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1989-11-08 第116回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月八日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 左藤  恵君    理事 中山 利生君 理事 野中 広務君    理事 森   清君 理事 佐藤 観樹君    理事 伏木 和雄君 理事 川端 達夫君       上村千一郎君    柿澤 弘治君      小宮山重四郎君    塩川正十郎君       中村喜四郎君    額賀福志郎君       村岡 兼造君    村上誠一郎君       谷津 義男君    堀  昌雄君       山花 貞夫君    長田 武士君       松本 善明君  出席国務大臣         自 治 大 臣 渡部 恒三君  出席政府委員         警察庁刑事局長 中門  弘君         自治省行政局選         挙部長     浅野大三郎君  委員外出席者         議     員 長田 武士君         議     員 松本 善明君         警察庁刑事局捜         査第二課長   増田 生成君         法務省刑事局刑         事課長     松尾 邦弘君         自治省行政局選         挙部選挙課長  田中 宗孝君         自治省行政局選         挙部管理課長  谷合 靖夫君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       井戸 敏三君         特別委員会第二         調査室長    岩田  脩君     ───────────── 委員の異動 十月十八日  辞任         補欠選任   河村  勝君     岡田 正勝君 同日  辞任         補欠選任   岡田 正勝君     河村  勝君 十一月八日  辞任         補欠選任   梶山 静六君     村岡 兼造君   武村 正義君     谷津 義男君 同日  辞任         補欠選任   村岡 兼造君     梶山 静六君   谷津 義男君     武村 正義君     ───────────── 十月十三日  政治資金規正法の一部を改正する法律案長田武士君外二名提出衆法第一号) 同月二十三日  政治資金規正法の一部を改正する法律案松本善明君外二名提出衆法第二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  政治資金規正法の一部を改正する法律案長田武士君外二名提出衆法第一号)  政治資金規正法の一部を改正する法律案松本善明君外二名提出衆法第二号)  公職選挙法の一部を改正する法律案起草の件  公職選挙法改正に関する件(第十五回参議院議員通常選挙の結果概要)      ────◇─────
  2. 左藤恵

    左藤委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。  この際、公職選挙法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来御協議を願っておりましたが、理事会におきまして協議が調い、お手元に配付いたしましたとおり起草案委員長において作成いたしました。  本起草案趣旨及び内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。  近年、指定都市においては、人口の移動等に伴い区の再編成が行われ、衆議院議員の二以上の選挙区にわたって新たに区が設置されるという事態が生じております。  衆議院議員選挙区は、指定都市については区の区域にその基礎を置いているため、このような場合にあっては、新たに設置された区の所属すべき選挙区を定めることとなりますが、指定都市の区については、市町村の合併の特例に関する法律に基づく特例措置のような規定がないため、選挙区が直ちに変更されることとなり、選挙人候補者選択が困難になるなど、種々の支障を来すおそれがあります。  本案は、以上のような実情にかんがみ、指定都市の区の新設に関し、衆議院議員選挙区についてその急激な変更を緩和しようとするものでありまして、衆議院議員の二以上の選挙区にわたって新たに設置された指定都市の区に係る衆議院議員選挙区については、当該区が設置された日以後二度目に行われる衆議院議員の総選挙前に行われる衆議院議員選挙に限り、なお従前の区域によることといたしております。  なお、この法律は公布の日から施行することとし、その他所要規定を整備することといたしております。  以上が、本起草案趣旨及び内容であります。     ─────────────  公職選挙法の一部を改正する法律案     〔本号末尾掲載〕     ─────────────
  3. 左藤恵

    左藤委員長 これより採決いたします。  公職選挙法の一部を改正する法律案起草の件につきまして、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  4. 左藤恵

    左藤委員長 起立総員。よって、そのとおり決しました。  お諮りいたします。  本法律案提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 左藤恵

    左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ────◇─────
  6. 左藤恵

    左藤委員長 長田武士君外二名提出政治資金規正法の一部を改正する法律案及び松本善明君外二名提出政治資金規正法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  順次趣旨説明を聴取いたします。長田武士君。     ─────────────  政治資金規正法の一部を改正する法律案     〔本号末尾掲載〕     ─────────────
  7. 長田武士

    長田議員 私は、公明党国民会議を代表して、ただいま議題となりました政治資金規正法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由並びに改正案概要について御説明申し上げます。  戦後の我が国政治は、政・財・官の癒着構造のもとに数々の疑惑疑獄事件を生んできました。その都度、政治改革が叫ばれ、政治資金を初めとする規制措置が講じられてまいりましたが、それに対する規制骨抜き化、抜け穴探しが図られてきたのが実態であります。その結果として、企業献金肥大化とともに、政治資金集めのためのパーティーがエスカレートする一方であるという現状にあります。今回再び、戦後最大の構造汚職と言われるリクルート事件によって金権腐敗政治との批判が高まり、政治家廉潔性に関する国民信頼が甚だしく損なわれたことはまことに憂慮にたえないところであります。  この際、政治倫理確立するとともに、政治資金規正法基本理念に立ち返り、透明で清潔な政治を実現し、国民政治に対する信頼を取り戻し、真の議会制民主主義確立することが緊急な課題であります。  かかる立場から、政党その他の政治団体及び公職候補者政治活動の公明と公正を確保するため、政治資金パーティー規制政治団体金銭及び公職候補者政治資金運用規制政治団体が有する資産公開政治活動に関する寄附等に関する公開徹底指定団体制度強化法人その他の団体政治活動に関する寄附禁止政治活動に関する寄附量的制限強化株式等による政治活動に関する寄附禁止政治活動に関する寄附への公務員関与等制限罰則強化その他の措置を講ずる必要があります。  これが本法案提出する理由であります。  次に、本法案概要について御説明申し上げます。  その第一は、政治資金パーティー規制についてであります。  対価を徴収して行う催し物で、その収益を政治団体及び特定公職候補者政治活動に関し支出するものを政治資金パーティーとし、政党及び政治団体以外のものが開催することを禁止することとし、その対価の支払いは政治活動に関する寄附とみなし、現行法政治活動に関する寄附と同様の規制を及ぼすものとしております。  第二は、政治団体金銭及び公職候補者政治資金運用規制についてであります。  政治団体はその有する金銭を、公職候補者はその政治資金を、金融機関への預貯金のほか、公債、金銭信託以外の方法で運用することを禁止することとしております。  第三は、政治団体が有する資産公開についてであります。  政治団体は、土地、建物、一定額以上の動産等資産について毎年、公開することとしております。  第四は、政治活動に関する寄附等公開徹底についてであります。  政治資金に関する寄附者公開基準については、寄附額が、政党または政治資金団体が受ける場合は年間十万円、その他の政治団体または指定団体届け出をしていない特定公職候補者が受ける場合は年間五万円を超える者としており、党費及び会費公開基準については、その金額が政党政治資金団体に対するものにあっては年間十万円、その他の政治団体に対するものにあっては年間五万円を超える者としております。  また、政治団体及び特定公職候補者支出公開基準については、一件三万円を超えるものを公開の対象とすることとしております。  第五は、指定団体制度強化等についてであります。  政治資金を取り扱うべき政治団体として特定公職候補者が指定できる政治団体は、一つに限るものとし、その政治団体の名称には、当該候補者氏名が表示されていなければならないものとするとともに、指定団体届け出をしていない特定公職候補者については寄附に係る金銭等についての収支報告書提出を義務づけております。  第六は、法人その他の団体政治活動に関する寄附禁止についてであります。  法人その他の団体は、政治活動に関する寄附をしてならないものとすることとし、法人その他の団体が負担する党費会費寄附とみなし、同様に禁止することとしております。  第七は、政治活動に関する寄附量的制限強化についてであります。  個人が各年中に行う政治活動に関する寄附は、政党政治資金団体に対して千万円、公職候補者及びその他の政治団体については五百万円をそれぞれ超えてはならないものとしております。  第八は、株式等による政治活動に関する寄附禁止についてであります。  何人も、株式土地を供与し、または交付することにより、政治活動に関する寄附をしてはならないものとし、また、これらの寄附を受けてはならないものとしております。  第九は、政治活動に関する寄附への公務員関与規制についてであります。  国及び地方公共団体一般職に属する公務員等は、自己以外の者がする政治活動に関する寄附関与してはならないものとし、また、何人も、これらの行為を求めてはならないこととしております。  第十は、罰則強化についてであります。  法の適切な執行を図るため所要罰則の整備を図ることとしております。  この法律は、平成二年一月一日より、施行することとしております。  以上が、本法律案提案理由並びに改正案概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  8. 左藤恵

    左藤委員長 次に、松本善明君。     ─────────────  政治資金規正法の一部を改正する法律案     〔本号末尾掲載〕     ─────────────
  9. 松本善明

    松本(善)議員 このたび日本共産党から提出いたしました政治資金規正法の一部を改正する法律案について、その提案理由内容概略を御説明申し上げます。  御承知のように昨年来、リクルート疑獄事件が国政を揺るがす大問題となっております。こうした金権腐敗政治に対し、さき参議院選挙でも国民の厳しい審判が下されました。しかし、今度はパチンコ業界政治献金疑惑問題が今国会で取り上げられました。こうした疑惑を解明するとともに、金権腐敗政治を一掃し、国民信頼にこたえることが緊急に求められています。  そのためには、金権腐敗政治の根源である企業団体献金禁止することが最も重要です。営利を目的にする企業献金は、必ず見返りを求めるもので、常にわいろ的な性格を持っているからです。リクルートからの献金問題はこのことを最も明瞭に示したのではないでしょうか。また参政権のない企業団体が莫大な経済力政治に介入することは、結局、主権者国民参政権を侵害することにつながり、憲法の原則にも触れるものであります。  また、この間の経過は現在の政治資金規正法のさまざまな欠陥、例えばあれだけ献金したリクルートの名前が報告書に一切出ないなど、収支明瞭化という法の目的に反する問題が明らかになってきました。したがって規正法趣旨に照らして、当面急がれる幾つかの施策を法制化する必要があります。  こうした理由によって、我が党は次のような内容改正案提出しました。  以下御説明いたします。  第一に、既に述べました理由で、企業団体政治活動に関する寄附禁止しています。また問題になっています政治資金集めパーティー実態は、パーティーに名をかりた寄附集めであり、企業団体献金禁止立場から当然、企業団体によるパーティー券の購入は禁止することとしています。  第二に、最近の政治資金をめぐる状況の中で、政治家が株などの投機的取引を広く行っていることが明らかになりましたが、政治資金投機的取引に使うことは当然禁止されなければなりません。したがってその条項を明記するとともに、政治団体政治家の地位や職務を利用した不当な利得を得ることを規制する立場から、政治団体資産に関する売買を報告しなければならないこととしました。  第三に、政治資金の流れをガラス張りにするために、次の措置をとることとします。それは、寄附者公開基準を大幅に引き下げ、年間十万円超のものとすること、各政治団体関係する特定公職候補者氏名等を公表すること、寄附者氏名公表を免れるため献金相手政治家やその関係する政治団体の複数の者に分散させることを禁止し、政治家指定団体一つに限ること、さらに国会議員等が自分の指定団体から還流させた寄附支出内容報告させることです。  最後に、寄附制限などの違反行為があっても、秘書など担当者が罰せられるだけで、政治家には責任が及ばないという点も問題です。本案では、政治家は、政治団体代表者である場合はその役職員または構成員に対して、また秘書など雇用する者に対して、さらに自己指定団体会計責任者に対して、それぞれ監督義務があるものとし、これらの者が違反行為をしたときは監督義務違反を問うものとしております。  以上が、この法律案提出した理由及びその内容概要であります。なお、我が党は企業献金禁止だけで他の党との一致が可能であれば、それに絞って実現に向けて共同努力を払うつもりであることを申し添えます。  本改正案を十分に審議の上、賛成していただきますようお願いいたします。      ────◇─────
  10. 左藤恵

    左藤委員長 次に、公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。  この際、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。渡部自治大臣
  11. 渡部恒三

    渡部国務大臣 この機会に、第十五回参議院議員通常選挙の結果の概要について御報告を申し上げます。  御承知のとおり今回の選挙は、七月九日に任期が満了となる参議院議員通常選挙でありまして、選挙すべき議員の数は、比例代表選挙五十人、選挙選挙七十六人、合計百二十六人でありました。  選挙当日の有権者数は約八千九百八十九万人で、前回通常選挙に比べ約三百四十六万人増加しております。  次に、投票状況について申し上げます。  七月二十三日の投票日の天候は、一部の地域で曇りのほかは、全国的に晴れの好天に恵まれました。  投票率は、六五・〇%でありまして、これは、衆参同日選挙となりました前回に比べ六・三%下回りましたが、通常選挙が単独で行われた前々回に比べますと、八%高くなっております。  次に、立候補の状況について申し上げます。  比例代表選挙につきましては、候補者名簿届け出政党は四十政党であり、前回に比べ十三政党増加しており、その届け出名簿に登載された候補者の数は三百八十五人で、前回に比べ百四十二人の増、競争率は七・七倍でありました。  選挙選挙につきましては、候補者数は二百八十五人で、前回に比べ二十二人の増、競争率は平均三・八倍でありました。  次に、当選人状況について申し上げます。  党派別に申し上げますと、日本社会党比例代表選挙で二十人、選挙選挙で二十六人、合計四十六人、自由民主党比例代表選挙で十五人、選挙選挙で二十一人、合計三十六人、連合の会は選挙選挙で十一人、公明党比例代表選挙で六人、選挙選挙で四人、合計十人、日本共産党比例代表選挙で四人、選挙選挙で一人、合計五人、民社党比例代表選挙で二人、選挙選挙で一人、合計三人、税金党比例代表選挙で一人、選挙選挙で一人、合計二人、第二院クラブ及びスポーツ平和党比例代表選挙でそれぞれ一人、諸派無所属選挙選挙で十一人となっております。  なお、婦人の当選人は二十二人で、前回を十二人上回り、これまでの最高となりました。  次に、比例代表選挙の全有効投票に対する党派別得票率は、日本社会党三五・一%、自由民主党二七・三%、公明党一〇・九%、日本共産党七・〇%、民社党四・九%、税金党二・一%、第二院クラブ二・二%、スポーツ平和党一・八%、諸派八・八%となっております。  また、選挙選挙党派別得票率は、日本社会党二六・四%、自由民主党三〇・七%、連合の会六・八%、公明党五・一%、日本共産党八・八%、民社党三・六%、税金党一・六%、諸派無所属一七・〇%となっております。  最後に、選挙違反状況について申し上げます。  投票日後九十日目の十月二十一日現在の今次選挙における検挙件数は四百九十七件、検挙人員は一千三百八十五人となっておりますが、これを前回と比較いたしますと、件数で二百二十四件、八二・一%、人員で六百六十一人、九一・三%の増加となっております。  以上をもちまして、過般の参議院議員通常選挙の結果の御報告を終わります。
  12. 左藤恵

