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1989-11-16 第116回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月十六日(木曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 正木 良明君    理事 江口 一雄君 理事 岡島 正之君    理事 片岡 武司君 理事 関谷 勝嗣君    理事 柳沢 伯夫君 理事 関山 信之君    理事 山田 英介君 理事 田中 慶秋君       魚住 汎英君    尾身 幸次君       北川 石松君    左藤  恵君       鈴木 恒夫君    東   力君       嶋崎  譲君    永井 孝信君       早川  勝君    大矢 卓史君       岩佐 恵美君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 江藤 隆美君         建 設 大 臣 原田昇左右君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   渡部 恒三君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 水野  清君  出席政府委員         警察庁交通局長 関根 謙一君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       加美山利弘君         運輸大臣官房長 松尾 道彦君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   大塚 秀夫君         運輸省運輸政策         局長      中村  徹君         運輸省地域交通         局長      早川  章君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      松波 正壽君         運輸省貨物流通         局長      寺嶋  潔君         運輸省航空局長 丹羽  晟君         海上保安庁次長 野尻  豊君         建設省都市局長 真嶋 一男君         建設省道路局長 三谷  浩君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   島田 尚武君         警察庁交通局運         転免許課長   滝藤 浩二君         防衛庁教育訓練         局訓練課長   小林 誠一君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       山本  晃君         文部省体育局学         校健康教育課長 石川  晋君         厚生大臣官房老         人保健福祉部老         人福祉課長   辻  哲夫君         厚生省健康政策         局指導課長   澤  宏紀君         厚生省児童家庭         局障害福祉課長 吉武 民樹君         労働省労働基準         局賃金時間部企         画室長     石川  透君         建設大臣官房審         議官      河原崎守彦君         自治省財政局財         政課長     二橋 正弘君         消防庁救急救助         課長      木挽 孝紀君         特別委員会第一         調査室長    寺田 晃夫君     ───────────── 委員の異動 十月十二日  辞任         補欠選任   新村 勝雄君     嶋崎  譲君 十一月十六日  辞任         補欠選任   辻  第一君     岩佐 恵美君 同日  辞任         補欠選任   岩佐 恵美君     辻  第一君     ───────────── 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  交通安全対策に関する件      ────◇─────
  2. 正木良明

    正木委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会申入れに関する件についてお諮りをいたします。  ただいま地方行政委員会において審査中の内閣提出道路交通法の一部を改正する法律案について、同委員会に対し連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 正木良明

    正木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、連合審査会開会日時等につきましては、地方行政委員長と協議の上決定いたしますので、御了承願いたいと存じます。      ────◇─────
  4. 正木良明

    正木委員長 交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。岡島正之君。
  5. 岡島正之

    岡島委員 きのう一日で二十九名の交通事故死亡者がおられました。ことし初めから九千五百五十一名であります。これは前年比で六百三十八名の増加であり、比率といたしまして七・二%の増加であります。交通事故死者が十三年ぶりに一万人を超えました昨年をさらに上回っている増加率であります。本年は、恐らくこのままでいくと一万一千人を超すだろう、こう予測をされておりますが、こういう推移が第二次交通戦争だというような指摘が強くされております。  そこで、まず初めに、政府交通対策本部長として水野総務庁長官に、このような事態についての御認識といいますか、実態をどうとらえておられるのか、最初にお伺いいたします。
  6. 水野清

    水野国務大臣 運輸大臣も来ておられますが、私が内閣本部長をしておりますので、私からまずお答えを申し上げることにいたします。  我が国の道路交通事故に関する死者数は、昭和四十六年以降一時減少を続けてまいりましたけれども、最近、五十五年以降再び増加の傾向にあることは、今委員のおっしゃるとおりであります。  昨年は、死者の数が十三年ぶりで一万人を超えるに至りました。まことに重大なことだと思っております。さらに、本年に入りましてから、十一月一日に、昨年より十七日も早く九千人を超えまして、まことに残念なことでございますが、昨年に引き続き一万人を突破する勢いであるわけでございます。これはまさに、今おっしゃいますように、第二次交通戦争ともいうべき厳しい状況でございます。  政府といたしましては、このような状況対処をするために、交通対策本部において、昨年の八月、交通事故防止に関する緊急総合対策、九月には高齢者交通安全総合対策、また本年の七月には二輪車事故防止に関する総合対策などをそれぞれ決定をいたしまして、国民交通安全意識の高揚、高齢者交通安全対策推進、若者を中心と した二輪車事故防止対策推進、シートベルトの着用の徹底、安全な道路交通環境整備交通指導取り締まりの効果的な推進などの諸対策関係省庁の緊密な連絡のもとに強力に推進しているところではあるわけでございます。しかしながら、さらに現下の厳しい交通事故情勢にかんがみまして、これらの諸対策の実効をより一層上げるために、関係省庁と密接な連絡をとりまして近々交通対策本部を開催するなど、今後の対応を図るように事務当局に指示したところでございます。
  7. 岡島正之

    岡島委員 自動車保有台数が五千二百万台、免許人口が六千万人、そういう中でありますけれども、今日の死亡事故多発状況というのは極めて深刻だろうと私どもは思います。そういう中で早急に抜本的な総合対策、今いろいろと長官お話ございましたが、交通対策本部で具体的に昨年来実施をされていることが多くあるわけでありますけれども、さらにこれからの積極的な取り組みというものを私はお願いをしたいと思います。  そこで、交通安全対策、さらに交通事故死亡抑止等運動一大国民運動として展開をしていくことが必要だろう、私はこう思っております。それはやはり国民総ぐるみでこの問題に取り組むという、そして改善をしていくという、そういう姿勢が必要でありますけれども政府におきましては、今もお話ございましたが、本部がつくられてやっておられますけれども、この機会にひとつ国民運動としての交通安全運動というものを少なくとも閣議決定をして、そして全国民に向かって宣言をして実施をしていく、そういう姿勢が必要だろうと私は思いますが、水野長官がひとつ海部総理に進言をされて、少なくとも閣議国民運動としての宣言決定してほしい、こう実は思うわけであります。  そのことはなぜかといいますと、この間、徳島県の三木さんという知事さんでございましたか、この死亡事故事態に対して、全県民に向かって、県民運動として家族ぐるみあるいはまた職場ぐるみ地域ぐるみ、全部で交通安全運動に取り組もうという宣言を実はされました。そういう姿勢がやはり今日の事態の打開のためにはあるいはまた現状の改善のためには特に必要だろう、私はこう思いますので、ひとつその意味においての閣議においての積極的な発言をされ、またそういう決定をされるよう心からお願いをいたす次第でございますが、それについての御見解お願いをいたします。
  8. 水野清

    水野国務大臣 ただいま委員のおっしゃいましたように、交通事故防止のためには関係省庁初め地方公共団体関係団体、企業、地域あるいは家庭など総ぐるみ対処をすることが必要であるというふうに存じております。国民一人一人が交通ルール交通マナーを身につけていただいて、お互いを思いやりの心をもって対処をしていく、安全に行動することが肝要なことは、今委員のおっしゃるとおりでございます。  そこで、交通対策本部におきましては、これまでも毎年春、秋にそれぞれ実施要綱を定めまして、十二省庁都道府県市町村あるいは十七の公益法人の共催のもとに、十日間にわたって全国で一斉に全国交通安全運動実施してまいったところではございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、いろいろな原因から交通事故対策につきましては一層創意工夫を凝らす必要もあると思いますし、特に国民全体にわたって、何といいますか、引き締めのための精神的な呼びかけも私は必要であるかというふうに思っている次第でございます。ただいま委員がおっしゃいましたように、あるいは近々において閣議に諮りまして、この問題はもう一度内閣全体として注意を喚起していただき、それを踏まえて各都道府県お願いをして、緊急事態であるということを申し上げてみたいと思うわけでございます。  ちなみに、数年前でございましたか、日航機事故が起こりました。あのときに、五百人前後の方が亡くなって、日本の国全体として大きな事件として受けとめたわけでございますけれども、もしことしも一万人になり、あるいはそれを超えるというような事態になりますと、一万人というのは日航機二十台分の事故、こういうことでございますから、そういうふうに換算して考えますと、もう少し国民全体にわたって注意を喚起して、国民運動として展開していくくらいの必要があろうかと、今委員のおっしゃるとおり思っている次第でございます。近々において、委員のおっしゃるとおり、その対策を講じていきたいと思っているわけでございますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。
  9. 岡島正之

    岡島委員 長官の積極的な姿勢について、私は心から感謝を申し上げます。  日航機お話がございましたが、昨年の「なだしお」の海難事故、あれと全く同じような数字が今毎日毎日繰り返されて死亡されているわけでありますから、交通安全運動というのは最も緊急を要する課題であるわけであります。私は、交通安全運動というのは、一つには、やはり道路交通環境整備が大事だろうと思いますし、またもう一つは、やはり何としても警察指導取り締まり体制、そういうものが大事であります。さらに大事なのは、やはり私は今日の情勢の中においてはもう積極的に取り組んで、ドライバーや歩行者の方により交通安全教育の思想の普及といいますか、あるいはまた啓発、啓蒙、そういうものに積極的に取り組んでいかなければならない、こう思うわけであります。  そこで私は、今から各省にそれぞれ、今すぐにでもできるようなことを含めて、御提言を含めて御質問を申し上げます。特に私は、警察皆さんお願いしたいのは、そういう各省のいろいろな施策の中で積極的にひとつ警察当局協力要請を行ってほしい、このことを特にお願いを申し上げておく次第であります。  そこで、警察庁にまずお伺いをいたします。  具体的にお伺いをいたしますが、まず一つには、警察官街頭指導取り締まりの問題。私は、警察官の方が街頭指導をされ、そしてまた交通警察が第一線で御苦労されている実情は十分に私自体も見ておりますし、またそういうものについての大変だなという感じを常に持っておりますけれども、今日の状態を考えますと、これから年末年始、さらに夜間等事故発生が多いわけでありますから、そういう時期をとらえて警察官が積極的にひとつ街頭に出てほしい。そしてまた指導もしてほしい。取り締まりの強化というのはいろいろな面がありますけれども、いずれにしても警察官皆さんが一線の街頭に出て交通安全に取り組んでほしい、こう心から願っております。  なぜかといいますと、確かに警察官の方が街頭指導されたり取り締まりをされている地域あるいはまたその時間は事故が少ないし、また違反も少ないという実績が既に出ているわけでありますから、もうこの時期には警察官皆さんが積極的に街頭に出てほしい、こういう考えがありますが、ひとつ警察庁考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  10. 関根謙一

    関根政府委員 お答えをいたします。  交通事故防止を図ってまいりますためには、委員指摘のとおり、官民一体となった交通事故防止対策推進が必要でございます。警察庁といたしましても、民間団体や他の関係機関協力を図りながら、交通事故抑止に努めているところでございます。  交通事故防止対策には、それぞれの機関団体役割分担をして進めているところでございますが、警察といたしましては、交通安全教育交通安全施設整備交通指導取り締まり等の諸対策推進していくこととしております。特に交通指導取り締まりにつきましては、交通事故が多発する場所や御指摘夜間等の時間帯に重点を置いて進めますとともに、これから年末に入ってまいります、十二月は年間の中でも特に交通事故が多く、死者数もふえる月でございますので、飲酒運転を初めとする交通事故に直結するような悪質、危険な違反取り締まり重点を置きまして、積極的な街頭活動を進めてまいりたいと考えております。
  11. 岡島正之

    岡島委員 警察官街頭活動、いろいろな面で制約があり、大変だろうと思いますけれども、ひとつさらに年末年始にかけて積極的に取り組んでほしいとお願いを申し上げます。  特にそういう中で民間団体協力も大事でありますし、交通安全協会指導員活動というのもその意味においては大きな戦力だろうと思いますし、また安全運転管理者会議等の活用、さらにまたいろいろ防犯協会を初め各関係団体があるわけでありますから、例えば飲酒運転追放キャンペーン等はひとつ積極的にお取り組みをいただきたいことをお願い申し上げます。  限られた時間でありますから、かなり各省にわたっておりますので、簡単に御質問を申し上げてまいります。  次に、自治省でありますが、自治各にお伺いいたしますのは、今各地方団体がそれぞれ毎月一回、二回の広報誌を発行しております。この広報誌の中に、私は私の地元で市長によく言いますのは、その広報誌に毎回交通安全を載せてほしい、こう言っておりますけれども安全運動の前後は掲載をしていただきますが、なかなかそうは毎回は載っておりません。私は今日、先ほど水野長官も言われましたが、国民運動としての展開をしていくならば、各市町村、自治体を通して、広報誌の発行の際には少なくともその広報誌の中に交通安全運動というもののキャンペーンを毎回毎回、ひとつ全国的に自治省指導してやってほしい、こういう考えを持っておりますが、これは簡単で結構でございますから、自治省考えをお聞かせいただきます。
  12. 二橋正弘

    ○二橋説明員 各地方団体におきます広報誌、どういう内容を盛り込むかということにつきましては、それぞれの団体でいろいろ御判断があろうかと思いますけれども、先ほど来お話ございますように、交通安全対策、極めて重要な課題でございまして、各団体とも力を入れて取り組んでおることだと思います。先生御指摘のようなことが広報を通じてさらに拡充されますように、私どももいろいろな機会を通じて徹底してまいりたいと考えております。
  13. 岡島正之

    岡島委員 今御答弁いただいたとおり、積極的にお願いいたします。  次に、運輸省にお伺いをいたします。  運輸大臣にお越しをいただいておりますから、大きな前段階としてひとつ御提案申し上げ、御見解伺いたいと思います。  この間、千葉の幕張で自動車ショーが行われました。安全な車づくりがいわばメーカーとしての責任だということが強く指摘をされておりましたが、私は、それと同時に交通安全運動についても、自動車メーカーあるいは自動車ディーラー、これらが一体となり、そしてまた大臣の所管のトラック協会あるいはまたタクシー協会、こういう各関係団体が挙げて交通安全運動というものに日常常に目を配っていく、そしてまた有効な働きかけというものをしていく、そういう姿勢が大事だろう、こう思っております。  運輸省当局におきましても、それぞれの立場で働きかけもし、また指導をされていると思いますけれども、今こそ私は、運輸業界の全体の中で交通安全運動に積極的に先頭に立って取り組むという姿勢を示してほしい、こう思います。きのう運輸委員会大臣の明快な答弁を聞いて、私は極めて力強く思ったわけでありますから、そういう意味におきまして、運輸省も挙げて業界に向かって積極的に指導する、そういう姿勢をひとつこの機会にお示しをいただきたいと思います。
  14. 江藤隆美

    江藤国務大臣 私も自動車ショー、行ってきまして、ただ性能を競った時代から、やはり自動車メーカー安全性に気を配るようになったということは一つの進歩であると思ってきたところであります。  運輸省は、御案内のように、陸海空にわたる交通機関をつかさどっておるところでありまして、その基本は、何といっても安全と利用者に対するサービスだと私は思っています。したがいまして、自動車製作者販売業者、それから整備業者あるいはまた御意見のような関係トラック、バス、タクシー、それらの団体挙げて、やはり重大な車による事故でありますから、私どもに大いなる責任があるということを痛感して、運輸省はあらゆる努力を、交通安全対策本部の中で大きな役割を担ってこれからしっかりやっていかなきゃいけない。この数日間も幹部を集めまして、どういうことをもっとやったらいいのか、年末年始も近づくことでありますから、心してこの問題に取り組んでいこうということを話し合っているところでございます。
  15. 岡島正之

    岡島委員 ありがとうございました。  省を挙げて積極的な指導をされていることを、またどういうことをすることがいいかということを検討されているようでございますから、これは時間がありませんから答弁は要りませんが、私が具体的に四点御提案を申し上げますので、十分に御検討いただきたいと思います。  まず、メーカーにおいて、テレビ新聞等新車販売等コマーシャルをされますが、あの際には間違いなく必ずテレビコマーシャルの画面の中にあるいはまた新聞広告の中に交通安全運動キャンペーンを明記してもらう、あるいはまたそういう宣伝をしてもらう、このことを一つ。  それからもう一つは、ディーラー販売しましたときに、車を買いましたときに、交通安全運動しおりというのを一部のメーカーでは渡しておりますけれども、これも実は渡しているといっても、全部が全部徹底してやられてはおりません。だから、少なくとも車の購入の際には、交通安全のしおりをきちっとメーカーがおつくりいただいて、それをひとつディーラーを通してお渡しいただく指導をしてもらう、このことが二つ目。  そして、大臣もそんな経験がおありだろうと思いますが、砂利トラだとかなんとかいろいろ悪名高いのがありますが、トラックの連中が、トラック後ろへ、私は交通法規を遵守しますというステッカーをよく張ってありますよ。トラックは凶暴だろうといいましても、あのステッカーを張ってあるトラックのところへ行けば何かほっと安心をするわけで、ああこの人は法規を守るなというそういう効果が私は大いにあると思いますから、例えばそういうステッカー新車販売の際に後ろのバンパーに張りつけるとかそういう工夫も一面してほしい。これは整備工場も同じでありまして、整備工場で車検やあるいはまた修理をした際にも交通安全運動という言葉を一言加えてもらう、あるいはまたそういうことを指導してもらう、そのことが必要だろう、こう思います。  また、トラック協会タクシー協会がありますが、これだって私は、例えばタクシー協会の方方に協力いただいて、タクシーのドアのところへ交通安全運動協力しましょうというステッカーを一枚それぞれが張ってもらって、全国タクシーが全部そういうステッカーを張っているということになれば、これまた大きな国民運動としての成果が上がるだろう、こう思いますから、そういう具体的なことを一つ提案を申し上げておきますので、大臣の方においてよろしくお取り計らいを願いたいと思います。  次に、厚生省にちょっとお伺いをいたします。  高齢者交通安全対策につきましては、御承知のとおり事故件数増加等があるわけでありますけれども高齢者交通安全対策は大事だということは水野長官対策本部で力説をされているようであります。そういう中で、ことしの秋の交通安全運動には高齢者交通安全運動を、安全運動の前十日間実施をされました。これは私は一つのいい施策だろうと思いますけれども、そういう中でひとつ厚生省に具体的に二点お伺いをいたします。  一点は、今全国的に組織をされておりますのに老人クラブがあります。この老人クラブ活動の中に交通安全運動というものをもっと積極的に取り入れてほしい。もちろん警察当局協力も大事でありますけれども、実は浪花節の好きな私のところの署長がおりまして、その署長老人クラブの総会には毎回出て、浪花節をうたった後で交通 安全運動は大事だということを五分ほど毎回毎回やっていたわけですが、老人クラブ皆さんがそれを常に希望をされて連絡をよこしてくれた。私は、警察がそういう意味国民の中に溶け込んでいく、そしてまた交通安全運動に積極的に取り組むということが必要だろうと思いますから、厚生省としては老人クラブ活動の中にそういう指導をひとつ積極的にしてほしい、このことをまずお願いを申し上げます。御見解伺います。  それからもう一つ、続けてお伺いをいたしますが、老人と最も接触の多いのは医療機関皆さんであります。医者や皆さんが一番老人との接触が多いわけでありますから、だから医療機関協力医師会協力を得て、交通安全教育というものをもっと積極的に取り組む手だてが生まれると私は思います。例えば待合室にポスターを張る、あるいはまた待合室警察官の方が出かけていって交通安全に気をつけてくださいよということを一言言ってくれる、いろいろなことの手だてができるだろうと思いますが、ひとつ厚生省交通安全運動にそういう意味での積極的な参加をしてほしい、こう思いますので、御見解をお伺いをいたします。
  16. 辻哲夫

    辻説明員 高齢者交通安全対策についてでございますけれども昭和六十三年九月九日の政府交通安全対策本部におきます高齢者交通安全総合対策についてという決定におきまして、関係団体との緊密な連携のもとで事故防止を図ることとされております。そこで、厚生省といたしましては、全国老人クラブ連合会、ここに通知をいたしまして、老人クラブ会員交通安全教育の一層の推進ということをお願いをいたしております。具体的には、老人クラブ等におきまして、今先生御指摘ありましたように警察等から講師をお招きいたしまして大いに勉強させていただく、あるいは交通安全の留意事項というものを大いに周知徹底するといったような活動が繰り広げられております。今後とも総務庁、警察庁とも連携をさせていただきまして、さらに積極的に取り組み指導してまいりたいと思います。
  17. 澤宏紀

    ○澤説明員 高齢者に対します交通安全の注意医療機関でということでございますけれども、病院及び診療所においては、既に警察庁等の依頼を受けまして、交通安全に関する看板を立てたりポスターを張るなど交通安全のPRに対して協力を行っているところでありますが、御指摘のように、地元医師会を初めとする医療機関等が警察庁等と密接に連携を図りながら交通安全対策協力することは、大変結構なことと考えております。このような観点から、厚生省といたしまして関係省庁と適切な連携を図ってまいりたいと思います。
  18. 岡島正之

    岡島委員 厚生省も、その分野でひとつさらに積極的にお取り組みを願いますことをお願いをいたします。  次に、労働省にお伺いをいたします。  高速道路の時代が来て、長距離トラック等の輸送が行われておりますけれども、そのために大きな事故の多発もこれまた現実であります。特に私が労働省にお伺いしたいのは、そういう中で労働時間の問題が、全産業の平均が今年間二千百十一時間、ところが、道路貨物の運送業は二千六百八十七時間という大幅な労働過重と言われているほどの状態ではあるわけであります。もちろん労働省におきましても、本年二月にトラック、バス運転者の労働時間の改善基準を労働大臣の告示で制定をされたわけでありますけれども、ことしの春、秋の交通安全運動におきましてはそれを基準として監督指導された、こう聞いております。そういう中で、労働省はそういう状況についてどのように考えておられるか、また、これからどのように適切に取り組むか、その辺をひとつ簡単でありますが、お答えを願いたいと思います。
  19. 石川透

    石川(透)説明員 先生御指摘のとおり、自動車運転者の労働時間、これは非常に長いという実態にございます。そのため、従来から労働省といたしましては、二・九通達、二七通達に基づきまして監督指導に努めてきたところでございますが、労働時間の短縮の全体の機運が盛り上がる中で、自動車運転者の労働時間、ますます延長の傾向がございまして、関係労使も入りまして一年半にわたります検討の結果、新たに自動車運転者の労働時間の改善のための基準を告示で出そうということで、この二月に告示が出されたところでございます。  告示に基づきます監督指導状況につきましては、本年四月から適用になっておりますのでまだ集計できてはおりませんが、当面その周知に努めつつ、後半、秋以降については重点的な監督指導実施いたしたいと考えております。例年五千八百件程度の事業所に対します監督を実施しておりまして、本年度もおおむねその程度の規模の監督指導実施する予定でございます。  労働省といたしましては、この改善基準の周知徹底を図りつつ、関係事業主団体、使用者団体等にも働きかけ、また、関係省庁とも連携いたしまして、自動車運転者の労働時間短縮のための監督指導に力を入れてまいりたいと考えております。
  20. 岡島正之

    岡島委員 いずれにしても、労働省の適正な労務管理ということと同時に、安全運転の確保という面について今いろいろとお話がございましたが、さらにひとつお取り組みをいただきますことを強く要望しておきます。  次に、文部省にお伺いをいたします。  文部省におきましては、七月十一日に交通対策本部の決めました二輪車事故防止対策の中で、学校における交通安全教育の充実というものを強く打ち出されました。そこで、従来の高校生における免許を取らない、あるいはまた乗らない、買わないといういわゆる三ない運動が見直されたわけでありますけれども、従来の禁止、抑制という面からの事故防止から、生徒の自覚による事故防止というものにいわば方針の転換をしてきたわけであります。そこで、これから具体的にどのように取り組まれるのか、そのことをまずお伺いをいたします。
  21. 石川晋

    石川(晋)説明員 お答えいたします。  いわゆる三ない運動につきましては、先生御承知のように、地域のPTA、学校あるいは教育委員会等が、生徒の事故を防ぐ、こういう目的で自主的に取り組んでいる運動でございますが、その内容を先ほど御紹介がありましたが、二輪車の乗車を防ぐという意味で何らかの規制を行っているものでございます。ということで、実態といたしましては、厳しいものから一定の条件の下で免許の取得を認めるものまでさまざまでございます。  このようないわゆる三ない運動というものが交通事故をともかく防止する、こういう意味ではそれなりに効果を上げているというものでありますが、一方、厳しい規制を行うものについては、そのあり方について疑問を呈する声があるというようなことも承知しているわけでございます。実際そういうことで、いわゆる三ない運動というものだけでは限界がある、また多くの高校生が卒業してから運転者になる、かような実態を踏まえまして、交通社会におけるょき社会人に必要な交通マナーを身につけさせる、こういったことを徹底していかなければいけない、かような観点から従来も指導してきたものでございますけれども、今後高校生における二輪車教育のあり方、こういったものを具体的に検討していくということをただいま考えているという状態でございます。
  22. 岡島正之

