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1989-12-01 第116回国会 衆議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十二月一日(金曜日)     午前十時九分開議  出席委員    委員長 中村  靖君    理事 尾身 幸次君 理事 岡島 正之君    理事 杉山 憲夫君 理事 谷津 義男君    理事 渡部 行雄君 理事 草川 昭三君    理事 大矢 卓史君       天野 光晴君    松野 頼三君       宮崎 茂一君    上田  哲君       古川 雅司君    野間 友一君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     渡部 恒三君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       浅野信二郎君         警察庁警務局長 仁平 圀雄君         警察庁刑事局長 中門  弘君         警察庁刑事局保         安部長     森廣 英一君         警察庁交通局長 関根 謙一君         自治大臣官房長 小林  実君         自治大臣官房総         務審議官    芦尾 長司君         自治省行政局長 森  繁一君         自治省行政局公         務員部長    滝   実君         自治省行政局選         挙部長     浅野大三郎君         自治省財政局長 持永 堯民君         自治省税務局長 湯浅 利夫君         消防庁長官   木村  仁君  委員外出席者         警察庁長官官房         会計課長    田中 節夫君         大蔵省主計局司         計課長     設楽 岩久君         運輸省航空局技         術部運航課長  松本 武徳君         労働省婦人局婦         人労働課長   鈴木 佑治君         建設省道路局企         画課長     藤川 寛之君         建設省道路局高         速国道課長   橋本鋼太郎君         自治大臣官房会         計課長     田中 基介君         会計検査院事務         総局第一局長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局第二局長  澤井  泰君         公営企業金融公         庫総裁     近藤 隆之君         決算委員会調査         室長      竹尾  勉君     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和六十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和六十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和六十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和六十一年度政府関係機関決算書  昭和六十一年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和六十一年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管警察庁)、自治省所管公営企業金融公庫〕      ────◇─────
  2. 中村靖

    中村委員長 これより会議を開きます。  昭和六十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管警察庁自治省所管及び公営企業金融公庫について審査を行います。  この際、渡部自治大臣国家公安委員会委員長概要説明会計検査院検査概要説明、続いて公営企業金融公庫当局概要説明会計検査院検査概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村靖

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────    昭和六十一年度決算説明                 警 察 庁  昭和六十一年度の警察庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和六十一年度の歳出予算現額は、一、七六四億六、六二一万円余でありまして、支出済歳出額は、一、七四三億四、二二八万円余であります。  この差額二一億二、三九三万円余のうち、翌年度へ繰り越した額は、二億一、八七九万円余であります。これは、設計に関する諸条件により工事等が遅延したため、年度内支出を完了することができなかったものであります。  また、不用となった額は、一九億五一二万円余であります。これは、退職者が少なかったので、退職手当を要することが少なかったこと等のためであります。  次に、支出済歳出額の主な費途について、その大略を御説明申し上げます。  第一に、警察庁経費として一、一八六億一、三一九万円余を支出いたしました。これは、警察庁自体経費及び都道府県警察に要する経費のうち警察法の規定に基づき国庫が支弁する経費として支出したものであります。  第二に、千葉警察東京国際空港警備隊経費として六八億六四一万円余を支出いたしました。これは、千葉警察東京国際空港警備隊が新東京国際空港に係る警備活動を実施するために要する経費として支出したものであります。  第三に、船舶建造費として二億五、七一六万円余を支出いたしました。これは、警察活動に必要な警察用船舶建造に要する経費として支出したものであります。  第四に、科学警察研究所の経費として九億一〇万円余を支出いたしました。これは、科学捜査、防犯及び交通についての研究調査等のための経費として支出したものであります。  第五に、皇宮警察本部経費として五四億三、三八五万円余を支出いたしました。これは、皇宮警察の職員の給与、皇居の警備行幸啓警衛等のための経費として支出したものであります。  第六に、警察庁施設費として二五億一、九二二万円余を支出いたしました。これは、警察庁関係施設整備するための経費として支出したものであります。  第七に、都道府県警察費補助経費として三九二億四、五二八万円余を支出いたしました。これは、警察法に定めるところにより、都道府県警察に要する経費の一部を補助する経費として支出したものであります。  第八に、他省庁からの予算移替えを受けた経費は、総理本府からの生活基盤充実事業推進費として二六二万円余、科学技術庁からの科学技術振興調整費として一、三三五万円余、同じく、国立機関原子力試験研究費として一、一八七万円余、環境庁からの環境保全総合調査研究促進調整費として七九八万円余、同じく、国立機関公害防止等試験研究費として一、七一三万円余、国土庁からの災害対策総合推進調整費として七八〇万円余、同じく、定住構想推進調査費として六二六万円余、同じく、国土総合開発事業調整費として五億円をそれぞれ支出したものであります。  以上、警察庁関係歳出決算について御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和六十一年度決算警察庁についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十一年度警察庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────    昭和六十一年度自治省所管決算概要説明  昭和六十一年度における自治省所管決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  一般会計歳出決算につきましては、歳出予算現額は、当初予算額十兆二千九百十三億六千百四十八万円余、予算補正追加額七千三百四十万円余、予算補正修正減少額四千五百十億五千五百五万円余、総理府所管から移替を受けた額三千四百四十七万円、予備費使用額二百七十七億二千四百五十四万円余、合計九兆八千六百八十一億三千八百八十五万円余でありまして、これに対し、支出済歳出額は九兆八千六百七十三億六千三百六十八万円余で、差額七億七千五百十六万円余を生じましたが、この差額全額不用額であります。  以下、支出済歳出額の主なものにつきまして、御説明を申し上げます。  まず、地方交付税交付金でありますが、歳出予算現額は九兆七千三百四十七億一千五百十六万円余、支出済歳出額は九兆七千三百四十七億一千五百十六万円余でありまして、全額支出済であります。この経費は、「交付税及び譲与税配付金特別会計法」に基づき、昭和六十一年度の所得税法人税及び酒税の収入見込額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額合算額から昭和五十九年度の地方交付税に相当する金額を超えて繰り入れられた額を控除した額に昭和六十一年度の地方交付税交付金特例措置による額を加算した額を、交付税及び譲与税配付金特別会計交付税及び譲与税配付金勘定へ繰り入れたものであります。  次に、参議院議員通常選挙費でありますが、歳出予算現額は二百八十五億七千四百七十六万円余、支出済歳出額は二百八十五億二千八百六十六万円余、不用額は四千六百十万円余となっております。この経費は、参議院議員通常選挙執行に要したものであります。  次に、衆議院議員選挙費でありますが、歳出予算現額は二百六十四億六千三百三十万円余、支出済歳出額は二百五十七億九千二百三十万円余、不用額は六億七千九十九万円余となっておりまして、この経費は、衆議院議員選挙執行に要したもので予備費を使用したものであります。  次に、地方債元利助成費でありますが、歳出予算現額は百八億七千七百二十七万円余、支出済歳出額は百八億七千七百二十七万円余であります。この経費は、新産業都市の建設及び工業整備特別地域等整備に係る地方債特別調整分に対する利子補給金として、道府県に対し、交付したもの等であります。  次に、地方公営企業助成費でありますが、歳出予算現額は百九十五億二千七百六十一万円余、支出済歳出額は百九十五億二千七百六十万円余、不用額は一万円余となっておりまして、この経費は、公営企業金融公庫上水道事業等に係る貸付利率の引下げのための補給金として、同公庫に対し、交付したもの等であります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金でありますが、歳出予算現額は百九十九億五千万円、支出済歳出額は百九十九億五千万円でありまして、全額支出済であります。  次に、施設等所在市町村調整交付金でありますが、歳出予算現額は五十二億円、支出済歳出額は五十二億円でありまして、全額支出済であります。前述の経費及びこの経費は、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し、交付したものであります。  次に、消防施設等整備費補助でありますが、歳出予算現額は百二億九十四万円余、支出済歳出額は百一億八千七百五十四万円余、不用額は一千三百四十万円余となっておりまして、この経費は、消防施設等整備に要する経費の一部を関係地方公共団体に対し、補助するために要したものであります。  以上が一般会計歳出決算概要であります。  次に、特別会計決算につきまして、御説明を申し上げます。  自治省関係特別会計といたしましては、交付税及び譲与税配付金特別会計がありますが、この特別会計には、交付税及び譲与税配付金勘定交通安全対策特別交付金勘定を設けております。  まず、交付税及び譲与税配付金勘定につきましては、歳入予算額は十六兆四千三百六十三億九百四十二万円余でありまして、これに対し、収納済歳入額は十六兆四千七百三十九億三千二百九十四万円余となっております。  また、歳出予算現額は十六兆三千六百六十二億九百四十二万円余でありまして、これに対し、支出済歳出額は十六兆三千百八十九億七千九百二十二万円余、不用額は四百七十二億三千十九万円余であります。  不用額を生じましたのは、一時借入金の利子の支払いが少なかったこと等によるものであります。  支出済歳出額の主なものは、第一に、地方交付税交付金九兆八千三百八億八千九百八万円余でありまして、これは、地方団体基準財政需要額基準財政収入額を超える場合にその財源不足額に応じて必要な財源を、また災害その他特別な財政需要等に対し必要な財源を、それぞれ地方団体に交付したものであります。  第二に、地方譲与税譲与金四千八百二十二億四千三百十三万円余でありますが、これは、地方道路譲与税譲与金石油ガス譲与税譲与金航空機燃料譲与税譲与金自動車重量譲与税譲与金及び特別とん譲与税譲与金として、関係地方公共団体に譲与したものであります。  次に、交通安全対策特別交付金勘定につきましては、歳入予算額は七百二十二億四千百九万円余でありまして、これに対し、収納済歳入額は六百七十一億六百七十四万円余となっております。  また、歳出予算現額は六百六十七億九千七百九十万円余でありまして、これに対し、支出済歳出額は六百二十三億五千二百十二万円余、不用額は四十四億四千五百七十八万円余であります。  支出済歳出額の主なものは、交通安全対策特別交付金五百六十八億二千二百八十六万円余でありまして、これは道路交通安全施設設置等財源として、都道府県及び市町村に対し交付したものであります。  以上、昭和六十一年度自治省所管決算概要を御説明申し上げました。  なにとぞ、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。     …………………………………    昭和六十一年度決算自治省についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十一年度自治省決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────    昭和六十一年度公営企業金融公庫業務概況説明  公営企業金融公庫昭和六十一年度の業務概況について御説明申し上げます。  昭和六十一年度における貸付計画額は当初一兆七百九十四億円でありました。  これに対し貸付実行額は一兆一億二千四百十万円であり、前年度と比較して三パーセントの減になっております。  一方、この原資としては、産業投資特別会計からの出資金二十億円、公営企業債券発行による収入等九千九百八十一億二千四百十万円を充てたのでございます。  なお、当年度における元利金回収額は一兆十三億五千二百八万円余でありまして延滞となっているものはございません。  貸付実行額の内訳は、地方公共団体の営む上水道事業下水道事業等に対するもの六千七百九十二億三百五十万円、公営住宅事業及び臨時地方道整備事業等に対するもの三千百六億七千三十万円、地方道路公社及び土地開発公社に対するもの百二億五千三十万円となっております。  以上により、当年度末における貸付残高は十兆三千九百十一億六千二百七十万円余になり、前年度末残高と比較して七パーセントの増になったのでございます。  以上のほか、短期貸付として三億円の貸付けを行いました。  また、農林漁業金融公庫から委託を受けて公有林整備事業及び草地開発事業に対し二百十一億二百二十万円の貸付けを実行しました。  このため、受託貸付当年度末における貸付残高は三千百四十二億四千百五十二万円余になっております。  次に、当年度における公営企業債券発行額は一兆五千二十一億九千百十七万円余でありまして、このうち公募債が一兆千八十三億三千百十七万円余、縁故債が三千九百三十八億六千万円であります。  次に、公営企業健全化基金について申し上げますと、当年度における公営競技納付金収入額三百十三億三千五百二十万円余を基金に充てました。一方、当年度における地方債利子の軽減に要する費用を基金運用益によって補てんし、なお不足する額二百九十三億九千二百六十万円余に相当する基金を取りくずしました。  この結果、当年度末における基金総額は二千五百五十億四千四百五十六万円余になりました。  次に、収入支出状況について申し上げますと、収入済額収入予算額七千六百六十八億八千九百七十万円余に対し七千五百九十四億五千九百二万円余、支出済額支出予算額七千七百七十二億七千四百九十四万円余に対し七千六百二十八億百七十一万円余でありました。  また、損益の状況でございますが、貸付金利息等利益金総額八千二百十三億四千七十三万円余に対し、債券利息及び事務費等損失金総額七千七百九十九億二千四百八十三万円余でありまして、差し引き四百十四億千五百九十万円余を債券発行差金等の償却に充当いたしましたので、利益金は生じておりません。  以上、昭和六十一年度公営企業金融公庫業務概況について御説明申し上げました。  何とぞよろしく御審議の程をお願いいたします。     …………………………………    昭和六十一年度決算公営企業金融公庫についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十一年度公営企業金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────
  4. 中村靖

    中村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷津義男君。
  5. 谷津義男

    谷津委員 おはようございます。ただいまから質問をさせていただくわけでありますけれども、まず最初に、警察交通事故関係につきまして質疑をさせていただきたいと思います。  政府が初の非常事態宣言を出すほどの交通事故が発生しております。特に、きょうあたりは一万人を超えているというふうに見ているわけでありますけれども、この交通事故につきましては、第二次交通戦争と言われるような状況になってまいりました。これは交通渋滞の悪化とかいろいろな条件があり、あるいは若者がスピードを出しているというふうなこともありますが、こういう面について、急増原因、これはどこにあるのか、まずお聞きをしておきたいと思います。
  6. 関根謙一

    関根政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘のように昨日、十一月三十日現在で本年の交通事故死者数は一万三十一人に達しまして最悪の状態でございます。  その原因でございますが、道路の構造の問題でありますとか安全施設の問題でありますとかいろいろ考えることができるわけでございますが、基本的には運転免許保有者数増加、本年末には六千万人近くになろうとしております。それから車両保有台数増加、原付を含めまして八千万台に近くなろうとしております。こういう運転免許保有者数及び車両保有台数増加に加えまして、生活形態の夜型化、レジャー時間の拡大高齢化社会進展等国民経済の活況に伴います道路交通の質的な変化も原因一つに挙げることができようかと思います。  さらに、最近の事故を分析してみますと、若年運転者原因となった死亡事故が多いわけでございますが、これにつきましてはドライバー交通安全意識原因があるのではないかと考えております。
  7. 谷津義男

    谷津委員 国民ドライバー化という中で、交通対策というのは広い範囲で行政業界等も一緒になってやっていかなければだめで、いわゆる抜本的な対策を立てていかなければこの増加傾向はなかなかおさまらないのではなかろうか。しかも警察官等はもう取り締まりの限界に来ておる、体力的にも大変過重になっておるというふうに私は考えるわけであります。そういう中で新しい対策を進めるためには、単にモラルだの何だのという精神論だけではちょっと無理な状況に来ていると私は思うのです。そういうところからいけば、機器の整備も大事でありますし、あるいは管制センター等高度化といいますか、そういうものもやっていかなきゃならぬ。あるいは国民への情報の提供等もやらなきゃならない。そうした体制をつくるためにはいろいろな予算がかかるであろうと考えるわけでありますけれども、この辺については財源をどのように必要としているか、この考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  8. 関根謙一

    関根政府委員 御指摘にありますように、単に精神論だけで現下の交通事故急増に対応することは困難であると考えております。  十一月二十八日に発せられました交通対策本部非常事態宣言に伴います諸施策におきましても、広報啓発活動でありますとか、交通安全教育交通安全施設整備、さらに指導、取り締まり強化等施策を盛り込んでいるところでございます。さらに、道路整備等を含めました総合的な交通安全対策が不可欠でございますが、それらの施策を実施する上での問題点につきましては、財源の問題も含めまして今後検討をしてまいりたいと考えております。
  9. 谷津義男

    谷津委員 国家公安委員長たる大臣にもお聞きしたいわけでありますけれども、この財源の問題であります。道路等についてはいわゆるガス税ガソリン税等特定財源がある。問題は、今これは一般財源でやられているようでありますけれども、この一般財源という中でやっておりますと、いろいろほかに大きな事件があったりするとそっちへとられたりして、体系的に一つ財源をつけていくということはなかなか難しいだろうと思うのですね。  そこで、いつも予算のシーリングの中でやられておって、今度は一万人を超えるというふうな状況に達したときに、何か特定財源と言ってはなんですけれども、そういうものを確保する必要があるのじゃなかろうかというふうに私は思うのです。特に消費税実施等によりまして自動車販売等もかなり進んでおりますし、自動車会社もかなり利益を上げているのじゃなかろうかという感じを私も持っているわけであります。そういう販売利益の中からでも特定財源として何とか考えられる余地があるのかどうか、そういうものも含めて大臣考えをお聞かせいただきたいと思います。
  10. 渡部恒三

    渡部国務大臣 谷津先生指摘のとおり、ついに交通事故で死亡する方が今年一万人を突破することになってしまいました。大変残念なことであります。今や交通事故をなくすること、また国民皆さんの毎日毎日の交通渋滞いらいらをなくしていくこと、この二つは総合的な内政上の大きな我々の取り組まなければならない当面の緊急の課題になっております。よって来るゆえんはいろいろございますが、何といってもこの狭い日本についに自動車が七千万台を突破するということになってきたわけでありますから、これが一番大きな原因である、こう申し上げても過言ではないと思います。  したがって、これを解消していくということを考えますと、今日の時代カー社会に向かって進んでおる、そのために国民皆さんにとっても自動車は足のような状態になっておりますから、なかなかこれを制限するわけにもまいらない。しかし、自動車は今、御承知のように税制改革で、二〇%の物品税が六%になり、将来さらに三%になる、こういうような状態もございます。  そういう中で、この交通渋滞いらいら、また交通事故、これをなくしていくためには道路交通網整備する、これは非常に大事なことであります。大都会の地価の値上がりを考えますと、駐車場一つつくるのにも膨大なお金がかかるわけでありますから、その面の財源拡大ということも大事なことでありますし、また警察当局でやっておる交通施策も、今時代が変化してまいりまして、交通管制等コンピューター化、あるいは交通信号機高度化といったようないろいろお金がかかる問題、やはりお金をかけないと今日の変化した、増大したカー社会交通対策にこたえていくことのできない多くの問題を抱えております。  こういうことを考えますと、今の谷津委員の御意見は大変貴重なものでありまして、自動車が急激に増加しておるという関連の中で、交通渋滞交通事故をなくしていくための必要な財源というものを今後どうして捻出していくかということを真剣に考えていかなければならない時期にやはり来ておる、谷津先生の御意見、貴重なものとして今後検討してまいりたいと思います。
  11. 谷津義男

