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1989-11-17 第116回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月十七日(金曜日)     午前九時三十五分開議  出席委員    委員長 左藤  恵君    理事 塩崎  潤君 理事 野中 広務君    理事 森   清君 理事 山口 敏夫君    理事 佐藤 観樹君 理事 伏木 和雄君    理事 川端 達夫君       上村千一郎君    柿澤 弘治君      小宮山重四郎君    村上誠一郎君       角屋堅次郎君    堀  昌雄君       山花 貞夫君    長田 武士君       中村  巖君    河村  勝君       松本 善明君  出席政府委員         自治省行政局選         挙部長     浅野大三郎君  委員外出席者         議員      森   清君         議員      佐藤 観樹君         議員      伏木 和雄君         議員      川端 達夫君         議員      松本 善明君         衆議院法制局第         一部長     坂本 一洋君         自治省行政局選         挙部選挙課長  田中 宗孝君         自治省行政局選         挙部管理課長  谷合 靖夫君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       井戸 敏三君         特別委員会第二         調査室長    岩田  脩君     ───────────── 十一月十六日  公職選挙法の一部を改正する法律案松本善明君外二名提出衆法第四号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  公職選挙法の一部を改正する法律案安倍晋太郎君外八名提出、第百十四回国会衆法第四号)  公職選挙法の一部を改正する法律案佐藤観樹君外二名提出、第百十四回国会衆法第七号)  公職選挙法の一部を改正する法律案松本善明君外二名提出衆法第四号)      ────◇─────
  2. 左藤恵

    左藤委員長 これより会議を開きます。  第百十四回国会安倍晋太郎君外八名提出公職選挙法の一部を改正する法律案、第百十四回国会佐藤観樹君外二名提出公職選挙法の一部を改正する法律案及び松本善明君外二名提出公職選挙法の一部を改正する法律案の以上三案を一括して議題といたします。  この際、お諮りいたします。  第百十四回国会安倍晋太郎君外八名提出公職選挙法の一部を改正する法律案及び第百十四回国会佐藤観樹君外二名提出公職選挙法の一部を改正する法律案の両法律案につきましては、第百十四回国会において既に提案理由説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 左藤恵

    左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────  公職選挙法の一部を改正する法律案(第百十四回国会安倍晋太郎君外八名提出)  公職選挙法の一部を改正する法律案(第百十四回国会佐藤観樹君外二名提出)     〔本号末尾掲載〕     ─────────────
  4. 左藤恵

    左藤委員長 これより、松本善明君外二名提出公職選挙法の一部を改正する法律案について、提出者より提案理由説明を聴取いたします。松本善明君。     ─────────────  公職選挙法の一部を改正する法律案松本善明君外二名提出)     〔本号末尾掲載〕     ─────────────
  5. 松本善明

    松本(善)議員 このたび日本共産党より提出いたしました公職選挙法の一部を改正する法律案について、その提案理由内容概略を御説明申し上げます。  今、リクルート疑獄事件に触れるまでもなく、金権腐敗政治に対する国民の激しい怒りが寄せられており、真に国民本位政治の確立が強く求められております。そのために行うべきことは、金権腐敗政治の根源である企業団体献金禁止と、公選法の分野では定数抜本是正であります。政治改革を言うのならば、選挙権の平等が保障され、国会に公正に国民意見、声が反映される定数配分を実施することこそ、その第一歩であります。さらに、政治家が地元でのいわゆる地盤培養行為に金をばらまき選挙政治を汚してきていることを厳しく禁止させることは当然であります。  したがって我が党は、企業団体献金禁止を柱とした政治資金規正法改正案を既に提出したところでありますが、同時に公職選挙法の関係につきましては、一刻も早く定数抜本是正各党協議を前進させることに努力するとともに、いわゆる金のばらまき名実とも禁止するために以下の内容改正案提出することにいたしました。  その第一は、候補者等選挙区内寄附は、禁止対象とされない親族や政党政治団体への場合を除いて、すべて罰則対象とすることであります。冠婚葬祭費各種行事への祝い金は現行法でも寄附とされ、禁止されていることは周知のとおりであります。しかしながら、これらは選挙に関する場合や一般社交程度を超える場合についてだけしか罰則対象になっていないために、いつの間にかこれが公然と行われる事態が続いています。公選法規定の厳格な実施を図るために、これらの違反行為についても罰則を設けることといたします。  第二に、従来認められていた候補者等政治教育集会講習会での実費補償としての寄附禁止することとしました。弁当代交通費宿泊費などが認められていることは、これが広義に利用されて供応接待に使われる抜け道となるとともに、費用の心配がないから集会に参加してくれ式のやりかたは、結局、金の力を利用した政治活動であり、適切でないと考えるからであります。  第三に、何人も候補者等に対して寄附勧誘、要求することの禁止は、現行法にも規定されていますが、これについては罰則を設けることといたしました。また何人も候補者等氏名を使ったり、あるいはそれが類推される方法寄附をしたり、候補者等以外の者に対して寄附勧誘、要求したりしてはならないとしました。さらに寄附を受けることに対しても禁止の条項を設けました。これらは、寄附禁止脱法的行為を抑えるとともに、それを実効性あるものにするためであります。  第四に、新しく設けたこうした禁止規定違反する罰則は、すべて二十万円以下の罰金とすることとします。  第五に、候補者等は、政治活動のために雇用する者が候補者等氏名を使ったり、あるいはそれが類推される方法寄附を行うことがないように監督義務があるものとし、違反の際監督義務を怠ったときは十万円以下の罰金とすることにしています。  以上が、本案の内容概略であります。なお、公選法改正に当たって我々が留意しなければならないことは、正当な政治活動選挙活動規制、干渉されてはならないことであります。その点では、まず自民党の案にあります候補者政治活動用ポスター規制は重大な問題であり、断固反対であります。また、自民及び社公民案の「あいさつ目的にする有料広告禁止」さらに社公民案で加えられた「あいさつ状禁止」は、激励などのあいさつ電報対象になるなど、その運用によっては、議員や労組、団体等活動への不当な介入の危険があると思われるので、わが党は立法化しませんでした。  以上が、提案理由とその内容の概要であります。本改正案を十分御検討の上、賛成していただきますようお願いいたします。
  6. 左藤恵

    左藤委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     ─────────────
  7. 左藤恵

    左藤委員長 これより三法律案に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩崎潤君。
  8. 塩崎潤

    塩崎委員 私は、今回社公民三党が共同で提出されました公選法の一部改正法案について御質問をしたいと思います。  まず第一は、三党がこの法案提案したねらいあるいは動機は何かということでございます。  御承知のように、昭和二十九年に公選法改正が行われて、社交程度を超える寄附禁止されたことは御案内のとおりでございます。しかしながら、五十年になりますと、社交程度であっても、あるいは選挙に関するか否かを問わず、選挙区内にある者に対しては寄附をしてはならない、もう既に禁止規定が設けられているわけであります。しかし、これは罰則がない。しかし、やはり政治家ですから、罰則がなくてもいわば精神的な訓示規定として守っていけるもの、私はこういうふうに考えていたわけです。しかし、実際においてそういうことがなかなか実現しなかったことも事実であります。自民党側には自民党側のいろいろな事情があって、自民党案は今最も適正と思われる改正法案提案したわけでございます。  そこで私がお聞きしたいのは、社公民提出法案自民党案と違っている点がある。どうして社公民皆さん方がこのような法案提出しなければならなかったのか、この点をまず伺いたいと思うところでございます。共産党松本さんも、その点について共産党案提案される特別な理由があったら、特に御説明をいただきたいと思います。
  9. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 御承知のように、戦後幾つか大きな疑獄と言われるものがあったわけでございますけれども、残念ながら昨年はリクルート疑獄というのが発覚をいたしまして、このままではいけない、政治改革をしなければならぬということで、その根本になっておりますのは、結局政治家地盤培養行為あるいは売名行為ということで、日々、日常からお金がかかるというところに起因するということからきているわけでございますから、その意味におきまして、まず出の方を厳しくすることがその一つの重要な方法ではないかということが基本的にあるわけでございます。  確かに塩崎委員言われましたように、社交程度とかあるいはいわゆる政治集会とか、また選挙の前の一定期間等禁止になっておるわけでございますけれども政治集会の場合には実費弁償は除かれるというふうになっておるわけでございますが、現実の場合には、実費弁償する政治集会というのがお弁当を出したりあるいはどこかに行くことが目的であって、政治的主義主張を申し述べるというのはほんのわずかになっているというような実態、こういったことを考えてまいりますと、結局その穴もふさがないことにはお金がかかる政治活動あるいは選挙活動というものについては際限がないのではないか。私たちはそういった意味におきまして、地盤培養行為あるいは売名行為、こういったものに類するものにつきましては、これはお互いにやらないようにひとつ厳しく法律をもってしようではないか、そしてこれは罰則を受けることが主ではございませんけれども罰則をもってこの実効を担保しようではないかというふうに考えたわけでございます。  今、塩崎委員言われましたように、私も昭和五十年の公選法改正のときに、寄附行為禁止というのを入れることについて関与した一人でございますが、そのときにも罰則という問題はあったわけでございます。今委員指摘のように、お互い政治家である以上、罰則がなければ実行できないということではいかぬのではないかということで、昭和五十年のときには罰則は設けなかったわけでございますが、実態は御承知のように、こう言っては失礼でございますが、新聞によれば自民党さんの一年生議員の方でも年間一億円かかる。その中には冠婚葬祭、いわゆる地盤培養行為大変多額お金を要するということでありますから、だれかやればしのぎを削ってお互いにやり合うということになるわけでございますので、私たちといたしましては、これに類するような寄附行為あるいは本院で決議をしております申し合わせにございますようなあいさつ状、さらにあいさつ状禁止をするということになりますと、それに類するような慶弔あるいは激励、感謝、こういったようなものもひとつ禁止をするということによりまして、地盤培養行為売名行為に属する大変膨大なお金を要するものにつきましては一切お互いにやらない。  そして、これには罰則がございます。また求める方も、これはしてはいけませんということで、我々もこういった法律がございますからお断りを申し上げます、あなたのためにもそうですよということで、これが実効あらしめるようにしようといたしましたのが日本社会党、公明党、民社党が提案をしております趣旨及び自民党さんと考え方が違うところでございまして、大変厳しいという御意見もございますし、政治家はそういった意味ではこれからは若干礼儀やその辺の義理を欠くこともあろうかと思いますけれども、そういうものなんだという国民的な合意をこの法律の通過によってつくっていきたい、こういうふうに思っておりますので、御理解をいただきたいと存じます。
  10. 松本善明

    松本(善)議員 一つは、既に今佐藤さんからも御答弁がありましたけれども自民党の一年生議員の集まりでありますユートピア政治研究会の有志十人が公表した政治資金でも、平均が一億一千六百四十五万円を一年間に使う。一番多い方は一億八千九百万、こういうような事態で、実際上酒だるがいろいろ選挙区内で配られるとか、目に余る事態というのが起こっておることは御存じのとおりでございます。それについて規制罰則をつけようというのは当然のことでありますが、自民党案では本人配偶者の場合は例外になっておりまして、やはりそれではいけないのではないかという疑問もあります。  同時に、自民党案ではポスター規制というのが入っております。これは、ばらまき禁止ということの機会に便乗して、ポスターというような政治活動規制をするというのはやはりおかしいのではないかということを考えた点であります。  それから、実費補償ということで、事実上講演会集会供応が行われるようなこともあります。そういうことも自民党案ではそのままになっております。  それからもう一つは、いわゆる院の申し合わせでやっておりました年賀などの有料広告禁止するという問題が提起をされていますが、これなどは果たしていかがなものだろうか、申し合わせのままでよくはないだろうかというような疑問もございますので、我が党は独自案を出したわけでございます。
  11. 塩崎潤

    塩崎委員 佐藤委員松本委員の御説明がありましたけれども、私はやはり自民党案が、この問題で苦しんできただけに採用すべき最も適正な案だと思うわけであります。特に今ポスターお話を御両人から出されましたが、甘辛両方あって、野党案は大変厳しい。実費でも禁じるんだ。冠婚葬祭でも、本人が行ってもお祝いは包むことができないんだというような社交的な点に反したり、あるいは公民館が利用できなかったり、大変難しい点があると思うのです。  しかし、逆にポスターについては、私はぜひとも金のかからない選挙、出るを制する公選法としての規定を何らかの形で、いろいろなやり方があろうかと思いますが、やるべきではないかと思うわけでございます。どうしてこのようなポスターを張る行為が皆様方適当であるかどうか、これが政治活動の重要なものだと考えられるかどうかなんですね。このようなポスターを張る行為は、一つの売名的な、しかも最も金のかかる、さらにまた都市美観を害するあるいは商店の営業を妨害するような行為になっている点が多分にあって、どこの地域でもすぐこれをはげという命令が出てくるような状況であるわけでございます。その上に私は、法定犯と申しますか形式犯と言いますか、このような法律的にするから罪になる、罰則が適用されるんだという行為はなかなか守られにくいと思うのですね。取り締まりが難しい。道徳律によって支えられている自然犯なら、すべての人が協力してこれの取り締まりを強化することができるのですけれども、なかなか法定犯的な、社交儀礼的な寄附なんかの取り締まりは難しいと私は思う。さらに潜ってしまうと思う。  そういうことを考えれば、これは一番はっきりしている。だれでも目に見えるポスター貼付行為などは、国民の協力があるんだから簡単に取り締まれて、金のかからない、大きな政治活動一つに考えられておるものとしてこれを削減することができる、こういうふうに思うのです。どうしてこのポスター規制に賛成されないのか。これはやり方はいろいろあるかと思います。御承知のように、五十七年から衆議院選挙は、ポスター一定掲示場所掲示することによって費用が大変節減できた。それまでは本当にいかにたくさん隠れてポスターを張るかに苦慮したわけでございますが、制限されたことによって大きく選挙費用が削減されたことを考えれば、私はどうしてもポスター規制、これをやらない理由を御説明していただきたいと思うのです。私は、国民の声はもう本当に都市美観営業を妨害するポスターは少しでも少なくしてくれという声ではないか、こういうふうに思っておるのです。
  12. 伏木和雄

    伏木議員 お答えいたします。  私ども、本来選挙運動というものは極力自由にしていかなければならない、これが民主主義を育成するもとではないか、このように考え、従来からも公職選挙法におけるところの運動面においてはなるべく自由な方向へと、このように主張をいたしてまいりました。しかし、今回このような規制法律案提案しなければならなくなったということは、先ほど佐藤委員からも御説明がございましたように、リクルート事件に端を発した政治不信というものは、今我が国全体を覆っていると言っても間違いではございません。政治家の金のかき集め、それに伴う金のばらまき、こういうものから起きてきたところの不信感というものは、まさに民主主義崩壊寸前と言っても過言ではない、このように考えている次第でございます。  一方、先ほどもお話ございました虚礼廃止、この問題につきましても公職選挙法改正昭和二十九年にございました。二十九年に院の申し合わせが行われまして、虚礼廃止をうたってまいりました。本年六月に議運委員長名をもって、国会議員全員に対して再度この通達がなされたところでございます。これによりますと、昭和二十九年に申し合わせをして以来いまだにこの申し合わせが履行されない、それどころかますます盛んになってきている観もある、厳に戒めねばならないという議運における申し合わせ、あるいは本会議においての議運委員長からの通達というように、今日ここまでこうした問題が発展してきてしまっている。したがいまして、どうしてもこの際、こうした金のかき集め、ばらまき、さらには過度な虚礼廃止、こういったものに大幅に踏み切らなければならないときが来た、こういうことで今回野党案提出をさせていただいたわけでございます。  我々が求めておりますのは、ただいま申し上げましたような金にまつわる問題、金のばらまき、過度な虚礼廃止という点にこの改正趣旨がございまして、確かに今先生御指摘のように、選挙が近くなりますと町にポスターがはんらんしてくる。私どもも十分その点は理解をいたしております。しかし、だからといって政治活動禁止というところにまで大幅に踏み込んで果たしていいのだろうか、民主的運動を展開するためには、やはりビラ、文書による活動あるいはポスターなどの掲示は、選挙運動上において必要欠くべからざる運動の大きな一つではなかろうか。この禁止ということになりますと、ではあれも禁止これも禁止ということで、ますます選挙法が本来自由であるべき方向を閉ざしてしまう、このような結果になってくると考えられております。したがいまして、美化運動等につきましては市の条例等もございます。そうした別の角度からの問題としてこれは取り上げるべきであって、選挙法ポスター禁止というところに踏み切るべきではない、こういう観点から今回野党案にはポスター禁止を入れなかった、このようなわけでございますので、御理解をお願いします。
  13. 塩崎潤

