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1989-12-14 第116回国会 衆議院 科学技術委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十二月十四日(木曜日)     午前九時一分開議  出席委員    委員長 北口  博君   理事 小宮山重四郎君 理事 河野 洋平君    理事 佐藤 敬夫君 理事 塚原 俊平君    理事 村井  仁君 理事 野坂 浩賢君    理事 近江巳記夫君 理事 和田 一仁君       櫻内 義雄君    中川 秀直君       山下 元利君    五十嵐広三君       井上 一成君    春田 重昭君       矢島 恒夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      斎藤栄三郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     平野 拓也君         科学技術庁長官         官房審議官   石田 寛人君         科学技術庁科学         技術政策局長  石塚  貢君         科学技術庁科学         技術振興局長  角南  立君         科学技術庁研究         開発局長    須田 忠義君         科学技術庁原子         力局長     緒方謙二郎君         科学技術庁原子         力安全局長   村上 健一君  委員外出席者         総務庁行政監察         局監察官    幸  曙光君         北海道開発庁経         済課長     大久保庄三君         環境庁自然保護         局保護管理課長 小原 豊明君         環境庁自然保護         局野生生物課長 菊地 邦雄君         国土庁防災局震         災対策課長   尾田 栄章君         外務省国際連合         局原子力課長  岩田 達明君         資源エネルギー         庁長官官房原子         力産業課長   日下 一正君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全管         理課長     三角 逸郎君         海上保安庁警備         救難部警備第二         課長      夷子 健治君         気象庁地震火山         部地震予知情報         課長      窪田  將君         建設省道路局道         路防災対策室長 佐々木隆士君         参考人動力炉・         核燃料開発事業         団理事長)   石渡 鷹雄君         参考人動力炉・         核燃料開発事業         団理事)    橋本 好一君         参考人動力炉・         核燃料開発事業         団理事)    田中 久泰君         科学技術委員会         調査室長    高戸 純夫君     ───────────── 委員の異動 十二月十四日  辞任         補欠選任   村山 喜一君     五十嵐広三君 同日  辞任         補欠選任   五十嵐広三君     村山 喜一君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  閉会中審査に関する件  科学技術振興基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 北口博

    北口委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として動力炉・核燃料開発事業団理事長石渡鷹雄君、同理事橋本好一君及び同理事田中久泰君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 北口博

    北口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────
  4. 北口博

    北口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。五十嵐広三君。
  5. 五十嵐広三

    五十嵐委員 どうもちょっと首の治療をしているものですから、こういう格好で申しわけありません。  幌延計画されている高レベル放射性廃棄物貯蔵工学センター、この計画を進めるに当たりましては、今まで歴代科学技術庁長官あるいは動燃理事長さん、いずれも御確認をさせていただいて、またそういう見解をいただいていたのでありますが、必ず道知事さんだとかあるいは地元近隣町村町村長あるいは議会、こういう住民理解協力を得て進めるんだ、それが前提だということを常に歴代お答えをいただいているのであります。新長官及び新理事長におかれてもお考えは変わらないと思いますが、この際、その基本的な見解をそれぞれ伺いたい、こういうぐあいに思います。
  6. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 今五十嵐先生質問の点については、歴代長官と全く同じであります。地元の御協力知事の御了解が得られなければ仕事ができるものではありませんから、その方針科学技術庁としてずっと受け継がれております。
  7. 石渡鷹雄

    石渡参考人 お答え申し上げます。  ただいま斎藤科学技術庁長官お話があったとおりでございまして、科学技術庁の御指導を得て運営しております動燃事業団といたしましても、この方針を守る所存でございます。
  8. 五十嵐広三

    五十嵐委員 特に動燃石渡理事長さんは、この問題が始まる折にも、よく御承知の方であります。ぜひ知事さんやあるいは地元の各町村長さん方等意思というものを尊重して、その了解前提にして仕事に当たってほしい。当然のことでありますが、以下少し御質問申し上げることで御理解いただけるように、どうも心配な点がさまざま出ておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思うのであります。  まずお伺いしたいと思うのは、一部の雑誌だとかあるいは新聞にも北海道では出ているのですが、幌延町長科学技術庁あるいは動燃事業団から聞いたといういわゆる三条件という話が町長の談話で出て、これがかなり北海道では問題になっているわけであります。つい先ごろ道議会でその質問があり、横路知事さんがこれにお答えになって、いわば不快感といいますか、困ったことだというような答弁もあったようであります。  その内容はどういうのかというと、幌延町長さんが科学技術庁、また動燃キャップの方とお会いになった。そのときに、一つ知事がかわること、それから二つ目は、道議会において推進派自民党過半数を占めること、それから三つ目は、地元近隣市町村議会が、それの過半数が、ですから八つの過半数ですから四つというのか五つというのか、そういうところが推進議決をした場 合、この三つのうちのいずれか一つが実現したときには、幌延貯蔵工学センター建設は着工するんだ、推進するんだ、こう言っておったということをインタビューで町長さんはお答えになっておられる。  これはとんでもない話でありまして、今ほど長官やあるいは理事長さんのお答えした筋とも極めて違う。一体そういうような事実はあるのかどうか、これについてのお答えを願いたいと思います。
  9. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、この貯蔵工学センター立地のためには地元あるいは知事の御理解と御協力を求めていくことが必要だということは繰り返し申し上げているわけでございますが、今先生指摘になりましたようないわゆる新聞雑誌で報ぜられているような三条件というような形で申し上げたことはございません。
  10. 橋本好一

    橋本参考人 お答えいたします。  当事業団といたしましても、そのようなことを申し述べたことはございません。今後とも貯蔵工学センター計画必要性施設安全性等につきましては、地元皆様方の御理解を一層深めるように努力してまいりたいということが基本考えております。
  11. 五十嵐広三

    五十嵐委員 しかし、それを見て某大新聞の記者がこの町長に直接お目にかかって、そしてその真意を確かめた。そうしましたら、いや、それは間違いないと。しかも、この発言をした人の名前を名指しなされたというのです。今その名前を言うとか言わぬとかということは別にして、私は、そういう点からいくと、今お話があったような点についても非常に疑問を持たざるを得ない感じがある。どうもそういうことの流れでは困ると思うのですが、科学技術庁としては特にそういう考えもないのですか、全く。どうですか。
  12. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 繰り返しになって恐縮でございますけれども、私ども、このプロジェクトを進めるに当たりまして地元あるいは知事の御理解と御協力を得なければならない、そういう考え方でございます。
  13. 五十嵐広三

    五十嵐委員 まあしかし、科学技術庁動燃はそういうことを発言した覚えもない、考えもないということであって、地元の方の幌延町長は、そういう話はあった、こうおっしゃっている。これは科学技術庁動燃としては真意に反する、事実と違う話を町長がなされているということになるわけでありますから、したがって、当然そういうことのないように、その訂正方といいますかね、これを申し入れるべきものだと思うのであります。少なくとも道議会で問題になったり地元では大騒ぎになったりしているのですから、当然のことであろうと思うのですが、いかがですか。
  14. 橋本好一

    橋本参考人 今局長からも御答弁ございましたが、私どもといたしましてもそういうことを申し上げたことはございませんし、今後ともそういうことではなく、先ほどから申し上げておりますように、地元皆様方の御理解を一層深めるということを基本として御説明を進めてまいりたいというふうに思っております。  先生今御指摘のようなことにつきましても、当然のこととして今後そういうことが起こらないようにしてまいりたいというふうに思います。
  15. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 地元町長さんとはしばしばお会いをして私どもの意のあるところは十分お伝えをしておりますので、町長さんも、国が先ほど大臣、私から御説明しているような立場でいるということは十分御理解をいただいているものと考えております。
  16. 五十嵐広三

    五十嵐委員 それは、局長、うまくないね。そうと思っているのにこういうことなんだから、しばしばお会いしているんならなおさらのこと、やはりこんなことでは困る、科学技術庁も迷惑するよというようなことはきちっと言っておいた方がいいのじゃないですか、当然。どうですか、局長
  17. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 科学技術庁としてそういうことを考えているというふうに町長さんがおっしゃっているとすれば、それは問題でございまして、町長さんの方の受けとめ方が具体的にどういうことであるのか、町長さんの言葉としてどうおっしゃるのかというのは、また別の問題かと思います。
  18. 五十嵐広三

    五十嵐委員 そうしますと、ちょっとこれ、読んでおきますから。これがその言っている問題のあれなんですね。これはあんまりこんなことで時間をそうとりたくないのですけれどもね。「「着工に踏み切っていくには三つ条件がある」と言われた。」これは「科技庁、動燃キャップと話し合ったところ、」と、こういうのですが、「その三条件とは?」という問いに対して町長が、「ひとつは知事が交代すること、ふたつめ道議会がかつてのように過半数を占めること、もうひとつは幌延を含めた天北市町村で、そのうちの過半数市町村が誘致に賛成の議決をしてくれること。「この三つのうちのどれかひとつの条件が整ってくれれば踏み切りやすいが……」とお願いされました。」と、こういうことなんですよ。  ですから、今、その町長真意がわからないと言ったけれども、つまり、町長がしゃべっていることはこういうことなんですから、これではやはりちょっと機会を見てきちっと科学技術庁もお申し入れをした方がいいよ、こういうことなんでありますから、それはそれでいいですか、局長
  19. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 科学技術庁意見としてそういうふうにおっしゃっているとすれば、そこはそうではないということは、次の機会に申し上げておきたいと思います。
  20. 五十嵐広三

    五十嵐委員 動燃は、先ほどおっしゃったように、ぜひひとつそういう申し入れをしておいてほしいと思います。  さて、ことしの三月十七日の日に、これは現長官ではなくて当時の宮崎科学技術庁長官なんでありますが、長官室で、天塩町、北海道幌延の隣でありますが、その天塩町の議会放射性廃棄物問題調査特別委員会代表おいでになられて、そこで面談をされた。その折に長官は、幌延への高レベル放射性廃棄物ガラス固化体輸送に関して言及して、次のようなことについても述べておられる。   輸送については、現段階では海上輸送とし荷揚後は川の利用、又はトラックによる目的地までの輸送となるものと考えられます。   従って、港を利用するものにしても専用港となりますので、計画に長い月日を要しますので、立地同意を早くしてもらいませんと、間に合わぬ事にもなりますので、議会決定を願います。 こういうお話をなさっているのですね。今私が読んでいますのは、当時参りました天塩町議会特別委員会でその報告書を作成をしているのでありますが、その報告書を読んでいるわけであります。  それから、長官国会の用務で途中でお立ちになられた。その後科学技術庁の当時の原子力局対策室長が引き続いて協議に当たられた。室長はこう言っておられる。「海上輸送について、天塩新港を利用する考え方はどう考えるか。」ということの問いに対して、   キャニスター輸送海上輸送考えております。先に大臣の話のとおり、荷揚地としては天塩港が有望でありますが、港は建設期間もあり、立地決定を早期に願い計画を進めて参りたいと考えます。   船も専用船であり、又陸送についても専用車等で第三セクターによるものであり、開発銀行等金融枠についても内諾を得るよう手配されております。 こう報告書に書いてあるのでありますが、そういう事実があるのか。つまり、そういうことをお話しになられたのか。なられたとすると、今ほどもそれぞれお答えがありますように、この問題というのは知事だとかあるいは近隣町村自治体だとかの理解を得て進めていくんだ、こういうことになっているのに、海上輸送の具体的なことまでどんどんどんどん進んでおって、しかも、おいでになられたときに、長官室でその代表者にこういうお 話をなさって議決を迫るというようなことというのは、私は全くいかがなものか、こう思うんです。しかもその後、これは科学技術庁の機構が変わりましたので、その後新設されたわけでありますが、原子力局原子力バックエンド推進室長が十月の六日、七日天塩町を訪れて、町議会放射性廃棄物問題調査特別委員会との懇談会に臨まれて、核廃棄物輸送体制に触れて、海上輸送天塩港で陸揚げをすることとし、そのための港湾施設の増強については別途手当てを検討していると述べている。そうしてさらに開発銀行の融資の要請もしている。さらには専用船の設計に四億円を予定している。一連の輸送業務を第三セクターを設立して委託してやらしたい、こういう構想も言っている。岸壁も第三セクターでつくることになるだろう、こういうお話もしている。  一体、そういう計画は、いつ、どこで決まったのですか。これは冗談でないですよ。どういう権限でこんなことを一体話しているんですか。ぜひそういう計画資料を出してください。  これは、委員長、この際御要望申し上げておきたいと思います。
  21. 北口博

    北口委員長 はい。
  22. 五十嵐広三

    五十嵐委員 そういう事実はありましたか。あるいはその資料等については御提出いただけますか。長官ないし局長先ほど言っているような慎重な長官方針に対して、一体こういうことでいいんですか。不信を招く一方でないですか。輸送の方は動燃担当ですか。
  23. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 地元の方が長官のところに見えたときにいろいろ御説明をし、また、担当者輸送考え方等について御説明をしたことはあるようでございますが、先ほど来御説明しておりますように、このプロジェクト立地につきましては、地元の御理解、御協力を得て決めるわけでありますが、決まりますと、輸送計画港湾計画等を具体的に進めていかなければならないことになります。  したがいまして、貯蔵工学センター立地地点決定をいたしますと、それから具体的に物事を決めていく。それまでは検討段階ということになるわけでございます。そのためにいろいろな可能性について検討をし、地元の方に、そこが決まれば、こういう考え方検討していくというようなことについて御説明をしているものと、こういうふうに理解をいたしております。
  24. 五十嵐広三

    五十嵐委員 長官、これは今お聞きになられて、どうですか。私はやはり大変どうも勇み足過ぎると思うんです。一方で、それはもう知事だとかあるいは地元意見をよく聞いてやるんだ、こう言いながら、今度は、しかも地元まで乗り込んでいって、そしてこういう話をして早く議決をしてくれ、間に合わないのだ、こういう圧力をかける。あるいは発言の中では、これは大事業なんですよ、大変天塩が大事業をするということになるんですよというような、明らかに利益誘導的な発言をしながらやっている。非常に困ったことだというふうに思うんです。  長官、もう少し僕は慎重にひとつ、殊に科学技術庁幹部発言は慎重にしてもらいたい。大変地元で誤解を招くようなことがあっては困るというふうに思いますが、いかがですか。
  25. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 大きなプロジェクトでございますので、地元の御理解、御協力を得るためにいろいろ御説明をしなければならないかと思っております。地元からもいろいろな方が機会をとらえて役所に見えたり、お話をする機会がございますので、そういうときに、計画について御質問に答える形でいろいろ御説明をしている、こういうことでございます。  先ほど専用船というお話がございましたが、これは専用船ではなくてキャニスターという容器について技術的な検討をいろいろしているというものでございます。そういうことで技術的な検討あるいは地元からの御説明について、構想の中身を御説明をし、御理解、御協力を求めているというのが現状でございますので、御理解を賜りたいと存じます。
  26. 五十嵐広三

    五十嵐委員 そうでないですよ。これは時間が余りないから、読んでもいいんだけれども、読む時間がありませんが、局長専用船のことについても言っているんですよ。これは後でよく聞いてください、室長に。これはそういう船で行って天塩港から揚げる、あるいは専用岸壁のようなものをつくるということになるんですか。そういうような、さっきもちょっと触れましたようなことというのは、これは計画として、そういう方針計画としてですよ、決まっているんですか。動燃輸送責任者でしょう。橋本理事さん、どうですか。
  27. 橋本好一

    橋本参考人 局長から御答弁もございましたけれども、私ども貯蔵工学センターへの放射性廃棄物の運搬、それから陸揚げ等につきましては、貯蔵工学センター立地点決定してから決めることであるというふうに思っておりまして、まだ現段階では具体的な決定はしてございませんが、先ほどから局長の御説明ございましたように、事業団といたしましても大きなプロジェクトでございまして、十分検討を進めてまいりたいというふうに考えております。     〔委員長退席佐藤(敬天)委員長代理着席
  28. 五十嵐広三

