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1989-11-30 第116回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月三十日(木曜日)     午後零時三十分開議  出席委員    委員長 沢田  広君    理事 佐藤 静雄君 理事 高橋 辰夫君    理事 中村正三郎君 理事 宮里 松正君    理事 上原 康助君 理事 玉城 栄一君    理事 和田 一仁君       武部  勤君    鳩山由紀夫君       五十嵐広三君    上坂  昇君       小谷 輝二君    岡田 正勝君       中路 雅弘君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      阿部 文男君  出席政府委員         沖縄開発庁総務         局長      藤田 康夫君         沖縄開発庁振興         局長      水谷 文彦君         外務省北米局長 有馬 龍夫君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部施設企画課長 小澤  毅君         防衛施設庁施設         部施設取得第二         課長      荒木 丈彦君         防衛施設庁施設         部施設対策第三         課長      宝槻 吉昭君         国土庁地方振興         局総務課長   岩崎 忠夫君         法務省入国管理         局入国審査課長 堀口 松城君         外務大臣官房領         事移住部領事移         住政策課長   島内  憲君         文部省教育助成         局財務課長   遠山 耕平君         文化庁文化財保         護部伝統文化課         長       小林 孝男君         厚生省生活衛生         局水道環境部水         道整備課長   藤原 正弘君         厚生省生活衛生         局水道環境部浄         化槽対策室長  櫻井 正人君         厚生省年金局年         金課長     松本 省藏君         厚生省援護局援         護課長     船橋 光俊君         建設省都市局下         水道部公共下水         道課長     安藤  茂君         建設河川局河         川計画課長   定道 成美君         特別委員会第一         調査室長    寺田 晃夫君     ───────────── 十一月二十四日  米軍落下傘降下演習場嘉手納弾薬庫地域への移設計画の中止に関する陳情書(第一〇一号)  沖縄嘉手納基地からの米軍機による爆音被害の除去に関する陳情書(第一〇二号)  沖縄近海における水爆搭載米軍機水没事故に関する陳情書外五件(第一〇三号)  北方領土問題等解決促進に関する陳情書外二件(第一〇四号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  沖縄及び北方問題に関する件      ────◇─────
  2. 沢田広

    沢田委員長 これより会議を開きます。  沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。宮里松正君。
  3. 宮里松正

    宮里委員 私は、まず、沖縄振興開発計画の今後の進め方などにつきまして、沖縄開発庁質疑を行いたいと思います。  御承知のように、沖縄は、戦後二十七年間にわたる異民族支配を受けた後、昭和四十七年五月十五日に日本復帰をいたしました。政府は、このような歴史的事実を踏まえて、沖縄祖国復帰に当たって沖縄県民の長年にわたる労苦に報いるため、復帰特別措置法を制定して各種の復帰対策を講ずるとともに、沖縄振興開発特別措置法を制定し、これに基づいて沖縄県の振興開発計画を進めることになりました。そして、昭和四十七年度から昭和五十六年度までの十年間は、第一次振興開発計画に基づき、主として戦後の長い歴史の空白から生まれた本土との格差是正を図るための諸施策推進され、昭和五十七年度から平成年度までの十年間は、第二次振興開発計画に基づき、本土との格差是正自立的発展基礎条件整備するための諸施策推進されてまいりました。  復帰後十七年の間に政府沖縄振興開発事業費として投入した資金は、平成元年度の予算計上分を含めると、補正後ベースで、治山治水事業費が千五百八十二億八千三百万円、道路整備事業費が一兆三百五億六百万円、港湾、漁港、空港等整備事業費が四千六百六十二億五千七百万円、住宅建設事業費が千二百七十五億二千五百万円、下水道、環境衛生等事業費が四千七百三十八億九千万円、農業基盤整備事業費が三千九十六億七千八百万円、林道及び工業用水等事業費が五百十三億七千百万円、そしてこれらの公共事業推進調査費が十三億六千三百万円、以上、公共事業費、計二兆六千百八十八億七千三百万円となっております。  そのほかに、非公共事業費として、教育振興費が二千二百七十億三千七百万円、保健衛生関係事業費が百七十五億三百万円、農業振興事業費が五百十二億四千九百万円、以上、非公共事業費の計が二千九百五十七億八千九百万円。  そして、これらの公共及び非公共事業費の総計が二兆九千百四十六億六千二百万円に上っているのであります。  その結果、沖縄は、地元側の不断の努力と相まって急速に社会資本産業基盤整備され、この十七年の間に着実な発展を遂げてまいりました。しかし、それにもかかわらず、完全失業率全国の約二倍、県民一人当たりの所得は全国平均の七五%程度全国最下位であるなど、県民生活の各般にわたる本土との格差は依然として解消しておらず、その上、米軍基地整理縮小問題を初め、解決すべき問題が今なお山積している状況であります。  現在実施されております第二次振興開発計画は、あと二カ年と数カ月で終了することになっておりまして、予算的には、来年八月に取りまとめられる再来年度概算要求の段階に至りますと、同計画分予算措置はすべて完了するということになるわけであります。しかし、どう考えても、これで沖縄が現在抱えております問題がすべて解決 できるとは考えられません。  したがって、政府は、そろそろ第三次振興開発計画策定を準備されて、現行の第二次振興開発計画期間内に処理できない事柄は第三次振興開発計画に引き継いでいくべきだと私は考えます。そのことにつきまして阿部長官のお考えをお聞きいたしたい。そして、これに取り組まれる長官の情熱のほどもここでお示しをいただきたい、こう思います。いかがでございましょうか。
  4. 阿部文男

    阿部国務大臣 委員承知のように、現在第二次振興開発計画も残すところ二年余となっております。今後とも引き続き二次振計に沿って沖縄振興開発計画に全力を傾けてまいる所存であります。  また、ポスト二次振計に向けた取り組みとしては、本年度から新たに沖縄振興開発総合調査に着手するとともに、これまでの沖縄振興開発計画の総点検を開始したところであります。また、沖縄振興開発審議会におきましても、現在二次振計後の振興開発のあり方について調査審議が進められているところであります。次期振興開発計画については、県の意見及びこれらの検討結果を踏まえて判断してまいりたいと思います。
  5. 宮里松正

    宮里委員 平成元年度に、先ほど長官が触れられました総合調査費が一億九千万計上されました。来年度概算要求にも同額の調査費が計上されているわけであります。これを受けて沖縄県では、一次、二次の振計の実績を踏まえつつ、今第三次振興計画策定に向けて鋭意取り組みをしているところであります。したがいまして、先ほどの御答弁の中にありました調査費を使って今鋭意検討している、その結果として第三次振計は策定をされる、このように考えてよろしゅうございましょうか。いかがでございましょうか。
  6. 阿部文男

    阿部国務大臣 ただいま申し上げましたとおり、そのように考えておるわけでございます。
  7. 宮里松正

    宮里委員 ところで、第一次振興開発計画目標は、主として本土との格差是正沖縄地理的自然的特性を生かした特色のある県政の推進というところに置かれておりました。そして、現行の第二次振興開発計画目標としては、本土との格差是正のほかに、自立的発展基礎条件整備するということが定められているわけであります。そして、そのような目標に向かって鋭意、年々事業と取り組んでこれを推進されてきたわけであります。  第二次振興開発計画の後に続くいわゆる第三次振興開発計画策定する場合には、その目標をどこに置くべきだとお考えでございましょうか。その点、総務局長にお答え願いたいと思います。
  8. 藤田康夫

    藤田(康)政府委員 宮里先生から、一次振計は格差是正に重心があり、二次振計につきましては格差是正にも置きながら沖縄県の自立的発展というところにも重点を置いてやってきた、それで三次振計にはどういうことに重点を置いていくのか、こういう御質問かと考えております。  沖縄は、先生案内のとおり、亜熱帯地域に位置をいたしまして、広大な海域、多彩な自然環境に恵まれた特色ある、活力ある地域として発展することが期待されておる地域でございます。さらにまた、沖縄本土東南アジアの諸国の接点に位置し、経済文化等交流を深めてきた歴史的経験を有するなど、広く国際社会協力していく場として好ましい条件を備えておることは、先生案内のとおりでございます。  したがいまして、今後の沖縄振興開発をどうやっていくかということでございますが、これは先ほど大臣から御答弁ございました、現状について総点検をやり、その結果を踏まえて検討していくということではあろうかと思いますが、何といいましても我が国南西端に位置します地理的特性を生かしました東南アジアを初めとする諸外国との国際交流拠点の形成を図ること、あるいは豊かな亜熱帯海洋性自然と特有の伝統文化歴史的蓄積を生かしました国際的評価にたえるリゾート地域を形成するといったようなこと、あるいは亜熱帯の気候を生かしました花卉とか果樹など亜熱帯農業振興特色ある産業振興を図ること、こういったことが検討の課題に上がってくるのではないか、かように考えております。
  9. 宮里松正

    宮里委員 これまでの実績を踏まえ、さらに特性を生かしつつ意欲的に取り組んでいく、このような御答弁だったというふうに思います。  そこで、第三次振興開発計画策定に当たっては、まず一つは、各市町村要求を酌み取り、各市町村がそれぞれ特色のあるふるさとづくりができるようにすべきだというふうに私は思います。その上で、大枠の枠組みでございますが、これは当然のことでもございますけれども確認する意味でお聞きをいたしますならば、従来からの開発庁方式を継続をされて、そして復帰の際に創設をされました高率補助制度、これも維持していかなければならぬというふうに思います。そういたしませんと、振興計画の中身がどのようにきれいなものでありましてもこれを推進することはかなり難しくなるわけでありますから、そのような形で第三次振計も進めていかなければならぬ、こう考えるわけでありますが、その点いかがでございましょうか。
  10. 藤田康夫

    藤田(康)政府委員 先生から、市町村というものの意見を非常に尊重しながら計画を作成していくべきではないか、こういう第一点の御質問についてでございます。これは先生案内のとおり、沖縄振興開発計画につきましては、県の原案に基づいてつくるという地方自治に非常に重点を置いたシステムになってございます。当然、県といたしましても原案をつくる際には市町村意見も十分しんしゃくしてつくってくるものと考えておりますが、なおそのあたりは十分考えてまいりたいと考えております。  それから第二点、高率補助問題でございます。これまで公共事業を二兆九千億、非公共も含めてでございますが、実施してまいっておりますが、この事業が円滑にできた一つの大きな柱として高率補助があったことは、先生指摘のとおりでございます。この問題をどうやっていくかという問題でございますが、これがよって来るゆえんは、急速に公共事業整備しなければならぬということ、あるいは沖縄県の財政事情が非常に窮屈であること、そういったことを配慮した点であろうかと思います。こういった事情は今後とも続くのかどうか、そのあたりは総点検の中で十分考えながら、各方面の御意見伺い関係方面と折衝しながら決めてまいりたい、かように考えております。
  11. 宮里松正

    宮里委員 沖縄開発庁は、復帰後十七年の間、沖縄本島はもとより四十に及ぶ離島に至るまでいろいろな面で振興事業推進をされて、そして先ほど指摘いたしましたような実績を上げてこられたわけであります。これからもひとつしっかりと取り組みをされまして、これから後の沖縄振興にも御尽力を賜りたいと思います。  実は、まだたくさん開発庁に御質問をして確認をしておかなければならぬこともあるのでありますけれども、きょうは時間がそれほどございませんので、ほかの省庁の方にも質問をしておきたいと思います。後で時間がもし余裕が出てまいりましたらまた開発庁に御質問を続行させていただきたい、こう思います。  次に、沖縄米軍基地問題につきまして、外務省及び防衛施設庁にお伺いをいたしたいと思います。  沖縄には全国の七五%に当たる広大な米軍基地がありまして、それがしばしば問題を引き起こしていることは御承知のとおりであります。ところで、沖縄にある米軍基地の基本的な問題点はどこにあるとお考えでございましょうか。まず外務省にその点を伺っておきたいと思います。
  12. 有馬龍夫

    有馬政府委員 我が国の平和にとりましてのその存在理由について、さらなる御理解を県民の方々からいただくということではないかと存じます。     〔委員長退席上原委員長代理着席
  13. 宮里松正

    宮里委員 有馬局長と事前に余り具体的な打ち合わせをいたしませんでしたので、あるいは私の質問の趣旨が十分御理解できなかったのかもしれませんが、これからしばらく私の方で沖縄米軍 基地の基本的な問題点指摘をしておきますから、お聞きを願いたいと思います。  本土にある米軍基地は、大抵の場合、旧帝国陸海軍基地として戦前使っておったところであります。したがって、地域住民との間にそれほど違和感でありますとか摩擦も起こっていないと私は聞いております。ところが、沖縄の場合はそうではございませんで、そのほとんどがまず個人有地であり、しかも沖縄の場合は、沖縄戦のときに米軍沖縄本島のほとんど全域を占領した上で、沖縄戦の次に予定されていた対本土作戦を遂行するためにつくられた基地だということであります。沖縄米軍基地は、もともとそこから出発しているのであります。  日本昭和二十年八月十五日にポツダム宣言を受諾いたしましたので、実際には対本土作戦は行われませんでしたが、その後沖縄米軍基地は、米国極東における軍略体制かなめとして位置づけられ、昭和二十三年ごろから占領軍によって本格的な、しかも恒久的な基地として建設し直されました。そして、昭和二十五年に勃発した朝鮮動乱のときには、例えば嘉手納の飛行場はB29の発進基地として使用されました。毎日のようにB29が嘉手納から北爆に出撃していたことは周知のとおりであります。その後、沖縄米軍基地は、講和条約第三条の施政権のもとでさらに充実強化され、ベトナム戦争のときにもその威力を遺憾なく発揮いたしました。  このように、沖縄米軍基地は、もともと日米安保体制のもとでこれを維持するためにつくられたものではありません。専ら米国米国極東における軍略体制を構築し、これを維持するためのかなめとしてつくったものであります。しかも、県民側意思いかんにかかわらず、終始これを無視して、占領軍としての権力施政権者としての権力を行使して、強引に用地を接収しながら一方的に建設したものであります。しかも、米国は戦後一貫して沖縄基地自由使用を主張しました。沖縄県民の長年にわたる祖国復帰要求にも応じなかったのであります。復帰のときには、核抜き本土並み返還という形で沖縄米軍基地日米安保体制制度的枠組みの中に法形式的には組み込まれました。しかし、基地そのものは、核兵器やガス兵器が撤去されたほかは、ほとんどそのままの状態で復帰後に引き継がれたわけであります。したがいまして、沖縄米軍基地は、そのそもそもの成り立ちから、地域住民生活と平和のうちに共存できるようにはなっていないのであります。  これをハワイにある米軍基地ハワイ住民との関係を比較してみれば、一目瞭然であります。ハワイはもともと住民生活地域としてセパレートされておりまして、私どもハワイへ参りましても、基地住民が混在しているという感じは全く受けないわけであります。  沖縄米軍基地の基本的な問題点はそこにあると私は考えております。我々は、まず沖縄米軍基地事柄を語る場合には、論議する場合にはそのことをしっかりと認識をしておく必要があると思いますが、いかがでございましょうか。
  14. 有馬龍夫

    有馬政府委員 基本的に、おっしゃられた点が含まれていると思います。
  15. 宮里松正

    宮里委員 ところで、日本防衛政策は、戦後一貫して専守防衛と文民統制のもとで、必要最小限度自衛力整備日米安保体制の堅持という二本立てで進められてまいりました。そのうちの日米安保体制は、沖縄米軍基地かなめにして成り立っているのであります。したがって、沖縄に住む沖縄県民は、国のそのような国防政策のもとで好むと好まざるとにかかわらず、安保体制を容認する立場にあるかあるいはそれを容認しない立場にあるかにかかわらず、沖縄米軍基地とおつき合いをしていかなければなりません。理の当然であります。  ところが、先ほど申し上げましたように、沖縄米軍基地はもともと地域住民生活平和裏に共存できるようにはなっていないのであります。そうだとするならば、今直ちにというわけにもいかないのでありましょうが、沖縄米軍基地地域住民生活と平和のうちに共存できるように、県からもしばしば要求されております整理縮小でありますとか、あるいは基地機能整理統合でありますとか、この面に力を入れていかなければならないと私は思います。  重ねて申し上げますが、これは今一朝一夕にすぐできることではありません。私もそのことは重々承知をしているのであります。ところが、政府は少なくともこのような基本的な認識のもとに、これから諸施策を長い目で見て展開をしていかなければならぬと思うわけであります。その点いかがでございましょうか。
  16. 有馬龍夫

    有馬政府委員 先生は今、機能ということをおっしゃられましたけれども、それにつきまして留保をつけますけれども、全体の流れとしては、長期的に私どもが今努力しておりますことは先生のおっしゃっておられる方向を目指していると思います。
  17. 宮里松正