    岡島委員 三ない運動につきましては、地域的にはいろいろな問題がありますからいろいろな考え方があり、またPTA等の活動の中にもいろいろな議論があるわけでありますけれども、いずれにしても、学校教育の中に交通安全教育というものをもっともっと積極的に取り入れていかなければだめだと私は思います。交通安全は突き詰めていけば何だというと、それは教育だ、私はそうすら断言をしておりますけれども、今決められておりますカリキュラムがあるわけでありますが、そういう中で、交通安全教育を学校教育の中、小学校も中学校も高校ももっともっと具体的に取り組んでほしい、このことを特に要望しておきます。  一番大事なのは、学校教育の中の指導者が非常に少ないということ、またその対策が十分でないということが言われております。外国では交通学の大学があって、そこで学んできた人たちが交通安全について学校で教えるという仕組みになっているということでございますが、そこまで一気にいかなくても、交通安全教育をする先生をもっともっと積極的に養成するという姿勢を文部省にひとつお願いを申し上げておきます。これは御答弁は結構ですが、強く要請をいたしておきます。  次に、建設省に一点だけお伺いをいたします。  サンフランシスコの地震が発生をいたしまして、多数の被災者の方々が出たわけでございます。このことについては心からお見舞いを申し上げますけれども、あのマグニチュード七・一とされます地震の被害を伝える映像を私どもは見まして、特に直下型の地震の恐怖というものを身をもって強く感じたわけであります。特に、橋げたあるいは高架ハイウェー等が崩壊した状況というのは、非常に大きなショッキングな情景であったわけでありますけれども、そういう中で、地震の多発国であります我が国においてもしあのような地震が発生したらという不安を実は持っておるわけであります。  そこで、高架道路が八割を超えている首都高、あるいはまた湾岸の埋立地に二層高架道路がある湾岸道路等を含めて、我が国のこれらの道路の耐震性というものについて、ひとつ建設省の見解をこの機会にお聞かせいただきます。
  23. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  私どもの国の道路橋の設計でございますけれども、これは関東大震災などの地震の経験を生かしながら、耐震設計の技術基準をだんだん高めてきているわけでございます。現在使われております耐震設計法、これは地域、地盤、橋脚の高さ等に応じまして設計震度を定めて、これに応じた地震力に耐えられるような橋の各部の強度を決めるわけでございます。それで、マグニチュード八クラスの極めてまれな大地震においても橋脚の破壊等の被害が生じないように措置をされております。  それから、落橋防止対策、橋が落ちないようにする、こういうような対策も講じて万全を期しております。  それから、その道路橋の耐震性の一層の向上を図るために、昭和四十六年度以降適宜、五十一年、五十四年、六十一年、こういうことで震災点検を各橋について行っておりまして、その結果に基づいて落橋防止等の対策を行ってきております。  したがいまして、我が国の道路橋の地震に対する安全性というものは確保されているわけでございますけれども、十一月十六日からサンフランシスコの地震の関係につきまして政府でも調査団を送るというふうに聞いておりますが、それを通じましてその情報収集に努め、その結果に基づいて適切な措置がもし必要であればまた講じてまいりたい、かように考えております。
  24. 岡島正之

    岡島委員 建設省には道路環境の問題等について御質問申し上げたかったわけでございますが、時間がございませんから、何点か御要望だけにさせていただきます。  交通事故の多発地点というのはもう決まっているといいますか、多発地点があるわけでありますから、多発地点の点検等について、ひとつ積極的に建設省が音頭をとって各関係機関との点検運動を特にお願いをしたい、こう私は思います。  昼間の事故は十年来横ばいでありますが、特に夜間の事故が倍増しておるわけであります。夜間照明等の問題は、道路照明の中で大事な交通安全対策だろうと思っておりますから、これもひとつ積極的にお取り組みをいただきたい、こう思います。  それから、特に私がこの機会お願いしたいのは、標識の問題。これは、警察の方もそうでありますが、建設省の案内標識あるいはまた警察の規制標識、この標識の表示がどうも老人皆さんにはよくわからない、実はそんな声があります。だから、だれでもわかるような案内標識であり規制標識であるという対策も、ひとつ警察あるいはまた建設省それぞれお取り組みをいただきたい。これもお願いをしておきます。  時間が参りました。これで終わりますけれども、いずれにいたしましても、交通安全運動といいますと、従来の私どもの印象というのは、白バイ、これが一つ、それからもう一つ警察庁の大きな垂れ幕、これが交通安全運動だという印象があるわけであります。先ほど水野長官も言われましたが、今国民の一人一人が交通事故から少なくともみずからを守っていく、交通安全運動というのはお巡りさん任せだとかあるいはまた国任せだとか、そういうことの段階ではもうないということをみんなで考えながら、歩行者もドライバーも交通ルールの確立あるいはまたモラルの認識を深くするといいますか、そういうものに向かって積極的に取り組んで、一つでも少なく、交通事故死ゼロというのが本来の願いであろうと思いますけれども、現状から少しでも少なくしていく、みんなで力を挙げて取り組む、そういう姿勢というものを強く心からこいねがいながら、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  25. 正木良明

    正木委員長 以上で岡島正之君の質疑は終了いたしました。  次に、関谷勝嗣君
  26. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 先ほど岡島委員がるる御質問をいたしましたので、いささか重複するところもあるかもしれませんが、まず最初に、事故防止対策につきまして各省庁に、もちろん真摯な努力をされて対処をされていらっしゃるわけでございますが、その後具体的にどのようなことをされているか、お聞きいたしたいと思うわけでございます。  昨年六十三年度に、御承知のように十三年ぶり死者数が一万人を超えてしまったということであるわけでございまして、昨年の例をとってみましても、負傷者の数などを見てみますと、島根県の人口が七十八万人でございますが、そうなりますとほぼ全員の方が交通事故の被害者になる勘定であるということ一つとってみましても、今また大変な交通戦争であるということであろうと思うわけでございます。  先ほどの岡島委員の御質問の中にもいろいろございましたように、なぜこのように交通事故がふえてきたかというのはいろいろな理由があると思います。それは、若年の方の暴走もあるでしょう。あるいは高年齢の方の免許保持者、そしてまた運転している人が非常に多いということもございましょう。また、生活環境が大きく変わってきた、あるいはまた自動車自体も非常にスピードアップ化されておる、ただ、百キロを超しますとブザーが鳴るようなものもつけたりはいたしておるわけでございますが、そういうような問題。それから高速道路、後ほどまたお聞きしたいと思ったのでございますが、高速道路でも車線の一番左側にまた車が無理して走れば通れるような路肩があるわけでございまして、ああいうようなことはもちろん救急の場合に必要なのでそういうふうに置いておるのだろうと思いますが、混んでまいりますとあそこを猛スピードで抜けていくメンバーもいたりいたします。ですから、そういう道路の施設の問題、そういうようなことも含めましてぜひ早急に対処をしていただかなければならないと私は思うわけでございます。  この交通安全対策特別委員会がつくられましたのが、昭和四十二年の二月十七日の第五十五回特別国会だったそうでございますが、そのころの情勢を見てみますと、死亡者数が一万三千六百十八名ということでございました。もうこれは特別委員会を設置をしなければならないほどのひどい交通事故の発生であったということでございましょうが、私は、今年もまた昨年よりもふえておるわけでございまして、再度、この特別委員会を設置をしたぐらいの、それぞれの役所の方また内閣においても認識を新たにして対処をしていかなければ、昨年も何度となくこの交通安全対策特別委員会をやりましたけれども結局効果が出てきてないというわけでございますから、もっと私はそうい うようないろいろなことを考え出していかなければならないと思っております。  オートバイが昼間でもライトをつけるというようなことを考え出しまして、あれから事故が減りましたけれども、あのような何か抜本的な改革、考え方を出してこなければ、どうにもこれはとまらないのではないだろうかと思うわけでございますが、まず両大臣、ひとつお考えお願いをいたしたいと思います。
  27. 水野清

    水野国務大臣 ただいま関谷委員のおっしゃいましたように、交通事故が昨年来非常にふえ出した、ことしは昨年よりまた十七日も早く九千人を超えまして、このままでいくと一万人をあるいは超えるのではないかという心配を関係省庁でもしております。  その原因については、これも今委員がおっしゃいましたから、重ねてこちらから申し上げる必要もございませんが、若年者のオートバイの問題である、あるいは高齢者が免許証をおとりになる、あるいはシートベルトの着用が一時よりは緩んできたとか、あるいは道路の交通上の問題である、あるいは警察官の数の問題もありまして、そう交通安全だけに、交通警察だけでやっていくわけにもいかぬとか、いろいろな問題がたくさんあるだろうと思います。しかし、そのいろいろな情勢あるいは——もう一つ落としましたが、やはり景気がよくなりまして自動車保有台数が非常にふえてきた、自動車保有台数がふえてきたということは、まだ未熟な運転者もふえた、こういうことにも相なるかもしれません。そういったことを踏まえて、このどれが主な原因ということを言えないわけでありまして、総合的に交通事故がふえてきた、またふえ続けておる、こういう事態であるわけでございます。  そこで、結局はもう一度精神的な意味においても締め直す必要があるのじゃないかと私も痛感をしているわけでございます。先ほど岡島委員の御質問にもありましたけれども、近々に、ここに運輸大臣もおられますが、運輸大臣あるいは運輸省あるいは関係省庁にもお願いをいたしまして、もう一度再点検をする、引き締めをやる。中央省庁だけではだめでございますので、全国都道府県、各市町村あるいは関係団体等にも強い要請をいたしまして、もう一度引き締め、再点検をする、こういうこと以外はなかろうかというふうに思って憂慮をしているわけでございます。近々こういう問題について内閣にも諮り、あるいは国会にもお願いを申し上げまして、一大運動展開するしかないかと思っている次第でございます。
  28. 江藤隆美

    江藤国務大臣 基本的には、ただいま総務長官お答えになりましたように、今日の国民課題として全体が取り組むべきことであると思っております。しかしながら、私ども運輸省が担当する分野においては、まず自動車の政策があるわけですから、未来カーを含めて、これからやはり車の性能、機構そのものを安全に運転ができるような仕組みにだんだんしていく必要がある。コンピューター利用とかなんとか、私、未来カーをこの前見てきましたが、そういうものには非常にそういうような創意工夫をされておる、こう思っております。  それからもう一つは、オーナードライバーの問題があります。これはもう本人がよほど気をつけるようにしなければならぬでしょうが、今度は私どもの分野といえば営業車があるわけでありまして、バス、トラック、それからハイヤー、タクシーというのがありますが、この基本は労働条件がきつくならないように、過労に陥らないように、あるいはまた過当競争によってむちゃくちゃな営業をやらないように、そういう今度はいろいろな業界自体の自粛、それから努力が私は必要だと思っております。  この前福岡へ行きましたら、ダンプカーが特殊な、事故が全くない、運転者が非常に慎重である、そういうものを選んで、後ろに青いラベルを張っておる。私は現物を見ませんでしたけれども、これはダンプカーの中でも極めて優秀だという標識をして営業をさせて、世の批判を浴びないように努力しておりますという話を聞きましたが、やはりバスでもタクシーでもあるいはトラックでも、これからはそういう人と物の輸送というのは車に頼る分野が非常に高くなってくるわけでありますから、それぞれ私どもは、総務長官も言いますように、今までやってきたことで事足りるということではなくて、これからまだ何が足りなかったか、何をなすべきかということを十分省みて検討を進め、実行に移してまいりたい、こう思っております。
  29. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 それで、ちょうど今度地行と我が委員会の連合審査もあるわけでございますが、道交法の一部改正でございまして、これは先ほど水野大臣答弁の中にもありましたが、どうしても初心者が事故を起こすのが多いというようなことで、一年間は仮免許的な感覚でやっていく、もしも事故その他違反があれば徹底した講習を再度行うというようなことになっておりますが、私は、それだけではちょっとまだ甘いような内容ではないだろうか、このような状態であるから再度あの内容をもっと厳しくやっていくということが必要ではないかと思うのでございますが、いかがでしょうか。
  30. 関根謙一

    関根政府委員 お答え申し上げます。  現在国会に上程中の道路交通法の一部改正法案についてでございますが、御指摘のとおり、今回の改正案の趣旨といたしますところは、初心運転者について事故防止を図るという見地から、初心運転者期間制度というものを導入いたしまして、初心運転者の方で違反をして一定の基準に該当する方につきましては再度講習を行い、さらにその講習を終わった後でもまた一定の基準に該当する違反を行った場合には、今度はもう一度試験を行いまして、運転者としての知識、技能が現在期待されている水準に達しているかどうかについてチェックをするということが一つの柱となっております。  それからもう一つは、取り消し処分を受けた方方につきましては、一般的に取り消し処分を受けた人は一年、二年、三年の期間を過ぎました後もう一度運転免許試験を受けまして免許を取られる場合が大部分でございますが、この間何も教育を受けておりませんので、そういう免許取得試験を受ける場合にその前提条件として取消処分者講習という講習を受けていただきまして、心理的適性等が道路を利用する自動車運転者としてふさわしいかどうか、ふさわしくなるようにチェックをするということが趣旨でございます。  繰り返して申し上げますと、今回の道路交通法の一部改正案でねらいとしておりますところは、第一に、初心運転者について知識、技能の定着を図るためのシステムを設けることと、もう一つは、取り消し処分を受けた運転者につきまして講習を行うということでございます。  そこで、御質問のそれだけでは足らないのではないかということでございますが、初心運転者の事故率等を考えてみますと、現在初心運転者は約三百三十万人ほどで、全運転免許保有者数六千万弱でございます。六%ぐらいの方々でございますが、その方々が事故を起こします率が一二・五%ほどでございます。全事故の一二・五%が免許取り立ての方が起こしておられる。さらに死亡事故について見ますと、これは一四・九%、一五%ほどの方が起こしておられる。こういう方々がさらに運転を継続してまいりますと、いろいろとさらに重大な事故を起こすということがございます。そこで、まず初心運転者の方々の知識、技能の定着化を図るという措置を講ずれば、いわば連鎖反応といいますか、いい意味での副次的効果として全体的に事故率が下がるということを期待しているところでございます。  まだまだ足りないところは確かにあると考えておりますが、さしあたり当面の措置としてそういうことをぜひ行いたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  31. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 この道交法の一部改正につきましては、そういうようなことで委員会でも十分に審議をいたしまして、現状を把握した上でのまた附帯 決議等も出てくると思うわけでございますが、ひとつ警察庁の方におきましても十分に考えていただきたいと思います。  それと、これはつくりますときに非常に悪評であったわけでございますが、シートベルトの問題でございます。これは罰則といいましても、別に減点になっておるわけでもないわけでございまして、皆かけた格好をしているわけでございますが、下はとめていないのが大部分だというのを、タクシーの運転手さんにしましても一般乗用車の人にしても、私は実際よく見ているわけでございます。これを何とか定着をさす。確かにシートベルトをしていればそれだけ死亡率も低くなるということで出したわけでございますが、その後の普及率、そして実態、もう御存じだろうと思いますけれども、そういうようなことで徹底されていない。そうしたら、これこそ定着さすにはどういうことを考えておるのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  32. 関根謙一

    関根政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、シートベルトの着用を義務化するということにつきましてはいろいろと御批判もございました。その中で一番多かったのは、自分でつけなくて事故に遭い死ぬというのであれば、それはそれで構わないではないか、わざわざ法律で強制をして死なないようにしろというのはおかしいではないかという御批判があったように記憶をしております。そういうこともございまして、シートベルト着用の定着という点はなかなか進んでおりません。  数字を申し上げますと、昭和六十一年十一月から一般道路について着用の義務化について点数を付するということが行われ、高速道路につきましてはその一年前、六十年九月からそのように行われているところでございます。そしてその時点以後、運転席でのシートベルトの着用率はおおむね九五%以上を維持してきたところでございますが、本年の九月の調査では九五%をやや下回る着用率となっております。甚だ遺憾とするところでございます。  シートベルトの着用の定着化につきましては、点数を付する等の取り締まり措置ももちろん大事かと思いますが、何よりもまず広報啓発活動によって、シートベルトを装着することが交通事故防止、自分の命を守ることにいかに役に立つかということを知っていただくということが大事であろうかと思います。そのような意味で若干、シートベルトを着用した場合と着用しなかった場合の事故率等を申し上げますと、死亡事故を起こされた方々で、ことしの場合でありますと、自動車に乗って死亡された方というのはことしの十月末現在で九百八十七人、シートベルトを着用していなくて車外にほうり出されて、それで亡くなったという方が二千四百人ほどでございまして、着用している方が亡くなるという例は非常に少ないわけでございます。こういったところをよく広報啓発活動の材料としてお知らせいたしながら、着用率の向上を図りたいと考えております。     〔委員長退席、柳沢委員長代理着席〕
  33. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 どうぞそういうようなことで啓発をしていただいて、シートベルトを着用するように努力をしていただきたいと思います。  次に、自賠責保険における診療報酬基準につきまして二、三御質問したいと思うわけでございます。  交通事故に係る医療費はほとんどが自由診療となっており、社会保険に比べますと、これは以前から問題化されておるわけでございますが、高額になっておるのが現状でございます。また、一部には過剰診療などもございまして、自賠責保険の財政に大きな問題となってきているのも現状でございます。このような情勢を背景にいたしまして、昭和五十九年十二月に自賠責保険審議会というものが医療費の適正化対策一つとして診療報酬基準案というものについて答申を行いまして、損保業界は日本医師会と四十回以上協議を行い合意に達したことは、これから医療費の適正化が推進されてこの自賠責の保険財政は大きく正常化の方向に進んでいくと思うわけでございまして、個々の問題は今各県の医師会との間で討論されておるようでございます。  そこで質問でございますけれども、労災の診療報酬に準拠すると決めておりますけれども、これはどなたがチェックしていくのか、また、実施細目については医療協議会で決めるというふうになっておるわけでございますが、これは具体的にその後どのように進んでいるのか、御答弁お願いいたします。     〔柳沢委員長代理退席、委員長着席〕
  34. 山本晃

    ○山本説明員 お答えをいたします。  関谷委員質問のように、診療報酬基準案の作成につきましては、六十年の八月以来損保業界と日本医師会との間で鋭意協議を進めてまいったわけでございますが、本年の六月末にようやく中央レベルでの基本的な合意に至ったわけでございます。  この診療報酬基準案の合意内容は、診療報酬単価につきまして、薬剤等のいわゆる物は労災保険並み、そして技術料につきましては、交通事故医療の特殊性にかんがみまして労災保険の二割増しを上限とする、ただし、上記基準を下回っている医療機関については、これを引き上げる趣旨ではないというものであるわけでございます。  これを受けまして、損保業界側と医師会側が都道府県単位で構成をいたします地方医療協議会の場で、中央段階のこの合意内容の尺度の範囲内を目安といたしまして、先生御指摘のように、現在都道府県ベースの診療報酬基準案の作成について協議が鋭意行われておりまして、ほぼ合意に達しつつある県もあるやに聞いておりますが、いずれにいたしましてもできるだけ早く実施に移されるよう私どもとしても期待しているところでございますし、また、損保業界及び日本医師会に対しましても早期実施につきまして強く要請をしているところでございます。  今後のチェック体制ということでございますが、各県段階でこういった診療報酬基準案というものが合意に達しますと、まず医師会の内部の方でございますが、これは各都道府県医師会内に設置をされます審査会というものをおつくりいただくようでございまして、この審査会におきまして医療及びその費用の適正化を図るということを医師会側が損保業界に約しておりまして、こういった意味医師会内部でも自浄作用が行われることになるのではないかというふうに期待をしているわけでございます。  また、損保側といたしましても、個々の医療機関から診療報酬基準を仮に上回る水準で医療費支払い請求があったような場合には、各都道府県単位で設置されます医療協議会の場で協議をするとともに、個別医療機関に対しまして是正方を強く要請していくこととしておりまして、個別チェック体制を強化していく方針であるというふうに聞いております。  私どもといたしましても、医療費支払いの適正化のため、今後とも両業界を強く指導してまいりたいというふうに考えております。
  35. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 その適正化の中の一つといたしまして、社会保険の適用をもっと推進していくべきではないかと思うのですが、これは現実問題としてなかなか難しいのですか。
  36. 山本晃

    ○山本説明員 交通事故医療の社会保険の利用状況でございますが、現状におきましては一五%程度と低いものになっているわけでございます。こういったこともございまして、交通事故に係る医療費については、この自由診療部分につきまして診療報酬基準案を作成いたしまして、医療費支払いの適正化を図ることにしたところでございます。  一般に、交通事故医療について社会保険が利用されますのは、被害者である患者が自発的意思で社会保険を利用する場合あるいは医療機関自身が社会保険を利用する場合がありますほかに、損害額が加害者の契約しております自賠責、任意保険を含めましての自動車保険の支払い限度額を超えると見込まれ、かつ加害者の賠償能力に問題があ る場合あるいは被害者に明確な過失がある場合、こういった場合に社会保険が利用されることが多いというふうに聞いております。  いずれにいたしましても、私どもといたしましても医療費支払いの適正化及び契約者の保険料負担軽減の見地からも社会保険の利用が望ましいというふうに考えておりまして、今後とも交通事故医療の特殊性というものを勘案しつつ、その推進方について努力をしていきたいというふうに考えております。
  37. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 次に、被害者の対策でお伺いいたしたいわけでございますが、このように被害者が多いわけでございまして、今自動車保険にそういったことで期待するところが非常に大きいわけでございますが、今度は任意の保険の普及は共済を入れても八〇%ぐらいでして、残りの二〇%の車には、被害に遭った場合はその補償が期待できないという現状でございます。この任意保険を一〇〇%普及にするためにはどのような考えを持っているのか。  それから、特に二輪車の場合にはこの保険というものがなかなか徹底されづらいというところもあるわけでございまして、二輪車に対する特段の指導はどのような考えをお持ちであるのか。  そしてまた、任意保険では自賠責と任意保険の一括払いというのをしているわけですが、これは迅速に救済に当たるという意味においても非常にいいことで、今後とも進めていただきたいと私は思うわけでございます。  その三つの問題につきまして、答弁をいただきたいと思います。
  38. 山本晃

    ○山本説明員 まず、任意保険の普及状況でございますが、本年三月末におきます任意保険の普及率は、対人賠償保険で六四・一%というふうになっておりまして、毎年着実に上昇しているところでございます。このほか、委員指摘のように、農協共済等に加入しているものが約一六%程度ございまして、これを合わせますと普及率は約八〇%ということになるわけでございます。  なお、普及率を算出するに当たりましては自動車保有台数を基準としておりますので、この中には中古車として流通段階にあるもの、こういったものも含まれておりますので、実質的には普及率はもうちょっと高い水準ではないかなというふうに考えられるわけでございます。  いずれにいたしましても、交通事故被害者救済等の社会的要請からも普及率の一層の向上が必要であるわけでございまして、毎年損保業界は普及率拡大のキャンペーン実施いたしまして普及の拡大を図っておるわけでございまして、徐々にではございますが、普及率の拡大は図れているというような状況でございます。私どもといたしましても、この普及率の拡大について今後とも強力に指導してまいりたいというふうに考えております。  また、先生御指摘二輪車の問題でございますが、特に原付、これは自賠責保険をつけなければいけないということになっておるわけでございますが、この自賠責保険への加入率というものが今、若干ではございますが、年々低下しつつあるような状況になっております。これにつきましては、総務庁を初めといたしまして政府一体となってこの拡大運動に取り組んでおるところでございますが、今後とも一層強力にやってまいりたいというふうに考えております。  それから、私どもの方からお答えするのが適当かどうかわかりませんが、いわゆる一括払いの問題についてお答えを申し上げたいと思います。  先生御指摘のように、この自賠責保険と任意の対人賠償保険につきましては、一括払い処理を行っているわけでございます。また、自賠責保険を取り扱っておる農協共済との間でも一括払いを行っているわけでございます。そのほかの任意共済におきましては、二つのルートがございまして、一つは、加害者または被害者にまず自賠責保険金請求させまして、その残余の損害がある場合について任意共済金を支払うという方法、これがございます。もう一つの方法といたしましては、自賠責保険金相当部分を含めまして任意共済の側で任意共済金を請求者に支払いまして、その後契約者からの委任を受けるという形で自賠責保険会社に対して加害者請求を行う方法がある、この二つの方策があるというふうに聞いているわけでございます。私どもが答えるのが適当かどうかわかりませんが、そういうような状況でございますので、いわば実質的には一括払いの道というものは開かれているのではないかなというふうに私どもとしては理解をしておるところでございます。
  39. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 この被害者対策とは間接的には関係があるわけでございますが、全く直接的ではないのですが、運輸大臣に私は敬意を表して、お礼と同時にひとつ質問をいたしたいのでございます。  これはいろいろな方に、皆様方も御陳情いただいておると思うわけでございますが、私の長年の念願でございました内部疾患者の交通料金の割引でございます。今日まで何十回となく私たちも陳情を行いまして、今までもちろん身体障害者には割引制度はいろいろあるわけでございますが、ただ内部疾患者というのはこれがなかなかできなかった。本当にいつできるのだろうかと思っておりましたが、ついせんだって大臣の発表をいただきまして、これは本当にすばらしいことをしていただいたとお礼を述べたいと思うのでございます。  ただ、今まで越すことができなかったいろいろな問題点を、例えば診断書等のようなものを出すのでしょうか、そういうようなものをその後どのようにクリアしてああいう方法を考え出してきたのか。内部疾患者は外から見られないじゃないか、だから割引ができないのだというのが今まで制度としてできなかった一番大きな原因でもあったわけでございますが、そのことをちょっとこの機会にお教えいただきたいと思います。
  40. 江藤隆美

    江藤国務大臣 今回の内部疾患者、すなわち腎臓病並びに心臓病患者に対する割引につきましては、これは衆参両院におきましてしばしば御議論をいただき、また決議もいただく等、私どもに対して大変な勇気づけをしていただいたわけでありまして、関係者の国会の諸先生にこの機会に改めて厚く御礼を申し上げたいと思います。  御承知のように、腎臓病患者、それから心臓病患者というのは医学的にもあるいは制度的にも随分と確立をされてきた、こういうこともありますし、国会の御意向もありますから、今回二十九万人の対象者に対して外部疾患者、すなわち身体障害者の皆さんと同様の割引制度を導入しよう、こういうことにいたしたわけであります。しかしながら、実際は窓口で、例えばJR、民鉄、それから航空各般にわたるわけですから、現場でこれらを取り扱ってくださる皆さん方に周知徹底をする時間が若干必要だ、もう一つは身体障害者手帳の書きかえが一部必要となる、こういうこともありまして、もう年末も来ることですから、できれば年内実施をしよう、私はこう考えたわけでありますが、各関係会社から今月じゅうにでもできるだけ申請をしてもらって年内にでも認可をする、そして来年の二月にはこれを実施する、こういう体制に持っていこう、こういうことで実は先日来閣議にも報告し、取り進めをいたしておる、こういうことでございます。
  41. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 そうすると、何か身分証明書というか、診断書のようなものを出せばすぐ乗れるわけですか。
  42. 江藤隆美

    江藤国務大臣 身体障害者手帳が渡っておりますから、その中、何か一部書きかえるようです。手帳を提示すればそれでよろしい、こういうことになると思います。
  43. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 終わります。
  44. 正木良明