    谷津委員 その件につきまして、やはり消費税によって、若者も何も三ナンバーというのですか、大型にじゃんじゃん切りかえていって、大型が非常に売れ行き好調だという話も聞いておるわけであります。そういう面からあわせますと、今大臣がおっしゃったような面で、その辺のところをぜひ真剣にひとつとらえていただきましてこの問題に対処していかないと、今後どういうふうな方向にいくか、まだまだそういった交通事故が発生する危険がありますから、早急の対処をお願いしたいというふうに考えるわけであります。これは要望させていただきます。  次に、自治体の資金運用についてお伺いをしたいと思います。  これは歳計現金の運用益ということでちょっとお聞きしたいと思うのですが、最近自治体が歳出に充てるためのいわば支出準備金といいましょうか、税金や国庫支出金の収入状況、各種の事業費あるいは給与などの支払い状況によって変動している財政が、逼迫時代とはちょっと変わってまいりまして、最近は非常に手持ち額が多くなってきたといいましょうか、そういうことでかなりの収益を上げているというふうに私は思うわけなのです。これは金融の自由化等にもよると思うのです。ですから、自治体においては、大口定期あるいは外貨定期とかMMCなどという自由金利の商品を扱って、預け入れの限度額なんかも、期間等も緩和されたということから、かなりそういった面ではいろいろな面で利益を出しているのじゃなかろうか。  そこで、六十三年度の地方公共団体の歳計現金の運用益の実態はどうなっておるのか、六十二年度に比べて大幅に運用益を出しているような感じを私は受けるのでありますけれども、その辺はどうなっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  12. 持永堯民

    ○持永政府委員 歳計現金の運用益の問題でございますけれども、財政規模も年々膨らんでまいりますから、当然歳計現金として持っている資金の量もふえてまいるわけでございまして、あわせまして、今お話ございましたように、この金利の自由化、商品の多様化ということによりまして、確かに御指摘ございましたように運用益増加する傾向にございます。  そこで、六十三年度につきましてのお尋ねでございますが、全体としては現在取りまとめをいたしておる段階でございますけれども、幾つかの団体に問い合わせをいたしたわけでございます。県の場合でございますが、例えて申しますと、先生御出身の群馬県等について聞いたわけでございますけれども、六十二年度に比べると約三倍程度の運用益になっておる。去年六十二年が二億円程度だったわけでございますけれども、六十三年度は七億円程度になっているということで、三倍強というような形になっております。ほかに幾つか問い合わせいたしておりますが、全体としてやはり六十二年度に比べると二割、三割というような形で増加をしておる傾向にございます。
  13. 谷津義男

    谷津委員 資料によりますと、六十二年度で約一千五百億弱、これは都道府県あるいは市町村合わせての数字ですけれども、どうも六十三年度は私が見ると倍くらい、三千億近いのが出るのではなかろうかなという感じを持っているのです。  その増加した理由につきましては、地方公共団体が運用方法について大変な苦労をしまして、そういう中でいろいろとやっておるというふうに私は考えるわけなのです。また一方、起債の方の金利も上がらないわけではないので、これはまた支出の方も出ているということも考えなければならぬと思うのですけれども、自治体がどんな苦労をしているのか、いろいろなやり方があろうと思うのですけれども、自治省としてはどういうふうに見ておるのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  14. 持永堯民

    ○持永政府委員 まず、資金運用の面で申し上げます。  先ほど来お話ございますように、いろいろな苦労といいましょうか知恵をひねりながら、なるたけ有利な運用をしようということで対応しているわけでございまして、地方自治法の上でも、歳計現金の運用につきましては、預金その他最も確実かつ有利な方法によって保管をしなければならない、こういうふうになっておるわけでございまして、もちろん確実でなければなりませんけれども、同時に、なるたけ有利な方法によって運用をいたしまして、若干でも財政運営に資するという考え方は当然とるべきであろうと思っております。  しかしながら一方で、今お話ございましたように、いわゆる起債の面では逆に今度は金融機関から借りる立場にもなるわけでございます。したがいまして、資金運用面だけを頭に置くのではなくして、一方で調達するという立場もございますから、両方兼ね合わせながら、両方調和をとりながら全体として資金管理の適正化、効率化を図っていく、そういう考え方で対処すべきであろうと考えておる次第でございます。
  15. 谷津義男

    谷津委員 一方、消費税の実施によりまして、かなり良質な地方財源というのがみんな国の方に来るというようなことになりまして、そういう点はかなり地方の方においても資金的に大変な面があるのです。そういうものですから、何とか苦労しながら自分のところで自由に使えるというのですか、そういう資金を生み出そうとする努力があるということを私も感じているわけなのです。  そこで、まだ決まってはいないわけでありますけれども、もし仮に今度の我が党の見直しの中で特別地方消費税というものが廃止になったというふうなことが起こった場合、この廃止分については何か別な方法で地方に出してやる、いわゆる譲与税で出してやるかどうかとか、いろいろ考えがあろうかと思うのですが、この辺はこれからのことではありますけれども、自治省としての考え方もあろうかと思いますので、その辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  16. 持永堯民

    ○持永政府委員 特別地方消費税の問題につきまして、私は直接所管しておりませんので、これは税務局でやっておりますが、私が承知している範囲では、今党の方でいろいろ御議論がございまして、お話ございましたように、廃止ということも含めて検討がなされているやに伺っております。そこで自治省といたしましては、去年の税制改正の経緯等から考えまして、引き続き存続をすべきものであるという立場でいろいろとお願いを申し上げているわけでございまして、仮になくなった場合にその財源をどうするかというところまでは実はまだ考えてないわけでございまして、やはり存続をするように努力をさせていただいておるというのが現状でございます。
  17. 谷津義男

    谷津委員 どっちにしましても、自治体にとっては大変な財源になるわけなのでありまして、何か一つ一つ引っぺがされていくような感じで、地方の独自財源がなくなってくるということになりますと、地方において特殊性を出せの、地方で頑張れの言われたところで、なかなか財源で不足してくるとできないものでありますから、その辺は自治省もひとつ頑張っていただいて、何とかそういう方向で確保できるような方策をとっていただきたいというふうに思うわけです。  そういう中で、こうした地方公共団体の歳計現金の運用の実態について自治省もいろいろ考えておると思うのですよ。そして、自治省としてはこういうことを基本的にどういうふうに考えているのか。これはもっとじゃんじゃんやりなさいというように進めていくのか。あるいは、場合によっては地方公共団体がそういうことで利益を生み出すためにいろいろなことを考えてくると思いますが、時によってはこれはやり過ぎになるような事態にもなりかねない面を私は懸念するわけです。この辺のところを自治省としてはどういうふうに考えておるのか。全く自治体にお任せですよというふうに考えておるのか、あるいはまたここら辺のところは節度を持ってやるべきだというふうに考えておるのか、その辺のところをひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  18. 持永堯民

    ○持永政府委員 基本的には、資金運用をどうするかということは各地方団体の自主的な判断で行うべきものでございますけれども、同時に、先ほど申しましたように、地方自治法の上からも確実かつ有利に運用するという考え方もあるわけでございまして、そういう立場で対応すべきでございますが、お話もございましたように、余りそれが過度にわたると申しましょうか、いわゆる世間で非難を受けるようなところまでというような形では望ましくないと思っておりまして、有利な運用をし、かつ、財政資金の効率的な運用を図るということを考えながら、一方におきましては節度を持った運用が当然必要だろう。  これは、先ほど申しましたように借りる立場も一方であるわけでありますので、そういったことも考えますと、そういうことで対応すべきだろうと思います。  自治省として、そういったことで具体的な指導を個別にするというようなことは今までございませんけれども、いろいろな機会を通じまして、そういった資金運用につきましても何らかの指導をしてまいりたいと考えております。
  19. 谷津義男

    谷津委員 ひとつよろしくその辺のところをお願いしたいと思います。  次に、自治体の規制についてちょっとお聞きしたいと思うのです。  最近、新聞報道によりますと、通産省が自治体の規制についてちょっと注文をつけておるということなんです。これは日米構造協議等で話し合われている中に、大型店の問題があります。この中で、中規模の小売店の出店に対しましては地方自治体が条例や要綱などで独自の規制をしている、このことは通産省側から見れば非常に大型店法の趣旨に反しているのではなかろうかということで、クレームをつけてきているということなんですが、この点についてまず最初にお伺いしたいと思います。
  20. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 今先生お示しのように、大店法に係る規制の緩和につきまして、その運用の改善を含めまして通産省において現在検討中である、こういうように聞き及んでおるわけでございます。  ただ、私ども地方自治体が、憲法九十四条なり地方自治法十四条の規定に基づきまして、法令に違反しない範囲でそれぞれ地域の実情に応じましていろいろな条例をつくります、いろいろな規制をいたします、それはむしろ地方団体の固有の権限ではなかろうか、こういう基本的認識を持っているわけでございますので、これらにつきまして、国が一般的な行政指導を一律的に行うということは必ずしも適当ではない、こういうふうに考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、この問題、いずれ通産省の方から改めて正式のお話があるような段階になろうかと思いますけれども、自治省としましては、地方自治の本旨というものを十分考えながらよく検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
  21. 谷津義男

    谷津委員 何か意見が大分対立しているやに私どもは聞いておるわけなんです。通産省なんか、もし対立しているならば、これを内閣法制局の判断に任せるんだというようなことも言っておるようでありますけれども、地方の商店から見ますと、実は今おっしゃられたようなことは、はっきり申し上げますと救いの神なんですね。そういうことで、地方公共団体のやられるそういうことについては非常に期待もしておるということもまた事実なんですね。  ところが、これが一方においては日米間の問題にもなってくるということになりますと非常に不安を持っておって、何とかこの問題については通産省の方も、中小企業のそういった面の商店のことも考えてほしいというようなことも言われておるのですけれども、なかなかそうもいきそうもない。そうなると、自治省に期待をするといいますか、そういうところが非常に大きくなってくるわけであります。  そこで自治省としては、今のお話ですと、これから協議をしていくんだということでありますけれども、地方自治体の独自性、しかも場合によっては商店のいろいろな協議というのですか、それによって許可するとか、何かの一つの義務づけ、そういうこともやっておって、商店の人たちもそれに参加できるということで、いろいろとその辺で円満に解決する面もあるわけなんですね。だから、そういうことを考え合わせますと、これは単に通産の言っていることのみに私どもも賛成というわけにいかないわけでありますが、これは大いに自治省としては頑張ってもらわなければならない面があるわけであります。  そこで一点聞きたいのですけれども、こういうふうな問題になってまいりますと、やはり地方の独自性というのを今おっしゃいましたけれども、この点を最後まで守り抜けるのかどうか、この辺のところをちょっと自治省の決意のほどをお聞かせ願いたいと思うのです。
  22. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 先ほど申しましたように、法律で規制する部分と、それ以外の部分につきましては条例で規制できる部分があるわけでございます。条例で規制できる部分につきましては、それぞれの地方団体が、地域の実情に応じまして必要な規制、行き過ぎはいかがかと思いますが、必要な合理的な規制を加えるということは、これは法律的に言いましても十分可能でございますので、今委員お示しのような事案に即しましては、地域の実情を最大限優先に考えたような条例ができるように、あるいは今後もそれが続けられるように、私どもも指導を求められればそういう立場でこの仕事を進めてまいりたい、かように考えております。
  23. 谷津義男

    谷津委員 自治省はこういうことを言っているのですね。条例の制定権は固有の自治だ。要するに、通達なんかよりも優先するんだというような考え方なんですね。これでいくわけですね。
  24. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 法律に基づいて通達される部分につきましてはそれは通達がある程度意味があろうと思いますが、それ以外の部分につきましては、それぞれ地方団体の固有の権限に基づきましていろんな条例をつくるわけでございますから、それは効力が及ばない、こういうように理解いたしております。
  25. 谷津義男

    谷津委員 これからこの問題は大きな問題になってくると思いますので、しかもまた決着をつけなければならない問題でもあるわけであります。それだけに自治省におきましても、毅然たる態度でこの問題については対処してほしい。特にそういった面では商店の関係の皆さん方は非常に期待をしているということを申し述べまして、終わらせていただきます。
  26. 中村靖

    中村委員長 次に、渡部行雄君。
  27. 渡部行雄

    渡部(行)委員 最初に交通事故の問題についてお伺いいたします。  ごく最近までに交通事故で亡くなった人、平成元年度でですね、それから事故の件数、これを聞かせてください。
  28. 関根謙一

    関根政府委員 平成元年における死亡事故の件数でございますが、昨日、十一月三十日現在で一万三十一人でございます。一万人を超えました昨年に比較いたしまして、二十日間早く一万人に達したわけでございまして、私ども死亡事故を減らすことに懸命に努力をしてまいりました行政機関にとりまして、まことに残念な結果となっております。
  29. 渡部行雄

    渡部(行)委員 最近交通事故が大分どんどんふえてきておるわけですが、その原因はどういうふうにお考えですか。
  30. 関根謙一

    関根政府委員 死亡事故増加原因としてはいろいろな原因考えることができようかと存じます。ことし十一月末現在で一万三十一人の方が亡くなったわけでございますが、その原因といいますか、第一当事者となっておりますのが自動車原因とするもので、これが九〇%以上でございます。さらに自動車の運転者別で見ますと、そのうちの四〇%ほどが若年者でございます。こうしたことの背景を考えてみますと、何と申しましても、運転免許保有者数増加車両保有台数増加指摘することができようかと思います。さらに、国民経済の活況に伴いまして、生活形態の夜型化、レジャー時間の拡大高齢化社会進展等に伴います道路交通の質的な変化というものも指摘することができようかと思います。そのほかに、道路構造の問題でありますとか交通安全施設整備状況の問題でありますとかいろいろあろうかと思いますが、直接的な原因ということを考えてみますと、ドライバー及び道路利用者の間における交通安全意識に問題があるのではないかと考えております。
  31. 渡部行雄

    渡部(行)委員 今、大体原因をおっしゃられたのですから、その原因については今後どういう方法で交通事故をなくす方向で対策をされるのか、それをお聞かせください。
  32. 関根謙一

    関根政府委員 事故防止対策についてでございますが、運転免許保有者数は今後とも増大すると考えられますし、自動車保有台数もますます増加するものと考えます。こうした道路交通環境を前提といたしまして、私ども警察行政機関といたしましては、まず、非常事態宣言に伴います一連の政府施策の一環といたしまして、交通安全意識についての広報啓発活動を積極的に行うこと。それから二つ目に、交通安全施設整備を図ること。三つ目に、交通安全教育の充実強化を図ること。さらに、これから年末にかけて飲酒運転等によります事故がふえてまいるわけでありますが、そういう事故実態に適合した効果的な交通の指導取り締まりを行うこと等によりまして、この非常事態に対処してまいりたいと考えております。
  33. 渡部行雄

    渡部(行)委員 車が増加することはとても防ぐわけにはまいらないと思います。それから、レジャーの時間もこれからますます多くなるのではないか。そこで、質的変化を起こしているという御認識のようですが、この質的変化というものに今後それではどう対応していくのか。道路構造上の問題などは例えばどういう点に問題があったのか。あるいは、施設によって交通事故をなくそうとするにはどういう施設が必要なのか。その辺をひとつ、可能なことと不可能なことを分けて、この点はどうしようもない、いわゆる時代の進展とともに車が多くなったりレジャー時間が多くなる、そういうのはどうしようもないので、どうしようもないところにどういう対策をする、そして、何か対策をすれば何とかなるというところについてはこういうふうに考えている、そういうふうにお答え願いたいと思います。
  34. 関根謙一

    関根政府委員 現在における交通環境の趨勢と、その趨勢を前提とした上での交通事故対策についてのお尋ねでございます。  御指摘のように、自動車保有台数増加でありますとか運転免許保有者数増加、それから生活形態の夜型化でありますとか高齢化社会への進展といったような交通環境につきましては、これは時代の趨勢であり、むしろ喜ぶべきことであろうかと考えます。他方、こういう交通環境を前提といたしまして、そこから生ずる副作用といいますか、病理現象に対しては、何としても的確に対処していかなければならないことと考えます。  先生御指摘道路構造上の問題を例に挙げて申し上げますと、例えば我が国における死亡事故を分析いたしますと、昨日現在、十一月三十日現在における死者数のうち、自動車乗車中で亡くなった方が全体の三八・四%、それから歩行者、自転車・二輪車乗車中で亡くなった方というのが全体の六一・六%でございます。アメリカと比較をしてみますと、アメリカの場合には自動車乗車中で亡くなる方が全体の交通事故死者数の七〇%を超える数でございます。これは道路構造上の問題がございまして、我が国の場合には自動車も歩行者も自転車も二輪車も混合交通ということで、同じ道路を通るということから生ずる問題であろうかと思います。こういった点につきましては、道路構造の立体化等いろいろな工夫を講ずることによって原理的には改善が可能であると考えております。  さらに、交通安全施設の点で申し上げますと、これは信号機等の整備の問題でございますが、信号機が未整備であったために交差点における出会い頭事故というものが生じているケースもかなりございます。これも交通安全施設整備することによって原理的に避けることができる事故であると考えております。その他、交通情報を提供することによりまして、ドライバーの方々、道路利用者の方々に道路を利用せずに鉄道等を利用していただくこと等、交通機関の適正な選択をしていただくということによって回避できる事故もあろうかと思います。それらのことをいろいろ工夫しながら今後の施策を選択してまいる所存でございます。
  35. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、道路構造上の問題を今いろいろ言われましたけれども、結局は、簡単に言うと、その道路を通る自動車の台数に比べて道路の幅が狭いというようなことが相当あると思うのですね。だからそういう点は直せる問題だと私は思うのですよ。そしてまた、急激に道路幅が狭まるところもあったり、そういう点を十分チェックして直していく必要があるのじゃないか。  それから、何車線かに分けて車種の区別をさせながら、例えば、大型バスとかそういうものはどの線を走れ、あるいは普通乗用車はどの線を通れとか、いろいろやられると思うのです。そういう区分をこれからやる御意思はあるのですか。
  36. 関根謙一

    関根政府委員 御指摘でありますように、交通事故の大きな原因一つといたしまして車線変更という問題がございます。車線変更は、道路が急激に狭まるところでありますとか駐車がある場合に、それまで走ってきた車が別の車線を走らなければならないということになり、いわば、川の流れで例えますと一種のせきをつくってしまう現象でございます。ここで事故が起こるという例は多々あるわけでございます。  これに対しましていろいろな施策を講じているところでございますが、御指摘のような、車種別のレーンを設けましてそれに従って運転をしていただくこととするように指導いたしますとか、そのような手だてはいろいろと講じているところでございます。昨年中も、それぞれ重要な道路を指定いたしまして、そこにおける事故防止とあわせまして交通の円滑化という観点からも、車種別のレーンを設けることでありますとか、時間によりまして中央線を変えることでありますとか、いろいろの工夫をしてきたところでございますが、今後ともさらにその面を工夫いたしまして、御指摘のような効果を上げるべく努力をしてまいりたいと考えます。
  37. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それからもう一つドライバー道路を通っていて、今どの道路を自分が通っているかというのはなかなかわかりにくいのです。道路標識とかいろいろありますけれども、それでもなかなかわかりにくい。  そこで、これは雪の降らないところなら一番いいのですが、よく病院に行くと外科は何々色を通りなさい、内科は赤い色のところを通りなさい、そういうふうにあるように、道路のセンターラインを色で変えて、例えば国道は青色にするとか、あるいは県道は赤色にするとか、あるいは主要地方道は黄色にするとか、そういうことで区別のできるところはやっていく。また、東北のように雪の降るところは道路に書いてもどうしようもないから、交差点とかあるいはその道路から分かれる枝線、そのところに交通案内、いわゆる路線案内をきちっと立てておくとか、何らかのそういう処置をしないとやはりいろいろ交通上の問題が出てくると私は思うのですが、そういう発想についてどのようなお考えがあるのでしょうか。
  38. 藤川寛之