    宮里委員 実は近年、米軍基地の中ではいろいろな問題が起こりました。事件、事故も発生をいたしました。きょう、その一つ一つについて取り上げて質疑応答する時間はございません。恐らく、今委員長席に座っておられる同僚の上原議員あたりからも同種の質問があろうかと思います。私は、少なくとも先ほど来論議してまいりました基本的な面において現地側政府側がしっかりとした共通認識に立って、これから沖縄米軍基地問題はやっていかなければならぬと思います。その意味におきまして、これからもひとつ御尽力を賜りたい、こう思うところであります。  そこで、この米軍基地問題と関連をいたしまして、局長のところにその連絡が行っているかどうかわかりませんが、実は最近、沖縄県側から沖縄大使を置いてくれという要請がしばしばございました。新聞の報ずるところによりますと、あるいはまた私が沖縄県当局からお聞きしたところによりますと、大使の配置は難しいので外務省職員沖縄県に派遣をして出向させる、そして専ら基地渉外問題等を扱わせたい、こういうことで話し合いが進められているとお聞きいたしましたが、その点どうなっておりましょうか。
  18. 有馬龍夫

    有馬政府委員 私どもといたしましては、大使派遣するという御要望がございましたけれども大使派遣するということ自体を目的として検討したのではなくて、外務省としていかなる形で御協力することが一番県民の御要望にこたえる道かなというふうに思っておったわけでございますけれども、先般、沖縄県から、米軍との連絡調整を初め沖縄実情を遅滞なく外務省に伝えることなど、沖縄基地問題に迅速に対応できるように、そのような体制を強化するため外務省職員沖縄県への出向を得たいという申し出がございました。ほかにも渉外的な役割をもこれに課したいということでございますけれども、私どもとしてはこれを基本的に受け入れるということで、沖縄県との間で具体的な話し合いを始めさせていただきたいと思っておるところでございます。
  19. 宮里松正

    宮里委員 私はまだ最終的にどう評価すべきか結論をはっきりと見出せないのでございますが、やはり最終的には独立した外交経験を持つ、あるいは交渉権を持つ大使の方がよろしいかというふうに思います。ただ、外務省外交に手なれたといいますか、また外務省と逐一連絡のとりやすい外務省職員沖縄派遣をして、そして問題のあるたびごとにそれを正確に把握をして、本庁と協同しながらその衝に当たる、これは一歩前進であることは間違いないというふうに思います。ただ、職員として派遣する場合、県庁職員になるわけでありますが、形としては外交上の折衝権も何もないわけでありまして、本庁が絶えず派遣された職員連絡をとりながら適切に事柄の処理に当たっていく、こういう連係プレーがなければ意味をなさぬわけであります。職員派遣という形で地元要望にこたえるとするならば、その点ぜひしっかり踏まえておいていただきたい、御要望を申し上げておきたいと思います。  時間がございませんので、次に移らせていただきます。次に、沖縄厚生年金格差是正問題 につきまして、厚生省にお伺いをいたします。  沖縄厚生年金本土に比べてかなりスタートがおくれましたので、加入者加入期間が短く、具体的には本土昭和十七年に発足をいたしましたのに対しまして、沖縄昭和四十五年からやっと制度がスタートしたというのが実情であります。そのために、復帰の際に、復帰対策として受給資格の付与でありますとかその他幾つかの点で特例措置を講じてもらったのでありますが、それでも必ずしも十分ではございません。結果として、必ずしも正確ではないのかもしれませんが、年金受給額本土のざっと五九%程度にしかなっておりません。  そこで、沖縄県はもとより、沖縄県議会市町村あるいは経済団体等々、地元からしばしばその是正方要請がなされてまいりました。私も、実は復帰のころに琉球政府の副主席あるいは県の副知事という立場にありまして、この種の福祉対策にも関与をしてきたのでありますが、この問題が抜本的に解決されなかったために、いつまでも肩に重い荷を背負っているような感じで参りました。  そこで、この格差是正問題につきましては、前の小泉厚生大臣でありますとか、あるいは自民党政調会長三塚博先生でありますとか、あるいは自民党社会部会長高橋辰夫先生でありますとか——高橋先生はまた、現在年金法の改正問題を取り扱っております衆議院の社労委筆頭理事もしておられますが、寄り寄り協議をして協力を求めてきたところであります。昨日も、自民党社会部会におきまして、厚生年金一般の改正につきまして方針決定がなされました。そのときに、この際沖縄厚生年金につきましても抜本的な解決をしてもらうように要請申し上げたところであります。  さらにまた、ちょっと横道へそれるかもしれませんが、昨日昼食のときに、私ども総理との昼食懇談会がございましたが、総理にもその旨の協力方要請しておいたところであります。これは、沖縄県民がひとしく関心を持ち、一日も早く是正をしていただきたいと要請しているところであります。  そしてまた、日本年金はそれぞれ別々にスタートをいたしましたので、年金制度間にも格差がございます。これはいたし方のないことでございますけれども、しかし、一つ制度の中で地域間に格差があるということは憲法上も問題であろうというように私は思います。  もとより、これは保険料を支払って、それに案分といいますか、それをもとにして年金が支給されるという仕組みになっているわけでありますから、ただ抽象的な形で平等にというわけにもまいらぬのかもしれませんが、そのために、これはこれまでそういう保険制度の理屈から延び延びになってきたわけであります。しかし、事は国民の中で平等に扱わなければならぬという、そういう原理原則に基づくことでございますし、また、沖縄年金本土よりおくれてスタートいたしましたのは、何も沖縄の責任でそうなったのではありません。国策によってアメリカの施政権下に置かれ、その結果として沖縄年金はおくれたわけであります。このようなことも勘案をしながら、これはこのあたりで抜本的に解決をしなければならぬ、こういうことで要請を申し上げてきたところであります。  昨夜七時過ぎ、年金に関する与野党の協議が大体において調いました。その際、沖縄のこの年金格差問題につきましても、所要の措置を講ずるという趣旨で合意をされたという連絡を昨夜受けました。  そこで、この年金問題につきましては、私どもも、何も地元側が全く苦労もせずに、あるいは負担もせずに全部平等にせいと言っているわけではありません。復帰のときには、沖縄復帰に伴う特別措置法第百四条四項及び第百五十六条に基づいて復帰特別措置が講じられたのでありますが、今回もこの政令に基づいて措置がなされるだろう、こう思っておりました。またそれが妥当である、こう思います。そして、恐らく技術的にいろいろな問題があろうかと思いますけれども、そのことにつきまして、厚生省年金局、局長はきょうおいでにならぬと思いますけれども、松本課長においでいただきましたのでお願いしたい、こう思います。
  20. 松本省藏

    ○松本説明員 お答えを申し上げます。  沖縄厚生年金格差問題、その経緯、背景等について、るる先生の方からただいま御説明がございました。  基本的には、沖縄厚生年金制度昭和四十五年の一月一日からスタートした、本土に比べてスタートが遅かったということが、現実に沖縄厚生年金格差につながっている原因の一つであるということは、これは事実であろうかと思います。  さらに、先生がお話しになられましたように、昭和四十七年に本土復帰いたしましたときに、実はそれなりの復帰時の厚生年金特例措置が組まれているわけでございます。しかし、そういう特例措置が組まれていたわけでございますけれども、なお現実に格差がある、そして、そのときの特別措置がなお不十分ではなかったのだろうかという御指摘も、実は、つい先ほど衆議院社会労働委員会年金制度改正法案が採決で可決されたのでございますが、その年金改正法案の前提となりました年金審議会でも実は指摘を受けた、沖縄関係の各方面の強い御要望もあったということも事実でございまして、そういうような事情を受けまして、私ども厚生省といたしまして、従前は、既に沖縄厚生年金特例措置は完了済みであるという基本姿勢でいたわけでございますけれども、改めてその格差是正についての具体的方策を、検討を実は進めていたところでございます。     〔上原委員長代理退席、委員長着席〕  ちょうど本日でございますが、厚生省といたしまして、具体的な厚生年金格差是正のための方策が結論といいますか、方針を一応決めたというところでございまして、若干長くなるかもしれませんけれども、以下御説明をさせていただきたいと思います。  まず、本土沖縄厚生年金格差を是正するということをねらいといたしまして、本土復帰時に受給資格期間短縮の特例の対象となった方々につきまして、その短縮された期間分の年金額を、保険料の特例納付を行うことによりまして補てんをいたしまして、本土におきます中高齢特例の措置、それと同列の年金額を保障するという措置を講ずることといたしたいと考えているわけでございます。  もう少し仕組みを具体的に申し上げますと、復帰時の資格期間短縮の特例措置の対象となった方々、この方々は、平成二年四月の時点で申しますと六十一歳以上の方になるのでございます。現実の厚生年金の受給者の方々と基本的にオーバーラップすると御理解していただいて結構だと思います。そういう特例措置の対象となった方々でありまして、その特例措置によります老齢年金受給資格期間を満たしておられる方々につきまして、報酬比例部分の年金額が本土加入者並みの特例措置十五年分に達するまでの保険料の特例納付を新たに認めるというものでございます。  さらに、その際ただというわけにもいきませんので、保険料の納付をお願いするわけでございますが、納付する保険料額は、昭和四十五年一月におきます標準報酬月額に当時の本土の保険料率六・二%のうち本人負担分相当に当たる三・一%を乗じました額を現在までの年利五・五%で複利計算をした額を保険料額としてお納めいただく。特例納付を認める期間は、県の準備態勢等もございますので、平成二年四月一日から五年間、納付を完了していただきました翌月から年金額を追加加算をしていくという方式をとりたいと考えております。その年金額の加算額でございますが、同様に、保険料算定の基礎となりました昭和四十五年一月におきます標準報酬月額を再評価をいたしまして、それに乗率、そして保険料の特例納付月数を乗じた額、こういう形になるわけでございます。  以上のような特例措置、これは具体的には年金 法そのものではございませんで、沖縄復帰に伴う厚生省関係法令の適用の特別措置等に関する政令、特例措置政令の改正により、できるだけ速やかな時点で改正をするということを考えているところでございます。
  21. 宮里松正

    宮里委員 この特例措置について、今説明をされた文書を私も先ほどいただいたのでありますが、これだけでは必ずしもはっきりわからないわけであります。この特例措置を講ずることにした結果として、私どもがこれまで要請をしてまいりましたように、以上の条件を満たしたときには本土と支給額が均等になるわけでございましょうか。
  22. 松本省藏

    ○松本説明員 お答えを申し上げます。  年金額の高い低いと申しますのは、基本的には保険料の高い低い、すなわちその方の賃金の高い低いに一つはかかわってくることでございます。それからもう一つは、加入期間の長い短いでかかわってくるわけでございます。そういう諸要素があるわけでございまして、今回とろうといたしております特例措置は、本土の中高齢特例と申しまして、厚生年金は本来二十年で受給資格期間を得られるわけでございますが、四十歳以上の方々については十五年に期間短縮をされる特例措置がございます。その場合には、期間短縮で十五年で受給資格を得ますと、一階部分、定額部分については二十年分の年金が出る、そして報酬比例部分、二階部分については納付をいたしました十五年分の年金が出る、こういうのが本土の措置でございます。その措置と全く同様な形に取り扱いをするということにいたしたいということでございます。  それはどういうことかと申しますと、沖縄復帰いたしましたときの特例措置と申しますのは、今申しました本土の十五年の特例措置期間をさらに生年月日別に四年から十四年にかけての短縮をしたわけでございます。お年を召した方については、四年間だけ加入をしておりますと厚生年金がもらえるという措置をとったわけでございます。  その措置の中身は、一階の定額部分については四年加入で二十年分を支給します。ただし、そのときの特例措置は、四年加入していた場合には、二階部分の報酬比例部分については四年部分だけしか実は認めていなかったわけでございます。そこのところが本土特例措置、中高齢特例措置との間で制度上、仕組み上やはりどうしても差が出てきてしまうところであろう。したがいまして今回は、例えば、今私が申しましたように、四年間の加入期間で特例に乗られた方についてはあと十一年間の追納を認めることによりまして年金額の引き上げを図っていくという措置をとる。したがいまして、本土のそういう措置と基本的に同じ並びにするということにいたすわけでございまして、制度的な差というのはここで完全に解消されるというふうに私どもとしては理解しているわけでございます。
  23. 宮里松正

    宮里委員 この保険料につきましては、本人負担部分と雇用主の負担部分があるはずであります。私も正確に算出したわけではありませんのではっきりした金額は提示できませんが、大体八百億から一千億くらいになるのではないだろうかということも言われております。この部分はどういうふうに措置されるのでありますか。
  24. 松本省藏

    ○松本説明員 お答えを申し上げます。  先生承知のとおり、厚生年金の保険料は労使折半ということで、料率の半分は本人負担、半分は事業主負担という形でございます。今回とろうといたしております特例措置におきましては、昭和四十五年一月一日時点で厚生年金加入者であった方が対象になるわけでございますので、その時点の事業主の方からさかのぼって保険料をいただくというわけにも現実にまいりません。したがいまして、先ほども説明いたしましたけれども、当時の時点での本土の保険料率は六・二%だったわけでございますが、本来の事業主負担というのを期待せずに本人負担だけで年金給付に結びつけていこう、こういう考え方でございます。
  25. 宮里松正

    宮里委員 大体わかりました。あと、もっと細かく詰めたいところもあるのでありますが、時間がございませんので、これまで松本課長並びに水田局長ともしばしば話し合いをしてまいりましたように、この問題がきょうこうしてめどがつけられる、私は皆さんの御労苦を多といたしたいと思います。そして追納分につきましては、これからまたいろいろな御意見も出てこようかと思いますが、余り無理のないように、ひとつ適切な措置をこれから講じていただきたい、その点を御要望申し上げておきたいと思います。  次に、主として南米日系人子弟の入国手続の問題につきまして、法務省並びに外務省にお伺いをしておきたいと思います。  明治以来、我が国は多くの移民を諸外国に出しました。とりわけその中でも沖縄県は主要な移民県でございまして、ハワイ、北米あるいは南米に大勢の人々が移住をしていっているのであります。御承知のように、移住していった一世は依然として日本国籍を持った日本人でございますが、その子供、二世になりますと、国籍は、属地主義といいますか、生まれたところの国籍を取得するということとなってまいりますので、大抵の場合外国籍を持っているわけであります。三世になると、これはもとより外国人として登録されるわけであります。  ところで、今我が国経済が非常に繁栄をいたしまして、景気も好調に推移をして、労働者の賃金も世界でトップの位置にあるわけであります。そしてまた、最近は若年労働者がほとんどホワイトカラー志向になってまいりました。ブルーカラーがいなくなってまいりました。そんなことから、日本へ行けばアルバイトするだけでも自国で働くよりはるかに報酬が多い、こういうわけで、アジアの近隣諸国はもとより、遠く南米からも観光ビザで入域をいたしまして不法就労するという事例も起こってきております。新聞の報ずるところによりますと、そこへつけ込んで、悪質なブローカーまがいの旅行業者なども出てまいりました。そしてそれを企業側にあっせんをいたしまして給料をピンはねするということなども伝えられております。  ところで、考えてみますと、二世、三世というのはもともと肉体も魂も日本人と同様でございます。そしてまた、それらの人々は、それぞれ日本国内に親戚や縁者がいっぱいおるわけでありまして、この際日本を訪れて、あるいは日本へ参りまして親戚縁者との親交あるいは交流を深め、相互扶助を求める、そして日本語などを勉強しながら自分を磨き、場合によっては親戚縁者を頼って日本へ定住するという人々もいておかしくないと思います。特に沖縄の場合は、沖縄戦で灰じんになりまして、そのころ戦前はもとよりでございますが、南米からの仕送りが沖縄の戦後の復興にも大変に役立ったわけでありまして、言うならばかなり御恩もあるわけであります。  そこで、これら日系人の子弟が日本へ入域してくる場合に、ただ不法就労が目的で入ってくるのだろうというような形で入り口を閉めるのではなくて、先ほど指摘しました親戚縁者の関係でありますとか本人の真の目的でありますとかいったことを十分把握した上でこれを温かく迎え入れるということも、この際大事であろうと思います。  また、我が国が世界各国との交流を深めていく場合でも親善を深めていく場合でも平和外交を展開する場合でも、この人たちは我が国とそれらの国々とのかけ橋になる人たちでございますから、そういう意味でも大事にしていかなければならぬだろうと私は思います。特にこれら南米の日系人の子弟が日本に入域する場合、手続等につきまして法務省は今どのようなことを考えておられるのか、お聞きをしておきたいと思います。
  26. 堀口松城

