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1989-12-06 第116回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十二月六日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 正木 良明君    理事 江口 一雄君 理事 岡島 正之君    理事 関谷 勝嗣君 理事 関山 信之君    理事 山田 英介君 理事 田中 慶秋君       粟屋 敏信君    北川 石松君       左藤  恵君    鈴木 恒夫君       永井 孝信君    辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 江藤 隆美君         建 設 大 臣 原田昇左右君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   渡部 恒三君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 水野  清君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      高原須美子君  出席政府委員         警察庁交通局長 関根 謙一君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       加美山利弘君         経済企画庁総合         計画局長    冨金原俊二君         運輸省運輸政策         局長      中村  徹君         運輸省地域交通         局長      早川  章君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      松波 正壽君         運輸省貨物流通         局長      寺嶋  潔君         運輸省航空局長 丹羽  晟君         建設省道路局長 三谷  浩君  委員外出席者         警察庁交通局交         通企画課長   賀来  敏君         警察庁交通局交         通指導課長   坂東 自朗君         警察庁交通局交         通規制課長   島田 尚武君         警察庁交通局高         速道路課長   小池 登一君         経済企画庁総合         計画局計画官  藤森 泰明君         大蔵省主計局主         計官      浜中秀一郎君         文部省体育局学         校健康教育課長 石川  晋君         労働労働基準         局賃金時間部長 椎谷  正君         特別委員会第一         調査室長    寺田 晃夫君     ───────────── 委員の異動 十一月二十二日  辞任         補欠選任   鈴木 恒夫君     二田 孝治君 同日  辞任         補欠選任   二田 孝治君     鈴木 恒夫君     ───────────── 十一月二十四日  交通事故防止対策等強化に関する陳情書(第一〇〇号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ────◇─────
  2. 正木良明

    正木委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡島正之君。
  3. 岡島正之

    岡島委員 先月の十六日のこの委員会質問機会をいただきましたが、その際私は、交通安全、さらにまた交通事故死亡抑止一大国民運動として、全国民に向かって宣言されることを強く提唱いたしました。その際、水野大臣よりは、閣議において検討し実施されるとの答弁を賜りました。翌日の十七日の閣議におきまして、きょう御出席の各大臣皆さんがそれぞれ極めて積極的に御発言をいただいたという報道がありました。さらに、二十八日には交通事故非常事態宣言が行われ、初めて国民に向けて一層の理解と協力が訴えられました。  現実緊急課題に向かって迅速果敢に挑戦をいたしますいわば海部内閣政治姿勢というものを私は高く評価をいたしますと同時に、その中で、水野大臣が新宿の街頭に立たれてその運動をされた、さらにまた、報じられるところによりますと、渡部大臣が福島県の郡山の交通安全対策協議会街頭活動出動式にみずから率先して出席された、いわばそういう関係者努力というものがうかがわれるわけであります。また、今都内を走っておりますと、都内の主要な交差点におきましては、警視庁警察官皆さんが率先してこれまた街頭指導に立たれております。これらの積極的な姿勢は、私は、恐らく大きな成果を上げ得るものだ、実はこう考えているわけでございます。そういう中で、それぞれの皆さん幾つか御質問を申し上げますので、ひとつ的確な御答弁を賜りたいと思います。  まず、水野大臣にお伺いをいたしますけれども宣言はされましたが、これからいよいよ交通対策本部長として交通安全対策、さらにまた交通事故死亡抑止に対してより積極的にお取り組みをいただきたいと思いますが、それについての決意のほどをまずひとつお伺いをいたします。
  4. 水野清

    水野国務大臣 岡島委員も御承知のとおり、交通事故が、昨年に引き続いて、ことしはさらに増加の一途をたどっております。そのことはもう御承知でございますから、詳しく申し上げませんが、そこで非常事態を認識いたしまして、十一月二十八日に交通事故非常事態宣言を発表させていただきました。政府として、私ども総合調整の官庁でございますから、各省庁にかかわる交通安全対策をもう一度洗い直しをしていただく、また、各省庁関係する出先機関あるいは関係団体を動員してこの非常事態を何とか防止していく、こういったようなことからお願いをしたわけでございます。  その中には、例えば内閣自身広報啓蒙活動予算も流用していただきまして交通安全対策に使わせていただきましたし、あるいは、特に警察庁には大変感謝をしているわけでございますが、警察交通関係者はその後夜の寝る間もないぐらいに勤務体制をつくっていただきまして、各地事故防止にかかっていただいております。あるいは建設省におきましては、事故多発地点、いわゆる道路上の多発地点がございますが、その構造上の問題も洗い直しをしていただくということで、各地方建設局ごと対策本部をつくっていただきまして、今その問題点調査していただいているわけでございます。  おかげをもちまして、実は非常事態宣言以降少しずつ、絶無というわけにいきませんが、一日平均十人以内あるいは五人前後というような数でありますが、死亡者がやや減っておるわけでございま す。これはまことに各省庁一致協力をしてこの年末に際して御努力をいただいていることでありますので、この席を拝借しまして深く感謝を申し上げるところでございます。  また、交通対策本部長としましては、二十八日に各都道府県知事に対しまして緊急協力要請をいたしまして、各部道府県知事もそれぞれの県庁所在地あるいは周辺におきまして街頭広報活動を行っていただき、あるいは知事さんみずからが、私の地元千葉県のことを申し上げては恐縮でありますが、防災無線を通じまして県下の各市町村長に対して呼びかけを行いまして、市町村長はそれを受けてさらに交通安全協会その他に要請をして、交通安全活動を展開していただいている際でございます。これは千葉県の話は一つの例でございまして、全国ほとんどの都道府県知事のもとで交通安全に対する啓蒙宣伝あるいは防止のための活動について御努力をいただいている際でございます。この際、深くお礼を申し上げておきます。  そこで、今後の恒久的対策という問題につきましては、これは即効薬的な問題に今手を打っているわけでございまして、なおこれから問題点をさらに洗い出しましてやっていきたいと思っておりますが、例えば先般衆議院では通していただきましたけれども道交法の一部改正、いわゆる免許証の取りたての初心者に対する取り扱いの問題を規定を厳重にしていただきました道交法改正につきましても、現在参議院に法案が回っておりますが、早期に、でき得ればこの臨時国会中に必ず成立をさせていただきまして、これもまた初心者対策として私は非常に効果の上がることの一つであろうと思っている次第でございます。  今後とも各省庁関係を調整しながら、各省庁協力のもとに、内閣を挙げて交通安全の対策推進していくつもりでございます。
  5. 岡島正之

    岡島委員 国民運動として強く提唱され、また具体的に、さらにひとつ積極的にお取り組みいただきますことをお願いいたします。  次に、総務庁の方で今、第四次の計画がいよいよ平成二年度で終了いたしますけれども、次の第五次の計画策定に恐らく着手されているだろうと私は思いますけれども、既に長期予測等調査もされていると聞いております。そういう中で、第四次の、いわば予測し得なかったような事態もあったわけでありますから、第五次の策定に当たりましては、それらの現状の分析を十分にされまして、そしてまたひとつ早急にこれらの対策に向かってほしい、こう思いますが、これについてひとつ簡単に御意見を賜りたいと思います。
  6. 加美山利弘

    加美山政府委員 お答え申し上げます。  平成三年度からの第五次の交通安全基本計画につきましてでございますが、現在交通事故発生状況に関する調査研究等を進めているところでございます。今後は、この調査研究成果を踏まえまして、最近の交通環境などの変化に即した適切な基本計画策定に向けて、関係省庁関係団体等と緊密に連絡を取り合って、できるだけ早急に策定作業を進めてまいりたいと存じます。  以上でございます。     〔委員長退席関谷委員長代理着席
  7. 岡島正之

    岡島委員 第五次の計画の中で、ひとつ実態に即し得るような計画というものを御検討願い、またはつくっていただきたいということをお願いしておきます。  次に、警察渡部国家公安委員長にお伺いをいたしますけれども交通安全の最前線で活躍されておりますのがまさに警察当局であります。そういう中において、今回の宣言を受けてどのように具体的な対処をされたかということを一つ伺いすると同時に、また交通安全というのは単なる一時期の問題だけではありませんで、これからさらに大きな政治行政課題となっていくであろうと私は思いますけれども、そういう中で交通警察体制強化、このことが大事でありますし、特にその中で、例えば今警視庁に一生懸命やっていただいております街頭指導の問題、安全施設整備の問題、あるいはまたソフトの面でいえば、朝夕緑おばさんたちが小学校の生徒を見守りながら通学指導しておりますけれども、そういう問題を考えましても非常に多種多様な対策が必要だろう、こう私は思っております。  しかし、いずれにいたしましても、これらの事業推進のためには予算が伴うわけでありますから、予算のいわば財源対策というものが果たして今の状態で十分だろうかどうか、そんなことが憂慮されているわけであります。そういう中で、より安定的な財源確保が大事だし、そのためには特定財源も必要だ、こんなふうにも私は考えておりますけれども、こういう点から考えまして、私は、少なくともこれらの特定財源制度化というようなものをできれば渡部大臣の在任中に、そしてまた渡部大臣ならでき得ると私は思いますから、そういう意味から考えまして大臣のお考えをお聞かせ賜りたいと思います。
  8. 渡部恒三

    渡部国務大臣 まず、岡島委員交通安全対策に大変熱心に取り組まれておることに、心から敬意を表したいと思います。  交通事故非常事態宣言以降、警察庁長官みずからが第二次交通戦争とこれを位置づけて、各都道府県警察においては、交通事故防止を図るため全力を尽くしておるところであります。  確かに、交通安全は御指摘のように一時的なもので片づく問題ではなく、今後恒常的に力を注いでいかなければならない。そのためには、警察官の人力だけに頼ることには限界があり、交通管制センター信号機高度化等交通安全施設等整備交通安全活動に携わる人々活動強化交通安全教育充実等を総合的に実施していく必要があると考えております。  私も、責任ある立場に立って、いろいろ勉強をしております。一時急激にふえた交通事故が、その後政府努力によってかなり減ってまいりました時期がございました。そしてまた、残念ながら、相当に減った交通事故がふえてきておる。これは交通対策予算の推移と因果関係がございます。やはりやるべきことを思い切ってやらなければならない。人の命は地球よりも重いのでありますから、交通事故対策のために何をできるか、これは真剣に政府全体が考えていかなければならないと思います。  現在、これは建設大臣がおいでになっていらっしゃいますけれども、何といっても道路自動車というのは密接不可分な関係にありまして、自動車保有量がこの狭い日本に七千万台、また聞くところによると七千八百万台になるのではないか、こう言われておるのでありますから、この自動車が安全にしかも快適にカー社会としての役割を果たすためには、これに対応できる道路整備ということを建設省に頑張っていただかなければならないと同時に、我が警察でも、こういう新しい時代のニーズに合った交通管制あるいは信号機等の増設また高度化、これらのものを進めていかなければならない。  そういう意味で、必要な財源を今後どうして捻出していくか、これはまさに政府全体が真剣に考えなければならない時期に今待ったなしに来ておると思いますので、岡島委員の、かつて子供さんが交通事故に遭われた、そういう経験の中から党に交通安全推進議員連盟を率先しておつくりになり、真剣に交通安全に取り組んでおられる先生の御提言を貴重なものとして、これを具体的に実施するために真剣に努力をしてまいりたいと思います。
  9. 岡島正之

    岡島委員 いずれにしても、警察当局が一番交通安全の最前線で活躍されているわけでありますから、ひとつその活躍のための十分な体制というものをおつくりをいただきますことをお願いをいたします。  建設大臣にお伺いをいたしますけれども、今回の宣言を受けて一番早く最も的確に対応したのは建設省だろうと私は思っておりますが、建設省は既に緊急対策本部を設置し、また各地建ごと対策本部もつくってこられたわけであります。何としても、道路環境整備がより大切でありますから、そういう面におきまして建設省取り組み姿勢というのは大変大事であります。平成二年度概算要求に向かって既にもう第四次の計画の数字を上回った要求をされているようでありますけれども、これからの建設省としての取り組み姿勢について、ひとつ大臣のお考えをお伺いいたします。     〔関谷委員長代理退席委員長着席
  10. 原田昇左右

    原田国務大臣 御承知のように、前回委員会におきまして交通安全対策の問題が極めて緊急であるという認識をいたしまして、私ども閣議におきましても非常事態宣言をやろうということになったわけでございますが、道路交通の安全と円滑の確保は、道路行政としても極めて重要な課題だと私ども認識しております。このため、建設省としては、第四次特定交通安全施設等整備事業五カ年計画の着実な実施推進するとともに、あわせて緊急地方交通安全施設等整備事業推進してきたところでございます。  本年の交通事故死者数増加にかんがみまして、先般事務次官を本部長とする建設省交通安全緊急対策本部を設置いたしました。非常事態宣言及び政府交通対策本部の申し合わせを受けまして、事故多発地点等におきます緊急対策実施道路利用者に対する広報啓発活動実施等緊急かつ重点的な対策実施する所存でございます。さらに、今後とも引き続き必要な予算確保事故状況に対応した重点的な事業実施を図りまして、安全な道路交通環境整備に努めてまいる所存でございます。
  11. 岡島正之

    岡島委員 大臣を先頭にして、ひとつ十分に道路交通環境整備に当たってほしいということを特にお願いをいたしておきます。  次に、運輸大臣にお伺いいたしますけれども運輸省非常事態宣言に先立ちまして、十一月二十二日であったと思いますけれども地域交通局長の名前で、日本自動車工業会を初め十七団体に、交通安全に関する広報活動等充実強化という通達を行っていただきました。特に対策として考えられます具体的な事項について明示をされておりましたが、その内容を見ますと、前回私がこの委員会質問を申し上げ、提言を申し上げました十幾つかの提言がそれぞれそのまま含まれておりました。また、宣言が行われました後には、日本バス協会を初めとして三十団体にこれまた通達をしていただきました。非常に積極的な運輸省関係団体への姿勢というものを私は高く評価をいたしますが、同時に、これからもさらに運輸省として各関係業界と一緒になって、また各関係業界指導して、交通安全対策というものにひとつ積極的にお取り組みをいただきたいということを強く考えますが、このことについてお聞かせをいただきたい。  特に、先般新聞報道では、日本自動車工業会運輸省通達等を受けて官民一体で積極的にやろうということを工業会として決定したようでありますから、そういう現実を踏まえた上で、ひとつ大臣のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  12. 江藤隆美

    江藤国務大臣 先般来いろいろと御提言をいただきまして、ありがとうございました。  私ども陸海空を預かっておるわけでありますから、まず、例えばタクシーにしましてもバスにしましてもトラックにしましても、それぞれ営業用でありますが、一番の問題は、やはり過労と労働過重による居眠り運転事故、こういうのがたくさんございますので、ただいま一例を挙げますと、物流二法、いわゆるトラック業法改正をしながら、物を運べばいいということではなくて、そういう交通安全、労務管理の面という社会的な責任を負わして、三万八千業者あるわけですから、これらの社会的な地位を確立させよう、もって交通安全に徹底さしていこう、これは、バスもあるいはタクシーも同じであります。  それからもう一つは、空があるわけでありまして、日航機のような事故があってはなりませんので、年末年始も近づくことでありますから、この問題については厳重に各業界を督励いたしております。  また、海もそうでありまして、案外表へ出ませんが、漁船並びに釣り舟事故が最近は非常に多発するというようなこともございますので、いわゆる海上の交通安全ということにも気を配っていかなければいかぬ。  もう一つは、私どもは車をつくる方も一つあるわけでありまして、最近は事故車を販売して後で回収するという前例がたくさんあるものですから、あすごろにはまた各メーカーの責任者を全部呼びまして、いやしくも車をつくる者が欠陥によってこういう交通事故を引き起こすなどというような不名誉なことがないように厳重にこれからも指導していこう。  そういうことで、陸海空にわたりまして、今月に入りまして、年末年始総点検をして交通事故の絶滅を図る運動を展開していこう、こういうことで、今万般準備を進め、実行に移しておるところでございます。
  13. 岡島正之

    岡島委員 陸海空幅広く担当しておられます運輸省としては、多くの対策が必要でありますが、特に陸上交通におきましては、車の大多数が運輸省の管轄の中にあるわけでありますから、そういう中で各関係団体との協調を中心として、さらにひとつ積極的にお取り組みをいただきますことをお願いをしておきます。  今大臣から空の問題が出ましたが、これは極めて簡単に御質問申し上げますけれども成田空港の問題につきましては、大臣が御就任以来極めて積極的に御発言をされております。きのうきょうおとといですか、成田新法取り扱い問題等で現地ではいろいろな問題が起きておりますけれども、今成田空港安全性という面から考えますと、年間の乗降客数あるいはまた便数、それぞれもう恐らくいっぱいのところまで来ているだろうと私は思いますから、そういう中で飛行機の安全対策という面から成田空港の二期工事完全空港化への考えといいますか、そういうものを、この機会大臣のお考えを一言お聞かせをいただきたいと思います。
  14. 江藤隆美