    左藤委員長 次に、警察庁中門刑事局長より発言を求められておりますので、これを許します。警察庁中門刑事局長
  13. 中門弘

    中門政府委員 本年七月二十三日に施行されました第十五回参議院議員通常選挙における違反行為取り締まり状況について御報告申し上げます。  選挙期日後九十日現在で集計いたしました数字は、お手元に資料としてお配りしてあります表に示したとおりでございます。  検挙状況は、総数で四百九十七件、千三百八十五人となっておりまして、前回選挙の際におきます同時期の検挙二百七十三件、七百二十四人に比べますと、件数で二百二十四件、八二・一%の増加人員で六百六十一人、九一・三%の増加となっております。罪種別に申し上げますと、買収三百十五件、千十三人、自由妨害三十三件、三十二人、戸別訪問五十八件、百三十一人、文書違反六十八件、百八十七人、その他二十三件、二十二人となっておりまして、買収検挙事件のうち件数で六三・四%、人員で七三・一%と最も多くなっております。  また、警告状況を申し上げますと、総数で一万一千三百七十三件でございまして、前回選挙の際の一万四百四件と比べますと、九百六十九件、九・三%の増加となっております。なお、警告事案のほとんどは文書関係についてのものでありまして、総件数の九三・七%を占めております。  以上、簡単でございますが、概略を御報告申し上げる次第でございます。
  14. 左藤恵

    左藤委員長 これにて説明は終了いたしました。     ─────────────
  15. 左藤恵

    左藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野中広務君。
  16. 野中広務

    野中(広)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、政治改革衆議院議員の定数並びに政治資金あり方等につきまして質問を申し上げたいと存じます。  第一に、政治改革についての基本姿勢についてお伺いをいたします。  現在、国民政治に対する不信感は極めて強いものがあります。さき参議院通常選挙の結果を見ると、特に我が党に厳しい批判が集中しておりますことは否定できないところであり、我々はこれを謙虚に受けとめなければならないと考える次第であります。しかし、戦後営々として築いてまいりました自由主義体制変更国民が今回の選挙において望んだとは考えられないのであります。  政治不信のよって来る大きな原因の一つは、政治と金の問題にあると考えますが、国民の福祉の向上のための各般にわたる政策活動を展開し、また、これらの政策に対する国民理解や支持を得ていく上で、政治資金は重要な役割を果たしております。このような政治資金役割は正しく認識されなければなりませんが、同時に重要なことは、政治資金についての国民理解が得られるように、みずからを厳しく律していくことであります。  我が党といたしましては、さきに決定をいたしました政治改革大綱において、政治資金について、第一に、できる限り節減をする工夫や努力を重ね、政治活動の本来の目的にそぐわない支出徹底的に抑制をする。第二に、収入は公正明朗な資金によるべきであり、いやしくも不当違法なもの、疑惑を招くようなかかわり合いは厳に慎むこと。第三に、ガラス張り努力をして透明度を高め、政治資金の公正さを確保すること等としておるのであります。  このような観点から、政治資金制度見直しが必要であると考えるのでありますが、金がかかる選挙の背景には、選挙制度の問題があることも見逃すことができません。諸問題の多くが現行選挙区制の弊害に起因していることにかんがみまして、選挙制度についても徹底的な見直しを行う必要があると考えるのであります。  言うまでもなく、今日の急務である政治改革は、以上述べましたもののほか、政治倫理確立国会運営党改革など幅広い分野にわたる大きな課題であります。さらに言えば、二十一世紀に向かって我が国国際社会において期待される役割を適切に果たすとともに、国内的にもさまざまな利害の調整を図りつつ、各般にわたる政策課題に的確に対応し得る政治確立が不可欠であって、このためにも我々は国民の期待にこたえて、政治改革に鋭意取り組まなければならないものと考えるのであります。  そこで、まず自治大臣に、政治改革についての基本的なお考えをお伺いをいたしたいと存じます。
  17. 渡部恒三

    渡部国務大臣 お答えいたします。  ただいまの野中委員の御質問、大変重要な問題であると考えます。残念ながら政治不信国民皆さんから大変厳しいものがございます。その基本政治と金にまつわる政治家不信に出発をしておるということを考えますと、さき通常国会自由民主党が率先して政治資金規正法改正案、また、当面緊急の課題として金のかからない政治活動のための選挙法改正案提出されましたことは、高く評価されなければならないと思います。  ややもすれば政治資金そのものを否定するような風潮なきにしもあらずでありますけれども、私は今委員お話しのように、政治資金透明度を高め、俗な表現を申し上げさせていただければ、今後はきれいに集め、きれいに使う、国民皆さんがなるほどそれなら結構である、こう理解していただけるような政治資金あり方が望ましい、こう考えます。当然のことながら、これは選挙制度そのもの密接不可分関係があるわけでありますから、自由民主党が率先して政治資金透明度を高め、国民理解を得るための改正案、これと並行して金のかからない政治活動をするための選挙法改正案を出されたのでありますから、ぜひこの国会においてこれを成立させていただくように私ども願望をいたしております。  ただ、やはりこういう問題は国会各党共同責任として話し合いをされることが望ましいのでありまして、三野党からもさき通常国会で提案がなされ、また、きょうも公明党、共産党からも提案がなされておりますので、どうぞ国会において、まさに野中委員おっしゃるとおり、二十一世紀の未来に向かって、議会民主政治を確たるものにするための政治改革が各党間の話し合いで行われることを強く希望をいたすものでございます。
  18. 野中広務

    野中(広)委員 次に、衆議院議員の総定数についてお伺いをいたしたいと存じます。  我々は今日まで、国鉄、電電、専売の三公社の民営化や、公務員の削減などの簡素で効率的な行政の実現を目指す行政改革を行ってきたところであります。また、地方の議会におきましても、議員数を削減する努力が重ねられてまいりました。法律で定める議員定数よりかなり下回った議員数となっていると承知しておるところであります。このような状況の中で、国会のみが現行定数を漫然と維持することは、国民政治への信頼の観点から考えましても、許されることではないと考えるのであります。  我が党は政治改革大綱において、公職選挙法の本則の定数四百七十一人、さらに、選挙区制の抜本改革に伴いまして、さらにそれ以下を目標に定数削減すべきものとしておるのでありますが、ここで第一に、地方議会における今日までの定数削減の状況をまずお伺いをいたします。第二に、衆議院議員の定数削減についての自治大臣のお考えをこの際お伺いをいたしたいと存じます。
  19. 渡部恒三

    渡部国務大臣 お答えいたします。  地方議員の定数の減少状況について昭和六十三年十月現在で調査した結果によると、都道府県、市区町村を合わせ三千三百十五団体のうち三千百八十五団体で減少条例が制定されており、減員数は一万九千六百十七人、減員比率は法定定数の二二・七%となっております。まさに野中委員御指摘のとおり、地方議会の皆さん方は、国民のための行革の姿勢をまずみずから身を切ることによって範を示そうということで、これほどの努力をなされておることなのでありますから、国会とてこれは例外でありません。  戦後、第二次産業が非常な勢いで発展し、これに残念ながら第一次産業がついていけなかったというような情勢の中で過疎過密というものが急速に進んだ結果、過密地帯と過疎地帯の格差というものが問題になり、結果としては過密選挙区の議席をふやすという安易な方法でこれを解決してきたために、本則で四百七十一名の議員が大幅に増加した状態になっております。これは、私が申し上げるのは僣越かと思いますけれども、地方議会の努力等を考えると、国民に対してまず範を示さなければならない国会として、今後十分にお考えをいただかなければならない問題であると考えます。
  20. 野中広務

    野中(広)委員 次に、政策本位の選挙政党中心の政治資金の調達につきましてお伺いをいたしたいと存じます。  国民政治に対する不信感は、政治に余りにも多くの金がかかり過ぎることによると考えるのでありますが、政治選挙に金がかかる大きな原因は、現在の選挙制度にあると考えます。現在の中選挙区制のもとにおいては、衆議院で過半数の議席の獲得を目指す政党にとって、同一の選挙区で複数の候補者が立候補するといういわゆる同士打ちを避けることができないのであります。このため政策を争う選挙でなく、個人本位の選挙となりがちとなりまして、地元に密着した日常活動に多額の金がかかる結果をもたらしているのが実情であります。このような現状を打開し、政策本位の選挙を実現するためにも、選挙制度の抜本的な見直しを行うことが必要であると考えるのでありますが、自治大臣の御所見をお伺いをいたしたいと存じます。  また、現在のような個人本位の選挙のもとにおきましては、政治資金もまた政治家個人がその調達に苦労するという実情になっておるのであります。しかしながら、このような政治資金の流れの中で、政治家政治資金の拠出者との関係について国民から疑惑の目で見られるおそれがありますし、また、政治家の側におきましても、政治活動の相当部分を政治資金集めに振り向けざるを得ないという不本意な結果となっておるのが実態であると思うのであります。政治家国民から疑惑の目で見られることのないようにし、さらに政治家政治資金の調達の苦労から解放されて、本来の政治活動に全力を挙げることができるようにするためには、政策本位、政党本位の選挙の実現のための選挙制度の改革とあわせて、政治資金の流れを政党中心にするように改めていくべきであると考えるのでありますけれども、自治大臣の御所見をお伺いをいたしたいと存じます。
  21. 渡部恒三

    渡部国務大臣 金のかからない選挙、金のかからない政治、これは当面緊急の問題でございます。  私は、そのためには二つの柱がなければならないと思います。一つは、これは野中委員御指摘のとおり、選挙制度全体をここで見直していくということ、金のかからない選挙制度はいかにあるべきかということに取り組んでいかなければならないということ、もう一つは、選挙に立候補する者、また選挙投票をする者、その意識革命が行われることも非常に大事なことであると思います。  また、これと密接関連する政治資金については、まさに野中委員おっしゃるとおり、個人個人が政治資金を集めるというよりは、やはり政党が中心になって政治資金を集めて、そしてみずから所属する議員が立派な政治活動をできるように援助してあげる、これが最も望ましい方法ではないかと考えております。
  22. 野中広務

    野中(広)委員 そこで、選挙資金あり方について、さらに公的な選挙資金の助成の充実についてお伺いをいたしたいと存じます。  政治資金は、言うまでもなく、できるだけ節減し、工夫し、努力を重ねる必要があるのであります。本来の政治活動に要する経費に充てられる政治資金は、いわば民主主義のコストともいうべきものであろうと思うのであります。政治家がその責任の重大さを自覚して、国民にかわって政治に邁進するためには、十分に政治活動が行える環境を保障することが肝要でありまして、政治活動に要する政治資金についても、不可欠なものとしてその調達を考えるべきものであります。  現在、国会議員に対しましては、国庫から歳費及び文書通信費、さらに旅費としてJR各社の乗車証または航空引きかえ券が交付されておるのであります。また、秘書二名分の給料が認められておるわけでございます。さらに各会派に対しては、所属議員一人当たりの立法事務費が支給をされております。  議員政治活動についてどの程度の公的負担が必要であるかについてはいろいろ議論のあるところでありますけれども、例えば諸外国の例を若干見てみますと、アメリカでは、議員秘書として下院では一議員当たり年額四十万六千ドル余り、仮に一ドル百四十円で換算いたしましても五千六百八十四万円余りが支給をされておるのでありますし、また、西ドイツにおきましても、総選挙一回についてでありますけれども、総額二億二千六百四十五万マルク余り、一マルク七十円といたしまして百五十八億五千二百万余りの金が選挙運動費用補助として政党に支給されておるのであります。  各国においては、その国独特の議会政治の歴史やあるいは選挙制度があるわけでございますから、一概に日本とこれを比較することはできないのでありますけれども、いずれにいたしましても政治資金の調達を検討する場合には、政治活動の公的性格にかんがみまして、公的助成を十分に充実する必要があると考えるのでありますが、自治大臣のお考えをお伺いをいたしたいと存じます。
  23. 渡部恒三

    渡部国務大臣 御指摘の政治活動を立派にしていくために公的助成をすべきではないか、また、これを円滑に進めるためには政党法等をこれから考えていかなければならないというような声は、政治不信を解消しなければならない、政治改革に取り組まなければならない今日の状態の中で、各方面から御意見が出されております。また、新しい海部内閣も、海部首相みずから今この問題に非常に真剣に取り組んでおります。  委員御指摘のように、現在も立法事務費、また選挙においても選挙のポスターあるいは選挙に使う車、そういうものを国が負担するというような若干のことはしておるわけでありますけれども、これで十分でよしとするような議論は極めて少なくなって、今委員御指摘のように大幅な公的助成というものの必要性を唱える声、これは与野党ともに強まってきておりますので、ぜひ今後国会の諸先生方に立派な成案をおつくり賜りたい、また自治省としてもそのためのできる限りの努力をしてまいりたいと存じております。
  24. 野中広務

    野中(広)委員 さらに、自由民主党が今回提案をいたしております政治改革法案についてお伺いをいたします。  政治改革は、選挙区制の問題など中長期的な視点から論議をしなければならない課題も多いのでありまして、国民政治改革に対する期待にこたえるためにも、可能なものについてはできるだけ早く実行に移すことが重要であると思うのであります。  このため我が党では、選挙区内での冠婚葬祭への寄附については、罰則及び公民権の停止をもってこれを厳しく禁止することを主な内容とする公職選挙法改正案さき通常国会に提案をいたしました。また、パーティー券の大口購入の禁止、多額購入者の氏名の公表、寄附公開基準金額の引き下げ、政治資金運用による株取引の禁止などを内容とする政治資金規正法改正案も同時に提案をしたところであります。これらの改正法案に対する自治大臣の御所見をお伺いをいたしたいと存じます。
  25. 渡部恒三

