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1989-11-02 第116回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月二日(木曜日)     午前九時五十分開議  出席委員    委員長 中村  靖君    理事 魚住 汎英君 理事 尾身 幸次君    理事 岡島 正之君 理事 杉山 憲夫君    理事 谷津 義男君 理事 渡部 行雄君    理事 草川 昭三君 理事 大矢 卓史君       上田  哲君    小川 国彦君       古川 雅司君    野間 友一君       東中 光雄君  出席国務大臣         建 設 大 臣 原田昇左右君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 森山 眞弓君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 石井  一君  出席政府委員         内閣官房内閣安         全保障室長   依田 智治君         内閣法制局長官 工藤 敦夫君         内閣総理大臣官         房会計課長   内藤  勲君         公正取引委員会         事務局経済部長 柴田 章平君         公正取引委員会         事務局取引部長 土原 陽美君         公正取引委員会         事務局審査部長 植木 邦之君         宮内庁次長   宮尾  盤君         皇室経済主管  永岡 祿朗君         科学技術庁長官         官房審議官   石田 寛人君         国土庁長官官房         長       北村廣太郎君         国土庁土地局長 藤原 良一君         国土庁大都市圏         整備局長    三木 克彦君         国土庁地方振興         局長      野沢 達夫君         国土庁防災局長 市川 一朗君         外務省経済局次         長       内田 勝久君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省都市局長 真嶋 一男君         建設省河川局長 近藤  徹君         建設省道路局長 三谷  浩君         建設省住宅局長 伊藤 茂史君  委員外出席者         国土庁長官官房         会計課長    安田 武臣君         大蔵省主計局司         計課長     設楽 岩久君         大蔵省銀行局銀         行課長     小山 嘉昭君         通商産業省産業         政策局取引信用         室長      梅村 美明君         運輸省航空局飛         行場部関西国際         空港課長    相原  力君         会計検査院事務         総局第一局長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局第三局長  川崎 恒夫君         住宅金融公庫総         裁       河野 正三君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     廣瀬 好宏君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     中道 文基君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事長)  淺井新一郎君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事)   松原 青美君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事)   星  忠行君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  溝畑 直利君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  杉本 康人君         決算委員会調査         室長      竹尾  勉君     ───────────── 委員の異動 十一月二日  辞任         補欠選任   野間 友一君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     野間 友一君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和六十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和六十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和六十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和六十一年度政府関係機関決算書  昭和六十一年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和六十一年度国有財産無償貸付状況計算書  〔内閣所管総理府所管総理本府等、国土庁)、建設省所管住宅金融公庫〕      ────◇─────
  2. 中村靖

    中村委員長 これより会議を開きます。  昭和六十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、内閣所管総理府所管総理本府等、国土庁建設省所管及び住宅金融公庫について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本道路公団理事廣瀬好宏君、理事中道文基君、首都高速道路公団理事長浅井新一郎君、理事松原青美君、理事星忠行君、住宅都市整備公団理事溝畑直利君、理事杉本康人君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村靖

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 中村靖

    中村委員長 次に、内閣官房長官国土庁長官及び建設大臣概要説明会計検査院検査概要説明、続いて、住宅金融公庫当局概要説明会計検査院検査概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中村靖

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────    昭和六十一年度内閣所管一般会計歳入歳出決算概要説明  昭和六十一年度における内閣所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  内閣主管歳入につきまして、歳入予算額は一千七百六十四万円余でありまして、これを収納済歳入額六千三百六十三万円余に比較いたしますと、四千五百九十八万円余の増加となっておりま す。  次に、内閣所管歳出につきまして、歳出予算現額は百十七億五千六百九十四万円余でありまして、これを支出済歳出額百十三億八千三百万円余に比較いたしますと、三億七千三百九十四万円余の差額を生じますが、これは人件費等を要することが少なかったため、不用となったものであります。  以上をもちまして、決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和六十一年度決算内閣についての検査概要に関する主管局長説明                  会計検査院  昭和六十一年度内閣決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────    昭和六十一年度総理府所管一般会計歳入歳出決算概要説明  昭和六十一年度における総理府所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  総理府主管歳入につきまして、歳入予算額は三百十一億七千五百六十一万円余でありまして、これを収納済歳入額三百四十七億六千五百万円余に比較いたしますと、三十五億八千九百三十八万円余の増加となっております。  次に、総理府所管歳出につきまして、歳出予算現額は六兆五千五百九億六千九百十八万円余でありまして、支出済歳出額は六兆四千三百億八千九百七十六万円余であります。  この支出済歳出額歳出予算現額に比較いたしますと、一千二百八億七千九百四十一万円余の差額を生じます。  この差額のうち翌年度繰越額は九百四十一億五千百七十一万円余であり、不用額は二百六十七億二千七百七十万円余であります。  総理府所管歳出決算のうち、警察庁、総務庁、北海道開発庁、防衛庁、経済企画庁、科学技術庁、環境庁、沖縄開発庁及び国土庁については、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち、総理府本府、公正取引委員会公害等調整委員会及び宮内庁関係について申し上げますと、歳出予算現額は三百十七億二千五百三十六万円余でありまして、これを支出済歳出額三百十五億五千三百五十一万円余に比較いたしますと、一億七千百八十四万円余の差額を生じますが、これは人件費等を要することが少なかったため、不用となったものであります。  以上をもちまして、決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和六十一年度決算総理本府等についての検査概要に関する主管局長説明                  会計検査院  昭和六十一年度総理府決算のうち、歳入並びに総理本府、公正取引委員会公害等調整委員会及び宮内庁関係歳出につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────    昭和六十一年度歳出決算に関する概要説明                    国土庁  国土庁昭和六十一年度歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和六十一年度の当初歳出予算額は二千三百三十八億三千七百四十五万円余でありましたが、これに予算補正追加額五十七億五十六万円余、予算補正修正減少額四億千八十万円余、予算移替減少額千百六十八億千九百八万円余、前年度繰越額九億七千八百八十九万円余を増減いたしますと、昭和六十一年度歳出予算現額は千二百三十二億八千七百二万円余となります。この歳出予算現額に対し、支出済歳出額千二百十七億三千八百九十六万円余、翌年度繰越額十一億八百三十二万円余、不用額四億三千九百七十三万円余となっております。  次に、支出済歳出額のおもなものは、離島振興事業費三百八十九億千六百十万円余、水資源開発事業費二百六十六億千六百八十五万円余、揮発油税等財源離島道路整備事業費二百二十一億四千三百万円、国土庁百三十六億九千九百九十七万円余、国土調査費八十四億六千九百三十六万円余、国土総合開発事業調整費五十八億二千二十四万円余、航空機燃料税財源離島空港整備事業費十九億八千四百万円、小笠原諸島振興事業費十八億五千九百六十万円余、離島振興特別事業費八億二千三百八十六万円余等であります。  さらに、翌年度へ繰り越したおもなものは、離島振興事業費九億千六百九十八万円余、水資源開発事業費一億千四百七十三万円等であります。  また、不用額のおもなものは、防災集団移転促進事業費補助金一億二千二百十六万円余、地域振興整備公団補給金一億千五百四十七万円余等であります。  以上が昭和六十一年度国土庁歳出決算概要であります。  最後に、昭和六十一年度決算検査報告におきまして指摘を受けた事項がありましたことは誠に遺憾であります。  指摘を受けた事項につきましては、直ちに是正措置を講じておりますが、今後ともなお一層事業実施適正化に努めてまいる所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和六十一年度決算国土庁についての検査概要に関する主管局長説明                  会計検査院  昭和六十一年度国土庁決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、意見を表示し又は処置を要求した事項一件であります。  これは、池籍調査事業実施等に関するものであります。  池籍調査事業は、池籍明確化を図るため地籍図及び地籍簿を作成し、その成果が広く国土開発等に利活用されることを目的として実施されておりまして、国土庁では、毎年度多額国庫補助金事業主体に対して交付しておりますが、補助事業範囲が明確なものとなっていないなどのため、調査測量後において、その成果であります地籍図及び池籍簿が作成されていなかったり、成果は作成したもののその後の所要の手続きを行っていなかったりしているなど、事業実施が適切でなく、また、事業効果があがっていないと認められました。  したがいまして、国土庁におきまして、補助事業範囲を明示するとともに、事業主体に対し地籍調査の趣旨を周知徹底するなどして、地籍調査事業の適正な遂行と事業効果早期発現を図るよう是正改善処置を要求いたしたものであります。  また、土地改良事業及び土地区画整理事業においても地籍調査に類似する測量実施されておりまして、これらの測量成果について池籍調査にも活用できる制度が設けられておりますが、この制度周知徹底が十分でなかったなどのため、所定の手続きを行っていないものが多数見受けられ、その活用が図られていないと認められました。  したがいまして、国土庁におきまして、これら事業成果を活用することについて、広くその周知に努めるとともに、関係省庁に対して一層の協力を要請するなどして地籍明確化の進展を期するよう意見を表示いたしたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     ─────────────    昭和六十一年度建設省所管決算概要説明  建設省所管昭和六十一年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、歳入につきましては、各会計別収納済 歳入額は、一般会計四百三億二千百万円余、道路整備特別会計二兆七千七百八十三億八千八百万円余、治水特別会計治水勘定九千七百三十六億三百万円余、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定二千二百四十五億八千百万円余、都市開発資金融通特別会計六百八十億千九百万円余となっております。  次に、歳出につきましては、各会計別支出済歳出額は、一般会計四兆五千二十五億三千九百万円余、道路整備特別会計二兆七千三百九十九億三千九百万円余、治水特別会計治水勘定九千六百三十七億千八百万円余、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定二千百五十三億四千万円余、都市開発資金融通特別会計六百七十九億九千四百万円余、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち建設省所掌分百三十四億九百万円余となっております。  以下、各事業について御説明申し上げます。  まず、治水事業につきましては、第六次治水事業五箇年計画最終年度として、河川事業では、直轄河川改修事業百二十三河川中小河川改修事業七百六十河川について工事実施し、ダム事業では、直轄五十三ダム補助百三十四ダム建設工事実施いたしました。また、砂防事業では、直轄四百七十七箇所、補助三千六百九十一箇所の工事実施いたしました。  海岸事業では、第四次海岸事業五箇年計画初年度として、直轄十一海岸補助八百七十二箇所の工事実施いたしました。  また、急傾斜地崩壊対策事業は、急傾斜地崩壊対策事業五箇年計画の第四年度として、二千二百六十一地区について補助事業実施いたしました。  災害復旧事業につきましては、直轄及び補助事業についてそれぞれ復旧事業実施いたしました。  次に、道路整備事業につきましては、第九次道路整備五箇年計画の第四年度として、一般道路事業では、一般国道及び地方道改良三千二キロメートル、舗装三千百十九キロメートルを完成させたほか、特定交通安全施設等整備事業維持修繕事業等実施いたしました。  有料道路事業では、日本道路公団首都高速道路公団阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団に対して出資等を行い、また、有料道路事業実施した地方公共団体等に対して資金の貸付けを行いました。  次に、都市計画事業につきまして御説明申し上げます。  公園事業につきましては、第四次都市公園等整備五箇年計画初年度として、国営公園十二箇所、都市公園二千四百四箇所の施設整備等実施いたしました。  下水道事業につきましては、第六次下水道整備五箇年計画初年度として事業実施し、管渠二千七百五十一キロメートル、終末処理場施設二百八万人分を完成いたしました。  市街地再開発事業につきましては、百二十三地区事業実施いたしました。  都市開発資金貸付事業につきましては、六十七箇所の買取りに対し、資金の貸付けを行いました。  次に、住宅対策事業につきましては、第五期住宅建設五箇年計画初年度として、公営住宅四万千八百五十六戸、改良住宅三千二百七十三戸、住宅金融公庫融資住宅五十二万二千六百二十三戸、住宅都市整備公団住宅二万百三十三戸のほか、農地所有者等賃貸住宅等建設を推進いたしました。  最後に、官庁営繕事業につきましては、合同庁舎等三百六十三箇所の工事実施いたしました。  以上が昭和六十一年度における建設省所管決算概要であります。  これら所管事業に係る予算執行当たりましては、常にその厳正な執行を図ることはもちろんのこと、内部監察等を行い万全を期してまいりましたが、昭和六十一年度決算検査報告におきまして指摘を受ける事項がありましたことは、誠に遺憾であります。  指摘を受けた事項につきましては、直ちに是正措置を講じておりますが、今後ともなお一層事業実施適正化に努めてまいる所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。     …………………………………    昭和六十一年度決算建設省についての検査概要に関する主管局長説明                  会計検査院  昭和六十一年度建設省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項九件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項二件であります。  まず、法律政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項について御説明いたします。  検査報告番号九七号から百五号までの九件は、補助事業実施及び経理が不当と認められるもので、工事設計等又は工事費の積算が適切でなかったり、工事施工設計と相違していたりなどしていたものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について御説明いたします。  その一は、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給事業実施に関するものであります。  建設省では、住宅不足の著しい地域において、居住環境が良好で家賃が適正な賃貸住宅の供給を促進するとともに、水田の宅地化に資することを目的として、農地所有者がその農地を転用して行う賃貸住宅建設等に要する資金を融通する融資機関に対し利子補給金を交付しております。この利子補給の対象となる賃貸住宅は、大都市等の市街化区域内において建設される賃貸住宅であることのほか、法令で定める敷地面積住宅戸数等要件を充足する団地住宅の全部又は一部をなすと認められるものであることとされております。  しかしながら、賃貸住宅建設する農地所有者等において、計画の策定に当たって、賃貸住宅に対する需要動向の把握、関係者との合意形成が十分でなかったり、県において、計画に対する審査が十分行われていなかったり、団地建設着手後の指導監督が十分でなかったりしていることなどのため、多数の団地団地建設着手後長期にわたり団地要件を充足しないままとなっており、事業実施改善を図り、利子補給目的の達成を期する要があると認められました。  この点について当局見解をただしましたところ、建設省では、六十二年十一月通達を発して、都道府県において、農地所有者等が適切な計画を策定するよう指導を強化し、農業協同組合等融資機関から意見書を徴するなどして審査を充実するとともに、団地建設着手後の指導を適切に行うよう指導するなどの処置を講じたものであります。  その二は、下水道工事設計における鋼製セグメント材種の選定に関するものであります。  建設省では、下水道整備を推進するため、下水道事業実施する地方公共団体等に毎年度多額国庫補助金を交付しておりますが、このうち、六十一年度シールド工法により施工している下水道工事鋼製セグメント設計当たり、一部の事業主体では、鋼製セグメントに使用する鋼材材種一般SS四一と称している引張り強さ四一kgf/mm2以上の一般構造用圧延鋼材を使用することとして設計施工しておりました。  しかしながら、近年、この種工事においては、一般SM五〇と称している引張り強さ五一kgf/mm2以上の溶接構造用圧延鋼材が広く使用されてきております。これは、SM五〇はSS四一に比べ単位重量当たり鋼材価格はやや高価でありますが、引張り強さが大きいために使用鋼材数量が少なくて済み、セグメントリング一m当たり価格SS四一を使用した場合に比べ安価となるのが通例で経済的であり、施工性等についても特に問題がないことによるものであり、この種工事における鋼製セグメント設計に当たっては、経済性 等を十分考慮する要があると認められました。  この点について当局見解をただしましたところ、建設省では、六十二年十月に各地方公共団体通達を発し、鋼製セグメントを使用する工事設計に当たっては、経済性等を十分考慮したうえでセグメント材種を決定することとする処置を講じたものであります。  なお、以上のほか、昭和六十年度決算検査報告に掲記いたしましたように、公営住宅新築空家等について処置を要求いたしましたが、これに対する建設省処置状況についても掲記いたしました。  以上をもって概要説明を終わります。     ─────────────    昭和六十一年度住宅金融公庫業務概況  住宅金融公庫昭和六十一年度業務計画実績につきまして、御説明申し上げます。  貸付契約予定額は当初、住宅等資金付け三兆九千九百六十五億三千万円、関連公共施設等資金付け五十億円、宅地造成等資金付け一千三百八十四億三千八百万円、財形住宅資金付け一千億円、合計四兆二千三百九十九億六千八百万円でありましたが、その後、資金需要の変動に伴い、貸付契約予定額住宅等資金付け四兆一千三百七十二億一千七百万円、関連公共施設等資金付け九億九千六百万円、宅地造成等資金付け一千二百三億八千七百万円、財形住宅資金付け一千億円、合計四兆三千五百八十六億円に改定いたしたのでございます。  この貸付契約予定額に対しまして貸付契約実績は、住宅等資金付け四兆一千三百五十八億六百八十万円、関連公共施設等資金付け九億九千五百六十万円、宅地造成等資金付け一千二百三億三千七百十万円、財形住宅資金付け九百六十四億七千五十万円、合計四兆三千五百三十六億一千万円となったのでございます。  資金貸付予定額は当初、昭和六十一年度貸付契約に係る分二兆三百七十一億八千五百万円、前年度までの貸付契約に係る分一兆八千四百七十七億九百万円を合わせた計三兆八千八百四十八億九千四百万円でありましたが、その後、前年度決算による改定等により、合計四兆六百五十八億八百三十八万円余に改められたのでございます。  この原資は、資金運用部資金借入金三兆八千四十三億円、簡易生命保険及び郵便年金積立金借入金四百億円、財形住宅債券発行による収入六百八十九億三千五百二十五万円、住宅宅地債券発行による収入二百十五億二千万円のほか、貸付回収金等から一千三百十億五千三百十三万円余をもって、これに充てることとしたのでございます。  この資金貸付予定額に対しまして実績は、前年度までの貸付契約に係る分を含めまして、住宅等資金付け三兆六千七百十九億四千六百八十六万円余、関連公共施設等資金付け十億八千六百五十万円、宅地造成等資金付け一千百二十六億五百八十五万円、財形住宅資金付け七百五億三千四百三万円、合計三兆八千五百六十一億七千三百二十四万円余となったのでございます。この実績は、前年度に比べますと、六千二百七十三億三千六百六十万円余、率にいたしまして、十九・四パーセント増となっております。  また、年度間に回収いたした額は、一兆九千五百十三億四千六百七十九万円余でありまして、前年度に比べますと、五千四百二十八億一千三十三万円余、率にいたしまして、三十八・五パーセント増となったのでございます。この結果、年度末貸付残高は、二十六兆九千八十三億八千八百十六万円余となりまして、前年度末に比較いたしますと、一兆九千六十七億九千七百六万円余の増加となったのでございます。  貸付金の延滞状況につきましては、昭和六十一年度末におきまして、弁済期限を六箇月以上経過した元金延滞額は、二百二十九億五百九十九万円余でありまして、このうち一年以上延滞のものは、百五十八億一千二百九十六万円余でございました。  次に住宅融資保険業務につきましては、昭和六十一年度におきまして金融機関との間に保険関係が成立する保険価額の総額を二千四百億円と予定し、この額の百分の九十に相当する二千百六十億円を保険金額といたしましたが、保険関係が成立いたしたものは、六百九十一億四千二百八十万円余でございました。  収入支出について申し上げますと、収入済額は、収入予算額一兆八千五百四十億五十五万円余に対し、一兆八千百十一億二千三百七十五万円余となりました。支出済額は、支出予算額一兆九千六百九十億三千七百七十九万円に対し、一兆八千七百九十一億八千三百八十七万円余となり、収入より支出が六百八十億六千十二万円余多かったのでございます。  損益計算の結果につきましては、総利益二兆一千六十二億三千七百七十二万円余、総損失二兆七百九十七億二千二百五十三万円余となり、差し引き二百六十五億一千五百十八万円余の利益金を生じましたが、これは住宅資金融通事業に係る利益金二百五十九億円、住宅融資保険特別勘定の利益金六億一千五百十八万円余によるものであります。  このうち、住宅資金融通事業に係る利益金は、住宅金融公庫法附則第十三項の規定により、特別損失を埋めるため一般会計から受け入れた交付金により生じた利益金でありますので、同法附則第十四項の規定により特別損失を減額して整理することとし、住宅融資保険特別勘定の利益金は、同法第二十六条の二第三項の規定により同勘定の積立金として積み立てることとしました。  なお、昭和六十一年度において、同法附則第十一項の規定により特別損失として整理した額は一千八十四億円でございます。  以上をもちまして、昭和六十一年度業務概況の御説明を終わらせていただきます。     …………………………………    昭和六十一年度決算住宅金融公庫についての検査概要に関する主管局長説明                  会計検査院  昭和六十一年度住宅金融公庫決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項一件であります。  これは、公庫貸付けを受けて購入した団地住宅の第三者賃貸等の防止に関するものであります。  住宅金融公庫では、貸付業務の一環として、民間業者が計画的、集団的に建設した分譲住宅を購入する者に対し、団地住宅購入資金の貸付けを行っておりますが、この貸付けは、住宅金融公庫から貸付けを受けなければ住宅の取得ができない者が自ら居住するために住宅を購入する場合に貸し付けることとされております。この貸付けについて調査いたしましたところ、貸付けを受けた者が自ら居住することとして住宅購入資金の貸付けを受けていながら、購入した住宅を第三者に賃貸していたりなどしていて適切とは認められないものが多数見受けられ、速やかに体制を強化し貸付契約の内容を変更するなどして第三者賃貸等の防止に努める要があると認められました。  この点について当局見解をただしましたところ、住宅金融公庫では、不適切な貸付けについてすべて繰上償還の措置を講ずるとともに、六十二年十一月に通ちようを発するなどして、第三者賃貸等の防止を図るための体制を強化し契約内容を変更するなどの処置を講じたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     ─────────────
  6. 中村靖

    中村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田哲君。
  7. 上田哲

    ○上田(哲)委員 官房長官、長官は数日前の十月二十八日に、全国育樹祭式典の折の記者会見におきまして、現在内閣は政治改革、来年度予算の編成、外交日程などで課題が山積しているので、解散のことを考えるゆとりはない、外遊する場合は来年一月の早目の中旬ぐらいという感じだと発言をされて、年内解散を否定された、こういうこと でありますが、その真意はいかがでございますか。
  8. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 解散問題は総理大臣の権限でございまして、私のような者がとやかく申し上げることではないということをまず申しまして、その上で、私としては感じとして、現在の内閣が直面しておりますさまざまな課題を考えますと、その課題の解決、取り組みに懸命に対処していかなければいけない、そのことが非常に重要でございますので、総理とされても解散のことは頭にないとおっしゃっておるから、そのとおりではなかろうか、そういう意味のことを申した次第でございます。
  9. 上田哲

    ○上田(哲)委員 もとより解散権は総理の専権でありますけれども、官房長官のお立場の御発言として、課題と日程とこの二つの面からすれば、物理的に年内解散はないという意思表示として受け取らざるを得ないわけですね。
  10. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 意思表示とおっしゃられますと大変僣越でございます。ひとえにこれは総理のお考え次第でございますので、私としては、そういう感じではないかというような感想めいたことを申し上げた次第でございます。
  11. 上田哲

    ○上田(哲)委員 つまり、官房長官の解釈としては、年内解散はないということになるわけですか。
  12. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 解釈とおっしゃいますよりは、感触と言った方がやや近いかと存じます。
  13. 上田哲

    ○上田(哲)委員 内閣の大番頭が感触を述べられたということは、これは非常に政治的な重みは十二分でありまして、私たちは一日も早い解散を望んでおるわけでありますが、御見解を確認をしたところであります。  もう一つ、本日の報道によりますと、文部省が新指導要領で日の丸、君が代の徹底を期するという方向を打ち出しておるわけですが、当局の調査によりますと、小中高校の入学式の三割から四割が君が代を歌っていないというデータが出たそうであります。私どもは、こうした強制には大変懸念を持っているものでありますけれども、この数字をどのようにお考えでありますか。
  14. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 私も、けさ新聞をちょっと見てまいっただけで詳しいことはよくわかっておりませんが、新聞の表題から受ける感じといたしましては、三割、四割というのはちょっと少ないのではないかなという感じが私はいたしました。
  15. 上田哲

    ○上田(哲)委員 少ないということは、一つの解釈は、文部省は来年には一〇〇%になるだろうという見通しを述べているんですが、少ないという感触の一つは、それでは一〇〇%にいかないだろう、あるいはもう一つの感触は、ならば強制すべきではない、どちらでしょうか。あるいは全部でしょうか。
  16. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 この件について私は文部省と全然お話をしたこともございませんし、文部省の方針を確かめたわけでもございませんので、ここで政府としての考えを申し上げるのは差し控えた方がよろしいかと存じます。
  17. 上田哲

    ○上田(哲)委員 内閣の責任者であられますから、感触でも結構なんですが、大変少ないと言われた、少ないというのは、やはり無理だということになりますか。
  18. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 少ないような気がするというのは私個人の感じでございまして、文部省としてこれについてどういうふうに考えているのか、具体的にどういう方向でどういう方法で進んでいくのかということを聞いておりませんので、私としては、ちょっと責任あるお答えを申し上げかねる次第でございます。
  19. 上田哲

    ○上田(哲)委員 じゃ次に、昨日、政府の土地対策関係閣僚会議が行われました。政府としてはこの土地問題、特に大都市東京から全国に広がりつつある土地の価格の暴騰、高騰という問題に対する施策、そういう意味での土地問題は海部内閣の最重要課題だと御認識でありますか。
  20. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 最重要課題の一つと考えております。
  21. 上田哲

    ○上田(哲)委員 国土庁長官、政府としても最重要課題であるというふうに言われて、積極的に取り組んでおられると理解をしますが、素朴に一つ伺いたい。  私の知り合いに高瀬幸男さんという建築業者の方がおられまして、これが最近飛び込んできて、大変困る、最近の土地の値上がりの中で困る大きな一つが地価公示ですね、実勢と非常にかけ離れている、土地の売買その他について非常に意味を持たない、これは何とかならぬのかという声がぶつけられています。  素朴にお伺いするわけですが、私は国土庁による地価公示が実勢に災いされないというか、引っ張られないという建前をとっておられることもよくわかっています。そういう意味では、そういう認識を持っているということにおいての上ですが、しかし一般取引に資するためという目標もしっかり掲げられているという建前からすると、この辺のところはやはり非常にこの制度の実情との乖離という問題があると思うんですね。そういう上で素朴に伺うのでありますが、そうした町の声に対して国土庁長官、どういうふうに説明をされますか。
  22. 石井一

    ○石井国務大臣 我が国の土地の公示、また制度というものが、沿革的な歴史的な背景もありましてかなりばらばらになっておるということも認識いたしております。各国の情勢等も検討いたしまして、この点は我が国固有の制度だな、これはいずれ何らかの形でもう少し均衡化、平準化ということを図らなければ、国民からの信頼あるいはまた公的土地価格に対する評価ということが非常に混乱を来す問題になるのではないかというふうなことを私、個人的に考えます。しかし、早急にすべてを統一するということもなかなか難しい問題を含んでおるということもこれまた事実でしょう。  そこで委員指摘のところでございますが、地価公示というのは比較的実勢に近いものでございます。例えば相続税評価が七割とか五割であったり、固定資産税評価が二割とか三割とかというふうなところを低迷しているというふうにも言われる中にあって、公示価格を見ますと、我々も新聞で非常に大きな表が出ましたらそれを見るのですが、おおむね当たっておる。ただ、最近は土地の先買いでありますとか土地転がしというふうなこともございまして、公示価格に比べて異常なものが出る場合がございます。  そういたしますと、やはり国土庁といたしましては、その異常なものを書くわけには、提示するわけにはいかない。過去の流れと今後の趨勢を考えながら、この辺のところが一番常識的な線ではなかろうか、そういう考え方からこの土地公示をしておるわけでございまして、ただいま委員のおっしゃられましたお知り合いの方は、非常に異常なところを体験され、またその御苦労談をお話しになったのじゃないかなと思いますが、国土庁としましては、我が国の土地公示の中では最も信頼できるものだ、そのように認識いたしておる次第でございます。
  23. 上田哲

    ○上田(哲)委員 最もというのは、そのほかの路線価とか自治省の固定資産税評価額に比べるとという意味ですか。
  24. 石井一

    ○石井国務大臣 いや、まず基本的にはそういう認識にもございますが、質問に率直にお答えする意味におきましては、地価公示というのは国土庁としては最も実勢に近い価格であるという認識、またその価格によって取引が正常に行われてほしいというふうな気持ちも込めた価格でありまして、多少違っているところもございますけれども、おおむね実勢に近いものだ、そのように評価し認識いたしております。
  25. 上田哲

    ○上田(哲)委員 素朴に聞くのですがね、その地価公示は、評価額は、実勢に合った方がいいんですか、合わない方がいいんですか。
  26. 藤原良一

    ○藤原政府委員 ただいま長官から御答弁したところでございますが、やや補足させていただきますと、先生御承知のとおり、地価公示価格は、いわゆる買い進みとかあるいは売り急ぎ等の事情のない、自由な取引において通常成立すると認められます価格を示しておるわけでございます。したがって、その判定におきましては、現実の市場におきます取引事例や賃貸事例をできるだけ豊富に 収集しまして、その中から、買い進み等の特殊な要素を含みました事例は排除し、適切な事例だけを選択しまして公示価格を判定しておるところでございます。  ただ、実際の取引等において成立する価格の中には、買い進み等の取引当事者の特殊な事情に左右される場合や、あるいは投機的な取引により高値が発生している場合もございますので、このような事例と比較しますと公示価格が乖離しておるという面があろうかと思います。また、不動産業者の店頭表示価格につきましても、売り希望価格としての性格が非常に強うございますから、こういう価格とも地価公示価格が乖離するという事情がございますが、そういう特殊事情を除いた取引価格と比較しますと、地価公示価格は妥当なところに定められているんじゃないか、そういうふうに理解しております。
  27. 上田哲

    ○上田(哲)委員 つまり、地価高騰の時期にはこの公示価格というのは実勢に合わないのですよ。合わないということは当局からすれば困ったことではなくて、その方がいいんでしょう。つまり制度からいいますと、地価の高騰期には、今もおっしゃったようなどんどん上がっていく価格に対しては引きずられてはならないということを目途としているわけですね。だから、合った方がいいのか合わない方がいいのかという非常に大ざっぱな言い方だが、局長そうでしょう。——うなずいているとおり。  つまり、どんどん土地の値段が上がっていくときはこの公示価格は合ってはならないと考えてつくっているわけですよ。だからそれが逆になっちゃ困るわけですね、まさにそうなんだから。ということは、いいか悪いかはちょっと別にすると、土地の値段が上がるときにはこの公示価格は役に立たないことが望ましいということに言葉としてはなってくるわけですよ。これは実勢と合わないのです。安定しているときにはさっきおっしゃったように非常に近いわけだ。局長うなずいているから答弁は要りませんが、そういう制度なんですよ。  そうすると、これだけでいいのかなという問題は当然残りますね。そういうことで言いますと、これは今ここで直ちに答えを出せとは言いません、これは研究課題です。どっちがいいかも議論はあるところですよ。だからそれはちょっとおいておきましょう。少なくとも、各省庁から三通り、この公示価格も中央と地方とを合わせりゃ全部で四通りになってくる、一年間に四回もいろいろな数字が一つの土地について出てくるということでいいのかというのが土地価格行政としては問題になるのじゃないか。  例えば路線価はこの地価公示の七割をめどにしているわけですね。あるいは固定資産税の方は初めから四分の一をめどにしてやっているのです。だから必要じゃないかというのは数学的におかしいのであって、それだったら初めから四分の一であり、七割であるというふうにすればいいんだから一本にして問題は起きない。なるべく世の中の流れにテンポを合わしたいとおっしゃったって、一年に三回出すのがテンポに合うということはないんだから、三百六十五日、十二カ月ということで言えばそんなに適切だとはこの時代言えないわけです。そうだったら、三回も一回も大きな違いがなければ、そういうものを統一して一つの形にしたらどうか。  そう言ったら議論が変なふうになってしまうかもしれないが、お役所の縄張りで三つも出ているということは、税金のむだ遣いとは言わないけれども、効率的でないということになるのではないか。だから、実勢に合わなくても土地の価格はこういうあたりであるべきだよという指標を出すというなら今の公示価格の考え方と近いわけですから、実際の商取引には合致しないかもしれないけれども、それはそれとして、実勢はこうなっているよというようなことを出すとか、これは全く乱暴な言い方をしていますよ、何かそういう立て方をしていかないと、これはお役所のつくった、実際に土地が動いているときには役に立たない数字の羅列にすぎないということになってしまうと思うのです。その辺、長官いかがですか。
  28. 石井一