    正木委員長 以上で関谷勝嗣君の質疑は終了いたしました。  次に、早川勝君。
  45. 早川勝

    早川委員 いわば交通安全問題にかかわる個別の問題でございますけれども、きのうの新聞に出ておりました「なだしお」の問題について最初に伺いたいと思います。  御存じのように、一年余前に起きた事件でございまして、第一審が終わりまして第二審のところ へ、その原因、責任等を含めて究明が進んできているわけですけれども、昨日の新聞等で報じられておりますように、どうも国民の立場からすると、ある面で当初言われていたことが、疑問がそのままこれだけの期間がたっても出てきている、解明されないままに推移してきている、こんな感じを受けるわけですが、あの新聞の記事についてどんなとらえ方をされているか、一言。伺いたいと思います。
  46. 江藤隆美

    江藤国務大臣 大事なことでありますから、読ましていただきます。私ども運輸省としての見解を読ましていただきます。  事件当初、横須賀地方総監部より横須賀海上保安部にあった連絡では、衝突時刻は、十五時三十八分となっていた。  この時刻は、速力通信受信簿及び航泊日誌の記載時刻(四十分)と異なっていたため、当初から詳細な捜査を行っており、初期の段階から航泊日誌の修正の事実があったことは承知をいたしております。  第二番目に、当庁の認定した事実では、衝突時刻は、十五時三十九分ころ、としており、これは、単に航泊日誌等の記載だけでなく、乗組員からの供述、他船舶乗組員からの事情聴取、それから私どもは海上交通センターを持っておりますから、海上交通センターのレーダー映像の解析結果、第一富士丸の船内時計の停止状況等から断定したものであります。  したがって、航泊日誌の修正が当庁の捜査に影響を与えることはないと考えております。  また、防衛庁側も当初三十八分と連絡してきており、特段の悪意はなかったものだと考えておる次第でございます。
  47. 早川勝

    早川委員 この事実関係等については審判等でまた進められると思いますが、内部文書があるということが伝えられているのです。これは本当にあるものかどうか、一体どういう性格のものか、伺いたいと思います。
  48. 小林誠一

    ○小林説明員 報道されております内部文書なるものが一体どのようなものなのかということについては、私どもも承知できないのでございますけれども事故当時のさまざまな事実関係につきましては、防衛庁といたしましても事実関係調査しなければいけませんので、そういった立場でいろいろと関係者に事情聴取等行っております。そういったメモがあることは事実でございますけれども、報道されているような内部文書なるものが一体いかなる性格のものなのかということについては、特定できるものはございません。
  49. 早川勝

    早川委員 そうしますと、いわゆる内部文書という形できちんとしたものと言い得るものはないけれども調査委員会等のメモ書きがそれに当たるかもしれない、こういうことですか。
  50. 小林誠一

    ○小林説明員 メモ書きがそういうものに当たるというのはちょっと言葉足らずでございますが、いろいろな形で事情聴取を行いますのでそういったメモがあることは事実でございますけれども、報道されておりますような内部文書というものが一体いかなる性格でどういうものなのかということについては、特定できるような材料を我々は持ち合わせておりません。
  51. 早川勝

    早川委員 そうしますと、メモがあるのは確実だというお答えをいただいたわけですが、そのメモというものを資料としてこの委員会に出していただくということにはならないですか。
  52. 小林誠一

    ○小林説明員 メモというものはいわゆる公式文書というものではございませんで、防衛庁といたしましては、公式的な文書というもの、事故調査関係につきましては事故調査委員会を設置しましてそこの報告書というものを作成することになっておりますけれども、現在、海難審判も第二審が係属中でございますので、公式文書の作成についてはまだそういった段階に至らないわけでございます。その過程で、いろいろ事情聴取をした中で、あるいは上司への報告等で、事情についてどういう供述、説明があったのかというようなメモはございますけれども、それはかなり膨大なものでございますし、どれといって特定できるものではないような、また公式的な文書という性格のものではないというふうに承知しております。
  53. 早川勝

    早川委員 公式の文書ではないということはわかったのですが、こういった意味で、実は一年前に同じような報道をされているんですね。改ざんしたんではないかとか、そういうおそれがあるということが指摘されて、また今同じようなことが指摘されているわけでして、そういった意味でこのメモなるものは非常に重要じゃないかと思いますので、これは委員長のところで資料としていただけるように議論していただけたらと思いますが……。
  54. 正木良明

    正木委員長 それでは、後ほど理事会でいろいろ御相談してみます。
  55. 早川勝

    早川委員 今回、それに関連してなんですけれども新聞等の見出しなんですが、また表現なんですけれども、改ざんという表現が使われているわけですが、これについてはどんな考え方で受けとめられておりますか。
  56. 小林誠一

    ○小林説明員 防衛庁といたしましては、事故当時いろいろとその前後から状況が錯綜しておりまして、そういうときには航泊日誌に、記載の仕方といたしましては、鉛筆で書いて、事後清書したということは事実だと承知しております。航泊日誌にこのような鉛筆書きをするというようなことは、状況が逼迫しているようなときにはしばしばあること、あるいは訓練中もよくあることというふうに我々は承知しております。  今回の清書の際に、今御議論になっております、新聞等に取り上げられております衝突時刻につきましては、正確な記録を残すというような観点から、艦内の他の資料、速力通信受信簿というものもございますので、そういったもの等と総合的に勘案して、速力通信受信簿の方がより正しいと判断いたしまして、十五時四十分というふうに清書したというふうに報告を受けております。  したがいまして、これは航泊日誌が公式の文書として作成される際の一つの過程の中で鉛筆という形で書かれたものであって、改ざんと報道されているような性格、性質のものではなく、この辺につきましては、先ほど運輸大臣からも御答弁ございましたように、事情聴取の初期の段階においても、海上保安庁等に御説明さしていただいているところでございます。
  57. 早川勝

    早川委員 森山官房長官も、また防衛庁長官等も、また小林課長さんも、記者会見等で、いわば航泊日誌の整理だ、あるいは清書しているだけだということを言われておりますし、また官房長官の発言の中には、よくあることだということも言われているようでございますが、ただ、記載について、海上自衛隊達というのですか、何かそういうものがあるようでございまして、それに基づけば、訂正等をした場合でも、いわゆるその原本というんですか、それはきちんと残しておくものだ、またそのページとかにはきちんとその上に張りつけておくものだ、破り捨てることはしないんだ、してはいけないんだということが書かれているようでございますが、事実そういう規則になっているのかどうか、そしてまた、今回のこの山下前艦長の振る舞いというのはこの規則に違反しているのかいないのか、伺いたいと思います。
  58. 小林誠一

    ○小林説明員 先生おっしゃられましたように、航泊日誌の記載に関しまして、細部について内部的にそういうものを取り決めをしておりますけれども、その際、記載事項の訂正につきましてはペンで行い、詳しくはちょっと読み上げさしていただきますと、「ペンで行うものとし、字句を削る場合又は字句を改める場合は当該字句を一線で抹消し、訂正印を押す。」というような形になっております。  これはいわゆる航泊日誌として正規にでき上がったものについての訂正の仕方というふうに承知しておりまして、先ほど申し上げた本件の「なだしお」の場合には、鉛筆書きでとりあえずメモ的に書いていたものでございまして、これは先ほど申し上げたようによくあることでございまして、それを事後的に改めて清書する、このこともその仕方としては間違った仕方ではないと我々は考え ております。
  59. 早川勝

    早川委員 清書というのは、普通に言いますと、鉛筆書きで走り書きしたようでなかなか読みにくい、また記録としていつまでも保存に耐えないだろうという状況があった場合、それをもとにしてきちんと、せいぜい文章整理くらいして文字を明確にして、その場合に今言われたように青とか黒のペンでということになると思うのですが、この最初の航泊日誌ではいわゆるペン書きは十五時三十八分、それから海図を直したんではないか、それも十五時三十九分が最初にあって、さらに速力通信受信簿ですか、これが十五時四十分だということで、それらを総合して、こう言われているんですけれども、そういう場合の鉛筆書きを清書するという、そこにはある面では非常に単純な作業だと思うのですけれども、今回はそうはしてないんじゃないかと思うのですけれども、いかがですか。
  60. 小林誠一

    ○小林説明員 鉛筆書きの清書といいましても、鉛筆の上をなぞるような清書もあればいろんな形態が、それはメモとして清書し直すということもございます。それで当時の、まあ当時といいますか、一般的にこういったものは司令室というところで行っておりまして、一人の航海員が実施しておりますので、状況といたしましては、その航海員はいろいろな命令がふくそうしているときであればあるほど鉛筆で書くことというのは許容されておりまして、それをさらにペンで正規の公文書化していき、艦長の了解、承認をいただくというスタイルで公文書としての航泊日誌が作成されるというふうに私どもは承知しております。
  61. 早川勝

    早川委員 もとのページを破り捨てたという点については、規則違反にはならないんですか。
  62. 小林誠一

    ○小林説明員 現在、本件につきましては、地方検察庁等の方でも事情聴取等が、この件というわけじゃなくて、「なだしお」関係につきましていろいろ取り調べも行われておるところでございますので、お答えは差し控えさしていただきたいと思います。
  63. 早川勝

    早川委員 普通に考えますと、どうしても単なる整理だとか清書ということではなくて、改ざんではないかと私などは考えざるを得ないわけですけれども、それはおきまして、実は三番目のこれに関連しての問題なんですが、昨年の九月八日、当委員会におきまして関山委員が実はこの問題を指摘しているんですね。事故が起きた後、捜査の初動時に防衛庁が組織的に虚偽を述べたと見られるという新聞の署名入りの記事があるんだがということで、こういう事実関係はどうかという質問に対しまして、海上保安庁の長官が、現在までのところは私どもとしてはそういった事実は承知しておりませんと答弁されているわけですが、それ以後の状況を見ていますと、きのうの伝えられたような事実ですね、文書があるのかあるいはメモは残っているだろうということを言われたわけですが、これが審判の過程で今日まで明らかにされてこなかった、これはどういうところに原因があるのか、伺いたいと思うのです。
  64. 野尻豊

    ○野尻政府委員 ただいまの件につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、そういう事実につきまして当初から私ども掌握しておりました。
  65. 早川勝

    早川委員 当初からそういうことは承知していたということですね。そうしますと、「こういう事実がもし仮にあるとすれば、これは非常に大変なことだと思います。」と、この新聞の署名入りの記事をまだそこまではきちんと調べてない、わからないということで仮定の答弁をされているわけですね。そういう事実があればということで、恐らく今言われたようなことでわからなかったんじゃないかと思うのですけれども、本当にもう既に今言われた三十八分、三十九分、四十分ですね、ああいった違いというのはその時点で既に十分事実関係として把握されていたということになるわけですね。
  66. 野尻豊

    ○野尻政府委員 改めて御説明申し上げますが、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、事件当初、海上自衛隊の横須賀地方総監部から横須賀海上保安部にあった連絡では、十五時三十八分ということでありました。一方、速力通信受信簿あるいは航泊日誌、ここでは記載時刻が四十分ということになっておりまして、当初から詳細な捜査を行いまして、初期の段階から航泊日誌の修正の事実があったということは承知しております。ただ、この修正について組織ぐるみで意図的にそういう修正があったというように私ども考えておりません。
  67. 早川勝

    早川委員 いずれにしましても、今新聞等で伝えられている問題は、これまでの審判の過程で資料あるいは情報提供を含めてきちんと明らかにされていなければいけなかった問題ではないかと思うのですね。もうその当時から自衛隊の問題として国民の信頼を得られるような対応をすべきだという指摘があったわけですね。きのう、きょう、そして今現在の状況を見ますと、かえって信頼が高まったんじゃなくて不信感、疑惑が深まっているんじゃないかと思うのですけれども、そういった意味でこの審判庁の所管大臣であられる運輸大臣、今日までの経過を踏まえて、またこれから第二審に移っていくわけですけれども、これからの対応についてどのように考えられているのか、伺いたいと思います。
  68. 江藤隆美

    江藤国務大臣 運輸行政の根幹は安全にあると心得ております。なかんずく、海上保安庁は海上における保安、安全、それから事故の防止ということを大きな責務としておるわけでありますから、そこに事件が起こりました場合は、いかなる私情も許してはならないと考えております。したがいまして、海上自衛隊から連絡を受けて海上保安庁がもろもろの調査を進めてきたということについては、私は全幅の信頼を持っております。したがいまして、今後またいろいろと海難審判も行われることでありますし、これらについては、私どもは厳正に対応して、いささかなりとも誤解を招くことのないように十分に心してまいりたい、こう考えております。
  69. 早川勝

    早川委員 このいわゆる「なだしお」の問題というのは、まだいろいろな機会で恐らく議論されると思いますので、きょうはここまででやめさせていただきます。  次に、交通事故が、先ほどの議論でもございましたように、非常に多発しており、死亡者も一万人を超えるだろう、こういう状況を迎えているわけですが、去年とことしを比べまして、この事故対策について死亡者の数からすると余り効果が上がっていないんじゃないかという感じを持つわけですけれども、どんな認識をされておりますか。
  70. 水野清

    水野国務大臣 政府としましては、昨年からでございますが、交通対策本部を開きまして、昨年の八月、交通事故防止に関する緊急総合対策、九月には高齢者交通安全総合対策、さらに本年に入りまして、二輪車事故防止に関する総合対策、こういったものをそれぞれ決定をいたしまして、この交通事故の急増に対して対処してきたところでございます。  この急増の問題点は、私は基本的にはやはり経済の好況続きで自動車保有台数がふえた、また、それに伴って初心者の免許証をお取りになった方が非常にふえてきたということもありましょうし、あるいは高齢者の免許証をお取りになる問題が出てきた、あるいは若い人たちの二輪車の問題もある、あるいは道交法の改正直後は割合にきちんとやっておったシートベルトの着用の問題がやや緩んできたのではなかろうかというようなことがあるわけでございます。そのほか、道路の構造上の問題というようなものもありましょうし、その他ございますが、私はこういったことが総合的に出てきた、こう思って、これは極めて重大なことだと考えております。  そのために、これはやはり個々の問題を再点検するということも大事でありますし、言ってみますと緊急事態である、こういうふうにも認識をしておりますので、近く内閣を挙げてこれに取り組む姿勢を私は考えておるわけでございます。
  71. 早川勝

    早川委員 ぜひ、かつてないような死亡者が出 るような状況なので、全力を挙げていただきたいと思います。  それに関連しまして、いわば交通事故の事後対策になって、こういうことがあるのは余りいいことではないのですけれども、現実問題としては政策的に充実してほしいなという問題が、交通遺児の育英会の問題でして、それについて伺いたいと思います。  時間が余りございませんので率直に聞かせていただきますが、実はこの五年間の交通遺児育英会への国庫補助、これを調べてみたわけです。今は概算要求が締め切られて、各省で大蔵省と直接予算の折衝をされているわけですが、その概算要求額と決定した予算額というのはどういう推移だったのかなと思いまして、五年間調べてみました。昭和六十年度から今年度までちょうど五年間ありますけれども、概算要求額というのは大体四億円を上回っております。六十年度の場合には四億千八百万円、これを育英会の国庫補助として運輸省は要求したわけですね。ことしは四億八千万円、その間少しずつ各年度ふえてきておるわけです。それに対して、決定額なんですが、昭和六十年度の場合には四億一千八百万円の要求額に対しまして決定した予算額は四億一千六百万円、ずっと続いてそれぞれ要求額と予算額は四億円台で推移してきたんですが、本年度予算は四億八千万円の要求額に対しまして二億八千八百万円だった。  これはどうしてこんなに急減したのかなということをまず伺いたいと思うのですが、それによって交通遺児育英会の本来の趣旨は、今まで同様にきちんと機能しているのかどうか、そこへ負担がしわ寄せが起きてきているんじゃないかなという感じを持つのですけれども、この点を伺いたいということです。  もう一つ、八月三十一日に締め切られました運輸省からの概算要求額は、したがって二億七千七百万円というふうに、これまた急減しているわけですね。これをもとにして来年度予算は決められるということになるおそれが非常に強いわけですけれども、こういった変化がなぜ起きたのかといったことを含めまして答弁いただきたいです。
  72. 早川章

    早川政府委員 お答えいたします。  交通遺児育英会に対します補助は、昭和四十三年十二月の当委員会の「高等学校等での修学資金を貸与する業務を行なう財団法人の設立及びその財団法人の健全な事業活動を促進するため、必要な助成措置等について配慮すべきである。」という決議に基づいて、四十四年度から開始されたものでございます。  私どもの昨年、平成元年度の予算要求は四億八千万円でございましたが、予算折衝の過程におきまして、この交通遺児育英会が基本財産三十五億円のほかに六十億円の運用財産を形成してきている、こういう事実が出てまいりまして、このような財政状態でいわゆる高等学校の学生に対する奨学金を出していくという形につきましては、十分体制的にもあるいは財産的にも可能である、十分やっていけるという判断が出てきたものでございます。  従来は、この補助につきましては、返還金が返ってまいりますと、その返還金の二分の一は国庫補助の金額であったわけですが、そのほかにさらにその返ってきたものに対してまた国が補助金を出す、つまりある意味で国の補助金が償還された資金についてはだんだんふえていくというような形でこの育英会の育成を図ってきたわけでございますけれども、もはやその必要はない。したがいまして、返還された中に国庫補助金が入っておりますから、そのものがまた出ていく、つまり百万円の奨学金を出していく場合には五十万円の国庫補助がそのまま使われていく、返ってきたらまた別な学生さんに使われていくという状態を保っていくことでこの育英会というものは健全に運営できていく、こういう理解に立ったわけでございます。  そういう形で私どもとしては昨年、平成元年、当年度の予算というものを成立させ、そして来年度予算二億七千七百万円の補助金を要求いたしておりますが、この補助金をもって、同会の財政状態等考えれば、交通遺児の高校生の方への奨学金の貸し付け事業に支障が生ずることは全くない、こういう理解に立っております。
  73. 早川勝

    早川委員 ことしの予算の決定過程を見ますと、先ほど言いましたように、運輸省は四億八千万円要求したわけですね。大蔵原案ではその額はゼロだった。復活折衝の過程で、政府決定の段階でやっと二億八千八百万円に確定したのだということなんですけれども、普通に考えますと、大蔵原案はゼロということは、大蔵省は必要ないと認めたというわけですね。運輸省は必要だと言って概算要求に盛り込むわけですね。そうすると、結果的には今年度予算は二億八千八百万円になってしまっているわけでして、結局、いわゆる大蔵省の積算なり今言われた基本財産だとか運用財産があるということで、それに押し切られて運輸省もそれで了とした、それに基づいて今年度概算要求はそういう発想に立っているんだということになるわけですね。  その場合、いろいろな積算根拠を欠いているわけですけれども、ここでひとつ問題は、自分たちの、あしながおじさんの話じゃないですけれども、民間から寄附を集めて基金を構成していこう、こういうことをやってきて、できるだけ多くの人に奨学金を渡そうということもやっているわけですね。そうすると、民間のそういった意味での基金を集めれば集めるほどパイは大きくなっていくわけですね。そうすると、国庫補助は出していかないというふうに変わっていくことになると思うのですけれども、そういったおそれはございませんか。
  74. 早川章

    早川政府委員 先生の御指摘のように、民間からの寄附というものが同会の大きな財産であることは御指摘のとおりだと思いますが、現在のこの会の補助規模というものは、実はそう大きくは拡大していないわけでございます。高校生の方がそうふえてきていないという全体の人口事情等もあると思います。その間に償還金が、奨学金でございますから返ってまいります。その中には、当然従前行ってきた国の補助金というものも同会に一たん返ってくるわけでございますが、それが国が戻していなくて、そのままそこに残るわけでございます。その状態でまた貸し付けが再度行われていくということを考えながら、その会がどの程度健全であれば当委員会の先ほど御説明いたしました決議というものの趣旨に合うものであるかどうか、健全な事業活動の促進、必要な助成措置、こういうことについての考え方が昨年の予算折衝の段階でいろいろ議論ございまして、このような形に落ちついている。その状態で考えてみますと、確かに六十億円の運用財産、実はこれは民間の寄附金もございますし、一方で国の補助金というものがそういうふうに滞留していく形で形成されたものもある、こういうふうに考えますと、その状態が、現に運用財産をお持ちである限りはそういうものが別に恐らく減ることもなく運用されていくと思いますから、その状態でしばらくの間このような助成措置を講ずるという範囲にとどめるという形が適切なところであるだろう、こういうふうに考えた次第でございます。
  75. 早川勝

    早川委員 交通遺児育英会の調査によりますと、交通遺児は全国で約十万人、それから遺児家庭の平均月収を調べてみると、平均が十万二千円、一般世帯の約三八%、三分の一ぐらいの収入であって、十五万円以下が九〇%を占めているという状況が報告されています。アンケート調査結果に出ているわけです。この育英会は、高校生だけではなくて大学生だとか専門学校あるいは大学院生、こういうところまで広げて、とにかくこういった遺児に対する奨学制度を充実せよということでやっているわけですね。ことしの予算から、半分とは言いませんけれどもそれぐらいまで下げられたということは、高校生だけではなくて、大学生にはあるわけですけれども、専門学校だとか大学院生に対して自分たちで助成している、そういったところまで拡大をしてこういった補助金を減らすということはやめてほしいというのが大蔵 省に対して運輸省が言うべき姿勢じゃないかと思うのですが、これは大臣答弁いただいた方がいいと思います。お願いします。
  76. 江藤隆美

    江藤国務大臣 設立の趣旨からいたしまして、この目的がいささかも阻害されることがあってはならないと私は考えます。ただ、この時代に、基本財産が三十五億円あります、運用財産が六十億あります、こういう事態を踏まえますと、やはり一定の節度は私はあっていいのではないかと思います。これから高校生に対する貸し付けについていささかも不都合は起こらないように随分配慮してまいるわけでありますから、その点は御心配ないように願いたいと思うのです。  それから、この対象を拡大するということについては、各方面の御意見もあることでありましょうが、本日は突然の御質問でありますから確答は避けさせていただいて、十分またどういうことがあるのかということをよく検討してみたいと思います。  それから、育英会の資産運用その他についても十分ひとつ勉強して、その中で、現在でやれないのか、もし財政的に行き詰まってせっかくの運用ができないということであるならば、それは将来補助金をふやしていくということは考えられることでありまして、必要ないものについてふやすということはいささかいかがなものかと考えます。そういう点は弾力的に対応できるように、少しく検討の時間をいただきたいと思います。
  77. 早川勝

    早川委員 実は運用財産は減りまして、それは奨学金の支給額を五千円から一万円に育英会が上げたのですかね、そういうことをやっているわけでして、先ほどここでも触れましたように、家計の状況を見ると大変厳しいですね。したがって、総額を減らすよりも支給額を上げて、先ほど大臣答弁されたような国として遺児に対する教育の保障といった趣旨を守るためには、やはり額を上げていく方を重視していただいて、総額を減らすという方は第二次的な問題ではないかと考えますので、検討いただきたいと思います。  最後になりますので、またの機会に触れたいことなのですけれども、二点だけ伺いたいと思います。既に質問の内容は通告してありますので、簡単に答弁いただきたいと思うのです。  道路経済研究所が、交通事故と救急体制等を含めて提言を出しているわけです。実は三つ提言がありまして、一つは、救急隊員の応急処置の拡充強化をしたらどうか。アメリカ等でやられておりますパラメディック、準医師を救急車に同乗させるようにしたらどうか、あるいは救急隊員のレベルを上げたらいいのではないか、こういう提言が一つあります。それから二番目としては、ドライバーの応急処置の普及促進をやったらどうか。西ドイツの例等がここに触れられているわけですけれども、これから免許更新だとか免許取得時にそういった教育も考えていったらいいのではないか、また考えていく必要があるという提言があるわけです。もう一点は、医療機関の救急医療体制への参加。これは体制全体の問題ですけれども、差し当たって、救急隊員の応急処置の拡充、教育等訓練期間を含めてもっと充実させたらいいのではないかということと、ドライバーの救急箱一つを見てもそうなのですけれども、そういうものを備えさせるようにしたらいいのではないかということはそのとおりではないかと私は思うのですけれども、これについての答弁をいただきたいと思います。答弁というより、どういうふうに考えられているか、どういう方向で検討しようとされているか、もしそういう方向がはっきり出ておりましたら伺いたいと思います。
  78. 木挽孝紀

    ○木挽説明員 救急患者の救命率の向上を図るためには、救急隊員による応急処置の範囲の拡大を図ることが重要である、かように考えております。しかしながら、そのためには救急隊員に対しましてさらに高度な教育訓練を行い、その資質を向上させるということが必要不可欠であると考えております。  このような観点から、現在消防庁におきましては、救急隊のリーダーである救急隊長を対象といたしまして高度な専門的知識を修得させる特別の教育カリキュラムのあり方について検討を行うなど、救急隊員の資質向上を図るための諸施策に積極的に取り組んでいるところでございます。今後、これらの施策を踏まえまして、関係機関の御意見も伺いながら、救急隊員の行う応急処置のあり方について十分検討してまいりたいと考えております。
  79. 早川勝

    早川委員 終わります。
  80. 正木良明

    正木委員長 早川勝君の質疑は終了いたしました。  次に、永井孝信君。
  81. 永井孝信

    ○永井委員 初めに、各大臣もおそろいでございますから、大臣の所信に関して質問をしてみたいと思うわけでございます。  それぞれ関係する大臣から、交通安全に対する幾つかの考え方あるいは決意が表明されております。その中身をちょっと抜粋してみますと、総務庁長官は、国民交通事故の脅威から守る、そのために安全、円滑、快適な交通社会を実現する、このように決意を述べられているわけであります。建設大臣は、交通事故防止のために総合的な交通安全施策を強力に推進していく、こう言われました。また運輸大臣は、あらゆる機会をとらえて交通にかかわるすべての人々の安全に対する自覚と責任を促し、国民の信頼にこたえていきたい、こう言っていらっしゃるわけであります。もちろん国家公安委員長も、そういう立場で交通安全の推進を非常な決意を込めて言われているわけであります。このことについては、各大臣がそれぞれ交通戦争と言われる大変な状況の中で国民交通事故から守っていこうという熱意から政治の基本的な姿勢として示されているわけでございますから、それにはそれなりに私は敬意を表しておきたいと思います。  ただ一つ、私はそれぞれの大臣の方々の認識を伺ってみたいと思うわけでありますが、総理大臣が所信表明されたりあるいは施政方針演説をされるときに、歴代の内閣総理大臣は必ず交通安全のことについて触れられているわけです。考えてみましたら当然なことでありまして、昨年は一万人を超え、ことしは一万一千人を超えるのではないかという大変な状況になっているわけでありますから、この数からいっても大変ですね。そういう大変な交通事故対策について、今度海部総理は一言も触れられなかった。海部内閣の閣僚としてこのことをどう受けとめていらっしゃいますか、お答えをいただけますか。それぞれから一言ずつで結構です。
  82. 水野清