    五十嵐委員 先ほども言いましたけれども、何か今お話を聞くと、そういう計画があるような話を両方とも、局長の方もあるいは理事さんの方もおっしゃっておりますから、地元説明できて国会計画を見せられぬということにはならぬと思いますので、その計画資料についてぜひ提出をいただきますように理事会で御協議をいただきたいと思います。  それから、時間がありませんので最後でありますが、この間六ケ所村の村長選挙があった。凍結派村長さんが当選をした。これは当然科学技術庁やあるいは原燃の方では、その結果を重く受けとめておられるというふうに思うのでありますが、村長公約をし当選を見ているように、ぜひ村民意思を十分に尊重して慎重に対応をすべきだ、こういうぐあいに思うわけでありますが、その御所見を伺いたい。  同時に、土田村長凍結公約内容は、ウラン濃縮と低レベル放射性廃棄物の処分の二施設は、安全性が確立されるまで現状凍結する。それから二つ目には、再処理住民意思を確認するための村民投票を実施する。三つ目は、高レベル放射性廃棄物貯蔵施設設置を認めない、こういうものであります。  この三つ目の高レベル放射性廃棄物貯蔵施設というのは、今イギリスやフランスに再処理委託をしている、これが九二年か九三年から返還になってくる、これも六ケ所村に持っていって貯蔵するということになっているわけであります。これが恐らく一番急ぐことにお考えになっているのではないかと思うのですが、これに関しては、村長は明確に公約の上で設置を認めない、こう言っている。そうなると、返還廃棄物は一体どこへどういうことになるのか、大変なことだと思うのでありますが、それについてのお考えもお示しいただきたいと思います。
  29. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 今先生質問六ケ所村の選挙の結果につきましては、民主主義根本原則です。私は、選挙の結果というものは神の声として率直に厳粛に受けとめます。  具体的な問題につきましては、局長から御説明をさせます。
  30. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 基本的には大臣お答えしたとおりでございますが、具体的に私ども六ケ所村で進めております核燃料サイクル建設といいますものは、日本のエネルギー政策原子力政策の中核を担うものでございまして、非常に重要な国家的なプロジェクトと思っておりますので、さらに地元皆様方、ひいては国民の皆様方の御理解、御協力が得られますようにいろいろ御説明をし、御協力を求めて計画が進められていくようにさらに努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
  31. 五十嵐広三

    五十嵐委員 高レベルに関してお答えがないようだが、時間がないからまたの機会にいたします が、最後に一言申し上げておきたいと思います。  幌延の問題に関しては、つい数日前北海道議会が開かれて、そこでも議論があったようであります。この折にも横路知事は重ねて、幌延における貯蔵工学センター計画には反対である、一貫してその考え方は変わっていないということのお答えをなさっている。それからまた、幌延の隣に豊富町というところがあるのでありますが、あそこがごく最近、二週間ほど前でありますが、あそこの住民組織のところが署名を集めた。これに反対であるという署名が八割を超した。八〇・九%、その署名簿をつけて豊富町議会要請をしているというように、地元反対は極めて明確であるということも、ぜひ斎藤長官石渡理事長は御承知おきいただきたい、そのことを申し上げまして、質問を終えたいと思います。ありがとうございました。
  32. 佐藤敬夫

  33. 井上一成

    井上(一)委員 科学技術担当する国務大臣に私はお聞きをしたいと思うのです。  おおよそ国際間の問題で国と国との協定なり約束、条約等国会承認を得るということが常識であろう、私はそう理解するのですが、大臣はどのように理解をなさっていらっしゃるのか、最初に聞いておきたいと思います。
  34. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 今先生指摘のとおり、国際間の条約は非常に大事なものですから、それは国会承認を得るのは当然のことだと考えております。
  35. 井上一成

    井上(一)委員 我が国の科学技術開発というものは、今やまさに世界のリーダーとして大変目まぐるしく進歩している、そういうふうに認識をするわけであります。そういう意味合いから、おおよそ科学技術協力協定というのは二国間でなされるのが基本的なあり方なんですね。二国間協定の締結について、これは今の認識からすれば国会承認ということが当然そこに行われるべきである、こういうふうに思うのですが、国務大臣、いかがですか。
  36. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 先生お説のとおりだと思います。
  37. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、あえてここで私は、我が国とアメリカとの科学技術協力協定についてはどうなさったのか、お聞きをしたいと思います。
  38. 角南立

    ○角南政府委員 署名をいたしました。
  39. 井上一成

    井上(一)委員 これは国会承認なんでしょうか。当然そういう形に持っていかれているわけですね、国務大臣
  40. 角南立

    ○角南政府委員 科学技術協力協定という言葉の中にいろいろございますが、条約ではない、行政間の取り決めとして署名をさせていただきました。
  41. 井上一成

    井上(一)委員 なぜこの協力協定を行政協定にしたのですか。これはちょっと委員長にお願いをしたいのですが、私は科学技術担当する国務大臣に対しての質問をしているわけです。答弁国務大臣から、あえて申し上げてほしい。
  42. 角南立

    ○角南政府委員 若干法律的、技術的な問題にわたりますので、答えさせていただきます。  さきの国会でも外務省の方からも御説明いたしましたが、条約の問題として国会承認をいただく上に当たりまして幾つかの基準というのを御説明いたします。  その中に、法律事項を含む国際的約束ということになっておりまして、憲法四十一条の趣旨に沿いましたところのものでございます。それから次に、いわゆる財政事項を含む事項ということ、それから最後に、政治的に極めて重要な国際約束であるというようなこと、この三つの要件を持ったものについて条約として国会承認をお願いするという考え方でやらせていただいております。
  43. 井上一成

    井上(一)委員 政治的に極めて重要な役割を果たすがゆえに、私はやはり国会承認というものが必要であるということを指摘したいわけです。さらには、この協定で民間に対する縛りというものもきついわけなんです。そういうことに対しては当然行政協定ではいけない、国会承認ということが原則でなければいけないということなんですが、これは国務大臣、私はきょうは国務大臣との質疑を申し入れいたしておるわけです。
  44. 角南立

    ○角南政府委員 最後の点の、政治的に重要な問題ということで、そのために発効のために批准が要件とされている、こういうようなものについて国会承認をお願いする、こういうぐあいに政府として御説明をいたした次第でございます。
  45. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、今二国間協定を結ばれている国は何カ国あるのでしょうか、大臣
  46. 角南立

    ○角南政府委員 十四ございます。
  47. 井上一成

    井上(一)委員 それでは長官国務大臣に、科学技術に対する外交政策のあり方あるいは基本理念はどのように持っていらっしゃるのでしょうか。
  48. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 今、考え方としては、第一は、国際協力をするということです。それから第二は、国民生活に安定と進歩をもたらすような内容でなければならぬということです。そして第三は、基本的な研究に重点を置いていく、この三点に力点を置いております。
  49. 井上一成

    井上(一)委員 その一つ国際的な関係に力点を置いていらっしゃるということですが、国際関係、とりわけこれは貿易摩擦を含めて国際間の緊張が弾みをつけているわけなんです。そういうことについて、それでは具体的に何をなさって、あるいは今抱えている問題は何なんですか。
  50. 角南立

    ○角南政府委員 国際的ないわゆる技術をめぐる摩擦、特に最近では日本とアメリカとにおいていろいろな議論が闘わされております。 アメリカ側の主張は、貿易における片貿易、逆に技術面における片貿易、言いかえれば、アメリカの技術が一方的に日本に流れるのみであるというのが一番大きな議論になっております。 このために、このたびの科学技術協定の運用その他に当たりまして、向こうから技術あるいは科学的な知識が流れるだけではなくて、日本で生み出された科学技術の成果というのができるだけアメリカその他国際的なところへ広がっていく、大臣がただいま申し上げました国際的に貢献をする、そういうのを促進する方向でこの問題に広く対応していきたいと考えておる次第でございます。
  51. 井上一成

    井上(一)委員 大臣、ちょっと私の質問に答えていただきたいと思うのですが、去年六月、日米で科学技術協力協定についての話し合いを持っているわけなんですよ。アメリカ側が何を要求してきたのか、それに対して日本側はどういう対応をしたのか。これはちょっと長官からでないと……。
  52. 角南立

    ○角南政府委員 日本とアメリカとの科学技術協力協定、新しい協定が結ばれた次第でございますが、それに先立つ議論はただいま私が申し上げたことに大体沿ったようなことでございまして、何よりもアメリカ側は、技術、科学知識の流れの一方通行、そういうものを直したい。もう少し具体的に申し上げますと、日本の中で生み出される科学的な成果、これが例えば日本語で書いてあるとかあるいはとかくよその人にわかりにくい、あるいは日本の研究機関へのアメリカ人の参加が難しい、こういうようないろいろな問題について、これをどういうぐあいに枠組みの中で直していけるか、これが先方の主張でございました。  基本的にどういうぐあいになったかということでございますが、まず第一に、日米科学技術協定の新しいものについては、そういうのを直していく政策目標というのを掲げるということで対応してございます。
  53. 井上一成

    井上(一)委員 長官、日本はただ乗り論だというようなことも指摘されているのですよ。このことをあなたが答えられないのに私が質問をしても意味がない。答えられなければ次の問題に行きましょう。  科学技術庁からの予算の移しかえを受けている本省庁はどことどことですか。これは国務大臣である科学技術庁長官が答えるべきです。どことどことですか。
  54. 平野拓也

    ○平野政府委員 当庁の予算でございますけれども、移しかえいたしておりますのは原子力関係でございますと、原子力の研究をやっておりますような国立の試験研究機関を持っております省庁に移しかえております。それから振興調整費という のがございます。これはそのプロジェクトによりましていろいろな省庁に移しかえるわけでございますが、ほとんどの省庁に移しかえることが従来の例でございます。
  55. 井上一成

    井上(一)委員 いや、私は具体的にどの省庁に移しかえをしているのですかと聞いているのですよ、どの省庁に。
  56. 平野拓也

    ○平野政府委員 突然の御質問でございますので、詳しく今資料を持ち合わせてございませんので、必要でございますれば実績を資料といたしまして後ほど御説明をさせていただきたいと思います。
  57. 井上一成

    井上(一)委員 資料なんて要らないのですよ。あなたの方の予算の枠をどの省庁に移しかえをしているか、それもわからぬなんということで科学技術庁は何をしているのですか。大臣国会承認を受けた予算の中で、その予算がどこへ移しかえされているかということがわからぬようなことではどうなるのですか。いや、私はあえて……。  それじゃ、もう短い時間で質問を――いや、待っていいですよ。もしよければ待ちますよ。どうなんですか。
  58. 平野拓也

    ○平野政府委員 ただいま正確な資料調査しておりますので、後ほどお答え申し上げます。
  59. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 先生先ほど日米のただ乗り論の点に触れられて、私が答えられないというお言葉でしたが、お答えいたします。  私はそのときにすぐ答える必要がないと思ったものですから答えなかったのですが、基本問題ですから私がお答えいたしますと、敗戦後の日本というのは技術的にレベルが非常に低かったですから、向こうから技術を導入し、お教えをいただいて今日まで伸びてまいりました。それで、これもただでやっているわけではないので、ちゃんと適正なる対価を払っているわけで、現在では技術料として支払うものとこちらが受け取るものとは大体とんとんになりつつあります。将来また日本の技術がもっと進んでまいれば、きっと向こうに対しても貢献できるのじゃないだろうか。最初に申し上げましたように、国際協力というのはお互いに補いつつ進んでいくものだと考えております。  したがって、今まで一部で言われておったように、日本がアメリカの技術をただで買っているとかただ乗りだという議論には私はくみしません。相互依存関係にあろうと思っております。
  60. 井上一成

    井上(一)委員 基礎研究ただ乗り論と言うのですよ。これはもっと、時間がないから……。日本の学者はアメリカへ行ってうんと研究してくるけれども、物を持ち帰ってくる。具体的にそういうので年間三百人なら三百人の研究学者が行く、帰ってくる、アメリカの学者受け入れについては非常に少ない、そういうことから、いろいろな基礎研究のただ乗り論というのになるのですよ。  この話はもう時間がなにだから――わかったのですか、わかったら答えてください。
  61. 平野拓也

    ○平野政府委員 ただいま手持ちの資料でございますけれども、まず六十三年の科学技術振興調整費の配分先でございますが、省庁の名前で申し上げますと、北海道開発庁、環境庁、大蔵省、厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省、郵政省、建設省というふうな省庁でございます。  それから原子力関係でございますが、国立機関の原子力研究につきましては、省庁別で申し上げますと、環境庁、大蔵省、厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省、労働省、建設省、こういうところに配分をいたしております。
  62. 井上一成

    井上(一)委員 抜けていますよ。防衛庁が抜けているでしょう、防衛庁が。防衛庁に予算を移しかえをして、その予算は何に使われているか。
  63. 平野拓也

    ○平野政府委員 これは別の項目でございますが、放射能調査研究費というのがございます。これはフォールアウト、いわゆる外国の核実験等の放射能を調査するということで、防衛庁の飛行機に機器を搭載いたしまして調査をしていただくというものでございます。これにつきましては、放射能調査研究費ということで配分いたしております。
  64. 井上一成

    井上(一)委員 時間がないのでなんですが、防衛庁が抜けている。いわゆるそういう肝心な核実験による放射能の上層気流の調査というようなものについて、本来科学技術庁が平和的な見地からは対応していくべきである、防衛庁にそういう予算を移しかえすることは基本的には間違っている。これは答弁は要りません、続いて質問をしますから。  今東欧の民主化が進む中で、東欧支援ということが大きな問題となって、今外務大臣も行かれているわけなのです。科学技術庁長官に、東欧支援という問題についての、一番基本的に科学技術庁としてはどういうところに視点を置いているのか、ちょっとこれを聞いておきましょう。
  65. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 井上先生、二つちょっと触れたいと思います。  先ほど基本研究でただ乗り論だとおっしゃいました。その点は私も先ほど申しましたように、敗戦後のこちらの研究がおくれているときにはそうせざるを得なくて、こちらから優秀な若い学徒を向こうに派遣して、向こうからお教えを受けました。現在大体追いつきつつありますので、特に去年あたりから科学技術庁が講じました一つの点は、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムをことし発足させまして、全世界に貢献したいと考えております。それから、フェローシップの制度で百三十名の学位を持った三十五歳前後の有為な学徒を日本にお招きして、研究に従事していただいております。でありますから、ぼつぼつ日本でも、今までお世話になった恩返しをする段階に来ていると考えておりますし、先生指摘のように、基礎研究に重点を注いでいくようにこれから指導してまいろうと思っております。  それから第二は、東欧の動きに対して日本はどういう貢献ができるか、特に科学技術庁ではどうかという御質問でありますが、私自身も非常に東欧の問題については関心を持っております。したがって、庁内でもどういう協力ができるかについて研究中であります。まだ具体的に井上先生に、こういうことで報いるという明答はできませんけれども、できるだけの協力をして、東欧諸国の近代化、民主化に役立つような技術の移転をしたいと考えております。
  66. 井上一成

    井上(一)委員 やはりもっと具体的に、マルタ会談の前とマルタ会談後における、我が国が東欧諸国における、具体的にはココムの規制ということについてはどうなのでしょうか、どういうふうに対応しようとなさっているのですか。特に科学技術協力という形になれば、ココムの規制という問題がおのずから出てくるわけなのです。そういうことについて、長官はどういうふうにお考えなのでしょうか。
  67. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 お答えいたします。  朝鮮動乱が起きたときに、対共産圏輸出統制委員会というものができました。それがココムであります。したがって、朝鮮動乱が済んでから大分時間がたっておりますし、大分できた当時とは情勢が変わってきておりますから、これは再検討すべき段階に来ていると私は考えております。
  68. 井上一成

    井上(一)委員 それじゃ最後に、科学技術庁の資源調査会が昨年の九月に報告書をつくっているのです。「乳幼児期の人間形成と環境に関する調査報告」、 なかなかよくできています。ただ、人間形成については感性豊かな人間性というもので、コンピューター人間をつくる問題でもないし、科学というのはそういう問題に偏ってはいけないと思うわけなのです。私は非常によいことだとは思うのですが、むしろこの調査報告をつくられた意図、さらには、これを生かすために平成二年度、来年度における予算措置というものはどういうようにお考えになっていらっしゃるのか。あるいは、これは科学技術庁一庁だけの問題でなく、厚生省も文部省も環境庁も、いろいろと関連をした省庁があるわけです。そういう深く関係する省庁からの反応というか協力はどこまで進んでいるのか、こういうことをぜひ聞いておきたいと思います。  さらに、科学技術は人類の幸せのためにもろ刃の剣だとよく言われるのです、科学技術の追求については。そういうことについては、人間に対す る、人間社会に対する、あるいは地球環境に対する科学技術担当国務大臣としての思いも、この際一緒に答えてください。それをもって私の質問を終えます。
  69. 石塚貢