    渡部国務大臣 ただいま野中委員から御指摘のありました、さき通常国会自由民主党から提出されました選挙法の改正、政治資金規正法の改正、これはいずれも金のかからない選挙政治活動、また国民皆さんから理解される政治資金透明度を高めるための大変な御努力の成果でございます。  もちろん、この世の中に一〇〇%完璧というようなものはなかなか容易でないと思いますけれども、常にお互いが二十一世紀に向かって一歩一歩前進をして、将来の理想に達するということを考えれば、今国民の望まれる政治改革の第一歩としてこの法案ができるだけ早く緊急当面のものとして成立し、さらに、同時にまた大きな視野に立っての将来の選挙制度全体としての改正、いわば当面の問題と長期的な視野に立っての問題、こういうふうに考えていかなければならないと存じておるわけであります。さき通常国会では私はこの立場におりませんで、国会運営立場におりましたが、なかなか野党の皆さん方の審議の御協力を得られないで、さき通常国会で成立することができなかったことは大変残念だった、こう思っております。
  26. 野中広務

    野中(広)委員 次に、この夏の参議院選挙におきまして、私の地元であります京都選挙区の選挙において、日本共産党投票日に切迫をいたしました七月十九日から二十二日にわたりまして、それぞれ投票を依頼する目的で、党の名称及び候補者氏名を表示した日本共産党中央委員会発行の機関紙、一九八九年七月二十三日付赤旗日曜版の見本を京都市を含む府下の主要地域に広範囲にわたり、赤旗日刊紙を購読していない不特定多数の有権者に約五十万部を無償で配布したと仄聞するところでございます。  この配布行為は、外形上、赤旗日曜版の購読を勧誘するように装っているものの、文書の内容や配布地域、配布部数、配布時期などを総合して考えてみますと、明らかに公職選挙法第百四十二条の文書図画の頒布の禁止を免れる行為でありまして、選挙運動が公正に行われることを図る同条の趣旨に反するものと考えるのであります。もしこのような勧誘行為をさえ装っていれば公職選挙法第百四十二条で言う文書図画の頒布の禁止を免れることになれば、同条はこの点から有名無実になると思われるのでありますが、この点についてのお考えをお伺いいたします。  さらに、これを許せば、機関紙をフルに活用できる政党政治団体がそうではない政党政治団体より圧倒的に選挙を有利に戦えるとともに、金のかかる選挙を助長するおそれがあると思われるのでありますが、このことは選挙の公正という立場から問題が多いと思うのであります。これらの各点について御所見を賜れれば幸いであると思うのであります。  一方、赤旗は機関紙として正式に自治大臣届け出をしておるのであるから、公選法第二百一条の十四の規定により、一般新聞の選挙報道、論評を掲載した配布方法の規制より緩和されており、同条において第百四十八条第一項及び第二項の規定を準用しているものの、この場合では「同条第二項中「通常の方法(選挙運動の期間中及び選挙の当日において、定期購読者以外の者に対して頒布する新聞紙又は雑誌については、有償でする場合に限る。)」とあるのは、」「当該機関新聞紙又は機関雑誌で引き続いて発行されている期間が六月以上のものについては「通常の方法(当該選挙の期日の公示又は告示の日前六月間において平常行われていた方法をいい、その間に行われた臨時又は特別の方法を含まない。)」と読み替えるものとする。」と規定されており、したがって、赤旗日曜版見本の配布行為、各戸無償配布は、公選法第二百一条の十四に照らして適法であるということを主張しておるのであります。しかし、このような赤旗日曜版見本の配布行為は、前にも述べましたように公選法第二百一条の十四で言う「平常」の配布方法を著しく逸脱したものでありまして、同条に照らしても違法であると考えるのであります。  私が本質問におきまして問題にしたいのは、このような赤旗日曜版見本の配布行為は、明らかに公選法第百四十二条の文書図画の頒布の禁止を免れる目的で機関紙の勧誘行為を装った脱法行為であるにもかかわらず、日本共産党の弁明を許すのは、法の不備あるいは公選法第二百一条の十四の規定のあいまい性に起因するのではないかと思うのでありますが、この点についてのお考えを伺いたいと存じます。
  27. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 御指摘もありましたように、公選法は百四十二条で、文書の頒布ということについて厳しい制限を置いております。一方、新聞につきましては、報道、評論の自由が尊重されなければならないということがございますものですから、これまでもしばしば新聞紙、あるいはなかんずく政党機関紙というようなものについていろいろ御論議が行われてまいりまして、そういう御論議の中でいろいろな改正も行われてきたわけでございます。  もう十年以上前になりますが、一番新しい大きな改正としては、例えば昭和五十年の改正で、いわゆるビラ公害という批判に対応するために、号外、臨時号のようなものは頒布してはいけないというような規制も行われたわけでございます。ただ、そのときに、新聞である以上、その新聞の頒布自体を禁止するというところまではもちろんできないわけでございましょうから、あくまでも通常の方法、従来やっていたと同じような形で配るものであるなら、それまで禁止するわけにはいかないだろうということで、現在のような法制に至ったのだと承知をいたしております。  ですから問題は、一体頒布の方法が通常の方法であるかということでございまして、特に通常かどうかということにつきましても、今申しました昭和五十年の改正の際に、「平常行われていた方法」というふうに法律上もちゃんと書くというような改正も行われたわけでございます。具体の事例につきましては私どもは事実関係を詳細に知っておるわけではございませんので、どういうふうに当てはまるのかということについては、恐縮でございますが申し上げることはできないわけでございますけれども、要は通常の方法で頒布されたかどうかということの認定の問題であろうと思います。  なお、百四十八条の方には定期購読者以外は有償に限るというような規定がありますので、そういう規定があればあるいはもっとはっきりするのかもしれませんが、実は昭和五十年の改正の際に、政府原案では二百一条の十四もそういうような文言が入っておりましたけれども、国会での御修正で現在の形になったというような経緯もあるということでございます。
  28. 野中広務

    野中(広)委員 もう少し詰めたいのですが、時間が参りましたので、これで終わります。
  29. 左藤恵

    左藤委員長 次に、山花貞夫君。
  30. 山花貞夫

    ○山花委員 本日、第十五回参議院通常選挙の結果及びこの際の選挙違反状況について御報告をいただきました。  実は、同時に大事な問題は、きょうのこれまでの議論にもありましたとおり、政治資金関係選挙と金の関係だと思います。この間、自治省の方では政治資金状況につきまして六十三年度分を公表しておりますけれども、その概要と特徴について冒頭御説明を加えていただきたいと思います。
  31. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 昭和六十三年分の自治大臣所管の政治団体に係りますところの政治資金状況でございますが、まず、収入につきましては、総額千七百二十三億円となっております。前年に比べますと一九・四%の増加でございまして、これまでの最高となっております。  次に、この収入の内訳を申し上げますと、党費または会費が約二百七十億円でございます。それから寄附が約八百七十九億円、事業収入約四百八十三億円、借入金三十六億円、その他の収入約五十六億円というふうになっております。なお、伸び率を申しますと、党費または会費が六〇・二%の増、寄附が二九・一%の増などとなっておるところでございます。
  32. 山花貞夫

    ○山花委員 今お話しのとおり、本年発表されました昨年の政治資金状況について振り返りますと、いずれのマスコミの見出しもそうだったわけですが、史上最高の一千七百二十三億円である、金はかかっている一方であるということが明らかになりました。政治と金の絡みにつきましては、現実には国民疑惑の目が注がれながら、その点についてはなかなか解明することができません。わずかな手がかりがこうした公的な発表、そこでの資料を分析するということになってくると思います。今のお話の中でも特徴点が幾つか出ておったのではなかろうかと思います。一つは、六〇%以上増ということになりました党費会費等の関係です。もう一つは、今ちょっとお話の中では触れられておりませんでしたけれども、いわゆるパーティー収入についての資金づくりというものが相変わらず続いておったということが特徴点としてあったのではないかと思うのであります。  そこで、具体的な問題について伺いたいと思うのですが、先ほどからの議論でも、政治と金の関係について、したがって選挙制度の改正である、政治資金規正法の改正である、こうした議論がなされたわけですけれども、もっともっと先に手をつけるべきところがあるのではなかろうかと私は考えるところであります。  実は、莫大な政治資金の非常に重きをなしている自民党の党費と党友費の関係であります。かつてこの問題につきましては、昭和五十二年の自民党の全党員による総裁予備選挙の実施に際しまして、そのための党員づくりということが行われました。最近は投票によって総裁を決めるということがありませんでしたので、その時点にはある程度の党員づくりが行われましたけれども、中心はやはり参議院比例代表区の予定候補が順番を決めるための材料として党員を集める、ここのところに党員、党友拡大の原因というものがあると思います。ここ数年振り返りましても、いわば政治資金の調達が頂点に達するのは参議院の選挙が行われた年である、こうなっているわけでありまして、実はこの点につきまして若干、公にされた資料で私の方で調べてみたわけですが、公の資料ということになりますと、官報に掲載されました自民党の収支報告ということになります。  まず党員の関係について見てみますと、六十二年につきましての報告では、党員が百九十九万一千四百四十七人、これによる党費が二十九億八千七百十七万五百円ということになっています。六十三年度につきましては約三百万人増員いたしました。これはやはり比例代表選挙における自民党の順位争いのための各候補の党員集めということにあると思いますが、五百万一千九百八十名、党費収入は七十五億二百九十七万円、こうした数字があらわれております。これが実は選挙が終わりますとがっくり党員が減るということにつきましては、本年八月三十一日現在で自民党が発表いたしました党員は二百九十六万三千三百十二人、新聞では四割減った、二百万人減ったということが報道されたところであります。  そこで、今申し上げました党員と党費関係につきましては、ここに書かれている数字は自民党本部に対する上納金ということになります。したがって千五百円、一人の党費は四千円ということでありますから、都道府県に行く分を含めますと、五百万人として二百億円の金が党費として集められたという形になります。このうち比例代表選挙の候補がどれだけ集めたかということについて、これもいわば公表された資料からの分析でありますから正確さは欠くかもしれませんが、六十二年、六十三年の増員の差ということになりますと三百万人であります。四千円掛けますと百二十億円。一応形の上では自民党の党員拡大、比例代表の順番をつくるための党費という形による資金集めで百二十億円集めたというように見ることができるのではなかろうかと思います。  同じように自由国民会議の党友の関係について見ますと、六十二年度が八万九千二百六十七人であります。一人一万円、入ったお金は八億九千二百六十七万円であります。選挙を迎えました六十三年には、これが八・八倍に膨らみます。党友の数が七十八万一千百二人、入った党友費は七十八億一千百二万円ということになります。この間の増員分は六十九万一千八百三十五人、党友一人一万円、金額にして六十九億二千万円、約七十億円が党友費ということで自民党に入りました。  こうして入ったお金につきましては、実は資金の流れが非常に複雑でありまして、なかなかつかみにくいのであります。党友の組織である自由国民会議に入り、これが自民党の政治資金団体である国民政治協会に入り、これが自民党本部へ行く。さらにこれが問題となっている還流ということもある。なかなかつかみづらいわけでありますけれども、今申し上げました数字から一応の形の上での推定ができますのは、党員分が百二十億円、党友分が七十億円、合計百九十億円ということになります。自民党の比例代表に載りました二十六人、辞退された方もありましたけれども、その方もぎりぎりまでは党員集めをされておったものと思います。そうなってくると、各候補者が一人七億円を党の本部に納めなければ名簿の順番に載っけてもらうことができなかった。それが大きいか小さいかによって順番が決まるわけでありますから、各候補が懸命に党員を集めた。こうした形で、この党費と党友費が非常に大きな比重を占めているというのが特徴の一つとして挙げられるのではなかろうかと思います。  そうなってきますと、参議院の制度につきまして、これは衆議院についても同じで、後ほど触れたいと思いますが、金のかかる選挙に対する批判から、先ほど来政策本位の選挙制度あるいは小選挙区制の問題に連なるような議論がされておりましたけれども、金がかかっているのは実は別のところにもあるのではなかろうか。こうした形で金を集めるということは、その金を使うから集めるということにもなるわけですけれども、党員、党友のために百九十億円集める。一人の候補が七億円集めなければ自民党の立場での選挙の戦列に参加することができない。こうしたことがまず金のかかる選挙制度の根本の問題としてあるのではなかろうかと思うのでありますけれども、今の数字につきましては、これは自治省ではお答えいただきにくいかもしれません。大臣にこうした問題についての御所見をお伺いいたしたいと思います。
  33. 渡部恒三

    渡部国務大臣 政党というもののあるべき基本は、みずからの信ずる思想、考え方、これを実現してくれる政党国民皆さん方が入党し、党費を払い、これによって党が運営されるということが最も望ましい理想の姿で、自由民主党、かつては大変残念ながら党員が少なかったのでありますけれども、近時、自由主義を守ろう、自由主義経済で今日の国民の豊かさを守っていこうという考え方の国民皆さんが増大して、党に入党し、党費を払う党員が増加しておることは、単に自民党のみならず、その他の政党皆さん方も同じでありますけれども、議会民主政治政党政治あり方として望ましいことでございます。  ただ、今、山花委員より御指摘のあった参議院の拘束比例制の候補者の党員集めの問題がございましたけれども、私は当時党の国会対策委員長として、党の選挙対策委員も兼任しておったときの記憶によりますと、自由民主党の中の拘束比例代表制の順位決定のために党員集めがエスカレートすることは好ましくないということで、たしか選挙対策委員会で、ある一定限度以上の党員数は順位決定の基準にしないというような決定がなされたと、私の記憶は一〇〇%コンピューターではありませんけれども、そんな記憶を今思い出しておるところでございます。
  34. 山花貞夫