    ○堀口説明員 いわゆる日系人につきましては、親族訪問のための入国及び在留が広く認められております。このほか、日本人の子である者または日本に居住する親族との相互扶助が期待できる一定の人々につきましては、そのような者として本邦での居住も弾力的に認めているところでござい ます。このような人々の中には、本邦での居住に関連して就労を希望する人々もおられることから、委員指摘のように、悪徳ブローカーによる搾取の対象となっている事例もございます。  そこで、入国管理局といたしましては、日系人の就労状況に関する実態の把握をさらに進めますとともに、関係省庁とも協議しながら、今後の対応に遺漏なきを期してまいりたいと考えております。
  27. 宮里松正

    宮里委員 これら日系人の子弟が日本へ入域する場合には、多くの場合、日本大使館、領事館等在外公館の窓口でビザが発給され、あるいはお世話をするということになろうかと思います。その際、先ほど法務省の入管からお答えがありましたように、外務省の在外公館の方でもこれらのことに留意をされて、あるいは配意をされて、ひとつ適切な方途を講じていただきたいと思うのでありますが、その点いかがでございましょうか。
  28. 島内憲

    ○島内説明員 お答え申し上げます。  最近、親族訪問、観光等の目的により、在外公館に対して短期滞在査証の発給を申請する日系の方が非常に多くなっております。それで外務省といたしましては、このような状況を十分踏まえまして、他の目的により我が国に渡航することを希望する日系の方の取り扱いを含めまして、目下法務省と協議しているところでございます。
  29. 宮里松正

    宮里委員 私は、この日系人子弟の日本訪問あるいは日本国内での滞在取り扱いというのは、今非常に大事なときを迎えただろうと思います。法務省は今、ベトナム難民を装って日本に入域しようとする人たちまで出る始末でございまして、不法就労のところで非常に頭を悩ましておられることも私は重々承知しているつもりでございます。  ただ、この事柄は、もともと日系人で外国へ移住していった人たちというのは出稼ぎ気分で最初は行っておられる。だから、戦前はしばしば祖国との間に往来をしておったわけですが、戦争を境にいたしましてそれぞれが外国へ定住をするようになりました。その結果、その子弟の二世はそれぞれの国籍を取り、さらにまた、三世は当然のことながらその国の国民として生活をしていく、こういうことになってきたわけです。  しかし、私どもが外国を訪ねますと、それぞれの日系人社会あるいはそれぞれの県人会などが組織をされまして、そこにある日本大使館、領事館等の在外公館とも密接な関係を持ちながら、心身ともに日本人ここにありという感じすら私ども受けるわけであります。  先ほども指摘いたしましたように、今南米は非常に困っておるわけでございますし、反面日本の景気が非常にいいというところから、いろいろな事柄が口コミで伝えられております。ですから、法務省の入管あるいは外務省の在外公館等で適切な指導をしながら温かくこれを受け入れるような対策を講じませんと、これはブローカーたちの食い物にされる、こういうことになるわけでございます。その点を留意されながら、先ほど御答弁の趣旨にありましたように、これから温かく、そしてしっかりとした対応をしていただきたい、私はこう思います。  時間がないようでございますので、実は文部省に僻地の級地の見直し問題についても御質問をまだ申し上げる予定でございましたが、そのことにつきましては、文部省当局もひとつ地元側要請を受けられて適切な処理をされるように要請申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  30. 沢田広

  31. 上原康助

    上原委員 きょうは後に本会議が控えておりますので、できるだけ簡潔にお尋ねしますので、御答弁なさる方もそのようにお願いをしたいと思います。  そこで、冒頭、阿部大臣に所見と要望、注文をつけておきたいことがございます。今もお尋ねがあったのですが、事務当局に聞くことは、私ももうずっと厚生年金格差是正問題について努力してまいりましたし、昨日から飛び回って、ようやく一歩前進と見られる改善措置がきょう具体的に明らかになったわけですが、その点は、厚生省御当局を初め関係者のこれまでの御労苦を評価することにやぶさかではございません。しかし、恐らく、中身を吟味いたしますと、かなり県民というか該当者の不満というのが出てくると私は予測をいたしております。細かいことについては触れません。  そこで、私はかねてから、これは政治決断の問題である、高度の政治判断が必要だ、こういうことを歴代の厚生大臣や与党のこの問題にかかわる方々ともいろいろ意見交換しながら進めてきたわけですが、その点は沖縄担当大臣として、また国務大臣としてぜひ踏まえて、より内容を豊富化していく御努力を阿部大臣に願いたい。  きょう衆議院は通過をしても、まだ参議院があります。場合によっては、参議院段階でさらに、県民の労苦に報いたい、こたえたいと言った厚生大臣の国会における御答弁の内容を生かす努力をしなければいかないと考えておりますので、沖縄の、せっかくここまで来たのですから、問題を残さずに、この際十二分に期待にこたえていただきたいと思いますので、この問題に対しての阿部大臣初め関係者の御労苦は高く評価をしつつも、県民の意のあるところを御理解をいただいて、所信と今私が指摘をしたことに対するこれからの決意を、まずお聞かせいただきたいと思います。
  32. 阿部文男

    阿部国務大臣 沖縄における厚生年金制度は、復帰時に一定の措置が講じられたところでありますが、沖縄施政権が戦後二十七年間本土から分離されていたこと、また、琉球政府時代の厚生年金制度本土の同制度に大幅におくれて発足したことから、本土と比べて加入期間が短く、なお年金受給額格差を生じているものと認識しております。  この厚生年金の額の格差の是正については、県知事を初め、県内の広範な要請を私としても受けておりますし、所管の厚生大臣に対し、改善方の要望を行ったところであります。厚生省においては関係方面と調整の上、これの是正措置について対処していただけるものと聞いておる次第であります。
  33. 上原康助

    上原委員 ですから、これはきょう、もう既に議論されていることですから、是正措置が明らかにされましたが、なお関係者、該当者の間に相当の不満なり、これでは十分でないという声が持ち上がった場合は、それなりの対処を政治的御判断で進めていかなければならない面があるというその御認識と決意はよろしいですね。
  34. 阿部文男

    阿部国務大臣 ただいま答弁いたしましたように、是正措置については前向きで対処していきたいと思っております。
  35. 上原康助

    上原委員 ぜひひとつ、十分御配慮をいただくことを強く求めておきたいと思います。  そこで、次にポスト二次振計についてお尋ねしますが、阿部大臣も、余り回りくどい答弁をしたり、ぼやかすことは好きでないと私は見ておるので端的にお尋ねするのですが、第三次振計は必要なのでしょう。そういう御認識なのですね。
  36. 阿部文男

    阿部国務大臣 ポスト二次振計として、第三次振計はぜひ必要だと思っております。
  37. 上原康助

    上原委員 そこで、その前提で既に開発庁の方でも審議会で御検討なさっている。また、今年度、次年度においても相応の総点検をやる調査費を御計上なさって進めておる。沖縄県においても、過般ポスト二次振計に向けての作業の審議委員の正式任命がなされて既にスタートいたしました。ですから、今おっしゃるように、必要性はどなたも否定しない。必要性は認めた。これは共通認識なのですね。それは大きな前進だと思う。  そこで、第三次振計、先ほども若干議論があったわけですが、第三次振計を進める上で、ポスト振興計画の柱という面で、これまではどちらかというと、一次、二次の場合はできるだけ第二次産業振興ということにかなりウエートを置いた政策等も議論されてきたわけですが、なかなかこれは思うとおりに進捗しなかった、推進できなかった。最近いろいろな構想が出ているわけですが、これから検討しなければはっきりしたことは言え ないと言ってしまえばそれまでかもしれませんが、最も重点的というか、一次、二次を進めてきてその反省点というか総点検、総括の上に立って第三次はどうするかという、おおよその目玉なり構想というものは既に開発庁としてお持ちだと私は思うのですね。そういう面をまず明らかにしていただきたいと思うのです。
  38. 藤田康夫

    藤田(康)政府委員 上原先生から、ポスト二次振計に向けてどういう検討が行われているのか、どういうものを柱にして今後検討していくのか、こういう御質問かと考えております。  先生案内のとおり、沖縄というのは日本で唯一の地上戦が行われたところでございまして、二十七年にわたり米軍施政権下にあったわけでございます。復帰当時、本土との間に各般の格差がございましたので、復帰して以来一次、二次と、この本土との格差是正ということを大きな柱として、なお自立的発展のための基礎条件整備を進めながら、平和で豊かな沖縄県の実現ということで振興開発を積極的に推進してまいったことは、先生案内のとおりでございます。  しかしながら、水の確保の問題とか生活産業基盤等なお整備を要する点がございますし、産業振興とか雇用の問題等々多くの課題がございまして、こういった観点から申し上げますと、まだ格差も完全に解消したものかどうか十分検討の余地があると考えておるところでございます。こうした現状につきましては、先ほど先生から御指摘ございました国も県も双方が総点検の作業中でございます。  その中で、二次振計後にどう取り組むか。おのずからその検討を踏まえた上で考えてまいる事柄であることは事実でございます。ただし、どういう柱で今後進めていくのか、こういうお話かと思います。四全総もございます。二次振計の後期展望もございまして、大きな柱としては、国際交流拠点の形成、あるいはリゾート、あるいは特色ある産業振興、こういった大きな柱に基づいて四全総あるいは後期展望ができていることは事実でございます。  そういった点が今後検討課題の中で大きな比重を占めていくのではないか。これは今後の検討をまつほかないと思いますが、そういう考え方で現在おるところでございます。
  39. 上原康助

    上原委員 大体、盛られる産業であるとか位置づけであるとか、そういう面はそう変わったというか異なる見方ではないと思うのですね。  私たちが第三次振計を考えていく場合に非常に気をつけなければいけないと思うところは、昭和六十三年八月でしたか、県が県民の意向調査をやっているわけですね。その中で、県経済発展策について、一位は、地域特性を生かした農産物の生産拡大を図るべきだ。もちろん、これだけで沖縄産業振興経済発展のすべてがカバーできると私は見ておりませんが、そういった県民の志向ということからしますと、第一次産業、農業、それと関連する多角的な地域にマッチした産業育成というのを非常に期待をしているということはぜひ頭に入れておいていただきたいということですね。次いで第二位が、就業機会を拡大し、失業の解消を図る。三位が、人材を育成し、技術の向上を図る。その他で、今お挙げになったリゾート開発というものが挙がっているということ。  きょうはいろいろお尋ねしたい点がありますからたくさん聞けませんが、国土庁も来ておると思いますが、今もお触れになったこのリゾート開発の問題です。確かにこれは必要性は認めるわけですが、私は、第三次振計というものがリゾート偏重主義になってはいけないという立場をとる一人なのですね。恐らく県当局から既に出ているか、あるいは相談を受けておられると思うのですが、例の沖縄リゾート構想、トロピカル構想ということについてどのように国土庁としてはお考えになっているのか。また、県当局とはどういうような相談をしているのか。きょうのところは、まず基本的な考え方だけ明らかにしておいていただきたいと思います。
  40. 岩崎忠夫

    ○岩崎説明員 お答えします。  沖縄県からは、総合保養地域整備法に基づく基本構想の前段階といたしまして、沖縄トロピカルリゾート構想についての基礎調査が、本年五月三十一日付で国土庁初めリゾート法各主務省庁に提出されているところでございます。  現在、県からの説明を受けまして、整備の構想、内容等につきましてリゾート法とそれからリゾート法に基づきまして策定されました基本方針に則しまして、県と主務省庁とで現在協議、検討を行っているところでございます。  御案内のとおり、沖縄圏域は、四全総におきましても、豊かな亜熱帯・海洋性自然等を活用した国際的規模の観光・保養地域の形成を図るものと位置づけられているところでございますし、もともとリゾート地としてのポテンシャルは極めて高いところというように考えているところでございます。したがいまして、こうした地域特性を生かしつつ、自然環境の保全との調和でありますとか、あるいは農林漁業の健全な発展との調和でありますとか、合理的な土地利用、こういったようなことに十分配慮したリゾート整備構想となるように今後とも十分県と協議を行ってまいりたいというように考えているところでございます。
  41. 上原康助

    上原委員 それはいつごろまで結論を出すのですか、協議が調うのですか。
  42. 岩崎忠夫

    ○岩崎説明員 リゾートの基本構想、かなり内容広範囲にわたっておりますけれども、今の段階でいついつまでに協議を終えるということは確としたことを申し上げられませんけれども、協議がおいおい進むに従いましてその時期ははっきりしてくる、こういうふうに考えております。
  43. 上原康助

    上原委員 確かに四全総においても「国際的規模の観光・保養地域の形成」として位置づけられている。また現にリゾート開発がどんどん進んでいるというのは私もわかります。それだけに、これを全面的に否定する立場をとっているわけでもありません、慎重を期すべきだということをここで、第三次振計という、ポスト振計という場合にそのことに非常に偏重になるということは県民が必ずしも期待していないのではなかろうかという点に、きょうはとどめておきたいと思います。  それに、このリゾート構想をやる場合に、六省庁の協議会ですか連絡会議というのがあるわけだが、その中に開発庁が入っていないというのも不思議なんですね。やはりこれは大臣沖縄開発庁は何か特別庁みたいに軽く見られている。まあ随時参加はできるということなんだが、沖縄のリゾートを開発するんだから、開発庁も積極的に入るべきだと私は思うのですが、それはいかがですか。
  44. 藤田康夫

    藤田(康)政府委員 先生から先ほど、リゾート開発も重要だけれども、調和がとれた形で行っていくべきではないか、こういう御提言がございました。私も同様な考えをするものでございます。  先ほど一言、私舌足らずでございましたが、農業ということを落としましたけれども特色ある産業振興といいます中には、亜熱帯特性を生かした農業の振興も大きな柱になっておるわけでございまして、こういった点については、先生御提言のとおり、大きな柱として考えていく必要がある、かように考えておるところでございます。  なお、リゾートについての協議の問題でございますが、これは県とよく、常時協議をいたしておりまして、開発庁としても十分な関心を持ち、これに基づく施設整備等も、協議が調いました暁には十分対応していきたい、かように考えておるところでございます。
  45. 上原康助

    上原委員 大体考え方も一致といいますか、相互に理解できる御答弁ですから、その点はよく御理解を得ていただきたい。  そこで、なぜ私がリゾート問題について非常に関心というか、ある面では危惧の念を抱くかといいますと、現在も水事情というのは大変悪化しておりますね。天頼み、雨頼みという状況。それで、あるいは自然環境の保全問題等々を考えねばいかぬ。  この一連の、現に稼働しているリゾートホテルあるいは大型ホテル、あるいはこれから計画して いるもの、沖縄県がトロピカルリゾート構想でやろうとする四十七、八の全圏域にわたるリゾート、壮大というか遠大な構想は、夢、ロマンはいいわけなんだが、果たしてそれに伴う関連需要を満たしていくあるいは供給していくところのハードの面、ソフトの面の整備というものをどうやるのかということをあわせて考えてみました場合に、現に沖縄県で生活している県民にとっては大変不安に思う面が多いわけですね。水の問題、交通渋滞、交通問題、利便さの面。それにもう一つ大事な点は、これは国だけの責任でない、僕は県の対応も極めておかしいと思うのですが、読谷から名護に至る西海岸のビーチというものは、県民が自由に立ち入りして利用できる面はごくわずかですね、大臣。全部大手の資本に占用されつつある。また、今も恩納の国定公園、海岸面に新たなリゾートホテルをつくろうとしている。こういとも簡単にできるのは沖縄だけじゃないかという見方もあるわけで、こういうことが果たしていいのか。我々が自由に利用できる海浜というのはほとんどなくなりつつあるのですね。これが沖縄開発。沖縄県民に一体どういう夢と希望を与えるのか、現に向こうに住んでいる人々に。私はそういうことも十分考えていただきたいと思う。これから私たちも第三次振計に向けて精査してみますが、いろいろやりますけれども、そういう問題がある。  特にきょうは、渇水対策。いろいろ触れたいわけですが、水の問題については、ある構想によると一日十五万トン水を使用するリゾートを建設しようとしている、これから北部一帯に。そうしますと、需要がもう既に大体四十八万トンでしょう、供給も能力が一日に四十七万トンちょっとしかない。一ホテルで、一リゾート地域で十五万トンも一日に使うという場合に、この水のあれはどうする考えなの、皆さん。これ一つだけじゃないのです。こういうものを沖縄本島だけでも三十数カ所構想を立てられている。  だから、こういった基本的なことを、我々もこれは責任というかそういう面に対応する姿勢が必要なんですが、ぜひ国の方でもそういったところは押さえて、県民生活、単なる観光客が多く行けばいいというだけじゃないはずなんだよね。二十一世紀、沖縄をリゾートと軍事基地の垂れ流しにされたんじゃ困る、第三次の中において。そういう面を篤と御理解いただきたいと思うのです。特に、このリゾートを進める場合に、水の供給というもの、確保というものは一体どう連動、連携していくのか、この基本的な点だけひとつ聞かしていただきたい。
  46. 水谷文彦

