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1989-11-16 第116回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月十六日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 中村  靖君    理事 魚住 汎英君 理事 尾身 幸次君    理事 岡島 正之君 理事 杉山 憲夫君    理事 谷津 義男君 理事 渡部 行雄君    理事 草川 昭三君 理事 大矢 卓史君       片岡 武司君    古賀 正浩君       杉浦 正健君    園田 博之君       中村正三郎君    二階 俊博君       宮崎 茂一君    上田  哲君       小川 国彦君    三野 優美君       小川新一郎君    古川 雅司君       矢島 恒夫君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君         郵 政 大 臣 大石 千八君  出席政府委員         内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房会計課長  内藤  勲君         内閣法制局第一         部長      大森 政輔君         大蔵大臣官房審         議官      濱本 英輔君         大蔵省主計局次         長       小村  武君         大蔵省銀行局長 土田 正顕君         郵政大臣官房長 白井  太君         郵政大臣官房経         理部長     木下 昌浩君         郵政省簡易保険         局長      松野 春樹君         郵政省通信政策         局長      中村 泰三君         郵政省電気通信         局長      森本 哲夫君         郵政省放送行政         局長      大瀧 泰郎君  委員外出席者         警察庁長官官房         審議官     関口 祐弘君         総務庁行政管理         局管理官    川邊  新君         大蔵省主計局司         計課長     設楽 岩久君         大蔵省主計局主         計官      堀田 隆夫君         大蔵省理財局国         有財産第一課長 鈴木 一元君         文化庁文化部文         化普及課長   田原 昭之君         農林水産省構造         改善局農政部長 山崎 皓一君         郵政省郵務局次         長       早田 利雄君         郵政省貯金局次         長       山口 憲美君         会計検査院事務         総局第一局長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局第五局長  安部  彪君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     高橋 雄亮君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     遠藤 利男君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     青木 賢児君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     尾畑 雅美君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社代表取         締役常務取締         役)      草加 英資君         決算委員会調査         室長      竹尾  勉君     ───────────── 委員の異動 十一月十六日  辞任         補欠選任   天野 光晴君     中村正三郎君   宇野 宗佑君     片岡 武司君   金丸  信君     古賀 正浩君   竹下  登君     二階 俊博君   松野 頼三君     園田 博之君   宮下 創平君     杉浦 正健君   野間 友一君     矢島 恒夫君 同日  辞任         補欠選任   片岡 武司君     宇野 宗佑君   古賀 正浩君     金丸  信君   杉浦 正健君     宮下 創平君   園田 博之君     松野 頼三君   中村正三郎君     天野 光晴君   二階 俊博君     竹下  登君   矢島 恒夫君     野間 友一君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和六十二年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)  昭和六十二年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書  昭和六十二年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)  (承諾を求めるの件)(第百十四回国会内閣提出)  昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)  昭和六十三年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)  昭和六十三年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その1)  (承諾を求めるの件)(第百十四回国会内閣提出)  昭和六十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和六十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和六十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和六十一年度政府関係機関決算書  昭和六十一年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和六十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (郵政省所管)      ────◇─────
  2. 中村靖

    中村委員長 これより会議を開きます。  昭和六十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、郵政省所管について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本放送協会理事高橋雄亮君、理事遠藤利男君、理事青木賢児君、理事尾畑雅美君、日本電信電話株式会社代表取締役常務取締役草加英資君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村靖

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 中村靖

    中村委員長 次に、郵政大臣概要説明会計検査院検査概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中村靖

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────    昭和六十一年度郵政省所管一般会計及び特別会計決算に関する郵政大臣説明  一般会計郵政事業特別会計郵便貯金特別会計及び簡易生命保険及郵便年金特別会計昭和六十一年度決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  一般会計歳出予算現額は二百四十一億九千二百十万余円でありまして、これに対する決算額は二百三十八億五千九百三十八万余円となっております。  郵政事業特別会計歳入予算額は四兆七千三百九十七億三千八百二万余円、歳出予算現額は四兆七千五百六十六億二千四十三万円でありまして、これに対する決算額は、歳入では四兆七千四百五十五億二千五百三万余円、歳出では四兆六千八百七十九億六千百七十五万余円となっております。  この中には、収入印紙等の売りさばきによる収入及びこれらの収入関係法令に基づき他の会計へ繰り入れる等のため必要とする支出や借入金、局舎其他施設費等資本的収入支出が含まれていますので、これらを除きました事業運営による歳入歳出は、歳入では二兆五千十二億四千十万余円、歳出では二兆四千三百五十九億五千五十六万余円となっております。  郵便事業の損益につきましては、収益の総額は一兆三千九百九十七億三千三百十九万余円、費用の総額は一兆三千九百三十六億九千三百三十四万余円でありまして、差し引き六十億三千九百八十四万余円の利益を生じました。  この結果、郵便事業累積欠損金は、十五億六百二十五万余円となっております。  郵便貯金特別会計歳入予算額は七兆六千六百七十八億五千五百十七万余円、歳出予算現額は七兆千四百三十七億二百二十一万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では七兆八千六百三十二億九千四百九十四万余円、歳出では七兆七百三十一億九千八百四十四万余円となっており、差額七千九百億九千六百五十万余円は、法律の定めるところに従い翌年度の歳入に繰り入れることといたしました。  簡易生命保険及郵便年金特別会計につきましては、保険勘定歳入予算額は六兆八千三百六十三億八百二十九万余円、歳出予算現額は四兆四千五百九十七億四千三十七万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では七兆五千百九十三億九千七十九万余円、歳出では四兆千二十三億四千七百五十一万余円となっており、差額三兆四千百七十億四千三百二十八万余円は、法律の定めるところに従い積立金として積み立てることといたしました。  年金勘定歳入予算額は千七百十七億八千七百二十九万余円、歳出予算現額は三百七億六千四百六十一万円でありまして、これに対する決算額は、歳入では千八百四十一億五千五百八十八万余円、歳出では二百二十三億五千五百九万余円となっており、差額千六百十八億七十八万余円は、法律の定めるところに従い積立金として積み立てることといたしました。  次に、会計検査院昭和六十一年度決算検査報告において不当事項等として指摘を受けたものがありましたことは、誠に遺憾に存じます。今後、この種事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図る所存であります。  以上をもちまして、昭和六十一年度決算概要についての説明を終わります。     …………………………………    昭和六十一年度決算郵政省についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十一年度郵政省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項三十三件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項一件であります。  まず、法律政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項について御説明いたします。  検査報告番号六〇号から九二号までの三十三件は、職員不正行為により損害を生じたものであります。  これは、京橋郵便局ほか三十二郵便局で、郵便貯金又は簡易生命保険等事務に従事している職員が、預金者から受領した定額郵便貯金預入金契約者から受領した保険料等を領得していたものであります。  なお、このうち七二号から九二号までの二十一件については、六十二年十月末日までに損害額のすべてが補てん済みとなっております。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について御説明いたします。  これは、冬期における郵便物集配委託料に関するものであります。  郵政省関東郵政局ほか四郵政局では、冬期における郵便物集配作業能率低下に対処するため、その業務の一部を部外の個人委託しておりますが、その委託料の積算に当たって、集配作業を行わない祝日等の翌日は配達量が増え、集配作業時間が増加するなどとして、祝日等委託料支払対象日数に加えるなどして算定しておりました。  しかし、委託料日額は各受託者ごと委託期間を通じた一日当たりの平均的な集配作業時間を基礎として算定されているので、各集配日ごと集配作業時間の増減委託料の算定に際して考慮する必要はないと認められ、仮に祝日等委託料支払対象日としないこととするなどして委託料を算定いたしますと、約三千万円低減できたと認められました。そこで、郵政省の見解をただしましたところ、郵政省では、祝日等委託料支払対象日としないことなどを明確にした通達を関係郵政局に発する処置を講じたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     ─────────────
  6. 中村靖

    中村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷津義男君。
  7. 谷津義男

    谷津委員 きょうはNHKの方から参考人をお呼びしておりますので、順序を変えて恐縮なんですが、お忙しいところを御出席いただいたものですから、まず先に質問させていただきたいというふうに考えております。  NHKは、平成二年度の予算を編成するに当たりまして、効率化というような問題で今検討しておるという話でございますけれども、この件についてお伺いをいたしたいと思います。  NHKの果たすべき役割というのは非常に大事な状況にありますし、私どももまた大きな期待をしているところであります。そういう中で、経費の効率的な運用あるいは効率的使用というようなものを留意しながらこれは遂行していくんだという話は、前々から聞いておるわけであります。そういう中で、現在効率化の問題についての検討を受けるというふうな話を聞いておるわけでありますが、具体的にどのような方向に進んでおるのか、その趣旨をお聞かせいただきたいと思います。
  8. 尾畑雅美

    尾畑参考人 お答えいたします。  NHKは、先生指摘のとおり、国民聴視料から成っている企業でございますので、効率化につきましては最も力を入れてやりたいと思っております。特に、今年度の予算審議の議了に当たりまして、NHKに対しては附帯決議がございまして、衆参両院でいただきまして、その中で、長期計画をつくってこの中できちんとそういう方向を示しなさいということでありますので、ただいま外部の先生方にも委嘱しまして長期計画の策定をお願いしている最中でありますけれども、その中でも、非常にメディアがたくさんふえていく中で新しい公共放送としての役割をどの程度やればいいのかということを御議論いただいております けれども、その中で最も大切なのは、仕事をしていく上でもどういうやり方、それは最も効率的な、能率的なやり方でやるという方向で今議論を進めている最中でございます。
  9. 谷津義男

    谷津委員 いろいろなその問題については私どもとしても注目をしているわけでありますけれども、その中で、放送の目的とか、そういう国民の信頼を得るために、あるいは支持を得るためにやるんだというようなことははっきり言われておるわけですね。具体的に今検討中だということでありますけれどもNHKとしての考え方もあろうかと思うのですが、その辺のところをちょっと聞かせていただきたいと思います。
  10. 尾畑雅美

    尾畑参考人 まず事業が、先生御存じのとおり、衛星放送とかそれからハイビジョンとかいろいろ展開してまいりますし、それから国際的な情報が、ただいまのところ一方的に日本に入るばかりで日本からの輸出が余りないということがありまして、その役割もひとつNHKで果たしてくださいというようなことがあります。  事業がややそういうことでいきますと、サービス範囲がふえる傾向がありますので、そうしますと一層効率化しなきゃいかぬ。ですから、この数年の予算の執行に当たりましてはゼロシーリング、しかも、前の教育テレビを十五時間始めるときは人数をかなりふやしました、千人単位で。今度は衛星放送ハイビジョンを始めるにつきましても、毎年人数を削りながらやっていくということで、これはかなり厳しい運営になりますけれども、そういうやり方は今後の長期計画の中でも必ず続けていくという方向でやっております。ですから、人員についてもそうでありますし、経費の面につきましても、今までこの数年やってきたやり方をさらに徹底してやります。だから、事業範囲とかサービス範囲は、これも長期計画、これは先生方の御意見を伺いますけれども、その中で、NHKのやらなきゃいかぬことがこの程度であるということについても、やり方につきましては、今までやってきた節減及び効率化方向をさらに徹底するということでやろうと思っております。
  11. 谷津義男

    谷津委員 そこが私が聞こうとしたところなんです。要するに、だんだんだんだんNHK事業というのはふえてきますね。ふえてきながら、一方では人員を削減する、あるいは経費を落としてくる。私はこれはもうかなり今までやってきていると思うのですよ。なおかつそれをやるということになりますと、むしろ、逆に私はそのNHK機能というのが損なわれやしないかという心配をしているものですから実はきょう聞くわけなんですけれども、その辺は大丈夫なんですか。その点をお聞かせいただきたいと思います。
  12. 尾畑雅美

    尾畑参考人 ただいま先生に一番肝心なところを御指摘いただきまして、ありがとうございました。  NHKという企業は、新しい放送のあり方、例えば、ハイビジョンにつきましてもパイオニア的に改革していって、ほかの放送局ないし業界にも提供しなきゃいかぬという役割もありますし、それから絶えず国民ニーズにこたえる、つまり、今の国民の方々というのは非常に情報についても多様な要求をなさいますので、それにこたえるためには、創造性とかイマジネーションとかそういうものが一番重要な企業であります。モラールが非常に大事でありますので、その辺のところが落ちますと、ディレクターないし記者ないしアナウンサーでも技術の者でも、これはよくその放送機能というのが果たせませんので、その辺については最も苦労しているところでありますし、我々経営陣は、一番効率化に関しては気をつけなきゃいかぬ点だと思っております。
  13. 谷津義男

    谷津委員 私もこれ以上聞くつもりはありませんけれども、その辺のところは十分に留意をして、非常に大事なNHKさんでございますから、ひとつよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。  次に、簡易郵便局のことにつきましてお聞かせをいただきたいと思うのです。  実は、簡易郵便局は四千局以上あるということでありますけれども、今まで簡易郵便局存在というのは、どちらかというと不便なところという所に比較的つくられておったというふうに私は認識をしているわけでありますが、最近、いろいろな郵便局に対するニーズと、また郵政省としてもいろいろな事業をやっていきたいということで、例えば住民票を交付するとかあるいはいろいろなことで新しい事業をやるということになりますと、この簡易郵便局という存在というのが大きくクローズアップされてくるという感じを私は持ったわけであります。  そこで、まず特定郵便局簡易郵便局設置の基準、業務内容あるいは職員はどういう資格なのか、こういうところを簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  14. 早田利雄

    早田説明員 お答えいたします。  特定郵便局設置につきましては、利用区域内人口や他の郵便局との距離等を勘案して決めておりまして、具体的には、局と局との間の距離が八百メートル以上あるということ、それからまた、区域内の人口が八千人以上を目安として設置しております。  一方、簡易郵便局につきましては、その事務量が著しく少ないということで、特定局設置することが経済的でないというようなへんぴな地方設置することを原則としておりまして、具体的には利用区域世帯数が二百戸以上というものを目安にしております。業務内容につきましてはほとんど差はございませんけれども簡易郵便局につきましては、余り需要が見込まれません国際郵便とか財形貯金のようなものにつきましては取り扱ってない部分もございます。  また二点目の、各特定郵便局簡易郵便局職員資格の問題でございますけれども特定郵便局は、これは直接国が窓口サービスを提供する郵便局でございますので、そこに勤務する局長及び職員国家公務員ということになります。一方、簡易郵便局の場合につきましては委託により窓口サービスを提供する機関ということでございますので、委託により郵政窓口を行う者の資格につきまして、簡易郵便局法の中におきまして地方公共団体共同組合、そしてまた「十分な社会的信用を有し、かつ、郵政窓口事務を適正に行なうために必要な能力を有する個人」というふうに定めております。ただ、従事する者につきましても、国家公務員ではございませんけれども日本銀行と同じように、法令によりまして公務に従事する者とみなされているという形になっております。
  15. 谷津義男

    谷津委員 実は、簡易郵便局特定郵便局普通郵便局、いろいろありますけれども簡易郵便局は、そういうことになりますと、例えば時間等におきましては、簡易郵便局資格を持った方は自分のできる範囲内で制限を受けずに自由にできるということなのでしょうか。その辺のことはどうなのでありましょう。
  16. 早田利雄

    早田説明員 簡易郵便局窓口取り扱い時間につきましては、これは地方郵政局長が、その地域におきます利用状況等を勘案しまして、一週間二十五時間を下回らない範囲ということで決めております。原則としまして、平日は一定の時間やっておりまして、土曜、日曜、祝日は休みということになっております。実際の取り扱い時間につきましては、午前九時から午後四時までという局が七割でございます。
  17. 谷津義男

    谷津委員 先ほどのお話のように、簡易郵便局というのはどちらかというと不便なところといいますか、僻地といいますか、そういうところに今まで設置をされてきたということですが、これから郵便業務に対して、あるいは郵便局に対しましていろいろな住民ニーズ等が出てまいりまして、郵政省はこれにこたえようとして、住民票を取り扱うとかあるいはまた場合によってはパスポートを取り扱うとか、いろいろ新しいものを考え出してきておりますけれども、こういうようなことを考えてみると、私は、簡易郵便局はへんぴなところよりもむしろ便利なところといいますか、駅前とか都市部とかあるいは本当に住民の集まるところとか、そういうところになってくるだ ろう。特に、駅周辺におきまして扱うということになりますと、これは退社時あるいは通勤時にその場で頼んで帰りに受け取るというふうな面も出てくると思うのです。そうすると当然時間外というふうなものも起こってくるわけでありますが、そういうふうに考えますと、普通郵便局とか特定郵便局よりも、むしろ簡易郵便局というふうなものの方が何かそういう面では便利な感じを非常に受けてくるので、その辺のところの問題というのがこれから起こってくるのじゃなかろうか、私はそういうふうに素朴に感じるのですよ。その辺のところを郵政省はどういうふうに考えているのでしょう。
  18. 早田利雄

    早田説明員 現在の法律のもとにおきましては、私どもといたしましては、駅など交通が便利で、かつ、多くのお客様利用が見込まれるところにつきましては、原則として特定郵便局で対応していきたいというふうに考えております。  しかしながら、先ほど先生から御指摘がございましたように、今後ともやはり、お客様設置を希望する場所にできる限り郵便局設置していくということは当然私ども考えなければならないことでございまして、そういう点で現在どこが最も郵便局の不足が目立つかという点におきましては、これは大都市でございます。大都市にはいろいろな事務部門の集中であるとか、特に東京におきます郵政窓口サービス需要というのは非常に増加しておるわけでございますけれども、実際には、東京都内に、特に中心部におきましてはスペースの確保が大変難しいというようなこととか、あるいは大変借料が高いというようなこともございまして、大変その設置が困難な状態になっております。これに対しまして、私ども先ほども申し上げましたように、まず特定局をつくるという前提におきまして、省内におきましても大都市における窓口機関設置推進協議会というのを設けまして、全力を挙げましていろいろ具体的な問題点を解決しながら、特に東京におきます無集配特定局設置というのを推進いたしているところでございます。  しかしながら、そうは申しましても、必要があるにもかかわらず無集配特定局設置ができない場所、先生先ほど指摘いただきましたような駅とかデパートにつきましてはそういうこともございますので、今、私どもといたしましては、そういう東京など大都市中心部設置スペースの問題あるいは窓口時間の問題、御承知のように土曜、日曜休むということではなくて、駅でしたらある程度夜遅くまで、日曜日もやるというようなこと、あるいはデパートでしたら営業日に合わせるとか、そのようなこともございまして、特定局設置が困難な地域におきましては、ある程度限定した形で業務委託による小規模店舗を設置することができるよう、来年度、平成二年度の予算の重要施策として現在関係方面と鋭意折衝を図っているところでございます。
  19. 谷津義男

    谷津委員 業務委託というふうなことはよくわかるのですが、そうなってまいりますと、私もこれまた素朴な疑問が出てくるのは、特定局よりもそういうふうに利用者の多いところの方が、委託料を受け取るわけでしょうから、その方がむしろ収入が多くなって、そっちの方をねらい出すいろいろな運動も出てきて、そういう設置しろという動きも出てくるのではないか。そうすると、特定局存在と、いわゆる業務委託を受ける、簡易郵便局と見ていいわけでしょうね、そういう人の関係という問題がここに起こってくると思うのですけれども、そうなってくると、むしろ小回りのきく簡易郵便局の方がいいんじゃないかというような動きが出るのではなかろうかと思うのです。その辺のところをどういうふうに考えているかというのが一点。  それから、現実に今簡易郵便局というのは必ずしも山間僻地のところばかりにあるとは思えない、都市部にもあると思うのです。そういうところは特定局よりも効率もよく、なおかつかなりの収入を得ているところもあろうかと思うのですが、そういうのは郵政省の方ではどのくらいにキャッチしているのでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
  20. 早田利雄

    早田説明員 まず、私ども郵便局窓口をつくる場合には、原則的に先ほども申し上げましたように無集配特定局で対応したいということを考えておりますので、私ども先ほど申し上げました委託によります小規模店舗の設置につきましても、無集配特定局設置ができないような、ごく限定的な、限られた地域、例えば東京都区内の中心部であるとか、そういうところにつくりたいというふうに思っております。そういう点では、このことによりまして急激に簡易局化していくということは私ども予定もしておりませんし、そういうふうな形にはしたくないというふうに思っております。  次に、特定郵便局簡易郵便局職員収入の違いでございますけれども特定局職員につきましては御承知のように国家公務員として給与が支給されておりまして、平均的に申し上げますと、大体五百万円ぐらいになろうかと思っております。一方、簡易郵便局の取扱手数料、これは一定の基本料と取り扱い件数に応じました取扱料、そういうものによって構成されておりますけれども、これの平均は二百六十万円というふうになっております。現在、特定局の一人当たりの職員の給与五百万円を上回る簡易郵便局は全国で三・六%というふうになっております。
  21. 谷津義男

    谷津委員 簡易郵便局の平均が二百六十万円だと今おっしゃったわけでありますが、今後そういう便利なところへつくれば、これはじゃんじゃんまた伸びてくることは火を見るよりも明らかですね。しかも、これからやろうとする郵便局のサービス業務というのを見ると、ますます住民との密着度が高くなってきて非常に結構な話でありまして、ぜひ進めていただきたいわけでありますけれども、一方においては、そういった現在あるところの特定局よりもそっちの簡易局の方が効率的でもあるし、なおかつ時間的な面からいっても融通性がきくし、いろいろな住民との接点が出てくるということであるならば、当然こういうものを地域住民がだんだん要望してくることは間違いない。と同時に、郵政省の今やろうとしておることも、どちらかというと、住民ニーズとマッチするのにはその辺のところがどうも簡易郵便局の方がやりやすいのではなかろうか、私はそういう感じを受けたものですから今話を聞いておるわけです。  先ほど特定郵便局も時間を延ばしたりしながら、あるいは日曜日等も勤務をしながら場合によってはそういうものに対応していきたいというお話がありましたね。現実の問題としてこういうふうなものが特定局あるいは普通局にできるかというと、これは労働時間の問題とか何かでなかなか難しいと私は思うのですね。もしそれをやるとすれば、二交代制でやるとかいう問題にもなってくると思うのです。そうすると定員の確保という面においても新たな問題を引き起こすのではなかろうかと思うのですが、この辺のところは郵政省はどういうふうに考えているでしょうか。
  22. 早田利雄

    早田説明員 現在、特定郵便局の窓口の取扱時間の延長問題につきましては、いろいろな、確かに先生指摘ございますように職員の関係もございますけれども、そういう中で実施する方向でいろいろと検討しているところでございます。  また、業務委託による小規模店舗ができますと、特定局よりも効率的でかつ経済的であるため、そしてまた国民ニーズがあるというようなことから、特定局は要らなくなってくるのではなかろうかという御指摘に対しましては、業務委託による小規模店舗につきましては、その性格といいますかスペースの問題でそういう形にするわけでございますので、すべての業務を取り扱うということはほとんどできないだろうと思っております。ごく限られた、例えば郵便事業で申し上げますともちろん切手、はがきの販売はあるかもしれませんけれども、小包につきましては引き受けができないというようなこともございましょうし、郵便について振替ができないというようなことも、場所の関係からいきましても制限されることもあり得ると思っております。そういうところからいきますと、その性格上全業務を取り扱うということは非常に困難でございますので、お客様利用頻度が非常に高い、しかも比較的取り扱いの容易な業務に限定して提供する方向検討中でございます。  そういう点から申し上げますと、業務委託により設置します小型店舗につきましては、借料の高額化等で特定局に必要なスペースが十分確保できないところ、あるいは特定局では利用者の生活パターンというものに十分対応できない形の窓口になる可能性があるようなところ、こういうふうなところに設置するものでございます。したがいまして、小規模店舗の設置につきましてはあくまでも特定局を補完するものであると私ども思っております。
  23. 谷津義男

    谷津委員 今日まで特定局の果たしてきた役割というのは大きなものがありますし、私も評価をしておるわけでありまして、そういう面ででき得るならばこういう特定局設置していく方がよろしいと思うのですが、確かに先ほどのお話のように場所の確保、あるいは地価が高い、いろいろな面で設置が難しいというふうな場合には、十分にその辺のところは勘案をしていただいて、この設置に向かってひとつお願いしたいと思うのです。  そこで、最後に大臣にちょっとこの問題についてお聞きしたいのですけれども、大臣のお考えの中で特定局簡易郵便局設置についてどんな方針でお考えになっておられるのか、その辺のことを一言お聞かせいただきたいと思います。
  24. 大石千八

    ○大石国務大臣 郵政窓口サービスの提供は特定郵便局を通じて行うことを原則としておりますが、取扱事務量の著しく少ない地域においては簡易郵便局設置すること、ただいまも郵務局次長が申し上げましたとおり、そういう方針でこれまで郵政省としてはやってきているところでございます。今後とも、特定郵便局及び簡易郵便局のそれぞれの特性を生かすことにより郵政窓口サービスの充実に努め、お客様の利便を図ってまいりたいというふうに思っておりまして、特定郵便局の補完的な役割という意味で、特に簡易郵便局というものを設けてこれまでも地域の皆さんの利便にこたえていたわけでございます。  これからいろいろ考えるべきところは考えていかなければならないというふうには思いますし、先生の御指摘のことも十分貴重な御意見と承りますけれども、これからもあくまでもお客様の利便に十分におこたえできるという観点で任務を遂行していきたいと考えております。
  25. 谷津義男