    ○石塚政府委員 今先生説明がございました資源調査会の報告書でございますが、その調査をいたしました意図は、やはり人間の幼児期における人間形成というものは環境に非常に大きな影響を受けるものであるというような学界、そういった関係者の御指摘が非常に高まってまいりました。そういう背景をもとにその研究調査を行ったものでございます。  なお、この問題はひとえにこれは科学技術庁だけではございませんで、厚生省あるいは文部省、そういった行政省庁で行政面に反映させていくという性格のものでございますので、この報告書は各関係省庁に対し行政に反映させていただくということで科学技術庁長官から送付いたしてございますが、それぞれの省庁においてそれが予算上どのように本年度措置されているかということにつきましては、突然でございますのでここに調査資料がございませんので、後ほどお答えいたします。
  70. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 井上先生お答えいたします。  科学は人間に奉仕すべきものであって、人間が科学に奉仕するものじゃありません。 したがって、科学技術庁としては自然と社会と人間との調和のある研究をしておりますし、また、先ほど指摘報告書もその観点でできております。
  71. 井上一成

    井上(一)委員 それじゃ、報告書に対する各省庁の見解のまとめをいただくということでよろしいですね。――じゃ、これで終えます。ありがとうございました。
  72. 佐藤敬夫

    佐藤敬夫委員長代理 野坂浩賢君。
  73. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間がありませんから、ごく簡潔に質疑をいたします。  総務庁によります「特殊法人に関する調査結果に基づく勧告」、これはよく長官動燃の皆さん方もごらんいただいたと思いますが、動燃事業団はこの二十年間に十三カ国で三十九プロジェクトに及ぶ海外探鉱事業を五百二十三億円かけて実施をされております。その成果として民間に引き継いだプロジェクトはどの程度ございますか。
  74. 田中久泰

    田中参考人 お答え申し上げます。  現在までのところ、民間に引き継いだという形のプロジェクトはございません。
  75. 野坂浩賢

    ○野坂委員 民間に引き継いだ事業は一 つもない、成果はゼロであった、こういう御答弁であります。これについて科学技術庁はどうお考えですか。
  76. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 動燃事業団は四十二年から六十二年まで、御指摘のように三十九のプロジェクトで五百二十三億円を投じて海外探鉱を実施をいたしました。民間に引き継いだものはまだございませんけれども、その三十九のプロジェクトのうち七つのプロジェクト、これはカナダ、オーストラリア等でございますが、七つのプロジェクトでは鉱床を発見しておりまして、約四万トンの鉱量になりますが鉱床を発見し、これを鉱区として確保しておりますので、長期的に見ますとそれなりに我が国のウラン資源の安定供給に貢献をしたものと思っております。  ちなみに、四万トンのウラン資源と申しますのは、現在スポットの価格が非常に下がっておりますので、現在のスポット価格で評価いたしますと約一千百億円ぐらいになりますが、長期契約ベースの値段で評価をいたしますと二千九百億円程度の金額に相当するものでございます。
  77. 野坂浩賢

    ○野坂委員 緒方さんから約四万トンの確保という見通しを示されたわけですが、民間は鉱量が十一万トン以上の相当大規模な鉱区、少なくとも鉱量数万トン以上または品位が〇・二%以上の有望な鉱区でなければ探鉱や開発の意欲を示しておりません。これははっきりしておる。ところが動燃事業団は、鉱量が五千トン以上または品位が〇・一%以上あると見込まれるものを目安に海外探鉱を実施しておる。民間にとってはそういう情勢から踏まえて全く魅力がなかった、こういう意味の勧告をされておるのですね。  総務庁の行政監察官がおいでだと思いますが、それに対しての見解を。
  78. 幸曙光

    ○幸説明員 私どもはこの監察におきまして、今先生述べられましたような事情下にあるわけでございますので、勧告といたしましては、海外探鉱の実施に当たりましては、探鉱作業の進展に応じ、できるだけ早期にプロジェクトの見きわめを行うとともに、事前調査等により鉱量の規模等を推測し得る地区を新規プロジェクトとして採択するに際しましては、民間への引き継ぎの可能性の高い有望なものに限定し、事業の重点化、効率化を図るよう、このような勧告をいたしたわけでございます。
  79. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そうしますと、総務庁の勧告というのはいわゆる可能性の高い有望なものに限定するということになりますと、総務庁から見て、今緒方局長が申し述べられましたことについては矛盾がありますね。いわゆる民間は十一万トン以上で品質の高いものということになると、今緒方さんがお話しになった二千九百億円に上るそういう埋蔵量が確保されておるということは言えないじゃないですかということを私は申し上げておるわけです。いかがですか。――いや、緒方さんじゃなしに、総務庁にお聞きをする。
  80. 幸曙光

    ○幸説明員 御説明申し上げます。  私どもといたしましては、動燃事業団の方で行われる場合の事業の目安といたしましては、現在、鉱量で五千トン以上、品位で〇・一%以上あると見込まれる場合にこれを目安として事業を実施をしておられるということでございますので、先ほど申し上げましたような趣旨で、事業を今後やっていく上においては、事業の進展に応じましてできるだけ早期にプロジェクトの見きわめを行う、それからあらかじめ鉱量等が推測し得るというものについては、民間への引き継ぎの可能性の高い有望なものに限定して、事業の重点化、効率化を図れ、そういう実態を踏まえまして今後の改善の方向としてそういう指摘をした、こういうことでございます。
  81. 野坂浩賢

    ○野坂委員 言うなれば、動燃理事お話しになりましたように、今までの探鉱、採鉱については民間は引き継いでいない、今後の見通しもないではないか。したがって、総務庁の勧告によれば、限定をして進めていかなければならぬということをお話しになっておるわけです。  長官にお尋ねをしますが、それであれば、現実問題として今日までの成果としてはなかったと言わなければならぬわけです。民間に引き継ぐ可能性があるかどうかということが一点と、この五百二十三億円というものの成果がなかったということを踏まえて今後どのように対処したいとお考えでしょうか、お伺いをします。
  82. 田中久泰

    田中参考人 先ほど私、今までのところ民間に引き継いだプロジェクトはないというふうに申し上げましたが、現在カナダにおきましては非常に有望な鉱床を発見いたしまして、このプロジェクトにつきましては民間に引き継ぐべく準備を進めているところでございます。  それから、今まで動燃事業団は全く成果がないではないかというふうな御指摘もございましたが、先ほど原子力局長の方からも御説明したほかに別途、これは引き継ぎという形ではございませんが、動燃事業団におきまして海外の情報の収集でございますとかあるいは調査事業を行っておりまして、そういった調査の結果に基づきましてこれを民間の方に引き継いだ。したがって、これは資料、情報を民間に渡したという形で引き継ぎまして、さらにまた民間の会社の方に技術指導を行い、あるいは民間の企業の技術者を受け入れてこれを教育訓練するという形で御協力申し上げまして、それがプロジェクトの成功に結びついたという形で、現在民間がやっております三件のプロジェクトにつきましては動燃が相当の寄与をしたというふうに考えております。
  83. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 野坂先生お答えいたします。  今までの御指摘拝聴しておりましたが、動燃の活動がウランの確保に貢献したと私は考えております。  それから、今後はより効果的、適切な探鉱を行うように指導をいたします。
  84. 野坂浩賢

    ○野坂委員 民間に引き継いでプロジェクトが成果を上げている。その引き継ぐ時期ですが、三プロジェクトはいつ引き継いだのか、そういう点を明確にしてもらいたい。まだであれば、いつごろかということであります。  時間がありませんから二番目に、動燃事業団は国内でもウラン探鉱をたくさんの場所で金をかけて実施をしてこられた。しかし、品位は最高で〇・〇六三%、平均で〇・〇五四%と低いですね。鉱量も少ない。一番よいところの生産コストも市場価格の二・三倍。事業化の見込みはないじゃないか。私たちの住む、我が県の人形峠等も商業ベースには乗らないということで、海外からの輸入で事業は進められておる、こういう状況にあります。これらについても総務庁は要員配置の問題等、指摘をしておりますね。こういう状況から考えてみて、これからの方向というものをどのようにお考えになっていくのか、お聞きしておきたいと思います。     〔佐藤敬夫委員長代理退席、委員長着席〕
  85. 田中久泰

    田中参考人 先生指摘のとおり、動燃事業団は現在まで国内においてウランの探鉱を続けてまいったわけでございますが、残念ながら日本の国内においてのウランの鉱量というものは決して多いものではございません。しかしながら、七、八千トンの鉱量というものを既に確保しておりまして、これは貴重な国内資源であるというふうに認識しております。ウランの輸入ということにつきましてはいろいろな形で制約がございますが、国内の資源ということでございますれば、これは外国からの制約を受けない日本本来の資源でございます。  そういうことで、現在のところ、国際価格からすれば国内で確保するというわけにはまいりませんけれども、将来のウランの需給が逼迫したときに備えて、かつ、今まで貴重な国家予算を使わせていただいて確認した鉱量であるということから考えましても、これはやはり将来のために維持しておく必要があろうというふうに考えておる次第でございます。
  86. 野坂浩賢

    ○野坂委員 今のお話は、市場価格の二・三倍であっても国内の重要な産物である、資源である、そういう意味でその確保に努めたいという考え方を述べられました。長官もそのとおりでしょうか。理事長でもいいです。
  87. 石渡鷹雄

    石渡参考人 お答えいたします。  まず先生の御理解をぜひ賜りたいことは、動燃事業団は営利会社ではございませんので、そういう観点で国内探鉱が三十年ほど前から始まった。日本にウラン資源がどれだけあるのかというところから始まっているわけでございます。結果として、残念ながら大したことはなかったということになってしまったわけでありますが、それを実際掘るとすれば先生指摘のような数字になると思います。ですから我々は、それを無理して商業化せにゃならぬというふうに考えているわけではないわけでございます。ただ、日本の地質の中でウラン資源というものがどれだけあるのかということについての成果として持っておるということでございまして、世界の市況が緩んでいるときに無理して商業化ということは考えていないわけでございます。  ただ、一つの財産であるということは事実でございますので、そういう観点から研究成果として保持しておきたい、こういうことを担当が申し上げた次第でございます。
  88. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それに関連して、三%の濃縮ウランの国際価格、輸入価格は現在幾らなのかということが一点。原燃産業が青森県で建設中のウラン濃縮工場の三%濃縮ウランの生産コストほどのぐらいで計算をされておるのか、その点を明確にしてもらいたい。
  89. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 お答え申し上げます。  濃縮ウランの国際的な取引価格と申しますのは、為替レートの問題もございますし、需給関係によって変動もいたしますし、なかなかにわかに決めがたいところ、掌握しがたいところでございます。さらに加えて、これは高度に商業上の機密ということになっておりますので、公表されておりません。したがいまして、海外の現在取引をされております濃縮ウランの価格というものを正確に御説明をし、またそれを日本国内の価格と比較をするということが困難な状況にありますので、そこはぜひ御了解をいただきたいと存じます。
  90. 野坂浩賢

    ○野坂委員 これは八八年九月四日の新聞ですが、米国の濃縮ウランの価格は一キログラム当たり百十七ドル、一万五千円、青森の場合は二万九千六百円の生産価格である、そういうふうに発表されております。これは間違いですか、間違いでありませんか。時間がありませんから、間違いであるかないかだけ言ってください。
  91. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 先ほど答弁で一部訂正をさせていただきます。  国際的な価格は公表されておりませんが、ただ一つ例外がございまして、アメリカのDOE、この価格だけが公表されているそうでございます。最新の値段が一キログラムSWU当たり百十九ドルということで公表されているそうでございます。
  92. 野坂浩賢

    ○野坂委員 国内の生産の青森で考えられているのは、どの程度ですか。
  93. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 青森で計画しておりますのは、御承知のように日本原燃産業株式会社が計画を進めているわけでございまして、企業の原価に関する問題になりますので、企業機密に属するということで公表は差し控えさせていただきたいと存じます。
  94. 野坂浩賢

    ○野坂委員 長官科学技術庁はそういう点については指導するのですよね、動燃にしても。  アメリカの生産は一キログラム当たり百十九ドル、約一万五千円ですね。青森では三万円かかるのです。そういう比較計算をすれば商業ベースに乗らぬということは理の当然なんですよ。それでも比較計算もしないで何でも国産だと。米なんかは、カリフォルニア米は安いから入れなければならぬ、国際市場から見てもっと安くしなければならぬ、そう言いながら、今のウランのことは二・三倍でも国産資源だからやらなければならぬ。政府の言っていることは、全体から見れば全然つじつまが合わぬのです。だから、商業ベースに乗らぬじゃないですかと言っておるわけです。  ちなみに、知恵をかしてあげますと、旭化成等ではモデルプラントの試験で「一キロ当たり百ドルを切る見通しをつけた。」と書いてありますね。しかし実用化はまだ先だと。先だということなら、そんなに急がないで、青森なんかは文字どおり凍結をする、このことの方が日本のためにいいのじゃないのかと思うのですが、いかがですか。
  95. 石渡鷹雄

    石渡参考人 私ども、コストの問題について若干経緯がございますので、手短に申し上げさせていただきます。  日本で国産化の計画が進められたときには、たしか一ドル二百四十円、二百五十円という時期の計画でございました。その時点では明らかにコスト的に対抗できるという判断であの計画がスタートしたわけでございます。その後為替レートが急激に変動したということでコスト的に非常につらい状況にあるということは事実であろうと存じます。しかし、ほかの産業もそれに追いついたように、濃縮についてもあらゆる技術的努力を払ってコストダウンを図って、何とか国際競争力を確保しなければならないというのが、現在時点でのテーマであると心得ております。
  96. 野坂浩賢

    ○野坂委員 ドルというものは動いておるわけです。したがって、その時流に合わせてやらなければならぬ。そのために旭化成等が研究開発しているのじゃないですか。それを今までどおりで進めるということになれば、まさに商業ベースには乗らないし、動燃は国の費用でやっておるといっても、これは税金を使っておるわけですから、もっと大事にしてもらわなければ意味がない。税金のむだ遣いということになるのです。それらについ ては、六ケ所村のこのような施設についてああいう動きまであったわけです。土田さんが勝ったわけですから厳粛に受けとめて、しばらくの間商業ベースに合うように凍結をするということが、日本の国のあり方として正しいではないか、私はそういう見解を持っております。石渡さん、どうですか。
  97. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 野坂先生、新しくつくります場合にコストの比較をするのは当然のことでございます。したがって、日本が非常に高くて国際競争力が全くないものを今やろうというなら、私は長官としてはもうちょっと待った方がいいよ、こう言うだろうと思います。しかし、既に始まっているお仕事であって、その間、為替変動という大きな、重大な要素がありました。したがって、現在のコストの比較で直ちに六ケ所村の問題を凍結するかどうかということを結論づけることは非常に困難だと思います。これが第一点。  それから第二点は、選挙の結果は神の声として冷静に受けとめるということは、先ほど申し上げました。 しかし、この原子力の核燃料サイクルというのは非常に重大なプロジェクトですから、今すぐ、あの結果だけを見てとめるという気持ちは私は持っておりません。もう少しこれから情勢の変化を見て、あの選挙の結果も分析し、私自身が納得ができた段階で決断を下そうと思っております。今すぐコストの面だけであれを切り捨てるという考え方は持ちません。
  98. 野坂浩賢

    ○野坂委員 百五十トンもつくるのですよ、青森では予定は。三万円かかるのですね。アメリカから輸入したものは一キロが一万五千円ですから、何十億、何百億になるわけですね、計算はしておりませんが。それだけの差を税金で、やりかけておるからしようがないんだ、やってみてだめだったら壊してまたやるというような、経済評論家である長官に似合わないような御発言は納得できませんね。御検討をいただきたい、こういうふうに思います。これが一点。あと五分でやめろと言っておりますから、多くを申し上げません。そのことを強く要望しておきます。  動燃事業団は広島通産局に対して、私のところは方面とか三朝とかたくさん探鉱の鉱区権の設定がありました。期限が切れましたね。今お話がありましたように、採算ベースに乗らないからこれでやめるんだ、こういうお話があった。 また新たに鉱区権の設定をされたということで、住民は非常に不安を持っておるのです。  その不安というのは何かといいますと、放射性の高レベルの廃棄物の処理場ということを考えておるのではないか、こういうことを思っておるわけです。いわゆる花崗岩地帯には一番いいじゃないか。地下五百メーター、千メーター掘って、そこに高レベルの廃棄物を置く、こういうことを考えてやったのではないのか。しかも業務内容から見れば、ウラン鉱の鉱区権というものの設定でなしに、銅とか金とか銀とか業務内容以外のものを含めて鉱区権の設定をしておるということになって、激しく揺れ動いておるというのが実情であります。  したがいまして、鳥取とか岡山、広島の多数の箇所に改めて鉱区権の設定などが出てきたが、これは一体何の目的なのか、目的を明確にしてもらいたい。そして、高レベルの廃棄物の処理場ということが考えられておるかどうか、もし考えられていないとすれば、将来にわたってこの地域には高レベルの廃棄物は置かないということが明言できるかどうか、その点を明らかにしていただきたいと思います。私は、それで質問を終わりますから。
  99. 橋本好一

