな問題であると存じます。先ほども御答弁申し上げたわけでございますが、当面の人手不足と言われる問題の解消のために、格別今日本の若い方々がその職につかれるのを嫌われる、いわゆる三Kと言われるようなそういうこととの関連において外国人の単純労働者を入れるということは、慎重の上にも慎重に取り扱っていかなければならない。これは当面の単なる雇用問題ということではなくて、将来の日本の社会的、経済的あるいは文化的な、いろいろな分野に大変大きな影響をもたらす問題として慎重に扱っていかなければならない問題であろうと思います。人手不足の問題は人手不足の問題としての対応の仕方がまだ十分にあり得るわけでございまして、そういう努力を払うべきことかと思っております。  しかし、今御質問の中にもありましたように、日本が経済大国としての責務を果たさなければならないということの関連におきましては、今私どもも、専門的な、技術的な能力や外国人ならではの能力を持つ方が日本に入られることはもう当然歓迎をいたしておりますし、なお、開発途上国の方々がその人材の確保のために日本にやってこられまして日本の技術を習得をされて、そして本国に帰って本国の発展のために尽くされるというような形において研修生を受け入れることにつきましても、これも関係各省、これからもっともっと充実していかなければならないということで意見が一致いたしているところでございます。  いずれにしても、御指摘のように関係各省にまたがる非常に難しい問題でございますので、今まで事務的な形において関係各省の連絡会議が持たれておりましたが、関係十七省庁をもちまして関係大臣で構成をされる外国人労働者問題についての関係閣僚会議が近く設置されることになるだろうと思っておりますが、そのときには私どもも私どもの立場において、その中で私どもの気持ちを十分に申し上げて、将来の日本の労働市場に悪影響がないように、今景気が大変いいわけですから問題は少ないわけでありますが、一たん景気が悪くなったときに予想されるのは、御指摘のように必ずこういった方々が先に馘首される、職場を離れる、そういう事態に必ずなってくるだろうと思います。そのときにこれは大きな国際的な摩擦の問題にもなろうと思いますので、非常に困難な難しい問題でございますが、間違いのないように全力を尽くしてまいりたいと思っております。
  133. 野崎和昭

    ○野崎(和)政府委員 外国人労働者の場合には日本語ができないということもございまして、また事業主の安全衛生教育も十分行われないということで災害が多発することが憂慮されておりまして、昭和六十二年では四十件、六十三年では七十一件の労災補償の申請がございました。こういった労災補償の申請があった場合には、外国人労働者であろうとも当然補償の対象として補償は行っておりますけれども、それと同時に、重大な事故を発生させた事業主等につきましては必要な監督指導等を十分行いまして、事故を発生させないように今後とも努力してまいりたいと思います。
  134. 田中慶秋

    田中(慶)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、いずれにしても、外国人労働者人たちが日本で働いて、労災や保険の問題等々でひんしゅくを買わないように、それぞれきめの細かい行政指導をお願い申し上げて、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  135. 丹羽雄哉

  136. 田中美智子

    田中(美)委員 老親、つまり年とった親ですね。老親の介護休暇制度を求める請願がことしの通常国会だけでも二十二万千四百五名分というものが我々の手を通して国会に提出されました。この要求は日に日に高まっていると思うのですが、労省が「老親介護に関する労働者福祉対策のありについて」ということで財団法人の婦人少年協会に調査を委託しております。そのねらいは何だったのでしょうか。
  137. 佐藤ギン子

    佐藤(ギ)政府委員 今御指摘もございましたように、人口が高齢化いたしておりますし、核家族化も進んでおるわけでございます。またさらに、女性が生涯を通して働き続けるという時代になりましたが、そういう女性たちにとりまして介護しなければならないお年寄り、御両親あるいは配偶者などの御両親ということもあるかと思いますが、そういう方たちを抱えました場合に職業を続けることが難しくなることもあるというようなこともございますし、また男性についても同じような問題がございますので、こうした問題にどのように取り組んでいったらいいかということで、まず実情と問題点の把握に努めようということでこの調査研究を委託したのでございます。
  138. 田中美智子

    田中(美)委員 そうすると、やはり老親の介護というものが男女を問わず中年の労働者にとって非常に重荷になってきている、個人の問題では解決できないということをお感じになってこういう事前の調査をなさったのだと思います。  私、この調査は丁寧に読ませていただきました。いろいろと想像してはおりましたけれども数字でこんなにはっきり出ますと驚いているのですけれども、中心の介護者が九二%が女性である。今婦人局長が、女性が夫の親や自分の親ということを初め言っていらしたので、局長は女だけが介護するものだと思っているのかと不思議に思って聞いておりましたら、男性にもとちょこっとつけ加えられましたので、論理的に特にどうということはありませんけれども、やはり実際には、この調査では九二%が女性が中心の介護者になっているということは非常に大変なことだと思います。特に、自分の年老いた親だけでなく夫の親までも女性が見る、男性が見ている数は非常に少ない、手伝い程度で、中心の介護者は女性になっているということです。これは私が言っているのではなくてこの中間報告にあるわけです。そのために仕事をやめた者が二三・八%、勤務を変更した者が三・七%、それから休職した者が三・七%、計算してみますと三一・二%が少なくとも長期にわたって今の仕事を続けられなかったという結果が出ているわけです。こういう現状が中間報告で報告されたということはどうお考えになりますか。大臣、お願いいたします。
  139. 佐藤ギン子