    江藤国務大臣 成田の問題につきましては、特に千葉県の地元でありますから、岡島委員にも大変御心痛を煩わしておりまして、恐縮をいたしております。  申し上げるまでもありませんが、千三百万人が利用する空港が二千万人の人々を扱うということですから、恐らくこの年末にはパンク状態になると思います。かてて加えて、貨物取扱量が世界一になった、こういうことがあるのにもかかわらず滑走路が一本だということで、来年度を目標にしまして、平成二年度概成ということで、実はB、C滑走路、エプロン、それから空港ターミナル、それらの完成を今急ごうとしておるわけでありまして、御承知のように過激派集団があそこを占拠しておりまして、そして残っておる農家は八戸であります。三百二十五戸のうちで三百十七戸は御協力をいただいて、あと八戸が残っておりまして、これを十重二十重に過激派集団が三十六の団結小屋をもって二十四時間監視をしておる、こういうふうなこともございまして、実は一昨日以依成田新法を適用いたしまして一部の団結小屋の撤去を今図っておることでありまして、本日じゅうには一応決着がつくものと思います。  しかし、申し上げましたように、まだまだこれは入り口でありまして、たくさんの団結小屋が残っておるということと、およそ千三百人の一坪地主がまだ残っております。いずれ公表する機会があると思いますが、この中には国家公務員地方公務員、学校の教員とたくさんおります。それらの者が実は一坪地主としてこれを妨害をいたしておるわけでありますから、十一月九日に千葉知事さんには私はお願いをいたしまして、これ以上運輸省やら公団やらあるいは工事関係者の犠牲をふやすことは忍びない。既に五人の警察官が惨殺され、三千人が重軽傷を負って、そのほか焼き討ちあるいはまた突然テロに遭った人がたくさんおります。  これ以上そういう被害を繰り返すことは決していいことではありませんので、私自身成田の農 民の皆さんと話し合いをしたい、こういうことで今その仲介の労をお願いしておるわけでありますが、機会を与えていただきますならばいついかなるところにでも出かけまして、これは運輸大臣責任でありますから、事の解決のために全力を挙げて、そして国際的な批判を浴びないようにこの工事を進めてまいりたい、こう思っておりますので、今後ともによろしく御指導やら御協力のほどをお願い申し上げる次第でございます。
  15. 岡島正之

    岡島委員 成田の問題につきましては、今江藤大臣のお話がございました積極的な姿勢というものを私は大きく期待をいたします。この問題につきましては、水野大臣地元でございますし、前の山村運輸大臣も大変御苦労なされたわけであります。そういう面で、これからまだ二期工事の農民との対話の問題、あるいはまた過激派警備体制の問題、さらにはまた、この間起こりましたが、千葉県の県庁の職員が自宅を全焼させたというこれらの補償の問題とか、多くのいろいろな問題があるわけであります。この問題につきまして運輸省、今大臣がこれは運輸省責任だという御発言がございましたが、まさにその意気込みでお取り組みいただきますことを特にお願いをしておきます。  時間が参りましたのでこれで質問を終わりますけれども、今回の宣言後いろいろと交通安全運動につきましてはみんなが目を向けていただいたわけでありますけれども関係者の中には交通安全対策省の設置すら今日必要ではないかというような声もあります。西ドイツにおきましては、連邦交通省がいわば総合的な実施機能を発揮して、交通安全対策には取り組んでおります。日本におきましては、水野大臣交通対策本部長として、総務庁がその調整機能を果たしているわけでありますけれども、何としても私は、交通安全運動というのは、交通最前線警察当局が担当しているわけでありますから、ひとつ警察総務庁と十分な連携をとってもらってより効果的な実施対策というものを進めてほしい、特にお願いをしておく次第であります。  今回の宣言が出されましてから素早く対応していただきましたのは、それはもちろん総務庁であり、警察であり、また運輸省であり、建設省であります。ほかの省に全部当たってみましたら、全く何もしていない省もあります。また、これからしようとする省もあります。その中で厚生省等は、この間十二月二日に、全国の老人クラブ連合会の会長会議をやっていただきまして、警察庁の方から講習会を開いていただいた、あるいはまたそれを通してPRをしていただいたということでございますから、こういう姿勢が多く出てくれば、さらにさらに私は交通安全運動というもののより大きな成果が上がり得ると信じておる次第であります。  どうぞその意味におきまして、各関係者が今回の宣言をスタートとして一層の御健闘をいただきますことをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  16. 正木良明

    正木委員長 以上で岡島正之君の質疑は終了いたしました。  次に、永井孝信君。
  17. 永井孝信

    ○永井委員 きょうは、交通安全緊急宣言が出されたという現状を踏まえまして、特に総合交通対策の担当大臣として指定されております経企庁長官に御出席をいただきました。今まで交通安全委員会に総合交通対策担当大臣として出席をしていただいたということは、私の記憶ではないのでありますが、緊急事態宣言されたという状況の中で、総合交通対策として担当されている経企庁長官はこの問題に対するどのような施策を考えていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
  18. 高原須美子

    ○高原国務大臣 総合交通対策担当大臣といいますのは、長期的な展望に立ちまして、交通にかかわるいろいろな施策を総合化、体系化して調和のとれたものとし、効率的で安全、便利な交通体系を構築する役割を担当しております。  安全は、交通体系構築の重要な柱であることは言うまでもございません。最近、我が国の道路交通事故による死亡者増加いたしまして、総務庁長官より交通事故非常事態宣言が出されるに至った事態は、総合交通対策担当大臣といたしましても非常に深刻に受けとめております。  総合交通政策の推進に当たりましては、従来からも、先ほど申し上げましたように安全性確保を基本としてきておりますけれども、今後とも一層この安全性の面に重点を置いて施策を展開してまいりたいと思っております。
  19. 永井孝信

    ○永井委員 正直申し上げて、きょうも五人の大臣の方々に出席をいただいているわけでありますが、交通対策本部長総務庁長官、いわば規制をする、取り締まりをする、安全運動推進するという立場で公安委員長道路や海陸空を含めてでありますが、そういう関係運輸大臣、そしてそのほか建設大臣、いろいろなことが担当されておりますが、これだけの非常事態宣言を出さなければいかぬという状況になったときに、お互いに協力はし合ってもらっているのでありましょうが、やはりまとまって一つの施策を推進できる求心力を持ったより有効的な行政機構というものが必要ではないのか、こう私は思うわけであります。  せっかく経企庁長官にお出ましをいただきましたので、もう一つだけお伺いいたしますが、総合交通体系を中心に経企庁長官が担当されているというお話でありまして、もちろんこの総合交通体系を企画しあるいは推進する場合に、交通安全と切っても切り離せない関係にありますね。しかも、社会の進歩によってどんどん高速道路が発展をしていく、あるいは航空網も発展をしていく、新幹線もできる、そしてリニアモーターカーも今話題になってきている、こういうものが日本交通体系を大きく変えていくわけですね。  そこで、ちなみにちょっと興味深いデータがありますので、ここで御紹介申し上げておきたいと思うのでありますが、例えば高速道路の都市間のネットワーク率というのがございます。ここに道路ポケットブックというのがございますが、これで見ますと、例えばアメリカの都市間のネットワーク率は九八%、あるいは西ドイツへ行きますと九六%、日本は六〇%と、かなり経済大国であって狭い国土であるにもかかわらず、ネットワーク率は非常に低いという数字が出ております。  あるいは、直接は建設大臣の担当でございましょうけれども、国道がありますね。この国道中車道が七メートル以上ある道路が占める割合は、アメリカが六四%になっております。フランスでは七九%という数字が出ております。あるいは西ドイツでもかなり高い数字が出ておりまして、七七%という数字であります。これに比べて日本は、わずかに二三%であります。  だから、総合交通体系としていろいろな交通網を考える、これからのより発展していく日本の社会に適応するようなそういう交通網を整備する場合に、これはもちろん建設大臣の直接担当ではありましょうけれども、総合交通体系を担当されているとするならば、経企庁長官も積極的にそういうことについて行政面から対策を立ててもらわなければいかぬ、こう思うのですね。  あるいは、別にこんな数字があります。車がたくさんふえてまいりまして、車一万台当たりの交通事故死者という数字が統計で出ておりますが、これで見ますと、フランスでは一万台当たり三・七人、西ドイツでは三・二人、イギリスでは二・八人、アメリカでは二・六人という数字です。車一万台当たりの死亡事故が、日本は一・九人であります。他の国と比べてこれだけ交通網の整備がおくれていて、そして異常なほど、車社会と言われているが、車が増加して免許所有者もぐんとふえて、そんな中で一台当たりで計算すると非常に低い数字なんです。言いかえれば、その道路状況とか交通網の状況と逆に、ドライバーが一生懸命頑張ってやっているという数字でもあるかもしれません。しかし、それでなお一万人を超えているんですからね。  非常に深刻な問題でありますので、こういう全 体の総合交通体系を策定されるときに、担当大臣でありますから、ひとつどのような認識を持って、どのような立場でこれから経企庁長官が進められようとしているか、その決意だけ伺っておきたいと思うのです。
  20. 高原須美子

    ○高原国務大臣 先ほども申し上げましたように、やはり安全というのは非常に重要な柱でございます。したがいまして、これからの車社会の中で、人の安全を十分図れるような道路づくりというものを、建設省とも緊密な連絡をとりながらつくり上げていくということが非常に重要であると思います。  それと同時に、車社会だけではなく、総合交通対策でございますから、車だけがどんどんふえるということではなくて、ほかの交通機関とのバランスもとれて、調和のとれた交通体系をつくっていくことがまた必要であると思いますので、この辺も運輸省と連絡をとりながら総合的に考えてまいりたいと思っております。
  21. 永井孝信

    ○永井委員 長官、もう一問だけ。せっかく来てもらったのですから、もう一問だけお伺いしますが、この輸送機関別の、例えば貨物輸送で例をとりますと、「輸送機関別国内貨物輸送トン数」という資料がございます。これは運輸省の経済統計要覧から抜粋したものでありますが、ちょっと参考までに、ひとつ認識を深めてもらいたいと思うのでありますが、今手に持っておりますのは昭和六十二年度までの統計です。逆算をして十年間さかのぼってみます。  例えば鉄道関係、これは当時の国鉄、私鉄、全部ひっくるめてでありますが、鉄道関係の昭和五十三年度におきます輸送トン数は一億七千八百七十五万九千トン、これが昭和六十二年には半分以下の八千三百十七万三千トンに激減をしています。自動車の輸送はどうなっているかというと、昭和五十三年の総トン数は四十八億六千四十二万四千トン、かなり高いのですね。これが十年後の昭和六十二年にはさらにふえまして、五十億四千六百七万九千トンとふえてまいりました。しかも営業用でいくと、営業用のいわゆる貨物輸送だけで十九億七千六百四十二万七千トンと、物すごい勢いで伸びてきているのです。  だから、総合交通体系を考えていく場合に、こういう実態をもとにやってもらいたいと参考までに申し上げて、一言答えていただいて、退席してもらって結構でございます。
  22. 高原須美子

    ○高原国務大臣 今の伺いました数字は十分に参考にさせていただいて、これからの施策の展開に努めてまいりたいと思います。  でも、直接の担当は運輸省でございますので、後は運輸大臣がまたお答えくださるのではないかと思います。
  23. 永井孝信

    ○永井委員 私が言っておりますのは、海部内閣の各大臣の写真入りの任務担当を私が見たら、あなたが総合交通対策担当となっているのです。だから、私はここで言いたいのは、ここに五人も大臣が並んでいらっしゃる。もちろん、この五人の大臣だけではなくて、全閣僚が交通安全についてはそれぞれの立場で責任を持ってもらわなきゃいかぬ。文部大臣でいえば、学校教育でどのように交通安全を教育していくかということがありますね。まあいろいろな面があります。今、厚生大臣が全国の老人会の代表を集めてというお話もございました。それぞれが持っていらっしゃるのですよ。持っていらっしゃるんだが、余りにもそれぞれが分担をされ過ぎておって、だからなかなかまとまった交通安全対策ができないのではないかと私は危惧するわけです。  そうすると、あなたが総合交通対策の担当大臣と指定されているから、これは建設大臣、これは国家公安委員長、振り分けじゃなくて、もちろん交通対策本部長総務庁長官ですよ、直接の関係は。しかし、あなたの担当というものが最大限生かされるようなことでやってもらいたいということで、わざわざこの交通委員会に出てきてもらっている。今まで来てもらったことはないのです。ずっと調べてみたが、私はこの交通委員会に十年おりますが、十年間で一回もそんなことはないのです。過去も調べてみましたが、過去もないのです。だから、私があえてきょう来ていただきました。そのここへ来ていただいたという意味を重く受けとめてもらって、ひとつ積極的な対応を進めてもらいたい、これだけお願いをしておきます。  後は退席していただいて結構でございます。ありがとうございました。  そこで、総務庁長官総務庁長官が直接交通対策本部長としてこの緊急宣言を出された責任大臣でありますが、ここで、この緊急宣言を出されたという決意は最前も質疑の中でお伺いいたしましたので、重複してこのことを聞くことは避けておきたいと思いますが、この緊急宣言が出されて、さてその具体的な対策ということになってまいります。  この対策は、今までの、交通事故を撲滅していこう、例えばこの目標としては年間八千人以下に抑えるという目標で進んできたのでありますが、それがはるかにオーバーして破られてしまっている、去年も一万人を超えた、こう言っておる中で、さて具体的に交通安全対策についてそれぞれの施策にどのような変化があったのか、交通安全対策のこの緊急宣言を発した後、どのような施策の変更をされてきているのか、その辺のところをひとつ対策本部長としてお伺いをいたしたいと思います。
  24. 水野清

    水野国務大臣 御承知のとおり、十一月の二十八日に、この緊急事態を認識をいたしまして交通対策本部を開催し、またその後に閣議において御了解をいただいて、非常事態宣言を発表いたしました。  このことは、実は交通安全に対する総合的な施策というのは、今先生の御指摘のとおり、各省庁でそれぞれ行政の各部門に入り込んでいる問題でございまして、それはそれぞれ各省庁お願いをするということで閣議で御提案申し上げて、これも先ほど申し上げまして、同じようなことを申し上げますが、建設省にも道路の構造上の対策本部をつくっていただきました。あるいは厚生大臣が、老人クラブの全国の組織を利用して、交通安全に対するPRもしていただきましたし、あるいは文部大臣にも、学校教育の中でお考えいただくとか、あるいは労働大臣に対しては、トラック便の運転手の勤務状態とか、こういったものについての御検討をお願いをして、それを実施をしていただいている、こういうことでございます。  もちろん、きょうここにおいでいただいております自治大臣には、特に国家公安委員長として、これは取り締まりという面では警察庁が第一線でお願いをするわけでございますから、御協力お願いし、さっき申し上げましたように、全国の交通警察皆さんには、この歳末、大変忙しく、大変なところでありますが、夜寝る時間を割いてまで御協力をいただいている。運輸大臣にも運輸省の所管において御協力いただいている。  そういうことでございまして、非常事態宣言を発しましてから——実はこの非常事態宣言というのは、歳末にかけて、ともかくことし一万人は超えましたが一万一千人にはしまいということで、応急対策としてこれを宣言した、こういうことでございます。その辺はひとつ先生にも御理解をいただきたいのであります。そして交通安全という問題は、これはなかなか総合的な、一省だけで考えることでないことも、問題を裏返して言えば各省庁にまたがっていることも御了解いただけると思いますが、それは交通対策本部としまして今後何遍も各省庁にお集まりをいただいて事故の分析をする、その事故の分析によって行政上のそれぞれの問題を洗い出していただいて、それぞれに対策を講じていただくしかない、私はかように思っているわけであります。  特に非常事態宣言の中でお願いをしておりますのは、結局は事故にお遭いになるのは国民の大多数であります。どちらかといえばゲートボールなんかをやって元気で出て歩いていらっしゃる高齢者の方、あるいは未成年あるいは二十前後の若い人たちがスポーツカーとかオートバイで夜遅くあるいは朝早く暴走をして事故を起こすとか、こう いった問題でありまして、精神的な面も私は否定ができない、むしろ精神的な面の方が多い場合もある、こういうことから非常事態宣言を出しまして、実は内閣の広報にも協力をいただいて、いろいろ宣伝活動をしているわけでございます。これを自治省の方にもお願いをしまして、また交通対策本部長として各都道府県知事にもお願いをして、都道府県でもそれぞれやっていただいているのは御承知のとおりであります。  実は、大変ありがたいと思いましたのは、交通事故が激増しているという問題を訴えましたところ、マスコミが非常にこの問題を重視して、紙面を割いて記事を報告していただきましたし、その後のいろいろな事故が起こる際にも、今までどちらかといえばやむを得ないというような面もあったのが、積極的に交通事故を取り扱っていただいている。その報道を読む人、見る人たちも相当な緊張感があったことと私は思っております。  実は、精神的な面の方が当面は非常に重点が置かれているわけでございますが、先生のお話のようにどう変わったかと申しますと、ともかく非常事態宣言いたしまして、今後ともあらゆる行政機関あるいは国民皆さんに緊張をしていただいてこの当面の問題を乗り切っていきたい、特に年末年始でございますから、そういうふうに考えてやっている次第でございます。
  25. 永井孝信