    水野国務大臣 まず総務庁として申し上げますが、委員お話しのように、昨年、交通事故の死亡者が十三年ぶりで一万人を越えました。ことしは既に九千人を超えておりまして、昨年より十七日早い、この辺の事情は十分御承知であります。第二次交通戦争ともいうべき厳しい条件にあることは、私どもも十分承知をしております。総理の施政演説にそういうことがなかったからといって、これは別に軽く見ているということではないのでありまして、私ども内閣を挙げていろいろな措置を講じている最中であります。  私どもは、昨年以上の死亡者の増加、今一万一千人とおっしゃいましたけれども、そういうことになっては大変でございますので、内閣を挙げて緊急対策を講じようとしている最中でございます。別に総理の施政方針になかったから軽々しく見ている、こういうことでは全くございません。
  83. 江藤隆美

    江藤国務大臣 運輸省は安全にかかわる大きな責任を負っていると認識しておりまして、施政方針演説にあろうがあるまいが、職務は全うしなければならないと考えております。特に、総務庁長官からただいまお話がありましたように、内閣全体として国民課題として取り組むように近々何らかの措置を講じたいという御相談もあっておりますから、私ども、その意に沿って今後真剣に取り組んでいく態勢をつくっていきたいと思っておるところでございます。
  84. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 委員指摘のように、交通事故による死亡者が増加をしておることは大変重大な 問題と受けとめております。これをできるだけなくすように努力しておくのは海部内閣の大きな責任であり、今総務庁長官運輸大臣からも御答弁がありました。また、ハード面では、これは道路問題等建設大臣等もこれを担わなければなりませんが、ソフト面での大きな責めを負うところの国家公安委員会としては、警察当局交通安全のより一層の推進のために今いろいろと具体的な施策を積極的に講じようとしておるところでございます。
  85. 永井孝信

    ○永井委員 内閣一致してこの交通安全対策に取り組んでいくということでございますけれども、私がここであえて発言しましたことは、例えば不幸にして天災地変でたくさんの方が亡くなられたり、あるいは日航機事故のように集中的に死亡者をたくさん出すという不測の事態が起きたとき、必ず本会議の席上でもそのことに対して弔意をあらわしながら事故の防止に努めますということが、内閣の側だけではなくて、政党側が質問に立った場合でもそのことに触れられるケースが非常に多うございます。  年間に一万人を超える死者というのは大変な数でございまして、これだけ交通事故に対するキャンペーンがマスコミを通しても張られておる中で、あえてそのことに海部内閣が触れなかったということに対して私は非常に不信感を持つのです。今各大臣が言われましたように、内閣が一致して交通事故をなくしていこうという決意がおありなら、この所信表明のときにもぜひそのことについては決意を表明していただけるように閣議の中でもなされなかったのだろうか、このことを私は非常に遺憾に思います。  それぞれ各大臣の決意はわかりますけれども、やはり形の上で、総理大臣が就任されて初めて所信表明をされるときぐらいは、これだけの大問題、交通事故防止ということについては強い関心を持っていることを国民の前に示すべきではなかったか。これをあえて強く私は苦言を呈しておきたいと思うわけであります。今各大臣が言われましたように、だからといってもちろんなおざりにする問題ではないはずでありますから、各大臣の決意を私どもは強く受けまして、お互いに努力をしてまいりたい、こう思っております。  さて、時間の関係もありますから、多くの問題を準備はしておるのでありますが、全部を質問することはできないと思うのですが、できるところまでやりたいと思いますので、事前に質問通告しておったところで質問ができなかった分がありましたら、御勘弁をいただきたいと思うわけであります。  まず最初に、JRの問題でありますけれども、これは質問通告をしておりませんでした。  実は、相次ぐいわゆるたるみ事故とも言われておりますし、ミスの事故とも言われておるのでありますが、連続して事故が最近起きているわけですね。これは運輸大臣に私はお聞きをしたいと思うのであります。  例えば、重大事故に至らなかった事故の中でも、これは新聞の切り抜きなどをここに持ってきているのでありますが、常磐線で線路の保守の際に、単なる確認の手違いがあったために、線路を外したところへ列車が突っ込んだ。もう考えられない事故なのですね。そんな単純なことがなぜ起きるのだろう、どこにその原因があるのか。  あるいは習志野の電車区でありますが、引き込み線内のポイントで待機中の電車に対して電車が追突をしている。その原因は、もちろん信号の見落としとかいろいろなことがあるのでございましょうけれども、ポイントの切りかえという問題も指摘をされている。こういうことがなぜ起きるのだろうか。  同じく常磐線の北小金駅でも、ポイントの切りかえミスから別の線路に進入をしてしまって、大きな事故になりませんでしたけれども、もしもこれが重大事故に発展しておったとしたら、これは大変な責任問題になってくると思うのです。  係員が早まってポイントを切りかえてしまうとか、うっかりして信号を見落としたとか、こういうことがずっと続いてきて、安全ということに対して、JRに対する国民の不信感を招いていると私は思うのです。  そこへ持ってきて、私が非常に重視をすることは、線路と線路の車両限界が若干間違えて線路が保守されておったために、接触事故が起きました。これも別に人身事故が起きたわけでもありませんから、直ちにこの線路を直して事がおさまっているわけでありますがね。  ここで問題なのは、私は鉄道出身でありますからよく知っているのでありますが、車両限界ということは絶対的なことなのですね。その車両限界を点検しなかったということは、これは言いわけのできないミスだと私は思うのですね。三・四メートルという上下線の間隔が最低限のものとして定められている。その三・四メートルが、事故が起きて調べてみると約八センチ狭まっておったというのですね。  これは重大事故にならなかったからいいようなものの、運輸行政としても、単にJRだけじゃないのですよ。もちろん私鉄に対しても同じようなことが十分に調査されて万全に安全を確認されなくては大変なことになると思いますので、私はあえて運輸行政のあり方について大臣質問しておきたいと思うのです。  まだうっかり問題があります。大臣、これも新聞の記事です。団体列車、臨時列車の予約を受けて、その予約の場所へ臨時列車を運転していったというのですよ。そうしたらホームにだれもいない。なぜいないのかと調べてみたら、事前にその団体の乗客はキャンセルされておったというのですね。乗客が団体列車を全部キャンセルしているのに、運転側はそのことの連絡がなくて、列車を運転してそこの駅まで行ったというのですよ。これも事故関係ないけれども、事ほどさように、安全運転に徹しなくてはいけない鉄道事業者が、どうも単純な連絡ミスが多過ぎる。  私は、ここで一つ一つの問題を掘り下げて議論するつもりはありません。運輸行政として一体これをどう見て、人身事故に発展しないということで軽く見られているのか、あるいはどのように厳重にこの問題を注意したりあるいは行政の中に生かしていこうとされているのか、ひとつ大臣なり担当からお答えをいただきたいと思います。
  86. 江藤隆美

    江藤国務大臣 私は、就任以来、列車事故、航空事故自動車事故、それがきょうもなくてよかったなという日は実は一日もないわけでありまして、そうした大事故が起こらないことを毎日祈るような気持ちで実は務めております。  今回のJRの事故というのは、お話のとおり、聞けば聞くほどまことに汗顔の至りでありまして、監督官庁として何と弁解の言葉もないようなことでございます。  すなわち、昨年十二月五日に起こった東中野の列車事故というものがちっとも反省されてない。それが同じ日時をもって、その周辺に事故が固まっておるということは、これはいささかの弁解の余地もない。せっかくJR各社が民営化されて人人の信頼を取り戻し、そして経営状態も安定しつつある中で、ふとした油断があったのかな、あるいはまたたるみがそういうふうに事を起こしたのかな、どういうことだろうということで、直ちに関東運輸局長を通じて、現場の責任者等を社長以下全部呼びまして、厳重にこれが事後処置あるいはまた今後の指示を与えますと同時に、関係者を本省にも実は召喚をいたしました。そのとき、私ちょうど予算委員会の途中でありまして、向こうから来ましたときにおりませんでしたから、また東日本の社長に対しても大臣室に来るようにということでおいでをいただいて、厳重に注意を促したところであります。  二度とこういうことはやりませんと、いつも事故が起こったときには誓いを立てるわけですが、それが三日坊主になるようでは、これは今後の鉄道行政というものに対して国民皆さんの信頼を失う、大事故につながりかねない、こういうことで、ひとりJR東日本だけではなくて、各地方のJR各社に対してもそのような同様の、初心に返 って安全運転についての点検その他対応するようにという指示をいたしましたし、これはJRだけではありませんから、同様に民鉄各社に対しても同じような指導をし、厳重にこれらの問題について対応するように私どもは要請をいたしておるところでありまして、この私どもの意のあるところが今後十分守っていかれるように、特に年末年始にかかるわけでありますから、十分注意をしてまいりたいと思っております。
  87. 永井孝信

    ○永井委員 ひとつ努力をしていただきたいと思うのでありますが、もしもその原因の中に、人員が大幅に削減されたこと、あるいは大変いろいろな職種間の配転がされたこと、そのために安全教育が徹底されていなかったこと、あるいは技術力が伴っていないこと、いろいろな原因がもしあったとすると大変でありますから、その辺のことも含めて十分に監督指導をしていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。  その次に、同じように運輸大臣にお聞きをしたいのでありますが、先日、全運輸という労働組合がこういう調査資料を出しました。いわゆる空の問題でありますが、ニアミスにかかわって管制官にアンケート調査をしたことが新聞で大々的に報道されておりました。そのときの全部の資料がここにございますが、これも細かく掘り下げて話をする間がございませんけれども、注目されますのは、この冷やりとした体験を持っているという管制官の回答ですね。これが四人に一人だというのですね。これは大変なことだと思うのです。回答者は、管制官千三百十五人が回答しているのでありますが、そのうちの四人に一人に当たる人々がニアミスの危険性を感じた、あるいは中には二回以上そういう危険を感じたということを調査の中で告白をされているわけです。  聞くところによりますと、運輸省としてはニアミスというのは原則として機長の報告に基づくということになっているようでありますが、昨年から管制官の報告も尊重するように制度を改善したとされています。しかし、果たして本当の真実がそういう調査の段階で行政当局に把握ができるようになっているだろうか、このことが私は非常に問題だと思うのです。例えば、そのニアミスの経験をしたことを報告した場合に、その管制官自身の責任を問われはしないかとか、あるいはそのことが原因で自分の労働条件に差別をつけられはしないかとか、いろいろな心配もあってなかなか真実を報告しないのではないかということも言われているわけです。  これは労働組合の調査でありますけれども、この冷やりとした管制官の体験というものの調査の結果をどのように受けとめておられるか、お聞きをいたしたいと思います。
  88. 江藤隆美

    江藤国務大臣 だんだん空が混雑をしてきまして、ニアミスの問題は、これは十分心して慎重に対応する必要がありますので、私も実は現場に行ってきました。なかなか特殊な職場でありまして、管制官諸君の御苦労というのをかいま見る思いがしたわけでありますが、ただいまお尋ねの調査につきましては、航空法第七十六条の二の規定に基づく、機長に報告の義務がある、すなわち飛行中の航空機相互間に衝突または接触のおそれがある、そういうものとは異なって、管制官が管制間隔に関してこれは大変だ、そう直観的に感ずることがあると思いますが、感じた異常な状態を調査の対象としておりまして、この結果をもって直ちに危険な状態であったと断言することはできないと思っております。なお、この調査期間における機長からのニアミス報告は、一件も受けておりません。  航空管制業務は、所定の技能、資格を有する者がICAOの国際標準に準拠した管制方式基準にのっとり実施していること、航空路監視レーダーを初めとする施設整備の拡充が図られていること等から、現在では航空交通の安全を十分確保し得る体制が整っておると考えておりますが、航空行政を展開する上で安全の確保は基本的な使命でございますから、関係者は常に安全に細心の注意を払って行動すべきことは当然のことであると思います。  その意味で、私どもとしましては、今回の調査結果をも含め、引き続き多極的な検討を進めながら安全確保に万全を尽くしてまいりたい、現場の諸君の意見でありますから、それはそれなりに大事な参考として、私どもは今後考慮してまいりたいと思っています。
  89. 永井孝信

    ○永井委員 これだけ空も過密化してきたわけですからね。それはそれなりに参考にしてというお話でございますけれども、その程度ではなくて、大臣、やはり管制官が、これは無記名かどうかわかりませんけれども調査に対してそういう答えを出しているんです。これは私は非常に重視をするという姿勢がないと、そういうことがもしおろそかにされた結果、取り返しのつかない空中衝突とかいろいろなことが起きたときには、これはもう責任のとりようがないぐらいのものですからね。これはひとつ航空機の運航状況をどのように把握していくか、どのように施設を拡充するかということも含めて積極的な対応をお願いしたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  90. 江藤隆美

    江藤国務大臣 よく勉強させていただきます。
  91. 永井孝信

    ○永井委員 一つずつが中途半端になって恐縮でありますが、いろいろなことを短い時間で言いたいものですから、ひとつお許しいただきたいと思います。  さて、陸上の交通安全の関係でありまして、その中で過去この委員会でも指摘がされたことがあるのですが、高校教育における三ない運動というのがありますね。御承知のようにこの三ない運動に賛否両論があるのですが、先日新聞などで報道されたのをちょっと見ますと、関係省庁でつくっている交通対策本部が、ことしの七月十一日に二輪車事故防止に関する総合対策を決めたと報道されました。その中で、学校における交通安全教育の充実ということが打ち出されているわけですね。そしてその中身は、三ない運動を見直しをしようというふうに提起がされているというふうに書かれているわけです。  これは、今までこの委員会でもたびたび問題になってきたのですが、学校の教育に当たる人も、あるいは子弟の保護者も、高校生の年代の人が交通事故を起こしたり巻き込まれたりすることが非常に多うございますから、いわゆる免許を取らない、乗らない、乗せてもらわないという、この三ない運動で何とか事故を減少させようというそのことはわからぬわけではないのですが、極端に言えば、この免許行政の立場からいきますと、法的に十六歳から免許を取得することが決められているわけですね。  片方で法律で免許を取ることを認めておきながら、片一方で免許を取るなと学校教育をする。だからそこに、いえば免許行政と教育行政が、現場では真っ向から対立してしまっているわけですね。だから、子供たちは隠れて免許証を取る。あるいは中に、免許証を取った人は学校にその免許証を預けると指導している学校もある。その免許証を預けた生徒は、乗りたいものだから、その免許証を紛失したといってうそをついてもう一回免許証をもらって、その免許証で乗るということも出てきている。あるいは、若者はいろんなエネルギーを発散させたい年代でありますから、無理に三ない運動で抑えられますから、それが暴走ということで爆発していくという原因にもなっているんではないか、私はこう思うのです。  だから、私はこのことを細かく申し上げませんけれども、この三ない運動というものを思い切ってやめてみるのも一つの方法ではないか。いわゆる全人的に安全教育を進めていこうという方針だとすると、免許証を取らせて、そのかわり学校教育の中ででも徹底的に安全教育を進めるということが片方であっていいのではないか。アメリカなんかその典型的な例ですね。免許証はどんどん取らせて、そのかわり徹底的に運転の技術を学ばせる、マナーを学ばせることもやっているわけでありますから、三ない運動だけでこの問題を回避することがもう許されなくなってきているのではないかと思うのですが、これは総務庁長官お答え いただけますか。
  92. 石川晋

    石川(晋)説明員 文部省の健康教育課長ですが、お答えいたします。  今先生御指摘のように、三ない運動につきましては、いわゆる高校生の事故を未然に防ぎたいというようなことで、学校、教育委員会あるいはPTAが自主的な努力として行っているものであり、それなりに効果を上げているという反面、自主的な形で行っているものですから、必要があれば免許の取得を認めるというような形のものから極めて厳しい形で行っているものまで、先生御指摘のようにあるわけでございます。したがいまして、効果のある反面、このようなものについてはいかがか、かような意見があることも承知しているわけでございます。  私どもも従来から、このような規制の措置ということだけで事足れりということではなく、一方におきまして高校生の交通安全教育というものは十分推進していただきたい、こういう立場で臨んできたわけでございます。特に今日、高校生が卒業すれば直ちに交通社会に入る、免許を取るという時代を迎えているものでございますので、そういう観点から、さらに高等学校における運転者教育のあり方、こういうことも検討しなければいけないだろうということで、こちらの方の検討を進めていく、そういうことを考えているところでございます。
  93. 永井孝信

    ○永井委員 私が聞きたいのは、三ない運動で一定の効果を上げてきたこともあるだろう。しかし、しょせんは高校を卒業して十八歳になれば普通免許も取れるわけですから、今の車社会の中でほとんどの人がライダーあるいはドライバーになっていくわけですね。そうすると、すべての知識を一番受け入れやすいあるいは体験しやすい年代の高校生時代に、三ない運動だけで果たしていいんだろうか。安全教育というものを、警察の行政の側の指導だけではなくて、教育全体の中で取り組んでいくということをもっと思い切ってやるべきときが来ているのではないか。その意味では、三ない運動も見直すべきときではないか、思い切って廃止をしてみてはどうかという気持ちを私は持っているわけです。それに対して私が総務庁長官に答えてほしいと言ったのは、そういう交通安全のいわば取りまとめの大臣でありますから、どうかということを一言、今だめならだめということでもいいんですけれども、それなら次にどうするかということが必要になってまいりますから、お答えいただきたいと思います。
  94. 水野清

    水野国務大臣 委員のおっしゃるとおりでありまして、今まで三ない運動ということでやってまいりましたが、逆に高校生とか若い人たちの二輪車の体験学習の場所をつくって、それできちっとしたマナーを覚えさせる、その中で逆にまた交通安全の問題、交通規則の問題を守らせる、こういう方向に私どもも方向を転じております。  先般七月十一日に開かれました交通対策本部におきまして、二輪者の体験学習の場の整備ということを初めて打ち出しまして、適切な指導のもとで二輪車の実際的な走行を通じ自発的に安全運転の訓練や体験ができる二輪車の体験学習を推進することにいたしております。さしあたってはまだ一カ所でありますが、安全運転の中央研修所を現在水戸に整備している最中でございます。あるいはこれと同時に民間におけるライディングスクールとかモータースポーツ施設等の自主的な整備推進も図っていきたい。こういうものと連絡をとりながら、さっき申し上げましたような攻めの、いわゆる禁止から取り込んでいくという方針に切りかえていきたい、かように思っております。
  95. 永井孝信

    ○永井委員 それに関連をして、交通安全対策特別交付金という制度がございますね。その使用目的というのはもちろん限定されているわけであります。今年度も九百五十二億円が計上されているわけですが、これを地方単独事業の特別財源だけではなくて、交通安全教育にも使えるようにしてもらいたいという自治体の要望を私自身もかなり受けているわけです。そういうことが考えられないかどうか。
  96. 島田尚武

    ○島田説明員 お答えいたします。  反則金を財源とする交通安全対策特別交付金につきましては、緊急に整備を必要とする交通安全施設に充当するということで、現在都道府県市町村にお配りをしているところでありますが、先生御指摘のように、例えば市町村に対する交付の下限が年間五十万というような大変わずかな額になったりして、いろいろ問題の指摘を受けておるところでございますので、教育資器材等の問題も含めて見直しをしてまいる必要があるというように認識しております。
  97. 永井孝信

    ○永井委員 ぜひひとつ地方自治体の要望にもおこたえしていただきますように御配慮をお願いしておきたいと思います。  だんだん時間がなくなってまいりました。あとは重要だと思う問題だけについて触れてみたいと思うのです。最近の高速道路における重大事故は、ほとんどが大型トラックの追突事故なんですね。これは単に二両にわたる事故だけではなくて、追突事故を起こせば連鎖追突事故が起きまして、大変な死傷事故が起きています。  ここにもその資料がありますが、例えば業務用の貨物トラックで見ますと、年々ふえてきましたね。昨年の実績でも千五百七十二人の死亡者をトラックの追突事故で出しています。これは飛び抜けて多いのです。そして、ことしも九月現在までに既に二百八十二人の死亡者を出しています。これはもう私は多くを申し上げません。  運輸大臣も公安委員長もそうですが、一回高速道路を一晩走ってみたらわかるのですが、ほとんどトラックで数珠つなぎです。それが百キロ以上の猛スピードで走っているわけでありまして、一番の問題は車間距離なんです。車間距離をとろうということは標示してありますよ。また業者も徹底はしていると思うのです。しかし、車間距離というのは、短いものなら五メートルぐらいまで接近してくるのですね。パッシングをやって追い抜いていく。だから。パッシングをされる方も逃げるつもりでスピードを出す。スピードだけ取り締まってもどうしようもないのです。どうやって車間距離を守らせるかということに尽きると思うのです。これは非常に難しい問題です。  警察取り締まりにしたって、トラック一合一合に警官が乗って走るわけにもいきませんし、大変な問題ですが、これを解消しない限り、高速道路における大型追突事故というのは絶対なくなっていかない。これはあらゆるところで知恵を絞って、この車間距離を守らせることに集中したらどうか。スピード違反に対する取り締まりは非常に多いのですが、スピード違反を取り締まるのも大切でしょうけれども、むしろ車間距離、これにすべてを集中してもらいたい、こう思います。  いろいろなことを申し上げて恐縮ですが、ついでに、当交通委員会からも三年ごとに海外にも交通事情の視察に出かけます。私も何回か行きました。そこで調査をしてきて、これはひとつ参考にすべきだというようなことがそれぞれその調査報告で出されているわけでございますが、私の知る限りでは、せっかく海外へ行って調査をしてきたことが余り生かされたというふうな認識を持っていないのですね。  例えば地方へ行きますと、国道も県道もそうですが、片道一車線。だから、ずらっと何キロも何キロも追い越し禁止の黄色い線が引いてあるわけですね。だから、ちょっとスピードの遅い車が前におると、無理して追い越しをしようとする。そこで衝突事故も起きてくるというのが非常に多うございます。例えばヨーロッパへ行きますと、カーブのところは必ず追い越ししないように、追い越せるところは、ここは追い越してもいいところですよと、ところどころ矢印がしてあります。ここは絶対にもとへ戻りなさいという矢印がしてあります。そういうふうなことも、日本の道路にすべて当てはまるかどうかわかりませんけれども、参考にすべきではないか。  例えばアメリカへ行きますと、アメリカでは感知信号が発達しておりまして、感知信号では、車 両をとらえない限り直線の大通りは絶対全部青信号です。日本にも、私の地域にもありますが、感知信号は随分ふえてきました。しかし、それは感知信号だけれども、感知信号になり切っていないんですね。車が来なくてもやはり青、赤で点滅することになっておりまして、感知信号なのにおかしいなと思う箇所も何カ所か見受けることがあります。  交通渋滞も事故の原因でありますから、感知信号をもっと拡充するとか徹底した感知信号にするとか、あるいは日本で言うと交差点で左折するときに、向こうは右側通行ですから右折になりますが、車が来ない限りは右折は赤信号でもいつも自由にしてもよろしい、こういう交通法規になっています。日本では絶対とまらなくてはいけない。ところが、車の走る道路は一車線であるとか多いところで二車線ですから、どうしてもそこでまた渋滞してしまう。こういうことがいらいら運転にもつながってくるんでないだろうか。これは一つの例でありまして、車社会の中の交通事故をなくすためにせっかくとられたそういう世界の知恵というものを日本にも生かし切っていくようなことができないだろうか。  道路標識にしても同じであります。道路標識とは、もともと遠いところの人がわからぬところへ行きまして、その道路標識を見て運転するわけでありますが、日本の警察は府県単位になっていますから、県境を越えると途端に標識が変わってしまうというケースも間々あります。そのことがドライバーに対して困惑をさせる、あるいはなかなか目的地を見つけるのに苦労して、そのことでまた交差点で渋滞したり、事故を起こしたりすることもあり得るわけです。聞くところによりますと、この標識のための特別のボックスをつくって何かいろいろな調査もされているようでありますが、もう時間がなくなりましたので、そういうことについてひとつまとめてお答えをいただきたいと思うわけです。よろしゅうございますか。短くやってください。もう一問だけ後でやりたいと思いますので。
  98. 島田尚武

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  円滑でドライバーの納得のいく規制というのが、結局は安全のためにも大変重要であります。先生いろいろ御指摘いただきましたような諸外国の例等も十分勉強し、さらに道路管理者等関係省庁とも力を合わせて、予算の許す限り頑張ってまいりたいと存じます。
  99. 永井孝信

    ○永井委員 本当に真剣に考えてほしいんですよ。今申し上げた中の車間距離の問題なんか、私も考えてみるといい知恵がなかなか出ません。出ませんけれども、放置できない問題ですから、これはひとつ関係省庁知恵を絞り合ってやってもらいたいと思います。  最後にもう一つだけ、委員長、お許しをいただきまして、当委員会で議員立法でつくった駐輪場の法律があります。その法律が施行されて以来、いろいろなところで放置自転車の整理をするために駐輪場が設置をされてまいりました。ところがその中で、十年前にモデル事業としてつくられた春日部市の駅前の駐輪場が今度撤去されるということを新聞報道で見ました。大変なお金をかけてつくった駐輪場であります。もちろん撤去する理由は、なかなか使ってもらえないとかいろいろなことがあるようですが、モデル事業でつくったものが十年間で撤去しなくてはいけない。その反面、全国的に駐輪場の設置要求が相次いでいるわけですよ。私の地元でもそうでありますが、もうどうにもならぬほどの自転車の放置台数なんです。  これはやはり法律もつくったわけでありますから、整理をするための駐輪場はつくっていかなければいかぬし、あるいはその法律の中でそういうものに提供する土地を、例えばJRでありますとJRの遊休土地なんかもできるだけ提供するようにということも法律の趣旨からいって義務づけられているわけでありますが、聞くところによると、そういうことも今の清算事業団の関係もあってなかなかできていないということも聞いておりますので、総合的に駐輪場の設置が推進できるように、そして春日部のこの駐輪場が、モデルケースとしてつくられたものがなぜ廃止されなくてはいけないのか、行政面でもどこかに問題点があったのではないか、こう思うのですが、この関係について関係者からお答えいただきたいと思います。
  100. 河原崎守彦