    谷津委員 次に、NTTの問題についてお聞かせいただきたいと思います。  電気通信審議会が十月に「今後の電気通信産業の在り方」を中間答申されました。私はそれを精査したわけではありませんけれども、これをざっと読ませていただきまして、経営形態についてこの中間答申の中で触れられておりますけれども、これを読みますと、どうも私のニュアンスではNTTを何らかの形で分割するという方向が打ち出されているのではなかろうかと認識をしたわけでありますが、この私の認識は間違っているかどうか、大臣の方からお聞かせいただきたいと思います。
  26. 大石千八

    ○大石国務大臣 結論から申し上げますと、そのような分割を前提としたような答申であるというふうには我々はまだ今理解しておりません。あくまでも中間答申でございますし、これからのNTTのあり方に関して、経営上の問題点とか公正有効競争上の問題点等を幅広く検討していただいて、その解決方法をメニュー的に、こういう方法がある、こういう方法があるという方法論を指摘をしていただいたというふうに我々は受けとめております。  なお、しかし、これは中間答申でありまして、来年早々にも、最終答申のところでさらに一歩踏み込んだ形で御審議いただき、結論を出していただきたいというふうに審議会にさらに諮問をしているところでございます。
  27. 谷津義男

    谷津委員 大臣はそういうふうに認識してないということなんですけれども、私これを読んだ限りでは、どう見たってこれは分割ですよ、私が見てみて読んでみて。それでNTTの方もそういうニュアンスを受けたんでしょう、盛んに自分の方からも合理化をしたりいろいろなことを考えてそういうのを打ち出しているようでありますけれども、それでは、大臣個人としては、NTTを分割した方がいいのかしない方がいいのか、どういうふうにお考えなんですか。少なくともこれを読む限りは私はそういう方向に行っていると思うのですけれども
  28. 大石千八

    ○大石国務大臣 今消費税の問題でどういう見直しがいいかということを総理や大蔵大臣にしきりに質問して、それに対して今党や政調で審議をしているので具体的に答弁することはできないと大蔵大臣や総理大臣はよく言っておられますけれども、私も、この分割の問題に関しましては、今審議会で具体的な方法を審議していただいている、我々はそれを諮問して答申を出していただくようにお願いしている立場でございますので、私の立場から分割がいいとか悪いとかということは今申し上げられないというふうに御理解いただきたいと思います。
  29. 谷津義男

    谷津委員 それはよくわかります。しかし、この文章を読んで大臣は分割の方向じゃないと認識されるのですか。少なくとも私が読んだ限りでは、この中間答申はそういう方向に向かってのベースをつくっている感じがするのです。そういうふうに理解しているのですけれども、これは間違いなんですか。
  30. 大石千八

    ○大石国務大臣 分割するということも当然一つの方法として考えられるというふうに審議会では考えておられるわけでありまして、そして分割することも一つの方法であるということで、その分割の方法としてはこれ、これ、これと三つのケースを示されたということでございますので、もちろん分割は全く考えていないということではないわけであって、分割もこれからのNTTのあり方としては考えられる一つの方法だということで、そういうようなメニューを示されたということでありまして、結論はあくまでもまだ中間答申で出ておらないが、方法としてはそういうことが十分あり得るというようなことは審議会の中で審議をされておるなというふうに受けとめております。
  31. 谷津義男

    谷津委員 少なくとも、これだけ分厚い中間答申を出されて、その大半がNTTのことで成っているわけですね。こういうふうな出し方をするということは、今後そういう方向に向かうぞという示唆を事前に出しておいた方がいいだろうということで、私はそういう理解で読んでいるのですけれどもね。今大臣がなかなか答えられないのはよくわかりますよ。審議会の審議中ですからわかりますけれども、いま少し、これはここまで出ている以上は歯切れよく言っていいのじゃないでしょうか、私はそう思うのです。
  32. 森本哲夫

    ○森本政府委員 大臣の答弁を若干補完させていただきたいと存じますが、実はNTTの民営化に当たりまして、背景にありましたのは臨調答申というのがございます。この臨調答申では、NTTを市内と市外に分ける、そして市内の会社を複数にする、そして民営にしろ、こういう答申がございました。これを受けまして政府部内でいろいろ議論いたしました結果、NTT法という現在の会社の基本を定めた法律がございますが、その附則に、政府は五年以内にこの会社のあり方について検討を加え、必要な措置を講ずるものとするという規定がございます。この五年が、ちょうど来年の三月三十一日が期限になります。したがいまして、政府としては、こういう背景を受けて、附則で政府の宿題になっておるものでございますから、ただいま大臣が述べましたような形で種々電気通信審議会に審議をお願いしておる。今のところは、大臣も申し上げましたとおり中間答申という段階で、さらに引き続き必要な審議は電気通信審議会にお願いをして、そういう期限がございますので、来年早々には審議会としての御結論をいただく予定に相なっている、こんな状況でございますので、ぜひひとつ御理解を賜りたいと存じます。
  33. 谷津義男

    谷津委員 時間が参りましたので私はこれ以上は追及いたしませんけれども、少なくとも電気通信審議会の中間答申を見る限りそういう方向に進むだろう、いわゆる分割の方向に進むだろうというふうに私は見ておるわけです。日本の将来を考えた場合にどちらがいいかという問題はいろいろあろうかと思いますが、少なくとも国の発展のために、また非常にニーズの高まっております電気通信のために、ひとつ間違いのない方向郵政省も対処してほしいということを要望申し上げまして終わります。ありがとうございました。
  34. 中村靖

    中村委員長 次に、上田哲君。
  35. 上田哲

    ○上田(哲)委員 郵政大臣国会中継専門放送局をつくろうではないか、これは、私は個人的に年来の熱望でもありましたし、非常にいいことだと思います。いわば民主主義社会における政治の伝達の努力として、当然こちら側からも考えていかなければならない。新郵政大臣を迎えてぜひこの事業を具体的に前向きに、かつ急いでやるべきだ。これは当然超党派の意見とならなければできないでありましょうし、私どもはそういう形で院からの要請もすべきだとの意向を持っておりますから、そういう面ではぜひこの実現を図っていただきたい。その決意、方向を、できれば具体案等について伺いたいと思います。
  36. 大石千八

    ○大石国務大臣 今、国会におきましてそういった御要望なり御意見なりが出ておるということは私も耳にしておるところでございます。これは国会として、院として正式な御要請があれば、郵政省としても、確かに民主主義国家としての基本的な問題認識という意味からいっても、積極的にその実現のための努力をしてまいりたい、このように考えております。
  37. 上田哲

    ○上田(哲)委員 大変結構なことです。ぜひ推進をしていただきたいと思うのだが、できれば新郵政大臣の抱負のほどをさらに踏み込んでいただければ幸いでありますが、あわせて、この問題は言論の自由の問題、つまり編集権の自由と財政的な裏打ちの問題があります。そのことを含めて、踏み込んだ意欲を示していただきたいと思います。  なお、財政的な問題については担当部局から御報告をいただきたい。
  38. 大石千八

    ○大石国務大臣 今上田先生お話しのとおり、まさに民主主義の原点とでも言うべきこの国会の議論を国民にあまねく、広く聞いていただき判断を仰ぐということで、非常に重要な問題だという認識をしておりますが、その方法につきましては、御指摘のとおり財政的な問題、もちろん波の問題とか、いろいろ技術的に考えていかなければならない問題もございますので、省内にも専門的な研究機関をつくって研究していかなければならない問題だというふうに思っておりますが、現在は、そういう方法論とかということはこれから正式に御要請があれば進めるということでありますけれども、我々の心構えとしては、そういったものは極めて重要な問題であるので、最大限そういった御要請に的確に、しかもできるだけ早くこたえていけるような姿勢でいなければならない、こういう認識をしております。
  39. 堀田隆夫

    ○堀田説明員 お答えを申し上げます。  今先生の御指摘の問題でございますけれども、問題自体の重要性というのは私どもよく理解しております。国会におきまして、先生もおっしゃいましたけれども、そういう方向で御意思が統一されました段階になりましたら、私どもは主管省たる郵政省の話もよく聞きまして、十分御相談申し上げていきたいと考えております。
  40. 上田哲

    ○上田(哲)委員 結構です。放送出身でもある大臣がこの実現に向かってぜひ全力を振るっていただきたい。最大限前向きの御答弁と受けとめて、私も微力を尽くしてこの実現の一日も早いことを目指したいと思います。  委員長におかれても、ぜひこの議事録を有効に活用していただくようにお願いをしておきます。  さて、NHK当局に伺いたいと思います。私も国会に二十一、二年おりますが、NHK当局に質問するのは初めてであります。  私の今日の感想から申すと、NHKの実情はまことに痛ましい、この実感からあえて質問したいと思うわけであります。  時代の流れの中で、NHKはやはり商業主義化、商業放送化というのは避けられないものでしょうか。
  41. 尾畑雅美

    尾畑参考人 お答えします。  先生御存じのとおり、NHK日本で唯一の公共放送でございますので、民主主義を守り、国民の文化向上のために力を尽くすということであります。放送を通じてそのことを頑張るということでありますので、商業主義とは相入れないというふうに思っております。
  42. 上田哲

    ○上田(哲)委員 現状とかなり乖離した発言のように聞こえるのであります。  NHKは今、長期経営計画を策定中であります。十一月二十七日にはおおよそ考えがまとまるというふうにも聞いておりますし、NHK側報告の中にも年内には結論が出ようというふうに書いてあります。つまり値上げをするわけですな。この値上げの目的は何ですか。
  43. 尾畑雅美

    尾畑参考人 お答えします。  ことしの予算の議了に当たりまして、衆議院の逓信委員会と参議院の逓信委員会からNHKに注文をいただきました。これはNHKの現状にかんがみて、長期計画をつくってできるだけ新しい時代の公共放送の姿を示しなさいということでございますので、一万五千人の職員に五月、六月に大討議をしていただきまして、それを受けまして七月からは各界各層の先生方、十八人の有識者の方にお願いしまして今御審議をいただいている最中であります。この審議の中で、多メディア時代の新しいNHKの姿について長期的な視野をお示しいただけると思いますので、その中にそういった問題が出てくるやもしれませんけれども、今その問題が進行中でありますので、ちょっと私の口からは控えさせていただきたいと思います。
  44. 上田哲

    ○上田(哲)委員 ニュース原稿のように結論を先に言っていただくように答弁は御努力をいただきたい。では、値上げはしないのですか。
  45. 尾畑雅美

    尾畑参考人 お答えします。  結論を先に言えとおっしゃるのですが、昭和五十九年にNHKの料金改定をお願いしましてから六年たっております。先ほども申し上げましたけれども、マイナスシーリングが続いておりますし、放送料はソフト代が非常に高くなっておりますし、周囲の状況が非常に厳しいということでありますので、結論的にはそういう方向にまいるかと思いますけれども審議会の御意見をいただき、その結果NHK長期計画を盛り込むということでございますので、今直ちに私の個人的な見解として値上げをするというふうにはちょっと申し上げられない段階でございます。
  46. 上田哲

    ○上田(哲)委員 NHK審議会のためにあるのじゃないのです。国民のため、あるいは受信料を払っている人たちのためになければならないので、国会で議論する場合はずばり答えていただかないと、国民のためと言われているいつものスローガンがおかしくなる。  NHKはこれまでのペースで言えば大体三年に一遍値上げをする、一年置いてまた三年、そしていまや八四年から八六年まできて、この時期から長期計画なるものは三年間断続をしておるのです。その辺の経緯は私は十分に存じておりますから、そんなことをここで時間を費やしたくないのであります。長期計画は値上げのためであることはわかっているのだから、個人的になんというふうに言われても困る。私が聞いているのは何のための値上げかという質問なんでありますが、もっと突き詰めて言えば、この値上げは衛星放送をやっていなければしなくて済むだろうという世論の声に対してはどう答えますか。
  47. 尾畑雅美

    尾畑参考人 先生御存じのとおり、衛星放送につきましては百万台になれば本格放送をお願いするということを申してきまして、ことしの一月に百三十二万台になりましたので、国会にお願いして有料化を許していただきました。ことしは赤字でございますけれども、五年間くらいの間には何とか収支とんとんに持っていきたいと鋭意努力中であります。  今回財政が非常に苦しくなっておりますということは、衛星放送が原因ということではなくて、あらゆるゼネラルサービスをする際に、あらゆる状況が財政悪化に導いているということで、衛星放送が今回の値上げの原因ということにはならないのじゃないかというふうに考えております。
  48. 上田哲

    ○上田(哲)委員 そこで、衛星放送の有料化、ことしの十月からでありますが、衛星放送の普及状況、契約状況、収納状況を的確に伺いたいわけです。  時間がかかるといけないので私の方から言うから、これでいいかどうか。普及状況は推定百八十万世帯、現在は契約実績が六十万三千、四三・七%、収納実績が八億円ということでいいかどうか。
  49. 高橋雄亮

    高橋参考人 そのとおりで結構でございます。
  50. 上田哲

    ○上田(哲)委員 ここで衛星放送にかかっているお金は幾らですか。
  51. 高橋雄亮

    高橋参考人 まだ年度途中でございますが、平成元年度といたしましては、トータルで約二百五十八億ぐらいかかるかと思っております。
  52. 上田哲

    ○上田(哲)委員 二百五十八億。その二百五十八億円の予算、そういう予算のかかる衛星放送について今後の収支見通しを見ると、八九年度はおっしゃるように二百五十八億、収入が六十億、それが九二年度には四百七十億円の収入で二十三億円の黒字、こういうことになっている。つまり九二年度には収支相償う、こういうことでいいのですか。
  53. 高橋雄亮

    高橋参考人 基本的に、私ども衛星放送の料額設定のときの収支見通しを立てたときは先生のおっしゃったような状況でございましたけれども、最近有料化ということで放送権料は非常に上がってきております。そういうような事情はございますけれども、私どもはこの当初の目的を一年でも早くいい状況の方に持っていきたいということで努力しようということでございます。
  54. 上田哲

    ○上田(哲)委員 そこで私に疑問がありますのは、第一に、そもそも今確認した百八十万世帯という数字ですね。これはアンテナとチューナーがなければ見られないのですから、アンテナとチューナーがどれだけ売れているかというと、ことしの九月までの出荷台数の総数がアンテナ九十七万台、チューナーも九十七万台。これは九月までというので、十月、十一月の差は少しはあるけれども、これしか出荷されていないのに、百八十万世帯も見ているという数字はどういうことですか。
  55. 高橋雄亮

    高橋参考人 衛星放送の受信方法としては、各家庭がアンテナとチューナーを持って見るという方法と、集合住宅、ホテルその他、一つのアンテナでもってそれをいろいろな方法でもって各部屋なり各住宅に分岐して見るという方法がございますので、そういうことでこの数字がそのままイコール受信世帯という格好にはならないということでございます。
  56. 上田哲

    ○上田(哲)委員 と、しましょう。  第二点、問題なのは、収納率が非常に落ちているわけです。今の説明による数字でいきますと、九二年度には相償うと言うのだけれども、今の落ち方では到底そんなことにはならないだろう。非常に数字が落ちている。具体的に言えば、九二年度には普及台数が五百七十万台にならなければならない。ところが、とてもそんなことにはならないのではないかという分母の問題と、それから収納率自身が落ちているという問題の相乗作用として、この数字は甚だ困難であるというふうに思いますが、いかがです。
  57. 高橋雄亮

    高橋参考人 過去における電気製品その他生活に関係ある耐久消費財の普及というのは、全体の消費量の大体一〇%くらいになったときに可及的に上昇するという傾向が出ております。この衛星放送の予測につきましては、私どもといたしましては、NHK独自並びに外の機関需要見通しというようなものを参考にしながら、NHKの普及努力というものをあわせて、こういうような一応の予測を立てたわけでございます。
  58. 上田哲

    ○上田(哲)委員 きょうは追及するつもりではないのですが、第三の問題は、相償うと言われるのだが、相償うその対象の数字は、ことしでいうならばおっしゃるような二百五十八億円。二百五十八億円というのは番組制作費と減価償却費を含めた、つまり放送実施経費なのです。これには例えば研究開発経費とか放送衛星関係建設費などというのは入っていないのです。つまり、簡単に言えば総投資額ではないのですね。放送衛星に使った総額でなく、目の前で使った金だけの収支でもって議論するというのはおかしいわけです。元来、相償うべきものはこんな規模ではないはずなのですね。これはおかしいのじゃないですか。
  59. 高橋雄亮

    高橋参考人 先生十分御案内だと思いますけれども、その年度の予算を立てる場合には、減価償却というのを見込んでいくわけでございます。減価償却費の中には、当然設備投資その他もろもろのものをそこで消化していくということですから、見込んでございます。
  60. 上田哲

    ○上田(哲)委員 それは全然間違い。減価償却が入っているのは、今年度でいえば百十四億円入っています。しかし、その中には全部は含まれていないのです、今日までの総経費というものは。これは後に議論しましょう。  私がきょう言いたいのは、だから困るじゃないかと、ここで全部突き詰めようというのじゃないのです。非常に普及計画が甘いのじゃないか、このままいったらこんな計画どおりにはいかないのじゃないかとの指摘にとどめて、そこはいい。そこはちょっと置いておきます。  問題は何かというと、NHKとしてはこの衛星放送というものをどうしようとしているか。NHK衛星放送をあまねく全世帯にもっていこうと思っているのか思っていないのか、まずその一点。
  61. 遠藤利男

    遠藤参考人 この衛星放送による放送というのは、これからの時代の新しいメディアの使い方の一つだというふうに私どもは思っております。それを先導的に開発していくのが公共放送であるNHKの使命でもあるというふうに思っております。そういうことでいいますと、私どもの願いとしましては、遠い将来になるか近い将来になるかわかりませんが、できるだけ多くの世帯に衛星放送を受信できるような設備をつけていただき、衛星放送の優良な放送をごらんいただきたいというふうに願っております。
  62. 上田哲

    ○上田(哲)委員 文化論を抽象的に聞いているのではないのです。では、もっと具体的に聞きましょう。  NHKは、全世帯にこの衛星放送というものを普及さすべきだというふうに考えているかどうかという、「べき」の問題。できるだけなんということを言わないで、その「べき」の目標を立てるのか立てないのか、非常に重要なことなんです、全世帯に。例えば地上波はそうなんですね。ラジオもそうでしたね。それと同じようにそれをやる気でいるのかどうかということと、その見通しはどうなのかという二点を簡単に答えてください。
  63. 遠藤利男

    遠藤参考人 私どもとしては、全世帯に普及させたいというふうに願っております。  ただ、見通しにつきましては、いつの時代にそれがくるかということはなかなか、目下我々の予測では五年、七年くらいまでの予測しかできません。その七年くらいの予測では、まだ全世帯には普及しないだろうというふうに思っております。  と申しますのは、いろいろこれから多メディアになってまいりまして、そのメディア状況との兼ね合いの中でこの普及計画というのは図られなければならないというふうに思っております。
  64. 上田哲

    ○上田(哲)委員 視点を変えますが、営業総局長、今年度は八億円ですね。そして、相償うというときの収入額は幾らか。それと、今のNHKの総受信料収入額は幾らですか。
  65. 高橋雄亮

    高橋参考人 お答え申し上げます。  平成元年度については、先ほど申し上げましたように赤字ということになりますけれども、単年度で見ますと、平成五年度の段階になりますと収入も大分ふえますので、大体七百十万台くらいの普及になるだろうと私どもは計算しておりますが、そういう中で見ますと、約百億くらいの黒字になるかな、そういうふうに見ております。  それから、現在の収入は、平成元年度トータルで、事業収入としては三千九百億程度を私どもは見込んでおります。
  66. 上田哲

    ○上田(哲)委員 端的に聞きますから、端的に答えていただきたい。  NHKとしては、将来は衛星放送を全世帯でやりたいと言った。しかし、現状と余りにも大きな乖離離があるのです。それで放送の重点を聞きたい。例えばNHK的な言い方をしっかりしてくださいよ。従来は、NHKとは、例えば放送内容でいうならば、小学校卒業程度の人にわかるようにというふうなしっかりした重点目標を持っていましたね。同じような表現の重点目標。どっちにも力を入れるなんて変なことではなくて、大事な重点目標をどこに置くかということで聞くのですが、NHKは一体どこに、つまり地上波と衛星放送と、どっちに重点を置くか。あるいは基幹という言葉がNHKは好きだから、どこに基幹放送を置くのか、こういうことをしっかり聞いておきたいのです。  そこで、具体的に聞くのだけれども、それはどちらかの放送を見ている人の人数ですか、収入額ですか。収入の問題でいえば、どういっても衛星放送は今八億です。ずっといって相償うと言われるときでも、お話しのように黒字で百億です。人数で言えば今六十万です。伸びたとして七百十万というのが、今聞こえた。せいぜいそこなんです。  一方、地上波というのは、今我々が見ているテレビというのは、おっしゃるように実に三千九百億の受信料です。三千九百億払っている人と、わずかに八億を払っている人とをどう考えるのか。数でいくのか収入でいくのか、その上でおっしゃるように将来展望として衛星放送の方にNHK放送の重点を移したいと思っておるのか、そこのところを端的に答えていただきたい。
  67. 遠藤利男

    遠藤参考人 先生指摘の点でございますが、今、私どもNHK公共放送として成り立っておりますのは三千三百万世帯の方々の受信料で成り立っているわけでございまして、なおかつ、その方々に対する公共放送としてのサービスという基幹は、その方々にいつでも公平に我々の得ました情報をお送りできるという状態が大切だと思っております。そういう意味では、地上の総合サービスというのが一番重要なサービスのメディアだと思っております。  そのほかいろいろなメディアを私ども持っておりますが、それぞれメディア別に個性的なサービスをし、多メディア時代の要望に応じていきたいと思っておるわけでございます。
  68. 上田哲

    ○上田(哲)委員 全然よくわからないです。翻って聞きますから簡単に答えてください。  将来、衛星放送を見ないで地上テレビだけ見ていたら、国民情報を得ることができなくなるのですか。
  69. 遠藤利男

    遠藤参考人 将来のメディアの使い方につきましては、先ほどからお話が出ております長期ビジョン審議会の中でも議論しております。しかしながら、我々が五年とか七年の中で今のメディアの状況がどう変わるかということにつきましては議論できますが、それから先のメディアの状況につきましては私どもちょっと予測できないという点がございます。そういう意味では、先生指摘の将来のメディアの使い分けについては、私どもとしては現在お答えできないという状態でございます。
  70. 上田哲

    ○上田(哲)委員 つまり、現在は方向がないのですよ。方向がないんだけれどもNHKはめちゃくちゃをやっているという批判が受信者の中から非常に出てきている。  時間が非常に迫ってきましたから一問一答している暇はありません。協会側資料、私の側の集めた資料を全部挙げれば切りがないのですが、最近NHKを見ていて、あっ、間違えた、これは民放かなと思うような番組やスポットがいっぱい出てくる。いかに衛星放送を見ていると世の中便利か、そうでないと世の中の情報がさっぱりわからなくなってしまうというようなことを長々としゃべる番組がいっぱいある。例えば「わたしのテレビタイム」、七月十七日から八月二十八日までに実に七十一回、十月二日から十月二十八日までに四十二回、どこかのビール会社の宣伝かと間違うような番組づくりの感じであります。衛星放送を見てなかったら情報がとれなくなるんじゃないかと錯覚するくらいで、公共放送の姿勢いずくにありやとだれもが耳にする世の人々の声をお伝えしておきます。  さらに、スポットというのが物すごい。本来、NHKがステブレを使って、番組広報を一生懸命になってやるのがいいかどうかというのは、私は公共放送論としては別にしっかり議論があるべきと思うのですけれども、今や、そういうスポットPRの大体半分近くが、衛星放送を見なさい見なさいということになる、これほどの状況というかやり方はいささか商業主義的傾向が露骨にあらわれている。  いかに収入を得ようとしたって、今八億です。質量ともに基幹放送たり得ない。少なくとも、今の人数、そのシェアの範囲であれば、これをゼネラルではなくて、専門放送、そういう方向を維持していくのが番組編成としての当然のあり方だというのはだれが考えても当然なのです。そのあり方の中でこれだけコマーシャル放送というべきものを流しっ放しにしているというのは、検討あってしかるべきです。  しかも昨今不思議なことは、あのベルリンの壁が破られたという事態が起きたらドイツからの放送がなくなっちゃったのです。また、本来衛星第二というのは難視聴のために認可されたはずなんだが、これが混合編成になってしまって、とうとう小笠原諸島では「春日局」が見られなくなったというので、村長が怒って抗議に飛んできたということがこの間あったでしょう。こういう問題が起きているというのは、衛星放送受信料設定の国会の決定や方針にも反する。余りにもNHK衛星放送衛星放送へという宣伝が過ぎているんじゃないか。  試みに聞くのだけれどもNHK職員の中で今パラボラアンテナ持っている人は何割ですか。
  71. 高橋雄亮