    ○藤川説明員 今先生からお話がございました道路の情報といいましょうか、道路の案内の件でございますけれども、ドライバー道路を走行する場合に必要とする情報といたしましては、一つは、自分がどういう道路を走行しているんだ、どこにいるんだろうかというようなこと。それから自分が、ドライバーが向かっている方向なり方面なり地点、どこに行こうとしているのかというような情報。それから道路の場合はたくさんの道路が交差するわけでございますので、どの交差している道路を選択して走行していけばいいかというような情報が必要であるというふうに考えているところでございます。  そういう案内情報の提供につきましては、標識令というのがございまして、これに基づきまして私どもとしては案内標識というのを設置しているところでございまして、情報を適切また確実なものにするというような観点から、例えば交差点におきましては、交差点の手前に予告標識というのをまず設置する、それから交差点に本標識というのを設置する、それから交差点を過ぎたところで確認標識というのを設置するというようなことをやっておりますし、また、交差点以外の単路部につきましてはルートマーカーというようなものなどを設置いたしまして、そういう案内情報の提供に努めているところでございます。  しかしながら、今もお話がございましたように、この案内標識の整備につきましてはまだ不十分じゃないか、それから案内する案内標識の標示の内容がわかりにくいというような御指摘が非常に多いものですから、私どもとしてもその改善に一層努めていく必要があるというふうに考えておりまして、道路標識に関しまして道路の利用者がいろいろ御意見を持っているわけでございますが、そういう御意見を適切に酌み取って反映していく必要があるだろうということで、ことしの五月に全国に標識ボックスというのを設置いたしまして、そういう道路利用者の方の御意見を承る、承って必要なものは改善するというような仕組みを設けております。  それから、標識週間というのが私どもあるわけでございますが、その標識週間には標識の点検の強化というふうなことをやっておりまして、わかりやすい標識の設置というようなことに向けまして努力しているところでございます。  今委員の方からお話がございました区画線を色分けするということでございますが、一つは、道路の場合、非常にたくさんの道路が交差する、あるいは並行して走っているというようなことでございますので、色分けだけですと非常に混乱を生じるおそれがあるのではないか。それから、ルートマーカーと異なりまして、区画線の色だけですと、自分が走っている道路がどういう道路だという特定が非常に困難ではないかなというようなことがございます。それから、今お話がございましたように、雪の降る地域等でも、良好な管理を図るという面でいろいろ難しい問題もあるのではないかなというふうに考えられるわけでございます。  私どもといたしましては、やはり案内情報を適切に提供するという観点から、利用者の方の御意見を十分拝聴いたしまして、標識の整備を充実拡充いたしますとともに、点検を適切にやるというようなことで、わかりやすい案内が図れるように今後とも一層努力してまいりたいと考えております。
  39. 渡部行雄

    渡部(行)委員 今の方は、よく見ると説明員ですから、これ以上どうしようもないですな。建設省はきょうはやっていないでしょう。説明員を出すときには、政府委員を出して説明員を出しなさいよ。そんな判断力のない答弁をされたって困るんだ、こっちは。今の答弁ではちっとも前進していないじゃないか。悪いことは認めておるが、これから努力しますというだけの話で、そして色分けすればそれは難しいの何のかんのって。これは十分議論すればはっきりしてくるのですよ。今の答弁では困っている現状の認識が全然足りないと私は思う。それは帰ってから局長によく言っておきなさいよ。  では次に、自治省警察庁、両方込みでお願いします。  まず、この間の参議院の予算委員会で、パチンコ事件で社会党が何か問題がたくさんあったような言い方で大分攻撃されましたが、これは自民党も、リクルートで攻撃される前にこのパチンコで攻撃し返せばリクルートはまあ影が薄くなるだろう、そういうねらいがあったと思うのです。ところが、どんどん追及していったら自分の方に火が大分回ってきて、社会党以上に大変燃え盛ってきたら途中でぴたっとやめてしまった。こういう選挙目当てのずるいやり方は、私は、天下の公党として恥ずかしくないか、こういうふうに思うのです。特に、自治大臣はその答弁の中で大変問題な答弁をしているのですよ。これは、いいですか、読んでみますから。  前はちょっと略しまして、「朝鮮総連は治安的にも重大な関心を払わなければならない団体であります。」それから、関係のないところは時間の関係で省略しますから、「そのような団体から献金を公党が受け取っておるとするとこれはゆゆしき問題でありますから、警察当局においてももし違法の事実があるとすれば厳正に対処するものと考えております。」こういうふうにお答えになっているわけですが、その前に山岡賢次という参議院議員の質問があるわけですよ。「朝鮮総連は危険な団体であり当局に監視されていると、さきの衆議院の予算委員会で公安調査庁がこのように指摘をいたしました。」こういうことを言っているのです。そして云々として、自治大臣の答弁を引き出したら今言ったような答弁になっておる。これを組み合わせるとまさに猿芝居と言っていいかね。しかしあなたは大臣なんですよ。少なくとも危険団体とか、そして治安上問題があるような、そういう表現で答弁すべきじゃないと私は思うのです。  今、朝鮮民主主義人民共和国の世界的な位置づけと、またこれから流れる日本との関係、そういうものを考えた際には、相当慎重な表現をしないと、石原慎太郎さんみたいに大臣やめても、あのノーと言うときはノーと言うというだけの話であのくらい国際問題になっているのですから、その辺に対して私は慎重さを欠いているんじゃないかと思う。しかも違法の事実があればということで、あなたがつかんでいるわけじゃないんだよね。問題に対して警察庁に寄りかかっているんだよ、この答弁は。あなたが少なくとも最高責任者なんだから、十分調査をしましたところがこうこうこうだった、そうしたら自民党にもあったんだから、自民党に対してはどういうふうに考えておられるのか、この辺についてお答え願います。
  40. 渡部恒三

    渡部国務大臣 参議院の予算委員会における自民党の山岡委員の質問に対する私の答弁についての御質問がございました。私はあのとき一般論を申し上げたと記憶いたしておりますけれども、治安の維持、これは警察の、国民皆さん方が平和で安心して暮らせるための大きな責務であります。そういう意味で、これは外交問題とは全然異なった次元で、治安の維持のために関心を持つべき団体については、これは関心を持って当たらなければなりません。  また、北朝鮮との外交関係、これはもう我が国はすべての国とできるだけ仲よくする方向で外交を進めていくのは当然のことでありますが、そのことと、国内において治安の維持のために警察としてとるべきことはとってやっていくということは、これは全く次元の異なる問題であるということを委員に御理解を賜りたいと思います。  また、政治資金規正法二十二条の「何人も、外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織から、政治活動に関する寄附を受けてはならない。」というこの規定は、お互い政治家がまず国益を守るということが政治家の大変大きな仕事であるということの前提から、仮にも国益を損ねるような疑惑を国民から抱かれてはならない、こういうことでこの規定があるものと承知をいたしております。そういう私の国務大臣としての基本的な考えから、山岡委員の御質問に対して、もし山岡委員御指摘のようなことがあるとすればこれはゆゆしき問題であるので、今後事実関係を見きわめてそういう事実があれば適正に対処したい、こういう答弁を申し上げたわけでございます。
  41. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これは一般論だと言うけれども、一般論になってないんですよ。治安というのは国全体を対象にして言うときに一般論ということを言えるけれども、一つの団体を名指しで言うときには一般論にならないのではないですか。だから、私はそこを言っているのですよ。  それでは、朝鮮総連にどういう治安上の問題があったのですか、具体的に言ってください。
  42. 渡部恒三

    渡部国務大臣 先ほども申し上げましたように、朝鮮総連は、警察当局としては治安の維持を預かる立場から関心を持っておる団体でございます。
  43. 渡部行雄

    渡部(行)委員 時間がなくなりますから、とにかく今後は責任者としての良識ある態度をやはり私はお願いしたいのですよ。つまり、自分が口に出して特定する場合にはその裏づけというものを持って特定すべきであって、裏づけなしに人の捜査に寄りかかって、もしあればなどという仮定の話をされるべきではないと思う。だから、今後はひとつそういう点で注意していただきたい。  あなたの答弁というのは後にも出てくるのですよね。最後に、「御指摘のようなことは決してあってはならない」、「決してあってはならない」ということは、御指摘のようなことがあったという認識があるからそういうことになるのでしょう。そして、「もしそのようなことが事実であるとすれば、」またここで仮定の話に変わっている。「大変遺憾な事態であると受けとめております。」仮定の問題に対してなぜ大変遺憾なのですか。仮定するということは実在しないということなのですよ。そういういいかげんな答弁だから、同じ問題で答弁をしても海部総理の答弁は問題にならないのです。あなたの答弁はなぜ問題になるか。これは大臣の答弁ではないですよ。私はこういうことでは困ると思う。  そこで、今度警察庁に聞きますが、何か議員から圧力があったというようなニュアンスで答えておるけれども、この森廣政府委員というのは、その圧力があって、それでは警察庁はどのようにその圧力に屈したのですか、具体的に言っていただきたい。
  44. 森廣英一

    森廣政府委員 お答え申し上げます。  兵庫県の条例の改正の問題についてのお尋ねであろうというふうに存じますが、この条例改正につきましては、警察庁長官も答弁をいたしておりますように、国会議員の働きかけがありました。その働きかけが条例改正の動機になったというふうに認識しておりますけれども、条例改正の内容そのものあるいはまた条例改正の手続におきましては適正なものであったというふうに認識をしております。
  45. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それがきっかけになったというのはどういう具体的な証拠があるのですか。それはあなたの想像ではないですか。しかも、ここで重大なのは、県議会が合法的に、適法にやったことについてなぜ国会でとやかく議論しなければならぬかということだ。これは自治権の侵害ではないですか。こんなことが許されるのでしょうか。また自治大臣も、そういう議論があれば一言そこで言うべきですよ。あなた、県議会は何か一議員のために動いたようにしかとれないでしょう、今のこの答えは。こんなばかな話はないですよ。これはどういうふうに解釈するのです、自治体の独立した権限については。
  46. 森廣英一

    森廣政府委員 お答えいたします。  国会議員から働きかけがありました特定のパチンコ業者の方が許可を失効に至らしめられたという一つのケースをきっかけにいたしまして、条例全体を検討いたしたところ、当時の兵庫県下における実態の変化並びに兵庫県に隣接いたします付近の府県における条例の規定等を照らし合わせまして、このような条例改正をすることが適切であるという判断で条例が改正されたものであるというふうに考えております。
  47. 渡部行雄

    渡部(行)委員 条例改正したことは悪いことなんですか、いいことなんですか。そして、例えばだれでもそうだ、こういう間違いがあって非常にかわいそうな立場になった場合に、それが警察の管轄である場合に、それはかわいそうだけれどもひとつどうにかならないかと言うのは、そういうふうに事情をよく聞くということは常識ではないでしょうか。これが圧力だなんてとられたら一体議員の調査権とかいうものはどういうふうになっていきますか。その辺についてひとつお答え願います。
  48. 森廣英一

    森廣政府委員 一つのケースをきっかけにはいたしておりますけれども、その一つの業者を救済するのみのために条例を改正したのではございませんで、先ほど申し上げましたように、そのケースをきっかけにいたしまして、条例全体の規定を検討するとかあるいは実態をいろいろ検討いたしまして適切な改正をいたしたということでございます。
  49. 渡部行雄

    渡部(行)委員 大変いいことをやったのではないですか。あなたの表現がおかしいのだよ。これは、答弁は答弁で独立しているのではないのです。質問と答弁と組み合わせて物事は判断されるのだから、そうすると、自民党と山岡議員とあなたとで何か事前に打ち合わせして、こういう質問にはこういうふうに答えろよというようなあれがあったようにしかこれは読めないのですね。警察は、中立性を保っていたらこんな答弁ができるはずはないのですよ。もっと自分の立場というものを考えていただきたい。  最近、特に警察の風紀が紊乱して綱紀が非常に問題になっておる。こういう中で幹部がこういうことを表現していくと、国民から本当に警察の信頼はなくなりますよ。私はきょうはたくさん具体的な事件を、目の前にいる犯人を取り逃したりばかりしているそういう事態、そういうものを抱え込んでいながらこのような答弁をするようではどうにもならない。これは下部の者が、部下が信用しなくなりますよ。  時間が来ましたから、どうかひとつ、これからは、警察の中立性そして綱紀の粛正、厳正な規律、そういうことで警察行政をやっていただかないと国民が大変困る。そういうことでお願いいたしまして、私の質問を終わります。一言、御答弁願います。
  50. 森廣英一

    森廣政府委員 警察は政治的に中立の立場を堅持すべきものであり、また私どももそういったことを基本に踏まえまして、随分注意をして答弁をいたしておるつもりでございますけれども、せっかくの御指摘でございまして、今後ともそのようなことを堅持して答弁に当たってまいりたいというふうに考えております。  また、警察部内の綱紀あるいは仕事のしぶりにつきましても、国民に十分評価されるように今後とも頑張ってまいりたいと存じております。
  51. 渡部行雄

    渡部(行)委員 終わります。
  52. 中村靖

    中村委員長 次に、上田哲君。
  53. 上田哲

    ○上田(哲)委員 自治大臣、あなたの所管の中で、ナイターの競馬というのがあるのを御存じですか。
  54. 渡部恒三

    渡部国務大臣 大変申しわけありませんが、私、競馬はやったことありませんので、詳しくは存じてございません。
  55. 上田哲

    ○上田(哲)委員 ナイターの競馬というのが今大変盛況なのであります。ちょっと、そこで周りに聞いてみてください。
  56. 渡部恒三

    渡部国務大臣 大変喜ばれてお客さんがいっぱい入っておるということを今お聞きいたしました。
  57. 上田哲

    ○上田(哲)委員 実は、そのナイターの競馬というのは私の地元にある大井競馬場でありまして、きょうは、その問題を具体的に指摘しながら、いわゆるパートタイマーの問題について質疑をしたいと思っているのであります。  まず、日本の全生産者、労働人口の総数の中でパートタイマーの占める位置づけ、数字的に概要説明していただきたい。
  58. 鈴木佑治

    ○鈴木説明員 パートタイマーの定義につきましてはいろいろございますが、週の労働時間三十五時間未満の短時間の労働者ということで、六十三年の統計でまいりますと五百三十三万人ということになっております。それ以外に、職場でパートタイマーと呼ばれる人たちがおります。それを合わせますと約八百万人というふうに考えております。
  59. 上田哲

    ○上田(哲)委員 労働省の調査では、これは八十七年十月現在の調査でありますが、概略を言うと、パートタイマーを雇う事業所が五三・七%、つまり過半数、臨時・日雇いは二一・三%、正社員以外のパーセンテージが一六%で、その内訳はパートタイマーが六二・〇%、こういう数字が出ておりますが、大体この趨勢の中にありますか。
  60. 鈴木佑治

    ○鈴木説明員 大体そのようなことと考えております。
  61. 上田哲

    ○上田(哲)委員 この中で婦人の占める割合はどうか、パーセンテージになっていますか。
  62. 鈴木佑治

    ○鈴木説明員 パートタイマーのうち短時間の、先ほど申しました週の労働時間三十五時間未満の者は五百三十三万人と申し上げましたが、そのうちの女子雇用者は三百八十六万人となっております。率といたしまして七二・四%、約四分の三ということでございます。
  63. 上田哲

    ○上田(哲)委員 つまり、これは婦人が非常に大きなウエートを占めているわけですね。  賃金、待遇でありますけれども、契約登録社員が大体十九万円でパートタイマーは九万円、こういう実態ですね。間違いありませんか。――答弁者はよくわからぬようですから、精査して後でデータを出してください。  大臣、つまり私が言いたいことは、パートが非常にふえていて、御婦人が非常にその中のウエートを高めていて、賃金は高くない、こういう状況だということはおわかりいただけますね。問題は、日本の繁栄とか産業の発展とかいろいろ言われますけれども、その中でこのパートタイマー、とりわけ婦人のパートタイマーが非常に大きなウエートを占めているということは、もう数字の上で明らかだと思います。この認識の上で一体政治論的に、政策論的に、この人たちの占める割合や位置づけ、ウエート、これをどのように評価されておられるか。
  64. 渡部恒三

    渡部国務大臣 戦後四十五年たちまして、今職場についても大きく変化したのは御婦人の皆さん方の職場進出でございます。これは大事に大事にしていかなければならないことでございます。  かつて私も国対委員長当時、上田先生の政党ともよく話してパート減税を積極的に推進した経過などもございますけれども、パートでお働きの御婦人の皆さん方が決して不利にならないように、快活に働いていけるような条件をつくっていくということは大変大事なことだと認識しております。
  65. 上田哲

    ○上田(哲)委員 国対委員長当時の御努力、今の御答弁は結構です。そういう方針で鋭意努力をしていただきたい。これは私はそのとおり受けとめておきます。  そこで政策当局に、もう少しポリシーの問題として聞きたい。今日のこの比重にもかかわらずある格差の問題と、それを含みながら日本産業構造の中に占めるパートタイマーの位置づけ、そして、これを将来どのように考えるかということをもう少し政策論的に説明をしてください。
  66. 鈴木佑治

    ○鈴木説明員 パートタイム労働者につきましては、これを良好な雇用形態として位置づけるということを考えております。そのために本年の六月二十三日に、「パートタイム労働者の処遇及び労働条件等について考慮すべき事項に関する指針」というものを労働大臣の告示として公示しております。これに基づきまして行政指導等周知徹底を図っているところでございます。
  67. 上田哲

    ○上田(哲)委員 どうも突っ込んだ話になりませんけれども、つまりは、パートタイマーの待遇改善のために一生懸命やろう、こういうふうに思っていると理解していいですか。大臣、一言。
  68. 渡部恒三

    渡部国務大臣 当然のことながら、この国で働く皆さん方の条件をよくしていくように努力をしてまいる、これは私ども常に念頭にあることでございます。
  69. 上田哲

    ○上田(哲)委員 そこで、もう少し具体的に伺わないと話が進んでいかないと思うので、先ほど冒頭に申し上げた大井競馬場、今大変好景気である、注目を集めている大井競馬場に具体的に絞ってお伺いをしていきます。  そこの従業員数、それから待遇、現状等々要求してありますので、概略御説明をいただきたい。
  70. 持永堯民

    ○持永政府委員 大井競馬場におきますいわゆる臨時従事員の問題でございますけれども、登録従事員、それから応援従事員、パートタイマーと三つの形があるというふうに伺っております。  人数につきましては、登録従事員の方が、これは六十三年の数字のようでございますけれども千五百九十四名、応援従事員の方が百十四名、このように承知をいたしております。  待遇につきましては、今申し上げました登録従事員の方と応援従事員の方は日給制でございますが、パートの方は時給制というふうに伺っております。
  71. 上田哲