    ○河原崎説明員 お答えをいたします。  自転車駐車場の整備につきましては、駅周辺の放置自転車の解消を図りますため、街路事業の重点的な課題といたしまして今後とも推進をしてまいりたいと考えております。  ただいま御指摘の春日部駅前の自転車駐車場でございますが、昭和五十三、四年にできまして、それ以来市民に親しまれ、利用されてまいりましたけれども、御案内のように近年の自転車駐車場需要が非常に大きくなりまして、春日部市におかれましてもその計画的な拡充といいますか、増強を図りたいというお考えをお持ちだと伺っております。私どもといたしましても、御相談がありましたら、計画的な駐輪場の整備推進できますように相談に乗ってまいりたいと思っております。
  101. 永井孝信

    ○永井委員 時間がオーバーして恐縮でした。私があえて申し上げたのは、駐輪場の設置要望が強い。何とかしてほしい。片方でモデルケースでつくった大きな駐輪場が撤去される。そこに駐輪場問題に対して不信感を持たれてしまったら大変でありますので、もっと地域の実態に合ったような駐輪場の設置をこれまた知恵を絞って拡充してもらいたいということであります。  そのほかにもたくさんの問題を質問通告しながら、時間の関係でできなかったので、出席していただいた皆さんにおわびを申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  102. 正木良明

    正木委員長 以上で永井孝信君の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩をいたします。     午後零時四十九分休憩      ────◇─────     午後一時三十分開議
  103. 正木良明

    正木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山田英介君。
  104. 山田英介

    ○山田委員 私は、交通安全対策を強力に推し進めまして、第二次交通戦争と言われるようなこういう深刻な事態を、いずれにしても改善の方向へ、死者数を一人でも少なくさせるために、そういう願いを込めて、また持ちまして幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  最初に、本年七月二十日に広島県下で、鉄道のガードをサンルーフ車が通過しようといたしました際に、このサンルーフから頭を出しておりました小学生の少女二人が、二・〇九メートルしか高さがありませんそのガードに激突いたしまして亡くなるという痛ましい事故が起きたわけでございます。  サンルーフ車は、近年その人気が高まり、あるいはまた需要が大きくなりまして、増加している傾向にあるわけでございます。  実はこれは警察にお伺いしたいわけでございますけれども、埼玉県警察本部では、先ごろ県下の六百七十八カ所ございます鉄道並びに道路の下を交差いたしますガードにつきまして、その危険性の点検を実施されております。それで、この点検の結果は、二・五メートル未満の高さを持つガード、これを危険箇所、危険ガードといたしまして、六百七十八カ所ございますガードの中で百四十三カ所もあった。そして、標識あるいは立て看板などがございません四十六カ所につきまして、安全対策を講ずることとする、こういうことでございます。  これは埼玉県だけではなくて、この種の事故が続発するといいますか、引き続き発生をするおそれは十分あるわけです。埼玉県一つとってみても、二・五メートル未満の危険ガードが百四十三 カ所もあるということでございますから、中には一・九メートルの高さしかないガードもあった。そこに、頭上注意とかサンルーフ車注意とか、そういう安全標識等も設置していなかったということになりますと、日本全国調査をいたしましたならば相当の危険箇所、ガードというものがあるのではないかと思われます。  したがいまして、警察庁におかれましてはどういう対応をなされておられるのか、埼玉県警だけではなくて、他の都道府県本部にもしっかり点検をするようにというような指示など出されておられますのか、その辺につきまして御報告をいただきたいと思います。
  105. 関根謙一

    関根政府委員 お答えを申し上げます。  広島県の事故につきましては、御指摘のとおり、お母さんが自分のお子さんと近所のお子さん二人、合わせて三人のお子さんを乗せてサンルーフカーで走っていたわけでございます。そのときに子供たちみんな首を出して外の景色を見ていたわけですが、たまたまこのガードのところで、自分の子供はよく知っているものですから首を引っ込めたのですが、近所のお子さんは知らなくて頭を打ってしまったというケースでございます。  このケースがありましてから、広島県警察、私、当時本部長でございましたが、同じようにそういう点検をして危険箇所についての注意をいたしますとともに、これはむしろドライバーでありましたお母さんに御注意をいただきたいということで、広報啓発活動もあわせて行ったところでございます。  警察庁としてどういう措置を講じたかということでございますが、警察庁としては従前からこの種の危険箇所の点検についてはいろいろ指示はしているところでございますが、今回のケースがありましたので、広報啓発活動とあわせて点検の実施についてさらに一層の指導を行いたいと思っております。
  106. 山田英介

    ○山田委員 お伺いしたい点は、そういうサンルーフ車の普及という状況を踏まえまして、今後運転者に対するPR、啓発活動も当然大事でございますが、具体的に全国都道府県本部等に指示をして、それはいろいろな危険箇所については日常的、恒常的に点検、取り組まれていることは私もよく存じております。ただしかし、こういう特殊な事故でありますけれども、よく考えてみれば、そういう一つの時代の変化、流れの中で、今後そういう事故が起き得るということが十分予測されるわけでございますから、先手を打つといいますか、今からでも結構なわけでございますので、危険箇所、ガードについての点検を特段に御指示を願いたいと思うのです。いかがでございましょうか。
  107. 関根謙一

    関根政府委員 御指摘のような線でさらに一層督励をしてまいりたいと思います。
  108. 山田英介

    ○山田委員 建設大臣がまだお見えではございませんので、先に総務庁長官にちょっとお伺いをしたいと思っているわけでございます。  午前中の質疑応答を拝聴いたしておりました。総務庁長官の御答弁で、一万人を超える勢いである現下の深刻な交通事故死者数の現状を踏まえまして、閣議交通安全非常事態宣言決定をし、国民的規模で交通安全に取り組む姿勢を鮮明にしていきたい、また一大国民運動を起こしてまいりたいという趣旨の御発言があったわけでございます。私は非常に大切なことだと思うわけでございます。ぜひよろしくお願いしたいと思っております。  そこで、政府姿勢を鮮明にするということ、一大国民運動として展開をするということと同時に、めり張りのきいた、あるいは目に見える形での取り組みもまた大事であるというふうに私は考えるわけでございます。それは例えば、年度ごとに特段にまた予算の積み増しの措置をしていただきまして、重点的にと申しますか、超重点的に安全施設整備というものを図っていくことではないのかな、こういうふうに思うわけでございます。  後ほどまた詳しくお聞きしますけれども交通事故死者数の分析、その発生場所あるいは事故の類型、安全対策メニューなどを考えていった場合に、どういう安全対策のメニューを実施をすればいいかということはおのずから明らかになってくるわけだし、また現時点でも明らかになっているわけでございます。前年度と比較をして特に深刻な増加を見ているような事故類型に対しましては、超重点的に今年度はこれをやるというような形で手を打つことが非常に大事なのではないか、こういうふうに思うわけです。  御案内のとおりでございますが、交差点における死亡事故で最も多い事故類型は、無信号の交差点での出会い頭事故なんです。これが車対車ですが、昨年の事故死者で見ますと、無信号のところの出会い頭が八百十九件、これがずば抜けて大きいわけですね。メニューは当然信号機の設置ということになるわけでございます。  それから、一般単路で見てまいりますと、昨年の事故類型で分析をすれば、車対車の正面衝突が一番多いわけです。千二百十二件。追い越し、追い抜き時の衝突がそのうちの百五十一件ということですが、これに対する安全対策というのは、中央分離帯の設置あるいは譲りゾーンの設置、こういうことで極めてはっきりしているわけです。  それが確実に施設整備が行われれば、相当数の死者数の減少を期待することができると私は思っておるわけです。ですから、長官の先ほどの閣議決定し、内閣の安通安全に対する決意を内外に鮮明にし、一大国民運動という形で取り組んでいきたいということと同時に、予算面におけるいろいろな安全施設整備というものはなさっているわけでございますが、その中でも特段に今年度はこれでいこう、交差点の出会い頭、これは信号機の新設、これはもう特段にさらに重点的にやろうという対応の仕方というのが今求められているのじゃないか、私はこう思うわけです。総務庁長官の御所見をお伺いをいたします。
  109. 水野清

    水野国務大臣 ただいま委員お話がありましたように、事故の原因その他を調べてその都度対策をしているわけでありますが、確かにおっしゃるとおり、無信号の十字路の事故であるとかあるいは正面衝突あるいは追突の事故の現場、これは道路の一つの構造上の問題と思いますが、早速その問題についてはよく精査をいたしまして対策に織り込んでいきたい、かように思っております。     〔委員長退席、関山委員長代理着席〕
  110. 山田英介

    ○山田委員 建設大臣、御着席早々で恐縮でございますが、今お聞きいただきました重点対策の中でも超重点的に今年度はこれという形で安全対策を講じていくという考え方につきまして、一言御所見をいただきたいと思うのです。
  111. 原田昇左右

    ○原田国務大臣 委員指摘のように、交通事故死がふえておるということはまことに遺憾でございまして、我々としても何とかこれを軽減するために全力を注がなければならないと思っております。  そこで、建設省の持っております道路施設整備につきましては、第四次特定交通安全施設整備事業五カ年計画という計画がありまして、これの着実な実施推進していかなければなりませんが、それとともに、あわせて緊急地方交通安全施設整備事業というのを推進しております。ぜひともこの二つの事業を推進してまいりたいと思います。  なお、事業実施に当たりましては、交通弱者でございます歩行者とか自転車の安全確保を図るために、引き続き歩道、自転車道の整備重点を置きますとともに、交差点の改良とか道路標識整備等に重点を置いて整備推進してまいりたいと思っております。
  112. 山田英介

    ○山田委員 大臣の御答弁よくわかるわけでございますが、その緊急安全施設の整備というのが幾つかあるわけです。その中でも、例えば事故類型として一番死者数が多く見られるそういう施設については、さらに特段の配慮をしていくということをぜひまた加えて積極的な御検討、そして実施お願い申し上げたいと思います。  それで、前後して恐縮でございますが、直接交通事故防止ということになるのかどうかは別とい たしまして、ことしの七月十六日に福井県の越前海岸沿いの国道三百五号線の山側斜面が崩落をいたしまして、防護さくを押しつぶした事故があったわけでございます。たまたま防護さくの下を通っておりましたマイクロバスが埋まりまして、十五人の方々が死亡された。     〔関山委員長代理退席、委員長着席〕  建設省におかれましては、県道以上の道路にあるトンネルといいますか、ロックシェッド、これが全国的には七百六カ所ほどあるのだそうでございますが、緊急点検を道路管理者の都道府県等に通達を出された、こういうことでございます。その点検の結果はどうだったのか、再発防止のための対策は今どんなふうになっておるのか、講じられておるのか、これにつきまして御報告をいただければ、かように思います。
  113. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  今先生の御指摘がございました七月十六日の三百五号線での崩壊事故につきまして、この事故の重大性にかんがみまして、建設省といたしましては各道路管理者に落石覆い工が施工されている箇所について緊急点検をするように指示をしております。今お話がございました七百六カ所のほかに、例えばその後建設されたものあるいはいろいろ工事中のものも含めまして千九十四カ所について指示をいたしました。いろいろデータを分析しました結果でございますが、さらに詳細な調査が必要であるというものが全体の約一割ございます。これらは、例えば斜面の安定性等、こういうものについても詳細調査を現在実施中でございます。  それから、緊急点検を実施いたしました結果、ロックネット、ちょうど斜面に張るネットでございますが、ロックネットとかあるいはコンクリートの吹きつけ工、こういう工事の対策によりまして斜面の安定が図られると判断された箇所、これは六十カ所ございましたが、これについて早急に今対策を行うこととしております。  詳細調査を先ほど約一割について実施をしているということを申し上げましたが、これらについてその調査結果が判明次第、対策の必要なものについては緊急かつ重点的に対策を講じる所存であります。
  114. 山田英介

    ○山田委員 それでは、午前中のやりとりの中で、運輸大臣の御答弁でございますが、幕張メッセにおける自動車ショーに関連して、御視察をなされたことを踏まえて所感を一言述べられたわけでございます。そのお話の中に、安全対策が非常に配慮されているという印象を持たれた、こういう御発言がございました。ただしかし、その自動車ショーと現実の落差といいますか乖離というものは非常に大きいものが実はありまして、いろいろと指摘されているわけです。  例えば、時速二百キロのスピードが出ます、そういう超高級車というのでしょうか、そういうものが競うように展示をされている。しかし、その幕張新都心の会場へ行くためには、高速道路等も本当に渋滞渋滞でのろのろということで、非常に問題だ。あるいは四千ccクラスの大型車が展示をされている。しかし、排気ガスによる大気汚染なども解決のめどもない。かつて省エネルギー運動の高まりの中で見られた低燃費競争といいますか、そういうものも今はもう全く影を潜めておる。こういうことも指摘がされるわけでございます。  あるいは米国に輸出する新型車などには、運転席に着席をすると自動的にベルトがびしっと締まるという強制シートベルトなどが標準装備されて輸出されている。あるいは衝突の瞬間に膨らむエアバッグなどが標準装備されて輸出をされている。しかし、日本国内ではそういう特段の法規制というのがございませんから、それは余り力が入っていないんじゃないですか、こういう指摘も現実にあるわけでございます。  それから、あるいはぬれた道路でブレーキを踏んでも横滑りをしないで安全にとまることができる、そういう装置があの幕張メッセの自動車ショーの会場には競うようにして展示をされておった。しかし、外国などでは、この装置がついているから大丈夫だというようなことで、かえってスピードを出したりして現実に事故を起こしている車も多いというようなことも聞いております。  そういうことで、何といいますか安全対策が非常に配慮されておるという、決して言葉じりをとらえて云々ということでは私ございませんけれども、そういう自動車ショーと現実の大きな落差というものについて非常に気になったものですから、ぜひ一言、こういう何点かにわたる指摘、問題点ということについて運輸大臣の御所見をいただきたかったのでございますが、土地特でございますか、御都合が悪いということでございますから、大臣にかわられてどなたか御見解、御所見をお尋ねしたいと思います。
  115. 松波正壽

    ○松波政府委員 お答えします。突然の御質問でございますから、本来ならば大臣がおられてお答えするのがよろしいかと思いますけれども……。  私も自動車の技術、安全とか公害とか省エネルギーにつきまして担当をいたしておりますが、今先生御指摘のように、これらの問題は健全な車社会発展のために必須な項目でございまして、鋭意努力をいたしております。  その中で、今先生何点か御指摘がございましたけれども、例えばABSというブレーキのシステムについてお話がございましたが、アンチロック・ブレーキ・システムといいますけれども、これもやはり少しぬれた路面におきましては非常にうまくとまるとか、変な格好で停止をしない、非常にいいものでございますが、運輸省といたしましても、これは非常にいいものでございますから、より安全を向上する見地から、何とかまず普及促進を図って、近い将来規制をしたい、その場合にも、例えば危険度の高い大型トラック、大型トレーラーあるいは高速バス、こんなことを考えております。  また、先生の御指摘にありましたシートベルトの強制の問題もございますが、これはそれぞれの考え方、国情の違いもあるかと思いますが、安全は意識を高めることが必要でございますから、やはり締めるという気持ちも一方大切ではないかな。それから、エアバッグにつきましては、これはまた先生のいろいろな御見解もあろうかと思いますけれども、日本の場合にはやはりシートベルトをつける。特に前方との衝突の場合にはシートベルトが一番有効でございまして、エアバッグは横の側面からは弱い弱点も持っております。そういう点で、締めていただくことが大事ではないか、こんなことで、いずれにしましても今の車社会の中で安全、公害、省ヱネルギー、大事な問題でございますから、一生懸命進めさせていただいておるところでございます。  以上でございます。
  116. 山田英介

    ○山田委員 警察庁にお伺いをいたしますけれども、ことしの交通事故死者数は最終的にどのくらいになると見込まれておられますか。
  117. 関根謙一

    関根政府委員 お答えを申し上げます。  ことしの死者数の予測につきましては、午前中に水野総務庁長官からも数字を申し上げて御答弁をされておられましたが、私どもの方、昨日現在の死者数九千五百五十一人、それと昨年に対する死者数増加率七・二といった数字等を勘案いたしまして、恐らく一万一千人程度にまでなるおそれが十分にあると考えておりまして、そうならないように全力を挙げているところでございます。
  118. 山田英介

    ○山田委員 先ほど来質疑応答の中でも言われておりますように、この交通安全対策というのは、警察庁取り締まりだけではなくて、関係省庁あるいは関係団体等との密接な協力あるいは力を合わせまして、まさに一大国民運動的なそういう決意あるいはスケールで進めていかなければならないものだと私も思います。  そこで、厚生省おいでいただいていると思いますが、特に若年者あるいは高齢者事故が非常に続発、激増をしておる、こう指摘されていることを踏まえまして、お年寄りの事故防止のためには、例えば老人福祉行政と警察との協力というも のもまた非常に大事になってくると思われます。  そこで、地方自治体の老人福祉の関係機関では、このお年寄りの交通安全ということに対しましてどのような取り組みをなさっているのか、あるいはまた厚生省として御指導なさっておられるのか、今後の方針も踏まえまして簡単にお答えをいただければと思います。
  119. 辻哲夫

    辻説明員 高齢者交通安全対策についてでございますけれども、六十三年九月九日の交通対策本部における高齢者交通安全総合対策についてという決定を踏まえまして、厚生省におきましても、全国老人クラブ連合会、これは老人クラブ全国組織でございますけれども、それから老人福祉施設協議会、これは老人ホームの全国組織でございますけれども、このような団体に対しまして、老人クラブ会員あるいは老人ホームの入所者等に対する交通安全教育の一層の推進について私どもお願いいたしておるところでございます。  それで、その一環といたしましても、六十三年から九月十五日の敬老の日を中心といたしまして高齢者交通安全旬間というものが実施されておりまして、この中にも厚生省、それから今申しました全国老人クラブ連合会も主催者の一人として参加させていただきまして、この運動を普及するように協力させていただいているところでございます。  それで、地域における具体的な取り組みといたしましては、熱心な老人クラブの会員が地元警察署長等から高齢者交通安全指導員という形で委嘱を受けまして、そのクラブにおける交通安全教育の普及を具体的に推進するというような関係を持たしていただいております。具体的には、老人クラブ会員等が地元警察あるいは交通安全協会協力いたしまして交通安全教室の開催、これはもう各地で開催されておりますが、あるいは交通安全の立て看板を立てていくという形、地域の中での交通問題というものを議論するといったような形で展開させていただいております。  今後とも警察署等の関係機関と密接に連携を保たせていただきながら、厚生省そして関係団体ともども高齢者交通安全のために努力してまいりたいと存じます。
  120. 山田英介

    ○山田委員 一層取り組みを強めていただきたいと存じます。  次に、労働省にもおいでいただいているわけでございますが、ここに警察庁交通局の作成に係るものでございますが、「平成元年中における交通警察の運営」という方針のペーパーがございます。そこを見てまいりますと、高速道路におけるトラック等の重大事故が見られるわけでございますが、この警察の資料を見てまいりましても、「過労運転、過積載、速度超過等の防止を図るとともに、職業運転者が安全走行のペース・メーカー役割を果たすよう指導、育成する。」こう警察庁の方針では記されております。  労働行政の中においていわゆる運輸業界に対する指導をさらに一層適切を期するとともに強化をしていく必要があると思いますけれども、労働省、いかがでございましょうか。
  121. 石川透

    石川(透)説明員 先生御指摘のとおり、道路貨物運送業、トラック運転者等につきましては、労働時間が非常に長いという実態がございます。全産業平均で二千百十一時間でございますが、六十三年度の道路貨物運送業の労働時間を見てみますと、二千六百八十七時間というふうな長時間労働の実態にございます。  労働省といたしましては、労働時間短縮の観点から、従来から問題業種ということで、昭和四十二年には二・九通達という労働基準局長通達を発しまして、それに基づきます監督指導実施してまいりました。また、五十四年には二七通達という形で、新しい通達で指導をしてきたところでございます。ただ、最近になりまして、全体の労働時間短縮の機運が進む中で、道路貨物運送業は逆に労働時間が若干ふえている傾向がございます。  したがいまして、六十二年の四月でございますけれども、中央労働基準審議会に自動車運転者労働時間問題小委員会というものを設置いたしまして、そこで関係労使もお入りいただきまして労働時間短縮のための方策について御検討をいただいたわけでございます。昨年の十月に御報告をいただきまして、それを受けまして、ことしの二月の九日に、労働大臣告示といたしまして、自動車運転者の労働時間短縮のための改善基準というものを策定いたしたところでございます。本年四月からその告示が適用になっておりまして、それに基づきます周知徹底、それから監督指導を進めているところでございまして、これからも労働時間が長いということで問題業種であるという認識を踏まえまして、重点的な監督指導を進めてまいりたいというふうに考えております。  それから、若干つけ加えさせていただきますが、労働時間の動向を見てみますと、六十三年まで増加でございましたけれども平成元年に至りまして、わずかではございますが対前年比でマイナスの傾向になっております。この傾向を一層着実なものにするために一層努力してまいりたいというふうに考えております。
  122. 山田英介

    ○山田委員 次に、建設省にお伺いをしますが、例えば先ほど出ましたお年寄りの交通安全対策の一環としてシルバーゾーンというものを決めていろいろと対策を講じられておる、あるいはまた住居地域におきましては生活ゾーン規制といいますか、そういう形でいろいろな工夫がなされているところでございます。  もう一歩それを進めて、道路構造そのものを事故防止に直接連動させていく、構造そのものを見直していくというか、例えばヨーロッパなどではハンプといいますか、土盛りを道路の要所にする、あるいは交差点にそれを施すというような積極的な取り組みがあるわけでございますが、私は活動の範囲が基本的には埼玉県ということで限られておりますから、それは目に触れないのかしれませんけれども、そういうハンプ、自動車が速い速度で通行することを道路構造的に抑えていくというような対策は我が国ではどういうことになっているのでしょうか、簡潔に御説明いただければと思います。
  123. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  今お話がございましたように、住宅地域内の道路というのは、やはり地域の人々の日常生活に非常に密接に関連するものでありまして、また、児童とかあるいは高齢者の方々の利用も多いということでございますから、安全な道路交通の確保には特段の配慮を払う必要があるわけでございます。それで、住宅区域内の道路を通過車両が速いスピードで通り抜けるというのは非常に危険でございますので、そういう状況を排除することが必要と考えております。  そこで、建設省といたしましては、これは昭和五十六年度からでございますが、通過車両の走行を防いで人と車の調和をした道路づくりというものを目指したコミュニティー道路というものを整備してきております。コミュニティー道路は線でございますけれども、これを面に広げた考え方として住宅地域全体を人と車の調和したネットワークということで整備をしておりますのが、住区総合交通安全モデル事業ということで進めてきております。これらの事業の推進に当たりましては、やはり地域住民の御協力が不可欠でございますので、御意見を十分踏まえながら、特定交通安全施設整備事業を中心に整備の積極的な推進に努めてまいるところであります。
  124. 山田英介

    ○山田委員 私は最近知ったわけでございますが、居住地域などを対象として、交差点がございますが、交差点にほぼ真四角に何十センチか、いわゆるハンプですね、土盛りをいたしまして、交差点に差しかかるときには車が上へ上がる感じになりますから、衝撃とかあるいは事前に視認ができるということで、これは非常に効果があるのではないかなという印象を強く持っているわけです。  伺いたいのは、交差点内におけるハンプの整備数といいますか、おおよそで結構でございますが、全岡的にそれがどのくらい整備されているの か、そしてその効果というのはあるのではないかなと私は思っておりますが、これは建設省でよろしいかと思いますが、どんなふうに御評価をなされておりますか。その辺、ちょっと教えていただきたいのです。
  125. 三谷浩

    ○三谷政府委員 今お話しいたしましたコミュニティー道路とかあるいは住区総合交通安全モデル事業というのは、幾つかのモデルの中のメニューが組み合わさってできております。今お話がございました例えばハンプであるとか、交差点の部分でやりますのは我々交差点ハンプと言っておりますが、こういうメニューも用意しております。  やはりこれはそこのメニュー、メニューでその道路に合ったようにいたしますので、ハンプの数というようなつかまえ方をしておりませんけれども、例えばコミュニティー道路の私ども元年度の実施箇所は七十カ所でございます。新規の箇所も元年度までで三百程度ございますし、それから住区総合交通安全モデル事業、これは先ほど申し上げましたように、線ではなくて面として住区全体をそういうような安全な道路づくりに努めておるわけでございますが、これも実施箇所が大体年間十カ所から二十カ所弱、こういうようなことで実施をしております。
  126. 山田英介