    ○山花委員 大臣のおっしゃった今の基唯ということにつきましては、比例代表の立候補予定者のノルマと言ったら失礼かもしれませんけれども、新規党員は二万人、後援会員は百万人、これ以上集めても順位決定の基準にはしない、こうした自民党のいわば内部的な意思統一だったと思いますけれども、そうはあったとしても、それではやはり不安でありますからたくさんの党員を集める、党友を集める、こういう努力が課せられておったというのが実際の選挙の実情だということだと思います。  さて、そこで、前段大臣がおっしゃいましたことは、まさに筋論といいますか建前論ということだと思います。自民党の党改革に着手しました十年ちょっと前、三木総理の時代の党改革についての議論につきましてもいろいろ拝見いたしましたけれども、今大臣おっしゃったような近代的な政党に脱皮するためには、一人一人の党員の協力、そして新しい党の体制づくりということが議論されまして、今日の自民党の党規約及び党員に関する諸規定の原則がその当時でき上がっていると私も承知をしております。  ところが、現実にはその建前論ではなくなっているということの一つが、今申し上げましたような三百万の党員をつくる、そして七十万人の党友をつくるということにつきまして、一人一人の国民政治参加、政党加入ということとは全く問題を異にした、業界団体による党費の肩がわりという方法によって、いわば猫もしゃくしも名簿をそろえて、金については業界団体が肩がわりをする、こういうことが横行しているというのが実態ではなかろうかというのが私たちが問題とするところであります。  過日も予算委員会で、ある業界が六十一年の同日選挙におきましては約五万人の党員の党費を肩がわりをした問題、あるいは今回の参議院選挙におきましては三万五千人の党費を肩がわりした問題、前者につきましては党費三千円の時代、後者については党費四千円の時代でありますから、およそ一億ずつ、加えて継続党員の党費につきましても肩がわりしているということにつきまして質問をさせていただきました。きょうは改めてこの点について伺いたいと思うわけですが、実はそうした業界での肩がわり問題は、一業界の問題だけではなくほとんどの企業、業界によって行われているのではなかろうか。企業献金のまた違った形がここにあるのではなかろうかと私は考えるところでございます。  こうした業界団体による党費の肩がわり問題、これは党費ではなく企業による政治資金の提供ということになるのじゃないでしょうか。自治省にこの点について基本的な見解を伺いたいと思います。
  35. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 いわば一般論みたいな格好になるわけでございますけれども、いわゆる肩がわりということを考えます場合に、恐らくそれは党員にある人がなる、そのなった人が党費を払うのが通常の姿でありましょうが、その党員になった人以外の人がその党費の分を負担しておるということであると思います。そうしますと、債務を負っているのは党員でありましょうから、党員の債務の履行を別の人がやったということになりますと、それはやはりあくまでも党費を納めている、ただ、その原資の出し手が党員だったその人じゃないというふうにしか考えられないのじゃないだろうかというふうに私どもは思っているわけでございます。
  36. 山花貞夫

    ○山花委員 これまた建前論でお答えをいただきましたけれども、具体的な問題にしませんと、建前論だけではなかなか理解が深まらないということだと思います。  具体的なテーマで伺いたいと思います。これは一部マスコミにも報道されたところでありますが、石井道子参議院議員資金関係であります。資金受け入れ窓口の石井道子薬剤師後援会の六十三年度分の収入七億八千七百九十万円のほぼ全額が日本薬剤師連盟の方からの寄附、すなわち政治団体から政治団体への寄附で賄われ、そして日本薬剤師連盟が集めました三万をはるかに超える党友の会費が石井道子薬剤師後援会から全額自由国民会議に払われている、こうしたことがありました。  この点について私は若干調べてみたわけでありますけれども、質問通告もしております。自治省の方に具体的に伺いたいと思うわけでありますけれども、六十三年度、日本薬剤師連盟の方から石井道子薬剤師後援会に対して一体どれくらいのお金が寄附金として支出されておるのでしょうか。この点は確認することができましたでしょうか。
  37. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 私どもが持っております収支報告書によって調査をさせていただきましたが、政治団体日本薬剤師連盟は昭和六十三年に、石井道子薬剤師後援会に対しまして七億三千七百八十六万四千五百二十円の支出をしたという旨の記載を報告書にいたしております。
  38. 山花貞夫

    ○山花委員 それは政治団体から政治団体に対する寄附ということになりますでしょうか。
  39. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 恐らく寄附だろうと思いますが、ちょっと今確認いたします。
  40. 山花貞夫

    ○山花委員 それぞれが政治団体でありまして、石井道子薬剤師後援会は代表者が高橋輝一郎さんであります。所在地は渋谷区渋谷二の十二の十五の薬学会館。一方の日本薬剤師連盟につきましても、事務所の所在地も同じ、代表者も同じであります。事務所も代表者も同じですけれども、それぞれ政治団体として別の独立した届け出をいたしまして、それぞれの収支報告をしているはずであります。こうした政治団体から政治団体への寄附として七億三千万円余が移っている、こうしたことについては間違いないと思います。  つきましては、次いで伺いたいのですけれども、この石井道子後援会の方から自由国民会議に対して、これは党友費の立てかえなわけでありますけれども、支出があったでしょうか。あったとすればいつごろ幾らか、どういう項目であったのかということについて御報告をいただきたいと思います。
  41. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 いつごろどういう項目というところはちょっと私今細かい資料を持っておりませんが、支出は確かにあるわけでございまして、六十三年分の石井道子薬剤師後援会の収支報告によりますと、自由国民会議に対して三億七千万円を支出しておる、こういうことでございます。
  42. 山花貞夫

    ○山花委員 この支出の項目区分ですね、出す場合には収支報告書にこういうことで支出をしたということが書かれているはずでありますけれども、この点についてはどうなっているでしょうか。
  43. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 ちょっと私今手元にそこまでのデータを持っておりませんが、これは確認すればすぐ出ると思いますので、すぐ確認をいたします。
  44. 山花貞夫

    ○山花委員 私が調べたところでは、もし間違っておったら後で訂正していただきたいと思いますけれども、項目別の区分におきましては、「2」というところに「政治活動費」となっております。「政治活動費」の内訳としては「組織活動費(政治活動費)」となっておりまして、支出目的としては「会費」ということになっているわけであります。こうした政治団体としての石井道子薬剤師後援会から自由国民会議に対する会費としての支出というものは、政治資金寄附ということになるのではないでしょうか。この点を伺いたいと思います。
  45. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 ちょっと今支出項目を確認させていただいておりますが、一般的に言いますと、寄附の項目に記載するのはまさに寄附・交付金という形で出した場合でございまして、それが会費という形で出ておるとすれば、それが実際はどういうものかわかりませんけれども、まさに会費を払ったような場合には、会費の項目に書くというのが普通の姿ではあろうと思っております。具体の事例につきましてはすぐ確認できると思いますので、ちょっとお待ちください。
  46. 山花貞夫

    ○山花委員 これは「会費」と出ておりますので、一般的には、形式だけを見ますと政治団体から政治団体へのお金の移動は、会費の名目ではありましても寄附として取り扱われる。これは政治資金規正法五条二項による「法人その他の団体が負担する党費又は会費は、寄附とみなす。」ということになるのではなかろうかと思っておりますけれども、実はこれがどちらに転んでもその次の疑問が出てくるわけであります。  まず第一に疑問として出てまいりますのは、自由国民会議収支報告書を見てみますと、この三億七千万円に上るような石井道子薬剤師後援会からの入金の記載がないわけであります。この点は調べてみてくださいとお願いしておきましたが、いかがでしょうか。政治団体から政治団体への寄附につきましては、「年間百万円を超えるものについては、その寄附をした者の氏名、住所及び職業並びに当該寄附の金額及び年月日」につきまして、これを記載しなければならないということが政治資金規正法の第十二条第一項のロで書かれているところであります。自由国民会議は三億七千万入ったのだから、当然それが書かれなければいけないのですが、書かれていないということのようでありまして、この点は確認できたでしょうか。
  47. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 ただいまの点につきましては、私どもが確認したところでは、昭和六十三年分の自由国民会議収支報告書によりますと、そこには石井道子薬剤師後援会の名称の記載はございません。  なお、先ほどの支出のあれでございますが、「政治活動費」の中の「組織活動費」、支出目的は「会費」というふうに記載されておるということでございます。
  48. 山花貞夫

    ○山花委員 という今の経過で問題がはっきりしてまいりますのは、自由国民会議側で恐らくその記載をしなかったというのは、これは政治団体から政治団体に対する寄附として受け取ったのではないのじゃなかろうかと思うのです。これは自由国民会議側のプロがやっているわけですから、そう思います。どういうつもりで受け取ったのかといいますと、党友費の立てかえ払いである、こういうつもりで受け取りましたから、恐らくここには記載されなかったのじゃなかろうかと一応私は推測するわけであります。  問題点としましては、自由国民会議側は党友費として認識しており、石井道子薬剤師後援会はいわば会費として記載したというところに間違いが生じているのではなかろうかと思いますけれども、この問題については、政治資金規正法上の報告について訂正をしていただかなければならない、どちらかにしていただかなければならないという問題が出てくるのではないか、こういうように思います。  この問題に行く前に、実はこうしたお金の流れというものにつきましては非常に複雑でありまして、我々がそうした資料を突き合わしてもなかなかわかりにくい問題がございます。  もう一つの問題点に触れておきたいと思うのですけれども、自由国民会議は七月十四日に東京都石井道子薬剤師後援会に対して、項目別区分では「2政治活動費(一)組織活動費(事業補助金)」として八百二十六万四千二百円を支出しておるという事実がありますでしょうか。
  49. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 東京都石井道子薬剤師後援会というのは東京都の所管団体でございますので、私どもは東京都の選挙管理委員会に照会いたしましたが、昭和六十三年分のこの団体収支報告書寄附の内訳の中の寄附者の名称欄には該当する名称がない、つまり石井道子薬剤師後援会からの寄附という記載はないという報告を受けております。
  50. 山花貞夫

    ○山花委員 今の問題はお金が八百万空中に消えてしまったというケースでありまして、恐らくこれは、自由国民会議からの党友費などについてのいわゆるキックバックではなかろうかと私は推測するわけであります。出した方は出したと言っているんだけれども、もらった方は全くそれが消えてしまっておる。これは恐らく東京都石井道子薬剤師後援会の方がこれを記載しなければいけなかったことについて、記載していなかったのではなかろうか、こういうことだと思います。こうした収支報告について報告を怠った場合には、政治資金規正法十二条違反の報告ということになりまして、五年以下の禁錮または三十万円以下の罰金ということになっていますから、これも後ほど訂正していただく必要があるのじゃなかろうかと思うわけです。  実は私がそうしたことについてずっと伺いましたのは、先ほど来、党費というものは近代的な政党は一人でも多くの皆さんに参加していただくんだという建前論、それから団体による肩がわり問題につきましては、あくまでも法律論としては、個々の党員に加入した方と肩がわりをしたところの債権債務関係であって、いわば自民党本部、政党としては関係ないのだという建前論ということが、今申し上げましたような点から考えますと、いかにも実態に合っていない、ごまかしであるということではなかろうかと思うからです。明らかに党友費、党費の立てかえがあります。  こうした政治団体が立てかえるという場合には、普通の、例えば過日予算委員会で問題となりましたような、いわゆる何々業界におけるある団体が出すという場合には、収支報告がなされません。したがって、その団体の内部的な帳簿にどう書かれているかということが問題となって、我我はそれをうかがい知ることができないわけですけれども、政治団体の場合には、政治団体から政治団体に金が移っていく。明らかに収支について記載されなければならない。それがまたいわば肩がわりという格好で自由国民会議に払われる。これはやはり記載されなければならないわけでありますから、これは民間の団体のお金のやりとり、肩がわり問題とは違って、はっきりした収支に乗っかってくる肩がわり問題であります。  政治団体党費の肩がわりをする。今御質問した場合には、Aという団体が集めた党員あるいは党友の党費をAという団体が肩がわりをするという単純なケースではありません。Aという団体が集めた党友費をBという団体が肩がわりをしているという問題であります。これは明らかに政治資金寄附として取り扱うべきケースになるのではなかろうかと思いますけれども、この点について自治省の見解を伺いたいと思います。
  51. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 恐縮でございますけれども、具体的に今お示しの事例がどうこうということは、実態がわからないものですから何とも言えないのでございますが、やはり法人といいますか団体そのものが会員になっておるのであれば、それはまさに団体が負担する会費ですから、それはもう政治資金規正法寄附とみなされることは当然でございますけれども、ただ、いわゆる肩がわりということを考えますと、その団体が党員なり党友なりになった人が払うべき債務をかわりに払っている、あるいはそのお金を手当てしているということでありましょうから、そうするとそれが団体寄附になるというふうにはなかなか構成できないのではないだろうかというふうに私どもは思っているわけでございます。
  52. 山花貞夫

    ○山花委員 今の部長のお答えは中間に省略があるわけでありまして、Aという団体が党友を集めた、そしてこのAという団体が肩がわりしたというケースならばまだ説明になるかもしれませんけれども、私がくどいように申し上げましたとおり、Aという団体が集めた党友費をBという団体が肩がわりして払っているのですから、今の御説明ではやはり納得ができません。明らかにこれは政治資金寄附として取り扱うべき問題である、こう思いますけれども、いかがでしょうか。
  53. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 お示しの事例に即して言いますれば、Bという団体がAという団体寄附をしたのかどうかというところは一つあるのかもしれませんが、それは実態はどうかということにもよりますので、何とも申し上げようがないわけでございます。  ただ、これまた仮定の話のようで恐縮でございますが、Aという方が肝いりでいろいろ声をかけて党員なり党友を集めたかもしれないが、お金は別のBという人がそういう集められたところの党員、党友にかわって払う、あるいは集められた党員、党友の方々に党費分を差し上げるというような形になりますと、必ずしもBからAへの寄附があったというケースばかりでもないような気もするわけでありまして、その辺は実際がどうであるかということによって事が決まってくるのではないかと思うのでございます。
  54. 山花貞夫

    ○山花委員 納得ができません。Aという団体が集めた党員をBという団体がCという自由国民会議に党友費として肩がわりで払い込んでいるわけでありますから、これは明らかに政治資金寄附という格好になるはずだと思います。  ただ、この点について議論しておりますと時間が終わってしまいますから、結論的なことを申し上げたいと思いますが、大臣、このように党員だけで百二十億集まった。そして党友で約七十億集まった。合計百九十億。一人一人の皆さんが党規にのっとって加入をして党費を納めて、地域から上がってくるというケースとは違いまして、今の後援会の場合は部分的に党友だけで三万五千から三万七千、こうした格好で党員が三百万ふえた、そして党友が七十万ふえたという実態があるわけであります。実はそのうちのどの部分がそうなのかということにつきましては調査の及ぶところではありませんけれども、こうした格好で結局業界が肩がわりしているということになりますと、政治資金規正法で定めているいわゆる政治資金寄附とは違った形で、これはまた一つの脱法行為になると私は思いますけれども、そのことについては横におきましても、そうした肩がわりして業界からお金を集めている実態、こういうところにも比例代表選挙はお金がかかる、要するに候補者一人七億円準備しなければだめなんだということが今の数字から出てくる。そうじゃないでしょうか。この点について大臣、いかがでしょうか。  やはりそういう問題にまず目をつけていくということがなければ、選挙に金がかかるといっても、比例代表につきましても、政治改革の大綱を拝見いたしましたところ、金がかかる選挙だから政策本位にしなければいかぬということが冒頭書いてあります。したがって、参議院の制度改革と比例代表選挙については見直すと、政治改革の大綱、後藤田委員会がつくったものはそうなっているわけでありますけれども、金がかかるといったって、こんなところに金がかかっているというところに問題があるとは思いませんでしょうか。いかがでしょうか。
  55. 渡部恒三