    ○水谷政府委員 お答えいたします。  一つの開発を進めてまいります場合に、ただいまの御指摘ではリゾート開発というのを例示されたわけでございますけれども、それに伴う環境整備を十分進めなければいけないということは全く当然でございます。そうした中で、とりわけ沖縄につきましては、既に現在でも水問題というのは大変大きな問題でございます。また、御指摘いただきましたように、水問題に限りませず、そこに至る交通のアクセスの問題とか都市の絶対量が少ないとか、さらにその工事の過程では赤土問題等の環境問題が出てくるというように、いろいろと配慮しなければならない事項が非常に多いのだろうと思います。  そうした中で、とりわけ水問題は、冒頭申しましたように、現時点においても既に国管理ダムから緊急補給をしなければならない、そんな状況でございます。特に水については阿部大臣からも大変御心配をいただいておりまして、事あるごとに、機会あるごとに水資源開発の促進方について指示をいただいております。  お示しがございましたように、今後、リゾートの開発あるいはさらに大きく言えばポスト二次振計でいろいろな開発のプロジェクトを持つわけでございますけれども、その際には、ただいま御指摘ございました水問題も含めまして、全体的に環境整備問題と十分整合性をとるような形で念査をしながら検討させていただきたい、かように考えております。
  47. 上原康助

    上原委員 これは極めて大事な点で、沖縄の地理的条件あるいは立地からしてダムの開発はもう限界に来ている。もちろんこれから小規模なものはやらなければいかぬし、南部の地下ダムの構想も促進を図らなければいけないわけです。  私は、観光産業の必要性、リゾートの必要性というか、節度あるものについてまで反対しているわけではないのです。しかし、最近の傾向は、余りにも地域住民なり沖縄に現に生活している県民立場というものがだんだん軽視をされる傾向にあるのじゃないか。ですから、今後、大型ホテル、リゾートとかそういうものについては開発の面の規制も——赤土対策、これは大臣がこの間行かれて積極的になさるというからその御見解を具体的に聞きたいわけだ。そういう面とか、いわゆる水の再利用、そういうこともリゾートとか企業に義務づけるあるいは責任を持たすというようなところまでやってもらわぬと、ホテルや観光が優先されて沖縄県民は二次的に生活給水をされるというようなことに、そうはならぬと思うのだがだれかが指摘をしておかぬと、なる可能性だってあるわけで、そこらを、水の再利用を含めてこれからの振興開発の中において、これはソフトに入るのかハードに入るのか、両面だろうと思うのですが、これは大臣の方から赤土対策を含めてひとつ御見解を聞かせていただきたいと思います。
  48. 阿部文男

    阿部国務大臣 ただいま御指摘ありましたように、沖縄における水事情は、気象的、地形的条件からも極めて困難な状況下にあるわけであります。また、最近のリゾート開発の動向等から見ましても、水資源の開発は、沖縄振興開発にとってますます重要な課題となってきております。  復帰以来、沖縄本島においては、昭和六十一年度までに北部に福地ダム等の五つのダムを完成させてきましたが、なお水の供給は不安定な状況が続いております。このため現在、漢那、瑞慶山、羽地、三つのダムの建設を積極的に推進するとともに、本島北西部の河川においてダム等の建設をするために、北西部河川総合開発事業調査を鋭意進めておるわけであります。  なお、離島についても本島周辺同様に厳しい状況にあり、ダムの建設、海水の淡水化等、多角的な水資源開発を進めておるわけでございます。  私も、沖縄に、今まで三回現地を訪問いたしました。前から水の安定的な確保については大変な問題だと聞いておりましたが、想像以上に皆さんがこの問題で困っていることをみずからこの目で見てまいったわけであります。早速、ダムの全般的な貯水量なり全部調査しまして、ただ、一部のダムについては用地買収その他もっと早くやれないかということなんですね。北海道と比べるとおかしいですが、北海道は潤沢な水に恵まれている。それから見ますと、沖縄県民は非常に大変だと私は思いました。そういうこともあって、開発庁に対しては、もう少し積極的に、ダムの完成などについてもやはり早目に完成できないかということについて指示もしております。  それから、リゾートについても、沖縄の観光資源というのは大変なものですね。これも大事だということは委員指摘のとおりでございますけれども、やはり乱開発、これは十分配慮しなければならないし、慎重にこの問題に対処していかなければならぬと思っております。
  49. 上原康助

    上原委員 近々漢那ダムも竣工式があるわけで、着々と進められておりますが、しかし、さっきも申し上げたような条件しかないわけですから、その点はぜひひとつ特段の御努力を建設省を含めてお願いしておきたいと思います。  ポスト二次振計を考える場合に、もう一つの基本的な問題は、やはり基地の整理、縮小ですね。これはややもすると沖縄開発庁は素通りをしてきた嫌いもないわけじゃないが、やはりこれからの沖縄振興開発ということを考える場合に、基地がいかに障害になっているかということはよく御案内のとおり。したがって、基地の整理、縮小あるいは撤去等々についても、経済開発をして、経済活動をしていくという面からも、ひとつ十分理念の中あるいは具体化の中で位置づけていただきたい ということを要望しておきたいと思います。  そこで、次は具体的な点でお尋ねいたします。目下二次振計の後半に入っているわけですが、その中で、せんだって大臣も三回行かれていろいろ沖縄の伝統芸能、文化についてもお触れになったと思うのですね。また肌でお感じになったと思うのですが、かねがね私たちが要望してまいりました、多目的というか、あるいは必ずしも多目的でなくてもいいわけですが、常設の劇場、いわゆる沖縄の伝統芸能等を観光客であるとか県民含めて鑑賞できる、常時芸能人の方々の研修とかいろいろな交流とか含めて、国立のそういった施設というものが必要だ。これはどなたもまたこの件についても必要性は認めておられるわけで、ぜひひとつこの点は早急に二次振計の後半において芽出し、事業化をしていただきたいと思うのですが、この点について聞かせていただきたいと思います。  まあ幸いというか、海部総理も元文部大臣だけあって、何か近々芸術文化振興基金を、選挙目当てかもしらぬが、一千億ぐらい積むということが今取りざたされておるので、時期は熟している、私に言わせれば。物事には何でも、やるにはタイミングというものがある。ですから、このことについてぜひ沖縄開発庁と文化庁がイニシアチブをとって早急に、次年度からでもひとつ具体化をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  50. 阿部文男

    阿部国務大臣 委員指摘のように、沖縄の貴重な伝統文化を継承してこれを発展させるということは極めて重要な課題であるわけです。沖縄開発庁としては、このような認識から、平成元年度の沖縄振興開発総合調査の中で、伝統芸能の実態把握と保存伝承のあり方を調査研究することとしております。  御指摘の劇場設置の問題については、一つには、今年度沖縄県コンベンションセンターの劇場棟が完成する予定でありまして、文化の振興に大いに寄与することとなると思います。  また、沖縄県に国立組踊劇場を設置してほしいとの要望については、所管の文化庁としては、目下第二国立劇場の建設を現実の課題としていることもあって、今の時点ではなかなか難しいとのことであります。  しかしながら、沖縄開発庁としては重要な課題であると考えておりますので、文化庁とこの問題について総合的に検討するため、昨年の六月、沖縄の伝統芸能等の保護に関する連絡協議会を設置いたしまして、組踊を中心とした伝統芸能全体について、幅広い角度から研究を進めているところであります。  なお、美術館等その他の文化施設については、県の具体的な要望がありますれば、その段階で十分検討してまいりたいと思います。
  51. 上原康助

    上原委員 文化庁、いらしていると思うのですが、このことは前から私も取り上げて、第二国立劇場の問題があるからということは聞いてはいるわけです。しかし、必要性は認めておられる。要するに順位だと思うのです、順番だと思うのです。しかも、文化庁も今調査もやっているわけでしょう。文化庁としてはどういうふうに——今大臣が積極的に進めていくと言うからそれでいいんだが、文化庁、まさかブレーキをかけているわけじゃないですね。お答えください。
  52. 小林孝男

    ○小林説明員 組踊を含みます沖縄の伝統芸能につきましては、かねてから沖縄県御当局を初め関係の方々から、その公開あるいは伝承活動等を行う専用劇場設置の御要望をいただいているところでございます。文化庁といたしましては、先ほど来お話が出ておりましたように、目下第二国立劇場の建設を現実の課題としていることもございまして、その他の新しい国立の文化施設につきましては、まだその設置について具体的に検討する段階には至っていない、こういう現状でございます。ただ、先ほどもお話がございましたように、沖縄開発庁とも御協議を重ねた上、関係機関によります連絡協議の場を設けまして、沖縄の伝統芸能の保存、振興のためのいろいろの情報交換、連絡協議を始めているところでございます。
  53. 上原康助

    上原委員 文化庁は小ぢんまりしたところであるんで、余り羽を伸ばすことも難しいかもしれません。しかし、文部省がありますからね。これは沖縄開発庁がやはり先導役にならないといかぬと思うのですが、近い将来において、その必要性はお認めになっているわけですから、推進いたしますね、大臣
  54. 阿部文男

    阿部国務大臣 推進するように努力してまいります。
  55. 上原康助

    上原委員 ぜひ積極的にお進めをいただきたいと思います。  次に、二次振計の中での主要プロジェクトについて若干お尋ねをしておきたいと思うのです。  これは開発庁建設省かわかりませんが、私は、よく自立的経済発展とか格差の是正、いろいろ言われますけれども、やはり沖縄の場合は公共投資というものは三次振計の間も国の方で相当力を入れていただかなければいかぬと思うのです。自助努力も必要なんだが、これは全体、総体的なもので、何も沖縄だけが振興されるのではなくて、日本全国同じスピードでやられますから、そういう意味で現在も進捗しているわけです。  改めてお尋ねしておきますが、今年度から次年度にかけての主な道路整備なんです。県道三三一号糸満バイパスですね、これの進捗状況とかこれからの計画、また、県道那覇具志頭線のバイパスあるいは那覇市仲井間から東風平町屋宜原の間の整備、これは那覇市国場の慢性的な交通渋滞解消にとって不可欠の、早目にやらなければいけない事業なのです。国道五十八号恩納バイパス、特に問題になっている嘉手納バイパス、こういうようなことは今どう進捗しているのか、あるいはまだ着手できないのは何が障害なのか、またそれがめどづけられるのはいつなのか、明らかにしていただきたいと思います。
  56. 水谷文彦

    ○水谷政府委員 お答えをいたします。  沖縄の道路整備につきましては、復帰以来、先ほど開発振興費が二兆九千と申し上げましたけれども、その中で大体道路投資は一兆円でございまして、約三五%投じてきております。その結果、道路の整備率、舗装率はよくなっておりますけれども、道路の密度はやはり全国に比べましてかなり低い水準にあるわけでございます。  そうした中で、沖縄におきましては、特に人口あるいは産業の集積の著しい南部におきまして交通渋滞が著しいということでございます。南部と申しましたが、南部のほかに西海岸等もございます。そうした中で、ただいま御指摘をいただきました道路等が幾つかございます。これまでに国道三百三十一の小禄地区の拡幅とか、山下垣花立体を供用しておりますし、同じく小禄バイパスを、これは十二月の下旬に供用開始したいと考えております。それから、現在この地区では、国道三百二十九号の那覇東バイパス、同漫湖の改良、それから県道那覇糸満線、県道七号線等のほかに、国道三百三十一の豊見城バイパス等につきまして事業の促進を図っております。それから、ございました糸満バイパス、具志頭線のバイパスにつきましては、来年度の予算要求において行っておるところでございます。  それから、ちょっと北部に参りますけれども、恩納バイパス、それから嘉手納バイパス等がございます。  そうした中で、予算の問題もございますけれども、例えば豊見城バイパスにいたしましても、それから嘉手納バイパス等につきましても、やはり一つには、先ほどお話あったところに共通するのですけれども地域住民の方々との調整といった問題もございます。嘉手納バイパスにつきましては、特に御例示がございましたけれども、現在ルート決定の作業をいたしておりまして、地元沖縄総合事務局でもいろいろ努力をいたしておりますが、地元あるいは関係機関の調整に時間を要していることは事実でございます。はかどっていないところもございますけれども地元協力及び関係機関等の理解を得ながら、少しでも進ましていただきたいと考えております。
  57. 上原康助

    上原委員 既存のもの、あるいはこれから手が けるもの、特に南部と那覇周辺、それから嘉手納ロータリー、ここが沖縄の幹線道路における交通渋滞の最たるもの、行事であるとか祝祭日、何かイベントがある場合は、突発的な何かが起きたら前にも進まぬ、後ろにも行けぬ、大変なパニックが起きかねない状況でありますから、こういうことについてはもう御理解の皆さんですから、促進方を特に要望しておきたいと思います。嘉手納バイパス、これは早くやらぬと、綿貫元長官の食言になるよ、正直言って。沖縄大臣で大きなことだけ言って、ちっとも何にもやらないのもいるから。阿部大臣じゃないですよ。  次に、架橋についてもちょっとだけお聞かせいただきたいのですが、今、池間大橋、浜比嘉大橋、阿嘉橋ですか、こういうのは目下建設中でありまして、めどが立っておるわけですが、これから県内で話題になっているのが伊良部架橋、伊良部島と宮古・平良市、それから古宇利架橋、今帰仁村と古宇利島、あるいは座間味架橋、阿嘉島と座間味島、あるいは小浜架橋、小浜と西表、これは地元要求が強くて、せんだってたしか、大臣も宮古に行かれたときに伊良部大橋の必要性ということはお感じになったという報道もあったわけですが、このことについて、これからの開発庁あるいは建設省の御方針をぜひ明らかにしておいていただきたいと思います。
  58. 水谷文彦

    ○水谷政府委員 沖縄は離島県でございますので、離島間の交通の確保は沖縄振興の重要な柱と考えておりますが、とりわけ地域住民からは離島に橋をかけてほしい、つまり架橋の要望が強いわけでございます。現在までのところ、瀬底架橋、外地架橋等五つの架橋を完成しておりまして、現在、池間、浜比嘉、阿嘉島、来間という四つの架橋の工事を実施いたしております。  今後の問題としまして、ただいま御指摘いただきました架橋のほかに、私どもの耳に入ってまいりまする架橋の地元からの御要望は恐らく十橋を超えるんだろうと思います。したがいまして、私ども、この住民の方の御意見も承りながら、そして現在進めております工事の実施状況あるいは技術的な可能性と申しますか難易度の問題、さらには投資効率の比較の問題等を考えながら、ただいまお話しいただきましたほか、多くの要望につきまして十分吟味し、整理をさせていただきたいと考えております。
  59. 上原康助

    上原委員 これも一挙に、一度にというわけにはいきませんし、優先順位をお決めになって地元要望に沿うようにしていただきたいと思います。余り投資効果だけ考えると物事進みませんから、この点は大臣、よろしゅうございますね。
  60. 水谷文彦

    ○水谷政府委員 大変御要望が強く、かつ大事な問題でございますので、そういった御趣旨を体して検討させていただきたいと考えます。
  61. 上原康助

    上原委員 建設省はお答えしますか。しなければ、もう帰っていいですから。何か答えますか。ぜひ、後半の二次振計、あるいはできれば今の架橋の幾つかについては、二次振計の間に調査費ぐらいつけて、継続事業でできるような措置をお願いしておきたいと思います。  次に進みます。次は僻地。文部省というところは頭がいいと思うと、余りよくないですね、やり方が。この僻地級の見直しについて、本年三月三十一日にへき地教育振興法施行規則の一部が改正を見て、それに準じて沖縄も改正をされるということで、今県民にとって大問題になっている。挙げて反対をしているわけで、時間も余りありませんので細かい点は省きますが、特に問題なのは宮古、久米島地域ですね。しかも、規則改定といっても、どういう算定をやったか。もちろん説明を受けたのですが、これは納得できない。海洋性離島というか、離島というものを全然頭に入れていないという点が一番問題だと思うわけですね。平良市から那覇、泊港に船が着く。そうすると、県庁所在地というものが新たに出たから、県庁所在地までの距離というのは、あれはゼロなんですね。宮古空港から那覇空港に来ると、県庁所在地が近いからと距離としてはゼロ査定。こんなばかな話がありますか、大臣、文部省。余りにも離島の教育振興というものを、皆さんが身勝手に規則改正、基準改正をやったがゆえにこういう混乱が起きている。一方、北部の山間においては今度級地が二級から三級になり、三級から四級になったり、これでは納得しませんよ。文部省、今二、三点指摘したのですが、まず答えてみてください。
  62. 遠山耕平