    ○山田委員 数十カ所ということでございますが、その効果が確認できるのであれば、例えば信号機の設置にかかる費用とこの交差点ハンプを整備する費用とということになると、恐らくいわゆるコストが低いんじゃないかというふうに、私は素人考えですが、思うわけでございます。ぜひ効果を確認をされ、評価をされつつ積極的に、道路の狭窄とかそういうものとともにセットとして整備されるということでございますが、ハンプはぜひ積極的に推進された方がいいのではないかというふうに私は存じますので、ぜひまた御推進方をお願いしたいと思うわけでございます。その際、ハンプに着色をするとか、さらに夜間、照明灯との関係もございますけれども、夜光塗料などを幾らか施すとか、そういうきめの細かいところも御検討いただければなおよろしいのではないか。  先日も、私の自宅の周辺の、信号はあったのですが、深夜、黄色の点滅、赤の点滅のこの交差点で出会い頭の衝突事故がありまして、一人が死亡いたしました。この交差点における出会い頭の事故というのは、事故累計を見ましても非常に圧倒的に多い数字を示しているところでございますから、照明灯、信号機の新設、それからハンプ等の活用、こういう位置づけの中でさらに検討を進め、促進をしていただきたい、こう要望申し上げたいと思います。  それでは、警察庁にお伺いいたしますが、若年者、高齢者事故が激増しておる。その中の若年者につきましては、特に二輪車による搭乗中の事故が非常に多くて、この十年間で二・二倍も死亡者がはね上がった、こういうこれまた深刻な状況が出てきているわけでございます。  一つは、基本的なところで、十六歳から取得できます五十ccの原付バイク、原付自転車、これは道路交通法上その他、実技試験あるいは実技検定は義務づけられていないと理解をいたしております。十六歳からいわゆる二輪の自動車に初めて接するということになるわけですが、単なる学科、法令のペーパーテストだけで、現実に実地試験あるいは実技試験というものがちょっと軽視をされているのではないか、実技指導といいますか。これが、モーターバイクに初めて接するそういう子供たちに、安易に動力との、モーターとの出会いを許してしまうことになりはしないか。原付といえども、今性能は非常にいいですから、スピードも出るし、馬力もあるしということで、そういう観点からいたしますと、もうちょっとこれは、法令とかいうことだけではなく、実技の訓練、実技の講習あるいは実技の検定試験というようなものをやはり見直していかなければならないんじゃないでしょうか。  実は、全然ないわけですから、全然ないと言うとちょっと語弊があるのですが、埼玉県の例、たびたびで恐縮でございますが、私の娘が先日五十ccの原付バイクを取りに行ったのです。午前中の学科試験に合格をしました。午後から実技講習がありました。どのくらいやったのかと聞きましたら、自分は十五分実技指導を受けた。例えばほかの二輪のディーラーとかライダー等に聞いてみますと、大体十分から十五分ぐらいですよ、こういうような話なんです。初めて二輪車と接するそういう十六歳、十七歳という子供たちにとって、安直にそういう二輪車接触、出会いをさせてしまうということを私は非常に心配をしているわけでございます。  その実態というのはどうなっているのでしょうか。そして、五十ccの原付であっても、もっとちゃんと実技指導あるいは検定というものを取り入れていくべきなのではないかと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  127. 関根謙一

    関根政府委員 お答えを申し上げます。  原付の免許取得に際しまして従来から技能試験を課しておりませんのは御指摘のとおりでございまして、これは恐らく原動機付自転車の性能等から考えて、技能の習得にそれほど難しい問題がないということを考えてのことではないかと思います。他方、原動機付自転車も原動機がついているわけでございますので、その運転につきましては十分に安全感覚というものを身につける必要がございます。そこで、学科、法令等についての試験があるということであったと思います。しかしながら、御指摘でありますように、だんだん性能も上がってまいりますし、事故実態等も考えまして、その原付免許の取得に際しての技能試験の導入ということにつきましては、いろいろの要因を考慮しながら検討してまいりたいと考えます。  それから、御指摘にございました原付免許取得者に対する原付安全技能講習ということでございますが、これは昭和五十六年ころから行っているところでございます。この講習の内容は、実際に原動機付自転車を使ってのコース走行でありますとか、写真パネル等の教材を使った危険予知訓練等を内容としたカリキュラムに基づきまして、大体二時間半行うこととされております。原付取得者、対象者のほとんどがこれを受講しておりますので、またその効果も十分期待できますところから、今後とも一層この講習の充実強化を図ってまいりたいと考えております。
  128. 山田英介

    ○山田委員 後ほど国家公安委員長にも御所見をいただきたいと思っておりますが、今局長の御答弁の中に、原付五十ccのバイクの免許取得について実技検定試験の導入なども検討してまいりたいという御答弁がございました。私は、それはそういう方向だろうと思うのです。  これは六十二年の資料でちょっと古くて恐縮なんですが、十六歳から十八歳人口は約五百八十万人あります。そのうち原付五十ccの免許取得者は何と百万人なんですね。それから五十cc以上のいわゆる自動二輪車、これが二十五万人、合わせて百二十五万人ほど、全国平均では十六歳から十八歳人口の二一・一%の取得率を見ております。県名で申しますと、神奈川、大阪など大都市では三五%から四〇%の取得率になっているということを考えますと、それを五十cc以下と以上というふうに分けて、以下の方は実技検定試験要りませんよ、五十cc以上は検定試験がありますから、教習所等で講習を受けて卒業しなければなりません、私は、ここに線を引っ張っている意味が余りないのではないか、意味がないというよりか、引くべきではないんじゃないかと思うのです。ですから、モーターと初めて接触をする、出会う、その段階で、五十cc以下だから、簡単だからどうぞというやり方は、長い目で見たら必ず行き詰まりますし、現に二輪車事故が、死者数が十年前と比べて二・二倍にも激増しておるようなことを考えれば、私はこれは当然のことではないのかなというふうに思うわけでございます。  局長に最初にお伺いしたいのですが、これを義務づける、いわゆる実技検定試験を課すということになりますと、道路交通法の改正ということになるのですか。
  129. 関根謙一

    関根政府委員 御指摘のとおりでございます。  なお、つけ加えさせていただきますと、技能試験を取り入れるかどうかということにつきましては、その車の運転に必要な技能の習得の難易の問題ということもございまして、どの程度で線を引くか、五十cc以下ではどの辺までということもございますので、いろいろな事情を勘案しながらこの問題について検討を進めてまいりたいと考えます。
  130. 山田英介

    ○山田委員 局長、自動二輪車の教習所で一定の講習を受けるという基準があると思うのです。それと全く同じものをということではなくて、例えばそれの三分の二とか二分の一とかというそういう量の講習というものは、一番最初なんですからやはりこれは必要なんじゃないですか。同じにということじゃありません、当然難易度は厳然としてあるわけですから。そういうことで前向きに検討してみたい、こう理解してよろしいんですね。  済みませんが、渡部国家公安委員長にひとつ御所見をお伺いしたいと思います。
  131. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 ただいまの山田委員の御提言、貴重な御意見として検討してまいりたいと思います。
  132. 山田英介

    ○山田委員 これは大阪府警の関係になるかと思いますが、実は二輪車事故対策というものが急務であるということを踏まえまして、公営の五十ccの原付とかあるいは二輪車とかそういうサーキット場を整備していったら、二輪車事故というものの減少、死者数の減少につながるのではないかと思われる事例が一つございます。  確かに全国的には、御答弁がありましたように、茨城県内に建設中の中央研修センター、ここには二輪車がヘアピンカーブを曲がる技術を習得するとか、そういう施設も含めて整備されつつあるというふうに伺っているわけでございますけれども、四条畷市というのでしょうか、こちらに原付バイクの専用サーキットというのが実は民間事業者によりまして開設をされた。それは有料です。スポーツランド生駒というふうに名前がついております。  それで、実は大阪と奈良を結んでおります阪奈道路というのがあるんだそうでありますが、この阪奈道路の生駒山の山ろく部分に連日二百台から三百台の二輪車が、ライダーが集まりまして、暴走といいますか、危険な走行を繰り返していた。ところが、このスポーツランド生駒という原付バイク専用サーキットは、全長六百二十メートルのコースで、十のヘアピンカーブが設置をされていて、休日などには一日二百四十台前後の二輪車が集まる、ライダーが集まって、そこでヘアピンカーブを楽しんだりあるいはそこで技術を、サーキットですから、転倒したとしても身体等に損傷を受けないようなそういう整備されたサーキットということでございますから、そこで技術の習得あるいは交通安全マインドなどを自然のうちに培ってきている。それで、先ほど申し上げました阪奈道路の生駒山の山ろく部分に出没をするライダーたちが、昨年は大体千八百人ほどであったそうでございますが、本年七月まででこれが大体四百人ぐらいに減少してきた、二輪車事故も三〇%ほど減ってきている、死者数も減ってきている、こういうような事例が報告をされております。  それで、私はぜひ警察庁お願いをしたいと思うのですが、一つの事例でございますけれども、極めてはっきりとその効果があらわれているように私には思われるわけです。したがって、民間にそういうバイクランドとかモータースポーツ施設とかという整備を任せておくだけではなく、警察庁警察の立場におかれても積極的にこれらの事例を分析、評価をしていただきまして、公営のサーキット場、そういう適地を探し、そして都道府県等の自治体とよく連携をとっていただき、あるいは要請をしていただいて、安心して二輪車のライダーたちがそこでいろいろとモータースポーツとして楽しんだり、そういう楽しむ中で安全技術マインドを養成して習得していけるようなものを最低でも都道府県一つずつぐらいでも将来的に整備ができれば、これは非常に大きな死者数減少の効果として期待できるのではないか。  一方において、昨年に引き続き二年連続で一万人突破ということが確実視されるような第二次交通戦争と言われる深刻な事態がございます。繰り返しますが、十年間でバイク、二輪車死者数が二・二倍にもはね上がってきている、こういう大きな曲がり角といいますか、発想というものを変えていかなければならないという時代背景も、推移も踏まえまして、警察庁からぜひ前向きな御答弁を私は期待するわけでございますが、よろしくお願いします。
  133. 関根謙一

    関根政府委員 お答えを申し上げます。  二輪車の運転の習熟を図るために公営サーキット場のようなものがあって、安全で十分なコース、施設があれば、それは大変望ましいことであると私ども考えております。そのような趣旨で、委員指摘のように自動車安全運転センター、茨城県の水戸射爆場跡地に自動車の安全運転の研修所を現在建設中でございます。ここにはそのようなコースも設けられる予定でございますので、それができればそのような利用の仕方もあろうかと思います。しかしながら、これを全国都道府県に一場ぐらいずつということになりますと、これは土地の取得ということでありますとか建設費、人件費、その他膨大なお金がかかってまいります。そういうことが可能であるかどうかにつきましても、少し検討をさせていただきたいと思います。
  134. 山田英介

    ○山田委員 もう終わりますけれども、本年七月十一日、交通安全対策本部決定二輪車事故防止に関する総合対策について、これは初めてだそうですね、二輪車安全対策に限定をしてこういう決定をまとめられたということは。それだけ深刻であるということでございます。全国都道府県に一カ所ずつというのは一つの言葉でございまして、私は水戸の射爆場の跡地に一カ所できればそれでいいというのじゃないと思うのです。私の申し上げておるのはそういう趣旨です。  そういうことで、この対策本部の七月十一日の決定の中身をずっと読ませていただきましたが、総務庁長官からも二輪車の体験学習の場の整備という御答弁が午前中ございました。この中にもあるのです。「安全運転中央研修所等の整備を図るとともに、民間によるライディングスクール、モータースポーツ施設等の自主的な整備推進を図る」、こうあるわけです。ですから私は、先ほど民間にだけ任せておくのではなくてという言い方になったわけでございます。  今局長は、いや、その中央研修所を今整備しています、こうなるわけですが、そこ一カ所だけで済むものではないわけです。したがって、いわゆる二輪車交通事故の実態とか、若者たちをどう指導すればあるいはどういう施設を整備してあげればどうなるというのは警察が一番よくわかっているわけですから、そういう意味で、民間にただ任せるということではなくて、警察の方もそういう情報をベースにして適地を探すとか、そして都道府県本部皆さん都道府県庁と協議をして、あるいはまた要請をしたりして、積極的な対応が必要なんじゃないでしょうかと私は申し上げておるわけです。  所管ではないかとは思いますが、江藤運輸大臣に、個人的な見解で結構でございますので、今の私の考え方にひとつ一言御答弁、御見解をいただければと存じます。
  135. 江藤隆美

    江藤国務大臣 個人的な見解でということでありますから、前置きをしまして私の考え方を申し上げてみたいと思います。  本来、暴走族が発生するという背景は一体何だろうかということを、ひとつ考えてみる必要があると思います。いわゆる暴走族がいろいろと事件を起こして、先般も、テレビを見ておりましたら、ニューヨークのハーレム街でこれが暴力ざたを年じゅう繰り返しておるというのを見ておりましたが、私は、日本のはそれほど凶悪ではないけれども、そういうふうな形にならなければいいがなということを日ごろ憂えておる一人であります。公的な施設をつくって、そしてそこで若者のそうしたエネルギーを発散させるというのも一つ の方法でありましょうし、もう一つは、そういうものを横行させないという手厳しい措置も片方では必要ではないか。乗り物は走る凶器でありますから、それを操縦する者はそれなりの厳しい社会的な制約があるということを厳しく教え込むのもやはり一つの方法だろう、私はそういうふうに考えております。
  136. 山田英介

    ○山田委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  137. 正木良明

    正木委員長 以上で山田英介君の質疑は終了いたしました。  次に、大矢卓史君。
  138. 大矢卓史

    ○大矢委員 先ほど同僚の山田委員から二輪車のことについて詳しく質問がなされ、その方向性というものがある程度出てまいりました。限られた時間で、私、二十分しかございませんので、重複を避ける意味から質問をしていきたいと思いますので、時間の関係もございますので簡潔にお答えを願いたいと思います。  先ほどから、交通安全対策特別委員会に四人の大臣がいらっしゃる、水野長官は決算委員会に出席していただくのもなかなか日程がとれないにもかかわらず、この特別委員会では四人の大臣を抱えてやっていらっしゃる。それはやはりいかに人の命というものが大切かというところから出発しているのではないかということでございます。  ちなみに、昨年の交通事故の発生件数は六十一万六千六百八十一件、そのうち死亡事故件数が九千八百六十五件、死者数は一万三百六十六人、十三年ぶりに一万人を超えたと言われております。本年、平成元年の八月末までにはこれまた既に死者が六千九百七十人、特に多いのが自動車に乗車中の方が二千七百五十四人、二輪車に乗車中の方が千六百九人、歩行中の方が千八百二十人、このようになっておるとお聞きをいたしております。それほどに大変なことだと思います。  それなればこそ、先ほどから申しておりますように、四つの省庁が集まってこれに対する対策を立てていこうということであります。もちろん、警察当局取り締まりということを中心にやっていらっしゃいますし、また、取り締まりだけでなくして、事故を起こさないような指導監督、これは十二分にやっていかなければならぬと思います。  そこで、事故が起きましたその原因というものはやはり十二分に調査をされ、それを分析され、それを二度と繰り返さないように、できましたらゼロに持っていきたいのですけれども、それにはそれなりに努力をして減少していくようにしたい。それには与党とかなんとかはもう全然関係なしに、みんなで知恵を絞って考えていかなければならない問題だと思います。  そこで、私も運転免許を持っておりますけれども、やはり運転免許を持つに至りますのにはいろいろな経過がございます。それはもちろん教習所へ行って学んで取るやり方、また、独自に直接試験場へ行って試験を受けてパスするやり方、それがございますけれども、それらについてまず今現在どういう状況になっておるのか、お答えを願いたいと思います。
  139. 関根謙一

    関根政府委員 お答え申し上げます。  自動車教習所の数は、昭和六十三年末現在で、公安委員会から指定を受けております指定自動車教習所が千五百二十三カ所、それからそれ以外のいわゆる非指定の自動車教習所が二百二十四カ所で、合計千七百四十七カ所でございます。
  140. 大矢卓史

    ○大矢委員 今その自動車教習所を通して実地免除というか、そういう中で免許証を取得されます数と、一般に受験になって取られる数はいかがでございましょうか。
  141. 関根謙一

    関根政府委員 指定自動車教習所の卒業生で技能免除という形で合格をされる方が、全体の九五%でございます。
  142. 大矢卓史

    ○大矢委員 六十三年末現在でございますが、五千七百四十二万人が免許を取っていらっしゃるということのようであります。今御説明を聞きますと、その九五%が技能免除という形で免許の取得をされる。そうなってまいりますと、この自動車教習所というのが非常に大きなウエートと申しますか、ほとんどの人がそこを通ってまず免許を取得して、それから運転ということに相なると思います。そういたしますると、当然教習所には技能免除という大きな責務がございます。それが一体どういう位置づけになっておるのかということについて、お答えを願いたいと思います。
  143. 滝藤浩二

    滝藤説明員 技術的なことでございますので、私の方から答えさせていただきます。  御承知のとおり、教習所につきましては法の中の九十八条に規定がございまして、そこで指定の基準がございます。細かくは道路交通法の施行令三十五条だとかあるいはその他政府令に規定がございまして、一定の基準に合いますと覊束裁量で指定をするという格好になっております。そういう条件を備えた学校で行われました技能検定、検定員が行うわけですが、それを受けますと公安委員会の行います免許試験のうちの技能試験が免除されるということでございます。
  144. 大矢卓史

    ○大矢委員 免許取得者の九五%がそういうコースを経て取得される。そういう非常に責任の重い技能免除というものを持たされておる学校が、道路交通法の第九十八条という法規の中でどういう位置づけになっておるのかということになりますと、毎年毎年一万人から超えますこれだけの交通事故死亡者に対する責任を持つ学校そのものが何ら法的な環境の中にないということは、私は大変不思議でならないわけであります。  私どももかねてから、そういうことでこの学校というものを何らかもう少し法的な形で、そういう実地免除というようなこともありますし、また、理屈からいいますと、本来でいきますと学校で学べる学科の方こそ免除すればいいのでありますけれども、学科の方は何とか試験場の方でできるから、先ほどのお話のように実地を全部こなしていくとなりますと、試験場から何から、金もかかるしいろいろなことが出てまいりますので、それは免除していこうという形で今運営されておる。そういうことが果たして、今までの歴史が新しければ新しいほど、学校というものがこれからも今のままでいいのかどうか、それは検討を要することであろうと思いますし、このことについて真剣にお考えにならないと、せっかくこうやってみんなが交通安全で知恵を出し合いながら、その基本にある免許証を取得する九五%が出てくる学校が何ら公認されておらない学校であり、いつやめても再び公安委員会に申請をすればできるんだというただ単なる学校であっていいのかどうかと私は思うのでありますけれども、公安委員長、いかがでございましょうか。
  145. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 交通安全について、委員から大変御心配をちょうだいいたしております。残念ながら交通事故がふえておるような現況、また亡くなった人もふえておる。人の命は地球より重いのでありますから、交通安全について、ハードの面では道路の整備、あるいはソフトの面では今御指摘の免許の問題等がございます。交通安全ということをすべてに優先して、今いただいた御意見等も今後検討の課題にさせていただきたいと思います。
  146. 大矢卓史

    ○大矢委員 この委員会と地方行政との連合審査の話もあるようでございまして、今国会にかかっている道路交通法の一部改正につきましての御審議をする機会があろうかと思いますけれども、ここに言われております指定講習機関制度というのは一体どういうものを意味するのか。それは現在の指定自動車教習所のことを指すのかどうか、お答えを願いたいと思います。
  147. 滝藤浩二

    滝藤説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、指定講習機関として私ども指定自動車教習所をメーンとして考えております。場合によりましては、そのほかの機関が申請をしてきまして、一定の条件に合えばその機関も入ろうかと思いますが、あくまでもメーンは指定自動車教習所にその重要な部分を受けていただこうと考えております。
  148. 大矢卓史

    ○大矢委員 今までの仕事プラスそういう重要な仕事も任されるようでありますから、これまた私 が申すように今のままでいいかどうかということは、なお一層検討の余地があろうと思います。  そこで、今の学校のカリキュラムの中に、実地運転をやる場合に、路上運転はもちろんでございますけれども、都市に欠かすことのできないのは高速道路であります。これについて現在どのようになっておりますか。また将来これが当然義務化されていくべきであると思いますけれども、いかがでございましょうか。
  149. 滝藤浩二

    滝藤説明員 お答えいたします。  高速道路におきます教習につきましては、私どもそのウエートの高さをますます強く感じている次第でございます。現在、指定自動車教習所におきまして二時限の教習を行っているところでございますが、なおことしから、そのほか任意としまして一時限学科、一時限高速道路における実習という格好で、高速教習型の推進を各県に督励しているところでございまして、ますます高速道路時代ということでございますので、その充実に努めてまいりたいと考えております。
  150. 大矢卓史

    ○大矢委員 一般に高速道路と言われておりましても、法律的な高速道路と専用道路とございます。都市部におきまして言われております高速道路には、いわゆる高速専用道路、決して高速道路ではございませんけれども、そういう違いがあるわけであります。その法律的に言われる高速道路と専用道路と申しますか、そういうものがやはりスピードの制限にいたしましても全然違うわけであります。そういう一般の道路とそしてそういう専用道路なり高速道路おのおのを実地に運転をしていくその中で言われますことは、今決算で問題になっておりますように、果たしてこういう義務化された、当然これからやっていかなければならぬ問題について、建設省として、道路の通行料、その道路料金というものを免除していくべきでないか、このように考えておるのでありますが、いかがでございましょうか。
  151. 三谷浩

    ○三谷政府委員 高速自動車国道ということでお話をさせていただきますと、ちょうど今供用区間が四千五百キロでございます。それで全体計画の四割でございまして、私どもはこれを早急に整備する必要があると考えております。  ただ、こういう高速自動車国道を建設するのには大変な投資額が要る、あるいは早急に整備をする、この二つの観点から有料道路制度というものを今活用しているわけでございまして、建設及び管理に要する費用を通行する車両の方にお払いをしていただくという有料料金制度をしておるわけでございます。  ただ、消防用自動車あるいは緊急用自動車警察自動車、それから道路管理用自動車、こういうような緊急用務用あるいは道路管理用務用のために高速自動車国道を通行する場合には、法令で料金を免除することとなっておるわけでございます。  今お話のございました高速自動車国道で自動車教習を受ける教習車両については、こういう緊急用務や道路管理用務に当たるものではないものですから、免除は難しいと考えております。
  152. 大矢卓史

    ○大矢委員 現在は義務化されていない高速道路、そういうことになりますと、やはり費用の関係も含めて当然後ろ向きになってしまう場合があると思いますけれども、これまたやはり義務的にこういう高速道路における教育というものがどうしても必要になってくると思いますので、その点もあわせて御判断を願うことをお願いをしておきたいと思います。  時間がございませんが、先ほども申しました自動車教習所法というものを、私どもはこれはちょうど昭和五十六年ごろにつくらしていただいて、まだ日の目を見ておらないわけでありますけれども、今の交通戦争に先駆けてこういうものをつくっていって、教習所を卒業してきて本当に技能なり、また法令、そしてマナー、道徳面からすべてを十二分に学んでいただいて、これはやはり一つ間違いますと大きな凶器になるわけでありますから、そしてまた年間一万人という死者も出しており、そしてそれが大きな問題として本院で特別委員会というものも設置されて、いろいろな衆知を集めて審議をしていただいておるわけであります。そのいろいろな原因なり、そしてそれを分析、除去していくということの根本は、やはり運転免許の取得者である九五%がまず車に接する教習所、それがただ単にそこいらここいらの事故と同じような形であるのだということでは、余りにもそこに委託をしておると申しますか、実技免除という学校にしてはお粗末ではないか。  でき得るならいろいろな法令を整備して、教習所というものがこれからも、今までのその学校の出身者が、先ほどのお話のように、一年未満でまた再教育をされる場合にもその場所を利用できるということのようでありますから、講習義務でございますか、これからもいろいろなことはそういうところに委託をしていって、そしてこれの充実強化を図っていく。今辛うじて教習所が警察との関係でやられておりますのは、多くのOBの方々がここに奉職してまじめにそれらの人たちの教育をしていただいておる、そういうことでありますので、そこに働く人たちすべてが一つの大きな資格というものを持っていただいて、教育をしていただいて運転者をつくっていくということでなければ、ただ単に警察の方が忙しいから実技の方をそちらへ任しておるのだというようなことだけでは、この事故の絶滅が図れないと思います。  今後この問題について、当然前向きに検討していただくということでございますけれども大臣、これからも非常に詰めていかなければならぬ。目の前の交通事故の防止はもちろんですけれども、こういう根本的な教育機関の格付の問題から法制化をしていって、一つの法律体系をつくっていくことがまず第一ではなかろうかと私は思います。最後に、そのことを大臣にお伺いしたいと思います。
  153. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 議員御指摘の問題、交通安全、先ほど私が申し上げましたように、これはすべてに優先する大事な仕事だと考えておりますから、その交通安全確保のための貴重な御提言として検討させていただきたいと存じます。
  154. 正木良明

    正木委員長 以上で大矢卓史君の質疑は終了いたしました。  次に、岩佐恵美君。
  155. 岩佐恵美

    岩佐委員 先ほどからも皆さんから指摘をされておりますように、交通事故による死者はことし既に九千人を突破し、年間死者数が十三年ぶりに一万人を超えた昨年を上回るベースで、最悪の事態となっております。  今日の交通事故死者数の約半数は、交差点での事故でございます。また、六十五歳以上の高齢者の死亡者が全体の二割を占め、高齢者事故がふえている。これも大きな問題でございます。高齢者や子供たちが本当に安心して渡れる交差点などの実現を初めとする抜本的な交通安全対策が必要であると思いますけれども、総務庁、警察庁、お考え伺いたいと思います。
  156. 加美山利弘

    ○加美山政府委員 お答えいたします。  最近の交通事故情勢、まことに厳しいものがございます。  抜本的な対処方策いかんということでございますが、先ほど来私ども長官お答えしておることではございますが、申しますと、我が国の道路交通事故による死者数は、昭和四十六年以降減少を続けておりましたのですが、若者とか高齢者事故増加等によりまして、五十五年以降増加の傾向にございます。御指摘のように、昨年は死者数が十三年ぶりに一万人を超えてしまったということでございます。さらに、本年に入りましてもこの増加傾向が続いておりまして、十一月一日には昨年より十七日間も早く九千人を超えてしまった。まことに遺憾ながら、昨年に引き続き一万人を突破するのではないかという勢いでございまして、憂慮しているところでございます。かつて交通戦争という言葉が言われたことがございましたが、これはまさに第二次交通戦争ともいうべき厳しい状況と受けとめておるわけでございます。  政府としましては、このような状況対処するために、交通対策本部におきまして昨年の八月に 交通事故防止に関する緊急総合対策、そして九月に高齢者交通安全総合対策、さらに本年の七月に二輪車事故防止に関する総合対策をそれぞれ決定いたしまして、国民交通安全意識の高揚、高齢者交通安全対策推進、若者を中心とした二輪車事故防止対策推進、シートベルトの着用の徹底、安全な道路交通環境整備交通指導取り締まりの効果的な推進などの諸対策を、関係省庁の緊密な連携のもとに強力に推進しているところでございます。  さらに、現下の厳しい交通事故情勢にかんがみまして、これらの諸対策の実効をより一層上げるために、ただいま関係省庁と密接な連携を図りつつ検討しておりまして、近々交通対策本部を開催するなど今後の対応を図るよう準備しているところでございます。
  157. 関根謙一