    高橋参考人 再度、今調査中でございますけれども、九月の末で調べた段階では三二%でございます。
  72. 上田哲

    ○上田(哲)委員 こんな正確な数字が出て、しかも調査中という言葉が出ましたように、なぜこんなことを聞いているかというと、NHK職員にパラボラアンテナを買えと命令はしていないけれども、強く奨励をしているのです。涙ぐましいと言えば涙ぐましいけれども、こんなことは幾らやったって、三割なんですよ。しかも、そこまではともかく、お皿捜してこいというパラボラアンテナ捜しの通報を懸命にやらしている。これも企業努力として涙ぐましいという言葉の中に包み込んでもいいけれども、しかしこんなにしてまでやらせるという一種むごたらしさと、名画百本など視聴者を愚弄し、引っ張り過ぎているということにならないか。  もっと言えば、地上テレビを見ていたら満足できないのかという不安を与えていいのかどうか。地上テレビでもって三千九百億も払っている人々の金を宣伝費に使って、わずかに六十万世帯しか見ていないテレビを見ろ、見ろとやるのは、受信料制度のあり方からいってもおかしいのじゃないか。  そもそも、その辺のところを具体的にたくさん指摘したいのだけれども、もう一つだけ。この衛星放送は欠陥放送なんですね。二十四時間放送だ、全方位放送だと言っているのだけれども、見えない部分があるでしょう。どこですか。
  73. 遠藤利男

    遠藤参考人 先生指摘のように、衛星放送では食という期間がございまして、秋と春に約一カ月間深夜電波が発射できない期間がございます。
  74. 上田哲

    ○上田(哲)委員 非常に一般の人にはわかりにくいと思うのですが、南西に三十度開いていないと映らないのですよ。具体的に言えば、春分と秋分の日は午後二時ごろはだめなんです。こういうことを、あんなに一生懸命やっているステブレ、PR放送の中で一遍でも知らせたことがありますか。     〔委員長退席、谷津委員長代理着席〕
  75. 遠藤利男

    遠藤参考人 食の期間中につきましては、できる限り衛星放送の設備を設置した方に御理解いただきたいということで、そういうPRを行っております。
  76. 上田哲

    ○上田(哲)委員 念を押しますけれども、春分や秋分の日、南西三十度の問題というのを、放送でもって見えませんよと言ったことあるのですね。(「はい」と呼ぶ者あり)あるのならいいです。もっとわかるようにしてください。わずかな人々のために、今見ている地上波でなく衛星放送を見なければ、見てもだめだといわんばかりの姿勢は、私はNHKのために惜しむ。時間がなくなってきたから、問題提起だけをきょうは簡単にして、また後につなぎます。  さて、そういうことがすべて金がない、金がない、将来の経営安泰のためだ、収入をふやさなければならないのだという言い方の中で進められる。NHK商業主義化の大きな問題として今批判を集めているのは協業です。協業という言葉がまずわからぬ。協業の語源は何ですか。
  77. 青木賢児

    青木参考人 御承知のようにNHKは関連事業というのを関連団体を通じてやっておりますが、NHK本体の公共放送の仕事と関連団体の関連事業とを一緒にやる、このやり方を協業と申しておるというふうに思っております。
  78. 上田哲

    ○上田(哲)委員 私、一生懸命調べますと、協業というのは協同組合法の中に出てくるのですね。生協や農協や非常に小さい企業が、力が弱いので寄り集まって横に一緒になってやろうというのを協業というのです。NHKがやっているように、親会社が子会社をつくって上下でやるというときにはこの言葉は使わない。こういう言葉を使ってやるというのはそもそもおかしいのです。NHKにとって言葉の問題は大事です。例えばNHK資料の中で接触者率という視聴者を物扱いするような変な言葉を今もって使っている。まあ言葉の問題はきょうはいいです。  問題は、ここにも資料がありますが、これだけたくさんの子会社をつくった、雨後のタケノコと言わんばかりにつくった。その総収入と上納金、関連事業収入と称しているもの、これは幾らになっていますか。
  79. 青木賢児

    青木参考人 NHKの関連団体はおよそ二十ございますが、これは昭和二十年代からつくられてまいりましていろんな動機でいろんな形の経営になっておりましたけれども、これがNHKのこれからの経営方針と一体となって動けるように、現在再編成をしております。そういうことでことしの四月からかなりの再編成が進んでまいりましたが、去年の総決算でいきますと、トータルでおよそ一千億円の売り上げ、このうちからNHKに対する関連事業収入としてはおよそ三十七億円がNHKに入っているというのが実情でございます。
  80. 上田哲

    ○上田(哲)委員 雨後のタケノコともう一遍申し上げておくのだが、猛烈につくってきたのですね。そして、今おっしゃるように三十数億円の関連事業収入を上へ上げさせているのです。NHK全体の収入の中ではこれは実に微々たるものだ、言うまでもありませんね。ところが、NHKは今やこれを十倍にしろという内命を出しているのですね。これはむちゃじゃありませんか、できるわけがない。ここに数字を全部持っているのだけれども、こんなことをやることがNHK経営の本来目的ですか。
  81. 青木賢児

    青木参考人 これも、NHK長期計画の中で我々の関連事業のあり方についてこれからきちんとまとめていくということで準備を進めておりますが、現在のところ、我々は、今後三年間に、この関連事業全体としておよそ三倍、三千億円の売り上げ、NHKに対する関連事業収入としておよそ百億円を計上してみたいということで今回の再編成は行われていると申し上げていいと思います。
  82. 上田哲

    ○上田(哲)委員 時間がないから端的に言いますが、青木さん自身がその関連事業に行って苦労をしてきた人だと私は承っておる。あなたのようなかつての優秀な放送マンが何でそろばんを持たなきゃならぬのかと私は非常に残念に見ていた気持ちもあるのですよ。今おっしゃるように三倍にするなんということはそもそもできっこない、私は非常に無理だと思うが、そこはどうですか。
  83. 青木賢児

    青木参考人 お説のとおり生易しい仕事ではないと考えております。しかしながら、NHK放送番組というのはNHK公共放送にとっての命でございますけれども、これからの多メディア時代、ニューメディア時代には、放送番組がかなりほかのメディアと相互に共有される時代が参りまして、NHKの番組もほかのメディアでかなり求められる時代になってまいりました。そういう意味で、それがほかのメディアにお役に立つと同時にNHKに還元されてきて、NHKの受信料の中で多少とも還元されて役に立っていくことになれば、これはまた視聴者に対する還元にもつながると考えておりますが、御指摘のとおりなかなか生易しい事業ではないと心得ております。
  84. 上田哲

    ○上田(哲)委員 もう結論的に言いますが、多少なりともNHKのためにも役に立つことは結構だと言われるのは、それはそうです。しかし、今だって大変なものを、あなたもわかっているところを、三倍にして上げてこい、さらに十倍にしろなんということは全然めちゃくちゃですね。これはおわかりのように、あなたもうなずいていらっしゃるとおりだ。具体的に、NHKとしてのさまざまな業績を広げるのだとおっしゃるけれども、実は営業中心、収益中心で、この会社には伊藤忠だ、セゾンだ、三菱商事だ、電通だ、全部そういう企業が入ってきてやっている。NHKのこれまでのニュアンスとはまことに違っているという印象をだれもが受ける。これは商売にすぎないのじゃないか。NHK企業努力は大いにあるべきだが、その企業努力は、こういう方向に向かって、やれ上納金を十倍にしろという方向ではないのではないか。  例えば「NHK・VOOK」「スクールビデオ」という教材が出ました。三千円から五千円のものが千八百円という常識外れの価格で販売されるというような事態が起こっている。そこでいろんな問題、トラブルがいっぱい起きている。NHKのニュースやスポットに出してくれなんということを企業も平気で言ってきているじゃないですか。NHK企業から、おれも役に立ってやっているんだからうちの催し物を放送に出してくれなんということが平気で言われてくるところに、これまで守ってきたNHK公共放送の伝統が、今やいずくにありやという懸念が具体的に起きていますよ。これから先は時間がないからやめる。この辺の問題を真剣に考えていかないと、前垂れかけ利潤を上げるのがいいと思っているかもしれないが、NHKとは、出演してもせんべい一枚しかくれないけれどもNHKに出ることがだれにとっても一つのプライドだった。こういうようなあり方が完全に抜け落ちてしまうということを私は心配せざるを得ないのです。  時間がないから、そのことについては今後の問題として、最後に一点だけ。小中学校の教材に使っているテレビの受信料も取ろうじゃないかという話になった。これもいろいろいきさつがあるわけですけれども、私は反対であります。わずか数十億円の金のためにそんなことをしたら、学校の方がやめちゃうかもしれない。問題は、あなた方は文部省やその他と交渉しているというわけなんだけれども、大森理事と文部省との間に念書が交わされているというのは事実ですか。来年度からはそうなることになっていると伝えられていますが、そこはどうですか。
  85. 高橋雄亮

    高橋参考人 受信料の免除の廃止につきましては、経過については先生十分御案内でございますが、御質問の来年度についてどうかということでございますが、私どもは、国会の決議その他がございまして、財源が厳しい中で免除の廃止という方向でこれまでお願いをしてまいっておるわけでございます。学校関係につきましてもそういうことで文部省に対して免除の廃止をお願いしております。  ただ、放送の学校教育における重みと公共放送としての協会の役割を考えまして、この免除の廃止が放送利用に影響を与えることは私どもも好ましくないと思っておりますので、財政の措置をお願いしておる。その上で、円満な格好で免除の廃止に結びつけたいということで鋭意努力しているところでございます。
  86. 上田哲

    ○上田(哲)委員 時間が参りましたからこれでやめなければなりませんが、私は、今の話についてはもう少し具体的なデータを持っておりまして、今の御答弁は甚だ不満であります。念書という問題についても具体的にお話を聞かなきゃならぬところであります。結論を先に申し上げておけば、これについてはNHKは努力をしなさい。学校の教材にNHKを使ってもらうということは数十億円のことではないだろう。それにふさわしいような教育番組の充実をやるべきだ、私はこういうふうに思っています。  きょうは全く入り口の問題をちょっとさわっただけですが、たまたまそこに並んでおられるNHK役員諸君は、これまで頑張ってきた優秀な放送人であったと私は理解をしております。NHKがやったことのないような前垂れ仕事、そろばん仕事の中で、何か利潤を得ようとすることの余り、奇妙な合理化、一説によればアナウンサー室という名前もなくなるとか、業務形態も全部変わってしまうようです。あるべき放送とは何か。衛星放送さえ見ればいいみたいなことを一生懸命になってかねや太鼓でやるようなことではなくて、もっとしっかりした公共放送のあり方というものに努力をしてもらいたい。このことは、外側から見ている一人として黙過できない状況にあるという問題意識をひとつ申し上げておきます。きょうは入り口で、これからじっくりこうした問題を一つ一つお話をさせていただく、きょうの問題提起は、あるべき民主主義社会の放送のあり方は何かということの現状の議論の出発点と位置づけさせていただいて、申し上げておきます。  最後に郵政大臣、感想を伺いたいと思います。
  87. 大石千八

    ○大石国務大臣 私も十七年前まで十二年余りにわたってNHKに勤務をした経験を持っておりますが、一放送マンではございましたけれども、そのころNHKの経営全体のことを幅広く見る立場にあったわけでもございませんし、先生のようにいろいろこれまでNHKの形態をつぶさに見てこられた方とは全く見識が違うわけでございます。また、十七年という時代の経過もございますので、私なりに、この間の時代の流れの中でのNHKの変革がまたさまざまな形で進んでいるなということを今の質疑を聞かせていただきまして実感を持ちましたし、またいろいろな勉強もさせていただきました。  公共放送としての使命をNHKがこれからも全うしていくということに関しては、私もこれは重要なNHKとしての責任問題であるというふうには認識をしておりますが、その方法論に関しましてはいろいろ難しい問題があるな、こういった問題を努力によってぜひ解決をし、国民の負託にこたえていただきたい、そういう実感を強く持った次第であります。
  88. 上田哲

    ○上田(哲)委員 終わります。
  89. 谷津義男

    谷津委員長代理 次に、渡部行雄君。
  90. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 まず、郵政大臣にお伺いいたしますが、現在、情報化社会の進展は世界的な規模で進んでおるわけですが、この中で日本の果たすべき役割、これについてはどういうふうにお考えになっておられるのか、またあわせて、我が国における情報化社会の未来像についてはどのようにお考えなのかお聞かせ願いたいと思います。
  91. 大石千八

    ○大石国務大臣 我が国が今後二十一世紀に向けて直面する高齢化、国際化、産業構造の変化に柔軟に対応し、活力ある産業社会と豊かさを実感できる国民生活を実現するためには、情報化の推進が必要であることは申し上げるまでもございません。情報化が高度に進んだ社会では、産業経済、地域社会、国民生活など、あらゆる分野で情報の生産、流通、消費が活発化し、情報資源の活用が国民生活でも国民経済でも重要となってくるわけでございます。  今後、国際的にも情報化が急速に進展すると思われますが、情報通信の発展の度合いは国々によってそれぞれさまざまでございまして、我が国としては、情報先進国としての努力を重ねつつ、情報通信にかかわる国際標準化の推進、海外への技術移転、国際的な共同研究開発等を通じて国際社会における情報化の進展にも寄与していくべきであるというふうに考えております。
  92. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 どうもはっきり未来像というものが一つの絵のように浮かんでこないのですが、その辺もっと国民からわかりやすく、どういうふうに将来この情報化社会というのは発展していくのか、その中で大臣の構想はこういうふうに考えていると、もう少し具体的にお願いしたいのですが……。
  93. 大石千八

    ○大石国務大臣 具体的に描くほど情報化社会というのはわかりやすい問題ではないというふうに思います。ただ、理想を追っていくということ、理想を求め、それを現実のものにしていく努力というものが非常に必要だというふうに思っておりますが、国際化ということがどんどん進んでくる、またそれに伴って情報化も進んでくれば、地球全体も狭くなるし、それぞれの国と国とのコミュニケーションあるいは情報といったものもさらにさらに進んでいくわけでございます。  そういったところから、お互いの国内だけでない国際間の利便というものも図られ、そういった情報をもとにしてそれぞれの国の生活も改善されていく、あるいはそれぞれの固有の文化というものも理解をされていくというようなことで、人類が元来持っている夢というものが情報の進展によって一つずつ進展をしていくというふうに考えられるわけでありまして、情報化の究極の目的というものは、人間社会においては描き出すのはなかなか難しい問題でございますけれども、今申し上げましたとおり、情報の進展化というものが充実した人間社会を形成していくということで、高度な技術を次々に生み出していくという目標がどんどん進んでいくということを目標にしていきたい。  私は、今極めて難しい質問を先生からいただきましたので、具体的に頭の中で、どういうことを目指したらいいのかまとまりませんけれども情報通信はそういった高度情報社会を構築するに当たっての基本的な要件でございますので、技術革新を背景にしてさまざまな国民生活の向上、利便といったものを一つ一つ可能にしていくということが考えられ、また、それに向かって努力することが必要だというふうに認識をしております。
  94. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 情報化社会の重要性というものはもうここで申すまでもないと思いますが、一つは、地球、宇宙、そういうものの未来というものをしっかりと哲学的につかんで、その上でこういう全世界にわたる事業に取り組むことが大事だと思います。これは時間がないから私は議論するつもりはありません。  そこで、我が国における情報のソフト産業が今後どのように展開されていくのか、その見通しについて簡単で結構ですからお答えを願いたいと思います。
  95. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 情報のソフト産業の今後の見通しでございますが、これからの高度情報社会を形成するためには、いわゆる情報通信のインフラと言われるハードの面の整備と、それからその上に乗っかって豊かな情報を提供するソフト分野との、両面にわたる均衡のとれた発展というものが必要ではないかというふうに考えております。  従来、我が国の情報化につきましてはハード面が非常に進んでおりまして、国際的にも先進国というふうに認識されるような状況にございましたけれども、一方ソフト分野での充実の立ちおくれという指摘もされているわけでございます。  先生がおっしゃる情報のソフト産業という意味は、非常に広い意味に解しますと、出版でありますとか教育あるいはコンピューターのソフトウエア、各種のデータベースあるいは放送の番組制作といったようなものも含まれるというふうに思うわけでありますけれども、そういうソフト産業分野の発展というものが、これからの産業経済の高度化でありますとか豊かな生活にも大切なことではないかというふうに考えております。そういう意味で、ソフト産業をこれから充実させていくということは、国際経済社会に貢献する立場をとる我が国としましても大変重要なことではないかというふうに考えております。
  96. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 今、あらゆる企業において、世界のトップメーカーと言われる企業では、企業の買収なりあるいは企業合併などによって国際競争力の増大に必死になって努めていることは大臣もお認めになるだろうと思いますが、例えばIBMやATTにおける情報通信の世界戦略についてはどのように理解されておられるか、お伺いいたします。
  97. 大石千八

    ○大石国務大臣 おっしゃるIBM、ATTともに大変有力な企業として、それぞれ世界に名をとどろかしめている情報通信分野での企業であるということは私も承知しておりますし、また、両社とも我が国に法人を設立して企業活動を行っているということも承知しているところでございます。それぞれ企業としての力をさらに発揮しようと努力しているでありましょうし、また、アメリカという大国を背景にしてこれまた国家としての使命も感じながら企業戦略というものを行っているであろうということも想像できるわけでございますが、具体的にどういう戦略といいますか企業戦略ということを考えておられるかということに関しては、ちょっと私の立場ではその目的まで理解をする、あるいはそれに関してコメントするということは難しいというふうに認識をしております。     〔谷津委員長代理退席、委員長着席〕
  98. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、今後の郵政事業のあり方についてでございますが、最近、新聞報道等によれば、郵政省は一等地にある郵便局の土地を利用して、民間と共同でビルを建てたりあるいはそれを賃貸したり、その他いろいろな方法で利益を稼ぐという構想が練られているやに聞いておるわけです。また、郵便貯金資金の自主運用先として単独運用指定金銭信託を通じて株式運用をする、こういういろいろな構想があると言われておりますが、しかしよく考えてみると、このようなあり方は郵政本来の行政として果たしていかがなものでしょうか。私は非常に重大な問題だと思うわけであります。このようなことは、各省が思い思いにやったとすれば、それは行政の秩序が大きく乱れていくのではないだろうか、こういう傾向について大臣の所信をお伺いしたいと思います。
  99. 白井太

    ○白井政府委員 お答え申し上げます。  先生の御指摘のように、私どもは、特に郵便局を通じまして郵便貯金、保険のサービスを提供するというのを基本的な仕事として行っておるところでございますけれども、だんだん世の中いろいろ変わってまいりますと、せっかく全国に二万四千も郵便局があるということになりますと、できるだけそうした国の機関である郵便局をもっと有効に活用できないだろかとか、あるいは先生からただいまお話ございましたように、郵便局として利用しております建物をもっと有効に活用できないだろうかといういろいろな御意見というのも出てくるわけでございまして、そうした国民の皆様方の御意見というのに耳を傾けまして、私ども郵便局というのをさらに積極的に活用させていただこうというようなことから、いろいろなアイデアとか構想というのが出てきておるわけでございまして、冒頭に申し上げましたような私どもの郵政事業という基本を抜きにしてそういうことを考えておるということではございませんので、御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  100. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 私の言わんとするのは、今何か日本の政府はデパート化しているんじゃなかろうか。それぞれにいろいろな商売ばかり考えて、本体たる行政そのものについて少し熱心さがなくなっているのではないか、金もうけ主義に走っているのではないか、こういうふうに思われるのですよ。だから、どこか一つ省庁がみずからを省みて、もっと自分の本体の仕事は何であるかということ、それを国民に理解させるようにしていくのがそこの責任者の責任だろうと私は思うのです。そういう点で大臣はどういうふうにお考えですか。
  101. 大石千八

    ○大石国務大臣 郵政省といたしましては、あくまでも郵便局業務自体が、国民ニーズにこたえていく、公共的な国民の分野に寄与していくということが重要な問題だと思っております。そういう意味では、最初に述べられました郵便局の土地利用、民間と共同で効率的に土地を利用していくという問題に関しましても、現下の土地が非常に値上がりをしているというような特に都会、東京等の都会地におきましては、やはりそれを有効的に活用して国民の利便、地域の住民の利便にさらにこたえていくことができれば、そういった方向を見出していくのが郵政省の任務であるというふうに理解をしているところでございます。  また、郵便局が行っております、今は簡保、貯金の問題等出されましたが、こういった問題に関しましても、確かに光の部分と影の部分を生むという、光の部分だけじゃなくて影の部分を生んでしまうという心配も、もちろんやり方によってはあり得るので、そういった点は十分に慎重に国民ニーズにこたえていくということを真剣に考え、やっていかなければならないと思いますが、しかし、当然光の部分といいますか、郵便局が行っている貯金とか簡保といった問題も、単にこれは商業的な観点からやっているわけではなくて、時代が移り変わっていく、そういう中で、例えば高齢化社会の問題とかあるいは少額貯蓄の問題とか、これはやはり国民の求めていることに対して郵便局がその公共性といった観点からこたえていかなければならないということで行っているところでございますので、単に利益を上げんがための事業ではなくて、郵政省として国民の利便にかなう方法を求めながら、こういった事業をやっているということを御理解いただきたいと思う次第でございます。
  102. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 質問しておいてこういう注文をつけるのは失礼ではございますが、時間がありませんので、答弁はできるだけ簡単に、簡潔にお願いしたいと思います。  次に、電気通信審議会の中間答申の中で言われておるNTTの分離分割に関する問題について、大臣、これはどのように考えておられますか。
  103. 大石千八

    ○大石国務大臣 NTTのあり方につきましては、去年の三月十八日に「今後の電気通信産業の在り方」について電気通信審議会に諮問して、ことしの十月二日に中間答申をいただいたところでございますが、なお、その中間答申を受けて突っ込んだ審議をしていただき、最終答申をいただくよう、今我々はさらに諮問をお願いしているところでございまして、その最終答申の結論を十分踏まえて対処してまいりたい、このように考えております。
  104. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、きょうはNTTから参考人がおいでですが、NTTとしては分離分割についてどう考えておりますか。
  105. 草加英資

    草加参考人 お答え申し上げます。  経済社会の情報化、グローバル化が進み、これに対応いたしまして情報通信サービスの高度化、多様化、高信頼度化、高品質化が必要不可欠になってまいっております。したがって、これらを満たすためのインフラストラクチャーとしての電気通信ネットワークを国際的に遜色のない水準に維持することが必要だと私どもは考えております。  したがいまして、分割につきましては、ネットワークの分割ゾーン、地域間の料金格差、市内料金の値上げの問題、研究開発の低下、インフラストラクチャーの統一的建設に対する支障等の問題が懸念されますので、私どもといたしましては選択されるべきではないというふうに考えておるところでございます。
  106. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 当の本人が嫌だというのをなぜ第三者が押しつけるのか、というところに問題があると私は思うのですよ。このNTTの問題は、恐らく国鉄の分割が一つの視点になって考えられたと思うのですけれども、国鉄の鉄道は国土以外に延ばすことはできないですよ。幾ら延ばしたところで国土の中に限られているのです。ところが、通信とか電波というものは、情報というものは地球上全部駆けめぐるのですよ。地球はおろか宇宙まで駆けめぐるのです。そういうものを分離していって、分割していって、一体どういうふうに国家がこれを統制したりあるいは一つの世界戦略を立てていくのか。  そういうことを考えると、この答申の中間報告は、金をどういうふうにもうけるかということしか考えないで、全く遠い将来に対する戦略も何もないのではないかと私は思うのですが、大臣の本当の腹は賛成なのか反対なのか、イエスかノーか、そこだけ一つお伺いします。
  107. 大石千八

    ○大石国務大臣 最も肝心な質問にストレートにお答えできないのはお許しいただきたいと思います。今私がその結論を出せば審議会も要らなくなるわけでございまして、専門の方々に高い角度からあるいは幅広い角度からいろいろな御審議をいただいておるところでございまして、その御審議の結論を十分に踏まえて、なおかつ、もちろんそれを我々としては最大限重要視するわけでありますが、さらに国民的な御意見も踏まえて対応していきたい、このように考えております。
  108. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 次には、来年打ち上げられる民間通信衛星を通じてCATV、有線テレビですね、番組などを流そうというサービスをめぐって、通信と放送の境界論争が起きていると言われております。  そこで、放送免許のない者が通信衛星を使って不特定多数を相手にして電波を流すことは現行法では認められていない、したがって新しいメディアによる産業を発展させていく上で放送秩序をどのように形成していくおつもりなのか、お伺いいたします。
  109. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 通信と放送の境界に関しましては、従来から、放送というものがどういうものかあるいは通信というものがどういうものかというような定義の論争が大分あったわけでございます。従来どおり、放送というのは公衆、すなわち不特定多数の者によって直接受信されることを目的としているものでありますし、受信者と契約関係があっても、だれでも契約ができるというものであれば放送であるというふうに考えているわけであります。また一方、通信とは特定の受信者によって受信されることを目的とするものというふうに考えられております。  私どもの研究会で通信と放送の境界領域的サービスに関する研究会というのがございます。ことしの二月に中間報告をいただきましたが、当面は、従来どおり通信と放送の二区分で対応してはどうかという御提言がございました。私どもは、この提言を踏まえまして、通信と放送の二区分で対応していくということで先般放送法の改正を行いまして、通信衛星を利用した放送サービスという新しいサービスの分野をはっきりさせたのでございます。これによりまして、技術革新がどんどん進んでまいりますので、このようなサービス、新しい放送サービスというものが今後実現されていくものと考えておるわけでございます。
  110. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 時間がそろそろ参りますので、最後に、NTTがクレイ社から購入されたスーパーコンピューターについてでございますが、その購入価格とリクルートに転売した価格について御説明願いたいと思います。
  111. 草加英資