    ○上田(哲)委員 今お話しの中では、登録従事員、応援従事員、パートタイマーと三つあるということですね。そういうことですね。
  72. 持永堯民

    ○持永政府委員 そのように聞いております。
  73. 上田哲

    ○上田(哲)委員 これが認識違いなのですよ。これが基本的な認識の間違いなのだ。そうすると、やはり法律論争をしなければならない。  この今三種類と言われた人たちの雇用の根拠法は何ですか。
  74. 滝実

    ○滝政府委員 基本的には地方公務員法ど考えております。
  75. 上田哲

    ○上田(哲)委員 地方公務員法二十二条ですか。
  76. 滝実

    ○滝政府委員 そのように考えております。
  77. 上田哲

    ○上田(哲)委員 この二十二条を幾ら読んでも、例えば競馬場とは書いてありません。立法の趣旨なり経緯からすれば、書いてないことはどうでもいいのです。しかし、今明確に言われたように、これが雇用の根拠法ですね。この根拠法からいいますと、雇用関係が大変事柄があいまいになってくるのです。  いいですか。今三種類と言われた、登録従事員、応援従事員、パートタイマーというこの三種類ある、こう言われるのだが、そこで試みにもう一遍伺うが、二十二条は三種類のどこまで入りますか、全部入りますか。
  78. 滝実

    ○滝政府委員 その三種類すべてが二十二条で入るというふうに考えております。
  79. 上田哲

    ○上田(哲)委員 そのとおりです。そのとおりですが、そうなりますと、登録従事員、応援従事員、パートタイマー、登録従事員と応援従事員はつまり皆パートタイマーではないのですか。
  80. 滝実

    ○滝政府委員 登録従事員あるいは応援従事員、パートタイマーとは呼んでいませんし、その大井競馬場での扱いはそういうふうに名称上の区分がされているというふうには理解をいたしておりますけれども、この地方公務員法二十二条でそういう細かい分類はいたしておりませんので、私どもは、三種類ともこの二十二条に基づく従業員、こういうふうに理解をいたしておるわけでございます。
  81. 上田哲

    ○上田(哲)委員 だからこの三種類とも二十二条に根拠を持って雇用しているわけですね。二十二条は七項までありますから、全部読むのは大変なんで時間がないから省略をしましょう。  この二十二条を読むと、法律的には解釈は一つしかない。大井競馬場で人を使うときに、登録さん、応援さん、パートさんと呼んでいるかどうかは別ですよ。いいですね。私は、法律的な解釈をしっかり確定したいから聞いているのです。これはつまり全部パートタイマーじゃありませんか。自治省はわからなかったら労働省と打ち合わせてもらいたいのだが、労働省がさっき答弁した指針、六月二十三日に出した文書によると、自治省の解釈ではこれはだめだ。整理してください。
  82. 鈴木佑治

    ○鈴木説明員 パートタイマーの定義につきましてはいろいろございますが、先ほどの本年六月二十三日に出しました指針につきましては、週または一日の労働時間が通常の労働者と比べて短い者、そういう者を対象として考えております。
  83. 上田哲

    ○上田(哲)委員 六月二十三日に出された労働省告示第三十九号、「パートタイム労働者の処遇及び労働条件等について考慮すべき事項に関する指針を次のとおり定める。」という文書の「第一 趣旨」、「第二 意義」というところに、「この指針において、パートタイム労働者とは、一日、一週間又は一箇月の所定労働時間が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の所定労働時間に比し相当程度短い労働者をいう。」と定義ができているのです。そうでしょう。はっきり定義があるのです。  この定義からして、これをパートタイマーと呼ぶのであれば、大井競馬場でどんな慣用的な言葉を使っているかどうかは別にして、登録従事員、応援従事員、そしてあなたが言われるパートタイマー、みんな同じパートタイマーではありませんか。違いますか。
  84. 滝実

    ○滝政府委員 私どもはそういう細かい定義を踏まえておりませんのでお答えのしようがありませんけれども、ただいまの労働省の指針からいたしますと、そういう分類ということも当然考えなきゃならぬ問題だろうと思います。
  85. 上田哲

    ○上田(哲)委員 何が細かいのですか、これは大事なことではありませんか。そんなことを言ったらだめだ。ただの不勉強にすぎないのです。まあ認められたからそれでいいです。しっかりしてくださいよ。  大臣、これは、こういう非常にあいまいな表現の中で、二十二条でこんなに範囲が広がってここまで来ているのです。しかもこれが、日本の産業構造の中でもう重要な要素を占めるに至っているのだが、定義すらはっきりしていないのです。これをはっきりしなければ話にならない。まあ言葉じりはとらえませんけれども、そんな細かいことをやってくださるなというが、何を言っていますか、あなた。働いている方にしてみれば大変なことですよ。  これは名称の問題を追及しているのではないのです。これは、実はみんな差がないパートタイマーの方々なのです。全部パートタイマーなのを、事業場で人を使うときの対応として、登録従事者とか応援従事者とかあるいはパートさんと呼んでいるけれども、実はこれは、ここに明確に書いてあるように、まさに「一日、一週間又は一箇月の所定労働時間が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の所定労働時間に比し相当程度短い」者。つまり、この人たちは一カ月に十日余りしか働いていないのですから、相当程度短い者とはっきり認定をされているわけで、この人たちはみんなパートタイマーなのです。ここのところをしっかり認識をしてもらいたい。大井競馬場に千七百人ほどいるうち雇用はどうなっているかと言ったら、登録従事者、応援従事者、もう一つパートタイマー。そんなことを言っては困るのですよ。このごろは後楽園に場外馬券売り場の売り手のパートタイマーが出てきている。まさにこれは時給です。それが全部正規の採用者といいますか、正社員に比べればパートタイマーなのですよ。この問題を認識してないと、さっきの日本全体のパートの数字をつかんでいることには全然ならないのですね。その認識をしっかりするところから、問題を明らかにして進んでいただきたいと私は思っているのです。お認めになったからいいのですけれども、大臣、それでいいですね。
  86. 渡部恒三

    渡部国務大臣 結構でございます。
  87. 上田哲

    ○上田(哲)委員 私が言葉の問題をここで整理するというのは、ずっとこれが長いことほったらかしになってここまで来ているから、労働条件の問題を考えるのはここのところから出発しなければならぬということを指摘しているわけでありまして、例えば地方公務員、国家公務員もそうでしたけれども、地方公務員の、戦後一たん膨らんだ人員枠から取り残されたいわゆる「常勤的非常勤職員」の問題があります。これが一九五五年ごろ六万人にも上り、現在にいろいろおりを残しているわけです。そういう問題が今もって尾を引いているまにまに、それぞれの事業所の中に離れ小島のように残されてしまっている雇用問題がいっぱいあるわけですね。パート問題はこういう問題を考えなければならないということに実はつながるのです。  それを言っていると話が広がってしまいますから、とりあえずまた大井競馬場に戻しますけれども、そういう意味ではこの三種類とも全部パートなのであり、一括してすべてがパートだということになれば、法制上でも、このパートについての労働条件、賃金の取り扱いについては同一視していくべきものだというところが出発点になるだろう、こういうことを私は申し上げているわけです。よろしいですね。
  88. 滝実

    ○滝政府委員 その点は、私どももただいまの御意見を伺いましてよくわかります。
  89. 上田哲

    ○上田(哲)委員 わかりました。これは大変前進です。結構です。  そこで大臣、こういう言葉を知っていますか。”コロッケ定食、職員二百八十円、アルバイト三百四十円、派遣、請負など外注者四百二十円”、これは歌の文句になっています。どんな印象ですか。
  90. 渡部恒三

    渡部国務大臣 上田委員、国会随一の博識の方でございまして、また私の方は余りそういう博識でございませんので、聞かれることは知らないことが多くて申しわけないのですが、先ほども、ゴルフ場のナイターとか野球場のナイターは知っておりましたけれども、競馬までナイターということで、やはり戦後四十五年、この日本はすばらしい国になったな、豊かな国になったなという感慨でございます。今の点についても、ひとつ勉強させていただきたいと思います。
  91. 上田哲

    ○上田(哲)委員 勉強してください。  これは三人が同じコロッケ定食を食べるわけですよ。コロッケ定食を一つ食べる。同じコロッケが、職員が食べれば二百八十円、アルバイトが食べれば三百四十円、派遣、請負、外注者が食べれば四百二十円払わなければならぬ。つまり、現物支給というところがこういうところへ具体的に価格の問題として波及しているわけですね。つまり格差がこういうふうにあるということなのですよ。  時間の問題がありますから、私は非常に具体的に伺っていきたいのですが、今空前というぐらいにこのナイターは景気がいいのです。それに比べて、実は私も驚いているのですが、ここで働いている人たちが、売り上げ、収入がいい割には処遇されていないという実態がある。例えばこんな歌にも、これは大井競馬場の歌ではありませんけれども、パート全般の歌ですけれども、こういうふうに実態が出ているのです。  そこで、提出していただいた資料を見ますと、私の方から言いますけれども、全国の公営競馬場の過去五年間の収入を見ますと、一九八四年が六千百七十億七千九百万円、八五年が五千九百十六億八千五百万円、そしてナイターの始まった八六年が六千二百四十三億五千六百万円というぐあいになっているわけですが、大井競馬場だけを見ますと、八四年八百六十六億、八五年八百二十億、それがナイターの始まった八六年に九百五十九億、翌年には千百八十三億、八八年には千四百三億、こういうふうにがばっともうかっているのです。これだけもうかっていれば大いに処遇も改善してやったらいいと思うのですけれども、なかなかそうもいかないのですね。今大井競馬場労働組合は十項目要求ということで話をしておるのですが、これはどのように当局は把握しておりますか。
  92. 滝実

    ○滝政府委員 先生から十項目の要求のお話がございましたけれども、私どもとしてはそこまでちょっとつかみかねている状況でございます。
  93. 上田哲

    ○上田(哲)委員 これは私は許しがたいと思っているのです。たった今まで交渉したのですが、自治省の荒木事務官と称する者はそれを出さぬと言う。何ということですか。国会の審議権ですよ。交渉を秘密でやっているわけでもなし、どこにだって書いてある公々然たる要求を全然出さない。そんなものはないだろうというような言い方をしたりしている。私は時間があればそのことだけで十分に議論をしたいと思いますよ。  競馬場に勤めているパートの御婦人方には決して裕福な人はいない、失礼な言い方だが。子供を学校にやりたいとか、その他いろいろのローンに追われたり、御主人の生計を助けたりということで一生懸命働いているわけです。そういう人々が血のにじむように出している要求です。私は大井競馬場の理事者が理不尽な人たちだと特に言っているのではありません。一生懸命協議をしているのです。労使慣行に政治が入ろうなどと言っているのではない。そういう問題を、例えば全体的な経営状況や全般的な労働条件の問題として我々も議論することは当然でしょう。それを全然出さない。何たることですか。  今ここで私はあえてそのあり方に対して難詰をしておきたいのですが、大事な時間ですからそのことだけにとどめて先に行きますけれども、そうしたあり方があってはならない。また、十項目については労使の関係を尊重しながらできるだけ改善の方向に努力するということだけ御確認をいただきたい。これは大臣に伺います。
  94. 渡部恒三

    渡部国務大臣 具体的な事実については今委員がお話しのことであって、私は承知しておりませんので、これに論評をすることはお許しいただきたいと思います。  一般論として、これは当事者間でお話し合いをなされて決められることが望ましいのは当然のことであることも、今委員から、これは当事者間で話すことで政治が介入することではないと委員みずからもおっしゃっておられるし、私も同様の意見であります。ただ、パートでお働きの御婦人の皆さん方、委員御指摘のようにかわいい子供を立派な学校に進学させたいとか、それぞれいろいろな庶民の温かい気持ちの中で一生懸命頑張っておられるのでありますから、そういう方の職場条件が改善されることは大変望ましいことである、こう考えております。
  95. 上田哲

    ○上田(哲)委員 労使交渉の中にその発言が役立っていくことを特に要望しておきます。  大臣、この人たちは、いわゆる本工たると臨時工たるとを問わず、実に難儀な雇用条件がある。ここに手帳があるのですよ。毎日この紙を帰りにもらって、あした来てください、こういう形態になっているのですね。そしてこのカードを機械に通して場内に入っていく。そして、この手帳に毎日こういう証紙を一枚ずつ張ってもらうわけです。ちょっとこれを大臣見てください。本当に血のにじむような毎日の生活がこういう形態の中にある。御認識ください。  そこで、このように一生懸命になって収入を上げている競馬場から公営企業金融公庫へ大変なお金が行っているわけです。どれくらい大井競馬から行っているか、何にそれが使われているか簡単に説明してください。
  96. 持永堯民

    ○持永政府委員 まず、公営企業金融公庫で何に使われているかという点でございますけれども、これは昭和四十年代の半ばでございましたが、公営競技の収益の均てん化という趣旨から、全国の地方団体に融資をいたしております公営企業金融公庫に一定の割合で納付をしていただきまして、それを公庫の貸付金利の引き下げに充てるという仕組みになっているわけでございます。  それから、大井競馬からの納付金でございますけれども、最近で申し上げますと、五十九年が六億二千万余り、六十年が同じく六億二千万余り、六十一年が七億五千万余り、六十二年が九億九千九百万、六十三年は十二億三千万強ということでございます。
  97. 上田哲

    ○上田(哲)委員 ここで大事なことは、労使関係の確認事項。交渉の中身について入るつもりはありませんけれども、確認されている内容は尊重しなければならぬということははっきりしているわけです。ここに私が持ってまいりましたのは、当事者間の確認文書です。大井競馬場の労務課長と東京一般労働組合の大森直史組織部次長との間に正式な確認がされている文書です。これはもう確認されているわけですから、その上で私たちはこれを尊重していくということ以外にないと思っています。  そういう立場で言いますと、もとに戻りますけれども、先ほど労働省から説明がありました六月二十三日に出された指針、これはその前の八四年の要綱をさらに改定して出したものです、そういうことですね。その一番最後に、「この指針は、当分の間、所定労働時間が通常の労働者とほとんど同じ労働者についても適用するが、使用者は、これらの者のうち通常の労働者と同様の就業の実態にあるにもかかわらず、処遇又は労働条件等について通常の労働者と区別して取り扱われている者については、通常の労働者としてふさわしい処遇をするように努めるものとする。」とある。これは大変進んでいいことだと思います。こういう方針が出ているわけですから、この方針に基づいてさまざまな約束が交わされています。  私はその約束も正しいと思うし、双方の努力がここに実ったものだと思うから、これをひとつ誠実に履行してやってもらいたいということを確認しておきたいわけであります。例えば一九八五年九月三十日の確認では、「今後の正式採用はパートから行うことを確認をする」、ここでパートというのは応援従事者ということです。それから「経験年数の通算についてはその段階で明らかにするが、初任給についてはなお何らかの方法で換算することとしたい」ということ。それから登録化の問題について、「人員の状況、財政負担の状況からして直ちにはできないが、現在の入場人員、売り上げなどが現状のまま推移すれば五年くらい後に応援従事者の登録化が可能となる。それまでの期間については賃金、一時金等格差の縮小に努めたい」、こういうことが確認されています。これは労使が確認しておることですから結構なことだと思うのです。  私は、特にここで取り上げておきたいのは、この合意当事者というのが理事者側と応援従事者ということです。つまり、さっきも言われた登録従事員千五百九十四人、応援従事員百十四人、この数字ですね。この百十四人の人たちがちょうどエアポケットのように取り残されているのです。この人たちは、競馬が一時ぐっと広がった、それからずっと収入が落ちた、ここで新規採用がない中でそのまま取り残されて、元来登録従事員になるはずであったのが、あるいはそういうふうに約束をさせられていたのだが、なかなか経営状態がうまくいかないということのために取り残されてしまっている部分なのです。そこで、当事者が話し合って五年のうちには登用しようということをもう二年前に決めた、こういうことになったわけですが、一番問題は賃金の格差がある。これは登録従事者に比べて今大体八割になった。それから一時金の問題、これも六割。それから退職金は全くない。こういう問題があるわけですから、こういうものを登録従事者並みにしてもらいたいという希望があって、これが話し合いとしてここまで進んできているということになるわけですね。  これらを確認をしていただく中で一番大事なことは、登録への雇用問題です。現在の財政負担状況からして、これから五年間、現在の入場人員、売り上げなどが現状のまま推移すれば、五年の間には登用しようということを八八年の三月二十八日に合意しているわけです。今二年目に入っているわけです。あと三年なのです。定年が六十三歳で、もうそこで間に合わないとやめなければならない人も出てくるのですね。だから、問題のキーポイントは何かというと、このまま経営がうまくいって収入がちゃんと伸びていれば約束は大丈夫だよということになるかどうかですね。私は先ほど来の数字を申し上げて、経営は非常に上向きになって、ナイターも大盛況なんだから、これはこの人たちに悲しい思いをさせることがないように努力をすべきだと思っているのですが、いかがでしょうか。
  98. 滝実

    ○滝政府委員 そういうふうに推移すれば、当然その当事者間の約束でございますからそういうことになろうかと思うのでございますけれども、それ以上のことは私どもからコメントを申し上げるというのもいささかどうであろうかという感じがいたしますけれども。
  99. 上田哲

    ○上田(哲)委員 登録の方に応援の方から組み入れるのはどういうふうにしていくかということは、これは現場の話だから、それはそれでもちろんです。ただ、概観的にこれを眺めると、ここで約定されている、「五年間経営がうまくいって収入もうまくいくなら」といった状況は、客観的には存在をしているというふうに理解していいでしょうね。いかがですか。
  100. 滝実

    ○滝政府委員 余り立ち入ったことまで申し上げるのはどうかと思うのでございますけれども、こういった問題につきましては、当然今のような事業内容がそのまま継続することは望ましいというふうに考えられますので、そういうことがそのまま実行されることを私どもは御期待を申し上げたいと思うのです。
  101. 上田哲

    ○上田(哲)委員 これは大変いい答弁だと思います。大臣の初めからの答弁はパートタイマーの皆さんの待遇改善、これは個人の立場というよりも日本経済や産業構造全体の問題からして、その格差を縮小し、引き上げていくということがあるべき姿だという方針と私も理解するし、今大臣もうなずいておられる。言ってみればエアポケットとして取り残されてしまっている人たちですから、これが競馬場の収入が減っていって経営が衰弱しているというのなら別ですが、経営がどんどん向上して、黒字がどんどん拡大しているのをもう目の前で見ているのですね。それを実際に券を売って窓口で見ている人たちなのです。それがこの人たちに全く返ってこない。いわゆる本工である登録従事者の同じ職場の横に、数はそう多くはないということになっておりますけれども、昔は三百だったのが今は百十四人になっている人たちがいて、身分的差別、賃金的差別もさりながら、全く先の見通しがない。これはやはり考え方として当然登録従事者に吸収さるべき財政状況にあると私は認識をしますが、大臣、概観的にいかがですか。
  102. 渡部恒三