    ○石井国務大臣 まず公示価格の問題でございますが、繰り返すようでございますけれども、できるだけ実勢に近いものにしたいという願望を込めております。しかし、最近のように土地の高騰が次々に続く場合に、実勢に近いものにするからそれを上げるということは、いかにも高い価格を政府が追認するというふうなことにもなりますし、政府としましてはできるだけもとの、下落するというふうな方向を期待し希望しているわけでございますので、そういうふうなところからそこのところの価格が出てくる、この御指摘も私は理解できるような気持ちがいたします。  それから、何種類かの価格が、しかも年間時を置いて出てくるという問題。固定資産税というものの意味、それは、土地が増加しないにもかかわらず常に常に国民に対して一つの税の責務を課しておるというようなそういうふうなもの、相続税というように何十年に一回しか出てこないというふうなもの等々、またしかも、その査定をいたします主管の者が大蔵省でありましたり自治省でありましたり国土庁でありましたり、いろいろ理由があるわけですが、しかし、上田委員指摘の面もまた、それならそういうふうなやり方にすればいいのだというのもわかるわけでありまして、私もこの任命を受けましてからこの問題はかなり役所の中で議論をいたしました。簡単にできないのかという、まさに委員の言われた同じような立場で反論もしたわけでございますが、なかなか制度というものは一たん定着いたしますと変えがたい一つの味もあるのでしょう。その点、私からここに書いてありますものを読み上げるよりも、政府委員の方からひとつじっくりとその点について説明を聞いていただいた方がいいと思うのです。
  29. 上田哲

    ○上田(哲)委員 いや、非常に前向きな御発言があったので、頑張っていただければいいと思います。一遍にいくとは思いません。  そこで、官房長官、今国土庁長官からもこれだけ非常に前向きに御発言があったので、あしたすぐできるなんということは言いませんから、やはりその方向に、私は全部実勢に合わせると言っているのではないのですから、さっき言いましたような考え、繰り返しませんけれども、少なくとも、この三つあるような土地評価というものが政府のいろいろな部局から出てくるというものをもう少し整理していくという方向について、政府としてもひとつ御見解を承れればと思います。
  30. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 国土庁長官が大変懸命に努力をしておられることでございまして、私どもも御協力申し上げて進めていきたいと考えます。
  31. 上田哲

    ○上田(哲)委員 結構です。これはぜひひとつ、何かそういう問題を整理するということで頑張っていただきたいというふうに思います。  そこで、現在ただいまの土地の高騰が、東京を中心だったのがずっといろいろ広がってきたというような問題が憂慮されているわけで、その根底に、国土庁としては六十年七月から四回にわたって大蔵省にいろいろと要請をした、それからまた、六十二年十月に、例の緊急土地対策要綱の時期に合わせたいろいろの申し入れをして、大蔵省からの通達もまた出ているということ、さらに、十月二十七日のノンバンクに対する処置等々、懸命にやっておられることはわかります。  きのうの閣僚会議で、まあ一口で縮めて言うと、国土庁長官は、需要と供給の問題なんだから供給をふやさなければだめなんだと。狭隘な国土の中で、供給という言葉はぴんとこないのですけれども、例の市街化区域の農地の宅地並み課税ということになるのだとすると、これは今までずっと言われたこと以上のことでもないし、実際、全体の国土面積の中で、あるいは都市周辺の土地の広さという問題から考えると、それがそれほど抜本的なことなのかどうか。いいか悪いかの議論をしているのではありません、効果の問題としてどのように新たな認識をお持ちなのかということをひとつ承りたい。
  32. 石井一

    ○石井国務大臣 今いろいろな問題の御指摘があっ たのでありますが、まず第一点目は土地関連融資に関する問題でございます。  これは私は大変重視いたしまして、就任以来、大変強く、厳しく大蔵当局に要請もいたしてまいりましたし、私が思いました以上に、そういう言い方はどうかと思いますが、大蔵省は、細かく計画を見たりヒアリングを繰り返したり、できる範囲のことをやっておるというふうに思っておりますが、この間、いろいろの経済全体の中に大きな金余り現象があり、単なる金融政策だけで解決できない基本的な問題もあったのではないかというふうに認識いたしております。その中身につきましては、ひとつ大蔵省から政府委員が来ておりますのでお聞き取りいただければと思うわけでございます。  それから、昨日の関係閣僚会議でございますが、実は大方一年近く開催をしておらなかった。しかしながら、以前からあります会議で、昨日のが第九回目ということに相なるわけでございますが、実は、昨年六月に前内閣におきまして土地対策に対します一つの要綱を発表いたしまして、これはかなり各論にわたった、非常に中身のしっかりした土地に対する施策だと私は思います。これは総合土地対策要綱と言っておりますけれども、しかし、これを一々点検をしてみますと、行政が余りにも複雑に広がっておる、そういう中から、比較的早くできるものと、これはかなりの中期的な計画を考えなければいけないものと、あるいはこれはちょっと問題にならぬぞという性格のものがございます。また、各省の取り組みも非常にばらばらでありまして、やはりそれなりのセクショナリズムと申しますか、理由もあるように思えるわけでございます。  したがって、私といたしましては、昨日、もう一度この総合土地対策要綱というものを各大臣がしっかりと見直していただきたいということ、そうしてその中から問題を整理して、まず短期に処理のできる問題は速やかにひとつ取り上げていただきたい、こういう要請を基本的に行ったわけでございます。  時あたかも、土地の高騰がこのような状態になり、まさにもう国内問題だけでなく国際問題にまでなっております。日米構造協議におきましても問題の指摘がされ、さらに、国内のこの資産格差というものがどれだけ深刻な問題になってきておるかということ、私は、そういうようなことを考えましたときには、少なくとも海部内閣が新しい内閣としてこれに挑戦するというのなら、ひとつそれなりの意識を持って進んでいただきたい、そういうことを基本的に申したわけでございまして、閣僚全員もそれを了承してくれたと考えております。  なお、具体的な問題といたしまして、何も土地の供給だけがすべてを解決するものだとは思いません。しかしながら、もう土地がそこまで手の届かない状況に行っておる場合には、やはり供給をふやして、そういうところから価格を安定するという方向も一つの基本になる政策でありましょう、監視区域でありますとかあるいは金融というようなものだけでなく、もう少し土地の供給をふやすと同時に、土地税制というふうなものに基本的なメスを入れましてやっていく。  それからもう一つ、やはりこれは難しいことかもわかりませんけれども、資産の格差というものを縮めるためには、持っている人と持っていない人に、その取得の過程において一つの格差をつけることができないだろうか。一番悪いのは土地転がしということでありまして、要するに、利用も使用もされないのに土地の値段だけが先へ走っていくということでありますけれども、そうでなく、同じ国民が利用するにしましても、資産の格差を少しでも縮めるような方向というものがあり得ないだろうか。  そういういろいろなことを考えました中に、やはり土地供給というものに対してはしっかりと取り組むべきである。これまで野党の皆様方からも、また識者からも指摘されております問題として、大都市圏の中におきます高度利用、地下利用、それから未利用地、遊休地、工場の跡地、倉庫の跡地等々、安い固定資産税のためにそのまま何の使用にも供されずに存在するというふうなものもございますし、それから、大都市圏内の中にあります農地というふうなものに対しましてもいろいろの批判もございます。長い猶予期間も与えてまいったわけでありますから、こういうものを中心に、一つの結論をできれば年内に出したい、こういうようなことを決めたわけでございます。
  33. 上田哲

    ○上田(哲)委員 意欲満々で年内に出したいというのを大変大事に聞いておきます。  今格差の問題がありましたね。個人の問題をはるかに超えて企業の立場で言えば、例えば企業が保有する土地、株式も含みますけれども、土地と株式の含み資産が、昨年末で土地が三百四十二兆円、株式が百七十兆円というのですね。土地のウエートというのは非常に高い。しかも、全国銀行の不動産業向け貸し出し残高が八九年六月末四十三兆なんという数字が出てくると、これはもうほっておくわけにいかないという点については、これは大蔵省が大変よくやっているというお話ですから、私はきょうヒアリングの中身の問題も聞きたいと思ったのですが、きょうは時間の都合で後へ譲ります。一言でいいのですが、イエスかノーかぐらいでいいのですが、大蔵省からそういうヒアリングはしっかり聞いていますか、要するに成果は上がっていると思いますか。一言でいいです。
  34. 石井一

    ○石井国務大臣 率直に申しまして、過剰融資に関しますことにつきましては詳しく聞いておりますが、法人の中身につきまして、十分やっておると思いますけれども、そこまで私は細かく聞いておりません。ただ、問題意識としては私持っておりまして、法人の場合は相続も何もございません。そういう中から、土地の本当の高度利用というものが行われておる場合には法人は個人に比べてはるかに優遇措置がとられているのではないか、そういう問題意識を持っております。
  35. 上田哲

    ○上田(哲)委員 先ほどの問題にもう一遍戻りますけれども、政府が出している幾つかの土地評価に対する指標、これが非常に歴史といいましょうか、長い経過をたどっていることは事実でありますけれども、やはり実勢に合わないということだけではなくて有名無実の部分もある、あるいは混乱を招いているところもある。しかし、長いしがらみでなかなか手がつけられなかったという問題。一本にしたらどうかということが実は政府部内にはないのですね。それが、きょう国土庁長官から非常に前向きの意見が出た。すぐあしたとはもちろん言いませんけれども、こうした問題に手を入れてみようという発言が出たということは私は非常に大事なことだというふうに評価をいたしますし、官房長官もそれに対して積極的な意思を表示されましたので、私はこれを評価いたします。ぜひひとつそういう面で、土地の問題というのは日本の決定的な病巣になっているわけですから、そういう面で一つの姿勢を示す意味でも、ぜひ具体的な成果を出していただくように強く要請して、終わります。
  36. 中村靖

    中村委員長 次に、渡部行雄君。
  37. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 最初に、建設省からお伺いいたしますが、昭和六十一年度決算会計検査院から不当事項として指摘された問題でございますが、この不当事項の出た理由とその後の処理、てんまつについての御説明をお願いしたいと思います。  なお、これはどうも毎年このような指摘が繰り返されておるようでございますが、そういうものについて一体どのような受けとめ方をしておられるのかお伺いいたします。
  38. 牧野徹

    ○牧野(徹)政府委員 おただしの六十一年度決算において会計検査院から私どもが指摘を受けました不当事項は、残念でございますが九件ございます。  その中身でございますが、工事設計が不適切であるもの三件、工事の積算が過大であるもの一件、工事施工が不良であるもの一件、それから工事の施行が不適切であるもの二件、それから事 業の一部不実施実施されていないもの二件でございました。  その原因ということでございますが、いずれも設計、積算の際の審査が十分でなかったものあるいは施工に当たって監督、検査が適正を欠いたものなどでございまして、まことに残念、遺憾に思っております。  それで、それをどうしたかというおただしでございますが、当然でございますが、これらにつきましては事業目的を達成するように手直し工事施工させる、あるいはやっていないものについては当然国庫補助金を返還させるというふうな措置を講じておるところでございます。     〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕  それから、委員ただいま、毎年同じようなことが起きるのではないかということで、確かにここ五年ほどを見ましてもゼロということでないことは大変遺憾でございますが、ただ毎年少しずつではあるが件数が減っておることも事実でございます。ただ、いずれにしてもいまだに根絶されていないわけでございますので、私どもは、まずそういう不適切な事例が起きたことをすべての事業者に周知徹底させて、二度と同じような過ちをさせない、あるいは会議の開催の際に厳重に注意を喚起する、あるいは当然通達を発する等で、機会あるごとに事業の適正かつ効率的な執行を図るように指導しておるわけでございます。今後とも一層指導を強化徹底して、同様な種類あるいは似たような種類の再発防止に努力をしてまいりたい、かように存じております。
  39. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これは六十年度決算の際にも附帯決議で、不当事項の撲滅というか、そういうものを完全になくすように決議をされておるわけです。少なくはなっていると言われましたが、さらにひとつ努力して、完全になくするというように今後御指導をお願いしたいと思います。
  40. 原田昇左右

    ○原田国務大臣 六十一年度決算につきまして会計検査院から指摘を受けるような事態がありましたことは、まことに遺憾でございます。  建設省におきましては、会計検査院指摘を厳粛に受けとめまして、不当事項等の事態については早期に改善の措置を講じました。また、通達を発する等によりまして、他の機関に対してなされた指摘をも周知徹底を図りました。同種事例の再発防止に全力を挙げるつもりでございます。
  41. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 次に、ODAの資金による発展途上国での建設工事を見ますと、その元請と申しますか、第一請負者はほとんど日本の企業になっておるようでございますが、この際、監督官庁としての建設省と、この元請企業と、それからその海外で行われた工事との関係において、その責任の分野と申しますかあるいは責任の範囲と申しますか、その辺の関係をひとつ御説明願いたいと思います。
  42. 望月薫雄

    ○望月政府委員 私ども建設省で毎年海外建設工事受注調査というのをやっておりますけれども、この調査によりますと、昭和六十三年度の海外建設工事受注額というのは全体で八千六百億円余りございますけれども、そのうちODA関連というのは千六億円という実績でございます。  言うなれば、この受注にかかわる仕組みみたいなことを先生お尋ねでございますけれども、これらのいわゆる円借款あるいは無償資金協力等の経済協力予算執行につきましては、御案内のとおり、海外経済協力基金あるいは海外協力事業団等の援助実施機関がそれぞれ責任を持って行っておるという格好になっておりまして、協力プロジェクトにかかわる工事実施につきましては、基本的には工事発注機構としての被援助国政府と受注業者の間の問題というふうに承知いたしております。言いかえれば、建設省として直接これにどうこうする立場にはないという状況でございます。
  43. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 直接これにタッチする立場にはない、こう言われておりますが、しかし建設業に対する指導という、その責任は建設省にあると思いますが、その点はどうでしょうか。
  44. 望月薫雄

    ○望月政府委員 ODA事業執行に直接かかわる手続については先ほど申し上げたとおりでございますが、御指摘のように、我が国の建設事業者が海外でこういった関連の事業をするということにつきましては適正な執行事業を行わなければならぬ、これはもう当然私どもも注意を払う点でございます。  言うなれば、昨今建設業が大変国際化してきておる、我が国の建設業も先ほど申しましたように広く海外の事業を受注し実績を上げておる、こういった中でございますが、それであるがゆえに、国内外を問わず建設業が本当に信頼が持てる施工を行うということは基本でございますので、そういった意味で私どもも、業を指導監督する立場としておっしゃったようなことについては努力をしておりますし、今後とも努めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  45. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これは日本の国内でも行われているように、まずその元請の企業は今度は相手国の中にある企業を下請として採用するわけでございますが、その下請に実際仕事をさせる場合、元請から派遣されておる技術者とか監督者というのは非常に少ない。二名とか三名とかそんな程度で、その技術のおくれた低開発諸国の下請が設計どおりに全うできるのかどうか、こういう点から言うと大変疑問であり、私もODA対象の諸国をあちらこちら大分調査をしてまいりましたが、とにかくODA関係の工事というものは褒められない、これは非常に問題があるというふうに見てきたわけです。そういう点について、もし工事が本当に悪かった場合にはその責任は元請にあるのではないだろうかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  46. 望月薫雄

    ○望月政府委員 先ほど来申し上げておりますように、ODA事業も含めて本当に品質のいいものをつくるというのは最も基本的な事柄であるわけですし、また、海外で建設事業を行います業者の団体として海外建設業協会というような組織体もあるわけですが、こういった組織、団体活動も含めまして、品質、納期の厳正な確保ということは非常に重視しているのが現実でございます。特に日本の建設業は世界的に見ても品質を非常に大事にするということが一種のトレードマークにもなっているわけでございまして、それだけに業者自身も非常に気をつけているわけでございます。  あわせまして、今先生おっしゃったように、いわゆる元請、下請の関係でございますが、海外でこういった建設事業が行われるに当たりましては、すぐれたいい技術をその当該国に移転するということもこのODA事業では大変大きな効果として当然期待されているわけでございまして、その意味で下請の育成ということこそ大事である、こういう認識に立っているわけでございます。  今先生が御指摘のようなことはいささかもあってはならないし、またないように私どもも業界に対して必要な指導をしてまいりたいと思っております。
  47. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 最近はこのODAの予算は総額で一兆円を超す大きな予算なんです。しかもその中で、いろいろありますけれども、バングラデシュの食糧増産計画を後押しするための大型かんがい排水プロジェクト、こういう工事がなされたわけであります。これに対して「日本政府の援助計画は、洪水に悩まされる同地区を」、「同地区」というのはバングラデシュのダッカから東約十二キロのナラヤンガンジ・ナルシンジ地区というところだそうですが、「大規模な農業基地に改良する重要な計画だった。」ところが、これが洪水等でやられて、そしてそれが何回もやられる。そこで、洪水時にその水を排水するためのポンプを設置したら、そのポンプが設計ミスでほとんど使えない。それから、そのポンプを備えておる堤防は決壊して全然問題にならない。そして今度、いわゆる乾期になると、逆にポンプが水面に到達しないのでこれまた一滴の水も農地に送ることができない。全部読むととても長くなりますから大体のところでやめますが、そういう設計ミスや、あるいは堤防が決壊しておってもそれが完全に補修されていない等々の問題があって、住民の方々は日本のプロジェクトに非常に不信感を抱いておる、こうい うことが新聞にも載っておるわけです。  こういう問題については建設省は知っておるでしょうか。
  48. 望月薫雄

    ○望月政府委員 先生御案内のとおり、ODA関係の援助についてかかわります省庁というのは大変多数にわたるわけでございますが、建設省が直接かかわりますのは、率直に言いまして道路、河川あるいは都市整備にかかわる部分、下水道などという建設省所管事業にかかわる部分、この分野について我々は関係をし、必要な技術指導、支援をやっておる、こういった状況になるわけですが、今のお話の件、率直に言いまして建設省の立場で直接かかわっているプロジェクトとは理解いたしておりません。  と同時に、今御指摘の件伺いまして、そもそも計画の問題なのか施工の問題なのかいろいろあろうと思いますが、私どもあえて申し上げたいことは、先ほど来申しているような建設省に関係する分野の計画について私どももしっかりとしたスタディーと技術指導に十二分に努めてきておりますし、今後とも努めたいし、それからまた施工につきましても、先ほど来申しているように本当に過ちのない施工というものについて業者あるいは業者団体を指導してまいりたい、こういう構えで臨んでいる次第でございます。
  49. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 今はただバングラデシュの例をとっただけですが、私はマルコス疑惑のときにフィリピンに行って視察をしましたら、フィリピンを縦断する日比道路というのがあるわけです。そこをずっと行くと、マニラに近い部分は確かに立派にできているのですけれども、南の方にだんだん行くと道路は細くなるわ、あるいはもっと奥まで行くと、今度は道路が皆砕けて瓦れきの山、山とまではいかないまでも瓦れきの道路になっている。ひどいところはただコンクリートを流しただけで全然道路構造がなっていない。そういうところがあるわけですが、その点については、これは建設省の問題だろうと思いますが、御存じでしょうか。
  50. 望月薫雄

    ○望月政府委員 御指摘の日比道路のODA対象の区間がどういうところだかちょっと今つまびらかにいたしておりませんけれども、今先生のお話を伺っても、しっかりとできておるところから、あるいはかなりずさんといいましょうか、計画的にいかがかと思うようなところまで含めてさまざまな部分によって一つのルートが形成されているというお話でございますが、正直申しましてその現状を今私ここでつぶさにお答えするほど材料を持ち合わせておりませんけれども、とにかく申し上げたいことは、ODA事業として取り上げるプロジェクトについて、建設省指導というか技術的な援助を申し上げるべきところについてはいろいろのフィージビリティースタディーをやる中で過ちのないように努めさせていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  51. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、建設省として、今度は逆に発展途上国に対して技術を移転しようとするならば今後どういう方法で技術を移転しようとしておられるのか。今の体制では言葉だけで実際上の技術移転にはなっていないと私は見ているのですが、その点についてはどうなのでしょうか。
  52. 望月薫雄

    ○望月政府委員 一言に建設関係の技術移転と申しましても、施工技術の移転はもとよりでございますが、それをさらにさかのぼりまして、いわばもろもろの面での基礎的な技術の問題も含めまして幅広いと思います。  現在、建設省で行っております技術移転は、端的に申しまして建設省の附属機関におきますかなり高度の技術、これをとにかく移転するというか、いわゆる研修という名目のもとに積極的に取り組ませていただいておるというのが一つございますし、さらに、私どもの職員が長期、短期にわたりまして相手国に駐在しながら技術指導を行う、あるいはまた施工業者が先ほど来出てますような元請、下請の関係でもって下請業者の施工技術を指導する、こういった多面的な中でやらせていただいておるということでございます。  私どもとしては、やはりこれらを今後ともそういった体制の中で進めていく必要があると思いますが、とりわけ基礎的な、いわば技術現場の指導者育成という面も非常に大事になってくるのではないか、こういうふうに考えておりまして、研修面での育成ということはより重視してもらいたい、こんなふうに考えておる昨今でございます。
  53. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 特に日本のODAというのはひもつき援助が非常に多過ぎる、そういう批判が国際的に出ているのはおわかりだと思いますが、そこでやはり、もっと派遣する技術者をふやして、とにかく援助というのは相手国から尊敬され、そしてありがたがられるような成果をおさめなければやらない方がましだと思うのですよ。やっていろいろ批判されているならば、やらなければ批判もされないで済むだろうし、しかしやるからには、相手国の国民から本当に日本はありがたい、そういう感謝の念と、そしてすばらしいという尊敬の念が出てくるようにやるべきだと思いますが、そういう指導について大臣、今後どういうふうに考えておられるのでしょうか。
  54. 原田昇左右

    ○原田国務大臣 今、委員指摘のような、海外援助にかかわる建設工事に関しまして非常に不都合なところがあるとすれば、事は建設技術にかかわる、我が国の建設技術の信用にかかわる問題でございまして、大変遺憾なことでございます。そういう事実があるかどうか少し調査をさせていただきたいと思いますし、またその結果いかんによっては適切な指導をやらしていただきたい、こういうように思っております。  少なくとも我が国の建設技術に関する限り、日本はいいことをやってくれた、すばらしいということをやはり海外にお示しし、そして信用を博するということは極めて大事なことだと思いますし、また海外の発展途上国に技術移転をできるだけしていくのは我が国としても重要な責務だと思っております。そういう考え方で臨んでまいりたいと思っておりますので、よろしく御指導をお願いします。
  55. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 それでは次に移ります。  最近、日米摩擦は建設業界にまで及んでいると言われておりますが、建設大臣は去る十月十二日、ヒルズ米通商代表部代表と会談をされたようでございますが、この会談の内容を一つは明らかにしていただきたいと思います。  なお、ヒルズ代表は記者会見で、談合が米企業の日本市場参入を妨げている、非常に強い不快感を表明したと言われております。大臣は、公然の秘密として行われてきたこの談合問題に対して、今後どのような対策を講じようとされるのか。また、今後ますます国際化する中で日本の建設行政を見直す必要に迫られていると思いますが、その点はどのようにお考えなのかお聞かせ願いたいと思います。
  56. 原田昇左右

    ○原田国務大臣 お答えします。  まず、ヒルズ米通商代表との会見は限られた時間の中で行われましたが、私から、我が国建設市場は内外無差別だ、また日米間の合意プロジェクトというものを誠実に実施しておりまして、その成果も着実に上がってきておるということを説明し、一方、米国企業の参入努力はそれにもかかわらず必ずしも十分と言えない、日米の相互理解と協力がさらに進展するように期待しておるということを発言しておきました。  これに対しましてヒルズ代表からは、日米合意に係る我が国の努力に感謝するとしながらも、談合防止のための措置とか指名基準の明確化等の五項目を提案してまいりまして、なお、来る十一月の八日、九日にワシントンで実務者レベルの会合を持ちたいという提案もいたされました。この実務者レベルの会合については、我々の方から実務者代表をワシントンに派遣することにいたしておる次第でございます。  次の御質問の談合問題でございますが、入札談合など独禁法に違反する行為は決して容認しないというのが従来からの基本的な確固たる方針でございまして、先ほど委員の御指摘のありましたようなことは絶対に許さないということでございます。そして、こうした方針のもとに業界を指導し ておりまして、違反行為に対しては独禁法等関連法令に基づく厳正な措置で臨んでいるところでございます。それにもかかわらず、昨年来幾つかの違反事例が発生していることはまことに遺憾のきわみでございますが、業界への指導の一層の徹底等により、こうした違反行為の再発防止に努めてまいるつもりでございます。  また、業界においても我が方の指導でこういう再発をすることのないようにしっかりと体制をとるように指導しておりまして、業界も自主的にこれにこたえてやってくれておるというように理解しております。  それから、建設業の国際化に対する対応ということでございますが、確かにこれからの国際化時代でございますので、我が方としても建設市場の開放には基本的に努めてまいらなければなりませんが、先ほども申し上げましたように、内外無差別でやっておるわけでございますので、相手方の努力ということがかなり必要ではないかなと思います。  我が国の建設市場は、建設投資額において約七十兆、米国あるいはECを上回る規模を持っておりますから、外国から注目はされてきておるわけでございますが、今後とも建設市場への参入については、日本が閉鎖的であるという批判のないようにできるだけアメリカ等の建設関係業者に対して便宜を供与するように考えて指導してまいりたいと思っております。
  57. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、これは朝日の社説、十二月十三日、静岡事件について触れておられますが、「静岡事件直後は、「談合はもっとも違法性の強いカルテルであり、事業者の創意工夫や企業努力を損なう」と、きびしい姿勢をみせていた公取委も、業界や自民党の激しい巻き返しにあって、腰くだけとなった。」云々と書かれて、その後で「根回しが重視される日本社会では、談合に対する罪悪感が、ともすると薄くなりがちである。建設省が同省に受注登録している関係業者に対して行った指名停止処分も、期間一カ月という軽いものだった。」こういうふうに指摘されているんです。これはやってはならないというのは表向きでありまして、実際どこの建設工事でも談合は行われているわけです。ただ、それが一般の人にわからないだけであって、業者が言うのだからこれは間違いがないと思いますが、これは今後よほどしっかりと日本の建設業は襟を正さないと、私は今度世界からやり玉に上げられると思うんですよ。  だからそういう点で、建設大臣はこの問題についてどういう御決意を持っておられるのか。また、これは日本の一つの体制的な仕組みと申しますかそういうものによるとすれば、請負のあり方、そういう点についての見直しを今後やるおつもりがあるのかどうか、この点についてお伺いいたします。
  58. 望月薫雄

    ○望月政府委員 いわゆる談合、独禁法に違反する行為に対する建設省の姿勢というのは、先ほど大臣御答弁申し上げたとおり本当に厳しく臨んでいるわけでございますが、いまだに時々そういった事件が起こるということは本当に残念なところでございます。  今先生おっしゃったように、こういった実情にかんがみて建設省はどう取り組むかということになるわけでございますが、大臣も御答弁ありましたように、今本当に業界に対する指導というものは厳しくやる、これは当然のこととして取り組ませていただいていますし、業界もまた、建設業界主要団体七団体が一緒になりまして、建設業刷新検討委員会というものをつくって、今本当に真剣に取り組んでいるという状況でございます。  そういったことであるわけですが、私ども、いずれにしても今最も注意していますことは、今先生御指摘の、いわゆる静岡事件の後に建設業にかかわるガイドラインというものが公取から出ているわけですが、このガイドラインというものを本当に正しく理解して、いわゆる談合というか、独禁法に触れるような行為は一切いけないんだという前提の中でのガイドラインであるということを再々度関係業界に周知徹底して認識していただく、これがまず一番急がれることであろうと思います。  と同時に、私ども公共事業を預かる立場としましても、業界に対する指導、時によっては今お話しの事柄等々、処分等も含めまして毅然としてやっていくというお言葉でございましょうけれども、こういったことについても我々もしっかりと受けとめてまいりたい、こういった構えで取り組んでいるさなかでございます。
  59. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 時間もだんだんと迫ってまいりますので、これはもっと突っ込んで議論したいと思いましたが、この程度でやめて、次は地域問題でございます。  今福島県において一つの大きな問題は、阿武隈山系開発という問題であります。この阿武隈山系を開発する上で基盤的な役割を担うのが、現在進められている三春ダム建設でございます。さらに、阿武隈川上流流域下水道事業の推進でございます。  この二つの基盤的建設事業について、建設省はどの程度この重要性について考えておられるのか。また、この三春ダムについては、現在の進捗状況、それからいつごろこれを完成する見通しであるか、さらに阿武隈川上流の流域下水道についても、それは県中処理区二市三町に及ぶ幹線管渠で、処理場等の付随する工事でございますが、これも現在の進捗状況と今後の見通し、そしてどういうふうな進め方をしていかれるのか、その辺についてお伺いいたします。
  60. 近藤徹