    草加参考人 お答えいたします。  ただいま先生御質問の購入価格と転売価格でございますが、契約の具体的内容につきましては、それぞれ私企業個々の契約でございまして、これを明らかにいたしますことは、一般的商慣習に反し、また、直接の当事者である相手企業のみならず他のNTT取引企業体の信用を失い、今後のNTTの企業としての活動に大きな影響を与えるおそれがございますので、具体的な金額をお示しすることは御容赦願いたいと思います。
  112. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 あなたは電電公社の方ですから、企業としてはそういう考え方があるかもしれませんけれども、そこで会計検査院にお聞きします。  会計検査院は、まさか数字をつかまないで検査したとは言われないと思うわけです。しかも、この取引は何もNTTだけではなくて工業技術院でも買ったりしているわけで、その値段ははっきりと示されているわけですから、この点について、会計検査院からその数字をお伺いいたします。会計検査院は数字を相手にやっているんだからわからないとはよもや言わないと思いますが、どうでしょうか。
  113. 安部彪

    ○安部会計検査院説明員 ただいま先生御質問のスーパーコンピューターの件につきましては、昨年来国会等で種々御議論がございましたので、その後、検査院におきましてNTTより決議書とか契約書等の関係書類を御提出いただきまして見直しを行ってきたところでございます。  見直しに当たりましては、NTTがこの契約におきまして会計経理上不利益をこうむっているようなことはないか、つまり、リクルート社に対するスーパーコンピューターの引き渡し価格がクレイ社から購入した価格に比べまして不当に安くなっていたりしてないか、あるいはスーパーコンピューターの設置工事等に要しました経費が適正に回収されているかというような観点から私ども調査したわけでございます。  その結果でございますが、リクルート社との契約におきましては、NTTは購入価格に所要の諸経費、利益を加えた額を引き渡し価格としておりまして、特に会計経理上問題とするような点は見受けられなかったということでございます。  なお、ただいま先生御質問の価格の点でございますけれども、私ども検査の過程におきましては、もちろんスーパーコンピューターに関する購入価格や引き渡し価格等は把握いたしておるところでございますけれども、当事者でございますNTTにおかれまして金額を開示されておりませんので、私どもの方から申し上げるのはいかがかと思いますので、公表は差し控えさせていただきたいと思います。
  114. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 ここは本当に議論をしたいところだけれども、私はそういう会計検査院は信用できませんな。ここは普通の委員会と違いますよ。決算委員会だから、決算委員会で数字が出てこないでどうしてこれが適正であるか適正でないかわかるのか、認めよと言われて認められますか、あなた。国民に対しどう申し開きするのですか。私は国民の代表として聞いているんですよ。そんな会計検査院なら何の役にも立たないじゃないですか。  しかも今適正だと言う、いろいろな経費をそこに加えてリクルート社に売った価格は適正なものと判断すると言うならば、その価格は知っているでしょう。そして、このNTTの大幹部が今やもう警察の取り調べに遭っているのですよ。それがまだこの価格が秘密だなんという、そんなことをあなた国民が納得できますか。この辺は強く抗議を申し入れて、私はきょうの質問を終わります。どうもありがとうございました。
  115. 中村靖

    中村委員長 次に、草川昭三君。
  116. 草川昭三

    ○草川委員 草川昭三です。  まず最初に、電気通信審議会の中間答申について大臣の見解を求めたいと思います。  先ほども質問があったようでありますけれども、「今後の電気通信産業の在り方」というので、十月二日に電気通信審議会の方から中間答申が出たわけでありますけれども、この検討に当たってどのような視点でこの問題をとらえているのか、まず郵政大臣からお伺いをしたいと思います。
  117. 大石千八

    ○大石国務大臣 草川先生の御指摘のとおり、十月二日電気通信審議会から「今後の電気通信産業の在り方」について中間答申をいただいたわけでございます。また、基幹的電気通信事業者であるNTTのあり方についての検討の成果をおまとめいただいたわけであります。  中間答申におけるNTTのあり方の検討に当たっては、我が国の電気通信市場におけるNTTが基幹的存在である点にかんがみて、高度情報社会の実現という電気通信政策の基本的理念、及びそれに対してNTTが果たすべき役割といった長期的な観点も踏まえ、具体的には第一に、民営化されて以降NTTの経営の効率化が十分達成されてきたかどうか、第二には、公正有効競争の促進のためにNTTが十分な役割を果たしてきたかどうか、第三には、電気通信制度改革以降の社会経済状況の変化も踏まえながら、研究開発、地域振興等の電気通信に期待される新しい役割にNTTがこたえているかどうかについて検討いただいたわけでございます。  いずれにいたしましても、これらの検討に際しましては、何よりも国民利用者の利益を最大限に増進するとの基本的な観点に立って御検討をいただいたわけでございます。
  118. 草川昭三

    ○草川委員 今大臣の答弁にありましたように、「今後の電気通信産業の在り方」というのは非常に重要な問題だと思うのでありますが、この審議会の運営を実際つかさどるのは郵政省だと思うのでありますけれども、この審議会の委員から、今回の郵政省審議の進め方は強引だ、こういう強い不満が出ているというのが、いろいろな報道機関にも紹介をされているわけであります。例えば「日経ビジネス」の十一月六日号には、ある委員の言葉として、「委員の中から審議の進め方に対して不満の声が挙がるという前代未聞の事態が起きている。」ある委員の発言ですが、「郵政省が強引なんですよ。理屈も何もあったもんじゃない。分割に慎重な私の意見は、議論の取りまとめの段階でほとんど聞いてもらえなかった。あの答申に私は責任が持てません」というようなことも紹介をされているようでありますね。それからまた、最後の取りまとめの段階では、「郵政省の意に沿わない委員をていよく外したんでしょう。少々やり過ぎですね」と某審議委員が答えている。こういうようなことが報道をされているわけでありますけれども、一体こういう意見に対してどのような判断を持つのか、これは大臣としてお答えを願いたい、こう思います。
  119. 森本哲夫

    ○森本政府委員 電気通信審議会は、先生御案内のとおりでございますが、国家行政組織法あるいは郵政省の組織令に基づいて設置をされておる審議会でございまして、郵政大臣の諮問に応じまして、電気通信に関する事務のうちの重要な事項を調査審議する、あるいはこれに関し必要と認める事項郵政大臣に建議する、こういう任務を負っておるところでございます。したがいまして、本審議会は、できるだけ国民各層からの意見が反映されるように、委員の選任についても慎重を期しておるわけでございますし、また、この会議も合議制により、公正、慎重な調査審議が行われているもの、こう考えておるところでございます。  今回の審議会についての今のお話でございますが、この過程では、各種の作業部会、小委員会等いろいろ設置をされまして、小委員会だけでも三十三回に及ぶという審議を重ねられたと聞いております。中間答申に至る過程での議論については、私ども詳細は存じませんが、そういう経緯で審議会として御意見郵政大臣にちょうだいした、こういうふうに理解をいたしておるところでございます。
  120. 草川昭三

    ○草川委員 審議会の運営というのは、表立って言えばそういう答弁でありますが、実際上、いろいろなデータの提供あるいはまたそのデータの採用、そういうあり方によってはおのずと一つの方向が決まるわけでありまして、私どもが聞いている限りでは、郵政省の今回のリードというものは、まず最初に分割ありきだ、分割ありきという大きな目標のもとにこの運営がなされたのではないだろうかと言われておりますが、この点はそうであるのかないのか、一言大臣からお答えを願いたい、こう思います。
  121. 大石千八

    ○大石国務大臣 もちろんそれは初めに分割ありきではございません。郵政省といたしましては、最もあるべき姿はどうであるかといったものを審議会の皆さんに御検討いただいて、そういった実態を、いろいろつぶさに今のNTTの問題点とかあるいは実績とかそういったものも十分に見ていただいて、検討していただいて、そういう中から最善の結論を出して、これからも国民の利便を図っていきたいといいますか、国民のために寄与していきたいという観点から審議会にお諮りしているところでありまして、先に結論を出しているということは全くございません。
  122. 草川昭三

    ○草川委員 そういうことならば、今から細かい点を少しお伺いをしたいと思いますが、なぜ一方の資料で、あるいはまたなぜこちらの資料が採用をされていないのか、こういう観点から質問をしたいと思うのです。  NTTの経営現状について、この答申の中では、経営効率化が不十分である、こう指摘をしているわけですが、私どもいろいろと聞いてまいりますと、業務集約、こういうようなことから、有人事業場が、一九八五年から九〇年にかけては、交換機保守局千三百を三百五十に、あるいは局内設備保守千百を五百五十に減らしている、こういうように労使間によってかなり合理化に協力をしておるのではないかと思うのですが、こういう点の評価はどのようになされているのか、私はお伺いをしたいと思うのですが、その点はどうでしょう。
  123. 森本哲夫

    ○森本政府委員 審議会におきましても、このNTTの効率化がどういう状況に進んでおるかということは、先ほど大臣からも申し上げましたように、大変大きな視点だということで御審議がございまして、審議の過程では、民営化以降NTTが、先生のおっしゃいましたただいまの機構改革あるいは業務効率化の各種の施策の導入あるいは要員の削減等々の経営効率化を推進してきておる、そしてその結果一定の成果を上げていることは評価できる、しかしなお、要員、人件費等現状においては十分な状態にあるとは言いがたい面もあり、さらにNTTについては、今後とも一層の経営の効率化を期待したい、こういう大ざっぱに申しての審議会の御判断かと思っておるところであります。
  124. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、百九十八ページ「問題点」の中に(ア)の項がありますが、生産性は年々向上しているものの、一人当たり売上高は他企業に比べて低い、こういうことを言って、トヨタ自動車等の比較も文言の中にはあるわけであります。一人当たりの売上高で比較をするならば、例えば三井物産は十五億ですよね。だから、それはもう三井物産とNTTと比べては話にならぬという当然な反論があると思うのです。同じようにトヨタ自動車とNTTと比べても、売る趣旨が違うわけでありますから、私は労働生産性というものを中心に比較をすべきではないだろうかと思うわけですね。  労働生産性の比較でいくならば、NTTは千四百八十六万、トヨタ自動車が千三百三十七万、こういうわけですから、遜色がないわけですね。だから私は、この数字のとり方によって、どちらかというならば、けちをつけようと思えばけちはつけられるけれども、つけ方が少しその労働生産性——我々はよく生産性本部から資料をいただきますが、経営効率の比較等を言うならば、私は、一人当たりの売上高の比較ではなくて、労働生産性の比較等をまず一番に取り上げるべきではないだろうか、こう思うのでありますし、それから、NTTと一番近い企業としては、国際的な比較をすべきだと私は思うのです。  国際的な比較をするならば、例えばアメリカなり英国、そういうところと比較をするならば、私はもっとNTTの方の数字の方がいい数字が出ると思うのでありますけれども、その点はどのようにお考えになっておられるか、お伺いをしたいと思います。
  125. 森本哲夫

    ○森本政府委員 御指摘のとおり、この中間答申において、「NTTの生産性指標の推移」ということで、一人当たりの売上高あるいは労働生産性について、NTT自身については時系列的にどういうことになっているか、あるいは他の企業との比較という点でどういうふうになるかということで、NTTと同じ通信事業者であるKDD、あるいは通信と類似のネットワーク型の装置産業ということで電鉄あるいは電力会社、東京電力あるいはその他の装置産業ということで新日鉄、トヨタ、あるいは情報通信関連から日本電気というようなものを選択して比較をしておるわけでありますが、先生指摘のとおり、一人当たりの売上高というのはもちろん業種・業態によって異なるわけでございますので、この中間答申自体にもはっきり書いてございますが、他企業との単純な比較を行うことについては限界がある点について十分留意する必要がある、こういう指摘もございます。  したがって、一つの参考資料という形にはなるわけでありますが、中間答申としては、こうした点では、さらに経営の効率化という点で、人件費の問題あるいは要員問題等について、「従業員数が相対的に多いことが示唆されていると考えられる。」こういう判断になっておるわけでありまして、生産性自体で判断しているということでは合理化が不足している、こういう判断ではないようにお見受けいたしておるところでございます。  なお、お尋ねの国際比較の問題でございますが、この問題も確かに一つの参考の指標にはなり得るとは考えますものの、たしかこれは審議会でも議論があったようでございますが、やはり各国の通信事情あるいは人口の分布状況、面積その他さまざまな問題、あるいは事業体の経営の内容自体がそれぞれまた異なっておるということもあって単純な比較ができないということで、国際比較については、議論はあったわけですが、あえて答申には掲載されなかったというふうに承っておるところであります。
  126. 草川昭三

    ○草川委員 今、総職員の数というのですか、数が多いというような趣旨の答弁もあったと思うのですが、例えば二十七万人から二十三万人に、経営努力によって職員の数を減らしますよね。こういうのも単純に定員減を充足しないと言ってしまえばそれっきりでありますが、私はそうではないと思うのですね。これはかなり大胆な経営努力あるいは労使間の協力があったからこういう実態になっておると思います。  それから、類似企業の人件費の比較については必ずしも同じ条件でないから比較は無理だとおっしゃいますけれども、それだったら一人当たりの売上高の比較をこの表に出し、しかもアイウエオの(ア)の一番最初に、一人当たりの売上高は他企業に比べて低いという文言は必要ないのではないだろうか。こういう点に私は恣意的なものがあると思うのですね。私が今申し上げた類似企業の人件費比較、これは人件費と営業費用の比較でありますが、NTTは三九%ですね。ベル地域電話会社、アメリテックの場合は三九、一緒ですね。パシフィック・テレシスの場合は四四%、BTの場合は四〇、こういうわけですから、こういう数字も、中間答申というのは国民の我々に示していただくわけでありますから、私がこれを問題提起する必要はなくて、審議会の方で今私が申し上げたような類似企業の人件費比較も入れてもらってもおかしくない。入れるのがおかしいと言うならば一人当たりの売上高をここに書くべきではない、こう思うのですが、その点はどうお考えになられますか。
  127. 森本哲夫

    ○森本政府委員 確かにおっしゃるような比較というのは、この答申でも、先ほども申し上げましたように、一面だけで判断することは非常に危険な、しかし生産性の進みぐあいあるいは効率的経営の進展度合いというものを何らかの形で見たい、こういうことから、審議会でいろいろ御議論の結果、こういう点で見てみるとこうなる、いろいろな事例を挙げての御判断の参考材料としてこうした数字が挙がっておるものと承知をいたしておるところであります。
  128. 草川昭三

    ○草川委員 では、今までNTTは民営化後相当な合理化を実施してきたと私は思うのでありますが、この点について大臣は、まだまだ不十分だ、こうおっしゃるのか、大したことはないとおっしゃるのか、ここで大臣にお伺いしたいと思うのですが、どうですか。
  129. 大石千八

    ○大石国務大臣 NTTが民営化以降、機構改革とか業務効率化施策の導入とか要員の削減等の経営効率化を推進してきており、その成果を上げている部分も多いということは私も評価をしているところでございます。しかし、要員とか人件費等現状において十分な状態にあるとは言いがたい面もなお残っていると言うこともできると思いますし、NTTにおいて今後とも一層の経営の効率化に努めていっていただけるように期待をしていることも事実でございます。
  130. 草川昭三

    ○草川委員 では、もう一点。  NTTは民営化後かなり料金の値下げを実施してきていると思いますが、こういう評価についてこれまた大臣はどのようにお考えか、お伺いをします。
  131. 大石千八

    ○大石国務大臣 電話料金につきましては、去年に続きましてことしも二月から遠距離料金等の値下げが行われておるということでございます。NTTといたしましても、今後なお値下げに向けて積極的な姿勢を示しておることも承知しているところでございます。  しかし、今我が国の電話料金は諸外国と比較して遠距離料金はなお割高にある。これはいろいろな比較の仕方がございますけれども、押しなべて言えば割高であり、市内料金についても必ずしも安いとは言えない状況でございます。また、国土の均衡ある発展のためにも料金の低廉化がなお求められているころでございます。  したがいまして、郵政省としては、今後ともNTTの経営の一層の効率化、合理化努力を図る中で国民利用者の期待にこたえ、長距離料金はもとより、市内近距離料金の全般にわたる一層の低廉化を推進するということを期待しているところでございまして、これまでの料金値下げに対して意欲的に取り組んでこられたということも理解をしておりますが、これでいいということでなくて、さらに諸外国との比較あるいは国民の期待といったものにこたえていくように期待しているところであります。
  132. 草川昭三

    ○草川委員 では、ここで、答申案の中にも出ておりますように、大きな柱でありますが、公正有効競争というのがあります。これの実現の観点から見た場合の今のNTTの現状と問題点郵政省はどのように把握をしているのか、お伺いをします。
  133. 森本哲夫

    ○森本政府委員 民営にし、そして新規参入をいたしたいという電気通信の改革を進める上で、公正有効競争というものは行政にとっても大変大事な問題だという理解をいたしておるわけでありますが、今回の中間答申では、先ほど大臣も申し上げましたが、三つの視点のうちの一つとして、公正有効競争の実現から見てNTTの現状と問題点ということについてるる記載がございます。  御案内のとおりでございますが、改革以降新規事業者が多数登場して、料金も低廉化されて一定の成果は上がっているものの、市場の状況については、競争がまだ地域的に限定されている、あるいは新事業者のシェアが小さい、競争の恩恵が一般の家庭ユーザーにまでは十分行き及んでいない、あるいは料金サービスの多様化が十分でないといったように、競争が十分だという状態にはない、十分とは言えないという指摘がございます。  この原因には、制度改革後わずかしかたっていないという期間的な事情もありますが、中間答申で、これには一つ構造上の問題があるとして指摘があるわけでございまして、その中の幾つかについては先生御案内のとおりですが、ここに中間答申で書いてありますのは、一つは、新しく参入した事業者は競争相手であるNTTの独占的な市内網に相互接続して初めてサービスを提供できる、そういう非常に特異な構造になっておるので、その点からネットワークの接続について具体的に幾つかの問題が出てくる。一つは、NTTの市内交換機が旧式な場合にはIDという発信者の識別信号が送出できない。そうしたケースでは長距離事業者は通常のサービスが提供できない。このIDを送出できない交換機が全体で七三%あるという指摘もございます。  あるいは、新事業者のネットワークとNTTのネットワークの相互接続点、POIと言っておりますが、その設置における数や設置場所等について新事業者の要望が十分満たされていない、あるいは接続に当たってのネットワーク情報というものをNTTがすべて知り得る優越的な立場にある。  あるいは、こうした接続の問題が多々ある上に、まだ主要な問題点として挙げておりますのは、百年にわたる法的独占経営のもとで各種の優遇措置を受けて、加入者が支払った電話収入等によって高い研究開発力、人的資源、技術情報を蓄積してきたが、他方、事業開始後間もない新事業者にはこのような蓄積がないので必要な情報開示が行われる必要がある。  あるいは、NTTは各種のあらゆるサービスを提供いたしておりますのでそれぞれの分野で支配的な地位を占めており、サービス間の内部相互補助を容易に行い得る立場にあるということで、こういう立場が行使されると事業者間の公正競争が著しく阻害されることになる等々、まだほかにもございますけれども概要の点を申し上げればこういう点が中間答申での指摘だと考えておるところでございます。
  134. 草川昭三

    ○草川委員 そこでNTTにお伺いをしますが、一言で言うならば公正競争の実現が不十分だ、だから構造的な組織の再編成を検討すべきだ、こういうような流れに今の答申はなっていると思うのですね。  そこで、今局長がいろいろと言われましたように、NTTとして例えば新規参入の有効競争条件の整備を一体どう考えるのか。ID化の促進、POIのスムーズな設置先ほどから出ている研究開発の情報開示、こういうものが非常に不十分だと言っておりますが、NTTとしてはどうこたえられるのか、その方針をお伺いしたいと思います。
  135. 草加英資

    草加参考人 お答えいたします。  ただいま郵政省から公正競争につきまして現状の御説明がございました。実は私どもも現在公正競争が完全に行われているというふうには思っておりません。と申しますのは、NTTが民間になりまして、新規参入事業者が競争で入ってくることを想定した形での設備というものが長い間つくられてこなかったわけでございますので、これにつきましては、競争が導入されて以降、早急に公正競争をできるような設備なりシステムなりを構築していくという努力を続けているところでございます。  したがいまして、当初新規参入しましたときには、確かにID化がかなり少ないとか、または接続点において工事の時間がかかるとか、接続技術情報が開示されてないとか、いろいろございましたが、これらにつきましては、新規事業者からの要請、または郵政省からの御指導その他いろいろ受けまして、私どもといたしましては精いっぱいこれについて解決を図ってきたつもりでございます。  しかし、冒頭申し上げましたように、一〇〇%解決していないということは事実でございますので、今後早急にこれらの不備な部分につきまして改善をして、NCCとの間で公正な競争が行われるという状態を実現したい、このように考えているところでございます。
  136. 草川昭三

    ○草川委員 今の議論の中で、第一種電気通信事業者のシェア比較というのが先ほど局長の答弁でもあったと思うのです。今NTT全体の中で新規参入業者との比較をすればそれは非常に低いパーセントになると思うのでありますけれども、現実にNCCが進出をした東京—大阪、東京—名古屋とかという、どちらかといえば非常にうまみのある、と言うとちょっと言葉が適当かどうかわかりませんけれども、非常に加入者の多い地域だけで比較をした場合に一体どういうような数字になるのか。これは郵政省に聞きましょうか。どうなりますか。
  137. 森本哲夫

    ○森本政府委員 お尋ねの「第一種電気通信事業者のシェア比較」については、六十三年度決算でこれはもう先生御案内だと思いますが、例えば電話ではNTTが九八・五%、NCCは一・五%というふうになっておりますが、今お話しの東名阪という地域を限っての比較は、電話の場合はネットワークを通じて多数の発信地、発信をするところ、それから着信の目的地との交流が生じるわけでございますので、特定の地域だけ取り出して比較するというのは、客観的な把握の方法自体も現在確立をしてないという判断をいたしておりまして、現時点はそういう意味ではこの比較はなかなか難しかろう。  なお、現在、長距離事業者も、東名阪で始めましてから次第に仙台へ、福岡へとその業務区域を拡大する途上にもございますので、トータルとしての競争状態はどうかということになりますと、冒頭申し上げたような形で、トータルのマーケットシェアということで比較するしか現実には手がなかろうかというふうに考えているところであります。
  138. 草川昭三

    ○草川委員 ではNTTに聞きますが、今の局長の答弁だと、東名阪の比較はなかなか難しいとおっしゃいますが、私どもが聞いている範囲内だと、これは同じ条件の比較をするならば少なくとも七%なり九%になるのではないだろうか、こう言われておりますが、NTTの答弁を求めたい、こう思います。
  139. 草加英資

    草加参考人 お答えいたします。  全体に対するシェアまたは競争区間に対するシェア、確かに今郵政省からお答えがありましたように、非常に難しい条件がございますので確定するのは難しいわけでございますが、私どもといたしましては、推定いたしますと、六十二年度に東名阪における市場規模はNCCが二%、これが六十三年度におきましては約七%に上がっております。したがいまして、現在はこれよりかなり上がっているということは推定されるところでございます。  なお、この資料につきましては、私どもといたしましては、電気通信審議会に提出してございます。
  140. 草川昭三

    ○草川委員 六十三年度で七%、郵政省の方は難しいから答えていない。だとするならば、審議会の中でこの答弁なり、答申案の中にこの問題がなぜ出てこないのでしょうか。郵政省にお伺いをしたいと思います。
  141. 森本哲夫

    ○森本政府委員 今NTTの方からお答えのありましたデータというのは、確かに、この六月の電気通信審議会でNTTに対してヒアリングを行われました際に、NTTの方から資料が提出されておることは私どもも承知をいたしておりますが、この中身は、いわばNTTにおいてサンプリング調査をもとに推計されたということでございまして、先ほども申し上げましたように、通信の特性からしてこういった調査推計手法についてはまだ信頼性等を十分に検討してみる必要があるということで、審議会の方でもこれについては取り上げた形での御報告にはなってなかったというふうに承知をいたしているところであります。
  142. 草川昭三