    塩崎委員 政治活動規制は極力避けるべきであることは当然だと私どもは思うわけでございますが、その政治活動が一方で都市の政策の妨害あるいは金がかかり過ぎる。お互い競争で、東京などは何千万というポスター競争が今行われているというふうに聞くわけでございます。私は金のかかり過ぎる政治活動は何らかの形で、禁止しなくても、規制はぜひともひとつ考えていかなければならない、こういうふうに思うわけでございまして、またこれは御検討を願いたいと思います。  最後に、佐藤委員伏木委員も、それからまた松本委員虚礼廃止寄附禁止は厳格にやっていくのだと言われました。しかし三党案社公民案を見ますと、どうもわざと抜け穴をつくられているように見える。それは後援団体の行う寄附でございます。自民党抜け穴を防ぐ意味で、後援団体の行う寄附罰則を設けて規制しようとしているわけでございますが、三党案には何か思惑がおありなのでしょうか。これだけが落ちておるのでどういうわけか、当然私どもの気のつくところ、だれでも気のつくところだと思いますが、何か深い魂胆がおありかどうか、その理由をひとつ聞かせていただきたい。
  14. 川端達夫

    川端議員 お答えいたします。  深い魂胆という意味ではなくて、自民党のお考えになっているのと同じように、先ほど佐藤委員申し上げましたように、いわゆる政治に不必要なお金がかからないように、クリーンにしたいという思いは同じだと思います。  そういう中で、確かに選挙一定期間以外に行われている後援団体寄附については、非常に大がかりにいろいろな形で行われていることは事実であります。我々はそれを、後援団体が支出するという部分を一定期間以外も規制するというやり方ではなくて、やり方の問題だと思うのですけれども、我々が提案しております中での百九十九条の二の第二項の脱法行為禁止の中で、いわゆる公職候補者等氏名を表示し、または公職候補者等氏名が類推されるような方法でする寄附については、政党その他の政治団体またはその支部に対して寄附する場合を除いて禁止するという形の中で、いわゆる候補者の名前あるいはそれを類推されるようなものは寄附として全部だめなんだという形の中で規制をしようという考え方でございまして、意図的に抜け穴をつくるということではさらさらございませんし、やり方の違いであるというふうに感じております。
  15. 塩崎潤

    塩崎委員 これで終了します。ありがとうございました。
  16. 左藤恵

  17. 山花貞夫

    山花委員 自民党案について提案者にお伺いをいたします。  まず冒頭、今回の公選法一部改正案提出に当たりましての自民党としての資格について問いたいと思っています。  自民党も、政治と金の問題が政治不信の最大の元凶であるということについてはお認めであります。公選法を初めとしていわゆる政治改革絡み法案提出は、過日のリクルート事件に対する反省の上に立ってこの問題に対応しようということだと理解しています。しかし、私たちは常日ごろ、自民党は本来けじめをつけるべきであったリクルート事件についてけじめをつけていなかったではないか、同時に、まず最初に行うべきは定数是正についての国会決議の履行である、そのことを行わずして政治改革を語る資格はないのではないか、こういうように主張をしてまいりました。  今国会におきましても、過日当委員会におきまして定数是正問題について一回だけ議論がありましたけれども、その際にも自民党は、定数是正問題について依然として具体的な提案をしない。したがって、議論が行き詰まったまま時が過ぎているという現状であります。そうした問題に手をつけずして、この公選法の一部改正議論のテーマにお出しになりました。まず解決すべき定数是正問題等について解決しないということについては、私は政治改革を進める姿勢を疑われるということだと思いますけれども、その点についてまず冒頭提案者の所信を承りたいと思います。
  18. 森清

    ○森(清)議員 お答えいたします。  自由民主党は、諸般の政治不信に対処するために、政治改革大綱にまとめられたように、政治改革について真剣に党内で論議を尽くしてまいりました。その結果、五月に政治改革大綱を党議決定いたしました。それに基づいて、その第一段階として政治改革に関する二法案、そしてまた資産公開に関する一つ法案も既に準備をしておるわけであります。  そういう中で、山花委員からはそういう資格がないのではないかということの二つとして、一つリクルート事件についてけじめをつけてないではないかというお話でございます。けじめという言葉もよくわかりませんが、我々はリクルート事件について真剣に反省をし、その上に立って党内手続としてはやるべきことはやっております。けじめはつけたつもりでございます。そして、そのけじめがついたかどうかという最終的な判断は当委員会議論しても始まらない話でありまして、最終的には国民の審判によってどういう評価が下されるか、それは国民の審判であろう、こう思うわけであります。  次に、定数是正問題については、山花委員指摘のとおり、自由民主党では真剣な論議を尽くしましたが、現在その成案を得るに至っておらないのは事実でございまして、前回の当委員会においても自由民主党側からそのようにお答えをしたところでございます。しかし、それを放置しておいていいということではございません。しかし、それを解決しないからその他もろもろの政治改革法案は進めてはいけないというものではない。その問題を含めて、政治改革の一環として選挙制度の改革に取り組んでいくことは当然の責務であろう、私はこう思うわけであります。したがって、定数是正問題も含めましてこれから法案を順次出してまいりますので、それについて十二分の御審議をいただきたい、このように考えておる次第であります。
  19. 山花貞夫

    山花委員 というお答えを伺った上で質問に入りたいと思っておりますけれども、まず本改正案がテーマである政治と金の問題についてどれだけの回答たり得るのかということについて、その目的と効果を御説明いただきたいと思います。御指摘になりました政治改革の大綱におきましては、金の出と入りの問題双方について一応対策をお立てになっています。全体として判断すべきところがあるとは思いますが、まず出の問題についての御説明をお願いしたいと思います。
  20. 森清

    ○森(清)議員 まず、政治改革大綱考え方を御説明したいと思いますが、政治改革大綱は、現在問題になっている政治不信あるいは選挙制度その他について総合的なものでございます。そういう中で、法律あるいは制度の改正を要するものと、皆さん方と相談して国会申し合わせといいますかあるいは自粛といいますか、そういうことで解決していく問題と、それから、これは自由民主党のことでありますから自由民主党の党内の処置で済ませるもの、大きく分けて三つになるであろうというふうに分類をいたしております。  そして、その中で法律あるいは制度改正を要するものについては、当面とりあえずこれだけはやっておかなければならない問題と、それからさらにそれを踏まえながら中長期的に検討を進め、そして成案を得次第国会の御審議を願いたい、こういうふうに分けておりまして、そういう中で我々が当面すぐ解決しなければならない問題として、今、山花委員指摘のとおり、出の問題、入りの問題について検討を加えた上、三法案を用意したわけであります。そのうちの二つ、公選法改正政治資金規正法の改正は当委員会に付託されておりますし、それから資産公開法については、一応成案を得て手続をいたしておりますが、これは他の委員会において現在取り扱いを協議中である、こういうことでございますので、我々は、政治の社会において理想を掲げながら一つ一つの問題を解決していく、こういう姿勢でこの法案を出したわけであります。  そして、今言われた出の問題については、この法案にいろいろございます。皆さんから御質問もあるだろうと思いますが、現在指摘されております、当面こういう問題についてはこのように規制をすべきであるということについて提案を申し上げ、御審議をお願いしている、こういうことでございます。
  21. 山花貞夫

    山花委員 今お話しの、あるべき政治改革についての理想に沿って準備したものである、御説明の限りでは理解できるわけですが、くどいようですけれどもたちは、リクルート事件定数問題について、そのことについての対応ができない自民党が、そのかわりに政治改革という理想を国民の前に示したものではないか、依然としてそう考えます。歴史的にもそうだったわけでして、かつてのロッキード事件のときにも、その反省の上に立って政治倫理綱領をつくり、政治倫理審査会を設置いたしました。  政治倫理綱領について、議員国民に疑惑を持たれた場合にはみずから疑惑解明のための努力をする、こうしたテーマが果たして行われたかということについては疑問だと思っています。政治倫理審査会につきましては、もうだれもが知っているとおり、田中元総理一名に対して野党が審査の申し立てをいたしましたけれども、四年余の間一回の審議が行われることもなく、ついにこれが棚上げとなり、実効性を期待する者がほとんどいないという実態となりました。何らかの疑獄事件があった場合には、これに対応する国民の関心を集める理想について論ぜられ、一定の措置はなされますけれども、そのことが全く実効性を伴わない最近の歴史でもございます。今回の場合にも、森先生がお話しのとおりのことを本当にお考えであるのかどうか、自民党全体としての姿勢ということでは私たちは疑問を持たざるを得ません。  つい最近も、十一月十五日の毎日新聞のトップに、自民党が次期総選挙に対して三百億円の資金を求めたということについて大きく報道がなされました。日本を代表するマスコミの一つが一面のトップに書いた記事であり、加えていわば署名入りということでありますから、それなりの確証に基づいて書いたのではなかろうかと読者は一般的に受けとめます。今の時期に、一方においては、今御説明のとおり金の出と入りの問題について総合的に政治改革対応の三法案を準備したということでありましたけれども、他方において、水面下においては財界に対して三百億円という多額の金を要求している。そして資金の調達方法まで具体的に指示をしている。これは政治改革大綱をじっくり読みますと、ここに書いてあるような仕組みでの政治献金枠拡大という流れが自民党にあるのではなかろうかと思っておりますけれども、こうした大金を要求しているということが新聞に載っているということであるといたしますと、なかなか額面どおり御説明を承るわけにはいかないわけであります。  これは森先生が要求したわけじゃないから、それは別の問題ですけれども、こういう事実に対して何か党内で話題となっているのじゃないですか。そして、政治資金の問題などを担当している森先生のところには、当然こうしたことについての資料もおありになるのじゃないかと思いますが、三百億円を要求したという問題について所見を伺いたいと思います。
  22. 森清

    ○森(清)議員 新聞にそういう報道があったということは私は承知いたしておりますが、それは単なる新聞の報道でありまして、それが真実であるかどうかということも含めまして、一切私から御答弁する限りのものではないと思います。
  23. 山花貞夫

    山花委員 報道とはいうものの、今まさに政治改革対応の法案の審議が始まるこの時期に出されたものでありますから、国民の関心もここに寄せられ、我々も大変関心を持っておるところであります。新聞に書いてあることが本当であるかどうか、証人喚問を求めるというような短絡的なことは申しませんけれども、やはりこうした問題についてはある程度説明をしていただくということが必要ではなかろうかと私どもは思っているわけで、恐らくそうした御返事になると思ったものですから……。  出入りの問題といたしましては、この政治資金規正法の改正はまだこれからということになりますけれども、この関連で伺いたいと思うのですが、自民党としては政治資金規正法を改正して、もっともっとお金を財界、企業から集めやすくしよう、こういう流れで検討を進めておられるのではないでしょうか。出の方についてはこうした法案地盤培養行為について出しながら、入りの方はどんどん広げていこうということでは、国民は納得しないと思うのであります。この点についてお答えをいただきたいと思います。
  24. 森清

    ○森(清)議員 政治資金規正法については、また後日当委員会で審議がなされますので、そのとき責任ある提案者から御答弁を申し上げることになると思いますが、一般論として、我々は政治に金がかかり過ぎているのではないかという反省の上に立って、いわゆる出の方についていろいろ工夫を凝らし、そのような無理な政治資金を集めなくて済むようなものにしていきたいという目標を定めておるわけでありまして、どんどん集めればいいということで、枠をどんどん拡充しようというようなことは考えておりません。  ただ一点、野党の皆さん方考え方の違うところは、いわゆる企業献金については、やはり国民すべての政治参加を求め、そして政治にはそういう意味での、いわゆる不正な金でない、要するに正しい意味での政治のための金がかかるわけでございますから、そういう点について幅広く自民党に対し献金をお願いしたい、これはやっておるわけでありますが、しかし、それは行き過ぎてはいけませんから、政治資金規正法やなんかで現に今規制しております。現在その枠を広げようということを具体的な問題として検討していることはございません。
  25. 山花貞夫

    山花委員 具体的な検討はとおっしゃいましたので、若干流れについて伺っておきたいと思うのです。  先ほど来御指摘になっております政治改革大綱の中の「「入」の改革」の部分について見ますと、こうなっています。  寄附の総枠の整理区分を政党本位の観点から見直す。   政治資金寄附の限度額については、(イ)昭和五十年以降の物価の上昇に応ずる調整がなされていないこと(ロ)法人などの場合、小規模なものの寄附枠が相対的におおきく、いわば上薄下厚となっていること(ケ)経済構造の変動にともない、資本金のおおきさがかならずしも企業の実際の経済力をしめさなくなっていることなどの問題があり、寄附限度額の改正をはかる。 寄附限度額を膨らまそう、こうしているわけであります。  もう一点、御指摘企業献金問題につきましては、それなりの自民党の見解があることも承知しています。そして、そのことについて政治改革大綱でお述べになっていることも承知しています。しかし、この寄附の限度額の改正の中身としては、今の記載からも明らかなとおり、これをもっと拡大しよう、こうした方向議論がされていると我々は承知をしています。  先ほどの毎日新聞の記事によりましても、新日鉄の主な企業二十数社のリストをちらつかせ、自民党経理局の計算では同グループだけで十億円以上になるはずだと言い切った。「昨年度の同グループから「国民政治協会」への献金実績は、資本金十億円以上の七十社のうち、二十社計約一億一千三百万円で、うち新日鉄本社は五千五百万円だった。」こういう記載があるわけでありますけれども、結局この枠を拡大して、もっともっと出してもらわなければいかぬ、こういう流れで議論が水面下では続けられているのではなかろうかと考えざるを得ないわけであります。  たまたま今大臣におなりになりましたけれども、これまで自民党政治資金等小委員会委員長をされておりました福島譲二議員の「政界ジャーナル」八九年四月号の「政治資金規正法のゆくえ」ということでのインタビュー記事がございます。これを見ますと全く同じことがそこでも強調されているわけでして、  昭和五十四年の、三木さんの政治資金規正法の改正が少し理想に走り過ぎて、企業献金は悪だということで、一挙にそこを抑え込んでしまった。その当時新日鉄一社で二十億を超える政治献金を自民党にしていただいておったのが、上限一億円という格好で抑えてしまった。そういうことのはね返りが、パーティーへ流れていってしまった。 ということで、政治資金規正法で頭を抑えたものだから、今まで二十億円もらっていた大企業からはわずか一億円になった、このことを非常に残念がっている、こうしたインタビューの記事がございますけれども自民党政治資金についての責任者の御発言であります。  そして今回の記事と一貫しておりますのは、枠を抑え過ぎたから伸ばしたい、広げたい、こういうお気持ちがあって、現実に法律改正以前の段階で、小口のたくさんの資金の流入基地をつくるということによって、いわば法の、これは抜け道ではないと思いますけれども、たくさん集めるという格好について関心が強いということではないかと思うわけでして、先ほどの御説明にありました企業献金について見解が違うということだけではなく、企業献金を枠をもっともっと膨らまして例えば三百億よこせ、こういうことになっている。こうした問題については先ほどの御説明では十分ではないと思うわけですけれども、そうした自民党考え方について御意見を伺いたいと思います。
  26. 森清

    ○森(清)議員 政治資金規正法についても自由民主党の選挙制度調査会で、ただいま御指摘のようにたしか福島君が小委員長をしておったと思いますが、種々の検討を加えまして、その中にはいろいろ案もございました。今どのような記事か知りませんが、そういうことについて彼個人の見解もあるでありましょうが、個人の見解であって、自由民主党として、最終的にこの国会にはそういう枠の拡大とかいうことは一切提案はいたしておりません。したがって、自由民主党としてはそのような考えはございません。  ただ、検討の過程において問題になったのは、規制をするにしても、規制は大体会社の規模に応じて上限枠が定められております。その上限枠の定め方について、企業の規模をどうとらえるか、資本金でとらえたらいいのか売り上げでとらえたらいいのか、あるいは資本金といってもいろいろな概念がありますから、そういうものでとらえたらいいのかとか、あるいは段階の刻み方とか、そういうことについては合理的に検討しようというような検討が詳しくなされたことも事実でありますが、いろいろな検討過程を経て、最終的にはこの枠の拡大とかあるいは刻みの変え方については手を触れないということを党で決定をしたわけでありますから、自由民主党内の審議の過程の問題とか、あるいはたまたまその人間が小委員長であっても、それは小委員長としての個人の見解である。党としてそのようなことを決定したことはない。したがって、我々に対して御質問になるときは、党として決定し、そして当委員会提案をしている内容についてひとつお聞き願いたい。党の中のだれがどう言った、だれがこう言ったということを一々当委員会で私に質問されても、私もちょっと答弁することはできないわけでありますから、よろしくお願いいたします。
  27. 山花貞夫