    ○近藤政府委員 三春ダムについて御説明させていただきます。  三春ダムは、阿武隈水系、これは福島県、宮城県を貫流する大河川でございますが、この治水の安定ということで洪水調節、また流域の流水の正常な機能の維持、かんがい用水の補給、水道用水及び工業用水の供給を目的として、阿武隈川水系の大滝根川、福島県田村郡三春町に建設する建設省直轄施工の多目的ダムでございますが、重力式コンクリートダムでございまして、堤高七十メーター、総貯水量四千二百八十万トンを計画しております。  この事業は、昭和四十七年度実施計画調査に着手いたしまして、昭和五十年度には建設事業段階にランクアップし、以後、地元水没関係者等と熱心に協議をしてまいりました。昭和五十九年に補償基準が妥結しましたので、それ以後用地補償を精力的に進めまして、昭和六十三年度の十一月に本体建設工事を発注した次第でございます。現在は、平成三年度内に本体コンクリート打設工事に着手するべく、基礎掘削、仮設備工事等を実施中でございます。完成予定は、一応平成六年度予算等の確保に努めて進めてまいりたいというふうに考えております。  なお、総事業費でございますが、昭和五十九年度時点では六百二十五億円を見込んでおりますが、その後、時間の経過による物価上昇や用地補償等の妥結によってそれぞれ一応単価が確定してきたこと、また、本体工事の発注によって諸単価が確定した段階でございますので、総事業費の確定作業を現在進めておる段階でございます。なお、阿武隈川水系の治水の安全のために今後も努力してまいりたいと考えております。
  61. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 先ほどの別の、処理区……。
  62. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答え申し上げます。  阿武隈川上流流域下水道県中処理区につきましては、昭和五十一年度事業に着手いたしまして、昭和六十三年度に郡山市と本宮町において一部供用を開始したところでございます。全体計画の幹線管渠約五十キロメートル、処理水量日量約二十四万立方メートルであり、このうち昭和六十三年度末現在、幹線管渠約十七キロメートル、処理能力日量二万立方メートルの施設整備したところでございます。今年度は二十四億五千万円の事業費をもって処理場及び管渠工事を行っているところでございます。今後は、須賀川市においては平成三年度に一部供用開始をする予定であると県から伺っているところでございます。さらに、鏡石 町及び矢吹町の早期開始のためにも事業を積極的に進めてまいりたいと思っております。  なお、総事業費は約一千億を見込んでおりますが、現在の投下の事業費はその約四分の一という状態でございます。  以上でございます。
  63. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、これらの工事は順調に進んでおりますか。それとも、さらにこれを促進して予算を少しずつ積み上げていくようなお考えはあるのかどうか、その辺についてお伺いします。
  64. 近藤徹

    ○近藤政府委員 三春ダムにつきましては、先ほど御説明しましたように、用地関係につきましては地元の御協力を得まして妥結しておりますし、現在は平成三年度にコンクリート打設を行うべく諸工事計画的に発注しておりまして、現在の事業費規模で推移するならば、経済的にもちょうど都合のよい段取りで進めていけるというふうに考えております。
  65. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 阿武隈川上流流域下水道事業につきましては、地元の御協力体制も非常に円滑にいっておりますので、現在順調に推移していると考えております。
  66. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 時間を何かちょっと私、間違って見ておったので、次に国土庁に移ります。  会計検査院の問題もありますが、これはやはり不当事項指摘されております。しかし、先ほど建設省に言ったように、今後指摘事項をなくすように努力されることをお願いして、ひとつしっかりとやっていただきたい、これは答弁は要りません。  次に、今非常に世界の各地で起きておる震災についてですが、最近三年間にマグニチュード四以上を記録した地震は日本でどのくらい発生しておるか、最も大きな地震のあった地域名を上の方から五つだけ言ってください。まず、このことだけ最初に聞いておきます。
  67. 市川一朗

    ○市川政府委員 突然のお尋ねでございまして資料が不十分でございますが、けさほど三陸沖で起きました地震が、宮古から東方約百三十キロの遠距離ではございますが、マグニチュード七・一ということでございまして、これは先般サンフランシスコで起きました地震と同じ規模でございます。いわゆる大規模な地震といたしまして関東大地震クラスがマグニチュード七・九、八クラスでございますが、こういったものは近年起こってございません。  それで、先ほどお尋ねの、最近起こった地震で大きいもの順から述べよということにつきましては、ちょっと現在手元に資料がございませんので大変申しわけございませんが、一番最近地震が起きまして被害が大きいものとして記録されておるものは、昭和五十九年の九月に長野県の西部地震、王滝村で地すべり等が起きた地震でございますが、それがマグニチュード六・八と記憶してございます。
  68. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これは、資料をとるためにいろいろ調べていけばいくほど、地震対策について行政府の方が非常にばらばらになっているのですね。国土庁は震災の総合的な責任があると思うのですが、そういう意味ではもっと全体の連携を密にして、そして全体的掌握をきちっとする必要があると思うのです。もっと具体的に、地震予知については科学技術庁がやっているとか、あるいは気象庁がある程度これにかかわっているとかいろいろあるようですが、長官としてはこの地震対策、いわゆる震災対策というものをもっと総合的にきちっとしたものをつくるお気持ちはないのかどうか、一言でいいですから……。
  69. 石井一

    ○石井国務大臣 忘れたころにやってくるのが震災でございます。サンフランシスコの地震などはそのいい教訓だと思います。  私、就任以来、九月一日の関東大震災の記念の日と申しますか、記念というのはどうかと思いますが、防災の日と決めまして、日本でこれだけ大きな防災の訓練をしておるのかと、大宮市へ参りましたり富士宮市へ参りまして自分ながら驚いた、そういうようなのが私の感想でございます。  しかしながら、渡部委員指摘の、科学的に具体的に政府の体制がどうなっておるかという点につきましては、この機会にもう一度再点検をしておきたいと思います。
  70. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 科学技術庁の方、御苦労さまでした。これはあと時間の関係で質問いたしません。  そこで、次に国土調査についてお伺いいたします。  第三次国土調査事業十カ年計画がこの平成元年度で終了するわけでございます。そこで、その後は一体どういうふうにされるおつもりなのか。現行法の期限を延長して対処するおつもりなのか、それとも第四次国土調査十カ年計画というふうな、新しい一つの構想を盛り込んだもので対処しようとされておられるのか、その辺についてお伺いいたします。
  71. 藤原良一

    ○藤原政府委員 地籍調査につきましては、昭和二十六年来、営々と努力を重ねてまいっておりますが、ただ、遺憾ながら現在の進捗率は面積ベースで見まして三四%でございます。ただ、市町村単位の着手率から見ますと、約六五%の市町村が現在着手しておりまして、事業も完了あるいは実施中となっております。  私どもといたしましては、本年度で第三次十カ年計画が終了するわけですが、さらに法律を改正し第四次十カ年計画を策定して、できるだけ早い時期にこの地籍調査の完了を図っていきたいと考えております。  ただ、その際に、現在事業がおくれておりますのは都市部でございますので、都市部の事業を促進するために特に工夫を凝らしながら新しい計画を策定していきたい、こういうふうに考えております。
  72. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 次に、最後ですが、過疎振興についてお尋ねいたします。  現在、過疎地域というのは若い者がどんどん都市の方に出てしまって、お年寄りばかりが残っておるというのが実情でございます。  そこで、この過疎振興法も今回で期限切れになるわけですが、これはさらに期限を延長して対策を進めるおつもりなのか、それとも新たに法律をつくってこれに対処するおつもりなのか、その辺について、ひとつ最後に大臣の決意をお聞きしたいと思います。
  73. 石井一

    ○石井国務大臣 御指摘の問題には、前向きに取り組んでいきたいと思っております。  御案内のとおり、昭和五十五年以来、議員立法として進めてまいりましたこの施策、必ずしも十分とは言えないとはいえ、市町村の道路、コミュニティー等の施設、生活基盤や生活環境等の施設整備が進み、人口の減少率もやや鈍化した、そういう評価をいたしております。  しかしながら、委員指摘のとおり、基本的な過疎地域の問題は残っております。ここにありますデータでは、「全国の十七年先を行く高齢化社会」というようなデータも出ておるわけでございまして、こういうふうなことを考えましたときに、地方の活力ある発展ということに今後新しい角度から取り組んでいかなければいかぬ、そのように思っております。  そういう意味におきまして、ちょうど期限が切れるわけでございますので、現在、関係省庁、現行法をいろいろ点検いたしておりますけれども、今後、住民が誇りと愛着を持って地域づくりに励めるように、また、若人の人口が何とかそこに定着できるような配慮を加えた新しい法律を制定してこれに取り組んでいきたい、そういうのが基本方針でございますので、御協力のほどをお願い申し上げたいと思います。
  74. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 大変心強い御答弁、ありがとうございました。  これで終わります。
  75. 杉山憲夫

    ○杉山委員長代理 小川国彦君。     〔杉山委員長代理退席、魚住委員長代理着席〕
  76. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は、昭和六十二年九月に首都高速道路公団が普通車の料金を五百円から六百円へ値上げをした、この値上げの根拠となっております首都高速道路公団から建設大臣、運輸大臣に 出された申請書、その中における償還計画表その他の申請書類、そういうものをつぶさに検討いたしました中から、この値上げは極めて不当なものであり、現状においてはこの六百円は五百円に引き下げられるが妥当である、こういう観点から質問をいたしたいと思うわけでございます。  最初に、きょうは首都高速道路公団から御出席を願っておりますので、数字の点について確認をさせていただきたいと思うわけであります。  首都高速道路公団の料金収入の伸びは、昭和六十一年千四百十六億円、それからそれに対する実績は千四百六十七億円、それから昭和六十二年は計画が千六百二億円、実績が千七百七十七億円、六十三年が千七百六十一億円の計画に対し、実績は二千五十八億円、こういうふうになっておりますが、この点はこの数字でよろしゅうございましょうか。
  77. 星忠行

    ○星参考人 恐れ入ります、もう一度、数字のことでございますので、ちょっと今おっしゃった数字を、申しわけありません。
  78. 小川国彦

    ○小川(国)委員 昭和六十一年の計画が千四百十六億、実績は千四百六十七億、六十二年は計画が千六百二億、実績は千七百七十七億、六十三年は計画が千七百六十一億、実績が二千五十八億円、合っていますか。
  79. 星忠行

    ○星参考人 合っております。
  80. 小川国彦

    ○小川(国)委員 次に、金利を含む管理費の問題についてお伺いいたしますが、昭和六十一年の金利を含む管理費の計画は千三百六十八億、実績が千三百十六億、六十二年が、計画が千三百九十億、実績が千三百二十八億、六十三年が千四百十一億、それからこの実績は、推定でありますが、千三百二十億、こういうふうに考えておりますが、この点はいかがでございますか。
  81. 星忠行

    ○星参考人 そのとおりでございます。
  82. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そういたしますと、六十二年の収益結果で見ますと、料金収入が、計画表で千六百二億であるのに対し、実績は千七百七十七億、ここで百七十五億円も計画を上回っているわけです。一方、支出におきましては、計画では管理費が千三百九十億円であるのに、実績は千三百二十八億円であり、これは予算の九五%で支出が済んでおり、六十二億円の出資減となっております。このように、収入では一一%増、支出で五%減の結果、総額で二百三十七億円の収益増となっているわけであります。パーセントにいたしますと一六%分であります。この結果についてはお認めになりますか。
  83. 星忠行

    ○星参考人 パーセントまではちょっと確認できませんが、おっしゃいました数字につきましてはそのとおりでございます。
  84. 小川国彦

    ○小川(国)委員 もし値上げをしない場合の料金収入は千六百十五億円であったわけでありますが、この数字もそのように理解してよろしゅうございますか。
  85. 星忠行

    ○星参考人 手元に値上げしなかった場合との対比の数字を持っておりませんので、ちょっと確認はできないのですが……。恐れ入ります。
  86. 小川国彦

    ○小川(国)委員 わかりました。  私の試算によりますと、収入の面において、値上げしない場合には、これはちょっと大急ぎで皆さんの方も計算なすってみていただきたいと思うのですね、委員会中に御答弁をもう一度伺いますから。値上げの理由の中では、料金収入を千六百二億円必要だ、こういうふうに言っておられたのですが、料金収入の中を分析しますと、値上げをしないでも千六百十五億円あったので、この点では値上げをしないでも済んだ。しかも、収入の面では十三億円も増収があった、こういうふうに私どもの計算では理解できるわけですが、この点はいかがでございましょうか。——その御答弁はでき次第いただくということにしまして、さらに質問を続けさせていただきたいと思います。  ところが、料金値上げによって、料金収入は千七百七十七億円と百七十五億円も計画を上回った収入増を招いている。さらに支出の面では、管理費において、計画表では千三百九十億円であるのに対し、実績は千三百二十八億円と六十二億円も下回っているのであります。したがって、合計しますと、たとえ値上げをしなくても七十五億円の収益増があった、こういうふうに見られるわけでありますが、この点はいかがでございますか。さらに、この値上げの結果、収益増は約二百三十億円となったと思われますが、この点はいかがでございますか。
  87. 星忠行

    ○星参考人 申しわけありません。数字の確認についてはちょっと今直ちにできかねるのですが、先生のおっしゃっている大体のオーダー、収入実績の方がかなり伸びておる、それから支出の方は管理費などはむしろ計画よりは減っておる、そういう点で、そのオーダーとして大体先生のおっしゃっておるような計画実績の乖離があるということは事実でございます。
  88. 小川国彦

    ○小川(国)委員 その乖離の数字は約二百三十億円と考えられますが、この点はいかがでございますか。
  89. 星忠行

    ○星参考人 おおむねその程度だと思われます。
  90. 小川国彦

    ○小川(国)委員 さらに、昭和六十三年の料金収入は二千五十八億円であり、もし前年に値上げをしないとすれば、予想料金収入は千七百九億円である。一方、料金値上げの際の償還計画表では千七百六十一億円である。もし値上げをしないとするならば料金収入では五十二億円の減収であるが、管理費において、計画では千四百十一億円であるが、実績は推計千三百二十億円であり、九十一億円の支出減となり、トータルで三十九億円の増収となる、こういうふうに考えられますが、この点はいかがでございますか。
  91. 星忠行

    ○星参考人 その前に一つお断りしておきたいのですが、六十三年度の数字につきましては、私ども公団の決算の数字は建設省の承認を得ることになっておりますが、現在承認を申請しておりますけれどもまだ最終的に承認がおりておりません。したがって、これは一応決算として承認をお願いしている数字でございますので確定している数字ではないのですが、おっしゃっている数字はおおむね合っておると思います。
  92. 小川国彦

    ○小川(国)委員 さらにさかのぼって昭和六一年度、第十八回料金認可における償還計画表の六十一年度以降の計画についてでありますが、六十一年度を見ますと、収入のうち料金収入は、計画では千四百十六億円であるが実際は千四百六十七億であった。すなわち五十一億の増収である。一方、支出の部を見ますと、管理費は、計画表では千三百六十八億円であり、実際は千三百十六億円で済んだ。すなわち五十二億円の支出減である。また建設費は、計画表では五百四十五億円であるが実際は四百五十二億円で済んでおり、やはり九十三億円の支出減となっている。その結果、借入金は、計画表では四百六十五億円であったが実際は二百六十一億円で済み、二百四億支出減となった。これは、料金収入面では予算の一〇四%、支出面では予算の九二%で済んだ。この収入と支出を単純に合計すると、上下一二%の開きが出てくる。この点はこのように理解してよろしゅうございますか。
  93. 星忠行

    ○星参考人 パーセントの計算はしておりませんし、細かな端数で一けた台まではちょっと違うところもあるようでございますが、ほとんど先生のおっしゃるとおりの数字となっております。
  94. 小川国彦

    ○小川(国)委員 それから、この値上げをする前の数字でありますが、償還計画表の数字よりも一二%上回っている。また、将来に建設、供用する道路を含めないとすると、六十一年度の支出は、建設費ゼロ、管理費等は一千十九億円であり、支出の合計は一千十九億円となる。これは計画表の五三%である。つまり支出において四七%、五割近くも見積もりよりも少なかった、こういうふうに判断されるのですが、この点はいかがでございますか。
  95. 星忠行

    ○星参考人 いろいろな面の資料があるものですから突き合わせはちょっと今すぐにはできないのですけれども。申しわけありません。確認できません。
  96. 小川国彦

    ○小川(国)委員 この点は、まだ三十八分時間がございますから、その間にひとつ御答弁を御用意 願いたいと思います。  先ほど申し上げましたように六十二年度になりますと、料金収入計画表では千六百二億円であるのに対し、実績は千七百七十七億と百七十五億円も計画よりも上回り、これは計画の一一一%に当たるわけです。一方、支出は管理費において、計画額が計画表では千三百九十億円であるのに対し、実績は千三百二十八億円でありまして、これは九五%に当たり、五%余計に見込み、収入の一一%増、支出の五%減を見ると、予算において上下で一六%の計画のミスがございます。  さらにまた、将来の建設計画を含めないとすると、六十二年度の実際の管理費は千百六十二億円であり、これは計画表の支出の七〇%にすぎないわけであります。ここで見ると、支出における三割もの見積もりが過大になっているのではないか、こういうふうに思いますが、この差額の数字についてはどのようにお考えになりますか。
  97. 星忠行

    ○星参考人 たびたび申しわけありませんが、数字の突き合わせはできないのですけれども、おっしゃるように収入が、実績の方が計画を上回り、それから支出は、管理費等は計画よりも実績が下回っているという御趣旨におきましては、先生のおっしゃるとおりでございます。
  98. 小川国彦

    ○小川(国)委員 この辺の見積もり違いの差額の数字について、これも御検討いただいて後ほど御答弁をいただきたいと思います。  さらに六十三年度になりますと、六十三年度の料金収入は二千五十一億円に上っております。これは計画表で見ますと、六十三年度の料金収入計画額は千七百六十一億円であり、二百九十七億円の増収となります。これは計画額の一一六%に当たると思いますが、この点はいかがですか。
  99. 星忠行

    ○星参考人 申しわけありません。数字はただいま確認させますけれども、ちょっと時間がかかると思いますので、確認の点は、今現時点でお答えは御容赦いただきたいと思います。
  100. 小川国彦

    ○小川(国)委員 この点は極めて単純でございまして、料金収入は二千五十一億円が実績計画表では千七百六十一億。ですから二百九十億の増収で、計画の一一六%。一一六%の方はいいですから、ただ、この数字は、二百九十億の増収となったことは先ほど確認されたところですね。
  101. 星忠行

    ○星参考人 下一けただけ訂正させていただきます。先生、六十三年度実績収入が二千五十一億とおっしゃったと思いますが、二千五十八億でございます。したがって、増収分は二百九十七億となります。
  102. 小川国彦

    ○小川(国)委員 一方、この年の支出を見ますと、管理費において計画額では千四百十一億円であるが実績額は推計によると約千三百二十億円である。これは九十一億円の支出減であり、予算の九三%である。収入、支出を合計すると約三百八十一億円の増収となり、上下合わせますと二三%の予算の開きがある、こういうふうに思いますが、この点はいかがですか。
  103. 星忠行

    ○星参考人 数字につきましては、先生のおっしゃるようであります。ただ、パーセントとそれから予算額との対比は今ちょっと手元に持っていません。
  104. 小川国彦

    ○小川(国)委員 このように管理費の六〇%以上を占める金利については、昭和三十四年から昭和六十年までの平均借入金利は七・二五%で計算している。これは高金利時代のものであり、今後六十三年度以降七・二五%の金利を払うとは到底考えられない。なぜならば、公団の借入金の大部分は十年間の債券であり、現在発行する債券の金利は十年間一律であるから。とするならば、六十三年度以降の金利は六%で間違いなく推移するであろう。六%であれば、償還計画表でいう七・二五%の金利の八三%であるから予算よりも一七%ほど低く抑えられることができ、管理費全体も八%も低くなるであろう。したがって、六十三年度以降は収入と支出を合わせると二〇%以上それぞれの計画表に見込み違いが出てくるのではないか、こういうふうに思いますが、この点はどうお考えになりますか。
  105. 星忠行

    ○星参考人 公団の支払い利息の推計方法でございますが、高速道路公団は過去の調達金利を、ずっと最初に供用いたしました昭和三十年代からの長期間の過去の調達金利を平均化した金利を用いまして将来の支払い利息の推計を行っております。現在たまたま低金利の時期でございますけれども、こういった最近の低金利傾向が将来どこまで続くかということは不確定なことでございます。それから、償還計画というのはなおまだ今後の長期のことでございますから、今後どういうような金利の傾向になるか予想できませんし、また今まで十年タームで新たな借りかえを行うことになりますが、そのときは金利が上がっておるかもしれません。そういうことで過去の金利を平均化しているという推計方法は妥当なものと考えております。
  106. 小川国彦

    ○小川(国)委員 料金の五百円から六百円への値上げは二〇%もの値上げであって、今指摘しましたように六十一年度以降かなり長期の期間にわたり計画額に二〇%もの計算違いがある。これだけでも料金を五百円から六百円にしなくともやっていけるのではないか、こういうふうに思うのですが、この点はいかがですか。
  107. 星忠行

    ○星参考人 先ほどから再三の御指摘によりまして計画実績が違うのではないかということで、その点からまず御説明させていただきます。  料金収入計画に比べて上回っておりますのは、最近の我が国の好景気とかあるいはその結果としての夜間交通量が非常に伸びておるといった、そういう事情を反映して計画と乖離が生じております。  それから経費の方でございますが、支出の方が少なくて済んでおるというのは、これも先生の御指摘のとおり金利の問題でございまして、たまたま現在低金利でございますので、金利の差でもって例えば六十三年度は管理費に九十億円といったような差を生じておるところでございます。ただこれはかなり長期間の計画として見込んでおりまして、見込んだ時点におきましては、それぞれ過去のトレンドであるとかあるいは理論的というと大げさでございますが、将来のあれをそれなりに予測して一たん計画をつくったものでございまして、計画をつくった時点においては妥当であったと考えております。
  108. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は、計画をつくった時点が妥当であったかどうかということよりも、問題は、この料金値上げを五百円から六百円に行った時点において、皆さんがこの傾向をどういうふうに判断していたか、そこのところに重大な問題点があると思うわけです。  例えば、皆さんがつくっておられる第十八回の料金認可、六百円にしましたところの償還計画表、これは昭和三十四年から六十年までの実績、六十一年以降は予測、こういうことでこの料金認可の償還計画表をおつくりになっている。ところが、先ほど私が指摘しましたように、六十二年の九月に認可を受ける、ところがそのとき既に六十一年度においては、先ほど申し上げましたように、収入と金利を合わせますとこの計画よりも百三億円もの収益増が出ている。しかも、収入と金利は六十二年には二百三十七億、六十三年には三百八十一億、こういうふうに大変な収益増が結果として出ている。それは、皆さん方が料金改定を行った六十二年の九月時点に、既にもう六十一年の状況から判断できた。そのことは今結果においても、例えば昭和三十七年から六十一年まで一度も料金収入が下がったということはないのです。確実に上昇してきている。しかも、六十三年に料金収入が二千五十八億円を超えたということは、この償還計画表で見ますと昭和八十四年ですね、この料金値上げの最終年度昭和八十五年ですから、いわゆる料金値上げをした改定計画最終年度の前年の料金予想収入が千九百五億です、これを既に上回っている、こういうことでございますから、もうこの計画の立て方がいかに料金収入は低く、管理費は高く、そういうふうに見積もって五百円から六百円の値上げを強行した、こういうふうに私どもは理解せざるを得ないのですね。昭和八十四年の達成目標が既に六十三年で達成された、こ れは大変な計画の見込み違いではないかと思いますが、この点はいかがでございますか。
  109. 星忠行

    ○星参考人 料金の収入の予測でございますが、将来推定交通量というものを統計学的あるいは交通工学的な手法によりまして、長期的な推計を行っているものでございますが、短期的には一時的な——確かに、内需拡大の結果これほど好景気が実現するということは私どもの予想を超えておったことでございますけれども、ただ、これは非常に長期のことを予測するものでございますので、たまたま短期的には乖離が生じることがあってもやむを得ない、予測時点においてはそれなりに妥当と考えて推計したものでございます。
  110. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大変ずさんな予測だと言わなければなりませんね。  それからもう一つ、この支出の面の管理費の五〇%以上を占める金利が七・二五%で今後も続く、こういうふうに皆さんはお考えになっていらっしゃるのですか。これから十年間七・二五%という高金利が続く、皆さんは最終期限までそういう高金利が続く、こういう予測をお立てになっていらっしゃるのですか。
  111. 星忠行

    ○星参考人 先ほどもちょっと申し上げましたが、現在は確かに低金利でございますが、この償還計画表というのは供用を開始してからずっと長期間にわたって計算をしてございますので、過去には八%台というような高金利の時代もあったわけでございます。それでこれは十年間同じ金利で、高金利の時代のものは十年間そのまま借りて、それから借りかえをするときに改めて金利を改定する、そういったようなことで過去の高金利の影響も残っておりますし、また将来高金利時代に転換しないとも限らないということでずっと過去の金利の平均を用いているものでございます。
  112. 小川国彦

    ○小川(国)委員 参考のために伺いますが、八%の高金利は昭和何年のことでございますか。
  113. 星忠行

    ○星参考人 ちょうどオイルショックのころでございましょうか、四十九年から五十一年ぐらいまでは八%をずっと上回っております。例えば四十九年の十月から五十年の七月までは八・九%というのがございます。それから五十五年ごろも九・一二二%、それからずっと五十七年ぐらいまで八%の高金利で借りております。それからだんだん七、六というふうに漸減してきております。
  114. 小川国彦

    ○小川(国)委員 参考のために、五十七年以降の金利の平均を教えてください。
  115. 星忠行

    ○星参考人 ちょっと計算をしたものを持っておりません。若干のお時間をいただければ、あるいは計算できるかもしれません。
  116. 小川国彦

    ○小川(国)委員 それでは、この問題については、また改めて五分後ぐらいに金利の平均を伺いたいと思います。  もう一遍、料金収入の方に戻ってまいりますけれども、料金収入の伸び率というものは非常な伸び方で、先ほどの御答弁では長期的内需の拡大、予想を超えたとか夜間の利用がふえたとかこういうことですが、そういう現象ではなくて首都圏の大変な人口増、それから車の増加状況、そういうことでもうどんどん車の台数がふえていって、この料金収入の伸びは景気、不景気に関係なく例年大変な勢いで伸びてきているわけですね。  例えば昭和三十九年ごろ三十億だったものが四十九年には四百十一億、五十九年になると千百七十億ですね、それから六十四年現在が千七百七十六億でございますかこういうことで、これがまたさっきお話がありました実績でいきますと、二千五十八億ですね、大変な皆さんの料金収入、今申し上げた数字は、六十年までの実績をとったところで見てまいりましても大変な伸び方でずっと来ているわけです。  皆さんは、こういうものと今日の料金収入の伸び方のシミュレーションはおつくりになっていらっしゃるのかどうか、それはどういうことなんでしょうか。それで参考に伺うと、シミュレーションがこういうような償還計画表のものになってくるのでございましょうか。
  117. 星忠行

    ○星参考人 当然シミュレーション等の予測、手法を用いております。  それから、先生、交通量の伸び率もさることながら、首都高速道路公団のネットワーク自身の供用がどんどん延長されておりますので、供用延長に伴っても当然数字は激増してまいります。
  118. 小川国彦

    ○小川(国)委員 それは当然のことで、シミュレーションの中にどういう要素を加えて計算なすってきたのか。私から言わせれば、先ほど申し上げたように、昭和八十四年の料金収入を既に現在突破する。こういうのは何年になりますか、大変な十数年の読み違いがある。こんなシミュレーションをしていては、こんな償還計画表のもとに料金値上げをされてはたまらぬということですよ。  ですから私は、もう一度翻って言うならば、これは建設大臣にも伺いたいのですが、こういうふうに六十一年、六十二年、六十三年で五十一億円から百七十五億円、そして今伺うと六十三年では二百九十七億円、こんなに料金収入が伸び、金利と両方合わせますと、六十三年では三百八十一億円ももうかってしまう。こういうような状況が判断できる状況の中でなぜ五百円から六百円の値上げを認めたのか、そこのところは大臣はどういうふうに御判断をなすっていらっしゃいますか。
  119. 原田昇左右

    ○原田国務大臣 委員の御指摘でございますが、確かに収入が予想を上回ってどうも過小見積もりではないかという御指摘、残念ながらそのとおりではあったわけでございますけれども、今公団から説明がございましたように、六十一年から六十二年、六十三年、特に六十二年から三年というのは景気が大きく回復して、内需振興策が浸透して、特に首都圏におきましては建築投資とかもろもろの経済活動が非常に活発化してきたときでありまして、なかなかその事態を六十二年の九月に予想することはそう容易なことではないと思うのです。現に日本経済のこれだけの回復について、御承知のように円高不況ということが盛んに国会でも議論され、日本経済はどうなるのだということが言われたときでありますので、あながち公団だけを責めるわけにはいかないのじゃないか。我々もこんなにもすばらしくなるとは思わなかった点もあるわけで、予算でも見積もりの誤りというのは間々あることでございまして、最近では自然増収を財源にしようなんという話さえ出ているわけですから、まあまあ見積もり違いという点は、このときの経済情勢からすればあり得るかなと思います。  しかしながら、問題は、公団はもうけることがいいわけじゃありませんで、この収支差というものはすべて道路の建設及び管理費の償還に充でられるものです。したがって、今首都高は大変な建設をやっておるわけでありまして、十二号線あるいはそのほか首都高速の湾岸線などに相当の費用が投下されますし、今後の建設の見通しを考えますと、ますますそういったものに充当していくわけでございますので、ひとつその点はぜひ御理解をいただきたいと思うわけであります。
  120. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大臣自身も十分理解いただかなければならないのは、今後のいろいろな十二号線その他建設費用がかかってくる、それは当然のことです。しかし、大臣が料金の認可をするときには、これから供用開始される、前回の委員会で私が取り上げたように、まだ使ってない道路、二年先に完成する道路までの分、それから十年先までの道路改良費、こういうものも六十二年九月の値上げの際には計算に入れているわけです。お客様に売らない、入ってない品物の分まで、まだサービスをしてないその道路の部分まで入れて五百円から六百円の値上げということをやっているのですよ。ここにも問題があるということを前回申し上げた。  その上に、今度はこんなふうな大変な見込み違いをなすって、これでまいりますと大変なことになると思うのですが、ちょっと事務当局、さっき申し上げた今までの金利の経過とこれからの金利の読みをどういうふうにしていらっしゃるか、教えていただきたいと思うのです。
  121. 星忠行

    ○星参考人 その前にちょっと、さっき計算にお時間をいただきたいと申しました。先生から五十七年一月から六十二年三月までの五年間の金利の 平均とおっしゃいましたが、今これを計算いたしまして、七・〇一%でございます。
  122. 小川国彦

    ○小川(国)委員 五年間の平均じゃないですよ。一年ごとの金利を教えてくださいと言っているのですよ。五十七、八、九、六十、六十一。それから、今後の金利の見通しですよ。
  123. 星忠行

    ○星参考人 失礼いたしました。それではまた後ほど……。  先生も御指摘になりましたように、この償還計画表上では予想金利七・二五一%用いました。これは過去の長い間の調達金利を平均化した金利でございます。  それから、あるいはちょっと先走るかもしれませんけれども、こういうふうに予測が、確かに乖離があれしているのでございますが、これは非常に長期の、今までも換算起算点から三十年間ということをよく言われておりますが、今後三十年間という長期でもって収支が償うようにということでございますので、確実にかかるであろう改築の経費というものは先生もおっしゃったようにある程度見込んでございます。ただ、それは今供用しているしていないということではなくて、今後三十年間に、少なくとも近い将来ある程度かかってくるだろうという改築費は入れてございます。  それで、こういうふうに見込みが狂いましたときは、経済条件にもし大きな変動があったときは、例えば何か次に供用する機会であるとかというようなときに、もう一度償還計画表を見直して認可を申請し直すという義務が私どもに課せられてございますので、それを申し上げさせていただきます。
  124. 小川国彦