    ○永井委員 今総務庁長官から決意をお聞きしたわけでありますが、確かに今言われたように交通事故非常事態宣言国民皆さんに訴える、国民皆さん交通事故をしないように気をつけてくださいよということが一番中心になっておるわけですね。確かに即効的な効果を発揮する施策というのは非常に難しいと思います。しかし、単に精神的に訴えるだけではなくて、交通事故を起こしやすい環境を一日も早くなくしていくことが重要なわけでございまして、その関係からお聞きするのです。  この前の五カ年計画というのがあります。特定交通安全施設等整備事業五カ年計画というのがありますね。昭和六十一年十一月二十八日の閣議決定であります。これが現在三年を過ぎて四年目がもうすぐ終わろうとしていますね。この中にこういうふうに書いてあります。「この計画は、今後の社会・経済の動向、財政事情等を勘案しつつ、弾力的にその実施を図るとともに、三年後には見直すことについて検討するものとする。」こうなっている。三年後というのはことしの四月以降のことですね、さかのぼって言えば。  去年は交通事故が数年ぶりに、十年ぶりでしたかね、一万人を超えました。ことしはもう既に現在で一万人を超えている。こういう状況の中で、なぜことし三年後に見直すことについて具体的なことがなされなかったのか、私はその辺のところが、心素直に言えば非常に不満なんですね。  今も私は、この統計資料から申し上げました。確かに道路建設についても建設省が大変御苦労をいただいて、主要地方道まで含めて交通安全施設の充実に努めていらっしゃるわけでありますが、最前この資料で申し上げましたように、国道のうち車道が七メートル以上ある道路の占める割合は、アメリカやフランスや西ドイツと比べて二分の一ないしは三分の一ぐらいしか達成されていない、こういう環境に置かれているわけですね。そうすると、ことしの四月以降今年度に入る前に、この前の閣議決定から三年が経過しているわけでありますから、当然見直しがされることがあってよかったのではないかと思うのですが、これについてひとつお答えください。
  26. 原田昇左右

    原田国務大臣 第四次特定交通安全施設等整備事業五カ年計画閣議了解につきましては、昭和六十一年一月になされましたが、この際に、計画について三年後に見直すことを検討するものとするということもあわせて了解されたのは、委員御指摘のとおりであります。  ところで、第四次五カ年計画閣議了解の三年後に当たります平成元年一月には、「公共事業長期計画の進ちょく状況等について」の閣議報告がなされました。その際、今後必要に応じ調整費を弾力的に充当するものとするとの報告があったわけであります。  建設省では、この閣議報告を受けまして、最近の交通事故状況などを踏まえ、平成二年度概算要求において、特定交通安全施設等整備事業として調整費充当額七十四億円を含む事業費二千四百二十九億円、対前年度一・〇四増しでありますが、これを要求しておるところであります。この要求によりますと、第四次五カ年計画の実質総額は一兆一千五百七十四億円となり、最終進捗率一〇〇・六%となる見込みであります。  今後、この要求の実現に向けて努力してまいる所存でございますが、何しろ車も急速にふえておるわけでありますので、これに対応して道路整備を全国各地でやっておるわけでございますが、なかなか車の増加に追いつかないで、方々に混雑が起こっておるということはまことに憂慮にたえない次第であります。こういう事態を踏まえて、安全対策を非常に重視してやってまいるつもりでございますので、よろしくお願いします。
  27. 永井孝信

    ○永井委員 今建設大臣からお答えいただきましたが、この五カ年計画策定した当時から見て著しく経済活動が活発化してまいりました。景気がよくなってきたのですから、そのことは喜ばしいことでありますが、もちろん自動車保有台数はそれに比例してぐんとふえました。免許保有者の数もふえました。そして、高齢化社会と言われておりますように、国民の年齢も高齢化してまいりました。そうして生活態様が変わりまして、二十四時間営業の店がたくさんできましたように、国民生活に、とりわけ若者については夜行性といいますか、夜も昼も関係ないという生活態様が随分ふえてまいりました。  そう考えますと、昭和六十一年のときと比較をして、長期予測の根拠に策定する場合の問題点があったのではないか、悪く言う意味ではありませんけれども、長期予測の仕方に誤りがあったのではないかと思うのですね。そうすると、その現状を踏まえて、これからの長期予測も含めて改めて緊急的にその見直しを図るということが根底になければならぬと思うのですが、これについてどうでございましょう。
  28. 加美山利弘

    加美山政府委員 お答えいたします。  長期予測の基本計画の問題につきましては、基本計画策定した当時考えられるあらゆる要素をもとにして検討してまいったわけでございますが、結果的に見ますと、交通事故死を八千人以下にするという問題につきましても昨年一万人を突破し、ことしも一万人を突破しているというような状況で推移しているわけでございます。経済活動の活発化に伴う道路交通の量的な増大の問題あるいは質的な問題、夜間交通量がふえてきているとかという問題、それからヘルメットの着用とかシートベルトの着用の効果の予測をしながらの計画ではあったわけでございますが、その点についても多少のずれが出てきている。最近シートベルトの着用率もやや下がりつつあるというようなことで、長期予測と現実とを比較しますと、そういうような社会状況の変化とのずれが多少出てきているということは事実でございます。  私どもとしましては、このようなずれを認識しながら、関係省庁とも連携をとりながら現在の状況にどう対応すべきかということで進んでいるわけでございまして、昨年以来事故防止の緊急総合対策、それに基づきます高齢者の事故防止の総合対策、またことしに入りまして若者を中心とした二輪車の総合対策を立てまして、関係省庁、国、地方一体となってやってきているわけでございます。そのような状況下でなお情勢が厳しいということで、先般交対本部を急遽開催いたしまして緊急対応に当たっているというような状況で、そういうずれの修正と申しますか現実対応を、問題意識を持ちながら関係省庁とともに進めてきているというような状況でございます。  以上でございます。
  29. 永井孝信

    ○永井委員 どうも今の答弁は、私の質問にまともに答えていないのですね。私が言っておりますのは、三年後の見直しということをあえてここで 申し上げたのですが、シートベルトを締める率がどういう推移をしていくか、そんなことを聞いているのではないのです。道路網のあり方も、あるいは産業構造の変化によって物流の関係も変わってくる、いろいろな状況があって今の交通戦争が起きているわけでありますから、そういう基礎的なデータのとり方とか予測の仕方においてかなり見通しを誤っておったのではないか、こう私は言っておるのであります。  だから、交通安全施策というものが後追いになってはいけませんよ、すばらしい人たちがそれぞれ担当でいらっしゃるわけでありますから、もっと先見的な立場に立って総合交通政策というものを進めていかなければいかぬのではないかということを私は申し上げているのであって、個々の一つ一つの現象を今お聞きしているのではないのであります。  これは時間がありませんから、あえてそのことを申し上げて次に入りたいと思います。  さて、公安委員長道路交通法の改正が御案内のように今参議院でかかっていますね。近年ずっと改正が行われてきました。何も私は、法律をつくって取り締まればすべてが終わるというものだとは思っていませんけれども、やはり法の整備というのは非常に重要だと思うのです。この道交法の一部改正が再三にわたって行われたけれども、歯にきぬ着せずに申し上げますと、言えばその場その場で継ぎはぎ的にやってきたのではないかと思うのですね。  かつてこの交通委員会におきましても、シートベルトの着用問題については法案の審議をいたしましたね。したがって、シートベルトの着用が義務づけられた。駐車違反の厳しい取り締まりも改正されて実施をされている。そして今かかっている道交法改正の中には、法的な言葉で言うよりも一般的な言葉で言うと、暫定免許という形を取り入れられようとしている。  道交法改正というのは、その場その場でやられるんじゃなくて、これだけ交通事故がふえてきたのですから、ここでちょっと大変ですけれども道交法全部を一遍洗い直して全体的な改正考えてみたらどうだろうか。どのように変えろということを私言っているんじゃないのですよ。その場その場で部分的に改正することも大事ですけれども、これだけの車社会になってきたのですから、道交法改正というものをひとつ抜本的に考えてもらったらどうだろうか、また考えるべきときが来ているのではないか。  その中には、例えば、交差点がどんどんできまして出会い頭の事故も多いということを考えると、交差点の周辺の駐車違反についての法の規定の仕方についても考え直すべきときじゃないかとか、あるいは危険防止のための措置を具体的にどのように道交法関係で処理をしていくのか、あるいは、後で触れますが、過積載などの取り締まりについても、これは運転手だけではなくて、荷主の関係にも法的にもきちっとその規制が及ぶように、これは一つの例でありますが、こういうことも含めて全体的に考え直すべきときが来ているのではないかと思うのですが、どうでございましょう。
  30. 渡部恒三

    渡部国務大臣 大変貴重な御意見と承っております。道路交通法全体の見直しは大多数の国民の生活に大変大きな影響を与えることから、その見直しを行うに当たっては、広く各界の意見を聞くなどして、今後慎重に検討してまいりたいと存じます。
  31. 永井孝信

    ○永井委員 本当に真剣に考えてほしいと思います。  そこで、今度は運輸大臣にお聞きをいたします。  物流関係、随分と変わってまいりましたね。もちろん高速道路が普及してきた関係もありますが、東名高速なんか、夜走ると乗用車では怖くて走れないほどトラックの行列ですね。それがかなりのスピードで走るのですから、毎回起きているようなあの大型追突事故が起きなかった方が不思議ではないかと思うくらい、今そういう状況になっていますね。外国のように高速道路が片道四車線もあるような道路と違いますからなおさらでありますが、もちろんこの道路のあり方も問題でありますけれども、物流関係の輸送について、私はちょっと運輸大臣に具体的な問題でお聞きをしてみたいと思うのです。  それは、今私が過積載の問題を出しました。なぜ過積載が後を絶たないのだろう。規定以上の重量を持ちますと、当然これは、私は専門家ではありませんけれども、ブレーキを踏んでも、ブレーキの制動距離というのは、重いからぐんと延びてしまいますね。だから、本来なら追突しなくても済むような車間距離をとっているつもりでも、過積載のために追突するという事故が必ずあるはずですね。  この過積載防止について、私もこの委員会で今まで何回も質問したことがありました。その都度業界指導すると言ってもらっているのですが、この過積載の問題というのはなくなっていかない。その原因は何だと思いますか、運輸大臣の認識をお聞きしたいと思います。
  32. 江藤隆美

    江藤国務大臣 端的に言えば、やはり違反を犯してでも、能率を上げて利益を上げようということだろうと思うのです。しかし、よって来る原因は何だというと、陸上運送部門において今九万人以上の運転手が足らないという現状にあります。ということは、非常に職場条件がよくないということで、結局人手が足りない。それから、経済成長に伴って荷物が多い。だから、七万件以上の摘発を受けてもなお過積みをやるという者が後を絶たないという現実であることは、まことに残念に思っておるところであります。
  33. 永井孝信

    ○永井委員 運輸大臣の認識は的確な認識だと思うのですね。あえて申し上げますが、その中に一つ抜けているのがあるのです。あなたが認可された運賃というのがあるのですね。大臣の認可運賃です。この認可運賃、守られていると思いますか。
  34. 江藤隆美

    江藤国務大臣 最近は、経済好況に支えられて比較的守られる方向にはあると思いますが、完全であるとは思っておりません。
  35. 永井孝信

    ○永井委員 私もいろいろ調べてみました。私の知る限りでは、大企業とかそういうところから生産物資あるいは材料の運搬を特定の運送業者に委託をします場合に、まともに認可運賃が守られている例を私はこの目で確かめることができなかった。パーセントはどのぐらいか別にいたしまして、ほとんどが割引運賃です。  割引をしてでも運ばせてくれと運送業者が言っているのかというと、実態はそうではないのです。これだけ景気がよくなってきましたけれども、あの景気の悪かったときに、企業防衛のために少しでもコストを下げようということで、運送業者に何%ぐらい割引の運賃でしてくれということがいろいろな形で運送業界に出されてくる。それを拒否したのでは、運送業者としてその企業との特約関係がなくなってしまうということもあって泣き寝入り、これがずっと続いてきておるのですよ。一番ひどいのでは、孫請まで運送業者が行くものですから、最後の運送業者になると、認可運賃の半分ぐらいの運賃で運んでいる実態もあります。  そうなると、まともに定められた重量で運んでおったのでは、運送業者の企業は成り立っていかない。だから、あえて違反を承知で、摘発されればやむを得ない、摘発されなかったらもうけものだ。駐車違反と一緒なのですよ。ここに警察が回ってくるかもしれぬ、しかし、もし回ってこなかったらもうけだ。たまたま十回に一回でもひっかかれば、それでも駐車料金払うよりも一回の罰金を払う方が安くつくというぐらいの不心得な考えで、駐車違反を承知で繰り返す人もたくさんいると聞いています。同じことなのです。  だから、運輸大臣が認可運賃を定めたのであれば、運輸大臣の職責にかけてでもその認可運賃を守らせるということがないと、こういう過積載はなくなっていかないと私は思うのですね。ひとつ大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  36. 江藤隆美

    江藤国務大臣 お話を承っておりまして、法は人を裁くとも人を治めずという言葉がありますが、そんなところかなという感じがします。自分たちがみずから決めた運賃が守れないということは、非常に自分たち自身の困ることであって、因果関係で、結局人が集まらない、そして違反を繰り返す、そして職場環境が悪い、運転手が足りない、赤字になる、こういうことを繰り返すわけでありますから、御案内のように、今回物流二法の改正を四十年ぶりに行いまして、そして、今までなかったのですが、荷主に対しても一つ責任を課する、こういう制度を実は取り入れる。それから、適正化事業を取り入れて、不当なダンピングですとかあるいは不当な料金というようなものがきちんと明らかにされるような仕組みを考えてみるということで、今いろいろと法案も御審議を願っておるところであります。
  37. 永井孝信

    ○永井委員 もちろんそういうことも考えて、ひとつお互いに知恵を出し合いましょうよ。お互いに知恵を出し合って、どうすればそういう過積載がなくなったりあるいは無謀な運転がなくなったりしていくのか。道路の拡充ということも大切だけれども、それはそれとして積極的に推進しながら、片方でそういう施策についてもやはり積極的に進めていきたい、これがこの委員会の仕事だと思うのです。  そのことであえてもう一つ申し上げておきますが、道路交通法の一部を改正する法律案、昭和六十年でありますが、シートベルトのときですね、これをこの委員会で審議しましたときに、「六交通事故とりわけ営業用貨物自動車営業用乗用自動車事故抑止のため、過積載、過労運転等に対する施策を強力に推進すること。」という附帯決議をつけました。このことをあえてここでもう一回申し上げておきますから、各省庁協力をし合って、そのことが実効あらしめるようにひとつお願いをしておきたいと思うのです。  時計を見ながらの話でありますから、十分に質問をすることができないのでありますが、同じ過積載とかそういう問題に関連をして申し上げますが、警察庁、過労による事故の発生ということがどのような状態になっているか、ひとつ簡単に、数字的にお答えいただきたいと思います。
  38. 関根謙一

    ○関根政府委員 お答えを申し上げます。  過労運転による事故と思われます事故の件数でございますが、昭和六十二年中は二千五百三十四件、昭和六十三年中は二千四百四十八件、平成元年は、六月まででございますが、千二十五件でございます。このうち、過労運転による死亡事故と思われますものの件数は、昭和六十二年が三百五十四件、昭和六十三年が三百五十九件、平成元年は、六月まででございますが、百六十四件でございます。
  39. 永井孝信