    ○遠山説明員 お答えを申し上げます。  僻地学校の級地指定問題につきましては、昭和六十一年十二月に会計検査院から文部省に対して、各都道府県の僻地学校の指定を社会状況の変化に対応して適時適切に見直すようにとの処置要求を受けまして、昭和六十三年度に旧基準に基づきまして暫定的な級地の見直しを行ったわけでございます。同時に、僻地学校の実態調査を行いまして、国の特地官署の指定基準に準拠しつつ離島、多雪地帯等についてできるだけの配慮を行い、本年一月に内定をしまして、先生申されましたように本年の三月三十一日に、へき地教育振興法の施行規則を改正したわけでございます。  それで、全国的な状況と沖縄の状況を比べてみますと、今回の基準改正によりまして僻地学校でなくなる学校が全国で約三百校出ます。ところが、沖縄においては、今回の基準改正におきまして僻地学校から外れる学校はゼロでございます。そのほかに、新たに僻地学校以外から僻地学校になる学校が七校ふえたわけでございます。まずこういうことを考えまして、私どもとすれば、今回の基準は沖縄県に対してより厳しいものになっているということは考えていないわけでございます。  先生指摘の、宮古島の平良市の市街地の小中学校、それから久米島の仲里村及び具志川村の小中学校等は、三級地から二級地に下がるというぐあいに県の方から聞いておりますが、これは昭和四十七年に前の基準が決まったわけでございますが、その当時と比較しまして、いずれも船の定期航行の回数が増加したり、それから学用品等の購入地が近くなったということで級地が下がったものと思われるわけでございます。なお、宮古島の平良市、それから久米島の仲里村、具志川村にはいずれも国の官署がございますが、これは二級地相当になっているわけでございます。  以上でございます。
  63. 上原康助

    上原委員 それは、この間も文部省の局長、倉地さんか、会って、あなたも一緒によく説明をしておった。あなた、理屈は何とでも言えるよ。それでは納得できないのだよ。沖縄に厳しいものになっていなければ、こんなに県民が挙げて——何も私一人が反対ではなくて、先ほど宮里先生もやっておったではないか。後の玉城先生も恐らくこれをやるでしょう。県議会も全会一致なんですよ。  七校はふえた。七校はふえたから、久米島が十九校を三級から二級に格下げしていいということではないでしょう。ふえているところもあるから余計問題なんだよ。十七年前の基準ではそういう条件ではなかったけれども、今度は七校は格上げをして十九校は下げる。こんな、つじつま合わせはいいとして、どうして海洋性僻地というものを皆さんもっと慎重に考えないのか。先ほど言った船便が多くなった、あるいは飛行機の便の回数はふえた、確かにそれは便利性はあるでしょう。あるでしょうが、気象条件によっては、飛行機は風や暴風雨のとき飛ばないのです。船だって、波が荒いと通らないのですよ。進まない、運航できないのですよ。陸続きの場合は、少々の困難は乗り越えてでも行けるのです。  しかも、県庁所在地といって、あなた、私の言ったことになぜ答えないの。宮古が、どうして離島という距離において四十点が本当にゼロになるのか。従来の四十点ですか三十五点ですか、これによって三級から二級に落とされているのではないですか。少なくともこの地域については是正すべきです。  あなた、今それに対しても答えてください。あなたはそう言った、文部省はそういう指示を出して県が決めたのだ。では、県が従来どおり三級であるという査定をしたら、文部省は認めるね。
  64. 遠山耕平

    ○遠山説明員 お答え申し上げます。  県庁所在地までの距離は、今回の基準改正によって入れたものでございまして、前回の昭和四十七年の基準改正の中には入っておりません。  それから、県の方で三級だというぐあいに認めれば文部省は認めるか、こういうお話ですが、私ども全国的な基準を文部省令で決めるというのが仕事でございまして、各学校の指定は都道府県の教育委員会が行うものでございます。
  65. 上原康助

    上原委員 もちろん、県庁所在地への距離というのは前のものにはないですよ。今度変えたから低くなったのでしょう。あなた、とぼけた答弁するなよ。  それで、大臣、私も内閣委員会に長いことおったので、絶えず僻地手当というのは問題になるのです、寒冷地手当とかいろいろ。これは単に教職員の給与の手当の問題だけでなくして、御認識もいただいているように、三級から二級に下がることによって児童生徒の修学旅行の補助というものがなくなる、あるいは学校給食というかミルク、そういう面での補助というものがカットされる、全くなくなるわけで、要するに児童の不平等性というのが即起きるわけです。同時に、父兄の負担というものも一月一日から一挙に多くなる。したがって、これは何とか特例としても考えなければいかない問題なのです。  また、こういう重要な問題を今までやらなかった県もどうかと思う。私に言わせれば、これは西銘県政の最たる怠慢。本当から言うと、こんなのはまつげに火がついてから慌てふためいてもだめ。しかし、かといって我々は、こういう問題が持ち上がった以上は、大臣、これは解決しなければいけませんよね。ですから、これは今いろいろ矛盾があるわけですから、その点は、今文部省は全国的な基準を決めるだけで県がそういう是正措置をやれば問題はないと言ったのだから、恐らくそこまで介入しないでしょう。そういう意味で、文部大臣ともよく御相談をしていただいて、また、沖縄開発担当の大臣として県とも相談をして、三級から二級に格下げされる諸校については十分十全の措置をとるという何らかのあれをやっていただかないと困ると思いますので、ぜひひとつ大臣の御見解というか決意をいただきたいと思います。
  66. 阿部文男

    阿部国務大臣 沖縄開発庁としては、文部省に対してできる限り沖縄県の要望に沿うように要請しているところでありますけれども、今回のことについては文部省としても十分検討した結果なんです。しかし、再度の見直しが困難だと言っておりますけれども、非常に難しい問題でありますけれども、文部省に対しては、県の立場を十分理解していただくようにこれから積極的に配慮をしてまいりたいと思っております。
  67. 上原康助

    上原委員 これも時間がありませんので、文部省も、私の言葉の強いところはこんなものですから、そこはそういうふうに受けとめてくださいよ。失礼ですが、余りしゃくし定規にならないように、石頭に。もう少し柔軟性を持ってくださいよ。今、教育行政というか教育の内容が一番問題なのは箱詰め教育なんですよ。何でも全国画一主義。個性を尊重しない。沖縄の個性は沖縄に住んでいる人が一番わかる。あなた方が机上でどういう基準で点数をつけてみたって、こんなものは偏差値のようなものだよ。ですから、今大臣もおっしゃったが、難しいということはわかるけれども、一度決めたから動かせないということじゃなくして、これだけ県民が挙げて反対をして、該当者も何とかしてくれと強い要望を出しているわけですから、そういう面は柔軟に対応しますね。
  68. 遠山耕平

    ○遠山説明員 先生指摘の、沖縄県の久米島あるいは平良市、これらにつきまして三級地から二級地に変わりまして、高度僻地に係る修学旅行費あるいはパン、ミルクの給食費の補助が対象となる可能性があるわけでございますが、どうしても経済的な理由によって修学旅行へ行けなくなるおそれがあるというような場合には、就学援助制度という制度がございますから、そういうような補助制度を活用することによりまして、学校教育に支障が生じないように県と相談をしていきたいというぐあいに思います。
  69. 上原康助

    上原委員 それは問題の趣旨の取り違えです。すりかえですよ。どうしても行けない児童に対しては、何も二級地だけじゃない、普通の学校だってあるのじゃないですか。そういう言い方するから、文部省はと言われるんだよ。やはり大臣もおっしゃったように、難しいけれども、三級地から二級地になることによって受ける不利益、当面しているいろいろな困難性を措置するためには何とか柔軟な対応しかないのじゃないかということを私は尋ねているわけですよ。どうなんですか。
  70. 遠山耕平

    ○遠山説明員 お答え申し上げます。  高度僻地に係る修学旅行費、それからパン、ミルクに対する給食費の補助でございますが、これはその趣旨からいって、高度僻地でなくなった場合には補助対象にするというのは非常に困難なわけでございますので、そのような場合には、先ほど申し上げましたような経済的な理由によって修学旅行に行けなくなるおそれのある児童生徒に対してはそういう制度を活用して混乱が起きないようにしたい、こういうことでございます。  僻地の指定基準の改正につきましては、私どもことしの三月、人事院なり財政当局と相談をして決めたものでございます。それで、一番の大もとは国の指定基準、それによっているわけでございますので、そちらの方が大幅に変わらない限りはなかなかすぐに改正するということは困難だろうというぐあいに思っております。
  71. 上原康助

    上原委員 もう時間がないから、こんな官僚答弁じゃだめなんだよ。指定基準が変わるから修学旅行やミルクの問題が起きるのであって、わかり切ったことじゃないか。  それはもう時間ですから、大臣、あとマラリア問題にいこうと思ったのですが、これについてはぜひ特段の配慮をして、私たちにもあるヒントがありますから、厚生年金問題を一応前進させましたので、それと級地見直しについてはやはり政治判断しかありませんから、阿部大臣、一肌脱いでください。ひとつ決意を伺って終えたいと思います。
  72. 阿部文男

    阿部国務大臣 先ほど申し上げましたように非常に難しい問題ということで、文部省の担当からもお話がございましたけれども、しかし、私としては、沖縄県のことを十分理解していただくように努力してまいりたいと思います。
  73. 上原康助

    上原委員 よろしく。簡単に扱ったら困りますよ。  私は四十七分を三十七分と間違って、ちょうど十分ぐらいありますから、次は戦争マラリア犠牲者の国家補償の問題についてお尋ねをさせていただきます。  これは厚生省援護局にこれまで何回か足を運んで、いろいろ軍命によって八重山群島、波照間であるとかその周辺諸島から西表のマラリア罹災地域というかそういうところに強制的に行かされたのだから、当然国家的補償というものをやるべきだと。残念ながら、戦後四十数年たってこの種の問題が出るというのは、私たちも心が痛いし、またある意味では大変申しわけない気もするわけですが、改めて厚生省開発庁のこの件に対する受けとめ方、どういう御認識を持っておられるのか、ひとつ聞かせていただきたいと存じます。
  74. 阿部文男

    阿部国務大臣 戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用については厚生省の判断によることになりますが、ただいま委員も御指摘のとおり、戦後四十数年が経過しておって、当時の状況、それから生存遺族の実態等、まだ不明な点もある。そこで、今後、開発庁としては、沖縄県がその実態の調査を進めるように聞き及んでおりますから、その結果を踏まえて対処をしていきたいと思っております。
  75. 船橋光俊

    ○船橋説明員 厚生省の所管しております戦傷病者戦没者遺族等援護法という法律がございますが、この法律では、軍人軍属等国と雇用関係のあった者、または雇用類似関係にあった者というものが対象になっておりまして、また、戦争公務に従事している間に死傷した場合という要件もございます。そういう場合に障害年金、遺族年金等 を支給するという制度でございますので、今議員御指摘のような事例につきましては、援護法の対象ではないと考えております。
  76. 上原康助

    上原委員 援護法の対象ではない、それは援護法の適用をどうするかという解釈の問題でもあろうかと思うのですが、なかなか厚生省がこの種のことについて、すぐ、ああそうですか、やりましょうと言ったためしはないので、そういうお答えをせざるを得ないと思うのですが、大変そういった御認識については不満ですね、理解しがたいですね。  そこで、今阿部大臣からも御答弁ありましたように、要するに、沖縄県が実態調査を進めておるので、それを受けて対処したいということですが、本来ですと、これはやはり国の立場で実態調査をやるべきだと私は思うのですね。当初、少し腰を上げるのかなという気がしたわけですが、その点もむしろ後退をしている感で、残念なんです。  さらに、参議院で、たしか小泉前大臣の御答弁かと思うのですが、沖縄開発庁、それから総理府、厚生省三者で連絡会議というか連絡をとって、この問題については窓口を担っていきたいというような御答弁もしているわけですが、これはどうなっているのですか。
  77. 藤田康夫

    藤田(康)政府委員 先生から御質問ございました第一点の、調査費を計上してやるべきではないか、こういう御質問かと思いますが、先ほど大臣から御答弁をさせていただきましたごとく、沖縄県で約八百万の予算を十二月補正予算に計上して、これを調査した上で戦争マラリア問題について検討する、こういう御報告を県から受けておるところでございます。先ほど大臣からも答弁させていただきましたように、当庁といたしましても、この結果を待って慎重に対処したいと考えておるところでございます。したがいまして、当庁として独自に調査する考えは現在のところございません。  それから、これはむしろ厚生省から御答弁をいただいてはいかがかと思いますけれども、御指名でございますので、私の方から御答弁させていただきますが、先生からお話ございましたごとく、戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用等の問題、これは厚生省に御判断いただくほかはない問題でございます。  去る平成元年の六月二十日の参議院社労委の質疑におきまして、当時の厚生大臣から、厚生省総理府、沖縄開発庁の三者で担当窓口を協議する旨の答弁があったと承っておるところでございます。  当庁といたしましても、こういった沖縄の戦後処理問題につきましては、従来から厚生省と連携を密にしてきたところでございまして、今後とも、厚生省沖縄県等関係機関とよく連絡をとりながら慎重に対応してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  78. 上原康助

    上原委員 実態把握というのはいずれにしても大事な点ですから、県当局がお進めになればそれも一つの方法だと思うのです。しかし、その前提はあくまで国家補償を求める。あるいは、そういった軍命によって犠牲になった、これは戦争行為の一環ですよね。  そこで、大臣、この種のことは解決するには早くて二、三年かかるのですよ、私の経験上もいろいろな問題は。それで、前例がないわけではない。対馬丸事件もございました。いろいろのことを私たちも関係者と話し合って、ヒントも得ております。ですから、県の調査結果を見て、速やかに国としても何らかの補償措置ができるような方途を十分厚生省あるいは県とも連絡し、関係者の意向も聞いてやっていただきたいと思うのですが、そういうお考えであるという理解をしてよろしいですね。
  79. 阿部文男

    阿部国務大臣 先ほども答弁申し上げましたように、厚生省の判断によることになりますけれども、今県でも鋭意実態調査を進めておりますので、その結果を踏まえて十分対処してまいる考えであります。
  80. 上原康助

    上原委員 これで終えますが、この戦争マラリア問題も、これから戦後処理の残された大きな課題でありますので、ぜひひとつ、関係者、特に生存者はもう大変高齢者になっている、その親御さんとかあるいは肉親、兄弟というのは、そういう意味で、早急にこれが関係者の期待に沿うように、沖縄開発庁厚生省の特段の御努力を強く要望して、ちょうど時間ですから、終えたいと思います。
  81. 沢田広

    沢田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後二時四十七分休憩      ────◇─────     午後四時十四分開議
  82. 沢田広

    沢田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。玉城栄一君。
  83. 玉城栄一

    ○玉城委員 まず最初に、外務省の方にお伺いいたします。  来月の二日か三日だと思いますが、米ソ首脳のマルタ島沖での会談が予定されておりますが、その結果を見なければはっきりは言えないと思いますけれども、ソ連のペレストロイカに発して、今御存じのとおり東ヨーロッパでは大改革の波に覆われているわけですね。冷戦の落とし子というベルリンの壁に穴があいた、こういうことでございますが、それで十一月の二十二日にブッシュ大統領が全米向けテレビ放送で、今後はソ連とは対決ではなくしていわゆるパートナーシップを目指して、そして第二次大戦の冷戦の終結宣言をする、そういうようなことを演説で言っておるわけであります。  今後は軍事的な対決というのではなくて、政治あるいは経済のいわゆる協調という方向に行くと私自身は思います。思いますが、有馬局長さんはどのような御認識を持っていらっしゃいますか、お伺いいたします。
  84. 有馬龍夫

    有馬政府委員 先生の御認識は御認識として敬意を表させていただきたいと思います。  先生御自身おっしゃられましたように、まずは今度のマルタ島沖におきます双方の首脳会談の成果を待ってからということでございまして、大きく物事が動いていることはもう確かでございますけれども、その帰趨についての判断はよほど慎重に考えていかなければならないと存じております。
  85. 玉城栄一

    ○玉城委員 それで、アジアにおいては冷戦の落とし子といえば、ベルリンの壁と同じようなケースでは、朝鮮半島の三十八度線の板門店ですね。その板門店はベルリンの壁に穴があいたというそこまではまだいきませんけれども、やはり今後の動きとして、いわゆる米ソ間、何らかの動きが当然出てくるのではないかと思うのですね。ですから、在韓米軍は削減という方向に今の流れからしまして出てくると思いますが、局長さん、どのようにお考えですか。
  86. 有馬龍夫