    ○小川(国)委員 皆さん方の非常に大きな問題点は収入の伸びで、先ほど申し上げましたように六十年までは実績なんです。今までの実績収入と金利、これははっきりしていることなんです。これはもう動かしようのない数字なんです。それから問題は、六十一年以降の収入の予測と金利の予測を皆さん方は立てられた。その上で五百円から六百円に上げた。ところが、この六十一年からの数字は、既に収入予測もこういう状況の中でどんどん料金収入が上向きでふえてきている、それから金利はずっと下がってきている。おっしゃるように七・二五%の金利がもう五%台に今金利がなっている、そういう現況が将来予測の出発点なんですよね。七%というのは今までの実績なんだから、実績で計算されてきたのはもうわかっているわけです。六十一年以降の予測を皆さんは立てて料金値上げをやった。ところが、六十一年の出発点から、収入は、今申し上げ、さっきから御回答あるように、六十一年で五十一億も予想より上回り、六十二年で百七十五億も上回り、六十三年で二百九十七億も上回り、六十四年でまた大幅な上回りになるでしょう。皆さんが事業費の水増しでもしなければそうなってくる。それから金利も、六十一年で五十二億も減って、六十二年で六十二億も減って、六十三年で九十一億も減る。収入は予想よりもぐんとふえて、金利は予想よりもずっと低くて、こんな開きが出ている。総額で、六十一年で百三億でしょう、六十二年で二百三十七億、六十三年で三百八十一億も、こんな計算の読み違いがあって、そういう虚構の計算の方式の上に五百円から六百円に値上げされたんでは、これは国民は納得しないと思うんですよ。これから先、どんなに格差が開いて狂っていくのか、そういうことにならざるを得ないと思うんですよ。  ですから、大臣が、経済がよくなったからよくなったから。確かによくなっている。六十一年からよくなったと大臣言われた。その六十一年を出発点として今後の見通し、計画を立てている。そのときに六十一年、六十二年、六十三年、こういう好況が予想されて、収入も伸びる、金利も下がっていく、そういう状況がわかっている時点に、なぜこういう、収入は過小に見積もり、経費は過大に見積もり、六百円の値上げをしたかというんですよ。これだけの値上げ額を抑えるならば、私は六百円を五百円にただいま戻すことができるんじゃないか、こういうふうに考えるのですよ。この点いかがですか。
  125. 原田昇左右

    ○原田国務大臣 お説ごもっともの点もあるわけでございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、金利の見積もり一つ例にいたしましても、だんだんこう下がっているとき、下がった傾向だけでやっていいものかどうかというのは大変問題があるわけでございます。  例えば、予算を例にとりましても、為替レートの計算は、二、三年前ずっと為替が、どんどん日本が円が高くなっておる過程であるにもかかわらず、過去の平均をとって、一定期間の平均をとって算出するということになっておりまして、我々は、もっと下がるのにこんなもどかしい、こう思っておったこともあるわけでございますが、そういうことでやるということ。たまたま金利が下がるときは少しそういう余剰が出てくるわけでございますが、最近においては公定歩合引き上げもあったことでございますので、いつまでもずっと下がる傾向にあるかどうかということは何人も予測困難でございますので、今までのような慣例の計算基準でやらしていただく以外ないのではないかと思います。ただ、収入が非常に予想より順調にいっておるということは事実でありますし、また大変喜ばしいことでございますが、一方において、この傾向がどんどん続くかどうかということは、もう少し情勢を見きわめまして、適切な対処をさしていただきたいと思っております。
  126. 小川国彦

    ○小川(国)委員 参考にちょっと、国土庁長官と官房長官もお見えになっていますので、今の高速道路のあの大変な渋滞と、それから今の料金制、またこういう実態についてどういう所感を持っているのですか。簡単なコメントでいいですからちょっと……。
  127. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 先生、大変専門的に御研究なさっていただいているようでございますし、私から特別申し上げることもないように思いますが、現在の首都高速道路の料金の額は、道路整備特別措置法というのに基づきまして、御存じのとおりの償還主義と公正妥当主義という二つの原則によって決定されているわけでございます。これからも交通渋滞の解消とか高速道路網のネットワークの拡充というようなことを考えてまいりますと、この原則によって決定されている現在の料金は妥当なものではないかというふうに考える次第でございます。
  128. 石井一

    ○石井国務大臣 大変決算委員会らしい御議論だと思って拝聴いたしておりました。利用者の立場からすれば六百円より五百円の方がよろしい。ただ、ここに道路整備特別措置法第七条の四及び十一条を拝見いたしておりますと、結局ここの「道路の新設、改築その他の管理に要する費用で政令で定めるものを償うものであり、かつ、公正妥当なもの」、こうなっております。今後どのような将来計画があるのか、これだけの交通の渋滞をどう首都高が解決しようとしておるのか。余剰の収益があった場合にそれを将来的に有効に活用するのであればこれを認めるということも大いに妥当でありましょうし、今後、委員指摘の収支の格差がさらに大きく広がって蓄積がさらにたまっていくというのであれば、当然方針を変えるというのも公正妥当ということになるだろうと思います。いましばらく決算委員の立場で見守っていただくというのが妥当ではないかと思います。
  129. 小川国彦

    ○小川(国)委員 各大臣の御認識、まあ私は前回の委員会で質問した議事録もお読みになっていただきたいと思うのですが、非常に法令的にも根拠のない、二年先までの道路、十年先までの改良費、こういうものを今の料金に加えるということはこれも不当であるということを前回指摘した、そういうものを除く。それから今回、今指摘しましたように、こんな収入の下回った見積もり、金利の高い見積もり、これが実際低くなっている。こういうのは、六十一年から六十三年の予測違いというのは一時的なものじゃなくて恒常的かつ構造的なものだ、私はこういうふうに考えている。だから、もっと厳しく言うならば、この償還計画表の作成は料金値上げのための作為的な予測表であった、私はこういうふうに断定せざるを得ない。しかもこれは、この予測違いというのは公団の努力 と関係のないところで起こってきたわけで、それからさらに、今まで私どもが指摘したむだ遣い。例えば警視庁からあるいは消防庁からあるいは業者から、無料券の業者関係に出した百二十万枚、警視庁関係に出した七十万枚その他、こういうのをちょっとやめただけでも十億くらいの——警視庁で例えば七十万枚の無料券を発行していた。六百円で計算すると、この間タクシーの運転手さんが、ああ四億二千万ですね、そんなただ券が出ていたんですか、こういう指摘が民間の人からも出るくらい、そういうようなむだ遣いも直していくと、この五百円から六百円に値上げしたのは極めて不当であって、これは六百円から五百円に下げられる、今現在のこの三カ年の実績が下げられる、私はこういうふうに判断しております。  したがって私は、公団総裁に改めて六百円を五百円に下げる、このくらいの現状認識の上から改めて両大臣に値下げの申請を出すべきだ、こういうふうに考えますが、理事長から御答弁をいただきたい。
  130. 淺井新一郎

    ○淺井参考人 お答えいたします。  先ほど来、先生から料金決定並びに実績との乖離についていろいろと数字で御指摘があったわけでございますが、私ども料金を見直す際には、御承知のように三十年の極めて長期の期間を見越すわけでございまして、これはもちろん換算起算日から三十年ということでございますが、この間の金利の動向、物価の変化、それからもちろん交通量の増加の様子、これを三十年にわたって見越して初めて料金が一応決まるわけでございます。この推計というものは先生御承知のように非常に難しい至難のわざでございまして、いろいろな考え方に基づいて一つの方式で計算を出しておるわけでございます。  この料金を決めるについていろいろ手法があるわけでございますが、これは、例えばさきに六百円に上げたのは、川口線、江戸川線の二十八キロばかりの新規供用に伴って新たに四千六百億がらみの新規償還対象額が加わったということで、これに見合う形で、じゃ幾らの料金を上げたらいいかということを計算したわけでございます。それは今申したように三十年を見越してやったわけでございまして、先ほど先生の言われました六十二年あるいは六十三年度の乖離、確かに若干ここのところは、景気の動向やいろいろな要素を考えますと交通量がふえていることがありまして、現時点ではここ一、二年の数字は非常によく展開しておるということで、私どもとしては採算的には喜ばしい、経営側としては喜ばしいと考えているわけでございますが、それが必ずしも、三十年を見越したうちのスタートのところの一、二年のことでございまして、その間の全体を推計するための数字としてはまことに心もとないところがあるわけでございます。いわば三十分の一の実績で三十年のことを見越すということにもなるわけでございまして、先ほど来のいろいろな数字の中で六十三年度あたり約二百億がらみのいわゆる黒といいますか、採算的にはプラスになった面があるわけでございますが、この二百億は先ほどの四千六百億の新たな償還と比べますと、この償還額のうちの二百億というふうに考えますと、この二百億を例えば償還額からカットしてみても、恐らくそれの影響というのはせいぜい料金にして五円とか十円とかいう数字だと思います、四千何百億の二百億でございますから。これは非常に大ざっぱな計算で恐縮でございますが、そういうようなことでございまして、五百円を六百円にするかわりに五百九十五円にするか九十円にするか、そのぐらいのオーダーの話でございまして、六百円をそういうことで見直してもとの数字に戻すというような形のものでは決してございません。  それから、いろいろとこれからやるべき仕事がたくさんあります。先ほど対象路線についても、一応一千億がらみのいろいろな改築費等も見込んでおりますが、これから交通管制とかいうようなことを考えますと、どうしてもそういうような見込みを十分つけておいて、経営としては幾らか安全側に考えなければならない。  それから、黒が少し出ましても、これは償還準備金ということで全部積み立てていくということでございますから、料金収入というものはお客さんから一時お預かりした金でございまして、これから必要経費を引けば残りは全部機械的に償還に回るわけでございます。その間の黒というのがあれば、これから後にいずれ新線の追加でもあればその時点で見直して、それまでの金利の実績あるいは物価の動向等も全部読み込んで新たに料金が決定されるわけでございますので、その時点で軌道修正されるわけでございます。そういうように一応少し長いスパンで見ていかないと経営としては誤っていくのではないかということで、今後ともひとつそういう趣旨で、私どもも十分料金の推移についてはそういう姿勢でやっていきたいと思いますので、いろいろ御叱正をいただきたいと思います。  また、渋滞問題についても、私どもは今公団全力を挙げて抜本策並びに緊急対策等に取り組んでおります。サービス改善にもいろいろ努めておりますので、今後ともよろしく御指導いただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  131. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大変時間が延びまして御迷惑をかけて恐縮でございます。ただ、最後に一点だけ申し上げておきますと、料金の改定をして六十一、六十二、六十三と、六十一年を起点として今後の判断をしたにもかかわらず、既にその起点から三年間でこんな大きな狂いが生じている、こういうようなことの料金値上げは大変な問題である。それから、今おっしゃったように、たとえ金額は幾らであっても法令違反の先取りをしたものまで含めているということも問題である。それから、むだ遣いにもまたさらに今後大きな問題点がある。こういう点を十分御反省いただいて、これは大臣初め関係当局がこの五百円から六百円に値上げした点を私はもう一度再検討願って、国民の適正な料金の期待にこたえられるように要望申し上げ、それから、先ほど御答弁いただかなかった点はひとつ委員長において、金利の経過、それからその他のシミュレーションのデータ、そういうものはひとつ資料でお出しくださるようにお願いしたいと思います。  終わります。
  132. 魚住汎英

    ○魚住委員長代理 草川昭三君。
  133. 草川昭三

    ○草川委員 公明党・国民会議の草川であります。  まず、官房長官にお伺いをいたします。  政府専用機の導入について、現状どうなっているのかということ、あるいは対策等をお伺いをします。  私どもが承知をしておる限りでは、九一年の九月末までに納入をされる、こういうように聞いておるわけでありますが、いずれにしましても管理運用ということが現実の問題になってきておるわけであります。どこの省庁に実際的に任せるのか、あるいはまた来年度予算整備士あるいは通信士等の事前準備のためのさまざまな動きが始まると思うのでありますが、現状どうなっているか、お伺いをします。
  134. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 政府専用機の管理運用の問題でございますが、現時点では総理府が行うことを考えているわけですが、具体的な管理運用のあり方については、今後関係省庁とさらに話し合いを詰めていきたいと思っております。  それから、いずれにいたしましても運航要員の養成については輸送機等の運用経験を有している防衛庁の協力を得る必要があり、このため自衛隊員に必要な資格を得るための研修を受講させることが必要でありますので、そのために自衛隊員につきまして総理府技官に兼任発令を行ったところでございます。  以上でございます。
  135. 草川昭三

    ○草川委員 いずれにしても、こういう席上でありますからその中身がどうのこうのということよりも、防衛庁、いわゆる自衛隊法を改正するという話がそろそろ出てきておるのではないか、こう思います。今の答弁を引き受けてお聞きをするわけでありますけれども、海部総理のたしか本会議 での答弁だと思いますが、邦人保護というような文言も入っているやに聞いておるわけでありますが、海外での邦人救出等について制約なしで臨むのか、そのあたりについて忌憚のない意見を長官からお伺いしたい、こう思います。
  136. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 政府専用機の使用目的でございますが、これもはっきり確定したわけではございませんが、私ども政府専用機の使用目的として考えていることは、総理大臣の輸送、それから今先生おっしゃいました緊急時における在外邦人の救出など、あるいは海外の災害地域に対する救援物資の緊急輸送とか、そういったようなことを検討しているわけでございます。これにつきましても、総理府が将来とも管理運用していくということになりますと制度改正を必要としないわけですが、今後の関係省庁との話し合いの結果におきましては、いろいろな問題が出てこようかと思っております。
  137. 草川昭三

    ○草川委員 だから総理府の答弁はいいのです。長官は時間があれでございますから。  いずれにしても、飛行機を買う、九一年に納入されるわけでありますけれども、買ったけれども動けないというような体制になるとこれは大変なことになりますね、一方では。だからそれなりの対応というのは立てられていると思うのです。もう今はプランニングから概算要求、少なくとも来年の上半期にはある程度のものが明らかにならなければ、九一年の納入、直ちにそれが稼働するということにならないわけでありますが、自衛隊法の改正ということも考えられておられるのかどうか、関係省庁を取りまとめてみえるわけでありますから、長官の意見を聞きたい、こう思います。
  138. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 ただいま会計課長から御説明申し上げましたようなことで、各省庁と今相談中でございます。現在のところ総理府が所管しておりますので、これがもしそのまま今後も続くとすれば特に法律の改正は必要ないかと存じますが、そのために現在自衛隊の数名を総理府の技官として兼任発令を既にしておりまして、勉強していただいているところでございます。  いずれにいたしましても、これから各省庁と鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。
  139. 草川昭三

    ○草川委員 これ以上の御答弁はないようでありますから、次に移ります。  これも官房長官にお伺いしますが、実は十月四日、公明党の石田委員長の代表質問があったわけでありますが、その最後のところで在日韓国人の法的地位についての質問があるわけであります。その地位についての答弁が海部総理からなされているわけでありますが、そこで、我が国は、在日韓国人の法的地位を初め社会生活の各般における待遇の安定については、歴史的な経験及び日韓友好条約を踏まえて、という答弁があるわけであります。この「歴史的な経験」という言葉を私聞いたときに、これは歴史的な経緯の間違いではないだろうかと率直に思ったわけであります。  そこで翌日の各新聞の総理答弁の要約を見ておりますと、異口同音に歴史的な経緯と書いてあるわけであります。これは多分、事前の予告原稿で書かれたと思うので、私どもも改めてこの答弁の原稿がどうであろうかということを問いただしましたところ、原稿は明らかに経緯という言葉になっておるわけであります。私は、読み違えがあれば、当然政府の方から訂正の申し出があるわけでありますが、今回の場合はなかったわけですね。ですから、これは明らかに原稿は歴史的な経緯であったが、読み違えで経験となったのかどうか、まずお尋ねをしたいと思います。
  140. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 確かに原稿は歴史的経緯となっておりまして、私どもはその原稿を読みながら聞いておりましたものですから、読み間違えられたことに私自身は気がつきませんでございまして、もしそうでございましたら、本当は歴史的経緯というふうに言うべきでございました。
  141. 草川昭三

    ○草川委員 だから、歴史的な経緯と経験という言葉は、簡単なようでございますが、私はこれは総理の対韓政策の姿勢にもいくと思うのです。私ども日韓友好議員連盟の中でもよく、歴史的な経緯という言葉の中には我が国の反省ということが含まれた意味で経緯ということを使ったつもりであります。しかし、経験という言葉はそれに対して非常にそぐわない、日韓友好ということを前提にすると非常に軽い表現になる。非常に遺憾であり、それは本来は直ちに訂正されるべきことではないだろうか、こう思うのですが、今の御答弁では気がつかなかったという、これは大変重要な問題だと思うのですが、どうでしょう。
  142. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 気がつきませんでございましたが、もしそのように発言されたとすれば大変申しわけなかったことでございますので、ただいまからでも訂正させていただきたいと存じます。
  143. 草川昭三

    ○草川委員 ぜひ訂正の手続をとっていただきたいわけですが、私がここでちょっと申し上げたいのは、官房長官に新しくなられまして国民からは大変注目をされている立場であると思うのです。それで、海部総理と森山長官との間がもっと本来の内閣の番頭役であるならば今のような言葉はなかったのではないかと私は思うわけであります。ちなみに、これは私の非常に率直な意見でございますが、新聞の第二面に各紙とも総理動向というのがありますね。総理の一日の日程がずっとあるわけでありまして、私もあれを大変興味深く拝見しておるわけでありますが、去年の十月一カ月とことしの十月の一カ月間の総理と官房長官の会見した回数というのを私は比較をしてみたわけであります。これは新聞からのあれでございますから本当にどうかということもありますが、まずどの新聞も同じでございますから。  去年の十月、竹下総理と小渕官房長官との間では一カ月の間に二十五回、総理と会見の中に名前が出てくるわけでありまして、そのうち一日二回が四日間あるわけであります。ところが海部さんと森山長官との間では十月一カ月だけでございますが十三回ですね。一日について一回、こういうことでございます。私はそのあたりに本当の意思疎通があるのではないだろうか。新しく張り切っておみえになります官房長官を、少し何か嫌な言い方をして大変恐縮でございますが、やはりこれは国のかなめでございますから、しかも私が今対韓政策の問題を持ち出したのも、これは非常に重要なことでございますので、そのあたりに問題があるのではないだろうか、こう思うわけであります。その点についてどのようなお考えか、お伺いしたいと思います。
  144. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 私の不注意はまことに申しわけなく、反省いたしましてこれからはそういうことがないように努力いたします。
  145. 草川昭三

    ○草川委員 では、次に移ります。  公正取引委員会の方はお見えになっていますね。——まず、最近貿易摩擦の中で構造問題という言葉が米側の方から指摘をされてきております。これはいろいろな問題が出ておるわけでございますが、流通制度あるいは価格メカニズムあるいは排他的取引慣行、こういう点が指摘をされているわけでございますけれども、これに対する公正取引委員会の態度というのはどのようですか、お伺いをします。
  146. 土原陽美

    ○土原政府委員 公正取引委員会といたしましては、従来から我が国の市場における公正かつ自由な競争を促進することによりまして、外国企業の市場アクセスを改善し、一般消費者の利益を確保することが何よりも重要だと考えているところでございます。かかる観点に立ちまして、これまでも独禁法の厳正な運用を初めとしまして流通制度とかあるいは企業の取引慣行等について随時適切な施策を講じてきたつもりでございます。  今般の日米構造協議におきまして御指摘のような事項が取り上げられているわけでございますけれども、これにつきましては、我が国の法運用とか考え方あるいはアメリカ側の理解が必ずしも十分でないというような点などにつきまして十分説明しますとともに、今後とも競争政策の推進に努力をしていかなければならないと考えている次第でございます。
  147. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、たまたま最近公正取引委員会の関心を持つ事件というのが相当出てきておる わけであります。その中の一つに、米軍の発注工事の談合事件というものに対してアメリカ側から賠償の要求というのでしょうか催告書が来ておるわけでありまして、大手の企業に出てきておりますが、この米軍発注工事の談合事件の概要をごく簡単に公取の方にお伺いしたい、こう思います。
  148. 植木邦之

    ○植木政府委員 お答えいたします。  この事件は、米軍の横須賀基地の米軍海軍極東建設本部が発注する工事を受注している日本の建設業者が、米軍工事安全技術研究会というのを昭和五十九年三月に設立いたしまして、その後その業者が、米軍の発注物件についてだれが受注するかということを話し合っていたという事件でございます。  公正取引委員会は、この事件につきまして審査を行いまして、昭和六十三年の十二月に、研究会の会員で受注していた会社七十社に対しまして総額で二億八千九百八十万円の課徴金の納付を命じているわけであります。
  149. 草川昭三

    ○草川委員 今のことを受けてアメリカの司法省が、今申し上げましたように日本の大手建設業十五社に対して百五十億の損害賠償を要求しているということが言われておるわけであります。しかも、司法省の催告書には、日本側が話し合いに応じない場合には米国国内法に基づき裁判を起こすという言い方をしてきておるわけでありますが、建設大臣、この件についてどのようなお考えか、お伺いします。
  150. 原田昇左右

    ○原田国務大臣 米側によります今回の措置は、私は、何と申しますか民事上の案件だと了解しておりまして、当然のことながら当事者間において解決さるべきものであろう、こういうように思いますので、建設大臣としてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  151. 草川昭三

    ○草川委員 民間、民間マターだ、こういう答弁でありますが、少なくともアメリカ側は司法省という正規の役所が介入をしておるわけでありますけれども、そういう意味からいえば当然政府としての対応が必要だと私は思うのです。民間と民間だから話し合えばいいじゃないですかというのはいささか無責任ではないだろうかと思うのですが、どうですか。
  152. 原田昇左右

    ○原田国務大臣 せっかくのお話でございますが、私は民間と民間、と申しておるわけじゃありませんで、民事上の、民事訴訟の案件ではないか、そう申しておる。したがって、当事者間で解決を図るべきものであろう、こういうように思うのであります。
  153. 草川昭三

    ○草川委員 もちろん、民事上ということは民間と民間ということなんですね。だけれども、少なくとも日本の国の政府というものが介在をする工事でもあるわけです。そしてまた、建設省としても、監督すべき業者、こういうのが介在をしておるわけでありますから、政府としてのコメントは差し控えるというのはおかしいのではないでしょうか、こう聞いておるわけです。
  154. 原田昇左右

    ○原田国務大臣 本件については先ほどお答えしたとおりでございまして、何ら私の方からつけ加えることはございません。
  155. 草川昭三

    ○草川委員 では、これは後のコンピューターの問題と関連して、官房長官も同様なことなのか。いわゆる、これから日米の間で非常に重要な経済交渉が始まるわけであります。これは次官級会議もございますし、構造的な問題ということで行われます。また、太平洋州をにらんでのブロック経済圏の国際会議が開かれるわけです。日本の国内でもその会議が開かれる。こういう会議を目の前にして、今の建設大臣の答弁はいささか国際的な配慮がない、こういう答弁だと思います。  そこで、これはまた公取に戻りますけれども、最近大手のコンピューター業界において、地方自治体発注のコンピューターについての入札が非常に問題になっております。これは広島市を初め長野県の県立図書館でございますか、そのほか二、三、新聞に連日のように出てきておるわけでございますが、この入札で一円の落札があったという、もう我々には信じられない話があるわけであります。これも総事業費が一体幾らなのかわかりませんけれども、例えば和歌山県等では総事業費五億二千五百万円だと聞いておりますが、そういう事業費に対して一円とか十万円だとかこういうような入札で落札をしている。しかも、同額の場合には大手の業者同士があみだくじを引いて受注を決定しているという信じられないことがあるわけであります。この点について、まず公正取引委員会にお伺いをいたしますけれども、このような入札は独禁法上問題があると思うのですが、ひとつお答えを願いたいと思います。
  156. 土原陽美

    ○土原政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、最近新聞で広島市を初めとして一円入札等の報道がされているわけでございます。一円というのは、これは価格と言えるかどうかという問題もございますが、なぜそういった極端に低い価格での入札が行われたのかといったことなど、事案の、入札の事実関係を調査する必要があると考えておりまして、関係者から事情を聴取することとしております。したがいまして、まだその辺の事実関係を詳しく把握しておりませんので、独禁法上どのような問題があるかまだ申し上げる段階でございませんので、お答えを控えさせていただきたいと思います。
  157. 草川昭三

    ○草川委員 公正取引委員会が調査をして結論を決めるのは、それはどうぞ慎重にやっていただきたいと思いますが、我々庶民はワープロ一台買うにも十万円前後の金を出して買っているのですよ。しかし、地方自治体が買おうとする何百億のコンピューターが一円だとか十万円か知りませんが、いずれにしたってそれは社会的な常識からいったって通るわけないでしょう。そういうことを今我々は国民の代表としてここで聞いておるわけですから、私が聞いているのは最終結論でなくてもいいのですが、独禁法上問題があるかないかと聞いているわけだから、あるから調べられるのでしょう、なければ調べるわけないのだから。そこはもう少し踏み込んだ答弁をしていただきたいと思います。
  158. 土原陽美

    ○土原政府委員 独禁法上の判断をするにはなかなか難しい点があろうかと思うわけで、その辺はよく調べたいと思うのでございますけれども、仮に問題があるとしますと、考えられますのは不当廉売あるいは不当な利益による顧客誘引でございます。いずれの場合も、安いからすぐ独占禁止法上問題があるということではなくて、そういう行為によって競争者あるいは市場に大きな影響を与えるということが必要かと思います。その辺十分調査をしたいと考えております。
  159. 草川昭三

    ○草川委員 だから、いずれにしても調査を今しておみえになるわけですから、そういう疑いを持って調査をしておみえになるのでしょう。そこだけはっきり言ってください。
  160. 土原陽美

    ○土原政府委員 疑いと言っていいかどうかわかりませんけれども、今話しましたように、仮に問題があるとすれば今言ったような条項でございますので、そういうものに該当するかしないかということを検討したいと思っております。
  161. 草川昭三

    ○草川委員 ぜひ、こういう社会通念上極めて非常識、また商道徳に著しく反するような問題については公正取引委員会の姿勢をきちっと示していただいて、庶民の納得のいくようにしていただきたい、こう思います。  そこで、官房長官にもひとつお尋ねをしたいわけであります。  コンピューター問題というのは単に国内の需給関係ではなくて、リクルート問題にさかのぼったときにもこの問題は随分議題になったわけであります。アメリカ側から日本の企業の各大学における納入価格のダンピングがひど過ぎる、ひとつ公正な取引をやってもらいたいし、アメリカ側も参加をさせてもらいたいという非常に強い要望があったわけであります。とにかく市場を確保すれば後はもう引き続きメンテナンスというのですか、そういう段階での営業はできるわけでありますから先取りをするわけですよね。アメリカ側からはそういうことは構造的にも非常に問題があるという指摘があるわけであります。だから、この一円問題あるいはまた同額受注、一社だけじゃな いのですね、同額の受注を一円ずつする、そういう大手があみだくじで受注を決定する、これは国民生活の立場からいっても許すわけにはいかぬですよ。今申し上げたように我々乏しい庶民が、子供が十万円前後の金をためてワープロを買うのですよ。そして、少しでも安いものをというので秋葉原へも行ったりいろいろなことをするわけですよ。そういう人間から考えたら、これは極めて不愉快千万の極たるものがある。しかもこれは対外的に、アメリカばかりではなくてヨーロッパの側からも問題提起があると思うのです。そういう点についてひとつ官房長官の見解を求めていきたいと思います。
  162. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 御指摘のコンピューターの一円入札問題でございますが、このような事例は企業の社会的な、また国際的な信用を、そして健全な競争秩序を損なうというふうに思われる次第でございまして、政府といたしましても大きな関心を持っております。  通産省におきまして、一円で入札した企業の首脳を呼びまして、社内の販売管理に関する考え方、規程類などを再点検して、同様の事例が再発することがないように、周知徹底を図るとともに、そのほかの主要コンピューターメーカーに対しまして同様の徹底を図ったと承知しております。  また、公正取引委員会においても、公正な競争秩序の確保の観点から関係者から事情を聴取するというふうに聞いておりますので、この件につきましてはそのような方向で解決されるように期待しているところでございますが、仰せのとおり現在国際的にも個別の問題とは離れて日本の商慣習あるいは談合その他について問題にされているわけでございまして、具体的にはアメリカとの間での構造協議というのが始まっているわけでございます。その一つのテーマとしてお互いに話し合って理解を深め解決をしていきたい、そのように考えております。
  163. 草川昭三

    ○草川委員 先ほどから申し上げておりますように、基地工事の談合について民事上の問題だからというのが建設省の態度であったわけですが、いずれにいたしましてもこれは政府間の話し合いになるのか、あるいは全く水面下で話し合いが行われて政府間ベースに浮き上がってこないのか、今そういう状況ではなかろうかと私は思うのですが、政府としてこの大手の基地工事の談合問題についてどのような御関心を持ってみえるかお伺いしたい、こう思います。
  164. 原田昇左右

    ○原田国務大臣 談合問題については断じてやってはならないことでありますし、独禁法違反については厳正に処分するということで我々としては対処をいたしておるわけであります。  そして今の件で、先ほどのお尋ねは損害賠償請求についての争いということでありましたので、それについては民事上の訴訟であるから当事者間で解決を図る以外ないであろう、こういうように申し上げた次第でございますので、どうぞ誤解のないように。  そしてまた、今官房長官から御答弁ありましたように、国際的な評価から見ましても談合はあってはならないことでありますし、そういうように業界を指導しておるところでございます。
  165. 草川昭三

    ○草川委員 ぜひその談合問題等については、米側からも非常に問題提起があるわけでありますので、私どもも建設業の実態はわからないわけではありませんけれども、もうそろそろそういう事態がいつまでも続けられるものではない、事態が変わってきた、こういう認識で業界の指導をしていただきたいと思います。  続いて、公取にあと五分間だけ質問をしますが、先日、公取の政府規制等と競争政策に関する研究会というのがあったわけでございますが、この報告が公表されますと早速運輸大臣からもかなり強い反論が出ているわけであります。これも現在構造上の問題でございますが、政府規制というのが緩和を強く求められている。こういう中で、公正取引委員会は、この研究会の報告を踏まえ、今後どのような取り組みをされていくのか、公取の決意を明確に述べていただきたい、こう思います。
  166. 柴田章平

    ○柴田(章)政府委員 今先生からお話がございました「競争政策の観点からの政府規制の見直し」というリポートを政府規制等と競争政策に関する研究会に今般おまとめをいただいたわけでございます。この研究会につきましては、昨年七月以来十三回にわたって会合を重ねていただいて、その結果をおまとめいただいたものでございます。  この報告書でございますけれども、研究会の見解ではございますが、私どもといたしましてはこの研究会の報告書を尊重して今後の競争政策の運営にぜひ反映させていきたいというふうに考えているわけでございます。  ただ、政府規制の問題は、先刻御承知のとおり各主管官庁がそれぞれ行っているわけでございます。規制の緩和の実施公正取引委員会がみずから行えるものではございませんので、各主管官庁の責任において行っていただくものでございます。したがいまして、私どもとしては、この報告書を公表いたしますと同時に関係省庁にもお送りをいたしておりまして、これから各省庁における政府規制の実施、政府規制のあり方の検討あるいは規制緩和の実施の参考にしていただきたいということで考えているわけでございます。  私どもといたしましても、この問題あるいは改善の方向につきまして、今後、法令調整あるいは行政調整の場を通じるなどして、競争政策の観点から規制緩和について主管官庁に対しまして積極的に働きかけを行っていきたい、こういうように考えている次第でございます。
  167. 魚住汎英