    ○草川委員 まさしく、今の答弁が我々にとって非常に疑問なのですね。ですから、サンプリング調査か何か知りませんけれども、確かにNTTのヒアリングの際に出した資料というのは信頼性がない。といいますけれども、現実に売り上げですから別にごまかしようがないわけであります。ですから東名阪で同じNTTの売上高に比べれば七%、六十四年あるいは元年になってまいりますともっとそれは伸びるであろう、こういう予測を言っておるわけでありますから、その数字が我々国民の目の前に中間答申で出るか出ないかというのは、出なければNTTけしからぬ、新規参入を妨害するのだ、だから分割をしろというふうに世論というのはばっと出てきますし、なかなか新規参入もやっておるじゃないか、頑張っておるじゃないか、まあ少し様子を見ようじゃないかというようなことになるのか、実はこれは大変基本的なことだと思うのですが、こういう答申案が出ることについてNTT側としては何かアピールする機会はあるのですかないのですか、お伺いをしたいと思います。
  143. 草加英資

    草加参考人 お答えいたします。  私どもといたしましては、電気通信審議会から二度にわたってヒアリングを要請されましてお話しする機会を持ちました。また、中間答申が発表された際に、私どもの社長の山口から、マスコミからの見解要請にこたえまして意見を申し上げたところでございます。また、近く電気通信審議会でヒアリングをしていただけると伺っておりますので、その場をかりまして御意見を申し上げさせていただきたい、このように思っておるところでございます。
  144. 草川昭三

    ○草川委員 さらに、コスト計算あるいは収支計算等について何かそれぞれの意見の違いがあるように私は伺うわけでありますが、例えばネットワーク再編成コストの試算で、市内市外の分離方式についてDC階位分離、TC階位分離別のいろいろな試算があるわけであります。この点についてNTTとの試算と相当乖離があると言われておりますが、それはどういうことを指しているのか、お伺いしたいと思うのです。
  145. 森本哲夫

    ○森本政府委員 御案内のとおり、この審議会の中間答申でいろいろな問題点を克服する、解決する一つの手段として組織の再編成というようなものが考えられる、しかしその再編成に当たってはいろいろな問題を考えなければならぬということで、再編成に伴うコストというものがどのくらいかということも検討してみようという話に相なりまして、この部分が中間答申に出ておるわけであります。  この計算では、現在のネットワークはアナログとディジタルとが混在をいたしておるわけでありますが、この再編成を、御案内のとおりいろいろなパターンがございますが、この答申では地域ごとに幾つかに再編成する、市内、市外の分離ではなくて地域ごとに電力とかいろいろな計算をいたしておるわけでありますが、その際に、市内市外の分離方式でTC階位の分離がある場合は約三千億、DCでやる場合は一千億ということに相なっております。ディジタル化の進展状況に応じてコストが低下していくであろう。ディジタル化が完了します場合、つまり一九九九年を予測をいたしておりますが、その場合にはTCの階位でありますとさっきの三千億が百億、DC階位では約千億が六百億円になるということも指摘されております。  先生指摘のとおり、NTTの試算では、現在のネットワークの再編成コストの試算結果として、TCで分離をする場合は約三兆円、DCの場合で約二兆五千億ということになっておるわけでありますが、このような差が生じました原因は、中間答申の御指摘でございますが、NTTの試算には、審議会の一つの試案としてのNTTの再編成には直接かかわりのないディジタル化のコストが約二兆円含まれておる、それから再編成した場合の共用設備のコストがその算定の根拠が不明のままに含まれておる、こんなところの御指摘があるわけでありますが、これがその差ということに相なろうかと思っております。
  146. 草川昭三

    ○草川委員 NTTの方にお伺いをしますが、今私どもも聞いておりましてもかなり前提の違う話になってしまっておると思うのです。そこらあたりは今までどのような詰めが双方の間に行われたのか、また詰めのないままこういう答申案になってしまったのか、お伺いしたいと思います。
  147. 草加英資

    草加参考人 お答えいたします。  いろいろな指標なり数字なりにつきましては、かなり突っ込んで議論させていただきました問題、またはほとんど議論されないでお互いに見解を申した事項、いろいろございますが、この再編成コストにつきましては、前提条件なりが非常に複雑でございますし、また、いわゆる精密なものを早急に出せるという性格のものではございませんので、これにつきましてはまだほとんどすり合わせをしておらないということで御理解をいただきたいと思います。  そこで、それではなぜこのような差が起きるかにつきまして、今郵政省の方から御説明がございましたが、そのポイントの一つは、ディジタル化が進まないと分割に当たってのいろいろな設備その他が非常に複雑またはむだになるということでございまして、この点は郵政省もその点をお考えでございますが、私どもが現在ディジタル化を完成するのは一九九九年までということでございますので、もし分割が早期に行われるとすれば、これらの費用も早急に投入しないと分割が円滑に行われないということも一つございます。  それから、私どもの計算の中には、分割された場合にはイコールアクセスをとるというようなことでの想定もございますので、これらの費用も加えてございますので、郵政省の御試算の数字とはかなり違った数字になっておるということでございますが、冒頭申し上げましたように、これらの数字につきましてはかなり複雑かつ精密な計算を要しますので、これらにつきましては今後とも御意見を申し上げていきたい、このように考えているところでございます。
  148. 草川昭三

    ○草川委員 もう時間がありませんので、NTTにもう一度お伺いをいたしますが、この中間答申はいわゆる組織の再編成を検討するべきだという方向を言っております。あるいはまた合理化問題、子会社などの問題について、本質的には経営の当事者の自主的な経営責任に任されるべきものがここの中には出ておりますし、国の規制強化というのが強いのではないかと思うのですが、その点についてのNTT側の見解を求めたい、こう思います。
  149. 草加英資

    草加参考人 お答えいたします。  中間答申で経営の効率化、サービスの問題その他いろいろと御指摘いただきまして、私どももこれらにつきまして真摯に受けとめて、今後の効率化、サービスの向上、料金の多様化、値下げ等を行っていきたい、このように考えているところでございます。  しかし、これらにつきましては、私どもといたしましては、民間会社として設立いただきまして、経営者の責任で行う範囲が非常に多いことでございますので、御指摘は真摯に受けとめまして、できるだけ規制を少なくして、経営者の責任としてこれらを実現するような方向に御指導いただきたい、このように思っておるところでございます。
  150. 草川昭三

    ○草川委員 時間が来ましたので、NTTに最後の一問ですが、今のわずかな時間の間にも、共通する土台の資料というのですか、数字等についても必ずしも一致をしていないということが明らかになりました。そういう前提の中で最終答申が求められていくということは非常に重要なことだと思うのです。ぜひお互いに共通の舞台で議論をしていただいて、それが審議会の先生方に反映をし一つの答申が出てくる、こういうようにしてもらわなきゃ困ると思うのです。これは強く要望したいと思うし、その点について最後に大臣の見解も求めたいわけです。  その前に一つ重要なことがあるのですが、この中間答申の二百二十六ページにNTTのNTTデータ通信株式会社に対する宣言事項というのが載っておるわけです。これは昭和六十三年四月、「NTTのNTTデータ通信(株)に対する出資比率については、設立時は一〇〇%とするが、可能な限り速やかに出資比率を低下させる。」という文言が囲みで二百二十六ページに入っております。しかし、私どもが少し聞いてみますと、実はNTTの宣言事項、六十三年四月のときには「可能な限り速やかに」という文言が入っていない、こういうわけでありますが、その点は事実かどうか。また、もし事実だとするならば、それがどうしてこの中間答申に「可能な限り速やかに」という文言を入れて紹介をされているのか。これは双方からお伺いしたいと思います。
  151. 森本哲夫

    ○森本政府委員 お尋ねの二百二十六ページには、NTTのデータ通信株式会社の創立に当たりまして、いわばNTTからデータ通信事業を分離をいたしたわけでありますが、その際に、データ通信分野自体に与える公正競争確保という視点でいろいろな配慮をいたさなきゃならないということで、先生指摘の囲みにありますのは、その当時、六十三年の四月でございましたが、これを宣言事項としてNTTが発表したわけでありますが、この括弧ではこれを要約しておるわけでありまして、原文には「可能な限り速やかに」という部分は「新会社株式の上場等の機会をとらえ、」こうなっておりますので、新会社株式の上場等の機会をとらえ、設立時は一〇〇%とするが出資比率を低下させるということでございます。  したがいまして、これはすぐには上場いたされない、三年後にということに相なりますが、そうした上場等の機会をとらえ出資率を低下させる、そんな趣旨で、この部分を、意味は可能な限り速やかにということで、あと六項目ございますが、原文を圧縮した趣旨という形でこの枠に囲んでおるというのが審議会のお話だと聞いております。
  152. 草川昭三

    ○草川委員 それは大変おかしな話で、他人の文章を今のような形で要約をし、しかも中間答申案に発表するというのは極めて重要だと思うのですが、NTTどうですか。
  153. 草加英資

    草加参考人 お答えいたします。  事実関係につきましては今郵政省からお答えになったとおりでございますが、私どもといたしましては、確かにデータ分離の際に、公正競争の問題も含めまして、上場後、速やかに出資比率を低くしていくという思想はございましたし、また、郵政省とお話した際もそういうニュアンスでお話してまいりましたので、その趣旨は私どもといたしましても別に異存はございません。
  154. 草川昭三

    ○草川委員 趣旨について異論がないと言うけれども、中間答申というのは極めて重みのある答申ですよ、国民に対する答申ですから。そういうものをNTTが結構ですと言うならそれでいいと思いますけれども、少なくともこの「可能な限り速やかに」という文言だけ見ると、そんな権限が一体郵政省側にあるのか。しかも、そういう形で、貴重な非常に大切な根本的な一つの問題点というのを「可能な限り速やかに」というような文言に集約をしてしまう、そういう権限が郵政省に本当にあるのかないのか、私は極めて問題だと思います。  しかし、大分時間が過ぎたようでございますので、こういうことのないように、最終答申案は双方がきちっと対応していただきたいということだけ強く要望して、終わりたいと思います。  以上です。
  155. 中村靖

    中村委員長 次に、大矢卓史君。
  156. 大矢卓史

    ○大矢委員 先ほどから草川委員によりますNTTの中間答申について、詳細にわたっての御質問がございました。私も全く同意見でございまして、その点についてまず大臣に私なりの考え方を聞いていただいて、御所見を承りたいと思います。  御承知のように国会というところは民意を反映していく、その中で参議院が、理由はともあれ、ああいう形でこれから六年、向こう九年とも何年とも言われておりますように、今までの自民党が過半数を割っていった。そういう中での政局、そして、次の衆議院の総選挙で自民党が再び過半数、安定多数をとられるか、または野党が参議院同様に勝利をするかは別といたしまして、参議院におきまして自民党が従来の過半数割れを来した、そういう中での行政、政策の決定等につきましては、従来でありますと、自民党の部会でもってすべてを決定をしていって、それが衆議院にかかり参議院にかかって、時間が過ぎればそのとおりになるんだということでございますけれども、そういうことが一変したわけであります。  私どもは、一部の考え方の違う方は別といたしまして、国民に対して責任を負う政党として、一致点を見出しながら国民に奉仕をする形で政治というものを行っていかなければならぬ。その場がこの決算委員会の場でもあるわけでございまして、中村委員長の指導よろしきを得て円満に進めておるわけであります。  そうなってまいりますと、ただいま草川委員からもいろいろ御意見ございましたように、その中間答申なるもの、従来は、私どもが非常に大ざっぱに考えて、非常に失礼なのでございますけれども、俗に審議会が隠れみのだと言われておるそういう形の中で、郵政省がどういう方向にどうやっていきたいのか、今まではそういう考え方と自民党の部会という形の中でそれのすり合わせができていけば、これはすべて世の中円満にいくのだというような運営をされてきた。それに対してノーだという答えで、この問題につきましては、まず先に分離分割ありきという形の中で推し進めていこうとするには少し無理があるのではないか。そういう中でいろいろな議論がございますけれども、やはり国民に奉仕をするということ、そしてそれと同時に、やはりそこに長い間努力をしてこられた、同じ官営といいながら国鉄ということもございますし、また事情が違いましょうけれども、NTT、その中で努力をしてこられた人たち、そしてその労使慣行、いろいろなことを踏んまえながらやはり政治的にも判断をし、どのようであるべきかということを衆知を集めて決定をしていく、そういう状態でなければならぬと思います。  たまたまこの審議会にいたしましても、新しい新電電と申しますか三社、それを見ておりますと、日本高速通信株式会社、これが資本金が百二十五億円だそうであります。そして第二電電、日本テレコム、こういう三社と今のNTTとがどうあるべきかということの中でいろいろな議論が出ていると思いますけれども、その中の一番大きな日本高速通信株式会社の大株主でございます、六・一八%をお持ちになっておられるトヨタの会長の豊田英二さん、この方が審議会の会長も兼ねていらっしゃるということになりますと、この方自身は非常に公平な方であり、このことについての識見をお持ちであろうと思いますけれども、やはりそういう方を会長としてできてくる審議会の答申そのものが、何か第三者から見ておりますと、それ自体が出発点が間違っているのではないかというような気もするわけであります。  そういうことも含めて、そういうことがないように、やはり国民と今申しましたようにそこに働く人たちが汗をかいて、そしてまじめにやってきて、そして国民全体に喜んでいただき、また新しい三社も一緒になって国民に奉仕ができる姿はどうあるべきかということを真剣に結論づけていきたい、そのための審議会でなくてはならぬと私は思いますし、そういうことで本答申が出てくるように、先ほどの議論のように、すべてその基礎が食い違っているような形で急いで本答申をすべきでないというふうに私自身も考えますし、決してそれ自身が将来に向けてのいい答えにはならないと思いますので、その点も含めてこの点一言だけ大臣にお答え願いたいと思います。
  157. 白井太

    ○白井政府委員 電気通信審議会の委員の任命関係について、最初に私の方からお答えをさせていただきたいと思います。  電気通信審議会の委員は、現在二十二名いらっしゃいますが、委員の任命につきましては、法令上、学識経験を有する方の中から郵政大臣において任命をさせていただくということになっておりまして、今先生からお話もございました豊田英二氏も、そのような学識経験者のお一人ということで任命をさせていただいております。  これは釈迦に説法でございますが、では電気通信審議会の会長はどのようにして決められるのかということになりますと、郵政大臣が任命をいたしました二十二人の委員の互選によりまして会長が決められるということになっておりまして、仕組みの上で、会長の選任について郵政省がタッチするという形にはなっていないところでございます。  ところで、豊田英二氏は、これも先生お話ございましたように、トヨタ自動車株式会社の会長というお立場にある方でありますが、その会社がいわゆる新電電といわれるような新しい電気通信の会社に出資をしておるということも、先生の御指摘のとおりでございます。ただ、率直に申し上げますと、そのような意味で電気通信事業に何らかのかかわりを有するというのは、豊田英二氏のほかにも何人か、そういうような委員の方もいらっしゃることも事実であるわけでございます。  ところで、電気通信審議会の運営につきましては、ただいま申し上げましたように、会長が中心になって運営はなされてまいりますけれども、しかし、会議そのものの運営の仕方につきましては、委員全体の合議によりまして審議が進められるというような仕組みになっておるところでありますので、先ほど来申し上げておりますようなお立場に豊田英二氏があるということが、会議の適正な運営に支障があるというふうには私どもとしては考えていないところでございます。
  158. 大石千八

    ○大石国務大臣 豊田会長の件につきましては、今官房長から申し上げたとおりでございますが、郵政省といたしましては、あくまでも国民のために最もいいあるべき姿を求めているわけでございまして、審議会にも十分その意を酌んで御審議いただいているところでございます。
  159. 大矢卓史

    ○大矢委員 時間がありませんので、私は大臣だけに御意見を承ったのですけれども、せっかくそういうことで官房長が答弁をされましたが、なるほどそのとおりであります。ですから、前段に私が申しておりますように、この審議会というのはややもすれば各省の行政機関の隠れみのだと言われているわけであります。それを、その当事者である方がたまたま会長に互選されたのだというようなことだけでは済まされないわけで、どんな立派な方でございましょうとも、その人に対して疑いの目を持って見られるような形のことは、その御本人に対しても失礼ではないか、そう思いますので、そういうことについての御意見を承ったわけで、そういうことも含めて、先ほどから草川委員が言われましたいろいろな問題がある、その中で、私が申しましたように、まず初めに分割ありきであるというような形の中で進めていかれるのはいかがなものか。それに対する郵政省そのものよりも新大臣としての御所見を承りましたけれども、それについては御答弁はございませんでしたので、それはそれなりに受けとめていらっしゃると思いますので、時間の関係上、次に進ませていただきます。  そこで、NHKにお伺いをいたしたいのでございますけれども、本来ですと島会長さんに来ていただいてお話を聞きたいのですけれども、きょうは御都合がつかないようでございます。これまた上田議員の方からいろいろお尋ねになったと思いますけれども、ただ、現在NHKがいろいろこれからのニューメディアで研究開発をなさっていらっしゃる、クリアビジョンからハイビジョン、それら衛星中継を通じて国民にあまねく文化を提供しようということでやっていらっしゃる、そのことは非常に結構なことだと思います。そして、これまたNHKの長期展望に関する審議会というのをつくっていらっしゃいます。NHKが今取っていらっしゃる聴視料と申しますか、これは一種の税金ではあるけれども強制力を持たない税金であって、これが今後とも、ハイビジョンができ、衛星中継ができたからといってどんどん収入が伸びていくようにも思いません。先ほどの討論の中で、国会国会専用のテレビをつくったらどうだということを前向きに検討されるようでありますけれども、そういう中で、果たしてこれから、今のNHKの形の中でそれだけの大きな仕事をしていき、そしてそれだけの収入を得、期待に沿えるものがやっていけるのかどうかということになりますと、経営そのもの、そういう答弁はできないかもわかりませんけれども、そういう将来に対して今の形そのままでいくことがいいのかどうかということも含めて、この長期展望に関する審議会で御審議をなさると思いますけれども、その点、御審議をお願いする側としてどういうような形でお願いしているのかということをお聞きいたしておきたいと思います。
  160. 尾畑雅美

    尾畑参考人 お答えします。  今先生指摘のように、NHKの今後のあり方についてかなり長期にわたって検討しなさいという衆参両院の御指示でございますので、今審議会の先生方にお願いして審議していただいている最中でありますけれども、一番問題なのは多メディア化の中ということなのです。衛星放送ハイビジョン時代に向かいますし、CATVも出てまいりましたし、法律改正によって通信衛星を使った放送もできるようになりました。NHKがその中で今までどおりのやり方でいいのか、新しい事業範囲とか考え方はどうなのかというところが一番難しいと思いますけれども、ただ、私ども一つだけ戒めておりますのは、国民からいただく聴視料で賄われているのでございますので、この点だけは大事にしながらやらせていただくという方向で、今審議を進めていただいている最中でございます。
  161. 大矢卓史

    ○大矢委員 現在聴視料をいただいておるということでありますけれども、これが今後伸びていくという保証はないわけでありまして、また、これを強制的に取れるという保証もないわけであります。そういうことからいきますと、全く新しい観点から今後のNHKというものが見直されていってもいいのではないかと私自身は思っておりますので、そういうことも含めてこれから十二分に、皆さん方も積極的にそういうテレビ、ニューメディアの先駆者としての役割を果たしていただきたいということを御期待申し上げておきます。  それでは次に、今申しましたように、次から次にハイビジョンでございますとかクリアビジョンでございますとか、いろいろな言葉が飛び出してまいります。そして、これが直接国民の中に飛び込んでくるわけでございますけれども、これを産業の観点からいたしますと、通産省、いろいろなことで各業界も頑張っていらっしゃいますけれども、これは国民の立場からして、果たしてどういう道順でどうなっていくのが一番好ましいのか。常に、ただ単なるPRだけで国民の方が踊らされて、これだあれだということで、わからないままにそれの対応を迫られていくということでは困るわけでありますから、これは産業という観点だけでなくして、国民のそういうニューメディアを守っていくという観点から、通産省の御所見を承りたいと思います。——いや、郵政省です。
  162. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 最近の技術開発によりまして、放送のニューメディアの開発が非常に進んでいるわけでございます。国民放送に対して高品質化及び多様化というものを求めているわけでございます。  私ども郵政省は、これらのいわゆる国民の要望にこたえるべく、ハイビジョンであるとかクリアビジョンの開発を行っているわけでございます。これは、このようにして開発されたニューメディアを、できる限り国民に還元するというような考えで、この実用化を図っているわけであります。  世界的にも、このニューメディアが非常に注目をされていることは先生も御承知のとおりであろうと思いますし、私どもは、放送の普及という観点から、この新しいメディアを開発し、積極的に普及を図ってまいりたい、このように考えておるわけであります。
  163. 大矢卓史

    ○大矢委員 消費者というのは、いろいろな宣伝でいろいろなものを積極的に買い、また衝動買いしていくわけでありますけれども、今のテレビ、これは白黒からカラーになって、カラーからまたこれからクリアビジョンというような新しい、耳なれない言葉も出てまいります。またハイビジョンとか、一体どういうふうになっておるのかわからないままで、それについつい、これがいいのかあれがいいのかということで、消費だけをあおられたのではたまったものではないわけであります。それを推進される郵政省においても、十二分にこれをとらまえていただいて、国民に対して誤りのないようなPRをしていただきたい、このように希望いたしておきたい。  そういうふうに機械はどんどん進んでいきますけれども日本国内では依然として、いずれの場所でもいずれのテレビも見られるという状態ではないわけであります。郵政省の方では、少なくとも民法四局だけは日本じゅうどこでも見られるようにしたいという方針のようでありますけれどもなかなかそれが現在実現をしておらない。これは東京一極集中で、地価の問題等いろいろな問題が多いのですけれども、できることは、地方にもせめてこういうことぐらいは、日本国じゅう津々浦々、郵政省が最低お示しになった四局というものはテレビが視聴されないと、これはやはり余りにも、文化的な生活を保障している憲法にも違反するのではないか。これが現実にはできておらない。  それでは、しからば将来これをどういう形で進めていくのか、その道順をお示し願いたいと思います。
  164. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 先生の御指摘のように、全国に民放を四局化する、そういう方針で私ども現在放送行政を進めているわけでございます。  このいわゆる指針は、昭和六十一年の一月に私どもも制定したわけでございます。その後、着々と民放が二局あるところを三局に、三局あるところを我々の目標でありますところの四局にするということで進めております。この必要ないわゆる周波数というものがどれだけあるか、あるいは技術の発展及び需要の動向というようなもの、あるいは地域の経済的あるいは社会的、文化的というようないろいろな事情を総合的に勘案しながらこれらを行っているわけでございます。  そういうことでございますので、今後どのように推移するかということで、一言で申し上げることはなかなか難しいのでございます。またさらに、放送局の免許に要する期間と申しますか、一本化調整というようなステップでかなりの時間を要しているというような事実もございます。  私どもは精いっぱいの努力をしておりますが、目標達成までの期間を一律に判断することは困難でありますけれども、今後とも可能な限り早期に目標が達成できるよう鋭意努力をしてまいりたいと考えております。
  165. 大矢卓史

    ○大矢委員 このことにつきましてもいろいろ意見はございますけれども、余り時間がございませんので、最後に、郵便貯金会館についてお伺いをいたしたいのでありますけれども、その前に、まず総務庁の方に、行革審で郵便貯金会館についての今後のあり方はどのようなことになっておりますか、お伺いいたしたいと思います。
  166. 川邊新

    ○川邊説明員 お答え申し上げます。  昭和五十八年三月の臨調の最終答申におきまして、郵便貯金会館については「原則として会館の新設を行わないこととする」という答申が出されております。
  167. 大矢卓史

    ○大矢委員 それはどういう意味があるのですか。
  168. 川邊新

    ○川邊説明員 会館の関係につきましては、臨調答申の趣旨を考えますと、いわゆる官民の適正な役割の分担あるいは経営の効率化等の観点から、無制限な施設の増設の抑制を求めたものと考えております。
  169. 大矢卓史

    ○大矢委員 臨調の方で、日本全国のそういう施設とかを掌握していらっしゃるのですか。
  170. 川邊新

    ○川邊説明員 現実問題といたしまして、この答申が出てから、新設については私どもの方のチェックもございますし、あるいは予算的な面での大蔵省のチェックもなされておると考えております。
  171. 大矢卓史

    ○大矢委員 私が聞きますのは、必要がないと言われる官民の全国的なそういうホールとかを全部掌握していらっしゃいますかということです。
  172. 川邊新

    ○川邊説明員 個別の施設の状況についてすべて掌握しているという意味ではございません。それは各省それぞれの御担当が考えておられるところであろうかと思います。
  173. 大矢卓史

    ○大矢委員 ですから、何にも掌握しておらないわけで、そしてこれからいいところ悪いところということは、ただ単なる事務的な言葉の遊びにすぎないわけだ。  しからば、文化庁にお聞きいたしたいのですけれども、この間文部省のときにお伺いいたしましたけれども、文化庁は、市町村の持っておる文化ホールというものは掌握をしておるが、そのほかはどこかの年鑑を見てくださいということを書いてありましたけれども、いかがですか。
  174. 田原昭之