    渡部国務大臣 具体的なことについてどうこうと言うことは御勘弁願いたいと思いますけれども、上田先生御指摘の、まさに戦後、特にこの数年、景気が非常によくなって物価が安定する中で、経済は持続的成長を遂げて、どの政党の政策がよかったからなどとは申し上げませんけれども、その競馬場も大変にはやって経営状態が非常によくなっておる。そういうことであれば、当然そこで働いておられる方も処遇改善ができるような条件ができたということになれば、企業にしても何にしてもそうですが、働く人がおるから成り立っていくわけでありますから、そういう方の職場条件が改善されていくように進んでいくことは大変望ましいことだと思います。
  103. 上田哲

    ○上田(哲)委員 実は、今手帳を見ていただきましたけれども、これを細かく言いますと、二月換算で二十八日働かなければならない。ところが実際には二十間ぐらいしか就業ができない。これがまた応援従事者になりますともっと大変です。この人たちは正規採用、正規採用といったって本物のパートになるということであって正社員ではないのですよ。さっき答弁は間違えたけれども、あの間違いは困りますよ。そうではなくて、結局はパートなのだけれども、パートにも格差があって、その本物のパートに入りたいためには一日も休んではいけないというので、お葬式があろうと子供の学校の行事があろうと休まないで働いてきたという涙ぐましい実態があるのです。  大臣、「おばあちゃん、どうか競馬をやっている日には死なないでね、そうでないと、私は最期をみとることもできないわよ」という話が実際あるのですよ。本当にそうしながら、一日も仕事の日には休まないようにしないと、登録の雇用にはありつけないという毎日をやっている実態があります。こういうことを言い出すと切りがないのですが、私はこの人たちを助けてくれなどということを言っているのではない。先ほど来申し上げているような、あるべき労働条件の確保というのが国の施策として当然だろうと思っているわけでありまして、このことはひとり大井に限らないと思います。ぜひその辺に光を当てていただきたいと思います。  ここで確認をしておきますけれども、一番初めの御答弁は少しあいまいでありましたが、幾つかの確認が行われました。私は大変前進したと思います。第一に、登録従事者、応援従事者、パートタイマーなどという区分ではなくて、全部が実は労働省の指針に基づくパートタイマーである、第二に、このパートタイマー間の格差をなくし労働条件を引き上げていくようにしたい、そして第三に、それを労使交渉の中で前向きに進めてもらいたい、こういうふうな確認ができたと私は思っております。  最後に、そのことをもう一遍、前向きに担当者及び大臣から答弁をいただいて、締めくくりたいと思います。
  104. 滝実

    ○滝政府委員 この問題は、今お話しのように、当事者間でそういうようなお話のような合意に達している問題でございますから、できるだけそういう形でお話し合いをしていただきまして、いろいろな条件があるのでしょうけれども、せっかくできた合意につきましては、当然そういう方向で解決されるということを私どもとしては御期待を申し上げたいと思います。
  105. 渡部恒三

    渡部国務大臣 ただいま公務員部長が答弁したとおりでございます。
  106. 上田哲

    ○上田(哲)委員 終わります。
  107. 中村靖

    中村委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四分休憩      ────◇─────     午後一時十六分開議
  108. 中村靖

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。草川昭三君。
  109. 草川昭三

    ○草川委員 今本会議で公職選挙法の一部を改正する法律案が衆議院を通過をしたわけでございますが、俗に言う出の方でございますが、入りの方の政治改革の論議というのが各党によって行われているわけでありますけれども、自治大臣というよりは政治家として大臣に、今日の政治のあり方、どうあったらいいのか、ひとつ御見解をまず最初にお伺いをして質問に入っていきたい、こう思います。
  110. 渡部恒三

    渡部国務大臣 今日の政治情勢の中で、残念ながら政治と金という問題について国民が政治家に大変な不信感を抱いてしまったことは、厳しい現実として受けとめていかなければなりません。したがって、私ども政治に携わる者、政治と金にかかわるところの国民皆さん方の不信感をなくしていく、そのための努力目標として、きょう御賛同をいただいて成立した、まず金のかからない選挙、金のかからない政治活動を前進させるための法律が各党の皆さん方のお力ででき上がったわけでありますから、今度は政治資金規正法、いわゆる金が入る、入りの方でこの透明度を高めることによって、国民皆さんから政治と金に対する懸念を取り除く、これが今私どもに与えられた大変重要な課題である、こう考えております。
  111. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、またこれでいよいよ総選挙は近いというような情勢も流れてきておるわけでございますが、過日、俗に言うところのふるさと創生、これの創生事業の、各市町村、各地方に利用をしていただいておるわけでございますが、そのまとめというようなものが発表されたやに聞いておるわけでございますが、その点どのように把握をしてみえるのか、お伺いをしたいと思います。
  112. 芦尾長司

    芦尾政府委員 お答えいたします。  今「自ら考え自ら行う地域づくり」事業、一億円事業でございますけれども、全市町村がその地域課題に対処して真剣に取り組んでおるわけでございますが、ことしの十月現在におきます取り組み状況がまとまっておるわけでございまして、全体の決定率が七三・七%、こういうことになっておりまして、その取り組んでおります件数が七千百九十五件という数字が出ております。この夏にまとめましたのが四五・八%でございまして、大分高くなってきておる、こういうような状況でございます。
  113. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、来年の予算に対する自治省の対応になりますのか――これはどこが担当になるのかわかりませんが、渡部自治大臣としては、今度の補正予算にふるさと創生事業というのを強く打ち出していきたいという一部報道が出ておるわけでございますが、たまたまその点を私の方でちょっと紹介を申し上げますと、どういうことが書いてあるかといいますと「「この話だけで総選挙の政見放送の五分三十秒は十分にもつ。消費税やリクルート事件なんかの話をするよりずっといいべ」。渡部」自治大臣は、ここでは「自治相は」と書いてありますが、「自民党の若手議員に会うたびにこう言って、補正予算案に盛り込む予定のふるさと創生事業「一兆円構想」を売り込んでいる。」こう書いてあるのですが、その点についての御見解をお伺いしておきたい、こう思います。
  114. 渡部恒三

    渡部国務大臣 補正予算ではございませんで、平成二年度の予算で、私はふるさと創生に花咲かせ実らせるための思い切った事業をやりたいという構想を持っております。これはぜひ実現したい。  かいつまんで申し上げますと、今草川委員からお話しのありました竹下内閣時代の一億円事業、これは全国の市町村皆さん方にそれぞれ、議員の皆さんはもとよりのこと、御婦人の皆さん、農協の皆さん、商工会の皆さんみんなで、自分の町、自分の村というものをもう一遍考えてみて、二十一世紀を展望して、若者たちが定住してくれる町をつくるのにはどうすればいいか、そしてそのためにはどういうプロジェクトをやればいいか、そのためにはどういう青写真を描いてそれに進むべきか、それぞれいろいろ考えていただくというところに大きな意味があったわけですから、今政府委員からお話がありましたように、幸いに全国の町村の皆さん方の中で芽を吹き出そうとしております。したがって、この芽を枯らしてはならない、これに肥やしを上げ、水をかけ、花咲かせる、そのために私は、平成二年から三年間、おおむね一兆円を超える規模でふるさと創生事業のてこ入れをしたい、こう考えておるわけであります。  今何かいろいろのお話がありましたが、これは国民皆さん方が今ほうはいとしてこのふるさと創生に期待を持っておるのであります。また今日の内政上の最大の問題が東京一極集中、これからは地方分散のふるさとづくりであるということは大きな課題なのでありますから、これを仮に選挙があった場合、我々と信念、哲学をともにする政治家が大いにひとつ語っていただきたいという願望を私が持つのは当然であろうと存じます。
  115. 草川昭三

    ○草川委員 何も批判をしておるわけではないのですけれども、ただ、ふるさと創生論というのはもう学者の中でも随分意見もあったようでありますし、各党からもそれなりの態度表明があるわけでありますが、各省庁には各省庁なりの政策というのもあるわけであります。同時にまた、地方自治体は地方自治体なりの一つのポリシーというのもあるわけであります。ただお金をばらまいて、その金によって、それがてこ入れというだけのきちっとした方針なり金額ならば私は今の大臣の発言は極めて当然だと思うのでありますけれども、その金額が、庶民の言葉で言うならば、言葉が悪いけれども、行政上では非常に中途半端というのですか、大きなプロジェクトをつくる基金でもなし、さりとてどう扱ったらいいだろうか、だからみんなの知恵をかりてというようなこともあるわけでありますけれども、一つ間違うとこれは地方自治の堕落にもつながる非常に重大な危険性があるわけであります。私はその点だけきちっと踏まえて、為政者というのですか、時の権力者は対応していかないと間違いが起きるのではないだろうか、こう思うのですが、その点はどうでしょう。
  116. 渡部恒三

    渡部国務大臣 竹下内閣時代にやった一億円事業、これはそれぞれの町村で、二十一世紀の未来を展望してお互いの町づくり、村づくりをまずみずから考え、みずから行動するということに大きな意味があったわけであります。ですから、これは一億円、全町村、こういうことでありますけれども、これから私どもがやろうとしておる構想は、これにアクセントをつけて、それぞれの町村でソフト事業、ハード事業、いろいろな事業をお考えいただいて、それを行政の立場で、国民皆さん方のとうとい税金一銭でもむだがあってはなりませんから、その国民の税金が立派に生きて使われるように、これは行政当局も十二分に地方自治体、団体の関係者と相談をして、アクセントをつけて、本当に有効にこれを使っていくという方向に努力をしてまいりたいと思っております。
  117. 草川昭三

    ○草川委員 それではふるさと創生問題はこれでおきまして、少し公選法の関係について、これはもう純粋な技術的な話というのですか、事務的な話になりますが、お伺いをしたいと思うのです。  もし解散・総選挙という場合になりますと、当然のことながら解散の年月日と公示日、それから投票日、こういうことが出てくるわけでありますが、それは一つは憲法あるいは一つは公職選挙法、こういうのが根拠になってくると思うのでありますけれども、たまたま三十五回、三十六回、三十七回、三十八回の総選挙の解散年月日と公示日の間の日程を見ますと、十日間の場合がございますし、二週間、十四日の場合もありますし、三十七回の場合は十一月二十八日に解散をし十二月の三日に公示、こういうように間が非常に狭い場合もありますし、また三十八回の場合六月二日に解散をし公示が二十一日、非常に間があく場合があります。こういう解散年月日と公示日の関係というのはこれは自治省の判断になるのか閣議の判断になるのか、どういうところに根拠が出てくるのか、お答えを願いたいと思います。
  118. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 御案内のように、総選挙の期日の公示は、憲法七条で天皇が内閣の助言と承認により行うこととされておるわけでございまして、まさに内閣として決めるということでございます。
  119. 草川昭三

    ○草川委員 内閣、閣議で決める、こういうことだと思いますが、それでは予算は当然のことながら、平成二年度の予算というのは、衆議院の解散がある、ないということは別として、平成二年度の予算には当然総選挙費用というのは計上されますね。もし来年の二月に、そういうふうに今言われておるわけでありますが、来年の一月か二月かわかりませんけれども、そこで行われた場合は、当然のことながら不用額としてこの総選挙の費用というのは計上される、計上されるというよりは使われる、こういうことになると思うのです。そこで、この年末の自治省としての概算要求はどういう概算要求になるのか。平成二年度に国政選挙、衆議院選挙という予算を計上するのかしないのか、お答えを願いたいと思います。
  120. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 これは従来からそういうやり方をしておるわけでございますけれども、衆議院議員の任期が満了いたします年度につきましては、その衆議院議員選挙執行経費予算に計上させていただくということでやっております。  明、平成二年度はまさに任期の満了する年度でございますので、私どもとしては概算要求の中で衆議院議員選挙執行経費の要求を行っております。約三百六十億円程度の要求をさせていただいております。
  121. 草川昭三

    ○草川委員 まあ当然のことながら、それが執行されない場合、もちろんそれが執行されないというのは前提として予備費で前年度にそれが使われる、衆議院の解散が一月、二月にあった場合の前提でしゃべっておるわけでありますけれども、こういう場合は当然計上されたものは翌年度不用額に計上される、こういう理屈になるわけですか。
  122. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 どの時点で選挙が行われるかということによってもいろいろあろうかと思いますので、はっきりどうなるかということはなかなか申し上げにくいのですけれども、例えば現在の時点でありますと、これは概算要求の中に入れておるということでございますけれども、まだ平成二年度の予算そのものが成立しているわけではないということでございますから、例えばこういう状態のもとにおいて選挙が行われたといたしましても、それはいわば今度は次の年度の予算でそういう選挙執行経費が計上されないということになるのではないかと思われますし、なかなかどういう段階でどうなるかということによっても変わってくるのではないだろうかというふうに思っております。
  123. 草川昭三

    ○草川委員 まあ、それはその程度にしておきまして、現在、地方議会で市長なり県知事の交際費の内訳というのが公開をされてきております。特に、私、愛知県の出身でございますけれども、愛知県の場合も西尾市というのがございますが、市長交際費というのが、つい最近でございますが全面公開をされました。国にいわゆる情報公開ということの明確な指針がない、こういう中で地方自治体としてもどの程度こういうものに対応していったらいいのだろうか、総額程度の発表でいいのか、あるいは内訳というのをどの程度まで出すのか、戸惑いもあると思うのでございますが、この点について自治省としての見解をお伺いしておきたいと思います。
  124. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 お尋ねの交際費の公開の件でございますが、最近話題になっておりますものは、いずれも地方公共団体がつくっております情報公開条例に基づく請求に関しましていろいろ問題になっておるものでございます。  御承知のように、交際費は、市長とか知事とかその他の執行機関がその行政執行のために必要な外部との交際上要する経費である、こういうことになっておりまして、その使い道に関する情報には、その性質上、長などの交際の相手方、内容等に関するものが含まれるわけでございます。これを情報公開制度上公開の対象とするかどうかというのは、これはひとえにそれぞれの地方団体におきまして自主的に判断がされるべきものだろう、こういうふうに考えておるところでございます。
  125. 草川昭三

    ○草川委員 自主的な判断で、特に自治省としての特別の見解はない、こういうことですね。  続いて、各地方自治体の国からの補助金でございますが、一度これは臨調でも議論になっておるわけですが、少額補助金というのが相変わらず残っておるのではないか、そのための地方自治体の事務上の負担というのはばかにならない問題がある、こういうことを今から申し上げたいと思うのです。  たまたま私どもの町村で、三万人程度あるいは三万五、六千人程度の町村でありますけれども、調べてみますと、例えば中学校の奉仕等体験学習研究推進事業補助費六万円、あるいは小学校の修学旅行費補助金六万一千円ですか、それから老人医療適正化対策事業費、これの場合は一万六千円という補助金もあるわけであります。そのほか挙げていけば切りがないわけですが、一度この少額補助金については整理をするとか、ある程度もう任せようではないか、それこそさっきのふるさと創生ではありませんけれども、余り細かい、細部にわたる単位の補助金については整理をしようという考えがあったのではないかと思うのですが、その点どのように把握をしてみえるか、お答えを願いたいと思います。
  126. 持永堯民

    ○持永政府委員 お話しのいわゆる零細補助金の廃止の問題でございますけれども、御指摘もございましたように臨調の答申でももちろんございましたし、地方制度調査会の答申あるいは最近の行革審の答申におきましても、そういった趣旨の答申が出ているわけでございます。  そこで自治省といたしましても、毎年度予算編成に当たりまして、各省庁に零細な補助金については廃止をするようにという要請をいたしてきておるわけでございますが、残念ながら今お話しのようなことで、現実にはまだかなり零細なものが残っておるという実態があろうかと思います。  これはあくまで基準でございますけれども、これは大蔵省の方でお決めになっているわけでございますが、大蔵省の方の一応の基準としては、市町村の場合は一件二百万未満のものは零細補助ということで整理をする。昨年までは百五十万であったのでございますけれども、これを引き上げをいたしまして、二百万未満のものは零細補助ということで整理をするという方針は基準としてはあるわけでございますが、現実には今お話しのようなことでまだ残っておりますので、引き続きそういうものの廃止につきまして努力をしてまいりたいと思っております。
  127. 草川昭三

    ○草川委員 今の答弁にもありましたように、たとえ一万六千円の補助金でもそれは大切にしなければいかぬわけでありますが、何せ担当者に聞きますと、大変な労力が要るというわけですよ。もちろん一万六千円の補助金であろうと十万円の補助金であろうと百万円の補助金であろうと、それは同じだということは私も十分わかるわけでありますが、いささか今日的に、片や一億創生論で地域を活性化しようということを言いながら、一面、一万六千円の零細というのですか、非常にわずかな補助金のために職員が何日かかかって書類をつくる、こういう実情というのは、私は今の地方自治体の中で割り切れない問題ではないかと思うのです。しかも国の方としてはそういう方針を出しているわけですから、私はもう少し的確な指導、運営があってしかるべきだと思うのです。その点について大臣、どう思われますか。
  128. 渡部恒三

    渡部国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
  129. 草川昭三

    ○草川委員 ぜひ零細少額補助金の見直しを進めていただきたい、こういうように思います。  続きまして救急問題、消防庁にお伺いをいたします。  連日のように新聞等で第二次交通戦争、こういう形で非常に厳しい状況が言われているわけでありますが、今日、この交通戦争の中で救急隊及び救急隊員の任務というのは非常に重要になってきていると私は思うのです。そこでまず、救急隊員の任務というのですか、あるいはこういうのが非常に重要になってきておりますが、その対応というのか、そういうものが本当にうまくいっているのかどうか、こういう立場からお伺いしたいと思うのです。  事故の死傷者の増加に対して、救急業務の質的な向上というのですか、従来のようなただ単なる搬送というわけにはまいりません。質的な向上が非常に必要だと思うのですが、その点の見解はどうか、お伺いします。     〔委員長退席、岡島委員長代理着席〕
  130. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 御指摘のように、交通事故に伴う救急搬送人員が逐年増加をいたしておりまして、その中で死亡または重傷となる方も多いわけでございます。そうした場合に、救急隊員が的確な応急処置の実施、救急隊と医療機関との密接な連携、そういうものを十分に行いませんと、救命率が落ちるということでございます。  御承知のように、救急隊員は搬送中に応急処置をしながら搬送いたすわけでございまして、その応急処置の内容等について充実を図ってきたところでございます。さらに、現在では、救急隊長に対するより高度な教育カリキュラムを開発する等努力を続けておりますし、また、救急隊と搬送先医療機関とを結ぶ救急情報のネットワークを整備する等のことによりまして、救急実施体制の交通戦争に見合った充実を図ってまいりたいと考えております。
  131. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、救急隊員の専任化ということですが、我々の選挙区も比較的小さい市町村が多いわけでありますから、一部事務組合をつくってやっておるところもございますし、いろいろな対応をしておりますが、俗に言う消防署の職員の兼務というのですか、消防署の職員の救急業務という部門別というのですか、そういう形になっておると思うのですが、私は救急隊員の専任化率というのを高めることが必要だと思うのです。そうでございませんと、交通事故ばかりではありませんけれども、最近の非常に複雑な事故の中における対応をしなければいけないということになってまいりますと、当然、単なる従来のような日本赤十字の指導を中心とした教育だけではなくて、かなりグレードの高いものにしなければいけない。  私は、過日、他の委員会で、もと日本の軍隊でいうならば衛生兵的なもの、そういう方が必要ではないだろうか。これは、もちろん医師会との関係がありますし、医師法との関係もありますので簡単にはまいりませんけれども、少なくとも救急隊員の専従、専従というよりも専任化の率を高めていく。そうでございませんと、消防作業の片手間で救急業務というのができるとは思われません。そういう点で、どのように考えているのか、お答えを願いたいと思います。
  132. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 御指摘のように、消防組織全体の中で救急業務に携わる者が専任して事に当たるということが望ましいことは当然でございまして、現に規模の大きな消防本部におきましてはこの専任化は進んでいるものと承知をいたしております。しかしながら、全体的に見ますと、委員御指摘のように、小規模の消防本部等において救急業務の担当者を専任とすることには相当無理もございます。  したがいまして、私どもとしては、規模その他の状況から、専任化が進められるところはできるだけ進めていくし、それが当面困難なところでも立派な救急業務ができるように、隊員の教育訓練に特に力を入れていきたいと考えている次第でございます。
  133. 草川昭三