    ○魚住委員長代理 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十九分休憩      ────◇─────     午後一時三十二分開議
  168. 中村靖

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。草川昭三君。
  169. 草川昭三

    ○草川委員 午前中、公取の質問が一つ残っておりましたのでお伺いをします。  経済企画庁の方で内外物価の価格差について物価レポートが報告をされているわけです。公正取引委員会でも内外の価格差問題について調査に着手をしている、こういうように聞いておるわけでありますが、その調査のねらいは那辺にあるのか、お伺いをしたいと思います。
  170. 土原陽美

    ○土原政府委員 御指摘のように、物価レポート等で内外価格差の存在が指摘されておるわけでございます。その価格差の要因としまして、政府規制があるとか土地の値段が高いとかあるいは日本の流通機構に問題があるのじゃないかとか、いろいろなことが指摘されているわけでございます。これらのうち、特に我が国の流通構造あるいは取引慣行といったものが内外価格差にどのような影響を与えるかについては必ずしも明らかになっていない状況でございます。  そこで、公正取引委員会といたしましては、消費財の中で内外価格差が大きいと言われている品目を中心にしまして九品目を選びまして、それらの品目における価格形成の実態、とりわけ我が国の流通構造とか取引慣行が内外価格差を発生させる要因になっているかどうかといった点につきまして、諸外国の実態との比較を含めて調査をやっているところでございます。この調査を通じまして競争政策上の問題の有無を明らかにしたいと考えておる次第でございます。
  171. 草川昭三

    ○草川委員 競争政策上の問題として、九品目、具体的に明らかにしていただければ幸いだと思います。
  172. 土原陽美

    ○土原政府委員 具体的な調査品目といたしまして、できるだけいろいろな品目を選ぼうということと、それから先ほど言いましたように内外価格差が大きいと言われているような品目、また一部は逆に価格差が少ないのじゃないかというような品目というようなことで選んだわけでございますが、具体的に申し上げますと、インスタントコーヒー、スパゲッティ、紳士用コート、バッグ、洋食器、カメラ、ゴルフボール、乗用車、電気かみそりでございます。
  173. 草川昭三

    ○草川委員 ぜひ公取の方でも、正しい競争が行われ、内外の価格差がその結果によって縮まるように努力を願いたいと思います。  では、以上で公取の話は終わりたいと思います。  続いて、今物価レポートの中にも指摘をされておるわけでありますし、公取の今の答弁の中にも土地の問題という話が出ました。この土地の高さによってさまざまな物価にも影響し国民生活にも影響するわけでありますけれども、いろいろとこの土地問題はまた特別委員会があり、そこでの議論にもなりますが、土地の取得に対する金融機関の融資の問題について、少し関係省庁意見を聞きながら対応を進めていきたいと思います。  過日、日本銀行の総裁が地価の上昇と金融機関などの不動産関連融資に触れられて、こういう言い方をしてみえますね。かりそめにも融資活動によってインフレ心理を起こし国民生活の不安定化をもたらしてはならない、こう言われまして、成り行きによっては銀行の具体的な融資条件の点検に乗り出す意向だと報道は伝えているわけであります。  続いて大蔵省も通産省も地価の監視体制強化を打ち出しているわけでございますが、今回のこの融資の態度の一つの特徴というのがあると思うのですが、まず大蔵省から、どのような通達を出されたか、お聞きしたいと思います。
  174. 小山嘉昭

    ○小山説明員 今回、十月二十七日でございますけれども、大蔵省では、土地関連融資につきまして六項目にわたりまして対策を講じたところでございます。六項目、言ってみれば大蔵省の行政の中で、金融機関の土地関連融資に対する行政的な取っかかりを総動員いたす、こういう状況でございます。これは国土庁長官から非常に強い御要請を受けまして内部で検討した結果のものでございます。  六項目を申し上げます。まず第一に、通達の発出ということでございまして、国土庁からの要請を受けまして、土地関連融資について通達を発出いたし、投機的な土地取引等に係る融資を厳に排除する、これが従来の通達の趣旨でございますが、それをさらに徹底してもらいたい。また、いわゆるノンバンク、ニアバンクとかいろいろな名前で呼ばれておりますけれども、金融機関でありませんけれども貸金業者というものが存在するわけでございます。この貸金業者一般に対します金融機関の融資、つまりノンバンクの資金源というのはかなりの部分が金融機関から融資を受けておるわけでございます。このノンバンクに対する金融機関の融資についても、その資金が投機的な土地取引等に利用されることのないように、資金使途について十分審査を行うように指導いたしたい、これが第一点でございます。  二番目は、特別ヒアリングというものでございますけれども、金融機関の土地関連融資につきましては、六十二年七月以降特別ヒアリングを行っておりまして、本年二月以降は、融資の伸びの比較的高い金融機関を対象とした重点的特別ヒアリング、つまり特別ヒアリングで大体金融機関の土地融資の実情がわかってまいりましたので、その中で特に盛んに土地に貸しておる金融機関がおるわけでございまして、それに重点を絞るという形で重点的特別ヒアリングを実施いたしまして、指導の一層の徹底を図ってきたところでございます。  今回、さらに指導の趣旨を徹底させるために、従来の特別ヒアリングの対象案件に加えまして特に次のような融資案件に重点を置いた特別ヒアリングを実施いたしたいと存じます。  その第一は、最近地価高騰が著しく高い地域における土地融資案件、これを絞り込む。これは、国土庁から今般例えば監視区域の拡大とかあるいは届け出面積の引き下げ等について強力な指導が行われるというふうに伺っておりますので、そうしますと案件がふえてまいります。そういう案件についてずっと追いかけていくというようなことでございます。  それからもう一つ、特別ヒアリングの中身といたしまして、金融機関に子会社として貸金業者がおるわけでございます。これもノンバンクでありますが、銀行系ノンバンク、こう称しておるのですが、この銀行系ノンバンク、これが一体土地融資でどういうことをやっているのかというものを金融機関を経由して詳しく聞く、これが今回の特別ヒアリングの具体的な重点でございます。  六点、項目があると申し上げましたけれども、三点目は、金融機関のノンバンクに対します融資の実態を把握するために、事務連絡を出しまして、四半期ベースで計数を把握してまいりたいということでございます。今まで、このノンバンクにつきましては根拠となる法律がはっきりしない、各省間で一体どこが責任を持つかはっきりしないという点もございますけれども、そういう事情もありまして計数の把握が十分でございませんでした。それについては今後報告を計数的に徴求していく、これが第三点でございます。  第四点は、そのノンバンクに対しましての融資の実態を、金融機関から個別の貸金業者への融資ごとに、資金使途の確認状況、事業計画の確認状況等にまで踏み込んだヒアリングを行いまして、不適正な融資があれば厳しく指導していくというふうに考えております。つまり、三番目の項目と四番目の項目の違いは、三番目は計数を把握する、四番目は、金融機関がノンバンクに対して融資をしております、その融資というのは結局いろいろな形でさらに融資されるわけでございますが、その資金使途の確認をいたしたい、それからその事業計画、こういうものを確認してまいりたい、こういうことでございます。  それから第五番目であります。これは大蔵省におきまして金融機関に対して定期的に金融検査、これはあらゆる金融機関の活動について検査を定期的にいたしておるわけでございますけれども、この金融検査におきましても、通達の趣旨を踏まえまして、金融機関から不動産業者等への直接的融資に加え、金融機関のノンバンク融資について上記のヒアリングと同様の観点から実態把握を行いまして、不適正な融資があれば厳しく指導していくということで、金融検査というものも活用してまいりたい、こういうことでございます。  最後でありますが、六番目の項目といたましては、以上はいずれも金融機関を経由した形なのであります。そこで、ノンバンク自身がこれは動いてもらわないといかぬわけでありまして、ノンバンクの不動産融資につきまして、これは六十二年十月に、ノンバンクの各業界団体がございますが、これに対して自主的な規制が行われているわけでありますが、今般、土地高騰の地方への伝播という現在の事態にかんがみまして、通達、事務連絡の発出等のいろいろな措置の実施を機にいたしまして、銀行局長名で文書をもちまして各業界団体において自主的な措置をとるように要請をいたしたところでございます。  以上が今回の措置の内容でございます。
  175. 草川昭三

    ○草川委員 じゃ、通産省にお伺いをいたしますが、通産省もいわゆるリース事業を扱っておるわけでありまして、またクレジット業界あるいは全国の信販協会、俗に言うノンバンクもあるわけでありますが、その点について通産省はどのような対応をされたのか、お伺いをいたします。
  176. 梅村美明

    ○梅村説明員 不動産への投資に関しましては、大蔵省の方から御説明がありましたように、十月二十七日に貸金業者の団体に対しまして投機的取引を助長するような融資を自粛するよう指導、要請がなされたところでございまして、当省に対しましても、当省所管の信販会社やリース会社が所属する団体があるわけでございますけれども、そういう会員の中に兼業としまして貸金業を営む者が見受けられるのは事実でありますもので、これらの者への周知徹底が図られるよう協力方要請があったところでございます。  したがいまして、当省としましては、これを受けまして、また現下の土地問題の重要性にかんがみまして、関係団体に対し所属会員にその旨を周知徹底するよう十月二十七日付で指示したところでございます。
  177. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、大蔵省にまた戻ってお聞き をしますが、今回、昨日も土地問題についての閣議が開かれておるわけでありますが、大蔵省としてはそれなりの対応を一生懸命やってみえる、こういう態度だと思うのです。  そこで、具体的にいわゆる不動産融資に対する日本全体の、大蔵省で把握をする融資残というのは一体幾らぐらいあるのか、こういうことをお伺いしたいと思います。
  178. 小山嘉昭

    ○小山説明員 数字の羅列になって恐縮でございますけれども、全国銀行という概念がございます。これが銀行をとらえるときに一番広い概念でございますが、全国銀行の不動産業向け貸出残高という日銀の統計が一番網羅的な統計でございますので、それに即して申し上げますと、全国銀行の不動産業向けの貸出残高は、元年の八月末、これが一番数字として新しいものでございますけれども、四十四兆七千六百五十八億円でございます。総貸し出しが四百十七兆でございます。したがって、一割強を占めている、こういう状況でございます。  そして、これまでの経緯をざっと御説明さしていただきますと、昭和六十一年から六十二年中ぐらいは、今申し上げましたこの不動産向けの融資の残高の前年比伸び率は二五%から三〇%を示しておりました。約二年間ほどにわたって常に二五から三〇%ぐらいの伸び率を示しておったわけでございます。それが六十二年の七月に特別ヒアリングを実施したということも強力に作用していると思いますけれども、六十三年の年央からこの数字が一けたに下がってまいりました。そして、その後また再び二けたに乗り始めたのが六十三年の九月末ごろでございますが、ことしの二月末が一二・九%でございます。その後一三・三、一三・〇というふうに一三%台がずっと並んでおりまして、八月末一三・四%、こういう対前年度伸び率でございます。したがいまして、まあ一三%という数字をどう見るかということはございましょうと思いますけれども、貸出残高の計数把握としてはまずまずコントロールされた状態にはある、ただこれが動き出すかもしれない、こういう状況だと思っておりまして、私どもとしては注目しているわけでございます。
  179. 草川昭三

    ○草川委員 そこで国会の中においても土地特別委員会が一昨年来開かれ、銀行の融資ということが非常に強く主張され、大蔵も厳しい態度をとっておるということで、今言われましたように、土地の融資の金が大蔵の非常に厳しい目から逃れるために俗に言われるノンバンクというのですか、銀行系列のローン会社だとか、さまざまなところへ逃げたと実は私どもは見ているわけであります。  そこで、問題は大蔵省で把握をできないノンバンクがどの程度不動産業に融資をしているかということについて、今言われましたその先の話ですけれども、大蔵省としてただいまのところつかんでいる数字があればお示しを願いたい、こう思います。
  180. 小山嘉昭

    ○小山説明員 金融機関のノンバンク向け融資につきましては、御指摘のとおりこれまで数字を徴取いたしておりません。したがって詳細はわからないわけでございます。しかし、今般の通達によりまして、ノンバンクに対する金融機関の融資についても私ども実態把握に動くわけでございますので、これからは把握ができようか、こういうふうに考えております。  問題は、ノンバンクに対する根拠法を銀行行政としてどこまでとらえられるか、これが問題なのでございます。したがいまして、今回の事務連絡におきましても、あるいは銀行局長のノンバンクの業界団体に対する要請にいたしても、事実上の要請という形で踏み切ったわけでございます。
  181. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、通産省にお伺いをしますが、とりあえず通産省所管の諸団体があるわけでありますが、今の大蔵の発言を受けて通産としてどういう態度をとられるのか、お伺いをします。
  182. 梅村美明

    ○梅村説明員 金融機関以外で事業として金銭の貸し付けを行うことができますのは、貸金業の規制等に関する法律に基づきまして大蔵大臣の登録を受けた貸金業者に限られるわけでございまして、通産省所管のリース業や信販業を営む者が、リース業や信販業以外に兼業として金銭の貸付業務を行っている場合があることは承知しておりますけれども、当省としましては、リース契約高が幾らだとかあるいは信販の場合におきますとその信販の割賦販売額は幾らだとか、そういうことにつきましては把握しているわけでございますけれども、兼業部分として行っている他の業務に関しましてはその実態については承知しておりません。
  183. 草川昭三

    ○草川委員 承知をしていないのは十分我々も承知しているわけです。ところが、今大蔵が答えているように、そこの線を通じてかなりの土地融資、不動産融資というのもあり得るのではないだろうか。だからそこを、大蔵も根拠法がというので通産に若干の遠慮があるかもわかりませんね。また通産の方も、じゃ私の方も合同で一回やってみようという気があるのかないのか。そうしないと、せっかくの不動産融資を一々ヒアリングをしながら締め上げていくということができずに、抜け道が残るのではないか、こういう心配があるわけです。もう一度通産省にお伺いをします。
  184. 梅村美明

    ○梅村説明員 お答えいたします。  今お答えいたしましたように、例えば今回も大蔵省の貸金業者に対します趣旨の徹底を御協力するという意味から三団体に周知徹底方の通達を出したわけでございますけれども、例えばリース事業協会と申しますのはリースを行うことに関しますいろいろの業界の振興を図るための団体でございまして、たまたま兼業をしている者に関します貸金業の部分については所管の範囲ではございませんし、また先ほど申し上げましたように、貸金業を行う場合には大蔵省の所管しております貸金業の規制等に関する法律の登録が要るわけでございまして、当省といたしましては、その部分に関しましては当省の所掌の範囲外ではなかろうか、かように考えております。
  185. 草川昭三

    ○草川委員 大蔵の方にお伺いをしますが、今通産は兼業部門における不動産融資までは手が伸びないというような趣旨の答弁をしてみえるわけでありますが、大蔵としては今のリース事業あるいはクレジット、通産関係の三団体があるわけですが、そこの兼業部門についてまだ踏み込むという意思はおありかどうかお伺いをします。
  186. 小山嘉昭

    ○小山説明員 争点になっておりますのは貸金業法でございます。これは貸金業の規制等に関する法律昭和五十八年に制定されておりますが、この法律は、貸金業を営む者に御承知のとおり登録を強いる、まず登録をしてもらう、それからまた過剰な貸し付けの禁止とかいわゆるサラ金のあの社会的な害悪からいかに一般の人を守るか、こういう観点がございますので、そういう規定がずらっと並んでおります。  例えば、貸し付け条件について広告をしなさい、しかし誇大な広告はいけません。あるいは書面を必ず交付しなさい。数字のトラブルが起こりがちでございます。あるいは、最大のものは取り立て行為ですね。「人を威迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させてはならない。」こういう条文がずらっと並んでおりますのが貸金業法でございます。つまり、この法律目的というのはあくまでも資金需要者、借り手の利益を守るというところに眼目がございます。今般のノンバンク規制というのは借り手の方にそういう問題はないわけでございまして、貸し手に対していかに規制していくか、こういう観点であるわけであります。  そこで質問に戻りまして、通産省の方は割販法とかいろいろな法律を所管しておられ、その範囲内で監督行政を行っておりまして、貸金業を所管しております大蔵省におきまして、金を貸すという行為はやはり関係していると思われますので、リース業界とか信販業界、そういうノンバンクの業界におきます金を貸す部分につきまして監督をいたしていきたいということでございます。したがいまして、今般の六項目の指導でカバーできるものというふうに思っております。
  187. 草川昭三

    ○草川委員 リース業が従来のリースから相当大きく発展をしまして、土地を先行投資をする、そこへ建物もリースをしますよという形での先行投資がかなり活発に動いている。いろいろなのがあるのです。例えば調整区域にも先行投資をし、そしてそこへ、ひどい例になりますと、厚生省関係になりますけれども老人保健施設を私どもでつくってあげましょう、だれか借り手はいませんかというような話すらあるわけでございまして、そういう意味で、ただ金を渡す渡さないという時点だけの把握では土地投機の問題解決から逃れようとするのがある、だから十分対応していただきたい、そういうつもりで私は申し上げておるわけであります。  そこで、その話はそれでさておきまして、実はきょう少し私が問題提起をしたいのは、国内ではそれなりに大蔵も通産も、もちろんその前提になる国土庁も土地対策ということについては対応を立ててみえるわけでありますが、海外の不動産投資に日本の企業がどのようにかかわっているのか。これが最近非常に目立ってきておるわけです。  そこで、つい最近ですか、けさもラジオでも言っておりましたが、アメリカのダラスでございますかヒューストンですか、ここで四百二十億の投資で新しい不動産業者が進出をしている、こういう例もあります。あるいはニューヨークあるいはスペインあるいはオーストラリア、もう枚挙にいとまがないわけでありますけれども、日本のデベロッパーの進出があるわけでありますが、そのデベロッパーは日本でも高名なデベロッパーとは必ずしも言えないところがあります。日本のいわゆる金融業者がダミーを使って海外の不動産投資をしているというところもまたあるわけであります。これはたくさんありますから簡単に申し上げるわけにはまいりませんけれども、海外の不動産融資に対する把握というのは大蔵省でできるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  188. 小山嘉昭

    ○小山説明員 海外におきます日本企業の不動産関連投資に対します金融機関等の貸し出しにつきましては、現在のところ金融機関から報告を徴取いたしておりません。その実態は把握されるに至っておりません。
  189. 草川昭三

    ○草川委員 私、大蔵省に何回かこの件について事前レクチャーをやっておりますけれども、今のような御答弁でございました。それで、では個別の案件について、どこの銀行がどういうデベロッパーに融資をしているのか、こういう質問をしたらどうかということでお話をしたところ、個別案件については当然のことながら守秘義務等があり、我々は答弁をするわけにはいかない、こういうことであります。  そこで、私はここで国土庁長官なり建設大臣にもお伺いをいたしますけれども、海外における不動産投資というものが必ずしも成功している例ばかりではありません。現地からそのことによって非常に強い対日不信感が出ていることもまた事実であります。これは過日の決算委員会で外務大臣にオーストラリアの投資についての見解を問うたわけでありますが、これは局長答弁ではございましたが、確かにおっしゃるように現地人からの日本の投資に対する不満はあるけれども、また別に投資歓迎という政府の声もこれありと、こういうようなことでございました。しかし、私どもが知り得る相手国の民衆というのですか国民の人々の反応は、必ずしも投資歓迎ばかりではありません。こういう点について日本のビル業者あるいは不動産業者等の海外進出が目立っておるわけでありますが、まず建設大臣から、どのようなお考えかお示しをいただきたい、こう思います。
  190. 原田昇左右

    ○原田国務大臣 委員指摘のように、最近日本の不動産業からの海外投資というのが活発になっておることは事実でございます。一般的に海外投資については、相手国において雇用を造成したり新しい需要を喚起するわけでございますので、相手国の経済の活性化には大いに役立つものとして私たちとしては歓迎すべきことだと思うわけであります。しかしながら、不動産投資につきましては、若干相手の地域あるいは国民感情等につきましても配慮しなければならない部分もありますし、地域社会において調和、貢献するように努めなければならない部分もあるわけでありまして、その点については十分気をつけてやっていただきたい、こういうように考えておる次第でございます。
  191. 草川昭三

    ○草川委員 国土庁長官見解を求めます。
  192. 石井一

    ○石井国務大臣 国土庁といたしましては、日本の土地政策を所管いたしております。また、御指摘の問題は海外資産の買収ということでございますから、基本的に各国の行政なり法律において処理されるべき問題であるというのが基本的な考え方ではないかと思いますが、確かに御指摘の問題点というのも、単に日本の土地の問題でなく、もっと別の角度から、政治家の一人としてもこれに対しましてはそれなりの考え方をしなければいかぬというふうに感じます。  ちなみに、日本列島が国土庁のデータによりますと一千六百兆円、しかしながらアメリカ全土が四百八十とか五百兆円、こう言っております。しかもその大きさが二十五分の一、こういうことなんでありますから、三倍のものが二十五分の一小さいということになりますと、日本と向こうとの土地の価格の格差というのは七十倍なり八十倍なり百倍ある、こう言えるでしょう。そうなりますと、先ほど委員が御指摘になりましたダラスの四百二十億円でも、我が国でこれを行使するならば四億円ほどの土地を動かした、こういうことになるわけでありますが、我が国では大したことございません。大したことございませんという言い方はどうかと思いますが、しかしながら四百二十億円を、それほどの金融資本を向こうで動かせるということは、向こうの国内の事情においては大変な大きな影響があるものではなかろうかと思います。  当然、国際関係等を考えまして、今後日本で起こっておりますような土地の買いあさりというふうなものが外国でも次々に起こるという場合には、他の国際的評価、経済活動等にも影響があろうかと思いますので、これは国土庁が、それでは日本の企業に調査をいたしまして調べ得るものかどうかわかりませんが、委員の御指摘を踏まえて、外務省なり通産省なり建設省とも相談をいたしまして、今後の問題として対応したい、そういう考え方を持ちたいと思います。
  193. 草川昭三

    ○草川委員 今の長官の積極的な答弁できょうは私は終わりたいと思うのですが、実は今大蔵省の答弁を聞かれておわかりのとおり、海外の不動産投資の金額というのは残念ながら把握できないわけであります。これは相当な決意と腹構えでございませんと、金融の融資先を一々洗うことになるわけでありますから。しかし、現実には日本の流動性資金というのが海外の土地あさりに向かっているということは間違いがない。  今建設大臣の方は活性化というものもあるだろうというお話がございましたが、確かにそれは一部あります。オーストラリアのあの広大な土地に対して日本の資本が進出をして、ゴルフ場をつくるあるいはまた大きなホテルをつくる、そしてまたリゾートゾーンというのですか地帯を大開発する、現地では一面では大変な雇用の増大ということがあるのかもわかりませんね。しかし、そこの中で実際上どういう事態が起きているか。例えば日本のデベロッパーが開発した大変なリゾート地帯が現地の方々に大歓迎を受けたにもかかわらず、大歓迎を受けたというのは、大変なリゾートが開発されてそこに多くの住宅、マンションが建ち、そこに日本人がどんどん来て金を落としてくれるということを期待して大歓迎をしたのだけれども、実際は日本の流動性資金というのですか資金逃れというのですか、投資のために先行投資をして買っただけだ、人が住んでいない。このために、リゾート地帯を当て込んだのだけれども、ほとんどの商業地域というのがこれはもう店を閉じるというような事態だってあるわけであります。こういうことはきょうは申し上げませんけれども、そういう事態もいろいろとあるわけでありますので、これは国土庁長官がぜひまとめていただ いて、海外の金融の投資状況も我が国の問題として把握をしていかないと、日本の土地投機というものがそのまま海外に移りつつある、こういうことは目の前に見えておるわけでありますので、金融上の問題については、きょうは大蔵大臣お見えにならない席でありますが、ぜひ閣議等で何らかの御発言を願いたいということを特に要望を申し上げておきたいと思います。  内外の土地問題については以上で終わりたいと思います。  そこで、時間がちょっとたってしまいましたので、本来の基本法の内容についてはまた別に土地特別委員会等で聞くということにしまして、当面する、今問題になっておる建設労働者の雇用状況についてお伺いをしたいと思います。  そこで、建設労働者の雇用状況というのは、私どもばかりではなくて皆さんももう御存じだと思いますけれども、大変な人手不足になっておりまして、作業員の引き抜き合戦や賃金の異常高騰が表面化をしてきております。私どもが少なくとも知り得た範囲内では、型枠職人、型枠工というのがいるのですが、一万七、八千円の時期が非常に長かったのですが、最近では三万、四万、引き抜きの場合は五万円まで型枠工の賃金というのが上がってきております。そのほか、鉄筋工だとかいろいろな業種があるわけでございますが、建設労働者の雇用状況について建設省はどのように把握をしているか、お伺いをしたいと思います。
  194. 望月薫雄

    ○望月政府委員 建設省におきましては、毎月、職種別、地域別に建設労働者の需給調査というものを行っております。  こういった調査の結果で読み取れますところでは、近年大変活発な建築活動、こういったことに伴いまして、特に建築系の労働者、技能工に逼迫傾向が顕著に出ているという状況でございます。特に、今先生の御指摘のように、建築工事関係の型枠工、鉄筋工、こういったところにかなり逼迫感が強い、こういう状況にあります。  また、地域別に見ましても、民間建築工事が特に活発な関東地方、近畿地方、こういったところはもとよりでございますが、そういうところに引っ張られまして最近では北海道、中国地方、こういったところについてもかなり強い逼迫現象が出ている、こういう状況でございます。  なお、先生ただいま特に型枠工の賃金のお話をなさいましたけれども、私ども率直に言いまして、賃金について現状どうなっているかというお話は、しばしば先生の今の御指摘のような高い水準のものもうかがえますけれども、役所としては毎年十月に公共事業労務費調査というものも私どもはやっておりまして、こういった調査結果を見る限りにおきましては、今の型枠工でございますけれども、全国平均では一日一万四千円というふうな数字が出ているところでございます。一番高いところでも一万七千円、こんなふうな状況になっておりますし、また、労働省におきまして毎月実施いたしております毎月勤労統計調査、こういったものを見てまいりましても、建設業におきます常用の生産労働者のいわゆる月当たりの賃金というものが二十五万円台、こういうことでございますので、今先生お示しになりましたような数字については、ちょっと実態として具体的に承知できていない状況でございます。
  195. 草川昭三

    ○草川委員 私が申し上げた五万円というのはスポットで、本当に忙しいときにはそういう賃金が実際上は支払われているということで申し上げておるわけでありますから、統計全体の平均水準としてそんなに高いのが出てくるとは私も思っておりません。しかし、私どもが少なくとも現場を歩いて今の建築業の使用者側と話をしますと、異口同音に出るのは、そういうことを言っておみえになるわけであります。  では、一体その赤字はだれが受けるのですか。少なくとも、公共投資における積算の根拠、これは建設省はお示しにはなりませんけれども、まあ一万五千円から一万八千円程度でしょう。現実的に俗に言う建設業者が雇うというのは高くてもそんなところだと思うのです。しかし、今私が申し上げましたように型枠の場合は、私は愛知県でございますが、常識的に二万五千から三万円ですよ。スポットの場合は五万円を払わないとあした、あさってというときには役に立ちません。こういうことですね。  ですから、今建設業界として物価調査をなされたのはそんなに高くないということでございますが、私はそれは甘いと思いますね。もう少し深刻な条件というのをつかんでいただいて、今のままになると建築インフレーションになるのではないか。それから、元請はいざ知らず、現実の中請というのですか中小企業の段階になりますと、完全に倒産をするのではないか、労務倒産をするのではないかと言われているわけですね。こういう実態は、これは大変だ大変だと言っておるわけにはいきませんので、これは労働省ともお話しになりまして、ミスマッチというのですか、何らかの真剣な雇用対策を立てなければ対応ができない、こう思うのですが、いま一度見解を問いたいと思います。  それから同時に、これは私はまた別の委員会では反対のことを言っておるのですが、外国人労働問題というのが、現実には建設現場にはかなりいるわけです。それで、まあ私どもは中小企業の方々に、外国人労働を使うということはまずいですよ、もし日本が景気後退をしたときに一体どうなるのか、そういうことも踏まえて安易に外国人労働に頼るべきではない、今ここで外国人労働に頼ると日本の将来のためによくないから、こう説得をしておるところでございますが、ついでながら建設業における外国人労働の就労実態をどの程度把握しておみえになるのか、この際お伺いしたいと思います。
  196. 望月薫雄

    ○望月政府委員 先生には申し上げるまでもありませんけれども、先ほど来出ておりますような中堅技能工のいわゆる不足問題、あるいは地域的な需給の著しいアンバランス、その間におきます賃金の急騰、こういったことなどは、基本的にはおっしゃるように需給のミスマッチあるいは季節的、地域的なミスマッチだ、こういったことが非常に大きな背景にあるわけでございますが、どうも傾向としても、はっきり言いまして技能工の不足というものが顕著に出つつある、これは非常に私ども事態を重視いたしております。  こういった中で、当面の対策として、今お話しのようなことについて、私どもは、公共事業の発注等につきましてもできるだけ実勢を反映できるように、可能な部分については物価版等を使っての積算の見直しということを現在やりつつございますし、さらに、より構造的対策としては、基本的にどう取り組むか、若年、中堅労働者をどう確保し、よりよい環境をつくるかというところに大きなテーマがあろうと思っております。  そういった観点から、私どもは、労働条件の改善あるいは建設業のイメージアップなどなどを重視いたしましたいわゆる構造改善対策に取り組んでいるさなかでございますし、そういった中では元請、下請関係の改善なども含めて改善の道を探って取り組んでまいりたい、こういうように考えております。  また、いわゆる海外の単純労働者問題でございますが、残念ながら法務省で発表されます不法摘発者の数なんかを見てまいりますと、この間におきます建設現場、土木現場での就労者というのは結構多く存在しているということを承知いたしております。こういった問題についてどう考えるかということにつきましては、基本的には私どもは歓迎できないという構えでおりまして、先ほど来お話ありましたような我が国の本当に中堅的な技能工を確保するためにも、建設業の現場というものをもっともっとよいものにしていかなければいかぬ、こういった方向にある意味では逆行するものである、こういったことも踏まえまして、私どもは、単純労務者の海外からの参入問題については慎重を期してまいりたい、こう考えておるところでございます。
  197. 草川昭三

    ○草川委員 もう時間が来てしまいましたので、道路公団と住宅公団、参考人としてお願いをして おりますので、まず住宅都市整備公団にお伺いをいたします。  一つは、さきの決算委員会におきまして、愛知県の高蔵寺弾薬庫の用地を適切なところがあれば移転してもやぶさかではない、こういう答弁を防衛庁長官にいただいておるわけでありますが、その後公団として当該の弾薬庫用地の開発についてどのような経過になっておるのか、またそれをどう把握しているのか、お伺いをしたいと思います。
  198. 杉本康人