    ○永井委員 さっき運輸大臣は、例えば大型トラックのそういう事故が多いのは、運転手が足りない、そして労働条件が悪いと言われました。私は、確かにそれに尽きると思うのですね。そういう状況の中ですから、過労運転が起きてくるのです。今警察庁にお答えいただきました。大変な数ですね。  その過労運転がどこから生まれてくるのか。新聞の記事で恐縮ですが、日刊自動車新聞というのがあります。ここに、貨物輸送量の順調時こそ体質改善を図ろうじゃないかという非常にいい記事が出ているのです。この中に、「運輸事業労働時間の状況」というのが出されています。これで見ますと、昭和六十二年で二千六百二十時間、所定内労働時間が二千九十一時間、こういう数字が出ているのです。この数字はそのまま正確かどうか、私は調べているわけではありませんけれども、他の産業と比べて労働時間が極めて長いということなんですね。  そして、賃金の関係でいいますと、低位に置かれているトラック労働者の労働条件というのが出ておりまして、一時間当たりの賃金で見ますと、例えば電気、ガス、水道などの産業あるいは化学工業のざっと二分の一なんですよ。一つ一つの企業を私は調べたわけではありません。  労働時間は長いわ、賃金は比較的低いわとなったら、優秀な運転手の皆さんは運送業界に集まってきませんね。だから人手不足が起きる、そこで結果的に業者が過積載もやらせてしまう。  そして、この前もこの委員会で私は問題にしたことがあるのですが、かんばん方式がまかり通っておりまして、ある大きな企業の下請が部品をつくる、その部品を納める場合に、何時何分にどこそこの場所に、どこのベルトコンベヤーのそばに幾らの量を持ってこい、これがかんばん方式なんですよ。だから、大きな企業は倉庫も要らなければ在庫管理も要らない。その日のベルトコンベヤーで流れていくような作業をしているところに、必要な物資だけはそこへ集まってくる。  それを全部運送業者が持ってくるのです。もしも間に合わなかったら、大手の企業であれば生産過程に支障が生じる。その場合には運送業者にペナルティーが加えられるという形態に今なっているのですよ。世界でこのかんばん方式という名前がまかり通っているのです。だから、すべてが物流関係にしわ寄せが来て、交通事故の多発につながってきていると思うのです。ひとつそういうことを御認識をしていただきたいと思うのです。今ここで答弁は要りませんけれども、御認識いただきたいと思う。感想があれば、また後でまとめておっしゃっていただいて結構でありますから。  そこで、私はそういう状況について労働省にお伺いいたしたいと思います。  労働省に賃金時間部長という新しいポストができまして、きょうはそこの部長さんにおいでいただきました。そこで、労働時間の関係についてまずお聞きしたいと思います。  御案内のように、昨年の四月一日から労働基準法が改正されまして、週四十時間労働制が法定化されました。もちろん、その週四十時間制をきちっと守らせるということについては、一定の期間が必要でありますから、当時私の質問に対して、当時の中曽根総理から一九九三年を目途にしたいという答弁をいただいているわけであります。あとわずかですね、法が施行されてから五年間の猶予期間ということが言えるでしょうから。  そのときに、トラックの運送事業などについては特殊な条件にある、だから直ちに四十時間制に移行することは難しいので、当面の間は、ざっと三年間でありますが、現行の四十八時間制を基礎に置いて猶予期間を設けてその間に労働時間の短縮を進めていこう、こういうことを当時審議の過程で確認をし合い、法的にもその措置がとられているんです。  それを受けて、ことしの二月九日に労働省は告示第七号で、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準というものを出しましたね。その基準を見ますと、第二条の第一項でこういうふうに書いてある。「一箇月についての拘束時間は、三百二十五時間」、労働組合があって協定がされる場合は「三百五十時間を超えないものとすること。」こうなっているのです。  この数字を逆算すると、三百二十五時間の拘束時間でいえば、一年に単純計算すると三千九百時間であります。三百五十時間にすると四千二百時間であります。こんなふざけた数字が通りますか。二千百三十時間程度の労働時間が長時間労働と世界から批判を受けて、だから千八百時間にしようとして労働基準法の改正をした。トラック業などは一定の特殊な条件に置かれているから、三年間の猶予期間を設けた。その間にできるだけそれに近づけていこうとした、そのための法改正だったのでしょう。私は、この労働基準法の改正に本当に執念を燃やして取り組んできました。告示が三千九百時間、四千二百時間、一体これはどういうことなのですか。私は、労働省の行政に積極的に協力してきたつもりであります。ところが、こういう数字が告示で出されている。  あるいは第四条で、「一般乗用旅客自動車運送事業以外の事業に従事する自動車運転者」、「一日についての拘束時間は、十三時間を超えないものとし、」「二週間を平均し一週間当たり七十八時間を超えないものとすること。」四十時間にしようと いうときに、ざっと倍の七十八時間を超えないものとする、こんなことでトラック運送事業に携わる労働者の労働条件が改善できますか。私は、これはひとつ根性を据えて答えてもらいたいと思うのです。  さらに、運輸省関係でありますが、昭和六十三年四月二十五日、去年ですが、労働基準法の改正を受けて、貨物流通局長が全日本トラック協会に、「所定労働時間の短縮について」という協力要請をしています。その中に書いてありますが、六十六年三月三十一日までの間は四十八時間とするという猶予措置がなされた。今や国内貨物輸送の基幹的役割を担っているトラック産業の今後のことを展望する場合、少なくとも二年以内を目途に週四十六時間以下とするよう業界あげて取り組んでほしい、運輸省はそういう要望をしているのです。これと労働省の通達とどこに整合性があるのですか。  時間の関係で、あえてこちらが一方的に続けてしゃべりますが、私はこの通達を見てわかったのですが、全日本トラック協会の会長は加藤六月代議士であります。現職の自民党の幹部がトラック協会の会長であります。国会で法律をつくったのですから、その法律をトラック協会に守ってもらう、その最高責任者が加藤六月代議士、これはひとつ自民党も積極的に加藤六月代議士に役割を担ってもらって、このトラック運送労働者の労働条件の改善と、大型トラックなどが中心となる交通事故の大幅な減少に役立つようにしてもらいたい。  労働省と運輸省からそれぞれ答えていただきたいと思います。
  40. 椎谷正

    ○椎谷説明員 永井先生は労働基準法に大変お詳しくていらっしゃいまして、実際に本もお書きになっておりますので、私の方から細々御説明するのもいかがかと思うのでございますが、お話のとおり、昨年の四月から改正労働基準法が施行になりまして、そのときに、本法では四十時間でございますけれども、当面は週四十六時間にする。ただ、お話ございましたように、運輸関係につきましては三年間四十八時間のままで、四十六時間にするのは猶予する、こういうことになりました。  これはすべて公労使の三者構成によります中央労働基準審議会という審議会の検討結果を受けてそういうふうな法律にしたものでございます。その際に、お話ございましたように道路貨物運送業等交通運輸関係につきましては、特に長時間労働の問題があるということでございますので、中央労働基準審議会の中に自動車運転者の労働時間の改善を図ることを検討するために自動車運転者労働時間問題小委員会というのを置きました。その構成メンバーの中には運輸事業関係労使の方も入っていただきまして、検討をお願いをしたわけでございます。  実は、お話ございました大臣告示につきましても、この小委員会の検討結果を受けまして、従来私どもはいわば単なる内部通達でお話ございましたようなことをやってきたわけでございますけれども、その小委員会の検討結果では、やはり拘束時間等につきましては大臣告示という形で皆さんにお知らせするのが適当であるということでございました。それを受けまして、私どもとしてはことしの二月に大臣告示をしたわけでございます。  いわばタクシーにつきましては、お話ございましたように一カ月の拘束時間が三百二十五時間、トラックバス等につきましては二週平均で一週当たり七十八時間、こういうことで小委員会の方での御結論といいますか、中間的な御方向がございましたのを受けまして、当面はこれでいきましょう、こういうことにしたものでございます。  確かに、拘束時間ということでございますので、いわば実労働時間とは若干差がございますのは事実でございまして、例えば昭和六十三年の労働時間の動きを見ますと、道路貨物運送業、いわばトラックでございますが、年間に換算しますと二千六百八十七時間、産業平均で見ました二千百十一時間に比べますと相当長いのは事実でございます。本年に入りまして労働時間の短縮の動きというのがかなり進んではきておりますけれども、それにしましても、ほかの産業に比べて長いのは事実でございます。私どもとしても、当面は、その小委員会の検討結果を受けまして、関係団体への働きかけですとかあるいは関係行政機関との連携を強めて、この改善基準の遵守に努めているところでございますけれども、なおこの小委員会は、これはいわば中間報告ということでございますので、これからもその規制内容等については検討を続けていくということになっておりますので、その方向で私どもとしては努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  41. 江藤隆美

    江藤国務大臣 戦後、考えてみますと、日本の運送というのは荷馬車で始まったと私は思っております。荷馬車と内航海運程度だったものが、急速に物流業界トラックというものが参入してきて、今やトンキロ数でいうと九割を占めるようになった。業者数も三万八千にもなった。ということは、実は急速に伸びてきた一つの産業でありまして、何万人という従業員を使うところもあれば、家族労働みたいにやっているところもある。ピンからキリまである。  非常に急速に伸びてきたそういう業界であるだけに、ある面においては経営者自体、経営の内容が前近代的な面がたくさんあるだろうと私は思っているのです。そういうことから、いわゆる違反が少々あっても、やはり過積みをやってみたり、過重労働をやってみたりということが生まれてくる。これは残念なことでありまして、やはりこれは業界の自滅行為だと私は思っておるのです。  ですから、少なくともこれから先、物流の基本をトラックが担っていくという大きな役割に変更はないわけでありますから、だとするならば、従業員の確保も十分できる、そこに働く人たちも満足して働くようなところができる、そして社会的な責任も果たせる、そういうふうないわゆる経営者に対する社会的な責任を大きく負わせるということで、実は業界の正常化、発展を図ろうという意味で、申し上げましたように物流二法の御提案を申し上げて、これが通りましたら、いろいろと国会でさまざまな御議論、御意見を賜っておりますから、政省令をつくる段階におきまして、それらのことを念頭に置きながら全きを期していきたい、こう考えておるところでございます。
  42. 永井孝信

    ○永井委員 運輸大臣トラック業界が自滅行為になっていかないように、私はそのとおりだと思うのですね。それは積極的にやってください。  もう一つ、私が言っておりますのは、トラック業界のそれぞれの業者の責任ではなくて、荷を運んでほしいと発注する側がその認可運賃を守ろうとしない、割引さすのが当たり前ということがあったのでは、トラック業界にしわ寄せが来るわけでしょう。それが働く者の労働条件にもしわ寄せが来る。ここのところを言っているのです。  だから、今まで何回も運輸大臣の名前で通達は出しているのですが、守られていないということが現実の姿ですから、そこのところをきちっと押さえてもらいたいということ。そして、トラック業界からいえば、あくまでも認可運賃を守ってほしいと荷主の側に強く業界としても訴えてもらうという、このことも私は必要だと思うのですね。そういうことからトラック労働者の労働条件も向上していくのではないか、そのことが高速道路なんかにおける事故も必ず減少につながっていくだろう、私はそう確信するのですよ。これをあえてお願いしておきたいと思います。  そして、労働省が今いろいろ答弁がありました。トラック運送などの事業に携わる運転手の皆さんが、今の現状からいって直ちに労働時間が短縮できるとは私は思ってないから、労基法の改正のときには猶予期間を設けることに私どもも同意をしてきたのです。しかし、そういう審議会でいろいろな検討をされて、中間報告をもとにこの告示がされたというのですが、しかし三年間の猶予期間で、運輸省の方は、繰り返して申し上げて恐縮でありますが、少なくとも二年以内を目途に週四十六時間以下とするように業界は取り組んでほしいという要望を運輸省が片一方で出している。 肝心の担当省である労働省が施行されて一年後のときの告示で、たとえ拘束時間と実労働時間の差があったとしても、一年間に三千九百時間も拘束することを逆に言えば認めるという形の告示になっている。協約さえ結べば四千二百時間、こんなものは世界に通用するわけもないし、日本の今の状況からいって、今度新連合ができましたが、連合の闘いの目標も労働時間の短縮が大きく掲げられております。それは新前川レポートにもあったように、長時間労働、これが大変な問題になってきまして、政府自身も千八百時間にしていこうということから、労基法の改正を手がけたのでしょう。  余りにも乖離があり過ぎるじゃないか。こんな手ぬるいことで、果たして労働時間の短縮ができるのか。それが過労運転になるのですよ。今、警察庁がお答えいただきましたように、過労運転による事故は年々ふえてきています。死亡事故もふえてきています。これは運輸行政警察行政、そして労働行政、一体的になってやろうとすれば当然労働省がそれだけの積極的な姿勢を示すべきでしょう。だから、私はかなり厳しく申し上げているのです。わかりますか。もう一言答えてください。
  43. 江藤隆美

    江藤国務大臣 先ほど荷主の問題がありましたが、今回の物流二法の改正の中では、荷主の責任を明らかにしておりまして、荷主と運送業者といいましたら、これはもう荷主の方の力が強いということは当たり前でありますから、そういうことを念頭に置きまして、今後荷主懇談会を開いたり、あるいはまたこの運送事業の適正化事業等を進めて、一人一人ではとても力になりませんから、この運用に当たっては、業者ももちろんですが、直接に従事する労働組合の代表の皆さん方も入ってもらって、そして過積みの防止、それから労働過重の問題、それから荷主とのかかわり合い、そういうことをこの適正化事業の中で十分話し合いながら、私どもがこの行政を進めていく大きな資料にしたい、こう思っておるところであります。
  44. 椎谷正

    ○椎谷説明員 お話しのとおり、千八百時間に向けてできる限り労働時間を短縮するという目標に向けまして、自動車運転者に関しましては、まず改善基準の遵守ということをやっていきたいと思いますが、先生のお話もございますし、私どもとしても、先ほど申し上げました中央労働基準審議会の小委員会におきまして、これからさらに検討していきたいというふうに思っております。
  45. 永井孝信

    ○永井委員 時間が参りましたので、たくさん質問を予定していましたが、全部には触れられませんでした。  最後に、さっきの道交法改正のことで私がちょっと触れた中で、御提言を申し上げて検討してもらいたいことが一つあります。公安委員長にお答えいただくか、警察庁にお答えいただくか。  それは、最前申し上げましたように、今審議されていますけれども初心者の暫定免許というのですか、交通事故死亡者というのは十六歳から二十歳までが圧倒的に多い、自損事故も含めて。お年寄りは反射神経も落ちていますから、歩行中にはねられるケースが多くて、不幸にしてたくさんの死亡者がいるのですが、この免許証を取った当座の事故というものはなかなかなくなっていかないと思うのです、未熟でありますから。だから若葉マークをつけるのです。だから、点数が違反で三点になったら改めて講習を受けさせる。それが一年間に二回にわたると今度は改めて試験をするというのですか、そういうことで、果たして免許証が本交付されることにふさわしいのかどうなのかということを見きわめようとされている一つの前進的な対応策であります。  ところが、親にすれば、免許証を取ったけれども、そんなに車を買うてやる余力もないし、まだ学生だから慌てて乗らぬでもいいではないかとかいろいろなことがあって、半年とか一年乗せないで親がとめるという場合もあります。いわゆるペーパードライバー。このペーパードライバーが、一年間待っておれば、もちろん違反も起こさないし事故も起こさないのですから、自動的に今度の道交法改正では本来の免許証になっていくわけです。私は、これはどこかに問題があるような気がするのです。  だから、違反をしたり事故を起こしたりした人だけではなくて、初心者ですから、それが暫定免許という性格を持たせるとするならば、一年たったところで、自分の免許証を取りにいった教習所でもいいですから、そこの教習所で、例えば二時間か四時間がいいのかわかりませんけれども、もう一回教官に一緒に乗ってもらって路上運転をして、安全運転を確認講習させるくらいのことが制度的にあった方がいいのではないか。  もちろんその場合、たとえわずかの金でも受講料が要りますけれども、しかし、それから生涯ずっと運転をする場合のスタートですから、暫定免許という形をとるなら、そのくらいのことがあってもいいのではないかということを、私はここで今頭の中に浮かんでいるのですが、そういうことも含めて、若年者対策について検討してもらえないかどうか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  46. 関根謙一