    山花委員 私は、福島小委員会委員長の個人の意見ではないと思ったものですから伺ったわけです。  実は昨年の春、自民党政治資金規正法の改正を準備いたしました。その前の段階におきまして、八八年三月三十一日、政治資金等小委員長福島譲二、選挙制度調査会後藤田正晴会長あての政治資金等小委員会中間報告という正式の文書が提出されております。その中身につきましては企業献金の枠の拡大でありまして、例えば大企業については二倍にする、そして小さい企業については一・三三倍である、平均すると四五%という中身であったことは御記憶のとおりだと思います。平均すると四五%ですけれども、億単位のところは二倍にするということでありまして、これを平均して四五%とするのはごまかしではないかと当時我々は主張したりしたわけですが、実はこうした党の正式な機関から機関への中間報告に基づいて、自民党では法案の整備もされたと私ども承知しております。昨年の国会、パーティーの問題その他も議論となり始め、まだリクルートは議論となっておらなかったと思いますけれども、世論の反応ということを考えて、最終的には四月の段階で、この問題については自民党首脳が今国会提出をあきらめたというのが昨年の経過であったと承知しているわけでして、決して今お話しになりましたように個人の意見ではなく、自民党としてそうした流れに乗っておったのではなかろうかというように我々は承知しているわけであります。  なお、最近の問題といたしましては、これはことしの三月の初めのころでありますけれども、「自民党の中山太郎財務委員長は七日の役員会」というのは三月七日です。「党の政治改革委員会(後藤田正晴会長)がすでに凍結を決めている政治献金の企業などの総枠規制を改めて見直し、政党への献金については枠を拡大することなどを促す検討メモを提出した。」こういう報道がなされておりました。先ほど引用いたしました政治改革大綱における枠拡大についての基本的な方向であります。  そうなってまいりますと、御説明ありましたとおり、党としてはそうした考え方は持っていない、個人の意見であるということにはならないのではなかろうかと思います。大綱でも「寄附限度額の改正をはかる。」といった方向が打ち出されています。政治改革の大綱を実現するのがこれからの自民党の作業であるということであるとするならば、企業の献金枠を拡大する、総選挙で三百億を求める、こうした方向というものが一貫した自民党の入りと出の入りの部分では議論が続けられているのではなかろうか、こういうように思うものですから、単に個人の意見ということではなく、今回の法案提出したその提出者である自民党の姿勢ということで、改めてもう一度伺っておきたいと思います。
  28. 森清

    ○森(清)議員 自民党というのは大変大きな政党でありまして、ある決定をするについてはいろいろな機関があり、手続があって、それぞれ検討を加えながら最終的に党議決定に至るわけでありまして、その途中の段階では、そのセクション、セクションである決定をしていくわけであります。それからいえば、段階的に非常に小さい段階のある機関が決定したから、それが自民党考え方であるというふうにおとりになられても困るわけであります。しかし今、山花委員が御指摘になったようないろいろな考え方が自由民主党の中にあることは、これは事実であります。したがって、そういう報道にもなるのでありましょう。そういうことを含めて総合的に考えて、もう一度申し上げますが、政治改革大綱には最終的な党議決定としてそのようなことは書いてないわけでありますね。  そこで、なぜそういうことになってくるかというと、政治改革大綱というのは、先ほど申し上げましたように総合的なプランなんです。そして金がかからない選挙制度をつくり上げていきたい、この目標を持っておるわけでありますから、それに対応した政治資金の入りの方というんですか、そういうことについても裏腹で検討していくということにいたしております。その過程で、現実に自民党のみならず各党とも、実際の政治活動あるいは選挙活動にはお金が必要なわけでありますから、その必要なお金自民党を支持してくれる方々から適正に献金をお受けしていかなければならない、これは変わらないわけでありまして、そういう観点からいろいろな案があり、いろいろな人がいろいろな意見を言い、それがまとまっていき、自民党として決定していくということになるわけでありますから、目標は山花委員も我々も同じだと思うのですね。そういうことのないような理想的な選挙制度をつくりたいということに向かっておるわけであります。しかし現在、選挙制度を変えたわけでもありませんし、いろいろ現実にお金がかかっておるわけでありますから、それについて適正に、法的に間違いのないちゃんとした手段でお金をいただく、こういうことをそれぞれの立場の人が検討することは、これは当然のことだと思っております。
  29. 山花貞夫

    山花委員 政治改革大綱、私の持っている文書では一番最初の方の文書だと思いますが、六ページのところにさっき引用した部分がございまして、企業献金正当性についての前の部分でありますけれども、「寄附限度額の改正をはかる。」と書かれておりますので、書かれておらないというのはちょっと正確ではないのではなかろうか、こういうように思います。  今お話しになりました現実に金がかかっているということにつきましては、先ほどの答弁の中におきましても引用されました自民党の一年生議員十人の皆さんの収支の報告、これは大変印象的でございました。実は本件とかかわるような慶弔の関係につきましても、ある方がこう言っています。「一日平均二—三件の葬儀に出席する。私が出かけられないときは妻が。香典は一万円、生花をつけるのは週二—三件」こういう引用とか、あるいは「弔電は毎日二十通程度。後援会組織の弱い地域では、葬儀屋さんに電話して調べている」こういうことも言われております。私がよく伺っているのは、葬儀屋さんに電話をするということだけではなく、秘書の方が大勢いらっしゃるので、これが市役所などに行きまして死亡届等を調べて、まず万遺漏なきを期して慶弔の手続を行っている。お香典を届ける、生花を届ける、こういったことをよく耳にするわけでありますけれども、この一端がここにも出ているのではなかろうかと思います。  支出の内容としても、「選挙区内などでの葬儀に贈る生花や香典、結婚式のご祝儀などの「冠婚葬祭費」が千六百六十六万円に達し、また、盆踊りや各種の行事、大会などへの「祝い金」が中心の後援会活動費も千八百九十万円」等々と、これだけ慶弔関係にお金がかかるのかということについて大変びっくりしているわけであります。  たまたま私は、かねてリクルート事件の際に略式をされた皆さんの確定記録を拝見する機会がございました。そこにはある程度この慶弔関係についての支出も出ておったわけでありますけれども、やはりかなりの額が出ておるということで、その占める比重の割合ということについて正直言ってびっくりいたしました。  我々が想像する以上であるということの中での今度の冠婚葬祭問題ということになっていると思うわけですが、自民党のこの提案によりますと、候補者またはその配偶者がみずから出席してその場においてする結婚披露宴の祝儀、同じく葬式の香典については罰則を適用しないこととされております。こうしたいわば例外というものにつきまして、先ほど自民党議員からは野党案は厳し過ぎるのではないか、こういう御質問がありましたけれども、しかし現実の冠婚葬祭等に対する金の使い方、これを競り合っているということからいたしますと、かなりこれは思い切った議員の側での姿勢の転換ということがなければおさまりがつかないのではなかろうか。もしこの例外を認めると、これまでの選挙法改正はすべて例外、脱法ということで、法律の目をくぐるということが残念ながら実態だったわけですから、ここでも例外を設けるということはかなりしり抜けになるのではなかろうか、こう思いますけれども、この点について見解を伺いたいと思います。
  30. 森清

    ○森(清)議員 ただいまの御答弁を申し上げる前に、政治資金一般の問題についてちょっとお答えを補足をいたします。  政治改革大綱に書いてありますことは、今自民党あるいは自民党個々の議員政治資金を集めるについては、議員個人が集めるということが非常にウエートが高いわけであります。そこで政党本位といいますか、政策本位の選挙制度に改正するということも前提にしながら、政治資金はできる限り政党が取り扱う。これは外国皆大体そういう方向であるわけでありますが、そういうことを前提にしまして、そして政治資金については、政治資金の枠の拡大ではなくして、枠を見直すということは、その枠の中でも先ほど申し上げたようなことも含めて検討する。党に集めるということを前提にして書いております。したがって、私の言葉が多少不足でございました。御指摘の点もございます。それは将来問題として検討することになっております。  それから冠婚葬祭について、御指摘自民党の一年生議員が発表したことは私も衝撃を受けました。ということは、冠婚葬祭寄附するということは、これは罰則はかかっておりませんが、法律では禁止しておるわけです。禁止をしておることについてかくも公然と多額の金を使い、そしてそれをみずから公表するということは、まあやったら公表するのは正直でよろしいということはありますが、私自身は衝撃を受けました。したがって、そのようなことも一つの材料として、厳しくこれは罰則をつけなければ、国会議員というのはそういうことまでするのか、法律でこんなことはしてはいけませんというだけでは済まないのかというようなことが、今度罰則強化につながった一つの動機でございます。  そこで、その中の細部の問題として、本人及び配偶者が行った場合は、社会常識の範囲を超えない範囲でいいじゃないかということも、これは一応世間の常識として許されるのではないか。しかもそれは今言われたような弊害はない。本人はもちろんかわるわけにいきませんし、配偶者も、日本の古来の伝統、美風であろうみたいに四人も五人も配偶者をつくるわけにいきませんので、そこで必ず二人以上にならぬわけですね。それも本人が行くのだから、その程度でやることが枠の拡大とか、そういうけじめがつかぬということにはならないじゃないかということで、社会慣習、常識の範囲内でそれだけはいいじゃないかということで、本人配偶者だけについてはやったわけであります。しかし、野党案を見ますとそれもいけないということになっていますから、それは皆さん方で今後審議の過程でひとつその是非長短を御議論をいただきたい、このように思っております。
  31. 山花貞夫

    山花委員 一つだけ伺っておきたいと思うのですが、本人配偶者の場合も代理は認めないという御趣旨だと思いますが、例えば、出るつもりだったのだけれども、直前に出られなくなったからというようなことが理由とされながら各地でまた香典が配られておる、こういうことについての心配があるのではないでしょうか。この点はいかがですか。
  32. 森清

    ○森(清)議員 法律的には、直前に出られなくなったとか、そういうことを含めて代理で行った場合に香典、祝儀のたぐいを出すことは、全部法律違反であります。
  33. 山花貞夫

    山花委員 その法律で縛る部分についての広さがどのくらいかというところが、与党案野党案のこれから議論の焦点となってくると思うわけです。  ここで自治省に伺っておきたいと思うのですけれども、我々が政治と金の出入りの関係ということで外国の先例を勉強するときに常に挙げられるものは、アメリカの一九七八年の政府倫理法の資産公開に関する部分、そしてイギリスの一八八三年の腐敗防止法、これが中心ではないかと思っています。ところで、日本の公選法のこれまでの法律の構成について見ますと、選挙運動費用の支払い方法や最高限度額の制度、あるいは一部採用された、極めて不十分ですけれども連座制の問題その他につきまして、イギリスの一八八三年の腐敗行為防止法の影響を受けているというように言われているわけであります。そこで、この腐敗行為防止法のおよその内容と、日本の公選法の中にこれがどの程度盛り込まれたのかということにつきまして、これは自治省になりますでしょうか、御説明をいただきたいと思います。
  34. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 御指摘のように、我が国の公職選挙法考え方の中には、イギリスの腐敗行為防止法、現在では国民代表法に受け継がれておるわけでございますけれども、そういう考え方は入っておると思います。御指摘になりました連座制もそうでございましょうし、あるいは選挙運動費用の支出の制限額を定めておるというようなところもそうであろうと考えております。
  35. 山花貞夫

    山花委員 どの点に決定的な違いがあるとお思いでしょうか。実はイギリスも腐敗選挙はかなりのものであったということはいろいろな文書にあるところでありますけれども、この腐敗行為防止法ができて以来はそうした状況は全く一変して、公正な選挙が確保されている。例えば、イギリスの選挙運動費用は大体百五十万円ぐらいで済むのだという話も何かで読んだことがありますけれども、日本とは全然違ってしまっている。どこが問題だったのか、違いの根本についてどう把握しておるかについて説明をいただきたいと思います。
  36. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 一つは、連座制につきまして、連座制を適用した場合の効果の問題があると思います。日本の場合はあくまでも当選無効ということにとどまっております。とどまっているといいますか、いろいろ議論の上それが妥当だという判断をしたのだと思いますが、ともかく当選無効だけでございます。イギリスの場合は、いわゆる連座制によっても、日本の言葉で言えば公民権停止ということがかかってくるようになっておる。そこが一つの違いだと思います。  もう一つは、連座の当事者と申しましょうか、どういう人が腐敗行為をやった場合に候補者の方が連座によってペナルティーを受けるかという意味での当事者でございます。日本の場合は、御案内のように総括主宰者でありますとか出納責任者、地域主宰者でありますとか親族とか、かなり限定的に決めておるわけでございます。イギリスの場合はどうも対象となる当事者が広いようでございまして、これは法律上はエージェントという言葉が使ってありまして、私どもこれをどう訳したらいいのか詳しくはわからないのでございますが、イギリスの判例などを見ておりますと、それはもうかなり幅広くとらえておるようでございます。例えばでございますが、集会に参加しまして、候補者のかわりにそこで演説をやったような人がいる場合、それも今で言うエージェントといいますか、代理人になるというような例も示されておるようでございます。
  37. 山花貞夫

    山花委員 今お話しになったところが本法案審議に当たっても一つのポイントではなかろうかと思います。提案者が個人的にお考えになっていることを党の代表でおっしゃるのはなかなか難しいかもしれませんけれども、腐敗防止法的な極めて厳しい対応というものがある時期には必要なのじゃないだろうか。これまでの話にもありましたとおり、あるいは政治改革大綱の中でも、議員の自律ということだけではだめなんだということまでは出てくるわけでありますけれども、では一体どうするかということにつきましてやはり対応が甘いのではないだろうか。こうした問題点を今の選挙部長の御説明からも我々は痛感しなければならないと思っております。  腐敗防止法の場合には、違法行為の類型をはっきりさせること、それに対する処罰が明確であること、しかも判例によりまして非常に幅広く適用があること、要するに、ちょっと間違ったならば、罰則を受けるだけではなく選挙にも出られない、これだけの厳しい対応がある。いわば法的な規制ということの中に議員政治活動を置いたという徹底的な取り締まり規定ということになるかもしれませんけれども、その中で政界が浄化されてきた、これがイギリスの歴史ではなかったかと思うわけであります。  そうなってくると、今回私たちが準備しました四党案につきましても、かなりがんじがらめになって、みんなできないではないか、社交的な儀礼にも反するのではないかという議論もあるわけですが、そこまで厳しくやらないといけないのではないかというところが根本にあるわけでありまして、こうした観点から、自民党案によりますと、まだまだその点について欠けているのではないかと考えざるを得ないわけであります。  きょうは、政治資金絡みの話はまた今後の機会ということになると思うのですが、入りの部分についての自民党提案も出についての提案も全く同じ問題点があると考えているわけでありまして、こうした選挙の場合にも、連座制といっても候補者本人対象となるという場合はほとんどありません。政治資金規正法についてもしかりであるということ以上に、政治資金規正法については、どんな違法行為を行ったとしても、政治家本人は、大げさに言えば未来永劫全く処罰されることがないというのがあの法律の仕組みと言ってよいのではなかろうかと思います。共謀ということが適用になることはほとんどないでしょう。そうすると、提出した報告者の義務違反だけが問題となる。  かつて問題となった七、八億円についての中曽根元総理の架空伝票による事件、あのときにはたしか略式十万円だったと思います。今回のリクルートの四人につきましては略式二十万円。何らかの事件があった場合には、何千万、何億円の違法があったとしても、今回は五千万、五千万、約七億ちょっとということでありますけれども、それだけの大きなお金について、これが法律違反するという判断を受けながら、政治家本人は全く知らぬ顔の半兵衛でありまして、秘書が出ていって責任をとればよろしい、要するに政治資金規正法の届け出人が処罰を受けるということだけで終わっているわけであります。これはやはり入りの部分についても出の部分についても政治家本人に及ぶというところがなければ、取り締まりの実ということについては、言葉が適切じゃないと思うのですけれども、こうした身を律する、自律を求めるということについて徹底しないのではなかろうかと思うところであります。  そうなってくると、さっき自民党委員の方から野党案は厳し過ぎるとありましたけれども、やはり厳し過ぎるくらいの法律を準備するということの中から、我々も政治活動上あるいは社交の儀礼上大変欠けるところが出るかもしれませんが、そのくらいの覚悟がないと今の事態に対応することができないのではなかろうかとも思うわけでして、そうなってくると、全体として自民党提案につきましては、累が及ぶといいますか、候補者本人が処罰される場合が非常に少ない。例えば冠婚葬祭についての問題であるとか、こうした法的厳しさは本来なければ一番よいのだけれども、そのことが求められるという現状の中で、自民党案について野党案のように厳しくやってみるということもあるのじゃなかろうかと思いますが、いかがでしょうか。
  38. 森清