    橋本参考人 お答えいたします。  先生指摘の鉱業権の設定、更新につきましては、本年の三月二十三日の委員会でもお答え申し上げましたが、私ども先ほどから申し上げておりますように、国内探鉱というものを実施してまいりました。これは、国内にウラン資源がどれだけ賦存するか、また、その胚胎状況はどうかということでやってまいったわけでございますが、三十一年から実施いたしまして六十三年度をもって終了いたしました。 この六十三年度までの探鉱を実施いたします過程では、当然のこととして鉱業権の設定なしにはできない状況にございます。そういうことで、鉱業権の設定、更新をやってまいったわけでございます。  先ほどから鉱業権につきましても御説明申し上げましたが、現在は国内探鉱が賦存状況を把握したということで終了いたしましたので、これを評価することによりまして整理をすることとしております。しかしながら、国内探鉱の成果として胚胎が確認されましたようなこれらの資源につきましては、国家予算を使って得られた結果でございますので、我々としては維持を図っていきたいということでございます。また、あわせまして探鉱技術開発の実証の場として使っていきたいということを考えております。  なお、いろいろな、金、銀、銅、鉛、亜鉛といいますか、そういうものの鉱種もかけているということで御不安を与えているという御指摘がございましたが、これは鉱業法上同種の金属でございまして、三月の折にも御説明申し上げましたように、ウランは金、銀、銅と一緒に出てくるケースもございまして、同時にかけておるということでございまして、他意はございません。  さらに、最後の問題でございますが、御指摘のように鉱業権の保有目的がこれから二、三十年先に考えられております廃棄物の処分予定地選定というものとは全く関係がないということでございます。
  100. 石渡鷹雄

    石渡参考人 一言申し述べさせていただきます。  まず、濃縮の話でございますが、大ざっぱな話でございますが、濃縮効率を倍にできればコストは半分になるわけでございます。我々は十分な見通しを持って今技術開発中でございます。  第二点、鉱業権の維持につきましては、今橋本理事が申し上げましたように、他意はございません。
  101. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私は、これで質問をやめますけれども長官はおりませんか。――私はやめるわけにならぬですね、長官がおらぬから。聞かないかぬ。
  102. 北口博

    北口委員長 中座しておりますから、ちょっとお待ちください。
  103. 野坂浩賢

    ○野坂委員 許可を得ないで出ていってはいかぬじゃないですか。  それでは、長官最後にお尋ねをして私の質問を終わりたいと思いますが、今動燃橋本理事から、中国地方、具体的に鳥取、岡山、広島の鉱区権設定の箇所については、将来にわたって高レベル放射性廃棄物処理場にはしない、関係がないというふうなお話がございました。将来にわたって廃棄物の処理場に使う意思は全くないかどうか。今ないと言われましたが、これは科学技術庁が指示することでありますからいかがですかと、それだけをお尋ねして終わりたいと思うのです。
  104. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 どうも中座をして申しわけありませんでした。おわびをいたします。  今先生質問の点については、全く今白紙であります。したがって、今私が、先生のおっしゃるとおり指定するとかしないとかということを明言することはできません。白紙の状態で、将来どんな長官が出られてどういう決定をするかということまで拘束できません。少なくとも現在のところでは全く白紙であることを申し添えたいと思います。
  105. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私は、今の発言は非常に重要なんです。いいですか、橋本さんは、放射性の高レベルの廃棄物とは全く関係がない、長官は白紙である、白紙ということは将来やるかどうかわからぬということですよね。やらないのかやるのかと聞いておるのです。やるという方針なのか、やらないという方針なのか、その点を明言してもらわなければ地方住民は安心ができない、こういう認識におるわけです。その点をはっきりしてもらわなければ質問をやめるわけにはならぬ。イエスかノーかだけ言ってください。
  106. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 ちょっと二つの点が入りまじってしまったために……(野坂委員「今だけの分で いいです、時間がないですから」と呼ぶ)国の方針はこの原子力長期計画というもので定められております。これは、高レベル廃棄物の最終的な処分予定地というものは、国が適切な時期に処分事業の実施主体を定めまして、その実施主体が地元理解協力を得て慎重に定める、こういう手順になっております。  現段階では、まだ高レベル廃棄物の地層処分につきましての研究開発を進めている段階でございまして、処分予定地の選定というのはその調査の結果を踏まえて将来行うことになっておる、その意味でどこの地点で事業を行うかということが全く白紙である、こういうことでございました。そこを大臣お答えしたわけでございます。  先ほど動燃事業団お答えになりましたのは、事業者としての動燃事業団は、動燃事業団としてその鉱区を維持しておるのはそういう意図ではないということを申し上げたわけでございますが、動燃事業団が高レベル廃棄物の事業者になるのかならないのかということはまだ決まっておりませんので、そういう意味でも二つの問題がちょっと混同してお聞きいただいたのではないかと懸念をしております。  もう一度繰り返しますと、国の方では、高レベル廃棄物の処分場をどうするかという問題については白紙でございます。それで、先ほど事業団の方は、鉱区維持の目的というのはそういう目的のために準備をしておるものではないという御説明をされた、こういうことでございます。
  107. 野坂浩賢

    ○野坂委員 これで質問を終わらなければならぬところでありますが、委員長のお許しをいただいてもう一言。  僕は、緒方さん、長官最後にまとめていただきたいと思いますが、国は何十年も先のことだから全く白紙です、私は箇所を指定して言っておるわけです。鳥取県、岡山県、広島県の広島通産局の管内にある鉱区権を設定されたところは、将来にわたって放射性の高レベルの廃棄物の処分場にはしないというふうに断定をしてよろしゅうございますか。そうすれば住民は安心します。しかし、白紙であるからわかりません、やるかやらないかわからぬ、これから調査をするということであれば、可能性が非常に高いと見なければならぬ、私はそういう見解の上に、立場の上に立ってお尋ねをしておるわけです。だから、それは調査の対象にいたしますか、いたしませんかということを聞きたいし、やるかやらないかということを明確にしてもらえればこれで一切が終わるということですから、時間をとっておるのは当局が悪いわけですから、だから、やるかやらないかということを明確にしてもらわなければならぬ、箇所を指定しておるのですから。
  108. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 処分予定地の問題につきましては、選定の手順を先ほど説明したとおりでございまして、全国全く白紙なのでございます。 したがいまして、広島通産局の管内で確率が高いのかどうかということではございませんで、日本国じゅうどこでやるとも決めてない、それはまだ選定の手順にも入っていない、こういう段階でございますので、全国全く同じ立場で白紙であると申し上げざるを得ない、こういう状況にございますので、ぜひ御理解をいただきたいと存じます。
  109. 野坂浩賢

    ○野坂委員 皆さんに迷惑がかかりますから私はこれで一応終わりますが、総選挙で出てくることがあればまた改めてお尋ねをするということになると思います。
  110. 北口博

  111. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは限られた時間でございますが、何点かお伺いしたいと思います。  まず初めに、私は地震予知の問題についてお伺いしたいと思います。  科学技術庁長官は、政府の予知推進本部長、この立場にお立ちでございます。先般、サンフランシスコのああした大地震がございまして、非常に多くの犠牲を出したわけでございますが、そういう中で、予知は最大の防災である、私はこのように思います。しかしながら、実際この予知が難しいということもよく存じております。しかし、これはもっと真剣な取り組みといいますか強力な対策が必要であることは当然のことでございます。そういうことで、予知は最大の防災であると私は考えておりますが、長官ほどのようにお考えですか。
  112. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 もう近江先生おっしゃるとおりだと思います。  私事にわたって恐縮でありますが、私は、大正十二年九月一日の関東大震災のときには小学校五年生でした。学校へ行って帰ってきたら、十一時五十八分、あの地震で本当に驚きました。これがもしも予知できたらどんなに多くの犠牲者が出ないで済んだかということを感じております。関東大震災のときは十四万人の犠牲者が出たわけです。したがって、先生指摘の予知に力を注ぐのは当然のことだと思います。
  113. 近江巳記夫

    ○近江委員 マグニチュード八クラスにつきましては大体予知ができると言われておるわけでございますけれども、先般、私も防災センターの方へ参りましていろいろ拝見をし、お聞きもしたわけでございますが、問題は、サンフランシスコ地震の場合もマグニチュード七・一、いわゆる七のクラス、それから直下型、これについての予知は実際どうなっておるか、まずこれをお聞きしたいと思います。
  114. 須田忠義

    ○須田政府委員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、現在の我が国の地震予知の能力というのは、マグニチュード八クラス、しかも機構が解明してある東海沖のような海溝型地震、そこだけについては今のところ地震予知はできます。しかし、マグニチュード七クラスの大陸型、直下型、これについては現状においては非常に困難でございます。  しかし、先生の御説のとおり今後の重要な課題だということを認識してございます。したがって、これについては、各省庁、各大学、今非常に基礎的研究を進めておるところでございまして、科学技術庁においても振興調整費でマグニチュード七クラスの地震予知の研究ということで各省庁と一体になってやっておるところでございます。今後についてさらに研究、観測を続けていかなければいかぬというふうに承知してございます。
  115. 近江巳記夫

    ○近江委員 観測強化地域、これは東海、南関東、二カ所なっておるわけでございますが、御答弁では今東海地域については八クラスはほぼ予知できる、それでは南関東については八でもできないのですか、どうなっておりますか。
  116. 須田忠義

    ○須田政府委員 八クラスの海溝型地震、いわゆるプレートテクトニクスの理論の延長上にある地震についてはできます。できますというのは、それ相当の測定器を配置し、今東海は観測を強化しております。したがってそこは可能だ、そのほかについては、今可能だと申し上げる段階ではございません。
  117. 近江巳記夫

    ○近江委員 首都圏におきましては、これだけ人口の集中、またライフラインも集中しておるわけでございますし、予知が非常に緊急のことであると私は思うのですね。東海につきましてはほぼ予知ができる、南関東については手を打たなきゃいかぬ。八クラスでもそういうことなんですね。私が防災センターへ参りましたときも、三千メーター級の深井戸、これはやはりあと数本がどうしても緊急に必要である。後で予算のことは私お聞きしたいと思いますが、八クラスでも、しかもこれだけの特定観測地域が設定されておりながらいまだにそういう後手を踏んでおる、非常にゆゆしき問題だと思うのですね。大臣はどのようにお考えですか。
  118. 須田忠義

    ○須田政府委員 先生指摘のとおり、直下型地震、南関東を想定しまして三千メータークラスの深井戸を三本堀って今ずっと観測を続けておるわけでありますが、直下型地震の機構解明、どういうふうになったらどう起こってくるのかというのがなかなか、長い歴史を踏まえて観測のデータの蓄積で判断するものでございますので、そこは鋭意、これは観測強化地域で、強化した地域で観測網を集中しておりますけれども、いつどこでどのくらい、どの程度の地震が起こるというのは、必 ずしも今予知できる段階ではないというふうに認識してございます。
  119. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは今の体制でやっておるから必ずしもわからないわけであって、それを充実すればわかるわけですよ。その不備を私は聞いておるわけですよ。そうでしょう。足らないなら足らないとおっしゃいなさいよ。
  120. 須田忠義

    ○須田政府委員 科学技術庁はもとより、気象庁、国土地理院、各省庁これについては重大な関心を持っておりますので、それについては鋭意今強化中でございます。どのくらいたってどのくらい強化したらすぐできるかというのは、なかなかこれ、事象の解明、自然現象の解明は長い歴史がかかるので、とにかく先生のおっしゃるとおり非常に強化してまいりたいということで、各省連携してやってございます。
  121. 近江巳記夫

    ○近江委員 長官、今お聞きになったように八クラスでも結局そこまでの手は打っておらない、データ不足なんです。だから、そこの困難さを今局長は言っておるわけですね、また後で続いて申し上げますけれども。  そこで、各省庁、研究機関で、これは非常に多数に及ぶわけでございますが、問題はどこでこれを統一されてどう解析されておるかという点ですね。この点の一元化といいますか、これにつきましてはどうなっておりますか。
  122. 須田忠義

    ○須田政府委員 どういう地域が今活動しておるか、地殻活動をしておって異常値が出ておるかというのは、各機関が分担してデータをとっておりまして、そのデータは国土地理院の地震予知連絡会で全部報告を受け、特定観測地域それと強化地域ということで指定がございまして、観測網を強化してございます。なお、今特定観測地域というのは全国八地域が指定されておりまして、ここを観測強化しておる。その辺で異常値が見つかった、何かあったということになると、観測強化地域ということに格上げしてございます。そこにさらに観測研究体制を集中するということでございます。ちなみに、今観測強化地域として指定されておるのは、南関東地域と先ほど申しました東海地域ということでございます。
  123. 近江巳記夫

    ○近江委員 観測強化地域が二カ所、特定観測地域が八カ所全国にございますね。そうしますと、この全国八カ所につきましては観測網は充実しているのですか。どういう体制をとっているのですか。
  124. 須田忠義

    ○須田政府委員 今、特定観測地域八カ所については、検潮、地殻変動、地震観測の大中小、微小地震、海底地震計並びに地下水の観測、こういうことを分担してやられておるわけでございますが、例えば地震観測計は八地域合計で百二十三、地殻変動観測器は八地域で六十七、検潮は五十四、こういう形で、いわゆる指定地域以外のところから見たら相当集中しておるというふうに考えてございます。
  125. 近江巳記夫

    ○近江委員 予知連のメンバーの皆さんも、我々はパートタイマーである、満足な通信網を持っているわけではない、今一番大事なことは科学的地震予知の体制をもっと強化しなければならぬ、メンバーのほとんどの人がこういうことを訴えておるわけですね。ところが、予算一つ見ましても、御承知のように六十億ですね、各省庁全部寄せて。来年度概算要求額が六十二億。そうすると、例えば先ほどの関東の深井戸の話でございますが、あれを一本掘るのに幾らかかるのですか。
  126. 須田忠義

    ○須田政府委員 いわゆる三千メータークラスの深井戸一本は、大体二十億ぐらいと考えております。
  127. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうしますと、一本で二十億、少なくとも関東地域だけに限りましてもあと三、四本は掘らないと観測の整備は十分なものではない。最低そのぐらいは要るということを学者は言っているわけですよ。それが、国の全予算を合わせて六十億なんですね、井戸三本分なんですよ。そしてしかも、先ほど答弁ございましたように、観測地域というものが全国十カ所、これは地域で見ますと非常に広範な地域ですね。特定観測地域が八カ所、強化地域が二カ所。まさにこれは、予知連の皆さんもおっしゃっておりますように、地震の危険性というものにつきましては、例えば東京・横浜直下型地震の発生は今後十年、二十年をめどにかなり高い確率に達している、こう言う地震学者が多い。こういう警告を発しておるわけですね。東海につきましてもそうでございます。  そういうことになってまいりますと、一番大事なことは、充実をしていけばそれなりのきちっとした効果が出るということがわかっておるわけですから、したがいまして格段に力を入れる必要があると私は思うのです。推進本部長とされまして、各省庁、大体の枠というものも、いろいろ難しい点もわかるわけでございますが、統括されておるわけですね。今こういうような貧弱な対策で、あなたは総責任者として、各省から上がってきたものをただ数値の合わせだけで、また答弁は、今後力を入れます、それでは本当に抽象論としか言いようがないのですよ。どうされますか、こういう現実を。
  128. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 先生の大変適切な御指示、ありがとうございました。私自身も先生と同じように、金額、少ないと思います。したがって、今後もできるだけ充実する努力をいたそうと考えております。
  129. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣のそういう気持ちはわかるのですが、充実強化されるには、少なくとも関係省庁、科学技術庁は当然のこととしまして、文部省、通産省、運輸省、建設省、郵政省、またがりますね。そうしますと、各大臣に対して推進本部長として申し入れなりなんなり、今ちょうどまさに予算編成のときでございますから、そういう具体的な努力をされるのですか。
  130. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 先生の御趣旨を体して、そういう行動を起こそうと思います。
  131. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、問題は、予知と防災の連携の問題なんですね。こういう地域が設定をされておる。そうしますと、そこにおきまして、危険性ということは、これはもう今までのデータによって大体予測もされているわけですね。ですから、それの連携ということが非常に心配なんです。  サンフランシスコの例を見ましても、ああいう高速道路が崩壊しておる、軟弱地帯につくっておった、あれは五十年前につくった高速道路であると言われておりますが、あの辺はサンアンドレアスの断層地帯であり、常に危険は予想されたわけですね。ところが、そういう防災とのいわゆる連携といいますか、それが具体的に反映されなかったがゆえにああいう悲劇が起きたと私は思うのです。この点につきましてどういうようにされておるのか、きょうは建設省初めお見えになっておるわけですから、ちょっとお聞きをしたいと思います。
  132. 尾田栄章