    杉本参考人 御質問の弾薬庫用地につきましては、高蔵寺ニュータウンの開発当初から一体開発を予定いたしまして、公団は防衛庁と協議を重ねてまいりました。  今また御指摘のように、昭和六十三年十月の当委員会におきます先生の御指摘、それからその際の防衛庁長官の御答弁もございまして、公団といたしましては土地利用計画事業採算性等につきまして検討いたしまして、新たな公団の考え方をただいま御提示をしておりまして、防衛庁と協議を行っているところでございます。
  199. 草川昭三

    ○草川委員 もう一つ、住宅都市整備公団にお伺いしますが、実は住宅都市整備公団の中に入れる畳のことでございますが、いわゆる化学畳というのがあるわけです、軽いから住宅公団はこれを採用しているわけでありますが。  私、この化学畳の畳床の製造過程においてフロンを使用する、今このフロンガスの使用について国際的な非常に厳しい環境があるわけでありますが、それにもかかわらず住宅都市整備公団がフロンガスを使用する化学畳を採用するというのはいかがなものか、こう問題提起をしておるわけですが、その点についてはどうでしょう。
  200. 溝畑直利

    溝畑参考人 公団では、畳の床を原則的にはわらと考えておりますけれども、ただいま先生御指摘のように、六十二年ごろからポリスチレンフォームサンドイッチという材料をわらの間に挟みました畳を使っております。現在まで二カ年経過しておるわけでございますが、大体年間の建設戸数の一割ぐらいがそういう化学畳になっておるわけでございます。  この背景は、ただいまもおっしゃいましたように、畳の作業員がだんだんに高齢化いたしまして、できるだけ作業性のいい軽い畳を使いたい、こういう業界あるいは実際に仕事をする方からの要望がありましたのでそういう傾向が出てまいったわけでございますが、ただいま御指摘のように、製造過程において発泡剤としてフロンガスが使われておるということは余りよろしくないことでございます。ただ、現在各メーカーさんにおかれましても製造過程でフロンを使わないというようなものを開発しておられると伺っておりますので、こういうメーカーさんへの改善要望などを積極的に行いまして、将来的にはフロンを使った畳床の使用をだんだんに減らしてまいりたい、かように考えております。
  201. 草川昭三

    ○草川委員 道路公団から二人、参考人に来ていただいておりますので、もう時間があとわずかでございますので、同時に二問質問をします。  道路公団におけるプリペイドカードの利用状況がただいまのところどのようになっておるのかというのが一問。第二間は、最近、東名あるいは名神、このような高速道路におけるサービスエリアあるいはパーキングエリアにおける大型車の駐車場というのがパンクをしておるわけでありますので、その周辺の違法駐車が非常に目につくわけであります。もちろん違法駐車ではありますけれども、安全走行という意味から考えれば、疲れをとるというのは当然でありますから、どこかで休まなければいけない。しかしそのスペースがない。パンクをしてきておる。だからどうしても違法駐車にならざるを得ない。しかし、それは高速道路の路肩でございますから、これは非常に危険なことになっておるわけであります。その対策がどのようになっているのか、あわせて質問をしたい、こう思います。
  202. 廣瀬好宏

    廣瀬参考人 最初に、プリペイドカードの利用計画につきましてお答えさしていただきたいと思います。  御指摘のプリペイドカードにつきましては、ハイウエーカードという名称で昭和六十二年十二月一日に常磐自動車道に初めて導入をいたしました次第でございますが、それ以来、順次、利用可能道路の拡大を図りまして、現在、東名高速道路、名神高速道路を初めといたしまして、北海道、沖縄を除くほぼ全域の高速道路で御利用いただいているという状況になっております。  なお、北海道、沖縄の高速道路につきましても、極力早い時期に導入いたしたい、こういうことで進めているところでございます。  以上でございます。
  203. 中道文基

    中道参考人 お答えいたします。  先ほど先生おっしゃいました東名、名神のパーキングエリア、サービスエリアの混雑状況でございますけれども、おっしゃるとおりでございまして、交通量の増加に伴いまして本当に利用が急増しておるという状況でございます。このため、東名、名神におきましても供用後駐車スペースを逐次拡張してまいっております。昭和六十三年度末には、駐車升総数が供用当初に比べまして四千台から六千六百台と、約六四%ふやしてまいっておりますけれども、なおその後、交通量もふえてまいっております。詳細に利用実態等を調査いたしまして、元年度より「名神・東名緊急改良三箇年計画」というものを立案いたしまして、現在推進中でございます。東名、名神全線で十八カ所の休憩施設の拡充を推進してまいっておりまして、これによりまして約二千台の駐車升を増加させる予定でございます。この結果によりますと、当初に比べまして約二・一倍の駐車升になろうかと思っております。  なお、大都市近郊の関越道、中央道等におきましても同じような拡張を実施したいと考えておりますので、それによりまして先ほど来のことがなくなるものと私たち期待しております。  ありがとうございました。
  204. 草川昭三

    ○草川委員 以上で終わります。
  205. 中村靖

    中村委員長 次に、大矢卓史君。
  206. 大矢卓史

    ○大矢委員 まず、森山官房長官にお尋ねをする前に、このたびは大変御苦労さまでございます。大役をお引き受けになりまして、非常に注目を集めておられました。内閣の取りまとめ役としてこれからも大変御苦労願うと思いますので、各般多岐にわたることにつきましてまたお聞きを願い、それを内閣の一つの方針としてこれからも努力していただければ大変結構だと思います。  まず冒頭に、本年六月二十一日の法務省所管の決算委員会で、海土協という関西国際空港の土砂を兵庫県淡路島の方から搬入いたしておりますこの団体の談合問題。ただ、この談合だけでなくしていろいろな問題を有しておりますけれども、特に関西は大変そういう体質がございまして、過去三十有余年にわたって一人の方がそういう談合で支配をしてきたという経過がございます。そういう余りにもひどい経過がございましたので、私は質問をしてただしてまいりました。  それに入ります前に、談合という言葉がアメリカの一つの言葉に、日本のそのままの言葉で通じておるようでありますけれども、先般米国通商代表のヒルズさん、この方と建設大臣との中でも日本に対しての要望の提案、五項目ございますけれども、特にその中で談合防止のための措置ということで提案をされております。このことについてまず建設省の方から御説明を願って、その後、官房長官に御所見を承りたいと思います。
  207. 望月薫雄

    ○望月政府委員 去る十月十二日にヒルズ通商代表がおいでのときに建設大臣とお会いいただいたわけでございますが、その席上のことをちょっと御報告させていただきたいと思います。  大変限られた時間の中での会見だったわけでございますが、まず建設大臣の方から、我が国の建設市場は内外無差別であり、かつ、オープンである、こういったことを申し上げ、米国企業の建設業許可の取得済み企業というのは現在十社になっている、あるいはまた建設省としても外国企業の参入を積極的に促進するために体制整備実施している、あるいはまた特例対象のプロジェクトだ けではなくて民間プロジェクトについても米国企業の進出が顕著に見られる、さらにまた特例対象プロジェクトの応募状況を見ると米国企業の参入努力はいささか不十分ではないかということなどなどを申し上げたわけでございますが、その席上、ヒルズ通商代表の方から、我が国の努力というものについての感謝の意を表するとともに、改めて五項目の御提案があったわけでございます。  それは、今先生お話しのように、一つには、談合防止のための措置として証書をつくること、あるいは指名停止期間の延長というようなことができないか。二つ目には、指名基準といいましょうか、指名あるいは登録等に当たってのこちらの要件を明確に示してくれということ。あるいはジョイントベンチャー方式を採用するに当たっては、受注者に必ずしもジョイントベンチャーでなくて単独でも入れるような選択権を与えてほしい。さらにまた、資材等をゼネコンが調達する場合に、その手続の透明性を確保してほしい。さらにまた五番目でございますが、特例プロジェクトの設計分野においてどういった部分がいわゆる競争入札に付されるのかどうか、特例対象といたすのかどうかあらかじめ明確にしてくれ。こういったことが要望として出た次第でございます。
  208. 大矢卓史

    ○大矢委員 そのような提案がなされたようであります。それについての御見解はまた別にいたしまして、長官、このように私はたまたま関西の事情が大変常軌を逸しておるということで指摘をさせていただいております中で、やはり全国的にこうなんだろうかな、国際的にもこうなんだろうかなということで、このことについていいかげんに済ましておいてはいけないという気持ちになったわけであります。  そこで官房長官に、この談合ということが必要悪なのか、それともやはりこれはやるべきでないのか、そこらの基本的な御見解と、アメリカが示されましたそういうものに対する受け取られ方をお伺いできれば幸せだと思います。
  209. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 個別のケースにつきましてはただいま政府委員からお話し申し上げたような措置をとられると存じますが、談合というようなものが不公正な取引ということになりますと、それは大変好ましくないことでございます。公正取引委員会というところもございますし、そこで厳しく法文に照らして調査し、また勧告し、是正を進めていくというふうに考えますが、これがまた国際的にも批判されるようなことがあっては大変困るわけでございまして、特にアメリカにつきましては経済構造協議というものが今始まっておりまして、ときどき会合しては話し合うということが続いておりますので、このような場を通じまして問題の究明、解決に努力していきたいというふうに考えます。
  210. 大矢卓史

    ○大矢委員 そこで公取の方にお聞きいたしたいのですけれども、大変な御努力を願って一応ある程度の成果を得られたと思いますけれども、その御報告をいただきたいと思います。
  211. 植木邦之

    ○植木政府委員 お答えいたします。  先生御質問の点は、私どもが先日勧告及び審決の措置をとりました海上埋立土砂建設協会の事件のことだと思いますが、この件について御報告いたしますと、海上埋立土砂建設協会、これは昭和四十年代の中ごろからあった団体のようでございますけれども、この団体におきまして、関西国際空港空港島の護岸の築造工事に必要な山砂の海送工事、これにつきまして、会員にどれだけの山砂を海送させるかという受注量を割り振り、それからその割り振った受注量について受注単価を決めたという事件でございます。  もうちょっと正確に申し上げますと、つまり、私どもの独占禁止法の用語で恐縮でございますが、それで申し上げますと、価格カルテルをやった、それから数量カルテルをやったということでございます。そういうことでございますので、公正取引委員会といたしましては、この海土協、海土協と俗称されますが、これが独占禁止法の八条一項一号の規定に違反するということで、本年九月六日に勧告を行いまして、是正の措置をとれということを言ったわけでございます。是正の措置ということは、そのような受注量あるいは単価の決定を行ったということが独禁法の規定に違反するので、その山砂を受け取っている共同企業体の方に、そのような行為はやめるようにというような措置をとり、さらに海土協の組織を根本的に見直してくれというようなことを言ったわけでございます。海土協の方は勧告を応諾されましたので、九月の十二日に同趣旨の審決を行いました。勧告というのは、こういうことをやってほしいという要請でございますが、審決になりますと、これは、やれという形の行政処分に変わったということでございます。  それから、海土協につきましては、その審決に基づきまして、我々が組織を根本的に見直してほしいということを命令いたしましたので、もう解散するということで解散をされました。  それから、さらに十月になりまして、このような価格カルテルを行った場合には独占禁止法上課徴金を命ずるということになっておりますので、規定に基づきまして約二億九千八百万、約三億の課徴金を命じた、こういうことでございます。
  212. 大矢卓史

    ○大矢委員 この公取から出ております勧告書によりますと、全部で幾らの土砂を埋め立てしたのか。ここに出ておりますのは千九百十九万立方メートルとなっておりますが、そのとおりでよろしゅうございますか。
  213. 植木邦之

    ○植木政府委員 護岸工事についてはそのとおりでございます。
  214. 大矢卓史

    ○大矢委員 そこで、また一説には千六百とか千四百とか言われておりますけれども、談合したのはこれだという認定をおたくの方でされたようであります。私が問題にいたしておりますのは、千百三十円で値段の設定をした、ところが空港会社の方から、発注の単価の基準がそれ以下であるということを指摘をいたしました。それについては会計検査院の方で調査をするようにということを言っておりましたが、その結果はいかがでございましたか。
  215. 川崎恒夫

    ○川崎会計検査院説明員 お答え申し上げます。  関西国際空港の工事検査につきましては、私どもでは職員が在庁して行う書面検査、また職員を関西国際空港株式会社に派遣して行う実地検査等によりまして、契約の手続とか設計、予定価格の積算、施工工事の全般につきまして、不適正、不経済、非効率となっているものはないかという観点から検査実施しているところでございます。  また土砂の積算単価につきましても、他の類似事例と比較するなどいたしまして適正かどうか検査しているところでございますけれども、検査の結果につきましては、現在までのところ不適切と認められる点は見受けられなかったわけでございます。
  216. 大矢卓史

    ○大矢委員 運輸省、この積算価格は幾らですか。
  217. 相原力

    ○相原説明員 お答え申し上げます。  関西国際空港の護岸用に使っております土砂の件でございますが、工事といたしましては、土砂の調達、運搬、それから護岸用の工事を含めまして総価契約でやっております。したがいまして、契約としては全体を含めた契約となっておりまして、土砂の積算価格につきましてはそのうちの一部の見積もりでございますが、これは積算の中の価格でございまして、今後の取引等にも影響があるということで公表は差し控えさせていただきたいと思います。
  218. 大矢卓史

    ○大矢委員 私、前に指摘をいたしましたのは、俗に千二十八円だと言われておるわけであります。そこで百二円の差が出てくるわけであります。その金が海土協に行き、海土協からどこに行ったのかということの、ただ単にこれが談合して値段を決めて、それを納めて終わりましたという問題でないだけに、私はそれを指摘して、そのために会計検査院検査をお願いしたわけです。  そこで、しからば、今大阪府と和歌山等にこのあとの残りの土の依頼をいたしておりますけれども、大体の、これもまた予定価格、どれだけの今現在の予定価格の契約になっているか、お答えを願 いたいと思うのです。
  219. 相原力

    ○相原説明員 ことしの五月から和歌山県、六月から大阪府の阪南から新たに土砂の搬入を開始したわけでございますが、実は淡路島の土砂の場合は、先ほど申し上げましたように、土砂の調達から運搬、それから護岸の工事を含めまして、一括してジョイントベンチャーと関空会社が契約をしておるということでございます。これに対しまして、和歌山県の加太、大阪府の阪南からの土砂につきましては関西国際空港株式会社が直接土砂を購入するということで、桟橋で関空会社がその買った土砂をジョイントベンチャー側に渡しまして、ジョイントベンチャー側がそこから運搬して埋め立てを行うということで、契約の中身が違っておるわけでございます。  なお、土砂の購入自体は暫定価格ということでございまして、今後正式な取引価格を決定する予定になっておりますが、現時点では暫定価格が立米当たり千円ということでございますが、先ほど御説明いたしましたように、淡路島の単価とは積算基礎が全く異なっておるものでございますので、単純には比較ができない数字でございます。  以上でございます。
  220. 大矢卓史

    ○大矢委員 両方比べるにも運輸省の方では幾らだというお答えをされないわけですが、私が聞きましたところでは、立米当たり千円プラス消費税三十円ということで千三十円というのが今の予定価格のようであります。  そこで、なおお伺いいたしたいのでありますが、全体的に土砂がどれだけ要るのか、どこからどれだけのものをお買いになる予定か、そして今わかります範囲で現在どこがどれだけお納めになったのか、お答え願いたいと思います。
  221. 相原力

    ○相原説明員 お答えいたします。  土砂といたしましては、今までの護岸工事用、それから現在行っております埋め立て用等々含めまして全部で一億六千六百万立米ほど必要というふうに見込んでおります。現時点までに既に搬入いたしました量は、これは九月三十日現在でございますが、全体で約六千五百万立米でございます。これはことしの九月三十日まででございます。
  222. 大矢卓史

    ○大矢委員 内訳は。
  223. 相原力

    ○相原説明員 失礼いたしました。大阪府から約二百万立米、兵庫県から約五千四百万立米、それから和歌山県から約五百万立米、その他岡山県と香川県、徳島県、これを合わせた数字でございますが、約四百万立米でございます。
  224. 大矢卓史

    ○大矢委員 全体は。
  225. 相原力

    ○相原説明員 全体で約六千五百万立米でございます。
  226. 大矢卓史

    ○大矢委員 いや、全体の予定、全部の予定。
  227. 相原力

    ○相原説明員 一億六千六百万立米のうち、六千五百万立米が既にことしの九月末現在で搬入が終わっておる……
  228. 大矢卓史

    ○大矢委員 必要なもの全体です。
  229. 相原力

    ○相原説明員 府県別でございますか。——一億六千六百万立米が全体でございますが、府県別は実はトータルしますと一億六千六百万立米を超える数字になるわけでございますが、これは限度量ということで一応予定しております。大阪府が五千万立米、兵庫県が五千七百万立米、和歌山県が六千五百万立米、それから岡山と香川、徳島合わせまして五百万立米でございます。これらはそれぞれの府県の限度量ということで一応予定をしておるところでございます。
  230. 大矢卓史

    ○大矢委員 先ほどおたくの方からいただきました資料で、千四百万立米というのは何なんですか。
  231. 相原力

    ○相原説明員 先ほど御説明申し上げましたのは山土でございまして、千四百万立米は海土ということでございまして、若干性格が異なるものでございますので、これは先ほどの御説明からは省略いたしましたが、先生御指摘のように海土が千四百万立米ございまして、これを合わせますと、トータルで一億八千万立米でございます。
  232. 大矢卓史

    ○大矢委員 そのうちの護岸に使われました兵庫県の土砂は幾らですか。
  233. 相原力

    ○相原説明員 先ほど公正取引委員会の方から御報告があった数字と同じというふうに認識しております。
  234. 大矢卓史

    ○大矢委員 そういたしますと、兵庫県が全体で出せる量というのは五千七百万立方メートル、そして護岸に使いましたのは千九百十九万立方メートル、そして今もう既に兵庫県がお使いになったのが五千四百万立方メートルということのようであります。この間の、これは一体護岸がいつで終わったのか、審決がいつ出たのか、いつ海土協が解散をしたのか、そしてあとのものはそれ以後幾ら納まったのか、お聞かせを願いたいと思います。
  235. 相原力

    ○相原説明員 護岸工事につきましては、昨年の十二月中旬の段階で概成ということでほぼ完了いたしたわけでございまして、引き続きすぐに埋立工事に取りかかったわけでございます。したがいまして、昨年の十二月以降は埋め立て用の土砂として使われておるということでございます。  なお、護岸工事の完成はことしの六月でございまして、六月の段階では、一部土砂運搬船が出入りする部分、開口部はあいてございますが、護岸の外周約十一キロメートルが完了したということでございまして、その後、埋立工事で土砂を使っているということでございます。  なお、現時点では量的にはほとんど大阪府、和歌山県の方から運んでいるというような状況でございます。
  236. 大矢卓史

    ○大矢委員 この審判が出て解散をされましたのはいつですか。
  237. 植木邦之

    ○植木政府委員 お答えいたします。  海土協が解散をいたしました日にちは、本年の九月十九日でございます。
  238. 大矢卓史

    ○大矢委員 海土協が解散したのは九月十九日で、九月三十日までの間に五千四百万立方メートルが既に完了しておるわけであります。ただ、その中で対象になっておるのは千九百ということでございますけれども、その差額は一体個々に契約して個々に納めたのですか。どうですか。
  239. 植木邦之

    ○植木政府委員 お答えいたします。  私どもの方は、現在のところ、海土協がカルテルを行って、それで護岸の築造工事に関しまして土を割り振ったということを調査して審決をしたのでございまして、そのようなことにつきましては今のところ把握しておりません。
  240. 大矢卓史

    ○大矢委員 やはり公取は公取としての仕事の限度があると思いますのでどうのこうのと言いませんけれども、現実には今わかりましたように、やはり九月十九日に解散するまでせっせせっせと海土協はその談合に基づいて搬入をしておったわけであります。それから先、果たして三十日まで、解散をしたからということで完全にそれがなくなったかどうか。これもまた私はその現状を知るすべがないわけでありますけれども、少なくとも当初から予定されております五千七百万立米、全体を合わせますと全部が全部、これは限度額ですから全部を買うというわけではないわけでありますから、ほとんど一〇〇%兵庫県のいわゆる海土協関係が持っておった砂はもう買ってしまったということであります。  そこで、私が申し上げますのは、普通の談合でございましたら、そこに利益を得る人がある、その人が利益を得たからその課徴金として納めなきゃならぬ金額、約三億円でございますが、これが出ておりまして、それを納めたようであります。しかしながら、そうでなしに、私が当初申しましたように、百二円という差額、それを海土協に集めて、その金が一体どこへ行ったんだ、そういうことで、その経過というものが非常に問題であるわけであります。その金でもってその代表者が私腹を肥やしたのか、それともそれをまたほかの方面に使ったのか、これはいろいろと問題があると思います。  そして、先ほど言いましたように、会計検査院がいろいろ検査をいたしましても、言えない言えないの一点張りであります。会計検査院検査をしたその結果は国会でそれを言えないことがあるということは非常におかしいわけでありまして、そのことをやはり率直に言ってもらって、そしてその疑惑を抱いておられるこういう問題についての解明をしていく。  これはただ単にこれだけの問題でなくして、なぜこれだけの逆ざやを払うのかといいますと、その逆ざやを払わなければ本体の工事ができないわけであります。その工事を割り当てていただくために黙ってそれだけの逆ざやを払うわけです。その護岸だけのものでいきます千九百万立方メートルといいますと、一立米百二円といたしましたら十九億からの金であります。そして全体で五千四百万立米というものが九月の十九日に解散するまで納められておったといたしましたら、五十四億という金が海土協に集まっておるということが想定されるわけであります。そのようなことについて、私はやはりその金が中心で、解散をし、前会長というのが退いてもなおかつ隠然とした院政をしこうとしている、ここに問題があると思います。  この点について、談合問題が大変今問題になっておる中で、これからもこれを改善していこうとされます建設大臣の御所見を承りたいと思います。
  241. 原田昇左右

    ○原田国務大臣 建設談合については、独禁法に違反する行為は決して容認しないというのが従来からの基本的な方針でありまして、こうした方針のもとに業界を指導いたしますとともに、違反行為に対しては、独禁法等の関係法令に基づき厳正な措置で臨んでいるところであります。それにもかかわらず昨年来幾つかの違反事件が発生していることはまことに遺憾のきわみでありまして、今の海土協問題もまことに遺憾千万であります。業界への指導の一層の徹底と、こうした違反行為の再発防止を図る所存でございますので、よろしくお願いいたします。
  242. 大矢卓史

    ○大矢委員 これはただ海土協だけがこうやったということでなしに、私が言っておりますように、この人が中心になって関西の土木関係の事業というもの、まあ建築は建築でありましょうけれども、そういう事業というものを全部支配してきたというところに問題があるわけであります。そういうものが果たしてこれからも許されていいのか。これがたった三億円の罰金で終わったんだ、そして一カ月の指名停止で終わったんだということになりますと、そう大した——今申しましたように十九億からの差額の金のある中でたった三億円でございますから、また場合によっては五十四億円というような金が集められる、その中での三億円でありますから、これはやはりこれくらいで終わったら、今後とも、何だこんなものか、公取といってもこんなものか、建設省も大したことないなと……。  この出発点というのが、御承知のように竹内社長とそして海土協の代表者とやり合った中で、やはり竹内社長が全面的に護岸以外は全部負けました。そしてこの会長が全部支配をしてやったそれだけの大きな政治力、またそれだけの大きな力がある、そういう人がまたこれだけの処分でのうのうと陰で院政をしいてやっていくということになればゆゆしい問題だ。この点を官房長官、どうお考えになりますか。
  243. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 今建設大臣から申し上げましたとおり、独禁法違反というようなことは許せないことでございまして、これからも厳しく処分していかなければいけないと思います。おっしゃるとおりでございます。
  244. 大矢卓史

    ○大矢委員 そこで、私は、これからなおこれを深めていくために、次の関係の委員会のときに、海土協の前会長の平島さん、そして空港会社の竹内社長さん、これの参考人としての出頭をお願いしたいと思いますので、よろしくお計らいを願いたいと思います。
  245. 中村靖

    中村委員長 ただいまの大矢君の御要望につきましては、後刻あるいは後日、理事会あるいは理事懇で御協議をさせていただきたいと思います。
  246. 大矢卓史

    ○大矢委員 そこで、先ほどから土地問題についていろいろと御論議でございます。やはり土地問題の高騰の原因というのは、私は、先ほどから指摘をされておりますように、金融機関、これの融資姿勢にあると思います。そういうことで、先ほど各銀行なり銀行以外のところをいろいろと御説明ございましたけれども、やはり最終的にはこれは土地の鎮静化を図らなければならぬ国土庁があらゆる手を尽くして、これを内閣全体の問題として取り組んでいかなければならぬと思います。その点について、先ほどから金融機関云々ということでございますけれども、この金融機関、いわゆる融資につきまして、どのように国土庁の方でその他価高騰の位置づけをしていらっしゃるのか、まずお答えを願いたいと思います。
  247. 石井一

    ○石井国務大臣 この土地投機の問題に関しましては、当委員会におきまして、今朝より既に何回か議論を闘わしたところでございます。大蔵省の銀行局、また通産省の担当局等々も参られまして、一般の金融機関だけでなく、それからその先に存在いたしますノンバンク系の銀行関係に関しましても、たび重なるヒアリング、また個別の案件を一々チェックされまして、土地利用計画等のないものに対しては厳しい規制をするというふうな方向で、行政機関としての措置は十分行われたのではないかなというような感じもいたしております。  私が就任いたしましてからも、たびたびこのことにつきましては打ち合わせを済ませたところでございます。しかしながら、それ以外にも、なおかつ、先ほどの指摘にもございましたが、出所不明の金というのは自由に動いていくというような性格もございますので、役所の行政範囲内、守備範囲内ではどうしてもつかみ切れぬ金もあるというようなこともその答弁の中にございました。  今後は、土地基本法等をこの国会で通過せしめまして、さらに投機的な土地金融の抑制等にもっと厳しい施策を講ずることによって、そのほかにもいろいろ地価騰貴の原因はございますけれども、金融の問題につきましては対処してまいりたい、そのように考えております。
  248. 大矢卓史

    ○大矢委員 この前の土地の暴騰のときにも、大蔵省が特別ヒアリングをやった途端に土地が鎮静化したわけであります。東京では場合によったら値下がりをしておるところもあるようであります。その分だけ地方の方にどんどん拡散をいたしております。そういうことで、また大阪がいっぱいになれば和歌山、和歌山がいっぱいになればまた四国の方へとどんどんそれは広がっていくわけであります。  そこで、今の、大蔵省が直接できる銀行、いわゆる大蔵省監督の金融機関と、それからノンバンクと言っておりますけれども、それ以外のところはどういうところを言われるのか御存じでございますか。
  249. 藤原良一

    ○藤原政府委員 銀行系のほか、ノンバンクと言われるものの中には、いわゆる貸金業がいろいろ含まれているのだと思います。貸金業以外に、土地に対して投資をしておる企業なりあるいはお金なりという御質問かと思うのですけれども、私ども正確に把握はしておりませんけれども、生保系の金とかあるいは農業関係のお金とか証券系のお金、そういうお金もある程度は流れているのではないかというふうに推測はするのですが、我々の方としては正確なデータは持ち合わせていないわけでございます。
  250. 大矢卓史

    ○大矢委員 やはり、土地鎮静化のためには何といってもそのことを、まず実態をおつかみになることが大事ではないかと思います。  今、大臣、担当の方でもそれをつかんでおらないということですけれども、各省庁非常にまたがりますので、それをおつかみになって、それに対する対策を政府としてもお立てにならないと、やはりこの金余り、そして株をやろうか土地をやろうかというような、投機の対象として土地を選ばれておる。それがどんどん土地の値上がり、先ほども大臣おっしゃっておられましたように、外国から比べると日本はめちゃめちゃな高い土地だ。そういうことで、幾ら給料が上がっても実感的にマイホームも持てない、生涯自分の退職金で家が買えないという、世界の中でこれだけいいのだ、いいのだと言われながら国民自身が実感を持たないというのは、やはり何といってもこの土地問題であるし、またこの土地の値段というものを安定させていき、また下げていくということが一番大 切だと思います。  その中で、今言われましたように、いろいろな証券だとかまた生保だとか、それ以外に抵当証券という会社もあります。すべてこれらは銀行からの出資、またはそれの一連した流れの中で、銀行さえその気になればこれはとまるわけであります。しかし、銀行が表づらはできない、またある程度制約が出てきた、そういうことでそういうものを肩がわりさせるところを、いろいろリース会社ですとか、もう最後には抵当証券ということで、それはそれなりの抵当証券法というもので、業法というものをつくって、そして一つの団体をつくって何かそれを認めていくというようなことをしてまいりましたけれども、この抵当証券が果たして正しく運営されておるであろうかということが私は非常に疑問だと思います。  これは昭和四年でございますか、銀行がパンクをしかけたときに、それが持っておった土地等を証券にかえて取りつけを逃れようということでつくられた法律のようでありますけれども、しかしながらそれはとうとう一回も使われなかったわけであります。その証券法というものを、ペーパー商法を考える人が考え出してまた詐欺商法をやった。その詐欺商法を取り締まるために何か一つの、これがいいのだということでどんどん土地に貸していった。私もこの委員会でいろいろと質問させてもらっておりますように、一般中小企業に対しては担保、根抵当でいきますと二〇%も余分にとるのだというようなことをしながら、やはり一番土地が高騰しておりましたときには、買うものについて全額を貸すということは当たり前のことでありまして、その買うものの今度は売るのだというその値段にまでも、初めから金を貸しておるというような担保のとり方をして貸しておったということがあるわけであります。  ですから、今まで言われておりますように、土地を買いますときに、本当に自分が使い、資力のある人が銀行から助けをかりながらそれを買ってそれを使っていくということなら、これは正常でありますけれども、土地転がしのためにやるということになりましたら、先ほど申しましたように、ひどいときには仕入れて売るときの、そのときの値段そのままで買っておるというのがプロのやり方であり、そういうもの全体を掌握していただかないと、この土地鎮静化ということはできないわけであります。  先ほどのように各省庁が出てきていろいろと説明をして、あげくの果てにはこれ以上どうにもなりませんということではなしに、国土庁長官、やはりこれは銀行対策、金融対策というものをまず調査していただいて、その実態というものをぐっと掌握していただいて、内閣全体としてこれをやっていくということをお願いいたしておきたいと思います。  最後に、それについての石井長官並びに官房長官の御所見をお伺いして、私の質問を終わらせてもらいます。
  251. 藤原良一

    ○藤原政府委員 先ほどの答弁等もちょっと補足させていただきたいと思います。  大蔵省の方は金融機関に対して改めて通達を発出していただいたわけであります。その中で、先ほど来御答弁がありましたように、いわゆるノンバンクたる貸金業者も対象に、過剰融資のないよう要請されたところであります。  また、先生御承知のとおり、六十二年の半ばから、融資実績の多い銀行に対しましては特別ヒアリング等を実施されておりますが、その中で、特にヒアリング対象として生保等も加えられているというふうに聞いております。  また、私ども監視区域制度を活用しながら地方公共団体と協力しつつ取引きの適正化を図っておるわけでありますが、そのフォローアップの過程で、できる限り抵当に付された案件につきましてはどういう金融実態になっておるのか可能な限り調査しまして、そういう情報も大蔵当局と情報交換しながら適切な融資が確保されるように努力しておるところであります。  今後ともそういう面で一層努力を深めていきたい、そういうふうに思っております。
  252. 石井一