    ○森(清)議員 刑罰をかけるというときには、やはり最終的には刑罰を受ける個人の刑事責任ということがはっきりしておらなければならない。連座制という選挙法上の概念と刑罰をかけるということは結びつかないのじゃないかと私は思います。したがって、刑罰の本質は、故意に構成要件に該当する行為を行った者が刑罰にかかるわけでありまして、そういうことを考えると、刑罰法規をもって臨むことについてはいろいろ法律的に検討しなければならぬ問題があります。野党案自民党案の違いがそういうところにありますので、我々はそういう観点を含めまして、本人、特に政治資金団体というのは本人がやっているのじゃなくして、ほかの人がやって本人政治活動を応援してくれているわけでありますから、そういう点についても法律的にさらに詰めが必要じゃないかというふうに考えておりますが、いろいろ野党案野党案で出ておりますから、我々も十二分に検討させていただいておるところであります。  それから、ここに立ったついででありますが、これは自民党を代表してとかということじゃなくして、イギリスの政治腐敗防止法にお触れになりましたので、私の個人の見解をちょっと申し上げておきます。  今お触れになりましたように、イギリスは政治腐敗がひどかったわけです。そして千八百八十何年だったと思いますが、いろいろやりながら今の原形ができたのであります。それは日本で言うと明治十六年。明治二十二年に衆議院選挙法をつくりまして、ほとんど罰則は、恐らくそれを翻訳したのだろうと思うくらい入れているわけですね。したがって、日本の選挙法罰則などというのはもう完全無欠に近いもので、今度追加するのを含めたら完全無欠な罰則ができておると私は思います。選挙法規の中では世界で一番細かい罰則をつけておるのじゃないかと考えております。抜け道はほとんどふさいでおる。それがなぜ守られないかということについては、これは罰則でございますから、非常に厳格な刑事捜査手続あるいは公判手続というものがあるから、それが十二分に立証されない、そういう点があるのではないか。  そうしたらイギリスはどうなっているのかといいましたら、そういう点についてはいわゆる罰則をだれそれに適用して、それがどうこうということじゃなくして、それを皆さん連座制、連座制と言っておるのですが、そうじゃなくして、日本流で言えば当選無効訴訟をやるわけですね。だから、それは検察官といいますか捜査する人間がやるのじゃなくして、有権者はだれでも当選無効訴訟を起こせる。したがって、刑事裁判じゃないわけです。そして今度は連座制とかいう概念じゃなくして、その当選無効は本人及び本人のために選挙運動をしている人間、これは非常に幅広い概念で、いわゆる日本で言う運動員と称する者をすべて含みまして、その人間がそういう選挙違反行為をすれば、それは罰則にかかって、最終的に起訴されるかどうかは別として、その当選無効訴訟という裁判の中でそれが確定したならば、本人が当選したその選挙そのものが無効になる、そういう制度になっておるわけですね。  しかも、これはエージェントという言葉を使っておって、日本へ腐敗防止法を紹介した人たちがそこら辺を間違えて、選挙エージェントというのが条文に書いてある。それは日本で言う今の選挙責任者みたいなものです。それだと思い込んでそういう紹介をしたものですから、日本と同じだと思ったのですが、そうじゃなくして、イギリスの腐敗防止法あるいは現在の国民代表法には、選挙責任者というのはエレクトラルエージェントと書いてあるのですね。そのほかに、今言ったようなことは単にエージェントと書いてある。そのエージェントの範囲というのは、今選挙部長も答弁したように、我々が通常の言葉で言う運動員なんですね。  だから、その辺の日本の紹介の仕方が間違っておったものですから制度として入っておりませんが、イギリスの腐敗防止法を入れるのならば、改める点は、今言ったように選挙無効訴訟を有権者がやれることとすること、そして今言った連座制とかいう概念、日本で言う連座制の概念じゃない概念での選挙無効訴訟ということ、それから裁判手続としては、法律的評価を下す必要はないわけでありますから、事実の認定にすぎない一審で終わるということ、こういうことでイギリスでは、我々いろいろ調査をいたしましたが、まず日本で言うような選挙違反とか資金を余計使うとかいうことは一切なくなっている。これはそういう点では非常に参考にすべき点でありますから、腐敗防止法の導入を検討するならばそこへ踏み込んだ検討が必要である、このように考えております。
  39. 山花貞夫

    山花委員 今お触れになりましたとおり、日本の公選法の現在の仕組みというものは、我々はべからず選挙法と言っているわけでありまして、選挙運動期間以前は全部事前運動となる、選挙期間中もできない、こういう仕組みになっていると受けとめています。  お話しのとおり、かつて当初の選挙法、ある程度制限選挙の時代には、選挙違反事件というものは買収と演説会場の騒擾等非常に絞られておったわけですけれども、今はそうじゃなくなっている。しかし、最大の問題点というのは、候補者本人が処罰される機会というのは本当に指折りの記憶しかない程度だと思っています。国会議員については本当に指折り程度しかないということでありまして、おっしゃいました外国の制度の連座制の問題とかその他と違って、日本の法律、制度の中でその中心の問題を取り入れていくならば、三審制の問題等憲法議論にかかわる部分を除いて考えますと、やはりこれは本人取り締まり対象となって処罰を受ける、罰金の三万円、五万円でも払うことになる、こうした仕組みというものがあり得るのではなかろうか。  公選法からいきますと、当然これで公民権停止ということになるわけでありまして、五年の公民権停止ということになってくる。選挙には出られない。いわばおっしゃったような大衆訴訟によって資格を奪う。立候補の権利を奪うということだけではなく、今の公選法の仕組みを考えても、本人が処罰されるということになれば公民権停止、選挙に出られないということになりますから、改めて新しい制度を考えるまでもなく、かなり処罰という格好について、候補者本人が自律自戒するきっかけを厳しくするということが求められているのではなかろうかと私は思うところでございます。  時間の関係がありますので、そうした気持ちを前提としまして、先ほどの質問についての自民党案でありますけれども、現在禁止の例外とされている政治教育のための集会に関する寄附についても、従来どおりということで禁止はしておらないわけであります。これまた限度について今非常に広まっており、実際上の買収、供応ではなかろうかと見られるものもこの規定によって救われている現状もあるのじゃないでしょうか。不徹底ではなかろうかと思います。不都合は生じないでしょうか。この点についての見解を伺いたいと思います。
  40. 森清

    ○森(清)議員 政治教育のための集会に必要最小限度の経費がかかる。それについて集会に来た者に全部負担させるということにすれば徹底するわけでありますが、やはり政治教育というか、それはいわゆる政治活動の中心をなす活動でありまして、それがために金が要るんだと言って言い過ぎでないわけであります。したがって、それについて例えば必要最小限度の実費的なものを出すということは、そのこと自体が寄附行為とか行き過ぎた金の使い方ということにはならないのじゃないか。政治教育集会というのは本来の政治活動そのものでありますから、それに制限が加わるようなことはやるべきではない、こういう考え方から、政治教育についての実費に関する限りこれは出してもよろしいということにしたわけであります。その考え方は私は正しいのではないか。  しかし、今言われたように、それに藉口して、例えば普通なら千円の弁当で済むところを五千円のようなおぜんを据えて酒飲んで騒ぐ、これに出したら明らかに違反でありますから、そういう点については捜査当局によく調べてもらう。今のところ罰則というのはないわけでありますが、その点については自粛もしてもらうし、もしそういう事実があれば、それを摘発していただくという以外にはない。しかし、本当に実費を出しておるというのは、政治教育そのものは政治活動としては一番当然の活動で、そういうことがもっともっと広く行われなければならない、このように考えておる次第であります。
  41. 山花貞夫

    山花委員 同じ論点で先に進みたいと思いますけれども現行法におきましては、候補者以外の者が候補者に対し、禁止されている寄附について、これをするよう勧誘し、または要求することを禁止していますが、これには罰則がありません。今回の自民党案は、候補者等を威迫して勧誘、要求した場合及び候補者を失格させることを目的として勧誘、要求した場合に限って罰則を設けようとするものであります。これですと、またかなり枠が絞られてしまいまして不徹底じゃないだろうか、こういう疑問がありますが、この点についてはいかがでしょうか。
  42. 森清

    ○森(清)議員 そういう意味では不徹底と言われれば不徹底かもわかりませんが、一般的に我々は自粛することもできますし、あるいは選挙活動で我々を支援しておる後援会の幹部とか、そういう者については十分周知徹底しますし、我々も含めまして日常の活動をしている。しかし、政治家であるから、あるいは候補者であるから、あるいは候補者であろうとしておるから、それは厳重に慎まなければならないということは言えるのでありますが、そういう人にお祭りがあるから寄附をしてくださいよということは、世間普通の常識として言うんじゃないだろうか。それを言うたら罰則かけるというのは少しきつ過ぎるのじゃないかということで、自民党案では威迫してというか、寄附しないならどうこうするというようなことを言うてまで寄附するのは罰則をかけるけれども、お祭りがあるから寄附してくださいよと言ってきたものまで罰則をかけるというのは少し行き過ぎではないかということで、そこら辺で線を引いた次第であります。
  43. 山花貞夫

    山花委員 これもまた同じ論旨で先へ進みますけれども、三党案では最近の一連の事件への反省として、寄附禁止関係について、候補者等はその政治活動のために雇用する者についての監督義務を有する、そうした規定を置いています。これを怠った場合の罰則を設けることにしております。ここが全く違うところであります。名刺広告等の禁止あいさつ状禁止についても同様でありまして、自民党案においてはこうした提案がございません。この点についてやはり不十分じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  44. 森清

    ○森(清)議員 法律構成をするときに、監督責任というものについて罰則をかけることについては非常に難しい問題もございます。しかも、それぞれの権限、組織がきちっとしておって、そして十二分に監督する責任があるような、例えば上司、部下の関係になっておって、身分的な拘束、指揮命令権というものを完全に行使できる役所、あるいはそれに準ずるような会社の手続規定があっても、監督責任を刑事責任として追及するということはなかなか法律的に難しい点があると思うのです。ましていわんや、本人後援団体である政治資金団体との間には、そういう意味での厳重な指揮命令、監督権限はもともとなじまないというか、及んでおらない。そういう中で監督責任について罰則をつけるということについては問題があるのじゃないかということで、我々はそこに踏み切れないで現在のような提案にしておる次第でございます。
  45. 山花貞夫

    山花委員 名刺広告等の禁止につきまして、自民党案は、名刺広告を掲載させ、または放送させた者につき罰則を設けるのみであります。寄附禁止等のバランスからしても、三党案のように、これを要求した者に対する罰則など一連の規定を設けるべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
  46. 森清

    ○森(清)議員 先ほどの寄附の要求の点についてお答えしたと同様でありますが、そういうことについて一般の国民が、今言った名刺広告をしてくださいよ、あるいは何をしてくださいよということを言ってくること自体も罰するには多少ちゅうちょを感じましたので、その点は入れなかったわけであります。
  47. 山花貞夫

    山花委員 先ほどの自民党側からの質問の三番目と関連しますが、自民党案は、後援団体について香典、祝儀等は禁止したものの、これらを除いて後援団体がその設立目的により行う行事または事業に関してする寄附は現行どおり、こういう格好になっております。後援団体活動、その性格としては従来と変わらないのではなかろうか、こういうように思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  48. 森清

    ○森(清)議員 団体といいますか、法人あるいは人格なき社団等も無制限な活動をするわけでありませんで、設立目的の範囲内で行動するわけであります。その設立目的の中にあることについて、選挙だから、あるいは選挙に関連するからこういうことをしてはいかぬということを決めるのが今度の規定なんです。したがって、そういう意味で言えば、後援団体というのは選挙といいますか、そういうことを主たる目的とする団体であることは間違いないわけでありますから、そういうものについてはおのずとその団体自身に活動の分野が制限されておるじゃないか。したがって、それから非常にはみ出したことをすることはまずあり得ないということを考えたことが第一であります。  そういうことであるから、仮に後援団体そのものの設立の趣旨の範囲内であれば、本人がやっているわけではなくて後援団体としてやっているわけでありますから、それについて寄附行為とかその他に類するような行為が多少あっても、それは後援団体そのものの活動である限りは罰則をもって強制すべきものではない、このように考えた次第であります。
  49. 山花貞夫

    山花委員 なお、最後に、法案絡みではポスターの関係ですけれども、我々は今回の自民党規制には反対であります。政治活動の自由にかかわると思っております。これは選挙運動用のポスターということではなく、禁止しようとしている期間も選挙運動の前であります。かつての裏打ちポスター禁止という場合には、裏打ちをしていないポスターについては道が残されておったということですけれども、今度は全面禁止ということになってまいります。そうしたことから、我々としてはこれは反対であるという立場を明らかにしておきたいと思います。  なお、この際、この点について政治団体ポスター禁止されない。この辺の区別の基準というものをどういうようにお考えになっておるのでしょうか。
  50. 森清

    ○森(清)議員 ポスターというものをよく見ておりますと、政治活動というか、東京でもよく張り出していますし、私自身も、まだしておりませんが張り出すのですが、顔写真だけですね。そして、どこそこで何日ごろ何の集会をすると書いてあるだけで、あれが政治教育というか政治活動なのであろうか。あれはまさしく森清本人に投票してくれよという呼びかけにすぎないと考えるのが常識であろうと思います。そういうことは選挙運動期間中になってやらなければならぬことになっておって、しかもそれは特定の掲示場にしか掲示していないという一連の法体系があるわけでありますね。そういう中でポスターとかチラシのはんらんがあったものですから、何年か前の改正で、裏打ちをしてはいかぬとかいうような制限をかけていったわけであります。  そういう一環として考えると、そういう流れというか考え方ということを考えますと、単に顔写真を大きく掲げて名前だけ書いておるようなポスターを、選挙がもう間際に来ているときに、選挙期間になったら禁止されることを間際ならいいじゃないか、告示になる前ならいいじゃないかというようなことでいいのだろうか。選挙が間際になったときぐらいはそれを制限するのが当たり前じゃないか、こういう考え方提案をした次第であります。
  51. 山花貞夫

    山花委員 以上で質問を終わりますが、きょうは法案の審議ということから、いわば規制の立場での質問をいたしましたけれども、我々としても議員一人一人の自律自戒、そして院の申し合わせを守り、政治倫理綱領を守るというところがまず最優先さるべきであるということを当然の前提としての質問であったということについて最後に申し添えまして、質問を終わりたいと思います。
  52. 左藤恵

    左藤委員長 次に、川端達夫君。
  53. 川端達夫

    川端委員 今回提案されました各党法案の中で、自民党案について御質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  きょうのいろいろな議論をも含めまして、自民党提出法案のねらいというのは、突き詰めて言えば、お金のかからない政治あるいは選挙を目指していると思うのですけれども、本来の政治活動という観点からはかなりずれたところの運動といいますか行為、いわゆる地盤培養行為というのですか、先ほどからありましたようにお葬式に軒並みに行くとか弔電を打つとか、通りかかったらお葬式があったら、そこはおりてとにかく行くのだというふうな話も聞きます。あるいは成人になられた方みんなに祝電を打つとか、そういうふうにどんどんエスカレートした慶弔の費用、あるいはあご足つきでお土産までいただけるという旅行会だとか、芸能ショーと見間違うような政治家集会というのが本来の政治活動というのではないとみんなも思っていると思うのです。しかもそれに非常にお金がかかる。しかも基本的には、自民党の方同士が競争されるという部分が多いのではないかなと思います。皆さんがおやりになるからやめられない。  こんなところに今回の法改正を決断された一つの背景があると思うのですけれども、こういう状況をもたらしてきた原因というものの中に、自民党がそういう体質を持っているということも否定はできないのではないかなと思います。こういうふうな現状に関して、それから今度の法提出に対しての御認識というものを手短にお聞かせをいただきたいと思います。
  54. 森清

    ○森(清)議員 ただいま川端委員 御指摘のとおり、現在の政治不信というものについて我々は反省をし、特にその政治不信は主として自由民主党に対して向けられていることも十二分に自覚をいたしております。したがって、その第一段階としてこのような法案も出したわけでありますが、おおむねこの法案も所期するところは野党四党案と、共産党の案は今提案したばかりでよくわかりませんが、一致するところも多いわけでありますから、みんなで協議をしてこういうことについて一つ一つ着実に改善を図っていきたい。自由民主党としてはそれについて最大の責任があるわけでありますから、重大な反省の上に立ってやっていきたいと考えております。
  55. 川端達夫

    川端委員 私も全く同感でありまして、こういうふうな政治状況の中で、党内の議論としては非常に難しかった部分もおありだったと思いますが、こういう法改正にまで持ってこられたことは一定の評価をさせていただきたいと思います。  一方、我々もそういう同じような思いから法案提案いたしまして、おのおのが自分のところがベストだというふうに今の時点では思っております。本来、国会の機能としてはそういう部分で議論を尽くして、そして目的とするところに一歩でも二歩でも前進していく。その結果が問われるわけですし、そのことがなければ何の意味もないというか、ますます政治不信を増してしまうのではないか。そういうことでおのおのベストと思って出すわけですが、十分な審議を尽くした中で、とりわけ今回は参議院においては保革逆転をしているという状況の中で、全部とは言いませんが、今までありがちであった自民党さんがベストであるという部分は一歩も引けないということであれば、全く日の目を見ない。あるいは我々も何とかしたいという部分で審議を尽くしたいと思います ので、そういう観点からも、本当に実のある審議の中で実質的な法案が成立するように何とぞお臨みをいただきたいと思います。今御答弁の中でお触れいただきましたのであえて質問いたしませんが、私も同感でありますので、よろしくお願いしたいと思います。  そういう中で、これはちょっと自治省にお願いなんですけれども、御見解をお伺いしておきたいのです。  そういう観点から、何とか今日の金のかかる政治を打開し、国民政治への信頼を取り戻そうということで努力をして、与野党の一致点を見つけてぜひとも成立させたい、これが我々の願いでありますけれども、そういう中で、成立をした時点で相当変わると思うのですね。これは先ほど森先生の御答弁の中にありましたけれども政治家は我慢して、我慢というのはおかしいですね、みずからを律してやっていくということはできるけれども、一般の国民の方が祭りで寄附をくれと言われたらなかなかというので、これは罰則をつけるかつけないかということの御議論でありますけれども、そういう部分で、今回いろいろな観点から、国民の皆さんに対して、こういうことだから国民の皆さんも協力して、おのおのがいい政治をつくっていこうではないかという意味でこういうふうに変えました、だからお祭りがあっても、政治家なんというのは出さぬ人種にしましたから言わないでくださいよという意味で、この法の趣旨と実際のことに関しては、相当周知徹底を図らないと無用の誤解を与える。やはり祭りに出してくれと言われて、罰則がなかったら、こそっと出そうかという人も出てくる。だから我々は、あなたそんなこと言ったら言った人も罰則があるのですよ、だから言ってはいけないのですよということで、その人を捕まえるのじゃなくてやめさせようと、これは方法論だと思うのです。  そういう中で自治省として、今参議院で話題になっている法律なんかに関しては既に成立した法律でありますが、初めての法律だということで、非常に多額のお金を使って周知徹底をされようとしている法律もあるわけですけれども、これはそれ以上に大事な問題ではないかと思うのです。これはまだ成るか成らぬかの話の段階ですけれども、そういう側面も非常に大きく持った法律であるということで、自治省はそういう周知徹底に対してどうお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
  56. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 寄附禁止ということを実効あらしめるという上で、政治に直接関係される方々はもとよりでございますけれども、有権者の皆さん方の意識を高めるあるいは意識を変えるということが非常に大事だと思っております。そういう意味で、従来から、罰則はありませんでしたけれども寄附禁止ということについては我々も努力はしてきたつもりではございますけれども法律改正が行われる、成立するというようなことになりましたら、私どもといたしましても最善の努力を尽くしてまいりたいと思っております。
  57. 川端達夫