    ○田原説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のように、文化庁といたしましては、いわゆる地域文化、芸術鑑賞の機会の提供、あるいは文化活動の充実のためのいわゆる文化会館、文化施設につきまして、必要に応じて調査等を行ってきておりまして、御指摘のとおり、私どもがある程度正確に把握をいたしておりますのは公立の文化会館、文化施設等でございます。
  175. 大矢卓史

    ○大矢委員 文化庁は、公立だけではなくして、もちろん国立も私立も含めて全部を掌握しながら、そういうものがこの都市には必要であるのかないのかということも十分につかんでいただきたいと思うのですけれども、今お聞きをいたしましたらつかんでおらないということであります。  そこで大蔵省にお伺いいたしますけれども、大蔵省はただいまの臨調答申を受けて大阪の郵便貯金会館の建てかえというものをお決めになったようでありますけれども、その点どういう相談を受けられたのか、また、建てかえに当たりまして耐用年数というものがございますけれども、それについての御所見を承りたいと思います。
  176. 鈴木一元

    ○鈴木説明員 先生指摘の大阪の郵便貯金会館につきましては、利用者のニーズと申しますか、宿泊施設が少ない、あるいはいろいろな会議室等が少ないということで、立地条件から申しまして増築が不可能な場所にございますので、そこら辺を解決するために、場所を変えまして新しいものをつくる、そういう協議があったわけでございます。  御指摘のとおり、確かに年数はまだ二十年ほどしかたっておりませんが、全体的なニーズと効率的な使用ということをいろいろ考えまして、大蔵省としては、場所を変えて建てかえるということについて、全体的な考え方の判断のもとで異存がない旨、回答したわけでございます。
  177. 大矢卓史

    ○大矢委員 鉄筋の場合の建てかえは原則的に何年がいいのですか。
  178. 鈴木一元

    ○鈴木説明員 特に、年数は何年たったら建てかえるということは決めておりません。ですから、この場合は約二十年でございますけれども、いろいろな施設につきまして、どちらが効率的か、あるいはコスト的に見てどうかということを総合的に判断して、多少、おっしゃるとおり物理的な意味での耐用年数がまだ来てない場合であっても、効率性を考えて建てかえを認めることもございます。
  179. 大矢卓史

    ○大矢委員 二十年が多少ですか。
  180. 鈴木一元

    ○鈴木説明員 確かに先生おっしゃるとおり、物理的な意味から申し上げれば、通常、鉄筋コンクリートの場合、例えば法人税法とか法律関係の耐用年数で申し上げれば六十年でございます。ただ、最近のいろいろな進歩の早い中でありますと機能的に見て陳腐化してしまうというような問題もございますし、本件の場合、ニーズとの関係で応じ切れないという状況にあったようでございますので、やむを得ないということで判断したわけでございます。
  181. 大矢卓史

    ○大矢委員 大臣、よく聞いておいていただきたいのは、大阪のは地元からすると必要な施設なんですね。今、会館があります、そして全然別なところへ建てます。それは、臨調がこれからふやしてはいけないと言うから、一つふやしました、一つこれをつぶします、みんなが喜んで使っている施設をつぶします。一マイナス、一プラスはゼロだ、ふえない。ですから、臨調がこれ以上建ててはいけないからということ、ただ単にそういうことだけで、今使っている施設をつぶすということ。これは大阪だけかと思っておりましたら、大阪は四十五年につくったところでありますけれども、広島は四十七年にできたその劇場とはまた全然違う施設がつくられます。将来どうするのですかといったら、広島もつぶしますということ。二十年たつかたたぬかのそういう施設、そこの住民の人たちが残してもらいたいと思う施設を、ただ臨調がそういうことを決めてあるということで、面合わせだけでつぶしていくということは、まさしく税金のむだ遺いだ。これは使用に耐えられない、二十年でも非常に傷みがきついということになりましたら別であります。しかし、傷みが二十年できついとなりますと建築そのものに問題があるのでありますから、今十分に喜んで使っていただいておる施設を、ただ単に臨調があるからといって面合わせだけでやっていく、そういう精神というか、そういうものは決して臨調の精神ではないと思います。  必要であるならつくったらよろしい。それは全国的にどう必要なんだということで聞いたら、臨調もわからない、文化庁もわからない。しかし、やはり臨調で書いてあるから、この予算を使う場合にはこっちをつぶします。そういうただ単なるそろばん勘定だけでやっていらっしゃる。それも、片一方は二十年です、片一方は二十年以下のところをどんどんつぶしていく。そういうばかげたことがただ単なる臨調の方針だからということだけでやられるのは、臨調の精神ではないと思いますから、その点、そういうことは例外を認めるとどうのこうのといいますけれども、すべて行政は生き物でありますから、その上に立って判断をしていただいて、これからやはり大臣、臨調の精神は精神として受け継ぎながらも、せっかくこういいものがどんどんできていくのなら、それを生かしていくということで対応していただきたいと思います。いかがでございますか。
  182. 山口憲美

    ○山口説明員 現在、会館につきまして改築をしておりますのは、今お話しのように大阪と広島でございます。大阪につきましては、我が国の郵便貯金会館の中で最初につくりまして、規模等もその後のその他の都市の施設と比べますと大変小さいということがございまして、やはり大阪は東京に準ずるような地域でございますのでそれなりのものをぜひつくりたいということでございます。  ただ、今土地を探すというようなことは、特に、どこでもいいというわけにはまいりませんので、やはり適切な土地ということになりますとなかなかない。さればといって、今御指摘の現有地ではそういった規模の施設をつくるのはなかなか難しいということがございまして、いろいろ物色しておりましたところ、現在建築しておりますところに土地の交換ならば手当てができるというふうな物件がございまして、私どもいろいろ迷いましたけれども、やはり現在の状況から、なるべく早く大阪にふさわしいそういった施設をつくっていくのがいいのじゃないかというふうなことで、決断をしたようなことでございます。  なお、広島につきましては、今先生からもいろいろお話がございましたが、実は、幸い広島につきましては土地の関係につきましてはまだ始末するということにしておりませんで、現在郵政省が持っておりますので、現有の問題につきましても、いろいろまた広島の皆さん方の御意向等も聞きながら判断をさせていただければというふうに思っております。  ただ、いずれにいたしましても、臨調の答申ということを踏まえてやはり私ども考えていかなければいけないとは思っております。ひとつ御了解賜りたいと思います。
  183. 大矢卓史

    ○大矢委員 大臣、今のことおわかりですか。今私がお聞きしていること、おわかりになっていらっしゃいますか。  それで、今おっしゃいましたのは、広島の方は残してもいいとおっしゃる。それは劇場と宿泊施設、今度できるのは宿泊施設ですね。だから、臨調は臨調としても、残してもいいとおっしゃる。しからば、大阪のものは全然違うところへ違うものをお建てになった。そして、今までのところも非常に需要があるということになってくると、ただ単に換地をいたしましたと言うけれども、それはその換地そのものにも問題がある。時間がございませんので私は言いませんけれども、前々から指摘をいたしておるものでありますから、そういうことも含めて、広島ができるなら大阪もできると私は思いますから、御答弁願いたいと思います。
  184. 大石千八

    ○大石国務大臣 個別の問題に関しては、今委員から質問をされ、そして貯金局次長が答えているという状況を、今私は個別的なものに関しては初めてお聞きをしたものですから、それだけでどうするかという結論を私が申し上げることはできませんが、もちろん臨調の趣旨は尊重しなければならないけれども、なおかつ、貯金会館としての役割国民に多く利用していただくという観点からも問題を考えていかなければならないというふうに考えております。  今の広島の問題、大阪の問題ということは、私ここで責任を持ってお答えするにはいささかちょっと難しいと思いますが、臨調の答申を踏まえ、かつ、貯金会館が国民のために十分に利用いただけるという観点から判断をしてまいりたいと思っております。
  185. 大矢卓史

    ○大矢委員 時間を大変とりまして申しわけございません。今申しましたように、十二分に聞いていただいて、やはり政治的な判断も郵政大臣として、また国務大臣としてあらわしていただきたいということを要望して、終わらせていただきます。
  186. 中村靖

    中村委員長 次に、矢島恒夫君。
  187. 矢島恒夫

    矢島委員 私、まず最初に、パチンコ業界と大石郵政大臣の関係についてお聞きしたいと思います。  いわゆるパチンコ疑惑というのは、二十兆円産業ともあるいは三十兆円産業とも言われるパチンコ業界の親睦団体であります全国遊技業組合連合会、略しますと全遊連と呼んでおりますが、この団体が、八四年から八六年にかけて百人以上の国会議員やあるいは政治団体などに合計一億五千万円に近い献金を行ったということ、しかも、献金が集中した時期というのが、警察官の立入調査権を拡大するところの風俗営業法の改正の時期、あるいはプリペイドカードの導入をめぐってパチンコ業界が猛烈な反対運動を展開していた時期と重なるわけであります。全遊連の献金の趣旨というものがこれに絡んだ政治工作にあるのではないか、こういう疑いも持たれているものであります。  そこで、郵政大臣にお聞きいたしますが、あなたはいつ、だれから、どこで、幾ら献金を受けられたか、お答えいただきたいと思います。
  188. 大石千八

    ○大石国務大臣 私の事務所で調べましたところ、新聞などでも報道されているとおり、昭和六十一年六月二十九日に陣中見舞いとして三十万円、寄附でございます。それから、パーティー券として六十一年三月十五日四万円、これは農林水産委員長就任祝賀会ということで行ったパーティーでございますが、それともう一つ、パーティー券として六十二年十一月五日四十万円、これは国会議員在職十五年記念祝賀会という名目で行いましたパーティーでパーティー券を買ってもらったということでございます。
  189. 矢島恒夫

    矢島委員 金額の点でそれで間違いございませんか。実は、いわゆる全遊連の出しましたリストによりますと、今答弁された以外に八四年、昭和で言いますと五十九年十二月十四日に三万円の寄附を行っているように書かれておりますが、この点についてはいかがですか。
  190. 大石千八

    ○大石国務大臣 その点、事務所で調べましたところ、そういう事実はないということでございます。  なお、最初にそういう報道もございまして、事務所の方ではちょっと間違って、それをあったというように報告したようでございますけれども、ちょっと名目もあいまいなものですからもう一遍よく調べたところ、そういうのはなかったということでございます。
  191. 矢島恒夫

    矢島委員 そうしますと、閣議後の記者会見で十三日大臣は、全体で四十七万円、そのとおりだというように認められたわけですけれども、それを訂正される、こういうことになりますか。
  192. 大石千八

    ○大石国務大臣 そのとおりでございます。
  193. 矢島恒夫

    矢島委員 続いて、どこからそれらの、とりわけ八六年、昭和六十一年の六月二十九日三十万円の政治献金を受けておるわけですが、それはだれから受けたわけですか。
  194. 大石千八

    ○大石国務大臣 いずれも全遊連でございます。
  195. 矢島恒夫

    矢島委員 確かに全遊連なのかどうか。全遊連ですね。  私は、閣議で申し合わせた自主調査というものが一体どうなっておるのかという点について、とりわけこの八六年六月二十九日の三十万円の献金についてお聞きしたいわけです。といいますのは、八六年の八月八日付の静岡県の公報によります と、あなたのところの政治献金の中に静岡県遊技業組合連合会から三十万円、こういうのが載っておるわけであります。と申しますのは、これを取り寄せて調べましたところ、確かにこの八六年の衆議院選挙時における各候補者の収支報告の要約が県の公報として出ているわけですが、今御答弁をされた陣中見舞いで三十万円、農林水産委員長に就任したときにパーティー券四万円、それから議員在職十五周年記念の祝賀会のパーティー券で四十万円、計七十四万円というお答えであったわけですが、そうしますと新たに三十万円の政治献金をもらっているということになるわけなんですが、これは非常に問題だと思うのですが、いかがですか。     〔委員長退席、谷津委員長代理着席〕
  196. 大石千八

    ○大石国務大臣 事務所での報告どおり私は申し上げたわけでございまして、それ以上には、私が調べたわけでございませんので、今事実をどうであるかということはちょっとわかりませんですが。
  197. 矢島恒夫

    矢島委員 事実かどうかわかりませんですがでは、困るわけです。既に閣僚の皆さん方は申し合わせをして、自主的に調査をして、そして八名の閣僚の皆さん方がそれぞれパチンコ業界とのかかわりについて報告された。ところが、県遊連の方から三十万円をもらっているという事実は、これは静岡県の公報でございますから恐らくちゃんと届け出た内容が載っているわけです。そうしますと、このことについて大臣は何も聞いてない、こういうお答えになるわけですか。
  198. 大石千八

    ○大石国務大臣 聞いておりません。
  199. 矢島恒夫

    矢島委員 ですから、閣僚の申し合わせによる調査報告の内容というものがいかに当てにならないかということを私最初に言ったわけなのですが、早速この事実関係について、大臣、調べるというお気持ちはございますか。
  200. 大石千八

    ○大石国務大臣 調べます。
  201. 矢島恒夫

    矢島委員 調べた結果についてはぜひ報告していただきたいと思います。  ところで、こういうパチンコ業界から献金を受けたり、あるいはパーティー券を購入してもらったりしているが、大臣とパチンコ業界とはどんなつき合いであったのですか。
  202. 大石千八

    ○大石国務大臣 例えば、この献金を受けたという事実がこの間話題になり、そして自主的に調べるということになりましたときに、私が頭にすぐ思ったのは、ああ、地方行政委員長をやったからだなということを、そのときにすぐ思い浮かべたわけでございます。何となれば、それ以外に私とパチンコ業界とのかかわりはちょっと考えられなかったものですから、そういうふうに私は瞬間的に思ったわけでございます。
  203. 矢島恒夫

    矢島委員 地方行政委員長であったからだなということですが、そうしますと、その献金はどんな理由で、何のためになされて、それを大臣はどう受け取られたのか、その辺についてはどうお考えですか。理由と何のために受け取ったか。
  204. 大石千八

    ○大石国務大臣 政治献金とかパーティー券、これは政治活動に日常必要な資金として、パチンコ業界から以外にも、政治献金とかパーティー券を買ってもらう、あるいは寄附をいただいているということがございますので、それと同様の目的で、献金なりパーティー券の購入を受けたいということでございます。
  205. 矢島恒夫

    矢島委員 先ほど大臣はみずから、地方行政委員長であったからかなと考えたと。おっしゃられるように、八三年十二月二十八日から八四年十二月一日の間、衆議院の地方行政委員会の委員長を大臣は務めていらっしゃった。ちょうどこの時期は風俗営業法の改正案を審議していた時期であろうと思います。そこで大臣、あなたのところに当時この法改正問題で陳情があったでしょうか。あったとすれば、いつごろ、だれからというあたりを御答弁いただきたいと思います。
  206. 大石千八

    ○大石国務大臣 その前に、地方行政委員長を務めたということは、つまりそのときに風営法の審議があったということと関連があるわけでありまして、恐らく風営法の審議がなければ、パチンコ業界から私が献金を受けたということもなかったかもしらぬと思いますし、その地方行政委員長をやっているというのは風営法改正時の地方行政委員長であったということでございます。  そして、陳情を受けたかどうかということに関しましては、もう既に、これは五十何年でしたかね、まあ五、六年ぐらい前の話だというふうに認識をしておりますので、正確なことは全く覚えておりません。ただ、あのときに風営法の問題で、この法案の改正というのは世間的にもかなり問題、問題というか、世間的にも注目をされた法案の一つであるということを覚えておりますし、そのために、確かにパチンコ業界の皆さんがこの風営法の改正に関して関心もあった。これは、もともと出発は、パチンコ業界の問題よりも、新宿の歌舞伎町の風紀が非常に悪いということから、新宿の区長さんとか、そちらの方の関係の方が改正を強く求めたということからこの改正が始まったというふうに、これも正確でございませんけれども、そんなふうに私は記憶をしているところでございまして、もちろん、ただ単に新宿の地域だけの風紀を、歌舞伎町だけのことを変えるという法案ではございません。全般の改正に及ばなければ、これは一地域だけの法律改正というのはないわけですから、それがパチンコ等にも、営業時間だとか立入調査だとか、そういった方向の改正にまで、そういう方に及ぶと、これはただ単に、そういう歌舞伎町の風俗飲食業とかそういった、何という言葉で言ったらいいか知りませんが、そういうところだけに及ぶのでなく、パチンコの方にも及んでくる、こういうような形になっておった。推移を振り返ってみると、そういう方向に、パチンコの方にもそうすると影響が出てくるのではないか、こういうふうにだんだんなってきて、問題がもう少し広がっていったというふうに私は今記憶をしております。これは確かなことでございませんので一つ一つを取り上げられても困るわけですが、そういうふうに覚えておりまして、したがいましてパチンコ業界からいろいろ心配の声が上がったりしたことも私は記憶しておりますが、それがどういう形であったか、例えば正式な陳情とかであったのか、どうであったのかというようなことに関しては、私は詳しいことは覚えておりません。
  207. 矢島恒夫

    矢島委員 私は、風営法の内容そのほかについてお聞きしたのじゃなくて、この問題についての陳情があったかということで、御記憶が確かではないということですが、私が持ってまいりました八四年七月二日の朝鮮時報、八四年七月三十日の朝鮮時報等によりますと、大石委員長のところに、六月二十六日の午前、同連合会の李副会長と金理事長、それからもう一つの七月三十日の新聞によりますと、やはり二十四日に商工連合会の李副会長らが大石衆議院地方行政委員長に会って陳情した、こういう報道もあるわけですが、いずれにしろ、実際にこの法律というものが国会にかかったときに、全遊協というのが風営法改正に非常に危惧を持った。それで、今大臣が述べられた、だんだんパチンコ業界の方にも波及するような内容ということでなったのではないかというお話ですが、確かにパチンコ業界が危惧を持つ中で、全遊協が関係方面に反対陳情あるいは働きかけを行ったわけなのですね。  先ほど大臣もおっしゃられましたし、また八閣僚が資金提供内容を公表したときにそれぞれコメントが出ておりますが、地方行政委員長をやっていたから他の人よりやや多いかもしれない、こういうコメントが載っておりますし、同時に、先ほどのお話にもありますとおり、大臣に対する献金はこれら陳情への謝礼という意味があるのではないか、そう思うのですが、どうお考えですか。
  208. 大石千八

    ○大石国務大臣 私はそういうふうには受けとめておりません。
  209. 矢島恒夫

    矢島委員 全遊協は、この法案改正に関連して、業界に有利な取り計らいをやってもらいたい、あるいはそのことをやっていただいたということの謝礼、こういう意味で献金をしたのではないかという疑いが実際国民の間に非常にあるわけなのですね。  私どもが入手した献金リストによりますと、全遊連は我が党を除いて自民、社会、公明、民社、社民連の各政党の議員を対象に献金している、特に衆議院、参議院の地方行政委員会所属の委員の一部や、あるいは全遊協の顧問あるいは警察官僚のOB、こういう人を中心に全遊協の親睦団体である全遊連から献金がされているわけです。特に、この中で、直接法案の審議にかかわった地方行政委員長やあるいは地方行政委員会の理事などに献金が行われているというのが一つの特徴なのですね。これでも、なおまだ大臣は全遊連からの献金というのは問題がない、そのようにお考えですか。
  210. 大石千八

    ○大石国務大臣 いわゆる政治資金法とかそういったことに決められている範囲において献金あるいはパーティー券を買ってもらったという事実でございますので、そういう意味におきまして問題はないと思っております。
  211. 矢島恒夫

    矢島委員 いわゆる政治資金規正法に違反していないから何の問題もないのだ、このことは、あなたの、ちょうど申し合わせ事項によるところの公表の時点でのコメントにも出ているわけですね。その当時の状況というのは私が今申し上げたとおりでありますけれども、全遊協から陳情があった、そしてこの法案審議に重大な影響を持つところの政治家への献金が行われた、こういう事実を見ますと、何かあるぞと思うのが大体自然なのですね。しかも、業界側の要望に沿って質問した議員もいると言われているのです。  それで、献金した側の団体の幹部は、この法案が成立した後こういうことを言っているのですね。これはパチンコ産業年鑑一九八五年、その中で言っていることですが、「全遊協でも検討を重ねた結果、法案の重要性の認識が日増しに深まり全国的に陳情することになりました。国会内でも法案の内容の重大性が理解されはじめ、上程した法案を委員会で修正するという異例の形になり、」以下、途中を略しますが、「パチンコ業界からみますと、ある程度、業界の不安に歯止めがかかったように思いますね。」こういう発言が載っているわけです。  さらに、八五年の八月二十一日に行われました全遊連の理事会では、風俗営業法の改正に伴う業界の対応策等が議題となった。そして、このときの理事会を受けて持ってまいりましたのは、「全遊連発第二号」という昭和六十年の九月二十七日に出された文書であります。これは全遊連の松波会長が各県の遊技業組合の連合会の会長にあてた文書であります。「臨時会費の徴収について」という文書で、その中に、例えばその一として、「風営適正化法の改訂に伴う業界の対応策策定と、これに関連する調査、研究、教育宣伝、啓蒙等を行なう必要から、臨時会費を徴収する。」こういう通達が出されている。このとき集められた臨時会費というのがおおよそ五千万円強であります。八六年の同日選挙のときに、陣中見舞いとして各政治家に配られたのがこの臨時徴収金なのであります。ですから、大臣のところにも参りました三十万円というのがそれなのですね。ですから大臣はこういう経過を御案内かと思いますが、それでもなお問題なし、こういうお答え以外はないのですか。
  212. 大石千八

    ○大石国務大臣 そういうこと自身も当時知っているわけでもございませんし、そして私の気持ちといたしましては、先ほど申し上げましたとおり政治活動に要する政治資金といったものが必要でございますので、問題のないところから政治資金をちょうだいするということは常日ごろやっておることでございますので、そのようなことでパーティー券、献金を受けたということでございます。
  213. 矢島恒夫

    矢島委員 私は、政治家というのは国民の前に常に襟を正していなければならないと思います。同時に、企業からの献金というのは、あくまでもその企業が何か有利な方向へ行くために見返りというものを考えた上で献金をするというのは、これは営利を目的とする企業である以上当然なのです。ですからアメリカでは八十数年前からもう企業献金を禁止しているわけですが、特定の業界に絡んだ法案が上程されたときに、その業界に有利な決着をつけてもらおうというので政治家に働きかけ、金をばらまく、政治家が金を受け取る、まさにこんなことがあってはならないのです。しかも、それは政治資金規正法がどうのこうのというのではなくて、いわゆる政治家としての政治的道義的な責任というものをやはり明らかにしていかなければならない、私はこう思うわけです。  大臣、あなたの場合、風営法改正案が付託されたときの地行の委員長であった、しかも政治献金を受けている、非常に重大な問題だと私は思うわけです。十一月六日、あの撚糸工連事件の東京地裁判決が出ました。いわゆる族議員の職務権限について明確な判断が示されております。大臣が法案付託された委員会の委員長のとき、その法案に関係する業界から献金を受けておる、政治的あるいは道義的な責任についてはどうお考えですか。
  214. 大石千八

    ○大石国務大臣 いろいろな受けとめ方、それから考え方もあると思いますが、我々政治家というのは、決められた法律にのっとって政治活動を行い、そして国民の負託にこたえていくべく、政策を推進していくという立場にありますので、そういった方向の中で我々は最善の努力をしているわけでございます。したがいまして、先ほども申し上げましたとおり、政治資金規正法で認められた政治献金を受け取るということはそういう精神に反しないわけでございますので、そういう意味で、私はこのことを自分自身に対して良心の苛責はございません。ただし、今委員がお話しになりましたとおり、今行われているような政治献金のあり方ということに関しては、いろいろな意見とかいろいろな見方があるのは当然だというふうに思います。
  215. 矢島恒夫

    矢島委員 そういうお答えでありますが、あなたのところの小沢幹事長も、国民の目から見て政治家が公正を欠くような事実があるとすれば、与党であれ野党であれお互いに正していかなければならないと述べているわけです。まさに今回の献金というのはこれに該当するものだと私は思うわけです。  同時に、もう一点お伺いしたいのですが、パチンコ業界関係ではなくて、マスコミ関係からも大臣のところには政治献金がなされている。これは十一月十四日の朝日や毎日にも報道しておりますけれども、一九八〇年の選挙のときにSBS静岡放送から五十万円、それから一九八三年の総選挙のときには静岡放送から五十万円、テレビ静岡から三十万円、それぞれ受けておられますけれども、そのことは事実ですか。
  216. 大石千八

    ○大石国務大臣 調べました結果、そのとおりでございました。
  217. 矢島恒夫

    矢島委員 大臣、もちろん放送法の第一条など御存じのとおりだと思います。「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。」このようにうたわれております。これに照らして、現在郵政大臣であるあなた、つまり放送事業を監督する、指導する立場にある大臣が、こういう政治献金をこれらマスコミ関係から受ける、放送関係から受ける、この問題については今どういうふうにお考えですか。
  218. 大石千八