    渡部国務大臣 大変難しい御質問でございます。先ほどから山花委員のお話を承っておりましたけれども、具体的な問題について私は初めてお聞きすることでありますから、コメントを差し控えさせていただきますけれども、拘束比例代表制度という問題については、過去の選挙制度を各党でいろいろ議論しておる場合、もちろん今御指摘のありました我が党、自由民主党においてもいろいろの御意見があって、これを改正すべきであるというような強い機運が一時盛り上がったことも承知しておりますので、これらは検討すべき課題であると思っております。
  56. 山花貞夫

    ○山花委員 私は、要するに金がかかる選挙という問題を考えるならば、例えば自民党の政治改革の大綱によりますと、政治改革の根本というものは中選挙区を見直して小選挙区制でやる、こうした方向が次第にはっきりしてきているわけでありますけれども、選挙制度を幾らいじくったって、衆参の制度、そこだけで問題が解決するものじゃないというように考えるわけであります。今指摘したのはほんの一つの例でありますけれども、そうした金の問題につきましては、先に解決すべきところがたくさんあるのじゃなかろうかという問題の指摘だけさせていただきまして、次の質問に移りたいと思います。  次は、大臣がずっと長年御苦労されてきました定数是正ともかかわる問題でありますけれども、実は最近選挙制度審議会の方から我々の党に対しまして、今度一遍出てきて話をしてもらいたい、こういう要請が参りました。全く私たちが知らなかった、国会とは関係のないところでスタートいたしまして、実は中身につきましても、どういう委員あるいはどういう諮問であるということについて今回初めて資料をいただいたわけでありますけれども、この問題はどうも新聞などを拝見しておりますと、既に中選挙区廃止はほぼ確定した方向であって、小選挙区問題について議論が進んでおる。私たちの知らないところでどんどん議論が進んでいるようであります。大問題だと思っております。私たちがこれに応じて出ていくべきかどうかにつきましても、慎重に対応しなければならないと我が党としては考えているところでございまして、これは他党の皆さんともよく相談をしたいと思っておりますが、この選挙制度審議会が一体どういう経過でできて、どういう諮問で、現在審議状況がどうなっているか等々、概要について自治省から御説明をいただきます。
  57. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 御案内のように、選挙制度審議会そのものは昭和三十六年の法律によってできたものでございます。その後、七次にわたり昭和四十七年まで活動をしておったのでございますけれども、四十七年の末をもっていわばお休みのような状態になっておったわけでございます。ところが、昨年来いわゆるリクルート問題に端を発しまして、いろいろ政治改革というような問題が緊急の課題として出てまいったわけでございます。内閣では総理の私的諮問機関として有識者会議などもおつくりになって、ことしになってからでございますけれども、いろいろ御論議をいただいたわけでございますが、やはりこの際、選挙制度あるいは政治資金制度について根本的な見直しをする必要があるのではないかというような御意見が各方面でも高まってまいりました。そういうことを踏まえて再発足をすることにしようとしたわけでございます。  この選挙制度審議会の再開という話は、実はことしの初めころ、一月末かあるいは二月ころですか、そのころ国会でもそういうお話が出ておったと思います。そのころから再発足をさせたらどうかというような話は出ておったわけでございますが、実際には六月に正式に再スタートいたしております。  それから、諮問事項といたしましては、選挙制度及び政治資金制度の根本的改革のための方策を具体的に示していただきたい、こういうような諮問をしておるところでございます。
  58. 山花貞夫

    ○山花委員 私は前段におきまして、議員定数の問題が金のかからない選挙制度の問題の議論にすりかわっているのではないかということの指摘を含めて発言したわけでありますけれども、実は今の選挙制度審議会のスタート、そこでの議論の進め方を見てまいりますと、問題としては、定数是正についての国会決議を棚上げしているという問題を指摘しなければならないと思っております。  八六年の定数是正の際に、国会では「昭和六十年国勢調査の確定人口の公表をまつて、速やかにその抜本改正の検討を行うものとする。抜本改正に際しては、二人区・六人区の解消並びに議員総定数及び選挙区画の見直しを行う」ことを決議しています。八五年、昭和六十年の国勢調査の確定値につきましては、翌年の十一月に公表されました。速やかに抜本改正に手をつけるべきであったわけですが、この間、昨年五月に設置されました衆院公選特の定数是正に関する小委員会が一回開かれただけで、自民党内の意見がまとまらないことを理由として、実は今日まで小委員会についても開かれないでいるわけであります。したがって、今のお話ですと、諮問の内容につきましても、選挙制度及び政治資金制度の根本的改革のための方策を具体的に示されたい、これが六月二十八日の宇野総理の選挙制度審議会の会長に対する諮問の内容でありますけれども、定数是正の問題について手を触れることなく、この問題を棚上げにしてこうした選挙制度の問題に入っている。ここに最大の問題点があるのだと思います。  今の選挙部長のお話におきましても、かなり問題の省略があると私は考えています。こうした選挙制度審議会を利用するという問題につきましては、ことしの二月かあるいは一月ごろか、今たしかそうおっしゃいましたけれども、そうではないわけであります。私は昨年来この問題についてずっとメモしてまいりましたけれども、一番最初にはっきりしますのは、もう既に昨年の十二月の段階であります。リクルート問題から目をかわす政治改革である、こうした自民党内部の流れの中で、当時の後藤田選挙制度調査会長の方から政治改革の進め方として四本柱ということが提案されています。四本柱の一つは有識者による協議会、もう一つ選挙制度審議会、すなわち外の機関である。内部の機関としては、総裁直属の機関をつくり、これが政治改革委員会になりましたけれども、同時に選挙制度調査会の四本柱にする、こういうことで、リクルート問題のけじめをつけずに、そこから目をそらすために政治改革というものを取り上げた。  既にその段階から外部的な選挙制度審議会を利用するということについては打ち出されていたわけでありまして、十二月の二十三日には竹下元総理と後藤田先生との会談が行われております。この中で政府の選挙制度審議会も活用するということが打ち出されておったわけでありまして、スタートは昨年からであります。政治改革の一環としてなされました。そして昨年来、この春からの流れをずっと見てまいりますと、当初はこの中に定数是正の問題が入っておったのです。定数是正の問題については避けることができない問題として入っておった。それがいつの間にか消えてしまいまして、今日の選挙制度審議会ということになってしまったわけです。  この点について大臣に伺いたいと思うのですけれども、選挙制度の前に国会としては定数の問題に決着をつけるべきではないか。少なくともこの問題につきましては国会の決議がある。この点についての大臣の御所見を伺いたいと思います。
  59. 渡部恒三

    渡部国務大臣 今お話しの定数是正の問題、御指摘のとおり六十一年国会決議がございます。これは尊重されるべきは当然でございます。ただ、山花委員も御承知のように、あの際たしか八増・七減で三対一にぎりぎり、最高裁の判決等を尊重して容認していただけるぎりぎりということでやった記憶がございます。  あれも最初は自由民主党で、私は当時小委員長を務めておりましたが、党で大変な議論をして努力をしたのでありますけれども、なかなか思うように進まず、結局各党の話し合いによらなければ、これは各党間にそれぞれ利害関係のある問題でありますから、与党だけで案をつくっても決められない問題だということで、国会の中に各党協議会ができまして、私が座長で、山花委員もたしか社会党から参加していただいたと記憶しますが、各党の話し合いによってでき上がったということを考えれば、この定数是正という問題は極めて重要な問題であります。これは一与党だけで案をつくって強行するというような性格のものでない、やはり各党共通の責任で、話し合いで進めていかなければ実らない、そういうことで今日にまで至ってしまったわけであります。  そこで、政治改革の中で定数是正の国会決議が尊重されるべきは当然でありますが、同時に大きな意味で、二十一世紀に向かっての議会民主政治を永遠ならしめるための選挙制度はいかにあるべきかということが国民的な課題になっておりますので、一緒にこれらの問題を解決しようというような努力が今行われておるもの、こう承知をいたしております。
  60. 山花貞夫

    ○山花委員 今の大臣の発言に関連してお願いしておきたいと思いますことは、定数是正に関する小委員会が今回も設置されているわけでありますから、こうした問題につきましてはぜひ早急にスタートをさせるということでお願いしたい。これはまた理事会で御協議をいただきたいということをこの際お願いしておきたいと思います。  その際に、蛇足ですけれども一言つけ加えますと、先ほど申し上げました小委員会のときの自民党の態度であります。要するに、我々日本社会党公明党皆さん初めすべての政党も一対二にする具体的な提案をいたしました。定数の五百十一、二のところについては若干の違いはありましたけれども、基本的には二人区・六人区の解消を初めとして、具体的にこうしようということについての提案をしたわけです。自民党の方の御意見としましては、鋭意検討中であるということが繰り返されまして、議員からの意見聴取も行っておる、学者有識者からの意見聴取も行っておる等等、大変詳細な説明をされましたけれども、その結びのところは、以上のような状況で、現段階で我が党といたしましてのまとまった考え方を申し上げることはできないということで終わって、今日に至っているわけであります。  まず各党協議と大臣はおっしゃいましたけれども、こうしようということについて自民党が少なくとも他の野党並みに方針を示すというところから議論が始まらなければ、小委員会を開いても議論は遅々として進まないのではないか、こういう問題についてだけ指摘しておきたいと思います。  最後に、選挙制度審議会の問題に戻りますけれども、今回議論が始まって、我々は新聞紙上を通じて漏れ伝え聞くところ、あるいは今回審議の中身についても若干資料をいただいたりしましたけれども、この定数是正問題については議論はされているのでしょうか、されていないのでしょうか、この点について伺いたいと思います。
  61. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 まず、諮問事項としては極めて包括的な諮問をいたしておりますから、そういうことを論議するということも当然その中には入り得るものでございます。あとは、実際問題として、審議会として議題として何を取り上げるかということでございます。その点につきましては、論議のポイントというものを総会の方でお決めになっておりまして、その中には定数の配分の問題、そういう意味では定数是正の問題も入っております。  それから、実際に議論をしたかどうかということになりますと、第三回目の総会であったと思いますが、そのほかの会合でもございましたけれども、特に第三回目の総会では、私どもの方からもこの定数是正の問題等についてかなり詳しく御説明をした経緯はございます。
  62. 山花貞夫

    ○山花委員 今もお話がございましたけれども、論議の焦点がどこに置かれるのか、そしてどういうテーマから論議が進んでいくのか、そうして一体どういうテーマについてまとまった答申が出されるのか等々については、我々はそこに参加する機会はありませんから知る由もない、こうした実態であります。  実は今回が八回目の選挙制度審議会で、七回まではほとんどすべての機会に特別委員という格好で国会からも参加することがございました。したがって、国会立場でもそれぞれの党の代表が出席をいたしまして、まずここからやるべきである。今回の場合、もし我々が出席させていただいたとするならば、まず国会決議を履行するという定数是正の問題について、当面緊急にこの問題だけは解決をした上で、その次の議論に進もうではないかと当然主張したところではなかったかと思っております。  この後質問される公明党の伏木先生も従来の審議会に出ておられたわけでありますけれども、今回は全く出ておられぬわけでありますから、いらいらされているんじゃなかろうかと、余計なことかもしれませんけれども推測をする次第でございまして、そうした状況につきまして、今回だけ初めて国会からの参加がありませんということであるとするならば、一体どうなっているか等々の問題につきましては、やはり国会の方に御報告を正式にいただくということが必要ではなかろうかと思っているところでございます。国会の方に選挙制度審議会の会長に出てきていただきまして、こういう方向でやるということについて、形については理事会で御協議いただくということになると思いますけれども、やはりそうした機会をぜひつくっていただきたいということを最後にお願い申し上げまして、時間となりましたので、質問を終わりたいと思います。
  63. 左藤恵

    左藤委員長 次に、伏木和雄君。
  64. 伏木和雄

    ○伏木委員 今日、政治に対して国民が大きな不信を抱かれているということにつきましては、今までお話がございました。その問題につきましては後ほど議論させていただくといたしまして、初めに、先ほど自治省の方から今回行われました参議院選挙につきまして御報告がございました。その御報告について二、三お伺いをいたしたいと思います。  初めに、戸別訪問について若干お伺いをいたしたいと思います。  先ほど来、金のかからない選挙ということで大分お話がございました。党員が、あるいは支持者が、あるいは後援会の会員がその支持する人を推薦し、そして近隣の方々に政策なりその人物なりを語っていく、これは選挙にとりまして最も有効な方法ではないか。その最も有効な方法を禁止しておいて、ではどのようにして政策を浸透させるか、あるいは各候補の人柄を知らしめていくかということになりますと、必ずそこにはビラなりポスターなり、あるいはブラウン管を通じるとかいうような手段を得なければなかなか浸透はしない。ということになりますと、先ほど来言われております選挙制度が、金をかけているんだ、かけざるを得なくなっているんだというお話がございましたが、この選挙運動のあり方についてももっと真剣な議論が行われるべきではないか、私はこのように思う次第でございます。  今回報告では戸別訪問が五十八件、このようになっておりますが、このうち起訴をされたのはどのくらいの数になるでしょうか。法務省お見えになっていますか。
  65. 松尾邦弘

    ○松尾説明員 本年行われました参議院選挙における戸別訪問の違反事件でございますが、施行後約百日の統計がございます。この統計によりますと、本年施行されました参議院議員通常選挙におきまして戸別訪問で起訴された総数、これは八十九名でございます。起訴の内容はすべて略式請求ということでございます。
  66. 伏木和雄

    ○伏木委員 従来こうした戸別訪問の起訴に当たりましては、公判請求が何件もございました。地裁によっては、戸別訪問につきまして無罪の判決をしたところもございます。今日、かつては地裁で無罪まで判決が言い渡されているような選挙運動として当然あるべき戸別訪問が、起訴数八十数件ということで、それがすべて略式になっている。国民の間には、もう仕方がないんだ、選挙というのはわけのわからない難しいものであって、我々にはわからぬのだ、したがって、警察あるいは検察庁で言われたらやむを得ないんだという泣き寝入りが多くなってきているのではないか。もうそろそろ戸別訪問は自由にすべきではないか、そういうときが来ている。戦後民主主義も向上いたしまして、選挙に関する国民意識というものは高くなってきております。むしろ買収等、問題は政治家の方でありまして、一般有権者にとっては、買収を防ぐための戸別訪問禁止というような前時代的な発想を持って選挙法を定めるべきではない、このように私どもは考える次第でございますが、この戸別訪問の自由化について大臣、どのようにお考えでしょうか。
  67. 渡部恒三