    ○関根政府委員 お答えを申し上げます。  今回御提案を申し上げております初心運転者期間制度の問題点一つとして、ペーパードライバーの問題があるということは御指摘のとおりかと思います。  私どもの立案の前提といたしました免許証取りたての者のペーパードライバーとなる比率、割合と申しますか、これは三%前後ではないかなという試算でございます。ペーパードライバー全体は、運転免許証保有者全体の中の七、八%あるいはそれ以上かもしれませんが、そのくらいの数字でございますが、自動車に乗りたくて免許証を取った方々はすぐ乗られる例が圧倒的に多いということで、私どもアンケート調査をいたしました結果が、ただいま申し上げました三%前後ということでございます。しかしながら、その人たちが一年間ペーパードライバーのままでいて、初心運転者期間を経過した後運転を始めるということになりますと、やはり問題でございます。  そこで、私どもといたしましては、各教習所にお願いをいたしまして、ペーパードライバーのための講習というものの充実強化を図っていただくようにお願いをしているところでございます。現在、全国で千五百カ所以上の指定自動車教習所がございますが、そのうちの八百八十カ所以上の指定自動車教習所でペーパードライバーのための特別コースを設けております。こういったところで研修をしてから乗ってもらうようにということで、まず指導を進めたいと考えておりますが、さらにその後の様子を見まして、どうしてもペーパードライバーの問題が生ずるということになりましたら、その時点で具体的な法律の改正も含めて検討をしたいと考えます。
  47. 永井孝信

    ○永井委員 終わります。ありがとうございました。
  48. 正木良明

    正木委員長 以上で永井孝信君の質疑は終了いたしました。  次に、山田英介君。
  49. 山田英介

    ○山田委員 先月の二十八日に、内閣としては初めての交通事故非常事態宣言というものが発せられたわけでございます。その背景は、言うまでもございませんが、既に本年、交通事故死者が一万人を突破をいたしました。そして、最終的には一万一千人を超えるのではないか。この一万人突破というのは、昨年と引き続きましての大変深刻な事態である、第二次交通戦争、こういう表現がとられているような背景があるわけでございます。  そこで、まず最初にお伺いしたいのですが、先月二十八日発せられましたこの交通事故非常事態宣言、この後政府としてどういう具体的な対応を今日に至るまでなされておるのか、それを伺いたいと思います。
  50. 加美山利弘

    加美山政府委員 お答えいたします。  先般の十一月二十八日、交通対策本部会議を開きまして、現下の厳しい事態における事故防止対策について関係省庁で申し合わせを決定しまし て、それを強力に推進するということでそれぞれやっていただいているところでございますが、また、国民の皆様方一人一人に、命のとうとさということを思いをいたしていただいて、それぞれの方々が安全な行動をとっていただくということで、初めてのことではございますが、交通対策本部長の「国民の皆様に訴える」という非常事態宣言を発表したわけでございます。  これを記者会見で明らかにした後、交通対策本部長水野長官が、お昼の時間を割きまして、みずから街頭に立たれて街頭啓発活動をしていただいたわけでございます。新宿の小田急のハルクの前で、水野長官を初め東京都の副知事警視庁の副総監、警察庁交通局長総務庁の事務次官等の方々、そして全国交通安全母の会の東京都の人たちの御協力、そしてまた地元交通安全協会の方々の御協力等々を得まして、街頭において一時間ばかり街頭啓発活動を行ったところでございます。  それにつきましては、マスコミの皆さんの御協力をいただきまして、取材報道をいただきました。また、そのときに広報をしようとしてお配りしたものが、四千部用意したわけでございますが、みんな残らず配ることができたというようなことでございます。  その後、この申し合わせに基づきまして、三点申し合わせがございますが、第一点の「積極的な広報啓発活動の展開」ということで、関係省庁はもちろんでございますが、私どもも積極的に報道機関に御理解いただく、あるいは政府広報を総理府にお願いしましていろいろやっていただくというようなことを活発に展開しております。  なお、申し落としましたが、交通対策本部の申し合わせの決定を各都道府県知事あてにお知らせするとともに、各府県におきましても、それぞれの実態に応じた年末年始交通安全運動等の中において、効果的な県民総ぐるみの交通安全意識の啓発活動等を具体的に展開していただくよう総務庁長官名で要請して、現在各府県とも、それぞれの県の実情に応じて非常事態宣言したり知事のメッセージを出したり、いろんな活動が展開されているところでございます。  なお、総務事務次官名で関係団体あてに、関係各省の御協力を得ながらやはり同趣旨の非常事態下における関係団体皆さんのお力添えにつきましても要請し、それぞれ団体皆さん方におかれても、それぞれの活動が展開されておると今聞いております。  私どもとしましては、申し合わせの第二点の「年末年始における交通事故防止対策推進」ということと、第三点の「最近の事故実態に応じた諸対策の重点的推進」というのを決めておりますが、関係省庁の連携のもとに、国、地方一体となって、また関係団体のお力をいただきながら、この申し合わせの内容が実現されていくように、さらに総合調整の立場から連携を深めてまいりたいと存じます。  以上でございます。
  51. 山田英介

    ○山田委員 いろいろ対策を講じておられるということは、今伺ってわかるわけでございますが、テレビとかラジオをどうしてもっと使わないのですか。結局、一方において非常事態宣言が出されても、宣言を出しただけじゃ片手落ちだと思うのです。それをいかによく、ドライバーにあるいは国民一人一人に、非常事態であるということについて注意を促す、喚起をするということについては、テレビ、ラジオの媒体というのが非常に効果的であると思われるわけですが、そこのところはどうなっておりますか。
  52. 加美山利弘

    加美山政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、テレビ、ラジオ等の媒体、メディアを通じるということは、大変重要なことでございます。先ほどもちょっと触れましたが、十一月二十八日の交通対策本部の申し合わせの一つに積極的な広報活動の展開を掲げているところでございまして、それに基づいていろいろやっているわけでございます。  総務庁としましても、交通対策本部長である水野総務庁長官みずからが、先ほど申しましたように街頭啓発活動を行い、それを取材していただいたとか、それから翌十一月二十九日の深夜のテレビ番組でございますが、そこに出演していただいたということもございます。  なお、マスコミの皆さんの御理解、御協力を得ながら活動を展開するとともに、私どもとしましては、政府広報につきましても、これまでもいろいろ総理府の御協力を得ながら展開してきたところでございますが、非常事態宣言後も、既に十一月三十日、十二月一日にかけて新聞広告を実施するとともに、十二月三日にテレビの政府広報番組で取り上げていただいたほか、その他新聞、テレビ、ラジオ、月刊誌等々幅広く広報活動を展開するようにしているところでございまして、今後とも総理府を初め関係省庁と連携を密にして、積極的に広報活動が展開するように努めてまいりたいと存じます。  以上でございます。
  53. 山田英介

    ○山田委員 伺っても、テレビ、ラジオ等の活用については非常に対応が弱いと思います。総務庁長官がハルクの前で立たれた、これは大変なことだと思います。ただ、お忙しいわけですから、一週間に一回立つわけにはいかないわけですから、その都度マスコミは確かに報道してくださいますよ。しかし、そのとき一過性のものなんですよね。  ですから、十一月二十八日に非常事態宣言を出しました。そのことが日にちを経過するとともに忘れられていく。それを長い期間危機意識というものを国民皆さんに持っていただくというためには、継続的にそのことをテレビ、ラジオ等で流していく、そういうアプローチの仕方が当然必要になるわけですが、非常に弱いと思いますね。二十八日の夜などは、新聞にもあるいはニュース番組などにも非常に大々的に取り上げられました。しかし、それだけではならないというふうに思うわけです。  例えば、しっかり予算措置をして、テレビ、ラジオにスポット的に、断続的、継続的に流すという努力をされないで、初の交通事故非常事態宣言といっても、かけ声倒れに終わってしまうのじゃないか、こういう危惧を私は強く持つわけです。したがいまして、例えば予測しがたい事態に対応するための予算確保されているわけですから、政府を挙げて交通安全対策事故防止のために取り組もうとやったわけですから、もうちょっとそこのところはしっかりとした、腹を据えた予算措置、しっかりした対応が必要だと思うのです。これはぜひ交対本部長総務庁長官に。
  54. 水野清

    水野国務大臣 ただいま室長からお答えをいたしましたように、非常事態宣言を発しまして、私どもが持っております広報予算だけでなくて、内閣広報にも予算を割いてもらいまして、広報としても手を打ったわけでございますが、御承知のとおり永続的な広報活動が必要であろうというふうに私は思っております。おっしゃるとおりでございます。  ただ、もう一つ予想外な問題として収穫であったことは、実は広報番組とか新聞紙上の広報の紙面を確保する以上の効果があったのは、マスコミが記事として非常に大きくこれを取り上げてくれました。また、その後も交通事故が朝晩、何でしたか、若い人たちが、若い高校生が三人か四人乗ってどこか国道で死傷事故を起こした事件なんかは、非常に大きく取り上げてくれております。私は、そういうこともまた非常に効果は大きかった。むしろ、広報という形で国民に訴えるのも一つでありますが、マスコミ一般が大きく取り上げていただくことの方が実際は効果が大きいのではないか。ただ、これは毎日毎日永続的にやってくれるわけではないのでありまして、委員のおっしゃるとおり、私どももこれ以上にいろいろな工夫が必要かと考えているわけでございます。なるべく努力をしていきたい、かように思っております。
  55. 山田英介

    ○山田委員 大臣から御答弁いただきました。ぜひテレビ、ラジオでスポット的に、断続的、継続 的に少なくとも一定の期間は流すべきである。私は、そのことを大臣には御理解をいただいたものと今の御答弁で受けとめておりますけれども、例えばドライバーが、カセットテープを聞く場合もありますけれども、運転中に多くの方々がラジオをつけているわけです。そこで、例えば一言でいいわけです。十一月二十八日、交通事故非常事態宣言政府は発しました、この一言だってドライバーに与える大変なインパクトですよ。おっ、ちょっとスピード出し過ぎた、恐らくこうなるでしょう。私は自分でも運転しますからわかりますけれども、そういう大変大きな効果が期待されますので、大臣、これは交対本部長としてもぜひ対応していただきたいと思います。  警察庁の方で、ことしの十月末現在の死者八千九百九十八人につきまして、どういうことになっているかという分析をなされております。その要点は、こんなふうな形になっています。  一つは、十六歳から二十四歳の若年者、これが全死者のほぼ四割、六十五歳以上の高齢者が全死者の二割強。それから、若年者の死亡事故原因は四割強がスピードの出し過ぎ、これは他の年齢層の二・九倍です。それから次に、高齢者の死者の半数が歩行者で、歩行中に事故に遭い、死んでいる。二割強が自転車の乗車中です。その原因は、高齢者の場合、信号無視、車の直前直後の横断、これが大変多い。こういう形ですね。近年特徴的な死亡事故の発生でございますが、土、日を中心として半数強が夜間に死亡事故が起きている。こういう分析結果になっております。  今申し上げた傾向というのはことしだけのことではなく、この数年間における傾向であろう、こう思います。例えば、十六から二十四歳までの若年者の死者が非常に多い、それからこの若年者の死亡事故の場合四割強がスピードの出し過ぎ、相変わらずなわけですね。  それで結局、かつては非常に大きな効果を上げることのできたいろいろな安全対策が、歳月の流れとともにあるいは時代の変化とともにその安全対策効果というものがだんだん小さくなってきているということが言えるわけですね。今までは確かにそれは安全対策上大きな成果を上げ得た、しかし、それをさらに量を拡大する、あるいはその対策の単位当たりの効果というものが非常に小さくなってきている、これが指摘できるわけでございます。ですから、やはり発想を変えていく。ではどうしたらいいのだというところで、私は、従来の安全対策をやはり大きく見直す、あるいは新しい発想というものがどうしても必要なそういう事態なのではないか、基本的にこう思うわけです。  例えば、プレホスピタルケアなんという考え方が一つあります。救急隊員が病院に搬送するまでの間、二十分ないし三十分あるいは小一時間かかる。その病院に収容するまでの間のいわゆる救急救命措置、医師法十七条の医師以外は医療行為をしてはならないというそことの難しい問題はあるにせよ、そういうプレホスピタルケア、救急隊員に初期の医療行為、治療行為を、一定の資格を取得させてやっていただこう、こういう発想が当然一つ出てくるわけです。  もう一つは、救急車、救急隊員が、重傷を負った、事故で大けがをしたその現場に到着するまでの間、これはやはり十分とか十五分とかあるいは二、三十分という時間がかかるわけです。ですから、今度はその救急車が到着をするまでの間の十五分なりそういうわずかな時間、初歩的なというか基本的な救護活動というものがあれば死者の三割ぐらいは救えるのではないか、死なないで済むのではないか。これはWHO、世界保健機関でもそういう提言をしておるわけです。  そういうところの取り組みというものをやはり今後交通安全対策の中に正面から据えて検討をしていかなければならない、そういう時代を迎えているのではないか、あるいはそういう事態を迎えているのではないかというふうに思えてならないわけでございます。これはやはりある意味ではハード面の整備充実とまた違ったソフト面における予算措置、ソフト面における充実、あるいは正面からのとらえ方ということにつながっていくわけですね。  またいま一つは、例えば六十五歳以上の高齢者、お年寄りが、十月末までの約九千人の死者数の中の二割強を占めている。ではこのお年寄りに対しては、さきの交通特でいろいろ審議をさせていただきましたときに厚生省からもお話がありました。警察からもお話がありました。それは、老人センターとかそういうお年寄りが集まる場所あるいはそういう地域に、それぞれ現実指導員が出て安全教育というものをなさっておられるわけです。ただしかし、ではそれが量的に満足すべきなされ方なのかな、あるいはそこでお年寄りに対して興味と強い関心を持っていただく中で、ではどの程度安全教育というものがなされているのか、実施されているのか。質的にも量的にもまだまだ少ない。まあやっているということであって、内容的にもあるいは量的にもそれはまだ非常に貧弱であるということを指摘せざるを得ないわけです。これもいわゆる限られた交通安全対策予算という中でしか対応できないわけですから、もう限界が当然出てきているわけです。  これらはいずれもソフト面における交通安全対策の重要性というものを勘案していただいて、そして関係大臣におかれてはそういう基本的な認識を共有なされて財政当局に対処していくという決意がなければ、非常事態宣言を出しても、あるいは個々の省庁で個々ばらばらのと言ったら失礼かもしれませんが、これが目玉ですという形でなされても、事故の数というのは現実に減っていないわけですから、そういう取り組みというものが私は必要だというふうに考えております。これは国家公安委員長から一言御感想をいただきたいと思うのです。
  56. 渡部恒三