    ○尾田説明員 今回のサンフランシスコの地震災害に関しましては、アメリカでも有数の大都市、それも近代都市に起こった災害でございましたので、発災直後担当者レベルの災害対策関係省庁連絡会議を開催いたしまして、各省庁間の情報交換を行いますとともに、十分な調査を行うことが我が国のみならず世界の地震対策の向上に重要なことである、そういう観点に立ちまして政府調査団を派遣したところでございます。近代的大都市に起こりました今回の地震災害の特徴でございます、今先生から御指摘ございましたライフラインの障害、高架道路等の構造物あるいは地盤の液状化等の問題を含めまして、調査団の成果を踏まえながら、必要に応じましてこれまでの施策を点検いたしまして、今後の震災対策の一層の推進を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  133. 近江巳記夫

    ○近江委員 特に十カ所の地域指定が行われておるこういう地域というものにつきましては、やはり今後十分警戒しなければならない地域であることは間違いないわけですから、そうしますと、その基準一つにしましても、それは相当またそこには加味しなければならない問題があろうかと思うのですね。そういう点、建設省はどういう具体的な検討に入っておりますか。
  134. 佐々木隆士

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  我が国におきましては、道路橋の設計については、関東大震災等の地震の経験を生かしながら耐震設計の技術基準を定めてきたところでございます。現在の耐震設計法は、地域とか地盤とか橋脚の高さ等に応じまして設計震度を定めまして、これに応じた地震力に耐えられるように各部の断面を決めているところでございまして、また、マグニチュード八クラスの大変まれな大地震に対しましても橋脚の破壊等の被害が生じないように措置をいたしておりまして、さらに、落橋防止対策を講じまして万全を期しているところでございます。また、道路の耐震性の一層の向上を図るために、昭和四十六年以降適宜震災点検を行いまして、その結果に基づきまして落橋防止対策などを行ってきております。したがいまして、我が国の道路橋の地震に対する安全性は十分確保されていると考えております。  道路橋梁の震災対策に関する今後の対応といたしましては、調査団の報告では、復旧の迅速さ等の点で参考となる事柄があるが、今すぐとるべき対策の必要性は今のところ認められない、今後、被災状況の詳細等についてさらに検討を加えていく必要があるとされておりまして、建設省といたしましてもこの調査団の報告を受けて、さらに土木研究所等と共同して調査結果について詳細な検討を加え、必要に応じ適切な措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
  135. 近江巳記夫

    ○近江委員 地震の震度の確度の向上、これに欠かせないものが計測器の開発の問題だと思うのです。この震度測定について、計測器の研究開発はどのようになっておるのか。聞くところによりますと、東京ガス等の計測による震度というのは、気象庁が発表する震度より大きいというのですね。これは非常に問題だと私は思うのです。どうなっておりますか。
  136. 窪田將

    ○窪田説明員 御説明いたします。  気象庁においては、従来担当官の体感によって震度を決めております。現在もそのようにしておりますが、現在震度計、つまり地面の加速度を震度に換算する、そのような装置を開発し、来年度から展開する予定にしております。
  137. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣、来年度からそういう研究に入る、こういうことなんですよ。要するに震度計、いわゆる正確にはかる計器も、これだけの科学技術立国と言っておる我が国が、体質を強化しますだ、充実をしますだと言っておったって、一番大事な計測の機器自体がそんな状況なんですよ、大臣。ですから、いかに貧弱であるかということが言えると私は思うのです。まさに科学技術庁としてこういうことについては特段の総力を挙げなければならない問題でしょう。残念ですよ、こんな貧弱な話を聞いて。大臣、どう思われますか。
  138. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 近江先生、さすが御専門の知識に基づく御意見で、敬服しました。今まで至らなかった点は随分多かったと思いますから、御指摘の点を十分参考にして、充実を図るように努力をいたします。
  139. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣も率直にそういう現状を御認識されまして、今後力を入れるとおっしゃっておりますので、今後一層力を入れていただきたい、このように思います。  私はこれはひとつ提案申し上げたいと思うのですが、来年から国際防災十年が始まるわけでございますけれども、我が国は地震国として世界的にも先進国の中で有名でございますし、またそれだけの努力もされておるわけでございます。そういうことで、そのリーダーシップをとられて、例えば地震国サミットといいますか、そういうような国際的なお互いの協力といいますか、それは非常に大事な問題だと私は思うのです。そういう点につきまして今後なさるおつもりがあるかどうかお聞きしたいと思います。
  140. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 国際防災十年の運動を提唱した日本でありますから、先生指摘のような地震サミットというのは非常に時宜に通した御提案だと敬意を表します。  国際防災十年については国民の関心も非常に高くて、スローガンを募集したところが五千七百も応募者がありまして、国民の関心が大変深く、私はこれにこたえなければならぬという責任を感じております。大変適切な提案でございますから、今後研究をいたします。
  141. 近江巳記夫

    ○近江委員 まだあと数点聞きたいことがありますので、あと一点だけ地震に関しましてお聞きしていきたいと思いますが、軟弱地盤地帯の地盤震動、液状化現象ですね、その中でもまた波打ち際と言われる地帯にやはり相当災害が発生しているのですね。この点は特に防災センターもお持ちでございますので、ひとつ十分関係各省連携をとって研究を進めていただきたい。これは要望します。答弁をお願いします。
  142. 須田忠義

    ○須田政府委員 十分検討してまいりたい、進めてまいりたい、そういうふうに思っております。
  143. 近江巳記夫

    ○近江委員 次に、プルトニウム輸送の問題でございます。  先般、十二日ですか、科学技術庁としては海上輸送にするということを正式に決定されたということをお聞きしておるのですが、まずそのことにつきまして報告を願いたいと思います。
  144. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 先生御案内のとおり、イギリス及びフランスから再処理をいたしました結果出てまいりますプルトニウムを日本に持ち帰ってくるわけでございますが、これを動燃事業団が国内で利用するわけでありますが、輸送方法を航空輸送にするのか海上輸送にするのかということで、かねて検討してきたわけでございます。  そこで、十二日の原子力委員会では次の三点について結論を出したわけでございます。  まず返還輸送の時期でございますが、動燃事業団は現在「常陽」あるいは「ふげん」という炉でプルトニウムを使っているわけでございますが、一九九二年に臨界をいたします予定の高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」の運転でプルトニウムが必要になってまいりますので、それらのことから国内でのプルトニウムの需給関係というものを勘案いたしますと、一九九二年の秋ごろまでにこのプルトニウムの返還輸送というものを開始しなければならない、こういうことでございます。それが第一点です。  第二点は、九二年という時点を考えますと、これまでの輸送方法としては、御案内のとおり日米協定上は航空輸送によるというのがいわば原則で、これが達成できない場合に海上輸送をする、こういうことになっていたわけでございますが、航空輸送をいたします場合にはいわゆる盗取等に対する問題のほかに、飛行機が墜落をする等の不測の事態に備えてプルトニウムを安全に輸送できるような容器の開発が必要でございます。したがいまして航空輸送容器の開発に取り組んできたわけでございますけれども、九二年という時点を前提にいたしますと、アメリカの非常に厳しい安全基準でございますマコウスキー修正条項等、新たに対応しなければならないわけでありますので、それまでに実用化することは不可能と判断せざるを得ない、これが第二点でございます。したがいまして、航空輸送が不可能ということでございますので海上で輸送しなければならない、こういうことでございます。  第三の点については、海上輸送ということになりますと、これは新しい日米原子力協定のもとでの第一回の輸送でございますので、協定のガイドラインに従いまして動燃事業団が主体となりまして関係各省の、政府の支援を受けてこれを実施していく必要がある、こういうことを決めた、そういう方針を、専門部会の報告を受け、これを了承した、これが十二日の原子力委員会の結論でございます。
  145. 近江巳記夫

    ○近江委員 原子力委員会の結論がそう出たのですが、確認しますが、これは政府決定とイコールなんですか。
  146. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 原子力委員会の方針を踏まえまして、海上輸送するということにつきましては科学技術庁長官方針を御決定いただいているところでございます。
  147. 近江巳記夫

    ○近江委員 政府決定なんですね。そうすると海上輸送ということになられたわけです。それで海 上輸送一つ一つ私聞いていきますが、海上輸送の護衛はどこがやるのですか。
  148. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 日米原子力協定の附属書によりますと、海上輸送する場合には護衛船の同行が必要である、ほかにも条件いろいろございますが、護衛船の同行が必要だということになっております。この護衛船をどこがやるかということにつきましては、現在、政府部内で海上保安庁の巡視船が担当するという方向で検討を進めているところでございます。
  149. 近江巳記夫

    ○近江委員 海上保安庁がやるのですね。  この新日米協定海上輸送のガイドライン、これを見ますと修正をしているのですね。海上輸送の指針に関するサイドレター、「武装護衛船は、海上保安/沿岸警備の船舶、或いは、その他の政府公船で輸送船と積荷を防護し、かつ、盗取や妨害行為を抑止するに十分な能力と権限を有するものとすることが交渉において確認された。」ここで私はお聞きするのですが、これは政府部内でも自衛艦にするのか海上保安庁のそれにするのか、大論争があったようでございますが、結局海上保安庁にした、こういうことを漏れ伝えるところ聞いておりまして、今正式に海上保安庁というお話があったのでございますが、これで十分なのかどうか。  私が今ここで申し上げておるのは、そうしますと「或いは、その他の政府公船で輸送船と積荷を防護し、」と、この「その他の政府公船」というのは何ですか。
  150. 岩田達明

    ○岩田説明員 お答えいたします。  今の御質問でございますが、昨年の秋に海上輸送のガイドラインが日米間で合意を得るに至りまして、その際に海上輸送の指針に関するサイドレターが確認されました。このサイドレターは海上輸送の指針のBの2(a)(ii)のところに書いてございます武装護衛船についての説明でございます。今議員がお読みいただきましたサイドレターのくだりは、武装護衛船についての説明のくだりでございます。ここには「武装護衛船は、海上保安/沿岸警備の船舶、或いは、その他の政府公船」と書かれております。それで、日米間の交渉を受けまして、現在、政府部内で海上保安庁の巡視船を派遣する可能性について検討しているところでございますけれども、その他の公船に関しましては、輸送船や積み荷を十分に防護し、かつ盗取や妨害行為を抑止する能力を有する公船でありまして、理論的には軍艦とか自衛艦も概念としてはかかる公船の中に入ってくる、排除されるものではないと考えております。
  151. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは極めて大きな問題だと私は思うのですよ。いわゆる自衛艦が、海上保安庁の船が不十分であればそれをカバーする。憲法上からいきましても、自衛艦のそういう形態をとるということにつきましては、これはかねてから大論争になってきておるのです。これはもう非常に大きな問題だと私は思うのです。だから、武装護衛船というのは海上保安庁の巡視船に決定した、これが十分でない場合は、いわゆる「その他の政府公船」、今の御答弁では武装警護する、これはイコールになるわけでしょう。これはどうなんですか、長官。こういうことはいまだかつて出てませんよ、これは。
  152. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 先ほど説明いたしましたように、政府部内では海上保安庁の巡視船を派遣する方向で今検討いたしておりまして、自衛艦の派遣ということは検討いたしておりません。  先ほど外務省から御答弁がありましたのは、協定に基づきますサイドレターの御説明を申し上げたわけでございますが、その中で日本政府としてどういう決定をするかというのは、その許容される範囲内における一つの選択をするわけであります。選択についての検討は今申し上げたとおり、こういうことでございます。
  153. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、選択としてはあくまでも海上保安庁に限定する、こういうことなんですね、もう一遍確認しますけれども
  154. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 目下政府部内で最終的に調整中でございますが、海上保安庁の巡視船という方向で検討を詰めているところでございます。
  155. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、海上保安庁の護衛で不備、不安、不足、そういう点があった場合は、この日米間で、サイドレターでうたわれているいわゆる自衛艦ということもあり得るのですか、今はそういう方針であるけれども
  156. 夷子健治

    ○夷子説明員 まだ今検討中ということでございまして、海上保安庁に決定したわけではございませんけれども、プルトニウムの海上輸送が実施される場合には、護衛船の同行のみならず周到な輸送計画、妨害行為等の発生の危険や脅威を極小化するための予防措置、例えば荷役装置等の無力化、多重な通信体制、また武装護衛者の同乗ということ等、輸送の安全を確保するため総合的な防護措置がとられることになります。実際の輸送においては、このように総合的な防護措置がとられることもありまして、ただいまサイドレターにありましたとおり、海上保安、沿岸警備を任務とする船舶で対応可能であるということにつきまして、日米双方の認識の一致を見ていると聞いております。
  157. 近江巳記夫

    ○近江委員 今は一義的にはそういう線で、海上保安庁のそれでいくということでありますが、今の御答弁を聞いていますと、依然として何か奥歯に挟まったようなすっきりしないものがやはり私は残るわけですね。今の段階では海上保安庁で担当するというお話がございますが、この点非常に疑問が残るということを、心配が残るということを私は強く申し上げておきたいと思うのです。それで、そういうことのないように海上保安庁で万全を期してもらいたい、こう思います。どうですか、その点は。もう一遍答えてください。
  158. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 再度の説明で恐縮でございますが、検討中と申し上げておりますのは、海上保安庁が巡視船をもって護衛をいたします場合に巡視船の手当て等がございまして、そちらの方の財政上の検討も必要でございますし、政府としての最終決定をするためになお必要な手続がございますのでそういう申し上げ方をしたわけでございますが、いずれにいたしましても、現在政府としては自衛艦の派遣という方向では検討いたしておりませんで、あくまでも海上保安庁による巡視船の派遣ということで検討いたしておりまして、それをもって万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  159. 近江巳記夫

    ○近江委員 このプルトニウム輸送という問題は、これは英仏に依頼をしておるわけでございまして、我が国の独自という点からいけば、今、六ケ所村ということになるわけでございますが、先般のあの選挙結果というものは非常に多くの意味があろうかと思うのです。これは、大臣はどのように受けとめておられ、政府としては今後どういう方針で進まれるのですか。
  160. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 近江先生、前の御質問にもお答えいたしたので重複するかもわかりませんが、改めて申し上げますと、選挙の結果は神の声として率直に受けとめます。しかし同時に、エネルギー政策というのも国家の重大なプロジェクトですから、六ケ所村の問題をどう処理するかについては慎重に今考えております。しかし、一部に伝えられるように、全部凍結するということはいたしません。私は住民の声を十分聞きながら、どうやったら安全が保障できるか、確保できるかということを学問的にも実際の立場からも研究して、まず住民の諸君の理解協力を得るようにこれから最大の努力を払ってまいろうと考えております。
  161. 近江巳記夫

    ○近江委員 何よりも大事なことは、住民の皆さんの意思を尊重するということがやはり一番大事だと思います。そういうことで、誤りのないように政府としては態度をとっていただきたい、住民意思を十分尊重してもらうということを強く申し上げておきたいと思います。  それから、プルトニウムをこのようにどんどんこれから英仏から回収して持ってくるわけでございますが、この利用という点におきましてどういう計画を持っているのですか。私の聞いておる範囲では、非常に余分といいますかプールされていく、こういうことを聞いておるわけでございます が、どういう利用計画を持っているのですか。
  162. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 先ほども一部申し上げたわけでありますが、プルトニウムにつきましては高速増殖炉、FBRの燃料として利用するというのが一つ、それからATR、新型転換炉の燃料として利用するという方法が一つ、それからもう一つは、現在商業的に使われている軽水炉の中でウラン燃料と一緒に使うというプルサーマルと呼ばれる利用方法、この三つの方法が大きく言って考えられるわけでございます。当面輸送の対象になっておりますのは動燃動力炉核燃料開発事業団が輸送するものでございまして、先ほども申し上げましたように、それの主たる用途というのは、中心になりますのは高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の燃料及び実験炉「常陽」、それから新型転換炉の原型炉の「ふげん」、これらの利用でございます。
  163. 近江巳記夫

    ○近江委員 年間三トンも使うのですか。それではその一つ一つを、使用量を合計してちょっと言ってごらんなさい。
  164. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 ちょっと正確な数字でなくてラウンドの数字で恐縮ですが、高速増殖炉の実験炉「常陽」で消費いたしますのが年間に約百キログラム、それから新型転換炉の原型炉「ふげん」で消費いたしますのがやはり年間百キロ程度、それから高速増殖炉原型炉の「もんじゅ」でございますが、これの消費量が年間約五百キログラムというような数字でございます。
  165. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうしますと、これで七百キロなんですね。年間三トンですよ、これ。そういう利用計画もなしにそれをプールしておいてどうするのですか。しかもこのプルトニウムというのは、御承知のように七、八年しますとアメリシウムという物質に変質いたしまして、性能がぐんと落ちてしまうのですよ。こういうずさんなことでどうするのですか。どうなっておるのですか、これ。
  166. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 現在、炉が既にございまして、使っておるものについて申し上げたわけでありますが、それ以外に、大間に予定しております、構想されておりますATRの実証炉についてもプルトニウムの使用が見込まれておりますし、その他についてはまだ使用年次あるいは計画が具体的には定まっておりませんが、先ほど申し上げました軽水炉で使用いたしますプルサーマルの利用が量的には非常に多く見込まれているわけでございます。
  167. 近江巳記夫