    渡部国務大臣 ただいまの伏木委員の御質問、今考えておりましたけれども、これは大変難しい御質問でございます。我が国では長い選挙制度の歴史の中でほぼ戸別訪問禁止されており、それはそれなりの、今御指摘のあった買収等の心配があるとか、いろいろの理由があったろうと私は思います。また一方、御指摘のように、政策をできるだけ広い範囲にきめ細かくアピールするというようなことになれば、できるだけ多くの人との話し合いの機会を持つということも大事なことでございます。また地域によっても、伏木先生の選挙区のような都市と、私の方の選挙区なんか一軒の家に行くのに八キロぐらい歩かないと行けない選挙区もあったり、それぞれの事情等もありますし、今ここで私の意見を申し上げるのは、ちょっとまだ勉強をさせていただく、こういうことにしていただきたいと思います。
  68. 伏木和雄

    ○伏木委員 都市と地方と違うというようなお話がございましたが、選挙法を施行しております各国、世界で、戸別訪問禁止している国はあるでしょうか。
  69. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 詳細に調べたわけではございませんが、大体そういうところはないだろうと思っております。
  70. 伏木和雄

    ○伏木委員 というほど日本の国はおくれているのでしょうか、大臣。まあ、それはそれといたしまして、金のかからない選挙を口にするのであるならば、この運動面においても金のかからない方法を真剣に討議すべきである、必ずしも制度の問題だけではないと私は申し上げたいのでございます。  もう一点。よく言われるのですが、文書違反についてです。これは取り締まり当局というのは一体どこなんですかということが言われるのであります。この文書違反、警告一万件、こうなっておりますが、これはどういう警告の内容でありましたか。ビラとかポスターとかいろいろあると思いますが、その種類別に御報告いただけるでしょうか。
  71. 増田生成

    ○増田説明員 お尋ねのございました文書違反の内訳についてでございます。統計上の内訳がございませんので正確にお答えいたしかねるわけでございますが、その大半は掲示違反というふうに認められます。
  72. 伏木和雄

    ○伏木委員 ポスターの掲示違反ということではなかろうかと思います。全国市区選挙管理委員会連合会というのからも要望事項が出されておりますが、この要望事項を見ますと、公選法の百四十七条あるいは二百一条の十一の十一項、これに関する要望でございます。ということは、違反の掲示があったものに対してこのように警告がなされておる、しかし、選管としては広い選挙区を選挙管理委員会だけで管理することは不可能である、取り締まり当局によってこれをやっていただきたい、こういう要望でございます。  よく選挙公示になりましても、NTTの電話線の電柱あるいは電力会社の電柱というものにポスターが掲示されたままになって放置されている。これについて不公平ではないかという声がございます。選挙管理委員会に聞きますと、とてもそれは選管でできない。警察当局に言いますと、それは選管からの警告です、こういうことで、結局はやり得という状況になっております。警告を受けるまではいいんだ。最近は警告を受けても、これはほっておいて大丈夫なんだ、こういうことが言われているということがこの選管の要望事項の中に書かれております。現在はもう警告してもきかなくなっている。これをこのまま放置されたのでは選管として公正を保てないという意味の意見でございますが、こうした違反文書を警告し、その後どうなっているのか、その警告した後の責任ほどこにあるのか、この点を明確にしていただきたいと思います。
  73. 増田生成

    ○増田説明員 お尋ねの件につきまして、警察といたしましては、原則といたしまして関係者に対して指導、警告をいたしまして自主撤去を促しますとともに、その撤去をよりよく促進するという意味におきまして、選挙管理委員会に対しまして連絡をいたします。そういたしまして、その撤去命令の発動をまつということで、各部道府県警察におきまして適切に対応しておるところでございます。  御指摘のように、一部におきましてなかなかその実効が上がらないという面もあるわけでございますが、警察といたしましては、選挙管理委員会などと連携を一層強化をいたしまして、違法行為が野放しにならないように努力をしてまいりたいと考えております。
  74. 伏木和雄

    ○伏木委員 時間がございませんので、この問題はこの程度にいたしまして、定数是正につきまして若干御質問をいたしたいと思います。  まず、大臣は国会における決議をどのようにとらえておるのでしょうか、お伺いをいたしたいと思います。
  75. 渡部恒三

    渡部国務大臣 極めて重要なものであると考えております。
  76. 伏木和雄

    ○伏木委員 極めて重要な問題が今日まで放置されている。その理由は先ほどもお話がございましたように、私どもは事あるごとに衆議院の定数是正についての抜本改正ということを言ってまいりました。  この定数のアンバランスにつきましては、昭和三十年代から人口の大きな移動が始まりました。そして定数是正が叫ばれてまいりました。しかし、昭和三十九年の改正、それから五十年の改正、そして前回の六十一年の改正と、すべてばんそうこうを張るような暫定措置、暫定措置ということでずるずる来てしまったわけでございます。したがいまして、この抜本改正に対する議論というものは三十年来行われている。決して日にちがなかったとは言えない。そのような理屈はもう通らなくなっている。前回も五十八年、最高裁から違憲状態と言われ、六十一年には違憲と、このように断定をされるまでに至りました。その間、選挙につきましては無効というところまでまいりませんでした。それはすべて国会の裁量権ということで、選挙無効にまで至らなかったことでありますけれども、とするならば、国会の意思というものをもっと尊重しなければならない。  その国会におきまして、前回の改正に当たって野党は抜本改正を主張したところ、どうしても暫定的にやる以外にない、もう日にちがない、違憲訴訟まで起きている、そのかわり必ず六十年の国勢調査の結果が発表されたならば直ちに抜本改正に入ります、こういう約束のもとに前回の八増・七減の案が国会を通ったわけであります。あの通過に当たって、あくまでも抜本改正が前提、その抜本改正も六十年国調による抜本改正が前提、こういうことであの法律は通ったわけであります。明年六十五年になりますとまた人口調査が行われるわけでありますけれども、ということになると、六十年国調による抜本改正という決議は一体どうなるのか。今政治不信が叫ばれておりますけれども、私はこのような大きな政治不信はほかにはないのではないか。国会でみずからが決議しながらみずからがそれを実行しない、このような政治不信というものはほかにあるのでございましょうか。     〔委員長退席、中山(利)委員長代理着席〕  そこで、当委員会といたしましては昨年五月、小委員会を開催いたしました。そのとき野党各党からは、それぞれ定数是正に対する抜本改正案提出いたしました。しかし、自由民主党さんはお出しにならなかった。そのとき、たまたま小選挙区制の話もちらちら出てまいりました。しかし、その小委員会におきます合意は、あくまでも六十年国調をもとにして六人区・二人区を排除する、すなわち、三人から五人の中選挙区制によるところの定数是正である、小委員会におきましては小委員長のもとにこの合意を得たわけでございます。これは、自由民主党さんも参加してこの合意を得たわけでございます。あくまでも本委員会における小委員会は、六十年国勢調査の中選挙区制をもとにしたところの抜本改正を行う、中選挙区制以外の制度改正の問題には踏み込むべきではない、こういう小委員会における合意をつくってあるわけでございます。  大臣は国会の決議を尊重される、国会の意思を尊重されると言いながら、今回選挙制度審議会の皆さんにどこまでこの国会の意思をお伝えをいただいているのか。先ほどもお話がございましたように、従来から選挙制度審議会には国会からも特別委員が出ておりました。そこで現場の立場からいろいろ意見も述べさせていただきました。しかし、今回は国会議員の特別委員は排除、それは一つの考えであるかもしれません。しかし、この民主主義の基本になる問題が国会で各党で合意を見た方向とは全く別の方向へと議論が進んでい〈。私どもは見ていて一体どうなっているのかという危惧の念を抱いているわけでございます。  そこで、委員長にお願いいたしたいと思いますが、先ほども山花委員からお話ございましたように、ぜひ審議会の会長さんに当委員会に御出席をいただきまして、私どもが今まで積み上げてきた合意というものを篤と聞いていただきたい。同時に、審議会がどういう方向を目指しているのかという点につきましてもじっくりと承ってまいりたい、このように考える次第でございます。  ということは、今日もう解散・総選挙が口にされております。解散がないとしても明年六月には衆議院は任期でございます。ところが、本年三月の人口調査によれば、東京八区と神奈川四区はもう三倍をはるかに超えている結果が出ております。千葉四区におきましても三倍を超えている結果が出る。ここずっと選挙が終わるたびにこの定数に対して違憲訴訟が出ております。判決の結果は別といたしまして、必ず選挙の都度違憲訴訟が出てくる。今回も、選挙を行えば必ず違憲訴訟が出てくることはもう間違いございません。結局は国会の怠慢、こういうことになるわけであります。その国会で少なくとも一歩前進としての中選挙区制による合意を小委員会において見ているにもかかわらず、選挙制度審議会で別の議論が出てくるというようなことになりますと、一体政治改革というのはいつになったらできるのか、こういう問題が発生してくるのではなかろうかと思いますが、こういった国会の経緯等を自治大臣はどう踏まえておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。     〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕
  77. 渡部恒三

    渡部国務大臣 申すまでもありませんが、選挙制度の将来のあるべき姿、また当面する定数是正等の問題、金のかからない選挙の問題、これは国会の場で各党間で十分な御論議をちょうだいして、前進をさせていただかなければならない問題でございます。  ただ同時に、私もかつて定数是正問題の責任者として非常に苦労した時代、国会がもちろん尊重されなければならないのは当然でありますが、しかしその前提の上に立って、やはりいろいろこの選挙の問題は各党間の利害が伴うので、ひとつ第三者機関にゆだねたらどうだというような意見等も出た記憶がございます。よく永田町の論理とか国民政治とか議論されておりますが、国会議員を除いた学識経験者の皆さん方で、ひとつ国会の場と別なところであるべき方向を御検討賜るということも大変重要な問題であると考え、今選挙制度審議会の皆さん方に立派な議会民主政治を守るための基盤である選挙制度政治資金の制度について御検討を願っておるところでございますから、これは尊重をしていかなければならないと考えます。同時にまた、これは並行して国会で各党間でひとつ十分な御論議をちょうだいしてまいろう、こういうふうに考えております。
  78. 伏木和雄

    ○伏木委員 選挙制度審議会が昭和三十六年に発足して、四十七年から十数年審議会が開かれなかった。なぜか。審議会の意見が国会に反映されない、審議会の意見というものは国会へ来ると国会の議論でなかなか通らないというようなところから審議会が設置されなかった、私はこのように認識をいたしております。  例えば政治資金規正法にいたしましても、審議会の答申では、五年の経過措置を見て個人献金にせよ、こういう答申を出しましたけれども、何らそれは実行されない。あるいは参議院の地方区の定数是正につきましても、東京、大阪、神奈川等につきましては、定数の是正について具体的に審議会から答申が出ております。しかし、これも国会では問題にされておらない。今回も特別委員抜きでこのように審議会を設けられた。一方的に走っていく。  私どもも審議会を否定するわけではありません。我が党の案の中にも第三者機関ということはうたっております。ただ、制度の基本的な問題というものは国会で決めるべきである。もちろん政党の利害が出てくるのは当然でありますけれども、基本的な面においては国会で合意すべきである。そうして、そこの定数とか区割りとかいう問題になると議員個人の利害が入ってしまう。ですから、こういう議員個人の利害というものについては、第三者機関によって、法に従って決定をしていくというようなとらえ方をいたしております。この選挙制度というのは、民主主義の基本にかかわる大問題ではなかろうかと思います。この基本的な問題が余りにも簡単に第三者機関という名のもとに移行されているのではないか。全く国会の意思が無視されてしまっているのではないか。  大臣、責任者であったということでありますけれども、あの国会決議をおつくりになったのは、大臣が協議会の責任者をおやりになっていたときではないでしょうか、国対で。大臣みずからが各党間を調整し、そして八増・七減の案をつくって、そのかわり抜本改正については責任を持ってやりましょう、ただ口約束ではならないから国会において決議しましょう、こういうことで、大臣が協議会の責任者としてあの国会決議をやったわけであります。その国会の総意、各党の総意が次の選挙までに間に合わない。六十一年には国勢調査の結果は出ております。にもかかわらず今日まで放置されてきた。ひとえに自由民主党から現行選挙制に対しての定数是正の抜本改正案が出てこない、ここに問題があったのではないか。それをすりかえるための審議会であっては出発から誤りではなかろうか、このように私は考える次第でございます。  その名目が金のかからない選挙、こういうことになっておりますが、自由民主党の中にありました政治改革委員会が本年の五月十七日に取りまとめたものによりますと、現在の比例区は金がかかり過ぎる、だからこの制度について検討しなければならない、このように言われております。  この比例区の制度を導入する際、公明党徹底的に反対いたしました。何で審議を引き延ばすんだと言われるまで徹底的に反対をしてまいりました。それは、この制度を導入したからといって金のかからない選挙にはならない、金のかかる理由はほかにあるんだ、金のかからない選挙に変えることはできないで参議院を政党化してしまう、この最も悪い部分だけが残る、こういうことで私どもは反対をいたしました。強引に数の力でお通しになったわけですが、やってみればやはり金のかかる選挙ということで改革をしなければならない。  今、審議会で金のかからない選挙イコール中選挙区制を改めることだ、こう言っておりますが、そういうことではない。仮に同士打ちがあるから、同じ党から二人出るから中選挙区制あるいは大選挙区制はいけないんだということになりますと、県会議員選挙は全部変えなければならない。政令市の市会議員選挙も全部変えなければならないことになります。県会の選挙、市会の選挙はみんな同じ党から二人、三人と出ているわけです。こういうものは解消できないではないか。金のかからないようにするにはほかの方法を用いなければならない。あるいは小選挙区制にしたところで、例えば奄美大島の選挙戦というものがいかに金権選挙になっているか。あそこは一人区です。もう大臣御承知のとおりでございます。あるいはたった一人の首長を選ぶ地方の村長選挙、町長選挙は金がかかっていないか。たった一人選ぶ小選挙区制と同じでございます。金がかからないのかといえば、やはりそこには大きな金が動いている。逮捕者まで出している。こういう問題の解決にはならない。  したがって今、金のかからない選挙イコール中選挙区制を否定するという考え方は余りにも短絡過ぎないか。それよりもむしろ国会で議決し、小委員会においても合意を得ている現行選挙区制によるところの抜本改正、これを真剣にやるべきではないか、このように考える次第でございますが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  79. 渡部恒三