    渡部国務大臣 大変貴重な御意見だと承っております。
  57. 山田英介

    ○山田委員 今私は、交通安全対策のソフト面の充実ということについて、一、二本年の死亡事故を分析する中で申し上げたつもりでございますが、そのほかにもいろいろあるわけです。  例えば、非常に身近な問題ではPTAとか父兄会とか地域の自治会とか、そういう婦人部の皆さん、御婦人の皆さん、お母さん方が、いわゆる緑のおばさんというような言われ方をしておりますけれども、そういういろいろな広範な方々が、児童をあるいは人々交通事故から守ろうということで努力をされているわけでございます。例えば、こういう緑のおばさんに対しても、研修の機会を持ってあげるとか、統一した制服とか、子供たちが横断するときに旗などを出すわけですけれども、そういうものももっといいものをとか効果的なものをとか、そういう問題についても私は今後はしっかり対応すべきだというふうに思うのです。そのためには、後ほど触れますけれども、ハード面の道路を建設します、中央分離帯をつくります、譲り車線をつけます、あるいは交差点の改良をやります、ここには特定財源がついているわけですね。しかし、ソフト面には特定財源はないわけです。一般財源です。  例えば、警察庁一つとってみても、いろいろなお仕事があるわけでしょう。職務というのがいろいろな分野にわたってある。一般財源でそれを対応するということになれば、おのずから予算の枠というのは当然限界があるわけです。こういう面についてもやはり必要である。  それから、十六歳から二輪車の免許を取得できますから、例えば学校の要請などを受けまして、白バイ隊とかそういう二輪車の実技講習、あるいは安全マインドの養成とかということを目的として実際に指導あるいは教育をなさる。そういうときに使われる器材とか、例えば実際にバイク等の免許を持っていない子供をバイクに乗せて指導する必要はないわけですが、しかしそういう場合にも、興味のある子供たちに対してはシミュレーターなどを使っていろいろと安全教育というものができるはずです。これもやはり交通安全対策のソフト面の重要な一つだというふうに考えられま す。  それから、さきに交通局に私ちょっと質問なりやりとりをさせていただきましたけれども、何と言うのでしょうか、モータースポーツ施設とかモータースクールとか、ゴルフ教室があるあるいはテニス教室がある、バイクの、二輪車の教室があってもいいんではないですか、こういう考え方も当然出てくるわけでございます。  要するに、そういう施設の整備、施設だけ見ればそれはハード面と言えるかもしれませんけれども、そこで二輪車のあるいはモーターの基本的な動かし方とかそういうものをしっかり教えていくという意味において、リーダー、人も含めてやはりこれはソフト面に入れて考えられてもいいのではないか。そういうところにもやはり特定財源なりしっかりとした予算というものがつけられれば、いろいろとやっていくことができるわけです。  あるいは事故分析の高度化、これも極めて大事です。これは、別途時間の許す範囲でちょっと申し上げてみたいと思うのです。  それから、先月十七日の閣議で大蔵大臣も御発言されておられました。要するに、交通管制センターとか信号機とかこういうものが系統化される、あるいは高度化される、改良されるということになれば、確かに事故は減るのだろうという趣旨の御発言閣議でなさっておられるわけでございます。そういうことから考えましても、やはり交通管制センターを充実拡大することによって例えば渋滞の解消、交通情報のサービスを十二分に提供していける体制をつくっていく、ひいてはそれが事故減少、死者減少というところにつながっていくというふうに考えられるわけでございます。  繰り返して申し上げるようになるかもしれませんが、現行の交通安全対策財源という角度から見てまいりますと、交通安全教育、それから各種免許者講習とか安全運転管理者講習、これらは特定財源。それぞれ免許手数料、講習手数料とかを出して特定財源がつけられているわけです。その他というところが、例えば僕が申し上げました緑のおばさんとか学生に対する安全教育あるいはモータースポーツ施設とか事故分析の高度化とか交通管制センターの拡充とかというのがその他に入ってくるわけです。これは一般財源なんです。それから、交通の取り締まり、これも一般財源なんです。特定財源ではないのです。限られた予算の中でこれはやらざるを得ない。  それから、交通環境というところで見てまいりますと、道路本体、これは道路管理者ですね、建設省。直轄事業、補助事業、単独事業、ハード面には全部特定財源があるのです。それから、この道路管理者分の交通安全施設整備費、これも要するに揮発油税とか石油ガス税とかという形で、全部特定財源がつけられているわけですね。この部分はいずれもハード面です。  今度は、同じ交通安全施設等で公安委員会分。特定事業、これは一般財源都道府県の公安委員会がいろいろな交通安全施設整備をやります。それに警察庁が一般財源として二分の一補助をするという形で金を出す。これは限りがあります。  それから単独事業都道府県公安委員会実施する安全対策施設整備事業については、これは特交金という形でいわゆる交通違反者の反則金がここで充てられてくるわけです。その意味では、特定財源といえば、六十三年実績では反則金が大体八百億足らずですね。それを大体道路管理者と市町村とこの公安委員会が使うわけですけれども、恐らく二百億前後じゃないんでしょうか、ここのところの特定財源というのは。だからなきに等しいということです。  ずっと申し上げてまいりましたように、ハード面に力点を置いてきた今日までの交通安全対策というものを、初めて政府非常事態宣言を発したというこのポイントを大きないわゆる転換点といいますか、そのようにぜひとらえていただいて、これを機に、ハード面も大事です、これも大事です、と同時にソフト面からの交通安全対策というものを今後はもっと真剣に、強力にやはり取り組んでいく、推進をしていく、取り上げていく、こういう姿勢が大事です。  そうでなければ、また来年だって同じような結果が出てきますよ。若者が全死者の四割、お年寄りが二割強。その原因はスピードの出し過ぎ、お年寄りの原因は信号無視、車の直前直後横断。同じ傾向が今後またずっと続くということになりかねません。したがいまして、ソフト面を充実させるということは、現下の交通安全対策の極めて重要な課題であり、そしてまた極めて緊急性の高い問題であります。  ソフト面を強化しました、それはすぐに効果が出るということではないかもしれません。しかし、対策を何年か打たなければいつまでたっても改善されないだろう、着手をすれば何年か後には必ず効果が出てくるというように私は思うわけです。これは国家公安委員長、それから総務庁長官に御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  58. 渡部恒三

    渡部国務大臣 先ほどからの山田委員の御指摘、極めて貴重な御意見と承ってまいりました。交通事故防止とともに、国民皆さんに快適な毎日の生活をしていただくために、交通渋滞のいらいらを解消していくことも、内政上の極めて重要な課題であります。  当然、その第一は、やはり道路網の整備を図ることがまず何よりも先決する重要なことであると思いますけれども、しかし同時に、ハード面の道路交通網の整備充実とともにソフト面の政策を充実することによって、交通渋滞のいらいら、また今日最大の問題として今取り上げておる交通事故防止していくことがいろいろ可能なことは、今山田委員が御指摘のとおりであります。  これを実施するということになると、これは当然予算の問題になります。交通管制センター高度化信号機の高性能化、いろいろ御指摘の問題、これはみんなお金のかかる問題で、質的に向上していく問題もありますし、また量的に広げていく問題もありますから、今まで私もいろいろ聞いておりますと、ゼロシーリングという長い時期、質的に向上することに力を入れていくと量的に広がりませんし、量的に広げていくことを考えますと質の向上ができませんし、そのためにはやはり必要な財源委員御指摘のように十分に確保する、こういうことになると、今御指摘の特定財源問題等をも含めて今後この必要な財源をどうして捻出していくか、真剣に考えていかなければならない時期に来ておると思います。  いずれにしても、委員の大変熱心な御意見を貴重なものとして受け取り、これを前向きに進めていくために努力をしてまいりたいと存じます。
  59. 水野清

    水野国務大臣 ただいま国家公安委員長の渡部大臣からも答弁をいただきましたが、私が非常事態宣言をいたしましたのは、これは実は、外に向けてもう非常事態であるということを国民一般に御認識をいただくということも大きかったのでございますが、政府部内におきましても、御承知のとおり交通安全の問題というのは各省庁にばらばらになっております。もちろん、これを総合調整していくのが私どもの役所の責務でございますし、それを怠っているわけではございませんけれども、各省庁とも日々いろいろな業務を抱えておりまして、それでどちらかというと、こういう非常事態宣言を出すことによって再度問題点内閣全体として考えてもらう、こういう効果もあり、それはただいま委員のお話があったように、予算面でも当然この問題を取り上げていくべきであるというふうに私は考えているわけでございます。  また、先ほど来委員から、若者の交通事故死が全体の四割である、それからお年寄りが二割である、合わせると六割を超えるではないか、そこのところにもう少し焦点を当ててハード面においてもソフト面においても努力をすべきである、こういう御指摘をいただきました。まさにおっしゃるとおりでございまして、私どもは、先ほど来ほかの委員の御質問に対しても申し上げましたけれども非常事態宣言年末年始に当たってとりあえず国民あるいは政府の内外に緊張をしていただく ということが目的でございますが、決してこの緊張をもたらすことだけではなくて、今後恒久的な対策もあわせて各省庁の調整機関としてやっていくように努力をいたしていきたい、私はかように思っているわけでございます。
  60. 山田英介

    ○山田委員 私、先ほどちょっと申し上げましたが、ドライバーに対する基本的な人命救護措置をどうやったらいいのかということは、私は以前教習所における教習内容にどうですかという話をしたことがあるのですが、やはりその中に、教習の一つとしてきちっと位置づける。  こういう事例があるのです。四百台のトラックを持って経営している運送事業者、同じ規模の運送事業者を、片方には一年間、運転手四百人に事故が起きた直後の基本的な救急救命措置、ドライバー同士あるいはドライバーと歩行者という場合もありますけれども、その場合大丈夫だった方が、瀕死の重傷を負った、けがをした、そういう相手に対して救急車が来る前に基本的な救急措置というものをとるのだということで実地に教えたのだそうです、こうやってやるのですよと。これが安全意識というものに大きな成果が出て、一年後両方を比べてみたときに、事故の件数が非常に大きな差が出てきた、こういう事例も実はあるのですよ、きょう詳しい資料を持ってきておりませんけれども。  ですから、例えば西ドイツなどでは、自動車免許を与えるときに、六時間いわゆる基本的な救急救命措置の講座といいますか、科目を終了しませんと免許証を出さない、こういうシステムがあると聞いております。そういうこともありますので、そういうところについての考え方もやはり十分正面に据えた検討が必要であるというふうに思います。  それから、先ほど申し上げましたソフト面における財源措置あるいは特定財源の創設あるいはその予算の充実というところで、ソフト面、事故分析の高度化というのは、あと数分しか時間がありませんけれども、実は横浜国立大学工学部教授の大蔵泉さんという方が小論文を書いておられます。  それで、結論的には、いろいろな交通事故発生とその道路環境を含めた因果関係、つながり等については、まだ「多くの仮説または基本特性に関して確認の必要性が残されており、依然、事故分析の需要は高い。」  例えば「道路のサービス水準と交通安全」の因果関係、これは今日まだ十二分に解明されていない一つだと指摘されているのです。  それから「交通事故発生に係わる地域格差」。都道府県ごとに格差があるのです。こっちの県では非常に死者が多い、事故数も多い、こっちは多くない。それは、各県に共通する客観的な指標というものできちっと比べてみて、なお格差がある。なぜなんだろうというのはまだ十二分に分析されていない。  あるいは「交通量と交通事故率」。この関係も、交通量が多いから事故が多くなるのだと一概にまだ言えないのだそうですね。要するに、交通事故率と交通量の関係という基本的な問題についても一定の傾向が知られていない。それは事故形態に応じた的確な交通量のあらわし方がなされていないからではないのですかとこの教授は指摘しているわけです。  それからもう一つ、「事故対策効果の適切な把握」。要するに、ある対策が行われる以前の事故は偶然のものであって、改良を施さなくとも事故は減ったかもしれない、そういう可能性が実はあるのだ。事故分析する上においては、これはまた非常に大事なポイントである。  それから「対策実施に伴う事故の転移」。右折禁止にしました。ところが、そこでは確かに事故は起きませんでしたが、右折禁止にしたがゆえに他の場所で事故が多発する、あるいは起きる、これは事故の転移と言うのだそうですけれども、こういう問題もはっきりとした結論なり傾向性なりが特定されるに至っていない。  したがって、事故分析の高度化というものは依然として極めて需要が高いのだ。事故分析の活性化のための統合的分析の可能なシステムを構築する必要がある、大蔵教授はそう指摘をされているのです。私もそのとおりだというふうに思う一人なんです。  実は、当然御案内かと思いましたけれども、要するに予算面におけるソフト面の充実というところを私は申し上げたいものですから、あえてこの教授の指摘を引用させていただいた次第でございます。ぜひひとつ前向きな、そしてせっかく水野総務庁長官が御発意なされまして開聞以来の非常事態宣言というものを発せられたわけでございますので、ソフト面における対策の充実というところにこの重要な初めての政府としての交通事故非常事態宣言発令、これをぜひつなげていただきたいことを心から要望、お願いを申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  61. 正木良明

    正木委員長 以上で山田英介君の質疑は終了いたしました。  午後一時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ────◇─────     午後一時二十分開議
  62. 正木良明

    正木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中慶秋君。
  63. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 私は、このたびの非常事態宣言等の問題について質問したいと思います。  特に十一月三十日、交通事故死亡者数が一万人を超えるという事態になったわけでありまして、昨年八月交通対策本部決定の交通事故防止に関する緊急総合対策の一層の強力な推進と、国民一人一人が交通安全の担い手であるという原点を踏まえてそれぞれ家庭、職場、地域等における交通事故防止対策に努められるよう、本部長談話として国民に訴えられました。  しかし、この問題を考えてみますと、もう既に一万人の交通事故死亡数というものは以前から推定をされ、そしてその緊急対策が求められておったわけであります。十一月二十八日、交通事故非常事態宣言を発動し、積極的な広報活動を展開され、あるいは年末年始における交通事故防止対策推進、最近の交通事故実態に応じた諸対策の重点的な推進等が国民協力としての訴えであったわけでありますが、現下の社会情勢、すなわちモータリゼーションの社会でありますから、いろいろな交通事故死の原因があることも承知しておりますけれども、この社会経済の活性化の中に交通事故死が当然増加するという予想が、先ほど申し上げましたような形の中で推定できたわけであります。  警察当局としても取り締まりの強化、あるいは政府の施策、対応のおくれ等々が指摘されております。交通安全施設整備あるいは道路環境整備、安全教育、自動車構造上の諸対策等の問題を含めながら、それぞれがこの交通事故防止あるいは死亡事故対策に対する努力をされておりますけれども、これらについて、それぞれの責任者であります各大臣の所信を冒頭にお伺いしたいと思います。
  64. 水野清

    水野国務大臣 ただいま田中委員のお話のとおり、本年十一月三十日には、昨年より二十日も早く一万人の事故死者を数えるに至りました。この年末には、大変不幸な想像でありますけれども、もしかすると一万一千人に達するおそれが非常にある、こういうことから非常事態を認識し、政府としては十一月二十八日に本部長名で交通事故非常事態宣言を発表させていただいたわけでございます。  緊急に交通対策本部をまたあわせて開催し、「積極的な広報啓発活動の展開」あるいは「年末年始における交通事故防止対策推進」「最近の事故実態に応じた諸対策の重点的推進」を内容とします「現下の非常事態における交通事故防止対策推進について」を内閣省庁協力して申し合わせ をいたしたわけでございます。  私といたしましては、この本部長を承っております関係から、同時に、中央省庁だけでなくて全国の都道府県知事に対しましても緊急協力要請をいたしまして、私も街頭に立って広報宣伝活動をいたしましたが、各都道府県知事におかれましても同じような活動要請し、ほぼ全国的にこれをやっていただいたわけでございます。  あるいは、各省庁の外郭団体その他でも、交通安全に関する団体につきましては、あるいは直接なくても例えば老人クラブのようなところに対しましても要請いたしまして、御承知のとおり、事故死者は高齢者の方が全部の二割を占めておりますのでそういう対策もやらせていただいて、今強力に進めておる最中でございます。  また、免許証初心者を対象といたしました道交法の一部改正も、おかげさまで衆議院を通していただきまして、今参議院で御審議をいただいておる最中でございますが、これも国会側からの御協力だと私は思って、大変ありがたく受けとめておる次第でございます。どうぞ、今後とも何とぞよろしく御指導をいただければありがたいと思っております。
  65. 渡部恒三

    渡部国務大臣 昭和四十五年、交通事故による死亡者が一万六千七百六十五人となりまして、委員承知のように第一次交通戦争ということで、警察当局も、交通事故をなくするために各省庁と連絡をとりながら全力を尽くして努力し、その成果があらわれて、昭和五十四年には八千四百六十六人というところまでいったのでありますが、その後、自動車等がどんどんふえていくとかいろいろな社会的な要因が加わって、交通事故によって死する者がまた一万人を突破するという大変残念な状態になっておりますので、これを警察当局では第二次交通戦争と位置づけて、今、交通渋滞を解消するために、また交通事故による死亡者をなくすために、ハード面、ソフト面、またドライバーの資質の向上、国民皆さん方の御理解、あらゆる面にわたって、今後これらの解消のために全力を尽くして努力しようと存じておるところでございます。
  66. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 それぞれの取り組みあるいはこの交通事故非常事態宣言に対する意欲を聞かせていただきましたけれども本部長であります総務庁長官、今回の交通事故非常事態宣言に当たりましてなぜ大蔵省に呼びかけをしなかったのか、その辺をお伺いしたい。  なぜならば、公安委員長が今言うようにハード面、ソフト面、あるいは財政的な問題も含めて、今回非常事態宣言という啓蒙活動国民に対する訴えをされましたけれども、具体的な予算措置がどこを探しても見当たらない。少なくとも非常事態宣言と言うからには、それなりのきめ細かい対策をするとどうしても予算が必要だ。現場の巡回あるいはそれぞれの対応、施設の問題、こういうことも含めて私はそんなふうに考えておるわけですけれども、その点は手抜かりがなかったのかどうか。むしろハード、ソフト両々相まってやられて成果がある。先ほど来山田委員が話された中での答弁があったわけでありますけれども、その辺がちょっと、むしろ大蔵省にも呼びかけてこういう予算措置が必要ではなかったかと思うのですが、いかがですか。
  67. 水野清