    ○大石国務大臣 法律の定めるところに従い、適正な政治献金として受けたものでございまして、問題ないものと考えております。
  219. 矢島恒夫

    矢島委員 同じ答弁の繰り返しであって、私が質問している、またお尋ねしてただしたいところというのは、やはりこういう疑わしい問題、あるいはそういうような疑惑が持たれるような政治献金、とりわけ郵政大臣という立場にある大臣が、放送関係企業から献金を受けるということについて非常に問題があるのではないかという点を指摘したわけです。  いずれにしても、もう時間になってしまいましたので、私は最後に企業献金、今盛んに海部首相も政治改革ということを言っていらっしゃる。その中で何としても今政治家として取り組むべきことは、参議院選挙で示された国民のあの審判にこたえることだと思います。その一つが汚職、腐敗や疑惑を政界からなくしていくということだと思うのです。その意味では企業からの献金を禁止すべきだと私は思いますが、大臣、最後にいかがですか。
  220. 大石千八

    ○大石国務大臣 そのことに関してはいろいろ議論があろうと思います。企業献金がすべてすばらしいことだというふうには私も思っておりませんし、企業献金が矛盾を生じるようなことになり得る場合もあろうと思います。しかし、一概に全部それが悪いという意味ではございませんで、企業献金が全部悪というわけではございませんけれども、そういうような問題が指摘されるようなことが企業献金の場合起こり得る、そういうふうにも私は思います。  しかし、今の状況の中で、それでは企業献金をすべてなくすということになると、実際の問題としてはどういうことになろうかということを考えたときに、例えば自分の財産をたくさん持っていてそれを切り売りしなければ政治活動ができないとか、そういった問題もまた出てこようと思いますので、企業献金がどうであるかということに関して、私なりに考えれば、いろいろ考えることがございます。先ほどあったように、これは見返りを欲しているというふうに誤解されるというか、我々がお礼のつもりでもらわない、報酬のつもりでもらってなくても、出す方はあるいはそういう気持ちで出しているということだってあろうと思いますし、そういうことを考えれば、確かにこの企業献金の善悪という問題はいろいろな見方があろうと私も思います。  しかし、今の現状を私の立場から考えますと、政治活動の資金というのはどうすべきかということをまた別の次元で考えなければならないという点もありますので、今ここで断定的なお答えを申し上げることはできませんが、私なりにいろいろ政治活動のあり方、政治資金のあり方というものを真剣に考え、あるべき姿は何だろうかということを自分自身で真剣に考えていることは事実でございます。
  221. 矢島恒夫

    矢島委員 企業からの献金をやめて個人からの献金にすべきだということを私は主張し、それから、郵政事務のサービス向上について質問する予定だったのですが、時間が来てしまいましたのでまた後の機会ということで、終わります。
  222. 谷津義男

    谷津委員長代理 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時五十七分休憩      ────◇─────     午後二時三十三分開議
  223. 中村靖

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和六十二年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、昭和六十二年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書昭和六十二年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)、以上三件の承諾を求めるの件、昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)、昭和六十三年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)、昭和六十三年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その1)、以上三件の承諾を求めるの件、右各件を一括して議題といたします。  この際、大蔵大臣から各件について趣旨の説明を求めます。橋本大蔵大臣。
  224. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 ただいま議題となりました昭和六十二年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外二件並びに昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)外二件の事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和六十二年度一般会計予備費予算額二千億円のうち、昭和六十三年一月八日から同年三月三十一日までの間において使用を決定いたしました金額は三百六十四億六千五十万円余であり、その内訳は、災害対策費として、河川等災害復旧事業等に必要な経費等の六件、その他の経費として、療養給付費等負担金等の不足を補うために必要な経費等の十件であります。  また、昭和六十二年度各特別会計予備費予算総額一兆四千八十三億四千三百二十八万円余のうち、昭和六十三年三月三十日に使用を決定いたしました金額は百二十五億円であり、これは、郵便貯金特別会計一般勘定における支払い利子に必要な経費であります。  なお、昭和六十二年度特別会計予算総則第十三条の規定により、昭和六十三年二月二十六日から同年三月二十九日までの間において経費の増額を決定いたしました金額は四百七十五億四千六百四十一万円余であり、その内訳は、交付税及び譲与税配付金特別会計交付税及び譲与税配付金勘定における地方譲与税譲与金に必要な経費の増額等二特別会計の三件であります。  次に、昭和六十三年度一般会計予備費の当初予算額は三千五百億円でありましたが、本件提出後の平成元年三月七日に成立いたしました昭和六十三年度一般会計補正予算(第1号)により、一千五百億円を修正減少いたしましたので、改予算額は二千億円となっております。  このうち、昭和六十三年四月八日から同年十二月二十七日までの間において使用を決定いたしました金額は六百十九億三千八百六十二万円余であり、その内訳は、災害対策費として、河川等災害復旧事業等に必要な経費等の八件、その他の経費として、大韓民国ソウル市等において開催される第二十四回オリンピック競技大会に関連して日本国内における警備活動等に必要な経費等の十二件であります。  また、昭和六十三年度各特別会計予備費の当初予算総額は二兆一千九百六十億七千五百万円でありましたが、本件提出後の平成元年三月七日に成立いたしました昭和六十三年度特別会計補正予算(特第1号)により、二百九十億円を修正減少いたしましたので、改予算総額は二兆一千六百七十億七千五百万円となっております。  このうち、昭和六十三年十二月九日から同年十二月二十三日までの間において使用を決定いたしました金額は三億九千九百四十一万円余であり、その内訳は、農業共済再保険特別会計農業勘定における再保険金の不足を補うために必要な経費等三特別会計の三件であります。  なお、昭和六十三年度特別会計予算総則第十三条の規定により、昭和六十三年八月五日から同年十二月十六日までの間において経費の増額を決定いたしました金額は百二十五億六千四百七十三万円余であり、その内訳は、治水特別会計治水勘定における河川事業及び砂防事業の調整に必要な経費の増額等五特別会計の九件であります。  以上が、予備費使用総調書等についての概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。
  225. 中村靖

    中村委員長 これにて説明は終わりました。     ─────────────
  226. 中村靖

    中村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部行雄君。
  227. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 まず最初にお伺いいたしますが、毎年総理が外遊されておるわけですが、こういう外遊というのは、大体今までの慣例に従って予測すればあらかじめわかるものと思うのでございます。なぜこういう費用を予備費から出さなければならないのかという問題について、その事情をお聞かせ願いたいと思います。
  228. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 お答えいたします。  総理の外遊につきましてはそのときどきの事情で決定されるわけでございまして、年度当初に予定できない、回数、行く場所、日程などにつきましては、当初予定できないものでございます。
  229. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 果たして当初予定できないものでしょうか。正確に何十何円まで求めているわけではないのですよ。毎年毎年総理が海外に出張される、いわゆる外遊と言われるものは大体決まっているわけでしょう。あの短かった宇野総理でさえもやはり外遊されているのですから、そういう点では総理というものの外遊費用の概要は大体わかってしかるべきだと思いますが、そういう慣例というものは全然頭の中に入れておかないわけですか。
  230. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 過去の実績などを考えますと、年何回平均とか、そういうことはあるかと思いますが、やはり外遊はそのときどきの事情で決まるという性格のものだと思いますので、予算的には予備費をお願いする性格のものだと思っています。
  231. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 私は、予算編成というものは、万やむを得ないもの、いわゆる予測予見できないもの、そういうものについてはいざ知らず、大体予測できるもの、これは慣例としてこのくらい毎年出ているのだから恐らくことしはこのくらいになるだろう、こういうことは当然予見できると思うのですよ。そこで、どのくらいこれを計上しておけばいいのかということで、大体のところ計上できるはずです。何でもかんでもはっきり正確に出せというならば無理かもしりませんけれども、そういうものは経済大国になった日本の世界における位置づけから考えても予測できるはずですよ。そういうものが全く予測できないとすれば、それは政治音痴としかいえないのです。そういう会計の取り組みでは非常に情けないと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  232. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 先生のお話でございますが、いわゆる総理の外遊というのはそのときどきの国際情勢あるいは国内事情などが勘案されて決定されることだと思います。したがいまして、同じような答えになりますが、年度当初に事前に予定しにくい事項であると思っております。
  233. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 時間がありませんから前に進みますが、竹下総理がソウル・オリンピックに参加した際の費用についてでありますが、これもことしのことをことしと言うならとてもわからないでしょうが、大体六年以上も前から決まっているものを、予測できないという逃げ口上はできないのではないか。しかも四年に一回ずつある行事ですから、そういう点からすれば当然予測され、またその準備がされてしかるべきではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  234. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 オリンピックは四年に一度ということでございますが、総理が出席されるかどうかということはそのときどきの情勢で決められることだと思います。
  235. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これは不思議なことを聞きますね。韓国のソウルでオリンピックがされるのに、お隣の国に総理が出ないなどということが考えられるのでしょうか。しかも、日本と韓国の関係というものはそんないいかげんな形だけで取り繕っておられる関係じゃないと思いますよ。そういうことは考えられないでしょうか。
  236. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 オリンピックというスポーツの祭典でございますので総理が必ず出席されるということが事前に決まっているということではなく、やはりそのときどきの判断で決められるものだと思っております。
  237. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 それでは、警察庁の費用でございますが、これも大変莫大な費用をこのオリンピックについて使っているのですね。これなんかはちょっと私どもには理解できないのですが、約四十七億四千万円ですか、こういう莫大な費用を組んでいる。活動旅費あるいは警察装備費、車両購入費、それから捜査費。隣の国でやるのに日本でなぜこんな大がかりな取り組みをしなければならなかったのかお伺いいたします。これは警察庁ですね。
  238. 関口祐弘

    ○関口説明員 お答えいたします。  我が国の隣国で開催されるソウル・オリンピックに関連をいたしまして、当時国際テロ等が発生していたこと、オリンピック参加三十五カ国の選手団が我が国で事前トレーニングを行う予定であったこと等からいたしまして、日本を直接あるいは間接の場としたテロ行為が敢行されるおそれが極めて強かったのであります。その場合、我が国の治安維持に重大な影響を及ぼすばかりではなくて、国際問題になることも危惧されたところでございます。こうした状況に対処いたしまして、我が国がテロリストの準備基地やテロ対象となること等を防止するために、警備態勢の強化が必要でございました。こうしたことで予備費ということをお願いいたした次第でございます。
  239. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 この中でも車両購入費というものが大分多いようですが、車両は何台購入されたのですか。
  240. 関口祐弘

    ○関口説明員 車両購入費でございますが、九億七千五百七十七万三千円ということでございまして、ゲリラ対策車、常駐警備車等合計いたしますと九十六合でございます。
  241. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 大体平均してその車両は一台幾らぐらいですか。
  242. 関口祐弘

    ○関口説明員 いろいろな種類のものが入っておりますが、ざっと申しますと一台一千万程度ということかと思います。
  243. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そうすると、相当大型の車両を入れたわけですね。一千万、九十六台ですか、そんなに隣の国の警備に必要なのでしょうか。会計検査院はこの適否についてはどういうふうに考えますか。
  244. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院説明員 お答えいたします。  ただいま突然の御質問でございますので、その内容等につきましては後ほどよく伺った上で検討させていただきたいと存じます。
  245. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 それでは前に進みます。  農業者年金の問題についてですが、これは経営移譲年金給付費補助金として農業者年金基金補給金からこの流用が図られているわけですが、ここではただ「経営移譲年金の給付が予定を上回ったため」と書いてあるけれども、その内容はどういう理由によってこうなったのか、お伺いしたいと思います。
  246. 山崎皓一

    ○山崎説明員 お答えいたします。  農業者年金の経営移譲年金と由しますのは、六十歳から六十四歳までの農業者の方が、自分が経営しております農地を後継者等に経営移譲いたしました際に年金として給付するものでございまして、その際、農業者年金基金法に基づきまして二分の一の国庫補助がされることになっております。  したがいまして、昭和六十二年度におきましては、当初予算でこのための経費といたしまして九百四十三億五千二百三十二万六千円を計上しておいたわけでございます。ところが、実際に経営移譲がいつ起こるかというのは極めて個人的な理由でございまして、だれが何歳の何月に移譲するかということは全くその個人個人の事情によるわけでございます。したがいまして、その年に初めて経営移譲年金を受けます人の金額につきまして正確に予測することは困難でございまして、あらかじめ推定をいたしまして予算に計上をしております。  ところが、六十二年度におきましては、その年に新たに経営移譲年金を受ける裁定を受けました人が、結果的に当初の見込みより多かったということが一点。それからもう一点といたしまして、これは、同じ年に経営移譲を受けましても、四月に経営移譲を行いました際と翌年の三月に行いました際とでは、当然その年に受け取ります年金額は違いますので、そういったものを全体として平均いたしました、新規裁定者に対します初年度の平均支払い単価が当初の予算を上回った、その結果、この当初予算九百四十三億円に対しまして、十三億四千五百八十九万四千円の予備費を使用したわけでございます。
  247. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これはもう少し詳しくやりたいのですが、時間がありませんから。  そこで、農業者年金制度というものを今後はどういうふうに考えていくおつもりですか。見直すならどういうふうに見直すということをお答え願いたいと思います。
  248. 山崎皓一

    ○山崎説明員 農業者年金につきましては、いわゆる厚生年金とか共済年金とか被用者年金に加入できません専業農家のための年金といたしまして、約二十年の歴史を持っているわけでございまして、農家の方の老後生活の安定とか農業構造の改善という意味で極めて大きな貢献をしているところでございます。  しかしながら、最近の状況を見てまいりますと、一つは、農村社会におきまして、この制度が発足いたしましたころに比べまして高齢化が急速に進行しており、また、そういった高齢の方が農業に従事する割合というものも昔に比べますと高くなってきております。そういった事情の変化がございます。  それからもう一つ、やはりこの年金は単なる老後保障ではなくて、後継者の方に農地を譲っていただく、あるいはほかの中核農家の方に譲っていただくということによって農業経営と構造改善に資するという目的を持っているわけでございまして、そうった目的に照らした場合に、今の制度が一番いいのかどうかという問題があるわけでございます。  それから三点目といたしまして、最近農業者が減ってまいりまして、年金の保険料を払う人と年金を受け取ります方とのバランスの関係が当初の予定に比べまして変わってきております。  こういた点等を踏まえまして、何らかの改正を行う必要があるのではないかということで、ただいま各方面の意見を伺いつつ改正案の検討を進めているところでございまして、次期通常国会に改正法案を提出する方向で現在検討中でございます。
  249. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 時間があとわずかでございますので、最後に大蔵大臣にお伺いします。  大蔵大臣は今消費税問題で参議院で大分議論されておるようですが、大蔵大臣としては消費税を見直す必要があると思いますか、ないと思いますか。もし必要があると考えられるならば、今新聞に消費税の広告を大分大きく出しておられるわけですが、国会の廃止するか見直すかという大論争の中で大蔵省は消費税の宣伝をする、これは少し政治情勢をそこに表現していないのではないか。最初見たところ、どこの俳優かと思うような大変立派な広告が出されておりましたが、最近はどうも少し批判があったのかなと思って、本人の顔は見えないけれども名前は出ておったようです。しかし、やはりこの政治情勢、今消費税がどうなるかとガタガタしているときに、政府の立場でこれは立派ですよというような宣伝は、ちょっと何か一本歯が抜けているような感じがするのですが、その点についてお伺いいたします。
  250. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 委員せっかくの御指摘でありますが、私ども税制についてのPRが足りないというおしかりを世間から大変いただきまして、今その広報活動に努力を続けておるところでございます。  しかし同時に、消費税を含めまして、税制というものが不断の見直しが必要なものであることは申し上げるまでもありません。そして、税制改革法の中にも税制改革全体の中で見直しの規定が用意されておることも委員が御承知のとおりでありまして、例年、今まで私どもは、税制の見直しをし、税制改正の大綱を決し、そして国会での御審議もお願いをいたしてまいりました。今後におきましても、我々は見直しは当然のこととして毎年行いながら、しかし、消費税を含みます先般の税制改革全体、すなわち所得税、住民税、法人税の減税、物品税の廃止、そして新たな消費税の創設という、税制改革全体についての定着を図ってまいりたいと考えております。
  251. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 時間が来ましたのでこれで終わります。どうもありがとうございました。
  252. 中村靖

    中村委員長 次に、草川昭三君。
  253. 草川昭三

    ○草川委員 草川です。  まず、予備費の事後承諾について、法制局と大蔵大臣にお伺いをいたします。  予備費は予見しがたい予算の不足に充てる、このために計上されるわけでありますが、事後に国会承諾を得なければならない、こういうことで、今、本席で議論をしているわけであります。  財政法三十六条でも、国会に提出しその承諾を求める、こういう文言もあるわけでありますし、承諾を求める次期については次の常会、こういうことになります。この承諾決算とは異なり、国会の議決を要する議案として扱われるわけでありますけれども、もし憲法にも規定された予備費の事後承諾ということが得られない場合はどういうことになるのか、まず内閣法制局にお伺いをいたします。
  254. 大森政輔

    ○大森政府委員 ただいま委員指摘のとおりの趣旨が憲法に規定されているわけでございますが、お尋ねの件の要点は八十七条にあります「内閣の責任」においてという「責任」とはいかなる意味か。そしてまた「国会承諾を得なければならない。」という、その「承諾」の趣旨はいかなる意味かということにあろうかと思います。  そういうことを踏まえましてお答えいたしますと、国会承諾を得た場合には、これによりまして予備費支出についての内閣の責任が解除されると一般に解されているところでございます。逆に、予備費の使用につきまして承諾を得られなかったという場合には、内閣はその責任において、支出したその責任が続くという意味で、政治的責任を負うというふうに解されております。しかしながら、あくまで政治的責任の次元の問題でございまして、支出行為につきまして行為の効力といいますか法的効果といいますか、そういうものには影響を及ぼさないというふうに解されているところでございます。  以上でございます。
  255. 草川昭三

    ○草川委員 法制局の方は、もうこれ以上御質問をしてもあれでございますので、これで結構でございます。  そこで、この責任というのは政治上の責任である、法律上の責任ではないということを、今度は大蔵大臣にお伺いをしたいわけでありますが、これがどういう採決になるかわかりませんが、もし不承諸という場合に大蔵省としての政治上の責任はどうとるのかという質問になるわけであります。  こういう質問をすると、多分、大変立派な大蔵大臣は、そういうことにならないように期待をしたいという答弁が予測されるわけでありますが、そういうことをおっしゃらずに私の質問にお答えを願いたい、こう思います。
  256. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 人が言おうとすることを先に言うのはちょっとずるいと思うのですが、そういう御質問があるということで過去を調べてみますと、昭和二十四年の第五回国会において、予備費使用の一部について不承語とされたという先例がございます。しかし同時に、不承諸とされましたことが法律上の効果には影響を及ぼさなかったということも委員御承知のとおりであります。  ですから、これは事務方の考え方と多少食い違うかもしれませんけれども、率直にお答えをさせていただきますならば、もし承諾がいただけなかったという場合におきまして、確かにその責任は内閣に存続するわけでありますから、その使用された目的とそして内容、それによって判断がなされるべきもの、そのように理解をいたします。
  257. 草川昭三

    ○草川委員 ということになると、目的なり内容の理解を得るまで、次の国会等に繰り返し繰り返し提出をするということになるんでしょうか。改めてお伺いをいたします。
  258. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 院としての御承諾がいただけないという意思は既に表明されておるわけでありますから、事前に使用いたしました予備費のその内容が適切なものであったかどうかについての政府の責任が存続するということであり、再提出ということにはならないのではないかと、とっさの判断でありますが、私はそう考えます。
  259. 草川昭三

    ○草川委員 実はこれはいろいろな学説があるわけでありまして、ある学者は、承諾を得なければならないのであるから、審議未了のまま国会が閉会となった場合には、その諾否の決定があるまで、次々の国会に何回でも提出しなければならない、こういう意見の学者もあるわけであります。  でありますから、私は、それを際限もなく繰り返すのかというつもりで今質問したわけです。しかし、今の大臣の御答弁は、あくまでも政治上の責任で判断をしておるわけだから、再々提出ということを考えていない、こういうことをとっさの答弁だということでおっしゃっておられるわけですが、大蔵省の原局の方はそういう態度を今後とられるのか、お伺いをしたいと思います。
  260. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 これは事務方が答えたことではありませんから、なぜ私がそういう答弁を申し上げたかについて補足をさせていただきたいと思います。  先ほど申し上げました、昭和二十四年の第五回国会におきまして、このときには衆参両議員で異なった議決が行われたということであります。そして、その結果として、各議員の議決の結果が内閣に送付をされたという事実がございましたようです。ということは、それにおいて院の意思は表明をされた、残るものは政府自信が、それが国民に対して良心に恥じない使用目的であったかどうかということであろう、私はそう判断をいたしました。
  261. 草川昭三

    ○草川委員 今我々が予想されるのも、先ほど御答弁があったように、両院別々の、承諾、不承諾という結果が予想されるという立場から申し上げたわけでありますが、先例というのですか、戦後の大変混乱をしたときにそのようなことがあったやに私どもはお伺いをするわけでありますが、否決をされた、あるいは承諾をされた。不承諾という結論に従って、後はこれは院の問題になりますから、院の問題についてここで議論をしても始まりませんのでこれで終わりたいと思いますが、要するにその予備費の使途の内容について少なくとも院の態度が違うということは、政府としても反省をしていただかなければいけない要因がたくさんあると思うのであります。  そこで、その中身の方に今度は入っていきますけれども、今も御質問があったようでありますけれども、予備費は予見しがたい予算の不足に充てるために計上されるものだ、これがまず第一の原則だと思うのですね。しかし、たまたま総理の外遊問題が先ほども質問されました。この総理の外遊問題については予見しがたいものかどうか、こういうことを少し私は立ち入って申し上げてみたいと思うのであります。  これは外務省からいただいた資料でありますけれども、大平総理のときにも、これは第一次大平内閣でありますが、暮れにアメリカ、フィリピン、あるいは第二次のときにも大体十二月とか一月、こういうところで行っておみえになりますし、鈴木総理、中曽根総理、それから竹下総理、先ほど出ました宇野総理、こういうようにずっと歴代総理というのは出張をされておみえになります。ことしの十月二十四日の参議院の予算委員会でありますけれども、たまたま海部総理大臣はこういう答弁をしておりますね。「外遊のことは、外国とのいろいろな関係、関連もございますし、きょう決めてあすというわけにはいかないでしょうから、だからそういった意味で、歴代、国会の自然休会中と申しますか、一月の時点にはそれぞれ外交の懸案問題を片づけるために外国へ行くということは慣例のようにあるわけでございますので、」という言葉があるわけですね。総理はもう慣例ということを言っておるわけであります。だとするならば、予見しがたいというこの前提で予備費が組まれているわけでありますけれども、私は、そういうことならば、総理の外遊というものはもう一般会計で計上すべきではないか、予備費を使うのはおかしい、こういうように思うのですが、その点はどうでしょうか。
  262. 小村武

    ○小村政府委員 先ほど内閣の会計課長からも御答弁がありましたが、総理の外国訪問は、国際政治情勢等々諸般の事情を勘案して決定されるということで、これは予算編成段階であらかじめ予測することが非常に困難であるということであります。具体的に総理の外遊、訪問計画が定まった段階で、その訪問先、期間、その規模等々を適正に精算いたしまして、それで予備費の段階で対応していくということが適当でなかろうかということで、従来からもそういう方法をとらせていただいております。
  263. 草川昭三

    ○草川委員 いや、それは先ほどの答弁と同じですから繰り返しお聞きしなくてもいいわけですが、少なくとも現在の総理大臣が、一月の時点で外国へ行くというのは慣例のようだ、こういうことを言っておみえになるわけですから、それならば、今後少なくとも予算計上には慣例として総理外遊という予算一般会計で組むべきではないだろうか、こういうことを繰り返し質問をしたい、こう思います。
  264. 小村武

    ○小村政府委員 あらかじめ予見しがたいというのは、時候及び金額についてもそういうことが言えるのではないかと思います。具体的に総理がいつ、どういう形で外国訪問されるかということを明確に予算編成段階で積算するのは困難である。さらに申し上げますと、総理の場合には大変変動的な要素が多い上に、いやしくも一国の総理の動向でございますから、外交的にも大変大きな影響があるということでございまして、アメリカ一回あるいはアジア地域一回とかというような積算をあらかじめ見込んで積算するというのもいかがかということで、予備費で対応させていただいているということでございます。
  265. 草川昭三

    ○草川委員 時間がないのではしょりますけれども予算というのは、その編成に当たって、一番近い直近のデータに基づいて、できる限り正確な経費の見積もりを立てて作成されるというのが原則だと思うものですから、私は、今の局長の答弁とは違う立場から、もう慣例化しておるのだから従来の実績に従って一般会計で処理すべきだ、こう思います。  そこで、この予備費の運用を見ておりますと、昭和五十五年以降毎年三千五百億が計上される。ところが実際の使用はほぼ半分、残りは減額補正をされる。そして、補正予算編成の際の隠し財源になっている。いわゆる予算編成のテクニックに使われているのではないか、こういう不満があるのですが、その点はどうでしょうか。
  266. 小村武