    渡部国務大臣 六十一年のたしか五月と記憶いたしますが行われた国会決議、それが今日まで至っている。これについては、私も内閣に入る前かなり長い期間国会対策の責任者をしておりましたけれども、自民党の方で熱心にこの抜本改正に取り組もうという呼びかけをしたときは野党の方がこれに応じない時期もありましたし、また、野党の皆さん方が熱心になったときこちらが今御指摘のような状態のこともあったかもしれませんけれども、政治は生き物でありますから、刻々といろいろな問題が次から次へと国会の大きな課題ということで出てまいって今日に至ってしまったので、これは必ずしもどちらがいい、どちらが悪いという議論でなくて、残念ながら与野党合意に至らず今日に至ってしまったのであります。  選挙制度審議会の問題は、またこれとは次元の別な問題で、この一年間のいろいろな出来事の中で国民政治不信が高まった。その政治不信を解消するために、これは先ほど答弁申し上げたように、選挙に立候補する者、またみずからの代表を選ぶ者の意識革命というものが何よりも何よりも大事なことと私は思いますが、同時に制度面の欠陥も改めていかなければならないということで、今日の政治不信という状態の中で、広く国民を代表する立場皆さん方、それぞれマスコミの皆さん、学者の皆さんあるいは経済界の皆さん、労働団体皆さん、そういう幅広い国民を代表する立場、あるいは制度についての学識経験をお持ちの皆さんに、二十一世紀の未来に議会民主政治を確固たらしめるための制度はいかにあるべきかということで今鋭意御審議をお願いしておるところであって、それとこれとは別次元の問題で、決して矛盾する問題ではないと私は考えております。
  80. 伏木和雄

    ○伏木委員 意見の相違があって与野党ともにずらしてきたという仰せでございますけれども、我々は抜本改正を行うべきである、自民党は暫定案にすべきであるということで意見の一致が見られなかった。それでおくれたわけであります。しかし、暫定案を抜本改正を前提に合意し、そして抜本改正を行うという意思の統一のもとに抜本改正案に入っていけば、自民党さんもそれに積極的になれば、私はもっと大きな前進が見られる、こう考えておる次第でございますので、その点申し添えまして、質問を終わります。
  81. 左藤恵

    左藤委員長 次に、川端達夫君。
  82. 川端達夫

    ○川端委員 参議院の通常選挙が終わりまして、結果的に言うと、今まで十五回の中で非常に大きな変化のあった選挙であったというふうに思います。中身に関しては受けとめはおのおのあると思うのですが、そういう中で、争点としていわゆる三点セットと言われました消費税、リクルートあるいは農業問題というのは、政策上の争点としては確かにそういう大きな問題はありましたけれども、その中の根底に国民政治に対して非常に大きな関心を持った。この関心は前向きな関心というよりは、怒りを持ったということだと思います。それを突き詰めていきますと、どうも政治ないしは政治家というものが我々国民に対して何もしてくれないだけではなくて、とんでもないことをしているのではないかという、いわゆる政治不信であったというふうに思います。そういう大きな怒りがもっと何とかしろよという声として、こういう大きな流れの変化を私はつくったのだというふうに思います。  そういう中で、とりわけ政治家に対してのモラルも含め、いわゆる金権、利権にまみれているという姿があからさまになったことに対して、もういいかげんにしてほしい、何回こういうことを繰り返すのだということをいまだに非常に根強く怒りとして持っておられる、不信として持っておられると思うのです。リクルート、いろいろ議論がありました。例えばこの前もパチンコという話も出てまいりました。もううんざりする、またか、いいかげんにしろ。そして議論を通じて見ていったときに、なるほどもう二度と起こさないように、過去の経緯もよくわかったし、もうこれからはそこそこ直っていくだろうというふうに、胸のつかえがおさまったという議論が、国会で何もないという状態では不信の持っていきようがないという考えを持っておられる。  したがって、今の国会において本当にそういう政治不信を払拭する国会改革、政治改革が具体的に一歩ずつ進むという姿が見えなければ、もう見放されるのではないか。この前は怒りを持って行動をしてみたけれども、もう何をしてもどうしようもない、政治家及び政治なんというのに何も期待ができない、そういうふうになるということは非常に危険な状態を醸し出す。一時期の軍部が台頭した時代、あるいは歴史が物語る全体主義がばっこする時代というのは、やはりそういうふうに議会制民主主義というものを国民が当てにしなくなるという状況がその背景にあった。そういう意味では、この国会が具体的成果を非常に厳しく国民から問われているというふうに私は思っているのですけれども、いわゆる政治改革に対しての今時の状況というものに対して大臣の御認識をお伺いをしたいと思います。
  83. 渡部恒三

    渡部国務大臣 最後におっしゃられた言葉……。
  84. 左藤恵

    左藤委員長 もう一度最後のところ。
  85. 川端達夫

    ○川端委員 今こういう状況で、この国会政治改革に対して本当に具体的に厳しく成果を上げていかなければ、もう国民は本当に怒りというのを通り越して、政治を見放してしまうという状況になると思うのですね。そういう意味で、今我々に課せられた責任というのは非常に重く大きいというふうに私は思うのですけれども、大臣として現在の政治状況国民の気持ちというものを含めて、政治改革に対しての御認識と姿勢に対するお考えをお伺いしたいと思います。
  86. 渡部恒三

    渡部国務大臣 これは全く同感でございます。
  87. 川端達夫

    ○川端委員 そういう中で、私きょうは非常に時間が限られておりますので論点を絞りたいと思うのですが、きょうの議論をずっと通じても、各委員が指摘をされたのと重複するのですが、ややばらばらにというよりも、むしろこの国会というものを離れたところの議論が先行し、ひとり歩きをしているという懸念を持つわけなんです。  確かに、今政治改革をするというときに、お金がかかり過ぎる、そういう部分で今の選挙制度がこれでいいのだろうかということは長年言われてきた議論ですけれども、そういう中で、小選挙区制でなくて今の中選挙区、複数候補を単記で投票するという選挙制度は確かに日本独特の選挙制度である。複数選挙の場合は複数名を投票するというのが大体各国の例のようでありますし、あるいは一人区にする。日本のような選挙制度は非常に珍しいのですけれども、そういう中で、いわゆる派閥の問題も含めて、地盤培養に対して、政策ではなくて、個人で非常にお金がかかるとかいうことは長年議論されてきたことではありますけれども、いわゆる定数問題というのを抜きにして、一挙に小選挙区という議論が国会ではなくて周辺でいろいろされている。  例えば新聞報道でも、先月の三十一日に自民党の幹事長、それから伊東党政治改革推進本部長、後藤田本部長代理と総理が会談されて、来年十一月の国会開設百年をめどに選挙制度の構造に抜本的なメスを入れることで一致した。政府の選挙制度審議会の来年三月の答申を踏まえて、来年十一月をめどに結論を出すことで認識が一致したというふうなことが書いてあるわけですけれども、政府として、これは総理がお入りになっているのですから政府として、政府のおっしゃる抜本改革というものがこういう議会制度百年をめどにとか、三月の答申を受けて十一月までにとかいうふうなことまでマスコミで報道されているということに対して、所管大臣としてそのこと自体どういうふうに御認識をされ、どういうふうに承知をされているのか。いろいろ議論はありますけれども、特に選挙制度審議会が三月に答申を出されるということを受けて、その後スケジュール的にもどういうふうに考えておられるのか、お伺いしたい。
  88. 渡部恒三

    渡部国務大臣 私どもの立場は、今選挙制度審議会で、二十一世紀の未来に向かって議会制民主政治を確固たるものにするための選挙制度政治資金あり方について御審議をいただいておるところであります。しかも、今お話がありましたように来年の三月中にひとつ答えを出していただきたいということでありますから、これを尊重していかなければならないのは当然でありまして、今いろいろ議論がありましたが、これは総理にいたしましても、またそのもとでこの問題を担当させていただいておる自治大臣としても、今御審議をいただいておるのでありますから、そのお答えが出る前に私どもの方から、こうこうこういうことがいいとか、こういうものは悪いとか、具体的な意見を申し上げることは差し控えさせていただくべきである、こういう認識であります。
  89. 川端達夫

    ○川端委員 何かもうまるで来年の百周年に合わせて小選挙区制をやるみたいな話がどんどん出るというのは、非常に遺憾なことであるということだけ申し上げておきたいと思います。  それから定数問題に関しては、これは本当に国会の中だけに限らず、いろいろな形で議論をしていくべきで、そして国会決議を踏まえて、ある部分では早急に答えを出さなければいけない、抜本改正をすべきだという立場に我々は立っておりますけれども、定数というものの原点は何なんだろうかということで、きょうはそうそう論議をする時間がありませんので、お考えを確認しておきたいと思うのですが、公選法の第四条第一項に四百七十一名というのが明記をされております。この定数をいろいろ調べてみたのですが、いつどういう根拠で定められたものかについてちょっとお教えをいただきたいのです。
  90. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 簡単に申し上げますと、公職選挙法が制定されたのが昭和二十五年でございますが、当時の総定数四百六十六をまず本則の定数として決めたわけでございます。その後沖縄復帰がございましたので、沖縄県の定数五名を加え、四百七十一が現在の本則の定数になっておるということでございますが、若干だけ過去にさかのぼりますと、実はこのいわゆる中選挙区制というのが導入されたのが大正十四年でございます。このときの総定数が四百六十六でございましたが、考え方としては、それまでの総定数をなるべく変えないという考え方のもとにつくられたわけでございまして、ちなみにその前の総定数は四百六十四であったわけでございます。ですから大正十四年以来四百六十六という定数が来ておる、それに沖縄分が加わって四百七十一であるということでございます。
  91. 川端達夫

    ○川端委員 それで、大正十四年ですか、それまでの部分というのはわかるのですけれども、その四百六十六という数字の根拠に対して、随分昔の話ですけれども、何か知見等がありましたらお教えいただきたいと思います。
  92. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 当初三百人ということで選挙制度が出発したわけでございますが、なぜ三百かということについては、私どもいろいろ調べてみましたけれども、はっきりした説明というものは見出せないわけでございます。その後、人口等がふえるに従って、人口何万に一人というような形である程度定数がふえてきたわけでございますが、先ほど申し上げました大正十四年の普通選挙、中選挙区ができましたときに、従来の定数はなるべく変動しないようにしようということで実際の選挙区割りとか各県への定数配分等もやった結果、四百六十六という数字だったということなのでございます。
  93. 川端達夫

    ○川端委員 ことしの七月四日の朝日で石川真澄さんという記者が「選挙制度を考える」という記事を書いておられるのですが、私、ちょっと調べてよく確認ができていないのでお尋ねをしたいのです。  大正十四年に四百六十六人が決まった。それに沖縄の五人足した分の四百七十一というのがそれ以来延々と一つの聖域というのですか、そういう数字として動いているわけですが、それができた時点というのは、「一九二〇年に初めて行われた本格的な国勢調査で分かった日本の総人口五千五百九十六万人を十二万人で割って四捨五入した数だった。」「当時の政府が帝国議会でした提案趣旨説明でも、新聞記事にも「十二万人につき一人の議員」という言葉がはっきり出てくる。」こういうふうに書いてあるのですけれども、その部分に関しては何か確認できるでしょうか。
  94. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 十二万人につき一人というのは確かに改正理由の中で言っておりますが、ただ、なぜ十二万人かということにつきましては、「現在ノ議員定数ニナルベク増減ナカラシムルノ目的ヲ以テ、」ということが前に書いてありますものですから、もとは総定数は余り変えないでいこうというのがあったと見ていいのじゃないかと思っております。
  95. 川端達夫

    ○川端委員 十二万人とか何万人というのは、数字として何か根拠があるということは難しいと思うのですけれども、少なくとも大正十四年にいろいろ議論されたときに、一つの考え方としては、継続性という部分で余り変わらないということであったと思うのです。それはわかるのですけれども、ではそのときに、趣旨説明にまで十二万人に一人ということが書かれたということは、十二万人がいいのか何万人がいいのかは別にして、国会議員というものはある国民の数に対して一人という基本的な思想というのがあるのではないか。個個に厳密にということではなくて、平均的に言えば何万人かに一人、そういう状況で選ばれる国民の中の代表者である、そういう思想というのは間違いなくあるのではないかと思うのです。これが結局その後人口がふえてきたとかいうときに、先ほどばんそうこうを張ったみたいな話ばかりやってきたということを言われるのですが、現に今までそうなんですね。暫定的というのは、人口が移動して間尺に合わなくなる、あるいは最高裁の判決で三倍は困るという部分では、そこの部分だけを減らしていこうということになる。  しかし、大きく本来国会議員の定数とはどういうもので考えるべきなのかという議論が欠落をしているのではないか。そのことに関して大臣、個人的な見解でも結構ですので、定数というものを考えていくときに、本来国会議員というのは、投票権を持つという国民の等しい権利として、ある何万人か何十万人かに一人その国民を代表するというのが大原則である。それにあと地域性とかいろいろな部分を含めてプラスアルファが加味される、調整がされるというものであるべきではないかと思うのですが、どうでしょうか。
  96. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 先にちょっと外国の例なども説明させていただきたいと思いますが、例えばアメリカですと四百三十五人に固定する、そういう考え方をとっておりますので、確かにおっしゃいましたように、ある人口に対して一人の割合で議員をという考え方もあり得るとは思いますが、世界各国がすべてそれで一致しておるというわけでもないとは思っております。
  97. 渡部恒三

    渡部国務大臣 これも大変難しい御質問で、十万人に一人であるべきか、二十万人に一人であるべきか、三十万人に一人であるべきか、これはその国の情勢もありましょうし、なかなかお答えしにくい問題だと思いますが、我が国では今お話しのように沖縄が復帰して四百七十一というのが本則による定数になっておるわけですから、これが基準になってこれから検討されていくべきものだと思っております。
  98. 川端達夫