    川端委員 そういう晩にはあらゆる努力で、それこそお金をかき集めてPRをお願いしたいというふうに思います。  それでは各論の中で一、二確認をしておきたいと思うのです。若干重複するところは省略をしたいと思います。  先ほどもいわゆる寄附禁止の処罰の対象とする公職候補者の行う選挙に関しない通常一般の社交程度を超えない寄附について、例外規定として、候補者本人または配偶者が披露宴やお葬式に出かける部分に処罰をしていないということがありまして、森先生の御答弁もわからないことはないのですけれども、結局、例外を認めるということが現状の中でどういう効果をもたらすのかというときに、それは確かに本人が行く分くらいはいいじゃないかという考え方もあります。しかし、政治家お金を出さない、政治家というのはいわゆる寄附をしない種族なんだということにする、そういうふうにして国民理解も得ていこうというときに、もらう方というかもらわれる側が、本人が来た場合もらうというと、そうしたらそんなもの秘書がかわりに持ってくればいいじゃないかというふうな、とにかくあいまいな部分を残してしまう。  それともう一つは、あの先生は本人が持ってきた、あの先生は秘書が来て手ぶらで来た。ダブルパンチなんですね、これは。本人は来たわ金は持ってきたわ、秘書は来るわ金も持ってこないわ。弔電も来ない。そうするとどうしたらいいんだ。奥さんは奥さんでこれまた選挙区を葬式で走り回らなければいかぬのか。あそこの奥さんは立派な奥さんだ、まめに葬式に顔を出す。あの奥さんはだめだ、東京にいて。やはりこういうことを残してしまうのではないかな。非常に難しい問題なんですけれども、こういうときは思い切って我々の言うように一切例外はないというふうにすべきではないかと思うのですが、再度いかがでしょうか。
  58. 森清

    ○森(清)議員 おっしゃられる趣旨はよくわかります。現在の寄附禁止のときも、例えば一般に寄附禁止しても、結婚式に行って、そこで今ごろだったら一人頭一万円ぐらいかかっているかなということなら、一万円ぐらい出して秘書が行ってもだれが行ってもいいじゃないかという考え方もあり、そういう現行法による実例もあるようでありますから、私はその点はよくわかるわけであります。  しかし、一般的に全部禁止してしまおうということが趣旨でありまして、その点は野党案も同じなんですが、先ほど御答弁申し上げましたように、だからそれは周知徹底してくれ。しかし、これは先ほど言ったように本人配偶者、二人しかおらぬ。もしひとり者だったら、一人しかおらぬ者が行くことによって、寄附をすることによってそう枠が広がるとか、おかしくなるだろうか。生身ですからそんなに行けっこないし、要するに非常に大きな政治資金を必要とするかという面からいっても、そう弊害は出ないのじゃないかということで、我々は、ある意味で社会常識に従って本人及び配偶者冠婚葬祭に行くときには、それ相応のお包みを持って行っても、それはあえて罰則をもって禁止しないという考え方に立ったわけであります。  川端委員のおっしゃられるように、それでは抜け道になるんじゃないかということには、私はならない。先ほど申し上げたように抜け道にはならないが、もう精神的には本人も同じじゃないか、だから禁止してしまえというのも一つのお考え方であろうと思います。先ほど言われたように特に選挙法は、こういう問題に限らず根本的な改革も、これは競技のルールでありますから、ルールに参加するすべての党が大体一致するようなものでなければルール変更はできないものだと私は思っている。しかし、もちろん全部が全部賛成でなくても、ある程度の合意を得てやることは当然でありますから、十二分に御意見としては承っておきます。
  59. 川端達夫

    川端委員 それと、自民党案と我々の案で違う部分、いわゆる脱法的な寄附禁止として、自民党案の場合は公職候補者等寄附の名義人とする寄附禁止するということでありますが、我々は「公職候補者等氏名を表示し又はこれらの者の氏名が類推されるような方法でする寄附」ということで、かなり幅を広げているわけです。名義人ということだけに限定をされたといいますか、類推されるような名前はまあいいというので、これはある部分で言えば、厳密であるかどうかという部分では、今度の公選法改正は、政治資金もそうですが、何か抜け道探しの競争みたいな、こういう部分ではやはり決めるときにはそういうことがより可能にならないようにした方がいいのではないかなというのが我々の先ほどからの議論ですが、そこら辺に関してはどうでしょうか。
  60. 森清

    ○森(清)議員 我々は抜け道を用意したわけではなくして、これで防げるという考え方のもとにやったわけでありますが、法律技術的に細部の問題がありますから、当院の法制局から条文の内容をお答えさせていただきます。
  61. 坂本一洋

    ○坂本法制局参事 お答え申し上げます。  自民党案、それから三会派共同提案の立案を補佐した立場からお話ししたいと思いますけれども自民党案の「公職候補者等寄附の名義人とする」というのは、公職候補者寄附の主体であるようなことを表明することに意味がありまして、氏名の表示あるいは氏名類推事項の記載の有無ということは直接関係がないということです。  これに対して社公民党案の「氏名を表示し又は氏名が類推されるような方法で」という規定は、その公職候補者等寄附の主体であるかのごとく表明するかどうかとは関係なく、氏名を表示しあるいは氏名類推事項の記載等をすればよいということであります。なお、実際に両者は重なる場合も多いことと思います。
  62. 川端達夫

    川端委員 それから百九十九条の二の三項ですか、公職候補者に対する寄附勧誘、要求の禁止の例外規定なんですけれども、現行の法律では親族が要求した場合だけ例外とする。そういう人が寄附をくださいと言ったらその人に寄附してもいいわけですから、その人が寄附を要求してもいい、それ以外の人は寄附を要求してはいけないということであったわけですが、今回の自民党案ではそれを現行よりも広げて、いわゆる「公職候補者等が専ら政治上の主義又は施策を普及するために行う講習会その他の政治教育のための集会に関し必要やむを得ない実費補償として」の寄附を要求してもいいというふうな法体系に変えられた。見ようによりますと、一つは、寄附行為を認めている例外は要求してもいいのだという形に法としてはなっているわけです。そういう部分での整合性を言われるのかもしれませんが、形としては現行よりも要求していい人をふやしていることになっているのです。そういう意味では、規制の強化というのが前提にあるべきなのが、結果としては広がるということで、それほどに何かその部分に関してしなければいけない理由があるのかどうか。集会等々をやることに関して例外規定寄附をしてもいいわけですから、それを要求してもいいということに体系はなっていますが、公職候補者等が専ら主義主張のためにやるというのは、自分がやることに寄附をしてもいいというのが例外規定でありまして、そのことをだれかが要求してもいいということまで広げて例外規定をつくるのはいかがなものかなと思うのですが、いかがでしょうか。
  63. 森清

    ○森(清)議員 広げておるとは法律的には提案していないつもりでありますが、ちょっと細部にわたりますので、また法制局の方から……。
  64. 坂本一洋

    ○坂本法制局参事 自民党案寄附勧誘、要求行為について、罰則の強化も含めて全面的に規定の整備を図ったわけでございます。したがいまして、寄附することが法律禁止されていない者について、寄附勧誘、要求行為禁止する理由がなくなったということで、それに合わせて規定の整備を図ったということです。
  65. 川端達夫

    川端委員 法的にはそうなるのかもしれないが、普通に読むと非常におかしいことになっている。これは基本的に、「公職候補者等が専ら政治上の主義又は施策を普及するために行う講習会その他の政治教育のための集会に関し必要やむを得ない実費補償として」の寄附を認めるところから、大体こういう無理が出てくるのではないかなと思うのです。先ほど森先生は、それぐらいのことは出してもいいのじゃないか、そういうことでもっとやるべきだというふうに言われました。これは意見の相違だと思うのですが、政治というのは主権在民、みんなでやっていくのだというふうに流れがだんだん変わってくるのではないかなと思うのです。そういうときにみずからが出すというところが、国民の意識として今もらうという方が勝っていると思うのです。そういう部分で言うと、何か政治に行くときの費用はだれかが出してくれるんだというふうな部分は、将来的に理想的な形からいえば私は残すべきではないと思います。これはいつの時期かということで、我々は今すぐやるべきだと思います。これは先ほど御答弁をいただきましたし、思いは同じであって、若干手法が違うということだと思いますが、私はそのように思っております。  先ほど言いました禁止規定においても、結局その部分を残したばかりに、結果的には後追い的に、勝手にだれかが集まって、飲み食いしてちょっと政治の談議もした、先生のところに行って、あれはあれでやったことにしておいてくれやと言ったら、それでいいということなんですね。そうではないでしょうか、寄附を要求していいわけですからね。本来そういう集会本人がやるのであって、その本人がやる行為に関して、人が寄附を要求してよろしいなどということをわざわざ入れるのはどうも理解できないのですが、どうなんでしょうか。
  66. 坂本一洋

    ○坂本法制局参事 実態としてはそういうケースは普通余りないと思いますけれども、一応禁止される行為に対応して、それに対応するものだけを要求、勧誘禁止する形に規定を整備したということで、あくまでも寄附罰則の強化の整備との関連において図った規定だということです。
  67. 川端達夫

    川端委員 それから、昨年来のリクルートからいろいろ政治不信お金の問題が言われた中で、秘書が秘書がという話をいつも言う。どなたかがどこかの委員会で御紹介ありましたように、子供が先生や親にしかられたら、秘書が秘書がと言ったという笑い話があるくらいはやりました。そういう部分の不透明さといいますか、何かあったら、私は知らぬぞ、秘書がやったんだというふうにしてしまう部分にも、国会議員は人のせいにできていいな、先生方は結構なものじゃないか、何でも秘書のせいにすればいいじゃないかというふうな不信が一つあると思うのです。感情的な部分もあると思います。 これを法的にどうするかということは非常に難しい部分があるのも事実です。しかし、そういう中で我々は、脱法的な寄附を秘書もしてはいけない、それは監督していく責任があるのだということで、候補者に対しても罰則をつけていくことを考えているわけです。自民党案ではそれは、秘書が悪ければ秘書が悪いけれども本人は関係ない。考え方としてはわかるのですけれども、今言った秘書が秘書がという部分に道義的な部分だけではなくて責任を持つべきではないかということに関しては、どんな御意見をお持ちでしょうか。
  68. 森清

    ○森(清)議員 先ほども御答弁申し上げましたが、刑事責任というのは個人の責任でありますから、本人に責任のないことについて本人に罪を問うことは、これは原則としてできないという建前があると思います。したがって、野党案でも、そうじゃなくして監督責任というところに結びつけをしておるわけでございます。それはそれなりに私は評価をいたしております。しかし、その監督責任については、先ほど御答弁申し上げましたように、これまた刑事罰をもって問う監督責任、これについてはやはり問題があろうかと思います。そういう意味で、我々は徹底はしたいと思いながら、その辺で踏みとどまっております。しかし、秘書が秘書がという言いわけは、これは言いわけであって、仮に本人が知っており、それについて責任があれば、それは問えるわけであります。秘書が秘書がと言うから逃れられるわけではありませんで、それはちゃんと今の刑事法罰体系の中で追及はできないことはない、できることになっております。ただ、それに踏み込んでさらに監督責任だけでやる、あるいは監督責任がなくてもこれがやったらこっちに刑事罰を科するということについては、私は刑事法の一般原則からいって問題があるな、検討しなければならない、このように考えております。
  69. 川端達夫

    川端委員 確かに法的な部分で非常に微妙なところを残しているのは事実なんですが、秘書がそういうことをしているのを知らなかったから、全く免罪になっているというのが現実なんです、道義的な部分以外は。道義的な責任というのはどう追及されるかといえば、それは開き直って言えば、選挙の洗礼を受ければいいのかどうかというような議論になってしまうのですが、何らかの工夫がないんだろうかということを思う次第であります。  あと、細かくはいろいろ聞きたいのですが、法制上のいろいろな技術的な問題もあると思いますし、基本的に各党がこぞっておのおのの法案を出し、そしてこういう審議を通じ、また機会を改め、論点を絞っていく中で共通の認識を求めて、より早くよりよい法律に直していくということが本当に今、国会、我々の委員会に課せられた使命だと思いますし、我々もできる限りの努力をしていきたいと思います。最後にいま一度森先生の御所感をお述べいただいて、終わりにしたいと思います。
  70. 森清

    ○森(清)議員 我々は我々が提案いたしました案が最善なものであると考えて提案をいたしておりますので、できれば御審議を通じて我々の案について御納得をいただき、我々の案が皆さんの御賛成を得て通過することを私は望んでおります。
  71. 川端達夫

    川端委員 終わります。
  72. 左藤恵

    左藤委員長 次に、松本善明君。
  73. 松本善明

    松本(善)委員 自民党提案者に御質問をいたします。  先ほども質問がありましたが、自民党として今公選法改正をするとすれば、私は何よりも真っ先に定数是正法案を出すべきであるというふうに思います。先ほど放置していいというふうには思っていないとも言われました。そして、定数是正法案を含めて順次法案を出すというふうに言われたわけであります。前回の委員会では、実際上この国会定数是正法案を出すことができないというのが実情だという趣旨のことをるる述べられましたけれども、一体定数是正法案自民党はどうするつもりなんですか。これは真っ先に最優先でやらなければならぬことだと考えていますが、この公選法についてどう考えていますか。
  74. 森清

    ○森(清)議員 定数是正法案そのものを別個に出すとかいうニュアンスがあったとしたら、その点は取り消しておきます。そうじゃなくして、政治改革大綱において全体的な選挙制度の改革を考えております。その改革の中には、いわゆるそういう意味定数是正というか、一票の価値の平等ということが問題になっておる。そのことは政治改革大綱に書いてありますから、そういうことを含めて、そういった案をつくっていきたいということを申し上げたつもりでございます。  それはそれとして現在の状況を申し上げますと、自民党があの国会決議に基づいて種々検討いたしましたが、現在の選挙制度を前提にしたいわゆる格差是正といいますか、これについての成案は今のところ自由民主党にはございませんので、近い機会にそういう法案提出するという見込みは今のところはございません。したがって、それじゃ国会決議を踏まえてどうしたんだというと、これは国会決議も、検討すべしという国会決議でありますから大いに検討したわけでありますが、検討の結果、案ができなかった。これはひとつ我々の努力不足をおわびする以外にはないと思います。
  75. 松本善明

    松本(善)委員 国会決議の実現についてもその程度であれば、私はやはり政治改革を語る資格があるかどうかという問題を提起せざるを得ないと思います。一応自民党以外はみんな定数是正についての原則を表明しているわけでありますから、自民党の今の態度は極めて遺憾だということを申したいと思います。  先ほども問題になりましたが、自民党の小沢幹事長が財界に三百億の資金を要求したということであります。自民党衆議院議員三百人です。平均しますと一人一億ですね。大体この自民党提案された選挙区へのばらまき禁止ですね、これは先ほど来問題になっております自民党の一年生議員政治活動お金が平均して一億を超している。一億一千六百四十五万。そういうのをやめさせようと言っているのに、今、自民党の幹事長が一人一億ぐらいは選挙資金に集めよう。一体これはどう思いますか。出している法案とやっていることは全く逆じゃないですか。提案者としていかがお考えですか。
  76. 森清

    ○森(清)議員 報道された三百億その他については一切関知いたしておりませんので、その点を直接お答えすることはできませんが、ただ、我々がこういう金を出してはいかぬというのは、不正な金を出してはいかぬということでありまして、自民党という政党があり、そうしてそれは政策をつくり、その政策を国民に周知徹底して御理解をいただく、御支持をいただく、そういう意味の金はかかるわけであります。したがって、そういう活動をするための金を自民党を支持する方々の献金によって賄うこと、これは構わないことどころか、大いにそうしなければならぬわけであります。我々は国民に対する責任からいっても、自由民主党はこう考えております、こういう案を考えております、あるいはこうしたいと思いますということを周知徹底するだけでも大変な金がかかるわけでございますから、その点について何らやましいところはないと私は考えております。
  77. 松本善明