    有馬政府委員 先般来、米国政府、韓国側もそうでございますけれども、米側は、米韓双方がその存続を希望する限り引き続き在韓米軍は維持されるということでございまして、予見し得る将来、今先生がおっしゃられたような事態は生じないと考えております。
  87. 玉城栄一

    ○玉城委員 かねがねそういう議論をお持ちのようでありますが、私から申し上げるまでもなく、今急激に軍縮という方向に、米ソの対決ではなくて協調あるいは政治経済の面でも協調という方向に流れていることはもう厳然たる事実ですから、いわゆるアジアの冷戦の落とし子ともいうべき板門店、また在韓米軍の削減ということは当然出てくる問題ではないかと思うのです。  それはそれとして、今度は沖縄米軍基地を、拡大ではなくして縮小の方向に当然出てくると私は思うのです。  それで、実はうちの石田委員長が二、三日沖縄米軍基地の視察を行いまして、そのときに、米軍の海兵隊司令官ロバート・B・ジョンストン准将と沖縄基地問題で二十八日会談した際に、石田委員長が、沖縄米軍基地は代替地を前提にした返還合意事項があるが、沖縄の現状は代替地を出せる状況にはない、根本的に沖縄米軍基地の返還計画について改めるべきであるというような 要望、公明党の質問に対して、ジョンストン海兵隊司令官は、米軍基地の一部返還を含む縮小には賛成である、代替地がなくとも返還を検討していると答えておりますが、局長とされては、今の現地の司令官はそういうコメントをしたのですが、どういうふうに受けとめられますか。
  88. 有馬龍夫

    有馬政府委員 ジョンストン司令官が御指摘のような発言を行った旨の報道は承知しておりますけれども、その内容については直接承知する立場にはございません。  現在、ここでも何度か説明申し上げましたけれども沖縄にあります施設、区域の整理統合話し合いは進めておりますが、何分検討の作業をまさに行っているところでございまして、具体的に何がどのように考えられているかということについて言及することは御容赦いただきたいと存じます。
  89. 玉城栄一

    ○玉城委員 今、日米間で沖縄米軍基地の統合整理ということについて検討を進めているというお話がありましたが、その検討を進めているのはどういうところで進めているのですか。
  90. 有馬龍夫

    有馬政府委員 これは日米合同委員会の下部機関に施設調整部会というのがございます。ここにおきまして、日米安全保障協議委員会において既に了承されております沖縄における施設、区域の整理統合計画のうち、いまだ実施されていないものについての実施上の可能性、その問題検討していることが一つでございます。  また、沖縄県知事が米国政府に対して行われました施設、区域の返還要望の実現可能性についても、まさにこの施設調整部会において行っているところでございます。
  91. 玉城栄一

    ○玉城委員 日米安保協議委員会とはまた別にこれはございますがね。日米安保協議委員会沖縄の返還、さっき申し上げました移転を前提にした返還、合意されているものがあります。移転を前提にして返還は合意したが、この十年来、移転が前提で、その移転する場所がないために返還合意が全然そのとおり遂行されていないということがあるわけですね。ですから、その意味で、さっき私が申し上げました現地の海兵隊司令官が、代替地がなくても返還は一部検討しているということは、私は相当進んだ考え方を現地の軍の司令官は持っているなという感じで受けとめているわけですが、外務省はどうお考えなんでしょうかね。
  92. 有馬龍夫

    有馬政府委員 今御説明申し上げましたように第十四、十五、十六回の日米安保協議委員会で合意されました返還対象、これは四六%は既に実現しているわけでございますけれども、残余のものについて、それから繰り返しになりますが、一昨年の春、沖縄県の知事がアメリカに行かれて提出されたもの、それを検討しているわけでございます。時間がたっておりますので、十四、十五、十六回、実際十五回と十六回で、十四回のは全部返還されたわけでありますから、代替地等の選択を求めるといった作業を今進めております。  地主の方々の御意向もございます。跡地利用についての考え方をいかように取りまとめるといったような問題もあると承知しておりますが、何分、せっかく委員長がジョンストンと話されたことでございます。しかし、それの詳細につきまして私ども捕捉する立場にございませんし、交渉の立場にあります私どもとしては、その具体的内容をここでお話しすることができないことについては、相手があることでございますので、御了承いただきたいと存じます。
  93. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうしますと、外務省は、いわゆる代替地がなくては返還はあり得ないというお考えですか。
  94. 有馬龍夫

    有馬政府委員 繰り返しになりますけれども、例えば十五回、十六回の安保協議委員会で了承されました整理統合計画のうち、未返還のものを今検討しているわけでございますが、今申し上げましたように、それぞれについて時間もたっておりますので、返還条件の内容等にも若干の変化がございます。さまざまな条件がそれぞれにございますが、まさにそれを検討しているということであって、具体的に今先生がおっしゃられました御質問にイエスであるとかノーとかいうことが難しいということは御理解いただけると思います。
  95. 玉城栄一

    ○玉城委員 はっきりしないですね。今局長さんがおっしゃった十四、十五、十六の日米安保協で、代替地を前提にした返還、それ以外でも沖縄には基地はありますよ。だから、必ず代替地がなくちゃ返還はしないという、外務省はそうお考えなんですか。しかし、現地の司令官は、代替地がなくても一部は返還を検討していると言っている。話が全然、これは日米間で今後話し合わなければいけませんのに、外務省はどうお考えなんですかね。
  96. 有馬龍夫

    有馬政府委員 先生、一般論としてそのようなことを今ここで断定的にお答えすることが難しいことは御理解いただけると思います。断定的に今ここで、おっしゃられました御質問にお答えすることが難しいことは、今まさに交渉を行っているものでございますから、御理解いただけると思います。
  97. 玉城栄一

    ○玉城委員 まあ外交的に交渉しているから、そこは察してくれということであれば、現地の司令官、海兵隊の司令官ですからね、必ずしも代替地がなくても返還はあり得る。  では、一部返還も検討しているということは否定はされないわけですね、局長とされては。
  98. 有馬龍夫

    有馬政府委員 話し合いの対象の中にはそのようなものも含まれておりますけれども、まだその帰趨については何とも申し上げることができません。
  99. 玉城栄一

    ○玉城委員 はいはい。何か非常に、話し合いの対象には含まれているけれども、その結論には達していない、こういうような意味でしょうかね。  うちの委員長が向こうに申し上げたのは、沖縄というのは土地が狭いんだ、だからそのかわりの地域を提供するからという前提条件では基地の返還は難しいですよ、そう話したら、それは承知している、だからそういう代替地がなくても一部は返還するということは考えている、これはある意味で当然な話ですよね。  もうこれ、お答えになる気持ちはありませんか。いや、これは委員長がちゃんと聞き出した話だから、私は簡単には下がりませんよ。
  100. 有馬龍夫

    有馬政府委員 私は、委員長とジョンストン司令官との間でのやりとりについてコメントしているのではなくて、今米側との間で行っております沖縄にある施設、区域の整理統合話し合いの中で、代替を必要とするものがあるか否か、代替を必要としないものがあるか否か、必要としないものも含まれておりますけれども、それが果たして実際に、その他にもいろいろ条件はございますので、返還は可能であるかどうかということについては何とも申し上げかねるということでございます。
  101. 玉城栄一

    ○玉城委員 それでは、時間もありませんのでもう一つ、いらっしゃる間にちょっと伺っておきますが、この前から何回も外務省の方にも申し入れもしましたが、恩納村の都市型戦闘訓練施設の現場を我々も何回も視察しまして痛感したのは、新しい施設の建設や軍事訓練など米軍基地の運用について、地域住民意見を反映させる制度がないために混乱を大きくしていることが感じられます。地位協定三条三項に「合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払って行なわなければならない。」と規定されております。しかし、各種の基地問題を振り返ると、妥当な配慮の内容に関しては米軍の一方的な判断にゆだねられているのが実態です。人間の行うことにミスはつきものでもあり、これまでも安全対策を講じたはずの訓練で事件、事故が多発している。施設の建設、それを使用した訓練に対して、基地周辺の住民意見を表明できる場を設けなければならないと思います。  現在、県、国、米軍が参加した自由な話し合いの場として三者連絡協議会が沖縄で設定されておりますが、制度的根拠がなく、実際上の効力を有していない。このネックを解消するため、三者協、今申し上げた三者協を在沖米軍基地の運用に関する諸問題検討する機関として、日米安全保障協議委員会の下部組織に位置づけるよう提案したい。 こちらの提案ですね。  特に米軍の新たな基地施設については、計画の段階でこの機関に諮り、当該自治体の承諾が得られない場合は建設できないとの原則を日米両政府間で確立すべきである。こうした制度的措置が講じられない限り、恩納村のような問題が次々と起こる可能性がある。既存の軍事訓練についても、住民から異議申し立てがあれば、新しく位置づけられた三者協で検討できるようにすべきであります。国際政治の舞台で民主化が重要なキーワードとして登場している状況の中で、外交、防衛は国家の問題住民は黙っているとの非民主的な姿勢は通用しないと思います。住民無視の基地運営は、結局は日米両政府立場を苦しくするだけだと思います。  そういう意味で、先ほど申し上げた三者協を在沖米軍基地の運用に関する諸問題検討する機関として日米安保協議委員会の下部組織に位置づけて制度化できぬものかどうか、そういうことによって沖縄に起こるさまざまのトラブルが解消できると我々は考えている。  今の提案をどうお考えですか。
  102. 有馬龍夫

    有馬政府委員 今お読みになられましたものは、申しわけございませんけれども、御党が提案されたことをお読みになられたわけでございますか。
  103. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうです。これは委員長沖縄の記者会見で発表したものです。
  104. 有馬龍夫

    有馬政府委員 失礼いたしました。  三者協の活性化ということは先般来言われておりまして、これはまことに結構なことだと思います。  それから、もしも住民の意向を無視しているといったようなことが米軍の行動の中にあるとすれば、それをそのまま放置することが日米双方を困難な立場に置くこととなろうというくだりがございました。それもそのとおりだと存じます。今おっしゃられました、日米安保協議委員会の下部機構として、そのように機構を余りぎりぎりとはっきり定義づける必要があるかないかについてはさらに考えさせていただきたいと思いますけれども、私は、この三者協というのは前から存在しているものであって、それの活性化、効果的な運用を考えていけば、余り形式にこだわらなくても最初に述べられていた種々の目的は十分に達成されると存じます。
  105. 玉城栄一

    ○玉城委員 ぜひ申し上げた趣旨を十分検討をしていただきたいと思います。  ところで、もう終わりですが、きのう沖縄米軍ヘリが墜落事故を起こしましたが、その事実関係だけちょっと。
  106. 有馬龍夫

    有馬政府委員 米側によりますと、事実関係は次のとおりでございます。  十一月二十九日午前十時五十分、沖縄本島沖のキャンプ・シュワブ訓練水域内、東経百二十八度五分九秒、北緯二十六度二十八分三秒の海上に、米海軍駆逐艦オルデンドルフより発進したカマンSH2F艦載型対潜ヘリコプターが、通常の飛行中に墜落した。海上の船舶等への被害はない。  これが事実関係でございますけれども外務省といたしましては、米側に対して、事故の原因究明、再発防止、米軍機飛行に当たっての安全確保の徹底を改めて求めたところでございます。米側は、当方の申し出を了解いたしまして、事故の原因究明に努めて一層の安全措置を講じ、再発防止のために努力すると申しております。
  107. 玉城栄一

    ○玉城委員 外務省はよろしいです、余りお答えにならないから。  今度は長官に、これは事前に打ち合わせはしていませんので、大体こちらの提案みたいなものですから、お聞きになって感想を述べていただけばよろしいです。  返還された沖縄の軍用地の遊休化に対する補償制度の確立ということで、基地返還を困難にしている大きな要因として、軍用地代に依存している人々の生活問題がある。県民挙げての反対に遭ったハリアー訓練場の代替地として伊江島が選ばれたが、同島の軍用地主らは当面の経済理由から基地の継続的使用を望んだと聞いている。基地返還に伴う地主の不安を解消し、復元を含め遊休化した軍用地の有効利用のめどが立つまでの一定期間、国が軍用地代と同額の収入を補償する制度を確立する必要がある。これらの軍用地主は、強制的に土地を接収された上に、長年にわたり国の施策への協力を余儀なくされてきたのであるから、補償制度は当然の措置と考える。そのためにも、各自治体レベルで説得力に富んだ基地跡地利用計画整備し、県民の間に自立経済を志向する力強い息吹をはぐくむべきである。  返還されますでしょう、地料が入りませんね、地主は生活できない。だから、その間のつなぎ、跡地利用をきちっとしてこれを何らかの形で国が補償できるような、そういうものができないかどうか。
  108. 藤田康夫

    藤田(康)政府委員 米軍施設、区域の返還跡地の問題かと思いますが、その有効利用の促進をいたしますために、当庁といたしましても高率の国庫補助による土地区画整理事業や土地改良事業を積極的に導入してきたことは、先生案内のとおりでございます。今後とも、地元の跡地利用計画が固められたものについてはその事業の施行に努めて、できるだけ早くそういう事業が完成するよう努力してまいりたいと考えております。  ただ、先生から御提案ありました点につきましては、いろいろの観点から検討を要する問題ではないか、かように考えております。
  109. 玉城栄一

    ○玉城委員 次は防衛施設庁にお伺いいたします。  例の米軍貸し住宅の問題ですが、防衛施設庁は、一体何年からいわゆる思いやり予算で米軍基地内に米軍用住宅を建設し、これまで何千戸つくり金額は幾らになり、もう一つ、そのことによって基地の外のいわゆる民間の米軍用の住宅がどういう——思いやり予算で基地内に住宅をつくったために基地外の空き家が出ましたでしょう、それは大体どのくらいあるのか、概略を御説明いただきたい。
  110. 荒木丈彦

    ○荒木説明員 お答え申し上げます。  沖縄におきます提供施設整備によります米軍家族住宅につきましては、昭和五十六年度から昭和六十三年度まで二千八百七十三戸建設いたしております。平成元年度におきましても四百二戸建設する計画でございます。金額につきましては、五十六年度から六十三年度までで九百六十八億円でございます。  それから、空き家の状況でございますけれども米軍に登録しております戸数が約五千九百戸ございますけれども、その中で空き家と私ども調べましたものは約千百戸でございます。  以上でございます。
  111. 玉城栄一

    ○玉城委員 今、九百六十八億で約三千弱戸基地内につくったために、皆さんの考えでは千百戸が空き家になっている。この千百戸はどうされるのですか。
  112. 小澤毅

    ○小澤説明員 お答え申し上げます。  ただいま、千百戸の空き家についてどのように防衛施設庁として考えるかということでございますけれども、これにつきましては、いろいろ当時のいきさつ等ございますし、また、その空き家を管理しております貸し住宅協会は、米軍だけでなく一般の人も対象としておるような状況でございますし、またさらに、その空き家に至った状況はいろいろございます、だんだん古くなってきたとか米軍との規格が合わないとかいうことがございます。そういうことがございますし、さらに米軍との間でも、この貸し住宅をつくるということについて取り決めとか、また口約束といいますか、そういうもの等も特にないというふうに伺っておりますので、その辺につきましては、今後いろいろ難しい点がございますけれども米軍に対しまして、できるだけこの空き家を使うというふうな方向でこれから米軍にも申し入れていきたいというふうに思っております。
  113. 玉城栄一

    ○玉城委員 現実に、皆さんの判断では千百戸空き家がある。平成元年も四百二戸完成するわけですね、さらにまた四百二戸新しく今年度、これはやがてもう完成したものができるわけでしょう。空き家が出ますね、ふえますね。だから、そういう やり方で皆さん方、米軍貸し住宅というのは沖縄でそういう米軍の需要があるということを、口約束かあるいはどういう約束かわかりませんが、おっしゃったように米軍に登録されているのは五千九百戸あるわけでしょう。それが、思いやり予算でどんどん基地内でつくると当然空き家になっていきますね。これはほったらかしにはできないでしょう。今後それをどうされるのですか。
  114. 小澤毅

    ○小澤説明員 平成元年度に予定しております四百二戸につきましては、従来から既に設計等がかかっておったいわゆる継続のものでございます。したがいまして、平成年度から新たに要求する分につきましては、これを現在、平成年度については概算要求等家族住宅はしないということで今処理させていただいております。
  115. 玉城栄一