    ○近江委員 これも一つ一ついきますと、それでは、今おっしゃったプルサーマルのそれも本当に国民の理解を得ることができるのか、安全性についてはどうか、いろんな点でこれは問題点がいっぱいあるわけですよ。そういう中で、これはもう十年間で三十トン持ち帰るわけでありますから。ですから、これは非常に問題である、私はこれを強く指摘しておきたいと思います。大臣、これどうしますか。
  168. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 原子力委員会の核燃料リサイクル専門部会というのが設けられておりまして、まさに先生指摘のように、このプルトニウム利用、日本の国内で今後どういうふうに進めていくのかという問題について鋭意検討しているところでございますけれども基本的な考え方につきましては、先ほど来私が御説明しているとおりでございます。再処理によりまして発生しますプルトニウムというのも一どきに出てくるわけではございませんで、年を追って出てくるわけでございます。利用の方も年を追ってまた増加が見込まれているわけでございますので、一時的に需給のバランスというものはあろうかと思いますけれども、トータルで考えますと、再処理から返ってまいりますプルトニウムの利用については、日本の国内で有効に利用されることになりますし、またそのように計画を進めていかなければならない、このように考えております。
  169. 近江巳記夫

    ○近江委員 この六ケ所村につきましては、住民意思を十分尊重するようにと私は今重ねて申し上げておるわけでございますが、当初政府の計画では、九七年操業を始めて、フル操業をすると年間八百トンの使用済み核燃料を再処理し、五トンのプルトニウムを生産する、こうあったわけですね。こういうずさんな、政府の一貫した、国民の理解、納得の得られる、しかも確実性のあるそういうものがない。非常にずさんである、非常に残念であるということを私は申し上げたいと思うのです。 そういうことで、これは一つは問題提起としておきますけれども大臣、今こういう状況なんですよ。  それから、もう時間があとありませんから、最後一点だけお聞きしておきたいと思いますが、東京電力福島第二原発三号機、その後の状況、再発防止策等、これはもう重大な問題だと私は思います。今まで安全性だとか、やれ何だとか言っておりますけれども、ああいう一つの姿を見ましても、口先だけで政府は答弁してその場をしのげばいい、現場はそうじゃないのですよ。安全性ということにつきましては、もう徹底した展開をしなければいけない、私はこのように思うわけでございます。  私は、もう時間がありませんから申し上げておきますが、原子力発電の六条件というものを私ども考えまして、一つは、人間の過失に耐え得るものであること、二、いかなる状況下においても、住民、環境を脅かす放射能を放出しないこと、三、信頼性の複雑な技術的対応で確保されるよりも、単純な法則に基づくこと、四、異常事態に際して、それ自体で自然に停止されなければならないこと、五、冷却材の喪失があっても、炉の溶融がないこと、六、いかなる化学爆発や火災もないこと、こういう条件を、私、出しておきます。  もう時間がありませんから、簡潔に今の答弁をしてください。
  170. 村上健一

    ○村上政府委員 基本的な考え方について御説明申し上げます。  先生が今お話しございました公明党の六項目については、私どもといたしましても、原子力発電の安全を確保するために重要なものであるというふうに認識しております。  それで、我が国の原子力施設安全性につきましては、御案内のとおり従来から多重防護の考え方に基づきまして念には念を入れた対策を講じておりまして、厳重な安全対策で進めてまいっているところでございます。この対策は、今先生がおっしゃいました六項目と個々に対応して考えてみましても、基本的に同じ立場であるというふうに認識しているところでございます。いずれにいたしましても、原子力の安全確保に対しましては、現状に甘んじることなく、何か異常があれば、故障、トラブル等に至る前にできる限り早期に発見して対応策を講じていくという予防保全という考え方を徹底していくことが重要であるというふうに考えておりまして、このような観点から本年度の原子力安全年報におきましても、経年劣化等の問題の現状を分析して、反映すべき教訓を摘出し、今後ともこのような予防保全の考え方にのっとりまして一層不断の努力を続けていくことでございます。  福島の発電所の問題につきましても、原子力安全委員会も通産省の方から随時話を聞いておりまして、通産省の方で調査が終わりました段階で十分に検討して、適切なるアドバイスをしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  171. 三角逸郎

    ○三角説明員 今御指摘の福島第二原子力発電所の三号機、再循環ポンプの損傷事象の件でございますが、先生指摘のように、この事案につきましては、通産省といたしましても、いわゆる安全性の一層の向上のためのよき教訓としてより一層の措置が講ぜられるように、ただいま私どもの原子力発電技術顧問会というものがございますが、そのもとで慎重に検討を進めておるということでございます。現在までに再循環ポンプの水中軸受けリングの損傷の原因だとか損傷の経過といったようなことが判明してございまして、この件に関しましては八月に中間的に取りまとめたものを公表したところでございますが、なおさらに調査を進めまして、事象全体の原因の究明、それから再発防止対策といったようなことで、先生指摘のような趣旨を体しまして安全性の一層の向上に電 気事業者を十分指導してまいりたい、こう考えてございます。  以上です。
  172. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  173. 北口博

    北口委員長 和田一仁君。
  174. 和田一仁

    ○和田委員 きょうは法案審査でございませんので、一般質問という格好でこちらからテーマを選ばせていただいて二、三御質問させていただきます。  初めに、地球環境問題についてお尋ねをしたいと思います。  御案内のように昨今の先進国サミット会談では、いつも地球環境問題が大きなテーマになってまいりまして、これは地球環境が破壊されているのをいかにして保全していくかという課題でございますけれども、この七月のアルシュ・サミットでもこのテーマが大きな柱でございました。経済宣言のうちの約三分の一がこれに割かれるというほどの力の入れ方でございました。この地球環境問題に対して科学技術庁長官としてのお考えをお伺いしたいと思います。  地球環境問題というのはどういうところが問題になっているのか。つまり、いろいろな分野があろうかと思うのですが、そういった分野でどのような状況で進んでいるのか、またそれに対してどういうふうに長官としては認識しておられるか。日本が科学技術の先進国として対応していかなければならないわけですけれども、その対応についても国際社会の一員としてどういう対応をすべきなのか、またこれからされようとお考えになっているか、概括についてまずお答えをいただいて、また細かくお聞きしたいと思います。
  175. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 和田先生大変いい御指摘で、ありがとうございます。私は三つに要約したいと思うのです。  第一は、工業化が進むに従って炭酸ガスが非常にふえる。それがために地球の温暖化ということが進んでおります。  それから第二は、私自身も去年、おととしとアフリカへ行ってまいりましたが、砂漠化が非常な勢いで進んでいる。このままでいけばそう遠くない将来においてアフリカの四分の一ぐらいが砂漠になってしまうだろうと言われております。したがって、砂漢化の防止にはどうしたらいいかということが大きな課題だと思います。  そして、何と申しましても工業化の時代ですから、自動車を使わないわけにいきませんから、自動車に使う燃料をどうするかという問題だと思います。  そういう点から見ますると、私は、クリーンなエネルギーとしての原子力に対する期待が非常に高まるのではなかろうかと考えております。何としても科学技術の力によってこの当面する大きな地球環境問題を解決しなければならないと考えております。
  176. 須田忠義

    ○須田政府委員 具体的に今環境問題として何が問題になっているのかという御質問に対して、具体的にお答えいたします。  地球環境問題としてきょう議論されている対象というのは、今大臣からもお話しされましたが、地球の温暖化問題、熱帯林の減少問題、砂漠化の拡大、オゾン層の破壊問題、酸性雨の問題、有害廃棄物の越境移動の問題、海洋汚染の問題、野生生物の種の減少の問題、開発途上国の公害問題、これらが今政府部内で地球環境問題として議論されておるところでございます。  具体的に何が問題なのかというのを若干大臣のに追加させていただきますと、地球の温暖化、これはまさしく炭酸ガスの問題でございますけれども、このまま推移すれば、二〇三〇年代には平均気温が一・五度ないし三・五度上昇する。したがって、海面は二十センチから百十センチメーターくらい上昇するのじゃなかろうかという予測もあります。これは今いろいろな議論で、いやそこまではいかないぞという議論もありますけれども一つそういう予測がある。これによって異常気象の発生、農業生産、生態系、国土保全、いろいろな問題で影響してくるという問題が地球の温暖化問題であります。  熱帯林の減少は、御存じのように焼き畑の問題とか商業材の伐採、こういう問題について、毎年熱帯林が今一千百三十万ヘクタール、これは本州の約半分の面積が毎年減少しておる、そういうことでございます。これは開発途上国の産業問題、それから生活基盤や野生生物の生息地の問題、いろいろな問題に影響している問題として取り上げられております。  それから砂漠化の問題ですが、これも御承知のように過放牧、まきの問題、そういう問題で毎年六百万ヘクタール、これは四国、九州の合計面積に当たります。 これが毎年毎年砂漠化していっておるという一つの実態がございます。  それから、御存じのようにオゾン層の破壊。これは特定フロンでオゾン層が破壊されて皮膚がんの問題等、健康問題等に非常に重大な脅威になっている。  具体的には、代表的なものについてはそういうことが議論されている課題の対象に挙げられているということを補足いたします。
  177. 和田一仁

    ○和田委員 今御指摘いただいたような問題が、今刻々と地球上で環境が変化しているということでございますけれども、これは地球の上に生存している人類共通の課題であると思うのですね。これは同時に、今長官も御指摘になったように、地球の中で人類が生活している上で少しでも生活の向上を図り、そのためにも工業化を進めるということをこれからも続けるならば、それが原因で起きてきたこの環境破壊というものはやはり増大していくだろう、こう予想せざるを得ません。  それに対して一体先端技術がどう対応していったらそういう環境破壊を食いとめるのか、あるいは減少していくことができるのか、こういうことが科学技術に携わる省庁としては非常に大きな課題だと思うのですね。こういうことに対してどういうような指導をされ、どういうような対策を立てておられるのか。そして同時に、これは国際的にも経済先進国として、大国として経済活動、産業活動が活発なだけに、工業化も進んでいるために消費するエネルギーも大きいということとも深くかかわり合いがあると思うのですね。そういうことも含めまして、国際社会の責任ある国家として、かつ科学技術の先進国家としての対応をどのようにお考えになっているかをお聞きしたいと思います。
  178. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 環境庁という立派な活動をしている役所がありますから、それとの関連が大切かと思います。しかし、御指摘は私に対する御質問ですから、私だけで今考えていることを申し上げますと、地球観測プラットホーム技術衛星、いわゆるADEOSというものを打ち上げていく。それから海洋観測技術の開発です。これはもう先生御承知のように、八月十一日に「しんかい六五〇〇」が六千五百二十七メーターまで潜ることに成功いたしました。いろいろと新しい資料が得られております。それから第三点は、国立防災科学技術センターを改組いたしまして、今その準備中でございますが、それの改組によって万全を期したいと考えております。  そして、何としてもこれは世論の喚起が大事で、そういう意味において先生の御指摘に感謝するわけですが、例えば我々が割りばしを使って、一回使って捨てちゃう。非常な資源のむだだと思うのですね。日本で割りばしをつくっているよりもむしろ輸入しているわけだし、その輸入先から皆木林を買って加工して我々のところに送ってくれているわけです。そういう点についてまでもう少し世論が目を向けなければいけないのじゃないだろうかと考えております。それから新聞なんかでもどんどん燃して捨ててしまう。これもまたパルプのむだだし、資源の乱費につながりますから、やはり国を挙げて、まず今できることからやっていくということが大事ではなかろうかと思います。  そして、科学技術庁としては、今申し上げましたような海と空と、それから地上の原子力の開発、そういう面からできるだけ公害を防止し、地 球環境を守るような努力を今重ねつつありますし、今後もそれを強力に推進してまいる考えでございます。
  179. 和田一仁

    ○和田委員 長官は経済に大変たけておられる方でございますが、これから経済活動、日本の国民生活を向上させ、経済活動も安定的に向上させていくというそのバックには、やはりエネルギー対策というのが非常に大事だと思うのですね。そのエネルギー対策について、やはりこれはもう化石燃料というものがどんどんたかれることは、特に石炭がひどいですけれども、地球環境のいろいろな悪影響の原因であるということを考えますと、これはクリーンなエネルギーの開発が必要だと思うわけですが、太陽やら地熱やら風力やらいろいろありますけれども、なかなか経済コストとして、供給するとしても今すぐというわけにはいかないということになると、今長官も触れておられましたけれども、原子力、核分裂による今のエネルギー、さらに核融合におけるエネルギー供給、こういうものが非常に大事だと思うのですが、そういうことに関連して、推進をしていく政府の立場として障害が非常に多いということでございます。  特に、六ケ所村の核燃料サイクル計画が、ああいう地元意思村長選挙という格好で出てまいりました。長官は、これに対して、選挙の結果は神の声であるというふうに先ほど来何回もおっしゃっておるわけですが、この神の声を聞きながら、これに従ってよき神の子として対応されるのか、それともそれを説得して政府の方針をきちっと推進していこうとされているのか、その辺が私は非常に大事だと思うのですね。先ほど来も御答弁はわかっているのですけれども、具体的に理解と支持をいただけるような何か具体策というのをお持ちなんでしょうか。神の声を、そういうふうに政府の方針に納得してもらうということは大変だと思うのですけれども、いかがですか。
  180. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 人間が万物の霊長だと言われるのは火の発明であり、火を使うことによって生活が豊かになったのだと言われております。したがって、このことは未来永劫に変わらないだろうと思います。火が必要であること、エネルギーが必要であることは変わらない。そうしたら、どうやってコストの安いエネルギーが得られるか、クリーンなエネルギーが得られるかということがヱネルギーを考える場合の二つの条件だろうと思います。今原子力によりますと一キロワット大体九円、化石燃料である石炭あるいは油によりますると大体十二円ぐらい、それから水力によると十二、三円という数字が出ております。コストの面から見て、私は原子力が必要だと考えております。  しかし、現実には六ケ所村の方々の御意向が表明されたのですから、神の声として冷静に受けとめますけれども、今事実は分析をしております。当選した方と落選した方との違いは大体三百票の違いだ、だから当選した人が全部反対だったかどうかということを第一に分析をし、第二は凍結内容は何だろうかということを分析し、そしてもしも話し合いで打開できるものならば話し合いでぜひ打開をしたい。私自身まだ長官になってわずか四カ月ですから口幅ったいことは言えませんけれども、私で四十八代目の長官なんですが、我々の先輩が苦労を重ねてきた計画で、巨大な資金を使ってやる仕事でありますから、その税金をむだ遣いしないように、どうやったら国全般のために役立つか、そしてまた地元のためにも役立つかということで今考えております。  私は、一〇〇%みんなが絶対反対だと言っているとは思わないのですね。第一、当選した方自身がかつては推進派の方だったのですから、どういう御意向かということを聞いてみたいと考えております。私は言論人として、言論の力というものは非常に大事だと思いますから、話し合いをしてみたいと考えております。その上で、どうしてもだめかそれとも条件闘争なのか、例えば新幹線をつくってくれとかいろいろな条件が出ているわけですから、そういうような条件もよくお聞きして、説得の力で局面の打開を図りたいものだと私は考えております。
  181. 和田一仁

    ○和田委員 今長官の御答弁を聞いておりまして、ぜひひとつ大局から皆さん方への御理解を努力していただきたいと思うのです。  青森県という県へ行ってみますと、日本の国家としてどこでも余り歓迎されないものをみんなここへ持ってきているという県民感情もあるようでございます。米軍基地もあれば、こういった原子力施設もあれば、何でもうちは今までそういうことをやってきたんだという思いも非常に強いと思いますので、政府としても総合的に説得を、もっと努力していただかないとこれはそごを来すなという感じを持っております。  長官、さっきエネルギー全体の問題については浪費が多いと、割りばしのお話も出されましたけれども、今資源の浪費が目立つというお考えのようですが、これを省資源でいこうというような具体的なあれがおありなんですか。ただ割りばしを使わないようにしようというだけでなくて、国全体省エネルギー、省資源という何か方策をお持ちなんでしょうか。
  182. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 和田先生ももう既に御承知のことかと思いますが、環境庁が出します環境白書は、再生紙を用いてやっておられます。私は、大変環境庁らしいいい仕事だと考えますし、できるだけ各官庁が足元からそういうぐあいにやっていくことが大事じゃないだろうかと思います。国民の協力を得るためにはまず隗より始めよでやっていかなければうまくいかないんじゃないだろうか。閣議なんかでも環境庁長官、志賀先生がぜひひとつこれでやってもらいたいという要望もありましたし、閣僚も、できるだけ資源愛護、省資源の線でいこうじゃないかということを申し合わせておりますので、できるだけその線で進みたいと思っています。  しかし、国民運動としてそれを展開するかどうかということについては、まだ何も具体的な成果は上がっておりません。
  183. 和田一仁