    松本(善)委員 小沢幹事長のあれは事実かどうかわからぬがと言いながら、やはり肯定的な御返事でありました。片っ方では金のかからぬ選挙制度とかいって小選挙区制を盛んに言っておきながら、そしてまたばらまき禁止法案を出しながら、今のような御答弁というのはまことに納得のいかないものであります。  先ほど自民党の質問でもポスター問題がありました。このポスターについて、ばらまき禁止と便乗してポスター禁止というのはまことにおかしな話で、選挙が近づきますと国民政治に対する関心というのは非常に高まるのです。今回の参議院選挙を例にとってみましても、選挙前三カ月どういうことになっていたか。竹下内閣の退陣表明、予算案単独強行採決、リクルート事件政治家逮捕、中曽根喚問、宇野内閣成立、こういう事件をちょっと見ただけでも、その時期は物すごく国民の関心が強くて、まさに政治活動を活発にやらなければならぬときなんですよ。そのときにその政治活動規制するなんというのはとんでもないことだと思いますが、どう思いますか。
  78. 森清

    ○森(清)議員 政治資金の問題について誤解があるようでありますが、政治資金はどんどん集めて、そうしてそれで国民に対する、政治に対する理解を深めてもらうために党が活動をする。政党というのはそういう活動団体でありますから、そのために金が要るわけであります。したがって、大いに金を集めて、そうして国民に政策を周知徹底してもらう、この活動は今後とも自民党は大いにやっていきたい、このように考えておる次第でありまして、そのことと現在禁止しようというこのことは、いわゆる皆さん方だれが考えても不正な手段と思われるものを禁止しようということでありまして、正当なる政治活動政党活動をとめようということはございません。  それに関連して、ポスターについてそういうことを言われますが、例えば共産党松本善明さんの顔写真を張ったからといって、何であれで共産党の施策がわかるものですか。私の顔写真をどこに張ったって、そんなことによって自由民主党が何をしようなんということはわかりっこない。したがって、そういうものはやはり私が、あるいは松本善明さんが次の選挙に通りたいから、松本善明という者は選挙に出るんですよ、こうですよと言っているだけじゃないですか。そういうものについては、それも含めて、例えばどこそこで政治集会をやるから集まりなさいというその集会のために張り出すのはいいですよ。しかし、そういうことをやっているうちに選挙が間近になって、そうして選挙になったならば張っちゃいかぬものをどこへ張ってもよろしい、こういうことを禁止しようというだけでありますから、何もそれは政治活動を制限したりなんかすることにはならないと我々は判断をして、法案を出した次第であります。
  79. 松本善明

    松本(善)委員 そういうことを言い出していくと、やはりポスターにも金がかかるということで、ビラだとかリーフだとか、その他正当な政治活動が抑圧されていくという危険が極めて大きいのですね。自民党議員の先ほどの塩崎さんの質問にもありましたが、金がかかるというんですけれども、先ほど来問題になっております、発足になりました自民党一年生議員の公表した数字を見て、一番お金のかかっている方、人の名前は言いませんが、一億八千九百万のうち、活動費でポスターとかそういう宣伝経費というのがなかなかないんですよね。探してみますと、活動費の中の政策活動費ということになるんじゃないか。これはわずか百二十万ですよ。提案者ポスターで一体どれだけ金がかかると思っているんですか。
  80. 森清

    ○森(清)議員 私はポスターを一枚も張り出しておりませんし、そういうことは余り知りません。したがって、それはそれぞれ個々に聞いてもらいたいと思います。  今直接の御質問じゃありませんが、政治活動といいますか、そういう活動と個人の選挙活動といいますか、これは本来一体であるべきことが日本ではなぜ一体として考えられないか、そして振り分けてやっておるかというと、これは他の党には余り関係ありません。特に自由民主党に関係あるわけでありますが、世界で類例のない、もう日本だけでありますが、同じ政党の者が当落を争う。したがって、相手の党の人間の支持者から少々とろうといったってなかなかとれるものじゃないから、同じ政党の支持者の中の票のとり合いをして、できればあいつが落ちてくれればおれが通るんだがなということで選挙運動をしておるのが現状であります。相手を落とすというのはなかなか難しい。自民党お互いの仲間を落とすのが一番簡単なのであります。それはどういう競技をしても同じであります。  そこで、本来の政党としてあるいは政治活動としてやるべき仕事をやっても余り票は変わらない。そこで何をするかというと、目立ちたがり屋といいますか、そういうことをやらなければ通らないという現状があるわけです。その現状は今度は変えていこう、選挙制度を改正して変えていこうということを踏まえてやっております。したがって、一年生議員のあれを見たとき私も衝撃を受けましたが、やはりそういう選挙制度だなということも私は反省をしなければならない、このように感じた次第であります。
  81. 松本善明

    松本(善)委員 今お話しになったことは、自民党の内部で激しい選挙戦が行われているという話で、提案者はどのくらい金がかかるかわからぬというのだけれども、本当ならば、実はこうこうこういうような目に余るような実情があるからポスター禁止するということで提案するわけでしょう。それをわからぬというのでは、これはちょっと話にならないと私は思うのですよ。  それで、自民党が残している実費補償の問題で言えば、例えば千人規模の集会を開いて七百円の弁当を出したら七十万でしょうが。交通費を持ったらもっとかかります。むしろそんなことを考えるなら、これの方を禁止するのが当たり前だと思うのですね。これについては事前運動ということを言われますけれども、日本の選挙制度は非常に規制が多過ぎる。それで事前運動ども、先進国でやっているのはフランスだけじゃないですか。それも余り取り締まらない。第七次選挙制度審議会でも自由化すべきだということを言っていますし、政治広報センターで出している「選挙法全書」などでもそういう方向を出していますね。やはり事前運動というものをむしろそういう方向へ持っていくべきだ。政治活動を活発にすべきだというのが世界の大勢だと思うのですよ。それをポスター規制すれば、これを理由に、これが事前運動の中身だということになって事前運動対象が広がっていく。先ほども言ったように、ビラだとカリーフだとか宣伝カーにも金がかかる、演説会の開催も金がかかるとかいって、そういうものが規制されていくということになったら重大な問題だ。その突破口になるというふうに思いませんか、森さん。
  82. 森清

    ○森(清)議員 そこで私が申し上げているわけであります。政治には金がかかるわけです。それはいいことなんです。しかし、だから金さえかけなければいいなど私は一言も言っていない。先ほど私がポスターで知らないと言ったのは、ポスターに何ぼ金がかかるかと言うから、それを知らないと言っただけであります。政治にかけていい金とかけてはいかぬところがある。そのかけてはいかぬところをかけぬようにしようじゃないか。かけていいところはどんどんかけて、国民政治宣伝をしていただいて、政治啓蒙をしていただいて、そして正しい判断が選挙を通じてできていくようにしたい。これがためには自民党はこうしたい、共産党はこうしたいということを国民にもっともっと周知徹底する必要がある。その周知徹底するのは政府広報ではありません。これは自由民主党の広報であり、共産党の広報であります。それには金がかかるのです。そのことを禁止しようとかなんとか言っておりません。しかし、それに藉口して、ある人間が禁止されている選挙運動あるいはそれにまがうものをするから、それを防ごうと言っているだけであります。
  83. 松本善明

    松本(善)委員 余り答弁になってないですよ。ポスターはそれこそ禁止すべきでないものだというふうに言っているのですよ。三カ月前を禁止したら、その前に集中します。それじゃまた六カ月前にしようか、もう切りがないのですよ。そういうようなところに頭を使うべきではないと私どもは思うのです。  それで、自民党のいわゆるばらまき禁止の問題についてちょっと伺います。  自治省の選挙部長に聞きたいのですが、現行法でも選挙に関する場合、通常一般の社交程度を超えた場合は罰則がつきますね。その場合なんですけれども、結婚式に出た場合、会費制の結婚式で会費を払う、あるいは会費制でない場合でも飲食代、ただ食いしてくるというのがこの立法の趣旨だろうか。現行法で結婚式に出た場合、今私が言ったようなことについては自治省はどう考えていますか。
  84. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 私どもの解釈でございますが、会費制の結婚式で会費を出すということは、当然これは寄附にならないと考えております。それから問題は、会費制ではないが、ただで出席するのも心苦しいから、そういう実費に見合うぐらい出させていただけませんでしょうかというようなことを相手方と話し合って出すというところまで、そこで禁じられていると考える必要はないだろう、そういう解釈をいたしております。
  85. 松本善明

    松本(善)委員 そうすると、お通夜のときのお清めだとかでちょっと酒食が出ることがありますね。あるいは葬式が終わって、特に近しい場合には遺族との会食もございます。あるいは祭りのときにもそういう機会もあります。あるいはもちつきなんてありますね。わずかなものですけれども、もちつきでもちを配られるというようなこともあります。そういうことについても今の会費制でない結婚式のときと同様に考えるのでしょうか。どういうふうに自治省は考えていますか。
  86. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 先ほどのような考え方をとっておりますのは、いわば結婚式に限っておりまして、一般的な会合等におきまして、いわば包み金を置くような感じになると思いますが、そういうものは寄附だろうというふうに解釈をしております。
  87. 松本善明

    松本(善)委員 そうすると、自民党提案者に聞きます。  今結婚式の場合についてはそういう話があったのですが、そうすると、今度は自民党は新法で二百四十九条の二の三項を新設しようとしているわけだけれども、この自民党案本人配偶者、これ以上に例外を認めるという必要があるのですか。どういうわけでそういう例外を認める必要があるのでしょう。
  88. 森清

    ○森(清)議員 御質問の趣旨がちょっとわかりませんが、本人配偶者だけでありまして、それ以外の例外は認めてないつもりです。
  89. 松本善明

    松本(善)委員 それではもう一回自治省に聞きましょう。  今度自民党提案で、選挙にかかわるとき、それから通常一般の社交程度を超えないものも全部禁止されるということになるわけですけれども、結婚式の実費の場合は、この新法ができた場合にどうなるでしょう。
  90. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 これは一般の社交程度を超えないものであるということが当然の前提になりますが、そういう前提のもとにおきまして、結婚式に行った際、お金を差し出すのがおよそ寄附になる場合があり得るのかないのかという問題なんだろうと思います。  私ども、会費制の場合は先ほど申しましたようなことでよろしゅうございますし、それから会費制でなくても、相手方との了解のもとで実費程度出すものまで寄附と見る必要はないだろうという解釈をとっておりますが、さればといって、およそ結婚式に御出席になって出したお金で、すべてが寄附でないというわけにもいかぬだろう、中には寄附になるというものもあるだろうと考えております。
  91. 松本善明

    松本(善)委員 いや、会費制の結婚式とかに出るとか、先ほどあなたが言われたような形で相手方と話をして実費程度のあれを出すということは、今度の新しい法律ができた場合でも同じ解釈になりませんかということを聞いているのです。
  92. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 それは、そもそもその行為寄附に当たるか当たらないかという判断の問題でございまして、そこの考え方は変えなくてもいいのではないかと私どもは思っております。
  93. 松本善明

    松本(善)委員 それで提案者に聞くのです。今のような解釈で運用されるというのだから、例えば会費制の結婚式なら別に心配もないし、それから、本人が話をして実費程度のものを払ってくるというならばそれでいいという話なんだから、何で本人配偶者を特別に例外的に、これは幾らやってもよろしいということにしなければならぬのかということを聞いているのです。
  94. 森清

    ○森(清)議員 いや、本人配偶者禁止されておらないし、もちろん罰則も変わってないわけですから……(松本(善)委員「だから何でそうなのか、なぜそうしなければいかぬのかと聞いているのです」と呼ぶ)それは実費弁償とかなんとかということではなくして、社会常識上、本人配偶者に限れば一般的にそれを悪用することもないであろうし、その程度のことは構わぬじゃないですかということなので、それもいかぬという考え方もあろうと思いますが、自民党案は、本人配偶者が結婚式やお葬式に行ったときには、祝儀とか香典というのは持っていっても、あえて社会的というか選挙法的にいっても非難されるべきじゃない、したがって、禁止する必要はないし、罰則をかける必要はないと我々が判断したわけであります。
  95. 松本善明

    松本(善)委員 ほかの委員からもこの問題を聞かれておりますし、どうも余り納得ができません。  それから、後援団体寄附禁止の問題で、団体の設立目的により行う行事または事業に関しての寄附は例外としていますけれども、これは具体的にどういうものでしょう。例えば後援会の旅行に寄附をしたり、無料で連れていったり、供応接待するのも後援会員の親睦という事業に対しての寄附ということになりませんか。一体これはどういうことを想定しています。
  96. 森清

    ○森(清)議員 団体の設立目的というのは、先ほども答弁申し上げましたように、後援団体でありますから原則としては本人政治活動といいますか、そういうものを支援するということが主たる目的であることは、これは間違いないわけであります。したがって、そういうものについておよそ法律、制度というものが考えるべきでありますが、しかし、その団体の設立目的の中に、親睦を図るとか、そういうこともやってはいかぬと禁止するわけにはいかないから、そういうこともあるだろうと思います。そういう目的で設立された団体がまたあるわけでありますが、その目的に従った範囲であればそれは構わない、こういうことであります。  例えば、例えばということでありますから、団体の設立目的の範囲内で団体の総会をするとか、その団体でどこかへ集まって研究会をするとか見学に行こうとか、あるいは団体としてどこかに旅行に行こうとか、団体の会報紙というのですか、そういうものをつくって印刷しようとか出版しようとか、そういうものをいうものでありまして、したがって、個々具体にそういう団体がどういう設立目的を持っておるかということによって判断していかなければならないと思います。
  97. 松本善明

    松本(善)委員 そうすると、今私が言った後援会の旅行に寄附したり、無料で連れていったり、供応接待をするとか、あるいは先ほど挙げましたけれども、千人規模の集会を開いて七百円の弁当を出したら七十万円になりますし、そういうようなことは自民党は、私はむしろこういうことこそ禁止すべきだと思いますが、それは残してよろしいということですか。それこそばらまきと同じ以上にもっと悪いですよ。それはどう思うのですか。
  98. 森清

    ○森(清)議員 先ほど申し上げましたように、後援団体というのは大体その後援団体の人間がお金を出し合って、そして本人寄附をしようというような趣旨の団体も含むわけでありまして、そういうことが主たる目的であろうと思います。したがって、七百円の弁当を出す、こういうことは本人が出しているのと結果として同じになる可能性も非常に強いわけであります。例として七百円の千人などという、千人が弁当を食う会場があるのかどうか知りませんけれども、私の選挙区なんかはそんなところは一カ所もありませんで、千人なんて架空のことのように思いますが、しかし、それはお互いに寄り集まった会費とかなんとかいうことと同じであって、たまたまその中に後援会の人でない人もいるかもしれませんが、そういう程度のことは、主たる目的が要するに政治教育というか政治内容を有権者に説明したいということで集まって、そしてそれにかかる必要最小限度の実費を支払ってもよろしい、こういうことでありますから、これは御理解いただける範囲内ではないか、このように考えております。
  99. 松本善明

    松本(善)委員 それではしり抜けで、飲み食い自由というような集会や旅行がいろいろなされておるということ、そういうことこそ禁止すべきだと思います。  今言われましたが、後援会員だけでなくて、後援会員以外が来ても許されるという考えですか。     〔委員長退席、野中(広)委員長代理着席〕
  100. 森清

    ○森(清)議員 先ほど御答弁申し上げましたが、後援会員が主であろうと思います。あるいはその後援団体に入っている人が主であろうと思いますけれども、例外的に後援会員でない人が入っていることもあり得ることだと思います。
  101. 松本善明

    松本(善)委員 それでは、今度は自民党社公民各党がお出しになった案についてお聞きしたいと思います。  一つ有料広告禁止問題であります。  本院の申し合わせの一部またはそれを拡大をして、これらは罰則つきで立法化をするというものでありますが、罰則をつけて警察の監視下で政治活動をするということになりますと、角を矯めて牛を殺すということにならないだろうか。私ども国会申し合わせは厳重に守るべきだというふうに思いますし、そういうことでやっております。しかし、この申し合わせに反する場合は議院運営委員会に報告して、議運委員長が注意をするとかいろいろなことがありまして、実際にそういうことが行われたこともございます。そういうようなことでは済まないような事態をやっておる具体例というのがあるのだろうか。  私どもは、本来は議員政治活動などはできるだけ自由にして、罰則つきで規制をしなければならぬというふうになるということは、まことに情けないというか遺憾なことだろう、本来あるべきことではないのではないかというふうに思うのですね。それがこうして罰則つきでやっていくということになりますと、本来そういうことはないように各議員がやるべきことではありますけれども、それが実際上は警察の監視下でやるということになるわけですね、罰則についての処罰の取り締まりの運用ということになると警察になりますから。そういうようなことになるということは果たしていいのだろうか。その点については提案者はそれぞれいかがお考えでございましょうか。
  102. 森清