    ○玉城委員 平成年度は思いやり予算は、米軍基地ではつくらない、そのための概算要求はしないという理由は何ですか。
  116. 小澤毅

    ○小澤説明員 これは先ほども申し上げて、ちょっと繰り返しの答弁になろうかと思いますけれども米軍に対する貸し家で生計を立てている人等、やはりその辺の状況等を勘案しながら我々はやっていかなければならぬ、そして、さらに空き家があるということでございますので、米軍に対しても、できるだけその空き家を使うという方途を講じていくということで処理していくということで考えております。
  117. 玉城栄一

    ○玉城委員 今千百戸あいている。また平成元年に四百二戸できる。その分の空き家がまた、全部と言わないが出てくる。したがって、平成二年はそのための思いやり予算の概算要求もしていない。平成三年はどうなるのですか。これは平成二年はやらない。これは二年間で全部きちっとこの空き家問題は、皆さん、米軍に奨励するなりして解決されるという自信はありますか。
  118. 小澤毅

    ○小澤説明員 お答え申し上げます。  三年度以降の話でございますが、これにつきましては、今後それの見通しを立てるということはなかなか難しゅうございますし、空き家の状態がどのようになるかということも我々はっきり見通し等つかみにくい状態でございます。したがいまして、いずれにしましても現在の空き家の状況等いろいろ勘案しながら慎重に対処していくという方向で処理させていただきたいというふうに思っております。
  119. 玉城栄一

    ○玉城委員 定期的にちゃんと、空き家の状況というのは今幾ら残っておると全部チェックされますね。今幾ら埋まった、幾らあいている、当然それはチェックしていかぬといけないでしょう。そのために、あなた、思いやり予算をストップしているのでしょう。
  120. 荒木丈彦

    ○荒木説明員 お答えいたします。  当庁といたしましては、米軍に対してできるだけ民間貸し家住宅の使用を引き続きまして申し入れていく一方で、空き家状況がどのようになっておるのか、これについても把握しておく必要があると考えておりますので、この点につきましては米軍とも十分調整を進めてまいりたいと思っております。
  121. 玉城栄一

    ○玉城委員 この空き家問題解決するまでは基地内住宅の建設はしないという原則をぜひ確立してもらいたい。協会とおっしゃいますが、これは協会、この貸し住宅の家主ですね、この方々の強い要望です、こんなにどんどん空き家が出たら困ると。それから、その遊休化貸し住宅に対する救済措置を政府が責任を持ってやってもらいたいという要望がありますから、この点も検討していただきたいと思います。  それから、例の僻地級地見直しの問題なんですが、文部省いらっしゃいますか。きのうもいろいろお伺いしましたが、この僻地級地見直しというのは、ことしの三月三十一日ですね、基準を見直ししたのは。それを、さっきの御答弁を聞いていますと、一月に内定していたというお話ですね。そして、来年の一月末実施ということでしょう。ですから、そうなんですか、これは三月三十一日に基準を見直しする、その二カ月前に内定していたのですか。内定というのは、ちょっとそんなふうに聞こえたのですが……。
  122. 遠山耕平

    ○遠山説明員 お答え申し上げます。  一月に内定していたというのは、個別の学校のお話ではなくて、僻地指定基準の改正の内容についておおむね内定をしていた、こういうことでございまして、まだ省令で決めてはいないわけでございます。
  123. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、ぱっと三月三十一日に全国一律に基準を決める前に、こういうふうな考え方で決めようと思うが、各都道府県、特に沖縄の場合どうか、県には相談も何にもしなかったのですか。
  124. 遠山耕平

    ○遠山説明員 一月に主管課長会議のときに、大体こういう内容で改正をしたいということで概要を説明してございます。
  125. 玉城栄一

    ○玉城委員 いや、私の言うのは、沖縄県とは相談しなかったのですか。こういうふうな基準の改定になります、沖縄県よく検討してみてくださいとか、そういうことはしなかったのですか。
  126. 遠山耕平

    ○遠山説明員 具体的に沖縄県にこれでいいかというようなことは、了解をとるというようなことはやっておりません。
  127. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうすると、こういう基準が出るということは、三月三十一日までは沖縄県も知らなかったわけですね。こういう基準が見直されるということは沖縄県は知らなかったわけですか、三月三十一日以前には。
  128. 遠山耕平

    ○遠山説明員 いえ、一月の主管課長会議のときに、大体こういう内容の改正をやる予定ですということを説明はしているわけです。主管課長会議ですから各県の主管課長さんは出ておられますから、そこの席で説明をしておるわけでございます。
  129. 玉城栄一

    ○玉城委員 ちょっと誤解をしておりました。わかりました。  そこで、沖縄県の方は、大体こんな基準で三月三十一日に改定されると、一月にはわかっていたわけですよね。その後、沖縄県は何とも言ってこなかったのですか。沖縄の場合、離島、僻地である、沖縄振興開発一次計画、二次計画、これを三次までと、さっきも議論ありましたでしょう、そういう離島、僻地性があって、この島この島と、こういう基準でやられると困るけれども何とか考えてもらいたいとかなんとか、沖縄県の方は何も要望なかったのですか。
  130. 遠山耕平

    ○遠山説明員 具体的にここをこうしてほしいというのを、主管課長会議のときには聞いておりません。
  131. 玉城栄一

    ○玉城委員 三月三十一日に決まってから、最近ですか、何か盛んに県の方はどうのこうのと、決まった後から言ってきているのですね、新聞で見ますと。
  132. 遠山耕平

    ○遠山説明員 三月三十一日に省令を改正しまして、それから四月の末から五月にかけて説明会を一応やっております。そのときも、特別にぐあいが悪いというようなことは私は聞いておりません。
  133. 玉城栄一

    ○玉城委員 私は皆さん方の今回決めた僻地級地の見直しは正しいとは全然思いませんよ。へき地教育振興法の目的は、これは御専門ですから解釈はいろいろあるでしょうけれども、「この法律は、教育の機会均等の趣旨に基き、かつ、へき地における教育の特殊事情にかんがみ、国及び地方公共団体がへき地における教育を振興するために実施しなければならない諸施策を明らかにし、もつてへき地における教育の水準の向上を図ることを目的とする。」このとおりですよね、この法律の目的は。それに基づく皆さん方の省令が僻地級を何級、何級と指定、その基準を見直すと。さっきの御答弁を聞いていますと、何か船の回数が多いとか、あるいはいわゆる距離がどうのこうのと。このへき地教育振興法の趣旨は、そういうことだけで級を設定していいのかどうか、非常に疑問に思うのですね。  現実に沖縄県で、宮古島の平良市の小学校六校、中学校五校、また伊良部島と、さらに離島がありますね、ここに四校ですか。それから久米島にもありますよ。ああいうところ一帯をずっと回ってみて、そんなに皆さん方のこの基準で変えられる ような状況か、その指定も含めて、父兄の方々も含めて。私は、皆さん方は文部省ですから全国一律に、全国的に基準を設定しなくちゃいかぬという立場はわかりますが、それ以前に、沖縄県の場合はさっき申し上げた特別措置等いろいろありますから、まだまだ沖縄の場合の僻地性というものはその基準だけではいかぬじゃないかという何か相談があってしかるべきだったと私は言いたいのですよ。課長さん、その辺はいかがですか。今後、基準を設定してしまって一月一日から実施。しかし、この基準は今さら変えられるか。変えてもらえればいいのですが、とにかく申し上げたいことは、沖縄県のそういう久米島、伊良部、平良市の学校給食のカット、修学旅行に行くのに国が補助するのもカットということになりますと、今言う法律の趣旨に大変反するのですよ。それは沖縄制度はあります、金のない人の分はちゃんと補助します、生活保護みたいな感じのがあるからそれでいいんじゃないかと。そういうものだけで済まされない、事子供の教育ですから。  そこで、やはり今後の問題としてその救済、救済といいますか級の見直しによって、県と文部省とよく相談されて、じゃ県が、本当は文部省ですが、金が足りない分があれば県がちゃんと負担するなり何かして、いわゆる今のレベルを落とさないというぐらいの配慮をきちっとやらないと、これは余りにも気の毒ですからね。いかがでしょうかね、まず基準の設定の見直しはどうですか。今のを改正できますか。
  134. 遠山耕平

    ○遠山説明員 お答え申し上げます。  基準の設定につきましては、本年の三月三十一日に文部省令を改正して全国的な統一の基準を改正したところでございますので、今直ちに改正するということは困難であろうというぐあいに考えております。  それで、僻地学校の指定の一番の意味なんですが、これは、小中学校については義務教育でございますので、どういう僻地学校でもちゃんと立派な先生に行っていただいて教育をしてもらう、そのために先生の手当として僻地手当というのを二五%から四%まで支給をする、こういうのが一番の趣旨でございます。そういう点では、やはり全国一律のこういう基準を決めて手当を支給していくということが大事ではないかというぐあいに考えております。  それで、今回の僻地学校の級地の指定の見直しによりまして級地の下がった学校に新たに勤務する教員については、当然僻地手当の率が下がるわけでございますけれども、現に勤務する学校に引き続き勤務する場合には属人保障という制度がございまして、ほかの学校に転任するまでは現行の支給額が保障される仕組みになっております。そういう点で問題点は少ないのではないかというぐあいに考えております。  それからもう一つ先生が御指摘になりました高度僻地の修学旅行費の補助それからパン、ミルクの補助でございますが、これについては、昭和六十一年の十二月に会計検査院の僻地学校指定の見直しについての処置要求以来、昭和六十三年度それから平成元年度、ことしと二年度にわたり一応暫定的な特例措置により補助対象に扱ってきたわけでございますので、国としてこの措置をさらに平成年度以降延長するということは困難ではないかというぐあいに考えておりますけれども、この補助制度の廃止によりまして学校教育に支障の生ずることのないように、沖縄県の教育委員会とも相談をして対処してまいりたいというぐあいに思っております。
  135. 玉城栄一

    ○玉城委員 今おっしゃっていることは、いわゆる先生方に対する僻地手当、それとまた国が出している給食費の補助それから修学旅行の補助、これはいわゆる僻地の基準の見直しによって三級から二級になることでカットされますね。それは基準からすればカットということになるんだが、実質はそうならないように県の教育委員会が手当てするなり何かするということは話し合ってみますという意味ですか。
  136. 遠山耕平

    ○遠山説明員 対応の仕方としては、今先生おっしゃるようなことも考えられますし、そのほか、もう少しほかの方法も全然考えられないわけじゃないと思いますので、どういう方法が一番いいか、県の教育委員会と相談してまいりたいと思います。
  137. 玉城栄一

    ○玉城委員 長官、退屈していらっしゃるはずだから、この件でぜひ文部省と打ち合わせをされまして、長官は三回もいらっしゃって、沖縄の僻地性、離島性というのはよく御存じですから、これを全国一律にするということ自体にいろいろ——さっきもおっしゃいましたように、設定したものは基準を改められないと言うのですから、その分、落ち込んだものは県なり文部省なり開発庁なりいろいろ相談をされまして、いわゆる実質低下しないという措置だけはぜひやっていただきたい。これは子供ですから、五千名おりますよ、平良市の場合なんか児童、対象者が。これは、修学旅行は小学生の六年からですね、しかし給食費というのはあれですからね。そういうものに影響のないような措置を、やはりそのための沖縄振興開発ということでずっと長官も苦労していらっしゃるわけですから、単純に距離とか便数が多いということで、沖縄はまだまだ僻地性、離島性というものがあるのですから、級を上げたり下げたりはちょっと無理だと私は思うのですね。ですから、そういう措置もお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
  138. 阿部文男

    阿部国務大臣 さきにも答弁いたしましたけれども沖縄開発庁としては、文部省に対してできる限り沖縄県の要望に沿うようにこれから善処してまいりたい、それ以上のことは言えない、それ以外ないのですから。文部省としては十分検討したのだ、そして再度見直しは非常に困難だということは、委員指摘のとおり言われているわけですね。だけれども、よく事情を踏まえておりますから、私の方ではこれからも要請してまいります。
  139. 玉城栄一

    ○玉城委員 たくさんありますが、ちょっと沖縄県の宮古島の地下水汚染の問題について、去年の五月、現地の総合事務局に我々はその対策を申し入れました、一年以上過ぎていますが。現時点でもさらに汚染の度は上がってきていますね。ですから、どういう対策を沖縄開発庁は、これを読み上げてもいいのですがちょっと時間がありませんので、水というのは命にとって大事なものですね、どういう対策をとってこられたか、お伺いいたします。
  140. 水谷文彦

    ○水谷政府委員 宮古の地下水問題については、御心配をいただいておりますけれども、お示しいただきましたように、昨年の五月三十日に総合事務局に対しまして宮古の水を守るための対策の申し入れをいただきました。それの直後でございますけれども、宮古の市町村を中心といたしまして、宮古島地下水水質保全対策協議会が設置をされました。そして、地下水の水質の推移、汚染源の解明等につきまして調査検討が進められておりまして、去る十月にその中間報告が出されました。また、昨年お申し入れのございました地下水の汚染防止対策につきましては、まず平良市におきまして、平成元年度から、つまり本年度から下水道の整備に着手しているところでございます。また、し尿処理施設につきましては、昭和五十九年度、六十年度予算をもって整備を行ったところでございます。なお、水道施設につきましても、本年度におきまして比較的水質の良好な水道水のウエートを高めるための施設整備を行っております。  今後、協議会の日程では、調査結果が来年三月に取りまとめられるというふうに伺っております。これが出ますと、地元から具体的な要望が出されてくるのだろうと思います。私どもとしましては、県とも相談をいたしまして、前向きに対処をさせていただきたい、取り組んでまいりたいと考えております。
  141. 玉城栄一

    ○玉城委員 よろしくお願いします。  厚生省、水、飲料水というのは厚生省の管轄ですが、そういう汚染状況、今開発庁からお話がありました。厚生省としてどういう対策を考えておるのかということをお伺いします。
  142. 藤原正弘

    ○藤原説明員 お答えいたします。  水道としてどういう対策をしておるかという御 質問でございますが、水道水の硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の濃度は、水質基準と比べますとそれよりも下回っておる、合格しておるということでございますが、それに近い値となっておりますので、水道の企業団におきまして注意深く監視をしておるところでございます。  また、水道としましては、当面の対策としまして、幾つかの水源のうち白川田水源につきましては水質が比較的良好で水量も豊富でありますので、他の水源の使用量を極力抑えるとともに、水質の平均化を図るため連絡管の整備を進めているところでございます。
  143. 玉城栄一

    ○玉城委員 ちょっと時間がありません。一言だけ、厚生省、浄化水槽を設置するというお話を伺っておりますが。
  144. 櫻井正人

    ○櫻井説明員 御説明を申し上げます。  厚生省といたしまして、生活排水対策ということで実施をしておりますのは合併処理浄化槽の設置整備事業というものがあるわけでございますけれども、合併処理浄化槽と申しますのは、個々の家庭等におきましてし尿と生活雑排水をあわせて処理できる、また設置につきましても比較的簡単に設置できるということで大変小回りのきく施設でございますので、この設置を促進するために、昭和六十二年度から合併処理浄化槽設置整備事業というものを創設してその整備に努めておるところでございます。  この事業の内容でございますが、合併処理浄化槽を設置する設置者に対しまして市町村等が補助を行った場合に、それに対して国が補助金を交付する、そういった仕組みでございます。  なお、現在まだ宮古島でそういった事業は行われておりませんけれども、そういった希望等が出てまいりますれば、これは予算的には沖縄開発庁の方の予算に計上していただくことになりますが、開発庁並びに県を通じまして宮古島の一市二町一村とよく相談をさせていただきたいと思っております。
  145. 玉城栄一

    ○玉城委員 もう一点だけ、建設省、公共下水道のお話、宮古の平良市の件でちょっと。
  146. 安藤茂

    ○安藤説明員 下水道事業につきましては、宮古島の中心でございます平良市におきまして平成元年度から公共下水道を新規採択したところでございます。現在事業実施のための手続を進めておりますが、これを完了させた上で事業に着手し、早急に公共下水道の供用開始が図られるように計画的な事業推進方を指導してまいりたいと存じます。
  147. 玉城栄一

    ○玉城委員 ほかにいろいろ質問の予定がありましたが、時間が参りましたので。ありがとうございました。
  148. 沢田広

    沢田委員長 中路雅弘君。
  149. 中路雅弘

    ○中路委員 時間が限られていますから、防衛施設庁関係のことできょうはお尋ねしたいと思います。  ことしの六月に防衛施設庁が、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律、これに基づく住宅防音工事の助成に関する通達を各防衛施設局に出しておられますが、この通達の中身について簡潔に要点だけ教えていただきたいのと、この通達を出された理由について最初にお聞きしたいと思います。
  150. 宝槻吉昭