    ○和田委員 きょうは本会議がありまして、時間が大分厳しくなっているようなので、予定時間よりは短目に終わりたいと思いますけれども最後一つだけ。  最近、プルトニウムの輸送について九二年に具体的に輸送をしなければならない、それが海上輸送だという方向がどうやら出たようでございますけれども海上輸送ということになった場合の輸送手段、補正予算の中にもそのための予算が既に組み込まれるかにも聞いております。ということは、もう具体的に海上保安庁の新しい船によってこの輸送をやろうとされているのか、まだそこら辺はわからないのか。最近の新聞を読むと、海上輸送については非常に慎重な輸送体制が必要だ、具体的に自衛艦を使ってやっても三隻は要るというような記事すら見えるわけでございますけれども、国民の目にはこのプルトニウム輸送というものが余りはっきり見えません。どういう危機に対応してこれをガードしていこうとしているのか、その危機の内容も具体的にはわからない。それがわからないだけに、海上保安庁でいいのかそれとももっときっちりしたガードが必要なのか、その辺が国民としてもなかなか見えにくい。ただ、今言われているのは、海上自衛隊をそういう目的のために海外に派遣するということは海外派兵につながるのではないかという心配のために、政府はやらないというのかどうか。どういうものからこれをガードするのだというきちっとしたものを国民に示して判断させないと、また国際的にも問題を起こすようなことになってはならぬ、私どもはそういう心配もしておりますので、その点について国民にわかりやすいような、こういう危機があると予想されるからこの危機管理のためにこう対処していくのだというものをお示しいただきたいと思うのです。
  184. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 プルトニウム輸送の護衛につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、政府部内では海上保安庁の巡視船を派遣をする方向で今最後の詰めをやっているところでござ います。予算措置も含めて、今検討中という段階でございます。  その場合に、どういう脅威を想定しどういう対応になっているのかということでございますけれども、実際に輸送いたしますのは一九九二年でございます。また、情勢というものは時々刻々変わるものでございますから、最終的には、輸送の直前まで時間をかけまして精密な輸送計画というものを策定していくわけでございます。先ほど海上保安庁からの御答弁もありましたけれども、護衛というものは決して護衛船だけで守るものではございません。その他のシステムとして、安全な輸送経路を使用するあるいは船の上から荷物をおろせないようにする、通信回線を確保する等々のいろいろな補完的な手段とあわせてやるわけでございますので、最終的には九二年の輸送の直前まで最善のシステムをどういう組み合わせにするかということを詰めていくわけでございますけれども、想定しておりますのは、一般的にはいわゆる核ジャックと言われるような海上においてこれを不法に奪取しよう、盗取しようという者から、それを実力で排除するという考え方になっているわけであります。  海上保安庁の巡視船は当然武装しているわけでございますし、現在、イギリス、フランスから日本まで無寄港、無給油で航行することができるような船をつくる必要があるだろうということで、それを新造するための予算措置を検討しているわけでございます。
  185. 和田一仁

    ○和田委員 この問題はもう少し深くお聞きしたいのですが、きょう何ぜ本会議があるということで協力しろと言われておりますので、大変残念ですがきょうはこの程度でやめさせていただきまして、また機会がありましたらいろいろお聞きしたいと思います。 ありがとうございました。
  186. 北口博

    北口委員長 矢島恒夫君。
  187. 矢島恒夫

    ○矢島委員 さきの国会、私は当委員会におきまして、昭和五十六年から今年度まで九年間も据え置かれている人当研究費の大幅な引き上げということについて科学技術庁にいろいろとただし、また要求してきたわけであります。  科学技術の推進、特に基礎研究の推進が言われている中で一番基本になる経費が経常研究費だろうと考えます。この経常研究費に対しては科学技術庁もそういう考えだろうと思いますけれども、いかがですか。
  188. 角南立

    ○角南政府委員 御指摘のとおり、基礎研究の推進に当たりまして、いわゆる経常研究ともう一つ別の形態でございます特別研究は、いわば車の両輪というようなもので、どちらも非常に重要なものと認識しております。
  189. 矢島恒夫

    ○矢島委員 来年度の予算概算要求等出てまいりましたが、九年ぶりに実験系のI、いわゆる理工学関係が百四十四万円から百四十五万円、それから実験系II、生物、医学関係が百二十六万円から百二十七万円、非実験系を見ますと一本化して九十二万円、こういう要求を出されているようでございますけれども、五十六年からことしまでの物価上昇の比率を品目別に実績を科学技術庁として出しているようでありますけれども、それはどれくらいになっておりますか。
  190. 角南立

    ○角南政府委員 科学技術庁といたしまして、いわゆる研究活動に使われますいろいろな物資、サービスの値段の動きというのを特別に調べてはおりません。したがいまして、物価の動きということでお尋ねがあれば、日本銀行あるいは経済企画庁その他いわゆる総務庁でございますか、そういうところで使われております一般のいわゆる物価指数というもの以外のデータは、私たちとして持ち合わせておりません。
  191. 矢島恒夫

    ○矢島委員 この間の物価上昇に伴う比率を品目別にいろいろ科学技術庁に聞いてみたのですが、二十万円という数値が出てくるのだそうでございます。この問題についてそちらにお聞きしても数値が出なければ私の方から申し上げるわけですが、この二十万円という上昇率に対して九年ぶりに一万円の引き上げというわけですから、まさに物価上昇に見合うだけの引き上げを行うためには、単純に計算すれば百八十年かかるわけですね。こんな状況で本当に基礎研究の推進と言えるのか極めて疑問に思うわけですが、その点どう考えますか。
  192. 角南立

    ○角南政府委員 御指摘のとおり、過去の例えば単純な消費者物価指数を使って計算いたしましても、いわゆる目減り分というのが計算上一万円を超えている、先生指摘のとおりかと存じます。ただ、今後ともさらにこういうことで伸びを図っていきたい。それからもう一つは、研究所の研究費全体としていろいろな項目がございます。そういうものをあわせて総合的に充実を図ってまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  193. 矢島恒夫

    ○矢島委員 これらの問題について各省庁と協議して統一単価でやっていこうというのがあるようでございます。やはり、この経常研究費を重視していると言う科学技術庁ならば、各省庁との足並みがそろわなければなかなかこの引き上げができないというようなことだとか、今御答弁がありましたとおり、総合的にというわけですが、研究者全員の人当で配分されるのは、基礎研究のいわゆる経常研究費である。ですから、その部分を大いに引き上げていくためには、この足並みがそろわなければならないというようなこういうものは打破すべきだと思うのですが、いかがですか。
  194. 角南立

    ○角南政府委員 足並みをそろえるという意味は、この人当研究費という性格上、単価でございますから、いわばその部分は計算の根拠でございますから、基本的に言うと各省庁と一応同じにするというのがルールになっているわけでございます。したがいまして、そこのところにそごがございますと、全体としての単価としても乱れがある。ただ、これまでも関係省庁、全省庁ではなくて一部のものだけで語らって、語らってと言うと変な表現でございますが、そういうような努力をした経緯はございます。いずれにせよ、今後とも我々としては、こういう単価という技術的な性格上、関係省庁と協力をしながら進めていくというのが一番いい方法であると考えております。
  195. 矢島恒夫

    ○矢島委員 その単価の引き上げについて、一つには、やはり重要さとかその他によって考えていくべきだということと、科学技術庁が各省庁に先立って大いに先頭を切ってその単価の引き上げというものに役割を果たすということを期待するわけであります。  それからもう一つ、これも前国会でも取り上げた問題ですけれども、旅費の問題であります。  研究者間の情報交換は重要なものだ、これは科学技術庁としてもそう考えているという答弁を当委員会でも行っているわけでありますが、学会への参加旅費が昭和五十一年からずっと据え置かれたままになっている。 しかも、学会への参加旅費の積算というものが二年に一遍の参加を見込むといういわゆる二分の一係数になっている。科学技術庁の予算要求を見ましても、来年度予算ですが、この旅費のアップという問題については要求していないという状況であると思います。研究者が自費で学会に参加しなければならないという事態についても、前国会委員会で指摘してきたわけですけれども、実際に自費で参加している回数と、それから公費で参加している回数というのは、どんなふうな状況になっていますか。     〔委員長退席、村井委員長代理着席
  196. 角南立

    ○角南政府委員 実は正確な数字を我々把握しておりません。便宜的に行いました、非常に誤差が多い調査を最近いたしたことがございますが、非常に簡単に申し上げますと、公費によるものが十といたせば自費によるものが三ないし四、こういうような比率になろうかと思います。
  197. 矢島恒夫

    ○矢島委員 いわゆる二分の一係数という積算の仕方でありますけれども、この積算の仕方をやめると実際にどれくらいの額が必要となるのか。また、科学技術庁としてはこの積算の仕方を何とかやめようという方向で努力されているのかどうか。この辺についてお伺いいたします。
  198. 角南立

    ○角南政府委員 いわゆる二分の一積算を一積算にいたしますと、ざっと一億円の費用になろうかと存じます。  二番目に、一億円ということにつきましては、我々は今後とも努力を各省と協力しながらやってまいりたいと考えております。
  199. 矢島恒夫

    ○矢島委員 長官、ちょっとお聞きしますが、今研究に対する経常研究費という問題と、それから科学者の学会への参加の旅費の積算問題等を質問してきたわけですが、我が国の科学技術の振興あるいは特に基礎研究の振興という面で、これらの面については積極的に増額を図っていくべきだと、何回もこの委員会では出されている問題ですが、長官としてはどのようにお考えか。
  200. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 私も政界に入る前までは学問の世界で生きておりましたから、先生の御意見よくわかります。いかにも少ないと思いますね。しかし、過去の財政事情から考えますと、なかなか自分たちの言うとおりにはならないものだということもよくわかりまして、苦慮しております。しかしながら、今先生の御意見を大いに尊重して、予算編成のときにはもう一回、私自身も大臣折衝のときに大蔵大臣に当たってみます。
  201. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ぜひそういう方向で対処されることを要望いたします。時間の関係で、次の質問に移ります。  先ほど同僚委員から環境汚染問題あるいは自然保護の問題等が出されたわけですが、国民は非常に重大な関心を持っている。グローバルな問題についてお答えをいただいているわけですけれども、先ごろ大阪市で行った一つの研究ですが、大変市街地には街路樹を植える余地がなくなってきている。そこで、ビルの壁面にッタをはわせるという実験を行って、十メートル四方のツタの葉っぱというものが、大体自動車でいうならば十キロメートル走行したときに出すNOx、窒素酸化物を六グラム吸収するんだというような結果も出ております。もちろん我が国における緑の破壊というものが都市部では非常に進んでいるわけですが、この緑を守るという点で長官はどのような御見解をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
  202. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 これはもう人間生活には緑がなくてはならぬものであることは、先生御承知のとおりであります。私は東京で生まれて東京で育った人間ですが、私の少年時代には東京はもっと緑があったのです。なぜこんなに緑がなくなっちゃったかということを考えると、地価の高騰が根本じゃないだろうか。一坪三千万も四千万もするところを庭にしておくのはもったいないというわけで、どんどんそれをつぶしてマンションを建ててしまう、こういうようなことになる。でありますから、緑の保全の必要は私もよく認識しておりますが、ではどうやったらふやせるかということになると、非常に問題が多岐にわたって私の科学技術庁だけではできませんけれども、国を挙げてやらなきゃならぬことは、もっと住みよい日本にしなきゃいけない、それがためには緑の豊富な国にしなければならぬということを感じておりますから、関係各省と連絡してそういう方向で努力をしたいと考えています。  そこで、一つ参考になるのは、シンガポールに行ってみて、私は戦争中にシンガポールに三年おったんですが、あのころのシンガポールと今を比べてみると、見違えるぐらい緑が多くなっています。それは非常に緑を植えることに奨励金を出したり、木を切ることも一々許可がなければ木が切れないようになっている。私はやはりシンガポールなんかにも学ぶべき点があるのじゃないだろうかということを考えますから、広く世界に知識を求めて緑の保全に努力をしたいと考えます。
  203. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そこで、具体的な問題で環境庁にお伺いしたいと思うのです。都心から四十キロメートル圏内にあります狭山丘陵の問題です。  狭山丘陵は、御承知のとおり東京都と埼玉県の境にあって、東京都側三市一町、それから埼玉県側所沢、入間両市、これにまたがる東西十一キロメートル、南北四十キロメートル、こういう丘陵であります。多摩湖、狭山湖を囲むいわゆる大都会に浮かぶ緑の島、こういうふうに形容される自然の宝庫となっているわけです。一面、いわゆる雑木林、クヌギあるいはコナラなどに覆われている、武蔵野の面影を今なお残すものであります。  私も現地に行ってきたわけですが、この貴重な自然が破壊されているという実態であります。現地へ参りますと大変無残な状況が生まれておりますし、同時に、現地の自然保護の団体の方々からいろいろ御意見などを承ってきたのですが、このような事態に対して非常に憤りと憂慮を持っている。ちょうど所沢市の三ケ島の地域に早稲田大学のキャンパスが進出いたしました。そのキャンパスの南東五百メートルの地点、いわゆる県立狭山自然公園の一角で雑木林が大量に切られまして、大規模な建設残土の捨て場が造成されている、このことを環境庁、御存じでしょうか。
  204. 小原豊明

    ○小原説明員 お答えいたします。  狭山県立自然公園は、埼玉県が埼玉県立自然公園条例に基づきまして指定し、管理しているところでございまして、先生指摘建設残土埋め立てにつきましては、狭山県立自然公園の普通地域でございますので、土地の形状変更として県知事あてに届け出がなされております。この届け出に対して県は、風景の保護のために、条例に基づきまして既設道路沿いの緑地保全あるいは盛り土のり面の勾配を緩くするとか、そういったことで捨て土量を縮小するなど計画の変更を求めているというふうに聞いておるところでございます。  ただ、今出ている問題の隣のところにも一カ所かつてそういうものがなされたということは聞いております。
  205. 矢島恒夫

    ○矢島委員 普通地域で届け出だけでどんどんできるというような事態に対して、緑を守るという意味では私も非常に重大な問題だと思っております。しかもこの地域は、早稲田大学が進出するときに、自然保護の観点から当初はキャンパスの予定地だったものを外して保存していこうという地域になっているわけです。しかもこの緩やかな斜面があり、また清流が流れている、湿地帯もある、多彩な環境をつくり上げている地帯であって、しかもここには高等植物類でいきますと約千種類、それから哺乳動物にいたしましてはホンドキッネを初めとして六科十一種類、さらに鳥類におきましては特殊鳥類でありますオオタカを初めとして約二百種類、それから昆虫については今調査中ですけれども多数というような貴重な動植物が生息している地域ですから、ここに残土捨て場を造成してしまうということは、これらの動植物に対して極めて重大な影響を与えると思うのですけれども、自然保護を所管する環境庁としてこの影響はどんなものか、御意見がありましたらお聞かせください。
  206. 小原豊明

    ○小原説明員 自然環境の保全と開発との調整はなかなか難しい面がございまして、本件については県が専門家も連れて一緒に現地を調査した上で、いろいろな条件をつけて計画を変更させたというふうに聞いておりまして、県の判断において適切に処理されたものと私ども考えております。
  207. 矢島恒夫

    ○矢島委員 それでは別の面からお聞きしますが、ここにはオオタカの生息ということもこの自然保護の方々の観察の中で確認されております。このオオタカというのは、輸出入についても禁止しているいわゆる特殊鳥類として保護されている鳥だと思いますが、この造成によってオオタカに及ぼす影響というものについてはどんなふうにお考えですか。
  208. 菊地邦雄

    ○菊地説明員 御指摘のオオタカの関係でございますが、私どもで自然環境保全法に基づきまして基礎調査というのをやっておりますが、オオタカは全国三十七都道府県に分布しておるということで、埼玉県内でも二十四地点ほどで確認されております。御指摘のとおり、特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律によりまして特殊鳥類に指定をし、流通等を規制しているというものでございます。  ただ、この地点でも、御指摘の地点そのものではないと思いますが、近辺では確かに空を飛んでおるというのが確認をされているというふうに聞いております。ただ、直接御指摘の残土の処分とい うのがオオタカの生息にどういう影響を及ぼすかという点につきましては、私ども今の時点で判断を申し上げるのは、ちょっとそれだけのデータの持ち合わせがございません。
  209. 矢島恒夫