    ○森(清)議員 罰則をつけて、その監視下で選挙運動をしなければならないということは恥ずかしいことです。しかし現実には、罰則がついておっても、それを逃れて選挙運動をする例が多いように聞いておりますので、これは罰則をつけてはいかぬということを一般論として言われるには問題だと思います。それはもう現実でありますから、我々はしようがない、情けないなと思いながら罰則をつけておるわけであります。  それから有料広告については、例えばいわゆる一般の日刊紙、共産党さんは一般の日刊紙を何か非常に非難されているから、名刺広告を出してくれと言われぬかもしれませんが、我々のところには、だれかが勲何等をもらったというたらそこへ出してくれ。これは何万円か取られるわけですね。そういうことが頻々と起きて、あそこへ森清という名刺を出すことが何の政治活動だろうか、私は非常に疑問に思いまして、個人としてはほとんど全部今までも断ってきました。しかし、現実にはずらずら並べて、一面全部借り切って、だれそれをお祝いしますとか、何とかは新築落成しましたといって名刺を出す。それは私は国民に対する政治教育、政治活動とは一切関係ないのじゃないか、このように思います。しかもそれに多額の金を出しているというような実態があります。したがって、いわゆる本来の政治活動、なるほどこういうことをやったならば国民政治教育になるのだということであれば、そんなことを禁止したら松本さんの言われるとおりでありますが、あそこへ名刺を出すことが何が政治教育になるのか、こういう疑問を思います。しかし、それに金もかかっておるし、そういうことで非常に弊害も出ているからこれは禁止をしていこう、こういうことであります。
  103. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 先ほど塩崎委員への御答弁で申し上げましたけれども、私も五十年に寄附禁止法案をつくったときに、このときも罰則お話がございました。委員言われますように、本来政治家罰則のもとにやるというのは正しいあり方ではないというのは、私も基本的にそう思っております。ただ残念ながら、それから十何年たって、先ほど山花委員お話にもございましたように、目に余る大変な膨大なお金がかかっている。寄附あるいはあいさつ状あるいは有料広告、こういう実態でございますので、イギリスの腐敗行為防止法ではございませんけれども、この際一度私たちとしては厳しくこれは全部禁止をする、罰則つきの禁止をするということをもって国民皆さん方にもわかっていただこうではないかということが本法案趣旨でございます。  有料広告等につきましても、今、森委員お話もございましたけれども、私のところの選挙区はちょうど今総理が出ておるところでありまして、私のところに新聞社や地方紙の方々が広告をもらいに来るようなときには、江崎先生のところは出してもらいました、海部先生のところも出してもらいました、ですから私のところの事務所でもと言われるものですから、私の方は、いやお二人はきっとお金があるでございましょうけれども、私どものところはございませんからと言ってお断りしているわけでございます。  今回私たちが考えている法律趣旨というのは、言ってこられた方、勧誘なり要求なりした方にも罰則がかかるという法体系になっております。これは罰則で捕まえたり、罰則を実行するということに主に目的があるのではなくて、そういうことでひとつお断りする根拠を法律的につくっていく。先ほど川端委員の質問に自治省からお答えがございましたように、これはその意味ではお互いに、要求される立場、勧誘される立場にある私たち罰則つきの禁止になりますけれども、言ってこられる方もいけないのですよということは、国民各層にかなり周知徹底をしていく必要があるのじゃないだろうか。その意味では、私たち寄附禁止共産党さんの案にも寄附禁止のところには罰則がついておりますように、それだけではなくて、あいさつ状につきましても有料広告につきましても、罰則が実行されないことを私たちは望むわけでございますが、一応実行行為の担保として罰則もございますということをもって、ひとつこういうことがなくなるように私たちはしていきたい、こういう趣旨で考えたわけでございます。
  104. 松本善明

    松本(善)委員 寄附禁止の方は、ちゃんと法律禁止をされていても、それの違法行為がいっぱい横行して、これはやはり罰則つきで禁止することは合理的だと思うのですよ。今お話がありました例えば新聞社が広告を求めてくるというのは、これは申し合わせ違反をしているのだ、それは求めてもだめなんだ。それで、もし総理大臣もやっているとすれば、その人の立場のいかんにかかわらず、議院運営委員会で注意をするというようなことでやっていけないのだろうか。それをやってもやっぱり聞かないという人がいるのだろうか。そしてそれは莫大な金になっているのだろうか。私どもはそんなことは余りやっていませんものですから、一体どうなんだろうかという疑問を持つわけであります。それについてももしあれば御答弁をいただきたいと思います。  院の申し合わせの広告というのは、年賀や時候のあいさつだということになっているのですが、条文では「慶弔、激励、感謝その他」とある。申し合わせの範囲よりもかなり拡大されているのじゃないか。具体的にはどういうものを指すのだろうか。これには「主として」とか「これらに類する」という表現もあるわけですね。社公民三党の出されたものについては、あいさつ状についてもやはりこういう表現があります。刑罰を科すということに、もちろんできるだけ科したくないのだということはお話にありましたけれども、一応法律ができれば刑罰を科すということになる。そうすると、その罪となるべき事実というのははっきりしている。特に一般の国民対象になったり議員対象にもなったりするという場合ですから、あいまいではぐあいが悪いのじゃないか。一体どういうものを考えておられるのか。これに当たるもの、当たらないものというものを具体例を挙げて御見解を賜りたいと思います。
  105. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 確かに院で決議をいたしましたものは、言葉として言えば時候のあいさつ、暑中見舞いであったり寒中見舞いであったり時候のあいさつということになっておりますが、私たちが考えましたのは、結局それだけでは全部しり抜けになってしまっている。そこで私たちの表現といたしましては「慶弔、激励、感謝」という内容にしてあるわけでございますけれども、これは先ほど山花委員の質問の中にもございましたように、結婚式、お葬式、それから成人式、入学式、卒業式、そしていろいろな意味での町内会のスポーツ大会もあるでしょうし、運動会もあるでしょう。こういったものに対するあり方としては、電報もございますし、この時代でございますからファックスもあれば電子郵便もあれば、あるいはわざわざ届けるというものもございましょうし、こういった形態のものについて私たち禁止をすべきであると思っているわけであります。  先ほどお話ございましたように、私この議論の中で、葬式というのは相手の家は一軒しかないんだし、その一回しかないんだから、葬式だけは除いたらどうかと言いましたら、いやいや、どこの政党とは申しませんけれども、葬儀屋さんと契約しているかどうかわかりませんが、あるいは各地方自治体の戸籍、死亡通知を受け取る課の方とお話をして、きょうはこういう方ですということを全部掌握をして、電報その他処置をされるという話もあったわけでございます。いずれにしろ、こういうものにつきましては、時候のあいさつだけということにしてまいりますと、結局またまた大変なしり抜けができてしまうということで、私たちは今申しましたような例について禁止をし、また罰則も設けたわけでございます。  今、松本委員指摘になりました「これらに類する」あるいは「主として」という表現につきましては、松本委員は弁護士さんでいらっしゃいますからよく御承知のように、公職選挙法では随分使われているわけでございます。例えば百四十三条「文書図画の掲示」の十五項の二というところにも「ポスターで、当該ポスター掲示するためのベニヤ板、プラスチック板その他これらに類するもの」というようなことで例示があって、「これらに類するもの」というふうになっていたり、「主として」というものでも百四十一条「自動車、拡声機及び船舶の使用」というところの二項に「参議院(比例代表選出)議員選挙においては、自動車、拡声機及び船舶は、主として選挙運動のために使用することはできない。」というような表現が使われておりますように、今度の場合も「慶弔、激励、感謝」という範疇におきまして内容がはっきりしているんじゃないかと思っております。  ただ、例えば具体的に労働組合からも御案内いただいて、自分が出席できない場合には下に激励文なりあるいは祝電をいただきたいというのがございます。今申しておりますのは、先ほど具体的な例を申しましたように、電報なりファックスなりあるいは電子郵便等をいうわけでございまして、松本先生が自筆で、私は国会活動があって行けないので、ひとつ皆さんによろしくと手紙を書くことについて禁止をしているわけではないし、政策的な中身を含んでおります主義主張、あるいは政策等を書いてあるものについてそういう格好でするものは許されるわけでございまして、単なる祝電、単なる激励文というようなものについては、これはまたしり抜けになってまいりますから禁止をいたしましょうということになっておるので、概念としては、禁止されるものは私は大変はっきりしているのではないかと思っております。
  106. 松本善明

    松本(善)委員 「主として」とか「これらに類する」という表現、公選法にはありますけれども、やはりこれを具体的に実施をするといろいろな問題があるというので、これを伺っているのであります。例えば「主として年賀」、しかし年賀のあいさつに「消費税廃止ともに頑張ろう」、こう書いてあった場合にこれが規制対象になるのかならないのか、その判断は一体どこがやるんだ。やはり取り締まりということになれば警察が判断するということになる。危険じゃないか。それから有料広告で、無料広告はいいということになっているのだけれども、それでは広告が出たのを一々警察が取り調べで調べるということがあっていいのだろうか。それが議員活動に対する規制ということになりはせぬだろうかということを私は懸念をするわけなんですね。そういうことについては一体どういう歯どめといいますかお考えでしょう。そういう懸念はやはりあると思うのですね。それについてどうお考えか、お聞きしたいと思うのです。
  107. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 私も公職選挙法にほぼ二十年タッチさせていただいておりますが、基本的に事前運動というような概念を使いましても、最終的には判断はすべて警察がやるという体系になっている。ある意味では法律というものは、すべて最終的には刑事罰を伴うものはそういうことになろうかと思いますが、最終的に警察の判断ですべて事が動き出すということは、私自身も個人的には好ましいことではないと思っております。  今具体的に御指摘ございましたように「謹賀新年」が書いてあって消費税廃止云々というのは、これは全体を見てみなければわからないのでございまして、正月、年初に出せば「謹賀新年」なり「賀正」というものをつけて、松本先生の場合だったら国会情勢なり、あるいは消費税を廃止することがいかに重要であるかというそちらの中身、つまり政策や主義や主張、そちらの方がむしろ多いものになるだろうと思います。それは具体的な例で、これは時候のあいさつに属するものなのかあるいは政策が主なのか。政策は頭から書き出すわけじゃなくて、やはり「拝啓」から始まるわけでございますから、そういった意味で中身によるのだろうと思うのです。  最後に、そういうことに警察その他を余り関与させない、また、そういう危惧を持たせないために紛らわしいものはお互いにやらない方がいいのじゃないか。あくまで共産党さんだったら赤旗であり、うちの方だったら社会新報というもので政策宣伝をその季節にやることについては何も禁止をしているわけじゃないので、そういった紛らわしいことは避け、罰則なんかが適用されるようなことはお互いにやらない。そのほか、森先生が言われるように、正しい政治活動のあり方においてやること、あるいは本当に真心のこもった、自筆でもって欠席のおわびをしがてら激励をするはがきを出したり、手紙を出すことについて禁止をしているものではないわけでございますから、お互いに紛らわしいことはやらないということをもって、警察が介入をするようなことのないようにしていこうということだと私は思っております。
  108. 松本善明

    松本(善)委員 私、誤解のないように申し上げておきたいのですが、申し合わせにあるようなことをやらないようにすることについては全く賛成なんですよ。それを立法ですることがどうかということについての懸念を申し上げているわけであります。  意見広告、これはよくやるのです。これは有料になります。これがこの規制に当たるというようなことはないでしょうか。それから、労働組合の大会などへの激励のメッセージ、そういうものもこれの対象になるのだろうかというあたりをちょっと伺いたいと思うのです。
  109. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 先ほどちょっとあいさつ状のときに申し上げましたけれども、本当の意見広告、これは当たらないというふうに私たちは解釈しております。なんだったら自治省なり法制局にお答えいただけばいいのでありますが、ただ、それが個人のPRに属するような、それで最後に意見が一行書いてあるというものでは、これは当然ここに該当すると思います。  それから、労働組合への激励その他につきましては、私も先ほどちょっと触れましたけれども、従来やっておりますような祝電なりあるいは印刷したものをぽっと送るというようなものは、これに該当いたします。しかし、先ほど申しましたように、欠席のおわびとお世話になっていることへのお礼、そして皆さん頑張ってもらいたいと自筆をもって書いたり、あるいは事前にそういったことを電話をもって申し伝えるということについては、これは一向に構わないわけでございます。  そういった意味で、森羅万象世の中いろいろな動きがあるわけでありますから、一面では確かに窮屈になるかと思います。ただ、この際一度全部そこまでやってみる必要があるのじゃないだろうか。どこか一つ穴をあけてまいりますと、他のことへもどんどん広がっていってしまう。委員指摘のように、院の申し合わせの部分だけにして、それ以外のところは罰則をつけずに一度やってみたらどうだろうかというのも一つのお考えとしてはあろうかと思うのです。ただ、私たちは今度は一種完璧を期して、全部周知徹底、国民の皆様方には全部だめなのだということの方がわかりやすいのではないかということで、そういう政策を選択したわけでございます。
  110. 松本善明

    松本(善)委員 この有料広告で一体どのぐらい金を使っているのだろうか。私どもはちょっと想像がつかないのですが、自民党提案者、それからまた社会党、公明党、民社党の提案者で実例などをもし御存じだったら、有料広告で一体どのぐらいの金が使われているかということについての実情をお話しいただけないでしょうか。
  111. 森清

    ○森(清)議員 それはやりようでありますから、私のようにやらぬ人間は全然かかっておりませんし、やる人間は、例えば五百万、六百万というような大量の新聞にこれぐらい出したって大分かかるのじゃないでしょうか。そういうことはやらぬで選挙区へ持ってくれば、地方紙だと思いますが、私の記憶でもちょこっと名前を出しても相当の金がかかりますから、一回ぐらいなら何ということはありませんが、それを何回もやりますと大変な金になると思います。  しかし、先ほどからたびたび申し上げておりますように、政治家が使うお金が少なければ少ないほどいいということはだれも言ってないのです。けしからぬ金は使えぬようにせい、いい金はどんどん使えるようにしようというのは当然であります。何でもかんでも政治家の使うお金が少なければいいという考えは持っておりませんので、再度申し上げておきます。
  112. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 金額のこともさることでございますけれども、先ほど申しましたように、結婚式やらお葬式やらで電報をどんどん打つことを地盤培養行為あるいは売名行為ということで禁止している趣旨から申しまして、要求のございます、あるいは勧誘のございます新聞等に広告を出すということも、結局はこれは売名行為につながるものですから、片方を抑えている以上、私たちは新聞広告等についても禁止をしようという趣旨でございます。     〔野中(広)委員長代理退席、委員長着席〕
  113. 松本善明

    松本(善)委員 自民党提案者森さんのお話で、金を使ったらいかぬというふうに言っているのじゃないのだという答弁がありました。私は、年賀なんかの広告を金をかけて新聞なんかに出すというのはやめた方がいいと思う。それは申し合わせなんですよ。それでやっていけぬものだろうかということは再々申し上げているとおりであります。  最後に一つ伺いたいのは、社公民三党の提案者でありますが、こういうあいさつ状だとか広告を求めた方も罰せられる。そうすると、実行行為がなくても、あいさつ状が出されるということがなくても、あいさつの電報、祝電を求めただけで労働組合だとか団体の構成員が罰せられるということになるのだろうか。そういうようなことが果たしていいのだろうかという点についてはいかがでございましょう、
  114. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 先ほどもお話ございましたように、私たち提案をしておりますこの法案を実行するまでには、かなり周知徹底をしなければいかぬと思います。労働組合の方々にも、私たちに御通知をいただくときには、一番下に書いてございますように、出られない場合には祝電をいただきたい、メッセージをいただきたいというのは取り除いていただくような周知徹底が必要なのではないかと思います。そこまですれば、具体的になおかつそういう文面その他で要求をするというようなことはないと思います。  ただ私たちは、先ほどから再々言っておりますように、これは罪人をつくることが趣旨なのではなくて、私たちがそういうふうになった場合に、実は気持ちとしてはそれに応じたいけれども法律にはこうございますから、したがって、ひとつ御理解をいただきたいと、お断りをする根拠が法律にございますということにしておいた方が、お断りしやすいのじゃないかという趣旨であるというふうに御理解をいただければ幸いだと思うわけでございます。
  115. 松本善明

    松本(善)委員 質問を終わります。
  116. 左藤恵

    左藤委員長 次に、中村巖君。
  117. 中村巖

    ○中村(巖)委員 まず、自民党案の方からお尋ねしてまいりたいわけでありますけれども、最初にお尋ねを申し上げたいのは、公選法の法文というものが大変難解じゃないか、こういうことでございます。難解な法文というものはいろいろあるわけでありますけれども、税法なんというものはその典型的なもので、幾らひっくり返して読んでも何のことを言おうとしているのかさっぱりわからない。私も法律専門家でありますが、法律専門家が読んだってよくわからない、こういう条文が多々あるわけでございます。  殊に公職選挙法というものは、多くの人たちに知ってもらわなければならない法律でございます。それにもかかわらず大変わかりにくいということがあるわけでございまして、公選法改正しようというとき、改正案でありますから、従来の法文の枠の中で文章を書かなければならないという困難性はありましょうけれども改正する以上は何かもっとわかりやすく、みんなが知り得るような条文に書きかえることが至当ではないかと思うわけでございます。  殊に、今度出されております自民党案で言うところの百四十三条十五項の二号というところが問題でありますけれども、これはもう何だかさっぱりわからない。これを普通の人が読んでわかると思うか、私はその辺が大変疑問でありますけれども、まずそのことを伺いたいわけであります。つまり「以外のものを掲示する行為は、第一項の禁止行為に該当するとみなす。」ということをやっておいて、さらにまた二号の中で「期間内に掲示されるものを除く。」と、除いた上に除いて、何が何だかわからなくなってしまう、こういうことでございます。何でこういうややこしいことをやるのかということを、質問になるかどうか知りませんけれども、お答えをいただきたいと思います。
  118. 森清