    ○草川委員 念のためにちょっとお伺いしますが、隊員の教育に力を入れるとおっしゃいますが、どういう形で行われるのか、具体的な方針があればお伺いをします。
  134. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 お答えいたします。  救急隊による適切な応急処置の実施ということが、救命率の向上を図る上で一つの極めて重要な事柄でございます。したがいまして、そういった搬送中の応急処置等の充実ということに一つの重点を置いて教育訓練を進めているところでございます。  現在、救急隊員につきましては、御承知と存じますが、百三十五時間の研修を受けて、それをもって救急業務に従事する資格といたしておりますが、各県の消防学校では非常に多くの消防学校がこの基準を上回る教育を行っております。さらに、先ほども申しましたように、特に救急隊長につきましてより高度の対応ができるような教育を行ってまいりたいということで、まだ全面的に実施はいたしておりませんが、そのカリキュラム等のあり方について検討を進めている段階でございます。  今後とも、医療技術、医療機器の進歩、発展が著しゅうございますので、これに対応する教育訓練体制の充実を図ってまいりたいと考えております。
  135. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、今高速道路交通災害というのもふえているわけでございますけれども、高速道路事故が出たという場合に、路肩がすいているならばインターチェンジのところで待機をするいろいろな救助隊も交通事故現場に派遣されるということは非常にたやすいわけでありますが、今触れましたように路肩に車が入り込んでしまうという場合は、もういい悪いは別の話でありますけれども、何ともならぬわけです。こういうようなことが十分予測をされるし、過去そういう事故もありました。  そこで、私はヘリコプター医療という救急体制があってしかるべきだと思うのでありますが、このヘリコプターによる救急業務というのは、運輸省の航空法の関係もあります。あるいはまた道路管理をするところの建設省にも問題があるわけですね。もしヘリコプター医療をする、地域によっては医師会等も採用しておるところがありますが、ホバリングしかないわけですね。ホバリングによる救急しかないということになりますと、それも限定されることになります。この点についてどうお考えになるのか、お答えを願いたいと思います。
  136. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 高速道路上において交通事故が発生いたしました場合の救急業務について、ヘリコプターの利用の可能性があり、また、場合によっては極めて有効ではないかということは御指摘のとおりであろうと存じます。現在まで余りこのような例を見ませんし、また、この問題につきましては道路構造等の問題も含めて十分に研究をしなければいけないと存じますが、いずれにいたしましても将来においてヘリコプターを活用した救急業務拡大することは必然であろうと存じます。  したがいまして、消防庁といたしましては、現在、消防におけるヘリコプター整備について研究を行います調査研究委員会を設置して研究を始めたところでございますので、御指摘の高速道路におけるヘリコプターによる救急救助の活動の可能性、問題点、解決すべき事柄等についても研究を深めてまいりたいと考えております。
  137. 草川昭三

    ○草川委員 この点について、建設省は道路管理の立場からどのように考えておみえになるのか、お伺いします。
  138. 橋本鋼太郎

    ○橋本説明員 高速道路事故におきまして負傷者の速やかな救助は極めて重要であると考えております。現在は救急自動車による救急業務を実施しております。それで、この場合、道路公団はこの救急業務について市町村に対して財政援助を行っているところであります。  高速道路事故では、現状では、救急自動車による速やかな搬送が可能である場合が多いことから、ヘリコプターを利用した救助が必要になるという場合は少ないと考えております。さらに、高速道路には中央分離帯、照明柱、防護さく、消音壁等の障害物があるために、ヘリコプターの離発着できる空間を確保することが難しいと考えられております。しかし、ヘリコプターを用いた救助の提案がございますれば、この必要性、可能性について今後十分検討してまいりたいと思っております。
  139. 草川昭三

    ○草川委員 今建設省の方では余り熱心な現状把握をしていないようでありますが、随分たくさん例があるのです。路肩に車がたまって救急車が現場に着けない、そのために生きている方が亡くなってしまったという例は随分あるのです。ですから、ヘリコプター医療ということについては、過去の災害の実例を検証されるなりしてもう少し熱心に取り組んでもらいたい、こういうように思うのです。  そこで、運輸省の方にお伺いをしますけれども、運輸省は当然航空法の関係があるわけでありますし、また、海上保安庁なんかもホバリング救助なんというのは現実にやっていると思うのでありますが、そういう点について消防庁あるいは建設省、運輸省等と相談をして、ヘリコプターの救急救命、こういう対応、特に搬送あるいは現地における救助にもう少し何らかの対応があってしかるべきだと思うのですが、運輸省の方からお答え願いたいと思います。
  140. 松本武徳

    ○松本説明員 お答え申し上げます。  高速道路交通事故が発生いたしました場合に、ヘリコプターによって救助し、かつ、病院まで搬送するということにつきまして、航空法上の観点からお答え申し上げたいと思います。  一般に航空機が飛行場以外の場所で離着陸する場合には、航空法の第七十九条に基づきまして事前の許可が必要でございます。また、先生御指摘のように、高速道路上でホバリングして救助に当たる場合でございますが、ヘリコプターが低空でホバリングする場合などの低空飛行につきましても、航空法の第八十一条に基づき事前の許可が必要でございます。しかしながら、航空法の第八十一条の二の規定がございまして、これによりますと、先生御指摘の消防機関等が救助または捜索の活動のためにこのようなことをいたします場合には、先ほど申し上げました事前の許可は必要ではございませんで、そのようなことが許可なしにできるということでございます。
  141. 草川昭三

    ○草川委員 今私が注文をつけましたように、運輸省、建設省、自治省、消防庁が連携して、高速度道路における救助活動、これは警察庁も入ると思うのですけれども、ぜひ対応を立てていただきたいと思います。  そこで、今度は消防団員のことで、時間が来ましたので簡単に御質問を申し上げます。  消防団員の充足率というのは非常に減っている。私どもも消防始め等の分列行進などを見るわけでありますが、各大字・小字によっては見るに忍びないようなところもございます。それからまた、しっかりとしたところは立派な対応をして訓練をしてみえるわけでありますが、この消防団員の充足率が非常に減っているということについて、今後どうされるのかということをまずお伺いをしたいと思います。
  142. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 現在、条例上の消防団員の定数は全国で百三万五千二百七十五人でございます。これに対しまして、平成元年四月一日現在の実定員は百万二千三百七十一人でございまして、充足率は九六・八%、こういうことで、各市町村が適切と考えて定めました定員に対しては、それほど充足率が落ちているわけではございません。しかし総数で見ますと、常備消防化に伴って減少した分もございますが、全体として減ってまいりましたことは確かでございます。私どもとしては、これ以上消防団員が条例定数としても実人員としても減ることを防ぎたい、むしろさらに内容を充実してまいりたいと考えております。このために消防団活性化総合整備事業というようなモデル的な事業を実施いたしまして、施設設備の充実、団員の教養等の面で力を入れているところでございます。
  143. 草川昭三

    ○草川委員 それからこれも簡単に答えていただきたいのですが、自治体といろいろとお話をしますと、消防自動車が高過ぎる、こういうことですね。これは言うまでもなく、今、一台当たりの車が化学車等を含めまして億近いのです。競争入札をさせようと思っても、ほとんど三社くらいに絞られて全然競争入札の態様をなしてはおりません。きょうは細かいことを申し上げませんが、高過ぎる。それから消火器等も一般のスーパーで売っておりませんね。なぜスーパーで消火器が売られてないのか。我々の家庭で消火器を買おうと思っても、買うところはないのです。消防署であっせんするのかどうか、あるいは消防団があっせんするのかどうか。私は細かいことはこれまた別の機会に申し上げますが、消火器がなぜ一般の流通機構で購入できないのか、しかもそれは高過ぎる、それから充てんもできない、こういう現状で消防意識を普及するといっても問題があるということだけ、私は非常に強く指摘をしておきたいと思うのです。具体的な例を出せと言われるならいつでも出しますが、時間の関係がありますから、答弁だけ一言言ってください。
  144. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 まず、はしごつき消防ポンプ自動車が高過ぎるのではないかという御指摘でございますが、私どもも常識としては大変高いという感じはしないではございません。ただ、はしごつき消防ポンプ自動車は年間の生産台数が極めて少ないという事情がございますし、また、これを注文する側でも地域の実情に応じていろいろ個別の御注文をなさる、それから、何分厳しい活動環境の中で使用する器具でございますので、耐久性、安全性等に極めて丹念な工作をしてあるというようなことがございまして、私どもが普通考えますよりはどうしても高くなることはいたし方がないのではないかと存じます。先ほど御指摘がございましたように、購入につきましては競争入札等によって適正を期していることは御理解をいただきたいと存じます。  それから、消火器がなぜ一般の流通機構で購入しにくいのかという点でございますが、現在、家庭で購入されます消火器のうち四五%は町内会等によるあっせん販売、約一五%が消防機器販売店の店頭販売、それから訪問販売、通信販売というのが多うございまして三〇%でございます。デパートやスーパーでは一〇%程度でございます。確かに低いのでございますが、デパート、スーパー等では例えば春、秋の火災予防運動期間等におきましては取り扱っているようでございます。ただ、何分日常購入する品物でないということから、どうもそういった時期以外はスペースの関係等もあって取り扱っていないというのが実情のようでございます。各家庭に消火器を普及させますことは極めて重要なことで、この普及率が高まっていきますならばあるいはデパート、スーパー等も取り扱いやすくなるかと存じますので、そういった啓蒙普及活動をさらに続けてまいりますとともに、消防機関等におきましてもそういった取り組みを続けていかれるよう指導してまいりたいと存じます。
  145. 草川昭三

    ○草川委員 時間がないので、今度は警察庁の方に行きます。  駐車問題を質問します。駐車問題については道路交通法とそれから自動車の保管場所の確保等に関する法律、この二つがあると思うのです。検察統計によりますと、これは東京地検管内の六十年、六十一年、六十二年、六十三年と見てまいりますと、道交法で取り締まった件数が三百十万、それから自動車の保管場所の確保等に関する法律が十万一千六百七十一、これは六十年ですね。これが六十三年になってまいりますと、道交法で取り締まっているのは百六十八万一千、これに対して自動車の保管場所の確保等に関する法律では二万六千六百というようにぐっと減ってきておるわけです。ですから、例えば、これは東京地検管内ですので、東京都区内等においては幹線道路が多いわけでありますから、駐車違反は、本来は二十四時間禁止なのだから道交法で取り締まればいいではないか。にもかかわらず自動車の保管場所法でやるとすれば、それなりの理由がなければいけないということになります。  同じ駐車違反というものを検挙する場合についてもこの二つの法律がある。一つの法律はぐんとウエートが下がってきておる。なぜか。それから、量刑の面でも、片一方の道交法の取り締まりの方が自動車の保管場所の確保等に関する法律よりも重いわけです。こういう点はそろそろ矛盾が出てきておるのではないかと思うのですが、その点はどうお考えになるのか、お答えを願いたいと思います。
  146. 関根謙一

    関根政府委員 お答えを申し上げます。  路上駐車が法律違反に該当する場合といいますのは、御指摘のように保管場所法の五条一項、二項違反と道交法の四十四条、四十五条違反の二つの形態がございます。最近の取り締まりの場合における法令の適用関係では、御指摘でありますように道交法違反として取り締まっているものが大部分でございます。  理由でございますが、駐車禁止という場所で駐車をしている場合は道交法違反の方を適用しております。車庫がわりに路上に置かれている場合が保管場所法の五条一項違反の方でございますが、これは三月以下の懲役、三万円以下の罰金。他方、道交法上の駐車違反は十万円以下の罰金でございますから、車庫がわりに道路を使っている場合は保管場所法違反の方が罪が重いということになります。ですから、その二つの法令が一つの行為によって競合する場合、保管場所法違反が証明できれば保管場所法違反として検挙をするということになります。それ以外の日中の十二時間以上駐車、それから夜間の八時間駐車の方の問題でありますと、こちらの方は刑罰が三万円以下でございまして、駐車違反の十万円以下よりも軽くなりますので、この場合には刑法の五十四条の規定によりまして道交法違反の方で検挙するということになります。  東京都の場合でございますが、ほとんどの部分が駐車禁止の場所でございまして、その駐車禁止の場所における違反ということで、道交法違反による検挙が大変高くなると考えます。保管場所法違反の場合には、夜間で駐車禁止の場所以外の場所に駐車をしている場合、それを検挙するのが保管場所法違反ということでございますから、その検挙件数が極めて低いということがございます。  なお、道交法と保管場所法のそれぞれの違反に対する刑罰の重さの程度の方でございますが、御指摘のように昭和六十一年の道交法の改正によりまして道交法の駐車違反は重くなったわけでございます。このときに保管場所法の方の手当ては一切しておりませんので、ややバランスを失している感なきにしもあらずでございますので、この点は見直すという観点で今後検討を進めたいと考えております。
  147. 草川昭三

    ○草川委員 特に東京都内の場合、今答弁がありましたように二つの法律のどちらを適用するのか。一般論的には道交法でいいじゃないかと我々は思うわけでありますが、保管法を適用する。その判断は第一線の警察官が行うのか。また、路上を駐車場がわりにするという判断はどの程度の時間によって判断するのか。これは非常に重要な問題だと思うのです。きょうはもう時間がございませんので、我々も少し時間をかけて問題提起をしたいし、利用者が納得できる処置が必要だと思うので、これはまた別の機会に申し上げますが、ぜひ検討していただきたいと思います。  時間が来ましたので最後になりますけれども、私これは要望だけにしておきます。  運輸省と警察庁が来ておみえになりますが、社団法人日本自動車連盟というのがあります。JAFというのですね。これが十月二十三日、そのほかにも出していると思うのですが、「「消費税」の廃止?見直し?「でも、再び自動車物品税をかけることには反対です。」」というキャンペーンを張っているわけです。  JAFというのは、私が説明するまでもなく、ドライバーにとっては、自動車保有者にとっては非常に重要な団体だと思うのです。道路上における事故があったときに牽引を頼む、非常に助かる組織であります。費用もそれなりに我々も納得して払っているわけであります。これがある日、突如非常に政治的に、国内の世論を二分する議論に参加をするということは、私はいかがなものかと思うわけであります。このように新聞等に物品税をかけることに反対だというキャンペーンを張るならば、その費用分だけ加入者に還元すべきだと思います。我々はこういうことを期待してJAFに加入しているわけではないわけです。  少なくとも野党は、それなりに物品税についても大変な議論をし、二年間だという限定つきのことを言ってやっている。にもかかわらず、その翌日か翌々日に日本自動車連盟は物品税をかけることに反対だと。  もちろん、それは、ドライバーの代表である日本自動車連盟を通じて、物品税の復活はやめてくれという声が加入者から出れば別ですよ。あったとすれば、それはどういう機関で、どういう会合でそういう発言がなされたのか聞きたいと思うのです。これは社団法人でありますから、本来ならばここに来ていただいて、どういう趣旨で、だれの意見をもとにこのJAFの宣伝をしているのか、JAFには今一体何人加盟をしておるのかを聞きたいと思うのです。もう何百万人という人が加盟しているはずでありますけれども。  一方的にこういうことに金を使われることについては、社団法人の定款の中に政治的な発言あるいは陳情等があったとしても、それはいささか問題がある、こう思うので、きょうはあえて答弁を求めませんけれども、日本自動車連盟を所管する運輸省あるいは警察庁がどういう態度をとられるのか、後ほどお答えを願いたい、これを強く要望しておきたいと思います。  それから、これも答弁を求める時間がございませんので、警察庁に要望しておきますが、警察庁の方もいろいろと交通安全のための予算を持っておみえになります。あるいはまた反則金を原資にいろいろな安全施設等にも使ってみえるわけでありますが、これはどちらかといえばハードな面で原資を確保しているわけでありますが、これからは、先ほどの高速道路事故ではございませんけれども、ハード面を重視することもいいですけれども、ソフト面でもっと知恵を出して、新しい交通行政、あるいは第二次交通戦争と言われる時期に、何らかの予算というものも考えていくことが必要ではないだろうか、こう思うわけであります。  道路等についての特定財源もあるわけでありますが、反則金を特定財源とは私は言いませんけれども、何らかのソフト面での原資を確保する、あるいは予算を計上する中で今後の交通行政をやっていただきたいということを要望して、時間が過ぎておりますので終わりたいと思います。  以上です。
  148. 岡島正之

    ○岡島委員長代理 次に、大矢卓史君。
  149. 大矢卓史

    ○大矢委員 質問の冒頭に渡部大臣にお伺いをいたしたいと思います。  国会が国民に対しての責任、各党が国民に対しての責任を果たすことが政治倫理の確立だと言われております。それについて国民が、この国会は消費税に対する国会だということが言われておりまして、野党は消費税の廃止を中心にいたしまして現在参議院で議論をしておるわけであります。当然与党におかれましても、国会を召集されました片一方といたしましては、その消費税に対する大きな見直しというものが国会に示されるであろうということが期待をされておりましたけれども、海部総理の公約の十一月いっぱいということが守られなかった。  まず、この内容はとにかくといたしましても、前回の参議院選挙で自民党が大敗をされましたその中には、公約違反ということがございます。政治家が、また国会が、国民に政党として約束したことについては守っていかなければならない。当然政治資金問題、これまたきょうの本会議で可決になりました。これもやはりどんな法律をつくりましても守っていかなければならない。そういうことについて、公約を守っていくということについてまず大臣の御所見を承りたいと思います。
  150. 渡部恒三