    水野国務大臣 十一月二十八日の閣議で、私が非常事態宣言をいたしたいということを発言いたしまして、その内容についても説明をいたしました。その際、大蔵大臣からも激励のお話がございました。ただ、閣議の席でありますから、予算的にどこをどうしろというような細かいことはいたしませんでしたけれども、田中先生のお話のとおり広報面におきましてもあるいはその他におきましても、この予算も必ずしも総務庁だけについているわけじゃございません。むしろ他省庁にある予算が多いのでありますが、実は私は、この昼休みにも役所に帰りまして、もう一度洗い直しをしてみて、大蔵省に頼むことがあれば頼もうじゃないかという話も今してきたところであります。決して大蔵省に働きを怠けておっているわけじゃございません。
  68. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 私がなぜそういうことを申し上げたかというと、総務庁は、それぞれ調整機能ということを先ほど来強調されておりましたし、考えてみますと、交通対策に関連する部署でも、総務庁、経企庁、大蔵、運輸、建設、警察、自治、文部、さらには労働、厚生まで多岐にわたる。ですから、こういうことを考えたときに、本当の意味での交通安全対策というものをされているのか。  例えば、大臣いいですか、戦後四十年、日本交通事故死は、この四十年間に五十万人の方が亡くなっているのですよ。そして、けがをされた人が一千八百万人。さらにこれから十年、恐らく今のままでいけば十万人ぐらい亡くなるでしょう。こんなことを予想するのは不見識かもわかりません。さらに、けがあるいは交通の被害に遭う人は一千万人ぐらい、こんなふうに言われているわけです。まさしく私たちに対する警告だと思うのです。  それを踏まえたときに、今のばらばら行政が一貫した行政をしていかない限り、先ほど国家公安委員長は人の命は地球よりも重いという引用をなさっているわけですが、しかしもう五十万人亡くなって、さらに十万人の警告をされているときに、行革の時代とかいろいろなことを言われておりますけれども、一歩突っ込んで、交通対策を全般的に考えられる省庁一つつくってもいいのではないか、こんな形で私は今提言を申し上げたいと思うのです。どうですか。
  69. 水野清

    水野国務大臣 御指摘のとおり、この交通安全の問題というのは、各省ほとんどの役所で関係を持っております。それだけに、一つの省あるいは庁をつくったらどうかという御提言は、私は大変ありがたく思っておりますけれども、実は、交通事故というのは一つの生活の中から発生する事件でありまして、それをどういうふうにまとめていくかという具体論になりますと、なかなかまとめにくい。そういう意味におきましては、総務庁が機動力を発揮しまして、あるいは閣内における指導力を発揮いたしまして、むしろ他省庁に私ども総合調整能力を大事に尊重していただいていくことの方が合理的ではなかろうか。  おっしゃいますように、確かに各省庁にまたがっておりますけれども、安全教育の問題だけで役所や課をつくるというわけにもいきませんし、あるいはトラック便の運転手の労務管理の問題を交通安全だけでやっていけるかどうかということについても、もっと多面性があってなかなかとらえがたいところもあろうと思いますし、あるいは道路の構造上の問題も、これは建設省道路行政の中でやっていただくことの方が合理的だと私は思いますので、ただいまの委員の御指摘は、なるほどこの緊急事態考えるべきことだとは思いますけれども、これはしばらく検討の対象とだけさせていただくしかほかあるまいと思ってお話を聞いておりました。しかし、大変ありがたい積極的な御示唆でありますので、私どもも勉強はさせていただきます。
  70. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 私はなぜそういうことを申し上げるかというと、例えば経済企画庁長官は、総合交通対策の担当責任者であります。しかし、この委員会に出てきたのは十数年来で一回だというお話が先ほどありました。こういう形で本当の意味での交通安全対策ができるのかどうか、大変疑問であるわけです。ですから、もし今総務長官が言われるような形でやるとしても、もっともっと徹底したことをやっていかなければいけないだろうと思うのです。  例えば、第四次交通安全施設等整備五カ年計画が出されました。三年目で見直しをするといったって、見直ししてないじゃないですか、はっきり申し上げて。そして、今事故がこれだけふえている。この中には、五年後に一〇〇%以上になった場合においては調整費として二千二百億のお金を具体的にまた整備等について使おう、こういうことであった。ところが、その辺についていろいろと調査をしてみますと、現実に見直しをしてな い。五年たってないからお金が使えないのが現状でしょう。さらに、今非常宣言をされてもお金がついてない。ましてそれぞれの自治体においては、国からお金が来ても県単でお金がないところもあります。県単があっても、つけたくて何とかお願いしてと日参しても、お金がついてないところもある。こういうことが現実にあるわけです。  例えば、学校ができたり道路が新しくなったりすると、交通の流れが変わるわけであります。しかし、その一つをとっても、じゃ具体的にそこに信号をつけてほしい、あそこに標識が欲しいといったところで、それぞれの五カ年計画なりそういう形でコンクリートされる。現実にそういう施設がついてない。ですから、啓蒙という形で立派なことをおっしゃってやることは大変結構だと思うのです。しかし、現場そのものがそういう状態になっている。  ですから、大蔵省初め建設省あるいはまた警察庁が恐らく、それぞれの縄張り争いじゃないですけれども、一生懸命やられておると思いますが、具体的に予算の問題になるとなかなか難しい。交通事故多発地帯というものは、道路管理者である建設省警察当局はよく知っている。ところが、行ってみると、何とかあそこをこうしたらという提案をすると、大変申しわけないのですけれどもお金がなくてできない、結論はこうなってくるのです。こういう調整費というものをとっておきながら、それだって具体的には一〇〇%の達成率にならないと使えない。これでは仏つくって魂入れず。交通安全対策なんというものは、私は、人のそれぞれの善意やしりだけをたたいたって、現実問題としては見られるものじゃないと思うのです。どう思いますか。
  71. 三谷浩

    ○三谷政府委員 大臣が方針を述べられる前に、事務的なことを説明させていただきます。  先ほど来述べております交通事故非常事態宣言につきまして、建設省事故多発地点にほ緊急対策実施するということにしております。大急ぎで事故点検をもう一遍見直しをいたしまして、今年度中に約二千二百カ所につきまして事故内容、施設点検等を踏まえて必要な施策を実施することとしております。  それから、そのほかの事項といたしまして、例えばPRの問題がございましたが、道路利用者に対する広報あるいは啓発活動といたしまして、情報板であるとか横断幕、立て看板、それから高速道路の料金所につきましては、夜間事故がふえておりますので安全運転をという一声キャンペーンを実施することとしております。  そのほかに、いろいろ御指摘のあります標識の適正化の問題、これらは一般利用者、専門家と共同点検をしてやる予定でおります。  さらに、道路工事年末年始工事の抑制、こういうものも考えておりますし、そのほか交通安全の調査についても考えております。  これらの執行についてでございますが、事柄の非常に重要性にかんがみまして、これらにつきましては、今年度の予算の中でいろいろな工夫をいたしまして最大限これらを実施しよう、こういうふうに考えております。  なお、調整費の問題でございますが、先ほど大臣からも御答弁がございましたけれども、三年後の見直しをするという閣議了解に基づきまして、この一月に再度、「公共事業長期計画の進ちょく状況等について」の閣議報告の中で、「今後必要に応じ、各計画中の調整費を弾力的に充当するものとする。」という報告を受けまして、平成二年度概算要求につきましては、調整費の取り崩しということで七十四億円を含む特定交通安全施設等整備事業費として二千四百二十九億円を要求させていただいております。
  72. 原田昇左右

    原田国務大臣 実は前回交通安全対策特別委員会の御議論で、委員、山田委員あるいは岡島委員から大変適切な御指摘があったと思うのです。私どもも、交通事故が昨年を上回るような水準で推移しておるというのは放置できない、こういうことで受けとめまして、建設省といたしましては十一月十七日に、この前委員会があったのは十六日ですからその次の日に直ちに行動を起こそうということで、閣議でも話題が出ました。その委員会の厳しい御指摘も踏まえて何とかせにゃいかぬという話になり、建設省としては十七日に事務次官を長とする建設省交通安全緊急対策本部というものをつくりまして、そして地方にも地建を中心にブロックごとに地方ブロック緊急対策本部つくりまして、事故多発地点等において交通安全施設整備についての緊急対策を早急に講じよう、こういうことにいたしておる次第であります。  今回の交通事故非常事態宣言というものも受けまして、私たちは予算の上でもこれができるように何とか本年度予算の中でいろいろ工夫をして、緊急対策が遺漏なく実施されるように努めてまいる所存であります。
  73. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 時間の関係で、大蔵省の方も答弁をいただきたいわけでありますけれども、あと二つほどどうしても質問したいものですから。いずれにしても、大蔵省もそれぞれ各庁省から出た予算あるいはまたこういう非常事態宣言のときには補正を組んでやるくらいの努力をしていただきたい、こういう強い要望をしておきたいと思います。  文部省来ていると思いますが、少なくとも交通安全の教育という問題についていま少し、幼稚園あるいは小学校時代からのそれぞれの教育の中に、もっともっとカリキュラム等を検討しながらやっていかなければいけないだろう。ところが、今日の学校教育の中でも、例えば三ない運動といっていろいろなことを高校生に啓蒙したところで、先ほどのデータのように十六歳から十八歳、二十代の前半の人たちの死亡事故が多い。これは非常にマンネリ化しているのではないかな、こんなふうに思うのです。ですから、もっともっとこういうものを抜本的な見直しをして、学校教育の中に交通安全教育をどのように入れていくかということを工夫をしてやっていただきたいと思うのですけれども、いかがですか。
  74. 石川晋

    ○石川説明員 お答えいたします。  学校における安全教育はつきましては、いわゆる自他の生命を尊重するということで小学校から中、高と、その発達段階に応じてやっているところであります。特に小学校、中学校においては、歩行者あるいは自転車運転者としての教育を中心にやっている、その上に立って高校ではよき交通社会人としての交通安全教育、特に高等学校につきましては今回の学習指導要領で保健科の授業の中に明確に取り入れるというような改善措置を講じているところであります。その結果、交通事故死者数等を見ましても、七歳から十二歳、小学校、こういうところでははっきり減ってきているという傾向があるわけですが、御指摘のように高等学校の問題があるわけでございます。  それで、私どもといたしましては、三ない運動についていろんな評価があるところは承知しておりますが、その三ない運動のみならずと申しますか、高等学校における効果的な運転者教育のあり方というものを検討するため、来年度から具体的な検討に入りたいということで措置を講じようとしておるところでございます。
  75. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 いずれにしても、それぞれの省庁が力を込めて交通安全というものに、少しマンネリ化になっているので取り組んでいただきたい。  運輸省大臣にぜひ質問をさせていただきたいと思います。  実は、シートベルトの着用で交通事故死は大幅に減る、こういう談話を六十年のときに交通局長が発表されております。これも最近はむしろシートベルトの着用率が三〇%とか、特にプロにだんだんシートベルトの着用率が下がっている、こういうデータを見て非常に残念だと思っております。シートベルトをやると少なくとも今よりも二千人以上交通事故死が助かる、こういうデータなり啓蒙をされているわけですから、こういうことを含めて徹底した検討や取り組みを行うべきじゃないかと思うのです。特にこういう点では反則金を、私は取れと言いたくありません。しかし、点 数だけで反則金は取らないからこうなっておるのかとかいろいろ総合的に検討する必要があるだろう。あるいはまた、高速道路等については、やはりちょっとした事故でも、シートベルトをしていないと大変な重大な事故になってくると思います。そういう点では、本格的な高速道路時代ということでそれぞれの道路整備が行われておりますが、特に高速道路においての事故多発、あるいはまた、事故が起こるとその事故は大変重大な事故につながっておる、こういう一連の問題を含めて、運輸省及び警察庁の方でこれらに対する考え方、特に最後の問題については直接担当の高速道路課長ですか、御答弁をいただきたいと思います。
  76. 江藤隆美

    江藤国務大臣 最近は、バスとかタクシーは随分とシートベルトの着用がよくなってきたのですけれどもトラックがどうもよくない。非常にでっかい車ですから、やはり体質的に、そこのけそこのけという体質があるということが一つ言えるのだろうと私は思うのです。ですから、これはもう大事故につながるわけですから、とにかく十トン車、二十トン車が走るわけですから、これからは十分こういうことは、例えば運行管理者の研修を徹底してやる、運行管理者は事業開始前の点呼においてはシートベルトの着用をきちっと従業員に申し渡す、あるいはまた警察の御協力もいただいて徹底した街頭の検査もしていただく、あるいはまた経営者のいろいろなそういう経営状況についても監査を通じて十分そういうことを監視する、そういうこともいろいろやらなければいかぬわけでありますが、とにもかくにもその原因の一つには、午前中からも議論がありましたように、非常に労働時間が長い、過労である、過積みである、そういう問題もありますので、今回のいわゆる物流二法の改正によって、そうした社会的な責任を経営者にも負わせる。それは非常に大事なことでありまして、ただ物を運べばいいということではなくて、そうした社会的な責任がありますよ、交通事故を起こしてはいけませんよ、労働過重じゃいけませんよ、道路を傷めるようなでっかいものを山ほど積んではいけませんよ、そういう一つの責務を負わせながら運輸行政を進めるようにしたい、こう念願しておるところでございます。
  77. 小池登一

    ○小池説明員 お答えをいたします。  わざわざ御指名をいただいて、大変光栄でございます。  昭和六十三年中の交通死亡事故でございますけれども、前年に比較しまして件数で二百九十件、プラス七十件、数でいきまして三百三十五人、プラス九十六人ということで、先生御指摘のとおり大変ショッキングな増加傾向でございます。この傾向は本年に入りましても続いておりまして、十月末現在で人身事故で二千八百一人の増、対前年で二九・五%の増加でございます。死亡事故は八十三件、九十一人ということで、数にしまして三三%の増、大変深刻な状況になっておるわけでございます。  この死亡事故の特徴といたしましては、十月末現在の分析によりますと、シートベルト非着用者の死亡者数が大幅に増加をいたしておりまして、百九十五人、プラス七十八人ということで、六六・七%の増加となっております。また、普通乗用車の死亡事故増加が著しいということでございまして、五十五件、五六・七%の増加ということでございます。  こういう状況を踏まえまして、警察といたしましては、交通事故なかんずく死亡事故の抑止を図るために、高速道路における対策としまして、一つには、六月中を全国高速隊においてシートベルト着用緊急強化月間に指定をしまして、所要の効果を挙げました。  また第二番目には、七月二十日に運輸省及びトラック協会とトラック事故防止に関する合同会議を開催しまして、業者に対する指導を徹底いたしました。  また最後に、現在非常事態宣言中でございますけれども、特に高速道路における死亡事故の激増というものにかんがみまして、高速道路における交通事故防止緊急対策を一月間とれということで緊急の通達を出しまして、死亡事故抑止に向けて頑張っておるところでございます。
  78. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、いずれにしても交通安全というのは、人の問題もあります。あるいはまた予算の問題もあります。あるいはまた施設の問題もあります。すなわち人、物、金、こんな表現になるのじゃないかと思いますけれども、これをお互いに工夫をしてぜひ御検討いただきたい、こんなふうに思う次第であります。特に今回、大蔵省初めあるいはまた建設省、経企庁、警察庁のそれぞれのところに答弁お願いしておきましたけれども、時間の関係で大変申しわけないと思っております。皆さんの出番がなくて大変恐縮と思っておりますけれども、以上で質問を終わります。
  79. 正木良明