    ○矢島委員 鳥類もそうですが、昆虫類も非常に貴重な種類がたくさん存在しております。私が現地の人たちと一緒に観察したところによりますと、サラサヤンマとかムラサキシジミだとかあるいはキンヒバリ、こういう存在が確認されました。さらにムカシヤンマ、これも最近確認されたわけであります。このムカシヤンマというのは捕獲指定の昆虫ですし、首都圏においては絶滅に瀕している、こう言われているわけですが、ムカシヤンマの生息状況などは環境庁としては把握しているのでしょうか。
  210. 菊地邦雄

    ○菊地説明員 御説明申し上げます。  ムカシヤンマは、おおむね本州それから九州に分布しております我が国の特産種であるということでございまして、埼玉県内でも、私ども先ほど申し上げました基礎調査では二カ所ほどで確認がされております。ただ、国土全般的に見ますと、ムカシヤンマそのものは現在の段階で生息そのものが脅かされているのはある程度確実とは思いますが、危機的な状況であるかどうかという点については、ちょっとそこまでいっていないのではないかというふうに私どもは思っております。
  211. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そういう貴重な自然の宝庫が、一カ所が約八千平方メートルにわたって造成されました。残土は四万七千立方メートル捨てられているわけです。  もう一カ所、県がいろいろと今規制を加えている部分というのが、すぐ隣のクくぼ地で、五千三百三十平方メートルが造成されまして、三万立方メートルの残土が捨てられようとしています。業者とこの地権者との話が決まればどんどん進めていっていいんだ、これでは非常に自然破壊を許すことになる。特にこの地点は二百三十カ所も遺跡が確認されているという文化の宝庫でもあるわけです。こういう問題は環境庁として何とかやめさせるという方向で取り組めないのか。県のいわゆる裁量に任せているという状況が答弁の中にあるわけですが、その点はどうですか。
  212. 小原豊明

    ○小原説明員 先ほども申しましたように、県が指定して県が管理している公園でございます。もちろん県から御相談がございますれば、私ども技術的、社会的ないろいろな相談には乗るつもりでおります。ただ、今回についてはいろいろ条件を付しまして計画の変更を求めておりますので、またその出ました計画について県の方は十分審査検討するというふうに聞いておりますので、この件については県の判断でいいのではないかというふうに思っております。
  213. 矢島恒夫

    ○矢島委員 時間がありませんので最後に……。  埼玉県としても、今御答弁にありましたとおり、保護団体の強い要請の中で、雑木林博物館という構想、これを前向きに検討すると聞いております。この狭山丘陵の自然保護の動きに対して何らかの国としてのいわゆる助成、補助、こういうものは考えられませんか。
  214. 小原豊明

    ○小原説明員 県立公園の施設整備等につきましては、原則として県もしくは市町村等で行うようになっております。国の助成措置としましては、県立公園の中に国民休養地という制度がございまして、ただ、それは知事の要望に基づいて国で審査してという形になりますが、当該地にはそういう動きは県から聞いておりません。
  215. 矢島恒夫

    ○矢島委員 時間になりました。長官もおっしゃられましたように、緑を守ることの重要さ、人間が人間らしく生きるために自然を守っていく、こういう方向を一層強めていただくということを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  216. 村井仁

    ○村井委員長代理 続いて、塚原俊平君。
  217. 塚原俊平

    ○塚原委員 私も結構国会議員を長くやっておりまして、そうなると最後質問になると時間がなくなってしまうというのは大体予想がされましたので、ただ、極めて重要なヱネルギーの問題、そしてなおかつ具体的な問題についてどうしてもきょうは聞いておきたいと思ったので、質問の全容を事前にお出しをいたしております。それで、御答弁も御用意をいただくようにということでお願いをいたしておりますので、ともかくもう駆け引きなしに一気に私ども質問をいたしますので、御用意いただいた御答弁をしていただきたいと思うのです。ただ、御答弁等がちょっとこういろいろな問題等があるとまたそこで議論しなければいけなくなってしまうので、そうすると長くなってしまいますから、ぜひとも長くならないようなすばらしい御答弁をいただきたいと思います。  まず、大臣に対しまして、昭和六十三年度の原子力発電による発電電力量は、千八百八十六億キロワット時となり、総発電電力量の二九・一%に達しています。 石油火力を前年度に引き続き上回りましたが、このような我が国の電力供給の中核となる原子力発電を推進するためには、これを支える核燃料サイクルの確立が必要であります。     〔村井委員長代理退席、委員長着席〕 核燃料サイクルの確立の中でも重要なものが放射性廃棄物処理、処分の対策であり、中でも、残る最大の課題が使用済み燃料の再処理の際に生じる高レベル放射性廃棄物の対策であります。  それで、動燃事業団北海道幌延町からの誘致を受けて計画を進めている貯蔵工学センターは、きょう五十嵐委員もお触れになっておりましたが、高レベル放射性廃棄物等の貯蔵と高レベル放射性廃棄物の処分のための試験研究を行う総合研究センターであり、我が国の高レベル放射性廃棄物処理、処分対策を確立する上で必要不可欠なものであります。  貯蔵工学センター幌延町における立地については、一部懸念する声も聞かれますが、地元幌延町においては昭和五十九年の誘致決議以来一貫して熱心な誘致がなされており、国としては断固として幌延町における貯蔵工学センターの実現に向けて計画を推進していくべきであると考えますが、大臣見解をお伺いいたします。
  218. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 塚原先生お答えを申し上げます。  貯蔵工学センター計画は、先生指摘のように我が国の原子力の開発利用を進める上での重要なプロジェクトであります。原子力委員会の原子力開発利用長期計画、昭和六十二年六月決定のものでありますが、それにのっとり、その着実な推進を図ってまいりたいのであります。  現在まで、本計画内容や現地調査の結果について、地元の方々への説明が行われておりますが、今後とも地元北海道理解協力を得る努力を着実に進め、幌延町における貯蔵工学センター立地に向けて最大限の努力を傾けていくかたい決意でございます。
  219. 塚原俊平

    ○塚原委員 結構な御答弁でございました。  次に、原子力局長。地元北海道で、貯蔵工学センター計画についても一部懸念の声があると聞いております。これらの多くは貯蔵工学センター安全性についての誤解や情報不足が原因ではないかと考えられる。私の地元の茨城県では、地元理解協力のもとに再処理工場が運転をされ、また現在、高レベル放射性廃棄物のガラス固化プラントの建設も順調に進められています。  貯蔵工学センター安全性については、まず、当然のことながら、高レベル放射性廃棄物のガラス固化体の貯蔵における十分な安全性が確保される必要があるが、ガラス固化体の貯蔵の場合、例えばソ連のチェルノブイリ原子力発電所の事故のときのように核反応の事故があって放射性物質が周辺環境にばらまかれるというようなことが起こり得るのかということが第一問。  それから別の質問としてもう一つ用意しておりましたので、あわせて答えてもらいたいのですが、海外における高レベル放射性廃棄物のガラス固化体の貯蔵の状況についてもあわせてお伺いいたします。
  220. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 お答え申し上げます。  原子力関係施設計画推進に当たりまして、安全確保を大前提にするというのは政府の一貫した方針でございます。貯蔵工学センターにおける高レベル放射性廃棄物の貯蔵につきましては先生指摘のこの高レベル放射性廃棄物の中にあります放射性物質というのは、核燃料物質が原子炉の中で燃えた後の核分裂生成物等でございまして、いわば燃えた後のものでございますので、それを貯蔵しておきましても核反応事故が起こるようなことは原理的にあり得ないわけであります。また、高レベル放射性廃棄物はガラスの中に固化いたしまして、キャニスターと呼ばれるステンレスの容器の中に入れますので、このガラス固化体を輸送したり貯蔵したりするときにいわゆる放射性物質、これが周辺環境に漏えいするということは考えられません。もちろん、安全確保のために放射線を遮へいすることが必要でございます。物は出てまいりません。放射線が出てまいりますのでそれを遮へいする必要がございますが、これは適当な遮へい体を設けることによりまして、人間の生活環境に影響がないように確実に安全確保をし得るものでございます。  実際に工学センターを建設する場合には、法令に基づきまして国の厳重な安全規制が行われまして、安全確保には万全が期せられるわけでございます。  なお、海外の貯蔵の実績でございますが、フランスでマルクールにおきましてガラス固化体約千六百本が安全に貯蔵されておりますし、またベルギーのパメラというところで、西ドイツとベルギーが共同でガラス固化体約千五百本を安全に貯蔵しておりまして、今まで安全上の問題が起こったとは聞いておりません。
  221. 塚原俊平

    ○塚原委員 貯蔵工学センター計画は、原子力開発を進めるための国の極めて重要なプロジェクトであるということは、前に言いました。このような重要なプロジェクト立地する場合は、地元のメリットが考慮されなければなりません。これはいろいろな意見があって、利益誘導でけしからぬという方もいらっしゃいますが、私は極めて重要な部分だと思います。  原子力施設立地の推進には、地元のメリットとして電源三法の立地交付金が出され、公共用の施設の整備が図られることになっております。貯蔵工学センター計画の場合は特に重要な国のプロジェクトであるので、その立地の推進のために、立地交付金についても弾力的な運用など、地域振興の観点から地元の希望をよく聞き、特段の配慮をしていくべきであると考えますが、これは原子力局長でいいですから、国の取り組みを伺います。
  222. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 電源三法の立地交付金につきましては、この貯蔵工学センターは長期計画でも述べられておりますように極めて重要な原子力施設でございますので、この交付金制度の対象に該当するものと考えております。私どもといたしましては、貯蔵工学センター立地地点がいつ幌延に決められましても対応できますように、この立地交付金の金額等について内部で鋭意検討をしているところでございます。  また地元からは、いろいろ立地交付金について御要望がございますけれども、よく内容を承りまして、現行法規、法令の枠組みの中で対応し得るものと枠組みを超えたやや長期の検討課題とに分かれるわけでございますけれども、今後十分対応を検討させていただきたい、このように考えております。
  223. 塚原俊平

    ○塚原委員 原子力局長にもう一問。  昨年六月の第五期北海道総合開発計画において、幌延貯蔵工学センター計画について、「需給の安定化を目指すエネルギーと新たな展開を図る鉱業」、「次代を担う研究開発」及び「多様性を生かし個性的に発展する道北地域」の三カ所で取り上げられ、「原子力関連の研究施設等の建設については、調査結果を踏まえ、地元及び北海道理解協力を得て、その推進を図る。」とされております。  このように貯蔵工学センター計画は、エネルギー政策原子力政策として重要であるのみならず、道北地域の地域開発としても重要な位置づけが与えられているものであります。この開発計画は、閣議決定された国の重要方針であり、地域振興の観点からも国が一体となって実現に向けて取り組むべきであると考えますが、科学技術庁見解問います。
  224. 緒方謙二郎

    緒方政府委員 先生指摘のとおり、国の重要方針でございます第五期の北海道総合開発計画におきまして、この貯蔵工学センター建設の推進の方針が示されたわけでございまして、このため、地元北海道理解協力を得ることに今後なお一層の努力をしたいと決意している次第でございます。  私ども科学技術庁では、貯蔵工学センター計画の推進のための施策について、関係各省が情報、意見を交換することが非常に重要であると考えまして、本年の十一月八日に北海道開発庁、通産省及び科学技術庁の関係の課長クラスで関係省庁連絡会議を設けまして、第一回の会合を開催したところでございます。今後とも、貯蔵工学センターの推進のために、この連絡会議の場を通じ、関係各省の協力を得て進めていきたいと思っております。また、必要に応じまして、その他の省庁の協力についてもお願いをしてまいりたいというふうに考えております。
  225. 塚原俊平

    ○塚原委員 次に、北海道開発庁に伺います。  第五期北海道総合開発計画においては、貯蔵工学センター計画を推進していくとしていますが、北海道開発庁はどのような取り組みをいたしますか。答弁の御用意をしていただいていると思いますので、それをお聞かせください。
  226. 大久保庄三

    ○大久保説明員 お答えいたします。  先ほど科学技術庁の方から御答弁がありましたように、原子力の開発利用は我が国のエネルギー政策上重要であるという認識のもとに、第五期の北海道総合開発計画、これは昨年の昭和六十三年六月に閣議決定した十カ年計画でございますが、安全性の確保を前提にいたしまして「地元及び北海道理解協力を得て、その推進を図る。」としておりまして、したがいまして北海道開発庁といたしましても、地域振興を進めていく立場から、科学技術庁を初めとする関係行政機関と密接な連携をとりつつ、とりわけ先般設置されました貯蔵工学センター計画に係る関係省庁連絡会議の場等を通じまして、地域の活性化が図られますようにできる限りの努力をしてまいりたいと考えております。
  227. 塚原俊平

    ○塚原委員 通産省に伺います。  核燃料サイクルを確立し、我が国における原子力発電の安定供給を図る上で、貯蔵工学センター計画は重要なプロジェクトであります。通産省としてほどのように支援していくつもりか、お伺いします。
  228. 日下一正

    ○日下説明員 お答え申し上げます。  エネルギー資源の乏しい我が国といたしましては、電力の安定的な供給、ウラン資源の有効利用という観点から、今後とも原子力発電の推進、核燃料サイクルの確立を図っていくことが不可欠と考えております。通商産業省としましても、現在、動力炉核燃料開発事業団が進めておられます貯蔵工学センター計画は、このようなエネルギー政策の観点から見て重要なプロジェクトであると認識しているところでございます。  したがいまして、当省としましては、先ほど原子力局長から紹介のありました関係省庁連絡会議の場等を通じまして、主管庁である科学技術庁を初め関係省庁とも十分連携をとりつつ、貯蔵工学センター計画に対し今後とも最大限の支援を行うよう努めてまいる考えでございます。
  229. 塚原俊平

    ○塚原委員 最後大臣に伺います。  気合いを入れて答えていただきたいと思いますが、貯蔵工学センター計画は、昭和五十九年に幌延町が地域の活性化にとって有望なプロジェクトであるとの御判断のもとに誘致を決定し、その後、北海道議会調査促進決議等を踏まえ、動燃事業団が現地調査を行い、昨年三月には問題がない旨の報告が取りまとめられております。一部に反対の声はありますが、地元では動燃事業団の取りまとめの結果も踏まえ、また茨城県東海村や海外施設の視察を通じて、原子力施設安全性や地域社会との共存などについて勉強をしてこられた と聞いております。その結果、地元では貯蔵工学センターは安全であり、地域の将来にとっても有益であるとの認識を持つ方々がふえ、本年十月には、周辺八市町村の推進議員による協議会も発足したと承知をしております。国として、これらの地元の方々の真摯な声を誠実に受けとめ、原子力開発の重要なプロジェクトである貯蔵工学センター計画を推進していくべきだと考えますが、御見解をお伺いいたします。
  230. 斎藤栄三郎

    斎藤国務大臣 塚原先生お答え申し上げます。  動燃事業団は、昭和六十年十一月以来現地調査を実施し、昭和六十三年四月に調査結果をまとめました。これによれば、貯蔵工学センター計画を進める上で特に支障となるような点は見出せなかったとしております。動燃事業団は、この取りまとめの結果に基づき、地元皆様方に対し十分な説明を行うよう努めてきたところでありますが、先生指摘のように、本年十月二十一日に地元の周辺市町村において、貯蔵工学センターの推進の議員の方々の間で推進議員協議会が設立されるなど、地元で誘致活動が活発になり、本計画に一層の御支援をいただいておることはまことにありがたいことであると存じております。  貯蔵工学センターの推進のためには、地元の御理解と御協力を求めていくことが基本でありますが、このように地元の強い御支援が着実に得られつつあるので、貯蔵工学センター立地に向けてさらに積極的な努力をしていくよう動燃事業団を指導していくとともに、国としても最大限の努力を傾けていく決意でございます。
  231. 塚原俊平

    ○塚原委員 終わります。      ────◇─────
  232. 北口博

    北口委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  第百八回国会、貝沼次郎君外二名提出、海洋開発基本法案  第百八回国会、貝沼次郎君外二名提出、海洋開発委員設置法案 並びに  科学技術振興基本施策に関する件  原子力の開発利用とその安全確保に関する件  宇宙開発に関する件  海洋開発に関する件  生命科学に関する件  新エネルギーの研究開発に関する件 以上の各案件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 北口博

    北口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十八分散会