    渡部国務大臣 今度の国会、政治改革、政治資金規正法あるいは公職選挙法の審議を各党の皆さんにお願いをいたしておりますが、政治に対する信頼を取り戻すこと、また、野党の皆さん方が参議院に提案されました消費税廃止法案の議論を通じて、広く国民皆さん方に税制というもの、また私どもがやった税制改革が、いかに二十一世紀の未来の高齢化社会を支えるために重要な問題であったか等を議論していただく、大変重要な国会であると考えております。  なお、先生御指摘の公約を守る、これは政治にとって最も大事なことだと思います。  海部総理は、税制改革、先般の法案の中の消費税についての見直しというものを何とか先月中にまとめたい、こういう努力をしておりました。また、新聞等で御承知のように、その総理の考え方に対して党も、党税調あるいは政調会等を通じて深夜にわたって今まとめるために努力をし、現在もその努力を継続中でございます。ですから、国会に法案が提出できなかったとかやらなかったというならこれはおしかりを受けなければならない問題ですが、できれば十一月三十日までにまとめたい、こういう意向で努力しておったものが、一日あるいは二日、三日おくれたことによってこれが公約違反ということにはならないということも御了承賜りたいと思います。
  151. 大矢卓史

    ○大矢委員 国民の中にも、そういういつまでということでなしに、内容が問題なんだという意見もございます。しかし、一国の総理が、自分でみずから大見えを切られて十一月中に決めますと言われた。これは我々が言っても責任があるわけですけれども、一国の総理が言われたそういうことについてはそれを重く受けとめていただいて、やはり国会にそれだけのものを出していただきたいということを思っております。ただ、そういうことを言いましても、非常に産みの悩みをしていらっしゃるようであります。  そこで、もう一つお聞きをいたしたいのですけれども、参議院選挙で参議院におきまして与野党の逆転がございました。これは非常に国会運営の経験豊かな、国対委員長もしていらっしゃいました大臣ですからお聞きをいたしたいのですけれども、私ども、国会で国民の意思が反映をして参議院であのような状態になり、御承知のように少なくとも向こう三年、そして恐らく向こう六年は、物理的にも自民党が絶対過半数を参議院で制することはあり得ないと思います。そういう中での国会での運営、これが、私どもが見ておりますと、自民党みずから与党を放棄したような形で参議院で議会運営が行われておる。そういうことになりますと、いつも、今まで言ってこられました、すぐに野党は寝るんだとかなんだとかいうような形、できもしないことを要求するとか、すぐ答えを出せとか、出さなかったらそれでは審議に入らないとかいうようなことはけしからぬと言われながら、そういう形のものが国民の目に映るということは私は非常に残念だと思います。選挙でいろいろ争って政策でもって国民の審判を受ける、そういうことにつきましては、おのおのの政党が国民に対してその信任を受ける努力をされる。それについて国民の受け取り方はいろいろとございましょうが、その結果が出ましたものはやはり国民の審判として受けていく。そして、向こう六年間というものは参議院と衆議院、次の衆議院の選挙で今まで同様に自民党が過半数を制されましても、衆参では今までのような議会運営ができなくなってきた。そういう中で今のような参議院に対する議会運営をしていらっしゃるということは、もし渡部国対委員長がいらっしゃったらそういうことはしていらっしゃらなかっただろう。いずれにしても、与野党が対決をするのは、その政策についての対決はございましても、国家と国民に対して責任を負う、そのためにお互いが話し合いをして一致点を見出して、そしてよりよい方向に向かっていくというのが政治の現実のあり方であります。決してその話し合い、また妥協というものが悪いことであって、ただ単におのおのの政党が主張するだけでは、従来は自民党がお決めになったらすべて時間をかければ通るというような国会でございましたけれども、それができなくなったわけです。そうなりますと、従来も決して対決法案ばかりでなしに、賛成をしていき、通っていく法案がほとんどだと言われる中で、さらにそういう対決法案もそれをお互いにすり合わせをしてよりよい方向に持っていく、それが必要な国対のあり方ではないか、そのように私は思っております。  それにしても、今一般に映る参議院での議会運営というものは余りにも――今そういうことをやっていらっしゃるなら、これは幾ら衆議院で選挙をやって引き続いて自民党が過半数になられましても直らない現象でありますから、それを今度は逆に、衆議院からまたいろいろなものを送り込んだときに参議院がスムーズにいかないような、もうやけくそで、我々は政権を放棄したんだ、野党になるから何でも好きなことを言うてやれというような形の方に移ってはならないわけであります。こういうことについて、国対のベテランでございました大臣としても非常に心を痛めていらっしゃると思う。御意見を承りたいと思います。
  152. 渡部恒三

    渡部国務大臣 議会民主政治を守っていくために、私は国会運営に臨む責任者として、野党の皆さん方は審議放棄をしない、また与党である多数党は強行採決をしない、この二つを国会運営の鉄則として国会運営に臨んでおりましたけれども、残念ながら結果は必ずしもそういう状態でないことが幾たびかありました。私は、大矢先生の所属する政党が審議放棄をしない、是は是、非は非と言う良識に非常な期待をかけておりましたが、大矢先生の所属する政党も先般の国会ではそうでない場合もありまして、不本意なことが幾つかありましたけれども、国会運営に対する心構えとしてはまさに先生おっしゃるとおりで、私も同感であります。  残念ながら、さきの参議院の選挙で我々の党は過半数を割ってしまいまして、参議院ではお互いの政党が今までと全く異なった立場で議論をしておるのでありますけれども、立場が変わったからといって国政を審議していく国会議員としての哲学が変わってよいということではございません。国会の場は、与野党を問わず徹底的に審議をする、意味のない審議拒否はしないという姿勢が大変大事なことだろうと思います。  国政を考えますと、我々の党が参議院の過半数を割ってしまったことは大変残念でありますけれども、政治の基本は外交であり教育であり防衛でありますので、これらの点について哲学をともにする同志の政党を期待して、これからも我が国の平和で豊かな安全を守っていくために努力をしてまいりたいと思います。
  153. 大矢卓史

    ○大矢委員 大臣のお気持ちは痛いほどわかるわけでありますので、これからもそういう形で、党の最高幹部として、国会が、やはりお互い意見が違っておりましてもそれをすり合わせをする中で、国家と国民のために、また世界平和のためにやっていきたい、そういうことで御努力願いたいと思います。  そこで、通告いたしておりませんでしたけれども、消費税で前回のときに、消費税と、また名前がどう変わりましたか知りませんけれども、従来の料飲税と二つの形で残ってまいりました。一時これを、地方税についてはやめようじゃないかという意見が新聞紙上でもあったようであります。前回、政治的な妥協の産物として免税点を上げて、そしてパーセンテージも下げて残ったということになりましたけれども、実際的にこの部分だけが消費税と一緒に残ってしまったわけですね。ほかのものはほとんどがなくなりましたけれども、やはり依然として従来の料飲税が形を変えて地方税として残ってしまった。それをなくすべきじゃないか、またそういうことが自民党の中でも論議をされているやに報道しておる新聞もございましたけれども、具体的な問題としては、今回のそういう大幅な見直しという中には出てきておらないようでありますけれども、大臣、もしこのことについて自治大臣として御所見ございましたら承りたいと思います。
  154. 渡部恒三

    渡部国務大臣 御指摘の特別地方消費税は、今残されておる地方自治体にとっての貴重な税源でございますので、これはぜひとも存続をしてまいりたいと思いますので、御協力を賜りたいと思います。
  155. 大矢卓史

    ○大矢委員 自治省としてはそういうお考えであると思いますけれども、やはり何か自民党の中でそういうものも一つの俎上に上ったということは聞いておりますので、その間の経過がわかりましたら御報告願いたいということです。
  156. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 ただいま大臣からのお話のとおり、特別地方消費税につきましては、昨年の税制改革におきまして、消費税を導入するに当たって国民の税負担が二重にならないように、あるいは過重な負担にならないようにという観点から、地方税におきましても地方間接税の調整を行ったわけであります。その結果、御高承のとおり、電気税、ガス税、木材引取税の廃止あるいは娯楽施設利用税を改めましてゴルフ場利用税とするとか、その中の一環として、今御指摘の料理飲食等消費税につきましても特別地方消費税という形に名称を改めまして、税率を下げ、免税点を引き上げるという形で、この部分につきましては消費税の導入に伴う調整という形で、昨年その調整は終わったわけでございます。  そういう中で、仰せのとおりこの特別地方消費税については消費税とダブルの課税になるのでこれを廃止すべきではないかという御議論が一方にあることは事実でございますけれども、これに対しましては、私どもとしては、昨年消費税の導入に伴った地方間接税の調整というものは一応終わったということでございますし、しかもこの税が地方の独立税として極めて貴重な税である、しかもこの税は保健所行政でございますとかそういうような地方の行政と極めて密接な関連にあるという税でございますので、これを地方の独立税として今後とも継続していただくようにこれからもお願いをしてまいりたい、こういうことで努力しているところでございます。
  157. 大矢卓史

    ○大矢委員 まあ大臣、自民党の内部のことですからなかなか言いにくいことがございましょうから、これはよろしゅうございます。  そこで、先ほど草川委員からも質問がございましたふるさと創生一億円の問題について、いろいろと担当者お二人でやっていらっしゃるようでございますが、そのお二人の方がまとめられた資料もちょうだいをいたしました。いろいろなことを知恵を出しながら、皆さん相談しながらやっていらっしゃる。みんながすばらしいんだ、こうおっしゃいますけれども、本来の趣旨からいって本当にすばらしいなというものもあれば、なぜこんなことをしているのだろうというようなものもあると思いますね。  ところが、たまたまテレビで取り上げられるのは、一億円の金塊を買ったとか、昨日テレビで取り上げておりましたのは、一億円を目の前に置いて見る会という、そこの町長さんか何かの写真がお札の顔のところに載っているもので案内状を出して、みんなが一億円というものはどれだけのものかということを見にくる。そういうことをやりますとテレビは取り上げるわけですね。しかし、そういうことが果たして本来の趣旨からいくとそれに合っておるのかどうか。もっともっとすばらしいことをやっていらっしゃるところがあると思います。やはりそういうところのことをもっとPRするとか、こういうこともありますよ、ああいうこともありますよということで、皆さん考えることもいいのですけれども、小さいところで考えて、それをプロにお手伝い願いますとまた非常に金がかかりますし、これから継続してやっていこうとすると、ODAではございませんけれどもまたまたそこの負担がたくさんになってきて、結局はできないというふうになってまいります。そういうことで、こういう方向でやっていらっしゃるところ、これはこれなりにまとめていらっしゃいますけれども、対外的にもすばらしいところはどんどんPRをして、テレビ等でも取り上げていただく。ただ単に、金塊を買ったところだとか一億円を見せるところが、何かいかにもそれだけが際立ってくると、何をしているんだろう、国民の貴重な税金を一体どうしているんだ、マネーゲームに使うのかというようなことまで言われ、そして、それがせっかく皆さん方がお考えになったこととは違うように、選挙目当てのばらまきだなというふうに終わってしまうわけであります。  そうでなしに、実際にこんなすばらしいことをしたところもあるというふうに思いますけれども、それらもやはりこれからPRをしていくということについてやられないと、お二人だけしか担当の方がいらっしゃらないようですけれども、そういうことではどうにもならぬと思いますので、大臣いかがでございましょうか。
  158. 渡部恒三

    渡部国務大臣 大変貴重な御意見を賜りました。私は、今全国三千を超す市町村のふるさと創生に取り組む計画をできるだけ詳細に報告をお聞きし、またその計画、実施した内容等に目を通しておるのでありますけれども、これは大部分は非常にまじめに、熱心に取り組んで、なるほどな、こういうこともあったかなと感心させられるような事業が大部分であります。しかし、残念ながら報道になりますと、猫がネズミをとってもこれはニュースにならない、ネズミが猫をとればニュースになる、これが報道の鉄則だと私は学生時代新聞学で教えられたことを記憶いたします。  一億円を見る会というのは今お聞きしたのですが、そういうことがあるかもしれませんけれども、これは全く異例のことで、しかし異例のことだからこれはニュースになったのだろうと思いますけれども、一つ一つの町村では真剣に、まじめに、しかもまたなるほどなと我々が感心させられるようなすばらしい事業を既に実施し、あるいは計画しておるということを御理解賜りたいと思います。
  159. 大矢卓史

    ○大矢委員 これからもどんどん、やはり過疎の問題とかいろいろなことで地方には地方で要求があると思います。それを一つでも掘り起こすという意味からも、その制度が意味があったなということでないと、やることがないから金塊を買うんだということでは困るわけでありますから、その点、非常にすばらしい例も皆さん方に知っていただくような御努力をしていただきたい、このように思っております。  それから、余り時間がございませんが、今地方におきますいろいろな汚職事項でございますとか住民の監査請求の問題、住民訴訟の問題等いろいろと聞くのですけれども、大体人手がないので、ある程度の件数なりについては上がってきておるけれども、内容等については一切わからないのだという答えしか返ってこなかったわけであります。実際、そういう地方におけることに対して、中立性ということで余り地方自治にくちばしを入れないということはそれはそれでいいと私は思いますが、ですけれども、一体どのような住民が今監査請求を起こしておるとかどのような行政裁判をやっておるとかいうことは、自治省としてやはり無関心でおってはいけないと思います。そしてまた、どういうような汚職、私どもからいいますと地方自治体というものは一切不正を行わないところだと思っておりましたが、地方自治体ぐるみで不正を行って国がその返還を要求したというような事件も見かけます。そういうようなことを自治省として、それに対してどうだこうだということは別にして、今現在どうなっておるのだということぐらいはつかんでおいていただかないと、地方行政全般を見ていらっしゃるところとしては余りにもずさんではないかと思いますけれども、いかがでございますか。
  160. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 ただいまお話しの、地方団体におけるいろいろな事柄につきまして最大限情報を集めたらいいではないか、こういう御趣旨だろうと思います。  私ども定期的に、あるいは場合によりましては随時に、いろいろな情報を得るため、各地方団体にいろいろな照会をさせていただきまして、それに基づく情報を集めておるわけでございますが、何さま三千を超える地方団体を抱えておるわけでございまして、そのすべての団体についてその細部につきまして熟知しておるというわけにはなかなかまいらない状況でございます。マスコミ報道その他を通じましても極力情報を集めるようにいたしておりますし、それからまた県などを通じましての情報もこれから積極的に集めていきたい、こう思っておりますし、さらにはまた、これは自治省の方に相談に来やすいような雰囲気をつくることも必要ではなかろうかと思いますので、今委員お話しのような御趣旨を含めまして今後十分考えさせていただきたい、かように思っております。
  161. 大矢卓史

    ○大矢委員 少なくとも、東京では載っておらないことでも、地方でいわゆる新聞に載ったとかなんとかというような事件がいろいろあります。そういうことは中央でもやはり関心を持ってそれを見守っていただきたい。そしてどういう傾向にあるのか、それが裁判結果として住民が敗訴になるのか、また訴えられました自治体側が敗訴になっておるのか、やはりそれについてはこうあらねばならぬという一つの分析なり、大きな方針ができていなければなりません。  そこで、住民監査請求なり住民訴訟制度というのは、昭和二十三年の地方自治法の改正、それによってなされたと言われております。しかし、それから四十年たちましたけれども、その当時一人でも二人でも疑問を抱けばそういう道が開けるということで、かえってそういうものをどんどん道を開いて、請求をしたりまた訴訟をしていくということに道を開かれたと思いますが、四十年間たってまいりますると、それはそれなりにおのおのの傾向が出てまいりますし、また訴訟なり住民監査請求というのがいろいろな形で出てきております。それに対して、地方自治体が敗訴になる場合もございましょうし、また住民側が敗訴になる場合もありましょうし、いろいろなケースが出ておりますけれども、そういう実態をどの程度おつかみになっていらっしゃいますか。
  162. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 今お話しの住民監査請求訴訟というのは、御承知のとおりいわゆるタックスペイヤーズシュートといいまして、アメリカの制度を日本に持ってきた、こういうものでございます。簡単に申しますと、納税者が納税者個人の立場で地方公共団体の行財政につきましていろいろな注文ができる、こういう制度でございます。  この制度につきましては、今お話しのように戦後地方自治法ができてから今日まで続いておるわけでございますが、私ども先ほど申しましたように定例的に一定のそういう統計はとらせていただいておりますし、まとめてあるものもございますが、その経過なり内容なり等につきまして、詳しい分析をいたすという段階までは至っておりません。お示しのように、住民監査請求訴訟というのは住民の権利として非常に重要なものでございますので、お話しのような趣旨を踏まえまして今後ともそういう事件、事案の分析等に努めてまいりたい、かように考えております。
  163. 大矢卓史

    ○大矢委員 余り時間がございませんので、自治省の方にいろいろなことをお聞きをしましても、そこまで何もわからないのだという答えでございます。それはそれなりに、財団法人の地方自治協会、ここではその研究をしていらっしゃるようである。そこに私の方から資料をちょうだいいたしまして、そしてその中で、私も余り時間がございませんでしたのでこの内容そのものの結果というものを理解いたしておりませんけれども、初め二十三年にできたときにはどんどんそういう請求なり裁判がしやすいようにということでやってきましたけれども、その中で、やはり一人でも裁判が起こせる、その人が一人で十件も二十件も一人の首長に対して裁判を起こしていく、一つのマニアのような人まで出てきたということについて、これは法律ができるときにはそういうものが考えられなかったわけでありますが、そういうことで住民がそういうことをすることについて大きく道が開けた。しかし、それが逆に、そういうことでその首長さんがずっと被告の立場に立たされるというようなことで、これでは本来の職務に携わること以外に追われて仕方がないというような実例もあるようであります。そうなってまいりますと、果たして一人でもやっていけるのがいいのかどうか、これは一つの問題の提起にもなりましょうが、そういうことが載っています。そしてまた、裁判を提起されました首長さんなり自治体の職員の人がみずから受ける被告としてのその弁護士費用というのは、今の法律ではこれは一切出ないようであります。もちろんそれが敗訴になりますと自分の責任ですからそれをおとりになることは当然でございましょうけれども、勝訴になりましても、その裁判にかかります弁護士の費用というのはその人が全部負担しなければならぬという仕組みになっておるようである。それについて、勝訴になりました場合の、その首長として、またそのおのおのの部署としてやられた方々の自分に対する弁護費用というものを、やはりその自治体が負担できるような法改正をしていただきたいというようなことも載っておるわけであります。そういうような問題も含めて、大臣、これでもう終わりますので、そういうことを研究していらっしゃるところもありますし、自治省みずからそういうことをなかなか隅から隅までできないということでありますけれども、そういう声を聞きながら、それによってやはり新しいそういう声を参考に、これは裁判を起こし監査請求をするという門戸を閉ざすというのではなしに、それはそれで正しいものはしていただいて結構ですけれども、やはり正しい行政をしながらも、その被告となるその人たちの自分を守っていくための弁護士費用というものまで、勝ちましてもすべて自前でしなければならぬというのは、私は何か不合理であるように思います。ただし、法律上はそうなっておるようでありますので、大臣、これはその点を今後研究していただいて、やはりこれからも住民と一体となって地方自治を築いていく、お互いに責任を持って仕事をし、そしてそれに対してこたえていくという姿勢をとらなければならぬと思いますけれども、この点を最後にお聞きをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  164. 渡部恒三