    ○石井国務大臣 御指摘のとおり、土地対策は総合的な施策が必要である。したがって、これまで関係行政機関、各省が連絡を密にいたしまして土地対策関係閣僚会議等を随時開催してきた。実は昨日も開催したところでございますが、例外なく閣議と同じようにほとんど全員が出席をするという形に相なっております。  何年か前、後藤田官房長官が座長でこれを推進されたようなこともございましたが、その後、国土庁長官が土地対策担当大臣ということで特に任命をされるというふうな制度になり、昨日の場合は私が司会進行を務めて、問題について各省からそれぞれの立場で御討議をいただいた、こういうふうなことであったわけでございます。  土地担当大臣がいいのかあるいは官房長官のようなお立場の方がいいのか、各省をまとめるに当たってそれぞれの見解の異なるところもあろうかと思いますが、私、今この問題を見ておりまして、これはやはり総理自身がどこまでやる気を示されるかというそれくらい大きな問題になっておるのではないか、そういう認識をいたしておりますので、今、資産格差の是正とか世代戦争という言葉まで使われるような深刻な問題に土地問題がなっておるということを海部内閣は認識いたしておりますから、総理を中心に官房長官、私とスクラムを組みまして、何らかの成果を得、国民の御負託にこたえたい、そう念願いたしておる次第でございます。
  253. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 今国土庁長官から申し上げましたとおり、内閣挙げてこの問題の解決のために努力をしてまいりたいと存じます。
  254. 中村靖

    中村委員長 次に、東中光雄君。
  255. 東中光雄

    東中委員 即位の礼あるいは大嘗祭関係についてお伺いしたいのですが、内閣は七月三日に即位の礼検討委員会を開かれた。官房副長官ですかが中心になったというふうに伝えられております。そして九月の二十八日から即位の礼準備委員会が発足をして、官房長官が中心になってやっていられると伝えられておるわけでありますが、これは何を準備し何を検討される委員会なのか、ひとつ官房長官にその経緯を伺いたいと思います。
  256. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 即位の礼検討委員会の方は七月三日に設置されまして、これは内閣官房副長官、事務の副長官が委員長でございます。これにつきましては、即位の礼に関する諸問題について調査検討するためということになっております。  九月二十六日に即位の礼準備委員会というものが設置されまして、これも即位の礼に関する諸問題について協議を行うためという趣旨で設けられまして、これは官房長官が委員長でございまして、法制局長官と政務、事務の副長官、それから宮内庁長官という五人の構成でございます。  その後、今まで二回目を開催いたしておりませんが、この準備委員会におきましては、即位の礼の儀式のあり方、大嘗祭を含め、どのようにあるべきかということを総合的に検討いたしたいというふうに考えております。
  257. 東中光雄

    東中委員 宮内庁は、同じく七月の三日に大礼検討委員会というのをつくられて、その後九月二十六日に大礼準備委員会をつくられたというふうに聞いておるのですが、ここでは何を検討し何を準備しておられるか、お伺いをしたい。
  258. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 宮内庁におきましては、大礼検討委員会を去る七月三日に設置をいたしまして、即位礼、大嘗祭、いわゆる大礼に関する諸問題について調査検討するということでスタートをいたしましたが、九月二十六日にこれを廃止いたしまして、大礼準備委員会というものを設置いたしております。  これは、先ほど官房長官の方からも御答弁がありましたように、内閣に設置をされております即位の礼準備委員会において、大嘗祭を含め即位の礼に関する諸問題について協議を行われておりますので、宮内庁といたしましても、即位礼、大嘗祭を含め、大礼に関する諸問題を内閣に設置された準備委員会と表裏一体になりながら検討をしていく、こういうことで進めておるわけでございます。
  259. 東中光雄

    東中委員 即位の礼というのは現行の皇室典範にそういう言葉があります。それについての検討をしておられるやに今承ったのですが、大礼というものは現行の憲法、皇室典範その他法令上どこにもない。明治憲法下の皇室典範の考え方あるいは登極令の考え方というのは、践祚と即位の礼と大嘗祭、これを含めて大礼、御大礼あるいは大典、御大典、こういう言い方をしました。宮内庁は即位の礼じゃなくて大礼の、要するに明治憲法下の感覚でそれの検討をやり、そして準備をしておる、こういうことになるのですか。大礼というのは一体何ですか、お伺いをしたい。
  260. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 大礼という言葉は、いわゆる成典によりますと、即位礼及び大嘗祭を含めて大礼というような用語の使い方をいたしておりました。もちろん、皇室典範二十四条には「即位の礼」という言葉がございますが、この即位の礼の中にいわゆる即位礼儀式としてどのようなものが含まれるかということにつきましては、現在政府の準備委員会の中で御検討願っておるわけでございますが、宮内庁といたしましては、いずれにいたしましても、即位礼並びに皇室の非常に長い伝統的な儀式であり重要な儀式である大嘗祭を含めて、これをどのように先例等を勉強しながら今後検討していくか、こういう立場から大礼準備委員会という名称を使わせていただいておるわけでございます。
  261. 東中光雄

    東中委員 宮内庁も内閣も行政府であります。だから、法律に従って行政をやるのでしょう。即位の礼というのは法律にあるからそれについて検討をする、それはいいでしょう。しかし、現行法上ないものを行政府が、大礼と言って、明治憲法下の既に否定された大礼という言葉を使ってそういう委員会で検討をやっていく。これはそもそもあり方に重大な問題があると思うのです。  同時に、大嘗祭が平気な顔をして言われておりますけれども、既に廃止された旧皇室典範には「即位ノ礼及大嘗祭」と並べて、即位の礼の中には大嘗祭は入らないということを建前にしている。全部規定がそうなっていますね。皇室典範の十一条がそうですし、登極令の四、五、六、七条その他、まだ皇室典範の中にもあります。だから、即位の礼と大嘗祭は別なのです。そして明治以来、よしあしにかかわらず、そういう伝統だと言う場合もはっきり概念は別なものとしてやってきた。今、現行法では大嘗祭は殊さらに落としてあるわけですよ、前にあったものをなくしている。それなのに即位の礼の検討ということで大嘗祭まで検討する。これはそもそも明治憲法下のもので、それをいかにして今名前だけ変えて進めようかという、こういう姿勢のあらわれだというふうに私は思わざるを得ないのです。  といいますのは、即位の礼というのはもう既に、昭和天皇が死去された後、いわゆる「直ちに即位する。」という皇室典範四条の規定によって即位の儀式はやったでしょう。即位の礼はやったのではないですか。その点どうでしょう。
  262. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 いわゆる即位に関連する儀式というものが、旧制におきましては、先帝崩御後の直ちに行われる践祚の儀式、それから喪明け後に行われる即位礼、大嘗祭等を含む儀式等があったわけでございます。もちろん現在の皇室典範の中には践祚の意味も含めまして即位という言葉だけに表現をされておりますが、この即位の礼という中にどの範囲のものが入るかということにつきましては、お代がわり直後の剣璽等承継の儀、朝見の儀というものは既に行われ、これから行われますいわゆる即位礼、大嘗祭。この即位礼につきましては、これは御即位後、喪明け後の時期におきまして内外に天皇の即位を表明する儀式、こういうものが先例としてはあるわけでございます。  したがいまして、これまで行われました、ただいま先生が御指摘になりました剣璽等承継の儀、朝見の儀という儀式のほかに、喪明け後に行われる即位の礼というものをいかようにするか、こういうことがただいま政府部内においていろいろ検討されておる、こういうふうに私ども承知をいたしておるわけでございます。
  263. 東中光雄

    東中委員 あなたは先例、先例と言いますけれども、日本国憲法のもとにおける天皇の即位に関しては先例なんかないんです。明治憲法下における旧皇室典範の例があると言えばある。それはしかし先例でも何でもないですよ。日本国憲法における先例なんてありはせぬです。日本国憲法下で即位をした、象徴天皇に即位した、それは今度が初めてでしょう。「神聖ニシテ侵スヘカラス」というあの「万世一系ノ天皇」に即位したとか践祚したとかということは、これは明治憲法下の皇室典範の中であるだけで、そんなものは先例でも何でもないですよ。日本国憲法下における先例じゃない。それを、日本国憲法下のことを検討をしているようなことを言いながら、先例だと言うて、今度は、神聖不可侵の天皇だといった、神国だといった、そのときの先例を持ってくる、そして名前だけ変える。こういうやり方というのは本当になし崩し的に現行憲法を元へ戻していくというやり方だと言わざるを得ぬのです。  例えば、先ほど言われた剣璽等承継の儀あるいは朝見の儀というその言葉、これは現行憲法における即位の礼の内容で国事行為なんだ、こう言いましたね。しかし、現行憲法では即位は皇位の継承を即位と言うんだ。明治憲法下ではそうじゃなかったのです。それは即位とは言わなかった。践祚と言ったのです。それを、明治憲法下で践祚と言うたものを、今度は即位だと言うて、現行憲法へそっと持ってくるのですね。そして、それは何かといったら、いわゆる三種の神器でしょう。だからこれはアマテラスオオミカミというあの発想の一種の神事ですよ。神話に基づく儀式でしょう。そんなものを即位の礼だというて滑り込ませた。それも発表を全然しない、やるときになって初めて言う。こういうやり方というのは非常に許されない、日本国憲法を明治憲法下の方へ引き戻していくやり方だ。主権在民の憲法の建前からいって許されない、私たちはそう考えています。  ところで今、即位の礼委員会あるいは準備委員会、それから検討委員会、こういうものをやられている中で、最近の報道を見ていますと、例えば、九月二十九日付の新聞ではほとんどが大嘗祭は来年の十一月二十三日ごろにやる、そして即位の礼はその日から二週間ぐらい前の十一月十日ごろとするのだという趣旨のことが、しかもそれは東京でやるんだ、京都で春にやるなんという説はもうなくなったのだということが報道されているのです。きのうもあるテレビで、来年十一月十日ごろに即位の礼ということになるんではないかという放映をしていました。これは公式の場所では検討中、検討中と言うのです。それでもうそういう大嘗祭をやるのが当たり前みたいな雰囲気をつくっている。事は主権在民の憲法、主権在君の神国だと言うたそのときの憲法とこれはもう大きな変化じゃないですかね。その大きな変化をなし崩し的にやっていく。ただ検討だ、検討だと言う。検討は、宮内庁では大礼というような格好で大嘗祭はもう入っておるみたいな格好になっておる。非常によくないと思うのです。来年十一月十日ごろに即位の礼、そして大嘗祭は新嘗祭がやられておるそのときにやろうというふうなことが、宮内庁なり政府なりあるいはこの準備委員会なり検討委員会なりから出なければ各紙一斉に報道するということはないと思うのですが、そういう方向をとっているのですか、とっていないのですか。大嘗祭はやるともやらぬともまだ決めていないのだということなんですか、どうなんですか。
  264. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 報道機関がいろいろ観測をされましてお書きになった記事があることは私も承知しておりますけれども、準備委員会は残念ながらまだ二回目を開催する運びに至っておりませんし、まさに先生御指摘のとおり新憲法下におきましては初めてのことでございます。ですから、憲法の趣旨に従いまして、そしてかつ、皇室の伝統も尊重した即位の礼のあり方というものがいかにあるべきか、いかなる場所でいかなる方法で行うべきかということにつきましてこれから協議をしていくわけでございますので、今のところは全く何も決まっておりません。
  265. 東中光雄

    東中委員 即位の礼についてお伺いしますけれども、今までの答弁でも、即位の礼も憲法の趣旨に従い皇室の伝統を尊重して、こういうふうに言われているわけですが、旧皇室典範及び登極令で定められておった即位の礼のあり方、これは践祚の礼も含めてですが、そのあり方を皇室の伝統を尊重しというその皇室の伝統という中に入れるのか入れないのか、それは全然別ということになるのか。いかがですか。
  266. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 旧皇室令で定めておる即位礼儀式、こういうものが皇室の伝統であるか、こういうような御質問かと思うのでございます。  旧皇室令で定められておる登極令は明治末に制定をされたものでございますけれども、これは、それを制定する当時古くから行われてまいりました即位礼儀式というものをいろいろ考証したり検討いたしたりいたしまして、そして、当時の情勢に合った形のものを登極令という形で制定をしたというふうに承知をしておるわけでございます。したがいまして、登極令で定められた儀式というものも、皇室の長い伝統に基づいた儀式と考えてよろしいかというふうに私どもは考えております。
  267. 東中光雄

    東中委員 ところがそうではない。登極令という形が出たのは明治の終わりごろですけれども、明治天皇の即位の礼というのを大いに検討されてつくったわけです。その線が皇室典範、登極令という方向に進んでいくわけですけれども、その明治天皇の即位の礼のときに、これを実施する責任者ですか、とにかく岩倉具視が、御承知でしょうが、亀井茲監神祇官副知事に出した令書がありますね。内令というのですか。それによりますと「即位御礼式……古来……唐土之式を御用之事にて甚以不都合と存候。」古来のものとは中国の唐ですね、唐の国の唐式だから甚だもって不都合と存じ候。「今般御一新に付而者、皇国神裔の神裔たる御礼式を被レ用候様致し度、就ては神国古典御考にて新規登壇之御式御新作可レ給候。」だから、もう前のものは不都合千万である、古来やってきたものは唐式だから。だから、この際皇国神裔の神裔たるものにしなければいかぬ。だから、新規登壇、新式、新作でやらなければいかぬというて新作をつくったのですよ。だから、古来のものはぐあい悪いという出発点なんですよ。  だから、これは明治憲法をつくっていくあの「万世一系ノ天皇」、「神聖ニシテ侵スヘカラス」、主権者天皇、そういう感覚でそれに合うようにつくってきた。まさにそれは一つの歴史ではあります。しかしそれは否定されなければいかぬ歴史ですね、日本国憲法では。そこでつくられたものを、皇室の伝統だ、それを尊重していくのだというて滑り込ませようとするという姿勢が、今の宮内庁次長の話を聞いておるとありありなんですね。  官房長官は白紙でということを、まだ何にも決まっていない、こう言われましたが、海部総理も皇室の伝統を尊重してということは言うているのです。問題は、その皇室の伝統という名で神聖不可侵の天皇を復活させる。即位は皇位の継承ではなくて、皇位の継承をしたことを内外に宣明して、主権者としての威令をやっていくのが即位の礼なんだ、前はそういう規定だったのですね。そういうのと同じように考えたらこれはとんでもないことだと思うのですが、事柄の性質をはっきりさせて、そういう明治憲法下における登極令なんかを伝統という名で滑り込ませるようなことのないように、官房長官、はっきりとした立場でその検討委員会ですか、準備委員会を進めていかれるべきだと思うのですが、いかがでしょう。
  268. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 先ほども申し上げましたように、現行憲法下におきましては初めてのことでもございますので慎重な対応が必要であると考えます。この儀式のあり方などをめぐりましていろいろな議論がおありになるということもよくわかっておりますので、この準備委員会におきましても、協議の参考とさせていただくために有識者の御意見を各方面から承りたいというふうに考えております。いろいろな方面のさまざまな御意見をちょうだいいたしまして、その上で最終的に決めたいというふうに考えております。
  269. 東中光雄

    東中委員 ただ、即位の礼の一部としてもう既に行った剣璽等承継の儀あるいは朝見の儀などというのは、明治憲法時と同じ形式ですよ、言葉だけがちょっと変わっているだけで形式も内容も皆同じです。普通には通用しないような朝見の儀などというようなことをいまだに使っている。ただ渡御というのを承継に変えたとか、こういうのは、本当に主権在民を主権在君とかに、こういうことでごまかしていくというのは私は断じて許されないと思いますので、それをも含めて、あれは間違っておったということをやるぐらいにしなきゃいかぬのじゃないかというふうに思います。  それで宮内庁にお聞きするのですが、宮内庁ではいろいろな儀式、行事、祭祀、こういうものをやられていますね。宮内庁要覧を拝見いたしましてなるほどと思ったのですが、宮中では天皇、皇室の行為について、儀式と行事と祭祀という言葉をちゃんと分けて概念がつくられていますね。法律的に関係があると思うのですが、国事行為たる儀式と国事行為に関連するような儀式、それから国事行為でない恒例的な儀式あるいは行事、あるいは臨時に行われた特別の儀式、例えば葬儀とか成年式とか結婚式とかいう儀式、そのほかに祭祀というふうに分類していますね。祭祀はこれをつかさどるのはどういう機関がつかさどるのですか。
  270. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 祭祀にもいろいろございまして、事細かに一々申し上げることはいかがかと思うわけでございますが、宮中三殿の諸祭祀等につきましては、掌典職といういわゆる内廷の職員がこれを補佐して、陛下初めいろいろなお祭り事を行われるということでございます。
  271. 東中光雄

    東中委員 要するに祭祀をつかさどるのは掌典職である。天皇祭を天皇が主宰するということはこれはありますよ。しかし、いわゆる祭祀をつかさどるのは、宮内庁要覧によりますと、「国家行政機関たる宮内庁の組織とは別の組織」である掌典職が「皇室の祭祀のことをつかさどっている。掌典長の統括の下に掌典次長、掌典及び内掌典が置かれている。」六十三年度の要覧にはそう書いてあります。ということは、結局宮内庁の組織とは別なんです。だから国家公務員でない。天皇の内廷費から出される天皇家の私的使用人である。内廷の組織として掌典職というのがある。これが祭祀のことをつかさどると書いてあります。  そこで、新嘗祭というのは一番大きな、皇室の祭典の中の大祭ですね。これはどういうことをやられる祭祀なんですか、説明をしていただきたいと思います。
  272. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 新嘗祭というのは、これはその年の五穀の豊穣を感謝し、天皇もみずからその新穀をお召し上がりになる、いわゆるそういうお祭り、儀式でございます。(東中委員「儀式ですか」と呼ぶ)そういう祭祀でございます。
  273. 東中光雄

    東中委員 この宮内庁の要覧によりますと、「天皇陛下が、神嘉殿において、新穀を皇祖始め神々にお供えになって、神恩を感謝された後陛下自らもお召上がりになる神事である。」と書いてあります。「神事である。宮中恒例祭典の中の最も重要なもの。」こういうふうに書いてあります。六十三年度になるとその「神事」というのをわざわざ変えているのですね。「祭典」というふうに変えてます。今は儀式と次長は言いました。そこのところがなかなかややこしいのですがね。だから、天皇がやるんだけれども、それは国家機関としての天皇じゃなくて個人がやる私ごとの新嘗祭というのかな、そういう神事なんだと、神の事なんだと。これは宮内庁の要覧に書いてあることなんですが、それで間違いありませんか。
  274. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 今要覧の記事をお読みになりましたことはそのとおりでございます。
  275. 東中光雄

    東中委員 したがって、この新嘗祭、宮中恒例祭典のうち最も重要なもの、これが内廷費で私的にやられる祭り事である、そういうことですね。
  276. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 皇室の祭祀としていわゆる内廷で行われておる行事でございます。(東中委員予算は内廷費でしょう」と呼ぶ)予算は内廷費でございます。
  277. 東中光雄

    東中委員 新嘗祭とそれからいわゆる大嘗祭、その関係はどこが似ておってどこが違うのか、その点を宮内庁からお聞かせください。
  278. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 その年の五穀の豊穣を感謝し、あるいは国内の安寧というものを感謝して御親供をなされ、それから御みずからも召し上がる、いわゆるこういうことは同じ形でございますが、大嘗祭というのは、先生も御承知のように御即位後、喪が明けた段階におきまして、初めて天皇がその年の新穀を神々にささげ、また御みずからも召し上がる儀式ということでありまして、これは一世に一度の非常に大事な儀式であり、即位儀礼の一環の儀式であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  279. 東中光雄

    東中委員 そこで、大嘗祭になると盛んに儀式であると言うのですけれども、先ほど言うように神事、祭祀であるという点は一緒でしょう、違いますか。
  280. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 儀式の形式がいわゆるそういう宗教的な色彩があるかどうかということであろうと思いますけれども、大嘗祭は、先ほど申し上げましたように一世一度の御即位に伴う重要な儀式であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  281. 東中光雄

    東中委員 旧皇室典範がつくられたときに、伊藤博文、伊藤伯爵が書いている「皇室典範義解」というのによりますと、「大嘗の祭は」「一世一たび行はる々者なり(天武天皇以来年毎に行ふを新嘗とし、一世に一たび行ふを大嘗とす。)」というふうに書いています。それから、古事類苑でもその点は全く同じことで、この祭りは、「大嘗は、古語にオオニへと言い……。この祭りは天皇即位の後、始めて新穀を以て天照大神及び天神地祇を奉祭し給う一世一度の新嘗なれば、これを大新嘗とも言い、また即位後必ず行い給うを以て、践祚大嘗祭とも言う。」だから、新嘗祭と一緒なんですよ。やる時期、それからその意味づけが違うというだけで、祭祀である、そして神事である、これは共通なんです。  それで、新嘗祭は毎年やるから内廷費でやっているわけです。何で即位したときだけ初めてやるのを今度は内廷費でやらないのですか、やるとしたらですよ。やることがいいかどうかは別として。新嘗と同じようにすべきじゃないですか。その点はどうでしょう。私が牽強付会なことを言っているというのか。そうじゃない、すらっと考えたらだれでもそう思いますよ。長官、どう思われますか。
  282. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 今のような問題も含めまして、準備委員会で検討させていただいているところでございます。
  283. 東中光雄

    東中委員 それじゃ、大嘗祭というのは今新穀を供えるということでしたが、大嘗祭をやる意味は一体何なのですか。前からやってきた大嘗祭ですね。皇室の伝統の中に大嘗祭というものは確かにあることはあるのですが、なぜこの大嘗祭を即位をやった場合に一回やるのかということを、大嘗祭をどういうふうにやるかということを考える場合、どうしてもそれに触れないでということはあり得ないわけですから。しかも大嘗祭というのは、これはもう歴史的にはいろいろありますが、時間が余りありませんから申し上げませんけれども、登極令や旧皇室典範の考え方でいけば、そして今一般に言われておりますのは、天皇の一世に一度行われる大嘗祭というのは、登極令は新嘗祭と同じ性格の同じ神事なのだけれども、全国から二カ所の国に悠紀田、主基田と呼ぶ斎田を定めて、その田で成育した新穀を大嘗祭の御饌として献納させる、特別の神域を定め、そこに悠紀殿、主基殿などの大嘗宮を造営する、そして新穀を供え、さらに真床迫衾の秘儀、大嘗宮の御殿の床に八重畳、八重の畳を敷き、ふすまで覆って神を伏させ、天皇もこれに伏す、そういう儀式をやることによって天皇は神になるのだ、神格を持つのだ、そういう儀式だとされているわけですね。神社本庁で書いている本なんかを見てもそうですし、大嘗祭というのはそういう形でやるように登極令にも書いています。これはまさに神事であり、呪術的秘儀なんですよ。それを象徴天皇が神格を持つようにということで祈るということになるのですよ。そんなものは皇室の内部でやったっておかしいじゃないか。  今度、新天皇が即位したのは日本国憲法の象徴天皇に即位したんですよ。その即位に際して今度は神になる儀式を大嘗祭ということでやるんだ、こんなことは国の行事としてやれないのはもちろんです。祭祀であるからやれません。しかし天皇家の行事としても非常な矛盾です。私たちは、こういうことは主権在民のもとでは断じて許されない、こう思っていますが、大体、大嘗祭というものの性格、何のために大嘗祭をやるのか。天皇の神格化ということのための、次長の言葉によれば儀式、従来の宮内庁の言い方で言えば神事、祭祀、これをやるのは象徴天皇に神的性格を持たせるための儀式になる。そうではないのか。もしそうだとすれば、これはもう絶対やってはいかぬということになるし、そうでない大嘗祭といったら、今まで言われている大嘗祭と違うことになるのですが、それは一体どういうことかということになると思うのですが、最後に、どうでしょう、長官。
  284. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 基本的には、先生おっしゃるように、現在の憲法のもとで、大嘗祭を含め即位の礼というものをどのようにするかということはただいま検討中でありますので、そこは基本的に御了承いただきたいと思います。  それから、大嘗祭のいろいろな儀式のやり方あるいは意義、意味というようなものにつきまして、ただいま先生いろいろな御引用をなさったわけでございますが、これについては、大嘗祭については非常にいろいろな学説等もありますし、また、その中でのいろいろな所作等についても必ずしも一致した考え方のもとに説明をされているものはないわけでございまして、非常にいろいろな説があるわけでございます。ただいま政府で、準備委員会で検討しておりますのは、そういういろいろな過去の事例あるいはこれに対するいろいろな諸説等も十分検討して、どういう結論を出すかということをただいまやっておるわけでございます。そういう意味で、現段階では今の点につきましては申し上げることはできませんので、御了承いただきたいと思います。
  285. 東中光雄

    東中委員 これは学問的な論争をしているのじゃないのですよ。少なくとも国家機関がやるかやらぬかということ、それから現にやってきたのは何でかということを言うているのですよ。今までやってきたのは、大嘗祭ということで皇室典範にもあって、登極令にもあって、それを現にやったんでしょう。いろいろな学説があると言うが、学説の問題じゃないですよ。宮内庁はそんなことを言っている立場ですか。実際にやってきた伝統を尊重しというのは、実際にやったことでしょう。その実際にやったことはどういうものなのかと聞いている、一般ではこう言われておるのですよ。真相を知っているのは、宮内庁が知らぬのやったら天皇が勝手にやったということになってしまいますね。そんなばかなことはあり得ないのだから、諸説がありますなんていうのはもってのほかですよ。そういうものではない。  あなた方が公にやろうとしている、あるいは天皇が私的にやる場合でも、それは、天皇の財政は全部国民の税金で、内廷費であって、そこから出しているわけですから、それは、純粋にプライベートな問題以外は、こういう問題になってくればこれは公的な性質を持ってきますよ。だから、そういうことを大嘗祭というのはどういうものであるか。諸説いろいろありましてわかりません、それを検討しています。そういうことを無責任というのですよ。検討、検討で、最後になったらぽんとやっちゃう。剣璽承継の儀といってばんとやっちゃう。こういうやり方というのは断じて許せない。私たちはそう思います。そんな国民に説明のできないようなものを、伝統を尊重しなんて言ってだましだましてやっていく。そのくせに、いや京都へ行くのはやらないのだ、東京でやるのだ、そしてもう日まで報道されてくる。それは新聞がやったことであって知らない。全然宮内庁からも、 そういうことを決める立場にある人から何にも出ないで新聞は書きはせぬですよ。そういう世論をつくって、わけのわからぬ大嘗祭を、憲法違反の大嘗祭を滑り込ましていくという、そういう世論を形成するという姿勢はやめるべきだ。これは憲法の主権在民の原則にかかわることだから、私は強く要請をしておきます。次長の今の、いろいろ学説があってどうのこうのというような、そういうことは国会で言うべきことじゃない、国家公務員が言うべきことじゃない、歴史学の教義をやっているんじゃないんだ。  質問を終わります。
  286. 中村靖

    中村委員長 次に、尾身幸次君。
  287. 尾身幸次

    ○尾身委員 私は、地価問題と住宅問題についてお伺いをさせていただきます。  最初に、国土庁長官にお伺いをさせていただきます。  東京都心を中心として端を発しました最近における地価の高騰は、国民の住宅取得を困難にしたのを初めといたしまして、社会資本の整備や良好な都市環境づくりに大きな支障を及ぼし、さらに資産格差の拡大による不公平感を増大させるというようなことで、経済の円滑な運営あるいは社会の安定にとって重大な問題を引き起こしていると思うわけでございます。  そこで、まず最初に、最近の地価の動向及び今回の地価高騰前の水準と比較した現在の地価水準がどうなっているかを国土庁にお伺いしたいと思います。
  288. 石井一

    ○石井国務大臣 平成元年度の都道府県地価調査によると、地価の動向は以下のとおりになっております。  まず第一に東京圏においては、埼玉県及び千葉県の周辺部から圏域外にかけてかなりの地価上昇が見られました。しかし東京都、神奈川県の中心部では地価が下落するというような現象も出まして、全体としては鎮静化の傾向が続いております。次に大阪圏におきましては、著しい地価上昇の見られる地域が圏域のほぼ全域に及び、この一年間を通じて上昇傾向が継続いたしました。名古屋圏においては、名古屋市は鈍化傾向にあるものの、かなりの地価上昇がやはり周辺部分に拡大いたしました。地方圏では、一部の主要都市でかなり地価の上昇が見られましたが、その他の地域ではおおむね安定した状況で推移いたしております。  最後の御質問でございますが、地価水準を昭和五十八年の地価水準と比較いたしますと、東京圏においては住宅地で約二・二倍、商業地で約二・九倍となっており、大阪圏では住宅地では約二倍、商業地で約二・七倍、名古屋圏においては住宅地で約一・四倍、商業地で約一・七倍、こういう現況でございます。
  289. 尾身幸次

    ○尾身委員 ただいま大臣から最近の地価の状況につきまして説明がございましたが、この数年間で二倍以上の上昇をしているということにも見られますし、また既に水準そのものが極めて高いという状況であります。したがって、まさに土地の問題は我が国の内政上極めて重要な課題であると思うわけであります。  土地の値段は、基本的には需給関係によって決まるというふうに考えられます。このため、地価問題に中期、長期的に対応するためには、土地の供給の促進と需要の分散によって土地市場の需給関係の不均衡を解消することが必要かなと思うわけであります。そして、その前提といたしまして、土地市場に対しましては、公共の福祉のために土地の利用や保存や保有や処分に対する適切な公的介入が必要である、いわば土地に関する私的制限のあり方について国民的コンセンサスを得る必要があると思うわけでございます。  これに関連をいたしまして、土地基本法を政府は提案をしているわけでございますが、どういう基本的なお考えか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  290. 石井一

    ○石井国務大臣 委員御案内のとおり、土地神話というのが存在いたしておりまして、土地を持っておれば絶対に損はない、また、土地は時間がたっても価格を生むものである、そういうような感覚がこれまで国民の奥深くしみついておりましたために、土地の最近の高騰にやはり異常な拍車をかけておるという一面がございます。また土地が、非常に狭い国土でありましても十分に、高度に、適度に利用されておるかということを考えますと、その点必ずしもそうでない、そういうふうな問題もあるわけでございます。  そういう観点から、前国会から継続審議になっております案件でありますけれども、土地基本法というふうなものを策定いたしまして、ここで土地に対する国民の意識をひとつ変えていただきたい。土地の公共性を明確に宣言し、そして意識革命をやっていただいて、それから各般の施策を総合的に実施する、そういうことによりまして土地は公共の福祉のために供されるものである。確かに、憲法二十九条によりまして、財産の私有権というものは十分に認めたこの国の基本的な制度がございますが、しかし、二十九条の一項ではそれを認めておりましても、二項ではやはり、しかしながらこれは公共の福祉に供するものである。また第三項におきましては、場合によっては収用の用に供する場合もあるというふうな規定もございますので、何もそういう強権を発動するという考え方ではございませんけれども、乏しい国土を国民全体のために使っていただく、そういう基本理念を確立し、公共的制約が課せられるべきこと、土地は土地利用計画に従って利用されるべきこと、また、決して投機の対象になるべきことでないというふうな基本理念を設定し、それから後いろいろの施策、需給の供給を大きくしていく問題でありますとか、あるいは土地保有に対します、譲渡に対します、所有に対します課税の強化でありますとか、もろもろの施策を講ずることによりましてこの問題を克服していきたい、そう思っております。
  291. 尾身幸次