    佐藤(ギ)政府委員 これまでのところは、先ほど私は女性を中心に申し上げましたのは、先生からも御指摘ございましたように、事実上は女性がとっておるということでございますが、男性も同じように問題があるわけでございます。  現実に調査をいたしましたところ、確かに今お話ございましたように、仕事の上でさまざまな、ある意味では非常に基本的なところで影響を受けているという状況にあるわけでございまして、この問題につきましてはどのように対応していくかということはなかなか一言で言える簡単なことではないのでございますけれども労働省といたしましても、労働政策の面からどこまでが労使にお願いしつつ私どもの解決していける分野かということを今研究をいたしておるところでございます。
  140. 福島譲二

    福島国務大臣 一言つけ加えさせていただきますが、つい数日前に発表されました企画庁の国民生活白書の中で、今のお年寄りの皆さん方の介護の問題は主婦、御婦人だけの問題ではないのだ、男性も同様に責務を負うべき問題だということをはっきり打ち出しておりまして、この白書を審議いたしました閣議においても、参加いたしておりました閣僚の皆さん、異口同音にこれは大変すばらしいいい方向だという御発言があったことを申し添えさせていただきます。
  141. 田中美智子

    田中(美)委員 いい方向かどうかというのは、年老いた人たちの看護をだれがするかということが現実にきちっと社会的になされているようにいかなければ結構な話ではないというように思うのです。  この中間報告の中で、入院ではなくて在宅で介護をしている場合に、女性が七六・三%、男性が三二・八%。男性も相当やっているのだなというふうに私は思ったのです。私や大臣のような年齢層だけで見ますと、局長はもっとお若いのですけれども、大体看病は女がするものという風潮があるわけです。しかし今若い人たちの中では、何で夫の親を私が見んならぬのとか、最近では姓名も、夫の名前を何で自分が名のらなければならない、これはどっちでもいいのですけれども習慣では夫の方になってしまう。もっと悲しいというか、もっともだというかわかりませんが、死んでから夫の墓に入りたくない、そういう声も若い人たちの中にはどんどん出てきているのです。そうなってきますと男の場合、自分の親は妻が見てくれているというふうに男は思っていても、実際には自分が見なければならなくなってくる。そうすれば、これがただ個人の家庭にだけ押しつけられていたら労働市場にも問題がある。今は主の看護は女がやっていますので、女を差別しよう、女の犠牲のもとで何とか労働市場が成っているからいいのかもしれません。私はいいと言いませんけれども、それで何とか回っていっているのでしょう。しかし、今の若い人たちが中年になってきたときにはそうは回らなくなるというように思うのです。だから早くこれに対する手を打たなければならない。今のところ三二%は在宅の場合には会社を休んで見ている。これは有給休暇を使っている人たちが九八%です。ですから、欠勤という形で賃金が引かれたり何かするというのは女の人がほんのちょっとやっているだけです。ほとんどは有給休暇でやりくりしているわけです。  これも見ましても、男女を問わずうちにいるお年寄りが病気になったときにこれをどうするかということは非常に大変な問題です。生活白書のどこを結構なことだと大臣おっしゃるのかわかりませんけれども、これは大変な問題で、できるだけ早く何らかの形で考えていかなければならない。もちろんスウェーデンのように、ホームヘルパーが日本の四十四倍もいるわけですし、子供が親を扶養するという民法上の義務さえない国ですから、国と企業が金を出して地方自治体とで全部お年寄りを見るというふうになっているところはいいと思うのですけれども、日本のようにスウェーデンの四十四分の一、デンマークの三十分の一しかホームヘルパーがいないというようなところでは、それをふやすということは大事なことですけれども、その前に、残念だけれども一時、一年なり半年なり休んで年寄りを見るということが、本来の解決方法ではないと思いますけれども、それもあわせてやっていかなければならないのではないかというふうに私は思うわけです。  それで、この中間報告書を見ましても中心介護者というのは九二%が女なんですけれども、今後今の仕事を続けられないと答えている人が四七%いるのです。ほとんど半分いるということなのですね。それはもう何とか有給休暇をあれしたり、会社ではいい顔をされない、しょっちゅう休むということで言われたりしながら、体をもう本当にこき使いながらも両立しながらやってきているのですけれども、四七%がもうとてもやっていかれない、こういう声を上げているというのが、この労働省が委託してつくられた中にはっきりと出ているということは、この介護休暇というものを労働省の音頭でもって緊急にやらなければいけないことだと私は思います。育児休業制度というのはもう前から大きな問題になっていて、やっと今参議院の方で野党の方からその法案が出されまして、共産党としてもそれには大賛成をしていくということですけれども、この介護休暇のことがそれよりもまだおくれているのじゃないか。一緒にこれをやっていく必要があるのではないかと思いますが、大臣はどうお考えになるでしょうか。
  142. 福島譲二