    関根政府委員 警察庁といたしましては、交通死亡事故抑止する観点から、関係機関団体との間で役割分担考えまして、交通の安全教育、交通安全施設整備交通指導取り締まりといった点に重点を置きつつ事故防止対策推進しているところでございます。特に、交差点で信号機がないところ等で死亡事故が多発する傾向にございますので、信号機を中心とする安全施設整備につきましては、累次にわたる五カ年計画に基づきまして強力に進めているところでございます。  なお、この種の応急対策ともいうべきものと並行いたしまして、いわば根源対策とでもいうべき措置といたしまして、今回運転免許制度を見直しまして、若者を初めとするいわゆる初心運転者につきまして、講習の機会等その運転に関する知識、技能の習熟の定着を図るシステムを考案いたしまして、法案という形で現在上程をしているところでございます。
  158. 岩佐恵美

    岩佐委員 一九八六年から九〇年までの第四次交通安全基本計画の目標は、交通事故死亡者数八千人ということであります。ですから、達成はおぼつかない状況であることははっきりしているわけですね。  総合交通安全施設整備事業五カ年計画、今言われた五カ年計画のことだと思いますが、この五カ年計画の八八年度までの整備状況について、どうなっているのか簡単に御説明いただきたいと思います。
  159. 島田尚武

    ○島田説明員 お答えいたします。  御質問交通安全施設整備事業につきましては、建設省と警察庁、公安委員会と道路管理者がともども協力して行うということで、合同の計画になっております。そのうち都道府県公安委員会に関する分について御説明をさせていただきますが、第四次五カ年計画では、国が補助をいたしますいわゆる特定事業、これにつきまして調整費を除いて千百五十億円の計画であります。一方、地方単独事業については三千六百八十億円の計画であります。  今、六十三年度末までの実績を御質問と思いますが、特定事業につきましては一〇〇%、地方単独事業につきましては九〇・四%というのが、現在までの公安委員会関係警察庁関係の実績でございます。
  160. 岩佐恵美

    岩佐委員 来年度の計画についても御説明をいただきたいと思います。同時に、信号機の新設基数、これは国の事業でどうなっているのか、地方の単独事業分はどのぐらいになっているのか、あわせて御説明いただきたいと思います。
  161. 島田尚武

    ○島田説明員 信号機の新設につきましては、現在、原則として地方単独事業という区分になっております。したがいまして、都道府県における予算措置の状況ということになるわけでございますが、報告によりますと、平成元年度当初においてはおよそ三千基程度の新設が報告をされております。なお、沖縄県につきましては復帰後の特別措置として国の半額補助を行っておりますが、平成元年度においては二十八基新設の措置をとったところでございます。
  162. 岩佐恵美

    岩佐委員 来年度の特定事業については。
  163. 島田尚武

    ○島田説明員 失礼いたしました。  来年度の国の補助を行います特定事業に関しましては、現在大蔵省に対して要求中でございますが、警察庁としては事業費ベースで二百六十八億円の事業を特定事業として行いたいと考えております。単独事業については、現段階では把握いたしかねます。
  164. 岩佐恵美

    岩佐委員 信号機の新設ですけれども、今お話がありましたように、大多数が地方の単独事業に切りかえられているわけです。ですから、信号機の新設要望というのは非常に強いのですけれども、なかなか充足をされないという事態です。  例えば東京の町田市の場合ですが、六十三年度で約七十基の上申箇所があるのですね。ところが、そのうち一、二基しかつけられていない、こういう状況でございます。今、多摩の地域というのは、事故が非常にふえている地域でございます。ですから、国庫補助額を引き上げて事業量の拡大を図っていかないと本当に住民の皆さんの要望にこたえられない、そういう状況でございます。この点について政府としてぜひ積極的に目を向けて取り組んでいただきたいと思うのですけれども、公安委員長のお考え伺いたいと思います。
  165. 島田尚武

    ○島田説明員 私の方から事務的なことについて御報告をさせていただきます。  るるお話ありますように、毎年四%前後車両がふえておりますから、御指摘のとおり信号機の新設の必要についても数多く全国に存在しておる、またその新設を進めるべく各都道府県及び都道府県警察、公安委員会がその実施に努めておる、相当数が毎年新設されているというふうに承知をしております。一方、全国の現在の状況を見ますと、信号機およそ十三万基のストックを擁しております。その維持、高度化の問題が一方ドライバーから強く期待をされている。特に当初に設置された古いものほど交通の要衝にありまして、また同時に残念ながら性能的に発展段階の低いものであったというようなことも事実であります。  したがいまして、全国的な交通流の整序の観点から、これら既存のものの高度化を図る、中央の管制センターのコンピューターにリンクをして高度化を図るということも非常に重要な問題であります。そういう意味合いから、国としては現在こういう全国的な立場に立って、沖縄県の場合を除きまして、膨大なストックの高度化を緊急に進める、あわせて安全を図る、一方、それぞれの地域における信号機の新設については、各都道府県の実情に応じ都道府県で設置していただく、こういうふうなことで臨んでいるところでございます。
  166. 岩佐恵美

    岩佐委員 首都圏の交通量が非常にふえている、そういうことによって事故が多発する、しかも信号機が今のような実情である。例えば町田の例というのは顕著な例だと思いますけれども、そこのところに手を入れていかないと、交通事故というのはなかなかなくならないというふうに思うのですね。それは、後で大臣にまとめてお答えいただきたいと思うのです。  同時に、視覚障害者の方に音の出る信号機が設置されています。ところが、もっとふやしてほしい、こういう要望もあるわけですね。ですから、既存のものについてもそういう要望が非常に強いわけですね。例えば多摩の八王子市の場合ですけれども、信号機五百七十八基のうち盲人用の信号機というのは十基しかない。全国平均でいっても、十二万八千基のうち視覚障害者用の信号機は五千八百四十五基ですから、五%しかついていないということでございますので、これはもっともっとふやしてほしいという要望が強いわけです。この点について来年度の計画ではどうなっているか、お答えいただきたいと思います。済みません、簡単にお願いします。
  167. 島田尚武

    ○島田説明員 視覚障害者用付加装置につきましては、基本的には国が補助すべき事業、これも一種の高性能化という意味合いでとらえまして補助をさせていただいております。  平成元年度においては、国としては、全国ベースでありますが、二百二十四基補助をして整備を促進したいと考えております。なお、平成二年度に関しましては、現在予算要求中であり、数字は 明確に申し上げられませんが、今年度を上回る数を補助したい、こういうように希望しております。
  168. 岩佐恵美

    岩佐委員 障害者の方々が今非常に期待を持っているのは、ボタンを押さないと音が出ないということじゃなくて、何かセンサーで自分が信号機のところへ行くと自動的に反応して音が出るというような、そういう方式に高い期待が集まっています。これは今開発をしているというふうに伺っているのですが、何か八五年から武蔵野市で二カ所、実験用としてこれが使われているというようなことも伺っているのですが、一体こういうセンサー方式というのが今どの程度の作業で進められているのか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
  169. 島田尚武

    ○島田説明員 一般に多様なニーズにこたえて高度な交通の管理を行うためには、今御指摘のようにセンサーという問題が非常に重要であります。これは視覚障害者の方々のみにとどまらず、渋滞やその他いろいろな問題でも、いかにセンサーを高度化するかということが重要な問題であります。その中でもこの障害者用のセンサーというのは大変難しい部類に入ります。御指摘のように武蔵野市で、市の方が中心になられて、警視庁もこれに協力をして実験を進めたというお話を聞いておりますが、実際は超音波を用いたもののようでありますが、なかなか大きな難しい問題があるというふうに聞いております。
  170. 岩佐恵美

    岩佐委員 大臣、イギリスの例なんですけれども、「一九七〇年慢性病者および障害者法は、生活環境の整備に関する規定を設けた初めての法律であり、障害者関係法制に新たな分野をきり開いた。」もともとそういう法律があるのですね。この施策実施率を高めるために、さらに拡充をするために一九八一年障害者法というのが制定されましたが、例えば道路関係で言えば公道法というのがもともとあって、「地方当局その他関係当局は、道路上の業務を行うとき、また、街灯柱・交通信号その他を設置する時は、障害者・盲人のニーズを考慮しなければならない。」こういうことを盛り込んだ公道法をまた吸収したような、道路だけじゃなくて、いろいろな各種の住居だとか、そういう吸収した障害者法というのがありまして、法律でもって障害者の安全を保つ、こういうような形になっているのですね。  日本では当然こういう法律は今ないわけです。やはり障害者の皆さんは、何とか自分たちの安全確保のために国が積極的に目を向けて努力してほしいという要望がございます。大臣の御決意をお伺いしておきたいと思います。
  171. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 私もかつて厚生大臣を経験したときに、障害者の完全参加、これは、日本が近代国家として恥ずかしくないようにこれを進めなければならないということで推進いたしましたが、ただいまの御意見も貴重な御意見として、今後交通安全に取り入れていかなければならないもの、こう考えております。
  172. 岩佐恵美

    岩佐委員 国連障害者の十年もあと二年余りを残すのみとなっています。障害者の社会参加や高齢化社会に向けて、駅舎等の施設について利用しやすいように整備をすることが緊急に求められています。八三年に運輸省はそういう立場からガイドラインを作成いたしております。JR、大手私鉄等の身体障害者用施設の整備について現在どういう状況になっているのか、明らかにしていただきたいと思います。
  173. 中村徹

    ○中村(徹)政府委員 お答えいたします。  鉄道駅におきます身体障害者用の施設につきましては、JR及び民鉄各社において現在整備を進めておるわけでございますが、主な施設について昨年度末におきます整備状況を五十年度末と比較してみました場合には、エスカレーター及びエレベーターにつきましてはJRが四十五駅から二百五十駅に、大手民鉄が三十五駅から百八十四駅に、営団・公営地下鉄が八十三駅から三百八十九駅に、また、改札口の拡幅につきましてはJRが二十四駅から八百六十四駅に、大手民鉄が二百五十一駅から千百八十六駅に、営団・公営地下鉄が五十五駅から四百三十八駅に、さらに、点字ブロックにつきましてはJRが七十六駅から千三百五駅に、大手民鉄が六十四駅から千百三十一駅に、営団・公営地下鉄が四十一駅から四百四十六駅になっております。このように着実にその整備が進められているという状況でございます。
  174. 岩佐恵美

    岩佐委員 これらの施設のうちエスカレーターなのですけれども、車いすの使用ができるものがほとんどないというふうに聞いております。先ほど申し上げた運輸省のガイドラインでは、エスカレーターの基準というのはどういうふうになっているのでしょうか。
  175. 中村徹

    ○中村(徹)政府委員 エスカレーターの基準といたしましては、有効幅員が八十一センチメーターというのが望ましい基準としてガイドラインで定めてございます。
  176. 岩佐恵美

    岩佐委員 ことしの九月に、鉄道事業に関する行政監察に基づく勧告がなされています。これによりますと、身体障害者用施設については、鉄道事業者に対しその実態を総点検させること、こういうふうになっているわけです。運輸省は、今通常のエスカレーター、エレベーター、いろいろ言われましたけれども、そういう報告は年に一遍求めておられるようですけれども、こういう総点検という行政監察にこたえてどういう指示をされたのかということを伺いたいと思います。
  177. 早川章

    早川政府委員 お答えいたします。  先生御指摘の行政監察を受けまして、私どもといたしましては、九月二十七日付で各地方の運輸局長に、勧告にはサービスその他の問題も書いてございましたから、まずその勧告を通知いたしますとともに、必要な指導をしておるということでございます。その中で、さらに加えまして、私ども関係課長からそれぞれの運輸局の鉄道部長に対しまして、身体障害者用施設については実態を総点検させ、これは事業者にさせるわけですが、その状況につきまして私どもに対して十一月末日までに報告をしろ、こういう指示を出したところでございます。
  178. 岩佐恵美

    岩佐委員 総務庁の行政監察では、警告ブロックはあるけれども誘導ブロックが整備をされていないものがあるとか、身体障害者用トイレが設置されているけれども入り口の段差が解消されていない、だからなかなか使いづらいということですね。そういうふうに一体となって障害者が安心して利用できるような状況になっていないのじゃないかということが指摘をされています。  例えば京王八王子の駅の場合なんですが、その地下階段を視覚障害者が利用する場合に、どこから階段が始まるのか、もしそういうチャイムがあれば非常にいいのだけれども、ぜひチャイムをつけてくれないかという要望をすると、いや、他の駅にもつけないといけないのでちょっとチャイムはつけられませんというのですぐ対応してもらえない、こういうことが報告をされているわけです。  あるいはJRの西八王子駅ですけれども、八王子盲学校の生徒が利用される、あるいは先生方が利用されるわけですが、通勤客でごった返しているそういう通路、改札口を通らないで、通用口を通せば非常にスムーズに行くのに、なかなかそういうこともしてもらえないということで、これがいわゆる施設の数で、施設がこうなってます、ああなってますといっても、実態的にそれを利用する側からいうとなかなか利用しにくい、そういう問題が含まれているわけですね。  ですから、今言われた総点検で、障害者が利用するということについて、障害者用の施設ということで指示をされたということでありますけれども、もうちょっと障害者が本当に利用できるかどうかという総点検、そういう視点もぜひ入れていく必要があるのじゃないかと思います。  今、障害者団体皆さんが独自に、自分たちが町を歩いて総点横運動というのをやっておられますけれども、そういうことなんかもよく配慮をされて同じような形でやっていかないと、数だけはあるけれども実際には利用できない、血の通ったものになっていかないというおそれがありますの で、ぜひそういう方向でやっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  179. 早川章

    早川政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように、身体障害者施設というのは一体的に一つの流れで、ということは、実は先ほど先生御引用になりました運輸省の身体障害者用施設整備のガイドラインそのものがそういう観点には立っているわけでございます。私どもとしては、各事業者はこのガイドラインに従いまして整備を進めていただいているというふうに理解をしているわけでございますが、先般、幾つかの行政監察で指摘があったことはよく存じております。ただ、今回のこの当面の点検につきましては、とりあえずまず実態を把握しておく、こういうことでございますので、そのような観点が全面的には入っていないかもしれませんが、御指摘のありました点につきましては十分配慮して今後の行政に当たりたいと思います。
  180. 岩佐恵美

    岩佐委員 今回の行政監察は鉄道事業者にかかわるものだけでございますけれども、バスとかあるいは飛行機だとか、他の交通事業者についてもやはり総点検を行っていくべきだというふうに思います。その点についていかがでしょうか。
  181. 中村徹

    ○中村(徹)政府委員 もちろん障害者の問題は単に民鉄だけの問題ではございませんで、航空とかJRとかいろいろ他の交通機関についても当然問題になるわけでございますが、私どもとしては今日までそういった障害者用の施設の整備ということを進めてまいったわけでございますので、今後もそういう施設の整備を進めてまいりたい。また、特に成田空港などにつきましては、そういう意味では非常に配慮しているつもりでございます。  総点検の問題につきましては、個々の事業者側の問題等も現実に難しいという点もあるわけなんで、そういったことも含めながら勉強してまいりたいと思いますけれども、これはやはり日常の問題ではないかというふうに思っております。
  182. 岩佐恵美

    岩佐委員 次に、総務庁の調査によりますと、私鉄のエスカレーターの設置方針というのは、「鉄道事業者のエスカレーター設置基準をみると、表4のとおり、全駅について、プラットホームのある階からコンコースのある階までの間、コンコースのある階から地表面出入口までの間にそれぞれ設置するとしているもの(K社)がある反面、駅の利用者数を目安としているもの(L社)や交通弱者に配慮して必要な駅に設置することとしているもの(M社)があるなど、事業者によって様々となっている。」こういう指摘がございます。  JR、私鉄についてはここに指摘をされていることだと思いますけれども、エスカレーターやエレベーターの設置の問題についてはきちっと整備のための指針を作成すべきだ、こういう総務庁の勧告もあるわけで、運輸省としてその点についてどうされるのか、伺いたいと思います。
  183. 中村徹

    ○中村(徹)政府委員 エレベーターやエスカレーターの設置の問題につきましては、個別のそれぞれの駅の事情がございまして、画一的な基準によってこれを決めるということもなかなか難しいのではないかというふうに思うわけでございますので、いわゆるターミナル等についてはだれもが利用しやすいものにするという観点から、個々の状況というものとの関連において使いやすい施設の整備というような、そういう指針を少し勉強してみたいというふうにただいま考えておるところでございます。
  184. 岩佐恵美

    岩佐委員 その場合、エスカレーターについてはよく言われるのですね。総務庁の指摘もエスカレーターはあるのですが、障害者の皆さんはエレベーターをという希望が非常に強いのです。やはりエレベーターを重視をしていってほしいということですが、いかがでしょうか。
  185. 中村徹

    ○中村(徹)政府委員 ただいまお答えしました勉強に際しましては、エレベーターも含めて勉強してまいりたいと思っております。
  186. 岩佐恵美

    岩佐委員 ちょっと細かい問題で大変恐縮なんですが、京王の北野駅というところがございまして、そこで障害者の共同作業所が長沼の駅から北野駅に引っ越しをするということになって、これは今改装中でありまして、駅が高架になってやっている最中なんですが、エスカレーターだけじゃなくてエレベーターも欲しいんだという要望が非常に強いのです。ところが、エレベーターについてはというのでなかなか首を縦に振ってもらえないので何とか運輸省に御助力をいただきたい、こういう地元の障害者の皆さんからの要望が出ているのです。  こういう個々の問題について、今言われたみたいにいろいろ個々の実情がありますから一概には言えないと思いますけれども、ただ、新設というか改装して全く新しい駅につくりかえるわけですから、そういうときにはやはりこういう問題は本当にやっていくべきだというようなことだと思いますが、その点いかがでしょうか。
  187. 早川章

    早川政府委員 京王線の北野駅につきましては、今御指摘のとおり都市計画事業で連続立体交差事業ということで行っております。その周辺に身体障害者の方の施設が来るということについてはまだあれではございませんけれども、そういうようなことで、エレベーターという御要望がございますことは承知しております。そこで、この状況について聞いてみましたところでございますが、今関係の向き、都市計画事業者あるいは市、そういったところと設置の可能性とか駅付近の関係施設の設置状況等を考えて、あるいは負担の問題もございますので、そういうことについて検討を進めているが感触としては前向きである、こういうふうに聞いております。
  188. 岩佐恵美

    岩佐委員 ちょっと時間がなくてはしょりますけれども、私は八三年に運賃割引の問題について予算の分科会で取り上げました。このときに、身体障害者福祉法に基づいて障害者手帳を交付されている内部障害者の場合割引運賃が適用されていない問題、それから精神薄弱者のこと、こういうことを取り上げたわけです。  今回、内部障害者については実施に踏み切られ、本当に私どもよかったというふうに思っています。ただ、精神薄弱者の場合、東京都の場合乗り合い自動車条例というのがあって、ここでは精薄者も身体障害者と同じ扱いになっているわけです。それで、都ができて国ができないのはおかしいのではないかということで、当時の長谷川運輸大臣に検討をお願いし、大臣も、そうした問題をみんなで広く考えるといいのだ、そういうチャンスなのだというようなお答えもいただいていたわけですけれども、今回、精薄の問題、難病者の問題について除外をされてしまったわけですが、この点について運輸省は、法律上該当者の範囲が明確に定められていない、そういう説明をされておられます。  そこで、厚生省伺いたいと思いますが、精神薄弱者について、国の制度として療育手帳で証明をして法律上の適用がされているものがあると思いますけれども、この点について御説明をいただきたいと思います。それから、法律上範囲が特定できないという理由が通ってしまいますと、厚生省みずからの社会福祉施策そのものが明確でないということになってしまいはしないか、そういう点でこれは大変心配なことでもありますので、この点について厚生省がどうお考えか、伺いたいと思います。
  189. 吉武民樹

    ○吉武説明員 お答え申し上げます。  私ども児童家庭局でも心身障害者の福祉サービスを担当させていただいておりまして、今回のJRあるいは私鉄各社あるいは航空各社、さらに運輸省御当局の御高配によりまして、私どもが福祉サービスを担当させていただいております内部障害児につきましても運賃割引が適用されるということで、私どもも心から敬意を表しているところでございます。  委員お尋ねの療育手帳でございますが、これは御案内のとおり、身体障害者につきましては身体障害者福祉法、それからその別表、政令に基づきまして、特に外部障害の場合には障害の程度が端的に申し上げまして目で見て把握できるということでございますので、法律で詳細に規定されてお るわけでございます。  それで、精神薄弱者につきましては、児童福祉法が制定されましたとき以来、精神薄弱児という法律上の概念は設けておりますが、これを法律で詳細に概念規定を行っておりません。それから精神薄弱者福祉法につきましても、三十五年に制定されました当時同様の考え方を踏襲いたしております。その後、昭和四十八年になりまして私どもの厚生事務次官通知で療育手帳ということを制度化いたしまして、これは精神薄弱者につきまして一貫した指導を行いますとともに、各種サービスを受けやすくする、こういうことのために児童相談所あるいは精神薄弱者更生相談所の専門機関の判定に基づきましてこの手帳を発行いたしております。  現在、この療育手帳を提示することによりまして資格確認等がなされているものといたしましては、例えば少額貯蓄非課税制度、いわゆる新マル優でございますが、この点につきまして精神薄弱者が対象となっておりますので、これは確認が行われております。  それから、一部ではございますが、私ども厚生省で担当させていただいております精神薄弱児あるいは身体障害児に対します所得保障制度といたしまして特別児童扶養手当制度というのがございますが、この中で、いわゆる一級の方でございますね、特に重度の精神薄弱児の方の判定といいますか、これにつきましては私どもの療育手帳のA、これがやはり重度に相当いたしますので、これを提示していただきますと医師の診断書を省略できるといった取り扱いを行っております。
  190. 岩佐恵美

    岩佐委員 時間もありませんので、まとめて運輸省にちょっとお伺いをしたいと思います。  一つは、今の割引制度につきまして、ぜひ引き続き精神薄弱者や難病患者の皆さんのことも考えていっていただきたい、割引の対象にしていっていただきたいということを要望しておきたいと思います。  それから、百キロ制限なんですが、大手民鉄の場合はそんなに線路が長くないところがあるのですね。百キロ未満のところがかなりあるわけで、これも八三年の質問のときに取り上げたのですが、現実に百キロ制限を取っ払っている大手の私鉄もあるのですね。ですから、こういう私鉄について百キロ制限というのは間尺に合わないということで、これはぜひ検討していただきたい。  それから、割引の手続の際に障害者手帳を窓口に提示しなくてもやれるように、例えば子供用切符を買って印を押すということをやっていただくと車内変更が可能になる、つまり障害者が自動販売機で切符が買えるということになるのですね。そうしていただきたいということ。子供用切符を、つまり半額ですから買えるようにしていただきたいという要望があります。大手私鉄は実施をしたというようなことでありますけれども、この実態、それからJRにぜひ広げてほしいという要望もありますので、これはお答えをいただきたいと思います。  それで、大変乱暴なことになってしまいましたが、もう一つお願いをしてありますので、ちょっとお時間をいただきまして、タクシーの問題です。私鉄の構内タクシーで、調布市のつつじヶ丘駅では深夜のタクシーを待つのに一時間三十五分待たされたということで、総務庁の関東管区行政監察局の調査で明らかになって、マスコミも大変大きな報道をしているところでありますけれども、この問題について、多摩地区におけるタクシー利用者の利便の確保を図るため、深夜時間帯においては原則として駅構内へのタクシーの入構を地域の希望する事業者に認める方向で駅構内の営業承認を行う必要があるというような所見があるわけですけれども、この所見についてお伺いをしたいと思います。
  191. 江藤隆美

    江藤国務大臣 本来、運輸省は公共料金という見方をとっておりますから、運賃の抑制を図ろうという立場にございます。御案内のようにJR各社でも、例えば北海道、九州、四国というようなところは、経営が赤字になりますから、三島資金の援助を受けながら、実はようやく形だけ黒字をとっておるというところもあるわけでありまして、そういうところにも割引をしてくれという話をしなければならぬわけです。運賃の値上げはするな、これは極力抑えろよ、しかしながら片っ方では割引はしろと言うのですから、いささか内心じくじたるものがあるわけでありますが、せっかく国会からの強い要請もあって、JR各社、民鉄、それから航空各社に対してお願いをして、ようやく心臓、腎臓患者に対しての適用を広げることにしたわけです。  そこで、精神障害者と精薄者と難病患者に対してもやはり同様にできることならばやってあげるのが当然だろう、こう私は思っております。しかしながら、これは五十万人に上っておりまして、それから今おっしゃったような百キロ制限というのをなくしてくれというのもありますし、特急料金もまたそういう対象にしろ、こういうふうにありますというと、例えばほかにも傷痍軍人の割引等も実はありますわけで、だんだんこれは枠が広がっていくわけであります。  そうなりますと、一体これは運輸行政の中で処理していくのが適当であるのかどうか。これは、民鉄においても随分赤字の会社もありますわけで、そういうところにも同じように割引をさせるわけですから、そうなったならば、機会均等という立場からも、障害者の皆さんがひとしくその恩恵を受けられることができるように、やはり国の公的な負担においてやることが正しいのではないか。ここまではお互いの努力でやってきました。しかし、これからもう少し対象範囲を広げ、そしてまた条件を緩和していくということになると、公的負担をすることが適当だと私は思っておりますので、先般は、報告をすると同時に、厚生大臣に対して、ぜひこれらの問題を社会福祉政策の中で御検討賜りたいということを実はお願いを申し上げたわけであります。  つつじケ丘の問題につきましては、実態をよく調べて適当な処置をとりたいと思っております。
  192. 岩佐恵美