    ○川端委員 時間が来てしまったのですが、何万人がいいという話をしているのではなくて、本来基本的には、平均的に言えば何人かの国民を代表する者が代議士ではないのか。その基本的な観念が抜けてしまっていろいろ議論する。その途中で例えば行政区である都道府県であるとか、その地域の中の山間僻地、離島を含んでいるとかいう部分の調整はある。しかし、そういう憲法で保障された国民の権利として、基本的な概念という中で選ばれるという哲学が今ないのですね。ですから、今都道府県によって、おのおのの選挙区で三倍だどうだという議論をしていますけれども、都道府県合計の住民で見ると逆に逆転しているような選挙区が出てくると、少ない県民なのに国会議員の数が多いとかいうふうな非常に矛盾した部分も出てくる。  ですから、これからの定数問題を議論するときに、個々人のメリット、デメリットにかかわってくるという議論があります。だから一挙にできない、あるいは短絡してもう小選挙区にしたらいいという話も出てきますけれども、そういう場合でも、基本的にどういう形で国会議員というのは選ばれるべきなのかというふうな議論をもっともっとしていって積み重ねていかないと、いつまでたっても基本の哲学がないから、ほころびを合わすばかりの改革しかできないのではないかと思います。  きょうは時間がありませんので、そういう問題提起でしかないですけれども、またお考えをいただきたいし、我々も議論をしていきたいというふうに思っております。  時間が過ぎましたので、終わります。ありがとうございました。
  99. 左藤恵

    左藤委員長 次に、松本善明君。
  100. 松本善明

    松本(善)委員 参議院選挙で示された国民の意思というのは、消費税反対、それから金権腐敗政治一掃ということなどが大きなものでありますが、今政府や自民党の方がその金権腐敗政治の問題については、逆に小選挙区制であるとか、政治活動規制というふうな方向へ持っていこうとしておるのは極めて遺憾だと思うのです。  例えば、自民党が提案をした公選法でのポスター制限の問題とか、この委員会でも先ほど質問がありましたが我が党の機関紙活動に対する規制、これは憲法の保障した最も基本的な政治活動で、それも我が党の場合には、自治省の発表しました行政見解にもきちっと合致する活動をしております。こういうものに対して介入をしようというような方向については厳しく抗議の意思を表明をいたしまして、質問をしたいと思うのであります。  自治大臣、先ほど小選挙区制問題や定数是正問題については、各党が厳しい批判的な質問をされました。私たち日本共産党は、小選挙区制は膨大な死票を生み、得票率を大幅に減らしても、相対的に第一党でさえあれば過半数の議席を安定的に占められるというような、国民の意思と選択を国会の議席に正確に反映する点で根本的な欠陥を持った制度だというふうに考えております。先ほど自治大臣の答弁の中で、定数是正は各党協議でやるべきだ、こういう御答弁をされました。当然だと思うのですけれども、選挙制度というのはもっと根本的な問題で、これはもう各党協議でやらなければならぬ性質のものであります。  選挙制度審議会は第七次の審議会の報告で、衆議院議員の特別委員抜きに答申を決定することは適当でないということで総理への報告を出しております。それからまた一昨年の九月十六日ですが、小笠原選挙部長国会での答弁で、こういう問題はやはり国会で論議するのが適切だ、だから選挙制度審議会はそれ以降開かないことになったのだ、こういう答弁をしております。各党で論議をして大きな筋を出すというのは当然のことで、これが民主的で、また原則だと思います。坂野自治大臣も先日ですが、五月の二十四日に、これはもう時間をかけて、暇をかけて各党御論議をしていただきたい、こういうことでずっと来ていたわけです。  それが今度突如として、海部内閣になって選挙制度審議会で、しかも特別委員抜きに、国会の論議抜きにずっと選挙制度についての議論を進めようとしている。これは国会軽視も甚だしいし、今までの選挙制度審議会の経過を全く無視するものではないかと思いますが、自治大臣、どう思います。
  101. 渡部恒三

    渡部国務大臣 この一年間のいろいろの出来事の中で国民政治不信が高まってきた。その政治不信を解消して政治信頼を取り戻す、これはお互い政治に携わる者全員の責任であると考えます。私は、先ほどもお話ししたように、それは意識改革の問題もあるし制度改革の問題もある。その制度としては公職選挙法、また政治資金規正法、これが柱となるものでありますから、これが二十一世紀の議会民主政治を確固たらしめるためにどういう方向で進むべきものか、これはやはり国民各界各層の皆さん方からお聞きする必要がある、そしてその御意見を尊重しなければならない、こういうことで選挙制度審議会を再発足していただいて、今鋭意御審議をいただいておるのであります。  かつて国会議員がこの中に入っておったのが今度は入らなくなったということについては、野党の皆さん方の中にも、それはいいことだという御見識をちょうだいもいたしておる御意見等もございます。いずれにしても法律を通すのは国会なのでありますから、やはり我々は今国民からいろいろの御批判を受けている以上、これからの議会民主政治のあるべき制度について国民の各界各層を代表する皆さん方に御審議を願って、その御意見を賜る、これは当然のことであると考えております。
  102. 松本善明

    松本(善)委員 私の聞いた経過については何も触れないで御答弁でありますけれども、結局そういう経過を無視しているというようなことについては、何とも言えないということなんだと思うのですね。  選挙制度審議会の選挙制度を担当する第一委員会は、わずか一カ月の審議で、中選挙区制を廃止をして小選挙区制の方向を出したというふうに報道されていますし、それから、自治省の幹部が驚くほどのスピード決着だ。これは委員が小選挙区制を主張する人に偏り過ぎているからなんですよ。だから一遍にそういう結論が出るのです。結果的に見て非常に不公正に選挙制度審議会が進められているということだと思うのです。大体小林会長は小選挙区論者でしょう。第七次審の速記録によりますと、第七次審議会の委員で小選挙区に徹したらいい、それ以外には方法がない、こういうふうに言っていますが、そのとおりですか。
  103. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 過去の会議録で現在の選挙制度審議会会長がどういう発言をしておられるかということは、特別確認はいたしておりません。  それから、先ほど御質問の中でありましたことに関連いたしまして、ちょっと事実関係について申し上げさせていただきますと、第一委員会は新しい選挙区についても検討しようということは決められましたけれども、それがどういうものであるかということまでお決めになっているわけでは全然ございません。
  104. 松本善明

    松本(善)委員 確認をしてないといったって、これはもうきちっと七次審の速記録にあるわけでして、各党の議員が言われましたように、私はやはり小林会長に国会に来てもらって、一体どう考えているんだ、選挙制度審議会のあり方審議の方向等について聞くべきだ。国会の上に選挙制度審議会があるようなことは絶対認められないと思います。  しかも自治大臣は、選挙制度についてどうだという質問に対しては、それはもう答弁を差し控える、今審議してもらっているところだと言っていながら、海部総理大臣はもうどんどん小選挙区の発言をしているじゃないですか。それが新聞紙上にも出ていますよ。十月四日、新聞社の編集局長会議での講演だとか、小沢幹事長との会談で一致した、報道でこういう答弁をしている。総理大臣がそんな方向を出しておいて選挙制度審議会で審議をしてもらう、こういうやり方は絶対正しくないと思いませんか、大臣。
  105. 渡部恒三

    渡部国務大臣 海部内閣が誕生してからこの種の問題で国会の場の議論では、予算委員会が過日行われて、専門的な問題での審議はきょうこの委員会で初めて行われるわけでありますけれども、私はもとよりのことでありますけれども、総理も小選挙区というようなことを述べておることは、私の記憶にはありません。松本先生、よほど小選挙区がお好きなのでそういうふうに聞こえるのかもしれませんけれども、政策本位の選挙をやらなければならない、これはいろいろの方がおっしゃっておることであって、総理もそういうお話をしておられるということは聞いておりますけれども、それ以上進んで小選挙区であるとか中選挙区であるとか大選挙区であるとか、これは今選挙制度審議会で御審議をいただいておるところなのでありますから、その前に当面の責任者が予見を与えるというようなことは好ましいことではないというのが私の考え方でございます。
  106. 松本善明

    松本(善)委員 ないはずだといったって、これは新聞記事で幾らでもありますよ。新聞報道で総理大臣がそういう方向の発言をしているというのは、枚挙にいとまがないですよ、一々言いませんけれども。それは総理大臣にそう言っておくべきですよ。そんなことではもう意味がない。私はこういうやり方は極めて重大で、絶対認められないと思いますよ。各委員も言われましたが、今やるべきことは定数是正なんですよ。公職選挙法の改正問題を論ずるとしたら、真っ先に定数是正をやるべきです、国会の決議があるのですから。来年は国勢調査結果が出るのでしょう。そして今、間もなく解散になるだろうというふうに言われているんだから、今やらなかったらやらないということですよ。国会決議無視ということになるんです。そういうようなやり方は断じて認められない。ほかのものに何よりも優先して定数是正をやるべきだということだと思います。これを指摘をしておきます。  今度の選挙の中で金権腐敗政治に対する批判が非常に厳しかったわけですが、パチンコ業界からの献金問題も議論されています。閣僚について発表もございました。大石郵政大臣、水野総務庁長官、戸井田厚生大臣、それぞれ六十一年選挙の陣中見舞いとして三十万、二十万、百万円もらった。陣中見舞いは寄附として会計帳簿に記載をして、選挙運動に関する収支報告書報告が必要だというふうに思います。この三人の方の収支報告はどういうふうになっていましょうか。
  107. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 これは関係選挙管理委員会に照会いたしましたわけでございますが、大石郵政大臣につきましては、昭和六十一年七月の選挙運動費用の収支報告書の要旨を公表した県の公報において、静岡県遊技業組合連合会から三十万円の寄附を受けたとの記載がございました。それから水野総務庁長官については、昭和六十一年七月の選挙運動費用の収支報告書の要旨を公表した県の公報において、成田遊技場組合から二十万円の寄附を受けたとの記載がありました。記載がありましたのは以上でございます。
  108. 松本善明

    松本(善)委員 戸井田厚生大臣についても有力中央紙二紙に、これは陣中見舞いとしてもらったということを御本人が言っておられる記事が出ております。これは当然選挙収支報告に記載さるべきことではないかというふうに思いますが、いかがでしょう。
  109. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 選挙運動に関する寄附選挙運動の収支報告書に記載することになっております。問題は、その具体的な事実がどういうお金だったかということだと思います。
  110. 松本善明

    松本(善)委員 これは本人もそういうことで言っているわけですし、渡部自治大臣も当時三十万円を政治献金として受け取った。これは各新聞のコメントで言われております。陣中見舞いとして受け取ったというふうに報道されている。御本人の話として出ているものもございます。選挙中の七月二日に事務所で受け取ってということでありますから、どう考えても選挙に関する寄附じゃないか。このパチンコ業界からの献金は今の閣僚三人も、戸井田さんは報告に出していませんけれども、しかしみんな陣中見舞いだと言っている。自治大臣も新聞ではそういうふうに言っておられる。しかも、このパチンコ業界からの献金について各党発表されました。社会党も公明党民社党もされましたが、圧倒的に陣中見舞いです。時期から考えまして、これは陣中見舞いとしか考えられないのですけれども、自治大臣は戸井田厚生大臣同様、選挙運動に関する収支報告では報告をされていない。これはどういうわけでしょう。
  111. 渡部恒三

    渡部国務大臣 私は昭和四十四年に初めて国会に出るときに、私の選挙区は会津地方と県南地方と二つの地域があるわけですが、その会津地方で私を熱心に後援してくださる皆さん方が渡部恒三政治経済研究所というものをつくってくださって今日に至っておりますけれども、六十一年、大変長い間私の熱心な後援者であり、また地域の皆さんからも信望の厚い前の商工会議所の会頭さんが、私の政治経済研究所に御寄附を賜ったということを聞いております。
  112. 松本善明

    松本(善)委員 選挙運動についての収支報告として報告されなかったのはなぜかということをお聞きしたのです。選挙運動収支報告書報告されなかったのはなぜかと。
  113. 渡部恒三

    渡部国務大臣 私の政治経済研究所の政治活動に御協力をいただくために御寄附をいただいたわけですから、そこで当然届け出報告がなされたものと承知をいたしております。
  114. 松本善明

    松本(善)委員 刑事局長、ちょっと聞きたいのだが、これはもちろん選挙運動収支報告書に陣中見舞いをもらっているのに書いてなければ違反だと私は思うのですが、渡部自治大臣の問題とちょっと離れてですけれども、その当事者側で政治献金として処理しているかあるいは何も書かなかったか、そういうことは別として、捜査するという観点からすれば、客観的にそれが選挙運動に関する収入であればやはり報告しなければならぬ、収支報告に載ってなければ違反、こういうふうに見て捜査をすべきものではないかと思いますが、その点刑事局長の見解を聞きたいと思うのです。
  115. 中門弘

    中門政府委員 捜査するかどうかというふうな点につきましては、個々の事案の事実関係に基づきまして、それぞれ具体の事案に即して判断すべき問題だというふうに承知しております。
  116. 松本善明

    松本(善)委員 時間が来ましたけれども、今のお話のように、やはり客観的に事実関係を判断をして、これは選挙運動に関する収支報告書に載せるべきかどうかということになる。渡部さんの方でこれは違うということでやられたかどうかわかりませんけれども、客観的に見れば、時期から見ても全体の状況から見ても、陣中見舞いであるということはだれが見ても、それ以外だというのは何でそうなんだろうか、その根拠がなければみんな納得しないと私は思うのですよ。しかも渡部自治大臣選挙運動に関する担当大臣でしょう。警察のそういう問題を取り締まる担当大臣でしょう。そういう立場の人がこういう問題をあいまいにしていたのではだめだと私は思うのですよ。私は、担当大臣としてこれについての反省をしておられるかどうかお聞きして、質問を終わろうと思います。
  117. 渡部恒三

    渡部国務大臣 たしか私の会津若松渡部恒三政治経済研究所で堀川さんから御寄附をちょうだいした時期は六十一年で、私はまだ自治大臣になっておらなかったと思いますけれども、今こういう問題が起こって、その時期のことを私なりに秘書から調べましたところ、これは渡部恒三政治経済研究所、地域社会の有志の皆さん方が、長い間皆さん方のお力でこの活動を支えてくださっておったわけですから、その支えてくださった有力なメンバーである堀川さんがその研究所に御寄附をいただいた、こういうことであります。
  118. 松本善明

    松本(善)委員 これで終わりますが、何の反省もなくて極めて遺憾だということを申し上げ、質問を終わりたいと思います。
  119. 左藤恵

    左藤委員長 次回は、公報をもってお知らせす ることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時十分散会