    宝槻説明員 お答えしたいと思います。  防衛施設庁が本年六月に住宅防音工事の関連で通達を出したわけでございますが、この内容については以下のとおりでございます。  御存じのとおり、環境整備法第四条では、住宅防音工事の補助につきまして、区域指定の際に現に所在する住宅を対象とするものである、このように規定しているわけでございますが、住宅というものは年数の経過とともに老朽化してくるということでございますので、このような住宅が老朽化のために改築されるということは当然予想されるわけでございます。こうした改築された住宅が建てかえ前の住宅といわゆる代替性、継続性を有するという場合には、これはいわゆる告示後の住宅として取り扱うのではなくて告示前からの住宅ということで補助対象にすべきである、こういう考え方を盛り込んでいるわけでございます。  この通達を発した理由ということでお尋ねがあったかと思いますが、これまで上記の考え方で進めてきたわけではございますけれども、建てかえた住宅の防音工事についての助成というものを行った例は幾つかあるわけでございますけれども、区域指定のときからの住宅の防音工事が相当数残っておったというのがこれまでの実情でございました。したがいまして、これらの住宅について優先して実施するということでございまして、建てかえた住宅の防音工事というものは本格的には実施してこなかった、こういうものが実態でございました。しかし、ここ十数年来住宅防音工事をやってまいりまして、現段階では、厚木の飛行場を除きまして、新規工事につきましてはおおむね完了の目途が立ってきたという段階に来ましたので、今後はこうした建てかえた住宅の防音工事についても積極的に取り組んでまいりたい、こういう趣旨で今回の通達を発したわけでございます。
  151. 中路雅弘

    ○中路委員 今の御説明でその背景はわかるのですが、これまでも同じ考えだとおっしゃっているのですけれども、建てかえ前の住宅と建てかえ後の住宅の代替性、継続性が認められれば防音工事は受けられる、このことはこれまで明確にされていなかったと思うのですね。だから、この通達を受け取った関係の自治体も、関係者は一様に、これは喜ばしいことなんですけれども、大変戸惑っているというか驚いているわけです。実際私もちょっと調べましたけれども嘉手納町では、こうした形でやられたところはこれまで一件しかないのですね。ほかは全くないのです。このことをきょう論議するつもりはありませんけれども、その一件は今の議長、そこだけはやられているのです。しかし、ほかは全くやられていないのです。  もう一度この趣旨を、沖縄だけではなくて全国関係ありますから、通達を出すというだけではなくて、関係の自治体や住民関係団体に徹底するような手だてをやる必要があるということが一つ。もう一つは、本来防音工事の助成措置を受けられるのに受けられていない住宅ですね、今までの経過からいえば、これがもう多数ですから、その実態がどうなっているかということを積極的にこの時点で調査をしていただきたい、この二つをお願いしたいのですが、いかがでしょう。
  152. 宝槻吉昭

    宝槻説明員 二点お答えする前に、先生今ちょっとお触れになった点でお答えしたいと思うのです。  先ほど私、これまで建てかえた住宅については重点的に取り扱っていない、少数である、こういうふうに申したわけですけれども嘉手納飛行場周辺で、私どもの方で局から報告を受けているところでは約七十件ほどある、こういうふうに報告を受けております。いずれにしましても、全体から見ればまだ少数でございますので、先ほど申しましたとおり、今後積極的に取り組んでいく、こういう姿勢でございます。  それから、先生今二点お触れになった第一点の、関係住民への説明なり周知徹底という点でございますが、これにつきましては、今後関係の自治体の皆様とも具体的な方向等についても協議しつつ御協力も仰ぎながら、私どもとしても十分説明、宣伝に努めてまいりたいと思っております。  それから、建てかえた住宅の実態数といいますか、数についての調査についてお触れになったわけですが、私どもとしては、これは補助事業者というのはそれぞれの住民の方が事業者である、この事業者が住宅防音工事の補助金制度というものを希望する場合についてはこれに対して補助する、こういう関係にございますので、補助の希望がない方というのも実際ございます。そういった方についてまで建物の関係について調査していくということはちょっと慎重にならざるを得ないということでございますので、今後は、一方で宣伝をしつつ、希望者について希望を出していただく中でその活動について把握してまいりたい、かように考えておるところであります。
  153. 中路雅弘

    ○中路委員 例えば、私が言っているのは、ここ にパンフレットがありますけれども、これは「住宅防音工事についてお知らせ」という嘉手納飛行場周辺区域に出されている周辺整備協会の沖縄支所のパンフレットです。これを見ましても、二度ほど出しておられますけれども、今おっしゃった告示後の同一地域内の建てかえについてこれができるのだということは、一切この中にはないのですね。パンフレットにもないのですよ。国会の答弁でもそうだったわけですけれども。  だから、どういう問題が起きているか。例えば五十三年に告示をされて、その周辺の防音工事の助成をされた。それで今度はさらに周辺の、まだそこよりも被害の少ないところですね、広い地域で五十七年に告示をされる。告示後ですから、五十七年告示以後の方は助成がされているのですけれども、五十三年に告示をされた後そこで建てかえたところはやられていないわけです。だから、ひどいところが実際は工事が受けられていない。防音工事の助成がやられていない。その後の五十七年の告示ですから、告示以後ということでしかこのパンフレットも出ていないのですね。  ちょっとパンフレットの中身を見ますと、全部触れると長くなりますから、今の要点のところだけお話ししますと、こうなっているのです。その内容を見ますと、「防音工事の対象となる建物」の項ですね。「防衛施設庁長官が指定した日以後に建てられた住宅は対象になりません。」これだけが明記をされているわけです。こういう申込書の必要書類も、住宅の建築月日を証明する建築家屋の証明書を送付することになっていますから、この証明書だけですから、防衛施設庁長官が指定した日以後かどうかということを証明するわけですから、このパンフレットから理解する限り、そういう同一地域内の改築とか建えかえですね、告示以後に建築した住宅は、申込書書類からいえば不利ということになるわけですね、実際には。だからみんな申し込みをしないのです。今までそういうことができないと思っていたから。だからこの通達を見たとき、嘉手納町の町議会でも大問題になったし、事実上そういう方針、運用の変更という場合には徹底させてほしいということが出ているわけです。  同じ種類の民間の場合、例えば運輸省の例で言いますと、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律というのがあります。この第八条の二で、「当該指定の際現に所在する住宅」というのがあったわけですが、これについて改めてその後、五十六年の八月ですけれども、運輸省が「老朽化等の理由で改築される住宅への助成について」という通達を出しているのです。これが方針、運用の修正だということで通達を出して徹底しているのですよ。実際にはこういった趣旨と同じ法律ですから、今まであったんだということで突っ張ってないで、やはり改めてこういうことで助成ができるのだということを徹底させる必要があるし、もちろん申請されてやるわけですけれども、しかし、では今までやってなかったとすれば、実態がどうなっているのかということは調査をする必要があるのではないかというふうに私は思うのですが、いかがですか。
  154. 宝槻吉昭

    宝槻説明員 私ども立場から可能な範囲で御希望を募る中で調査をして、そして関係自治体の協力も得まして十分住民に説明しまして、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  155. 中路雅弘

    ○中路委員 さっきも例を挙げましたけれども、実際調べてみますと、指定地域年度の違いから、騒音源に近い地域で先に建てかえた住宅よりも、騒音源に遠い地域で後に建てた住宅が防音工事の助成を受けているということも出てきていますから、そうなると不公正な事態をつくり出すわけなんで、その点は今沖縄のパンフレットの例で挙げましたけれども全国的に同じような問題が今実態としてあるわけですから、ひとつ徹底していただきたいと思うわけです。  しかし、改めてこの法律の第一条を見ますと、助成は「関係住民生活の安定及び福祉の向上に寄与する」とあるわけですから、この法律の本来の目的からいえば、後からこの地域に今度は移り住んできた人は今対象になりませんね、移り住んできた人たちも含めて、この爆音被害を受けているすべての住民にやはり等しくこうした対策をやるべきだ。これは予算の関係がありますから、順序はあるけれども、しかし、やはり本来の趣旨からいえば、できるだけそういう全体をこういう工事をやる対象にすべきだ。建てかえた住宅の代替性、継続性が認められたものだけとか外部からの転入住宅は除くとかいう条件はつけないで、すべての対象住宅に無条件で防音工事を実施するという方向でやるべきではないか。これが法律の趣旨ではないかと思うのです。これが一点。もう一点、次に同じように聞きますから……。  もう一つは、今非常に強い要求のありましたクーラーの電気料金、これは今度は生活保護者ですかね、その電気料金は見るとか、あるいは故障したクーラーの取りかえについて、平成元年度の予算で、生活保護世帯の電気料金と十年以上経過したクーラー、故障したクーラーの取りかえ補助などが予算化されていますけれども、これも、こうした限定をつけないで、枠をかけないで、今回の処置、クーラーの問題についても全面的に要望にこたえるべきだと思いますけれども、いずれにしても、まだこうしたこともよく知られていないのですね、クーラーの十年たったのはこの助成の対象になるということも。これも徹底さしていただくのとあわせて、法律の趣旨からいえば、こうした枠をかけないで補助の対象にすべきではないかと思いますが、二つの問題、いかがですか。
  156. 宝槻吉昭

    宝槻説明員 まず、第一点についてお答え申し上げます。  先ほどは、告示時点においてあった住宅が建てかえられたケースについて申し上げたわけですが、今先生指摘の点は、告示後に建物を建てられて、そこで居住を始める方の問題でございます。  このケースにつきましては、現在、環境整備法第四条の対象にはならないということでございまして、従前からこの住宅防音工事につきまして、我々、対象となる世帯数が非常に膨大であるということで、毎年数百億の予算を投じて積極的にはやってきておったわけですけれども、まだ相当数あるというのが現状でございます。  御指摘の、法一条の趣旨から見てどうかという議論でございますが、防衛施設庁としては、今私が申し上げましたとおり、告示後に建設された住宅の防音工事の問題というものは、大変法律的、財政的にも困難な問題であろうと考えておりますが、いずれにしろ今後の課題ではあるということで考えております。  それから、第二点目の、平成元年度予算で新設しましたクーラーの補助金、それから生活保護世帯に係る電気料金の補助金の制度について、現在私ども平成元年度予算の執行につきましてその手続を進めているところでございます。沖縄を初めといたしまして、関係地方公共団体等に対しまして説明を行ってきているところでございます。今後は、さらに住民の方々にも周知徹底するように努力してまいりたいと考えております。  なお、現在のクーラーであれば十年以上経過している、機能を果たしていないといったものを対象にしているものの、さらに改善の点につきましては、現段階では大変困難な問題であるということでございます。
  157. 中路雅弘

    ○中路委員 クーラーの問題もそうですし、先ほどお話ししました建てかえの問題ですね。本来助成が受けられるのに、特に建てかえの問題については、実際に申し込みをしないで騒音被害を我慢してきたという人たちが多数あるわけですから、この点はひとつ趣旨を徹底していただいて、こうした被害をなくしていく上での積極的な施策を進めていただきたいというのを、重ねて要望しておきたいと思います。  あと五分ぐらいですから、もう一点。これも現地へ行ったときにお聞きしたのですが、けしからぬと思っているのです。  嘉手納基地の屋良地区の海軍駐機場の排水溝ですね。たびたび問題になっていますけれども、油と水、油水の分離機があるのですが、復帰前の もので非常に老朽しているのですね。それで機能を十分果たしていない。  これは、県民の水がめである比謝川につながっていますから、それが梅雨のとき、大雨のとき、たびたび比謝川に航空燃料だとか廃油の流出事故が起きるということで、この分離機が原因で起こった流出事故というのを新聞の報道で見ますと、それはもう実際に町議会で聞きますと多いのですね。九件も今まで起きているのです、住宅地域へ油が流れ込んだとか、河川に汚染をするとかいう例がですね。だから、町議会でもたびたびこの改善については決議をして、米軍要請してきているのですが、今日まで一向に改善されない。  復帰前の施設ですからね。米軍の方はいわゆる思いやり予算で、私調べてみましたら、沖縄だけで思いやり予算で、これがやられた五十三年以後から、在沖米軍だけで、労務費の負担分、提供施設の整備と、みんな合わせますと三千七十八億も支出しているわけです。自分たち自身の責任でやらなければいけないことについては、こうした県民のいろいろ安全にかかわるような問題——そう金もかからないのですね、分離機の新設は。これすらまだ復帰前のやつを使っている、修理もしないということで、大変けしからぬと思うのですけれども米軍の方からもごく最近回答も来ているようですが、この点、今どういうふうに対処されているのか、施設庁の方からまずお聞きをしたいと思います。
  158. 小澤毅

    ○小澤説明員 嘉手納飛行場の米軍の海軍の方の駐機場周辺の油漏れについての御質問だと思います。これにつきましては、特に屋良地区ということでございますので、米海軍地区かと思いますので、これについてちょっと申し上げたいと思います。  このような油漏れに対しましては、防衛施設庁といたしましても、米側に対しまして、油分離施設の維持管理の徹底を図るということを行いますとともに、先ほど先生おっしゃいましたような、住民の環境の保全というふうな立場もございますので、環境整備という観点から、提供施設整備によりまして油分離施設を整備しているというところでございます。  そこで、一点、喜手納町議会でこれについているいる何か答弁がなされるというふうなことでございましたけれども、実は、我々嘉手納町議会の件につきましてはちょっとつまびらかでございませんので、この辺の答弁は差し控えさせていただきたいと思います。  いずれにしましても、この施設の管理につきまして、我々といたしましては、米側に対しまして定期的な点検を行うとか、または多量の雨が降ったときには上の方のくみ出しを行うとかいうふうな注意を喚起してございます。またさらに、先ほど来申し上げておりますように、油分離施設の整備については、これも我々積極的に推進していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  159. 中路雅弘

    ○中路委員 現地で聞きましたのでは、米軍の方から、全体としては新しい分離機を三基、来年の三月末までに二基改善して設置するという回答が来ているようですが、これは確認されていませんか。もしあれだとすれば、きちっと確認をして後で報告をいただきたい。
  160. 小澤毅

    ○小澤説明員 油分離施設の整備の状況でございますけれども、まず嘉手納飛行場全般についてでございますけれども、これは昭和六十年度から六十一年度にかけまして、全部で十六をこの提供施設整備で行っております。そのうち半分の八基につきましては、米海軍の駐機場関連のところに設置しておるわけでございます。そして、ただいま先生御発言ございました三基という数字でございますが、これは昭和六十三年度から平成元年度にかけて一応つくっていきたいということでございまして、そのうち今二基については着工しているというような状況でございます。
  161. 中路雅弘

    ○中路委員 時間になりましたので、最後に長官に一言お聞きしたいのですが、今の分離機もそうなのですけれども復帰前の老朽化したものがたびたびの住民要請でも今日まで改善されない。これは水がめですからね、流れ込んでいったということなので、県民の安全にとっても、開発庁としてもやはり、直接は施設庁あるいは外務省関連ですけれども県民立場に立って解決のためにより積極的にこうした問題については対応してほしいというのが一点。  それから、全体として、十月に日米の安保事務レベルの協議で沖縄米軍基地整理統合について話し合いがやられているということも聞いていますけれども、やはり沖縄米軍基地本土全体の七五%からの面積を占めているわけですから、沖縄の復興、振興開発にとっても米軍基地の存在というのは大変重要な関連を持つわけです。基地整理縮小について、開発庁としても重要な課題として関心を持ち、関係省庁ともよく対応していただきたいということを最後に一言お願いして、長官の御意見を聞いて終わりたいと思います。
  162. 阿部文男

    阿部国務大臣 嘉手納飛行場からの油の流出事故については、新聞報道等で私もよく承知しております。本件については、委員からも御指摘のとおり、当庁直接の所管ではございませんが、県民生活の安全を確保する上から、私は、米軍基地における施設の設置、運用に当たっては可能な限り周辺地域住民生活地域振興に及ぼす影響を少なくし、住民に不安が生じることのないように努力することが非常に重要であると常々考えております。適宜その趣旨を関係省庁に伝え、これからも十分な連絡をとってまいりたいと思います。  また、基地縮小の問題については、当庁の直接の所管でもありませんけれども、第二次振計において土地利用上大きな制約となっている米軍施設、区域をできるだけ早期に整理縮小し、跡地の有効利用を図るための施策推進することとされているところであります。  いずれにしましても、沖縄米軍基地問題については、可能な限り周辺地域住民生活地域振興に及ぼす影響を少なくし、住民に不安が生じることのないように努力することが非常に重要であると常々考えているところであります。適宜関係省庁ともこれからも連絡をとってまいります。
  163. 中路雅弘

    ○中路委員 終わります。
  164. 沢田広

    沢田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十三分散会