    ○尾身委員 昨日は土地対策関係閣僚会議が開催されたようでございますけれども、この土地問題の解決のために政府は今後具体的にどのような取り組みをしていかれるおつもりか、お伺いをさせていただきます。
  292. 石井一

    ○石井国務大臣 問題は大変広範にわたっておりまして、また、各省が総合的に、有機的に協力をしなければいかぬというそういう性格の問題でございますが、要は、昨年六月に政府が策定いたしました総合土地対策要綱、これを基礎に、できるものから可及的速やかに解決を図っていきたい、そのように思っております。  願わくは、この国会で土地基本法を成立せしめ、その次に、今申しました総合土地対策要綱の中から何を優先さすべきかという優先順位をつけて問題の処理に当たりたいと思っておりますが、私が昨日関係閣僚会議の締めくくりで提案をいたしましたことは、まず第一点は、世間の批判も厳しい市街地にあります農地宅地化の推進、これはやはり緑を保全するとか、あるいは災害の避難等の空地が必要であるとか、いろいろの議論もございますけれども、その一部を必ず今回は宅地化にするという方向を検討する。また建設大臣等からも強く主張されたわけでありますが、大都市内あるいは近郊にも未利用地、利用されずに置かれておるもの、あるいはもっと高度利用等々が図られるべきこと等々。それから第三に、公有地等に関しましても放置されておる問題等がございますから、これらの問題をも含めまして、供給だけをふやすということだけではございませんけれども、この供給をふやすということをまず考える。そのためには、しっかりとした都市計画を裏づける、あるいはまた地権者が進んで土地を提供できるような優遇策を講ずる等々のいろいろの知恵を絞りまして、できれば年内に今申しましたような問題の基本的な方向を打ち出したい、そう考えております。
  293. 尾身幸次

    ○尾身委員 次に、建設省及び建設大臣にお伺いをさせていただきます。  最近、首都圏におきましては地価高騰が先ほど国土庁長官のお話のようにやや鎮静化していると言われていますけれども、それでは、中堅サラリーマンが住宅を取得するということで考えてみ た場合、現在の地価水準につきまして一体どのように考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  294. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 お答えいたします。  先ほど国土庁長官から東京圏の住宅地の地価の上昇につきまして数字の御発表がございましたので、ここは省略いたしますが、いずれにしましても、五十九年から平成元年まで二・二倍くらいになっておるということでございます。  私ども住宅対策を進めております立場からみますと、首都圏の中堅のサラリーマンの所得を設定をいたしまして、現在におきます政策融資あるいは政策減税でいろいろと手当てをいたしておりますが、そういうことからして、通常どのくらい資金の手当てができるかということを考えますと、四千万円くらいになろうかと思います。これを土地つきの一戸住宅をこの四千万円で買う、あるいはマンションを買うということでいろいろと、中身をちょっと省略いたしますけれども、設定をして土地代を出してみますと、土地つき一戸住宅につきましては平米当たり十六万円くらいになろうかと思います。それから、マンションにつきましては平米当たり二十七万円くらいになろうかと思います。そういうことで、この土地を国土庁が調べております地価公示価格を使いましてどのくらいのところで買えるかということをいろいろと調べてみますと、戸建ての場合、値上がり以前、値上がり直前でございますが、六十一年当時ですと、東京の南部あるいは西部に参りますと二十五キロあるいは三十五キロ以遠でそういう土地が買えたというものが、平成元年では五十五キロということで、とてつもない遠くの方に行ってしまうわけでございます。それからマンションにつきましても、同じように南部、西部で見ますと、地価値上がり前でいきますと十五キロから二十キロくらいのところでそういうマンションが買えたわけでございますが、平成元年では三十五キロないし五十キロということで、いずれも非常に遠隔化する、同時に、ここで住宅を取得してここから通うということを考えますと、大都市のサラリーマンのこれからの土地の取得、通勤、そういうものが非常に大変だなというふうに考えております。
  295. 尾身幸次

    ○尾身委員 今のお話のように、所得水準から考えて大体四千万円程度が負担能力である、そうすると、一戸建てで見ると地価十六万円というような非常に安いといいますか、東京都心から離れたところにしか、五十キロ以上離れたところにしか住宅が建てられないというような現状であります。これは大変なことだと思うのでありますけれども、最近東京都市圏におきましても良質な住宅に対する需要が非常に強くなっているわけでありますが、首都圏におきます公団の分譲住宅あるいは住宅金融公庫つきの民間分譲住宅がございますけれども、大変に応募者が多い、なかなか当たらないというふうに聞いているのでありますが、どのくらいの倍率になっているか、それをお伺いさせていただきたいと思います。
  296. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 お答えいたします。  まず公団の分譲住宅でございますが、一都三県におきます供給量としては、五十九年当時は五千戸くらいあったものが、最近は土地の取得が難しくなっておりまして戸数そのものも若干減ってきております。こういう背景がございますが、六十二年度は全体押しなべまして八十五倍、六十三年度は八十六倍ということでございます。  それから、もう一つお尋ねの住宅金融公庫融資つきの民間分譲住宅でございますが、これにつきましては六十二年度が十六倍、六十三年度が十倍。これにつきましては今年度に入ってからのものもわかりますので申し上げますと、九月まででございますけれども、七倍くらいになっております。
  297. 尾身幸次

    ○尾身委員 公団分譲住宅あるいは民間の分譲住宅住宅金融公庫つきが非常に倍率が高くなっている。公団の分譲住宅においては八十五倍というような水準になっているわけでありますけれども、公団の住宅の数を見ますと非常に少ないわけで、なぜ八十五倍のような倍率になるのか、やはり需給関係からみて八十五人のうち一人しか入れない、八十四人は入れないというような、くじに当たった人にウインドフォール・プロフィットを与えるような価格設定というのがやや問題があるのではないか。むしろ、例えば二倍とか三倍まで倍率が下がる程度の、高いといっては語弊がありますけれども、マーケットメカニズムに合ったような価格設定をして、それによって入りたい希望者に大体入ってもらう、同時に、その資金が余分に入るわけでありますから、その分で次の住宅の開発をするという方向に行った方が、本当の意味の住宅問題の解決に少なくとも公団分譲住宅についてはなるのではないかというふうに思うわけでございますけれども、その点について建設省の御意見をお伺いしたいと思います。
  298. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 今御指摘の点でございますが、現行の制度上はどうなっているかというのをちょっと簡単に御説明申し上げますと、公団につきましては、公団法の施行規則でいわゆる原価の計算をするわけでございますけれども、分譲住宅建設に要した費用、それから建設期間中の利子、それから分譲事務費、それからその他引当金の額あるいは公租公課を加えます。これが原価になるわけでございますが、この原価を基準といたしまして、さらに物価その他経済事情の変動等に伴い必要があるときにはプラスをする、あるいはマイナスをするということが可能だということになっております。  現実の公団の分譲住宅価格を見てまいりますと、そういう意味で、非常に地価が上がって住宅価格が上昇する時期というのは、やはり公団の場合には同じ団地の中で非常に古いといいますか、先に供給したものと、それから地価が上がってから供給するものとあるわけでございますけれども、土地を取得した時点は同じものが多いわけでございます。したがいまして、過去に供給しました価格というものとその後の物価上昇等を勘案をして、できるだけ市場価格との乖離をなくす格好で勘案いたしますけれども、おのずから制度上は制約があるわけでございます。したがいまして、実際上は市場価格と比較すると非常に値上がりの強いときには若干差が出てくるということではないかと思われます。  現に四十五、六年ころから今日に至ります間の分譲住宅の倍率、首都圏で見てまいりますと、八十何倍というふうになりましたのはこの二年間だけでございまして、その前までは要するに数倍のオーダーでございます。したがいまして、通常の状態でありますならば、価格を設定してそれに数倍の応募率があるという状況で推移したものが、非常に価格が上がった段階で先生御指摘のようなことがちょっと出たかなという感じがいたしております。  しかしながら、公共主体が供給する住宅でございますので、市場価格ももちろん眺めなければなりませんけれども、既存の団地とのバランス、それから物価の上昇の度合い、そういうものを勘案しながら、できるだけ先生が申されましたような適正な価格の方に向かって努力をするということではないかと思っております。
  299. 尾身幸次

    ○尾身委員 この問題は、コストにある程度のリーズナブルな利益を見込んで公団の価格を決定するということでありまして、確かに低い価格を決定すれば価格上昇の引き金にならないというような意味で担当の役所なり担当の公団としては責任は逃れるかもしれませんが、しかし、現実にはそのことによって大勢の人が、納得のいく値段で買いたいと思った人が買えなくなるという問題があるわけでありますから、公団のような公的機関であれば、多少値段を引き上げても、そのことをさらに次のプロジェクトの開発のためのお金に回すという形でやっていった方が本当の住宅問題の解決にもなるし、本当はそちらの方が公平なのではないかと私は思うわけでございまして、この点につきまして大臣のお考えをもう一度お伺いさせていただきます。
  300. 原田昇左右

    ○原田国務大臣 尾身委員から非常に示唆に富む御意見をいただきまして、大変ありがたいと思っております。  確かに今のようなケースで、くじで当たった入居者にウインドフォール・プロフィットが入るということだけで果たしていいのかという問題がございます。こういう場合、例えば三世代同居家庭とか身障者家庭とかお年寄りのおられる家庭等に優先したらどうだという御意見もありますし、今のような適正な市場価格というのは非常に難しいのですけれども、それで売ってそのプロフィットを次の供給に回すというのは非常にいい考えであろうと思いますので、即座に決めかねるわけでございますが、十分その辺も踏まえて今後検討させていただきたいと思っております。ありがとうございました。
  301. 石井一

    ○石井国務大臣 今のお話を伺っておりまして、私は土地の問題に特に取り組んでおりまして、住宅建設省の皆さんにお任せをするということでありますが、そういうふうに機能を分担するといいますか、そういうことばかり言っておれない状況でございます。  そこで、これは私の非常に雑駁な推測かもしれませんが、日本の住宅政策というのは、当初住むところがないということでビル形式をどんどんと推進いたしましたけれども、あるときから一戸建てに方向が変わったのではないか。しかしながら、委員指摘のように、今や五十キロ、一時間半、二時間というふうなことになってくると、この辺で住宅政策について土地との関連において方向をもう一度転換しなければいかぬのではないか。例えばの話でありますけれども、若いときには多少狭くてもできるだけ近いところで職住接近というような形をし、一戸建てのマイホームというものに対してはもう少し中期的、長期的に考えてもらうというような考え方等々、あるいはまた国鉄を初め公有地もたくさん余っておると思うのでありますが、これらに対しましても住宅と土地という総合的な政府一体での考え方を推進していかなければいかぬのではないか。この点、問題の提起がありましたので、今後建設省の専門担当当局とも協議の機会を十分持たせていただいて、そういう点についてもひとつ配慮していきたいと思います。
  302. 尾身幸次

    ○尾身委員 そこでもう一つ、先ほど国土庁長官から、市街化区域の農地の利用度が低い、こういう農地あるいは遊休地を住宅用土地の供給という形にもう少し回していったらどうかというお話がございましたけれども、どの程度の市街化区域農地があるのか、またこれを一体どういうふうにして活用を図っていかれるおつもりなのか、この点についてお伺いをさせていただきます。
  303. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答え申し上げます。  市街化区域に占める農地の割合でございますが、東京圏で市街化区域面積が三十三万五百四十六ヘクタールで、そのうち市街化区域内農地面積が三万五千七百八十九ヘクタールで、シェアとしては大体一〇・八%程度でございます。それをまた東京都で見ますと、市街化区域の面積が十万五千五百九十六ヘクタール、市街化区域内農地の面積が八千四百十七ヘクタールということで、シェアでいきますと八%でございます。さらにこれを東京都区部について見ますと、市街化区域面積が五万六千五百五十三ヘクタールでございますが、市街化区域内農地の面積は千七百四十四ヘクタールということで、三・一%のシェアになっております。  それで、この市街化区域内農地等の高度利用策でございますが、私ども建設省といたしましては、特にこの市街化区域内農地の高度利用が宅地政策の上で最重要であると考えておりまして、市街化区域内農地宅地化するものと保全するものとに区分を明確化するということをもう一度やって、そして、まず宅地化いたしますものについては、土地区画整理事業等の積極的な実施を行う、地区計画という制度を活用するというようなことで、計画的な市街地の形成、宅地の供給の促進を図ってまいりたいということでございます。それからさらに、計画的な宅地化、市街化の誘導を推進するために、新たに公共施設整備をあわせて行いながら、高さ制限、容積率制限等を一般よりも緩和して行うことによって、農地において良好な中高層住宅の供給が可能になる制度の検討を進めているところでございます。  なお、保全すべき農地につきましては、市街化調整区域の逆線引きということを行うほか、生産緑地というようなものの積極的な活用を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。
  304. 尾身幸次

    ○尾身委員 私は、いろいろな形で土地利用の高度化というのをやらなければいけないと思うのでありますが、住宅供給の対策として大きい方向としては、中高層化するような、中高層というよりもむしろ高層化するような政策的な誘導が必要であるというように考えるのでありますが、これにつきまして基本的なお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
  305. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えいたします。  良好な市街地環境の形成を図りながら土地の有効な高度利用を促進するということは、大都市地域において極めて重要なことであるというふうに認識をいたしております。しかしながら、実は規制の高さ、容積等の見直しが具体的に必要になってくるわけですが、この見直しに当たって、都市環境というものが大丈夫か、あるいは都市の安全性、防災性の確保という点がどうかということで、具体的には道路等の公共施設整備状況のバランスがどうなっているかというようなこととの関連を十分に整理をした上で行っていくことが必要であろうということで、不十分な地域についても一律にそういう高層化を図っていくということは難しいと考えております。  このため、土地利用の動向とか公共施設整備状況というものを見ながら、そこで用途地域とか容積率の的確な見直しを進めてきているところでございまして、実は、この十月十一日に東京都では容積率の見直しを行ったばかりのところでございます。これによって既存の容積率は約九%アップをしておりまして、面積にしても相当数のアップが見込め、床面積の増加になるものと期待をしているところでございます。  先ほど申し上げましたように、特に市街化区域内農地につきましても、これを公共施設整備とあわせて、高さ制限、容積率の緩和という方策についても検討を進めているところでございます。
  306. 尾身幸次

    ○尾身委員 容積率の話が出ましたけれども、東京における平均容積率は今どのくらいになっておりますか。
  307. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 東京におきます平均容積率は、先ほど申し上げましたように、十月十一日に東京区部とその周辺について容積率の見直しが完了したところでございますが、細かい数字を申し上げますと、区部の指定容積率は平均で二四三%から二五二%になって九ポイント上昇したという状況に今ございます。(尾身委員「いや、結果を聞いているのですよ。それは指定でしょう」と呼ぶ)ただいま申し上げたのは指定状況ですが、実際に利用されている容積率は約九九%でございます。昨年の数字でございます。これは、道路が十分でないとその容積がフルに使えないというようなことがあってダウンをしているというのが実態でございます。
  308. 尾身幸次

    ○尾身委員 今、東京都が容積率の見直しをやって九ポイントだけ指定容積率のアップをしたというお話がありましたけれども、私は、本当にこの程度の容積率の見直しでいいのかということを強く感じているわけであります。東京の大都市地域における住宅の大量供給のためには、例えば日照権問題とか風通しの問題とかいう問題をある程度犠牲にしても、容積率とか建ぺい率とか高さ制限とかいうものをもう少し大幅に緩和しなければいけないのではないかなと思っているのでありますけれども、その点についてお答えをお願いいたします。
  309. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 御説明申し上げます。  先ほど、当初の御質問の際に申し上げましたように、勤労者の通勤時間が非常に延びるという形で住宅立地の外延化が進んでいるわけでございます。したがいまして、私どもは、御指摘のように既成市街地の中をできるだけ高度利用しながら住宅 が供給できないかということを考えております。ただ、最終の姿は、例えばパリでありますとかニューヨークでありますとか、私ども目に浮かぶ姿はあるわけでございますけれども、それに至る過程だと思うのですね。  現実の東京はどうかといいますと、先ほど来都市局長が申しあげていますように、公共施設は非常に道路率も低うございます。二十三区で一六・四%でございますし、土地の所有も非常に細分化されております。しかも、公共施設整備が悪いものですから四メートル未満の道路に接続しておるという、容積率が十分に使えないような敷地が住宅全体の四〇%を占めておるというような状況でございます。しかも、土地所有者は土地に対する所有の意識が非常に高うございますし、住環境についても、日照権を初めとしましていろいろなニーズがあるわけでございます。  そういう現実の状況の中から、最終の姿は、先生御指摘のように非常に高層化された住宅が林立をしてその間に緑地があってというような形に持っていくルートだろうと思うわけでございます。  この場合、今の東京の現実のような姿から一挙にそれに持っていくわけにまいりませんから、今申されたように日照とか通風とかを犠牲にしながら一挙に容積率を全部上げていく方策がいいのか、それとも、私ども住宅局と都市局がいろいろと知恵を出し合いまして、今までとってまいりましたように、公共施設整備をやりながら、しかも敷地の大きなもの、例えば国公有地でありますとか工場跡地でありますとか、そういうものを種地にして優良な住宅市街地をそこでつくるというときには思い切って容積率をまけましょう、優良なプロジェクトを幾つもしつらえていくという方法で公共空間を確保しながら大量の住宅をそこで供給していこうということ。それから、従来から道路と敷地の関係で建築基準法上いろいろな規制があったわけでございますが、それの目的としております住環境あるいは都市環境を守っていこうという思想と、これだけ土地が上がったのだからもっと高度利用すべきではないかという現実の問題との兼ね合いでもう一回道路と敷地の関係を見直そうということで、六十二年度に道路幅員によります容積率制限の合理化を二点行いましたし、車線制限につきましても合理化を四点ほど行いました。これは、従来の環境に対する考え方を変えずに、これだけ地価が上がったのだから高度利用するためには何か合理化できないかという観点で、一年余り審議会でいろいろ審議した結果としてやったものでございます。  そういういろいろな工夫をしながらやっていって、住宅プロジェクトをきちっと積み上げながら既成市街地の中を再開発していって、最終たどる姿は先ほど先生が御指摘になったような形のものになるというのが非常に現実的なのではないかというふうに私ども考えておりまして、先ほど都市局長が申されたように、今後の住宅供給についてのいろいろな都市計画、建築規制につきましても同様の方向でさらに一歩前進するのではないかということで、今検討中でございます。
  310. 尾身幸次

    ○尾身委員 今住宅局長、都市局長からいろいろなお話がございましたけれども、道路とか下水道というようなインフラがまだ十分整備されていないから、そう簡単に容積率アップをしていくと要するにパンクをしてしまうというお話と、いわゆる都市環境といいますか、住宅環境の保全をしなければいけないから余り高層化はできないというような、二点のお話があったように思うわけであります。  道路とか下水道というインフラの整備というのはお金がかかる、したがってそう簡単に進まないという意見もわかりますけれども、私は、そういうものについては、これから東京という首都圏を使う人たちに何らかの形で特別の負担をしてもらって、その負担のもとにおいて道路、下水道等のインフラを整備する、整備を促進するという対策を具体的に考えるべきではないかと思っているわけであります。  それからもう一つは、よく都市環境が問題であるとおっしゃいますけれども、実は都市環境というとどういうことを言っているかというと、どうも私の理解では、二階建てとか三階建てに住んでいる住宅地に、今までいた人のその住宅の状況というものをそのまま置いておくという形での都市環境の整備でありまして、実はそこに一人しか住めないところを十階建てなり二十階建てにすれば同じ場所に十人なり二十人住めるという、つまり東京の土地の価格なり経済実体が変わってきている、それにもかかわらず、今住んでいる人の立場を、あるいは環境だけを優遇をして、実はそこに、五十キロ先に行かなければ家が建てられない大勢の方々の利益をその点においてネグレクトしているのではないかという気が私はするわけでございます。  そういう意味で、これは大臣にお伺いをしたいのでありますけれども、本当に東京の都心部の住宅問題を解決するためには、これからは住宅も例えば十階建てとか二十階建てというような高層住宅を主として建てる。例えば委員長の地元の練馬あたりで農家の方が借家を建てるときに、建ぺい率でサービスをしてやって五階とか六階を建てさせるというような実態にあるわけでありますけれども、今五階建てとか四階建てのビルを建てれば今後五十年間はその地域には二十階建てのビルは建たない、こういうことになるわけでありますから、私は、一挙にやるのは容積率アップが問題である、むしろ優良プロジェクトごとにやるというようなお話がございましたけれども、二十一世紀の首都圏の土地問題というのを考えれば、今のうちに先を見越して新しい住宅については十階建てなりあるいは二十階建てのものを建てる、それによって土地の実質的な住宅に対する供給力をふやしていくという形をとっていかないといけないんじゃないかと思うわけであります。今の技術でいえば地震対策等も十分できるわけでありますし、それから、先ほど言いましたように道路とか下水道のようなインフラは別途の負担でカバーするという方式もできるわけであります。それから、日照権の問題とか通風問題というのはこれまた技術的に解決できるわけでありますから、そういう意味で、東京というかなり相当広いところ、ニューヨークのマンハッタンの例を考えますれば、東京に工夫の仕方によっては相当大勢の人がある程度の快適さで住むことができる、そういう条件がそろっているわけでありますから、これをやるのはまさに政治の決断の問題であるとも思うわけであります。  そういう意味で、土地問題の解決の基本的な方向の一つの考え方として私はそういうふうに思っているわけでございます。これにつきまして、大臣のお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
  311. 原田昇左右

    ○原田国務大臣 尾身委員のお考え、まことにごもっともな点が多々あるわけでございますが、例えば日影権の問題一つとらえてみまして、私どもも環状七号線の中は一種住専なんというものをやめちゃって日影権なんか言わせるな、そしてもっと中高層の住宅を建てたら相当収容できるじゃないか、こう思うわけですが、その日影権一つがなかなか、東京都議会においても議論され若干前進は見ましたけれども、これはどの地域を日影権を外しちゃおうかということで大変議論が絶えないわけでありまして、地方の自治、あるいは地区の民主的な地区制度を運用するということとこの問題は深くかかわり合っておりまして、中央政府がこう決めたから押しつけるというぐあいにはいかないわけですね。  そこでやはり、私は、先ほど住宅局長が言いましたように、できるところから地区制度とか特別街区制度とか、こういうものをどんどん適用してやっていく、そして再開発していく、そういうやり方がまず一番現実的だということで、既成市街地の中心部についてはそういうやり方で今やってきております。そして同時に、外せるところは日影権なんかも外していただいて二種住専にしていくということ、地方公共団体にもできるだけそう いうことでやれないか話し合ってほしいということをお願いしておるわけであります。  なお、それではとってもまだるっこいわけでありまして、同時に、先ほど来お話しのありましたように、工場跡地の再開発とかあるいは未利用地、例えば国公有地の、東京都あたりは今度は湾岸にかなり大きい埋め立ての公有地があるわけですし、それから、ちょっと遠くなりますが調整区域に常磐新線を引いて大規模な宅地開発をやるとか、こういうことを全部合わせて供給いたしまして、大体この十年間に四万ヘクタールぐらいは何とかそういうものを全部合わせてやってみよう、そして実行可能なあらゆる手段を使って緊急措置をやろうじゃないか、こういうことで考えておることを申し上げておきたいと思います。
  312. 尾身幸次

    ○尾身委員 我が国は、一人当たりのGNPがアメリカを抜いて実質世界一になってしまった。技術力とか資金力も世界のトップレベルになった。他方、都市に住む平均的サラリーマンは一生かかっても満足な住宅を自分のものにすることができない。私は、国民が本当の意味で豊かになっていないのは衣食住の住の部分であると思うわけであります。  今大臣にお答えいただきましたが、建ぺい率等の規制緩和の問題とか遊休地活用の問題とか、その他インフラの整備等々、いろいろな施策が必要であると思うわけでございます。しかし、要するにまじめに一生懸命働く人が安心して住めるような住宅を自分の力で確保できるような体制がとれる、そういうことができるということが私は現在の政治の最大の課題であると思っているわけでございます。そういう意味で建設大臣国土庁長官、ともにまさにこの問題の担当でございますので、この際、発想の転換も含めてぜひこの問題を解決していただきたいとお願いをし、そしてお二方の決意のほどをお伺いをさせていただきたいと思います。
  313. 石井一

    ○石井国務大臣 きょうは尾身議員に大変温かい、また力強い激励をちょうだいした、そういうような気持ちでございます。いろいろの問題の指摘がございましたが、それぞれ難しい問題も含んでおりますけれども、ひとつ前向きに取り組んでまいり、何らかの足跡を残したい、こう思っております。  先日も、クエール副大統領がつくばへ参りましたときに、ヘリコプターで飛んでいったわけですが、東京の町を上から見ますと全く平屋建てですね。確かに新宿とか池袋は一部は高層ビルがございますが、あとは、あれは一体平均何階なのかと聞いたら二・四階とかいうようなことでありましたが、これだけ高い土地をこれだけ生産性の低い利用の仕方をしておるというのも、これまたまことに特異な現象ではないかと思います。そこには道路があり、容積率があり、建ぺい率があり、そのほかのいろいろの過去の積み重ねがあるわけでございます。一挙にできるものではございませんが、きょうは委員の御激励を承り、またその衝に当たっておられる建設省の各局長が、大臣も含めて、非常に新しい感覚の認識をしておられるということを私この場で確認したような気持ちがいたしまして、大変心強く感じております。ひとつ大いに頑張りたいと思いますので、ひとつよろしく御教導のほどお願い申し上げます。
  314. 原田昇左右

    ○原田国務大臣 きょうは、尾身委員から非常に示唆に富む御意見をいただきまして本当にありがとうございました。私どもも今現在の一番最大の問題は住宅宅地の供給だと認識いたしております。就任以来、とにかくまじめに働く勤労者が一生働いても家一つ持てないというのでは大変だということでこの問題に取り組んでまいりまして、早速ヘリコプターも飛ばしてこの東京周辺を見て回ったわけでございますが、まさに尾身委員の御指摘の中高層化はできないか、あるいは市街化区域内の農地宅地化はできないか、あるいは大規模開発で供給できないかとか、いろいろ問題点を抱えて検討をさせていただいておりまして、きょうのお話も踏まえて、我々ぜひとも総合的な対策を国土庁長官とともにこの海部内閣でまとめさせていただいて国会に提出したい、こういうように考えておる次第でございます。本当にありがとうございました。
  315. 尾身幸次

    ○尾身委員 最後に一つ別の問題をお伺いをさせていただきます。  最近の新聞報道によりますと、三菱地所がアメリカのロックフェラー財閥からニューヨークのロックフェラーセンターなどを所有しておりますロックフェラーグループ、RGIの株式の五一%を千二百億円で買収をした、そして間接的ながらロックフェラーセンタービルなどを取得したというふうに報じられております。これにつきまして建設大臣にお伺いをさせていただきます。  ここ三年間、我が国の貿易の黒字幅が約九百億ドルと、歴史的にもほかの国に例を見ないような巨額なものとなっているわけであります。そしてまた、日米貿易の関係で見ましても、アメリカの対外貿易赤字の約半分が日本に対するものであるということから、日米貿易摩擦問題が国際的に最大の問題になっている状況でございます。そういう状況の結果、日本に資金が集まり、いわゆるジャパンマネーとも言われておりまして、他方アメリカは、日本の対外純資産が三千億ドルに対して対外純債務が五千億ドルというような状況になっております。これを背景として各種の形での我が国企業による対米投資が行われているわけであります。私は、そういう中で、例えばアメリカに工場をつくってアメリカ人を雇用するとか、あるいはアメリカの企業を買収してこれを再建してこれを発展させるというような場合は、そう大きな問題にならないと思うわけであります。しかし、本件については私は事情が違うのではないかと思うわけであります。  先日もソニーによりますコロンビアの買収がアメリカで大きな反響を巻き起こしたわけでありますが、このニューヨークのロックフェラーセンターは、ニューヨークだけではなくアメリカ全体のシンボルであるというふうに言われているわけであります。  私もかつてニューヨークに勤務した経験がございます。クリスマスのころには有名なクリスマスソリーがあそこにございまして飾られておりますし、そしてまた、スケートリンクでスケートを楽しむ人々の情景が今でも私の目に浮かぶわけであります。日本からの旅行者も大体ニューヨークに行けば一度は訪れる名所でありまして、アメリカ人にとりましてもいわば心のふるさとであります。  この買収はアメリカ側からの申し出によると言われていますけれども、幾らお金があるからといって、純粋にコマーシャルベースの観点だけでこの種の買収が行われることは、アメリカ大衆の気持ちを逆なでするものではないかというふうに私は心配するものでございます。  先日のビジネス・ウイークの世論調査によりますと、何がアメリカの脅威かという世論調査をいたしましたら、ソ連の軍事力が脅威であるというのが二二%であるのに対して、日本の経済力が脅威であるというのが六八%になっているというような実情もあるわけでございます。何でも買えるから買うということではなく、節度ある企業倫理というものが求められるべきではないかと思うわけであります。  私は、この種の企業活動をこのままほうっておきますと、日米関係をさらに悪化させることになるのではないかというふうに懸念をするものでございます。この件につきまして担当大臣であります建設大臣の所見と対応策についてお伺いをさせていただきたいと思います。
  316. 原田昇左右

    ○原田国務大臣 私は、一般的に言って、日本企業による対米投資、これはむしろアメリカに雇用の増大をもたらし経済の活性化につながるわけでありますから歓迎すべきことだ、こちらはあれだけ黒字になっておるわけですから、投資で資金を還流するという意味からいっても、大いに歓迎すべきことではないかと思うわけであります。  ただ、お話しのように不動産投資の場合どうかということでございますが、私は、尾身さんが今 工場投資と不動産投資をちょっと区別して言われたのは、土地をデッドストックで持つような場合なら多少そういうことに当たるわけでございますが、不動産投資であっても相手がぜひこれを買ってくれということで来た話であれば、その投資資金がまたどこかへ行って投資されるわけでございますから、これについて特別に工場投資と区別するのはいかがかと思うのです。ただ、地域のシンボル的なものになりますと、やはり地域住民の感情とか何か考慮しなければならないことはもちろんでありますし、その地域の調和、地域社会に調和貢献するように努めることも肝要だと思います。  本件については、これは民間企業のことでございますので、私からとやかく言うのは差し控えたいわけでございますが、ロックフェラーグループの強い要請で合意になったというように聞いておりますし、友好的な提携であるというように聞いておりますので、いずれにいたしましても、取得した三菱地所の方が、地域の調和、貢献に寄与するように、節度ある行動をしていただければ非常にうまくいくことを私は心から期待を申し上げておる次第であります。
  317. 尾身幸次

    ○尾身委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  318. 中村靖

    中村委員長 次回は、来る八日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十八分散会