    福島国務大臣 育児休業も大切でございますが、この老親介護制度も、年とったお年寄り皆様方が安心してその老後を生活できるための一つの大切な仕組みとしてこれからもっともっと普及をしていかなければならないと思っております。
  143. 田中美智子

    田中(美)委員 もっともっと普及をしていかなければならないと思っていただくことは大変いいことなのですけれども、今どれぐらい普及しているか大臣、御存じでしょうか。
  144. 福島譲二

    福島国務大臣 一一・四%だと思います。
  145. 田中美智子

    田中(美)委員 それも非常に不十分なものですけれども、一割しかないのですね。ですから、介護休暇が各企業に、特に大企業などにはもう絶対に私は大至急にとれるようにしていただきたいということを大臣に強く要求しておきます。  もう一つ、これは同じ問題なのですけれども、今申しましたように、老親の介護がいかに女性の肩にかかっているかということはだれでもが想像していたと思うのですけれども、これほどはっきりと、九七%も女性が中心介護者になっているというのを見まして、その中心の介護者の四七%がもう仕事はやっていかれない、こう言っているということは、婦人問題企画推進本部が出した国内行動計画の中には、「雇用における男女平等を徹底するためには、男女が同じ基盤で就労できることが前提要件」というふうに言っているわけです。ですから、こういうことを放置しているということ自体、これは婦人労働権というものが大変に侵されている。一生か一生でないかは別として、女性がやはり社会に出て働きたくても、半分の人たちが親を抱えていれば働けなくなっているということは婦人の権利を大変に狭めていると思いますけれども、この点では大臣はどのようにお考えになりますか。
  146. 佐藤ギン子

    佐藤(ギ)政府委員 現実には、今女性がほとんどの介護を引き受けておるわけでございますが、今先生からも御指摘ございましたように、それでは男性は何もしておらないかといいますと、今のようにせっぱ詰まってまいりますと女性だけではもう事実上もたない、そういうことをやっておったら家庭が崩壊するというような状況になっておりますので、私ども調査で見ましても、中心の介護者は女子でございますが、第二、第三の介護者が当然に必要になってまいりまして、そういうものは男性が行っております。また、今お話のございました私ども調査でも、企業の方もこうした制度を持っております場合には女子だけではなくて男女ともに与えているというものが結構あるわけでございますし、また、現実には今普及率も低いために、またこの問題の難しさもございますので、そのあり方については問題点等も含めて検討しながらこの制度のあり方をこれから考え、また普及に努めていくということになると思いますが、そういう場合には、当然先生がおっしゃいましたように女子だけの問題としてとらえるのではなくて男女両方の問題としてとらえなければならないと思います。  ただ、個々家庭でだれが見るかということになりますと、これは国がこうしなさいよということはなかなか言えない。またそれぞれの御事情もあると思いますので、女性の方々もそういう問題について十分御認識をいただいて、夫であれあるいは御家族のその他の方々であれ、主婦だけが見るということではなくて、みんなでこういう問題は支え、考えていくことなのだという自覚を持って働きかけていただき、また家族のほかの方々にも御自分たちの問題として考えていただけるようにしていきたいというふうに考えております。
  147. 田中美智子