    渡部国務大臣 先生の大変真摯な御意見、貴重な御意見として承って、今後勉強させていただきたいと思います。
  165. 岡島正之

    ○岡島委員長代理 次に、野間友一君。
  166. 野間友一

    ○野間委員 渡部さんが自治大臣になられたのが八月だと思います。そのころ、就任早々のインタビューをいろいろ新聞でも拝見いたしました。そこでは「かかったカネが国民にわかるように透明にすることも大切。」なんだというのもございますし、「きれいに集めてきれいに使う」こと、これが非常に大事なんだということを御指摘になっております。リクルートやパチンコ疑惑を例にとるまでもなく、政治家にまつわる金、これが、先ほども言われましたけれども、国民の大変な政治不信を巻き起こしておるということを踏まえた上で、こういう見解を披露されたというふうに私は思うわけであります。  最近の渡部さんのいろいろな経歴を調べてみましても、大変な日の当たる場所を歩いてこられました。厚生大臣、それから政調副会長、国対の副、そして国対委員長、今は自治大臣国家公安委員長、こういうような要職についてこられたわけですけれども、今の大臣の御見解、これは、そういう国民にわかるように透明にするとかあるいは集めるのも使うのもきれいにしなければならぬということをずっと堅持して今まで来られたのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  167. 渡部恒三

    渡部国務大臣 政治は信頼でございますから、国民の皆様方の信頼を失うことのないように努めてまいったつもりでございます。
  168. 野間友一

    ○野間委員 そこで大臣にお聞きしたいのは、自治省所管渡部恒三という政治家の政治団体「恒山会」、それから「新時代の会」、「渡部恒三を育てる会」、この三つがあると思います。それから福島県の選管所管では、たくさんありますけれども、「阿武隈恒山会」、「渡部恒三政治経済研究所」、それから「渡部恒三を育てる県南の会」、これがあると思いますけれども、まず事実確認を求めたいと思います。
  169. 渡部恒三

    渡部国務大臣 私は、国家のためにどういう政策を実行するか、国民のためにどういう政策をやるか、こういうことに毎日その精力の大部分を費やしておりますから、政治資金のこととか選挙のこととか、そういうものはほとんど秘書に任せておりますけれども、野間先生がお調べでそういうことであるならば、恐らくそういうことであろうかと存じます。
  170. 野間友一

    ○野間委員 そこで、自治省所管にしても県の選管所管の政治団体にしても、法律では収支報告書を出さなければならないということになっておりまして、これは毎年年度ごとに出しておられるわけであります。もちろんこれは正確になされておるというふうに私は信じたいと思うのですけれども、いかがでしょう。
  171. 渡部恒三

    渡部国務大臣 これは私自身が詳細に目を通しておりませんから、ここで一〇〇%どうこうということは申し上げられませんが、私はこれらを担当しておる者を信頼しております。
  172. 野間友一

    ○野間委員 昨今のマスコミでは、政治資金についていろいろな企画、連載物もたくさんあるわけです。私は、ある全国紙の九月八日付の「政治資金の虚実」という連載物を読んだのですけれども、この場合「自民党代議士A氏の場合。」として、B秘書の証言がいろいろ引いてあります。それによりますと、この収支報告書の「「総額」は「実際の収入を十とすれば、うちの事務所の場合、記入するのはせいぜい六ぐらい」」、それから「「下の方のケタは、自分の生年月日や電話番号、時にはサイコロを振って決めることもある」。この収支額を三つの政治団体の実力に見合って割り振り報告書の明細作りに入る。」これは大臣のあれじゃないのです。西日本の中堅の代議士と書いてありますが、こういうことが平気で言われておるわけですね。ほかにもたくさんこういうケースがございます。報告書の中で「唯一正直な部分」、これは個人献金の欄だ。これはいろいろな出した方とのかかわりがありますからそういうことが言われております。つまり法の建前、例えば目的とか趣旨、それからざる法であっても一定の縛りがあるのですが、実際このような赤裸々な証言から見てもこの収支報告書が正確につくられておるのかどうか。大臣は今信じたいというふうに言われましたけれども、そういうことがいろいろな政治不信をさらにかき立てるということにもつながっておるわけであります。  そこで、具体的に自治省にお伺いしたいと思うのです。これは既にきのう数字は全部調べていただきまして、私の調査とも合うわけなのですけれども、例えば昭和六十三年分、一九八八年分の数字を私が読み上げますから、御確認をいただきたいと思います。  まず恒山会から、これは自治省所管の政治団体、渡部さんのあれですけれども、阿武隈恒山会へ五百三十七万、渡部恒三政治経済研究所へ二千六百五十万、渡部恒三を育てる県南の会へ五百八十一万。それから新時代の会から阿武隈恒山会へ二百九十五万、渡部恒三はこれからは省略しますが、政治経済研究所へ三百十万、育てる県南の会へ二百七十万。それから渡部恒三を育てる会から阿武隈恒山会へ百四十万、政治経済研究所へ四百九十万、育てる県南の会へ三百六十万。これは昭和六十三年度に自治省に届け出たそれぞれの政治団体からの県所管の政治団体に対する寄附として、こういう記載があると思いますが、いかがでしょう。
  173. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 自治省所管の政治団体の支出といたしまして、ただいま委員御指摘のとおりの数字が記載されております。
  174. 野間友一

    ○野間委員 ところがこれは、各都道府県の選管所管の政治団体は収支報告書を当該の選挙管理委員会に出すということに法律上なっておるわけです。それで、今指摘しました福島県内の渡部さんの三つの政治団体、これはたくさんありますけれども特に三つを挙げたわけですが、これはそれぞれ所定の収支報告書を出しております。便宜、これは資料として出すわけじゃありませんけれども、ちょっと委員長大臣、それから選挙部長に渡していただきたいのです。質問の便宜上です。資料じゃありません。資料として出すわけじゃありません。  それをごらんいただきたいと思うのですけれども、一枚目が八六年、昭和六十一年、二枚目が八七年、六十二年、それからその下が八八年、六十三年、こうなっています。特に、今選挙部長が認めたのは二枚目の下の昭和六十三年度分ですが、この①のところの欄の数字を読み上げて確認してもらったわけです。  ところで、その②のところ、ここに数字が出ております。これは、それぞれの県所管の政治団体が、それぞれの自治省所管の恒山会、新時代の会あるいは育てる会、これから幾ら六十三年度に寄附を受け取ったかということを示す数字、金額の欄であります。これは、お示しした最後に福島県報がついておりますからそれをごらんいただいたらわかります。これを全部私が表として整理をしたものです。  これを見ますと、全部は申し上げませんが、例えば恒山会から政治経済研究所へ寄附したというのは二千六百五十万、受けたというのは二千四百二十万、差が二百三十万あるわけですね。県南の会に関していえば、出したのは五百八十一万、受けたのは四百八十一万、この差が百万円。それから、新時代の会から政治経済研究所へのところ、真ん中を見ますと、出したという報告書の中には三百十万、受けたというのは百五十万。①と②の数字をずっと合わしていただいたら一目瞭然。これは自治省にも法律の二十条三項で要旨の公表、県報が送られておりますからごらんになったらすぐわかりますし、私も丹念に調査したわけです。そうしまして、これを見ますと、寄附をしたという額と実は受けましたという額、これが合うのは常識なんですけれども、合わないわけですね。最後にトータルしてありますけれども、出したという方は五千六百三十三万円、三つの自治省所管の政治団体から出したのだ、それで受けたという方は五千五十三万円、つまり五百八十万が宙に浮くわけです。これは数字を全部合わしたらすぐ出てくるのです。出した、もらったという寄附行為、九つのうち四つしか合ってない。四つを除いたものが全部差があって、その差額が五百八十万。つまり、ここに対してこれだけ寄附をしました、この団体からこれだけ受けました、その差額が五百八十万。つまり五百八十万、出した方が受けたという数字よりも多いわけですね。幽霊です。  ここで考えられることは二つしかないと思うのです。一つは、出したと称して出してなくてこれがどこかに費消されたか、あるいは、現実には出したという額を受けておるけれども収支報告書にはそれを減額して記載してその金がどこか行方不明になったか、こういうことにしかならないわけですね。これは合うのが当たり前ですからね。こういう数字をごらんになりまして、大臣いかがお考えでしょうか。
  175. 渡部恒三

    渡部国務大臣 大変よく御熱心にお調べをいただきましてありがとうございます。  残念ながら、私は国家国民のために一生懸命の余り先生ほど詳しく調べておりませんので、今度よく調べて、過ちがあれば当然正さなければなりません。今先生御指摘のような点がありましたら、これは恐らく事務的な手違いから生じておるものと思いますけれども、厳重に注意してまいりたいと思います。
  176. 野間友一

    ○野間委員 部長に聞きますが、政治資金規正法では、虚偽の報告をした場合には二十五条で処罰規定があります。この点だけ確認しておきたいと思います。
  177. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 ちょっと私も今急には条文が出てまいりません、法令集を見ればすぐ出るんでございますが、いずれにしましても、虚偽報告ということについて罰則が定められてあるということは間違いございません。
  178. 野間友一

    ○野間委員 これは大変重いのですよ。虚偽報告の場合は二十五条で「五年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金」、これは会計責任者でありますが、さらに「政治団体の代表者が当該政治団体の会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠つたときは、二十万円以下の罰金」、代表者に対しても処罰規定があるわけですね、そうでしょう。
  179. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 政治資金規正法においてただいまお示しのような規定が設けられております。
  180. 野間友一

    ○野間委員 渡部大臣、これは例えば多少計算違いで数字を間違うということがあり得ると私は思うのですね。ところが実際には、寄附をした、受けました、これは合うのは通常なんですけれども、合っておるのよりも間違っておるのが多いわけです。その差の五百八十万が幽霊でどこかへいってなくなった。普通はこんなことはあり得ないわけでしょう。例えば、私もどこかへ送金をするとかだれかに借りて金を返す、それを確実にお互いに確認をとり合いながら数字を合わすわけですよ。やった、いやもらってない、そんなばかなことがあり得るはずがない。しかもその金額は、六十三年度で五百八十万といいますからこれは大きなものですね。  しかも、私はさらに申し上げたいのは、同じ二枚目の紙の六十二年度分を見ていただきたいと思うのです。これは時間がありませんから詳細申し上げませんが、これもトータルいたしますと、寄附をしたというのが福島県の三団体に対して六千二百九万円、寄附を受けたというのが五千七百七十九万円、この誤差が四百三十万。ここも中を見ていただいたらわかりますけれども、①と②の数字が合うはずですが、合っているのが四つしかないわけですね。五つが全く数字が合わない。こういうことです。  一枚目も見ていただきたいと思います。これは六十一年度分です。三年間保管していますから全部調べてみました。これも自治省所管渡部さんの三つの政治団体から福島県所管の三つの渡部さんの政治団体に対する寄附、出と受けの数字を書いておりますけれども、これをごらんになっても四千五百四十七万円が寄附をした。ところが三千九百六十万しかもらってない。その差額は五百八十七万円、これまた宙に浮いておるということなんです。  一体こういうことがあり得るのかどうか。余りにも金銭感覚がなさ過ぎると私は思うのです。これは皆さんから集めた浄財なんでしょう。それが、出すのと受けるのが合わなければとことんやるのが普通なんですよ。一円や二円、一万円や二万円の差じゃないのです。これは三年間見ただけでも千五百万以上の誤差があるわけですね。この金が幽霊としてどこかへ消えてなくなっている。数字の上でこれははっきりしているわけです、県報ですから、官公署の文書ですから。私もこれは名誉にかかわる問題ですから十分精査いたしました。それから自治省所管の数字については全部確認を求めたわけですね。そのとおりですね。もって遺憾とするということです。大臣いかがですか。
  181. 渡部恒三

    渡部国務大臣 大変よくお調べをいただいて御苦労さまでございます。  今お聞きする話を総合してみますと、私の後援会の会計責任者にもし事務的な過ちがあったらこれは訂正させなければならないと存じますが、現在のところこれは私全く承知しておらないことでありますので、今ここでどうこう申し上げることはできません。今度はぜひ野間先生にでも私の後援会の会計責任者になっていただいて過ちなきを期してまいりたいと思います。
  182. 野間友一

    ○野間委員 今申し上げましたように、これは処罰規定があるわけです。犯罪の成否が問われているということで、単なる誤記であれば、これは一、二カ所確かにだれでも間違いはあるのですね。しかし、これだけ大きな間違いがあるということになりますと、そのお金が宙に浮いておるとしか考えようがないわけですね。つまり、出したていにして猫ばばというか横領するのか、もらったていにして横領するのか、これまた規正法上の処罰の問題と同時に、刑事上の問題まで出てくる。単なるケアレスミスとは一連の事実から考えられないと思うのです。しかもこれは、先ほど申し上げたように、処罰規定で代表者に対しても責任が及ぶ二十五条があるわけです。  政治家渡部恒三さんの政治資金の政治団体の届け出を見ますと、恒山会、代表者は金丸信さんとなっておるわけです。だから、この人も事と場合によったら政治家として大変大きな問題にかかわってくる問題です。渡部さん、なぜこうなったのか。冒頭に申し上げたように、入ると出ははっきりしなければならぬ。国民に納得いくようにしなければならぬ。このままほっておいたら国民の不信をうんと増大するのは当たり前なので、これはぜひ調べた上で納得のいく御返事をもう一度いただきたい。
  183. 渡部恒三

    渡部国務大臣 御指摘の点、ぜひ十分に調べまして善処してまいりたいと思います。
  184. 野間友一

    ○野間委員 これもよく調べておるとまた言われると思うのですけれども、県選管所管分の中で、渡部恒三を育てる県南の会というのがございます。これは資産公開の中でも公表されておりますが、西白河郡西郷村の熊倉折口原、ここに会館があって別荘を建てたと大臣もおっしゃっております。これを見ますと、これは土地も建物も大臣個人の所有と登記簿上はなっていますね。違いますか。
  185. 渡部恒三

    渡部国務大臣 私個人のものもあれば、たしか私の家内のものもあると承知しております。
  186. 野間友一

    ○野間委員 登記簿をとりますと、渡部恒三として土地と建物、奥さんもそばにあるかもわかりません、これはございますね。その土地上に建物が建っている、それの点です。  県南の会の収支報告書をずっと調べてみたわけです。これは福島県で調べたのですけれども、この中に事務所費として六十三年度七百五十一万七千九百九十八円が計上されておるわけです。これは渡部さん個人の建物ですね。光熱水費とか備品・消耗品費等、人件費等々、これは自治省のマニュアルで別の費目がありまして計上されておるのです。ですから事務所費は家賃としか考えようがないわけです。そうすると、渡部さん個人のものを育てる県南の会が借りて賃料を払っておるということ以外には考えられないのですけれども、そういうことになっておるわけですか。
  187. 渡部恒三

    渡部国務大臣 今御指摘の福島県の西白河郡西郷村における私の事務所、これは野間先生に一度私の選挙区に来ていただくとよくわかっていただくのでありますけれども、私の選挙区の福島県第二区、これは北海道を除く内地で一番広い選挙区で、特に会津地区と県南地区は長い歴史の中で地域が分かれてまいりました。そういう点から、私は出身が会津でありますが、県南地方の皆さん方は非常に熱心に私を応援していただいて、阿武隈山系の人たちはたしか先ほどお話の出た阿武隈山系の名前をとった私の後援会、それから西白河地方の同志の皆さん方は県南地方の名前をとった私の後援会をつくって、皆さん方で私を今日まで温かく御支援をちょうだいしております。  そういう中で、今御指摘の場所は、私の県南地区の後援会の皆さん方が後援活動の拠点として使用されておりますので、その中で経費がどういうふうに分担され、どういうふうになっているというところまでは、残念ながらきょう私はここでお答えする知識を持っておりませんけれども、よく十分に調査をしてみたいと思います。
  188. 野間友一

    ○野間委員 大体地元の人に聞きますと、これが家賃であるとするならば、これを一カ月に直しますと六十二万強になるわけですね。恐らく電話代もあろうかと思います。ここでは女性の職員の人が一人常駐されておるというふうになっておるようですけれどもね。これはいかにも、家賃が六十万前後というのはこの農村で多過ぎるのじゃないか、だから何かあるのじゃないかというようなことを地元の人は非常に不自然に思っている。今せっかく調査するというお話でございますので、それはそれでしていただきたいと思います。  それから最後に、時間の関係で次の問題に移りたいと思いますけれども、自治省所管の恒山会、新時代の会、育てる会、この三つの収支報告書を全部調べてみました。この中で特徴は、例えば飲食会合費が非常に多いということであります。  例えば恒山会、これについていえば、組織活動費二千四百十二万四千百三十九円のうち飲食会合費が九百八十六万七千百六十九円、これは実に組織活動費の四〇・九%を占めております。それから新時代の会、ここでの飲食会合費が組織活動費の六二・八%になっております。それから育てる会ですが、これはさらにそれよりも高くて、飲食費、会合費が組織活動費の七二・二%。つまり、政治活動費の中で組織活動費というのはあるわけですね。その組織活動費の中の今申し上げた飲食費、会合費の占める割合が非常に高い。これは五万円以上の支出については、一々領収書をつけて報告書が自治省に出されております。これは全部調べてみました。それを見ますと、これは実際に庶民感覚とは全くほど遠い。私も行ったことありませんけれども「まん賀ん」とか「金田中」とか「吉兆」、「吉兆」などは一人当たり最低でも十万円近くかかるというふうにいろいろ言われていますけれども、よくわかりませんが、相当こういうところの飲食費が特徴として出ておるわけです。  私は、政治活動というのは、例えば政策宣伝とか機関紙をつくるとか集会を持つとかいろいろございます。しかし余りにも、これだけが非常なウエートを占める飲食会合費、しかも銀座や赤坂の高級料亭での会合が多過ぎる。特徴を言いますと、一つの政治団体としては恒山会が七月十五日に会合費として支払った二百九十二万円余、これが十五日一日で支出されている。それから、一日の支払いとしては、恒山会、新時代の会、育てる会、この合計ですが、八月二日、会合費、飲食費として三百八十万。これはたくさんあります。一カ所での最高を見ますと、銀座の「金田中」、これは十二月七日ですが、百五十八万六千円余。  大臣、それは確かにいろいろな会合を料亭で開く場合もあろうかと思います、私どもはありませんけれども。それにしても、こういう組織活動費の中の比率が四〇とか六〇とか七二%、しかも高級料亭やクラブで、何されるか知りませんけれども、そういうことで費消するということは、やはり庶民の金銭感覚とは全く離れたものではないかと言わざるを得ないと思うのです。これは汚職とかなんとかは別にしても、やはりこういうところにも国民の政治に対する不信が増大する大きな基礎があると思うのです。  私は、こういう点について、せっかくの政治資金を所管する自治省の最高責任者として、大臣としてどうお考えになるのか。これは襟を正して改めるというようなお気持ちがあるのかないのか、その点聞かせていただきたいと思うのです。
  189. 渡部恒三

    渡部国務大臣 きょう野間先生から御指摘をいただいて、今いろいろのことをお知らせいただいたと思うのでありますけれども、これらの内容、十分に調べまして、改めるべきところは改める、また、今御指摘のようなことについても、今後の政治のあるべき姿として謙虚に反省しながら前に向かって進んでまいりたいと思います。
  190. 野間友一

    ○野間委員 終わります。
  191. 岡島正之

    ○岡島委員長代理 次回は、来る十一日月曜日に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十五分散会