    正木委員長 以上で田中慶秋君の質疑は終了いたしました。  次に、辻第一君。
  80. 辻第一

    ○辻(第)委員 昨年、十三年ぶりに交通事故死者数が一万人を超えた。ことしはさらにそれを上回って、この状況ですと一万一千人を超えるのではないか、こういうような、まさに第二次の交通戦争と言われる状況であります。深刻な事態でありますが、そこで十一月二十八日、非常事態宣言が発せられました。第一線で交通安全対策にかかわっていらっしゃる方が大変な御苦労、御努力をいただいているにもかかわらず、こういう状態を迎えているわけでございます。  こういう状況を迎えたことについては、今七千五百万台と言われるような車が、日夜そう広くない国土を走り回っているという状況、それから経済的な面、社会的な面、それは景気の動向でありますとか夜行型あるいは高齢化というようないろいろな要因があろうかと思います。しかし今日、このように事故増加してきたその大きな一因としては、我が国の交通安全対策が本当に十分だったのか、こういうことを私は考えざるを得ないわけであります。  一つは、もちろん交通安全対策にはハードとソフトとあるわけでありますけれども道路交通安全施設整備がどうたったのかということでございます。この点については、六十二年度の交通安全白書に適切な記載があると思うわけであります。  少し読んでまいりますと、初めの方は抜かしますが、「これからの道路交通安全対策」ということで、   我が国では、昭和四十五年に一万六千七百六十五人の交通事故死者数を教え、史上最悪の年となったが、五十四年には近年で最も少ない八千四百六十六人にまで減少した。この十年間に、自動車の保有台数は二・一〇倍、走行台キロは一・七二倍になったにもかかわらず、交通事故死者数はこのようにほぼ半減している。その成功に大きく寄与した要因として、交通戦争として大々的にマスコミ等に取り上げられたことなどによる国民の関心と安全意識の高まりや、安全施設等の整備の量的拡大と投資効果の大きさを挙げることができる。この間には、平均して自動車保有率の伸び率のほぼ二倍のペースで交通安全施設等整備が行われている。   道路交通安全施設等整備については、昭和四十五年を一〇〇とすると、五十五年には、例えば信号機は四八二、歩道及び自転車道は三九二となっている。   昭和五十五年以降、道路交通環境を取り巻く状況が全般的に悪化する中で、例えば交通安全施設整備についても、公共投資の抑制基調が続いた結果として、その事故抑止効果が相対的に低下するなど、各般の交通安全対策が必ずしも十分な効果を挙げるに至らず、交通事故死者数は、再び増加傾向に転じている。 このように記載がされているわけであります。私は、これは的確な評価であり、また反省でなかったのか、このように考えるわけであります。  そういう状況の中で、交通安全施設整備が後 退をした、やはりこれが大きな要因ではなかったのか、こういうお立場をとっておられると思うわけであります。  また、昨年の五月十二日、当委員会で参考人質疑がございました。その中でもいろいろ貴重な御意見を聞かせていただいたのですが、やはり本当に交通安全対策を十分なものにするためにはお金がかかりますよ、予算が要りますよ、このようなお話がありました。生内参考人だったと思うのですが、特にそのことを強調されたのを私は印象深く覚えているわけであります。こういう点からも、私は何度も、本当に予算をもっと充実させてくださいよということを申し上げてまいりました。  去年の五月十九日の委員会質問をしたときに、各大臣とも、最大限努力して予算獲得に努める、このような御答弁がありました。その後、どのように前進したのか、来年度予算ではどのようになさるのか、お尋ねをしたいわけであります。できれば、六十二年、六十三年、平成元年平成二年という予算の推移をお示しをいただいてお答えをいただきたいと思います。これは警察庁建設省とにお願いいたします。
  81. 関根謙一

    ○関根政府委員 警察庁の方からまずお答えを申し上げます。  交通安全施設整備につきましては、御承知のとおり五カ年計画で進めているところでございます。  昭和六十二年は、特定事業、これは交通管制センター整備でありますとか信号機の地域制御化等の性能の高度化等事業でございますが、これが事業費ベースで二百三十八億円でございます。それから地方単独の方でございますが、これは信号機を新設する事業でありますとか、標識、標示を整備する事業の方でございます。これが六百二十九億円で、合わせて八百六十七億円でございます。  昭和六十三年度は、特定事業が百九十六億円、地方単独が六百八十億円で、合計八百七十六億円でございます。  平成元年度、ことしでございますが、特定事業分が二百五十一億円、地方単独の方が七百六十九億円で、合計一千二十億円でございます。  平成工年度、来年度の点でございますが、特定事業の方といたしましては、現在二百六十八億円を要求しているところでございます。地方単独の方も恐らく今年度分以上のものを期待できると考えておりますので、合計で一千億円を超えるものと考えております。
  82. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  道路交通の安全と円滑の確保のために、道路の新設、改築に当たりましては、いわゆる交通安全施設等が完備した道路、例えば歩車分離した道路であるとかあるいは自動車専用の高速道路、こういうふうな安全性を充足した道路づくりをやっているわけでございます。既存道路について、いわゆる交通安全施設等整備を目的といたしました特定交通安全施設等整備事業五カ年計画実施しているわけでございます。  既存道路整備を図ります特定交通安全施設等整備事業、これは現在、昭和六十一年度から第四次ということでございますが、その前の第三次に比べまして、規模を、調整費除きで二六%増にしております。  昭和六十一年度以降実施しておりますが、その特定事業の額をちょっと申し上げますと、まず平成元年度は二千三百三十六億円でございます。これは対前年比で一・〇五でございます。また、平成二年度は事業費が二千四百二十九億円でございます。昭和六十三年度は二千二百二十九億円でございました。いずれも五%あるいは四%の増となっておりますが、道路整備全体の伸びは、一般道路について申し上げますと、大変財政が厳しいものですから、ほとんど前年同額でございます。特にそういうことで配慮しております。  それからそのほかに、地域の要望に即しまして、いわゆる交付金事業でございますが、交通安全施設を緊急に整備いたします緊急地方交通安全施設等整備事業というのを昭和六十三年度から発足させております。平成元年度は事業費が五百二十億円、これは対前年度比で一・〇四でございます。また、平成二年度は事業費五百七十九億円、これは一一%の増ということで要求中でございます。  そのほかに、交通の安全に寄与するミニバイパスの整備を図ります、私ども交安改築事業と申し上げておりますが、平成元年度あるいは平成二年度、いずれも九千三百億円台を要求しております。
  83. 辻第一

    ○辻(第)委員 今、警察庁建設省から御答弁をいただいたわけですけれども、今の事態、殊に非常事態宣言を出す事態、こういう状況の中ではそれくらいの予算の伸びでいいのかな、本当にこの問題が大きく解決の方にいくのかなと私は思うわけであります。ちなみに交通安全予算全体、これは非常に大まかなもののようでありますが、六十三年度から平成元年度の伸びは二・八%だったということですね。一般会計が六・六%伸びておるのに二・八%しか伸びなかった。ことしも、今のお話の感じで見てまいりますと、そう伸びないのではないかということですね。  こんなことで本当に十分な対応ができるのか。何度もお話がありましたけれども、人の命は地球よりも重いということが言われているわけでありますが、一万人を超える方のとうとい命が奪われているわけでありますから、こんなことでいいのかなと私は繰り返し要望をしたいわけであります。そういう点で、ひとつ後で総務庁長官に、ぜひまとめ役として、各省庁でもっともっと十分な予算の獲得をしていただいて、本当に安全が守れる、死者を本当に減らしていける御対応をしていただきたい、その点の御見解を伺いたいと思います。  そして、これは総務庁さんにお尋ねしたいのですが、今ハードの面をお尋ねしたのですけれども、ソフトの面ですね。きょうもいろいろとお話があったわけでありますが、教育の面、啓蒙の面も本当に重要な課題だと思います。  去年でしたか、長崎県の川棚町というところを当委員会調査をさせていただいた。ここは本当に町ぐるみ、地域ぐるみで交通安全対策をやられて、交通死亡者がなかったというお話、現地も見せていただきました。  また、当委員会で東京都などを調査をさせていただき、その中で、小学校でありますとかあるいは高齢者などを対象とした交通安全の教室といいましょうか、そういうものがやられていて、これはすばらしいことだなと、非常に熱心にやっておられる関係者皆さんあるいは子供、お年寄りの姿を見て感銘を受けたわけでありますけれども、これは本当に重要な課題だと思うのです。殊に、今若い人の交通事故が四割、お年寄りが二割ということになりますと、いよいよ子供さんの時代から一生懸命教育、啓蒙をしていかなければいかぬと思うのです。  そういうことで、このことの重要性をまた改めて感じているわけでありますが、ソフトの面の予算の伸びも含めて、そして先ほど申し上げました来年度の予算について本当に思い切った、非常事態宣言にふさわしい予算の獲得について総務庁長官のお考え伺いたいと思います。
  84. 水野清

    水野国務大臣 ただいまお話しのように、交通安全の問題につきましては、一つはやはり精神的な緊張感ということが必要であると私は思いますが、また同時に、必要なものは予算であるという委員のお話もごもっともなお話だと思っております。特に、この交通安全教育に関する予算その他につきましては、これはごもっともなお話だと思って承っておったわけでございますが、来年の予算編成にこれから入るわけでございますけれども、なるべく積極的な取り組みをいたしたい、かように思っております。
  85. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間がありませんので、それぞれの大臣にそのことを御要望することができませんけれども、どうかひとつ本当に腹を据えて、そうそうたる大臣がおられるわけでありますから、大 臣それぞれ本当に頑張ってやっていただきたい、重ねてお願いをいたします。  それから、今日まさに日本列島に自動車があふれているという状態です。ことしは新規の登録が五百六十万台。先ほども申しましたように、全体で七千五百万台になろう。まさに日本列島は自動車列島ということです。昭和五十四年から昨年まで、この十年間で自動車による交通事故死者の数は十二万四千四百十一人、大変な数であります。最近、殊に亡くなる方がふえておる。私の身近な人がたくさん交通事故で亡くなられるという状況を、私もこのごろ本当にひしひしと感じているわけであります。そういう状況が起こっているのです。  ところが一方、自動車産業、自動車メーカーというのは、世界最大と言ってもいいような高度成長を遂げているわけであります。こういう裏腹の関係が私はあると思うのです。自動車は、我々の生活あるいは経済の上で、それは欠くことのできないものだという認識もあるのですけれども、こういう状況です。  そこで、運輸省総務庁にお尋ねしたいのですが、今回の非常事態宣言の中で、当然国民に対しては協力要請をされております。車のメーカーに対しては、どのような内容の協力要請をされているのか、お尋ねいたします。
  86. 早川章

    ○早川政府委員 お答え申し上げます。  運輸省の対応でございますが、まず前回委員会はたしか十一月十六日かと存じますが、このときの御議論を踏まえまして、大臣の御指示もございまして、その後十一月の二十二日に自動車関係団体に対しまして、例えば販売あるいは運輸、そういう際の事業活動機会をとらえて、いろいろな広報活動を行うようにという通達を発しますとともに、二十四日には自動車関係団体運輸省二十二団体ございますが、その代表者を運輸省に招請いたしまして、それぞれの分野において一層の広報活動を行うように指導を行いました。  自動車工業会に対しましては、ポイントといたしましては、一に、テレビ、新聞等における自動車広告の中に交通安全キャンペーンの標語を入れるというようなことを行ってもらいたい。それから、新車等を販売する際に、交通安全のパンフレットを手渡すとか、そういう形の協力をしてほしい、こういうことの、非常に具体的な例を示しながら広報啓蒙活動の展開を行うよう指導を行いました。  さらに、今般の非常事態宣言が出されましたので、私どもといたしましては、この十一月の三十日でございますが、三十日付をもちまして、交通安全に関する意識の高揚を図るため、改めて自動車工業会会長に対しまして、交通事故防止対策推進についてということで通達を行いました。具体的には、先ほど申し上げましたような積極的な広報活動を展開しろということと、大型車の制動時の不安定な挙動を防止するという形で、アンチロック・ブレーキ・システムというふうなことの導入を運輸省は旗を振っておるところでございますが、そういうものについて一層推進してもらいたいというふうな、ソフト、ハード両面からの安全対策の徹底を期するよう要請したのでございます。
  87. 加美山利弘

    加美山政府委員 お答えいたします。  自動車メーカーに対しましては、今回の交通対策本部の申し合わせを受けまして、交通対策本部の構成部員である関係省庁の事務次官等からの通達等により、関係省庁からメーカー団体等を通じまして所要の要請等がなされたと承知しております。  総務庁といたしましては、自動車メーカーの業界団体である自動車工業会等に対して、春秋の全国交通安全運動交通安全フェアなどの機会をとらえるなどいたしまして、関係省庁協力しつつ、交通安全広報啓発の積極的展開を働きかけているところでございます。  今ほど具体的なお話がございましたが、私どもとしましても、関係省庁協力しつつ、最近では新聞広告等において、従前はややもすると活字の大きさが小さ過ぎる嫌いがあったシートベルト着用の促進のキャンペーンにつきましても、お話ししまして、やや活字が大きくなるなどの具体的な動きも見られたところでございます。  以上でございます。
  88. 辻第一

    ○辻(第)委員 自動車メーカーに対していろいろ御対応されているということもわかったのですけれども、例えばこれまでの一例で見てまいりますと、テレビのコマーシャルですね。巨額の資金を投入をして華やかなイメージを振りまいて車の売り込みを競い合っておられるのです。しかし、そうしたコマーシャルの中に、人の命を大切にするために交通安全を国民に呼びかけるような内容のものは少ないですね。「シートベルトを締めましょう」とか「安全はシートベルトから」とかあるのですけれども、これはまだまだほんの一部分だという感じがします。  先ほど、もっと積極的にという御要請があったようでありますけれども、たばこでさえ「健康のため吸いすぎに注意しましょう」というコマーシャルが流れているのです。自動車の有用性については否定できないのですけれども、一面は走る凶器です。そういう側面の中でこういう事態が起こってきているわけです。あの第一次交通戦争は、この走る凶器というような国民的なキャンペーンで事故を減らしたという大きな役割があったと思うのですが、走る凶器ということは当然今も変わらぬわけであります。  私ども、ある自動車メーカーさんに、今度の非常事態宣言後の交通安全キャンペーンについてお伺いをいたしましたら、いろいろ御努力はいただいているのですが、しかしとてもとても十分ということではないのです。日本自動車メーカーさんというのは今や世界有数の地位を占められておる、大変な自動車を出されているわけでありますが、そういうメーカーさんにふさわしい社会的責任を果たしていただいているのかと私は言わざるを得ないわけでございます。例えばコマーシャルの中でも、もっと真剣な、国民の命を守る姿勢を示してもいいのではないか、このように思うのですが、総務庁長官の御見解を伺いたいと思います。
  89. 水野清

    水野国務大臣 仰せのとおり、自動車産業自身、今日本自動車保有台数が大変ふえておりまして、これが潜在的な交通事故の主な原因になっていることは、お話しのとおりであります。  そこで、自動車産業が車を売るに際して交通安全を加味した宣伝もやらしたらどうかという御指摘でありますが、なるほどと思う点もございます。ただ、彼らは今は売ることが中心でありますが、別な面で、例えば交通安全に対するいろいろな自動車会社の広報がございますが、こういう中である程度のことを指導してやらしておりますし、現にこの非常事態宣言後、ある自動車メーカーなどは十二月に入って交通安全のキャンペーンに積極的に参加をしてもらいまして、会社のPRの中でいろいろと交通安全の問題をうたい上げてもらっている面もございます。委員のお話のとおり、一端の責任は負ってもらわなければいけないと思っておりますので、今後とも関係団体あるいは企業に対して要請をしていきたい、かように思っております。
  90. 辻第一

    ○辻(第)委員 かけがえのないとうとい命が失われていくわけであります。非常に深刻な事態でありますので、これまでと同じ延長線上で、それを少し上回るようなことでは問題は解決しないと私は思うのですね。何度も申しますが、本当に予算の面も、こういう面で非常事態宣言、そういう事態にふさわしい、画期的といいましょうか、飛躍的な対応をとっていただきたいということを要望をいたします。  そして、私は先ほど五十四年から六十三年で十二万四千四百十一人の方が亡くなった、このように申し上げました。実は、これは警察庁が出されている数字ではなしに、厚生省の大臣官房統計情報部、ここの自動車交通事故による死者の数というのを私は出しているわけであります。それで、今警察庁が出されております二十四時間以内 の死亡の方、これは現実の問題としてやむを得ないものがあると思います。しかし、実際自動車交通事故で亡くなっていらっしゃる方は、昨年でいいますと、警察庁の数字は一万三百四十四人ですが、厚生省では一万三千六百十七人なんですね。ですから、本当に交通事故で亡くなっていらっしゃる真実といいましょうか、そういうものでいえば一万三千六百十七人、私はこれが正しいと思うのですね。しかし、それは半年後に亡くなられる方もありますし、あるいは一年後に亡くなられる方もあるかもわかりませんので、そういうことを含めれば、技術的には警察庁の数字というのはやむを得ないと思うのです。しかし一面、大体三五%多いのですね。そういうことも国民皆さん方に正しく知らせていく方法をもっとやっていただくべきではないのかな、このような思いがするわけでありますが、総務庁長官、いかがでございましょうか。
  91. 水野清

    水野国務大臣 ただいまの警察庁と厚生省の事故死者の数の違いというのは、委員も多分御承知だと思いますが、警察庁の方は二十四時間以内に死亡した者の数字であり、厚生省は原因によってそれが一年以内に死亡した者の数字、こういうことで食い違いがあることは御承知のとおりだと思います。これは、いずれが正しいとかそういうことではないわけでございます。  そこで、しかし多い方の数字も取り上げて国民に認識をしてもらったらどうだ、こういう御指摘でございますが、どちらかといえば、一年といいますとほかの理由もある程度入ってくると思いますし、やはり警察庁の数字をもとにして私どももいろいろな行政を行っているわけでございます。しかし、それ以上に潜在的な、潜在的といいますか、厚生省の統計では出てきているということも折に触れていろいろなことでPRをしていきたいと思います。お話の点はよく理解をして、私どももそれなりの取り組みをいたしたいと思います。
  92. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間が参りました。終わります。どうか積極的な対応をいただきますようにお願いをいたして、終わります。ありがとうございました。
  93. 正木良明

    正木委員長 以上で辻第一君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十五分散会