    田中(美)委員 私が今聞いたのはわかり切っていることでして、現実に女が働けなくなる。それは、男も第二介護者として手伝っていると思います。夜帰ってきてから手伝うかもしれません。しかし、昼間どうするのかということになりますと、昼間仕事があるわけですから、結局、どっちが休むかということになるわけです。今のところはほとんど女が無理しているわけですね。やはり本当はスウェーデンのようになれば一番いいと私は思うのですけれども、それは夢のようなことを言っているので、今どうするかということがこの中間報告ではこんなふうに書いています。  「介護に関する企業内の福祉制度のあり方を検討してきた本研究会は、現在介護担当者の中心が女性、なかんずく中高年女性であり、そのため女性にとって育児が一段落した後再び生活上大きな負担をかかえること、このことは女子労働者家庭生活と職業生活との調和を図る観点から看過」できないということを言っているわけですね。ですから、もちろんこういう制度をつくった場合に、これは女性にも男性にも当てはめるというのは当然ですけれども、今の社会的な考え方の中では女性の方が休暇をとって休むという数が自然多くなるというふうに、これは想像ですけれども思います。それは、それぞれの家庭で女の子がたくさん稼いでいい仕事をしていればだんなの方が休暇をとってやるとか、個々にいろいろある。そこまで何も国が介入することはないと思いますけれども、一応、女性が有給休暇をつぶし、育児が終わってほっとしたら、今度はおじいちゃん、おばあちゃんということでは余りにも女が惨めだと思うのですね。だから、やはり離婚も多くなりますし、最近ではこんな話も聞きます。  特に公務員の場合などは定年がはっきりしていますので、そして退職金の計算もできますでしょう。それまでじっと待っているのだと奥さんは言うのですね。それで定年と同時に離婚。そして半分もらっていくというような、非常に悲しいことですけれども、そこまで女を追い詰めているということを私は言っているのです。そうなることが男にとっていい気味だなんて私は全然言っていないのですね。そんな話さえ出てきているのです。ですから、女が優しい気持ちを親に持てないところまで追い詰められているのですね。ですからこそ、仕事を中断するということは残念だと私は思いますけれども、やはり半年なり一年なり安心して自分の身分が会社の中にあるということですね。これは男もそうですけれども。そういう形で大至急に介護休暇というものをとってほしいと私は思うのです。  それで、男子の場合にもやはりこの報告書には、「中高年男子労働者にとっても企業の中での職責が重くなるとともに、教育、住宅等の家庭生活面での負担が重くなり、定年問題も射程距離に入ってくる等変化の大きい時代に介護負担を負うため、生活設計上きわめて重大な問題」が出てきていると言っているわけですね。ですから、やはりどちらかが介護休暇をとれば、そしてまた交代するというふうなことをしていけば、対症療法的ですけれども、何とか仕事も続けていき、親も惨めでなく看護することができるのではないか。ですから、老親の介護休業制度というのは一企業や一個人の努力ではもうできない、国としてこれに対して大きな力を発揮してもらわなければならないと私は思います。  時間がなくなりましたので、一々聞いておりますとあれですので、次のことを言いたいと思いますが、労働省では既婚女子労働者の生活実態調査の結果をこの九月に出していられますが、これを見ましても、育児休業制度を求める割合は四四・二%で、育児休業が欲しいというのは最高に出ているわけですね。しかし、看護休暇制度を求める割合は三六・二%ですけれども、女性の四十歳代の前半では看護制度を求めるのが最高になっているのですね。だから、子供を産むころの女性にとっては育児休業が物すごく欲しい。それで、そのころの親はまだ多少若いですから、手伝ってもらいながらも何とか子供を産んでやっていく。しかし、やっていけないから最近はだんだん子供を産まなくなってきているのですよ。ですから、よく老齢化社会が来る来るとおどかしますけれども、スウェーデンなどでは今子供の数をふやしているではないですか。日本の場合には子供は産めなくなってきているのですね。ですから、下手すればどんどん、一・三人ぐらいしか産まなくなってくる、私も産んでおりませんけれども。そういう方向に来ておりますので、看護制度というのは緊急な問題だと思っています。  東京都ではことしの四月から、十分なものとは言えませんけれども、看護休業制度を取り入れているということ、これは当然の成り行きだと思いますし、秋田県では八一年から実施しています。向こうはまだ家族が一緒に住んでいるということもありますので、それほどたくさんの人が取っているというふうではありませんけれども、都会ほど住宅も狭いしというようなこともありますので、都会では近所との連帯とか相互援助というのは少ないわけですから、そういう意味では都会こそこの看護休業制度というのはより切実な要求ではないかというふうに思うのですが、来年度の予算でこういうものに一歩足を踏み出す気持ちというのは大臣におありになるのでしょうか。そうしていただきたいと思うのですが、お答え願います。
  148. 福島譲二

    福島国務大臣 介護休業制度の普及のためには、まだ来年度予算要求の関連ではございますが、できればそのような形においてでもこの普及の促進に資するものとして頑張ってみたいなと思っております。
  149. 田中美智子

    田中(美)委員 一年間というのは非常に今のお年寄りを——政府はもう二千何年かに老人が老人がと、そういうことばかり言いますけれども、今のお年寄りというのは非常に大変だと思うのです。それから看病する方も大変だと思うのです。だから一年間待つということは、もう一年おくれるとこれは非常に遅いわけですから、来年度の予算には今大臣努力をなさると言われましたので、決してそれが犬の遠ぼえになりませんように、確実に来年度は、この育児休業制度はもう大至急やっていただかなければなりませんけれども、煮えてきているわけですから、介護休業制度の第一歩を踏み出していただきますように強く要求いたしまして、私の質問を終わります。
  150. 丹羽雄哉

    丹羽委員長 次回は、来る十六日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十五分散会