    ○小村政府委員 予備費につきましては、先ほど来御指摘のとおり、歳出歳入予算については国会の議決主義の例外でございますので、あらかじめその金額をもって内閣に授権されるものでございます。したがいまして、その金額の使用の見込みが恐らくないであろうということがはっきりした段階、しかも補正の段階ということは議会の御承認を得るのに最も適したものであろうということで、金額的にめどがついた段階で国会の議決をし直して減額するというのが財政民主主義の観点からも適当ではないかということで、そうさせていただいておる次第であります。
  267. 草川昭三

    ○草川委員 時間が来たので終わります。
  268. 中村靖

    中村委員長 次に、大矢卓史君。
  269. 大矢卓史

    ○大矢委員 ただいま同僚の草川議員からも御質問ございましたけれども、やはり私も昨年度の討論の中でも申し上げました。またことしの中でも申さなければならぬわけでありますけれども、総理の外国訪問ということがすべて予備費で賄われる、そういうことについて今も御議論ございましたけれども、大蔵大臣、次の総理とも言われておるあなたでございますので、やはり日本の総理というのは、外国に向かって、内政に対する責任と同時に、外国にも大きな責任を持たなければならぬ。そして、外国に行ってそういう日程をこなしていかなければならぬことが当然年間に幾つかおありだろうと思います。そういうものをあらかじめ予見できるものはできるだけそういう中に含めていただいて、そして少なくとも、すべて決算のたびごとにこういう形で予備費から支出したのだということが出てくるということは、国内で時間がとれなければ外国に行かないし、時間がとれればたまたま外国に行くということでなしに、やはり国内政治と同時に国外における活動というものがなされなければならぬ、国際社会の最高の責任者としてなされなければならぬ、これは今後の課題だと私は思いますけれども、この点、これは総理のものは出てまいりまするけれども、各大臣も当然外国へ行かれるわけでありますが、それらは予見できて、総理のものだけ予見できないということは一体どういうことなんでございましょうか。
  270. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今事務方に確認をいたしましたが、委員指摘のように、各省の閣僚の海外出張は、海外旅費としてそれぞれの省庁に積算をしております。そしてその範囲で行動をいたしているわけであります。  ただ、先ほど来御議論がありますが、私は、実は、総理の海外出張については、やはり現実に予備費対応とならざるを得ないのではないかということを、何回か閣内におりまして感じております。たまたま先ほどどなたかが御引用になりました海部総理の答弁の際、私も隣におりましたけれども、これはいわば国会の御審議の合間の時期、そこに出張するのがという意味でありまして、例えば、その時期にいたしましても出張できる場合ばかりではございませんし、また訪れなければならない国、そしてそれに同行しなければならない人数その他、相当変動のあるものだと承知をいたしております。となりますと、委員意見を異にいたしまして恐縮でありますけれども、やはり総理の海外出張というものは、弾力性を持ってこれが行動をするためにも、むしろ予備費で対応させていただく方が望ましいのではなかろうか、私は率直にそんな感じを持っております。
  271. 大矢卓史

    ○大矢委員 時間がございませんのでこれ以上議論する気持ちはございませんけれども、やはり各大臣がそういうことで予見できて、一国の総理が予見できないということがないはずであります。重みをつける意味におきましても、予備費で全部処理していくのだということは余りにもおかしいのではないか。ただ、国会の開会が中心だとおっしゃいますけれども、やはり外遊というものも、今の日本の置かれている立場からいいますと、もちろん国会は大切でありますけれども、諸外国とのつき合い、それもなお一層大切なことであると思いますので、そういうものも踏まえてこれから御検討願えれば結構かと思います。  そこで、きょう議題になっておりますのは六十二年度と六十三年度の予備費のことでございますけれども、今も交安特に行ってまいりますと、自治大臣初め四人の大臣がいらっしゃいます。この決算委員会というのは、今大蔵省も含めてまだ六十一年の決算をやっておる。六十一年の大蔵省の決算がまだ済んでおらない。そうなりますと、きょうのこの議題といいますのは、否決、可決になりましょうとも議会に諮らなければならぬ。決算委員会は常任委員会とはいいながらただそれだけが一つの歯どめでありまして、その意味から、やはり六十二年、六十三年度の決算、これを明日にも本会議にかけて参議院へ送っていくということでないと、今六十一年の決算をやっておるということでは、委員会はもちろんでございますけれども、院としての権威が余りにもなさ過ぎるのではないか。地方自治体におきましても、これは一つの特別委員会という形である一定の時期に集中的な審議をして、それを先ほどから言われておりますように承認する場合、また否認する場合はございますけれども、それはそれなりに結論を出して次の予算の編成に資していく。そういうことはやはり決算委員会の務めであると思いますし、また、決算の常任委員会として特別にいろいろな問題を特に委員会で集中的に審議をするというようなことがございましても、やはり一年の各省決算は終えて、そしてその次の予算をお決めになる場合の参考にしていく、そしてそれがもし否決ということになりましたら、それの組み替えも考えながらやっていくということが必要ではないか、そのように思うのでございます。  今、委員長が非常に御努力をされながら、各党協力をして、そういう結果でこういうきょうのこの委員会にもなったわけですけれども、せっかく大臣に出てきていただいても、六十一年度の決算をまた大臣に出てきていただいてやらなければならぬ、そういうふうなちぐはぐな議会運営になっておる。ただ、これは大臣、大臣として御意見を述べにくうございましょうけれども、こういうあり方が、もう既に与野党が対立をしていくようなそういう議会の場ではでございませんので、やはりお互いによりよい方策を求めながら国民に対して義務を果たしていくということであろうと思いますので、その点を含めて大臣に御所見を承りたいと思います。
  272. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今委員が御指摘になりましたように、決算というものが予算の執行の実績でありますだけに、国会におけるその審査というものは、予算がその役割、目的を十分に果たしているかどうかを審査、御検討いただくものでありまして、極めて重要なものだと私どもも理解をいたしております。同時に、今委員が御指摘になりましたように、決算国会にできるだけ早く提出するということは、予算編成に反映させる見地からばかりではなく、決算の効果的な御審議というものを担保する上でも非常に大切なことであり、望ましいことだとも私は考えております。  それで、例えば早期に国会に提出をいたしますために、提出前に必要な手続であります内閣から検査院への送付というものが、法律では翌年の十一月三十日までとされておりますものを、従来から約一カ月半繰り上げて十月中旬には送付するような努力もいたしてまいりました。今後とも決算作成業務というものの促進を図るように政府としても努力をしてまいりたいと考えております。
  273. 大矢卓史

    ○大矢委員 時間が来ましたが、委員長初め各委員部の皆さん方も大変御苦労していただいておるのですけれども、なかなか大臣がつかまらないということで審議が延びるわけであります。そういうことのないように、やはり今大臣がおっしゃいましたような趣旨に従って、これからも十二分にその責めを果たしていきたいと思います。ありがとうございました。
  274. 中村靖

    中村委員長 次に、矢島恒夫君。
  275. 矢島恒夫

    矢島委員 時間がわずかでございますので、ひとつ答弁の方も簡潔、明瞭によろしくお願いしたいと思います。  去る十一月六日から八日にわたりましてワシントンで開かれました日米構造協議で、アメリカは日本の農地の宅地並み課税について提案した、このように報じられておりますが、このようなことは内政干渉だと私は思うわけです。前後して十一月一日に開かれました政府・自民党の土地対策関係閣僚会議で、原田建設大臣あるいは石井国土庁長官が宅地並み課税について積極的推進発言をされたというニュースや、あるいは建設省の土地税制改正案のニュースに接しますと、今政府はアメリカの対日圧力の強化をてこにしながら農地の宅地並み課税を強化しようと考えているのではないか。  建設省の土地税制改正案によりますと、東京、名古屋、大阪の三大都市圏の市街化区域内農地について、長期営農継続農地制度を一九九一年末で廃止する、農地の相続税納税猶予制度についても九二年以降は適用しない、こういうことにして、固定資産税あるいは都市計画税、相続税はいずれも宅地並み課税を一九九二年から実施するというような方針が出ておりますが、大蔵大臣もそのように考えておられるのか。特に大蔵大臣の所管であります相続税納税猶予制度についての見解を承りたいと思います。
  276. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 市街化区域内農地に対する相続税の納税猶予制度につきましては、昨年六月、閣議で決定をいたしております総合土地対策要綱におきまして、「市街化区域内農地のうち保全すべき農地として都市計画上明確な位置付け措置がなされないものについて、相続税の納税猶予制度を見直すなど、取扱いの適正化を図る。」とされておりまして、見直しの方向が示されております。大蔵省としても、負担の公平の観点から、その見直しは必要であると認識をいたしております。  ただ、本制度の見直しにつきましては、あるべき都市政策あるいは土地利用計画の策定と、それに基づく宅地化すべき農地と保全すべき農地の区分というものが前提として必要でありまして、ほかの土地政策と切り離して実施することができるものではありませんから、直ちに実施することは難しいものでありますけれども、今後各種税制の見直しの一環として適切に対応していきたいと考えております。
  277. 矢島恒夫

    矢島委員 農家では今でも後継者の問題で頭を悩ませております。そういう中で相続税の納税猶予制度を廃止するというようなことになりますと、農業を営む人がいなくなってしまうのではないか。たとえ三大都市圏の市街化区域に限定しても、極めて問題だと思います。宅地並み課税全体がそうなんですが、都市近郊農業つぶし、あるいは緑つぶしであると同時に、現在の大都市のこの無秩序な膨張の中での防波堤という役割を果たすそういう緑地や、あるいはまた空き地としても重要な役割を果たしてきたと思うわけですが、そういう都市農地の破壊になっていく。そしてこの都市環境の悪化を進めていく。しかも一層土地の買い占めの競争、こういうようなものの要因をつくるものだと思う。  先日も、全国農業協同組合中央会の方々が陳情に参りました。私の住んでいる埼玉でも、農民の方々が、宅地並み課税については農地追い出し策だ、安全で潤いのある町づくりを否定するものだ、こういうように言って怒っていた。私ももっともだと思います。  宅地供給のためというわけですけれども、政府がオフィスビルの大量建設のために土地を大企業の食い物にさせた、公共住宅の建設を推進しなかった、こういうところに根本原因があるわけですから、国公有地と大企業保有のいわゆる遊休地、こういうものを住宅用地やあるいは緑地として活用していく、このことこそ今進めていくべきことではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  278. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 私は、今委員が後段お述べになりました遊休地の活用というものについて、形容詞の部分は別として、必ずしも意見を異にするとは思いません。  しかし、それと同時に、大都市部における農地の、しかも活用されていない、実質的にほとんど農業の営まれておらない土地が農地としてそのまま残っております状態、そこを一緒に御論議になることには多少無理がありはしないだろうか。現実に宅地が不足をし、供給を求めておる状況の中で、私は、土地対策要綱の考えている方向というものが、また土地基本法等の制定の中で論議をされ、進められていこうとしている将来への絵図面とあわせて御議論をいただくべきことだと思います。
  279. 矢島恒夫

    矢島委員 時間が極めて少ないので、この問題につきましても、後ほどの機会にいろいろと論議させていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、宅地並み課税というものを絶対やるべきでないということを主張いたしまして、次の金融機関の土地関連融資問題で質問していきたいと思います。  大蔵省は、去る十月二十七日、金融機関に対して土地関連融資を自粛するよう通達を出しました。  私、一九八七年、昭和六十二年の九月一日の大蔵委員会ですけれども、そこで次のように質問したわけです。昭和六十一年、銀行局長が「土地関連融資の取扱いについて」という通達を出されたわけです。ところが一向に効き目がないという点を指摘しながら、もっと実効ある規制を今考えていく必要があるのではないか、こう質問したわけです。そのとき、当時の平澤銀行局長は、「やがて徐々にではあるかもしれませんが、効果が出てくるというふうに期待している」と答弁されました。また当時の宮澤大蔵大臣も、大蔵省の「ヒアリングというのは実は大変に効果を発揮しておるように私は仄聞いたしております。」と自信を持って答えられたわけであります。  ところが、私が予測いたしましたように効果がなかった。そして、二年たった今日、また同じような通達を出された。また同じ質問をいたしますが、本当に効果があるのか。今回はノンバンクの土地関連融資問題もあるようですが、このノンバンクといっても、大体金融機関系列企業が多いわけです。また、銀行からこのノンバンクに流れているということも事実です。もっと厳しい規制をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  280. 土田正顕

    ○土田政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま先生指摘のような高い伸びを示したのが大体昭和六十一年度ごろでございましたが、そのころ、例えば金融機関の不動産業向けの融資の残高の伸びは対前年比二割—三割というような伸びでございました。しかし、そのころから私ども通達の発出、それからお話にもございました特別ヒアリングの実施などを通じまして、投機的土地取引などに係る融資を排除するよう厳正に指導してまいったところであります。その結果、この特別ヒアリング実施後、六十二年度上半期以降、この融資残高の伸び率は基調としては大幅に減少してきたところでございます。  ただ、近時、地方都市を中心に地価上昇が続いておりますという状況にかんがみまして、この十月二十七日ですが、国土庁においてさらに国土利用計画法上のもろもろの指導強化を行ったことと平仄を合わせまして、大蔵省としましても、投機的土地取引などに係る融資を厳に排除するという従来の通達の趣旨をさらに徹底させますとともに、いわゆるノンバンクと申しますか、金融周辺業と申しますか、そのような貸金業者一般に対する金融機関の融資につきましても、その資金が投機的土地取引等に利用されることのないよう、資金使途について十分な審査を行うよう指導すべく、通達を発出したところであります。  さらに、それにあわせていろいろ、特別ヒアリングの実施ないしはノンバンク融資の実態把握を目的とした事務連絡、それからヒアリング、金融検査の活用、さらにそのノンバンクの不動産融資の適正化に関する自主的措置について当局から要請をするなど、一連の措置を講じておるところでございますので、このような措置が、今般の国土庁の講じた措置及び総合土地対策要綱に掲げられている種々の施策の実施などとあわせまして、地価抑制に効果が出てくるものと期待しておるところでございます。
  281. 矢島恒夫

    矢島委員 時間になりましたので、この地価高騰を抑えていくというためには、このような一片の自粛通達ではなくて、金融機関、銀行各社の土地融資の実態を具体的に公表して、そして社会的批判にさらしていく。同時に、この悪質融資の回収だとかあるいは土地購入資金に対する担保評価の凍結あるいは引き下げ、こういうような実効ある処置をとるべきだと思う。このことを意見として申し上げて、質問を終わります。
  282. 中村靖

    中村委員長 これにて各件の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  283. 中村靖

    中村委員長 昭和六十二年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外二件の承諾を求めるの件、及び昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)外二件の承諾を求めるの件について、一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。魚住汎英君。
  284. 魚住汎英

    ○魚住委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和六十二年度一般会計予備費使用調書及び各省各庁使用調書(その2)外二件並びに昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省各庁使用調書(その1)外二件の承諾を求めるの件について、承諾を与えることに賛成の意を表明するものであります。  予備費は、憲法で規定されているように、予見しがたい予算の不足に充てるために内閣の責任において支出されるものであり、その使用について国会の事後承諾を求めるため提出されたものであります。  昭和六十二年度の予備費等について見ると、一般会計予備費(その2)は、国民健康保険の被保険者の増加等に伴い、療養給付費等負担金等の不足を補うために必要な経費、老人医療費の増加に伴い、老人医療給付費負担金の不足を補うために必要な経費昭和六十二年十二月に発生した千葉県東方沖の地震によって災害を受けた施設の復旧事業等に必要な経費等の十六件について使用決定されたもので、その使用総額は三百六十四億六千万円余であります。  また、特別会計予備費は、郵便貯金特別会計において郵便貯金の増加等に伴い、支払い利子の不足を補うために必要な経費に使用決定されたもので、その使用総額は百二十五億円であります。  また、特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額(その2)は、交付税及び譲与税配付金特別会計において地方譲与税譲与金に必要な経費の増額等二特別会計の三件について経費の増額を決定されたもので、その総額は四百七十五億四千六百万円余であります。  次に、昭和六十三年度の予備費等について見ると、一般会計予備費(その1)は、昭和六十三年に発生した豪雨等によって災害を受けた施設等の復旧事業等に必要な経費等の二十件について使用決定されたもので、その使用総額は六百十九億三千八百万円余であります。  また、特別会計予備費(その1)は、農業共済再保険特別会計において保険事故の増加に伴い、再保険金の予算の不足を補うために必要な経費等三特別会計の三件について使用決定されたもので、その使用総額は三億九千九百万円余であります。  また、特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額(その1)は、治水特別会計において河川事業及び砂防事業の調整に必要な経費の増額等五特別会計の九件について経費の増額を決定したもので、その経費増額総額は百二十五億六千四百万円余であります。  これらの予備費等は、以上述べましたように、災害復旧事業に必要な経費国民健康保険の療養給付費等の不足を補うために必要な経費、参議院議員の補欠選挙に必要な経費郵便貯金の増加等に伴い、支払い利子の不足を補うために必要な経費等であり、憲法の規定に基づく予見しがたい予算の不足に充てるために支出されたものであり、昭和六十二年度(その2)及び昭和六十三年度(その1)の予備費等の各件について承諾を与えることに賛成するものであります。  なお、政府は、今後とも予備費の支出に際しては、憲法の規定に基づいて、厳正に行うことを要請して、賛成討論を終わります。(拍手)
  285. 中村靖

    中村委員長 次に、渡部行雄君。
  286. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表しまして、ただいま議題となりました予備費等の各件について、反対の討論をいたします。  予備費の支出については、真にやむを得ない場合に限るとともに、項目の設定等についても厳格な検討が必要であります。予備費のうち、災害対策等やむを得ない経費もありますが、多くの項目に、予見し得るもの、かつ、当初予算に計上可能と考えられるものが見られ、国会審議権を結果的に無視するおそれがあることは極めて遺憾であります。  さて、不承諾とした主なものは、例年決まって見られることだが、総理の外遊に伴う多額の支出であります。国際化時代の今日、ましてや経済大国と言われる我が国の総理とあっては、外国訪問は不可欠であり、至って当然であります。在任期間わずか二カ月余という超短期の宇野総理でさえ外遊だけは行なっているのでありますから、関係省庁は、総理の海外出張旅費等を当初予算に計上し、事前に国会審議にゆだねることが妥当であると思うのであります。  さらに理解に苦しむ点は、竹下総理のソウル・オリンピック大会出席に関する多額の出費であります。どなたも御承知のように、オリンピックの開催日や開催都市は、六ないし八年前にIOCで確定しており、したがって、ソウルの隣国である我が国の総理が万難を排しても出席することは世界の常識だろうと思うのであります。なぜに予算計上を怠ったのか、これまた極めて残念であります。  また、農業者年金の給付補助金についても、農水省は、あれほど減反と生産者米価の抑制で農民をいじめれば、農業経営者委譲に伴う年金給付金が激増するのは当然予想されることでありまして、やはり予算の合理的計上を図るべきであったと思います。  改めて申し上げますが、予備費の計上は、憲法八十七条に基づいて、予見しがたい予算の不足に充てるために設けるものであります。しかし、その趣旨に合わない支出が毎年指摘されているにもかかわらず、いまだに改善が見られません。  以上をもって反対の討論を終わります。(拍手)
  287. 中村靖

    中村委員長 次に、草川昭三君。
  288. 草川昭三

    ○草川委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和六十二年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外二件、昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)外二件の承諾を求めるの件について、不承諾の意思を表明するものであります。  我が党は、これまでも予備費使用については、憲法第八十三条に定められた財政の国会議決主義の原則に基づき、予備費使用の基本原則を主張してきました。予備費の使用は憲法第八十七条および財政法にも明記されているように「予見し難い予算の不足に充てるため」に限定すべきことは言うまでもありません。  しかし、我が党のたび重なる指摘にもかかわらず、予備費使用において反省が見出せないことは極めて残念であります。例えば、一般会計における予備費歳出予算は、昭和五十五年度より毎年三千五百億円が計上されていますが、昭和五十六年度以降、毎年補正予算の際に半分近くが減額され、その分が補正予算の原資として計上される予算編成技術になっています。  また、大韓民国ソウル市等において開催された第二十四回オリンピック競技大会に関連して、日本国内における警備活動等に必要な経費支出がなされております。その内訳を見ると、日本国内における特別警備体制を実施するため、警備活動に要する経費の不足を補うことを目的とした、九億七千五百七十七万円の車両購入費があります。これはソウル・オリンピック警備に藉口した日常経費の不足を補うものにすぎないものと言えます。当然、かかる必要車両ならば一般会計に計上すべきものと言えます。それを予備費流用に回すことは許されません。  強く政府に反省を求め、不承諸の意を表明し、討論といたします。(拍手)
  289. 中村靖

    中村委員長 次に、大矢卓史君。
  290. 大矢卓史

    ○大矢委員 私は、民社党・民主連合を代表して、ただいま議題となりました昭和六十二年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書外二件、及び昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書外二件の承諾を求めるの件について、賛成の討論を行うものであります。  昭和六十二年度一般会計予備費の支出でありますが、昭和六十二年十二月に発生した千葉県東方沖地震に伴う災害復旧事業にかかわる経費、老人医療給付費、国民健康保険給付費、農業者経営移譲年金給付費の各負担金等の予算の補てんにかかわる経費など、決算の使用目的に照らし、いずれも適当であると判断をいたすものであります。  また、昭和六十二年度特別会計予備費及び予算総則第十三条に基づく経費につきましても、経済情勢の変化に伴う税収の増加等に対応するための措置であり、適正であると認められます。  昭和六十三年度一般会計予備費についても、災害復旧関連、参議院議員の補欠選挙関連、総理の外国訪問関連の諸経費が主なものであり、いずれの支出も妥当であると判断をいたします。ただし、総理の外国訪問に関連する経費につきましては、予見し得る限り当初予算に計上するよう政府に対し要望するものであります。  昭和六十三年度特別会計予備費及び予算総則第十三条に基づく経費につきましても、いずれも妥当であると判断するものであります。  最後に、予備費による財源補てん措置に見るまでもなく、急速な高齢化社会の進行に伴い、国民医療費も今後ますます急速に増大していくことが予想されます。国民の健康づくり運動の推進や国民健康保険の保険料収納率の向上など医療保険財政の健全化に向け、なお一層の努力を傾注されることを政府に要望し、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  291. 中村靖

    中村委員長 次に、矢島恒夫君。
  292. 矢島恒夫

    矢島委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、ただいま議題となりました予備費承諾案件のうち、昭和六十二年度一般会計予備費使用調書(その2)、昭和六十三年度一般会計予備費使用調書(その1)及び同特別会計予備費使用調書(その1)の三件について、不承諾の意を表明いたします。  これらの予備費使用の主なものは、退職手当、災害経費、老人医療給付費、療養給付費、選挙経費等々であり、その使用目的、予備費使用の理由は、おおむね妥当なものであり、承諾できるものが多数あります。  しかしながら、本予備費のうちには我が党が認めることができないものが含まれています。例えば総理大臣の一連の外国訪問、主要国首脳会議出席等々についてであります。  八八年一月の日米首脳会談で、総理は、「世界に貢献する日本」の名のもとに、当時のレーガン米大統領が満足を表明するほどの軍事分担と軍拡努力を誓約、また、懸案になっていた農産物輸入自由化などについてアメリカの要求を次々と受け入れる態度を示したのであります。  さらに、同年六月のトロント・サミットでは、軍事・政治偏重から経済中心のサミットに変えるというふれ込みで行われたにもかかわらず、西側軍事ブロックの新たな結束強化を図る場となったのであります。  警察警備の整備費について言えば、常駐警備車、小型警備車等々の購入も含まれており、いずれも警察力の増強につながるものであります。  このような不当な予備費使用を含むこれらの調書承諾することに、我が党は反対であります。  昭和六十二年度特別会計予備費使用調書外二件については、郵便貯金支払い利子等々の義務経費であり、使用目的、予備費使用等の理由に特に問題ないと認められるので、承諾いたします。  以上で討論を終わります。
  293. 中村靖

    中村委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  294. 中村靖

    中村委員長 これより採決に入ります。  まず、昭和六十二年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)について採決いたします。  本件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  295. 中村靖

    中村委員長 起立多数。よって、本件は承諾を与えるべきものと決しました。  次に、昭和六十二年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書昭和六十二年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)、以上、両件について採決いたします。  両件はそれぞれ承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  296. 中村靖

    中村委員長 起立多数。よって、両件は承諾を与えるべきものと決しました。  次に、昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)、昭和六十三年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)、以上、両件について採決いたします。  両件はそれぞれ承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  297. 中村靖

    中村委員長 起立多数。よって、両件は承諾を与えるべきものと決しました。  次に、昭和六十三年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その1)について採決いたします。  本件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  298. 中村靖

    中村委員長 起立多数。よって、本件は承諾を与えるべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました各件についての委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  299. 中村靖

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  300. 中村靖

    中村委員長 次回は、来る二十二日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十八分散会