    ○森(清)議員 中村委員指摘のとおりで、私自身が読んでもなかなか一読ではわからない。百読してようやくわかるような条文が多いことは事実でございます。これに類する条文は、今言われたように税法とそれから恩給法関係ですね。私も役人を長い間やっておりましたが、この三つだけはお手上げでございます。  そこで、やさしくというか、わかりやすい条文にしなければならぬと思いますが、一つよく考えなければならぬことは、わかりやすいということをしたいためにやっているわけですね。ということは、一つ選挙運動とかいうことについて、それはやっていいが、これはやってはいかぬということを決めるには厳密に規定しなければならない。しかもさらにそれに罰則をかけていきますと、さらに厳密にしなければならぬということで、そういう意味では国民あるいは候補者を保護する意味から、詳しく詳しくなっているという点もあるわけであります。しかし、これから法律をつくる段階で我々ももっともっと心しなければならぬ、御指摘のとおりであります。せっかく御専門の中村委員でございますから、これはひとつ試案でもつくっていただければありがたいと思います。
  119. 中村巖

    ○中村(巖)委員 そこで、この解釈でありますけれどもポスターで、当該ポスター掲示するためのベニヤ板、プラスチック板その他これらに類するものを用いて掲示されるもの以外のもの」が除かれるということで、その逆さまの解釈が「ポスターで、当該ポスター掲示するためのベニヤ板、プラスチック板その他これらに類するものを用いて掲示されるもの」、これは禁止されるのだ、こういうことになるのだろうと思います。そう読めるわけであります。それにまた括弧書きがつけられたということでますます混乱をするわけでございまして、要すればこれは何を言おうとしているのか、御説明をいただきたい。
  120. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 この条文でございますけれども、いろいろ経過があるようでございまして、もともと裏打ちポスター禁止しようということで入ったわけでございます。ですから、裏打ちのないポスターは自由に認めようということなんですが、次に問題になりましたのが、後援会連絡事務所みたいな格好で各家にべたべたと張っていくというような行為が出てまいりまして、それはやはり許すのは適当でないだろうということで、裏打ちはなくても、そういうものは禁止しようという趣旨で括弧の中が入っておるようでございます。
  121. 中村巖

    ○中村(巖)委員 では、今度新設された部分というものはどういうことになるわけですか。
  122. 坂本一洋

    ○坂本法制局参事 今まで規制されていましたのは、選挙部長からお答えのあったとおりだと思うのです。  今度改正によって規制しようとしますのは、いわゆる裏打ちのないポスター選挙前の一定期間規制しよう、そういうことです。
  123. 中村巖

    ○中村(巖)委員 それで自民党にお尋ねを申し上げたいわけですけれども一定期間ポスター禁止する、これは恐らくポスターというからには時局講演会用のポスターはもとより国会報告会のポスター、こういうものもみんな禁止してしまう、こういうことなんでしょうけれども、それは一定期間、今の公職選挙法の百九十九条の五の四項の期間ということで、「衆議院議員の総選挙にあっては、衆議院議員の任期満了の日前九十日に当たる日から当該総選挙の期日まで」あるいは「衆議院の解散の日の翌日から当該総選挙の期日までの間」こういう間を禁止しよう、こういうことであります。これは一体何のために禁止するのか、これについてお伺いいたしたいわけで、その前の期間はずっと張ってよろしいんだ、しかしその期間だけは張ってはいけないんだ、こういうことによって何が実現をされるということになるのでしょうか。
  124. 森清

    ○森(清)議員 政治活動といいますか、そういうことは原則自由であり、大いにしなければならぬことであります。しかし、それが特定の選挙に関係して、そして単に自分を当選させてくれというだけの行動は、これはある意味では事前運動として、あるいは事前運動もそうでありますし選挙告示後もそうでありますが、禁止されたりいろいろな制約がかかっておるわけであります。  そこで、そういう法体系の中でいろいろ考えますと、いわゆるポスターというもの、顔写真だけ並べてそれが政治活動政治教育であろうかという問題があるわけであります。しかし、通常の場合にいろいろな人集めをするためにそういうポスターを掲げることも、それは人を集めるための手段だということで許されるんじゃないかと思いますが、選挙が近づいてまいりますと、また現実にそういうポスターを張るのは選挙が近づいてからしか張らぬわけですね。要するに、そういうことは選挙告示がされた後であっても大いに宣伝したらいいのですが、特定の場所にしか張らしてはいかぬというふうに規制をかけているわけですね。それに近接した期間になれば、それはやってよろしいということになるのかどうか。本来の意味政治を普及するための活動ではなくして、それが近接すればするほどおのれの売名行為ということになる可能性が強いポスターであるから、これについては一定の期間、三カ月ですか、衆議院の場合は解散してからはこれを禁止しよう。それは選挙に近接しているわけでありますから、それを禁止しようということであります。
  125. 中村巖

    ○中村(巖)委員 近接しているからとおっしゃるけれども、また選挙が近づいたら売名行為だ、こうおっしゃるけれども、現実問題は年がら年じゅうポスターを張っている人もいますよ。また年がら年じゅうと言わずとも、選挙がもう近づくなということの感触がある一年前からポスターを張っているという人は幾らでもいるわけでございまして、その期間だけを禁止する合理性というのは本当はないのじゃないかなというふうに私は思っております。しかも今回自民党公職選挙法改正案を出してこられたゆえんのものは、やはり政治倫理というか、あるいはまた金のかかり過ぎる選挙はやめようではないか、こういう趣旨だろうというふうに思っておりまして、その線に沿った改正規定が多いわけでありますけれども、その中に突如としてこの種のポスター禁止規定を挿入してくるというのはどういうことなのか、私は理解をしかねるというふうに思いますけれども、いかがでしょう。
  126. 森清

    ○森(清)議員 理解をしていただきたいと思いますが、単に金がかからなければいいとかどうとか言っているわけではなくして、不正とまで言えるかどうか別でありますが、本来の政治活動と違うところに金をかけるようなものはやめていきたいというのが自民党政治改革の基本的な考え方であります。その一環として、紛らわしい、特に近接して顔写真だけべたべた並べるということが本来の正常なる政治活動であるかどうかについて我々は判断したところ、選挙に近接してべたべた顔写真を張りつけるというのは本来の政治活動ではなくして、抽象的一般的にいわゆる売名行為と言われるものは禁止されているという、その範疇に入るのではないかということからです。金がかからぬようにするためだから、それだけ禁止すればいいじゃないかということじゃありませんで、そういうことも動機の一つになっておりますが、今度は一つの法体系として、そういうことを含めて提案をした次第であります。
  127. 中村巖

    ○中村(巖)委員 ポスターというのは、森先生の御説明では顔写真がべたべたあるんだ。顔写真が全然なくたってポスターですからね。だからその辺の御理解はおかしいと思うのですけれども、そうなると、この期間に関する限りは時局講演会もできないのだ、そういうことを周知させる方法ポスターという方法ではできないのだということになるし、あるいはまた国会なんか解散をされれば、どういう経緯で国会が解散されたのかということについて、国民の皆さんに対して、いわば国会報告というような形でこれをやらなければならない必要性というのは増大をするというふうに思うわけですけれども、それにもかかわらず、これを禁止するというのは全くおかしなことであるというふうに私は申し上げたいと思うのでございます。  それと同時に、今までいろいろ文書関係について公職選挙法における規制が多過ぎるのではないか、こういう意見がございます。あるいはまた、文書を離れましても、戸別訪問の規定が憲法違反ではないか、こういうことがございまして、今回こういう形でポスター禁止する、こういうことはさらに憲法違反の、憲法に保障された表現の自由に背反をする、違反をする可能性を増大させる、こういうことになるのではないかというふうに思いますけれども、このことについてお答えをいただきます。
  128. 森清

    ○森(清)議員 やはり政治活動というのは自由に伸び伸びとやるべきである、そういうことについて制約を加えることについては、それはもちろん裸で制約を加えれば憲法違反であると私は思いますが、しかし、そういう意味政治活動といえども、現在の選挙法は、いろいろな意味売名行為であるとか投票を得るための行動については、こういうことはやってはいけませんよというようなことを事細かく規定している。細かく規定し過ぎているじゃないかという批判は一般的にはあり得ると思いますが、現実にそういう法体系のもとで動いておるわけでありますから、そういう仕組みの中であるものをどうこうしようと考えますと、どうしてもこういう細かい規定になってくるわけであります。  しかし、先ほども論議があったわけでありますが、こういう罰則つきの細かい規制はできるだけなくして、みんなが正々堂々とやることならば罰則などつけないで、政治運動政治活動が自由にできるような方向が望ましいとは考えます。しかし、それにほど遠いのが現実でありますので、こういう規制もやむを得ないのではないか、このような考え方のもとに、しかもそれは憲法に違反していないということは、これまで種々の選挙運動に関して規制がかけられておりますが、それ自体が憲法違反であるということは、戸別訪問なんかについてはずっと争われつつありますが、そのほかについては余りないのじゃないかとも思っております。
  129. 中村巖

    ○中村(巖)委員 そんなことはないですよ。文書などというものは表現の媒体としては重要なものなんですから、それを合理的な根拠がなくして禁止をするということになれば、憲法違反という問題は必ず出てくるわけであります。私が先ほど申し上げておりますように、一定の期間でありますけれども、その期間内にいわゆる政談演説会とか国政報告会とか時局報告会が開催されることも伝達できないようなことをつくっては憲法違反のそしりを免れない、そういうことになるのではないかというふうに思うわけでございます。それは私の意見として申し上げておきます。  次に、自民党案の中に「あいさつ目的とする有料広告禁止」という条項がございますけれども、新聞紙だとか雑誌だとかビラ、パンフレットその他これらに類するものに対してあいさつ目的とする有料の広告を出してはいけないんだ、こういうことであります。これはなかなか不明確でございまして、何が新聞紙で雑誌であるのかということになりますと、新聞紙というのは日刊紙であるのか、あるいは例えば新聞といっても同窓会の新聞というようなものもあるわけでありますし、あるいはまたいろいろな会の機関紙というようなものもあるわけでございます。あるいはまた特定の会合が催されるに当たっての資料として配られるもの、こういうようなものがある。そういうようなものにも一切有料広告を出してはいけない、こういう御趣旨なのかどうか。その新聞紙、雑誌、ビラ、パンフレットというものについて限定が全くないということになりますと、これは無限に広がってしまう可能性というものがあるのではないか。その点についていかがお考えでしょうか。
  130. 森清

    ○森(清)議員 新聞紙、ビラ、パンフレットという言葉は現行公職選挙法にも書いてありまして、おのずと概念ができておると思います。そういうものをずっと四つ、五つ例示を挙げて、そしてこれらに類するものといえば、それは法律的には、弁護士の先生にそんなことを言うとは失礼ですけれども、おのずと限界ができて、無限に広がることはないと思います。したがって、法律趣旨目的に従って違反になるかどうかということを判断すべきでありますし、また先ほど、これは別の問題でありますが、佐藤委員からも答弁があったように、罪をつくるためのものではなくて、要するに我々は良識に従ってそういうことはやらないということをまず決めよう、そして決めた。しかし、良識に従って決めたのだが、それに従わない人があるときには、最終的には罰則があるんですよということで担保をかけている。だから原則は、そんな罰則なんということを考えないで、もうこういうことは守りましょうということが今回のこの法案趣旨であろう、このように考えております。
  131. 中村巖

    ○中村(巖)委員 同窓会誌というものは、別に売名ということじゃなく、むしろ同窓会の方が同窓会の運営を確保するために資金が必要だから、資金をもらうためにそこに名前を載っけてくれ、こういうことで載っけるわけでありまして、そういうものまで処罰の対象になるというのであったらこれはおかしいことになると思いますが、その具体例についてはどうお考えですか。
  132. 森清

    ○森(清)議員 同窓会で具体のものでないと恐らく最終的な判断はできかねる。「有料で」ということが入っておることもお考えいただいて、恐らく同窓会なら有料じゃないんじゃないでしょうか。その点はよく考えて判断します。
  133. 中村巖

    ○中村(巖)委員 次に、自民党の今回の改正案の中には、野党案と違いましてあいさつ状禁止の条項がない、こういうことでありますけれども、これはどういうお考えからその禁止を設けなかったのでございましょうか。
  134. 森清

    ○森(清)議員 我々の考えたこういうものの禁止は、選挙法一般として考えられているいわゆる売名行為というものを禁止しよう。しかし、その売名行為というものもいろいろな手段があるから、ここは抑えよう、ここは抑えようということでやってきたわけでありまして、いわゆる文書そのものを郵送その他で出すものについては、売名行為という意味での弊害は少ないだろうということで禁止対象にしない。しかも祝電を送ったりなんかすることについては、まあまあ普通に認められている行為であり、そういう意味では弊害が少ないんじゃないだろうか。弊害とそれから社会慣行というものとの比較考量の問題でありますから、その辺で線を引いた、こういうわけであります。
  135. 中村巖

    ○中村(巖)委員 それは売名でないとおっしゃるけれども、年賀状を大量にばらまいたりあるいはまた暑中見舞い状を大量にばらまいたり、何万という枚数をばらまいたり、祝電をめったやたらに打つ。例えば選挙区内の全員の誕生日をコンピューターに入れておいて、誕生日が来るたびに祝電を打っている、こういう人もいるということを聞くわけであります。こういうことは明らかに売名行為であって、そういうものを禁止しないでいいとは到底考えられないのでありますが、いかがでしょうか。
  136. 森清

    ○森(清)議員 そういうお考えもあり、党内で検討したときもそういうことも含めて検討いたしまして、そうして自民党としては、線引きはいろいろな線の引き方がありましょうが、ここに線を引いた、こういうことであります。
  137. 中村巖

    ○中村(巖)委員 自民党案の中には、今度は逆に、香典あるいは結婚式の祝儀の供与について、それをした者を一定の例外を除いては禁止をして、罰則をもって臨むのだ、こういうことになっているわけでありますけれども、もともと結婚式に対する祝儀とかあるいはまた香典というようなたぐいのものは、これはいわゆる寄附として考えられるものかどうかということは大変問題があるんじゃないかと思います。例えば結婚式の披露宴へ行けば、向こうさんも費用をかけておるわけでございまして、むしろ費用の方が持っていく御祝儀より余計かかっている。こういうことになれば、これはもともと寄附金性がないのではないかというふうに思います。香典にしても多分にそういうものであって、それをしも罰則をもって禁止してしまうというのはどうかと思うのですが、いかがでしょう。
  138. 森清

    ○森(清)議員 どれをどう禁止するとか、あるいは罰則をつけるかについてはいろいろな見解があるだろうと思いますが、我々の案とその点については社公民党案も同じだと思いますので、その趣旨を含めて申し上げますと社公民案の方はもっときつい案になっておるわけであります。したがって、そこまで含めて考えて、要するにそういうことは社会常識の範囲であるとか社交の範囲だということは一応言えますが、それに藉口してといいますか、それをいい口実にして現実に、先ほどもあれしましたが、年間に一千何百万も冠婚葬祭費を出しているというようなことを堂々と公表するような異常な事態になっているということを頭に置きまして、そういう言い逃れを許さないという意味で枠をかけた。我々は一定の枠をかけましたが、社公民党案はまたさらにそれにより厳しい枠をかけておるわけであります。  残念なことですが、やはりこういうことは一遍やってきれいに掃除して、そして、そういうことは余り罰則や何かでやらぬでも常識が働くような世の中になれば、こういう法律規制も要らなくなる事態が来るのじゃないかと思いますが、今は余り激しいではないか、これは一遍一掃してみよう、こういう考え方であります。
  139. 中村巖

    ○中村(巖)委員 本会議の時間も迫っておりますので、最後に一点だけ聞いておきます。  自民党案野党案と違うところは、一つは、野党案の方は例えば寄附を受けた者、単純に寄附を受けたというような者についての処罰というようなこと、あるいはまたその寄附した者の雇用者の処罰、こういうようなことがありまして、それに対して自民党の方はそれがない、こういう相違があるわけでありますけれども野党案にあって自民党案にないそういうものについては、自民党としては処罰をする必要がない、こういうことをお考えになっておられるのでしょうか。
  140. 森清

    ○森(清)議員 本人に実質的に責任があり、それが立証される限りは、どちらの法律にしても、刑法の一般原則でいってそれは罰せられるわけであります。したがって、それで何もかも結びつけようとして、社公民党案は監督責任というところで結びつけておるわけでありますが、監督責任ということについても、さらに罰則をつけることが適当かどうかということについては、単に処罰する必要がないという面も一つありますが、それよりさらに踏み込んでそういうものに罰則をかけるということが、法体系といいますか、要するに刑事罰をかけるという原則でうまくいくかどうか、こういうことも総合的に考慮して、我々の案では、監督責任を含めまして、本人が責任のないことについて刑事罰をもって本人が責任を負わなければならぬということには踏み切れなかった、こういうことでございます。
  141. 中村巖

    ○中村(巖)委員 そういうことにすると、やはり抜け道というものが生ずるであろうということを懸念するわけであります。しかし、時間がなくなりましたので、これで終わります。
  142. 左藤恵

    左藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十四分散会