    岩佐委員 ありがとうございました。終わります。
  193. 正木良明

    正木委員長 以上で岩佐恵美君の質疑は終了いたしました。  次に、田中慶秋君。
  194. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 政府は、安全、快適な交通社会の実現を図り、国、地方公共団体等と一体となって事故防止のための諸施策を従来にも増して推進する必要があるということで、平成元年度予算についても交通安全対策関係予算が十二分に計上され、その対策に努力をしていることについては敬意を表しますが、昨年の交通事故死者一万三百四十四人、これは昭和五十年以来の最悪と言われるような数字であります。ことしはもう既に九千人に上る交通事故死者が出ていると伺っておりますが、秋の交通安全運動期間中の死者三百二十人、負傷者二万一千四百四十八人と昭和四十八年以来の最高の記録を示し、激化する交通戦争に歯どめがかからない。このままいけば本年中に一万一千あるいは二千の数値を示すのではないかと予想されますが、関係者の努力にもかかわらず、依然として交通事故が激増している現状を分析し、今後どのような対策をとられるか、総務庁長官及び国家公安委員長の所信をお伺いしたいと思います。
  195. 水野清

    水野国務大臣 先生の仰せのとおり、今年に入りまして十一月一日には、昨年より十七日も早く交通事故による死者が一万人を突破する勢いでございます。まさにおっしゃるとおり第二次交通戦争ともいうべき厳しい状況で、我々も緊張してこの事態を迎えているわけでございます。  御承知と思いますが、政府といたしましては、このような状況対処するために、昨年来交通対策本部におきまして、昨年の八月には交通事故防止に関する緊急総合対策、九月には高齢者交通安全総合対策、本年の七月には二輪車事故防止に関する総合対策をそれぞれ決定しております。  そして、国民交通安全意識の高揚、あるいは高齢者交通安全対策推進、あるいは若者を中心といたしました二輪車事故防止対策推進、あ るいは道交法改正直後は徹底をしておったのでございますが、シートベルトの着用の徹底がやや緩んでいるという話もありますので、さらにこれの徹底をしております。あるいは建設省における道路交通環境整備、あるいは警察庁における交通指導取り締まりの効果的な推進などの諸対策を、関係省庁の緊密な連絡のもとに強力に推進をしているところでございます。  もう一つ出てまいりましたのは、三年近い景気の上昇で、自動車保有台数が非常にふえているということが統計上も出ております。その裏には初心者、いわゆる免許を取ったばかりの初心者が非常にふえているということもありまして、これもまた私は事故の増大につながっているのではないかと思っております。  そこで、これらの現下の厳しい交通情勢にかんがみまして、これらの諸対策の実行をより一層に徹底をするために、関係省庁と密接な連絡をとり、近く交通対策本部を開催するつもりでもございますし、内閣を挙げて各省協力をしていただくように、近々において私は緊急事態宣言というようなものを宣言いたしまして、総合対策に取り組んでいきたい。  御承知のとおり、ジャンボ機一機の事故で四、五百人の方々がお亡くなりであります。一万人といいますと二十機のジャンボ機事故と同じだけの方が亡くなっているわけでございますが、ただ全国的に散発的だということだけで、どちらかというと、我々もいいかげんに考えているわけではないのでございますけれども、何なくその日その日を過ごしているという面もありますので、やはり国民的な運動を行って、交通事故の緊急態勢であるということを認識していただいて、自治大臣もおられますが、都道府県あるいは市町村その他の関係団体にもこの状況を徹底いたしまして、それぞれの地域地域ぐるみ交通安全運動展開していく以外にこの増加を抑える道はない、かように思っているわけでございます。
  196. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 ただいま総務庁長官から総合的な対策についてお話がございました。  当面の交通事故防止対策としては、交通事故による死者数のうち半数を占める若年者と高齢者重点を置くこととし、安全な道路交通環境整備を図るとともに、若年者と高齢者の特性、交通事故の実態等を踏まえた交通安全教育等を強化してまいりたい。  さらに、これらの対策とともに、交通事故防止の根源的対策として、運転免許制度を改正し、若者を初め交通事故の発生率が高い運転免許取得後一年未満の初心者運転者の資質を向上させることにより交通事故の減少を図ること等を内容とした道路交通法の一部を改正する法律案を今国会に提出しておりますので、ぜひ御協力を賜りたいと存じます。
  197. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 大きな考え方として述べられているわけでありますからわかりますけれども、先ほどいみじくも総務庁長官がジャンボ一機五百人、しかしそのジャンボ機の事故究明のためには国を挙げて、総力を挙げてアメリカまでその原因の究明に行かれているような状態であります。しかし、今一万人というと二十台分相当だ。人の命は地球よりも重しと言われた先輩がおります。しかし、私たちは今一万人の交通事故の犠牲者を考えるときに、やはり少しマンネリ化し過ぎているのではないか、こんなふうに考えるわけでありまして、そういう点ではハード面、ソフト面、総合的な対策というものが望まれると思います。  大体、事故を起こすのはほとんど限定された場所で、そしてデータをとっていきますと、必ず繰り返し繰り返しそこで事故が起きている。これが実情でありますけれども、飛行機事故のように徹底した原因の究明というものが交通事故死の場合においてはなされていないところに問題が起きるのではないか、こんなふうに思っております。それらの問題を含めて、これからより一層の努力をお願い申し上げたい、こんなふうに思っておりますが、もしこのことについて何かうまい考え方があったら述べていただきたいと思います。
  198. 水野清

    水野国務大臣 先ほど来申し上げましたように、ひとつこれでという名案がないことは委員も御承知のとおりであります。いろいろな原因からこういうものが出てきているわけでございますから、総合的にもう一度問題点を全部洗い出して、各省庁、各担当のところでその対策を講じていただく。さらには、被害者になる方は、これは御本人は全くそのおつもりはないわけでありますから、御本人方にも気をつけていただくということは必要でありますけれども、これはやはり呼びかけるしかございませんから、先ほど申し上げましたように非常事態宣言というようなものでも考え出しまして、そういうことの中でひとつキャンペーンもやっていく。それも、国だけでやっても、中央省庁だけでやっても、これは意味がございませんから、都道府県あるいは各市町村あるいは関係団体にもお願いをして、ともども国民運動としてやっていく以外はなかろう、かように思っているわけでございます。
  199. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 ぜひこれからも努力をしていただきたいと思っております。  そこで、実は良好な交通環境の整備、効果的な対策推進、これは本年度交通警察重点施策の一項目であったわけであります。そういう中から警察当局皆さんにお伺いしたいのは、まず今お話にも出ましたように妙案がないと言われるわけでありますけれども、例えば違法駐車対策であります。  昭和六十一年の道路交通法改正の目的は、駐車対策であったと私は理解しております。事故の元凶ともいえるのは不法駐車であり、盛り場などにおいては特にひどく、道路の両側にひしめくように駐車をし、あるいは交差点であろうと曲がり角であろうとお構いなしであります。これでは、例えば救急車が思うように走れない、あるいはまたバスもすれ違いができないほど深刻になっている。社会的、経済的な損失を考えても膨大であろうと思います。駐車車両に衝突して死亡事故が多発してみたり、あるいはまた二輪車等が駐車車両を避けるために中央寄りに出て対向車に接触をしとうとい生命を失ったり、こういうことがあります。  例えば、東京都内ではこれらに類した事故が一日平均十件以上も起きている、こういうことが言われております。交通安全上も看過しがたい問題となっているわけでありますけれども、東京都内の一時間当たりの違法駐車、十九万台とも二十万台とも言われておるわけでありますが、これは警察当局取り締まりだけではもう既に限界を超えているわけでありますので、危険度なりあるいは迷惑度の高いところに絶対に駐車をさせないという運動展開が必要であろうと思います。重点取り締まりとかあるいはまた徹底した排除を図るべきではないか、こんなふうに思っているわけでありますけれども、これらに対する考え方をお述べいただきたいと思います。
  200. 関根謙一

    関根政府委員 お答え申し上げます。  違法駐車の問題は、交通事故の原因であるのみならず、交通の円滑化にとっての障害原因でもありまして、私ども違法駐車対策には特に力を入れているところでございます。  御指摘のように東京都は、過日の調査によりますと、一時間ではありませんで一瞬、この瞬間でございますが、この瞬間をとらえて調査いたしましたところ、瞬間当たり約二十四万台の駐車があり、そのうちの十八万台くらいが違法駐車であるという調査結果を警視庁で発表したところでございます。  ところで、このような違法駐車に対する対応の仕方でございますが、昭和六十三年には約五十三万件を検挙し、二十四万台をレッカー車により移動しているわけでございますが、まことに焼け石に水といった感がございます。  そこで、御指摘のように、この駐車をこのような措置のみで対応するということには限度がございますので、昭和六十一年の道路交通法改正の際に規定されました違法駐車標章の取りつけ等による取り締まりの措置も並行して行うこととします とともに、あわせて関係機関団体等と連携をしながら、駐車対策協議会を設置するなどして駐車マナーの向上のための広報啓発活動を行うこと、それから路外駐車場整備のための関係機関への働きかけ、時間制限駐車区間の拡大、これはパーキングメーター、パーキングチケット発給設備を設けることでございますが、こういう措置による駐車場所の確保等の措置を強化してまいりたいと考えております。  さらに、保管場所を持たないで自動車をお持ちになる方がふえているように思います。そこで、今後は自動車の保管場所の確保等に関する法律の運用の強化によりまして、車庫のない車両に関する取り締まりもあわせて強化をしたいと考えております。
  201. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 いずれにしても、これからの駐車問題も含めて思い切った対策が望まれてくると思います。特に、違法駐車対策の処置として現在標章という形で、それぞれこの車は違法したよという標識といいますか標章を取りつけられることになっておりますけれども、数が足りないのかどうか、最近は余り目立っておりません。むしろ路面上にタイヤと路面とをチェックして、あなたの車は駐車違反ですよ、こういう標示が多いわけですけれども、大きいものをぺたんと張っておけば格好が悪いですから、だんだんそういうものが心理的にもなくなるのではないか、こんなふうにも考えますので、これらの実行もぜひ進めた方がいいのではないかと思います。  もう一つは、違法駐車すなわち危険性があるわけでありますから、これらに対して事故を誘発させた場合においては、具体的な事例として、交差点付近に駐車していたバスにより二輪車接触して事故を起こして、名古屋地裁ではこれら違法駐車にも共同不法行為責任を認めたわけでありまして、こういうことも含めて厳しい法律的な処置というものがあることによって違法駐車が若干なくなるのではないか、私はこういうふうにも思っておりますが、これらに対してどのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
  202. 関根謙一

    関根政府委員 違法駐車を避けようとして反対車線に出たために死亡事故を起こしたという事件につきまして、その違法駐車をした車両の会社と運転者につきまして民法七百十九条の規定によります共同不法行為責任を問われた事例が、御指摘のとおり名古屋地裁において出されております。このような考え方で逐次違法駐車についての社会的責任が問われつつあるところでございますが、こういう実態を、各種の講習会、交通安全運動等の機会をとらえまして広報啓発の指導をしたいと考えております。これらによって駐車マナーの向上を図ることを期待しております。
  203. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 講習会あるいは免許取得あるいは更新のときにそういう問題を含めて徹底された方がいいのではないかと思いますので、徹底するようにお願い申し上げます。  そこで、建設大臣にお伺いしたいわけでありますけれども、道路交通需要の増大と多様化に対処し、安全かつ円滑な道路交通を確保する意味で、交通安全対策推進あるいは道路案内標識の整備、それらの施策展開しているわけでありますけれども警察庁は、道路標識、標示については利用者に理解しやすいような合理性かつ整合性が必要だ、こんなふうに言っているわけでありますが、目標と現実の不一致は見逃すことができないと思っております。すなわち、道路標識と規制標識の不一致であり、交通の円滑化対策は緊急の課題であると言われながら、是正は遅々として進まないのが現状であります。案内標識では直進あるいは右折、左折の標示がなされているのに、規制標識では右折が禁止されている場合もございます。あるいはまた、補助標識が余り小さくて現実には見えにくい、こういう標識もあるわけでありますが、こういう場合においては、警察及び建設省等々が一貫した一つの規制あるいは標識、こういうものが望まれるのだろう、こんなふうに思っております。特に、最近のテレビや週刊誌においてもこのことを報道し、指摘をしております。これらに対する実態調査をした経過があるかどうかをまずお伺いしたいと思いますし、標識の機能が十分生かせるように道路管理者と公安委員会との調整を図って体系的に整備をする意味では、それぞれの県と県の違いが出たりいろんなことがないようにする必要があろうと思います。極端なことを言えば、北海道から沖縄まで一貫性のある交通標識あるいは規制、こういうことが望まれると思いますけれども、公安委員会及び建設省にこれらに対する責任のある答弁を求めたいと思います。
  204. 島田尚武

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  現在、交通標識と呼ばれるものについては、御指摘のように公安委員会の設置するもの、道路管理者の設置するもの、二種類あり、その合計は一千万余にも上る状況でございます。しかしながら、これらは交通の安全、円滑の基本をなすものでありますから、整合性をとり、しかも一貫性のあるものにすることは、御指摘のとおり非常に重要な問題であります。  そこで本年、建設省と警察庁で協議をいたしまして、全国に道路管理者と警察の検討会を設ける。さらに、多くのドライバー等の御意見を伺うために、協力して、通称標識ボックスと呼ばせていただいておりますが、そういうものを設けて、広くドライバー、道路利用者の御意見を伺う。こういうことで、両省庁とも全国調査実施し、さらにまた国民皆さんの御意見に基づいて必要な改善等を行つているという状況でございます。今後とも一層、今御指摘のように都道府県間の差異あるいは両省庁の差異がないように、ともども力を合わせて進めてまいりたい、かように考えております。
  205. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  標識が四種類ございまして、建設省関係は主として案内標識、警戒標識でございます。もちろん標識令で決まっておりますし、設置基準につきましては昭和六十一年に改めて通達を出しているわけでございますが、いずれにしましても、各標識間の整合性は先ほど警察庁から答弁があったとおりでございまして、まさに一貫性がなければいかぬわけでございます。  それから、案内標識について特にお話をいたしますと、道路の方向あるいは行き先を示すわけでございますから、案内標識の地名の一貫性あるいは統一性、それから系統的、そういうことも必要でございます。そういうことについて、特に私ども昭和六十一年の通達以降鋭意やっております。もちろん、新設する場合はこの基準で全部やっておるわけでございますが、既存の標識もございますのでこれも新しいものに変えていく、こういうことでございます。いずれにしましても、先ほどお話がありましたように一貫性を目指して一生懸命やっております。  なお、実際に大勢の利用者から見ると、例えばこういうのがおかしいというようなお話がよくあるわけでございまして、先ほどお話がありましたように利用者からの情報で鋭意直していく、こういう趣旨で頑張っております。
  206. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 ぜひお願い申し上げたいと思います。  次に、法人タクシーの問題についてお伺いしたいと思います。  タクシーは客を安全に目的地まで運ぶ義務があるにもかかわらず、昨今、タクシー乗客中の方から無謀、悪質の声が聞かれて、事故に遭っても事故係が来て被害者の身になって相談に乗らないとの苦情が非常に殺到しているわけでありますけれどもタクシーに対するこれらの苦情等が三年間でどのくらいあったのか、教えていただきたいと思います。そのうちハイヤー、タクシーという問題が今申し上げたような形で何件あってどのくらいか、こういうことをまず教えていただきたいと思います。  次に、事故を起こしておいてその後始末が十分でない、被害者の人たちからもっと誠意を持ってほしいという話も出るわけであります。例えば賠償金の支払いについても、自賠責保険と一括払い もせずに、まず自賠責保険を支払った後に共済金を支払う方式をとっていると言われておりますけれども、特に東京ハイタク共済の例をできたら示していただきたいと思います。共済契約台数と損害査定員数と支払い方法を具体的に示していただきたい、こんなふうに思います。
  207. 早川章

    早川政府委員 タクシー、ハイヤーのいわば事故と申しますか、あるいは乗客に対する事故、こういうような数の御質問がございましたが、実は私どもは個々の、どのような事故がどういう形で乗客とタクシー会社との間にあったかという数字は把握しておりません。具体的な個々の事案につきましての事故の処理は、言ってみますと民事上の関係である、こういうふうに理解いたしております。一般論といたしまして、乗客を安全にお運びすることはタクシーの使命であると考えておりますから、その場合に何らかの事故等があった場合に、そういうことについて極力誠意を持って対応する必要があるということを一般的には指導いたしておるところでございますけれども、個々具体的なケースについての数字の把握、あるいはその具体的な賠償の中身というような形については、実は運輸省は把握していないということをまず御了承いただきたいと思います。  そこで、タクシーの被害者救済の場合に事故係というような形が出ていってというようなお話がございました。そういうケースはタクシーに限りませんで、運送事業者のある程度の台数を抱えているという事業者については、そういうケースがないとは言えないかと思います。しかしながら、私ども把握しているところでは、それぞれの具体的な話についてかなりなばらつきがあるのかもしれませんが、タクシー事故係だから非常に安い査定をするとか、あるいはうんと値切るということになるというふうには理解をしていないところでございまして、さまざまな金額あるいはその他誠意の問題等で被害者の方の納得された線で具体的な対応が行われている、こういうふうに理解をしているところでございます。  そこで、東京ハイヤー・タクシー交通共済協同組合のお話が出ましたが、大体全国で三十八ほどタクシー交通共済というのがございますが、実はこの会は、その中身はどちらかというと中小のタクシーの事業者の方が集まりまして、できるだけ節約した形で、こういう賠償というものの経費等を節約しながら賠償に対応していこうということでございまして、東京ハイヤー・タクシー交通共済協同組合の場合も、損保の場合と比べますと掛金は約二分の一ぐらいで済むというような形にはなっているのでございます。その中で、今先生の御指摘のございましたような一括払いとかこの共済組合が例えば示談を代行する、そういうようなことは一切していないという形でございます。
  208. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 例えば、損害保険あるいは農協共済、あるいはまた自動車再共済連などはこれらについて一括払いをしている。しかし、話によりますと、東京ハイタク共済は一括払いをされていないというふうに聞いているわけでありまして、そのことは、すなわち被害者の立場に立って事故の処理をしていないということになるのではないか、こんなふうに思うので、このことを含めて、やはり被害者救済ということを考えるならば一括支払いをすべきではないか、こんなふうに思いますけれども、担当行政としてどのような指導をされているのか、お伺いをしたい。
  209. 早川章

    早川政府委員 お答えいたします。  一括払いの制度といいますのは、この場合は共済や任意保険の部分が強制保険の部分を立てかえる、自分の保険金などを含めてそういう形で立てかえて払っておいて、後で自賠責の方へ請求する、こういう形で被害者の保護になっているということは御指摘のとおりだと思います。  それで、その関係が成り立つためには、結局自賠責を担当しております例えば損保会社とこの共済組合の……(田中(慶)委員「それはわかっておる、時間が余りないから」と呼ぶ)申しわけございません。そういう形のものが必要だと考えております。したがって、そのような実態的な基盤があるかどうかというのは非常に問題だと思いますが、しかし、一括払いの制度というものがそれなりに被害者救済上適切なものだということであるならば、私どもとしても、そういうような形ができ上がるよう十分指導していきたい、こういうふうに思います。
  210. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 限られた時間なものですから、明確に答えていただきたいと思います。  私の申し上げたのは、はっきり申し上げて損害保険会社、農協の共済とかあるいは自動車再共済連は一括払いをしておる、東京ハイタクはなぜそれができないのかということを申し上げたわけですから、これを答弁していただきたい。
  211. 早川章

    早川政府委員 その一括払いができるためには、自賠責の支払いをする保険会社とこの共済組合とが、ほぼ同じような支払いの査定内容なりなんなりを持っているという相互の信頼関係が必要だと想います。その信頼関係につきましてはまだでき上がっていないということが一つの障害点であるというふうに理解しております。
  212. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 被害者救済の立場に立つと、東京ハイタクによって事故が起きて、それが被害者救済の場合においては損があるというようなことであってはいけないわけですから、そういうことを含めて、徹底して行政指導としてお互いの信頼関係を持てるようなことをしてやらなければいけないのではないかと思いますので、その辺を十分努力していただきたいと思います。  実は、この自賠責の診療報酬基準について、従来まで長年懸案であった交通事故に伴う医療費の問題について、損保協会と日本医師会との間で診療報酬基準について合意をされたと聞いておりますが、その内容を示していただきたいということが一つ。  これによって割高な治療費がなくなるのではないかと言われております。そこで、これらの問題については各県の医師会その他に徹底させる必要があろうと思いますが、その辺についてどうなっているのか、お伺いをしたいと思います。
  213. 山本晃

    ○山本説明員 お答えいたします。  診療報酬基準案の作成につきましては、六十年の八月以来、損保業会と日本医師会との間で鋭意協議を進めてまいったわけでございます。この間、当委員会でも多数の先生方から、早く合意を得て医療費の適正化を図るようにという御指摘をいただいたわけでございます。また、昨年九月の当委員会でも、同じ民社党の伊藤英成委員から厳しく御叱責を受けたわけでございます。こういった中で、本年六月末にようやく中央レベルでの基本的な合意に至ったわけでございます。  この診療報酬基準案の合意内容につきましては、まず診療報酬単価について、薬剤等いわゆる物は労災保険並み、技術料につきましては、交通事故医療の特殊性にかんがみまして労災保険の二割増しを上限とする、ただし、この基準を下回っている医療機関については、これを引き上げる趣旨ではないというのが内容でございます。  この中央レベルでの基本的な合意が実施に移されれば、過大な単価での請求の是正、さらには診療内容の適正化への継続的な努力と相まちまして、医療費支払いの適正化が一層進むものというふうに私どもも期待をしております。  三点目の御指摘の各県の医師会への徹底という点でございますが、医師会自体といたしましては、日本医師会長名で各都道府県医師会長あてに、この中央レベルでの基本的な合意内容が通達をされております。現在、医師会側と損保業界側が都道府県単位で構成します地方医療協議会の場で、この中央レベルの合意内容の尺度の範囲内を目安といたしまして、都道府県ベースの診療報酬基準案の作成について協議が鋭意行われておりまして、私どもといたしましてもできるだけ早くこれが実施に移されるように期待をしているところでございます。  なお、各都道府県段階で診療報酬基準案というものが合意をされれば、各医師会の中に設置されます審査会におきまして医療及びその費用の適正化を図ることが、既に医師会として損保業界側に 約束がなされておりますので、医師会内部でも自浄作用が行われることになるのではないか。また、損保業界としても、仮に個々の医療機関から診療報酬基準案を上回るような水準で請求があった場合には、地方医療協議会の場で協議をするとともに、個別医療機関に対しましても是正化等要請して、個別チェック体制を強化していく方針であるというふうに聞いております。  私どもといたしましても、医療費支払いの適正化のため、今後とも両業界を強く指導していきたいというふうに考えております。
  214. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 ぜひ徹底して被害者救済のためにも頑張っていただきたいと思います。  実は、この交通事故にちなんで自動車保険の不正請求というのが目立っているわけでありまして、暴力団による交通事故を偽装した多額の保険金請求詐欺事件が相変わらず後を絶たない、こういうことであります。昨年だけでも検挙が三千を超えるとか、あるいはまたこれらに対する暴力団とのかかわり合いが多く発生している、こういう問題があります。  例えば愛知県で五十八年から四年間だけでも交通事故による十二件の保険金請求詐欺事件まがいのものがありますし、保険会社等十五社から一億一千百十三万、あるいはまた宮城県で暴力団を首謀者として組織された組織的な犯罪として交通事故の不正請求が行われている例もあります。これについても、宮城県では損害保険会社八社、生命保険会社十二社、農協の共済四社、郵政省が十二件、合わせて一億八千万余の不正請求がされているのも実態であります。  また、先般報道された中では、バスの運転士が知人と共謀して一億四千万の詐欺事件を起こすとか、あるいはまた損保代理店、生命保険の外交員と共謀して一億余万円の詐欺事件を起こすとか、こういう問題が後を絶たないわけであります。損害保険会社などは、警察当局協力を得て犯罪防止の協議会を設置して、不正防止、排除に努力していることは承知しておりますけれども、これらの専門家がこのような形で不正請求をするということは、もうプロですから防ぐことができないのではないかと思いますので、こういう一連の問題について、監督官庁として運輸省及び大蔵省はどのように認識をして対処されているのか、お伺いをしたいと思います。
  215. 山本晃

    ○山本説明員 保険金の不正請求の問題に対しましては、従来から損保会社相互間で情報交換を行いますとともに、損保会社、自算会と警察当局との間で損害保険防犯対策協議会を各県単位で設置をいたしまして情報交換を行う等その防止に努めているところでございます。また、全国レベルでも、六十三年の七月に初めて損害保険防犯対策協議会の全国幹事会を開きましたほか、毎年十一月には保険金不正請求防止対策懇談会を開催いたしまして、相互の連絡体制の確保及び警察当局との協力関係の強化を図っているところでございます。  また、委員指摘のように、保険に従事する者が不正請求に加担している、こういった不祥事件につきましては、これまで私ども通達等によりまして再々にわたりその防止について特段の努力を要請してきたところでございます。今後とも、保険に従事する者が不祥事件を起こさないように、未然防止につきまして万全を期すように強力に指導してまいりたいというふうに考えております。
  216. 早川章

    早川政府委員 任意保険を含めました全体の対応につきましての大蔵省の御説明があったところでございますが、運輸省は、自動車損害賠償保険という強制保険の部分を担当いたしております。これにつきましても五十九年十二月の自賠審の答申がございまして、自動車安全運転センターの発行する交通事故証明書をつけるとか、きちっとした対応をしろということでございますので、そのようなことでやっております。  また、自賠責の保険の損害調査を行う自動車保険料率算定会で何やら不審なものがあるというふうなことを考えましたときには、疑義が生じたような場合につきましては、事故の相手方、医療機関警察等に照会するなど調査を徹底して、不正請求の防止に努めているところでございます。今後とも十分不正請求の防止に努めてまいりたいと考えております。
  217. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 時間が参りましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  218. 正木良明

    正木委員長 以上で田中慶秋君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十六分散会